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  1. 鳥取県議会 2018-11-01
    平成30年11月定例会(第4号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(稲田寿久君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第1号から第37号までを一括して議題といたします。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  20番藤井一博議員 ◯20番(藤井一博君)(登壇、拍手)おはようございます。  まず、成年後見制度に対する対応について伺います。  成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人たちの権利擁護の観点から、平成12年に民法が改正されて新しくできた制度です。家庭裁判所、弁護士、司法書士、公証人役場など主として司法関係者により運用されてきました。しかし、最高裁の統計によると、全国でも年間3万5,000人程度の利用で横ばい状態が続いており、制度が活用されることは少なかったようです。  そこで、法曹関係者、学会等の強い要請から、平成28年4月、成年後見制度の利用の促進に係る法律が成立し、施行されることになりました。この利用促進法の第3条では、基本理念として制度の利用の促進は成年被後見人等がそうでない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、尊厳にふさわしい生活が保障されること、意思決定の支援が適切に行われること及び自発的意思が尊重されること、あわせて財産管理のみならず身上の保護が適切に行われることとされ、身上監護・保護が強調されております。  そして成年後見制度の利用の促進は、家庭裁判所厚生労働省等関係行政機関地方公共団体民間団体等の相互協力及び適切な役割分担のもと、この制度を利用する者の権利、利益を適切かつ確実に保護するために必要な体制を整備することについて強く訴えられております。  そして、成年後見制度の利用及び促進のために、地方公共団体である都道府県や市町村が役割を果たすことの必要性が明記されました。  具体的には、利用促進法の5条に地方公共団体の責務として基本理念にのっとり成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りながら地域特性に応じた施策を策定し実施する責務を有するとされました。  平成29年3月、国では同法を受けて成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定いたしました。この中で、重要施策の一つとして成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援が上げられております。同じ時期、この閣議決定を受けて内閣府大臣官房の担当室長から都道府県知事に対し「成年後見制度利用促進基本計画の策定について」の通知が発出されました。内容は、同法の規定により、市町村では国の基本計画を勘案して成年後見制度利用促進に関する施策について基本的な計画を定めるように努めるものとされ、また制度の基本的事項を調査するなどのため審議会など制度実施機関の設立等に係る支援及びその他必要な措置を講ずるよう努めるものとされております。  都道府県では、市町村が講じる必要な措置を推進するため広域的な見地から成年後見人等になる人材育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものされております。  まず、動き始めた成年後見制度の一連の流れの中、今後一層の高齢化が進むことが想定される本県においてこの制度の効果的な活用が必要となっていくものと考えますが、特に県の果たす役割について知事はどのようなお考えを持たれているのか伺います。  あわせて、県の成年後見制度推進体制はどのようになっているのか、知事に伺います。  また、県内の市町村の体制とその計画や活動がどのようになっているのか。そして、県では市町村に対してどのような助言等が行われているのかお尋ねいたします。  次に、県内における成年被後見人の数や後見人の数あるいは専門職別後見人の人数等の実態調査をされたのか。あわせて、その実態はどのようになっているのか知事に伺います。  国の計画の中でも、権利擁護支援の必要な人の発見・支援、早期段階からの相談・対応体制の整備、意思決定支援・身上保護を重視した制度の運用に資する支援体制の構築を目的として、権利擁護支援地域連携ネットワークの構築の必要性が示されております。私の知る限りでは、中部地区に事務局である中部成年後見支援センターミットレーベンを中心として鳥取家庭裁判所をオブザーバーに県、市町行政、市町社協、高齢者・障害者相談支援機関後見候補者等団体により鳥取県中部地区高齢者・障がい者等権利擁護支援ネットワークが組織されております。東部、西部でも同様の組織があって活動されているのか、あるいは新たな構築が必要なのか、知事にお伺いいたします。
     次に、県の成年後見制度推進業務に対する財源はどのようになっているのか伺います。  県では、既に関係団体などに補助金等を支出されておりますが、財源となるべき地方交付税については市町村に対して措置がされているにもかかわらず、都道府県に対しては措置されていないとお話を聞きました。制度に係る補助金支出を含めて、成年後見人となる人材の育成、関係団体との連携、市町村に対する支援などその事務量は相当あると思いますが、これに対する財政措置の現状はどうなっているのか伺います。  あわせて、国に対して交付税や補助金等財政措置を要望されているのか伺います。  次に、山陰本線の一層の活用と利便性の向上について伺います。  まず、特急スーパーはくとの区間の延伸について伺います。  特急スーパーはくとについては、その運行開始から今日まで米子駅までの延伸や倉吉-米子間の途中駅までの延伸など、多くの働きかけが県に対しても行われてきました。この議会でも、特急列車を運行している智頭急行株式会社経営問題等を含めて、本数の増加や延伸について何回か取り上げられてきました。  平成27年度にも中部広域、正確には中部地区行政振興協議会でありますが、琴浦町から特急スーパーはくとを米子駅に延伸し、赤碕駅を停車駅にすることについて関係機関に働きかけるよう要望が出されました。その理由は、山陰本線利用における移動時間の短縮及び利便性の向上により地域経済の活性化が図れるという内容でありました。これに対して、県からは要望実現のためには利用者が確保されることが必要であるとされ、地元自治体や経済団体が連携して誘客策や需要喚起の取り組みを着実に行い、粘り強く要請していくことが重要であり、県も支援していくという回答がありました。  このような状況のもと、琴浦町は利用者確保に向けて尽力をしながら、山陰本線を走る他の特急列車の赤碕駅等、倉吉駅と米子駅間の停車についての要請など活動をされてきました。  このような動きの中、去る10月8日付日本海新聞の声の欄に、琴浦町の住民の方からスーパーはくとの区間延伸を望む趣旨の投書がありました。内容は、山陰本線の電化複線化山陰新幹線構想国家的事業であり、実現までには相当の歳月と予算が必要であるため、まずは身近な利便性の向上を進めるべきであると訴えられたものでありました。私は、これは琴浦町のみならず北栄町、大山町の住民の皆さんの現在の強い要望であると理解いたしました。  昨年12月には、JR線・智頭線中部地区利用促進協議会会長中部地区行政振興協議会会長石田倉吉市長西日本旅客鉄道株式会社梅谷米子支社長に対して「より利便性の高い運行の実現等について」との要望もされております。このような強い要望にあわせて、今日スーパーはくとを取り巻く環境や諸条件が大きく変化しつつあることも着目すべきであります。  まず、高齢化の進展に伴い旅行好きな高齢者の方もふえてきましたが、京都を初め大阪、神戸など関西圏に行かれる方は高速道路網が整備されたにもかかわらず、自家用車よりも鉄道を利用される傾向が多くなったようであります。バス利用という方法もありますが、高齢者の方にお聞きするとトイレが近くなってバスでは不安だというお話でありました。  また、平井知事を初め市長さんや町長さんの御尽力により中部圏域にも誘致企業がふえてきておりまして、その中には関西圏に本社や取引業者などがある企業も多く見られております。企業数について琴浦町に尋ねたところ、平成28年の経済センサスで町内に722の事業者があるということでありました。これら企業のビジネスマンの方も、運転に神経を使う車よりも眠っていても移動できる特急列車を利用されることが多いようであります。  さらには、近年来日される外国人旅行客がふえておりますが、特に関西圏では右肩上がり外国人旅行客数がふえております。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを機に、さらに増加していくことでしょう。これら外国人旅行客に対して鳥取県や山陰線沿線のすばらしさを宣伝していくとともに、コナンの里や船上山を経由して大山等に誘致していく方策を講じる必要があると思います。  また、JR西日本の経営に、特急スーパーはくとがどのような影響を与えているのかはわかりませんけれども、智頭急行株式会社の経営状況について見ますと、第三セクター鉄道では全国的にもトップクラスと聞いておりまして、2017年3月期でも経常利益4億円余、純利益2億7,000万円となっており、順調に成果が上げられております。このような状況を支えているのも、私たち県民であります。  これまで申し上げたような状況を勘案していただき、特急スーパーはくとの赤碕駅もしくは由良駅までの延伸について検討され、再度関係機関と交渉されてはと思いますが、知事のお考えを伺います。  次に、本県の原子力行政について伺います。  本県の原子力行政については、昭和30年の小鴨鉱山でウラン鉱床が発見され、人形峠でウラン鉱が発見されたことに始まると理解しております。その後、探鉱や採掘技術の確立、採鉱は昭和62年まで続きましたが、大きな動きはなかったのでウラン残土は30年近く東郷町方面地区ほか数カ所に野積みされ続けてきました。しかし、借地契約期限等から昭和63年にウラン残土問題が表面化いたしました。県、地元東郷町などのバックアップを受け、方面地区では当事者の核燃料サイクル開発機構、現在は国立研究開発法人日本原子力開発機構に対してウラン残土の処理、つまり残土を撤去するよう協議をいたしました。ところが、岡山県側では鳥取県で要らないものは岡山県でも要らないという趣旨の発言を当時の岡山県知事がされたことにより、岡山県への持ち込みが難しくなりました。  そこで、県、地元で協議した結果、最終的に有効に解決する方法は訴訟しかないということになり、地元の住民が原告となって動燃に対して訴訟を起こすことになりました。訴訟の内容は、ウラン残土の撤去でありました。訴訟は地裁、高裁、最高裁まで争われ、平成16年10月、地元の勝訴が確定いたしました。しかしその後も放置が続けられたため、裁判所により間接強制という制裁金が課せられました。最終的には、これらウラン残土をレンガ加工して県外で処分することで決着がつきました。当時の本県原子力行政の大きな課題として本議会でも何度も議論されたことでありまして、皆様の御記憶にも色濃いものと思います。  さて、ことしの8月17日の報道で、機構は人形峠環境技術センターでウラン、これは粉末で汚染された低レベル放射性廃棄物ですが、これの埋設を考えているということが出ていました。これを受けて知事は機構のほうに説明を強く求められ、9月21日には機構に対して照会されました。照会の内容は、計画されているウランと環境研究プラットフォーム構想による研究開発で行うウラン廃棄物埋設実証試験等は最終処分ではないものとすること、また外部から放射性廃棄物を持ち込まないことでありました。これに対して、機構側からは、9月27日付でウラン廃棄物の処理・処分に係る研究はウラン廃棄物工学研究の一環として実施計画をしているもので、ウラン廃棄物の最終処分を行うものではないとの回答がありました。あわせて、この研究に使用するウラン廃棄物はこのセンターから発生したもののみで、他所から持ち込むことはないと知事の申し入れに従った内容でありました。この約束についてどのように検証し約束を担保されようとしているのか、知事に伺います。  また、知事の照会の中で岡山県側と同様に鳥取県と三朝町と機構の間で環境保全を目的とする協定の締結について要求がありました。さきの機構の回答の中で協定について協議するとの約束がありましたが、現状はどのようになっているのか知事にお伺いいたします。  次に、島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定についてです。  本県安全協定については、平成23年12月、鳥取県知事、米子市長及び境港市長と中国電力社長の間で締結されました。一方、島根県側の島根原子力発電所周辺地域住民安全確保等に関する協定は平成13年10月に締結されたものを廃止し、平成18年2月に島根県知事、松江市長と中国電力社長との間で締結されております。この協定に係る議論についてはこの議場においても何度か取り上げられてきましたが、確認の意味で両協定を比較してみます。  まず、本県安全協定6条の計画等の報告についてです。ここでは、発電所の増設に伴う土地の利用計画、冷却水の取排水計画及び建設計画、原子炉施設の重要な変更、原子炉の廃止に伴う廃止措置及び同計画の重要な変更に対して、中国電力では本県に対する報告をして相互に意見を述べることができるにとどまっております。これに対して島根県の場合は、計画等に対する事前了解として同じ項目に対して事前に島根県の了解を得るものとされております。  次に、本県安全協定の11条、現地確認、発電所周辺の安全を確保するため必要があると認める場合は報告を求め、職員に現地確認させることができるとされていますが、島根県の協定では県などは前記の必要性が認められた場合には報告を求めるとともに、特別職、一般職の職員に立入調査をさせることができるとされております。また、周辺地域住民の健康等に著しい影響を及ぼす状況などによっては、周辺住民の代表者を同行することができるとされています。そして、島根県協定では立入調査の結果、周辺地域住民の安全確保のため特別な措置を講ずる必要があると認める場合は、適切な措置を講ずるよう求めることができるとされております。本県安全協定相互意見交換とはレベル的といいますか、その意味する重さに大きな乖離があります。  平成24年11月、本県の一部の区域、境港市と米子市が緊急時防護措置準備区域、いわゆるUPZに位置づけられたことを機に、知事と両市長が中国電力社長等に対して安全協定改定の申し入れをされました。この申し入れに対する回答が平成25年3月にありました。内容は、安全協定立地県並みの協定改定については今後も誠意を持って継続すること、現在締結している協定も目的は立地自治体と同じものであり、運用面で立地県と同様の対応を行っていくというものでした。これを読むと、誠実に対応するというより何か言いくるめられているような気がいたします。  それ以降、もう数回にわたり改定の交渉は続けられていますが、全く話は進んでいません。このように、本県安全協定の矛盾と改定への申し入れを知事は幾度となくさまざまなところで発言されたり要請されたりしていますが、いま一度鳥取県民からの意見、要請ということでどのように進められるのか、知事の意見お伺いして壇上での質問といたします。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、成年後見制度につきまして何点かお尋ねがございました。この成年後見制度の活用についていかがか、県が果たす役割や県の推進体制、また市町村のあり方、さらにはこの後見人の数、被後見人の数などの実態につきましてお尋ねがございました。  後見人の数等の実情につきましては、これはささえあい福祉局長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、成年後見人制度は今、例えば介護を要するお年寄りでいらっしゃいますとか、あるいは特に認知症等で困っておられる方々、さらには障害者等々いろんな方々の活用が見込まれるわけでございます。もともと民法の中で、何の契約を結ぶか、それについて判断する能力があるか。そういうことなどをもとにしまして、こうした後見人とか保佐人等々の制度がもともと設けられてきました。したがいまして、法定後見人として親権の行使者、親が子供の権利保護のためにかわって契約を結ぶことができる、そうした制度がずっとあったわけであります。  しかし、だんだんと高齢化が進んでまいりまして、こういう高齢者のさまざまな課題等を考えますと、この後見制度というのをもっと活用すべきではないだろうか。特にそうした高齢者の社会生活、これを保障する意味でこれを適正に活用しようということになってきたわけであります。