▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(稲田寿久君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する
一般質問並びに議案に対する質疑であります。
それでは、議案第1号から第37号までを一括して議題といたします。
これより、
一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
20番
藤井一博議員
◯20番(藤井一博君)(登壇、拍手)おはようございます。
まず、
成年後見制度に対する対応について伺います。
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人たちの権利擁護の観点から、平成12年に民法が改正されて新しくできた制度です。
家庭裁判所、弁護士、司法書士、
公証人役場など主として
司法関係者により運用されてきました。しかし、最高裁の統計によると、全国でも年間3万5,000人程度の利用で
横ばい状態が続いており、制度が活用されることは少なかったようです。
そこで、
法曹関係者、学会等の強い要請から、平成28年4月、
成年後見制度の利用の促進に係る法律が成立し、施行されることになりました。この
利用促進法の第3条では、基本理念として制度の利用の促進は成年被
後見人等がそうでない者と等しく、
基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、尊厳にふさわしい生活が保障されること、意思決定の支援が適切に行われること及び
自発的意思が尊重されること、あわせて財産管理のみならず身上の保護が適切に行われることとされ、身上監護・保護が強調されております。
そして
成年後見制度の利用の促進は、
家庭裁判所、
厚生労働省等関係行政機関、
地方公共団体、
民間団体等の相互協力及び適切な役割分担のもと、この制度を利用する者の権利、利益を適切かつ確実に保護するために必要な体制を整備することについて強く訴えられております。
そして、
成年後見制度の利用及び促進のために、
地方公共団体である都道府県や市町村が役割を果たすことの必要性が明記されました。
具体的には、
利用促進法の5条に
地方公共団体の責務として基本理念にのっとり
成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りながら地域特性に応じた施策を策定し実施する責務を有するとされました。
平成29年3月、国では同法を受けて
成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定いたしました。この中で、重要施策の一つとして成年被
後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援が上げられております。同じ時期、この閣議決定を受けて内閣府大臣官房の担当室長から
都道府県知事に対し「
成年後見制度利用促進基本計画の策定について」の通知が発出されました。内容は、同法の規定により、市町村では国の基本計画を勘案して
成年後見制度の
利用促進に関する施策について基本的な計画を定めるように努めるものとされ、また制度の
基本的事項を調査するなどのため審議会など
制度実施機関の設立等に係る支援及びその他必要な措置を講ずるよう努めるものとされております。
都道府県では、市町村が講じる必要な措置を推進するため広域的な見地から
成年後見人等になる人材育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものされております。
まず、動き始めた
成年後見制度の一連の流れの中、今後一層の高齢化が進むことが想定される本県においてこの制度の効果的な活用が必要となっていくものと考えますが、特に県の果たす役割について知事はどのようなお考えを持たれているのか伺います。
あわせて、県の
成年後見制度推進体制はどのようになっているのか、知事に伺います。
また、県内の市町村の体制とその計画や活動がどのようになっているのか。そして、県では市町村に対してどのような助言等が行われているのかお尋ねいたします。
次に、県内における成年被後見人の数や後見人の数あるいは
専門職別後見人の人数等の実態調査をされたのか。あわせて、その実態はどのようになっているのか知事に伺います。
国の計画の中でも、
権利擁護支援の必要な人の発見・支援、早期段階からの相談・対応体制の整備、
意思決定支援・身上保護を重視した制度の運用に資する支援体制の構築を目的として、
権利擁護支援の
地域連携ネットワークの構築の必要性が示されております。私の知る限りでは、中部地区に事務局である
中部成年後見支援センターミットレーベンを中心として
鳥取家庭裁判所をオブザーバーに県、市町行政、市町社協、高齢者・
障害者相談支援機関、
後見候補者等団体により鳥取県
中部地区高齢者・障がい
者等権利擁護支援ネットワークが組織されております。東部、西部でも同様の組織があって活動されているのか、あるいは新たな構築が必要なのか、知事にお伺いいたします。
次に、県の
成年後見制度推進業務に対する財源はどのようになっているのか伺います。
県では、既に
関係団体などに
補助金等を支出されておりますが、財源となるべき
地方交付税については市町村に対して措置がされているにもかかわらず、都道府県に対しては措置されていないとお話を聞きました。制度に係る
補助金支出を含めて、
成年後見人となる人材の育成、
関係団体との連携、市町村に対する支援などその事務量は相当あると思いますが、これに対する
財政措置の現状はどうなっているのか伺います。
あわせて、国に対して交付税や
補助金等の
財政措置を要望されているのか伺います。
次に、山陰本線の一層の活用と利便性の向上について伺います。
まず、
特急スーパーはくとの区間の延伸について伺います。
特急スーパーはくとについては、その運行開始から今日まで米子駅までの延伸や
倉吉-米子間の途中駅までの延伸など、多くの働きかけが県に対しても行われてきました。この議会でも、
特急列車を運行している
智頭急行株式会社の
経営問題等を含めて、本数の増加や延伸について何回か取り上げられてきました。
平成27年度にも中部広域、正確には
中部地区行政振興協議会でありますが、琴浦町から
特急スーパーはくとを米子駅に延伸し、赤碕駅を停車駅にすることについて
関係機関に働きかけるよう要望が出されました。その理由は、
山陰本線利用における移動時間の短縮及び利便性の向上により地域経済の活性化が図れるという内容でありました。これに対して、県からは要望実現のためには利用者が確保されることが必要であるとされ、
地元自治体や経済団体が連携して誘客策や需要喚起の取り組みを着実に行い、粘り強く要請していくことが重要であり、県も支援していくという回答がありました。
このような状況のもと、琴浦町は
利用者確保に向けて尽力をしながら、山陰本線を走る他の
特急列車の赤碕駅等、倉吉駅と米子駅間の停車についての要請など活動をされてきました。
このような動きの中、去る10月8日
付日本海新聞の声の欄に、琴浦町の住民の方から
スーパーはくとの区間延伸を望む趣旨の投書がありました。内容は、山陰本線の
電化複線化や
山陰新幹線構想は
国家的事業であり、実現までには相当の歳月と予算が必要であるため、まずは身近な利便性の向上を進めるべきであると訴えられたものでありました。私は、これは琴浦町のみならず北栄町、大山町の住民の皆さんの現在の強い要望であると理解いたしました。
