今、
地球的規模の環境問題に直面して、企業も一般国民も環境努力が課せられるようになってきました。一方、
CO2吸収にすぐれた森林を管理、維持、育成していくために税金でこれを維持管理しようという動きが、県での
森林環境保全税や現在検討中の国の
森林環境税創設となってきています。私は、林業再生の突破口として期待をしています。
その
森林環境税について、幾つか課題があります。知事会や県議会では、本県の
森林環境保全税のような超過課税との
整合性確保、また税は市町村にだけでなく県も活用についてかかわる必要があることなど国へ要望してきていますが、その現状と展望を知事に伺います。
また、本県の
森林環境保全税は、平成30年度改定で、ちょうど見直しの時期に当たります。現実的には国の
森林環境税の議論を見ながら改定作業を進める必要がありますが、現状について知事に伺います。
林野庁の
森林環境税の説明では、税は国が徴収し、市町村に配分する。市町村は
森林所有者の意向調査などを行う。市町村は
所有者不明林地や所有者の管理の意向がない場合など、一定の要件のもとで間伐等、整備、管理を行う。所有者が手放したい場合、寄附として受け入れ、公有林化を進めるなどとされています。
私は、林業の効率化、発展を進める上で、さらに林地の流動化と集約が必要だと考えています。今は
条件有利地を中心に間伐などの
山の手入れが進んでいますが、今後困難さは増していくと思われます。細分化された林地、所有者不明の林地、連絡がとれない所有者など、障害がますますふえてくると思われます。そのためにも林地の集約が必要です。
山林の持つ環境機能、国土保全の役割、そしてそれを維持管理、発展させるために国民から広く税を徴収するのであれば、
山林所有者は相応の責任なり義務を負うべきであります。
所有者不明林地は、全国一斉に広く公告縦覧した上で、国または市町村へ帰属すべきであります。相続されなかった土地などが国庫に帰属するのと同じ考え方であります。
所有者が明らかな林地については、農地の
集約化手段としての
農地中間管理機構を参考にして集約化を図るべきです。ただ、農地と違って、借地契約ではなくて
所有権移転をすべきです。平地と違い、土地に価値が見出せない、毎年収穫があるわけでなく、数十年以上の契約にならざるを得ないからであります。
造林公社の分収造林の例を引くまでもなく、借地契約には無理があります。それらの集約した林地は、意欲と実績のある林家へ安価に売却するなどして、集約を進めるべきであります。
特に、隣接する
林地所有者へ売却できれば、
隣接境界確定の作業が少なくて済み、林地がまとまって広がることにより管理、育成の効率化が進みます。
また、意欲のない所有者が林地を手放す誘導策が必要だと思います。例えば課税強化があってもよいのではないでしょうか。農地については、それが既に始まっています。遊休農地への課税強化の仕組みです。
農業委員会の勧告に従わず遊休農地を放置し続けた場合、通常の1.8倍の
固定資産税を課税することになります。ことし1月時点で課税強化された遊休農地は、全国で476件、88ヘクタール、鳥取県でも57件、11ヘクタールに上っています。本県は、件数でも面積でもどちらでも全国3番目となっています。
森林環境税創設に当たり、
農地中間管理機構を例として、林地の集約化をより強力に進めること、特に所有者の意向調査を実施し、活用される見込みのない林地の所有権の移譲を促すこと、そしてそのために放置林地などへの課税強化をすることなど実現すべきであると考えますが、知事の実現の方途など、所見を伺います。
また、同時に実施すべきなのが、
境界確定作業であります。山林の境界確定には相当の費用がかかるため、市町村で余り進んでおりません。ただ、林地を集約化するときには、必ず境界の確定が必要になります。
森林環境税を使って強力に進めるしかないと考えますが、知事の所見を求めます。
次に、
収入保険について知事に質問します。
農家の安定経営を支える新たな
セーフティーネットとして、
収入保険制度の法律がさきの通常国会で成立しました。これは、公明党の重点政策として特に力を入れて取り組んできたものであります。
来年秋から加入申請の受け付けが始まります。
収入保険の加入要件は、青色申告を実施していること。原則5年ですが、1年分の実績があれば加入できるようになっており、簡易な方式による青色申告でも要件を満たすことになりました。対象は品目を問わず全ての農産物で、農家の収入減が発生した際に、国と農家が拠出する保険金と積立金から一定額を補填する仕組みであります。これまでの天候不順などによる不作だけでなく、価格下落が原因の収入減にも対応するすぐれた制度です。なお、同じく国費が使われている農業共済や
ナラシ対策、
野菜価格安定制度などの類似制度は、重複を避ける観点から、どちらかを選択し加入することになりました。
収入保険の受け付けは各
県農業共済組合となりますが、新しい制度で、しかも青色申告が要件となっているため、全農家に周知していく必要があります。また、これまで当然加入だった
農作物共済なども任意加入となり、現場では混乱することも考えられます。
そこで、
収入保険や
共済制度変更の周知や青色申告のPR、できれば
青色申告作成支援なども進めるべきだと思います。
農業共済組合ではどの農家が申告しているかなど把握できないので、協力して進めることが必要かと思います。知事の所見を伺います。
また、
収入保険制度の実現で、全ての農作物に共済制度の網がかかることになりました。共済がなく、行政による支援が当たり前だったこれまでとは違います。行政の支援も共済加入が条件で、それ以外の部分について支援を行うべきとも考えますが、知事の所見を求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、
鳥取砂丘コナン空港の
コンセッション化につきましてお尋ねがございました。
長期委託運営をなるべく早くすべきではないか等々のお話でございました。
これにつきましては、今、
鳥取砂丘コナン空港は変わろうとしていると思います。例えば新しい大型の
チャーター計画が出てきまして、9月30日から40便にわたる非常に大きな今回のものが出てくると。こういうようなことを皮切りにしまして、大分利用が変わってくるだろうということがある。それから、あわせまして国際会館と言われている
国際ターミナルとして本来設定をしてつくっていたところ、これをも含めて空港ビルの一体化をしようということであるとか、また、海の駅とも言える賀露と空の駅を結びまして、これを一体化させることで効率を図っていこうと、こういうような時期にこの際新しいスキームの中で経営を始めるのがいいのではないだろうか、これが今回の
コンセッションへの考え方であります。
ただ、いきなり100%
コンセッションとして考えられるようなことができるかというと、正直現実問題としてはそう簡単ではないということであります。それは、
普通コンセッションをしようと思いますと、資産であるとか、それから経営の見通しであるとか、いろんな見積もりをしなければなりません。そういう精細な調査をしていく必要があったり、また、ビジネスのほうにサウンディングといいますけれども、こういうことをやりますよということを十分周知をして、いろんな方々にこうした
コンセッションに手を挙げていただくと。それで、その中で
競争的対話が起こりまして、その
競争的対話の末に非常に効率がよかったり、また利便性、地元の方はもちろんのこと、利用者の県外、海外から来られる方々にも喜ばれるような、そういう飛行場の運営ということに真になっているわけであります。
ただ、看板をかけかえたからそれでうまくいくというものではなくて、内実をつくっていかなければなりません。実は、これはかなり厳格な手続が制度上設けられていまして、おおむね6年ほどかかるというふうに言われております。そういう意味で、5年9カ月の期間ではありますが、まずはその準備段階的な期間における
コンセッション方式、その後、本格的に我々が目指したい
コンセッション方式、その後のほうでいいますと、これは長期的に利用権を設定して運営権を設定しまして、それでやっていただくというものでありまして、これが本来のものでございますが、当面できることをやっていきましょうという形で、その間、検討期間を置いていくというものであります。
飛行場でありますので実際テークオフするまでの滑走路がありますが、いわばその
滑走路期間とでも言うべき期間が5年9カ月必要だということでありまして、制度上の要求もあるのでそれはやむを得ないことかなというふうに思っているところでございます。
現在既にいろいろと反響も出てきておりまして、今、受け皿となるべき方々も相当深い突っ込んだ検討を始めてこられていますし、来年7月に2つの
ターミナルビルが一体化するわけでありますが、今テナントの募集をし始めていますけれども、もう既に10社ほどそういう手が挙がるなど、新しい空港に対する熱意というものも高まってきていると思われます。これを上手に活用することでいろんな関係者の皆様のお知恵もいただきながら、
鳥取砂丘コナン空港2度目の開港とも言っていいような新たな時代の幕あけをつくっていきたいと思っています。
次に、
農林業対策につきましてお尋ねがございました。
まず、CLTにつきましてお話がございました。このCLTは、ここ20年ぐらいオーストリアなどを中心としまして技術の発展とともに成長してきている分野であります。本県におきましては、CLTはレングスさんという西部の協同組合さんのほうで製造が始まっています。これは国のほうの認証も取りまして、耐力壁としての可能性も設定をされました。また、私どもの県内のCLTは構造材、銘建工業さんがやっておられるような長尺もので、柱と言ってもいいようなものとはちょっと違いまして、例えば床材として使用していただくときれいな化粧材のような床材であって、なおかつ一定の耐力がある、そういうタイプのCLTでありまして、全国で言われているCLTとは若干ちょっとニュアンスは違うかもしれません。ただ、これも新しい木材の
発展可能性でございまして、これを長年にわたり県としても支援をしてきましたし、最近それがようやくここに来て花開き、現実にも今、買い手がついてきています。例えば埼玉県であるとか九州方面などで定常的なお客様が工務店を中心にでき上がってきておりまして、ビジネスチャンスと言ってもいいのではないかと思います。
これは今後事業を拡張していこうというような方向性を関係者が持たれる場合には、ぜひ議会とも相談しながら支援のスキームを組んでまいりたいと思います。
まだまだCLTというのはなじみがございません。今回、
