百合白清2はみどりという雌牛から生産された3兄弟の次男であり、残りの兄弟牛である白鵬85の3、平白鵬も種雄牛の能力を評価する
現場後代検定試験の最中だと伺っております。このみどりは、東伯郡琴浦町の故生田英則さんが岐阜県飛騨市場から導入された牛であり、岐阜県の牛はどれも小さいのが特徴である中、大きな牛であることを確認して購入を決められたそうです。当時80万円以上の高値がついたとのことであり、岐阜県へ3回購買に行かれたうちの2回目に購入してきたのですよと家族の方が話してくださいました。
その後、みどりはその優秀な能力を認められ、単県事業である
種雄牛造成に用いる
供卵牛導入事業により県が購入することになりました。そして現在、
畜産試験場にて県内の
和牛改良のために活用されているという状況にあります。
このみどりという牛を導入してこられた生田さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。足を向けて寝られません。そういった経緯のもとに造成された3兄弟の種雄牛でありますが、日本一の成績を出した百合白清2に続き、その長男に当たる白鵬85の3の成績も少しずつ判明しており、百合白清2を超える成績になるのではないかという前評判も聞こえてきます。
そうした中で、鳥取県は今後、間違いなく、みどりから生まれたこれらの種雄牛を農家が利用していくことになりますが、このような状況の中でこそ、次の
種雄牛造成の対策を真剣に考えておくべきだと考えます。
以前、鳥取県の種雄牛に糸北鶴という名牛がおり、糸北鶴の
繁殖雌牛が県内に数多く残りましたが、結果として、その次の種雄牛が長年できなかったために、鳥取県の和牛が廃れていった経緯もありますので、同じ轍を踏むことがないよう、優秀な種雄牛ができた今こそ、次の種雄牛の造成の対策を考えておくべきだと考えますが、今後の
種雄牛造成の考え方について、どのように考えておられますのか知事の所見を伺います。
◯議長(野田修君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
小谷県議の一般質問にお答え申し上げます。
小谷議員からは、我が県におけます
種雄牛造成につきまして、県有の種雄牛の今後の活用方法、さらにこれからの
種雄牛造成についての考え方、対策という観点でのお尋ねをいただきました。
詳細につきましては
農林水産部長から御答弁を申し上げたいと思いますが、私も
小谷議員の御質問をお伺いしておりまして、生田英則さんにお世話になって、みどりという牛が入ってきた。さらに残念ながら一昨年ですか、他界をされましたが、その御遺徳をまた県の
種雄牛造成に役立てていただきたいというような温かいお話が御家族からもございまして、現在その
畜産試験場における活用が図られている。その中から今回の御質問にございました牛が生まれているということでございます。
議員が御指摘ございました百合白清の2でございますが、これにつきましては大変にすばらしい今の
後代検定の成績が出ました。先月末までに明らかになってきたわけでございます。BMSでいきますと脂肪交雑9.2という、これは鳥取県のこれまでの
種雄牛造成の中では驚異的に高いものであります。また、
ロース芯面積につきましても68平方センチというような大変に大きなものでありますし、枝肉重量でも510.5キロと大変に大きいものでございます。つまり質量ともにそろったそういう牛を生産できる能力、これを持った種雄牛がついに造成されたということになります。これにはこれまで県内全ての農家と協力しながら進めてきたわけでありまして、県内の生産農家の皆さんや、あるいは改良組合でありますとか、いろいろと御知見、
アドバイスをいただいた方々、さらに県議会でも
小谷県議を初め多くの県議にこうした畜産振興の応援をいただいてきた、それのたまものではないかというふうに感謝を改めて申し上げたいと思います。
これをどうするかというのは非常に楽しみでもありますけれども、悩ましい課題でもあります。その辺の悩ましさを
小谷県議も畜産にかかわりのある方として同じように感じておられると思います。具体的にはこれから多くの関係者の方々と話し合いながら戦略を練らなければいけないと思うのです。と申しますのも、もちろん宮城全共が見えてきました。平成29年という開催年が見えてきまして、いよいよこれから準備が本格化する
タイミングになっているわけであります。そういうようなこともこれありでありますけれども、百合白清2だけではなくて、みどり3兄弟と私たちは呼んでおるわけでありますが、白鵬85の3、それから平白鵬、この3頭がみどりの産子として生まれたわけであります。白鵬85の3まで
後代検定を始めてきておりますけれども、今のところ非常にいい成績が出ている。BMS12とか、それから枝肉重量でも、今のところでありますけれども、百合白清2を上回るような570キロとかとんでもないことになってきております。そういうようなことからしますと白鵬85の3みたいなものが出て、さらに平白鵬も恐らく同じような形質を持っていると思われるわけであります。
この百合白清2から始まるみどり3兄弟でございますが、母親は今のお話のあったみどりという岐阜から買ってきた牛でありますが、父親のほうが百合白清であれば百合茂でありますし、そういうようにそれぞれ別々の父親から生まれてきているわけであります。これまで受精卵によるそういう改良をもっと進めたらどうだと。これは
小谷議員からも常々御指摘をいただいていたわけでありますが、そうした改良の仕組みを変えてきたことの成果で一遍にこういう3つの牛がそろってきたわけであります。
今御指摘もございましたように、農業新聞を初めとして、あるいは
畜産ジャーナルのようなものとか、全国的にも注目をされてきておりまして、先般は谷口さんという河原の生産農家さんとお話をした機会がございました。これは鳥取の「わったいな」からやったわけでありますけれども、この牛を、鳥取の和牛の力をぜひいろんな人に知っていただこうという
ミートフェスティバル、これは鳥も豚もあわせてやりましたが、その中の一こまとして
パネルディスカッションをさせていただいたときに谷口さんも出てこられました。その谷口さんもおっしゃっていましたけれども、あそこでは百合白清2を活用した研究に御協力いただいているわけでありますけれども、もう県外から
