鳥取県議会 2019-09-01
令和元年9月定例会(第9号) 本文
▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(藤縄喜和君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。
なお、一般質問並びに質疑終結の後、議案並びに請願、陳情を委員会に付託いたしたいと思います。
それでは、議案第1号から第15号までを一括して議題といたします。
これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
29番野坂道明議員
◯29番(野坂道明君)(登壇、拍手)おはようございます。3点につきまして、知事、教育長にお尋ねします。
初めに、民間活力の導入についてであります。会派民主の代表質問で、福間議員に私の行った平成29年6月定例会及び9月定例会の改正水道法に関する質問を取り上げていただきました。その際、米子市長や倉吉市長などの発言も引きながら、命をつなぐ水の供給は、責任を持って官が行うべきと主張されました。
議長の許可を得て、皆さんのお手元に資料を配付しております。4分類ありますから、多少わかりにくいので、表を見ながら聞いていただければと思います。
水道事業を経営形態で分類してみますと、1の直営、2の一部業務委託、3の
コンセッションに代表される公設民営、そして4の民設民営の4つの形態が考えられます。日本の上水道事業を見ると、約5,000の事業体があり、そのほとんどが1と2の直営かあるいは一部業務委託で、よく調べますと、4の俗に民営化と言われております民設民営もゼロではなくて、9件ほどありました。
民営化とは、4の民設民営のことを指しますが、今回成立した改正水道法は、4の民設民営の議論ではなく、3の公設民営の見直しであります。そもそも水道事業に
コンセッション方式の導入を可能とするPFI法の改正については、2011年の
民主党政権下において成立したものですが、地方自治体が民間に委託する場合、水道事業の免許を返上するとしていたため、万が一のことが起きたときに行政が直接対応できない点が問題視されておりました。このような問題があり、水道事業の
コンセッション方式の導入が進まなかったことから、平成30年12月の水道法改正では、地方自治体に水道事業者としての位置づけを残したまま水道事業の運営権を民間に委託できるよう仕組みが改められました。
日本の水道事業は、ほとんどが1と2の直営か一部業務委託ですが、ヨーロッパを例にとると、イングランドやウェールズでは、1989年に10あった流域管理庁を、類型では4の民設民営、すなわち民営化がなされ、現在では26の民間事業者がその役割を担っております。
反対派は、海外で再公営化、国営化の事例があると言われますが、正しくは、3の公設民営が2の一部業務委託になったもので、1の直営に戻った事例ではございません。パリの再公営化についてもよく挙げられますが、これも同様に、3の公設民営だったのが、1の直営ではなく2の一部業務委託に戻ったという事例でございます。
そもそも私が議論しているのは、4の民営化ではなく2や3の官民連携の議論であり、官民連携が問題だというならば、繰り返しになりますが、2011年の
民主党政権下でのPFI法の改正時に議論すべきものであります。
改正水道法については、知事と十分議論を交わしておりますので、詳細は議事録を読み返していただきたいと思いますが、今問われているのは、単に官だ民だの議論ではなく、世界でも例を見ないほどの急速な人口減少の中で、いかに水道事業を維持し、次世代につなげていくかの議論であります。
かつて自民党政権下において国の直営だった国鉄、専売公社、電電公社を、独立採算の企業経営を行うとして分割民営化が断行されました。その際、社会党や共産党は労働組合と一緒になって猛反対しましたが、当時の国鉄は、37兆円もの巨額債務を抱え、国が毎年6,000億円を投入しても1兆円を上回る赤字を計上し、国の大きな財政負担となっておりました。
あれから30年、民営化されたJRは、安心安全やサービスの飛躍的な向上は言うまでもなく、JR7社で1.3兆円の経常利益をたたき出し、国や地方に対して3,600億円もの法人税、事業税を納めるまでになっており、37兆円あった国鉄の長期債務は、現在19兆円までに減少しております。まさに
民間活力導入の世界的成功例だと思います。
官だから安心、民だから不安とのレッテル張りから脱却し、事実に基づき議論する、それが議会の責務であります。世界が経験したことのないほどの急速な
人口減少社会を前に、老朽化した社会インフラを健全に維持、運営するために、いかに持続可能なものに再構築していくか、真摯な議論が求められていると思いますが、知事の御所見を伺います。
次に、新たな時代を担う「人財」の育成についてお尋ねいたします。
8月の鹿児島での大塚璃愛来ちゃん4歳の死亡事件に続き、さいたま市の集合住宅で小学4年生の進藤遼佑君が遺体で発見され、死体遺棄容疑で義父が逮捕されました。
6月定例会で千葉県野田市の栗原心愛ちゃんの
虐待死亡事件や札幌市の池田詩梨ちゃんが衰弱死した事件を取り上げたばかりですが、未来を担う子供たちのとうとい命が親によって奪われていく現実に、背筋が凍りつく思いをしております。
そこで、再度この問題を議論したいと思います。児童虐待の対応には、多機関にわたる専門的な知識や技能が求められますが、情報をキャッチした一機関がもはや単独で判断、行動できるものではありません。10月1日付で警察官の
中央児童相談所への配置が決まったとのことで、警察本部の素早い対応を大いに評価したいと思います。
そこでお尋ねしますが、機関連携における今後の方策について、知事はどのようにお考えなのでしょうか。
また、このたびの機構改革で子育て・人財局に改編したその狙いと見通しをお聞かせください。
次に、教育長にお尋ねします。前回答弁で現状の取り組みは理解しましたが、教育サイドの主体性のなさも感じました。教育は人を育てることです。その根本にあるのが命であり、暮らしであります。教員として学力をつける以前に、健やかな暮らしに目を向けてしかるべきであります。
児童相談所への教員派遣による人事交流は、福祉サイドからの要請で始まりましたが、10年、経過してもなお、教育サイドの積極的な取り組みが見えてきません。教育サイドとして今後の機関連携にどのような主体性を発揮されるのか、教育の果たす役割、人材育成のビジョン、教育における児童虐待の位置づけなどについて、教育長に伺いたいと思います。
最後に、医療・介護サービスの提供体制についてお尋ねいたします。
厚生労働省によりますと、2018年度の概算医療費は、過去最高の42.6兆円で、2年連続増加しており、75歳未満の医療費は0.2%の減となった一方、75歳以上で2.4%増となったことが押し上げの要因とされております。
現在、鳥取県では65歳以上の高齢者人口が3割近くに達しており、全国平均より早く高齢化が進行しております。2040年には人口が44万人余りとなり、そのうち高齢者人口が4割近くになると推計されており、急速な高齢化に加え、人口減少の難題が立ちはだかっております。
そこで、本県は、地域の実情や患者のニーズに応じて、高度急性期から在宅医療、介護に至るまで、一連のサービスが切れ目なく提供される体制を確保するため、東・中・西の区域を設定し、鳥取県
地域医療構想を策定しております。
国が示す将来の医療体制を実現しようとする場合、鳥取県の平成30年の報告では、国の示す2025年の必要病床数5,896に対し、7,019と1,100以上の大きな開きがあります。
この問題については、先日2人の議員からも
自治体立病院の存続を訴える緊急質問がありましたが、今問われているのは、存続・廃止の感情的な議論ではなく、急速な高齢化と人口減少下において、いかに医療を適正かつ持続可能なものにするかとの冷静な議論であります。
国が示した必要病床数の推計ツールについては、全国一律で地域の実情を考慮していないなどの問題点があるのは理解しておりますが、急速な高齢化と人口減少を踏まえ、将来にわたって良質な
医療サービスを提供するためにも、鳥取県としてはどのように推進されようとしているのか、知事の御所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、民間活力の導入につきまして、改正水道法の観点でのお尋ねがございました。今そうした図表も提示していただきまして、いろいろと官と民との連携のあり方、かかわり方、それについての分析をしていただいたところであります。
平成29年に改正水道法ができました。それで、従来から可能でもあったのかもしれませんけれども、明確に
コンセッション方式等の導入の可能性というのが書かれてきたところでございます。
これに限らず、最近こうした民営化であるとか、あるいは私どものほうの管理委託を行うとか、
コンセッションだとか、さまざまな
バリエーションで、全てを行政サービス、独占的にパブリックが行うのではなくて、そのやり方、実行段階で民のほうを活用したり、あるいは、建てて、それを引き継いで管理してもらうというような、そういうPFIの手法、これですと、建てるところ、そのファイナンスも含めて民がやるというようなこともあります。こうやっていろんな
バリエーションができてきて、議員が今、お示しいただいたようなことになってきたと思います。
水道につきましても、あるいは下水道という領域につきましても、こうした手法の導入というのは検討されるべきではないかということも含めて、県内では議論を今、市町村間で進めていただいているところです。
基本的には、これは市町村の課題になりますので、私どもも、例えば、
トップセミナーをやったり、それから、圏域ごとに話し合いの場を提供したりしまして、例えば、一遍にそこまで行かなくても、管路接続によって事実上、経営を一緒にやっていくこととか、あるいは共同の事務執行の可能性とか、今、真摯な議論をしております。若干時間はかかるかもしれませんけれども。または、そうしたことで、広域化の観点も含めた議論を今、しているところであります。
県内でも、例えば、下水道については、鳥取市におきまして、これは
公設民営方式というカテゴリーになるのですかね、これは包括外部委託をするというやり方でされていまして、今、報道されていますが、米子市さんもこの方式の導入を今、検討しているということであります。こういうように、上下水道といった分野においても、こうした民間の導入ということが進みつつあるというのは客観情勢かなと思います。
議員が先ほどちょっと指摘されたような議論は、フランスの場合などもございまして、よくパリ市のことが取り上げられるわけでありますけれども、実は、歴史的な沿革を申し上げれば、フランスはもう100年以上前から、かなり長い期間で、民間の活力導入というのはこの水道の分野でも進んでいまして、いわゆる、今、
コンセッション方式というようなこと、これは割と伝統的には取り入れられていたところであります。パリにおきまして、これを委託していた先の株式を100%行政側が取得をして、その翌年に契約期間が切れて、それで公社化したと、こういう事例がございまして、それが最近よく取り上げられると思うのですが、フランス全土で見ますと、いろんなやり方が今も混在しているところでありまして、一長一短あるというふうに考えなければいけないのだと思います。
議員は、先ほどJRのことを何度も取り上げられたわけでありますけれども、考えてみますと、土光臨調、ああいう時代から三公社五現業をどうするかという議論があり、また、その後、地方の自治の観点から
管理委託方式を導入する、さらに最近はPFI、さらに
コンセッションという言葉も用いられる、こういうように変わってきているわけであります。
世界の潮流としては、
サッチャーリズムのころからですね、
サッチャー政権のころからニューパブリックマネジメントと言われる手法が入れられるようになりまして、例えば、警察行政ですら入札にかけて、警察自体を民営化するかどうかというのをパブリックと競争をさせて、それで公私の入札のもとに民営化ということもある。こんなような非常に大胆な手法を取り入れたことは世界中に波及をしまして、こういう民間活力の導入ということが我が国でも議論をされて、それが
管理委託方式、とりぎん文化会館の委託をしたりとか、そうしたことに広がってきたところであります。
問題は、こういうように、民には民のいいところがありまして、それは柔軟な動きができる。今、
鳥取砂丘コナン空港を
コンセッションにしました。それによって、ここの予算がどうかということはともかく、例えば、夜中にバスを出して、滑走路を眺めるツアーをやる、あれは別にこことは関係なくやっているわけですよね。民営化してありますので、そういう意味で、自由にそこはできたり、また追加投資をしたり、人を雇ったり、そういう予算主義の自治体ベースとは違うところで、機動的に業況の拡張ができる、成長性を担保することができるということがあると思います。
関空会社などもまさにそうで、関空会社自体が自分でセールスに行ってエアラインをとってくると、それが会社の経営上いいわけでありますし、また、実は行政側にとってもメリットがあるわけです。これが突き進んで、今、韓国の路線の問題はありますけれども、物すごい過去とは打って変わった路線の開拓につながっているというようなことにもなっています。
こういうように、民のいいところは、柔軟性があって、利益を追求するという面が当然ありますけれども、それは、すなわち、その施設自体が目的としていることを自己増殖して展開していくという、そういうことがあります。
そういうようなメリットはあるのですが、片方で、パリのときも議論になりましたけれども、不安定性があるのではないかとか、料金だとかの裁定権も持たせるケースもありますから、そうすると、料金収入、料金の変動というものが住民側には負担のある形で起こるということもあり得ると。ただ、これは全てのケースで起こるわけではなくて、そこは、要は委託、官と民とのどういうルールをつくって業務を任すか、これによるわけです。
あと、大切なのは、民営化した後も、その後の
フォローアップを、やはり官のほうとパブリックとよく調整をしながらやっていかないと、なかなか思ったとおりの方向に向かわないということもあるということであります。
例えば、今、JRのお話が出ましたけれども、このJRの人たち、あるいは国交省のサイドの話を聞くと、今、重大な問題になっているのは三島会社問題であります。現実にも鉄道経営はこれからできるのかというようなことすら言われ始めているところでありまして、
JR四国等ダイヤの見直しとか、現実には、そのバス路線のほうにJR四国などは、営業体質を強化、そっちにシフトさせかけていると。九州のほうもそうでありまして、通常の特急は大分間引きまして、観光特急だとか、それから新幹線のほうに収益の依存を行っていると。JR北海道は非常に深刻でありまして、新幹線という切り札があるはずなのですけれども、さほどそれが需要の押し上げに、今のところは函館まででつながっていない中で、その北海道の中の路線網を維持できなくなるのではないかと、こういうこともあります。
ですから、これは民営化という手法とはまた別の問題として、それを地域だとか国家が関与をして、どういうふうに支えていくのか。最初は三島会社については基金をセットして、その基金で運営していくというようなやり方をとっていたのですけれども、これもなかなか限界に来始めているのではないかなということで、我々は幸い西日本の管内にいますから、三江線のようなことはございましたけれども、まだそうした荒波は押し寄せてはいないのですけれども、地域によっては今、非常に大きな課題になっていると。だから、手法の問題と、それから実際の経営をめぐる
フォローアップ、実際に果実を出すためにどういうふうに官と民とでその後もフォローしていくのか、こういうことも実は大事なのではないかなというふうに、最近の事例は示しているように思います。
いずれにいたしましても、水道も含めて、今、県下では話し合いを促進しているところでございます。
次に、児童虐待につきましてお尋ねがございました。これについては、最近も鹿児島、埼玉など痛ましい、そうした事件もありますし、この鳥取県でもそうした事件が過去なかったわけではなく、この辺は我々も教訓として対応を改めてきているところであります。
議員のほうからお話がございましたけれども、最近その連携を強化するために、従来からいろんな関係者が寄り集まって、要対協と言われるようなところで
児童虐待ケースをやっていたわけでありますが、8月にはお医者さんを配置する、9月には弁護士さん、これも弁護士会と話ができ上がりまして、配置をするということになりました。4月には米子児相のほうに増員をさせていただいたり、7月、6月議会で予算をいただいて、それに基づいて、全県で市町村とのネットワークを張るような、そういう児童福祉司の配置を、これは具体的には倉吉に常駐しますが、倉吉のほうに配置をさせていただいたところであります。そこに、議会でも議論になっていました警察官の配置について、警察本部のほうの理解と協力を得ながら、10月から配置ということになりました。
これは人の配置のことでありますけれども、大事なのは、要対協という実際の児童虐待のケースに市町村が設置する会議などがありまして、どういうふうに機動的に対処していくのか、日ごろ、また、例えば、さまざまな事象を念頭に置いた実地訓練などをやって、警察の役割、児相の役割、市町村の役割、こういうものを確認してブラッシュアップしていくこと、そういうようなことが大切であります。そういう体制をこれから強化していくための布石というふうに考えていただければというふうに思います。
この7月から配置をしました市町村とのリエゾンをするような、そういう職員は、今、市町村を回ってそうした体制づくりをしているところでございまして、行く行くは、市町村が本来要対協を持っていますので、児童虐待のケースに一番早く対処し得るものですから、ある程度対応としては、軽度なものについては市町村レベルですぐに対処していただくというやり方にして、非常に難しい案件などを中心に、児童相談所が直接指揮をしていくとか、そういうように全体でのその役割分担などもして、
児童虐待ケースに機動的に対処できる力を向上させていければというふうに考えているところであります。
これとあわせて、7月、議会の承認を得た上で、子育て・人財局というふうにさせていただきました。このときに母子保健の業務とそれからこの
児童虐待対応のところを同じセクションとさせていただきました。これは、平成27年に倉吉市、平成28年に岩美町でやはり虐待事件がございました。岩美町のケースは、出産をしたお子さんを遺棄したような形になっている虐待のケースでありますし、倉吉のケースは、若い御夫婦で、夫のほうが子供の面倒見ている時間帯に起こったというようなケースであります。
この岩美町のケースなどは特にその典型なのだと思うのですが、やはり、母子保健のレベルと、この虐待のケースというのは、密接に情報共有をして対処するほうがよいのではないかと、こういうように当時も実は総括をしてやったわけですね、市町村も巻き込みながらその辺をやる必要があると。そういう意味での今回の組織強化ということでございまして、児童虐待にも効果を発揮するように努めてまいりたいと思います。
私のほうには、最後に、医療体制につきましてお話がございました。自治体・公的病院のリストアップがなされたところでございますけれども、それよりも安定的な供給、
医療サービスの供給が重視されるべきではないかと、こういう観点での御指摘だと思います。
これについては、今、
保健医療計画、さらには地域医療の話し合いをしている、これは東・中・西ごとに会議も持ったりしますね。この
地域医療構想との絡みで、今回、県内では済生会境港、日南、西伯、岩美と4つの病院が名指しをされる形となりました。先般も首長さんたちがお見えになられまして、その必要性を訴えておられたところであります。
野坂県議がおっしゃるように、今、医療全体、社会保障全体を持続可能な形でするための議論というのも並行して行っているところであり、実は、それの一環で、国のほうが
ワーキンググループをつくっていまして、その
ワーキンググループの勉強の成果をぽっと出したということだと思います。ただ、その出し方が、なぜか民間病院のほうは出さずに、自治体・公的病院だけリストアップして出したと。そういうわけでありますから、自治体側のほうでは、自治体の病院をなくせばつじつまは合うという趣旨なのかと。実は、町長さんもそこで言っていましたけれども、あれを足し算すると、国のほうでもくろんでいる病床数の削減と大体数が合うのだということをおっしゃっていました。ちょっとその真偽のほどはよくわかりません。わかりませんが、ただ、そういうような議論が今、自治体の間では結構広がっているのもまた事実であります。
ポイントになるのは、恐らく、これから個別の病院も含めて、その医療の提供の仕方というのをやはりみんなで話し合って、出口を探すことなのではないかなというふうに思います。
実は、きのうお話が決まりまして、あしたの夕方に長谷川総務副大臣と橋本厚生労働副大臣と、我々地方側では私も参りまして、
あと市長会代表、町村会代表、こうしたメンバーで国、地方の協議の場を発足させることになりました。私も急遽上京をするということになった次第であります。そこで今からどういう話し合いをスタートするのか、ちょっと行ってみないとよくわからないところではありますけれども。今までちょっとその市長会、町村会の関係者とも話をしてきているわけでありますけれども、自治体病院をとにかく廃止すればいいという議論は短絡的なのだろうと。ただ、実は、自治体病院もそれぞれ事情を抱えていまして、東北のほうとか、そのサイズについてどうかということをそろそろ考えなければいけないなというふうに思っている病院は、実はあると。
あるいは、病床のあり方としても、現実は回復期だとか安定期の病床が本来欲しいのかもしれませんが、自治体病院なので急性期医療を掲げているというようなことがあったりしますが、正直そこで最終的な症例を全部診るということにはいかないわけでありまして、実態はどうなっているかというと、そこで一旦受けても、鳥大病院とかに転院させると、場合によってはヘリコプターで、防災ヘリかドクターヘリで持っていくということをやっているのが実情であります。
ですから、そうした病院間の役割分担などをもっとしっかりとやっていくというようなことで、実は、国がわあわあ言っていることは解決できるのかもしれないとも思えるのです。
要は、財務省、厚労省サイドは、トータルの医療費を抑えたいというお話なのだと思います。これは、我々も国民健康保険などを抱えていますから、その医療費全体が適正化されることについては、自治体側としてもそこは理解できるところもあります。ただ、その手法として、この病院をなくせばいいというやり方ではなくて、どういう工夫がそれぞれの地域で、その病院の実態に即してできるのか。地域によってはいろんな病院がありまして、役割分担、役割は変わるかもしれませんし、場合によっては福祉と医療との境目、これをちょっと少し動かすというほうが中山間地の暮らし方としてはいいのかもしれませんし。ですから、そういうような視点で個別具体的に答えを出していくという作業をするのが、私などは実際的なのではないかなという気がいたします。
そうすると、議員は今、対立的におっしゃいましたが、自治体病院をなくせという話ではなくて、医療総額をどうするかというお話だとおっしゃるわけでありますけれども、実は、これは調和的に両方のニーズというのをかなえる出口というのは、あり得なくはないのではないかなというふうに思います。今回国の持っていき方がちょっと乱暴だったものですから、大分騒ぎになったのは事実でありまして、収束させていく方向性をこれからどうつくっていけるのか、我々も重要な関心を寄せてあしたの協議に臨みたいと思いますが、こうした地方の実情というのはよく訴えてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)野坂議員の一般質問にお答えを申し上げます。
初めに、児童虐待につきましてお尋ねがございました。虐待は、子供の心身の成長でありますとか人格の形成に重大な影響を与えるものでございますし、生命の危険に至るおそれもあるということを踏まえて、適切な対応が必要であるというふうに考えております。そのためには、学校内外の連携が不可欠であるという認識でおります。
教育が果たす役割として、学校現場には虐待の早期発見に努めること、あるいは虐待を受けたと思われる子供について、市町村や児童相談所等へ通告すること、そしてまた虐待の予防・防止、あるいは虐待を受けた子供の保護・自立支援に関して関係機関への協力を行うこと、そしてまた虐待防止のための子供あるいは保護者に対する教育に努めることなどが求められております。
中でも早期発見に対しては、家庭以外で子供たちと長時間密接に過ごすということで、虐待を発見しやすい位置に学校があるということで、学校が果たす役割は、その点で非常に大きいのではないかなというふうに思っております。
関係機関との連携のところで児童相談所の教員配置のお話がございました。これは平成18年度から実施をしておるところでございまして、現在までに延べ16名の教員を派遣しておるところでございます。派遣当初の目的として、教員としての専門性あるいは学校現場のノウハウを児童相談所の業務に生かす、これはいろいろそれまで学校と児童相談所でやりとりする中で、それぞれ文化が違うということで、いろんなことで考え方、見方の相違があって、連携がうまくいかないというような実態があり、もともとは児童相談所のほうから話があったわけですが、教育のほうでも非常に意義が深いだろうということで、この教員派遣を始めたところでございます。