昨年12月には、JR線・
智頭線中部地区利用促進協議会会長で
中部地区行政振興協議会会長の
石田倉吉市長も
西日本旅客鉄道株式会社の
梅谷米子支社長に対して「より利便性の高い運行の実現等について」との要望もされております。このような強い要望にあわせて、今日
スーパーはくとを取り巻く環境や諸条件が大きく変化しつつあることも着目すべきであります。
まず、高齢化の進展に伴い旅行好きな高齢者の方もふえてきましたが、京都を初め大阪、神戸など関西圏に行かれる方は
高速道路網が整備されたにもかかわらず、自家用車よりも鉄道を利用される傾向が多くなったようであります。バス利用という方法もありますが、高齢者の方にお聞きするとトイレが近くなってバスでは不安だというお話でありました。
また、平井知事を初め市長さんや町長さんの御尽力により中部圏域にも誘致企業がふえてきておりまして、その中には関西圏に本社や取引業者などがある企業も多く見られております。企業数について琴浦町に尋ねたところ、平成28年の
経済センサスで町内に722の事業者があるということでありました。これら企業のビジネスマンの方も、運転に神経を使う車よりも眠っていても移動できる
特急列車を利用されることが多いようであります。
さらには、近年来日される
外国人旅行客がふえておりますが、特に関西圏では
右肩上がりに
外国人旅行客数がふえております。2020年の
東京オリンピック・パラリンピックを機に、さらに増加していくことでしょう。これら
外国人旅行客に対して鳥取県や
山陰線沿線のすばらしさを宣伝していくとともに、コナンの里や船上山を経由して大山等に誘致していく方策を講じる必要があると思います。
また、JR西日本の経営に、
特急スーパーはくとがどのような影響を与えているのかはわかりませんけれども、
智頭急行株式会社の経営状況について見ますと、第三
セクター鉄道では全国的にもトップクラスと聞いておりまして、2017年3月期でも経常利益4億円余、純利益2億7,000万円となっており、順調に成果が上げられております。このような状況を支えているのも、私たち県民であります。
これまで申し上げたような状況を勘案していただき、
特急スーパーはくとの赤碕駅もしくは由良駅までの延伸について検討され、再度
関係機関と交渉されてはと思いますが、知事のお考えを伺います。
次に、本県の
原子力行政について伺います。
本県の
原子力行政については、昭和30年の小鴨鉱山で
ウラン鉱床が発見され、人形峠でウラン鉱が発見されたことに始まると理解しております。その後、探鉱や採掘技術の確立、採鉱は昭和62年まで続きましたが、大きな動きはなかったので
ウラン残土は30年近く東郷町
方面地区ほか数カ所に野積みされ続けてきました。しかし、
借地契約期限等から昭和63年に
ウラン残土問題が表面化いたしました。県、地元東郷町などのバックアップを受け、
方面地区では当事者の
核燃料サイクル開発機構、現在は
国立研究開発法人日本原子力開発機構に対して
ウラン残土の処理、つまり残土を撤去するよう協議をいたしました。ところが、岡山県側では鳥取県で要らないものは岡山県でも要らないという趣旨の発言を当時の
岡山県知事がされたことにより、岡山県への持ち込みが難しくなりました。
そこで、県、地元で協議した結果、最終的に有効に解決する方法は訴訟しかないということになり、地元の住民が原告となって動燃に対して訴訟を起こすことになりました。訴訟の内容は、
ウラン残土の撤去でありました。訴訟は地裁、高裁、最高裁まで争われ、平成16年10月、地元の勝訴が確定いたしました。しかしその後も放置が続けられたため、裁判所により間接強制という制裁金が課せられました。最終的には、これら
ウラン残土をレンガ加工して県外で処分することで決着がつきました。当時の
本県原子力行政の大きな課題として本議会でも何度も議論されたことでありまして、皆様の御記憶にも色濃いものと思います。
さて、ことしの8月17日の報道で、機構は
人形峠環境技術センターでウラン、これは粉末で汚染された低
レベル放射性廃棄物ですが、これの埋設を考えているということが出ていました。これを受けて知事は機構のほうに説明を強く求められ、9月21日には機構に対して照会されました。照会の内容は、計画されているウランと
環境研究プラットフォーム構想による研究開発で行う
ウラン廃棄物の
埋設実証試験等は最終処分ではないものとすること、また外部から
放射性廃棄物を持ち込まないことでありました。これに対して、機構側からは、9月27日付で
ウラン廃棄物の処理・処分に係る研究は
ウラン廃棄物工学研究の一環として実施計画をしているもので、
ウラン廃棄物の最終処分を行うものではないとの回答がありました。あわせて、この研究に使用する
ウラン廃棄物はこのセンターから発生したもののみで、他所から持ち込むことはないと知事の申し入れに従った内容でありました。この約束についてどのように検証し約束を担保されようとしているのか、知事に伺います。
また、知事の照会の中で岡山県側と同様に鳥取県と三朝町と機構の間で環境保全を目的とする協定の締結について要求がありました。さきの機構の回答の中で協定について協議するとの約束がありましたが、現状はどのようになっているのか知事にお伺いいたします。
次に、
島根原子力発電所に係る鳥取県民の
安全確保等に関する協定についてです。
本県安全協定については、平成23年12月、
鳥取県知事、米子市長及び境港市長と
中国電力社長の間で締結されました。一方、島根県側の
島根原子力発電所周辺地域住民の
安全確保等に関する協定は平成13年10月に締結されたものを廃止し、平成18年2月に
島根県知事、松江市長と
中国電力社長との間で締結されております。この協定に係る議論についてはこの議場においても何度か取り上げられてきましたが、確認の意味で両協定を比較してみます。
まず、
本県安全協定6条の計画等の報告についてです。ここでは、発電所の増設に伴う土地の利用計画、冷却水の取排水計画及び建設計画、
原子炉施設の重要な変更、原子炉の廃止に伴う廃止措置及び同計画の重要な変更に対して、中国電力では本県に対する報告をして相互に意見を述べることができるにとどまっております。これに対して島根県の場合は、計画等に対する事前了解として同じ項目に対して事前に島根県の了解を得るものとされております。
次に、
本県安全協定の11条、現地確認、
発電所周辺の安全を確保するため必要があると認める場合は報告を求め、職員に現地確認させることができるとされていますが、島根県の協定では県などは前記の必要性が認められた場合には報告を求めるとともに、特別職、一般職の職員に立入調査をさせることができるとされております。また、
周辺地域住民の健康等に著しい影響を及ぼす状況などによっては、周辺住民の代表者を同行することができるとされています。そして、島根県協定では立入調査の結果、
周辺地域住民の安全確保のため特別な措置を講ずる必要があると認める場合は、適切な措置を講ずるよう求めることができるとされております。
本県安全協定の
相互意見交換とはレベル的といいますか、その意味する重さに大きな乖離があります。
平成24年11月、本県の一部の区域、境港市と米子市が緊急時
防護措置準備区域、いわゆるUPZに位置づけられたことを機に、知事と両市長が
中国電力社長等に対して
安全協定改定の申し入れをされました。この申し入れに対する回答が平成25年3月にありました。内容は、
安全協定の
立地県並みの協定改定については今後も誠意を持って継続すること、現在締結している協定も目的は
