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  1. 鳥取県議会 2014-09-01
    平成26年9月定例会(第4号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ ◯議長(野田修君)開会に先立ち、申し上げます。  さきの大雨による広島市の土砂災害に対し、鳥取県議会議員33名全員の皆様からお預かりした見舞金を昨日、広島県議会、林議長にお持ちさせていただきました。林議長さんより皆様へ御丁寧なお礼の言葉をいただきましたので、御報告を申し上げます。    ────────────────        午前10時00分開議 ◯議長(野田修君)ただいまから、本日の会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  去る6月定例会において採択し、執行部に送付いたしました請願、陳情について議長のもとに処理状況の報告が提出されましたが、その写しは、お手元に配付のとおりであります。  本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第1号「平成26年度鳥取県一般会計補正予算」から第15号「平成25年度鳥取県営病院事業決算の認定について」までを一括して議題といたします。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  24番小谷茂議員 ◯24番(小谷茂君)(登壇、拍手)おはようございます。  それでは、通告に従いまして、今後の鳥取県の和牛振興について知事に質問いたします。  まず、県有種雄牛の活用方法について伺います。  先日の新聞報道、またきょうの農業新聞でも報道がありましたとおり、このたび、畜産試験場が所有する種雄牛、百合白清2が種雄牛の能力を評価する現場後代検定において、霜降りがどれだけ入っているかを示す指標(BMS)とステーキになる高級部位の肉質を示すロース芯面積が日本一の結果となるなど、非常に好成績をおさめ、基幹種雄牛として認められました。全国に誇れるすばらしい成果であり、大変喜ばしいことだと思います。既に全国各地から注目され、精液の注文が殺到しているという話もあるようですが、鳥取県は原則として、精液を県外に出さないスタンスをとっており、今回の百合白清2についても、県外からの注文をお断りしているのが実情だと認識しています。  一方、鳥取県内の繁殖雌牛の頭数は約3,700頭であり、中国5県の中で一番少なく、全国59万5,000頭いる繁殖雌牛のわずか0.6%であります。せっかく日本一の種雄牛ができたにもかかわらず、県外に精液を出さないのは宝の持ち腐れだと考えます。そこで県内のみならず、全国に精液を配付し、鳥取県の種雄牛や鳥取和牛のPRをすべきだと思います。さらに、精液の収入を鳥取和牛の発展、特に繁殖雌牛の増頭対策の財源に充てることもできると考えます。  もちろん、県外へ無制限に出しますと鳥取県の和子牛市場に購買に来なくなりますので、全国へ精液を配付するフローや一定のルールづくりなどは必要だと思います。  平成21年に策定した鳥取県和牛ビジョンには、平成35年目標に和牛繁殖雌牛頭数を3,000頭から5,000頭に引き上げるとありますが、ここ数年、全く頭数はふえていないのが現状であります。よい種雄牛ができても、和子牛頭数が少ないと県外購買者は来てくれませんので、今後は繁殖雌牛をふやすことが大変重要になってくると認識しております。  そこで、強い産地を目指していく上で、県有種雄牛の今後の活用方法をどのようにお考えか、知事の所見を伺います。  次に、今後の種雄牛の造成の考え方について伺います。
     百合白清2はみどりという雌牛から生産された3兄弟の次男であり、残りの兄弟牛である白鵬85の3、平白鵬も種雄牛の能力を評価する現場後代検定試験の最中だと伺っております。このみどりは、東伯郡琴浦町の故生田英則さんが岐阜県飛騨市場から導入された牛であり、岐阜県の牛はどれも小さいのが特徴である中、大きな牛であることを確認して購入を決められたそうです。当時80万円以上の高値がついたとのことであり、岐阜県へ3回購買に行かれたうちの2回目に購入してきたのですよと家族の方が話してくださいました。  その後、みどりはその優秀な能力を認められ、単県事業である種雄牛造成に用いる供卵牛導入事業により県が購入することになりました。そして現在、畜産試験場にて県内の和牛改良のために活用されているという状況にあります。  このみどりという牛を導入してこられた生田さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。足を向けて寝られません。そういった経緯のもとに造成された3兄弟の種雄牛でありますが、日本一の成績を出した百合白清2に続き、その長男に当たる白鵬85の3の成績も少しずつ判明しており、百合白清2を超える成績になるのではないかという前評判も聞こえてきます。  そうした中で、鳥取県は今後、間違いなく、みどりから生まれたこれらの種雄牛を農家が利用していくことになりますが、このような状況の中でこそ、次の種雄牛造成の対策を真剣に考えておくべきだと考えます。  以前、鳥取県の種雄牛に糸北鶴という名牛がおり、糸北鶴の繁殖雌牛が県内に数多く残りましたが、結果として、その次の種雄牛が長年できなかったために、鳥取県の和牛が廃れていった経緯もありますので、同じ轍を踏むことがないよう、優秀な種雄牛ができた今こそ、次の種雄牛の造成の対策を考えておくべきだと考えますが、今後の種雄牛造成の考え方について、どのように考えておられますのか知事の所見を伺います。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)小谷県議の一般質問にお答え申し上げます。  小谷議員からは、我が県におけます種雄牛造成につきまして、県有の種雄牛の今後の活用方法、さらにこれからの種雄牛造成についての考え方、対策という観点でのお尋ねをいただきました。  詳細につきましては農林水産部長から御答弁を申し上げたいと思いますが、私も小谷議員の御質問をお伺いしておりまして、生田英則さんにお世話になって、みどりという牛が入ってきた。さらに残念ながら一昨年ですか、他界をされましたが、その御遺徳をまた県の種雄牛造成に役立てていただきたいというような温かいお話が御家族からもございまして、現在その畜産試験場における活用が図られている。その中から今回の御質問にございました牛が生まれているということでございます。  議員が御指摘ございました百合白清の2でございますが、これにつきましては大変にすばらしい今の後代検定の成績が出ました。先月末までに明らかになってきたわけでございます。BMSでいきますと脂肪交雑9.2という、これは鳥取県のこれまでの種雄牛造成の中では驚異的に高いものであります。また、ロース芯面積につきましても68平方センチというような大変に大きなものでありますし、枝肉重量でも510.5キロと大変に大きいものでございます。つまり質量ともにそろったそういう牛を生産できる能力、これを持った種雄牛がついに造成されたということになります。これにはこれまで県内全ての農家と協力しながら進めてきたわけでありまして、県内の生産農家の皆さんや、あるいは改良組合でありますとか、いろいろと御知見、アドバイスをいただいた方々、さらに県議会でも小谷県議を初め多くの県議にこうした畜産振興の応援をいただいてきた、それのたまものではないかというふうに感謝を改めて申し上げたいと思います。  これをどうするかというのは非常に楽しみでもありますけれども、悩ましい課題でもあります。その辺の悩ましさを小谷県議も畜産にかかわりのある方として同じように感じておられると思います。具体的にはこれから多くの関係者の方々と話し合いながら戦略を練らなければいけないと思うのです。と申しますのも、もちろん宮城全共が見えてきました。平成29年という開催年が見えてきまして、いよいよこれから準備が本格化するタイミングになっているわけであります。そういうようなこともこれありでありますけれども、百合白清2だけではなくて、みどり3兄弟と私たちは呼んでおるわけでありますが、白鵬85の3、それから平白鵬、この3頭がみどりの産子として生まれたわけであります。白鵬85の3まで後代検定を始めてきておりますけれども、今のところ非常にいい成績が出ている。BMS12とか、それから枝肉重量でも、今のところでありますけれども、百合白清2を上回るような570キロとかとんでもないことになってきております。そういうようなことからしますと白鵬85の3みたいなものが出て、さらに平白鵬も恐らく同じような形質を持っていると思われるわけであります。  この百合白清2から始まるみどり3兄弟でございますが、母親は今のお話のあったみどりという岐阜から買ってきた牛でありますが、父親のほうが百合白清であれば百合茂でありますし、そういうようにそれぞれ別々の父親から生まれてきているわけであります。これまで受精卵によるそういう改良をもっと進めたらどうだと。これは小谷議員からも常々御指摘をいただいていたわけでありますが、そうした改良の仕組みを変えてきたことの成果で一遍にこういう3つの牛がそろってきたわけであります。  今御指摘もございましたように、農業新聞を初めとして、あるいは畜産ジャーナルのようなものとか、全国的にも注目をされてきておりまして、先般は谷口さんという河原の生産農家さんとお話をした機会がございました。これは鳥取の「わったいな」からやったわけでありますけれども、この牛を、鳥取の和牛の力をぜひいろんな人に知っていただこうというミートフェスティバル、これは鳥も豚もあわせてやりましたが、その中の一こまとしてパネルディスカッションをさせていただいたときに谷口さんも出てこられました。その谷口さんもおっしゃっていましたけれども、あそこでは百合白清2を活用した研究に御協力いただいているわけでありますけれども、もう県外から泊まりがけで見に来るようになっていると。これも観光と言ってはなんですけれども、旅行需要を引き起こすようなそういう効果も出始めていますよというお話がありました。それぐらい注目される状況になってきまして、それが3頭もそろうということになります。  これにあわせまして先般、改良事業団のほうに供託をさせていただいて、これから活用が図られると。その過程で全国にもその精子が出回ることになりますので、鳥取の和牛の名声が上がると言われています福増もそうであります。そのほかにもさまざまな種雄牛を最近導入したり、あるいは開発したりということが進んできておりまして、一気に鳥取県の和牛の改良に向けた視線が熱くなってきていることを感じます。そういうタイミングに来ましたので、根本的に戦略を練り直すべき時期だと私は思います。  最近は、オレイン55という戦略をとってまいりました。これはどちらかというと脂肪交雑が余り強くなくても、それからA4、A5という上物の手前のところのA3ぐらいでも対象とすることで鳥取県の牛のよさを知ってもらおうという戦略でありまして、これも浸透してきて、高級レストランでも扱われているようになってきております。  そういうような流れがありましたけれども、今回はそれに輪をかけた話がございます。もちろん百合白清2の後代検定の状況を見ますと、オレイン酸55%含有の発生率は今39%でありまして、今県内は通常14%ぐらいの発生率でありますから、オレイン55というのは随分と高い鑑定ですが、オレイン55プラスプレミアムという領域が一気にできるわけであります。ですから、従来のような増頭体制よりもっと強化しなければいけないのではないか、あるいは販売戦略を考えなければならないのではないか。また、今、小谷議員がおっしゃったように、今後の種雄牛造成に向けても新しい戦略を、今あるからということではなくて、考えるべき時期にも来ていると思います。  また、そういうようなこととあわせて全共という節目もございます。ですから新たなこの和牛の振興戦略を練る会議、新たな和牛振興戦略会議とでも言うべきものをこの際、創設させていただいて、今ある和牛ビジョンを抜本的に見直す。それでこれから力強く鳥取の和牛が伸びていく、そういう段階に入ってくると思います。ただ和牛改良とか和牛生産は時間がかかりますから、早くからそういう戦略を練って、それに向けたさまざまな動きをしていかなければならないのではないかというふうに考えます。  お尋ねの一つのポイントでありました百合白清2の精液をどうするかというお話はありますが、これは正直申し上げまして県下でもいろんな識者の御意見も分かれているところでございます。そうしたこの精液をどうするかということも含めて、そういう会議の場、あるいは和牛改良の委員会等のお話を聞きながら適切に考えていきたいと思います。  ただ、いずれにせよ目指すべきは県内の和牛農家の振興でございまして、そこのところに主眼を置いて議論していくべきではないかなというふうに思います。外に出すのも、これはこれで鳥取県の和牛はすごいなということの名声が高まる要因にもなります。そういう意味で福増を提供したというようなことがございました。  しかし、片方で、議員もおっしゃいましたけれども、県内の子牛市場、これにお客さんが来てもらわないと繁殖農家のほうが務まらないということにもなります。ですからその辺の兼ね合いでありますので、何か一定のルールをつくるとかそうしたことをやりながら県内のコンセンサスを得て考えていくべきテーマと思っております。 ◯議長(野田修君)岸田農林水産部長 ◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をさせていただきます。  今回の百合白清2を初め知事からもありましたみどり、あと2頭の兄弟、それから福増もあわせまして鳥取和牛のブランドを高める絶好の機会だというふうに思っております。新しく和牛振興戦略会議となるものを立ち上げて議論をしていくということでございますが、精液の販売、これも知事からありましたようにこの会議の中で方向づけを決定したいと思っておりますが、当面百合白清2の精液につきましては、県内の畜産農家の使用分、それから県内の十分な在庫の確保並びに宮城全共のための対策ということもございます。当面は県内生産者へ十分供給ができるようにしていきたいというふうに思います。  議員から御提案がありました繁殖雌牛等の増頭、これも大変重要でございます。現在もオレイン55のブランド向上事業でありますとか受精卵のチャレンジ対策ということで対策は打っておりますが、これを今後、より一層強めて促進していきたいというふうに思っております。  今後の種雄牛造成の考え方でございます。今後、百合白清2の交配が進んでいきますと、こういう優秀な血統を残したいという生産者がますますふえてくるということで、百合白清2の産子、これが繁殖雌牛として多く県内に保留していかれるというふうに思っております。このままでいきますと2年後あたりから徐々にふえ始めて、4~5年先には百合白清2の繁殖雌牛が半数以上を占めてくるというようなそういう状況も予想されております。議員の御指摘がありましたように、糸北鶴の時代には次に交配する新たな種雄牛というものが造成できずに改良がおくれたということがございます。その教訓をもとに、今回は次の種雄牛造成を今から取り組んでいく必要があるというふうに思っております。これには造成の方法にはいろいろ考え方があると思います。将来の繁殖雌牛の血統構成というものがどうあるべきかというようなこと、それから産肉能力のシミュレーション、こういうものを行いながら県の和牛改良委員会で意見を聞きながら、先ほどありました新たな和牛の戦略会議で方向性をまとめていきたいというふうに考えております。 ◯議長(野田修君)24番小谷茂議員 ◯24番(小谷茂君)答弁をいただきましたけれども、具体的な回答がなかったと、重立った流れの中の回答で、では具体的にはどうするかというのが答弁の中にちょっと欠けているように私は感じたわけでございます。  知事はよく勉強されていまして、もう知事が既にお話しになったところと追及質問とがダブるところがあるわけでございますけれども、(笑声)順序に沿って追及させていただきます。  私は、平成21年の12月に政務調査活動で鹿児島の指宿のカワカミ動物病院に行ったわけでございます。川上先生から種雄牛の造成について話を伺ったところでございますけれども、民間では、どの種雄牛を交配しても育種価が高くて、A5-12番が数頭出た母牛を選抜して、そのような実績のある育種価が高い母牛に交配を行うと同時に現場後代検定も行い、また受卵でとりますので、肥育した兄弟牛の結果を見守りながら種雄牛をつくっていく時代であると聞いたわけです。  私は、帰ってから強く畜産課に進言したことを今思い出しております。それを実行してくれた職員と、協力してくださった故生田英則さんに改めて感謝を申し上げますけれども、生田さんがみどりの供卵を受託していただいたからこそ、みどりの3兄弟の種雄牛が百合白清2、白鵬85の3、平白鵬と誕生したのであります。  福増は、先ほど知事が事業団に貸与というのですか、貸したということは申し上げられたので、言いませんけれども、百合白清2と白鵬85の3、そして来年の今ごろには平白鵬の育種価が出るのではないかと、現場後代検定が終わるのではないかと言われています。この平白鵬のゲノム、DNAですね、この配列も非常にすばらしいと私は聞いています。ですからみどり3兄弟と、全国でも1頭の母から全国一を競うような種雄牛の造成というのは、いまだかつて考えられないわけでございます。  そういうようなことでございますので、わかりやすく言えば、鳥取県の中で金、銀、銅を、あるいはそういう状況を目指すべき事態が生じているということで、私は種雄牛が誕生する状況となると思っております。長年夢にまで見たことが今実現しようとしているところでありますけれども、同じみどりで生まれた3兄弟、その中でも白鵬85の3は一番最初に現場後代検定の中で日本一のロース芯123センチ、直径で12.6センチということだそうです。議長の許可を得ましたので、写真ですけれども、この中の結局ロース芯が一番大きいと。ましてやまれに見る570数キロと、枝肉重量もロース芯も、そしてA5の12番、12番という数字があるからこそ12番だったけれども、13、14があったらそれ以上の脂肪交雑ではなかったかと現場では言われているような状況だったそうです。私もちょっと試食したわけですけれども、とても脂っこくて、これがうまいのかなというような思いはしました。(笑声)高価格だったわけでございますけれども、そういう話もしながら、結局コマーシャル牛としてはそれでいいと思います。つくれた中で。  一方では、岩手県より精液を導入できた非平茂勝系統、例えば山根雲、知事には岩手の知事にもお世話になったことを礼も言っていただいたことを感謝申し上げますけれども、いわゆる純鳥取系を造成すべきと私は思います。今申し上げた2点について、コマーシャル牛をつくるのか、あるいは純鳥取系の種雄牛をつくる、2つを目指さなければならないのではないかと思うところですので、答弁を求めます。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)小谷県議から重ねてのお尋ねがございました。  議員もおっしゃったように、オリンピックで言えば金、銀、銅のメダル独占のようなそういう未来すら見え始めているということでありまして、恐らくもう気高号あるいは栄光号といったそういう時代以来の出来事になり始めていると思います。考えてみますと、この議場でも小谷県議が何度もこういうことを取り上げていただき、御指導をいただきましたし、あるいは花本さんが元気を出して鳥取に全共を引っ張ってこられたと、そういうことなども遠因なのかもしれません。  私たちもこの議場での議論をもとにして、いろんな改良の仕組みを向上させようと頑張ってまいりました。先ほど川上先生のお話がございましたけれども、いろんなアドバイスを私どものほうでも入れながら、急速に今頭角をあらわしてきたというのが現実ではないかと思います。現場の士気も非常に上がっておりまして、ぜひ議員がおっしゃいましたように、これからコマーシャル牛というようなお話もありましたし、それから新たな種雄牛造成に向けた動きにつきまして具体的に戦略を練りながら和牛の改良委員会や、あるいは新たに設ける和牛の振興戦略会議、こうしたものを活用して前向きといいますか、今も飛躍のときでありますので、そういう従来とは一殻むいた、破った、そうした対策を現実にも実行していきたい、スピード感を持ってやっていくべきときではないかというふうに私も考えます。したがいまして、小谷県議のようなお考えを我々としても中心に据えながら進めてまいりたいと思います。  その際の戦略として、議員がおっしゃるように山根雲のこともございます。これは県議のほうでいろいろと研究をされる中で岩手にそういう牛がいるということでございまして、私どもの職員も一緒に行かさせていただき、交渉させていただきました。感謝を申し上げたいと思います。  私も達増知事にお話をさせていただきましたが、達増知事は山根雲という名前に余りぴんとこなかったような感じもしましたが、鳥取県に協力しているという話はどうも知っていたようでございます。今回も迅速に岩手県で対応していただけたのはありがたかったなと思います。  この山根雲というのが一つのシンボルなのかもしれません。鳥取で言うと有朋系と呼ばれる鳥取西部のほうの牛の系統がございますが、これが今失われてきているということでございまして、今これでの改良が進んで、鳥取県は残念ながら絶えてしまっていると。それをもう一度、もちろん気高系やそれにかけ合わせた但馬との関係で平茂勝の系統だとかいろいろあるわけでありますが、平茂勝が入っていない系統があるということで、これが重要なのだというのが小谷県議から当初アドバイスをいただいたときのお話でございました。その平茂勝が入っていないこういうものを、今回のみどり3兄弟にかけ合わせていくと、純粋に鳥取系でありながらこういう交雑によりましてすばらしい牛が生まれる可能性もある。