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06月24日-03号

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  1. 奈良県議会 2021-06-24
    06月24日-03号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 3年  6月 定例会(第346回)令和3年6月         第346回定例奈良県議会会議録 第3号               令和3年6月24日(木曜日)午後1時開議   --------------------------------    出席議員(40名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 川口延良      5番 山中益敏        6番 亀甲義明      7番  欠員         8番 小林 誠      9番 浦西敦史       10番  欠員     11番 池田慎久       12番 西川 均     13番 乾 浩之       14番 松本宗弘     15番 大国正博       16番 太田 敦     17番 佐藤光紀       18番 清水 勉     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 奥山博康       24番 荻田義雄     25番 岩田国夫       26番 小林照代     27番 山村幸穂       28番 猪奥美里     29番 尾崎充典       30番 藤野良次     31番 和田恵治       33番 米田忠則     34番 出口武男       35番 粒谷友示     36番 秋本登志嗣      37番 小泉米造     38番 中村 昭       39番 今井光子     40番 森山賀文       41番 田尻 匠     42番 山本進章       43番 川口正志    欠席議員(1名)     32番 国中憲治   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○議長(山本進章) これより本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(山本進章) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、27番山村幸穂議員に発言を許します。--27番山村幸穂議員。(拍手) ◆27番(山村幸穂) (登壇)皆様、こんにちは。日本共産党の山村幸穂です。共産党県議団を代表して質問します。 菅政権は、オリンピックパラリンピック開催を決めましたが、6月20日の世論調査では、感染拡大の不安がある、86.7%、中止や延期を求めるは6割を超えています。東京では1万人の観客上限の別枠で約90万人の子どもたちが観客に動員される計画で、新型コロナウイルス感染とともに熱中症の危険を免れないと、怒りが沸き起こっています。日本共産党は、明日から始まる都議会議員選挙で勝利して、五輪よりも命を守るために全力を挙げる決意です。 まず、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 奈良県での新型コロナウイルス感染症新規感染者は、第1波92人、第2波533人、第3波2,733人、第4波4,801人と、リバウンドするたびに感染者が増加しており、犠牲となられた方も増えています。 パネルをご覧ください。県民の協力や努力によってようやく新規感染者が減少していますが、大阪府など、近府県の緊急事態宣言が解除されると、またリバウンドするのではないかと心配されています。とりわけインド由来の新型コロナウイルスの変異株、デルタ株の感染力は強いと言われ、現在流行しているイギリス由来新型コロナウイルスの変異株から急速に置き換わると予測されています。既に大阪府、奈良県でも発見されています。第5波とならないように、どのようにこの感染を抑え込んでいくのか、対策が重要です。 日本共産党は、第1にワクチンの安全、迅速な接種を進めること、第2に新型コロナウイルス感染症封じ込めのために大規模検査を実施すること、第3に中小企業が事業継続できる十分な補償、そして第4に医療機関への減収補填に踏み切り、病床を確保するためにあらゆる手立てを取ることを繰り返し提案してきました。 広島県では、全国に先駆け、無症状の感染者を早期発見、保護する体制を整え、東京大学、合原一幸特別教授らの研究、感染症数理モデルに基づき、PCR検査センターや、医療機関と協力して、戦略的な大規模検査に取り組んでいます。広島県では、一時感染爆発の様相であったところから、大規模PCR検査で無症状感染者を早期に発見でき、感染爆発が収束に向かったと、効果を確認できたと話しています。 知事は昨年9月、私の質問に、検査の対象を拡大すること、感染者の早期発見、隔離が大事だと思っている、感染経路の分析に力を注ぎ、検査対象とすべき範囲を適宜見直したいとお答えになりました。県は感染経路を分析して、大阪由来の感染者が60%を占め、大阪から鉄道沿線地域に感染者の発生が集中していると発表しています。このことからも、大阪からの感染をどう抑えるのかが、第5波を抑える大きな鍵となります。例えば、大阪由来の感染者には無料でPCR検査が受けられるようにして、主要駅での検査キットの配布・回収をするなど、感染の蔓延を防止する効果的な対策が必要ではないでしょうか。 知事に伺います。 新型コロナウイルス感染症の第5波の感染を抑え込むには、PCR検査をさらに拡充する取組が必要と考えますが、いかがでしょうか。 政府は、新型コロナウイルス感染が続き、国民に長期の我慢を強いながら、感染リスクを拡大する東京オリンピックパラリンピックを、観客を入れて開催すると決定しました。政府分科会の尾身会長は、開催によるリスクをゼロにはできないと述べており、日本共産党の志位委員長が党首討論で、国民の命を犠牲にさらしてまで開催する理由は何か、とただしましたが、菅首相の答弁はありませんでした。 私たちが奈良市内の街頭で行ったアンケートでは、答えていただいた7割の方が開催中止を求めておられます。運動会や修学旅行も中止なのに、なぜオリンピックはいいのと、子どもたちからも意見が寄せられました。今は新型コロナウイルス感染症の収束に全ての力を集中するよう、県としても、オリンピックパラリンピックの中止を政府に求めていただきたいと思いますが、いかがですか。 次に、県域水道一体化について伺います。 奈良県が覚書を締結して、27市町村と進めている水道事業を一つに統合して企業団を設立する県域水道一体化計画について、市民から疑問や不安の声が相次いでいます。情報を知らない人が多く、県民の意見がどう反映されるのか分からない仕組みになっており、県民的な議論も進んでおりません。 奈良市では、県域水道一体化で20年間据え置かれ、今後も10年以上値上げは必要ないとの見通しである水道料金が、約3割も値上げになること、水源地や浄水場を廃止すれば、水源からの管路が長くなって、水質悪化や災害時の被害が大きくなると心配されています。現在は、奈良市議会で議論されている水道事業について、一体化すれば企業団議会での議論となり、市民の意見は反映されなくなります。県が提案した財政シミュレーションでは、施設の共同利用と国の交付金活用で664億円の効果が出ると試算していますが、その根拠について、奈良市議会では多くの疑問が出され、説明ができない事態となり、財政シミュレーションはご破算にしてやり直すという当局の答弁がありました。これでは、議論の土台から信頼が揺らぐ事態ではないでしょうか。 奈良市の水道事業を担っている職員からは、奈良市の水道事業は来年100年を迎えるが、今、県域水道一体化で、先人技術者の血と汗の結晶である、操業時からの稼働を続けてきた木津浄水場が廃止、奈良市の安定的な水源を求め、苦労の末、掘削、開通させた自然の流下導水路や守り続けてきた須川ダム、その他水道施設は全て企業団へ無償で権利譲渡される。これらは全て奈良市民の財産。奈良市街地のほぼ全てをポンプ等の電力を必要としない自然水圧の高低差だけを利用して自然流下の配水管路のネットワークで造られている。県水に頼らずとも、自前の水源を開拓して守り続け、安定、低廉、安全な水を供給してきた。県域水道一体化で県内全体が最適化すると言うが、奈良市民にとっての安全・安心・低廉な水道水が将来にわたって供給できる保証がない限り、最適化とは言えない、との意見が寄せられています。市民の命の水を守り、技術者として、24時間365日真摯に頑張っている職員の皆さんの痛切な思いです。 水道法では、地方自治体は、その地域の自然的、社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定、実施することとされ、国は、地方自治体水道事業者に必要な技術的・財政的援助を行うように努めなければならないと定めています。 住民の命の水を守るのは自治体の責務です。水道事業は、住民に直結して、その地域の地形や自然と調和して進められてきた、とりわけ重要な自治の仕事です。 そこで知事に伺います。 県域水道一体化は、地方自治を守る点からも、県主導で全ての市町村が参加することありきで進めるのではなく、それぞれの市町村の自主的判断を尊重すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、パブリックコメントや審議会、第三者委員会の開催など、県域水道一体化の検討に当たり、第三者の意見はどのように反映されるのでしょうか。 次に、京奈和自動車道大和北道路トンネル区間の整備について伺います。 昨年10月、東京都の住宅地域で、東京外かく環状道路、直径16メートルのトンネル道路を2本、大深度地下にシールド工法で建設する工事中に、地表の道路が大規模に陥没する事故が起こり、事業者は工事との因果関係を認めました。 パネルをご覧ください。長さ5メートル、深さ5メートルの大きな穴です。現在工事はストップしていますが、住民へ納得できる説明もなく、住民は、国土交通省と東京都に、工事中止と大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止を求める要望を出されています。この高速道路計画は、当初高架で建設予定でしたが、反対が根強く、40年間凍結したところ、用地交渉が要らない大深度地下に計画変更したものです。政府は、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法提案時に、地表には影響がないと説明していました。奈良県でも、京奈和自動車道のうち、世界遺産都市奈良市内の真ん中に地下トンネルで通る大和北道路には、木簡など世界遺産となった地下埋蔵文化財を喪失させるおそれがあることから、大きな反対運動が起こりました。しかし政府は、地下水位の変動は大きくないと、地下ルートを決定しました。実際の工事によって地下水漏れなどが起こった場合、どのように対処するのか。いまだ納得できる対策は示されていません。 実際の工事、しかもその整備目的が国道24号の渋滞対策とのことで、現状の通行量は既に整備計画を作成した当時の予測を下回っている現状であり、整備の必要は見いだせません。多額の地元負担が生じることから、一時は整備を見合せていましたが、奈良県が同意して、国土交通省NEXCO西日本有料道路方式で工事に着手、今年度はトンネルの起点となる(仮称)奈良インターチェンジの用地に関わる予算が計上されております。 トンネル部分は、公表された資料によると、地下40メートル付近に直径13.5メートルのトンネルが2本建設される予定です。平成18年度に奈良県が行った環境アセスメントによって、地下水への影響についてモニタリングは行われていますが、当該地域の地盤や土壌、地歴などは十分に調査されていません。 私たちは、地下40メートルというトンネル工事の安全神話が崩れ、危険性が明らかになった中で、トンネルの高速道路計画は中止すべきと考えます。工事施工は国土交通省が行うものですが、県民の安心・安全を守っていくことは、県の責務です。 そこで知事に伺います。 大深度地下のトンネル工事は、地盤に危険な影響を及ぼすことが明らかになったことから、県としても、国に対して、リスクを十分に調査、把握して、住民説明や安全対策などを行うことをより一層求めるとともに、県民に情報を公開されるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。 次に、行政のデジタル化について伺います。 今国会では、デジタル改革関連法が可決されました。デジタル化で便利になることもありますが、政府が進める方針は、行政が個人情報を集積して、そのデータを企業等に開放し、利活用しやすい仕組みにすることが優先され、個人情報保護がないがしろになっている問題があります。つまり、行政が持っている個人情報をもうけの種として、本人の同意もなく目的外利用し、外部に提供し、企業の利益につなげようとしていると言わざるをえません。 現行の個人情報保護法では、個人情報の取扱いは、利用目的をできる限り特定し、第三者提供はあらかじめ本人の同意を得ることを原則としています。しかし、第2次安倍政権以後、閣議決定で、オープンデータビッグデータの活用を促進するとして、民間事業者や国の行政機関では、保有する個人情報を個人を特定できない加工をして活用しています。これは情報提供の本人同意が必要なく、提供された事実を本人にも通知しません。プライバシー侵害です。法改正により、今後はこの制度を、都道府県、政令市に義務づけ、市町村にも広げます。 現在、個人の特定ができないように、個人情報を加工する非識別加工情報を作成し、利用できるとしている自治体は11あります。また、個人情報を第三者へオンラインで提供すること、いわゆるオンライン結合を制限するなど、個人情報を保護する条例を多くの自治体が持っていますが、今後は、自治体が独自に制定する個人情報保護条例を一旦リセットして、全国共通のルールを政府が決めて、従わせようとする計画です。今後の条例づくりに縛りがかけられます。条例のオンライン結合を制限することを認めないとしており、自治の根幹である条例の制定にさえ介入することは許されないことです。 匿名加工制度地方自治体への適用の義務づけは、自治体への過重負担になり、民間委託となれば、漏えいの危険が懸念されます。情報の連携やデータの集積が進めば、情報漏えいの危険がつきものです。2020年の夏に発覚したドコモ口座の不正引き出しなど、実際の事件でも明らかです。セキュリティ対策に完全はないと言われています。こうした点からも、個人情報保護対策は重要です。 個人情報は、個人情報保護法において、個人の人権尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものとされ、プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。 そこで、総務部長に伺います。 今般の個人情報保護法改正後も、自分のどのような情報が何のために集められ、どのように利用されようとしているのかを知り、不当に扱われないよう拒否することができる仕組みが必要であると考えますが、どのようにお考えでしょうか。 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律は、自治体に国が示した標準システムの利用を義務づけようとしています。画一的なシステムが導入されると、自治体が住民福祉の向上のために独自に行う制度が実施できないという問題が起こります。例えば、ある町では、3人目の子どもの国民健康保険税を免除、65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担免除という提案に、自治体クラウドを利用しているため独自にシステム変更はできないと答弁したり、ある市長が、システムを変更すればコストが増えるから独自策はできないと述べるなどとしています。これでは、自治体は国の決めた枠の中でしか仕事ができず、地方自治の多様性、自治体の自主性を損ねるおそれがあります。 そこで伺います。 情報システムの標準化の中で、住民福祉の増進を図ることを基本とした、地方自治体の住民自治と団体自治を損ねてはならないと考えます。今後、デジタル化を推進する中で、どのように対処されるのでしょうか。行政のデジタル化住民サービス向上を図るとしています。確かに、手続の簡素化、迅速化につながったり、利便性が向上することはよいことです。