立地自治体と同じものであり、運用面で立地県と同様の対応を行っていくというものでした。これを読むと、誠実に対応するというより何か言いくるめられているような気がいたします。
それ以降、もう数回にわたり改定の交渉は続けられていますが、全く話は進んでいません。このように、
本県安全協定の矛盾と改定への申し入れを知事は幾度となくさまざまなところで発言されたり要請されたりしていますが、いま一度鳥取県民からの意見、要請ということでどのように進められるのか、知事の意見お伺いして壇上での質問といたします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議の
一般質問にお答え申し上げます。
まず、
成年後見制度につきまして何点かお尋ねがございました。この
成年後見制度の活用についていかがか、県が果たす役割や県の推進体制、また市町村のあり方、さらにはこの後見人の数、被後見人の数などの実態につきましてお尋ねがございました。
後見人の数等の実情につきましては、これはささえあい福祉局長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、
成年後見人制度は今、例えば介護を要するお年寄りでいらっしゃいますとか、あるいは特に認知症等で困っておられる方々、さらには
障害者等々いろんな方々の活用が見込まれるわけでございます。もともと民法の中で、何の契約を結ぶか、それについて判断する能力があるか。そういうことなどをもとにしまして、こうした後見人とか保佐人等々の制度がもともと設けられてきました。したがいまして、
法定後見人として親権の行使者、親が子供の権利保護のためにかわって契約を結ぶことができる、そうした制度がずっとあったわけであります。
しかし、だんだんと高齢化が進んでまいりまして、こういう高齢者のさまざまな課題等を考えますと、この
後見制度というのをもっと活用すべきではないだろうか。特にそうした高齢者の社会生活、これを保障する意味でこれを適正に活用しようということになってきたわけであります。それで平成28年に
成年後見人制度の促進を図ろうという法律が成立をするわけでございます。
ただ、鳥取県の場合は、その以前からこれについて大分活発な議論を議場でも提起をしていただきました。私どもも基本的には市町村がそれぞれの住民のいわば市民生活、町民生活の保障のために行うべきものでありますし、広域団体が一人一人の権利保護までなかなかタッチできないというそういう行政上の役割分担もございますので、市町村が本来拠点としてやるべきものではないかということを考えながらも、広域的にそれをやはり補おうということを我々はやってまいりました。と申しますのも、それぞれの
市町村役場の人の数だとか、それから特にこれは法律の専門家でございますとか、またお医者さんのいろんなお話を交えるとか、そうした実情を踏まえて一人一人の要は処方箋を書かなければなりません。ただ、それが役場の窓口の方で全部できるかというのはなかなか難しいところがあります。
それで鳥取県は一つの便法といいますか、こういう議場などで話し合った結果といたしまして、広域的に市町村のやるべきことを県もしっかりとそこに入り込んでサポートしながら進めていこうというふうに方針をつくらさせていただいておりました。したがいまして、そういうような形で県が東部、中部、西部にもと議員がおっしゃいましたけれども、
ミットレーベンのお話がございましたがそういう組織をつくりまして、そこに専門家の方に入っていただく。ここに委託をするような形で、それを
ファイナンス面でも支えていく。もちろんこれは市町村の業務でございますので市町村にもかかわっていただく。こういうある意味他県にはないような折衷的なやり方を私どもは進めてまいりました。したがいまして、平成28年度にこの法律はでき上がったわけでありますけれども、その前に実は国の法律が予定するようなことは先駆けて進めていたというふうに御理解いただいたほうがわかりやすいのかもしれません。
そういうところで、県のほうでの責務としては先ほど
成年後見制度の利用の促進に関する法律の5条のお話がございましたが、24条で例えば人材育成だとか市町村の
サポート役だとかそういうことが定められていまして、そうしたことを私どももその東部、中部、西部の組織を通じながら展開をさせていただいております。また、こうした制度の普及なども重要でございますので、これも市町村とタイアップをしながら
成年後見制度の普及を進めようというふうにさせていただいております。
市町村に対しましては、我々もその助言等を行うような立場でもありますし、市町村はみずから計画もつくって、この
成年後見制度の運用をするということが国のほうの法律でも定められております。今現在そういう計画をつくってというところには来ていないという状況はありますけれども、ただ恐らくうちは先回りして先にその組織もつくり、
成年後見の必要があったときそこに行って専門家ときちんと話を聞きながら後見人をセットしていただくということを始めてきておりましたので、余りそこの切迫感がなかったのかもしれません。
ただ、これは市町村もやはりみずからの役割を果たしていただくことも大切であります。議員の御指摘もございましたので改めて市町村におけるさらなる体制整備を我々も助言してまいりたいというふうに思います。
なお、こういうようにいろいろ
後見制度を進めてきた関係で、全国と比較をしますと
市町村長さんが公益の立場で後見を申し立てることができるわけですね。例えばいろんなケースがございますけれども、道端で草を食べているお年寄りがいた。そういうことで、これはほっておけないということでそうした
成年後見等々に向かっていくとかこういういろんなケースがございますけれども、そういう
ケースケースに応じて御家族がなさったり、みずから後見の申し立てができるのですけれども、また検察官も民法時代からできるわけでありますが、この
市町村長の権限行使については全国平均よりも県内の
市町村長さんの申し立ては比率としては高くなっています。ですから、市町村もやはりこうした本県の状況を見ながら動いておられるということは言えるのではないかと思っております。
さらに、財源の措置のこととかその東部、中部、西部の組織のことにつきましてお尋ねがありました。
これは中部では
ミットレーベンがございますし、それに先駆けて西部のほうで「うえるかむ」という組織ができております。また、東部のほうでもここからほど近いところ、県庁のすぐ近くに
アドサポセンターというのがございます。いずれも生い立ちとしては人権擁護のそういう組織が中心となりまして、
成年後見制度の委託を受ける実行部隊として動いておられるところでありまして、中心は弁護士さんとかそうした専門家の方々でございます。したがいまして、議員のほうでも御懸念があるような市町村の役場でこれの取り扱いどうしたらいいだろうかと困るような問題は、むしろこの
アドサポセンターや
ミットレーベンや「うえるかむ」という組織に専門家がいらっしゃいますので、こちらのほうに御相談いただければ解決に向かうということだとなっております。ぜひこういう組織を活用していただきたいと思います。
その財源ですが、市町村は市町村の責務でございますので
地方財政法上の措置などもありますが、県のほうはそれがないところでございます。ですから、どこの都道府県でも同じようなことで県がかかわっているかというと、そういう実情にないのだろうと思います。ただ、本県の場合は一つの便法といたしまして、介護とか
