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  1. 鳥取県議会 2017-02-01
    平成29年2月定例会(第5号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(斉木正一君)ただいまから本日の会議を開きます。  この際、御報告を申し上げます。  本議会に提案されております議案第35号「職員の退職手当に関する条例の一部改正について」、第36号「職員の育児休業等に関する条例の一部改正について」及び第37号「鳥取県公益法人等への職員の派遣等に関する条例の一部改正について」に対し、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を求めておきましたところ、同委員会からお手元に配付している写しのとおり回答がありました。  本日の議事日程は、まず、各常任委員長の付託議案に対する審査報告の後、その可否を決定、次いで、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第21号「平成28年度鳥取県一般会計補正予算」から第31号「平成28年度鳥取県営病院事業会計補正予算」まで及び第58号「損害賠償に係る和解及び損害賠償の額の決定について」を一括して議題といたします。  各常任委員長に順次審査結果の報告を求めます。  福祉生活病院常任委員長福間裕隆議員 ◯福祉生活病院常任委員長(福間裕隆君)(登壇)皆さん、おはようございます。  本会議から福祉生活病院常任委員会に審査を付託されました諸議案につきまして、慎重に審議をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。  今回提案になりました諸議案のうち、本委員会所管の議案第21号「平成28年度鳥取県一般会計補正予算」、議案第23号「平成28年度鳥取県天神川流域下水道事業特別会計補正予算」、議案第31号「平成28年度鳥取県営病院事業会計補正予算」、議案第58号「損害賠償に係る和解及び損害賠償の額の決定について」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  これをもちまして本委員会の審査結果の報告を終わります。 ◯議長(斉木正一君)農林水産商工常任委員長広谷直樹議員 ◯農林水産商工常任委員長(広谷直樹君)(登壇)おはようございます。  本会議から農林水産商工常任委員会に審査を付託されました諸議案につきまして、慎重に審議をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。  今回提案になりました諸議案のうち、本委員会所管の議案第21号「平成28年度鳥取県一般会計補正予算」、議案第24号「平成28年度鳥取県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算」、議案第25号「平成28年度鳥取県県営林事業特別会計補正予算」、議案第26号「平成28年度鳥取県県営境港水産施設事業特別会計補正予算」、議案第27号「平成28年度鳥取県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算」、議案第30号「平成28年度鳥取県営埋立事業会計補正予算」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  これをもちまして本委員会の審査結果の報告を終わります。 ◯議長(斉木正一君)地域振興県土警察常任委員長福田俊史議員地域振興県土警察常任委員長(福田俊史君)(登壇)皆様、おはようございます。  本会議から地域振興県土警察常任委員会に審査を付託されました議案につきまして、慎重に審議をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
     今回提案になりました諸議案のうち、本委員会所管の議案第21号「平成28年度鳥取県一般会計補正予算」、議案第28号「平成28年度鳥取県港湾整備事業特別会計補正予算」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  これをもちまして本委員会の審査結果の報告を終わります。 ◯議長(斉木正一君)総務教育常任委員長内田隆嗣議員 ◯総務教育常任委員長(内田隆嗣君)(登壇)本会議から総務教育常任委員会に審査を付託されました諸議案につきまして、慎重に審議いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。  今回提案になりました諸議案のうち、本委員会所管の議案第21号「平成28年度鳥取県一般会計補正予算」、議案第22号「平成28年度鳥取県公債管理特別会計補正予算」、議案第29号「平成28年度鳥取県育英奨学事業特別会計補正予算」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  これをもちまして本委員会の審査結果の報告を終わります。 ◯議長(斉木正一君)以上で各常任委員長の審査報告は終わりました。  ただいまの委員長報告に対する質疑の通告はありませんので、これより討論に移ります。  討論は、ただいま委員長報告のありました議案第21号から第31号まで及び第58号を一括して行っていただきます。  それでは、討論の通告がありますので、発言を許します。  5番市谷知子議員 ◯5番(市谷知子君)(登壇)皆さん、おはようございます。日本共産党の市谷知子です。  昨日、北朝鮮がミサイル発射を強行いたしました。世界と地域の平和と安全に深刻な脅威を及ぼし、国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であり、厳しく抗議をするものです。そして、国際社会が一致結束して、従来の延長線ではない厳格な経済制裁の実施による圧力を強めることと一体に、外交交渉を通じて北朝鮮に非核化を迫ることで、核ミサイル開発の手を縛り、その放棄に向かわせることを強く求めるものです。  それでは、日本共産党県議団を代表して、議案第21号、平成28年度一般会計補正予算に対する賛成討論を行います。  改めて、1月、2月の豪雪で被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げ、そして不眠不休で対応された知事初めとする職員の皆さんに敬意を申し上げます。  33年ぶりの大雪で、私も本当に驚きましたが、こうした事態を想定して対応策を検討しておくことの必要を痛感いたしました。そして、今回の補正予算では、予備費も出動させながら、豪雪被害に遭った漁船や農業施設、木材施設の復旧、商工業者向けの支援、除雪費用などが機敏に盛り込まれたことを大きく評価いたします。  同時に、質疑でも申し上げ、答弁もありましたが、農業被害はまだこれから実態がわかってくると思います。農家が農業を続けていく気持ちになれるような独自支援策、特に農産物への支援の検討を求めたいと思います。  また、漁船沈没被害については、漁業をやめると言っている人はいないとのことで少し安心をしましたが、引き続き相談に乗っていただき、漁業が続けられるよう、支援の充実を求めます。  また、除雪については、早くに雪かきができるように、道路や歩道除雪の発動基準の見直し、生活道路も含めた除雪体制の強化、県の人的体制や除雪機の数のあり方の検討、雪捨て場の事前確保など、今回の豪雪を踏まえて、対応の改善が図られるとのことで、ぜひお願いをしたいというふうに思います。  さらに、今回の補正予算では、地震、津波関連事業もありました。中部地震の被災住宅の復旧を促進するため、他県から職人さんに来ていただく経費を支援する事業は大いに賛同するものです。また、中部地震で中断した各種事業は、中部地震を乗り越える防災対策会議を踏まえ、事業の充実や県危機管理条例地域防災計画を改善するとのことで、評価したいと思います。そして、同時に、中部地震の被災住宅の再建はまだ道半ばです。住宅支援策を初めとする施策のさらなる充実を求めるものです。  また、今回、予算の使い残しがあった事業への対応についてです。建築の職業訓練校は、関係者の意見を聞いて、継続が図られること。沖合底びき船リース事業は、他事業とも連動させながら、船の改修、建造を進めていくとのこと。食のみやこ、学校給食への地産地消事業は、今後、幼稚園や保育園にも広げるとのことで、さらに事業展開できる改善が図られることは評価したいと思います。同時に、食の安心・安全HACCP推進事業の巡回体制、肝臓がんの検診助成の対象拡大は課題が残っているので、引き続き改善を求めます。  また、国の補助金関係で、予算を多く残した事業があります。TPP対策だった担い手確保・経営強化支援事業は、国全体の予算が少なく、希望者の半数しか採用されませんでした。しかも、今年度で終了し、単なるTPP誘導策だったことがわかります。こんな国の都合につき従わせるような政策ではなく、抜本的な農業支援の強化を国に強く求めるものです。  また、緊急雇用の地域人づくり事業の職場内研修による賃上げ策は、使い勝手も悪く、2.4億円も使い残すことになりました。国はこうした中小企業に賃上げを迫りながら、一方で、消費税増税で中小企業が賃上げもできない状況をつくっているのは矛盾です。消費税増税はきっぱり中止し、中小企業への支援とセットで全国一律最賃引き上げなど、賃金引き上げのための国の責任ある対応、抜本的対策強化を求めるものです。  最後に、2月補正予算というのは、通常であれば、使い残した予算などを活用して、年度当初に一旦取り崩した財政調整基金をほぼ満額、もとに戻しています。しかし、今回の場合、当初予算で取り崩した減債基金107億円は全額をもとには戻さず、39億円を取り崩したままにし、さきに述べた豪雪対策など、切実な県民要求の実現の財源として使われました。私は、災害や県民の暮らしへの緊急的対応で求められる場合、基金の取り崩しはあってよいと考えています。かつ、今回の場合、それをしたとしても、100億円を超える予算の使い残しがありました。全額ではありませんが、29年度に繰り越されるそのお金が県民の暮らしのために優先的に使われることを希望し、私の賛成討論を終わります。 ◯議長(斉木正一君)これをもって討論を終結いたします。  これより、起立により採決いたします。  議案第21号から第31号まで及び第58号は、委員長の報告のとおり、原案を可決することに賛成の議員の起立を求めます。  〔賛成者起立〕  起立全員であります。よって、以上12議案は、原案のとおり可決されました。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑に入ります。  まず、一般質問並びに議案に対する質疑に先立ちまして、知事から発言を求められておりますので、これを許可します。  配付物がありますので、しばらくお待ちください。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)一般質問に先立ち、発言の機会をいただき、斉木議長を初め、議員各位に感謝申し上げます。  去る2月22日の本定例会開会に際する提案理由説明におきまして、県立美術館につきましては、教育委員会の結論を伺った上で、私としての考え方を述べる旨、申し上げておりましたが、昨日、中島教育委員長から県立美術館整備基本構想について報告をいただきましたので、これに対する考え方を申し述べさせていただきます。  教育委員会の基本構想においては、鳥取県の美術の継承・発信、内外の美術との接触・交流、県民の創造性と県の魅力の向上を図るため、おおむね70億円から100億円をかけて1万2,000平米程度の美術館を想定し、地域に根差した県民のアイデアと愛情で運営される県民立美術館として倉吉市営ラグビー場の場所に建設すべきというものであります。この基本構想に基づいて、今後、現在提案中の予算を御了承いただければ、利用者確保策、子供たちの創造性推進対策、障害者・高齢者への配慮や美術ラーニングセンターなどの特色ある美術館のあり方、PFI導入などによる事業費縮減の可能性などについてさらに検討した上で、基本計画を策定していくこととしています。  これまで議論を導いてくださった議会の皆様、専門的・多角的見地で検討を進められた林田会長を初め、鳥取県美術館整備基本構想検討委員会美術館候補地評価等専門委員の皆様に心より感謝申し上げます。  ここに至るまで、まず、議会において、平成25年11月議会で県立博物館のあり方を見直し、県立美術館建設へ再考すべきとの声が上がり、一昨年2月、昨年10月、本年1月の計3回にわたる県民アンケート調査も含め、本議会などさまざまな場で開かれた議論が重ねられてきました。現地調査も含め、計32日間を費やした審議を経た検討委員会の報告後、教育委員会でさらに慎重な協議が行われました。  この基本構想は、議会での御議論を反映しながら、議会の御意見に従ったアンケートにより県民の御意見を盛り込み、専門家や地域の皆様の活発な委員会審議等を経て、真摯な検討が積み上げられてきた成果であり、私といたしましても基本的に尊重すべきもので、今後はこの案をもとに、美術館の整備にかじを切るべきだと判断するに至りました。  しかしながら、これからの県立美術館の具体的検討に当たっては、若干柔軟な見方をすべき面もあるのではと考えております。すなわち、現在の県立博物館を建てかえるのではなく、これを存続、発展させた上で新たな県立美術館を建設する構想である以上、足し算の視点であるべきだということであります。県民の利便性等にかなう姿を求めるのであれば、博物館の建物から美術・芸術関連を単純に取り除く必要まではないのではないかという検討もあってよいと考えます。また、倉吉市営ラグビー場は倉吉未来中心の隣接地であり、県立美術館とあわせたシナジー効果を出して、効用を高める方策もあるのではないか。市町村や文化芸術団体等とのネットワークの構築、米子市、伯耆町、日南町の美術館や青山剛昌ふるさと館等との連携についても十分に考察する必要もあるのではないか等々、教育委員会でさらに衆知を集めて検討を進めていただきたいと考えます。  基本構想を起点として、美術館建設地一極ではなく、県内の各地域にもメリットをもたらすような基本計画をまとめるべく、なお一層、県民とともに進化を遂げることにより、真の県民立美術館の評価が与えられるものと考えております。  石破二朗県政以来の長年にわたる懸案に、西尾県政で構想されながら、片山県政で凍結された夢に解決の道筋を描くときが到来いたしました。私もその任の一角にある者と厳しく自覚し、奮闘努力してまいりたいと考えております。  議員各位におかれましては、地域や立場の違いはあろうかと存じますが、輝かしい芸術の薫りと世代を超えた創造性向上の拠点を鳥取県に誕生させるために、教育委員会の基本構想をもとに、県立美術館整備へ歩み始めることにつきまして、格別の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。 ◯議長(斉木正一君)それでは、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  議案第1号「平成29年度鳥取県一般会計予算」から第20号「平成29年度鳥取県営病院事業会計予算」まで、第32号「鳥取県個人情報保護条例及び鳥取県情報公開条例の一部改正について」から第57号「損害賠償請求事件に係る和解について」まで及び第59号「関西広域連合の公平委員会の事務の受託に関する規約を定める協議について」から第70号「鳥取県税条例等の一部改正について」までを一括して議題といたします。  22番福田俊史議員 ◯22番(福田俊史君)(登壇、拍手)皆様、改めまして、おはようございます。  2月定例鳥取県議会は本日より一般質問が始まりましたが、そのトップバッターを務めさせていただきます。会派自由民主党の福田俊史でございます。  先ほど、知事から大きな決断があったわけでありますが、そうした中で、この本会議場がざわつく中でありますが、通告に従いまして、2点について質問に入らせていただきたいと思います。  まずは、雪害対策について質問をさせていただきたいと思います。  鳥取市で33年ぶりに積雪90センチを超えたこのたびの豪雪は、鳥取県内の経済活動を完全に麻痺させました。幹線道路、生活道路ともに除雪が追いつかず、各地で車が立ち往生し、大渋滞が発生をしたためで、企業活動は停滞し、物流は大混乱いたしました。  また、市民生活にも影響を及ぼし、除雪中の事故を初め、学校の休校や鉄道、バスの運休、ごみ収集のおくれ、福祉、介護サービスの滞り、緊急車両の到着おくれなど、今回の豪雪はあらゆるところに甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた全ての県民の皆様に、この場をかりて心からお見舞い申し上げますとともに、除雪等に不眠不休で当たられました業者や行政の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。  今回の豪雪では、鳥取県東・中・西部の岡山との県境付近で最大440台の車が立ち往生しましたが、中でも深刻だったのが智頭町の国道373号でありました。1月23日の夕方、並行する鳥取自動車道で車の立ち往生が発生をしたためで、国土交通省は鳥取自動車道を通行どめにして、国道373号へ迂回するよう指導したのであります。しかしながら、国道373号も短時間の大雪と道路の狭さもあって、トラックを中心に動けなくなり、24日の早朝には約200台が立ち往生する事態となりました。ちなみに、交通麻痺の解消には1日以上かかっております。  6年前の2010年の大みそかから正月にかけての記録的な豪雪では、国道9号の琴浦町から大山町にかけて最大1,000台が立ち往生し、解消まで42時間かかっております。当時は迂回路がなかったことも渋滞の一因だったと思いますが、今回は国道29号等への迂回路があったにもかかわらず、同じ轍を踏む結果となり、残念ながら、6年前の教訓は結果として生かされることがなかったのではないかと思われます。  そこで、今回の記録的な大雪への県の対応の主な反省点を上げていただきたいと思います。そして、今後どのような計画で、どのようなスケジュールで改善をしていかれるのか、平井知事の御所見を伺います。  さらに、今回の大雪を機に、県は2017年度末に改定予定の地域防災計画の中に大雪対策を盛り込む方針とのことでありますが、あわせて、その中身についてお伺いいたします。  そして、今回の大雪では、県内で農業ハウスの倒壊や畜舎の倒壊などの農業被害も相次いでおり、雪解けに伴い、雪害状況が徐々に明らかになってきております。現時点での推定被害額は、JA鳥取中央管内ではブドウを中心としたハウスの倒壊など約3億5,000万円、JA鳥取いなば管内では約9,200万円となっております。雪が滑り落ちる際にハウスが倒壊する二次被害も起きており、被害はさらに拡大するものと見られております。我が八頭郡でも、白ネギ等に大きな被害が出ております。地元の農家と話をしておりますと、タマネギの今後の成長に影響が出るのでないか。そうした今後についての心配する声も聞かれます。  昭和59年の豪雪時には、折れた梨の木や柿の木をボルトでつなぐなどのハード面での支援がなされたと聞いております。今議会においてもハード面を中心とした復旧対策が検討されておりますが、今後の影響がまだわからないところもあり、農家の方々も大変不安に思われております。現場において不安に思う農家の声を聞きながら、相談体制や技術指導などソフト面についても引き続き支援をお願いしたいと思いますが、平井知事の御所見をお伺いいたします。  次に、鶏卵産業の生産体制の強化について質問いたします。  ことしも、中海のコハクチョウの北帰行が先月から始まったというニュースが流れております。鳥を飼育する農家にとっては、やっと鳥インフルエンザの脅威が終わるめどがついた。あともう少しだと、北帰行のニュースを見ながら、感じていらっしゃることだと思います。鳥を飼育する農家にとっては、鳥インフルエンザが発生すればおしまいですので、我が八頭郡内で鳥を飼育する農家も家畜保健衛生所の指導を受け、石灰をまいたり、金網を補修したりと、できることは一生懸命努力されてきており、本当に気の休まることがないと伺っております。  今年度は全国で鳥インフルエンザが猛威を振るい、多くの鳥が殺処分される映像がテレビで流されてきました。一体どれだけの鳥が処分されたのか。今年度の全国の鳥インフルエンザの発生状況とその原因について、現段階でわかっていることがあれば、教えていただきたいと思います。  さらに、映像に映る被害に遭った鶏舎は、大抵近代的な工場のようなウインドレス鶏舎であります。鳥インフルエンザは渡り鳥がそもそも感染源だと言われていますが、テレビで見る限り、鳥の入れるようなすき間もなさそうですし、ネズミなども入れそうにもないように見えます。八頭郡にあるような木造の平飼い鶏舎と違い、こんな万全な防備をした鶏舎でなぜ鳥インフルエンザが発生するのか、疑問に思います。私は素人なので、よくわかりませんけれども、環境が制御されたウインドレス鶏舎の中でぬくぬくと育ち、しかも、ケージ飼いされた鳥は虚弱な体質になるのではないか。ちょっとした環境の変化にもついていけないのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。かえって冬の寒さに耐えながら、自由に動き回れる平飼い鶏舎のほうが鳥が丈夫に育つのではないかと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。  さて、現在、農林水産省におきましては、今まで補助金と縁のなかった豚や鳥の生産対策についても補助金を設けられております。新たに鶏舎整備も補助対象となりましたが、ウインドレス鶏舎でないと、補助対象にならないと伺いました。なぜウインドレス鶏舎でないと補助対象にならないのか。今後、アメリカからの輸入圧力は強くなってくると思われますが、農林水産省の推進する効率だけを追求したウインドレス鶏舎の中でケージ飼いを行うというやり方で、安ければいいということだけで果たして消費者の理解は得られるのでしょうか。  私は、これから日本の養鶏を考えたとき、自然の風を受け、鳥が自由に動き回り、鳥の健康に配慮した平飼い養鶏こそ、我が国の鶏卵の生き残る方策だと思っております。同時に、効率だけでは、アメリカの卵に取ってかわられるのではないかと危惧するものでもあります。例えばフランスでは、劣悪な鶏舎の中で虐待に近い扱いを受けている鳥の映像が公開されたことをきっかけに、議論が巻き起こって、消費者の声を受けて、大手スーパーが大量生産鶏卵の全廃を宣言したり、食品会社やホテルなどがそれに続くといった動きが出ているということであります。差別化を図り、消費者の理解を得ていくことこそ、これから我が国の鶏卵産業の生き残り策だと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。  ところで、鶏卵の自給率は現在95%前後で、ほとんど国産なのだそうであります。しかしながら、その実態を見てみると、餌は輸入トウモロコシ主体の配合飼料がほとんどであり、カロリーベースで見ると、自給率の実態は13%まで下がるとのことだそうであります。鳥取県内の鶏卵生産においても、餌は遺伝子組み換えでないトウモロコシをアメリカから輸入しており、国産と言いつつ、実態はアメリカ頼りの心もとない生産体制なのが実情なのだそうであります。  大江ノ郷自然牧場を経営する八頭町のひよこカンパニーでは、従来から地域で生産されるおからや飼料米など地域にこだわった独自の飼料を与えていらっしゃいますが、メーンのトウモロコシでは国内生産がなかったため、やはりアメリカからの輸入に依存せざるを得なかったようであります。ところが、北海道で子実トウモロコシの生産を数年前から先駆的に取り組まれている農家からトウモロコシを分けていただくことができるようになり、いよいよ今月から北海道のトウモロコシが搬入され、ひよこカンパニーの小原社長が夢にまで見た国産トウモロコシの利用が始まりそうであります。これにより、全部ではありませんが、アメリカのトウモロコシに頼らない、信頼できる国内の生産者がつくる餌の確保の見通しが立ったということであります。  県では、米の転作として飼料米を推進されていますが、子実トウモロコシの需要は鳥以外でも多くあります。お隣岡山県でも、昨年から、わずかではありますが、子実トウモロコシの生産が始まっております。県内でもサイレージ用のトウモロコシの生産は各地で行われ、定着しております。これを子実生産に結びつけるには、収穫する機械や排水対策等、さまざまな課題があると思いますが、今後の転作の一つの方向として、私は子実トウモロコシの生産を推進すべきであると思っております。平井知事の御所見を伺い、壇上での質問といたします。 ◯議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、雪害につきまして、何点かお尋ねをいただきました。  このたびの雪害につきましての反省点、あるいは、今後、改めてどのような計画やスケジュールでいくのか。また、地域防災計画に大雪対策を取り組む、その考え方につきましてお尋ねがございました。  これらにつきまして、今回はさまざまな教訓を得ることになりました。まずもって、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、大変な御不便を各方面におかけをしたこと、この点についてもおわびを申し上げたいと思います。  ただ、この教訓を乗り越えて、さらに利便性の確保された、安心して暮らせるふるさとをつくっていかなければなりません。一つの大きなレッスンは、これは国だけでも解決できませんし、県だけでも解決できませんし、住民の皆様だけでも、それも難しい、要は、お互いに協力し合ながら、これを乗り越えていかなければいけない類いの災害であるということであります。何せ、今回は記録的な豪雪でございました。智頭における1月23日から25日にかけての豪雪は、これは110センチを超えるということにもなりましたし、また、鳥取市内における2月9日から12日につきましても、これも33年ぶりの豪雪ということになりました。こういうような中で、予期せぬこともいろいろと起こってしまったというのは正直なところであろうかと思います。  もともとは平成22年、23年のお正月にかけて、この豪雪から、例えば一部で消雪工を施したり、また、チェーンをまいていない車が進入しないような対策を警察等とも一緒に組んでいったり、また、迂回路の設定などもしておりました。ただ、あれから6年、7年と経過をいたしまして、そうした対策にほころびも出てきたのかもしれません。