それで平成28年に成年後見人制度の促進を図ろうという法律が成立をするわけでございます。  ただ、鳥取県の場合は、その以前からこれについて大分活発な議論を議場でも提起をしていただきました。私どもも基本的には市町村がそれぞれの住民のいわば市民生活、町民生活の保障のために行うべきものでありますし、広域団体が一人一人の権利保護までなかなかタッチできないというそういう行政上の役割分担もございますので、市町村が本来拠点としてやるべきものではないかということを考えながらも、広域的にそれをやはり補おうということを我々はやってまいりました。と申しますのも、それぞれの市町村役場の人の数だとか、それから特にこれは法律の専門家でございますとか、またお医者さんのいろんなお話を交えるとか、そうした実情を踏まえて一人一人の要は処方箋を書かなければなりません。ただ、それが役場の窓口の方で全部できるかというのはなかなか難しいところがあります。  それで鳥取県は一つの便法といいますか、こういう議場などで話し合った結果といたしまして、広域的に市町村のやるべきことを県もしっかりとそこに入り込んでサポートしながら進めていこうというふうに方針をつくらさせていただいておりました。したがいまして、そういうような形で県が東部、中部、西部にもと議員がおっしゃいましたけれども、ミットレーベンのお話がございましたがそういう組織をつくりまして、そこに専門家の方に入っていただく。ここに委託をするような形で、それをファイナンス面でも支えていく。もちろんこれは市町村の業務でございますので市町村にもかかわっていただく。こういうある意味他県にはないような折衷的なやり方を私どもは進めてまいりました。したがいまして、平成28年度にこの法律はでき上がったわけでありますけれども、その前に実は国の法律が予定するようなことは先駆けて進めていたというふうに御理解いただいたほうがわかりやすいのかもしれません。  そういうところで、県のほうでの責務としては先ほど成年後見制度の利用の促進に関する法律の5条のお話がございましたが、24条で例えば人材育成だとか市町村のサポート役だとかそういうことが定められていまして、そうしたことを私どももその東部、中部、西部の組織を通じながら展開をさせていただいております。また、こうした制度の普及なども重要でございますので、これも市町村とタイアップをしながら成年後見制度の普及を進めようというふうにさせていただいております。  市町村に対しましては、我々もその助言等を行うような立場でもありますし、市町村はみずから計画もつくって、この成年後見制度の運用をするということが国のほうの法律でも定められております。今現在そういう計画をつくってというところには来ていないという状況はありますけれども、ただ恐らくうちは先回りして先にその組織もつくり、成年後見の必要があったときそこに行って専門家ときちんと話を聞きながら後見人をセットしていただくということを始めてきておりましたので、余りそこの切迫感がなかったのかもしれません。  ただ、これは市町村もやはりみずからの役割を果たしていただくことも大切であります。議員の御指摘もございましたので改めて市町村におけるさらなる体制整備を我々も助言してまいりたいというふうに思います。  なお、こういうようにいろいろ後見制度を進めてきた関係で、全国と比較をしますと市町村長さんが公益の立場で後見を申し立てることができるわけですね。例えばいろんなケースがございますけれども、道端で草を食べているお年寄りがいた。そういうことで、これはほっておけないということでそうした成年後見等々に向かっていくとかこういういろんなケースがございますけれども、そういうケースケースに応じて御家族がなさったり、みずから後見の申し立てができるのですけれども、また検察官も民法時代からできるわけでありますが、この市町村長の権限行使については全国平均よりも県内の市町村長さんの申し立ては比率としては高くなっています。ですから、市町村もやはりこうした本県の状況を見ながら動いておられるということは言えるのではないかと思っております。  さらに、財源の措置のこととかその東部、中部、西部の組織のことにつきましてお尋ねがありました。  これは中部ではミットレーベンがございますし、それに先駆けて西部のほうで「うえるかむ」という組織ができております。また、東部のほうでもここからほど近いところ、県庁のすぐ近くにアドサポセンターというのがございます。いずれも生い立ちとしては人権擁護のそういう組織が中心となりまして、成年後見制度の委託を受ける実行部隊として動いておられるところでありまして、中心は弁護士さんとかそうした専門家の方々でございます。したがいまして、議員のほうでも御懸念があるような市町村の役場でこれの取り扱いどうしたらいいだろうかと困るような問題は、むしろこのアドサポセンターミットレーベンや「うえるかむ」という組織に専門家がいらっしゃいますので、こちらのほうに御相談いただければ解決に向かうということだとなっております。ぜひこういう組織を活用していただきたいと思います。  その財源ですが、市町村は市町村の責務でございますので地方財政法上の措置などもありますが、県のほうはそれがないところでございます。ですから、どこの都道府県でも同じようなことで県がかかわっているかというと、そういう実情にないのだろうと思います。ただ、本県の場合は一つの便法といたしまして、介護とか障害者施策だとかそういうところでの国の助成制度を財源的には活用させていただいております。もちろん県の持ち出しもあるわけでありますけれども、ぎりぎり言えばもっと財源措置をしてくれということになろうかと思いますが、こうした運用が今は一応一通り動いておりますけれども、支障なくいけるように今後も財源措置につきましては政府のほうに引き続き要望もさせていただく必要があるかなと考えております。  次に、鉄道につきましてお尋ねがございました。  これにつきましては、詳細は地域振興部長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、結論から申し上げれば赤碕、由良といったところの特急の停車とかさらにスーパーはくとの延伸、これを赤碕、由良、実は我々は米子までという御意見も過去にここの議場でもありまして、この辺もJRのほうに繰り返し要請活動もさせていただいているところであります。  ただ、残念ながら今までの経過から申し上げますと、JRのほうで了解したという承諾は得られていないわけであります。ただ、いろいろと諸情勢が変わってきていると思います。例えばフリーパスを使って旅をされる外国人がコナン駅、由良駅のほうに乗降されるというケースも見られるようになってきまして、結構周遊をされておられます。以前とはまた事情は違うのではないかなというふうにも思われるところもございますので、今後も粘り強く要望もさせていただきたいと思います。  次に、原子力行政につきまして何点かお尋ねがございました。  一つは、人形峠のウラン廃棄物の処理、処分についてでございます。これにつきましては、議員も御指摘がございましたけれども、8月8日ごろにかなり各社のほうから報道がございまして、人形峠のところでウラン廃棄物について最終処分をする方針だみたいなことが出たわけであります。私どもとしては直ちにその趣旨を問いただすことにさせていただき、私自身も記者会見等でもこれはどういうことだろうかということを申し上げまして、最終処分地にするということは受け入れがたいものがあるということであるとか、それからこれについてきちんとした説明が必要だと。よそから持ち込むものもあるのかということを申し上げました。  実は、以前から最終処分地を探そうという全国的な政府の調査も進められているところでございまして、鳥取県もそうではないかというふうに言われていることも住民の間からお声も聞こえてきたわけであります。最近の調査研究の中間的な発表からしますと、鳥取県はさまざまな問題で余りそれに適していない、ほとんど適していない地域だというような中間レポートが出されていましたわけでありますけれども、以前からもこの人形峠はどうなのかなというようなこともございまして、私どもとしても確かめる必要があったわけでございます。これは当初、日本原子力研究開発機構さんのほうでは正直明快な返答がなかったのです。これについては研究調査だとかいうことでありまして、なかなか最終処分ということを考えているわけではないという言質は出てこなかったわけでありますが、私どもでそこを強く申し入れさせていただきましたところ、9月27日に文書で回答が寄せられまして、他所から持ち込むことはない、それから最終処分場とするものでもないと。  また、今後長くそこで後始末の事業は続くわけであります。もともと人形峠はウラン鉱があったということでありまして、ウラン鉱が露出していたというようなことで、日本で唯一精錬だとかそうした作業等もなされていたところでございますので、それの最終的な後始末をいずれしていかなければいけないわけであります。これが結構時間がかかるはずであります。今後同じようなことでいろいろと問題提起がなされるということもあり得なくもないものでありますから、岡山県側と結んでおられるような協定ということも私どもとも結ぶ必要がある。このことを申し上げましたが、この協定につきましても協議させていただきたいとこういう回答が寄せられました。  現状はどうかというお話でございますが、これにつきましては現在折衝中でありますけれども、真摯に向こう側も協議に応じてもらっているというところであります。  今後どうなるか、それから検証はどうなのかということでありますが、この協定が結ばれればこれに基づいての調査をしたり、それからまた意見を述べたり、こういうことが契約上の地位として保障されるということになります。この契約上の地位を得るためには協定という契約行為が必要でございまして、今は何の地位もございませんので、私どもはせいぜい何かこちらに害悪が及んだときの不法行為の申し立てとか、あるいは人格権に基づくその妨害排除等々の請求をするぐらいで、なかなかその法的な手段がないわけですね。ですからその協定を結ぶことができればそれで検証を行ったり、今後の担保措置をとることが非常にやりやすくなるというふうに考えておりまして、協定を結ぶことが重要だと思っております。  実はそういうふうに考えるのも、議員が今総括をされました東郷におけますウラン残土問題でありました。あれも正式な契約ではないのですが覚書が残されていまして、持って出るという覚書があったのですね。その書き方は非常に概括的でありました。ですから当時の訴訟の中では、日本原子力研究開発機構側は、それは概括的なものであって、いわゆるその債務を負うものではない。自然債務というような趣旨のものではないかと、こういうような主張をされていたわけでありますけれども、結局そのことが債務であると。向こうは持って出るという債務を負っているという最終認定に至りまして、これがその排除の決め手になったわけであります。  ですから契約上の地位、何らかの債権債務関係というものを確立しておくことが重要でありまして、今、協定を結べば同じような問題が起これば私どもでその条項をもとに訴え出て、その債務を履行させるということが可能になります。ですからそういう意味でこの協定に私どもはこだわりたいということでございました。  今折衝しておりまして、具体的な協定内容をこれから最終的にはまとめていく段階に入ってきています。考え方としては、これはすぐれて三朝町の問題でございますので、三朝町の考え方、三朝町も我々と一緒に協定締結の申し入れに参加されましたので、三朝町が了とされるような内容で我々も了とするのかなというふうに考えているところでありまして、鋭意折衝を進めておるところでございます。  最後に原子力安全協定、この島根原発のことにつきましてお尋ねがございました。  これにつきましても、改定を申し入れているところでございます。これももともと何も協定上の地位がなかったときに、平成23年、あの福島原発の事故の年、最後の大みそかぎりぎりだったのですけれどもクリスマスごろに協定締結に至り、これが全国には割とショッキングだったのですが、周辺地域で初めての協定となりました。こういう協定を結んだことで、今では例えば環境対策であるとかそれから立ち入っての我々の視察であるとか、それから折に触れて向こう側が適合性審査を原子力規制委員会に求めるときに私どものほうに事前に了解を求めてくるということになりまして、ごらんいただいているとおりこれまでの経過は島根県側の立地と同じように扱っていただいているというふうに考えられます。  ただ、文言上議員が御指摘なさいましたように差がございまして、私どもとしてはその差を詰めていきたいということでずっと運動も展開してきているところであります。ただ、もちろん協定は結ばれましたので以前とは格段の差ができておりますし、あと我々も立地と同じよう扱うということは覚書をとっていますので、実情は一緒ですよと向こうも言っているという状態ではあります。ただ、最終的な文言もきちんと我々も要求していきたいと考えております。  つい最近のことでいえば、2号機の申請のあり方や、あるいは3号機の申請につきまして規制委員会のほうで特に3号機でこれでは受けられないというような話が出たりして、私どももきちんと申し入れを改めてさせていただいたときにこの協定の問題も申し上げているところでございます。先方にもその趣旨はよく伝わっていると思います。3号機あるいは2号機の審査が進む過程の中で、向こうも答えを出さなければ私どもが最終的に了とするかどうかというのは留保しておりますので、その辺の重みは従来とは違って伝わっているのではないかと思います。これもちょっと契約でございますので、相手方と交渉して妥結をしない限りは前に進まないところでございまして、今後も粘り強く折衝に当たってまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)宮本ささえあい福祉局長 ◯ささえあい福祉局長(宮本則明君)成年被後見人の数などについてお答えをいたします。  成年後見人の人数などにかかわる実態は後見人を選任する鳥取家庭裁判所が把握しており、県においてはその原簿ですとか帳簿ですとか、そういった書類を持ち合わせておるものではございません。したがいまして、適宜家裁へ人数などについて照会して、各市町村や県内3圏域のセンターなどへ情報提供を行うこととしております。  まず、被後見人の数ですけれども、これは10月1日現在の数字で頂戴しておりますが、成年後見に係る利用者数は1,117人、被保佐人が310人、被補助人が126人、また契約に基づく任意後見制度というものがありまして、これは本人の数ですけれども13人おられまして、合計で1,566人の方が利用しておられると把握しております。  また、議員御指摘の成年後見制度利用促進法が平成28年に施行されたことを受けまして、平成30年度から鳥取家庭裁判所が県内東・中・西部の各圏域において県、市町村、市町村社協また関係機関と意見交換を開催することとされまして、東部地区ではこの7月9日に開催されて、各市町村の参考となるデータ提供を始められたところでございます。また、中部や西部につきましても今年度中に開催される予定とお聞きしております。  そこで、後見人の数ですとかその職業別の内訳についてもこのたび照会をいたしましたが、家庭裁判所では手作業で集計されておられるということで、相当の日数を要するという返事をいただいております。したがいまして、今回入手できておりません。ただ、先ほど申し上げたような中部、西部の地区での会合も今後あることでありますので、市町村が必要とするような各種データの入手に努めてまいる所存でございます。 ◯議長(稲田寿久君)高橋地域振興部長地域振興部長(高橋紀子君)スーパーはくとの延伸について、補足の答弁をさせていただきます。  スーパーはくとの延伸につきましては、知事からお話がありましたとおり当方のほうでJRに対して繰り返し要望させていただいているところでございます。スーパーはくとが山陰線を通る部分につきましては、JRのほうが収益を得て智頭急行のほうに車両使用料を払うということでJRのほうが判断することとなっております。JRのほうの回答としましては、鳥取-倉吉間の運行について利用が少なく、1列車当たりの乗車人員が1両分に満たず、5両編成の輸送力は過剰である。鉄道は大量輸送機関であり、利用が見込めない中、採算が合わない延伸という対応は難しいということで御回答をいただいております。  先ほど知事のほうからもございましたが、地元自治体関係機関が連携した県中部方面への誘客策や特急列車の需要喚起の取り組みをさらに強化しまして、JRに対しても粘り強く要望してまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員 ◯20番(藤井一博君)御答弁いただきました。順次追及の質問させていただきます。  成年後見制度に関連してですけれども、県において成年後見人の業務に関連して複雑な案件、例えば契約の締結とか不動産の取引とかについて高い専門性のある知識、経験を有し、また制度運営に重要な役割を果たす市町村等に対して助言等の支援を行い、さらには弁護士や司法書士など法律の専門家以外の社会福祉士やその他の成年後見人等に対する法律等の相談窓口などを行う人材を抱えた組織が今後県には必要になってくると思いますけれども、その点について知事の御所見を伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井議員から、重ねてお尋ねがございました。  