泊まりがけで見に来るようになっていると。これも観光と言ってはなんですけれども、旅行需要を引き起こすようなそういう効果も出始めていますよというお話がありました。それぐらい注目される状況になってきまして、それが3頭もそろうということになります。
これにあわせまして先般、
改良事業団のほうに供託をさせていただいて、これから活用が図られると。その過程で全国にもその精子が出回ることになりますので、鳥取の和牛の名声が上がると言われています福増もそうであります。そのほかにもさまざまな種雄牛を最近導入したり、あるいは開発したりということが進んできておりまして、一気に鳥取県の和牛の改良に向けた視線が熱くなってきていることを感じます。そういう
タイミングに来ましたので、根本的に戦略を練り直すべき時期だと私は思います。
最近は、オレイン55という戦略をとってまいりました。これはどちらかというと脂肪交雑が余り強くなくても、それからA4、A5という上物の手前のところのA3ぐらいでも対象とすることで鳥取県の牛のよさを知ってもらおうという戦略でありまして、これも浸透してきて、
高級レストランでも扱われているようになってきております。
そういうような流れがありましたけれども、今回はそれに輪をかけた話がございます。もちろん百合白清2の
後代検定の状況を見ますと、
オレイン酸55%含有の発生率は今39%でありまして、今県内は通常14%ぐらいの発生率でありますから、オレイン55というのは随分と高い鑑定ですが、オレイン55
プラスプレミアムという領域が一気にできるわけであります。ですから、従来のような増頭体制よりもっと強化しなければいけないのではないか、あるいは販売戦略を考えなければならないのではないか。また、今、
小谷議員がおっしゃったように、今後の
種雄牛造成に向けても新しい戦略を、今あるからということではなくて、考えるべき時期にも来ていると思います。
また、そういうようなこととあわせて全共という節目もございます。ですから新たなこの和牛の振興戦略を練る会議、新たな
和牛振興戦略会議とでも言うべきものをこの際、創設させていただいて、今ある
和牛ビジョンを抜本的に見直す。それでこれから力強く鳥取の和牛が伸びていく、そういう段階に入ってくると思います。ただ
和牛改良とか和牛生産は時間がかかりますから、早くからそういう戦略を練って、それに向けたさまざまな動きをしていかなければならないのではないかというふうに考えます。
お尋ねの一つのポイントでありました百合白清2の精液をどうするかというお話はありますが、これは正直申し上げまして県下でもいろんな識者の御意見も分かれているところでございます。そうしたこの精液をどうするかということも含めて、そういう会議の場、あるいは
和牛改良の委員会等のお話を聞きながら適切に考えていきたいと思います。
ただ、いずれにせよ目指すべきは県内の和牛農家の振興でございまして、そこのところに主眼を置いて議論していくべきではないかなというふうに思います。外に出すのも、これはこれで鳥取県の和牛はすごいなということの名声が高まる要因にもなります。そういう意味で福増を提供したというようなことがございました。
しかし、片方で、議員もおっしゃいましたけれども、県内の子牛市場、これにお客さんが来てもらわないと繁殖農家のほうが務まらないということにもなります。ですからその辺の兼ね合いでありますので、何か一定のルールをつくるとかそうしたことをやりながら県内のコンセンサスを得て考えていくべきテーマと思っております。
◯議長(野田修君)
岸田農林水産部長
◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をさせていただきます。
今回の百合白清2を初め知事からもありましたみどり、あと2頭の兄弟、それから福増もあわせまして
鳥取和牛のブランドを高める絶好の機会だというふうに思っております。新しく
和牛振興戦略会議となるものを立ち上げて議論をしていくということでございますが、精液の販売、これも知事からありましたようにこの会議の中で方向づけを決定したいと思っておりますが、当面百合白清2の精液につきましては、県内の畜産農家の使用分、それから県内の十分な在庫の確保並びに宮城全共のための対策ということもございます。当面は
県内生産者へ十分供給ができるようにしていきたいというふうに思います。
議員から御提案がありました
繁殖雌牛等の増頭、これも大変重要でございます。現在もオレイン55の
ブランド向上事業でありますとか受精卵の
チャレンジ対策ということで対策は打っておりますが、これを今後、より一層強めて促進していきたいというふうに思っております。
今後の
種雄牛造成の考え方でございます。今後、百合白清2の交配が進んでいきますと、こういう優秀な血統を残したいという生産者がますますふえてくるということで、百合白清2の産子、これが
繁殖雌牛として多く県内に保留していかれるというふうに思っております。このままでいきますと2年後あたりから徐々にふえ始めて、4~5年先には百合白清2の
繁殖雌牛が半数以上を占めてくるというようなそういう状況も予想されております。議員の御指摘がありましたように、糸北鶴の時代には次に交配する新たな種雄牛というものが造成できずに改良がおくれたということがございます。その教訓をもとに、今回は次の
種雄牛造成を今から取り組んでいく必要があるというふうに思っております。これには造成の方法にはいろいろ考え方があると思います。将来の
繁殖雌牛の血統構成というものがどうあるべきかというようなこと、それから産肉能力のシミュレーション、こういうものを行いながら県の
和牛改良委員会で意見を聞きながら、先ほどありました新たな和牛の戦略会議で方向性をまとめていきたいというふうに考えております。
◯議長(野田修君)24番
小谷茂議員
◯24番(小谷茂君)答弁をいただきましたけれども、具体的な回答がなかったと、重立った流れの中の回答で、では具体的にはどうするかというのが答弁の中にちょっと欠けているように私は感じたわけでございます。
知事はよく勉強されていまして、もう知事が既にお話しになったところと追及質問とがダブるところがあるわけでございますけれども、(笑声)順序に沿って追及させていただきます。
私は、平成21年の12月に
政務調査活動で鹿児島の指宿の
カワカミ動物病院に行ったわけでございます。川上先生から種雄牛の造成について話を伺ったところでございますけれども、民間では、どの種雄牛を交配しても育種価が高くて、A5-12番が数頭出た母牛を選抜して、そのような実績のある育種価が高い母牛に交配を行うと同時に
