令和 6年 2月 定例会(第358回)令和6年2月 第358回
定例奈良県議会会議録 第3号 令和6年3月4日(月曜日)午後1時1分
開議 -------------------------------- 出席議員(43名) 1番 永田 恒 2番 川口 信 3番 芦高清友 4番 金山成樹 5番 星川大地 6番 松木秀一郎 7番 山田洋平 8番 清田典章 9番 関本真樹 10番 疋田進一 11番 若林かずみ 12番 斎藤有紀 13番 伊藤將也 14番 藤田幸代 15番 福田倫也 16番 福西広理 17番 工藤将之 18番 中川 崇 19番 原山大亮 20番 小村尚己 21番 浦西敦史 22番 川口延良 23番 池田慎久 24番 西川 均 25番 乾 浩之 26番 亀甲義明 27番 大国正博 28番 小林 誠 29番 佐藤光紀 30番 清水 勉 31番 松尾勇臣 32番 米田忠則 33番 粒谷友示 34番 田中惟允 35番 荻田義雄 36番 岩田国夫 37番 中野雅史 38番 山本進章 39番 井岡正徳 40番 阪口 保 41番 藤野良次 42番 森山賀文 43番 山村幸穂
-------------------------------- 議事日程 一、当局に対する代表質問 一、当局に対する
一般質問 --------------------------------
○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 --------------------------------
○議長(岩田国夫) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、41番
藤野良次議員に発言を許します。--41番
藤野良次議員。(拍手)
◆41番(藤野良次) (登壇)改新ならの藤野でございます。質問の前に申し上げます。申すまでもなく、地方自治体では、首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶといった二元代表制を採用しています。議決権をはじめとした議会の権限や役割はもちろん重要であると認識していますが、予算の執行や人事権などを持つ首長の権限は非常に重く、内外に示す影響力は大変大きなものがございます。ある意味、大統領制下における大統領の権限に類似しているとも言われています。 そういった中で、今の山下知事の事業や施策における対応は、県議会や市町村長、市町村議会及び地域に対して説明責任を果たしているとは言い難く、知事としての権威を振りかざしているように見えるのは、私だけではないと思います。山下知事は確かに、知事選挙において26万人の支持を得て当選されました。民主主義の根幹である選挙において当選を果たし、その選挙戦で訴えた公約を守るとおっしゃっておられましたが、既に知事は26万人の知事ではなく、就任された以上、130万人の知事であります。事業の見直しや変更には混乱がつきものですが、そういったことを最小限に食い止めるやり方、方法で進めることが求められるのではないでしょうか。 また、市町村長も直接選挙で選ばれた代表です。橿原市や宇陀市にある県施設の移転を行うにあたっても、今までの用地活用に対する感謝の気持ちをもって、直接選挙で選ばれた代表同士ではありませんか、そのトップ同士が直接お話をすることが大事なことではないかと思うところです。 改めて申し上げますが、県は国と市町村をつなぎ、市町村単位ではできないことを県として幾つかの市町村をまとめて実現するなど、政策におけるリーダーシップとしての役割がございます。その
地方自治リーダーである県知事は、やはり多くの住民の声に耳を傾け、政策に反映することが必要です。奈良県の知事として、130万人のトップとして、常に県民と向き合っていただくことを強く願い、議長のお許しをいただき、会派を代表して質問を行います。 初めに、奈良県
中央卸売市場の再整備についてお伺いいたします。 市場の再整備計画については、様々な議論を経て、令和3年に県の附属機関である
市場運営協議会に諮った上、以下の基本方針が策定されました。 1.市場エリアは、市場機能の高機能化・効率化を図る 2.
賑わいエリアは、市場の特性と立地条件を最大限活用する 3.市場を核としたまちづくりや周辺施設等との連携を進める 4.両エリアを一括して整備する ことを打ち出し、
事業スケジュールにおいては、令和5年の12月までに事業者が決まり、今年の4月から6月にかけて事業着手の予定でした。 昨年、山下知事は、再整備計画の一部中止を決められましたが、6月及び9月の定例県議会において、市場エリアについては、市場機能の高機能化・効率化は重要と認識しているが、市場事業者に対して再整備後の使用料案等を提示した上で、適正規模になるように検討する。また、
賑わいエリアについては、民間事業者による独立採算でのにぎわい創出を検討する。さらに、両エリアを一括して整備可能とする民間事業者もあった、と答えておられます。 食の流通機能の役割を果たしている
中央卸売市場も、開場以来47年が経過いたします。したがって、老朽化も著しく進んでおり、衛生面・管理面・安全面などの観点から、早急に施設の改善が必要であることは、知事もご認識いただいていることだと思います。市場エリア(BtoB)につきましては、引き続き、高機能化・効率化に向けた整備について、早急に進めていただきたいと願うところです。 一方で、
賑わいエリア(BtoC)ですが、昨年7月、大和郡山市が、県に対して市場の活用についてアイデアを提言する部局横断の
プロジェクトチームを発足させ、同年11月に、上田市長が、食がつなぐ新たな市場づくりをコンセプトに、大人が楽しめるマルシェ・フードコートや子どものための芝生エリアなどの整備を盛り込んだ提案書を、山下知事に手渡されました。地元自治体としても再整備については高い関心を示されており、今後の取組の行方を見守っておられるところです。 県民の食を預かり、奈良県の台所としての役割を果たす卸売市場であるからこそ、