障害者施策だとかそういうところでの国の助成制度を財源的には活用させていただいております。もちろん県の持ち出しもあるわけでありますけれども、ぎりぎり言えばもっと財源措置をしてくれということになろうかと思いますが、こうした運用が今は一応一通り動いておりますけれども、支障なくいけるように今後も財源措置につきましては政府のほうに引き続き要望もさせていただく必要があるかなと考えております。
次に、鉄道につきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、詳細は
地域振興部長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、結論から申し上げれば赤碕、由良といったところの特急の停車とかさらに
スーパーはくとの延伸、これを赤碕、由良、実は我々は米子までという御意見も過去にここの議場でもありまして、この辺もJRのほうに繰り返し要請活動もさせていただいているところであります。
ただ、残念ながら今までの経過から申し上げますと、JRのほうで了解したという承諾は得られていないわけであります。ただ、いろいろと諸情勢が変わってきていると思います。例えば
フリーパスを使って旅をされる外国人がコナン駅、由良駅のほうに乗降されるというケースも見られるようになってきまして、結構周遊をされておられます。以前とはまた事情は違うのではないかなというふうにも思われるところもございますので、今後も粘り強く要望もさせていただきたいと思います。
次に、
原子力行政につきまして何点かお尋ねがございました。
一つは、人形峠の
ウラン廃棄物の処理、処分についてでございます。これにつきましては、議員も御指摘がございましたけれども、8月8日ごろにかなり各社のほうから報道がございまして、人形峠のところで
ウラン廃棄物について最終処分をする方針だみたいなことが出たわけであります。私どもとしては直ちにその趣旨を問いただすことにさせていただき、私自身も記者会見等でもこれはどういうことだろうかということを申し上げまして、最終処分地にするということは受け入れがたいものがあるということであるとか、それからこれについてきちんとした説明が必要だと。よそから持ち込むものもあるのかということを申し上げました。
実は、以前から最終処分地を探そうという全国的な政府の調査も進められているところでございまして、鳥取県もそうではないかというふうに言われていることも住民の間からお声も聞こえてきたわけであります。最近の調査研究の中間的な発表からしますと、鳥取県はさまざまな問題で余りそれに適していない、ほとんど適していない地域だというような中間レポートが出されていましたわけでありますけれども、以前からもこの人形峠はどうなのかなというようなこともございまして、私どもとしても確かめる必要があったわけでございます。これは当初、日本原子力研究開発機構さんのほうでは正直明快な返答がなかったのです。これについては研究調査だとかいうことでありまして、なかなか最終処分ということを考えているわけではないという言質は出てこなかったわけでありますが、私どもでそこを強く申し入れさせていただきましたところ、9月27日に文書で回答が寄せられまして、他所から持ち込むことはない、それから最終処分場とするものでもないと。
また、今後長くそこで後始末の事業は続くわけであります。もともと人形峠はウラン鉱があったということでありまして、ウラン鉱が露出していたというようなことで、日本で唯一精錬だとかそうした作業等もなされていたところでございますので、それの最終的な後始末をいずれしていかなければいけないわけであります。これが結構時間がかかるはずであります。今後同じようなことでいろいろと問題提起がなされるということもあり得なくもないものでありますから、岡山県側と結んでおられるような協定ということも私どもとも結ぶ必要がある。このことを申し上げましたが、この協定につきましても協議させていただきたいとこういう回答が寄せられました。
現状はどうかというお話でございますが、これにつきましては現在折衝中でありますけれども、真摯に向こう側も協議に応じてもらっているというところであります。
今後どうなるか、それから検証はどうなのかということでありますが、この協定が結ばれればこれに基づいての調査をしたり、それからまた意見を述べたり、こういうことが契約上の地位として保障されるということになります。この契約上の地位を得るためには協定という契約行為が必要でございまして、今は何の地位もございませんので、私どもはせいぜい何かこちらに害悪が及んだときの不法行為の申し立てとか、あるいは人格権に基づくその妨害排除等々の請求をするぐらいで、なかなかその法的な手段がないわけですね。ですからその協定を結ぶことができればそれで検証を行ったり、今後の担保措置をとることが非常にやりやすくなるというふうに考えておりまして、協定を結ぶことが重要だと思っております。
実はそういうふうに考えるのも、議員が今総括をされました東郷におけます
ウラン残土問題でありました。あれも正式な契約ではないのですが覚書が残されていまして、持って出るという覚書があったのですね。その書き方は非常に概括的でありました。ですから当時の訴訟の中では、日本原子力研究開発機構側は、それは概括的なものであって、いわゆるその債務を負うものではない。自然債務というような趣旨のものではないかと、こういうような主張をされていたわけでありますけれども、結局そのことが債務であると。向こうは持って出るという債務を負っているという最終認定に至りまして、これがその排除の決め手になったわけであります。
ですから契約上の地位、何らかの債権債務関係というものを確立しておくことが重要でありまして、今、協定を結べば同じような問題が起これば私どもでその条項をもとに訴え出て、その債務を履行させるということが可能になります。ですからそういう意味でこの協定に私どもはこだわりたいということでございました。
今折衝しておりまして、具体的な協定内容をこれから最終的にはまとめていく段階に入ってきています。考え方としては、これはすぐれて三朝町の問題でございますので、三朝町の考え方、三朝町も我々と一緒に協定締結の申し入れに参加されましたので、三朝町が了とされるような内容で我々も了とするのかなというふうに考えているところでありまして、鋭意折衝を進めておるところでございます。
最後に原子力
安全協定、この島根原発のことにつきましてお尋ねがございました。
これにつきましても、改定を申し入れているところでございます。これももともと何も協定上の地位がなかったときに、平成23年、あの福島原発の事故の年、最後の大みそかぎりぎりだったのですけれどもクリスマスごろに協定締結に至り、これが全国には割とショッキングだったのですが、周辺地域で初めての協定となりました。こういう協定を結んだことで、今では例えば環境対策であるとかそれから立ち入っての我々の視察であるとか、それから折に触れて向こう側が適合性審査を原子力規制委員会に求めるときに私どものほうに事前に了解を求めてくるということになりまして、ごらんいただいているとおりこれまでの経過は島根県側の立地と同じように扱っていただいているというふうに考えられます。
ただ、文言上議員が御指摘なさいましたように差がございまして、私どもとしてはその差を詰めていきたいということでずっと運動も展開してきているところであります。ただ、もちろん協定は結ばれましたので以前とは格段の差ができておりますし、あと我々も立地と同じよう扱うということは覚書をとっていますので、実情は一緒ですよと向こうも言っているという状態ではあります。ただ、最終的な文言もきちんと我々も要求していきたいと考えております。
