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09月28日-04号

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  1. 奈良県議会 2022-09-28
    09月28日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 4年  9月 定例会(第351回)令和4年9月         第351回定例奈良県議会会議録 第4号             令和4年9月28日(水曜日)午後1時1分開議   --------------------------------    出席議員(40名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 浦西敦史      5番 山中益敏        6番 亀甲義明      7番 小林 誠        8番 階戸幸一      9番 川口延良       10番 疋田進一     11番 池田慎久       12番 乾 浩之     13番 大国正博       14番 太田 敦     15番 佐藤光紀       16番 清水 勉     17番 松本宗弘       18番 西川 均     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 山本進章       24番 奥山博康     25番 小林照代       26番 山村幸穂     27番 尾崎充典       28番 藤野良次     29番 和田恵治       30番 荻田義雄     31番  欠員        32番  欠員     33番 米田忠則       34番 出口武男     35番 岩田国夫       36番 小泉米造     37番 今井光子       38番 森山賀文     39番 田尻 匠       40番 粒谷友示     41番 秋本登志嗣      43番 川口正志    欠席議員(1名)     42番 中村 昭   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、5番山中益敏議員に発言を許します。--5番山中益敏議員。(拍手) ◆5番(山中益敏) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良市・山辺郡選挙区選出の山中です。それでは、議長の許可をいただきましたので、公明党会派を代表して、通告しております数点について、荒井知事をはじめ、関係理事者にお尋ねします。 物価高騰に対応するための追加策を政府は9月9日に決定しました。さきの4月の総合緊急対策に続くもので、我が党の主張が多く反映されています。現在の世界的な物価高は、ウクライナ危機などによる輸入燃料・食料などの高騰が主な要因と考えます。そうした中、日本の物価上昇は、欧米各国と比べ3分の1程度に抑えられており、これまでの政府の対策が一定の成果を上げていると認識しています。ただ、円安などの影響で今後も物価高は続くと見られており、切れ目ない対策で国民生活を守る必要があります。今回の追加策では、ガソリンなど、燃油価格の高騰を抑えるための補助金を当面、年末まで延長することや輸入小麦の売渡価格を10月以降も据え置く対応などが取られました。 このほか、自治体独自の対策に活用できる、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を6,000億円に積み増し、公共料金の負担軽減など、地域の実情に応じた生活者支援事業者支援の対策を講じ、感染拡大や物価高騰の影響を受けている地域経済の再生を図るとされています。 こうした追加策が本県でも有効に機能することを念頭に置き、質問に入らせていただきます。 初めに、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録についてお聞きします。 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の世界遺産に向けた取組は、2007年6月にユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載されてより大きく進展しました。2007年10月には奈良県と橿原市、桜井市、明日香村から成る世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会が設置され、それ以降、世界遺産登録に必要な価値の証明や保全措置の検討を重ねてこられ、飛鳥・藤原の世界遺産としての価値を、6世紀末から8世紀初頭の東アジアにおける技術や文化の交流を示す、また遺跡の変遷により国の成り立ちが分かる東アジアで唯一の例としてうたわれています。 こうした準備の中、令和4年度国内推薦、令和6年度世界遺産登録に向けた動きもあり、公明党県議団として4月21日に衆議院会館にて塩見文化庁次長より、世界遺産登録に関する現状やスケジュールについてお聞きし、一日も早い登録に向けた要望を届けてまいりました。しかし、他県の世界遺産登録の再提出などがあり、本県の飛鳥・藤原の世界遺産登録は先送りを余儀なくされました。 残念ではありますが、延長の期間をむしろチャンスと捉えて、課題として示されている評価基準(iii)や評価基準(ii)のブラッシュアップに努める点。構成資産を万全に保護するための法的措置や包括的保存管理計画についても検討を重ね、万全を期す対応。また、構成資産の多くが地下遺構であるために、インタープリテーション戦略を検討し、短期・中長期の行動計画を立てることが必要との指摘に対し、取り組んでいく必要があると思います。 こうした課題を丁寧に乗り越えながら入念な準備をし、地元をはじめ、世界遺産登録への早期実現に向けた機運醸成に万全を期すべきと考えます。そうした機運を後押しする形で、8月20日、早期の登録実現を目指す、自民・公明両党の国会議員らが奈良県を訪れ、知事をはじめ、自治体関係者とともに飛鳥宮跡や藤原宮跡などの構成資産を視察され、私たち公明党会派も同行させていただきました。その後開かれた会議では、出席者から、今回の資産は国家の成り立ちや当時の東アジア地域との交流がうかがえるものの、多くが地下遺構のため、遺跡の価値や意義を分かりやすく紹介することの必要性や、世界遺産登録では、ストーリーとしての伝える必要性についても言及され、早期の登録実現に向け、入念な準備と機運の醸成に万全を期すことが確認されました。 そこで知事にお伺いします。 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録を確実に達成するため、一層の機運醸成や資産の持つ価値の発信などが必要と考えますが、今後、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、今後の奈良県農業の振興についてお聞きします。 直近の消費者物価指数8月の報告では、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月を2.8%上回って、12か月連続で上昇しています。こうした背景には、世界的な原材料価格の上昇、ロシアによるウクライナ侵攻、さらに急速な円安と様々な要因が絡み合った上での物価上昇が考えられます。 そうした影響は、農業経営者にも顕著に表れており、昨年から農業資材、燃料、飼料などの価格が高騰しており、農林水産省農業物価統計調査によると、2015年を100とした場合の農業生産資材類別価格指数は、2015年から2020年まで大きな変化がなかったのですが、2021年から徐々に上昇し、2022年3月の指数は、肥料は109.5、飼料は119.8、光熱動力は126.5と高騰しています。こうした諸経費の高騰による適正な買取り価格などへの引上げがなされないと、実質的な農業所得の減収につながります。農業所得の減収は、農家数や新規就農者の減少につながることから大いに危惧されます。 元来、農業就業人口の確保については、恒常的な課題として存在し、農林水産省の統計報告にも平成27年の基幹的農業従事者が175.7万人、うち65歳以上が114万人と約65%を占め、令和4年の基幹的農業従事者が約122.6万人、うち65歳以上が86万人で約70%を占める状況となり、基幹的農業従事者の大幅な減少と担い手の高齢化が進行している状況が分かります。また、新規就農者については、平成25年5万800人から令和2年5万3,700人とほぼ横ばいの状況が続いており、減少する従事者数を十分に確保するには至っていません。 そこで、新規就農者の確保のために、国では情報提供や人材育成、研修への支援に取り組み、特に若者の就農やその定着をサポートするため、経営安定のための支援や法人雇用での就農の支援などに重きを置いています。一方、奈良県においても、農業の担い手などの育成に対する支援施策として、担い手に合わせた段階的な育成を図る事業を組み合わせ、新規就農者の増加を図るとされています。新規就農相談農業インターンシップなどの支援をはじめ、安心して自立した農業経営に挑戦できる支援が必要と考えます。 そこで知事にお尋ねします。 輸入農産物の価格高騰による生活への影響が発生している現状などを踏まえ、今後、国内における農業生産力の一層の向上が必要と考えるが、未来の農業を支える新規就農者の確保について、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。 また、本県では独自の特定農業振興ゾーンを3市4町9地区で設定し、地域の農地を有効に活用し、農業の生産性の向上を図るとともに、高収益作物への転換を図り、耕作放棄地の解消・防止、多様な担い手の確保など、市町村と協働して、集中的・優先的に取り組む施策を推進されています。 そうした中・長期的な展望をもって農業に従事できる振興ゾーンにおける新規就農者の確保やその地域に伝統的に培われてきた野菜・果物を守り、活用するシステムを構築することは、農業技術・経営力に向けた支援につながると考えます。 そこで知事にお尋ねします。 新規就農者をはじめ、意欲ある担い手が安定した農業経営を続けるためには、県内における生産性の高い農業の実現が不可欠と考えます。生産性の高い品目への集中やブランド化の促進、農地集積などの対策が必要と考えますが、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、介護人材の確保についてお聞きします。 厚生労働省は、9月16日の閣議で2022年度版厚生労働白書を報告し、社会保障の担い手不足がこの先、一層深刻になると見通しを示しました。白書では、社会保障を支える人材の確保をテーマとして、特に団塊の世代が全員75歳以上になる2025年以降、医療や介護ニーズはさらに高まり、団塊ジュニアの世代が65歳超えとなる2040年には、医療・福祉の分野で1,070万人の就業者が必要となると試算をする一方で、確保できる人材は974万人にとどまり、96万人の不足が見込まれるとの報告です。 こうした医療・福祉の分野において、最近懸念されるのが介護分野における人手不足の状況であります。長引くコロナ禍により、他業界で就職状況が悪化したこともあり、介護業界へ人材が流れる傾向も見え、期待されましたが、依然人手不足の状況は続いています。この状況を裏づけるデータとして、2022年1月の有効求人倍率は、職業全体では1.2倍、介護サービスの職業では3.68倍と、全体と比べても高い倍率であることから、求人が多いことがうかがえ、介護業界に就職したい人にとっては、仕事が選べる有利な状況にありますが、介護事業所では依然として人手不足の状況が続いています。また、今後の介護分野における人手不足の予想も厚生労働省が行っており、データによると、2019年の介護職員の人数から試算したデータによると、2023年度には約22万人が不足し、2040年には約69万人もの介護職員が不足すると想定しています。 本県の第8期奈良県介護保険事業支援計画においても同様の将来推計がされており、2023年における需要推計2万9,541人に対し、供給推計2万7,118人と約2,400人の不足が発生し、2040年においても需要推計3万5,371人に対し、供給推計2万5,713人と約9,600人の不足を想定しています。 このように、介護人材不足は、国においても本県においても緊急性の高い課題となっており、量、質両面から人材を確保する取組が必要と考えます。実際に、介護現場の事務所を訪問し、求人や人材確保の状況を伺うと、慢性的な人材不足が続き、ハローワークや奈良県福祉人材センター、民間広告などに求人募集をかけるが、芳しい効果は見込めないとのことでしたが、介護福祉士のような専門性の高い人材にキャリアアップを通して、さらなる処遇改善を図ることで、これから介護職を目指す方への大きな動機づけになるのではないかといった期待もお持ちです。 コロナ禍の影響が続く中、就職・転職希望者には厳しい状況と言えますが、介護業界は売手市場が続き、ウィズコロナの時代でも安定して働ける職場と言えます。今後、ますます高齢化が加速する中、膨大な人数の介護人材が不足する喫緊の課題にどのように挑戦していくのか。待ったなしの状況です。 そこで福祉医療部長にお伺いします。 超高齢化社会を迎えている我が国において、介護人材の不足は大きな課題であり、県の介護人材の確保状況はどうなっているのでしょうか。また、介護人材を安定的に確保するためには、求職者と求人事業所との的確なマッチングや介護職の処遇改善、就職前の学生などへの有効なアプローチなどが必要と考えますが、県は今後どのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。 オミクロン株に対応した改良型のワクチンが、9月14日、厚生労働省の専門家の部会において、特例臨時接種に位置づけることが了承され、新型コロナウイルス感染症オミクロン株に対応した改良型のワクチン接種が20日より開始されるところです。県内においても準備ができた市町村から順次、接種が開始されると聞いています。 オミクロン株対応ワクチンの接種は、現在、4回目接種の対象である60歳以上の高齢者の方から接種され、10月半ば以降は、2回目接種を終えた12歳以上に拡大することになります。 また、国では、9月14日、年内にすべての希望者への接種完了を目指すことを明らかにするとともに、接種間隔をこれまでの5か月から短縮する方向で検討を進める方針も示しており、こうした状況を踏まえると、11月以降に対象者が大幅に増加することが予想されます。 接種券の発送をはじめ、接種を担う市町村への支援や県広域接種会場の設置などが、ワクチン接種を円滑に進める上で大変重要になってきます。 また、小児に対する3回目接種が新たに開始されるとともに、令和4年9月6日から努力義務が適用されることになりました。ただし、国においては、接種は強制ではなく、ご本人や保護者の判断に基づいて受けていただくことに変わりはないとしています。このような情報発信をはじめ、丁寧な対応で不利益を被ることがないように推進していただきたいと思います。 そこで医療政策局長にお尋ねします。 オミクロン株対応ワクチン接種が開始され、小児接種が努力義務となるなど、ワクチン接種を取り巻く状況が変化している中、引き続き適切にワクチン接種を推進していくための体制づくりや情報発信について、県は今後どのように取り組んでいくのでしょうか。 9月26日から、全数把握の見直しが全国一律に実施されました。その背景には、第7波で感染者数が急増し、入力や確認の作業が医療機関や保健所の業務負担となり、医療現場からは、新型コロナウイルス感染症患者対応に集中したいとの見直しの声が高まり、現場の負担を軽減し、重症化リスクの高い患者に医療資源を重点化する見直しに至ったと認識しています。この見直しにより、発生届の対象が1、65歳以上の方、2、入院を要する方、3、重症化リスクがあり、新型コロナウイルス感染症治療薬の投与、または新たに酸素投与が必要と医師が判断する方、4、妊婦、の4類型に限定されることになりました。一方で、症状が軽く、自宅療養を希望する人には、医療機関を受診せず、国が承認した抗原定性検査キットでみずからが検査し陽性となられた方や発生届の対象外の方は、自宅療養となります。 しかし、医療機関を受診していない陽性者と発生届の対象外の人が自宅で安心して療養でき、体調悪化時に医療機関等に適切につなぐことが必要と考えております。県では、9月26日以降、発生届の対象とならない方への対応のため、新型コロナ自宅療養フォローアップセンターを設けていますが、このような県民の命と暮らしを守る取組について、医療政策局長にお聞きします。 オミクロン株の特性を踏まえ、全国一律で感染症法に基づく発生届の対象を65歳以上の方などに限定することになりましたが、発生届の対象外となる方々の重症化や死亡を防ぐため、県はどのように取り組んでいるのでしょうか。 次に、第23回奈良県新型コロナウイルス感染症対策本部にて報告されました後遺症に関する内容で、新型コロナウイルス感染症対応病院に協力を求め、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む方々への相談や外来診療を受けていただく体制を構築するとしています。