賑わいエリアについても「食」をテーマにした整備が大切なコンセプトであることは、言うまでもありません。 また、これから必要とされる持続可能な市場であるためには、場内事業者の活性化にリンクするような整備が必要であると思うところです。 市場エリアの施設が新しくなっても事業者の売上げが自動的に増えることにはつながりません。BtoBとBtoCの一体化を図るとともに、人と物の流れを考慮するといった、親和性、回遊性を生み出すような整備が求められます。また、そういったことを踏まえたランドスケープの計画を、ぜひお示しいただきたいと願っております。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 知事は、令和5年度中に
中央卸売市場の再整備について、新しい基本方針を示すと表明されていますが、現時点での市場再整備の進捗状況についてお伺いいたします。また、市場エリアと
賑わいエリアの一体的整備が必要不可欠と考えますが、知事の見解をお聞かせください。 次に、災害時における高齢者支援についてお伺いいたします。 災害時という観点から申し上げますが、先月13日、
総合防災対策特別委員会として、山下知事に、五條市の県有地を活用した防災機能強化に向けた取組や、地元地権者等の意向も踏まえ、丁寧な説明をしていただくことや、本県の防災力を高めるため、引き続き議会との議論を深めていただきたいという、広域防災拠点に関する提言書をお渡しいたしました。その後の19日に地元説明会が開催され、ネット中継を拝見いたしましたが、住民の大きな反発に、知事が答え切れていなかったのではないでしょうか。改めて、県民に寄り添う姿勢のもと、本県の防災力を高めるための拠点整備を進めていただきますよう強く要望するところです。 さて、
能登半島地震が発生して既に2か月が経過いたしました。これまでに241人の方々がお亡くなりになり、住家被害も4万9,000棟を超えるなど、甚大な被害が生じています。まずは、犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災地の皆様にお見舞いを申し上げます。 新聞報道等によれば、能登半島は特に高齢化が進んだ地域であり、石川県全体の高齢化率(65歳以上)が30.0%であるのに比して、奥能登地方の輪島市では46.3%、珠洲市では51.7%となっています。また、住宅の耐震化率についても、輪島市で約45%、珠洲市で約51%と、石川県全体で約82%であることに比して、低い状況になっています。 2月14日に開催された、奈良県
被災地支援対策本部の第2回会議における報告においても、高齢化が進む中、耐震化が進んでいない地域で、家屋倒壊による死者が多数発生していることが報告されました。その中では、
能登半島地震による死者で氏名が公表された129人のうち、家屋倒壊による死者は111人で86%に上り、そのうち高齢者の犠牲者は82人に及んでいます。 平成23年の東日本大震災においても、被災地全体の死者数のうち、65歳以上の高齢者の死者数は約6割となっており、近年の災害でも犠牲者の高齢者割合が高い状況となっています。今回の
能登半島地震は、改めて、災害時における高齢者支援をどのように進めていくかという課題を浮き彫りにしたと捉えているところです。 平成7年の阪神・淡路大震災の頃、奈良県の高齢化率は13.9%、昨年の令和4年では、奈良県全体の高齢化率は32.7%、県の南部・東部地域では50%を超える町村も多い状況となっており、今後も進んでいくと思われます。高齢化が進行する中で、高齢被災者の支援をどうしていくかは重要な課題であります。まず、災害発災直後の段階で、自力で避難することが困難な高齢者の避難支援をどのように担保していくかが重要となります。 これらに対処していくことを踏まえ、
災害対策基本法が令和3年に改正され、避難行動要支援者ごとに、
個別避難計画の作成が市町村に対して努力義務化されたところでありますが、県内の策定状況は全国平均と比べて大幅に遅れており、半数において計画が未策定の状況であります。 災害時に自力で避難できない高齢者の避難支援を実効性のあるものにできるよう、優先度を高めて、早期に策定を進めていく必要があると考えています。 また、避難後の生活において、高齢者は特に健康管理や生活環境へのストレス対処など、丁寧にケアをしていくことが重要と考えます。
能登半島地震においても、避難生活の長期化により心身機能の低下も懸念されており、特に、ライフラインが長期にわたって途絶して、日常とはかけ離れた生活を強いられるなど、ストレスにさらされることも多いと思われます。 災害による直接的な死を免れても、その後の生活で命を落としてしまう災害関連死は、過去の災害でも起きており、大半は70歳以上の高齢者です。平成28年の熊本地震では、犠牲者273人のうち218人が災害関連死とされ、実に80%を超えている状況でした。 県による
南海トラフ巨大地震の想定被害の最大値では、発災1週間後の避難者数は約26万人に上るとされており、今後も進行する高齢化率を直視すると、避難所生活において、高齢者の命をどうつないでいくかについては、大変重要な課題と考えます。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 大規模災害時に、自力で避難できない高齢者の命を守るための
個別避難計画の策定や、避難所における被災高齢者の生活支援にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、
能登半島地震に対する支援についてお伺いいたします。 改めて、
能登半島地震における住宅等の崩壊や火災による焼失、停電や断水等によって、今なお多くの方々が厳しい環境の中、避難生活を強いられています。被害の規模が大きければ大きいほど、復旧・復興に必要な時間は長くなります。その長い試練の期間を耐え抜く力や、被災地の皆様に勇気を与えるのは、先行きへの明確な見通しです。どのような災害においても、被災直後は初動としての人命救助や被災者の避難に専念せざるを得ません。そして次に、物資の輸送やインフラの復旧に取りかかり、さらには本格的な暮らしの再建、産業・生業の再構築といったフェーズに移ります。その全体像と道筋、