国立競技場を設計されたことで大変有名になられました隈研吾さん、先般私も宮城県のほうに行ってまいりましたけれども、南三陸町で新たに商業施設がオープンをしました、自然の素材を生かしながらの商業施設でありまして、隈研吾さんの設計によるものでありました。こういう先導的な新たなジャンルを開いてCLTを活用していく、そういう目を、目線を県内の事業者や県民の方にも知っていただく、そんな意味で、年明けにでもシンポジウムを開催するなどしてこういう新たな流れをつくり上げていければと思っております。
次に、森林の保全等につきまして、何点かお尋ねがございました。
森林環境税の現状や展望、また、これと関連して
森林環境保全税、これを県で課税していることの改定作業についていかがか、さらに
森林環境税の創設に当たりまして何点かお尋ねがございましたが、こうした所有者のわからない、そういう林地がふえてきていることから、放置林地への課税強化などを図るべきではないだろうか、あるいは境界確定の作業、こういうことを進めるべきではないか等々のお話がございました。
議員も問題意識を持っておられますように、要は不在地主を中心としまして所有者のわからない林地がふえてきているところでございます。今回私どもは、台風18号の災禍に見舞われました。これについては、今、衆議院の解散という動きもあることもありまして、こういうもし解散された場合の選挙の執行とあわせて、台風18号の被害対策につきましてもできれば今議会に上程をさせていただければと思います。追加補正をお願いしたい。合わせて10億円規模ぐらいになると思いますが、被害関係だけでも6億円ぐらいあろうかと思っております。
今回は甚大な雨が降ったのですね。普通でない雨が降りました。それによりまして鳥取市河原の渡一木で浸水という騒ぎが起きましたけれども、これについては原因の究明や、それから例えば
排水ポンプの活用など、対策が今後はとれないかどうか、こんなことを実はこの週末までに鳥取市とも協議をしておりまして、今夕、鳥取市や
大井出川地域、大井出の土地改良区、また国と協議の会議を開催してくれと指示をしたところであります。いろいろと対策をとっていかなければならないほど、今気候が非常に激烈化している。その背景には、議員が今指摘されたように、やはり森林のダム機能というものが少しずつ失われてきていることだと思います。森林が荒れてきますと保水力が山のほうで減ってくる。そうすると一気に水かさがふえるなどがあります。本来、森林が機能していればダム機能が働きまして、森自体がダムになって少しずつじわじわと水かさがふえてくる。そういうことであれば洪水の被害というのも抑えられるというふうに言われています。こういうことであるとか、さまざまな意味でCO2の吸収源とか、森林の機能というのははかり知れないものがあるだろうというふうに言われます。ただ、国のほうの政策もあって杉林などがふえてきたわけでありますが、ただ経済林としての機能が、つまり効能が薄れてくる。外材との競争の中で森林に手入れをする
インセンティブが失われてくる。そうなりますと、たとえ相続したとしても山に行く必要はないというふうに考える方々がいらっしゃったり、自分として地元の方でも時々山に入ってみようという
インセンティブも薄れる。こんなことがいろいろと重なってきて、今
スタック状態、いわば動かなくなってしまってきているということでありました。
そこで、ここ10年ほど鳥取県でも、銀杏議員とも協議をさせていただいてまいりましたけれども、議会といろんな意見をいただきまして、できるだけ山が動く状態をつくろうと。間伐材の搬出であるとか、それから林道網をつくるとか、それから組織化を地元のほうでも図っていけるようにしていこう、
森林環境保全税というのも活用して山に対する意識を強めてもらおう、竹林もそうであります。そういうさまざまなことを鳥取県でやってきた関係で、今急速に生産量もふえてきていますし、山が動き始めている、そんな実感も出てきました。でも、まだ道半ばだと思います。そういう意味で、議員がおっしゃるようにいろいろと手を打っていかなければならないわけであろうかと思います。
そうした所有者がわからないようなことなどでの弊害を防止するためにどんなことができるかということでありますが、実は民法の世界からいえば、所有者がわからないからといって森林に対する責任が失われるわけではなくて、それがもとで迷惑をかければ、それはそれに対する責任も負わなきゃいけないわけであります。ただ、現実にはなかなか動かないわけであります。
議員のほうから課税の強化というお話がありましたけれども、幾つかのことを複合的に走らせる必要があろうかと思います。今、農地のお話がございました。農地につきましては、
農地中間管理機構というものをつくりまして、それを通して動くときに、今おっしゃるような税制上の特例措置であるとか、そうしたものが設けられたわけであります。林についてそういう芽があるかどうかということでありますが、現実には例えば智頭町におきまして、これは自伐林家を育てようという取り組みがあり、それで町も仲立ちをしながら、これはやってもらったらいいよという林地を提供してもらい、地元の若い人たちを中心にして、ある程度の規模で森林経営ができるようにしていこうと、こういうことがあり、現実にも今、複数のそういう提供者の申し出があらわれてきています。
また、若桜町におきましても、赤松とかが対象ではないのですけれども、鬼ヶ城の南側のほうで28ヘクタールとかかなりまとまった土地、170人かそこらがかかわるような大きなところでありますけれども、そこでそうしたいわば町営で間伐をするといいますか、要はまとめて林業経営をするというようなことをやってみようかと今、町のほうが動かれ始めたりしています。
こういうような要は要素というのはないわけではなくて、実は山持ちの方もこれは手に余して困っているという方々もいらっしゃるわけでありまして、正直、山の値打ちとしては売っても大したお金にもなりませんし、そういう意味でいえば、そこでむしろそれを森林の集積化というものを農地のように進めていく、そういう
インセンティブもできてもいいのではないだろうかということです。そんな意味で、林地につきましてもそういう
中間保有法人みたいな考え方を入れられないだろうか、それとあわせて税制上の特例措置ということも考えられていいのではないかなというふうに思います。
そんな意味で、銀杏議員の御発言もございますが、今後こうしたいわば
森林バンク制度とでも言うべきもの、国も検討に着手するという報道も出始めていますが、こうしたことをぜひ進めていただけないかどうか、我々としても要請活動をしてまいりたいと思います。
また、境界確定、これも厄介な課題でありまして、いろんな手法を使ってこれを後押ししようとしてまいりましたし、現に少しずつ市町村の取り組みも広がってきていますが、こうしたことも
森林環境税のような財源ができるのであればやってもいいのではないかというのは、おっしゃるとおりだろうと思います。
その
森林環境税でありますが、これから秋、冬と、いよいよ佳境に入ってこようかと思います。国のほうでは今、総務省のほうで研究会が持たれていまして、これが恐らく来月かそこらぐらいには結論を出すと思われます。それが年末の税制改正に当たってまいります。政権の枠組みが今後どうなるかということは正直今もってはわかりませんけれども、ただ、いずれにせよそういう検討が政府のほうで持たれておりますので、それが税制改正の課題として残ることは疑いないところだろうと思います。
現在の
森林環境税の素案でありますが、正直、
都道府県側からして問題がないわけではないだろうと思います。知事会を代表して宮城県の村井知事が発言をされて、研究会の中でも動いておられますけれども、果たして市町村にどれほど林地に対して世話をできる能力ないし経験があるだろうかということがあります。ですから、お金だけ行ったところで、お金をもらって終わりになってしまったら結局余り意味がないことになります。そういうようなことであるとか、また、国が一方的に配るような仕組みでいいのだろうか、地方がもっと入って、実情に応じた形ができないだろうか、そんなような観点での議論を
都道府県側はしているところでありますが、まだちょっと見通しはつかないところです。
いずれにしましても、森林に対して財源が来ること自体は当然推奨されるべきことでありますし、好意的に受けとめたいと思いますが、税制の問題も含めていろいろと調整が必要なことも事実です。議員がいみじくも御指摘ございました
森林環境保全税を鳥取県は今、住民の皆様、企業の皆様からいただいているところでございます。その効果も発現をされています。したがいまして、これが新しくできた
森林環境税でいわば財源的に追い出されてしまうことになりますと、今まで議会と話し合いながら進めてきた林業対策が、あるいは森林環境対策が失われてしまいかねない、そういうところであります。
これは税の期限が来ますが、
森林環境税は早くても平成31年度が本格的な実施ということになりましょう。私どもの
森林環境保全税は今年度いっぱいで切れてしまいますので、平成30年度以降どうするかということを早晩御相談しなければなりません。今、国のほうの検討の動きも横にらみしながら、11月議会、場合によっては2月議会で変則的にお願いをするということもあるかもしれませんが、住民の皆様への説明責任もありますので、できれば11月議会ぐらいで提案するのが筋かなと思います。
そうなってきますと、国のほうの結論よりもちょっと先に我々は行かなければなりません。したがいまして、今のアイデアとしては、いわば解除条件つきといいますか、そういう条件つきというようなイメージになろうかと思いますが、国のほうの税制の動向によることを踏まえた見直しを行うということを、見直し条項、検討条項をつけた上で従来の
森林環境保全税のスキームをベースに、ほぼそれを延長するような形でとりあえず議会のほうに11月議会で御提案するというのがベターな選択なのかなというふうにも思っています。
また、いずれにせよ税金という負担を伴うものでございますので、慎重に住民の皆様の御意見も伺う必要があると思いますので、今議会終了後、そうした住民の皆様の御意見なども仰いで、最終結論を出してまいりたいと思います。
最後に、農作物につきましての
収入保険制度につきましてお尋ねがございました。
これは、国政においても公明党さんが主導されながら制度を導入された非常に幅広い制度でありまして、従来にないものであり、関係者の期待も非常に大きいと思います。
この
収入保険制度でありますが、来年度に入りまして実際の中身というものが明らかになってきて、それで大体来年の秋ごろに申し込みが始まり、31年からスタートをするというスケジュールで今言われています。
実は、JA共済さんも含めて十分な情報がまだなくて、農家の皆様に周知したり相談したりすることがちょっと難しい状況にあります。ですから、できるだけ早く国として制度設計を示していただく必要があるのではないかなと思います。
