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06月22日-02号

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  1. 奈良県議会 2022-06-22
    06月22日-02号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    令和 4年  6月 定例会(第350回)令和4年6月         第350回定例奈良県議会会議録 第2号             令和4年6月22日(水曜日)午後1時1分開議   --------------------------------    出席議員(41名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 川口延良      5番 疋田進一        6番 山中益敏      7番 亀甲義明        8番 階戸幸一      9番 小林 誠       10番 浦西敦史     11番 池田慎久       12番 西川 均     13番 乾 浩之       14番 松本宗弘     15番 大国正博       16番 太田 敦     17番 佐藤光紀       18番 清水 勉     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 奥山博康       24番 荻田義雄     25番 岩田国夫       26番 小林照代     27番 山村幸穂       28番 尾崎充典     29番 藤野良次       30番 和田恵治     31番  欠員        32番  欠員     33番 米田忠則       34番 出口武男     35番 粒谷友示       36番 秋本登志嗣     37番 小泉米造       38番 中村 昭     39番 今井光子       40番 森山賀文     41番 田尻 匠       42番 山本進章     43番 川口正志   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問 一、文教くらし委員長報告と同採決 一、決議の動議提出及び同採決   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) この際、お諮りします。決議の動議提出及び同採決を本日の日程に追加することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○議長(荻田義雄) ご異議がないものと認め、さように決します。   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、12番西川均議員に発言を許します。--12番西川均議員。(拍手) ◆12番(西川均) (登壇)奈良テレビ放送をご覧の皆様、こんにちは。葛城市選挙区選出の自民党奈良の西川均でございます。 議長のお許しをいただきましたので、通告いたしております項目について、会派を代表して質問をさせていただきます。 全世界に衝撃を与えたロシアによるウクライナ侵攻から約4か月がたちました。この間、圧倒的な戦力差にもかかわらず、文字どおり命がけで祖国を守ろうとするウクライナの人々の奇跡的な戦いが世界中の注目を浴びる一方、ロシアによる一般市民への攻撃、占領地での住民の虐殺や略奪など、国際法上、違法とされる行為などにより、ウクライナの存亡に関わる甚大な被害が生じております。 また、当事国のロシアは、世界有数の資源大国であり、農業大国でもあります。一方のウクライナも、小麦などの輸出大国です。戦火に加え、我が国をはじめ多くの国がロシアへの経済制裁を強めている状況もあり、世界は歴史的なエネルギー危機、食糧危機に直面しております。 我が国周辺でも、本年1月以降、北朝鮮からのミサイル発射が相次いでいます。最近では中国も台湾付近で軍事演習を繰り返しているほか、我が国近海でのロシア海軍の活動が活発化しているとの報道もあります。ロシアが早急に戦闘を終了し、ウクライナの国土から撤退するよう、国際社会が連帯して立ち向かっていく必要があります。 また、このような国際法秩序を無視した侵略行為をも想定した安全保障体制について、改めて検討を進めていかなければなりません。 ともあれ、ウクライナの地に一刻も早く平和が訪れることを心から願いつつ、本日は、奈良県政の重要課題数点について、荒井知事及び警察本部長のお考えをお伺いしたいと思います。 初めに、リニア中央新幹線についてお伺いいたします。 リニア中央新幹線については、建設・営業主体であるJR東海により、東京・名古屋間の開業を目指し、工事が進められています。また、名古屋・大阪間については、国による財政投融資資金を活用した3兆円の貸付けが行われ、名古屋までの開業後、切れ目なく、名古屋・大阪間の工事に着手することで、最大8年前倒しの2037年に東京・大阪間全線が開業することとされています。 荒井知事は、以前より、奈良市附近駅の位置やルートの早期確定、そしてJR東海が早期に環境影響評価の手続に着手するよう、率先して、政府等の関係者に要望される等、積極的な活動を続けてこられました。私もその早期実現を願う一人であります。 しかしながら、南アルプストンネルの静岡工区について、工事の進捗が見通せない状況が続いているとのことで、私としても、2037年の全線開業が少し厳しい環境にあるのではないかと心配を募らせていたところであります。 ところが、今月になって、うれしいニュースが届きました。今月7日に政府が閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針において、リニア中央新幹線について、全線開業の前倒しを図るため、建設主体が2023年から名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して、必要な指導、支援を行うとの内容が明記されたとのことであります。早期の着工に向けて大きなステップが開始されることとなると考えられます。こうした前進が見られたのも、荒井知事が先頭に立って、JR東海との信頼関係を踏まえた調整などを進めてこられた成果ではないかと考えるところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 今般、骨太の方針において、建設主体が来年2023年から環境影響評価手続に着手できるよう、国が積極的に取り組む旨の方針が示されたことについて、知事はどのように受け止めておられるのか。また、今後、県として、奈良市附近駅やルートの確定に向け、どのように取り組むのか、ご所見をお聞かせください。 次に、大規模広域防災拠点の整備についてお伺いいたします。 本県では、五條市に大規模広域防災拠点の整備を進めておられます。県が進めているこの拠点の整備にあたっては、将来発生が予想されているマグニチュード8~9クラスの南海トラフ巨大地震も想定されており、発災時に求められる救助活動に必要な施策規模や配置計画など、奈良県の基本的な考え方が奈良県大規模広域防災拠点整備基本計画に取りまとめられ、この大規模広域防災拠点が整備されることで担うことのできる機能が示されております。 内閣府の防災情報ホームページに示されているところによりますと、我が国は、その位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土とされています。世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、災害による死者数0.4%、災害被害額18.3%などであり、国土面積の割合が全世界の0.25%であることを考慮しますと、非常に高いものとなっております。 さらに、過去10年間の主な災害を思い起こしてみましても、大規模災害は毎年のように発生するようになってきています。近年、災害が頻繁化しているのは、地震活動の活発化や地球温暖化等の影響が、その背景にあるともいわれています。 この4月以降におきましても、季節外れの台風1号が発生しました。また、いまだ福島県周辺では、震度5を超える地震が引き続き発生しており、近畿圏でも4月6日に和歌山県北部で、5月2日には京都府南部で震度4が計測され、奈良県においても、その揺れを体感された方が多くおられるものと思います。 直近でも、今月19日に石川県珠洲市で震度6弱を計測する地震が発生し、大きな被害が生じました。20日以降も断続的に余震が続いている状況であります。被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。 加えて、政府の地震調査委員会は、平成25年に発表された南海トラフ地震の今後40年以内の発生確率が80%程度だったものを、令和4年1月の見直しで90%程度まで引き上げると発表されました。このように、自然災害は、いつ発生してもおかしくない状況であり、大いに脅威を感じております。 これらのことからも、発生を防ぐことができない自然災害に対し、奈良県が大規模広域防災拠点の整備を進めることで、発災後の対応力が強化され、県民の安全確保に大きく寄与するものと考えています。また、この大規模広域防災拠点の整備にあたって、知事は先日も総務省をはじめ、関係する各方面の方々と面談され、必要性について大いに理解を得たとも伺っております。 そこで知事にお伺いいたします。 南海トラフ地震等の大規模災害への備えとして、県が五條市に計画し、用地取得を進めている2,000メートル級滑走路を備えた大規模広域防災拠点整備について、今後どのように進めていかれるのか、お聞かせください。 次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いいたします。 令和2年1月に県内で初めて感染者が確認されて以降、新型コロナウイルス感染症との戦いは、既に2年以上にわたり続いています。これまで6度にわたる感染拡大を経験し、その都度、感染者の波は大きくなり、多くの方が苦しんでこられました。これまでに全国では917万人以上の方が、本県においては9万人以上の方が感染され、その中で、残念ながら本県においては391名の方がお亡くなりになりました。ご遺族の方々には、心から謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りさせていただきます。 新型コロナウイルスとの長い戦いの中、特に令和3年度以降、第4波におけるアルファ株、第5波におけるデルタ株、そして現在の第6波におけるオミクロン株といった変異株による感染拡大が繰り返され、長期にわたって私たちの日常生活とともに、社会経済活動にも多大な影響が生じているところであります。 さて、新型コロナウイルス感染症への対処にあたり、本県では、これまで科学的根拠に基づいた県の実情に即した対策をとってこられました。特に知事は、一貫して県民の命を守ることを最重点の目標と位置づけられ、医療提供体制の整備に注力されてこられました。また、感染拡大防止重症化防止に向けて、クラスター対策ワクチン接種の推進についても着実に取り組んでこられました。あわせて、感染防止対策を徹底しながら、長期にわたり影響を受けた社会経済活動を正常化し、日常生活を豊かにすることも重要な課題と位置づけられ、取組を進めてこられました。 現在のオミクロン株による感染状況はピークを過ぎたと思われるものの、今なお少なくない新規感染者が連日報告されております。第6波では、第5波までと比べウイルスの特性や感染状況等に大きな変化が見られ、症状の軽い方が多く、重症化リスクは低い傾向にあるとされていますが、今後も感染拡大を繰り返す懸念は拭い去ることができません。 そこで知事にお伺いいたします。 本年1月から続いているオミクロン株が主流の第6波における感染の動向を踏まえ、今後の感染拡大に備えてどのような方針で取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、原油価格・物価高騰等の対応について2点お伺いいたします。 1点目は、産業分野についてであります。 新型コロナウイルス感染症が収束しないことから、県民生活や経済への影響が依然として続いていることに加え、ウクライナ情勢等を受け、原油価格・物価高騰等がもたらす県内中小企業等の事業環境への影響も懸念されるところであります。 内閣府が、本年5月25日に発表した月例経済報告によりますと、景気は持ち直しの動きが見られるとされたものの、先行きについては、中国における感染再拡大の影響や、ウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があるとされています。 また、民間調査会社が、個人事業者を含む奈良県内の事業者290社に対し、原油・原材料価格の高騰の影響等について行った調査によりますと、原油・原材料価格の高騰が収益を大きく圧迫している、または、やや圧迫していると回答した事業者が約8割に上ります。一方、原油・原材料価格の上昇分を製品、サービス価格に転嫁できているのかとの問いに対し、ほとんど転嫁できていない、全く転嫁できていないと回答した事業者が半数以上あり、コロナ禍で厳しい経営環境が続く中、多くの県内中小企業にとって大きな負担になっていることがうかがえます。 国においては、原油価格・物価高騰等総合緊急対策として、コロナ禍において原油価格や物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減を、地方公共団体が地域の実情に応じ、きめ細かに実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充し、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分を創設されたところであります。 県では、かねてより新型コロナウイルス感染症対策の支援に積極的に取り組まれ、全国に先駆けて無利子・無保証料の制度融資を創設されたほか、各種関連資金や補助金等により、中小企業等を切れ目なく支援してこられましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、原油価格・物価高騰に対する県内中小企業等へのさらなる支援が必要だと考えています。 そこで知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症が収束しないことから、県民生活や経済への影響が依然として続いていることに加え、ウクライナ情勢等による原油価格・物価高騰が県内中小企業の事業環境を厳しくしていると考えられますが、県はどのように支援していかれるのでしょうか。 2点目は、農畜産業分野についてであります。さきに述べましたとおり、資源大国であり、農業大国であるロシアへの経済制裁や小麦の輸出大国であるウクライナへの侵攻により、原油や穀物等の国際価格は高い水準で推移しており、その影響を受けております。重油や灯油などの燃油やトウモロコシ等の穀物を主体とする配合飼料などの国内価格が値上がりしております。本県において、県民の食を支えていただいている農畜産業者の方々には、燃油や飼料などの値上がり分を農産物等の販売価格に転嫁することが難しいこともあり、経費の増加がそのまま経営の圧迫につながっております。 特に、イチゴやトマトなどの燃油を必要とする施設栽培を行う農業者の方々にとっては、燃油の値上がりが生産コストの上昇を招いていると聞いております。また、畜産農家においても、飼料費が経営コストに占める割合が高く、費用全体の3割~6割になることから、飼料の値上がりによる経営への影響は多大なものとなっております。 私の地元、葛城市におきましても、大正初期から酪農経営が行われ、現在7戸の酪農家が生乳生産のほか、様々な加工品を製造販売しておられます。また、採卵鶏や肉用牛生産に取り組む方もおられ、皆さん飼料の値上がりに大変ご苦労しておられます。 そこで知事にお伺いいたします。 原油価格・物価高騰等に伴う燃油や飼料などの値上がりが、本県の農畜産業にも大きな影響を与えていますが、今後、県としてどのような支援を行っていかれるのでしょうか。 次に、なら歴史芸術文化村についてお伺いいたします。 去る3月21日、なら歴史芸術文化村が開村いたしました。歴史、芸術、また食と農や伝統工芸など、奈良県の誇る文化に触れることができるところとして、大いに期待されている施設であります。私も開村行事に参加させていただき、この施設に対する知事の思いや、なら歴史芸術文化村が目指す活動の理念などについて、じっくりとお話を伺うことができました。 このなら歴史芸術文化村が、構想段階から整備を経て開業を迎えるまでの間、ご尽力された関係の方々に改めて敬意を表します。当日お配りいただいた資料や壇上のお話の中で度々紹介されていた「『なぜ?』が芽生える。『知る』を楽しむ。」という、なら歴史芸術文化村のキャッチフレーズは、まさに文化活動の本質を端的に表す言葉だと感じました。 そして、文化活動の振興を地域の活性化につなげようとする取組を、なら歴史芸術文化村で実践、展開されることに大いに期待するところであります。人々に楽しさや感動、精神的なやすらぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにする文化の力を、さらに社会発展の原動力としていく取組を、なら歴史芸術文化村を拠点にぜひとも推進していただきたいと思います。 特に、豊富な歴史文化資源を有する本県の強みを生かした文化の振興とともに、これらを活用して、観光・産業の振興などの地域振興を図っていくことが重要です。 例えば、なら歴史芸術文化村の中にある文化財修復工房では、私の地元、葛城市の當麻寺が所蔵される當麻曼荼羅の修復が、開村当初から行われております。また、先月26日には、同じく當麻寺の仁王像のうち、高さ3メートルを超える阿形像が修復工房内に搬入されました。この阿形像は、約30年の月日をかけて約1万匹のニホンミツバチが頭の中に巣を作ってしまい、昨年、そのニホンミツバチ引っ越し作業の様子がテレビなどで取り上げられ話題となりました。 なら歴史芸術文化村での修復工房の見学をきっかけに、當麻寺をお参りされ、さらに葛城市周辺を散策いただくことなど、文化財保護が観光振興につながっていくことも期待できます。 このような、なら歴史芸術文化村に、これまで多くの方が訪れているとの報道を目にしますが、このにぎわいを持続させつつ、なら歴史芸術文化村が目指す、地域に埋もれた文化財に光を注ぎ、これを活用していく取組や、子どもの発育を促す芸術文化分野の取組を効果的に実施し、この施設の機能を最大限活用していくことが、大変重要であると考えます。 そこで知事にお伺いいたします。 本年3月21日に開村した、なら歴史芸術文化村の運営状況及び今後の展開についてお聞かせください。 最後に、警察本部長に着任にあたっての所信をお伺いいたします。県警察では、日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現という運営指針を掲げ、犯罪抑止や交通事故防止を中心とした各種施策を推進しておられます。その結果、昨年の刑法犯認知件数は、戦後のピークであった平成14年の約3万2,000件と比べると、6分の1以下である5,000件余りまで減少し、戦後最少の件数となったほか、交通事故死亡者数も39人と、一昨年の25人から増加したものの、戦後3番目に少ない数となりました。 また、本年4月には、秋篠宮皇嗣様及び紀子様の本県へのお成りに伴い、県警察の総力を挙げた警衛警備を実施され、任務を完遂されました。さらに本年4月から、前計画を更新した新たな5か年計画である安全・安心の確保のための奈良県基本計画を施行され、通学通園路等における安全対策と、特殊詐欺の未然防止対策を二本柱として、関連施策を鋭意推進しておられます。 これら県警察の諸活動に対し、県民の一人として深く感謝しているところであります。しかしながら、高齢者が被害者となる特殊詐欺や、子ども、女性が被害者となる児童虐待、ストーカー、DV事案は、依然として数多く発生しています。また、インターネットが日常生活や社会経済活動に不可欠な社会基盤として定着する一方で、不正アクセスをはじめとしたサイバー空間上で行われる犯罪の増加が懸念されるところであります。 