スケジュール感を被災者の皆様にできるだけ早く提示し、共有することが将来への不安を解消することにもつながります。今後、被害の全容が明らかになるにつれ、被災自治体の負担が一層重くなることは想像に難くありません。 こうした中、被災自治体が財政的な理由によって、復旧・復興や被災者への支援をためらったり、諦めたりすることのないよう強力に支援していくことが極めて重要と考えます。 一方、発災以来、被災地の自治体職員はもちろん、消防、警察をはじめ、全国からの応援職員、ボランティアなど、多くの方々が現場対応に力を尽くされています。厳しい環境の中、懸命に活動されているこれらすべての皆様に、心から敬意を表する次第です。 奈良県においても、県内市町村とともに職員が支援に従事しているところであり、公共サービスの重要性が改めて認識されるところです。 こういった中、被災地における苛酷な環境下で支援活動に従事されている自治体職員の中には、身体的にも精神的にも多くの影響が生じていると懸念の声もあります。聞くところによりますと、派遣直後は、公用車に水や食料を積んで長時間の運転により現地入りし、活動拠点となる日本航空大学校の教室で寝泊まりし、そこで貸与された寝袋では寒くて眠れなかったとの声も聞かれました。そういった意味においては、支援に従事する職員の安全衛生の確保や健康管理は必須であると思うところです。 災害対応において、支援を届けていくことは大変重要であると認識していますが、支援に従事する職員の安全衛生の確保や健康管理を継続し、心身に不調を来さないようにしていただきたいと願うところです。また、今後続くであろう支援について、
惨事ストレス等の対応など、
メンタルヘルス対策の実施も必要であると思うところです。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。
能登半島地震の被災地に対する県の支援状況や、今後の復興支援に向けた取組についてお伺いいたします。また、被災地での支援活動に従事する県職員の心身の健康管理が重要と考えますが、どのように取り組もうとされるのか、併せてお聞かせください。 次に、県内の
公共交通ネットワークの確保についてお伺いいたします。 9月の定例県議会において、知事より、公共交通は、通勤・通学、買物・通院といった県民の日常生活や、来訪者の移動ニーズを支える必要不可欠なサービス、まちづくりの基盤ともなるもので、県の重要な政策課題であると認識している。県民の日常生活や観光客の移動ニーズを持続的に支える
公共交通サービスの構築を、県が先頭に立って進めるとの答弁がございました。 この方針に基づき、本県が主導し、鉄道、バス、タクシー、自転車に、自動運転などの先進技術・スキームを加え、すべての交通モードを俯瞰した上で、地域の需要とニーズに応じた効率的な
公共交通ネットワークが構築されることを期待いたします。 さて、現状の
本県公共交通サービスの課題を整理しておきたいと思います。
公共交通サービスは、高齢者の運転免許返納が進む中で、買物、通院などの社会インフラとして果たす役割は日々高まっております。加えて、最寄り駅やバス停と自宅間の移動、いわゆるファースト・ラストワンマイルへの対応も、坂の多い本県住宅地の立地を考慮すれば看過できない問題です。また、2025年開催予定の大阪・関西万博の開催など、
インバウンド需要が急激に回復する中で、とりわけバス、
タクシー運転士の労働力不足による
オーバーツーリズムが懸念されています。 一方、近隣府県の路線バスに目を向けますと、運転者不足を要因とし、大阪の金剛バスが、
路線バス事業を廃止したことをはじめ、阪急バス、京阪バスなど、大手企業においても路線休廃止が相次いでいる状況です。県内自治体においても廃止が前提ではないものの、路線再編に関する協議が進み、各自治体において利用促進、財政措置などの具体的な対策が講じられております。 また、
運転者不足解消につながる明日香村・三郷町における自動運転の実証実験、全国ではこの4月にライドシェアの解禁に向けた検討がされるなど先進的な取組が進みつつありますが、安全・安心、持続性など公共交通に不可欠な課題をクリアした上での、本格的な社会実装までには、一定の時間を要するものと思われます。 これらの状況を踏まえて、県民の生活基盤を持続的に支える
公共交通サービスを確保する観点から、次の3点について、山下知事にお尋ねいたします。 まず1点目ですが、不採算路線について、他府県の事例からも、事業者が赤字を抱えたままで路線を維持していくことは難しい状況になっていると考えます。観光需要が拡大し、運転者不足が深刻になる中で、事業者からすると限りある運転者をより生産性の高いところに投入するのが通常ではないかと考えます。 県が維持に努めている2市町村以上にまたがる基幹的なバス路線は、赤字額の一部を国や県などが補助するものや、市町村の補助も含めると、結果的にはほぼ全額が支援される路線もあると認識していますが、県内の
乗合バス事業者の収支がどのような状況か、お聞かせください。 2点目ですが、上記で述べました基幹的なバス路線は、奈良県
基幹公共交通ネットワーク確保事業として、令和6年度の予算は2億2,794万円計上され、利用者数や収支率など、5つの客観指標に基づいて維持する必要があるかどうかを診断し、その基準を満たす路線の運行費の一部を補助していくとのことです。 また、毎年
エリア公共交通会議で、その改善策が協議されているとのことですが、例えば大和郡山市におけるバス路線のうち、近鉄郡山駅から奈良県総合医療センターへの系統や、王寺駅から国道25号経由でシャープ前に至る系統などは、県の補助がないと聞いており、いずれも廃止された場合、通院や通勤、通学に大きな影響を及ぼす基幹的なバス路線と考えますが、こうした路線に対する今後の維持対策についてお聞かせください。 3点目ですが、以上2点の質問を踏まえて、とりわけ大阪・関西万博が開催される令和7年度に向けて、多くの来県者による
オーバーツーリズムに備えた
公共交通サービスの確保などの対応が必要と考えますが、県はどのように取り組むのか、お聞かせください。 次に、県内の
高齢者福祉施設に対する取組についてお伺いいたします。 介護事業者の倒産は過去2番目、休廃業・解散は過去最多の510件、人材不足、物価高で、訪問介護の倒産は最多更新、という東京商工リサーチの記事を拝見いたしました。同社の調査によりますと、2023年の老人福祉・介護事業の倒産は122件で過去2番目を記録、このうち