この新しい制度によれば、従来対象となっていなかったようなネギであるとか、そうした各種の作物にこういう収入補填、保障の考え方というものが導入されることになりますし、それから、その制度のつくり方としてもユニバーサルな感じになりますので、農業者も見通しがつけやすくなる、安心して耕作ができるということになろうかと思います。
ただ、いろいろ国でもう既に前提条件がついていて、青色申告をした農家が対象だと。すなわち、原則論からいえば過去5年のそういう青色申告などでちゃんと担保されたような収入というものがあって、その平均的な収入を基準としまして9割、これを割り込んだときに9割を保障すると。いわば0.9掛ける0.9の0.81、81%まで保障しますよという、そういう考え方でありまして、収入のこれまでよくわからないところを特定しなければいけないと、多分そういうことだと思いますが、青色申告が前提にあるということであります。
これは今、国のほうでは簡略な青色申告のやり方というのを新たにつくろうということでございまして、それを前提にこれから農家の方々にも検討してもらうのかなということです。ただ、従来からの農業共済制度であるとか、それから
ナラシ対策であるとか、また野菜の価格安定制度、そうしたことなどと選択制になります。どれが有利かということはそれぞれの方が判断していただく必要がありまして、そのためにも十分な情報を提供する必要が前提としてあるのではないかなというふうに思います。
また、その
収入保険制度ができた後の農政のあり方でありますけれども、これは正直申し上げて、ちょっと全体が出た後でどれほど普及する制度なのかということもございますので、その上で見ていく必要があると思いますが、従来の農業対策のやり方が大きく変わる可能性はあると思っています。ですから、今、
収入保険制度を前提として、それ以外のところに農政は限ってもいいのではないかというお話でございますけれども、そういうふうになればよろしいですけれども、そこはちょっと見きわめた上で判断する必要があるのかなと思います。
従来から鳥取県としても、例えば頑張る農家を応援する事業であるとか、それからしっかり守る農業交付金であるとか、そうしたソフト、ハード面を通じたさまざまな支援対策をやっており、最近でもビニールハウスの低価格ハウスの導入支援など、非常に農家の方からも頼りにされている事業もあります。鳥取県はかなり農業対策にお金を使っている県でございます。こうした基本は今後も継続していくということになるのかなと思います。
◯議長(稲田寿久君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)答弁いただきました。CLTにつきましては、まだEPAの影響等については試算も国から出ていないということでわからないのだろうというふうに思いますが、林産物、CLTです。CLTについてはレングスさんの紹介もしていただきまして、ようやく花開いてビジネスチャンスを迎えようとしているということで、また支援のスキームを検討したいという前向きなお話もございました。
森林環境税でありますが、衆議院議員選挙もあるだろうというふうなことで、関連して台風18号の被害の追加予算であったり、衆議院の選挙の関係予算等、追加補正をしたいというお話もございました。
それで、
森林環境保全税については、できれば11月議会に解除条件つき見直し条項を明らかにして提案をしたいということもございまして、国の動きが少し見えないこともあるので、といっても2月議会になると県民の皆様にそれは失礼に当たるというふうな、税をいただくということですので早目にというお話ですが、条件つきというふうな形で提案をしたいというお話もございました。
森林環境税につきましては、
農地中間管理機構のようなのを例としてということでありまして、林地でもそうした中間管理の機構はいいのではないかというお話とともに、税制優遇措置を設けてもという、そういうのはやっているところもあるというお話でございましたが、知事は優遇措置であめの話をされまして、私は課税強化のむちのほうの話をしておりまして、表裏一体なのだと思いますけれども、なるべく意欲のある林家へ集約をしたいという意図でございます。同じような内容だろうかと思いますけれども、今後また政府等にぜひとも要請をしていただければというふうに思います。
森林バンク制度、こういうことについても、これは要請活動をしていきたいというお話がございました。
収入保険につきましては、単独の作物だけではなくて、例えば1戸で何頭かの牛を飼ったり野菜もつくったり水田もつくったりしていると。その全体の収入について下がったり上がったりする分についての保障もたしかあるような制度になるのだろうというふうに思いますので、これは考え方がこれまでとは大分違ったことですので、農家の皆さんへJAさん等も多分共済組合さんとタッグを組んで説明等をされるのだとは思いますけれども、県もしっかりその点については一緒に協力してやっていただきたいというふうに思います。
それで、
鳥取砂丘コナン空港、空の駅化と
コンセッション方式でありますけれども、これから6年間の期間というのが法的にも定められておって、制度上やむを得ないのだというふうな話で5年9カ月の設定の理由をおっしゃいました。ではそれはしようがないのだなというふうに思いますけれども、十分にそれがうまくこの期間成功するように、また質問させていただきたいと思います。
もう一点、空の駅化と
ツインポート化というのは、鳥取空港にとって2度目の開港とも言うべき事業なのだというふうにおっしゃっていただきまして、知事としての本当に力を入れていこうという、そうしたお気持ちを感じることができました。
それで、5年9カ月でありますけれども、その後また本格的な
コンセッション方式でSPC等、そういうところに委託するのだと。ほかの施設でも
コンセッションというのが県で言われていまして、どちらかというと管理に重点を置いた、そうした無難な、無難と言ったらおかしいですが、赤を出さない、そうした道を選択するような、そうした雰囲気があるわけですけれども、できましたらこの
鳥取砂丘コナン空港の空の駅化については自由な発想、多様な意見を取り入れて、挑戦の気概で空港を観光拠点、地域の拠点として生まれ変わらせるのだと、その辺はよく知事も心にあると思いますけれども、これが大事だと思うのですね。
実際運営権を最初の5年9カ月間委託を受けて、成果として利益を上げるのは、なかなかこれは大変だと思いますし、長期のSPCへの委託についても多分そうだと思いますが、
運営権者の附帯業務というのを見てみますと、空港の就航促進、利用促進、空の駅に関する事業、さらにエアポートセールスとしての新規・臨時航空路線の誘致、観光誘致、空港の魅力向上、にぎわい創出、これらをやっていただくのだということで、これには幅広で専門的な能力が必要だというふうに思っております。多分、鳥取空港ビルに最初委託をされることになるのだろうと思いますけれども、これまで以上の業務量と内容が全然違う、大変大きくなるわけで、体制強化とか専門人材の登用が必要になるのではないかと思います。そうした準備は短い期間でできるのだろうかなという心配をしております。発注側といたしましても、しっかり注文をつけていただきたいと思います。
今のうちから全国の公の施設や空港やテーマパーク、道の駅などいろんな成功事例について、集客とか情報発信でありますとかイベントなど、研究をぜひしていただきたい。これらについて知事の所見をいただきたいと思います。
来年7月以降、委託を受けた後に
運営権者がハード面で整備を行おうとしたときに、県からの支援はどうなのだろうかと、あるのだろうかと。例えば、さらに駐車場を増設したいとか電気とか水道の施設整備とか、いろんな道路や滑走路周辺、ビルの外観などの美観整備、また、中の仕切り工事とかステージつくったりとか、そうした整備に係る費用はどこが実際は負担をしていくのかということを知事に伺いたいと思います。よろしくお願いします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねてお尋ねがございました。
森林関係につきましては、いろいろと御意見もいただいたところでありますが、CLTについて、EPAの対応がわからないのではないだろうかということで、まだちょっとよくわからないところがありますけれども、ただ、大切なのは、そういうEPAなどが導入されたとしても、それに勝っていかなければならない競争力をつけることです。CLT自体には関係者は結構自信を持っていまして、今売れているということがあります。正直申しますと、生産が追いつかない。ですから、これを増強するかどうかというところに今後踏み込んでいくかどうかということだと思うのです。ですから、そういう意味ではポジティブにそこは考えていける素材ではないかと思っております。
また、
森林環境保全税の導入や
森林環境税の関係、また税制の問題などは、おっしゃる点もよく理解しておりますし、税制上の問題もプラスとマイナスと両方から攻めていく、それで初めて林地の移転ということが起きますので、それは当然だろうというふうに思っております。
いずれにしましても、そうした形で災害にも強い、そしてCO2の吸収源にもなる、雇用の場にもなる、また中山間地のいわば潤いの拠点にもなる、そんな森林を取り戻すべく、新しい制度が導入されるように我々としても意見を申し上げたり、また対応してまいりたいと思っております。
空港につきましては、今おっしゃったことと同感でございまして、第2の開港と言っていい時期を迎えるわけであり、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」、そうした心持ちで入れ物のところと中身と両方を新しくして時代を変えていきたいという思いであります。
観光振興など、にぎわいをつくることが大切だという銀杏議員の観点を含めて
コンセッション方式のことも議論されてきましたし、空港の整備のことも議論してまいりました。空港の
コンセッションでございますが、
コンセッションには二通りありまして、1つは議員も御指摘ありましたけれども、無難な管理というような、そういう
コンセッションという言い方をされましたが、実はこれは利用権を設定することで先方も収益を得るし、それが我々のほうにも確実な形でリターンが返ってくる。これは今、水力発電などで導入をしようと考えているところでありまして、そうした
コンセッションもあれば、ただ残念ながらもうからないけれども、今よりも経営のやり方を工夫しやすくするとか、今よりはコストが縮減されるとか、そうしたタイプの
コンセッション方式の両方があります。後者のほうが