実際には保健所などの相談窓口を通して医療機関で受診されておられる方もおられますが、第7波の期間は、多くの感染者の発生により、保健所・医療機関は多忙を極め、後遺症の対応においては、やむを得ず積み残した状況かと思います。第7波の感染者数から推定しても、今後、後遺症に悩む方の数が著しく増えるように思え、懸念します。 そこで医療政策局長にお尋ねします。 新型コロナウイルス感染者が累計で増加している中、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩んでいる方も多いと聞いております。新型コロナウイルス感染症の後遺症に係る県の対応はどうでしょうか。お聞かせください。 次に、大和川流域流域治水対策についてお聞きします。 平成29年10月に発生した台風21号において、各地で内水氾濫が発生しました。この内水被害を解消することが喫緊の課題であることから、知事肝煎りの奈良県平成緊急内水対策事業が平成30年5月からスタートしました。河川の水位の上昇に伴う内水氾濫による床上・床下被害の解消に向けて、市町村との連携により、各支川の県管理の河川において対策に必要な貯留施設などを適時に整備する事業で、19か所の重点地区が指定されています。この重点地区の選定については、10年確率規模によるシミュレーションによる内水被害のおそれのある地区で、浸水常襲地域に該当する、また平成29年の台風21号による内水被害の発生区域など、条件を基に抽出し、令和3年度には3か所を新たに事業化したと聞いております。 先日、奈良県平成緊急内水対策事業の第1号工事として完成した、田原本町社会福祉協議会駐車場ほか、雨水貯留施設の視察をしてまいりました。総貯留量は5,000立方メートル、構造はプレキャスト式雨水地下貯留施設として築造されており、周辺地域における浸水被害の解消や軽減につながると期待されています。田原本町長も大和川流域における内水被害を防止・最小化するためには、流域全体での貯留施設整備などの取組が必要不可欠と述べておられ、奈良県平成緊急内水対策事業の早期実現が待たれるところです。 近年、全国各地で激甚化・頻発化している水害に対するため、流域全体で関係者が協議して取り組む流域治水の実現を進めるべく、特定都市河川浸水被害対策法が改正され、令和3年11月に施行されました。 今回の改正で、特定都市河川の指定要件の見直しに、狭隘部による流下困難などの条件が新たに追加されたことを受け、12月24日に、大和川が法律改正後、全国で初めて特定都市河川に指定されました。指定に合わせて、大和川流域治水相談窓口を開設し、技術的な支援の実施を図るとされています。特定都市河川の指定により、国からの補助率がこれまでの3分の1から2分の1に拡充され、新たに用地費も補助の対象となることから、流域の市町が実施をする、奈良県平成緊急内水対策事業への推進が期待されます。また、早々に、流域水害対策協議会が設置され、流域水害対策計画の効果的な実施・運用につなげる準備も進めておられます。さらに、特定都市河川浸水被害対策法の改正に伴い、ソフト対策として、特定都市河川流域内において、貯留機能保全区域制度浸水被害防止区域制度によって、新たに該当する区域を指定し公表するとしており、検討が進められていると考えます。一方で、ハード対策についても、引き続き進めていく必要があります。 そこで県土マネジメント部長にお伺いします。 ゲリラ豪雨の頻発など、気象状況が大きく変化する中、流域治水対策を一層進めていく必要があると考えますが、奈良県平成緊急内水対策の進捗状況はどうでしょうか。また、大和川流域特定都市河川指定を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、奈良県立学校におけるインクルーシブ教育の推進についてお聞きします。 2014年2月に、障害者の権利に関する条約が我が国において発効されました。この条約はすべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的としています。 さらに、同条約の第24条には、インクルーシブ教育の実践がうたわれ、障害の有無や性別、国籍などにかかわらず、すべての者が地域社会から排除されずに共に学ぶことのできる教育に取り組むとされています。 障害のある子どもと障害のない子ども、あるいは地域の障害のある人とがふれあい、協働することは、障害のある子どもにとっても、障害のない子どもにとっても、経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となるなど、大きな意義を有すると考えられます。 2020年に開催された東京パラリンピックのコンセプトの1つとして、一人ひとりが異なる存在であり、お互いを認め合い、支え合う寛容さを持つことが大切であることや、異なる存在が交流し、互いに生かし合うことで新たな価値が生まれ、よりよい社会につながっていくことが、共生というキーワードで示されたことは記憶に新しいところです。 本県の学校教育においては、2016年度より、県立高等学校3校において、高等養護学校の分教室を設置し、共生を推進しているとお聞きしております。また、先日、山辺高等学校に伺い、障害のある生徒と障害のない生徒が共に学んでいる様子を見学してまいりました。朝のホームルームや各教科の学び方や茶摘み体験実習の様子も伺い、障害のある生徒と障害のない生徒が分け隔てなく学校生活を送っており、障害の有無を感じないクラスの雰囲気と聞かせていただき、インクルーシブ教育を身近に感じた訪問でした。 そこで教育長にお聞きします。 共生社会の形成に向け、インクルーシブ教育の推進が進められていますが、これまでの高等養護学校の分教室の取組など、県立学校におけるインクルーシブ教育の推進について、どのように取り組んでいるのでしょうか。 最後に、物価高騰の影響を受けている事業者への支援について要望いたします。 ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響で、エネルギーや食料品などの物価が高騰しています。これにより、生活者や事業者は大きな影響を受けています。特に小さな事業者は、物価高騰の影響を大きく受け、事業を継続していくことが厳しい状況となっています。私のところにも、事業者からの声が届いております。例えば、あるクリーニング店では、クリーニング溶剤をはじめ、電力・ガスなどの価格高騰が続いている中、クリーニング料を値上げすることもできず、苦しんでおられるようです。 こうした県民生活の維持に必要な事業は多くあり、中小事業者も県内にはたくさんあります。物価高騰の影響は中小の事業者ほど大きいもので、今回の物価高騰による影響を緩和するための行政からの支援を、隅々の事業者まで届けていく必要があると感じます。 県におかれましては、6月補正予算において、物価高騰対策を実施していただいているところです。また、今議会に提案されている9月補正予算でも、中小企業などの新規事業への取組支援や農家への支援について、予算計上していただいています。しかしながら、物価高騰の影響は広く全業種に及ぶものであります。 そこで、今後、物価高騰の影響を受けている生活衛生業をはじめとする様々な事業者に対し、広く行き渡る支援を行っていただくよう要望いたします。 以上で壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)5番山中議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録についてでございます。 山中議員お述べのとおり、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録は先送りされることになりましたが、登録スケジュールも1年後ろ倒し、令和5年度に国内推薦を得て、同7年度の登録を目指して、推薦書素案などの必要書類を来年、再提出することになりました。本県にとりましては、このことを推薦書素案などのさらなるブラッシュアップを図る時間ができたと前向きに捉えているところでございます。 ブラッシュアップを具体的にどうするかということでございますが、昨年の国の文化審議会から課題が示されておりましたので、それらの課題の対応に、より深みと広がりを持たせたいと考えております。 例えば、中国の律令をそのまま採用した東アジア諸国に比べまして、中国以外で唯一、律令を制定したのが日本でございます。そのような独自性を簡潔に説明したいと思います。また、併せまして、都城の中心に天皇の宮殿を配置することなどが、中央集権体制の形成にどのような影響を与えたのか検討し、記載できたらと思っております。 ストーリーをまとめて、それをどのように表現するのかという課題に繰り返しご指導を仰いでおります。先月8月20日になりますが、自由民主党及び公明党の国会議員の方々による現地視察の際に、歴史を理解しやすいようにストーリーとしてまとめる必要があるのではないかとの貴重なご意見をいただきました。 飛鳥・藤原には、日本の始まりを形成いたしました飛鳥宮跡や藤原宮跡をはじめ、国際交流の結果、伝わってまいりました仏教寺院跡や墳墓など、独特の歴史的価値を持つ個々の資産が数多くございます。これらの資産の持つ価値を国際交流によってもたらされました律令、仏教、都城などの要素に関連づけて、ストーリーとして一体感を持つ、つむぎが必要でございます。このことは、東アジアとの国際交流で到来した文化を日本にうまく取り入れてきたという、日本独特の歴史的、文化的価値の本質を理解する上で、とても大切な作業になるものと考えています。 こうした作業により、飛鳥・藤原の値打ちをストーリーとして表現できれば、ARやVRといったデジタル技術等の活用と併せまして、この地を訪れられます国内外の人々と歴史文化遺産とのスムーズな対話が可能になると考えております。 今後とも、飛鳥・藤原の歴史的文化価値をより深く理解していただけるよう、世界遺産登録に向け、関係の市・村とともに努力を続けていきたいと思っております。 物価高騰を踏まえました今後の奈良県農業の振興についてのご質問がございました。 まず、新規農業者の確保についてのご質問でございます。 全国で農業従事者の高齢化と減少が進んでおります。新規就農者を確保することは、我が国にとって、また本県にとっても重要な課題と考えております。このため、なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)のアグリマネジメント学科におきましては、新規就農者を養成しているところでございます。また、県担当課や4か所の振興事務所において、新規就農に関する様々な相談や、就農後の定着を図るための対応しているところでございます。 その効果もあり、県内の新規就農者は、雇用就農者も含め、令和3年度には48名になっております。 新規就農希望者にとっての大きなハードルが3つございます。技術、農地、資金の3点でございます。技術の面につきましては、NAFICで2年間学べるほか、地域での1年2か月の長期実践研修を実施しております。また、農地の分野につきましては、なら担い手・農地サポートセンターや市町村とも連携し、新規就農者が農地をスムーズに確保できるように支援しております。資金面でございますが、国の給付金制度の活用等も推進しているところでございます。 この新規就農者に対する国の給付金制度は、生活費など使途を問わず年間最大150万円を給付するものでございますが、今年度より新たに、従来の給付金制度に加えまして、機械や施設整備等の導入に対する補助制度が創設されたところでございます。事業費1,000万円を上限に、国と県でその4分の3を支援する手厚い制度でございます。 さらに、昨今の資材等の価格高騰により初期投資額が増加しておりますので、その後の経営にも影響を及ぼし、就農意欲の低下につながるおそれがあるものと心配しております。このため、就農時の負担を軽減するため、6月補正予算による独自の取組といたしまして、事業費の上限1,000万円を2割拡大して1,200万円にし、拡大した分の2分の1を本県が緊急的に追加補助することといたしました。 未来の奈良県農業を支える新規就農者が県内にしっかりと根づき、営農を継続していただきますよう、支援を充実していきたいと思っております。 奈良県農業の振興の中で課題となっております生産性、あるいはブランド化の促進に際する取組についてのご質問でございます。 奈良県農業振興をするためには、担い手がもうかる農業を実現できるよう、経営基盤となる農地の規模拡大や、ブランド化を目指した高品質生産への支援が必要であると考えております。 農地の規模拡大に関しましては、農地の集積は目標となります。平成26年度より、なら担い手・農地サポートセンターにおきまして、高齢化等により管理が難しくなった農地を意欲ある担い手とマッチングすることで、農地の集積を進めております。 次に、高品質生産でございますが、重点品目を定め、重点的振興を図ることにしております。県の農畜水産業を牽引する主要品目をリーディング品目といたしまして、イチゴ、柿などを指定しております。また、将来性が期待される成長品目をチャレンジ品目として、大和野菜やイチジクなどを指定しております。それらを重点的に生産振興を図っているところでございます。また、平成28年には、特に優れた特徴を持つ県農畜水産物の認証制度「奈良県プレミアムセレクト」を創設し、現在、柿、イチゴ、大和牛、ナシを対象に、高品質な奈良ブランドの育成に取り組んできております。 さらに、平成30年度より県独自の取組といたしまして、収益性の高い農業を実現するため、特定農業振興ゾーンの設定を進めております。現在、3市4町の9地区で設定されているところでございます。 この特定農業振興ゾーンにおきましては、市町村と連携し、区画の大規模化や農地集積、高収益作物の導入、担い手の育成・確保に係る施策を集中的かつ優先的に実施することとしております。 このような取組を進めてきた結果とも思われますが、サポートセンターを通じてマッチングした農地面積は、令和3年度までの8年間で1,561件、約830ヘクタールに上っております。また、平成30年度に特定農業振興ゾーンを設定した5地区の農業産出額の合計が、設定前からの僅か4年間で1割以上増加しているなどの、成果が着実に上がってきているものと確認しています。 奈良県農業の発展のためには、生産者に寄り添いながら、これらの取組を粘り強く続けていくことはもとより、今後は積極的なデジタル化の導入に新たな活路を求めるなど、様々な工夫を加えていきたいと考えております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 筒井福祉医療部長。 ◎福祉医療部長(筒井昭彦) (登壇)5番山中議員のご質問にお答えします。 私には介護人材の確保について、介護人材不足は大きな課題であるが、県の介護人材の確保状況はどうなっているのか、また介護人材を確保するため、県は今後どのように取り組んでいくのかとのご質問がございました。お答えします。 介護人材の不足は全国的に大変深刻で、本県においても、昨年3月に策定の第8期奈良県介護保険事業支援計画で、団塊の世代が75歳以上になる2025年には約3,200人が不足すると予想しています。人材の確保は重要かつ喫緊の課題です。 まず、本県の人材確保の状況ですが、第8期県計画の策定において把握した平成元年度時点の介護職員数は2万5,400人でした。その後、多少増加傾向にはありますが、依然として人材不足は深刻な状況です。 人材確保のためには、人材の参入促進と離職防止・定着促進が重要であり、その実現に向けて、1つ目として、介護職場の魅力づくりと魅力の向上、2つ目として、その魅力の的確かつ効果的な発信、並びに求職と求人の的確なマッチングに取り組んでいます。 1つ目の魅力づくりと魅力向上につきましては、今後も、賃金アップに向けて、介護保険報酬の処遇改善加算が適切に適用されるよう、指導・助言してまいります。また、職場のキャリアパス制度の構築など、魅力づくり、魅力向上に積極的に取り組まれる介護職場を県が認証するとともに、県補助金等により現場の取組をより促進してまいります。 次に、2つ目の魅力発信とマッチングにつきましては、県社会福祉協議会の福祉人材センターと連携し、特に高校生等の若い世代に対し、職場体験、SNSなどにより、仕事の内容や魅力をしっかりと伝え、マッチングにつながるよう努めてまいります。 今後も有識者や現場関係者などで構成する、奈良県福祉・介護人材確保協議会を定期的に開催し、委員の皆様方からご意見をいただきながら、より積極的に取り組んでいく考えです。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 平医療政策局長。 ◎医療政策局長(平夏来) (登壇)5番山中議員からのご質問にお答えさせていただきます。 私には新型コロナウイルス感染症対策について、3つご質問いただきました。 1つ目は、ワクチン接種を取り巻く状況が変化している中での接種推進に向けた県の取組についてのお尋ねでございます。 オミクロン株対応ワクチンの接種については、山中議員お述べのとおり、県内の市町村においても順次接種が開始されています。10月半ば以降には、1・2回目接種を完了した12歳以上の全員が接種可能となる予定です。 接種を円滑に進めるためには、各市町村の集団接種会場はもとより、個別接種の充実、さらには職域接種の取組など、県全体で接種機会を確保することが必要です。 