そんな中、本年も航路の活用に向けて試験運航が予定されているとお聞きいたしましたが、その取り組みと将来性について知事に伺います。
平成27年9月議会の質問で、国においてクルーズ100万人時代に向けた取り組みを紹介させていただきました。この事業は、
全国クルーズ活性化会議と連携し商談会などを開催、商社などへの
情報発信機能を強化、
クルーズ船の
受け入れ環境改善を図り、2020年にクルーズ100万人時代の実現を目指すというものです。鳥取港へ寄港する
クルーズ客船は、港の岸壁の関係で総トン数2万トン級の船で、乗客数は約500名から750名の乗客しか入港できませんが、近年での実績は、平成22年に4回、平成23年に2回、平成24年に2回、平成26年に3回、平成27年は実績がないとのことでした。
山陰海岸ジオパーク、鳥取砂丘などの知名度があり、また鳥取空港、鳥取港をつなぐ
ツインポート化など、以前に比べて環境は改善されています。
クルーズ客船の誘致に取り組み、鳥取港のにぎわいの創出に取り組むべきと考えますが、知事に伺います。
鳥取港は、東部圏域の経済を支える上でも重要な港です。千代地区の物流、賀露地区の
にぎわい創出において、将来、5年先、10年先へのビジョンを持ち、目標を持って強く推進し取り組む必要があると考えますが、知事に伺います。
次に、
県立美術館整備について伺います。
美術館の整備に関しての質問は、代表質問を初め何人かの議員の皆様が質問されています。そのため質問が重なることがあるかと思いますが、お許し願いたいと思います。
新しく建設される美術館は、芸術、文化、教育などのそれぞれの分野で県民に大きく影響を与える大変重要な施設であります。また、今後の美術館の運営及び企画において、経済的な効果も期待できる施設です。
基本構想や建設場所について
県民アンケートをとっており、ある程度の評価はできると思いますが、美術館の将来を考えたときには、交通の利便性、芸術、文化、教育、
各種団体等への連携が重要であり、位置的な県の真ん中ではなく、さまざまな情報が集まる
県庁所在地に置くべきなど、県民のさまざまな意見を聞きます。また、
アンケート調査の結果が全てのように新聞に掲載され、偏った報道が流れ、不満を抱えている人が多くおられます。
このような状況で決めることは県民を混乱させるだけで、新しい
美術館建設に希望が持てないと感じますが、知事、教育長、どのように感じておられるのか伺います。
2月24日、
総務教育常任委員会で、
県立美術館基本構想について説明を受けました。構想の概要は、鳥取県の美術の継承と発信、国内外の美術との接触と交流、県民の創造性と鳥取県の魅力の向上、こうした必要性に基づき
美術館整備を進める。あわせて学校教育、社会教育と連携し、美術を通じた学びの全国、世界に誇れる拠点とすることを目指し、各地から多くの人に訪れてもらえるようにするとともに、美術館の外での機能を利用する人もふやし、新たなファンをふやすよう留意する。
県が主張されている必要性において、これらのことを推進していくためには、教育、文化施設が多く集まり、人が情報が多く集まる
県庁所在地に
県立美術館を建設し、そこを拠点に
ネットワークをつくり、活動を広げていけばいいと考えますが、知事、教育長に伺います。
今回の
県立美術館候補地の選定において、
鳥取市議会、鳥取市
商工会議所などから決議、要望書が出されています。このことに対して知事、教育長はどのように考えておられるのか伺います。
◯議長(斉木正一君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、狐川の水質浄化につきまして、何点かお尋ねがございました。平成28年度、さまざまな実証実験をしたけれども、その内容や結果がどうかということ、また、平成29年度に向けて具体的にどのような取り組みをしていくのかというお尋ねがございました。
これについては、濱辺議員からたび重ねて本議場でも取り上げていただいておりまして、そのたびに対策を年々前へ進めているところでございます。もともと地元の方々が危機感を持たれまして、市にも多分働きかけがあるのだろうと思いますが、県のほうでもいろんなお話をお伺いし、私も直接城北の皆様のお話を伺ったこともございました。
そういう中で、ちょっと現状を解決するための方策がなかなか見当たりかねるところがありまして、それを明らかにしながら対策を考えようということで、今おっしゃったように平成28年度においてはさまざまな
実証実験等を行ったところです。大体10月から11月にかけまして3つほどのことを回したわけでありますが、1つは
フラッシュ放流というふうに言われることです。
フラッシュというのは、水洗便所の
フラッシュと同じ言葉でありますけれども、水門がございますので水門まで水をためますと、下流よりも高くなります。そして、これを開放することで一挙に流してしまう。そうすると、水門の上のそういういろいろと問題のあるものを除去して下流のほうに押し流し、また流れもできるではないか、このような想定のもとであります。これについては、大体秒速30センチほどの水流ができたことも確認できましたし、また
