令和 3年 11月 定例会(第348回)令和3年11月 第348回
定例奈良県議会会議録 第3号 令和3年12月7日(火曜日)午後1時1分
開議 -------------------------------- 出席議員(41名) 1番 小村尚己 2番 樋口清士 3番 植村佳史 4番 川口延良 5番 疋田進一 6番 山中益敏 7番 亀甲義明 8番 階戸幸一 9番 小林 誠 10番 浦西敦史 11番 池田慎久 12番 西川 均 13番 乾 浩之 14番 松本宗弘 15番 大国正博 16番 太田 敦 17番 佐藤光紀 18番 清水 勉 19番 阪口 保 20番 井岡正徳 21番 田中惟允 22番 中野雅史 23番 奥山博康 24番 荻田義雄 25番 岩田国夫 26番 小林照代 27番 山村幸穂 28番 尾崎充典 29番 藤野良次 30番 和田恵治 31番 欠員 33番 米田忠則 34番 出口武男 35番 粒谷友示 36番 秋本登志嗣 37番 小泉米造 38番 中村 昭 39番 今井光子 40番 森山賀文 41番 田尻 匠 42番 山本進章 43番 川口正志 欠席議員(1名) 32番 国中憲治
-------------------------------- 議事日程 一、就任挨拶(森人事委員) 一、当局に対する
代表質問 --------------------------------
○議長(荻田義雄) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。 この際、ご報告します。地方自治法121条の規定により、説明のため、議場に
選挙管理委員長の出席を求めました文書の写しを、お手元に配付しておりますので、ご了承願います。 --------------------------------
○議長(荻田義雄) 次に、さきの9月定例県議会において選任同意を与えました、
森宏之人事委員のご挨拶があります。 自席からお願いいたします。
◎人事委員(森宏之) 引き続き人事委員を務めることになりました森でございます。よろしくお願いいたします。(
拍手) --------------------------------
○議長(荻田義雄) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、41番
田尻匠議員に発言を許します。--41番
田尻匠議員。(拍手)
◆41番(田尻匠) (登壇)議長のご指名をいただきましたので、新政ならを代表いたしまして、ただいまから代表質問を始めさせていただきます。今日は6点について質問を申し上げますが、質問の中で、関係機関の皆様方や、あるいは関係する皆様方にも、今日雨の中、傍聴に来ていただいております。知事の誠意あるご回答を心からお待ちを申し上げながら、早速質問に入らせていただきます。 まず最初に、
新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
新型コロナウイルス感染症も、県民の協力と努力で、今日、全国的には感染者は100人前後で推移するようになりましたが、奈良県においても感染者は累計で1万5,934人に及び、死亡者は149名となりました。お亡くなりになられました皆様に心からお悔やみ申し上げますとともに、感染された皆様方には心からお見舞いを申し上げます。また、感染症の治療や対応をしていただきました
医療従事者の皆様方、
行政関係者、そして全ての関係者の皆様方に心から感謝、御礼を申し上げます。 国内では都市部を中心に
緊急事態宣言が4回発出されるなど、約2年近い自粛生活を余儀なくされました。しかし、世界的な取組、ワクチンの2回接種により、感染者は一気に減少してまいりましたが、まだまだ予断は許さず、第6波が来るのではないかと警戒されております。 そのような中、3回目の
ワクチン接種が12月から開始されました。対象は2回目接種完了から8か月以上経過いたしました人で、まずは
医療従事者からです。さらに、来年3月から企業や大学での職域接種が始まります。 また、治療薬は年内の実用化を目指して、開発支援として、1種類につき最大20億円が支援されるようであります。また、
アメリカ製薬メルク社と
新型コロナウイルス感染症の飲み薬、モルヌピラビルを160万回分供給する契約を約1,350億円で契約したようであります。 また、日常生活の回復に向け、無料検査の対象を広げ、感染拡大時には
ワクチン接種者を含め、県の判断で無症状者も無料で検査を受けられるようにされるようです。
ワクチン接種証明書は年内に
デジタル化して、海外渡航に限定せず、国内の飲食店やイベントなど、幅広く活用できるようにされております。 一方、
ワクチン接種の副反応も心配されるところであります。厚生労働省は11月12日に、イギリスの
アストラゼネカ製の
ワクチン接種を受けた
血小板減少症を伴う血栓症(TTS)の症状が出た事例について、接種との因果関係が否定できないとする専門家の評価を公表いたしました。厚生労働省によりますと、症状が出たのは48歳の男性の方で、症状は改善しましたが、軽度の高次脳障害があると言われております。国内では米国の
ファイザー社と
モデルナ社製で計48件の報告があります。このように、
ワクチン接種の副反応なども心配な要素に十分考えられるところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 3回目の
ワクチン接種の円滑な実施に向け体制整備やスケジュールを含め、どのように進めていこうと考えておられるのでしょうか。 また、感染者が減少している現在、県が借り上げていますホテルが9施設、1,136室あります。また、医療機関においても、公立・民間合わせて27病院、481床確保されております。感染者が爆発的に増加したときは不足するのではないかと心配されましたが、今日の状況も鑑み、今後の対応について検討していく必要があると考えます。
新型コロナウイルス感染症患者の入院病床や軽症者のための療養施設の確保について、
ウィズコロナ時代も見据え、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、
県内観光産業の活性化に向けた取組について質問いたします。 奈良県は11月12日、
新型コロナウイルス感染症で打撃を受けました飲食業を支援する国の
外食需要喚起策、Go To Eatを、4月から停止している
プレミアム食事券の追加販売を12月1日から再開しました。県内限定で、県内の宿泊施設の利用料などを割り引く、「いまなら。
キャンペーン2021」も12月1日から始まり、来年2月末まで実施し、最大35%、
ワクチン接種済み証明の提示で最大50%を割り引きます。ワクチンを2回接種済みの県民20万人に抽せんで3,000円の
クーポン券を配布する「
ワクチン接種で
安心飲食キャンペーン」も12月1日から開始、来年1月末まで利用できる
クーポン券の応募は11月末まで受け付けられました。 国においてもGo
Toトラベルが来年2月頃から再開される予定のようであります。2年近く続いた、
新型コロナウイルス感染症は世界・日本・奈良県の経済の大半を著しく疲弊させてきました。国も新たに
大型補正予算を組み、経済再生、
国民生活応援を柱に急がれる対応が待たれております。 奈良県においてもインバウンドの皆無、団体・修学旅行の激減により、奈良県の重大な産業であります観光業も大打撃を受けてまいりました。電車・バス・タクシーなどの公共交通をはじめ、ホテル・旅館・飲食店・
土産物品販売など、すそ野は幅広くダメージを受け続けています。国・県・市町村の公共団体の強力な施策推進が待たれるところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。
県内観光産業の活性化に向け、県の「いまなら。
キャンペーン」、「
ワクチン接種で
安心飲食キャンペーン」や国のGo To
Eatキャンペーンの取組が進められていますが、今後の展開についてどのように考えておられるのでしょうか。 公共団体の強力な施策推進が待たれる中、奈良県の東京の新拠点として新橋に奈良まほろば館が8月10日オープンいたしました。1階にショップ、カフェ&バー、2階にはレストラン、
イベントスペースなどが整備され、
緊急事態宣言の中のオープンとなり、セレモニーが中止になるなど厳しいスタートとなりましたが、奈良県民や県産業界にとりましては、東京から、全国から
アフターコロナ、
ウィズコロナを乗り越えて多くの皆様が来県されることが待たれます。 奈良まほろば館新拠点を活用した魅力発信により、誘客と県産品の販路拡大を強化すべきと考えますが、現在の取組状況と今後の方針を知事にお伺いいたします。 次に、来年春3月21日に開村予定のなら
歴史芸術文化村についてお伺いいたします。 所在地は天理市杣之内町に敷地面積約7,460坪、
文化財修復棟・
芸術文化体験棟・情報発信棟・
交流にぎわい棟・
屋外体験ゾーンと4階建て、99室のホテル「
フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」が併設され、まさしく奈良県の
文化振興施策の推進の新拠点として期待されるところであります。今後の運営方針や天理駅からの
交通アクセスの利便性を確保して、なら
歴史芸術文化村は学生や専門家、広く県内外の皆様に親しみ、愛される文化施設にしなくてはなりません。その上で、多くの県内外からも来ていただけるように、学校・旅行会社・電車・バス・タクシーなどの公共交通との連携も大変大事だと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 令和4年3月21日
オープン予定のなら
歴史芸術文化村を効果的に運営していくために学校、旅行業者、
交通事業者など、関係機関との連携が重要と考えますが、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、先端技術を活用した
まちづくりと
サイバーセキュリティ対策についてお伺いいたします。 国はAI、
ビッグデータを活用し、社会のあり方を根本から変える都市設計の動きが国際的には急速に進展しております。世界では交通、エネルギーなどの個別分野だけでなく、生活全般にわたり、最先端の技術実証を一時的に行うのではなく、暮らしに実装して、技術開発側・供給側の目線ではなく、住民目線で未来社会の前倒しの実現を目指しております。必要な技術はそろいつつありますが、実践する場がなく、現状を踏まえて、
国家戦略特区制度を活用して、住民と競争力のある事業者が協力して、世界最先端の
日本型スーパーシティの実現を目指しています。
スーパーシティの構成は
先端的サービスとして、政府・地方自治体・企業・大学・地域住民・NPO・観光客を含めて、行政手続・物流・交通・観光・防災・社会福祉・教育・金融・環境保全に活用できるように推進していくことを目的に、世界最先端の
日本型スーパーシティの実現を目指して、令和2年12月、
スーパーシティ提案の公募が開始され、令和3年4月に提案が締め切られ、31の
地方公共団体から提案がありました。 奈良県においても
大和平野中央スーパーシティ構想を知事が提案して国の2次募集に応募の方針を打ち出されております。先日も
奈良春日野国際フォーラムにおいて
キックオフ会議が開催され、内閣府
科学技術イノベーション推進事務局の高原審議官や国土交通省の都市局担当の渡辺審議官や大学の教授の講演があり、私も興味深く拝聴しました。 また、JR新駅・奈良南駅(仮称)の周辺整備においてもAIを用いた
まちづくりが提案されております。トヨタ自動車が未来の技術開発のためにつくります実験都市、
ウーブン・シティが静岡県裾野市の
富士工場跡地で建設が始まりました。
ウーブン・シティはゼロからまちをつくり、最初に開発が進みそうなのが自動運転の技術で、既存の町や公道では人や自転車が自由に乗り回り、走り回り、事故が起きる可能性が高く、自由な実験ができないから、
ウーブン・シティでは実験に適した道から造るようであります。当初予定される住民は高齢者と子育て世代の家族で、こうした人たちと発明家が暮らし、諸課題解決策も進められてまいります。トヨタが町をつくるのは車を造って売る従来の
ビジネスモデルが通用しなくなるという危機感があるようであります。自動車業界ではIT大手などが参入して従来の常識を覆す新サービスが次々に生まれている。米国では無人の
自動運転タクシーが営業を開始したようであります。 このように、移動に関するあらゆるサービスを提供するモビリティーカンパニーへの転換を進めるトヨタは、先端技術を自由に試せる
ウーブン・シティで技術開発を進めています。これから加速的に民間や世界では新しい未来型都市が構想から実現へと進んでまいります。奈良県としてもぜひとも遅れないように整備を進めていかなくてはなりません。心意気も含めて、知事にお伺いいたします。
大和平野中央スーパーシティ構想について、国の第2次募集への応募に向けて、提供する
先端的サービスを具体化していく必要があると考えますが、どのような取組を考えておられるのでしょうか。 また、JR新駅・奈良南駅(仮称)周辺を対象に進めていくAIタウンについて、
スマートシティに関する国の支援も活用し、推進していくべきと考えています。具体的な
都市サービスの導入を含め、現在の取組状況や今後の方針についてお伺いいたします。 さて、世界や国内で
デジタル化は、全ての分野や空、陸上、海、宇宙と無限大に広がりを持ち、私たちの未知の世界へと導いてくれる、魅力的な世界があると思います。 一方、
デジタル化の推進に伴い、
サイバー攻撃に対する防御も大事な対応です。一例ですが、10月末に、徳島県
つるぎ町立半田病院が
サイバー攻撃に遭い、深刻な事態に陥っているようです。データを勝手に暗号化し、復旧と引換えに身の代金を要求するコンピューターウイルス、ランサムウェアに院内のシステムが感染し、患者約8万5千人分の電子カルテが見られず、診療費の会計もできなくなったり、外来患者の新規受入れを全面に停止し、病院関係者はもはや災害だと頭を抱えているようです。今後は新システムを構築し、令和4年1月からの通常診療を目指しているところです。 そこで、知事にお伺いいたします。
まちづくり等において
デジタル化の取組を推進する一方で、高度化する
サイバー攻撃への備えが必要と考えておりますが、県庁への
サイバー攻撃に対して、どのような対策を考えておられるのでしょうか、お伺いいたします。 次に、
地域公共交通の維持・充実に向けた取組について、知事に質問いたします。 本県の
公共交通政策については、国における
交通政策基本法の制定に先んじて、平成25年、奈良県
公共交通条例が施行され、その後、これに基づく奈良県
公共交通基本計画と具現化した奈良県
地域公共交通網形成計画が策定されるなど、先駆的に進められてまいりました。また、これらの制度を基軸に、奈良県
地域交通改善協議会において、知事を先頭に、
県内バスネットワークを国、県、市町村で支える仕組みを構築され、これは荒井知事の
奈良モデルを象徴する取組であり、その後、関係者による努力と相まって、当時存続の危機にありました県内中南部の
バスネットワークが今日まで維持されていると考えております。 しかしながら、コロナ禍における公共交通を取り巻く環境は全国的に極めて厳しい状況となり、従前から人口減少・少子高齢化の進展する中で、これまで公共交通の主な利用者であった通勤・通学客が減少傾向にあったり、
新型コロナウイルス感染症による自粛により利用者が激減しております。加えて、
リモートワークなど新しい生活様式への変容により
新型コロナウイルス感染症収束後も利用者は
新型コロナウイルス感染症前の8割程度までにしか回復しないとされております。 一方、高齢者による
運転免許返納が急増する中、運転免許・マイカーを所有していない方の買物・通院など、足の確保が喫緊の課題となるなど
社会インフラとしての果たす役割が日々高まっております。 本県の
バスネットワークを担っている奈良交通は、令和2年度決算で19億円の大幅な赤字を計上しており、ここ数年、恒常的な運転者不足の中で、赤字運営が続いている
県内バスネットワークが、今後も引き続き県民が健康的で文化的な日常生活を営むための
社会インフラとして維持されるかどうかと危惧しております。 先ほど述べましたとおり、県中
南部バスネットワークについては国、県、市町村をはじめとした関係者が支援する仕組みの中で維持されていくと考えますが、それ以外の東部山間や北西部を中心としたバス路線は、近年拡大していた
インバウンド需要に下支えされてきたこともあり、十分な仕組みが構築できていない状況であります。これらの路線の中には比較的利用者も多く、県内外からの通勤、通学、観光など、多様な役割を担っているものも多いと考えております。減便あるいは廃止された場合、県民の生活や経済に与える影響は計り知れないと考えております。これを踏まえて、
県内バスネットワークの維持策について、諸課題に取り組んでいく必要があると考えております。 1点目は全県の
地域幹線路線の維持方策についての現状及び今後の方針についてです。 現在、本県内外を結ぶ
地域幹線路線については、ほぼ全線赤字と推測いたしております。一方、
地域幹線路線への補助については、本県は国とは異なる独自の基準で判断されております。これは移動ニーズに応じた路線を実現するための施策の一部と考えますが、コロナ禍の厳しい環境の中で、
バスネットワークを維持するためには国、県、自治体が一体となった早急な取組が必要と考えます。 2点目は
クロスセクターベネフィットの概念を踏まえた財政支出のあり方であります。 現行の
公共交通基本計画に記載している行政の財政支出の考え方に
クロスセクターベネフィットの概念について記載がされております。これは公共交通を幅広く捉え、
まちづくり、保健、医療、福祉、教育、観光、産業、その他の関連する施策と連携を図りながら、公共交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するとした本県の
公共交通施策の根幹を担保すると考えています。しかし、自治体によっては交通行政に係る分野で部分均衡的な判断をされるケースが多いように思います。今後さらに
奈良モデルの中で
公共交通政策を進める上で、財政支出について各自治体での共通認識が必要であると思います。そのためには、公共交通に係る財政支出のあり方について、一般均衡的な考え方の下、他の行政分野への財政支出も考慮した上で、最適な財政支出のあり方の検討が必要と考えます。 3点目は
バスネットワークを維持する上ではモビリティマネジメントの利用促進も重要な要素であります。私は「いまなら。
キャンペーン」のように、事業者に直接補助するのではなくて、利用者に補助し、利用促進する方法が必要と考えております。そのためには、最大のリピーターである定期券の利用者を増やすことも必要と考えております。そのためには、
定期券そのものの価値向上に工夫を凝らした上で、子育て支援の観点から、若い世代が定住するための通学定期への補助、交通安全の観点から、高齢者の
運転免許返納を推進するための運賃補助、環境保全や渋滞対策を踏まえた自家用車から公共交通への変換を促進している各企業への優遇制度、カーボンニュートラルの促進、同様に、自家用車から
公共交通通勤通学への変化のためのサイクル&
バスライド駐輪場の設置、ラストワンマイル(最寄り駅のバス停から自宅)への対応など、様々な施策と連携させ、まずは利用することによって新たな移動ニーズを生み出していくかということが必要と考えております。このことにより、高齢者はもちろん子育て世代の定住を促進することにより、奈良県全地域で住み続けていける公共交通の存続を新たに発展していかなくてはならないと考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響によりダメージを受けました鉄道、バス、
