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06月23日-02号

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  1. 奈良県議会 2021-06-23
    06月23日-02号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 3年  6月 定例会(第346回)令和3年6月         第346回定例奈良県議会会議録 第2号               令和3年6月23日(水曜日)午後1時開議   --------------------------------    出席議員(40名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 川口延良      5番 山中益敏        6番 亀甲義明      7番  欠員         8番 小林 誠      9番 浦西敦史       10番  欠員     11番 池田慎久       12番 西川 均     13番 乾 浩之       14番 松本宗弘     15番 大国正博       16番 太田 敦     17番 佐藤光紀       18番 清水 勉     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 奥山博康       24番 荻田義雄     25番 岩田国夫       26番 小林照代     27番 山村幸穂       28番 猪奥美里     29番 尾崎充典       30番 藤野良次     31番 和田恵治       33番 米田忠則     34番 出口武男       35番 粒谷友示     36番 秋本登志嗣      37番 小泉米造     38番 中村 昭       39番 今井光子     40番 森山賀文       41番 田尻 匠     42番 山本進章       43番 川口正志    欠席議員(1名)     32番 国中憲治   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○議長(山本進章) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(山本進章) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、21番田中惟允議員に発言を許します。--21番田中惟允議員。(拍手) ◆21番(田中惟允) (登壇)議場の皆様、こんにちは。お茶の間で中継をご覧いただく皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は宇陀市・宇陀郡選挙区選出の田中惟允です。議長の指名をいただきましたので、自由民主党会派を代表して知事に質問をさせていただきます。今回の登壇ができますことは、先輩議員、同僚議員のご指導のたまもので感謝申し上げます。また、会派を代表しての質問のため、地元宇陀地域の具体的なことより、奈良県全体の課題を中心に質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。 まず、初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。 昨年1月に始まった新型コロナウイルス感染症との闘いは既に1年半近く続いており、第1波から3波を経て、現在第4波の中にあります。全国ではこれまで78万人以上の方、そして本県においては8,000人を超える方の感染が確認されています。残念ながら、治療のかいなく、本県においても120名を超える方が亡くなられました。ここに謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。 さて、本県では、新型コロナウイルス感染症に対処するため、これまで感染者を早期発見、即時隔離し、感染された全ての方に入院治療、宿泊療養を提供するとの方針のもと、病床、宿泊療養室の確保に取り組み、感染防止と重症化予防に努められるとともに、感染経路の類型を明確化し、類型に応じた明確な注意をすることにより、拡大を防ぐとの方針のもと、感染経路の分析を進め、うつらない、うつさないための対策を呼びかけるといった感染防止対策を実行してこられました。本年3月以降の第4波においては、新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るい、大阪での爆発的な感染拡大とともに、本県でも急速に感染が拡大しました。4月に入り、近隣府県が緊急事態宣言の適用を国に要請する動きに合わせて、県内でも感染拡大防止に向けたさらなる対応を求める声が高まりました。 そうした中、本県では4月27日、県対策本部会議において、独自の奈良県緊急対処措置を決定され、本県の実情に合わせた措置を実行に移されました。その結果、県民、医療機関、福祉施設、各種事業者の皆様のご努力もあり、5月中旬以降、新規感染者は減少傾向に転じました。一時は入院病床、特に重症病床が高い占有率を示し、自宅療養される方も多数おられましたが、現在では落ち着きを取り戻しつつあります。しかしながら、感染力がさらに強いとされるデルタ株、つまりインドで最初に検出された新型コロナウイルスの変異株による国内での感染例も報告され、感染再拡大のおそれも依然残っていることから、今後の感染動向は予断を許さないものと考えます。新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、これからは希望される全ての方にワクチン接種を早期に完了するという時間との戦いになります。新たな感染拡大を防止するためにも手を緩めることなく、引き続き効果的な対策を実行していく必要があるのではないでしょうか。 そこで知事にお伺いします。 今回の新型コロナウイルス感染症の第4波の状況をどのように捉え、今後どのように感染拡大防止、感染の収束に向けて取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、大和平野中央プロジェクトについてお伺いします。 我が国は世界に類を見ない超高齢・人口減少社会を迎えています。特に大阪のベッドタウンとして高度経済成長期に人口が増大した奈良県においては、全国平均を上回る速いペースで高齢化、人口減少が進んでおり、また生産年齢人口の減少が見込まれているところです。また、県内各地における土地利用の状況を見ますと、住宅地が大半を占め、雇用や消費、生産額を引き上げる工業系、商業系の利用が少なく、とりわけ農地においては、他県を上回る耕作放棄地が発生しています。このような課題を解決するためには、農地とまちづくりの調和を図りつつ、県内経済活性化に向け、地元で雇用の場を創出し、そして若者の定着を図るなど、奈良で働く環境をつくることが必要と考えています。 さきの2月議会においては、知事から我が会派の米田議員の代表質問に対して、大和平野中央プロジェクトを立ち上げ、農地とまちづくりの調和と共生を図る県土利用のモデルにし、働く場の創出、健康増進、暮らしやすさの向上を目指したいとご答弁いただきました。これまでも県では、まちづくり連携協定など、市町村のまちづくりの支援に熱心に取り組んでこられましたが、この新たなまちづくりの取組は、本県の課題に対応する大変有効な策であり、また県内経済活性化に大きく寄与するものと大いに期待するものです。 そこで知事にお伺いします。 県が磯城郡3町と協働して取り組む大和平野中央プロジェクトの現在の取組状況と今後の展開についてお聞かせください。 次に、奈良県障害者総合支援センターのあり方についてお伺いします。 新型コロナウイルスによって、悩まされ続けてきたオリンピックはようやく開催に向け、機運が盛り上がろうとしています。そして、オリンピックの後、本年8月24日から9月5日までの13日間、東京2020パラリンピック競技大会の開催が予定されています。陸上競技1,500メートルにおいて、奈良県の赤井大樹選手の出場が内定しており、その活躍を期待して大きなエールを送りたいと思います。