そのため、市町村に接種体制の充実に向けての課題等を確認したところ、市町村が設置している集団接種会場における医師の確保や、オミクロン株対応ワクチンの接種と並行して、1・2回目接種として必要となる従来株ワクチンの接種機会の確保に苦慮しているとの意見がありました。 そこで、県では、市町村の負担軽減を図るため、引き続き、市町村が手を尽くされた上で医師の確保が困難な場合には、市町村が設置する集団接種会場へ医師を派遣する取組を行うほか、新たに県が従来株ワクチンの接種センターを10月3日から設置することとしています。加えて、県の広域接種会場も10月下旬以降、設置する予定としており、オミクロン株対応ワクチンの接種加速化を図ります。 また、県民の皆様がワクチンの効果や安全性などについて、十分ご理解の上、接種を受けていただく必要があるため、これまで積極的に情報発信に努めてまいりました。 今般、オミクロン株対応ワクチンの接種が開始されることや、小児接種に努力義務が適用されるといった、新しい情報についても、より分かりやすく、丁寧な発信を行ってまいります。 特に小児接種については、保護者の理解が不可欠であり、理解が進む情報を適切にお届けしたいと考えています。 今後も国の動向を注視するとともに、市町村と十分に連携し、円滑にワクチン接種が進むよう、各種の施策に取り組んでまいります。 次に、2つ目は発生届の対象外となる方々の重症化や死亡を防ぐための県の取組についてのお尋ねでございます。 9月26日から、全国一律で発生届の取扱いが変更され、発生届の対象が65歳以上の方などに限定されることとなりました。 発生届の対象となる方には、これまでどおりの健康観察などを行いますが、対象とならない方にはその方の患者情報がないため、必要な支援をお届けできない課題が生じました。 県では、これまで「死亡者を出さない、重症化させない」を基本に取り組んできましたので、今回の変更後も発生届の対象とならない方へのアフターケアに遺漏なきよう、万全を期したいと考えました。 そこで、新たに新型コロナ自宅療養者フォローアップセンターを保健所に設置し、発生届の対象とならない方を含め、感染された方への積極的な支援を行っていくこととしました。 具体的には、発生届の対象とならない方について、医療機関のご協力により、氏名・連絡先などを報告いただくことで、これまでどおり、自宅療養している方に療養期間を記載した冊子やパルスオキシメーター等を送付します。また、保健所から電話で連絡し、健康状態を確認するとともに、必要な方に対して宿泊療養施設の利用や市町村の生活支援につなぎます。 併せて、看護師等が24時間対応する電話相談窓口により、体調が悪化した方を医療機関につなぐだけでなく、様々な不安や疑問への相談を受ける体制を整えています。 今後もウイルスの特性を踏まえて、県民が安心できる健康管理・フォローアップ体制の確保を図ってまいります。 次に、3つ目は後遺症に係る県の対応についてのお尋ねでございます。 新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方々の症状は、疲労感や倦怠感、関節痛、せき、息切れ、不眠、頭痛など様々です。 県では、このような症状でお悩みの方々に対応するため、昨年の8月に、保健所などにおける相談対応や、必要に応じて新型コロナウイルス感染症の治療を行っている病院をご案内できる体制を整え、これまで運用してまいりました。 他方で、新型コロナウイルス感染症の後遺症について様々な研究が進められ、現在では、一般の医療の中で対処できるものがあることが分かってきています。 そこで、県では、今月から後遺症による症状の具体例を県ホームページに掲載し、症状が続く場合には地域の医療機関を受診していただくようご案内しています。 また、後遺症でお悩みの方に、地域の身近な医療機関を受診していただけるよう、現在、県医師会を通じて、県内の医療機関に後遺症の診療への協力を呼びかけているところです。 今後も、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方々に、必要とされる医療的サポートをお届けできるよう、体制の充実に努めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)5番山中議員より、私には大和川流域流域治水対策についてご質問いただきました。お答えいたします。 大和川流域では、昭和57年の大和川大水害を契機に、大和川流域総合治水対策として、河川改修等の「ながす対策」と雨水貯留浸透施設整備等の「ためる対策」に取り組んでまいりました。 さらに、平成29年の台風21号による内水浸水被害を受け、平成30年度より新たな、「ためる対策」として、必要な貯留施設等を適地に整備する奈良県平成緊急内水対策事業を実施しています。 この事業開始後の令和元年10月の台風19号により、全国的に甚大な被害が発生したことから、100年に1度の大雨にも耐えられるようグレードアップし、取り組んでいるところでございます。 奈良県平成緊急内水対策事業の進捗状況は、現在16か所で事業着手しておりまして、このうち山中議員お述べのように、田原本町の1か所で完成しております。残る15か所のうち、既に工事着手している4か所に加えまして、今年度新たに県高田土木事務所の駐車場地下貯留施設など6か所で工事に着手する予定でございます。さらに、残りの5か所についても、設計・用地交渉を進めているところでございます。 山中議員お述べのように、大和川が特定都市河川に指定されたことにより、国からの補助率が3分の1から2分の1に拡充されました。これに加えまして、本県では独自に市・町に対し、総事業費から国費と交付税措置額を除いた実質負担額、それの2分の1を支援しております。 また、技術支援としましては、技術者が不足する市・町に設計業務や工事発注、監督業務などを県が受託する垂直補完も実施しているところでございます。 これらの取組により、奈良県平成緊急内水対策事業の一層の推進を図ってまいります。 引き続き、市・町と十分連携し、大和川流域における床上・床下浸水被害の解消に努めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)5番山中議員のご質問にお答えいたします。 私には県立学校においてインクルーシブ教育を推進するための取組についてお尋ねでございます。 共生社会の形成に向けて、障害のある生徒と障害のない生徒が共に学ぶことは大変重要であると考えており、これまでから、特別支援学校の生徒と、高等学校の生徒との交流や共同学習を実施してまいりました。特に部活動におきましては、中学校の特別支援学級に在籍しながら行っていた野球部の活動を特別支援学校高等部に入学しても継続するため、地元の高等学校、これは五條高等学校でございますけれども、地元の高等学校に副学籍を置く、そんな新たなインクルーシブ教育のシステムも構築いたしております。 また、平成28年4月には、インクルーシブ教育をさらに推進するため、高円高等学校、二階堂高等学校、山辺高等学校高等養護学校の分教室を設置いたしました。今年度、高等養護学校の生徒の約4割に当たる78名が分教室で学び、高等学校の生徒とともに、農業や福祉、体育等の授業、生徒会活動や部活動で交流や共同学習に取り組んでおります。双方の生徒が相互理解を深め、多様性を尊重するなど、共生社会の形成者として必要な資質が身についてきていると考えております。 今年度より、これまでの分教室の取組の成果を検証した上で、山辺分教室の取組を発展的に解消し、知的障害のある生徒を対象として、山辺高等学校で農業科の教育課程を学ぶ自立支援農業科を新たに設置いたしました。この全国初の取組により、障害のある生徒の就労の機会として、近い将来、農福連携につながることも期待いたしております。 また、大和中央高等学校では、平成30年度より、障害のある入学生徒に対しまして、ソーシャルスキルトレーニングの授業を行うなどの通級による指導を実施いたしております。今後、特別支援学級から高等学校への進学者の増加に対応するためにも、通級による指導の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) 質疑に従った答弁を、知事をはじめ、関係理事者の皆さんからいただきました。ありがとうございます。 確認の意味を含めまして、再質問をさせていただきたいと思います。 まず、介護人材の確保についてでございますけれども、先ほど質問をさせていただく中で、介護現場の状況をお伝えした際に、介護福祉士などの専門性の高い人材にキャリアアップを通して、さらなる処遇改善を図ることで、魅力ある職業として、若者やこれから介護職を目指す方への大きな動機づけにつながるのではないかといった声も届けさせていただきました。この具体的な取組があれば、お聞かせいただきたいと思います。 また、先ほどの答弁の中で、奈良県福祉人材センターのお話も出ました。これまで以上にこの人材センターを活用することで、介護職の紹介や採用人数の拡大をする取組が進んでいく、大変重要な支援センターではないかと、このように考えております。 そこで、この先、どのようにこのセンターを拡充し、活用されるのか、お聞かせいただきたいと思います。 それと、新型コロナウイルス感染症の中で、医療政策局長から細かな答弁をいただきました。そこで、まず1点、オミクロン対応のワクチン接種でございますけれども、こちらについては、当然、市町村に対しましても、県でドクターをはじめ、様々な形で確保していただいて、支援いただくということでお聞きをさせていただきました。 そうした中で、特にこの1回・2回のワクチンと新たに接種を始めていきます2価ワクチンとの、やはり、誤った接種をしないということが、非常に大事かと思います。そういう意味で、そのような接種体制を、市町村、そしてまた県におきましても、どのように進めていくのか、もう少し具体的にお聞かせいただきたいと思います。 それと、この9月26日から全数把握の見直しが実施されました。そこで、奈良県におきましては、発生届の取扱いを、もちろん65歳以上の方などの限定された方には当然届けをしますが、そうではない、医療機関を受診された方についても、お医者さんから保健所に、氏名・年齢であったり、性別であったり、簡単な報告をされると聞いております。感染者を掌握する点では、こういった医師からの報告というのは大変望ましいと思います。 ただ、もともと医療機関や保健所の業務の負担軽減を図るということでの見直しではなかったかと、こんなふうに思います。そういう意味で、こうした医療機関もしくは保健所に対する報告等の仕事量が、負担というか、業務がどのようになるのか、この点も危惧されますので、教えていただきたいと思いますし、また新型コロナ自宅療養フォローアップセンターについてもお聞きをしましたが、体制機能についてもう少し分かりやすくご説明いただければと思います。 それと、教育長からインクルーシブ教育の件でお答えいただきました。ここで特に山辺高等学校の件で再質問をさせていただきたいと思います。 山辺高等学校の取組は、障害者が農業に携わる農福連携の理念の下、知的障害のある生徒の農業分野での社会的自立を図るということで、2023年の学校案内にも紹介されております。今入っている生徒が2年後には実際に社会に出ていくわけであります。そうしたときに、農福連携を基とした社会的自立を目指すとなれば、当然これは、農福連携の関わりは一層重要な課題と考えます。 そこで、教育長に農福連携をどのように教育委員会としても取り組んでいかれるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 筒井福祉医療部長。 ◎福祉医療部長(筒井昭彦) 介護福祉士の活用等のご質問でございますが、介護職場の魅力を構成する要素の中に、やはり介護福祉士の資格の取得や経験年数や職責等を踏まえての給与体系とかキャリアパス制度がしっかり確立されていることが、やはり挙げられると思います。 一方、介護職場には、メンバーシップ雇用の文化が根づいていて、職場一丸となって協力し合って、サービスを提供する面もございますから、資格取得によって、どの程度めり張りをつけるのかが、全体のモラル維持とかサービス向上につながるかということをしっかり現場の意見を賜りまして、成功例を横展開するみたいな情報発信をしていきたいと思います。 もう一つ、福祉人材センターの活用の件でございます。福祉人材センターに就職相談、求人、求職合わせて毎年1万件以上の相談が寄せられていて、そのうち5割強が求人側、5割弱が求職側だったと記憶しております。そのうち、マッチングに至ったのは大体200件から250件という実績がございます。福祉人材センターともう少し情報共有もして、どんな取組をすれば、マッチング実績が上がっていくか等をしっかり検討して、有効なところから実施していきたいと思います。 以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 平医療政策局長。 ◎医療政策局長(平夏来) まず、私に対しては、ワクチン接種に関して、1・2回目接種とその後のオミクロン株対応ワクチンの誤接種がないようにということで、そのような体制をどのように構築するのかということでご質問いただいたと承知しております。 山中議員おっしゃるとおりに、この1・2回目接種を受けた上で、オミクロン株対応ワクチンを接種していただくということですので、その点については、既に市町村の担当者ですとか医療機関との会議などで、ご説明は繰り返しさせてはいただいているところではございますが、改めて、そのような誤接種がないようにしっかりと体制を確保したいと考えております。 また、市町村の方から、今回、そういった1・2回目接種の会場の確保だったりが、なかなか大変だというお話もありましたので、県がその分従来株ワクチンの接種センターをしっかり設置させていただくという取組もさせていただいておりますので、このような取組を進めながら、誤接種がないように気をつけていきたいと考えております。 また、2つ目のお尋ねとしましては、発生届の見直しの関係のご質問でございます。 一部、発生届対象外となる方々についても、医療機関から県独自の項目について報告を求める運用について、医療機関と保健所の負担軽減について、どのように図っていくのかということでございますけれども、まず医療機関側につきましては、今回、幾つか項目、すなわち氏名や連絡先、住所等、幾つかの項目をご報告いただくのですけれども、発生届でご報告いただいていたような詳細な内容は求めておりませんので、その分については、負担軽減になっている状況と承知しております。関係者の方々にもご説明させていただいて、そのような対応でご理解いただいているところです。 また、保健所につきましても、今まで提出された発生届の項目について入力作業などがあったのですけれども、今回、県から求める項目が発生届よりは少なくなっておりますので、その入力の負担軽減にはつながっている状況と考えております。 また、後のフォローアップセンターのご質問にもつながるのですけれども、今回、フォローアップセンターにつきましては、先ほど保健所に設置すると申し上げましたけれども、自宅療養の方々に対して、これまでも取り組んできていた、住所地だったりに対して、パルスオキシメーターや関連するリーフレットをお送りしていた取組に加えて、宿泊療養や市町村の生活支援、そういったものを、ご希望があればおつなぎする役割をするということを、フォローアップセンターではやらせていただくのですけれども、一部、委託の形でやらせていただいております。 その委託の内容が、今回の運用の見直しの中で、一部65歳以上70歳以下の方、重症化リスクが低い方については、受託事業者の方から自宅療養の方々に電話をかける見直しを行っていますので、その点については、保健所の負担軽減にもつながっているものと認識しております。 私に対してのご質問は以上だったと承知しております。よろしくお願いいたします。