訪問介護事業者の倒産は、過去最多を大幅に上回る67件に達したということです。 また、2024年度の介護報酬は、1.59%のプラス改定となったが、人手不足や競合激化が経営安定の前に立ち塞がっており、業績のジリ貧や先行きが見通せない
小規模事業者を中心に、年間600社強が市場から退出しており、高齢化社会の本格到来を前に、介護業界は一足早く冬の時代が訪れていると警鐘を鳴らしています。 一方、県内施設の方々とお話をする中においても、同様の危機感を持ちながら運営されておられる方が多くおられました。現状及び今後の共通する課題として、まずは物価高騰でありますが、全国平均においても、一時、電気料金は1.5倍強、ガス代は1.4倍強、軽油・灯油などの燃料代は1.3倍強の値上げとなり、事業運営に対してそれらをすべて使用している業態である福祉事業者は、深刻な経営状況の悪化を招いています。 加えて、それらの物価高騰のあおりを受けて、紙おむつや衛生材料、食料品など、あらゆる消耗材等が値上げとなっており、それらは福祉事業者にとって自力で対応できる範囲を超えている状況です。奈良県からも物価高騰対策として助成金が出ていますが、実質的に増大した支出額には到底及ばない現状であります。 次に、施設の老朽化も問われています。県下の
高齢者福祉施設において、団塊の世代が後期高齢者に到達したときの
サービス提供量の確保の観点から、平成初期当時に竣工した施設の数は多く、それらの施設は竣工後おおむね30年を経過し、今後、施設及び設備の老朽化が懸念されますが、現在の国の施策により、内部留保を吐き出し続けている現在の状況では、それらに対応するのは非常に困難であると伺っています。 最後に人材不足の問題ですが、ハローワークや求人広告媒体、人材紹介会社への依頼などを通じて募集を出しても応募者がない、または、予定人数に達しないため、現場の人員不足の解消に至らず、職員が心身ともに疲弊する、特に入居系施設においては、介護保険法上の人員基準を満たす必要があるため、各施設において早出・遅出・夜勤及び土日祝日を含めたシフト勤務が必要であるが、夜勤不可や土日不可などの制限のある応募者が多く、現場のニーズを満たせない事例が多く発生しているようです。 また、これらの状況を回避するためにも、新卒採用は重要な施策でありますが、新卒者は大手志向がはっきりとしており、小規模法人・施設は施設の人員規模や年齢構成などを勘案しても、定期採用が難しいため余計に不利な状況となっています。 県内事情の観点からは、
奈良佐保短期大学の令和7年度からの学生募集停止についても危機感を持つという声も聞かれます。
奈良佐保短期大学においては、長年にわたり生活未来科・
生活福祉コースにおいて、県下の
高齢者福祉施設等へ
介護福祉士人材を供給されてきましたが、令和7年度以降の学生募集停止により、ただでさえ少ない県下の
福祉系養成機関が減少することにより、今後より一層介護人材の確保について厳しさが増すものと予想されます。外国人人材等の活用や、中途採用者も含めた総合的な
人材確保支援策を進めていかなければ、職員不足による入所者の受入れ困難な案件が今後増える懸念もあります。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 県内の
高齢者福祉施設においては、人材不足をはじめ、経営難や施設の老朽化など、多くの課題を抱えているとの声をお聞きしますが、こうした課題に対して県はどのように取り組むのか、お聞かせください。 次に、
パートナーシップ制度についてお伺いいたします。 この件につきましては、様々なご意見があることは承知しておりますが、私は人権問題と捉え、少数でありますけれども、悩み、苦しんでいる人々に光を当てることは、政治の役割の1つであるとの思いで質問をさせていただきます。 さて、昨今我が国においては、LGBTQという言葉が一般的に知られるようになってきています。昨年6月にいわゆる
LGBT理解増進法が制定され、国と自治体は、性的指向及び
ジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民理解の増進に関する施策を実施することとされています。 多様性を受け入れ、偏見のない社会を目指さなければならない中で、まだまだ理解が進んでいないのが実情です。 こうした状況の中、近年は、多様な性的指向や
ジェンダーアイデンティティを踏まえて、様々な形のカップルを対象とした、
パートナーシップ制度というものを導入する自治体が増えてきています。自治体が独自に
性的マイノリティのカップルに対して婚姻に相当する関係であるという証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。平成27年に東京の渋谷区で初めて導入され、県内でも現在、6つの市・町で導入されています。私の地元の大和郡山市でも令和2年4月にパートナーシップ宣誓制度が導入されています。 また、私が会長を務めています、大和郡山市人権のまちづくり推進協議会では、毎年12月4日から10日までの人権週間に、やまとこおりやま人権フェアを開催しており、昨年及び令和元年に
性的マイノリティの方を講師としてお招きし、多様な性についての理解を深め、誰もが自分らしく生きられるまちにすることを目的とした講演なども行っています。そういった活動を行う中で、日常生活で必要な手続などで、
性的マイノリティの存在が想定されておらず、行政サービスが受けられずにお困りの方がいらっしゃることもお伺いしています。こういった困り事の解消も期待できる
パートナーシップ制度が、令和6年度から新たに奈良県でも始まるとお聞きいたしました。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 どのような考えでこの