こういうことにつきまして、対策を打っていたからこそ、ある程度の情報共有ができたり、それから、前は失敗したので、こういうときはもう交通を遮断しなくてはいけないとか、それから、県のほうの災害対策本部に国の職員に常駐してもらったりとか、いろいろと改善は図られていたために、不通の時間帯が短くなったり、いろいろと前回よりはやや改善されたかなというのはあったかとは思うのですが、ただ、それが十分であったかというと、まだまだであるというのが正直な評価ではないかと思います。  1月のときの反省点からしますと、これは国と県との連係プレーの問題があったと思います。22から23年の豪雪のころの後の話でありますが、鳥取自動車道が全通をしてきているわけであります。それに伴いまして、もう一度除雪体制について地元で国や県の間の共通理解がもっと得られてもよかったのではないかと、今では思われます。それで、この点については、国道373号線のほうに鳥取道からおろしてしまったということの反省を生かして、このたびの2月の豪雪の際には、実は県職員をあらかじめ373号線沿線に派遣をしまして、どこでどういうスタックが起きたかという状況が把握できるようにさせていただいたり、また、いろいろな対策を除雪関係でもとらさせていただいたり、また、鳥取道の中では、大原におきまして、これは大原のインターチェンジでわざわざおろして、検問を設けて、そこで検査をした上で鳥取道を通行させるというようなことをやったりもしました。そんなようなこともあってか、このたびの2月のほうにおきましては、鳥取道と373号線のほうはある程度順調に動いていたわけであります。ただ、鳥取市内であるとか湯梨浜町あたり、旧気高郡のあたり、こうしたところでの雪の降り方が2月のほうは尋常ならぬものがございまして、あちらこちらでスタックは生じたのですが、それをだましだまし解消しながら動かしていたものの、とうとうその防衛線が切れたような感じで、国道9号線、そして山陰道の同時閉鎖ということに至ってしまったわけであります。  前回の1月のときの教訓を生かして、実は県道でも国道の幹線を迂回するようなところに相当するところの県道除雪は重点配備をしておりました。しかし、今回、不通になった箇所は、その並行して走る県道がないところでございまして、一番肝心なところがまた切れてしまったということになり、大渋滞になってしまったということであります。こういうようなことで、また、もう一度体制を組み直す必要がありまして、代表質問でもいろいろとやりとりをさせていただいたところであります。  現在、冬期道路交通確保対策会議が設けられて、国や私ども県、あるいは市町村、岡山県側、また警察も含めて、検討を始めたところでありまして、ここで一定の検証をさせていただくことになります。あわせて、補正予算や予備費も含めて、今、対策の必要箇所の洗い出しをしております。例えばテレビカメラの監視の箇所をふやすとか、それから、消雪のあり方につきましても再検証が必要ではないだろうか。場所によっては、そうした対策が有効ではないかということ、コストパフォーマンスも考えて、考え得るところではないかと思いますし、抜本的には、中長期的に鳥取自動車道や山陰道の4車線化を進めることが必要であろうかと思います。特に、やはりこの鳥取県内の状況で何が道路管理者的に厳しいかといいますと、雪捨て場がないところであるとか、それから、他地域と比べて、もともと消雪工等が施されている箇所が少ないことなど、もともと課題が大きいところであります。その中をオペレーションで頑張ってきたというのが今までのところでありました。そういう意味からも、いろいろと対策を国にも求めるべく、国土交通大臣にも要請させていただきましたし、本議会でもさまざま意見が出ていますので、議会後に改めて国側への要請もしていく必要があるかなと思っております。  そういう中、県として地域防災計画の改定をする際に、この大雪対策、雪害対策を盛り込むことにし、雪害対策編を書き込んではどうかと考えております。この中に、さまざまな生活対策も盛り込む必要があるかなと思います。例えば一時的に避難所が設定をされる場合の想定とか、それから停電対策、これは中国電力のほうになるかもしれません。また、交通の確保対策、農業被害対策等々、従来、余り明確に地域防災計画に書き切れていなかったところも含めて、今回、対策を考えてはどうかと思います。これにつきましては、今も検討作業に入っておるところでございますけれども、来年度の降雪が想定されるような冬期の前の段階で少なくても暫定運用はさせていただくような地域防災計画の改定をさせていただき、遅くとも年度内に改定を済ませていければと考えております。  次に、農業被害につきましてお尋ねがございました。  今回の大雪の被害に対する相談体制、技術指導等々、それから、ソフト面、ハード面についての対策というお話でございます。  総じて申しますと、今回、例えば白ネギで12ヘクタール余り、それから、ビニールハウスで600棟以上、また、畜舎関係で20棟といった被害が出ております。ハード面等も被害が確認をされておりまして、私も賀露ですとか、それから気高等々、現場のほうにもお伺いをいたしましたけれども、非常に急激な雪で、雪をおろしても追いつかなかった、そんな状況が見てとれました。農家のほうも何とか事業の再開をと願っているところであります。そのため、これにつきましては予算も措置をさせていただき、復旧費用の支援をさせていただこうと。これは畜舎等も含めて、議会のほうに協議させていただいているところでございます。  また、援農隊を組織しようと。これはJAいなばさん等と県の職員が連携をしまして、例えば浜村のところの農家さんに援農に入ったり、また、中部のスイカ農家に援農に入ったり、このようなことを開始しているところでございます。また、なかなか販売のほうでも難しさもあるところでございまして、そうしたことの対策費も盛り込まさせていただき、販売促進を行う場合の支援をいたしております。また、防除であるとか、それから、今後の雪害対策に対しての農業指導、こうしたことも強化をする必要がございまして、今、そうしたことに取りかかってきているところでございます。  次に、鳥インフルエンザにつきまして、何点かお尋ねがございました。また、関連をしまして、鶏舎の整備についてもお尋ねがございました。  鳥インフルエンザにつきましては、今シーズン、猛威を振るっておりまして、7道県、10の農場に広がっております。殺処分された数ということでありますが、138万4,000羽に及んでいるところでございます。  実はこの原因ということでありますが、大陸のほうの韓国におきましては、3,000万羽以上がこのシーズンに殺処分されていまして、鳥インフルエンザが大変な猛威を振るっています。正直、学者の皆様にその原因をさらにお伺いをしますと、もともとやはり中国ではやっていると。で、その中国ではやっている鳥インフルエンザが韓国に入ったのではないだろうか。その韓国を経由してかわかりませんけれども、日本のほうにも飛んできている。その証左に、H5N6亜という共通したインフルエンザのがございまして、これが韓国で流行しているものと、今、日本ではやっているものと同じでございます。こういうことでありますので、渡り鳥が媒介したのではないかとも言われるわけでございます。  こうしたことにつきまして、鶏舎との関係のお話がございました。実際の被害の状況を申し上げますと、ウインドレス鶏舎は2舎、2つの農場ですね。それから、そうでない鶏舎、通常の鶏舎は8の農場でありまして、全国の10の農場の被害からいいますと、8割は従来の鶏舎でございました。ウインドレスは、おっしゃるように、周辺を壁で囲ってありますので、ですから、小動物や鳥が侵入しにくい構造になっています。その鶏舎の状況によって、鳥の生育がどうなのか。あるいは、ケージ飼いか、平飼いかということもどう影響するのか。その辺の議員の御質問もございましたけれども、これはいろんなことが言われております。ウインドレス鶏舎の場合は、空調管理といいますか、環境管理がしやすいことでありますので、ある意味、そういう意味で効率的で、若干先進的な鶏舎と言われるゆえんでございます。また、ふん便等の処理等もやりやすい状況にございますので、こういうケージでウインドレスでやっていきますと、そのような衛生管理はしやすいのではないかということが一般には言われているところです。  では、昔からの鶏舎での平飼いはどうだろうかということでありますが、これは本県でも、大江ノ郷さんが平飼いの卵によりまして、1個100円で県外に売っておられる。そういうビジネスを確立されるぐらい、ある意味、一つの高級志向のパターンにもなり得るところです。その辺の裏づけになるような学者の研究も出てきているところでありまして、平飼いをした場合、このとさかの血色がよくなるのではないだろうか。つまり、それは、囲ったところで移動を制限されて飼われている鶏と違って、自由度も高いことから、ストレスが少ないのではないか。それが、そうした体調にも影響しているのではないだろうか。脂肪肝の割合が少ないとか、いろいろとメリットもあるのではないかということも研究の報告として上がってきております。ですから、そういう意味で、鳥取県はそれぞれの農家さんの考え方でそうしたそれぞれの飼養方式のよさを追求していただき、いい鶏を育てて、鳥取は鳥という文字が入っている県でありますので、一つのブランドにしていければと考えております。  そういう中、差別化を図り、消費者の理解を得ていくことが、これからの鶏卵産業の生き残り策ではないかというお話でございます。実は鳥取市も全国的にも卵をよく食べる市でございますし、それから、最近の大江ノ郷には外国人の方も含めて、お客様がお見えになるぐらいブランド化も進んできております。一つには、鳥取地どりピヨもございまして、そういう鳥肉のブランド化とあわせて、こういう鶏卵につきましても、おいしい卵の産地だと、とり年でありますので、ぜひ売り込みを仕掛けていければというふうに考えているところでございます。議員がおっしゃったように、国のほうではクラスターの関係でウインドレス鶏舎だけという運用をされているというふうにも伺っておりますが、若干疑問もございますので、国のほうによくその考え方はただしていかなければいけないのだろうと思いますが、ただ、平飼いであっても、そうしたところで高値で販売ができるようなブランド戦略を支援するとか、私どももぜひ振興に協力をさせていただきたいと思います。  そういう関連で、子実トウモロコシの需要があるのではないだろうか。飼料として、転作の一つの方向性として、これを考えてはどうだろうかと、こういうお話がございました。本県におきましても、こうしたトウモロコシの飼料用の利用というものは最近進み始めてきております。中部でコントラクター組合があるとか、また八頭船岡農場とか、そうしたいろんなところの関連で、そうした飼料用の栽培も進み始めていると思います。そういう飼料用の場合、通常のトウモロコシだと、皮が薄くて、要は食べやすくて、甘みのある、そんなようなトウモロコシでありますが、飼料用の場合は、いわゆるデントコーンと言われるかた目の実のなる皮の厚いほうのコーンになります。そういう中、従来はサイレージをしまして、それを食べさせるというタイプの飼料用が進められてきております。品種でいうと、340といったような品種にもなるわけでございますが、茎だとか、そういった葉っぱだとか、そういうものとあわせてサイレージによりまして、もちろん実も入るのですけれども、実がまだ若いうちに刈り取って、それで飼料にしていくということであります。  これに対しまして、子実用の実のほうのトウモロコシにつきましては、これは実が大きくなるような品種、チベリウスだとか、そうした品種が好まれるわけでありますが、これは実が大きくなるまでもたせた上で、それで収穫をするということになります。同じトウモロコシでも、実はそこらに違いがございまして、私どものほうでそうしたサイレージに使うようなトウモロコシ栽培が進められてきたのは、結局、割と湿度が高いのではないか。実は北海道のような気候でありますと、そういう子実トウモロコシの栽培にまで適するわけでありますが、実をとるところまで頑張りますと、カビがいってしまうとか、そういう湿度対策が必要になってきます。ですから、岡山でも確かに始められたのですが、かなり技術的に、あるいはマーケット的にペイするようなものになるかどうかというのはハードルもあるように伺っております。そういう意味で、サイレージで飼料化するような、そういうトウモロコシ栽培のほうが主流に行われているという状況がございます。ただ、せっかく御質問もいただきましたので、飼料として使われたいという、そういう農業者さんであるとか、また、耕種のほうにやってもいいような、そういうお考えを持っておられる栽培農家さんなどを交えて、どういう栽培が検討し得るのか。相談をさせていただきたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)22番福田議員 ◯22番(福田俊史君)雪害対策につきましては、このたびの実情や反省点、また、今後の課題について先ほど御紹介いただきました。しっかり反省点は整理をされて、同じことを繰り返されないように教訓をしっかり生かしていただきたいと思いますし、今後の課題につきましては、しっかりこれも整理をしていただいて、国に対してはしっかり要望をしていただきたいなというふうに思います。  また、あれだけ全国的に、大々的にテレビ放映されると、やはり冬の鳥取のイメージというのはもう完全に悪いものになってしまったように思います。冬には鳥取は行かれないと、そういうふうに東京の方などが思われたと思いますので、ぜひとも今回の教訓はしっかり生かしていただきたいなと思います。  また、農業被害対策につきましては、ハードのみならず、ソフト面もしっかり強化をしていくということを言っていただきましたので、安心をいたしました。  また、鳥のほうの話なのですけれども、平飼い鶏舎はウインドレス鶏舎に比べると、やはり鳥インフルにかかりやすいということがさっきの数字でわかったわけでありますが、メリットもあると知事は言っていただきましたので、農林水産省の考え方に疑問もあると知事は言っていただきましたので、平飼いのやられている農家の皆さんへの鶏舎への支援もぜひともこれからもお願いしたいというふうに思います。  また、子実トウモロコシの生産につきましても、やりたいという方があったら、しっかり検討して、相談に乗って対応していくということを言っていただきました。我が県のみならず、先ほど知事が言われたように、日本屈指の中山間地のモデルがやはりあの大江ノ郷自然牧場だと思っています。ぜひともこれは、子実トウモロコシ、地元のやつでモデル化していただければなというふうに私は願っておるところでございます。八頭でモデル化することによりまして、生産から消費まで一連の流れが構築できるということ、そして、それが新たな産業や雇用につながるということ、中山間地における経済の好循環がそこで生まれるのではないかというふうに思います。こうした流れをつくっていくということが、それこそ地域資源を活用した産業や雇用につながるということで、これこそ僕は地方創生だろうと思っていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、雪害対策について質問を続けさせていただきたいと思います。  私は、今回、雪害対策について考えるために、県から除雪を請け負う業者の方々にもお話を伺ってきました。その結果、幾つかの課題が浮かび上がりましたので、ちょっと御紹介をさせていただきたいと思います。  1つ目は、機械や除雪作業員の不足と、その作業員の経験不足の問題であります。
     除雪車を運転するには、大型免許、大型特殊免許が必要であり、今回のような豪雪では交代要員も必要となってきます。しかしながら、近年の行政改革の流れで、除雪に係る県の現業職員数は減り続けておりまして、この5年だけ見ましても、平成24年に79人いたものが、平成28年度時点では46人にまで減少しており、直営除雪能力の低下が懸念されます。また、除雪を請け負う民間業者の方も、公共事業の削減により、業者数が減少し、残っている業者内でも人員不足や免許の取得者が少ないといった状況があり、数少ない除雪オペレーターが大きな負担を背負わされており、不眠不休で働かざるを得ないと聞いております。近年の景気状況では、企業の負担による免許取得も限界があり、後継者の教育にも影響が出ているとのことであります。また、仮に免許を持っていたとしましても、若くて除雪経験の少ない作業者は、熟練作業者と比べますと、どうしても作業に時間がかかってしまいます。さらに、熟練作業者であれば、この道路のここにはマンホールのふたが突出した箇所があるといった知識を持った上で作業をしており、衝突によるけがや機械の故障を未然に防ぐこともできますが、経験の少ない作業員は、そのような知識も不足をしております。県の厳しい財政状況を考えますと、公共事業を大きくふやして除雪を請け負う業者の数や業者の人員をふやすことは難しいかもしれませんが、例えば除雪業者の社員が除雪車を運転するために必要な免許の取得を支援したり、危険物を回避し、効率的に除雪をするための研修を県が行うようにすれば、除雪業者の除雪能力を向上させることができるのではないかと考えておりますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から、重ねてお話をいただきました。  今回の雪害につきましては、教訓をしっかりと胸に刻み込み、対策に邁進してまいりたいと思いますし、農業被害対策も万全を期してまいりたいと思います。  また、鶏の鶏舎等々につきまして、平飼いのメリットも国のほうに主張していき、子実用のトウモロコシ、これは実際の農家さんが主体になろうかと思いますが、よく相談に乗らせていただきたいと思います。  今、お話がございましたように、さまざまな雪害対策があると思いますが、かなめとなるのは、今回、大分交通障害が起きました。どうやって除雪の体制を確保するかだろうと思います。これ自体につきましては、県だけでもございませんので、国や市町村を交えて、こうした冬期の交通確保対策を今回の原因も分析しながら、対策を練ろうとしておりますし、一つには、除雪のことがあろうかと思います。除雪の体制も、お互いに応援をするということも今回やってみたのですね、やはり2回、雪害がありましたので、1回目の雪害のこともあり。しかし、そういうことでなかなか賄い切れない部分というのは、そもそも議員がおっしゃったように、除雪の担い手たる事業者さんの確保のことがありました。その意味で、除雪のノウハウをきちんと継承して発展させていかなければならないわけでありまして、議員がおっしゃるようなそういう研修とか人材育成に県もしっかりと協力していくことは、こういう状況でありますので、大切なことだと思います。現実には、平成27年から日野郡のほうにおきましては、除雪を町のほうに委託をしてやるような体制にさせていただいていますが、その除雪人員の育成支援をさせていただき、例えば実際に除雪に当たるノウハウを持った県職員などが、同乗しながら、そうしたノウハウの伝授を行う。これは県内の5つの管内、それぞれでもそうした研修ということも進めさせていただいておりますが、こうしたことをやはり強化していかなければいけないのだと思います。そういう意味で、議員からも御指摘がございましたので、こうした除雪人材の育成事業、これについてよく事業者側とも調整をさせていただきたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)22番福田議員 ◯22番(福田俊史君)次に、除雪に当たっての道路管理者と除雪業者との調整についてお聞きいたします。  先ほどは、除雪に当たる人員の確保、教育策についてお伺いしましたが、仮に人員が確保されても、その人員が道路管理者との緊密なコミュニケーションのもとで効率的に運用されなければ、効果的な除雪はできないと思います。特に国道、県道、市町村道の結節点において、誰がどのように除雪を行うのか、事前のシミュレーションが必要と考えます。また、私が聞いたところでは、鳥取市の除雪作業を請け負う業者が少なくなったことから、今回の大雪では市道の除雪対応ができていない場所が多く、県の除雪請負業者に対して市道の除雪支援の依頼があり、そのことが数少ない業者や作業員にさらなる負担を強いたとのことであります。業者の方々からは、豪雪が発生してからコミュニケーションをとり始めては遅いので、ふだんから各道路管理者と業者が協議を重ねて、コミュニケーションをとれるような機会を設けてほしいとの声をお聞きしましたが、この点について平井知事の御所見を伺います。  また、除雪の初動対応についても課題がありました。道路によって基準に若干の違いがありますが、基本的には積雪が10センチ以上となった場合に、県からの除雪指示を受け、もしくは業者が自主的に判断して出動するそうでありますが、業者がその道路状況を把握するための手段が曖昧になっており、適正な出動判断ができないことがあるそうであります。ちなみに、国土交通省の場合は、除雪請負業者が凍結防止剤散布業務を同時に請け負っているため、散布の際に道路状況を把握でき、自主的な判断で出動させているとのことであります。また、同じ道路でも、箇所によって積雪状況はまちまちでありますので、一口に積雪10センチ以上と言っても、その道路のどの部分でのことなのか、あやふやであると思います。さらに、県の除雪当番待機要領を見ますと、早朝除雪の場合、積雪10センチ以上になれば、3時ごろ、業者に作業依頼するとなっておりまして、業者としましては、その指示待ちとなり、手おくれになる可能性もあるとのことであります。業者に対して道路状況のパトロールと除雪実施の判断基準を定め、パトロールに対しても対価を支払うようにすることで、ある程度自主判断で出動できる体制を構築すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)除雪に当たる事業者さんとの協調によります除雪の推進につきましてお尋ねがございました。コミュニケーションのこと、それから、出動基準等についてでございます。  コミュニケーションにつきましては、実はこういう雪のシーズンに当たりまして、除雪の対策会議を関係機関が出そろいましてやってきておりまして、例えば除雪の基準がこうであるとか、その手順ですね、今おっしゃったようなお互いのコミュニケーションをとって進めるということもしてはいるのですけれども、今回、かなり大きな雪が降ってしまったということでございました。そういう意味で、コミュニケーションをまたしっかりとる意味でも、今月中にも国、県、市町村、あるいは除雪業者で集まりました会議をやっていくなど、新年度の新しい体制づくりに向けてまずは話し合いをしていく必要があるかなと思います。  こういうコミュニケーションと絡みまして、出動基準なり、除雪の具体的な手順なりのお話がございます。現状は、実は出動基準として10センチの積雪ということにしてありまして、あちこちパソコンをあけていただきますと、道路上の積雪状況が出ていまして、あのデータが10センチを超えるかどうかとか、そういう観測点もあり、これの情報入手もできるようにはなっています。しかし、これが実は観測点を置かれたところだけでありまして、それ以外のところでどんな積雪状況かというところがうまく判断しにくい状況になっているわけです。恐らく御指摘のようなことは起こり得るお話だろうと思います。なかなか10センチいったかどうかの判断がつかない。その判断がつかないまま、出動もしにくいということがございます。ですから、新年度に向けましては、この除雪の出動基準をやはり改める必要があるだろうと思います。これも業者さんなどとこれから再調整していかなければなりませんが、例えば10センチというのではなくて、5から10センチとか、ある程度幅を持った基準にするとか、それから、気象条件、今回はマイナス33度の寒波が上空に入る。マイナス36度の寒波が上空に入る。そのときに豪雪が予想される。実際、雪も降り出した。かなり降っている。そうしたら、もう出るというような出動もあり得るわけですね。積雪が何センチになるまでじっと黙って待っているというのはやはりナンセンスでありまして、物すごい勢いで降りそうということになったら、もうかきに回るということでもいいのではないだろうか。こういうように、出動基準を改めていくことが必要だと思います。先ほど申しましたように、こんなようなことの話し合いを始めさせていただいて、今後に備えてまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)22番福田議員 ◯22番(福田俊史君)次は、積雪及び除雪対応の住民への広報についてお伺いいたします。  今回の除雪対応では、除雪作業中に住民からの苦情があり、その対応のため、除雪途中の道路を中途半端な状態にしたまま、苦情箇所の除雪に向かうといった状況が大変多くあったようであります。もちろん行政の立場といたしましては、住民の皆様の要望には可能な限り応えなければなりませんが、除雪には優先順位もあり、何でもかんでも言われるとおりに動いていては、効率的な除雪を行うことはできません。秋田市などでは、専属の電話オペレーターが配置されたコールセンターなども設置されているようでありますが、このような先進事例を研究しつつも、苦情対応の負担を減らすためには、実際に除雪作業が始まってからの説明では手おくれとなりますので、本格的な除雪の季節が始まる前から、住民に対して除雪の重要性や優先順位を広報し、場合によっては行政と地域との協議なども行い、住民の皆様に協力を呼びかける必要があると考えますが、平井知事の御所見を伺います。  また、今回の大雪では、チェーンの装着をしていない大型車両のスタックが多かったわけでありますが、鳥取県の状況に疎い県外車両のみならず、県内の運送業者でもチェーンを装着していない車両がたくさんあり、その対応に時間と人手を要したとのことであります。国土交通省では、立ち往生の原因となった車両の運転手にペナルティーを科すことも検討されているとのことでありますが、県内の運送業者等に対してチェーンの装着などの降雪時の対応をこれまで以上に強く周知する必要があると考えておりますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねて、住民の皆様への周知、また、チェーンの装着等につきましてお話がございました。  議員のほうでも御指摘ありました秋田の例など、我々も研究してみたいと思います。私自身も災害対策に当たったわけでありますが、なかなか自分のところの職員ですら、連絡がとりにくい時間帯もあったりするぐらい、やはり電話に追われるものであります。