タクシー事業者などへの支援について、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。知事のお考えをお伺いいたします。 次に、奈良県職員の勤務管理についてであります。 地方公務員の給与制度は国家公務員の制度と民間給与に準拠するとなっています。それぞれの都道府県の
人事委員会が毎年調査し、10月初旬に勧告を行っております。2021年度、奈良県
人事委員会は民間調査の結果として月例給は変更なしとし、ボーナスについては0.15か月の引下げを勧告いたしました。コロナ禍において民間企業の状況が厳しいとされ、ボーナスの支給月数が減っている状況だと
人事委員会が説明されています。 県内状況の厳しさにあっては、今後の回復に向けた施策の充実が求められるところでありますが、一昨年の
新型コロナウイルス感染症発生の折から、保健所はもとより病院など
公共サービスを行う県内全職場で感染拡大を抑えようと必死の対応されてまいりました。県庁の総力戦とも言えるこの間の
新型コロナウイルス感染症への対応については、保健所などでは、いつ帰れるか分からない状況だと聞き、業務が過大となっている職場への応援体制として、様々な職場から動員がされてまいりました。県民の命を守る業務に精いっぱい取り組んできた職員に報いることも必要であると考えます。 この勧告の実施にあたっては、労働条件の変更ということで、奈良県
職員労働組合と交渉が行われております。
人事委員会勧告制度の持つ意味は理解しつつも、少しでも県職員の働きやすい
職場づくりに向けた交渉が行われ、働きやすい
職場づくりに向けた取組を行うことで、勧告実施はやむなしと判断されてまいりました。 勧告と併せて
人事委員会は県職員の働き方について意見を報告しております。その中に、総実労働時間の縮減があります。管理職は超過勤務の縮減に向けて、職員の業務量や進捗状況を把握し、超過勤務が必要最小限となるように常に意識しなければならないとされています。勧告を実施することとするのであれば、超過勤務の縮減など県職員の働き方改善に併せて取り組むべきと考えます。 また、県職員の超過勤務について、平日については、
業務パソコンのオン・オフの時間と出退勤時間差について調査し、その差について庁内働き方
改革推進プロジェクトチームで共有されています。その差は平均50分強となっていますが、土曜日、日曜日の休日については把握がされておりません。労働組合には、業務が多くて平日に仕事が終われないので休みの日に出てきてやっていますとの訴えが届いているようであります。もちろん勤務を命じられて出勤している場合もありますが、多くは勤務命令なく仕事に来ていると考えられます。 県は超過勤務時間について月30時間、1年間300時間を原則上限時間としています。例外規定として、災害への対応、防疫措置等を特例業務とし、また、他律的業務または一時
的突発的業務については月100時間未満の超過勤務を命令可能としています。しかしながら、この月30時間という上限設定時間があるために、この時間以上は命令できないと考えている方が多いようで、必要な仕事を職員がするために業務管理、勤務管理、時間管理はセットと考えております。 民間にあっても不払い残業についての摘発が続いており、労働者がみずから自己向上のためにやっているからとの言い訳をして、残業を認めてこなかった
やりがい搾取であるとか、月100時間以上の残業に対して
労働基準監督署が指導し、労働者は労働組合を設立し、改善を求める活動などを行う不払い残業への目は厳しくなっております。 公務職場にあっては、民間の模範となるべきで、改めて職員の働き方を把握する必要があります。真の
業務実態把握を行うべきではないでしょうか。特に休日の出勤状況の把握が必要であります。 そこで、知事にお伺いいたします。 県職員が休日や勤務時間外に勤務する場合、所属長の命令が必要ですが、適切な運用がなされているのでしょうか。 最後に、通学路の安全確保について質問いたします。今年6月、千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人が死傷する悲惨な事故が発生いたしました。この事故を受けて、全国的に通学路の安全確保を図る運動が広がってまいり、政府においても8月、交通安全対策に関する関係閣僚会議を開き、9月末までをめどに通学路の安全点検を実施する方針を決めました。また、速度規制や登下校時間帯に限った車両の通行止め、ガードレール整備などを盛り込んだ対策を、10月末までをめどに策定、飲酒運転の根絶も図っています。 奈良県においても市町村の協力を得て、県教育委員会、県警察と合同で公立中学校、小学校と幼稚園の通学・通園路の安全点検を行っているところであります。見通しのよい道路や幹線道路の抜け道で車の速度が上がりやすく、大型車の進入が多い、過去にヒヤリ・ハットした事例があった、保護者や地域住民から改善要請があったなどの観点から点検が実施されました。 対策箇所については、奈良県と県教育委員会と県警察の3者でつくります奈良県通学路等安全対策推進会議で協議し、対策の優先度を見極めて行われます。点検の結果を踏まえて具体的な対策案を検討し、関係者に提案する。具体的な対策ができない場合は積極的な通学通園路変更を促します。 県では現在、通学通園路のマップの
デジタル化を進め、今後対策が必要な箇所を可視化し、市町村や関係機関とデータを共有されます。 市町村は関係機関と連携し、計画的な対策を行い、その後もPDCAサイクルに乗せた対策を継続して実施するとしております。 もう既に民間ではプローブデータ&サービスと言われております、実際に走行している自動車を、センサーとして得られたデータを交通管理や自動車走行支援用のコンテンツとして利用されるものであります。交通を見える化することによって、渋滞把握、交通安全対策、交通における施策効果の定量的把握、行動分析等が実施され、既に他県ではプローブデータを基に急ブレーキ多発箇所を特定し、その原因を分析して、道路の安全対策を推進し、急ブレーキ発生回数が7割減の実績があります。このように、先端技術をぜひ取り入れて安全確保したいと考えております。以上のことを踏まえ、まず、知事にお伺いいたします。 知事部局において通学路の安全な歩行空間の整備を早急に進めるべきと考えますが、取組状況と今後の方針をお伺いいたします。 次に、教育長にお伺いいたします。 これまでの点検結果を踏まえ、知事部局や警察本部と連携し、効果的な対策を講じていくべきと考えますが、現状の課題と今後の取組についてお伺いいたします。 最後に、警察本部長にお伺いいたします。 警察本部においては、信号機の設置や交通規制の改善、警察官の交通誘導など、さらなる取組を始めるべきと考えますが、現在の取組状況と今後の方針についてお伺いいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)41番田尻議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、
新型コロナウイルス感染症対策、3回目のワクチンの接種の進め方でございます。 本県の
ワクチン接種は今月の3月から
医療従事者を対象に開始いたしまして、11月30日までに全人口の約77%、約103万8千人の方々に対し、2回目接種を完了することができました。この数字は近畿でトップの接種率となっています。
ワクチン接種を推進していただいた市町村、地区医師会をはじめとした関係者の皆様に感謝を申し上げる次第でございます。 お尋ねの
新型コロナウイルス感染症の3回目接種についてでございますが、現在、接種主体である市町村を中心に接種体制の構築は進められています。2回目接種完了後、8か月が経過した方々へ順次接種が行われる予定でございます。県内では本日、12月7日から一部の医療機関で接種が開始されます。 なお、昨日、岸田内閣総理大臣の所信表明演説において、優先度に応じ、追加承認される
モデルナ社製ワクチンを活用して、8か月を待たずに、できる限り前倒しするとの意向が示されました。その動向にも注視し、適切に対応したいと考えております。 本県では、ワクチンの安定供給に努めるほか、市町村が設置する接種会場に状況に応じて医師を派遣するなど、市町村が円滑に接種体制を構築できるよう、必要な支援を行ってまいるつもりでございます。 また、接種に伴う副反応についてもご質問がございましたが、適切に対応するため県新型コロナワクチン副反応コールセンターの運営も継続したいと思っております。 県といたしましては今後も引き続き
新型コロナウイルス感染症対策の切り札の一つとして、
ワクチン接種を積極的に推進するつもりでございます。 また、入院患者、軽症者のための宿泊療養の確保について、今後どのような取組をするのかというご質問がございました。 本県では重症者や死亡者を減らすことを
新型コロナウイルス感染症対策の最大の目標として考えてまいりました。感染者全員の入院と宿泊療養を基本に、医療提供体制の確保に全力で取り組んでまいりました。 まず、入院病床につきましては現在27病院で481床を確保しております。奈良県ではこれまでから、全ての重症患者を重症患者用の病床で治療することができております。また、無症状や軽症の方にご利用いただく宿泊療養施設につきましては現在9施設で1,136室を運用しておりますが、入院病床と宿泊療養室を合わせますと、第5波のピーク時の総療養者数を上回る水準を維持している現状でございます。 今後も感染者全員の入院と宿泊療養を基本として、感染が再拡大した場合にも対応できるよう、入院病床と宿泊療養施設を現在の規模で確保し、維持していきたいと考えているところでございます。 次のご質問は
県内観光産業の活性化に向けた取組についてでございます。 まず、
キャンペーンの展開について、ご質問がございました。今月1日から開始いたしました「いまなら。
キャンペーン2021」と「
ワクチン接種で
安心飲食キャンペーン」につきましては、既に多くの予約や申込みいただくなど、県民の皆様から大変好評を得ていることでございます。 また、国の飲食店支援事業でございます。奈良Go To
Eatキャンペーンも再開されまして、利用期限が来年2月末までに延長されたところでございます。 このうち、「いまなら。
キャンペーン」につきましては、県内旅行需要を継続的に喚起するため春の観光シーズンにかけても切れ目なく実施していきたいと考えています。 これらの取組に加えまして、
ワクチン接種や感染防止対策施設認証制度をさらに進めるなど、
新型コロナウイルス感染症の第6波に備えつつ、
県内観光産業の活性化を図っていくつもりでございます。 観光産業の活性化の取組の中で、奈良まほろば館の取組についてのご質問がございました。 奈良まほろば館では、本県の観光・食・特産品等の魅力の浸透や県の認知度とブランド力向上を図ることが目的でございます。旬の観光情報の発信や誘客イベントの実施、奈良らしい県産品の販売、県産食材を使った上質な料理の提供などに一体的に取り組んでいる館になっております。 特に県産品につきましては県職員がみずからバイヤーとなるようにお願いしております。県庁バイヤーの発想でございます。首都圏で知られていない魅力ある本県の商品の発掘を県庁職員がみずから進めるとともに、県内事業者が奈良まほろば館で新商品を販売し順位を競うまほろばチャレンジリーグを開催しております。売れる商品づくりに取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症の影響で、首都圏での活動に様々な制約がございましたが、関係者とともに創意工夫しながら運営に取り組んできておりまして、現在まで来館者、売上げともに順調に推移しているところでございます。 引き続き、県庁組織が連携して、本県の魅力発信に取り組み、誘客と県産品の販路拡大に、より一層促進していきたいと思っております。 なら
歴史芸術文化村の運営についてのご質問がございました。 なら
歴史芸術文化村は地域の魅力を歴史や芸術とつなげて、県民をはじめ、世代を問わず、多くの来訪者に様々な楽しい体験を通じた学びの場を提供することを目的とした館でございます。 また、この施設はレストランやホテル等も備える多機能複合施設でございますので、文化・観光振興の拠点としての価値を高めるため、官民連携による施設運営体制を構築したいと考えております。また、最寄り駅からの
交通アクセスの充実など、開村に向けた諸準備を進めているところでございます。 さらに、教育機関、旅行業者、
交通事業者等にも既に施設の利活用を働きかけてきておりますが、視察や取材の際には、様々な体験から学べる他にない施設、行程プランに組み入れたいなど、好評を得ているところでございます。 今後、各種の広報PRに加え、関係者を施設に招いたプレ体験会を開催したいと考えております。開村前から積極的に、連携強化につながるプロモーションを展開していくつもりでございます。 次のご質問は先端技術を活用した
まちづくりと
サイバーセキュリティ対策についてでございます。 まず、
大和平野中央スーパーシティ構想における
先端的サービスの具体化についてのご質問がございました。 昨日の代表質問でもお答え申し上げたところでございますが、県と磯城郡3町は
大和平野中央スーパーシティ構想の検討に着手し、既に先月
キックオフ会議を開催し、15にわたるテーマを示したところでございます。 今後、構想案をまとめるために、今年度中に計4回程度、民間企業の参画も得て、コンソーシアム形式による検討会を実施することとしております。 次回の検討会では、この12月に行いますが、ウェルネスに関するテーマなど、健康長寿の大和平野創造の分野について議論することとしております。例えば、医療と健康情報の基盤を整備し、一人ひとりに最適化された、カスタマイズされた一体的で複合的な医療・福祉・健康サービスの提供などのテーマについての取組を検討したいと思っております。 このほか、自動運転技術を活用したにコミュニティバス、AIにより効率的に運行されるオンデマンドタクシー、ドローンを活用した農産物の自動搬送など、地域内移動の円滑化なども検討したいと思っております。 また、安心で便利で、かつスピーディーな住民サービスを提供するアプリの構築や産学官の連携による教育の
デジタル化などもテーマにしたいと思っております。 このようなアイデアについては、民間企業の知見も活用して、若者や女性の働く場の創出、県民の健康増進、また、暮らしやすさの向上につながるよう、構想案をまとめていきたいと考えております。 先端技術の活用の中で、JR新駅周辺についての取組のご質問がございました。 JR新駅周辺につきましては、県と奈良市が共同で設置した検討会において最先端の技術を活用した
まちづくりに向けた検討を進めております。 具体的には、例えば、奈良の文化財や観光資源と先端技術を組み合わせた新たなコンテンツの創出や、先進的な交通サービスの導入による交通結節機能の強化などが候補になるものと考えております。 今後、コンセプトの具体化に応じ、国の支援の活用も含めて幅広く検討を展開していきたいと思っております。 また、この地域を面的にどのように整備するかにつきましてでございますが、現在、奈良市が地元の関係者に対して、整備手法の説明や土地活用に係る意向確認を行っておられるところでございます。 今後、面的整備に関する奈良市の取組状況、周辺のハード整備の進捗、最新の技術動向等を踏まえながら、この分野の検討を深めていきたいと考えております。 先端技術の活用、サイバーセキュリティの課題の中で、県庁への
サイバー攻撃に対する対策についてのご質問がございました。 地域
デジタル化を進めるにあたり、
サイバーセキュリティ対策は極めて重要な課題でございますが、県庁のサイバーセキュリティにつきましては、インターネットの通信内容を常時監視し、不正アクセスをブロックすることをまず考えております。全ての端末にウイルス対策ソフトを導入することで、県が保有するシステムや情報全体を守っています。 また、ご指摘の病院や福祉施設、教育機関など、県庁の業務と密接に関わる準公共分野のセキュリティ対策も重要でございます。 今後、特に
サイバー攻撃や災害などからシステムの安全性を守るためには、個々の組織が独立して、手元にデータサーバーを置くのではなく、クラウドを活用して、より専門性が高く強靱なセキュリティ対策に移行していくことが重要であると考えております。
サイバー攻撃は日々高度化しております。敵の能力が増していると認識しております。対策を常にアップデートしていくことが課題となりますが、こうした取組を通じて、最大限、セキュリティ対策の強化を図っていきたいと考えております。
地域公共交通の維持・充実に向けた取組についてのご質問がございました。 公共交通は県民や観光客などの移動ニーズを支える必要不可欠なサービスでございます。現在のコロナ禍において厳しい状況に直面されていることはよく存じております。県内公共交通の維持・充実を図ることは県の重要な課題と認識しています。 まず、コロナ禍で影響を受けられた事業者への支援策として、今議会に提出しております補正予算案に、
タクシー事業者等による感染防止対策の実施や広域的なバス路線の運行に対する補助などを盛り込んでおります。 また、将来にわたり県内公共交通の維持・充実を図っていく必要があるという観点から、今年度改定を予定しております奈良県
公共交通基本計画において、地域がより主体的に参画し、地域に最適な公共交通サービスを実現することを基本理念として位置づけたいと思っております。 具体的な取組といたしましては、広域路線バスについて検討・議論を行うエリアごとの会議を、より多様な関係者が参加する場として位置づけるとともに、鉄道やタクシー、デマンド交通など、他の輸送モードと連携した抜本的な路線の見直しや利用促進策の実施等、重点的な取組を、県としても優先して支援する方向で検討しております。 併せて、議員も言及されました公共交通サービスは県のあらゆるサービスの基盤サービスになるということは賛同したいと思います。公共交通サービスが提供されることで、観光や福祉など、関係する分野の施策にもプラスな効果が生じるという、いわゆる議員お述べのクロスセクター・ベネフィットの考え方は大事な考え方でございます。また、観光地や市街地周辺で発生する交通需要全体を適切に管理する交通需要マネジメントの考え方に基づく鉄道駅やバスターミナル等の活用も積極的に進めていきたいと思います。 県のような
地方公共団体の役割論につきましては、国に対して、
地方公共団体、とりわけ県の責任、役割を拡大してほしいと、もっと仕事をさせてほしいという要望を続けてきております。
公共サービスの維持は
地方公共団体がよく目が届く分野であるからという理由でございます。 県民の暮らしや社会・経済活動を支える県内公共交通の維持・充実のために引き続き市町村や