次の種雄牛造成という可能性もあるということだと思います。  また、最近は宮崎の口蹄疫問題のときに鳥取県が協力したことを非常に感謝されて、多美福という宮崎からの牛もやってきております。そのほかにもいろんな種雄牛の芽がございまして、こういうものといろいろかけ合わせをしながら次の時代、みどり3兄弟の次の種雄牛のステップを考えていくと。それが現実的な戦略なのかなというふうに今の御質問を伺っていて思いました。  いずれにいたしましてもぜひ今こそ時来たれりでありますので、小谷県議がおっしゃったように勝負をかけるときだと思います。 ◯議長(野田修君)24番小谷議員 ◯24番(小谷茂君)知事はよく勉強をされていて、私の質問の先、先を行かれるようで、大変うれしく思うところでございますけれども、一方では、考え方をちょっと変えれば、日本の畜産業はTPP問題と日豪EPAを含め、先行きは本当に不透明なわけでございます。また、難問・課題は多いわけでございますけれども、和牛界はオールジャパンで私は立ち向かわなければならないということで、先ほど知事が答えていただきましたように岩手のほうからも精液を導入できたということだと思っております。  そこで数字的には全国、日本一であります。実際に他県でも肥育され、好結果な肥育成績が出てこなければ、本当の日本一にはなれないと。  鳥取の雌牛軍団ではとても評価できるような数字ではないではないかと。だから59万5,000頭の中の他県の雌牛の力をかりながら実質的な日本一を目指さなければならないではないかと私は思うわけです。  鳥取県で造成された種雄牛の精液について、一定のルール、きちんと言えば例えば県条例をつくった上でも他県に販売し、その利益を基金として、鳥取県の繁殖雌牛の増頭を目指すべきだと思いますが、知事の所見を伺います。  立派な種雄牛の造成をしたわけですけれども、聞いてみますと宮城全共に肉牛の部で7区、8区、9区で期待できる状況ができつつあるわけでございます。畜産試験場が平成17年度に導入された肉牛の枝肉を皮膚の上からエコーの機械ではかるアイミートというのが老朽化しているということを聞きました。何か知らないですけれども、機械的なことであるかもしれませんが、早く購入して宮城全共に向けて早急に整備する必要があると考えます。このことについても一応アイミートを使う技術者を養成しなければ、要は個体に数多く当たるということが重要だと思いますので、そのような対策もあわせてお伺いいたします。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)小谷県議から2点のお尋ねがございました。  まず、第1点の県外の母牛を活用すべきではないかということでございます。  この点につきましては、農林水産部長から詳細を御答弁させていただきたいと思います。  議員がおっしゃるように、ここが非常に悩ましいところでございまして、鳥取県の生産体制ですね、増頭体制に限界があるということがございます。したがいまして、日本の将来のことを考えれば国全体で勝負をかけるというのも当然あり得るロジックだと思います。  TPPにつきましては、このたびフロマン通商代表と甘利大臣が話し合ったということでありますが、報道されているところではどうも交渉が難航しているようでありまして、年内決着というのにはならないのではないかという報道がなされているところであります。  詳細は私どもに明らかにされておりませんが、ただ、いずれにせよTPPのこともこれありでありますが、いろんな意味で国際的競争にさらされることは今後考えられますので、牛というのは一朝一夕でできるものではありませんから、長い目で競争力をつくっていくというのは一つの重要な観点ということはそのとおりだろうと思います。  また、県外の雌牛を活用することで幅が広がるということはあると思います。ただ、農家の中には、せっかく県の税金を使ってこういういい牛を次々造成してきたわけであり、またそういうことをせっかくチャンスが出てきたので、まずは地元の農家がその恩恵を受けるべきではないだろうか、精液の優先供給を受けるべきではないかということもあります。他県でも基本的には県内が優先されているところでございまして、あとはどの辺の兼ね合いでルールをつくっていくかではないかなと思います。  あわせて仮に販売をするということになった場合、もちろん県内の精液販売も含めて結構かと思いますが、そういうものを畜産振興に還元をするために基金をつくるというのも一つのアイデアではないかなと思います。今回優秀な種雄牛が造成をされたということであり、日本一という評価も出始めているわけでありますから、従来とは値段の面でも、それから今後のさらなる種雄牛造成が続いていった場合の継続性という面でも何か基金のようなものをつくって今後のそういう改良事業に役立てるというのはアイデアだろうと思います。これについては当初予算に向けて検討させていただきたいと思います。  また、アイミートのお話がございましたが、これは御指摘がございましたので、早速購入、更新につきまして検討させていただきたいと思います。  先ほど申しましたように、今は非常にスピード感を持って勝負をかけなければいけないときだと思います。そのほかにもいろいろと機器という面で言えば更新やいろんな購入を考えるべきものがあろうかと思います。ストローマシンと言われるような精液を吸引して分注していくという機械であるとか、また急速凍結機であるとか、こういう一連のものもやはり改良事業を進めたり、販売を促進していくと、コマーシャルベースの話も含めて考えていけばあわせて措置しなければならないのではないかと思います。ぜひ関係者の御意見もいろいろ伺ってみて、体制を強化してまいりたいと思います。 ◯議長(野田修君)岸田農林水産部長 ◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をいたします。  まず精液の販売については、先ほど来ありましたようにいろんな議論があるということで、戦略会議の中でしっかりと検討していきたいというふうに考えております。  なお、精液を他県に販売する場合、議員の言われたとおり一定のルールというのは必ず必要であるというふうに思っております。大分県等では、県外へ精液販売する場合は、県で要領を定めまして、県の協議会等で事前に協議した上で販売をしているというようなそういうやり方をとっておられます。  精液の流通がかちっとしたものになるというような流通体制の確保ということについては、宮崎等では人工受精師に利用実績を試験場等へ報告を求めるというようなことで精液流通の実態把握、それから精液の転売防止というようなことに役立てておられるということでございます。  なお、県条例ということがございました。これについてはもしも精液の県外流通の量を制限する条項が中に入っておれば家畜改良増殖法に抵触する部分もございますので、慎重にここは考えていかなければならないというふうに思っております。  次に、アイミートと、それから技術者の養成の件でございます。  アイミートについては、平成19年の鳥取全共以来、診断機器ということで脂肪交雑でありますとかロース芯の面積を正確に測定をするということで使用しております。  現在のアイミートは、平成17年に購入をしたもので、大変老朽化しているということでございます。知事からもございましたように、来年度の予算の中でしっかり検討していきたいと、導入していきたいというふうに思っております。  また、新しい機械を導入すると当然機種が新しくなると、その機械の画像の見え方が変わってくるということで、これもその機械に合わせた技術というものが必要になってきます。現在アイミートを使える技術者が5名、うち試験場に3名おりますが、この技術者の増員、使える者の増加も含めてその人員の整備というものも考えてまいりたいというふうに思っております。 ◯議長(野田修君)24番小谷議員 ◯24番(小谷茂君)これは例えばの話でございますけれども、百合白清2を民間の人工授精所が所有すれば、年間数億円の売り上げが見込めると、数億円でも5億円、6億円の数字でございます。そういうことを仄聞したわけですけれども、白鵬85の3、平白鵬、3頭の種雄牛も3,700頭の雌牛では到底県内で使い切れないと思います。先ほど申し上げましたように、宝の持ち腐れになる可能性がある。ですから復唱になりますけれども、鹿児島県や宮崎、岩手、岐阜県と特にお世話になったところには、優先的にセールスして、利益で基金造成を行い、繁殖雌牛の増頭や宮城全共に使用すべきだと私は考えますが、知事の所見を伺います。条例だろうが要領であろうがどちらでも結構ですので、検討していただくということをお願いしたいと思います。答弁を求めておきます。  種雄牛で名実ともに全国一、あるいは日本一になろうと思えば、東京の食肉市場で勝負をかけなければ本当の日本一とは言えないと他県の方々がよく言っておられます。全国で約59万5,000頭いる繁殖牛、先ほど言いましたけれども、約0.6%しか鳥取県にはいないわけでございます、繁殖雌牛群が。このような状況の中では、優秀な種雄牛ができた悩みがまた持ち上がっておるわけでございます、利用の仕方等々で。先ほども言いましたけれども、このようなチャンスは二度と来ないので、他県の繁殖雌牛の力をかりなければならないと私は強く思っていますし、また東京市場で勝負し、成果を上げることが全国への多大なPR、このことについては東京の肉市場で鳥取の牛はすばらしいと言って、その成果、結果だけでもう宣伝効果は十分なると思っていますし、和牛王国復活を目指すべきと思いますけれども、知事の所感を求めます。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)小谷県議から重ねて御質問がございました。  おっしゃるように、和牛王国の復活、鳥取の復活を目指そうと、その意味で今回の百合白清2を生かしていく、この戦略が重要かと思います。前半でお尋ねのございました県外へのことでありますが、先ほど部長からも御答弁を申し上げましたように、何かルールをつくりながら、今お世話になった県とかというお話がございましたけれども、何か限定的なところからまずはスタートをさせながら量の状況をちょっと見るということかなと思います。基本的には県内農家が使えなければ意味がないので、県内農家の流通分は当然確保した上で、その上でどういうように県外分を考えるか、この辺が焦点かなと思って伺っておりました。いずれにしてもこれは先ほど申しましたように、新たな和牛振興戦略会議のようなところで議論していただいて、実は小谷議員のような御意見の農家さんもいらっしゃいますので、いろんな農家さんのお考えをちょっと総合させていただいて、何が一番いい解決策か、それを考えていきたいと思います。  東京市場で勝負するなどの戦略が必要だろうということでありますが、東京市場の例えば共励会に出そうと思いますとある程度ロットを出していかなければいけなくて、現在の全農ミートさんとか県内の流通のチャンネルでは鳥取の牛がそのまま入り込むのは市場のシステムとしても難しいみたいでございます。そういう意味で議員は、県外牛を活用したらいいではないかという論だと思います。  その辺はまた別途会議で議論するとして、大切なのは最後におっしゃった、どうやってこの百合白清2を契機として鳥取の和牛の名声を上げるかというところだろうと思います。ですからプロモーションないしPRということをこれからあわせてやっていかなければならないだろうと思います。  百合白清2につきましては、8月から交配が始まりまして、子牛が来年には出てくるということ、出産が始まります。それで子牛の市場に供給されてきて、さらに肥育後でありますが、肥育牛として販売ルートにのってくる。それが実はちょうど平成29年の9月、10月ごろになるのですね。このときが和牛全共のタイミングであります。だから宮城の和牛全共のタイミングにいよいよ百合白清2の肥育された牛が出ていくというタイミングになる。こういうタイムスパンを我々としてどういうふうにこれから準備していくかということだと思います。だから盛り上げて盛り上げて、願わくば和牛全共で肉牛の部で名声をとる。そういうこととあわせて市場のほうにプロモーションをかける。  また、議員がおっしゃるように、ある程度ロットがなければ出ていけないものですから、その意味では乳牛の仮腹をして受精卵で百合白清2の産子をつくっていく、そういうことを従来以上にドライブをかけてやっていく。それを一気に和牛全共のころに世の中にPRする。もちろん子牛の市場については、生産農家向けのPRをその前段階でやっておく、こんなような段階的な戦略、それから増頭体制だとか議員がおっしゃった畜産試験場を初めとした和牛改良の機能アップ、この辺をトータルにやっていく必要があると思います。そういう意味で冒頭に申し上げましたが、新たな和牛振興戦略会議のようなことを立ち上げて、この際、鳥取県の和牛王国復活に向けたエンジンを本格起動させる、それが重要だと考えております。 ◯議長(野田修君)24番小谷議員 ◯24番(小谷茂君)前向きな答弁だと私は理解しておりますけれども、その中でもやはりいろいろな意見はあると思います。しかしながら、このタイミングを逃すわけにはいかないと思っております。なぜなら1カ月にうまくいけば6,000本のストロー、とれない時期もあると現場では言っていますけれども、そうすれば年間6万本、1頭でもうまくいけば、その半分にしても3万本ぐらい、それを3,700頭の雌牛でどうやって鳥取県は利用できるのですかというのがまず私の疑問点であります。それも解決すべき問題だと、どういうふうに日本一を目指すか、それもきちんと、せっかくできた名牛ですので、名牛と言われても全国で20万頭子牛ができなければ名牛図鑑には載らないような状況が今までの状況だと思っております。ぜひ考えていただきたいと思っております。  このみどりの血統は、母がみすずです。みすずの父は、平茂勝も入っておりますし、百合白清2と白鵬85の3の2頭も祖父は平茂勝であります。平茂勝は、言わずと知れた20平茂の子です。智頭からできた、鳥取からできた親ですので、幾ら鹿児島生まれといえども養子に行った鳥取の牛がきちんと立派に成績を出したということだと私は思っておりますし、一方では、みどりの但馬牛、安福の血が強い牛であります。この岐阜県の購買に行かれた職員の方が兵庫県から導入するときに岐阜県の予算では購入できない状況が見えたので、3人の職員が40万円ずつ自分らで出しても牛を買おうというような、これは事実かどうかちょっと、裏話であったようでございますので、そのような但馬から結局岐阜に導入された安福であります。飛弾牛の銘柄は安福あってのことだと私は理解しておりますけれども、百合白清2と白鵬85の3は2頭とも鳥取系と但馬系の合作であると、わかりやすく言えばそうだと思っております。  そのような状況をつくり出したということには畜産関係者の方には非常に感謝するわけでございます。このたびの産肉能力検定において全国1位の成績をおさめました百合白清2の記念祝賀会が10月下旬に開催されると伺っておりますので、この祝賀会において百合白清2の母牛だったみどりを導入された故生田英則さんに対し知事から感謝状を贈るべきだと私は考えますが、知事の所見を伺います。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)議員がおっしゃるように、これまで大変な苦労をしてここにまずたどり着いたわけでありますが、そういう関係者に改めて今お話を聞きながら感謝の気持ちを強くしているところでございます。  今回のみどり3兄弟は、どうも安福久系と相性もいいようだということもあって、非常にいい成績が出てきているわけでありますが、みどりを今回導入したことが契機になりました。  このみどりにつきまして、生田さんの御功績が大なるものがあります。先ほどPR、プロモーションをこれから一気にかけていくという話がありましたが、その第1弾として百合白清2の顕彰大会といいますか、祝賀の会、お祝いの会、これから立ち上げるぞというキックオフの会、これを今計画しようと関係者で話し合いが始まっております。ぜひ議員の御提案もございますので、関係者、御遺族への感謝状の贈呈など十分な顕彰をさせていただきたいと考えております。 ◯議長(野田修君)33番銀杏泰利議員 ◯33番(銀杏泰利君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。公明党の銀杏です。  最初に、鳥取環境大学の大学間学術交流、留学生交流について質問します。  鳥取環境大学は、公立化によって順調にスタートしましたが、全国には環境を名乗る学部、学科は数多くあり、これから生き延びるためには実績だけではなく、独自の魅力をつけていく必要があります。  鳥取県は環日本海諸国との国際交流に力を入れています。北東アジア諸国とは地方政府サミットを通じ交流のきずなを強めています。国際交流員も韓国4名、ロシア2名、台湾も含めた東アジア5名、英語圏1名の計12名と多くの交流員を配置しています。日本最小の県としては破格の規模だと思います。今、日本では、西欧諸国よりもアジアの国々に比重が移ってきていますが、アジアに面した日本海の沿岸に位置するという優位性が鳥取県にはあります。  こうした優位性を生かして、国際交流、海外に開かれた大学を標傍することが鳥取環境大学の大きな魅力になるのではないでしょうか。極東アジア諸国の大学や研究機関との学術交流や留学生交流、さらには広く国際交流を太くすることで、鳥取環境大学ならではの魅力を増すことになります。アジア各国で将来活躍するには、環境分野で国際的に活動するには、鳥取環境大学に行けと言われるようになりたいものであります。公立大学として出発したばかりですが、将来の夢とすることなく、着実に一歩一歩毎年前へ進めるべきと思います。  留学生の相互派遣や学生交流となると、学内にそれぞれの国の語学人材がどうしても必要となります。昨年ウラジオストク国立経済サービス大学を訪問した際、ラザレフ学長は、環境大学へロシア語教師派遣の用意があること、またみずからの大学に日本語学科を将来復活させたいと意欲を示しておられました。私は機が熟している、着実に前へ進めるべきと強く感じました。全国には、国際交流・留学生交流を大きく進めている私立大学がありまして、学生総数は8,000名程度の規模で、学術交流協定を結んだ大学が全世界150大学、年間延べ200名程度の留学生派遣をし、1年に700名程度の学生が海外修学体験をされているようであります。これからの大学の姿を見る思いがいたしました。鳥取環境大学では今後、国際交流、留学生交流を大きく進めるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。また、語学教授陣の充実が必要と思いますが、いかがでありましょうか。  次に、環境大学の理系としてのカリキュラム、研究実験棟の活用について質問いたします。