さらに、交通事故死者数に占める高齢者の割合も高い水準で推移するなど、県民の安全を脅かす事案は後を絶ちません。県内の治安は、まだ予断を許さない状況にあります。 加えて、近年奈良県は、人口の減少や高齢化の進展といった人口構造の変化に加え、テレワークの普及や外出自粛をはじめとしたコロナ禍による生活様式の変容等、社会情勢の大きな変化に直面しており、それに伴い対応すべき治安上の課題も新たに発生していることと思います。 これらの変化に適用しつつ、安全で安心して暮らせる社会を実現することは県民すべての願いであり、県警察に対しては変化する社会の中にあっても、しっかりと治安を確保していただくよう、大きな期待を寄せているところであります。 そこで警察本部長にお伺いいたします。 平素から、我々県民が当たり前のように平穏な生活を送ることができているのは、ひとえに県警察の職員が日々、日夜、治安維持のためご尽力いただいているたまものであることは重々承知しておりますが、奈良県の治安を担う最高責任者として、どのように県警察を運営しようと考えておられるのか、警察本部長着任にあたっての所信をお伺いします。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)12番西川議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、リニア中央新幹線、これからの取組についてでございます。 リニア中央新幹線の整備は、3大都市圏を東海道新幹線、北陸新幹線と異なるルートで超高速で結ぶことにより、これまで国土軸から外れていた地域の活性化を図り、均衡ある国土の発展を目指す国家的プロジェクトと認識しております。 本県にとりまして、県民生活の向上、地域経済の発展、県全体にわたる産業、観光振興などが見込まれ、本県が大きく飛躍するまたとないチャンスだと考えております。 私はかねてより、リニア中央新幹線は大阪まで全線開業してこそ、より大きな整備効果が発揮されるものと考え、2037年の東京・大阪間の全線開業が確実なものとなるよう、名古屋・大阪間の駅位置及びルートの確定につながる環境影響評価手続を速やかに開始していただきたいと、国やJR東海に幾度となく要望してまいりました。 こうした中、西川議員も言及されましたが、今月になって大きな動きがございました。6月7日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針において、リニア中央新幹線について、建設主体が来年2023年から、名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して必要な指導、支援を行うと国において具体的な手順に関する方針が明確にされたところでございます。 これは、奈良市附近駅の位置及びルートの確定、そして早期の着工に向けた大きな第一歩をいよいよ踏み出すことができるということになると思っております。 国がこのような積極的な方針を示されたことは、長年にわたる国やJR東海への要望がかなったということでもあり、大変ありがたく、うれしく思っている次第でございます。 また、先週17日金曜日には、岸田内閣総理大臣が三重県を訪問された際、私と三重県知事との懇談の場が設けられました。懇談の場で岸田内閣総理大臣は、15年後の2037年の大阪までの全線開業が、国としての最終目標であるということを明確におっしゃいました。 また、私と三重県知事に対しまして、来年から環境影響評価に着手できるよう、駅そしてルートの決定に向けて、強いリーダーシップを発揮していただければとのご要請を直接頂戴しました。 私からは、微力ですが全力を尽くしたい旨、お答え申し上げますとともに、49年前になりますが、当時の運輸大臣告示で、奈良市附近駅を明示されたのは、奈良県出身の参議院議員新谷寅三郎様であったこと、また私の結婚式の仲人もしていただいたこともお伝え申し上げました。新谷先生は、私に運輸省入省を強く勧められた方でもございました。ご縁を感じております。 今後、奈良市附近駅の位置及びルートの確定について、最終的に決定されるのは、事業主体でありますJR東海でございますが、名古屋以東の事例を見ましても、用地取得の確実性、発生土処分地の確保、文化財・環境等の配慮を要する事項など、直接工事に関わる事項に加えまして、交通結節性の確保、駅周辺のまちづくりと地域全体の将来的な発展可能性など、地域において大きな関心を有する事項も、重要な判断要素となってきております。 今般、岸田内閣総理大臣から、駅とルートの確定に知事がリーダーシップを発揮するようにとのご要請をいただきましたので、本県といたしましても、これらの事項に関する検討を進め、JR東海と県民の皆様と情報の共有を行い、来年2023年からの環境影響評価の開始ができますよう、最大限努力し、協力してまいりたいと考えております。 奈良市附近駅の位置とルートを迅速に決定し、名古屋・大阪間の事業推進について、機運を醸成することで、現在、南アルプス付近での課題解決の促進を図り、リニア全体の事業進捗が図られることも期待できると思いますので、奈良市附近駅の早期決定に全力で取り組んでまいりたいと思っております。 2つ目のご質問でございますが、南海トラフ地震への大規模災害への備えとしての大規模広域防災拠点の整備について、今後どのように進めていくのかというご質問がございました。 県では、近い将来、発生が確実視されている南海トラフ巨大地震や、いつどこで発生するのか予測できない自然災害に備え、その被害を最小限に抑えるため、救助要員の集結、救援物資の集積・配送などに優れた防災機能を有する大規模広域防災拠点の整備を進めてまいりました。 本拠点の整備は、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期と段階的に進めることとしており、2,000メートル級滑走路を有するⅢ期の整備が完成することで、赤外線捜索監視装置を搭載した固定翼機による夜間や雨天時も含めた迅速かつ正確な情報収集、大型輸送機による広域応援部隊や支援物資の短時間での大量受入れなどが可能になり、災害発生時には、一刻を争う状況で、広範囲に発生することが想定されます中、被害を最小限に抑えることができると考えております。 この事業を確実に進めるためには、用地の確保が不可欠でございます。地元の皆様のご理解、ご協力が必要でございますので、地元の皆様から、本事業への理解を得るため、令和2年秋の全体説明会を皮切りに、大字別の個別説明会と合わせ、合計23回の地元説明会を開催し、五條市とともに丁寧な対応を行ってまいりました。 今般、Ⅰ期・Ⅱ期整備に必要な五條市阪合部地区におけるプレディアゴルフ場の土地について、用地交渉の結果、地権者のご協力を得ることができたため、今議会において契約議案を上程させていただいているところでございます。 また、本事業の財源として、事業費の100%に充当ができ、その償還額の70%が国からの交付税として措置されます緊急防災・減災事業債を適用するため、継続的に国担当大臣の総務大臣への要望を行ってきておりましたが、この6月1日には、田畑総務副大臣とお会いし、事業債の本事業への適用と長期にわたる継続的な支援のお願いを申し上げましたところ、引き続き助言していきたい、奈良県が中心となって、防災拠点をつくろうとしていることは十分伝わってきているとおっしゃっていただきました。 加えまして、国が作成しております南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画において、本拠点を位置づけていただくことについても、継続的に国への要望を行ってまいりました。 6月1日に、担当であられます二之湯内閣府防災担当大臣にお会いしたところ、奈良県の要望は、内閣府としてよく理解しているとのお言葉を頂戴いたしました。 このような要望を行ってきた結果、6月17日に公表されました内閣府の計画において、本拠点が、まだ整備の途上にもかかわらず、紀伊半島エリアを幅広くカバーする大規模な広域防災拠点として位置づけられたところでございます。このことは、本県としましても大変喜ばしいことだと感じております。 さらに、6月に開催いたしました第4回奈良県広域防災に関する懇談会で、整備の各段階においても防災機能の効果が発現できるようにすべきとのご助言をいただいたことも踏まえ、今後、消防や警察などの関係機関のご意見を伺いつつ、整備段階に合わせた運用についての検討を進め、防災拠点としての早期効果発現を目指すとともに、地元の皆様や国のご協力を得ながら、五條市と緊密に連携し、大規模広域防災拠点の整備を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。 次のご質問でございますが、新型コロナウイルス感染症への対応の取組についてでございます。 昨年末に、県内で初めてのオミクロン株による感染者が確認され、1月以降、その強い感染力に伴い、新規感染者数が急増いたしました。一方で、この第6波におきましては、症状が軽い方が多く、重症化リスクが低い傾向があり、多くの方が自宅療養されることとなりました。 本県では、第6波の動向を振り返り、医療提供体制の問題や、病院内クラスター、高齢者入所施設での感染拡大等の課題を踏まえ、次の4点を中心に取組を進め始めたものでございます。 その1点目でございますが、療養先トリアージ基準の改定を行いました。新型コロナウイルスに感染され、入院治療を受けていただく必要のある方と、自宅等で療養していただく方を分離しトリアージし、適切な医療を提供するための奈良県独自の基準を定め、現在支障なく運用されています。今後も保健所、医療機関と連携し、適切な運用に努めてまいりたいと思います。 2点目の対応でございますが、医療機関、自宅及び高齢者施設の医療提供の充実の課題でございます。 新型コロナ病床における新型コロナウイルス感染症治療と並行した基礎疾患治療やリハビリの充実が第1点でございます。 2点目は、かかりつけ医療機関での新型コロナウイルス感染症患者の入院・治療の拡充でございます。 また、3点目はこれまで新型コロナウイルス感染症治療に関わっていなかった医療機関の重症化予防治療への参加でございます。 4点目は、自宅や高齢者施設でも安心して療養を続けていただける医療の充実等の取組が必要と考え、対策しているところでございます。 3点目の対策は、クラスター対策の推進でございます。医療機関や高齢者施設などにおいて、新型コロナ感染対策責任者を定め、県への登録を行っていただくことにしました。具体的な役割の周知に努めております。今後、効果を見て、学校や保健所などへの展開も検討したいと思っております。 4点目は、ワクチン接種の促進でございます。県の広域接種会場を設置し、3回目、4回目接種の機会を確保するとともに、ワクチンに関する情報を充実し、積極的な発信に努めるなど、接種の加速化を図っていきたいと考えております。 今後も、県民の命を守ることを最重点の目標として、ウイルスの特徴を踏まえた感染防止対策と、安心できる医療提供体制の維持を図りながら、経済・社会活動が正常化し、日常生活が取り戻せるように努めてまいりたいと思っております。 次のご質問は、原油価格・物価高騰等への対応について、中小企業、また農畜産業関係の方への対応、支援についてでございます。 西川議員お述べのとおり、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加えまして、原材料価格の高騰による物価上昇等の影響が懸念される我が国の経済状況の中、特に中小企業等への継続的な支援が必要と考えておりますが、今議会でも、所要の予算をお願いしているところでございます。 県では、これまで全国に先駆けて、無利子、無担保、無保証料の制度融資を開始いたしまして、中小企業等の資金繰りを支援してまいりました。大変好評でございました。また、昨年度にスタートいたしました新型コロナウイルス感染症対応資金につきましては、今年度も1,000億円の融資枠を確保しておりますが、この資金は、原油価格や物価の高騰等の影響を受けた中小企業等にもご利用いただける制度となっております。 あわせて、既に償還が始まった中小企業等の借入れにつきましては、取扱い金融機関において、個別の状況に応じた柔軟な対応を行っていただいているところでございます。 また、経営面の支援でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上高が減少した中小企業等が、売上げ回復を目指し、新たな事業に取り組む場合に、補助率3分の2、補助上限額50万円、補助総額8億円で支援を行う補助制度を創設し、6月1日から公募を開始しております。この補助金については、補助対象を拡大するとともに、補助総額を4億円積み増しすることとしたいと思っております。 さらに産業活動にとどまらず、県民生活に欠かせない物流を担う運送事業者や、公共交通を担うバス・タクシー事業者に対しまして、原油価格高騰による燃料費増加分の負担を軽減するための支援を行うつもりでございます。 加えまして、雇用面でございますが、国の雇用調整助成金への県独自の上乗せ補助を6月分までとしておりましたが、国の特例措置延長に合わせまして、9月末まで延長することとしたいと思います。 また、中小企業等が事業所における最低賃金の引上げを行われた際には、国の補助制度をご活用いただけますが、この制度に本県独自の上乗せ補助を行い、賃上げを促進したいと思っております。あわせて、新型コロナウイルス感染症の影響による失業者への就業支援や、雇い止めや不当な扱い等を受けた外国人労働者への相談体制を拡充するつもりでございます。 これらの追加の施策に取り組むため、今議会で所要の補正予算を計上させていただいております。中小企業等を取り巻く経営環境には厳しいものがありますが、これらの施策を十分にご活用いただけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。 次に、原油価格・物価高騰等に伴う燃油や飼料などの値上がりにより、影響が出ている本県の農畜産業への対応についてのご質問でございますが、特に、その影響を大きく受けておられます施設園芸を営む農業者、畜産農家、また新規就農者への重点的な支援が必要と考えております。 具体的には、まずイチゴやトマトなどの施設園芸については、燃油の値上がりが生産コストの上昇を招くことでございますので、価格高騰分の一部を県が補助し、農業者の負担を軽減いたします。 次に、畜産農家につきましても、飼料費が経営コストに占める割合が高く、飼料の値上がりが経営の圧迫を招いておりますので、同様に、価格高騰分の一部を県が補助し、畜産農家の負担を軽減するつもりでございます。 また、新規就農者につきましては、就農時に機械や施設等への投資が必要でございますので、この初期投資の増加が、就農後の経営悪化や就農意欲の低下につながるおそれがあるため、初期投資に係る経費を助成する国の制度がありますが、その対象事業費の上限を超える費用について、県が追加補助することで、就農時の負担をさらに軽減することにしたいと思っております。 以上の施策に取り組むため、これらの予算につきましても、今議会に所要の予算額を計上しているところでございます。 次に、なら歴史芸術文化村の運営状況と、今後の展開についてのご質問がございました。 なら歴史芸術文化村は、本年3月21日の開村以来、連日多くの方にご来訪いただいておりますので、関係者の皆様に改めて感謝を申し上げたく存じます。 交流にぎわい棟での地域の農産品や工芸品の販売も大変盛況であることを受けまして、5月2日から当館の休館日をなくしました。また、開館時間を1時間延長して、閉館時間を17時から18時にしたところでございます。 なら歴史芸術文化村では、来村者への交流を重視し、一人ひとりの感性や知識、関心に寄り添った自発的な学びを支援することを基本理念として、事業展開に取り組んでいるところでございます。 歴史文化の分野では、西川議員お述べの文化財の修復公開、展示とともに、学芸員による解説や、社寺関係者・修復関係者を語り部とした対話・交流につながる取組を実施しております。これも好評だと聞いております。参加者からは、解説を受けることで理解が一層深まったという意見もいただいております。 また、芸術文化の分野におきましても、子どもたちが、アートや音楽に触れ、創造性や表現力を育む体験プログラムを展開しております。私も子ども参加型の音楽コンサートを見学いたしましたが、子どもたちが目を輝かせ、目が3倍ぐらい大きくなって、お父さんの顔を見上げておられる姿は大変感動的でございました。 さらに8月から様々なジャンルのアーティストが、来村者や地域の人々と交流を持ちながら、芸術文化体験棟を拠点に創作活動を開始していただきます。 これらの取組により、なら歴史芸術文化村が目指す理念が着実に実現されつつあると感じております。引き続き、歴史文化資源を活用した対話重視の体験や、子どもたちの自尊心、利他心を養うことにつながる創作活動の場となるような取組を、積極的に展開していきたいと考えております。 今後も来村される皆様の声に耳を傾け、おもてなしの向上を図るとともに、「『なぜ?』が芽生える。『知る』を楽しむ。」という我々人間が、どの年代になっても、ふさわしいテーマに基づき、なら歴史芸術文化村が発展いたしますよう努めてまいりたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 鬼塚警察本部長。 ◎警察本部長(鬼塚友章) (登壇)12番西川議員から、私、警察本部長に対し、奈良県の治安を担う最高責任者として、着任にあたっての所信につきましてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 日本が誇るべき悠久の歴史と文化を有する古都、奈良県におきまして、警察本部長の任にあたることは、大変光栄に思いますとともに、身の引き締まる思いでございます。 最近の治安情勢といたしましては、刑法犯認知件数及び交通事故件数は減少傾向にあるものの、特殊詐欺やストーカー、DV等の人身安全関連事案は依然として発生しております。 また、深刻化するサイバー犯罪被害のほか、少子高齢化やコロナ禍による生活様式の変化への対処等、県警察として取り組むべき課題は山積しております。 これらの課題に対処していくため、県警察では、県と協働して、安全・安心の確保のための奈良県基本計画を本年4月に更新、施行いたしました。本計画では、警察のみならず、社会を構成する多様な主体が、それぞれ安全・安心を確保するための取組を重層的に展開することを趣旨としており、引き続き関係機関と連携・協力の上、計画に掲げた施策を推進してまいります。 また、県警察では、運営指針を「日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現」、サブタイトルを「県民とともにある強くしなやかな警察」としております。 私は、着任にあたり、職員に対して、社会情勢の変化に敏感であるように指示いたしました。それは、職員一人ひとりが社会の変化や県民の期待、思いを的確かつ敏感に察知することにより、警察力の柔軟かつ重点的な配分につなげ、治安上の課題に対して迅速に対処していくためであります。 県民の皆様はもちろん、奈良県を訪れる多くの方々にも良好な治安を体感していただけなければなりません。そのためにも、「奈良県・奈良県民のために、奈良県警察全職員とともに」を理念として、警察本部長としての職責を果たしてまいります。 今後も、警察活動への一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の所信といたします。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 12番西川均議員。 ◆12番(西川均) 知事におかれましては、各質問等につきまして、誠意あるご回答を賜りまして、誠にありがとうございました。 今後の知事の進めていかれる行政につきまして、注視してまいりたいと、かように思いますし、また、ご協力してまいりたいと、かように思うところでございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 警察本部長につきましては、所信を述べていただきました。過日の新聞で知ったのですけれども、江戸後期の儒者、佐藤一斎の「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら慎む」という言葉がお好きだということでございます。 