そういうような法律とか、あるいは健康関係等々いろんなことを含めた専門家の知見も必要でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたが、アドサポセンターと言われる東部の、あるいはミットレーベンと言われる中部の、また「うえるかむ」という西部のこういう組織を活用していただくように我々も制度設計をさせていただいております。  例えばどういうことがあるかというと、東部のほうでもあるお年寄りの方がいらっしゃいまして、さまざまな金銭面での難しい課題を抱えておられる。そういうときに、市役所でずっと抱えていてもなかなかわからないものですから、それをアドサポセンターのほうに御相談していただいて、アドサポセンターのほうでそれを今度は受任して、その案件をそちらのほうで処理をされるということも現実にはございます。中部でも琴浦のほうである女性が相続だとかいろんな課題にかかわるわけでありますが、そうした複雑な状況の中で後見制度というものを活用しようというときに、ミットレーベンのほうで受けていただく。そこには弁護士さんだとかそういう法律に明るい方等々いらっしゃいますので、そこで相談に当たっていただくということになろうかと思います。  今、そういう意味で東・中・西の一応ネットワークはできておりますが、これが万全かどうかということは当然あろうかと思いますので、御質問もございましたのでまた東・中・西のその組織のほうにもいろいろと状況もお伺いをさせていただき、必要に応じて人員配置等々支援すべき内容があるかなども点検をさせていただきたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員 ◯20番(藤井一博君)続きましてスーパーはくとについてですけれども、知事もおっしゃいました外国人旅行客がふえているという状況の変化も踏まえて、引き続きJRのほうに訴えていくということでありました。ぜひそのようにお願いいたします。  山陰本線に関連して追及質問いたします。  JRの特急スーパーおきとスーパーまつかぜについて、倉吉-米子間の駅に停車することについて伺います。  スーパーまつかぜは鳥取-米子間、鳥取-益田間、スーパーおきは鳥取、米子と新山口間で運行されております。観光資源の豊富な山陰を旅行する旅行客にとっては、大変利便性の高い列車だと思います。最近、外国人観光客がふえたと言われるお隣島根県の出雲や松江はもとより、境港、米子などから鳥取方面に向かう観光客の皆様にこれらの特急列車を利用して赤碕駅または由良駅でおりてコナンの里や周辺の観光地に立ち寄っていただき、夜は中部の4温泉に宿泊していただくような観光戦略も必要であると思っております。  また、地域住民の利便性を考えても倉吉-米子間は距離が長いので、赤碕駅もしくは由良駅に特急列車が停車することは必要だと思いますけれども、知事のお考えを伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から、重ねて鉄道の活用につきましてお尋ねがございました。  今、議員もおっしゃいましたように、大分インバウンドの観光客が入ってきております。インバウンドの観光客はある程度レンタカーを活用されますけれども、例えば関空におりてこちらのほうに回ってくるお客様など、結構JR西日本のレールパス等を活用される方が多くなってきています。そういうようなことでありますのと、またさまざまな沿線の魅力も生まれてきているわけでございます。そういうことを考えますと、今、特急が鳥取、倉吉、米子という停車駅だけでいいのかということがございます。  実は、これまでも同じようなことは議論をされ実現したこともございまして、鳥取大学前という駅が基本的にはもうとまるようになったのではないかなと思いますが、あれも大学の利便性がありまして、実際東部と西部両方にキャンパスもありますし利用客はいるのだということで、あれは請願駅というのですが、地元でお金を出しまして駅を立派にしてそういう停車をさせるということをかつてやりました。現実どうなっているかといいますと、非常に利用客は多いわけでありまして、湖山地域の一つの乗降口にもなっておりまして、地域交通としても有用であるかなと思います。  また、伯耆大山もこれも伯備線との連接もあるわけでありますが、パーク・アンド・ライドの活用ということもございまして、これも利用価値もあるということであります。  中部でも同じようなことは当然考えられるのではないかなと我々は思うのですが、JRさんは速達性とかいろいろとおっしゃられることもございまして、なかなかこれまでは前に進んでいないところであります。  しかし、例えば何か観光イベントのときの臨時停車なども含めてやってみるところからいろいろと取り組んでいただける余地もあるのではないかなとも思いますし、そういう利用形態が現実に見えてくれば鉄道会社も利益を追求していますので、お客様の利便のために停車数をふやすということもあろうかというふうに思います。したがいまして、鳥鉄の旅という鉄道の旅を活発化していきましょうというところで基本的にはJRさんとも折り合っておりますので、今後例えばコナン列車の更新とかいろんな問題がこれから協議事項としても上がってまいりますので、そういうタイミングを捉えながら強く停車のあり方を求めてまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員 ◯20番(藤井一博君)鋭意進めていただきたいと思います。  次ですけれども、原子力行政について追及質問いたします。  本県の原子力防災行政を見るときに、理念また原子力発電所等からの災害想定、多くの訓練、専門職員を入れた担当部署の設置など強力に進められておりまして、大変頼もしく思っております。  また、平成26年10月には原子力、地震、防災等の幅広い専門家による原子力安全顧問が設置されました。この顧問設置については鳥取県原子力安全顧問設置要綱が定められておりますが、同要綱には顧問の職務が規定されております。内容は、環境放射線等モニタリングの実施に係る技術的事項及び結果の評価に関すること、原子力災害の防災対策に関すること、原子力施設の安全対策に関すること及びこれらの事項を所管する上で必要な事項とされております。  そこでお尋ねですが、この要綱の解釈として顧問は本県の締結した安全協定の内容及び改定に対する意見や助言はできないのか。それとも職務範囲に入らないのかということでございます。私は、原子力災害に対する防災対策や安全対策を推進する上で、本県の締結した安全協定に対する意見や助言も顧問の職務範囲に入るものと考えております。  そこで提案でありますけれども、この県の安全協定の改定について鳥取県原子力安全顧問会議に諮っていただき、その結果をもって再度中国電力に対して改定の要請をしてはと考えますが、知事のお考えを伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から、重ねて原子力安全協定につきましてお尋ねがございました。
     私どもはやはりある意味素人でございますので、例えば原子炉の構造であるとか、あるいは避難計画のつくり方であるとか、それから放射線医療という被曝医療についてのことだとかそうしたことなどなかなかわかりにくい分野がございます。原子力安全顧問は、こういうことに県民の一つの頭脳としてしっかりと判断していただく。そういう存在として任命させていただいております。これから、原子力安全委員会でさまざまな考え方が出てくると思います。基本的には、これが妥当なものなのかどうか、あるいはもっと我々独自に中国電力にこういうことを求める必要があるとか、そういうことを言うべきなのかどうかとか、そうした御判断をいただくための組織であり、任命をさせていただいております。  したがいまして、原子力安全協定自体はどちらかというと我々がここで議論をして中国電力との関係づくりとして私どものほうで強く申し入れをしているというものでありますので、この安全顧問の皆さんの責務の範疇外になろうかと思います。  ただ、今のお話もございますので、非公式な先生方の自由な御意見として参考程度に我々も聞かさせていただくこともあり得るかなと思います。ただ、安全顧問がこういうふうに判断したので結ばなければならないというようなことにはちょっと論理的、法的にはならないのですけれども、ただそういう安全顧問の皆様のお考えというのもこれもまた今後の会合の席で議会の御提案もあったということで意見聴取をさせていただきたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員 ◯20番(藤井一博君)安全協定について、もう一つ追及で質問させていただきます。  今ある中電との安全協定、本県が結んでいるものでも安全というものは担保されるという知事のお答えがありましたけれども、私としてはやはり安全をしっかりと確保するために立地自治体と周辺自治体が同じもの、同じ安全協定を結ぶということにこだわりたいと思います。  そういった上で、僕は前の議会で斉木議員が気配りの斉木だとおっしゃいましたけれども、僕も気配りの藤井となりたいと常日ごろ思っておりまして、相手の立場に立って物を考えるということをしております。  中電側の立場に立って考えると、立地自治体と周辺自治体の意見が合っていないとなかなか実質的な答えというのは返ってこないのかなと思います。というのも、立地自治体、松江市長の記者会見等をちょっとお聞きしておりますと、やはりその中では立地自治体の意見こそが尊重されるべきだという意見だったり、また安全協定に差があってしかるべきだというような発言というのもありました。そういった中で、やはりこれだけ意見が相違している中で幾らこの周辺自治体が中電にその安全協定を同じにしろと言っても、なかなか有効な答えというのは返ってこないのかなと思うのです。ですから、本当の意味で同じ安全協定を得るための第一ステップとしては、立地自治体と周辺自治体が意見を調整して同じ意見を持った上で立ち向かっていくというか、そういう交渉をしていくことが大事かなと思っております。  そういったことも踏まえて、知事がこれから同じ安全協定をとっていくのだということをする上でどのようなお考えをお持ちなのかをお伺いしたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から、重ねてお尋ねがございました。  基本的な考え方は、スタンスは一緒だなと思っていますし、多分戦略も一緒なのかもしれないなというふうにも思いながら伺っておりました。  私どもは小さな自治体と言われるところを経営しているわけでございまして、なかなか発言権を確立するのは難しいという壁にぶち当たってまいりました。ですから先ほど気配りの藤井というお話がございましたが、こちらは、したたかな平井というそちらで立ち向かうことをずっと学んできたところでございました。そういうしたたかにやろうと思いますと、一つには正面切って同じ契約にしろということで協定の改定を求め続けるものとあわせまして、そうすると向こう側が、いや、これは一緒ですと言いたいわけですよね。そしたらそこを捉えて、では一緒だと、覚書を書けというふうにこちらも闘ってきたわけです。ですから、そうやって向こうもこれから別々の取り扱いがしにくくなるように、私どもとしては一歩一歩橋頭堡を築き続けてきたというのが実は我々の作戦なわけであります。  ですから片方で協定の改定を求めながら、またもし取り扱いが変わってくるということになればそれは言っていることが前と違うではないですかというふうに言えるように、そこのところの担保措置も確保していく。こういう戦略で臨むのがベストではないかなと私は思って、これまでやってきたところであります。いろいろともどかしさも当然あるわけでありますし、じくじたる思いもあるわけでありますが、県民、地域のことを考えればベストを尽くすことが私たち議会や首長の務めではないかと思っております。  ちなみに、今よく言われる茨城県の東海原発のほうは、若干迷走し始めています。あちらは実は安全協定の構造はうちと基本は一緒です。ほぼ一緒であります。ただ違うのは、見出しにその周辺地域も含めて事前了解、実質的なとついていたと思うのですが、実質的な事前了解という見出しがつけてある。ですから事前了解は初だと言っているわけですね。ただ、11月に入りまして日本原電のほうが発言をされたわけでありますが、周辺には拒否権はないということを言ったわけです。それが大騒動になりまして、最終的にはそれを撤回し謝罪をするというところに会社が追い込まれるわけでありますけれども、事ほどさようでありまして、文言に何か書いたらそれで解決するというものでも多分ないと私は思っています。ですから、実際には最後の勝負どころは、本当の意味の折衝が必要となったときにうちがどれだけの発言力を行使できるのか、それを冷静に見きわめることが本質だというふうに思っています。そのために協定改定の申し入れなども有効だと思っておりまして、これ自体もしっかりとやってまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)4番福浜隆宏議員 ◯4番(福浜隆宏君)(登壇、拍手)おはようございます。  まず、IT、AI、人工知能の導入推進について知事に伺います。  失われた20年、日本経済の減速がこうした言葉でよく表現されます。名目上のGDP、先進国の伸び率を見ると、イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパ各国が20~30%の伸び、アメリカでは実に139%という驚異的伸びを記録しました。それに応じて、国民所得も各国とも伸びた20年間でした。  対する日本、この20年の伸び率はわずか0.8%。一体なぜこんなに差がついたのか。その要因として、日本ではITの導入の著しいおくれが原因だったと指摘する専門家は少なくありません。しかし、今さら憂いても時計の針は戻りません。日本が今直面している課題、人口減少、高齢化、人手不足、業務の効率化そして所得の向上、こうした課題に正面から向き合うためにも、IT、AI導入による生産性、サービスの向上は喫緊の課題と言えます。  〔議長退席、副議長着席〕  この点において、今議会に提案されています生体認証システム、専用の端末に指紋と静脈をかざすだけで旅館やホテルのチェックインが可能になったり、レンタカーの手続が非常に簡単になったりするという社会実験ですが、私は称賛に値すると受けとめています。外国人旅行客がレンタカーの手続をする場合、通常はパスポートを提示、事業者は予約リストにある氏名とパスポートを見比べて確認、言葉の壁もあるなどして手続の完了までにざっと1人当たり20~30分かかるといいます。それが指先1本、たった数分で完了できるということで、旅行客にとっては待ち時間の改善、事業者にとっても負担軽減、効率性も飛躍的に高まることになりそうです。  実際に県内の温泉旅館組合を中心にホテルや旅行関係者あるいは旅館関係者からは、一日も早く導入してほしい、待っていましたと全面的に歓迎ムードのようです。懸念があるとすればセキュリティー面、情報の流出ですが、その点でも問題はないということで今後最終的にシステムを煮詰めながら導入を迎えるという流れになっています。  そこで、知事にお尋ねします。今回の社会実験、来年度1年限り、端末の導入予定台数はおおむね300台となっていますが、現場の反響の大きさから考えますと300台を上回る可能性があるというふうに感じています。そこで、再来年度以降の本格的な導入も見据えて、例えばエリア限定で構いません、飲食店など端末を導入する業種の幅を柔軟に考えて、導入台数の上積みをぜひ検討していただければと思います。チャレンジして課題を洗い出すことも社会実験の大きな狙いだと思います。  さらには、外国人旅行客のみが対象ではなくて国内の観光客も登録が可能になれば、鳥取県への入り込み客をふやす大きなインパクトになると考えます。まずこの2点について、知事のお考えをお尋ねします。  ところで、鳥取県では去年11月に設立されたIoT推進ラボを軸にIT、AI、ロボット化による生産性やサービス向上を進める態勢ができ上がりました。ところが鳥取県内には中小企業が非常に多くて、IT、AIと言ってもまだぴんときていない。あるいは重要性は理解していても、導入する経費が厳しいという事業主も少なくないと思います。幾らセミナーを開いても、自分には全く関係ないやと敬遠しているのではないかとも感じます。もっと効率が上がるのに気づいていない、あるいは思ったよりも経費をかけなくても導入できる、そんなケースがあるとすればもったいない話です。端的に申し上げると、IT、AIに対するリテラシー、理解、啓発をもっと図る必要があるように感じています。  以上、3点について知事のお考えをお尋ねします。  次に、地域のありようというテーマで知事に伺います。  