奈良県議会 > 2023-06-23 >
06月23日-02号

  • "都道府県教育委員会"(/)
ツイート シェア
  1. 奈良県議会 2023-06-23
    06月23日-02号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    令和 5年  6月 定例会(第355回)令和5年6月         第355回定例奈良県議会会議録 第2号             令和5年6月23日(金曜日)午後1時1分開議   --------------------------------    出席議員(43名)      1番 永田 恒        2番 川口 信      3番 芦高清友        4番 金山成樹      5番 星川大地        6番 松木秀一郎      7番 山田洋平        8番 清田典章      9番 関本真樹       10番 疋田進一     11番 若林かずみ      12番 斎藤有紀     13番 伊藤將也       14番 藤田幸代     15番 福田倫也       16番 福西広理     17番 工藤将之       18番 中川 崇     19番 原山大亮       20番 小村尚己     21番 浦西敦史       22番 川口延良     23番 池田慎久       24番 西川 均     25番 乾 浩之       26番 亀甲義明     27番 大国正博       28番 小林 誠     29番 佐藤光紀       30番 清水 勉     31番 松尾勇臣       32番 米田忠則     33番 粒谷友示       34番 田中惟允     35番 荻田義雄       36番 岩田国夫     37番 中野雅史       38番 山本進章     39番 井岡正徳       40番 阪口 保     41番 藤野良次       42番 森山賀文     43番 山村幸穂   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、33番粒谷友示議員に発言を許します。--33番粒谷友示議員。(拍手) ◆33番(粒谷友示) (登壇)議長のお許しをいただきまして、自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、代表質問を行います。 少し遅くなりましたけれども、山下知事、当選おめでとうございます。奈良県民のために、しっかり頑張っていただきたいと思います。 この奈良県知事選挙を少し振り返りますと、新聞では「保守分裂、山下知事、漁夫の利」とうたわれておりました。確かに、山下知事の得票と、そして、平木さんと荒井さんの得票を足しますと、若干お2人の票が上回ります。しかし、選挙は結果であります。山下知事の当選は立派なものでございます。しかしながら、この山下知事の得票率は、全有効投票の5割未満であります。それゆえに、県政における姿勢は謙虚で、そして、県民にしっかり耳を傾け、気配りと配慮と思いやりを持って県政運営に当たっていただきたいと申し上げます。 さて、我が会派は議員定数43名の中で22名を有しております。いわゆる過半数を持っております。しかし我々は、反対のための反対はいたしません。是は是、否は否として対応いたします。山下知事が、県民益になる施策であるならば、我々は堂々と賛成をさせていただきます。お互いに、県民のために切磋琢磨しようではありませんか。頑張りましょう。 さて、当選直後から、山下知事はいろいろな事業に対して執行停止を打ち出しました。その中には、用地を買収した、いわゆる目的を持った買収がされた事業がございます。これらの目的を持った用地の事業も、執行停止となれば、果たしてこれは将来どうなるんだろうと。 私が思い出すのは、平成18年生駒市長選挙において、当時の山下市長が当選しました。現職の市長を打ち破って当選です。そのときのマニフェストが、学研高山地区第2工区白紙撤回でありました。この事業は、平成6年に生駒市と奈良県とURが、基本協定書に調印した事業であります。そしてURは、全体の288ヘクタールの中の約6割を買収したわけでございまして、その金額は625億円にもなりました。しかしながら、当時の山下市長が、この事業を白紙撤回ということでありまして、この事業は頓挫してしまいました。今なお、この事業はまだ前進しておりません。平成28年には、この事業に関して生駒市が僅か3億4,000万円で買収したわけでございます。私はこの経験からも、この土地について、用地を買収された皆さん方は、まだ生駒市のためによくなるのならばということで、また、県が、市が、国がやる事業だからということで、買収に応じられました。そして、そのエリア、288ヘクタールの残地につきましては、皆さん方が、この地域が開発されてすばらしいものになるということで、皆さん方が残地を持っておられます。当然、この地域は、調整区域から市街化に編入されました。皆さん方が持っている土地、もう30年になりますが、いまだ一歩たりとも前に進んでおりません。 この現実を見たとき、私は、今回の執行停止、県が用地を買収した、これがどうなるんかなと、非常に不安で不安でなりません。そういう意味で、今回の観点から、私の質問をさせていただきたいと思います。 知事は、5月8日の初登庁時に、主要プロジェクトの執行停止を表明され、見直しといっても、今後の活用方針がなく、単なる白紙撤回であり、大変困るような状況なっております。これまでの事業に協力してきた地権者や地元自治体、関係者などは非常に混乱をし、丁寧な説明が求められているところではないでしょうか。あなたが知事として、公約どおり事業を見直すのは理解できます。しかし、今後の方針が見えない中で、地元住民や自治体は不安を覚えているのではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 県政を大きく変えるという公約を掲げて当選された知事として、今後どのように県政運営を推し進めようとされているのかお伺いをしたいと思います。 次に、これまでの主要プロジェクトの今後の進め方についてお伺いいたします。 大規模広域防災拠点の整備であります。 今般、全部または一部執行停止との結果が公表されました。先日、我が会派、自由民主党・無所属の会の議員らで、執行停止となったプロジェクトのうち、ハード整備等がある幾つかの現場の視察を行いました。そして、地元の意見を聞いてまいりました。その中で、数点の項目について、お伺いしたいと思います。 まずは、大規模広域防災拠点の整備についてであります。 2,000メートル級の滑走路は不要とされましたが、主に事業の費用対効果が見込めないということで判断されたと認識しております。しかしながら、県内には9,832か所のレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)があります。この大変危険なゾーンは、ほとんどが東部・南部に固まっており、約7割が集中しております。そのため、五條市での当該プロジェクトは、南海トラフ地震などが起きた場合、県内のみならず紀伊半島全体をカバーする防災拠点として進められてきたと理解しております。県民の安全・安心なまちを守るために、費用対効果だけで判断はできないと思いますが、いかがでしょうか。 県南部地域においては、過去にも甚大な被害が大きく発生いたしました。五條市での応援部隊や救援物資を受け入れる広域防災拠点の整備は必要と考えますが、県民の安全・安心を守るために、今後、この事業をどのように推し進めようとされているのかお伺いいたします。 次に、大和平野中央田園都市構想についてお伺いいたします。 奈良県は大阪のベッドタウンとして発展してまいりました。そのことから、若者の流出が課題であり、多様で良質な雇用の場を創出することが重要課題の1つとなっております。大和平野中央部は交通アクセスがよく、人が集まりやすい、高いポテンシャルを有する地域であります。これを最大限活用し、若者や女性の働く場所の創出、県民の健康増進、暮らしやすさの向上を目指すため、大和平野中央田園都市構想を推進してきたと推測いたします。 しかしながら、当該プロジェクトについても、執行停止との判断がなされました。このプロジェクトは既に用地を収得しております。県政発展の起爆剤としてその実現に期待しているところでございますが、協力いただいた地権者をはじめ、地元自治体や関係者も非常に不安に感じております。 そこで、知事にお伺いをいたします。 大和平野中央田園都市構想で推進してきた各プロジェクトのために取得した用地について、今後どのように活用していこうとされているのかお伺いいたします。 次に、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会についてお伺いいたします。 国民スポーツ大会は、我が国最大のスポーツの祭典であります。また、全国障害者スポーツ大会は、障害のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するなど、国民の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加の促進に寄与してまいりました。 2巡目となる今大会は、より多くの県民が運動・スポーツに親しむ、健康を増進する、次世代を担う子どもたちが夢や希望を育むなどの契機となる、併せて本県の多彩な魅力を全国に発信する絶好の機会であります。そのため、令和13年の開催に向けて、各種競技団体や各市町村、そして、多くの関係者と、これまで種々様々な準備が着実に進められてまいりました。 しかしながら、先日の執行査定の結果公表時には、現在の計画は大幅に見直すとのことでございます。まだ協議が整っていない奈良市の陸上競技場を候補地に考えるなど、あまりにも拙速な理解しがたい発言がありました。令和13年の開催が決まっている中、現時点でこのような見直しをしていて計画に支障はありませんか。全国から集まるアスリートや競技者、関係者に満足いただけるだけの万全の準備が整うのか、非常に不安でございます。 そこで、知事にお伺いいたします。 令和13年の国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催に向けて、計画的に準備を進めていく時期だと思いますが、今から会場地の選考など、全体計画の見直しを行っても万全の体制が整えられるのか、お伺いをいたします。 最後に、中央卸売市場の再整備についてお伺いいたします。 知事も、中央卸売市場には視察に行かれたそうでございます。我々も、先般おじゃまいたしました。本当に見るからに老朽化した大変汚いところでございます。雨が降れば雨漏りもし、下から水が上がってくるような状況でございます。このような状況というのは、本当に一日も早く改修・改善をしなければなりません。 しかしながら、これらを使用されている皆さん方は、現在の営業が大変厳しい状況にあります。新たに建物を建てようとするならば、その費用負担は市場事業者にものしかかってまいります。大幅な値上げとなりますと、リニューアルして、その皆さん方が、この地でまた営業できるかどうか非常に不安でございます。例えば、姫路市では、新しく建てた建物で入りづらいので、外で、いわゆる場外市場で営業されている方、あるいはまた、京都市場では、もう撤退をするということも起こっております。 そういう意味では、私はこの地方の市場のBtoBをするにあたって、事業者の皆さん方の意見を聞きながら多いに配慮をしてあげていただきたいと思いますが、知事のご所見をお伺いしたいと思います。 以上で壇上での私の質問でございます。自席からは、再質問があろうと思いますけれども、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) (登壇)それでは、粒谷議員からの代表質問にお答えさせていただきます。 まず、第1点目、今後の県政運営についてお尋ねでございます。 所信表明演説でも申し上げましたとおり、奈良県には3つの世界遺産をはじめ、世界に誇る多くの歴史文化遺産、豊かな自然、大阪や京都の大都市に近い利便性、伝統とも結びついた魅力あふれる食と農、そしてまた、人材の宝庫であるなど、奈良県には大変すばらしい潜在力がございます。 しかしながら、私の目には、これまでの奈良県は、これらの潜在力を十分に生かし切れてこなかったのではないか、そのように映っております。 これまでのように、奈良県の発展を大型のハード整備に頼っていても、ポテンシャルを引き出すことは困難でございます。むしろ、将来に大きな負担を残すことにもなりかねません。県職員、県内の事業者、県民の皆様に、奈良の魅力を改めて認識していただき、それを生かして奈良を盛り上げていこうという気持ちになってもらうことが、まずは重要であると考えております。 このため、知事就任以来、まずは、令和5年度予算に計上されている大型ハード整備事業を中心に、一旦、予算の執行を停止した上、必要性や費用対効果、その他の視点から、予算を執行するか否かについて検討してきたところでございます。 その結果、先日公表いたしましたとおり、予算額ベースで約73.5億円、総事業費ベースで約4,730億円の事業の見直しをしたところでございます。 引き続き、今回見直したおのおのの事業の方針について、議員各位をはじめ、関係者への真摯な説明に努めてまいります。また、事業計画の再検討等の課題に早急に取り組んでまいります。 今後とも、行財政改革を推進するとともに、特に所信表明で述べました3つの責任を果たすため、暮らしの安心や安全の確保、子育て支援や教育の充実、県内産業の振興やその基盤となる道路整備などの施策を進めてまいる所存でございます。 その際、産業の振興など、関西圏と連携して取組を進める方が、より効率的・効果的な分野が多いことから、関西広域連合への全部参加を目指して手続を進めてまいります。 私は戦後初めての民間出身の公選知事であり、県民の負託に応え、県政を変革していくことが私の責務であると認識をしております。県政運営を進めるにあたっては、オープンに庁内外における対話と議論を大切にしてまいります。県政発展のためには、これまでの政策や制度にいたずらに固執せず、多少の混乱はあっても、新たな道筋を創り上げていくことが大切であると考えます。 民間の知恵と力を取り込みながら、県民目線に立ち、県民にとって当たり前の感覚を大切に、全力で県政改革に取り組んでまいる所存でございます。議員各位をはじめといたしまして、県民の皆様のご理解とご協力を改めてお願いを申し上げます。 続きまして、これまでの主要プロジェクトの今後の進め方についてのご質問でございます。 その1番目、大規模広域防災拠点の整備について答弁をさせていただきます。 先ほど、粒谷議員からは、主に費用対効果で判断したのではないかというご質問がございましたが、費用対効果も、もちろん加味して判断いたしましたが、そもそも必要性があるのかということについて、私は大きな疑問を思っておりました。それは、そもそもこの事業が出てきた経緯からしても、必要性があるということに疑問を投げかけざるを得ません。 もともと、五條市議会において陸上自衛隊の駐屯地を誘致するという決議がなされ、それがしばらく後に、県議会においてこの五條市に陸上自衛隊の駐屯地を誘致するという決議がなされ、それに基づいて知事が政府要望等をしてきました。しかしながら、陸上自衛隊の駐屯地を誘致するというのは、なかなかすぐには難しいということで、今度はヘリポートだけでも誘致をするということに計画が変わってまいりました。しかしながら、防衛省のほうからは、この件の提案に対しまして前向きな回答は得られず、そうこうしているうちに、今度は前知事の方から、陸上自衛隊の駐屯地やヘリポートではなく、県が主体となって、南海トラフ地震等に備える大規模防災拠点を県独自に整備するというふうに、計画の内容が変わってきたわけでございます。 そうしますと、この時点で、大規模防災拠点はできても、そこに陸上自衛隊が常駐するわけではないということになったわけでございます。そのことによって、大きくこの計画の性質が変わってきたのではないかと、私は考えております。 防災拠点の大きな役割は、まずは人命救助でございます。次に、避難民等に対する物資の供給、さらには、被害を受けた様々なインフラあるいは住宅等の再建、そうしたことでございます。 平成23年の紀伊半島大水害の際には、陸上自衛隊は、京都府の大久保駐屯地から被災地に駆けつけてくれました。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、五條市に計画されている大規模防災拠点は、ただ単なるベースキャンプとかヘリポート、あるいは、2,000メートル級の滑走路が用意されているだけでありまして、そこに陸上自衛隊が駐屯しているわけではございません。したがいまして、大規模防災拠点ができても、陸上自衛隊が、京都の大久保から駆けつけてくるということには何ら変わりがないわけでございます。 人命救助は、被災後72時間以内に救助しないと、人命が助かる確率が大変低くなるというふうに言われております。こうした観点から、最も迅速に現場に駆けつけることができるのは、地域の消防署、消防団、警察、そして、災害時に協定を結んでいる建設業者等になると考えられます。 平成23年の紀伊半島大水害の際にも、72時間以内に陸上自衛隊の皆さんが被災現場に駆けつけることはできませんでした。そうしますと、まず、人命救助をするためには、既存の消防、消防団、警察、そしてまた、災害時に重機等を提供してくださる建設業者等がいち早く被災現場に駆けつけることができる、そういう初動体制を構築することが、人命救助の観点から最も重要であることは明らかでございます。 次の段階として、先ほども申しましたように、救援物資の提供ということがあるわけでございます。大規模災害の発生時に全国から集結する、消防や警察、自衛隊などの応援部隊の活動拠点、そして、人命救助の次の段階である救援物資の支援などについては、その集積地をどうするのかということを検討することが必要でございます。 こうした観点から、紀伊半島大水害の検証を行った上で、南海トラフ地震や、あるいは奈良盆地東縁断層帯を震源地とする地震を想定しまして、まずは、既存の施設や既存の体制を活用して災害時の迅速な初動体制の構築、応援部隊の活動拠点の確保ができないか検討する必要があると考えております。 つまり、五條市のみならず、お隣の御所市あるいはお隣の和歌山県橋本市等にも様々な施設がございますので、そういう施設を活用して、物資の集積地、あるいは、先ほど申しましたような警察や自衛隊などの活動拠点を確保することができないのか、まずはそれを検討することが必要ではないかというふうに考えております。 そうした既存施設での対応に不十分な点があれば、五條市の用地も含めて、大規模な広域防災拠点の必要性について、改めて、関西広域連合で議論をしていくべきであるというふうに考えてございます。 といいますのは、この前の各議員への説明でも申し上げましたとおり、既に、航空搬送拠点として、この関西圏におきましても、伊丹空港、八尾空港、そして南紀白浜空港等が位置づけられておりますし、堺市には基幹的な広域防災拠点も既に計画に位置づけられているわけでございます。そうしたものを活用することが、不十分なのかどうか。それらを活用しても、なお足りない、だから五條市に大規模防災拠点を整備しなければならない、こうしたことが言えて、初めて新たな720億円という投資を伴うインフラ整備が許されるものだと私は考えております。 そうした検討を踏まえつつ、具体的には、南海トラフ地震奈良盆地東縁断層帯地震等が発生した際に、各機関や拠点をどのように活用するのか具体的に考えまして、今後、地域防災計画等を充実させていきたいと考えております。 既に買収したゴルフ場の用地については、今後、防災目的を含めて整備内容を多角的に検討してまいります。 続きまして、大和平野中央田園都市構想についてご説明させていただきます。 知事選挙におきまして、「真に必要な施策を実施するため、大型プロジェクトの見直しなど徹底した行財政改革を行う」、これを公約といたしまして、大和平野中央田園都市構想についても見直すことといたしました。 その理由は、まず、県立工科大学に関しては、養成した人材の県内企業への就職が多くは見込めないことや、産学官連携は既に県内の大学等で取組が進められていることから、県が設置する必要性は低いと判断いたしました。