しかし万能ではありません。コロナ禍での原則デジタル申請という制度によって、持続化給付金家賃支援給付金が受けられない事業者が多数生まれ、災害時の情報麻痺、サーバーの水没などでアナログの方が安定的な状況もあります。新型ウイルス感染症ワクチン接種の申込みでも、インターネットが使えない多くの方が取り残される問題が発生しました。行政サービスは、使える人と使えない人に格差があってはなりません。 そこで、伺います。 住民の多様な要望に応えるために、デジタル化と共に窓口での対面サービスを拡充して、住民の選択肢を保障することが必要と考えますが、いかがでしょうか。 次に、生理の貧困の解決をはじめとしたジェンダー平等社会実現のための取組について、伺います。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本社会の深刻なジェンダー格差を浮き彫りにしました。コロナ不況によって、非正規雇用で働く女性約90万人が仕事を失うなど、女性の貧困は一層深刻になっています。こうした中で、昨年3月、20歳代の方々でつくる「#みんなの生理」が公表したオンラインアンケートが、日本社会に衝撃を与えました。5人に1人の若者が、金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労した、生理中は学校にも仕事にも行けない、夢を諦めざるを得ない、生理に関わる女性の貧困の深刻な実態が初めて告発されたのです。 スコットランドでは、昨年11月に、生理用品を無償提供する法律が成立、イギリスは今年から、生理用品を非課税にするなど、世界中でジェンダー平等を実現するために、女性たちが動き始めました。女性の貧困対策には、男性は仕事、女性は家事という根深い性別役割分業によって、女性の非正規雇用を増やすのではなく、正規、非正規の均等待遇や、男女ともに仕事と家庭を両立できるルールをつくるなど、ジェンダー格差をなくさなくてはなりません。同時に、生理の貧困には、生理用品の購入費用がないというだけではなく、女性の生理・健康についての教育の欠如、生理にまつわる羞恥心、負の烙印、タブーの存在が関係しています。 英国の調査では、27%の女性が「仕事中の生理について理解を全く得られていない」と答えています。ジェンダー平等実現のためには、職場で生理に関する知識や理解を深め、女性が活躍しやすい環境を整えることが大切です。問題の根本解決には、学校での男女ともに正しい性教育や社会的な認識の変化が必要です。これを機に、国会や全国の地方議会で生理の貧困が議論され、無料配布の取組が始まっています。奈良県下でも、新日本婦人の会が学校や公的機関での無料配布を県や市町村に申し入れています。既に18自治体が学校や社会福祉センター、市役所などで無料配布を始めていると聞いています。学校の保健室に取りに行くのではなく、トイレに設置して使いやすい工夫をされている市もあります。しかし、多くが防災備蓄品を活用するなど、一時的なものとなっています。 そこで、こども・女性局長に伺います。 現在、生理の貧困に対して市町村が行っている取組を一過性のものとしないために、県はどのように支援されるのでしょうか。また、社会問題となった生理の貧困の解決には、生理をはじめとした女性の健康問題についての社会の理解を促すことが重要と考えますが、この問題を含め、ジェンダー平等社会を実現するためにどのように取り組んでいかれるのか、伺います。 次に、教育長に伺います。 生理の貧困の解決に向けて、生理用品を県立学校のトイレで無償配布していただきたい。また、男女ともに、性と生殖、健康について正しい知識を教育することが重要ですが、どのように取り組まれるか伺います。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)27番、山村議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染を抑え込むため、PCR検査をさらに拡充する取組の必要性についてでございます。 新型コロナウイルス感染拡大防止のためには、感染者の早期発見が重要だと考えております。議員お述べの感染拡大防止のためのPCR検査については、その重要性を十分に認識しており、本県では、全国に先駆けまして、昨年の6月から幅広い検査を実施しているところでございます。具体的に検査の対象となる方は、発熱や味覚、臭覚障害、倦怠感、息苦しいなどの症状の有無に関わらず、感染リスクのある方全てとしております。当然無症状の方も含まれます。このことは昨年9月議会において山村議員にお答えしたとおりでございます。 また、陽性者が判明した場合、保健所では、その濃厚接触者はもちろんのこと、接触があった方に対し幅広く検査をしております。例えば、陽性者が学生であれば、クラスメートや所属のクラブ員全員に拡大して実施しているところでございます。 次に、検査対象範囲の拡大と併せて検体採取の場を増やすなど、検査体制の拡充にも取り組んでまいりました。具体には、新型コロナウイルス感染症外来ドライブスルー発熱外来クリニックに加えまして、昨年6月には、発熱など感染の心配のある方に、身近な医療機関で検査を受けていただける本県独自の発熱外来認定制度を導入いたしました。 これまで337の病院、診療所を発熱外来認定医療機関として認定しております。その9割近くは診療所でございます。大阪に通勤・通学されている方であっても、ご自宅に近い医療機関で検査を受けていただくことが可能でございます。 また検査能力の拡充により、本県では、1日に5,000件の検査ができる体制を整えておりますが、これまでの検査実績は最大1,600件となっており、余裕がある状況でございます。 今後とも感染リスクのある方は全て検査につなぐという方針で、早期発見・感染拡大防止に努めてまいりたいと思っております。 新型コロナウイルス感染症の関係でオリンピックパラリンピックの中止を、県が国に求めてはどうかというご主張でございます。 東京2020オリンピックパラリンピック競技大会の開催につきましては、主催者でありますIOC、IPCと、東京都、公益財団法人東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会に加え、政府など関係機関で協議をされて決定されているところでございます。 安全・安心な大会の開催に向けて、主催者などにおいて準備を進めていただいておりますし、また、安全・安心な大会の開催は、全国民が望むところでございます。 開催について様々な意見があることは、報道等で承知しておりますが、本県ではオーストラリアの女子サッカー選手が奈良市で事前合宿されることに、先般歓迎を申し上げたばかりでもありますし、本県としては国に中止を求めることは考えておりません。 県域水道一体化についてのご質問がございました。県主導で全ての市町村が参加することありきで進めることは遺憾ということでございます。 人口が減少する中で、生活インフラをどのように維持するかというのは、我が国のみならず、我が県でも大きな課題でございます。県域水道一体化は、その解決策となり得る考え方だと思っております。 県域水道一体化につきましては、本年1月25日に、基本的事項について関係29団体で合意し、水道事業等の統合に関する覚書を締結いたしました。水需要の減少や施設の老朽化など、水道事業が抱える課題への認識が一致したわけでございます。一体化の実現へ、具体的な協議・検討を進めることで合意できたことは、大きな前進と考えます。 今後は、関係団体の長で構成する企業団設立の準備協議会を設置し、協議を重ね、令和4年度中に施設整備計画や、財政運営などを取りまとめた基本計画の策定と、一体化参加の最終判断になります基本協定の締結を行い、令和6年度に企業団設立、令和7年度に事業開始というスケジュールで進めていく予定でございます。 関係市町村には、主体的に協議・検討に関わっていただき、一体化の効果を見極めた上で、参加の是非は各市町村の自主的判断で行っていただくことになっています。全ての市町村参加ありきではございませんので、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。覚書に参加されていない大和郡山市について見ても、自主的判断を尊重していることはお分かりになると思います。また、検討に当たりましては、県議会議員、学識経験者、消費者の団体等で構成される奈良県営水道事業懇談会において、検討内容を報告し、意見を伺うことにしているところでございます。 次のご質問は、京奈和自動車道大和北道路トンネル区間の整備についてでございます。 京奈和自動車道は本県の重要な社会資本であることから、県の重要施策として取り組んでおります。これまで奈良県内では、延長約48キロメートルのうち約31キロメートルが供用しており、企業立地に大きな効果が現れております。奈良県内の令和2年度の新規企業立地件数は28件でございますが、全国8位のランクでございます。さらなる効果発現のためにも、残る区間約17キロメートルの早期整備が必要と考えております。 議員ご指摘の大和北道路の(仮称)奈良北インターチェンジから(仮称)奈良インターチェンジの間の約6キロメートルにつきましては、並行する国道24号をはじめ、奈良市内を通る南北幹線道路の混雑緩和に効果を発揮するとともに、住民生活及び物流産業への支援、世界遺産間の広域的な観光周遊性の向上が見込まれる、奈良県にとっても必要不可欠な事業と認識しております。 この区間においては、地下トンネルが計画されております。国土交通省NEXCO西日本で事業を進め、現在、設計等を実施されていると聞いております。 その関係で、議員がお述べの東京外かく環状道路の陥没事故についてでございますが、令和2年10月18日に東京都調布市のシールドトンネル工事直上の地表部で発生し、同地中部で空洞があることは確認されました。その後、「東京外かく環状道路トンネル施工等検討委員会有識者委員会」を設け、検討が行われた結果、今般の東京外かく環状道路事業における陥没・空洞については、細粒分が極めて少ない層が掘削断面にあり、単一の流動化しやすい砂層が地表付近まで続くなどの特殊な地盤条件下で、シールドカッターが回転不能になる事象を解除するために行った作業に起因するものと推定され、トンネル掘削に当たっては、過剰な土砂を取り込まないなどの再発防止対策が取りまとめられたところと聞いております。技術的で少し分かりにくい面がございますが、再発防止対策が、このような特殊な事情で発生した陥没事故に対して、取りまとめられたと理解しております。 京奈和自動車道大和北道路の事業者である国土交通省NEXCO西日本におきまして、東京外かく環状道路の対応は注視していただいているのは当然でございますが、大和北道路の地盤状況を踏まえ、安全に工事が実施できるよう、設計等を行うと聞いております。 県といたしましては、国土交通省NEXCO西日本において、このように安全に工事を実施していただけるものと考えており、県としても、今後、情報収集に努め、事業者が住民へ説明を行われる際には、県も協力してまいりたいと考えております。 残余の質問は、部長等からご説明を、ご答弁をさせていただきます。 ○議長(山本進章) 土屋総務部長。 ◎総務部長(土屋直毅) (登壇)27番山村議員のご質問にお答えいたします。 私には、行政のデジタル化に関しまして3点お尋ねいただきました。 1点目は、今般の個人情報保護法改正後も、引き続き個人情報の利用目的が明示され、必要に応じて利用の停止ができる仕組みが必要ではないかとのご質問でございます。 本年5月に個人情報保護法が改正されまして、デジタル社会の進展に伴う個人情報の利用の著しい拡大に対応するため、これまで、国、地方公共団体、民間事業者でそれぞれ異なっていた個人情報保護の取扱いについて、全国的な共通ルールが設定されました。地方公共団体に対しては、令和5年5月18日までに適用されることとなっております。 議員ご質問の、個人情報の収集及び利用の目的の明示や利用の停止を求めることにつきましては、現行の県の条例におきまして、個人情報の収集の際にはその目的を明確にすることや、収集目的などを記載した個人情報取扱事務登録簿を一般の閲覧に供することなどが規定されております。また、自分の情報が収集・利用・提供の制限に違反して取り扱われていると思われる場合には、利用停止や消去などを請求できることが規定されております。 改正後の個人情報保護法におきましても、個人情報の利用目的を特定し、本人に明示することや、利用目的などを記載した個人情報ファイル簿を公表することが規定されております。また、自分の情報が利用の制限等に違反して取り扱われていると思われる場合には、利用の停止や消去などを請求できることも規定されております。改正法の施行後におきましても、これまで同様、個人情報の適正な取扱いに努めてまいります。 2点目は、地方公共団体の情報システムの標準化がなされることで、住民自治・団体自治を損ねることのないようどう対処するのかとのご質問でございます。 令和3年5月に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が成立し、情報システムによる処理の内容が各地方公共団体において共通するなどの17の対象事務につきまして、情報システムの標準化が進められることになりました。これは、調達先の一社独占を防止することや、制度改正などに伴うシステム改修費用の軽減などを目指すものと承知しております。システムの標準化によりまして、地方の独自施策が実施しにくくなるのではないかとの議員ご懸念の点についてでございますが、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第8条第2項におきまして、地方公共団体の独自サービスを標準化対象事務とシステム上一体的に処理することが効率的であると認める場合には、標準仕様のシステム機能などに必要最小限の改変や追加を行うことができることとなっております。 また、17の標準化対象事務の具体の内容は、今後政令で明らかになるものでございますが、市町村の事務が多く見込まれます。県の事務としましては、児童扶養手当や生活保護などが対象となる可能性があると認識しておりますが、これらのシステムは、現時点で奈良県独自にカスタマイズしていないため、直ちに影響はないと考えております。 なお、地方公共団体システムの標準化に関する法律では、国が標準仕様を定めようとするときには、あらかじめ地方公共団体の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない旨が規定されており、今後標準仕様が提示されたときには、内容を精査し、必要に応じて意見を述べていきたいと考えております。 3点目は、住民の多様な要望に応えるため、デジタル化とともに、窓口での対面サービスを拡充し、住民の選択肢を保障することが必要だとのご指摘でございます。 行政サービスは、年齢や障害の有無、性別、国籍、経済的な理由などにかかわらず、全ての県民が享受できるようにすべきものであります。これは行政サービスデジタル化を進めていった場合でも、同様と考えております。 このため、行政サービスデジタル化に当たり、デジタル機器に不慣れな方でも容易に操作ができる画面等の設計や、外国人利用者向けの申請画面等の多言語化を進めるほか、高齢者等がオンラインによる行政手続・サービスの利用方法について、身近な場所で相談や学習を行えるようにするなど、デジタルデバイド対策を実施していく必要があると認識しております。また、デジタル化により、オンライン手続が増加しても、引き続き、窓口申請にも対応するなど、デジタル機器に不慣れな方への配慮を行っていきたいと考えております。私からは以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○議長(山本進章) 金剛こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(金剛真紀) (登壇)27番山村議員からのご質問にお答えいたします。 私へは、生理の貧困について、市町村が行っている取組をどのように支援していくのか、また、生理の貧困の解決を含め、ジェンダー平等社会実現のためにどのように取り組むのかというご質問をいただきました。 お答えいたします。 生理の貧困とは、経済的理由や周りの無理解などで生理用品を購入できない女性がいるという、コロナ禍の経済的困窮において顕在化した社会問題です。この問題に対して、県内18市町村が防災備蓄等を活用し、生理用品等を無料配布する取組を実施されています。県としては、こういった取組を契機として、女性の困り事の背景や実情にきめ細かに寄り添い、継続的に支援することが重要だと認識しています。 