また、パラリンピックの開催を通じて、障害者の自立や社会参加の促進とともに共生社会の実現がさらに進むことを期待しているところでございます。 さて、奈良県では、子どもから大人まで、障害を持つ人の社会参加と社会自立を促進するため、奈良県障害者総合支援センターが設置されており、今議会においてその県障害者総合支援センターの設置目的を変更する条例改正案が提案されています。奈良県障害者総合支援センターは、心身障害者の社会的自立の促進を図るため、医療と福祉施設が一体となった奈良県初の総合的な施設として昭和63年に開設された奈良県心身障害者リハビリテーションセンターがその前身とお聞きしています。開設から現在に至るこの30年余りの間に障害者福祉制度は従来の措置制度から支援費制度の導入、障害者自立支援法の施行、さらに地域社会における共生の実現を基本理念とする障害者総合支援法の施行など、大きく変容してまいりました。さらに、地域コミュニティーの希薄化や人口減少、超高齢社会の到来などの社会情勢の変化、障害者が抱える課題の複合化、複雑化など、障害者を取り巻く環境は大きく変化しております。また、県内における障害福祉サービス事業所等は増加傾向にあるものの、まだまだ民間参入が進んでいないサービスの種類もあると伺っています。そのような中、奈良県障害者総合支援センターが、県立施設として果たすべき役割や実施すべき事業は、大変重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 奈良県障害者総合支援センターの今後のあり方について、どのようにお考えなのか、障害者総合支援センターにおける今後の事業展開も含め、お聞かせいただきたいと思います。 次に、県産材の供給拡大についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中、感染拡大防止のため、アメリカではリモートワークによる新しい働き方が普及し、環境のよい郊外で暮らそうという機運が高まるとともに、住宅ローン金利の歴史的な低水準での推移が重なり、住宅需要が急増しています。また、中国でも経済回復に伴う需要拡大が見られるなど、海外の木材需要は高水準で推移しています。こうした情勢を受け、北米やヨーロッパを中心とする海外の木材産地はこれらの地域への供給姿勢を強め、日本向けの輸出は大幅に減少し、そのため材価は高騰しています。もともと我が国は木材需要の約6割強を北米やヨーロッパ、ロシアなどからの輸入に頼り、今回の輸入木材の急減と高騰により、国内の木材需給のバランスが崩れ、住宅市場では建築用材の確保がかつてないほど困難になるなど、ウッドショックと言われる厳しい状況になっています。この状況の中、国内では木材不足を国産材にシフトして乗り切ろうとする動きがあり、今後、国産材需要は拡大傾向になると言われています。 本県は県土の約8割を森林が占め、豊かな森林資源と優れた育林技術で国内有数の優良材産地を築き上げ、高品質で強度のある木材を生産してきました。国内市場がウッドショックと言われている状況の中、県産材を安定的に山から生産し、建築用材をはじめ、製材品を市場に供給することは県内の林業・木材産業の活性化につながるのではないでしょうか。 そこで知事にお伺いします。 県内の林業・木材産業の活性化を図るためには、県産材の供給拡大が必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、奈良県の観光振興についてお伺いします。 まず、今後に向けた基本的な考え方を伺います。知事は、これまで本県経済の核となる観光の振興に積極的に取り組んでこられました。観光地・奈良のブランド力を上げる上質なホテルの誘致や、奈良が誇る自然、歴史文化資源の国内外への魅力発信など、長期的な視点と広い視野を持って着実に進めてこられたと感じています。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、全国的にインバウンドをはじめ、観光全体を取り巻く環境が急変し、宿泊施設などの観光産業は大きなダメージを受けました。このような喫緊の課題に対しても危機感を持って対応され、県観光の回復を目指した観光需要の喚起策にも速やかに取り組まれました。今、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、観光に関する人々の行動や価値観も変化しています。人混みを避け、自然の中で少人数でゆっくり心豊かに過ごすニーズが高まっています。今後、観光地の選択に当たっては、安全・安心を重視するようになるでしょう。さらには持続可能な観光、すなわち、将来にわたって経済、社会、環境への影響を十分に考慮した観光であることも必要です。この点において、本県は長きにわたり守られてきた自然、歴史文化資源を非常に多く持っています。これらは、今後磨き上げることによってさらに価値が高まり、様々なニーズに応えていけるものと思います。 観光産業は、現在非常に厳しい状況にありますが、この社会の変化を確実に捉え、アフターコロナ時代を見据えた観光振興の方向性について、今しっかりと考えておく必要があるのではないでしょうか。また、目指す方向性に向かって官民一体となり、力を合わせて取り組むべきものと考えます。 そこで知事にお伺いします。 県ではこのたび、奈良県観光総合戦略を策定されましたが、これに基づき、今後どのように本県の観光振興に取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 観光振興の第2点目は、この夏に開業を予定する、奈良まほろば館新拠点の活用についてです。 知事は、これまで首都圏における奈良県の認知度の向上、観光誘客の促進、県産品の魅力発信と販路拡大などを目的に、首都圏における県の情報発信拠点、奈良まほろば館において、農産物や伝統工芸品などの県産品の販売や、細やかな観光情報の発信、奈良らしい歴史文化イベントの開催など、多岐にわたる取組を進めてこられました。また、県内の市町村とも連携し、積極的に首都圏でのPRを展開するなど、大きな成果を上げてきたと評価するところです。 本県のようないわゆる地方が全国から関心を集めるには、発信力、購買力のある首都圏の消費者に魅力を伝え、ファンになってもらうことが重要であり、首都圏において継続的に魅力発信を行うことは極めて有効な取組と考えます。特に、新型コロナウイルス感染症の流行が観光業のみならず、地域産業全般に大きな打撃を与えているこの時期だからこそ、県の多様な魅力を効果的に発信し、購買や誘客の促進を通じて観光や産業の回復を実現していかなければなりません。現在、国を挙げて新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでおり、近い将来、観光や買物によるにぎわいが復活することが期待されています。地域産業にとって明るい兆しが見えてきた中、奈良まほろば館新拠点が現在の東京日本橋から新橋駅近くに移転し、本年8月10日に開業する予定とお聞きしました。この新しい拠点を有効に活用して、本県の観光、食、県産品などの魅力を全国に発信し、県内経済の再活性化につなげていただくことを大いに期待しています。 そこで知事にお伺いします。 この夏に開業を予定している奈良まほろば館新拠点を活用し、どのように本県の魅力を発信していくのか、お伺いします。 次に、大規模広域防災拠点の整備についてお伺いします。 近年、地震をはじめ水害や雪害など、以前では考えにくい規模の様々な自然災害が非常に多発しています。記憶に新しいところでは、昨年度の7月に九州の球磨川水系において梅雨前線の影響により、熊本県、鹿児島県を中心に大雨となり、その被害は約1,000ヘクタールを超える浸水被害があったと言われ、その映像は衝撃的なものでした。奈良県においても、過去に昭和57年の大和川大水害や平成23年の紀伊半島大水害で大きな被害を受けています。特に、紀伊半島大水害は道路が寸断され、孤立地域が多発し、救助・救援に向かおうとしても被災地に到達できないという状況が発生し、食料品や生活物資などの運搬にも困る状態でした。また、将来発生が予想されている南海トラフ巨大地震につきましては、非常に巨大なマグニチュード8から9クラスの規模の大地震が起こると予想されており、甚大な被害が出ることが考えられます。