また、スポーツ施設の整備につきましては、国民スポーツ大会は既存施設の改修による対応で可能なことから、新たなスポーツ施設の整備は行わないこととしたものでございます。 一方、県土地開発公社において既に契約済みである拠点用地につきましては、県が用地取得する方針に変わりはございませんので、これを有効に活用する必要があると認識しております。 具体的には、本県の政策課題である、雇用の場の創出や産業の活性化などを大きなテーマといたしまして、磯城郡3町とともに検討を進めてまいります。先日、磯城郡3町長に県の方針をお伝えした際には、取得済みの拠点用地の活用方策について、県と3町で引き続き協議を続けることに同意をいただきました。県としては、この協議を速やかに実施してまいる所存でございます。 併せて、地元・地権者へ県の考え方等について丁寧に説明し、理解を得ることも重要と認識しております。地元説明会には、必要に応じて、私自身が出向いて説明を行う考えでございます。現在3町のご協力をいただき、調整を進めているところでございます。 続きまして、3点目、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会についての質問でございます。 この施設整備についての基本的な考え方は、次のとおりでございます。 競技施設については、既存施設の有効利用のもと、市町村と協力して確保してまいります。 次に、競技施設の整備については、競技環境の向上を旨とし、改修を基本といたします。新たな県の施設の整備は原則として行いません。 市町村施設の改修等が必要な場合は、他府県の支援水準を踏まえ、県が支援をしてまいります。 これによってもなお競技会場が整わない場合は、他府県への協力を依頼してまいります。 この考え方に基づき、新たな整備を見直す県の施設は、陸上競技場、これは市営橿原運動公園にある陸上競技場でございますけれども、それから県立橿原公苑に予定していました多機能複合型アリーナ、川西町に予定しておりましたテニスコート、それから田原本町に予定しておりました球技専用スタジアム。これらの施設の整備を見直すことといたしました。 先ほど申しましたとおり、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会に向けた施設の整備については、既存施設の改修を基本としてまいりますので、現在、県立橿原公苑の既存施設について、改修の具体的な検討を進めているところでございます。 競技会場地については、中央競技団体の視察前となる令和6年度中に競技会場地を決定するため、今年度から市町村競技団体との調整を本格化する方針でございます。先日、本県の担当者が、共同主催者である国スポーツ庁日本スポーツ協会を訪問いたしまして、スポーツ施設の整備についての県の考えを説明し、円滑な大会の開催・運営への協力を依頼したところでございます。国スポーツ庁日本スポーツ協会の両者には本県の考えをご理解いただき、大会成功に向けて協力するとの回答をいただいたところでございます。 お尋ねの陸上競技につきましては、本県では第1種陸上競技場を設置しているのは奈良市のみであり、これまでインターハイをはじめ、大きな大会を開催するなどノウハウも蓄積されているところでございます。このため、奈良市にぜひともご協力をお願いしたいと考えており、必要に応じて、私からも、直接奈良市長へ依頼をしていきたいと考えております。 4点目、中央卸売市場の再整備についてでございます。 私も中央卸売市場には視察に出向いておりまして、老朽化の状態については、粒谷議員と同じ認識でございます。できるだけ早期の整備を実現したいと考えております。 一方で、市場事業者の経営は、市場の取扱い高がピーク時に比べ、青果で約2割、水産で約6割減少しておりまして、大変厳しいと認識をしております。 これまで県では市場事業者に対しまして、従来から、中小企業診断士等を活用した相談事業を実施してまいりました。これに加え、昨年度からは、仲卸組合が開催する研修会に経営コンサルタントを派遣するなどして、合併や事業承継等も視野に入れた経営の改善に対する取組への協力も行っております。 再整備した後の使用料は、再整備に要した事業費をもとに算出しますので、施設が新しくなるため、使用料が上がる見込みでございます。これまでも、施設規模や整備内容など、施設計画を立案するにあたっては、事業費縮減の観点にも留意しながら、市場事業者と協議をしてまいりました。事業手法においても、事業費の縮減が見込まれるPFI方式を選択することを中心に検討を進めてきたところでございます。 今後の進め方でございますが、市場事業者にとりまして、使用料の水準は、再整備後も市場内での事業が継続できるかを判断する重要なポイントでございます。まずは、事業費から算定した使用料を市場事業者に提示し、適切な施設規模を決定していきたいと考えております。また、現在の卸売市場機能を継承する市場エリア、これまでBtoBと言われていた部分でございますけれども、そこと、一般消費者向けに賑わいを創出するエリア、これまでBtoCエリアと呼んでまいりましたが、これを一括して整備することで、事業費縮減の工夫の余地を広げたいとも考えております。同時に他市場の先行事例も十分に参考にしながら、適切な使用料水準や支援の在り方について、検討を進めてまいりたいと考えます。 答弁は以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) まず、1点目の県政運営についてでございますけれども、知事からは、いわゆる奈良県内の潜在力を発揮させる、奈良を盛り上げるために、いわゆるボトムアップをしていくということをおっしゃったんです。確かに、基本的にはそういうことです。 ところが、もしそれをするとするならば、それぞれの市町村、県民の力が必要です。今日まで、期間は短いですけれども、市町村の皆さん方との話合いというのも、ほとんどまだ済まされる時間がないのです。私は、今現在のこの話を聞いておりますと、市町村との役割分担というのは当然県とは違いますけれども、決して上下関係ではないのです。いわゆるよきパートナーということになろうかと思います。今日まで取り組んだ感じで、市町村との関係というのは、十二分によきパートナーとしての説明はされましたか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) もちろん、奈良県の潜在力を十分に生かし県を盛り上げるためには、市町村との対話、理解、協力が必要であることは明らかでございます。私自身も市長の出身でございますので、県と市町村が対等であるということは十二分に認識をしているところでございます。 知事に就任したのが5月3日、執務を開始したのが5月8日でございまして、そこからすぐに、予算の執行査定の作業に入ってまいりました。これは短期間で結論を出さなければならないため、その間は、知事就任の挨拶に行きたいとか、そうした依頼がたくさんあったわけでございますけれども、1か月間は予算執行査定に専念したいということで、そうした挨拶をしたいという希望も、少し時期を後ろ倒しするようにお願いをしておったところでございます。 しかしながら、この予算執行査定で見直される事業に関係する市町村長の皆様には、当然、お話をしなければならないということから、6月12日の記者会見の前には、関係する市町村長と直接面談し、あるいは電話をし、事業の見直しの方針をお伝えしたところでございます。 6月12日の記者会見の後は、予算執行査定の作業が一段落いたしましたので、県の市長会長、県の町村会長をはじめ、多くの市町村長が既に知事室にこられ、これまで意見交換を重ねてきたところでございます。まだ、39市町村長の全部の方々とはお会いできてはおりませんが、ざっくりした感覚で言いますと、24、5人ぐらいはもう既にお話しさせていただいているのではないかと思っております。 7月10日には、私が知事に就任して初めての奈良県市町村長サミットを桜井市で開催させていただく予定にしておりまして、その際には、そこにいらっしゃる市町村長と意見交換をさせていただくとともに、市町村長サミット終了後は懇親会の場も設けて、膝を交えて各市町村長と十二分に胸襟を開いてお話をさせていただく所存でございます。 繰り返しになりますが、私自身が市長の出身でございますので、県と市町村の関係は対等であると。そして、県と市町村が連携協力して奈良県を活性化する、奈良県の潜在力を高めていくための努力をしていかなければ、いくら県が旗を振っても政策の実効性は上がらないということは、十二分に分かっておりますので、ご理解いただきますとともに、今般の粒谷議員のご指摘も踏まえまして、さらに市町村長との協議を深めてまいりたいと考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 私が言うているのは、執行停止をした市町村のことです。執行停止をした市町村の首長は、非常に混乱しています。それぞれの皆さん方は、今までそれぞれの自治体の議会の議決も得ました、住民の協力もいただきました、そうして進めてきた事業が、山下知事から一方通行のように執行停止をされてきた。大変混乱していますけれども、そこは、認識はないですか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) これまでの方針が変わったわけですから、事業に関係する市町村長がある程度混乱されているということは、十二分に認識をしているところでございます。 しかしながら、これは選挙での公約でございますので、この公約は実現しなければ、有権者を裏切ることになりますので、これは選挙で示された民意をもとに、関係する市町村長のご懸念を払拭するための丁寧な説明と、取得した不動産についての既存の計画に代わる新たな土地の有効利用について、真摯に協議をしてご理解を得ていく、これしかないと考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 当然、知事も選挙で選ばれた方です。我々も、選挙で選ばれた議決権者です。では、議会に対して真摯な対応で今日まで向かわれましたか。今まで議論というのはまだなかったんですよ、今日が最初のスタートですよ。ですから、今までのお話は、言わばたたき台と受け止めていいのですか。これからが、我々と知事とが建設的なディベートをやる場です。ですから、今までの話は、これは、すべてが一方通行と受け止めていいですか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) 一方通行ということでございますけれども、令和5年度の予算というのは、もう既に議会で議決されているわけでございます。これは、早期に執行するかしないか判断しなければ、どんどんどんどん予算が執行されていってしまうわけでございます。そうしますと、選挙で公約した、前知事が掲げた大型プロジェクトの見直しという公約を、私は実現できなくなってしまうわけでございます。 例えば、1年たって、やめましょうと、事前に各市町村長と丁寧な議論をし、県議会と議論し、1年後に、では、やっぱりやめますということになった場合、もう、その間に入札が進んでしまうと。公共工事であれば、契約が締結されてしまうと。そうすると、例えば建設事業者と契約を締結してからやめますということになれば、これは契約違反になりますので、場合によったら、県に損害賠償責任が発生するかもしれないわけでございます。 そうした混乱を避けるためには、やらないならやらないということを、できるだけ早期に決めなければならないということで、この短期間での予算執行査定に及んだ次第でございます。今後、この土地利用についてどうするかにつきましては、関係市町村の皆様、そしてまた県議会の皆様とも、十二分に協議をして決めていきたいと考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 知事、立ち止まって考えることは悪くないのですよ。それは大いにやる必要もあるし、それは私は認めますよ。そして、方向転換するという気持ちも分かりますよ。ただね、我々議会と議論をまだしていない段階で、決定事項のような言い方はやめていただきたい。 我々は議決権者ですけれど、それを乱暴に使おうとは思わない。しかしながら、お互いに建設的な意見を立ち交わして、そしてよりよいものを創っていくためには、もっと慎重に言葉を選んでいただかないと駄目だと思うのですよ。 知事は記者会見でも、いわゆる市町村との契約締結は、信義則違反にならないとおっしゃっているんですけれど、確かに法的にはそうでしょう。しかしながら、信頼関係は失ったら駄目です。今後、奈良県の市町村との信頼関係というのは、私は一番大事しなければいけない。よいパートナーですから。そういうことだけは申し上げておきたいと思います。 次に、知事に観点を変えて申し上げるんですけれども、奈良県政で今一番重要な政治課題って言ったら、何でしょう。
    ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) 奈良県政にとって一番重要な課題は、これは奈良県だけの問題ではございませんが、やっぱり人口の減少ではないでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 私はね、少し違うのです。県民の生命、財産をお守りするというのが私は一番ですよ。 ちょうど2年前、高市経済安全保障担当大臣が総裁選挙にお出になりました。このときに言われたのが、国民の生命、財産をお守りする、これをお話しされたんです。そうですよ、国政においては、外交、防衛、安全保障、これが一番の大事な基本です。県民にとっては、いちばん大事なのはやはり、県民の生命、財産を守る。これを守らなければ、ほかはないではないですか、命がなかったら何もできません。そういう意味では、私は一番大事なのは、県民の生命、財産を守ることだと思うのです。 ところがこれも、知事の施政方針を見ておりますと、県民の生命、財産を守ると書いていました。しかしその次、これは揚げ足をとって申し訳ないのだけれども、線状降水帯に対する治水、治山というお話が出ていました。あれ、地震対策はないのですかね。台風対策はないのですか。特に、南海トラフ地震に対しては、皆さん方、非常にアレルギーを持っております。30年以内に起こる確率が8割と言われるのは、もう当然、知事もご承知です。起こるか起こらないかは分からない。分からないけれど、その点に対して万全の体制をとるのが行政の責務です。 とりわけ、私は平成7年に奈良県議会に参りました。この年はご承知のように、阪神・淡路大震災の年です。それで私は、特に地震対策には非常に関心があるんです。ただ、知事の施政方針の中には、この地震対策が全くなかった。これは何でなのか。ちょっとお答えください。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) もちろん、県民の生命、健康、財産を守るのが、奈良県知事の大変重要な職責であるということは十二分に認識をしているところでございます。 地震対策についても、粒谷議員のご指摘と同様、これは水害などと同様に、きちんと対応していかなければならない重要な課題であるということは、当然のことながら認識をしているところでございます。 しかしながら、先ほども、大規模防災拠点に対するお尋ねの中でご回答させていただいたとおり、前知事が五條市で計画されていた大規模防災拠点の必要性自体について、私は疑問を持っているということでございます。それは、先ほど来申し上げましたとおり、陸上自衛隊がそこに常に駐屯しているのならば、意義は大きいというふうに思っておりますが、そもそも、前知事が計画した大規模防災拠点というのは、陸上自衛隊は常駐していないわけでございます。そこに整備されるのは、2,000メートル級の滑走路、それからヘリポート、そして自衛隊の皆さんがキャンプをするためのベースキャンプを張るための用地でございます。空港につきましては、これは伊丹空港も、八尾空港も、南紀白浜空港もございます。そうした空港で十分な対応ができないのかどうか、そうしたことが十分に検証された上で、五條市に新たな空港をつくるということが決定されたようには到底思えないわけでございます。 さらにヘリポートに関して言えば、大きな公園とか、小学校・中学校のグラウンドとかにもヘリコプターは着陸はできます。現に、橿原運動公園は、国の中央防災会議が作成した計画において、航空搬送拠点の1つとして位置づけられているわけでございます。 さらに、自衛隊がキャンプを張る場所は、これは平らな土地があれば、別にわざわざ防災拠点をつくらなくても、グラウンド等を借りればできるわけでございます。ですから、大規模防災拠点が目指していた、そうした設備の多くは、すべてとは言いませんが、大半は既存の施設で対応できるのではないのかと。 そうしたことが十分に検討されてこの計画が立案されたのかと。必要性が十分に吟味されないまま、税金720億円を使うということが正当化されるのか。さらに言えば、そのアクセス道路として、260億円もの巨費を投じて新たに道路をつくるということが正当化されるのか。そうした議論が、これまで、どこまで県庁内部あるいは県議会においてなされてきたのかということについて、私は大いなる疑問を感じざるを得なかったわけでございます。 そしてまた、さらに言えば、先ほども申しましたが、この計画が持ち上がってきた経緯も、非常に理解がしにくいところでございます。そもそも陸上自衛隊の駐屯地を誘致するという話がヘリポートに変わり、そして県が独自に、陸上自衛隊の駐屯を前提としない、そういう大規模防災拠点に変わったと。この経緯に関しては、新聞報道等によれば、当時、総務大臣だった高市早苗大臣も疑問を表出されたということでございます。そうしたことからすると、私は、より既存の施設を活用した形で、720億円及び道路建設費も含めますと980億円ものお金をかけずに、十分、県民の生命、財産、健康を守るための盤石な体制をつくれるのではないか、そのように考えているわけでございます。 そして、これを口で言うだけではなく、きちんと、県の地域防災計画におきまして、先ほど言いました、そういう警察、消防、消防団の活動拠点、それから、救援物資の集積拠点、それを、まだ県の地域防災計画には、五條市や御所市のこういうところを活動拠点にするというような具体的な位置づけはされていないのです。ですから、この地域防災計画を見直して、既存の施設のこことここを、そういう自衛隊とか警察、全国から来てくれる人たちのための活動拠点にしよう、ここは物資の集積拠点にしよう、そうした計画をこれからつくってまいります。 その上で、さらに関西広域連合においても、先ほども言いましたように、伊丹空港や八尾空港、それから、堺市の防災拠点、そして和歌山県の南紀白浜空港、そうしたものを新たに大規模防災拠点として位置づける必要がないのか、そうした問題提起を私の方から、関西広域連合にしてまいります。その上で、それでもやはり、五條市の大規模防災拠点が必要なのだということが、科学的に客観的に立証された段階で検討すれば、足りるのではないか、そのように考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 知事、それぞれの自治体には、歴史というものがあるんですよ。いろいろな歴史があるんですよ。 奈良県の歴史で言いますと、災害歴史というのがあるんですよ。そしたら、明治22年、奈良県の十津川村で大災害が起こりました。このときに、奈良県の十津川村の皆さん方は、北海道に多くの方が移住されて、今、新十津川町という町になりました。新十津川町の住民の皆さん方は、奈良県を母の県、母県とおっしゃるんです。十津川村を母村、母の村とおっしゃるんです。それぐらい愛着をお持ちなのです。 その歴史をひもときますと、いろいろな災害が奈良県の中で起こってきました、伊勢湾台風もそうでした。紀伊半島大水害が起こりました。ほとんどが南部ですよ。吉野郡を中心とした、ほとんど南部で大災害が起こっているんです。そうすれば、そのときの対策として、ベースキャンプというのは、できるだけその地域の近くにあるのが、私はベストだと思うのです。もちろん今おっしゃったように、五條市の大規模防災拠点は、いきさつはどうか知りません。そういきさつはあるんでしょう。しかしながら、この地域においてベースキャンプを持つことは、決して悪くないと思います。 先般、五條市へ行ってきました。