実際にその派遣をして、学校現場と児童相談所の連携を進めるといったところで、随分双方にメリットがある、そうした交流であるわけでございますが、派遣した教員がこちらの教育の世界に帰ってきまして、例えば、学校に直接戻る者もありますし、市町村の教育委員会、あるいは県の教育委員会でそれぞれのノウハウ、あるいはネットワークを生かした活動をするということで、帰ってきた後も役割を十分果たしているのではないかなというふうに思っております。
また、こうした交流人事とあわせて、校内において中核となる教員を含めて校内体制を整備するといったことにも努めておるわけでございまして、スクールソーシャルワーカーの方あるいはスクールカウンセラー等の専門の方にも入っていただき、チームとしてこの虐待の問題に対応できるような体制をとっておるところでございます。
今、虐待対応マニュアルというものをつくっておりまして、今、最終局面を迎えつつありますが、先ほど申し上げました、実際に児童相談所に派遣をされた教員などにもいろいろ知恵をいただきながらこの対応マニュアルを完成させていきたいというふうに思っておるところでございますが、この対応マニュアルなどについては、単に座学で検証するというだけではなくて、実際に訓練をするというようなところもこの中に盛り込んでいこうということで今、計画をいたしておるところでございますが、こうしたものを活用して、いざというときに適切に、的確に対応できるような、そんな取り組みを進めてまいる所存でございます。
2点目に、家庭教育支援につきましてお尋ねがございました。家庭教育は、全ての教育の出発点であるというふうに考えております。子供たちの生きる力の資質、能力を身につけていく上で非常に重要な役割があるということで、平成18年の教育基本法の改正によりまして家庭教育が新設されたことは、非常に重要な意義があるのではないかというふうに思っておりますし、また、本県におきましても教育大綱にも位置づけられ、また県の教育振興基本計画の中にも家庭教育についての充実を掲げて取り組んでおるところでございます。
これまでの取り組みといたしましては、相談窓口をつくったり、あるいは保護者の方々が孤立しないように、つながるような仕組みをつくってみたり、あるいは学習機会を提供したりというようなことで、それにかかわる人材を育成していく、そんな取り組みもしておりますし、福祉部局とも連携をして、そういう学習機会を提供する側の人材育成などにも努めているところでございます。
また、一方、企業にもこの家庭教育について協力をいただこうということで、例えば、参観日に働いている方が出やすくするような、そんな休みのとり方を知っていただいたり、あるいは、子供たちが保護者の方の働いている姿を実際に見るような、そんな機会をつくっていただいたりというようなことに向けて、家庭教育推進協力企業の制度をつくっておりますが、これまでも目標を700社ということで掲げて取り組んでおりましたが、昨年度末の700社の目標に対して、今759社とこの協定を締結しており、それぞれ家庭教育の充実に向けた職場環境づくりを行っていただいているところでございます。
市町村におきましても、5歳児あるいは就学時の健診の際でありますとか、あるいは小学校の入学時の説明会の機会などを活用して、この家庭教育についての研修を行っておられますし、必要な情報提供を行っておられるわけでございますが、こうした取り組みをする中で、やはり、本当に支援を必要とされている家庭、保護者に対して支援が行き届いていないのではないかといった指摘もいただいておるところでございまして、このあたりが課題ではないかなというふうに思っております。
こうしたことについて、例えば、智頭町さんにおかれましては、福祉行政と教育行政が連携をして家庭教育支援チームというものをつくられ、小学校1年生の家庭はとにかく全戸訪問しようという、そうしたアウトリーチ型と言われる訪問型の支援を行っておられます。そうした中で、育カフェと言われるような、同じような子供さんがおられる居場所というのか、集まるような場所の紹介をしたり、必要な情報を提供したりというようなことをやっておられるということでございますし、倉吉市さんのほうでは、スマホのアプリを活用した家庭教育支援の情報提供なども始められておるところでございます。
こうしたいい取り組みを広げていくということが今、私どもの務めかなというふうにも思っております。知事部局のほうでもとっとり版ネウボラというような取り組みをしておられます、こうしたところと教育とがうまく連携をすれば、アウトリーチ型の取り組みなども広がる可能性もあるわけでございまして、そうしたことについてもこれから力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)29番野坂議員
◯29番(野坂道明君)丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。特に教育長におかれましては、追及の質問も答弁していただきまして、丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございました。その部分は追及しませんから。
私は、平成29年6月定例会におきまして、新日本監査法人の調査を紹介させていただいております。それによりますと、2040年度までに日本のほとんどの事業体、水の事業体は水道料金の値上げが必要となり、その半数は30%以上の料金改定が必要で、しかも、速やかな値上げが必要との推計を紹介しました。これは、今の形態でやるとですよ。
県下の12町村について見ますと、2040年時点で現状の水道料金を平均で40%近く上昇させないと事業を維持できないと、そのような推計がされております。中でも伯耆町は58%、智頭町は52%、岩美町は51%と、1.5倍以上の値上げが必要とされております。もちろんその分に税金を投入するといったら料金は抑制されるでしょうけれども、住民の負担は直接、間接ということであるということであります。
先日、米子市上下水道がピンチとの新聞報道がありました。人口減少と節水機器の普及を理由に、現状のままでは健全な経営が困難になるとの米子市の見通しが紹介されております。
また、下水道事業につきましては包括的民間委託を検討するとありまして、
コンセッション方式を導入するか否か、これは別として、表の3に該当する、
コンセッションに代表される公設民営を検討するということです。鳥取市は既に行われております。
命をつなぐ水の供給は、責任を持って官が行うべきという、このような観念論は横に置きまして、持続可能な水の供給体制を、民間の知見も導入しながら模索する、今求められているのはこのような姿勢だと思いますが、もう一度知事の御所見を伺いたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議から重ねてお尋ねがございました。
先ほども申しましたけれども、単にその民営化したからそれがよかったとか、あるいは民営化しなかったからそれがだめだったとかよかったかとか、そういうように、実は、それは形態の問題でありまして、先ほども申しましたが、その後の
フォローアップや、あるいはそれに付随するさまざまな工夫というのは、実は重要なのかなというふうに思います。
先ほどちょっと申しましたが、今、市町村でいろいろと広域化も含めた話し合いをしていますけれども、例えば、管路をつなぐと。管路接続をすると、それぞれで例えば浄水場だとか、そういうものがあるものが、片方の浄水場施設だけで終わるわけですよね。そうすると、大分経費としては節減可能ではないかとか、あるいは、事務の共同化ということをやる。そうした意味で運営コストを下げるとか、いろんなやり方があって、こういうものと組み合わせながら、そうした経営のあり方というのをいろいろと選択、それぞれの自治体でも考えていくということなのかなというふうに思っています。
結局、実入りがどれだけ上がるかということなのだと思うのです。本県の場合、鉄道関連では官と民との関係は大分変わったところがあって、かつての国鉄改革の影響があり、若桜鉄道というのができました。智頭急行というのも、また平成の一つのシンボルとして、そうした開通ということがあり、今経営しているわけであります。
若桜鉄道の場合は、ただ、その後の経営状況の問題があって、民営化した後、第三セクターとなった後に、例えば路盤のほうは公でやるような上下分離方式を導入するとか、あるいは今、鉄道とバスとのすみ分けのところまで含めて、地域でそういう鉄道とバスをどういうふうに組み合わせた地域交通体系をつくるか、こういうところまで踏み込んでいかないと持続可能な鉄道経営にならないわけですね。そういう意味で今、JR四国だとか、そういう問題も出てきているわけであります。
したがいまして、そのフレームとして、民がやるか官がやるかということだけでなくて、いろんな要素を組み合わせて、実際住民の利益になるような、持続可能な経営ということにつながってくるのではないかなというふうに思います。
したがいまして、水道について、民営化を導入したら、直ちに何か世界の終わりだというのは、ちょっと言い過ぎかもしれません。ただ、そのことで、本当にでは水がきれいなまま保たれるかどうかというのは、それは水道の委託とか、あるいは
コンセッションに出す、そのときの条件づけ、その後の
フォローアップ、こういうものも組み合わせて考えていかなければいけない、そういう課題ではないかと思います。
◯議長(藤縄喜和君)29番野坂議員
◯29番(野坂道明君)私も同感でありまして、私が言いたいのは、要するに、何が何でも官だという、そして、民間の知見を入れるというのを、要するに、これといった根拠もなしに排除するという、そういう姿勢はよくないのではないかということが言いたいわけであります。ですから、検討してよりよい方向、住民サービスの向上にとってよりよい方向はどこなのか、よりよい施策はどこに落ちつくのかということを真摯に議論していくということだと、こんなふうに理解しております。
次に、新たな時代を担う「人財」の育成について質問をさせていただきます。
戦後70年余り、教育分野には学校教育関連法と社会教育関連法は多数ありましたが、家庭教育関連法は皆無でございました。本来教育とは、家庭教育、学校教育、社会教育の三者が一体となって子供たちの健全な育成がなされるものだと考えております。以上の観点から、教育基本法の改正に家庭教育の柱が立ったことは大変重要であり、本県では、子育て王国とっとり条例に位置づけ、取り組みが進められております。
しかしながら、虐待などの多くは、子供たちが愛され、育まれるはずの家庭で起きておりまして、加害者となった親たちの多くも自身が虐待経験者だった、このようなことをあわせ考えますと、改めて親自身の学びの支援強化が重要だと痛感しております。
そこで、現状と課題と強化策を伺おうと思っておりまして、教育長は先ほど答弁いただきましたから結構でございますが、知事に強化策、これは知事と教育長にお尋ねしているのですけれども、知事にも鳥取県の虐待に向けての強化策、これについてはどのようにお考えなのかお尋ねしたいと思います。
次に、好発年齢が早いとされております鬱病や統合失調症、あるいは不安症や摂食障害などの精神疾患については、できるだけ早期に知っておくことが重要ですが、日本の精神保健教育は諸外国に比べて大幅におくれており、知らないことから来る偏見や差別に、当事者はもとより家族も長い間苦しんできました。
平成30年、実に40年ぶりに高校の学習指導要領の改訂案が発表されまして、保健体育に精神疾患の予防と回復の項目が入り、令和4年から本格的に実施されることが決まりました。実施に向けてどのような課題があるのか、知事、教育長の御所見を伺います。
次に、超高齢化社会を迎える中で、医療・介護現場の実態を学ぶことは、今後の行政運営上はもとより、人材の育成の観点からも大変意義深い、重要なことだと考えております。地域医療介護総合確保基金を活用して、さまざまな事業が現在実施されておりますが、特に、その中で県職員の実績がございません。当該基金の活用も検討しつつ、研修の実施に取り組む必要があると思いますが、これも知事、教育長の御所見を伺いたいと思います。
最後に、京都府の取り組みを参考にして、本県でも介護人材育成事業者の認証制度がつくられております。今後は普及啓発に努めるとともに、京都府のようにステップアップさせるための上位の認証制度も必要だと思いますが、知事の御所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂議員から重ねてお尋ねがございました。
まず、児童虐待につきましては、先ほど申し上げました、医師やあるいは弁護士、それから警察官、こういうものが今、配置されたばかりでございますが、それが上手に機動できるようにこれからコーディネートをつくっていくことだと思います。
また、外部アドバイザーを活用しようと例えば児相OBの方など、今、考えておりまして、児相はいろいろと難しい案件を抱えるわけでありまして、そのときにやはり相談相手がいないと、そうした方々にも加わっていただいて、個別の難しい案件などについて適切な方向づけを行うということをやっていこうと。
あと、非常にこれから大事かなと思うのは、やはり、市町村の現場でもっと認識を深めていただくことだと思います。それで、市町村もそうした意味で能力を培っていただいたり経験を持っていただく、その中で市町村と県との役割分担というものも適正に行いながら、もっと早く、もっと適切にアプローチできるような、そういう体制づくりをすることではないかというふうに思います。その意味で、7月に配置をいたしましたけれども、そういうコーディネートをする児童福祉司、これに今、動いてもらっているところでございます。
また、さまざまこれからそうした家庭のことにも踏み込んでいく必要があるのかもしれません。議員のほうから家庭教育という話がありましたが、それもここと絡んでくると思います。家庭教育のほうでは、県の教育の大綱、これは首長部局と教育委員会と共同してつくります。それから、あわせて御指摘がございました子育て王国とっとり条例、この中でも大分議論したのですけれども、そういう家庭で育むことの大切さ、これを基本的な理念の中に入れたわけであります。そういう中で、例えば、助産師さんなどにも協力をしていただき、高校生とか、そういうところで命だとか、あるいは家族を持つことの大切さ、そうしたものを研修するプログラムをやったりというようなことなど、いろいろと具体的に家庭を育むということをしていく。子育て家庭の教育プログラムというのも、とっとりふれあい家庭教育応援事業として教育委員会がやっていますが、こうしたところとあわせてしていくということです。
そして、先ほどの児童虐待とも絡むわけでありますが、そういう課題のある御家庭についてのペアレントトレーニング、これも児相の重要な業務として、やはり重視をしてやっていく必要があるだろうと。別に事件を起こすことが目的ではないし、事件に介入して、それで親子を離すことだけが目的でもないわけであります。むしろ、そのそれぞれの家庭がもう一度更生して、立ち直って、そうした家庭の本来の機能を果たしていく、そのための手助けをすることも重要だと考えておりまして、そうした意味での家庭教育ということも重視してまいりたいと思います。
次に、精神疾患の予防回復について、令和4年から本格的に学習の面でも実施されるということでありますが、これについてのお尋ねがございました。
これについては、平成5年、障害基本法の中で精神疾患も障害として明確に位置づけられましたし、最近も差別禁止法ができてきております。私どもでは、あいサポート運動を始めて、今で10年になります。その中に精神障害のことも取り上げております。これを教育という観点ではあいサポートのキッズサポーターというのをつくっておりまして、子供のころから、子供たちからそういう差別ということではなく、むしろ助け合って生きていくということを我々としては運動として展開をしているところでありまして、一昨年度からキッズサポーターのハンドブックをつくり、これを学校等に配布をしておりますし、米子東高校などにも出前授業をして、こうしたあいサポート運動の精神で、精神障害者に対する理解、こういうものを深めてもらうと、こういうような取り組みも始めてきておるところでございます。
ついせんだって、9月10日に中国ブロックでの研修会がございまして、野坂県議も行かれたというふうにお伺いをしました。やはり、早い段階でこうした精神障害についての理解を深める、これが日本の教育で欠けていた部分ではないかと、こういうようなお話があったわけでありまして、そういうことを踏まえて、これから令和4年度からの取り組みということがあるのでございましょう。私どもは、そういう形で先取りをしてやってまいりました。
また、実は、思春期など、自分自身のメンタルの課題を抱えることは多くなってくるわけでございますね。そうしたことは、何も恐れることも恥ずかしがることもなくて、むしろ適切な医療が必要だったら医療にかかるとか、それから、そういう友達がいたときの対処の仕方であるとか、そういう思春期時期の教育の必要性なども、こうした研修会の中でも取り上げていただいたと伺っております。ぜひ、そうした観点を取り入れながら今後も展開していければと思います。
次に、医療・介護の現場を学ぶこと、これは私どもや教育委員会のほうで必要ではないかと、こういうお話でございます。実は、職員人材開発センターという職員研修所のほうで、既に階層別研修などでこういう福祉施設などでの現場の体験研修なども取り入れてきているところでございます。ただ、せっかくそういう観点のお話もございましたので、例えば福祉保健部局とか、そうしたところでの体験研修のあり方、これはいま一度点検させていただいて、充実もさせていただければなというふうに思います。
先ほど介護の基金の中で地域医療介護総合確保基金でというお話もあったのですけれども、使途として、国からは、そういう職員研修には使えないという制限がございまして、我々では一般財源でこれまでもやってきておりますし、これからも関係機関の御協力もいただいて、そういう研修の場を強化してまいりたいと思います。
最後に、認証制度につきまして、鳥取県介護人材育成事業者認証評価制度、これを創設したわけでありますが、通常認証以上の制度というものも用意してはどうかと、こういうお話でございます。
これは、昨年の7月にスタートしたばかりの制度でございます。それで、今、東・中・西などで説明会もやってきているのですが、まだ必ずしもエントリーが多い状況でもなくて、結構ハードルが高いというイメージがあるのかもしれません。ただ、そういう中、医療法人の真誠会さんとか社会福祉法人のほうの真誠会さん、こちらのほうでは既にこの認証ができ上がってきているわけでございます。そういう中で、いい取り組みというのもやはりあるわけですね。有給をとった人が5割以上であるとか、4割というのは、実はこの認証制度の基準にしてあるのですけれども、だから、さすがにちょっとハードルが高いのではないかということで、点数がつかないのではないかということで来られないというのもあるかもしれませんが、こうした法人では5割を超えているというぐらいまで基準をはるかにクリアしているというような例もあります。こういうようなことが働き方改革をやっていますよというアピールになって、介護あるいは医療人材の確保にも大きく貢献すると思いますから、これからもよく周知を図ってまいりたいと思います。
さらに、京都で上位制度というのをつくっているところでありまして、さらに上位レベルでこうした人材育成をやっていますよというところを認証しようという制度でありまして、提案もございましたので、少しそうした状況も研究させていただいて、通常の認証制度、さらには上の認証制度というようなスキームも用意をしてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)野坂議員から重ねて何点かお尋ねがございました。
初めに、学習指導要領、高校の新しい指導要領の中に精神疾患の予防と回復について盛り込まれたが、その実施に向けての課題につきましてお尋ねがございました。
このたび令和4年度からの学習指導要領で、この精神疾患の予防と回復について、高校生が学ぶべき内容として盛り込まれたわけですが、大きく特に2つの点が、教える中身として重要ではないかなということを考えております。
1点目が、精神疾患の特徴を学ばせることということでございます。鬱病、不安症、摂食障害などを適宜取り上げながら、誰もが精神疾患にかかり得る、また、若い年代で発症する疾患が多いといったことなどを理解させ、精神疾患を自分自身の問題として考えさせるといったこと、さらには、仮に精神疾患になったとしても、適切な対処により回復でき、生活の質を向上させ得ることを十分理解させること。
そして、また2つ目の視点として、精神疾患にならないよう、予防と対処方法について十分学ばせることでございます。身体の健康と同様に、適切な運動、食事、睡眠など、調和のとれた生活を送ることで病気を予防でき、さらに心身の不調に早く気がついて、ストレスを緩和する方法を自分なりに実践したり、あるいはカウンセリングなどの社会的な支援を早目に受けたりすることが大切であるということを学ばせることが必要であろうというふうに思っております。
こうした点をいかに効果的に教えていくかということが課題であるわけでございますが、今、この新しい指導要領について、30年度から悉皆で周知徹底を図るといった作業を進めております。そうした中で、先ほど申し上げたような指導のポイントなどをきちんと整理して伝えるといったことがまず必要かなというふうに思いますし、また、スクールカウンセラー等、専門家等にも随時意見を求めながら、効果的な学習について、これから議論を進めてまいりたいというふうに思っております。いずれにいたしましても、この新しい指導要領の全面実施が円滑に進むように取り組んでまいりたいと思います。
また、2点目といたしまして、教職員が医療介護現場での実態を学ぶ研修について、特に地域医療介護総合確保基金を活用して実施すべきではないかといったようなお話でございました。
高校生あたりは福祉分野の学びをしている生徒たちを中心に、この医療介護現場の実態、現場での実習も含めた学びを行っておるわけでございます。それにかかわる教員は、事前にやはりその現場に行って、その実態をつぶさに知った上で授業を考えていくといったことで、そうした体験も当然行うわけでございますが、それ以外の教員がこうした現場に出かけていくといった機会は今のところなかなか設けられていないというのが現状でございます。考えてみますと、誰もが今後直面するといった課題もあるわけでございますし、広く子供たちに指導をするといったことにおいて、そうした現場の実態を知るといったことは大切であろうというふうに思っております。いろんな機会を活用してこうしたことを進めていきたいというふうに考えておりますが、先ほどお話ありました地域医療介護総合確保基金というものを直接我々が活用することはできないのですが、その基金を活用した事業が行われておりまして、介護に関する入門的研修というものが、これは社会福祉協議会を通じて行われております。これにつきましては、教職員にもこの研修会があるということについて案内をいたしておるところでございまして、参加も呼びかけているということでございます。こうした研修の機会なども利用して、この現場の実態等を教職員が学ぶ、そうした機会の創出にも努めてまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)29番野坂議員
◯29番(野坂道明君)そうしますと、医療・介護サービスの提供体制について質問をさせていただきます。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年が目前となり、向こう10年は前期高齢者が減少し、後期高齢者は増加すると言われております。その結果として高度医療のニーズは頭打ちとなり、入院日数や再診回数が減少する一方、要介護者や訪問診療は今後もふえ続けると予測されております。
さらに、その先の2040年には、日本の人口は1億1,000万人となり、1.5人の現役世代で1人の高齢者を支える時代に突入します。ふえ続ける社会保障費をどのように賄うのか、日本が抱える大きな課題だと認識しております。
このたび鳥取県立中央病院と鳥取赤十字病院の更新に伴い、双方の病院規模の見直しが図られ、鳥取赤十字病院が88床の減、県立中央病院が87床の増となりました。鳥取県
地域医療構想に基づき、構想区域内の医療機能を分化し、病院間での必要病床数を調整したとのことであります。したがって、県立中央病院は、主に東部圏の高度急性期医療を担うと、このようにされております。
したがいまして、このたびの県立中央病院の増床は、圏域の他の医療機関の減床が前提になると、このように理解しているわけですが、今後の病院間の調整、これは具体的にどのように取り組まれるのか、知事の御所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議から重ねてお尋ねがございました。中央病院と鳥取赤十字病院、こちらのほうは病病連携をしようと。平成23年ごろ、実は平成19年から東部圏域の持続可能な医療をつくろうということで、医師会だとか関係病院だとかが入って議論が始まっているのですけれども、その後、市立病院なども加えて、鳥取赤十字や中央病院といったコアの病院間での話し合いも重ねていったわけです。平成24年に最終的には日赤と、それと中央病院間でのあり方の検討会というのをやりまして、それに基づいて平成25年に協定を結び、病病連携をやろうと。その考え方としては、500床レベルの病院と300床レベルの病院に分けて、それぞれが町なか的な医療は鳥取赤十字病院がやり、急性期のほうは県立中央病院のほうでやると。500床ないと、そうした急性期医療の能力向上につながらないというお話がございまして、こういうところを目標に、病床の移譲ということを行ったわけです。最終的には、これは厚労省のほうとの協議も調いまして、やったということであります。