冒頭で述べたIT、AIが代表するように、かつては考えられないほど世の中が便利になりました。携帯電話、スマートフォンしかり、24時間いつでもあいているコンビニ、スーパーマーケットしかり。自分が幼いころ、母親は晩御飯の準備中に、しまった、しょうゆが切れたと言って隣のお宅に平気で飛び込んでいってしょうゆを借りていました。もはや笑い話です。裏を返しますと、誰かに頼りたくても頼りにくい時代になってしまったとも言えます。とはいえ、この便利さを手放したいという人は恐らく少ないと思います。もっと便利にという欲求と追求、IT、AIの浸透によって天井知らずになっていくでしょう。だからこそ、便利さがもたらす反動についてこのあたりで一度立ちどまって考えるべきではないでしょうか。隣近所の助け、かつては自然に生まれていたきずな、住民同士の関係性が田舎の鳥取でも年々希薄になっている。この現実から目をそらさず、直視する必要があるように感じています。  先日、鳥取ユネスコ協会が主催した防災について考える講演会に参加しました。鳥取市内のある地区の自主防災会の会長さんが最後の質問コーナーで手を挙げられて、町内会に入る人が減ってきた、非常にゆゆしき問題だと発言されました。この会長さんいわく、防災訓練を実施しようと案内文をつくって地区の全ての御家庭に配ったそうです。ところが、県政だよりとか市報と同じように案内文が届くのは町内会に入っている御家庭のみです。当然のことながら訓練日当日、町内会に加入していない人の姿は一人もいませんでした。  この町内会の加入率、気になって鳥取、米子、倉吉の直近の数字を調べてみました。倉吉市は比較的高くておよそ77%の加入率、一方鳥取市がおよそ66%、米子市はおよそ62%。実に全体の3分の1、3軒に1軒のお宅が町内会に入っていない、これが私たちの住む地域、足元の実態です。しかも加入率は年々下がってきているということでした。  私が住む地区では、10軒から20軒前後で町内会の中に班が編成されています。しかし、加入率の低下によって役員の回りが随分早くなってしまいました。しかも高齢化が進んでいます。もう当番ができないという理由で町内会から抜けようかなどという議論が本気で現実に起きていて、班編成の見直しに今入っているところです。  頻発する自然災害、国交省は100年に1度の水害に対応するハード整備を掲げて今動き出していますが、とても整備は追いついていません。だからこその共助、地域でのソフト面の強化は待ったなしです。  先日、自分の町内でも支え愛マップづくりの講習会が開かれました。その経験で、マップづくりの重要性がとてもよくわかりました。精度の高いマップを仕上げるその結果も大切なのですが、むしろ住民同士が膝を突き合わせて、あの人は足が悪いから誰が助けに行く、お互いが持っている情報を出し合って共有する。そのマップをつくる過程にこそ大きな意味があると感じました。しかし、3軒に1軒は会の開催自体知らない。それが現実です。町内会加入の問題はもちろん市町村の役割、重々承知しています。しかし、市町村だけに任せていて果たしていいのでしょうか。ますます高齢化に拍車がかかる、顔が見えにくい時代だからこそ、我々住民も国も、そして県も命を守るという視点でそれぞれが我がこととして動く必要が今こそあると思います。知事のお考えをお尋ねします。  壇上での質問の最後に、不登校対策について教育長にお伺いします。  昨年度、平成29年度の不登校の数を見ると、小学生が165人、中学生が481人、高校生が289人、わずかながら前年度よりふえました。このうち学校に行けるようになった児童生徒の割合は、断続的、不定期を含めると小学校、中学校ともおよそ6割の子供たちが学校に復帰できています。教職員を初めとしてスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなど学校現場の不断の努力の結果だと心から敬意を表したいと思います。  ところが、小学校、中学校ともに全体のおよそ4割の児童生徒、小学生でいえばおよそ70人、中学生でいえばおよそ200人が学校に戻れずにいます。その受け皿として、各市町村が設置している適応指導教室があります。しかし、通っているのは県内全てひっくるめ合わせてみても小学生でわずか18人、中学生で60人しかいません。このほか受け皿としては民間のフリースクールもあります。あるにはありますが、大規模なものではないことを考えると、ざっくり申し上げて50人の小学生と140人の中学生の大半、合わせて200人近くの小中学生が自宅で日々過ごしていることになります。  この児童生徒が籍を置く学校現場では、たとえ学校に来ることができなくても担任の先生などが授業で使ったプリントを自宅まで届けるなど、学習の習慣化を図ろうと献身的な努力をなさっています。しかし、毎日様子をうかがう、とても限界があります。学びの継続性、カリキュラムに沿った計画的な学習という面で大きな課題があると県教委も受けとめています。  この議場で、公明党の澤議員が再三にわたり夜間中学設置の必要性を教育長と議論されてこられました。どうしても学校や適応指導教室に通えない子供たちがいます。それも10人や20人ではない、200人近くが苦しんでいるのです。そうした子供たちが学べる機会をつくる、選択肢をふやすという観点で、私も夜間中学の設置にスピード感を高めていただきたいと考えています。  夜間中学といいましても、学び直しの一般の人とは違って児童生徒の場合は日中に学べる教室のことを指すそうで、県内でも学習塾の関係者が協力したいと声を上げています。現在のこの夜間中学、協議の現状について教育長にお考えをお尋ねします。  また、文科省では自宅でも学べる機会を保障するため、IT、パソコンを使った個別学習について積極的に導入するようにと平成17年度に続いてこのほど13年ぶりに再度各都道府県の県教育委員会に対して通知を出したと聞きました。学校への復帰、これが本来の姿であるとはいえ、どうしても適応できないお子さんもいます。そうした児童生徒の学ぶ機会をしっかり確保したいという国の姿勢のあらわれだと受けとめました。  しかし、うがった見方をすると、学校に行かなくてもいいのだ、怠けてもいい、そんなふうに受け取られかねない極めてデリケートな問題をはらんでいます。それだけに、市町村教育委員会や学校現場に対し自宅学習の整備について丁寧に理解を得る努力をしていただきたいと思います。  あわせて、自宅でも学べるIT学習ソフトですが、ある程度全県でまとめたほうが経費等の面で導入へのハードルが下がるのではないかと考えます。  以上、3点を教育長にお尋ねし、壇上での質問とします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、IT、AI等の活用につきまして何点かお尋ねがございました。  生体認証端末の導入、今回予算を出させていただいておりますけれども、そうしたことにつきまして柔軟に件数増を図っていけないか、あるいはインパクトも大きいのではないかというお話がございまして、またITリテラシーについての啓発が重要ではないか、こういうお尋ねがございました。  この生体認証システムは、Touch & Payというこれは政府のお墨つきの実験事業なわけでありますけれども、従来ですと現金で払う、それがだんだんとキャッシュレス化が進んでクレジットカードやプリペイドカード、あるいはデビットカードというふうになってくる。さらに、最近ではQRコードを活用しまして、これは中国だとか、日本は若干おくれぎみでありますけれども、クレジットカード等も既に乗り越えたような認証が始まっています。  お金の決済というのは非常に厄介なものでありまして、現金をたくさん持ち歩きますと盗まれてしまうのではないかということが心配になります。日本は比較的治安がいいということでありまして現金決済がよく行われるわけでありますし、お財布の中にも結構お金を入れて持って歩かれる方もいらっしゃいますが、海外では安全のためにむしろクレジットカードを使われる、そういうのが行われてきたところでございます。  そういうわけで、海外の観光客を受け入れるときなどにその辺のギャップがございまして、私どももインバウンド観光をやり始めたときに、今でもそういう苦情はあるのですけれども、例えば観光地に行ってお土産を買うとかそれから食事をするとき、少額のものであっても向こうはクレジットカードを割と使いますが、そのクレジットカードが使えない。クレジットカードの端末がないということで、いろいろと苦情も寄せられました。そこで、クレジットカード用のカードリーダーなどを配置する支援措置を県のほうでやったということもございました。  事ほどさようでございまして、その辺が海外の常識と日本とのギャップになり始めています。さらに言えば、これから東京オリ・パラがございまして、たくさんのお客様が来るときに瞬時にそういうたくさんのお客様、使っているお金も違って両替などもしなくてもいい。そういうようないろんな利便性も考えて、もっとこの決済のシステムを合理化しなければいけないという時代に入ってきているわけです。大手のコンビニエンスストアなどでも、こういうゲートをくぐればそれだけでもう顔パスというふうに言いますけれども、多分顔で認証するのでしょうが、顔で認証してそのクレジットカードの口座からそこで持って出た商品を全部瞬時に合計しましてその分の決済をする。ただ店に入って入れて出ていけばいいというようなことの実験事業も始まろうということになりました。  Touch & Payもその類いでございまして、生体認証として指で認証するということによって代金の決済、あるいはさらにはアイデンティフィーケーション、自己同一、つまりパスポート提示等と同じ機能を持たせようというようになってきたわけでございます。これは日本の先進技術にも今後なり得るところでございまして、そういう意味で政府がお墨つきをして、実験の費用なども向こうで見ながらやろうということでございます。  そこに私ども、かねてから田川会長を初め旅行業界の皆さんといろいろと親しくおつき合いもさせていただいたり、そういうようないろんなことで今回白羽の矢を当てていただけることになりまして、鳥取県で広域で実験ができるということになりました。  このTouch & Payでありますが、認証の登録をしまして、旅館に行きますと同じような端末がありまして、そこでチェックを受ける。そうすると、今まで旅館業法の中で旅館に泊まるときは住所や氏名を書きなさいとか、我々も行くとやります。さらに、外国人であればパスポートの提示を受ける。実はこれは法的な規制もあって、パスポートのコピーを宿で保管しなければいけないとかそういうようなことでございます。ですから、普通のお客様よりもチェックインのときに大分時間がかかってしまう。そういうことがございました。  また、いろいろとなかなかお財布を持って歩けない場所もあります。典型的には鎌倉の由比ヶ浜海水浴場などでもやったそうなのですけれども、海水浴客は手ぶらで水着だけでありますので、そこでTouch & Payで実験事業をやりましたら、これは便利だというので大変に消費行動が活発化されたということの報告がございました。こんなようなことで、いろいろ観光客にとりましては手軽で手ぶらで楽しめる、旅を満喫できる。そういうような可能性を秘めたものでございます。  私どもも、実は事前に旅館組合さんなどにも御相談させていただいたのですが、岩崎組合長等おっしゃいましたようにもろ手を挙げて賛成で、こういうとがった情報発信が観光地の要はステータスを上げるというふうに歓迎をされているというのが現状でございまして、ぜひお認めをいただけるとありがたいなというふうに思います。  議員も御指摘がございましたように、当座300というのは我々が無償で提供を受けるものでございます。これで足りるかどうかということはあるのですが、まずは早急に委員会をつくりまして、こういうTouch & Payサービスイノベーション研究会を関係者でつくって、一体どこに置けばいいのかというものをみんなで議論して考える。想定されるのは、例えば温泉地だとか買い回りをしたりちょっと歩く範囲内とか、その辺を中心なのかもしれませんが、まずやってみて、うまくいけばでは関係業者もこれからどうするのだということになりまして、おっしゃるようにもっと端末の数を引き上げて全県的な展開を強めようということになれば、また私どもも発展系を求めていくことになるだろうというふうに思います。  また、先ほど申しましたように消費行動を活発化させるということもありまして、私どもでは今回の予算案の中に500円のいわばクーポンを認証時に与えるということをさせていただいています。実はこれは先例がございまして、こういうクーポンで実際登録してもらうとその後の消費行動はその何倍にもなって返ってくるというようにも言われています。ですからその辺も実験をさせていただければありがたいなと考えておりますが、議員がおっしゃるように非常にインパクトの強いものになる可能性がありまして、ぜひ実験に取り組まさせていただければと考えております。  ITのリテラシーのことでありますが、議員もおっしゃったIoT推進ラボを本県は認証を受けまして、国の支援も受けながら今事業を進めています。そういう中で、例えばアクシスさんが鳥大さんと一緒に開発した小中学生のソフトですけれども、そういうソフトを使ってIoTやAIの活用を体験してもらうようなそういう教育を始めたり、それから鳥取大学とか高専とか鳥取環境大学、あるいは高校でいえば青翔開智だとか城北高校だとか、そうしたところでこういう先鋭的なIoTを活用する、その応用をしていく、そういう体験授業のようなことも始めているところでございます。  また、産業振興機構ともタイアップをしまして相談窓口をつくり、人材育成を今進めているところであります。議員もおっしゃるように、ビジネスとしては物すごい成長するチャンスもあり得るところでありますし、特に今世界中を席巻しているGAFAと言われるグーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックといったようなそういうITメジャーというものがあるわけでありますけれども、そういうような世界にも訴えかけるような可能性が本県からも生まれ得るわけでありまして、経営感覚ももっと研ぎ澄ませていただきたいなという面があります。  したがいまして、今申し上げました人材育成や相談部分というのは拡充していく必要があると思いますし、それからさまざまな体験も交えるようなそういうシンポジウムなども展開をしていく必要があるだろうと思います。  次に、町内会の加入率につきましてお尋ねがございました。いずれこうした災害等いろんなことを考えるとき、支え愛マップをつくってみてそのよさがよくわかったわけで、町内会の加入率を上げていく。これについてはいかがかと、こういうことでございます。  日本の多分いいところだと思うのですね。行き過ぎた個人主義とは違う、ある意味ふるさととしての連帯感、地域としての支え合い、その背景には日本人らしさかもしれませんが、お互いに相手のことを気遣い、そして支える、心配する、それでみんなでやってみる。こういう感性というものが育まれてきております。その中で忘れてはならないのは、お年寄りだとか障害者の方などに対するそういうケアがその中でおのずからなされてきた歴史もありますし、子供たちもその中でいろんな方と出会い、いろんなことを教えられて成長してきているというものでありまして、いわば場の文化というものが我々の社会生活の中に強く息づいてきたわけであります。  しかし、個人主義がだんだんと欧米的に広がりを見せる中で、特に都会地のほうに行きますと隣近所は顔も見たことがないとか、以前であれば引っ越せば隣近所に挨拶回りに伺うのは当たり前だと思うわけでありますが、最近の東京等の状況からすれば挨拶回りに行くと覚えられて後々犯罪に巻き込まれるかもしれない。だからそういうことはやらないという、文化が変わってきているのですね。これがいいかどうかというと、私たち鳥取のケースからいえば、それはいざという災害時などの対応力なども考えれば町内会の加入を含めてそういう地域の連帯というのは大切にしたいというふうに思います。そういう意味で、町内会の加入率を上げることを今市町村も積極的に問題意識を持って取り組むようになりましたが、私どももいろんな形でのその支援もさせていただければと思います。  例えば、江府町では97%ぐらい、北栄町でも92%ぐらいの町内会加入率ということになっています。ただ、他方で鳥取とか米子のような都市部では、今おっしゃるように3分の1が加入していないという状況が生まれ、かなりギャップが生まれてきています。防災での取り組みなどが有効ではないかということでありますが、ぜひそうしたことを深めていただいて、私どもも支え愛マップづくりなど応援をさせていただき、町内会の形成の機運づくりになればというふうに思います。  例えば神奈川県藤沢市、湘南のイメージのあるところでありますけれども、関東大震災のときは大きな被災を受けたところでもあります。そういう藤沢でも今マンションなどがたくさん建って、町内会の加入率が下がっているという問題があります。それでいろんな取り組みが今なされているようなのですけれども、例えばマンションで地震のときに何かあったら安否確認が大切であります。