ですから、合理的な体制づくりが必要でありまして、それがオペレーターの外注がいいのか、あるいは、庁内でそういうオペレーター業務的なことをやるような職員を追加配備しておくとか、いろいろと工夫の余地はあるのではないかと思います。住民の皆様はそれぞれに本当にお困りなものですから、その切実な状況もあるのですが、除雪隊の資源というのは限られておりますので、その部隊をどういうふうに動かすかということがございます。まずは幹線道路、それから、緊急時の輸送に必要な道路、こうしたところに重点を置かれざるを得ません。そうでなければ、生活が完全に麻痺してしまい、ライフラインがとまってしまうということになるからであります。  また、除雪のやり方としても、まずは、新雪の除雪、先ほどの10センチの基準の除雪、さらには、道路が狭くなった場合、その拡幅の除雪であるとか、排雪であるとか、いろんな段階を追いながら、それぞれの基準がありまして、除雪を行っているというのが今の実務でございます。こうした除雪の考え方の詳細がやはり雪の季節の前に十分に住民の皆様に御理解いただいて、そういう中で、この雪だったら、多分市役所の除雪が回ってこないな。では、自分たちで出て、かこうかというぐらいで、現に今回もそうされたわけであります。そういうような考えが回りやすいような、そういう頭の整理がしやすいような形で、なかなか厳しい内容も入っていますが、そうした除雪についての正直なところの広報ということも徹底してやる必要があるだろうと思います。  また、今回、スタックを起こした車両、ちょっとわかっているだけでも、大体8割、9割は県外車であったというのが現場にいた人たちのカウントでございます。ですから、県外のトラック協会など、十分に周知を図るようにお願いをしていかなければなりません。特に大型の車両がやはり自重が重いものですから、スタックが起きやすい。で、スタックが起こった場合に、やはり動かないものですから、例えばレッカー車がどうしても必要になる。小さな車とはやはり違うわけですね。何かその辺にやはり必要のポイントがあるのだろうと思います。で、そのチェックの仕方としても、先ほど大原の例を申し上げましたが、そうした工夫が県内のほかの箇所でも、幹線の沿道でできないかどうか。そうしたことももう一度調査をしてみる必要があるだろうと思います。国のほうではペナルティーの議論も進められているということでございまして、その状況も注視をしながら、道路交通、輸送関係者によく次のシーズンは心得を持っていただけるように広報をしてまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)22番福田議員 ◯22番(福田俊史君)県内外の運送業者に対してチェーンの装着など、降雪時の対応をしっかり周知をお願いしたいと思います。  それでは、雪害対策について最後の質問です。  今回の大雪では、屋根の雪おろしをされていた八頭郡内の80歳代の男性が転落し、お亡くなりになるという大変痛ましい事故がありました。また、このケースに限らず、住民の方が雪おろし作業中に負傷される事故が複数件ありました。特に降雪量が多くなりがちな中山間地域では、高齢化と過疎化が同時に進行しておりまして、今後もこのような高齢者の雪おろし作業に伴う事故が発生する可能性は高いと考えられております。行政としても、何らかの対応が必要になると思われます。  私が調べたところでは、豪雪地帯として知られる新潟県では、独自の制度としまして、県や市町村が冬期集落保安要員を設置し、報酬を与えて除雪作業をしてもらっているそうであります。これは準公務員扱いで、大体月15万円程度お支払いをされているということを聞いております。また、秋田県では、NPOなどの職員が各戸を訪れ、屋根の状況などを調査し、家ごとに安全な除雪方法を除排雪カルテとして作成するといった事業も行われております。また、高齢者が住む世帯を対象として、雪おろしの際の命綱を固定する金具の設置費用も補助させているとのことであります。本県では、中山間地に限らず、今後ますます高齢化が深刻化すると予想されていることからも、同様の悲劇が二度と起こらないように、住民の雪おろし作業を支援するための何らかの施策が必要と考えておりますが、平井知事の御所見を伺いまして、今議会の質問とさせていただきたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から、重ねて御質問をいただきました。  このたびの八頭の事故につきましては、大変に残念なことでありまして、御冥福を改めてお祈り申し上げる次第であります。  やはりこの辺は雪国でないとわからない事情でございまして、高齢化が進んでまいりますと、なかなか屋根の雪おろしもままならない。片方で家屋の老朽化も進んでいるわけでありまして、どこまで耐雪できるか、それも不安があるという住まわれている方のお気持ちもある。そういう意味で、いわば助け合いの精神も生かしながら、この除雪に何らかの対策が必要ではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。今回の豪雪の中でも、明るい、非常に胸の温かくなるような話題もありました。例えば智頭農林高校の生徒さんが智頭の上町あたりですか、あちらでお年寄りのお宅を除雪して回るというような、そういうことが全国的にも報道をされたりしていました。こうしたことで、若桜のまちのほうでも、60軒ぐらいの除雪をボランティア隊で行う。実はこのボランティアの組織は、若桜町の場合は若干伝統がございまして、県外の方も雪おろしのボランティアでやってこられる。非常にすばらしいことだと思います。あるいは、まちづくり大山という組織では、家族を病院に運ぶために何とか雪かきをしなきゃいけない。それを、隊のほうでみんなでお助けをしたというようなことがあったりします。  実は皆様のまちの中でも、そうしたお話は山とあるだろうと思います。こうしたことを地域でやっていくために、本県のほうでも、例えば防災・危機管理対策交付金の対象事業として除雪の資材の支援もできるようにいたしておりますし、また、特に中山間地の交付金がございます。中山間地の支援交付金で、こういう村の共助によるそういう除雪や雪おろしの支援ということもできるようになっています。いずれもちょっと市町村が絡みますけれども、市町村のほうでいろいろと工夫をしていただいて、こうした輪をぜひ広げていただければと思います。そういう意味で、今後また市町村さんとモデル的なやり方を話し合う必要があるかなと思いますが、伯耆町の番原では、地元で除雪作業をされて、町が来ないでも、自分たちで除雪機を動かすということをされるというお話を申し上げましたが、そうした除雪対策リーダーみたいな、そういう方の育成事業、組織化ということもあっていいのではないかと思います。町の中、村の中を巡回して、除雪が必要だとなれば、では、雪かきしようというように立ち上がっていただくとか、また、屋根の雪おろし、こうしたことにも率先して向かっていただける方、実は放っておいても、こういう方は鳥取県の場合はおられるわけでありますが、そうした方をきちんとやはり育成したり、支援したり、そうした体制づくりも今後考えられてもよいのではないかと思います。今後、防災の計画の中でもこういう雪害対策編を組んでいくことになりますので、市町村等とも話し合ってみたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)32番澤紀男議員 ◯32番(澤紀男君)(登壇、拍手)公明党の澤紀男でございます。  それでは、通告に従いまして質問をいたします。  初めに、医工連携について質問をしたいと思います。  国は、新成長戦略において高い成長雇用創出が見込まれる医療、介護、健康関連産業を日本の成長牽引産業として明確に位置づけ、ライフ・イノベーション、医療、介護分野革新を戦略分野と定めております。また、昨年の6月には日本再興戦略において、日本発のすぐれた医薬品、医療機器等の開発・事業化、グローバル市場の獲得、国際貢献として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構において基礎研究から実用化まで切れ目のない研究管理、支援により、日本初の革新的な医療品、医療機器等の研究開発の推進。また、医療現場のニーズに合ったすぐれた医療機器の開発、事業化に向けて民間資金も活用した異業種からの参入、製品コンセプトづくりや知財戦略、人材育成、販路開拓を支援するとともに、医療現場と医療機器の開発者、地域支援機構等のネットワークの強化、そして、日本初の医療、介護及び医療機器等のグローバル市場での普及のため、相手国、地域のニーズに合った性能・価格水準の医療機器開発の推進。また、医療機器等にかかわる実用的な評価法を世界に先駆けて提案し、国際基準化を推進するとしております。  日本の医療機器市場規模は、平成16年以降、増加し、平成26年には我が国の医療費40兆円の約7%に当たる2.8兆円と過去最大の市場規模となっており、成長が期待される分野となっております。  鳥取県においては、平成26年度より医工連携推進事業としてスタート、県内企業の医療分野への進出を促進するため、鳥取県産業振興機構の医療連携推進体制を強化し、県内企業への情報提供、専門家の活用、医療機器開発支援、販路開拓支援による医療機器分野への参入支援をするとしております。  そこで、1点目に、これまでのとっとり医療機関関連産業戦略研究会や業許可取得、鳥取大学医学部との連携体制による医療機器開発のワンストップ支援、県内企業の参入などの取り組みについてどのように評価をしているのか、伺います。  2点目に、鳥取県産業振興機構と韓国江原道原州医療機器テクノバレーとの相互技術協力書を締結しましたが、今後の共同研究、共同開発、企業間取引の活性化についての展望を伺いたいと思います。  3点目に、鳥取大学医学部との医工連携について、どのように評価をしているのか。また、医療技能、技術人材育成の点から、タイ、マヒドン大学との覚書締結が行われておりますが、今後の取り組みと展望について知事の所見を伺いたいと思います。  次に、DBS航路について伺いたいと思います。  平成29年の当初予算に、環日本海圏航路就航奨励事業があります。2006年に境-東海-ウラジオストクを結ぶ唯一の定期フェリーとして就航し、8年を迎えますが、北東アジアのゲートウエイとして、物流や人流の拠点としていくための重要な海のインフラとして大きな役割を担っております。これまでに延べ19万3,000人の乗船客を運んでおり、その乗船客の88.4%が韓国人、日本人5%、ロシア人5%、その他1.6%と、圧倒的に韓国人の利用者の支持を受けていることになります。しかし、この航路が全国的に知られていない現状があります。明年の平昌オリンピック・パラリンピックの開催という好機を生かし、DBSの利用促進に取り組むとしておりますが、日本からの乗船客誘致の課題と取り組みについて伺いたいと思います。  また、環日本海定期貨客船航路の貨物確保は最大の課題です。年間の貨物実績の合計トン数は6,461フレートトンと、前年に比べ7.3%の増となっております。しかし、コンテナ取扱量、目標は2万1,900TEUとしておりますが、2016年のコンテナ貨物の実績は499TEUと、目標の2.2%と非常に厳しい状況が続いており、安定就航に向けた貨物確保の取り組みが急がれます。  知事には、3期目後半の任期の仕上げとして、現状をどのように受けとめ、取り組んでいくのか。また、国際定期貨客船の利用促進のため、国内、国際物流の接続による新たな物流ルート創出についての現状と展望について所見を伺いたいと思います。  次に、食の安全や環境保全への認証制度について伺いたいと思います。  いつも食べている野菜、果物、お米、お茶が安全であることは消費者の願いです。そして、直接の生産者、商品を開発するメーカー、物流、小売業、そして、消費者にとって共通の願いでもあります。食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証制度にJGAPがあります。JGAPの基準には、120を超える農場のチェック項目が定められております。農薬の管理、肥料の管理など、食の安全や環境保全に関する農作業について明確な基準が定められています。JGAPは、世界でも評価の高い日本の認証制度として農林水産省が導入し、推奨する農業生産工程管理手法の一つです。同様のGAP制度認証は海外でも普及が進んでおり、世界の主要小売業がプライベートブランドの産地選定に利用しており、JGAPは信頼して取引できる産地の目印となります。  国内でのJGAP認証農場は2016年3月末には3,954農場と、8年前に比べて16倍の増加となっています。一方、鳥取県内は平成15年から20件のGAP取り組みを行っていますが、JGAP認証は2つの農場、農業団体となっているのが現状です。  そこで、知事には、鳥取県の農業振興を推進する上で、JGAP認証取得の推進についてどのように捉えているのか、伺います。また、生産者の意向を尊重し、取り組む意欲のある品目や産地に対し、GAPの重要性の認識、制度理解の促進についてどのように考えているのか、伺います。  また、若者の新規就農者がふえる中、将来の人材育成として農業大学校でのGAP研修の必須も必要と考えますが、あわせて伺います。  次に、安全な農産物の国際認証として最も高いレベルのグローバルGAPがあります。現在では、世界118カ国以上、15万件を超える認証件数となっております。国際認証のグローバルGAPは、EUに輸出するためになくてはならないものです。ちなみに、鳥取県からアジア、アメリカ、ロシアへ果実を中心に470トンが輸出されておりますが、輸出をふやすためのパスポートとも言われております。ロンドンオリンピック、2012年では、グローバルGAPはオリンピック調達基準とされました。この3月には、東京オリンピック開催時に提供される食の調達基準が決まり、この中では、1点目に、オーガニック、有機食材、2点目に、農業と福祉が連携し、障害者を雇用して生産している食材、3点目に、国際認証を得ている食材が優先的に使われることになると思われます。オーガニック食材は、日本では農産品の0.4%しかなく、国際認証を受けた農産物をどれだけ出せるかにかかっていると言われます。国際的に信用力のあるグローバルGAPの日本での認証を受けている団体、農家は399しかない。JGAPは約4,000ありますが、全体の農家と農業団体の数からすると、非常に少ない現状です。  そこで、知事には、今後の輸出を見据えて、鳥取県内の農家、農業団体へのグローバルGAP認証についてどのように受けとめるのか。今後の展望とあわせて伺います。  現在、農業高校で唯一、グローバルGAPを取得しているリンゴ栽培の青森県立五所川原農林高校があります。昨年、野菜果実、リンゴ認証に引き続き、コンバイン作物、水稲認証にも挑戦をしました。農業のグローバル化の波に打ち勝つためには、国際的な第三者認定が必須となり、グローバルGAPは日本の農家には難しい、欧州発祥の基準なので、日本の農業に合わないといった誤解が先行しているのが現状です。五所川原農林高校では、国際基準のグローバルGAP認証に取り組むことを通じ、これからの日本農業を支える若い人材を育てていく教育の一環として、リンゴと米の認証審査を公開することとしたとあります。五所川原農林高校の山口章校長は、なぜグローバルGAP認証取得を目指したのかとの質問に答え、若い世代に世界の扉を開いてほしいとの一心で、審査に挑戦する生徒を学科を超えて募集したところ、15名の生徒が名乗りを上げ、グローバルGAPチームが結成された。農業人口の減少や高齢化、TPP問題などが立ちはだかる現状で、高校生が農業や関連業界に充実した人生を送るには、もはや世界で常識となっている本認証を体で覚え、国内外で戦ってほしいと考えたと語っております。  この事例を通し、まず、知事には、鳥取県の農業人材育成の点から、農業高校でのこの取り組みについてどのように受けとめるのか。また、本県の農業大学校でのグローバルGAP認証取得についての所見を伺います。  また、教育長には、世界を見通した農業人材育成の教育として、どのような波及効果があると考えるのか。鳥取県の農業高校でのグローバルGAP認証についても検討することも必要と考えますが、所見を伺いまして、以上、壇上での質問といたします。 ◯議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)澤県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、医工連携につきましてお尋ねがございました。  医療機器開発に向けた業許可取得、あるいは鳥取大学との連携、さらには海外との連携、そうしたことにつきまして評価や所見をということでございます。  この医工連携、あるいはこうした産業分野と医療との関係づくり、これが新しい成長産業につながり得るところです。特に本県の場合は、電子機器産業が発展をしてきた土壌がございます。そういう中で、そういう技術を持ったところがいろいろとございますし、部品の生産工場も本来、たくさん立地をしているわけであります。ただ、その出口としての電気産業のほうですね、こちらのほうについては出口が急速にしぼんでしまった。それで、医療との連携、あるいは航空機産業、自動車産業、そうしたほうに新しい出口を求めていかなければいけません。いわばそういう意味で、新規の産業創造で医工連携というのは柱になり得るところだと思います。特にこの医療関係というのは30万という、そういう部品産業につながるところでございまして、本県はニッチの中小企業さんの多いところでございますので、そんな意味で、おもしろいチャレンジになり得るところです。  そういう中、最近はモリタ製作所さんという、歯の中に入れる手具ですね、それの生産などをやる工場を倉吉のほうでつくられたところでございまして、その立地に当たりまして、本県もこういう本格的な医工連携産業、そういう医療関係産業の立地は初めてだったものですから、そんな意味で、県庁の体制も組み直すようになりました。平成25年度にこういう進出のお話が出てきたころ、やはり先方のほうから、それについては許認可行政も多い分野でありますので、県庁のほうの体制をとらなければならないという御指摘がありまして、平成25年10月にそういう業のお話がございましたが、例えば医療関係機器の製造業であるとか販売業、こうした業の許可のスタッフを県庁の中につくらなければならない。そういうプロジェクトチームをつくりました。また、平成26年度には産業振興機構のほうにコーディネーターをつくって、それで、こうした医工連携の橋渡しをしたり、いろいろな交渉をまとめていく。あるいは、販路開拓等々も今後出てくるわけでありまして、そうした任に当たる、そういう組織もつくってきたところであります。  そういう中、鳥取大学はこういう医工連携に熱心な大学でございました。それで、鳥取大学もさまざまな研究成果も上げてきておりまして、厚労省のほうでの認定事業が始まったり、また、最近も創薬系のビジネスを起こす、これは国家プロジェクトの学校に選ばれたところでございまして、このたび鳥取大学のほうに、私どもで一緒になってやっていましたバイオフロンティア事業、あの建物の隣にまた別の建物をつくるというようなことで、そうしたてこ入れも今、なされつつあるところであります。  そんな意味で、いろいろと新しい産業も育ってきました。例えばイナバゴムさんというところがマウスピースとして、口の中に内視鏡をのみ込むときの特殊なゴムの器具、これの生産で商品化に成功されたわけでございますし、また、ケイケイさんという、これは郡家の企業さんですけれども、このほっぺたのところにサポーターをつけるわけです。それで、この頬を傷つけないようにする、そういうものをゴムで製造するわけでありますが、そうしたことで商品化に結びつけたり、そういういろいろな例が生まれてきているところでございます。  また、鳥取大学も深くかかわりながら、テムザックという福岡に本来立地をしていた、こういう医療系のロボットもこしらえようというところでございますが、医療や介護の関係でこちらに出てこられました。現実にもお医者さんの卵が練習をするときに使うような、体にさわると、何か言ってみたり、そういう反応するようなロボットをシミュレーターロボットと言うのですが、こういうものを開発したりするなど、このように動いてきているところでございます。  そんな意味で、ここ本当に4年くらいの話なのですけれども、急速に本県においても医工連携の実が上がり始めてきていると思います。これは実は海外との国際分業にもつながりますし、海外における医療需要に対応した、こちらのほうで販路開拓の可能性も出てくるわけです。そんな意味で、韓国江原道の姉妹提携の中で原州との協力関係が生まれまして、県内企業と向こうとの橋渡しということもできてきています。これも山本精機さんという、これは岩美町の会社でありますけれども、もともと金属加工業をされているのですが、原州のほうの会社でなされますそういう一種のマッサージ、リンパマッサージの機械のアルミの部品づくりですね。で、これで現実にもパートナーシップを組みまして、向こうのほうに原州の御縁で出ていけるようになりました。それから、タイのマヒドン大学というのも東南アジアきっての医療系大学でございまして、こういうところで県内でのさまざまな技術力を駆使した製品の試用、実証実験、そういうようなことにも結びつき始めております。ワールドワイドにやはりこの医療産業というのは展開していますので、そうしたパイプを今後も育てていく必要があると思っております。  次に、DBSにつきましてお尋ねがございました。  平昌オリンピック・パラリンピックの開催という好機を生かして、旅客需要、特に日本からの乗船客誘致に取り組めないかということ。それから、DBSの貨物、これをどのように今後ふやしていくのか。目標はどうかということでございます。  これにつきましては、このたび平昌オリンピックが迫ってくるわけでありまして、いよいよもう本当に1年ということになりました。で、この1年後、いわば特需が生まれるわけですね。世界中の人が平昌に集まる。で、この機会を何とか活用できないだろうかということで、新年度の予算の中にも対策事業を計上させていただいております。例えば日本からの送客のことでお話がございましたが、この日本からの送客は、向こうで大会が開かれる、オリンピックが開かれるものですから、そこにお客さんに乗っていただけないかということが一つ考えられますし、応援団であるとか、それから、いろんな機材がありますので、何だったら車ごと乗っていっていただければ、平昌にも行きやすいですよというような意味で、境港を活用する、そんなDBSの使い方もあろうかと思います。こうした商品化をできないか、働きかけようということで予算を組ませていただいております。また、逆に平昌に集まったお客様にクールジャパンの日本にも行ってみないかというふうにこちらに誘導するような、そういう旅行商品の開発、この辺も入れさせていただいております。  この2月段階でもう既にお客様も累計20万人近くまで乗っておられます。この20万人近いお客様の9割は韓国人でありまして、残りの5%が日本人とロシア人であるわけでございます。まだまだ日本の誘客は足りていないという面がありますが、なかなかちょっと使いづらい場所ということが多分、理由としてはあったと思います。しかし、平昌のオリンピックは、そういう意味で、絶好のロケーションにDBSはつないでくれるわけでありまして、このことをもっと広く知っていただくと、乗客の増にもつながり得るのではないかと期待もいたしております。  あわせまして、貨物についてでございますけれども、これも2013年ごろは1万トンレベルまで上がったのですね。これはやはりAPECがございまして、APECの特需がありました。特に建設資材などは、バルク貨物として乗せるのに、DBSは利用価値が上がったわけであります。しかし、そのAPECの需要も今、しぼんできておりまして、DBSクルーズ自体、貨物のほうでは3分の1ぐらい減らしているというのが現状になってきております。ただ、片方で、地道にそうした荷主さんの開拓を進めてきた関係で、韓国からのパプリカの輸入でありますとか、また、これは舞鶴のほうに入っていくわけでありますが、もともとうちも折衝していた関係でのお酒関係の荷物であるとか、また、マツダが向こうに今度、エンジン工場をつくられますけれども、そういうマツダの部品の輸送であるとか、ある程度定常的に迎え得るものも出てきております。多いのは建設資材の関係と、それから、韓国で今、売れています鳥取の大山乳業のもなか、もなかアイスのようなもの、そうした食品関係、これは水産物の輸入ということもございますし、そうした関係がやはり得意分野の航路のようです。  そういう中、今度、ロシアと日本とのビジネスを開こうという動きもありまして、北海道などは定常的にそうしたロシアとのビジネスをふやそうとして、私どもがビジネスサポートセンターをつくったように、今、北海道も乗り出しているわけでありますが、直接の航路がないわけですね。そこで、内航のRORO船、これと組み合わせながら、運ぶという可能性もあるのでないかということです。苫小牧から敦賀を経て、鳥取、境港に至る航路、それから、北九州のほうから境港に至る航路、これらの実験事業を新年度も展開をしようということにいたしておりますが、そこで航路がつながってきますと、例えば食材のように足の早いものについては、リードタイムを減らしながら運べる航路ということになりますので、そうしたこともあわせて展開していく必要があるのかなと考えております。  次に、GAPにつきまして何点かお尋ねがございました。  GAPの重要性をもっと広めていくべきではないだろうか。また、農業大学校でのGAPの研修が必須ではないだろうか。さらに、グローバルGAPを農業団体、農家に広めていくべきではないだろうか。また、農大でのグローバルGAP認証取得、それから、農業高校での取り組みについての評価等々、お話がございました。  GAPというのは衣料品の何かブランド名のようでありますけれども、これはGood AgriculturalPracticesということでありまして、優良な農業実践ということであります。このGAP事業が始まって、まだ日本国内は10年足らずでございますけれども、徐々にそれを活用する企業さん等もふえてきているところでございます。これに基礎的なGAPもございますし、議員がおっしゃるような高度なGAP、JGAPと言われる日本の統一認証のGAP、さらには、グローバルGAPというものもあります。これは国際認証ということになります。我々のほうでもこのGAPが始まりまして、議会でも御議論があったと記憶しておりますが、お勧めをするようなこともさせていただき、普及員もそういう意味で動いている関係で、特に基礎的なGAPの認証をされるところも出てきております。