つい最近のことでいえば、2号機の申請のあり方や、あるいは3号機の申請につきまして規制委員会のほうで特に3号機でこれでは受けられないというような話が出たりして、私どももきちんと申し入れを改めてさせていただいたときにこの協定の問題も申し上げているところでございます。先方にもその趣旨はよく伝わっていると思います。3号機あるいは2号機の審査が進む過程の中で、向こうも答えを出さなければ私どもが最終的に了とするかどうかというのは留保しておりますので、その辺の重みは従来とは違って伝わっているのではないかと思います。これもちょっと契約でございますので、相手方と交渉して妥結をしない限りは前に進まないところでございまして、今後も粘り強く折衝に当たってまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)宮本ささえあい福祉局長
◯ささえあい福祉局長(宮本則明君)成年被後見人の数などについてお答えをいたします。
成年後見人の人数などにかかわる実態は後見人を選任する
鳥取家庭裁判所が把握しており、県においてはその原簿ですとか帳簿ですとか、そういった書類を持ち合わせておるものではございません。したがいまして、適宜家裁へ人数などについて照会して、各市町村や県内3圏域のセンターなどへ情報提供を行うこととしております。
まず、被後見人の数ですけれども、これは10月1日現在の数字で頂戴しておりますが、
成年後見に係る利用者数は1,117人、被保佐人が310人、被補助人が126人、また契約に基づく任意
後見制度というものがありまして、これは本人の数ですけれども13人おられまして、合計で1,566人の方が利用しておられると把握しております。
また、議員御指摘の
成年後見制度利用促進法が平成28年に施行されたことを受けまして、平成30年度から
鳥取家庭裁判所が県内東・中・西部の各圏域において県、市町村、市町村社協また
関係機関と意見交換を開催することとされまして、東部地区ではこの7月9日に開催されて、各市町村の参考となるデータ提供を始められたところでございます。また、中部や西部につきましても今年度中に開催される予定とお聞きしております。
そこで、後見人の数ですとかその職業別の内訳についてもこのたび照会をいたしましたが、
家庭裁判所では手作業で集計されておられるということで、相当の日数を要するという返事をいただいております。したがいまして、今回入手できておりません。ただ、先ほど申し上げたような中部、西部の地区での会合も今後あることでありますので、市町村が必要とするような各種データの入手に努めてまいる所存でございます。
◯議長(稲田寿久君)高橋
地域振興部長
◯
地域振興部長(高橋紀子君)
スーパーはくとの延伸について、補足の答弁をさせていただきます。
スーパーはくとの延伸につきましては、知事からお話がありましたとおり当方のほうでJRに対して繰り返し要望させていただいているところでございます。
スーパーはくとが山陰線を通る部分につきましては、JRのほうが収益を得て智頭急行のほうに車両使用料を払うということでJRのほうが判断することとなっております。JRのほうの回答としましては、鳥取-倉吉間の運行について利用が少なく、1列車当たりの乗車人員が1両分に満たず、5両編成の輸送力は過剰である。鉄道は大量輸送機関であり、利用が見込めない中、採算が合わない延伸という対応は難しいということで御回答をいただいております。
先ほど知事のほうからもございましたが、
地元自治体と
関係機関が連携した県中部方面への誘客策や
特急列車の需要喚起の取り組みをさらに強化しまして、JRに対しても粘り強く要望してまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員
◯20番(藤井一博君)御答弁いただきました。順次追及の質問させていただきます。
成年後見制度に関連してですけれども、県において
成年後見人の業務に関連して複雑な案件、例えば契約の締結とか不動産の取引とかについて高い専門性のある知識、経験を有し、また制度運営に重要な役割を果たす市町村等に対して助言等の支援を行い、さらには弁護士や司法書士など法律の専門家以外の社会福祉士やその他の
成年後見人等に対する法律等の相談窓口などを行う人材を抱えた組織が今後県には必要になってくると思いますけれども、その点について知事の御所見を伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井議員から、重ねてお尋ねがございました。
そういうような法律とか、あるいは健康関係等々いろんなことを含めた専門家の知見も必要でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたが、
アドサポセンターと言われる東部の、あるいは
ミットレーベンと言われる中部の、また「うえるかむ」という西部のこういう組織を活用していただくように我々も制度設計をさせていただいております。
例えばどういうことがあるかというと、東部のほうでもあるお年寄りの方がいらっしゃいまして、さまざまな金銭面での難しい課題を抱えておられる。そういうときに、市役所でずっと抱えていてもなかなかわからないものですから、それを
アドサポセンターのほうに御相談していただいて、
アドサポセンターのほうでそれを今度は受任して、その案件をそちらのほうで処理をされるということも現実にはございます。中部でも琴浦のほうである女性が相続だとかいろんな課題にかかわるわけでありますが、そうした複雑な状況の中で
後見制度というものを活用しようというときに、
ミットレーベンのほうで受けていただく。そこには弁護士さんだとかそういう法律に明るい方等々いらっしゃいますので、そこで相談に当たっていただくということになろうかと思います。
今、そういう意味で東・中・西の一応ネットワークはできておりますが、これが万全かどうかということは当然あろうかと思いますので、御質問もございましたのでまた東・中・西のその組織のほうにもいろいろと状況もお伺いをさせていただき、必要に応じて人員配置等々支援すべき内容があるかなども点検をさせていただきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員
◯20番(藤井一博君)続きまして
スーパーはくとについてですけれども、知事もおっしゃいました
外国人旅行客がふえているという状況の変化も踏まえて、引き続きJRのほうに訴えていくということでありました。ぜひそのようにお願いいたします。
山陰本線に関連して追及質問いたします。
JRの特急スーパーおきとスーパーまつかぜについて、
倉吉-米子間の駅に停車することについて伺います。
スーパーまつかぜは鳥取-米子間、鳥取-益田間、スーパーおきは鳥取、米子と新山口間で運行されております。観光資源の豊富な山陰を旅行する旅行客にとっては、大変利便性の高い列車だと思います。最近、外国人観光客がふえたと言われるお隣島根県の出雲や松江はもとより、境港、米子などから鳥取方面に向かう観光客の皆様にこれらの
特急列車を利用して赤碕駅または由良駅でおりてコナンの里や周辺の観光地に立ち寄っていただき、夜は中部の4温泉に宿泊していただくような観光戦略も必要であると思っております。
また、地域住民の利便性を考えても
倉吉-米子間は距離が長いので、赤碕駅もしくは由良駅に
特急列車が停車することは必要だと思いますけれども、知事のお考えを伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から、重ねて鉄道の活用につきましてお尋ねがございました。