それでマンションのほうでその安否確認をするために、ドアノブにタオルをくくりつける。「幸せの黄色いハンカチ」という映画がありましたけれども、あのイメージかもしれませんが、何らか目印をつける。私は大丈夫ですよとか、そういう意思表示をドアノブでやる。このような訓練をしたのだそうであります。それがきっかけになりまして、自治会への加入率が上がった。やはりこういうことで、いざというときは近所でみんなで連帯をしてやっていかなければいけない。そういう意味で、自治会活動というのは大切だなというふうに思いが至ったのだと思います。  このようなことをいろいろと参考にしながら、今、鳥取市でも取り組みが始まっていますけれども、そういうのを我々も応援をしてまいりたいというふうに思います。例えば中ノ郷地区も非常に連帯が強くて、多分自治会の加入率も高いほうの地域になるというふうにお伺いをしておりますけれども、中ノ郷さんの場合はもともと小学校と非常にかかわりの深い形で自治会が形成をされているということもございまして、下澤会長を初め皆さんでいろんな行事をされたり、それから山本先生のように人形の非常に有名な方がいらっしゃったり、あるいは西村さんのように麒麟獅子舞のいわば統括をされている方、そういういろんな行事なども含めて活発にされている。もちろんしゃんしゃん傘踊りなどにも皆さんで出られたりする。子供たちが代々みんなでそれに参加をするわけでありますから、一つの連帯したまとまりができている。こういう日常からの世代間を超えた交流などが図られているところというのはやはり自治会活動もうまくいくし、いざ防災のところにも役立つということだろうというふうに思います。  こういうモデルケースをやはりみんなで共有をしながら、自治会活動の大切さというのを特に都市部を中心にもう一度深めていく必要があるのではないかなというふうに思います。 ◯副議長(福間裕隆君)山本教育長 ◯教育委員会教育長(山本仁志君)福浜議員の一般質問にお答えを申し上げます。  不登校対策に関しまして何点かお尋ねをいただきました。  初めに、夜間中学の検討の状況についてのお尋ねがございました。  この夜間中学の設置につきましては、この議場での御議論などもございまして、今年度県の教育審議会の中に夜間中学等の調査研究部会を設置して、その設置の方向性などの検討を行っておるところでございます。これまでの会議の開催を通じて、委員からは夜間中学の対象者でありますとか設置に向けた課題、そしてまたニーズ調査の方向性などさまざまな角度から御意見をいただきますとともに、この10月には16、17日で部会の委員さん方も含めて関係者で京都市立洛友中学校など先進校を視察したり、あるいは10月27、28日には夜間中学の意義でありますとか、他の自治体における取り組みを県民の皆さんとともに一緒に考えていこうということで、本県における設置可能性を考えるシンポジウムを鳥取市と米子市、2カ所で開催するなどしてきているところでございます。  先進校の例などを見ましても、例えば外国籍の方を主に対象としたものでありますとか、学び直しの場としてでありますとか、夜間中学の役割でありますとかその運営のバリエーションなどいろいろあるわけでございますが、そうした取り組みを視察する中で委員の皆様、あるいはシンポジウムでの県民の皆様などからさまざまな意見を頂戴しております。  例えば、本県で緊急に手を打たなければならない課題は不登校対策だろうと。夜間中学はそのための一つの選択肢ではないかという、まさに福浜議員と同じ考え方の御意見もございます。また、一方では交通の便などもあり、しかも生活しながら等夜間に通うということがどうなのかということでありますとか、例えば今教育支援センターとかフリースクール、またハートフルスペースあるいは日本語クラスの授業など、既存の教育機関でありますとか支援機関があるわけですが、そことの役割の整理というのが必要ではないか。また、義務教育の一つとはいえ多大なコストがかかるということでもあり、先ほど申し上げましたような現状の取り組みを充実することで代用ができないかなど、慎重に検討を進めてほしいといった意見も頂戴しているところでございます。  今後こうした意見でありますとか、今別途行っておりますニーズ調査などの結果等も踏まえて、そうしたところで出てきた課題等を整理するなどして今年度中にあと2回程度この部会等を開催して、この設置の可能性あるいは方向性を議論してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  次に、不登校児童生徒のIT、パソコンを使った個別学習について、積極的に導入を検討すべきではないか。また、こうしたソフトについて全県でまとめたほうが割安になってよいのではないかということでございます。  不登校児童生徒への対応につきましては、不登校の未然防止でありますとか学校現場への復帰を目指すというのがどちらかというとこれまでの取り組みの重点に置いていたことでございますが、平成28年12月にいわゆる教育機会確保法という、正式名称は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律というものが成立をいたしておりまして、学校に通えない児童生徒一人一人に学びの機会を提供していこうというこういう方向性が法律によって示されたところでございます。  本県といたしましても、従来のその教育支援センターの取り組みだけでなく、先ほど御紹介がありましたが学校のほうでもプリントを担任が訪問して届けていくといったような個別の支援でありますとか、あるいはこれは知事部局のほうとも連携してフリースクールに支援する形で連携を深めるといったようなことでありますとか、ハートフルスペースを拡充して、しかも個別にひきこもりの生徒がいらっしゃる家庭等を訪問するような、そうした新たな取り組みも行ってきているところでございます。  お話がありましたように、こうした不登校対策もさまざまやってきておるわけですが、学習の場がしっかりと確保されていない不登校の児童生徒に保障していくためにIT等を活用して個別学習を行うことについては、これは大切な視点ではないかなというふうに思っております。一義的には市町村の教育委員会の考え方によるものだろうというふうに思っておりますが、県の教育委員会としてもこのことを前向きに考えていきたいなというふうに思っておるところでございます。  現在の状況を少し申し上げますと、個人ベースで御家庭のほうで利用されている場合は別として、公のシステムとしてこの個別学習活動を行っているということにつきましては、県内ではまだ進んでいない状況だというふうに理解をいたしております。  実は県内だけでなく、先ほどお話がありました国の13年ぶりに出された通知の中にも事例の数が載っているのですけれども、全国でも小学校で16人、中学校で142人にとどまっているというそうした現状もあるわけでございまして、これもITを活用して個別学習をしていくというそういうシステムがしっかりとまだ確立できていないのではないかなというふうに思っているところでございます。  国のほうでは、モデル的な研究、検証も始まっているようでございますので、これは鳥取県内においてどういう方向でこうしたITの学習を行っていくのか。例えばソフト、アプリケーションはどういうものが適当であるか。また、それをどう効果的に活用できるかというようなことを少しモデル的に取り組んでみる必要があるかなというふうにも思っておるところでございまして、この国のほうの事業などを活用ができないかなども含めて、市町村の教育委員会とも少し意見交換をさせていただきたいなというふうに思っております。  次のソフトの全県的な導入についてはその次の段階になるわけですが、鳥取県の場合、公務の新システムなど市町村と連携をして一括して同時にぽんと導入するようなそうした例もありますので、その暁にはそうした取り組みなども次の段階としてはあり得るのかなというふうに思っているところでございます。 ◯副議長(福間裕隆君)4番福浜議員 ◯4番(福浜隆宏君)IT推進ですが、生体認証の国内の日本人向け、外国人ではなしに県外からの国民が使うということに関してはどうなるのかというのもちょっとまた御答弁いただきたいと思いますが、続けて質問させていただきたいと思います。  京都府京丹後市は公共交通が非常に脆弱で中山間地域あるいは高齢化が進んでいるということで、高齢者のお年寄りの足といいますか交通手段として海外で主流となっていますアプリケーション、Uberを使った独自のシステムを2年前から取り入れられています。地区住民の御自身が持っているマイカーをタクシーがわりにして、ささえ合い交通という名前で運用されているそうですが、スマートフォンを持っていないというお年寄りも随分いらっしゃるみたいで、代理人の方に電話をかけて配車を依頼する形をとったり、あるいは現金での決済も可能にするといった柔軟な対応が評価を受けまして、利用者が随分ふえてきたという話を伺っています。  Uberといいますと海外では既存のタクシー会社を駆逐するのではないかというようにトラブルが出ているところもあちこち聞いてはいるのですけれども、しかし中山間地といいますとタクシー会社がない場所があったり、あるいは台数が少なくてとてもこれから先のニーズに対応できるのかという不安感もあると思います。そういう面で、このUberシステムをそっくり導入するというのはいかがなものかなというふうには思うのですが、そういう部分、地区の住民の方々あるいは市町村等々と情報交流しながら、研究を県のほうでしていただくという価値はあるのではないかというふうに思いますので、知事のお考えをお尋ねします。  また、冒頭に触れました生体認証システム社会実験、知事もおっしゃったように鳥取県だからこそ全県的に一気に導入できるという、小さな鳥取県だからこその強みがあるというふうに感じます。Uberもその一つだと思うのですが、ITとかAI、これはもう日進月歩で次々新たな技術が革新されています。国内とか海外のそうした事例を丹念に調査研究をしていけば、第2、第3の生体認証システムのような社会実験を鳥取県内でもやっていけるのではないかと。もちろん国に後押しをしてもらうというのが経費的にも非常に助かるわけなのですが、そういう部分で全庁を挙げてぜひこの部分に拍車をかけていただきたい、加速してほしいというふうに考えますが、知事のお考えをお尋ねします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねてIoTの活用につきましてお話がございました。  生体認証につきましては、国内の方が5,000人、それから海外の方が2,000人、合わせて7,000人ぐらいの利用を我々はもくろんで今関係者と話し合いをしているところであります。当然ながら国内の人も対象にしてということでありますが、特にインバウンド客の誘因にもなるかなということで、その辺はちょっといろいろと啓発の仕方は厚目にしようかと、こういうことの趣旨であります。  Uberにつきましては、京丹後市は非常に苦労されていまして、記憶しているところではもともと白タク特区をつくりたかったはずです。あそこの場合は、京都の北のほうというのは非常にバスだとかも難しくなっていまして、実は私どもの日本交通さんが京都の北部のほうのバス会社の支援をして、そちらを実は日本交通の傘下のほうに入れてやっているというぐらいなかなか難しいところであります。そういう中で、京丹後市は合併をしてできましたけれども、そのうちの昔の丹後町のところがタクシー事業者も撤退してしまいまして本当に交通手段がなくなってしまった。そこで、京丹後市さんのほうで今おっしゃるUberを活用して、丹後町から京丹後市内に行くような交通について、Uberを活用して登録した人たちでやってもらうというシステムを開始しているところであります。  これは2年ほど実は我々もいろいろとございまして、例えばこれもいろんな交通政策の一環で多里のところはデマンドバス運行をする。もちろん町営バスもありまして、ショッピングセンターとかそういうのも含めた町営バスも複合するのですけれども、それとプラスアルファの1.5往復分、朝とそれから午後出て夕方多里へ帰っていく。こういう流れの部分につきましては、住民の方々にボランティアで出ていただいて、それで町のほうで提供した車を使ってそれで運行するということをしたりしていまして、こういうようなシステムにさらにIoT・AIの考え方を入れようというのがまた今始まろうとしています。例えば、大山町のほうはデマンドタクシーというような形の電気自動車を活用していろんなところを行き来する。そういう車の運行が始まっていまして、だんだん定着もしてきて評判もよろしいようですが、もちろん経営ということになるとそれだけで循環するかというと、やはりてこ入れをしているという実情があります。  そこで貨客混載、荷物もこれに対応できるようにできないか。ここにそうしたIoT、AIの技術を入れて、それを合理的にそのオーダーに対して動いていく。こういうようなことを始められたりしています。  また、山陰インバウンド機構のほうでも一遍に貨客船で入ってきますけれども、その貨客船が入ってきた後あちこちを回るときにそれをミニパスツアーみたいな形をつくる。そこでAIとかIoTの仕組みを入れて、合理的に運行しようという実験事業を始めて、例えば一日1,000円で見て回れますよというようなことを商品化していくということにも手がけたところでございまして、こういうような形でいろいろと本県内でもそういうUberそのものではないですけれども、それとまた同じような形のものを、例えば鳥取大学のような研究機関もかかわってそういうソフト開発などもして、今具体的なプロジェクトも動き始めています。
     事ほどさようでありまして、議員がおっしゃるように非常に小さくてコンパクトな県でありますから、こういうIoTやAIの社会実証実験みたいなことには適している面があろうかと思います。ですから、いろいろと今後チャレンジを今回の生体認証以外にも展開をしていければなと思いますし、これが県内の事業者の育成にも役立つのではないかなと思います。  例えば中海テレビさんだとか、それから米子のほうのローカルエナジーさんだとか、そこでスマートメーターというのをやろうというふうに、いろいろと実証化を進めておられたり、またこれは鳥取県と鳥取大学とでずっといろんな研究をしてきたわけでありますが、例えば道路の維持管理でパトロールカーを我々が走らせまして、ここはこんな状況ですという写真を撮って、それが位置特定もできて、若干のレポートをつけて送るだとかこういうところから始めて、こういうIoTの技術を例えば河川の管理だとかそうしたことにも使えないかということで、これも内閣府のほうの社会実験の実証事業として、鳥大さんと私どものほうで進めたりしているところでございます。  また、農業へのスマート農業の展開、そういうような事業もございまして、幾つかメニューが見え始めてきているかなというふうに思います。議員がおっしゃるように、この辺は小さな県の特性を生かして、むしろチャレンジしやすい面を生かして、そうしたIoT・AIの具体的なアプリケーションづくりを進めてまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)4番福浜議員 ◯4番(福浜隆宏君)知事から御答弁いただきました。  Uberを使うと、結局2割ぐらい売り上げが持っていかれるというところがあるので、独自のアプリを本当に開発していただけると非常にいいというところも含めて、ぜひ今後も鳥取大学さんとの連携を深めながら、産業界と新たな非常に便利になるシステムをぜひ開発していただきたいと思います。  町内会加入率についてです。  知事もいろいろと思いは共有していただけていると思います。市町村が第一義的な責任を負うというか役割のところなので、なかなか県としてでは何ができるのだというところは非常に悩ましいところではあると思うのですが、でも鳥取県が進めている元気づくり総合戦略の3本柱、豊かな自然、ゆったりとした時の流れ、そして人々の強いきずな、この3つの強みがまさに地域づくりの強力なエンジンになっていくと思いますし、そのエンジンをやはり最大限出力を発揮するには、町内会加入率を鳥取市、米子市のように3軒に1軒入っていないというのはどうなのかな。知事が一生懸命NPOとかリーダー育成とかこれまで本当に頑張ってこられて、I・U・Jターンも含めてリーダーはいるのかもしれませんが、そのリーダーが旗を振ってもなかなかそこに食いついてこないというのが今の現状なのかな。そこの温度差をいかに埋めていくかということが、これからの本当に鳥取県にとって元気づくりの大きな課題ではないかなというふうに感じているところです。  その面で、やねだんという鹿児島県鹿屋市の柳谷集落、自分の3つ横に席があいていますが、今から2年前、木村和久元県議におまえにぜひ見せたいといって引っ張っていってもらったことを実は思い出しました。豊重哲郎さんという強力なリーダーがいて、柳谷集落は300人の住民の皆さんがいるのですが、300人全員でやねだんという地域づくりをやっているところでした。何をやったかというと、地域づくりには補助金頼みではだめだと。