そのため、市町村に対し、地域における女性への支援活動等を強化するための国の交付金の活用を促すことや、好事例の情報提供などにより、関係機関との連携強化等による相談支援体制の充実を働きかけてまいります。 また、生理の貧困は、経済的問題だけではなく、女性の健康と尊厳に関わる問題です。国連のSDGs持続可能な17の開発目標にも、全ての人の健康と福祉とジェンダー平等の実現が掲げられています。 女性が社会で活躍するためには、これまで声を上げにくかった生理をめぐる健康問題、それに伴う女性の機会損失を、男性も含め社会全体で解決すべき問題として共有し、困難を軽減していくことが大切だと考えます。 このため県では、女性の生涯の心身の状態の変化や、女性特有の不調がもたらす企業の損失などについて理解を深めるため、男性管理職と働く女性が共に考えるセミナーを実施するなど、女性が働く上でハンデにならない環境整備や、企業の意識改革に取り組んでいます。 このような取組をはじめとして、固定的な性別役割分担意識や性差に関する無意識の思い込みの払拭など、女性が活躍する上で弊害となっている困難を一つひとつ丁寧に取り除く努力を続けていきたいと考えています。私からは以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)27番山村議員のご質問にお答えいたします。 私には、生理の貧困の解決に向けての取組についてお尋ねでございます。 政府の子供・若者育成支援推進大綱は、生理の貧困を子どもの貧困問題への対応の一環として、教育委員会等に対応を求めております。これを受けて県教育委員会では、公立高等学校の女子生徒全員に実態調査を行い、21日時点では48人の生徒が支援を必要といたしております。調査終了後は、各高等学校に情報提供し、個別の相談に応じながら、県教育委員会が生理用品の支給も含めて、必要な対応をしてまいります。 また、経済的な理由以外に、十分な性教育を受けられないため生理用品に適切にアクセスできない生徒もいます。性教育につきましては、小学校4年生の保健の授業で生理の仕組みについて学習いたしております。一方、生理用品の使い方、生理中の体の変化、体のケアの仕方につきましては、5、6年生の宿泊研修の前に、女子のみに教える学校もあり、指導内容が教員任せになっていることが課題でございます。今後は小学校の保健体育研究会等と連携をし、生理についての学習に関して、指導の内容、指導方法等について研究いたします。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) ご答弁ありがとうございました。再質問したいと思います。 最初にオリンピックのことに関しては意見を申し上げます。 安心・安全ということで、それを求められているということで知事もおっしゃいましたけれども、その根拠がないということが今一番問題になっているのではないかと思っています。どんなにすばらしい大会であったとしても感染拡大で誰かが犠牲になるというような大会であっては、誰も喜べないことになってしまうと思います。オリンピックは災害と違って人間が開催するものなので、いつでも止められるということで、知事に権限はもちろんないと思いますけれども、意見は表明できるし、それは大きな力になると思いますので、人命尊重ということを第一にして、発信していただきたいということを再度お願いしておきたいと思います。 次に、PCR検査のことについて伺いたいと思います。 検査が非常に有効で、それがかつ大事なことであるということについての認識は、前回もお聞きいたしました。それによって県としての拡大をされてきたということでありますけれども、現実問題、先ほども述べられましたように、5,000件の検査可能なキャパシティーがあるという状況の中で、最高でも1,600件程度だと、知事がおっしゃっていましたけれど、そういう状況ですので、私はもっともっと増やしていただく可能性があるのではないかと思っています。 先ほど感染リスクのある人は全て受けられるということをおっしゃっていただいたのですけれども、大阪で感染がこれだけされてくるということで、大阪にお勤めの方の不安感、あるいはリスクが高いということで言えば、その人たちも全て対象になるのかということと、希望したら、つまり誰でも希望した人は受けられるのかどうかということについて、お伺いしたいと思います。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) リスクがある方が受けられるのは当然いいことですが、リスクがあるということをどのように本人が自覚していただくのかというのがなかなか難しいことであります。先ほど申し上げましたように、受けられるキャパシティーは十分用意しているわけでございますけれども、リスクは、逆に、あなたリスクありますよと言って引っ張って受けさせるということはできませんので、リスクがあるということをどのように判断していただくのかということが大事で、そのために、感染経路類型というのを発表しております。大体大阪へ行って家庭でうつされて、学校へ行ってうつされるというのが、一番多い類型でございます。では全ての大阪に行く人がリスクがあるかというと、毎日そういうわけにもいきませんので、また、今日は大丈夫でも明日は難しい、危ないということもありますので、リスクの刻々の判断というのは、一番感染症の闘いで難しいところかと思っております。 だから、県民の皆様にリスクがどこで発生するかということをよく見ていただいて、パニックにならないように、多少でも心配だったら、どうぞ気軽にPCR検査を受けてくださいということを習慣化といいますか、常識化していただくのが一番ありがたいと思っております。 ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) ということは、リスクに関わりなく検査を受けたいと思われた方はどなたでも受けられるということになるということなのでしょうか。 例えば広島県などでやっておられますのは、希望される人は誰でも何回でも受けられるということで、県がつくったセンターに行って受けられたり、あるいは駅でキットを配ったり、薬局でもキットを配ったりということで、とにかく無症状で知らないうちに人にうつしてしまうという危険を防ぐために、早く発見しようということで、そういうことを大々的にやっておられます。その結果、やはり無症状の感染者の方が発見できて、広がるのを抑えることができたという有効性も確認されたと言っているのですが、奈良県でもキャパシティーが5,000件あるということでありましたら、やはりそういうふうにして希望される方、どなたでも検査、医療機関の窓口に行ったら断られずに受けられますよということにしていただきましたら、非常に受けやすくなると思うのですが、その辺のアナウンス、あなたの検査がほかの人の健康を守ることになるというような発信も要りますけれども、自分の判断で、受けたいと思ったらすぐ受けられるという体制をつくってほしいと思うのですけれども、そうなるということなのでしょうか。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 現実的に考えますと、先ほど、るる申し上げましたように、PCR検査のできる場所とかキャパシティーをどんどん増やしていて、量的には十分あるということがお分かりになったと思います。感染されそうなリスクのある方から見て、受けようと思っても受けられないという状況はあまり発生していないように思っています。感染リスクがあるから受けようという気持ちになっていただくというのが、先ほど申し上げましたように大事なことかと思っております。ぜひそのように、身近な方にご説得していただくのが望ましいかと思います。受けたいと言って断ったということは、あまり聞いておりません。どこかしこで、とにかくどこで受けられるのだということを聞いていただくと必ず受けられると思いますし、感染リスクというのはいつ、どのような形で発生するか分かりませんので、発症してこれ危ないということになってからではなく、多少体がだるくなったときには、こまめに受けていただくのが一番かと思います。 いろいろなケースを調べていますが、ご家庭でお父さんはどうも体がだるいのだけれど、頑張って会社に行ったと。それが感染していたと。子どもにうつして、子どもさんが学校へ行ってまたうつされたというケースがありましたので、それを見たら、お父さん頑張らないですぐにでもPCR検査を受けていただければ、お子さんにもうつらなかったし、お父さんも用心されて、自宅でも離れて、離れで暮らすとかということは可能であったかと思います。 そのようなケースがるるたまってきているのですけれども、まさか我が身がと思われるのが通常でございますので、これは制度というよりも、習慣の話かと思いますので、ぜひ気になったら受けていただくようにということを再度申し上げたいと思います。
    ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) ということは、私は県民の皆様に、検査を希望すれば症状があってもなくても、どういう場合でも、誰でもいつでも受けることができますよ、だから検査を受けてくださいねとお知らせすればいいと、そういうことですね。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) いつでもというのは修正していただきたいと思います。いつでも受けられるということは言った覚えがございませんので、その点だけは修正してください。 ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) 分かりました。いつでもというのはその検査を受けられる時間帯という意味ですよね。医療機関が開いている時間帯ということで、いつでもではなくてその時間帯ならどなたでも希望すれば必ず検査を受けられると、そういう状況に奈良県はなっていますよと。ですからどんどん検査を受けてくださいということなのですね。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 受けたいと思ったときは電話をしたり、相談をしていただくと、大概、そんなに時間を置かないで受けられると思います。今日受けたいな、これから行くから受けさせてくれと、そういう仕組みにはまだなっていないということで、また、そのようにすると、議員がいつもおっしゃる医療関係者に大変な負担をかけることになりますので、あまりすべきことではないかとも思っています。 ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) そうするとどう理解していいのかということで、分かりにくい部分が出てきてしまったのですけれども、私は検査を戦略的に数多くやることが大事だと思っています。とりわけ大阪から感染者が増えているということなので、そういうところを抑えていくためには、無症状であっても危険があるようなそういう環境にある人は、いつでも受けられる、つまり駅でキットを配ってもいいぐらい、それぐらい誰でも受けられる環境をつくってほしいということを希望しています。 それに対して知事は、希望したら受けられる、だけれどもという、はっきり分からない結論なのですけれども、これでどうやってアナウンスしたらいいのかと思うのですけれども。県がやはり積極的に、検査は感染防止のために決め手になるからみんな受けましょうとアナウンスしていただくことが要るのではないかと思います。そうしていただいて、そのために必要な予算や、そのためにこういう体制が必要だということであればそういうことも県で考えていただくということが当然ついてくると思うのですけれども、そこまでやって、これから心配されているのは第5波ということで、特にデルタ株が蔓延したら困るので、それも検査しないと分かりません。なので、検査が重要だと。その感染を抑えるためには、やはり早く検査をするという、そういう状況をこの奈良県の中でつくっていくために、県が県民にどういうふうにアナウンスしていくのかがすごく大事だと思うので、それをバリアなく誰でも受けられるという意味で検査に力を入れてほしいと思っているのですけれども、そうなるのかどうかということを確認したいのです。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 感染防止のために、PCR検査をたくさん受けられるのは大事なのですが、万全ではないのです。PCR検査を幾ら整えても、万全だったという国はないのです。PCR検査を日本の何倍も受けている国がありますけれど、感染拡大していますから、PCR検査を受けたら大丈夫だと議員も思わないでください。 大事なのは、感染させないように、多分マスクが一番大事かと、大体身近なことでは言われております。マスクをお互いにしていれば感染リスクは66%から1%に下がるという報告もなされておりますので、PCR検査は受けても受けなくても、そのような行動習慣をそのようにすることでその地域の感染リスクは極端に下がります。そのような習慣が、できていないところ、あるいは油断をしたところに、ウイルスは入り込む。とても賢いウイルスですので、PCR検査ということだけでは、分かってからでは遅いということが常であります。分かる前にそういう行動を用心していただくのが一番大事ですので、私はそれを何度も何度も言いたいと思います。用心するに越したことない。見えない、分からない、うつったかどうか分からないように来る敵だから、こういうことが大事です。PCR検査は大事ですけれど、それだけでは万全ではないということもぜひ付け加えたいと思う次第でございます。 ○議長(山本進章) 27番山村幸穂議員。 ◆27番(山村幸穂) 知事のおっしゃったことは当然だと私も思っています。その上で、検査をしないと分からないことがありますから、検査をしてほしいということを述べております。 ここで終わるわけにはいきませんので、次に移りますけれども、水道の問題で、知事から、29団体で合意をしたということで、県は合意を得てやっているのだとおっしゃいましたけれども、しかし、市民は置き去りにされております。 奈良市で見ましても、市民の疑問に本当に答えてもらっていない状況の議論が続いております。とりわけ、知事が言った3つの困難を解決する万能の広域化ということについては、非常に多くの疑問が出ていて、出されたシミュレーションについても、バラ色のシミュレーションではないかと、実態とかけ離れているのではないかと、リスクやデメリットも含めて、議論をやり直すべきだという声が出ているわけで、実際に、議会でもそういう議論になって、シミュレーションをやり直すということまでも出ているという状況なのですから、やはり私は市民も含めた形で、きちんと丁寧な議論に応えることが必要だと思います。 そして、今回の水道の統合計画は、市町村が大切に守ってきた様々な資源、あるいは資産、そういうものよりも県の水道の水をどれだけ効果的にみんなに使ってもらうようにして、県の水道の水をどうするのかということが優先されている計画。自治体独自の自治を大切にする広域化の計画ではなく、県の都合によって、県の水道の水をどれだけうまく売っていくかということに収れんされている中身になっている計画ではないのかということで、非常に問題だと思っています。ここはやはり、もう一度根本から考え直していかなくてはならないということを強く申し上げておきたいと思います。 ○議長(山本進章) 次に、17番佐藤光紀議員に発言を許します。--17番佐藤光紀議員。(拍手) ◆17番(佐藤光紀) (登壇)皆様、こんにちは。日本維新の会、生駒市選挙区選出の佐藤光紀です。会派を代表し、質問をさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、社会を支えるためにご尽力いただいている全ての方々へ敬意と感謝を申し上げます。また、この有事とも言える状況の中で、思い半ばでお亡くなりになられた方々には哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。 各地に3回目となる緊急事態宣言が出されたタイミングで、日本維新の会奈良県総支部として要望書を知事に提出をさせていただきました。示させていただいております対比表からも、緊急事態宣言が出された地域と隣接する地域は関係性があることは明確であり、人流抑制の必要性を説き、当該宣言地域でなくとも、隣接する地域となった場合について、独自の対策が必要であることや、さらには連休など人流が多くなる時期における対策について、県にこれらの対応を求めております。 