鳥取砂丘コナン空港でございまして、現実にいえば着陸料収入、あるいはテナント収入だけで現状ちょっと賄うのは難しい。それは便数が少ないことがございまして、それこそ札幌とか羽田とかとは全然規模が違うわけであります。ですから同列に扱えないところでありまして、但馬空港でやっているような、そういう導入ということかなと思っています。
ただ、いろいろと工夫の余地はあるだろうと。議員も先進空港を学べということでありますが、茨城空港であれば中にテナントでレストランを入れたりお土産物屋をやる。それと、近所にそ・ら・らという道の駅がありまして、これを一体化させることで相乗効果を上げていくというやり方でありまして、私ども実はこの辺も念頭に置きながら、海と空を結ぶような全国でも珍しいパターンをつくろうと今考えているところであります。
また、大分空港では、おいしいおすし屋さんがあるということでありまして、ちょっと空港のところには似つかわしくないような少しハイソといいますか、ハイエンドなおすし屋さんというものをやったところ、これがまた人気で、それを食べに来るというようなことになってきたということであります。若干ちょっと経営の問題があって会社が入れかわったりしているようでありますけれども、今でもそうした伝統といいますか、流れが引き継がれていまして、やはりこういう名物の店を
鳥取砂丘コナン空港でもつくる必要があるのではないかなということであり、テナントを募集しましたところ、今いろんなタイプのほうからオファーが来ています。喫茶店の系統だとか、もちろん食べ物屋さんの系統だとか、それも水産を得意としている食べ物屋さんだとか、また薬屋さんだとか、いろいろと今手が挙がり始めていまして、大分そうしたことでにぎわいが出てきますと、恐らく賀露・湖山地区の中で一つのアミューズメントポイントにもなるかもしれないということですね。そんな意味で新しい展開ができればなということを先進事例を学びながら模索していきたいと思います。その過程におきましては、にぎわいづくりでありますので、ユーザーである方とか御近所との共存ということもありますので、多くの方々の御意見が入るように考えたいと思います。
費用の分担についてでありますけれども、大きな工事などは、これは
コンセッションの契約の中で想定できないことがあります。例えば議員が取り上げられた駐車場の整備であるとか、あるいは滑走路を大々的にやりかえるとか、そうしたことはやはり公のほうがやらなければならない部分だと思います。
コンセッションの契約の相手方のほうで面倒を見るべきところというのは、日常の修繕事業だとか、そうしたものになってこようかと思います。電気工事であるだとか、さまざまなものが入ってこようかと思います。こういうようなことを契約時に明らかにした上で、議会とも協議の上、
コンセッションをお認めいただけるのであれば設定してまいりたいと考えております。
◯議長(稲田寿久君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)答弁いただきました。
鳥取砂丘コナン空港空の駅化については、今いろんなところから店舗等オファーがあるという大変明るいお話も紹介いただきました。希望が持てるなと思ったわけでございますし、また、契約後の整備等については契約時にしっかり相談をするということ、また議会とも相談をするというお話もございました。
それで、さらに空の駅化、
ツインポート化について質問をさせていただきますが、9月8日に鳥取港利用促進賑わいづくり検討部会が立ち上げられ、鳥取空港利用促進懇話会と連携して、それぞれの魅力発信強化について検討が始められたというふうに伺いました。
そこで、1つには、今後の検討課題と検討体制、またスケジュールなど、どうなっているのかお答えいただきたいと思います。2番目に、鳥取港利用促進賑わいづくり検討部会には賀露の地元関係者がメンバーになっておりますが、検討部会、利用促進懇話会、両方どちら見ても、空港側の地元関係者が入っておりません。これは大変バランスを欠くことになりはしないかと思っております。地域とともにという空の駅の考え方からすれば、当然空港側の地元関係者も入るべきだと思っております。知事のお考えをお尋ねします。
また、
ツインポート化で空港、
マリンピア賀露と、賀露と空港のそれぞれの利用者が多分行き来するようになるのだろうと思われ、にぎわいが増していきます。さらに全体としてにぎわいを増すために、ちょっと空港側にまだいろんなそうした施設が少ないものですから、例えば休憩場所であったり足湯や温泉であったり、
鳥取砂丘コナン空港の名前があるわけですから、鳥取砂丘の関連物を砂丘側に設置する。おりてみたらああ鳥取砂丘に来たなと思わせるようなことを考えてはどうかと。また、当然コナンについてももっと出していいのではないかと。世界でここにしかない砂丘とコナンの空港として、もっとアピールすべきだろうと思います。
こうした夢のある
ツインポート化で一大観光拠点をつくる、空の駅と海の駅を持つ巨大な、茨城空港の例を紹介されましたが、巨大な道の駅としていくようなことも考えてもいいのかなと思います。こうした構想を具体化できるかどうかが賑わいづくり検討部会と利用促進懇話会にかかっていると思うわけでありますが、知事の思いをお聞かせください。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねてお尋ねがございました。鳥取港につきまして、そのにぎわいを考えるべきと。これはこちらの議場での御議論も踏まえまして、地元と相談させていただき、従来から鳥取港の利用促進の検討会がございましたけれども、その中の検討部会として、賑わいづくりの検討部会を設置されたところであります。これには賀露の深澤自治会長であるとか、それから山田会長とか、いろいろと関係者の方も入られて、地元の方々の声も入れながら今検討しようとされていますが、来年の7月ぐらいを目途に計画をまとめようではないかというふうに言っています。7月というのは実は空港のほうの一体化事業が完成するわけでありまして、その前の連絡道路の開通と、全てが一応そろう段階であります。そうしたことを念頭に置いて、取り急ぎそうした計画をまとめようと今皆さんで話し合われております。深澤自治会長も最初の御挨拶の中で、これについて新しい道路ができることは恐らく港も変わるいいチャンスだというような認識をおっしゃっておりまして、港側のほうの期待も高いところであります。
これは両方の話がいろんな意味で絡み合ってきます。鳥取空港のほうは利用促進懇話会があり、それから議会の皆様や、あるいは地元の方々などが入って研究する場も設けられていまして、これはいろいろとキャッチボールをしながら進めておられます。ですから、今後また来年の7月までということでありますが、その間で港側と空港側と意見の交換をするような場の設定だとか、そういうことをいろいろと心がけていくことで、港には港の事情も正直ありますし、空港には空港の事情もありますので、それを組み合わせながら有意義な計画づくり、ビジョンづくりに向かっていけるようにしてはどうかなというふうに思います。
議員もおっしゃいましたように、地元の方々の御意見も行動があって初めて空港のにぎわいができてきます。昨日も鳥取空港のフェスティバルが開催をされまして、飛行機、あるいはヘリコプター、そうした機材の展示も行われ、ふだん入られないところへの見学ツアーなどもあり、特に地元の女性の皆様などお手伝いいただきながら、大きなにぎわいの日ということになったと思います。また、今後、務安からのチャーターフライトが来たり、それから遠東航空が来るわけでございます。務安のフライトにつきましては、90日間で40回飛ぶという週3便の非常に大きなプロジェクトでございまして、こういうようなことなどが果たして今後に継続していけるものかどうかというのは地元のホスピタリティーにもかかっているところでありまして、こういうことも応援をしていただいているというのは非常に大きなことだろうというふうに思います。ですから、航空の利用促進の意味で、にぎわいづくりの計画など、あるいはその実行に当たりまして、地元の方々のお力を今後も仰ぎながら進めていく基本姿勢が大切だと思っております。
今議員がおっしゃいました砂丘やコナンを感じさせるものということにつきましては、今までも砂像のコナンをつくって空港に置いたりということもございました。いろんな工夫がこれからできてこようかと思いますし、
コンセッションになることはそうした自由度が高まることでもありまして、
コンセッションの運営の中でも、ああやはり違う世界に来たなというふうにお客様に思っていただけるような、そんな工夫を民間の事業者のほうでも積極的にやっていただけるように、我々としても
コンセッションの方向性をつくっていければというふうに考えております。
◯議長(稲田寿久君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)最後の質問にさせていただきたいと思いますが、先日、羽田発着枠政策コンテストの有識者懇談会で取り組みなどの聞き取りがあったという報道がございました。本県では、空の駅化の事業、また国の地方創生拠点整備交付金事業の認定も受けました
ターミナルビルの一体化、そして
マリンピア賀露との
ツインポート化がこうして進められているわけですけれども、こうした取り組みへの評価はどうだったのか、そして5便維持への感触はどうだったのか、知事にまずお尋ねをいたします。
そして、国際チャーター便のお話も最初のほうにございましたが、見てみますと、国内観光、パイはでかいのですが、なかなか毎年の観光客の数を見てみますと、全体ではそう変わりがない。一方、外国人観光客は今大変右肩上がりで、2020年4,000万人という目標も現実味を帯びてきているということで、県内2空港の外国人観光客誘致にはさらに力を入れる必要があるというふうに思います。
今回の台湾と韓国の国際チャーター便就航は願ってもないチャンスですが、報道によりますと、知事はこれまでと違うビッグプロジェクトで地元の努力が重要になるというふうにおっしゃったということでございます。5便維持のコンテストとともに、またこうした国際チャーター便の継続、増便について、地元や経済界や県民の利用促進、これが欠かせないと思うわけでありますけれども、これらの課題について知事の所見を求めます。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯議長(稲田寿久君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、午後1時より再開いたします。
午後0時01分休憩
────────────────
午後1時00分再開
◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