補助金が切れたら、もうそこで事が終わってしまうから自己資金をつくろうと。遊休農地にサツマイモを全員で植えようと。一人も欠けることなく全員で植えるまで植えないといって、全員の思いが結集するまで待って、そこまでに3年かかったそうですが、一人一人口説いていって300人全員が賛同して、ようやく芋を植えて、ではその芋で何をつくろうといって、焼き芋にするかと思ったらそうではなくて、芋焼酎をつくって販売して自己資金をためて、初年度はかかわった人お一人お一人に1万円ずつありがとうありがとうと言って渡したそうです。2年目はその収益で何かみんなで買おうやということになって、一番問題になっていたのがお年寄りの介護予防で、地区の公園にお年寄りの介護予防に役立つような遊具を3つ購入されて、グラウンド・ゴルフをやる合間にお年寄りがそこでその遊具にさわって、介護予防にすごく役に立ったという話でした。  そしてその次の年なのですが、最もその地域のお年寄りの中で不安に感じていらっしゃったのがひとり暮らしのお年寄りが多くて、一番悩ましかったのが、もし自分が死んでしまったらどうなるのだろう。つまりお葬式を挙げてくれる相手がいないわけですね。そこで、公民館でお葬式ができるように祭壇を一式購入されて、それで斎場ができるようにして、全てのお年寄りがこれで安心して死ねるというふうに笑顔になったという何だか深い話ではあるのですけれども、本当に皆さんが笑顔で語っていらっしゃったことを思い出しました。  こんなふうな地域が本当に鳥取県でもあちこちに生まれていくといいなというふうに思ったのであえて今紹介させてもらったわけですけれども、自分が一番心に残っているリーダーの豊重さんの言葉がありまして、まちづくりに補欠はいないのだと。まちは全員家族なのだというこの言葉がすごく印象に残っています。集合住宅に入っているからとか、アパートに入っているからあそこはもう町内会に入らないのだよというふうにはなから決めて、全然自分たちが動いていないということを改めて今回質問をつくりながら自分自身も自問自答を続けてきたところです。自分でも何かできることがあるのではないかということを改めて思いながら今回知事にあえて質問させていただいた次第ですが、町内会の加入率というのはある面僕は鳥取らしさ、元気づくりの尺度、バロメーターではないかというふうにも感じました。そのあたりを知事はどういうふうにお感じになったか、総括で結構ですからお答えいただければと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて福浜県議からお話をいただきました。木村県議のことも含めて、しみじみと思いをお聞かせいただいたところでございまして、胸を打たれるような思いもございます。  柳谷のところでやねだんという通称で呼ばれる活動が盛んになってきた裏には、全員が家族だからというそういう思いが込められているということであり、さまざまな、サツマイモの芋焼酎の話もございましたけれども、いろんな行事あるいは社会的なインフラづくり、それも自分たちで行政の公的資金に頼らずに自立してやっていくという、本当にモデル的なものであるというふうに思います。そういうことをぜひ県内各地でも展開できないかなというふうにも思いながら、我々も努力しているということではないかなと思います。  確かにこの分野はコミュニティーの分野でございまして、市町村がやはり最前線でその掘り起こしをしていかなければいけないところでもあり、鳥取市さんなども関係機関と協定も結ばれて、町内会の加入率を上げようというふうに動かれているところでございます。  私どもでも、例えば鳥取市の例で言えばさっきの中ノ郷、下澤さんとか皆さん頑張っておられるということがあり、さいとりさしとか麒麟獅子舞だとかそうした地域伝統芸能も伝承されていく。そういうしっかりとしたものをやっておられますが、同じようなことは例えば旧河原の西郷も最近非常にそういう意味では頭角をあらわしているなと思います。亡くなられましたけれども、私どもの先輩の谷口興治さんは、あまのじゃくの里をつくるとか、それから陶芸家あるいはガラス細工の人で工芸の村をつくるのだというふうに頑張られたことを思い出します。あそこのお祭りなどに行くと多くの方々が参加をされていますし、そういう中で実際工芸品が売れるようなそういうフェアも始まって、それが年中行事になってきているという。また、引っ越してきた方がカフェをされる。こんなようなことで、一つのコミュニティーがきずなを強められているのかなというふうにも思います。やはり何かのきっかけは必要なのだと思うのですね。そういうところで私どもも関与させていただけることはあるだろうと思います。  例えば米子のほうでも永江団地がありますが、非常に歴史のある団地なものですから高齢化も進み、コミュニティー意識も希薄になりかけている中で、おり場がなくなってしまう。ショッピングセンターが撤退をするというときに、その永江のお店というものをもう一回自分たちでやろうということから始められまして、そこが子供のたまり場になったり、それからいろんな方々の交流、健康づくりやあるいは文化行事等も活発化してくる。そんなような一つのサイクルが生まれてきているのではないかなと思うのです。  こういうような手法を我々もトットリズムの補助金等いろいろと手はあるのですけれども、そういうものもぜひ活用していただきながら、市町村やまちの人が主役でありますけれども、私どものそうしたツールも支え愛マップづくりなどでもきっかけになるかもしれませんし、私どももぜひ応援をさせていただきたいと思います。  鳥取県では、こういう自治会活動を顕彰するための表彰事業を展開してきておりますけれども、議員の今のお話もお伺いをしていて、そういう加入率を上げたというようなことも表彰対象としてクローズアップする必要も出てきたのかなというふうに思いました。県のできる範囲で積極的にそのコミュニティーの再生、町内会の加入率向上に貢献をしてまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)4番福浜議員 ◯4番(福浜隆宏君)不登校について、再度質問させていただきます。  不登校になる要因は本当にさまざまあると思いますし、一人一人違いがあると思います。どうしても集団になじめないというお子さんも中にはいらっしゃると思います。ただ、将来いつかは社会に出るわけで、そこでやはり学校という一つの集団社会にもまれるというか、そこで一つ何か気づくということの意味、だから学校に戻すという取り組みは引き続き大切にしていただきたいと思います。  しかし、その上でどの子も一人残らずやはり学ぶ機会をしっかりとつくっていく。そこには経費の問題とかいろんなさまざまな弊害というのはあるとは思いますけれども、でもやはり鳥取県は1人の子供でも救うのだと。1人の子供、この子に合った学びの場をしっかりとつくっていくのだという気概を持っていただきたいですし、それを是とする鳥取県の県民、社会であってほしいなというふうに心から思う次第です。  協議のほうもいろいろと進んでいて、慎重にという御意見も先ほど伺ってなるほどなとは思いましたけれども、でもやはり何人いるからこれをやらなくてはいけないではなくて、この子を救うには何が必要なのだという本当にそこからの目線での対策をスピーディーにやっていただきたいと思いますが、重ねて教育長にお考えをお尋ねします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  山本教育長 ◯教育委員会教育長(山本仁志君)福浜議員から、重ねて不登校対策につきましてお尋ねがございました。  おっしゃるとおり、子供たちは地域の未来をまさに象徴するものであろうというふうに思います。そうした中で、一人一人の子供たちを大切にしながらというのは教育の基本姿勢の一番深い部分にあるものだというふうに思っておりまして、それをいかに現実に具現化していくかというところでいろんな隘路であったり課題であったりあるわけでございますが、そうした基本姿勢を貫きながら一人一人の子供を大切にしながら、どうした取り組みがこの一人一人の子供たちのためになるのかといったこと、そこを常に頭に置きながらいろんな施策を検討してまいりたいと思っておりますし、そうしたことについてできる限りスピーディーに対応を進めていく、こうしたことにも心がけてまいりたいと考えております。 ◯副議長(福間裕隆君)4番福浜議員 ◯4番(福浜隆宏君)知事、教育長、ありがとうございました。  今回の質問では、IT、AIの推進と、だからこそのきずなづくりというテーマで知事にお考えをお尋ねしました。ある面相反する問題だけに、決して簡単に解決できるとは思っていません。しかし3期、11年8カ月、しっかりと鳥取県を見事に引っ張ってこられた平井知事ならばあと4年、ぜひこの問題に取り組んでいただければ全国の、いや地球上の全人類のモデル、その礎をつくっていただけるというふうに私は信じております。その4年先の景色、私は4年先は何をしているかわかりません。ここにいるかどうかもわかりませんが、一人の県民としてぜひその4年先の姿を平井知事とこの鳥取で見たいと思っております。何かあれば最後にお聞きして終わりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜議員から、重ねてお尋ねがございました。  福浜県議もかつてテレビのほうで活躍をされ、記者クラブでも支えてくださいました。私もいろんな思い出がございますけれども、非常にまちづくりあるいはスポーツ、子供たちの未来に対する思いが深くていらっしゃいまして、だからこそここで県議としてのお仕事をされようというふうに志されたのだと思います。  そういう意味で、鳥取県をふるさととして発展をさせたい。そして、ここに子供たちの未来を私たちの未来と重ね合わせてつくり上げていきたい。そういう思いは今も共有をさせていただいていると思います。  議員も4年後、私はどうなるかというお話もございましたが、私も同じでございまして、ただこうしてともに議席を交えながらともにさせていただいたこと、ここで議論させていただいたことはこれからきっと未来に対する種となり木となって栄えてくると信じています。私もできる限りのことを自分の形で邁進をさせていただきたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)暫時休憩いたします。午後の本会議は13時5分より再開いたします。        午後0時02分休憩    ────────────────        午後1時05分再開 ◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。  引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  14番川部洋議員 ◯14番(川部洋君)(登壇、拍手)会派希望(のぞみ)の川部です。  本来は、この時間は会長の横山議員が一般質問をする予定でしたが、先日来、体の調子が思わしくなくて病院で検査したところ、2週間程度の静養が必要だと診断されました。本人も大変残念にしておりましたが、多分、今議会は休ませていただくことになると思います。  横山会長は、議員になって以来、全ての本会議で質問してきたことについて強い自負を持っております。今回の質問でも、これまで毎回質問してきたことに触れて平井知事、執行部の皆さんに真摯に、そして丁寧な答弁をいただいておりましたことについて、県民のために有意義な論戦ができて感謝の言葉を述べる予定でおりましたので、今回質問ができないことについてはじくじたる思いでいると思います。ここのところいろいろありまして少々お疲れぎみだったので私も心配しておりましたが、きのうお会いしたところもう横山節を炸裂させておられましたので元気になっております。安心しているところであります。皆様方にも御心配をおかけしたのではないかと、大変恐縮しておりました。知事にも早速お見舞いに行っていただいたということで、大変ありがとうございました。成りかわって感謝申し上げます。2月議会には、元気になってまたいつもの横山節を聞かせていただけると思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、質問に入ります。  今回は、労働力不足と県民所得の向上について質問いたします。  前回の質問では、労働力不足とその対策について質問いたしました。これまでは雇用の確保が県政の大きな課題でしたが、前回の質問で知事も答弁されたとおり現状は人手不足感のほうが強まっており、労働力不足対策が喫緊の課題となっています。実際、人手不足が進む現場では相当深刻な問題だと思います。  一方で、労働力の不足は賃金の上昇につながるとも言われています。ある意味、県民の経済的豊かさを上昇させるチャンスだと捉えることもできます。したがいまして、雇用の確保という課題が一段落した現在、次に取り組むべき鳥取県の政策課題は県民一人一人が経済的な豊かさを実感できるようにすること、そのことではないかと思っております。  県の経済力をはかる指標として、1人当たりの県民所得があります。これは住民の所得を直接あらわすものではありませんが、地域の経済水準を見るには参考になる数値であります。直近の数字を見ると、平成27年度鳥取県の1人当たりの県民所得の数値は224万9,000円で、47都道府県中46番目でした。ちなみに、1位の東京は537万8,000円、鳥取県の2.4倍、最下位の沖縄が216万6,000円であります。鳥取県は近年で最も低かった平成22年の205万5,000円から徐々には改善してはいますが、46位という順位はずっと変わっていません。全国の平均値が307万1,000円、中央値が新潟県の277万8,000円です。せめて新潟県並みに近づくようにできないものでしょうか。  そこで、この1人当たり県民所得の向上をこれからの県政の最優先の課題として重点的に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の所見をお尋ねします。  県民所得の向上については、きのうの島谷議員の質問でも取り上げられましたが、これまでにも県で取り組まれてきたとは思います。平成22年に策定された鳥取県経済成長戦略では、1人当たりの県民所得の向上が掲げられています。ことし3月に策定された経済成長創造戦略でも県民所得の向上がうたわれていますが、1人当たりの県民所得を向上させるにはどのような方法をとったらいいのでしょうか。1人当たりの県民所得を向上させるための一般的な方法についてお示しいただきたいと思います。  そして、鳥取県では具体的にどのようなことをして県民所得を上げようとしているのか。現状でどのような取り組みを行い、その成果がどのようにあらわれているのかお聞きします。  この県民所得の向上について調べている中で、長崎県の事例を見つけました。長崎県でも、鳥取県と同様に県民所得が長年にわたって低迷していました。こうした状況から抜け出すために、平成25年から県民所得向上対策を打ち出して取り組みを行っています。その内容は、産業分野ごとに生産額、付加価値創出額など県民所得の増加につながる数値の目標を設定して、分野ごとに具体的な施策に落とし込むというものであります。具体的には県民所得を1,028億円増額するという目標値を設定し、製造業で319億円、農業で53億円、水産業で25億円、観光業で491億円、サービス産業で140億円といったように、分野ごとに増額目標を定めています。鳥取県でもこのように全産業での目標数字を掲げて、各産業ごとに具体的に取り組むべきではないかと思います。  このことについて、6月の会派自民党の代表質問で内田議員から農業生産高についての質問がありました。その部分を要約しますと、現在の農業人口2万5,000人に対して農業生産額は764億円、1人当たりの生産高は300万円になります。県農業生産1,000億円達成プランは、10年後の農業人口を1万5,000人と仮定すると1人当たりの生産高は667万円になります。さらに、1万人だとすれば1人当たり1,000万円になります。就農者が減少する中で、1,000億円の生産高を達成するのは労働生産性を10年で2倍、3倍とするようなかなり野心的な計画であります。これを実現するのに、達成の道筋を示す労働生産性を向上させる具体的で新たな農業プランの支援策を検討すべきではないか。そして、これは農業分野に限らず全産業に対して同様のことが言えると思うという内容でありました。私も同感であります。  生産高イコール県民所得ではありませんが、県民所得を上げるためには生産高、付加価値創出額を上げるのが基本であります。就労人口が減少する中で生産高を上げ、1人当たり県民所得を上げるにはどうしたらいいかという考え方で、具体的な取り組みが必要だと考えています。  そこで、まずはファーストステップとして例えば1人当たり県民所得を250万円まで上げるということを掲げてはどうでしょうか。1人当たり県民所得を250万円にするためには、全産業で生産高、付加価値創出額を幾らまでふやせばいいのか、それについては計算できるはずです。それに向けて、各産業、業種ごとに具体的な数値目標を掲げて取り組んではどうかと思いますがいかがでしょうか、知事の所見を伺います。  