こうした低所得の高齢者が収入を得る手段、また働くのが難しい高齢者の生活を支援する施策、具体的にさらに進めるべきですが、知事、いかがでしょうか。
健康維持、特に高齢者にとっては、健康が第一であります。病気になったりフレイルになれば、余分な医療費や介護費用が生じることになります。特に低
所得高齢者には大きな出費となります。また、働いて収入を得る道が閉ざされることにもなります。行政にとっては、
保険制度維持のためにも、被保険者が健康維持に取り組めるようにすることが重要な施策であります。
2013年から何回か、
健康マイレージの提案とともに「とりっぽ(歩)」の普及についても質問させていただきましたが、再度質問いたします。
4年前、「とりっぽ(歩)」の廃止が決定された理由は、自前のアプリで経費がかかり過ぎることや使いにくく普及がなかなか進まないなどの問題があったと思います。高齢者の方はガラケーを使っている方もまだ多かった。私は、担当課に直接、必ず復活してほしいと口を酸っぱくして言ったことをよく覚えています。
今では、
ウオーキングアプリも充実してきています。
ウオーキング大会などのイベントも必要ですが、それらに参加する方よりも圧倒的に多くの方がひとりでウオーキングされています。そういう方の励みにもなり、楽しく
健康づくり、健康寿命が延びるよう、
健康マイレージ対策の一環として「とりっぽ(歩)」を進めていただきたい。
知事要望に対しては前向きな回答をいただいていますが、県民に早く周知し、来年度早々から進められたいのですが、知事、いかがでありましょうか。
次に、
健康マイレージですが、知事もよく成果として取り上げられる
協会けんぽ実施の
健康経営マイレージ事業、これは社員挙げて取り組むのでしょうから、効果は上がると思います。
一方、県も市町村に対して取り組むよう働きかけていて、しかも国保の
保険者努力支援制度でポイント加算されることもあり、全ての市町村において市町村独自、または県版の
健康県民マイレージに取り組まれているということです。
しかし、残念ながら、
保険者努力支援制度の1人当たりの交付金は、鳥取県は40位と下位にいます。
健康マイレージは一部の評価点にしかならないので、それだけで判断はできませんが、私も住民の一人として、
健康づくり鳥取モデル事業や
健康マイレージ事業が浸透してきているとは実感できません。
モデル事業の域を出ていないのではないか。県下全ての町内会や集落をカバーするように実施すべきです。そうしないと、なかなか効果は上がりません。
例えば、長野県は今は長寿県となっていますが、全家庭を回って塩分のとり過ぎをチェックするなど、徹底した取り組みが実を結んだ結果でした。これまでSIBの話もありましたが、やり方はお任せをいたします。国保が県移管されたのですから、もっと県が音頭をとって県下の全町内会、集落で
健康マイレージ、
健康づくりの事業等に取り組むようにすべきと思いますが、知事、いかがでしょうか。
次に、
アレルギー疾患対策と
アレルギー疾患医療拠点病院の設置について質問をいたします。
2015年12月に
アレルギー疾患対策基本法が施行され、地方自治体においても施策の策定と実施を求められています。患者、家族、関係者がともに連携しながら、主体的に参画できるような総合的な
アレルギー疾患対策の推進を図る必要があります。
また、国からは、
アレルギー疾患の
医療提供体制の整備として、
都道府県拠点病院をそれぞれ1~2カ所程度選定するとされていますが、鳥取県においては未設置であり、早急な設置と
アレルギー疾患対策の実施を進める必要があります。
県では、11月14日に協議会を結成されたということです。そこで、協議会での議論の進みぐあい、
アレルギー科を有する
拠点病院設置の
スケジュール、
アレルギー疾患対策の策定状況をお聞かせください。
また、拠点病院では、花粉症や黄砂などの
アレルギーに対しても対応するようにするのか伺います。
次に、環境対策について、知事に質問します。
県庁の前庭に設置されている
太陽光発電パネルが剥げてきているようにも見えます。見た目も悪く、過去に撤去すべきではとの議論もありました。それは、有名な作庭家の重森完途氏の設計による庭園に
太陽光パネル設置で台なしではないかという議論だったと記憶をしております。
また、2016年には撤去すべしとの県民の声も上がってきていました。県としては撤去の方針ということですが、撤去の
スケジュールと費用の概算を知事にお尋ねをいたします。
また、今後は県庁の車庫棟屋上に設置してある既存の
太陽光発電設備を活用して普及啓発に努めていくということで、県庁前庭の
太陽光パネルにかわる新しいパネルの設置は行わないということであります。今後の太陽光発電や
再生可能エネルギーの普及啓発の取り組みが変わっていくのかなとも感じましたが、知事に所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏県議からの一般質問にお答えを申し上げます。
まず、健康対策、
高齢者対策等につきまして、いろいろと現在お取り組みされているその状況や国会議員も通じての働きかけも交えましてお話をいただきました。
先般は銀杏代表のほうからもお導きをいただきまして、
国土交通大臣のほうに要請の機会をいただきましたことを感謝申し上げたいと思いますし、あの折、大臣のほうから、山陰近畿道の南北線、あるいは境港-米子間の高速道路に向けた凍結解除等も含めた今後の対応につきまして前向きなお話もいただけたところでございまして、まず感謝を申し上げたいと思います。
健康対策について国会議員とも協議をされているということでございますが、これにつきまして、具体的には低所得者の高齢者の対策、それから
ウオーキングアプリ、また
健康マイレージ、
アレルギー疾患につきましてお話がございました。
高齢者のお話、あるいは健康対策など、こうしたことを絡めて、現在社会保障について全世代型の
社会保障改革をしようと、国会や政府のほうで非常にホットな議論が続けられています。私どものほうにも、自治体病院も含めた公立・公的病院の問題にも飛び火をしてきたわけでございますが、おっしゃるように一部負担ということで、2割負担の導入をという、そういうようなことでありますが、公明党さんのほうの御意見もあって、急々に今決着するということではなくなるかもしれませんが、少し時間をかけてこういうような議論をしようというような報道も出始めているところでございます。
そういうようなさまざまな改革を進めていかなければいけないほど、従来の何となくやっていた
社会保障体制、これが持続可能な形で進まないのではないか。特に議員がおっしゃるように高齢化が非常に進展をしてきて、そういうことについて定常的な
医療サービスや、あるいは福祉を提供したり、さらに言えば長寿社会を高齢者の皆さんも自分の人生として楽しめるように、低
所得者対策も含めて考えるべきではないかと、こういうようなことで今議論が進められていると受けとめております。
そういう意味で、70歳まで働くということ、これを企業のほうに努力義務として義務づけていこうかと、こういう議論もなされているということでありまして、議員がおっしゃるように一定の違ったモデルを社会の中につくっていかなければならない、そういうことを国でもやっていく必要があると思いますし、私どもも私どもなりのできることを進めていく必要があるのだろうと思います。
先ほどアクサ生命のお話がございましたが、非常にショッキングなデータでありまして、不安というものを漠然と老後に抱えているというのが浮き彫りになったのだろうと思います。その趣旨というのは、果たして貯金をどんどん潰していくだけで食っていけるのかなというような漠然とした不安があったり、恐らくは医療とか福祉のサービス、そういうものを将来も受けられるのだろうか、やはりファイナンスのことも含めて心配をなさるということがあったり、それが実は長寿社会であって長く生きられることで人生を楽しむ時間を延ばしている喜びと相殺されるような、そういう感覚を日本人が持っているというのは、非常に寂しい現実ではないかなというふうに思います。ですから、そこにアプローチをしていくという意味で考えていかなければならないわけだろうと思います。
憲法第25条でも、健康で文化的な生活を営む権利というのが我々国民に、これは老若男女保障されているものでもありますし、そのために社会保障の制度というのをやるのだと憲法の中にも書いてあるわけであります。そういう意味でどういうようなアプローチができるのかということで、国のほうではそうした働き方を70歳ぐらいまで延ばそうとか、それから持続可能な医療や社会保障の制度づくりの今活発な議論がありますが、私どものところでも、議員のほうから御提案がございました
介護ボランティアのような形、そうやって収入を得るということなどがあると思います。これは現実にも日南町とか幾つかで導入されるわけでございますけれども、議員もお感じいただけているように、かなり爆発的に広がっているわけではないというようなことでの悩みはあろうかなと思います。
今、私自身が注目していますのは、介護助手という手法でありまして、これが平成30年度から導入をされたばかりの制度でありますが、既に90を超える事業所で採用されまして、100名を超える方が働いておられるということであります。御高齢の方で、例えば週4日だけ勤務をすると、3時間だけ1日働くと、それで何がしかの収入があるわけですね。これが議員がかねて御主張されているように介護保険等のさまざまな負担軽減のほうに回っていくということになるのだと思います。
どうも
介護ボランティアという言葉よりも、こういう介護助手のような形できちんと働きに行ったというやり方のほうがどうも山陰の人の心には響きやすいのかもしれない。つまり、結構働き者体質があるのだと思うのですね。ですから、いっそそういう形で自分の働くスタイルというのをセットしたらどうかと、こういうことだと思います。
同じような発想で、我々県立の
ハローワークでも生涯現役枠というのを設定しまして、意識的に60歳以上のあっせんということを広げておりますし、さまざまな説明会もやっているわけですね。例えば先月の21日にも鳥取の
県立ハローワークで、いきいきシニアお仕事探しの相談会ということをさせていただきました。これに企業さんも人手不足ということもありまして来られるわけでありまして、そこで高齢者の方とマッチングがなされると。勤労条件がなかなか、働く側にもいろいろと制約もあるものですから、そこの橋渡しをさらに
ハローワークのほうで丁寧にやっていくと。こういうようなことで実際の勤労実績というのをつくっていく、これが一つの手法なのかなというふうに思います。
また、
シニアバンクですね、人材バンク、これもここ3年で400名弱から2,000名を超える登録まで急速にふえてきました。これは有償のものも含まれるそういう
人材バンクになっていますので、こういう鳥取の中で今定着し始めているものを伸ばしていくというのも手なのかもしれません。
また、
シルバー人材センターの活用ということも御指摘のようにあるわけでありまして、特に軽作業であるとか知見を要するような作業など、活躍されているところもございます。ぜひそのような形で、なかなか
リバースモーゲージがどうも、鳥取の県民の意識に十分フィットする制度ではないのかもしれません。財産があるからこれを先使いするというのが、感覚になかなか踏み切れない人もいるのかもしれません。そういう意味では、いろんな形で働くよすがというのをつくって、収入の道をつくっていくというのがよろしいのかなというふうにも思えるところでありまして、そうした方策をなお進めてまいりたいと思います。
ウオーキングアプリにつきましては、滋賀県のほうで
BIWA-TEKUという、そういうアプリをつくっていることもあり、本県としても当初予算に向けて今検討を始めたところであります。
実はこういう分野は、いろいろとやり方があるところだと思います。きょうもタニタさんという大手の
健康づくりメーカー、こちらのほうが取材旅行で来られていまして、私もけさ出会いましたけれども、今、鳥取での
健康づくりというのをテーマに砂丘とかにこれから行かれて回られるそうであります。
そういうように、県内でいろいろと
健康づくりのチャンスもフィールドも十分にあるというふうに思いますが、それが活用されていないことで病気になってしまったり、体力の維持がままならないというようなことがあるのであれば、解消していかなければなりません。
アプリは今、ウオーキングした歩数が簡単に記録できますので、これを使ってやるということは一つあろうかと思いますし、また、これまでも
健康マイレージをいろいろと展開してまいりました。もともとは三朝町とか琴浦町に協力をいただいて、県も相乗りしながら
健康マイレージを進めてきて、その後、
ウオーキングアプリなども導入したりした時期もございましたが、現在は高齢者の方もやりやすいようなペーパーでの
健康マイレージ制度を全県展開しているところであります。ただ、なかなか使い勝手も悪かったり、どうもうまく、いま一つ進まないということもございますので、そうしたアプリの導入も当初予算に向けて検討しようと思います。
そこで今、aruku&(あるくと)という最近使われ始めたアプリがありまして、これは民間のアプリなのですけれども、これを日本生命さんと包括提携している関係で協力を仰ぎながらこのaruku&(あるくと)を使って、今とりあえず県庁職員で、わずかですけれども試験運用をしてみようということを始めて、これから年越しまでやっていくことにしているところです。現在試行中なのですけれども、そういうような結果も見て、そういう既存のアプリを使うというやり方もあるのかもしれません。そのほうが開発費用よりも安く上がる可能性もあります。料金的には、このアプリですと1,000人対象にして120万円という使用料がかかるというようなことでありまして、それを高いと見るか安いと見るかだと思いますし、いっそ自分でつくってみるかということもあるかもしれませんし、いろいろとこれから比較検証しながら当初予算編成の中で議論をさせていただきたいなと思っているところです。
また、
健康マイレージ的なことをさらに進めようという意味では、今、
健康経営マイレージが、これは協会けんぽさんとの協調によりまして大体2割ぐらいの会社がこれに参加するぐらい、鳥取県は全国でも突出して進んできました。これを一つてこに、職場領域のものを拡大していくのはあると思います。
あと、地域での
モデル事業を広げていく、これもおっしゃるとおりでありまして、例えば智頭町とかは確かに顕著に今広がり始めていると思います。また、北栄町等もそういうことが見られていると思いますし、琴浦などでも安田などで健康体操ということをされたりする。これが都市部を中心にまだ十分広がっていないのだと思います。ぜひ成功例を横に広げていくこと、これは今の冒頭申し上げた社会保障全体の改革の中でも
健康づくりはこれから大きくクローズアップされて来るはずですし、さらに国も財源をそこに突っ込んでくるというような状況も今当初予算編成に向けて報道がされ始めています。ですから、我々もそうしたのを十分に活用していく余地はあるのでして、市町村ともよく協議をして展開を強めてまいりたいと思います。
アレルギー疾患でございますが、これについては平成24年度から
アレルギー対策の検討会をやったり、それから対策の推進会議というのを設置したりしてやってまいりました。ただ、議場で大分議論されたことに端を発してなのですけれども、やはり子供の
アナフィラキシーショックなどのことがクローズアップされていたこともありまして、子供の
アレルギー中心でこれまでそうした関係者間の議論を進めたり対策の深化を図ってきたところであります。ただ、最近は花粉症にかかられる方もだんだんとふえてきているところでございますし、子供の
アレルギーも幼稚園、保育園、それから小学校、中学校と段階を追ってだんだんと
アレルギーの子供たちがふえていまして、中学生ぐらいですと3分の1が
アレルギーであるというようなデータが本県でも出てきておりますので、やはりそうした子供の問題も含めて対処していかなければなりません。
そうした幅広い
アレルギー疾患に対する対策のまずはとりでとして、議員がおっしゃるように医療機関をセットする必要があるかと思います。県内では現在、8つの病院で15名の
アレルギー専門医がいらっしゃいます。その複数いるようなところでできればそうした指定病院になっていただけないかということでございまして、11月に今御指摘いただいた検討の場をつくりまして、今月に入り、2日の日から今募集をするという段階になってまいりました。年明けに選定作業をさせていただき、できるだけ早く、まずは1病院でも認定にこぎつけられればなというふうに考えております。そうした拠点病院も一つのとりでとして人材育成であるとか、それからPR活動であるとか、そうしたことの強化も図っていければと思います。
次に、環境政策について、
再生可能エネルギーの普及として県庁の前庭のところの
太陽光発電パネルについてのお話がございました。
これはもう20年近くになるのですけれども、設置をして長くなってきました。設置をした当初も、あそこは造形的にもいい庭なので、あそこを潰すのはどうかという議論があったぐらいでございまして、ちょっと設置当初、一つのイシューになったこともございました。