そこで消防団員の方にお聞きしました。その当時、人命救助で崖を下りるときに、本当に怖かった。自分の命も顧みずやったけれども、こんなの我々できない、訓練を積んでいる自衛隊の人でなければできないのだと。 今おっしゃったように、72時間以内に自衛隊が来なかったら、あなた、今、機動分隊が、警察や消防団でとおっしゃったけれど、それ、本当に無責任ですよ。そんな無責任な話をされると、地元の皆さん方、消防団なんてのは月給というのはわずかな月給をもらっているんです、これ。ふだんはほかの仕事をされている方ですよ、これ。これにそんな危険なところへ行けというのですか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) いや、私が申し上げているのは、実際に人命救助に当たるのは72時間以内である必要があると。しかし、72時間以内に大久保から自衛隊の皆さんが駆けつけてくれるのは、非常に困難であるということが平成23年の紀伊半島大水害の際にも証明されているということです。 ですから、まずは人命救助に当たる、その消防団とか警察、消防署、そうした人たちの初動体制をきちんと確立する方が人命救助には有効であるというふうに申し上げているだけでございます。 それから、先ほどもございましたが、ベースキャンプにつきましては、わざわざゴルフ場を買収してそこをベースキャンプにしなくても、既存の、そういうグラウンド等で十分に対応ができるのではないか。そうしたことを、これから地域防災計画を具体的につくっていく上で検証して、それでもなお足りないということであれば、新たなそういうベースキャンプの設置も検討していくと、こういうことでございますので、粒谷議員のご懸念には十分対応できているというふうに考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 私の心配はないということはないですよ。それなら例えば、奈良県内のところで地震が起こったとしたら、南海トラフ地震ですと1万8,000の方が避難するという想定ですけれども、それであれば、奈良県内の至るところでベースキャンプ的なものがいるんですよ、運動公園も含めて。特に、今言いますように、南部のこの五條市のところについては、やはり整備をすることが、南部の吉野郡の皆さん方のためにもなるんではないかなと私は思っているんです。 ここのゴルフ場の方が、こういうことをおっしゃっています。「収用は急展開の話であり、当クラブとしても非常に困惑をしている。閉場は断腸の思いでありましたが、多くの人命や危険に関わる公共性の高い事業であり、本事業に協力することは妥当であると判断いたしました。今後、皆様方の安心・安全の一助となれば良しとし幕を閉じたい」とおっしゃっています。この気持ちをどう受け止めるかです。県の行政のために、このゴルフ場はクローズしたんです。私は、この意思を大切にしなければならないと違うかなと思うのですけれど、どうですか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) そういう地権者の皆さんのご意思も十分踏まえながら、先ほど言いましたような手法で、必要十分な防災体制を構築してまいりたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 早急に県の地域防災計画、県としてどこにベースキャンプをつくってどうすればいいのか、南海トラフというのは、平たく言えば明日起こってもおかしくないのです。これは最先端の問題だと思いますので、早急に、県の中でも、あるいは皆さん方ともよく協議をしていただきたいと思います。 そこで、先ほど知事がおっしゃったように、以前、生駒市長をやられていました。私も、昔、生駒市会議員をしていました。その当時、多分知事もご存じと思うのですけれども、今頃の時期になって6月、7月、8月、夏が来ますとね、非常に水道の水が心配ですよ、断水せえへんかなということで。貯水率がいつも気になるときだったんですよ。私も県に来まして、いつもこの室生ダムの貯水量、これ6月、7月、8月、いつも気になって見ていました。今、どうですか。大滝ダム、これは川上村の犠牲の上に立って、大滝ダムを供用開始していただきました。もう今、心配、全くありません。また、生駒市では、県のいわゆる公共下水道、川西町や大和郡山市のお世話になっています。 私、思うのです。県に来て思ったんですよ。生駒市だけよかったらいいのではないと、北高南低と言われる奈良県の中でね、均衡がとれた奈良県づくりというのが必要だと思うのですよ。特に中南部は、少子高齢化時代ということで、非常にお困りです。そのために今回のこの田原本町、磯城郡の事業もあるんです。そしてやはり、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会においても、何で今回橿原市かと。これは、この国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を契機に、南部を活性化をさせたいというのが大きな目的だと思うのです。安易に、北にあるから北でやればいいではないか、今おっしゃったように、いや県外でもいいやんか。これは目的が違うと思うのですよ。できるだけ奈良県内で、しかも南部でできるというのが、一番、この目的に達すると思うのです。何でも便利なところでやればいいって、そんなもんやったら、均衡のとれた奈良県とは言えません。それは、山下知事が生駒市長時代はそれでよろしいよ。今、奈良県の知事ですよ、あなた。立派な奈良県の知事だとすれば、そんな考えではなしに、やっぱり奈良県の中南部の発展、それを視野に入れてお考えいただくことが、僕はベストだと思うのですけれど、いかがでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) 当然、粒谷議員ご指摘のとおり、奈良県全体の発展を考えて、施策を進めてまいりたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 今日から始まって、県議会でいろいろと議論が出てまいります。我々は、揚げ足を取って物を言うのではないですけれども、建設的な発言をしますけれども、今回の減額修正、補正予算を出さないというのは、また提案があれば、大いに変化もあるということで理解していいですか。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) もちろん、県議会の議員の皆様方から有益な提案があれば、それは施策として反映をするということは当然考えております。 ○議長(岩田国夫) 33番粒谷友示議員。 ◆33番(粒谷友示) 最後、中央卸売市場ですけれども、知事もご理解いただいていると思いますので。使用なさる方、非常に経営も厳しいし、コンサルも入っているらしいですけれども、建物が新しくなったから利益が出るというものでもないのですよね、これは。そういう意味では、非常に運営上厳しくされていますので、現場の声をしっかりと聞いて、BtoBだけではなしに、BtoCで、どこでどう利益を上げるかということもあるんでしょうけれども、これは、新しい考え方、我々も提案型でお話をしていきたいと思いますので、これはしっかりと受け止めていただきたいと思います。 最後になりましたけれども、知事、よく出てくるのは、前の知事は思いつき、思いつきと、こういう発言をなさるんですけれど、それは言わないほうがいいと思いますよ。前の知事も、思いつきからスタートして、いい案ができたことはたくさんあるんです。だから、あまりああいう言い方をされると、我々も、前の知事の議会で議決をした案件がたくさんあるんですよ。我々に言われたような気がするんですよ。そういう先輩ですから、あまり、前知事のことを批判なさらん方が、私はいいと思います。それなりに頑張ってこられた方ですから、そういう言い方はよくないと思います。 私が言うのも変ですけれど、知事、当選されて、大いに気持ちを持っておられるんですけれども、過信にならんと謙虚になっていただきたい。そして、多くの皆さん方の声を謙虚に聞いて、私が最初に申し上げたように、気配りと配慮と思いやりをしながら、奈良県政に携わっていただきたい。このことだけを申し上げて、時間があるんですけれど、また今後、私、学研高山地区第2工区の問題、まだまだしたいことあるんですが、これは今回は置いておきますので、また、質問させていただきますので、私の代表質問終わります。 ○議長(岩田国夫) 次に、31番松尾勇臣議員に発言を許します。--31番松尾勇臣議員。(拍手) ◆31番(松尾勇臣) (登壇)皆さんこんにちは。奈良テレビをご覧の皆様もこんにちは。実に4年ぶりに戻ってまいりました。日本維新の会、吉野郡選挙区選出の松尾勇臣でございます。日本維新の会を代表いたしまして、通告に従い、質問をさせていただきます。 最初に、山下知事に一言申し上げます。我が日本維新の会は、奈良県知事選挙において、山下知事を公認候補として、県民の皆様に選択肢をお示しをさせていただきました。知事は選挙において、行財政改革を進め、本県にとってこれから本当に必要な政策を進めることを公約と提示され、その結果、多くの県民の皆様の支持を受けられ、見事に当選をされました。 それから、はや2か月が経過をし、おめでとうと申し上げる時期はもうとっくに過ぎまして、知事は5月の連休明けから、公約どおり、予算執行査定に着手し、6月に入って内容を公表するとともに、公約で示した政策を今回の本定例会に補正予算案や議案として上程をされております。 例えば、知事の退職金を支給しないとする条例は、まさに身を切る改革で、我が党の一丁目一番地であります。行財政改革を進めるための令和5年度予算執行査定については、既に皆様ご承知のとおりでありますが、そのほかに、子ども医療費助成事業に新たに2億円を追加することや、今現在も誰かの助けを必要としているヤングケアラーへの支援など、これまで光が当たりにくかった分野にも、公約どおり補正予算として計上されており、大いに評価できる内容となっております。 そのような中、新聞やインターネットなど報道でも、連日、予算執行査定が取り上げられ、あたかも本県が混乱の渦に飲み込まれようとしているかのごとく取り上げられております。しかし、冷静に考えれば、改革とはこういうものではないでしょうか。これを恐れていては、改革などできません。知事は、先日の所信表明で、オープンに、庁内外における対話と議論を大切にすると表明をされておりました。おっしゃるとおり、一番大切なのは議論であります。議論なくして改革などあり得ません。 また、本県を取り上げる連日の報道は、ある意味チャンスでもあります。本県にとって一番必要な政策、本県の魅力を発信するチャンスでもあると思っております。 いつの時代においても、改革者は異端児扱いを受けます。しかし、それがよい結果を示し、多くの人に評価されるようになると、それがスタンダードとなっていきます。 我が日本維新の会は、本県がこれから始める議論が、大阪とはまた違う、地方の改革のスタンダードになると確信をしておりますので、山下知事におかれましては、自信を持って改革を断行していただきますよう、冒頭に申し上げさせていただきます。 それでは、1つ目の質問に入ってまいります。関西広域連合の全部参加についてお聞きをいたします。 これまで本県は、広域防災と、広域観光・文化・スポーツ振興の2つの分野で関西広域連合に参加をしてきましたが、知事は選挙で、全部参加を訴えておられました。今般、知事は、広域産業振興、広域医療、広域環境保全や、職員の広域研修などの分野も含めて、関西広域連合全部参加の決断をされました。 しかし、関西広域連合は、県民からすれば、そのメリットのイメージが持ちにくく、どちらかといえば、関西広域連合は、行政間の事務での出来事として、県民の関心は必ずしも高いとは言えません。 そこで、知事にお伺いをいたします。 知事は所信表明でも、関西広域連合で取り組んだ方が効率的な分野が多いと、全部参加を決断した理由を述べておられましたが、もう少し県民が理解しやすいよう、具体例を示して説明をお願いいたします。また、この全部参加に要する手続、費用、時期も併せて示していただくとともに、全部参加が県民生活へどのような効果をもたらし、また本県が、関西でどういうポジションを目指すのかも、併せてご説明をお願いいたします。 続きまして、通告書2番目の質問であります、令和5年度予算執行査定についてお伺いいたします。 今回の査定で、大型事業であった大和平野中央田園都市構想や、大規模広域防災拠点の整備の見直しは、地元自治体に動揺が広がっております。さきにも述べましたが、対話と議論を大切にするとおっしゃったことからも、地元自治体とは、今後、対話を続け、理解を求めていくことが大変重要であると考えております。 大和平野中央田園都市構想は、県のホームページでは、「近い将来、奈良県を見違えるようによくしていく戦略の大きな柱の1つと位置づけ、令和3年より磯城郡3町と共同して取組を進めてきました。」となっており、その計画の概要や事業効果が記載されております。 これだけを見れば、特に県民も反対はないと思いますし、また、当該自治体としても事業は進めてほしいと考えていると思っております。ただ、そこには、事業効果の評価や、コストの説明は乏しく、何よりも、完成後の維持管理費用などの議論は全く見えてきておりません。大型施設の建設は、必ずしもばら色とは限りません。全国でも、期待を背負ってできた施設の維持管理費が自治体財政を圧迫している事例はたくさんあります。 大和平野中央田園都市構想の中で計画されている県立大学をつくるとなれば、そこには、投資対効果という議論、つまり、本県が大学に投資をして学生を育成し、その学生が本県に残って本県の発展に寄与する確率についての検証等は必ず必要であります。現在の県立大学を見る限りでも、その確率は高くないと言わざるを得ません。恐らくこれは、全国の地方公立大学が抱える共通の課題と推測されます。それならば、学生の旅行やサークル活動を誘導し、本県の魅力に接する機会をつくり、卒業後に、本県への移住や、雇用となる企業を誘致する方が得策に思えております。 知事は、大和平野中央田園都市構想で取得した用地には企業や研究所を誘致する方向を打ち出しておられますが、知事のおっしゃる費用対効果の観点から、十分な議論が必要だと考えております。 また、大規模広域防災拠点の整備についても同様であります。知事は、国の財政援助が得られる防災目的を含め検討していくとされておられますが、国では、今後、防衛費の増額といった議論もますます強くなってくると容易に想像ができますので、地元だけではなく、国とも十分な議論が必要だと考えております。 いずれにいたしましても、予算執行停止が目的ではなく、予算の配分の見直しだということを地元自治体と丁寧に議論を進め、また、知事の目指す本県のこれからの姿を早急に具体案をもって提示をし、市町村と協議を進めていくことこそが、県内市町村の安心にもつながると考えております。 執行停止した予算をどういう分野へ配分して県民生活を豊かにしていくのか。行財政改革の先に何があるのか。知事が進める行財政改革の目的は、そこに尽きると考えております。改めて知事のご所見をお聞きいたします。 次に、令和5年度予算執行査定についての2つ目の質問に入らせていただきます。 予算執行査定において、平城宮跡歴史公園のハード事業として、新たな建物の建設を前提とするのではなく、既存施設を活用しつつ観光地としての魅力強化に取り組むとされました。今後の在り方の再検討に際し、民間の活力の導入は必須であると考えております。そういう意味では、知事が選挙公約に掲げた、民間のアイデアで観光にイノベーションを起こすための戦略本部の設置には期待をしているところであります。 そもそも平城宮跡は、我が国、そして、本県が有する重要な国家的財産であります。その財産を活用する上で、民間の活力を導入したとしても、歴史的価値が低下するとは思えません。例えば、伊勢神宮とおかげ横丁などのように、訪れた人が二度楽しめるような感覚を民間のアイデアに託してみるのも悪くはないと考えております。 今後の平城宮跡歴史公園の施設整備や管理において、民間の活力を導入することによって、行政の管理コストを下げていくことになると推測をされます。 そこで、知事にお伺いいたします。 既存施設のさらなるにぎわいづくりや、朱雀大路東側地区及び平城宮跡南側地区の整備において、積極的に民間の活力を導入すべきと考えますが、今後どのように進めていこうとされているのか、知事のお考えをお聞かせください。 次に、女性の活躍促進についてお聞きいたします。 知事は、女性の就業率の低さや家事従事時間の長さなどを本県の課題と指摘をしてまいりました。女性の就業率は全国最下位、女性の家事従事時間は全国最長となっており、このことについては原因を究明する必要があると思っております。 また、これらは、個人の受け止め方の違いはあるとは思いますが、客観的に見て、例えば、家事従事時間を幾らかでも就労に変えると、低い県民所得の増加にもつながってまいります。そのためには、保育所数の改善も図らなければなりません。しかし、残念ながら、本県の保育所数は全国最下位レベルとなっております。 今月13日に岸田内閣総理大臣から、こども未来戦略方針の説明がありました。その中で、「保育所については、長年の保育基盤拡大の努力により、待機児童問題については一定の効果が得られました。」という発言がありました。これを聞いて、本県は、まだまだこの域に達していないのではないかと疑問を感じました。 知事は選挙で、女性の働きやすさを追求していくと公約をされておりましたが、人口減少社会においては、核心を突く公約であったと評価をいたします。そして、その後の予算執行査定で、大型公共事業から、県民のためのソフト事業に予算を配分していくとした知事の判断は間違いではないことを確信いたしました。女性の就労改善なくして、少子化対策も期待はできません。 そのような観点で、本県の女性の活躍を促進していくためには、まず、女性に偏っている家事や育児の負担を減らし、女性の就労をさらに支援することが重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせ願います。 次の質問に入らせていただきます。 教育の無償化と子育て支援は、知事の選挙公約の柱であったと認識いたしております。6月13日にこども未来戦略方針が閣議決定され、岸田内閣総理大臣の会見でその内容が発表されたところでありますが、政府の子育て重視の方針を見ると、岸田内閣総理大臣は、高等教育費の負担軽減を実現するとし、知事は選挙公約で、その前段階の高校授業料の無償化を掲げており、知事の公約は、まさに的を射たものだったと評価をいたしております。 また岸田内閣総理大臣は、日本の社会は子育てに必ずしも温かくないと言われ、社会の意識を改革し、社会全体で子育て世帯を応援する社会を皆様とともにつくっていきたいと思っていますと語っておられました。 子育てと前述の女性の就労は、イコールまでいかないにしろ、同じ傾向を示すと解釈できると思っております。だとすれば、本県は子育てに必ずしも温かくないとも言える部分があるかもしれません。 これは、少子化という大きな課題を残します。今、少子化は静かな有事と評され、国の大きな課題となっておりますが、地方自治体にとっても同じ課題であることは間違いありません。 これらのことから、前述の女性の活躍促進とともに、子育てに希望が持てる奈良県にしていく必要があると考えますが、知事が公約の柱としている、高校授業料無償化をはじめとした子育て支援について、県の特色をどのように打ち出していくのか、具体策を含めて、知事のお考えをお聞きいたします。 連日の報道を見ますと、知事は、まるでコストカッターのように言われ、あたかも市町村と対立の構図をつくり出しているように伝えられている感じも否めません。私はそうではないと認識をしております。その理由は、県も市町村も、県民の幸せを追求するという点では同じ目的であり、現段階では、手段の変更で再協議が必要となっているだけのことと考えているからであります。 今般の予算執行査定においては、工場誘致、工業ゾーンの創出において、(仮称)御所インターチェンジ工業団地の整備、さらに、県産品の海外販路拡大のための県内企業による県産品のテストマーケティング等の支援が、予算どおりに執行と位置付けされたことは、必要なものは必要との判断であり、評価に値をいたします。 