21番福田俊史議員
◯21番(福田俊史君)(登壇、拍手)皆さん、こんにちは。会派自民党の福田俊史でございます。
さて、今月の上旬に、東京の八重洲にあります日本屈指の高級果物店でありますおなじみの京橋千疋屋に出向きまして、市場調査を行ってきました。千疋屋さんの店頭では、今シーズンも我が鳥取県産の二十世紀梨が1玉1,080円。そして、新甘泉は1,296円という高値で販売をされておりまして、ますます鳥取県の梨のブランド化が進んでいることを実感したわけであります。
やはりブランド化が進んでいくということ、そして高値で優位的に販売が進むということは農家の所得が上がりますし、農家の所得が上がれば後継者につながる、こうした流れ、こうした好循環をつくっていくということが平井県政の大きな役割だと思いますし、私は鳥取県の地方創生の基本だろうというふうに思っております。
梨の次はいよいよ花御所柿のシーズンが来ますので、平井知事におかれましては、首都圏におけますトップセールス、そしてさらなるブランド化にお努めいただきますようにお願い申し上げたいというふうに思います。
それでは、通告に従いまして、山陰デスティネーションキャンペーンに向けた我が県の観光戦略について質問に入ります。
近年、訪日外国人観光客、インバウンドの増加が続いています。2015年の延べ宿泊者数は6,561万人に上り、前年比46.4%の増となりました。特に地方の伸びが顕著で、東京など3大都市圏の増加率が39.2%だったのに対し、それ以外の地域の増加率は59.6%に上っております。
観光庁によりますと、2015年の訪日客が499万人と倍増し、国・地域別で最多となった中国人客を中心に、訪日の目的が変化している、地方の観光地に興味を示すリピーターがふえているといい、観光庁は、地方はこうした動きを取り込む対策を練ってほしいとしております。
平井知事はこれまで台湾やタイからの誘客に力を入れてこられたわけでありますが、中国人客は1人当たりの旅行消費額が28万円を超え、訪日客平均の17万6,000円を大きく上回っており、誘客できれば大きな経済効果が見込めると思います。ちなみに、昨年の県内外国人延べ宿泊者数約10万人のうち、中国人客の割合は10.9%にとどまっており、この分母が大きい中国人客をどう鳥取県に呼び込むかが大きな課題であります。
中国経済に詳しい専門家によれば、昨年500万人を記録した訪日中国人客がことしは700万人、2020年には1,000万人を超えると予想しています。さらに、中国人旅行者の爆買いの次の目的は、日本のどこにでもある田園風景や埼玉県の川越、岐阜県の飛騨高山、白川郷といった伝統的な家屋の町並み、民宿の素朴でアットホームなサービスと分析されています。
また、先週19日の日本経済新聞には、中国の旅行予約サイト最大手、シートリップCEOの孫潔氏のインタビュー記事が掲載されていました。その中で孫氏は、中国人が日本旅行に期待するものとして、「日本製品はすばらしいので、初めのころは買い物が大きな目的だった。しかし、中国人の旅行客は成熟しており、茶道や料理など日本の文化に触れたいという要望が増えている。マラソン大会に参加するといったツアーも人気だ」と述べております。
古きよき日本の面影を残す我が鳥取県は中国人のニーズにマッチしていると思いますが、全国に競争相手も多く、いかに鳥取県の魅力を売り込むか、商品造成と広報戦略が鍵を握っております。
私はこのようなことから、県は今後さらに我が県の課題である欧米人の誘客対策とあわせて中国人の誘客対策に力を入れていくべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。
地方への呼び込みを図る上で注目されるのが、観光地域づくりの推進法人DMOであります。御承知のとおり、DMOとは、宿泊施設や商工業者、金融や行政などが一体となって魅力的な観光地づくりを進める組織であります。私もDMOについては平井知事と何度かこの議場で議論させていただきましたが、観光庁が登録制度を設けたこともあり、組織化が全国的に広がっております。
兵庫県篠山市のノオトは、限界集落対策や農村地域再生に取り組んできた民間団体がDMOに移行。地元の複数の古い民家を再生し、地域全体を一つのホテルと見立てて宿泊客を受け入れており、外国人観光客にも人気とのことであります。瀬戸内海に面する7県による広域連携DMOは、クルーズやアートなどのテーマを設定した上で協力して観光ルートやプログラムを発信し、誘客に結びつけております。和歌山県のDMO、田辺市熊野ツーリズムビューローは同市内5つの観光協会が連携して発足し、世界文化遺産、紀伊山地の霊場と参詣道観光を軸に、個々の旅行者の要望に応じた情報を提供されています。
DMOは我が県でも次々と設立され、インバウンドの受け皿づくりがスタートしたわけでありますが、昨年4月に設立された山陰版DMOの山陰インバウンド機構は、鳥取・島根両県の外国人宿泊者数を2020年までに40万人とする目標を掲げられ、最大の課題である海外での山陰全体の認知度向上に努められております。山陰の認知度を上げるため、広域観光周遊ルート「縁の道~山陰~」のPRと国別のプロモーションを今年度から本格化されており、この広域観光周遊ルートの形成は地方への誘客を図るため国が設定し支援。全国で11のルートが設定をされております。
設立から1年半がたった山陰インバウンド機構のこれまでの取り組み状況と成果について、平井知事の御感想を伺います。
特に山陰インバウンド機構には金融機関も参画されており、マーケティングや施設整備などへの融資がどれぐらい進められてきたのか、あわせてお伺いいたします。
そして、いよいよJRグループ6社と鳥取・島根両県の観光事業者、行政などが一体となって誘客に取り組む山陰デスティネーションキャンペーンの開催が1年を切りました。こちらは大山開山1300年に合わせ来年7月から9月まで展開される大型観光企画でありますが、現在はプレキャンペーンが行われておりまして、来年の本番に向けたガイドブックの製作など、着々と準備が進んでいると伺っております。
この山陰デスティネーションキャンペーンは、今から5年前、2012年の10月から12月にも開催されており、両県はプレキャンペーンを含めた2年間分で各6,000万円の計1億2,000万円を負担し、島根県は古事記編さん1300年にちなんだ神話博しまねを開催し、鳥取県は国際まんが博関連イベントを各地で展開するなど、一定の成果を残しました。当時のJRによりますと、期間中の特急利用者は89万800人で、前年比9.4%の増加。特に山陰線のおき、まつかぜの出雲-米子間、鳥取-倉吉間は18%と伸びが大きく、キャンペーン用に企画された関西発着の格安周遊券も1万4,000枚を売り上げるなど、大きな効果があったと分析をされております。
しかしながら、キャンペーンが終わると期待どおりのその後の成果や起爆剤につながっていない部分もあり、一過性のイベントに終わったとの声もあります。今回も前回以上に大きな予算を投資するわけでありますから、前回の成果と反省をしっかり検証し、本当に地域の観光の基盤強化につなげていただきたいと思います。
そこで、1年を切った山陰デスティネーションキャンペーンに向けて現在どのような準備や戦略が図られているのか、そして、キャンペーン成功に向けた平井知事の意気込みを伺いたいと思います。
山陰デスティネーションキャンペーンは、全国のJR6社が展開する、どちらかというと国内観光客向けの観光キャンペーンだと思いますが、我が鳥取県への国内観光客の入り込み数を見てみると、関西圏からのお客様が約30%と一番多いことがわかります。あわせて、その移動手段はバスや自家用車など自動車を使っての移動がほとんどを占めております。
平成25年3月に県民待望の鳥取自動車道、姫路鳥取線が全線開通し、観光面において大きな効果が期待されたわけでありますが、全線開通した平成25年度以降、開通するずっと前の平成19年度などと比べてみても入り込み客数はそれ以上になっておらず、逆に開通後のこの4年間は減少が続いている状況であります。
この問題は、間違いなく新たに開通した鳥取自動車道に対する認知度不足であります。この7月から鳥取県議会から選出され、関西広域連合議会に私も参加をさせていただいておりますが、2府6県4政令市の議員の皆様と交流させていただく中で、ほとんどの方が鳥取自動車道の存在はおろか、無料の高速道路ということも御存じありませんでした。名刺を交換する際には必ず鳥取から大阪までどれぐらいかかるのかということを聞かれ、鳥取県は関西から見て北陸以上に遠いところというイメージを持たれていることがわかりました。
鳥取自動車道が全線開通してことしで4年、来年は5周年を迎えます。この節目の年に向けて、認知度不足の解消や関西人が持つ我が県に対する距離感や時間のイメージチェンジを図るための何らかの取り組みが必要ではないかと思います。人気旅行雑誌や関西ローカルの情報番組に働きかけ、観光するポイントや食事、宿泊など実際にコースをつくって特集を定期的に組むなど、これまでの地道な努力に加えて大きなプロジェクトを動かしていくことが今必要だと私は思っておりますが、平井知事の御所見を伺い、壇上での質問といたします。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、欧米人誘客とあわせて中国人の誘客対策に力を入れるべきではないだろうかと、こういうお話でございました。
先ほどシートリップのCEO、孫さんのコメントのお話がございましたが、そうした視点も大切にしながら中国も一つのマーケットとして考えるべきでありますし、欧米などもそうでありましょう。欧米については、最近はユーチューバーのアンジェラ・アンさんという方をこちらにお呼びをしまして、大変にヒット数の多いそうしたユーチューブの2作品を今とりあえずホームページにアップしていただいています。それをごらんになって欧米系の英語圏、英語の通じる人たちから、これはぜひ行ってみなければいけないというようなことでございまして、欧米系の場合は何せ距離があるものですから一気にわっとは来ませんけれども、じわじわとふえてきている。我々の統計を見ても、少しずつでありますけれども、やはりこうしたネット社会を通じて広がっていることが感じられるようになってきました。
中国のマーケットも大分変わってきて、以前であれば団体旅行中心で、名所旧跡を見て歩く、それもディズニーランドに行ったり浅草に行ったり、それからゴールデンルートだといって京都や大阪に行くという定番型でございました。だんだんとこれが多様化しているわけでありまして、それに応じて私どもでも受け皿となる可能性も広がってきているはずであります。そういう意味で、昨年も1,700名ほど上海のほうからチャーター便で吉祥航空さんで運んでいただいて、これで中国のお客様がふえたという、そういう実績もありました。