     環境学部は理系となっていますが、現状は十分研究実験の体制ができていないと言わざるを得ません。全国の数ある環境学部・学科の中で、実績もなく、地理的にも不利な環境大学です。環境の名に恥じない優秀な卒業生・人材を世に送り出す必要があります。  私は工学部出身ですが、1、2年の教養課程には必修の実験の授業があって苦労いたしました。具体的に物を扱い測定し、調べる基本を学んだものです。環境学部の卒業生が、実際に汚水を見て、その採取と分析の方法がわからない、機器も使えないでは話になりません。一刻も早く十分な研究実験施設を完成させ、カリキュラムに生かす必要があります。研究実験棟完成予定が平成28年秋ということなので、平成29年度当初からのカリキュラムに生かすべきであります。そのときには、新生公立大学の1期生と2期生が卒業していますので、就職活動の中で企業がどのような人材を期待しているのか分析を行い、教授陣も含め大胆に改革・充実していくべきであります。そうしないと他大学に追いついていけないと思います。知事の所見をお尋ねいたします。  次に、空の駅について知事に質問いたします。  6月議会で知事は、マリンピア賀露との接続のアイデアを披瀝されました。私も大賛成で、マリンピアと空港の接続によって、点で存在していた施設が線で結ばれることになり、相乗効果が見込めます。物販と食事とミニ水族館のマリンピア、見学や休憩、展示の空港、その両方の魅力を増すことになります。今議会に調査費が上程されていますが、今後の検討に期待したいと思います。ただ、一言注文をつければ、思い切った大胆な発想も許して検討していただきたい。検討会の人選が大事だということであります。ありきたりの検討結果となれば時代を動かすような力が生まれるのか疑問であります。知事の所見を求めます。  鳥取空港の利用を促進する懇話会は、ことし5月に鳥取空港の愛称を鳥取砂丘コナン空港とすることを全会一致で了承されました。このことについては県民からも特に異論は聞こえてきません。県内の機は熟したと思いますので、よい時期を定めて、愛称決定セレモニーを行うべきと考えますが、今後について知事にお尋ねします。  次に、竹林対策・竹粉の活用について質問します。  これまで繁茂する竹の被害、竹害対策として、森林環境保全税を使った竹林整備、また竹製品開発・販路開拓支援、紙や食器の製作、タケノコビジネスなど議会でも取り上げられ事業として実施されてきています。その結果、里山の竹林がすっかり刈られた姿を見かけるようになりましたが、いまだ山を覆い尽くすような竹林や、杉林を侵食する竹は減っていません。今後も対策の継続が必要だと痛感いたしました。  また、切り取られた竹が山に並べて放置されている姿もよく見かけます。竹の活用が最後までできているとは言えません。切り取った竹を生かすことによって経済的効果を生み、竹の駆除がより進むようにしなければなりません。かつて廃タイヤが至るところに野積みされていましたが、補助燃料として使うようになって、野積みを見かけることはなくなりました。日本で猛威を振るう竹も、有効利用が進み経済的価値が生まれれば、山への被害をなくすことができます。  そこで、竹を破砕し粉状にした竹粉、または竹パウダーの利活用を提案したいと思います。  民間での竹粉の研究や活用は結構進んでいます。私は10数年前に、竹粉を使って米づくりをされている旧八東町の農家の皆さんにお話を伺ったことがあります。竹粉をマルチのようにまいて使うというものでした。食味値が80を超え、85とか大変おいしい米ができていました。現在全国では、竹粉が肥料や土壌改良材にも使われており、効果も大きいということで市販もされています。動物にも飼料として与えるとよく育つと言われていますし、さらに、消臭・脱臭効果、抗菌効果も大きいということであります。  この脱臭や抗菌効果を利用して、生ごみや下水などの脱臭、足の臭いやたばこやペットの脱臭、入浴剤での利用、その他ありとあらゆるものの脱臭に使えるそうであります。牛や豚、鶏舎では、まいたり、敷き材にまぜれば脱臭効果が出るそうです。これらは商品として販売されています。  この竹粉の生産者にお話を伺いました。野菜や果物の肥料にまぜて大変効果があったということでした。また試しに廃鶏、採卵期間を終えた廃棄用の鶏の雌鳥を買い入れ、餌に竹粉をまぜて食べさせたところ、とても元気になり、卵もしっかり産むようになったという報告もされておりました。また、近くの牛舎に竹粉を試験的に提供されて牛ふんにまぜてもらったところ、ハエが発生しにくくなった、においがかなり低減されたということです。私もその牛舎に行きましたが、確かにそうでありました。  そこで具体的な質問ですが、この竹粉の消臭・脱臭効果と肥料としての有効性に注目して、鶏舎の脱臭と鶏の餌としての効果、そして消化されて出てきた鶏ふんの肥料としての価値を高める研究をぜひされたいと思います。鶏ふんのにおいは、豚や牛のふん以上で耐えがたいと聞いたことがあります。畜産農家にとって悪臭問題は悩みの種ですが、餌に竹粉をまぜることで、鶏が元気になり、卵をしっかり産む、しかも鶏ふんの消臭もできる、さらに鶏ふんの肥料としての価値も上がるとなれば、まさしく一石三鳥、養鶏農家にとってこれは朗報であります。ただ、公的機関できちっとした研究が余りされていないようであります。先ほどの生産者の方は、竹の活用では先進地と言われる山口県に出かけたところ、鳥取県のほうが先進地ですよと逆に教わったということであります。しかし、どうも鳥取県が先進地と言われるほどではないようであります。全国に先駆ける研究がもしあればぜひ教えていただきたいと思いますが、なければ竹粉の活用について十分研究されたいと思います。  もう少し詳しく言えば、竹には食物繊維と竹固有の乳酸菌の効果で、悪臭低減と腸内改善効果があると言われていますが、実は竹を粉にしたとき、針状、針のような繊維が残っていて家畜の胃腸を傷つけるようであります。そのため、繊維質をそのままに針状繊維をなくす粉末化が必要と指摘されています。ただしでありますが、鶏に限って言えば、体の構造上通常の竹粉でも食べることができるそうであります。また、竹粉をそのまま牛や豚、鶏のふん、先ほども言いましたけれども、まぜて悪臭を低減させることができれば、その有効性は高くなります。こうした点についてぜひ研究をされたいと思います。有効性の確証が得られ、粉末化の道筋ができれば、事業として民間で取り組むことができるようになります。知事に竹粉への感想と、今後の研究の取り組みをお尋ねいたします。  最後に、鳥取大砂丘の将来構想とビジターセンター設置について知事に質問します。  私どもが環境省に要望し、整備が計画されている鳥取砂丘ビジターセンターですが、私は一貫して砂丘西側に整備すべしと主張しているところであります。今議会では、メーンの砂丘東側の整備を優先しつつ、西側の整備内容についても既存施設の関係とか今後の利活用の見込みなども含めて引き続き検討されること、その中で関係する市町の意見を十分踏まえるよう申し入れしていくなどなど、現状と見込みについて答弁されました。  東側を優先しつつも、西側整備も検討していく、つまり両方の整備を検討していくことに、私は大変心強く思いました。実は片方の整備だけだと心もとないと思っていたからであります。  そもそも現在の鳥取大砂丘の中心は東側で、馬の背に登るルートです。馬の背は鳥取大砂丘のシンボルのような存在で、このルート抜きには砂丘観光は考えられません。現在出迎えの拠点としての鳥取砂丘ジオパークセンターは手狭で、拡張を考える必要があります。  そして東側のルートだけでは、観光の域を出ません。鳥取大砂丘をダイナミックに活用することになりません。もっと幅を広げて、砂丘を体験し学習する、エコツーリズムへの展開が必要だと思います。そしてその拠点は砂丘西側しかないと思っていまして、エコツーリズムまたはジオツーリズムの拠点としてビジターセンター整備などを進めるべきであります。  一方、地元の意見として、鳥取市の考えが重要となります。10年前、鳥取市がまとめた鳥取砂丘整備構想では、砂丘西側エリアはのびのびエリアと命名され、学習、自然体験館、自然体験型宿泊、キッズゾーンなど、じっくり砂丘と触れ合い、体験や学習をするエリアとして整備する方針が示されています。今まさにそうしたものを求める人たちがふえてきていて、今後来訪者をふやしていくためには、土産物や馬の背へ登る観光中心の東側とは一味違う、触れ合い体験学習の西側整備が欠かせないと考えます。  ただ、関係者の大きな期待のもと鳥取砂丘整備構想が発表されはしましたが、実際は思うように進んでいません。ホテル跡地や使われなくなった建物、老朽化が著しいサイクリングターミナル砂丘の家や柳茶屋キャンプ場、そしていま一つぱっとしない鳥取砂丘こどもの国などなど期待を裏切っていると言わざるを得ません。であるならば、ビジターセンター検討のこのときに合わせて、西側整備を本格的に進めるべきと考えます。例えばこれは鳥取市の範囲ですが、ビジターセンター建設に合わせてサイクリングターミナル砂丘の家をドッキングさせて体験学習宿泊施設として再構築するとか、柳茶屋キャンプ場を整備するなど、思い切って進めるべきであります。鳥取市の関係者もそういう意欲を十分に持っていると私は感じています。一方、鳥取砂丘こどもの国は県の施設であり、拡充の方向で今後内容をよく検討し、整備すべきであります。私は、将来鳥取大砂丘に年間400万人、そのうち半分の200万人が西側に来てもらっても大丈夫なように、ビジターセンターの建物と中身はしっかりしてほしいと強く思います。砂丘西側の整備を一体的に進めるために、国、県、市とよく協議しながら、県としてできる支援、例えば土地の提供などは惜しまず行って、整備を加速してほしいと思います。いろいろと言いましたが、これらについて知事の所見を求めます。  また、昨年おっしゃいました平成29年夏ごろのオープンの予定は、東と西両方の整備となると本当に間に合うのでありましょうか、そして事業費も膨らむと思いますが、環境省の考えなをどお尋ねして、壇上からの質問を終わります。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏県議の一般質問にお答え申し上げます。  まず、鳥取環境大学につきましてお尋ねがございました。まず1点目は、国際化のことでございます。それから2点目としては、研究実験棟の完成に伴うことなどでございまして、後段のほうは、これは地域振興部長から詳細お答え申し上げたいと思います。  鳥取環境大学という環境に特化した鳥取の学術研究の拠点ができ上がりました。この議場でもいろんな議論があり、公立化として動き始めましたが、おかげさまで従来よりは見違えるような大学に今急変しつつあると思います。入ってくる大学を目指す全国の学生のことであるとか、それから中におけるさまざまな活動も公立化に伴いまして自信を深めて充実してきているところでありまして、そういう中から実験棟の話も出てきているわけです。あれは理科教育のための教員免許を取るとか、それから学校の先生も変わってきましたので、それに伴ってカリキュラムが充実してきていること、それで今の状況では足りないということから、そういう建設に入るというようになってまいりました。ですから新生鳥取環境大学、動き始めたそういう息吹が感じられるわけであります。  さかのぼって考えてみますと、このたび残念なお知らせがやってまいりました。宇沢弘文先生がお亡くなりになっていたという報道がございまして、宇沢先生の御冥福を鳥取県民の偉人として心からお祈りを申し上げたいと思います。  宇沢先生は、数理経済学をやられました。これは投資と消費、それぞれの立場から二面的な経済成長モデルというのを確立されたわけでございますが、それだけではなくて環境という意味で我が国のオピニオンリーダーとして長く君臨された方でいらっしゃいました。古くは公害問題を取り上げられましたし、それから近年では地球温暖化の対策にもいろいろと提言され、炭素税の御提言もされました。炭素税は、今曲がりなりにも国税として入ってきているわけでございますが、そのような御功績があった宇沢先生が私たち鳥取県民のDNAに入っているわけであります。  それこそ鳥取環境大学のいわば先駆的な方であったと、そういう立て役者であったと、陰の立て役者であったというふうに思えるわけでありまして、そういう環境と学問とをつなぎ合わせていく、環境を大切にする地域づくりを進めていく、そういう意味で地球的規模での責任も果たす、宇沢先生が目指しておられたようなそういう大学を鳥取環境大学として実現していかなければならないのだと思います。  そういう意味で今、国連総会が開かれておりまして、安倍総理も演説されましたけれども、エボラ出血熱対策で4,000万ドルの寄附を行うことなど国際貢献を鮮明に打ち出されています。時代はかように国際人を養成すること、これを目指す段階でございます。  その意味で鳥取環境大学も有為な人材を育てる場として、議員が御指摘のような国際的視野の人材をつくるための教育カリキュラムや、あるいは交流制度、留学制度等々充実させていく必要があろうかと思います。  今海外の大学ともいろんなおつき合いが始まっています。議員もロシアのウラジオストクにございます国立経済サービス大学、こちらのほうも御訪問をされたりしましたが、あそこのラザレフ学長と私も平成22年に2度ほどお会いを申し上げまして、その話し合いの結果として翌年、当時の学長さんがロシアに行かれて交流が始まりました。  少しさかのぼりますが、極東国立大学のほうの学長をされていたゴルチャコフさんが、皆さんも御案内と思いますが、ロシアの県議会議長、沿海地方の州議長をされたわけでありますけれども、この方が副知事をされていたときに私もお会いさせていただき、環境大学とロシアとの学術交流のお話を申し上げましたら、即刻前任の職でありました極東国立大学のほうに御一報いただきまして、滞在中にお話し合いをさせていただき、早速その後、交流協定が結ばれるということになりました。今は極東連邦大学として、さらに大きな大学になっています。これらロシアとの交流の中から今学生の行き来も始まったところでありますし、それからロシア語教育も公立化してからは順調に行われ始めております。  また、韓国、それから中国といったところとも吉林大学であるとか、江原道の道立大学であるとか、また清州の大学であるとか、そうしたところとの交流もなされておりまして、清州とは留学生の交換がスタートをしているというような環境になってまいりました。  このように着実に今、東アジアにおける国際人養成の拠点たらんというところは動き始めておりまして、韓国語や中国語については公立化以後は選択必修ということになるぐらい特徴ある教育が始まっているのではないかなと思います。  さらに私どもバーモント州、アメリカと交流しておりますが、そんなような御縁がございまして、ミドルベリー大学とも交流が始まっております。これも新学長のもとでさらに進展すればいいなというふうに考えているところでございます。  そのほかニュージーランドと、これも交流を生かしまして、サマースクールのような形で語学研修をやったり、そんなようなこともなされるようになってきました。  また、県政としても国際人養成に資するようなこと、それから県政にもメリットがあるようなことを進めようといたしておりまして、今年度で言えばマレーシアのほうにエコツーリズムの研修旅行に環境大学の学生さんに行っていただいております。これはマレーシアからこちらに観光客を呼び込むとか、それからエコツーリズムでの連帯を図る、そういう今大きな動きの中で学生という方々にも参加していただいて、大学でも勉強されていますので、そちらのほうにもメリットがありますし、向こうの方々にもそういう人の交流という具体的な契機にもなりました。  また、モンゴルの草原マラソン大会にもこのたび環境大学の学生に参加してもらいました。モンゴルの知事ともお話させていただいてきましたが、そういう環境大学の学生が参加したことを非常に喜んでおられましたし、モンゴルとのきずながこれでも深まったわけでございます。  こういうように県政のいろんな場面で環境大学の学生にも参加していただき、国際体験を積んでもらう、こんなことも進めさせていただいておるところであります。  英語村も充実してまいりまして、一昨年度は6,000人だったところが昨年度は8,000人の方がやってくる。それが手狭になる。改修をする。どんどんと相乗効果を呼びまして、いい方向へと向かっています。大学というせっかくの場でございますので、そういうように住民の皆さんや、あるいは小中学生、高校生も活用できるような開かれた語学教育や研修の場になればと考えております。  次に、空の駅についてお尋ねがございました。空の駅の構想について大胆な発想をやって時代を動かすようなことをしていく必要があるというお話がございました。また、あわせて鳥取砂丘コナン空港の愛称決定セレモニーを行うべきではないだろうかと、こういうお尋ねでございます。  これにつきましては前回でしたか、銀杏議員の御質問がございまして、私どものほうでも検討させていただき、このたびの議会の補正予算として鳥取空港の交流創出調査事業というものを計上させていただきました。ぜひ趣旨を御理解いただき、御検討いただければと思います。  これの一つは、先ほど銀杏議員もおっしゃいましたが、マリンピア賀露がございまして、これと空港とを何らかつなげるような形でゾーニングができないだろうか、この辺の検討をする調査事業も入っています。それらを含めて例えば空港アクセスの問題だとか、それから国際会館の活用とか、この辺も含めて調査事業として出させていただき、年度内に結論を得ようということにいたしております。  賀露のマリンピアにつきましては、最近すごくにぎわってきております。私もイベントもありまして、このシルバーウイーク、あるいはお彼岸といった時期にあちらに行ってまいりましたが、駐車場に入らないぐらい、路上駐車でずらっと並ぶぐらいのお客さんが来ておりまして、しかも県外客が結構訪れておられます。やはりお土産物を買うとか、おいしい野菜あるいは水産物、こういうものを一挙に選べるところとして一つのゾーンとして定着してきたなというふうに思います。現実にも年間のこれまでの状況からいきますと、「わったいな」で60~70万人ぐらい、かろいちで50万人ぐらいの年間入場ということでございます。また、私どもがやっているかにっこ館も20万人年間入るということでございまして、非常に大きな集客力が出てきているわけであります。これは実は空港の隣接地でありますが、残念ながら空港とはまた分断されておりまして、もっとこれを一体化して考えることができれば先般の空の駅構想とまさにぴったり、茨城空港であれば茨城空港の外に空の駅というか、道の駅をつくるというような話でありますので、同じような機能が生まれるのではないだろうかと。これは地元にもメリットがあることだと思います。この辺を本格的に検討させていただこうということで計上しておりまして、いわば時代を変えるような、鳥取空港のあり方を変えるようなことにつなげてまいりたいと思います。  それとあわせて鳥取空港を鳥取砂丘コナン空港と改称してはどうかという要請が鳥取市や北栄町などからございまして、今検討をしているところであります。空港懇話会は、5月末にその方向性で検討してみようという一定の方向性を出していただいたところでありますけれども、それを受けまして、著作権の問題がありますから、どういう調整ができるのか、今著作権者の関係者と鋭意精力的に話し合っているところでございます。その辺のめどがどうなるかというのがまだ正直完全についているわけではございません。それから空港懇話会のほうでもこれからさらに意向調査もして、最終的に取りまとめをされるという段取りだと伺っております。その辺の動きが固まってきて方向性が出てくれば、いわば住民の総意としてやったほうがいいだろうと。それから著作権者も条件が我々で言えばリーズナブルなところで折り合うことができればこれも、本格的に進めるということになろうかと思います。  それがなった暁には、議員もおっしゃいましたけれども、何らか鳥取砂丘コナン空港という名称になりますよということをアピールするそういう機会を持たなければと思います。これからタイムスケジュールで言えば、1月には大体毎年青山剛昌先生が来県されます。わずか1日くらいしか滞在しないのですけれども、毎年のように来られていまして、そういうタイミングをどう生かすか。それから小学館と交渉しておりますことがまとまるのは恐らく越年すると思います、今の状況ですと。そういう決まってくるタイミングとあわせてこの愛称決定ということが正式にアナウンスできる場になるのではないかと思いますが、それに向けて準備する傍らでセレモニー的なものも考えていくと。恐らくダイヤ改正時期といいますか、3月、4月ごろ、あるいはその前の2月ごろ、そうしたタイミングのどこかで明らかにできる時期が正式に来るのではないかなと思います。そういうような交渉をしながら地元のほうの懇話会がまとまればある程度準備作業に入ってもいいのかもしれません。そうしたことをにらみながら議員がおっしゃるように空の駅とあわせてこういう空港のアピールもしてまいりたいと思います。  次に、竹粉の活用についてお尋ねがございました。  これにつきましては農林水産部長からお答え申し上げたいと思いますが、バイケミ農法研究会など県内でもこういう竹粉の活用につきましていろんな取り組みが出ております。また、竹粉に限らず西のほうでは竹するめというヒット商品を生み出しまして、そういうような別の意味での竹の活用がなされたりいたしております。竹も利用されなくなったものですから、全国各地で大変な問題になってきて、竹やぶが放置をされていることになっておりますが、そういうものを解消していく意味でも竹粉を何らか活用する、あるいは竹粉でなくともそうした活用を図ることは大切だと思います。その可能性の一つとして御提言があったわけでありますが、私どものほうの調査状況とか進め方につきまして部長からお答え申し上げたいと思います。  次に、鳥取砂丘につきましてお尋ねがございました。ビジターセンターの設置、東西双方で進めるべきではないだろうか、加速すべきではないだろうか、さらに平成29年ごろオープンというふうに言われていたけれども、これが間に合うのかどうか、事業費が膨らむと思うけれども、環境省はどういうふうに考えているのだろうかと、こういうことでございました。  これにつきましては、実はちょうどきょうだと思いますけれども、この鳥取砂丘にビジターセンターをつくるその基本計画の基本構想の検討委員会が開催されるわけでございます。その見込みをある程度聞こえてきたところで申し上げれば、今、議員がお話あったような東部を中心として、西部においても一定の整備を考える、そういう方向性でこれから議論しようではないかと、こういう今ターニングポイントに来るようであります。今、我々のほうで漏れ聞こえてくるところでは、ある程度の大きさのものを東部のほうにつくると。それで従来のものは撤去するといいますか、取り壊すような形で再整備するという方向性を議論しようとされておられます。  また、西側におきましては、簡易なものをつくる、そういう方向での調整をしてはどうかと、こんな具体的な議論にステージとしては入ってくると伺っております。  ですから今の銀杏議員の問題意識と恐らく非常に近接したというか、一致したような形で議論が今後進んでいくのではないかなというふうに思います。ですから我々としてもこれまで県としても主張していることにも沿いますし、鳥取市が目指している方向性や地元の方々の考え方ともある程度平仄も合ってくるのではないかと思いますので、そうした議論を見守らさせていただきたいと思います。  議員のほうでおっしゃったように、これは環境省が整備するものでありまして、直轄事業であります。ですからもうこれは完全に国のベースで最後は決めて、そして進めていくということになるわけでございます。今のところの見込みで言うと、当初たしか29年という予定も言われていた感じもありましたけれども、少し進度がおくれているように我々も見えます。ですから30年中とかその辺が現実的な線になるのかなというふうに推測しているところでございますが、いずれにいたしましてもどうせ整備するのであったらできるだけ早くやっていただくように我々としても働きかけをしてまいりたいと思います。  また、事業費が膨らむから果たしてうまくいくのかというお話がありますが、物は今、大山につくられたビジターセンター、私どもの歴史自然の資料館がありますけれども、その前のところにバスターミナル的といいますか、展示施設といいますか、事務所もある、あの駐車場から上へ上がるところですね、あのイメージだと思います。全国的にビジターセンターをつくっているといいますと、雲仙普賢岳のところにしてもそうでありますが、あの程度の規模のものでございまして、何か巨大な施設ができるということを環境省はもともと考えているわけでは多分ないわけであります。それから西側のほうもそれをさらにコンパクトにしたものということでありますから、簡単な研修ができるとか、若干休憩できるとか、そういうスペースではないかなというふうに思われます。