そういう意味で、20件集まったわけでありますが、2つのJGAPは、1つは岡野農場さん、それから、あともう一つは琴浦の農家さんでいらっしゃいます。岡野農場さんの場合は、もともとイオンのGAP、企業の関連のGAPがございまして、それをビジネスの関係で手がけられたことから始まりまして、JGAPに至っているわけであります。やはりこういうJGAPという資格を取ると、企業として販路開拓、信用性が生まれやすいということをおっしゃっておられます。  ただ、GAPの厄介なところは、書類であるとか、それから、認証ですね。認証には費用もかかりますし、手間もかかります。それを維持していくための毎年の支出ということも出てきますので、その辺の難しさということも正直ある。ですから、コストパフォーマンスを考えながら、農家さん、あるいは農業関係の団体も向かってくるかどうかということであります。ただ、このGAPは、一口に言えば安全ということなのでありましょうが、食品としての安全性であるとか、それから、労働面での安全、それから、あと、環境での安全、そういうことを追求するツールになっていまして、議員が強調されましたような農業大学校や高校など、そういう農業を未来の担い手として勉強していく意味で一つの大きな素材であることは間違いなかろうと思います。そういう意味で、農業大学校のほうでもカリキュラムの中に既にこのGAPを入れさせていただいておりまして、そのカリキュラムも新年度、倍増させていこうということにはいたしているところであります。  このGAPが今後広がっていく可能性がありますのは、議員も御指摘のように、東京オリンピックでの食品調達の基準がこのほど公表されたことであります。それで、グローバルGAPの取得という国際認証に当たるものというもので、その辺への注目も集まり得るところであります。ただ、実はグローバルGAPについては、過去、我々でも考えかけた時期がございまして、ドールさんという国際的な企業さんが海外での販路開拓をしようと、本県のJAさんと協調をされまして、協定も結んで取り組み始めたころであります。海外に売る際に、こういうグローバルGAPの取得についての打診がございました。実際、ドールさんもこちらに入られて調べられたわけでありますが、若干の部分ですけれども、すぐに認証を満たすことはできない。そういうようなことでありましたときに、地域のJAのほうでも農家と相談されたのですけれども、やはり経費もかかるということで、結局見送ったということがございました。実はグローバルGAPを取って、それで、貿易等で価格的に有利になった、つまり還元されたかということはまだちょっと、そこまでどうも海外でも浸透しているわけではなさそうなのですね。  実は地域によりまして、例えばヨーロッパのほうは割と盛んにされているのですけれども、アジア、アメリカに至っては全然浸透していないというような地域であります。ですから、その取引先の形態にもよると思うのですけれども、それが有効に機能するかどうかというのは、本県の今の状況では、見送ったという過去の経緯もございます。今回、そういう意味では、東京オリンピックのこともありましたので、また、再度皆さんのほうでこれについてどう考えるか、話し合っていただく必要はあるかなと思っています。  ただ、先ほど議員がおっしゃった認証の基準の中で、有機栽培というものでも調達すると。それから、福祉の障害者の雇用のある農業についても調達するというお話がございました。特に農福連携は本県の得意分野でありまして、そちらのほうに絡めて東京オリンピックに持っていく手はあろうかと思います。とりわけ、今、国内の飲食店チェーンの会社が子会社を設立しまして、それで、県中部で新しい農場を拡大すると。障害者雇用の農場なのですけれども、かなり規模も大きなことをやろうとされていたりします。こんな意味で、そちらのチャンネルから入っていく手も一つあるのかなと思います。また、有機栽培も徐々に栽培面積も広がってきているところでございまして、そうした点でも一つのチャレンジになるかもしれません。東京オリンピックを目指したことについて、こういうGAPのことも含めて、関係先とよく相談をしてまいりたいと思います。  最後に、農業高校とか農大でのGAP取得についてのお話がございました。  今、五所川原農林高校のお話がございましたけれども、すばらしい取り組みだと思います。やはり未来を見据えて、これから農業の世界に入っていこうという若人たちに、こういうことをクリアしていくことで世界にも通じるような農業になるのだよと。実践的に教えることにもつながってくるだろうと思います。そういう意味で、農業大学校でもこのGAPの取得につきまして、これは前向きに考えてみる必要があるだろうと思います。すぐにちょっと取得できるということになりませんけれども、新潟県のように既に農大でGAPを取得している例もありますので、その辺も研究させていただいて、体制をとらせていただきたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)山本教育長 ◯教育長(山本仁志君)澤議員の一般質問にお答えを申し上げます。  私には、グローバルGAPの認証につきまして、県内の農業高校でその取得を目指してはといったようなお話でございました。  結論から申し上げますと、これについては少し研究をさせていただきたいというふうに思っております。御提案のありましたこのグローバルGAPの認証につきましては、お話がありましたけれども、これは本県の農家さんではまだ取得されていないというふうにお聞きしていますが、全国で初めてこのグローバルGAPを取得されたのが青森県の片山りんご株式会社というふうにお聞きしていまして、まさに片山りんご株式会社のある青森県立五所川原農林高校で全国初めてこの認証を高校として取得しているのは、まだこの1校だけといったような状況にあるようでございます。この農林高等学校はこのグローバルのGAPだけではなくて、プロ農家育成に向けて長期のインターンシップでありますとか、6次産業化の教育など、これは本県も今年度からスーパープロフェッショナルハイスクールということで、長期のインターンシップに取り組むようにしておりますし、来年度からは知事部局のほうとも連携をいたしまして、スーパー農林水産業士といった県独自の認証制度にも取り組むようにしておりますが、それと同じようなことを既に取り組んでおられるということで、そうした先進的な取り組みを全般的にしておられるところであると承知しております。ここの学校をまずよく事務局のほうでも視察をさせていただいて、お話をよく聞きながら、検討といいますか、研究を進めていきたいなと思っております。  認証におきますメリット、あるいは課題等もあったのではないかなというふうに思いますし、また、プロ農家育成に向けた教育の部分とこのグローバルGAPの認証をどう関連づけて教育の中で生かしておられるのか、そういったあたりも少しお話を聞かせていただきたいなと思っております。いずれにいたしましても、少し研究をさせていただきたいと存じます。 ◯議長(斉木正一君)32番澤議員 ◯32番(澤紀男君)知事並びに教育長、答弁をいただきました。先ほどちょっとGAPのことについて、教育長が、知事もいみじくも若人という観点からおっしゃった部分もありましたけれども、私もそういうふうにGAPは捉えております。そういう意味で、お願いしたかったまず視察ということを検討の視野に入れてやってみたいということなので、お願いしたいと思います。  それで、もう一つだけ、五所川原のことについてつけ加えておきたいと思うのですけれども、これは去年、このグローバルGAPを取得したということで、9月にオランダのアムステルダムのグローバルGAPのサミット2016に参加をして、そこで著しい顕著な業績を上げた団体に贈られるGAP大賞と、GAPアワード、これを受賞されていると。これは世界で16カ国、26団体の応募があった中で、4団体のうちの一つが五所川原高校だったと。なおかつ、分科会でパネルディスカッションがあって、この生徒さんがパネリストとして5分間の英語でのこのプレゼンテーションをやったと。こういうふうな紹介をされております。私は、本当にこれは高校生にとりまして大きな大きな自信と経験になったのではないかなと。これこそ実践の教育だなと、こういうふうにちょっと思っておりまして、先ほど教育長が言われましたように、やはり実際に現場を視察して、しっかりと鳥取県の農業、後継者の育成という意味で頑張っていただきたいな。ここは五所川原の経営者育成農業高校、こういうふうに指定をされている。鳥取県にも倉吉農業高等学校が農業者育成の高等学校で文科省から指定をされているということもありまして、しっかりとお願いをしたいなというふうに思っております。  ちょっときょうは、あと、医工連携について少しお願いといいますか、お話をさせていただきたいなというふうに思っております。  それで、この医工連携について、先ほども知事からるる説明がございましたが、特に地元の中小企業の取り組みという観点から私はちょっと紹介をさせていただきたいと思います。  ことしの2月に大分県で東九州メディカルバレー構想の推進大会が開催をされました。この大会には、鳥取県の日吉津村の株式会社ビックツール、こういう会社が招聘をされ、医療機器産業の参入について講演を行っております。もう37年前に創業した、この従業員数が60名の中小企業です。工業用製品として使用済みのドリルのリサイクル機械の製造をしてまいりました。6年前に抜群の切れ味を生む工業用ドリルの形状を発見し、特許を取得後に、工業用月光ドリルとして国内外に販売をしております。その切れ味に、医療業界から、骨折でプレートを入れる際など、骨に穴をあける手術で使う医療用ドリルの開発依頼がありました。従来のドリルは骨に穴があけづらく、人体を傷つけてしまいかねないと多くの医師たちからの不安の声を聞き、どんな医師でも使いやすいドリルをと3年前から開発を始め、医療機器産業の参入に向けて平成27年には医療機器製造業の登録、そして平成28年にはISO13485、また、ISO9001を取得して、医療用ドリルの開発がスタートをしたと。  開発した月光ドリルの特徴は、ドリル先端部の三日月状の曲線形状で、斜め方向からのせん孔、穴あけが可能になり、複雑な手術にも対応できる。また、骨は高温度にさらされると、細胞が壊死をしてしまう。抵抗が少ないこの新型の月光ドリルでは、従来品より5分の1程度まで摩擦による熱を抑えることができると。昨年12月には厚生労働省からの認可がおり、初めて医療用月光ドリルを使う手術が大阪の高槻病院で行われております。また、歯科用のインプラントドリルも開発しており、テレビ東京の「ガイアの夜明け」、それから、NHKの「いちおしNEWSとっとり」でも放映をされております。平成27年3月には、医師の評価を聴取するため、厳しい出展審査をクリアし、AAOS、米国整形外科学会に出展して、AAOSドクターからこの医療用月光ドリルについて、すぐに使ってみたいと。サンプルがあったら下さい。すごい技術ですと。完成度が高いと思います。インドでいつ売るのか。日本の技術が好きだと。材質は、特徴は。ペルーではいつ売るのか。すぐに買う。連絡を下さいと。強斜位、強い傾斜、角度の手術では、よく滑るのは知っていると。いい商品。いつ売るのか。違いを体感と。ドイツでは、いつ売り出すのかなどの注目と称賛を浴びたとあります。  そこで、知事には、県内の中小企業のこのような取り組みについて、どのように評価をしていらっしゃるのか。また、海外での医学界の学会展示会の出展について、どのように評価をしていらっしゃるのか。これを伺いたいと思います。  もう昨年の4月には、このビックツールの海外でのドリル事業の業績が評価をされて、エストニア首相の来日の折、この新井高一社長が総理公邸での夕食会に招待をされて、安倍晋三総理の前で医療用ドリルの海外展開を宣言をしたそうであります。しかし、世界に目を向けたオンリーワン技術によるニッチ市場の開拓は大きな目標ではありますが、事業展開、販路拡大など、さまざまな課題を乗り越えなければなりません。道半ばの状況です。しかし、この企業の取り組みは県内中小企業の医療機器産業参入への大きなモデルとなり、刺激となり、紹介をいたしました。  そこで、知事には、鳥取県の世界を見据えた県内中小企業が目指す医療機器産業参入の取り組みをどのように評価をされているのか。また、どのように支援していくのか。所見をお伺いしたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)澤議員から重ねて、医工連携につきましてお話がございました。
     具体的には、ビックツールさんという会社を取り上げてくださいました。ビックツールさんは日吉津に工場がございますけれども、なかなかニッチな産業分野、ドリルの刃先の製造をされているわけでありますけれども、そうした技術力が医療との連携の中で輝き始めた、そういういい例として、先ほど御紹介ありました「ガイアの夜明け」であるとか、NHKの番組の中でも取り上げられるようになってきておりまして、急速に注目が高まってきました。ただ、これは別に決して簡単なことではなかったわけであります。平成22年から23年ごろにビジネスの転換を図られようとされたわけです。それは、リーマンショックなど海外の状況もございまして、受注が急減をするというようなことで、何とかこの転換をしていかなきゃいけない。それで、新しい販路を開拓して、生産を切りかえていこうというように動き始めたわけであります。  私どもも当初からそこにかかわらせていただきまして、産業技術センターであるとか、それから、とっとり国際ビジネスセンターかな、境にもありますけれども、ああいうところと一緒になりまして支援をしていくということでございました。それが何がよいアイデアだったかと言いますと、刃先というのは当然ながら先がとんがっているわけでありますが、その刃先の形状が普通は要は角張って、ドライバーのプラスのねじみたいなものでございまして、そういうところで、それを高速で回すことによって回転をさせて、切削をしていくということになるわけですね。その刃先の部分に三日月の形状を入れる、曲線を入れるわけであります。それによって、従来よりも、従来の刃先は角張っていますから、こういうような形状であれば、それが曲線が入ることによって、よりとんがった形に実際は当たることになると。これによって、先ほど議員がおっしゃったように、例えば曲面的なところに斜めに入れていくことが可能になるとか、また、切れ味がよくなりますので、製造、加工している時間の短縮になる。また、切削の際の摩擦が小さくなりまして、これによって、特に人体に影響するわけでありますが、テレビの中でも、私も拝見しましたけれども、結局、熱がまずいのだそうですね。その骨にドリルを入れていくようなときに、そこで熱をどうやって抑えるか。それで実際にこのドリルを使いますと、大体10度以上は下がってくる。ですから、熱が上がらないような仕組みになり得るということです。これがそうした手術には大きな、いわばメリットになるわけであります。  こういうようなことがありまして、平成24年ぐらいから、そうしたビックツールさんの月光ドリルとしての販売戦略の本格化が始まりまして、この時期に私どもの経営革新制度、それから企業立地の支援、これを我々としてもサポートで投入させていただいております。これが海外でも評価をされるに至るために、平成25年以後は海外進出を支えるような支援制度を適用していっておりまして、ついには平成28年には、これはジャパン・メディカル・コミュニケーションという整形外科の道具をつくられるところ、そうしたところとの接点が生まれるわけですね。独占販売契約に至るわけでありますが、これが先ほどのテレビ番組の裏の部分になります。こういうようなことで、大きく展開をしてきたわけであります。  小さな工場の、いわばニッチな技術、これが実は人の体に優しかった。そういう意味で、巨大な市場が今、目の前に広がり始めて、海外、それはアメリカだとか、いろんなところに今出ていき、エストニアのお話もございました。エストニアにも販売店を設けたのですね。そのようなことで安倍総理に呼ばれたということにもなったわけでもありますが、こういう展開が鳥取の中小企業から生まれてきたというのは、非常に喜ばしいことだと思います。  こういうようなのが、ニッチで頑張る企業の将来に向けた方向性だろうと思います。我々もこの一連のことで経験してきましたけれども、経営革新制度の投入だとか企業立地補助の投入、こういうことと海外の販売開拓、それらに実は伴走で寄り添うように動いたコーディネーターもいるわけですね。  例えば、海外への展開については、黒住さんという、そういう方が橋渡しの役を果たされまして、今回非常にそういう意味では成果が出てきた例になりました。やはり人間的な力というものには限りがありますので、多様な人材でサポートをしていく、それで伴走で企業は育っていく、そういう姿が医工連携の分野でも有効に機能したという例だと思っております。ぜひこうした成功例に基づいて、これを横展開していけるように、関係部局一丸となって取り組んでまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)32番澤議員 ◯32番(澤紀男君)知事、御答弁いただきました。中小企業の方々にとって非常に大きな励みになる言葉だと思いますけれども、もう少しこの医工連携について質問を重ねたいと思います。  私も、この東九州メディカルバレーの構想推進大会に参加をいたしまして感じたことがあります。先ほど申しましたが、鳥取県の日吉津村のビックツールの講演は参加者の大変な関心を集めました。小さな中小企業から、その独自の技術力で開発したドリルが医療機器分野に進出をして、海外からも大きな評価を受け、世界市場に挑戦している、まさにこの医工連携における大きな成功事例ではないかなと、このように私も思った次第です。  そこで、講演後には、ことしの9月29日から大分県で開催される第12回の九州臨床工学会シンポジウムの招聘が早速来たと。また、今月14日からは、2年に1度開催される、先ほど申し上げましたAAOS、米国整形外科学会がアメリカのサンディエゴであり、学会の展示会に出展するということです。鳥取県としてもしっかりと受けとめなければならない、そう感じております。  まずは、医工連携の事例としてしっかりと活用をすることが必要と考えますけれども、知事の御所見をお願いしたいと思います。  また、講演をした同社の木村勝世開発部長は、大分大学医学部関係者や大手医療機器メーカーの開発責任者らとの意見交換で、ドリルを脳外科の分野に応用してもらいたいなどの要望も聞いたとあります。これは新聞発行されております。本県での医工連携の大きな可能性拡大のチャンスと考えますけれども、重ねて知事の所見をお伺いしたいと思います。  そしてまた、この医工連携の目指す先は、医療機器産業を核とした地域づくりにつながっていくと、このように考えております。地域で核になる医療機器産業ができれば、研究開発などの拠点が整備されます。さらに関連産業が集積してくる、そこには雇用が生まれ、地元の優秀な人材育成への広がりとなると考えます。  紹介したビックツールのこの取り組み、この将来の物づくりによる城下町構想、地域づくりを目指すと、こういうふうに聞いております。その核となる可能性に大いに期待でき、育てることが必要であると、このように思いますが、それが地方創生へつながると考えますけれども、知事の所見を再度お伺いしたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて医工連携の展開につきましてお話をいただきました。  議員のほうでもおっしゃられましたように、今回のビックツールさんは我々に大きなヒントを与えてくださったと思いますし、こういうよいモデルを横展開していくことが大切です。  私どものほうでずっとしていたのは、例えば22~24年ごろですね、産業技術センターのほうにいろんな評価機材であるとか、そうした測定機材だとかがあるわけです。これを1,000時間以上使いまして、さまざまな調査をするわけですね。例えば、加工技術の調査であるとか、それから性能の調査であるだとか、こういうような場所を提供して機材を提供しながらサポートをする、これをもし中小企業が中でやろうと思ったら大変なことであります。そういうことを地域でシェアしていく。  また、海外へ売っていく意味でも、あるいは国内での販路を開拓する意味でも、おっしゃるような、そういうお医者さんのニーズとマッチングをするというのは、中小企業の経営者や技術者にとりまして簡単なことではありません。ですから、メッセのような場所に出ていくとか、そうしたいろんなニーズを結びつけていく、そうしたコーディネーターも必要でありまして、そういうコーディネーターを置かせていただいたり、海外へのコーディネーターを付き添わせていただいたり、これが今回のことにつながってきたと思います。  これからまだ伸びる産業領域でございますので、議員がおっしゃるように、そうした企業さんがだんだんとふえてきて、いわば城下町というか、そういう企業の集積地になれば、非常に将来にわたって伸び代もふえるのではないかと思います。  ルーターも言っていましたけれども、お医者さんというのは神様が与えたもうた修繕工であると。よく言ったものだなと思うわけでありますが、人間の体を修繕する、そういう技術者、工員であるというような意味合いであります。その技術工を支える、その技術、その道具をつくる技術工として、私どもの中小企業というのは十分なポテンシャルがあるのだと思います。そのような夢を描きながら、そうした医工連携の分野を支えてまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)32番澤議員 ◯32番(澤紀男君)ありがとうございました。もうこれで申し上げることはございません。どうか知事のおっしゃっていただいたように、鳥取県の中小企業、ニッチなこの市場を開拓すべく、医工連携をまたしっかりと進めていただきたいことを念願いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。 ◯議長(斉木正一君)暫時休憩いたします。午後の本会議は1時20分より再開いたします。        午後0時20分休憩    ────────────────        午後1時20分再開 ◯副議長(藤縄喜和君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  29番前田八壽彦議員 ◯29番(前田八壽彦君)(登壇、拍手)私は、2月議会に当たり、鳥取県の医療政策について質問をしたいと思います。  本県の医師不足等の本県医療政策については、さまざまな課題があると思っております。一般的に医師不足と表現されていることが多いのですが、その内容は、医師の絶対数、診療科の偏在、医師の地域偏在の3分野での医師不足を論じる必要があると思います。  我が国の医師養成は、昭和48年、1973年の1県1医大構想により、医学部入学定員は昭和36年、1961年度の2,840人から8,280人と急激に増加いたしました。現在では平成27年、2015年度では9,134人となっており、数字上では極端な医師不足とは言えない状況と言えます。  では、なぜいまだに医師不足が問題となっているのでしょうか。それは、平成16年、2004年度に導入された新医師臨床研修制度で臨床研修医が自由に研修病院を選べることになり、都市部の民間研修病院に希望者が集中したからであります。  また、大学附属病院において、指導医の確保等で研修体制の充実が求められることとなった結果、医師不足に陥った医局は地方の公立病院に派遣していた中堅医師の引き揚げを行い、診療科の閉鎖等を余儀なくされた病院も出たのであります。  鳥取県の臨床研修病院におけるマッチ数、実態を紹介しますと、平成26年度では、県内8病院で定数78名に対しマッチ数30名で38.5%の充足率となっています。このうち鳥取大学を見ますと、卒業生72名のうち23名が県内病院にマッチしており、県内残留率は32%であります。そのほかの47名は県外病院にマッチ、残る2名は不明となっております。  報道によれば、国は地域枠の設定期間を平成31年度入学者分までとしており、今後どうするのか実態を調査して検討するとのことであります。  そこで、医療現場の声をお聞きしたいと思い、池口県立中央病院長に初期臨床研修制度について伺ったことを御紹介したいと思います。  県立中央病院の研修医数は、平成27年度8名、平成28年度9名、平成29年度12名と増加しており、鳥取大学医学部附属病院での研修医も増加しているとのことでありました。このように、最近は研修医の地元回帰が起きている。これは各大学に地域枠の学生が多く入学し、それらの学生が地域に輩出、活躍されていることから、他地域に研修に出ようと考えていた学生も、将来を考えたときに就職先がなくなってしまうおそれがあり、出身大学の地元での研修を選択し始めていると思われる。また、他大学出身の優秀な学生も研修医に応募している。引き続き地道に研修医に寄り添った教育が認知されるよう努力したいとのことでありました。池口院長のお話を聞いて、地域枠としての医師を育成してきた効果が出てきたのではないかと思います。  そこで、医師不足解消に向けて、今後も地域枠を継続していくべきと考えますが、平井知事の所見を伺います。  また、全国から優秀な学生を招き入れる努力を行う必要があると思います。そのためには研修医にとって魅力ある研修内容を工夫していく必要があるとも考えます。渡部病院事業管理者の所見を伺います。  ところで、日本医師会と全国医学部長病院長会議が、少しさかのぼりますが、平成27年8月19日に開催され、1番目として、生涯にわたり医師の異動を把握する医師キャリア支援センターを各大学に設置する、2番目として、臨床研修は原則出身大学のある地域で行う、3番目として、地域の診療科ごとに必要な医師数を把握するなどの提言書をまとめ、厚生労働省に提出したということを仄聞いたしました。  また、池口院長は、医師の異動を把握する仕組みをつくり、その情報を大学や県を初めとする地方自治体で共有し、連携した会議で医師の需給バランスを議論する必要がある、そのためには、大学に医師キャリア支援センターの設置が必要であるとも言っておられました。  国の動きにあわせて、こうした提言に対する平井知事の所見を伺います。  次に、専門医制度についてであります。  従来は、診療科ごとに学会が行っていた専門医の認定を、平成29年度からは第三者機関の日本専門医機構が統一的に評価認定を行う仕組みがスタートすることとなっていましたが、1年延期になったと仄聞しております。早急な導入に反対する各地方自治体が、国に要望された結果だと思っております。  