現場後代検定も行い、また受卵でとりますので、肥育した兄弟牛の結果を見守りながら種雄牛をつくっていく時代であると聞いたわけです。
私は、帰ってから強く畜産課に進言したことを今思い出しております。それを実行してくれた職員と、協力してくださった故生田英則さんに改めて感謝を申し上げますけれども、生田さんがみどりの供卵を受託していただいたからこそ、みどりの3兄弟の種雄牛が百合白清2、白鵬85の3、平白鵬と誕生したのであります。
福増は、先ほど知事が事業団に貸与というのですか、貸したということは申し上げられたので、言いませんけれども、百合白清2と白鵬85の3、そして来年の今ごろには平白鵬の育種価が出るのではないかと、
現場後代検定が終わるのではないかと言われています。この平白鵬のゲノム、DNAですね、この配列も非常にすばらしいと私は聞いています。ですからみどり3兄弟と、全国でも1頭の母から全国一を競うような種雄牛の造成というのは、いまだかつて考えられないわけでございます。
そういうようなことでございますので、わかりやすく言えば、鳥取県の中で金、銀、銅を、あるいはそういう状況を目指すべき事態が生じているということで、私は種雄牛が誕生する状況となると思っております。長年夢にまで見たことが今実現しようとしているところでありますけれども、同じみどりで生まれた3兄弟、その中でも白鵬85の3は一番最初に
現場後代検定の中で日本一のロース芯123センチ、直径で12.6センチということだそうです。議長の許可を得ましたので、写真ですけれども、この中の結局ロース芯が一番大きいと。ましてやまれに見る570数キロと、枝肉重量もロース芯も、そしてA5の12番、12番という数字があるからこそ12番だったけれども、13、14があったらそれ以上の脂肪交雑ではなかったかと現場では言われているような状況だったそうです。私もちょっと試食したわけですけれども、とても脂っこくて、これがうまいのかなというような思いはしました。(笑声)高価格だったわけでございますけれども、そういう話もしながら、結局
コマーシャル牛としてはそれでいいと思います。つくれた中で。
一方では、岩手県より精液を導入できた非
平茂勝系統、例えば山根雲、知事には岩手の知事にもお世話になったことを礼も言っていただいたことを感謝申し上げますけれども、いわゆる純鳥取系を造成すべきと私は思います。今申し上げた2点について、
コマーシャル牛をつくるのか、あるいは純鳥取系の種雄牛をつくる、2つを目指さなければならないのではないかと思うところですので、答弁を求めます。
◯議長(野田修君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
小谷県議から重ねてのお尋ねがございました。
議員もおっしゃったように、オリンピックで言えば金、銀、銅の
メダル独占のようなそういう未来すら見え始めているということでありまして、恐らくもう気高号あるいは栄光号といったそういう時代以来の出来事になり始めていると思います。考えてみますと、この議場でも
小谷県議が何度もこういうことを取り上げていただき、御指導をいただきましたし、あるいは花本さんが元気を出して鳥取に全共を引っ張ってこられたと、そういうことなども遠因なのかもしれません。
私たちもこの議場での議論をもとにして、いろんな改良の仕組みを向上させようと頑張ってまいりました。先ほど川上先生のお話がございましたけれども、いろんな
アドバイスを私どものほうでも入れながら、急速に今頭角をあらわしてきたというのが現実ではないかと思います。現場の士気も非常に上がっておりまして、ぜひ議員がおっしゃいましたように、これから
コマーシャル牛というようなお話もありましたし、それから新たな
種雄牛造成に向けた動きにつきまして具体的に戦略を練りながら和牛の
改良委員会や、あるいは新たに設ける和牛の
振興戦略会議、こうしたものを活用して前向きといいますか、今も飛躍のときでありますので、そういう従来とは一殻むいた、破った、そうした対策を現実にも実行していきたい、
スピード感を持ってやっていくべきときではないかというふうに私も考えます。したがいまして、
小谷県議のようなお考えを我々としても中心に据えながら進めてまいりたいと思います。
その際の戦略として、議員がおっしゃるように山根雲のこともございます。これは県議のほうでいろいろと研究をされる中で岩手にそういう牛がいるということでございまして、私どもの職員も一緒に行かさせていただき、交渉させていただきました。感謝を申し上げたいと思います。
私も達増知事にお話をさせていただきましたが、達増知事は山根雲という名前に余りぴんとこなかったような感じもしましたが、鳥取県に協力しているという話はどうも知っていたようでございます。今回も迅速に岩手県で対応していただけたのはありがたかったなと思います。
この山根雲というのが一つのシンボルなのかもしれません。鳥取で言うと有朋系と呼ばれる鳥取西部のほうの牛の系統がございますが、これが今失われてきているということでございまして、今これでの改良が進んで、鳥取県は残念ながら絶えてしまっていると。それをもう一度、もちろん気高系やそれにかけ合わせた但馬との関係で平茂勝の系統だとかいろいろあるわけでありますが、平茂勝が入っていない系統があるということで、これが重要なのだというのが
小谷県議から当初
アドバイスをいただいたときのお話でございました。その平茂勝が入っていないこういうものを、今回のみどり3兄弟にかけ合わせていくと、純粋に鳥取系でありながらこういう交雑によりましてすばらしい牛が生まれる可能性もある。次の
種雄牛造成という可能性もあるということだと思います。
また、最近は宮崎の
口蹄疫問題のときに鳥取県が協力したことを非常に感謝されて、多美福という宮崎からの牛もやってきております。そのほかにもいろんな種雄牛の芽がございまして、こういうものといろいろかけ合わせをしながら次の時代、みどり3兄弟の次の種雄牛のステップを考えていくと。それが現実的な戦略なのかなというふうに今の御質問を伺っていて思いました。
いずれにいたしましてもぜひ今こそ時来たれりでありますので、
小谷県議がおっしゃったように勝負をかけるときだと思います。
◯議長(野田修君)24番
小谷議員