したがいまして、事業費は恐らく環境省のさやの中でされるということだろうと思いますから、そちらのほうはまた国のほうでしっかりと措置していただけるように働きかけてまいりたいと思います。 ◯議長(野田修君)小倉地域振興部長 ◯地域振興部長(小倉誠一君)それでは、大学間の学術交流、また留学生の交流について補足の答弁をさせていただきます。  鳥取環境大学におきましては、グローバルに活躍する人材を社会に輩出するのだということで環日本海諸国の6大学と提携を結んでいるところでございます。韓国、ロシア、中国、ニュージーランドでございます。  また、公立化後でございますけれども、国際人として活躍する実践的な学力を持った人材を養成するということで、先ほど知事の答弁にもございましたけれども、2年生以上を対象にした中国語、韓国語、ロシア語を選択必修としたものでございます。毎年中国語、韓国語につきましては4クラスがございまして、ロシア語については2クラスで授業していると。合わせまして300人の学生が受講しているという状況にございます。  また、ロシア語、韓国語、中国語でございますけれども、語学教員を4名増強している状況にございます。  また、それに加えまして人間形成科目の中で中国の生活と文化、韓国の生活と文化といった北東アジアの文化についても履修するようなカリキュラムがございます。  また、公立化後、鳥取県が力を入れております環日本海諸国の大学と学生交流プログラム、海外英語実習、交換留学制度を柱といたしました学生交流や研究者の学術交流を積極的に進めておるところでございます。  具体的に言いますと学生交流プログラムにつきましては、10名程度の学生を韓国の清州大学と相互交流させているという実態。また、海外英語実習につきましては、ニュージーランドのユニテック工科大学と3週間の短期留学ということで100時間の集中講義を行っているようでございます。また、交換留学制度ということで毎年2名ずつの交換留学も引き続き行っているところでございます。  また、研究者の学術交流もやっておりまして、ことしは国際シンポジウムに研究者1名を派遣するというようなこともやっております。  いずれにしましても今後、発展が見込まれます北東アジアとの交流、これは県の強みでもございますし、そことのパイプを強くして学生の人材育成をしていくというのは全国から注目を集めるための魅力づくりの大きな柱と思っております。  環日本海諸国との交流といえば鳥取環境大学だと言われるようなそんな取り組み、語学教授の充実、教育環境の充実、そして学生の交流の拡大について大学と一緒に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  次に、カリキュラム研究実験棟の活用についてでございます。環境大学の公立化に伴いまして、環境学部、自然科学系の理学部として生まれ変わっております。現在2学部2学科でございまして、そのうちの環境学部が理系ということでございます。  この理系の環境学部でございますけれども、自然環境保護の視点を持った農林水産業の振興に貢献できる人材の育成でありますとか、廃棄物マネジメントを総合的に学習するでありますとか、バイオマス関連の研究、さらに理科の中学校、高校の教諭の免許状が取得できるような科目も新たに設けたところでございます。  また、教授陣につきましても新たに7名の先生を補強しております。先ほど議員の説明にもございましたけれども、実験棟も今まさに実施設計を行っているところでございまして、物理、地学の実験室、化学、生物の実験室を整備することとしております。供用は28年の10月をめどとしているものでございます。  また、反対に企業側から見てみますと、環境の負荷の低減でありますとか環境ビジネスの展開でありますとか、そういった環境に関する専門知識と技術がある人材というのが求められております。具体的に言いますと、例えば環境マネジメント責任者でありますとか環境計量士、それから環境部門の技術士等々そういった専門的な分野の人材を求められているところでございます。地元企業が求める人材育成に向けまして、カリキュラムの見直しをことしの10月から開始するということにしております。ですから平成28年の入学者に生かしていくようなカリキュラムの見直しをこれから始めようとしているところでございます。この見直しに当たりまして、産官学の懇談会でありますとか就職支援活動の企業訪問で得た情報でありますとか、またOB、OGの情報、それらによりましてどんな人材が求められているのか、そういった企業の変化に応じた人材を育成するカリキュラムの見直しに反映させていきたいというふうに考えております。 ◯議長(野田修君)岸田農林水産部長 ◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をいたします。  竹粉活用の研究についてでございます。  議員の御提案のありました竹粉を初め竹の活用というのは、未利用資源の活用という観点から大変重要だというふうに考えております。全国的には竹粉の畜産利用に関する公的研究機関の研究というのは、大変少ないという状況になっております。静岡県等数県で実施されているという状況となっております。  消臭効果を確認するという試験については、アンモニア等のにおい物質の数値が低下するというような一定の効果が認められている知見がございます。  ただ、餌として利用する試験においては、増体にマイナスの影響が出てきたというようなそういう結果もございます。ブロイラーの餌として添加をしますと5%の添加で増体に影響が出たり、採卵系の場合は10%添加で採卵の成績に影響が出る可能性が示唆されております。  鳥取県では、6年前に中小家畜試験場で竹粉と豚ふんをまぜた堆肥化試験を実施しております。この試験では発酵促進の効果はございましたけれども、アンモニアが高濃度に発生したということで堆肥の資材としては余り望ましくないというような結果になっております。  畜産試験場で竹粉をサイレージ化して牛に餌として給与しております。その結果、粗たんぱくなり粗脂肪が低くて家畜の増体、それから産乳量の増加ができなかったということで、予備試験段階で一旦中止しておるというような状況になっております。  悪臭対策につきましては、先ほどの静岡県の効果が認められているという知見もございますので、まずは竹粉と鶏ふんをまぜて堆肥化するという消臭効果を見る予備試験を実施することを検討してまいりたいと思います。 ◯議長(野田修君)33番銀杏議員 ◯33番(銀杏泰利君)それでは、ビジターセンターのお話をいただきました。まだ検討段階で、これから本格的に検討に入っていくということですけれども、最初この話をつなげていただきましたのが元環境大臣の斉藤鉄夫衆議院議員であります。そういう方とも報告をしながら、ぜひともいいものができるようにしていきたいなというふうに考えております。  実はジオパークですが、取り組みがいま一つのような気がしておりまして、先日、23日に山陰海岸の世界ジオパークの再認定がされた。大変歓迎をしているわけでありますけれども、同時に発表されました阿蘇のジオパークが世界認定を受けたということでありまして、マスコミ等を見てみますとどちらかというとこの阿蘇ジオパークの認定のほうを大きく取り上げた、そうしたところも多いようであります。いよいよ大御所が入ってきたなというふうに思っておりまして、これでジオパークの認知度が上がると、相乗効果があるなというふうなプラスの面と、もう一つ、逆に話題や注目が奪われていかないか、影が薄くなっていかないかというふうな心配もあります。いよいよ来年は伊豆が今度世界ジオパークの審査を受けようという話もあるわけでございまして、著名な地域がこれからどんどん入ってくるのかなということを考えますと、山陰海岸ジオパークもうかうかしておられないというふうに思っております。もっと民間で活用してもらうとか、スピードを上げて取り組む必要を感じておるわけであります。感想などがございましたらいただきたいなと思います。  鳥取環境大学でありますけれども、いろいろと部長からも具体的な説明がございまして、交流が進んでいるのですよというふうな話がありましたが、実際、実績を見せていただきましたけれども、1年間などを通じて行くような本格的な留学生の派遣というのは、まだ1大学とだけだったと思いますけれども、まだまだだというふうに思っております。学生をしっかり派遣して、留学体験を積ませると、向こうでの生活をしっかりさせるというふうなことがこれは大事ではないかなというふうなことを思いまして、これはまだまだ足りないのではないかなと、広げていっていただきたいと思いますし、そのための語学教育が大事なのです。  全部聞いているわけではありませんけれども、例えばロシア語の先生は今非常勤で2人おられるというふうに聞いておりますが、これを専任にしていただくなりするともっといろんな活動をしていただけるのではないかなというふうにも思っております。もしそこで定員の壁等があるならばそういうことも少し考えていただきたいなというふうに思っております。これについて重ねて質問をしたいと思います。  大学関係で出口対策、就職対策について質問をしたいと思います。  鳥取環境大学で研究実験棟ができると、先ほどありましたけれども、企業との共同研究、受託研究、これもさらに進むようになるのではないかなと思っております。そうなれば出口対策、就職対策を一層進めることができると思って、大変期待をしております。また福井大学が行っている事業を実は私、知ることができまして、その紹介では地元企業とのコラボレーションをしっかりやっていると。これはせっかく大学に来た人に地元で就職してもらって、人口流出対策としてそれを行っているということであります。地元企業と学生との交流の場をふやしたり、企業見学ツアーを行ったり、地元の企業研究会などを実施されておるようであります。そうしたことでありますので、鳥取環境大学でもぜひ共同研究・受託研究推進とともに、この地元企業研究会、交流推進などについても進めていただきたいと思いますけれども、知事の所見を伺います。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねて砂丘と環境大学につきましてお尋ねがございました。  砂丘のビジターセンター等々の整備でございますが、これにつきましては斉藤前環境大臣が最初に話をつないでいただき、その後、環境省の事務方とも私どもは話し合いの場を何度か持ち、今の基本構想の検討委員会へとつながってきたわけであります。大分形が見えてきましたので、そういう意味で改めて感謝を申し上げなければいけないと思いますし、この鳥取砂丘というスポットが日本が世界ジオパークの一角として世界中に見せることができる自慢のエリアであること、この価値を高めてまいりたいと思います。  議員のほうからお話がございましたように、世界ジオパーク、このたび全世界でさらに追加指定がございました。111の地域が世界ジオパークに認定されることとなりました。初めてアフリカも入ったということで、私どももずっと中継を会場で拝見しておりましたが、そのアフリカが入ったときとかは大変な熱狂的な声が上がっていました。  そういうような会場の興奮の中で阿蘇が告げられたわけでありますけれども、阿蘇の市長が喜び勇んでステージに上がっていく姿が映っていたところでございます。この阿蘇に続いて、伊豆も検討されているということでありますが、徐々に日本国内もふえてくるだろうと思います。中国は2つ今回ふえていたと思います。  世界でだんだんとこうやって、特に5大陸広がってくることになります。その後に何が起こるかでありますが、それは運動の格が上がるというところにつなげていくわけであります。今回もパトリック・マッキーバーさんが、最初の認定のときに鳥取県のほうに来られて審査していただいた方ですが、パトリック・マッキーバーさんがジオパーク運動につきまして、その意義を述べられながらこうした新規指定箇所、それから再認定箇所の紹介をされていたわけであります。そういう中でやはりユネスコの正式な運動として認めてもらうと、これを目指していく方向性が今回のジオパークの国際会議の中でも皆さんの一致したところでありました。  来年は、9月のちょうど今ごろといいますか、中旬ごろに、この辺だと19日、20日ごろだと思いますけれども、順次兵庫県と私ども鳥取県でそれぞれ渡り歩きながらAPGN、アジア太平洋地域ジオパークネットワークの会議が開催されることになります。これはその後のユネスコの総会をにらんで開かれる大会というふうに恐らく位置づけられると思います。それでユネスコの正式プログラムとして世界遺産のように取り扱われるかどうかが改めて議論されることになりますが、その直前にこの鳥取県を含む山陰海岸ジオパークに世界中から人々が集うことになると思います。そういうようなふうにどんどんと数がふえてくるということは、世界遺産のようにさらにメジャーな世界的な認知度の高い運動にしていこうというその土台づくりが進んでいるということにもなります。ですから我々としては、むしろそのようなことで仲間がふえてくること、それは歓迎すべきことではないかと思いますし、国内でのジオパークの認知度を引き上げるという意味でも十分に役立つものではないかと思います。  この山陰海岸ジオパークには関西圏に近接しているということがありまして、人口集積地に一番近いジオパークのうちの一つということになると思います。伊豆もそういう意味では同じようなところが出てくるかもしれませんが、この西のほうで言えばやはり山陰海岸ジオパークは、アクセスもよいし、お客さんも見込めるというところではないかと思います。今回もマウリツィオ・ブルランドさん、ジン・シャオチーさんが来られて視察していただきましたけれども、非常にエンターテインメントとしてもおもしろいものもあると言っていました。カヌーとか、それからガイドだとか、充実もしてきている。現にそういうものを目指して移住する方も出てきていますし、ビジネスも生まれてきています。ただ、議員がおっしゃるように、まだまだもっと活用されていい、そういう状況がありますので、民間の方に入っていただいてこういう自然を生かしていく、そういうプロジェクトチームをこのたび立ち上げて議論していただくことにいたしております。そういうようなことで山陰海岸ジオパークはもっと高みへと引き上げていきたいと思います。  次に、環境大学についてお尋ねがございました。  詳細は、これは地域振興部長がお答え申し上げたいと思いますが、交換留学については今、清州大学1校だけでありますけれども、これは大学側もさらに拡充していきたいということを言っております。そのほかいろいろと大学側には一応大学の自治がありますので、私どもが一々指図することもできにくい部分がありますが、ここであった議論はお伝えさせていただき、環境大学がもっといい大学になっていくようにサポートしてまいりたいと思います。 ◯議長(野田修君)小倉地域振興部長 ◯地域振興部長(小倉誠一君)留学生の交流について補足の答弁をさせていただきます。
     先ほど1年間、それは交流については、知事が答弁されたとおりでございます。  ロシア語の非常勤講師の話がございました。これについては今2名の体制でロシア語の教育を行っているところでございますけれども、ロシア語自体が公立化になってから初めて授業に取り入れられてきたということで、これからだというふうに思っております。この点につきましては常勤への移行も含めて大学のほうとよく相談してみたい、またきょうのお話も大学のほうにお返ししたいというふうにも考えております。  次に、就職、出口対策についてでございますけれども、環境大学におきましては公立化になりまして大きく4つの柱で就職支援を強化してきております。  1つが1年生から就職ガイダンスを行うということ。要は入ってきた年からもう就職の意識を高めるというような取り組みをやっております。  また、2点目として、業界卒業生とのパイプづくりということで、就職アドバイザー、県内、大阪、岡山に配置しておりますし、また企業へのインターンシップ、また県内企業の見学会等々企業とのつながりを強めた取り組みを行っているところであります。  また、就職活動への支援ということでございまして、就職活動に伴います交通費でありますとか宿泊費の支援も行っているところであります。  最後に、4つ目の柱でございますけれども、資格取得サポートということで、資格を取得する際の講座、ダブルスクールを開設しているというような取り組みをやっております。  こういった就職に関する取り組みとあわせて企業との共同研究というのも企業とのつながりを太くして企業に就職する際の大きな強みになるものでございます。この共同研究につきましても鳥取県が誘致しましたLASSICさんと心の健康増進や疾病予防に役立つ対話システムの研究でありますとか、そのほかエナテクスさん、倉吉にありますけれども、太陽光発電の自動追尾システムの研究でありますとか、そういう研究を企業と一緒になってやっていく、パイプを太くしているというような状況にございます。  いずれにしても就職率、全国平均より4ポイント低いという状況もございます。お話のありました福井大学の取り組み、そして経済団体、企業の意見を参考にしながら企業が求める人材の育成とともに就職支援に取り組み、この優秀な人材を県内にとどめるような取り組みをこれからも一層強めていきたいというふうに思っております。 ◯議長(野田修君)33番銀杏議員 ◯33番(銀杏泰利君)竹林対策・竹粉の活用について追及の質問をさせてもらいます。  これは空の駅とも関係しておりまして、実は空の駅の構想で、空港とマリンピアを結ぶときに、大型の鶏舎を横切ることになるわけでありまして、ここは過去にも私も本会議や委員会で質問したりして、今では二重の消臭、防臭の対策を施されているようですが、ただ、時々やはりにおいが漂ってくるというのは地元住民や施設におられるお客さんからもそうした苦情が出ておるようでありまして、これはやはり何とかしなければいけないということもありました。実はそこの鶏舎を経営されておられる上部機関の方とも話をしまして、こうした竹粉の活用についてぜひ研究してみたいというふうなことも聞いておりまして、県にも相談したいということも言っておられたわけであります。ぜひとも共同で試験、また研究されたいなというふうに思っております。  静岡県のアンモニアの試験の話がありましたけれども、悪臭防止法、実は1995年に改正されまして、成分だけではなくって、実際においでかいでみてというふうなのも入ってきておりまして、効果も実際においでかいでみるということが大事かと思います。これらについて最後に答弁を求めて、終わります。 ◯議長(野田修君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて悪臭対策についてお尋ねがございました。  マリンピア賀露と、それから鳥取空港を結ぶ動線をどうするかは、いろんな考え方があろうかと思います。もちろん既存の道路ルートを活用して、そこにアクセスのための何かソフトを考えるというのもありましょうし、それから塀沿いといいますか、空港の敷地沿いに沿うようにやればこれは多分鶏舎を畳まずに通れるルートもありますので、それが一番最短ルートということになろうかと思います。いずれにせよいろんなアイデアでこれから半年かけて勉強してみようということであります。それとは近接したところに今の鶏舎の話がございまして、これは議場でも何度か取り上げられましたが、悪臭対策、地元でも悩ましい問題になっております。県としても数次にわたりまして市と協調しながら悪臭対策、例えば脱臭装置の設置だとかを進めてまいりました。  議員のほうから御指摘がございましたように、最新の技術、それから当事者の方の御意見、それからこれは市が中心になって進めている対策でございますので、市のほうとの考え方のすり合わせ、この辺を改めて関係者ともさせていただいて、どういう対策が望ましいのか検討させていただきたいと思います。 ◯議長(野田修君)暫時休憩いたします。  午後の本会議は、13時05分より再開いたします。        午後0時07分休憩    ────────────────        午後1時05分再開 ◯副議長(前田八壽彦君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  1番坂野経三郎議員 ◯1番(坂野経三郎君)(登壇、拍手)議案第7号「鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正について」、賛成の立場でお尋ねいたします。危険ドラッグの使用によって、起きてはならない事故等が相次いでいる現状を鑑みるに、国に先駆けて取り組む知事の姿勢は、高く評価されるものであります。  福祉生活病院常任委員会にて条例の議論があった際、属地主義であると伺いました。  したがって、鳥取県以外で鳥取県民が危険ドラッグを使用した場合に、罰則を科することができない点において、非常に大きな問題があると考えます。他県で危険ドラッグを使用して、県内で危険行為を行った場合に罰則を科することができないということは、鳥取県単独による条例改正だけでは十分な効果を発揮することはできないと考えます。すなわち日本国内で危険ドラッグを廃絶する必要があり、そうであるならば国が主導して法整備を行う必要があり、鳥取県が単独で条例整備を進めることと並行して、国に対して法整備の必要性を強く要望すべきだと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。  次に、ドクターヘリについてお尋ねします。  ことし5月21日に常任委員会で報告された資料に記された鳥取大学医学部附属病院ヘリポート整備が先々月の7月10日に待望の完成式典を迎えました。これにより、救急医療や災害対策に役立つこととなりました。ヘリポートがなかったころは、米子港から救急車に乗せかえての病院搬送となり、10分以上時間がかかることになり、ドクターヘリを使用するメリットが薄かったと感じます。  