また先日は、大和郡山市で大和の伝統野菜の大和丸なすを生産、販売するJA出荷組合と県庁で面会をし、県内の地域ごとにブランド化を進めたいと要望した組合長に、知事は、若い農業者の自由な発想を支援したいと、積極的に応じたと報道をされておられました。 加えて奈良県は、日本最古の造林記録があり、500年以上の林業の歴史を有しております。特に、吉野林業地域で生産される丸太は、真っすぐで均一な年輪幅といった特徴から、高いブランド価値を有しており、県では従前から、奈良の木の認知度と市場競争力を高めていくため、奈良の木の魅力を発信し、ブランド力の強化を図られているところと認識をしております。 このように、本県には、伝統ある誇るべき第1次産業が多く存在し、さらに、災害リスクが少ない、大都市に近接するなど、第2次産業を誘致できる有利な条件が備わっていると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 本県の産業、特に第1次、第2次産業を、今後どのように成長させ、県経済を発展させていくのか、知事のお考えをお聞きいたします。 最後の質問となりますが、知事は、自身の退職金を辞退することを選挙公約に掲げ、そのとおり退職金を全額カットする条例案を今定例会に提出したことは評価いたします。 一方で、県議会は8年前から、令和5年4月の改選まで、財政健全化に向けて月額報酬10%カットを実施してまいりました。平成15年4月以来実施してきた知事の給与カットについて、年度ごとに更新をしておりますが、現条例の期限は今年度末であり、前知事どおりとするならば、今後の条例改正も必要となってきます。 これは、厳しい行財政改革を進めるには、まずは自分の身を切って改革に臨む我が党の政策の旗印でもありますとともに、厳しい改革に立ち向かうのに、まず隗より始めよという自身への戒めでもあります。 これらのことから、知事は、自身の給与について、今後も、これまで同様に10%の削減を実施されるつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。 通告にはありませんが、先日の知事の所信表明を聞いて、気になるところがありましたので、ご指摘をさせていただきたいと思います。 知事は所信表明で、県庁の過労自殺事案、メンタルヘルス不調、さらには割合の高い中途退職者など、指摘されておりました。 これは外部から分かりにくく、恐らく知事が就任されて把握されたことだと思っております。対策として、県庁の働き方・職場環境改革推進会議を設置したとの報告を受けましたが、これは本県にとっては大変重要なことであります。 本県はこれから、これまでどの県も経験したことのない大きな改革に挑戦いたします。その際、県議会、県民、市町村の協力は欠かせませんが、最も必要なのは、県職員の皆様方の協力であります。 既にある枠組みを変更するのは簡単なことではなく、根本から変えることに等しい改革を進めるには、その最前線で実務を担う職員の使命と情熱がなければ、成功へ導くことは決してできません。そのためには、風通しのいい職場や、やりがいのある職場でなければ、この歴史的な挑戦は成功しないと思っております。 どうか知事におかれましては、県政の改革、県庁の改革を、冒頭にも述べましたように、自信を持って断行していただき、そして、歴史と伝統の大和の国、奈良県の改革こそが、新しい地方自治のスタンダードとして成功に導いていただきますことを大いに期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) (登壇)それでは、松尾議員の代表質問にお答えをさせていただきます。 まず、関西広域連合への全部参加についてのご質問でございます。 関西地域は、生活圏、経済圏等が府県域を越えて展開されております。関西圏と連携した取組を進めるためには、関西広域連合への全部参加は大きな意義があると考えております。 平成27年12月から、広域防災と、広域観光・文化・スポーツ振興の2分野に限って本県は加入をしておりますが、その他の5分野も、広域で取り組んだ方が、効果的・効率的に政策を進められるというふうに考えております。 具体的に、効率的・効果的な分野が何かというお尋ねでございますけれども、まず、関西広域連合のまだ本県が未加入の5つの分野のうち、広域産業振興につきましては、県内の企業と関西の大学や研究機関、企業などとの共同研究や企業間連携がシステム的に組織的に図られることになり、県内企業のレベルアップにつながると思われます。また、構成府県と連携した国内外へのプロモーションにより、県内企業の販路拡大や、企業誘致にもつなげていけると考えております。 それから、広域医療の分野につきましては、合同の研修会や訓練に参加することによって、災害時の医療連携体制が充実するなどの効果があると考えております。 また、広域環境保全につきましては、鳥獣被害対策などで府県域を越えた施策の展開が可能であると考えております。 それから、資格試験・免許等の分野につきましては、県が実施していた試験事務、具体的には、問題の作成、願書の受付、採点、合格証の交付などを関西広域連合で一括して行うことにより、本県での事務量が軽減するものと考えております。 それから、広域職員研修につきましては、他の構成府県や政令市の職員との交流を通じまして、本県の職員が大いに刺激を受け、また、新たなアイデアや知見を得て、それを本県に持ち帰って本県での施策の立案にそれを生かしてくれることが期待できると考えております。 また、開催を2年後に控えます大阪・関西万博は、関西が飛躍する大きなチャンスでございます。今後、大阪・関西万博に向けまして、関西広域連合で観光ルートの作成やプロモーションの実施などをすると聞いております。それに加えまして、産業振興や環境保全などの施策も展開されると聞いております。その恩恵を享受し、本県の経済の発展や暮らしの向上に尽力してまいりたいと考えております。 関西広域連合に全面参加した場合の費用負担についてでございますが、現在2分野のみの参加で年間2,500万円を県は拠出しております。全部参加の場合、人口規模が同程度の滋賀県を参考に試算いたしますと、約5,000万円になる見込みでございます。先ほども申しましたように、関西地域全体で、知恵や資源を活用し、広域で連携して課題の解決に取り組んでいくことで、費用負担に見合う十分な効果が得られると思慮しております。 また、奈良県は観光や文化の分野で、他府県にない強みを持っております。そうしたものを生かしながら関西全体を盛り上げるために、本県としても関西広域連合において力を発揮してまいりたいと考えております。 今後、関西広域連合へ奈良県が全部参加する旨の関西広域連合規約の改正依頼を行ってまいります。関西広域連合委員会において、その規約改正案を確認し、その上で、奈良県議会を含む関西広域連合の構成府県・政令指定都市の各議会で改正案をご議決いただくことになります。その後、関西広域連合の連合長から総務大臣に規約改正の認可申請がなされ、認可後に奈良県が全部参加する流れとなります。 今申しましたような、関西広域連合事務局や構成府県での手続が必要なため、全部参加できる時期については現時点では未定でございますが、できるだけ速やかに全部参加できるように手続を進めてまいりたいと考えております。 続きまして、令和5年度予算執行査定についてのお尋ねでございます。 まずは、執行停止をした予算をどういう分野へ配分し、県民生活を豊かにしていくのか、行財政改革の先に何があるのか、それについての知事の考えを伺いたいということでございますので、その質問についてお答えをさせていただきます。 今回行いました令和5年度当初予算の執行査定は、奈良県政の予算の使い方を変えていくための改革の第一歩であると認識しております。 予算につきましては、県民の皆様からお預かりした税金が原資でございますので、費用対効果を常に意識いたしまして、県民目線に沿った行政サービスとして、県民の皆様に還元することが私の責務であるというふうに認識しております。 近年、奈良県では大型の施設整備に多額の予算が使われ、また、令和5年度当初予算においても、今後、多額の建設費や維持管理費を要する大型のハード事業を推進するための予算が多く計上されておりました。 しかしながら、先ほど松尾議員のご質問にもあったように、これらの大型のハード事業は、投資に見合った効果が発現できなければ将来の大きな負担となり、それによって財政が圧迫されますので、他の分野で県民への行政サービスの低下につながることは明らかでございます。 今回の執行査定を通じまして、多額の費用を要するにもかかわらず、必要性や費用対効果などの検証が不十分な事業が散見され、改めて、県民目線での改革の必要性について痛感したところでございます。 今後とも、行財政改革を徹底し、費用対効果を意識するとともに、あらゆる世代の方々に、奈良に暮らしてよかったと実感いただけるような分野に予算の配分を変えていく所存でございます。 具体的には、教育の無償化や、子育て支援、医療・福祉の充実、さらには県内産業の振興等について、削減した予算をそうした分野に振り向けてまいりたいと考えております。 なお、今回の執行査定の結果、予算の執行を中止することになった73億5,000万円のうち、約59億円の財源が県債でございます。これだけの県債を削減したということは、将来世代が返済する借金の返済費をも、それだけ削減したということでございまして、将来世代へのツケ回しを回避したことそのものにも大変大きな意義がある、そのように考えております。 また、松尾議員ご指摘の大和平野中央田園都市構想や、大規模広域防災拠点の整備につきましては、これまで県が地元市町村とともに進めてきた事業でございまして、既に用地の確保は完了しております。 今後は、地元市町村に対して、見直しの方針についてご理解いただけるよう真摯に説明するとともに、地域の発展に資する効果的な土地の利活用など、新たな事業計画について十分な議論をしてまいる所存でございます。 それから、令和5年度予算執行査定の2点目の、平城宮跡歴史公園についてのお尋ねでございます。 平城宮跡歴史公園は、平成20年に国土交通省が取りまとめた、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園平城宮跡区域基本計画をもとに、国と県が一体となって公園整備を実施してきたものでございます。 平城宮跡歴史公園における県営区域の既存施設、これは飲食や物販等の施設から成っておりますが、平成30年の開園時から、指定管理者制度により民間ノウハウを活用して管理運営をしてまいりました。 公園来園者は春や秋の観光シーズンに集中しておりまして、まずは既存施設を活用して、春・秋に限らない年間を通じた集客努力が必要であると認識をしております。 そのため、予算執行査定により、これまで建物建設を予定していた朱雀大路東側地区につきましては、新たな建物の建設を前提にするのではなく、国とも協議を行いながら、既存施設の集客向上にもつながるような整備方法の検討を行う方針でございます。 また、平城宮跡南側地区につきましても、土地の利活用方法につきまして、民間事業者から広く意見や提案を求める調査を実施し、どのような方法が効率的・効果的でこの地区にふさわしいのか、改めて検討を行ってまいります。 今後とも、有識者や地域の意見を踏まえつつ、民間活力を積極的に活用し、平城宮跡歴史公園の観光地としての魅力の抜本的強化に取り組んでまいりたいと考えております。 3点目、女性の活躍促進についてでございます。 本県は、国の世論調査におきまして、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という、固定的な性別役割分担の意識を持つ住民の割合が、全国で最も高いという統計がございます。先ほど、松尾議員からもご指摘のあったとおり、県内の女性の就業率は全国最下位、女性の家事従事時間は全国最長というデータが出ております。 こうした点から、県では男女ともに、出産、子育て、介護などのライフイベントとキャリア形成、これを両立できる環境づくりを目指しまして、これまで取組を進めてきたところでございます。 これまでの具体的な取組といたしまして、県内企業や経済団体等とも連携して、なら女性活躍推進倶楽部を平成29年に設立し、男性も女性も働きやすい職場づくりを推進してまいりました。 今後、女性の活躍を応援するために特に重要なのは、出産・子育てなど、様々なライフイベントがある中で、時間や場所について柔軟な就労形態で、それでいて、なおかつ生産性や賃金の高い働き先を提供していくことではないかと考えております。 こうした観点から、今年度より、県内の女性を対象に、一定期間のITの研修と優良企業への就労がセットとなった女性デジタル人材育成プロジェクトを開始したところでございます。多数の応募があり、先週、当該事業がスタートしたところでございます。 今後も、柔軟な就労形態で、なおかつ生産性・賃金の高い働き先を提供するための人材育成を充実させてまいります。 また、男女ともに働き、ともに子育てを担い、それを職場、地域が応援する社会へと、社会全体の意識変革を図る必要もございます。今年度は新たに、父親の子育てエピソードを募集し、子育ての楽しさやすばらしさをSNSなどで発信する予定でございます。 国では、女性活躍・男女共同参画の重点方針を取りまとめ、今月13日に、「女性版骨太方針2023」を公表したところでございます。この国の方針に呼応しながら、本県における取組をさらに充実してまいります。 4点目の子育て支援についてでございます。 私は、本県の限りない可能性を最大限に引き出し、新しい誇りある奈良県を創るためには、とりわけ、本県の子ども、若者の未来への責任を果たしていくことが重要と考え、教育無償化、子育て支援を公約の劈頭に掲げ選挙を戦ったところでございます。今後、徹底した行財政改革の取組により、確保した財源を有効に活用し、子どもや子育て世代に寄り添う政策を大胆に進めてまいります。 まず、教育無償化については、現在、公立高校では、国の就学支援金制度による支援を、また私立高校では、国の就学支援金制度と県の授業料軽減補助制度による支援を実施しております。このうち、私立高校等における県の授業料軽減補助制度につきましては、現在は低所得層への就学を重点的に支援する制度となっておりますが、さらに幅広い所得の層に無償化を拡大すべく、本県の公立・私立高校等の状況も踏まえ、年度内をめどに制度設計の検討を進めてまいります。 子ども・子育て支援につきましては、今議会に提案している補正予算案に、子ども医療費助成の18歳までの拡大と所得制限の撤廃、ヤングケアラーへの支援などに係る予算を計上しております。今後は保育士の処遇改善に取り組むとともに、国において、こども未来戦略方針を具体的に進め、年末までに、こども未来戦略方針の具体的な戦略を策定することになっておりますことから、県としても、この動向を見極めつつ、子どもや子育て世代に寄り添った施策の検討を進めてまいります。 保育・教育は奈良県の未来への投資でございます。この信念に基づき、本県のさらなる成長に向けまして、教育の無償化、子育て支援の充実に、早急かつ着実に取り組んでまいります。 それから、5点目の産業の成長戦略についてでございます。 奈良県の名目県内総生産は、令和元年度におきまして、全国37位となっております。このうち農業産出額は、令和3年において全国45位、林業産出額は、令和3年において全国36位、製造業の製造品出荷額は、令和2年において全国39位など、いずれも奈良県の全国順位は低いものがございます。社会や経済の構造が大きく変化する中、農林業・工業の各分野で、これまでにない新しい取組が必要であることは明らかでございます。そのため、奈良県の現状を踏まえ、事業者等のご意見やご要望をきめ細かに把握し、他府県の先進的な取組を参考にしながら、奈良県の弱点を補い、強みを生かす取組を展開してまいります。 農業におきましては、伝統とも結びついた魅力あふれる食と農が本県にございますので、食と農の一体的な振興を図るため、次のような取組を推進してまいりたいと考えております。 まず、首都圏をはじめとする県内外へ、奈良県の食と農の魅力を広く情報発信してまいります。そして2番目といたしまして、優れた農産物のブランド力の強化をしてまいります。そして3番目といたしまして、ブランド力のついた農産物の海外への輸出も支援してまいりたいと考えております。 林業・木材産業においては、森林を適切に管理し、県産材の安定供給と利用を促進するため、次の取組を推進してまいります。 まず、奈良県の木の魅力を効果的に発信し、ブランド力の強化を図り、国内外でニーズに応じた販路を拡大してまいります。また、公共施設等の建築物や木製品、エネルギーなど、多岐にわたる分野での県産材の利用を推進し、需要を拡大してまいります。木材加工の生産効率化やコスト削減、品質向上等に向けた取組を支援し、用途に応じた流通の合理化も促進してまいります。 次に、工業におきましては、中小企業等に対し、技術や産業の支援を引き続き積極的に行うとともに、県内での新規産業や新興企業の創出、県内企業の新たな事業展開支援のための、次のような取組を推進してまいります。 1番目といたしまして、都市部の企業の成長意欲を奈良県に結びつけ、活力ある企業を県内に誘致してまいります。2番目といたしまして、産学官の連携を県が橋渡しし、足らざるところを補い、企業と伴走することで、県内に新しいビジネスを生み出す革新的な企業を育ててまいります。 こうした取組を関係者とも連携しながら着実に行って、奈良県の産業基盤の強化を図り、持続的な発展を実現してまいりたいと考えております。 次、身を切る改革についてでございます。 今後、県政全般にわたり行財政改革を進めていくにあたり、組織の長たる覚悟と姿勢を示すため、知事の退職手当を支給しない事に関し、必要な事項を定める特例条例を県議会に提案したところでございます。本条例が可決されれば、1期4年務めれば支給されるはずの約3,500万円の退職金は不支給となります。 知事の給料につきましても、知事等の給与の特例に関する条例により、既に令和6年3月31日までの期間について10%減額を実施しているところでございます。 徹底した行財政改革を推し進めるため、トップが模範を示して、みずから痛みを受けることが必要であるとの認識から、この給料の10%減額についても、今年度に引き続き来年度以降も実施してまいる所存でございます。 松尾議員に対する質問の答弁は以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 31番松尾勇臣議員。 ◆31番(松尾勇臣) ご答弁ありがとうございました。知事の答弁と方向性は、会派としても同じ方向を向いておりますので、もう再質問はいたしませんが、まだ少し時間がありますので、要望をさせていただきたいと思っております。 知事は先ほどの答弁で、予算執行査定でできたお金を、教育、子育て、県内企業の育成に回したいとおっしゃっておりましたが、私は、ぜひ、ハード面にも回していただきたい、このように思っております。 具体的には道路の維持管理費であります。他府県の方からも、「奈良の道路は悪いよね」とか、県民の皆様からも「他府県の道路よりも、県の道路悪いよね」というご意見をたくさん聞かせていただいております。道路の舗装の傷みや、道路の区画線、道路の表示がもう消えている箇所はたくさんございます。また、信号機のLEDの遅れなど、維持管理が万全ではない状況であります。 県民の皆様が、安全で使用していただけるような、そんな道路環境の整備に、しっかりお金も使っていただきますことを要望したいと思います。 最後に、知事がこれから行おうとしている改革は、全国でも注目をされております。覚悟を持って改革にしっかり向かっていっていただいて、県政発展に取り組むことを再度お願いいたしまして、私からの代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 山下知事。 ◎知事(山下真) 今、ご要望のございました県の道路の維持管理については、私も全く同様の認識でございまして、道路の痛み、陥没、白線のはがれ、そうしたことについては、早急に対応する必要があるというふうに認識をしておりまして、先般、県土マネジメント部長に予算を増額するから早急に点検をして、来年度予算で予算を上程するようにというふうに指示をしたところでございます。 