今、議員もおっしゃいましたように、大分インバウンドの観光客が入ってきております。インバウンドの観光客はある程度レンタカーを活用されますけれども、例えば関空におりてこちらのほうに回ってくるお客様など、結構JR西日本のレールパス等を活用される方が多くなってきています。そういうようなことでありますのと、またさまざまな沿線の魅力も生まれてきているわけでございます。そういうことを考えますと、今、特急が鳥取、倉吉、米子という停車駅だけでいいのかということがございます。
実は、これまでも同じようなことは議論をされ実現したこともございまして、鳥取大学前という駅が基本的にはもうとまるようになったのではないかなと思いますが、あれも大学の利便性がありまして、実際東部と西部両方にキャンパスもありますし利用客はいるのだということで、あれは請願駅というのですが、地元でお金を出しまして駅を立派にしてそういう停車をさせるということをかつてやりました。現実どうなっているかといいますと、非常に利用客は多いわけでありまして、湖山地域の一つの乗降口にもなっておりまして、地域交通としても有用であるかなと思います。
また、伯耆大山もこれも伯備線との連接もあるわけでありますが、パーク・アンド・ライドの活用ということもございまして、これも利用価値もあるということであります。
中部でも同じようなことは当然考えられるのではないかなと我々は思うのですが、JRさんは速達性とかいろいろとおっしゃられることもございまして、なかなかこれまでは前に進んでいないところであります。
しかし、例えば何か観光イベントのときの臨時停車なども含めてやってみるところからいろいろと取り組んでいただける余地もあるのではないかなとも思いますし、そういう利用形態が現実に見えてくれば鉄道会社も利益を追求していますので、お客様の利便のために停車数をふやすということもあろうかというふうに思います。したがいまして、鳥鉄の旅という鉄道の旅を活発化していきましょうというところで基本的にはJRさんとも折り合っておりますので、今後例えばコナン列車の更新とかいろんな問題がこれから協議事項としても上がってまいりますので、そういうタイミングを捉えながら強く停車のあり方を求めてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)20番藤井議員
◯20番(藤井一博君)鋭意進めていただきたいと思います。
次ですけれども、
原子力行政について追及質問いたします。
本県の原子力防災行政を見るときに、理念また原子力発電所等からの災害想定、多くの訓練、専門職員を入れた担当部署の設置など強力に進められておりまして、大変頼もしく思っております。
また、平成26年10月には原子力、地震、防災等の幅広い専門家による原子力安全顧問が設置されました。この顧問設置については鳥取県原子力安全顧問設置要綱が定められておりますが、同要綱には顧問の職務が規定されております。内容は、環境放射線等モニタリングの実施に係る技術的事項及び結果の評価に関すること、原子力災害の防災対策に関すること、原子力施設の安全対策に関すること及びこれらの事項を所管する上で必要な事項とされております。
そこでお尋ねですが、この要綱の解釈として顧問は本県の締結した安全協定の内容及び改定に対する意見や助言はできないのか。それとも職務範囲に入らないのかということでございます。私は、原子力災害に対する防災対策や安全対策を推進する上で、本県の締結した安全協定に対する意見や助言も顧問の職務範囲に入るものと考えております。
そこで提案でありますけれども、この県の安全協定の改定について鳥取県原子力安全顧問会議に諮っていただき、その結果をもって再度中国電力に対して改定の要請をしてはと考えますが、知事のお考えを伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から、重ねて原子力安全協定につきましてお尋ねがございました。
では、補完的に外国人を受け入れていくということについて、やはりどれくらい受け入れていくのかというあたりもしっかり見ていく必要があるのではないかということで前回も質問させていただいたのが、労働力の不足状況と予測についてであります。これについては、9月にした質問に対する答弁が、労働力不足が過去10年くらいで4万人ぐらいだったということで、向こう10年もまた4万人ぐらい減るだろうというふうに答弁いただきました。
それを補うのに、女性の労働参加については、先ほども言われたとおり、M字カーブの改善等が進んでここ数年で0.7%程度上がったということですが、女性の総数自体が減っているので打ち消し合うのではないかということ、それから高齢者のほうは、ここ数年で1%ぐらい上がって6,000人ぐらい増加しているということで、今後、団塊の世代の引退後の労働参加が進めば、労働力の不足を充足するのにある程度期待できるであろうということだったというふうに理解しております。ちょっとこれについて、さらに詳しく説明いただきたいと思います。
まず、県内全体で今後4万人程度不足するということでしたが、これは現在の生産性を前提にしての予測でしょうか。それとも生産性の向上を進めても不足する人数として掲げられたのでしょうか。もし現在の生産性が前提であれば、今後、生産性の向上の見込みによってどの程度まで不足する人数を減らせると予測されておりますか。なかなか難しいところではありますが、お聞きします。
また、女性の労働参加での補充は余り見込めないということで、高齢者の労働参加を期待しているということですが、4万人全てを高齢者で充足できるとは考えておられないと思います。どれくらい充足できると思われているのか、お聞きします。
また、労働力の不足の状況は、業種、業務や企業規模によっても異なるのではないかと思います。加えて、年齢や性別による求人、求職のミスマッチも業種、業務による労働力の不足状況に偏りを生じさせているのではないかと思います。業種、業務や企業規模、年齢や性別等による求人、求職のミスマッチも含めた県内の労働力不足の状況の分析と予測はなされているのでしょうか。なされているとすれば、女性や高齢者の労働参加と生産性の向上では対応できない労働力不足は、どういった業種、業務でどれくらいになると予測されていますか。現在提供されている社会的利便性やサービス水準を下げないで現状のままにした場合は、その数字が外国人労働者の受け入れの上限になると思います。したがって、その分析は必要であり、重要だと考えますが、いかがでしょうか。
外国人労働者については、知事も言われたとおり、現在、国会で入管難民法の審議が進んでいます。そこでは、技能実習制度の深刻な実態も明らかになっており、さらに詳細な検討や対応は必要だと思いますが、今後、外国人の受け入れが進んでいくことについては間違いない方向だと思います。だとすれば、地域のためにも外国人労働者のためにも、ある程度受け入れをコントロールすることが必要なのではないでしょうか。そのために、女性と高齢者の労働参加と生産性の向上でも間に合わないところに外国人労働者を受け入れるべきではないかという考えは、さきに述べたとおりであります。
以上、質問をまとめますと、今後予測される労働力不足に対して、女性、高齢者の労働参加と生産性向上で補充できない人数について、年齢や性別等による求人、求職のミスマッチ等の分析も含めて、どういった業種、業務でどれくらいになると予測しているのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)川部議員から前回に引き続きまして、この労働力の状況につきましてお尋ねをいただきました。