あそこの使命は、まだ太陽光発電が普及していないときに、エコなライフスタイルというそのPRのためにつくったという意味合いが強くて、定格出力も10キロワットしかございません。ただ、県庁の前にでんとありますから、これを県政の方向性かなというふうに思わせるということでやったのでしょうけれども、逆にちょっと別の意味の議論も招いたという状況がございました。
これについては、今お話がございましたように現在撤去をしていく話を進めていまして、今年度中に撤去をさせていただこうと。費用ということですが、50万円ほどの費用でございます。それでその後どうするかということはあるのですが、現実には今、全県で100万キロワットを達成しているぐらい
再生可能エネルギーが普及してまいりましたので、もう歴史的にはその使命は終えたのではないかなと。かねてもお話がございましたように、庭園としての重要性というようなお話もありますので、旧に復するという方向で考えてはどうかなと思います。
では、今後のエネルギー政策はどうなのかということでありますが、現在スペイン・マドリードで議論がされているように、COP25の中心課題は地球温暖化の防止であります。それに向けては、こうした
再生可能エネルギーの重要性はむしろ高まるだろうと思います。ですから、代表質問でも申し上げましたが、環境ですとか住民生活との調和もきちんと配慮をしながら、前に進めていくということを展開していくことになろうかと思います。
例えば農業利用とそうした発電とを組み合わせて農家負担を軽減するということもありましょうし、また最近はRE100という運動が始まってきておりまして、これは今回のCOP25と非常に関連しているのですけれども、2050年には全て
再生可能エネルギーで賄いますよというのを企業や団体等が宣言をするということですね。例えばイオンさんが自分のところの天井の上に太陽光発電を設置するなどして電力は自給で賄うというようなことを目指すとか、2050年ですからまだ先の話なのですが、そういうことにかじを切っていこうという運動も始まっています。
こういうような新しいムーブメントもサポートしていく必要もあるのかなと思います。今議員の御質問もございましたので、RE100がございますが、このRE100の宣言のアンバサダーという推進役がありますが、鳥取県もそのアンバサダーとして宣言をさせていただく必要があるのではないかなと。今そうした
再生可能エネルギーについても次期の環境イニシアティブの県の計画を策定するところでありまして、こういうアンバサダーとしての取り組みなども我々としても明確にさせていただいて、議員がおっしゃるような
再生可能エネルギーの普及啓発も進めてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)答弁いただきました。
介護ボランティアというよりも介護助手のほうが結構響きがいいし、受けがいいのではないかということでありましたが、私も賛成でございます。
また、「とりっぽ(歩)」については、今アプリとしてaruku&(あるくと)というふうなのも検討の俎上に上がっているというお話でございましたので、期待をしたいと思っております。
それで、寿命を延ばしていくということは、やはり必要だなというふうには思っております。県では、健康寿命、また平均寿命ともに2023年度までに全国順位10位以内入りを目指しておられます。知事から
健康マイレージなど
健康づくり等、市町村とよく協議をして広げていきたいのだというお話がございました。どうしても国保の関係ですと、保険事業自体は市町村の役目になっておりまして、県は必要な助言と支援を行うということになっておりますので、全部県ができるというわけではありません。市町村にしっかりと動いていただくということになろうかと思いますけれども、小さい県でもございますし、県に移管されましたものですから、しっかりとリーダーシップを発揮して広げていっていただきたいなというふうに思います。
2023年といいますと、もうあと4年しかございませんので、そんなにゆっくりできる状況ではありません。全国順位で目標を定めていますので、ほかの県も頑張りますので、10位以内というのは本当に大変な努力が必要だなというふうに思っております。
沖縄に訪問したときに、「親・妻へは献身 自分へは健診」という手書きの看板を見つけまして、親、妻への献身というのは、身を献ずるですね、よく気持ちがわかるような気がしますが、自分には健康診断の健診ということで、なかなか的を射ているなというふうに感心したわけでございますけれども、県では寿命を延ばそうと健康診断、中でもがん検診の受診率を上げることに力を注いでまいりました。がんによる死亡率が他県に比べて非常に高かったからであります。
しかし、9月議会のときに知事答弁の中で、がん検診の受診率は上がったけれどもがん死亡率がなかなか下がらないというふうなお話もされたと思います。2015年の都道府県別生命表によると、鳥取県は平均寿命が男性は下位の39位、女性は上位の14位で、男性の平均寿命が短いのが大変気になるわけであります。2010年から2015年のこの6年間の平均寿命の延びは、男性が1.16歳で28位、女性は1.19歳で、他県を圧倒して何と第1位になっております。すばらしい寿命の延びなわけでありますが、評価されていいと思います。中でもがんによる死亡率が激減しているのが女性にとっては大きいですね。これまでの県の取り組みは本当に評価されるというふうに思うわけですが、男性も全国平均くらいの延びになっているので、もう少しだなというふうに思います。
それであっても、悪性新生物、がんによる死因、この率は男性では全国第6位、女性では9位と他県に比べて高く、まだまだ対策を進める必要があります。ちなみに、がん以外で死因として高いのは、男性では糖尿病が3位、女性では交通事故が3位というふうになっております。これらを減らせば寿命も延ばせます。男性の糖尿病を改善するには、運動すること、ウオーキングもそうです。そして、肥満を防止する、体重を減らすことで血糖値も下げることができるわけであります。
これまで健康診断、がん検診を進めてきましたが、まだまだ結果がついてこない。それは、もう少し時間がかかることなのか、あるいは別の要因があるのか。例えば、要再検査というのが健康診断で返ってきましても、再検査に行っていないのではないかという疑いもあります。知事はどのようにお考えか、また平均寿命を上位に持っていくためにどういう対策を行うのか伺います。
環境対策についてであります。
太陽光パネルは、今回前庭の分は今年度中に撤去をするということなのですが、結局こうした撤去で産業廃棄物として結果的には埋設されることになるのでしょうか。今後多くの
太陽光パネルが処分されていきますが、再利用も含めて、最終的な処分はどのようにされるのか、知事に伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねてお尋ねがございました。
まず、がん対策についてでありますが、これについては、平成19年から29年まで、いろいろと努力もしたということを御評価もいただいたわけでありますが、死亡率が96ポイントから86ポイントにかなり下がったことは下がったのですが、全国も下がっていまして、なお全国順位としては下位のほうに甘んじているというような状況であります。
これについては、平成24年にこういうがん診療等についての専門の部会をつくりまして、先生方にも分析をしていただいてやったこともございました。それから、片方で健康診断、これを進めて、がん検診の率は5割を超えるというような部位もございまして、そのように急速に伸ばしてきて、全国平均はかなり上回るようになってきているところであります。
ただ、いろいろとやっていますがまだ結果が出てきていないわけでありまして、いろいろとお金をかけて対策をしてもやはり結果が出ないと意味がないだろうと。それで、今年度また改めまして、先月、国立がん研究センターの東がん登録センター長にも来ていただいて、この方を中心にして、今検証の会議を始めたところであります。また、鳥取大学に私自身も訪ねまして、あちらと協議をした結果、そういうがん診療等を前へ進めるためのワーキングチームをつくろうと、これも今活動を始めたところであります。
先般、東さんに来ていただいて、それで有識者の間で意見を交えたわけでありますが、まさに一つは銀杏議員がおっしゃるような論点がありました。確かにがん検診率は上がっているのですが、精検率、職場で発見されたときに、その次の精密検査にちゃんと行っているかどうか、この辺の検証も必要ではないかというようなこともありました。これはまた職場の皆さんとか、我々職場関係では
健康経営マイレージというのを前に進めていますから、その中には精検を勧めるという会社も出てきています。ですから、そういうようなことを私どもでもさらに推進しなければいけないというのは、一つはあるのかもしれません。
ただ、大きく疑問符がついたのは、胃がんとか肺がんとかですね、そういうメジャーながんでのやはり死亡が下がらないということであります。これは、ただ検診率は上がってきていますので、検診の仕方に問題があるのか、あるいは医療自体の課題があるのか、そういうことをさらに掘り進めなければいけないのではないかというような議論がございます。
そういう中で、今補正予算等も今年度重ねてきておりますが、一つには判定をするというところが大事なので、放射線の技師、このレベルアップとか、放射線の専門医、そうしたところの技量向上のための事業をやったり、また映像で判定をするのをお互いにサポートし合うような、そういうICTを活用したシステムの導入、こういうことを進めさせていただき、さらにこのたびはQIと言われますがんの診療の実情を自己分析するような、そういうやり方があります。これを活用して、標準的なやるべきがん治療というものが適正にできているかどうか、効果的にできているかどうかというのを病院の中でも検証していくようなことを推奨していく、それから、そういうものも交えながら県の中の課題というのをあぶり出していくと、これをさらに追加して取り組んでみようというのを今考えてきているところであります。
いずれにいたしましても、多くの方々の御協力をいただかなければなりませんし、医療機関の力を得る必要もございまして、これから関係者とそうした協議、検討の場をつくりましたので、そういうところで課題をあぶり出して推進を図ってまいりたいと思います。
さらに、
太陽光パネルの行く末でありますが、これは定義上は産業廃棄物となります。したがいまして、最終的には処分場に処分をするということも含めた対応が、これは排出者責任でありますので、その企業側、設置者側等のほうに課されるというのが制度であります。
ただ、これがこれから大量に出てきますので、多分これから大切になってくるのは、どういうふうにリサイクルをしたりリユースをしたりということなのだろうと思います。そういう意味で、鳥取ではこうした再資源化する研究所がございまして、これはもう10年ほど前ですかね、そうしたやり方を確立しました。これはテレビのブラウン管が要らなくなるときに結構クローズアップされたのですけれども、そういうものを安全に発泡して、それで例えば玉砂利のようなものにしまして、防犯用のそういう素材として使うというようなことをかつてやっていまして、海外にも持ち出したこともございました。これが最近、全国的な商社と戦略的な技術提携をしまして、こういうパネルの中にはガラスが大量に含まれていますけれども、その中にはいろんな物質が入っている。これを安全に処理するというのは例のブラウン管のときと似たような話でありまして、そういう意味で活用できるのではないかと、本県の技術開発がそういうふうに向かい始めている例もございます。そのほかにも、例えばガリウムであるとかインジウムであるとか、そういう希少物質もこうした中に含まれていまして、それをどういうふうに分離して再利用していくのか、この辺も国全体の課題として今研究が本格化しているところであります。
ですから、単にごみとして捨てるだけではない、そういう有意義な方策というのも、こうした大量に
太陽光パネルが排出されるという可能性もあるわけでありまして、政府としても取り組んでいただきたいと思います。このことは国にも要望してまいりたいと思いますし、県内でもそうした再資源化研究所みたいなところもこれからの一つのキーマンになってくるかもしれませんので、私どももそういうところと連携をしてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)続きまして質問させていただきますが、平均寿命の話をさせていただきましたが、次に健康寿命。健康寿命は、全国比較では、2010年、2013年、2016年と、男女ともに30番台を中心に行ったり来たりと、同じような順位であります。まだまだ延ばして、平均寿命との差を縮めなくてはいけない。
また、介護でも保険者機能強化推進交付金というのがありまして、それの評価点が県分も市町村分も37番目ということで、下位のほうでございました。コンパクトな県である分、またまことに真面目な県民性である分、施策の効果は早く出ると思います。
医療の
保険者努力支援制度でも、介護の保険者機能強化推進交付金の評価点でも、10位以内くらいを目指してほしいと思います。健康寿命を延ばして、高齢者が幸せに年を重ねる、これは「こうれい」というふうに言っていますけれども、ちょっとまた書いてきました。公明党では、こういう「幸齢」と書くのですね、幸せな齢と。長寿という言葉を知事は使われましたが、長寿も大切で、しかも幸齢社会としていきたいというふうに思うわけでありますが、全国平均までなかなか健康寿命も届かない状況を打破して上位に顔を出す、その知事の決意を伺いたいと思います。
環境対策について、
太陽光パネルも産廃になるというふうなことでありますが、それでも太陽光発電はふやしていく必要がございます。知事からは、再資源化が大切で、県内にはそうした研究所があって、鳥取県にとってはそういった意味で希望が持てるというふうな話もございました。
パリ協定以降、地球温暖化を食いとめるために、さらなる温暖化ガス排出抑制に向けて取り組みが始まっております。この秋の国連気候行動サミットで、グレタ・トゥンベリさんのスピーチとこれまでの行動に対して全世界の多くの若者が同調して行動を起こすなど、次の世代も巻き込んだ世界の喫緊の課題となっており、これまで以上に力を入れていく必要があります。
これからお話しする後の部分は、よりわかりやすくするように事前に出しました要旨と少し変えておりますのでよくよくお聞きいただきたいと思いますが、これまで家庭用太陽光発電設置に対する支援、またFITによる買い取り支援が行われてきました。さらに、今年度県では、家庭などでの定置用蓄電池等の設置、これは電気自動車等充給電設備も含んでおりますけれども、これに対しても支援の制度を設けております。
FITが終了する家庭用太陽光発電は、今年度だけで県内2,800件、来年度以降さらにふえていくことになります。これらは設置とFITの両方の恩恵を受けて、さらに売電されましたその費用は電気料金に上乗せをされております。そう考えると、さらなる行政からの支援は、その主な財源の税金にも限りがあることと平等の観点から、納税者の理解を得るのに多少無理があるのではないか、普及目的であるならば支援は
太陽光パネルの新規設置の場合だけに向けられるべきであるというふうに思いますけれども、知事の所見を求めます。
これはあくまでも
再生可能エネルギーの普及を進めるといった意味で質問しておりますので、よろしくお願いいたします。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねてお尋ねがございました。
まず、平均寿命についてでありますが、これについては若干ではありますけれども本県でも改善はされてきていますが、決して上位のほうではないというような状況が続いています。
幸せな年を重ねるという意味で幸齢者というお話がございました。公明党も「幸明党」というふうに改名されてもいいのかもしれませんが、そういうやはり本当の意味で幸福というのを実感できるような、そういう社会をつくっていかなければならないわけでありまして、もともと長寿社会というのは、我々が求めていたものでありますから、それにふさわしいライフスタイルをつくっていかなければいけないのではないかと思います。
そういう意味で、
健康づくり、これは
健康づくり文化として定着させるように、先ほどまちの中での取り組みのお話もございましたし、企業の中での取り組みということも申し上げました。こういうことを積極的に進めて、鳥取らしいそういう文化というのをつくっていけないだろうか。また、片方で生きがいということもあろうかと思います。これがグラウンドゴルフなど本県独特のそうしたスポーツ文化も発達してきたところでありますし、地域に行ってみるとおわかりいただけますように、結構活発に集まってやっておられるグループが目立つようになってきたと思います。これが実は寿命を延ばすことにもなるのですね。認知症の進行をおくらせるというようなことにもなりますので、そういう意味でこうした諸活動をさらに推進して、幸齢社会、幸せな年を重ねる社会というのを我々も目指してまいりたいと思います。