この言葉の意味は、自身を厳しく律し、春の風のように温かな心で、県民の安心と安全を守っていただけると、このように私も確信いたしておりますので、今後のご活躍にご期待を申し上げたいと思います。 以上で自席からの質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 次に、3番植村佳史議員に発言を許します。--3番植村佳史議員。(拍手) ◆3番(植村佳史) (登壇)議場の皆様、奈良テレビをご覧の皆様、こんにちは。議長のお許しを得ましたので、自由民主党会派を代表いたしまして、奈良市・山辺郡選挙区選出の植村佳史が質問に入らせていただきたいと思います。 質問に先立ち、一言申し上げます。 先日、岸田内閣において、経済財政運営と改革の基本方針2022が閣議決定されました。この方針の中では、一昨年度からのコロナ禍やロシアのウクライナ侵略など、我が国を取り巻く環境変化、また輸入資源価格の高騰、人口減少、少子高齢化、災害の頻発化・激甚化などの国内における様々な課題など、内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せている現状に対し、新しい資本主義を起動することにより、強靱で持続可能な経済社会構造に変革するとされています。 新しい資本主義とは、官と民が協力し、そして、計画的、重点的な投資と改革を中長期的に行うことにより、社会課題の解決を進め、それを経済成長のエネルギーとする考え方であります。 重点的に投資する分野としては、賃上げをはじめとして、多様な働き方の推進や、質の高い教育といった、人間への投資、起業を支える人材の育成や確保、資金調達の環境整備など、新規創業、いわゆるスタートアップへの投資などが挙げられています。 また、各種の社会課題の解決に向け、こども家庭庁の創設をはじめとした少子化対策、子ども政策、生活困窮者への自立相談支援等の強化、就職氷河期世代支援などによる包摂社会の実現、デジタル田園都市国家構想やリニア中央新幹線の整備促進などによる多極化・地域活性化の推進などに取り組んでいくこととされています。 我々は、岸田内閣が進めていくこの新しい資本主義により、コロナ禍で痛んだ日本経済を立て直し、成長の軌道に乗せることが重要と考えております。経済が成長軌道に乗ることにより、労働分配率の向上などによる分厚い中間層の再構築や、持続可能な全世代型社会保障の構築が可能となり、全世代に安心して生活していただける日本が創出されると確信しており、奈良県においても、新しい資本主義の実現に向け、地域の実情に合わせた取組を懸命に進めていただきたいことを切に願いまして、質問に入らせていただきます。 まず、大和平野中央部の振興について、知事にお伺いいたします。 県が現在進めておられる磯城郡3町をはじめとする大和平野中央部における県の取組、大和平野中央スーパーシティ構想は、県の最重要課題である多様な雇用の場の創出や、県内経済活性化に大きく寄与するプロジェクトであることから、強力に推進すべきものと考えております。 大和平野中央スーパーシティ構想は、昨年11月にキックオフ会議が開催され、地域経済、雇用、はぐくみ、交通、福祉医療、教育、農業など、県政の重要事項を網羅した数多くのテーマが示されました。 その後、テーマごとに順次、検討会を実施されており、大和平野中央部における住民の暮らしの向上につながる構想が、充実したものになることを大いに期待しています。 ところで、大和平野中央スーパーシティ構想は、国のスーパーシティ区域の第2次募集を視野に入れて検討がスタートしましたが、先日、国は第1次募集の結果を発表され、スーパーシティとして2つの自治体が指定されました。国が指定を判断する観点として、今回採択された自治体の提案にある空飛ぶクルマの社会実装に象徴されるように、規制改革と先端的なサービスに軸足が置かれているように思われます。 大和平野中央スーパーシティ構想には、もとよりこのような観点も含まれていますが、ほかにも、子どものはぐくみや、困難を抱える女性の支援など、言わば、地に足のついたテーマも数多くあります。私は、このような取組が大変重要と考えております。 さきの2月議会の代表質問では、我が会派の井岡議員が、大和平野中央スーパーシティ構想は、大和平野中央部にふさわしい、言わば奈良県版のスーパーシティ構想として進めてはどうかと指摘されましたが、私も、大和平野中央部で展開する構想は、真に必要な内容を盛り込んだ奈良県独自の構想として進めるべきだと考えております。 さて、このプロジェクトは、構想の検討と並行して、県と磯城郡3町が、まちづくりのテーマと対象地区に関する協定をそれぞれ締結し、拠点整備にも取り組んでおられます。拠点整備に必要な用地取得にあたっては、これまでも丁寧に地元調整を図っていただいていると伺っており、引き続き十分に地元の合意を得つつ進めていただきたいと考えております。 また、これらの拠点を核としたまちづくりについても、様々な意見を聞きながら取り組んでいただきたいと考えています。 そこで知事にお伺いいたします。 県が磯城郡3町と協働して取り組んでいる大和平野中央部の振興を、今後どのように進めていくのか、お聞かせください。 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について知事にお伺いいたします。 令和2年1月に、県内で初めての感染者が確認されてから、間もなく2年半を迎えようとしています。奈良県における感染者数は累計で9万5,000名を超えました。これまでの間、県内の医療機関や医療従事者をはじめとした関係の皆様には、新型コロナウイルス感染症への対応に大変なご苦労していただき、感染された多くの患者さんの病状回復、退院につなげていただきましたことを、この場をお借りして感謝を申し上げます。 また、懸命な治療にもかかわらず、お亡くなりになられた方々には、心からご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。 県では、新型コロナウイルスによる感染が始まって以来、昨年末の第5波までの間、感染された方全員に入院、入所していただくという方針のもと、知事みずからが先頭に立って、入院病床や宿泊療養施設の確保に取り組んでこられました。その結果、入院病床と宿泊療養室の合計は、第5波のピーク時の総療養者数に対応した1,600もの規模となりました。 ところが、今年に入ってからの第6波では、感染力が強いオミクロン株によって、ピーク時には1日1,600名近くの新規感染者が確認される日もあるなど、第5波を大きく上回る規模で感染者は急激に増加しました。 その結果、感染者数が、これまでの懸命に確保していただいた入院病床数と宿泊療養室数の合計を大きく上回る状況となりました。 そのような状況の中で、県では、4月20日の奈良県新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、新型コロナウイルスに感染された方々に、入院して治療を受けていただくのか、それとも自宅等で療養していただくのかをトリアージするための基準となる療養先トリアージ基準を定められました。 この療養先トリアージ基準の策定にあたっては、医療機関関係者や、介護関係者をはじめとして、新型コロナウイルスと現場で戦っておられる方々と、知事ご自身が何度も意見交換され、基準の策定に至ったと伺っております。 そこで、改めて知事にお伺いします。 県はどのような考えで、新型コロナウイルス感染症に係る療養先トリアージ基準を定めることにされたのかについてお尋ねいたします。 また、療養先トリアージ基準を定められて、ちょうど2か月が経過しましたが、基準の運用状況についても併せてお聞かせください。 次に、「いまなら。キャンペーン」について知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルスとの戦いが2年以上に及び、本県経済の核ともいえる観光産業をはじめ、多くの事業者にとって、長く苦しい局面が続きました。観光庁の宿泊統計調査によりますと、令和3年の奈良県内のホテル・旅館の宿泊者数は154万7,000人余りで、全国的に緊急事態宣言が発出された令和2年に比べると5%程度増加したものの、コロナ禍前の令和元年に比べると約43%減と、2年にわたり宿泊者数がおよそ半減しております。 そのような中、知事は、これまで中小企業等の事業者への資金面、経営面、雇用面などで、その支援策に積極的かつ継続的に取り組んでこられました。 また、宿泊需要喚起策である「いまなら。キャンペーン」を実施されたことは、宿泊業、旅行業や、多くの観光関連事業者の方々にとっての希望の光となったと聞いております。 初夏を迎え、奈良公園周辺では、修学旅行生を乗せたバスを多く見かけるようになりました。やっと奈良の観光に明るい兆しが見え始めてきています。にぎわいと活気のある奈良の観光が早く戻ることを願うばかりであります。 観光関連事業者の多くは、コロナ禍における大幅な収入の減少を、国や県などの支援策を活用することなどにより、廃業せずに耐え忍んでこられたのが現状であります。多くの施設から、経営の維持が本当に厳しい、今後は借入金の返済が待っている、これ以上の融資を受けるのは限界などの切実な声も聞かれます。観光産業は、地域の雇用を支えているだけでなく、地元の食材の調達や交通サービスなどの利用など、地域経済への波及効果が他業種に比べて大きいことから、観光関連事業者への支援は地域経済にとっても不可欠であります。 最近は、ある程度の新型コロナウイルス感染者は報告されているものの、以前に比べ低い水準で推移しています。ワクチンの3回目接種も進み、感染対策をとりながら日常生活を楽しむ、新しい生活様式、新しい旅のスタイルが定着してきました。これから迎える夏休みから秋の観光シーズンに向け、引き続き、宿泊、旅行需要を喚起することが重要だと考えています。 県民の皆さんは、引き続き旅行をお得に楽しめることを期待しており、観光事業者の皆さんも、多くの宿泊観光客が見込める「いまなら。キャンペーン」の継続に大きな期待を持っておられます。 そこで知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響によって、大きな打撃を受けた県内観光産業の回復、活性化に向け、今後、「いまなら。キャンペーン」の実施にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 次に、近畿日本鉄道株式会社による鉄道及び軌道の旅客運賃の上限変更の認可申請、つまり、運賃の値上げ申請への対応についてお伺いいたします。 近畿日本鉄道株式会社は、県内に奈良線、大阪線、橿原線など12もの路線を有し、県民の方々の通勤・通学や、あるいは観光客をはじめ、本県を訪れる方々の移動手段として重要な役割を担う交通インフラを提供している事業者であります。 今年4月15日、その近畿日本鉄道株式会社が国に対し運賃改定、つまり値上げの申請を行いました。近畿日本鉄道株式会社が発表した資料を見ますと、運賃値上げ申請の理由として、沿線の少子高齢化による利用者の減少が続いていたこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響により、利用がさらに大きく減少し、厳しい事業環境に陥っていることなどが掲載されています。 確かに、一昨年以来のコロナ禍にあって、旅行、外出の抑制が行われたり、あるいはインバウンド観光客がほとんどゼロに落ち込むなど、全国の鉄道を含む交通事業者が厳しい状況に直面したことは事実であると考えます。 しかし、運賃の値上げは、多くの県民をはじめとする利用者に多大な負担を求めるものです。今回、近畿日本鉄道株式会社が申請した運賃値上げの案では、例えば、近鉄奈良・大阪難波間が、現行の570円から680円と110円、割合で言えば2割近い値上げとなります。ほかにも、通学定期券についても値上げが申請されており、認可されれば、家計にも大きな影響が及ぶこととなります。 私は、こうした運賃の値上げを行うにあたっては、単に国土交通大臣からの認可を得るだけでなく、その理由や必要性について、地域に対して丁寧な説明を行うこと、また、値上げにより増収となる分について、その使い道が、鉄道を安全・快適に利用できるようなサービスの改善を行ったり、あるいは、まちづくりの観点から駅や施設に投資をするといった、ある意味、地元への還元をしていただく、そういった姿勢が必要であると考えております。 今回の近畿日本鉄道株式会社による運賃改定申請を受け、荒井知事は、7月14日に開催されることが決定した国の審議会による公聴会にみずから出席され、意見を述べると聞いています。意見の骨子として、知事が先日記者発表された資料を拝見しましたが、鉄道事業については、地域との共存共栄が図られるべきという知事の基本認識には、私も同感をするところであります。また、知事は、具体的なデータも織り交ぜながら、日常的な利用者向けのサービス改善を行う視点が必要ではないか、県からも様々な提案などを行っている県内沿線への投資につき、近畿日本鉄道株式会社からも積極的な対応をいただけないかといった、多くの指摘、あるいは投げかけを近畿日本鉄道株式会社に対し、行っていることが見て取れました。 私も、運賃の値上げという負担増を求める以上、近畿日本鉄道株式会社には、そういった点に対し、丁寧かつ前向きに対応いただくことが、共存共栄を図る観点から、必要になってくると考えております。 そこで知事にお伺いいたします。 今般の近畿日本鉄道株式会社による運賃改定申請に対する県の考え方と、今後の公聴会などへの対応についてお聞かせください。 次に、県域水道一体化について知事にお伺いいたします。 水道は、住民の生活の根幹を支えるライフラインの一つですが、近年の水道事業を取り巻く環境は、人口減少などによる水需要の減少、昭和時代に整備された水道施設の老朽化の進行、技術職員の減少などの課題に直面しているところです。 こうした課題への対処として、奈良県では、上水道事業の県域一体化に向けた検討が進められており、私も大いに期待しているところであります。 本年2月17日に開催された県と関係市町村による第2回協議会では、一体化後の水道料金面の試算結果や、一体化に向けた検討状況などについて協議されました。この協議会では、私の地元である奈良市が欠席するなど、一体化参加に慎重な姿勢を見せており、動向を注視しているところであります。 その後、奈良市から幾つかの論点が提示され、それについての協議会としての見解が5月12日に示されるとともに、奈良市長にも送付されたと聞き及んでおります。これは奈良市域の水道の将来について、奈良市や奈良市議会、奈良市民の間で熟議していただく際の参考に供されたものであり、議論が進むことを私も切に願っております。 また、協議会としても、奈良市提示の論点について議論、検討する部会が協議会の中に設置され、9日の初会合を皮切りに、今後、順次議論が進んでいくものと思います。 一方、奈良市では、一体化への参加の是非を検討するにあたり、幅広い意見を聴取するために、有識者や市議会議員、市民団体などで構成する奈良市県域水道一体化取組事業懇談会を立ち上げ、5月20日に第1回、今月22日には第2回の懇談会が開催されました。 奈良市が提示する論点の1つに、将来の投資規模と料金水準があります。私は、一体化に伴って設立される企業団には、近年、他府県で頻発している漏水事故や水道施設の事故が起きることのないよう、老朽化対策にもしっかりと必要な投資を行って、県民、市民に安全・安心な水を安定して提供していただきたいと願っています。 そのことにより、住民にとって、多少の料金負担が増えることも想定されますが、丁寧な説明と議論を尽くせば、安全・安心な水の持続的な安定供給のためには必要なことであることがご理解いただけるものと考えています。 そこで知事にお伺いします。 奈良市は、一体化参加に慎重な姿勢を見せていますが、今後どのように議論を進めていくのでしょうか。 最後に、国際中学校について、教育長にお伺いいたします。 今を生きる子どもたちや、これから誕生する子どもたちが社会で活躍する頃には、グローバル化のさらなる進展や絶え間のない技術革新などにより、社会構造や雇用環境は大きく変化し、子どもたちが就くことになる職業の在り方についても、現在とはさま変わりすることになるだろうと指摘されています。 さらには、人工知能、ビッグデータ、IoTなどの先端技術が高度化し、社会の在り方そのものが現在とは劇的に変わるとされるSociety5.0時代の到来が現実味を帯びてきております。 このような急激な社会的な変化が進む中で、子どもたちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質、能力を一層確実に育成することが求められており、それに対応し、学校教育も変化していかなければならないと考えております。 そのような中、本年度より、高等学校において、新しい学習指導要領による教育がスタートしました。これにより、令和2年度に小学校から順次導入が進められてきた新しい学習指導要領による教育が、今年度ですべての学校種において行われることになりました。 新しい学習指導要領では、各学校段階における各教科などの学びを通じ、子どもたちにこれからの社会で必要なみずからの課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、みずから判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていく力を育むことが求められています。 また、令和3年3月に策定された第2期奈良県教育振興大綱においては、物事を知り、理解することに加え、新しい学習指導要領と同様に、みずから考え、探求するといった、学ぶ力とともに、成長段階に応じて生きる力を育む本人のための教育を行うことを目指す方向性として位置づけられています。 生涯にわたり学び続ける力や、他者とのよりよい関係を築くためのコミュニケーション力などは、これからの時代を生きる子どもたちに、ぜひ身につけさせるべき力だと考えております。 今後、社会のグローバル化が一層進展することが予想され、子どもたちは生涯にわたる様々な場面で世界と向き合うことになります。これまで、奈良県の子どもたちは、全国学力・学習状況調査の結果においては、自己肯定感や自分の思いなどを言葉に表すといったコミュニケーション力に課題が見られました。 そのような中、より早い段階からグローバル化する社会において必要な力を身につけるための教育環境を整備することが重要であると考えます。 そこで教育長にお伺いします。 令和5年4月に開校予定の国際中学校について、今議会に県立高等学校等設置条例の改正が提案されているが、県教育委員会では、国際中学校において、どのような教育を行っていこうと考えているのか、所見をお聞かせください。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)3番植村議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、大和平野中央部の振興について、どのように取組を進めているのかというご質問でございます。 大和平野中央部の振興につきましては、これまで大和平野中央スーパーシティ構想として検討してまいりました。 植村議員からご指摘がございましたところですが、国のスーパーシティ構想は、空飛ぶクルマの社会実装やロボットの本格導入など、規制改革と先端的サービスが重視されていることが最近明らかになってまいりました。 そこで5月下旬から、磯城郡3町と今後の進め方を協議するとともに、県の構想の監修を務めていただいております有識者とも意見交換を行い、国の構想の枠組みにとらわれることなく、奈良県の住民の幸せ、住民の暮らしの向上を目指す奈良県の方向がぶれないように取り組むべきとのご意見をいただいたところでございます。 このようなことから、大和平野中央部の振興につきましては、本県独自の大和平野中央田園都市構想として進めることとしております。 今年度は、この構想の具体化に向け、引き続き民間企業の参画を得まして、コンソーシアム形式による検討会を開催し、議論を深めたいと思います。まず、今月末に「就学前教育~就学前児童のこころと身体のはぐくみ~」をテーマに検討会を開催する予定でございます。その後10月には、県民も参加するフォーラムを開催し、構想の素案を示した上で、年度内に構想を取りまとめたいと考えております。 