一定程度ヘドロの除去が観測されたところでありました。
これに対しまして、あとの2つでありますが、ポンプを使って人為的に水を動かすというものでございます。これとあと、上流部のほうからの水流を多く流させる、それによって水の流れをつくろうではないかということであります。ただ、この両者は、水流の起きた状況からして、
フラッシュ放流に比べますとさほど大きな効果にはつながらなかったというのが実情でありました。
これとあわせて
シミュレーションのやり方の研究をして、いろいろと有識者も含め、もちろん地元の御意見も聞き、県や市、国も関係しますので、そうしたさまざまなところでかかわりながらこれについての議論を進めてきまして、
シミュレーションのモデルというものを考えてきたところであります。新年度はそういうモデルに基づいて、どういうように対策が効果的に遂行し得るのか、そこを検証していく中で原因の分析のアプローチを一段と強めていきたいということであります。
また、今年度はあわせて地元の方々に河川の美化・清掃活動に当たっていただきました。感謝を申し上げたいと思います。また、県のほうでも、県管理ということもございまして、ちょうどこの後、桜の花びらが舞い散る季節になります。そういう花びらの除去など、県としての役割も果たさせていただき、あわせて、これは後ほど述べる根本的な問題のほうになりますけれども、結局生放流している家屋が今もございまして、これらの御世帯に対しまして理解を得ていこうと。数戸ですね、そういう意味で下水接続に切りかわったということも今年度ございました。一歩一歩ではありますけれども、改善を目指して動き初めて、いろんな関係者がこれに参画をして進めているところであります。
新年度以降のこととなりますと、根本的には幾つか見え始めていることがあります。例えば今申し上げた下水道の接続が全世帯に行き渡っていないということ、これについてはいろいろと御事情もありますので簡単ではございませんが、こうした環境美化への御理解もいただきながら、これは市のほうの仕事になりますけれども、下水道接続を進めていくというのが一つ根本的な治療につながるところだと思われてきました。
あと、河川の構造からしまして、あの辺は干潮地帯、つまり潮が満ち引きしまして、さかのぼってくるところでこれが起きているわけですね。実はこれは秋里のほうで下水処理場の処理水が流入をする、それが結局潮水がまざりながら上流のほうに遡上していくということ、これが根本原因であると推測されるところであります。したがいまして、こういう下水のあり方として考え得ることはないのだろうか、これも一つの中長期的、根本的な検討課題ということだと思います。
あと、先ほど申しましたように水流をふやすということでございます。水流をふやしていけばいいわけでありますが、実は上流のほうに
ボトルネックがございます。この
ボトルネック部分というのが、これは都市下水路の市の管理の部分でございまして、天神のほうなのですけれども、そこが広がってくればもっと水流をつくることができるかもしれない。こういう中長期的な課題がありそうだということが徐々にわかってきたところであります。
あと、当面できることとして、このたび効果があった
フラッシュ放流のようなやり方であるとか、それから
環境美化活動であるだとか、そうした当面すぐにでもできるようなことをいろいろとやっていくということだろうと思います。
次に、鳥取港の振興につきまして、何点かお尋ねがございました。千代地区の物流、賀露地区の
にぎわい創出についての検討事業、問題点や課題はいかがか、また
レインボージェットの試験運航、それから
クルーズ船の誘致、こうしたことを踏まえて将来へのビジョンを持った取り組みというお話でございます。
これにつきましては、今ちょうど始めたところでございまして、こうした賀露地区全体、西浜であるとか港のあたりであるとか、そうしたところでのいろんな
にぎわいづくりや物流の可能性、これを調査しよういうことであります。今
アンケート調査等も含めまして、潜在的な荷主があるかどうか、これは鳥取県内に限らないわけでありまして、もう少し遠くからもハイウエーを使ってやってきやすいところがあります。リサイクルだとか、いろいろ考えていけば、まだ新たな荷主の存在ということはあるのかもしれません。そんなようなことを今検討し始めたところです。
また、賀露の西のほう、市場のほうにおきまして、
ツインポートとして海と空の港を結ぶ、そうした対策を今進めているところでありますが、こうした
にぎわいづくり、この辺も焦点になってくると思われます。
これらの課題があるわけでございますけれども、そういう中で
レインボージェットの試験運航をここ2回ほどやってきました。平成27年のときの分析からしますと、需要はある程度はあると。特に関西方面から隠岐に向かう、そういう需要があって、その道筋に鳥取港、そして西郷との航路というのの可能性はあると。ただ、そのほかのところについてなかなか採算が見込みにくいのではないか。船は行ったり来たりしなければいけないし、その辺の難しさがあるのではないかということになりました。