◯24番(小谷茂君)知事はよく勉強をされていて、私の質問の先、先を行かれるようで、大変うれしく思うところでございますけれども、一方では、考え方をちょっと変えれば、日本の畜産業はTPP問題と
日豪EPAを含め、先行きは本当に不透明なわけでございます。また、難問・課題は多いわけでございますけれども、和牛界はオールジャパンで私は立ち向かわなければならないということで、先ほど知事が答えていただきましたように岩手のほうからも精液を導入できたということだと思っております。
そこで数字的には全国、日本一であります。実際に他県でも肥育され、好結果な肥育成績が出てこなければ、本当の日本一にはなれないと。
鳥取の雌牛軍団ではとても評価できるような数字ではないではないかと。だから59万5,000頭の中の他県の雌牛の力をかりながら実質的な日本一を目指さなければならないではないかと私は思うわけです。
鳥取県で造成された種雄牛の精液について、一定のルール、きちんと言えば例えば県条例をつくった上でも他県に販売し、その利益を基金として、鳥取県の
繁殖雌牛の増頭を目指すべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
立派な種雄牛の造成をしたわけですけれども、聞いてみますと宮城全共に肉牛の部で7区、8区、9区で期待できる状況ができつつあるわけでございます。
畜産試験場が平成17年度に導入された肉牛の枝肉を皮膚の上からエコーの機械ではかるアイミートというのが老朽化しているということを聞きました。何か知らないですけれども、機械的なことであるかもしれませんが、早く購入して宮城全共に向けて早急に整備する必要があると考えます。このことについても一応アイミートを使う技術者を養成しなければ、要は個体に数多く当たるということが重要だと思いますので、そのような対策もあわせてお伺いいたします。
◯議長(野田修君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
小谷県議から2点のお尋ねがございました。
まず、第1点の県外の母牛を活用すべきではないかということでございます。
この点につきましては、
農林水産部長から詳細を御答弁させていただきたいと思います。
議員がおっしゃるように、ここが非常に悩ましいところでございまして、鳥取県の生産体制ですね、増頭体制に限界があるということがございます。したがいまして、日本の将来のことを考えれば国全体で勝負をかけるというのも当然あり得るロジックだと思います。
TPPにつきましては、このたびフロマン通商代表と甘利大臣が話し合ったということでありますが、報道されているところではどうも交渉が難航しているようでありまして、年内決着というのにはならないのではないかという報道がなされているところであります。
詳細は私どもに明らかにされておりませんが、ただ、いずれにせよTPPのこともこれありでありますが、いろんな意味で国際的競争にさらされることは今後考えられますので、牛というのは一朝一夕でできるものではありませんから、長い目で競争力をつくっていくというのは一つの重要な観点ということはそのとおりだろうと思います。
また、県外の雌牛を活用することで幅が広がるということはあると思います。ただ、農家の中には、せっかく県の税金を使ってこういういい牛を次々造成してきたわけであり、またそういうことをせっかくチャンスが出てきたので、まずは地元の農家がその恩恵を受けるべきではないだろうか、精液の優先供給を受けるべきではないかということもあります。他県でも基本的には県内が優先されているところでございまして、あとはどの辺の兼ね合いでルールをつくっていくかではないかなと思います。
あわせて仮に販売をするということになった場合、もちろん県内の精液販売も含めて結構かと思いますが、そういうものを畜産振興に還元をするために基金をつくるというのも一つのアイデアではないかなと思います。今回優秀な種雄牛が造成をされたということであり、日本一という評価も出始めているわけでありますから、従来とは値段の面でも、それから今後のさらなる
種雄牛造成が続いていった場合の継続性という面でも何か基金のようなものをつくって今後のそういう改良事業に役立てるというのはアイデアだろうと思います。これについては当初予算に向けて検討させていただきたいと思います。
また、アイミートのお話がございましたが、これは御指摘がございましたので、早速購入、更新につきまして検討させていただきたいと思います。
先ほど申しましたように、今は非常に
スピード感を持って勝負をかけなければいけないときだと思います。そのほかにもいろいろと機器という面で言えば更新やいろんな購入を考えるべきものがあろうかと思います。ストローマシンと言われるような精液を吸引して分注していくという機械であるとか、また急速凍結機であるとか、こういう一連のものもやはり改良事業を進めたり、販売を促進していくと、コマーシャルベースの話も含めて考えていけばあわせて措置しなければならないのではないかと思います。ぜひ関係者の御意見もいろいろ伺ってみて、体制を強化してまいりたいと思います。
◯議長(野田修君)
岸田農林水産部長
◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をいたします。
まず精液の販売については、先ほど来ありましたようにいろんな議論があるということで、戦略会議の中でしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
なお、精液を他県に販売する場合、議員の言われたとおり一定のルールというのは必ず必要であるというふうに思っております。大分県等では、県外へ精液販売する場合は、県で要領を定めまして、県の協議会等で事前に協議した上で販売をしているというようなそういうやり方をとっておられます。
精液の流通がかちっとしたものになるというような流通体制の確保ということについては、宮崎等では人工受精師に利用実績を試験場等へ報告を求めるというようなことで精液流通の実態把握、それから精液の転売防止というようなことに役立てておられるということでございます。
なお、県条例ということがございました。これについてはもしも精液の県外流通の量を制限する条項が中に入っておれば家畜改良増殖法に抵触する部分もございますので、慎重にここは考えていかなければならないというふうに思っております。