パートナーシップ制度を導入しようとされているのか、また、今後この制度に関連して、どのような取組を行おうとされているのか、お伺いいたします。 次に、学校における働き方改革についてお伺いいたします。 社会の急激な変化が進む中、学習指導のみならず学校が抱える課題は、より複雑化・困難化しています。このような中、平成28年に教員勤務実態調査が行われ、看過できない教師の勤務実態が明らかとなりました。 このため、文部科学省では、教師のこれまでの働き方を見直し、みずからの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目的とした、学校における働き方改革について、現在においても進められているところです。 しかし、昨年4月に発表された、6年ぶりとなる教員の勤務実態調査の結果では、国が残業の上限としている月45時間を超えると見られる教員が、中学校で77.1%、小学校では64.5%に上り、
過労死ラインと言われる月80時間に相当する可能性がある教員が中学校で36.6%、小学校で14.2%と、依然として長時間労働が課題となっていることが明らかになっています。 そういった現状の中、昨年の8月28日、学校における働き方改革の答申を取りまとめた中央教育審議会の特別部会は、長時間労働の是正に向けた緊急提言をまとめられました。教師を取り巻く環境整備について、直ちに取り組むべき事項として、具体的には、登下校対応や校内清掃、休み時間の対応など14の業務について、地域やスタッフなど、教員以外への分担や負担軽減を進め、年間の授業時数が、国の標準を大幅に上回る1,086コマ以上の学校は来年度から見直すこと、学校行事は重点を置くものを選び、準備も簡素化することなどが盛り込まれております。 また、授業や事務作業などを支援するスクールサポートスタッフ(教員業務支援員)の全小中学校への配置や、教員の負担軽減が期待される小学校高学年での教科担任制実施の前倒し、それに、保護者からの過剰な苦情などに教育委員会が対応して学校を支援することなどを対応策に挙げています。 一方、奈良県においては受験資格を見直し、大学3年からの受験が可能とするほか、教員免許がなくても大学院で専門知識を学び、大学院を修了した者も受験可能とされます。また、高等学校の留学生対応のために日本語指導の資格を持つ教員の選考も実施するなど、多様な人材の確保に向けた取組が行われています。さらに、県内公立学校の常勤講師や県外の現職教員の受験者には、条件により一次試験をすべて免除することなどの取組も行われていますが、非常勤講師における取組の見直しなども、検討していただきたいと願うところです。 先日、現場での状況を聞く機会がありました。若い教員の中には、現在のような働き方を定年まで続けられるか不安に思っている方が非常に多いとのことであり、やはり長時間勤務が大きな要因であるとおっしゃっていました。緊急提言された中央教育審議会の特別部会は、教員を取り巻く環境は、国の未来を左右しかねない危機的な状況にあるとして、国や自治体、学校に加え、保護者や地域住民、企業など、社会全体で一丸となって課題に対応する必要があると指摘されています。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 教員をはじめ多様な人材の確保や長時間勤務の是正など、県内の学校における働き方改革についての現状と、今後どのように取り組むのか、併せてお聞かせください。 最後に、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会について要望いたします。 1月4日に、2031年に開催が予定されている国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、奈良県は県立橿原公苑にある2つの体育館を統合して、新たにアリーナを建設し、開会式の会場とする方針を明らかにされました。既に準備委員会において取組が進められており、競技や会場については、開催に向けて、正式競技及び特別競技、計38競技の会場地を令和6年度末までに選定する予定であり、現在、第1次として12の競技において会場地となる市町村を選定しておられます。 一方、県内の開催市町村に対する支援については、先催県の例を基に、市町村競技施設整備費補助が予定されているとお聞きいたします。一般的な補助としては補助率2分の1、上限1億円の見込みであると思われますが、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会競技施設基準を満たすには、補助金を大きく上回る費用を市町村が負担しなければならないことが考えられます。また、複数の競技を運営する場合には、財政的な負担の集中が見込まれると思われます。 さらに、各競技団体のスケジュールは、数年先を見据えて予定されていることもあり、急な対応に困難なことが予想されるため、年次的な競技会場の改修が必要となります。競技施設の改修には多額の費用と時間を要するため、市町村競技施設整備費補助については、交付要綱を早期にお示しいただくとともに、経費の判断においては上限額の引上げ等、柔軟な対応をぜひお願いするところです。 以上、要望とさせていただき、壇上における質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) (登壇)それでは、改新ならを代表いたしましての藤野議員のご質問にお答えさせていただきます。 まず1点目、奈良県
中央卸売市場の再整備についてでございます。 市場エリアにつきましては、整備する施設規模を確定させるため、再整備後の新市場の使用料案の提示を行い、新市場へ移転されるか、市場事業者に意向確認いたしました。その結果、後継者が確保できないことや、現状の取引量及び経営状況等から判断して、移転しない意向を示した事業者もございましたが、8割以上の事業者は新市場へ移転する意思を示されたことから、市場エリアの整備内容については、おおむね理解を得られたと考えております。 次に、
賑わいエリアにつきましては、昨年度に実施した市場再整備に係るアイデア募集に応募のあった民間事業者に対し、
賑わいエリア整備について継続してヒアリングを行いました。その結果、条件によっては独立採算が可能と回答した事業者もございました。しかし、現計画は市場の営業を継続しつつ、現地での建て替えを前提としていますことから、
賑わいエリアは、市場エリアの整備後でないと事業に着手できず、着手までの期間が長期になるため、社会情勢の変化等のリスクを考慮すると、現時点では事業収益性の見通しが立たず、事業への参入は確約し難いとの意見が多かったようでございます。 そこで今般、競争性確保の観点から、市場エリアを先に整備し、その整備中に