その日の同じ資料に記された島根県ドクターヘリの運航実績によりますと、鳥取県西部地区において出動されたドクターヘリの割合は97.7%が島根県への出動であり、鳥取県への出動はわずか0.8%と記されております。  一方で、同じ資料に記された公立豊岡病院ドクターヘリの運航実績を見ますと、平成25年度は80.5%が兵庫県、14.4%が京都府、鳥取県へは5.1%と、西部に比べて高い水準となっております。  また、鳥取県へのドクターヘリの出動件数は、中・東部が73件、西部はわずか6件であります。  中国5県の中でドクターヘリを所有していないのは鳥取県だけであり、ヘリポートをつくったことで西部地区の需要もふえることが考えられますが、肝心のドクターヘリは、島根県と関西広域連合に委ねているのが現状であります。鳥取県民が安心して救急医療を受けることができるように、鳥取大学附属病院にヘリポートが完成した今、いよいよ、ドクターヘリを導入する時期に入っていると考えますが、知事の所見を求めます。  次に、移住定住についてお尋ねします。  私が所属する鳥取青年会議所の若本委員長率いる究極の田舎政策委員会において、先月末、婚活事業を実施いたしました。その名も「うみやまコンinTOTTORI」。参加者は、女性に関しては県外に限り、男性は県内に限るという新たな婚活事業の取り組みでありました。  内容は、初日は賀露において鳥取の海の幸を楽しんでいただき、白兎神社において恋愛成就祈願を行い、さじアストロパークでプラネタリウムを鑑賞して、佐治町のたんぽり荘にて共同のカレーづくりやキャンプファイアを実施。2日目は、岩美町陸上で地びき網体験やシーカヤック体験、バーベキューを体験し、鳥取砂丘、砂の美術館を楽しみ、最後に告白タイムを設けるという慌ただしいほど盛りだくさんの内容でありました。  2日間で鳥取の海と山を楽しんでいただきながら和気あいあいと進んだ、まさに事業名のとおり、「うみやまコンinTOTTORI」を40名の定員で企画したところ、関西圏を中心とした女性23名と鳥取県東部地区の男性22名である計45名に御参加いただきました。そうしましたところ、何と17組もカップルが成立したということでありました。この事業を参考に県外在住の田舎の魅力を感じる独身の方と、鳥取県内の独身の方を結び、結果的に鳥取に住んでもらえるような取り組みを強力に進めるべきであると考えますが、知事の所見を求め、壇上からの質問といたします。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野議員の一般質問にお答え申し上げます。  まず、危険ドラッグにつきまして国が主導して法整備を行うべきであり、国に対して法制度の必要性を強く要望すべきではないかというお尋ねでございました。  早速賛成の意思を表示していただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  これは確かに議論がある課題だと思いますけれども、議員も御指摘をなさいましたように、もう全国目を覆うばかりの惨状でございまして、交通事故によって失われた命があったり、さらに健康被害が実は及んでいるはずであります。本来はこれはさまざまなほかのドラッグや、あるいは飲酒習慣とも絡むかもしれませんけれども、精神的なそういうある意味被害を御自身もこうむりながらどうやって立ち直ろうかというような人たちも容易に想像できるわけであります。ですからそういうような社会的な害悪が非常に強いわけでありまして、こういう危険ドラッグを我が国から撲滅していかなければならない、一掃していかなければならないと思います。  私どもは勇気を振るいまして9月17日に提案させていただき、薬物濫用防止条例の改正をお願いさせて審議に入りました。実は鳥取県で上がりましたこののろしを合図にして、今各地で同じような動きが広がってきております。9月22日には、兵庫県議会におきまして提案がなされ、その中には私どもが今議論しているものがコンセプトとしては含まれております。さらについ先週発表されました京都府の薬物濫用防止条例案につきましては、まるで鳥取県のスキームがそっくりそのまま載っかるかのようにできておりまして、もちろんいろんな取り締まりの手法が違ったり、環境が違うところはあります。兵庫や京都の場合は、その府内、県内に販売店があるものですから、その販売店対策がウエートを割いているところでありますけれども、私どもが提案しましたような薬物を乱用する、これは危険ドラッグについては全て禁止をするというふうに包括的に禁止をかけていく考え方は鳥取県が上げたのろしから京都や兵庫に広がり始めているというようなことであります。これは恐らく社会のニーズを踏まえた動きになっているからだと思います。  これはそれぞれのボーダーの中、府県域の中だけで始末できる話では到底ありません。例えば本県でも問題になりましたことの一つには、兵庫のほうで車を奪い、それからさらに智頭のトンネルの中で車を奪い、そして逃走した、しかも鳥取道を逆走した車がいました。これも危険ドラッグに基づくものでありますが、もとは神戸市の人でありまして、鳥取県内だけでは始末がつかない部分があります。ですから議員がおっしゃるように、国として法律で処断していただく、きちんとしたルールづくりをすることが大切であります。ですから今回まずは私どもこの条例の議論をお願いさせていただきましたので、十分御審議いただき、仮にその方向性が出れば、それから後に国に対しても要請活動を行うべきだと思います。例えば幻覚だとか興奮、そうした作用を起こさせる、薬理作用を起こさせるものを取り締まるなどそういう国としての法改正、制度の強化を行うべきであること、また若い人たちを中心とした啓発活動、これも国を挙げてやってもらう必要があります。  さらにそうは言っても薬物の成分の同定なども当然ながら裁判の遂行等で必要になってくるわけでありますが、その体制をそれぞれの都道府県で確保することは必ずしも十分ではありません。現在東京都が率先してその同定作業を行い、その情報をもとにして動いている県が多く、我々もそういう恩恵にあずかっているところでありますが、本来は国がやらなければならないことだと思います。そうしたことを国がどうもサボっている、怠けているのではないかなというふうにも我々現場サイドからは見えるわけであります。そうした諸般の改善、改革の要請もあわせて国に対して訴えかけていく必要があるのではないかと考えております。  私自身も9月11日に担当大臣の有村大臣と面談させていただいた際、鳥取県の取り組みについて御説明させていただいたりしました。また、国としてもこれは取り組まなければならない課題だと大臣のほうもおっしゃっているわけであります。ぜひ国のほうの行動も喚起してまいりたいと思います。  次に、ドクターヘリにつきましてお尋ねがございました。  鳥取大学附属病院のヘリポート完成がなされたわけでありますが、ドクターヘリ検討時期に入ったのではないだろかと、こういうお話でございます。この件につきましては、かねて関西広域連合でドクターヘリを導入するようなタイミングから安田議員だとか各議員から御指摘もいただき、これについては私も繰り返し答弁をしておりますが、その時その時の状況をよく踏まえて、別に導入しないと言っているわけではなくて、検討をし続ける、そういうことで考えていきますよというお話を申し上げておりました。  このたびのドクターヘリも収容できるといいますか、着陸可能なそういうヘリポートが念願かないまして鳥取大学附属病院に完成しました。これは実は県としてもかねてからお願いしていたわけでありますが、相当紆余曲折がありまして、長引いて、長引いて、このたびようやっと完成ということになりましたが、最終盤で鳥取大学のほうで国のほうのお金というか、病院のお金を活用しながら英断を振るってやっていただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。  これが就航可能な状態になって、議員のほうでは島根のヘリ、それから関西広域連合のヘリに任せているというお話でありますが、実は話は逆でありまして、関西広域連合も我々が構成員であって、我々が共同出資しながらあのヘリを運航しているわけでありますし、島根県のヘリにはなっていますけれども、これも広域応援協定をあえて結んで島根から鳥取に来るということを、想定しております。したがいまして、我々としての一つのドクターヘリの運用のあり方としてこういう体制を組んでおります。また、本議場での御議論をもとにしまして防災ヘリのドクターヘリ仕様をつくりました。これによって出動するということも現実にはございます。  このたびヘリポートは完成しまして、流れが変わってきております。先ほどは島根のヘリはほとんど鳥取県内に使われていないというお話がございましたが、7月に完成して以来、既に島根県のヘリがこの鳥大附属のヘリポートに8回飛んできております。また、県の防災ヘリのドクターヘリ仕様、これも2回飛んでおります。こういうようにやはりヘリポートが現実に近くにできまして、従来米子港を活用していたよりは格段に利用がしやすくなった面があり、活用がされ始めていると思います。これでどういうふうに今後変わってくるかというのは、一つ見なければいけないことだと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、ドクターヘリを今後、鳥取県内で配置を考えないということではもともと一切ございませんので、その運航状況なども見て、それから地域の皆様のさまざまなお考えも今後聞きながらこの点については考えていきたいと思います。当面は今新しい体制が動き始めましたので、その効果を見ることが必要だと思います。  また、あわせて費用面のことをやはり念頭に置いて議論もしなければいけません。大体ヘリポートだけではなくて、格納庫が今度は必要になりますし、それから運航を安全に行うための指令系統といいますか、そういう一定の施設設備も必要でございます。初動でざっと3億円ほどは身銭を切らなきゃいけないということがあると思います。また、それから年間の運航経費、通例ですと3億円弱毎年かかると。最近厚労省は、補助金が足らないと言っていまして、現実にはモデル的に見れば1億4,000万円ぐらい事務負担といいますか、持ち出し負担が設置者側に出てくることになろうかと思います。したがいまして、かなり大きな買い物にはなりますが、命というものとの関係性もございますので、十分な議論が必要だと思います。  あわせてドクターカーを県の基金も活用しながら鳥取大学附属病院で運用し始めましたが、これもここ1年余りの間ですかね、77回出動しています。年間の予算といいますか、お金ベースでは300万円かかりません。したがいまして、かなりリーズナブルな形で道路網も活用しながら患者さんのために役に立っているというような面があります。恐らくヘリポートを活用してドクターヘリを飛ばすということになると、どちらかというと日野郡だとかそういうちょっと遠いところのほうが時間、距離については効果があるのかもしれません。いずれにいたしましてもまた引き続きこの点については関係者の御意見を伺い、運航状況も見ながら検討させていただきたいと思います。  次に、移住定住につきましてお尋ねがございました。議員御自身参加をされて主催されました関西圏を中心とした女性を招いた婚活イベントについて御紹介いただきましたが、こういう取り組みを積極的に進めるべきではないだろうかということでございます。  これはまさにおっしゃるとおりでありまして、今議会でも地方創生ということがたびたび取り上げられ、移住定住を進めていく、あるいは子供、子育て、少子化対策といったことでもまずは婚活ということが大切ではないかという議論がなされました。それを実際に実行していただいて、このたび8月にやっていただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。  片方で関西からの女性を招いて、こちらのほうと22人の男性ですか、そういう組み合わせで17組のカップルというと驚異的でございまして、よほどいい陣営をそろえて必勝を期して集まったとしか思えないぐらいのできかなというふうに思います。  現実には去年1年間もいろんな婚活イベントを県でも応援しておりますが、成立組数10組、ことしもその17組を合わせて23組がカップルとして成立しているということになっておりますが、やはり今そういうことへの需要が高まっていると思います。  一つには、やはり出会いの場がない、これが地域全体の悩みであります。これは都会地の女性、男性問わず都会でも同じようにある。それを出会わせる場として街コンという言葉がはやり始めたりしていますし、今回のようにこちらに来てもらって見てもらってということも出てきています。最近の若い方々の志向性、アンケート調査などを見ますと、田舎暮らしに対する憧れといいますか、肯定感がふえてきている。これを我々としても糧として、こういう婚活を通じて移住してもらうと、そして住んでいただき、子供たちを育てていただく、そういうお手伝いをもっともっとしていかなければならないと思います。国もこういう事業を取り組むべきでありますが、なかなか腰を上げていただけませんが、鳥取県は先導的にその辺も進めさせていただきたいというふうに思います。  私どものほうでもこういうイベントに対する支援もあり、それからエアを使って航空運賃も半額支援しますよとか、そうした事業もありますし、またそういう移住定住ということでの婚活も含めた移住定住のイベント支援というのもございまして、こういうものを活用しながら、今回のJCさんもそうでありますが、進めていただいておりまして、今後ともその積極的なアプローチを進めてまいりたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)1番坂野議員 ◯1番(坂野経三郎君)まず、危険ドラッグのほうから追及して質問させていただきたいというふうに思いますけれども、今の知事の答弁に私もほとんどおおむね賛同するものでありまして、冒頭申し上げたとおり、私はこのたびの全国初のこうした取り組みの条例改正について賛意を表したところでありますけれども、不安な面がない部分がないわけでもありませんので、そこについて懸念を払拭したいがために追及して質問させていただきたいというふうに思っております。  全国初の条例といえば、先般の手話言語条例もそうでありました。このたびも全国初ということで、手話言語条例とこのたびの条例改正、全国初という国に先駆けての取り組みであるということは間違いありませんけれども、ただ、手話言語条例は優しい条例でありました。このたびの条例は、公権力によって県民に罰則をかけると、こうした全国初の取り組みでありまして、厳しい条例であると言えると思うのです。やはり公権力によって県民を縛るという場合には、慎重な扱いが私は必要であるというふうに考えておりまして、これは私の考えだけではなくて、憲法31条に何人も法律の定める手続によらなければその生命もしくは自由を奪われ、またはその他の刑罰を科せられないですか、そうした内容があるわけでありまして、国民や県民から選ばれた代表者が立法府において法律を定める。そしてその法律の中で何をしたら罪になるのか、そしてその罪を犯したらどのような刑罰が科せられるのかということを事前に法律、条文にして定めておかなければ、やはり国民や県民は安心して生活していくことが私はできないのではないかというふうに考えております。  先ほど知事の答弁で、幻覚であるとか興奮するといったような内容で包括的に取り締まるというお言葉がありました。当然私も賛成であるわけですけれども、現行の法令の中では罪刑法定主義ですね。そうした中ではやはり特定の物質を定めて、それを所持しているから、使用したから違反になると、あるいは特定の製品名を持っているから違反になるというわけであろうかと思うわけでありますが、このたびは幻覚を起こすとか興奮状態になるからといういわば極めて曖昧な定義によって県民を罰するということは、私は罪刑法定主義という観点において非常に危険な考え方であるのではないかということも思うわけでありますけれども、このたびの条例改正が憲法31条に照らして適正であるのかどうかということについて知事の所見をまず求めたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野県議から危険ドラッグにつきまして重ねてお尋ねがございました。  坂野県議のほうから、憲法31条の罪刑法定主義との関連で問題はないかということでございます。この罪刑法定主義につきましては、明確性の原則ということを言いますが、明確でなければならないということです。これの解釈としても最高裁の判例で固まっているものがございまして、通常一般の方の理解能力において認識し得る内容であれば足りるということであります。我が国でもいろんなこれまでも判決が出てきておりますけれども、例えば例示があるとかそういうことで具体化するとか、もちろん構成要件の書き方であるだとか、そういうのを吟味することになります。  本県の今回の条例の場合は、まず危険ドラッグと定義をするわけであります。この危険薬物の定義や構成要件を示すものになりますが、興奮だとか幻覚だとかそういうような作用を起こすということがあり、それが1つですね。  2つ目として、人の健康に害を及ぼすおそれがあると。  3つ目に、吸入だとかそういう摂取が可能なような形状にあるということがあります。  さらに4つ目には、行為として例えば譲渡、売るとか、それから製造するとか、また乱用するとか使用するですね、そうしたことを組み合わせて構成要件が書かれるわけです。こういう構成要件に該当した場合に犯罪になりますよということが予見可能性を十分県民に与えるものになっているかどうかということでありますが、これは文言上明らかであろうかと私は思います。特に実はこの条文にひっかけて、その前の麻薬だとか覚醒剤だとか、そうしたいろんな薬物もこの薬物濫用防止条例の中に書いてありますが、そういうものと同等の効果を及ぼすということがあり、この辺が要はこれまで最高裁の判例で扱っているような例示があって、それによって明確性が増している部分も出ていると思います。  要は社会常識に照らして今、危険薬物と言っているものは使ってはだめなのですよ、売ってはだめなのですよというルールをつくっているわけでありまして、それ自体は実は明確なのですね。問題は今の取り締まりの実務がそこに成分の同定というところで非常に厄介な、こちらのほうがむしろ一般人では理解できないような化学式を使いまして、その化学式に合っているかどうかということでのみ危険薬物かどうかを判断するということです。  ただ、我々普通の県民からすれば、いわばそういういかがわしいお店で売っている、それもいろんなことを店の人は言うわけです。聞くところによると、これを使えば意識がなくなりますよと、だけれども、法律には触れないのですよと、こういう売り方をするわけです。意識が飛ぶということだけで、それは危険薬物ということになりますから、通常の人であればこれは危険薬物だと。よその県は違法ではないかもしれないけれども、鳥取県では違法ですねと、こういうように判断できるものだと思います。いわば理系的な考え方で成分を化学式で書いて、納得するということではなくて、社会常識として文系的に社会的規範がどういうふうなものか、社会的規範は危険薬物と言われるようなああいうものは使わないよというものでありまして、そのことがわかればいいのだと思います。だから文系的な理解で条文を書くということを全国で初めて鳥取県でやってみようということです。これは今までも刑法の中でも個別法の中でも取り組まれてきたやり方でありまして、要は厚生労働省がそういう条文を書かないものですから、なかなかこれは前に進んでいませんけれども、書けば書けるというそういうものだと私は思っております。ですから我々に続いてほかの県も鳥取県を見習って同じような条文を今書き始めているというような状態になってきているわけでございまして、憲法31条に抵触するものではないというふうに考えております。 ◯副議長(前田八壽彦君)1番坂野議員 ◯1番(坂野経三郎君)知事のほうから31条には抵触しないというお言葉がありまして、ここに8月4日の国会の衆議院の厚生労働委員会で厚生労働大臣が答弁された内容があるわけです。読み上げますと、「危険ドラッグを指定薬物というような形で物質を特定できれば指定して、それを単純所持もだめ、使用もだめ、販売もだめとできるわけでありますけれども、まず物質が特定できていないものを、大くくりに、これを売っちゃだめですよというところができない。」「なかなか罪刑法定主義の中において、これを特定するということができない、そうなれば、いろいろな物質に対して全く売れなくなってしまう等々があるから、これは難しいという話であったわけであります。我々もいろいろな知恵を絞っておるんですが、これは世界じゅうそうであります、日本だけじゃありません。世界じゅうが、やはり物質を特定する前に押さえてしまうということがなかなかできないというところで苦しんでおるわけでありまして、その中において、我々厚生労働省それから警察を含めて、今ある法律を最大限使って、徹底的にこの危険ドラッグというものを排除していこうということをさせていただいておるわけであります。」と、こういう答弁がありまして、私はこの大臣の答弁に対しまして非常に残念な思いをしておりました。  今、31条に抵触しないというお言葉がありましたので、これは前大臣なのですけれども、今の国の厚生労働の責任者がそういうようなことをおっしゃっておるわけですから、そこは抵触しないのだということをぜひ知事のほうからも訴えていただきたいのが1点ありますが、私としては、罪刑法定主義に照らすとやはり全ての方が納得できるわけではないと思います。ただ、県民の一般感覚からすると、化学式を特定していくというまさにイタチごっこをしている状況のほうが明らかに異質なわけでありますから、私はあくまで国が率先してこの危険ドラッグを取り締まっていく、この必要性があるという一貫した意見ではありますけれども、この厚労委員会の大臣の答弁を聞いていますと、できない理由を探すというのは、私は非常に簡単だと思っています。  