こういうようなことが今後いろいろと出てくるのではなかろうかと思います。医療あるいは介護をめぐり、そうした地域の事情はこれから変転していく中でありまして、先ほどおっしゃったような持続可能な医療のあり方ということを考えた場合に、そういう調整をしていく必要があります。その主たる場となるのは、東・中・西ごとに
地域医療構想の推進の会議を持っておりまして、ここに医療関係者等が集まって議論をすることになります。これまでもそういう中で、病床転換であるとか、具体的な話し合いもできてきているところでありますが、今回、国の
ワーキンググループの公表があったことが今後のそうした話し合いを加速させることになるのではないかというふうに思います。
いずれにいたしましても、誰もが適正な医療を受けられる、そういう体制を持続可能な形でつくっていくことが究極の目標でありまして、関係者の御理解、御協力をいただきながら進めてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)29番野坂議員
◯29番(野坂道明君)最後に、先日自民党の代表質問で川部議員が何度も口にされたダウンサイジングについてお尋ねします。
その際も残念ながら、知事との議論はいま一つかみ合いませんでした。このダウンサイジングについてですけれども、単に財政効果や効率化を追い求めるためのネガティブな縮小論ではないと、このように考えております。持続可能性を持った新たな社会システムをつくっていくと、こういうポジティブであり、大きなテーマがあると、このように考えております。世界にも例を見ないほどの急速な少子高齢化と人口減少に立ち向かう国家の大きな課題でもあると、このように思っております。そして、私は、その先頭を走るのが鳥取県だと、新しい次の時代のモデルとなるのは鳥取県だと、このように思います。最後に知事の御所見を伺って、質問を終わります。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)そのときもお答えを申し上げましたが、例えば、米子市さんと今、体育施設も含めて適正配置について協議をしていこうではないかと、こういうことを始めたところであります。持続可能な形でこの自治体のフレームはもとより、行政サービスをきちんと確保していかなければなりません、そのための知恵が今、求められているのだと思います。そういう意味で、市町村あるいは関係の機関の皆様ともいろいろと協議を重ねながら、ダウンサイジングのことも含めた行財政のスリム化、効率化、適正化を図ってまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)26番浜崎晋一議員
◯26番(浜崎晋一君)(登壇、拍手)改めまして、おはようございます。鳥取県議会自由民主党の浜崎晋一でございます。本日は9月定例会の一般質問最終日ということであります。通告に従いまして、新時代の「とっとり創生」のかたち、そして共生社会の実現に向けた療育体制の強化につきまして、平井知事並びに山本教育長と議論をさせていただきたいと、そのように思います。
まず、新時代の「とっとり創生」のかたちについてであります。
現在の鳥取県元気づくり総合戦略の計画期間は今年度末となっており、計画の見直しが進められているところではありますが、この見直しに当たっては、まずは5年間の総括が必要であると思います。取り組みが順調に進んでいる分野、また十分ではない分野を客観的に判断できるように、この総合戦略では数値目標、いわゆるKPIが設定をされております。
鳥取県が目指す、豊かな自然でのびのび鳥取らしく生きる、人々のきずなが結ばれた鳥取のまちに住む、幸せを感じながら鳥取のときを楽しむという鳥取県の地方創生の姿はどこまで実現したのでありましょうか。KPI達成状況から客観的に見える今の姿をどう評価されているのか、平井知事にお伺いをしたいと思います。
また、総合戦略策定時と現在を比べると、本県を取り巻く環境はこの5年間で大きく変わりました。例えば、移住に関しては、従来型の移住だけではなく、地域に対して関心を持つ関係人口の獲得など、その内容が質的に変化、また拡大しております。インバウンドも増大してきておりますし、労働力としての外国人材も重要であります。共生社会も進展してまいりました。
インフラ整備に目を向けますと、東部だけで見ても、鳥取西道路の開通、また
鳥取砂丘コナン空港の空の駅化・鳥取港とのツインポート化など、大きな変化が生じてきております。
本県の魅力をあらわすキーワードとしては、蟹取県だけではなく星取県が出てまいりました。今後の鳥取県を売り出すキーワードは何なのか、さらに知恵を絞っていくのもこれからの鳥取創生の一つであろうと思います。
また、本県の特質として、日本財団とのコラボレーションがあります。これにより障害者のスポーツ振興や社会参加、地域づくりなどが大きく進展をしております。今後も協調して地域づくりが進むことを期待するものであります。
一方で、中山間地域は疲弊してきております。県では、小さな拠点整備や、買い物や日常生活のための交通手段に不自由される高齢者への対応、また地域づくりの担い手確保対策などに鋭意取り組まれてきているところでありますが、課題は山積しております。
るる述べましたように、総合戦略策定時から環境は大きく変化し、一方で、解決すべき課題は依然として多く残っているわけでありますが、日本財団との協調も含め、今後の鳥取創生をどのようにデザインされていくお考えなのか、平井知事の御所見を伺いたいと思います。
政府の地方制度調査会が、人口減少が深刻化する2040年ごろを見据えた自治体行政に関する中間報告をまとめました。それによりますと、2040年ごろにかけて、総人口は加速度的に減少する。うち、年少人口は減少する。生産年齢人口も減少し、人手不足が深刻化し、各分野、各地域で必要な人材が確保できなくなる。一方、高齢者人口は増加するということであります。
本県は、他の地域に先んじて市町村や民間との協働・連携を進められてきましたので、この中間報告に一喜一憂する必要はないというふうには思いますが、私は、地域の担い手である人材に関して注目をしております。
この中間報告は、2040年ごろにおける地域社会を支える人材の育成として、教育における地方公共団体の果たす役割が大きいと指摘しています。そこでは、担い手である子供たちが大切であることはもちろんのことでありますが、その子供たちを育てていく教員の育成が大切であるということが指摘されております。先端技術を活用しながら個人に最適化された学びを実現する、そして、未知の状況に対応できる思考力であったり表現力、そして情報活用能力等を獲得できる教育を実践して、子供たちを導いていく教員をいかにして育てていくのか、このことにつきまして、総合教育会議を主催します平井知事、そして山本教育長の御所見をお伺いしたい、そのように思います。
次に、共生社会の実現に向けた療育体制の強化についてであります。
これまで知事と教育長、お二人に対しまして、障害のある人もない人も、ともに地域で暮らす共生社会の実現に向けて、障害福祉サービスの充実や療育体制の強化、中でも重症心身障害児者及び医療的ケア児者への支援の強化、充実につきまして、さまざまな議論を交わさせていただきました。
その結果、例えば、医療型ショートステイ事業者への助成とヘルパー派遣、これをセットにした単県補助制度の創設、また、中部療育園の改築移転、そして、特別支援学校における医療的ケア児等の放課後の預かり制度のスタートを初め、本県では全国的に見ても先駆的な取り組みが行われております。本日は、改めて医療的ケア児の支援について、その将来像も含め、議論していきたいと思います。
医療的ケア児につきましては、医療技術の進歩により年々ふえており、現在、県内には150名程度の方がおられると伺っております。
医療的ケア児者が増加する中で、深刻な課題の一つとして、県立総合療育センターにおける医療型ショートステイの不足、そして、西部圏域における療養介護サービスの問題を取り上げたいと思います。
総合療育センターは、昭和30年の設立以来、障害児の入所施設及び医療機関として、それまで、その有する機能やサービスの充実には取り組んでまいられました。また、地域移行できる通過型施設としての役割、在宅生活を支える拠点としての機能を担ってこられたところでありますが、その中でも医療型ショートステイ、定員が6床で空床型、これは、西部圏域において障害児者が安心して在宅生活を送るとともに、介護者の負担を和らげる、いわゆるレスパイトとしての非常に大きな役割を果たしています。
しかし、多くの利用希望があるにもかかわらず、西部圏域では医療型ショートステイを実施している医療機関は、従来総合療育センターしかありませんでした。このため県では、医療型ショートステイの実施体制の充実を図ることを目的として、重度障がい児者医療型ショートステイ整備等事業を実施しておられます。現在の参加医療機関は、国立は別としまして、県内で6カ所となっております。県内全域で少しずつできつつありますが、残念ながら、先日の宮本福祉保健部長の答弁にもありましたが、受け入れ期間は日帰りか1~2泊程度であると、だから、限定的な内容となっております。
このような中、現在、総合療育センターにおいても、必ずしも保護者や利用者の希望どおりにサービスの提供ができていないケースがある、そして、保護者が困っているような事例があるというふうに仄聞をしております。これは、医療的ケア児の増加も大きな要因だとは思いますが、成人利用者の長期間にわたるショートステイ利用もその一因になっていることだというふうに思います。
ただ、成人利用の家族からは、在宅で生活したいが、極めて医療依存度が高いためにショートステイを利用せざるを得ない、あるいは、本人の医療依存度や家庭環境により、療養介護事業所への移行も考えられるが、西部圏域には療養介護事業所がないなどの声が聞かれております。
また、療養介護サービスの提供は、県内では東部に、国立でありますが鳥取医療センター、そして、米子に近いところでは島根県東部に松江医療センターがありますが、保護者の希望は、子供たちが生まれ育った米子近辺に、できれば県立総合療育センターでこの療養介護サービスを提供してほしいというものであります。
医療的ケア児の増加、そしてショートステイや療養介護を提供すべき県内の社会インフラの整備が十分ではない現状について、平井知事はどう感じておられるのか、また、保護者の願いを踏まえて今後どのように対応されるのか、御所見を伺いたいというふうに思います。
また、私は、この議場で、これまで何回も特別支援学校の医療的ケアについて質問をさせていただきました。医療の進展により、これまで特別支援学校が経験したことがない重篤な医療的ケアが必要な児童の入学や、常時見守りが必要な人工呼吸器等を装着した児童生徒がふえておりますが、これらの児童生徒やその保護者が安心して学校生活が送れることが大切であります。重篤な医療的ケアが必要な児童生徒の状況、支援の現状と課題について、教育長の所見を伺いまして、壇上からの質問とさせていただきます。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、鳥取の地方創生につきましてお尋ねをいただきました。現在の地方創生の姿をどう考えるのか、また、これから日本財団との協調事業も含めて、どういうふうにデザインを考えていくのかと、こういうお話でございました。
これにつきましては、議員のほうからもいろいろ御紹介がございましたけれども、一応の成果もあらわれつつありますが、正直まだまだ課題としては残っているというのが総括的な話かなと思います。
例えば、子育て等ですね、そうした地域の環境を整えて移住定住を引き込むということにつきましては、昨シーズンも2,100人を超えるような、そういう移住者の数になるなど、指標的にもいいものになってきているところでありますが、KPIも高く設定している関係もありまして、合計特殊出生率は1.61まで上がってきていますけれども、その目標数値はちょっと高目なものですから、必ずしもまだ達成しているわけではないとか、いろいろとあるところでございます。
また、地域の生活環境を整えるための小さな拠点の整備、そして医療的ケア児のことなども含めて、一つ一つ成果も出始めているところでございますけれども、ただ、まだまだやるべきことはあると。特に人口のことなどは、試算上は、従来の試算よりも3万人ほど上振りをするなど、人口減がとまりかけているというか、人口減少の程度が少し緩和されているということはありますけれども、ただ、転入と転出を差し引いた転出超過数で言いますと、この5年で1,100人ぐらいだったものが1,500人規模になってきて、そういうように、こちらのほうは必ずしも歯どめはかからない。つまり、若い方々が都会へ行って帰ってくる、そこのところが鳥取県の場合、一つのまだ悩みとして強固に残っているというところであります。
そんなようなことであるとかがございますけれども、片方で正規雇用の有効求人倍率なども上がってきたり、今回も1.7を超える有効求人倍率になっていますので、いろいろとかなえられてきたところはありますけれども、まだ今後の地方創生、もう一度枠組みを組み直して、しっかりと取り組む必要があるというところだと思います。
そういう意味で、総合戦略策定時から環境の変化したところを捉えて、今後どういうふうに進めていくのかということであります。
実は、今、国のほうも地方創生のためのまち・ひと・しごとの総合戦略をこの年末に改めることにして、今その作業を進めています。ポイントとしては、2060年の日本の人口を1億人というふうにセットをするとか、いろいろと今、作業を進めておられるところであります。その状況も横にらみしながら、私どもも市町村あるいは関係者と議論をして、戦略づくりにこれから入っていきたいと思っております。
例えば、代表質問等でも取り上げられましたが、SDGsというのがこれからの地方創生としても考えていかなければならない課題だと思います。こういうものは、一つの大きな柱として、地方創生の中で本県も位置づけていきたい。できれば、それを御承認いただいた上で、新年度ぐらいにはSDGsの推進本部を県庁の中にも設置をして、推進体制もとっていければというふうに考えております。
また、新しいソサエティー5.0ということであるとか、AI等、さまざまな技術革新が起こります。これにふさわしい地域社会のアイデアというものも、これから向こう5年ぐらいを見渡してみると、端緒を開いていかなければならないのではないかというふうに思います。
また、肝心の人口のところでは、移住定住だけをこれまで考えてきましたが、関係人口という、これは議員のほうからも質問の中で提起をいただいた話ではございますけれども、こういう関係人口のような考え方、これを強化して、サテライトオフィスであるとか、あるいはボランティア等も含めて、こちらにやってこられる方、そういう動きを促進するとかいうことが大事になってこようかと思います。
また、若者が帰ってきたくなる、そういう仕掛けづくり、こういうことも大きなテーマになるでしょう。新年度に向けては、例えば、アプリをつくって若者への情報発信をして、就職活動のときに参照してもらうことはもちろん、日ごろからふるさと愛を高めていただく、高校卒業時点で登録していただくことを進めていけないかなというふうに考えております。
これらのさまざまな新しい地方創生の枠組みづくりをこれから進めてまいりたいと思いますが、日本財団とのコラボレーションの中でも、これまでの取り組みの延長でいろいろとやっていけることはあるのではないかなと思います。
例えば、その医療的ケアの必要な子供たちという観点では、今、博愛病院のほうにその施設が整いました。ただ、これとあわせて、これから看護協会さんと連帯をしながら、東部のほうでもそういう発達障害や医療的ケア児のケア、そういうものができる拠点をつくろうというふうに動いていこうとしております。こういうようなことなどを例えばできないか。
また、地域の中でも小さな拠点をつくったり、そこでの活動を促進していくというのも重要なところであります。佐治のほうでもNPO法人が立ち上がりまして、雪かきだとか、あるいはごみ出しだとか、こうしたことを地域の中で補い合っていくというようなことの動きが出てきています。
また、子供たちがまた鳥取に帰ってきたいと思うためにも、ふるさと教育、特に高校生レベルのことなどを強化していかなければいけないのではないだろうか。この辺は日本財団さんも関心を持っておられるところでありまして、そうしたことなども進めていけないだろうかと考えております。
また、議員のほうからたびたび御提起をいただいた障害者の働く場として、今、賃金アップを我々は進めているわけでありますが、共同作業所を鳥取市につくったのがうまくいきまして、倉吉とか、あるいは西部でも展開をさせていただいていますが、こうしたことが今、全国のほうでもモデルになると、鳥取モデルと言われるようになりました。これは日本財団さんが結構それを主張されていまして、全国に広げようとしています。こういう障害者の雇用について、ワークコーポとっとりでやったようなやり方などをいろいろと普及させていく、議連が今、動き始めると。新年度に入りますと、鴨下元環境大臣がリーダーなのですけれども、議連とも連帯しながら、鳥取でモデル的に障害者の賃金引き上げができた、それをモデルで広げていこうということがスタートをする運びになっています。こういうことなどを連動させながら、地方創生の鳥取の枠組みを考えていきたいと思います。
次に、地方制度調査会が2040年を見据えて自治体のあり方について中間報告をまとめたところでありますが、教員教育ということが大事だと、こういうお話がございました。これについて、総合教育会議という立場をおっしゃいましたが、教育委員会と一緒になりまして、そうした教員の力量アップ、あるいは教育自体の力量を上げて、未来、これから必要となる地域社会での人材育成、これを進めていくことが大切だと思います。
例えば、先般手話パフォーマンス甲子園がございまして、そのときに米子東高校が日本財団賞をとりました。2年連続出場ということであります。もともと進学校です。そこでどうやってああいう手話教育ということをやったか。これは、ひまわり分校のほうの土岐先生という方が指導をされまして、あの手話の振りつけに協力していただいたわけでございます。こういうことを、学校の場でもそうした手話なども一つのこれから地域社会の共生を図っていく上で重要な素地になると思いますし、鳥取らしい展開かなと思います。
佳子様もお見えになって感心されたのは、子供たちが手話で朗唱をされたわけでありまして、因幡万葉歴史館で子供が3グループつくりまして、それぞれ「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事」だとかを朗唱するわけであります。それに「新しき」ところに手話をつけて、「年の初めの」と、こうやってやるわけでありますが、宮ノ下小学校の生徒さんだったわけです。宮ノ下小学校は、ふだんから手話クラブが盛んに活動していたり、それから御近所の田中さんという方が、例えば、朝、挨拶を手話で教えるとか、そんなようなことで、結構宮ノ下小学校のサポートをしていただいているわけであります。そういう成果で、非常に佳子様も感心されていましたけれども、子供たちがしっかりとした手話で朗唱するということがなされていました。
こんなようにそれぞれ能力を開花させる、それが教育、教員の役割だと思います。これから英語だとかICT、そうした分野が重要になります。英語などにおきましても、今、特に高校の教員など、準1級程度のそういう試験での確認なども進むほど、いろいろと強化策を図ってきているところであります。ICT等、そうしたシステム関係の教育が始まりますけれども、校長先生にもCIOとしての素養をつけてもらうような研修をするとか、今これから教育総合会議でも応援をしながら教育の現場の改革を進めていければと思います。
私が平成19年のときにマニフェストに書かせていただいたのがスーパーティーチャーという考え方でありまして、子供たちの能力を遺憾なく伸ばしていくために、学校の先生のモデルになる先生というのを検証して、そのメソッドを広げていくことで教育現場の活性化が図れないかというふうに考えたわけであります。
今これは、スーパーティーチャーという私のちょっとマニフェストとは違うのですが、エキスパート教員という言葉で今、展開をしているところでありますが、発足のころは10数名だったのが、今100名を超えるところまで来ていまして、こういうような方々がコアになって、そして教育現場の活性化もしていただいています。いろいろと手を尽くして教育による地域の発展というものを図ってまいりたいと思います。
最後に、総合療育センターにつきましてお尋ねがございました。
議員のほうには、これまでも肢体不自由児父母の会など中核となって、この総合療育センターの応援をしていただいたり、いろいろとアドバイスもいただいているところでありまして、感謝を申し上げたいと思います。
議員のほうからも指摘がございましたが、最近大分その役割や実態が変わってきておりまして、るるお話がございましたけれども、非常に悩ましい状況になってきていること、ぜひまた関係の皆様にも御理解をいただきたいと思います。
ですから、そういう意味で、さまざまな医療機関だとか、あるいは、場合によっては福祉の世界のことも含めて対応をこれから強化していかなければならないところがございます。
と申しますのも、ここ5年ぐらいで医療的ケア児のショートステイ、これが延べ2,000日弱であったものが、今3,000日を上回るようになってきています、急速に伸びてきているわけですね。それは、やはり医療技術が進歩して、療育センターのほうでお預かりをし、診断をし、ケアをするという、そういうケースがふえてきているということがあります。これは、子供の命を支えるということで大切な役割になります。
ただ、それが長期化してくる場合にどういうふうにするか。議員がいみじくもおっしゃいましたけれども、ここは中間的な施設として本来位置づけられていまして、それで、実際の小児科の先生方とも協力をし合いながら、ここからまた在宅へ返すということを最近熱心に取り組みながら、この総合療育センターが持続可能な形で業務ができるように、地域の協力を仰ぎながら今、進めているところであります。
ただ、現実には、そうしたレスパイト事業など、需要が高まっているところがあり、そこに比較的長期にわたって利用される方もいらっしゃる中で、新規の方の受診等に支障を来しているのではないかとか、公平にやはりそうした新しい患者さんにも対応してもらいたいというようなお話が来るなど、実際来られる方はみんな受けたいのが総合療育センターの本意なのですが、残念ながら、それが曲がり角に今、来始めているというような状況であります。
そういう中、今、そうした医療的ケアの子供たちに対する対策として、医療と福祉を融合させたような鳥取県独自の仕組みもして、全国からも評価をいただいているわけでありますが、そうやって、例えば、訪問型のレスパイト事業だとか、そういうことも当然あり得るわけでありますし、いろんなパターンを今つくろうとしていますが、まだ十分にこれが追いついていないところがあると思います。
現実を申しますと、医療的ケアのショートステイについて、先ほど御指摘いただいた鳥取医療センター以外にも、西部ですと博愛病院に今、日本財団と一緒につくりましたこども発達・在宅支援クリニックという、そういう新しい施設もオープンしまして、こういうものが西部のほうでもでき始めていたり、それから、これは藤井政雄記念病院さんとか三朝温泉病院さんとか、各地でそうした東・中・西通じたそういう対応ができる協力病院もできてきています。
または、なかなかそこの入所された方がそちらに移るとかいうようなことに、現実には今なっていないということなのですね。長期にわたる場合は療養支援があるわけでありまして、これは福祉的なほうに移っていく面があるのですけれども、そちらのほうも鳥取医療センターや松江医療センターで今、現実にやっているのですけれども、それぞれのほうにまだ移られるという状況ではないということで、今、関係者間でいろいろと話し合いもしているという現実であります。何らかの形でこれを解決できるようにこれからやっていければと思うのですが、例えば、看護師さんの働くその時間等の調整をするとか、今、緊急的にできることはあるとは思うのですけれども、やはり関係者の方等の意向も聞きながら、それぞれ個別に解決策を探していくということを考えていかなければいけないのかなというふうに思っているところであります。
今いろいろと協力しようという、そういう人たちの声も関係機関から聞こえ始めている状況もございます。これからそうした意味で総合療育センターを持続可能な形で、こうしたケア児に対処できるように体制を整えてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)浜崎議員の一般質問にお答えを申し上げます。
初めに、新しい教育を担っていく教員の育成につきましてお尋ねがございました。これからの社会に生きる子供たちには、変化の激しい社会の中で主体的に学び、必要な情報を判断して、よりよい人生や社会のあり方を考えたり、あるいは多様な人々と協働しながら問題を発見し、解決したりする力が求められるわけでございますが、こうした力をふるさと教育などを初め、体験的あるいは探究的、地域課題解決的な学習の中で積み上げながら育成していく必要があるのかなというふうに思っております。
そうした力を子供たちに育てるためには、当然教える側の教員にもそうした力が必要なわけでございますし、独創性でありますとか柔軟な発想力、あるいは情報活用能力なども求められるのではないかなというふうに思っております。