また、
太陽光パネルについてでありますけれども、議員の御指摘の趣旨は非常によく理解できるわけでございまして、そういう意味で県として
太陽光パネルの新設の補助をやめようというつもりはございません。ただ、これは
太陽光パネルの設置経費自体がどんどん下がってきていますので、かつてほどは、結局売電単価とのあい差を見て計算をするというやり方でやっていますので、そうしたことは今後も続けて、私どもなりのサポートをしてまいりたいと思います。
ただ、蓄電池の助成制度のことをおっしゃったのではないかと思いますが、今COP25で議論されていますように、エネルギーというものを化石燃料から移していくべきだと。残念ながら日本は今回、不名誉な賞をとったわけでありますが、化石賞、フォッシル・オブ・ザ・イヤーという、この年の化石というような、そういう賞をとってしまったのですが、それは石炭火力を導入し続けているということへの世界の批判であります。ですから、エネルギー転換を図るという意味では、やはり家庭用電力が賄えるのであればそれをやったり、それから調整をして屋根で発電したものを社会の中で使えるようにして、これを地域新電力などで地産地消へ結びつけていくというようなことは、この方向性には合うのではないかと思います。
ただ、残念ながら蓄電池を買うことは高価でありますので、必ずしも市場経済だけでは購入してもらえる状況にないというようなこともあり、市町村との協調のそういう助成制度もつくらせていただきました。新設とあわせて、そうした既にストックとして太陽光発電が普及してきたことを活用していくのも手なのだろうと思います。現実に本県は太陽光発電のパネル設置を家庭向けにも支援してきた結果、全体の5%の屋根に太陽光発電が付されているというようなことになってきています。我々としても、これはストックとして使っていくこともCOP25の使命に応えるものとして検討させていただきたいと思っております。
◯議長(藤縄喜和君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)答弁いただきました。
太陽光パネル、環境対策についてですが、支援が特定のところに集中し過ぎることがないように、より広く普及するように努めていただきたいと、これはお願いをしておきます。
それで、とっとりEV協力隊について質問をいたします。
EV協力隊は、災害時等停電時にボランティアとして、避難所へEV自動車を持ち込んで給電をしていただくようになっておりますけれども、登録を進めるために、
太陽光パネル設置家庭への定置用蓄電池等設置の支援の条件にもなっております。
協力隊の理念はすばらしいのでありますけれども、若干実効性に疑問がありまして、災害がいついかなるときに起きるかわかりませんので、一般のお仕事をされているような方々が果たしてすぐさま急行できるのかといったこともございます。この問題を解消するには、登録者をどんどんふやしていくことで効果はより高くなるとは思います。そのため、さらなるEV協力隊登録へのインセンティブを考えてはどうかと知事に伺わせていただきたいと思います。
また、企業のCSR活動としてより広めていく、また公用車をよりふやしていくということも大事だろうと思いますが、これについても知事の所見をいただきたいと思います。
せっかくつくるとっとりEV協力隊ですが、外部給電器をそれに持っていただいて、停電した御家庭にまで行くことはどうかと思います。これについても所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねてEV協力隊についてお尋ねがございました。
EV協力隊は現在34台登録がございまして、そのうち個人で御協力いただいているのが17台、17台が企業様でいらっしゃいます。実は企業さん17台のうちの13~14台ぐらいはカーディーラーでございます。要は電気自動車を売っている会社ですね。それが各社、正直それぞれ全社的に協力していただいて、それぞれの会社から御協力をいただけているというような状況であります。
したがいまして、多分地震のときであれば、それはそうした企業さんもここぞとばかりに電気自動車の有用性というのをアピールすることにも最終的にはなり得るところもありますので、そういう災害時に御協力をいただけることは十分あるだろうと思いますし、恐らく災害時になかなか御商売のほうというよりは、そういう協力のほうに回っていただけるタイミングにも現実のお店の状況はなるのではないかなというふうにも思いますので、実効性はある程度担保されるのではないかなというふうには思っております。
そういう意味で、せっかくこれへ加盟していただいたということをもっと我々もアピールできるようにしてはどうかなと思います。例えばイベントなどでも、今度は砂丘のイルミネーションのイベント等がございますけれども、ああいうようなイベントのときにそういうEV協力隊の方も出てきていただいて、電気の供給というのを実演してもらうと。それはそういう、新世代の自動車のPRにも役立つかもしれません。そういうようなインセンティブ的なことをいろいろと考えたり、EV協力隊であるということを我々も検証させていただくと、そういうようなこともあるのかなと思います。まだ始まったばかりでありますので、いろいろとこれから関係者とよく協議もしてみたいと思います。
また、公用車の設置は、これは結構高価なものでありますので、また一つ一つ議会とも御相談申し上げながら、公用車の体制整備を図ってまいりたいと思います。
現在でも、大体市町村と県とで20台ぐらいはございまして、まずはEV協力隊が出ていく前にこうした公用車が出ていけるような体制にもなり得ると思いますので、そうしたところも災害時に活用できるかなと思います。
現実問題は、正直申し上げて、給電ということであれば発電機ですね。県のほうで今統一的に買っているのはキロ大体5万円ぐらいでございますけれども、高いものでも大体10数万円、それがEVですとやはり40万円ぐらいの単価になりますので、やはりどうしても高くなります。それは、もちろんふだん走る車ですから、そちらに重きがありますので。本当に電気の供給のことを考えるのであれば発電機をふやすというのは合理的なわけでありまして、こちらのほうもしっかりとやりながら、全体としての災害対策をつくっていければと思います。
また、家庭での給電ということも場合によってはあり得るかなと思います。例えば家で人工透析等、そうしたことをやらざるを得ないような御家庭があって、緊急SOSが来たときにそういうところに給電に行くとかということはあり得るだろうと思います。
まだ災害時の運用をしたことはございませんが、今後よく関係者とも話し合いながら、有効なEV車の活用につきまして体制をつくってまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)最後に、県設置のEV給電設備、これは無料となっておりますけれども、EV車がこれからどんどん普及していきます。民間育成、民業を圧迫しないよう、有料化も考えられるべきではないかと思いますが、知事に所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)議員から重ねてお尋ねがございました。例えば県庁舎の前のところにも給電器、無料のものがございます。最近特にここ5~6年ぐらいですね、コンビニなどで有料の給電器が全国的にも普及し始めていまして、本県でもそれが見られるようになってきました。本県は、全国で電気自動車1台当たりの給電器の個数は突出してナンバーワンです。ですから、今非常にいい体制ができていまして、それの多くが結構無料の給電器であります。でも、時代の流れとしては有料のほうに移りつつありますし、販売するディーラーさんもその辺を考えながら売っているところもございまして、ですから、そういう意味では徐々に切りかえていく時期なのかなと。
現実には耐用年数はそんなに長くないので、この県庁で設置しているものも耐用年数が来るわけでございますが、結構部品の交換代などが高くて、維持管理のお金もかかるわけであります。ですから、有料のものに組みかえていくか、あるいはほかがあるということであれば見直していくかということをそろそろ考えてもいいのかもしれません。ぜひきょうの御提案を含めて検討させていただきたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)11番山口雅志議員
◯11番(山口雅志君)(登壇、拍手)鳥取県議会自由民主党の山口雅志でございます。皆さん、こんにちは。
今回は4つのテーマで質問を申し上げたいと思います。代表質問で野坂議員からもありましたけれども、まずは災害関連で、少しベクトルを変えてお話しします。
今般、台風15号、19号、その後の低気圧は日本全土をじゅうりんし、過去最大級の被害を及ぼしました。今回の台風と災害は多数の課題を投げかけましたが、その中で改良復旧、復旧プラスアルファについて質問します。
6月の議会で質問しました鳥取市河原町高福の農業用水取水口の復旧工事は、鳥取県担当の指導、協力もあり、来年の雨水期までの復旧にめどがつきました。大変感謝申し上げます。
そのときの住民説明で出た地域住民の声ですが、年を増すほどに災害は威力を増し続ける中で、施設が破壊されても復旧はあくまでも復旧がめど。いろいろな気づきがあり、災害対策にプラスアルファの提案をしても受け入れられない。復旧工事と同時並行して対策できれば、費用面でも工期の上でも合理的だと思われるプラスアルファも、復旧の名のもと実行できないのが現状です。災害は往々にして繰り返して起こり、過去数十年、破壊、復旧の繰り返しで、特に高齢化を来す地域では疲弊の色も濃いと思われます。期待はすれども不安は募る、これが地域の方々の本音です。
さきの千曲川や阿武隈川の災害現場も復旧したばかりの現場で再発しており、災害が激甚化する中で、国もあったものを基準とする予算前提主義から、防災優先の改良型復旧を視野に入れていると聞き及びます。
鳥取県として、改良復旧に対するお考えと今後の対応方針について知事にお聞きいたします。
続きまして、港湾事業に関しての質問でございます。野坂議員からは新幹線の御質問がありました。私は港湾についての質問をさせていただきます。
先月、金沢港、富山の伏木富山港を視察してまいりました。港湾の整備なくして地域の発展はない、金沢港湾事務所の次長は開口一番そう言われました。富山県庁の港湾担当は、地域の事業者として港湾は常識です、そう言い切ります。これが私の肌で感じた温度差でした。港湾というのは、利用する企業の一つ一つの活動の集積で成り立ち、なかなかその実績が目に見えてこない。だからこそ、自治体、地域、経済界、行政の長、政治家の理解がなくてはならない。今や産業にとって港湾はあって当たり前で、港湾が整っていない地域に企業進出なんてあり得ない。両県担当の意見は、さきにお会いした青木国交副大臣と全く同じ弁でございました。
伏木富山港、金沢港を視察の対象に選んだ理由は、港を有する富山市経済圏域、金沢市経済圏域が鳥取市と似た歴史的背景を持ち、その中で1、連綿として港湾を中心とした産業形成を行う富山市経済圏、GRP15位でございます。2、一旦は港湾の重要性を見失いながらも、これはコマツさんの撤退に関するいろんなお話が意見を巻き起こしておった件でございますが、近年、必然性をたっとび、産業形成の核に発展を遂げる金沢市経済圏域、GRP22位でございます。同様の歴史的背景を持ちながら産業集積に港湾が生かされていない鳥取市圏域、まさに圏外でございます、の3者を比較するためでもありました。
未来投資元年、私が掲げるテーマでございますが、未来の夢をつなぐインフラとして、産業港湾鳥取港の整備のキーワードは、リスクヘッジです。日本全国、産業集積が進む地域には、陸、海、空の三拍子そろった交通網の整備が必須条件として備わっています。ところが、鳥取県東部では、自動車道、空港の整備は行われているものの、港湾整備が十分に行われていない。製造業で工場を鳥取に置く企業の担当者にお聞きしますと、天候、特に冬場の雪害、その他災害を考えると、陸路、空路だけでは心もとない。鳥取県東部に大型の企業誘致がないのは、産業としての港湾整備ができていないからという指摘が多数上がります。海路は、陸路、空路に比べ運賃が安いという側面もありますが、企業にとってリスクヘッジが優先します。製造業の信用は、納期に合わせて部品を調達し、完品を納品することです。鳥取県は、真のニーズを捕捉しているのでしょうか。
港湾整備は、大型製造業の空白地帯である鳥取県中部、兵庫県北部、岡山県北部を結ぶトライアングル地域を再びつなぎ発展させる可能性を十分に秘め、鳥取市圏域の港湾として個性ある港湾づくりは、現存するハブ港、境港、舞鶴港、敦賀港への連動・連携につながり、交易発展につながります。
鳥取港の話をすると必ず出てくるのが、卵が先か鶏が先かという話。港が欲しければ企業を先に呼んでこいと言わんばかりの話です。港湾のような大型インフラの整備に関するリスクは行政が負わなくてはいけない、それが地域発展のセオリーです。
百歩譲って卵的需要の話をすると、1、鳥取西道路、山陰近畿自動車道、鳥取自動車道路でつながるトライアングルエリアの需要です。最近、豊岡市、美作市選出のそれぞれの県議とお話しする機会がありました。思った以上の好反応に驚かされました。そもそも鳥取市は両地域にとって生活圏域であり、整備が進めば利用するというのです。2、モーダルシフト、トラック輸送に関していえば、紙業会社、パルプ会社ですね、のお話では、ドライバーの減少、高齢化の問題を抱え、岐路にあると言われており、あわせて船舶の大型化や貨物の混載は他地域でも進んでおり、コスト削減の企業ニーズも大きいとのこと。3、貿易に関していえば、発展的に税関を設けることで、コスト的にも距離的にも現在神戸港を中心として扱われている貨物の取り組みが十分に可能であること。富山や金沢はそうして発展してきました。4、新規事業として、新産業の取り組みが可能なこと。例えば、鳥取県東部はエネルギー供給体制が脆弱です。5、南海トラフ地震を現実的に捉え、港湾整備とあわせて製造業を中心に企業誘致が進められること。このように、地域や企業ニーズ、危機管理対策としても港湾は必要であるのに、ないことで諦め、発展的に産業創造を欠くのが鳥取港エリアの現状だと言えます。
かわって供給面でいえば、にぎわいを貨客船等で新たな需要を想定するものの、今の鳥取港のキャパシティー的に旅客、貨物双方の需要に追いつくのは極めて難しい状況です。今策定を進めている鳥取港港湾計画は、整備・伸延拡張主体で、短期的、中期的な現存するニーズには呼応するものの、長期的な産業活性化につながる需要喚起には及ばない状況です。
知事に質問ですが、リスクヘッジとしての港湾のあり方と鳥取港の現状をどう認識しておられるのでしょうか、お聞きします。
3番目です。野坂議員は人を癒やす犬と猫でございましたが、私は熊に関して質問を申し上げます。
近年、熊被害が増大し、果樹園や民家が熊恐怖にさらされています。昨年のデータですが、熊の被害額は、一昨年、平成29年の124万8,000円から、昨年、平成30年は359万円と3倍に広がり、出没件数も11月22日現在で昨年の217件を上回る235件と増加傾向にあります。
背景としては、保護獣としての熊の個体数の増加があり、10年前の平成20年の277頭から昨年、平成30年の824頭と大幅な増加があります。9月中旬、出荷前の梨が熊被害に遭っていると佐治町栃原の梨農家から連絡があり、現地に向かいました。梨に味をしめた熊が連続出没し、果実に食らいつき、一晩で果樹100個を蓄える梨木1本が全滅する。火をたいたりラジオを鳴らしたりするものの、深夜に訪れる熊には効果がなく、猟友会によりわなを仕掛けますが、イノシシ・鹿用のわなを準用していますが、なかなか効果はありません。
皆さん、熊座布団というのを御存じですか。知事は多分知っておられると思いますけれども。梨というのは四方八方に広がっていますね。熊はその真ん中に葉っぱを5センチぐらい敷き詰めて、そこにちゃっかり座って、こうやって梨を食うのですね。熊座布団を初めて見ました。笑い事ではございません。
果樹被害以上に、この地域の果樹園は民家に隣接しており、住民の生命を脅かしています。100キロを超える巨体も目撃され、わなにかかった鹿の成獣が一頭丸ごと食われていたとの猟友会の証言もあります。
過去、鳥獣保護を前提に抜本的な対策がとられておらず、わなで捕獲しても距離を離して放獣するのが常でございました。殺処分が行われるようになったのも平成29年度からです。収穫期の泥縄的な対応ではなく、生命の安全、農家経営を守るためにも、抜本的な対策が急がれます。
ポイントは、1、県、市町村が連携した熊に特化した対策・指導が次年度の対策の鍵を握ると思われます。2、熊には県境がありません。近隣県との協力体制の構築と具体的な対策に向けた情報共有、以上2つが重要と考えますが、知事のお考えをお聞きします。
最後に、不登校問題です。野坂議員からは、不登校を防止する、そういった観点でお話がありましたが、残念ながら不登校を経験して卒業された方、これは形式卒業といいますけれども、それに関する質問です。