また、信号機の設置等につきましても、今使っている信号の電球の製造が間もなく中止されるということで、信号機についても更新していく必要があるということを県警察本部からも聞いておりまして、信号機をはじめとする道路標識、そうしたものについても予算を増額して、県民の生命、健康を守るために、きっちりと対応していきたいと考えておりますので、報告をさせていただきます。 ○議長(岩田国夫) 31番松尾勇臣議員。 ◆31番(松尾勇臣) ありがとうございます。これで終わらせてもらいます。 ○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。 △午後2時56分休憩    -------------------------------- △午後3時9分再開 ○副議長(池田慎久) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、14番藤田幸代議員に発言を許します。--14番藤田幸代議員。(拍手) ◆14番(藤田幸代) (登壇)こんにちは。奈良市・山辺郡選挙区選出、公明党の藤田幸代でございます。本年4月に初当選をさせていただきました。皆様からいただきました負託に対し、この4年間、しっかりお応えしていく決意でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 議長のお許しをいただきましたので、公明党を代表いたしまして質問をさせていただきます。 初めに、よりよい奈良県の実現について、知事にお伺いいたします。 山下知事は、5月3日に就任をされ、費用対効果、前知事の思いつきと発言をされ、5月8日に、令和5年度当初予算の21項目について一時執行停止をされ、査定を行われました。 今回の執行停止事業には、奈良県の課題でもある中南和・東部地域の活性化、文化財の保存など、費用対効果だけでは推しはかれないものや、事業停止により新たな課題が出ることも想定されています。そのような中、公明党会派として、6月19日、執行停止事業の2事業について、国土交通省、文化庁、スポーツ庁の担当者の方々との意見交換に行かせていただきました。 まず、大和西大寺駅の高架化及び近鉄奈良線移設に関しては、近鉄大和西大寺駅周辺の開かずの踏切3か所の高架化のみ検討されておりますが、特別史跡である平城宮跡では、地下の掘削が困難な状況の中、移設しなければ高架化が実現しない可能性もあるのではないでしょうか。現在、改良すべき踏切道に指定されている、新大宮第1号踏切道に西九条佐保線が平面交差のままになれば、新大宮駅周辺のさらなる渋滞と、西九条佐保線の整備効果が減少するおそれがあると考えます。 また、文化庁が作成されました特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画には、近鉄奈良線の取扱いについては、移設等を含めた将来のあるべき姿について、必要に応じ都市計画上の位置づけを行うことが求められることや、近鉄奈良線は、景観の観点からは支障となっており、関係機関において、移設等を含め将来にあるべき姿について、協議・検討を進めることを求められると記載されております。つまり、平城宮跡内については、現状のままでは、景観・環境が守られないということになります。 そして、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の施設整備については、知事は、新設の施設はつくらないと執行停止をされ、施設改修をしていくと述べられました。奈良県内の多くのスポーツ施設は、昭和59年開催のわかくさ国体を契機に施設整備をされ、現在、老朽化が進んでおります。事業査定をするのに、新施設の建設費用と改修による費用と比較はされたのか、また、改修する施設の数、改修費用、耐用年数などの調査も必要ではないのかと考えます。 また、橿原市での主会場となり得る陸上競技場、アリーナ建設を契機に、奈良県のスポーツ振興や県民の健康増進、競技者などの技術の向上や中南和の地域活性化には、起爆剤になると考えます。橿原市だけではなく、近隣市町村や住民、関係機関も期待を寄せていただいております。 他の執行停止事業も同じでございますが、これまで、奈良の課題をもとに、国や各市町村と連携をとり、議会で議論をし、地域住民にもご協力をいただきながら、長い時間を費やし、課題克服のためのプロセスを経て事業を推進してきたと思っております。事業を停止することによって、今後の方向性が見えないと不安に思っておられる県民も多くおられます。 そこで、知事にお伺いいたします。 予算執行停止をいたしました事業の中には、費用対効果だけでは事業効果をはかれないものもあると思いますが、それにもかかわらず、関係者との議論を経ず、執行停止を判断されたものもあるように感じております。今回の予算執行査定を経て、今後どのように関係者との議論を進め、よりよい奈良県を実現していくのか、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、こども施策及び少子化対策について、知事にお伺いいたします。 少子化は、日本が直面する最大の危機であります。全国での昨年の出生数は初めて80万人を割り込み、想定より早く進んでおり、このペースが続けば、2060年近くには50万人を割り込むとの厳しい予想もございます。また、日本の人口で見ましても、2021年1月1日時点と2022年1月1日時点で比べますと、72万人減っているということですので、72万人の人口である徳島県全体とほぼ同じ規模の人口が毎年減っていると言われております。こうした少子化傾向を2030年代に入るまでに反転させることができるかどうかが重要な分岐点となり、2030年までをラストチャンスとして取り組まなければならないと言われております。 そこで、今年4月にこども基本法が施行され、こども家庭庁が設置されました。こども基本法には、すべてのこどもの権利が保障されるものとして、こども・若者の意見表明の機会・参画の確保、意見の尊重、その最善の利益を優先して考慮することが基本であると明記されております。 これまで私は、こども施策や子育て施策は、保護者視点・大人視点であり、子どもの視点の施策ではなかった、子どもの声が政治に生かされていないと感じてまいりました。いちばん身近に感じてきたことを申し上げますと、私は10年前まで奈良市の学童保育で指導員を8年間務めてまいりました。もとより、学童保育事業は、保護者の就労支援を目的としての事業ですので、保護者視点となるのは当然のことであると考えますが、子どもたちと現場で接してきた立場として、高学年になると、学校を終えた放課後の過ごし方を自分たちで考えたい、選びたい、好きな友達と好きなことをして過ごしたい、そういう思いを抱える高学年の児童がほとんどでした。ライフステージから考えても、自立に向けて成長していく年齢であると考えると、そうした子どもの思いは当然ではないかと感じてまいりました。 また、別のことからは、働く保護者の就労支援のために、病気になった子どもを安心して預けることができる病児保育・病後児保育という制度もあります。当然、急な子どもの病気や仕事の状況により、仕事を休めない場合もありますので、すべてを否定するものではございません。しかしながら、制度として、病気になりいつもより心細い気持ちを抱く子どもに対して、子ども視点から、病気のときぐらいは安心して保護者が仕事を休めるような制度も必要ではないかと感じてまいりました。 こうしたことにとどまらず、これからのこども・若者政策については、すべてのこどもの権利が保障されるものとして、こども・若者の意見表明の機会・参画の確保、意見の尊重、その最善の利益を優先して考慮することを基本とされていくものと期待しております。 また先般、政府より、少子化対策のためのこども未来戦略方針が発表され、来年度、2024年度から3年間を集中取組期間として具体策が示されました。ここには、公明党として、昨年11月に提言をいたしました、子育て応援トータルプランから多く反映をされております。 こども未来戦略方針の主要な具体策は、既にメディアで報道されておりますとおり、児童手当の拡充や出産費用の保険適用、こども誰でも通園制度の創設など、国が進めていく施策でございますが、そのほかにも、ひとり親家庭などの子どもの貧困、障害児、そして医療的ケア児の支援の拡充なども戦略方針に含められております。これらの具体的支援につきましては、各自治体で取り組むべき少子化対策として、国と地方が一体的に取組を進めなければ、日本の少子化傾向を反転させることはできません。 そこで、知事に伺います。 国において、こども基本法が施行され、こども施策等にあたってはこどもの意見を尊重することが基本理念とされました。また、こども未来戦略方針が閣議決定されるなど、国と県が一体となって少子化対策に取り組むことは、今後ますます重要となってきていると考えますが、これらを踏まえ、本県におけるこども施策や少子化対策について、知事はどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 次に、若者支援について、知事にお伺いいたします。 複雑化する社会状況の中で、若者が抱える生きづらさは増加傾向にあります。生きづらさを抱える若者の中でも、1つ目に、ひきこもりをはじめとする精神的課題を持つ若者への支援についてお尋ねいたします。 様々な理由を背景に、引きこもりになっている若者や社会的自立が果たせていない若者などが多くなっており、そうしたひきこもりをはじめとする精神的課題を持つ若者の支援に関しては、当該者はなかなか相談窓口へ来られることが難しい場合が多く、当該者周辺の方からのご相談を想定し、アウトリーチできる支援体制の確保、また、一人ひとりのケースに応じた支援、関係機関が連携した支援が必要となってまいります。そして、精神的課題を抱える若者が社会的自立に至るには、関係機関が連携したステップを踏んだ伴走型の支援でなければなりません。 そこで、知事にお伺いいたします。 ひきこもりをはじめとする精神的課題を持つ若者に対して、関係機関が連携した相談支援の現状と今後の取組についてお伺いいたします。 2つ目に、若者の就労支援について、知事にお伺いいたします。 バブル経済が崩壊してから長く経済が低迷している状況で、就職氷河期世代から今の若い世代までの中には、安定した仕事に就けずに、不本意ながら不安定な仕事をせざるを得ない状況にある若者、安い賃金での就労からなかなか転職の機会を持てない若者など、経済的不安を抱える若者が多くいます。 このままでは、将来に希望が持てない、そのために結婚に踏み切れない、そのために子どもを産み育てることが不安であるという若者の声を多く聞いてまいりました。若者が安定した所得を得るため、かつ希望する仕事につけるための就労支援が必要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 若者が安定した所得を得るため、また、希望する仕事に就けるようにするため、県の就労支援にどのように取り組んでおられるのでしょうか、お尋ねいたします。 次に、発達障害の子どもへの支援について、知事にお伺いいたします。 6月補正予算案の中に、新規事業、発達障害の子どもへの支援、予算額100万円の事業内容には、発達障害者(児)に対する包括的かつ継続的な支援体制を検討するための調査を実施とあり、まずは相談ケースごとの支援の現状を調査し、その課題から、あるべき支援体制を検討する予算と説明されています。 この3月まで、私は奈良市で市議会議員を務める中で、発達障害児への支援として、早期発見・早期療育、ライフステージに応じた切れ目ない包括的支援の必要性を強く訴え、取り組んでまいりました。今回の補正予算案は、そうした支援を構築するための予算であると理解しております。 大変多くなっている発達障害児への支援には、早期発見し、早期療育を確保することで、その後の発達段階での生きづらさ解消に大きな影響を及ぼすこととなります。そして、それぞれの個に応じた特性を理解するために、まずは、全県的に不足している小児精神科医の確保が必要であり、発達障害児を包括的に支援していくためには、医療・福祉・教育の連携が欠かせないと考えます。 そこで、知事として、発達障害児への支援の現状と今後の必要な取組をどう捉えておられるのか、お尋ねいたします。 次に、ヤングケアラーへの支援について、知事と教育長にそれぞれお伺いいたします。 ヤングケアラーとは、大人が担うような家事、家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもの総称で、お手伝いの域を超えた過度な負担が、学業や健康、友人関係、将来の進路にも影響を及ぼすと指摘されております。 国による支援策といたしまして、学校での実態調査、認知度向上の取組、相談支援体制の構築、ヤングケアラーコーディネーターの配置、当事者の交流の場の確保、訪問家事等の支援の確保などが示されております。そして、ヤングケアラーの早急な支援構築を求め、2022年度から3年間を集中取組期間と位置づけており、今年度はその2年目になります。 奈良県においても、教育委員会による実態調査や関係部署によるヤングケアラー支援に向けた連携会議を設置され、また、奈良県ヤングケアラー支援に関する取組方針も策定されておられます。また、今回の補正予算案では、教育研究所にヤングケアラー支援室を設置し、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの増員、支援者に向けての動画など、予算1,600万円を計上されております。支援者向けの動画に関しましては、我が会派からこれまで認知度向上を図るために作成を求めていたものでもございます。これら連携会議や取組方針で示されている支援が効果あるものとするためには、特に教育・福祉の連携が欠かせません。 そこで、まず知事に、ヤングケアラーに対する現状の支援内容と今後の効果ある取組についてお尋ねいたします。また、学校現場での現状の支援内容と今後の取組について、教育長に併せてお尋ねいたします。 次に、不登校対策の取組について、教育長にお尋ねいたします。 全国的にも増加傾向にある不登校児童生徒数でございますが、令和3年度の調査では、小学校・中学校・高等学校とあわせて、過去最多となる結果が報告されました。また、この調査からは、不登校状況が長期化しているのにもかかわらず、学校内外で相談や指導を受けず孤立状況に状態に置かれている児童生徒が4万6,000人にも上ることが明らかになりました。 こうした状況を受けて、今年3月には、文部科学省は、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)を新たに策定をされております。その中で、多様な学びの受け皿の確保や支援機能の強化、柔軟な対応などが示されておりますが、特に、柔軟なカリキュラムを組むことができる不登校特例校の設置に関しては、今後早期に、すべての都道府県、政令指定都市の設置を目指すこととされております。 そして、福祉部局と教育委員会との連携強化による早期発見・早期支援についても示されております。私も、不登校対策には、早期発見時の初期対応が何より大切であると考えております。できることならば、不登校にさせることなく、楽しい学校生活を経験させてあげたいと願います。そのために、一人ひとりの児童生徒に合った教員の対応など、担任教員だけではなくチームで支援していくこと、そして、初期対応をした上での、不登校児童生徒の多様な受け皿の提供であるべきではないかと考えます。 自治体による不登校対策のための国の2023年度予算は、約85億円を確保されているということでございますので、全国割合を上回る不登校児童生徒数の奈良県といたしましても、しっかり取り組んでいただきたいと考えます。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 不登校対策については、早期発見時の初期対応や多様な受け皿の確保などが重要と考えますが、本県の取組内容と今後の対策についてお尋ねいたします。 最後に、アフターコロナにおける観光戦略について、知事にお伺いいたします。 昨年の暮れから奈良公園周辺において修学旅行生が増え、また、5月8日に新型コロナウイルスの位置づけが5類に引き下げられたことにより外国人旅行者が増え、多くの旅行者でにぎわいが見られる状況でございます。 令和2年に新型コロナウイルス感染拡大が始まり、それまで活発に取り組んでいた観光事業のほとんどが停止となり、行動制限が課せられる中、県民への県内観光促進などに取り組まれてきました。 私は、奈良県の人にまずは奈良県のよさを実感してもらうこと、そして、そのことが県外、海外の人に伝わり、アフターコロナの折には、奈良県への誘客につながるのではないか、このコロナ禍の観光事業が停止していた時間・経験を、反対に観光施策に生かしていくべきではないか、また3年余りに及ぶコロナ禍を契機として、人の行動の変容や嗜好の変化などがあり、そうしたことを加味した新たな視点に立った観光施策の展開を検討するべきではないかと考えております。 そこで、知事はアフターコロナにおける奈良県の観光施策をどのように進めていかれるお考えなのか、お尋ねいたします。 以上、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(池田慎久) 山下知事。 ◎知事(山下真) (登壇)それでは、藤田議員のご質問にお答えさせていただきます。 まず、第1点目、よりよい奈良県の実現についてでございます。 先ほど来申し上げているとおり、県政運営にあたりましては、対話と議論を大切にしていく所存でございます。しかしながら、奈良県が持つすばらしい可能性を引き出していくためには、これまでの政策や制度にいたずらに固執することなく、多少の混乱はあっても、新たな道筋を創り上げていくことが大切だと考えております。 今回、予算執行査定の対象とした大型のハード事業につきましては、就任前から、必要性や費用対効果などの検証が不十分ではないか、このため再検討が必要ではないかと考えていたところでございます。 しかしながら、令和5年度の予算は、既に執行可能な状態にございまして、これをそのまま執行して予算を無駄にしてしまわないように、また、混乱をなるべく少なくするために、知事就任後、できるだけ速やかに執行査定を実施して、予算をそのまま執行するのかしないのか判断することが必要だと考えた次第でございます。 その結果につきましては、議員各位や関係市町村長にご説明申し上げた上で、6月12日に記者会見を行い、広く県民の皆様にご説明させていただいたところでございます。引き続き、議員各位をはじめ関係者等への真摯な説明に努めてまいるとともに、事業計画の再検討にあたっては地元市町村とも十分な議論をして検討してまいる所存でございます。 今後とも、県民目線で行財政改革を進め、大型のハード事業から、教育無償化や子育て支援など、多くの県民の方々に暮らしの豊かさを実感していただけるような施策に、予算の使い方を見直してまいる所存でございます。 施策を進めるにあたりましては、県民の皆様に積極的に情報を公開するとともに、県・市町村長サミットなどの機会を活用し、市町村長と政策ベースの議論を実施するなど、庁内外における対話と議論を大切にしてまいる所存でございます。 2点目の、子ども施策及び少子化対策についてでございます。 令和4年における奈良県の子どもの出生数は7,312人でございまして、前年度比5.7%の減少でございます。本県の合計特殊出生率は全国平均よりも0.01ポイント低い1.25ポイントとなっておりまして、前年度比で0.05ポイント減少をしております。全国での順位は35位ということでございまして、依然として少子化の流れに歯止めがかかっておりません。 少子化の進行は人口減少に通ずる大変深刻な課題でございます。若い世代が希望に応じて安心して子どもを産み育てられる環境を整えることが重要であると認識しております。 先ほどもご指摘がございましたとおり、国におきましては、こども施策を一元的に企画立案し司令塔機能を担う、こども家庭庁を本年4月に設置し、こどもの最善の利益を第一に考えて、施策を推進されようとしております。そして、こうした中、少子化対策にとり組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめました、こども未来戦略方針が今月策定されまして、方針を具体化した戦略が年末までに策定される予定でございます。 県では国の動きを踏まえまして、これまで各部局で個別に実施してまいりましたこども・子育て施策につきまして、総合的かつ部局横断的に取り組むため、新たに、来月にも、(仮称)奈良県こども・子育て推進本部、これを庁内に設置する予定でございます。