これまでのように、知識あるいは技術を伝えていくということに加えて、これからは、今もやっているのですけれども、ICTなども活用しながら、子供たち一人一人、あるいは集団の力を最大限に引き出していく、いわばファシリテーター的な、そうした力も求められるわけでございます。そうした観点で、教育センターを初めとし、さまざまな場面での研修というのを行っております。プログラミング教育への対応を含むICTの利活用に向けた教育でありますとか、いわゆるアクティブラーニング型の授業改善に向けた研修など、子供たちの主体的・対話的で深い学びの実現を目指す視点に立った研修、そうしたことに取り組んできているわけでございます。最近、それは育成の場面ですけれども、採用試験の場面でも少し工夫を始めておりまして、集団面接の中にグループワークといったものを取り入れながら、そこで見た先生方の状況を、グループワークの要素を、集団面接の中に取り入れていくといったことでありますとか、さらに、大学と連携をしまして、島根大学の教育学部あたりとは協定を結んで、養成する学生の段階からこの求められる力、鳥取県としてはこういう力を求めていますということを話し合って、それを養成段階の学習の中に組み込んでもらうといったような取り組みも行っておるところでございます。さまざまな機会を捉えてこうした教員の育成に努めてまいりたいと考えております。
2点目といたしまして、特別支援学校の医療的ケアにつきましてお尋ねがございました。現在、医療的ケアの必要な児童生徒につきましては、今年度の5月現在、4校の特別支援学校で95名の生徒がおります。うち常時人工呼吸器を使用するなど、常時見回りでありますとか頻繁な医療的ケアが必要な生徒がそのうち5名いらっしゃるということで、このことにつきましては、医療技術の進歩等により、年々、まだ少しずつではありますが、ふえてきているという状況でございます。
本県では、医療関係者等の専門家を交えて医療的ケア体制に関する協議会を立ち上げておりまして、この医療ケアの実施体制の整備でありますとか医療的ケアに係る人的・物的環境整備、あるいは教員等の研修について御議論をいただきながら、ここでの議論に基づいて、常勤看護師などの配置など、さまざまな対応をしてきているところでございます。
そうした中、先ほど申し上げましたが、医療技術の発展、進展によりまして、人工呼吸器あるいはカニューレと言われる装置を装着した児童生徒も出てきておりまして、最新の医療に対応した医療的ケアも求められているということでございます。
通常の場合、通常の医療的ケアと変わらないわけですけれども、例えば、万一この人工呼吸器がアラームが鳴って、故障したといった場合の対応でありますとか、カニューレが外れてしまった場合の対応でありますとか、そうしたこと、非常にハードルの高い部分も含めた対応が必要になってくるということで、先ほどの協議会の中でもそうしたことについて御議論をいただき、対応に生かしているところでございます。
そうしたことで、医療的ケアの依存度、あるいはリスクも高まってくるという状況の中で、やはり、職員の一層の専門性を向上させるといったことが必要であるわけでございまして、そうしたことにつきましては、専門家の方々とも連携をして、研修を行うなど、しっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますし、また、児童生徒の状況に応じた人員の配置といったことにも意を払う必要もあろうかというふうに思っております。
こうしたことに取り組みながら、医療的ケアの必要な児童生徒の皆さんの学習保障といったものを確保し、子供たちが安心して学べる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)26番浜崎議員
◯26番(浜崎晋一君)知事、教育長、ありがとうございました。大変丁寧に説明していただく中で、私の思いと共有できるところが多くあったというふうに思っております。
知事のほうですけれども、年末には、いわゆる総合戦略、これをしっかりと改めていく方向でというお話をお聞かせいただきました。2060年が1億人というような数字が出てくる、そういうことも想定して、それにおいて、鳥取県としてはというようなことも踏まえたところでのお話だったと思いますし、また、川部議員の代表質問ということでもありましたが、持続可能性ということでのSDGs、年明けには推進本部というようなこともお聞きしました。一つ一つしっかりと地についた形で、いろいろ現状は多様化していますし、なかなか難しい問題もありますが、しっかりお願いをしたいと。新年度に向けてということで、よろしくお願いしたいというふうに思います。
それから、日本財団との協調という部分も、これも福祉の部分も先ほどおっしゃいましたけれども、そういった部分もありますし、また、知事の総合教育会議のいわゆる主催者という立場からの未来に向けての人材育成、こちらもぜひともしっかりお願いをしたいというふうに思います。
鳥取らしい、先ほど手話パフォーマンスの話も、米子東の生徒の話もありましたけれども、そういった部分も鳥取らしい人材育成ということの一つの基点になっていくのだろうと、おっしゃるとおりでありますので、しっかりお願いをしたいというふうに思います。また追及のほうで進めてまいりたいというふうに思います。
それから、教育長、ICT、アクティブラーニング、またプログラミング対応というようなことでありますが、やはり、これは大前提の問題だと思いますよ。教員をいかにしてという部分については、教育次長もうなずいておられますが、しっかりとここを頑張っていただきたい、我々もその認識でもっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、鳥取養護学校のほうですけれども、今5人ということで、先ほど知事も同じような話を、最初の壇上でも申し上げましたけれども、やはり医療が進んできているという事情等からということでありますけれども、親御さんも本当に必死です、そういう状況の中で、十分認識を持っていらっしゃると思いますが、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
それから、先ほどの知事のほうに戻りますけれども、博愛であったり、それから東部看護協会であったり、小さな拠点であったり、佐治の話ということがありましたけれども、やはり、この社会資源というものを、いろいろ多岐にわたっての対応ということにはなると思いますけれども、社会資源をそれぞれに、先ほど知事も言われました、個別の解決策というところ、この辺がやはり持続可能ということにつながっていくのだろうと思いますので、それぞれの状況というのがこの障害者の場合には、やはり全部この一つの束で同じだということにはなりませんので、ひとつそこらのところも、お話がありましたけれども、一緒になって頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それでは、追及に行きたいと思います。地方制度調査会の中間報告の内容に一喜一憂をすることはないと思います。本質問でも言いました。それでも心配になりますのは、県内の市町村、特に町村なのですね、それが気になるのです。町村が将来にわたって住民が生活し、支え合う、地域活動を行う人材の確保に対する危機意識を持っていらっしゃるか。持っていらっしゃるとは思うのですけれども、私なりに非常に心配な部分があります。
また、住民が生活し、地域活動を行える人口規模、また人口構成が確保されるのか。自分たちのまちを守っていく危機感を住民と共有しているのか、していかなければいけないわけですけれども、ということであります。
町村の行政組織のあり方も大きな課題であるのではないかなと。人口減少の局面では、さまざまな地域課題というのが出てきますよね。地域が減少するからこそ個々のニーズが多様化してくる。では、それに対応する町村職員をふやすというわけにはなかなかいきません。もともと、役場の職員規模は大きくないところに多様化する住民ニーズというのがどんどん入ってくる、そういう中で職員体制を維持できるのか。例えば、土木であったり福祉であったり災害対応であったり、技術職や専門職というものを確保できるか、いろいろ検討が必要であろうというふうに思っております。
知事は、川部議員の代表質問でも、町村の実態に即して連携体制をつくっていくことが目指すべき方向ということを御答弁されておりますが、当事者である町村の危機意識、また行政組織・体制に対する認識について、どのように見ておられるのかお伺いをしたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて浜崎議員のほうからお尋ねがございました。市町村のこれからの人口減少等への危機意識、そして、それについてどういうふうに対処していくのか、協力関係などのお話がございました。
今、人口推計などをやっているわけでありますが、先ほど申しましたように、これまで地方創生の成果で、本県では少し上振りした推計にはなっているわけでありまして、人口減少に若干歯どめがかかるとか緩和される状況は出てきています。
例えば、鳥取市や境港市、倉吉市もそうですが、大体5~6%ぐらい、従来の推計よりも緩和される形になっていますし、米子は18%以上緩和されるというようなことでありまして、やはり、移住定住策とか、そういうものが若干はきいてきているということでありますが、ただ、それでも、先ほど申しましたように、転入転出のあい差ということからいきますと、多くのところでそこはとまっていない。中には、大山町さんだとか、初めてそこがプラスになったところとか最近もありますけれども、まだら模様ではありますが、大きなトレンドとしては、やはり人口減少の傾向はとまらないし、さらに言えば、それについて、少子高齢化も同時に進行してきますので、行政の対応能力、こういうところも問われ始めているというふうに言わざるを得ないところがあります。
そこで、私どものほうでは、県と市町村で一体となって、こうした行政システムというものを共同化したり、お互いに融通し合おうということで、ICT等の協議会をつくり、これで、例えば、平成29年にはイントラネットを全市町村と県とで導入をして、電子会議室が共同でできるようにしたり、さらにその後、電子申請システムを共同開発して、住民票の写しの交付申請だとか、そうしたものを、全部の市町村ではないのですけれども、そういうのを活用しながら始められる、そういうシステムをこしらえたわけであります。
また、校務支援システムという学校の庶務的な事業、日常の事業、そういうものを共同でやったり、また、転勤しても大丈夫、働き方改革にもと、こんなような観点でそういうのを共同でやったりして、これで事務の合理化を図っていこうというのを全市町村と県とで今、取り組んでいるところであります。
また、あわせて、日野郡のほうでは、県と日野郡3町の連携協約を結びまして、これによって除雪事業だとか、そうしたことの共同化をして、県もそうですけれども、市町村のほうもその分、効率化を図っているというようなことになってきています。
また、いざというときは、やはり助け合うということが多分大事だと思うのですね。これが鳥取県としても重視しているところでありまして、昨年の7月の集中豪雨災害がありました。このとき、県内でも初め特別警報が出まして、智頭町だとか若桜町だとか、そうしたところで特別警報の体制がとられたときに、県のほうから合計で55名の技術職員をその夜派遣をして、10の市町村に張りつけるというようなことをこの豪雨の時期にやっているところでございます。
これは、非常に市町村側から評価をいただきましたし、今回の千葉の災害だとか、いろんなことを見ていますと、こういうことは本来最初にやらなければいけないことであるかと思います。林業などは特に市町村に人がいないよというような話はこの間ございましたけれども、そういうようなことで災害時の土木対策、そういうことが欠けるのであれば、県と市町村が垣根を乗り越えて共同していくということをやるべきではないか、これを今、鳥取県としても推進をしているところであります。
このような形で、議員が懸念されています市町村、その能力ということについて、お互いに助け合ったり、県と補い合ったり、こういうことを進めているところであります。
◯議長(藤縄喜和君)26番浜崎議員
◯26番(浜崎晋一君)知事、ありがとうございました。しっかり鳥取らしさというのを前面に出すというのは、やはりお互いの立場を理解して、協力し合う、助け合う、知事がおっしゃるとおりというふうに思いますので、これは本当に大変鳥取県の根幹部分につながるような大事な話だというふうに思っています。よろしくお願いしたいと思います。
追及します。地方創生の総合戦略の見直しに当たって、単に5年程度先のことを考えるだけではなくて、さらにその先も念頭に置きながら、当然戦略性を持って進める必要があるというふうに思っております。知事もそういう考えで思っておられるというのは十分理解しております。
そこで、新しい行政スタイルとして、地域住民、関係団体との協働や、私がこれまで質問してまいりました関係人口、その中でも地域課題解決に資する関係人口などとの連携が大切になってくるのだというふうに思っております。そういう意味で、このたびの9月補正で提案されておりますとっとりワーケーションスタートアップ事業、交流人口拡大本部、それから地域づくり推進部のほうで言いますと、地域自治組織等と連携した貨客混載の仕組みづくり事業は大変意義があるものだと高く評価をしたいというふうに思っております。
今後、人口減少が続く社会における地域課題の解決について、地域住民、関係団体や関係人口などとの協働、連携をより一層、また加速的に進めていく必要があるだろうというふうに思っております。近代日本がこれまで経験したことがないこの人口減少という危機を逆にばねにして、地方はより強く、より柔軟な新しい暮らしの場へと成長していくことを目標としなければいけないだろうというふうに思っております。なかなか重たい話ではありますけれども、そう思うのですね。
そのためには、県と市町村が社会変化の進行状況を、先ほど知事がいろいろ言われましたが、そのとおりです、冷静に見詰めて、共通認識のもとで力を合わせて知恵を出す、持てる資源を有効活用する、目標に向かって歩みを進めることが必要であるというふうに思っております。
今後不足するであろうマンパワー、またスキルをいかに確保するのか、町村も危機意識を持って地域住民、関係団体と協働、連携して課題の解決策を検討し、実践するように、県としても町村との議論、協議を今まで以上に、先ほどのお話もありましたけれども、この件につきましても進めていただきたいと考えるところでありますが、知事の所見を伺いたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)議員から市町村との協議によって、そうしたマンパワーや、あるいは活力の維持、こういうものを協働で進めていくべきではないかということであります。
先ほど申しましたように、いざというときの補い合いですとか、それから協働での事業であるとか、こういうことを今、進めているところでございますが、さらに今、議員のほうでおっしゃったように、民間団体とか、そうしたさまざまな地域の人的支援、こういうものを生かして展開を強めていく、これが多分これからのまちづくりのあり方ではないかと思いますし、浜崎議員からも、これまでもいろいろと御指摘をいただいていたところでもございます。
例えば、智頭町のほうでは百人委員会ということをここ10年ぐらいされて、その住民の皆様との協働作業でまちを進めようと。その中では、最近で言えば、ちづDeer’sという鹿の対処施設、そういうことをされたり、あるいは、智頭のほうでもはいからさんを集めたパレードを智頭地区で行う、オールドカーも入れたりして、そういうようなことを住民の皆様と協働しながらまちの音頭をとって、そういうようなまちづくりをやる、こういうようなスタイルがやはりこれからのスタイルなのだろうと思いますし、もともと鳥取というのはそういう風土があったのかなと思います。
最近も打吹回廊というのが倉吉にできましたけれども、これも今、ラグビーワールドカップの芝などを全国で展開をするようなチュウブさんという企業が中心になりまして、地元の商店街だとか、また県や市のほうも助成をさせていただいたりして、コラボレーションでそういう拠点をつくり、これが震災復興の一つのシンボル、これからのまちづくりの拠点になるというようなこともできてきているところであります。
また、鳥取県のほうでもそうしたNPOなどを支援するような地域活性化のセンターをつくりまして、こういうところのネットワークの中でさまざまな地域団体も動き始めています。
例えば、南部町のほうの里山推進機構さんのようなところ、こういうようなところが地域活動をして、今、この後はさらに法勝寺で今つくっていたりするわけでございますけれども、CCRC、この関連事業などにもこうした動きというのはかかわっていくことになるだろうと思われます。
こういうことは、そうした中山間地域等だけでなくて、町なかでも一緒だと思うわけであります。夕べもこの商店街を歩いていたわけでありますが、この若桜街道のアーケードの中にまちなか拠点というのが今できていまして、若い方々が所狭しとその中でみんなでわいわい話し合いをされていました。2階にはまちこというのがございまして、これは鳥取商工会議所青年部の皆さんだとか、あと城北高校の人たち、そうしたところなどもかかわりながら、こうした町なかの拠点を運営したり、事業をやっているということが始まってきているところであります。戎町のところなのですけれどもね。
それから、川一アーケード管理組合さんでもウエディングをされたり、そこに昔ながらのお煎餅であるとか、そうしたにぎやかしも出てくる、人力車も出てくる、こんなことでまちを元気にしようというときに、これと一緒にノミの市だとか、そういうような事業も展開をして、一つのまちのにぎわいづくりというのを進めておられるわけです。
単に行政が何かやったから、それでまちが元気になるということでは、決してない、むしろそういう住民の皆様の活動と結びついてこそ本当のまちづくりになってくるのだろうと思います。そういう意味で、これからも関係者としっかりとスクラムを組んで、地方創生の実を上げてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)26番浜崎議員
◯26番(浜崎晋一君)知事、ありがとうございました。これからのまちづくりのあり方ということにつながっていく、地方創生の実を、今申し上げましたけれども、しっかりと着実に進めていただきたいというふうに思います。
では、追及に行きます。総合療育センターですけれども、平成17年度の改築当時と比べますと、入所児童の状況というのは大きく変わってきている。先ほどのお話もありました、状況がいろいろと大きく変化してきている、そういう状況はあります。
そういう中で、改築当時に比べると、肢体不自由児の入所者数というのはわずかなのです。現在ほとんどの医療的ケアが必要な重症心身障害児の皆さんということで、より支援が必要な子供たちが入所しているということであります。
そこで、総合療育センターのあり方につきまして、やはり知事からもいろいろお話がありましたけれども、共有できる話だと思うのですが、抜本的な見直しがやはり必要だろうなというふうに思っております。地域の社会資源、特に訪問診療、先ほどの話にもありましたけれども、訪問診療、訪問介護などの在宅医療などであります。その社会資源の整備状況、それから保護者の思い、利用者ニーズ、また今後の利用者の姿がどうなるのか。やはり、10年、20年先の利用者をイメージした検討ということも必要なのです。それは、肢体不自由児協会、重心を守る会だけではないです、手をつなぐ育成会の皆さんもそうです、親亡き後ということが非常に大きな問題として切実な問題になっているわけでありますから、10年、20年先の利用者をイメージした検討が必要だと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。
また、特別支援学校における医療的ケア、学校看護師等の役割が重要だと思いますが、その配置状況というのが十分なのかどうかということをちょっと教育長にお聞きしたいというふうに思います。
さらに、教職員も医療的なケアを理解する。全部資格を取ってくださいということではないですよ、理解する。児童生徒の様子がおかしいときには早期発見ができる。何でも全部学校看護師にということだけではなくて、やはりそういう認識、意識というのは大事だろう、だから早期発見ができる、そして学校看護師に連絡をする、あるいは学校看護師が行う医療ケアの補助を行うことができれば、一層児童生徒の安全が確保できる。
先ほど教育長が、そういった意味合いも含めてしっかりやっていくというふうに、私の認識はそういうふうにとらせていただきましたので、現在の教職員に対する研修の状況はどのようなものかということもあわせて教育長にお伺いしたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)総合療育センターについて、重ねてお尋ねがございました。これにつきましては、非常に難しい局面に来ておりまして、先ほど申しましたけれども、関係者とよく話し合いもしながら、今10年、20年先というお話がありましたけれども、そうした視点も含めて、環境を整えることが今、必要になってきたと思います。
実は、議員も冒頭でお話しいただきましたけれども、いろんな手だてをふやしてきていることは事実でございまして、例えば、通院してケアを受けるようなことで言えば養和病院さんとか、あるいは、そのほかのいろんなクリニックなども応援をしてくれるというような体制ができたり、博愛病院の中に発達支援の関係も含めた、そういうクリニックが誕生しまして、そこでショートステイを受けるということができるような体制ができるとか、大分西部地区の中の環境も変わってきているのですけれども、そのほかの医療機関などでも、こうした今、喫緊の課題でちょっと足らなくなっているショートステイ等をどういうふうに受け入れていくのか、その協力できるところもさらにふやしていければと思いますし、療養できるところ、これも必要だと思います。
今、松江と鳥取市には医療センターがそれぞれやってくれているのですが、米子には今そういうところがないわけでありますが、恐らく、一定の能力を備えて一定の支援があれば、可能になるのではないかと思うのですね。鳥取県が独自にやっているのは、そうしたショートステイ等、こういう重度の医療的ケアを必要とする子供たちのための医療、これが福祉とやはりどうしても重なり合うわけですね。それで、普通の医療の報酬とそれからショートステイの報酬だとちょっと下がってくる、それだと人件費などが賄えない、ですから、ここのあい差を埋めるような形で、実は、これは県が支援しようという制度をつくっています。そのほかにもさまざまな医療と福祉が出会うような形でやれる、その事業スキームというのを、補助制度もこしらえまして、それで今、だんだんとこうした体制ができつつあるということなのですが、そういう中で今出てきている課題に応える、そういう事業者をつくっていければ解決してくる可能性はあるのではないかなとも思われます。
どうなっているかというと、正直申し上げて、もともと子供の療育のためのセンターではあるのですけれども、最近の使用実態は、もう少し年齢がいかれる方、結局、長いこと逗留されている方がずっとそこにおられるという形になりますと、あとの入りたい方々が入れなくなると、この辺の今、兼ね合いが難しくなっていると。
これまでも在宅の医療のほうに、そこに福祉サービスを乗せていけて、こうやってうまく循環するようにやっているのですが、正直そこの手が回っていない、特に今、滞留しているのがショートステイ部分ということだというふうに御理解をいただければよいのではないかなというふうに思います。ぜひ関係の皆様とも協議をさせていただき、解決を何らかの形で図り、それが、10年、20年先も同じような傾向がどんどん拡大していくと思いますので、地域でそうした方々を受け入れられる、そういう環境をつくることが長期的な解決策になるのだろうと思います。
こういう中で一つのヒントになりますのは、先月ありました大山キャンプでありまして、こういう医療的ケアを必要とする重度の子供たちが7名参加をしまして、ボランティアだとか家族だとかも入ってキャンプをやりました。そのための資金などはクラウドファンディングで集めるということをやり、我々の療育センターも含めて、いろんな関係者の方が出ていって、そこでみんなでキャンプをするという、そういう体験をすることができたわけであります。
こんなような形でショートステイの問題も、その地域でお互いに支え合ったり、キャンプの場合はクラウドファンディングなどもやりましたけれども、そうした地域でケアをしていく、そういうようなやり方が多分、解決の道筋になるのではないかなというふうに思います。
総合療育センターだけで全て抱えるという考え方もあるかもしれませんけれども、ただ、なかなかそれだけでは永続的な解決策にもつながらないところもありまして、緊急避難的に何をやるかということはあるかもしれませんが、10年、20年先というお話ですと、そうした構図を描いていく必要があると思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)浜崎議員から重ねて特別支援学校の医療的ケアにつきましてお尋ねがございました。
学校看護師につきましては、学校の児童生徒の状況等に応じて必要な人員を配置してきておるところでございまして、現在4校で4名の正規の看護師と、それから14名の非常勤の看護師の方に子供たちの医療的ケアに当たっていただいているということでございます。この春にも1名正規の職員を増員いたしたところでございまして、引き続き学校の児童生徒の状況、あるいは学校現場の意見なども含めて、いろいろ配置については検討してまいりたいと考えておるところでございます。