鳥取県の不登校問題は、極めて深刻でございます。中学校の不登校出現率は3%以上で、過去、平成10年度、平成11年度と全国平均を大幅に上回り、不登校率全国1位になったこともあります。その後、不登校学生の数は一旦減少しましたが、再び増加傾向にあります。
不登校はさまざまな形で波及しますが、その一つがいわゆる形式卒業です。そもそも中学校には、中退、退学がありません。学業が足りていなくても出席日数が過少であっても卒業となる、その結果が形式卒業です。統計的に、不登校生徒の約6割が90日以上の欠席となっており、公表されている平成30年度の不登校中学生数は486人ですので、計算上、6掛けしますとちょうど300人が十分な学習を行わないまま卒業していると考えられます。
形式卒業生は、多くの場合、高校に進学しない、またはできない、2、高校に進学しても授業についていけず中退するの二途をたどり、そのほとんどが最終学歴中学卒となってしまいます。就職しても正職員としての採用がなかなかなく、生涯低収入にあえぎ、結婚も望めない状況に置かれることが多いそうです。
救済策としては、文部科学省が1県1校の開設を推奨している夜間中学の制度があります。ここでは、形式卒業生が義務教育下で再教育が受けられます。全国的にも設置が進んでおり、昨年12月時点で47都道府県中12都道府県で実現しています。義務教育ですので、学費も無償です。県下4校でフリースクールが開設されていますが、夜間中学においては学費の問題もクリアになります。
何とか新しい形で形式卒業を救う手だてを講じなくてはいけない。今、再教育の機会を与えることができれば、彼らはきっと将来、鳥取県のために貴重な人材として貢献してくれるでしょう。鶏鳴学園の横井理事長はそうおっしゃいます。
教育長へ質問でございます。不登校及び形式卒業の現状を鑑み、どのような対策が必要とお考えでしょうか。さきに述べた夜間中学の設置を検討してみられてはいかがでしょうか。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)山口議員から、災害復旧、そして港、また熊につきまして、3点お尋ねをいただきました。
まず、災害復旧につきましては、このたび千曲川、阿武隈川等々、多数の河川で氾濫が発生をしまして、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思いますが、その経験を我々としても生かしていかなければならないこともいろいろとあると思います。
そういう中、議員のほうからは改良復旧というやり方についてお尋ねがございました。実は、災害復旧は瞬時にやはり取りかかって進めていかないと、民生に、あるいは産業に大きな影響を及ぼします。そういう中、地方自治体はやはり財政規模が小さいところで、圧倒的な自然の力で破壊されるわけでありますから、普通なら大分期間とお金をかけてやるところをすぐに戻そうと思うと、やはり国の制度に乗っからざるを得ないところがあります。災害復旧のそうした国の制度を活用すると、大体1.7%ぐらいの負担でもとに戻すことができるわけでありますが、ただ、これはいろんなところに災害がございますので、原形に戻すという原形復旧というのが基本原則として定められております。ただ、例外として、議員からも御指摘がありましたような改良復旧というのが許される場合があり、今回、千曲川などはあちこち寸断されて破断しました。ああいう破堤を直していくときに、やはり改良もして、二度とこういう災害が起きないようにという一定の水準のところはやろうと。ただ、一からつくるほどではないのでしょうけれども、改良費も限度がありますので、そういう意味で単なる災害復旧にプラスアルファして将来に備えようということであります。
本県でも、そういうことは今まで、例外的ではありますがやられた例がございます。これは例の昨年の7月豪雨のときも、智頭の横瀬川のところは改良復旧で直しております。単にそれを戻すだけでなくて、やはり手を加えなければいけないと。また、災害規模が一定程度なければ認められないわけであります。非常に厳格な制度でありまして、あれだけ被害が各地でございましたが、現実には改良復旧へたどり着いたのはその1件でありました。
また、最近でも南部町を中心にして集中豪雨の災害がございまして、国道が両方土砂崩れで寸断されて、間に車が閉じ込められるというような非常に深刻な被害を発生したとき、あちらこちらで中小河川が暴れました。寺谷川という川がございまして、これが各所でそうした被害をもたらしたところでございました。このとき、いろいろと国と折衝をしたわけでありますけれども、最終的には中国地方としては初めてなのですが、一定の災害と書く一定災という手法が用いられまして、これがいわゆる改良復旧のスーパー版であります。ほとんど地元の負担はなく直轄でやってくださったのですけれども、これはそういうように連続して被災した箇所があることなどの要件がございまして、非常に厳しい災害のときに適用されるものでありますが、一定災になったものですから、当時の坂本町長はこんな制度もあるのかと非常に喜んでおられました。被害は非常に深刻で、民家も大分水が入ったりしたりして大変な災害ではあったのですけれども、そういう意味で今、改良がなされた上で復旧されています。
これはどういうことをやったかといいますと、例えば法線、河川の形をある程度整序して線形を変えていくということであるとか、それから流下勾配、これを緩やかにして、流れが速いところで必ず壊れますので、そういうのをなだらかにするとか、そういうように単なる原形復旧ではない改良復旧型の復旧工事ということをやった例があります。大変に効果があったと思います。
せっかくの御指摘もございましたので、今回大規模に改良復旧事業がこのたびの豪雨災害でとられましたので、国のほうには要件緩和等も働きかけて、要望も提起をさせていただきたいと思います。
あと重要なのは、今COP25の中でも議論されていますが、グテーレス事務総長もおっしゃいましたけれども、世界中でいろんな自然災害が起きるようになってきていると。これが今まで当たり前でなかったことが当たり前になってきているというふうに捉えるべきだという議論でございます。ですから、国を挙げて今これから、そういう河川の防御体制のあり方、これを議論することになると思います。そういう中できっちりと御議論もいただければと思いますし、こういう災害復旧のあり方についてもそのテーマとして取り上げていただけるように、我々としては要望活動をさせていただきたいと思います。
次に、鳥取港につきましてお話がありました。
この鳥取港は、今お話しいただいたように、例えば美作とか、あるいは但馬あたりも含めて利用圏内に入り得るわけであります。今まで全然なかったわけでもありません。例えば豊岡とか、そうしたところとか、あるいは但馬の西のほうとか、関連のある荷物というのはなかったわけではございませんが、これからどんどん山陰近畿道がつながってきています。移動時間が非常に短くなってきました。それから、美作地域もそうでありますけれども、出口を考えた場合に、海に出るのに鳥取港というのは使い得るだろうと、我々としてはそういうふうに思っていますし、鳥取空港のことも含めて、そういう交通が便利になったことでこういう流通圏域の拡大というのを考えるべきではないかなと思います。こうしたことを一つには考えなければいけません。
また、実は鳥取港自体は、今いろいろとお話はありましたが、過去いろんないきさつがあって今のような形態になっています。もともと千代川は氾濫が非常に多発をしまして、それの原因を改めようということで川の線形を改めて、今の賀露のあたりに、河川をつけかえまして真っすぐ海に流すようにして、あちらのほうを港湾化したということなのですが、ただ、当然ながら砂丘もつくるぐらいの砂を押し出してきますので、特に台風災害等はそうであります。このたびの台風等もそうでありましたし、また去年もそうでありましたし、おととしも台風18号、21号ですかね、それもそのたびに砂が出まして、河川から流れた砂で港の入り口を塞ぐわけであります。毎年のように大規模なしゅんせつをして災害復旧するということが常態化していまして、これはやはり港のつくり方に問題があるのではないかと。それで、つくばのほうから研究員の方も来ていただいて、今、西浜ですね、西のほうから入ってくる、そういう航路につけかえるように堤防等を改めていくなど、抜本的な改革をしなければいけないのではないだろうか。これをぜひ直轄工事としても考えてもらいたいということを今申し上げています。
このことも含めて、やはり今、港湾のあり方、鳥取港の基本的な計画づくりをしている真っ最中でございます。この中に山口議員のきょうの御指摘というのをぜひ盛り込まれるように、我々も関係先と協議をしてまいりたいと思います。
この議場でも地元の議員の御提起もございまして、賀露の港のあたり、いろいろと協議をする場をつくって、活用する方策などを今考えてきているところでございまして、そうした御意見などを入れながら、この港湾計画の見直しに当たってまいりたいと思います。
今、実はいろいろと関係先の企業さんからも御意見を伺っているところですが、最近、先ほどお話がありました製紙会社などがバイオマス発電をされます。コストのこともあって、地元の材も彼らは使いたいとおっしゃっているのですけれども、なかなか供給が間に合わない。そこでPKSと言われますヤシの殻を輸入してこようと。ですが、小さな船ですとコストがかかりますので、今使っているのよりも大きな船で運びたいというのが本音なのです。それを考えますと、現在水深10メーター岸壁でありますが、これを12メーターまで掘り進む必要が出てきます。また、同じような需要で、やはり油を入れるということも必要なのですが、この油を持ってくる船、これも入れようと思いますと、今ある岸壁の5メーターのところを6.5メーターぐらいまで引き下げたり、それから岸壁の延長を図っていかなければいけないと、使える岸壁を増していくと、そういう工事も必要になるだろうと思います。
こういうことなどをやっていきますと、結果として先ほどおっしゃったクルーズ客船の受け入れなどもさらに進むようになりますし、例えばコンテナ等の可能性も広がってくることになるでしょう。現実にもそういう実は港湾需要もありまして、卵が先か鶏が先かということもありますが、現実の需要もありまして、そうしたことを我々も今調査を進めております。こんなようなことなどをいろいろとやっていくような港湾計画の見直しも図り、そういう形で産業創造にもつなげていければなというふうに考えております。
熊につきましてでありますけれども、佐治はかつて平成28年のときとかも結構大変でありまして、あのときは八頭町などもそうでありました。たくさん熊が出てきて、それで被害も広がったわけでありますし、人の命にかかわるようなこともありました。そこで当時、私は若干県庁の中で暴れたのかもしれませんが、議会でも大分議論もございまして、やはり人間は大切にしなければいけないと。割とこれは国のほうの制度自体の問題なのですが、熊については保護する、そういう生物でございますので、保護のほうに力点が置かれるのですが、ただ、そのために人が命を失うようなことだとか農作物の被害が広がり過ぎるのはいかがかと。それで、いろんなことを向こうは、制度は言うわけですね。例えばこれだけの頭数は確保しなければいけないと。でも、どう考えても、現状いるのがそれよりも多いのですよね。ですから、その分はやはり調整も可能だろうということで、実は平成29年に大幅なルール改正をしております。それで、集落から200メーターの人が住むゾーンのところをゾーニングしまして、その中については殺処分というものを導入するというようにいたしまして、その外側のところとすみ分けをするというようなことを今始めているところです。
したがいまして、ことしも出現が二百数十件ぐらいありますけれども、70頭ぐらい殺処分に回っています。放獣は、人のゾーニングのところは1頭で、それ以外のところは12頭でございます。他方、平成28年ぐらいですと放獣したのが70頭以上ございましたので、全然さま変わりしているというふうにそこはお考えいただければというふうに思います。
ただ、それでも熊の個体数について、なかなかまだ減少までいっていないように見えますし、議員がおっしゃるように県境を越えてやってまいります。よく兵庫県の知事に文句を言うのですけれども、余りこちらに熊を送らないでくれというふうに言うわけでありますが、兵庫県もわかっていまして、ごめんごめんと言うわけですね。そんなようなことで、だから協力しようと。東中国地域というふうに我々は呼んでいるのですが、東中国地域の兵庫、岡山、鳥取、これが実は熊の個体群があります。これに北近畿のところの京都のところが実は連接をしていまして、この4つの府県での今協議会を設置させていただき、それでやはり資源保護との関係もあるものですから、では個体数の目標はどのぐらいなのかとか、それから現状どのぐらいいるのかというのを分析したり、それから共同で熊対策というのをやっていくというような組織づくりをさせていただきました。ぜひこうしたことで対策の強化を図っていただきたいというふうに思います。
また、市町村と共同しながら、例えばわなの設置であるとか電気柵だとか、そうした対策を農家や住民の方と一緒に進めていくわけであります。熊の場合は電気柵を20センチメートル間隔で設置をしていくとか、また、さっきおっしゃったように熊座布団をつくったりして、要は木登りが得意なものですから、ですから電気柵の周りの木は伐採したり枝を打ったりして、木から木へ移らないようにということもしないと電気柵をやった意味がないのですね。こんなようなことなど、熊はイノシシとかと違った対策が必要でありまして、そうしたことの普及活動なども進めていかなければなりません。現実にも実際熊の出現ということがあれば市町村を中心に対応しますが、猟友会などと協力して対策をとっていきますが、そういうことの進め方とか、議員も御指摘いただきましたように、より一層市町村との連携を進めて熊対策をやっていかなければいけないと思います。
今回の佐治のケースも、梨がやられたというケースでございまして、こういうこの農家さんとも実は市町村と一緒に対策を今話し合ってきていたところでございます。ぜひとも熊対策、関係府県や、あるいは市町村とも連携し、また住民の皆様にも御協力をいただいて、より適正な対策が前進できるように、我々としても力を入れてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)山口議員の一般質問にお答えを申し上げます。
私のほうには、不登校対策と夜間中学の検討につきましてお尋ねがございました。不登校、あるいは形式卒業につきましては、野坂議員の代表質問の際にもお答えしましたが、これは全国と同様の傾向で鳥取県でもふえておりまして、私どももこれは重大に捉えて対応を進めておるところでございます。
背景としましては、スマホなどが出てきて、子供たちの人間関係が以前に比べてより複雑になってきている、学校にいるときだけではなくて家にいるときもいろんなやりとりがなされる、そんなこともあるのかもしれませんし、また、家庭なども含めた周りの環境自体も変わってきている。そうした中で、不登校そのものの捉え方が従来と変わってきている。それを必ずしも子供たちの問題行動として捉えるのではなくて、子供たちの意思を尊重して、それに合った適切な対応をしていく必要があるといったような形で、対応も変わりつつあるということでございます。
そんな中で学校現場も一生懸命取り組んでおりまして、これはまさに子供たちが安心して学べる環境づくりをしっかりつくっていこうという取り組みであるとか、あるいは早期に発見をしてチームで対応していくということで、休んでいる期間が長引かないような、そんな対応もしているわけでございますし、県のほうでもマニュアルづくりなど、より効果的な取り組みになるようにそれを支援しているところでございます。
また、不登校の児童生徒に対応して、学習機会を保障するという必要も一方ではあるわけでございます。90日以上の形式的卒業生という話もありまして、300人というお話もありましたが、あの試算は3年間で300人ということであろうと思いますので、毎年は100人程度かなというふうには思っておるところでございますが、いずれにしても、そうした児童というか、生徒の学習の保障というのもしっかりやっていく必要があるというふうに思っております。
市町村のほうでは教育支援センターというところで学習支援を行っておりますし、フリースクールの方々の力をおかりして、県のほうでは知事部局のほうでその運営費等について助成をさせていただいているというようなこともあります。それに加えまして、県教委としましても、中学卒業後の未成年者を対象として、これは中学を一旦卒業するのですけれども、そうして高校にも進学していない、就職もしていないという方を対象として、これも県のほうで教育支援センター、ハートフルスペースと言っておりますが、そうしたものをつくって学習支援、あるいは就職につなげるようなそうした支援も行っておるところでございますし、このたびは全国でも先駆けてICTを活用して、家庭にいながらにして学習をする、そうした方に対する支援も始めたところでございます。