さらに、本県においては奈良盆地東縁断層帯、生駒断層帯などの断層帯が確認されていることもあり、地震につきましても大きな被害が出るおそれがあります。このような自然災害は、時間や場所を選ばず発生するものであり、ふだんから様々な備えの取組が必要と考えます。国では、これまでの大規模災害の教訓から、南海トラフ巨大地震が発生した場合は、全国から応援部隊が被災地に集結し、迅速な救助・救援活動を行うなど、具体の計画を策定し、対応できるように備えています。県でも、紀伊半島の中心に位置する五條市に大規模広域防災拠点の整備を検討しておられます。この拠点は、有事の際に迅速な救助救援活動のための拠点として活躍することが期待でき、救える命が大幅に増えるものであると考え、私も早期に整備を進める必要があると考えています。 そこで知事にお伺いします。 南海トラフ巨大地震等の大規模災害への備えとして、県で検討しておられる大規模広域防災拠点の整備について、今後どのように進めていこうとしておられるのか、お考えをお聞かせください。 最後に、現在改定を進めておられる奈良県の新たな「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」についてお伺いします。 県の「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」は、県全体のまちづくりの指針となる重要なものであります。現在、方針が策定されて既に10年を経過し、改定作業に取りかかっているとのことですが、今後県が示される新たな方針に即して、関係市町村のまちづくりの取組が進められることになります。 さて、荒井知事はこれまで県勢発展に向けて新たなまちづくりに積極果敢に取り組んでこられました。企業誘致では、令和2年の本県の立地件数は28件で全国8位、近畿7府県では2位となり、知事就任以来、3,000人余りの多くの雇用の場が創出されました。また、先ほども述べましたが、県と磯城郡3町が進めておられる大和平野中央プロジェクトの本格化が見込まれるとともに、暮らしや地域経済を支える京奈和自動車道などの骨格道路のインフラ整備も進んでおり、知事が進められるまちづくり政策が一つ一つ実を結び、奈良県の活力が上がってきていると、大変期待を膨らませているところです。しかし、一方でこれまで経験したことのない人口減少、高齢化社会の進行など、本県を取り巻く社会環境は刻々と変化しております。今後のまちづくりにおいても、変化を的確に捉え、先見性を捉えつつ、実現性、実効性を高める取組や工夫が不可欠となっています。このため、県が示される新たなまちづくり方針については、これまでの延長線ではなく、時勢を捉えたしっかりとした考え方を示す責務があると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 現在、進めておられる本県の今後のまちづくりの指針となる都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の改定に当たり、どのような考え方を示していくのか、知事のお考えをお聞かせください。 以上で、壇上からの自由民主党会派を代表しての質問を終わらせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)21番田中議員のご質問がございました。お答え申し上げたいと思います。 最初のご質問でございますが、新型コロナウイルス感染症対策について、第4波の状況をどのように捉え、どのように取り組んでいくのかというご質問でございます。今回の第4波では新型コロナウイルスの変異株の影響もありまして、大阪市を中心に感染が急拡大いたしまして、近隣3府県に緊急事態宣言が発出され、本県では県内の実情を踏まえて、奈良県緊急対処措置を策定し、実行させていただきました。一時期、病床の占有率は7割、重症病床では9割を超えましたが、入院加療の必要な方には全て入院していただくことができたものでございます。県民の皆様のご協力もあり、感染者は5月中旬以降減少傾向に転じ、現在はかなり低い水準に抑えられています。しかし、リバウンドの懸念が残ることから、大阪府における6月21日以降のまん延防止等重点措置の適用に合わせ、本県でも緊急対処措置を7月11日まで延長いたしました。今後はリバウンドを抑え、感染の収束を目指して、緊急対処措置にも掲げている3つの項目に重点的に取り組んでいきたいと考えております。 1点目は、効果的な感染防止策の確定と徹底でございます。これまでの経験で、感染には3つの類型があることは分かってきております。家庭内、家庭外、そしてクラスターでございます。家庭内、家庭外における感染防止策は個人個人のご注意が中心でございますが、注意の仕方についての情報発信に努めたいと思います。クラスター対策は、場所での対策が有効であることが分かってきております。社会福祉施設等への実地指導を継続して、社会福祉施設の職員の方々に持ち込まない対策、拡大しない対策をお願いしてまいりたいと思います。 2点目は、医療提供体制を護る措置でございます。通常医療との両立を図りながら、入院病床、宿泊療養室の確保に努めてまいります。これまで入院加療の必要な方は全て入院していただいたところでございますが、今後とも自宅療養ゼロを堅持して、死亡者の発生を抑制するようにしていきたいと思います。 3点目は、ワクチン接種の早期展開でございます。7月末までの高齢者への接種完了に向け、市町村への支援を継続していきます。また、接種を希望される全ての方の11月末までの接種完了を目指したいと思います。今後も本県が大きな影響を受ける大阪府の感染状況を注視していく必要がございますが、高い危機意識を持って感染の早期収束に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。 2つ目のご質問でございますが、大和平野中央プロジェクトの今後の展開についてでございます。 奈良県は、ベッドタウンとして人口が伸びてまいりましたが、第2世代、次世代の働く場が少ないことから、若者の人口流出が進んできている状況でございます。若者の人口流出を食い止めるためには、若者の働く場が必要でございます。大和平野中央部は交通アクセスがよく人が集まりやすい地域であり、そのポテンシャルを最大限活用し、若者や女性の働く場の創出、県民の健康増進、暮らしやすさの向上を目指す大和平野中央プロジェクトの実現に向けて取組を進めたところでございます。昨年10月には、県と磯城郡3町との間で個別に覚書を締結し、まちづくりの目指すべき姿について、それぞれ協議を進めてまいりました。併せまして、各町では本プロジェクトに必要な土地の確保に向け、事前に地元調整を図っていただいております。その結果、本プロジェクト推進の方向性について、県と3町の意向が一致し、また3町がそれぞれ納得されたことから、5月27日に県と3町で協定をそれぞれ締結し、まちづくりのテーマと対象地区を決めたところでございます。県といたしましては、今後このまちづくりのテーマに沿って各町と協議を重ね、まちの目指す姿やまちの構成要素などを検討し、この9月には取組の基本的な方針を決めた上で、年度内にまちづくり構想を策定したいと考えております。 具体的なことでございますが、ウェルネスタウンを目指す川西町におきましては、まほろば健康パークと連携し、家族で運動や健康づくりを楽しむ憩いと健康増進のまちづくりを検討していきたいと思います。同様に、田原本町におきましても、橿原市で検討を進めております国民スポーツ大会の会場の設置も視野に入れ、多様な人々が運動、スポーツを楽しむ、活気あふれる健康増進のまちづくりを検討したいと思っております。 一方スタートアップビレッジを目指します三宅町におきましては、仮称でございますが県立大学工学部の設置に向けて規模や専門分野、また学部の概要について検討を始めております。県立大学を核に、他の大学や民間企業などの研究機関との共同研究など、人と情報の交流ができる環境を整備して、学生が学び、また新しく社会に向かって活動のスタートを切れるまちづくりを検討したいと思っております。 同時に早期の土地取得完了を目指しまして、まず用地調査等の予算を確保し、事業進捗に応じて土地を取得するなど、段階的に事業化を進めていきたいと考えております。引き続き大和平野中央部の新しいまちづくりの実現に向け、さらに取組を一歩一歩進めていきたいと思います。 