    ○議長(岩田国夫) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) まず、山辺分教室でありますけれども、これは高等養護学校の教育課程と、それから山辺高等学校の教育課程で、一部分、交流授業等は行われていたと。今回は、40名の農業科という1つの学科の中に、障害のある生徒の学科と障害のない生徒の学科があると、そういうイメージです。したがいまして、教科の学習については、別々に学びますけれども、農業科等につきまして、特に、例えば農業に関する専門的な内容を学ぶ農業と環境という授業でありますとか、それから季節に応じた作物を栽培し、実践的な生産活動を行う総合実習等でありますとか、こういった科目については、全く40名一緒に学んでいくということになっております。 障害のある生徒と障害のない生徒は同じ授業で共に学び、共に活動する中で、やはり互いの考え方や感じ方を知る、または違いを認め合う、そういった自然な関わりが生まれてくると考えておりますので、山辺高等学校で障害のある生徒も障害のない生徒も将来の農福連携を推進する担い手になっていただければありがたいと、このように考えているところでございます。 ○議長(岩田国夫) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) ありがとうございます。 この点からは、主張というか、要望という形でさせていただきたいと思います。 まず初めに、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録についてであります。知事から、この令和5年の提出を目指して、さらなるブラッシュアップする時間をいただいたんだと、このような捉え方で深みと広がりを持った、そういった内容にしていきたいということでございます。 私も、インターネットのユーチューブを見ておりますと、9月26日だったと思いますけれども、飛鳥・藤原宮都の関連資産群を動画で紹介する、そういったが映像がございました。これはあくまでも、その関連資産群の表面から皆さんに知っていただく、このような動画であったと思います。今後は、知事がおっしゃったように、それにストーリー性をどう持たせていくのか、こういった動画もこういったサイトで配信していただくと、一層、県民の皆さんの、まさにこの世界遺産登録に向けた機運醸成につながっていくのではないかということで、これは期待をさせていただきたいと思います。 それと、新規就農者についても様々に県が採用している視点についてお聞かせいただきました。特にその中で知事に技術、農地、資金という3つの話をいただきました。ここで、私は新規就農者の方と話しておりますと、やはり販売先の確保というのも、これは非常に大切なことの1つかと思っております。なかなか県の職員の皆さんに、その販売先を見つけてこいとかいうのは、なかなか難しいと思いますけれども、そういった点もしっかりと寄り添う形で、今後は対応いただければと、支援いただければと、このように思います。 そして、介護人材の確保についていただきました。この点につきましては、再質問させていただいた、そういったキャリアアップをした方へさらなる処遇改善で、そこに魅力をつけていくというところは、全体の職場の環境もありますので、確かに、このめり張りという部分は大事かと思いますけれども、その成功例を横展開して今後考えますよという話もしていただきました。そのためには、やはり奈良県の福祉・介護人材確保協議会というのが、非常に大事な位置を占めているのかと思います。そこには当然有識者も、介護現場の職員の皆さんも、そして福祉学校とか労働局とか、様々な機関が入っているということでお聞きしておりますので、どうかこういった協議会を生かしながら、本当にいい形での横展開ができるモデルをつくっていただきたいと、こんなふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。 そして、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の状況も詳細に聞かせていただきました。こうした答弁をいただいて、医療政策局長から詳細に、こういった議会等を通して言っていただきますと、県民の皆さんも随分とこのホームページだけを見て、ここから接続すればいいのだというだけではなくて、安心されるかと思います。まだ、これ、始まったばかりの全数見直しですので、これからも、不具合というか、そういった意味では改良を重ねながらの、やはり命を守るのだという姿勢で臨んでいただきたいと思います。 それと、大和川流域の流域治水についてであります。先ほどはハード面を中心に聞かせていただきまして、それぞれのところでこの16か所の指定を受けました地域では、事業が進んでいる認識はさせていただきました。しかし、今回、水害のリスクを踏まえた土地利用というソフト面でも、この法改正の中で示されております。特に貯留機能の保全、区域の指定とか浸水被害防止区域の指定というのは、これは、私は大変大きな、また基本的な対策ではないかとこんなふうに思っています。そういう意味で、こうしたソフト対策も、今後、これは国の方針を待たないとできない部分もあるかもしれませんが、しっかりと進めていただきたいと、このように思います。 それとインクルーシブ教育の推進について、一層具体的な話を聞かせていただきました。そうした中で、なかなか農福連携の部分を県教育委員会として、いろいろな意味で深掘りをするのはまだまだこれから時間のかかるところかと、こんなふうに思いますが、この農福連携の先進的な事例としては、滋賀県があるように思いますので、ぜひともそういったいい先進事例を学んでいただいて、県教育委員会としても取り入れていただければということで要望しておきます。 そして、今、山辺高等学校で進めていただいておりますインクルーシブ教育を、先ほど、生物学科と、それから自立支援農業科と再編されて、全国で初めての取組ということで進めていただいております。どうぞこの仕組みがこれからも横展開できる、また全国のモデルとなるように進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) これをもって当局に対する代表質問を終わります。 しばらく休憩します。 △午後2時19分休憩    -------------------------------- △午後2時34分再開 ○副議長(西川均) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、43番川口正志議員に発言を許します。--43番川口正志議員。(拍手) ◆43番(川口正志) (登壇)御所市出身の川口正志でございます。久しぶりに、この演壇にて発言させていただきますこと、恵まれました。同僚、仲間の議員の皆さんに、まずは、感謝を申し上げる次第でございます。なおまた、テレビで見ていただいている支援者の皆さんにも感謝を申し上げておきたいと思いました。ありがとうございます。 本年3月3日は、人間の尊厳と平等を求めて全国水平社が創立されてから、ちょうど100年となる記念すべき日でございました。 全国水平社の創立は、部落差別撤廃、自由と平等、人権の確立を目指す部落解放運動の原点であり、画期的な第一歩でありました。その理念は、時を超えて受け継がれ、2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された、人権をキーワードとする持続可能な開発目標、すなわち、SDGsとも通底するものでございます。 その3月3日に合わせ、水平社宣言を起草するなど、全国水平社創立の中心となった西光万吉らの生誕地であり、水平社発祥の地でございます御所市柏原において、私が理事長を務める水平社博物館が、リニューアルオープンの日を迎えました。 今回のリニューアルでは、アイヌ民族やその他のマイノリティの問題などに、人権問題についての見地を広げるとともに、人気漫画や歌などから人権問題を取り上げるなど、若い方々が興味を持って鑑賞いただけるように工夫を行いました。 オープンに先立つ2月27日には、地元関係者、来賓の皆様を中心としたプレオープン式典を開催し、荒井知事にもお越しいただき、テープカットとご挨拶をいただきました。 今回のリニューアルは、マスコミからも取り上げていただき、多くの方にご好評いただいております。皆様におかれましても、広く人権観光の気持ちを持っていただき、是非1度と言わず2度3度、足をお運びいただきますようお願いを申し上げまして、質問に入らせていただきます。 初めに、本年2月の定例県議会に提案され、可決、成立しました「奈良県美しい南部・東部地域を県と市町村が協働して振興を図る条例」について、知事はじめ県議会の制定のご理解とご尽力に、まずは御礼を申し上げる次第でございます。 それでは、知事及び教育長に幾つかの提案をしながら、質問をさせていただきます。 かつて、本県においては、「吉野を制するは奈良を制する」と語られた時代がございます。しかし、現在、県域の大部分を占める南部・東部地域は、県内の他地域と比較しても、人口の減少や少子高齢化の進展が著しく、多くの分野で様々な課題を抱えています。 御所に生まれ、御所に育ち、御所から政治活動を始めた私にとって、目指すべき県政の姿は、均衡ある県土発展の実現であり、そのためには、南部・東部地域の持続的発展が不可欠であると考え、この課題を議員活動の中心に据えて取り組んでまいりました。 まず、南和地域の関係県議会議員の連帯の輪を構成し、南部振興議員連盟を結成。爾来、十津川村、天川村、野迫川村、上北山村、下北山村等の地域集会等に取り組み、昨年11月には川上村で、南部振興議員連盟と南部・東部振興対策特別委員会合同の県内調査を実施しました。 その川上村での、県、市町村、地元住民との意見交換会において、私は、議員連盟の会長として、南部・東部地域の振興に関わる条例の制定を提案いたしました。知事におかれては、早速、この思いを受け止めいただき、本県における南部・東部地域が果たす役割の重要性を冒頭に掲げた条例の制定に取り組んでいただき、ありがとうございました。 南部・東部地域の振興は、単にこの地域を振興させるということだけに留まりません。県では、これまで、消防の広域化に取り組まれ、また、最近では県域水道一体化に取り組まれています。 人口の多い都市部と少ない田舎の市町村における負担の差について、理解が得られない声等聞きますが、表面的な負担の数値だけの損得勘定は誤りでございます。広域化の意義は、県民の連帯感にあります。水道の供給源の護りや、管理の地域性。施設管理の遅滞はないのかどうか。また、その後遺症の克服。下水道等の施設における迷惑感情。いざ一大事の際の消防出動等の備え。これらの持ちつ持たれつの共存、共助の関係性を深く理解されなければなりません。 南部・東部地域では、古くから住民同士が助け合う文化がありました。今でもそのような伝統がしっかりと根づいていることを強調しておきたいと思います。昨今では、自助、共助、公助ということが言われておりますが、共助の精神が最も重要です。県におかれても、奈良モデルを推進しておられますが、都市部の自治体にも、歴史性、社会性の観点を踏まえ、都市部と田舎とがともに助け合うという共助の精神をしっかりと理解してもらえるよう、取り組んでいただきたいと強く求めておきます。 さて、南部・東部地域の振興につながる動きについて、数点ご紹介とお願いをします。 1点目は、御所の地に全国初の理数科単独学校として誕生した青翔中学校・高等学校の一貫校についてです。この学校は、平成23年度にスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、格段に充実した理数教育を展開しておられ、高い進学実績を挙げるほどに成長しています。 次に、南部・東部地域に位置する県立高等学校のうち、御所実業高等学校、十津川高等学校、榛生昇陽高等学校などで、クラブ活動を行う場合、県外の中学校卒業者等に受験を認めていることです。南部・東部地域における新たな交流につながる取組であると評価しています。 また、令和13年に、本県にとって2度目の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されますが、その主な会場地として、県立橿原公苑及び橿原市の運動公園を検討されています。前回のわかくさ国体のメイン会場は奈良市の鴻池運動公園でしたが、これが今回、橿原市を中心に開催されれば、南部・東部地域全体でスポーツ振興の機運が盛り上がり、地域の振興活性化につながります。 こうした様々な、南部・東部地域の振興に関わる動きを強められることに期待しているところでございます。今回、条例を制定していただいたことで、ますます、南部・東部地域の振興に弾みがつけばと思っています。心を込めて、この条例の基本理念に掲げられた、南部・東部地域の人口減少の抑制と、持続的発展の実現に取り組んでいただきたいと願求する次第でございます。 そこで、この条例の理念の実現に向けた知事のさらなる意気込みと、今後の取組方針について、改めてお聞かせを願いたいと思います。 次に、この問題に関連して、明治時代に、本県十津川村から北海道新十津川町に移住した方々の苦難と、現代の交流についてでございます。 明治22年8月、奈良県吉野郡一帯をすさまじい豪雨が襲い、十津川村においては未曽有の大水害に見舞われました。亡くなった方は168名、生活の基盤を失った方は約3千人にのぼりました。村民約3千名は、北海道への移住を決断し、第1陣2,489名、第2陣179名、計2,668名が神戸から船に乗って小樽へ、そして徒歩で50キロメートルもの悪路を歩き、市来知・空知太に到着すれど、豪雪のため石狩川は渡れず、雪解けを待ち、7か月を屯田兵舎でしのぎ、この間100名余の死者を数え、240日をかけて、トック原野に入植し、新十津川村を建設されました。以降も、厳寒の地において、原生林を切り開く開墾作業は、困難を極めたと聞き及んでいます。 以来130年余りの苦難の歴史を越え、新十津川町の人々は、奈良県を母県、十津川村を母村と言われ、交流が続けられてきました。 平成29年には、新十津川町開町127年、町制施行60周年記念式典が開かれ、荒井知事と県議団が参列させていただいたことが良き思い出として残っております。 また、開町132年に当たる本年6月にも、町の新庁舎開庁式典が開かれ、県から村井副知事が出席され、私も参列してまいりました。さらに、今月も、私は県内の中小企業の若手経営者、こふれ21の皆さんの希望もあり、こふれ21の顧問である五條市長とともに新十津川町を訪問させていただきました。 被災された方々が新しい地にわたり、筆舌に尽くしがたい困難に遭いながらも立派な町を築かれたことは、私たち奈良県民の誇りでございます。私はかつて教育長に、十津川村と新十津川町が、苦難を乗り越えられた歴史と文化を、学校教育の現場で積極的に教材として取り入れられるべきだと提案しました。教育長からは、郷土奈良についての学習内容の1つに採り上げることと、両町村の児童生徒の交流を進めていくとご答弁いただきました。 それからしばらく時間がたっておりますので、今般、改めて、この十津川村と新十津川町の歴史と文化を、現在、どのように学校教育の現場で取り上げられているのか、また、両町村の児童生徒の交流の現状、あわせて十津川高等学校の現状について、教育長にお伺いいたします。 なお、皆さんのお手元にお配りしております資料は、わざわざ、前の十津川村の村長でございます更谷さんが、私が県議会で問題を提起するということを聞かれたのか、届けられた資料でございますので、皆さん、参考にしていただきたいと思います。 次に、漢方のメッカ推進プロジェクトについて知事にお伺いいたします。 本県の製薬業は古くから大和の置き薬を中心に、御所市、橿原市、高取町など、主に大和平和南部で発展した地場産業をその源としています。 しかし、この歴史ある県内の製薬業界の現状は深刻です。かつては有力な生産地であった名残か、県内の製薬社数は全国8位と多いものの、総生産金額は全国中位の26位であり、全国と比較して、企業規模が小さく、経営体力に課題を抱えている状況です。しかし、それでも、現在、県内では、42社の製薬業者で、3,300人の従業員が働いていると聞いております。 このような状況のもと、県は平成24年から漢方のメッカ推進プロジェクトを立ち上げ、漢方薬の振興に取り組んでこられました。私もこの取組には注目もし、期待もしておりましたが、試験、研究などが中心となっており、なかなか生産振興につながっていません。 県産の生薬、例えば大和トウキは1キログラム2,000円と言われており、1キログラム800円と言われる中国産と比較すると、2倍3倍の価格となっております。そのため、製薬業界からは、価格が高すぎるとの評価を受けており、国内で使われる生薬は8割が中国産となっています。 中国産の生薬の品質が国産品と比べて劣るという訳ではないと思いますが、「県産の生薬が使えるものであれば使いたい。」という製薬業者からの声も、私の耳に入っております。せっかく立ち上げられた漢方のメッカ推進プロジェクトが、うまく機能していないのではないかと危惧しております。この際、試験研究だけでなく、農業者における生薬の生産促進にも真剣に取り組み、使いやすい価格で、安定した量が確保できる県産生薬の生産体制の確立を具体的に進めるべきだと考えます。 そこで、漢方のメッカ推進プロジェクトにおいて、生薬の生産促進に対する支援と、製薬業者への支援とをバランス良く組み合わせ、生薬の生産振興と製薬業の振興の実現に向けた取組を具体的に進めていくべきと考えますが、知事のご所見をお尋ねいたします。 次に、御所市にあります薬事研究センターについて、知事にお伺いします。 薬事研究センターは、昭和22年、家庭薬工業組合より御所市内の敷地及び建物の寄附を受け、同年、大和高田市にあった工業試験場から薬事試験機能を移転したことからスタートしました。昭和27年には薬事指導所と改称、昭和43年に現庁舎が建築され、平成15年に現在の名称に改められて、現在に至っており、これまで長く御所の地において、薬業の振興に寄与しておられました。 センターの建物が古く、耐震性が非常に低いことから、県においては耐震改修工事を検討され、令和元年9月議会で工事の予算を含む補正予算が成立し、いよいよ耐震化が進むと期待していました。しかし、令和2年1月、薬事研究センターの在り方を検討するとのことで、改修工事が凍結され、そのまま現在に至っています。 令和2年9月議会において、私は知事に、薬事研究センター機能の在り方について、これからも御所の地でセンターの機能を発揮すべきとの願いを込めて、ご所見を伺いました。 知事は、研究員は3人しかおらず情けない状況であり、点検、見直しが必要であること、また、施設の老朽化の進行についての現状認識を述べられ、さらに本県の薬業の現状にも触れられた上で、薬事研究センターの果たすべき役割をしっかり整理し、県内外の有識者の意見をヒアリングしながら早期に検討を進めていくと答弁をされました。 