そしてまた、中学は形式的に卒業するのですけれども、形式的であっても高校に入学する、受験する資格というのは当然にあるわけでございまして、例えば定時制・通信制独立校であります鳥取緑風高校、あるいは米子白鳳高校におきましては、中学時代の学習が必ずしも十分でなかった受験生であっても受け入れて、必要に応じて学び直しなども含めた対応を行ってきているというところでございます。
そうした対応を行ってきているわけでございますが、一方、国のほうで義務教育を修了していない外国籍の方でありますとか、あるいは戦後の混乱などさまざまな事情から実質的に十分な教育を受けられないまま卒業した、これもまた形式的な卒業生と言えるのかもしれませんが、そうした中での中学での学び直しを希望される方、あるいは不登校の方々などに対する教育機会の確保に向けて、従来から制度化されておりました夜間中学を活用するというようなことを選択肢の一つとして位置づけられる、そんな法律も今制定をされておるわけでございまして、全国的に夜間中学というものの検討が進められているわけでございます。実際に先ほどお話のありました12の都道府県で設置をされておりますが、多くは戦後の混乱期の方を対象としたもの、あるいは最近は外国籍の方を対象としたもので、主に都市部での設置が中心であろうかというふうに理解をしておりますが、中には、これは全国唯一になりますが、京都市の洛友中学校のように、これは従来からあった夜間中学に昼間部をつくって、そこに不登校の生徒を受け入れている、そんな例も出てきているところでございます。
県の教育委員会におきましては、この議会でも御議論がございましたので、義務教育段階におきます教育の機会確保に向けて幅広く調査研究を行おうということで、昨年度から教育審議会に部会を設置いたしまして、先進の自治体でありますとか他県の取り組み状況なども広く情報収集をしておりますし、また県内のニーズがどうなっているのかといったような調査でありますとか、夜間中学について県民の方に広く知っていただくような、そんなシンポジウムを開催したりといったような取り組みも行ってきているところでございまして、今年度はその調査しているものをもう少し深めていこうということで検討をしていただいているところでございます。部会の中で議論が進められ、やがて部会としての報告書がまとめられるということになろうというふうに思います。
夜間中学をどうするかということにつきましては、その調査研究の報告を受けて県教委としての考え方をまとめていく予定といたしておるわけでございますが、対象がいろいろある中で、どういう方を対象にしたものにするのかということも含めたところを整理していく必要があろうかというふうに思いますが、殊、不登校問題に関しては、不登校対策をどうするのかということ、これは検討していかなければならないわけでございまして、そうした中で不登校対策として夜間中学が有効に機能するのかどうかといった点、それは費用対効果も含めてということになろうと思いますが、そうしたことを一つのポイントとしながら検討することになるのかなというふうに思っております。
いずれにいたしましても、不登校で一番困っているのは子供御本人だというふうに思っております。そうした意味で、従来よりも我々のほうの分析、そして本人の御希望などももっときめ細やかに聞き取る中で対応をしていく必要があるのかなというふうに思っておりまして、既にそうした新しい個別の分析のシートなどもつくって、学校現場のほうに今、そうしたことの指示をしているところでございまして、子供を中心に置いて、関係者が力を合わせてしっかり粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)11番山口議員
◯11番(山口雅志君)続けて追及質問をさせていただきます。
まずは、災害対策です。一定災でありますとか要件緩和について国に御要望いただくということで、ぜひとも続けてお願いしたいと思います。
現場で説明会を聞いたときに、あわせて復旧を阻む大きな理由の一つが、やはり農家負担の問題もございまして、やはり農家の集落が小さくなっていて、負担金がやはり個別に割りますとどうしても大きくなってしまう。規模がそんなに大きくなくてもやはり負担が大きくなってしまって、なかなか地域で決断がうまくいかない。それで対策が長期に及んで、これが最終的には耕作不能の長期化であるとか耕作放棄につながるという現状をよく見るのです。ここについても、ぜひとも知事に御検討いただければと思います。後でコメントをいただければと思います。
港湾の整備には、やはり先ほど申し上げたように需要の取り込みも必要ですので、ぜひとも幅広くニーズを吸収していただきたいと思うのですが、伏木富山港に行った際に、ここはおもしろい取り組みをしていまして、旅客であるとか国内需要であるとか輸出で機能分化を図った3つの港、ここは大きく3つに分かれているのです。一体的な運用をしていまして、一番新しい富山新港については、その当時、今後の需要を見込み、30年前、当時の県知事のリーダーシップのもと、産業界のバックアップを喚起し新設された経緯があるようです。
鳥取港においても、鳥取西道路、山陰近畿自動車道では、海岸に近接した港湾漁港エリアも複数存在します。将来的に逼迫する需給のバランスを鑑み、賀露近接エリアを含めて新たな鳥取港としての一体的な推進を考えてもいい、そういう岐路にあると思われます。知事のお考えをお聞きしたいと思います。
あと、熊の問題についてです。やはり知事が言われるように、今まではやはり鹿とかイノシシを準用する形で、わなにしても対策にしてもとられていたと思います。それをやはり熊に特化した運用が必要だと思われます。そのためにも情報交換したり、熊研究をもっと特化して進める必要があるので、ぜひとも対応をお願いしたいと思います。
あと、先ほど言われましたように特定計画、ツキノワグマの保護計画、29年4月につくっておられます。その中で、先ほどもこれも言われましたけれども、保護の上限割合であるとか保護目標、これが段階的に定められていて、あれはどうも4段階あるのですね。今3段階ぐらいでちょっとふえて、どうも一番最終段階に来ているような気がします。調整についても、やはり状況を鑑み、臨機応変の対応が必要と考えますので、ぜひとも御検討いただきたいと思います。コメントをいただきたいと思います。
あと、教育長についてです。先ほどもありましたけれども、過去2回にわたって夜間中学の検討会があったと思います。もしよろしければ、その間に出た課題であるとか、その中で、今現在で構いませんので、方向性についてお聞かせいただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)山口県議から重ねてお尋ねがございました。
災害復旧につきましては、農家の負担ということではいろんな復旧の事業がございまして、どういうものかということによるのだと思いますが、一般的には、本県の場合ですけれども、結構災害復旧を適用して、今回も琴浦での豪雨災害関連で、本県内も実は耕地災害等、激甚指定の中に多分入るだろうと見込んでおります。そういうふうに激甚などにもなってくれば、かなりの農家負担の緩和は図られるだろうと思います。そういう意味で、やはり激甚指定の要件の適正な執行や、あるいは緩和ということを今後求めるのが一つかなと思います。
あと、本県では例えば去年の豪雨災害のときに結構出たわけでありますが、取水堰などが河川のほうでやられてしまうと。これは結構復旧の費用等がかさむ可能性もあるわけでありまして、やはり河川事業とある程度関連させながらやっていくとか、応急的な対策などはえいやで我々のほうでやってしまった感がございましたけれども、そうしたいろんな工夫がこれから必要なのだと思います。そういう意味で、これは個別具体に対処していかなければいけませんけれども、これから多分そうした取水堰などの課題など、そうした大規模災害が起こり始めていることに対応したような農家負担が可能な復旧のやり方などは、国全体でも考えていただく必要があるかなというふうに思います。よく働きかけもしてまいりたいと思います。
また、港のことでありますけれども、今もお話がございましたように、いろんな工夫をしながら、伏木富山のことなどを念頭に考えていくのかなというふうに思います。
ただ、鳥取港の場合は空港までわずか5分でありますし、また高速道路の入り口まで10分です。これは伏木富山あたりだと大体20分ぐらいかけて高速道路に出て、30分以上かけて空港に行くというところでありまして、やはり交通の結節点に非常に近接したところにあるのが今の賀露港の特徴であろうかと思います。さらに、現在検討中なのが南北線でありますけれども、南北線のルート設定をどうしようかというところをまさにきょうぐらい、国のほうで検討がなされていると思います。そのルート設定の中には非常に賀露港に近いところに行く案も出されていまして、そうなりますと全国的に見ても便利な港湾ということになります。したがいまして、近接のところを引きつけてやっていくことは可能だと思います。
ただ、おっしゃるように田後港とか、あるいは網代港など近隣にもございますが、この辺の岸壁はせいぜい5メーター岸壁でありますし、そのほか夏泊などになりますと2メーターぐらいでありまして、現実可能なところでは、今、鳥取港の港湾計画をしっかりと見直すことが必要でありますし、ここに豊岡の荷物とかも含めて引き込んでくるという戦略が恐らく有効ではないかなというふうに思われます。ぜひ御指摘を踏まえて進めていければと思います。
また、熊につきましても、これは管理目標の数字がございまして、それとの関係を多分おっしゃったのかなと思いますが、ほぼ達成されかけているだろうというお話もありますが、実は計画をつくるときも大分庁内で私は暴れたほうでありまして、本当はもっと抑制できるだろうと。東中国全体で見れば、存続可能な個体数というのはまた別ではないだろうかということを当時議論させていただきました。今、先ほど申し上げた、これで個体数が、では全体としてどれほどあれば持続可能なのかということも、今後4府県での協議の対象になってくると思います。したがいまして、そうした特定管理計画などにも影響し得るようなこともあろうかなと思っています。
いずれにいたしましても、鳥獣保護ということも片方でありますが、それとあわせて民生の安定、安全・安心、これが両立するように、よく我々も仲裁役を果たさせていただきたいと思っております。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)山口議員から重ねて、夜間中学につきましてお尋ねがございました。調査研究部会は、今年度に入りまして2回開催をいたしました。一番ネックとなっている部分というのが、ニーズの把握の部分そのものもまずあるわけでございまして、いろんな方々を想定してニーズ調査を行うわけでございますが、なかなか思うような回答が数値として出てこないというものがまず一つあります。そんな中でも、ニーズとしては少数ではありますが出てきているわけですが、それぞれ多様な方のニーズがあります。外国の方のニーズもありますし、そして不登校の方のニーズもあります。それが地域がばらばらで、例えば鳥取市なら鳥取市に多くあるかというと、そうでもなくて偏在しているという中で、大都市部のように1カ所夜間中学をつくった場合に、どう通学とかそういうものを確保していくのかといったような課題もあります。その中で、例えば通信制を使ってやってみてはどうかというような議論もあるわけですが、これは文部科学省のほうが夜間中学に通信制課程は認められないという見解を示しておられたりするわけでございます。
また、外国籍の方もニーズがあって、それは主に日本語について学びたいというニーズが非常に強いわけでございますが、夜間中学ですから日本語についてだけ学習をするということではなくて、中学校としての教科を学んでいくということになるわけでございまして、そこでは必ずしもニーズが一致しないということになります。日本語だけを学ぶのであれば、そうした場を別に設けたほうがより効果的でないかといったような議論もございます。
また、開設する時間、夜間中学ですから働いておられる方などを中心として夜間に開くということが想定されておるわけでございますが、実際学齢期の不登校の生徒を対象とするということになれば、夜間よりは昼のほうがむしろ望ましいのではないかといったようなことでありますとか、そうしたようなさまざまな課題について、これはどうまとめていったらいいのか非常に部会の中でも苦労をしておられて、結局設置に向かうべきか、それぞれの個別の課題を有効に解決する方策としてこういうことが考えられるのではないかといったような、そうした御意見を併記していただくような形になるのではないかなというふうに思っております。
そうした報告を受けて、県教委としていずれ方向性を出す必要があると思っておりますので、きょうの御議論なども含めて検討をさせていただきたいというふうに思っております。
◯議長(藤縄喜和君)11番山口議員
◯11番(山口雅志君)続けて質問を申し上げます。
災害関係です。先ほど知事が言われましたように、まさに取水堰と河川の問題は大変議論を呼ぶところでございまして、僕も県庁と鳥取市の農林課かな、行ったり来たりして、一体どちらがやるのかみたいな話で忙殺されたことも多々あります。その中で、やはりそういった併設、一体的に考えるということが進めば、かなり有効な手段がとれるのではないかと思います。ぜひともこの件についてはよろしくお願いしたいと思います。これは要望としてお願いしたいと思います。
あと、港湾については、これも重ねて要望ですけれども、やはりいろんなニーズを酌み取る、ここがやはり主であります。こうやっていろんなところを歩いてヒアリングしますと、やはりいろんなニーズがあって、すごくそれを集めていかにそれにマッチした計画を立てるかということで、ぜひともよろしくお願いいたします。
あわせて熊については、やはり熊に特化したことと、あと近隣との連携、これがぜひとも必要だと思います。これもよろしくお願いいたします。
あと、教育問題については、やはり夜間中学というのはあくまでも手段で、教育長が言われるように目的である対象になる学生をどうやって守るかということが主でございますので、そこに力点を置いて、ぜひとも具体的な対応をお願いしたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、午後1時10分より再開いたします。
午後0時04分休憩
────────────────
午後1時10分再開
◯副議長(福田俊史君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
13番常田賢二議員
◯13番(常田賢二君)(登壇、拍手)皆様、こんにちは。鳥取県議会自由民主党の常田賢二です。
早速ですが、通告に従いまして、まずはQRコード決済について質問させていただきます。
来年1月11日より上海-米子定期便が就航し、週2回往復ではありますが、多くの中国人の方が来県されます。
中国のキャッシュレス決済比率は、2015年は60%でしたが、2018年で80%を超えており、急速に利用者がふえております。その要因の一つに、中国ではにせ札など現金への不信感が広がっているからとも言われているようです。また、中国人民元の紙幣の最高額面は100元、現在の日本円では1,543円ぐらいですので、盗難を恐れて多くの紙幣を持ち歩くのを避けようとしていることも一因のようであります。
中国中央銀行の調査によると、2017年のモバイル決済件数は375億5,200件、金額では約3,412兆円で世界一です。中国では現在、スマートフォンによるQRコード決済が主流で、2018年12月時点で、アリババグループのアリペイは約8億人以上のアクティブユーザーを持ち、中国のQRコード決済市場で54%のシェアを占め、テンセントのウィーチャットペイは約3億6,000万人が利用し、38%のシェアを占めます。つまり、中国市場はアリペイとウィーチャットペイで9割以上を占める寡占状態となっております。
日本では、アリペイはソフトバンク系列のペイペイを通じて、ウィーチャットペイはことし8月よりLINEペイを通じて支払いできるようになりました。先月、ヤフーとLINEの経営統合が発表されましたが、来年10月の経営統合までは別会社とのことです。
本日、議長の許可を得て、議場の皆様にQRコード決済のサービス比較についての資料をお配りしておりますが、ペイペイ、LINEペイともに初期導入手数料、入金手数料、決済システム利用料が今は無料とされており、導入への障壁は低いので、ペイペイは県内の中小店でも導入が進んでおります。また、リクルートグループのAirペイは、現在キャッシュレス0円キャンペーンを実施しており、アイパッドとカードリーダーの決済端末導入費用が無料となっております。
外国人が多く訪れる東京スカイツリーのソラマチでは、ことしの2月から全店対応機器を導入済みで、アリペイ、ウィーチャットペイが使えることを店頭や電光掲示板で積極的に広報しております。
鳥取の観光地では、鳥取砂丘はクレジットカードや電子マネーに対応しておりますが、QRコードはまだまだ対応し切れていないように感じます。境港の鬼太郎ロードでは、QRコード決済ができる店舗はありましたが、アリペイやウィーチャットペイの認知度はまだまだ低いのではないかと思われます。