こどもに関する施策を社会の真ん中に据えて推進する、こどもまんなか社会の実現に向けまして、取組を進めてまいります。その際にはこども基本法の基本理念である、こどもの意見の尊重に留意してまいりたいと考えております。 こうした方針のもと、まず今年度におきましては、子育て世帯を応援し、社会全体で子どもを育む機運を醸成するため、電子割引クーポンを配布し、県産品や子育て関連グッズなどを購入できる、奈良っ子はぐくみキャンペーンを実施してまいります。また、ひとり親家庭の皆様方が、困り事をスマートフォンに入力すれば、支援の手続がすぐ表示されるような子育て支援アプリの開発を現在行っているところでございます。 さらに、保育士実態調査を早期に実施いたしまして、その調査結果を踏まえ、県内の保育士の処遇改善にも取り組んでまいりたいと考えております。 3点目の若者支援についてでございます。その1つ目、ひきこもりについてでございます。 ひきこもりをはじめとする精神的課題を抱える若者は、様々な要因の結果として、社会的参加を長期にわたり回避している状態であることから、本人やその家族に寄り添った個々の状況に応じた支援が必要と認識しております。このため、相談者の状況に応じた相談体制の整備が必要でございます。 現在、県庁におきましては、平日に常時3名体制のひきこもり相談窓口を開設しております。3名とも、臨床心理士または公認心理師の資格を有しております。また、橿原市や五條市、王寺町、大淀町への出張相談や、来所が困難な方への訪問相談のほか、オンライン相談も実施しております。さらに、精神的課題を抱える若者に対しては、県で教育、医療、福祉、雇用など、様々な分野の機関が連携する、奈良県地域若者自立支援ネットワーク連絡会議を組織しておりまして、総合的な支援ができるよう体制を構築しております。 積極的に相談者を訪問して行う支援、いわゆるアウトリーチや、伴走型の支援のためには、身近な市町村の果たす役割も重要でございます。県では、市町村のひきこもり相談窓口の設置を働きかけ、現在31の市町村に設置されております。また、県・市町村ひきこもり支援ネットワーク会議を設け、県と市町村で連携して取り組んでいるところでございます。そのほか、市町村担当職員の資質の向上を図る研修や、県相談員の派遣などの支援も実施しており、このようにして、市町村の相談体制の整備を県が支援しているところでございます。 また、ひきこもり対策といたしましては、段階に応じたケース対応も大切であると認識をしております。本人が外出できない段階では、家族への支援が中心となるため、同じ悩みを持つ家族が集まる場を県が設置しております。また、相談者の希望に応じ、医療、福祉、就労支援などに対応した専門相談員の助言や、面談参加も行っております。さらに、外出が困難な本人に対して、臨床心理士等による訪問相談を委託により実施しております。 本人が家族以外の人と関わることができる段階においては、自宅以外の場所での様々な活動、体験ができるグループ活動の機会を提供しております。また、本人を社会参加につなげるため、居場所づくりを行っているNPOなどと連携した支援も実施をしております。 ひきこもりをはじめとする精神的課題を抱える若者の一人でも多くが社会参加できるよう、県と市町村、さらには、教育、福祉、保健医療、雇用など、様々な関係機関のネットワーク会議により、連携・支援を進めていく所存でございます。 次に、若者の就労支援についてでございます。 若者が希望する職業につき、未来に希望を持ちながら安心して暮らすことができる地域社会を実現するため、人材育成や就労支援、再就職支援に取り組んでいるところでございます。 具体的には、求職中の若者を対象に、奈良しごとiセンター内に、ならジョブカフェを開設しております。キャリアコンサルタントが就職活動プランの作成を支援したり、相談に応じたり、就職マッチング等を実施しております。 さらに昨年度から、企業が求める人材を育成し正規雇用につなげるため、オンライン学習と企業での実務研修をセットで行い、企業と求職者をマッチングする、雇用予定型リカレント教育を実施しております。当事業の規模を拡大し取組を強化するため、所要額について、今議会に補正予算を提出しているところでございます。 また、働くことに不安を感じている、主に無職の若者を対象として、心理カウンセリングや職場実習、保護者を支援するセミナーなどを実施し、就労を支援しております。 一方で在職者に対しましても、安定した就労と所得増を目指し、非正規社員から正規社員への転換を支援するため、県が事業者に提供するオンライン学習コンテンツに、ITスキルやビジネススキル等を習得するためのカリキュラムを追加しております。 これらの取組に加えまして、賃上げを行う事業者に対する給付金や、働く人を応援するプレミアム付きクーポンの配布を行い、働く人の所得向上を図る取組を進めるべく、今議会に補正予算を提出しております。 今後とも、関係機関とも連携しながら、若者一人ひとりの状況やニーズにマッチした取組を進め、若者が希望を持って働くことができる地域社会の実現を目指してまいります。 続きまして、4点目、発達障害の子どもへの支援についてでございます。 私は、子ども・子育て支援の拡充を目指し、発達障害の子どものサポートを公約に掲げたところでございます。発達障害の子どもの支援には、藤田議員が述べられました、早期発見、早期療育、ライフステージに応じた切れ目ない包括的かつ継続的な支援が重要であると認識しております。 こうした観点から、本県ではこれまでも様々な取組を行ってまいりました。まず、発達障害児(者)に対する支援を総合的に行う拠点として、平成18年、奈良県発達障害者支援センターを設置いたしました。また、より身近な場所で相談支援を受けられるよう、平成31年には県内すべての市町村に一次相談窓口を設置したところでございます。 早期療育のためには、早期診断が重要でございます。また、それに続きまして、その後の子どもの成長に応じた適切な支援に関する医学的見地からのフォローも重要でございます。このためには、児童精神分野の医師を確保することが必要であり、医師不足分野の確保対策として創設した奨学金貸与制度に、平成30年から児童精神分野を追加しております。これまで、この制度を利用した医師9名が、県内の医療機関に勤務しております。 地域における療育支援としまして、訪問・外来による療育指導・療育相談を行う障害児療育相談機関を3か所設置するとともに、地域療育連携サポーターを配置し、市町村、教育と福祉のネットワークづくりを推進しております。 さらに、障害のある人に寄り添い、切れ目なく包括的に支援する体制の構築を目指し、本年4月に、「奈良県障害のある人及びその家庭等に生涯にわたりつながり続ける障害福祉の推進に関する条例」を施行いたしました。 今議会では、これまでの取組を検証し、さらにきめ細かく発達障害の子どもを支援するため、県と市町村の相談窓口の現状把握や相談ケースの分析を行い、相談から円滑な支援に結びつけるための課題の抽出などを行う実態調査を行うこととしており、所要の経費について、補正予算案のご審議をお願いしているところでございます。 この結果も踏まえまして、引き続き、発達障害の子どもを継続的、包括的に支援する体制を検討し、市町村や関係機関と連携しながら、障害の有無に関わらず、子どもたちが能力を発揮できる奈良県を目指してまいりたいと思います。 続きまして、5点目のヤングケアラー支援についてでございます。 ヤングケアラー支援としては、早期発見、相談支援体制の充実、社会的認知度の向上が重要だと認識しております。特に、子どもに近い立場にある市町村の児童福祉部門や学校などの教育分野での気づきと効果的な支援への継続が必要でございます。 県では、そうした支援の在り方を、奈良県ヤングケアラー支援に関する取組方針として取りまとめ、周知を図っているところでございます。 これまでの取組としては、福祉、教育担当課から成る庁内連携会議を立ち上げ、取組状況を共有し、情報交換をしております。また、市町村の相談支援体制充実のための研修会を開催しているところでございます。 今後、新たな取組としては、ヤングケアラーがいる家庭への家事代行支援等を実施する市町村への補助を実施してまいります。また、支援者のさらなる資質向上のため、研修動画の作成を今6月議会の補正予算案に計上しているところでございます。 引き続きヤングケアラーが抱えるケア負担の軽減につなげていけるよう、市町村や関係機関と連携し取組を進めてまいります。 それから、アフターコロナにおける観光戦略についてでございます。 令和2年以降、新型コロナウイルス感染症流行に対処するため、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の観光の在り方について議論を進め、令和3年7月、その成果として、奈良県観光総合戦略を取りまとめいたしました。 これに沿ってコロナ期間中の変化に対応し、以下のような取組を実施しております。 まず、新型コロナウイルス感染症防止対策施設支援補助金でございまして、これは具体的には、お店でのキャッシュレス化への対応、パーティションの設置、サーモグラフィーカメラの設置等に対して補助金を支出するものでございます。 また、新型コロナウイルス感染防止対策施設認証制度といたしまして、適切な感染防止対策が行われた飲食店や宿泊施設を県が認証する制度も実施しております。 また、県内の宿泊促進キャンペーンといたしまして、「いまなら。キャンペーン」を実施しております。 アフターコロナを見据え、継続して国内外に向けSNSなどの情報発信を実施してまいります。 こうしたこれまでの取組の成果といたしまして、観光事業者を支援し、産業の維持に貢献できたと考えております。また、衛生的な環境等、観光地としてのおもてなし環境の質の向上にも寄与できたものと認識しております。また、奈良県民が県内に泊まって旅をする新たな観光需要の喚起も一定程度できたものと認識をしております。 これらの成果を踏まえつつ、今後は、大阪・関西万博など新たな視点を取り込むとともに、民間のアイデアを取り入れ、新たな視点により強力に観光振興を推進するための体制として、観光戦略本部を立ち上げたいと考えております。 また、具体的に重点を置いて進めていきたい観光情報発信のテーマは、次のとおりでございます。 世界的に関西が注目される2025大阪・関西万博を、本県をアピールする絶好の機会と捉えまして、近隣府県とも連携し、国内外からの誘客を促進してまいります。 また、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の世界遺産登録を目指し、奈良の歴史文化の価値の普及と保存継承の機運を高め、郷土の誇りの醸成を図るとともに、誘客促進にもつなげる取組を展開してまいります。 また、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年を来年に控え、宿泊施設の誘致等、観光振興を図ってまいります。 以上のような観点に意を払いつつ、積極的な観光振興の取組を進めてまいります。 私からの答弁は以上でございます。 ○副議長(池田慎久) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)14番藤田議員のご質問にお答えいたします。 私には、1つ目、ヤングケアラーの支援についてでございます。 県教育委員会では、令和3年、令和4年と2年連続して、6月にヤングケアラー等に関する実態調査を実施いたしました。令和4年調査では、中学生が約2万6,000人、高校生が約1万5,000人の回答がございまして、家事や家族の世話を週3日以上かつ平日3時間以上行う生徒が、中学生で207人、高校生で100人おり、県教育委員会では要支援生徒と認定をいたしました。また、ヤングケアラーの認知度は、中学生20.3%、高校生が32.2%と低く、引き続き、認知度を高めることが重要と考えております。 調査後、各学校では要支援生徒全員との面談を実施し、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、関係機関との連携や、継続的な見守りと支援等を依頼いたしております。その結果、既に連携していた者も含め、37人の要支援生徒は関係機関と連携した支援につながっております。また、スクールソーシャルワーカー等を講師とした教員向け研修を実施し、認知度の向上にも現在取り組んでおります。 今議会におきまして、教育研究所にヤングケアラー支援室を設置し、専属の支援コーディネーターを配置するとともに、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを増員するための補正予算を要求いたしました。今後、要支援生徒一人ひとりの実情に応じた支援と、認知度向上による早期発見、早期対応に努めてまいります。 2つ目は、不登校対策についてでございます。 本県における不登校の現状は、令和3年度の調査におきまして、30日以上欠席の不登校児童生徒数は、1,000人当たりでございますけれども、小学校で15.3人、全国平均は13.0人でございます。中学校で54.5人、全国平均では50.0人。高等学校では21.2人、全国平均では16.9人と、いずれの校種も全国平均を上回っております。このため、県教育委員会では、不登校児童生徒への支援や保護者・教職員への助言を行うため、スクールカウンセラーをすべての県立高等学校、公立中学校・義務教育学校と30校の小学校に配置をいたしております。また、スクールソーシャルワーカーを県教育委員会から市町村に、6市13町12村の教育委員会に派遣をいたしております。 また、出席日数が10日以下の中学生の生徒でありますけれども、これ、調査開始が平成27年度からでございまして、その当時136人おりましたけれども、令和3年度では243人と急増いたしております。このことから、本年度6月、学校や適応指導教室等とのつながりを持てない中学生を対象に、不登校支援のための奈良県ネットワーク型フレキシスクール、略しまして、不登校支援ならネットと呼んでおりますけれども、この運営を6月から開始いたしました。既に13名の生徒がベネッセの学習用ソフト、ミライシードによりまして、オンライン学習に取り組んでくれております。現在約60名の対象生徒を把握し、希望する生徒や保護者に、オンラインカウンセリングを実施するなど、必要な支援を検討しているところでございます。 次に、高等学校における不登校対応についてでございますが、来年度から、山辺高等学校に通信制を設置いたしまして、通信制の協力校にすべての県立高等学校を指定する予定でございます。協力校に指定をいたしますと、通信教育のスクーリングやテストの実施が可能となります。来年度から、県立高等学校で不登校の生徒が出た場合には、自校でのスクーリング等を実施しながら、山辺高等学校通信制での単位取得を目指してまいります。36単位までは、校長が学校外の単位として認めることが制度上は可能となっておりますので、自校の単位を合わせて卒業できる制度を新設いたします。1年間遅れることのない、全国的に例のない制度となると考えております。 以上でございます。 ○副議長(池田慎久) 14番藤田幸代議員。 ◆14番(藤田幸代) 2問目は、要望とさせていただきます。 まず、よりよい奈良県の実現について、知事のご答弁をお聞かせいただきましたが、公明党会派として、知事が今年度予算の一部執行停止をすることにより、今後の影響が懸念をされます。 例えば、大和西大寺駅周辺は、高架化のみの実施で、近鉄奈良線移設はしないとの内容の方針を発言されております。このことに対して、国土交通省の担当者は、県は令和3年に策定された踏切道改良計画に基づく対策を行ってくれるものと考えておられ、文化庁の担当者からは、「平城宮跡内の整備はそのままでいいとは思っていない。そのような説明も聞いていない」という内容のお話をお聞きいたしました。また、新大宮駅周辺のさらなる渋滞と、西九条佐保線の整備効果が減少するおそれなど、新たな課題も考えられます。 スポーツ施設整備に関しても、あらゆる調査や検証が必要ではないか。変更するのであればどのような変更をするのか。変更した場合の弊害なども調査しなければいけないのではないか。決断するには調査も不十分であると考えます。 知事には説明責任がございますので、みずから国や関係者、協力していただいている方々に説明をすべきであり、現計画を進めないのであれば、早急に新たな事業案を示す責任があると考えます。この点につきましては、公明党会派として、今後の質問の機会において議論をさせていただきます。 次に、こども施策及び少子化対策について、これからの子ども支援や子育て支援、少子化対策を検討される時点で、子ども、若者の視点、また、直接の声を施策に反映させること、また、日本の最重要課題となる少子化対策に県として迅速な対応をお願いいたします。 そして、若者支援につきましては、公明党が政府へ提言いたしました子育て応援トータルプランでございますが、その支援のもととなるのが、若い世代への経済的支援でございます。結婚をし家庭を持ちたいという若者の希望をかなえ、子どもを安心して産み育てていく。そのための子育て支援の充実、教育の無償化、経済的なことを理由に進学を断念することがないよう、高等教育の無償化、また、そうした若者が経済的自立を果たし、家庭を持ち、子どもを安心して産み育てていけるといった、循環していける仕組みづくりでもあります。少子化対策のための、この循環する仕組みの要となるのが、若者の社会的自立、経済的自立に力を入れていっていただきたいと要望いたします。 発達障害児への、子どもへの支援についてでございますが、発達障害児が増加傾向であること、精神的課題を抱える若者の中に、発達障害に対して適切な支援を受けることができなかった若者が一定数いることを考えますと、早期発見・早期療育、切れ目ない包括的支援体制に早急に取り組んでいただくことを要望いたします。 ヤングケアラー支援につきまして、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの増員とともに、スキルのあるワーカーの確保で効果的な支援につなげていただくことをお願いいたします。また、教育研究所のヤングケアラー支援室に配置されます支援員におきましても、福祉等に熟知されていないと支援にはつながらないと考えますので、その点についてもお願いをいたします。そして、訪問家事支援といった支援の確保についても、各市町村、奈良県内では6市町しか確保されていないとお聞きしますので、そちらの推進の方もお願いしたいと思います。 そして、不登校対策につきまして、まずは、年間出席日数が10日以下の生徒を対象に支援されるとのことでした。年間出席日数が11日以上の児童生徒の支援についても、今後、支援の確保をお願いいたします。 観光政策につきまして、他府県の先進事例や、観光分野での専門家の知見を取り入れること、また、政府が進める官民連携した観光のまちづくりなど、アフターコロナを迎えるにあたり、観光事業の復活を機に、新たな視点を取り入れた観光施策をご検討ください。 最後に、今の社会状況の中で、生きづらさを抱える方への支援は、包括的なものでなければなりません。そのために、関係部局の連携が欠かせないものと考えます。また、県が各市町村を牽引していく、積極的後押しをしていく、そのために知事のリーダーシップを発揮していただくことを強く要望いたします。 以上で、公明党を代表いたしましての質問とさせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(池田慎久) 次に、41番藤野良次議員に発言を許します。--41番藤野良次議員。(拍手) ◆41番(藤野良次) (登壇)改新ならの藤野でございます。物事を改めて新しくするという改新の思いを持って、今後の県政発展に努めてまいる所存です。皆様のご指導、ご鞭撻、よろしくお願い申し上げます。 質問の前に、12日に公表された予算執行査定の結果についてでありますが、事業の全部または一部の執行を中止するものの中には、期待の大きかった取組があります。私の周辺で申し上げますと、奈良県立工科大学の設置推進に向けた取組については、県内産業の発展に向けた産学官の連携や協働及び優秀な人材の育成に多くの期待が集まっていました。また、まほろば健康パークの機能強化については、子どもの世代別に分けた遊びの空間を提供する取組として、子どもを持つ保護者の方々からは完成を楽しみにしているとの声が寄せられていました。