この制度の問題点は、1つとして、専門医の研修、認定を大学病院等の基幹病院と地域の協力病院等が病院群を構成して実施することとなり、地方では大学病院が基幹病院となり、指導医師の獲得のため関連病院から医師の引き剥がしのおそれがある。2つ目として、症例数の少ない協力病院では、後期研修医の派遣がなくなるおそれがある。3番目として、今、協力病院にいる専門医(指導医)の資格の更新が困難となり、地方からますます医師が減少するおそれがある。これらの問題点を危惧する地域の声を反映し、改善がなされなければ、医学部の地域枠等、これまでの地方自治体の努力が水泡に帰すものであります。専門医制度について、地域医療に十分配慮した制度となるよう、国に強く要望すべきと思いますが、平井知事の所見を伺います。  次に、診療科別の医師不足についてであります。  本県での実態を県の医療政策課の平成27年の調査結果から申し上げます。診療科別の医師不足の主なものは、内科系の内科が25.8人、神経内科が20.3人、循環器内科が11.3人、外科系の整形外科15.4人、医科系の精神科15.9人、産婦人科12.3人などで、全体で207.9人の不足となっております。  余り注目されていませんが、病理医の不足も顕著であります。病理医は手術中の迅速診断、手術で摘出された臓器、組織の診断、細胞診断、生検組織診断等々の医行為を行っています。病院に病理医がいることは良質な医療を提供することにつながりますが、県内ではわずか4人の医師が公立病院で勤務されている状況であります。診療科の医師不足の対応について、国に要望する一方、県としても何らかの対応を考えてみる必要があると思います。  私は、医師数が少ない東部・中部のために、鳥取大学に対して緊急的に医師の派遣をお願いする、これがとり得る最善の策だと思いますが、平井知事の所見を伺います。  次に、医師の地域偏在について取り上げたいと思います。  本県の医療機関従事医師数は全国10万人当たり289.5人で、全国第6位の医師数となっております。しかしながら、県内における医師の地域偏在は大きな問題であると思います。本県の医師数1,785人のうち県庁所在地の鳥取市や鳥取大学医学部所在地の米子市に勤務している医師は1,374人に上り、全体の77%と偏在しております。県内の市部に勤務している医師数は1,622人で、全体の90.9%と著しく偏在しているのが現状であります。  以上の課題解決に向けた対策として、我々地方自治体は地元の大学に地域枠を設け、奨学金の貸与を行うことや、他大学の医学部生に奨学金を貸与し、地域での一定年数の勤務を義務づけております。  さらに、医師の地域偏在を解消するために、特に医師不足が著しい中山間地の医師確保のためにも、勤務してからの住宅や子育ての支援を行うなど、明確な特色づけを行ってはどうかと思いますが、平井知事の所見を伺います。  次に、がんの治療について質問をしたいと思います。  昨年12月22日、関西広域連合議会の議員研修会において、京都大学元総長で関西健康・医療創生会議議長、井村裕夫氏の講演をお聞きいたしました。演題は「グローバルな健康問題の動向と、新しい産業創出に向けての関西の取り組み」でありました。その中で、分子標的療法、肺腺がんの原因遺伝子、がんの免疫療法の最近の進歩をお聞きし、私は大変興味、関心を感じたのであります。  がんの三大治療は、手術治療、放射線治療、化学治療ですが、これに第4の治療法として、がん細胞と正常細胞の違いを分子レベルで解明し、がん細胞のような異常分子を抑制する治療である分子標的薬や、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬が登場しております。  分子標的薬は、がん細胞と正常細胞の違いをゲノムレベル、分子レベルで解明し、がんの増殖や転移に必要な分子を抑えたりすることで治療するものであります。  また、免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞の特性に着目したものです。もともとがん細胞には人の免疫細胞の攻撃力にブレーキをかける働きがあるため、その影響で免疫力が鈍くなり、がん細胞が増殖してしまうとのことであります。がん細胞のブレーキに着目したのが免疫チェックポイント阻害薬で、もともと体内にある免疫細胞に働きかけるものであり、正常細胞を攻撃することなく、従来の抗がん剤のような副作用は起きづらいとのことであります。  オプジーボはほかのがんについても臨床試験が行われており、今後も次々と承認されていくのではないかと言われております。また、類似薬のキイトルーダも医療現場で使用され始めたとのことであります。オプジーボは、100ミリグラムが73万円という価格が高過ぎるという批判を受け、厚生労働省は本年2月から半額の36万円とすることを昨年末に決定したところであります。夢の薬が医療保険制度を脅かすと経済財政諮問会議でも薬価の引き下げが議論された薬であります。  さきの井村さんのお話では、関西の大学や医療機関がこの分野で日本をリードしており、この2~3年でさらに進歩すると思っているとのお話でありました。  このようながん治療の長足の進歩に、県立病院は素早く対応していく必要があります。県立病院におけるこれらの薬の対応状況について、渡部病院事業管理者の所見を伺います。  また、病院連携や鳥取大学の支援を受けてバックアップ体制を構築した上で、本県のがん拠点病院の医師を県外の医療機関に派遣し、長足に進歩しているがん治療を学んでいただくような制度を考えてはどうかと思いますが、平井知事の所見を伺います。  次に、救急医療体制の充実であります。  鳥取県の救急医療は、公立豊岡病院を基地病院とする3府県ドクターヘリの運航による救急搬送体制をとっております。それは関西広域連合管内のドクターヘリの一体的な運航体制のもとに、救命効果が高いとされる30分以内での救急搬送体制の確立を目指したものであります。  加えて、平成29年度には鳥取大学医学部附属病院を基地病院とする鳥取県ドクターヘリの運用も開始されます。  県立中央病院の救急専門医は1名で、重傷外傷、熱傷等の専門的集中治療を行い、ふだんはトリアージへの対応を行っているとのことであります。県立中央病院は、本県における三次医療機関で救急医療のとりでとなっております。少なくとも救急科専門医を1名増員し、2名体制とする必要があると思います。人的体制の充実が急務であり、待ったなしの状況であると思います。  公立豊岡病院は、救急専門医を12名擁しているとのことであります。本県の広域救急医療体制の確立に向けて、同病院に対して救急科専門医を1名派遣してもらうなどの助力をお願いしてはどうかと思いますが、平井知事の所見を伺います。  池口院長も公立豊岡病院長に働きかけをされているとのことであります。平井知事も、井戸兵庫県知事に働きかけをなされることで打開できるのではないかと思いますが、あわせて平井知事の所見を伺います。  次に、訪問看護政策について質問をいたします。  私は昨年2月定例会で、訪問看護を取り巻く諸課題の解決に向けて平井知事に数多くの質問をいたしました。数多くの課題に前向きに取り組んでいただいており、鳥取県看護協会などの関係者が訪問看護の仕事に希望が抱けると言っておられました。今議会では、訪問看護師不足への対応として、彼女たちの働き方の問題点を取り上げたいと思います。  率直に申しますと、訪問看護師の勤務実態を調査していただきたいと思うのであります。例えば、給与、休日、有給休暇、子育て、看護支援などの労働環境の実態を詳細に調査していただきたいと思います。  調査の過程において、訪問看護師の生の声をくみ上げていただくことにより、彼女たちの勤務実態がより鮮明になり、改善すべき点、その改善手法が顕在化してくるのではないでしょうか。この取り組みがまさに訪問看護師の多様な働き方を可能にする、いわば鳥取県版、訪問看護師の働き方改革に通じるのではないでしょうか。  そして、この調査をもとに、新たに訪問看護師を確保するため、特に課題となる家庭との両立ができるような労働環境は整うか、関係者で構成する検討会で取り組んでいただきたいと思いますが、平井知事の所見を伺います。  以上で壇上での質問を終わります。 ◯副議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)前田県議の一般質問にお答え申し上げます。  医療政策につきましていろいろと数多くの御指摘をいただきました。  まず、医療政策のうちの医師の育成についてでございますが、今後も地域枠の継続等を考えるべきではないだろうか、また、日本医師会と全国医学部長病院長会議の結果をおっしゃいまして、医師キャリア支援センター等々、そうした提言についてどのように対応をしていくべきなのかと、こういうお話がございました。  地域枠につきましては、この議会でもたびたび御議論もいただきながら充実をしてまいりまして、平成19年度には一般貸付枠というのをつくり、県外で学ぶ学生なども、こちらに帰ってきた後の手当てとして考えられるようになりました。  また、平成20年度には特別な養成枠として、自治体版の鳥取大版の自治医大制度、これに加わることとなりまして、さらに平成21年度からは臨時養成枠、こうしたことで対象者をふやしてきたところでございます。  現状は256名に地域枠も含めまして貸与をしている状況となりました。このうち97名の医師が就業していることになりますが、そのうちの51名、半分強が、今県内での臨床に当たっているということになっております。つまり、この地域枠、それから自治医大の鳥取大学版等々の、鳥取県として加わってきました制度の活用があったればこそ50人余りのお医者さんがこちらで働いているという結果でございまして、まずまずの効果が得られているのではないかなと思います。  これにつきまして、その臨時養成枠、特別養成枠といったあたりにつきまして、これは国の制度が絡んでいますが、それの再要望の時期が来ております。鳥取大学とも協議をしていかなければなりませんが、ぜひこの枠を継続できるように、鳥取大学にも話をさせていただき、また国のほうにも働きかけまして、こうした地域枠の養成事業を継続、発展させていきたいと思います。  そういう中、議員のほうで医師会と医学部長病院長会議のお話がございました。  3点ございましたが、医師キャリア支援センターという組織を考えること、これは有効に機能し得るだろうと思います。今も鳥取大学と私どもで医師のキャリアアップを図っていく、その支援の組織はつくらせていただいておりますが、議員から御指摘いただきましたように、医学部生のその後をフォローしていく、こうしたことをできるのは多分大学でないとできないことだと思います。その大学の先生が入っていただきながら、こうした情報をちゃんと集めて、キャリア支援していきますよという組織というのは魅力があります。  また、臨床研修を原則出身大学の地域で行うようにするというのも、これも大賛成でありまして、議員がおっしゃったように、今、要は実地研修、臨床研修が都会のほうへ流れまして、それがなかなかこちらに帰ってこない、研修時代のときから逃げてしまう。それで、池口先生のところの県立中央病院などもいろいろと工夫をして、前の院長先生のころ、かなり活発に動いたこともあるのですけれども、枠を充足するくらい今は研修医さんが来られるようになっていますが、なかなかこれが鳥取大学も含めて大変でございます。  ですから、そういう意味で、制度的に出身大学のところで研修するというのを原則にできるのであれば、これは我々にとりましても寄与するものだと思います。  また、地域の診療科ごとに必要な医師数を把握する、これも大学との関係になりますけれども、そういうようなことをシステムとしてやっていただくとありがたいということになろうかと思います。  そういう意味で、議員の御提案いただきましたことには賛同をするものでありまして、大学であるとか国であるとか、今このフォローアップは同じなのかということはありますが、注目をし、そして各方面にこうした考え方を申し上げてまいりたいと思います。  次に、専門医制度につきまして、地域医療に十分配慮をするように強く要望すべきではないだろうかと、こういうお話でございます。  これは別に悪気はないのだと思いますが、日本専門医機構さんが専門医を育てるための研修で、臨床の件数が稼げるようなところ、実際に力量のアップにつながるような、そういうところで研修をし、資格を取るシステムを導入しようというふうに提唱をされたわけであります。  これは、ただ、地方にとりますと、人口が希薄なところでは臨床例が稼げません。結局、学生が研修段階で専門医になろうとしてみんな都会に逃げてしまうことになります。この辺の危惧がございまして、強く要請活動を関西広域連合や、あるいは全国知事会でもさせていただきました。  その結果、ちょっと構想にブレーキがかかりまして1年先送りになりました。昨年の末に、また日本専門医機構のほうから新しい考え方が出されまして、現実の研修プログラムを組む際には、都道府県といったような地域も入り、もちろん専門家も入り、その中での協議会組織で意見も聞きながら進めるというようなことになりました。ですから、一定程度、地域の声を反映される仕組みにはなったのだろうと思います。  まだこれは十分動いているわけではなくて、始まったばかりのところでありまして、今後も関係者ともよく話をして、専門医制度の運用に当たっては慎重に、地域のお医者さんの引き離しにならないように、働きかけをしてまいりたいと思います。  次に、診療科の医師不足に対応するために、鳥取大学に東部や中部へ医師の派遣をお願いする、これが筋道ではないだろうかと、こういう点でございます。  これは時々やはり問題が顕在化します。構造的に申し上げますと、県内の医師1,100人余り、ただ、不足数が220人ぐらいおるということであります。これは医療現場の積み上げによるものです。それに地域差が若干ございまして、西部のほうは充足度は高いのですが、東部と中部は7割台でございます。そういう意味で、潜在的に医師不足を抱えている状態が続いております。これはトータルでありますので、診療科目でこれが顕在化すると大ごとになります。  平成24年ごろ、中部のほうでは産科医不足が顕在化しました。打吹クリニックさんが、そうしたお産ができなくなる、それで厚生病院のほうでもお医者さんがいなくなる、そういうことで、ごくごく厚生病院だけがこれを背負わなきゃいけない、そんなことになりました。大分この議場でも議論がありました。助産師さんを活用しようということを始めたり、また、オンコール手当というものをつくってみたり、また、分娩手当ということで、分娩の数が過重になりましたので、そういうものに対して報いるような仕組みをやろうと。県の施策もカードを次々と切らせていただき、鳥大さんのほうにも医師の派遣をお願いしたところでございます。その結果として、平成25年から厚生病院の小児科にプラス1名の配属がふえ、また、平成27年に産科の配属がふえたということになりました。  こういうようなことで、打吹クリニックさんも、また回復をして、何とか切り抜けたということがございましたけれども、やはり診療科が薄いところではこういうようになってしまい、今は専門的なそれぞれのお医者さんがやる世の中になっていますので、非常に深刻な事態をもたらし得るということであります。
     ですから、当地におけますお医者さんの供給主体となる鳥取大学と良好なコミュニケーションをとって、しっかりと今後も要請活動をしてまいりたいと思います。  次に、医師不足が厳しい中山間地の医師確保対策に、住宅や子育ての支援といったことをよくアピールをしていったらどうかと、こういうお尋ねでございます。  これにつきまして、やはり今も自治医大のお医者さんの派遣等が中心となって、地域の病院、智頭病院であるとか日南病院、日野病院、そうした病院を支えているのが現実であります。  この時期になりますと、毎年、病院のほうからこれだけの数のお医者さんを自治医大系で派遣してもらいたいというお話が来るのですが、やはり完全に定数を充足する、要望を充足するまでには人間の数が足りないという状態が続いています。ただ、そういう中で、やはり医師にとりましても、良好な生活環境があれば、そこに勤務してみようということにもなり得るわけです。  先ほど申しました平成20年、21年、22年に、鳥取大学版の自治医大の制度を動かし始めまして、地域の医療に入られるお医者さんが、これからまたふえてくる見込みになります。そうした方々に入っていただくためにも、鳥取県の場合、生活環境のよさ、議員のおっしゃるような点はアピール材料になり得ると思います。  例えば、医師住宅であるとか、それから保育であるとか、この辺はそれぞれの地域でも御考慮をいただいているところです。保育料は他県に比べますと、それは本県のほうがいいわけでありますので、労働環境としては安心して子供を預けられるし、しかも、いわば経費的にも非常にリーズナブルな形で子育てができると。中山間地であれば、子供たちも安全に外で遊ぶこともかないましょうし、そのようないいところを強調するというのが一つの行き方だろうと思います。  また、住宅につきましても、これは過疎債などを活用しながら、医師住宅の確保も中山間地域ではやってきているところでございまして、現に医師住宅のほうに充足もされています。  ただ、まだ課題がございます。例えば、病後児保育等々については、どこの病院でも手当てができていますが、病児保育につきましては、日野郡の2病院がまだできていないところがあったりしまして、こうしたところの働きかけをして、外に向かって、あるいは学生に向かっては、子供を育てる環境が最高な鳥取県の、そうした中山間地で働いてみませんかと呼びかけるようにいたしたいと思います。  次に、新しいがん治療が始まっているわけでありまして、がん拠点病院の医師を県外の医療機関に派遣して、がん治療の今日を学んでもらう、そういう制度をつくってはどうだろうかと、こういうお話でございます。  これには免疫チェックポイント阻害薬と言われるもの、最近はよく報道でも出てきますオプジーボが非常に有効であるというように言われるようになりました。確かにいろいろとお話を聞いてみますと、難しいかなと思った患者さんでいらっしゃった方が、こうした最新の治療薬によりまして、我々ではちょっと前までは考えられなかったような回復をされる、そういう症例、そういう事例に出会うようになりました。大変すばらしいことだと思います。  お医者さん力、そうした新しい医療の力で、鳥取県はがんの死亡率が全国でも3番目に悪いと言われ続けている中で、その汚名を挽回する兆しができてきているのかもしれません。そんな意味で、そうした新しい治療薬等のがん治療を研修してもらうことは大切だろうと思います。  そんな専門医を養成するための研修支援の制度がございますけれども、きょうもお話がございましたので、例えば本県で症例の多い肺がんや胃がんや肝がん、こうした非常に私どもとしてがんの死亡率の足を引っ張るところ、そういう頭の痛い部分につきまして、いわば優先的にそういう専門研修を県外の指折りの病院でやってもらう、その支援を適用していくのはいいことだと思います。  御意見もございましたので、早速そうした運用につきまして、現場の方々ともお話をさせていただきたいと思います。  次に、県立中央病院の救急科の専門医につきまして、公立豊岡病院のほうから派遣をする、それが依頼できないかと、こういうお尋ねでございます。  結論的に申しますと、公立豊岡病院ないし、それと同じようにこうした救急専門医のいらっしゃるところに御協力を求める、これは県のほうももちろん協力して、いろいろと働きかけもしていければなと思います。  現状は、今も御指摘いただきましたように、お一人しか今現場の救急専門医がいないということです。それに外科や内科の先生方が組み合わさって、日中や夜間、そのサポートをみんなでやるというような形で受け入れているわけであります。鳥取大学の救急のセンターのほうは、近年いろいろと事件もありまして、人員の充実も図られてきましたけれども、中央病院は最近はずっと1人で頑張っているという状態が続いています。そういう中で、このたびドクターヘリも本県で導入して、いずれその中央病院の新築も相なり、救急機能の高度化が進められなければならないタイミングになってまいりました。今は工事の関係ですぐにヘリコプターは受け入れられないのですけれども、しかし数年後にはそういうこともございますので、関係先、それから御本人、候補となり得る人にも、池口病院長とも協力しながら働きかけをしていければと思います。  兵庫県の井戸知事にということではあるのですけれども、実は公立豊岡病院は豊岡市と、それから、あれは朝来市の2市が一部事務組合をつくっていまして、昔からこうした但馬圏域での市町村の共同病院であります。ですから、その権限のほうはそちらの市長さんとかのほうにもあります。いずれまたお会いする機会もございますので、こういうようなことでお願いもしているという旨をお伝えしてまいりたいと思います。  ただ、こちらの病院のほうでは京都大学を中心に、いろんな大学の学生が集まってはきているのですけれども、必ずしも人が余っているわけでもないという実情もございますので、豊岡病院以外のところで御協力いただけるようなところもないかどうか探してみたり、また、現実には最後は人でございますので、例えば今、専門医の研修をしているような人、そういう人に鳥取県立中央病院で働いてみないかというふうに交渉をし、実現をするというようなことも試みてみたいと思います。  最後に、訪問看護師につきましてお尋ねがございました。  働き方改革を進めるために、調査をもとに新たな訪問看護師の仕事と家庭の両立策、こういうものの検討会をつくって取り組んではどうだろうかというお尋ねでございます。  これはおっしゃるような方向で、関係者と話をしてみたいと思います。この訪問看護の問題、それから看護師さんの働き方、その環境づくりにつきましては、前田議員からたびたび議会でも御指摘をいただき、そのたびにバージョンアップもしてまいりまして、看護協会を初め、関係者からも御評価いただけたということで、大変に感謝を申し上げたいと思います。  これについては、環境としては、一つは多分保育園の整備や受け皿づくりのことは当然あると思います。これは先般、代表質問の中でも取り上げられていましたけれども、来年度に向けまして348名の受け皿増を今市町村レベルで整えておりますが、そうしたものをしっかりとやっていくことが一つあります。  あと、訪問看護師さんにアンケートをとります。そうすると、その中でいろいろ悩みに思っておられるのは、やはりお一人でお医者様なく行くものですから、実際に医療事故を起こさないかとか、1人で行くということが心配だというようなことが非常に声としては多いのですね、パーセンテージが。そういう意味で、同行して支援をするとか、研修の機会をふやすとか、そうしたソフト対策が大事になってまいります。これについては、平成29年度に訪問看護の支援センターを看護協会と共同してつくるということに今予算をお願いしております。ぜひこういうものを活用して、バックアップができればというふうに思います。  また、人材育成だとか、それから職場環境のことなど、いろんな悩みもあるわけでありまして、こういう訪問看護師の悩みにも寄り添えるようなセンターでの役割に御期待を申し上げたいと思います。  これまでも現場主義で、現場の声で改めてまいりまして、前へ進んできたところでございますので、今後よく訪問看護の方々の声をくみ上げながら、施策に生かしてまいりたいと思います。 ◯副議長(藤縄喜和君)渡部病院事業管理者 ◯病院事業管理者(渡部哲哉君)前田議員から優秀な研修医の確保と最新のがん治療薬への対応状況についてお尋ねをいただきました。  まず、研修医の確保でありますけれども、研修医を確保するために研修内容を工夫する必要があると、これは御指摘のとおりだと思います。  今年度、全国組織であります医師臨床研修マッチング協議会が行いました研修医へのアンケートによりますと、研修先を選んだ理由は、病院の実績や研修指導体制、あるいは研修プログラムの内容が上位になってございます。同様に、研修医に県立病院を選んだ理由を聞きますと、病院全体で研修医を育てようという姿勢があること、あるいは、研修内容を個人の希望に応じて柔軟に対応してもらえること、こういった意見が出されておりまして、全国同様に病院の指導体制や研修内容を重視していることがわかります。  県立病院の初期研修の大きな特徴は、臨床研修制度が始まります20年以上前から始めております自治医科大学卒業生のための研修システムでございます。  それは、初期研修2年後には地域の病院の第一線で活躍できるよう、ほぼ全ての診療科で研修を行って、総合的な診療が行える人材を育成するシステム。これとあわせまして、医師だけではなくて、薬剤師など、部署の垣根がない病院を挙げての指導体制でございます。  この研修システムに加えまして、研修医にも評価されております研修内容を個人の希望に応じて柔軟に対応していること、これが特に工夫をしている点でございます。  通常は、1~2カ月ごとにさまざまな診療科を回るわけですけれども、例えば胃カメラの技術を磨きたいという研修医に対しましては、診療科は変わりますけれども、半年にわたって毎週胃カメラの検査をする機会を設けたり、あるいは研修の一部を、鳥大など他の病院で受けたいという場合には、それを可能にするプログラム、そういった修正ができるようにしているところでございます。  こういった点が評価されておりますせいか、両病院の研修医は増加傾向にございまして、自治医大を除きまして、来年度はこの5年間で最も多い12名を研修医として採用する予定でありますし、また、鳥大出身でも県内出身でもない研修医の採用も実現したところでございます。  今後も優秀な学生に選んでいただけますよう、研修内容の充実やPRに努めて、さらなる研修医の確保につなげていきたいと思っております。  次に、最新のがん治療薬への県立病院の対応状況についてでございます。  県立病院では、お話にありましたがん組織の遺伝子を解析して、その遺伝子に合った分子標的治療薬を使い分ける薬物治療、こういったものや、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬を使用して、もともと人が持っている免疫力を生かしてがん細胞を攻撃する免疫治療、こういったものなど、保険適用になって、その治療方法が確立されている、そういった薬は積極的に使用するということにいたしております。  質問で触れられました免疫チェックポイント阻害剤でありますオプジーボにつきまして、肺がんの患者さんへの適用を例にとって申し上げますと、平成27年12月にこの薬は保険適用になっておりまして、27年度は4カ月間で5名の患者さんに薬を投与しておりますけれども、今年度は1月末現在で35名の患者さんに投与をいたしております。非常に患者さんもふえてございます。  