次に、アイミートと、それから技術者の養成の件でございます。
アイミートについては、平成19年の鳥取全共以来、診断機器ということで脂肪交雑でありますとかロース芯の面積を正確に測定をするということで使用しております。
現在のアイミートは、平成17年に購入をしたもので、大変老朽化しているということでございます。知事からもございましたように、来年度の予算の中でしっかり検討していきたいと、導入していきたいというふうに思っております。
また、新しい機械を導入すると当然機種が新しくなると、その機械の画像の見え方が変わってくるということで、これもその機械に合わせた技術というものが必要になってきます。現在アイミートを使える技術者が5名、うち試験場に3名おりますが、この技術者の増員、使える者の増加も含めてその人員の整備というものも考えてまいりたいというふうに思っております。
◯議長(野田修君)24番
小谷議員
◯24番(小谷茂君)これは例えばの話でございますけれども、百合白清2を民間の人工授精所が所有すれば、年間数億円の売り上げが見込めると、数億円でも5億円、6億円の数字でございます。そういうことを仄聞したわけですけれども、白鵬85の3、平白鵬、3頭の種雄牛も3,700頭の雌牛では到底県内で使い切れないと思います。先ほど申し上げましたように、宝の持ち腐れになる可能性がある。ですから復唱になりますけれども、鹿児島県や宮崎、岩手、岐阜県と特にお世話になったところには、優先的にセールスして、利益で基金造成を行い、
繁殖雌牛の増頭や宮城全共に使用すべきだと私は考えますが、知事の所見を伺います。条例だろうが要領であろうがどちらでも結構ですので、検討していただくということをお願いしたいと思います。答弁を求めておきます。
種雄牛で名実ともに全国一、あるいは日本一になろうと思えば、東京の食肉市場で勝負をかけなければ本当の日本一とは言えないと他県の方々がよく言っておられます。全国で約59万5,000頭いる繁殖牛、先ほど言いましたけれども、約0.6%しか鳥取県にはいないわけでございます、
繁殖雌牛群が。このような状況の中では、優秀な種雄牛ができた悩みがまた持ち上がっておるわけでございます、利用の仕方等々で。先ほども言いましたけれども、このようなチャンスは二度と来ないので、他県の
繁殖雌牛の力をかりなければならないと私は強く思っていますし、また東京市場で勝負し、成果を上げることが全国への多大なPR、このことについては東京の肉市場で鳥取の牛はすばらしいと言って、その成果、結果だけでもう宣伝効果は十分なると思っていますし、和牛王国復活を目指すべきと思いますけれども、知事の所感を求めます。
◯議長(野田修君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
小谷県議から重ねて御質問がございました。
おっしゃるように、和牛王国の復活、鳥取の復活を目指そうと、その意味で今回の百合白清2を生かしていく、この戦略が重要かと思います。前半でお尋ねのございました県外へのことでありますが、先ほど部長からも御答弁を申し上げましたように、何かルールをつくりながら、今お世話になった県とかというお話がございましたけれども、何か限定的なところからまずはスタートをさせながら量の状況をちょっと見るということかなと思います。基本的には県内農家が使えなければ意味がないので、県内農家の流通分は当然確保した上で、その上でどういうように県外分を考えるか、この辺が焦点かなと思って伺っておりました。いずれにしてもこれは先ほど申しましたように、新たな
和牛振興戦略会議のようなところで議論していただいて、実は
小谷議員のような御意見の農家さんもいらっしゃいますので、いろんな農家さんのお考えをちょっと総合させていただいて、何が一番いい解決策か、それを考えていきたいと思います。
東京市場で勝負するなどの戦略が必要だろうということでありますが、東京市場の例えば共励会に出そうと思いますとある程度ロットを出していかなければいけなくて、現在の全農ミートさんとか県内の流通のチャンネルでは鳥取の牛がそのまま入り込むのは市場のシステムとしても難しいみたいでございます。そういう意味で議員は、県外牛を活用したらいいではないかという論だと思います。
その辺はまた別途会議で議論するとして、大切なのは最後におっしゃった、どうやってこの百合白清2を契機として鳥取の和牛の名声を上げるかというところだろうと思います。ですからプロモーションないしPRということをこれからあわせてやっていかなければならないだろうと思います。
百合白清2につきましては、8月から交配が始まりまして、子牛が来年には出てくるということ、出産が始まります。それで子牛の市場に供給されてきて、さらに肥育後でありますが、肥育牛として販売ルートにのってくる。それが実はちょうど平成29年の9月、10月ごろになるのですね。このときが和牛全共の
タイミングであります。だから宮城の和牛全共の
タイミングにいよいよ百合白清2の肥育された牛が出ていくという
タイミングになる。こういうタイムスパンを我々としてどういうふうにこれから準備していくかということだと思います。だから盛り上げて盛り上げて、願わくば和牛全共で肉牛の部で名声をとる。そういうこととあわせて市場のほうにプロモーションをかける。
また、議員がおっしゃるように、ある程度ロットがなければ出ていけないものですから、その意味では乳牛の仮腹をして受精卵で百合白清2の産子をつくっていく、そういうことを従来以上にドライブをかけてやっていく。それを一気に和牛全共のころに世の中にPRする。もちろん子牛の市場については、生産農家向けのPRをその前段階でやっておく、こんなような段階的な戦略、それから増頭体制だとか議員がおっしゃった
畜産試験場を初めとした
和牛改良の機能アップ、この辺をトータルにやっていく必要があると思います。そういう意味で冒頭に申し上げましたが、新たな
和牛振興戦略会議のようなことを立ち上げて、この際、鳥取県の和牛王国復活に向けたエンジンを本格起動させる、それが重要だと考えております。
◯議長(野田修君)24番
小谷議員
◯24番(小谷茂君)前向きな答弁だと私は理解しておりますけれども、その中でもやはりいろいろな意見はあると思います。しかしながら、この