また、学校看護師だけにこの医療的ケアを任せるということではなくて、ほかの教員もいろいろこの医療的ケアについては理解をして役割を果たしていくという必要もあるわけでございまして、現在この医療的ケア児が在籍する学校につきましては、肢体不自由児部門ということになりますけれども、全ての教員に対してこの医療的ケアに関する研修を行っておりますし、先ほども少し申し上げましたが、人工呼吸器などについては、その生徒を担当する教員を初めとして、かかわる教員に人工呼吸器についての学びをしてもらうと、どういう故障のときにどういうアラームが鳴るかとか、そういうところも含めて学ぶといったことでありますとか、あるいは、たんの吸引を必要とする児童生徒に対して、ふだんの姿勢だとか、そういうところで随分呼吸が楽になったりするという、そんな姿勢についての学びであったり、あるいは、ふだんのみとりの中で、何か様子がおかしいというときの対処方法を学んで、それをそういうときにすぐ学校看護師に連絡をするということで、早期の対応を図るといったようなことについての研修も別途それぞれ行うような形で進めておりまして、こういうことについて、先ほど申しました学校看護師が研修の企画に携わるなどして、より充実した研修となるように努めておるところでございます。
◯議長(藤縄喜和君)26番浜崎議員
◯26番(浜崎晋一君)知事、教育長、ありがとうございました。最後のまとめに入りたいと思います。
先ほど知事の答弁でありましたように、可能性というのが十分見出せるものだというふうに私も思っておりますので、ぜひともよろしくお願いをしたい、我々も当事者の団体の一人として、また一緒に頑張ってまいりたいというふうに思います。
改めて申し上げますけれども、最後のまとめということですが、近年の目覚ましい医学の進歩、発展によって、幸いなことに、これまで助からないとされておった命が救えるようになったという状況です。また、長く生きることも可能になりましたので、重い障害のある子供たちが成長して大人になるケースが今後ますますふえるということであります。今まで以上に重度の医療的ケアが必要となる障害者がふえてくることが容易に推測されると、それはもう知事も教育長も十分認識を持っていらっしゃると思います。
また、地域の社会資源のあり方、全てが、先ほど知事も言われましたが、在宅であったり、または全て入所であったり、画一的なものではなくて、先ほどセンターだけではないという話もありましたけれども、そのとおりだと思います。画一的なものではなく、地域の事情に応じたさまざまな形態があってもよい。先ほど地域ということも、知事もおっしゃっていただきましたけれども、そのとおりです。
例えば、重い障害があっても、可能であれば、グループホームでの生活があってもいいというふうに思います。家庭の状況や保護者の思い、当事者の思いに寄り添い、それこそ誰もが身近な地域で希望する生活を選択できる地域づくりであったり共生社会づくりであったり、このことが何よりも大切なのだろうなというふうに、知事と議論しながら感じたところであります。
そのためには、福祉と医療及び介護の連携・充実が何よりも必要ということは当然なのですが、私も福祉をライフワークの一つとする者として、力を尽くしていかなければならないということは思っております。
さて、先週、厚生労働省が全国の公立病院や公的病院のうち、424の病院に統廃合を含めた再編の検討を求めて、病院名を公表いたしました。これはほんの一例であると私は思っておるのですね。何でこういうことを言うかと。
今、我々は、将来に向かってどの方向にかじを切るべきか、そして、さまざまな分野において、その選択の岐路に立たされているというふうに強く感じるのですよ、皆さんもそうだと思います、知事を初め、教育長も。
今回、人口減少を背景とした本来の将来像に着目して質問いたしましたが、人口減少傾向が続く本県において、我々は、まず今、それから現在、これも大事なのですが、先ほどから議論をさせていただいておるように、次の世代を担う若者に安全安心の将来、未来を届けなければいけないという側面が当然あるわけであります。それがまさに政治の責任であり、また役割であろうというふうに強く感じているところであります。
本日の議論を踏まえまして、新しい時代の鳥取県らしい地方創生、そして共生社会の実現に向けた知事の決意を改めてお聞かせいただき、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)浜崎県議から含蓄のある、この時代をどういうふうに回していくのか、特に福祉や医療、そうした喫緊の課題と向き合うこと、地域の中でみんなで語り合いながら解決をしていく、そういう方向性について御示唆をいただいたわけであります。
確かにそういうことが多分鳥取型の解決策なのかもしれません。また、それが地方創生のモデルにもなることなのかもしれません。今短絡的に単に数字だけで、この医療機関を整理をすれば、それで道は開けるというふうに、いかにも霞ヶ関的には考えるのかもしれません。しかし、私たちは、そこで一人一人が生きている、地域社会の中にあるわけであり、その意味合いというものを考えなければいけません。ですから、それぞれの人に応じた、希望を持って生きられる、そういうスタイルというのを、そういうパターンの中ではなくて、私たちの実践や話し合いの中でつくり上げていく、それができるのが鳥取という小さなコミュニティーの得な面でもあるかもしれません。これを生かしていけば、おのずから解決の出口は見出せるのではないかなというふうにも思うわけであります。
「Learn from yesterday,I live for today,hope for tomorrow.」これはアインシュタインの言葉でありまして、きのうから学び、きょうを生き、あすへの希望を持つと、それがアインシュタインのモットーのようなことだったんだろうと思います。そのアインシュタインがこの言葉に続けて言っているのは、問い続けるのをやめないことが重要だというふうに言っているわけであります。つまり、こうした私たちの地域社会の中で、みんなで話し合って、それで難しい、さっきの療育センターの問題などもあるかもしれません。そういうものの解決策、これをそれぞれが役割を果たし、また、みんなで知恵を出して、未来への方向性、あすへの希望というものを実現していく、これが私たちが進むべき道筋なのではないかなと思います。
今地方創生が第1期が終わりまして、第2期に向かうわけであります。本当の意味の
人口減少社会からの脱却、特に消滅可能性都市というものをこの鳥取からなくしていく、そういう大目標に向けまして、きょうの質問を生かしてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は午後1時25分より再開いたします。
午後0時25分休憩
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午後1時25分再開
◯副議長(福田俊史君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
3番森雅幹議員
◯3番(森雅幹君)(登壇、拍手)会派民主の森雅幹です。大要2点にわたって質問をいたします。
まず、1点目、子供のための教育とはということで質問をいたします。
教育振興基本計画基本理念「自立して心豊かに生きる 未来を創造する 鳥取県の人づくり」について、教育長に改めてこの理念についての説明を求めます。
県議会議員になって8年と半年が過ぎました。これまで34回の一般質問のうち、実に17回、教育委員長、あるいは教育長に論戦を挑んでまいりました。一貫してみずからの頭で考え、判断し、行動する、そういう子供をつくることを求めてまいりました。これまで、学習指導要領によりがんじがらめで、いっときに変えることはできない、そういうふうに思っておりました。そんな中、たまたま寄った書店で、千代田区立麹町中学校校長、工藤勇一先生の著作「学校の「当たり前」をやめた。」という本、また、それに伴うインタビュー、そういった記事を読みました。まさに、この中にその実践が、みずからの頭で考え、判断し、行動する、そういった子供をつくる実践が、公立中学校の千代田区立麹町中学校で行われておりました。
そこで、幾つか教育長にお尋ねをいたします。
時代が変わり、机に座り、教科書の問題を解く、そういう記憶中心の学びから、今求められている学校の学びは変わってきているのではないか、そのように考えますが、教育長の所見を求めます。
時間に制限がある中、教育内容がどんどんふえ、少しでもわかりやすく教えるための段取りをするとか、わかっていく過程をすっ飛ばして、結果を覚える、そういうことになっていないかという危惧があります。また、子供たちは極端に失敗を恐れる余り、挑戦をすることに尻込みをし、皆の賛同を得られない場合を恐れ、みずからの意見を表明しない傾向にあるのではないか、失敗の経験の積み重ねによって学ぶことが多いのではないか、むしろ奨励すべきではないかと思いますが、教育長の所見を求めます。
保育園、幼稚園から子供同士のいざこざを子供同士で解決させず、教員が介在して仲直りをさせていく、このため、子供たちの関係は本当に薄っぺらいものになっていないでしょうか、教育長の所見を求めます。
大要2点目に参ります。本年5月19日の条例手続意見調整会議に出席をされました水利権者が一般廃棄物最終処分場の水処理施設が破綻している疑いがあると指摘をされました。これについて、鳥取県は、廃棄物審議会への報告の中で、後日、西部広域に詳細を確認すると述べております。確認結果はどうなっているのか、水利権者に確認結果を説明すべきでないのか、あわせて確認結果を公表すべきではないのか、知事にお尋ねをいたします。
補正予算、環境管理事業センター支援事業9,600万円についてであります。これは、測量、地質調査、用地調査として4,500万円、そのうちの3,000万円を補助金で、残る1,500万円と設計業務5,100万円、合わせて6,600万円を環境管理事業センターに貸し付けをするという内容であります。
そこでお尋ねをいたします。測量、地質調査、用地調査、これが分けて発注されるという状況にあるようですが、一本で発注すべきでないのか、伺います。
これまで7本の地質調査が行われて、7本の調査コアがあるはずでありますが、改めて、なぜ、どんな調査が必要なのか、伺います。
山川議員の質問の中で、過去に補助金を支出した地下水調査の結果について議論がありました。これについて可能な範囲で公開をするということでしたけれども、今回の調査結果は、もちろん全面公開すると考えますが、知事の所見を伺います。
◯副議長(福田俊史君)3番森議員に申し上げます。ただいまの発言中、環境管理事業センター支援事業に関する質問は、発言通告の範囲を逸脱しているものと認めます。よって、答弁は不要といたします。これに関する質問を除き、答弁を求めます。(森雅幹君「議長、議事進行」と呼ぶ)
3番森議員
◯3番(森雅幹君)これは、通告をしてあって、ちゃんと通告しているのですけれども、題名はこうですけれども、産廃に関することなので、こういう形で書いているのです。よりわかりやすくするために書いているだけであって、ちゃんと通告をしているのですから、これは答弁を求めます。通告しているのですから、通告していなかったらだめだけれども。
◯副議長(福田俊史君)狭めているので、ちょっとそれはだめだということになります。
答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)一般廃棄物のことについて答弁を申し上げたいと思います。
これにつきましては、生活環境部長のほうから詳細、やりとり等、お話を申し上げたいと思います。
これにつきまして、御本人のほうに通知が行っていないのではないかというお話等があったようでありますけれども、また、私のほうでも見て、もし御説明漏れがあれば、その辺はするようにさせていただきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)一般廃棄物処分場の水処理施設につきまして、補足の答弁を申し上げます。
本年5月19日の意見調整会議におきまして、西部広域行政管理組合の一般廃棄物処分場に関しまして、住民の方から平成20年の会議録を見ると、一般廃棄物処分場の水処理が構造的に崩壊していることが話し合われていると、そういった意見がございましたので、県といたしましては、6月3日に西部広域に立ち入りをいたしまして、会議録の存在を確認をいたしております。
会議録を確認いたしますと、会議録に記載のこの話し合いでございますが、これは一般廃棄物第2処分場の堰堤工事の工法について、西部広域と環境プラント工業がコンサルタント会社を交えて話し合われたものでございました。そのやりとりの概要を紹介いたしますと、環境プラント工業側がこの第2処分場の堰堤、築堤の工事に当たって、たまった水があふれるのを防ぐために遮水シートを、底部の全面に敷く構造にしたいと主張をされ、それに対して、西部広域が委託をしたコンサルは、それではこの処分場の水を管理する面が破綻しているということになるけれども、そのように言われているのですかというふうに返されております。この水を管理する面が破綻という部分を切り出されて、住民の方は指摘されているようでございますが、会議録のやりとりでは、環境プラント工業側は、誤解を解くために、旧指針であれば、処分場内に貯留する構造であり、今の指針と比べ完璧ではないという意味であって、破綻ではないと、このような趣旨の発言が記録をされております。環境プラント工業さんが言われた、今の指針と比べ云々というのは、西部広域の一般廃棄物第2処分場は、平成4年に建設されておりますけれども、当時の技術基準、会話では旧基準と言っておられますが、当時の基準では、堤の中に水をためることが認められておりました。構造的に問題はないのですが、その分、堤の容量に対して水処理の容量が比較的少ないという設計に当時の基準はなっておりましたことから、今の基準、これは新しい基準という意味になりますが、今の基準と比べて完璧ではないという、そういった発言になったのではないかというふうに考えております。
以上、申し上げましたように、当該会議録の案件となっております西部広域の一般廃棄物第2処分場の貯水能力が破綻しているといったことはございません。なお、一般廃棄物第2処分場稼働、これが平成5年9月でありますが、この後に改定をされた新基準、これは平成10年6月に施行されておりますけれども、この新基準については、既存の施設に対しては適用対象外となっているところでございまして、県といたしましては、対象となる基準に適合していることや、これまでも定期検査、立入検査を実施をして、問題がないことを確認をいたしております。
なお、水利権者とセンターとの意見調整会議の際に、県のほうから、この一般廃棄物処分場が許可基準に基づき設置されていること等を説明しているところでございますけれども、当該会議録について、県が確認いたしましたことを水利権者の方には改めて文書でお知らせしたいというふうに考えております。
◯副議長(福田俊史君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)森議員の一般質問にお答えを申し上げます。
子供たちのための教育につきまして、何点かお話がございました。初めに、教育振興基本計画の基本理念「自立して心豊かに生きる 未来を創造する 鳥取県の人づくり」ということについての説明ということでございました。
子供たちに対する教育の目指すところというのは、社会の中でよりよく生きていく力をつけていくということであろうというふうに思っております。それに関して、子供たちが自立して、これはみずから立つと書いていますが、みずから律するというあたりも含めて、主体的に学んでいく、そうした思いを込めておりますし、心豊かに生きるというあたりは、心身ともに健康で、そしてまた、豊かな情緒も含めて育んでいくといったことでありますし、また、社会の中で支え合って生きていくといったようなことも、この中に盛り込んでおるところでございます。あるいは、未来を創造するというところでは、ふるさとを誇りに思い、愛着を持ってこのふるさとの未来づくりに積極的にかかわっていく、そうしたことも、力も育みたいなという、そんな思いを込めた基本理念ということでございます。
そうしたことに関連して、学びの本質でありますとか、あるいは、大人のほうが段取りし過ぎてないかといったこと、子供のけんかあたりは子供同士で解決させるべきではないかといったようなお話があったわけでございますが、基本的には、私も森議員のお考えと気持ちは同じでございます。今も昔も、先ほど申し上げたように、教育、特に学校教育の中では社会の中でよりよく生きていく力を身につけさせることを目指して取り組まれておるわけでございますが、かつては学歴偏重社会での詰め込み教育といったことで、知識や技能を身につけることが重要視されていた時代もあったわけでございます。昨今、より求められている力は、身につけた知識や技能を駆使して、みずから抱える課題、あるいは社会が抱える課題を解決していく力でございまして、課題についてみずから考え、あるいは、他者との対話をしながら、協力しながら、失敗を恐れず、それを実践し、失敗もあると思いますが、その失敗を次に生かしていく、そうしたことを通じて得られる、いわゆる非認知能力、こうしたものが今重視されているのではないかなと考えております。教育する側から見ると、いわゆる正解、あるいは正解にたどり着く手順を段取りよく教え込むといったことから、どのように学ぶかということを重視して、子供たちが学んだ一つ一つの知識がつながっていく、そういうことでわかった、あるいはおもしろい、もっと学びたい、そういうふうに思えるような授業、また、周りの人たちとともに考え、新しい発見や新しい発想が生まれる授業などを工夫して、子供たちの資質、能力を育んでいく、いわゆる協働的な学び、これを生み出すことが必要で、そのためにファシリテーター的な力が教える側にも求められているのだというふうに思っております。
その際、お話がありましたように、子供たちに転ばぬ先のつえを与え過ぎないということも一つ大事な視点かなというふうに思うわけでございます。これは、一つは、子供たちの主体性を引き出す、これを阻害することにもつながる部分があるということで、与え過ぎないということが大事で、全然与えないというわけにもいかないわけでございまして、それが、子供たちの発達段階、あるいは状況に応じて必要な支援を行っていく、そんなことを常に考えながら実行していく、そうしたことが教える側には求められるのではないかと思っております。
けんかの話がございましたが、小中学校などでは、特別活動、いわゆる学級会と言っていますが、そんな中で話し合って、物事を解決していくような、こういう手だては学びとしては教えるわけですが、実際にトラブルが起こったとき、それをどう解決していくかというのも現実的な学びの場でもあろうというふうに思っております。そうしたことでトラブルの解決に向けて話し合ったりすることも実際にあるわけでございます。ただ、いじめなど、例えば生命だとか、人権だとか、あるいは犯罪だとか、そうした重大なことにつながるおそれがある案件については、これは転ばぬ先のつえとまでは言いませんけれども、教員のほうが積極的にかかわっていって、早期に必要な対応を組織的に行っていく。これは、この議場でも何度も申しておりましたが、そうしたかかわりも一方では必要ではないかなというふうに思っております。そういうことでケース・バイ・ケースかなということも思うわけでございます。
いずれにいたしましても、新しい時代の教育、これに向けて、我々教育関係者だけではなくて、県民の皆様とともに、どういうやり方がいいのか、どうかかわっていったらいいのか、これは真剣に考え続けて、そのことを実際の教育の中で進めてまいりたいと考えております。
◯副議長(福田俊史君)3番森議員
◯3番(森雅幹君)産廃の環境管理事業センター支援事業について質問したことについて、答弁をもらえなかったということについては、非常に残念です。またこれは議長と話をしたいと思います。
まず、西部広域の第2廃棄物処分場許可の経過についてですけれども、生活環境部長は、平成10年6月16日の旧厚生省、環境庁が同時発表した最終処分場にかかわる技術上の基準を定める命令の一部改正についてという基準の話だと思うのですけれども、これについては、先ほどの話では、バックフィットはしないと。要するに既存のものについては対応しないというふうに、そういう話でしたけれども、この基準の中には、原則全ての施設にこれを適用させると。当面、後でまた7月に、これは命令がもう1個出るのですけれども、1年間は猶予するということになっていて、既存のものについても全部適用すると書いてあります。それで、また、私も厚生労働省に電話をして、これは全ての施設に適用するのですねということを確認しています。
平成10年6月16日のこの基準の改正以降、この第2処分場については、平成15年と平成21年について、軽微の変更申請を許可していますが、このときに全然この基準の適用指導もしていませんし、全部これは適用外だという形で今まで処理をしています。本来、これを適用させる必要があったのではないですか。それは、排水基準といいますか、排水池、池ですよね、出てくる浸出水を一旦ためておく、その池が2,000立米の池でしかないのですけれども、全然これが足りないということで、今の基準ではこれは大きくしなければいけないというふうになっているのですけれども、それについて、なぜ適用がないのですか。私は、これは、過去の施設でも全部適用するというふうに確認していますよ。もう一回このことについて説明を求めます。
また、これについては、先ほど生活環境部長のほうから、議事録があるということで、その議事録の話をされました。ここで、平成20年1月22日の会議録を私も持っていますけれども、この中で、いろいろ話し合われています。その中では、堤内にたくさん水がたまって、そこで地震が起きたら、その大きな堰堤が崩れて、全部水が外に出てしまう可能性があるということで問題があるという話し合いをしているのですよ。もしそんなことが付近の住民の人たちや、あるいは市民に知れたら大変なことになるということを話し合って、それが外に漏れたら大変だねと言っているのですよ。軽微の申請でちょこっとやれば、そこら辺はわからずにできるよみたいなことまで書いている。危ないけれども、これはやってしまえばいいということを言っているのですよ。西部広域行政管理組合と環境プラントとが一緒になって、大変な情報を外に出さないように隠している。そういったことをやっているのですけれども、これについて非常に問題だと私は思っているのです。知事、どういうふうに答弁されますか。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)事案の詳細等でございますので、生活環境部長からお答えを申し上げたいと思います。
また、法令の解釈のことがあるということでありましたら、今後私どもも、環境省に確認をさせていただきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)2点、補足の答弁を申し上げます。
まず、新構造基準の適用のことでございますが、この西部広域の一般廃棄物第2処分場につきましては、先ほど議員も御紹介されましたが、平成10年6月17日の改正命令施行以降、構造変更に係る手続が平成15年、平成21年、平成28年と複数回行われておりまして、いずれも県は適正に審査をし、許可を行っているところでございます。それで、この平成10年6月16日に公布されました改正命令の経過措置では、平成11年6月17日以降、これは1年間猶予があるのですが、以降、既存の最終処分場について、構造基準には原則として新基準は適用されないこととされております。この議員御指摘の調整池の設置等の規定の部分でございますが、これはあくまでも構造基準の部分でございまして、適用が除外されている、その部分でございます。どういうふうに環境省なりにお聞きになったかあれなのですが、これは間違いなく法令に書いてございますし、この改正命令の附則のほうに事細かく適用されるか適用されないかということが書いてございます。当処分場につきましては、法に基づきます5年に1回の定期検査は、直近、平成27年11月19日に実施をしておりますし、県独自の立入調査の検査を毎年6回実施をしておりまして、基準に適合していることを確認しているところでございます。
先ほどの議事録のやりとりのことをおっしゃいましたけれども、確かに私どもも読んで、内容は承知しておりますが、つまるところ、水処理の構造が破綻していると云々というところが一番のポイントかと思っております。それについては、先ほど御紹介したように、業者のほうも、いや、そういう意味ではない、誤解を解くために言うけれども、破綻ではないというふうに明言をされております。この堰堤築造の工事なのですけれども、一旦埋まって、さらに築堤をする、そこの底の工事をするときに、環境プラント工業さんが水があふれるといけないから、遮水シートをしたいということをおっしゃった。そのやりとりなのですけれども、結果的に、遮水シートはずれたりするということがあって、ベントナイトが採用されて、その工事は終了しております。現にこれまでもそういう定期検査等で検査等も行っておりますし、これまでもきっちり埋め立て等が進んでいるということでございますので、この会議録の破綻云々という言葉を切り出しての御指摘だと思いますけれども、私どもとしては問題はないというふうに考えております。
◯副議長(福田俊史君)3番森議員
◯3番(森雅幹君)今、厚生労働省、環境省から出てきた命令についての解釈について、そうやって対象外だというふうに言っておられるのですけれども、私もそうやって電話で確認をしましたので、これについてはちょっと留保をしたいと思います。今こうやって並行線ですので、ここで幾ら言ってもどうしようもないと思います。