現在の第4波は、海外由来の新型コロナウイルスの変異株によるところが大きく、これまでの対応を続けるだけでは不十分だと考えております。 第1に、国外対策として、島国である利点を生かし、入国制限を強化し、水際対策の徹底とこれまでの対応を改める必要があると考えております。 第2に、国内対策として、ワクチン接種を効率よく迅速に進めていく必要があります。一連の対策に加え、県内独自の対策として、新たな新型コロナウイルスの変異株に備えて、これまでの対策を抜本的に見直す時期に来ていると考えております。 また、コロナ禍によって、これまでの概念や様態がかなり様変わりしてきております。その中でも、デジタルシフトについては急激に進み、さらなるデジタル化が進んでいくものと考えております。 議会改革推進会議において私が委員長を務めさせていただいておりますが、現状体制維持ではなく、社会全体がデジタルシフトしていく状況に遅れを取ることのないように、事は進めておりますが、まだまだ限定的であり議会のデジタル化に対する課題は非常に多いと感じております。 しかしながら、誤解なきよう一言申し上げておきますと、何でもかんでもデジタル化ではなく、アナログにはアナログのよさもあるということも重々承知しております。その上で、我々は、デジタルシフトに遅れを取らず、事を進めていく必要があると考えております。 では早速、県庁のデジタル化について知事にお伺いいたします。 国は以前よりデジタル化を進めてきておりましたが、なかなか進んではおりませんでした。しかし、前述したとおり、このコロナ禍でオンライン化というニーズが必然的に高まり、時を同じくして、デジタル改革関連法の整備なども進んできております。 しかしながら、現状は皆様がご存じのとおり、例えば特別定額給付金を支払う際に本人確認用としてのマイナンバーが活用されるかと思えば、住基ネットと接続されてはおらず、逆にデータを照合するのに手間取り、さらには本人確認用の暗証番号を本人自身が忘れてしまい、暗証番号の再設定に市役所窓口に殺到するという残念な現象が見られました。 技術的に少し掘り下げると、現在、政府系ネットワークとしてG-NET、地方行政ネットワークとしてLGWANが整備されている状況でありますが、住基ネットは安全性を担保するため、インターネットだけではなく、G-NETやLGWANからも切り離されている状況だからこそ起こった現象であると思います。そして、マイナンバーカードが日常的な利用がされていなかった点については、大いに反省するべきと考えております。一言にデジタル化といっても、整備状況や日頃からの運用次第で結果は違ってきます。 これらの中でどうしても腑に落ちないのが、やれテレワークだ、やれオンラインだと言ってきた政府や行政、そして特に政治家のありようです。自分自身がもう少しデジタル化を理解し、活用する必要があると思います。今後、進めていくことになる県庁のデジタル化については、これまでの反省点も踏まえ、行政効率化のためにも、ペーパーレスを含む会議システムなどの導入を進めていくことが肝要かと思います。そして、それを実際に使っていく、その運用が重要であると思います。 知事にお伺いいたします。 住民の利便性向上や行政効率化の観点から、県庁のデジタル化を推進すべきと考えますが、県の方針、今後のスケジュール、庁内の推進体制について、知事の所見を伺います。 次に、デジタル化に伴う、情報セキュリティ対策について伺います。 デジタル化が進めば進むほど注意しなければならないことは、セキュリティ対策にあります。現在LGWANへの接続は47都道府県別のゲートウエイが設けられ、端末に関しては多重認証でのログインとなっております。また、外部メールからの添付ファイルは無害化処理を行った上で、LGWAN環境の職員端末に届く流れと思います。また、県庁内では有線での接続が前提ではありますが、このコロナ禍ではテレワークが推奨され、モバイル端末を持ち出すようになっていると思います。ネットワーク接続を閉域SIMで行っているにしろ、パソコンを持ち出すリスクは計り知れないと考えております。また、外部からの不正対策だけではなく、公職にある者がみずからファイルサーバーからデータを持ち出す危険性や、みずから文書改ざんなど課題は多いと思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 デジタル化の進展に伴う情報セキュリティ対策が課題と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、観光地としての交通戦略について、平田観光局長にお聞きいたします。 観光分野に使われるバスなどの交通戦略が必要であると、観光振興対策特別委員会でも議論を重ねてきましたが、少し問題を整理した上でお聞きしたいと思います。 なぜ、奈良は観光地として観光資源を十分に擁していながら、そのポテンシャルを生かし切れていないのかを、観光地における交通機関という観点から考察してみたいと思います。本県の観光に用いられる交通機関として、まず言えることは、港や空港がございません。鉄道網としてJR線はあるものの、新幹線がなく、私鉄についても近鉄線のみ、地下鉄もありません。また、乗入れや乗換えも極めて限定的であり、路線バスは赤字路線が多く、路線網も奈良交通株式会社に頼り切った状況であります。さらには、道が細い場合や時間帯によっては渋滞が頻発する道路状況で、高速道路もまだまだ整備中という厳しい状況にあると思います。このような状況であるからこそ、県は知恵を絞って、その不足を補っていかなければならないと考えております。 最近、ようやく県としてのパークアンドバスライドについては動き出しておりますが、レールアンドバスライド、バスアンドライド、観光バスアンドライドといった概念は、あるものでしょうか。県の管轄下にある、本来のターミナル機能を果たしていない各バスターミナルを見ていると、その設計コンセプトや運用オペレーションも含め、改めて見直す必要があると考えております。 また、これまでも指摘させていただいておりますが、観光産業を下支えするための県管轄の観光施設は、各施設が個別に計画され、いざ運用が開始されると、特に交通分野において様々な課題が生じ、結果として集客や稼働率が低迷するという、非常に厳しい状況にあると考えております。各施設において、観光地の観点として共通した交通戦略がなく、各個に計画を打ち出されている点に問題があると考えております。 その中でも、先ほど申し上げた課題の多い奈良県の観光地における移動手段として、最も有効と考えられる効率的な輸送手段としてのバスなどの交通戦略がない点に危惧しております。 そこで、観光局長にお伺いいたします。 本県の観光地としてのさらなる魅力向上を図るため、観光客の移動の利便性や快適性をコンセプトとした交通戦略を策定する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 3点目は、新型コロナワクチンの接種について、鶴田医療政策局長にお聞きいたします。 冒頭で申し上げたとおり、世界各国に比べ、我が国は新型コロナウイルスの変異株への水際対策が遅れたばかりではなく、肝腎なワクチン確保に遅れを取り、接種についても遅れが生じております。接種に関しても様々な課題や問題が生じているのが現状ですが、ではこれまで行われてきた優先接種についてはどうでしょうか。国からは、医療従事者、65歳以上の高齢者、高齢者施設等の従事者、それ以外で基礎疾患を有する者と基本的に定められたほか、その範囲においても細かく定められております。しかし、これら定められた優先接種にめどがついた自治体においては、独自の優先枠や順位の検討も可能と示されております。 ここで1つ、高齢者のワクチン接種が進んできておりますが、接種を拒否もしくは様子を見る高齢者が相当数上ってきている実態も明らかとなっております。そのことから、訪問介護に携わる介護従事者にワクチン接種を優先させることはできないものか、これまで担当部署と協議を進めてきておりましたが、先日に介護・福祉従事者に対し優先する方針が打ち出されました。しかしながら、4月には、福祉医療部内でクラスターが発生している点からも、せめて県基幹部署に関しては、行政運営にも支障が出かねないことから、一定枠を設けて接種できるようにしてはどうでしょうか。既に医療従事者の範囲として、保健所職員や救急隊員、海上保安庁職員、自衛隊職員が含まれておりましたが、その範囲はかなり限定的で、例えば警察職員は一切受けておりません。これはいかがなものかと思います。 もう1点は、大規模接種が始まった後、当日キャンセルが日を追うごとに相当数となることを予測されてはいると思いますが、当初からのキャンセル待ちを受け付けてしまうと、不必要な混乱が生じる可能性があることから、一般接種開始直後のキャンセル待ちについては、前述した自治体職員などを充てることにより、公平かつ効率的に順序立てた接種が行えると考えております。 そこで、医療政策局長に伺います。 今回始まる一般県民へのワクチン接種については、特定の職業を対象とした優先枠を設定することで、効率的に順序立てた接種が進むと考えますが、いかがお考えでしょうか。 もう1点は、ワクチン接種後にマスクをしない、うがい・手洗い・手指消毒すらしないという方が散見され始めております。実施効果も確認されていない状況で、新たな新型コロナウイルスの変異株への懸念もあることから、一般接種が一巡し、集団免疫の効果が確認されるまでの期間だけでも、現状の防疫体制を維持することが望ましいと考えております。 そこで、医療政策局長に伺います。 感染防止の観点から接種後に取るべき行動を明確化したガイドラインを作成し、県民に周知する必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。 4点目は、交番・駐在所の最適化について、大橋警察本部長に伺います。 本件については前回質問させていただいた際、生駒警察署が移転した際の交番・駐在所の再配置について一部触れさせていただきましたが、本計画を見せていただき改めて気になった点をお聞きしたいと思います。 本計画は社会や治安情勢の変化に適切に対応するため、交番・駐在所の配置を見直し、警察力の最適な配分を目指すとのことでありますが、計画を見てみると、老朽化で交番を廃し、駐在所を交番にするといったケースのほか、1つの駐在所を交番化するケースもあり、警察署が移転する地域などにおいて、エリアカバーに難が生じるのではないかと危惧する声も上がっております。特に、駐在所は駐車可能台数、また、その執務スペースも限られており、現在の業務を遂行する中で必要となってきている防犯対策としてのカウンター等の設置、感染対策として密にならないスペースの確保について、極めて転用しづらい状況であると思います。現状の交番ですら、多様化する警察事象に対し、狭隘化が問題となっている状況であると思います。さらに危惧する点は、勤める警察官が働きづらい環境になるだけでなく、利用する県民にとっても行きづらい、利用しづらい交番となるのではないでしょうか。 そこで警察本部長にお伺いいたします。 警察活動の多様化に伴い、交番・駐在所の高機能化が求められる中、交番・駐在所の最適化をどのように進めていくものでしょうか。 関連して、駐在所を廃止していくことに対し、ほかの議員からも危惧する意見が相次いでいると思いますが、単純に、駐在所を廃止するのではなく、耐用年数にまだ余裕がある場合は、警察官の休憩所もしくは待機所として利用できるものもあるのではないでしょうか。また、改修を加え、カメラ及びモニターを導入し、遠隔での電子錠制御を加えることで、警察官到着までの一時避難シェルターとしても利用は可能かと思います。最適化に伴い廃止する駐在所の建物について、警察官の休憩所や待機所に有効利用してはどうかと考えますが、警察本部長のご所見を伺います。 最後の質問は、県域水道一体化に関して、西野水道局長に伺います。 令和7年度をめどに、すなわち2025年を目標として、広域水道企業団を設置し、県下の水道料金を統一する水道の事業統合が進捗しておりますが、一体化の検討開始当初は、経営統合としてスタートし、段階的に事業統合するとしていた方針から一転して事業統合とした経緯を伺います。 もう1点は、市町村との覚書締結時に、一体化による効果額と併せて料金水準も示されておりますが、この精査も含めて、今後どのように市町村と協議を進めていくのかをお伺いしたいと思います。 以上をもちまして、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)17番佐藤議員のご質問がございました。私に対しましては、1問、県庁のデジタル化についてでございます。 デジタル化は、我が国ではデジタル庁をつくるということにもなりましたし、国を挙げての重要な課題と認識しております。その利用の展開について、議員は意見をおっしゃったように思います。身近な理解とか実際的な運用が必要というご所見かとも思いました。 利用の展開では、県のレベルでありますと、住民の利便の向上、あるいは行政の効率化ということに資すべきというのが、基本的なことだと認識しております。奈良県では、関係の分野でありますマイナンバーカードの保有率、あるいはICTの利用率は全国トップレベルでございます。これをうまく組み合わせて、生活利便の向上、行政の効率化に結びつけることができたらというのが目標の基本的なことと考えております。 そういう観点からデジタル化を見てみますと、デジタル化は、デジタル技術を、防災、医療、子育て、教育、交通など、他、多くの分野で活用することが可能でございますし、それがうまくいけば、県民の生活の質を向上させることができ、大きな便益をもたらすことができると認識しております。奈良県におきましても、そのようなことを、行政と家庭と経済の3分野でデジタル化を推進し、全ての県民がデジタル化の恩恵を受けるようにすることができたらという思いを強く持っているところでございます。 デジタル化を進めるための庁内の体制といたしまして、私を本部長とする奈良県地域デジタル化戦略本部会議を6月7日に設置いたしました。各部局横断的に取り組む体制を整備いたしました。また、地域デジタル化の司令塔となる課として、デジタル戦略課を今年度から設置しております。今後は、奈良県地域デジタル化戦略本部会議を中心に、デジタル技術を活用して、創造的かつ活力ある社会の実現を目指す奈良県地域デジタル化戦略を策定し、本県におけるデジタル化の取組を進めてまいりたいと思います。 具体的には、庁内各部局からの発案を期待しております。各部局でデジタル化をどう利用するか、いろいろ言ってくれということを私が直接指示いたしました。現場に近いところからデジタルをどう利用するかということから発想しないと、なかなかデジタル化が実際的にならないと考えたからでございます。9月までに戦略の基本方針を策定した上で、その後、基本方針に基づいた具体的な取組を検討し、年度内に実行計画として取りまとめたいと考えております。先ほどやり方として申し上げましたように、デジタル化の中心からこうしろというのではなし、現場に近いところから、こうしたらうまくいくのではないかという発想を集めてデジタル化の展開をしたいというのが、我々の思いでございます。議員お述べの県庁のデジタル化も、この過程でこのようなやり方で検討をしたいと思っております。 戦略本部におきましても、マイナンバーカードの利活用によるオンライン行政手続の増加や手続の簡素化、行政分野のカードの集約などに取り組むものとしております。使い方によってマイナンバーカードがすごく威力のあるカードになり得る可能性がございます。また、AIなどを活用して、個々人のスタイルに合った情報を提供するなど、行政サービスの高度化も進めていければと考えております。 このほか今年度中に、職員用端末の半数をモバイル化し、ペーパーレス会議システムを整備したいと思います。これらにより、庁内業務を効率化するとともに、在宅勤務などのテレワークを実施する環境の充実を図っていきたいと思います。 このように申しておりますが、私自身は全くのアナログ派でございまして、デジタルの関係がほとんど理解できないというか頭に入らないわけでございますが、それでもこのような観点で、現場からデジタル化の推進を言ってもらうと、やはり本部長としても理解が進むのではないかという思いを持っております。 2つ目のデジタル化の質問は、セキュリティ対策ということでございます。極めて大事な課題だと思っております。 デジタル化の進展に伴って、県の保有する情報が増えれば、情報漏えい事故が発生した場合の影響は重大かつ広範囲になると考えられます。情報セキュリティ対策はますます重要になってくるわけでございます。サイバー攻撃が世界至るところで起こっております。セキュリティの巧拙が組織の生存能力にも関係することでございます。