それから、ちょうど2年がたちました。薬事研究センターは現在、桜井市の農業研究開発センターに移転したままになっており、また、その機能の一部は宇陀市の大和野菜研究センターに移っています。御所市のセンター建物は、一向に使われる気配がございません。また、それぞれの移転先で、どのような活動を行われているのか、情報が入ってきません。 薬事研究センターはもともと薬草園も併設されており、先ほど述べた漢方のメッカ推進プロジェクトにおいて、漢方薬の振興を担う中心にもなり得る施設であると考えています。県立医科大学で不足している研究者を確保し、研究を進める案もあると耳にしておりますが、薬業振興の基盤であった御所を拠点として、優秀な人材を確保していただきたいと願っております。 そこで知事に伺います。 先般、薬事研究センターの耐震工事を凍結した経緯と、その後のセンターの在り方についいての検討状況をお聞かせいただきたい。また、今後、このセンターがどのような役割を担い、いつ、どのぐらいの時間をかけてセンターの改築を行うのか、所見をお聞かせ願いたい。 仏教には、事実を事実として受け止め、ものごとの真相を正しく見極めることを意味する如実知見という考え方がございます。この姿勢が肝要でございます。抽象的な、あるいは他人事のような、批評のような答弁は必要ございません。この際、慎重に検討するといった言葉で紛らわすのではなく、ぜひ具体的な答弁をお聞かせ願いたいと思います。 これで壇上からの質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)43番川口正志議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、南部・東部の振興と交流の促進に関する条例についてのご質問でございます。 私は就任以来、南部・東部地域の振興に全力で取り組んでまいりました。これまでの主な取組でございますが、まず、紀伊半島アンカールートの整備、それから、南和広域医療企業団の設立、ドクターヘリの導入、広域消防組合の設立、御所インターチェンジ周辺産業集積地の整備、フォレスターアカデミーの開校、そして、南部東部振興監の配置などの実績が上がってきております。 南部・東部振興の必要性をなぜ、そのように考えるかということに多少述べますと、奈良県は近年まで、大阪のベッドタウンとして発展し、人口80万人から140万人まで増えましたが、その人口の多くは県の北西部に集中しております。南部・東部の地域の人口は、日本で有数の人口減少地域になっております。 奈良県が一体感を持って、一体感を実感できる県になって発展するためには、南部・東部の地域の振興が必須との考え方を常に持ってきたわけでございます。そのような中で、昨年11月の奈良県南部振興議員連盟懇談会で川口正志議員にご提言をいただき、「奈良県美しい南部・東部地域を県と市町村が協働して振興を図る条例」を提出し、議決をいただいたところでございます。 この条例でございますが、南部・東部地域が、奈良県の発展の歴史において果たしてきた役割、また、食料、木材、水及びエネルギーの安定的な供給や、魅力ある生活文化及び歴史文化の継承など、重要な役割を担う地域であることを改めて確認しております。あわせて、今後、南部・東部地域の持続的発展が県全体の発展のためにも必要不可欠であることを明言しております。 今後、この条例に基づきまして、県と市町村が共通の目標を定め、協働して南部・東部地域振興施策を総合的かつ計画的に進めるのが条例の目的でございます。 取組を進めるにあたりまして、県と南部・東部市町村が協議する場として、6月に南部・東部サミットを立ち上げました。 南部・東部サミットでは、条例の5つの基本的施策でございますが、産業の振興及び雇用の創出、2つ目に住民の福祉の向上及び生活の安定、3つ目に防災・減災対策の推進、また、魅力ある地域づくりの推進、最後にデジタル社会の形成の推進について、検討を始めたところでございます。また、高度な知見の収集、広いアイデア募集、さらに民間投資喚起などのため、コンソーシアム形式による実践的な勉強も行いたいと考えております。 今年度の具体的なテーマは、市町村の喫緊の課題であります、市町村における職員の人材確保・育成、南部・東部地域のゲートウェイ拠点づくり、南部・東部地域の地域デジタル化推進の3つとしたところでございます。 本条例により、南部・東部地域の役割や歴史・文化と振興の重要性を全県民が再認識し、県と南部・東部地域の市町村、また、関係する市町村がともに力を合わせ、奈良県の一体感のある発展につなげてまいりたいと考えております。 次の私に対する質問は、漢方のメッカ推進プロジェクトの具体的な取組についてのご質問でございます。 漢方のメッカ推進プロジェクトは、奈良県にゆかりの深い漢方について、生産・研究・販売までの一貫した体制と漢方の産業化を目指す試みでございます。平成24年に立ち上げ、本年で10年目を迎えます。 まず、生薬の生産促進でございますが、検討の結果、大和トウキをプロジェクトの最重点作物に位置づけました。その生産量を増加させるため、栽培マニュアルを作成いたします。それを生産者に周知・栽培指導することで、栽培技術の向上に取り組んできたところでございます。 その結果、生薬となる根の部分の生産量は、プロジェクト開始前は年間1.3トンでございましたが、令和2年は2トンに増加しております。また、生産戸数は53戸、面積は約3ヘクタールでございます。 しかしながら、県内製薬企業からのニーズ等に応えるだけの生産量を確保するためには、まず収益性を向上させる必要があると思っております。 そのため、農業研究開発センターにおきまして、コスト低減につながる、単位面積当たりの収穫量の増加や、省力化を重視した新たな栽培技術の研究に取り組んで、効率的に生産できる仕組みを構築してまいりたいと考えております。 次に、製薬業の振興でございますが、研究からその成果を企業に展開するというやり方をしております。薬事研究センターで、生薬の優位性が発揮できる成分分析や加工技術などの研究を進め、その研究成果を製薬企業へ移転することで、製品開発を促進しようとしたものでございます。大和トウキ以外の生薬も含めますと、医薬品10品目、医薬部外品5品目が製品化され、その約8割が既に販売されているところでございます。 また、開発後も、製剤の品質確保に係る技術支援などを実施し、製薬企業をサポートしております。 引き続き、大和トウキなど奈良県産生薬を活用した医薬品などの製品化がさらに進むよう、生薬の優位性が発揮できる成分分析や加工技術の研究に取り組んでまいりたいと思っております。加えまして、県内や首都圏での販売会や漢方に関するセミナーの開催、動画配信など、「奈良のくすり」のPR等にも努めてまいりたいと思っているところでございます。 川口正志議員ご指摘のとおり、県内産の生薬は、製薬企業をはじめとする需要者のニーズにマッチするためには、供給量や価格面で厳しい課題がございます。こうした課題を丁寧にかつ粘り強く解決していくことで、生薬生産や製薬業の振興につながるよう、今後の取組を精力的に進めていきたいと考えております。 最後に薬事研究センターについてのご質問がございました。 まず薬業振興についてでございますが、私は奈良県にとって、とても大事なことと考えてまいりました。その中で、薬事研究センターは、製薬企業の技術指導や、新人教育などの人材育成、共同研究による製品開発支援など、本県の薬業振興に寄与してまいりました。 一方、薬事研究センターの建物につきましては、老朽化しており、耐震改修の話が出ました。私は耐震改修だけでよいのか、むしろ、薬業振興の中心組織として育てる必要があるのではないかと思ったところでございます。一旦工事を実施いたしますと、その後十数年以上の間、現状の規模のまま、また、現状の施設のまま使用することになりますが、今後の奈良県の薬業発展のためには、センターの役割をどのように強化するのか、今後のセンターの担うべき役割を確たるものとして、施設の在り方を検討する段取りが必要ではないかと考えたところでございます。さらに、センターの人材や設備の充実が必要と考え、そのため、薬事研究センターの役割の果たし方について、根本的議論が必要と考えております。 このような経緯から、奈良県の薬業振興を考えるにあたり、本年7月から8月にかけて、県内外の製薬企業、医薬に関する有識者を招きまして、私も参加いたしまして、有識者ヒアリングを実施いたしました。当ヒアリングにおいては、有識者からは様々な貴重なご意見をいただきました。 まず、具体的な意見として、製薬業界の現状でございますが、県内医薬品製造販売業者は51社おられますが、そのすべてが中小企業で、受託製造事業者が多いわけでございます。受託するには、製造設備の充実や、医薬品の品質確保体制が必要でございます。2つ目は、医薬品等製造業の規制強化への対応が現状では難しいということを評価されております。3つ目は、これらの諸課題への対応に、薬事研究センターの技術支援がぜひ必要である、というご意見を賜っております。 漢方の関係では、漢方ゆかりの地という強みを生かすなど新しいブランド化が図れないかどうかというご提言をいただきました。また、良質の生薬生産を省力化する研究は可能かどうかというご提言もいただきました。 多くの貴重なご提言をいただきましたが、それを具体化につなげる必要がございますので、この有識者ヒアリングに続きまして、来月中に、薬業に係る懇談会を立ち上げる予定でございます。 この懇談会では、奈良県の薬業振興の分野におきましては、例えば、品質確保体制強化のための技術支援や相談体制の整備について、また、研究開発の分野では、製剤化研究への取組方などを整理していきたいと考えております。 時間はかかっていますが、奈良の薬業振興に役立つ、よい結論をこの際出して、奈良の薬用振興を実効のある発展につなげていきたいと考えているところでございます。 ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)43番川口正志議員のご質問にお答えいたします。 私には、十津川村と新十津川町の歴史と文化を学校教育にどのように取り入れているのか、また、両町村の子どもの交流や十津川高等学校の現状についてお尋ねでございます。 郷土十津川を大水害の被害によりやむなく離れ、新天地を北海道に求め、有数の穀倉地帯の礎をつくり上げた、新十津川町の人々の歴史を学び、その思いや願いに触れることは、児童生徒に対して、郷土に対する愛着や誇りを育む上で、生きた教材になると考えています。 県教育委員会では、新十津川町の人々の十津川村への思いなどを考えさせる、郷土資料として、県独自で作成した、「つり橋の村」の活用を広げるため、平成29年度に作成した教員用の郷土学習の手引きに、現在掲載いたしております。狙いや学習の流れなどを詳細に示し、教員研修を通じて、公立中学校の教科横断的な事業での活用を促しております。 また、新たな取組として、教育研究所が月1回発行するウェブマガジンの10月号に、読み聞かせの推薦図書として「北へ行く旅人たち」、これは新十津川物語の第1巻でございますけれども、この本を取り上げる予定でございます。今後は、小学校の初任者に読み聞かせの実践研修を実施し、読み聞かせを通して、教員にも、子どもにも、十津川村と新十津川町の歴史や文化を学ぶ機会にしたいと考えております。 この取組は、奈良市出身の指導主事が、小学生の頃、「北へ行く旅人たち」を当時の担任に読み聞かせてもらい、40年後の今も強く印象に残っていることが、これが契機となり、実施しようとするものでございます。 本年度の児童生徒の交流の現状でございますが、十津川中学校におきましては、5月に新十津川町への修学旅行を予定、また、新十津川町におきましては、小・中学生30名程度が7月に十津川村を訪問する予定でございましたが、いずれも、新型コロナウイルス感染症防止のため中止となっております。 今後は、両町村の小中学校において、修学旅行等の代わりにオンラインでの交流学習に取り組む予定であると聞いております。学校間の交流学習におきましては、中心となる活動に交流体験、実践報告、共通活動などがあり、県教育委員会では、それらの活動に対して、児童生徒の絆がより深まるよう、必要に応じて助言や支援を行ってまいります。 また、十津川高等学校の現状に関しましては、地元の十津川中学校と連携型の中高一貫教育によって、地域の課題研究に現在取り組んでおります。今後は、小中高を通じて、オンラインを活用した探求的な交流学習を実施するなど、地域に信頼される高校づくりを進めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(西川均) 43番川口正志議員。 ◆43番(川口正志) 時間がありませんから、多くは語る必要もないと思いますが、いずれにせよ、南部・東部にかけられてきた知事の思いなり、いろいろな実行を改めて感謝申し上げておきたいと思います。 それほどに医薬に関わっても、医薬に関わってもうひとつ、念頭に入れてもらいたいと、こう申し上げざるを得ない。つまりですね、今の知事も、ありがたいことをたくさん述べていただきましたが、私は、特に医薬に関わって2つ問題があります。つまり、農業も、漢方薬を育てる農業も育てる。その農業と、あるいはまた、地場産業である医薬業界とか、うまくマッチングできる。そしてまた、薬業そのものが振興する、農業も振興する。そういうようなバランスよく、いい方向を見つけてもらいたいし、進めてもらいたい、このように願っての要望でもあるわけです。強い要望。質問というより要望です。もう分かり切ったことで、最後に私申し上げましたように、如実知見。つまり、きれいごとで済ますのではなくて、第1段階ではここまで、第2段階はここまでというぐらいの、ある意味でのゴールの目標を定めて物事を組み立てていただきたい。だから、そういう意味での目安を持っていただかないと。 例えば、先ほど申し上げている薬事センター。もう2年研究してもらっている。どうするか。いつ頃答えが出るか。答えの出ない審議は具合が悪い。答えを出してもらいたい。そういう意味で申し上げているわけ。だから、いつ頃までに答えを出して、例えば建替だけではいけない、根本的にセンターを作り変えるのだ、というような意味も聞きました。それならばそれで、つまり、ゴールを決めた形の物事の組立てをしてもらいたい。ゴールを決めてもらいたい。こういうことを申し上げているということをご理解いただきたいと思います。 とにかく私は、日にちをきっちり聞きたい。いつぐらい、何か月、あるいは、何年、物事を検討するのだと。こういうことを、目標をまず定めていただきたい、目標を答えていただきたい。このように思います。具体的な期間を述べていただきたい。 このことを申し上げて、答弁、また質問はできないと思いますけれども、とにかく目標を決めてもらいたい。このことを申し上げておきたいと思います。答えてください。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 何かご要望だと最初おっしゃったので、よく聞いたつもりでございます。 医薬、漢方薬についてのことでございますけれども、まず、特に薬事センターは、現在、人員ですけれど、9名しかおりません。その中で研究職は3名です。この3名で、医薬の、薬業の振興というのは、私は難しいと思っております。この定員を増やして、研究体制を強化する必要がある、というのが発想のまず原点であります。 どのような人を増やすのかということから始めないと、その薬業の振興に、今の奈良の製薬は大変小さいものでございます。大きく発展するための研究のテーマなり、農業は農業振興ゾーンというのをつくって、着々と、足は遅くても進んでおります。薬業はそのようなまだ道筋が見えません。研究開発の充実は3名では足りないと思っております。その充実をするための確たる方向を決めたいと思います。 どのような人がいるのかということを、やはり専門家に聞かないと。建物を建てるだけ、あるいは人数を増やすだけでは心もとないというのが、今の気持ちでございます。川口正志議員がおっしゃいましたように、そのような目標というのは持っております。具体的な目標、専門家に聞く必要があろうかというのが今の段階でございます。 また、医薬とおっしゃいましたので、漢方についての、漢方の生薬の生産は、トウキはなかなか難しい生産物であることが言われております。トウキの生産、生薬の生産の8割が中国でございます。日本の原産で、生産性を上げるためには、値段を上げるか、コストを下げるかになるわけでございます。値段は、中国の8割の生産に対して、良質なものをつくる必要がある。良質なものには手間がかかる。手間を省くには、省力化がいる。省力化にはどうすればいいかというところで、なかなか難航しているのが実態でございます。省力化のための、トウキの生産の省力化のための機械化ができないかということを模索しております。良い機械化、省力化ができれば、それを採用するつもりでございます。 良いアイデアが出たら、大胆に行うというのはよくご存じだと思いますけれど、なかなか知恵がそこまでいただけない段階でございますので、今後とも、努力を続けたいと思っております。 ○副議長(西川均) 43番川口正志議員。 ◆43番(川口正志) 私がね、基本的に尋ねているのは、第1段階だけでいいですから、ゴールを決めてもらいたい。ゴールを決めて答えを生み出していく、こういう姿勢が大事。期限のないゴールがばっかりね、良い答え、良い答えといったって、いつまで。