ただ、ここで私が言いたいのは、この議事録の中でどういったことが話し合われているかというと、今、生活環境部長は、上にまた新しい堰堤をつくるための話し合いだったのですけれども、もともとの堰堤をつくった、そこにたくさんたくさん水がたまっていて、それで、そこに地震が来ると、この堰堤が崩れる可能性があるよということで、そのおそれがあって大変だよということを言っているわけです。新しい新規制基準は、そこに水がたまらないようにするための規制基準だったわけですよ。だから、結果は、そういうことを、危ないものを安全にするということをしなかったということなのですよ。危ないものをより安全にしていくという行動が必要で、なおかつ、そういったことを住民に知らせなければいけないのに、そういったことを全部伏せて隠して、また、そこに県も指導をしていなかったということが問題だということを言っています。
産廃の処分場が淀江のあそこに決まった一つの理由は、これを、一般廃棄物の処分場をやっていた環境プラントが今まで事故もなく、ちゃんといいぐあいにやってきた。だから、あそこが適地なのですというふうに説明をしてきたのですよ。だけれども、結果は、ここで明らかなように、住民に知らせてはまずいといったものを隠す、また、西部広域も一緒になって隠す、そういったことをやってきたところなのです。その上に産廃の処分場をつくろうとしている。そういったところなので、あそこが適地だということが、私はこれによって崩れていると思うのです。その崩れたことについて、なぜあそこが適地なのかということについて、ぜひ知事に答弁をいただきたい。ここまでにします。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)詳細については、副知事のほうからお話を申し上げたいと思いますが、一般廃棄物処分場とはまた別の観点で、産業廃棄物処分場の計画が今浮上しているということだと理解をいたしております。
いずれにいたしましても、今後とも廃棄物処分のあり方については、適正が確保されるように、今御指摘されるようなこと等も含めて、今後ともよくフォローしてまいりたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)野川副知事
◯副知事(野川聡君)一般廃棄物処分場の構造基準等についてのお尋ねであります。
この問題は米子市議会のほうでも議論がされております。一般廃棄物処分場のことですから、当然米子市議会のほうで議論されていることですが、議事録等しか確認をしておりませんけれども、やはり部長が先ほど御答弁しましたように、どんどんどんどん埋立物が処分場に入っていく、そうすると堰堤を上げていく必要がある、築堤、増築をする。そのときに、西部広域行政管理組合のコンサルと環境プラント工業のコンサルがそれぞれどういう施工をしていくのかという、そういう話し合いを非公開の場でやられたやりとりが、多少過激なやりとりになっているのではないかと私は読みましたのですが、そういったやりとりの中で、森議員が御紹介されたような内容のコメントもあったと。そのことについての解釈につきましては、先ほど酒嶋部長が答弁したとおりだと思っております。
10年に出された命令につきましては、私も読んでおります。2つ出ておりまして、2つ出ておるといいますか、10年の6月16日に公布されて、翌日に施行されております。そのときに環境省の報道提供資料によりますと、この今回の改正については、原則としては適用するけれども、ただし、云々かんぬんという、そういう報道提供資料になっておりますが、一月後に、全国自治体、政令市に出された通知、通達によりますと、逆にそこの部分については、原則として、既存の施設については適用しないと書いてあります。ただし、適用する際には例外があります。直ちに適用しなさいというところについては、例えば廃棄物処分場の周りに囲いをつくりなさいとか、そういった浸出液の設備について充実しなさいとか、そういうことについて触れてあります。一般廃棄物第2処分場は、平成5年からスタートしております。新しい命令が出るのが10年ですから、平成5年の段階で直ちに新構造にしなさいという通知の文書に対する構造は、平成5年のときから環境プラント工業さんの場合はできております。できておりますので、さっき森議員からお話があった、過去何度か、軽微な変更の届け出、あるいは変更許可についての事例につきましては、全て原則は適用しない。ただし、これこれについては適用してくださいね、その適用してくださいねという部分については、第2処分場については対応ができていると、そういう理解でおります。
いずれにいたしましても、森議員が環境省まで御確認いただいたということでありますので、私どものほうも環境省に再度確認をしたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)3番森議員
◯3番(森雅幹君)ここではっきりしているのは、規制基準をつくったときと、後からまた新しい基準ができるのですけれども、そのときにつくってしまったものについては、私は今回は10年の命令は適用しなければいけないというふうに思っているのですけれども、今、副知事がおっしゃっているのは、それは適用しなくてもずっといいのだということなのですね。要するに例えば産廃の処分場がもうできた後に、新しい基準ができるのだけれども、それはそのときの基準でつくったものはそのままでずっといいのだみたいなことがこういうふうに起こってしまうということなのですよ。
そこで、その構造基準が新しくなったのはなぜかというと、先ほども言ったように、堤内にたくさん水がたまって、地震が起こると、それが崩れてしまう可能性があるから、新しい基準ができたわけであって、それがその基準前につくったものだったら崩れないかというと、そうではないのですね、そうではないのですよ。今は、それが崩れる可能性があるからといって新しい基準になっているのです。だから、それがその基準が出る前につくったら安全だということではないのだということだけははっきりしているということを言っておきます。またこれは後ほど議論をしたいと思います。
それでは、子供のための教育とはというところに戻ります。
教育長からいろんなお話をいただきました。「学校の「当たり前」をやめた。」というこの本です。たまたま本屋に行って見つけました。もう1冊、本が出ていまして、つい最近出た「型破り校長 非常識な教え」という、この本が出ています。その中に書いてあることは、私は本当にびっくりしたのですけれども、学校教育を目的と手段の視点から本質的に見直して、形骸化した活動をスクラップしていくということをやられたのですね。この人は、山形県出身で、山形県の中学校の教員をやるのですけれども、その後、東京の教員をやられて、教育委員会に10年の経験があって、校長先生をやっておられる方です。そこで、この方が一番大事にしておられるのは生徒の自律、自律は立つではなくて、律する。先ほど教育長が言われた我が県の自立にも律するもあるのだというふうにおっしゃった、そこのところなのですけれども、何をやられたかというと、大きく3つ、これが有名になっています。まず、宿題を全部廃止、中間・期末の定期テストを廃止、それから、固定担任制も廃止ということで、当たり前だと思っていたことをもとから考え直してみると、全部これは子供のためになっていない。本当は子供のためだと思ってやっていることが子供のためになっていないということで、改革をされました。また、きょうの質問の趣旨は、全部子供のためだと思ってやっていることが、本当は子供のためになっていないのではないのということを議論するために質問をしています。
そこで、まず、宿題ですけれども、その宿題、この宿題はやめます。定期テストですよね。中間テストがあって、期末テストがあるというのは、もう本当に当たり前だと思ってきたのですけれども、皆さんも覚えがあると思うのですけれども、中間テスト、期末テストの前に一夜漬けをして徹夜でやって、試験が終わったら忘れてしまったと。過去に、もう何も覚えてないみたいなことが行われている。だから、自分は、単元テストをやって、単元がわかったかどうかというところでテストをやると。もしそこで、できなかったら再挑戦をする機会を与える。だから、再チャレンジの単元テストがもう一回受けられる。これが期末の評価につながっていく、単元テストで評価をされていくと。こういった仕組みに変えることによって、この中間、期末テストというのはやめたと。すごいなと思いました。
固定担任制をやめたということです。4月になると、保護者の間でSNSで担任の話が始まるのですね。ああ、あの担任になった、あなたはよかったね、うちなどはこの先生だよ。この先生になってしまって、もうだめ、大変だみたいなことがSNSでばあっと回るわけですよ。そうすると、これは子供にも伝わって、子供は、大変な先生に当たってしまった。もうこの先生になってしまったから、もう自分はだめだみたいな、こういったことが、要するに先生のせいで自分の学力が上がらない、こういったことにつながっているのですね。それをこの工藤勇一先生は、固定担任制から学年担任制にして、学年団全員が担任だという形にして、その先生の当たり外れをなくすと。そういう仕組みにして、例えば学期が終わったときの先生との懇談はどの先生と話をしたいかということを子供の側が決めてやると。こういう形でやっておられるということで、もう私は本当に目からうろこの、本当に当たり前が当たり前でないのだということがわかりました。
本当にこれはたくさんの方が今、この麹町中学校に視察に来られるのだそうです。そこの中で必ず言われることは、麹町中学校だからできることですね。工藤先生がおられるからできるのですね。あなたは民間出身でしょう。だそうです。さっきも言いましたように、これは普通の公立中学校で、なおかつ教育委員会にもおられた公立の中学校の先生なのですね。これができるということが、私は本当にこんなに校長先生は権限があるのだということを初めて知ったのですけれども、これは鳥取県でもできるのでしょうか。そしてまた、これをやることはどういうふうに教育長は考えられるのかというのを伺います。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)森議員から重ねて、これは麹町中学校、桜丘中学校等の取り組みにつきまして、関連してお尋ねがございました。
本県でもそうした権限、これは市町村とのかかわりの部分もありますので、詳細まで私が把握しているわけではないですが、かなりの部分をやろうと思えばできるのではないかなと思っています。私もこの麹町中学校での取り組みというのは少し前から話題になっていましたので、調べて、これは校長会の挨拶の中とか、それから、新任校長さんの研修の中でも紹介したりして、ぜひもうこういう取り組みをやってみませんかという働きかけもしておるぐらいでございまして、今、働き方改革の真っただ中ということでございます。この際、いろいろこれまで当たり前にやってきたことをいま一度見直してみる、これは学校行事なども含めて、本当にこれはどういう狙いで始めたものなのか、その狙いどおりできているのか、そうしたことも含めて、一つ一つ点検をしていくということが必要かなというふうにも思っていまして、そうしたことについては、引き続き学校現場に対しても働きかけを行ってまいりたいというふうに思っております。
◯副議長(福田俊史君)3番森議員
◯3番(森雅幹君)今話題になっている校長先生は、もう一人おられて、世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦という先生なのですけれども、この人も公立中学校で、今再任用で65歳で、来年で退任されるのですけれども、ここも非常に先進的な取り組みをやっておられて、麹町中学校も校則でいろんなことがあるけれども、身体に危険があるとか、そういったことを本当にこれは指導しなければいけないのかということで。例えば頭髪だとか、髪の色だとか、服装だとか、そういったことについて、頭髪指導で、あるいは服装指導で子供たちを非常に指導をして、そのために子供が学校に来なくなったりとか、あるいは先生に反感を持って、後、授業を聞かなくなったりとか。そういったことに対して、本当は子供は中学校で楽しい生活を送るために来ているのではないのか。そういったことを考えて、桜丘中学校は校則は全廃。それから、この麹町中学校は、頭髪、服装の校則はなしにすると、指導は行わない。これはさっきの働き方改革にも通じるところがあると思うのですよ。本当に子供たちと先生との関係がそんなことが関係なしに、関係がよくなれば、もっともっと子供たちは学校で伸び伸びと勉強ができると思うのですね。いい関係をつくっていく。そのためにも、校則も見直す必要があるのではないのか。松田議員からは高校にもヘルメットをという、そういった意見がありましたけれども、私は反対で、中学校のヘルメットさえも、もうこのヘルメット指導のために先生は非常に大変な思いをしているのですよね。それも、先生の見ている前ではつけるけれども、先生がいないときにはもうヘルメットをかぶっていない。こんな状態を先生はずっとヘルメット指導している。全く無駄なことだと思うのですよ。また、子供たちとの間にも余計ないざこざをつくって、子供は勉強したくない、学校は嫌だというふうに思ってしまう。
そういった余計なことをしないということが私はこの「学校の「当たり前」をやめた。」という本だと思うのですよ。これまでなかなか学校の当たり前というのがもう当たり前過ぎて、一切手がついてこなかったこと、そういったことに私は全部疑問を持って改革をしてこられた、このことにすごい感銘を受けました。ぜひそのことを、校則についてももう一回見直すというような動きをぜひ県内でもやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
もうこれは最後なので、言いたいことを全部言わせていただきますけれども、子供のためということで、学校の先生はもちろんですし、それから、保護者も子供のためだと思っていろんなことをやっています。さっきも教育長からお話がありました。子供の前の障害物を親が全部こうやって取っていく。それから、子供のためだと思って、放課後の帰りに見守りということで、本当に一生懸命やっていただいている方はいいのですけれども、本当にありがたいことなのですけれども、そこを早く帰れ、早く帰れといって、後ろからついて歩く。本当はその帰りにちょっと寄り道をしながら、探検をしながら、いろんなことをやっていくことによってすごい学びがあるのですけれども、そういったことができない。また、朝の信号ですよね、交通指導員さんの方が本当に雨の日も雪の日も毎日努力をしていただいて、子供たちの安全を見守っていただいています。本当にありがたいことです。ただ、そこで、指導員さんたちがいないときにどうやって子供たちが渡っているかというと、走って渡っている子たちを私は見るのですよ。本当は、指導員さんがいるところでも自分がこうやって両方を見て、ただ見るだけではなくて、自分が歩いていく速度で、車が来るまでに渡れるかどうかを判断する力を子供につけていく必要があるのですけれども、それが子供を見守るということで、全部その判断を子供にさせないといったことが子供の力をつけていかないことになっているのではないか。
例えば今コミュニティースクールということになっています。そういったことを、ぜひコミュニティースクールの中で、子供のためとしてやっていることがかえってマイナスになっていることがあるのではないかといったことをぜひ議論をしていただきたいと思うのです。もう一回、子供が本当に自分で成長する力をそいでいる、そういったものがありはしないか。ぜひそういった観点で、いろんな面で見直しをお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
以上で質問を終わります。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)森議員から重ねて子供たちの教育につきまして、校則、そしてまた、安全指導のことを例に挙げてお話がございました。
校則につきましては、実は鳥取県内でもかなりの数が子供たちが実際に校則について生徒会で議論して、それに基づいて、服装のことだとか、頭髪のことだとか、そういうものを規則を変えていっているという例もございます。そうした取り組みが広がっていけばいいなというふうに一つ思っておりますし、また、安全指導などにつきましては、これはやはり理解を求めていくということがどこかの場面で要るのではないかなと思います。
先ほど言われたコミュニティースクールの場面などもその一場面かなというふうに思いますが、どういうふうにどういう子供たちを育てていくかということを学校現場とやはり地域の方々とが同じ意識を持って取り組んでいくということがそもそも必要なのではないかなというふうに思っておりまして、そうしたことをコミュニティースクールなどの制度を活用しながら取り組んでまいりたいというふうに思いますし。さき方も申し上げましたが、働き方改革という大きな流れがある中で、やはり一つ一つ点検をしていって、それが子供たちの主体的な学びに本当につながっているのか、あるいは社会にシームレスに移行していくような力が育っているのかといった視点でもう一度点検をしてみる必要があるのではないかという働きかけを私のほうでも機会を捉えて行っていきたいというふうに思いますが、やはりこれはもう学校現場が主体的にといいますか、自律的にみずから考えていくべきものであろうというふうに思っています。県なり、市町村の教育委員会がやれ、見直せということではないのだろうというふうに思いますので、そうしたことも踏まえて、働きかけを行いたいというふうに思っております。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷直樹議員
◯28番(広谷直樹君)(登壇、拍手)それでは、通告しました2項目について質問いたします。
まず、京都アニメーション放火事件に関連して、漫画、アニメがもたらす効果、影響について伺います。
去る7月18日、京都市伏見区にあるアニメ制作会社、京都アニメーションの制作拠点で発生した放火事件は、死者35人、負傷者34人を出す大惨事となりました。今回の事件は、誰もが目を覆う痛ましい事件であり、特にアニメ業界の関係者、また、多くのアニメファンにとって大きな衝撃を受けたことと思います。改めて犠牲者の方々の御冥福をお祈りしたいと思います。
京都アニメーションは、東映アニメやサンライズといった大手企業と比べると、規模は小さい会社でありますが、アニメファンにおける存在感は全く引けをとらず、制作された作品はどれも圧倒的なクオリティーを持ち、どの作品もコンスタントに高い水準を維持しております。京都アニメーションは、代表作「涼宮ハルヒの憂鬱」を平成18年に発表すると、瞬く間にアニメファンの心をつかみ、一大ブームを築いてきました。それ以降も、青春物、学園物のヒット作を連発し、平成25年には岩美町がロケ参考地となっておりますアニメ「Free!」が発表されました。このアニメ「Free!」は、男子高校生の水泳部員たちの水泳と青春のきずなの物語であり、アニメの中での場面が岩美町の多くの地域がモデルとなり、登場する高校名も岩美高校と似通った岩鳶高校という学校名であります。そのような縁から岩美町では、観光協会、民間企業を中心にして、さまざまなキャンペーンやイベントを開催し、ホームページではグッズなども販売しております。そして、今では岩美町に年間約5万人ものアニメ「Free!」のファンが訪れ、アニメがまちの大きな観光資源にもなっております。
放火事件後、早々に京都アニメーション再建の支援の募金活動が京都市を初め各地で始まり、県内においても、県庁や岩美町内に募金箱が置かれ、また、8月10日からは県がロケ参考地になっております岩美町3カ所にメッセージボードを8月末まで設置いたしました。メッセージボード設置期間中は、全国各地から多くのアニメ「Free!」のファンが岩美町を訪れ、募金に協力し、また、自分の思いをメッセージに残していくなど、改めてアニメが持つ影響力の大きさを感じたところであります。
そこで、まず伺いますが、今回の京都アニメーション放火事件について、平井知事はどのような所見をお持ちでしょうか。
さらに、放火事件後のアニメファンの言動について、どのような所見をお持ちか、あわせてお伺いいたします。
また、県は、漫画やアニメで地域の活性化、地域の差別化を図るということで、平成24年にまんが王国とっとりを建国し、国際まんが博や国際マンガサミット鳥取大会を開催いたしました。ことしは、まんが王国とっとり建国から7年経過しましたが、これまでのまんが王国の取り組みや成果について、どのような評価をしており、さらに、課題や問題点はどうなのか、お伺いいたします。
次に、酪農振興についてお伺いいたします。
我が国の酪農は、農家戸数や飼養頭数の減少など、生産基盤の弱体化により、生乳生産量が減少し、子牛価格も高騰しております。さらに、TPP11協定の発効や日本とEUとのEPA締結など、今後の関税引き下げの影響が懸念され、自由化による輸入農産物が国内市場に、より一層出回るのではないかと危惧をするところであります。
本県における酪農を取り巻く環境も同様でありますが、平成28年度から始まった畜産クラスター事業により大規模農場が稼働していく中で、生乳生産量に関しては、昨年度は増産となりました。県内の畜産クラスター事業の取り組みは、平成30年12月現在、畜種別の実施農家は酪農で6件、肉用牛で7件、酪農肉用牛で1件、自給飼料で1件、合計15件になり、その15件の総事業費が51億4,500万円、そのうち国の交付額は21億2,500万円とのことであります。
そこで、まず伺いますが、15件全ての畜産クラスター事業は、平成30年度末には整備完了の予定になっているようでありますが、事業の進捗状況はどうなのか、また、乳用牛の増頭は順調に進んでいるのか、また、事業を進めていく中で、課題や問題点はないのか、お伺いいたします。
さらに、畜産クラスター事業は、今年度の当初予算説明書では、国の補正予算と連動して対応するため、廃止するものとなっておりますが、聞くところによりますと、規模拡大を考え、見積もりをとるなど、クラスター事業があるうちに整備したい酪農家がほかにもおられるとのことであります。今後も継続してクラスター事業のような国の支援制度が必要であると思いますが、県はどのように承知しておられるのか、また、補正予算で対応するお考えなのか、お伺いいたします。
県内の乳牛の飼養頭数は、平成29年まで減少傾向でありましたが、畜産クラスター事業の取り組みによって県内で一番規模が大きい成牛600頭飼養する民間の牧場が鳥取市内に誕生し、昨年度は大幅に増頭となりました。また、酪農家戸数の推移を見ますと、平成20年に222戸ありましたが、現在では119戸と、10年間でほぼ半減しており、傾向として経営の大型化が徐々に進み、大規模経営と中小規模経営との二極化の傾向があるようであります。規模拡大を進める一方、近年、台風などの自然災害が相次ぐ中、農家が被災し、廃業する事案がありますが、小規模、あるいは家族経営の農業、酪農がしっかりと経営していくことがリスク分散にもなると考えますし、規模拡大一辺倒では、生産基盤の維持は困難であると思います。県としても、中小規模経営、家族経営の酪農家に対してもしっかり支援をしていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、公共育成牧場についてお伺いいたします。
平成30年度に鳥取放牧場に牛舎3棟新築整備され、乳用牛1,040頭の周年預託ができるようになりましたが、今後はさらに県内の酪農経営の規模が拡大し、飼養頭数が増加傾向になり、育成牛の預託希望頭数が増加するものと思います。現在でも預託希望の農家の受け入れに十分な対応ができなくて、北海道の牧場で預託しているとお聞きしましたし、公共育成牧場に預託しても受胎率や発育が余りよくないとお聞きしました。
そこで、預託費用の見直し、あるいは値上げをしてでも飼養管理体制の向上を図るべきであると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、ヘルパー制度についてお伺いいたします。
働き方改革が叫ばれ、いろいろな取り組みがなされておりますが、酪農家、畜産農家においても当然働き方改革をしていかなければ、後継者も確保できませんし、畜産業界も発展していかないと思います。
そこで、酪農ヘルパー制度についてお伺いいたしますが、この制度は、平成4年に年中休日のない酪農家の休日を確保できるようにと始まった制度であります。財源として、国が1億円、県と大山乳業農協が5,000万円ずつの2億円を基金として積み立て、その果実で運営を行っておりましたが、平成25年、基金事業がなくなり、国が1億円を引き揚げ、財源がなくなりました。その後は、県と大山乳業農協が5,000万円ずつ積み立てていた1億円を取り崩して運営を行っております。人材確保が難しい中、現在ヘルパーを給与制として9名在籍し、運営しておりますが、年間の運営費の不足分1,000万円を取り崩しているとのことであります。あと3年余りで残高も底をつき、その後は酪農家からの利用料金を大幅に値上げをしないと運営できないとのことでありますが、ヘルパー制度を維持するためにも、県として何らかの支援策が必要と思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、壇上での質問とさせていただきます。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、京都アニメーションの放火事件について、また、あわせて、まんが王国の取り組みについて御質問をいただいたところでございます。
京都アニメの7月の放火事件は、まことに痛ましいものであり、痛切の念を禁じ得ません。まずもってお亡くなりになられた方、御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、私どももいわば京都アニメに聖地にしていただいた恩義がございます。これからもその復興を応援していかなければならないと思います。