現在、胃がんなどへの適用も申請中というふうに聞いておりますけれども、今後も保険適用の範囲が広がりまして、診療ガイドラインに記載されるなど、治療方法が確立されたものにつきましては、積極的に使用してまいりたいと考えております。 ◯副議長(藤縄喜和君)29番前田議員 ◯29番(前田八壽彦君)御答弁をいただきました。ありがとうございます。  実は、前段の医師不足のあたりについては、11月の関西広域連合議会で私は飯泉委員、徳島県知事と議論をしたのです。そうしたら、ちょっとかみ合わなくて、消化不良で何かもやもやしておったのですけれども、さすが鳥取県の平井知事でございます、安心いたしました。しっかりと医師不足等に取り組んでいただきたいと、このように思っております。  人間は多くの高度に発達した細胞で形成された生物だそうでして、病気になるというのはどうしようもない宿命だそうであります。ですから、私たちは県民の命を守るために、しっかりとこれからも努力をしていくべきではないかなと、このように思っています。  最後に総括的な所見を伺って、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ◯副議長(藤縄喜和君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)前田県議から重ねてのお尋ねがございました。  前田県議がおっしゃるように、人間の体というのは木が立ち枯れていくように、いずれは朽ちていく宿命なのかもしれません。しかし、そういう中、不老長寿を夢見て科学技術が発展をしてきたように、人間の歴史そのものが健康を守るための歴史であったというふうに思います。  ただ、今日、医療が発達をしてきて、いい薬ができたり、お医者さんという職業が体系化されたり、また、それを支えるナースの姿がまちとしては当たり前になってきたわけでありますが、ただ、相変わらずどうしても病む人がいらっしゃる、また、高齢化が進むということで、その割合がふえてくる。これは私の人生、社会のあり方に大きく影を投げかけるものであります。ただ、その辺は地域の力で乗り越えていけることもあるはずでありますし、さまざまなシステムを副次的に形成していけばよろしいわけであります。  そんな意味で、今、前田議員がいろいろと強調されましたように、一つには医師確保のための奨学金の活用だとか、また、大学との連携、それから他病院との連携、それから生活空間をよくすることによりまして、そうした医療人材が活躍しやすい環境づくり、そうしたことなどが、これから鳥取としては取り組みやすいテーマとして浮かび上がってきているのではないかなと思います。ただ、まだまだ道のりは遠く長いものがあるわけでございますけれども、それを看護協会、あるいは医師会、大学、各病院が一体となってやっていけばよいのではないかと思います。  セネカが「健康になりたいと願うことは、健康になることの一部です。」と言っていました。我々は地域を挙げて健康になりたいと願い、そして努力することが健康を守る、その第一歩になるのだと思います。これからも地域の全力を挙げまして医療体制の整備について、我々としての使命を果たしてまいりたいと思います。 ◯副議長(藤縄喜和君)10番島谷龍司議員 ◯10番(島谷龍司君)(登壇、拍手)県議会自由民主党の島谷龍司です。  質問に先立ちまして、今般の豪雪によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く復旧が成ることをお祈りいたします。  けさ、3月に入りまして初めて雪が降りました。昨日は鳥取大学の合格発表があり、また、大学の卒業式もありました。高校生も3月になり卒業し、希望を胸に羽ばたいていったと思います。我々の時代ですけれども、この時期の雪は、3月に入った雪というのは、歌にもあります名残雪、春を告げる名残雪であってほしいというふうに思っております。  若者が夢を持って巣立っていく、そして行く行くは全ての人間が、高齢化していきます。まず親の高齢化の問題に直面いたします。そして、自身の高齢化に直面するという、そういう人生を歩んでいくということになりますが、通告しています超高齢社会を取り巻く課題について質問いたします。  皆さん御存じのように、我が国では少子高齢化が叫ばれて久しく、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の人口は2050年には1億人を、2060年には9,000万人をも割り込むことが予想されています。一方、高齢化率は上昇することが見込まれており、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られており、人類がかつて経験したことのない、世界でも類を見ない超高齢社会に突入することが確実視されています。これは医療の進歩による寿命の伸びとライフスタイルや価値観の変化などによる少子高齢化によると言われています。  昨年6月に平成28年版の高齢社会白書が発表になりましたが、その中でも現在進行中の超高齢社会の課題として、高齢者単独、あるいは高齢夫婦のみという高齢者のみの世帯が著しく増加しており、その結果による地域コミュニティーの弱体化、高齢者の孤立化、認知症や老老介護の問題、交通事故の加害と被害の両面や特殊詐欺などの犯罪被害などが指摘されています。マスコミなどでもこれらの事件、事故が毎日のように報道され、大きな社会問題となっています。  日本には古来より古希、喜寿、傘寿など長寿を喜び祝福する風習や文化があり、私も2年後には還暦を迎えますが、このような状況を鑑みますと、現在は健康に暮らしていても、将来に対し漠然とした不安を覚えてしまい、素直に長寿を喜べない時代を迎えつつあるのではないかと思います。  今後、高齢夫婦世帯及び単身高齢者世帯がますますふえていく状況であり、さらに介護保険制度の改正などにより、高齢者対応施設は実質的に要介護者しか受け入れない状況の中で、圧倒的多数である健常高齢者や少しの手助けで自立できる要支援者の日常生活が大きな課題となっています。  また、要介護等の将来に対する不安の払拭以外にも、建物のバリアフリー化や防災を含めたインフラなどの構造的問題、つながりが弱まりつつある地域コミュニティーの再生、緊急時の安全確保、身近な相談相手など、健常高齢者が安心して暮らせる地域社会の重要性がますます増大していくことが想定されています。先日、「長生きしても報われない社会」という題名の書籍を読みましたが、手をこまねいていては、その題名どおり長生きしても報われない社会が現実のものとして私たちに突きつけられてきます。  本県においても、少子高齢化の進行は国と同様であり、平成29年1月1日現在の速報値で、56万8,775人と全国最少の人口であり、また、住民の半数近くが65歳以上の高齢者という自治体もあるなど、高齢化率も平成26年4月1日現在で全国平均を3.1ポイント上回る28.5%となっています。  また、団塊世代の高齢化に伴い、県内の高齢夫婦世帯と単身高齢者世帯も全国と同様に増加することが予測されており、平成22年の6万9,596世帯が、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年の平成37年には9万3,238世帯に15年間で2万4,000世帯近く増加すると見込まれています。  さらに、認知症の高齢者についても年々増加しており、平成17年時点での約1万2,000人が平成26年には約2万人と10年間でほぼ倍増しています。このような状況を踏まえて、本県ではいつまでも住み続けられる地域をつくるため、鳥取型地域生活支援システムを構築するとして、平成27年度から29年度までの3年間を計画期間として、第6期鳥取県老人福祉計画及び鳥取県介護保険支援事業計画を策定し、鳥取県高齢者の元気と福祉のプラントして諸施策を実行されています。  この計画では、地域と医療、介護を有機的に結びつけて、元気な高齢者が活躍できる場をつくり、高齢者が在宅で生活できる支援体制を確立し、支援を必要とする高齢者へ必要な介護サービスを確保できるようにし、さらに若年性も含めた認知症患者への施策を充実するとともに、高齢者の尊厳と安全を確保するとしており、これらを実現するために不可欠な介護人材を確保するとされています。この計画が本当に計画されているとおり実現されるならば、本県は超高齢社会が今以上に進行しても、先ほど申し上げた長生きしても報われない社会ではなく、長生きして本当によかったと思われる社会になるのではないでしょうか。  私は決して悲観論者ではありませんが、実現のためにはさまざまなハードルが存在し、現実にはなかなか困難な状況ではないかと考えます。しかし、悲観してばかりいては、長生きしてよかったと思われる社会は実現できません。しっかりと取り組んでいかなければならないと思います。  そこで、この計画も策定から2年近くが経過し、計画期間は残るところ1年余りとなりましたが、改めて本県を取り巻く超高齢社会についてどのように対応されようとしておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。  また、超高齢社会における課題は、医療や福祉の領域に限られるものではなく、認知症などによる高齢者の自動車の暴走、高速道路の逆送、高齢者を狙った特殊詐欺の被害、行方不明者や帰宅困難高齢者の問題、高齢者による万引き犯罪の増加など、これまでにない困難な、またさまざまな問題が社会問題として顕在化しており、年々ますます深刻化している現状があります。  これまで高齢者は事件、事故の被害者として安心・安全な生活を送る上で弱者として捉えられることが多かったのですが、先ほども申し上げた自動車の暴走や逆走、万引き犯罪などの刑法犯の増加など、加害者としての側面も新聞報道などで見受けられることが多くなっていると思われます。  安心・安全な社会の実現は、全ての世代を通じて希求されるべきものではありますが、特に高齢者にとっては切実なものとなっており、この点からも警察の果たす役割は非常に大きいと思っています。  もちろん個々の事件、事故については、警察がその都度対応されていることは十分承知していますが、超高齢化の進行で社会問題化している社会不安に対して、警察として予防安全対策の観点も含め、どのように対応されようとしているのか、県警本部長に伺います。  以上で登壇の質問を終わります。 ◯副議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)島谷県議の一般質問にお答え申し上げます。  冒頭、雪のお話がございました。確かにきょうは名残雪なのかもしれません。考えてみますと、ここ最近は地震であり豪雪被害であり、あるいは漁船の沈没であり、いろいろと厳しい事象が重なったものであります。ぜひとも春が本格的にやってくる、それは季節のみならず鳥取県にも春が来ることを願ってやみません。「いくたびも雪の深さを尋ねけり」、正岡子規の言葉でございますけれども、これはどういうことかといいますと、結局、雪の深さ、雪が降っていること、それを子規は見たいのですね。しかし、病気であり、床で寝たきりであると。そういう意味で、雪の深さを何度も何度も尋ねたと、そういうように読み解ける俳句ではないかと思っております。  人間というのは、先ほどもいろいろ御質問がございましたけれども、どうしても体が不自由になってしまったりということがあるわけであり、よわいを重ねると、それは人間の常として、そうした介護を受けなければならない、決して望むわけではなくて、そういう時期もやってくるわけでございます。そんな意味で、安心して住み続けられる社会になるために、議員が今御指摘あったような超高齢化社会、これに対するきちんとしたシナリオなり我々の動きを始めなければいけないのだと思います。  このたび鳥取県の高齢化の比率のデータが出ましたが、30%をついに県全体でも超えるに至りました。こういうような状況になってきまして、待ったなしとも言えるわけでございます。片方で、国のほうの政策転換も始まっています。いずれ放っておくと社会保障負担がどんどん膨らんでしまう、消費税を引き上げるにしても追いつかない。ですから、そういう中で別のシステムを模索しようということが、高齢者の介護の世界につきましても入ってこようとしております。  すなわち包括支援センターを各市町村等で用意をする、それによりまして、いわば支え合いながら地域で生きていく、暮らしていく仲間たちと語らい合い、そして助け合い生きていく、そんな姿をつくろうとしているのだと思います。言うはやすしでございまして、これを現実に動かしていくためには幾つかのポイントがやはりあるだろうと思います。  議員も今いろいろとお話がございました。例えば、ここ本当に10年ぐらいで意識されるようになってきたのが認知症の問題であります。そういう認知症の対策、これは鳥取県の中でも認知症のサポーターが熊本に次いで多い県に今なってきましたけれども、この認知症対策をさらに進めるために、市町村において認知症の初動支援をする専門家チームをつくろうというようにされているわけであります。これはまだ現実に設置が整ったわけではございません。したがいまして、今やらなければならないことの一つに、こういう認知症の専門家の初動のチームをつくる、これを研修であるとか人材養成、それから市町村との協議等を進めなければいけないということがあります。  また、介護と医療がだんだんと融合してくるわけでございまして、例えば病院から福祉施設に移ることのサポート等々もあると思います。そんな全体としてのコーディネートをしていくことが、包括的なケアが地域でできる基礎条件になります。したがいまして、そういう橋渡しができるような環境づくり、これも今年度、来年度と、こうしたときに重点的にやらなければならない課題になってきていると思います。  また、地域でそうした介護のシステムをつくっていくための主導的なリーダー役が欠けているというのも、この議場でもたびたび指摘をされてきました。そうした人材育成の研修をしっかりとやらなければならない。こんな意味で、今年度、私どものほうではこうした地域での包括的なケアを進めるための相談窓口、これを福祉保健部の中につくりまして、こちらからも出かけていって、地域の市町村それぞれにシステムをつくらなければなりませんので、そのお手伝いを始めたところでございます。  また、介護を支える人材がどうかということです。ざっとした推計をしてみますと、今から10年のうちに大体5,000人ぐらい要介護者が県内でふえるという試算になっています。さらに1万人ふえるのが20年後という試算になっております。これに向けていくためには、やはり人材育成をしなければなりません。ただ、残念ながら介護の職場というのはたくさん人が集まる現状にないわけでありまして、人手不足になってきています。  これも代表質問でも取り上げられましたが、そんな中から処遇改善、これを国も今打ち出してきていまして、そういう処遇改善の加算が行われるように、私ども県でも審査をする立場がございますので、そういうことをやったり、また、研修会として施設側の方とのコミュニケーションをとったり、そのようにして処遇を向上させる必要があります。  また、若い介護人材が、最近やはりこうした状況から自分たちも動こうというようになってきておりまして、それを県が今、実は支援をしているのですけれども、例えば介護を受けた御高齢の方からありがとうのメッセージがあります。このありがとうという感謝のメッセージをまとめて世間にPRしていけないだろうか。そういうことによって、若い方々が、やはりこれは聖職だなというふうに感じていただいて、介護人材の世界へ入ってくださるようにできないだろうかということがあります。  また、中高生の実習の中でも、そういう介護の体験をすることによりまして、これは人間性の形成にも役立ちますし、介護人材としての将来の人材確保にもつながるというふうに考えております。こういう事業も今手がけてきたところでございます。  島谷議員がおっしゃるように、いずれ行く道でございまして、そういう新しいビジョンを持ちながら、未来の介護や医療、そうした安心のケアの地域社会をぜひとも希求してまいりたいと思います。 ◯副議長(藤縄喜和君)井上警察本部長 ◯警察本部長(井上悦希君)島谷議員から、高齢者の社会不安に対して、予防安全対策も含めた対応、これについてお尋ねがございました。  本県の最近10年間の治安情勢をちょっと見てみますと、刑法犯認知件数、交通事故の発生件数、死者数はいずれも年々減少で推移しております。  ただ、高齢者にこれを特化してみますと、刑法犯である窃盗のうち万引きの検挙人員中、高齢者の割合が10年前と比較しまして約10ポイント上昇し、約40%になっております。  また、近年、毎日のように報道で取り扱われる特殊詐欺事件について、昨年は25件中14件、56%の被害者が高齢者の方でございました。なお、これを全国で見ますと、全国では約80%弱が高齢者、お隣の島根県では70%弱が高齢者の被害ということになっております。  また、交通事故者数では、高齢者の占める割合がここ10年、約50%前後で推移し、昨年は約65%になっております。事故発生件数では、高齢者が第一当事者となる事故は10年前と比較しまして、全体の約16%から約9ポイント上昇し約25%を占め、過去10年で最高となっております。  では、押しなべて高齢者が窃盗を犯したり、さらには高齢運転者が危険であるかといえば、そうとは言えないのであります。これらを人口比で10年前と比べますと、万引きで検挙された件数は1,000人当たり0.25件から0.21件、横ばいでございます。死亡事故件数で見ますと、1,000人当たりで0.07件から0.03件に減少している、これはいい傾向であると。また、交通事故件数では、1,000人当たり2.7件から1.4件に減少しているところでございます。  したがいまして、大きなトレンドとしましては、治安を数字的に見るとよい方向にあると言えるのかなというふうに考えております。ただ、今後ますます高齢者の方の社会での活躍が期待されますことから、高齢者人口の増加は事故、事件への加害者だとか被害者としても関係してくる可能性は高くなるものというふうに考えております。  高齢者を含めました地域の安全・安心が確保されるためには、地域や家族のつながりによる共助、さらには御近所の力の近助ですか、さらには自治体等との行政や関係機関、団体による公助が重要であるというふうに考えております。  現在、県警としましては、公共の安全と秩序の維持を図るという警察目的を達成すべく、県民の信頼と期待に応える活動を展開しておるところでございます。  具体的には、警察官の姿を見せる活動、さらには交番、駐在所を中心とした、直接顔が見える活動としての訪問活動、さらには安全・安心な生活を送るための注意喚起に向けたタイムリーな情報提供ですとか広報啓発活動、さらには関係機関、団体等と協働しました犯罪防止の機運の醸成ですとか防犯カメラの設置など、犯罪を起こさせない環境づくり、さらには加齢に伴います身体とか認知機能の低下に招来する行方不明等の事案発生時における関係機関との連携、こういったものを推進しておるところでございます。  もとより、県民と最も接する機会が多い警察署、交番、駐在所については、老朽施設の更新を加速させるなど、計画的な維持管理や、さらには各地域での安全センターとしての機能強化を図ることも重要と認識しております。引き続き、県、関係機関、団体や地域の方々と協働し、高齢者の方を含む地域社会の安全・安心を支えてまいる所存でございます。 ◯副議長(藤縄喜和君)10番島谷議員 ◯10番(島谷龍司君)知事、県警本部長から答弁をいただきました。
     まず、県警本部長の答弁ですけれども、高齢者の問題といいますか、犯罪なり事故なり、それが割合としては上がっていくけれども、全体としては下がっているということで、その点については大変安心して、警察の御努力に感謝を申し上げるとともに敬意を表するものです。先ほど少し言われていた警察官の姿が見える活動といいますか、駐在、あるいは交番。本当によく頑張っておられる駐在所や交番もあるのですけれども、交番などは表から見えないようなときも時々あるのですよね。奥に入っていけばおられるかもしれませんけれども、やはり歩いていて、見て、おられるなというので安心すると思いますので、人員的な問題もあると思いますけれども、これについては、ぜひ先ほど本部長が言われたように、見て安心できる地域の警察になってほしいというふうにお願いしておきます。  知事の答弁なのですけれども、地域包括ケアシステムに関して少しおっしゃられておりました。これは先ほど私が登壇で質問したことについて、かなり踏み込んで答弁していただいたわけなのですけれども、この高齢者の生活には介護保険、あるいは生活保護、虐待、成年後見制度などの制度にかかわる国や県レベル、これのマクロ領域での支援というものから、買い物とか通院、そのときの移動の問題、あるいはごみ出しや草刈り、そして先日の大雪でも大変問題になりましたけれども、自宅周辺の雪かき、電球の交換など、本当に細々とした日常の生活全般にわたるような、健常者にとっては何でもないようなものが、ちょっとした困難になると、こういう多様な課題が存在しているという事実もあります。  これらの課題解決のために、先ほど知事が言われた、地域を巻き込んだ地域包括ケアシステムの構築というのは、国も求めておりましたし、当然鳥取県もそれに呼応して、先ほどの計画なりプランを立てられたというふうに理解しております。  このケアシステムを構築する問題については、昨年の9月にも他の議員が質問されて、知事も市町村に対する支援体制を強化すると、先ほども同じようなことをおっしゃられました。国、県の高齢者ケアに向けた取り組みに共通しているのは、先ほど知事も少し触れられましたけれども、自助、互助、共助、公助というこの考え方で、高齢者みずからが介護予防に取り組み、健康寿命を延ばすという自助、それに加えて、家族や親戚、そして地域で暮らしを助け合う互助、介護保険、医療保険、サービスの利用による共助、そして生活困難者への対策として、生活保護支給などによる共助という考え方に基づいて、地域全体でいつまでも暮らせる地域をつくろう、社会をつくる鳥取県にしようという知事の思いだというふうに思います。  ただ、この自助、互助なのですけれども、これがどこまでやれるのかというのは、やはりその地域の力が問われるというふうに思っております。高齢化率の進展や、地域ごとの要支援認定を受けた高齢者に対するサービスの提供のあり方などは、その地域の力によって市町村にばらつきが出てくるのではないかなと危惧されています。  地域によってこのサービスのあり方に余りに大きな差が出てしまうと、そういう支援を受けられたい方は、いいほうにいいほうに考えると思うのです。このことは知事もそうですが、国が理想としている住みなれた地域でという、この目標に対して乖離することになると思われます。  確かにこの地域包括ケアの主体というのは、先ほど知事も少し申されましたけれども、主体は身近な市町村だと私も本当に思っています。私も市の職員でありましたので、その点は身をもってわかっております。でもやはり先ほど申し上げた地域間格差、これは市町村によっては人口も違い、財政規模も違い、そして住民自治組織の密接度といいますか、充実度といいますか、そういうのもやはり地域によってあり方は違ってくると思っているのです。この点において、知事は先ほど申し上げた9月議会でも、この新年度においてしっかりと県下のリード役になるということをおっしゃられました。  先ほど少しそういうリード役のことも含めて答弁されておりましたけれども、他県での例を申し上げるのは非常に恐縮なのですけれども、大分県では要介護認定率が平成23年時点で全国平均より2.3ポイント高かったというふうに記述がありました。大分県の主導によって市町村の取り組みをリードした結果、平成27年度末で0.3ポイント差まで改善してきているという事実もあります。他県のことはどうでもいいのですけれども、やはり市町村の格差といいますか、それぞれの違いがありますので、鳥取県としてしっかりとそれをリードしていっていただきたいなというふうに思っております。  この新年度に対していろんな施策があると思いますけれども、重なるかもしれませんが、再度、知事、どういうふうに市町村をリードされていこうとされているのか、もう一度お知らせいただければと思います。 ◯副議長(藤縄喜和君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)島谷県議から重ねて御質問をいただきました。  今、その理論的なところにつきましては、島谷県議のおっしゃったとおりだろうと思います。基本的には、市町村が高齢者福祉については主役でございまして、この介護の分野も介護保険の制度の管理者も市町村ということになっておりますし、主導的な役割を果たすことは間違いない。  ただ、それよりも恐らく大事なのは、今、自助、互助、共助、公助というふうに分けておっしゃいましたが、その中の互助や共助に当たるところ、そうしたところで、地域の力がこうしたそれぞれの高齢者のケアを左右するところまでくるだろうということであります。多分、国の今目指すところの地域包括ケアの考え方を追求していくと、そういうことになっていかざるを得ないところだと思います。ただ、それをただ成り行きのままでいいのかというと、そうではないのかなと思います。  介護予防も今回のこの地域包括ケアでやはり大きく触れるところでありますが、県内でも介護予防に熱心に取り組んでいる市町村では、今、大分の例がございましたが、要介護発生率が下がってきていると。介護保険の保険料にもこれははね返ってくるわけでありますが、そうしたことが見られる。だからこそ、やはり県を挙げてそのようなことをやってみたらいいのではないかというお考えも出ました。新年度にはそうした介護予防の意味も込めまして、健康づくりのモデル事業というのをやろうと。これも議場でのアイデアを生かしながら、新年度に組ませていただいたところでございます。  地域包括ケアを進めていくときに、それをやはり今のままだと市町村でばらばらになってしまって、レベルの高いところはいいのですけれども、そうでないところを何とか引き上げることを後見役として県もやるべきではないだろうかと、こういう御意見が強くこのたび出されました。それを受けて、県でも新年度にその対応事業を組み始めたところでございます。  例えば、現状を申し上げますと、生活支援コーディネーター、これを各市町村に設置をしなければいけないことになります。こういう方々が中核となって、地域包括ケアの担い手となるような、そういう事業が遂行されるわけでございます。この生活支援コーディネーターが設置されたのが、今年度で7市町村でございまして、来年度でも14だったと思います。  