交通事業者と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 奈良県職員の勤務管理についてのご質問がございました。 まず、超過勤務でございますが、超過勤務は職員みずからの判断によるのではなく、所属長及び管理者などの上司が真に超過勤務が必要な職員に対して適切に命ずるのが基本でございます。 超過勤務が必要と判断される場合には、超過勤務等取扱要領に基づく事前命令を行い、命令のない職員に対しては速やかに退庁を促すなど、適切な運用を図ってきております。命じられない残業はサービス残業となり、望ましくない働き方になります。 また、超過勤務及び休日勤務の縮減に関する指針を定め、この中では所属長及び管理者は常に業務の進行管理に努め、超過勤務を命ずる場合は、その必要性について十分考慮することと規定しているところでございます。 さらに、ワーク・ライフ・バランス推進の一環として定時退庁や19日19時完全消灯などを実施しております。これらも活用しながら、職員のマインドセット、勤務管理の適切な運用に今後も努めてまいりたいと思っております。休日の勤務についても同様でございます。 最後に、通学路の安全確保について、私にもご質問がございました。 知事部局の役割でございますが、本年6月の千葉県八街市で発生いたしました痛ましい事故を受け、全国的に通学路の安全点検が課題となってきております。 通学路の安全確保は極めて重要でございますことから、本県では私を議長にして、各市町村長を委員とした奈良県通学路等安全対策推進会議を立ち上げました。第1回の会議を10月に開催し、点検により抽出した危険箇所についての課題や対策案について、各市町村長から直接報告を受けました。このようなことは私の記憶で初めてのことではないかと思っております。なかなか迫力がございました。 その内容は車両速度が速い、車両と接触の可能性、見通しが悪い、横断歩道周辺や歩行環境が悪いなどの課題が具体的に挙げられました。そうした課題に対し、通学路の変更も含め、速度抑制、歩行空間確保、横断歩道周辺や歩行環境改善などの対策案が実例として説明されました。 現在、県と県教育委員会、県警察本部において、第三者的な視点から対策案の内容を確認しております。速やかに実施可能な改善策の提案を行ってまいりたいと考えます。 第2回の会議を来年1月に開催したいと思っております。市町村長から最終の対策案の報告をお受けし、しっかり対策に取り組んでまいるつもりでございます。 特に議員お述べの通学路における安全な歩行空間の整備については、今回は国からの通知にもありますように、地域の交通安全を早期に確保する観点から、即効性の高い対策を中心に取り組むこととしております。具体的には、防護柵の設置、児童が歩くスペースへの緑色カラー舗装や側溝蓋の設置による歩行空間の確保などの改善策を実施してまいりたいと考えております。 また、抜本的対策としての通学路における歩道の新設や拡幅についても重要と考えております。県管理道路におきましては現在27か所で事業を進めているところでございます。 今後とも、事業の必要性や地元の協力などを踏まえて、歩道整備を進めてまいります。 今般の国の補正予算案には通学路の安全対策は計上されていると承知しています。引き続き、国からの財源確保に努めつつ、市町村と連携して、通学路の安全確保に取り組んでまいりたいと思います。 私に対する質問は以上でございました。ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)41番田尻議員のご質問にお答えいたします。私は通学路の安全確保について、県教育委員会としての今後の取組についてお尋ねでございます。 県教育委員会では、議員お述べの3つの観点を加えた通学路安全合同点検の実施を市町村教育委員会に依頼し、その点検に可能な限り同行することで、各市町村の通学路等における危険箇所の把握に努めてまいりました。 現在、点検結果の集約中でございますが、市町村から報告された危険箇所への対策案に対して、知事部局や警察本部と十分連携し、県教育委員会といたしましては、見守り等の配置、増員の検討だけでなく、通学路の変更も含めた対策内容を再度検討し、改善策を市町村に提案してまいります。 先ほど知事が述べられました1月に開催する第2回奈良県通学路等安全対策推進会議では、市町村からの最終の対策案を報告していただくことに加え、市町村長を中心とした通学路等の安全管理のあり方についても検討していただきたいと考えております。 県教育委員会が行う本年度内の新たな取組といたしましては、教職員や見守りボランティア等に対する研修会の開催、また、現在作成中の通学路等デジタルマップを各学校で活用することで、児童生徒への安全教育を充実させ、通学路の安全確保につなげてまいります。 今後も、奈良県通学路等安全対策推進会議が通学路の安全対策を着実かつ効果的に推進することができるよう、事務局としての役割を精いっぱい果たしてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 大橋警察本部長。
◎警察本部長(大橋一夫) (登壇)41番田尻議員から通学路の安全確保について、警察本部の取組状況、今後の方針についてご質問がございました。お答えさせていただきます。 千葉県八街市での交通事故を受け、県警察では学校・教育委員会、道路管理者と連携して通学路の合同点検を実施し、点検を終えた箇所のうち警察において対策が必要と認める箇所について、現在、横断歩道や停止線の新設や補修、押しボタン式信号機の新設や歩行者用信号灯器の増設、速度規制の新設や見直しなど、県警察本部において現在、検討や対策を進めておりまして、このうち新たな予算措置を必要としない59か所については既に対策を行ったところでございます。 今後とも、知事部局、教育関係機関、各市町村等と連携を図りつつ、対策を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(荻田義雄) 41番
田尻匠議員。
◆41番(田尻匠) 知事をはじめ、教育長、警察本部長に答弁いただきました。それぞれ喫緊の課題、あるいは緊急性を含めて、大変大事な課題と認識いたしております。前向きに取り組む姿勢をいただきましたし、答弁いただきました。実りある今後の奈良県政のためにぜひとも全力で取り組んでいきたい、そしてまた、一緒に県民の皆様方の命と生活を守るための奈良県政でありたいと、このように願うところでございます。 答弁あるいは皆様方のご主張、そしてまた、傍聴に感謝申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 次に、39番今井光子議員に発言を許します。--39番今井光子議員。(拍手)
◆39番(今井光子) (登壇)日本共産党の今井光子です。日本共産党を代表して質問させていただきます。 明日12月8日は80年前に太平洋戦争が始まった日です。敗戦までの3年8か月の間に2,000万人のアジアの人々と300万人の日本国民の尊い命が奪われ、その反省から二度と戦争しないことを世界に約束した日本国憲法ができ、憲法9条を定めました。2015年9月、自公政権は安保法制を強行採決し、野党共闘の原点は憲法違反の安保法制廃止です。日本共産党は今回、総選挙で、野党共闘で政権交代と、力いっぱい戦いました。一本化した53選挙区で勝利しましたが、改憲勢力が3分の2を超え、自由民主党は憲法改正推進本部の名称を憲法改正実現本部に改めました。岸田政権は補正予算7,738億円の軍事費を計上し、今年初めて6兆円を超えました。世界193か国で戦後戦争がなかったのは日本を含めてたった7か国だけです。武力で紛争は解決しません。日本共産党は憲法9条の改正を許さず、憲法を暮らしに生かすために頑張ります。 それでは、核兵器禁止条約締約国会議のオブザーバー参加について、知事に質問します。 1月、国連で核兵器禁止条約が発効しました。日本政府は核保有国が参加していないと条約の批准に反対しました。世界では56か国が批准し、大きな変化が生まれています。米国では全米市長会議がアメリカ政府に対して、1月に発効した核兵器禁止条約を歓迎し、核廃絶に向けた即時行動を求める決議を全会一致で採択しました。核なき世界の実現を求めるバイデン政権が誕生し、核態勢の見直し(NPR)で核兵器の先制不使用が盛り込まれるかが焦点になっていますが、岸田内閣総理大臣は被爆地出身の首相として核兵器のない世界を目指すと言いながら、国民の7割が望んでいる禁止条約批准に背を向けるだけではなく、アメリカの核の先制不使用という部分的措置にも反対しています。来年1月はNPT再検討会議、3月は第1回核兵器禁止条約締約国会議が開かれます。軍拡か軍縮かの分岐点になります。世界ではイルカに核弾頭をつけるなど、小型核爆弾が開発され、核戦争を真夜中の12時とする世界終末時計の針はあと100秒で止まり、核戦争の危機が迫っています。 国連では条約未参加の国にもオブザーバーとして出席するよう招待するとしています。ドイツは核保有国ですが、政権が交代し、オブザーバー参加を表明いたしました。中満泉国連軍縮担当上級代表は日本が締約国会議に参加し、核保有国と非保有国との間だけではなく、保有国同士の橋渡しの努力もしてほしいと述べています。国民の世論調査では85%が参加すべきと答えています。 そこで、知事に伺います。 日本政府も核兵器禁止条約第1回締約国会議にオブザーバー参加をするよう全国知事会から政府に働きかけるように知事から提案していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、
大和平野中央スーパーシティ構想について質問します。 磯城郡3町、三宅町、川西町、田原本町に計画された大和平野中央プロジェクトは県立大学の工学系学部の設置と10年後の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会会場を軸に、地元自治体とも協定を結び取り組まれてきました。ところが、突然、
大和平野中央スーパーシティ構想に変更され、11月5日、コンソーシアム
キックオフ会議が開かれて、参加いたしました。 会場にはたくさんの方が参加され、知事をはじめ、内閣府や国土交通省の政府関係者、スタンフォード大学の研究員はカリフォルニアからオンラインで参加し、6名がプレゼンテーションを行いました。民間企業からはデジタルを活用した健康データの活用、慶應大学の名誉教授は県立大学工学部についての期待を話され、奈良県が世界に発信していける印象を受けました。 県は今年度末までに、国の第2次募集に参画できるよう、急いで進めていると感じました。当日は膨大な資料とこの雑誌が配られました。雑誌には知事の、
大和平野中央スーパーシティ構想を提唱、2031年の実現を目指すとインタビューの記事が大きく掲載されていました。デジタル技術の進歩は国民の幸福につながるものであるべきです。地方自治体でも、住民の福祉の増進のためにこの技術を有効に活用することが求められます。 一方、
スーパーシティ構想は住民が知らない間に、地方自治、住民自治が奪われ、個人の出生から終末まで、様々な個人情報データを集め、生活丸ごと企業に支配されます。健康、移動、教育など、委託された企業が計画運営を行い、自治体はデータを提供し必要な財政を支出するだけになります。最終的には住民投票で決めることになりますが、全員利用が原則のため、利用したくなければ住み続けることができかねないことになりかねません。 そこで、知事に伺います。 大和平野中央プロジェクトから
大和平野中央スーパーシティ構想に急に変更になったのはいつでしょうか。また、その理由をお聞かせください。
大和平野中央スーパーシティ構想を進めるにあたり、個人情報の保護や住民主権、地方自治がどのように守られていくのか、十分な住民合意が不可欠と考えますが、いかがでしょうか。 10月8日、県議会で国の
スーパーシティに応募するための予算1,000万円が日本共産党以外の賛成で可決されました。予算が成立した日の2日前の10月6日、
大和平野中央スーパーシティ構想コンソーシアム企画・運営事業が既に公募されていました。本来は予算が可決してから公募するのではないでしょうか。順番が違います。10月29日にはプロポーザルが行われ、選定の結果、2社の中から株式会社時評社に決まりました。この企業は、雑誌時評の発行元です。契約を交わしたのが11月1日、会場でこれが配付されましたのは時評の11月1日号でございます。これは事前にインタビューで知事の考えを聞いているところが有利になるのは当然です。あまりにもでき過ぎているのではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。
大和平野中央スーパーシティ構想コンソーシアム企画・運営事業の公募プロポーザルについて、透明性や公平性の観点から問題があると思いますが、いかがでしょうか。 次に、子どもの医療費の窓口無料化についてお尋ねします。 令和元年から奈良県の子どもの医療費助成制度が、これまでは窓口で支払い、後から通院500円、入院1,000円以上の分が返金される仕組みでしたが、就学前までは窓口で500円負担すれば受診できるように変わりました。これは多くの方に喜ばれています。日本共産党は多くの皆さんと共に、一貫して子どもの医療費の窓口無料化を求め続けています。県下の自治体では独自に年齢拡大や窓口負担をゼロにしているところも生まれています。 子どもの7人に1人が貧困と言われる時代ですが、学校保健統計調査によりますと、虫歯の治療では、幼稚園の場合、虫歯が29.6%、虫歯になっても治療が未処理の子どもさんが16%に対しまして、小学校では虫歯が41.3%と増え、未処理も22.3%に激増しております。中学では虫歯が29.4%、未処理が13.5%、高等学校では虫歯が46.9%、未処理が17.7%で、高等学校で増えているのは、学校給食がなく、通学の距離も長く、菓子パンやスナック菓子、飲料水などが影響しているのではないかと推測します。 学校保健統計調査は抽出ですので、幼稚園から高等学校の生徒数で置き換えますと、奈良県では約1万2千人の子どもが虫歯になっても治療が受けられない状況であることが分かりました。また、ぜんそくのお母さんは、2人のお子さんの窓口払いを優先して、自分の病気を我慢し、重症化しても医者にもかかれず、周りの人がカンパした事例も聞いております。 償還払いで後から戻すのであれば、最初から現物給付で受診しやすくするべきです。お金がないために制度があっても医者にかかれないたくさんの人がいる一方で、国民健康保険会計は
新型コロナウイルス感染症で受診抑制があり、今回、補正予算で60億円も余り、国への返還を引いても30億5,361万9,000円が基金に積み立てられています。医療費は命を守るために使うべきです。 そこで、医療・介護保険局長に伺います。 奈良県の子どもたちのために子ども医療費助成の対象を高等学校卒業まで拡充するとともに、年齢に関わらず医療費の窓口無料化を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、平群町のメガソーラーの開発計画についてお尋ねします。 太陽光発電は再生可能エネルギーと期待されていますが、外国資本による投機目的の大規模なメガソーラー建設が各地で土砂災害などを引き起こしています。県内では、山添村で81ヘクタール、平群町で48ヘクタールのメガソーラーが大きな問題になっています。山添村はまだ許可が下ろされておりませんが、平群町では既に許可が下ろされて工事が始まっております。住民は虚偽の申請があったとして、1,000人が奈良地方裁判所に訴え、現在工事が中断しております。 私は2020年2月の一般質問で、平群町の林地開発について初めてこの問題を取り上げました。当時の農林部長は、切土または盛土の勾配や排水施設の構造などの造成計画、地元自治会からの同意書など、書類の審査を行い、森林法に定める許可要件が満たされている、また、開発に伴う影響について、技術的、専門的な判断を適正に行うため、奈良県森林審議会に意見を求める地域の意向を反映した適正な判断を行うために、平群町長に意見を聴取した上で、申請者に対し、昨年11月に林地開発の許可を行ったと答弁されました。今後は、定期的なパトロールにより現地を確認し、工事期間中、適正な施工や許可条件の遵守がなされるよう、適時適切に指導、監督を行ってまいりますと答弁されました。 しかし、現状は工事用仮設洪水調整池が設置されておらず、大雨が降れば、5,000人以上が暮らす下流に泥水が大量に流れ出し、防災施設のない危険な状態に置かれたままになっています。住民は熱海の土砂災害もあり、大変不安を感じています。 事業者は2019年4月の申請及び本年2月16日の変更申請においても、河川ルートの水路勾配を全ての区間で18%としたまま変更申請を行いました。10月に行われた応急防災工事の事業者説明会で住民から、勾配の偽装を指摘されて工事は停止されているが、もし住民からの指摘がなければそのまま工事を行ったのか、の質問に、代表者はそのまま工事を進めたと回答したと聞いております。 住民による偽装指摘まで住民の安全を無視した開発計画を行った事業者に対し、住民は行政による適正な処分を要望し、林地開発申請の取消しを求めています。県は現在、太陽光パネル設置のガイドラインを定めようとしておりますが、林地開発許可制度の手引きがあっても、この地域のように遵守されない事態が起きているなら、きちっとした条例をつくるべきと考えます。 そこで、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 平群町のメガソーラー開発計画について、応急防災工事の現在の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせください。 次に、安心・安全な学校給食の推進について伺います。 奈良県の学校給食の米は100%奈良県産ですが、給食用のパンの小麦には奈良県産が1割、カナダ産が5割、あとはアメリカ産と聞いています。全国では小麦の83%が輸入で、その大半からグリホサートが検出されています。グリホサートは除草剤ラウンドアップの主成分で、子どもの脳神経や発達障害が懸念され、1990年半ば頃から発達障害の子どもが急増しております。 パネルをご覧ください。 かつては日本の農薬規制基準は国際的にも厳しいものでしたが、1992年にガットのウルグアイ・ラウンドで農産物輸入自由化の圧力を前に、アメリカやオーストラリアの基準がそのまま採用され、その年からネオニコチノイド系農薬が初めて登録されました。さらに、2017年には残留農薬の基準が、グリホサートで5ppmから30ppmに大幅緩和されました。欧州連合(EU)は2018年4月、欧州食品安全機関の勧告を受け、ネオニコチノイド系薬剤の全ての作物への使用を禁止しています。日本では逆に規制緩和が進められ、その危険性が認知されることなく、稲作、野菜、果樹にも広く使用されています。私は議会でも取り上げ、お母さん方と一緒に申入れを行い、県でも令和元年からグリホサートが検査対象に入りました。今のところは基準を超えているという報告は聞いておりませんが、ゼロではありません。 韓国は国会で小中高の給食の無償化と有機栽培法が成立し、有機栽培の耕地面積は、日本が0.3%に対して、韓国は5%と、日本の18倍の農地面積を有するまでになっています。県内の公立小中学校の給食食材費は46億円という試算も出ております。給食から有機農業を始めていけば、有機栽培面積はもっと増えていくことになると思います。 来年、奈良県はガストロノミーツーリズムを行うことが決まりましたが、世界の人に奈良県の安全な食料をPRする絶好の機会です。 そこで、食と農の振興部長に伺います。 県農産物の安全性を高めるために化学合成農薬を使わない有機農法を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 自閉症や広汎性発達障害の子どもの数が急増しています。子どもに安心な食べ物を食べさせることは大人の責任です。せめて学校給食のパンに使用する小麦は奈良県で生産できないでしょうか。滋賀県は県産小麦100%の学校給食のパンが実現しています。今年、和歌山県海南市では県産小麦を有機栽培する「給食スマイルプロジェクト~県産小麦育て隊!」が収穫祭を行いまして、和歌山市、海南市、日高川町の3市町で86校の給食用のパンとして子どもたちに提供でき喜ばれました。 奈良県では給食用小麦が560トン使われています。奈良県の耕作放棄地の面積は、2015年の農林業センサスによりますと、3,633ヘクタールであり、560トンの小麦の生産は249ヘクタール、耕作放棄地の6.8%あればできることです。 そこで、教育長に伺います。 学校給食のパンの小麦については、県産や国産を使用し、地産地消の安全安心な学校給食をさらに進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、来年の参議院議員選挙で投票率日本一の奈良県を目指す問題で質問します。 選挙は市民が直接自分たちの代弁者を選んで政治に関わることができる唯一の方法で、民主主義のバロメーターです。衆議院議員選挙は、全国の投票率が55.93%で、戦後3番目の低投票率でしたが、奈良県は59.13%と全国平均を上回り、全国7位になりました。4年前は全国で23位でした。ちなみに、全国1位は、前回に続き山形県の64.34%、奈良県との差は5.21ポイントです。今回、5ポイント以上投票率を引上げたところは2府4県あります。芸能人有志が、「#私も投票します」の呼びかけや、県内でも市民連合を中心に、投票に行こうという呼びかけが行われ、投票率引上げに貢献したと思われます。 来年は参議院議員選挙です。奈良県で投票率全国1位を目指してはどうでしょうか。投票率日本一はできない数字ではありません。有権者の4割が投票していないことは、その改善が求められます。 低投票率の原因は選挙に関心がない、誰に投票していいか分からない、誰がやっても同じ、選挙に行きたいけれども投票所に行けないなどが挙げられます。政治に関心がなくても、政治に関係のない人は1人もいません。1票の値段を、国の年間予算×政治家の任期を選挙の有権者数で割りますと、1票の値段は403万円とも言われています。 誰に投票していいか分からないということは、各党や候補者の政策などの違いが有権者に届いていたのかという問題があります。1か月にわたる自由民主党内部の総裁選挙は繰り返し報道されましたが、総選挙の報道はその7分の4しか取り上げられず偏っていました。志位日本共産党委員長は有権者に選挙の争点を公平・公正に伝える選挙報道こそメディアの仕事ではないかと提言しています。 また、高齢化が進む中で、投票したいが投票所に行けないという方が増えてきました。総務省から都道府県の