奈良県では、現時点でできる最大限の取組として、平成15年度に策定いたしました奈良県情報セキュリティポリシーがございますが、それに従いましてネットワーク面、ハード面、職員への教育面から対策に取り組んでおります。 まず、ネットワーク面につきましては、行政、インターネット、マイナンバーの各ネットワークをそれぞれ分離するという考え方から始めております。3層に分離して対策を練る3層の対策を平成29年度から導入しております。特にサイバー攻撃の入口になりますインターネットは、通信内容を常時監視することにより、不正アクセスに備えています。令和2年度の1年間で約850万回を超える不正アクセスを検知いたしましたが、情報漏えいに至る事故はありませんでした。その数字を聞いて本当に驚いております。 ハード面では昨年の職員用端末にパスワード認証に加えまして、顔認証を必要とするいわゆる多要素認証を採用し、情報漏えいを防ぐセキュリティ対策を強化いたしました。さらに今年度から配備を予定しておりますモバイル端末につきましては、盗難や紛失による情報漏えいの危険に備えて、端末内の全情報の暗号化、パスワード認証と顔認証による多要素認証、USBメモリー等の接続制限など、情報漏えい対策を施すことにしております。 職員への教育面では、年間を通じて集合研修であります情報セキュリティ研修、オンラインによるeラーニングなどを行い、職員の情報セキュリティに対する意識とスキルの向上に努めてきております。加えまして、情報セキュリティポリシーの遵守状況について監査を定期的に実施し、予防と改善に努めております。 今後、デジタル化が加速的に推進すると思いますが、新たなセキュリティ上の問題やリスクが新しく出現することも予想されます。このような場合でも、速やかに、また賢明に対処できるよう、常に情報収集と研究、勉強に努める必要があると思っております。私に対する質問は以上でございました。残余は関係部局長が答弁させていただきます。 ○議長(山本進章) 平田観光局長。 ◎観光局長(平田千江子) (登壇)17番佐藤議員のご質問にお答えいたします。私には、観光客の移動の利便性や快適性をコンセプトとした交通戦略についてのご質問がございました。 お答えいたします。 本県が目指す周遊・滞在型観光の促進には、観光客が安心で快適に観光地へ移動することができるための良好なアクセスの確保が大変重要であると考えております。 今般策定いたしました奈良県観光総合戦略におきましては、向こう5年間で取り組むべき施策の柱として、便利な交通・道路体系を位置づけ、移動の円滑化や快適性の向上、利用環境の整備の推進を明記しております。 議員がお述べになられました観光地の交通戦略策定につきましては、観光客の移動の利便性や快適性を図ることは重要と考え、今述べましたように、奈良県観光総合戦略の中で柱として位置づけておりますので、観光地の交通に関する戦略の策定としては、慎重に考える必要があると思っております。 今後、庁内関係部局、市町村、観光・交通事業者等の観光振興実施主体と緊密に連携を取り、観光客の視点に立った県内周遊観光づくりや、そのための良好なアクセスの確保に向けた地域公共交通の利用環境の整備等を推進してまいりたいと考えております。私からは以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)17番佐藤議員より、私には、新型コロナワクチン接種について、特定の職域を対象とした優先枠を設定し、接種を推進するべきではないか、また、接種後に取るべき行動を示した指針を作成し、周知するべきではないかと、2点ご質問いただきました。 お答えいたします。 高齢者への接種のめどが立った市町村では、特定の職種を対象とした職域接種も検討されており、既に奈良市や天理市で取組が始まっております。またそれとは別に、一般接種の際に、介護従事者や保育士などへの優先枠を設けるなどの対応を、それぞれの市町村が地域の実情を踏まえ検討を行っております。 県が実施を予定している広域ワクチン接種会場においても、医療・介護の従事者や教員などに対する優先予約を行いたいと考えております。この優先予約は、クラスターが発生しやすい職域の従事者を対象とし、これらの方々へ接種を優先的に進めることで、効果的なクラスター対策になると認識しております。 また、ワクチン接種を受けた方が他の方へ感染させるリスクをどの程度予防できるのか、これにつきましては、まだ十分に分かっていないという事実があります。ワクチン接種を受けた本人が新型コロナウイルス感染症を発症するリスクについては、ワクチン2回目接種後の約2か月間は95%程度の高い効果が期待できるとした臨床試験結果があります。しかし、残りの5%は発症する可能性がありますし、また、その後2か月経過した後の発症予防効果はまだ十分には分かっていないという状況であります。このことから、接種後もマスクを着用するなど、感染予防対策を継続することが必要です。この件については、国、市町村からの周知と併せて、県からも広く周知等を図ってまいりたいと考えております。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 大橋警察本部長。 ◎警察本部長(大橋一夫) (登壇)17番佐藤議員からは、交番・駐在所の高機能化に求められる中、交番・駐在所の最適化をどのように進めていくのか。また、その際、廃止する駐在所の建物について有効活用してはどうかという2点について、お尋ねがございました。 ご質問にお答えさせていただきます。 県警察では、本年2月、奈良県警察交番・駐在所最適化指針を作成したところであり、多数の交番・駐在所について耐震性能に問題があることや、また、耐用年数が超過し老朽化が著しい施設があることを踏まえまして、ファシリティマネジメントの視点に立ち、施設の建て替え等を進めているところであります。 議員お述べのご懸念の点につきましては、新たに交番・駐在所を建設する際に、来訪者の利便性の向上、防犯カメラの設置等による施設のセキュリティ強化、ネットワークの整備等による業務の効率化など、施設の高機能化に努めるとともに、また既存の施設につきましては、継続利用する場合には、勤務員の配置や受持ち区域の見直しなどを図ることによりまして、効果的な配置運用を進める所存でございます。 施設の有効活用に関しましては、耐震性能に問題や耐用年数超過による老朽化が認められる場合につきましては、安全性の観点から今後の活用については想定しておりませんが、耐用年数に満たない施設につきましては、地域の安全に資する活用等を幅広く検討いたしまして、有効活用に努めてまいる所存であります。 なお、交番・駐在所の廃止につきましては、変化する社会情勢や治安情勢を見据え、必要な見直しを図ってまいります。 ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 西野水道局長。 ◎水道局長(西野浩行) (登壇)17番佐藤議員より、私には、県域水道一体化について、経営統合ではなく事業統合で進めることになった経緯と、一体化の効果額や水道料金水準の精査を含めて、今後市町村とどのように協議していくかについてのお尋ねをいただきました。 お答えいたします。 まず、県域水道一体化における統合形態につきましては、これまで市町村と議論してまいりましたが、組織的に一体化するだけの経営統合では、給水区域や水道料金の設定、事業認可などは引き続き市町村ごとに行われるため、県域で適切な施設更新が進まず、また、組織内の統制も取れないなどの課題があります。市町村からも、一旦経営統合すると、個別市町村の最適化が優先され、事業統合に移行するのは困難であることや、一体化の効果を十分発揮させるには事業統合で検討すべきという意見などを多数いただきました。このことから、令和元年8月からは、経営主体も事業も一体化する事業統合について、関係市町村と検討を進めてまいりました。 こうした経緯を経て、施設の最適化や運営体制の強化など、一体化の効果がより高い事業統合を目指すことに関係29団体が合意をし、本年1月25日に覚書を締結したところです。 次に、今後の市町村との協議の進め方についてですが、この夏を目途に、覚書締結団体の長で構成する企業団設立準備協議会を立ち上げ、具体の協議を進めてまいります。施設整備や財政運営、組織体制など具体的な検討は、作業部会を中心に市町村と実務レベルで行い、その結果を基に、企業団設立準備協議会で協議・検討いたします。 また、一体化による効果額や水道料金上昇抑制効果についても、施設整備のあり方など、今後精査する諸条件を反映して、改めて算定することといたします。 県域水道一体化に向けた様々な課題につきまして、引き続き関係市町村と連携を密にしながらスケジュール感を持って検討を進めてまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) ご答弁ありがとうございました。気になる点が何点かありましたので、確認をさせていただきたいと思います。 県庁のデジタル化において、デジタル戦略課といろいろ確認をさせていただきました。外部からの不正アクセスは、詳しい話はここでは控えますけれども、入ってくるのは非常に難しいと感じております。 ただ1点少し気になる点がありまして、内部従事者によるデータの持ち出しや改ざん等の不正防止を徹底するための常時監視の仕組み、ここが少し問題かと思っているのですけれども、知事のご所見をいただきたいと思います。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) セキュリティのお話でございますけれど、セキュリティは先ほどるる予防について申し上げましたけれども、セキュリティはどんな場合でも、それを上回るアタックがあることを予測していなければいけないと思っております。万全なセキュリティというのは世の中どこにもなかなかないと思っていたほうがいいかと思っております。 その中で、職員が何か不正な持ち出しなどを起こすということも考えられるわけでございます。データの故意の持ち出しということも考えておかなければいけないとは思っております。基本的には職員を信じているわけでございますけれども、その予防ということで、常時監視とかいろいろなことをするのは、効率とかがあまりよくないのではないかと私は思っています。事故が起こったときのチェックと再発防止、職員の故意によるものであっても再発防止、どこで止められるのかというほうが、こういう場合の基本、治安の基本かと私は思っています。 まだ、実際に事故は、不正な持ち出しとかがまだ起こっていないものですから、そのほかでは、起こり得ますけれど、それを予防して止められるかというと、なかなかそうもいかないのが実情で、いい例があれば見習うということには全くやぶさかではございませんけれども、常時監視というやり方も考えられますけれども、まだそこまで行くよりも、何か起こったときの個別対処の積上げや、何かシステム化するといったアプローチのほうが私はいいかと思っております。 やり方ということの話でございますので、どのようなやり方がよかったのかというのは後でしかなかなか分からないわけでございますけれども、私は今のところは、そのような、楽観的にはもちろん見ておりませんけれども、しかし、この薬をつければ治るよ、万能薬だというものはこの世界でもなかなかないように思っております。ケースに応じて知恵を出すというのが最善の知恵かなといった考え方でございます。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) 冒頭に壇上で申し上げたとおり住基ネットの情報が漏れることはほとんどないと思います。もともとそのネットワークにつながっていないのです。閉域ネットワークの中でもつながっていないということでなかなかこれ難しいと。考えられる可能性が、そこにアクセスできる人、最終的に突き詰めていくと、人の問題が出てきます。またそれを抑止するための、外から入ってくるIDS(不正侵入検知システム)に関しては、本当にしっかり取り組まれているかと思うのですけれども、問題は、もうお気づきだと思うのですけれども、それをやった後に気づくということはログが残っていますので出るのですけれども、怖いのがその内部、つまり、県職員の方でなかったとしても、なりすましで入ってきたものは、スルーしてしまうのですよ。侵入検知の観点でいうと、IPS(不正侵入防止システム)はまず通じませんし、侵入検知も反応しないので、なりすましが入ってくる、それを止めるためには、あれなんかおかしいぞという形で常態監視というのは必要になってくるのですけれども、そういう意味で少しお聞きしたのですけれども、どうでしょうか。 ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 議員のおっしゃることは確かにそのとおりなのですけれども、情報のセキュリティ対策は、国の機密と地方政府とは同じ行政でも私は随分違うように思っています。国の情報というのは極めて国家の安全保障で重要でございます。外から来るという、外国から来る、諜報機関が来るということは、日本はまだまだそういうメンタリティーがないと思います。議員がおっしゃるメンタリティーは我々に必要というよりも国家機関に必要だという考え方ではないかと思っています。国家機関での外からの諜報活動に備えるというのは、まだまだ私から見ると心配なわけでございます。かといって地方の県庁でしないというわけではもちろんないのですけれども、狙われる、外から見ると狙うのは奈良県よりもやはり霞が関、永田町だと私は思います。そこの違いがあると思います。そこの情報セキュリティというのは大丈夫だろうかと、そこであるいは感染されたり、進んだ情報セキュリティの知恵があれば、うつすというほうが、まだ穏健かと思います。一番危ないところで知恵を出してくださいねというのは、今私の立場からは少し何か違う、答弁になっていないかもしれませんけれども、そのように思うところであります。 まだまだ国としては狙われるところがありますよといつも心配しているものでございますので、県庁ではとおっしゃると、まだそこまでは心配していないという言い方も変ですけれども、狙うほうにとってみれば、まだ東京の中枢のほうが値打ちがある対象だというように思える。そこでの知恵を拝借するというのも1つの知恵かと思うところでございます。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) 本件に関してはデジタル戦略課とこれから少し詰めさせていただきたいと思います。 知事が言われることも分かるのですけれども、言ったら、玄関が閉まっていても勝手口が開いていたらそこから入ってきてしまうという形で、政府系ネットワークにもつながっているので、その手前で押さえるということも必要になってきます。セキュリティというのは最終的には人の動きを監視しないといけないというレベルまでやらないといけないと思いますので、やはり、人を抑止するためには人。システムというのは少し限界があるとも考えていますし、また、その公文書の管理規程、これを改ざんするとか、今国会でも問題が出ていると思うのですけれども、これを消してしまうということだって可能なのです。それを防ぐためにはブロックチェーンなどの技術を入れる必要があるのですけれども、今、現時点で考えていないということだったので、いろいろな対策をこれから考えていく必要があると思いますので、その点については、知事のお考えはよく分かりましたので、また、担当部署とも協議をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。 次、観光地としての交通戦略について平田観光局長に、何回も何回も申し訳ないのですけれども、予算審査特別委員会、決算審査特別委員会やいろいろなところでこの問題を取上げさせていただいて、少しお見合い事象になってしまっているということで、最終、この問題を誰に聞いたらいいのというところで、他部署の意見も聞いたところ、観光局でしっかりとこうしたいという発信を、やっていただきたいと思います。パークアンドバスライドとかの点について、ご答弁いただいていなかったかと思うのですけれども、バスが奈良県の観光交通の中で中核をなしてくると思っているのですけれども、県としての取扱いをどのようにお考えでしょうか。 ○議長(山本進章) 平田観光局長。 ◎観光局長(平田千江子) 個別の施設としてのバスターミナルについて、どういう考え方かというのは少し私からはお答えがしづらいのですけれども、議員のお述べのターミナル機能につきましては、観光客の視点に立って考えますと、バスターミナルをはじめそれぞれの施設を拠点として、そこから鉄道ですとかタクシーですとかあるいは自転車ですとか、いろいろな交通手段の組合せで県内を周遊するのに、その乗り継ぎの移動とか、あるいはその利便性が高いことが観光客に求められるものではないかと思っております。