それで、2年目の平成28年には三角航路として、ツアーを隠岐に行くものと帰ってくるものと、それからまた七類からこちらに来るものとそれぞれ考えようということにはなるのですけれども、できたツアーというのは
DBSクルーズフェリーに乗った人が足を伸ばす七類から鳥取のツアー、そして鳥取から西郷に行く関西方面から来られた方も含めたツアー、地元の方も
ジオパーク関連で大分乗られました。ただ問題は、西郷から七類に来る、ここのところを臨時便として隠岐汽船が運航したのですが、乗られたお客様がわずか数名であったということでありまして、
ツアー造成を伴わないとなかなか難しいという課題も出てきました。
そこで、このたびは4月にまた第3回の試験運航をするということで関係者と合意しているところでございますが、このたびは3つの方向性につきまして、それぞれの区間につきましてツアーを造成して、バックアップをすることでやってみようということであります。その結果がどうなるか、またこれを見て次年度以降ということになろうかと思いますが、最終的には採算性が合わないとなかなか継続運航は難しいものであります。実は隠岐汽船のほうももともと議場でこれをやれという話が来てこれは始まったわけでありますが、隠岐汽船のほうもこの航路には当然興味はあるとはおっしゃるのですが、ただ、あちらの経営幹部のほうのお話では、リスクをとってまでやるつもりはない。ですから、採算が合わないのであれば担ぐつもりはないということも向こうも明言しておりまして、なかなか難しい局面に来ているのかもしれません。ただ、民間ベースでこうした試験運航を続けていくということは考え得ることではないかなと思っています。
また、
クルーズ船についてでありますけれども、おっしゃるように少し下火になってきたようにも見えます。これは実は原因がありまして、日本の近海をクルーズする船は大体一つのツアーで回ってきているわけでありまして、同じ目的地に毎回来るというわけにも、旅行会社のほうがなかなかセットしにくいというのもあるのだと思います。あと、船の絶対数のことなのですが、だんだん大型化が進んでいまして、鳥取に入られる船は今までふじ丸、日本丸、それからあと、
ぱしふぃっくびいなすの3つがあったのですけれども、ふじ丸が廃船になってしまいまして、今は残る
ぱしふぃっくびいなすと日本丸という陣備えであります。我々としては、新年度もこのいずれか、
ぱしふぃっくびいなすか日本丸か、寄港を目指して働きかけを精力的に行っているところでありまして、決して手応えがないわけではありません。先方も話がまとまれば当然来られるわけだろうと思っています。
あと、外国の高級な船の小型船があります。我々もポナン社を初めとしたこうした
クルーズ会社にこれまでも働きかけてきておりますが、今後も粘り強くこうしたこともやっていく必要はあるかなと思っております。
そういう中、どういうように今後に向けていくかということでありますが、大体鳥取港は今まで
建設資材中心の動きでありました。このたびPKS、ヤシの燃料使用ということで、その輸入が始まりました。こういうことなどで大分違った動きは最近出てきているのもまた事実であります。現実にも、10年前の輸出入ということでと比べますと、前が2,000トン弱だったですね。それが今4万トンを超えるという状況であります。したがいまして、20倍ぐらいふえてきているところでございます。だんだんと荷主さんを開拓してきて、特にそういう新しいPKSのような素材が始まったというのは一つ大きな材料ではないかなと思います。こうしたことの調査も今始めたところですが、掘り起こしていくということが
千代地区関係の特に大きなテーマになると思います。
また、西浜のほうでは中村商店さんや浜下商店さん、あるいはかろいちといったいろんな中核的な、お客様がたくさん来られる素材が育ってきました。ですから、有数の
人気スポットにふさわしいようなにぎわいをつくっていく必要がある。そういう意味で、
ツインポート化をするという空の駅構想が国のほうでも
地方創生関係で採択をされたのは大きな後押しになるのではと期待をいたしております。今検討を始めたばかりでありますけれども、中長期的な将来も見据えながら対策を皆さんと協議してまいりたいと思います。
最後に、
県立美術館につきましてお尋ねがございました。これについては、また
教育委員会のほうから重ねて詳細な御答弁があるかと思います。同じ問いが向こうに出ていますので、あちらのほうでもまたお聞きをいただければというふうに思いますが、るるお話がありましたこと、痛切に私もお聞きいたしましたし、濱辺議員の向こう側にいらっしゃるような、そういういろんな方々のお顔やお話も正直見えるところであります。