実はこれは最近一つ事情がありまして、上海浦東空港という上海の空港でございますけれども、これが今、新規のこういうチャーターフライトなどが制限されるというか、禁止されていると。これは中国政府の方針でありまして、上海浦東空港のパフォーマンスが余りよくないということなのだと思います。定時制をしっかりとる必要があるとか、そうした観点で新規路線などの制限があって、余りこうしたチャーターマーケットや、あるいは新規路線就航が今できない状況が続いています。それで本県もあおりを食いまして、今シーズンは上海からのチャーターが結局うまくいっていないという状況があります。
ただ、関西空港が好調でありますし、またそのほかの近隣でも岡山や広島といったところにも来ますし、大事なのは羽田経由で入ってくるルートであります。こうしたルートについてそれぞれ開拓をする必要がありまして、後ほど出てくる山陰インバウンド機構さんでもそうした羽田乗り継ぎを強化しようというようにして、ANAとかJALの職員派遣も入れて、そうした乗り継ぎによる山陰周遊を組もうとしていまして、我々もこれをサポートさせていただいています。
山陰インバウンド機構さんよりも前に、今私どもでも中国の全日空の支店網のほうから送客を乗り継ぎでやってもらうと、こうしたことも進めておりましたところ、幾つかツアーが出てまいりました。先ほど孫CEOのお話では、マラソンツアーというのも人気だということでありますが、この夏、7月にはアモイからマラソンツアーを鳥取に招致することが実現しまして、東郷湖の周りを回るという、そういうコースなのですけれども、お客様が初めてお見えになりました。またそのほかにも、今月は山陰のゴルフ場を回るという中国人のどちらかというと若干ハイエンド層を狙ったツアー、これも入ってまいりました。また、この夏は子供たちのサッカーチームをこちらに招請しまして、こちらで国際試合をやると、そういうトレーニングなのですけれども、こうしたツアーも初めて呼び込むことができました。こうしたことを上海だとか広州だとか、いろいろとターゲットを入れましてやってまいりまして、幾つかこういうふうにスポット的に実現してきているところも出てきています。もっともっとこれを広げていく意味でも、weiboなどの向こうのSNSも通じまして、鳥取ゆかりの中国語圏の方に情報発信をしていただくなど、こうしたアプローチを強化してまいりたいと思います。
次に、山陰インバウンド機構につきましてお話がございました。山陰インバウンド機構、いよいよこのたび法人に組織整備をされることになりまして、10月2日に法人化のお祝いをする運びとなりました。法人化によりまして、より契約の主体として自由度が高い動きを機動的に行うことができるようになります。これは溝口島根県知事とも一緒にお祝いに参ろうかということを今計画しているところでございます。
この山陰インバウンド機構発足以来、いろいろと新しい組織ですから苦労されていますけれども、挑戦をされてきました。特に観光ルート、国際観光ルートを組む、これに国の認証を得るということについては成功しまして、これで一応5,000万円ほど政府資金をゲットするという道筋もつきました。こうしたことをもとにしまして、今具体的なプロジェクトも進めてきているわけです。先ほど申しましたような乗り継ぎによる誘客を図ること、それからターゲット別に、特に欧米等は山陰インバウンド機構で島根県と合同でやるほうがいいではないかと、お金がかかりますのでそんなように体制をすみ分けをしようということにもなってまいりましたし、特にユーチューブで山陰の美しい風景を動画撮影をし、これをアップしたわけでありますが、これが280万ビューという大変に大きな支持を得まして、何回も再生されているという形になりました。そういうところでコメントが寄せられていますけれども、これは行かなければいけないというような気分に、これは欧米系も含めて見ていただくチャンスに広がっていると思います。
さらに具体的なマーケットリサーチを今後進めようとしていまして、体系的、組織的に、我々単県でやるのとは違いまして、マーケティングの手法もしっかり導入して、今、顧客開拓を図ろうとしているところであります。
さらに、政府の事業支援も得ながら、電子上といいますか、ネット上のパスポート、そういう周遊パスポートをつくって、観光施設の割引とか、そうしたものを受けられるようにしようと。2日であれば2,000円とか4日なら4,000円とか課金をしまして、それでそういう周遊をしやすいものをしようと、こういうアプリケーションの商品販売を始めたり、また指紋認証によりまして決済が電子的に行える、こういうことを実験的にやってみようとか、今いろいろと意欲的に動いていただいています。
ただ、まだまだ始まったばかりでありまして、ではこれで目立って何万人ふえたとかということではないのですけれども、山陰両県で2020年までに40万人の宿泊客を目指そうということにしています。
こういう山陰インバウンド機構とも協力しながら、本県で去年は地震等がありましたけれども、巻き直しで今やってきておりますが、対前年で1月から6月、15%増の外国人宿泊客、5万5,500人ほどこのたびございました。ですから、順調に今シーズンは今伸ばしにかかっているというところではないかと思います。
問題は、さらに観光地として整備をしていくという意味で、受け皿のところでの整備が必要であります。つまり旅行商品をつくらなければならない。そういうことなどで金融機関とタイアップをしながら、ビジネスとして観光産業を育てていくという使命があろうかと思います。これにつきましては、山陰インバウンド機構さんのほうに例えば山口議員の息子さんが合銀から派遣されてきたりとか、ちょっともう帰られましたけれども、そうしたいろんな合銀さんや鳥銀さん、それから地元の金融機関ともタイアップしていまして、それぞれの銀行と連動したファンドがありまして、そういうファンドでの支援などを視野に、今動きを強めているところでございます。
次に、山陰デスティネーションキャンペーンにつきましてお尋ねがございました。これについてどういう戦略で臨むのかと、こういうお話でございます。
山陰デスティネーションキャンペーンでありますが、先般説明会を1年前ということで行いまして、米子のコンベンションセンターで各社集まってもらいました。全国から40社ほど集まりまして、皆様御存じのようなところは大概そろったと思います。JR関係者や地元も含めて全部で700人ぐらい集まるという、前回のデスティネーションキャンペーンに比べますと格段に大型で、多くの方々が集まってきていますし、舞台上でも、プロモーションも三朝の方であるとか、それからしゃんしゃん傘踊りの方であるとか、かなり凝った演出でアプローチをしていまして、食べ物のほうも非常にインパクトがあったようで、地元の素材だけを使った料理が非常に好評でありました。そういう中で、現に今、旅行商品化しようというところも出てきています。
実は、前回と違って今回少し力の入れ方を変えていますのは、要はデスティネーションキャンペーンが終わった後、伸びていく観光地として山陰がお客様に位置づけられなければならないと。ですから、素材の掘り起こし、そしてその素材を売り込む、さらにはそれが定着をしていくという、いわばレジェンドを残すような、そういうデスティネーションキャンペーンにしようと関係者で動いているところでありまして、単に従来商品を組み合わせただけでなくて、今だからできますよとかということでやってみて、それがうまくいけば長きにわたって観光名物になるというものをどんどんつくっていこうということであります。
例えば北栄町の山の上からいさり火を眺めるとか、従来はなかったようなツアーを今回わざとつくっているところであります。例えば大江ノ郷さんが特別のランチ、これをセットすると。これは今、旅行商品として組もうとしておりますけれども、先般の説明会でも大江ノ郷さんも出品されて、現に味見をしていただいたと思うのですが、既に商談が入ってきているという形であります。また、そのほかにも日南町の蛍もありますし、清徳寺さんのヒメボタル、これは7月の2週間かそこらだと思いますけれども、来年の夏に蛍を見に来てもらうと、そういうツアーを今回入れ込んでやってみようということになっています。また、若桜のまちでも花火大会がございますけれども、この花火大会にSLのライトアップと組み合わせて、幻想的で華のある、そうした夏の思い出づくりをしてもらってはどうだろうかとか、また智頭のほうでも、きのうはモモンガですか、テレビ番組がありましたけれども、ああいう芦津でのシャワークライミングであるとか、そうした新しい商品を今回実は既に入れ込んで、今計画を練り始めています。こういうものをプレでやってみて、さらに本番でやってみて、そのポストデスティネーションでもそういうものを定着させていく、こういうことによって本当の意味の観光地のブランドアップを図る、これが本来我々が目指すべきところではないかなというふうに考えております。
最後に、関西からの距離感を払拭する、そういう対策が必要ではないかと、こういうお話でございます。
これにつきましては、鳥取自動車道無料で便利、早くて近い、そういうことは事実できてきていますけれども、それがまだまだ浸透していないということだろうと思います。例えば遊・悠・WesTとか道の駅ナビだとか、関連の場面でも今、我々としても精力的に広告を打ったりしています。ただ、まだまだ通常のものでは足りない面もありましょうから、いろんな各方面でのお知恵もいただきながら、関西で近い鳥取県をもっとアピールしていく必要があるだろうと思います。
私自身も、8月末にラジオ大阪の番組に出させていただきまして、鳥取の魅力ということを語らせていただきました。さらに、今度来月の21、22日と、道頓堀湊町リバープレイスでイベントが開催をされます。これは我々のイベントではなくて、あの地域のお祭りですね。こちらのほうは、向こうは商店街連合会さんなどがやっておられるわけでありますが、そこと境港の水木しげるロードさんだとか、それから大山観光局さんだとか、もちろん東部のほうも参加されるのですけれども、そうしたところがいろいろとつき合いを深めてきたのですね。今いい関係ができてきていまして、そちらのほうでアピール行動に私も参加させてもらおうかなというふうに思っております。
それ以外にもいろいろと向こうのワイドショーであるとか、またフジサンケイグループのサンケイリビングとか、いろんなチャネルがございまして、関西本部のほうでやっていただいたり、また観光関係でやったり、住民の皆様がされる活動の応援をしたりして、精力的に今追い込みをかけているところでございます。