以上です。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) 少し聞き方がまずかったかと思います。 端的にお聞きします。県外からいかに観光客を招き入れるのか、県内でどうさばくのか、また、観光客の交通機関に対する評価とはいかがお考えでしょうか。 ○議長(山本進章) 平田観光局長。 ◎観光局長(平田千江子) 申し訳ございません。県外からどのように招き入れるかということは先ほど議員もお述べいただいておりますけれども、本県に来る交通手段としては、鉄道・バス・自家用車、様々な手段がありますし、どこへ行きたいか、観光客が目的とされる場所によって、移動手段というのはいろいろかと思います。ですからどんな来かたで来ても、観光客が、次の地点へ行くのに便利であるとか、円滑に行ける、要するにストレスなく県内を周遊できると、そういうことが観光の視点から見れば、大事なのかなと思っております。 その辺りにつきましては、今回策定いたしました観光総合戦略の中にも先ほど申し上げましたが、施策の柱として、交通の部分についてもきちっと位置づけておりますので、観光総合戦略といいますのは観光局だけの問題ではもちろんございません。県全体で取り組んでいくものですから、関係部局やあるいは事業者、交通や観光関係の事業者の方々とも十分に議論をして、それぞれ課題を共有しながら取り組んでいきたいと思っております。以上です。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) ありがとうございます。それでよろしいかと思います。 1点口酸っぱく言っていることなのですけれども、観光客の評価ポイントは、乗継ぎの利便性、そして、移動手段の快適性にあると思います。戦略的に言ったとしたら、例えば大宮通りの渋滞緩和のためにバスターミナルを造りましたと言われるのですけれども、では観光バスアンドライドの考え方でいうと、郊外に観光バスを止めて、そこから何らかの交通機関を使って各目的地に行くと、それが観光バスアンドライドなのですけれども、今、現時点は、観光バスで市内まで入ってきている。そして人を降ろして、また郊外にバスを止めに行くために今、駐車場を造っています。また人を乗せに戻ってくると、バスターミナルの中に限定的な観光バスしか入れない、シャトルバスが入れない、ぐるっとバスは入れないという状況で、ほとんどバスターミナル機能が活用されていない。そういったところを少し危惧しているわけでございます。 これからまだ幾つかの施設を造られると思うのですけれども、もう一度各部署合わせて、この交通戦略を観光局発信の観光総合戦略の中に盛り入れられるということなので、今後の県の発展につながればと思って質問をさせていただきました。 そして3点目のワクチンの件なのですけれども、まずは、福祉関係者への配慮をいただけたことは感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。質問をさせていただいた中で、キャンセル待ちについてはどうされるのかということを聞いてたのですけれども、その答弁がなかったように思います。改めてご答弁、いただけないでしょうか。 ○議長(山本進章) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) キャンセル対応についてご質問いただきましたので、お答えさせていただきます。 キャンセル対応についても各市町村ではワクチンを無駄にしないよう取組を進めておられます。例えば接種会場の従事者を対象にしたり、あらかじめ近隣の小中学校の教員や保育士等に対して接種を依頼している例もあると聞いており、ワクチンを破棄することのない運用が既に進められているところです。キャンセルの扱いについてはあらかじめ方針を市町村のホームページなどで公開しておくことがよいのではないかと考えております。私からは以上です。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) 今後考えていただけるということで、ぜひよろしくお願いいたします。 トイレットペーパー事件みたいな形で、十分供給するパイがあったとしても、我先にとばっと集まってしまうと、不要な争い、混乱を招きかねないと思っていますので、最初が肝要かと思いますので、考えられる手を優先立てて考えていただければと思います。 そして4点目、大橋警察本部長にお伺いしたいと思います。交番・駐在所の最適化に当たり、警察本部長は現状認識のためどのように把握されているのかをお伺いしたいと思います。 ○議長(山本進章) 大橋警察本部長。 ◎警察本部長(大橋一夫) 今お尋ねの交番・駐在所等の現況につきましては、必要に応じて私が現場の巡視等を通じて、また、関係警察署の署長や、それから本部の担当者を現場に赴かせるなどをしまして、適宜把握に努めているというところでございます。 今後につきましても私自身が視察等に赴いて、現況等については適宜・適切に把握してまいりたいと考えております。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) ありがとうございます。現地に私も担当者と一緒に回らせていただいて、気になる点が相当ありました。その中で現場の警察官の方々が一生懸命対応されているかと思いますが、それを最適化してしまうということは、集約するということになりますので、交番に対する移動手段も少し変えていかないといけないのです。ただ、駐車場がない交番・駐在所に、駐車枠を造れと言ってもかなり難しい問題はあると思うのですけれども、執務スペースについては、若干の手直しが必要かとも思っています。 また、一時的にせよ、ふだん使われていない駐在所を交番化するということに対して、私は少し違和感を感じておりまして、生駒市内の生駒台駐在所ですけれども、ここを交番化するということに対して、地元の県議会議員もそうですけれども、私だけではなくほかの県議会議員からも同意見はいただいているのですけれども、生駒警察署の跡地に高機能型交番を造ったほうがいいのではないかと。無理くり使っていないものを交番化するというのは少しどうかという意見をいろいろな方向からもいただいておりますし、私もそのように思います。ぜひ巡回される際には、生駒台駐在所、そして今運用されている東生駒駅前交番に、ぜひ行っていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 最後は、県域水道一体化に対して、西野水道局長に改めて確認をさせていただきたいのですけれども、県としてのスタンスを少し確認しておきたいと思います。 ちょうど1年前に、大和郡山市において28億円の水道会計を一般会計に繰り入れていたと思います。急転直下、例えば大和郡山市が広域水道企業団に参加したいとした場合、この28億円の取扱いについてはどうなりますか。 ○議長(山本進章) 西野水道局長。 ◎水道局長(西野浩行) 先ほど答弁にも述べましたとおり、覚書の中では、基本的に、今現在各市町村が水道事業の用に供しております、あるいは水道事業にみなされた資産につきましては全て引き継いで、今後の企業団後の水道事業に充てるということを明記いたしまして、関係の29団体が、それについて合意を得たものでございます。基本的にはこの覚書に基づいて取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) つまり、この28億円を一般会計に入れたと思うのですけれど、28億円を水道会計に戻して、それで参加させるという趣旨でよろしいですか。 ○議長(山本進章) 西野水道局長。 ◎水道局長(西野浩行) 基本的には覚書のとおりということで、そのように現時点では考えております。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) 大和郡山市長選の結果も踏まえて、今のお話を聞くと相当ハードルがまたさらに上がったとは思います。ただ覚書を締結されて、そのときには大和郡山市が入って、しかも全ての財政資金がある状態で算出された資料をもって検討されているかと思うのですけれども、これは次の夏ですか、企業団設立準備協議会を再度行われるということなのですけれども、ここは大和郡山市を除いて試算をし直して、全体の数字が大分変わってくると思いますので、もう1回これ計画の見直し等も含めて試算をし直す必要があると考えておりますけれども、そういう試算表は作られる意向はありますでしょうか。 ○議長(山本進章) 西野水道局長。 ◎水道局長(西野浩行) 先ほど答弁にも触れました、今後の一体化による効果額等につきましての算定、財政シミュレーションにつきましては、覚書を締結いたしました関係29団体、県と27市町村と奈良広域水質検査センター組合、この29団体による事業統合ということを前提にいたしまして算定する予定でございます。以上でございます。 ○議長(山本進章) 17番佐藤光紀議員。 ◆17番(佐藤光紀) ありがとうございます。あと奈良市で7月から選挙が始まります。本件についても争点の1つに挙がっており、ぜひ水道局としても注視していただきたいと思います。我々も、引き続き委員会等で発言をさせていただきたいと思います。以上で私の質問を終わらせていただきます。 ○議長(山本進章) しばらく休憩します。 △午後3時7分休憩    -------------------------------- △午後3時24分再開 ○副議長(乾浩之) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、15番大国正博議員に発言を許します。--15番大国正博議員。(拍手) ◆15番(大国正博) (登壇)皆様、こんにちは。それでは、議長の許可をいただきましたので、公明党会派を代表いたしまして、通告いたしました数点について、荒井知事並びに関係理事者にお尋ねいたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの円滑かつ迅速な接種についてお伺いいたします。 政府は、新型コロナウイルスの変異株などによる全国的な感染拡大に対応するため、3回目となる緊急事態宣言を発出し、期間の延長を経て、東京都や大阪府など、沖縄県を除く9都道府県が6月20日をもって解除され、うち7都道府県はまん延防止等重点措置に移行したところです。 一方、特に大阪の感染動向に大きな影響を受ける本県においては、感染の波及を最小限に抑え、また、県内の感染拡大抑止を図るため、県独自の緊急対処措置を、大阪府などの近隣府県の緊急事態宣言の延長期間に合わせて、6月20日まで延長されたところであります。 こうした取組の中で、今まで以上の感染予防対策の実施や医療提供体制の拡充とともに、何よりも県民への円滑かつ迅速なワクチン接種を進めることが重要と考えます。 令和3年2月17日から医療従事者を対象に接種が開始された我が国における新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種については、一部の自治体において、4月12日から高齢者への接種が始まり、現在、高齢者向けワクチンの本格的接種が進められている状況であります。 公明党奈良県本部におきましては、本年1月28日に新型コロナウイルスワクチン接種対策本部を設置し、県内の自治体のワクチン接種に係る課題などをお聞きしてまいりました。その中では、ワクチン接種の、いわゆる打ち手としての医療関係者の確保が一番の課題であるとの声が多く聞かれました。 県では、高齢者へのワクチン接種を7月末に完了するため、臨床研修を実施している県内の医療機関に勤める研修医と指導医、県職員で計233の支援チームを編成されました。ワクチンの打ち手が不足する16市町に対して延べ983人の研修医を派遣する計画を進めていただいており、これにより、県内で7か所の集団接種会場の増設が可能となったと聞いております。 公明党としては、県内の全ての自治体で希望する高齢者への接種のめどが立つことになりましたことに、高く評価をさせていただきます。新型コロナウイルス感染症との闘いの切り札とも言われているワクチンの接種が希望する県民の方々へ迅速かつ確実に進むよう、私たちも取り組んでまいりたいと考えています。 さて、高齢者の接種が完了した後、高齢者施設等で従事されている方や、慢性の心臓病、腎臓病、あるいは重症心身障害、重い精神疾患など基礎疾患を有する方への接種へと移行していきます。特に基礎疾患をお持ちの方への接種は、本来最も優先しなくてはならないものでありますが、これまでの高齢者以上にリスクがあり、疾患や障害の状況が一人ひとり異なることから、寄り添ったきめ細かい配慮が必要になります。 そこで、荒井知事にお伺いします。 基礎疾患を有する方々の接種を円滑かつ迅速に進めるため、県の役割も大変大きいと考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 次に、ワクチンの大規模接種会場の設置や打ち手の確保についてお尋ねいたします。 公明党は5月13日に菅内閣総理大臣に対し、ワクチン接種希望者へ一日も早く円滑に接種していく体制整備のための緊急提言を手渡しました。その内容は、医師や看護師らの確保に向けた支援強化、大規模接種会場を東京都や大阪府以外にも設置することなどで、菅内閣総理大臣は、何でもやっていきたい、国が全面的に財政的にも支援すると応じました。 また、厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチンの普及を加速させるため、都道府県による大規模接種会場の設置に必要となる費用を補助しています。しかし、実際の接種拡大には、医師や看護師などの人手を確保できるかが課題になっています。 奈良県内の現在の状況は、1日当たり約8,000回程度にあり、このペースで進むとなると、今後、7月中の高齢者の方々の接種を終えた後、仮に残る全ての県民に接種を終えるには相当の期間を要することとなります。 そこで知事にお伺いします。 ワクチン接種を一日も早く希望の方々へ届けるためには、大規模接種会場の設置や打ち手の確保、さらには会場までの交通手段の確保が必要と考えますが、県としてどのように取り組むのか、知事の所見をお聞きいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症における相談体制についてお尋ねいたします。 6月21日時点で、県内で新型コロナウイルスに感染された方々は8,164人おられ、多くの方々が回復されている一方で、後遺症と思われる症状で困っておられる方がいらっしゃいます。臭覚障害、倦怠感、味覚障害などの症状で悩んでいるとの相談が、これまで私どもにも複数届いております。この後遺症については、国立国際医療研究センターのホームページに有識者の意見等が紹介されています。その中で、新型コロナウイルス感染症の後遺症は、倦怠感、呼吸苦、咳嗽、味覚・嗅覚障害などが主な症状であり、20歳代以降の全世代で高頻度に認められ、月単位で遷延することが明らかになっています。回復後に出現する遅発性後遺症はウイルス後疲労症候群と呼ばれ、脱毛、記憶障害、睡眠障害、集中力低下などがあるそうです。 このように新型コロナウイルス感染症の後遺症には医学的なことはもちろん、そのほかにも社会的・経済的な問題があり、後遺症の方を支えていく体制づくりも喫緊の課題であると言えます。 新型コロナウイルス感染症の後遺症ではないかと感じた際に、どこに相談したらいいのか、どの病院で診療を受けることができるのか、そういった方への対応が早急に必要ではないでしょうか。 そこでお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方からの相談に対応できる体制を検討する必要があると考えますが、鶴田医療政策局長にお考えをお聞きいたします。 次に、近鉄大和西大寺駅及び平城宮跡周辺の踏切道改良対策についてお伺いします。 ご承知のとおり、近鉄大和西大寺駅及び平城宮跡周辺における、いわゆる開かずの踏切などによる慢性的な交通渋滞が発生しており、周辺地域に暮らす方々の生活に大変大きな影響を与え続けており、住民の方々からはその解決を求める声をこれまでも数多くいただいております。 一方で、平成20年度に国土交通省で策定された国営平城宮跡歴史公園基本計画では、現在宮跡内を走行している近鉄線を将来移設することとしており、その計画を実現することも大切なことと私は考えております。 