1月、上海便就航に向けて、受け入れ体制整備の一環として、中国人の購買意欲を喪失させないためにも、アリペイ、ウィーチャットペイ対応店舗をふやし、ポスターや卓上ポップなどで中国人観光客に認知してもらう体制を整えることが急務だと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
また、上海では、現金が使えない店舗もふえてきているようです。ウィーチャットペイアプリは日本人もクレジットカードがあれば登録できるようですが、上海便の利用促進の一環として、上海にビジネスや旅行で向かわれるアウトバウンドの方に向けて何か考えておられるでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
続きまして、サイクリングについて質問させていただきます。
8月、とっとり横断サイクリングルート、JR境港駅から岩美町兵庫県県境約150キロと鳥取-岡山接続、鳥取駅から辰巳峠約45キロという鳥取県内のサイクリングルートが決定しました。弓ヶ浜サイクリングルートがことしじゅうに開通、供用開始となるなど、西部のほうが先行しているように見えますが、国道9号線鳥取西道路が開通し、自動車通行量も減ったことで、東部エリアにもサイクリングを楽しむ文化、土壌ができつつあります。これから白兎や浦富海岸、鳥取砂丘周辺などの山陰海岸ジオパークエリアなどで景観のよいサイクリングに適した場所の選定、マップの作成、路面標識や看板の設置、サイクリストが安全に通行できる専用ロードの整備などが必要です。
サイクリングは、膝に負担が少なく、それぞれのペースで楽しめます。中高年の方々の健康にも有効です。
台湾ではサイクリングが人気ですが、その背景は、世界最大と言われる自転車メーカーのジャイアント社を初めとした自転車製造業の発展と行政による環境整備の取り組みが大きいようです。
1997年、当時の台湾台東県で初めて自転車専用道路を設置したのを皮切りに、各地の地方政府が設置。2002年に台湾行政府が台湾全土の自転車道整備に関する指針を示し、2007年に上映された「練習曲」という映画が人気を博し、ジャイアント社創業者のキング・リュウ氏が73歳で自転車による台湾一周を15日間で達成したことが話題になり、サイクリングブームとなりました。
大分県中津市は2017年、台中市とサイクルツーリズム及び観光友好交流の促進に関する協定を締結し、台中市の訪問団がメイプル耶馬サイクリングロードを走行するなど、観光交流が始まっております。
鳥取県内でも、ことし6月にはジャイアント旅行社によるサイクリングツアーが行われ、ツアー参加者15名が大山、とっとり花回廊周辺などを走行しました。また、10月には鳥取市で第3回鳥取すごいライドが開催され、鳥取-台中間の国際チャーター便を利用するなどして、台中市議会議員を初め多くの方が来日され、鳥取の自然や食を満喫されました。
一方、私は10月の鳥取県議会議員台湾訪問団の一員として台湾視察に赴いた際、鉄道廃線後のサイクリングロードを試走する機会がありました。電動自転車による自然豊かな環境での走行は爽快で、観光客に喜ばれるアクティビティーだと実感しました。
サイクリングによる台湾などとの相互交流は、将来的な定期便化を視野に入れた国際チャーター便の継続的な運航などインバウンド誘客につながるだけでなく、国内客を含むリピーターの獲得など、お互いウイン・ウインの関係になる可能性を秘めていると考えます。
今後、サイクルツーリズムを軸とした誘客策の展開についてどのように計画しておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
一方で、県民のサイクリングに対する意識啓発も必要です。まずは地元鳥取県民がサイクリングを楽しむことができる環境整備、具体的にサイクリングコースをどのように整備し、どのように活用していこうと考えておられるのか、さらには、健康増進、スポーツ振興の観点から、県民に向けてのサイクリングの普及啓発に今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)常田県議の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、上海便に伴いますQRコード決済等につきましてお尋ねがございました。1月11日の上海便就航に向けて、アリペイやウィーチャットペイ、この対応店舗をふやす必要があるのではないか、その体制づくり、さらには逆にアウトバウンドで行かれる方に向けての啓発といいますか、そうした対策はあるのかと、こういうお話でございます。
この1月11日にいよいよ上海吉祥航空が就航することになりますが、中国は我が国といろいろと貨幣、お金の事情が異なるところでございます。確かに急速に今、正直申し上げて、例えばほかのカードだとかそういうようなもの、例えば交通系のカードだとか、いろんなものが日本では出回っていますけれども、そういうものを飛ばして一気にQRコードのほうに中国全体が今動いているということであります。ですから、お客様の立場に立ちますと、受け入れる側としては、そういうQRコード対応も含めて、やはり決済支援ということをやらなければならないだろうということであります。
私自身も中国に何回か行きましたけれども、あるときお店で細かい買い物をしようと思いまして、現金ですね、人民元を出したのですけれども、店主が一生懸命これを見るのですね。それで、これはにせ札でないかどうかと。最終的には受け付けてくれなかったのですけれども。ちょっとどうもバージョンが古いお札だったみたいで、それで一緒にいた中国人の方が入れかえてくれて、それでちょっと払わせていただいたということがありますが、基本的に余り信用していないと。これはアメリカも割とそういう傾向がありますし、つまり危ないから持ち歩かないと。それでクレジットカード文化が広がったように、中国の場合もむしろお金の現物よりもそうしたQRコードのようなそういう決済のほうが安心だし、やってみれば便利だしと。多分国策もあって広がっているのだと思います。
この流れは多分とまらないわけでありますし、日本側でも一々両替をするよりもQRコードだとか、それにひもづけしたクレジットカードとか、そうした決済をしているほうが確実に集金もできますし、お客様の利便性にも合うということだと思います。
ここに加えまして、ちょうど消費税10%引き上げが導入されて、それでキャッシュレス決済に対する優遇措置、ポイント制度というものがとられるようになりました。そういう意味で、日本人も含めてこういうQR決済等のキャッシュレス化に向かう機運が一気に高まりつつあるということだと思います。
本県としても、かねてクレジットカードの導入やQRコード、これを外国人対応でお勧めをしてまいりまして、今回の上海便の決定に合わせて、9月の補正予算の中でも誘客倍増のプランの中でこうした支援措置をとらせていただきました。こういうのを活用したり、またこのたび消費税の関係でQRコード決済を入れる業者さんに対する優遇措置もあります。そういうものも活用しながら、今ふやしてきているところだと思います。
そういう意味で、消費税対応のことでいえば、全国でも5位というところに大分キャッシュレス決済の利用度ですね、このポイント制度の利用度が伸びてきているというところであります。
ただ、アリペイとかウィーチャットペイといった海外対応ができるかどうか、これはそれぞれのカードなり決済によって違います。先ほど御指摘いただきましたように、ペイペイであればアリペイと、またLINEペイではウィーチャットペイと。さらに、Airペイというまた別の系統がありますが、これがアリペイとかウィーチャットペイへも対応できるということになっておりまして、この辺で関連づけながら、日本の仕組みを入れて、それで中国のものも対応していくというのが恐らく一番賢いやり方かもしれません。
ただ、なかなか商慣習が一気に変わるわけではないので、商工団体を通じたり、あるいは観光業者の集まりなどで今そうした働きかけを進めているところでありまして、1月11日を目指して、さらに私どもとしてもフォローアップをしてまいりたいと思います。
やはり威力を発揮するのは、そうした観光とか宿泊の皆様の体制の中で広げるのが一番でありますが、県西部の活性化協議会が組織をされました。これは大漁丸さんとか、それからグランドホテル天水さんだとか、そうした人たちが中心でやっているのですが、こちらがアリペイとウィーチャットペイ、この両方に対応できるようにタブレット端末をお店のほうに出すというようなやり方で、一気に44の事業者にこれが広がることになりました。こういうような形でいろいろと、それを我々も支援をしているのですけれども、こういうような形でさらにポップだとかビジュアルのところも含めて応援をさせていただきたいと考えております。
また、アウトバウンドではどうかということですが、そうした決済事情があります。恐らく日本からビジネスで行かれる方とか、それから観光で回られる観光地等々、そう大きな混乱はないと思います。ですから、むしろ安心して行っていただいたらいいと思いますが、確かにさっき私も経験したように、場合によっては現金を受け付けないというケースもありますので、やはりクレジットカードやそういうペイペイ等のアリペイに対応するようなものを持っていくとか、そういう知恵は新しいデスティネーションでありますので、我々としても周知を図ってまいりたいなと思います。
これは例えばぐるなび上海というサイトがあります。そうしたところでは、ここであればこういうような決済手段が使えますよとか、そういうのがわかるようなものもございまして、こうしたいろいろな今提供されている情報ソースなどもPRもさせていただきたいと思います。
次に、サイクリングにつきましてお尋ねがございました。台湾ではサイクリングブームだというお話がございまして、そういうところとの交流を含め、こうしたサイクリングでのどういうような観光振興を図っていこうとしているのかというお話。また、サイクリングの県民の意識向上等を図っていくべきではないかと、こういうお話もございました。
台湾は非常にサイクリングの熱が高うございまして、先般も県議会の皆様にもいろいろと御協力、御支援をいただきながら、鳥取市で開かれましたすごいライドで台湾のお客様をお迎えしました。160名といったような規模でございまして、非常に皆様は鳥取というところについて評価を高くして帰っていただけたと思います。
ただ、なかなか受け入れるほうもいろいろと準備も必要なわけでありまして、我々も学ぶことも多かったのではないかなと思いますが、すごいライドという全国各地で実施されているイベントの中では、今回は非常に参加人数が多かったということで、主催者側も驚いておられました。そういうようなことで象徴されますように、海外からのインバウンドも含めて、サイクリングを上手に活用すると観光振興が広がるものであります。
私自身も、台中といろいろ交流する中で、ジャイアント社を訪ねたこともございました。当時、しまなみ海道の自転車ルートがつくられたころでございまして、日本でもそうしたサイクリング熱が始まったころなのですが、ジャイアント社は旧の台中県の中の一画でございまして、私どもが毎年参加していた媽祖祭というフェスティバルの地元でもあります。ですから、友好交流先ということもございまして向こうに行き、それはさっきキング・リュウさんのお話がございましたが、私も当時、リュウ会長とお会いをさせていただき、ぜひ鳥取県との交流について考えていただきたいと。それで、その後ジャイアント系の旅行社が来られたり、ジャイアント社とのつながりが始まったわけであります。当時、米子市議会の皆さんとかも出かけていかれたり、いろいろと交流の端緒をつくっていた時期でございました。その後、今、常田議員が行かれた団であるとか、またこちらのほうからも向こうのサイクリングイベントに出たりして、かなり交流も盛んになってきた中で今回すごいライドでたくさんの人が来たということ。それから、6月には、ロータリークラブのメンバーですけれども、ジャイアント社の関連するツアーがこちらに15人ほど来られたということもありました。
それぞれやはり食べ物のこととか、それからそのときに、ついで観光をいろいろしますので、回られた観光地のことであるとか、また自転車の走りやすさ、そうした意味などについては非常に高い評価だったと思います。すごいライドはちょっと坂のきついところがありまして、そこはちょっとしんどかったみたいですけれども、基本的にはいい評価があったと思いますし、それからジャイアント社にも見ていただきましたが、弓ケ浜のところの白砂青松のサイクリングコース、これなどは折り紙つきというような評価と言っていいと思います。ですから、ポテンシャルがあるということだと思います。
これからの戦略というお話でありますが、私どもは今年度末に向けまして、一気に鳥取県の体制をつくっていこうとしております。従来、古くは淀江のサイクリングカーニバルであるとか、また大山のツール・ド・大山であるとか、そうした伝統的なコースがありましたが、そこにこのたび弓ケ浜の白砂青松のサイクリングルートをこの春までに完成させようと、そして東西を貫く横断の自転車道、これも開通させようと、今、自動車道路の中に路面標示をして、そこにサイクリングできるような、そういう案内を施しているところでございます。
東部も鳥取西道路が完成したものでありますから、合計で50キロぐらいに及ぶ東西をつなぐルート、これができ上がることになりますし、また岡山側のほうへのルート、これも完成をしてくることになります。こういうようなことで一気にそうしたルート的な整備は進んでまいりますので、これをアピールして、外国の方も含めた観光客の取り込みを図っていきたいと思います。そういう意味で、来年のPRとか、それから旅行商品の造成だとか、ことしとはまた違った踏み込んだ政策を実行していく必要があるかなというふうに考えております。
そして、サイクリングの意識向上や環境づくりということでありますが、これはどちらかというと環境対策、エネルギーの問題やそうした自然環境を大切にするという意味で、平成25年に鳥取県ではバイシクルタウン構想というのをつくっております。そうした自転車通勤を奨励するとか、ちょっとしたところは自転車で行きましょうとか、そうしたことを始め、他方で先ほど申し上げましたジャイアント社との交流も始めながら、観光誘客のほうを強化していったところでございます。
その後、平成29年に自転車については自転車活用推進法というのが、例の谷垣さんですね、自転車で事故をされましたが、あの方の議連が中心になりましてそういう法律ができ上がりました。全国でもう一皮むけた形になりますので、私どもも今、アクションプランとして、県民の皆様にもわかりやすく語りかけるような、そういうプランに今のバイシクルタウン構想を一段引き上げていこうとしております。この議会でもいろいろとお話が出ることを踏まえて、その後、パブリックコメントなどもさせていただき、新しいアクションプランというものを策定してまいりたいと思います。
その中で、例えば1メーターの幅をとった自転車も通れるようなレーンを確保していくとか、それからコグステーションとかそうしたさまざまなエイドステーション、それからサイクルカフェのようなところ、そういう環境づくりなどもいろいろと協力してやっていきましょうというようなことなど、さまざまに盛り込んでいければと思います。
ついこのたびも鳥取市内の懸樋工務店さんが音頭をとられて、自転車用のラックの製作を子供たちも交えてされるというイベントがございました。だんだんとこういう自転車がまちの中に見えるような、そういう地域づくりに幸い向かい始めているのかなというふうに考えているところでございます。
そんなようなことで、さまざまな対策も施しながら活用、県民の皆様にも活用を呼びかけるということも含めて、サイクリング対策を進めてまいりたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)13番常田議員
◯13番(常田賢二君)知事より御答弁いただきました。
まず、QRコード決済に関して、鳥取県は全国5位に伸びているということで、商工団体、観光施設へこれからフォローアップしていきたいということで、ぜひ進めていただきたいなと思いますし、アウトバウンドへの周知ということで、ぐるなび上海等でPRしていくということで、上海に初めて行かれる方とかはすごく不安な面もあると思いますので、そういった対策もぜひこれから進めていただきたいなと思います。
QRコード決済について追及質問をさせていただきます。
日本のキャッシュレス比率は、経済産業省の発表データによると2015年時点で18.4%と、ほかの先進国と比べてもかなり低いです。その要因は、根強い現金主義、セキュリティーに対する不安、現金を扱うインフラの充実です。
2018年4月、経済産業省は、2025年までに日本のキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げるキャッシュレスビジョンを発表。10月の消費税増税に合わせ、中小店舗でのキャッシュレス決済には、国の補助で最大5%のポイント還元が実施されました。また、2020年9月からは、マイナンバーカード保有者に最大2万円までのキャッシュレス決済利用や入金で25%のマイナポイントを付与するとの報道もありました。ただ、政府はキャッシュレス推進のためのいろいろな施策を打ち出しますが、なかなか普及は進まない状況です。