賑わいエリアを発注するといった、分割で整備することも含め、いましばらく整備方法等について検討を行いたいと考えております。このため、今年度中に予定しておりました新しい基本方針の作成については、当面、延期することにしたいと考えてございます。 もちろん、さきに述べましたように、市場エリアにつきましては、市場、市場事業者とも方向性についてほぼ合意しておりまして、今後も再整備に向けた作業を着実に進めていきたいと考えております。また、
賑わいエリアにつきましては、整備方法等についての再検討は行いますが、食や市場と親和性のある施設を整備し、賑わいを創出するという方向性につきましては従前どおりと考えております。 2点目の、災害時における高齢者支援についてでございます。 大規模災害から命を守るためには、まず、確実に避難していただくことが重要でございます。
個別避難計画におきましては、高齢者などの自力で避難が困難な避難行動要支援者ごとに、避難先、支援者、必要な配慮などを記載するものでございまして、策定が
災害対策基本法により市町村の努力義務とされております。 本県におきましては、全39市町村のうち、令和5年10月1日時点で、全部策定済みが4市町村、一部策定が15市町村、未策定が20市町村であり、全国的には策定が遅れている状況でございます。県としては、市町村に取組を促す必要があると考えております。策定が進まない背景といたしましては、地域での支援者を対象者ごとに確保することが困難であることや、市町村における庁内の推進体制が整わないことなどが課題と認識しております。 策定にあたりましては、地域ごとに実情に応じた取組が必要であるため、県では、市町村職員を対象とした研修の実施、市町村ヒアリングや好事例の紹介、内閣府による支援事業の活用などの取組を進めております。今後は、奈良県・市町村長サミットなどにおきまして首長に直接働きかけるとともに、引き続き市町村職員向けの研修や、未策定市町村への助言などの個別支援に取り組んでまいります。 次に、避難生活における災害関連死を防ぐことも重要でございます。そのためには、生活環境や衛生状態の改善などに関する、専門職による適切な支援の仕組みが有効でございます。
能登半島地震被災への支援といたしまして、本県からも、保健師チームや介護福祉士等で構成されるDWAT(災害派遣福祉チーム)と訳されますが、これを派遣し、避難者の健康状態の確認や、トイレや手洗い環境の衛生指導、介護の相談など、多岐にわたる支援を行っております。 これらの災害時に活動する専門職チームの活動は、本県が被災した場合にも有効な取組であり、平時から実践的な訓練を重ねるなど、対応力の強化に努めてまいりたいと考えております。引き続き、高齢者等の災害時に配慮が必要な方々が確実に避難し、適切な支援を受けながら安心して過ごすことができるよう、市町村をはじめ関係機関と連携し、体制の充実を図ってまいる所存でございます。 3点目の、
能登半島地震に対する支援についてでございます。
能登半島地震の被災地支援につきましては、震災直後から各省庁の支援スキームにより、緊急消防援助隊や警察の広域緊急援助隊、DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣のほか、被災者の健康管理等を支援する保健師や、建物の安全性を評価する被災建築物応急危険度判定士などを派遣してまいりました。また、カウンターパート方式の被災地支援といたしまして、石川県穴水町に情報連絡員や、避難所の運営、罹災証明書の交付等の災害対応業務支援のための県職員・市町村職員の派遣を実施しております。県では、1月11日に
能登半島地震奈良県
被災地支援対策本部を設置しており、今後も、国、関西広域連合等と連携して、被災者ニーズに応じた支援や被災自治体の業務体制構築のための支援を、全庁体制で続けていく方針でございます。 次に、被災地への派遣職員の心身の健康管理につきましては、藤野議員お述べのとおり大変重要なことと認識しております。被災地支援にあたりましては、断水環境下での活動や長時間の移動など、職員の負担が大きいため、水、消毒液、ウエットティッシュなどの衛生用品、安全靴などの装備品を支給するほか、被災地に近い宿泊施設の確保など、支援環境の改善に努めているところでございます。さらに、派遣職員がみずからの心身に起こり得る変化を知り、休息、睡眠、気分転換など、必要なセルフケアを行うとともに、当該職員がいつでも相談できる環境を整えることも大切と考えております。 そこで、派遣前に対象職員に対しまして、心身に起こり得る変化の例と回復のヒントを具体的に記載しましたチラシを配布するとともに、派遣中、派遣後を問わず、職員が心身の不安を、いつでも、どこからでも相談できる窓口を設置し、対応しております。引き続き、派遣職員の心身の健康管理について、きめ細かく対応しながら、今後も被災地支援に取り組んでまいりたいと考えております。 続きまして、4点目の県内
公共交通ネットワークの確保についてでございます。そのうち、(1)県内の
乗合バス事業者の収支の状況についての質問でございます。 公共交通は県民の日常生活や観光客をはじめとする来訪者の移動ニーズを支える必要不可欠なサービスでございまして、その充実を図ることは県の重要な政策課題であると認識しております。しかしながら乗合バス事業については、少子高齢化やライフスタイルの変化に伴い、その利用者数が減少傾向にある一方、人件費や燃料価格など、運行に要する費用は上昇傾向にあり、交通事業者の経営を取り巻く環境は厳しさを増していると認識しております。 こうした中、県内のほぼ全域を運行する奈良交通の令和4年度決算報告書によれば、同社の乗合バス事業の収支は約16億円の赤字であり、国、県、市町村からの各種補助金を含めましても、約400万円の赤字であったと承知しております。 次に、