こうしたことから、これまでも本会議などにおいて、県の考えや取組をお伺いしてきたところでありますが、本年3月25日に、地方踏切道改良計画の策定という大きな動きがございましたので、本日改めて質問をさせていただきます。 平成29年1月に近鉄大和西大寺駅以西の4つの踏切道が、国から踏切道改良促進法に基づき改良すべき踏切に指定されました。さらに、平成30年1月には、近鉄大和西大寺駅以東に位置する4つの踏切道についても、国から改良すべき踏切に指定され、合わせて8つの踏切道についての踏切道改良計画を令和2年度末までに国に提出することが必要となりました。 奈良県、奈良市、近畿日本鉄道株式会社は、3者による近鉄大和西大寺駅周辺及び同駅以東における近鉄奈良線沿線地域のまちづくりに関する連携協定を締結し、協議を進めてこられましたが、議論は平行線が続いたと聞いております。 こうした中、県からは、近畿地方整備局に対し、国の機関も参画いただく地方踏切道改良協議会合同会議の設置・開催を要望され、令和2年7月16日に近畿地方整備局の主催による地方踏切道改良協議会合同会議が開催されました。この地方踏切道改良協議会合同会議では、近畿地方整備局長から、踏切道の改良計画については、奈良県案である近鉄大和西大寺駅高架化・鉄道移設案を基本として協議し、令和2年度末までに作成すると総括されました。 一方、公明党会派として、さらに前に向かうよう願いを込めながら、どうしたらいいのか、多くの方々からアドバイスをいただきました。昨年10月22日に国土交通省において、赤羽国土交通大臣との面談で、奈良県内の駅舎のバリアフリーの要望がきっかけとなり、赤羽国土交通大臣から、時期が分からないが奈良に行こう、そして荒井知事が要望している状況を視察しようとお話をいただき、11月9日、荒井知事も同行いただきましたが、赤羽国土交通大臣が平城宮跡から近鉄奈良線を視察されました。 そして本年に入り、昨年の地方踏切道改良協議会合同会議の総括を踏まえ、奈良県、奈良市、近畿日本鉄道株式会社で近鉄大和西大寺駅高架化・鉄道移設についての調整を進められ、踏切道改良計画の合意に至り、令和3年3月25日に国土交通大臣に提出されたところであります。合わせて8つの踏切改良の抜本対策、速効対策が記載され、奈良県、奈良市、近畿日本鉄道株式会社の3者による確認書も締結されました。 今回の踏切道改良計画の策定は、近鉄大和西大寺駅高架化・鉄道移設というプロジェクトを進めるための非常に大きな第一歩であり、荒井知事のこれまでの熱い熱意により実現したものであり、知事の並々ならぬ取組に対し感謝申し上げます。 しかしながら、まだまだプロジェクトの実現に向けては、多くの検討や関係者との調整が必要になってくると考えます。引き続き、知事の強力なリーダーシップの下、歩みを止めることなくプロジェクトの早期実現に向け、進めていただきますよう、今後の動きに期待するとともに、私も微力ながら全力で取り組んでまいりたいと決意しております。 そこで荒井知事にお伺いいたします。 令和2年度末に策定された地方踏切道改良計画を踏まえ、近鉄大和西大寺駅の高架化と近鉄奈良線の移設の実現に向け、今後どのように進めていかれるのでしょうか。 次に、奈良県文化会館の整備についてお伺いいたします。 私ども公明党は、文化芸術基本法の、人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し、尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものとうたわれている文化・芸術の振興を推進し、日本のはじまりの地である奈良県が一層の取組により、歴史や文化を県内外に発信することが重要であると、機会があるごとに質問や要望をしてまいりました。 県はこれまでも、県民の質の高い音楽鑑賞の機会を提供するムジークフェストならや、県民参加の裾野を広げるための奈良県大芸術祭・奈良県障害者大芸術祭を開催し、県民の地域における文化鑑賞の機会の確保に努めてこられました。また、奈良県立美術館の壁面への館蔵品の展示や、奈良県文化会館の前庭での大型広報掲示板の設置のほか、直近では、奈良県議会棟壁面にも館蔵品を展示するなど、奈良県文化会館・奈良県立美術館周辺の展示を工夫し、文化的な環境づくりも進めておられます。 さて、私は、令和2年1月15日から、東京国立博物館で行われました特別展、出雲と大和に参加いたしました。その際感じたのは、日本で最初に指定された都市公園である上野恩賜公園には、東京国立博物館、国立科学博物館、東京藝術大学美術館、東京都美術館や東京文化会館などの文化施設があり、目的地までの道中においては、春は桜、初夏はハスの花が癒やしを与えてくれることです。また、周辺施設が分かりやすい案内板や動線の整備、ホームページでも情報量が豊富です。さらに上野動物園ではパンダなどの動物に出会えます。 一方、奈良公園には、今後改修整備される奈良県文化会館や奈良県立美術館、奈良国立博物館や東大寺総合文化センターがございますし、さらには無料でたくさんの鹿に出会えますが、一体を文化ゾーンとして捉えた面的な整備、情報発信の向上が必要ではないかと考えているところです。 以前、平成26年12月定例会で、我が党会派から、奈良県文化会館及び奈良県立美術館の整備について質問いたしました際、知事は、両館を一体的に整備する基本計画を早期に策定して、改修を一気にやるといったことが必要であろうかと思いまして、この県庁の横をかけがえのない文化ゾーンとして整備していくと答弁されています。その後、文化会館、美術館及びその周辺整備基本計画を平成27年度策定されましたが、美術館アネックスのための用地から、重要な遺構登大路瓦窯跡が発見され、現地保存を決定されたところです。 奈良新「都」づくり2021の賑わう都をつくるにおいて、奈良県文化会館・奈良県立美術館の周辺を文化ゾーンとして、文化的雰囲気を一体的に醸成する整備が必要と明記され、奈良県文化会館・奈良県立美術館とその周辺整備を挙げています。 そこで荒井知事にお尋ねいたします。 奈良県文化会館をどのようなコンセプトで整備しようと考えておられるのでしょうか、お聞きいたします。 次に、令和元年12月議会に引き続き、心のバリアフリーについてお聞きいたします。 前回の令和元年12月の代表質問では、心のバリアフリーに関する県作成のパンフレットにイラストが少なく、生活の場で実践するためにはもう少し工夫が必要ではないかとの指摘をさせていただきました。 今般、新たな心のバリアフリーハンドブックを発行いただき、ありがとうございました。生活の身近なシーンに応じた実践方法などが多くのイラストとともに掲載されており、大変見やすくなっております。 さて今回は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法の一部を改正する法律が、令和2年5月20日に公布され、本年4月の全面施行となりましたことから、その内容を踏まえ、質問いたします。 私は詳しく勉強するため、4月14日にオンラインで国土交通省や文部科学省の担当の方々と話す機会をいただき、その中で、今回の法改正は心のバリアフリーを軸としたものであるとの説明をいただきました。このバリアフリー法は、高齢者や障害者が肉体的・精神的に負担なく移動できるように、まちや建物のバリアフリー化を促進することを目的に、2006年12月20日に施行されたものです。それまでは病院やホテルなどといった不特定多数の人が利用する公共的な建築物を対象とするハートビル法や、鉄道やバスなどの公共交通機関を対象とする交通バリアフリー法が、それぞれ別の施策として行われておりました。その後、この交通バリアフリー法は、駅や空港などだけではなく、まち全体のバリアフリー化を推進する新バリアフリー法となり、法改正を重ねながら、全国各地で、段差解消や点字ブロック設置などが進められてまいりました。最近の改正では、これまでのハード面の整備と併せて、ソフト面の対策である心のバリアフリー化にも力を入れる内容となっております。 今回のバリアフリー法の改正されたポイントの1つとして、国民に向けた広報・啓発があり、心のバリアフリーを推進する重要な内容となっております。私もこれまでの質問において、ハード面の整備だけでは限界にあり、ソフト面、いわゆる心のバリアフリーの重要について主張してまいりました。今では全国で駅やバスターミナルの段差解消率、点字ブロックの設置率が90%を超えるなど、バリアフリー化が大きく進んでいます。ハード面のバリアフリー化の整備に加え、障害者と健常者が助け合う共生社会の実現を目指すためにも、心のバリアフリーは重要です。 荒井知事も、令和元年12月の私の代表質問に対し、心のバリアフリーが当たり前の奈良県の実現に取り組んでまいりたいと答弁をいただいております。 バリアフリー法の改正などの動きと連動し、奈良県におきましても、真の共生社会を目指す取組として、心のバリアフリーを力強く進めていただきたいと考えているところであります。 心のバリアフリーに関し、日頃から私は感じていることがあります。県では、奈良県住みよい福祉のまちづくり条例に基づき、ハード面のバリアフリーの取組を進めてこられましたが、共生社会の実現に向け、ハード面の整備も引き続き必要ですが、心のバリアフリーについては、まだ課題が多いのではないでしょうか。例えば、県では、奈良県おもいやり駐車場制度を平成28年に設けていただいておりますが、まだまだ使用すべき立場でないと思われる方の駐車が見受けられ、必要な方々が適切に使用できる状況にあるのでしょうか。また、ヘルプマークやカードをお持ちの方々への理解と行動が起こせているのでしょうか。心のバリアフリーを進めていくためには、障害をお持ちの方々や高齢者、妊婦さんなど、当事者の声が反映されることが重要と考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 奈良県として今後どのように、心のバリアフリーに対する施策を進めていくのか、荒井知事の所見をお聞かせください。 最後に心のバリアフリー教育への取組について、教育長にお聞きいたします。 先ほどの令和2年のバリアフリー法の改正に関して、心のバリアフリーに関する教育啓発特定事業が行われることになりました。また、教育現場におきましては、障害者と健常者が助け合う共生社会実現に向け、市町村、学校教育等と連携して、新学習指導要領に基づき、心のバリアフリー教育を、小学校で昨年度から、中学校で本年度から全面実施することとされています。将来にわたり、共生社会を実現していくためには、次代を担う子どもたちが心のバリアフリーについて理解を深め、社会の一員として活躍いただくことが重要であると考えます。 くしくも、今回のバリアフリー法の改正により、新たに文部科学大臣が主務大臣に追加され、学校におけるバリアフリー教室の開催や障害当事者を講師とした住民向けバリアフリー講演会やセミナーなどの開催、心のバリアフリーについて、学校教育と連携した取組が盛り込まれているところであり、私は大いに期待するものであります。 そこで、吉田教育長にお尋ねします。 子どもたちに対する心のバリアフリー教育について、県教育委員会としてどのように捉え、対応していこうと考えているのか、これまでの取組状況と併せてお聞きいたします。 以上、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)15番大国議員のご質問がございました。 まず最初のご質問は、基礎疾患を有する方々へのワクチンの円滑な接種というテーマでございます。 基礎疾患を有する方は、高齢者に次いで、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いことから、高齢者の次の接種順位に位置づけられています。既に高齢者の接種完了のめどがついた市町村においては、基礎疾患を持つ方々への接種が開始されています。 県では、基礎疾患を有する方の中には、接種に不安を持つ方も多くおられますことから、コールセンターを設けて、接種前の事前相談に応じることとしております。加えまして、接種後に副反応が生じた際にも、コールセンターで相談を受けております。また、受診を希望される方には、受診可能な医療機関を県ホームページで案内しております。今後も安心して接種を受けていただけるよう、環境整備を進めてまいりたいと思います。 また、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種を希望される方に一日も早く接種を完了していくためには多くの主体で接種を進めることが効果的であるわけでございます。 議員の2つ目の質問でございますが、大規模接種会場の設置、接種の打ち手確保、交通手段の確保など、どうするかという質問の分野でございます。 6月14日からは、自衛隊による大規模接種会場の利用が可能となり、6月21日からは職域接種による接種も開始されました。県でも昨日、猪奥議員にお答え申し上げましたが、7月下旬からモデルナ製ワクチンを利用して広域ワクチン接種会場の設置を予定したところでございますが、昨晩、河野行政改革担当大臣が会見で述べられたように、ワクチン供給が不透明な状況となってまいりました。 加えましてワクチン接種の担い手の確保でございます。まず県では、市町村の集団接種会場の稼働率を上げるため、研修医等を派遣する取組を実施しています。また、病院勤務医などが地域での接種に参加できるよう、県内の医療機関に兼業禁止の緩和を要請しているところでございます。さらに今回接種することが可能となった臨床検査技師や救急救命士に対して、筋肉注射等の研修を、今後、県で実施するなど、接種の担い手の確保を図ってまいりたいと思っております。 一方、議員のご持論でございます集団接種会場への移動が困難な方についての移動手段を確保することも重要な課題と認識しております。現に県内30市町村でタクシーの利用やシャトルバスの運行などに取り組まれており、便宜を図っておられます。こうした好事例を紹介して、引き続き横展開を図っていきたいと考えております。 今後も引き続き、ワクチン接種の早期展開というのは大きな課題でございますので、積極的に全力で取り組んでいきたいと思っております。 次の私への質問は、近鉄大和西大寺駅と平城宮跡の踏切道改良対策でございます。 近鉄大和西大寺駅と平城宮跡周辺の踏切道改良対策につきましては、近鉄大和西大寺駅の高架化と隣接する平城宮跡内の近鉄線の移設を一体的に進めることが重要であるとの考えの下、知事就任以来、積極的に検討を進めてまいりました。その後、平成29年と平成30年には、このエリアの8つの踏切道が、踏切道改良促進法に基づく改良すべき踏切道として指定され、令和2年度末までに踏切道改良計画を国に提出することが義務づけられました。このことを契機にして、県が主導する形で、近畿日本鉄道株式会社、奈良市との協議を続けてきましたが、合意に至らない状況が続いていました。 そこで、国への要望を重ねた結果、昨年7月に法定協議会の地方踏切道改良協議会合同会議を開催していただき、その場において、近畿地方整備局長から、踏切道改良計画については奈良県案である近鉄大和西大寺駅高架化・鉄道移設案を基本として協議を進めるとの総括がなされたわけでございます。その後、関係者間でプロジェクトの内容、事業スキーム、費用負担の考え方について議論を進める中、議員お述べになりましたように、昨年11月に赤羽国土交通大臣が来県された際、近鉄奈良線の現状についても現地をご視察いただいたところでございます。 その後も精力的に協議を続けた結果、今年3月になりまして、近畿日本鉄道株式会社、奈良市と県で合意に至りました。近鉄大和西大寺駅の高架化及び近鉄線の移設を記載した踏切道改良計画を策定することができ、このような大問題についての大きな弾みになったものでございます。 今後はこの踏切道改良計画に記載した事業の具体化が必要でございます。現在、県、奈良市、近畿日本鉄道株式会社の3者で改めて協議を開始いたしております。移設部分の線形や県からの提案している新駅の設置などについても検討を進めていくことになります。また、国に対しましては、今後開催する検討会に参画いただくとともに、来年度より連続立体交差事業の補助調査費によるご支援をいただけるよう、今年から要望してまいりたいと思っております。 長年の懸案である本プロジェクトの早期実現に向け、関係者と連携しながら、鋭意取り組んでいきたいと思います。 奈良県文化会館の整備について、どのような考え方で整備をしようとしているのかというご質問でございます。 これまで、音楽で奈良を元気にとの思いで開始いたしましたムジークフェストなら、10年たちましたが、県が主体的に文化イベントを実施し、また、県立ジュニアオーケストラを設置するなど、文化活動の振興に力を入れてまいりました。