答えが出なかった時はどうなるのですか。第1段階のゴールはいつ頃までと決める。そして、その段階では、ここまで研究できました、ここまで物事が組立てられましたという。 だから2年前申し上げてから、今日の段階でどこまで物事が進んだかと。そういうことも含めながら尋ねたくなります。まずは、今日的にはゴールをいつまでかと、こういうことですよ。 ○副議長(西川均) 質問時間が超過しましたので終了願います。 ◎知事(荒井正吾) 努力を全力でしたいと思います。     (「ゴールを決めないといけない、ゴールを。ゴールを決めないと」と呼ぶ者あり) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 時間だけ決めればよいというのはすぐにでも決まりますが、内容が固まらないと。川口正志議員も知恵を出していただくと具体的な知恵を出していただくといいと思います。     (「何年かかるねん」と呼ぶ者あり) ◎知事(荒井正吾) この議場は知恵を出さないといけない議場であります。どうぞ知恵を拝借するために、全力を使っております。ほかはうまくいっております。漢方はなかなかうまくいかないというのが実情でございます。 ○副議長(西川均) 次に、24番奥山博康議員に発言を許します。--24番奥山博康議員。(拍手) ◆24番(奥山博康) (登壇)議長に25分間の一般質問の時間をいただきました。お疲れのところでしょうけれども、議員の皆さん、しばらく時間をください。よろしくお願いします。 昨日、安倍元内閣総理大臣の国葬がございました。奈良県からは、荒井知事、岩田議長、そして、市町村会からの代表の方、市町村議会の代表の方が国葬に出席していただきました。改めて、御礼を申し上げたいと思います。 実は、私には招待状が来ませんでした。どうしたものかと考えながら、11時30分に近鉄大和西大寺駅の事件現場にお参りに参りました。たくさんの他府県からの弔問客が来られておりました。中にはお花を持ってこられていた方もたくさんおられました。残念ながら、献花台が用意されていなかったので、そこで皆さん、深く感謝の念を込めて、お参りされていました。非常に印象的でございました。その後、自由民主党奈良県連のところで、記帳台を設けていたので、西大寺を終わって、私はそちらへ向かって、記帳をさせていただきました。 帰ってから、テレビ放映を見させていただきました。たくさんの方々が来ていただき、そしていろいろなマスコミの報道を見ていると、ひょっとしたら大変なことが起こらないのかと心配しておりましたけれども、結論は、非常に厳粛な中でもすばらしい国葬が行われたと、私、個人は思っております。そして、日本全国からたくさんの方々が献花に来ていただいたようです。締切りの時間を2時間もオーバーしても、まだたくさんの方々がお花を持って、献花に来ていただきました。ありがたいな。それとともに、当然、この国葬に対してはいろいろな意見がございましたから、いろいろな場所で、その行動が反対である、賛成であるというのも、テレビで見ました。私は、これは皆さん個人の思いがあるので、それはそれでいいとして、でも厳粛な葬儀の中で、鳴り物を使いながら反対をするのはいかがなもんかというのは私だけでしょうか。少し残念な気がいたしました。 あと、私が今、非常に心配なのは、昨日、27日ですけれども、ロシアがウクライナの南部・東部地域のところで、わけの分からない選挙をして、これは私の国であるということを認めさせる選挙行動があったのは、皆さんもご存じだろうと思います。私はなぜこの話をさせていただくかというと、これ、北方領土でロシアがこの選挙をされたら、北方領土の住民はほぼ100%近く、日本の領土でありながらロシアになると、こういうことにならないかと心配するのは私だけでしょうか。いろいろなことを思って、私は27日を過ごしました。 さて、質問に入りますけれども、今年8月に1回、新型コロナウイルス感染症の感染者が3,000人を超えたときがありました。これは大変なことになってきたと、多分、議員の皆さんはもちろんですけれども、テレビをご覧になっている方々も、奈良県もすごい新型コロナウイルス感染症が大流行してきたな、また、と心配されていたと思います。私は、まず医療関係者、従事者、そして介護施設なり、そして障害者施設の人たちに非常に感謝をしなければいけないと、大変な仕事だったろうと思います。 今、ここへ来て、ある日は300人ぐらいで、あるときは700人と、少し遠い遠い2年半のトンネルがやっと明かりが見えてきたか、自然抗体も含めて、ワクチンの推進も含めて、効果が出てきたのかと、個人としては非常に期待している次第でございます。 今日は、皆さんのお手元に配付している医療政策局長、そして県土マネジメント部長に対しての質問になりますので、お疲れのところですけれども、しばらく時間をいただきたいと思います。 まず、医療政策局長に対する質問は、私もこれは、あっ、それはそういうことがあってんなというのが1つの質問です。これなぜかというと、奈良県では、深夜のタクシーが動いておりません。大阪では、当然、一晩中、タクシーは動いております。なぜかというと、それだけの需要がないということで、やはりタクシー業界も利益のことを考えると、深夜にタクシーを走らせることはできないのかと、ある程度の理解はしていますけれども、ある医療従事者から、少し話を聞く機会があって、今日は1問目の質問にさせていただきます。 特に高度医療が必要な場合というのは、産婦人科医院に入院している新生児の子、そして母体、何があるか分かりません。意外と救急車を呼ぶのは真夜中が多いのです。そのときに、当然、高度医療を持っている病院に救急車は運んでいただきます。そのときに、その病院のドクターがついていかなければいけない。同乗していかなければいけない。何かあったら、大変だから。そして、病院に着いて、しばらく高度医療をすると。やっと入院の手続も終え、その医療従事者は、患者さんもたくさん待っているので、自分の医院に帰るのに、タクシーがないから帰れない。私もこれを聞いて、それは大変だと思いました。これをどうしたらいいのかと。 いろいろな考えがあるでしょうけれども、私は、タクシー業界とどのような話ができるのかと。ひょっとしたら、輪番制を取っていただいて、少しでも安心して、医療従事者、ドクターも一緒に同乗しても、帰りのタクシーを呼んで帰れるようなことできないのか。そんなに一晩で20件も30件もある話でもございません。だから、これは、タクシー業界も含めて、社会福祉、そして県民の安心、安全という観点からも、1回考えていただくのはどうかと思って、1番目の帰院手段の確保についてということで、質問を入れさせていただきました。 続きまして、昨今、テレビで刑事、警察関係のドラマが多くて、私も非常に面白いので、興味があるし、見ております。そのときに必ず自殺した人がいる、不審な点があるという、ドラマでの話ですよ。必ず解剖して、そしていろいろな原因を調べてという法医解剖というのがあるのです。この法医解剖について、2つ目は質問したいと。 この間、県警察の方と少しお話しすることがございました。事件があって、法医解剖ができなかったら、事件の真相解明、事件の追及は、やはり難しいですかと。それはいろいろなことで、その法医解剖の必要性を聞かせていただきました。 皆さん、法医解剖という法医学、日本全国で法医学の解剖できる先生方が何人おられるかご存じですかと言えば、私も知らなかったのです。調べて分かった。全国で140人少し。奈良県は1人の教授がやっていただいております。年間200件以上。年間200件以上の法医解剖していただくといったら、それに対するストレス、そして疲労、いろいろなことで僕は大変な職務を担ってくださっていると思っております。 皆さんもこんな話は意外と知らなかったでしょう。非常に大事な話だと思って、私は少し勉強させてもらったら、医学部に入学して、法医学を勉強して、法医学の先生になるといったら、時間もかかるし、何かしら、メリットも少ないという感じで希望者が非常に少ない。でも、我々が生きている間、いろいろな事件があったときには必要ある職責です。 奈良県立医科大学では、法医学教室には学生が今いないように聞いております。要は、今頑張ってもらっているその法医学の先生、1人で年間200件以上。それをまだ下の、これからしっかりと勉強しながらやってくれている人がいれば、私はここまで言わないのですけれども、やはりこの法医学の先生方の育成について、県としてどのように考えられているのか。 この法医学の先生が解剖するのに、新型コロナウイルス感染症にでもかかられたら、しばらくはお休みしなければいけない。事件性がある変死について、やはり、すぐに法医解剖もしなければいけない。多分、そういうときには、近隣のところに頼むということがあるのかもしれませんけれども、日本全国で140人余りですから、当然、大阪だって少ないように思います。奈良県は、1人の先生で今、青森県に次いで1人当たりの法医解剖をする件数が多いということも聞いて、私は非常に大変だと。これが本当に大変にならないために、今後、県としてどのように取り組んでいただけるのか。 そしてまた、すぐに人材育成ができないといえば、CTとかいろいろな、今、新しい機械、これで少しでも短時間に究明ができるようなことができないのかということも含めて、私は質問をさせていただきました。 続きまして、県土マネジメント部長にお尋ねしたいと。 私は香芝市選挙区選出ですから、一般質問ではいつも、道路・河川のことについてはよく言うのですけれども、今日は、先には、私の香芝市の隣町の大和高田市の問題について、少し質問をさせていただきたいと。大和高田市は米田議員、そして太田議員と2人の県議会の議員がおられるので、越権みたいなことを言って、大変申し訳ございません。特に米田議員あたりはもうベテランの議員ですから。この冠水、大和高田市の近鉄大阪線、JR、近鉄南大阪線のアンダーパス、ちょうど大和高田市から斑鳩町まで、重要幹線路線のところが3か所、アンダーパスになっているのです。調べたら、奈良県で10か所、このアンダーパス、線路の下に道路があると。大雨のときにはそこが冠水して通れない、これはよく言われます。 米田議員などが過去に近鉄南大阪線、JR、これはポンプアップして、少しでも早く水が取れるようにということでやってくださっていましたけれども、近鉄大阪線のアンダーパスだけは何もできない自然流下。自然流下ということは、細い川にたまった水が流れるのを待っている。そうすると、救急があったり、災害があったり、いろいろな事故があったときに、もう県の担当者すらそこを通れない状況になっているので、私は一刻も早く、計画的にこのアンダーパスの冠水について検討していただきたいというのが、第1項目の質問でございます。 続きまして、香芝市の道路問題。これは2月にも言っておりますけれども、皆さん、県議会議員をされていてよく分かりますけれども、道路の拡幅、改修、これはなかなか目に見えて進まない。なぜかというと、土地の買収ができて初めて工事というのはできるのですけれども、特に香芝市の西名阪自動車道から通っている国道168号、中和西幹線というのですけれども、あそこ、私は23年間、ずっとこの質問しています。地元の人は、ここの道、いつ4車線になるのだ。県は日々地権者に協力してもらって、土地を買っています。買収ができているのだけれども、やはりすべてがすべて整わないから工事に入らない。工事に入れないということは、一般市民、一般県民は、ここ、いつ広くなるのと、こういう感覚です。だから、今、やっと国道168号西幹線も、工事が入ったら少し進んできたような声を聞いております。どうか県土マネジメント部長、聞くところによると、道路族ということも聞いておりますので、いい答弁いただきたいと、かように思います。 あと、いつも桜井市から香芝市まで中和幹線が通っております。ところが、香芝市から大阪府の柏原インターチェンジまでの2.1キロメートルでしたか、これが全然進まない。下から国道165号、中和幹線。葛城市、御所市から、大和高田バイパスが来て、6車線が1つになって、朝晩はもう本当に大変な状態でございます。県、市町村の協力でほとんどできているのですけれども、2.1キロメートルは国土交通省の直轄部分、これが進まない。これは奈良国道事務所の担当だとは思うのですけれども、県、香芝市もしっかりと協力しているとは聞いているのですけれども、一向に進んでいるように見えないのですけれども、現在の進捗状況、ぜひとも新しい県土マネジメント部長に答弁をよろしくお願いしたいと思います。 続きまして、河川につきましては、もう葛下川、原川という、もう24年前に大雨で床上まで浸水した地域の川でございます。これは県の努力で非常によくなってきているのは、目に見えて分かっているのですけれども、まだ一部、心配なところがたくさんございますので、この改修についての進捗状況について聞かせていただきたいと、かように思います。 最後になります。これは要望にしておきます。 9月22日、令和13年に向けての国民スポーツ大会、我々でいうと、国体です。障害者スポーツ大会。これ、あと9年ですか。奈良県での開催があると。9月22日の代表質問でも答弁がございました。私は、今日の要望は、実は奈良県と橿原市の話がなかなかうまくいっていないのも分かりながらお話しさせてもらいますけれども、奈良県議会も野球部もあるぐらいですから、非常に野球に特化した質問をさせていただきたいのでございます。今、佐藤薬品スタジアム、私などが高校生のとき、あそこで高校野球をした。山本議員もあそこで高校野球をした。非常に懐かしい球場ですけれども、両翼91メートル、センター110メートルぐらいですか。これでは、もう今の高校生でも小さいぐらいの球場に実はなっているのが事実です。老朽化も進んでおります。 確かに橿原市営球場は両翼も120メートルありますから、非常にプロを呼べる、ただし、観覧席がないので、少しプロはなかなか来れないと、こういう状況ですけれども、9年後のスポーツ大会、国民体育大会に向けてのいろいろな話合いはあると思いますけれども、今回、畝傍山周辺を一帯整備する中で、このことについて、整備を考えたいということも聞いております。ぜひとも、この野球場について、他府県から来て、あっ、奈良県の野球場、立派なもんだと。私も県議会議員として橿原市と奈良県のいろいろな話合いは聞いておりますけれども、他府県の選手たち、人々については、奈良県に来て、野球をする。こんなすばらしい球場でやれたというのが本質に考えることだろうと私は思いますので、ぜひとも、一帯整備の中で一部分、うまく話し合って、できるように期待して、要望して、私の今回の一般質問、壇上では終わっておきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 平医療政策局長。 ◎医療政策局長(平夏来) (登壇)24番奥山議員からのご質問にお答えさせていただきます。私には2つご質問いただきました。 1つ目は、患者の転院時など、医療従事者が救急車に同乗する際の医療従事者の帰院手段の確保についてのお尋ねでございます。 患者に高度医療が必要な場合に、消防機関が他の医療機関に搬送する事案は、転院搬送と言われ、患者の病状管理のため、原則として医師が同乗することとなっております。このような事案は、令和2年に本県で5,812件あり、救急搬送件数の8%を占めています。 消防機関による救急業務は、緊急性のある傷病者の搬送を対象とするものであり、救急搬送後の帰院手段については、医師みずからが確保するのが原則です。しかし、深夜帯など、手段を確保しがたい場合もあり、医師が迅速に帰院できれば、他の患者の診療が可能となるなど、地域の医療体制にも有用と考えられます。 このことも踏まえ、医療と消防の関係委員で構成する「奈良県救急搬送及び医療連携協議会」で、転院搬送の際の基準等について協議を重ねてまいりました。この協議会で平成31年3月に制定した奈良県転院搬送ガイドラインでは、救急業務の円滑な実施等の観点から、その都度、医師等と協議し、状況に応じて救急車による医師の帰院について配慮するよう定め、運用しています。 ただし、救急搬送業務が優先されるため、帰院途中で救急車に出動指令が入った場合、降車を求める場合があるなど、公共交通機関がない深夜帯で医師等の移動手段がなくなる事例があることは承知しております。 こうした現状も踏まえ、深夜帯で医師等の帰院手段がない場合の救急車の利用について、ガイドラインの適正な運用を関係者に周知するほか、関係部局とも連携し、救急医療体制の確保のための効果的な取組について検討してまいります。 次に、2つ目は、県立医科大学の法医学教室における医師の負担軽減及び人材育成に向けた県の取組についてのお尋ねでございます。 各都道府県において司法解剖等を担う大学の法医学教室の常勤医師数は、令和2年5月1日現在では全国で152名で、そのうち常勤医師が1名のみの県は本県を含め17県あり、全国的に人材の不足が見受けられる状況です。一方、県立医科大学の法医学教室で行う司法解剖数は、近年は年間200件前後で推移しており、令和元年度の都道府県の解剖医1人当たりの解剖数は本県が全国で2番目に多い状況です。 司法解剖等を担う法医学の医師は、各診療科の医師が主に病院等の地域医療の現場で臨床経験を積むことで専門医になるのとは異なり、2年間の初期臨床研修終了後に、主に法医学教室において4年以上、法医解剖の経験及び関連する法的知識を取得した上で資格を取得している状況です。 