選挙管理委員長宛に、投票所への移動支援及び移動期日前投票所の積極的な実施についての通達が出ています。バスやタクシーの運行、無料乗車券、投票箱を積んだバスを地域に巡回させる移動期日前投票所など、全額公費で助成することが県の選挙管理委員会から市町村の選挙管理委員会に通知されましたが、期間が短いこともあり、あまり具体化されておりません。学校や施設など、身近な場所での不在者投票ができることも重要です。 また、投票所の環境も重要です。段差の解消などのバリアフリーをはじめ、車椅子の記載台の幅や高さ、片手に麻痺のある人は書くときに紙が動いてしまう。また、聴覚障害者のための文字やイラストの入ったコミュニケーションボードの設置。視覚障害者は改善してほしいこととして、会場内の誘導の保障、記載台が暗い、きちっとした点字器の設置や、投票箱に点字がついておらず間違えて入れて無効になった事例なども報告されています。 それぞれの障害に合わせた合理的な配慮が必要です。また、立会人が投票する人の後ろに座るので、誰に投票したか手の動きで分かってしまい投票しにくいという意見も寄せられています。 国政選挙では候補者の名前を自筆で記入する記名投票が行われておりますが、世界でも記名は日本だけです。地方自治体レベルでは、条例を制定すれば、あらかじめ書かれた候補者に印をつける記号式投票が認められています。実施している青森県、島根県、大分県、岩手県の各県の現状を伺いましたところ、メリットは時間が短縮されて、開票場の経費が縮減した。投票方法が簡単で、字を書けない人でも、読める人であれば自分で投票できる。投票の秘密が守られ、無効投票数が少ない。デメリットは期日前投票や不在者投票と、選挙期日投票と、2種類の投票用紙を用意する必要があることや、候補者が多いと探すのが大変なことなどですが、選挙人の評判がいいというのは大事なことです。 来年は参議院議員選挙です。県は健康長寿日本一などを掲げておりますが、今度は民主主義のバロメーターである投票率日本一を目指してはどうでしょうか。 そこで、
選挙管理委員長に伺います。 投票率引上げのために今後どのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。 最後に、PCR検査について要望したいと思います。
新型コロナウイルス感染症のオミクロン株が確認されまして、第6波への備えが重要です。今回補正予算で29億円の検査促進予算が提案されております。昨年度、入所系の高齢者施設及び障害者施設等に勤務する職員を対象にしたPCR検査について20万回分が用意されましたが、実施は5%の1万回分しか使われておりませんでした。国は感染の拡大状況を見て検査するということですが、感染を広げないために感染拡大前に検査が受けられるように対応されることを要望しておきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)39番今井議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、日本政府の核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を全国知事会に私から提案したらどうかというご質問でございます。 核兵器の廃絶は唯一の戦争被爆国であります我が国のみならず、平和を願う人類共通の願いであると思います。ただし、その実現は国際社会のあり方そのものに関わりますので、我が国が1国だけで達成できるものではございません。核兵器を持っている国、持とうとしている国がなくなることが必要でございますが、現実は、我が国の近隣だけを見てもそのようにはなっておりません。 国民の生命をどのように守るのかは国家の大きな責務でございます。外交と防衛の分野の問題は国の専権事項となっているのがほとんどの国の実情でございます。また、全国知事会の機能でございますが、地方自治の円滑な運営と進展を図ることを目的としている組織でございます。核兵器禁止条約に関することは外交と防衛に関わる事項でございますので、これまでの議会でもお述べいたしましたように、核兵器禁止条約に関することを県知事が責任ある立場で申し上げるべきものではないと考えております。 2つ目のご質問でございますが、
大和平野中央スーパーシティ構想についてのご質問がございました。その経緯や手続についてのご質問だと理解いたします。 今年の7月に実施いたしました令和4年度政府予算編成等に関する提案・要望について、大和平野中央プロジェクトについて内閣府に要望いたしました際に、
スーパーシティ構想を紹介していただいたのが経緯でございます。 国の
スーパーシティ構想のポイントでございます、
先端的サービスの実行と広範囲かつ大胆な規制・制度改革は、国と磯城郡3町で取り組もうとしております大和平野中央プロジェクトの目標と一致することが多いと判断いたしました。このため、このプロジェクトを進化させて、
大和平野中央スーパーシティ構想として議論を深めることといたしまして、先月
キックオフ会議を開催したところでございます。 また、
スーパーシティ構想は、第1次の募集は終わっておりましたが、国に問い合わせますと第2次募集もするという話がございましたので、その第2次募集は年度内に行われるという情報にも接しましたので、年度内に間に合うようにいろいろ議論を深めたいということも考えてまいりました。 構想を進めるにあたりましての議員がおっしゃいます住民の合意は必要なことでございます。これまでからも、地元である磯城郡の各町長とともに十分に意見交換に努めております。磯城郡3町の熱い思いを受け大和平野中央プロジェクトを進めてきたわけでございますが、それをさらに発展させ
大和平野中央スーパーシティ構想に向かうことになりますが、3町からは引き続き熱い支援をいただいているところでございます。引き続き各町長には地域住民の意見を広く聞き、把握していただき、県としても、各町と連携して取り組んでまいる所存でございます。 構想の企画運営にあたる事業者の選定につきましては、定めているプロポーザル方式実施要領にのっとり、透明性や公平性を担保しております。 なお、構想の企画運営にあたる事業者の公告を予算議決前に行ったことにつきましては、本来は予算が可決してから公告すべきと議員は指摘されましたが、公告には、本業務に係る予算が議決されなかった場合は、本業務の手続について停止等の措置を行う場合があるという停止条件を付しており、手続上問題はないものと考えております。 また、月刊時評の私へのインタビューと事業者選定について言及されても、何の関係もございません。以上が私からの答弁でございます。
○議長(荻田義雄) 石井医療・介護保険局長。
◎医療・介護保険局長(石井裕章) (登壇)39番今井議員の質問にお答えいたします。 私に対しましては子ども医療費の窓口無料化につきまして、子ども医療費助成の対象を高等学校卒業まで拡充するとともに、年齢に関わらず医療費の窓口無料化を行うべきと考えるかどうかというお尋ねでございます。お答えいたします。 市町村が実施する子ども医療費助成制度は、子どもの健やかな成長と子育て世帯の負担軽減を目的として、昭和48年の制度創設以来、制度の充実が図られており、県はその2分の1を市町村に補助しているところでございます。 現在、助成対象は一部の市町村を除き、中学校卒業までとされており、県の補助基準も同様になっています。これは制度の目的と財政負担との調和の観点からの全市町村による検討結果に基づくものであり、平成28年8月から適用しているものです。 また、現物給付による窓口無料化については、現物給付方式を採用した場合、負担感の減少等に伴う受診回数の増加等により医療費の増加が見込まれるため、一律に国民健康保険の国庫負担金が減額されることとなっていました。 しかし、平成30年度より未就学児までを対象にこの減額調整措置が廃止されたため、これまでと同様に、県内市町村において検討を重ねられ、全市町村合意の下、未就学児のみを対象として現物給付方式を令和元年8月から導入したところです。 議員お述べのように、子ども医療費助成の対象を高等学校卒業まで拡充するとともに、全てを現物給付方式とした場合には、市町村の医療費助成の財政負担が増加するだけでなく、国民健康保険の国庫負担金の減額や、さらなる医療費の増加により、国民健康保険の保険料の増加にもつながりかねないところでございます。 そもそも子ども医療費助成は、全国共通の課題である子育て支援、少子化対策に対応するためのものであることに鑑みれば、市町村の財政力によりその水準が左右されてしまう地方単独事業ではなく、全国一律の国の制度として実施されるべきものと考えます。 県ではこれまでも全国知事会を通じて国に対し、子どもの医療費に関わる全国一律の制度創設を要請してきており、今後も引き続き求めてまいる所存でございます。ご質問ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 塩見水循環・森林・景観環境部長。
◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)39番今井議員から私には平群町のメガソーラー開発計画について、応急防災工事の現在の進捗状況及び今後の見通しについてのお尋ねでございます。お答えします。 応急防災工事の内容は、雨水の貯留機能を有する仮設沈砂池の設置を11か所、沈砂池の上流部に土砂流出防止柵の設置を14か所、加えまして、仮設沈砂池を監視するウェブカメラの設置などとなっており、9月1日に工事に着手し、先週末の時点で仮設沈砂池と土砂流出防止柵の設置工事は全て完了していると確認しております。 今後さらに、この応急防災工事の一環として、現状で必要な防災調整機能の調査、計画、実施について指導してまいります。 なお、これらの応急防災工事等は開発工事の停止に伴う現場の安全確保のための措置であり、これをもって工事の再開を認めるものではありません。工事の再開など、今後の対応につきましては、改めて厳正に判断してまいります。ご質問ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 乾食と農の振興部長。
◎食と農の振興部長(乾新弥) (登壇)39番今井議員より安全安心な食の推進につきまして、私に対して県産農産物の安全性を高めるため、化学合成農薬を使わない有機農業を進めていくべきであるかとご質問がございました。お答えさせていただきます。 安全な食の供給は、県民の健康を守る上で最重要課題の一つであると認識しており、農産物の安全性を確保するため、県では生産者への指導等により農薬適正使用の推進に取り組んでおります。 県では、ご質問のありました有機農業を、化学肥料や化学合成農薬の使用量削減を目指す環境保全型農業の一つとして位置づけ、これまで主に意欲ある有機農業者を支援してきました。 具体的には有機野菜栽培の手引きの作成や、奈良県の環境に優しい農業シンボルマーク表示制度による有機農業者の認定、県ホームページでの有機農業者の紹介を行ってきました。 今年度は有機農業に取り組む農業法人を対象に、手間のかかる作業の省力化を目指して、作業の無駄を見つけて改善を図るコンサルティングの取組を新たに支援しているところでございます。 今後とも、安全な食の供給の観点から、意欲ある有機農業者による有機農産物の安定的な生産・供給の取組を引き続き支援してまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)39番今井議員のご質問にお答えいたします。私には小麦を含め、学校給食の地産地消の取組を進めるべきとのお尋ねでございます。 学校給食は、食育を進める上で生きた教材として重要な役割を担っています。とりわけ地場産物を活用することは、子どもたちに地域の食文化や農業への理解を深めるだけでなく、新鮮で安全な食材の提供に対して生産者への感謝の気持ちを育むことから大変重要と認識いたしております。 本県の公立学校給食のパンにおける国産小麦の活用割合は約10%で、全て奈良県産でございます。今後、小麦をはじめ、地場産物をより多く学校給食に提供することは、地域の農業を知り、体験し、学びを深める上でも望ましいことと考えております。 そのため、現在、県食と農の振興部、JAならけん、県学校給食会など関係団体と、学校給食における地場産物活用プロジェクトチームを設置し、野菜を中心とした県産農産物の活用を支援するための協議を重ねております。平成28年度から川西町、三宅町、田原本町をモデル地域に指定し、JAならけんの振興作物であるキャベツ、玉ねぎ、大根を学校給食に供給し、その後も多くの市町村で利用され、令和2年度は63トンで、前年度の53トンに比べて大幅に増加いたしております。 また、県教育委員会では安全な地場産物を学校給食で使用するために、メニューの開発に取り組んでいます。奈良の伝統野菜を生かした大和まなの色めし、ひもとうがらしのチンジャオロース、宇陀金ごぼうのかき揚げなど、合計22品目を開発いたしました。今後も学校給食において地産地消の推進を図るとともに、食育の充実に努めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 森本選挙管理委員会委員長。
◎選挙管理委員会委員長(森本俊一) (登壇)39番今井議員のご質問にお答えします。私へのご質問は投票率の引上げのため今後どのような取組を考えているのかということでございました。お答えいたします。 国政選挙や地方選挙における投票率が向上するよう、県選挙管理委員会ではこれまでも投票参加を促す啓発や誰もが投票しやすい環境づくりに努めてまいりました。 具体的な取組を申し上げますと、まず、投票参加を促す啓発として、政治参加の意義や選挙権の重要性を認識してもらえるよう、県教育委員会等と連携しまして、出前講座や模擬投票などの活動を継続して実施しております。 また、10月に執行されました衆議院議員総選挙では新たな取組として、県内の経済団体の協力を得まして、加入企業の事業所内での啓発リーフレットの掲示や放送を行っていただいたほか、鉄道の駅の電子掲示板を活用した広報などを行いました。 次に、誰もが投票しやすい環境づくりとして、市町村の選挙管理委員会委員長が出席する会議の場などを通じまして積極的な取組を依頼しており、市町村においては自動車を用いて複数の箇所を巡回する移動期日前投票所の設置や、投票所までの巡回バスの運行を新たに実施したところもあるなど、取組は着実に広がっていると認識しております。 また、投票所では高齢者や障害者を含む全ての選挙人が安心して投票できるよう、スロープの設置や人的介助が可能な体制の整備、点字盤、虫眼鏡、文鎮等を準備するなど、種々な取組が行われております。 なお、記号式の投票につきましては、一部の市町村などで実施されていますが、採用にあたっては、議員お述べのとおり、メリットとデメリットをしっかりと分析、検討することが必要です。 県選挙管理委員会としましては、今後も市町村や関係機関と連携を密にし、全国の先進事例なども参考にしながら、ただいま申し上げました取組を発展・充実させ、投票率の向上を目指して積極的に取り組んでまいります。ご質問ありがとうございました。
○議長(荻田義雄) 39番今井光子議員。
◆39番(今井光子) ご答弁ありがとうございました。 核兵器のことは毎回聞かせていただいておりますけれども、同じ答弁しか返ってきませんが、全米市長会議では全会一致でこれをするようにという議決が上がっていると。だから、日本の知事会議でもきちっとそういう知事会議になるように、知事の方からも働きかけしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それから、
大和平野中央スーパーシティ構想の問題です。経過について、私は少し問題があるのではないかと具体的に示したわけですけれども、知事にお伺いしたいのは、この雑誌のインタビューですけれども、雑誌社の方からインタビューの依頼を受けたのか、知事の方からこのインタビューしてほしいということでお願いしたことなのか。また、どこでそれを、取材を受けられたのか、どれぐらいの時間受けられたのか、謝礼があったのか、その辺りを少しお尋ねしたいと思います。
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 取材を受けるときに私から申し込んだのは、大概、今までに、ほかの例も含めて、なかったと思います。このケースも出版社から申し込まれたものでございます。申し込まれますと、時間の調整は秘書課でしてもらえますので、私の空いた時間あるいは勤務の合間にするといったことが通常行われております。これは県下のマスコミの方からの取材申込みについても同じことでございます。 謝礼があったのかというご質問も含まれていましたか。すみません、ございませんでした。
○議長(荻田義雄) 39番今井光子議員。
◆39番(今井光子) どこでどれぐらいの時間受けられたかというのも質問させてもらったのですけれども。
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 多分、県庁へ来られて、20分か30分ぐらいのご質問ではなかったかと記憶しています。正確に調べれば分かりますけれど、記憶ではその程度。いろいろな取材がありますので、その一環という具合に思っていたところでございます。
○議長(荻田義雄) 39番今井光子議員。
◆39番(今井光子) 知事は今回、この会社が応募されるということをご存じだったのでしょうか。