音楽は地域を元気にするという考え方でございます。今後さらに活発に文化活動を行っていただくことは、拠点となる文化施設の充実が重要であると思います。奈良県文化会館と奈良県立美術館は奈良公園の玄関口という絶好のロケーションにもありますが、共に老朽化が進み、本格的な耐震改修も課題となってきております。 これら両館の一体的な整備について検討を進めた経緯がございますが、奈良県立美術館北側の用地から学術的に重要な遺跡の登大路瓦窯跡が見つかり、現地保存を決めたことから、奈良県文化会館を先行して、県庁や奈良県立美術館など周辺建物との調和性に留意しながら、進めることといたしました。もとから一体的に整備をしようというデザインをしておりましたが、奈良県立美術館の部分は少し遅れる予定になりますので、耐震化の遅れている奈良県文化会館を先行して一体に整備しようという考え方に変更したものでございます。 奈良県文化会館は、国際ホールの音響が優れているという評判でございます。その強みを生かして「音にこだわる」をコンセプトに、音楽系を軸とした舞台芸術の殿堂となるよう再整備ができたらと思っております。具体的には、快適に鑑賞していただくための座席の改修など、国際ホールのリニューアルをはじめ、音楽小ホールを新たに設置いたします。また、音楽練習室等練習環境を整えることとしており、奈良県文化会館を拠点とする県立ジュニアオーケストラの活動などが充実するものと期待しております。 さらに、美術館からも見通せる奈良県文化会館の前庭に面した場所に新たにカフェを設置するほか、現在前庭の東側にある階段を、開放感あふれる緩やかな階段に改修して、奈良県立美術館またはバスターミナルとのアクセスのバリアフリー化をしていきたいと思っております。また、周辺がにぎわう演出もできたらと思っております。 このような計画を実現するため、本年度から2か年で整備に係る基本設計及び実施設計を行うこととしております。歴史ある奈良公園にふさわしい文化ゾーンとなるよう、利用者の利便性の向上と安全確保に十分配慮した奈良県文化会館の再整備を、まず着実に進めていきたいと思います。 心のバリアフリーの取組をどのようにするのかというご質問がございました。 県では、障害の有無に関わらず、誰もが暮らしやすい社会を実現するため、平成27年に、奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例を制定いたしました。また、それに先立ち、多様な障害の特性や障害のある方が困っていることを知り、具体的な手助けや配慮の方法などを学び、実践しようと、平成25年から、まほろばあいサポート運動に取り組んでいるところでございます。 令和2年11月には、議員からご紹介いただきました、心のバリアフリーハンドブックを作成し、障害のある方や妊娠されている方、高齢の方などが感じておられる町なかの不便なことを知り、これらのバリアをなくすため、お互いにコミュニケーションを取り、支え合う心のバリアフリーの実践が広がるように普及を努めているところでございます。 また、現下のコロナ禍では視覚障害のある方は消毒液の設置場所が分からないなど、新たな困り事が生じております。このような困り事や必要な配慮を、当事者の方々から聞き取り、多くの県民の方々に気づきと行動を促すよう、奈良県公式ツイッターせんとくんのつぶやきなどで発信しています。 心のバリアフリーが当たり前の奈良県を実現するためには、県民一人ひとりの心に響く啓発を、あらゆる場面で継続的に取り組んでいく必要があります。特に、子どもの頃から多様な他者への理解や共生の心を育むことが大事だと思っております。 今年の秋の芸術祭、また、障害者芸術祭は、そのような2つの名前をつけることはやめまして、1つの名前、奈良県みんなで楽しむ大芸術祭と一本化いたしました。これも同じ思想でございます。 引き続き、まほろばあいサポート運動の充実を図る中で、企業や大学、地域で活動しておられる団体など、様々な主体に、一緒に心のバリアフリーを実現しませんかと呼びかけ、協働しながら取組を進めてまいりたいと思います。 これらのほかにも、具体的な展開の仕方はあるかもしれませんが、まず実践、定着、実践、定着の繰り返しが大事だと思っておりますので、それを地道に着実にやっていきたいと考えているところでございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)15番大国議員より、私には、新型コロナウイルス感染症の後遺症における相談体制についてご質問をいただきました。 お答えいたします。 議員お述べのとおり、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方々の症状は、呼吸苦、咳、頭痛、腹痛、倦怠感、味覚障害、嗅覚障害など様々であります。 本県では本年4月、5月の2か月間で、保健所などに対して70件程度の後遺症に関する相談がありました。症状によっては身近な医療機関での受診を勧めるなどの個別の対応を行ってきたところです。一方で3月以降、感染者が大幅に増加したため、今後新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方の増加が見込まれます。 そこで県では、後遺症に悩んでおられる方々からの相談対応や、必要に応じて新型コロナウイルス感染症に対応する病院で、後遺症についても受診できる体制を構築するため、関係病院に協力を求めつつ、後遺症に係る診療が可能かどうかの確認を行っているところであります。 新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まれる方が必要とされる医療的サポートを受けることができるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)15番大国議員のご質問にお答えいたします。私には、心のバリアフリー教育について、捉え方、取組についてお尋ねでございます。 心のバリアフリーを障害者だけではなく、あらゆる人の社会参加を阻む障壁を取り除くことと捉え、教育におきましては、子どもは多様な他者を理解し、無関心や偏見などの心理的な障壁を解消する取組が求められていると考えております。 県教育委員会では、人権教育学習資料集「なかまとともに」に、障害者や高齢者等の暮らしや生き方、願いなどから、子どもが発達段階に応じて心のバリアフリーについて学ぶ教材を示し、その学習活動を通して、共生社会の実現に向けて意欲的に行動する子どもの育成に努めております。 昨年度の具体的な取組といたしましては、地元の社会福祉協議会等と連携をし、手話、点字、介護の体験をする学習、車椅子ダンサーによるデモンストレーション等を通して、障害者スポーツについて理解を深める学習などを、公立学校73校で実施いたしました。学習後のアンケートでは、多くの生徒は、今まで気づかなかったバリアに気づいた、コミュニケーションの大切さに気づいたと答えており、これらの学習は心のバリアの解消につながっております。 また、昨年11月に県が作成した、心のバリアフリーハンドブックには、困っている人への配慮や周囲に手助けが必要なことを知らせるヘルプマークについても掲載されております。県教育委員会といたしましては、このハンドブックをGoogle for Educationを用いて、県立高校生全員に夏休み前に配信をし、生徒はスマートフォンなどで受け取り、自主的な活用を進めてまいります。 本県の子どもが、「なかまとともに」による学校での学び、ハンドブックによる自発的な学びを通して、存在するバリアをなくす社会にとどまらず、バリアを生まない共生社会の実現に貢献できる、そんな人間となることを期待いたしております。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 15番大国正博議員。 ◆15番(大国正博) それぞれご答弁いただきましてありがとうございます。時間もございませんけれども、簡単に意見あるいは質問等を行ってまいりたいと思います。 最初にワクチンの接種です。基礎疾患のある方、先ほども申し上げましたが、最も一番大事な優先すべき方々への接種であります。ところが今、市町村で進めていただいておりますが、やはりばらつきが出てきている。タイミングもそうなのですけれども、例えば障害者支援施設で入所されている方、あるいは通所されている方も含めて、どのように進めていくのかということであったり、あと、今回奈良県もクラスターがありましたけれども、いわゆる職員さんへの接種も同時に進めていく必要があるのではないかというように私も考えておりますので、県の立場から、市町村に対して、そういう視点も踏まえて取組をお願いしたいと思います。 それからワクチンの件で、23日に河野行政改革担当大臣の発言がございました。今、9月までにファイザー社とモデルナ社を合わせて2億2,000万回のワクチンは確保しているということでありまして、河野行政改革担当大臣からは現在の供給ベースを維持していきたいとおっしゃっておりますが、若干混乱しているのかなと思っております。要は僕が思うのは自治体が進めておられる接種をまずは着実に進むように、県としてもしっかりとお取組いただければと思います。待っておられる方がたくさんいらっしゃるということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。 それから後遺症につきましてでございますけれども、70件相談があったということであります。本当に私どもにも届いてきておりますので、今、確認作業をしていただいていると思いますけれども、その確認をいつぐらいまでに終えるかというお考えは、医療政策局長、ございますでしょうか。速やかにホームページ等でも周知していただければと思うのですが、少しスケジュール感的なもの、イメージがありましたらご答弁をお願いしたいと思います。 ○副議長(乾浩之) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) 医療機関に対しては先週の時点で調査を働きかけておりますので、今その調査する内容について確認しているところです。できる限り速やかにまとめ、保健所等と協議をしながら、相談があった場合に医療機関につなげるようにしっかりと体制を整えていきたいと思っています。以上です。 ○副議長(乾浩之) 15番大国正博議員。 ◆15番(大国正博) ではよろしくお願い申し上げます。 次に、近鉄大和西大寺駅及び平城宮跡周辺の踏切道改良対策につきましてです。もう本当に地元住民からすると長年の課題でありまして、私も県議会議員に初当選をさせていただいて直ちに質問したことを思い浮かべておりますけれども、やはり荒井知事でないとできないという周辺住民の方の期待が最初から大きかったというのを今思い出しているのですけれども、ぜひともこれから困難なことがたくさんあろうかと思いますけれども、私ども公明党としても、全面的に地域住民の皆様の願い、あるいは安心・安全、さらには奈良にとっての、非常に大事な近鉄大和西大寺駅周辺のポテンシャルをさらに生かしていただくためにも、一層のお取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 それから奈良県文化会館でございますが、質問でも申し上げましたように、奈良県文化会館のリニューアル整備が完了するまでには、聞くところによると、およそ5年間ぐらいかかるのではないかと言われております。その間、ただ整備を待つということではなくて、奈良公園を東京の上野公園に負けない日本一の文化ゾーンを構築するための検討も併せてぜひとも行っていただきたいと思います。奈良県文化会館と奈良県立美術館を奈良公園のゲートウエイとしていただくとともに、奈良公園内における各文化・芸術施設の面的な連携、また、一体的な情報発信により、一層進めていただきたいと思いますけれども、知事の所見をお伺いいたします。 ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 奈良公園はよく見ていますと、文化施設といいますか、美術館、博物館がたくさんあります。また、春日大社、東大寺、興福寺という国宝がずらっと並んでいる地域で、このような地域は、日本あるいは世界でもなかなかない地域でございます。そのような中に、県が管理しているというところがある、役目を担っています。上手にこの奈良公園を文化のゾーンとして意識して整備をするということができたらという思いで、そのような勉強を始めています。 この4月に、奈良県立美術館長に、仏像彫刻家の東京芸術大学教授でありました薮内佐斗司先生に就任していただきました。また、京都造形芸術大学教授で、国立西洋美術館の館長をされて文化庁長官をされました青柳先生が橿原考古学研究所の所長に来ていただいています。また、奈良国立博物館の、今の井上館長は、東京国立博物館の副館長でおられました。大変、上野の森におられた方々が、今、奈良公園にたくさん来ていただいている。このようなチャンスを好機として捉えるべきというように考えまして、奈良県文化振興戦略懇話会をつくりまして、先般1回目の懇談会をさせていただきました。そのほか、奈良大学の上野誠さんとか、奈良県立図書情報館の千田さんなどにも入っていただきまして、奈良の文化をどのように認識して発信するのかというテーマでございますが、その中の1つのテーマとして、奈良公園の文化ゾーンをどのようにつくればといったことを提起いたしました。これからが楽しみなことでございます。 その中で、県は公園の管理ということもありますし、奈良県文化会館、奈良県立美術館、あるいは間にありますバスターミナル、あるいは吉城園、そこから東大寺大仏前の駐車場、あるいは春日野園地、奈良春日野国際フォーラム甍からシルクロード交流館などの施設とか管理地を持っております。どのように管理・整備をしていけばいいかという観点でございます。 上野公園と違いますのは、少し傾斜になっておりまして水が流れている。少し上り坂だから山に向かって登ると、これもまた山というのは神様がおられるという考えがありますので、また少し自然に近い考え方が出て、その間に文化施設がある。あるいは少し離れたところで平城宮跡に正倉院のレプリカを造り、平城宮跡の博物館がある。大変な文化ゾーンになり得る地域で、いろいろなやり方によっては大変文化度が上がるというように思っております。 まだ知恵が十分ではございませんけれども、県の役割は大きいと思って、どのような文化ゾーンをつくるのか、仏像などは音はありませんが、こちらで音を楽しむ、自然を楽しむ、仏像の造形を楽しむ、あるいは体を動かして楽しむ、あるいは能舞台もあります。どのように展開をするのかと。今まであまりそのような知恵を使ったことはないですけれども、このような立派な人が奈良に来ていただいているこの時期に、いいアイデアが授かるようにという必死の思いで、奈良県文化振興戦略懇話会を始めたところでございます。また知恵をお借りして、この地域が光り輝くようにといいますか、本当に新しい文化ゾーンの雰囲気、上野の森に負けない奈良公園文化ゾーンになればと、今思っているところでございます。また、知恵をお貸しください。 ○副議長(乾浩之) 15番大国正博議員。 ◆15番(大国正博) ありがとうございます。奈良の文化ゾーンの進捗を楽しみに、また機会があれば質問させていただきたいと思います。 最後に心のバリアフリーでございますが、知事もご答弁いただいたとおりでございます。県民一人ひとりの心に響くことが大事だと思いますので、粘り強く、奈良に行ったら安心だと、皆さん、海外からも、やがて戻ってこられる方もたくさんいらっしゃいますでしょうし、よろしくお願いしたいと思います。 また、教育長、生徒全員にハンドブック等を配信するということでありますので、感想等を、そういういい事例をバックしてあげていただければと思います。期待されている県民の方々がたくさんおり、高校生に対しての気持ちを聞いておりますので、ぜひとも前に向いてお願いしたいと思います。地味でございますけれども、よろしくお願いします。以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(乾浩之) 12番西川均議員。 ◆12番(西川均) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(乾浩之) お諮りします。 12番西川均議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(乾浩之) それでは、さように決し、明、6月25日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後4時19分散会...