次のご質問は、奈良県障害者総合支援センターのあり方についてでございます。 県では障害のある人一人ひとりの思いを実現できる奈良県を目標とする奈良県障害者計画を令和2年3月に策定したところでございます。この目標実現に向けまして、また昭和63年の開設以降の社会情勢の変化等も踏まえまして、奈良県障害者総合支援センターのあり方を見直し、関連する条例の改正案を今議会に上程しているところでございます。議員お述べのとおり、県内の障害福祉サービス事業所等は全体として増加傾向にありますが、医療面でのケアも必要な重症心身障害の分野や、比較的新しい高次脳機能障害など、民間の参入が十分でない分野もあるという課題の存在が最近明らかになってきております。このため、今後センターでは民間参入が少ない分野の福祉サービス提供や、高度・専門的な分野の横断的な調整を基本的な役割と位置づけ、事業展開を行っていきたいと考えております。一例といたしまして、本年1月に奈良県重症心身障害児者支援センターを県障害者総合支援センター内に設置いたしました。そこでは新生児集中治療室からのスムーズな在宅への移行を支援するため、各関係機関との調整会議への参加や、広域的・専門的な相談支援、人材育成等に取り組んでいるところでございます。さらに、県中部地域における重症心身障害児の居場所づくりを進めるため、県障害者総合支援センターにおける支援対象を現在の就学前に加え、学齢期にも拡大していくこととしております。今回の条例改正により、県障害者総合支援センターを障害のある人の生活全般をその生涯にわたって支援する拠点と位置づけたいと思っております。ご本人やその家族に寄り添いながら、ライフステージを通した切れ目のない支援をさらに進めてまいりたいと考えております。 県産材の供給拡大についてのご質問がございました。 議員お述べのとおり、日本への木材輸入の減少により、ウッドショックと言われる木材不足が国内市場で生じております。この影響で県内においても県産材の需要が高まり、今年4月の原木市場における平均取引単価は前年同月比1.2倍以上になっていると聞いております。一方、県産材の供給面を見ると、林業地が急峻であることや、小規模経営の森林所有者が多く、施業の集約化が遅れていることから、路網整備が進まず、木材搬出が難しいこと、また製材工場も約8割が小規模で製材能力にも限りがあることなどが奈良県の林業産業の長年の課題となってきているところでございます。今後、計画的に木材を伐採、搬出するとともに、加工や流通の効率化を図ることが林業産業のために必要と考えております。このため県では、本年3月に「奈良県森林環境の維持向上及び県産材の利用促進に関する指針」を策定し、新たな森林環境管理による森林づくりと併せまして、県産材の安定供給と利用促進に向けた施策に取り組んでいるところでございます。 具体的には、まず川上側では計画的な森林施業の実施や、生産基盤の強化により、木材搬出を促進するため、森林所有者等が行う森林経営計画の策定支援や、奈良型作業道の整備、高性能林業機械の導入等への支援を行いたいと思っております。また、川中・川下側では大口の需要にも対応できるよう、製材工場等の協業・連携の促進や、設備整備などへの支援を行います。併せてウッドショック等による国内市場の動向を注視、分析し、林業、木材産業や建築関係事業者などと、これまで以上に情報共有に努めていきたいと思います。今後の木材需要の急激な変動にも対応できるよう、県産材の生産性向上と加工流通の競争力強化に役立つ施策を進めたいと思っております。供給を拡大することにより、林業、木材産業の活性化につながることを願っております。 奈良県の観光振興について、とりわけ奈良県観光総合戦略の内容についてのご質問がございました。今般、策定いたしました奈良県観光総合戦略では、リニア中央新幹線の奈良市附近駅の設置を見据えた長期の視点を持ちつつ、また実効性のある具体策として中期的に取り組むべき内容を体系的、総合的に示そうとしたものでございます。この戦略に基づきまして、本県の観光振興を推進するに当たっては、事業者、県、市町村など多岐にわたる観光振興実施主体がそれぞれの役割を認識していただき、魅力やおもてなしの向上に向けてみずから積極的かつ主体的に取り組んでいただくことが基本的なことでございます。 また、社会情勢の変化の影響を受けやすい観光の現状に鑑みまして、ウィズコロナ時代の観光、また持続可能な観光という視点も新たに求められているところでございます。これらの観点を十分踏まえ、宿泊を伴う周遊・滞在型観光をより促進するため、宿泊施設の質と量の充実、交通・道路体系のさらなる整備、奈良県食材を使ったおいしい食の提供などに取り組んでまいりたいと思います。また、奈良が誇る自然、歴史文化資源をさらに観光に生かしながら、体験メニューの充実など、バラエティーに富んだ新たな奈良の魅力の創出にも努めてまいりたいと思います。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とする新しい生活様式に適合した衛生管理の徹底や観光施設のバリアフリー化など、快適な旅行に必要な受入れ環境の整備も進めたいと思っております。これらの取組を継続的、持続的に進めることにより、名実ともに「世界中に名を馳せる観光地・奈良」の実現を目指したいと思っております。 その中で今年の夏に開業を予定しております、奈良まほろば館新拠点の活用についてのご質問がございました。奈良まほろば館は、国内外に強い発信力のある首都圏において本県の観光、食、特産品などの魅力を発信して、奈良県の認知度とブランド力向上を図ることを目的とした情報発信拠点でございます。また、今後、新型コロナウイルス感染症の収束を見据えて、本県の魅力をさらに全国に発信することが重要でございますので、県のブランド力の向上のため、奈良の魅力を全国に発信する拠点としての奈良まほろば館新拠点の役割に大いに期待しているところでございます。 この新拠点の役割でございますが、物販機能、レストラン機能、観光案内機能がございます。それを一体的に運営し、奈良らしく上質で洗練されたものを展示、販売、提供していくことが主たる内容でございます。また、県内市町村や社寺等と連携して、本県の奥深い歴史や文化を体験できるイベントを実施し、奈良のファンづくりを進めていきたいと思います。さらに、銀座に通じる中央通り沿いという立地を生かしまして、1階入り口辺りに大型ビジョンを設置して、豊かな自然や社寺の伝統行催事など、奈良でしか見ることのできないすばらしい景色を迫力のある映像で東京で発信していきたいと思っております。併せて、県職員がみずから目利きするバイヤーになっていただきたいと思っております。首都圏で知られていない魅力ある商品を県のバイヤーが発掘するとともに、事業者間での競争と切磋琢磨を促し、商品をブラッシュアップしていくなど、売れる商品づくりを進めたいと思っております。これらの取組を通じまして、観光誘客、県産品の販路拡大をより一層促進し、本県の魅力を広く認知していただけるように努めてまいるつもりでございます。 大規模広域防災拠点の整備についてのご質問がございました。 10年前に経験いたしました紀伊半島大水害や、近年も全国各地で地震や風水害などが相次いでいることを考えますと、奈良県でも災害はいつどこで起こるか予測できません。このため、大規模災害が発生した際の備えとして、救助要員の集結、救援物資の集積、配送など優れた機能を有する広域防災拠点の整備がぜひとも必要と考えております。しかし、南海トラフ巨大地震により、本県を含む紀伊半島全体が被災した場合に、これらの機能を担う大規模な広域防災拠点として、国の計画に位置づけられたものが紀伊半島には現在ございません。これらを踏まえまして、紀伊半島への後方支援拠点としての機能を担う観点からも、津波被害の心配がない五條市に2,000メートル級滑走路を有する大規模広域防災拠点を整備したいと考えております。2,000メートル級滑走路を有することで、赤外線捜索監視装置を搭載した固定翼機による夜間や雨天時も含めた迅速かつ正確な情報収集、また大型輸送機による大量輸送など、人命救助活動や避難者の生活への確実な支援が可能となり、被害を最小限に抑えることができると考えております。 具体の取組といたしましては、防災機能や運用方針などを盛り込んだ、大規模広域防災拠点整備基本計画の策定に1月より着手いたしました。