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) プロポーザルは、事業者が応募するというのはあんまり知りません。公募で選んでもらうように指示しておりましたので、誰が来られるかということは私が知らなくても済むようになっております。
○議長(荻田義雄) 39番今井光子議員。
◆39番(今井光子)
大和平野中央スーパーシティ構想のコンソーシアム企画・運営業務委託公募型プロポーザル実施要項を見ますと、この企画提案書のところで、企画提案書については、提案者を判読できる記載や用紙の使用は行わないと。だから、そこの会社の申込みの用紙とかは使わないということが書かれております。当然だと思います。ただし、原本の1部のみは、企画提案者の余白部分に企画提案者名を記載することと書いていますので、出されたところの1部だけはその提案者の名前を書くことになっております。そして、この宛先が奈良県知事、荒井正吾と、この要項にはなっておりますけれども、知事は全くご存じなかったのでしょうか。
○議長(荻田義雄) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 通常でございますけれど、全く知りません。県が公募するのは皆、私の名前で言いますので、私の名前で書いた書類を全部知っているかというごとくのことは全くありません。知っているのもあるし知らないのもある。この類のものについては、どのような文言が書かれて、今、議員がおっしゃったので初めて聞いたところでございます。全く知りませんでした。
○議長(荻田義雄) 39番今井光子議員。
◆39番(今井光子) プロポーザルということは企画や計画をそのまま提案してもらうという、一般のいろいろな建築とかの入札とまた少し違う部分あるかと思いますが、入札であるということは私は変わらないと思っております。 そして、この経過を見ますと、ここに知事はどんなふうな
スーパーシティにしたいかという奈良県の構想を全て語っておられるわけです。だから、ここの会社が企画を出す分には極めて有利な内容で企画が出せるのではないかと思うのです。しかも、点数をつけるときの傾斜配分が、企画の構想のところは4点になっておりますので、高い比率で私はこの業者に有利な内容のことがされたのではないかと思ったわけです。大阪府では、選定委員は原則として庁外の第三者の委員で構成されています。外形的公正性を確保するための委員構成は契約局の審議会の審査に付するとなっておりまして、公正な委員会とするために委員と提案者の間の接触、利害関係の有無、そうしたことは開始前に聞き取りにより確認すると。そして、選定結果は後日公表するということになっておりますので、ぜひ透明性のためにも公表をお願いしたいと思います。終わります。
○議長(荻田義雄) 答弁、要りませんか。 しばらく休憩いたします。
△午後2時54分休憩 --------------------------------
△午後3時9分再開
○副議長(和田恵治) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、6番山中益敏議員に発言を許します。--6番山中益敏議員。(拍手)
◆6番(山中益敏) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良市山辺郡選挙区選出の山中です。議長の許可をいただきましたので、公明党を代表し、通告しております数点について、知事をはじめ、関係理事者にお尋ねします。 質問に入ります前に一言申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の感染状況は現在、第5波が過ぎ、
ワクチン接種の効果や一人ひとりの感染防止対策により感染状況が落ち着きつつあります。そして、地域経済への支援策が再開され、観光地にも徐々に客足が戻ってきております。一方で、
新型コロナウイルス感染症の新たな変異株、オミクロン株の感染者が国内でも確認され、感染の再拡大が懸念される状況にあります。そうした状況を踏まえ、次の感染拡大に対する備えについて、第5波の教訓を生かし、これまで取り組んできた県民の命を守ることを最重点の目標とし、社会・経済活動と日常生活の維持との両立を図ることを目指し、引き続き進めていただくことを要望して質問に入らせていただきます。 まず、地域の
デジタル化推進についてお尋ねいたします。 奈良県においても地域
デジタル化の推進体制を強化するため、今年4月にデジタル戦略課が設置され、これを司令塔として、6月7日に開催された第1回本部会議より部局横断で議論を行い、(仮称)奈良県地域
デジタル化戦略の作成と同時に、実効性のある実行計画の策定にも取り組まれています。 そして、コンセプトには、デジタルの活用により一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指し、行政・家庭・経済の分野における
デジタル化の推進を図るとされています。そうした背景には、2021年9月に創設されたデジタル庁のミッションにある、誰一人残さない、人に優しい
デジタル化を、そして、一人ひとりの多様な幸せを実現するデジタル社会を目指し、世界に誇れる日本の未来を創造する内容が反映されていると考えます。 そうした中、行政手続のオンライン化など、社会全体の
デジタル化が進められていくと、デジタル技術を使える人と使えない人との情報格差、いわゆるデジタルデバイドの解消に向けた取組が重要な課題となってくると考えます。例えば、令和3年版情報通信白書によると、70歳以上の高齢者のうち約6割がスマートフォンなどの情報通信機器をほとんど利用していないと回答しており、社会の
デジタル化が急速に進む中で、支援を必要とする人に十分な支援が行き渡るようにする必要があります。 総務省ではデジタル活用に不安のある高齢者などの解消に向け、主に高齢者のデジタル活用を支援する講習会を行っていますが、さらなる対応が必要であると考えます。 また、障害をお持ちでパソコンやスマートフォンなどの操作に支障がある方や、日本語を十分に理解されない在留外国人や外国人観光客にも配慮が必要なほか、山間地域において携帯電話がつながらなかったり、現在、サービスが開始されている5Gが利用できないなど、住んでいる地域による格差についても解消する必要があります。 そこで、知事にお伺いします。 地域の
デジタル化を進めていく上で、誰もがその利益を享受できるようデジタルデバイドを生まない視点も必要と考えますが、地域の
デジタル化を図る戦略化にどのように盛り込まれるのか、お聞かせください。 次に、保健所の体制整備についてお伺いします。 去る11月30日、新規の
新型コロナウイルス感染症感染者が激減していることもあり、郡山保健所の視察に伺ってまいりました。長引くコロナ禍で、保健所の職員の皆様をはじめ、医療関係の皆様におかれましては、県民の命を守るため献身的にご尽力いただくことに心より感謝申し上げます。 視察の際、第4波の最大感染者数40名のピーク時の状況や第5波の69名が新規感染者数として発生し、逼迫した状態での対応などについて伺いました。お忙しい中、大変ありがとうございました。 それでは、保健所の体制強化について、知事にお尋ねします。 保健所は、
新型コロナウイルス感染症について、新型コロナ・発熱患者受診相談窓口の相談を始め、帰国者・接触者外来の受診調整や検体搬送、患者の入院措置、宿泊療養、積極的疫学調査など、多くの業務を担っているところです。 しかし、
新型コロナウイルス感染症の第5波においては、過去最大の感染者数を記録し、各地の保健所においては業務が逼迫したところです。特に検査で陽性と判明しても連絡を取るのに時間がかかり、自宅などで症状が悪化した患者をすぐに治療につなげられず亡くなるケースも全国的に見受けられました。 こうした状況を受け、国においても陽性と判明した当日か翌日には連絡を取り、健康観察や診療を行える体制を確保するとしています。具体的には、保健所の体制強化を図った上で、家庭内で感染が広がるのを防ぐため、入院病床数を第5波のピーク時の3割増で確保することや、医療機関とのオンライン診療や在宅診療、訪問看護などが行える体制の構築を目指すとしています。 一方で、本県における保健所の体制強化の状況は第1波から第3波及び第4波、第5波と、その感染状況に応じた体制の増強を図ってきていただいたと聞いております。特に第5波の過去最大のピーク時には、人材の応援や情報のデータベース化による情報の見える化、患者搬送の外部委託など、保健所機能の効率化を進めていただいたところです。 こうした中、第6波への備えに万全を期すことは国民の命と暮らしを守り、社会活動への影響を抑えるためにも重要と考え、政府も第5波を教訓に、保健所の体制強化を含めた見直しに着手しました。遅くとも陽性判明の翌日までには患者に連絡を取り、健康観察や診療実施できる体制を確保するとしています。 そこで、本県における保健所の体制強化・機能充実に向けた取組について、今後懸念される第6波への保健所の備えについて、知事にお聞きします。 これまでの
新型コロナウイルス感染症流行時の保健所における業務状況を踏まえ、今後の流行に備えた業務体制の整備は重要と考えますが、どのように進めていかれるのでしょうか、お聞かせください。 次に、軟骨伝導補聴器の利用拡充についてお尋ねします。 先日、1件の市民相談が私のところに持ち込まれました。内容は、小学校に入学された子どもさんが、生まれつき片方の外耳形態に異常があり、第一第二鰓弓症候群、特に外耳の変形でほとんど音を聞き取ることができない小耳症とお聞きしました。しかし、もう一方の耳で聞き取ることができるため、障害者手帳を取得することなく、生活されておられました。 そのような方が両耳で音を聴き取れるようにするためには、従来からある耳掛け型の補聴器がありますが、外耳がないため使用できないことや、子どもということもあり、手術によるインプラント埋め込みを必要とする骨導補聴器は今後の成長を考えるとどうかと、選択に思案しておられました。 しかし、2017年に世界初の軟骨伝導補聴器が発売されました。この軟骨伝導補聴器と骨導補聴器の持つ負担感を比較した結果、軟骨伝導補聴器の方が負担感が少ないのではないかと、その方は軟骨伝導補聴器に着目されました。もともとこの軟骨伝導補聴器については2004年、奈良県立医科大学の細井裕司学長の発見により開発された補聴器で、耳軟骨に音声情報を含む振動を与えると、気導や骨導と同様に音声情報が明瞭に内耳に伝えられることによる応用製品であります。 県立医科大学の細井学長らの論文によると、実際に骨導補聴器を使用していた41名を対象に軟骨伝導補聴器をフィッティングし使用してもらったところ、39名が軟骨伝導補聴器に切り替えられました。その理由として、1番目に骨導補聴器のように頭部に強く圧着する必要がないので痛みがない、2番目には固定のためのカチューシャなどが不要、3番目には良好な両耳聴効果が得られる、4点目に頭蓋骨にインプラントを埋め込むタイプの補聴器のような手術が不要など、このように多くの点で骨伝導より優位なことから、骨導の時代から軟骨伝導の時代へと表現されております。このように、近年、国内外で新しい聴覚補聴器が開発され、従来の気導・骨導補聴器では十分な効果が得られない方や装用そのものが難しい方などへ新たな選択肢となってきています。 そうした中、奈良県においては障害者手帳の交付対象とならない難聴児の聴力の向上や、言語の発達を支援するための補聴器購入の一部助成を行っています。奈良県ホームページでは、その対象要件や補聴器の機種と基準額などを提示しており、市町村がその申請窓口となります。 ところが、軟骨伝導補聴器については、この難聴児に対する補聴器購入助成の対象となっておりません。軽度・中等度の障害者手帳を持たない難聴児が、選択肢の一つと検討できるよう、補助制度が必要であると私は考えています。 そこで、福祉医療部長にお尋ねいたします。 軟骨伝導補聴器は、従来の骨導式補聴器に比べ身体への負担が少ないといった利点がありますが、現段階では普及が十分とは言えません。今後必要な方に積極的に使っていただくための取組が必要と考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。 次に、水道施設の老朽化対策についてお伺いいたします。 去る10月3日、和歌山市の紀の川に架かる六十谷水管橋の全長546メートルのうち中央付近の約60メートルが崩落し、約6万世帯の13万8,000人が1週間にわたって断水を余儀なくされました。この水管橋は1975年3月に設置され、2015年度に耐震化工事を実施するなどしていましたが、既に法定耐用年数を超過する水管橋でした。 こうした事態を受け、厚生労働省では水道法第22条の2に基づく水管橋の維持及び修繕の依頼が10月8日付で発出されました。具体的には、水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドラインを参照にした点検・調査が実施されると考えます。また、水道管だけでなく、水管橋にも補助対象を拡大し、設置から40年以上が経過した水管橋本体の耐震化や補強・更新事業について、工事費の3分の1を補助する生活基盤施設耐震化等交付金の適用を決めました。 一方で、全国の水道管路総延長は約73万キロメートルあり、年間に約2万件を超える水道管の漏水や破損事故が起きています。厚生労働省によると、法定耐用年数の40年を超えた割合、いわゆる老朽化率ですが、2006年度末時点では6%でしたが、年々増え続け、2019年度末には19.1%までアップしました。逆にその年に更新された水道管の割合、いわゆる更新率は、2006年度が0.97%でしたが、2019年度は0.67%に低下しました。毎年約5千キロメートルが更新されていますが、現在のペースでは、全てを交換するのに約130年以上かかるとされています。 ちなみに、県施設におけます導水管・送水管・配水管の法定耐用年数を超えた管路の割合は22.0%と、全国平均19.1%を上回る状況と認識しています。この原因の1つとして、人口減少や節水の影響で使用水量が減り、料金収入による独立採算である水道事業の経営が苦しい状況があると考えます。このように、管路の更新計画などが進まない背景には、財政面での厳しさが挙げられるのではないでしょうか。 次に、技術面についてですが、水道職員の減少に伴い、水道事業から専門性の高い技術が失われつつあります。そうした中、厚生労働省は技術的な支援として、水道の耐震化計画等策定指針や管路の耐震化に関する検討報告書などを作成していますが、人員の少ない水道事業者では技術の継承は難しく、問題の先送りといった事態も起きています。 そこで、水循環・森林・景観環境部長にお聞きします。 和歌山県で水管橋の破損事故が発生しましたが、県内の水管橋の状況はどうなっているのでしょうか。また、水管橋を含めた県内の水道施設の老朽化対策が課題と考えますが、今後どのように対応していかれるのでしょうか、お聞かせください。 次に、県営住宅のバリアフリー化についてお伺いします。 本年3月に、令和の新たな時代における住宅政策の指針として、住生活基本計画が閣議決定されました。その方針として、1つ目に社会環境の変化を踏まえ、新たな日常や豪雨災害などに対応した施設、2つ目には2050年カーボンニュートラルの実現に向けた施策の2点が示されましたが、大切な取組としては、一人ひとりが真に豊かさを実感できる住生活の実現としています。 私の近くには、1967年から1975年にかけて建設されました売間団地をはじめ、北和団地など、階段室型中層耐火造の県営住宅が43棟、1,350戸あります。そうした住宅に対し、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法や奈良県営住宅条例の第3条の12に記載のある、公営住宅の通行の用に供する共用部分には、高齢者等の移動の利便性及び安全性の確保を適切に図るための措置を講じなければならないなどの考え方は、既存の県営住宅でも尊重されるべきではないかと私は考えます。 これらの県営住宅では入居者の高齢化も進んでおり、今後はバリアフリー化に取り組むことが必要ではないでしょうか。既に、高齢社会を見据えた対応で、後づけエレベーターの設置でバリアフリー化に取り組まれている長崎県や茨城県、神奈川県など、多くの事例があります。 そこで、地域デザイン推進局長にお伺いいたします。 高齢化が進む中で、エレベーター設置など、県営住宅のバリアフリー化を推進していくことが必要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、お聞かせください。 最後に、県立高等学校におけるICT教育の推進についてお伺いします。 昨年度、GIGAスクール構想の推進によって、小中学校においては1人1台端末が整備され、令和の学びのスタンダードが開始され、黒板とチョークによる一斉の学びから、ICTの活用による個別最適化された学びへの大きな転換期となりました。第2期教育振興大綱に掲げる本人のための教育の実現につながるものと考えております。 そうした生徒に、令和4年4月から高校生としての新たな学びが始まります。これまでの1人1台の端末が支給され活用してきた学びの環境から、県立高等学校に入学すると、個人のデバイスを学校に持ち込んで利用するBYOD方式によるICT教育が始まってまいります。BYOD方式を導入するにあたり、懸念されるのが情報セキュリティに関するリスクです。プライベートでも利用する端末は様々なアプリケーションがインストールされていますが、インターネット上にはウイルス感染のおそれが高いものもあります。それらが原因で学校のシステムなどに不正にアクセスされ、情報が漏えいしてしまうリスクが高まるといった可能性が出てきますし、逆にプライバシー保護とセキュリティ対策のバランスが重要になってまいります。 こういったことから、学校のセキュリティを強化し、生徒や家庭とのBYOD方式の運用上のルールを共有する必要があります。 私のところに、来春、高等学校に進学される子どもさんの件で次の相談がありました。GIGAスクール構想の整備に伴い、初めてタブレット端末を手にした子ども、初めは慣れない手つきで端末を触っていましたが、日を追うごとに操作にも慣れ、最近ではインターネットを活用した学習にも興味を持ち、学習の幅も随分と広がったように思っています。しかし、高等学校に進学すると、これまでと違って、学校から貸与される端末ではなく、自前のタブレット端末などが必要になるとのこと。コロナ禍で厳しい経済状況が続く中、タブレット端末を準備するのは大変難しい状況ですとのことでした。 このように、経済的に厳しい家庭において個人のデバイスを持ち込むことのできない生徒への対応も必要と考えます。そして、同時に、1人1台端末による教育を効果的に進めていくため、県立高等学校教員の指導資質の向上も必要と考えます。例えば、デジタル教材の基本的な使い方、職務に合わせた専門知識の習得、そして、様々な状況にある生徒一人ひとりへの配慮など、教員が今後身につけるべき項目は多くあると思います。 そこで、教育長にお伺いします。 来年度から開始される県立高等学校でのBYOD方式によるICT教育について、現在どのように準備を進めているのでしょうか。また、1人1台端末を活用した教育を効果的に行うため、県立高等学校教員の資質向上にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(和田恵治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)6番山中議員のご質問がございました。 まず、地域
デジタル化の推進についてでございますが、格差を生まない、デジタルデバイドを生まない視点をどのように盛り込むのかというご質問でございます。 地域