日本では、まずQRコード規格の統一をすべきだと私は思っております。今のような事業者が乱立し規格が統一されない状況では、消費者の混乱を招き、キャッシュレス決済の普及を阻害する要因でもあります。タイやシンガポールでは、政府主導で規格が統一され、普及が進んでおります。QRコードが統一されれば利便性が向上し、ビジネスチャンスも広がります。
キャッシュレス決済の比率向上に向けて、2018年7月、キャッシュレス推進協議会が発足し、ヤフー、LINE、楽天、ドコモなど主な企業はほとんど参加し、9月末現在で県や市町村など計73自治体が参加しております。8月より統一QRコードのJPQR普及事業が、岩手、長野、和歌山、福岡の4県で行われております。キャッシュレス推進協議会は、自治体会員の加入を受け入れているようですし、加入自治体のキャッシュレス推進状況や、例えば医療機関での導入事例など本県にとっても参考となり、県民に対する行政サービスの向上にも寄与できる方向性を見出すこともできるのではないかと思います。
モバイルマーケティングに関する民間調査機関のMMD研究所が9月に実施した調査で、日本人が主に利用するQR決済は、ペイペイが44.2%で1位、LINEペイが13.6%で3位となっており、これが統合すれば圧倒的な存在になります。1強対その他大勢という構図は、地方にとっても余り望ましい状況とは言えないのではないでしょうか。
最近、鳥取県内でも、ペイペイなどのQRコード決済を導入する中小店舗がふえてきたと実感しております。また、鳥取県はSuicaやICOCAなどの交通系電子マネーが余り普及しておらず、キャッシュレス後進県ですが、日経BP社の2018年12月調査でQRコード決済利用意向ランキング1位となるなど、最も意欲ある県民でもあります。にもかかわらず、一方ではポイント還元が始まった10月以降でも、まだQRコード決済を利用している方は実際には少数で、恩恵を受けている方と恩恵を受けていない方との格差は広がる一方です。
そもそもスマホを持っていなければQRコード決済は利用できませんし、アプリの登録手続の煩わしさなど理由はいろいろ考えられますが、QRコード決済の利用はなぜ広がらないのか、まずはQRコードの早期規格統一を地方から国へ要望することはできないのでしょうか。鳥取県としてキャッシュレス推進協議会に参加するという考えはないのでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
また、鳥取県民にとってQRコード決済利用の障壁が高いのであれば、キャッシュレス普及促進のための県としての取り組みはいかがお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて常田議員のほうからお尋ねがございました。
キャッシュレス決済、QRコードでありますが、先ほども申しましたように、幸いいろいろとPRもして、消費税引き上げのときにキャッシュレスポイントのほうでは全国5位まで急速に伸びてきている。その背景には、常田議員が御指摘されましたが、ひょっとすると県民のほうもそういう意味でこうしたキャッシュレス決済のほうに興味を持ってくださっている、データ的にもそういう状況があるのかなというふうに思います。
いずれにいたしましても、不便なのはQRコードもいろんな方式がありまして、これは実は日本に限らず、他国におきましても自由な発想でシステムは組み得るわけでありますので、それが災いをして、幾つかの方式がどこの国でも生まれてしまっています。
ただ、シンガポールにおいては、これは世界で初めて国の中でこうした全国的な統一をされたところがございまして、SGQRという方式をつくられて、これにまとめられたところがありました。タイなども同じようなことをされてきて、それで周りの国を巻き込んで統一に向かうというところもあります。日本の場合は今まさにその努力中ということだと思いますが、先ほどの協議会が発足をして、ここに自治体も入って研究をしていると。国としてもやはりどこかにまとめて、要は消費者の不便につながらないようにするためにはそうした規格が必要でありますので、今そちらのほうに向かっているということであります。
これから和歌山県などで実験が始まるということで、それも注目してまいりたいというふうに思いますが、いろいろとやはり各社の間で温度差もあるようです。一番QRコードの大手はペイペイでございますけれども、ペイペイの場合はお店がQRコード提示をして、お客様が読み取るという、こういうMPM方式には対応しないと、統一に参加しないということを言っています。これは背景には中国のアリペイとの規格の関係がありまして、それをやらないのだと、こういうふうにおっしゃっていたり、いろいろとこういう不協和音は若干あるようでありますが、大筋において消費者本位の形でいずれはまとまっていくのだろうというふうに思います。
私どもとしても、こうした円滑な導入に向けて政府としても配慮してもらいたいということを従来から国に要望しておりまして、きょうの御質問も踏まえて、そうした要請活動を今後、国、政府側にもやっていきたいと思います。
またあわせて、この協議会にも参加してはどうかということでございますので、参加すればいろんな情報もこうしたQRコードをめぐる状況なども見えてきますし、鳥取県に都合のいいようなシステム統一に向かえばなおありがたいわけでありますし、ぜひ年明けぐらいにでも協議会への加盟をさせていただきたいと考えております。
また、そのキャッシュレス化の環境づくりでありますが、一つには、今、消費税のこのポイントの問題があり、先ほどマイナポイントの話なども提起されましたが、関心は今高まってきているところだと思いますので、お店のほうに普及をするのとあわせて、こうしたことで正しい選択だとか使い方、そういうことも含めた啓発活動もやってまいりたいと思います。
いろいろとタイプがあると思うのですね。今QRコードのお話をされていますけれども、おっしゃるようにスマホがないとこれはどうしようもないものであります。ですからお年寄りはスマホを持って歩かないというカルチャーであれば、そちらのほうは、では、どうするのだということになります。
実はこの消費税10%に引き上げた後、キャッシュレス決済がふえています。例えば市内のそうしたチェーン店のスーパーマーケットあたりでも2割ほどやはりキャッシュレス決済がふえたというようなことだと伺っていますし、これはほかのお店でも総じてそうであります。
では、QRコード決済がふえたのかというと必ずしもそうではなくて、お年寄りが結構お使いになっておられると、キャッシュレスを。それは電子マネー方式ですね。チャージをして、それでお使いになるという、そういう電子マネー方式を好んでやっておられる様子が今伝わってきています。事ほどさようにキャッシュレスといってもいろんなタイプのやり方がありますし、スマホがなくても千円札を入れるかわりに1,000円チャージしておけば特にちっちゃな買い物などは小銭を持たなくてもいけるということにもなりますし、いろんなやり方があって、それに今ごろは5%乗ったり、そういうポイント還元もありますので、今がそうした意味では普及のしどころかなというふうに思います。丁寧に実情もいろいろとお伺いをしながら、正しい決済のやり方、これは消費者教育等も含めて考えてみたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)13番常田賢二議員
◯13番(常田賢二君)知事から答弁をいただきました。
キャッシュレス推進協議会のほうに来年以降加盟していただけるということで、ありがとうございます。
また、県民への啓発活動もしていただけるということで、本当に普及が進めばなと思っておりますので、これからもぜひよろしくお願いいたします。
例えば鳥取市を中心とした鳥取県東部1市4町と兵庫県北西部2町の各自治体を初め、金融機関、商工業者など幅広い方々でDMOを設立し、麒麟のまち圏域として観光振興や移住定住に取り組んでいます。
ことし麒麟獅子舞が念願だった日本遺産に認定されて、文化財としてはもちろん、国内はもちろんのこと、海外へも売り込める観光の大きなコンテンツの一つであり、これを前面に押し出して観光振興を図ろうとしていると。鳥取市の担当者にこのことを伺うと、この取り組みには県として積極的なかかわりはないという答えがありました。
また、反対に、鳥取市の担当者は、県がやっておられる星取県、そしてまんが王国など、これについてどうなのだというふうに私は尋ねたところ、あれは県がやっているのでしょというような本当に冷めた感じの答えが返ってくるような場面もありました。やはりお互いがやっていることを一生懸命連携しながらやらなければ相乗効果というのは生まれないなというふうに思っています。
これは県だけの責任ではないです。県内各市町村、DMOなどとの連携、これは観光振興に不可欠です。それでこそ知事が提唱している県民運動として観光振興につながると考えますが、どのように連携を深めていくのか、知事の所見を伺います。
また、県の観光に関係すると思われる事業や施設などについて、ジオパーク、鳥取砂丘、満喫プロジェクトを含む大山、響の森などの氷ノ山自然公園は生活環境部が、花回廊、なしっこ館、かにっこ館は農林水産部、スポーツツーリズム、文化財、民芸は地域づくり推進部が所管するなど、事業、施設の性格上だと思いますが、ばらばらに運営しているように私は感じているのです。
これが本当に相互にリンクし合っていかなければ効果的な観光振興を図ることができないというふうに私は思うのですが、こういうことも観光部局が一元的にグリップして、横串を刺すとか、やはりどこかグリップするところがあって、同じ方向を向いて観光振興は動いてほしいなというふうに思っていますが、このことについても知事に所見を伺いたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)島谷県議から重ねて観光につきましてお尋ねがございました。
議員がおっしゃったように、地域との連携、さらには県庁の中の組織的な共同作業、こういうことが一つのポイントにもなるだろうというふうに思います。
このたび麒麟のまちが日本遺産になりましたことは大きな財産ですし、いろいろ県境を越えたあちらの香美町とか新温泉町の人たちとお会いしてもあちらもあれでプライドがあるのですね。兵庫県の中ではちょっと珍しがられていることが日本としては認められて、それが誇らしいということだと思いますし、これを生かしたいという気持ちがあって、今DMOとしては麒麟のまち全体ででき上がりましたので、私はいいことだというふうに思います。ぜひこれは山陰のインバウンドのDMOとも連携をしなければいけませんし、県ともこれまで以上にしっかりと連携をとっていければなというふうに思います。
例えばきのうも空港のほうで1,000万人の搭乗記念のキャンペーンをさせていただきましたが、因幡の麒麟獅子舞の皆さんがお見えになられまして実演をしてくださいました。観光客には非常にそういうのはインパクトがあるわけです。
ことし大阪のほうで、これはJTBの田川会長からもいろいろと言われていたものでありますが、ツーリズムのコンベンションが開かれまして、4日間で15万人入られるというような、外国の出展も含めて結構にぎわいのあるそういうコンベンションが開かれました。そのメッセの中で麒麟獅子舞を実演したわけでありますけれども、実演の後、当地では当たり前でありますけれども、頭をかんでもらう、それに長蛇の列ができまして、そういうように非常に手応えもあるわけです。
ただ、ふだんから麒麟獅子舞は見られるわけではないのですね。だからそこを常設的に見ることができるとか、傘踊りもそうかもしれません。JRの方が練習されて、ここぞというときは駅でされたりしていますけれども、ああいうことがやはりもっとかみ合ってくると観光振興にもいいのかなと思います。今、麒麟のまちのほうでもVRでそうした麒麟獅子舞を体験できるようなそういうことを考えておられまして、県としてもそういう取り組みを応援して、そういう素材を我々も海外も含めてプロモーションするときに使わせていただいたりして、麒麟のまちの観光局との連携をさらに強めることができればなというふうに思います。
漫画にしてもコナン空港としてさせていただいたら大体それでお客様が50万人とかそういう形で来るようになっているわけでありまして、やはりこうした素材も非常に有効ですし、谷口ジローさん等もございます。
なかなか確かに市と十分かみ合っているかというと、これは著作権者との関係もあってなかなか三つどもえで難しいところはあるのですけれども、しかし、そういう中でも地道にそうした魅力発信をしていくことはできるのではないかなというふうに思います。
この週末は北九州のほうでアニメツーリズムの大会がございました。そのときにこの東部エリアでは「Free!」の取り組みとか、それから谷口ジローさんとか、あるいはコナン空港のお話などもさせていただき、全国のそういうツーリズム関係者、アニメ関係者から非常に注目もしていただいて、西日本新聞などにも掲載されたりしたのですが、そういうようなことでやはり訴求力がある素材というのはそうしたアニメ系、漫画系にもあるのだと思うのです。
実は富野由悠季さんというガンダムの総監督、その筋の人には非常に有名な方でいらっしゃいますが、この富野由悠季さんが実はアニメツーリズム協会の会長です。私どもはそれに加盟する立場なのですが、富野会長御夫妻もお見えになっていまして、ちょっといろいろと私もPR方々お話を持ちかけたのですが、奥様が鳥取の方でありまして、市の中心部の方でいらっしゃって、それで非常にそういう意味では鳥取のことを私はよく知っているのだよと、こういうようなことをおっしゃるわけです。
それでちょっと弁当を食べている時間帯で一つ聞きたいことがあると言って、鳥取には都市伝説というか、田舎伝説かもしれませんけれども、そういうのがあるのですが、アムロ・レイですね、操縦する、アムロ・レイは鳥取生まれという伝説がありますがと言ったら、そうしたら富野監督は、否定されるかなと思ったのですけれども、そういうふうに思われてもいい覚悟でつくりましたといって、それは1作目の映画を見てもらえばわかりますとおっしゃっていました。その中に砂丘のシーンがある。それが海外の砂丘と結びついたストーリー展開になっているようでありまして、前からこれは実はマニアの間ではアムロ・レイは鳥取出身ではないかという話があるのですけれども、それがあながちうそでもないというようなことなのかもしれません。
いずれにいたしましてもそういうようなことなどいろいろとつなぎ合わせていけば、結構国内外に訴求力のあるものというのはまだまだこの鳥取県東部にあるのではないかなというふうに思います。ですから、そうしたところをやはりかみ合わせていく努力をこれからも展開してまいりたいと思います。
また、県庁の中の素材の掘り起こしというお話がありました。これから新年度に向けてやはり上海向けとか、それから外国でも特に欧米とか、そうした多角化の展開を図らなければいけないと思いますが、そういうときの素材づくりなどをこれからしなければいけないと思います。きょう島谷県議のほうからもなるほどなという提案もございましたので、ちょっと部局を超えて、食べ物の魅力であるとか、それから伝統工芸、最近でいうと民芸が物すごいブームになってきていまして、鳥取東部にも巡礼のように来られる方もいらっしゃいます。そういういろんな魅力をもう一度全県的に再検証して、特に海外向けのコンテンツでその対象国向けにこういうのが発信できるというようなことなど魅力の再構成を全庁的にも横串を刺してさせていただきたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)30番島谷議員
◯30番(島谷龍司君)知事からいろいろ答弁をいただきました。
最後のほうに言われましたコンテンツの掘り起こしといいますか、そういうことは大変必要だと思います。本県には、皆さん御存じのように、砂丘、山陰海岸、そして大山、全県で見られるすばらしい星空、こういう豊かな自然環境と吉岡、岩井などの温泉、500万円で有名になった松葉ガニ、肉質日本一の和牛、大変食も充実しております。先ほど知事も少し触れていただいた麒麟獅子舞、しゃんしゃん祭、がいな祭、いろんな地域の催し、鬼太郎、コナン、こういう漫画のコンテンツ、陶磁器・木工などの民芸、こういういろんな素材があります。
先ほど知事が言ったように、庁内でもそういう素材、それぞれ所管はばらばらかもしれませんけれども、やはりグリップしながらその素材をブラッシュアップさせていってほしいなというふうに思いますし、まだ私たちがというか、世間に知られていない観光に資するような埋もれた地域資源はまだまだあると思うのですね。地域が知っているけれども、県全体ではわからないとか、そういうことについてもぜひ掘り起こしていただければなというふうに思います。