こういった奈良県の将来未来を見据える事業や、チルドレンファーストの取組とともに、県民の暮らしや福祉の向上、安全・安心のまちづくり、地域の活性化に向けての取組に奈良県として積極的に支援を行うべきであると願うところです。 それでは、議長のお許しをいただき、会派を代表して質問を行います。 初めに、奈良県中央卸売市場の再整備について知事にお伺いします。 奈良県の中央卸売市場は、昭和52年に県内数か所にあった市場を統合して、県内全域を流通拠点とする全国で最初の県営中央卸売市場として開設され、県民の台所としての役割を果たすべく、安全・安心な生鮮食料品の安定供給という責務の遂行に努めておられます。 しかし、今年で46年たつ施設の建て替えは現在行われておらず、老朽化が著しく進んでいる状態です。改めて施設を見ますと、確かに、コンクリートがひび割れていたり、各部がさびついていたりと、老朽化は一目瞭然であり、聞くところによりますと、ひどい雨が降ると次の日には雨漏りが起こることもあるとのことです。 また、開放型の施設となっているため、鳥獣害の被害もあると聞き及んでいます。このような中、衛生面・管理面・安全面など様々な観点から早急に施設の改善を行うよう、代表質問や一般質問において強く求めてきたところです。 一方、全国的にも、市場施設は建て替えの時期を迎えており、他市場でも再整理が進んでいます。近畿地方においても、令和4年4月には和歌山の水産部門が、令和5年3月には姫路市場と京都市場の水産部分が再整備を終えて新たに開場しており、京都、和歌山では、さらに青果部門に着手しているとのことです。また、大阪府の中央卸売市場では基本計画を策定中ということです。 こうした動きの中、どの市場も、時代の流れに対応した高機能化・効率化を図っており、流通の大競争時代の中、産地や小売から選ばれる市場となっていかなければなりません。県におかれましては、令和3年12月に奈良県中央卸売市場再整備の基本方針を策定され、老朽化した市場施設を建て替え、食の安全・安心にも配慮した高機能化・効率化を図るとともに、卸売市場の特性や立地条件を生かしたにぎわいを生み出す施設の整備を打ち出されました。また、余剰地を活用し、県民や観光客が訪れる地域のにぎわい拠点となるよう、一体的な市場の再整備に向けた取組を示され、大いに期待をしていたところであります。 しかし、このたびの予算執行査定の結果において、事業の一部執行中止となりました。今回の再整備の遂行にあたり、都市計画の変更に対する協力や、近鉄平端駅東側出口の整備に向けた取組など、市場を核としたまちづくりを進めようとされていた大和郡山市や市場の周辺地域の方々は、大変残念な思いでおられるとお聞きしています。また事業者の方々も、再整備に向けての議論を日々重ねてこられ、ようやくこれからスタートというところでありましたので、落胆されている方が多いのではないかと推察いたします。改めて、県と市、事業者の方々との協議の場を持っていただき、一体的な市場の再整備に向け、積極的な議論を交わしていただきたいと強くお願いするところです。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 奈良県中央卸売市場の再整備について、これまでの整備計画を再検討するに至った理由と、今後、市場施設の再整備にどのような方針で取り組んでいくのか、併せてお聞かせください。 次に、県と市町村の協働によるまちづくりについて知事にお伺いします。 広域的な観点から、地域創生に資する駅、病院、社寺、公園などの拠点を中心としたまちづくりを進め、その特色に応じた機能の充実・強化を図るとともに、拠点間相互の連携を強化することによって、県全体として総合力を発揮する都市形成を目指す、県と市町村との協働によるまちづくりは、平成26年から始まり、今年で10年目となります。 まちづくりに前向きで、アイデアや熱意のある市町村において、その方針が県の方針と合致するプロジェクトについては、県と市町村で連携協定を締結し、協働でのプロジェクトを実施していくとのことですが、現在、27市町村において包括協定が結ばれ、それぞれにおいて取組が進められています。既に事業が完了した地区や、基本協定を結び、基本構想や基本計画が策定され、事業実現に向け機運醸成を図っている地区もございます。各地区からは、県管理施設の改修や県有地の活用などの県事業と市町村のまちづくりを一体的に取り組むことにより、より効率的なまちづくりが進められることに期待が寄せられています。 いずれにしても、県と市町村が対等の立場で、おのおのの役割を果たしながら、事業をスムーズに、そしてスピーディーに進めていくことは大変望ましいことであり、大いに評価するところであります。引き続き、各地区の発展に向けた県と市町村との協働によるまちづくりについては、より一層の推進を図っていただきたいと願っております。 一方、私の地元であります近鉄郡山駅周辺地区のまちづくりについてですが、本年の2月3日、奈良県と大和郡山市、近畿日本鉄道の3者において、近鉄郡山駅移設に関する基本協定が締結されました。協定は、県と市で作成した近鉄郡山駅周辺地区まちづくり基本計画に基づき、3者間の役割分担や費用負担などの事業推進の枠組みが決定され、新たな橋上駅舎の整備等に関しては、近畿日本鉄道が施工し、約40億円を見込む費用については、国庫補助金を活用の上、県・市・近畿日本鉄道の3者で均等に負担。駅前広場・歩行者デッキ等の駅周辺施設の整備は市が行い、費用は、まちづくり連携協定制度に基づき、県と市で負担額について定める個別協定が別途締結されました。 新駅は、現駅舎から北に約150メートル移設し、橋上に改札口を設置、ホームの上に東西自由通路が整備されます。これにより、駅前周辺の交通の利便性や安全性が高まることが期待されます。今後の予定としては、本年度より工事着手に向けた現地調査を開始するほか、県では、まちづくりの機運醸成を促進するセミナー等の開催が予定されています。 駅の移設、駅前広場などを含めた全体の総事業費は、市が実施した概算設計によりますと約100億円を超える見込みとなりますが、関係者が連携して、2030年度の新駅舎供用開始を目指し、積極的な取組が進められることに大いに期待をしているところであります。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 県と市町村が連携し、地域の活性化につながるまちづくりを積極的に推進する必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。また、現在、取組が進められています近鉄郡山駅周辺地区のまちづくりについて、知事の考えや今後の方向性についてお聞かせください。 次に、子ども医療費助成について、知事にお伺いします。 現在、子どもが病気やけがにより医療機関等を受診した場合に、窓口で支払う医療費を助成する子ども医療費助成制度については、全国すべての地方自治体において制定され、取組が進められています。ただし、自己負担額の無料や一部負担の助成、対象年齢及び所得制限の有無など、各自治体の財政状況によって差が生じているのが現状です。また、医療費支払いにおいても、医療機関を受診するときに窓口で一旦自己負担部分を全額支払い、後日助成金を受け取る自動償還払いと、医療機関を受診するときに自己負担分の先払いがない現物給付とがあり、対象年齢によって違ったりしています。 このような状況は、県内各市町村でも同様であり、子育て中の保護者の方々から、制度内容が違うことへの不満の声が寄せられています。特に、医療費の支払いについては、自動償還払いは、助成を受け取るまでに時間がかかってしまいますので、対象者すべてを現物給付にしてほしいとの訴えが多くございます。 こういった現状の中、山下知事は今回の知事選挙で、子どもの医療費助成について、市町村による支援の差をなくすため、県と市町村が知恵を出し合う協議の場を設け、奈良県に住んでいるすべての子どもが安心して医療を受けられるようにしますとうたわれています。また、医療費の無償化を進めている市町村もあり、こうした動きを全県的に展開していく必要があると考えていますと記されています。改めて、安心して子どもを産み育て、子どもが健やかに育つ環境づくりを目指すことは、奈良県の将来・未来にとって大切なことは言うまでもなく、これからも子どもたちに対する支援の充実に努めていただきたいと強く願うところです。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 今年8月までには、県内全市町村において、子ども医療費助成の対象が高校生世代まで拡大される予定であり、県も、それに伴う経費の2分の1を負担する方針と聞いていますが、さらなる子育て支援のため、自動償還方式を現物給付方式に改めるとともに、県内全市町村で子ども医療費助成の完全無償化を目指すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、高齢者に対する移動の確保について、知事にお伺いします。 さて、今回の県議会議員選挙を通して、様々なご意見なりご要望をいただきましたが、高齢者からのご相談で最も多かったのが、生活する上で必要な移動の確保でした。 加齢に伴う身体機能の低下等のため、運転に不安を感じるようになったので、自主的に運転免許証を返納したが、それ以降、膝などの痛みで歩行が困難。鉄道駅やバス停までの道のりも遠いし、コミュニティバスも自宅近くを通らない。デマンドタクシーも普及していない。行政として何らかの対応はできないのかという声が数多く寄せられました。また、そういった声は、4年前の選挙の時よりも確実に増えている状況であり、その証拠に、門から玄関まで、新たに手すりが設置されているといった家をよく見かけるようになりました。 内閣府の令和4年版高齢社会白書によりますと、国の総人口は令和3年10月1日現在、1億2,550万人、65歳以上人口は3,621万人となり、総人口に占める割合、いわゆる高齢化率は28.9%となっており、年々上昇を続けています。そのうち75歳以上人口は1,867万人で、総人口に占める割合は14.9%であり、平成12年度の倍以上となっています。団塊の世代が75歳以上となる令和7年には3,677万人に達すると見込まれています。また、総人口に占める75歳以上人口の割合は、令和47年には25.5%となり、約3.9人に1人が75歳以上となると推計されています。 その高齢者における運転について、警察庁の統計によりますと、昨年、全国で起きた75歳以上のドライバーによる車やバイクの交通死亡事故は、前年に比べ33件増の379件で、2年連続の増加となったそうです。1947年から1949年生まれの団塊世代が75歳以上となり始めた影響と見られ、増加傾向が続くおそれもあると指摘されています。 今後のことも含め、改めて高齢化社会における課題を取り上げ、真摯に取組を進めていかなければならないと思うところであり、その1つに挙げられるのが生活における移動の確保であると思っています。 県としては、10年前の平成25年7月の奈良県公共交通条例施行をはじめ、本年3月に改定された奈良県地域公共交通計画においては、多様な関係者が参加する場として、エリア公共交通検討会議が設置され、地域の最適な公共交通サービスの向上に向けた議論を進めておられることは承知いたしております。 一方、市町村においては、冒頭申し上げた、コミュニティバスやデマンドタクシーの運行、バス・タクシー利用券の発行などの取組とともに、大和郡山市では、8人乗りの車両で自宅近くから最寄りのバス停まで送迎する事業が、地区社会福祉協議会の運営によって行われています。 このように、移動の確保に向けた取組は、公共交通の整備状況や地域事情によって多様化しており、各市町村や地域は模索しながら進めている状況であると思われます。今後、地域の円滑な移動手段として、バス路線の維持策をはじめとした公共交通のさらなる充実を求めるとともに、市町村における移動の確保に向けた取組について、県の側面的支援をお願いするところであります。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 高齢者の運転免許証の自主返納が進む中、生活における移動の確保が喫緊の課題と考えますが、現状と今後の取組についてお聞かせください。 次に、踏切内の安全対策について知事にお伺いします。 今日の社会において、急速に進む高齢化への対応や、障害の有無に関わらず日常生活や社会生活ができる社会を目指す、ノーマライゼーションが重要な課題であり、誰もが暮らしやすい社会であるユニバーサル社会の実現に向けた取組が求められています。今後、より一層、共生社会を具現化し、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくためには、移動経路上及び施設の利便性と安全性の向上を図ることが重要であると考えます。 現在、県においては、「奈良県障害のある人もない人も、ともに暮らしやすい社会づくり条例」が制定されており、あいサポーターの養成など、あいサポート運動の推進が図られています。また、障害者、高齢者等をはじめとするすべての人々にとって、安全で快適な移動の円滑化に配慮された鉄道駅の整備を促進するため、鉄道事業者が行うバリアフリー化整備に対し支援を行っておられます。 そのような取組の中、昨年4月25日、大和郡山市の近鉄橿原線の踏切内において、視覚に障害のある女性が列車と接触し亡くなられるという痛ましい事故が発生したことは記憶に新しいところです。このことを受け、県議会では、視覚に障害のある人に対する鉄道事業者による総合的な安全対策を求める決議を採択するとともに、国に対する技術的・財政的支援を求める意見書を可決し、国に提出いたしました。また、事故を受け、国土交通省は、道路の移動等円滑化に関するガイドラインを改定し、踏切道での視覚障害者の誘導についての整備内容を明確に規定しました。 現在、県内において、踏切内点字ブロックが設置されているの4か所で、事故現場と今年2月に香芝市内に2か所、5月に橿原市内で整備、奈良市も新大宮駅東側にある新大宮第1号踏切に設置されるとお聞きしています。新聞報道によりますと、順次設置が進められていることについて、当事者団体等から評価の声と今後の整備に期待が寄せられているということです。 今後、県内600か所の踏切のうち、利用の多い箇所の選択を行い、優先的に進めることになろうかと思いますが、設置費用には多くの予算が必要となりますので、県の財政的支援が求められます。 そこで、山下知事にお尋ねいたします。 視覚障害のある方が安全・安心に踏切を通行できるよう、誘導用ブロックの設置などの対策を、市町村と連携を図りながら早急かつ計画的に進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。 次に、学校給食費の無償化について、教育長にお伺いします。 少子化対策の一環として、保護者の経済的な負担を軽減するため、公立の小中学校の給食費を国が事実上負担することで無償化するとした学校給食法の改正案は、衆議院において継続審議となりました。子どもたちの栄養改善のために始まった学校給食の役割は、時代とともに変わってきており、義務教育の間は親の収入に関係なく無償にするよう、保護者負担を求めている学校給食を改正すべきと考えます。また、無償化に必要な経費は年間およそ4,700億円と見込んでいるとのことですが、自治体によっては、財源がないため無償化に慎重な姿勢を示す場合もあり、学校給食費の無償化を国による財政措置で実現することを願っています。 さて、文部科学省の調査によりますと、給食費の月額の平均は、一昨年5月の時点で、公立小学校は4,477円、公立中学校が5,121円となっており、給食費無償化を行っているのは全体の4.4%に当たる76の自治体ということです。また、給食費無償化を行っている自治体の73%が人口が1万人以下の町村であり、自治体にいる子どもの人数が少ないため無償化を実施できていると考えられます。給食費無償化を行うためには当然財源が必要であり、比較的財源に余裕のある自治体か、もともと自治体にいる子どもの人数が少ない自治体が、給食費無償化を実施できているのが現状です。 一方、県内における状況も全国と同様であり、御杖村をはじめ8か所の村で完全無償化となっています。しかし、その他の市町村においては、独自の財源や、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用で、期間や学年を設定して実施されている自治体がほとんどであります。 公立の小学校・中学校に通っているお子さんは、義務教育のため授業料は無料ですが、お昼に食べる給食費用だけは各家庭負担となっているため、家庭によっては、家計を圧迫することにつながります。また、県内の状況のように、隣の市町村は給食費一部無償化を行っているのに、自分たちが住んでいる市町村は行っていないという声も聞かれます。学校給食費の無償化は、子どもの医療費無償化と同様、過疎化や少子化に悩む地方で子育て世代への施策として実施され、それが都市部でも広がってきた感がありますが、それだけではなく、子どもの食をめぐる状況は様々であり、給食の役割や意義を深く考えれば、市町村の取組に加え、県の支援や協力も求められるのではないかと思うところです。 そこで、教育長にお尋ねしいたします。 少子高齢化が進む中、子育て世代の負担軽減を図り、子育てしやすい環境を整えるため、学校給食費の無償化を進めるべきと考えますが、今後の取組についてお聞かせください。 最後に、起業家教育について教育長にお伺いします。 現在、国においては、新しい資本主義の実現に向けた取組の1つとして、スタートアップ育成5か年計画を昨年11月に策定し、起業家教育を1つの目標として掲げています。日本を代表する電機メーカーや自動車メーカーも、戦後直後に若者が創業したスタートアップ企業としてその歴史をスタートさせ、その後、日本経済を牽引するグローバル企業となりました。このような、戦後の創業期に次ぐ第2の創業ブームを実現しようとしています。そのための1つの柱として、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築を掲げ、意識改革も含めて起業家を育てる取組が、多角的に実施されているということです。 一方、学校教育においては、キャリア教育及び職業体験をはじめとした職業教育とともに起業家教育を進めている学校もあり、小中高生を対象にして、起業家を講師に招いての起業家教育の支援プログラムの新設や、小中高生向けに探究学習の授業時間も活用した起業家教育の実施の拡大を図ろうとしています。 優れたアイデア・技術を持つ若い人材の発掘・育成を図ることは、今後の経済発展のために重要なことと考えます。さらに、起業家教育によって、地域から挑戦する人材の裾野が広がれば、深刻な若者の流出増加の歯止めにつながるとの期待も大きいとされています。 昨年、将来を担う若者の創業マインド向上を目的として開催された第10回高校生ビジネスプラン・グランプリにおいては、全国で4,996件、455校の応募があり、関西における出場校の割合は奈良県が16%強とトップだったということで、この中から、将来の起業家が生まれることを大いに期待しています。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 子どもたちの「生きる力」として、他者と協働しながら新しい価値を創造する力などを育成するために、起業家教育が重要と考えますが、現状と今後の方向性についてお聞かせください。 以上で壇上における質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(池田慎久) 山下知事。 ◎知事(山下真) (登壇)それでは、藤野議員の代表質問にお答えさせていただきます。 まず1点目、奈良県中央卸売市場の再整備についてでございます。 市場の再整備は多額の事業費を投じる事業でございます。将来にわたって県財政の負担となるため、予算執行査定の対象とさせていただきました。 まず、もともとの市場機能でございますBtoBエリアにつきましてでございますが、市場の再整備のうち、この既存の部分につきましては老朽化が進んでいることは、藤野議員ご指摘のとおりでございます。現在も県民の台所として、県内生鮮食料品の流通を支えていることから、私といたしましても早急な建て替えが必要と認識をしております。 