特に重要なのは、これからデスティネーションキャンペーンが開催されることです。今、7月から9月の時期でありますけれども、議員もお気づきかもしれませんが、例えば大阪の環状線を初めとして関西エリアのJRさんは、プレデスティネーションキャンペーンとして鳥取県を今重点的に扱っていただいております。それから、また来年度もデスティネーションキャンペーンの本番を迎えるわけでありますが、この年にJTBさんも日本の旬という、そういう事業でやはり鳥取を取り上げる時期になります。ですから、いろいろと露出を高めやすい時期でありますので、来年どういうふうに鳥取を売り出すかというところで、近くて便利で行きやすい鳥取、いわば関西の奥座敷のようなところだというふうな売り込み方を工夫してまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員
◯21番(福田俊史君)平井知事のほうからは、中国人の今後の誘客対策について、しっかりこれから方針を立ててやっていかれるということでありましたし、また、山陰インバウンド機構につきましては、ほぼ順調なスタートを切られたということであります。金融機関との連携もファンド等をつくるなどして今機能的に動かしているということでありましたが、DMOの今後なのですが、単なる補助金の受け皿団体にならないようにということをよくマスコミ等で指摘をされていますので、しっかりお願いをしたいと思います。
また、山陰デスティネーションキャンペーンのほうも700を超えるエージェントが集まられたということで、前回と規模感が全然違うのだということでありましたし、また、私の地元であります大江ノ郷さん、また清徳寺の蛍、そして若桜の花火大会と、こういったものも入ってくるということでありますので、先ほど知事も言われましたけれども、終わった後のレジェンドをどう残すかということで、一過性に終わらないように、そういう対策をしっかりお願いしたいと思います。
そして、関西からの距離感をしっかり縮めていただきたいと思います。関西広域連合の議員の皆さんは本当に親しくさせていただいておりますけれども、鳥取から大阪までが2時間ちょっとで来られるということにびっくりされておられました。これは本当に力を入れて、来年ようやく5周年を迎えるわけですから、何らかの具体的なアクションを起こしていただきたいなというふうに思います。
それでは続けます。山陰デスティネーションキャンペーンを1年後に控えて現在プレキャンペーンが行われておりますが、私は準備のプレ期間というのが、期間と内容というのが大変重要だと思っています。現在JR伯備線や智頭急行では、特急出雲やスーパーはくとの席のポケットにプレキャンペーンのパンフレットが入っております。皆様のお手元に配付をさせていただいたものでございますが、パンフレットの作成に関係された方には大変申しわけないのですが、表紙から中身にかけて見ていただいたらわかるように旧態依然でありまして、斬新さや今回のテーマ性を全く感じることができません。今回の山陰デスティネーションキャンペーンのテーマはノスタルジック山陰でありますが、ノスタルジーを辞書で引いてみますと、フランス語で故郷や過ぎ去った時代を懐かしむ気持ちという意味で、日本語では望郷や郷愁と訳されることがあります。繰り返しますが、全くノスタルジー色を感じることができない、どこにでもある幕の内的な観光パンフレットになっているのではないかというふうに思います。知事もごらんになられてそのように思われませんでしょうか。鳥取砂丘や出雲大社を初めとする山陰各地の名立たる観光地はしっかり紹介されておりますが、私はノスタルジーといえばやはり若桜鉄道のSLであり、浦富海岸を走るボンネットバスを思い浮かべます。
平井知事も、先ほどおっしゃった8月8日に開かれた山陰デスティネーションキャンペーン協議会の設立総会の挨拶の中で山陰には一畑電鉄や若桜鉄道があることを指摘され、田舎ならではの鉄道の旅があってもいいと御提案をされています。本当によくぞ言ってくださいました。また、平井知事は、山陰にノスタルジーや懐かしいふるさとを求めて多くの方に来てもらうため、知恵を集め、行動を起こそうとも呼びかけられております。しかしながら、このパンフレットの中には、若桜鉄道も一畑電鉄も、ましてやノスタルジーの象徴である浦富海岸を走るボンネットバスさえも紹介されていないのです。
キャンペーンまで1年を切ったとはいえ、まだまだ時間はございます。ぜひともノスタルジック山陰というテーマにふさわしい、今まで地域に埋もれていた観光資源や宝を掘り起こし、商品化する絶好のチャンスだと思います。今こそ知恵を集めて行動を起こすときだと思いますが、平井知事の御所見を伺います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてデスティネーションキャンペーンなどにつきましてお尋ねがありました。
私も今ざっとパンフレットを拝見させていただきましたが、多分明るい色調で気分よく、山陰を感じさせないぐらい明る目にまとめてあるので、かえって日本らしさとかしっとり感だとか、その辺が若干感じにくくなっているかもしれません。これは最初につくったパンフレットでありまして、これからつくり込みがまだ進みます。実は、JRの関係者がデスティネーションキャンペーンのキーですけれども、話をしていまして若桜鉄道の活用等々は非常に前向きでありまして、やはり鉄道マン同士の思いもあるのでしょう。撮り鉄の旅ということを取り上げるということにつきまして肯定的でありました。実は余り心配はしておりません。
若桜鉄道は、このたび御勇退を表明されました小林町長の非常に御功績があったところでありまして、福田県議もともに声を上げられて、例えばピンクのSLに象徴されるように大変な集客があり、今観光地の一つの素材になってきたSLの活用であるとか、また経営安定化させようと皆さん奮闘努力されている中、水戸岡さんにこれもいろんな縁を伝って実現をされて、「昭和」という列車が走り始めるということになるなど大変な展開があり、新年度は実はそうした意味で重要な年でもあります。当然にイベント列車のような形など、若桜鉄道とこのキャンペーンを絡めることも十分可能だと思われますし、正直申し上げまして、そういう下話も始まっております。
ボンネットバスでありますが、これは別に排除したわけではなかったみたいでして、まだ話がまとまらなかったと。これはボンネットバスの動かし方によるものでありまして、いわば日交さんとのチャーター契約で運行しているということがありまして、チャーターの内容がつかないと商品ができないということがございまして、そういうようなちょっと手続的な事情があって間に合っていなかったと。ただ、これは岩美町さんも今、前向きにそこをやろうとしておられますので、そういうノスタルジーを感じるような旅として若桜鉄道や一畑電鉄を活用していく。それは今後新年度の本番までに間に合うように盛り込まれてくると考えております。
◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員
◯21番(福田俊史君)知事はこのノスタルジック山陰のパンフレットを見られて明るくていいのではないかということで、明るくていいかもしれませんけれども、これで全くテーマ性を感じないのですよね。岡山のデスティネーションキャンペーンが去年行われておりまして、そこでは美作ノスタルジーという津山を中心とするやはりノスタルジーをテーマにしたキャンペーンをやられていまして、やはり表紙は国鉄の古い列車で、古いヘッドマークをつけた、そういう表紙でありました。非常にノスタルジー性を感じるものでありました。まだ1年ありますので、もっとノスタルジー性を感じるものにしていただければなというふうに思っています。
質問を続けたいと思います。最近、鳥取駅前で映画館を営む方から次のようなお話を伺いました。最近、鳥取駅前でもアジア系のみならず、フランスやアメリカなど欧米系の外国人観光客がふえていて、古い町並みを探しているのだがどこにあるのかとよく聞かれるそうであります。そのあるじは、鳥取市内に古い町並みが残っていないので、大変ありがたいことに古い町並みが残る我が八頭郡の若桜や智頭を御紹介いただいているようであります。先ほど壇上で御紹介したとおり、古く伝統的な家屋の町並みは外国人観光客にとって大変魅力的でありまして、求めている観光コンテンツだろうと思います。
今月の初め、先ほど知事から御紹介いただきましたけれども、JR九州の豪華クルーズトレイン、ななつ星in九州を初め、数多くの観光列車のプロデュースを手がけられている日本屈指のプロダクトデザイナー、水戸岡鋭治先生と面談をしてきました。いよいよ来年の3月、若桜鉄道に水戸岡デザインの観光列車「昭和」がデビューすることになっておりますし、今回、県議会で質問を行うということもあって、大変お忙しい中お時間をとっていただきました。そこで水戸岡先生からは、全国各地で観光地としてそれほど有名でない町が外国人観光客であふれ返っている。それは一流の観光コンテンツがあるわけではないが、日本の伝統的景観や自然を生かしているところであり、水戸岡先生自身もJR九州の各施設を含め、全国に小さな京都をつくるプロジェクトを進めているということでありました。
そこで以前から申し上げていることでありますが、この水戸岡デザインの観光列車「昭和」の運行スタートを契機に、若桜の古い町並み、県道でもある仮屋通りを町と連携しながら、今こそ整備すべきであると改めて御提案を申し上げたいと思います。若桜町の仮屋通りは近く文化庁の重要伝統的建造物群にも指定される見込みになっておりますので、電柱の地中化や町屋の再生など、具体的に進めて商品化し、観光列車とのセットで大きく売り出すべきだというふうに思っております。
若桜町はいっとき話題となりました地方創生のきっかけとなった消滅可能性都市で全国25位に位置づけられるほど、県下で最も過疎化、高齢化が進む町であります。世界の事例を見てみますと、スイスにツェルマットという人口3,000人の小さな村がありますが、この村は1日に村の人口以上の観光客が世界中からやってくる村として世界的に大変有名であります。人口は減少していきますが、観光による交流人口をふやしていくことで地域の活性化に結びつけていく。まさに若桜町が目指すモデルであり、我が県の観光による地方創生のモデルだと思います。3周おくれ、4周おくれの手つかずだった若桜の町が観光のトップランナーになるプロジェクト。こうした逆転の発想を形にすることこそ、まさに平井県政の大きな役割だと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてお尋ねがございました。若桜という町、これをもっとノスタルジーという面で整備をして、景観というものを大切にしたまちづくり、テーマ性のあるまちづくりをと、こういうことでございます。