デジタル化の推進にあたりましては、住んでいる地域や年齢等に関わらず、誰もがデジタル技術を活用できる環境をつくっていく必要があろうかと思います。情報格差と言われるものに対する対策は重要な課題の1つでございます。デジタルデバイド対策と言われるものでございます。 本県ではこのため、今年度末までに策定する予定にしております(仮称)奈良県地域
デジタル化戦略の原則を8つ掲げようとしておりますが、その中で、デジタルデバイドへの対応を定めたいと思っております。県としても8つの原則のうちの1つとしてデジタルデバイド対応を掲げたいと思っております。 具体的な事業でございますが、まずはデジタルデバイド対策を含む様々な課題に取り組む市町村のデジタル部門の強化でございます。専門家を派遣して人材面からの支援をしていくつもりでございます。また、南部・東部地域などでデジタルの受益が困難であろうかと思われる場所につきましては、ITの利用に不慣れであったり、困難を感じる高齢者の方々に、スマートフォン利用等を丁寧にサポートする事業にも取り組んでまいります。 そのほか、いろいろアイデアがこれから出てくると思いますが、それを着実に実行していきたいと思います。これらの取組を通じて、市町村とも連携して、効果のあるデジタルデバイド対策、情報格差対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 2つ目のご質問でございますが、今後の
新型コロナウイルス感染症の流行に備えた保健所の対策についてでございます。 保健所の役割は感染症対策において極めて大きなものでございます。
新型コロナウイルス感染症に確実に対応するためには、第一線で対策にあたられる保健所はその機能を十分に発揮することがぜひ必要でございます。 このため、これまでも感染症の増により業務量が急増いたしました郡山及び中和保健所に対しまして、本庁や感染者が比較的少なかった吉野及び内吉野保健所から保健師を応援派遣することもいたしました。保健師または保健師以外でも対応可能な業務を切り分けまして、その部分に他職種の職員を応援派遣することもいたしました。 また、患者の搬送やパルスオキシメーターの配送等の外部委託化、また、感染症情報データベースの開発と活用、さらには、看護師等の新規募集なども行い、保健所機能の維持・強化に努めてまいりました。 これらの対策は第4波、第5波が押し寄せる中で現場対応と併行して逐次整備を行ってまいりましたので、運用面では押せ押せであたふたした事実はございます。課題に対応しつつ、対応を強化する両面作戦でございましたので、現実にはなかなか大変でございました。感染が落ち着いている今のこの時期に、今後感染が再拡大することに備え、この夏における最大の感染拡大時と同程度の陽性者数が発生してもスムーズに対応できる仕組みを保健所内で構築したいと考えております。 具体的な対策の内容でございますが、保健所への応援職員の動員をあらかじめ当番制で班編成しておくことも考えられます。感染拡大時には直ちに出勤できる初動対処チームもあらかじめ編成しておくという考えでございます。 また、動員時に応援職員が即戦力として直ちに業務を開始できますよう、事前に郡山及び中和保健所で、疫学調査の演習や感染者情報データベースの操作などの実践的な研修を行いたいと思います。県職員におけるインターン、県庁舎内のインターンのような試みでございます。 今後も、県民の皆様に安心していただけますよう、保健所機能の確保・充実に取り組んでまいりたいと考えております。 残余の質問は関係部局長からご答弁をさせていただきます。ご質問ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 石井福祉医療部長。
◎福祉医療部長(石井裕章) (登壇)6番山中議員の質問にお答えいたします。私に対しましては軟骨伝導補聴器について、従来の骨導式補聴器に比べ身体への負担が少ないといった利点があるが、現段階では普及が十分とは言えない。今後、必要な方に積極的に使っていただくための取組が必要と考えるかどうかというお尋ねでございます。お答えいたします。 軟骨伝導補聴器は、議員お述べのとおり、奈良県立医科大学の細井学長の研究に基づいて開発された新しい伝導方法の補聴器で、耳の軟骨部に振動を与えて聞こえを補うものでございます。 この補聴器は、障害者手帳をお持ちの方に対しては、障害者総合支援法に基づき、令和元年度から特例補装具として支給対象とされています。 県では、聴覚障害のある児童のうち障害者手帳の交付対象とならない、中・軽度の難聴児についても、耳の入口から鼓膜までの外耳道が生まれつき塞がっている外耳道閉鎖症の方など、従来型の補聴器ではその効果が見込めず、軟骨伝導補聴器が適合する方を対象に支援を行うため検討を進めてまいりました。 そこで、既存の難聴児補聴器購入助成事業を拡充し、令和4年度より軟骨伝導補聴器についても補助制度の対象にできればと考えています。 当初予算で制度拡充が認められましたら、市町村や関係団体にも周知を図り、軟骨伝導補聴器を必要とする方の活用が広がるよう努めてまいりたいと考えています。ご質問ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 塩見水循環・森林・景観環境部長。
◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)6番山中議員から私には和歌山県で水管橋の破損事故が発生したが、県内の水管橋の状況はどうなっているのか、また、水管橋を含めた県内の水道施設の老朽化対策が課題と考えるが、今後どのように対応していくのかというお尋ねでございます。お答えします。 本年10月に発生いたしました和歌山市水管橋崩落事故を受け、県では県内水道事業者及び県水道局に対し、和歌山市と形式が同じ水管橋の保有・点検状況調査を実施いたしました。 この調査の結果、対象となる水管橋の数は、県内の12事業者46か所でしたが、事故原因と同様の部材断裂など、緊急修繕が必要な水管橋はございませんでした。 水管橋を含む水道施設の老朽化対策については、それぞれの水道事業者等において計画的に実施されています。県は水道事業者等に対し、その事業に要する費用の一部について財政支援しており、昨年度は24事業者に約6億6千万円、本年度は29事業者に約8億7千万円を交付する予定です。 しかし、今後、昭和40年代を中心に整備した水道施設が更新時期を迎え、30年後には県全体で年間の施設更新費が現在の3倍程度になると試算されています。また、人口減少による水需要の減少などにより、水道事業を取り巻く経営環境は厳しくなることから、より効率的で持続可能な水道事業経営が求められています。 このことから、県では水道事業が抱える課題を解決するとともに、基盤強化を図るため、県及び市町村の広域連携実現に向けた指針として、平成31年3月に新県域水道ビジョンを策定いたしました。 現在、このビジョンに基づき、県がリーダーシップを発揮し、市町村と連携しながら、県域水道一体化や簡易水道の共同管理体制の構築を推進しており、これらの取組を進めることは老朽化施設の更新促進にも効果が見込まれると考えています。引き続き、県及び市町村の広域連携による持続可能な水道事業の実現に努めてまいります。ご質問ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 岡野地域デザイン推進局長。
◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) (登壇)6番山中議員から県営住宅のバリアフリー化の取組についてご質問いただきましたので、お答えさせていただきます。 県営住宅においては60歳以上の入居者の割合が約5割を占めるなど、高齢化が進んでおり、バリアフリー化のニーズが高まっていると認識してございます。 このため、県営住宅の建て替えにあたりましては、エレベーターを整備し、各戸に手すりを設置するとともに、段差がない車椅子利用者専用の住戸を1階に設置しているところでございます。本年3月に竣工いたしました桜井団地第1期についても、新規の募集倍率が9倍に達するなど、好評をいただいております。 また、既存の県営住宅におきまして、入居者が共用する集会所等につきまして、耐震改修に併せまして、入口部分の段差解消やトイレの洋式化などのバリアフリー改修を進めるほか、階段の昇降に支障がある方に対しましては、希望に応じまして1階への住替えを進めているところでございます。 中高層の既存県営住宅において、エレベーターの設置を行うことは、設置スペースや設置方法など、技術的に難しい面があることに加えまして、家賃等が上昇するという課題もございます。県といたしましては入居者の状況等も踏まえ、今後もバリアフリー化を進めていく方針でございますが、まずは1階等への住替えなどの取組や、それに併せた住戸のバリアフリー改修などについて広く実施していきたいと考えております。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)6番山中議員のご質問にお答えいたします。私には県立高等学校でのBYOD方式の準備状況と県立高等学校教員の資質向上についてお尋ねでございます。 県立高等学校におきましては、令和4年度入学生から個人所有の端末を学校で活用するBYOD方式を導入することは既に中学3年生や保護者に周知いたしております。今後、各校において複数の端末の標準的な仕様をホームページで示すことといたしております。 なお、OSやスペック等の選択について生徒が悩むことも想定され、各校では入学後担任に相談する機会を設ける予定でございます。 また、低所得世帯家庭の高校生には操作に慣れたChromeOSの端末を貸与するため、本定例会に県立高等学校の教育用機器の取得についてを議案として提出いたしております。 なお、低所得者へ端末を貸与する場合も家庭での通信費が必要となりますが、奈良県高校生等奨学給付金で
通信費相当額が増額されております。 次に、県立学校の教員の資質向上につきましては、昨年10月から教育研究所で実施しているオンライン研修、先生応援プログラムに、新たに高等学校教員向けの研修を設け、9月からスタートいたしました。ICTを活用した教科指導の実践例を視聴するオンデマンド型の研修と、Google Workspace for Educationのジャムボード等を活用するオンライン研修の2種類を準備し、教員のICT活用指導力の向上を図っております。 また、今年度の高等学校の学習指導研究会では、全教科で電子黒板など、ICTを活用した授業研究と指導主事の講義による実践的な研修を行い、各校の代表者が積極的に参加いたしております。 県教育委員会では、BYOD方式の導入にあたり、マイクロソフトのオフィスやAdobeのイラストレーターなどを生徒が無償で利用できるよう準備してまいりました。高等学校のICT教育におきましては、本人がみずからの意志で自分に適したアプリの活用力を高め、情報化社会で生きる力を身につけようとすることで、第2期教育振興大綱に掲げる、本人のための教育を実現してまいりたいと考えております。以上でございます。どうもありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 6番山中議員。
◆6番(山中益敏) 趣旨に沿った答弁をいただきありがとうございました。 その中で、まず初めに奈良県の地域
デジタル化戦略の件でございます。 知事から、特にデジタルデバイドの件でお話しいただいたと思います。せんだって私、吉野郡に伺って、そのとき、高齢者の方と少し話をさせていただきました。そうしますと、なかなか吉野郡の郡部の小さい町村ではそうした講習会のこともなかなか聞かないし、まして、本来ですと、近くに携帯のショップがあったり、そういうところでやっていただいているということもお聞きしておりますので、そういったこともできるのかと思ったのですが、なかなかそういった機会も、まずやっていただいているかどうか、そしてまた、そこへ行くのも大変だと、こんな話を聞かせていただきました。 そうした中で、南部・東部地域に関しましては、ITの高齢者へのサポートをしっかりとやっていきますよという具体的な話もしていただきましたが、この辺についてもう少し具体的な話があればお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(和田恵治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 南部・東部地域の
デジタル化ということは、過疎地である方が
デジタル化の効果が大きいように思います。そのためにいろいろな分野の
デジタル化のデジタル利用があろうかと思いますが、まだこれから詰めていきたいのですが、1つは、健康など、訪問医療の際にデジタルを使えないかということは考えております。訪問される保健師、看護師が、個人の情報が入ったiPadを持って行って、それは本人の承諾なしに開けないのですけれども、本人のスマホがもしあれば、それと照合し、追加の健診情報を入れると。本人にも入れるし、iPadに入れて、南奈良総合医療センターの医師につなぐということも考えられます。高齢者の方が自分で健康情報を入れるというのは少しぶれる可能性もありますので、誰かが訪問して、どうですかと聞いて、場合によっては血圧などを測って、そこに入れて、情報をトレンドで取るといったことができれば健康観察のレベルがとても上がってくるということは、素人ですけれども。 南奈良総合医療センターをつくりましたので、それをデジタルの中心拠点として健康管理するといった構想を、医療にしろ、包括ケアにしろ、福祉にしろ、そのようなことができないかという構想を持っております。これは、(仮称)奈良県南部・東部地域振興条例の中でも、そのような考えが計画の中に定着するよう、また検討を進めたいと思います。
○副議長(和田恵治) 6番山中議員。
◆6番(山中益敏) ありがとうございます。 先ほど知事からも、特に過疎地の方が
デジタル化の恩恵を受ける部分の、これからの可能性が非常に高いということも言っていただきました。各市町村と連携を取りながらやっていただくということでしたので、まさに一人も取り残さない
デジタル化を目指していただくようにお願いしたいと思います。 あとの南奈良総合医療センターとの様々な健康、医療等の連携した今後の取組というのはまたこれから聞かせていただくことにいたします。 そして、もう一問聞かせいただきたいのが、教育長に、高等学校教員の資質を高める上での取組を今、いろいろとやっていただいているということでございました。オンデマンド型の研修、またオンライン研修での支援をしていくということでスタートしていただいているというのも聞かせていただきました。 ちなみに、これは文部科学省から出ている分だと思いますけれど、教員のICT指導力というところ、ホームページに掲載がございまして、ここで奈良県は昨年度から1年間の伸び率というのが非常に大きくて、先生のこういった講習会の参加率というのも非常に高い数字が示されておりました。実際に高等学校教諭、各学校で1名以上という感じでやっていただいているのだと思いますけれど、この辺の伸び率というのが特に高等学校の場合どんな感じか、お聞かせいただければと思います。
○副議長(和田恵治) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) 昨年度に教育情報化推進部を教育研究所に設置いたしました。その教育研究所で先生応援プログラムを、今年度ですとオンラインも含めて実施いたしておりますので、かなりの参加数になっております。今、申し上げましたのは学習指導研究会という教科の研究会での参加の状況でございますので、先生応援プログラムにはかなりの先生方が参加しております。
○副議長(和田恵治) 6番山中議員。
◆6番(山中益敏) ありがとうございます。 まず、そんなふうに多くの先生が、特に高等学校教員の場合は、小中学校と比べまして、今まで、なかなかそういったICT教育と接する部分というのは、もちろんやっていただいていたと思うのですけれども、その辺は比較的少なかったのかと思いますので、そういう意味で、今回、高等学校の部分を取り上げさせていただきました。 それと、先ほど、経済的に大変なところのご家庭に対してもしっかりと県として応援していきますよということで、こちらの方も既にそういった具体的な端末の準備も、もちろんこれは予算のこともございますので、今、話のできる内容ではないかもしれませんが、準備もいただいているということもお聞きしておりますので、しっかりとこの点については進めていただきたいと、こういうように思います。 そうした中で、保健所の体制強化ということにつきましては、先ほど知事からご答弁いただいたように、第5波の特にピーク時の教訓を生かして今後取り組んでいただくということでした。私も保健所で伺ったのは、例えば、10万人当たりの感染者数の傾向が出てきたときに、もう既にこの人数を超えたらこの保健所では人員の動員をかけていただいて応援をということも、随分とこの辺は覚知されているようでしたので、事前の準備ということで対応いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それと、軟骨伝導補聴器の拡充につきましては先ほどご答弁いただいたとおりで、令和4年度から、これは予算的なことがございますのでこれからのことにはなりますが、補助制度の対象としていただき活用いただくように、ぜひとも市町村が窓口になりますので、市町村におきまして、これが対象になったということを周知徹底していただきますようお願いしたいと思います。 それと、水管橋につきましては、厚生労働省で、こういった水管橋の今後の本体そのものの更新事業であったり、また、耐震化であったりというところにつきましては、生活基盤施設耐震化等交付金で、見ていただけます。これは3分の1ですから、33.3%。そこに総務省から交付税措置として8.3%、およそ全体の工事費から見ますと41.6%が補助金ということで、国から確保されると思います。そういう財政的なスキームもございますので、今、対象となる、早急に修繕等をしなければならない橋、水管橋はないというご答弁でございましたけれども、そういった財政スキームもできましたので、しっかりと市町村と連携を取りながら、ぜひともそういったことも発出していただいて対応いただければと、このように思います。 それと、県営住宅のバリアフリー化でございます。特に後づけエレベーターの設置ということは、私どもも、財政的にも、また、技術的にも課題が多いということは十分認識しておりますが、現在、高齢化への対応というのは主に住替えという対応でしていただいていると思います。先進事例のそういった後づけエレベーターを設置されているところと比べれば、まだまだ奈良県としては進めていただきたいところがあると思います。そういう意味で、また引き続いて、しっかり検討も含めてしていただきたいと思いますので、要望しておきます。 以上で私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 次に、9番小林誠議員に発言を許します。--9番小林誠議員。(拍手)
◆9番(小林誠) (登壇)改めまして、皆様、こんにちは。生駒郡安堵町、斑鳩町、三郷町、平群町選挙区選出の小林誠です。今、日本維新の会は3名しかいません。残念ながら一般質問の機会がなく、代表質問しかございませんので、久しぶりの登壇でございます。粗相をするかもしれませんが、温かくお見守りいただければ幸いでございます。また、本日いつもより10分短い代表質問でございますので、早速ではございますが、ご質問させていただきたいと思います。 初めに、私立高等学校の授業料無償化について、知事にお伺いいたします。 1人当たりの教育費の増加と長引く