前回も若干議論した記憶がございますけれども、詳細を雇用人材局長のほうからお答えを申し上げたいと思います。
前回も申し上げました大体4万人ぐらいという意味は、あれは、国立社会保障・人口問題研究所がございますが、そこが2030年の推計を終えています。それに私どもの統計調査で補充をしたもので現在ベースと比較をするわけでありますが、大体31万5,000人ぐらい今、生産年齢人口があると。それが大体27万4,000人ぐらいになるだろうという予測がありまして、これは差し引きすれば4万人ぐらい生産年齢人口が減少するということを申し述べた気がいたします。これは現在の推計値であります。
正直申し上げて、それが例えばどの産業でどれだけになるかとか、その辺は恐らく神様でもわからないところがあると思います。ですから、多分あるとしたら、傾向としてこういうような傾向というようなことが、その後、若干勉強の成果があるかもしれませんし、また、実際、現在法案審議が進んでいますので、外国人がどこでも入るということではなくて、要はこの業態については労働人口が足らないというふうに政府が認定をしているところでの上限つきでの導入ということになりますので、当然ながらそこの政策判断に従ってこの外国人が補充的に入ってくるという仕組みであります。その辺の仕組みとの関係で、現状どこまで予測できるかというようなことなどかなというふうに思います。
詳細につきましては、雇用人材局長のほうからお答え申し上げます。
◯副議長(福間裕隆君)三王寺雇用人材局長
◯雇用人材局長(三王寺由道君)労働力不足に対する補足答弁をさせていただきます。
先ほど知事が申しましたとおり、4万人というお話は生産年齢人口のことでございます。労働力ということであれば、どちらかといえば就業者数、こちらのほうが適当かなというふうに思います。生産性向上などの労働力不足を解消する要素を加味しないで、10年後も2017年の就業者数と同程度の就業者数が必要になるというふうに仮定すれば、2030年の就業者数、先ほどの国立社会保障・人口問題研究所の予測値を利用して比較しますと、約3万5,000人ほどの不足になるという形でございます。
女性や高齢者の労働参画のお話でございますけれども、こちらのほうにつきましては、女性は、先ほどのお話で、M字カーブ現象で全国一くぼみが浅くなっていることなどによって就業者数の増加は難しいところでございますけれども、高齢者の労働参画につきましては、促進していくことが可能ではないかというふうに考えております。これにつきましては、今、政府が70歳までの継続雇用を将来に向けて検討する方針を示しておられることから、例えば60から69歳の就業率は現在、55%程度でございますけれども、これを段階的に、55歳から59歳の就業率、大体これが81%程度でございますけれども、これまで引き上げていくことができれば、約1万7,000人の創出が可能というふうに考えております。
外国人の話がございました。そちらのほうにつきましては、どれくらい受け入れれば労働力不足が解消するかということは、ちょっと非常に全体としては計算が困難というふうに考えております。先ほどからお話の中に出ておりました新たな在留資格、特定技能で国のほうが示しておられる受け入れ人数、こちらのほうは5年間で最大値34万5,000人ほどという形になっておりますけれども、これを就業者人口の割合で本県の受け入れ人数を試算すると、約1,600人程度が目安になるのではないかというふうに考えております。
以上のことを踏まえますと、10年後には生産性が変わらなければ、1万6,400人ほど不足という形になります。したがって、先ほど議論がございましたとおり、IoTですとかAIを活用した生産性の向上、あるいは働き方改革の推進、あるいは学生など若者の県内就職の促進などによって労働力不足というのを埋めていきたいというふうに考えております。
ちなみに、先ほど分野別のお話がございました。今後、産業構造は大きく変化していくということが予測されますから、不足する就業者の推計はなかなかちょっと難しいというふうに考えております。しかしながら、一部の分野、例えばICTの分野ですと、今後もIT市場は拡大していく見込みですので、IT人材不足はこれまで以上に深刻化していくだろうというようなこと、あるいは介護などは、厚労省の推計をもとにすると、10年後、2025年ですけれども、本県では900人ほど不足すると。あと、建設ですと、若手の入職者の方が減少し、高齢化が進展するとともに従業員全体も全産業と比べて著しく減少していく傾向が見られるのではないかというふうに考えております。
そのほか、先ほど出ました外国人の関係で、それぞれの職種、14業種の5年後の不足数が大体全国で145万人というようなお話も国のほうで出ておりました。そういう傾向が顕著となって見られるのではないかというふうに思っております。
あと、お話の中に出てきました年齢、性別による求人、求職のマッチングのお話が出てきたと思いますけれども、これにつきましては、性別とか年齢を合理的な理由がない限りは指定して求人は出せないというようなこともございますものですから、予測をするのは、これもちょっと難しいというふうに考えております。
◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員
◯14番(川部洋君)大変丁寧な答弁ありがとうございます。前回も同じことを聞いて、このような答弁が欲しかったというか、具体的になかなか予測するのは難しいけれども、大体これくらいという数字を示していただいたと思います。ということで、女性、高齢者、外国人である程度、労働不足を補充しても、それでも足りない。それからそこについては、やはり生産性の向上を進めていかないといけないということがよくわかりました。
次に、外国人労働者の受け入れの課題について、さらにお聞きしたいと思います。
国会でもさまざまな課題が取り上げられていますが、特にここでは、外国人労働者の受け入れによって日本人労働者の賃金の上昇を抑制するのではないかという懸念について取り上げたいと思います。
外国人労働者の受け入れを希望しているのは、運輸、医療、福祉、宿泊、飲食サービス、建設など、いわゆる人手不足産業と言われている業界が主であるというふうにお聞きしております。そうした産業については、一般的に労働生産性が低くて、そもそも賃金が高くないという状況があります。通常は労働力が不足すれば、経営者は雇用を確保するのに経営努力をして、労働環境の改善や賃金のアップをするというのが一般的な認識であると思います。しかし、いわゆるこの人手不足産業においては、労働生産性が低いまま改善が進んでおらず、労働力が確保できないといった負のスパイラルに陥っているのではないかと思います。そこに低賃金の労働力として外国人を補充できるとすれば、経営改善へのインセンティブが働かず、そこで働く人の賃金のアップは見込むことができないのではないかと思います。実際に労働力が不足している現場での最低賃金以下で働かされている技能実習生の実態も明らかになっています。悲しいことですが、労働力が安く手に入るのに、わざわざ賃金を上げようとする経営者は多くないということだと思います。