ただ、そういう中で、今議会で私も私なりの考え方を申し上げましたのは、やはり時が順々に進んできたということを我々は考えるべきではないかと思うからであります。別に今議会突然この話が出てきたわけではないというふうに考えております。実は議会のたびに美術館問題が取り上げられてきました。
検討委員会をつくって議論をしよう、あるいはその中で専門委員をつくって、特に土地の問題、場所の問題が議員さんの関心が深かったこともあり、それにふさわしいような慎重な検証をする必要があるだろうと、さまざまな知見を集めるべく専門委員というのも置いたわけでございました。
アンケート調査については、
検討委員会ができてから2回、その前にも1回、合計3回やっているわけでありますが、その
アンケートのつくり方も、議員も御案内のとおりの状況でありまして、原案がこの議場である程度ひっくり返されながら、それで最初にまずこの美術館をつくる可否の
アンケートに絞ろうということになり、それで分けて2度目にもし可となれば、その後に場所を問おうではないかということになりました。現実には76%が賛成をしたので、私はある意味率直な驚きを覚えました。それほど県民がこの美術館問題に対して関心を持ち、切望をしているということであります。考えてみますと、長きにわたるいわば塩漬けにされてきた課題でありまして、やはり美術、芸術の振興を考えれば、この道はもう避けて通るべきではない、もう議論の俎上にのせて決着を図るべきだという県民の声と受けとめたわけです。
その後、ステージが変わりまして、
専門委員会が開かれる中、2回目の
アンケートということで選択肢が示されたわけでありますが、その選択肢の取り上げ方につきましても、4つの選択肢それぞれの書き方も含めて、濱辺議員はよく御案内だと思いますが、
常任委員会も含めて相当熱心な議論があったわけです。その後、
アンケートが行われたわけでありまして、我々も実はこの
意思決定過程に深くかかわっているのではないかと思っているのです。
それで、そういう中、仕上げられた最後の案が出てきました。私もそれを拝読させていただいたり、
中島委員長のお話も伺ったりしたわけでございますけれども、やはり冷静に自分なりに客観的に捉えてみれば、この一つの大きな流れの中で精細に、そして県民の声も忠実に聞きながら検討してきたこの結果を覆す材料は私にはないと思いました。したがいまして、これを議会の側に御提示申し上げるのが私に与えられた責務であると思いますし、誠実にそのことを実行することが将来の県政において大きな意義があるというふうに感じたわけであります。ですから、正直申し上げて、このいわばしこりをほどくべきときが来たのではというのが私の時代認識といいますか、私なりの考え方でございました。
今、決着を図るような状況ではない、県民を混乱させるだけとおっしゃいましたかね。このような状態で決めることは県民を混乱させるだけというふうにおっしゃったわけでありますけれども、そうしたお気持ちやお考えもわからなくもないのですが、ただ、決めないことが逆に県民の混乱を招くということも私は感じているところであります。そういう意味で、私としては
教育委員会の御判断、これを尊重して、このたびの議員の皆様への御提案とさせていただいたところであります。
ネットワークをつくるということについて、これは場所の問題だけでもないだろうとも思いますし、また、市議会や
商工会議所のお考え、これは当然ながら民主主義のルールとしても我々も耳を傾けるべきものだろうと思います。ただ、最終的には解決を図らなければならないわけであります。そこで私自身も言葉を選びながら私の考え方を申し上げたわけでありまして、今回の
教育委員会のまとめた基本構想を起点として、この解決の道筋を開こうではないかというふうに議員各位にお願いをしたところでございます。少なくとも
アンケート調査までやって大がかりに決めてきたプロセスの大層のところをひっくり返したり、またもう一回やり直そうということになりますと、先ほど申しましたように逆に県民の皆様の間に混乱が起きてしまう。私はその混乱の先に美術館ができないという、そうしたビジョンを感じるわけであります。しかし、76%の方が美術館の建設を望んでいたということ、その状況を我々も共有したところでありまして、鳥取県のたくみで伝統ある民主主義の力というものを最後は信じたいと思っているところであります。
◯議長(斉木正一君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)濱辺議員の一般質問にお答えを申し上げます。
美術館に関しまして、今の状況に不満を抱えておられる人が多いと。こういう中、美術館について今決めると
美術館建設に希望が持てないと感じるがといったようなお話、あるいは
ネットワークづくりの活動を広げていくには
県庁所在地の鳥取市のほうがよいのではないかといった御意見、また市議会、鳥取市
商工会議所等からの決議、要望書についての所見といった御質問でございました。
今回、美術館の基本構想の策定の検討に当たりましては、前回の轍を踏まないようにというところが私ども一番強く考えていたところでございまして、基本構想の