新型コロナウイルス感染症の影響が子育て世代の家計を直撃しています。私立高等学校の年間授業料は増加傾向にあります。文部科学省の調査によれば、私立高等学校における初年度の授業料の平均額は、令和2年度時点で43万3,991円、3年前の平成29年度から約3万8千円の増加となっています。 背景としては、少子化が進む中において生徒の争奪戦を繰り広げる各校が、グローバル人材の育成などの特徴的な教育方針を確立するために進めている環境整備や教職員の拡充などの働き方改革の進展に伴うコスト増があると思われます。また、コロナ禍で遠隔授業などの整備費などが増えている状況もあるとお聞きしております。 ご家庭に目を向けますと、小売物価統計調査を基に学びのコストを試算された日本経済新聞の記事によれば、授業料以外でも習い事の月謝が値上がりしたり、入学時だけの出費となりますが、制服は生地価格などの上昇で、男子で約9%、女子で約6%高くなっているなど、様々なデータから子育て世帯の家計が圧迫されていることが分かります。 一方で、給与所得はほとんど変化していません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の月額賃金は、2020年で平均30万7,700円、2016年からの伸び率は1%にとどまっています。さらには、昨年から続いた
新型コロナウイルス感染症拡大の影響等を背景として、非正規雇用の方を中心に雇用状況が悪化するなど、子育て世代を取り巻く経済情勢は厳しい状況が続いております。 今や日本の高等学校進学率は99%近くに上ります。中学卒業後、ほとんどの生徒が高等学校への進学を希望される中、家計の状況が厳しいご家庭では、教育費の問題から公立高等学校しか選択できない状況にあります。しかしながら、通学エリアの問題など、様々な事情で公立高等学校を選択することが難しい状況にある方がいらっしゃるのも事実です。こうした方が安心して私立高等学校に通える支援が必要であると考えます。また、家計の状況に関わらず、誰もが安心して公立高等学校と私立高等学校の両方を進学先の候補とし、各校の教育の特色や実績を踏まえ、自身に最適な学校選びができる環境が整えば、各校の教育の質の向上に向けた取組を促すことにもつながるのではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 教育にかかるコストが年々上昇する中、コロナ禍が追い打ちとなり子育て世代の家計が大きく圧迫されていると考えられます。教育の機会均等の観点から、本県において私立高等学校における授業料の無償化の対象を拡充するべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、県立高等学校におけるICT環境の整備について、2点教育長に伺います。 1点目は、県立高等学校の生徒が使用するパソコン等についてです。 国は子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて、GIGAスクール構想を提唱しています。私は、その構想の中で提示されているICT環境は場所や年代に関わらず、児童生徒一人ひとりに等しく提供される必要があり、県立高等学校や特別支援学校等の県立学校においても小中学校と同じタイミングで、同等の方式で、同等の環境が整えられるべきと考えています。 令和3年8月現在の文部科学省の調査においては、都道府県立の高等学校における1人1台端末の整備について、設置者の負担としている自治体が18、保護者の負担を原則としている自治体が21、検討中としている自治体が8となっています。奈良県はBYOD方式という保護者負担を原則として整備を進められております。しかし、先ほどの質問でも述べましたように、給与所得が増えない中で、教育にかかる費用はますます増加しております。BYOD方式によるパソコン等の整備は保護者にさらなる負担を与えることになり、ひいては生徒にも跳ね返ることになります。他のことに使える家計のお金をパソコン等の購入に充てざるを得ないことで、家計の厳しいご家庭の子どもたちにとっては、ますます必要なところにお金が回ってこないことになります。 しかし、それは子どもたちに責任があるのでしょうか。大人の都合ではありませんか。財政的な問題、予算の問題、学校環境の問題であって、未来に生きる子どもたちの無限の可能性を信じていない、子どもたちに投資をためらっている大人の側の都合だと私は考えています。子どもたちの能力や未来を信じ、私たち大人がしっかりと投資することが未来に対する1つの責任の果たし方だと私は考えています。子どもたちに背負わすのは借金ばかりではなく未来への希望であってほしい、そう私は願っております。 そこで、教育長にお伺いいたします。 本県の県立高等学校においては生徒が授業で使用するパソコン等を生徒自身が購入するBYOD方式で整備する予定ではございますが、生徒の家庭への負担軽減のため教育委員会が購入する府県もあります。本県についても同様の手法により整備するべきと考えますが、いかがでしょうか。 2点目、ICT環境の整備についてです。 奈良県下の市町村の小中学校では、令和3年の初めには1人1台端末が整備されるのに合わせて、授業で用いる電子黒板等が整備されましたが、奈良県立高等学校においてはごく一部の学校に整備されているだけにとどまっています。中学校で、1人1台端末や電子黒板等が設置された環境下で学習していた子どもたちが大きな期待を胸に高等学校へと進学すると、1人1台端末ではなく、自分たちの携帯電話の画面を使った教育環境であり、教室においてはこれまであった電子黒板等もない環境で、さぞ、びっくりされたことだと思いますし、実際、保護者の方からもそのような声をお聞きしています。 現在、学校の普通教室や特別教室などで非常に大きな効果が認められ、最も広く活用されているICT機器がいわゆる電子黒板等の大型提示装置です。GIGAスクール構想で生徒に1人1台端末が配付されても、授業で先生が説明する際には生徒たちの視線を集めて対話し、授業の内容をしっかり理解させることが大切であることは全く変わりません。電子黒板等はそのための強力な道具となります。伝統的な黒板やチョークの役割を補い拡張する道具として、ICTにそれほど詳しくない先生でも全ての授業で簡単に活用することができます。生徒が使っている紙の教科書を大きく拡大して提示し、全ての生徒にどこを注目すればいいのか手で指し示したり、写真、イラスト、動画などの画像、英語の音声や音楽を再生したりして、様々な内容を多面的に深く理解することができるようになります。これまでの黒板と、それぞれの特徴を生かして上手に組み合わせることが大切であると考えます。また、電子黒板等に接続して様々な教材を提示するためには、指導者のパソコンも必要となります。 そこで、教育長に伺います。 県立高等学校におけるICT環境の整備について、授業で用いる電子黒板等や指導者用のパソコンの整備が必要となると考えますが、どのように進めていかれるのか、お聞かせください。 次に、児童・生徒の相談支援体制について、2点教育長にお伺いいたします。 1点目は自殺予防の取組についてです。 教育委員会並びに学校関係者の皆様には、日頃より、自殺対策基本法等に基づき、児童生徒の自殺予防の取組の充実に積極的に取り組んでいただいているところです。 しかしながら、近年、自殺者全体の総数が減少傾向にあった中でも、児童生徒の自殺は後を絶たず、極めて憂慮すべき状況が続いており、また、人の目の届きにくいSNSを利用し、自殺願望を投稿するなどした高校生等の心の叫びに付け込んで、言葉巧みに誘い出し殺害するという極めて卑劣な事件も発生しております。 また、自殺対策白書の資料でも指摘されているとおり、18歳以下の自殺は学校の長期休業明けにかけて増加する傾向があります。そのため、これらの時期にかけて、学校として生徒児童の自殺予防について組織体制を整え、取組を強化することは、児童生徒の尊い命を救うことにもつながります。 青少年期の心の健康は、その後の人生の基礎となる重要な課題です。コロナ禍の今こそ、子どもの自殺予防の取組を加速するべきだと考えております。いじめが唯一の原因となって生じる自殺もあり、そのような場合には慎重かつ徹底的に事実関係を知る必要があります。 しかし、同時に、子どもの自殺の多くは様々な原因からなる複雑な現象でもあることを忘れてはなりません。子どもが経験しているストレス、心の病、家庭的な背景、独自の性格傾向、衝動性などは様々であり、児童生徒を多面的に理解するためには、家庭、地域、学校、関係機関の協力が欠かせません。 自殺は孤立の病とも呼ばれています。子どもが発している救いを求める叫びに気づいて、周囲との絆を回復することこそが自殺予防につながります。自殺が現実に起きてしまう前に、子どもたちは必ず助けてという必死の叫びを発しています。学校で毎日のように子どもに接している教師の皆様は、この叫びを最初に受け止めるゲートキーパーでもあります。担任の先生には1人で問題を抱え込まずに、周囲の同僚や子どもの家庭、医療や福祉機関などと協力してこの問題に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、教育長にお伺いします。 コロナ禍の中で全国的に中高生の自殺が増加していると聞きますが、県教育委員会において、自殺予防のための相談支援にはどのように取り組んでおられるのでしょうか。 2点目は教職員と児童生徒の間におけるスクール・セクシュアル・ハラスメントについて、近年、セクシュアル・ハラスメントについては社会に浸透してきたかもしれませんが、教職員と児童生徒の間におけるスクール・セクシュアル・ハラスメントについてはまだまだ対策が講じられていないと考えております。児童生徒が学ぶ学校において絶対にあってはならないことであり、事案が発生した場合には速やかに被害者の救済・保護を行うとともに、事実の究明を行い、厳しく対応することが求められます。 教職員である大人と子ども、指導する側とされる側という関係の下、児童生徒は拒否し難く、逃れられない状況の下で発生することが多く、児童生徒の心に深い傷を与え、その後の成長に大きな影響を与えることになり、個人としての尊厳や人権を侵害するものであると考えます。 スクールセクハラ等の行為は、日々高い使命感を持ちながら児童生徒の指導に取り組んでいる多くの教職員の誇りを傷つけ、信頼を著しく失墜させるものです。そして、教諭ご自身の人生をも棒に振ってしまう愚かな行為です。 しかし、残念なことに、奈良県でも一部の教職員の中には不祥事を起こす方がおられます。昨年度もわいせつ事案で教諭が逮捕されるという事案が発生しています。児童生徒が安心して学習に専念できるよう、さらに視野を広げたスクールセクハラの防止・減少に取り組む必要があると考えます。 そこで、教育長に伺います。 県教育委員会において、スクール・セクシュアル・ハラスメント等を防止するための相談支援にどのように取り組んでおられるのでしょうか、お聞かせください。 続いて、消費者教育の充実について、教育長に伺います。 平成30年6月の民法の改正により、令和4年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳から1人で有効な契約をすることができるようになる一方で、保護者の同意を得ずに締結した契約を取り消すことができる年齢が18歳未満となることから、主体的に社会の一員として行動する自立した消費者の育成のため、また、若者の消費者被害の防止・救済のため、消費者教育の充実を図ることが求められています。成年になる直前の時期、すなわち高等学校等における消費者教育の充実が重要であると考えます。 消費者庁では高校生向け消費者教育教材、社会への扉を作成し、平成30年度から令和2年度を集中強化期間として実践的な消費者教育を推進してこられました。高等学校における社会への扉等を活用した授業の実施について、一覧にまとめて公表されていますが、全国での実施状況が86%のところ、奈良県での実施状況は75%と、他府県に比べて低くなっています。実施状況が100%となっている県もあり、そういうところでは消費者教育に力を入れられているとも伺います。様々な方法で消費者教育に取り組むことができるとは思いますが、いずれにしても、社会において消費者として主体的に判断し、責任を持って行動できる力をはぐくむ必要があります。 そこで、教育長に伺います。 改正された民法が令和4年4月に施行されることに伴い、成年年齢が引き下げられ、18歳以上の方が父母等の同意なく1人で有効な契約を締結できるようになることから、県立学校における消費者教育の強化が必要であると考えますが、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、市町村税の徴収率向上と適正課税の推進について、知事に伺います。 長引くコロナ禍が市町村の財政にも大きな影響を与えています。令和2年度の市町村普通会計決算を見ますと、全国ベースではございますが、主に法人市町村民税が大きく落ち込んだことにより、市町村税全体で、令和元年度と比べて約2千億円、1%の減収となりました。今年度に入っても給与所得者の収入は引き続き減少していると思われるほか、中小企業をはじめとした法人の経営状況は依然として厳しい状況が続いています。こうした経済情勢は市町村税の税収に直接影響を与えますし、また、コロナ禍に対応するための徴収猶予などによる税収への影響も懸念されるところです。 本県では市町村税の徴収率が全国平均を下回る状況が続いてきました。奈良県におかれても市町村と連携した共同徴収体制により徴収率の向上を支援してこられました。その効果もあって、令和元年度まで、県内市町村の徴収率は年々上昇してきました。全国平均との差も縮小傾向にあります。しかし、いまだに全国平均との差が1%程度あり、また、全国的にも同様の傾向だと思いますが、令和2年度の徴収率は17年ぶりに前年度を下回ったところです。税収は歳入の根幹ですので、今後も一層、徴収率向上の取組が必要であると思います。 また、適正課税の取組も重要であると考えております。一例をご紹介しますと、市町村の税収全体の約4割を占めるのが固定資産税です。この税は土地、家屋以外にも、事業用の機械、設備等の償却資産も課税の対象となります。この償却資産への課税は所有者の申告によってなされることになっており、市町村によっては適正課税の取組に温度差があると言われています。 本県においては平成28年から、税の公平性確保に向けて、償却資産への課税強化に意欲的な大和高田市など6市が連携し、取組を進めておられます。また、町村でも、例えば河合町においては、外部監査による指摘をきっかけにこの課題に取り組み、約5千万円の税収を確保したと聞いております。こうした取組については、もとより市町村で適切に対応するべきことではございますが、県としても市町村をしっかりと支えていただければと思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 本県では市町村税の徴収率が全国平均を下回っている状況ですが、県としてどのように市町村の支援に取り組んでおられるのでしょうか。また、償却資産への課税を含め、課税の適正化を一層推進する必要があると考えますが、どのように市町村の支援に取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いいたします。 最後に、汚水処理事業の広域化・共同化について、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 下水道をはじめとする汚水処理施設の事業運営は、国民の暮らしの安心・安全の確保と豊かな水環境の保全に不可欠な存在です。一方で、施設の老朽化に伴う大量更新期の到来や人口減少に伴う使用料収入の減少、職員数の減少による執行体制の脆弱化等により、その経営環境は厳しさを増しております。持続可能な汚水処理事業経営の実現に向けて、効率的な管理の一体化や事務処理の共同化を推進して、地域で一体となった財政基盤や技術基盤の強化を行う必要が一層求められているところでございます。 このような中、経済財政運営と改革の基本方針2017において、上下水道等の経営の持続可能性を確保するため、2022年度までの広域化を推進するための目標を掲げることが明記され、また、経済・財政再生計画改革工程表2017改訂版においては2022年度までに全ての都道府県において広域化・共同化に関する計画を策定することが汚水処理施設の広域化を推進するための目標として掲げられたところであります。 汚水処理事業における広域化・共同化とは、複数の処理区の統合や下水汚泥の共同処理、複数事業の管理の全部または一部を一体的に行う等の広域的な連携により、事業運営基盤の強化を図ることを指します。このような広域化・共同化計画で位置づけられた事業を推進し、経営の持続可能性を確保することで、水環境の保全、処理水の再利用、汚泥の利活用、災害への脆弱性対策にもなると考えられるのではないでしょうか。 以上のことから、今後、広域化・共同化を検討するにあたり、県と市町村の役割分担の下、汚水処理事業に関わる基礎調査、広域化・共同化メニュー案の検討、広域化・共同化計画への位置づけに向けた具体的な検討等を行い、短期的、中期的、長期的なスケジュールを示した広域化・共同化計画の策定に着手することが求められております。 そこで、県土マネジメント部長に伺います。 国はスケールメリットを生かして、効率的な汚水処理事業の管理が可能となる広域化・共同化を進めるため、全ての都道府県に、令和4年度までに汚水処理の事業運営に係る広域化・共同化計画の策定を求めていますが、県としてはどのように考えておられるのでしょうか。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(和田恵治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)9番小林議員からは私に2つの質問がございました。 最初のご質問でございますが、私立高等学校の授業料無償化の対象を拡充すべきではないかというご質問でございます。 本県では、私立高等学校等の授業料を軽減するための支援について、国の就学支援金制度と県の授業料軽減補助制度を併せて実施しているところでございます。 国の就学支援金制度につきましては、ご家庭の経済状況に関わらず、学ぶ意志のある全ての高校生等が安心して教育を受けることができるよう、ご家庭の教育負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与するものとして、令和2年度に制度が拡充されたところでございます。 具体的には、私立高等学校等に通う年収590万円未満のご世帯については39万6,000円を支援しております。全国の私立高等学校授業料の平均水準まで支援されているところでございます。 加えまして、県の授業料軽減補助制度につきましては、ご家庭の経済事情のために進学を諦めることがないよう、低所得者層の就学支援という考え方に基づき制度を設計しております。令和2年度に支援を拡充したものでございます。 県の制度は、授業料だけでなく、ご家庭が学費として負担している施設整備費等も補助の対象に加えております。この結果、国の制度と県の制度を併せ、所得階層に応じ、最大57万円までを支援しているところでございます。 令和2年度の制度拡充により、県の授業料軽減制度は一定完成したものと考えております。今後もご家庭の経済事情により生徒が進学を断念することのないよう、本制度は着実に周知、実施してまいる所存でございます。 2つ目のご質問でございますが、市町村税の徴収率向上と適正課税の収支について、どのように県は支援に取り組むのかという問合せでございます。 市町村税の徴収率は市町村の財政健全化を進める上で重要な目標の1つと考えております。奈良県における市町村税の徴収率は近年、上昇傾向にはありますが、全国平均を下回っており、さらなる取組が必要であると認識してきておりました。 県と市町村が協働して税収確保を図るため、平成24年度に設置いたしました地方税滞納整理本部におきまして、徴収率向上に向けた