また、現在、生産性の高い産業は雇用がほぼ充足しており、雇用を吸収しているのは労働生産性が低いこの人手不足産業と言われている業種であります。低賃金であっても、そこで働かざるを得ない人がたくさんいるという現実があります。雇用が不足しているのになかなか賃金が上がらないのは、そのことが大きな原因になっているとも言われています。したがいまして、外国人労働者の受け入れが日本人の賃金上昇の抑制に働くというのは、決して間違いではなさそうです。鳥取県としても、県民所得の向上に向かうのであれば、この問題には真剣に向き合う必要があると思います。
では、どうしたらいいのでしょうか。言うまでもなく、外国人労働者の受け入れを希望している人手不足産業において、特に労働生産性を向上させることが必須だと思います。鳥取県経済成長創造戦略では、成長産業の支援に重点を置いて県内経済の成長を牽引しようとしているようにお見受けしますが、多くの雇用を吸収している人手不足産業の生産性が低いままでは成長は見込めないのではないかと思います。企業の生産性の向上とあわせて労働分配率を上げて、そこで働く人の労働環境の改善と賃金アップにつながるようにしていくことも必要です。そしてまた、外国人と日本人労働者の格差をなくすことは言うまでもありません。
そこで、県としては、人手不足産業の生産性の向上と、そこで働く人の労働環境改善と賃金アップに向けてどんなことができるのでしょうか。この問題については、多分とっとり働き方改革支援センターが窓口になると思われますが、相談を待っているだけでは状況は改善しないと思います。外国人労働者の受け入れを希望している事業所に県のほうから働きかけて、生産性の向上、労働環境の改善、賃金アップに向けて相談に乗り、支援していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
また、労働者についても、待遇や賃金について相談に乗ることも必要だと思います。特に外国人労働者については相談に来るようなことはなかなかないと思われますので、県のほうからやはり出かけていって話を聞く必要があると思います。それには、どの事業所、職場に外国人が何人いるのかを把握し、雇用状況について知ることがまず第一だと思いますが、いかがでしょうか。とにかく人手不足産業の生産性の向上と、そこで働く人の労働環境改善、賃金アップが大きな課題であることを認識して、県として積極的に施策展開をすることが県民所得の向上につながると思います。知事の所見を伺います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)川部議員から、外国人労働者についてと、それから生産性向上等の取り組みにつきましてお尋ねがございました。
これにつきまして、今まさに国会で審議がなされていまして、議員がおっしゃることも重要な論点として、参議院に移り、審議が進められております。その中で出てきた議論に基づいて仮にこれが成立をすれば、この執行段階で政府が各省庁挙げて適正な法執行をしていくという体制づくりになってくるのではないかなというふうに拝察をさせていただいております。
議員がおっしゃるように、外国人労働者の給与水準等の問題も繰り返し特に野党側から議論が提起されていますが、安倍総理や山下法務大臣は一貫して、外国人の方も日本人と同等以上の給料を受けることになっていて、そういう影響はないというふうにこれは言い切っておられる状況でございます。現実にも今回の入管法の中で条文もございまして、外国人についての報酬の決定、それから福利厚生施設等々で差別的取り扱いをしてはならないと、このように書いてありまして、これはまことに当たり前、当然の人権に基づく規定だと思うのですけれども、こういうふうに一応法律上も書いてはあるということでございます。
現実はどういうことかというふうに我々も考えるわけでありますけれども、現実に今、人がいないと。ですから、日本人が入っていたところと同じような形で入ってもらうのだというのが、これは多分政府の立場としておっしゃっていることであって、恐らくそれ自体はそういうことを目指してこれから指導もいくのではないかなと思います。現実、今、外国人の労働をされている方については、鳥取の労働局のほうに届け出をしなければいけなくて、その給与の内容とかも含めた報告義務が課されています。それからまた、最近でも国会審議に関連しながら、国土交通省のほうで建設関係もこの対象に入っていますから、それについて同等以上の賃金がもらえるかどうか、そこはこれからしっかりチェックをしていくのだということを言っています。
ですから、今、私どもとしては、国会の審議がどうなるのか、それからその後どういうふうに、国会で政府が主張していたとおりに物事が動くのか、この辺をよくフォローをさせていただく必要があるかなと思います。これまでの外国人研修生の実情などもございますので、私どもとしてはそれに対して実は国のほうに、要望活動もさせていただいておりまして、外国人の外国語の履修のことなども含めて、議場でもいろいろと御議論があった外国人の研修生等の受け入れの環境整備についても要請活動をさせていただいているところであります。こんなようなことでありますので、そこはそこで一つ給与水準等、それが今の日本の地域社会で行われているような、いわば給与秩序を乱すことにならないように、それは細心の注意を払っていただきたいと、このことは、また加えて国のほうにもお願いをすべき事柄なのかなというふうに思います。
そして、そういうことであってもやはり、特に先ほど一定の業種というお話がございましたけれども、生産性が余り高くないのではないかと言われるところでは、日本人も含めて手取りが伸びない可能性がございますので、その生産性を高める努力ということを我々も一体となってやっていきたいと思います。午前中もIoTやAIの活用のお話がございました。私どもも、そうしたこと、例えばスマート農業であるとか、そういうジャンルも含めてさらに一層進めていくことが必要だと思います。
また、働き方改革支援センターをつくらさせていただきました。実はここの機能は、ここから先に出かけていく人がいまして、専門家を職場のほうに派遣をさせていただいております。そうした職場派遣をしながら、例えば就業規則の状況とか、それから働き方改革の実際のやり方だとか、その辺についてカウンセリングさせていただいたり、御指導させていただいているというようなことの展開をいたしております。
また、外国人の方の相談窓口等の問題もあります。市町村だとか労働局だとかございますが、県のほうでも、「みなくる」という相談窓口をこれは労福協さんと連携をしながら設置をしていますが、最近の状況で申し上げれば、外国人の方も相談に来られています。こういうところでいわば中立的な相談をしていただいて、必要に応じて担当のほうにつないでいく等は現在も始めているところでございます。こういうようなことを、これから本当に入管法等が改正をされて外国人の方が日常的に研修等、今回の技能を生かす形での認定を受けた者として入ってこられるのであれば、その辺の体制強化は法の施行を見て我々もさらにワンステップ高めてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)14番川部議員
◯14番(川部洋君)今回の質問では、1人当たりの県民所得の向上、それから生産性の低い業種、業界に対しての生産性向上の働きかけについてるるお聞きしました。ぜひとも県民の生活を豊かにするということを目標に掲げて、平井知事には次の4年間も取り組んでいただきたいというふうに強く望んでおります。
以上で質問を終わります。
◯副議長(福間裕隆君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後2時03分散会
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