あわせて、磯城郡3町におけるウェルネスタウンや、奈良県立大学を核としたスタートアップヴィレッジをテーマとする拠点整備について、各町では必要な土地の確保に向け、事前に地元調整を図っていただいていましたが、今般3町すべてにおいて、地元・地権者のご同意を得ることができました。現在、用地測量を順次実施しており、引き続き年度内の用地取得を目指して取り組んでまいりたいと思っております。 また、これらの拠点の施設整備や拠点を含む周辺のまちづくりの基本計画策定に向け、民間企業から幅広くアイデアを募集することとしました。民間企業の知見を生かした有益なアイデアを参考にしながら、計画を練り上げていきたいと考えております。 引き続き、大和平野中央部における住民の暮らしの向上につながるまちづくり、大和平野中央田園都市の実現に向け、磯城郡3町と連携を深め、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。 次のご質問は、新型コロナウイルス感染症の療養先トリアージ基準についてでございます。 第6波をもたらしたオミクロン株は、これまでのデルタ株などに比べて感染力が強く、感染者は急激に増加しましたが、一方で症状の軽い方が多く、多くの方に自宅等で療養していただく結果となりました。 この第6波の動向を振り返りますと、まず新型コロナウイルス感染症の症状が軽い一方、基礎疾患のある方についても、原則入院としてきたトリアージの問題がございました。次に、基礎疾患のある方を新型コロナ病床で受け入れた場合の、基礎疾患の治療と新型コロナウイルス感染症の治療の両立の課題、また高齢者へのリハビリ提供の課題がございました。さらに新型コロナウイルス感染症の症状が軽い方に、自宅や高齢者施設で療養していただく場合の医療提供の問題など、克服すべき課題が明らかになってきたところでございます。 そこで県では、関連する情報の収集・分析と併せ、新型コロナウイルス感染症に関わる医療・介護関係者との間で数次の意見交換を行いましたが、その結果、新たに、奈良県独自の療養先トリアージ基準を定めるとともに、第6波の感染動向を踏まえ、自宅及び高齢者施設での医療提供の充実を図る、その2本の柱を立てることにいたしました。 この新たに定めた療養先トリアージ基準におきましては、まず入院していただく方は、酸素投与をはじめとした新型コロナウイルス感染症のための入院治療が必要な方と、妊婦、人工透析患者、外傷・持病の治療、その他の治療の必要な患者など、新型コロナウイルス感染症以外の傷病のための入院治療が必要な方としました。 新型コロナウイルス感染症の入院治療が必要な方と、新型コロナウイルス感染症以外の傷病のための入院治療の必要な方、その2種類の方を新型コロナ病床で受け入れるということに明確にしたわけでございます。 その結果、新型コロナウイルス感染症の経過観察だけの方は、入院対象から外すことにしたわけでございます。 また、自宅、高齢者施設を利用していただく方につきましては、新型コロナウイルス感染症の症状がなく、即時の治療が必要でない方のほか、自宅や高齢者施設で経口治療薬、抗ウイルス薬等の投与によって重症化を防ぐことができる方といたしました。 即時の入院により、新型コロナウイルス感染症治療、また新型コロナウイルス感染症以外の治療が必要ではない方についても、安全のための治療の手当てをするというふうに踏み切ったわけでございます。 このトリアージ基準の運用を始めて2か月が経過いたしましたが、医療・介護関係者のご協力もあって、これまでのところ支障なく基準を運用できております。新型コロナウイルス感染症や基礎疾患等の治療のために入院が必要な方には、入院してしっかりと治療を受けていただいている状況でございます。 今後も医療・介護関係者のご協力を得つつ、県民の皆様に安心して療養していただける体制を維持していきたいと考えております。 「いまなら。キャンペーン」の実施についてのご質問がございました。 新型コロナウイルス感染症の影響により、大きなダメージを受けた宿泊・観光需要を取リ戻し、地域経済の活性化につなげることは、本県の喫緊の課題であると認識しております。 そこで6月末までに実施しております「春のいまなら。キャンペーン2022」に引き続きまして、新たに「いまなら。キャンペーン2022プラス」の対象者を全国に拡大し、予算規模を69億2,000万円の規模で実施しようとしております。 その際、宿泊・旅行代金の50%を上限5,000円、交通付旅行商品の場合は上限8,000円を割り引くことにしております。 この事業は、県議会でご承認いただいた69億2,000万円の予算で行いたいと思っております。県民の皆様はもとより、全国から奈良にお越しいただき、多くの方々にゆっくりと奈良を楽しんでいただければと考えております。 この「いまなら。キャンペーン2022プラス」では、この宿泊割引に加えまして、宿泊者を対象に、地域の土産物店などでご利用していただけるクーポンを県民の皆様には平日、休日にかかわらず3,000円、県外の方には、平日3,000円、休日2,000円発行することにいたしました。このクーポンを県内の飲食店、観光施設、体験アクティビティなど様々な店舗や施設でご利用いただくことで、幅広い観光関連消費の促進を図りたいと考えております。 本県が他県に先駆け、利用対象者を全国に拡大しましたが、観光庁が本県より遅れて発表した施策も、県の対象に上乗せして取り組みましたので、より多くの方々に奈良を目的地とした旅行を検討していただけるのではないかと期待しております。 事業の実施にあたりましては、首都圏などの主要駅で、本県の魅力を発信するなど効果的な誘客を図ってまいりたいと思っております。 近畿日本鉄道株式会社による運賃改定申請への対応についてのご質問がございました。 本年4月15日、近畿日本鉄道株式会社は国土交通省に旅客運賃の改定を申請されました。その発表の30分前に、県にも連絡があったと聞いております。私は、本県として意見を述べる機会を確保する必要があると考えましたので、4月20日に国土交通省に対し、公聴会の開催を要請し、公聴会で公述する意向を伝えました。 県外就業率が約3割と高い本県では、通勤だけでも毎日十数万人もの県民が近鉄を利用していると考えられます。仮に運賃改定が認められれば、こうした多くの県民の方々に多大な負担が課せられることになります。また、学生についても値上げされる予定でございますので、学生の方への負担も加わることになります。 また、鉄道事業につきましては、地域との共存共栄を図ることが求められているというのが、本県の基本的な考え方でございます。提供されているサービス水準の向上や、地域に必要な投資についての約束が行われないまま、運賃値上げによる負担だけを求められるのであれば、県民からの理解は得られない上、鉄道事業の永続的な発展のための地域との協力関係が構築されないのではないかと考えているところでございます。 こうした考え方に基づき、公聴会において述べる意見の骨子として、5月に国に提出した公述書では、近畿日本鉄道株式会社による申請内容や、経営に関するデータ等を分析した上で、まず、コロナ禍前の10年間で関西大手私鉄のうち、近畿日本鉄道株式会社のみ輸送人員が減少し、経営が悪化しているが、輸送需要を喚起する手段を講じ、効率的な経営が確保されてきていなかったのではないかという点。 また人身傷害事故の発生件数が、在阪鉄道他社に比べて近畿日本鉄道株式会社が図抜けて多い中、駅や踏切の安全対策は講じられず、また老朽化が進む一般車両の更新が十分行われていない状態なので、日常的に鉄道を利用する方々が安心して、安全かつ快適に公共交通を利用できる環境の整備が必要ではないかという点。 また、鉄道駅を中心としたまちづくりの推進を図るため、従来、消極的でございました医大新駅の設置、リニア中央新幹線との接続駅の設置など、県内沿線への投資に積極的に対応されるべきではないかといった問題提起を行っていきたいと考えております。 来月7月14日に大阪で開催される公聴会には私が出席し、こうした内容について意見を述べることとしております。 近畿日本鉄道株式会社におかれましては、県民を代表して述べる意見を重く受け止め、今後、様々な課題や取組についての地域との定期的な対話や、それに基づく沿線への投資やサービスの改善に関し、前向きに協力、対応していただくことを期待したいと考えております。 県域水道一体化についてのご質問でございます。 県域水道一体化は、奈良県の水道施設の老朽化対策と、水需要減少に対応した経営の効率化を行うために、極めて有効な手段であると考えております。 国や本県が大きな補助金を出す対象事業でもございます。この認識の共有の下、昨年8月に、関係29団体の長で構成する企業団設立準備協議会が発足し、一体化に向け、検討・協議を進めてきましたが、植村議員ご指摘のとおり、奈良市から幾つかの論点が提示されました。将来の奈良県民が安心して、上質な水道水を廉価で飲めるようになるためには、関係者が今ここで奈良県水道の将来について熟議していただくことが大事だと考えております。 まず、奈良市水道の将来につきましては、奈良市及び奈良市議会で熟議の上、自己責任で判断してもらう必要がございます。その際の参考に供してもらうため、5月12日に奈良市提示の論点に対する協議会構成団体の見解について、協議会として発表するとともに、奈良市にも資料提供をしたところでございます。 一方、奈良県域水道の将来については、協議会で議論し、協議会で判断することが必要と考えております。 奈良市水道の将来と、奈良県域水道の将来とは、議論の場がちょっと違っているのではないかという判断でございます。 そのため、去る6月6日に開催された第3回協議会では、奈良市提示の論点について少人数の首長で議論する検討部会の設置が了承され、9日に初会合を開き、議論がスタートしたところでございます。また、企業団設立後の経営方針の意思決定プロセスなど、企業団の運営に関する論点を議論する検討部会についても、設置が了承されたところであり、早急にスタートさせ、今後、首長レベルで熟議いただきたいと考えております。 本年度は、関係団体の長による基本協定の締結を目指しておりますが、それに向け、奈良県域水道の将来について、協議会でしっかりと議論を深めていただければと思います。これとあわせて、各市町村では各区域水道の将来について熟議の上、一体化参加の判断を行っていただけるよう願っているところでございます。 私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)3番植村議員のご質問にお答えいたします。 私には、来年度開校予定の国際中学校で行う教育についてお尋ねでございます。 県立国際中学校は、平成30年の9月議会でご承認いただいた県立高等学校適正化実施計画に基づいて、開校3年目を迎えた県立国際高等学校との施設一体型の中高一貫教育を行うため、来年度開校を予定しております。 今年度実施する入学者選抜で70名、海外からの編入学等の枠で10名を募集いたします。中学校と高等学校の6年間を接続し、計画的・継続的な特色あるカリキュラムを展開することで、グローバル教育をさらに充実させ、また世界共通の国際バカロレアの資格を取得することにより、生徒は海外の大学進学も目指してまいります。 とりわけグローバル化が一層進展する社会において、国際共通語である英語力の向上は極めて重要であると考えております。 そのため、国際中学校では、英語を母語とする教員のオールイングリッシュによる英語の授業、また各教科の探求学習のまとめに英語プレゼンを取り入れるなど、社会生活に必要な英語力の習得にも努め、合格率が4分の1程度である英検2級の取得を全員で目指してまいります。 また、国際バカロレアは、世界159以上の国・地域で実施されている教育プログラムでございます。11歳から16歳を対象とするMYP、ミドル・イヤーズ・プログラムの略でございますけれども、このプログラムは、言語、理科、数学、芸術、保健体育など、8つの学習分野で構成され、日本の教育課程で学ぶことも可能とされています。 国際中学校はMYPの候補校として認定されるよう取組を進めており、このMYPでは、生徒は各教科を単独に学ぶだけではなく、他の教科や実社会と関連する、例えばSDGsについての学びを取り入れるなど、よりグローバルな課題に対する認識を高めることが期待されております。 県立国際中高の6年間で推進するグローバル教育は、多様性を保障する教育でもございます。日本の文化に対する深い理解を前提とし、豊かな語学力、異文化尊重の精神等を身につけ、様々な分野において、世界で主体的に活躍できる人材の育成に貢献するものと考えております。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 3番植村佳史議員。 ◆3番(植村佳史) 知事、教育長におかれましては、おおむね各項目、質問の趣旨に応じた答弁をいただき、ありがとうございました。特に近畿日本鉄道株式会社との公聴会、知事には頑張っていただきたいと思います。 1点だけお聞きしたいのですけれども、県域水道一体化についてでございますが、私の地元の奈良市民の方々と話をすると、水道料金が上がることは心配されていますが、そもそも水道を一体化しないといけないのかということを、ご存じない方が本当に多いのです。老朽化した施設の更新や、その問題、人口減少による水需要の減少の問題など、一般の県民の皆さんに、もっと知ってもらわないといけないのではないのかと、そういうふうに感じているのです。 そこでお聞きしたいのですが、県域水道一体化の意義について、これは大変重要だと私は思っております。奈良市民はもとより、県民の皆さん方にも十分その意義を周知してもらうことが必要だと考えるのですが、どのように周知していかれるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
    ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 未来への投資については、残念ながら、現在の人たち、あるいは近い将来の人たちが負担が生じるということで、嫌われる傾向が強いわけでございます。為政者もそういうことを市民に訴えられないことが多いのが、残念ながら実情でございます。問題の所在を明らかにされない首長が多いのが実情でございます。残念ながらでございます。 その点、例えば今問題になっている奈良市の水道、将来の水道についての最大の課題は老朽化だと思います。布目ダムからの大幹線であります水道管は、この前、壊れた和歌山市の水道橋よりも古いのです。多分ご存じないかと思います。そういうセンセーショナルな言い方でアピールしないといけないのは、残念なことでございますけれども、それだったら怖いなと思っていただかないといかけないということでございます。 繰り返し言いますが、布目ダムからのあの幹線が潰れたら、奈良市の水道が断水する唯一の水道、水道管でございますが、それは、壊れた和歌山市の水道橋の水道管より古いということでございます。 しかし、うちのは強いよとおっしゃる方もおられるかもしれませんので、これは必ず壊れるということでないし、壊れないほうがいいに決まっているのですが、古いということを自覚して、それをどうするかということを熟議していただきたいと。これは議会の責任でもございます。議会が盛り上がらないと、市民に伝わらないのが常でございます。議会がそれでいいのだと、値上げなど避けたほうがいいという政治家ばかりでは、この国の将来は危ういものになると心配しております。何とぞ奈良市で熟議は進行するように、こちらからも議員にお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(荻田義雄) 3番植村佳史議員。 ◆3番(植村佳史) ありがとうございました。もちろん私どもも奈良市民であり、そして県議会にこうやって来させていただいているわけでございますので、今の議論等をしっかりと自分なりにも、また、かみ砕いて市民の方々、特に奈良市民の方々にしっかりとこれからもお伝えしていきたいと思っております。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) しばらく休憩します。 △午後2時54分休憩    -------------------------------- △午後3時9分再開 ○議長(荻田義雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、19番阪口保議員に発言を許します。--19番阪口保議員。(拍手) ◆19番(阪口保) (登壇)生駒市選挙区選出、創生奈良の阪口保でございます。早速、質問に入ります。 本日は、前回に続き、山添村の山辺郡山添村太陽光発電計画、メガソーラーについての質問から始めます。 今回も、山添村の方が多数傍聴に来られています。この事案については、昨年11月19日、山添村の馬尻山のメガソーラーに反対する会が、設置反対の署名を知事に提出しています。署名の内訳は、県内約1万人、山添村では総人口3,300人の過半数を超える1,730人分の署名が集まりました。 知事への署名提出と知事と山添村の方との面談には、私も同席させていただきました。面談に参加した山添村の4名の方は、知事が公務でご多忙の下、貴重な時間を取っていただき、知事にメガソーラー設置の反対の理由を十分に説明することができたことを非常に感謝されていました。この場を借りて、面談に参加した方の思いを私のほうで伝えておきます。 まず最初は、山辺郡山添村太陽光発電計画についての質問です。 前回の質問を振り返りますと、メガソーラーの計画予定地が、公共水道の水源地にあり、造成により、水質汚濁の可能性があること。 次には、山辺郡山添村太陽光発電計画が、馬尻山の標高400~500メートルの森林地帯の傾斜地での開発であることから、谷を埋め立てることにより、集中豪雨等が起これば、土砂災害の発生の可能性があり、メガソーラー計画地の下流の住民の生活の基盤を脅かすことにつながること。 さらには、下流の4か大字の多くの住民や山添村議会が反対しているとも申し上げ、地元の合意に至っていないと申し上げました。 その後、山添村が事前協議書を変更し、再提出しました。この事前協議書については、山添村議会や関係する地元水利組合に説明もされず、承諾されていないこと。また、計画地に水源保護地域の指定を受けた事業に反対する2つの集落の約16ヘクタールの共有地があり、共有地の所有者からの承諾が取れていません。 要するに、現状では、山辺郡山添村太陽光発電設置の地元の合意に至っていないと考えられます。 本県は、開発にあたっての指導事項の1つに、事業を円滑に進めるため、事業実施に先立って、地元自治会等関係者に事業説明を行うなど、事業計画に対しての理解が得られるように努めることとあります。 そこで、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 山辺郡山添村太陽光発電計画は、県との事前協議が終わっているが、今後、事業者から森林法に基づく林地開発許可申請があった場合、県はどのように対応するのかお聞かせください。 2つ目は、太陽光発電設備の設置に関する条例の制定についての質問です。 この事案についても、前回に続いての質問となります。前回の県議会で、メガソーラーに係る条例の制定を求めました。知事は答弁の中で、今年度中にメガソーラーに関するガイドラインを策定したい。さらに、他県の条例に基づく措置の内容に遜色がなく、条例に劣らないものとしたいと答弁されました。 本年3月の第4次奈良県エネルギービジョンにおいては、ガイドラインを策定すべく検討してきたが、検討の中で、より実効性の高い設置規制を行うために条例によるべきとの認識に至り、現在条例策定に向け、作業を進めておりますとあります。 本来、再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減につながり、積極的に導入すべきものです。しかし、太陽光発電設備の山林への設置はデメリットもあります。自然の景観が損なわれたり、土砂崩れ等の自然災害につながることがあります。また、森林は二酸化炭素の吸収源として、地球温暖化の防止に貢献していますが、伐採することで吸収源が減少すると考えられます。 メガソーラーについては、山林に設置されることで、最近、地域住民とのトラブルが増えてきています。本県は、実効性の高い設置規制を早急に行う必要性を強く感じます。 そこで知事に伺います。 