京都アニメーションの放火事件でありますけれども、さまざまな課題があるのだろうと思います。一つには、やはりああいう事務所型の施設でございまして、通常の工場等とはまた違った防火の基準などがあります。今回もその分析を今、国のほうも含めてやっていると思いますけれども、私どものところでも消防局等と協力をして、緊急の点検をしたりして、こうしたような放火事件が起こったような場合、そうしたことへ備えることを始めたところですし、また、ガソリンスタンドさんの協力も得ながら、今回は携行缶でガソリンをまいて火をつけるということをやったわけでありますが、そうしたことについての売却時の厳格な審査といいますか、手続というものを徹底しようと、こんなことも始めているところであります。
今回、京都アニメーションの放火で大変な状況が起きたものでありますから、まず、岩美町の観光協会さん、さらに、私も庁内のまんが王国官房のほうに話をさせていただきまして、県としても募金箱を設置をして、この復興に協力していこうということをさせていただきました。県内各地にございます県の事務所等でも設置をし、最終的には140万円余り、この募金が集まりまして、先方とも相談をさせていただきながら、京都アニメのほうに振り込みをさせていただいているところです。
また、議員のほうのから御指摘がありましたメッセージボードでありますが、お盆に入るときに、お盆休み、お客様もたくさん、「Free!」の関連でもお見えになる季節にもなります。そんなときに、亡くなられた方々、そうした方々へのメッセージ、あるいは京都アニメへのメッセージ、いろいろあると思いますので、そうしたことを出していただきたいということで、簡単なメッセージボードですけれども、これを例えばジオパークの県の施設であるとか、また、実は呼びかけまして、岩美町のほうの観光協会等も同じような対応をしていただきましたけれども、8月いっぱい、こちらのほうでもメッセージを受け付けたところであります。「Free!」に対する感謝の気持ちがあふれるメッセージが多く、「Free!」があったからこそ、岩美と出会うことができたと、こんなようなメッセージもありまして、一つ一つ胸に迫るものがあり、これは先方のほうにお届けを申し上げることといたしているところでございます。
今回の事件でありますけれども、例えば西屋太志さんという方、この方は「Free!」でも作画監督を務められたり、キャラクターデザインをされた方でありまして、今回犠牲になられたところでございます。また、石田奈央美さんという方、この方は色指定などを行う、そうしたベテランの方でいらっしゃいましたが、やはり残念ながら火の中に消えてしまわれたということでございました。そのほかにも、若い社員の方々が多数いらっしゃいまして、今回の事件、非常に「Free!」のお世話になった方々が多く犠牲になったこと、残念でならないところであります。
今、「Free!」の映画が今シーズンも封切られ、公開をされたところであります。「Free!-Road to the World-夢」という、そういう映画でありまして、7月公開なのですけれども、結構劇場のほうも、この京都アニメの事件の後もいろんな思いで映画をごらんになる方々がいらっしゃいましたし、全国で、例えばお隣の岡山県では、9月の末からまた追加上映をされたり、また、京都のほうでは12月、年末のクリスマスシーズンといいますか、そうしたときに、また改めてこの映画を上映するという予定が決まってきているところであります。こんなように、事件をしのびながら、「Free!」に対する追慕の念を皆さんが深く持っておられまして、改めてアニメが多くの方々に与える影響というものの大きさを知ったところであります。
こういうアニメ、あるいは漫画、その私たちは中心とも言っていいところ、まんが王国を形成をしてきたところでございます。もとはといえば、水木しげる先生、あるいは青山剛昌先生、また谷口ジロー先生、そうした巨匠たちがいらっしゃいますし、今回の「Free!」であるとか、そのほかにもいろんなゲームのキャラクター等も含めて、あちこちが私どもの舞台になってきました。例えば米子のほうの繁華街、これを題材にした漫画なども人気になりましたし、さらに、「四十七大戦」という47都道府県を鳥取県の鳥取さんというゆる神が制覇をしていくという、そういう物語なども大変に人気でありまして、いろんな話題に事欠かないところだろうと思います。
やはりそうしたことを生かして、多くの方々に鳥取をアピールし、特に観光だとか、あるいは子供たちの夢、将来へのさまざまなチャレンジ、その夢を描いていただく、こんなことも含めて、まんが王国とっとりということを進めたところでございました。
その成果として、一つには、平成24年に国際まんが博が開催をされ、あわせて、マンガサミットが行われまして、アジア各地の漫画家の名立たる皆さんが米子に集結をしました。そのときには谷口ジローさんもお見えになったところでございます。観光の面の影響力というのは非常に大きなものがあったと思います。
水木しげるロードは、昨シーズン約300万人ぐらいでありましたが、私が就任したころはまだ100万人に行っていないというときでございました。いろいろと話題づくりをしたり、こういう漫画関連のイベントや、あるいは情報発信をし、さらには鉄道には列車を走らせたり、そういうことが実ってきたのだと思います。また、青山剛昌ふるさと館も開館2年目のときは8万人でありましたが、今は16万人の入場者を数えるところでございまして、特に最近は外国人のお客様も目立ってきています。これが単なる物を見て終わるということでなくて、地域への経済効果をもたらそうと、水木しげるロードでは、商店街が全てシャッター街が解消されて、土産物や食べ物屋さんなどに生まれ変わりまして、全国の商店街の模範と言われるほどになっています。
また、青山剛昌先生のほうでも、こちらも米花商店街という商店街、これは地元の商工会が中心になりましてつくられました。こちらも、昨年は9万人が訪れて、1億円を超える売り上げということになりました。ことしも既に7万人のお客様が来ていまして、非常に順調にお客様を伸ばしているところでございます。
こういうことをさらに盛り上げる意味で、例えば水木先生のところでは、夜のライトアップ事業をやったり、また、アニメの放送が始まりまして、自治体としては珍しい取り組みではありますが、そういうものもスポンサーをさせていただいたりして、またそこで漫画を見ている子供たちに、ねこ娘がいる鳥取へ行ってみようと、大山に行ってみようと、こういうように思わせるような、そういうようなCMを流したりということなどをしています。
また、コナンのほうでも、とりぎん文化会館で先般、夏休み中には、コナンまつりをやりましたけれども、会場いっぱいの人が、有料入場化したにもかかわらず、お集まりになられまして、その後、県内各地を渡り歩かれて、経済効果もあったのではないかなと思います。「Free!」も大変な人気でありまして、ことしも映画の公開がなされて、順調だったわけでありますけれども、例えばレンタサイクルが非常に目立つわけであります。岩美町では年間4,000台の御利用があるというところまで来ておりまして、「Free!」のパンフレット、格好いいキャラクターを記載した、見どころがついた、そういうパンフレットを片手に、自転車で回られる、そういう女性たちの姿が本当に目立つようになってきたところであります。谷口ジロー先生は、残念ながら他界されたところでありますが、私どもでもしのぶ会をしたり、その後も顕彰活動をしているところであります。今月、10月1日からこの鳥取市内で原画展を今やっているところであります。こんなような形で、さまざまに私どものほうでも展開を図っているところであります。
これは産業だとか、ほかへも波及させようという中で、例えばそうしたコンテンツ産業の誘致事業をしたところ、グッドスマイルカンパニーというフィギュアの制作会社が鳥取のほうに誘致を受けて開業をされていますし、そのほかにもそうした同じような会社が来たり、あるいは、中部のほうで明倫小学校、これを改装しまして、新しいフィギュアミュージアムができたり、いろいろと展開も各地で行われているところであります。
次に、畜産につきまして、何点かお尋ねがございました。
クラスターや乳用牛の増頭はどうか、また、中小規模の酪農家も支援していくべきではないだろうか、さらに、鳥取放牧場での預託体制、それから、ヘルパーの継続、支援ということ、そういうようなお話があったところでございます。
先般、アメリカとの2国間の協議がまとりました。ちょうどこの議会が開かれている真っ最中でありました。その後、私どもも大山乳業さんだとかに状況を聞かさせていただいています。大山乳業さんのほうでは、いっときはつくっていたのですけれども、今はチーズはつくっていないので、チーズの点は余り影響がないだろうと。それから、そのほか、脱脂粉乳等、いろいろと心配もあるけれども、大きな影響は今回はないかなというふうな見込みをおっしゃっています。ただ、大乳さんもそうですし、そこに納められている乳牛のほうの農家さんのお話では、やはり肉牛が、肉にした場合にこれがうまくさばけるかどうか、安いアメリカ産の牛肉が入ってくると、こちらのほうに影響がないかというようなことを心配されたりしているところであります。したがいまして、私どもとしても、しっかりと国に対して
フォローアップをするように求めていく必要があると思いますし、内容についても明らかにしてもらうように働きかけもしていかなければなりません。
実はこうしたTPPや日米、日欧、これを見据えて最近、政府の対策として畜産クラスター事業、これが展開をされていたところでございます。本県におきまして酪農関係では14のところで行われております。これが今年度、一応完了を見るということになりますが、全部で1,300頭ぐらいの増頭に結びつくということになります。例えば大山のほうのブッシュクローバーズさん、これは今年度完了するということになると思いますが、これも非常に意欲的で500頭ぐらいの増頭規模になります。また、鳥取市のほうのみんなの牧場、これは非常に先進的な搾乳機械なども入れたりして、一つのモデルとして、これも動き始めているところでありまして、こういうようなことができてきますと、1,300頭ぐらいふえるということになるわけであります。
また、中小の農家さんの対策も必要ではないだろうかと、こういうことでありますが、そういう中小の農家さんなどの御意見も入れて、生乳の緊急拡大事業ということをやっておりまして、導入支援を行っているところであります。こうしたものを活用してなされる、そういう農家さんもいらっしゃいまして、昨年度も合計で417頭増頭ということになりました。こんなようなことをいろいろと今展開しているのとあわせて、県版のクラスター事業、中小農家さん向けということでありますが、そうした事業も展開をしているところであります。例えば南部町の西谷拓実さんは、搾乳のところに育成牛舎を移動させて、それで71頭という形で増頭を図ると、こういうようなプランを立てられまして、これを県版のクラスター事業で応援をさせていただいています。これをやりますと非常に能率がよくなりますので、育成牛舎と搾乳とが近接しますから、いろいろとそういう意味で仕事もやりやすくなるし、増頭によって収入もふえると、こんなような形で喜ばれているところでございまして、こんなような中小向けの事業ということも展開をしています。
こんなようなことを入れて、実は昨年度5万6,000トンに生乳生産がようやっと回復基調になったところであります。これが今回、さっきのクラスターで1,340頭とかというような、こういう増頭が入ってきますと、私どもとしては、これは県のほうの目標にしていた6万トン回復、これがもう視野に入ったと言っていい状況になってきたところでございます。ただ、国のほうのクラスター事業はこれからどうなるかということもあり、まだ需要はあると思われますし、まだ計画が固まっているわけではないけれども、興味を持って動いておられる方もいらっしゃるところでもありますので、政府のほうにTPP、あるいは日米等の対策をしっかりやるようにという一環で、クラスターについても働きかけもしてまいりたいと思いますし、中小農家の支援制度もいろいろと充実も含めて、関係者と話し合ってまいりたいと思います。
そういう中で、鳥取放牧場の飼養管理、預託についてのお話がございました。
これは畜産振興協会さんのほうで運営をしていただいているわけでありますけれども、この預託を受けることで、経営効率も農家さんのほうでも上がりますし、また、受胎ということもございまして、非常に重要な役割を果たしているところです。先ほど申しましたように、どんどん増頭をやってきていまして、生産力も拡大しようという中で、昨年度1,040頭、牛舎を追加させていただき、預託を受ける体制の強化を図らさせていただいたところでございます。
議員のほうから受胎率のお話がございましたけれども、これが確かに、私も数字を見ましたけれども、人工授精で55%から51.5%とか、若干落ちているということでございます。お聞きをしますと、いろいろと牛がふえてきたりする中で、人手不足なものですから、やはりもう少し管理システムを充実する必要があるかなという声がありました。そこで、例えば牛群管理システム、こういうものを導入していく必要があるのかなと。今そんな話し合いをしておりまして、支援を考えたいと思います。それは、要は大切なのは、こういう受胎ということになると、発情期をきちんとこれは的確に把握しなければいけないですね。それをICTを活用してシステマチックに、どの牛が発情しているかということを管理をする、それから、牛の健康状態などもバイタルデータを集積をする、こんなようなシステムがございまして、いわばスマートフォンで牛群を管理しようというものでございます。こんなようなことも入れて考えていくことになるのかなと思います。なお、これは畜産振興協会のほうでは、最近預託料を値上げをしたばかりで、今々値上げをするというのは、若干消極に考えておられますが、今後よく体制整備も図りながら適切に運営をしていただきたいと思っております。
ヘルパーについては、議員がおっしゃるように、もうそろそろ約束の年限も終わりかけている関係もあり、基金のほうも今先も見えてきたところでございます。これは酪農ヘルパーの組合さんのほうで運営してもらっているのですが、9名、今ヘルパーのほうが働いているということであります。このヘルパーさんがいらっしゃるので、いわばレスパイト事業みたいなものでありますけれども、ちょっと休みをとるということも、あるいは急にけがをしたとか、そういうときにこのヘルパーさんのほうで補っていただいて、酪農というのはもう朝から早くからで、もう毎日、もう限りなく働いていくということになりますけれども、そういうののオフをつくることができるものでありまして、今そうした酪農に挑戦しようという若い人たちを導入していく意味でも重要なものであります。また、あわせて、この酪農ヘルパーで働いておられる方というのは、実は次の営農先への揺りかごになっているわけですね。この酪農ヘルパーでいろいろ実地にいわば研修にもなるわけでありまして、例えば琴浦の川本さんだとか、そういう方々はもうテークオフして、酪農ヘルパーから営農のほうへと向かわれています。ですから、そういうような副次的な意味もありますので、これはぜひ継続していただくのがいいのではないかなというふうに思います。
確かに基金の問題というのは、これは今、令和5年度までの運営費助成という約束になっているのですけれども、そういうことで、いずれ終わるということにはなりますけれども、そのほかのさまざまな事業も含めて、体制整備をして、持続可能な形でこのヘルパー事業を続けられるように、大山乳業さんだとか、関係者と話し合ってみたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)答弁どうもありがとうございました。酪農のほうに関してはかなり前向きな答弁いただいたのかなというふうに、本当に感謝申し上げたいと思いますが。
続けて、質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初の、漫画、アニメの関係については、壇上で質問したように、京都アニメーションが制作したアニメ「Free!」という関係で、私の地元の岩美町が平成25年、6年ごろからですかね、アニメの「Free!」のファンが結構岩美町に訪れ出して、それで、近年は、先ほど申し上げましたように、年間5万人前後の方が来られているということで、そういう中で放火事件があって、特にことしの6月、7月には、昨年の倍に近いほどのファンの方が訪れております。それで、先ほど知事の答弁にもあったように、メッセージボードにいろいろそれぞれの思いを書いて帰られるということなのですけれども、私もメッセージボードを見させていただきました。附箋をボードに張りつけて、ボードがもうすぐいっぱいになるということですけれども、そういう中で、何点か紹介させていただきますと、京アニさん頑張ってくださいとか、いつも勇気と元気をもらった、一生「Free!」が大好きです、私の人生を最高のものにしてくれてありがとうという、こういうメッセージがありますし、また、岩美町に対しましては、岩美というすてきな場所を教えてくれてありがとう、岩美の美しさを教えてもらったとか、岩美町を毎年訪れますという、本当に岩美町の者にとっては大変うれしいメッセージが多く見受けられました。
そういうことで、このアニメの影響力というのは、本当に私の年代ではちょっと考えられないほど大変大きな影響があるなというふうな思いをしております。そういう中で、また、各地から京都アニメを支援する寄附金もこのたび海外からも含めて、23億円を超えたとのことであります。国会では超党派でつくっておりますMANGA議員連盟も支援策を議論したということで、今回の寄附金は、災害義援金と同様に、税制面で優遇されるとのことでありますし、本当にアニメの影響力の大きさを感じたところであります。
そこで、まず伺いますけれども、県のまんが王国官房の予算を見ますと、平成29年度に新規事業として、まんが・アニメツーリズム推進事業の中で、一般社団法人アニメツーリズム協会との連携事業に415万円、そして、翌年の平成30年度には15万円の予算が組まれております。そういう中で、一般社団法人アニメツーリズム協会とどのような連携事業が取り組まれてきて、そして、この協会との連携による効果はどうであったのでしょうか、お伺いしたいと思います。
さらに、今全国でアニメや漫画の舞台になった聖地が続々と誕生し、その数は今や全国で1,000を優に超えていると言われております。漫画やアニメは、日本国内のみならず、海外においても若い世代を中心に人気を集めておりまして、アニメツーリズム協会が全世界からの投票に基づいて、訪れてみたい日本のアニメ聖地88の2018年版と2019版を発表しております。その聖地88の中には、本県からは倉吉市の「ひなビタ♪」と境港の水木しげるロード、それから、北栄町の青山剛昌ふるさと館の3カ所が選ばれておりますけれども、残念ながら岩美町のアニメ「Free!」は選定されておりません。岩美町の場合は、施設はありませんので、そういう関係で選ばれていないのかなと思ったりしておりますけれども、今回の投票は、全世界75の国と地域からの3万票もの投票がなされており、そのうち、海外からの投票率が75%にもなるとのことであります。国内はもとより、海外からの注目度が上がっております。
そのためにも、国内や海外からの日本に訪れるアニメファンに向けて、国内でどこに行けばその有名作品の舞台に出会えるのかという聖地巡礼のルートや観光ルートを情報発信することは大変重要なことであると思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
さらに、今後県のまんが王国の事業ですけれども、どのように展開していくお考えなのか、お伺いしたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議から重ねてアニメにつきましてお話をいただきました。
アニメツーリズム協会でありますけれども、これは、各地が加盟をしながらということでありますが、実際は角川さんが裏で事務局をされておられまして、その発足の当初から私どものほうにもいろいろとお声がけをいただいたり、コラボというお話をいただいております。これまで29年、30年ということでありますが、例えばそのアニメツーリズムの雑誌等で、最初のころに私どもは掲載していただいたり、それから、香港のほうでブックフェアという結構大きなそういうアニメファンなども集まるところがありますが、そういうときにこの聖地として、私どもを取り上げていただいたり、AKB絡みでのそういうメディア発信などもございました。協会と連携をしながら、こうした事業を展開をしておりました。
今年度は、12月1日に北九州でこの聖地のそういう首長サミットというのをやろうと。そのアニメツーリズムの首長サミットに私も招待されまして、行ってまいりますが、そちらのほうでまた宣伝もさせていただいたり、PRの時間等もとっていただいております。これは実は絡んでいるのは、マンガサミットが絡んでいます。私どものところで、米子でマンガサミットを平成24年にやりましたが、ことし、令和元年は日本で、北九州でこのマンガサミットをやることになりまして、その時期前後して、マンガサミットも開催をされております。里中満智子先生とか、ちばてつや先生とか、私どものサミットで中心になってやってくださった方々などがお見えになっておられますので、私どももあのころ来た中国や香港や、そうした漫画家の皆様とも再び出会う機会として、サミットのほうにも私どもも出かけていこうというふうに考えているところであります。
これ以外にもいろいろと巡礼として回れるところがあるではないかということでございます。先ほどの「ひなビタ♪」でございますが、これは、私どものところに最初に角川さんが、協会のほうが認定証を持ってきたところでありまして、全国で一番早かったと思います。これは、震災復興の応援ということで、わざと倉吉のほうに福興祭の日に持ってきてくださいました。
こんなような形で、いろいろとアピールをしていくわけでございますが、鳥取県のほうでは、まんが王国のマップをつくりまして、これで岩美町も含めた各地の漫画スポットを紹介をしておりますが、これは結構はけるといいますか、出ていくものでございます。また、コース設定と絡んでなのですけれども、このたび、「四十七大戦」という、そういう劇がございます。これはもともとネットの漫画が単行本になっているものなのですが、非常にファンが根強く、若い女性を中心にしてございます。2.5次元という、そういう劇をやろうと。これが東京の新宿であり、それから、その後、来月、鳥取でも、生涯学習センターのほうでその上演があるということであります。東京の新宿のほうだとか、特にこちらに来られたときに、いろいろとそうした県内を回っていただこうと。漫画の中に出てくるのが松葉ガニとか、それから、とうふちくわとか、それから大山や、あるいは砂丘や、そういうものがいろいろ出てくるのです。我々としては、非常にありがたい漫画で、時々、そういう何かカニとかが必殺わざになるわけですね。
そういう意味で、私どもとしては非常にありがたい漫画なのですが、そういうのをまたファンの人たちは知っているわけでありまして、トリピーなども、トリピー先輩というキャラクターになって、そのものなのですけれども、それもまた人気があるわけです。そうしたものをマップにしまして、県内を巡礼していただこうと。これは県内の観光地をくまなくあちこちを回ることになりますので、そういうものの配布を実はテスト的にし始めたのですね。そしたら、ネットのほうで結構取り上げられまして、彼女たちの言葉で言うと、布教と言うそうなのですけれども、布教用にこれを配るのだと、こういうことでみんなにお知らせをしようと、結構盛り上がっている状況がございます。こんなようなことに加えまして、まんが王国とっとりのドライブマップなどもこしらえておりまして、ぜひ県内各地を回っていただけるようにこれからも取り組んでまいりたい思います。
幸い、コナンの列車なども好評でございますし、こうした漫画コンテンツで海外のお客様を誘引するには十分な力もあることがわかってきました。そういう意味で、多様な発信の仕方、国内外でできると思いますが、観光プロモーションの中で生かしてまいりたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)どうもありがとうございました。ぜひ漫画、アニメに関してもいろいろ情報発信をしていただいて、観光面、あるいは経済効果が高まるようにぜひお願いをしたいと思います。
続いて、酪農振興について何点かお伺いしたいと思いますけれども、先ほどの答弁で、中小規模の酪農家の支援についても、県版のクラスター事業というような話もありますし、育成牧場についても、前向きな答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
それで、鳥取県の酪農の状況は御案内のとおりですけれども、以前にも話したと思いますが、県内全ての酪農家で組織しております酪農専門農協、大山乳業ですね、全国でもまれな1県1工場1生産者の団体の体制でずっと行っておるわけなのですけれども、昨年、週刊誌に、大山乳業の牛乳が日本一老けない牛乳という格好で記事として評判になりました。それは、県内の乳牛の
牛群検定をほぼ100%実施し、これは全国1位だということですし、登録も100%、それで、健康的に飼養管理している状態の中から、生産された牛乳は新鮮で日本一の牛乳であるという、大変評判が高まった、よかった記事でありました。