県立医科大学では、法医学を含む基礎医学・社会医学の将来を担う人材の養成を目的に、平成23年度より研究医養成コースを設置し、必要な方には奨学金を貸与しています。この奨学金は、基礎医学・社会医学系の教室の教員として一定期間研究に従事するなどの要件を満たせば、返還を免除することとしていますが、法医学を希望する学生は極めて少ないのが現状です。 しかし、強い倫理感と探求心を持って法医学医を志す医師がしっかりと学べる環境づくりを進めることは重要だと考えています。このため、法医学を専攻する医師に対して、知識や技能を高めることのできる研修プログラムの充実や、医学生や研修医に対するプロモーション活動など、効果的な支援策について、県と県立医科大学とで検討してまいります。 なお、法医学教室の医師の負担を軽減するために、奥山議員お述べのように、機器の導入や研究環境の整備も重要と考えております。法医学教室へのCT装置の設置は、スペースの問題等により実現していませんが、県立医科大学の法医学教室を含む研究部門は新キャンパスに移転予定であり、移転の際に必要な整備を行いたいと考えています。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)24番奥山議員より、私に4つご質問を頂戴しております。順番にお答えしたいと思います。 まず1つ目、大和高田市内の国道166号及び大和高田斑鳩線の3か所のアンダーパスにおける冠水対策についてご質問いただきました。 大和高田市内には、車道が鉄道のアンダーパスになっている県管理道路が3か所ございます。具体には、県道大和高田斑鳩線が近鉄大阪線及びJR和歌山線と交差する2か所、それから国道166号が近鉄南大阪線と交差する1か所でございます。このうち、JR和歌山線と近鉄南大阪線の2か所のアンダーパスには、奥山議員お述べのとおり、排水ポンプを設置しておりますが、近鉄大阪線のアンダーパスには排水ポンプを設置しておらず、自然流下となってございます。 これら3か所の冠水による通行止めは、直近の3年間で計16回発生しております。奥山議員お述べの近鉄大阪線のアンダーパスにつきましては、今年8月10日には1時間で約40ミリメートルの集中豪雨がございまして、16時3分から約30分間の冠水による通行止めが発生しました。 このような冠水を防止する対策として、これまで路面の雨水がアンダーパスに流れ込まないように、アンダーパスの手前に排水路を設置する流入抑制対策やアンダーパス内の雨水が、排水処理先の河川まで流れやすくするための水路断面の拡幅を行うとともに、排水管清掃や排水ポンプの点検を徹底してまいりました。 しかしながら、近鉄大阪線のアンダーパスにつきましては、先ほど申しましたように、現在、自然流下となっておりまして、約600メートル先の尾張川へ排水しておりますが、降雨時には尾張川の水位上昇により、排水能力が低下する状況となっております。 この状況を踏まえまして、近鉄大阪線のアンダーパスにおきましても、排水ポンプの設置が望ましいと考えておりますが、それには、排水処理先の確保が大きな課題となってまいります。そのため、ため池や地下貯留施設等、新たな排水処理先の確保について、地元の大和高田市や地域の方々のご理解を得ながら対策を検討してまいりたいと、このように考えてございます。 2つ目のご質問は、国道168号香芝王寺道路に関してでございます。 国道168号香芝王寺道路は、香芝市北今市から王寺町畠田4丁目交差点までの約3.2キロメートルを4車線に拡幅し、併せて電線共同溝を整備する事業でございます。奈良県道路整備基本計画において、骨格幹線道路ネットワークに位置づけるなど、本県西部を南北縦断する重要な幹線道路でございます。 奥山議員お述べの西名阪自動車道香芝インターチェンジから南側の香芝市北今市までの約1.6キロメートルは、沿道に営業店舗が多く、用地交渉に時間を要していますが、用地買収に必要な全62件のうち、これまでに55件の用地買収が完了しました。 事業区間の最も南側に当たる香芝市北今市地内から上中地内までの約340メートルについては、令和6年度の供用に向けて整備を進めているところでございます。令和3年度から現道を西側に拡幅する工事を進めておりまして、今年度も引き続き、拡幅工事を進めてまいります。拡幅工事完了後、現交通を拡幅した西側部に切り替えまして、現道部の道路拡幅を進めていくと、このように進めていきたいと考えております。 今後も引き続き、地元の地域や地権者のご理解、ご協力を得ながら、残りの用地を早期に取得し、完成に向けて取り組んでまいりたいと思っております。 3問目、国道165号香芝柏原改良についてのご質問でございます。 国道165号は、本県の中和地域を通り、大阪府に至る重要な幹線道路であり、香芝柏原改良は、中和幹線が接続する香芝市の穴虫西交差点から、西名阪自動車道の柏原インターチェンジまでの間、約2.8キロメートルについて、連続する急カーブをなくすとともに4車線に拡幅する国土交通省の直轄事業でございます。 平成23年度に事業着手され、詳細設計や用地取得、埋蔵文化財の発掘調査などが進められております。 用地進捗率は、面積ベースで、令和2年度末は83%、令和3年度末は88%となっております。国土交通省からは、今後も早期に用地取得が完了するよう取り組んでいく予定と聞いております。 県としましても、国土交通省や香芝市と連携し、円滑な事業の推進に向けた必要な役割を果たしてまいりたいと考えております。 最後、4問目でございます。葛下川及び原川の改修についてのご質問でございます。 葛下川は、葛城市に源を発し、王寺町において大和川に合流する約15キロメートルの一級河川でございます。このうち、大和川合流点から香芝市瓦口地内の国道165号五位堂橋までの約8.5キロメートルはおおむね河川改修を終えております。五位堂橋から上流約900メートルの人家連たん地において、工事着手に向け、用地買収に今取り組んでいるところでございます。 事業区間の900メートルのうち下流側の500メートルにつきましては、用地測量及び地図訂正が完了しておりまして、このうち五位堂橋から約260メートルの区間を先行して用地交渉を行っております。この区間の買収対象の13件中8件の用地買収が完了しました。 今後は、上流側240メートルの区間につきましても、用地買収に順次取り組んでいきたいと考えております。 原川は香芝市に源を発し、大阪府柏原市で大和川に合流する延長約6キロメートルの一級河川でして、上流約2キロメートルが本県の管理となってございます。このうち、浸水常襲地域となっております香芝市田尻地内の約500メートルの区間におきまして、工事着手に向けた用地買収を今取り組んでいるところでございます。 この区間は、かつて広範囲で地籍が混乱しておりましたが、上流側約290メートルの区間では、地図訂正が完了しております。下流側約210メートルの区間も昨年度、関係者間で地図訂正の合意に至ることができまして、現在、法務局に対して訂正手続を進めているところでございます。これまでに買収対象16件のうち12件の用地買収が完了しております。残る用地につきましても、早期に買収を行い、工事着手できるよう努めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 24番奥山博康議員。 ◆24番(奥山博康) 私は厚生委員でもあります。そして、今度予算審査特別委員会も入っておりますので、再質問はいたしません。 ただ、今日は医療政策局長、ピンポイントでえらい質問いたしました。特に深夜の救急車で病院へ運ばれて、ドクターなりが帰る手段をどうするかというのを、どうしてもこの医療関係者からの話もあったので、医療政策局長にしたのですけれども、これは福祉の方々もしっかりと、今度、厚生委員会で私が質問しますから。老人の施設、真夜中に何かあったときには病院へ運ばれるではないですか。だから、看護師さんなどが必ずついていかないといけないわけです。帰るに帰れないのですよ。だから、これは平医療政策局長のところだけだと思わんと、しっかりと厚生委員会で答弁できるように、少し考えておいてください。 タクシーの関係は、県土マネジメント部長の所管の中でのタクシー業界だと思うので、これも公共交通の中で、僕は予算審査特別委員会で質問するかもしれませんので、一応、ヒントだけ与えて、今日は終わっておきます。以上です。 ○副議長(西川均) しばらく休憩します。 △午後4時2分休憩    -------------------------------- △午後4時19分再開 ○議長(岩田国夫) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、8番階戸幸一議員に発言を許します。--8番階戸幸一議員。(拍手) ◆8番(階戸幸一) (登壇)本日、最後となりました奈良市・山辺郡選挙区選出、新政なら、階戸幸一でございます。 今日は4人ということで、最後となりましたが、働き方改革も含め、できるだけ簡潔に質問してまいりたいと思いますので、皆様のご協力、よろしくお願い申し上げます。 それでは早々でございますが、通告しております関係理事者へ質問を行いたいと思います。 奈良県では2000年を境に、この20年間で全体人口が約13万人減少しており、そのうち、年少人口は約6万2,000人の減、生産年齢は約24万7,000人が減少しております。一方で、老齢人口(65歳以上)は、約18万3,000人の増加となっており、人口減少問題は奈良県だけではなく、日本全体の問題であり、これまで様々な政策を実施し、奈良で住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりを現在も進めてきております。今議会でも、各議員より奈良県の取組などが質問されており、近畿の中でも住みやすい奈良県であると私は思っております。 しかし、初めに述べましたように、人口の減少、少子高齢化は深刻な問題であり、特に現役世代が住みよいと思える環境づくりに力を注ぐ必要があります。また、奈良で生活されてきた高齢者も住み続けられる環境づくりも、実現しなければなりません。特に、多様な価値を持った現役世代では、子どもを産み育てる環境が整った地域を望んでおられます。生活圏での雇用環境や交通環境が整っていることも重要と考えています。 奈良県の地理は南北に広い土地柄であり、地域性を生かした農作物を活用し、移住・定住促進のための雇用振興・人材育成の確保や条例の制定、また子どもを産み育てやすい環境づくりや健康増進計画、なら健康長寿基本計画など、奈良モデルとして子どもから高齢者までが実現できるまちづくりを実施してきております。 しかし、現在の不安定な世界情勢、ほぼすべての商品が値上がりを続ける物価高等々、生活に厳しい状況が続いております。県民やこれから生活の拠点を奈良へと検討される方々に、魅力ある奈良県を示し、人口減少に歯止めをかけることが必要でございます。人口減少社会・多様性社会における雇用促進について、産業・観光・雇用振興部長に伺います。 人口は今後ますます減少、それに合わせて労働力も減少することは明らかです。子育てや介護の両立、生活スタイルの多様化など、労働力世代の状況が、かつてと大きく異なる中で減少する働き手の確保の観点から、高齢者や障害者、女性などに、さらに積極的に就労していただくことが必要です。 就労にあたっては、個々の希望に沿う形での就労につながるよう、職種や企業の立地などの多様性(ダイバーシティ)の確保が今後さらに求められます。 出産や介護など、様々な理由から一度職を離れた人が再就職しやすくするための取組も必要と考えています。 本年3月に条例を制定されて、就労の促進に取り組んでいることは承知しておりますが、就職しやすい奈良県としていくことが県への移住・定住や県内就労を増やし、人口の減少の解消や税収アップにもつながると言えます。 そこで産業・観光・雇用振興部長に伺います。 人口減少による影響等により労働力も減少する中、特に現役世代の25%、24万7,000人と大きく減少しています。県外への就労が多い現状の中、県内での働く場所の確保と高齢者や障害者、女性等の多様な主体が自身の希望に応じて就労できるよう促進していくことは、今後ますます重要になると考えておりますが、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。お聞かせください。 次に、地域の特性を生かした農業振興について、食と農の振興部長に伺います。 奈良県は南北に広く、気候や地勢など、北和・中和・南和とそれぞれの地域で異なった特色があります。 私は、県民やこれから奈良県に移住・就労されようとする方たちに対し、奈良県の魅力をアピールするためには、企業での就職がしやすいことに加え、地域の特性を生かした農業という仕事においても、生活基盤を築くことができるといった選択肢を示すことが重要と考えています。特に子育て世代に対し、奈良県の農業に従事していただくことは、農業の振興のみならず、奈良県の人口減少を食い止めるための雇用振興にもつながると考えております。 一方、奈良県の農業産出額は、東京、大阪に次ぐ全国第45位です。農業の魅力をアップし、農業への従事者を増やすためには、農業だけで十分な生計を立てられるよう、収益性を高める取組が重要で、また高品質生産や戦略的な販売などに向けた取組も重要と考えます。 そこで食と農の振興部長に伺いたいと思います。 農業の振興を図るためには、地域の特性を生かすことが重要と考えますが、どのように取り組んでいかれるか、お聞かせください。 次に、子育て世代に対する支援について、こども・女性局長に伺ってまいりたいと思います。 今の子育て世代の家族形態は、かつての3世代同居の大家族から核家族化しており、就労と子育ての両立の難しさから、出産・子育てを断念する方もいるように感じます。もはや過去のように、大家族内でおじいちゃん、おばあちゃんが孫の面倒を見ながら、お母さんが家事に専念し、お父さんが働きに出るといった、家族内で完結する形で子育てができる時代ではありません。両親が共稼きで外に出るのが当たり前の時代となってきています。 また、かつては、たとえお父さん、お母さんが忙しくとも、地域の方々、いわゆるご近所さんが子どもの様子を見守るなど、地域全体での子どもの育みの様子が見られました。しかし、共働きの家庭が増えると、地域活動に参加する余裕もないためか、子育て世代の家庭と地域との接点が少なくなっているのが現状です。そのため、地域ぐるみの子育て支援を得ることは非常に厳しい状態であると考えられます。 このような状況において、子育て世代は、おじいちゃん、おばあちゃんや地域を頼るのではなく、自分たちで就労と育児を両立させるためには、行政や民間が提供する様々な育児サービスの利用が必要となってまいります。現役世代が安心して子どもを産んで、子育てをするためには、これからのサービスなど、子育てを取り巻く環境を充実することが必要となってまいります。 一方、育児サービス等の教育費や食料品を含めた生活費の高騰は、大きな経済的負担となっています。 そこでこども・女性局長に伺ってまいりたいと思います。 子育て世代の就労と子育てを両立するためには、子育てに対する負担感を軽減するための施策が重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、お考えをお示しください。 次に、高齢者の介護予防の取組について、医療・介護保険局長に伺いたいと思います。 奈良県の高齢者は、介護保険制度が始まった2000年の23万9,000人が、この2021年には約42万2,000人へと、この20年間の間に1.8倍と大幅に増加しております。高齢者の介護予防の取組はますます重要になってまいりました。 この間、介護保険制度は少しずつ改正され、平成29年4月以降は、要支援1・2に対する介護予防給付のうち、訪問介護と通所介護が、市町村が行う総合事業に移行してまいりました。これにより、それまでの全国一律の基準に基づくサービスから、市町村が地域の実情に応じて、独自に多様な支援を提供できる制度に変わってまいりました。しかし、サービス提供の仕組みづくりや人材の確保に苦慮されている市町村もあるように伺っております。 さて、私は、これまで地域活動に参加し、地域で様々な活動をされている高齢者が、生き生きとしておられる姿をたくさん見てまいりました。その姿を見てまいりますと、年を取っても誰かの手助けをしたり、社会的な役割を担うことが、元気の源となって、ご自身の介護予防につながっているように感じられます。 一方で、地域には、加齢に伴って日常生活で不便さを感じておられる高齢者もおられます。 運転免許統計によりますと、直近3年間の本県での運転免許の申請取消し、いわゆる自主返納された方は全体で2万111人に上ります。そのうち、96%は高齢者の返納者であります。免許を返納されると、活動の範囲が狭まり、日常生活に必要な買物に不自由するなど、困り事が出てきています。そのほかにも、電球の交換やごみ出し、草むしりなどの自立して生活する上での細々したことが、手に余るようになってきているという声も聞いております。 この方々が必要とされているのは、周りからのほんの小さな手助けであり、比較的元気な高齢者にもできることはたくさんあるように思われます。それらを、個人的な関係からの支援にとどめず、地域の助け合いとして、元気な高齢者に担い手としてどんどん参加していただく仕組みづくりをする必要があるように感じています。日常生活に不便を感じる高齢者の暮らしを助けるだけではなく、参加した高齢者の介護予防にも大きな効果があると考えられます。 