以上、質問をまとめます。  1人当たりの県民所得の向上をこれからの県政の最優先の課題として重点的に取り組むべきだと考えますが、どうでしょうか。  1人当たりの県民所得を向上させるには、一般的にどのような方法をとればいいのでしょうか。  鳥取県では、1人当たりの県民所得の向上をどのようにして上げようとしているのか。その取り組みの状況と成果はどうでしょうか。  1人当たり県民所得250万円という目標を掲げて、各産業、業種ごとに具体的な数値目標を掲げて取り組んではどうでしょうか。  以上、わかりやすい説明と答弁を求めて壇上で質問といたします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)川部県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、冒頭お触れになられましたが、私からも横山会長の一日も早い御回復をお祈り申し上げたいと思います。  ちょっとおっしゃったのであえて申し上げれば、昨日私も面会をさせていただきました。御家族と御一緒におられたわけでございますが、おっしゃるようにお元気な御様子ではありますけれども、ただ私も申し上げましたが、せっかくこういう状況ということもあるので、ぜひしっかり治してそれでまた元気な顔で帰っていただけるのがいいのではないだろうかというふうに申し上げました。御本人はやはり陸上の選手だけに非常にスピード感を持って退院したかったようなのですけれども、なかなか病院の加療というのも非常に大事だというふうに拝察をいたしました。  大変お元気で、きょうされるはずの質問の中身を私にいろいろとおっしゃられました。答弁内容によっては体調を崩すと思いましたので私も答弁を差し控えたわけでございますが、ともかくそうしたことでございましたけれども、一日も早く御回復されますようにお祈りを申し上げたいと思います。  川部議員から、県民所得につきましてお尋ねがございました。  この県民所得、例えば250万円というようなことを重点的な目標としてはどうだろうか。また、それを上げていく方法はどうなのか、どういうような取り組みがあるのか。大要こういうようなお話であったかなというふうに思います。  これは以前も同じようなお話がございまして、そのときも申し上げたことでもあるのですけれども、ちょっとトリッキーなことがあるということはまず申し上げたいと思います。県民所得という言葉が使われておりますから、これが何か私たちのお財布そのもののように思われがちであります。もしお財布そのものであれば、年間250万円というのは余りにもという額であります。なぜそういうことになるかといえば、これは総生産の額が片方であって、その総生産の額の今度は分配のベースで、例えば企業に分配をされる、それから個人に分配をされる、こういうものの総量が、所得でございます。その総所得を県民1人当たりで割り算したものが県民所得というものでありまして、これは実は私たちの給料のことではなくて企業が上げた企業の利益、企業所得などが圧倒的に多いわけであります。そういうものなどの合算の割り算ということで御理解をいただければいいわけでありまして、県民所得そのものが県民生活のそれぞれの個人の豊かさと直結しているわけではないということでありまして、非常に算定上の問題がございます。  特にどういうところが算定に影響してくるかといえば、最終の組み立て工程の製造拠点を持っているところは大きく出るのですね。私どもはどちらかというと部品段階のものでありまして、そうすると生産額が付加価値ベースが小さくなってしまいます。ですから、そういう意味でもともと余り積み上がらない状況のところにあり、東京のように金融関係の所得等、そういういわば本社機能での所得を上げるところと比較するとかなり小さくなります。そういうようなもともとの隘路があるわけであります。その前提で聞いていただければと思います。  ではどうして県民所得が下がってきているのか。特にリーマンショック以降、私どもは下がってきているわけでございまして、大体1兆9,900億円ぐらいの名目ベースでの県内総生産がありました。これが1兆6,700億円ぐらいまで下がっておりまして、今これは回復傾向にあると川部議員がいみじくもおっしゃいましたが、1兆7,500億円ぐらいまで戻ってきている。半ば今戻りかけているという状況です。  ではどうして最初に落ちたのかといいますと、リーマンショックの後、本県で特に製造品出荷額が激減をしているわけですね。1兆1,000億円ほどありました製造品出荷額が6,000億円台ぐらいまで急激に落ちました。これは半減しているわけです。この中身をざっとした話で申し上げれば三洋関連で3,000億円、それからJTの米子工場関連で1,000億円、そのほか例えば日立金属さんの再編等で500億円程度とか、そういうように大型の特に最終組み立てとか最終製品出荷の前段階のものの工場が実質上失われてきていること。これで一気に減ってしまったわけですね。この県民所得を取り戻すためには、付加価値ベースでの総生産額をもう一度積み上げていかなければなりません。  そこで、私どもはこれまで10年ほどかけまして今までの一本足打法的な三洋さんとかだけに頼っている経済ではなくて、自動車だとかあるいは航空機産業だとか、また農林水産業、こうしたいろんな基盤をもう一度一からつくり直して産業の機軸を多軸型にしていこうと。そこでそれぞれが生産額を生み出していく。こういうことをやっていかないと、総生産が積み上がらないわけですね。当然総生産がなければ分配ベースでの所得の額につながらないことになります。ですから、戦略として必要なのはこの総生産をふやしていくための努力、この方法論としてはこれしかないと思います。分配のほうでもどうしようもない話でありまして、まずはその分配の前提となる総生産額を上げていくことが必要であります。  その総生産額は、実は戻りつつございまして、製造品の出荷額ベースでは7,300億円ぐらいまで今戻ってきておりまして、これ自体は近年の傾向では全国第4位の伸び率であります。ですから最近いろんな企業誘致もしたり、それから県内の中小企業の元気をつくろうとして経営革新をやってきたこと、こういうことがやはり響いてきていることは多分事実だろうと思います。ですから、この道筋をつなげていくことでその議員がおっしゃった県民所得250万円ベースというのは、私は達成可能なベースにもなるだろうと思います。  ただ、それを目標として県政課題として掲げるということには若干いかがかなというのは個人的には思っていまして、と申しますのも今私たちに見えている1人当たり県民所得という数字は平成27年度なのですね。今が30年度ですから、3年前の数字しか出てこないわけです。私どもは4年間の任期で物事をやはり始末していかなければなりません。リアルタイムでやはり結果を検証していく必要がございまして、そういうようにさかのぼって数字をつくっていくものを指標にして県政運営をしようとするとちょっと難しさが出るかなと思います。ですからむしろ製造品出荷額ベースだとか、それから実際の農業の産出額ベースだとか、そうしたところに目安を置いて我々が政策を追求していけばおのずから県内総生産額が積み上がっていって、県民所得1人当たりも向上してくるというふうになると思います。  そういう意味で、手法として議員が最後のほうでおっしゃられたそれぞれのジャンル別の生産等の目標を考えて、それを地道に実行していくという考え方のほうにむしろ賛成させていただきたいと思います。  例えば製造品出荷額ベースで言えば、かつて1兆円ベースでありました。その1兆円ベースを取り戻すこと、これはちょっと何年先かという設定は難しいですけれども、そういうことをやっていく。また、農業産出額1,000億円ということを目指す。それから養殖漁業など水産業のほう、それから38万立米といって今追求している森林の生産、こういうものを足し算して実行していけば、後々3年後ぐらいに再計算してみれば、それは議員がおっしゃるような250万円というところを私どもが近い将来達成し得るということにもなってくるのではないかと思います。  したがいまして、そういうような意味でこれはこれから多分次の4年間の任期を皆さんがここに集まられて議論するときに、そうした目標を再度議論されるのがよいのかなというふうに思います。そういう意味でまた御理解もいただいて、私どももそれに向けて生産増強、それが所得の分配につながっていくという観点で取り組みを強化してまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員 ◯14番(川部洋君)県民所得の向上について答弁いただきました。詳しく説明いただきましてありがとうございます。  この1人当たり県民所得という数字が、言われたとおり直接あらわすものではないということ、それから数字が3年もさかのぼってしまうということを理解した上で何を求めたかというとやはり県民生活の豊かさをどう向上させるかというところでありまして、先ほど最後に知事が言われましたとおり本当に生産高、付加価値創出額を上げていくことが結果的に県民の所得の向上につながるということは私も同感でありますので、ぜひともその方向で取り組んでいただきたいというふうに思います。  1人当たりの県民所得を向上させるということで言葉としては使わせていただきますけれども、そのことに取り組んだとして目の前で労働力が不足しているという実態についてはやはり大きな問題だと思います。9月議会でも労働力の不足対策においてまず女性、高齢者の労働参加を進めること、それとあわせて生産性の向上を推進することでまず労働力不足対策に取り組むことが先ではないかというふうな趣旨で質問いたしました。外国人の受け入れについてはそれらの次に取り組むことであり、それも慎重に進めるべきだという考え方であります。  したがいまして、ここからは労働力不足対策における高齢者と女性の労働進出と外国人労働者の受け入れに関して、もう一度不足状況の予測と対応の方針についてお尋ねします。  改めて労働力不足対策についての私の意見は、女性、高齢者の労働参加で対応するのとあわせてICT、AI、ロボットなどの導入による業務改善と生産性の向上で対応し、それでも対応できない場合に外国人の受け入れを考えるべきというものであります。県としては、まず今後の労働力の過不足の状況についてしっかり分析と予測を行い、女性や高齢者が働きたいと思える労働環境の整備について、業種、業務ごとの実情に合わせて対応策を支援していくということが必要だと思います。あわせて、労働力が減少しても生産高や付加価値の創出額が維持、増額できるように業務改善と省力化の推進について、これも業種、業務ごとにきめ細やかに支援し、県内の全ての産業における生産高の向上を推進させるべきだと考えています。こうした考え方について、まず知事の所見をお尋ねします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)川部県議から、重ねて労働力につきましてお話がございました。  議員のほうでおっしゃられたことを、私も流れとしてはそのとおりだろうというふうに思います。私たちこの地域社会で産業活動を進めるに当たりまして現在有効求人倍率が1.63倍ということになり、正規の職員、社員さんでも1倍を超えているという有効求人倍率でありまして、どちらかというと人手不足状況になってきているということであります。その辺が特に中小企業が多い本県の場合深刻に受けとめられておりまして、この辺をどういうふうに解消していくのか。それはさまざまな手法が必要になってきます。一つには、多分生産力を向上させるという意味での生産性の向上に向けて、午前中もお話がありましたがIoTだとかロボット化の話もございましたけれども、そうしたことをいろいろと入れていって、確かにこれで加速度的に人手に頼るものが減ってくるのではないかなと思われます。最近も最新鋭の工場等を拝見しますと、もうほとんど人がいないのですね。その中で機械が動いて、ただそれを監督をしたり、その機械でできないところをあるいは検品だとかそうしたところで人が活躍している。大分昔とは違った状況になってきていまして、これはもっともっとサービス産業の分野、あるいは農業の分野、いろいろと進んでくると思います。これによりまして、人手を余り使わなくとも生産高を維持、発展させることができる。これを上手に利用していくのは私どものような人口が少ない地域では特に大切な課題になってくると思われます。  それとあわせまして働き方改革を進めて、また人生の生きがいということも考えれば、高齢者の方も自分のできる余裕の範囲内で活躍をされるとか、また女性の社会進出が鳥取県は比較的進んでいますし、M字カーブもほぼ解消されているぐらいに小さくなってきておりまして、全国ナンバーワンですけれども、こういうようなことをさらに一層追求していくということで、従来の生産年齢人口の同じ人口の中であっても、実際に働かれる労働者の数をふやしていくということも一つの手だろうと思います。これで全部賄えればいいのですが、残念ながら賄えないのではないかということで、今、外国人労働者の課題がある。したがいまして、この外国人労働者の導入というのは、ある意味、社会全体からいえば補完的なものということになるのかなと思われます。現在、国会におきまして、この外国人労働者をめぐる議論が最もホットなイシューになっているところでございまして、その議論の行方を我々もフォローさせていただきたいと思いますし、県内でいろんな事業者の方の御意見等もお伺いをしながら、備えるべきことには備えていくということが大切ではないかなというふうに思います。  そういう中、若干ちょっと我々も注意しなければいけないかなと思いますのは、そういう意味で、一つの政策パッケージを考えることになるのだろうと思います。ただ、その際に、外国人の方がここのコミュニティーに入ってきて生活をし、働かれるというのであれば、それは、やはり我々もそれ相当の対応、きちんとした社会的なサービスの提供だとか、それから労働条件だとか、その辺を整えていかなければならないというのも、また片方で必要なことではないかなと思います。  私自身もアメリカにおりまして、そのときにいわゆる外国人労働者として暮らさせていただき、家族も同行していた時間帯もございました。そういうときに常々思いますのは、下手をすると本当に孤独に陥ってしまうわけでありますし、何かあったときに助けをどこに求めに行ったらいいのかもよくわからない。自分自身に照らし合わせてみても、州政府や市役所で面倒を見てくれるところがどこにあるのかというのも実はよくわからない。教育も、どうやって受けさせたらいいのかもよくわからない。それで、自分で一生懸命探し回ったりする。そもそもソーシャル・セキュリティー・ナンバーをとるのにも苦労する。こんなようなことでございまして、やはりこちらに志を持って働きに来られる方、住まわれようという方々も同じ人間として持っておられるものでございます。  ですから、補完的な労働力ということが政策パッケージとしてあるとしても、人間としての処遇ということについては、我々もきちんと対応しなければならない事柄もあるのではないだろうか。それに注意をしながら、この外国人労働者問題ということに対処していく必要があると考えております。 ◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員 ◯14番(川部洋君)外国人労働者については、補完的な労働力として扱うというか、みなしていくということだと思うということで、ただ、それは労働力ではなくて、一人の人間、労働者としてどうフォローしていくのかが必要だということ、前回もそのあたりの確認はさせていただきました。