また、少しインバウンドの多角化の話も先ほど出ておりました。野坂議員の代表質問の答弁の中でもインバウンドの多角化を図るというふうにおっしゃられておりましたが、その際、メディア・マスコミを活用してPRするというふうに言われました。知事もよく認識されておりますが、常々言われているように、近年は、観光客自身のSNSを中心としてそれをネット上での口コミで情報拡散というようなこちらのほうが誘客には圧倒的に有利だなというふうに言われているのですね。
現に本県でも、何度か著名なインフルエンサーを海外から招致して情報発信をされているというような実績もございます。
こういう観光客の口コミやインフルエンサーの好意的な投稿を促すためにも、観光客に満足していただける地域、いわゆるマーケットインの発想、これに取り組む必要があると思っているのです。
これは決して海外からの観光客だけを対象とするのではなくて、圧倒的な多数を占めているのは国内の観光客だなというふうに思いますし、実際そうなのですね。そういうことが必要と思っていますので、それに対する対応もお願いしたいというふうに思います。
これは市場や顧客が求めている動向を把握して、それに基づいて、先ほど申し上げた市町村、事業者、DMO、観光協会、こういう連携をしながら、本当にほかの地域に勝って、差別化できる魅力的な観光地をつくっていく必要があるのではないかなというふうに私も思っていますし、先ほどの答弁から知事もそうではないかなというふうに考えるところなのです。現在も観光部局、本県の魅力発信に努力されていることは私も本当に評価しているところですが、先ほど申し上げた他地域に勝って、なおかつ差別化する、これの地域資源を国内外へ訴求できる観光コンテンツ、これはやはりブラッシュアップが必要だと。今のままやってもそれはそれでいいのでしょうけれども、やはり魅力をますます向上させるということが必要だというふうに私は思っているのですけれども、この春、第3次ようこそようこそ鳥取県運動取組方針、これを見させてもらいました。そこには発信の文字というのは大変多く見られているのですけれども、観光資源の磨き上げという視点をもう少し取り入れていかなければいけないのではないかなというふうに私は思っています。観光客に満足していただいて、その観光客みずからが本当にSNSで発信したくなるような、取り組みの方向性を県、市町村、事業者が共有しながら観光地の磨き上げに取り組んでいく必要があるというふうに思いますけれども、知事の所見を伺いたいというふうに思います。
また、先ほど申し上げたインフルエンサーを何度か招致しているのですけれども、来年のオリンピック・パラリンピックや再来年のワールドマスターズゲームズ、これは大変大きなコンテンツであります。この選手や役員自身が本当非常に多くのフォロワーを持っています。本当に影響力のあるインフルエンサーばかりだというふうに私は思いますし、彼らを本県に呼び込んで、本県の魅力を発信してもらうことは、オリパラ後の本県への外国人観光客の誘致に必ず結びつくものだと考えています。
ラグビーワールドカップが9月から11月、日本各地で開催されました。日本中が盛り上がって、その試合模様も出場国はもちろんですけれども、それ以外の国を含めて全世界に映像が発信されました。しかし、残念ながらその盛り上がりの恩恵、本当に鳥取県には余りなかったように私は思えるのですね。
実際に来日した外国人観戦者が、試合間隔はラグビーは長いのですね、その間にいろんな日本全国観光をして回っている、そういう映像が、それもその国の代表のユニホームを着て観光しているというような映像がよく流れていましたが、鳥取県は余りそういう映像も見ませんでしたし、実際私もなかなかそういう町なかを歩いても見なかったというような状況はございます。
オリパラもそうですけれども、このワールドマスターズゲームズの参加者は、比較的高い年齢層だというふうに思いますし、可処分所得も多分高いのではないかなと。そして家族連れで来日してくるのではないかなというふうに思っていますし、予測もされています。このラグビーワールドカップの轍を踏まないように、誘客を図る必要がありますが、それについてはもう今からでも対策を講じていく必要があると考えますが、このことについて、知事はどのように対応されようとしているのか伺いたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて島谷県議のほうから御質問をいただきました。
観光の素材、いろいろとブラッシュアップする、それは発見することもありますし、またいろいろとつくり込んでいくこともあると思います。例えば先ほどの議論になったようなサイクリングの関係、これも国際的にも誘客し得る素材になりつつあると思うのですが、コースはつくったところで、今度はそれをエードする、サポートする、そういうお店だとか、そういう輪を広げていくとか、そういう地域ぐるみでやはりおもてなし、ホスピタリティーをできるような環境、また楽しむような環境をつくっていくことが大切であります。
また、正直申し上げて参入してくる事業者のような民間の活力、こういうものもやはりないとなかなか加速度的に進んでいかないところもあります。ですからそういうようなかけ合わせをいろいろとやっていくことだろうと思うのです。
最近でも用瀬のカフェですね、古民家カフェ、これが結構シンガポールの旅行業者に受けまして、発信をされていますけれども、本当に何げないところだけれども、日本的できれいなこと、それが大変に評価をされるのかなと思います。ですから芦津の日本料理、あれもミシュランをとりましたけれども、引退表明された寺谷町長のところでありますけれども、そういうようなことでもこの間、中国旅行社総社、これは1,000店舗あるとか言っていましたが、そういう巨大な旅行会社でありますけれども、そこのリーダーの方が行かれまして、非常に高く評価をしておられました。ですから我々の実は身近なところに結構こういうものができてきているのかなと思いますし、そういうのを掘り起こしたり、それを伝えていく努力というのは大切なのだと思います。
先般、上海に参りましたときに砂丘アクティビティ協会の前田さんが一緒に来られました。それであそこはサンドボードだとか、パラグライダーとか、いろんなものがございますが、こういうような砂丘の魅力ということを言い、上海の人から見て車で鳥取砂丘のあたりに来ること、それはそんなに苦にならないわけでありまして、非常に有望ではないかと、旅行商品化していきたいと、こんなような今動きになってきているところであります。ぜひそうした形でコンテンツ、観光素材というのをこれからもつくり込んでいきたいと思いますし、私どももそうしたニューツーリズムの形成事業支援のファイナンスも含めて応援をさせていただきたいと思いますので、ぜひ各方面と一緒にやってまいりたいと思います。
スポーツを生かしていくこと、これも問題提起がございました。
オリンピック・パラリンピックが新年度いよいよ開催されることになり、もうカウントダウンが始まっている状態でございます。これについては今例えばジャマイカのキャンプが決まってくる。それからクライミングでもフランスは3名このたび12月に入っての世界大会も含めてオリンピック代表が決まりました。シルヴァン監督とは従来話もできていまして、これもうちにキャンプをすることになるのではないかと期待していますし、ヨゾコーチが率いるクロアチアのJKモルナルの国際チーム、これもコンティデスさんだとかが今2名もう既に代表、オリンピック出場が決まっておりまして、キャンプを張られることが確実になってきています。
さっき情報発信のお話がありました。セーリングのときもそうなのですが、大会をやりまして、その情報発信をしたのに結構フォロワーがいらっしゃるわけですよね。それが鳥取の美しい、山陰の美しい光景、あるいはそこの人情やちょっとしたおいしい食べ物、事細かにこういうものの情報がどんどん出ていって、それを何十万人という人たちが見るような状態になります。ですからこういうキャンプを引き込んでくるというのは、非常に大きな効果が出るのではないかなと思います。
陸協さんに大分お世話になってジャマイカとの御縁も育ってきたわけでございますが、このジャマイカチームと今協定を結んでいる中では公開練習をしてくださるということになっています。ジャマイカチーム、この間のドバイでの世界陸上でも金3、それから銀5で、銅が4、12個メダルを獲得していまして、ボルトはいなくなりましたけれども、例えば鳥取県にも来ましたフレーザー・プライスを初めとしたスター選手、まだ残っている人もいれば、新しい種目で出ていく人たちもいる。また、ジャマイカとしては水泳とか体操でも代表権を獲得しまして、これは多分米子のほうがベースになると思いますが、そちらのほうでキャンプを鳥取と連動してやるというようなことになるかと思います。
オリンピックのときにジャマイカのチームの公開練習が見られるということになりますと、これは海外の人も含めてこちらについで観光でやってくるとかという余地は十分あると思うのですね。そういう機会もつくれそうな感じがございますので、そうした形で私たちもスポーツの発信ができるのではないかなと思います。
また、ワールドマスターズゲームズは、2月に入りますと正式にエントリーが開始をされることになります。これまで戦略的に売り込んできておりますのは、例えばオセアニア地域のアデレードで行われたオーストラリアのマスターズゲームズのほうに私どもも関西広域連合と協力をしながらPRもしたところでありますが、手応えもございますし、またヨーロッパ、ミラノでもそうでありますし、ペナンのほうに行ったときもそうでありました。モンゴルのほうでは、ここはグラウンドゴルフの国際大会をやるのですが、ワールドマスターズゲームズのPRもいたしまして、行ってみたいという声は上がってきています。
議員がおっしゃるように、家族みんなでスポーツ観光という感じで来られる、それがこのワールドマスターズゲームズの特徴でございまして、そういう意味で新しいターゲットをつかんで、比較的長く滞在していただけるチャンスになるのではないかなと思います。これがリピーターになって、またあそこに行って体を動かしてみようとか、あそこの温泉に行ってみようとか、そういうようなことになればというふうに思います。
そういう意味で大体参加のターゲットをどこに置くかですけれども、一つはオーストラリア、ヨーロッパが多いですね。オーストラリアへは売り込みを、徳島県や兵庫県と共同して売り込もうかということも今話し合いを始めたところであります。
また、欧米系のほうにもオリパラも含めてエクスペディアなどそういう欧米系に強いところでの広告を今計画しておりまして、いろいろとターゲットに応じた働きかけを考えていければなというふうに思います。
ラグビーでも我々フェイスブックなどで発信をしまして、13万件ぐらいのアクセスはあるのです。それで興味を持っていただけるのですけれども、やはり事前につくり込んだ旅行パックの中に入っているのが一番よかったのだろうと思うのですが、そこはちょっと今回でき切れていなかったと。
ですからそれを生かしてオリパラとか関西ワールドマスターズゲームズのときにはそうしたところを巻き込んでツアーにも実際つながるようなつくり込み商品を考えていかなければいけないのではないかなと、今回の反省を踏まえて総括をしているところであります。さまざまな形でそうしたスポーツを通じた情報発信や誘客に努めてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)30番島谷議員
◯30番(島谷龍司君)もう時間も大分押していますので、最後の質問になると思いますが、先ほど知事もおっしゃられました、ワールドラグビーの反省を踏まえてまた頑張っていくと。
本当に発信を含めてぜひ頑張っていただければなというふうに思いますし、先ほど知事は少し最初のほうで触れられた鳥取砂丘なのですけれども、鳥取砂丘は皆さん御存じのように鳥取県を代表する観光素材の一つだというふうに思います。これは間違いないのだなというふうに思いますが、いろんな魅力的なものはあるのですけれども、3年後の令和4年には西側にリゾート型の宿泊施設もできるというような計画もあるそうですが、こういうふうに魅力的なのですけれども、やはり年間150万人前後で入り込み客が推移していると。やはりこの現状を打破するためにも、新たな先ほど言われたような魅力開発、スポーツであったり、いろんな魅力の開発が必要だというふうに思います。
県は、鳥取スナホ・ゲーム解放区を宣言されまして、29年11月、鳥取砂丘を中心に、鳥取市内を会場に首都圏以外で初めて、唯一、大規模なポケモンGOのイベントをされました。このイベントには、3日間で8万9,000人という大変多くの方に来ていただいて、さまざまな経済波及効果を及ぼした。その反面、また飛行機・JRが満席だったり、宿泊施設が満室で宿泊できない参加者、砂丘周辺は大変大渋滞、これは本当に大きなインパクトを与えたということは記憶に新しいところでございます。
このポケモンGOのイベント、これはシカゴ、ドルトムント、台南、横浜では毎年やっているのですけれども、鳥取は砂丘にいる生物の関係で1回だけになっているのですね。やはりこれは継続してやるべきではないかなというふうに私は思いますし、まんが王国という観点でいっても西部の鬼太郎、中部のコナン、そしてこのポケモンを東部のコンテンツにしていけばなというふうに私は思っているのですけれども、知事、この大規模な集客コンテンツを今後どういうふうにされようとされているのか。やはりスナホ解放区というふうに、ゲーム解放区というふうに宣言しているのですから、ぜひまたそういうことをやっていただければなというふうに思います。知事の所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)島谷県議から重ねてのお尋ねがございました。
砂丘の活用、これについては先ほど申しましたいろんなスポーツアクティビティーもできてきていますし、砂丘自体の魅力は最近多角化に応じて各国の人にも紹介していますが、かなりアピール力は強いというふうに思います。ですからこの素材、日本人にももちろんきくわけでありまして、そうした訴えかけを強めたいなと思います。
最近は実は国内客も結構伸ばしてきて、昨シーズンは2,000万人を超えるというのが県内の動向となりました。初めて2,000万人に乗っかったということでございました。
砂丘も少なからずそれに貢献しているわけでございまして、特に鳥取のイメージはどうしても砂丘ということでありますので、砂丘に行ってみて、それでほかも回ってみるという形が非常に多うございますので、砂丘の誘引を強めることは重要かなと思います。
そういう意味でポケモンというコンテンツもありましょうし、島谷県議がいろいろとお世話してくださいましたカニなどもあろうかと思います。今のシーズン、冬場非常に厳しい中ではありますけれども、セカニ一(世界一)キャンペーンということを組まさせていただいて、この砂丘のみならず各地に食べに来てもらおうと。実際飲食店で食べられた方に、あるいは宿泊された方にプレゼントするというようなキャンペーンを今展開することにいたしておりまして、今月23日にはそうしたことのキックオフをやろうということを今関係者と相談をさせていただいておりまして、県議のいろいろと御協力に感謝を申し上げたいと思います。こういうような形でいろいろと訴求力のある運動を展開していかなければいけないと思います。
ポケモンも確かに一つの素材でありまして、これは地元のほうでそうした体制が整えば、それはまたあちら、ナイアンティック社とか、それからまたポケモン社等にも話をつないでいくということといたしたいと思いますが、あちらもそうした条件が整うことを非常に重視されていまして、そうした意味で地元の体制づくりをぜひ考えていただければなというふうに思う次第でございます。
また、同様のそうした形でも他の展開ということも今後出てこようかと思うのです。ですからこうした漫画に端を発したポケモンのではありますけれども、例えばナイアンティック社系列でもまた次の展開が今度出てくると思われますし、やはりその時流に応じて集客力のある、そういう発信の仕方、プロモーションの仕方というのを工夫してまいりたいと思います。
鳥取県でも一つの遺産としてサンドやアローラサンドを活用したキャンペーンというのを今、温泉絡みで展開をしたりいたしているところでございますけれども、こういうのでやはりファンの方はやってくるわけでございまして、そういうことを我々としてもいろいろと形を変えながら展開もしていきたいと思います。地元のほうでいろいろと声をお聞きさせていただいて、そういうポケモンの戦略について今後も御協議をしてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)30番島谷議員
◯30番(島谷龍司君)質問は終わりなのですけれども、最後に、いろんなふるさと新時代、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
◯議長(藤縄喜和君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後4時01分散会
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