しかしながら、時代の流れとともに食料品流通の構造は変化しておりまして、市場の取扱い高は減少傾向にございます。したがいまして、施設整備にあたっては、こうした時代の変化に対応するとともに、適正な施設規模について、改めて市場事業者とも協議し精査する必要があると考えております。具体的には、市場の再整備に伴って使用料が値上げされることが予想されますので、そうした値上げされた使用料であっても、引き続きこの市場を利用していただけるのかどうか、そうしたことの具体的なヒアリングが必要であるというふうに認識をしておりまして、そうしたヒアリングを踏まえて、どれぐらいの規模の市場をつくればいいのか、そこを改めて検討してまいりたいと考えております。 次に、直接消費者に販売するBtoCエリアについてでございます。このBtoCエリアにつきましては、民間で実施できることはできるだけ民間で実施していただくという官民の役割分担の考え方から、民間事業者において独立採算制によるにぎわい創出ができるかどうかについて、民間事業者に対し、ヒアリングをしてまいりたいと考えております。そうした観点から、民間事業者に対しまして、現在の基本方針を前提とせず、どのようなにぎわい創出が民間事業者の方で費用負担でできるのかについて、改めてヒアリングを行ってまいりたいと考えております。 今申し上げました既存の市場を利用されている事業者の皆さん、そしてまた、BtoCエリアに進出を希望される民間事業者に対するヒアリングの結果を踏まえた上で、現在の基本方針の内容を見直し、新たな市場の再整備について早急に考え方を示していきたいと考えているところでございます。 続きまして、2点目、県と市町村の協働によるまちづくりについてでございます。 奈良県の人口は急激に減少し、高齢化も進んでおります。安心で快適な生活環境を実現することが重要でございます。こうした観点から、県管理施設の改修や県有地の活用などの県事業と市町村のまちづくりを一体的に検討することにより、効率的なまちづくりが期待できると考え、その考え方と県が合致する市町村との間でまちづくりに関する連携協定を、現在、県内の27市町村と締結し、55地区において協働でまちづくりに取り組んでいるところでございます。 この協定では地域の活力の維持・向上や、持続可能で効率的な行財政運営を目的として、ハード整備の分野におきましては市町村負担の4分の1、ソフト事業の分野では市町村負担額の2分の1を県が財政支援することを基本としております。 本県の人口は平成11年を契機に減少に転じ、高齢化と人口減少が急速に進む傾向がございます。また、その傾向は今後加速する見込みであり、こうした状況を踏まえますと、市町村と連携したまちづくりにおいても、直面する諸課題に市町村と今後ともしっかりと連携してまいりたいと考えております。 具体的には、近鉄郡山駅周辺のまちづくりについてお尋ねでございますので、これについてお答えをさせていただきます。 現在の近鉄郡山駅前は、極めて狭いスペースに自動車、自転車、歩行者が錯綜し、大変危険な状況であるとともに、駅とバス乗り場が離れており、乗換えが大変不便であるという課題を抱えていることは私もよく認識をしております。近鉄郡山駅のような県内主要駅におきまして、このような状況が長年続いているということは大きな問題であるというふうに認識をしておりまして、安全性や利便性の確保を早急に図っていくことが重要であると考えております。この解決のため、先ほどご指摘のありました、まちづくり連携協定の枠組みに基づき、県と大和郡山市で、順次、協定を結んできているところでございます。 そして、具体的な取組といたしましては、近畿日本鉄道も交えた協議を進め、まず、現駅舎を北側に移設し、踏切を通らずにアクセス可能な橋上駅舎とすることを予定しております。また、駅舎移設に併せ、東西自由通路、駅前広場の整備、バスターミナル拡張等も実施する計画でございます。こうした、安全かつ利便性の高い、駅周辺整備を進めることについて、3者で合意をいたしまして、本年2月に基本協定を締結したところでございます。この協定に基づきまして、近鉄郡山駅の周辺の整備につきましては、計画どおり、協定どおり、着実に実施してまいる所存でございます。また、今年度より、大和郡山市が工事着手に向けた用地測量や地質調査を開始する予定と聞いております。県といたしましても、駅移設に伴うまちづくりに関するセミナーを開催する予定でございます。 このように、奈良県、大和郡山市、近畿日本鉄道の3者で、令和12年度の新駅舎供用開始を目指しまして、連携協力して取り組んでいく所存でございます。 続きまして、3点目、子ども医療費助成についてでございます。 近年、少子化が加速している中、政府は、我が国の存立に関わる危機として、今月13日、こども未来戦略方針を閣議決定したところでございます。 本県は、合計特殊出生率が全国平均を下回っており、少子化対策・子育て支援が最重要課題の1つであることから、私は、子ども医療費助成制度の充実を公約として掲げ、それを実行するため、6月の補正予算案にその予算を計上したところでございます。 現物給付方式の導入についてでございますが、これは県内全市町村が令和6年8月から現物給付方式を小・中学生までに拡大されると聞いております。県はこれに対しまして、現物給付化により受診頻度が増えることに伴う医療費の自己負担分の増加、そして、国民健康保険の国庫減額調整措置に係る補填分の市町村負担の2分の1を県が負担する予定でございます。 さらに、高校生世代までの拡大についても、全市町村が合意された場合には、県は国のこども未来戦略方針の進捗の動向を踏まえ、小・中学生と同様の支援について検討してまいりたいと考えております。 次に、完全無償化については、現在、県内の大半の市町村が定額の一部負担金を設定しております。これを設定しておかないと、いわゆる頻回受診というものが起き、医療費の増加が見込まれるためでございます。また、完全無償化した場合、市町村の負担増も相当規模に上ることから、今後の対応につきましては、市町村と意見交換を行ってまいりたいと考えております。 子ども医療費助成は、子育てを支える施策の中でも県民の皆様から評価をいただいており、今後もその実現に向け、実施主体である市町村と意見交換を重ね、子育てのしやすい奈良県を実現してまいりたいと考えております。 続きまして、4点目、高齢者に対する移動の確保についてでございます。 藤野議員ご指摘のとおり、公共交通は、県民の通勤・通学、買い物・通院といった、日常生活の移動を支える必要不可欠なサービスでございます。高齢者の運転免許証の返納が本県でも進む中、自家用車に頼らずとも、必要なときに快適に移動できる公共交通サービスを維持・確保することは、重要な政策課題であると認識をしております。 本県では、議員提案で平成25年に制定されました奈良県公共交通基本条例に基づきまして、平成28年に奈良県公共交通基本計画を策定し、それを令和4年に改定したところでございます。公共交通サービスの維持・充実のため、県、市町村、事業者、住民の方々といった関係者が主体的に参画し取り組んでいくことが重要との基本認識のもと、様々な取組をこの計画に基づいて推進してきたところでございます。 主な取組といたしましては、広域バス路線について、関係者間で構成する会議で、利用者増や、より効率的な運営方法について議論し、改善策を実施した上で、県としても運営費の一部を補助しております。また、高齢者、障害者の方々や、乳幼児を連れた利用者が利用しやすいノンステップバスの導入に対する補助も実施しておりまして、直近10年間で累計62台に対しまして補助をしております。 一方、市町村における取組への支援といたしましては、コミュニティバスやデマンドタクシーの導入等、住民に身近な移動手段を確保する取組について、計画策定や実証運行に対し支援をしているところでございます。例えば、平群町が実施している、運転免許証を返納した高齢者等を対象としたデマンドタクシーの実証運行費用を支援しております。今後とも、県内各地で実施される意欲的な取組に対しまして、積極的に支援してまいる所存でございます。 さらに、デジタル技術を活用した公共サービスの導入に向けた新たな取組といたしまして、今年度、県南部東部地域において、まず、明日香村におきましては、観光シーズンに合わせ、鉄道駅と村内観光施設を結ぶ自動運転バスの実証運行をしようとしております。また、宇陀市におきましては、デマンド交通の予約と病院の診療予約を一括して行えるサービスの実証運用を実施しようとしております。こうしたことにつきまして、現在、関係市町村と協議をしているところでございます。 また、最近の燃料費高騰を踏まえました事業者に対する補助を昨年度に引き続き実施するため、今議会に提案している補正予算に計上しているところでございます。 以上、こうした取組によりまして、将来にわたり地域の暮らしを支える公共交通サービスの構築を県が先頭に立って進めてまいる所存でございます。 続きまして、5点目の踏切内の安全対策についてでございます。 昨年4月に大和郡山市内で視覚障害者の方が踏切道内で列車と接触し、お亡くなりになった事故が発生をいたしました。お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対して謹んでお悔やみを申し上げます。 視覚障害のある方が安全・安心に踏切道を通行できるように取り組むことは、行政、関係事業者の重要な責務であると認識をしております。先日、橿原市内におきまして、全国の視覚障害者の団体の大会が開催されまして、私もそれに来賓としてお招きをいただきまして、そうした取組の必要性を改めて認識いたしまして、県としても、こうした大変不幸な事故が二度と起きないように取組を進めてまいるということを、全国の障害者団体の総会で申したところでございます。 国は、昨年6月にガイドラインを改定いたしまして、多くの障害者等の移動が通常徒歩で行われている特定道路においては、踏切道内に誘導表示を設けることが望ましいと明記いたしました。県内におきましても、踏切対策を円滑に進めることを目的として設立した奈良県踏切道改良協議会合同会議を活用し、特定道路における踏切道の誘導表示を優先的に進めていくことについて、近畿地方整備局、近畿運輸局、県、警察、関係市町村、鉄道事業者の間で合意形成をしたところでございます。 一方で、先ほど申しました国のガイドラインには、踏切道内の誘導表示に係る構造や材質、狭い道路の誘導の在り方については、具体的な仕様が示されておらず、今なお、継続して検討する課題とされております。このため、各踏切道の対策を進めるにあたりましては、利用者の意見を伺うなどして取り組む必要があり、耐久性や事後評価を確認の上、奈良県踏切道改良協議会合同会議で情報共有を図ってまいりたいと考えております。 具体的に申し上げますと、県管理道路におきましては、特定道路上に踏切道が7つありまして、踏切道内及びその前後に歩道がある2か所において、誘導標示設置に向けた協議を進めておりまして、まとまり次第、速やかに設置する方針でございます。残りの5か所につきましても、設置に向けて検討を進めてまいる予定でございます。さらに、特定道路以外で視覚障害者の利用が多いなど、誘導表示設置のニーズがある踏切道についても、取組を進めてまいる所存でございます。また、市町村とは知見を共有し、設置に向けた具体的助言を県からしていく予定でございます。 私からの答弁は以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(池田慎久) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)41番藤野議員のご質問にお答えいたします。 1つ目は、学校給食費の無償化についてでございます。 学校給食の経費の負担につきましては、学校給食法第11条では、必要な設備、施設に関する経費及び給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるものは、義務教育諸学校設置者の負担となっておりますけれども、それ以外の、主に給食費に関するものは保護者の負担と規定をいたしております。この規定は、設置者の判断によって給食費の補助を否定するものではなく、藤野議員お述べのとおり、施策として以前から給食費の完全無償化に取り組んでいる8自治体以外にも、コロナ禍において、時限的に県内多くの市町村で、地方創生臨時交付金を活用した給食費の無償化を実施したことは把握いたしております。 無償化をはじめ、学校給食の支援の継続につきましては、国全体として負担の在り方を抜本的に整理した上で、国の責任において財源を含めた具体的な施策を講じるよう、本年2月10日に全国都道府県教育委員会連合会から国へ要望をいたしております。 本年6月に政府が策定いたしましたこども未来戦略方針におきましては、無償化を実施する自治体における取組実態や成果課題の調査等を行うこととされております。 県教育委員会といたしましては、今後、国の動向を注視しながら、国が実施する全国ベースでの学校給食の実態調査や、無償化の実現に向けての具体的な方策に速やかに対応してまいります。 次に、起業家教育についてでございます。 アントレプレナーシップ、いわゆる起業家精神は、起業する人に特有の資質であると誤解されがちですが、新しい事業を創出し、リスクに挑戦する姿勢であり、あらゆる職業で求められる行動能力と私は捉えております。 県教育委員会では、平成26年度から、高校生にチャレンジ精神、創造力、コミュニケーション能力などアントレプレナーシップに必要な能力を培う取組を実施し、地域を担う人材育成を推進してまいりました。同取組では、県内の起業経験者による出前講座や販売実習、また、県立磯城野高校や県立商業高校における模擬株式会社の設立・運営を行うなど、生徒間で豊かな人間関係を構築しながら、勤労観・職業観の醸成に役立っております。 加えて令和4年度から、イノベーションにより人々の生活や社会を変革するために、新たな価値を生み出す姿勢や発想・能力を有する人材の育成を目的として、県内高校生を公募いたしまして、スタートアッププログラムを開始いたしました。同プログラムでは、2日間で起業家との対話等により会社を設立するワークショップを実施いたしております。参加生徒からは、起業の手順について学ぶことができたり参加することで自分を変えるきっかけになったなどの感想がございました。受講後、ビジネスコンテストにおいて入賞する生徒も出ております。 国のスタートアップ育成5か年計画では、アントレプレナー教育の強化も掲げていることを踏まえまして、本年度も、高校生のスタートアッププログラムを継続いたします。また、それとは別に、新たにデジタル人材に求められるマインドを育成するプログラムを策定いたしまして、その中でアントレプレナー教育のさらなる充実を図る所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(池田慎久) 41番藤野良次議員。 ◆41番(藤野良次) 2回目です。 まず、奈良県中央卸売市場の再整備についてですが、知事はこのことには全く聞く耳を持たんとおっしゃるのかなというふうに思っとったのですけれども、そうではなくて、しっかりと協議したいと、事業者の方々と協議したいというふうに前向きにおっしゃっておられたので、非常に私も評価をいたしております。 BtoB、BtoCと両面あるんですけれども、BtoBについては事業者が入る施設なので、ここは事業者としっかりと膝を突き合わせて、何が課題なのか、どのような施設で皆さん方がいちばん納得するのかというのは、膝を突き合わせて協議してほしいなと。BtoCについては、一体的な整備で初めて効果を生むということなので、これもやっぱり、併せて進めていかなければならないのではないかなというふうに思っています。マルシェや、いろいろなこの広場計画があったんですけれども、それは一旦見直しを図るとしても、BtoB、BtoCを一体として進めるということで非常に相乗効果が生まれるというふうに思っておりますので、その取組で、協議の場、話合いを持っていただきたいなと強く願っております。 それともう1点、これは質問ですけれども、いわゆるBtoCについて、民間事業者が積極的にそれに対して取り組もうという、そういう事業者もおられたら、知事としては、そういう取組として進められるという思いを持っておられるんですか。 ○副議長(池田慎久) 山下知事。 ◎知事(山下真) 先ほども答弁させていただいたとおり、民間事業者が費用負担をして、直接消費者に対して物を売ったりサービスを提供したりするような施設を建設し運営していきたいということであれば、県としても、積極的にその協議には応じてまいりたいと考えているところでございます。 ○副議長(池田慎久) 41番藤野良次議員。 ◆41番(藤野良次) ありがとうございます。民間というのは、いわゆる事業内あるいは事業外も含めてというふうに私は捉えているんで、先ほど申し上げたように、より積極的な議論を深めていただきたいというふうに思います。 それともう1点は、質問の中で申し上げたんですけれども、大和郡山市も様々な場面で協力もしているんで、市長とも、また協議の場を併せて持っていただきたいと、強くお願い申し上げます。 県と市町村協働によるまちづくりについては、非常に知事が前向きに捉えておられるなというふうに評価いたします。協働によるまちづくりというのは、奈良県は、平成の大合併が進まなかったという側面もありますので、県と市町村が連携して協働してまちづくりを行うというのは、全国的にもこれは非常に評価されている取組事業でございますので、これからもより積極的進めていただきたいというふうに思います。大和郡山市の取組については、ぜひ市長と協議を重ねて進めていただきますようにお願いいたします。 子ども医療費助成について、これも、今後の取組を見守ってまいりたいというふうに思いますけれども、知事の選挙の公約どおりに、市町村との協議の場、ぜひともお持ちいただきたいなとお願い申し上げます。 高齢者に対する移動の確保、これも引き続きの取組をぜひともお願い申し上げます。いわゆるバス路線の廃止とか、いろいろこう、東部南部でもあるんですけれども、バス路線の大切さというのを、もう一度、行政の方々も考えていただきたいなというふうに思っております。また、特に北和地域も、バス路線が途絶えているというところもありますので、ここは、もう一度、公共交通事業者の方々と話合いをしながら、あるいは市町村との協議もぜひともお願いしたいと思っております。 踏切内の安全対策、これはもう十分にご認識いただいているというふうに思いますので、引き続き、取組をお願い申し上げます。 学校給食費の無償化について、教育長。もちろん、これは財源が大切であり、財源を求めていかなければなりません。もちろん教育委員会としては、知事部局に財政支援を求める、あるいは、国に対してその思いを強く訴えていただく、求めていただく、こういった取組を含めて、より子育てができるよう、あるいは子どもたちが、食をテーマにして様々な議論が行える、今も給食で行っているんですけれども、なおかつこの無償化を進める中で、さらにそれが充実化できるような、そんな体制づくりをお願いしたいというふうに思います。 また、今回の統一地方選挙で、恐らく多くの議員の方がこの給食費の無償化というのを唱えておられるんではないかなというふうに思います。非常に皆さん方の意識が高い取組というふうに私は思っておりますので、ぜひともお願い申し上げます。 企業家教育については、教育長もおっしゃっておられたように、マインドを高めるというか、人間的成長につながるというふうに思いますので、ぜひともまた充実を図っていただきたい。 このようにお願い申し上げ、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(池田慎久) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(池田慎久) 21番浦西敦史議員。 ◆21番(浦西敦史) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(池田慎久) お諮りします。 21番浦西敦史議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(池田慎久) それでは、さように決し、次回、6月26日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後4時57分散会...