公共交通ネットワーク確保の2点目の質問でございます。路線に対する今後の維持対策についてでございますが、県では地域の移動の足の維持・充実を図っていく上では、地域がより主体的に参画し、利用者にとって最適な交通体系や、その拠点を実現することが重要との基本理念のもと、奈良県公共交通基本計画に基づき、様々な取組を推進しております。 お尋ねの、基幹的なバスネットワークの確保に向けましては、県として支援すべき一定の幹線系統について、利用者数や収支率など、5つの客観指標に基づく診断を実施し、そのデータをもとに、地域の関係者で構成するエリア公共交通検討会議で路線の改善策等について議論し、協議の整った路線について、運行費の一部を補助しているところでございます。具体的には、市町村をまたいで運行される広域的な系統で、①通院・通学利用に対応していること、②鉄道駅に接続していること、③市町村のコミュニティバスと接続することで広域的なネットワークを形成していること、などの要件を満たす路線を補助対象の候補とする議論を実施しております。 ご指摘の大和郡山市内を経由する2路線についても、こうした要件を満たし、必要な協議が整えば補助対象になり得ます。また、来年度には定時・定路線によるバス運行を維持することにとどまらず、国による新たな制度や、交通分野における技術革新を取り込みながら、持続可能な地域公共交通に関する新たなモデルを構築するための必要な予算も計上しております。
公共交通ネットワークの3点目の質問、大阪・関西万博に向けての
オーバーツーリズムに備えた対応についてのお尋ねでございます。大阪・関西万博が開催される令和7年度に向けましては、こうした取組を通じて公共交通の確保を図っていくことに加えまして、公共交通がより利用しやすいものとなるよう必要な環境整備を進めていくことが重要と認識しております。県といたしましては、交通事業者や市町村等が実施する、①バス停における情報案内板、②バスの位置情報をリアルタイムで表示するバスロケーションシステムの整備、③ユニバーサルデザインタクシーの導入への支援、などを継続的に行っているほか、令和6年度予算案では、EVバス導入に係る支援を充実させたところでございます。県といたしましては、引き続き県民の日常生活や、観光客をはじめとする来訪者の移動ニーズを持続的に支える
公共交通サービスの構築に向けて取り組んでまいります。 5点目の、県内
高齢者福祉施設に対する取組についてのご質問にお答えをさせていただきます。全国の75歳以上の割合が、令和5年、2023年には2000年に比べて2倍を超える16.1%になるなど、超高齢化社会が急速に進展しており、高齢者のニーズに応える介護サービスの確保は喫緊の課題であると認識しております。これまでに実施されました厚生労働省の調査や県民アンケートの結果からは、介護が必要になっても自宅で生活し続けることを希望する方が大多数であり、在宅介護サービスの提供が重要でありますけれども、高齢化の進行により自立して生活することが困難な高齢者が増えている中、施設サービスの重要性は増しており、その持続可能性の確保は重要な課題と認識しております。 高齢者施設につきましては、藤野議員ご指摘のとおり、人材の不足や施設の老朽化への対応など、将来にわたる施設運営を脅かす問題に直面しておりまして、県としても喫緊の課題と認識しております。これまでも課題解決に向け各般の取組を進めてまいりましたが、令和6年度からの奈良県高齢者福祉計画・第9期介護保険事業支援計画・認知症施策推進計画においても、施設サービスの整備・推進や、多様な介護人材の確保・育成・定着を、今後とも重点的に取り組む施策として明示しております。市町村や事業者とともに取り組んでまいります。 その具体的な内容といたしましては、まず、人材確保策につきましては、これまでから参入促進、離職防止と定着支援、資質向上の3つの柱で施策を推進しており、引き続き事業所認証制度による、安心して働ける職場環境づくり、介護ロボットの導入促進、外国人材の活用促進等の施策に取り組んでまいります。 また、施設の老朽化への対応といたしましては、これまでも建て替えに対する補助を行ってまいりましたが、これに加えまして、修繕による施設の長寿命化を促進するため、現在補助制度がない修繕について国へ財政措置を要望していくほか、物価高騰など、施設運営にかかる緊急の課題に対しましては、今議会にも補正予算を提案しており、引き続き着実に支援してまいります。今後とも、高齢者が安心して暮らし続けられる奈良県を目指して、高齢者施設に対して支援してまいる所存でございます。 6点目、
パートナーシップ制度についてでございます。藤野議員お述べのとおり、昨年
LGBT理解増進法が施行されました。今般導入する奈良県
パートナーシップ制度は、法の目的である性的指向及び
ジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現のため、
性的マイノリティの人たちが、互いを人生のパートナーとして、日常の生活において継続的に協力し合うことを約した2者間の関係を県が証明するものでございます。婚姻制度とは異なり、その関係を法的に保護するものではございませんが、2者間の関係を公的に認めるものでございます。 これにあわせまして、
性的マイノリティの人たちが日常・社会生活を営む上で生じる様々な障壁の低減を図ることも必要でございます。県が行っている様々な事務事業の中には、届出や申請等の際に、家族や配偶者を要件としている行政手続があり、昨年9月に行った庁内調査では33件がこれに該当しております。このうち、県営住宅の入居や県立病院の手続など9件は、パートナーシップ関係にある人からの申請を認めております。残りの24件につきましては、今後、奈良県
パートナーシップ制度を活用し、要件緩和の検討を進めてまいります。 また、市町村では、家族や配偶者であることを要件としている行政手続として、住民票や税に関する証明書の交付、保育所の入所申請、障害や介護に関する福祉制度の申請、相談など、住民にとって身近な行政手続が数多くございます。こうした市町村の事務事業におきましても、県や市町村の
パートナーシップ制度を活用しまして、要件緩和が進むよう、市町村に働きかけを行っていきたいと思っております。