有識者のご意見を伺う場として、防災分野や土木工学分野の専門家を委員とした奈良県広域防災に関する懇談会をこれまで3回開催いたしました。これらの有識者の方々からは、1点目として計画されている拠点は紀伊半島の付け根に当たる場所で、紀伊半島アンカールートや京奈和自動車道へのアクセス面から有効な場所であるということ、2点目は2,000メートル級滑走路があることにより、空からの情報収集、救助部隊の参集など、全ての面で速やかな対応が可能となるということ、3点目には、段階的に整備運用を進める計画は早期効果発現の観点から適切であること、また和歌山県、三重県と3県合同で、この大規模広域防災拠点の共同運用をしようという考え方には、大変すばらしいものがあることなどのご意見を頂戴いたしました。また、オブザーバーとして参加いただいた内閣府参事官からは、整備を進めるに当たり、災害発生時の運用を見据え、実際に使用する関係機関の声を聞くことが大事との助言と、今後必要な調整については協力するとのコメントもいただき、大変心強い思いをしております。こうした有識者の方々の知見を得て、県では紀伊半島エリアを広くカバーし、的確な災害救援活動のため、大量かつ迅速な人員・物資の輸送の実現や、大型輸送機が発着できる2,000メートル級滑走路など高次の機能を有する大規模広域防災拠点整備基本計画を今月中に策定したいと考えております。この整備基本計画ができましたら、本県が整備する大規模広域防災拠点を国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に位置づけていただくこと、また整備基本計画に基づく事業に対し、着手から完了まで緊急防災・減災事業債を適用していただくことの2点について国へ強く要望活動を行いたいと考えております。 また、この事業を確実に進めるためには、用地の確保が不可欠でございますが、地元のご協力、ご理解も必要でございます。これまでに7回の地元説明会を実施し、近く6月30日と7月4日にも地元説明会を予定しております。本事業への理解を得るため、今後とも十分な説明を行っていきたいと考えております。地権者の方々とは協議を重ねながら、補償調査を進めております。五條市とともに、用地についても交渉を進めているところでございます。今後とも国の協力を得ながら、五條市と緊密に連携し、防災機能の早期効果発現に向け、大規模広域防災拠点の整備を着実に進めてまいりたいと思います。 次のご質問は、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針についての考え方のご質問でございます。 現在、改定を進めております「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」は、県土の将来を見据え、今後10年間の都市づくりの方向性やあるべき姿を示すものでございます。前回の改定からおおむね10年が経過するため、社会構造の変化や課題を踏まえ、改定作業に取り組んでいるところでございます。これまでは秩序ある市街地の形成や計画的な開発を目的として、市街化区域と市街化調整区域の区分や住居系、商業系、工業系の用途地域のゾーニング等により、土地利用を規制・誘導するマスタープラン型のまちづくりを行い、一定の役割を果たしてまいりました。しかし、一方で人口減少や高齢化社会が進行していく中、歩いて暮らすには適さないまちや未利用地の増加、市街化調整区域での無秩序な開発など、新たな課題も多く発生している状況でございます。こうした諸課題に対応し、経済の自立、雇用を創出する持続可能な地域社会を実現するため、それぞれの地域がみずからの発想でまちづくりを推進する必要があると考えております。このため今回の方針改定では、土地利用に関係する全ての人が都市づくりの方向性と将来像について共通認識を持ち、市町村や地域住民等が知恵を絞り、工夫を凝らして実現性のある持続可能なまちづくりの計画を策定する、いわゆるボトムアップ型のまちづくりへ転換することを基本的な考え方としております。これまでのマスタープラン型のまちづくりは、経済が成長して、土地が不足して地価が高騰する時代に適合したまちづくりプランだと思います。今は土地が余って土地の利用を促進する、いい利用を促進するまちづくりというのは、また違うまちづくりの手法が求められているように思います。奈良県はそのような考え方でチャレンジしていきたいと思っております。現在、磯城郡3町とともに進めております大和平野中央プロジェクトは、そのような先進モデルのつもりでございます。新方針に基づく土地利用とまちづくりを実現してまいりたいと考えております。ご質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 21番田中惟允議員。 ◆21番(田中惟允) ご答弁ありがとうございました。私も実は昨日、新型コロナワクチンの接種をしてきました。宇陀市の会場は大規模の会場をつくっていただいて、体育館の中で80人ぐらいの方がいろいろと手分けして作業して、流れ作業のごとく予防接種、ワクチンを打っていたわけでございますけれども、やはりああいう大規模の形のほうがスムーズに展開して、効率が上がっているのではないかという感想をしております。 新型コロナウイルスの対策につきまして、奈良県は自治のあり方、地方自治体としての病気に立ち向かう覚悟の姿勢が他の自治体より強いと思いました。みずからの取組で解決できる方法を探る積極的なものであるとも思いますし、何もかも国に依存するのではなく、みずからの工夫で解決の道を切り開かれていると思えて、敬意と賛意を表したいと思っています。そして、お医者様や看護師の皆様をはじめ、現場で格闘し、対処されている関係者の皆様に感謝申し上げます。潜在看護師さんの協力をいただくために、看護協会では既に82名の研修をされたようですし、この後、6月中に2回、7月にも5回の研修が行われると伺っています。ワクチン接種が順調に進むようにと関係者の方々が努力しておられることを披露しておきたいと思ってお話をさせていただきます。 また、質問の中で申し上げました木材利用につきまして、今月15日の閣議で森林・林業基本計画が決定されたこともありまして、そのことを先日開かれた、南部・東部地域振興対策特別委員会で発言させていただきました。その中には、国民スポーツ大会を迎えようとしている中で木材利用ができるのではないかとか、いろいろと提案申し上げたことがありますので、また担当の方からお聞きいただいて、木材振興に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 次に、37番小泉米造議員に発言を許します。--37番小泉米造議員。(拍手) ◆37番(小泉米造) (登壇)議長のお許しを得ましたので、自民党奈良を代表いたしまして、私、小泉米造が質問をいたします。 昨年から新型コロナウイルス感染症により、これまで全国で1万4,000人余りの方、奈良においても126名の方がお亡くなりになっています。まずは、亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げます。 奈良県では、今年の3月から再び感染が拡大に転じた後、4月に入って第4波と言われる急激な新規感染者の増加傾向が続きました。この状況に対し、知事は4月27日に奈良県緊急対処措置を策定され、本県の実情に合った取組を推進してこられました。第4波の波は第3波以上の大波となりましたが、緊急対処措置に基づく県民や事業者の皆様のご理解、ご協力、県による病床や宿泊療養施設確保の取組、県立病院をはじめとする新型コロナ対応病院における医療関係者の懸命の努力などにより、この大波もようやく乗り越えるめどが立ってきました。特に、長期間にわたり新型コロナウイルスと最前線で闘い続けておられる医療従事者の皆様に頭が下がる思いでございます。改めて感謝を申し上げ、少しでも早い新型コロナウイルス感染症の収束を願いまして、質問に入らせていただきたいと思います。 まず最初に、新型コロナウイルス感染症の変異株への対応について、知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の感染予防に何より効果があると言われているワクチン接種については、県内市町村で高齢者の優先接種など、順調に進めていただいていると認識していますが、私の周辺でも2回目のワクチン接種が終了した、やれやれだと安堵する声が多く聞かれるようになりました。