それから、認知症のほうの初動対応をする、先ほどの初動の支援チームの専門員の皆さんでありますけれども、こういうものの設置は現状はまだ3団体でありまして、かなりおくれているという面がございます。  ですから、少し出しゃばることになりますが、県のほうも出ていって、そうしたところの課題が何か必ずあるわけです。その課題を一緒になって解きほぐしながら県内でも先進地がありますし、今の大分のようなやり方もありましょうから、こういうことをぜひやってくれというようなことを呼びかけなければなりません。  先ほどの生活支援コーディネーターでいえば、研修に出てもらわなきゃいけない、そういうことをこちらのほうで促していって初めて全市町村で設置ということになっていくわけでございます。この辺はやはり県としても汗をかいていくべきところではないかというふうに思います。  また、どちらかというと、市町村の域を超えた部分もある。これは先ほどもちょっと触れましたが、医療と介護をつなぐような部分ですね、こういうところは、どちらかというと医療圏ごとに福祉事務所単位である程度やっていかないといけないところだと思います。これができて、それで地域包括ケアのような仕組みがうまく回るようになるわけでありまして、この辺の県の役割もしっかりと果たしていかなければならないと思います。  あと、全県的に介護人材を、どこの市町村のためということではなく、介護人材の養成をしていかなければならない。この辺も広域的な課題として重点的に新年度、取り組んでみたいと思います。こうしたさまざまな事業に今回予算も計上させていただきましたので、またお認めをいただいて、前に進めていただけるとありがたく存じます。 ◯副議長(藤縄喜和君)10番島谷議員 ◯10番(島谷龍司君)知事に答弁いただきました。ぜひ出しゃばりというか、そういうことは全然思わなくて、しっかりともっともっと出しゃばっていただきたいというふうに思います。  もう一つ、もっと出しゃばっていただきたい問題でちょっと質問させていただきます。  子供やひとり親家庭の貧困問題については社会的な認知が進んでおり、その対策も官民が協働して取り組むなど徐々に進んできています。本県においても、日本財団等と協働しながらこの事業についてはやられているというふうに理解しております。  私も1年少し前の平成27年11月議会でこの問題を取り上げまして、その結果、県の積極的な取り組みで子ども・子育て条例の中に対策を具体化され、子ども食堂や貧困の連鎖を断つための対象生徒児童の学習支援事業など、施策として実現されてきています。  子供やひとり親家庭の貧困問題については、その後の議会においても、ほかの議員から何度か質問があり、今議会においても質問される議員もおられるようです。しかし、この子供やひとり親家庭の貧困問題が認知、対応されつつあるのに対して、高齢者の貧困問題は、大多数の皆さんは何となく存在していることは認識されていても、どのような状況なのか実感されていないのが現実ではないでしょうか。この点について行政も同様であると思われ、今回取り上げた鳥取県高齢者の元気と福祉のプランにも、この高齢者の貧困に対する対応は盛り込まれていません。  最近、マスコミ報道や書籍の刊行などで老後破産、老人漂流社会、下流老人など非常に過激な表現を使って、この高齢者の貧困問題が取り上げられる機会がふえてまいりました。登壇でも少し触れましたけれども、超高齢社会の進展に伴って社会からの孤立化による孤独死、認知症患者の増加、高齢者犯罪の増加などの問題が顕在化、深刻化していますが、この超高齢化に伴う多くの問題の根底にあるのが高齢者の貧困問題だと言われています。  最新の高齢社会白書によると、高齢者の約70%が経済的な暮らし向きに心配はないとされているということですが、見方を変えてみれば3割の高齢者が日々の生活に不安を感じながら生きているということです。憲法25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とされていて、公的扶助として生活保護が受けられることになっています。  生活保護受給世帯はひとり暮らしの高齢者世帯の受給が増加したことにより、昨年11月時点で約164万世帯と過去最多を記録し、65歳以上の高齢者世帯が約84万世帯、そのうち単身高齢者世帯が約76万世帯と大半を占めていることがわかります。  鳥取市の例ですが、70歳単身世帯が生活保護を受給する場合、1カ月平均6万9,000円と家賃分最高額1カ月3万2,000円を支給され、医療費や介護費用は免除されます。しかし、現実として受給資格がある高齢者が全て公的扶助を受けているわけではなく、満額で月6万5,000円の国民年金のみで家賃や医療費を支払い、日々の生活を切り詰めながら暮らしている高齢者も多くおられます。満額で月6万5,000円ですので、何らかの事情で現役世代で国民年金を払い込んでいなかった高齢者は、それ以下の年金額か、あるいは全くない無年金で、貯蓄などを取り崩す生活を強いられている方も現実に存在しています。  私たちが生活しているこの鳥取は田舎です。ちょっとした農産物のお裾分けや自給自足、私が住んでいるような漁村部では魚のお裾分けなど、地域でのつき合いで貧困状態が目立たないこともあるかもわかりませんが、実態として貧困状態で生活している世帯もあるのも事実です。  しかし、このようなインフォーマルな自助や互助には限界があります。抜本的な対策が必要ではないでしょうか。もちろんこの問題は根深いものであり、一朝一夕で解決するものではなく、また、本県だけで対応できる問題でもありません。国はもちろん、地域全体で取り組むべき問題ではありますが、県としても何らかの対応をすべきだと私は考えますが、本県における高齢者の貧困の現状と、このことについてどのようにお考えなのか、知事の所見をお伺いいたします。 ◯副議長(藤縄喜和君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)島谷県議から、貧困につきましてお尋ねがございました。  これは国全体で所得格差が広がってきているわけでございます。ジニ係数を見ますと、ここ10年で、かつて0.5ぐらいだったものが、今は0.57まで上がってきています。顕著に上がってきていると言っていいと思いますし、相対的貧困率も18%と上がってきています。  高齢者につきましても同様のことが見られるわけでありますし、本県のような、先ほど地方部のお話がございましたけれども、地方部においてもそうした傾向は出てきています。統計を見てみますと、65歳以上で生活保護を受給されている世帯の割合、これが国全体ですと3%近い2.9%であります。本県は現状は1.8%ぐらいで、国全体よりは低い格好になっていますが、それでもじわじわと全国でこの比率は上がってきているのです。全国と同じようにじわじわと上がってきて、今1.8まで上がってきているというように読み解かなければなりません。  また、先ほど独居の方の割合のお話もございました。本県は独居の割合は全国ほどはないのですけれども、こうした中に、今おっしゃるような、実はなかなか年金の中でどうやって医療費を捻出していこうかとか、そうした厳しい状況にあるお年寄りがふえてきている状況は読み取らなければなりません。  本県は、先ほど、自助、互助のお裾分けのお話がございました。同居率が高いのですね。同居率が高いものですから、その貧困世帯、先ほどの1.8%で他よりも小さいというようなことは、多分そういうのも影響していると思います。  また、地域において、そこそこお年を召しても実は農業所得が若干ではあれ、あったりしますし、そういう助け合いのことで見えにくくなっているところがあります。ただ、そういう中でも、やはり都会ほど数は多くないにしても、何らかのサポートが必要なお年寄りが出てきています。  そうした場合に、今、成年後見制度ですね、これを活用しながら対策をとるであるとか、いろいろと動きも最近は県全体で出てきているところでございますが、市町村が現場で生活保護のことも伯耆町以外は全部されていますし、そうしたことで生活保護の対象者の把握であるとか、身近なことも市町村の窓口がございますので、市町村と連携しながら、そして対処法を考えていかなきゃいけないわけです。  例えば、例を幾つか挙げますと、北栄町のほうで家計の問題があって相談に来られたお年寄りがいらっしゃる、結局そのお年寄りと向き合いながら、その課題を整理していく、そういう中で債務整理を行ったりします。こういう法的なことも含めて、現場のほうで地域でケアをして、お年寄りが自立的に暮らしていける、そういう足がかりをつくる。  あるいは、最近はやりのごみ屋敷といわれるものがありますけれども、ああいう状況になったお年寄りが智頭町にいらっしゃったと。その智頭町のケースでは、そちらの御家庭のほうに智頭町の職員が相談に入り込んでいって、の処分であるとか、また、ファイナンシャルサポートであるとか、また、最終的には転居のことも含めてお世話をした、こういうのが実は市町村が一時的な窓口になりまして、最近もこうした例がいろいろとあるわけでございます。いわば円滑に動きやすいようなシステムづくりが必要であります。  そこで、新年度、今我々として考えているのはファイナンシャルプランナーに入っていただいて、それでそうした立ち直りといいますか、自立に向けたサポートをしっかりとできるように体制を組んではどうだろうか、これを新年度新規事業の中で考えようとしているところでございます。  また、それから成年後見制度、これも東・中・西に拠点がございまして、その後見制度の予算もふやして、今、相談件数もふえてきているものですから、そういうものに応じられるような体制づくり、これを県レベルでもサポートをしていく、このような手も講じていこうと思います。  今、きょうも御質問がこうしてございましたわけでありまして、実は新年度、鳥取県高齢者の元気と福祉のプラン、これの改定時期に入ります。そのときに、前は子供の貧困の問題で子育ての計画の中にこうした分野を盛り込みました。高齢者についても同様の状況を考えなければならない時代だと思います。  島谷議員の御質問の趣旨を反映させていただいて、その鳥取県高齢者の元気と福祉のプランの中に、こういう高齢者の貧困ということも一つのカテゴリーとして、市町村や現場の声も聞いてまとめていきたいと思います。 ◯副議長(藤縄喜和君)10番島谷議員 ◯10番(島谷龍司君)知事から再度答弁をいただきました。  この問題といいますか、こういうことについての知事とのベクトルは全く一緒だと思いますので、ぜひそれを推し進めていただきたいというふうに思います。  ただ、ベクトルが同じ問題はたくさんあるのですけれども、きょう突然、知事のほうから県立美術館の問題の表明がありました。我々は議員として、二元代表として知事の提案されたことに対して一つ一つ議論をしていく立場にあります。最近、半年ぐらい東京のほうで豊洲の問題がよく取り上げられておりますが、先日、前の前の知事が、みんなで決めたんだから私の責任ではないというようなことも言われておりました。平井知事は全くそういうことはないと思いますし、御自身の判断と、それで我々もそれに議論していきたいと思っております。ぜひこの議論の場を有効に使っていきたいと思います。  先人の言葉に「速やかならんを欲するなかれ、小利を見るなかれ。速やかならんを欲すればすなわち達せず、小利を見ればすなわち大事成らず」、拙速な結論ではなく、しっかりと我々と議論していきながら結論を出していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ◯副議長(藤縄喜和君)暫時休憩いたします。  午後3時15分より再開いたします。        午後3時00分休憩    ────────────────        午後3時15分再開 ◯議長(斉木正一君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  2番坂野経三郎議員 ◯2番(坂野経三郎君)(登壇、拍手)豪雪被害により、お亡くなりになられた方、お悔やみを申し上げ、被災に遭われた方へお見舞いを申し上げまして、大雪対策について質問をさせていただきます。  まず、本質問で農業被害についてお尋ねし、追及質問で道路除雪状況などについてお尋ねをいたします。  さて、鳥取県中部地震からの復旧に全力で取り組んでいる中にあって、1月23日及び2月9日からの、いつまで降り続くのだろうかという豪雪により、県内の農林水産業に対して11億円を超える多大な被害が発生をいたしました。  中でもビニールハウスの倒壊被害が突出しており、644棟、8億6,000万円を超える被害が確認されております。これらに対して知事みずから現場を歩かれた姿は現場の方にとって力強く、また、迅速に対策を打たれたことは非常に高く評価されると考えます。  さて、ビニールハウスに次ぐ被害額は、白ネギの約9,300万円となっております。農畜産物の全体の被害額は約1億1,100万円であり、実に被害額の84%が白ネギに集中しております。その中でも、県内の各JAにお話を伺ったところ、JA西部では通常規格と雪害規格のネギに価格差はない一方、JAいなば及びJA鳥取中央では、通常規格と雪害規格のネギでは1割から2割程度価格が低下しているとのことでありました。  また、JAを通さずに直販をされる農家さんも雪害ネギによる減収に頭を悩まされており、減収分を何とか県に後押ししてもらえないだろうかとの声を伺いましたが、この声を知事はどのように受けとめられるでしょうか。御所見をお伺いいたします。  次に、子供の貧困対策についてお伺いをいたします。  1月21日に、6人の仲間とともに大阪の「にしなり☆こども食堂」を訪ねてきました。そこでヒューマン地域振興協会の川辺さんから、「こども食堂から始まる地域のつながり」という演題でお話を伺い、意見交換をさせていただきました。  6人に1人の子供が貧困状態にある、満足に食事が食べられない子供たちに、おなかいっぱい食べさせてあげるにはどうしたらいいのだろうか、そのように、子ども食堂は貧困対策と考えていた私にとって、ここは育ちの場です、育ち直しの場です、そう話す川辺さんの姿は非常に新鮮でありました。川辺さんは、年代の幅広い子供たちが集まっていろいろな話をする、貧困状態にある子供は半分ぐらいではないだろうか、地域のつながりが薄くなっている中で、こども食堂を通じてもう一度地域コミュニティーを確立させたい、そうおっしゃる姿に私も非常に共感をしました。  また、子供たちにとっても、あそこの食堂に通う子供は貧しい家の子だと思われるのが嫌で、子ども食堂に行きたくても行くことができないという状況をつくり出してはならないと考えます。  私は子供の貧困対策として語られることが多い子ども食堂ではありますが、育ち直しの場であるとか、地域のコミュニティーの確立の場としての子ども食堂を目指すべきであると考えますが、知事の所見を求めます。  また、福祉保健課による「子どもの居場所づくり」推進モデル事業が新たに新年度予算案に盛り込まれており、非常に高く評価をしております。初期経費400万円、運営費550万円となっておりますが、私は子ども食堂は貧困世帯だけでなく、あらゆる世帯が来ることができる間口の広い持続性のある食堂であるべきだと考えています。  そうであるとすると、賃金や食糧費まで支援をすると、補助が打ち切られた際の事業継続ができるのか、また、あらゆる世帯に食糧費まで補助するというのは行き過ぎではなかろうかという2点を考えますと、運営費補助について疑問が残る点がありますが、知事はいかにお考えか所見を求めまして、壇上での質問といたします。 ◯議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野県議の御質問にお答え申し上げます。  まず、雪害につきましてお尋ねがございました。白ネギの雪害被害について、これの後押しについてどう考えるかということでございます。  白ネギにつきましては、どうしてもこの季節、雪がかかりますと葉折れという被害が生じます。雪が降った分だけ、どうしてもネギが折れるということであります。もちろん白ネギでありますから、全部その葉っぱを食べるわけではございませんので、どうせカットして出荷をするわけでありますが、その出荷の仕方もままならない状況が生まれる、これが今回の状況でございます。  平成22~23年ごろ、実は同じことを経験していまして、あのときも、その出荷の仕方を工夫しようと、雪害規格で売ることにし、それを市場のほうに持ってまいりまして、市場のほうでも御協力いただくようにいたしました。今回もそういう思いつきがまず最初に浮かびまして、それをしたわけでございます。  結果どうなったかといいますと、今回、雪害の規格として葉っぱの数を変えたり、場合によっては、重度の場合は長さを変える規格というのも出荷をするわけでございますが、こういう雪害規格で出荷したとき、坂野県議がおっしゃるように、確かに普通の規格よりは値段的には弱含みになります。ちょっとこれはどういうことかというと、多分全体として国内の需要の問題があるのだと思いますが、近畿地区で出ているような平均価格との関係でいいますと、実は雪害規格でも圧倒的に高く売れています。  実は国全体の制度として、野菜の価格安定制度というのがありまして、これの適用を狙っていったわけであるのですけれども、ひょっとすると、その価格安定制度に頼らなくてもいい値段になっているという状況なのかもしれません。  ただ、あともう一つの課題は、こういう何かしら規格を変えてでも出せるものはいいのですが、全くの規格外になってしまって、あとは出荷できないという、いわゆるわけあり品であります。このわけあり品などをどうするかというのが次の課題になります。  このわけあり品は、例えばわけあり品として出すことの販売促進を県で応援しようということにいたしました。実はJAいなばさんですと、93%ぐらいは出荷できました。残り7%がわけあり品ということになるわけでありますが、これは加工品用に使ったり、それからあと、実はこういう事業の一環なのですけれども、東京のほうの「ももてなし」というとっとり・おかやま新橋館のアンテナショップでこれを売らせてもらおうということにしまして売ったところ、しっかり売れたのですね、東京で。また、稲田屋さんがあそこに関連していますが、稲田屋さんの系列のところでも引き取っていただけたりしまして、そういう意味である程度はけてきたというのが、きょう現在の状況になってきております。  また、これはこういうJAの系統以外のところでも、例えば田中農場さんのようなところ等々があるわけでございますが、そうしたところでも県のほうのこの規格外品、わけあり品の出荷支援の政策を活用したいというお話も来ておりまして、こういうもので何とか応援できないかなと思っております。  あと、同じような災害が起きないようにということでいえば、今回も山間地のほうにおきまして、ネギの畝のところにロープを通しまして倒伏を防止するという対策をとったところ、支柱自体が折れてしまうケースもあったのですが、そこがしっかりとできていれば大丈夫だったというのが今回わかってきました。農家の中には、この太目の支柱にして、それでまた次の雪のシーズンに備えてみたいという農家さんも出てきております。この辺、支援制度を使って、これから雪に強いネギづくり、その意味でも応援を新年度に向けてやってみてはどうかなと考えているところであります。  一番いいのは、雪が降る前に出荷することでございまして、実はJAいなばさんはそういう戦略でことしやっていたのですが、残念ながらその前にどか雪が来てしまったということのようです。  次に、子ども食堂につきましてお尋ねがございました。  一つには、育ちの場、地域コミュニティー確立の場として、この子ども食堂をぜひ拡大していくべきではないかと、こういうお話でございます。またあわせて、そのモデル事業での助成のあり方についてお尋ねがございました。  詳細につきましては福祉保健部長からお答えを申し上げたいと思いますが、この鳥取市内でも、とっとりこども食堂さん、これは市の社協と連携しまして運営をされているわけでありますが、非常に定着もしてきて、広がりも出てきているところでございます。また、各地にもこうした子ども食堂が生まれてきて、14という数字も見えてきているぐらい、急速にここで拡大してきております。  県としてはモデル事業も組みまして、市町村におけるこうした設置を応援しようというようにさせていただいているところでありまして、ぜひ新年度以降もこの動きを強めていければというふうに思っております。  費用については、そういうモデル事業でございますので、運営費補助ももちろん入れて組ませていただいておりますが、実情を申し上げますと、例えば野菜だとかお米だとか、そういうもの、食材につきましては、持ち寄ってこられるボランティアでやっているのが常であります。ただ、場所代であるとか、それから正直スタッフ代ということもあります。その辺については、この補助の制度の対象になっている。実際使っておられるようであります。食料分は結構その対象外といいますか、要は、それは自分たちで持ってきてしまうので間に合っているというようなことが主流のようです。  これはもともと豊島区で始まったものでありますけれども、そういう一つの子ども食堂のパターンがありまして、何から何まで補助金で買ってやっているというわけではないという実態になっておりまして、その辺が非常にいいところではないかなと思います。つまり、支える人たちの気概と、それから志があってやっているわけでありますので、それが本当の意味で子供たちの居場所になり、あるいは地域の一つのコミュニティーづくりにも役立つところであります。  今後もこのモデル事業は当面継続しようと、これは実は現場のほうから継続を要請されていまして、当面継続という方向で今考えたいと思っておりますが、きょうの御議論も含めて、補助金の仕組みの適正化といいますか、あり方につきましては、見直すべきところがあれば見直しをしてまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)藪田福祉保健部長 ◯福祉保健部長(藪田千登世君)では、私から、子ども食堂の目指すべき方向等につきまして補足の答弁をさせていただきます。  本県でも平成27年度から取り組みが始められておりまして、現在では、知事も申し上げましたように、市部を中心に14カ所で運営されております。いずれも貧困家庭に限定せずに全ての子供を対象としておりまして、例えば県内でも早期に開設されましたとっとりこども食堂さんでは、その思いといたしまして、家庭丸ごと支援を意識しているということでございます。大体1年余り経過いたしまして、大人が寄り添い続けることで、例えば不登校の子供さんが毎回来てくれるようになったですとか、何げない会話を大切にしながら関係づくりをすることで、子供が少しずつ家庭や学校での悩みや不安を話してくれる。そういった効果もあらわれているところでございます。  また、今年度開設されました倉吉こども食堂テラハウスでは、地域交流拠点として地域を元気にしたいという思いで開設されました。ほぼ1年たちまして、ここは親子だけではなくて団らんを楽しみに手伝ってくれる単身高齢者もいるというような効果も出てきているようでございます。  このように、地域の女性や高齢者、大学生などがボランティアとしても運営にかかわるなど、地域のコミュニティーとしての機能とともに、また多様で多年代の大人との継続的な交流を通じた子供たちの育ちを支える場となっているのは確かであると思います。  さらには、子供やその家庭が抱える問題に気づいて、解決に導いたり必要な支援へとつなげるアウトリーチの場としても大切だと考えておりますので、先ほどのモデル事業の推進ですとか、あるいは子ども食堂の活動団体や支援機関とネットワークをつくり上げて、情報交換や課題解決に向けて話をしていく。そういった場も設けるとともに、またシンポジウムなどでも県民の皆様にこういった活動を広くお知らせしてまいりたいというふうに考えております。  次に、モデル事業の運営費について補足の答弁をさせていただきます。