太陽光発電設備の設置に関する条例の制定に向けた取組の進捗状況をお聞かせください。 3つ目は、生駒市壱分町・東生駒大規模開発プロジェクトの開発許可についての質問です。 生駒市では、大和都市計画用途地域・高度地区に関する都市計画の変更の検討が行われています。都市計画手続の手順にのっとり、生駒市の公聴会、生駒市都市計画審議会、該当する自治会への説明会が行われました。 都市計画手続の中で、市民から様々な意見が出ています。例えば、交通量の増加による渋滞、近隣の地域の生活道路に影響が出る。山林・農地の開発で保水力をなくし、そのための調整池が十分なのか。一分駅の付近では、豪雨のときに溝があふれ、マンホールからも水が噴き出て、道路が川のようになる箇所があるので不安である。一方、地区の発展を考え、開発推進の意見も出ています。 都市計画は生駒市が決めますが、開発許可は県が出すことになりますので、県が関与する事項について、問題点を指摘いたします。 まず、こちらの計画地の現況の説明をします。 土地利用現況平面図では、緑が山林、黄色が田、茶色が畑、水色の2つがため池です。 次に、計画地の標高です。東生駒4丁目の尾根のA地点が標高165メートル、竜田川方面の壱分町のB地点が標高119メートルです。AからBにかけての傾斜地での開発です。 こちらの画像は、土地利用計画平面図です。一戸建て用地が丸印、緑が分譲マンション、赤が店舗用地等、合計約520戸を建設する計画です。このような開発により、建物や舗装の面積が増加し、雨水が土に浸透しにくくなり、河川への雨水流出量が増加すると考えられます。 この事業計画では、調整池を4か所つくるとのことです。しかし、既存の調整池が1つなくなり、それから、土地利用現況平面図の水色の後谷奥池、後谷口池という自然の調整池もなくなります。 開発により、既存の調整池、2つの自然の池がなくなること、さらには、山林等の消失により、雨水流出量の増加が考えられます。計画している4つの調整池で十分なのか、開発許可を出すにあたり十分な検証が必要です。 次に、水路についてでございます。開発による雨水等は、調整池を経て、後谷水路、アシア水路を通り、竜田川に流れ込みます。この後谷水路は近鉄の鉄道の線路の下を流れており、水路の幅は、このように狭い状況であり、水路にも不安を持ちます。 こちらの画像は、竜田川下流の生駒市洪水ハザードマップでございます。青い南北の線が竜田川で、この竜田川に沿って黄色と赤で示している浸水想定区域があります。 奈良県においては、早めの避難行動の活用のために、竜田川の壱分町、小平尾町、小瀬町等で危機管理型水位計、簡易型河川監視カメラを設置しています。 今回の開発地区は、竜田川に近接した東での大規模開発です。調整池が機能しないと、県管理の竜田川に過度の負担がかかり、下流域に水害が発生する可能性もあります。 そこで地域デザイン推進局長に伺います。 生駒市壱分町において、山林、農地、ため池を一戸建て住宅、分譲マンション、店舗等に開発する計画があると聞いているが、この開発により、雨水流出量が増加し、下流部に水害を発生させる懸念がある。今後、事業者から都市計画法に基づく開発許可の申請があった場合、県はどのように対応するのかお聞かせください。 4つ目は、西田幹さん、当時35歳の自死の判決を受け、県職員の働き方改革をどのように進めていくのかの質問です。 私は、これまで県職員の超過勤務の縮減と働き方の改革を県議会で質問してきました。その取組の中で、平成29年5月に、県土マネジメント部砂防・災害対策課の西田さんが、35歳の若さで自死されました。 西田さんの自死については、私がご遺族の自宅を訪問し、勤務状況を伝えました。そして、ご遺族が勤務表を開示請求し、自死の真相究明に取り組まれました。既に令和元年5月に公務災害が認定されています。 本年5月31日には、西田幹さんの自死は、長時間の時間外労働に対する適切な対応を怠ったことが原因だとして、奈良地方裁判所は、県に約6,800万円の賠償を命じています。また、奈良県は、6月14日、奈良地方裁判所の判決を受け入れ、控訴を断念しています。 西田さんが自死に至った頃は、長時間に及ぶ時間外労働やサービス残業が常態化しておりましたが、現在は改善されていると伺っています。しかしながら、令和3年度の知事部局における50歳未満の退職者数が39人、また精神及び行動の障害により、30日以上または1か月以上、特別休暇を取得した人数が100人となっています。 そこで知事に伺います。 1点目は、奈良地方裁判所の判決を受けて、職員の自死をどのように受け止めているのかお聞かせください。 2点目は、長時間に及ぶ時間外労働については、一定改善されている一方、依然として早期退職者や精神及び行動の障害により、特別休暇を取得した職員が多い現実がある中、働き方改革の実現に向け、引き続き取り組んでいく必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。 5つ目は、生駒市の辻町インターチェンジについての質問です。 生駒市の辻町インターチェンジの整備については、平成26年度に質問し、今回で4回目の質問となります。 質問の趣旨は、国道168号と阪奈道路の連結部である奈良方面のランプを整備することで、奈良方面の所要時間の短縮と生駒市内の交通渋滞の緩和につながるという内容です。今までの県土マネジメント部長は、新規に事業化をし、生駒市と協力して進めていくと答弁されています。 私が初めて辻町インターチェンジの整備について質問して、既に10年が経過しています。県は、着工に向けて予算もつけていますので、早急な整備を願うものです。今回も辻町インターチェンジの整備についての進捗状況をお伺いします。 そこで、県土マネジメント部長に伺います。 辻町インターチェンジの現在の進捗状況についてお聞かせください。 最後に、政務活動費の裁判費用についてです。 まず、本県の政務活動費の支給する目的と交付額について説明いたします。 政務活動費は、条例の定めるところにより、議員の調査研究その他の活動に資するための必要な経費の一部として支給されます。その交付額は、議員1人に年額336万円、会派の議員に1人24万円の交付、両方合わすと議員1人に年額360万円の交付があります。 県の政務活動費の予算は、議員43人に交付するために、令和3年度1億5,480万円の予算を計上しました。本県の政務活動費の交付に関する条例、政務活動費の手引では、議員、会派の調査研究、研修、広聴・広報活動等の支出について、収支報告書、領収書等の提出を定めており、議員が提出した収支報告書、領収書等を、使途基準に適合しているかを職員がチェックしなければなりません。政務活動費のチェックは煩雑であり、職員の労力と人件費がかかります。 次に、政務活動費を巡る裁判と、裁判に要した弁護士費用についてでございます。 提訴された事例としては、広報印刷物、人件費、事務所費等の支出において、使途基準に適合していないということで、平成23年度から令和4年3月末現在までに、裁判で争われた件数が13件です。この間に、裁判に要した弁護士費用は、令和4年3月末現在、13件で2,908万8,816円となっており、この間の裁判費用を県民の税金で賄っています。 政務活動費の支出と執行においては、職員の人件費、弁護士費用等がかかっていることを改めて申し上げたいと思います。 県議会では、政務活動費の廃止を訴え、個人分の336万円の全額を辞退し、会派分の24万円についても無駄な支出をしないように心がけて、残額を県に返還している議員が増えています。 私は、政務活動費を辞退している議員の一人として、コロナ禍で県民の生活が厳しい下、訴状において政務活動費の返還を求める対象とされた議員の裁判費用の負担の在り方を検討すべきではないかと考えます。今後、議会事務局とともに、県民負担を軽減する取組をご検討していただきたいと思います。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)19番阪口議員のご質問がございました。 太陽光発電計画についてのご質問です。私に対しましては、条例の制定についての取組についてのご質問でございました。お答え申し上げます。 発電能力1,000キロワット以上の大規模な太陽光発電設備、いわゆるメガソーラーの設置は、森林の伐採等を行い、盛土等による造成工事を伴うことが多いことから、防災や環境面から全国的に問題となっている事例がございます。本県でも、平群町や山添村での事例がございます。 森林等での造成工事については、従来から森林法や宅地造成等規制法などの関係法令により規制を行ってきておりますが、今般いわゆる盛土規制法が新たに制定され、今後、知事が規制区域を指定することにより、森林、農地、宅地などの土地利用の用途にかかわらず、危険な盛土を一律の基準で包括的に規制することとなりました。 さらに、本県では、太陽光発電設備については、開発地域の安全確保及び地域住民とのトラブルの未然防止などの観点から、個別の実効性の高い規制が必要と考え、条例の制定に向けて検討を進めているところでございます。 同様の条例は、全国では山形県、山梨県、兵庫県、和歌山県、岡山県の5県で制定されており、本県が制定しますと6県目になるものでございます。 本条例の制定に向けては、盛土規制法を含め、土地規制の関係法令を念頭に置き、環境や防災など各分野の専門家に意見を聞きながら、検討を進めようとしております。 その重点ポイントでございますが、太陽光発電設備の設置を規制する区域の設定について、許可を要する設備の規模の設定について、設置及び維持管理等の安全基準について、事業計画に関する地域住民との合意形成の手続などになると考えております。 また、特に大規模な太陽光発電設備の設置は、自然・生活環境に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、それを未然に防止するため、環境アセスメントの実施を事業者に義務づけることが有効であると考えております。 このため、本条例の制定にあわせて、現行の県環境影響評価条例を改正し、その対象事業に大規模太陽光発電事業を追加することの検討を進めております。 太陽光発電設備の設置に関する条例案、県環境影響評価の条例の改正案とも、年度内の県議会への上程を目指しております。 太陽光発電設備の設置に関する地域環境の保全と県民の安全で安心な生活の確保に努めてまいる所存でございます。 次のご質問は、県職員の自死を受けた県職員の働き方改革についてでございます。 まず、奈良地方裁判所の判決を受けて、職員の自死をどのように受け止めているかというご質問でございます。 県行政の責任者として、職員が自死されたという結果を招いたことは、大変申し訳なく思っております。改めてご遺族の皆様に心からのお悔やみを申し上げたいと思います。 県が裁判に応訴した主な趣旨でございますが、無過失責任であります公務災害認定と、過失責任であります損害賠償請求は異なっておりますので、裁判所に県の過失を具体的に明らかにしてもらい、今後の再発防止策につなげることでございました。 今回の判決の中では、裁判所から、長時間の残業をさせないための具体的な措置を講じるべきとの指摘があり、重く受け止めております。裁判におきましては、この具体的な措置の内容は過失にもつながりますが、明らかにされませんでした。 しかし、本件を契機に、職員の健康管理や勤務管理のより一層の改善に努めたいと考えております。裁判所の指摘する具体的措置の内容を明確にし、職場環境を具体的に改善していくことが、ご遺族の願いでもあると受け止めておりますし、控訴をしなかった大きな理由にもなっております。 また、県職員の働き方改革について、引き続き取り組んでいく必要についてのご所見とご質問でございます。 阪口議員は、従来から、職員の働き方改革について度々ご質問をしておられました。県の職員の働き方改革については進んでおりますが、まだすべき点が残されていると思います。個々の職員がやりがいを持って、健康的に生き生きと働くことができ、能力を最大限発揮できる職場をつくることが最も重要なことでございますが、そのために、働き方改革は重要な課題であると考えております。 そうした観点から、本県では、これまで様々な取組を進めてまいりました。 例えば、平成29年4月に設置いたしました庁内働き方改革プロジェクトチームにおきましては、勤務時間管理や業務管理・改善、健康管理など、職員の働き方改革全般に取り組んでまいりました。 他方、労働安全衛生や勤務環境について、求められる水準は年々高まってきており、今後の本県の発展のためにも、健康的で生産的な環境を実現することは、特に重要な課題であると認識しております。こうした点を踏まえまして、今後、再発防止等も含めて取組を強化していく必要があると考えているところでございます。 このため、新たに来月、職員の労働安全衛生のより適切な確保に向けた有識者会議を設置したいと思っております。職員の勤務管理や健康管理の一層の改善のため、より踏み込んだ対策を検討し、8月をめどに取りまとめてまいりたいと思っております。 私に対する質問は以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)19番阪口議員から私へは、山辺郡山添村太陽光発電計画は、県との事前協議が終わっているが、今後、事業者から森林法に基づく林地開発許可申請があった場合、県はどのように対応するのかとのご質問でございます。お答えします。 山辺郡山添村太陽光発電計画につきましては、昨年9月の本会議において、知事から答弁させていただきましたように、既に各種開発事業に係る事前協議は終了しております。この事前協議の手続において、知事から事業者に対し、法令遵守や地元への配慮をはじめとする24項目の指導事項が通知され、令和2年11月に事業者から知事に対し、県が指導したすべての事項について適切に対応すると回答があったと承知しております。 今後、事業者から森林法に基づく林地開発許可申請があった場合、県はどのように対応するのかとのご質問でございますが、まず、申請にあたっては、計画地の地権者や水利組合等の同意が必要となります。これがないと県は許可いたしません。 また、事業者に対し通知した24項目の指導事項には、阪口議員お述べのとおり、事業実施に先立って、地元自治会等関係者に事業説明を行うなど、事業計画に対しての理解が得られるように努めることと記載されており、他の事項も含め、遵守されているかを厳格に確認する必要があると考えています。 その上で、森林法及び県林地開発許可制度実施要綱等に基づき、土砂の流出または崩壊などの災害を発生させるおそれがないこと、下流地域に水害を発生させるおそれがないこと、水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがないこと、環境を著しく悪化させるおそれがないこと、この4つの許可基準を満たしているかを厳正に審査してまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 岡野地域デザイン推進局長。 ◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) (登壇)19番阪口議員から、生駒市壱分町における大規模開発プロジェクトの開発許可についてご質問いただきましたので、お答えをさせていただきます。 ご指摘の開発プロジェクトは、生駒市壱分町の山林及び農地等約12ヘクタールにおいて、民間事業者が一戸建て住宅やマンションのほか、商業施設、公園などの整備を計画しているものでございます。 県では、1ヘクタール以上の住宅開発など、規模の大きな開発計画につきましては、法令遵守や地元への配慮など、必要な対策について確認し、適正に手続を進めていただくことを目的としまして、事前協議制度を設けてございます。 本件につきましては、昨年7月に県へ事前協議書が提出されました。県関係部局で内容を確認した結果、当該開発予定地が市街化区域の第一種低層住居専用地域に位置しており、現状の用途地域では、当該開発計画は実行できない状況でございます。 このことについて、用途地域変更に係る都市計画手続を担当しております生駒市からは、市の都市計画マスタープランの趣旨に沿ったものでありまして、計画実施の確実性が認められるのであれば、用途地域の変更を進めていく方針であるとの見解が示されたところであります。 このほか、法令遵守や地元への配慮など、事業者による対策が必要な項目、これは34項目ございますが、これにつきまして、昨年12月に県から事業者に対し、お伝えしたところでございます。 この事業者による対策が必要な項目の中には、都市計画法に基づく県の開発許可に関するものも含まれております。ご懸念の開発行為に伴う雨水流出量の増加対策としては、下流地域に負担をかけることがないよう、開発許可制度等に関する審査基準等に基づき、事業者において防災調整池を設置していただくことになります。 まずは、生駒市の用途地域変更に係る都市計画手続が前提となりますので、注視してまいりたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 松本県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(松本健) (登壇)19番阪口議員より、阪奈道路の辻町インターチェンジの整備についてご質問いただきました。お答えします。 辻町インターチェンジの整備につきましては、地域住民の利便性の向上、富雄インターチェンジや生駒インターチェンジの渋滞緩和を図るため、阪奈道路の辻町インターチェンジをフルランプ化し、奈良市方面へのアクセスの確保を図るものでございます。 平成27年度に新規事業化を行い、阪奈道路に新たに交差点を設け、辻町インターチェンジ北側にある国道168号との交差点にスロープ型で接続する計画案で、地元協議を重ねてまいりました。 しかし、地元の了解が得られない状況が続き、令和2年度には生駒市長から、市としても重要な事業で、ぜひとも必要なランプであるので、地元調整を進めていきたいとの見解をいただいたことから、令和3年度には、代替案として、オフランプは阪奈道路に新たに設ける交差点から辻町インターチェンジ交差点に下りる形とし、オンランプにつきましては辻町インターチェンジ北側交差点から警察宿舎跡地を通過して阪奈道路に進入する計画案で、生駒市とともに、地元の代表の方々に説明を行いました。令和3年10月からは、地権者の方々に個別に説明を行い、現在も説明を重ねているところでございます。 引き続き、生駒市と十分連携を図りながら、地元及び地権者の協力を得られるよう、事業進捗を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) まず、1つ目の質問は、山辺郡山添村太陽光発電計画についての質問で、塩見水循環・森林・景観環境部長への質問でございます。 塩見水循環・森林・景観環境部長は、計画地の地元の同意、水利組合の同意が前提であると。林地開発許可申請等が出てきたときは、4つの基準、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境保全、厳格に対処するということで、きっちりした意思を示していただきました。 本日、たくさん、このように山添村から来られていまして、塩見水循環・森林・景観環境部長の発言を山添村の方は受け止めていただいていると考えております。 そこで質問ですが、現在、林地開発申請が出てきていませんので、これ以上のことは水循環・森林・景観環境部長も言えないと思いますが、審査にあたって、この4つの基準を守っていないときは、林地開発申請についての不許可もあり得るのか、その点について再度質問いたします。 ○議長(荻田義雄) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 申請書の内容を厳正に審査いたしまして、森林法、また県林地開発許可制度実施要綱及び県林地開発許可制度の手引に定められた許可基準に適合しない場合は、当然、許可はいたしません。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 本日の塩見水循環・森林・景観環境部長の答弁には、おおむね満足いたしておりますので、最後、要望としましては、林地開発許可申請が出てきましたときは、関係書類等の開示請求をいたしますので、そのご協力、よろしくお願いしたいということでございます。 次は、2点目、知事への質問になりますが、太陽光発電設備の設置に関するメガソーラーに関する条例の制定についての質問でございます。 