また、3月下旬から感染者数が3桁にもなった第4波でございましたが、公表されている感染者数も1桁の日が多くなり、県独自の感染拡大防止策となる様々な緊急対処措置の取組の効果が出だしたのではないかと推察するところであります。 しかしながら、このような状況の中にあっても、まだまだ手放しで喜べないのが新型コロナウイルスの変異株の出現であります。第4波においては、全国的にこれまでの波とは比べものにならないスピードで感染が拡大しましたが、新型コロナウイルスの変異株はその最大の要因と言われています。一般的にウイルスは増殖、変異を繰り返す中で少しずつ変異していると考えられていますが、新型コロナウイルスも例外ではなく、現在も新たな変異株が世界各地で確認されております。世界保健機関や国においては、このような変異をリスク分析し、従来株から置き換わったと言われているイギリスで最初に検出された新型コロナウイルスの変異株であるアルファ株をはじめ、感染性や重篤度が高く、ワクチンの効果を弱める可能性があるものを懸念される変異株と分類し警戒を強めております。その中でも、4月20日に国内で初めて感染が確認され、6月中旬には110例以上が確認されたインドで検出された新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株については、アルファ株よりも強い感染力があると言われ、専門家は非常に脅威であると強調いたしております。 国は新型コロナウイルスの変異株への対応として水際対策をさらに強化し、インドやその周辺国からの入国前後のPCR検査を従来の変異株の3回から4回に増やし、検疫所が用意した宿泊施設での待機期間も6日間から10日間まで延長いたしました。さらに国は、国内での変異株の感染拡大対策として、変異株の監視体制の強化を目指し、都道府県に対し、独自でデルタ株等の変異株の感染者を発見することができる検査の実施を要請したと聞いております。 一方、本県においては、今月14日にデルタ株について、県内初の患者の感染疑いが確認されたと報道があったところであり、新型コロナウイルスの変異株が既に身近に迫っていることを改めて実感しております。新型コロナウイルスの変異株であっても、個人個人が気をつけなければいけないことは、密閉・密集・密接の三密を回避するなど、基本的な感染予防策に変わりはありません。しかし、今後の感染者数の動向の鍵を握るであろう新型コロナウイルスの変異株の感染拡大の防止のためには、国の水際対策の強化とともに、県においても県内の発生をいち早く把握する検査体制の強化が必要と考えます。 そこで知事にお伺いいたします。 今まで以上に警戒が必要な新型コロナウイルスの変異株の感染拡大防止のために、県内の変異株の検査体制をどのように強化されるのでしょうか。また、デルタ株はワクチンの有効性を弱めるとの指摘もありますが、ワクチン接種の推進体制に影響はないのでしょうか。お尋ねをします。 次に、飲食店や宿泊施設の感染防止対策施設認証制度について、知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、外出自粛や移動制限が行われたことで、飲食店等や宿泊施設は大きなダメージを受けております。県内の飲食店や宿泊事業者からも、昨年末から半年間にわたって非常に厳しい経営状況が続いており、何とか踏みとどまっている状況だと聞いております。ワクチン接種が急ピッチで進められるなど、感染収束への期待が持たれるものの、まだまだ先が見通せない現在の状況の中、まずは県民の皆様が安心して県内の飲食店や宿泊施設を利用できる環境を速やかに整えることが喫緊の課題だと言えます。飲食店、宿泊施設の事業者の方々の中には、このような苦境の中においても、ポストコロナを見据え、業種別ガイドライン等を遵守して感染対策に取り組むなど、感染リスクを低減させながら回復の道を探っておられるところも多くあると聞いております。もとより、県内の飲食店や宿泊施設の感染が極めて少ないのは、そういった事業者の方々の努力の結果であり、そのような事業者の努力に対し、県が後押しする取組は大変重要だと考えております。 その一環として、県は感染防止対策を実施する施設の認証制度を創設し、5月下旬から運用を開始されました。認証を受けられた店舗の方のインタビューをテレビや新聞で見聞きしましたが、飲食店の方々の苦境と認証制度に対する期待を改めて感じました。この認証制度を広く周知し、多くの飲食店や宿泊施設が認証を受けることにより、継続的かつ広域的に感染防止対策が講じられれば、ウィズコロナの中であっても、安心して飲食や宿泊ができる環境が整い、県内の経済活動が活性化すると考えております。 そこで知事にお伺いいたします。 5月下旬から実施している感染防止対策施設の認証制度は、新型コロナウイルスの感染を制御し、経済活動の早期回復を図るために大変有効であると考えますが、現在の取組状況についてお伺いいたします。 次に、ヤングケアラーへの支援について、知事にお伺いいたします。 子どもに負担を強いている大きな社会問題として、最近広く報道されているヤングケアラーは、本来大人が担う家事や家族の世話などを日常的に行っていることにより、やりたいことが十分にできない状況に置かれている子どもであります。このヤングケアラーについては、どれくらいの子どもがいるのか、どのような負担を強いているのか、また支援が届いているのか、実態が分からない状況でした。 そこで、国では本年3月に厚生労働省と文部科学省が合同で、「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」を立ち上げ、ヤングケアラーの実態把握のための調査や関係者からのヒアリング等を経て、ヤングケアラーを早期に発見し、支援するための施策を報告書に取りまとめ、5月17日に公表されました。同プロジェクトチームが昨年度に実施した公立中学と全日制高等学校の各2年生を対象にした実態調査によると、世話をしている家族がいると回答したのは、中学生で5.7%で約17人に1人、高校生では4.1%で約24人に1人という結果になっています。その中には、世話をしていても自分のやりたいことへの影響は特にないと回答した子どもが半数近くいる一方で、家族への世話をほぼ毎日している中高生は5割弱、1日平均7時間以上世話をしている中高生が約1割存在しているとのことであります。このように、事態は深刻であります。 世話の対象としては、病気や障害のある父母、高齢で介護が必要な祖父母のほか、兄弟姉妹の世話をする例が目立っています。また、ヤングケアラーはどのような人のことを指すのかの認知度や、子どもに関する問題としての社会認識が低い状況であります。県内でもきっと外で忙しく働く親を助けるために、同居している高齢の祖父母、あるいは幼い兄弟の世話に時間を取られ、友達と遊ぶことを我慢したり、落ち着いて学校の宿題ができない子どもたちがおられると思います。 このようなヤングケアラー問題の背景には、少子高齢化や核家族化が進み、共働き世代の割合も増加しているなど、家族の中でケアの担い手が少なくなっていること、地域のつながりの希薄化などにより、家庭内の問題が外から見えにくくなっていることなど、様々な要因があると考えます。 また、介護の分野では、介護を必要とする人へのサービスの充実や権利擁護など幅広い支援策が打ち出されてきましたが、家族の中で介護する人は誰か、介護する家族への支援は必要ではないのかという視点はあまりなかったように思います。家族の中で助け合うという絆は貴いものですが、ヤングケアラーは単にお手伝いというのとは状況が異なる深刻な問題であります。神戸市では、過去に20歳代の孫が同居していた祖母の介護と自分の仕事の両立に疲れて殺害してしまったという痛ましい事件が起こったことなどを受け、本年6月に、こども・若者ケアラーの専用相談窓口を開設されたと聞いております。このように、全国では、ヤングケアラーへの支援に動き出しているところもあります。 奈良県においても、先日、報道発表されましたが、県教育委員会が主体となってヤングケアラーに関する実態の調査を中高生を対象として実施したということを聞いております。