先ほど控室で昼に見ておりましたら危険ドラッグでとうとい命を亡くした遺族が国に危険ドラッグの規制について要望をすると、初めて取り組まれるという報道がありました。やはり現実社会でこれだけ大変な事件が起こっている、この事件にすぐに対応していく、できない理由を探すのではなくて、これを規制できる理由を探すというのが政治家や行政のそういう責任があると私は思っております。知事のように、鳥取県のように、これをいかに根絶していくか、根絶することができるのかという理由を一生懸命模索している状況に私は非常に強い誇りを覚えるわけでありますけれども、あくまで危険ドラッグを使用したときに興奮や幻覚、先ほど知事が憲法31条に抵触しないとおっしゃった理由を、危険ドラッグを使用することによってその理由と因果関係を明確に位置づける、因果関係を結びつけることがやはり私は必要だというふうに思っております。危険ドラッグを使用した場合にそうした因果関係をどのように結びつけていくか、あるいは、そういう体制が今県としてしっかり整う準備ができているのかという点についてお尋ねしたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野議員から、危険ドラッグについて重ねてお尋ねがございました。  厚生労働委員会での田村大臣の議論も我々も伺っておりますけれども、恐らく厚生労働省の官僚的なそういう答弁だったのだろうと思います。それはできない理由を探すのは簡単だというふうに議員もいみじくもおっしゃいましたが、非常に厄介な課題について、どうしても人間の心理として抑制的に働くことだと思います。ただ、罪刑法定主義がそれを妨げ得るかどうかということでは、これは最終的には最高裁判所の違憲立法審査権に服することになりますが、今までの判例実務からして、恐らく抵触することはないと私は考えた次第でございまして、このような立法をお願いするに至ったわけであります。  実は、確かに今までの要は取り締まり実務との違いがあるのです。これまでの取り締まり実務というのは、例えば覚醒剤だとかそういういろんな薬物がありまして、これを検挙するときに、それを科捜研なりなんなりで同定をするということとセットで取り締まりをしていたわけです。これは取り締まる側にとっては、いわば非常に楽なのです。もう構成要件ががっちり固まりますし、裁判所へそれさえ持っていけば絶対に有罪がとれるということであります。ですから、これがいいということでこの実務から逃れないということになると、そうすると、どんどんと派生してくるさまざまな薬物に対処できないということになるわけです。  これは実は本末転倒でありまして、目的と手段のほうの手段が優先してしまっているわけです。目的は危険薬物の危険から県民を守る、国民を守ることでありまして、そのための目的に立って素直に立法したら、危険薬物を使ってはいけませんよと書けばいいだけの話であります。そういうように、我々としては明快に考えたほうがいいのではないかというふうに思い至ったわけであります。  ただ、正直申し上げて、庁内でも私はこういうことを申し上げましたが、県庁の実務とは最初はなかなかすり合いませんでした。やはり今までの取り締まり常識との若干の乖離があることは、それは疑いない。ただ、文系的頭に立って考えれば、法律の条文として危険薬物を使ってはいけませんよというふうに書けば、危険薬物は使わないというルールが法定されるというだけのことでありまして、その外縁も大体はっきりしていますから、それが社会常識に照らして問題なかろうということになるわけであります。こういうことから、一つの立案としては十分成り立ち得るものだということで鳥取県から旗を上げたということになりました。  では、それが今後どういうふうに実務的に実行できるかということでありますが、最後の勝負は裁判所です。裁判所に持っていって有罪を立証することができるかどうかということになります。そのときに興奮、幻覚等の作用を起こすかどうかを立証するのは、裁判の中でそういう証拠が提出できればいいわけです。あらかじめそのリストをつくってあって、それと合致するかどうかということだけでなくて、実際にそこで押収したものに従って立証ができればいいわけです。また、人の健康に害を及ぼすようなものがないだろうか、また覚醒剤と同等なものかどうか、この辺は実際に証拠として押収したものから判定をしていけばいいわけであります。そういう能力は国全体としてはもちろんありますし、鳥取県としてもその能力は若干でも高めようと、今回予算として補正予算の中に提出させていただいております。ただ、裁判の運用の中でそこが間に合えばいいわけでありますから、別に東京都の研究所に我々が委託して、そのときまでに立証できてもいいわけでありますので、十分に可能なレンジに入っているというふうに考えております。  いずれにしても、そういう調査能力を我々としても高めることを今回予算上も措置させていただきましたので、御審議いただければと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)1番坂野議員 ◯1番(坂野経三郎君)丁寧に説明、解説していただきまして、おおむね納得したわけでありますけれども、まだ多少わかりにくい部分がございます。この次にどうも同じような質問があるというふうに聞いております。そのところでしっかりまた理解を深めていきたいというふうに思っております。  次に進ませていただきますけれども、ドクターヘリのことであります。  今、できない理由を探すのは簡単であると、できるために何をしていくのかということで、私はこの危険ドラッグに関して今の県の姿勢を非常に高く評価したわけでありますが、知事の今のドクターヘリに関する答弁は、まさにできない理由を探した答弁だったというふうに私は考えているわけであります。  これに関しては、平成22年の2月にドクターヘリの単県の所持を主張された議員がありました。浜田妙子議員でありますが、その答弁に対して知事は、そうした可能性、すなわち単県でドクターヘリを持っていくという可能性を今後も考えていきたいと思いますと答弁されています。そして4年半たった今、検討し続けるという答弁でありました。いつまで検討されるのかなというふうに思ったわけでありますが、先ほど費用負担のお話もありました。年間3億円の運航費というお話がありましたけれども、国の補助等を考えると単県でどれぐらいかかるのかなということを思いながら聞いておりましたけれども、私もその費用負担という面に関しては、税金の使い方、非常に厳しい目を持ってやっておるわけでありますが、やはり県民の生命と財産を守ると、それに資するための予算を惜しむべきではないというふうに私は考えているのです。  「真夏の救命救急・日本一忙しい「ドクターヘリ」に密着」という番組がございました。その中で、事故発生から20分から30分の10分間、これは大量出血の場合の事故でありますが、その10分間で死亡率が4割も上昇するということでありますから、1分でも1秒でも救急医療を受けられる体制を整えるというのは、私は県の重大な責務だというふうに考えているわけであります。  全国のドクターヘリを出動させている病院の中で、鳥取県と関西広域でやっております公立豊岡病院が1,422回ということで全国トップの出動件数を誇っております。そのうち鳥取県に来たのは73件。私はこの救命救急センターになぜ1,422回も、全国トップなのかというお話を伺いましたが、2位の日本医科大学の千葉北総病院ですかね、そこが1,053回だかという形でありまして、2位の病院に400件も離している状況であります。そこのセンター長の方針で、1分1秒でも早く急患の患者のところに行けるように出動を惜しむなということで、実はその1,422件のうちキャンセルの件数は21%程度に上っているという、そういうお話を伺いました。一方で、島根県の病院は4%のキャンセル率ということで、ドクターヘリを飛ばす条件を厳密に見ているというふうに思いました。  そして、全国一ドクターヘリを飛ばしているその公立豊岡病院の小林センター長は、実は鳥取県出身でございます。その日本一ドクターヘリを飛ばしているセンター長が出身したこの県でドクターヘリがないというのは、私は極めて皮肉な話だなというふうに感じているわけであります。  そして、このたび中国5県のドクターヘリ出動件数を調べてみたのですが、島根県では他県からも含めて785件ドクターヘリが飛んできております。山口県では234件、岡山県では348件、広島県では312件。一方、鳥取県は、防災ヘリのことはちょっと私はその数字を数えておりませんでしたが、ドクターヘリに関していえば、最少の山口県の234件のわずか3分の1程度である79件という状況であります。もうこの数字を見ただけで、明らかに鳥取県内の救急医療、ドクターヘリを整える体制が不十分でないかというふうに私は感じているのです。これまで何年も検討されてきましたけれども、ぜひこのたび鳥取県にドクターヘリを導入すると、そういった思いを知事から聞きたいというふうに思います。答弁をお願いします。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事
    ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野県議から、ドクターヘリの配備につきまして重ねてお尋ねがございました。  浜田県議の御質問の件もありましたけれども、スタンスがいささかも変わっていないどころか、私の気持ちの中ではドクターヘリを考え得る条件が一つふえたなというのが率直なところなのです。先ほど説明の仕方がちょっと悪かったかもしれませんが、それを引き続き検討していくと、やめるわけではありませんよと、検討していくのですよと申し上げたことを御理解いただければと思います。  と申しますのも、なぜ鳥取県西部にドクターヘリの配置ができないかという一つの理由は、米子港で受けるというそのヘリポートが鳥取大学附属病院に直接なかったことであります。それではあそこを基幹病院としてドクターヘリというのを展開することができない事実上の条件がございまして、せめてそれをどうやって解消していくのかということから始めなくてはいけないわけで、鳥取大学ともたびたび相談させていただき、県としてもその財源を提供しましょうかというお話もかねてしてきたところでございます。それが今回整備されたわけでありますから、一段、ドクターヘリを配備し得る環境はできたという面があります。  先ほど申し上げましたのは、ただ、そうしたところ、今ドクターヘリが島根から大分入り始めていまして、7月から大体二月ほどで8件飛んできたとします。そうすると年間だと50件ぐらい、これだけでまたふえるのかもしれません。また定着地がもっとふえるのかもしれません。だからその辺は、また運用状況をちょっと見てみなくてはいけませんし、実はなかなかヘリポートができないものですから、今度は鳥取大学のほうでドクターカーを走らせ始めたのです。それとまた、県独自の防災ヘリとの組み合わせの中でどれほど充足されるかというのも見ていかなければならないわけです。もちろんカーラーの救命曲線というのがあって、救命という観点からすれば20分だとか、あるいは30分だとかそれぞれに壁があって、到達時間は救命率の向上には大きな意味合いを持つわけでありますが、道路網だとか、それとの兼ね合いの中でそこをどういうふうに整備するかが決まってくるのだろうと思います。  したがいまして、今ようやく一つヘリポートができるという段階に来たわけでありまして、ここでまた考えをめぐらす必要があるのではないかと、そんな趣旨で先ほど申し上げたところです。  坂野県議の御主張されるような問題意識は私ももちろん持っているわけでありまして、ただ、片方でかなりの出費もあることでありますから、慎重に検討しながら当然議会の賛同も得てどうするかを最終判断していくということだろうと思っておりまして、もうしばらく時間をいただきたいということでございました。 ◯副議長(前田八壽彦君)1番坂野議員 ◯1番(坂野経三郎君)知事も私と問題意識を共有していただいているというお言葉がございましたし、できる環境が一つ整った、すなわち、できない理由が一つなくなったという状況でありますから、今後の進展を私も注視してまいりたいというふうに思っております。  最後の婚活の件でありましたけれども、非常に前向きな答弁をいただきました。移住定住、福間県議の代表質問の中でも非常に高い評価がありましたけれども、今、本当に最大の移住定住というのは、やはり伴侶を、将来の連れ合いをこの鳥取に連れてくることだというふうに私は思っておりますので、こうした事業をどんどん進めていただきたいというふうに思います。  今、国政でも最大のテーマが地方創生ということになっております。そうしたときに、私は振り返るのですが、地方創生、25年前ですか、ふるさと創生という言葉がありました。当時の総理大臣が島根県、自治大臣が鳥取県ということで、早くもこの国政の中心から地方の実情を見据えて、ふるさと創生1億円ということで何のひももついていない自由なお金を、不交付団体にはなかったわけですが、全自治体に交付をしたということがありました。あの時代から25年がたち、今さらに厳しい地方の状況になってきていると思います。これからどんどん改革が進んでくると思いますが、財源だけでなく、恐らく地方に権限も来るときがあろうかと思います。そうしたときは、やはりもう地方団体の競争だと思うのです。ですからこの人口最少県の鳥取からさまざまなアイデアを出して、鳥取に来たいとみんなが思ってくれるような創造性豊かなチャレンジをどんどんしていくような体制を今からつくる必要があると思いますし、私も微力ながら精いっぱい尽力してまいりたいというふうに思っております。  以上で一般質問を終わりたいと思いますけれども、何か所感があればいただきたいと思います。ありがとうございました。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)坂野議員の重ねての御質問にお答え申し上げます。  確かに私もまだ仕事を始めて間もないころ、坂野重信大臣にお仕えさせていただきましたけれども、ふるさと創生をしっかりやろうと、地方から元気を出していこうということで取り組んだ時期がございました。あれからしばらく時が流れまして、もう20年以上の時が流れておりますが、今こそもう一度原点に返って、ふるさとを、地方を創生していく、そういうムーブメントをここ鳥取からリーディング役として出していかなければいけないと思います。  現実にも大分風向きが変わってきて、こういういわば田舎暮らしというとちょっとステレオタイプかもしれませんが、自然が豊かなところで人々のきずながあったかいところでもう一度人生というのをつくり直してみたいという方々はたくさんいらっしゃいます。そこに子育て政策等を組み合わせたり、あるいは産業の場、雇用の場ということを農林水産業も含めてやっていけば、世の中を変えていくチャンスはあるのではないかと思いますが、そこは知恵を出して実行しなければ動きません。今後もこの議論が高まってくると思いますが、議会といろいろと議論させていただきまして、私どものこの中から日本を導いていくような、そういう地方創生のモデル施策をつくり出していく責任を感じるところでございます。  考えてみますと、結婚といいますか、そういうことは究極の移住のきっかけでもあり、そこにも一つ焦点を当てるべき分野があろうかと思いますが、今回の青年会議所さんの事業はその意味で我々にヒントを与えてくださったというふうに思います。坂野議員御自身も嫁さんを連れてきたほうでございますから、その意味では生きたモデルなのかもしれません。またこれからもそうしたアイデアをいただきながら、地方創生を推進してまいりたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田寿久議員 ◯27番(稲田寿久君)(登壇、拍手)通告に従いまして、2点お尋ねいたしたいと思います。  まず1点目、地籍調査についてであります。  平成22年9月議会において、私は森林所有権の明確化について知事に質問いたしました。あれから丸4年がたって、去る7月25日、26日の両日の日本海新聞に「どうする山林の境界」と題して、現在まで進んでいない地籍調査の内容が記事として掲載されました。私はいささか驚きを禁じ得ませんでした。  当時の私の質問内容は、森林の地籍調査につき、極めて質の悪いとされる森林簿と森林計画図を空中写真や近年安くなったオルソフォトを使う航空レーザー測量技術の応用、あるいは森林境界明確化促進事業の予算化、森林所有者の意識づけ等々の県の取り組み状況、森林所有者の責務と義務、森林が持つ社会的役割としての公共性、国土保全、国家的財産としての森林の意義、森林活用のインセンティブ等についてでありました。知事は当時これに対して、平成25年には植樹祭が県内で催されることが確定したので、いい機会だと思うのでしっかりやりたい旨が答弁されています。  今般の新聞の記事内容は、森林だけでなく住宅密集地、宅地、農地に及び、全国平均率に対して特に調査がおくれていると、その進捗状況が示されております。所有者の高齢化、権利関係の複雑さ、地形の変化、自治体の職員不足、財政負担などの理由により、関係者の記憶の曖昧さも手伝って日を追うごとにますます困難さが増加することになります。  あの質問から丸々4年が経過していますが、この間どのような対策がとられてきたのか、なぜ地籍調査が進まないのか、市町村との連携はどうなっているのか、答弁を求めます。  次に、危険ドラッグ、先ほど坂野議員から予告編をしていただきましたので、質問したいと思います。  昨今のいわゆる危険ドラッグと呼称される薬物の吸引等による興奮、幻覚、陶酔などの原因により、交通事故や健康障害などの頻発など、世間の耳目を集めることになった新規向精神薬に対する規制強化が叫ばれています。違法薬物、指定薬物以外の異なる類似した構造や作用を持つ新しい薬物が登場することが繰り返されており、日本ではイタチごっこ、海外ではモグラたたきとやゆされ、行政はたび重なる製造と規制に頭を痛めている現状であります。  大ざっぱに言って、自由主義的な薬物政策をとる国々を除いて、その規制の方法はアメリカ型、イギリス型に大別され、アメリカでは薬理作用に主眼を置き、俗にアナログ方式と呼ばれる連邦類似法が制定されていますが、類似しているかどうかの議論によりその運用は困難さをきわめ、他方イギリスでは、共通構造を持つ物質につき化学式に主眼を置き、俗にジェネリック方式と呼ばれ、包括的にこれを規制する方法が一般的でありますが、これまた網羅することは不可能に近く、危険性の確実な証拠も立証できず、医薬品を例外化する必要があるなど弊害も出ていると聞き及びます。  ところで日本はというと、一方ではアメリカ方式の厳罰主義の薬物政策をとり、一方では危険ドラッグの規制にはイギリス方式と似た包括措置を採用していますが、再犯者というか、再度の乱用者を回復させる施設の体制確立がおくれているのが現状であります。加えて合法ドラッグ、脱法ドラッグ、違法ドラッグ、危険ドラッグとその呼称が再三再四にわたっての変更が示すとおり、その対応に苦慮と困惑、右顧左べん、いささかもてあましぎみの対策であるように思います。  我が鳥取県においては、平成25年3月に鳥取県薬物濫用防止条例が制定され、その後、平成25年10月に薬事法の一部改正に伴い立入検査の権限の拡大等の改正がなされ、さらに平成26年3月に薬事法の一部改正により大臣指定薬物の所持、使用等が禁止されたことに伴い、知事指定薬物の販売、授与または使用目的のない購入、受領及び所持を販売、授与または使用目的を有する場合と同様に禁止行為に加えるなど、改正がなされてきました。  しかるに今議会において知事は、薬物乱用に関し実効性ある規制を根本的に進めるためと称し、全国で初めての危険ドラッグを包括的に違法と規定し、危険ドラッグの製造、販売、乱用の行為を成分分析による指定がなくとも全て禁止し罰則を科すなど、同条例を飛躍的に強化する改正を行うとのことでありますが、まず基本的質問として、なぜ今般の条例改正が必要なのか、条例の目的と手段を基礎づける社会的な事実、すなわち県内の立法事実は一体何なのかお伺いしたいと思います。  次に、改正条例案の内容に関し、先ほども出ておりましたが、憲法第31条の適正手続条項、なかんずく罪刑法定主義の原理原則に照らし、知事が立法者としての条例制定の法的センス及び法的インセンティブをお尋ねいたします。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員の一般質問にお答え申し上げます。  まず、地籍調査についてでございますが、これは最近の経過、あるいは市町村との連携状況等々を含めまして、農林水産部長から詳細をお話させていただきたいと思います。  議員ともやりとりをさせていただき、県議会の御意見も伺ったわけでございまして、我々としても精力的に予算を計上したり、市町村を督励してまいりましたが、多分、議員がもどかしさ、焦燥感を感じておられるように、これは一遍になかなか進まないものですから、例えば全国平均並みになるとか、なかなか一挙にはいかないというのもまた事実でございます。  ただ、やるべきことはやらなければなりません。市町村の理解を得ていかなければなりません。最近でいえば、今年度に入りまして境港市もようやくこの地籍調査に取り組むということになり、全市町村での取り組みがなされてきておりますし、それからここ5年間の統計を見てみますと、地籍調査にかける事業費ベースで申し上げれば、和歌山県に次いで鳥取県は事業費が4億円増ということで、47都道府県のうちの中では第2位の伸びということになってきております。  ですから、いろいろとやってはいるのですけれども、特に宅地の中で筆数がたくさんあって始末がなかなか難しいとか、議員が今いみじくもおっしゃったように、結局やるだけの体制を整えられるほど人間をそろえられないと、そういうもどかしさがあったり、外注をすればいいと我々は言って、それに補助金もつけて国や県の助成制度もつけて市町村も督励しますが、やはりこれはこれでお金もかかりますから、その辺の隘路があるのかなというところは悩ましい部分を感じております。  