知事は、土地規制とか、森林法、宅地造成等規制法、それから盛土規制法等、いろいろなことを考えて多面的に、住民の安全を守るために条例を制定していくということで、心強い答弁であったと私は感じております。 ただし、奈良県は奈良県特有の自然とか状況もありますので、条例の制定にあたって、知事として、特に重視されている、その部分がありましたら、お答え願いたいと思っております。以上です。 ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 太陽光発電は、地価の安い山地に山あいに造られる傾向が強いようでございます。そうしますと、一番大事なのは、立地される環境の維持ということになろうかと思っております。 具体的には、水があふれないか、土砂崩れが起こらないかなど、立地環境を破壊しないかということは、一番大きなことだと思います。地域住民の方が一番心配される点でもあろうと思います。 したがいまして、条例で重視すべき点は、その目標となるのは、立地環境の維持、具体的には、森林などの造成工事がありましたときの災害を、盛土とか土砂を取ったことによる災害が人工的に発生しないということを確認することが大きなことだと思います。 そのような開発地域の自然の安全を守る、それを自然を見ておられます地域住民とのトラブルを発生させない、対話を進めるということを、条例で確保することが一番大事かと思います。 そのような実効性のある条例をつくりたいと思っている次第でございます。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 県民はメガソーラーに関する条例の制定には、非常に注目しております。できるだけ早くつくっていただきたいと思いますが、ただ条例をつくるにあたって、法的根拠とか、いろいろ難しい部分もあると思いますので、ぜひ精力的に進めていただいて、本年度内に条例の制定ができるように強く要望しておきます。 次は、生駒市壱分町・東生駒大規模開発についての再質問でございます。 先ほど地域デザイン推進局長からは、調整池の話がありまして、県の基準に照らしてという話があったと思いますが、具体的には県のどのような基準に照らして許可を認めていくのか、そこをお聞かせください。 ○議長(荻田義雄) 岡野地域デザイン推進局長。 ◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) 現在、具体的な審査の段階ではございませんが、審査にあたりましては、都市計画法の開発でいいますと、開発許可制度等に関する審査基準に基づきまして、防災調整池につきましては、大和川流域調整池技術基準及び、宅地及びゴルフ場等開発に伴う調整池技術基準というのが、審査の基準として使わせていただくということになると思います。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 一般的な基準については分かりました。先ほど、こういうパネルでもって説明いたしました。この地域は、特性としては、山林がほとんどを占めていると。ここでの傾斜地での大規模開発であると。当然、雨水流出量が増えるだろうと。それから、この用水路は、こういうふうに近鉄の線路の下を通ると、今、用水路が狭いという状況があります。 それと、この生駒市の洪水ハザードマップでもって説明をいたしました。この竜田川下流の地域は、浸水想定区域に設定されていると。特に小平尾町とか小瀬町というのは、水と堤防の関係を見ていましても、あふれやすい状況があるかとは思うのですが、こういう地域の特殊性を考慮して、開発許可を出すのか出さないのか、その点についてお聞きします。 ○議長(荻田義雄) 岡野地域デザイン推進局長。 ◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) 先ほど申しましたけれども、調整池については、2つの基準で判断していくということです。大和川流域は特に総合治水対策を行っております関係から、そのようになっておりまして、互いの基準の厳しいほうを取るということになります。 それから、この基準の中には、阪口議員ご指摘ございました、下流の水路の流下能力等を十分考慮して、いろいろ判断していくということになると思います。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 現段階では、どれぐらいの規模の容量の調整池ができるのか。それから流量計算がどうなのか。その辺のことについては、事業者から県には資料の提出はないということですか、あるのですか、開発申請のときに出てくるのですか。その辺の詳細についてお聞きします。 ○議長(荻田義雄) 岡野地域デザイン推進局長。 ◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) 先ほど申しましたように、具体的な審査の段階にまだあたっておりませんので、審査の段階になりますと、そういった具体的な数値を持って協議をすることになります。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 分かりました。生駒市が、この部分については、用途地域、高さも緩和しなければ開発許可が出ませんので、生駒市の動向を見ながら、また地域デザイン推進局長にお聞きしたいと思います。 次は、西田幹さんのことですが、知事からは、私は、謝罪等の気持ちを感じるわけですが、実際、西田幹さんのご遺族には、この知事の謝罪の気持ちが伝わっているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。 ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 亡くなられた西田さんは、個人としてお会いしたことはないのですけれども、ご遺族の方には、人事課長をはじめ県職員が接触しております。判決を受け入れました6月14日には、私からのコメントとして、職員が自死されたという結果を招いたことを、大変申し訳なく思っていますというコメントを出しまして、その際、翌日、人事課長が、ご遺族宅を訪問したときには直接謝罪を行い、また、知事である私の謝罪の気持ちを、人事課長から改めてお伝えしていただき、書面でもお渡ししたところでございます。 その際、ご遺族からは、このようなことが二度と起こらないよう、再発防止をしっかりしてもらいたいというお言葉があったと、人事課長から聞いております。再発防止にしっかりと取り組むことが私の責任であり、ご遺族のお気持ちに沿うところでありますし、このような措置を早くする必要があることから、控訴をしなかったということでございます。ご遺族とは、そのようなやり取りをさせていただいたことを確認しております。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 多分ご遺族は、今日の質問等、それから知事の答弁は聞かれているかと思います。私は、質問にあたって、ご遺族のお父さんと連絡を取って、質問しております。 人事課長が、西田さんの自宅を訪問されたと、知事が答弁されました。人事課長は誠意を持ってご遺族に対応されたと私は思っています。ただ、この対応だけで十分なのかということについては、また、ご検討願いたいということで要望しておきます。 次は、働き方改革ですが、このような悲劇を二度と繰り返してはいけないと。知事だけでなく、全庁を挙げて取り組んでいく必要があるのかと思います。 私は、かつて、知事と激しくここで超過勤務の縮減で議論したことがあります。その後、知事は、超過勤務とかサービス残業のことについては、取り組まれていかれたと思います。ただ、ある部局では、夜残るなと、その代わり、朝早く来いというメールが入って、私は朝6時頃見に来たことがあります。 やはり、知事だけでなく、全庁挙げて県職員の働き方改革に取り組んでいかなければいけないと。 この質問にあたって、会派でも話をしましたら、後ろにおられます川口正志議員が、ここを強く念を押して再質問するようアドバイスもいただきました。創生奈良、川口正志議員の強い要望でもありますので、知事が全庁挙げて、知事だけでなく、どのように取り組んでいくのか、再度お聞きしたいと思います。 ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 労務管理は、これまで我が国全体がそうであったと思いますけれども、個々の職場管理者に労務管理を任せているというのが実態であったかと思います。職場管理者が朝来いと言ったり、夜残れと言ったりすると、それは職場管理者の退勤命令、在勤命令ということになるのが、労働基準法の扱いでございまして、それでは、阪口議員おっしゃるように、職場ごと、職域ごとで、いろいろな違いがあるのではないかということでございますので、県では、全体として、その職域の労働環境、あるいは労務管理、特に当初におきましては、出退勤管理を一律にやろうということに踏み切って、検討を進め、実行してきたものでございます。 阪口議員も推奨されました、そのようなやり方は、正しいやり方だと思っております。職場の環境の違いはあると思いますし、その職場の繁閑といいますか、忙しさには、年内で波があったりするということがあります。コロナのときはコロナ部局は大変忙しかったということでございますが、そのような繁閑の波がある中で、基準はやはり必要かと思います。 全庁での基準づくりに取り組んできたわけでございますけれども、まだ、やはり完成していない面もあろうかと感じておりますので、この西田さんの自死を受けて、遺族の意思を継いで、有識者も入れて職場、特に労働衛生環境の管理を改善するということに、外部の有識者も入れて検討を進めようということに、かじを切っているつもりでございます。 よい職場には、よい人材が集まるというふうに信じておりますし、県立の病院などでは、そのとおりになってまいりました。 そのような研究を進めて、検討を進めて、奈良県庁は、よく働く生きがいのある職場になったと、あそこに就職しようという方が多く来られるようになることを希望して、今の職場環境改善に努めていきたいと思っております。西田さんご遺族のご意思に沿うものでもあると感じております。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 知事の今の答弁につきましては、私もそう思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。 最後の質問になりますが、辻町インターチェンジの整備についてですが、いつも同じような質問で、これずっと10年以上、僕が議員になってからやっています。もう少しはっきりしていただきたいのは、道路の供用の開始はいつ頃になるのか。供用というのは、辻町インターチェンジを一般の人が使えるときはいつ頃になるのか、もう少し具体性を持って答弁していただきたいと強く思います。 ○議長(荻田義雄) 松本県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(松本健) 辻町インターチェンジの状況でございますが、今はまさに計画案につきまして、地元地権者の了解を得るべく説明に努めているところでございます。そういった環境を整えながら、しっかり早めの供用を目指してまいりたいと思っております。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 私が聞いているのは、取り組んでいる気持ちではなくて、取組状況はいつも同じです。生駒市と協力して進めていきますと。これは県の事業なので。実際、生駒市は、職員が地域の方と話をして進めていっていると、私も生駒市の動きは把握しています。県の事業ですので、県が気持ちとして、精神論ではなくて、いつぐらいに供用を目指しているのか、その部分をはっきりしてほしいという、再度質問をいたします。 ○議長(荻田義雄) 松本県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(松本健) 道路事業の供用時期につきましては、事業化をして、計画を固めて、用地買収を行い、工事を行った上で、完成を目指していくものでございます。 通常、用地買収も行い、さらに工事も見えてきた段階で、ここは開通時期についてはお示しをさせていただいているところでございます。 本事業につきましても、極めて重要な事業と認識しておりますので、しっかり進めてまいりたいと思っております。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 県土マネジメント部長は、いつもそういうふうに答弁されて、二、三年したら、また違う新しい方が来られると。その繰り返しをずっとしているわけです。私たちは、議員の任期は4年です。来年4月末には任期も切れます。幾つかの選挙公約を掲げて、こういうふうに議員にさせていただいて、市民の要望を県に伝え、実践していくということが仕事でございます。 やはり、こちらとしては、任期中に何らかの県としてのはっきりした対応なり、供用を開始してほしいと思うのですが、その点について、しつこいようですが、もう一度お聞きします。 ○議長(荻田義雄) 松本県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(松本健) 辻町インターチェンジにつきましては、阪口議員ご指摘のとおり、極めて重要な事業だと思っております。生駒市周辺の住民だけでなく、県土において非常に必要な事業だという認識を持っております。そういった認識を持ってしっかり事業については、地元の理解も得ながら進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○議長(荻田義雄) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) これ以上繰り返しても堂々巡りになりますので、こちらの最後、要望をしておきます。 全体としては、奈良方面に行くにあたって所要時間が短縮されると。それから、生駒も結構渋滞するわけです。俵口のインターチェンジの辺りとか、東生駒のケーズデンキの辺りとか、やはりここが早く、奈良方面ランプができることで交通渋滞の緩和につながりますので、こういう市民の要望、また県議会議員の意見等を厳粛に受け止めて、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○議長(荻田義雄) 次に、41番田尻匠議員に発言を許します。--41番田尻匠議員。(拍手) ◆41番(田尻匠) (登壇)田尻匠でございます。ただいまから代表質問をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。 まず最初に、子育て支援についてであります。 日本の人口減少が続いておりますが、国の喫緊の課題であり、その状況は奈良県も同じ状況であり、奈良県内の人口は昭和40年は約82万5,000人、昭和48年には100万人を超えて約107万7,000人、平成11年には約144万9,200人まで人口が増加しました。この年が最大で、この年を境に減少傾向が始まり、令和4年5月では約130万人までになっています。奈良県においても市町村でもいろいろな対応がされていますが、減少傾向に歯止めがかかりません。 国立社会保障・人口問題研究所によりますと、奈良県は2045年に100万人を切り、99万8,000人と推計されております。その対処方法には数々の施策は取られていると思いますが、私は、子育て支援が何よりも人口増加施策の重要なポイントだと思っております。 現在、国、都道府県、市町村も少子化対策として、様々な子育て支援が行われております。一例として、兵庫県明石市においては、2021年7月から、全国の中核都市以上の市では初めて、こども医療費の無料化が高校3年生まで拡大されたところであります。 第2子以降の保育料の完全無料化や保育所、幼稚園、市外の施設もオーケー、親の収入も関係なし、あるいは0歳児の見守り訪問、おむつ定期便、また市内全公立幼稚園で給食が実施されたようであります。 子育てをするときに、住みたいまちのランキング上位の市町村では、同様な施策が提供されております。 母親へのアンケートでは、住むまちを選ぶ際のポイントとして、子育て世帯への施策が充実していること、公園や緑がたくさんあること、医療機関や教育機関、学習塾がたくさんあること、商業施設やスーパーがあること、公共交通の充実などが挙げられております。 このように、ご夫婦が出産、育児、子育てのために、住居を変更したり探したりされるのは、もう当たり前のことになっております。住居や住まいは選ぶ時代になっていると思います。 各自治体は、子育て支援に力点を置いて取組をしております。奈良県内にも、子育ての難しさや、親の悩みや子どもの様々な悩みを解決するために、子どもと保護者の総合支援拠点として、奈良市子どもセンターが本年4月にオープンいたしました。 私も、先日お伺いさせていただき、施設内には、0歳~3歳児とその保護者に専門職による子育て支援等に関する相談をします地域子育て支援センター、未就学児とその保護者のキッズスペース、子どもの発達相談、子ども家庭総合支援拠点、児童相談所が設置され、それぞれの専門員の方が丁寧な対応をされておりました。 これからは、子どもは国の宝、地域の宝として、皆さんの協力を得て応援していかなくてはなりません。 そこでお伺いいたします。 奈良県を子育てしやすい地域にするため、子育て支援の拡充が必要と考えております。例えば、高校生までの医療費無料化、県立施設の入場料なども高校生までは無料、県民や他府県の方にも分かりやすい施策を導入するのも一案かと考えます。県としての子育て支援の拡充に向けて、市町村との連携強化が必要であると考えます。県として、子育て支援施策をどのように考えておられるのか、知事にお伺いいたします。 次に、観光振興についてお伺いいたします。 長引くコロナ禍の中で、日本経済、世界経済ともに未曽有の厳しい状況が続いております。このようなとき、ロシアのウクライナ侵攻・侵略は、100日を超えた現在も終わることなく、世界を混乱と不安に陥れております。一日も早い終戦と平和を祈るばかりでありますが、その影響で小麦や食料品、エネルギー等々の物価上昇は、日常の私たちの家計まで疲弊させております。その影響は、奈良県内の経済にも大きく打撃を与え、飲食業、宿泊業、観光産業、公共交通をはじめ、すべての業種に及んでおります。一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を願い、感染対策や4回目のワクチン接種など、懸命の協力と努力をしていただいても、なかなか収束が見えてきません。 しかしながら、いつまでも厳しい規制の中では、社会・経済活動までが疲弊して、再起が難しくなってまいります。感染者が減少傾向にある今日、ようやく経済活動や学校行事、会社活動などが緩められております。その中でも経済活動の裾野を広げることを目的とした観光産業のキャンペーンが、国、地方自治体により、企画、スタートしました。 奈良県においても、観光需要喚起策、「いまなら。キャンペーン」を実施することになり、その内容は、これまで県民に限定しておりました対象を全国に拡大して実施されます。キャンペーンは、県内の感染防止対策の徹底している県認証宿泊施設の利用で、ワクチン3回接種か検査結果が陰性であることを条件に、旅行代金が最大50%割引になり、最大7連泊まで有効な制度が、6月27日に予約開始、7月1日から始まります。また、宿泊者には、県内の土産物店や飲食店で利用できる地域クーポン券が配布されます。事業費は約69億円であります。このように、県内の大きな産業であります観光業のキャンペーンは、経済、雇用、公共交通など多くの県民の活力になると思います。 また、現在奈良県においても、修学旅行生や家族旅行など、県外から観光客もかなり増えている現実があります。ゴールデンウイークに家族でぐるっとバスに乗り、コンベンションセンターや奈良公園、東大寺などを回りましたが、中学生、高校生の団体で参道もいっぱいでありました。 また、3月にオープンしました、天理市にあります、なら歴史芸術文化村も来場者が多いようでございまして、文化や歴史に触れていただくのは大変うれしく思います。 そこで知事にお伺いいたします。 