先ほど申し上げた報告書においても、全国規模の実態調査を実施したが、それぞれの地方自治体においても、実態把握のための調査が望まれると、今後取り組むべき施策として記載されているとおり、まず本県における実態を正確に把握した上で、幅広い分野が連携して支援する体制をつくることが急務ではないでしょうか。 そこで知事にお伺いいたします。 ヤングケアラーへの支援が十分ではない現状を踏まえ、県はこの問題をどのように捉え、対策を講じていこうとしているのでしょうか。お尋ねしておきます。 次に、奈良県豊かな食と農の振興計画について、知事にお伺いいたします。近年の食と農を取り巻く情勢は、農では、担い手の高齢化、耕作放棄地の増加、食では、ライフスタイルの変化による消費者の食に対するニーズの多様化、食のグローバル化など大きく変化しています。こうした状況の中、知事は、みずからのリーダーシップのもと、食の振興に力点を置き、様々な施策を展開されてきました。具体的には、平成28年に食と農の担い手を育成する、なら食と農の魅力創造国際大学校の開校、食の魅力発信として食をテーマにした奈良フードフェスティバルなどイベント開催、首都圏での県産農産物の知名度アップを目指した知事トップセールスやアンテナショップの開設、県産農産物のブランド強化を目指したブランド認証制度である奈良県プレミアムセレクトなど、食の視点からの新たな施策に取り組んでこられました。 我がまち、大和郡山市では、イチゴやトマト、イチジク、水稲をはじめ、大和野菜である大和丸なすや、筒井れんこんなど様々な特産品があります。生産者の方々は、生産するだけでなく、地元大型スーパーと連携し、大和郡山フェアと題して、新鮮な地場野菜を消費者に提供する地産地消の取組に努力されています。また、昨年、今年と新型コロナウイルスの影響が出てはおりますが、大和郡山市が産地である大和丸なすは、その多くは首都圏で流通し、高級料亭などで重宝されております。まさに県が進めている首都圏販売戦略の先駆けであり、高級食材として定着しております。 このように、食を中心とした様々な施策展開は農業だけでなく、観光振興にも発展し、ひいては地域活性化の起爆剤として非常に重要な視点であると私は考えています。そうした中、県では、令和2年に農林部から食と農の振興部に組織改編され、ミッションを明確にし、今後もさらに食と農の施策を実行していこうという意気込みが感じられます。奈良県豊かな食と農の振興計画の策定も、こうした取組の一環として取りまとめられたものと推察いたします。計画では、食の魅力による観光振興、県民の健康に向けた食生活の改善、食を通した子どもの健全育成、さらに、効果的な生産や販売戦略による農畜水産業の振興など、本県の食の魅力づくりを総合的に推進するとされております。 そこで知事にお伺いいたします。 食の魅力づくりをこれまで以上に推進するため、奈良県豊かな食と農の振興計画に基づき、どのような取組を行っていこうとしておられるのでしょうか。お尋ねしておきます。 次に、近鉄郡山駅周辺のまちづくりについて、知事にお伺いいたします。 近鉄郡山駅周辺は、郡山城の城下町として約400年前に形成されたまちであり、今なお情緒にあふれた建造物が建ち並び、歴史的な景観を有した地区であります。また、市役所、三の丸会館、市立体育館等の公的施設、大和郡山病院や銀行等の公益施設、近鉄、JRの鉄道駅や商業施設などが立地し、市のまちづくりにおいて重要な地区であります。 しかしながら、地区内の道路は総じて道幅が狭く、入り組んでおり、また郊外型大型商業施設の立地等により、商店街のにぎわいが低下し、さらに高齢化や後継ぎ不足等により、空き家も発生している状況であります。 そのため、本地区におきましては、平成26年11月に県と大和郡山市によるまちづくり包括協定が締結され、平成28年8月に、まちづくり基本構想が、そして令和元年7月には、まちづくり基本計画が策定されました。現在、このまちづくり基本計画に基づき、まちづくりの取組を進めるため、県と大和郡山市で具体的な個別協定を締結して事業を進められているところであります。 今年4月には、民間のまちづくり会社が近鉄郡山駅とJR郡山駅を結ぶ矢田町通りに面する築約90年の空き家をリノベーションし、飲食店が入り、レンタルスペース等もある町家未来基地をオープンさせるなど、まちの中心部において新たなまちづくりの動きが生まれています。この新たな動きは、まちづくり基本計画の取組として記載されているリノベーションスクールをきっかけに誕生したものであり、これまでの県と市の連携が実を結んだものと考えております。 また、まちづくり基本計画においては、駅周辺に人が集まる仕掛けづくりとして、駅移設による既存バスターミナルとの連携強化、人々が交流できる駅前広場の整備、安心安全に歩ける環境づくりとして、地区内へ流入する自動車交通の抑制、矢田町通りなど地区内道路の歩行者優先化などが取組として記載されております。今後、これらの取組が進めば、さらに当地区が活気づくものと大いに期待しているところでございます。 そこで知事にお伺いいたします。 近鉄郡山駅周辺地区において、具体的なまちづくりの取組を進めるに当たり、これまで以上に市との連携、また鉄道事業者等関係機関の協力が必要となってくると考えます。そこで、現在の取組状況と今後どのように当地区のまちづくりを進めていこうと考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。 次は、警察に関する質問でございますけれども、それに先立ち一言申し上げます。県警察におかれましては、コロナ禍の中、東京オリンピック・パラリンピック等の大規模警備を控え、また特殊詐欺対策、交通事故対策等、現下の厳しい治安情勢の中、日夜、県民の安全・安心のためご尽力いただいていることに対し、改めて感謝いたします。 それでは、スマートフォンを活用した110番通報について、警察本部長にお伺いいたします。 最近、テレビのニュース等を見ていると、視聴者提供の動画や写真などの映像を見ることがよくあります。これらの映像はプロが撮影したものではありませんが、自分自身がまるで現場にいるかのように状況がスムーズに理解ができる十分な品質の情報であると思います。 また、総務省の通信利用動向調査によりますと、2019年における個人のモバイル端末の保有状況を見ると、スマートフォンの保有者数の割合が67.6%と、携帯電話・PHS、24.1%よりも43.5ポイントも高くなっており、今やスマートフォンは社会に幅広く普及しております。 このような状況の中、昨年10月より兵庫県において110番通報時に通報者のスマートフォンを活用し、事件や事故現場の状況を撮影した映像を送ってもらう新システムの運用が始められました。また、警察庁が令和3年度から兵庫県と同様のシステムを全国の警察に導入する取組を開始すると聞いております。 このようなスマートフォンを活用した110番通報における取組は、これまで得られる情報が電話による音声のみだったのが、写真や動画といった映像情報が加わることにより、警察官の初動対応がこれまで以上に的確になり、ひいては県民の安全・安心の一助になるものと私は思います。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 スマートフォンを活用した110番通報システムは、事件の初動対応に効果的であり、積極的に導入するべきと考えますが、どのように取り組んでいこうとしておられるのでしょうか。お尋ねしておきます。 最後に、国道308号の待避所整備について要望でございます。 国道308号は、大阪市と奈良市を生駒山地の暗峠を越え結ぶ道路になります。この国道308号の沿線で大和郡山市には、矢田山の自然を背景に様々な体験ができる県立矢田山遊びの森があります。ここには、子どもの森広場を中心とした行楽、森林浴、トレッキングなど四季折々の自然に触れ合う場として、またいろいろなハイキングコースもあり、昨今のアウトドアブームの盛り上がりもあって訪れる人も多いと聞きますが、アクセス道路である国道308号が2車線の整備された道路ではないため、対向車の擦れ違いが困難な区間があるとの声も聞きます。 現在、県では第二阪奈有料道路と県道枚方大和郡山線が交差する奈良市中町に道の駅を整備することを進められており、今年度から本格的に工事に着手され、令和5年度の完成が予定されています。