検討委員会においてオープンで、そしてまた丁寧な検討を積み重ねていただいたわけでございますし、また県議会での議会ごとの御議論でありますとか、45回にわたります出前説明会、23回にわたりますキャラバン、また各地、県下東・中・西におきます3回の県民フォーラム、さらには県民意識調査などを行うことによりまして、また、そうした過程がマスコミ等で報道されたこともあって、県民世論というのが高まっていったと感じておるところでございます。その結果、さき方知事からもお話がありましたが、昨年10月の意識調査におきましては、7割の回答者の方が基本構想の内容は適切であり、それに基づいた美術館の整備を進めていくべきと回答され、建設場所以外につきましてはこの段階で大方の合意が得られたのではないかと認識をいたしたわけでございます。
また、1月の調査結果で過半数を超える回答者の中、倉吉市営ラグビー場を選んだ方が最多であったというような結果も踏まえて、
検討委員会でも
教育委員会でも議論が行われまして、審議の結果、さき方お話がありましたように、おおむね70億円から100億円をかけて1万2,000平米程度の美術館を想定した、地域に根差し、県民のアイデアと愛情で運営される県民立美術館として倉吉市営ラグビー場の場所に美術館を整備するといった内容の基本構想を
教育委員会として策定をいたしたところでございます。
お話ありましたように、鳥取市の
商工会議所等を初め、立地場所をめぐってさまざまな御意見があるということは承知しておるところでございます。鳥取市には鳥取市なりのすぐれた面というのはあるわけでございまして、そこは私どもも十分含んだ上で、それぞれの候補地一長一短あると思いますが、何事も100%賛成を得るというのはなかなか困難な状況の中で、先ほど申し上げましたようなプロセスを大切にしながら、できる限り多くの県民の方々に理解を深めていただいた上での総合的な判断の結果であるといったことを御理解いただければというふうに存じ上げます。
教育委員会といたしましては、どの地域の県民の方々にも支持、協力していただける、また一緒に盛り上げていただける美術館にしたいという思いはいっぱいでございます。このたびの予算が議決された暁には、速やかに
鳥取市議会を初め関係市町村のほうも回らせていただきまして、建設場所選定の経緯を含めて基本構想の内容を丁寧に、また誠実に説明をさせていただき、できる限りの御理解をいただくようにしたいと考えておるところでございます。
その際には、県立博物館について、美術関係のさまざまな機能を一定程度維持していくことを検討していくことでありますとか、県下の全域から集まりやすく、またアウトリーチ活動も行いやすいという立地を生かしまして、
県立美術館を拠点に県下の文化施設等の間の
ネットワークを強化して、
県立美術館の整備効果を全県に波及できるといったことなども説明させていただくなどして県民の皆様の理解を深め、県民の皆様に支えられる県民立美術館とするよう努力してまいる所存でございます。県議会の皆様方の御理解も賜りたいと存じます。
◯議長(斉木正一君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)答弁をいただきました。
狐川に関しましては、このしゅんせつの浄化について地域の方々から、やはりやっていただいていることはかなりありがたいという声をお聞きします。その反面、そろそろ何か結果が見えるものがないのかなというようなことの話をちょっと聞いたりします。今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、先ほどの鳥取港の振興でありますが、今レインボーにおいては、関西圏のほうからの需要があるような話を少し知事の答弁からいただきました。また
クルーズ船のこういう誘致におきましても、
クルーズ船は希望はあるけれども、やはりなかなかちょっと厳しいようなお話を伺ったように思います。しっかりとこの点も推し進めていただきたいと思います。
それで、美術館なのですけれども、私自身は美術館を建設することには、反対ではなく賛成という立場でいます。やはりそういう文化をしっかりと根差して、鳥取県民の心の豊かな人を育てる、人材を育てるという意味で、若い子供たちへの希望ということにおいて、自分は賛成の立場にいます。
これはまた後で質問させてもらいます。
それで、狐川の
水質浄化対策事業について、さらに質問をさせていただきます。狐川の浄化対策
検討委員会が今回設置されておりまして、それについて質問させていただきます。
この検討会は、国、県、市の行政の関係者の皆さんと狐川を美しくする会、また鳥取環境生態研究会など関係団体の皆様、また地域住民の自治会の皆様、そしてアドバイザーとして鳥取大学の大学院工学研究科、矢島准教授に入っていただいております。ヘドロの発生メカニズムの研究、発生要因などがほぼ見えてまいりました。今後この検討会の存続について、非常に気になるところであります。狐川の