経済活動再開に向けた動きが活発になってきた今、多くの観光客誘致を図ることが重要と考えておりますが、県としての観光振興にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、県内の公共交通維持・支援に向けた取組について、知事にお伺いいたします。 ご承知のとおり、全国的に地方公共交通は、長期化するコロナ禍の影響で、未曽有の危機が続いております。県内の鉄道、バスを担っているJR西日本、近鉄、奈良交通など、同様に厳しい経営の中でございます。 先日、JR西日本の方からお話を伺ってまいりました。奈良県内を走る鉄道会社は、人口減少、少子高齢化、利用者の減少はもとより、特に地方路線では運営が困難になるほど深刻であり、駅の無人化が進んでいます。これまでは、企業利益や鉄道以外の物品販売、不動産業などで多角経営で地方路線を支えてきましたが、もうJRも内部補助で維持していくことは限界が来ていると、厳しい意見をいただきました。全般にわたる経費カットに加え、不採算路線の維持策、運賃施策など、あらゆる生き残り策を展開されています。 知事もかねてから、公共交通はあらゆるサービス、いわゆるまちづくりの基盤であると言われ、本年3月に改定された奈良県公共交通基本計画には、多様な関係者が参加する場として、エリア公共交通検討会議が設置されたところです。これにより、地域の最適な公共交通サービスを実現するための環境が整ったと認識しております。今後の展開に大きな期待をするところであります。 私は、この機会に、ぜひクロスセクターベネフィットの考え方を基軸として、まちづくりと公共交通の再生、観光、環境など、あらゆる施策を総合的に推進する必要があると考えます。 とりわけ、持続可能なまちづくりには、公共交通を軸とした都市機能が必要と考えられます。現在、国は、自動運転の早期実現、海外インバウンドの回復を見据えた施策を中心に進めておりますが、その実現効果には、一定の期間を要するものと考えております。 将来を見据えた投資について否定するものではありませんが、長期化するコロナ禍の中で、今まで耐えてきた観光関連事業者、公共交通事業者、そこで働く労働者の生活は限界が来ており、危機的な状況に陥っていると考えております。 このような状況を踏まえ、県としても力強い支援を考えていく必要性をたびある機会に私は申し上げてまいっております。 その上に輪をかけて急激な円安、ロシアのウクライナへの軍事侵略、OPECなどによる世界原油価格の高騰などにより、異常なほど燃料費が値上がりを続けております。このことも、公共交通機関への経営を圧迫しております。 この6月県議会において、燃料価格高騰対策事業として、原油価格高騰による負担軽減を図るため、公共交通事業者や運送事業者に対しての補助、7億1,400万円の補正予算はタイムリーな施策と評価しております。 私から、即効性と持続性の両面から、通学定期券や、あるいは通勤定期券の利用促進を促す支援制度について提言をしたいと思います。 まず、通学定期券については、長期化するコロナ禍で世帯収入が下がっている子育て世代の皆さんに対して、通学費用の一部を負担する支援について、ご検討されたらいかがでしょうか。既に山間部では、子どもが高校生になる前に転出される世帯が多いことなどから、人口流出を防止するためにも実施している自治体がございます。学費をはじめ、家計の支出が多い子育て世代に対して、安全でエコな通学にかかる費用を支援することは、県全体としても、人口流出防止、若年世帯の流入を促進する観点から有効だと考えます。当然、公共交通の維持策にもつながると考えています。 また、県内企業のSDGsを含めた環境対策、渋滞対策として、自家用車通勤から公共交通への転換を進めることは、公共交通の維持策のみではなく、県全体の価値を高める観点から必要だと思います。企業の社会的責任に依存するのではなく、企業に経済的インセンティブをつける施策を講じることにより、コロナ禍で厳しい経営を強いられている県内各企業への支援にもつながると思います。 このように、公共交通は、あらゆるサービス、いわゆるまちづくりの基盤と捉え、観光、子育て支援、県内企業支援など、総合的な支援を講じることにより、いずれ海外インバウンドが回復し、全国ににぎわいが戻ったとき、コロナ前以上に海外からの来訪者をスムーズに受け入れる環境を整えるための施策を期待するところであります。 公共交通をまちづくりの基盤とした総合的な施策と、公共交通の維持・支援について、知事にお伺いいたします。 次に、奈良市中町「道の駅」について質問いたします。 奈良市中町に、いよいよ防災拠点機能を併せ持った中町「道の駅」が、令和5年度完成を目指して、現在、盛土工事が始まりました。 振り返ってみますと、もう13年前になります。平成21年2月県議会の私の代表質問で、中町「道の駅」は、奈良市内の渋滞緩和対策として、パーク・アンド・バスライドとして駐車場整備と、農産物や地元製品などの販売、奈良は食の名物が少ないといわれており、三輪そうめんやラーメン、うどん、そばなど、麺類の館構想はいかがですかと申し上げました。 そのとき知事は、日本の麺の始まりの地である奈良で、麺類を用いたこだわりの食を提供するという、議員お述べのアイデアは、奈良の歴史文化の魅力を新たな切り口で伝える貴重な提案と受け止め、機会を捉えて、協定直売所あるいは商店街等とともに検討してまいりたいと答弁していただいております。 その後、今日までの13年間、機会あるたびに本会議、建設委員会などで意見の開陳、要望、要請を続けてまいりました。 ここで、中町「道の駅」について概要を申し上げます。 敷地面積約3.4ヘクタール、駐車場は、普通車237台、うち身障者用5台、大型車20台です。主な機能として、周辺地域の農産物等を取り扱う直売所、レストランやカフェを設置した地域振興機能、伊丹空港や関西国際空港へのリムジンバスや路線バスなどのバスターミナルを設置した公共交通の結節点機能、周辺の観光周遊の向上や、周辺の歴史や文化の情報発信の地域観光のゲートウェイ機能、耐震化や無電柱化された施設、災害時に支援活動が可能な、約1万平方メートルの駐車場、救援物資の備蓄倉庫の設置の防災機能、そして、ドッグランを含む約2,700平方メートルの芝生広場が整備される予定であります。 先日、地元の奈良市中町で地元説明会が開かれ、私も参加してまいりました。私も地元自治会や小学校・中学校PTA、各種団体などに案内ビラを作り、広報、説明している毎日であります。 このように、長い年月をかけての構想、企画、建設ですので、絶対に奈良県と奈良県民に有意義な施設として完成、運営されなくてはならないと強く思っております。 また、伊丹空港や関西国際空港へのリムジンバスもバスターミナルから運行される予定です。ぜひとも駐車場の料金に対しても、無料化、あるいは24時間制料金制度の導入なども必要かと思います。 令和5年度の完成に向けて、今年度は工事、指定管理者の選定と聞いております。現在の取組状況と完成後の運営方針について、知事にお伺いいたします。 また、中町「道の駅」のすぐ近くには、近畿大学農学部がございます。近畿大学の学生さんで近鉄富雄駅周辺の飲食店や、特にラーメン屋さんなどは、どの店も店頭でたくさんの若い人が並んでおられます。 私の県政事務所があります富雄駅北口のキタダビル1階のラーメン屋さんは、お昼前から夜遅くまで通路に若い人が並んでおられ、このお客さんにもぜひとも中町「道の駅」をご利用いただきたいと思っております。今後、近畿大学と連携した取組など、地域の活性を期待するところであります。 次に、中町「道の駅」の周辺整備についてお伺いいたします。 中町「道の駅」の東には大型商業施設があり、1キロメートル南には奈良県総合医療センターがございます。連日、1,200名以上の患者さんが通院され、この病院の開院に伴い、周辺には商業施設、飲食店、買物スーパー、コンビニ、薬局、病院、介護施設などが建ち並び、病院城下町としてにぎわってきております。 一方、施設利用者や通行車両で、阪奈道路三碓インターチェンジから県道枚方大和郡山線の南北道路は、朝夕だけでなく、常に大渋滞を引き起こす状態になっております。 この渋滞緩和対策として、県道枚方大和郡山線奈良市中町工区約1.6キロメートルについて、現在、道路のバイパス工事が奈良県によって用地買収と境界明示が進められております。 そこで知事にお伺いします。 現在のバイパス工事の進捗状況と完成時期についてお尋ねいたします。 また、以前の私の代表質問の答弁で、「中町駐車場の位置上、構造上の課題はこの中町から奈良方面への第二阪奈道路に乗るランプがまだないことでございます。かつて住民の方のご反対で実現しなかったランプでございます。改めてこの活用からは必要なアクセスだというふうにも認識しておりますので、あわせて検討すべき課題かと思っております。」と答弁されております。現在、知事はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。 次に、近鉄西ノ京駅周辺の道路整備についてお伺いいたします。 近鉄西ノ京駅から奈良県総合医療センターへの通院・通勤をはじめ、隣接します唐招提寺や薬師寺、この先、新設されるJR奈良南駅の利用者の通行アクセスを考えましたとき、あまりにも道路が狭く、1車線もしくは一方通行と、大変厳しい道路環境であります。 唐招提寺から薬師寺に南下する道路は、道路幅も狭く一方通行、西ノ京駅から薬師寺県道へつながる東西道路も狭く一方通行、西ノ京駅から南側にありますバス停までも、歩道もなく、遮断機が降りますと車の間を縫うようにして人が通行されています。 このように、鉄道とバスの乗換え環境が整っておらず、奈良県総合医療センターへのバス待ち環境が非常に悪い状態であります。 また、西ノ京駅から奈良県総合医療センターを越えて県道枚方大和郡山線には、病院前で遮断機が降りて西側には行くことができないという状況で、通行車両からは不便さを常に聞くところであります。 近鉄西ノ京駅周辺において、道路の拡幅等を行うことで地域の長年の課題解決に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。松本県土マネジメント部長にお伺いいたします。 次に、通学路の安全確保についてお伺いいたします。 令和3年12月県議会代表質問と今年3月の代表質問に続けて、度々取り上げております通学路の安全確保についてお伺いいたします。 千葉県八街市で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人が死傷した悲しい事故が発生いたしました。 奈良県や県教育委員会は、年1回、行政や県警察、地域住民らが連携して、危険箇所の点検を実施、交通の安全、防犯、防災の3つの観点から点検し、対策を進めてこられました。 国においても、この事故を受けて、令和3年8月4日の関係閣僚会議で決定されました、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策に基づき、通学路合同点検が実施され、点検により抽出されました対策必要箇所における交通安全対策について、速度規制や通学路の変更などソフト面での対策を組合せつつ、可能なものから速やかに実施することになっております。 これらの対策を早急に実施するため、地方に対して集中的に支援することを可能とする個別補助制度が創設されました。 このことを受けて、令和3年度の補正予算の中で、社会資本整備総合交付金の配分で、通学路等の生活空間における交通安全対策として、奈良県と市町村に約1億3,900万円が交付され、奈良県においても、知事を議長とした奈良県通学路等安全対策推進会議を立ち上げ、昨年10月に第1回目の会議が開催され、点検により抽出された危険箇所についての課題や対策について報告がされました。 その中で上げられましたのは、通行する車両速度が速い、通行する車両接触の可能性が高い、見通しが悪い、横断歩道周辺や歩行環境が悪いなどの課題に対して、通学路の変更や速度規制、歩行空間の確保、横断歩道周辺や歩行環境改善などの対策案が実例として説明されました。 知事は、私の以前の代表質問の答弁で、「特に議員お述べの通学路における安全な歩行空間の整備については、今回は国からの通知にありますように、地域の交通安全を早期に確保する観点から、即効性の高い対策を中心に取り組むこととしております。具体的には、防護柵の設置、児童が歩くスペースへの緑色のカラー舗装や側溝蓋の設置による歩行空間の確保などの改善策を実施してまいりたいと考えております。また、抜本的対策としての通学路における歩道の新設や拡幅についても重要と考えております。県管理道路におきましては現在27か所で事業を進めているところでございます。今後とも、事業の必要性や地元の協力などを踏まえて、歩道整備を進めてまいります。」と前向きの答弁をいただきました。 先日、奈良市立の中学生の保護者の方から相談を受けて、強い衝撃を受けました。内容は、先月5月の下旬、生徒2人で午前8時頃登校途中、2人の横ギリギリを乗用車が通過しました。車両と接触しそうになった2人は慌てて危険回避行動を取りましたところ、田んぼ沿いを歩いていたため、そのまま田んぼに落下し、着用していたズボンが破れ、足に軽い擦り傷を負いました。 学生はすぐ母親に連絡。母親は、現地に赴き、子どもを保護して、動揺していた子どもを落ち着かせ、自宅に連れて帰り、破れたズボンや汚れた服を着替えさせ、通学できる状態に回復させてから、母親が運転する車で登校して、2時間目から出席したとの報告を受けました。現在も、けがの後遺症が残り、つらい思いをされています。通学路の安全確保の強い要望を受けました。 私自身も大変ショックを受けて、学生さんや保護者の方のけがや精神的ショックを考えますと、あまりにも申し訳ないのと、一日も早く通学路の安全性確保をしなくてはならない思いで、関係機関に報告、相談、対応・対処、早期の改善に懸命に取り組んでいる毎日です。 そこで知事にお伺いいたします。 県では、今年度から新たに市町村が実施いたします通学通園路等の安全確保に必要な防犯・交通安全設備等の整備に対して支援を行うことで、通学通園路の一層の安全確保に取り組むと伺っております。奈良県通学路等安全対策推進会議の議長としての知事の決意と、今後の取組についてお伺いいたします。 続いて、教育長にお伺いいたします。 第2回の奈良県通学路等安全対策推進会議における検討内容と、今後の具体的な方針についてお聞かせください。 また、県教育委員会では、昨年度の合同点検で明らかとなった対策必要箇所1,334か所に対して、個別に集めた情報を見える化することで情報を有効活用し、子どもの安全を守る取組につなげていくことを目指していると聞いておりますが、現在の進捗状況と取組の実効性など、その内容について併せてお伺いいたします。 また、関連いたしまして、阪奈道路の関連施設の整備改善について、松本県土マネジメント部長にお伺いいたします。 阪奈道路は、奈良市北部地域と、大阪府東大阪市、大東市、大阪市内に通じる延長18キロメートル、西名阪自動車道と並行した重要な幹線道路であります。昭和33年に2車線の有料道路として開通し、大阪万博の昭和45年に4車線に拡幅、昭和56年12月に奈良県が国から買取り、無料開放されました。 1日の交通量は約4万台、その影響効果は絶大で、阪奈道路周辺は住宅・商業施設が連なり、大きなまちとなり、奈良市、生駒市の発展に寄与してまいりました。 しかし、開通後63年が経過し、道路や道路を取り巻く環境も劣化が著しくなってきております。道路の両サイドの防音のための樹木も大木化し、毎年多額の費用をかけて、交通車両の片側1車線規制をかけての伐採や、大雨の排水があふれ、隣接住宅への土砂崩れなど、多くの課題が指摘されています。 また、先ほどご紹介した通学路事故も、阪奈道路の下を通るトンネルを出たところであり、このトンネルは道路幅が狭く、車1台の通行がやっとの状況です。その中、横を学生が通学しております。また、トンネル内は薄暗く、お昼でも顔が認識できません。 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 県が管理する阪奈道路には、奈良市が管理する跨道橋やトンネルといった道路が通っております。奈良市は、これらの道路における通学路対策を考えていますが、県としてこの対策に対してどのように考えておられるのでしょうか。 次に、インターネット詐欺をはじめとするサイバー犯罪についてお伺いいたします。 世界的にインターネットを利用した犯罪や詐欺商法が多く報告されています。デジタル化により平和活用や医療、介護、見回り、自動運転、買物など、日々の生活困窮者を救う手段としての活用は、私も力強く進めてまいりたいと思います。 しかし、一方では、戦争や犯罪など、命や財産に著しく影響を及ぼしていることも事実であります。今回は身近なところで日々発生しておりますネット詐欺について、警察本部長に質問いたします。 インターネットショッピングは365日24時間、年中無休で、場所、時間を選ばず、そして、翌日配達など迅速なサービスで著しく急成長しました。しかし、便利さの反面、詐欺商法や犯罪に巻き込まれて、被害も増加しているのが現状であります。 便利なインターネットショッピングの落とし穴は、商品を注文して指定口座に振り込んだのに商品が届かず、その後、販売業者と電話やメールなど連絡が取れなくなったことや、全く別の商品が送られてきたこと、あるいは見たことのある有名サイトだから大丈夫といった先入観から、怪しさを感じながら入金してしまい、被害に遭うケースが多発しております。 全国消費者生活情報ネットワークでは、令和2年度に約26万7,000件もの相談が寄せられたようであります。奈良県においても、奈良県消費生活センターが令和2年度に受け付けました件数は4,745件であり、契約者別に見ますと60歳以上が37%の高い水準であります。 コロナ禍の中でありますが、ネット販売が増加し、住居には宅配ボックスがまだまだ設置されておりません。そのための商品が盗難されたり、段ボールが潰れてしまうなどのトラブルもたくさんあります。 このように、毎日ニュースや新聞など報道されているように、奈良県内でも日常茶飯事に、このような状態であります。奈良県民の消費トラブルに巻き込まれた人の相談所の、奈良県消費生活センターにひっきりなしにかかる電話相談に、相談員の方は丁寧に解決に向けてのアドバイスをされています。 これらの被害を抑止するため、徹底的な取締りや、警察など関係機関との連携も必要と考えております。本年4月に警察庁にサイバー警察局が新設され、サイバー犯罪の対処に向けた環境が整備されております。 そこで警察本部長にお伺いいたします。 インターネットを利用した詐欺をはじめとしたサイバー犯罪の現状を踏まえた県警察の取組と、県民が被害に遭わないため、奈良県消費生活センターとの連携などを含めた犯罪防止対策についてお伺いいたします。 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(荻田義雄) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)41番田尻議員の質問がございました。順次お答え申し上げます。 まず、私に対しましては、子育て支援の進め方についてでございます。 先般、厚生労働省が公表いたしました令和3年の本県の出生者数は7,751人でございますが、前年と比較して80人、1%の減でございます。近年減少傾向が続いております。 このような状況において、子育て世代が安心して子どもを生み育てられる環境を整えることは、県にとっても大変重要な課題であると認識しております。 その進め方でございますが、子育て支援の取組の推進にあたりましては、田尻議員お述べのように、市町村との連携が重要と考えます。そこで、県では子育て家庭の相談をお聞きし必要な支援につなげる、各市町村の子ども家庭総合支援拠点の運営等に関する助言や、家庭等で子どもを預かる保育ママの育成支援など、市町村への支援を行っているところでございます。 また、企業や団体等と連携して行う取組も県の立場としては重要でございます。これまでから、企業・団体が子育て家庭へのサービスを様々な形で提供する、なら子育て応援団を実施しておられます。今年度新たに、このなら子育て応援団に登録されている世帯を対象に、5,000円分のクーポンを配布し、ご家庭が楽しく子育てをする一助としていただければと考えております。 