奈良モデルの取組を推進しております。市町村の徴収を県が助けましょうということが基本になっております。 具体的には、県職員を市町村へ派遣し、滞納整理や徴収技術向上のための指導・助言を行っております。平成30年度からは徴収経験豊富な国税庁OBを県税事務所に配置し、市町村への随時派遣による滞納整理を積極的に進めております。 また、毎年11月から12月にかけて、県と市町村で滞納整理強化月間を設け、差押えの強化を図るとともに、差押不動産の合同公売を実施しております。 さらに、昨年度からは、徴収率の向上が進まない小規模市町村などに対し、伴走型支援として、専門家による個別相談や徴収対策研修を行っております。 また、先進事例にも学ぶことをしてまいりました。例えば、高知県の松本安芸市長や広島県の小村呉市長から気迫にあふれる取組を教えていただいたこともございます。 今後も、市町村の実情に応じたきめ細かな支援を行い、徴収体制の強化、未収額の圧縮、徴収率の向上に努めてまいりたいと思います。 次に、償却資産の課税徴収率向上についてのご質問でございますが、償却資産を含む適正課税の推進につきましては、これまで償却資産に関する研修会を開催し、市町村職員の専門知識やノウハウの習得をしてまいりました。市町村の徴収能力向上が課題だという考え方でございました。また、市町村の税務担当課長を集めた会議で課税に関する好事例を周知するなど、適正課税の推進を図ってきております。 一つ一つ具体的に細かいことの積み重ねでございますが、今後も引き続き、市町村における償却資産を含む固定資産などへの適正な課税を支援してまいりたいと思います。私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)9番小林誠議員のご質問にお答えいたします。私には大問で3つの質問いただいておりまして、1つ目はICT環境の整備について、BYOD方式より公費負担にすべきとのお尋ねでございます。 高校生にとってパソコンは自分で購入すべきか、公費で貸与すべきかとの判断になりますが、県教育委員会では、基本的には自分で購入すべきとの結論に至りました。 理由の1つ目です。パソコンを自分で購入することにより、多種多様な使い方が身につき、自己の視野や可能性を広げるツールであることをより自覚できると考えております。 2つ目には、大学や社会では自分のパソコンを活用する機会が圧倒的に多くなります。高等学校から自分のパソコンを利用する方が効率的だと考えております。 3つ目には、貸与されたパソコンは最終的には初期化する必要がございます。返却時にみずから蓄積した学習データ等を別途保存するということも必要となります。 4つ目には、多用途に対応できるよう、マイクロソフトのオフィスやAdobeのイラストレーター等、アプリケーションソフトを無償で提供することに力を入れております。 以上の理由で、BYOD方式で整備いたしますが、低所得者への配慮は必要と考え、今年度中に貸与するパソコンを準備いたします。ChromeOS限定となるなど、一定の制限を受けることになりますが、コンピューター室でウインドウズパソコンの利用も可能といたしております。 高等学校でも画一的に同じOSやスペックの機種を公費で貸与することは、本当に生きる力につながるのでしょうか。生徒のICT活用に対して一律に一定の成果を求めるため、教え込み型の教育につながり、本県が進める、多様性を重視する本人のための教育とは相容れないと私は考えております。 次に、電子黒板や教員用のパソコン整備についてお尋ねでございます。 電子黒板につきましては、令和2年度より奈良高等学校と青翔中学校・高等学校に配置し、通常の授業のみならず、探究的な学び、生徒の研究発表など、様々な場面で活用いたしております。特に青翔中学校においては、1人1台端末も導入されており、それらを組み合わせ、板書にかかる時間を削減し、その時間を思考や協働学習に充てるなど、ICTを効果的に活用した対話的な学びが実践されております。 他の県立学校においては、複数の企業の協力の下、18校に23台の電子黒板を配置し、実際の授業で活用しながらその効果を検証することといたしております。 それぞれの学校では、電子黒板を有効に利用するために、専用パソコンの設置、教科書等を拡大提示する書画カメラとの併用により、質の高い対話型の学びが実践されております。 次年度からは教員もBYOD方式を導入いたします。チョーク&トークと言われる講義形式の授業とは決別し、ICTを活用した対話型授業を全校で推進してまいります。 2つ目は児童生徒の相談支援体制について、自殺予防のための相談支援にどのように取り組んでいるのかとのお尋ねでございます。 議員お述べのとおり、日々児童生徒と接する学校の教職員は、子どもの心の叫びを最初に受け止めるゲートキーパーでもあり、児童生徒の僅かな変化に気づき、周囲の同僚や子どもの家族、関係機関と協力し、必要な支援を行うことが大切です。 そこで、県教育委員会では昨年度、教職員の児童生徒のSOSを受け止めるスキルを向上させるために、研修テキスト「子どものSOSを受け止めるために」を作成し、全公立学校職員に配布いたしました。 本年度は研修テキストを活用し、市町村立学校の全教職員にはオンライン形式で、全県立学校の全教職員には学校ごとに対面形式で研修を実施いたしました。研修を通して児童生徒の自殺の兆候の早期発見と自殺の危機が高まったときの対応について理解を深めております。 子どもへの相談体制については電話教育相談、あすなろダイヤルや、メール相談窓口、悩み なら メールに加え、今年度新たにLINEによるSNS相談窓口、ならCocoroラインを開設いたしました。10月末時点では、電話相談は101件、メール相談は104人・337件、SNS相談は107人・2,145件の相談がございました。主な相談内容は友人関係、学業・進路、心身の健康等になっており、必要な支援を行っております。今後も相談機会の確保と支援の充実に努めてまいります。 次に、スクール・セクシュアル・ハラスメント等を防止するための相談支援の取組についてお尋ねでございます。 教職員等による児童生徒への性暴力等は児童生徒の権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復しがたい心身に対する重大な影響を与えるものであることから、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が令和3年6月4日に公布されました。一部の規定を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において施行することとされております。 県教育委員会ではこの法律の趣旨にのっとり、市町村教育委員会と共同で、9月1日からオンラインによる教育職員等による児童生徒性暴力等の相談・通報窓口を設置し、運用を現在開始いたしております。通報等があれば、県教育委員会と学校等を所管する市町村教育委員会に同時に連絡が届き、迅速な対応が可能なシステムとしております。また、教育委員会所管外からの通報等の場合にも対応し、関係機関に情報提供することとしております。 現在、教育職員による性暴力等を早期に発見するために、公立小中高等学校の全児童生徒に対して、いじめやハラスメントのない学校にするためのアンケートを、12月11日の人権を確かめあう日に合わせて実施いたしております。年度末までに公表するアンケート結果は、児童生徒がいじめやハラスメントに遭うことがないように、人権尊重の視点に立った学校づくりの推進に役立てたいと考えております。 最後に、消費者教育の充実についてお尋ねでございます。 県教育委員会では、成年年齢の引下げに対して、国が作成いたしました若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムの趣旨にのっとり、教科、公民及び家庭を中心に、外部機関とも連携・協働しながら実践的な消費者教育や金融教育の充実に取り組んでおります。 具体的には、昨年度は県立高等学校36校で、消費者庁が作成した高校生向け消費者教育教材、社会への扉等を活用した授業を実施いたしました。その授業では契約の意義、消費者の権利や責任等について生徒が理解を深めています。また、県立高等学校7校、特別支援学校3校において消費生活センターの出前授業を実施いたしております。 今年度はコロナ禍においても専門家の話を聞く機会が持てるよう、消費者被害についてのDVD教材を消費生活センターと連携して作成し、利用を促進いたしております。 今後は家庭科や公民科といった教科の枠を超えて、総合的な探究の時間のテーマに消費者教育を取り入れるなど、学校全体での消費者教育の強化に取り組んでまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 松本県土マネジメント部長。
◎県土マネジメント部長(松本健) (登壇)9番小林議員より汚水処理事業の広域化・共同化についてご質問いただきました。お答えします。 汚水処理の事業運営につきましては、施設の老朽化や人口減少に伴う使用料収入の減少など、その経営環境は厳しさを増しており、効率的な事業運営が求められております。 そのため、国からは汚水処理事業に取り組む者が連携して、効率的な汚水処理に向けた広域化・共同化計画を令和4年度までに、全ての都道府県において策定することが求められております。 具体的な計画策定はこれからでございますが、本県におきましては、市町村と連携し、県全体の汚水処理について広域的な観点から考えることが重要であると考えております。このため、効率的な汚水処理に向けまして、関係市町村と連携して検討を行っているところでございます。 この検討におきまして、1つ目は市町村のし尿処理場やコミュニティープラントで処理している汚水を流域下水道で処理することによる汚水処理施設の効率化、2つ目といたしまして市町村の下水道管から流域下水道管への接続点の追加による管路施設の効率化、3つ目といたしまして維持管理業務の共同化による管理運営の効率化についても検討を進めているところでございます。 今後も、県・市町村全体で汚水処理事業の効率化を目指しまして、市町村と連携し、令和4年度までの広域化・共同化計画策定に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。
○副議長(和田恵治) 9番小林議員。
◆9番(小林誠) それぞれご答弁、ありがとうございました。 順番にお聞かせ、更問をさせていただきたいと思います。 知事に対しまして、まず1番目の私立高等学校の授業料無償化について知事のご見解をお聞かせいただきました。また違う点についてもお聞かせいただきたいと思います。私立高等学校へ進学するにあたっては、入学時に制服代や学用品に係る費用、入学後には修学旅行の積立金やクラブ活動にかかる費用など、様々な費用が必要となります。これらの費用は私立学校が特色ある教育を展開する上で必要なものと思われますが、子育て世代の厳しい経済状況を踏まえますと、これらの授業料以外にかかる教育費への支援も必要と考えておりますが、知事はどう考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○副議長(和田恵治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 議員がおっしゃいましたように、生徒への支援は授業料だけでなしに、その他関連する費用、制服代や学用品費なども必要ではないかということでございます。県全体の教育振興の上では重要なアイテムであろうかと思います。 このため、私立高等学校に通う生徒に対する制服代、修学旅行費など、授業料以外の費用負担については、授業料軽減補助金とは別に、高校生等奨学給付金により、生活保護世帯や非課税世帯の方を対象に、最大15万円を支援しているところでございます。所得の拡充とか、いろいろな考え方はおありになると思いますけれども、本県では生活保護世帯、非課税世帯を対象に最大15万円を支給して現状に至っているということでございます。
○副議長(和田恵治) 9番小林議員。
◆9番(小林誠) ちょうど11月26日に奈良県の私立の、小学校、中学校、高等学校からの要望書が県と荒井知事にも上がっていると思います。その内容を見せていただいたら、やはり子育て世代の置かれる状況が厳しくなっているというのも分かりますし、私も先ほどから、子どもを持つ家庭の負担感がますます増加しているとも繰り返し述べさせていただいております。 荒井知事から国の私立高等学校等の就学支援金制度についてもご説明がありましたけれども、本県に隣接する大阪府や京都府では、このようなご家庭の実情を踏まえて、世帯年収590万円未満の世帯まで手厚い補助の上乗せがございます。ほぼ無償化が実現しております。本県では、これと比べると、やはり低い補助制度となっております。 高等学校教育の一翼を担っておられる私立高等学校の経営の影響も懸念されることから、日本維新の会といたしましては、奈良県におかれましても、授業料の無償化の対象を拡充していただくことを今後も強く求めていきたいと思っております。要望とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 次に、もう一点、荒井知事にお伺いさせていただきます。 市町村税の徴収率向上ということにつきまして、私も町会議員をしているときに、奈良県にここまでいろいろご支援していただいて、本当にありがたいと思っておりました。そして、最近、償却資産への課税ということを、今、勉強させていただいております。実は生駒市の償却資産への課税の取組が平成28年度の奈良県のがんばる市町村応援表彰で表彰を受けております。平成29年1月の奈良県の市町村サミットで発表されたときに荒井知事のコメントが生駒市のホームページにも載っております。 知事はかねてから、機会があるごとに頑張る市町村を応援することを表明されております。今、39市町村のうち12市町村から、奈良県に対して、こういうことに対してもっと支援していただきたいという思いもございますし、さらには、年に1回は最低こういった償却資産への課税の取組支援を賜りたい、そのような声もございます。なかなか県におかれて、
新型コロナウイルス感染症なのか、予算なのか、その開催がまだ定期的に行われていないのですけれども、ぜひとも知事にご支援を賜りたい。そして、今、頑張っている市町村は、昔に総務省から通達があった、その指導に基づいて頑張っている市町村は、住民や事業者から言われましたら、いやいや、総務省からの通知に基づいてやらせていただいていますというふうな体裁を整えております。ぜひとも奈良県におかれましては、荒井知事の後ろ盾の下に償却資産の課税強化への取組をさせていただきたいと思いますので、ご支援いただきますようよろしくお願いいたします。これも要望とさせていただきたいと思います。 次に、教育長にお伺いさせていただきたいと思います。 なかなか教育長と意見が合わないようでございますけれども、これも2回目の質問でございます。改めて8月の時点で、47都府県のうち設置者の負担とされているところが18もある。また、コロナ禍において、奈良県としても、その18側の立ち位置に立つべきだとも考えております。正直、理由を申し上げていただきましたけれども、物分かりが悪いので、なかなか理解できないこともあるのですけれども、県教育委員会としても影響がある、パソコンの購入には保護者の負担がある。だからこそ修学旅行の積立金も数万円減額されました。そういう影響が、やはり子どもたちにしわ寄せがいってしまうと思っていますので、最後、意見で言い終わってしまいますけれども、奈良県としても、BYOD方式ではなく設置者負担でしていただきたかった、するべきだったと意見を言わせていただきます。 ICT環境の整備について、時間もないので、これも意見だけさせていただきます。この整備は昨年度から決まっていました。今から来年10月の大型モニター等の設置、整備ではなく、昨年度から今年度ではなく、昨年度から2年後となっておりました。この間、1年半、高校生になって生徒が残念だと。制度のはざまに、1年半も大型モニターがない、そういった子どもたちが二度と出ないように、県教育委員会としてはしっかりと取り組んでいただきたい。時代の転換期にこういったはざまの子どもたちが生まれないようによろしくお願いいたします。 次に、自殺予防の取組について、国から自殺対策について、1人1台端末を生かした取組をするように令和3年6月23日付で通知がございました。 その通知に記載されている内容について、奈良県はどのように取り組んでおられるのか、お聞かせください。
○副議長(和田恵治) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) 現在、奈良女子大学の先生に開発していただいた、こころと生活等に関するアンケートを、これはペーパーで実施いたしておりますので、参加する学校が全校ということにもなっていないのも事実でございます。来年度には、1人1台端末からこのアンケート調査をできるように、Google Workspace for Educationのフォームを使いまして、全公立学校の児童生徒を対象にこのアンケートを実施したいということで今、調整いたしております。
○副議長(和田恵治) 9番小林議員。
◆9番(小林誠) 通達が9月に出されたのに12月11日ということは、毎回人権を確かめあう日に行うということでよろしいのですか。
○副議長(和田恵治) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) このアンケートは、人権を確かめあう日に実施したアンケートとは全く違うものです。子どもたちの心の様子とか生活の状態を細かく聞くアンケートになっておりまして、こういったアンケートが、場合によっては、子どもたちに自殺願望があるとか、そういったことも聞けるアンケートになっておりますので、また議員、このアンケートを見ていただいたらと思います。
○副議長(和田恵治) 9番小林議員。
◆9番(小林誠) 時間がないので、少し、今、勘違いしてしまいましたけれども、児童生徒の相談支援体制について、奈良県がすごく先進的なシステムをつくっていただけると担当課の方からお聞かせいただきましたので。
○副議長(和田恵治) 時間が来て。
◆9番(小林誠) 39市町村に波及していただきますようによろしくお願いいたしまして代表質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○副議長(和田恵治) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。 --------------------------------
○副議長(和田恵治) 12番西川均議員。
◆12番(西川均) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。
○副議長(和田恵治) お諮りします。 12番西川均議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。 (「異議なし」の声起こる)
○副議長(和田恵治) それではさように決し、明、12月8日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。
△午後4時54分散会...