ただ、片方で、議員が記憶が薄れていくというお話をおっしゃいましたけれども、どんどんと高齢化が進んでいったり不在地主がふえてくるということになりますと地籍調査もますます進みにくくなるということでありますから、本当は待ったなしなのだろうというふうに危機感を持っております。ぜひとも精力的に進捗を図ってまいりたいと考えております。  次に、このたびの危険ドラッグについてさらにお尋ねいただきました。条例改正の目的と手段を基礎づける立法事実は一体何であるのかという点でございます。  これについては、先ほどもちょっとちらっと申し上げましたけれども、県内でもこの危険ドラッグの使用例が把握されています。最近は消防が全国調査しました。そのベース、つまり消防本部がそういうふうに記録上整理しているケースでは鳥取県内でも10件という数字が上がっております。これは全部が危険ドラッグなのかどうかというのは、どのみち分析ができていませんので、もちろんそこまで完全にどうだということはないかもしれませんが、ただ、症状としては、もうめろめろになっているとか体調の不調を訴えているとか、そういうことで救急搬送されるわけでありますから、その10件は何か深刻な状況があったと思われます。  また、交通関係でも、先ほど智頭のトンネル等のお話を申し上げました。これは裁判の中で明らかになったのですが、そういうように鳥取県内でも事例があったということでありましたけれども、この夏にも今度は米子のほうでやはり使用例というのが交通関係で出てまいりました。車内から押収した中にいわゆる危険薬物があったということであり、これは鳥取県条例に基づいて警告対象とさせていただきました。  こういうように県内でも使用例がありますが、ただ、ちょっと考えていただければおわかりいただけると思うのですが、例えば救急車で運ばれるほどに悪くなっている人がいたとして、そうしたらそれよりも大きな数字で使っておられる方がいるのではないだろうか。また、全国の状況を見てみればインターネットでの販売等もなされているわけでありまして、そういうサイトも存在している状況でございます。開かれたインターネットでありますから、鳥取県民はその意味で脅威にさらされているという状況があります。ですから東京の池袋、あるいはこのたび悲しい出来事で御家族が規制を求めておられる香川県等に限らず、鳥取県も決してこの問題とは無縁ではないし、現実の立法事実があるというふうに考えているところであり、御理解を賜われればと思います。  また、これは使用ということだけでもなくて、厳密にはいろいろ御議論があるかもしれませんが、石川県の能登のほうで、いわゆる危険ドラッグの製造工場が摘発されました。それとほぼ時を同じくして米子で大麻の栽培をしていたということで安来と米子の男が逮捕されるということになりました。このことからもおわかりいただけるように、結構町なかでこうした製造だとか、あるいは販売ということの可能性が鳥取県内でもないわけではない。したがいまして、私は、立法事実として我々がその条例をつくる契機は存在するのだろうと考えております。  次に、先ほどの坂野議員に引き続きまして、罪刑法定主義につきましてのお尋ねがございました。そのような考え方はいかがかということでございます。予告編があって、今度は本編ということかもしれませんが、先ほど来、立法者のセンスということを少しおっしゃいましたので、掘り下げて申し上げなければならないかなと思います。  罪刑法定主義は世界でも言われる議論でございますけれども、我が憲法のもとでは典型的には31条に入っていると言われ、もしその実行時に法律がなければ罰せられることはないという条文も別途ありますので、そういうものを組み合わせて日本国憲法は罪刑法定主義を採用しているということを言います。  御案内のように、アメリカの影響を受けて起草されていますので、その下敷きになっているのは、合衆国の憲法等に由来するいわゆるデュー・プロセス論、適正手続論だと思います。このデュー・プロセス論に基づいて、例えば告知や聴聞という手続が必要であって、そういうことで罰せられたり、あるいは自由を奪われたりする前提の行為があるだろうと。また、実体法としても適正なものでなければならないとか、そういうデュー・プロセスの幾つかの場面があります。  その中で、法律なくして刑罰なし、法律なくして罰則なしという、そういういわゆる罪刑法定主義もその中の一平面をなすわけでありまして、憲法31条にそのことがあらわれていると。憲法31条の書きぶりは、先ほど坂野議員もおっしゃいましたが、法律による手続なくしてという言葉の書き方で、いわゆるデュー・プロセス論に基づく書き方になっていますが、その内実としては罪刑法定主義があるだろうということであります。  したがいまして、これについては各般にわたって何度も何度も最高裁まで巻き込んで議論がなされてきました。よく言われるのは徳島市公安条例事件でございますけれども、この昭和50年の判決の中で、先ほどもちらっと触れさせていただきましたが、通常時に一般人の理解においてこの行為が処罰される、刑罰を科せられるというふうに具体的に認識し得る内容であるかどうか、この辺がメルクマールになって明確性があるかどうかというように言われることになります。  いろんな実例も出てきております。例えばHS式電気マッサージ器事件というのがあって、これは、いわゆる医業類似行為を処罰をするというものです。あんまだとかはり、きゅう、柔道整復師、そういうものをやはり無届けでやってはいけないということでありました。これについて、そのHS式電気マッサージ器というものを使用したということで罰せられるわけでございますが、それがずっと最高裁の決定まで争われまして、このときには罪刑法定主義との関係では、医業類似行為というのは確かに漠然としているように見えるけれども、あんま、はり、きゅう、マッサージ、柔道整復師、こういうものが例示として書かれていて、そういうこととあわせて考えると罪刑法定主義に反する条文ではない、違憲ではないということになりました。  ただ、ケースとしては、その後があるのですが、電気マッサージは害がないものであると、だから害がないものなのでそれを処罰するということはいかがかと、そちらのほうでこれは無罪になるというようなことになって差し戻されるわけでありますが、そのようなケースがあったりします。  また、そのほかにもさまざまな事案が争われていますけれども、ある程度の明確性があれば憲法31条との関係はクリアできるというのが通説的な理解であります。  翻って、私どものほうで今つくろうとしたのは簡単な事柄なのです。それは危険薬物を使ってはならない、売ってはならない、つくってはならないということであります。危険薬物というのがわからないではないかという議論がいろいろあるのですが、私どもの通常の理解で危険薬物とは何だといえば、あのようなものだというのはあるわけです。そういうことがあるので一定程度の明確性はもともとあるのですけれども、それを理系的に化学式の同定まで細かにやって、これと結びついたものでないとだめだと言っているのですけれども、私はここにちょっと今の取り締まり実務の矛盾があると思っています。  つまり、今それよりも広がった範囲で同等の薬物がどんどんできるようになっていますから、それを本来は規制目的としては処断しなければならないのですけれども、みずから自己規制してしまって、何か化学実験ができ上がったものだけをやるというドグマができ上がってしまっていると、ここを我々で振りほどく必要があるのではないかなと。国はいろんな事情があってできないのだろうと思います。それで田村大臣のような答弁が出ているのだろうと思いますが、地方としてそういう立法実例をつくっていく、それで違憲でなければ条例も法律の範囲内であれば制定可能でありますから、鳥取県民としての安全性を図る値打ちがあるだろうというふうに私は考えているところでございます。  では、その構成要件を設定するとき、実はいろいろ捜査実務の方々とも議論したりしております。そういう中で麻薬だとか覚醒剤だとか従来の取り締まり対象と同等のものということを入れようと。これがいわば先ほどのHS式電気マッサージ器事件に言われるような例示に当たることになります。ですからこれでイーハンですね、そのヤクが上がっているというか、強固になった、明確性が増したのではないかと思いますから、最高裁まで行ってもプラスに評価されるものがふえただろうというふうに私は思っているところであります。  このようなことが下敷きになって、では明確性があるかどうかというのを構成要件に照らして見ていくと、さっきもちょっと述べましたが、それぞれに一般人の常識として理解できるもので構成要件をつくることはできまして、それもそれぞれ分析してみれば立証可能なものになりますので、私はこれによって条文を立てることは可能だというふうに考えております。  デュー・プロセスの原点になりましたアメリカでも、この辺は議論されています。アメリカ法でよく言われるのは、罪刑法定主義との関係でいえばベイグネス、曖昧であることと、アンサーテンティー、不確かというか、不特定であること、この辺が違いがあって、曖昧、ベイグネスであると違憲だけれども、アンサーテンティーであるとこれは合憲であるというふうに言うわけです。いろんな薬物の種類があって、化学式が既に見つかっているものもあれば見つかっていないものもある。しかし、薬理的には全部同じような作用を及ぼす。であったら、これらを一つの危険薬物としてカテゴリーをつくっておく。そういうことでアンサーテンティーの分野の範囲の中で、罪刑法定主義の範囲の中で条文を書くことは可能ではないかというふうに考えます。  議員も今おっしゃいましたけれども、現にアメリカも確かにアナログ法についてはいろんな議論がありますが、ただ、従来取り締まっているものを別表に書きまして、それと類似のものということで今アメリカの取り締まり実務はできているわけであります。これに基づく裁判が今出始めていますけれども、検察側が勝訴しています。ですから、そういう意味で世界的にもこういう方向性が徐々に生まれてくるのではないかと考えております。 ◯副議長(前田八壽彦君)岸田農林水産部長 ◯農林水産部長(岸田悟君)それでは、補足答弁をいたします。  地籍調査の現状について、この4年間どのような対策がとられてきたか、それから市町村との連携はどうなっているか等でございます。  本県では、昭和32年から地籍調査に取り組まれております。この4年間には県のほうで市町村に対しまして、調査の進捗率のアップを図るために一筆地調査、一筆ごとに調査をするわけですが、それを町の直営方式から民間業者への外注方式に切りかえましょうということでアップを図るよう進めてきました。また、鳥取県国土調査推進協議会、これは北栄町、それから日吉津村は調査が完了しており、この2町村を除く17市町と、それと県、それから県土地改良連合会で構成しております協議会でございますが、年4回、市町村、それから関係団体の担当者を対象とした研修会を開いております。また、知事からもございましたように未実施市町村への働きかけということで、平成26年度、今年度から全市町村で取り組みがされているということでございます。  この結果、ここ5年間で事業費等が大変上がってまいりました。事業費につきましては平成22年6億6,000万円が、今年度、平成26年は10億円まで高まっております。進捗も22年度、22%が、26年度、26.7%ということになっております。しかし、依然、全国平均の51%を大きく下回っているという状況でございます。  この原因としまして、昭和32年から取り組んでいるわけですけれども、高度成長時代に公共事業のほうが割と優先されてきたということと、一筆ごとに土地所有者、地主さんの理解が必要だということで、手間と時間が大変かかるというところから、なかなか進捗が上がっていないということでございます。現在は、ほぼ全ての市町村が外注方式になっておりますので進捗がアップしておりますが、一気に進捗を高めるというのはなかなか難しいというふうに思っております。  しかし、近年、市町村の意欲もだんだん上がってまいりまして、例えば大山町ですと外注により調査面積を確保したいでありますとか、智頭町さんは職員を増員したので事業量をふやしたいというような、そういう市町村もございます。平成27年の市町村の予算要望額は、ことしが10億円に対しまして12億円になっております。県としても今後も予算確保に努めていくとともに、市町村が円滑に調査を実施されるよう引き続き支援してまいりたいと思っております。 ◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員 ◯27番(稲田寿久君)まず最初に、地籍調査ですけれども、今話を聞きました。遅々として進まないということ、私はその事情もよくわかるのです。ですけれども、筆関係の、一筆(いっぴつ)ではなくて一筆(ひとふで)二筆(ふたふで)と言ったほうがいいですよ、わかりがいい。筆関係の問題にしても、厄介な問題を含んでおることも重々承知しておるのですが、この質問を前にしたときに、25年には森林関係の植樹祭があるというようなことで知事も大変張り切っておられた議論をしたわけですね、知事。ですから、やはりこれは森林の発展を考えても、農地のこれからの活用を考えても、宅地の活用を考えても、もう一つ、いわゆる人口の大変集積しておる場所、そういうものを考えるにしても、この権利関係が明確でなかったら本当に何もできないです。作業が先に進んでいかない。だからこのことは、何か目に見えないけれども、一つの大きな事業をする下敷きになることだけは間違いがないわけですから、一遍にどんどんどんどん目覚ましく進んでいくなどということは私も考えてはいないわけでして、ですけれども、やはりきちんとした形でこの作業は進めていっていただかないと困るのです。このまま何もやらなかったら何も進みません。どうするのでしょうか、これからどうするつもりなのでしょうか、それを伺いたいと思います。  もう1点が、今度は例のドラッグの問題です。知事、先ほど坂野議員とのやりとりも聞きました。それから今、知事の答弁も聞いたわけですが、その中で何点かお尋ねしておきたいと思います。  それは、知事、私は前からこのことは申し上げているわけですが、法というのは、条例もひっくるめてですが、規制的な法というのは謙抑的でなければならない、これが大きな原則です。特に可罰性がある法というのは、謙抑的に本当に厳密に考えていかなければならない。これが私の持論です。  そしてもう1点だけ、これは坂野議員の質問だったと思うけれども、先ほど知事がその目的と手段の問題についていろいろ言っておられた。目的と手段の関係は、まさにデュー・プロセスなのです。その目的が正しいと同時に、その手段も正しくなければならないというのがデュー・プロセス・オブ・ローの真髄なのです。となると、その目的は、確かにそういう違法ドラッグが乱用されておるわけですから、これをやはり撲滅をするという大きな目的です。ですけれども、それに対する手段がおかしかったり、ちょっと度が過ぎたりということになると、これは知事もいみじくも今言われたデュー・プロセスにならないです。ですから、知事、やはり本当に法の謙抑性ということをよくよく考えていただきたい。  そして、今のところは知事が立法者になるわけですから、それはただ単に今話を聞いていると、解釈論と立法論とを混同して知事が答弁しておられる向きが何点か感じられたのです。やはり立法者として自分の心の中にきちんと持って、私はこの取り締まりがどんどんどんどん縮小していいなどということを言っているわけでもない。だけれども余りにも取り締まりが広くなって、本当にそういうドラッグでないところにまで取り締まりが及んでいくというのは、まさにこれこそ罪刑法定主義の大原則に反するということだろうと思うわけです。ですから、1点、立法者としての心構えをまずお聞きしたい。  もう1点は、先ほど立法事実の中で、米子でももう大麻が出てきた何とかかんとかというお話があるわけですが、これは改めて言うこともないですけれども、知事、大麻取締法、それから覚せい剤取締法、それから、あへん法、言わなくてもいいと思いますけれども、麻薬及び向精神薬取締法、これらはいわゆる行政法なのですが、行政法の中でも行政刑法といわれるジャンルに入るわけです。ですから、そこでは罪刑法定主義も多少緩やかになる、憲法31条のいわゆる適正手続条項も緩やかに解されるというのが通説であることだけは間違いない。余り厳格にやると、いわゆる行政法の合目的性ということを損なわないようにやはり罪刑法定主義を生かす、適正手続条項を生かしていくというのが解釈の根源であり、そしてまた、立法者としての根源なのです。そこを間違わないようにしないといけないと思っております。  そういった意味で、今、知事が現実にこの議会に提案されておられる条例が、果たして申し上げた謙抑性であるとか、あるいは麻薬四法以外のいわゆる向精神薬にどういう形で適用していくのか、そして行政刑法としての合目的性という問題についてでも、やはり罪刑法定主義と適正手続条項の精神というものは生かされなければならない。そういうものを考えて、いわゆる立法者としての立法手続をとっておられるのか、行政法と行政刑法と通常の刑法のこの3つの区別というものを知事がどういうぐあいに捉えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員から重ねて御質問がございました。  まず、地籍調査については、これは農林水産部長から重ねてお答えさせていただければと思います。これは議員もおっしゃったように一遍に片づくものではありませんが、できなかったら後々禍根を残します。特にこれは民間の権利関係にもかかわりますし、場合によっては公共事業をする場合の前提となる土地の整理にもかかわることでありまして、公益を害することになりかねない、そういう意味でぜひとも可及的速やかに体制をつくっていきたいと思います。  後段のほうの危険ドラッグ、危険薬物についてでございますが、謙抑的であるべきだとか、それから立法者としての心構えとか、それからさらに、法律というか、法規の性格、行政法等のお話がございましたけれども、こうしたことからいろいろと御議論を提起いただきました。  そもそも法学一般の話からすれば、何のために法律というのはあるかということで、これは初歩的な釈迦に説法の議論ではありますけれども、社会規範があると。大きく社会規範というものがあって、さらにそれが包み込むような形で法的にルール化される法規というものが存在をすると。こういうふうに、一般にはベン図のようにして考えるわけでございます。特に刑罰とかをもって取り締まるべき分野というのを重く見て厳密に考える。それが通常の法律立法者としての心構えといいますか、考え方の基本ではないかなというふうに思います。  行政法は比較的いろんな分野に法律をつくることができますけれども、その際はそれぞれ中に今言うデュー・プロセスを内在させる、最近は行政手続法などもございますから、その辺は昔とはちょっと局面が変わってきていると思いますが、そういうようにいろんな立法手段をその法律の目的に即してやっていくわけであります。  特に、今問題にしている刑法的な分野、行政刑法も含めまして、そういう一つのルール、社会規範の中の法律でやるべきもの、罰則を科すべきものというものをこしらえていくわけでありますが、基本的には小さな絵になるわけであります。ただ、そこで最終的な社会の防衛手段として罰則を伴う刑法ないし行政刑法、そういうものを定立していくことは、やはり残念ながら道徳だけで全部守ってくれないという社会の現実からして、我々としては選択せざるを得ない場面があるということです。  しかるに今回はどうかといえば、現に人の命が幾つも失われている。県内でも青少年も含めてその魔の手が忍び寄っている。こういう状況の中で我々は社会防衛を果たさなければなりません。今、テレビでも新聞でも言っています。危険薬物に手を出すなというふうに言っていますが、相変わらず出てくる。そうなると、もうあとはやはり罰条を伴う、強制手段を伴うことでその実効性を担保する、そういう段階に行かざるを得ないわけであります。私は、危険薬物についてはもうその段階に至ったと判断しましたので、今回、先ほどは優しくない厳しい条例ということになるというお話がございましたが、そういう県民の権利を侵害する可能性のある条例というのをあえて提案しようということであります。  ただ、その際に、やはり謙抑的になければならないわけでありまして、その外縁といいますか、範囲は小さく絞っているわけです。それは、社会常識で言っている今報道されているような危険ドラッグを取り締まりますよというところに絞っています。それを表現するときに、従来のものとほかの薬物と同等のものということでその程度のことも縛っていますし、それから中における効果についても、幻覚だとか興奮等の作用ということをきちんと例示して事実上限定をさせていただいております。また、それも岩石のようにとてもかみ砕けないというものではなくて、液体になっていたり、お香としてたけといって、たいてみたら入ってくるような、そういうような吸引だとか摂取の形状にあるものということで縛っている。  ですから、それを全部つなぎ合わせて考えていれば、いわゆる報道されているようなおどろおどろしいパッケージで売られているあの危険ドラッグのことだということはおわかりいただけようと思いますし、その辺の理解さえしていただければ、あとは行政刑法としての今回のものは実効性を持って守っていただける、いわば抑止力にもなるのではないかなというふうに考えているところでございます。  このことについて、そういう意味で、我々としては地域から声を起こすという意味からあえて独自の条文を書かせていただいたわけでございますが、ただ、それは実効性を持ってやっていったり、また不意打ちにならないようにという若干の配慮をしております。