タイミングを逃すわけにはいかないと思っております。なぜなら1カ月にうまくいけば6,000本のストロー、とれない時期もあると現場では言っていますけれども、そうすれば年間6万本、1頭でもうまくいけば、その半分にしても3万本ぐらい、それを3,700頭の雌牛でどうやって鳥取県は利用できるのですかというのがまず私の疑問点であります。それも解決すべき問題だと、どういうふうに日本一を目指すか、それもきちんと、せっかくできた名牛ですので、名牛と言われても全国で20万頭子牛ができなければ名牛図鑑には載らないような状況が今までの状況だと思っております。ぜひ考えていただきたいと思っております。
このみどりの血統は、母がみすずです。みすずの父は、平茂勝も入っておりますし、百合白清2と白鵬85の3の2頭も祖父は平茂勝であります。平茂勝は、言わずと知れた20平茂の子です。智頭からできた、鳥取からできた親ですので、幾ら鹿児島生まれといえども養子に行った鳥取の牛がきちんと立派に成績を出したということだと私は思っておりますし、一方では、みどりの但馬牛、安福の血が強い牛であります。この岐阜県の購買に行かれた職員の方が兵庫県から導入するときに岐阜県の予算では購入できない状況が見えたので、3人の職員が40万円ずつ自分らで出しても牛を買おうというような、これは事実かどうかちょっと、裏話であったようでございますので、そのような但馬から結局岐阜に導入された安福であります。飛弾牛の銘柄は安福あってのことだと私は理解しておりますけれども、百合白清2と白鵬85の3は2頭とも鳥取系と但馬系の合作であると、わかりやすく言えばそうだと思っております。
そのような状況をつくり出したということには畜産関係者の方には非常に感謝するわけでございます。このたびの産肉能力検定において全国1位の成績をおさめました百合白清2の記念祝賀会が10月下旬に開催されると伺っておりますので、この祝賀会において百合白清2の母牛だったみどりを導入された故生田英則さんに対し知事から感謝状を贈るべきだと私は考えますが、知事の所見を伺います。
◯議長(野田修君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)議員がおっしゃるように、これまで大変な苦労をしてここにまずたどり着いたわけでありますが、そういう関係者に改めて今お話を聞きながら感謝の気持ちを強くしているところでございます。
今回のみどり3兄弟は、どうも安福久系と相性もいいようだということもあって、非常にいい成績が出てきているわけでありますが、みどりを今回導入したことが契機になりました。
このみどりにつきまして、生田さんの御功績が大なるものがあります。先ほどPR、プロモーションをこれから一気にかけていくという話がありましたが、その第1弾として百合白清2の顕彰大会といいますか、祝賀の会、お祝いの会、これから立ち上げるぞというキックオフの会、これを今計画しようと関係者で話し合いが始まっております。ぜひ議員の御提案もございますので、関係者、御遺族への感謝状の贈呈など十分な顕彰をさせていただきたいと考えております。
◯議長(野田修君)33番銀杏泰利議員
◯33番(銀杏泰利君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。公明党の銀杏です。
最初に、鳥取環境大学の大学間学術交流、留学生交流について質問します。
鳥取環境大学は、公立化によって順調にスタートしましたが、全国には環境を名乗る学部、学科は数多くあり、これから生き延びるためには実績だけではなく、独自の魅力をつけていく必要があります。
鳥取県は環日本海諸国との国際交流に力を入れています。北東アジア諸国とは地方政府サミットを通じ交流のきずなを強めています。国際交流員も韓国4名、ロシア2名、台湾も含めた東アジア5名、英語圏1名の計12名と多くの交流員を配置しています。日本最小の県としては破格の規模だと思います。今、日本では、西欧諸国よりもアジアの国々に比重が移ってきていますが、アジアに面した日本海の沿岸に位置するという優位性が鳥取県にはあります。
こうした優位性を生かして、国際交流、海外に開かれた大学を標傍することが鳥取環境大学の大きな魅力になるのではないでしょうか。極東アジア諸国の大学や研究機関との学術交流や留学生交流、さらには広く国際交流を太くすることで、鳥取環境大学ならではの魅力を増すことになります。アジア各国で将来活躍するには、環境分野で国際的に活動するには、鳥取環境大学に行けと言われるようになりたいものであります。公立大学として出発したばかりですが、将来の夢とすることなく、着実に一歩一歩毎年前へ進めるべきと思います。
留学生の相互派遣や学生交流となると、学内にそれぞれの国の語学人材がどうしても必要となります。昨年ウラジオストク国立経済サービス大学を訪問した際、ラザレフ学長は、環境大学へロシア語教師派遣の用意があること、またみずからの大学に日本語学科を将来復活させたいと意欲を示しておられました。私は機が熟している、着実に前へ進めるべきと強く感じました。全国には、国際交流・留学生交流を大きく進めている私立大学がありまして、学生総数は8,000名程度の規模で、学術交流協定を結んだ大学が全世界150大学、年間延べ200名程度の留学生派遣をし、1年に700名程度の学生が海外修学体験をされているようであります。これからの大学の姿を見る思いがいたしました。鳥取環境大学では今後、国際交流、留学生交流を大きく進めるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。また、語学教授陣の充実が必要と思いますが、いかがでありましょうか。
次に、環境大学の理系としてのカリキュラム、研究実験棟の活用について質問いたします。
◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員から、危険ドラッグにつきまして重ねてお尋ねいただきました。
地籍調査につきましては、誠実に取り組まさせていただきたいと思います。
これについて、議員のほうの一番最初の冒頭のところは全く私も一緒でございまして、例えば教育だとか、それからそのほか例えばPRのような啓発活動とか、それから行政的にもさまざまなアプローチがあると思います。そうしたことと組み合わせて抑止を図っていく、それは当然のことだと思います。
今回、実は条例案を提案させていただいていますが、ちょっと余り世上で取り上げられていませんが、5条の第2項というところに県民運動として、みんなでこうしたものを撲滅を図っていきましょうと、そういうことも書かせていただいておりますのは、まさに今、議員がおっしゃったのと多分同じような観点だろうと思います。