     このモデル事業は、もともと継続的な大人との関係づくりとか、市町村や学校等との連絡会を設けるなどによりまして、支援の充実に努めることを補助要件としておりまして、関係機関と連携をとりながら進めることで、今申しましたアウトリーチ機能を高めるなど、子供や家庭へのきめ細かい支援につなげていこうという趣旨で制度化したものでございます。  例えば実際の運営におきましては、先ほども知事からもございました、野菜や米はほぼ寄附ですし、それから例えば食堂を活用してやっておられる子ども食堂でも、母体のその食堂で募金をされて、それを寄附金として運営に充てられたりということもあるようでございます。大体がこういったやり方で、寄附を募って、ボランティアが持ち寄ってやるという形をとっておられます。  主催者にお伺いいたしますと、行政からの助成は地域の力を弱めてしまう気がすると。でも、運営は厳しい。長く続けたいので、無理のない範囲でやっていますというようなお声を伺っております。こうした思いも酌み取りながら、何とかやりたいと考えていらっしゃる方々が経済的なネックで踏み出せない、そういった場合もあることと思いますので、こういったモデル事業でその最初の一歩を踏み出しやすくさせていただいているものでございます。主に人件費や家賃を想定したものでございますので、議員の御意見もございますので、必要であればこういった中身につきましても見直しをしてまいりたいと考えております。 ◯議長(斉木正一君)2番坂野議員 ◯2番(坂野経三郎君)白ネギの価格につきましては、野菜価格安定対策事業にのることができないほど高い水準で推移しているということでありまして、安心した部分があるわけですけれども、価格は変わっていきますから、この価格を注視してしっかりと対策を打っていただくような体制もしっかりと整えていっていただきたいというふうに思います。  続いて、除雪のあり方についての質問をさせていただきたいと思うのですが、今回の除雪、豪雪ですね。33年ぶりの豪雪ということでありまして、私が今33歳ですから、いかに大昔の話だったのかということがよくわかるわけでありますが、今回の豪雪を受けて、60代か70代の方がわざわざインターネットから私のホームページを見て電話をしてくださったのです。その方が何をおっしゃったかといえば、除雪車は今どこにいるのだと。いつうちの近所をかいてくれるのだと。こういう問い合わせだったのです。多くの県民の方にお話を伺っても、除雪のあり方、これに対して意見をお持ちの方が多くいたように思いますが、一方で、県は、知事を先頭に24時間全力でこの対策に当たられました。建設会社の方にお話を伺っても、社長みずからが2日間徹夜をしてこの対策に当たったという方もあったのです。県も建設会社も全力でこの豪雪対策を実施していた。しかし、一方で、それが十分に県民に伝わっていなかったと。こういう現状が私はあったのだと思うのです。  この現状をいかに解決していくか。これは私は県の情報発信のあり方、これが大きな課題、これが鍵を握っていると思うのですね。そうであるならば、この除雪のあり方をいかにして県民に情報発信していくか。  新潟県上越市に非常に参考になる例がありました。議長からお許しをいただいて議場配付させていただいている資料がありますので、まずこれをごらんいただきたいと思うのです。  新潟県上越市では、市が保有する除雪機、また建設会社に委託している除雪機、これら約450台全てにGPSをつけまして、この除雪機の動きをリアルタイムでインターネット上にグーグルマップに落として公開をしているという取り組みをされているのです。これは、もちろんこの上越市市民だけでなくて、世界中の誰もがリアルタイムで見ることができる。これが本日資料にお示しした内容なのですが、これのすばらしいのが、9時間前から1時間置きに色を変えて、1時間ごとにどこを経由して除雪機が走っていったかというのが1時間置きに見ることができる。これは非常にすばらしい取り組みだと思うのです。この対策室の担当者にお話を伺いましたら、このシステムを導入してから、市民からの問い合わせが格段に減ったというのですね。さらに、これは市民が見えるだけでなくて、除雪担当者もリアルタイムで見ることができるわけですから、除雪に対する業務効率が格段に上がったと。こういうお話を伺うことができたのです。  ぜひ今回の豪雪の教訓を生かして、次年度から鳥取県内でも、このGPSの対策を生かした除雪のあり方、これを検討していただきたいというふうに思うわけでありますが、知事の御所見を求めます。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野議員から重ねて除雪につきましてお尋ねがございました。33年ぶりの豪雪ということであり、坂野議員のお年と一緒ということを伺いまして、坂野議員はそんな昔とおっしゃいましたが、私から見ると、そんな大したことないなと。まだ33年しかたっていないのかというぐらいに思えるぐらい若々しい坂野議員でいらっしゃいます。  いずれにいたしましても、この除雪について、一つは情報の問題をどうするか。これは、今回も大分問い合わせもございまして、私どもも正直悩ましいところであります。我々もそうでありますが、多分、市役所、町役場はもっと忙殺をされて、生活道路のほうでありますから、なかなか難しい苦情も多いのではないかと思います。私の妻もぶうぶう言っていましたのは、知事だというのに家の前の除雪ができていないと。あそこは市道なのです。昔は知事がいるところはちゃんと最初にかいたものだとか言うわけですね。多分うそだろうと思いながら、言うのですけれども、でもそういうことのいろいろと苦情は出てくるわけでございまして、私が、では圧力をかけるわけもなく、そのまま放っておくわけでございますが、そういうようなことがやはりあるわけで、非常にお問い合わせマターというのは難しいです。  今、上越市のシステムの絵を見せていただきましたが、むしろ正直に出ているのに非常に驚きました。詳細に地図を拝見をしますと、青い線が入っていない道路が幾つもあるわけですね。要は、生活道路といっても、もう中のほうはもし必要なら先に自分たちでやってくださいと。幹線からかいていますからということをあえて市役所が見せているところに感銘を受けました。これが、正直なところですね、これで多分おさまるということなのですよね。問い合わせが減ったというのが本当であれば、もっと住民を信頼したほうがいいのかもしれません。ちょっと発想の転換かもしれませんので、市町村にもこういう考え方でやっているところもありますよというのは、これは雪の会議もありますから、お見せをして、よろしければお尋ねもさせていただきたいと思います。  県のほうはもっと幹線をかきます。だから、あれとはちょっと違った絵柄になるわけでありまして、現場の抵抗感は確かにあるのですけれども、ただ、現実を申しますと、今、鳥取県の除雪体制は携帯電話を活用して、GPSでどこに除雪機が回っているというのは、作業現場のほうは把握できるようになっています。これで実はその除雪の手配などの合理化につながっていまして、私どもの除雪作業の効率化にGPSを役立たせていただいております。これをそのままグーグルマップに落とすのは結構お金もかかるかもしれませんし、難しいかもしれませんが、県のほうの除雪の状況についてお知らせできるようなデータは、実は我々は今回の豪雪時にも収集をしていたというのが現実であります。  ただ、ではどういうことが役立つような情報で出せるのかとか、それからそれを出すためにまたえらいお金がかかってもちょっとなんなので、そうしたことをある程度簡便な形で提供できる情報があるのかどうか。それは県のサイドでもまた検討させていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、皆さん情報もないまま、とにかくこのままでは動けないというところで、なかなか不満もたまったというのが片方でありましょうから、場合によっては今の議員のようなお考えもあり得るのではないかと市町村とも話し合ってみたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)2番坂野議員 ◯2番(坂野経三郎君)市町村と話し合っていただけるということで、どのような形で住民に対して除雪の状況を提供できるのかという観点に着目をして、ぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思いました。  続いて、その除雪対策についてでありますけれども、このたびの大雪で公共交通機関も大変な混乱を起こしました。その結果、病院に行けないとか、買い物に行けないという住民の方が多く見受けられたように思うのです。私も歩いて近くのコンビニに行ってみますと、そのコンビニには弁当もない。こういうような状況だったのです。その物流がもう途絶えてしまったということで、非常にこれは大きな課題だというふうに私は思いました。何とかこの物流をとめていかない、あるいは買い物に行ける、病院に行けるという体制づくりをつくっていかなくてはいけない。私はこのように強く感じたのです。  その中にあって、私も実際、車に乗って動いたわけなのですけれども、鳥取市内は大変な渋滞でありました。なぜその渋滞が起きるのかなと思って走ってみますと、交差点のたびに、信号が青になっても進まない。交差点で赤になったら当然進まないというわけなのですけれども、なぜ青になって進まないかといえば、右折専用レーンや左折専用レーン、このレーンも豪雪の影響で除雪し切ることができずに、右折専用レーンもなくなり、左折専用レーンもなくなって1車線みたいな形になって、左折する車、右折する車、直進車が1つの車線にとどまってしまったということが大きな原因の一つだったと思います。  さらに言えば、交差点内で左折をしようとすると、目の前に大きな雪の塊が出てくると。こういう状況が発生したと思うのです。それはなぜかといえば、県道は県道で除雪をすれば、その除雪をした雪の塊が市道のほうに出てくるわけですね。その状態で放置されると、そこを曲がろうと思っても大きな雪の壁があらわれてくると。こういう状況で、市内ではそこの交差点を曲がる際にスタックしてしまう車が多く見受けられたり、あるいはその雪の壁、段差にバンパーをぶつけてバンパーを壊すというような、そういう事例も私は直接目にしたわけなのです。  そうしますと、この交差点における除雪のあり方を改善していかないと、この交通渋滞というのは解消できないと、私はそう思ったのです。そうしますと、やはり除雪の基準のあり方の一元化、こういうことに取り組まないと、スムーズな交通の流れというのは確保できないと私は思ったのです。例えば具体的に言えば、きょう午前中の福田議員の質問で、県の除雪のあり方の基準を10センチから5センチに下げてもいいのではないかというような知事の御答弁がありまして、建設業者の話を聞いてみますと、除雪基準について大変に不満を持っていらっしゃる業者が多い中で、非常に知事の答弁というのは心強い答弁だったと思うのです。では、県が除雪出動基準を5センチに下げました。鳥取市は15センチなのです。このあたりの基準を一元化していかなければ、この渋滞解消、交通道路状況のスムーズな流れというのは、私は確保できないと思うのです。  そこで、今回知事に御提案したいのは、除雪を一元化していくということなのです。その交差点での大きな段差がなぜ生じたかと建設会社に聞いてみましたら、後から除雪に入った業者がきれいにするという取り決めがどうもあるそうなのですが、現実としてはそれは機能していなかったのです。そうであるならば、例えば県は県で県道を業者にお願いする。市は市で市道を業者にお願いして、こういう交差が生まれるのですが、例えば県から市に委託をして、市から県道も市道も一括して一元化して、一つの業者に責任を持ってやってもらうということで、この渋滞の解消はできるのではないかというふうに私は思いましたので、この除雪のあり方についての一元化、ぜひ知事に御提案をしたいと思うわけですが、知事の御所見を求めたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野県議から重ねて除雪のあり方につきましてお尋ねをいただきました。  交差点は確かに悩ましいところになります。実はこれ、平成22年から23年のときも問題になりました。県とか国とか、結構一生懸命、割と早く当時かいたものでありますが、なかなかその米子市や境港市のケースと合わないものですから、今おっしゃったようにダムができてしまうような形で、生活道路に入るところに行けないということがございました。もちろんこれ、時間がたてば解消するわけです。市道の除雪もだんだん動いていけば、全体としてはなくなってくるわけでありますが、時間差はあるので、その時間差が長いと渋滞の原因になるわけです。  議員がおっしゃったように、実は暗黙のルールといいますか、取り決めがございまして、これは道路管理者間の話ということだろうと思いますが、先発の除雪が入りますと、あと後発が入る。これが交差点をまたぐことになる。そのときには、先発はかいておくと。後発が入ったときにそれをきれいに交差点内の雪を除去すると。これが実はルールなのですね。この想定は、今回のように豪雪があって、鳥取市がとてもではないけれども回れないというようなことを実は想定していないのだと思うのですね。圧倒的に時間差があいてしまって、ふだんであれば、さっとかいていって、それで効率よく時間も早く幹線道路が行く。それですぐにその支線に当たるような町なかの道路が行く。余り時間差もなくこれが解消していって、スピードを落とさずに除雪ができますから合理的なのですけれども、ただ、これが今回は、こちらの生活道路のほうが追いつかないものですから、なかなかうまくいかなかったということになったのだと思うのです。  これから次の雪のシーズン目指して改善を話し合っていくわけでありますが、ちょっと事務的に今検討してもらっているのは、この交差点のルールのあり方を国、県、市町村で話し合ったときに変えていくことはできないだろうかということです。例えば、先行して除雪をするときに、その出口を塞ぐほどにはしないでおくと。つまり、板の角度の調整で、それで出口を塞ぐほどにはならないようなかき方で先発は行くと。それで後発が後からかいていくというようなやり方もできるのではないか。それで最後は全部きれいに取ってもらうことにしてもですね、そういうようなことも一つの解決策としてあるのかもしれないとも思います。  今おっしゃったような何センチの出動基準ということがあります。先ほど申しました5から10センチという基準で、10センチだけということでなくて5から10センチぐらいの緩やかな基準ということにしてはどうかというアイデアを申し上げたのですが、これが、ただ幹線道路と生活道路で完全に基準が合うかどうかというのは、正直わからないですね。難しいかもしれません。その生活道路のほうの雪のかき方は、今も結構荒いわけでありまして、なかなか幹線と一緒ということにはなっていない現実もございますので、この辺のすり合わせは課題があるかもしれませんが、少なくともその交差点の雪のかき方の工夫ぐらいはできないかなという気がいたします。  あと、抜本的には、除雪のやり方を変えることですね。面的な除雪のほうが合理的ではないだろうかというように私なども素人だから思ってしまうわけです。そうしたことを現実にやっているのが日野郡でありまして、日野郡ではもともと連携・共同協議会というのがあり、今、自治法上の連携協約でやっているわけでございますが、これは町のほうに我々のほうで県道、それから3桁国道を委託をしてしまうと。町のほうが一元的にそれをかくというようにする。業者は、いわば県の委託を受けた町の立場と、町の立場と、2つの立場で契約をするわけでありまして、もうこのエリアは交差点だ何だも問わず、何か一筆書きのようにかいていくと。こういうかき方を現実に始めたのですね。実は地元では非常に評判がいいです。出動のタイミングも、多分地元のものでありますから、わかりがいい。根雨のほうから日南の奥のほうの、奥と言ったらちょっと内田議員に叱られますからちょっと修正します。そういう日南のほうとか、いろいろと土地カンのあるところ、ないところがありますのに、それを別々の人がオーダーするよりも、役場の人が一元的に指揮をして、業者が出ていってやったほうが多分効率がいいわけです。  これをもっと広げられないかなというアイデアでございまして、今回困った市町村も結構あると思いますので、坂野県議の御提案もございましたが、こういう日野郡方式ですね。こういうようなことをもう少し広げられないかなというのを相談してみたいと思います。  あと、実は今回2回に分けて豪雪が来ました。同じようなことが続きまして、その間でいろいろと現場で我々も話し合いながら工夫をしていったことがございます。例えば、今回後半のほうは市の除雪が、やはり鳥取市内は追いつかなかった。そこに国が応援に入る。これは非常に異例なことです。国のほうの除雪が市の道路のほうへ入っていく。私どものほうでも、例えばこの近くでも、市道の部分があるのですけれども、市道の部分に県の除雪が入る。これはもちろん市側と協議をした上でなのですけれども、2月14~15日ぐらいはそうやって県の除雪が市側に入っていくというようなことをやりました。  こうやってできるだけ早く市のほうも生活道路の除雪を進めることも一つのやり方ですし、またエリアも、例えばバーターということを考える。ここに県道区間、県道の部分と市道の部分がある。これは入れかえたほうが効率的に除雪ができるというような場合に、バーターにしてみるという手もあるのではないだろうか。  いろいろと工夫の余地もあるのだろうと思います。この辺ちょっと、これから除雪はシーズンオフに入りますから、そのシーズンオフの間にそうした工夫を話し合っていければと考えております。 ◯議長(斉木正一君)2番坂野議員 ◯2番(坂野経三郎君)久しぶりに何か満額回答に近い御答弁をいただけたかなと感謝をしたいと思うのですが、知事から日野郡の取り組みは非常に住民から評判がいいという御紹介がありました。そうだろうと思うのです。住民にとっては、県道だろうと市道だろうと余り関係がない。道路がスムーズに通行できる状況を住民としてはつくってほしい。そういう願いであると思いますから、日野郡のそのすばらしい例を参考にしながら、それをほかの市町村と相談しながら進めていっていただいて、スムーズな道路の運行状況をつくっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  道路除雪に関しての最後の御提案でございますけれども、このたび国道373号線ですね、大変な渋滞の事案が発生をいたしました。ニュースといいますか、あの事案を見て、もっと早く渋滞が起こった原因をつかんで、もっと早くそれに対応した対策が打てれば、渋滞が起こった後にどんどん渋滞に巻き込まれてしまった車の被害というのは、私は防げたと思うのです。  こういった現状を見て、これを解決するにはどうしたらいいかと思ったわけですが、この解決のためには、一刻も早い情報収集、これに尽きると思うのです。  そこで、知事に御提案をしたいのは、その情報収集のあり方として、今、災害情報ダイヤルという形で電話による災害時の情報を受けるシステムを24時間でつくっておられるわけでありますが、私はここで情報収集のあり方として、SNSというものをより有効活用していただきたいと思うのです。それはなぜかといいますと、数年前では考えられないことが今起こってきているのです。例えばアメリカ大統領でありますけれども、マスメディアを通さずに自分の言葉をSNS、ツイッターでダイレクトに全世界の人々に伝えていく。こういうことは半世紀前では考えられなかった。50年前、1963年ですか、日米初の衛星テレビ中継があって、あのときの初めての衛星テレビの内容は、ケネディ大統領からのメッセージであったはずが、結果的には暗殺を伝えるニュースになってしまったと。50年前ではメディアを通じてしか伝わらなかった大統領の言葉が、今では即座に伝わる。こういう時代になってきているわけなのです。つまり、スマートフォンを持って、そのスマートフォンが電波がつながる状況にあれば、県民誰もがマスメディアの役割を果たすことができるし、災害に遭ったその方が、スマートフォンを持って、写真や動画をネット上に公開するなり、あるいは県にそういうネットの情報をLINEだとかフェイスブック、ツイッターなどの情報をダイレクトに受け入れる。こういう受け入れ体制ができていれば、情報はすぐに県のもとに行って、その場で対策を打つことができるのではないかと考えるのです。  ですので、ぜひ今の県の情報収集のあり方、あるいは発信のあり方というのを、SNSをより活用した情報収集をして災害に備えると。こういう体制をぜひつくっていただきたいと考えるのですが、知事の御所見を伺いたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野県議から重ねて情報収集やその活用につきましてお尋ねがございました。  実は、平成22年の大みそかから平成23年お正月にかけて降った雪のときに、私どももそこに気がつきまして、それでツイッターを活用したほうがいいなということがわかりました。災害対策本部で話をしていて、実際に職員から見せてもらいましたけれども、今、駅前がこんな状態だとか、米子の状況も刻々とわかるわけですね。なぜかというと、もう渋滞にはまっている人が、もうこんなになっているよといって写真を撮って送るわけです。それが実は今の我々にとってはリアルタイム情報になるわけです。渋滞の中に入っていくのは非常に大変でありまして、今回取材陣の方々も大変苦労されたようでありますけれども、結局何が原因か見きわめるためには、とにかく雪の中を歩いていかないと、この行列の先頭が見えないということであります。  それを私どもではカバーしようと、郵便局さんだとか、あるいは地域のいろんな方々に教えていただきながら情勢を分析したりしたのですが、373号のときは、それでもああいう状態になった。それは一つには、交通遮断というのが国交省と我々との話し合いの中でやはりおくれてしまったことがあったと思います。それは反省として、次回の2月のときは人をあらかじめ張りつけて状況がわかるようにしたという対策をとったわけでありますが、ツイッターだとかフェイスブックもそうした機能を果たし得るわけです。  実は、今回に向けて我々も平成23年から始めたツイッターだとか、平成26年から始めたフェイスブック、これを災害対策本部でも活用させてもらおうと。2月のほうの豪雪のときにはサイバーパトロールをさせていただきました。県庁の広報部局のほうがするわけでありますが、そこで現在のリアルタイムの渋滞の発生状況、それから一番我々心配したのは孤立集落の存在、そういう孤立したという情報がそうした中で出てくれば、その対策を速やかにとる。そんな意味で災害対策本部に還元することを目的としてサイバーパトロールをさせていただきました。  多分こういうことが、特にこのタイプの災害の場合には、システムとして組み込んでいくべきなのではないかなと思います。坂野議員の御提案も、そういう意味で私どもも今考えかけていたことと一致をしているのかなと思いました。ぜひそうしたSNSを災害の有益な情報として活用する体制づくりについて研究を深めてまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)2番坂野議員 ◯2番(坂野経三郎君)私も他県の例なども調べてみたわけですけれども、そのパトロールなどを含めて、雪みちNaviもそうです。鳥取県の取り組みというのは、もう他県に比べてはるかに進んでいると。私はそう見ているのです。しかし、それでもまだ先を進める。そういう思いで、このたび提案をさせていただきました。1分1秒でも早く災害の原因をつかんで、1分1秒でも早い対策こそが私は必要なことだというふうに思っておりますので、今、県の進めていらっしゃる内容というのは非常に高く評価しているということは、先ほど申し述べませんでしたが、それは御理解をいただきたいというふうに思います。  最後でありますけれども、子供の貧困対策について追及して最後の質問をさせていただきたいと思います。  私は、今6人に1人が貧困状態にあると言われているこの子供の貧困。子供のこの格差、これは大人の責任でこの格差を是正していかないといけない。私はこのように考えているのです。ですから、子ども食堂の役割は、さまざまな役割があるべきだと思っていますが、その一つとして、子供の貧困対策に資するものであれば私は県として全力で後押しをしていかないといけない。このように思っているのです。  私も実際、毎週火曜日に鳥取市人権交流プラザで開かれているこども食堂に通って、10数名の子供たちと一緒に食卓を囲みました。その中で子供たちと話していますと、中には1時間かけて歩いてくる。そういう子供もいるのです。その子供たちに、もっと近くで気軽に通える子ども食堂があったらいいかなと聞きますと、みんなが大きくうなずくのです。その子供たちにもっと近くに、できれば小学校単位、悪くとも中学校単位には、気軽に通える、そういう子ども食堂をぜひつくってあげたいと、このように思うのです。  今、その子ども食堂に対する理解というのは非常に広がりつつあると思っています。実は、きょうは火曜日ですから、この後私も子ども食堂に行くのですが、自分でもやれることがあればぜひ子ども食堂を手伝いたいという新規の方が私のところに相談に来られました。その子育て世代のお父さんですけれども、きょう一緒に子ども食堂に行くのですね。そういう形でだんだん広がりつつある。  また、先月10日には、子ども食堂全国交流会、これが滋賀で開かれまして、三日月知事からは、滋賀県ではもう52の子ども食堂ができているという披露もありました。また、ちょっと驚いたのですが、先ほど知事から、もう既に14の子ども食堂が県内にできているというお話でありました。滋賀でもう52の子ども食堂ができている。もう既に県内14の子ども食堂ができている。では、一体県はどういう目標を定めているかということなのですが、今の県の総合戦略の中では、既に先ほど知事から答弁があったように、14の子ども食堂ができているのに、今の県の総合戦略は、平成31年度末までに15という目標だったというふうに私は記憶をしています。これはやはり今の現状と目標が合っていない。ぜひ知事には、もっと高い目標で、子供たちが望む子ども食堂をもっとより近いところにつくってあげる。ぜひ最後、そういう姿勢の力強い答弁を求めたいと思います。そのことに関する答弁を伺って、このたびの一般質問としたいと思います。ありがとうございました。 ◯議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野議員から重ねて子ども食堂につきましてお尋ねがございました。  坂野議員もかかわっていただき、子ども食堂で実際にコミュニティーの温かさを感じ、また、ある意味貧困問題と言われる中、そういうところの一つの支えをしていただいていることに高く敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。  実は、鳥取県でもそうした子ども食堂の輪を広げようという全国シンポジウムを開催したりして、1月からこの子ども食堂の横のネットワークを立ち上げる、そういうところまでやってきました。こうやって子ども食堂間のノウハウの共有等も図りながら、なお一層こうした輪を広げていければと思います。  議員もお気づきのように、遠くからでも通ってくる、そういう事情を抱えたお子さんもいらっしゃるわけでありますから、そういう中で全市町村、そしてさらにはそれを上回る数の子ども食堂の存在というのは、何より力になると思います。  最近も、例えばワーカーズコープさんという障害者のやっておられるNPO法人がやはり子ども食堂を設置されまして、ここは湖山のほうなので、大学生もボランティアに入ってこられるわけです。そういうのが地域の一つの活性化にももちろんなりますし、大学生がかかわるボランティアとして、それが恐らく彼ら、彼女らのまた人生の中でもこの経験が役立ってくるのではないかというふうにも思えるわけでありまして、いろんな効用の広がりが見えてき始めているように思います。  私も、ある意味、そうだなと思いますのは、この子ども食堂というテーマ自体、島根県の方が東京豊島区で始められた話なのですけれども、非常にある意味、みんなが参加しやすいテーマでもあるわけですね。食事を提供するというシンプルなものでありますけれども、私もそれならそういうことに参加できるという、いわばボランティア側のハードル面でもよさがあったと思いますし、またそこに子供たちの笑顔。現実にそこにある厳しい現実と向き合う体験。多分、こういうものの共感の輪が広がって、子ども食堂の数が今多くなってきている。だから、滋賀県でも三日月さんがおっしゃったように、急速にふえて、50だとかいう数になっているのだと思います。  私どもでも、今当面の目標として31年度は15という目標を持っておりましたけれども、きょうのような御質問の考え方もありますので、その倍の30を平成31年度には少なくとも考えてみたい。実は下地があるのです。今いろいろと協議をしている案件も出てきていまして、恐らく目標とするにはいい数字になるのではないかなと思います。  そんな意味で、ぜひそうした子ども食堂の輪が広がるように、行政レベルで活性化を図ってまいりたいと思います。 ◯議長(斉木正一君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後4時12分散会    ────────────────...