これはそもそも私のほうでアイデアを投げかけたわけでありますが、捜査実務の方々のいろんな御意見も聞く中で、実は案を少しずつ修正させていただきました。  例えば、一番最終的な権利の侵害に当たるような刑罰がかかる、そういうケースに至るのは、きちんと物質名が特定されているものはすぐにでも刑罰がかかり得るように書いてありますが、その物質名が特定されているところまでいっていないものについては、それはごくごく簡単にちょっと簡略化して申し上げれば、警告をする、中止命令をする、そういういわば予兆を我々のほうから発した上で、それで罰則がかかるように実は条文は構成を変えております。そういうことで、一連の流れとして、変な意味での不意打ちになったり、あってはならないようなことではありますけれども、本来の危険薬物とは全く関係ない人がやられてしまうということにならないように、そこは担保措置を少し厚目にとりながら書かせていただいております。  また、知事の指定薬物として列挙する候補に挙がる手前のところに候補薬物というのがあります。その候補薬物についても、例えば販売業者がこれはもう全然害毒はありませんよということを立証してもらえば、それは早速外しますよという条文も片方で書いてあります。議員は謙抑性ということをおっしゃいますが、こうやって節度を持って取り締まり対象を規定すると、また運用の実務もあえて条文に細かに書かせていただいている、そういうようなことで提案いたしたところでございまして、御理解いただければと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)岸田農林水産部長 ◯農林水産部長(岸田悟君)補足答弁をいたします。  地籍調査が進まないということで、どうするのかというお尋ねでございます。  議員が御指摘のとおり、地籍調査が進まないということになりますと、このまま年が経過するほど、土地の境界を知っている人、それから境の木とか石、物証ですね、これが失われて調査そのものができなくなるということで、結局、民間の土地取引でありますとか公共事業ですとか県全体の開発行為なり、保全とか有効利用に支障を及ぼすということになります。今、各市町村の要望も高まって、それから意欲もだんだん高まってきております。県としては市町村と一層の連携をいたしまして粘り強く推進して、一朝一夕には進捗を高めるということはなかなかできませんが、できる限り進捗を高めていくように頑張りたいと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員 ◯27番(稲田寿久君)それでは、頑張っていただきたいと思います。  先ほどの議論の続きになりますが、知事、今確かに法のありようについて知事の所見を聞いたわけですけれども、まさに今の知事のその言葉、法の淵源とは一体何ぞやということに帰結すると思うのです。法というのはそもそも何なのだということなのです。法の淵源というものを考える上で、法の周辺には道徳があり倫理があり慣習があり、そういうものがたくさんあるわけですが、その中から法としての確立を、確信を持ったものを抜き出したものがまさに法なのです。その周辺にあるものが法に全く影響を与えないかというと、そういうものではないわけです。法そのものは経済や法と一緒で、いわゆる形而下、形に覆われたものなのですが、形而上学的に、形而上で道徳とか倫理とかそういうものも存在をしているわけです。そういうものが不断なくいわゆる法に影響を与えているわけです。だから倫理とか道徳とか教育とか、そういったものが全く法とは無関係ではないということなのです。  私が何が言いたいかというと、ただいたずらに法を振り回すだけではなくて、いわゆる教育とか倫理とか道徳とか、そういうものも要するに防犯に役立つのだ、犯罪を抑止する抑止力になるのだということを言いたいわけです。ですから、法だけをもっていわゆる犯罪抑止の手段になると私は思ってはいないということを申し上げておきたいわけです。そういうものを含めた上で、法とは一体何なのだ、条例とは一体何なのだということを考えていく必要があると私は思っておるわけです。ですから、形而上にあるものも形の上にあるものも、決して犯罪の抑止に役立たないということではないということを申し上げておきたい。  そこで、今の議論の行きがかりから、結論から先に言ってしまうようなことになっていくのですけれども、結局なぜ国が手を出さないのか、まだ国がそこまでやらないのか、他の都道府県にそういう動きがあるにしても、都道府県が踏み込めない部分に今知事が踏み込んでおるわけです。そのなぜ踏み込めないかというと、そこの部分はやはり踏み込めないだけの不明確さを持っているから、いわゆる条文構成要件の要素としての不明確さがあるからそこに踏み込めない部分というものがあるわけです。だからその踏み込めない部分をどうするかというと、行政的な手続であるとか行政処分であるとか教育であるとか、学校でそういういわゆる危険ドラッグの教育をもっともっとするとか、そういうようなことをやっていく。ただ単なる威嚇刑だけではなくて教育刑や目的刑主義というのもあるわけですから、そういった方法で、今、知事が踏み込もうとしておるそこの部分は、教育、道徳、倫理、そういったもので行政的な処分で補えるのではないかということを私は思っているわけです。それについての知事の所見も伺いたいと思うのです。  不明確性については、確かにこの条文を読んでみますと、9条の2項、それから13条1項、15条、それから罰則の19条というのがあるのです。それともう一つ、いわゆる今議会のこの条例をどうするかということを今議論しているわけです。大きな法哲学の議論などをしているわけではないわけでして、そこで、こういう説明の理由文になっているわけです。危険ドラッグの製造、販売、乱用等の成分分析による指定がなくとも全て禁止、罰則を科すというような、提案理由の文章を読んでいただくとそういう文面になっているわけです。これではやはり明確性を欠きます。これだけでは明確になっていない。そして、いわゆる外形的だとか、もう一つ、知事指定候補薬物、これについても非常に外形的な説明にしかなっていないわけです。これは行く行く知事指定薬物にでもなっていくものなのですけれども、やはりもう少し化学式も、もちろん化学方程式も大事でしょう、それから薬理による薬理作用というものも大事なわけでして、そういうものをもっともっと明確に丁寧にこの条文として書くべきではないのかということを思うのです。余りにもこれが雑駁に過ぎるような気がするのです。それについて再度、知事に所見を伺いたいと思います。これで2点です。  もう1点は、知事、いわゆる行政刑法のありようについてです。  簡単に言えば、確かに行政法の中に刑罰法規を組み込んだものが行政刑法なのですけれども、この行政刑法がいわゆる自分の守備範囲としている内容というものはどういうものかというと、社会的な心理が刑罰を科せられる行為を罪悪と見ておるのかどうか、この反社会的な行為とは何ぞや、それに対して刑罰を科していいのかどうか、行政法として刑罰を科していいのかどうかということなのです。それからすると、今のあの知事のいわゆる踏み込まない外縁にある部分について踏み込むということは、私はこの反社会的行為、いわゆる刑罰を科するに値する反社会的行為とはまだ思えない部分というものがあるわけです。犯罪を起こせば、運転をして他の犯罪を起こせばそれは当然反社会的な行為なのです。だけれども、その部分だけをもって反社会的行為と言えるのだろうかという点が1点。  もう1点は、これは法律用語なのですけれども、いわゆる非当罰的な不問行為というのがあるのです。罰に値しない非当罰的不問行為というのがあるわけです。これは、事柄によっては刑事制裁の対象にすることが果たして是か非か、合理的なのか合理的でないのかということを判断する一つの要素なのです。それは構成要件の該当性だ、違法性だ、有責性だという犯罪を構成する3つの要件があるわけですが、それにもう一つこれを加えるか加えないかということも、近代のいわゆる行政刑法上の一つの視点に、メルクマールになっているわけです。これについても、知事、本当にこれは非当罰的な不問行為なのではないのか。だからこそ、そこのところに今言った形而上学的な倫理であるとか道徳であるとか教育であるとか、そういったようなものをもって行政処分として処分すればいいのであって、刑罰まで科することが果たして是か非かという問題に行き当たるのではないかと思うのですが、その点についても、知事、所見を伺います。 ◯副議長(前田八壽彦君)平井知事
    ◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員から、危険ドラッグにつきまして重ねてお尋ねいただきました。  地籍調査につきましては、誠実に取り組まさせていただきたいと思います。  これについて、議員のほうの一番最初の冒頭のところは全く私も一緒でございまして、例えば教育だとか、それからそのほか例えばPRのような啓発活動とか、それから行政的にもさまざまなアプローチがあると思います。そうしたことと組み合わせて抑止を図っていく、それは当然のことだと思います。  今回、実は条例案を提案させていただいていますが、ちょっと余り世上で取り上げられていませんが、5条の第2項というところに県民運動として、みんなでこうしたものを撲滅を図っていきましょうと、そういうことも書かせていただいておりますのは、まさに今、議員がおっしゃったのと多分同じような観点だろうと思います。  現実にも、恐らくこれから議論いただいて仮にお認めいただくということになったら、そのときには教育だとかそのほかのPRだとか、あわせてやっていかなくてはいけないことだというふうに思います。例えば今、警察のほうからもアプローチしていますが、宅建業者の皆さんに、そういう製造だとかそんなことがあればそういうものを排除しましょうということに協力してもらうとか、今回5条の2項でも書かせていただきましたが、お医者さんだとかそういうところでは薬剤を使ったとわかるわけでありまして、そういう情報を当局とも共有したりして撲滅を図っていく。さらに予算的な措置としては、これはいわゆるドラッグ対策のアディクションとしてされるわけでありますが、それとか立ち直っていく動きを社会全体でも応援していくこともやっていかなくてはいけない。その辺を全部トータルでパッケージで予算も含めて私が今提案させていただいているところでございまして、その意味では、前段の部分は全く同じような考え方だというふうに思って伺っておりました。  後半のほうがいささか、多分最初のスタンスが違うのかもしれませんけれども、議員のほうでは反社会的行為で刑罰に値するかということでテーゼを立てられるわけでありますが、私が先ほど来申し上げているように、今、麻薬だとか覚醒剤だとかと同じように危険薬物というレッテルが張られていますが、国のほうの法律ではまだ取り締まり対象とはなっていないけれども全く同じような効果を生ずるもの、これを使うことは、大麻だとか覚醒剤を使うのと同じように反社会的行為であると考えるべきだと思います。ですから、刑罰もそれと同じように考えられるべきだと思います。  そういうふうに私が申し上げるのは、今の社会実態がありまして、お店だとかそういうところでどういうセールストークで売られているかと申し上げれば、これはもう覚醒剤などと同じぐらい、あるいはそれよりも効果がありますよと、だけれども、たまたま国の法律には書いていませんからこれで捕まることはありませんよといって売られている。これほど悪いことはないと思うのです。むしろ反社会性としては少なくとも同等な扱いを受けざるを得ないものだと思います。これが、では他人に迷惑をかけていない、たばこを吸うような行為だからいいですよということかといえば、しかし、現実問題としては交通事故であるだとかそうした社会的害悪をまき散らしているわけであります。これをどうやって抑制しようかというのが今、国を挙げてのテーマになっていまして、そこのところで我々としては、こういう解決策がありますよと、もちろん罰則だけでなくて予算上の措置だとかいろんな県民運動だとかを含めた措置がありますよという御提案を今世の中に対してさせていただこうとしているわけでございまして、私は反社会性という点ではほかの刑罰と同じように評価されるのではないかと思います。  また、規定が不明確であるとか雑駁であるというお話がございました。  実は私は、この立案を中でいろいろと議論するに当たりまして念頭にありましたのは、刑法144条であります。浄水毒物混入罪といわれるものでありますが、これは飲み水に毒物その他健康を害するおそれがあるものを混入させてはいけないということです。ですから、それは同じように健康に害を及ぼすもの、毒物その他ということでありまして、規定の体裁としては我々がつくったものと実は同じような体裁になります。ですから覚醒剤等々、そうしたものと同等のものであって、それで健康に害悪を及ぼすおそれがあるもの、しかも興奮だとか幻覚等の症状を起こさせるもの、こういうように書くことで、これは刑法にも書いてあるものであり、それと同じように解釈されてもおかしくない。  最近私どもがこういうことを夏の初めに議論を始めさせていただきましたら、警察も変わってきました。警察も今、全国的に交通違反として取り締まりをしようとしています。それは道路交通法に根拠があります。道路交通法に何と書いてあるかといいますと、薬物その他を使用することによって交通に危険を及ぼす、そういうことで取り締まるという、これは根拠規定があるのです。そこにひっかけているのですが、ひっかけているところは何かというと、薬物という2文字、あるいは交通に危険を与えるといういわゆる危険罪としての一般論として、それだけなのです。ですからそれ以上に私どもの条例は中身が書いてあるわけでありますから、明確性は十分にあるというふうに思います。  こういうことで、大方の御理解いただける内容になっているからこそ、22日に兵庫県が同じようなこと、うちと違いまして全部まで取り締まる規定になっていないかもしれませんけれども、定義のところは大体同じであります。京都が今考えている骨子案として公表したものは、完全に私どもと定義規定も一致する内容になっていると報道では見受けました。  こういうように、ある程度、社会常識に合ったものを我々としても提案できたのかなというふうに思っておりまして、御理解いただければと思っております。 ◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員 ◯27番(稲田寿久君)知事の言葉に逆らうわけではないですけれども、例として水道の毒物混入のその罪と、このいわゆる向精神薬をどう取り締まるかと、これの例には私はふさわしくないと思います。罪質としては全然違う罪質です。罪の質が違うのです。それを話していると長くなりますのでやめますから、またいつか機会があったら説明いたしますけれども、罪質が全然違いますので、それは例に当たらないと思っております。片一方は直接的な害悪があるのです。片一方は、その向精神薬を飲んだことによって薬理作用が出てくるというところなのです。片一方は、毒物を混入するという、その行為自体にいわゆる害悪性があるということなのです。人がそれを飲んで病気になったとか亡くなったとかということになって初めて水道の毒物混入が罪になるのではないです。これは構成要件をよく読んでみていただければおわかりになると思います。  重ねて私が申し上げたいことは、知事、もう一回あの条文は考えてみる必要があると思います。多分、県警本部長も、きょうは質問いたしませんでしたけれども、実際にこの条例が仮に制定されたときに、警察としてこの条例をもってどういう取り締まりをなさるのかなというのは、非常に頭を痛めておられるのではないかと私は思っております。非常にそこの部分が不明確だからなのです。構成要件がもっと明確であれば、罪状も、逮捕状を持っていったり、あるいは何かするわけですから、その逮捕状の中にも書きやすいものがあると思うのですが、それが非常に書きにくい部分もある。そして、証拠としてどういう証拠を取り上げていくのかということも難しい問題があるというように私は思っております。もう一度この条文の再考をお願いたいと思っております。  そして、しかも先ほど申し上げました社会的なモラルとして教育であるとか道徳であるとか倫理であるとか、そういったようなもので、あるいは行政的な取り締まりでもってこれを取り締まっていくということが今できる非当罰的な不問行為であるという認識にぜひ立ってほしいというふうに思うのですが、それの知事の所見を伺って質問といたします。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田県議の質問にお答え申し上げます。  尊敬する稲田県議なので、おっしゃることの意味はあるとは思うのですけれども、若干よって立つところが違うのかもしれません。今聞いていて思うのですが、それは多分、時代認識かもしれません。  私は、今この現代、今の状況において、国が指弾をされたり、それから取り締まりについて厳しい声が上がっている。それは何でこんなものを違法だとかいうことで取り締まらないのだということがあるわけです。内容ははっきりしているわけです。いわゆるドラッグといわれて危ないよと、しかも売っているときにこれは効果がありますよとして売っている。それを取り締まらないということのほうがおかしい。その取り締まらない理屈が一般の人には小理屈に聞こえるのです。化学式が一致しないからそれは取り締まり対象ではないですよということの繰り返しである。それに業を煮やして、最近も警察の実務の中で道路交通法66条を引き出したわけです。  先ほど私が刑法144条を取り上げさせていただいたのは、要は毒物という言葉と薬物という言葉、もちろん言葉も違いますし効果も違いますが、それを解釈して、大審院の古い判決ですね、例えば毒物という言葉を青酸カリはこれに当たると解釈をする。そういうように……(発言する者あり)そう、だから毒物の解釈でその運用ができているわけです。毒物の中身というのは何かというのはわからない。健康その他の被害を生じさせるおそれというものをくっつけているだけでありまして。我々のほうも、そういう意味で薬物、それにその他健康に被害を生じさせるというものでありまして、薬物という解釈だけでやるのかといえば、それは毒物を解釈だけでやっている刑法と一緒ですよということを申し上げた範囲であります。  その薬物ということだけで申し上げれば、今先ほど申しました後段のほうの道路交通法の66条、これはまさに薬物を使うことによって交通に危険を生じさせた場合ということでありまして、この薬物というのは、実は危険薬物は入っているかどうかわからないです。ただ、警察はもうしびれを切らして、実務上その薬物を使って自転車をやった人を捕まえた事例が出てきていると。  こういうように、世の中はもう今の現状に飽きたらずに動かざるを得なくなってきているわけです。根本のところでやはり風穴をあける必要があるし、社会常識に合った条例ないし取り締まりの法体系をつくるべきだと。我々はそれを考えさせていただいて、鳥取県内だけという適用になるかもしれませんけれども、鳥取県として、やはり県民のために高々と旗を掲げさせていただきたいということであります。  確かにこれが当罰性があるかどうかという議論は提起されるわけであるわけでありますが、先ほど申しましたように、今この危険薬物を使って、あるいは危険薬物を一般に売りさばく、危険薬物をつくるというのは非常に反社会性の高い行為だと常識的には思っているわけでありまして、その常識を法律的に表現をすれば、それは罰則の可能性のある禁止行為ということになるだろうと思います。  したがいまして、私は今回提案させていただいたこと、もちろんいろんな議論があったり慎重な考慮を要すべきことであろうというのはよくわかるのですけれども、これまで各方面ともいろいろと議論させていただき、捜査実務のほうの立場も考えながら最終的に立案させていただきましたので、御理解いただければと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)27番稲田議員 ◯27番(稲田寿久君)いや、わかるのです。ですけれども、知事、やはり私は、社会常識と法の精神だけ守ってそれでいいなどと言っているわけでも何でもないのです。今の社会常識と合った形の法体系というのを組み上げていかないと、ということは、これはもう私も重々よく知っております。ただ、それでもやはり原点に立ち返って、先ほど知事もいみじくも言われたデュー・プロセスです、方法と手段、目的、そういったようなものにいささかのそごがあってはならないということを私は申し上げておるわけです。その手段、方法がやはり少しおかしいから、おかしいのではないですかということが私の質問の大きな動機なのです。再検討を願えますでしょうか。 ◯副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)稲田議員から重ねての御質問がございました。  先ほど申しましたように、今社会が求めているのは、こういう危険ドラッグを法的な強制力をもって禁止すべきであるというところにあると思います。だからここは時代認識が若干違うのではないかというふうに申し上げたところでありまして、稲田議員のようなそういう一つの法体系も当然考えられると思いますが、世の中が今求めているのは、これを可罰性のあるものとして取り扱うこと、そのための知恵ではないかというふうに私は考えております。  もちろんデュー・プロセスに配慮しておりますので、知事指定候補薬物については反論の機会を与えるとか、いわゆる告知、聴聞の手続に似たような、そういうものも内在させていただいております。我々としても慎重にいろいろと考慮を重ねたようなつもりでございますので、ぜひ条文をいま一度見ていただきまして御判断いただければと思います。 ◯副議長(前田八壽彦君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後3時08分散会    ────────────────...