     では、補完的に外国人を受け入れていくということについて、やはりどれくらい受け入れていくのかというあたりもしっかり見ていく必要があるのではないかということで前回も質問させていただいたのが、労働力の不足状況と予測についてであります。これについては、9月にした質問に対する答弁が、労働力不足が過去10年くらいで4万人ぐらいだったということで、向こう10年もまた4万人ぐらい減るだろうというふうに答弁いただきました。  それを補うのに、女性の労働参加については、先ほども言われたとおり、M字カーブの改善等が進んでここ数年で0.7%程度上がったということですが、女性の総数自体が減っているので打ち消し合うのではないかということ、それから高齢者のほうは、ここ数年で1%ぐらい上がって6,000人ぐらい増加しているということで、今後、団塊の世代の引退後の労働参加が進めば、労働力の不足を充足するのにある程度期待できるであろうということだったというふうに理解しております。ちょっとこれについて、さらに詳しく説明いただきたいと思います。  まず、県内全体で今後4万人程度不足するということでしたが、これは現在の生産性を前提にしての予測でしょうか。それとも生産性の向上を進めても不足する人数として掲げられたのでしょうか。もし現在の生産性が前提であれば、今後、生産性の向上の見込みによってどの程度まで不足する人数を減らせると予測されておりますか。なかなか難しいところではありますが、お聞きします。  また、女性の労働参加での補充は余り見込めないということで、高齢者の労働参加を期待しているということですが、4万人全てを高齢者で充足できるとは考えておられないと思います。どれくらい充足できると思われているのか、お聞きします。  また、労働力の不足の状況は、業種、業務や企業規模によっても異なるのではないかと思います。加えて、年齢や性別による求人、求職のミスマッチも業種、業務による労働力の不足状況に偏りを生じさせているのではないかと思います。業種、業務や企業規模、年齢や性別等による求人、求職のミスマッチも含めた県内の労働力不足の状況の分析と予測はなされているのでしょうか。なされているとすれば、女性や高齢者の労働参加と生産性の向上では対応できない労働力不足は、どういった業種、業務でどれくらいになると予測されていますか。現在提供されている社会的利便性やサービス水準を下げないで現状のままにした場合は、その数字が外国人労働者の受け入れの上限になると思います。したがって、その分析は必要であり、重要だと考えますが、いかがでしょうか。  外国人労働者については、知事も言われたとおり、現在、国会で入管難民法の審議が進んでいます。そこでは、技能実習制度の深刻な実態も明らかになっており、さらに詳細な検討や対応は必要だと思いますが、今後、外国人の受け入れが進んでいくことについては間違いない方向だと思います。だとすれば、地域のためにも外国人労働者のためにも、ある程度受け入れをコントロールすることが必要なのではないでしょうか。そのために、女性と高齢者の労働参加と生産性の向上でも間に合わないところに外国人労働者を受け入れるべきではないかという考えは、さきに述べたとおりであります。  以上、質問をまとめますと、今後予測される労働力不足に対して、女性、高齢者の労働参加と生産性向上で補充できない人数について、年齢や性別等による求人、求職のミスマッチ等の分析も含めて、どういった業種、業務でどれくらいになると予測しているのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)川部議員から前回に引き続きまして、この労働力の状況につきましてお尋ねをいただきました。  前回も若干議論した記憶がございますけれども、詳細を雇用人材局長のほうからお答えを申し上げたいと思います。  前回も申し上げました大体4万人ぐらいという意味は、あれは、国立社会保障・人口問題研究所がございますが、そこが2030年の推計を終えています。それに私どもの統計調査で補充をしたもので現在ベースと比較をするわけでありますが、大体31万5,000人ぐらい今、生産年齢人口があると。それが大体27万4,000人ぐらいになるだろうという予測がありまして、これは差し引きすれば4万人ぐらい生産年齢人口が減少するということを申し述べた気がいたします。これは現在の推計値であります。  正直申し上げて、それが例えばどの産業でどれだけになるかとか、その辺は恐らく神様でもわからないところがあると思います。ですから、多分あるとしたら、傾向としてこういうような傾向というようなことが、その後、若干勉強の成果があるかもしれませんし、また、実際、現在法案審議が進んでいますので、外国人がどこでも入るということではなくて、要はこの業態については労働人口が足らないというふうに政府が認定をしているところでの上限つきでの導入ということになりますので、当然ながらそこの政策判断に従ってこの外国人が補充的に入ってくるという仕組みであります。その辺の仕組みとの関係で、現状どこまで予測できるかというようなことなどかなというふうに思います。  詳細につきましては、雇用人材局長のほうからお答え申し上げます。 ◯副議長(福間裕隆君)三王寺雇用人材局長 ◯雇用人材局長(三王寺由道君)労働力不足に対する補足答弁をさせていただきます。  先ほど知事が申しましたとおり、4万人というお話は生産年齢人口のことでございます。労働力ということであれば、どちらかといえば就業者数、こちらのほうが適当かなというふうに思います。生産性向上などの労働力不足を解消する要素を加味しないで、10年後も2017年の就業者数と同程度の就業者数が必要になるというふうに仮定すれば、2030年の就業者数、先ほどの国立社会保障・人口問題研究所の予測値を利用して比較しますと、約3万5,000人ほどの不足になるという形でございます。  女性や高齢者の労働参画のお話でございますけれども、こちらのほうにつきましては、女性は、先ほどのお話で、M字カーブ現象で全国一くぼみが浅くなっていることなどによって就業者数の増加は難しいところでございますけれども、高齢者の労働参画につきましては、促進していくことが可能ではないかというふうに考えております。これにつきましては、今、政府が70歳までの継続雇用を将来に向けて検討する方針を示しておられることから、例えば60から69歳の就業率は現在、55%程度でございますけれども、これを段階的に、55歳から59歳の就業率、大体これが81%程度でございますけれども、これまで引き上げていくことができれば、約1万7,000人の創出が可能というふうに考えております。  外国人の話がございました。そちらのほうにつきましては、どれくらい受け入れれば労働力不足が解消するかということは、ちょっと非常に全体としては計算が困難というふうに考えております。先ほどからお話の中に出ておりました新たな在留資格、特定技能で国のほうが示しておられる受け入れ人数、こちらのほうは5年間で最大値34万5,000人ほどという形になっておりますけれども、これを就業者人口の割合で本県の受け入れ人数を試算すると、約1,600人程度が目安になるのではないかというふうに考えております。  以上のことを踏まえますと、10年後には生産性が変わらなければ、1万6,400人ほど不足という形になります。したがって、先ほど議論がございましたとおり、IoTですとかAIを活用した生産性の向上、あるいは働き方改革の推進、あるいは学生など若者の県内就職の促進などによって労働力不足というのを埋めていきたいというふうに考えております。  ちなみに、先ほど分野別のお話がございました。今後、産業構造は大きく変化していくということが予測されますから、不足する就業者の推計はなかなかちょっと難しいというふうに考えております。しかしながら、一部の分野、例えばICTの分野ですと、今後もIT市場は拡大していく見込みですので、IT人材不足はこれまで以上に深刻化していくだろうというようなこと、あるいは介護などは、厚労省の推計をもとにすると、10年後、2025年ですけれども、本県では900人ほど不足すると。あと、建設ですと、若手の入職者の方が減少し、高齢化が進展するとともに従業員全体も全産業と比べて著しく減少していく傾向が見られるのではないかというふうに考えております。  そのほか、先ほど出ました外国人の関係で、それぞれの職種、14業種の5年後の不足数が大体全国で145万人というようなお話も国のほうで出ておりました。そういう傾向が顕著となって見られるのではないかというふうに思っております。  あと、お話の中に出てきました年齢、性別による求人、求職のマッチングのお話が出てきたと思いますけれども、これにつきましては、性別とか年齢を合理的な理由がない限りは指定して求人は出せないというようなこともございますものですから、予測をするのは、これもちょっと難しいというふうに考えております。 ◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員 ◯14番(川部洋君)大変丁寧な答弁ありがとうございます。前回も同じことを聞いて、このような答弁が欲しかったというか、具体的になかなか予測するのは難しいけれども、大体これくらいという数字を示していただいたと思います。ということで、女性、高齢者、外国人である程度、労働不足を補充しても、それでも足りない。それからそこについては、やはり生産性の向上を進めていかないといけないということがよくわかりました。  次に、外国人労働者の受け入れの課題について、さらにお聞きしたいと思います。  国会でもさまざまな課題が取り上げられていますが、特にここでは、外国人労働者の受け入れによって日本人労働者の賃金の上昇を抑制するのではないかという懸念について取り上げたいと思います。  外国人労働者の受け入れを希望しているのは、運輸、医療、福祉、宿泊、飲食サービス、建設など、いわゆる人手不足産業と言われている業界が主であるというふうにお聞きしております。そうした産業については、一般的に労働生産性が低くて、そもそも賃金が高くないという状況があります。通常は労働力が不足すれば、経営者は雇用を確保するのに経営努力をして、労働環境の改善や賃金のアップをするというのが一般的な認識であると思います。しかし、いわゆるこの人手不足産業においては、労働生産性が低いまま改善が進んでおらず、労働力が確保できないといった負のスパイラルに陥っているのではないかと思います。そこに低賃金の労働力として外国人を補充できるとすれば、経営改善へのインセンティブが働かず、そこで働く人の賃金のアップは見込むことができないのではないかと思います。実際に労働力が不足している現場での最低賃金以下で働かされている技能実習生の実態も明らかになっています。悲しいことですが、労働力が安く手に入るのに、わざわざ賃金を上げようとする経営者は多くないということだと思います。  また、現在、生産性の高い産業は雇用がほぼ充足しており、雇用を吸収しているのは労働生産性が低いこの人手不足産業と言われている業種であります。低賃金であっても、そこで働かざるを得ない人がたくさんいるという現実があります。雇用が不足しているのになかなか賃金が上がらないのは、そのことが大きな原因になっているとも言われています。したがいまして、外国人労働者の受け入れが日本人の賃金上昇の抑制に働くというのは、決して間違いではなさそうです。鳥取県としても、県民所得の向上に向かうのであれば、この問題には真剣に向き合う必要があると思います。  では、どうしたらいいのでしょうか。言うまでもなく、外国人労働者の受け入れを希望している人手不足産業において、特に労働生産性を向上させることが必須だと思います。鳥取県経済成長創造戦略では、成長産業の支援に重点を置いて県内経済の成長を牽引しようとしているようにお見受けしますが、多くの雇用を吸収している人手不足産業の生産性が低いままでは成長は見込めないのではないかと思います。企業の生産性の向上とあわせて労働分配率を上げて、そこで働く人の労働環境の改善と賃金アップにつながるようにしていくことも必要です。そしてまた、外国人と日本人労働者の格差をなくすことは言うまでもありません。  そこで、県としては、人手不足産業の生産性の向上と、そこで働く人の労働環境改善と賃金アップに向けてどんなことができるのでしょうか。この問題については、多分とっとり働き方改革支援センターが窓口になると思われますが、相談を待っているだけでは状況は改善しないと思います。外国人労働者の受け入れを希望している事業所に県のほうから働きかけて、生産性の向上、労働環境の改善、賃金アップに向けて相談に乗り、支援していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。  また、労働者についても、待遇や賃金について相談に乗ることも必要だと思います。特に外国人労働者については相談に来るようなことはなかなかないと思われますので、県のほうからやはり出かけていって話を聞く必要があると思います。それには、どの事業所、職場に外国人が何人いるのかを把握し、雇用状況について知ることがまず第一だと思いますが、いかがでしょうか。とにかく人手不足産業の生産性の向上と、そこで働く人の労働環境改善、賃金アップが大きな課題であることを認識して、県として積極的に施策展開をすることが県民所得の向上につながると思います。知事の所見を伺います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)川部議員から、外国人労働者についてと、それから生産性向上等の取り組みにつきましてお尋ねがございました。  これにつきまして、今まさに国会で審議がなされていまして、議員がおっしゃることも重要な論点として、参議院に移り、審議が進められております。その中で出てきた議論に基づいて仮にこれが成立をすれば、この執行段階で政府が各省庁挙げて適正な法執行をしていくという体制づくりになってくるのではないかなというふうに拝察をさせていただいております。  議員がおっしゃるように、外国人労働者の給与水準等の問題も繰り返し特に野党側から議論が提起されていますが、安倍総理や山下法務大臣は一貫して、外国人の方も日本人と同等以上の給料を受けることになっていて、そういう影響はないというふうにこれは言い切っておられる状況でございます。現実にも今回の入管法の中で条文もございまして、外国人についての報酬の決定、それから福利厚生施設等々で差別的取り扱いをしてはならないと、このように書いてありまして、これはまことに当たり前、当然の人権に基づく規定だと思うのですけれども、こういうふうに一応法律上も書いてはあるということでございます。  現実はどういうことかというふうに我々も考えるわけでありますけれども、現実に今、人がいないと。ですから、日本人が入っていたところと同じような形で入ってもらうのだというのが、これは多分政府の立場としておっしゃっていることであって、恐らくそれ自体はそういうことを目指してこれから指導もいくのではないかなと思います。現実、今、外国人の労働をされている方については、鳥取の労働局のほうに届け出をしなければいけなくて、その給与の内容とかも含めた報告義務が課されています。それからまた、最近でも国会審議に関連しながら、国土交通省のほうで建設関係もこの対象に入っていますから、それについて同等以上の賃金がもらえるかどうか、そこはこれからしっかりチェックをしていくのだということを言っています。  ですから、今、私どもとしては、国会の審議がどうなるのか、それからその後どういうふうに、国会で政府が主張していたとおりに物事が動くのか、この辺をよくフォローをさせていただく必要があるかなと思います。これまでの外国人研修生の実情などもございますので、私どもとしてはそれに対して実は国のほうに、要望活動もさせていただいておりまして、外国人の外国語の履修のことなども含めて、議場でもいろいろと御議論があった外国人の研修生等の受け入れの環境整備についても要請活動をさせていただいているところであります。こんなようなことでありますので、そこはそこで一つ給与水準等、それが今の日本の地域社会で行われているような、いわば給与秩序を乱すことにならないように、それは細心の注意を払っていただきたいと、このことは、また加えて国のほうにもお願いをすべき事柄なのかなというふうに思います。  そして、そういうことであってもやはり、特に先ほど一定の業種というお話がございましたけれども、生産性が余り高くないのではないかと言われるところでは、日本人も含めて手取りが伸びない可能性がございますので、その生産性を高める努力ということを我々も一体となってやっていきたいと思います。午前中もIoTやAIの活用のお話がございました。私どもも、そうしたこと、例えばスマート農業であるとか、そういうジャンルも含めてさらに一層進めていくことが必要だと思います。  また、働き方改革支援センターをつくらさせていただきました。実はここの機能は、ここから先に出かけていく人がいまして、専門家を職場のほうに派遣をさせていただいております。そうした職場派遣をしながら、例えば就業規則の状況とか、それから働き方改革の実際のやり方だとか、その辺についてカウンセリングさせていただいたり、御指導させていただいているというようなことの展開をいたしております。  また、外国人の方の相談窓口等の問題もあります。市町村だとか労働局だとかございますが、県のほうでも、「みなくる」という相談窓口をこれは労福協さんと連携をしながら設置をしていますが、最近の状況で申し上げれば、外国人の方も相談に来られています。こういうところでいわば中立的な相談をしていただいて、必要に応じて担当のほうにつないでいく等は現在も始めているところでございます。こういうようなことを、これから本当に入管法等が改正をされて外国人の方が日常的に研修等、今回の技能を生かす形での認定を受けた者として入ってこられるのであれば、その辺の体制強化は法の施行を見て我々もさらにワンステップ高めてまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員 ◯14番(川部洋君)今回の質問では、1人当たりの県民所得の向上、それから生産性の低い業種、業界に対しての生産性向上の働きかけについてるるお聞きしました。ぜひとも県民の生活を豊かにするということを目標に掲げて、平井知事には次の4年間も取り組んでいただきたいというふうに強く望んでおります。  以上で質問を終わります。 ◯副議長(福間裕隆君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後2時03分散会    ────────────────...