水質浄化対策検討会は、今後水質浄化に向けて課題解決をする上で非常に重要な組織だと考えます。
そこで、今後も継続して検討会を設置するとともに、さまざまな知見を有する専門家を増員することで機能を拡充させて、水質浄化に取り組んでいただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
◯議長(斉木正一君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員から重ねての御質問がありました。狐川につきましてとあわせて若干港の話もございましたが、
クルーズ船は全く無理だと言っているわけではなくて努力をしておりますので、我々としては、ぱしふぃっくびいなす、あるいは日本丸といったまだ来られる船もございますので、働きかけをしているというふうに申し上げた次第でございます。
狐川を美しくする会、あるいは地元の町内会、そうした方々にも入っていただいて水質浄化
検討委員会を開催させていただいておりますが、これはまだ議員のおっしゃるような段階だと思いますので、今後も継続してやっていくことで関係者にも呼びかけてまいりたいと思います。
その際、今、矢島先生がいらっしゃって、かなり的確な御指導もいただいているわけでございますけれども、専門家というお話でございますので、ちょっとまた関係者にお話を聞かせていただいて、例えばどういうタイプのことを今後きわめる必要があって、こういう専門家が必要というようなことをいろいろ中で相談をさせていただき、もしやはり必要だということになれば、その辺は委員の追加人選も話し合ってみたいと思います。
◯議長(斉木正一君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)知事に答弁をいただきました。
先ほど住民の声の中で少し言い忘れたことがありますので、話をさせてもらいますと、狐川の非常用の、防災のときに起動させる排水ポンプを環境改善のために使えないだろうかというような声もその方々の中で上がっておりました。これは通告しておりませんので答弁は要りませんけれども、そういう集まってくる方々もいろんな形で考えておられますので、今後よろしくお願いいたします。住民の方々は大きく期待されていますので、重なりますけれども、さらに推進をお願いいたします。
それで、次に鳥取港の振興に関連しまして質問させていただきます。
港内の砂の堆積について伺います。鳥取港を中心とする東部の港での港内の堆砂は、漁師の皆さんが漁に出られなくなり、漁業で働く人たちの経済を圧迫する大きな要因になっています。
平成27年2月の一般質問で質問させていただきましたが、鳥取港を初めとする東部地域の港が抱える港内の堆砂問題の解決に向けての取り組みはどこまで進んでいるのか、また見通しはどうでしょうか、知事に伺います。
◯議長(斉木正一君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)堆砂問題につきましては、研究会をやはり学者の方々と一緒にやりまして、例えば海岸のほうに少し斜めに延ばした堤防を一部つくってみたり、あるいはポケットをわざとつくって、それで底に砂がたまるような仕組みを考えてみたり、どれが効果があったかわかりませんが、やはり改善が見られるようでございまして、今後もなおそうした原因分析と対策を進める必要があると思います。
そういう中、国のほうで若干制度改正がありまして、鳥取市さんがやっておられるような港湾管理、漁港管理の一環のことにはなりますが、サンドリサイクルのような形で堆砂を除いていくということにつきましても助成対象に加えるように制度改正がなされているところでございます。こういう新しい仕組みも今後関係者とよく話し合って、効果的に発動をしていく中で港の堆砂の防止、改善を進めていく必要があると思っております。
◯議長(斉木正一君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)今の知事の答弁のサンドリサイクルというのは、結局今までどおり港にたまった砂を取って、また沖合に戻すということで考えてよろしいのでしょうか。要は、港に砂のたまらない、そういう方策といいますか、取り組みといいますか、そこをちょっとお聞きしたかったので、後でまた答弁お願いいたします。
今回美術館に関しまして、自分自身が本当に強く感じているのは、それぞれの立場でそれぞれ考えがあるということであり、本当にさまざまな御意見を伺います。確かに知事が言われますように、知事の立場であり、教育長の立場であればどこかで決断をしなければいけない、それは理解できるところであります。でも、今回はやはり非常に混乱しております。いろいろ美術館の
検討委員会の中でのお話をお聞きいたします。さまざまな意見があります。また、今回話がありました倉吉市営ラグビー場というところが
専門委員会の中で賛成される方が多くてあったということであります。