こうした取組については、県の広報誌やホームページ等を通じて情報発信していますが、子育て家庭それぞれが必要とする支援情報を適時にメール等で受け取ることができるシステムの構築についても、検討を進めているところでございます。 今後も市町村をはじめとする様々な主体と連携して、子育て支援に県が取り組むとともに、よりよい情報発信についても工夫を重ねながら、安心して子どもを産み育てられる奈良県づくりに取り組む必要があると考えております。 2問目は、観光振興についてでございます。県の観光振興の取組についてのご質問がございました。 観光は本県経済において大きな役割を担っております。新型コロナウイルス感染症などにより、大きな影響を受けている県内観光産業の活性化は重要でございます。 この認識の下、昨年7月に策定しました奈良県観光総合戦略におきましては、リニア中央新幹線の奈良市附近駅の設置を見据えた長期の視点を持ちつつ、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の新たなニーズに対応した観光に、県、事業者、市町村、観光協会等が取組を進めることといたしました。総力戦を進めようということでございます。 この戦略の実現に向け、本県が誇る自然・歴史・文化資源や観光素材についての食の磨き上げ等を進めるとともに、県・国内外への効果的なプロモーションの実施、MICE誘致などを進めてまいりたいと考えております。 具体的には、今年度は、「いまなら。キャンペーン」による宿泊・旅行需要の喚起をはじめ、壬申の乱1350年をテーマとした、ゆかりの地の周遊ラリーなど、奈良に来ていただき、ゆっくりと滞在したくなる誘客促進キャンペーンに取り組んでいこうとしております。奈良の観光のハンディキャップは、滞在時間が短いということでございますので、食にしろ、周遊にしろ、滞在時間を長くしていただくことが大きな目標になります。 また、観光地の受入環境整備や魅力の磨き上げ等の取組を支援する補助金の創設や、世界遺産、日本遺産、記紀・万葉など、奈良らしい歴史文化資源を生かした旅行・観光商品の開発、8月に開館1周年を迎える東京の奈良まほろば館における首都圏でのプロモーションなどを実施いたします。 12月には、食と観光をテーマにしたUNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムを開催いたしますが、引き続きG7主要国関係閣僚会合などの大規模な国際会議やハイレベルの会議の誘致にも取り組んでまいりたいと思っております。 次のご質問は、県内公共交通の維持支援に向けた取組でございます。 公共交通は、田尻議員お述べのとおり、県民や観光客などの移動ニーズを支える必要不可欠なサービスであるとともに、医療、福祉や観光など様々な分野と密接に関わるインフラ的なサービスでございます。田尻議員ご指摘のとおり、まちづくりの基盤となるものでございます。 本年3月に改定いたしました奈良県公共交通基本計画においては、公共交通の維持・充実に地域がより主体的に参画し、利用者にとって最適な交通体系や、その拠点を実現することを基本理念としております。公共交通については、国が少し出しゃばり過ぎていたような気がいたしますが、地域が、より深く参画することで、地域の公共交通が改善されることを目指して、国についても、その点を指摘してきたところでございます。 このような中で、これまで広域バス路線に関する検討・議論を行ってきた路線別検討会議を、より多様な関係者が参加するエリア公共交通検討会議として新たに位置づけまして、路線バスに加えまして、鉄道、タクシー、オンデマンド交通等、様々な輸送モードが連携し、利用者のニーズに応じた輸送サービスの提供や、利用促進策に取り組むこととしております。 具体的には、今年度、公共交通サービスが提供されることで、医療、福祉や観光など関係する分野の施策にもプラスの効果をもたらす、いわゆるクロスセクター効果に関する実証事業や、路線バスが成立しづらいエリアにおけるデジタル技術を活用した自動運転や予約配車システムなどの新たな交通サービスの導入といった取組の実施につき、現在、市町村からの提案を募る形で検討を進めているところでございます。 このほか、当面の公共交通に対する支援といたしましては、今議会に提出しております補正予算案に、昨今の原油高騰を踏まえ、バス・タクシー事業者を対象に、燃料費増加分の負担を軽減する支援策を計上しております。また、より先駆的な取組として、環境負荷の低いEVバス等の導入に対する支援策についても、補正予算に盛り込んでいるところでございます。 県民の暮らしや社会活動を支える県内公共交通の維持・充実に引き続き取り組んでまいりたいと思います。 奈良市中町「道の駅」とその周辺道路整備についてのご質問がございました。 中町「道の駅」は、第二阪奈道路と県道枚方大和郡山線が交差する交通の要衝に位置しております。その機能としては、この場所で食やイベントを楽しんでいただく地域振興機能、2つ目は、近くの観光地の入り口としての役目を果たす地域観光のゲートウェイ機能、また、道の駅を利用して地域の防災力を高める防災機能、さらに、バスターミナルとしての機能を持つ公共交通の結節点機能の4つの機能を併せ持つ道の駅として整備を進めております。 これまでに設計を完了させ、本年1月からは造成工事を進めているところでございますが、本年秋には造成工事を完了させて、地域振興施設などの建築工事に着手していきたいと考えております。 また、管理運営を行う指定管理者の選定手続も進めているところです。募集にあたっては、県産食材・県産品を活用したレストランやカフェの運営などの提案を求めることとし、現在、事業者からの申請の受付を行っているところです。今後、有識者で構成いたします中町道の駅指定管理者選定審査会で評価していただき、事業者の選定を行いたいと考えています。 引き続き、令和5年度のオープンに向けて、中町「道の駅」の整備を着実に進めていきたいと思います。 中町「道の駅」周辺のランプについてのご質問でございます。 奈良方面から中町「道の駅」へのアクセスについては、ネットワーク整備の現状から、主に阪奈道路から南下する県道枚方大和郡山線、または奈良市道を想定しています。田尻議員お述べの県道枚方大和郡山線は、奈良市中町周辺で約1.6キロメートルを4車線化する事業を実施しています。これまで、砂茶屋橋東詰交差点から南側の約200メートルが供用済みでございます。残り1.4キロメートルについては、現在用地買収を進めているところであり、早期完成に向け取り組んでまいりますが、用地の取得状況が約2割でございます。なかなか難しい地域でございますね、従来からそうですが、完成時期をお示しする状況には至っておりません。 また、第二阪奈道路の中町ランプについては、現在、大阪方面のみハーフランプとなっております。奈良方面へのランプの追加設置については、設置できれば、奈良方面から中町「道の駅」のへのアクセスが大きく向上することになります。 しかし、この構想は、第二阪奈道路建設のときからございまして、第二阪奈道路建設時に、奈良方面ランプの設置を県は熱心に働きかけましたが、地元住民の強い反対があって、実現できなかったと聞いております。 第二阪奈道路については、NEXCO西日本が管理する有料道路になりました。中町・宝来間を有料で通行する交通需要を見極める必要がある点や、地域の方々のご理解、ご協力を得られる計画案の作成が可能かどうかという点も踏まえて、今後検討すべき課題かと認識しております。 次に私に対しては、通学路の安全確保についての取組のご質問がございました。 昨年6月に発生しました千葉県八街市の事故を大きな契機として、本県では私が議長となり奈良県通学路等安全対策推進会議を昨年度に設置し、これまでに2回の会議を開催しました。この会議では、各市町村で実施された通学路の合同点検の結果から安全対策が必要な箇所について、県と県教育委員会、県警察において対策内容を再確認し、改善策の提案を行うなど、県と市町村が連携・協力して着実に通学路の安全確保が進むよう取組を進めようとしたものでございます。 通学路の安全確保を進める上では、交通安全・防犯・防災の総合的な観点に立って対策に取り組む必要がございます。合同点検の結果明らかになった危険箇所への対策として、安全な歩行空間の整備について、即効性の高い対策を中心に取り組むとともに、通学路の変更といった抜本的な改善策の提案や、それにより生じる防犯上の危険性を解消することも必要であると考えております。 即効性の高い対策の一つといたしましては、本年度から、市町村が通学通園路などの安全確保のために防犯と交通安全対策を一体となって実施できるよう、防犯カメラの設置や通学路等を知らせる電柱幕など安全設備の整備に対する補助を新たに行うことといたしました。 また、本年1月の第2回会議では、各市町村においても、県と同様に各市町村長を中心とした通学路の安全対策推進体制の確立を提案いたしましたところ、本年3月末時点で39すべての市町村で設置したとのご報告をいただきました。これは大変大きな画期的なことだと思っております。 通学路の設置は、校長先生に任されておりました。警察署長がそれに参考に関与されていることで、市町村はそれぞれの道路を持っておられるところも多いのに、市町村はあまり関与していなかった経緯がございます。教育委員会が、少しできないのをやり過ぎた感じもしましたが、市町村が直接関与されることで大きく前進することを期待しております。 今後は、各学校長ではなく、各市町村長にリーダーシップを十分発揮していただくことができます。そのようなことで、通学路の安全確保がより充実したものになることを期待しております。 今後も、通学路上で子どもたちが危険な目に遭わないよう、県、県教育委員会、県警察、市町村等の関係機関や地域の皆さんとの連携を図り、通学路の安全確保のために、しっかりと総合力を発揮して取組を進めていければと考えております。 ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 松本県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(松本健) (登壇)41番田尻委員より、2点質問をいただきました。順次お答えいたします。 まず1点目は、近鉄西ノ京駅周辺の道路整備についてでございます。 近鉄西ノ京駅周辺の道路整備については、西ノ京駅方面から奈良県総合医療センターへのアクセス整備を進めるため、奈良市が県からの財政支援を受けながら、平成26年度より順次整備を進めているところでございます。 この奈良市の事業については、西ノ京駅から駅西側のバス停までの区間を含む市道中部第338号線など9路線を対象として整備を進めることとされております。これまでに見通しが悪く、安全上課題のあった六条3丁目交差点の改良などが完了し、今年度は、市道西ノ京六条線など、4路線で事業を進めているところでございます。 県といたしましても、奈良県総合医療センターへの重要なアクセスルートとして認識しており、早期に整備が完成するよう、今後とも市と緊密に連携をしながら進捗を図ってまいりたいと考えております。 2点目は、阪奈道路を横断する奈良市道についてでございます。 田尻議員お述べの阪奈道路における跨道橋3橋やアンダーパス1か所につきましては、奈良市が管理する道路で、一部通学路となっております。 まず、跨道橋3橋についてでございますが、現在、奈良市において、国の補助金を活用しながら、耐震補強工事を進めております。うち1橋は、今月中にも工事が完了する予定と聞いており、他の2橋についても、今年度中に完了する予定と聞いております。 また、阪奈道路のアンダーパスにつきましては、アンダーパスの管理者である奈良市におきまして、拡幅等の改修計画の検討が行われると承知しております。阪奈道路を管理する県としましては、市から改修計画の相談や調整を受けた際には、技術上の確認を行うなど、市からの協議に対し、適切に対応してまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)41番田尻議員のご質問にお答えいたします。 私には、通学路の安全確保について、奈良県通学路等安全対策推進会議での検討内容でありますとか、県教育委員会の取組の進捗状況についてお尋ねでございます。 知事を議長といたします奈良県通学路等安全対策推進会議の第2回会合を今年1月に開催し、通学路一斉合同点検で明らかとなった対策の進捗状況について、各市町村から報告をいただいております。 合同点検により対策が必要とされた延べ件数は1,334か所で、そのうち603か所については、昨年度中に安全対策が完了し、残り731か所については、今年度以降で対策が実施される予定でございます。 県教育委員会では、通学通園路のデジタルマップの基礎となるデータベースを昨年度末に完成しております。現在、このデータ上に、対策必要箇所1,334か所に関する最新の情報を交通安全、防犯、防災の観点に分類して反映し、安全対策の進捗状況とともに見える化する作業を進めております。各市町村が、このデータベースをデジタルマップシステム等で活用し、GIGAスクール構想における1人1台端末によって、子どもに対して、通学路における効果的な交通安全教育が可能となると考えております。 また、完成した通学路に関する基礎データと、事故発生やヒヤリハット箇所の情報等を重ね合わせ、より安全な通学通園路の設定に役立てていくことも現在検討しております。 今後も、今年度、県教育委員会に設置した健康・安全教育課が、奈良県通学路等安全対策推進会議の取りまとめ事務局となりまして、各市町村、知事部局、警察本部等とともに、通学通園路の安全対策の取組をさらに進めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(荻田義雄) 鬼塚警察本部長。 ◎警察本部長(鬼塚友章) (登壇)41番田尻議員から、私には、インターネット詐欺をはじめとするサイバー犯罪への対応についてご質問いただきました。お答え申し上げます。 奈良県における令和3年中のサイバー犯罪検挙件数は156件、県警察に対するサイバー犯罪に関する相談につきましては2,147件といずれも前年より増加しており、厳しい情勢にあると認識しております。 本年に入り、特に、利用料金の未払いやサービスの更新手続等を装ったフィッシングメールに記載されたURLから偽サイトに誘導され、IDやパスワードを入力することで、電子決済サービスのアカウントが乗っ取られ、不正利用されるといった事例が増加しております。 これらの被害に遭わないためには、メールに記載されたURLを押さずに、公式のアプリやブックマークからアクセスするという対策が有効であります。こうした対策につきましては、県警察ホームページやフェイスブック等のSNSを通じて、県民の皆様に広く注意喚起しているところでございます。 サイバー空間は、全国民が参画する公共空間へと変貌を遂げ、技術開発やインフラ整備の進展等により、実空間とサイバー空間が融合した社会の到来が現実となりつつあります。その中で、新しいサービスや技術を悪用した犯罪が続々と発生し、その手口は悪質・巧妙化の一途をたどっております。そのため、県警察におきましては、サイバー空間の脅威に対処する態勢の整備に努めているほか、民間企業や大学など多様な主体と連携して、社会全体でサイバーセキュリティを向上させるための取組を推進しているところでございます。 県警察といたしましては、引き続きサイバー犯罪の検挙に努めるほか、県民にとって分かりやすい被害防止に向けた広報啓発活動を実施するなど、サイバー空間の安全・安心の確保に向けた取組を全力で推進してまいる所存でございます。以上でございます。   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) 次に、令和4年度議案、議第47号を議題とします。 まず、文教くらし委員会に付託しました議案の審査の経過と結果について、同委員長の報告を求めます。--40番森山賀文議員。 ◆40番(森山賀文) (登壇)文教くらし委員会のご報告を申し上げます。 去る6月17日の本会議におきまして、文教くらし委員会に付託を受けました議案の調査並びに審査の経過と結果につきまして、ご報告を申し上げます。 当委員会は、6月17日に開催し、付託されました議案1件につきまして、理事者の出席を求め、慎重に調査並びに審査を行いました。 その結果、令和4年度議案、議第47号につきましては、全会一致をもちまして、原案どおり可決することに決しました。 以上、文教くらし委員会の委員長報告といたします。 何とぞ、議員各位のご賛同を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(荻田義雄) 委員長報告に対する質疑、討論を省略し、これより採決に入ります。 お諮りします。令和4年度議案、議第47号については、文教くらし委員長報告どおり、決することにご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○議長(荻田義雄) ご異議がないものと認めます。よって、本案については、文教くらし委員長報告どおりに決しました。   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) 次に、35番粒谷友示議員より、決議第2号、視覚に障害のある人に対する鉄道事業者による総合的な安全対策を求める決議の動議が提出されましたので、粒谷友示議員に趣旨弁明を求めます。--35番粒谷友示議員。 ◆35番(粒谷友示) (登壇)決議第2号、視覚に障害のある人に対する鉄道事業者による総合的な安全対策を求める決議(案)につきましては、決議案文の朗読をもって提案にかえさせていただきます。 △決議第2号      視覚に障害のある人に対する鉄道事業者による総合的な安全対策を求める決議(案) 本年4月25日、大和郡山市内の近鉄橿原線の踏切内において、視覚に障害のある女性が特急電車と接触し、お亡くなりになる事故が発生しました。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様方に謹んでお悔やみ申し上げます。 これまでにも視覚に障害のある人が踏切内で列車と接触する事故や、駅ホームから転落するなどの事故が発生しており、こうした痛ましい事故が起こることがないよう、踏切や駅構内での安全確保に向けて、鉄道事業者の一層の取組が必要であると考えます。 よって、本県議会は、すべての人が安全に暮らすことのできる社会を実現するため、鉄道事業者に対して、踏切においては、自動車に加え、車椅子、歩行者、自転車等を検知しやすい踏切障害物検知装置、及び道路管理者と連携した誘導表示等の設置、また、駅構内においてはホームドア、内方線付き点状ブロックの設置、バリアフリー化等のハード対策、さらには誘導案内や声かけ等のソフト対策の実施により、総合的な安全対策に取り組んでいただくことを強く望むものである。 以上、決議する。     令和4年6月22日                         奈良県議会 何とぞ議員各位のご賛同を賜りますようよろしくお願いいたします。 ○議長(荻田義雄) 18番清水勉議員。 ◆18番(清水勉) ただいま粒谷友示議員から提案されました決議案に賛成をいたします。 ○議長(荻田義雄) 42番山本進章議員。 ◆42番(山本進章) ただいま粒谷友示議員から提案されました決議案に賛成します。 ○議長(荻田義雄) ただいまの動議は、成規の賛成があって成立しました。よって、直ちに議題とします。 お諮りします。決議第2号については、35番粒谷友示議員の動議のとおり決することにご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○議長(荻田義雄) ご異議がないものと認め、さように決し、会議規則第41条の2の規定により措置することにします。   -------------------------------- ○議長(荻田義雄) 12番西川均議員。 ◆12番(西川均) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○議長(荻田義雄) お諮りします。12番西川均議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○議長(荻田義雄) それでは、さように決し、明、6月23日の日程は当局に対する代表質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後5時10分散会...