そこで医療・介護保険局長にお伺いをしたいと思います。 高齢者の介護予防には、社会参加による高齢者相互の支え合いを通じて、一人ひとりが役割や生きがいを持って生活することが効果的と考えますが、県ではどのように支援をしようとしているのか、お聞かせください。 以上で私の壇上での質問は終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 谷垣産業・観光・雇用振興部長。 ◎産業・観光・雇用振興部長(谷垣孝彦) (登壇)8番階戸議員のご質問にお答え申し上げます。 私に対しましては、県内で働く場所の確保と多様な主体が自身の希望に応じて就労できる取組についてのご質問でございます。 本県の人口は平成11年をピークに減少に転じ、少子高齢化が進行している状況でございます。この状況を食い止めるためには、県内での雇用の場の確保と、多様な人材がみずからの希望に応じて就労できる環境づくりが重要と考え、施策を推進してまいっております。 まず、雇用の場の確保を図るため、企業誘致に力を入れて取り組んでまいりました。 本県独自の充実した補助制度を用意し、積極的な誘致活動を重ねてまいりました結果、平成19年から令和3年までの15年間で424件の企業誘致、そして今後の採用予定も合わせますと、約5,900人の雇用が創出されることとなりました。 次に、就労支援についてです。多様な人材がそれぞれの適性に応じて希望する形態で就労し、また一旦離職しても再就職することができる地域主導型雇用を推進するため、本年4月に、「地域における多様な人材の育成、就労の促進及び再就職の支援に関する条例」を施行いたしました。この条例の基本理念にのっとり、多様な人材の育成、就労の促進、再就職の支援、この3本柱で施策を体系化し、積極的に推進してございます。 具体的に申し上げますと、まず多様な人材の育成につきましては、オンライン学習と企業実習等とを組み合わせた訓練を新たに実施するなど、リカレント教育の充実を図っております。 次に、2つ目の就労の促進につきましては、就業相談や就労あっせんを強化するほか、テレワークなどの柔軟な働き方の導入について、社会保険労務士やITコーディネーター等の専門家が相談に応じ助言するなど、働き方改革を支援しております。 3つ目の再就職の支援につきましては、円滑に再就職ができるよう、しごとiセンターにキャリアコンサルタントなどを増員するなど、相談体制の充実に取り組んでおります。 今後もさらに、多様な人材が本人の希望に応じて働けるよう、雇用の場の確保、それと就労支援に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 乾食と農の振興部長。 ◎食と農の振興部長(乾新弥) (登壇)8番階戸議員より、私に対しまして、地域の特性を生かした農業の振興についてご質問いただきました。お答えいたします。 本県農業の規模は全国的には小さなものでございますが、県内の各地域にはその特性を生かした魅力的な農産物が数多く栽培されております。 例えば、中山間地域では、夏が涼しく、昼夜の寒暖差が大きい気候を生かしまして、柿や小菊、茶、高原野菜などが生産されております。 県では、これらの農産物のさらなる振興を図るため、消費者ニーズを的確に捉えた高品質生産や戦略的な販売が必要と考え、取組を進めているところでございます。 例えば、柿では、高品質な果実を生産するために、日照確保するための間伐、小菊では、収穫時期を安定させ、計画的な出荷を行うための電照設備の導入、お茶では、海外への輸出に対応するために減農薬栽培への取組を支援しているところでございます。 さらに、平成30年度からは、県独自に農業振興を図るエリアとして、特定農業振興ゾーンを設定する取組を市町村と連携しながら進めております。現在、3市4町の9地区まで拡大してまいりました。 設定した地区におきましては、各地域の特性や抱える課題等を踏まえながら、取組内容を個別に検討・実践しております。 例えば、宇陀市伊那佐東部の地区ゾーンでは、高原野菜や有機野菜を中心に、栽培の省力化や流通・販売の強化、加工品開発に関する取組を展開しているところでございます。 特定農業振興ゾーンでの成功事例を各地に横展開することで、各地域の特性を生かした農業振興、ひいては担い手の呼び込みや定着につながるものと考えております。そのためにも、まずゾーンの関係者にその成果を実感していただけるよう、各地区の取組をより確実に進めていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 谷垣こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(谷垣裕子) (登壇)8番階戸議員のご質問にお答えさせていただきます。私には子育て世代の就労と子育ての両立、子育てに対する負担感軽減のための施策についてご質問いただきました。お答えいたします。 子育ての負担感を軽減し、希望する時期に、希望する人数の子どもを産み育てられることは大変重要であると認識しております。 この認識の下、本年4月に制定した「奈良っ子はぐくみ条例」においては、基本理念の1つに、「子どものはぐくみを社会全体で支えること」を掲げ、取組を進めているところでございます。 国では、保育に係る経済的負担の軽減策として、令和元年10月より、幼児教育・保育の無償化がスタートし、3歳児から5歳児の保育料を無償化しております。 県では、この無償化や共働き家庭の増加に伴い、保育ニーズが増大していることから、保育の受入体制の拡充に力を入れております。この保育施設の定員をこの5年間で約1,700人分増やしたところでございます。 また、保育人材を確保するため、県が設置する奈良県保育人材バンクにおいて、平成26年度以降で、628人の保育人材の就職をマッチングいたしました。このほか、令和元年度から、保育士の資格取得を目指す学生や再就職を希望される方に必要な資金を貸与し、保育人材の育成にも努めております。 子育ての心理的・精神的な負担の軽減のためには、男性のより主体的な育児参加、男女ともの超過勤務の削減、多様な働き方の推進などの、就労と子育ての両立を支援する取組が重要です。 そのため、奈良労働局とも連携して、企業関係者向けのセミナーを開催し、出生時育児休業制度の創設と育児休業の分割取得を柱とした改正育児・介護休業法の啓発や、家事や子育ての分担方法などについて学べる父親向けの「パパ産休プロジェクト」研修動画の紹介など、両立支援の取組を進めているところです。 今月16日に確定数が公表されました令和3年人口動態統計によりますと、本県の合計特殊出生率については、令和2年の1.28から令和3年には0.02ポイント上昇し、1.30となりました。この上昇幅は全国3位の高さであり、これらの施策の効果が着実に上がっているものと考えております。 今後も、市町村や関係団体と連携し、様々な観点から、子育て支援に取り組むことにより、安心して子どもを産み育てられる奈良県づくりを進めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 森川医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(森川東) (登壇)8番階戸議員から、私へは高齢者の介護予防の取組について、高齢者相互の支え合いを通じて、一人ひとりが役割や生きがいを持って生活することが効果的と考えるが、どのように支援していくのかとの質問をいただきました。お答えいたします。 今後、高齢化の進展に伴い、高齢者の介護予防の取組が重要になってくるとともに、高齢者世帯が抱える日常生活のささいな困り事への支援ニーズも増加するものと考えられます。 このニーズに対応するためには、公的なサービスだけでなく、地域住民によるボランティアやNPO、民間企業等の多様な主体が連携して地域で支え合う仕組みが今まで以上に必要になってきます。 階戸議員お述べのとおり、高齢者もこの地域の支え合いの担い手として社会参加することは、高齢者自身の介護予防にもつながります。 そこで、県内の各市町村では、生活支援や介護予防サービスの担い手を養成して地域で支え合う体制づくりを行う生活支援コーディネーターを配置し、高齢者の日常生活を支える仕組みの充実に取り組んでおられます。 例えば、山添村や安堵町では、高齢者や障害をお持ちの方の日常生活でのちょっとした困り事をお手伝いする住民参加型の有償ボランティアが活動されています。また、葛城市では、畑作業を通して高齢者と地域住民がつながれる居場所をつくり、さらに収穫した野菜の一部を独居高齢者の配食サービスに提供されるなど、高齢者も生活支援等の担い手として参画する多様な活動を展開されています。 県は、各市町村がそれぞれの地域の課題や実情に応じて取り組まれる、このような高齢者の日常生活支援の体制づくりに対して補助を行うほか、先進的な取組事例の横展開や助言、生活支援コーディネーターの資質向上のための研修などにより支援を行ってまいりました。 今後も、高齢者の日常生活への支援と高齢者の社会参加による介護予防の取組の充実に向け、市町村を支援してまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 8番階戸幸一議員。 ◆8番(階戸幸一) 質問に沿った答弁いただきまして、本当にありがとうございます。 少しお聞きしたいと思いますし、奥山議員もおっしゃっていましたように、まだこれから常任委員会もありますので、それを踏まえた上で、この再質問としてお願いしたいことは2点ほどあります。 1点は、子育て支援の部分でございます。子育てに関しては、様々な今の未就学児に対する保育料の無償化、そういったことは国を含めた中で十分に充実されていることは、もう承知の上ですが、基本的に義務教育の15歳、もしくは18歳、こういった教育費のかさむ方々に対する医療費などについても、各市町村によって様々な違いはあると思いますが、そういった支援されているのが各市町村の内容だと思います。 ただ、そこの中におきましても、例えば医療費に関して言いますと、現物支給、もしくは自動償還、こういった制度がある中で、現役世代の子育てされている方々は、自動償還という立替払いが大きな負担になっているということも多く声を聞いてまいります。 こういった部分に関して、以前から様々な意見があり、なかなか厚生労働省としては、この問題について規制を外すのは難しい理由も、説明を受けているわけですけれども、実際の話、この現物支給をすること、例えば今、義務教育の15歳ぐらい、もしくは18歳まで、外来であれば1回500円、そういった現物支給の中での医療費の支援がある中で、そこまでの拡大は、やはり県としては、なかなかここへ支援していくことは非常に難しいのか、奈良県内の各市町村の中で、こういった部分は各市町村の中で議論されていると思うのですが、市町村からそういった話が現実、今あるのかないのか、その辺について、一度お答えいただけたらありがたいのですが。 ○議長(岩田国夫) 谷垣こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(谷垣裕子) 子育て支援に関する経済的な支援というご質問だったかと思います。お答えさせていただきます。 本県の子育て世代を支えるための施策としての考え方といたしましては、一時的な経済的な支援だけではなく、男女を問わず、育児に係る心理的、時間的な負担を軽減し、仕事と子育てを両立できる環境というのを様々な観点から整えることが重要という観点で進めております。 そのため、県としては、先ほどお答えしました取組も含めまして、保育サービスの充実などの就労と子育ての両立支援のほか、男性の育児、家事等への参画促進、また男女ともの多様な働き方の推進など、様々な観点からの子育ての支援というのを取組として進めているところでございます。 こうした様々な観点からの具体の取組によりまして、子育て世代が安心して子どもを産み育てるように取り組んでいきたいと、そういう方針で進めさせていただいております。 ○議長(岩田国夫) 8番階戸幸一議員。 ◆8番(階戸幸一) ありがとうございます。確かに、制度的にはそういう形で非常に十分、今の子育て世代の方々はメリットを感じている方もたくさんおられるのですが、正直な話、例えば男の方の育休制度の問題にいたしましても、実際にこの育休制度を現実的に取れている企業といいますか、そういったところの調査なども、できたら一度していただけたらありがたいと思います。 現実的に奈良県内の就労といいますか、企業のクラスからいいますと、なかなか男性が育休を取って、子どもの子育てに参加していく状況になる企業がそんなに多くあるようには思えません。ですから、もし、こういった国からの制度の中で、これを利用できる、もしくは利用できない理由はどこにあるのかということは、一度県内の調査をしていただきたいということは要望しておきたいと思います。 それと、先ほどの答弁の中にはなかったですけれども、やはり医療費というこの現状。教育費、または保育費としての状況は、今言ったように、無償化の中で、ある一定の成果はあるように思われますが、やはり全国的に見ても、授業料の無償化されている他の都市であったりとか、そして、この医療費においても、現物支給されているところがある。そういった状況の中で、少し先ほど私が申し上げたのは、この奈良県内の中で各市町村が、この問題について話合いされたことはないのか。または、それが奈良県を入れずに話されたのか。例えば、県も入った中で、こういった議論されたことがないのか。そこについて、よければお答えいただきたいと思うのですが。 ○議長(岩田国夫) 谷垣こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(谷垣裕子) ただいま再質問いただきました福祉・医療の内容につきましては、申し訳ありませんけれども、他部局の担当でございますので、担当部局にお伝えをさせていただきます。 ○議長(岩田国夫) 8番階戸幸一議員。 ◆8番(階戸幸一) すみません。少しその部局がまたがったということで失礼しました。そこについては、また改めて確認をさせていただきたいと思います。 ただ、私として申し上げたいのは、子育ての中で、そういった教育だけではなく、今、非常に子育て世代、現役世代の方々が生活の困窮まではいかなくても、共働きをしながら、子どもを育てるというところに対して、非常に厳しい状況であるということは、これは皆さんもご承知のとおりだと思われます。 そこに対して、現状の政策で本当に現役世代の方々、子育てされている方々が当然、十分ということはないにしても、すべてのそういう子育て世代の方々が、やはり多くの方々がもう少し何とか支援してもらうことはできないのかという声があることだけは知っておいていただきたいと思っております。すみません。よろしくお願いしたいと思います。 それと、雇用についてですが、先ほどいただきました企業立地。これはもう知事が本当に率先して、企業立地を行ってこられて、様々な企業が参加してきている。奈良県の中で誘致されながら多くが入ってきていることは、十分私自身も認識しているわけであります。 しかし、それが雇用として、本当に奈良県内に住んでおられる方の、先ほど質問の中にありましたように、非常にこの北和、中和に関しては、やはり他府県へ雇用を求めていく、そういったスタイルが多い中で、奈良県内の中で企業立地を、企業を誘致しながら、その企業に本当に奈良県民が就職されているのかどうか、そういうところも少し気になるところであります。 先ほど、県としては、多様性の人材、多様な雇用をという形をおっしゃっていましたので、その雇用に対する職種。この職種が現状、今の現役世代の方々が本当に働きを求める職種であるのかどうか。そういったところも、この企業誘致の中で、ひとつ検討いただきながら、奈良県の中での雇用の促進、そして奈良県内で働きながら、奈良県の中で子どもを育てていく。そして現在の高齢者の方々とともに、子育てをしていく、そういったことを強く私は考えております。 現実的に今、各地域では高齢化しており、先ほども申し上げましたように、地域の方々の地縁組織での活動がなかなか非常に厳しい状況であります。高齢者の中で、先ほど高齢者の方々がその地域の中で活動する、そういった状況をつくるわけでありますけれども、その状況が、今、やはり継続しにくい。または無償ボランティアではなかなかしにくい現状がある。そういった状況の中で、今後の地域活動の在り方、そういったところに対しても、十分に各基礎自治体の方の意見を聞きながら、どういう支援が必要であるのか、また高齢者に対する介護予防をどのような形で取っていくべきであるのか、こういったことを一つ一つ検証していただけたらありがたいと思っております。 以上で私の質問を終わりたいと思います。本当にありがとうございました。   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○議長(岩田国夫) お諮りします。5番山中益敏議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ございませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○議長(岩田国夫) それでは、さように決し、明、9月29日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後5時散会...