ただ、私がお聞きした方々でも、美術館の委員会の中で重要な話をされている方がおられるということをお聞きしました。2月16日の委員会を傍聴されておられた方から、その内容を詳細に書きとめた資料をいただいたので若干お話をさせていただきたいと思います。今回は半数以上が倉吉市営ラグビー場ということで、そういう方向に進んでいますが、委員会の中で発言される方には、美術館の建設場所に関する意識調査は県民のサンプル的な調査、県民調査であり、県民投票ではないので、これによって決定することは間違いだと、間違いの危険性を含んでいるということを主張されている方がおられたそうです。また、その方は、この美術館の建設場所に関する調査は、1位から3位までは3%の差だと、そういう範囲で、建設場所を決定するのは将来に遺恨を残すと考えていると。やはり
検討委員会という立場は、決定権があると考えておられるということで、県民に対して責任があるのだと発言をされています。
また、
アンケートの調査で候補地を決めるべきではない、美術館のどこに焦点を当てるかの議論をした上で決定すべきだということで、
美術館建設の候補地決定に対して、この
検討委員会の方の中にもこういうことをおっしゃる方がおられるということです。そういうさまざまな意見が出ているということです。
そこで、この重要な役割を担う
教育委員会というのは、公平性な立場で議論をされる重要な機関だと私は思っております。この重要な役割を担う機関が、短期間で結論が出せるのかということを感じるわけです。1年8カ月かけて議論されて、間に
アンケートもありましたけれども、私たちが
常任委員会で説明を受けたのは2月24日です。その後に
教育委員会で議論をされてということですね。自分自身が質問をしたいことは、これだけ期間をかけて議論されたのに、こんな短期間で結論が出せるのかということを教育長にお聞きしたいです。
◯議長(斉木正一君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)港につきましてお尋ねがございました。先ほどちょっと説明が不十分だったのかもしれません。その点はおわびを申し上げたいと思います。
酒ノ津、船磯、そうしたところで特に堆砂が認められる、そういう統計がございます。そこで、先ほど申しましたように仮突堤という、ちょっと斜めに海のほうにせり出す形の突堤をつくること、それからサンドポケットと言われます底に砂がたまるようなスペースをつくること、こうしたことを最近させていただきました。結果、堆砂の状況というのが改善をされたということなのです。ただ、これはよくモニターしていかなければいけませんし、どういうメカニズムかということも今後検討していきたいと。これは大学の先生方と一緒になって、市が中心ということかもしれませんが、県ももちろん入ってやっていこうということで進めております。
また、サンドリサイクル事業の補助制度は県のほうでもつくらせていただき、議場でも御議論がございましたので、これを昨年度から進めているところですが、そういう中、長寿命化計画で港を管理するというような場合に、堆砂のしゅんせつ事業、これが国交省のほうでも補助対象になったということでありまして、こういう新しい要素も状況の改善に役立てられるのではないかと思います。
いずれにせよ、圧倒的な日本海の力に我々は耐え抜いていかなければなりませんし、知恵も出していかなければなりません。今後も専門家の方も交えて、市の漁港ということではありますが、県としてもしっかりと協力をしてまいりたいと思います。
◯議長(斉木正一君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)濱辺議員から、重ねて美術館につきましてお尋ねがございました。
短期間で
教育委員会で結論が出せるのかといったお話でございましたが、
教育委員会のほうでは、最後3回だけでこの議論をしたわけではございませんでして、先ほどお話がありました1年8カ月という
検討委員会での検討の期間も
教育委員会のほうで情報を共有しつつ、常に
教育委員会開催のたびと言っていいぐらい、美術館につきましては委員の間でも議論を深めていっての結論でございます。その途中の段階、昨年11月には、
検討委員会の中間まとめを受けて
教育委員会としても中間まとめをさせていただくといったことでございまして、そうしたプロセスを
教育委員会としても踏みながら議論を進めてきております。
場所につきましても、この意識調査は
教育委員会で実施をいたしたわけでございますが、この意識調査の調査票そのものの議論も時間をかけて行っておりますし、その結果やその後の
検討委員会での検討状況も逐一報告を受けつつ議論を進めてきているわけでございます。
県民意識調査につきましても、いろいろ御意見があったということも承知をいたしておりますが、最終的に県民意識調査は2,530名という回答者があったというその結果、統計学的にも95%の信頼率で1位のところが選ばれたというところは動かないといったこともあり、そうしたことも踏まえてさまざま総合的に検討させていただいての結論でございます。