大山乳業に聞きますと、販売も8%ふえたというようなこともありましたけれども、そういうことで、鳥取県の酪農にとっては大変勇気づけられた記事ではなかったかなと思います。その中で、先ほどの公共育成牧場に関連して質問させていただきます。畜産振興協会が運営をしている牧場でありますけれども、今6カ月齢以上の育成牛を預託して、人工授精、受精卵移殖をして、受胎させ、分娩前には各酪農家に返している、そういうシステムになっておりますけれども、若齢預託ができないかということなのです。離乳後から預けられる若齢預託を希望する農家もあるということの中で、この若齢預託ができるようになれば、後継牛の育成から手が離れ、搾乳作業、あるいは外作業に専念ができて、酪農の飼育にも大変有効であるということで、今後の酪農戸数の減少の緩和にもなるし、経営規模拡大にも効果があると思います。ぜひこの若齢預託ができるような経営牧場、育成牧場にならないのかと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
それから、もう1点、ゲノム育種価の検査のことなのですけれども、さきの6月議会でも機器の今後の活用について伺いましたけれども、その際の答弁では、種雄牛造成に大変効果を発揮してくれるのではないか、現在検査の検体数は年間800件ぐらいであるが、検査機器の導入によって8,000件検査が可能になるとの答弁がありました。そこで、乳牛においてもゲノムの解析をすることで、将来的な生産形質、あるいは健康形質が精度よく予測ができて、ゲノム解析の信頼性も高くなっているということであります。
そこで、今回導入した機器は、和牛のゲノムの検査、判定、種雄牛の造成だけに活用するのではなく、乳牛のゲノム育種価の判定にも活用すべきではないかと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
その乳牛のゲノム検査についてですが、現在、国内では事業団でも、この乳牛のゲノムの検査ができるとのことでありますが、重要なことは照合できるデータの蓄積がどれだけあるかということであり、事業団の蓄積データでは、蓄積量が少ないので、信頼度が低くて、データの蓄積が多い海外、アメリカで検査を依頼しているということであります。そういう中で、大山乳業は、先ほど
牛群検定や登録のことも言いましたけれども、このゲノム検査を全ての乳牛に実施することができれば、鳥取県の酪農振興においても、他県にない、一つの大きな特色になるというふうに思っております。
今県内の乳牛が大体7,000頭ほどおる中で、年間雌牛が1,800頭ぐらい生まれるということであります。そうなれば、4年あれば、全て新しい乳牛に更新できるという中で、ゲノムの検査、乳牛のゲノム検査の検査費用の支援ができないかと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)若齢牛の預託のこと、それから、ゲノム検査につきましてお尋ねをいただきました。
若齢牛のことについては、詳細は部長のほうからお話を申し上げたいと思いますが、離乳して大体6カ月ぐらいの間の育て方が非常に重要でありまして、このときにしっかりと育てないと、後での牛乳の生産に限りが出たり、また、健康が害されたりということになってくるというのが乳牛の世界であります。このときが一番負担感があるので、そこを何とか、若い酪農家もいらっしゃるので、支援できないかと、こういう声があることは承知しておりますが、関係者とよく調整しなければいけないこともあると思います。詳細は部長のほうからお答えを申し上げたいと思います。
ゲノム検査につきましては、これが非常に私どもの和牛の世界では大きな力を発揮して、最近注目される和牛生産県に鳥取県がなってきたところでありますが、乳牛も同じように、当然ながら、掛け合わせの中で生まれてきますし、例えば生乳の生産量とか、そうしたことも遺伝形質等々も重要な要素になりますから、ゲノム解析というのはさまざまな面で活用できるところであります。ただ、私どもが今和牛でやっているようなところは、頭数の関係でいきますと、比較的母数は、我々が持っているものが大事なものですから、その持っている母数の中で、いろいろと検査をすることに意味があるのですけれども、乳牛のほうは、結構外からも牛がどんどん入ってきまして、そういう中で、世界的に実は共通のものをつくっていますから、和牛だったらアメリカでつくっているということはないですし、オーストラリアも昔持ち込んだ和牛が和牛という名前でいるというようなことでありまして、世界的なものではないわけですね。我々はホルスタインをやっているわけでありますけれども、そのホルスタインの世界で私どもで分析をしても、結局母数が小さいものですから、余り重要な結果には結びつかない。
そこで、今全共を目指して、大山乳業さんのほうでアメリカのそうした分析を活用しようと。それを今県のほうでも支援して始めているところであります。このアメリカのほうの研究のほうだと280万頭というレベルでのゲノムの母数になりますから、圧倒的に向こうのほうが有用性が高いところでありまして、私どもで独自にゲノム検査でこつこつとやるよりは、即効性があるし、効果も高いと思われますので、私はそちらを活用するということでいいのかなというふうに思います。
そして、今、議員がおっしゃるように、県内のそうした乳牛の解析を進めるというときに、そうした関連もあって、そうした研究機関のほうに委託をしようということは十分にうなずける話だと思います。これも大山乳業さんとかと調整させていただいて、支援をさせていただきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)西尾農林水産部長
◯農林水産部長(西尾博之君)若齢預託について補足の答弁をさせていただきます。
離乳後から6カ月齢までの若齢牛を、最も手がかかる時期、人間でいえば赤ちゃんになりますので、最も手がかかると、病気にもかかりやすいしということで非常にデリケートな時期、その時期、信頼できるところに預けることができれば、手間もかからないし、むしろ増頭に動けると、増頭も考えたいというお考えを持つ農家の方の声があることは承知しております。ただ、もう一方では、農作物で例えれば、これは苗の時期に相当します。そういう大事な苗を他人に任せられるかというお声があるやにも聞いております。
行うとするのであれば、現在預託事業を行っております畜産振興協会が運営します公共育成牧場内に牛舎を建設して運営していくというのが、一つそういう形になるのかなというふうに思っております。ただ、最も安価な今ある牛舎の改築、改装という形をとっても相当な事業費になることが想定されますし、今現在の預託の中でも、人員不足が課題になっているということでございます。衛生面で、あるいは病気の面で、獣医師も含めた人員の確保ということも課題になるかなというふうにも思いますので、畜産振興協会さん、それから大山乳業農協さん、何よりも生産者の方の詳細なニーズを把握した上で向かっていきたいと、検討していきたいというふうに思います。その過程の中では、例えば熊本県のJA菊池さんがやっておられるようなキャトルブリーディングステーションという、他県でやっておられる先行事例も調査しながら進んでまいりたいというふうに思います。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)どうも答弁ありがとうございました。若齢預託の件も早速には実施は難しいと思いますけれども、ぜひ関係者の方々と検討していただいて、前向きなほうにしていただきたいと思いますし、ゲノム検査、知事の答弁にありましたように、やはりアメリカなり、西洋のほうがゲノムの蓄積データというのは多いと思いますので、やはりどうしても海外で検査依頼ということになると思いますけれども、検査費用は1万2,000円ぐらいかかるということで、それの3分の2ぐらいは農家負担でやっておるということも聞きました。ぜひ県としても、そういう支援も検討していただきたいなというふうに思っております。
それでは、最後にお尋ねしますけれども、ホルスタインの共進会についてであります。
来年、第15回の全日本ホルスタイン共進会が10月ですけれども、宮崎県を中心にして九州、沖縄8県が共同で開催されます。酪農の祭典と言われて、全国から多くの酪農家や酪農関係者が集まり、技術の研さんや親睦交流の場として、多くの効果を上げております。本県も今後酪農家から出品牛の希望の申し出を受けて、最終的には来年の県の共進会で出品牛を決定するとのことであります。一昨年の平成29年の和牛の全共では、本県の出品牛は立派な成績をおさめましたけれども、ぜひ、来年の第15回のホルスタインの共進会においても、よい結果が得られるよう願うものであります。
そこで、県としても、来年のホルスタイン共進会への対応、支援策について、どのようにお考えなのか、お聞きして、質問とさせていただきます。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて広谷県議のほうから牛についてのお話がございました。
第15回のホルスタイン共進会でありますが、このたびは宮崎で開催されることになります。前の北海道大会、私も出陣式に行きまして、非常に若い方々が意気盛んに出かけていったのですが、残念ながら優等賞に手が届かなかったということでありまして、その反省も生かし、総括もしながら、今回戦略も練って、今度こそ優等賞をとろうと、今皆さんが張り切っているところでございます。県もそうした動きをこれまでも支援をしてきたところであります。
具体的には、どういうふうに牛を調整していくかとか、そういう今技術、検査なども進む中で、海外から受精卵を14卵導入をしまして、そこから今7頭の候補牛を得ているところであります。さらに、この候補牛を使って、採卵をして、それが子牛の部の第1部、第2部のほうで出品する、そういう牛になると、こんなように、いわば牛のエリートを育てようというようなことを今やっているところでございまして、いよいよ今月から経産牛の第1次選抜、25頭が始まるということになり、もう宮崎全共が見えてきているということかなと思います。ぜひ効果が出るように、我々としてもこれからも協力を惜しまずに進めてまいりたいと思います。
若い方々が夢を描いて、これからいい牛を育てようという、そういうチャレンジをするには、一つの大きな大きな舞台でありまして、地域として応援してまいりたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)暫時休憩いたします。
午後3時25分より再開いたします。
午後3時15分休憩
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午後3時25分再開
◯議長(藤縄喜和君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
24番内田博長議員
◯24番(内田博長君)(登壇、拍手)9月定例会、いよいよ最終日になりまして、最後の質問になりました。執行部の皆さん、大変お疲れでございましたが、15分ほど辛抱していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
昨年の6月定例会に続きまして、所有者不明土地の対応と相続放棄について伺いたいと思います。前回の答弁で、知事は、フランス、またドイツの例を挙げられて、知見のある答弁をしていただきましたが、日本の場合は、まだまだ厳しい状況が続いておるようでございますので、それについて、いろんな面で知事にお願いもしなければならない状況でございます。
令和の時代を迎えましたが、現在中山間地域では、人口減少と高齢化が急速に進んでおります。平成の初めには、バブル景気に沸いていたことなど、遠い昔のこととなりましたが、その当時、土地などの不動産の投機的取引抑制などを掲げて、平成元年に制定された土地基本法も、今や森林などを中心として、所有すら望まれず、適切な管理もされず、相続しても登記されない問題が続出している状況でございます。このような現状の中において、農地法と農業経営基盤強化促進法、また、昨年成立いたしました森林経営管理法で当面の事業継続は可能となりますが、実際には事業化を推進するにはまだまだハードルが高いと考えられます。
農地利用集積計画では、農地中間管理機構を通じて、20年以内の利用権設定がなされております。そして、森林においても、市町村が登記簿、住民票等で不明な森林所有者等を探索した後、なお、所有者が不明な場合には、その旨と定めようとする森林管理権集積計画を公告し、公告期間中に森林所有者があらわれなければ、市町村長が知事に裁定を申請し、これが認められて初めて、不明な森林所有者も同意したものとみなされて、計画を定めることができるなど、複雑な制度設計であります。所有者不明財産とはいえ、個人の権利の尊重も必要とは思いますが、農地や森林は国土保全や地域防災上重要な財産であり、放置された農地や森林については、厳しい処置が必要と私は思っております。
本年6月に所有者不明土地等の対策推進のため、関係閣僚会議が開催され、成立した法律の円滑な施行を図るとともに、土地所有に関する基本制度や民事基本法制の抜本的な見直し等の重要課題について、来年までに必要な制度改正を実現することなど、期限を区切って、以下、7項目について着実に対策を進めていくとする基本方針が定められたところでございます。新しい制度の円滑な施行、土地所有に関する基本制度の見直し、地籍調査の円滑化と迅速化、民事基本法制・民法・不動産登記法の抜本的な見直し、多様な土地所有者の情報を円滑に把握する仕組み、所有者不明土地の円滑な利活用、土地収用の活用及び運用、関連分野の専門家等の連携、協力となっております。
特に民事基本法制の抜本的見直しの項目では、相続登記の申請を土地所有者に義務づけることや、申請者の負担軽減を効果的に図ることなどにより、不動産登記情報の更新を図る方策、遺産分割の期間制限を設ける方策、土地所有権の放置を可能とする方策など、所有者不明土地の発生を予防するための仕組みを検討するとしているほか、関連分野の専門家等との連携、協力の項目については、今後の所有不明土地等問題への対応及び検討に当たっては、関連分野の専門家等と地方公共団体、地域コミュニティー等と関係行政機関との連携体制を構築しつつ、これらの意見等を十分に踏まえながら行おうとしております。
現在、国においては、国土審議会、法制審議会で制度改正に向けた検討が進められておりますが、これらの問題の解決を一番必要としているのは、基礎自治体である市町村であります。市町村の意見が十分反映された法改正の内容となることを望むとともに、発信力のある平井知事から声を上げてもらって、知事会等で支援をいただきたいと思うところでございますが、知事の御意見を伺いたいと思います。
次に、財産の相続放棄について伺います。
近年、私の身近でも現実に起こっておることでございまして、宅地、農地、林地等の不動産の相続放棄の事例が発生してまいりました。その原因には、何代にもわたって土地等の所有権の登記がなされていない状況があると思われますが、国においては、平成30年度の税制改正により、租税特別措置法で部分的に相続登記の登録免許税の免税措置の制度は確立されているにもかかわらず、これらの制度が広く周知されていないのも現実であります。相続放棄された土地等においては、国有財産となりますが、これらの売却先や使途等によっては、地域コミュニティーの混乱を招く可能性が考えられますが、知事のお考えを伺い、壇上からの質問といたします。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)内田博長県議の質問にお答えを申し上げたいと思います。
この所有者不明土地につきましては、これまでも御審議、いろんな御意見をいただいたところでありまして、ぜひその抜本的な解決をしてくださいと、国のほうにはたび重ねてこれまでも要望してきているところでございます。ことしに入りまして、相次いで国のほうでは国土交通審議会、また、法制審議会、国土交通省と法務省におきまして、抜本的な改革に向けた議論が始まったところでございます。ここに至る手前のところで、議員のほうからも御指摘ございましたけれども、森、林地について、それについて管理権というものを設定すると、そういうような手続で所有権がわからないようなときに、それを公示をすることを経てやっていくという仕組みができているところでございますし、また、農地におきましても、中間的管理法人のほうで同様の手続があったり、さらには、林道敷についても同じような手続が設定をされて、最終的には知事の認証などを経て、そうした利用権を設定することが可能な仕組みというのはできてきています。これは、公共事業などに当たっての所有者不明土地でも同じように公示をした上で、当面の利用権というのを設定して、使用に供するということが先ごろ認められたところでもございますが、いずれにいたしましても、非常に難しい問題であります。
我が日本国憲法でも、憲法29条におきまして、まず、所有権、財産権はこれを侵すべからずと、侵してはならないと書いてあります。また、財産権の内容については、公共の福祉にかなうように法律で定めるとは書いてございます。また、これは保証なくしてそれは使えないという、保証というのもこれも3項のほうに書いてあるところでございまして、これが我が国の法制の基本になっているところであります。いわば所有権は絶対であると。絶対的な所有権であって、そこの所有権に基づいて、それを収益を上げたり、管理を行ったり、そういうことは所有者のほうに基本的な権限があるという法制がとられているところであります。仮に中国みたいなところであれば、土地はみんな国家のものですから、それはもう国がここに道路をつくるよといったら好き放題つくるために、もうここはたまたまあなたが住んでいても立ち退いてくださいねと、あれは法的権限を持ってやっているわけであります。とても我が法制とは違うところでありまして、私どもは結局所有者まで何とか糸を手繰って、何とか見つけ出して、それで、では、ちょっとここに林道をつくりたいのですけれどもということで交渉をするのが基本であって、検索をかけて、一生懸命探して見つからなかったと、その手続をしっかりやらないと、先ほど議員のほうからもおっしゃったような管理権を得るということもあり得なくなると。だから、大変に手続の手間がかかるというようなことであります。
これにさまざまな要因が加わっていまして、登記制度の問題もございますし、相続等でかなり分散して、不在地主が多数発生をするというようなこともあるわけでございます。
そこで、当面のいろんな対策はとられたところでありますけれども、抜本的な今見直しを図ろうというようなことになってきたところです。国土交通審議会のほうでは、そういう土地について、利用できるような、そういう考え方をさらに一層整理をしたり、あるいは地籍調査、これを促進しようというようなことを今審議会のほうで議論をされていると伺っております。それから、法制審議会、これは法務省のほうですね、こちらのほうでは、そういう所有権のあり方に切り込んでいったり、それから、登記制度のところ、ここを見直そうというところに動いているところでございます。登記も、今アイデアベースで、これからどうなるかわかりませんが、亡くなられたという情報があったら、それが登記のほうにも何らかの形で連動していくような形がとれないかとか、そうしたことも含めて議論をされたり、また、そうした所有権のあり方等についても抜本的な見直しができないのかなと。
こういう中で、今、ことしいっぱい、国土交通審議会のほうでは概要の案をまとめて、来年、これを国会のほうへ出していくというスケジュールで動いていますし、さらに、法務省のほうでは、ことし中に中間報告をまずやって、できれば来年、どこかの国会に出していこうと、こういうことを今やっているところでありまして、私どもとしては、その状況をよくフォローをしてまいりたいというふうに思います。
そういう中、相続について、租税特別措置法の措置がとられたところでございます。これは、今、議員のほうでも若干御説明がございましたけれども、中間省略するやり方を念頭に置いてというやり方かなと思いますが、普通、所有権が移転しますと、それに伴って登記がなされるのですが、売買の取引の場合、一回一回、これは登録免許税がかかったりしますので、これはもう転々とした場合には、真ん中にいた人を省略して、中間省略で登記をすると。そういうような実務というのは、実はなされているところであります。ただ、相続については、誰から誰へ相続した、さらに、その人からここへ相続したということがないと、これがつながらないということで、登記のほうが受理されないのですね。これは、本当は飛ばして、中間省略でやればいいのかもしれませんけれども、これは一つ一つやっていきますと、ここに一回一回登録免許税がかかってくる。この間に入ったところの登録免許税は、これは免除しましょうというような時限措置での租税特別措置法が動き始めたところであります。さらに、10万円以下の小さなものについても、そうした免税措置というのがとられるということになりました。こういうことなどで、登記をきちんとやってもらって、それで、相続ということを進めてもらって、要は登記もなくて誰が所有権者かということがわからなくなってしまうような形、それを何とか回避しようというようなことの措置がなされているところであります。
そういうようなことがこれから抜本的な改正と相まって、実効性が出てくればいいのですけれども、しっかりとそのことを求めていかなければなりません。また、議員がおっしゃっておられるような相続放棄のようなケース、こういうものも、本来は管理人を置いていろんな経費を差し引いて、なければ国のほうにというような、そういう制度もあるのですけれども、今民事法の改正案、抜本改正案の中で、相続放棄のやり方、あるいは所有権放棄のやり方というものをもう少し踏み込んで大胆に変えられないかなということをどうもやっているわけであります。
そういうようなところで、所有権を放棄した、その物件の行き先をどこにするか、今まで無主物、誰のものかわからないとなると、これは国家のほうに行くというのが原則だったわけでありますが、そこに自治体というものを対象として入れるかどうかというのも議論の俎上に上がっているということであります。これは、今県内の自治体にちょっと考え方をざっとでありますけれども、聞いてみますと、結構都市部の自治体は、自治体が受けてもいいですけれどもというところもあります。ただ、町村はこぞって反対をしているわけですね。なぜかというと、都市部は割と土地があって、それを次に何か使おうというのは、自治体として考え得るのですけれども、町村部のようなところで中山間になりますと、あそこの山のここの土地とかというのが一つ一つ役場の管理に持っていかれるとかなわないというわけですね。都市部であれば、割と有用性のある土地かもしれませんけれども、面倒くさいからもらいたくないと言っている土地を何で役場で受けないといけないのだ、こういうようなことなわけでございまして、この辺のギャップがやはり都市部と中山間とではあるのかなと思います。
今国のほうでは、そういう所有権放棄をするような、メルクマールをいろいろ考えようかというのも今審議会の中で議論されているようであります。いずれにしましても、まだ、ちょっと結論が出ていない話でありまして、今段階では、本県からしっかりと今、自治体に無用な混乱を招かないようにという趣旨でおっしゃったものですから、いろんなケースがあるのかもしれません。そういう地方のほうにもよく実情をよく聞いて、取りまとめを行ってほしいとか、また、執行段階で、自治体に無用な混乱が起きないような、そういう制度にしてもらいたいというようなことも従来からある所有権不明土地の明確化の要望とあわせて、今後はつけ加えて要望してまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)24番内田議員
◯24番(内田博長君)いろいろと答弁ありがとうございました。
現実問題として、今、知事が言われましたように、市町村が、では、相続放棄した土地、国有地を持ってきて、管理せよと言ったって、なかなか無理だろうとは思うのですが、実を言いますと、逆に農地が一番厄介なので、今逆に農地のほうは集積してコストダウンさせようという場合に、そういう農地がぽこんと真ん中に入っていると、集積どころの話ではなくなるのですよね。そういうことを考えたときに、過去に赤線、青線を基礎自治体におろしましたよね。ああいうスタイルが一番いいのではないかというように私は思うのですよね。そういう流れをつくっておいて、移転先として、そういうものをうまく上手に制度化していくようなことを考えてもらわないと、ちょっとこれは厄介な問題になるなというふうに、今、知事が言われたとおりなのです。だから、そこをうまく調整ができる制度というものをつくってほしいなというぐあいに思っております。
何にしても、戦後できて70年、現実と合わない法制度というのが結構今出てきたと思うのです。それをやはり具体的に今の情勢に合うものに近づくような制度改正にしていただきたいということを知事から要望していただいたということで、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
◯議長(藤縄喜和君)これをもって県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。
これより議案を付託いたします。
まず、議案第13号「平成30年度鳥取県営企業決算の認定について」及び第14号「平成30年度鳥取県営病院事業決算の認定について」は、決算審査特別委員会に付託することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認めます。
よって、議案第13号及び第14号の2議案は、決算審査特別委員会に付託することに決定いたしました。
次に、議案第1号から第12号まで及び第15号は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
また、議長において受理いたしました請願、陳情は、既に配付している文書表のとおりであります。これも、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後3時48分散会
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