これにつきまして、最近、大分年を追って進展してきました。考えてみますと、平成21~22年ごろから本格的にこうした若桜町の仮屋通りなどの整備が言われるようになり、例えば県民の建物100選に選ばれるだとか、それから地元でいろいろ有識者も入ってシンポジウムを開いて、こういう伝建群のことなどを交えた話し合いをやってみるとかいうあたりからスタートをして、例えばカフェができたり、それから治郎丸さんの家のところを直したり、またチャレンジショップができて、これに石井さんとか波多野さんとか相次いで入居をされながら新しいビジネスを起こされる、こういうことが温かみのある昔からの町並みの中で広がってきていますし、その町並みの中にやはり住みたいという方もあって、移住者も住まわれるようになってきまして、本当にここ5年くらいで変わってきたかなというようにも思われます。小林町長初め、地元の方々の大変な熱意、それが今実り始めているのかなと思います。
また、最近よく全国でも話題になっているのは、谷口剛史さんがSLを蒸気でなくて、圧縮空気で走らせると。これは恒松さんからその技術を伝承されまして、全国で唯一の職人として、この技術が各地のSL復活につながってきているということがあります。考えてみるとそのメッカでありますので、私ども県としてもその谷口剛史さんのそういう鉄道技術、いわばマイスターとしての顕彰をしてもいいのかなと思います。そんなようなことなどを通じて、昔からのものを大切にして非常に美しいゆとりのあるきずな深い、そうしたふるさとをつくっている、そんな若桜という町がより鮮明に浮かび上がってくるのではないかと思います。
今、伝建群の指定に向けまして、学術研究調査も含めてアプローチしていますが、非常にいいところまで来ていると思います。ここから先は計画をつくったり、またこれは町のほうになりますけれども、景観条例を県でつくっていますが、その中でも特別行動計画というものをつくって、そこで条例を制定してもらうのが本来一番いいことではないかなと思われますし、また今おっしゃる電線地中化、これも通常無電線化というのは市町村の交付金事業で全国でされている事業でありまして、そういうことにも取り組まれるとか、もちろん我々も県道が走っていますから、県道としての修景事業なども協力できることもあるかもしれません。今後そうした観点で観光地としても楽しめる、また住んでみて潤いのある、そんな若桜のまちづくりに協力をしてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員
◯21番(福田俊史君)平井知事は本当に若桜の町の実情をよく御理解いただいているなと思いましたし、また若桜鉄道の谷口さんの話をされましたけれども、この間ニュースでも大きく取り上げられた谷口さんであります。本当に貴重な存在だと思います。本当に生かしてほしいなと思いますし、また小林町長がこのたび御引退を表明されたわけでありますが、やはり小林町長は思いがあって、若桜鉄道を生かして、あの古い町並みを生かして観光で交流人口をふやしていくと。2~3周おくれの町がトップランナーになる可能性が本当にあるわけですから、平井知事も、あと2月までの御任期ですかね、しっかり連携を図っていただいて思いを形にすることをお願いしたいと思います。
質問を続けます。昨年の2月定例県議会の一般質問で、私は徳島県の山間集落で古民家を再生し、フランスの農家民宿を手本にした宿泊施設を運営するアメリカ人で東洋文化研究家のアレックス・カー氏の先進的な取り組み事例について御紹介しましたが、今月14日、山陰インバウンド機構主催の講演会が松江市で開かれ、そこでアレックス・カー氏がゲストとして参加、「美しき日本を求めて」と題して講演をされております。そこでカー氏は、観光客が見たいのは暮らしの中の何でもない魅力だと訴えられております。さらにカー氏は、観光の時代、町の未来は景観で決まるとの持論を展開されており、京都で古い町屋が現代的な住宅に建てかえられたり、電線地中化が進まなかったりする状況について、周囲の環境に合わないデザインの建造物をつくってみても、経済効果は生まれない、伝統的なものをいかに生かすかが重要だと指摘をされております。
また、先ほど壇上で御紹介した国内有数の観光都市となった岐阜県高山市でありますが、インバウンドの伸びに伴って多くの外国人観光客が訪れ、国際観光都市の名にふさわしいにぎわいを見せています。その背景を調べてみますと、高山市は1963年に生活雑誌「暮らしの手帖」で山の向こうのきれいな町と初代編集長の花森安治氏に紹介され、1970年のキャンペーン、ディスカバージャパンで観光に火がついたとのことであります。他の都市が都市計画による市街地整備や道路の拡幅を進める中、1972年に景観保存条例を制定するなどして、古い町並みを保存、引き継ぐ飛騨のたくみのわざや地域文化が飛騨高山の観光の礎になっています。
アレックス・カー氏の話や飛騨高山の事例を受け、改めて景観保全の重要性を認識させられるわけでありますが、山陰デスティネーションキャンペーンを契機として、まずは外国人からの視点で県下の景観を評価してみてはどうでしょうか。その上で観光的な視点で全県的な景観保全のアクションを県がリーダーシップをとりながら、市町村としっかり連携して進めてみるべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺います。
ただいま飛騨高山では引き継がれる飛騨のたくみのわざが観光の礎となっていると御紹介しましたが、我が県にも飛騨の文化に負けない鳥取民芸がございます。こちらはJR西日本が現在運行中の豪華寝台列車瑞風の室内用の茶器に因州中井窯が採用され、いよいよこの12月から瑞風の乗客の皆様が鳥取民藝美術館、そして鳥取民芸がふんだんに施された旧吉田医院に立ち寄られることになっています。この鳥取民芸については、昨年の議会でも平井知事と議論を交わしたわけでありますが、知事もその価値を高く評価されたところであります。
この山陰デスティネーションキャンペーンであるノスタルジーにもテーマとしては通ずるものがある。そんな中で、今、鳥取駅前地区商店街振興組合さんや鳥取民藝美術館が中心となって、鳥取民芸をコンセプトとした駅前民藝舘通りの整備構想を打ち出そうとされております。この間、東京高島屋でも民芸のイベントで鳥取民芸は大変な高い評価を受けたわけであります。
JTBの会長を務められております、山陰インバウンド機構の田川会長は、会長就任時に次のようにおっしゃっているのですね。旅行者の発地からでなく、受け地で商品をつくるプロダクトアウトを進めたい。マーケットに合う商品を的確につくることが山陰DMOの最大の仕事だ。伝統芸能や文化など山陰には隠れた宝が多い。それを生かした商品に取り組んでいくとしっかりおっしゃっております。
この山陰デスティネーションキャンペーンを契機に県は鳥取市とも連携して、鳥取民藝美術館、民藝舘通りの整備の支援を行い、そして観光振興につなげるべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて町の景観づくりや民芸の活用につきまして、お尋ねがございました。
町の景観につきましては、景観まちづくりの条例もございまして、今重点的にやっておられる地域も出てきています。例えば鹿野であるとか琴浦の光であるとか、そうしたところでそれぞれ景観行政団体になられて計画もつくり、されているところでありまして、若桜でもこういうものでもっと十分活用可能なものもあるだろうというふうに思いますし、その値打ちがあるだろうと思います。
昨日も私、鳥の演劇祭の最終日のクロージングにお伺いをさせていただきました。そのときにニューヨークから来られた劇団の方とか、パリから来られた劇団の方とお話を親しくさせていただいたのですが、皆さん口をそろえておっしゃっておられたのが、鹿野の町は最高だというのですね。美しい、また人々も優しい、すばらしいところ。中には日本に初めて来た方もいらっしゃるのですけれども、東京だとかよりも先にこちらのほうに来ておられる。ところが、これが実は外国、欧米系などから見ると、日本らしさの一つの典型なのだと思うのですね。決してそれはお世辞ではないと思いました。私もいろいろな方とお話ししていますけれども、本気でおっしゃっている。だから私たちのところにはそうした価値があるのであり、恐らく若桜もそういう意味ではその値打ちに値するところだというふうに思います。
ですから、そうしたことの例えば修景づくり、中山間地域の活性化であるとか、いろいろな事業がございますので、我々もそういうところを応援していければと思いますし、ニューツーリズムをつくっていく、そういう事業も活用してそのにぎわいづくりということは可能ではないかなと思います。
それとよく似た話で、民芸も今、大分熱気が変わってきたなと思います。これは例えば木谷さんだとか八村さんだとか、地元で一生懸命になって支えてこられた皆さん方がいらっしゃり、それで民芸というものの正当な評価を世の中に対して受けようとしてきたところです。議員もおっしゃいましたが先月、今月あたり、東京の高島屋でまずは皮切りになりました。これはずっと大阪だとか各地を回りますけれども、巡回展で今民芸展をやっているわけです。全国の民芸の関係のものが集まりましてやっているのですけれども、鳥取県からは鳥取のたくみ工芸展がまとめて出品をされたわけであります。これは主催者側も驚くぐらい非常に手応えがあり、好調であったということであります。今確かに民芸ブームになってきたのですね。私たちは当たり前のように思っているあの染め分け皿なども、もう出したら売れるというようなことになってきていまして、中井窯などは4日目でもう既に完売をしたということであります。そのほかにもちょっと我々はなじみが余り薄いかもしれませんが、例えばちょっとおしゃれなパン切りのナイフであるとか、ああいうものも含めて売れています。今、民芸の関係の窯元さんとかいろいろなところから聞こえてきますのは、もう注文に追いつかなくて1年、2年待ちだというぐらいなところまで戻ってきているのですね。だからかつて私たちが夢見てきたようなことが今現に実現してきていますし、それがあの瑞風が立ち寄るという立ち寄り観光にまでつながってきている理由だと思います。
今、地元のほうでも鳥取の商店街の事業が絡むと思います。中心市街地活性化の事業として今プラットホームをつくろうではないかという動きがあると伺っておりまして、大変すばらしいことだと思います。事柄としてはそういう商工関係者やあるいは鳥取市がイニシアチブをとるべき分野でありますけれども、我々としても中心市街地におけるまちなか振興ビジネス活性化支援事業であるとか、いろいろと支援メニューもございますし、民芸を一つの軸とした町の活性化に我々としても応援をさせていただければと考えております。