現実にも、恐らくこれから議論いただいて仮にお認めいただくということになったら、そのときには教育だとかそのほかのPRだとか、あわせてやっていかなくてはいけないことだというふうに思います。例えば今、警察のほうからもアプローチしていますが、宅建業者の皆さんに、そういう製造だとかそんなことがあればそういうものを排除しましょうということに協力してもらうとか、今回5条の2項でも書かせていただきましたが、お医者さんだとかそういうところでは薬剤を使ったとわかるわけでありまして、そういう情報を当局とも共有したりして撲滅を図っていく。さらに予算的な措置としては、これはいわゆるドラッグ対策のアディクションとしてされるわけでありますが、それとか立ち直っていく動きを社会全体でも応援していくこともやっていかなくてはいけない。その辺を全部トータルでパッケージで予算も含めて私が今提案させていただいているところでございまして、その意味では、前段の部分は全く同じような考え方だというふうに思って伺っておりました。
後半のほうがいささか、多分最初のスタンスが違うのかもしれませんけれども、議員のほうでは反社会的行為で刑罰に値するかということでテーゼを立てられるわけでありますが、私が先ほど来申し上げているように、今、麻薬だとか覚醒剤だとかと同じように危険薬物というレッテルが張られていますが、国のほうの法律ではまだ取り締まり対象とはなっていないけれども全く同じような効果を生ずるもの、これを使うことは、大麻だとか覚醒剤を使うのと同じように反社会的行為であると考えるべきだと思います。ですから、刑罰もそれと同じように考えられるべきだと思います。
そういうふうに私が申し上げるのは、今の社会実態がありまして、お店だとかそういうところでどういうセールストークで売られているかと申し上げれば、これはもう覚醒剤などと同じぐらい、あるいはそれよりも効果がありますよと、だけれども、たまたま国の法律には書いていませんからこれで捕まることはありませんよといって売られている。これほど悪いことはないと思うのです。むしろ反社会性としては少なくとも同等な扱いを受けざるを得ないものだと思います。これが、では他人に迷惑をかけていない、たばこを吸うような行為だからいいですよということかといえば、しかし、現実問題としては交通事故であるだとかそうした社会的害悪をまき散らしているわけであります。これをどうやって抑制しようかというのが今、国を挙げてのテーマになっていまして、そこのところで我々としては、こういう解決策がありますよと、もちろん罰則だけでなくて予算上の措置だとかいろんな県民運動だとかを含めた措置がありますよという御提案を今世の中に対してさせていただこうとしているわけでございまして、私は反社会性という点ではほかの刑罰と同じように評価されるのではないかと思います。
また、規定が不明確であるとか雑駁であるというお話がございました。
実は私は、この立案を中でいろいろと議論するに当たりまして念頭にありましたのは、刑法144条であります。浄水毒物混入罪といわれるものでありますが、これは飲み水に毒物その他健康を害するおそれがあるものを混入させてはいけないということです。ですから、それは同じように健康に害を及ぼすもの、毒物その他ということでありまして、規定の体裁としては我々がつくったものと実は同じような体裁になります。ですから覚醒剤等々、そうしたものと同等のものであって、それで健康に害悪を及ぼすおそれがあるもの、しかも興奮だとか幻覚等の症状を起こさせるもの、こういうように書くことで、これは刑法にも書いてあるものであり、それと同じように解釈されてもおかしくない。
最近私どもがこういうことを夏の初めに議論を始めさせていただきましたら、警察も変わってきました。警察も今、全国的に交通違反として取り締まりをしようとしています。それは道路交通法に根拠があります。道路交通法に何と書いてあるかといいますと、薬物その他を使用することによって交通に危険を及ぼす、そういうことで取り締まるという、これは根拠規定があるのです。そこにひっかけているのですが、ひっかけているところは何かというと、薬物という2文字、あるいは交通に危険を与えるといういわゆる危険罪としての一般論として、それだけなのです。ですからそれ以上に私どもの条例は中身が書いてあるわけでありますから、明確性は十分にあるというふうに思います。
こういうことで、大方の御理解いただける内容になっているからこそ、22日に兵庫県が同じようなこと、うちと違いまして全部まで取り締まる規定になっていないかもしれませんけれども、定義のところは大体同じであります。京都が今考えている骨子案として公表したものは、完全に私どもと定義規定も一致する内容になっていると報道では見受けました。
こういうように、ある程度、社会常識に合ったものを我々としても提案できたのかなというふうに思っておりまして、御理解いただければと思っております。
◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員
◯27番(稲田寿久君)知事の言葉に逆らうわけではないですけれども、例として水道の毒物混入のその罪と、このいわゆる向精神薬をどう取り締まるかと、これの例には私はふさわしくないと思います。罪質としては全然違う罪質です。罪の質が違うのです。それを話していると長くなりますのでやめますから、またいつか機会があったら説明いたしますけれども、罪質が全然違いますので、それは例に当たらないと思っております。片一方は直接的な害悪があるのです。片一方は、その向精神薬を飲んだことによって薬理作用が出てくるというところなのです。片一方は、毒物を混入するという、その行為自体にいわゆる害悪性があるということなのです。人がそれを飲んで病気になったとか亡くなったとかということになって初めて水道の毒物混入が罪になるのではないです。これは構成要件をよく読んでみていただければおわかりになると思います。