パートナーシップ制度の実施にあたりましては、当事者の気持ちに寄り添った運用に努めるとともに、県の様々な施策の推進に際しても、この制度の趣旨を尊重した取組を進めることで、自他の尊厳を尊重し、違いを豊かさとして認め合い、一人ひとりが個性や能力を発揮できる奈良県の実現につなげたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)41番藤野議員からの、学校における働き方改革についてのご質問にお答えいたします。 複雑化、多様化する教育問題に対応するためには、新たな教育課題に対応できる高度な専門性を持った多様な人材を確保するとともに、教員の業務を見直し、働きやすい環境をつくることが重要と考えております。 来年度の教員採用試験では、小学校に難聴や発達障害等への対応として言語聴覚士の資格を持つ教員を、特別支援学校には作業療法士の資格を持つ教員を、高等学校には、大学院で農学や工学等の修士を取得した教員をそれぞれ募集するなど、多様な人材の確保に努めたいと考えております。また、教員が働きやすい環境づくりにつきましては、本県で令和2年に策定いたしました、学校における働き方改革推進プランを令和5年に改定をし、取り組んでおります。来年度は、業務支援員や学習支援員など、教員を支援する外部人材を市町村が雇用する際にかかる人件費に関しまして、県の補助割合を大幅に拡大することで配置の拡大を目指してまいります。 また、中学校に部活動指導員を配置する市町村に対する補助を増額し、専門的な知識や技術を持った地域の方々による部活動への参画を推進することにより、地域クラブ活動への移行を促進し、令和8年度には休日における教員の指導による学校部活動を廃止することを目指してまいります。 学校の活性化のためには、教員や教員以外においても、意欲と熱意に満ちた多様な人材を一人でも多く採用することは、本県教育の進展に不可欠であり、引き続き、採用試験の改善や働き方改革に努めてまいる所存でございます。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 41番
藤野良次議員。
◆41番(藤野良次) 2回目の質問です。まず、奈良県
中央卸売市場再整備計画についてお聞きいたします。先ほどの質問の中で申し上げましたように、地元の大和郡山市から、知事に対して再整備に向けての提言があったということでございますが、この提案を受けて、知事としては、市がこういった内容を提案することについて、あるいはこの提案の内容について、どのような感想を持たれたのか、お聞きいたします。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) 提案の内容につきましては、先ほども申し上げましたように、食や市場と親和性のある施設を整備し、にぎわいを創出するという、そういう方向での検討の参考にさせていただきたいと考えております。
○議長(岩田国夫) 41番藤野良次議員。
◆41番(藤野良次) 市長は知事との面談後、この新聞報道によりますと、県庁内で記者会見されています。そのコメントの中には、当初計画にあったホテルやアリーナは省いており、事業費は大幅に圧縮できるようになった内容になっていると、知事の取組に一定の理解を示す一方で、民間活力の導入に対しては、採算の取れない施設もあると、公的資金の投入も一定は必要ではないかというコメントをされております。また今後は、知事の判断ですけれども、地域にとっては重要な施設であり、事業者も成り立つ方策を考えてほしいというといったコメントを残されておりますが、私も同様の考えであります。 この流通機能の役割を果たす卸売市場に対する、県の支援というのは欠かせないものであると思いますが、もちろん民間ベースで進められるという方針のもとで、しかしながら、ある意味一定の支援は県も行うべきだろうと思うのですが、その辺の知事のお考えをお聞きいたします。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) 県といたしましては、市場事業者が、中小の規模の事業者が非常に多く、経営面でいろいろご苦労されているという観点から、市場事業者が支払う施設利用料をなるべく低額に、なるべく安くするという方向で県の資金は活用してまいりたいと考えております。
○議長(岩田国夫) 藤野良次議員。
◆41番(藤野良次) BtoBは知事のお考えで流れていってもいいのかと思っております。BtoCについては、ある意味一定の行政の支援が必要ではないかと、このように思うのです。 例えば、心配しておりますのは、BtoCの用地に食とは全く関係ない施設、例えばホームセンターとか、あるいは百円ショップといったものが誘致されたら、何かもう、結局は卸売市場の用地を2つに割った、市場エリアと切り離されただけのもので、もっと言えば、要は切り売りしただけの状況になるのではないかと、そんな心配もしているのです。そういったことはないと思います、知事がおっしゃったように、食との親和性という、その観点は非常に大切にされておられるということで、そんな心配はないと思うのですけれども、改めて知事の、今、私が申し上げた、いわゆる「食」ということを前提にした考えであるのか、改めてお聞きいたします。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) まず、そもそも今の市場にはBtoCエリアというのは基本的にございません。基本的にはBtoBエリアだけでございまして、前知事の時代にBtoCエリアということで、今、ご指摘のあったホテルやアリーナという、まさにこれこそ市場とはあまり関係ないと思いますが、そういったものを造るという計画が立案されていたわけでございます。私は、どうして市場にホテルなのだ、市場にアリーナなのだと、関係ないだろうということで、その事業は見直すということを表明させていただいた次第でございます。 しかしながら、用地買収は、そうしたホテルやアリーナ等も含む施設を設置するということで、用地買収は既にほとんど終わっておりまして、かなり広大な土地を、新たに入手をしたわけでございます。そうしますと、この土地をどう活用するのかということが次の課題になるわけでございますけれども、先ほど来申し上げているとおり、もともとホテルとかアリーナとか、非常に違和感のある施設をつくるということで用地が買収されたわけでございますが、私は、そういう市場と関係ないものをわざわざここにつくる必要はあまりないと認識しております。