そうした意味で、短い期間だけで検討を行い結論を出したのではないということも十分御理解をいただけたらなというふうに存じ上げるところでございます。
◯議長(斉木正一君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)それで、知事においては3月6日に、
教育委員会の報告を受けて、3月7日に場所も含めての美術館構想を正式に発表されたわけです。県政の長年の課題に対する懸案ということで、知事は言われておりましたけれども、簡単に結論を出され、何か急いでいるように自分自身は思いました。美術館の建設場所を含めて、知事部局でも関係団体、また関係者の方々と十分に議論を重ね、知事として結論を出されることが大切だと感じますが、知事の所見を伺い、本日の質問を終わります。
◯議長(斉木正一君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員から重ねてのお尋ねをいただきました。
先般、一般質問に先立ちまして、斉木議長から発言の御許可をいただき、議会の皆様の御理解もいただきまして発言させていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
実は私もいろいろと悩みはもちろんあるわけでございますけれども、そこに至るまで、あの日に至るまでに私自身もありとあらゆる方々からいろんな御意見を伺っております。もちろん
教育委員会で検討される過程におきまして、ではこれは大まかに財政がもつのかなというようなことも含めて、まだしっかりとした推計までは至っておりませんけれども、ただ、のみ込める範囲内なのかなというような感覚をみんなでちょっと分析をしてみたり、当然長い間の議論でありますので、いろいろと執行部側でも、検証作業というのを同時並行的に行いながらでございました。
中島委員長の御報告をいただいた後、一般質問が始まるわけでございます。私は、議会は本県にとりまして一番神聖な意思決定の場であると思います。地方自治法、そして憲法にも淵源があり、この場というのは最終的な県民の意思決定がなされる場であります。我々はそれに対する議案を用意して、皆様の御判断を仰ぐ立場でございます。御判断を仰ぐ立場であれば、一般質問の冒頭にきちんと私どもの考え方も申し述べるのが議会に対する最大のエチケット、誠意ではないかと考えまして、夜なべ仕事にはなりましたけれども、夜半までかけて、私も原稿を書くほうではありませんが、議会での珍しい原稿書きをさせていただいたということでございます。その辺の意のあるところも御理解をいただければありがたいなと思います。
大切なのは、決めるべきときにやはり決定をすることではないかなと思っております。先ほど来議論が続いていますが、実は
検討委員会、あるいは
教育委員会での議論というのは、私たちがそこに検討をお願いしているという部分もあると思います。少なくとも私の心象風景から申し上げれば、
教育委員会のほうに労をとっていただいて、さらには
検討委員会、林田先生を初めさまざまな御高名な方々、あるいは県の各地の方々に入っていただいて、大変な労をいただいているわけであります。その労をやはり全て無に帰するというのは、とても私にはできない。私の性格かもしれませんけれども、そういう思いが強くございました。それが県民の意識とかけ離れていれば私もブレーキをかけるべきときがあるかもしれませんが、ただ、先ほど申しましたように、議会と
教育委員会との対話の中で、議論の仕方もかなりコントロールされて議論をしていたのも目の当たりにいたしております。ですから、世間から見れば、今メディアのお話もございましたけれども、メディアの皆さん、あるいは県民の皆様と広くから見れば、順々に議論が進んできて、今ようやく決めるべきタイミングに来たというように私は解釈をし、冷静に観察をさせていただいてきたところであります。
「Our problems are man-made,therefore they can be solved by man.」、ジョン・F・ケネディの言葉でありますけれども、私たちの問題というのは人間がつくり出したものである。ですから、こうした問題というのは人間によって解決なされ得るものだというものであります。まさにその言葉のとおり、私たちは最終的には選良の名において、議会の場で解決を最後図っていただくことをお願いしたいと思っております。私どもとしては、議案は提出をさせていただきました。したがいまして、真正な御判断をお待ち申し上げている立場であることを申し添えたいと思います。
◯議長(斉木正一君)28番浜崎晋一議員
◯28番(浜崎晋一君)(登壇、拍手)改めまして、皆さん、おはようございます。
自由民主党の浜崎でございます。通告によりまして、まず災害に強い地域づくりに向けた支え愛の推進について、知事と議論をさせていただきたいと思います。