重ねて私が申し上げたいことは、知事、もう一回あの条文は考えてみる必要があると思います。多分、県警本部長も、きょうは質問いたしませんでしたけれども、実際にこの条例が仮に制定されたときに、警察としてこの条例をもってどういう取り締まりをなさるのかなというのは、非常に頭を痛めておられるのではないかと私は思っております。非常にそこの部分が不明確だからなのです。構成要件がもっと明確であれば、罪状も、逮捕状を持っていったり、あるいは何かするわけですから、その逮捕状の中にも書きやすいものがあると思うのですが、それが非常に書きにくい部分もある。そして、証拠としてどういう証拠を取り上げていくのかということも難しい問題があるというように私は思っております。もう一度この条文の再考をお願いたいと思っております。
そして、しかも先ほど申し上げました社会的なモラルとして教育であるとか道徳であるとか倫理であるとか、そういったようなもので、あるいは行政的な取り締まりでもってこれを取り締まっていくということが今できる非当罰的な不問行為であるという認識にぜひ立ってほしいというふうに思うのですが、それの知事の所見を伺って質問といたします。
◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田県議の質問にお答え申し上げます。
尊敬する稲田県議なので、おっしゃることの意味はあるとは思うのですけれども、若干よって立つところが違うのかもしれません。今聞いていて思うのですが、それは多分、時代認識かもしれません。
私は、今この現代、今の状況において、国が指弾をされたり、それから取り締まりについて厳しい声が上がっている。それは何でこんなものを違法だとかいうことで取り締まらないのだということがあるわけです。内容ははっきりしているわけです。いわゆるドラッグといわれて危ないよと、しかも売っているときにこれは効果がありますよとして売っている。それを取り締まらないということのほうがおかしい。その取り締まらない理屈が一般の人には小理屈に聞こえるのです。化学式が一致しないからそれは取り締まり対象ではないですよということの繰り返しである。それに業を煮やして、最近も警察の実務の中で道路交通法66条を引き出したわけです。
先ほど私が刑法144条を取り上げさせていただいたのは、要は毒物という言葉と薬物という言葉、もちろん言葉も違いますし効果も違いますが、それを解釈して、大審院の古い判決ですね、例えば毒物という言葉を青酸カリはこれに当たると解釈をする。そういうように……(発言する者あり)そう、だから毒物の解釈でその運用ができているわけです。毒物の中身というのは何かというのはわからない。健康その他の被害を生じさせるおそれというものをくっつけているだけでありまして。我々のほうも、そういう意味で薬物、それにその他健康に被害を生じさせるというものでありまして、薬物という解釈だけでやるのかといえば、それは毒物を解釈だけでやっている刑法と一緒ですよということを申し上げた範囲であります。
その薬物ということだけで申し上げれば、今先ほど申しました後段のほうの道路交通法の66条、これはまさに薬物を使うことによって交通に危険を生じさせた場合ということでありまして、この薬物というのは、実は危険薬物は入っているかどうかわからないです。ただ、警察はもうしびれを切らして、実務上その薬物を使って自転車をやった人を捕まえた事例が出てきていると。
こういうように、世の中はもう今の現状に飽きたらずに動かざるを得なくなってきているわけです。根本のところでやはり風穴をあける必要があるし、社会常識に合った条例ないし取り締まりの法体系をつくるべきだと。我々はそれを考えさせていただいて、鳥取県内だけという適用になるかもしれませんけれども、鳥取県として、やはり県民のために高々と旗を掲げさせていただきたいということであります。
確かにこれが当罰性があるかどうかという議論は提起されるわけであるわけでありますが、先ほど申しましたように、今この危険薬物を使って、あるいは危険薬物を一般に売りさばく、危険薬物をつくるというのは非常に反社会性の高い行為だと常識的には思っているわけでありまして、その常識を法律的に表現をすれば、それは罰則の可能性のある禁止行為ということになるだろうと思います。
したがいまして、私は今回提案させていただいたこと、もちろんいろんな議論があったり慎重な考慮を要すべきことであろうというのはよくわかるのですけれども、これまで各方面ともいろいろと議論させていただき、捜査実務のほうの立場も考えながら最終的に立案させていただきましたので、御理解いただければと思います。
◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員
◯27番(稲田寿久君)いや、わかるのです。ですけれども、知事、やはり私は、社会常識と法の精神だけ守ってそれでいいなどと言っているわけでも何でもないのです。今の社会常識と合った形の法体系というのを組み上げていかないと、ということは、これはもう私も重々よく知っております。ただ、それでもやはり原点に立ち返って、先ほど知事もいみじくも言われたデュー・プロセスです、方法と手段、目的、そういったようなものにいささかのそごがあってはならないということを私は申し上げておるわけです。その手段、方法がやはり少しおかしいから、おかしいのではないですかということが私の質問の大きな動機なのです。再検討を願えますでしょうか。
◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員から重ねての御質問がございました。
先ほど申しましたように、今社会が求めているのは、こういう危険ドラッグを法的な強制力をもって禁止すべきであるというところにあると思います。だからここは時代認識が若干違うのではないかというふうに申し上げたところでありまして、稲田議員のようなそういう一つの法体系も当然考えられると思いますが、世の中が今求めているのは、これを可罰性のあるものとして取り扱うこと、そのための知恵ではないかというふうに私は考えております。
もちろんデュー・プロセスに配慮しておりますので、知事指定候補薬物については反論の機会を与えるとか、いわゆる告知、聴聞の手続に似たような、そういうものも内在させていただいております。我々としても慎重にいろいろと考慮を重ねたようなつもりでございますので、ぜひ条文をいま一度見ていただきまして御判断いただければと思います。
◯副議長(前田八壽彦君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後3時08分散会
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