また、今年2月に打ち出された、奈良新「都」づくり戦略2021によると、この道の駅の機能の1つに地域観光のゲートウェイ機能があり、矢田山遊びの森などの周辺観光施設との連携策を具体化されるとあります。地域の方々や沿道地権者の協力も求めていかなければなりませんけれども、矢田山遊びの森へのアクセス向上のためにも、対向車の擦れ違いが困難な箇所の待避所設置に向けご検討いただきたいとお願いをするところであります。 以上で壇上からの私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)37番小泉議員のご質問がございました。最初のご質問でございますが、新型コロナウイルス感染症の変異株への対応状況でございます。 新型コロナウイルスの変異株の感染拡大を防止するためには、従来株と基本的には同じでございますが、県内での発生を早期に把握し、発生が確認された場合には感染経路の把握を徹底することで、極力感染を抑え込むことが重要であると認識しております。今年初めにインドで最初に検出された新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は、従来株や英国で最初に検出された変異株であるアルファ株よりも感染性が高いとされています。近畿でも大阪府で9例、兵庫県で11例が確認され、本県でも6月14日に初の疑い患者の報告があり、感染拡大が懸念されるところでございます。 本県の対応をご説明申し上げます。変異株の県内での感染状況を把握するため、まず今年3月に県保健研究センターにおいてアルファ株等のPCR検査を開始いたしました。その後、検査体制を充実し、これまで奈良市や民間検査機関分と合わせ、6月13日までに1,644件の検査を実施いたしました。その結果、約85%、1,393件が変異株陽性で、県内でも全国同様、従来株からアルファ株に置き換わったことが確認されました。 次に、国内におけるデルタ株の発生を受け、6月14日から県保健研究センターでは、これまで実施していたアルファ株等のPCR検査に代えて、デルタ株等のPCR検査に重点化することにいたしました。また、変異株に対するワクチンの有効性でございますが、厚生労働省は一定程度期待できるとの見解を示されております。県としましても、現時点ではワクチン接種に影響はないと考え、市町村による集団接種、医療機関による個別接種、企業等による職域接種、県による広域接種を推進することで、一日も早く接種を希望する方への接種を完了できるよう、スピード感を持って進めたいと思っております。今後は、さらにデルタ株等のPCR検査数を増やし、県内における変異株を早期に発見し、感染経路の把握を徹底することで県内における感染拡大の防止を図っていきたいと思っております。 感染防止対策施設認証制度についての取組状況のご質問でございます。 新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の早期回復を図ることを目的に、感染防止対策を実施する飲食店や宿泊施設を県が認証する制度を今般新たに創設いたしました。この認証制度は、国が示した基準や業種別ガイドラインを基に、感染症や公衆衛生の専門家等の意見も踏まえて県が独自に基準を定めたものでございます。この基準には飲食時以外のマスク着用の推奨、手指消毒や換気の徹底などの必須項目に加えまして、さらなる感染防止対策に取り組むアピール項目を加えました。このアピール項目の実施状況に応じて、認証区分に一つ星から三つ星まで段階を設け、その星の数を明示したステッカーを交付しております。多くの星の取得を目指していただくことは、対策強化の動機づけにもなり、より確実に感染防止が進むと期待しているところでございます。5月25日から運用開始いたしましたところ、6月22日現在で飲食店は60件、宿泊施設は39件を既に認証しました。今後、より多くの店舗、施設が認証を取得していただけるよう周知にも努めることとしています。また、認証取得した店舗、施設については県ホームページやスマホアプリ・ナラプラスなどでも広報し、適切な感染防止対策が行われている店舗、施設であることを県内外に情報提供して、認証制度の促進をしていきたいと考えております。 併せて、認証取得に取り組む飲食店や宿泊施設を対象に、自動手指消毒器や二酸化炭素濃度測定器など、感染防止対策に必要な設備、備品等に係る経費の4分の3の範囲内で飲食店は最高20万円、宿泊施設は施設の規模に応じて最高750万円を県が補助することにしています。これらの取組により、安心して飲食、宿泊ができる環境を整え、本県経済活動の速やかな回復を目指していきたいと考えております。 次は、ヤングケアラーへの支援についてのご質問でございます。 ヤングケアラーは、近年顕在化してきた子どもに関する大きな社会問題でございますが、県ではこの問題を含め、虐待や貧困の問題など、子どもに関する様々な問題を全面的に解決できるよう努力していきたいと考えているところでございます。 ヤングケアラーといわれる子どもさんは、本来は大人が担う家事や家族の世話を日常的に行っておられるため、学びや遊びなどを通じて健やかに育つ権利が保障されていないと認識しています。この問題の背景には、まず世帯人数の減少や共働きの増加等により家庭内でケアを担う人が少なくなってきていることがあります。また、親だけではなく子ども自身も、子どもが家族の世話をすることは当たり前だと思っていたり、子どもが不満を感じていても、家庭内の問題だからと言い出せず、周りの大人が気づきにくいということがあると聞いております。 そこで、ヤングケアラーへの支援の方向性として、次の2点が重要と考えております。 まず、日常的に子どもに接する学校や在宅介護の家庭を訪問するホームヘルパーなどの福祉関係者、地域でこども食堂等の活動を行う方々など、身近にいる大人が子どものケア負担を見逃すことなく、相談に対応する窓口に確実につなげることが必要だと思っております。 次には、ヤングケアラーを支援する際には、児童、介護、障害者等福祉と教育の関係者が密接に連携し、子どもの気持ちに寄り添いながら、家事援助や介護保険サービス等を適切に利用できるよう家族を支援することで、子どものケア負担を丁寧に取り除くことが大切だと思われます。 県では、本年6月3日、ヤングケアラーへの支援の連携体制づくりや具体的支援策を検討するため、庁内連絡会議を立ち上げたところでございます。今後、この会議を軸に、関係者への啓発、研修、関係者ヒアリングや、子どもに関する審議会等での意見聴取を進めたいと思います。また、県教育委員会が実施しました中学生、高校生の実態調査結果を分析するなど、ヤングケアラーの早期把握と支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。また、最初に申し上げましたとおり、このことを含む子どもに関する様々な課題に全力で取り組んでいきたいと考えております。 次のご質問でございますが、豊かな食と農の振興計画の取組についてでございます。 県では、奈良のうまいものを発信するため、食のプロモーションや食の担い手づくりなど、奈良の食の振興に力を入れてまいりました。さらに食の魅力づくりは農との一体的な振興が重要なことから、取組の体系化と今後の施策方向を令和2年4月に条例として定め、取り組むべき具体の施策を奈良県豊かな食と農の振興計画として、本年4月に取りまとめたところでございます。 その主な施策について4点、ご説明申し上げたいと思います。 1点目でございますが、奈良の食の魅力づくりでございます。なら食と農の魅力創造国際大学校、NAFICにおいて、食と農の連接をコンセプトに農を理解する料理人を育成することにより、県民や本県を訪れる方に奈良のおいしいものを提供できる飲食店を増やしていきたいと考えております。さらに、NAFIC附属のセミナーハウスを来年秋をめどに整備し、周辺のにぎわいづくりなどの地域振興にも寄与していきたいと考えております。また、食を観光と連動させるガストロノミーツーリズムという考え方がございますが、これを新たに打ち出し、来年開催が予定されておりますガストロノミーツーリズム世界フォーラムの本県への誘致・開催を機に、本県の食の魅力を国内外に存分に発信していきたいと考えております。 2点目でございますが、食を通じた健康増進と子どもの健全育成でございます。野菜摂取等による県民の健康的な食生活の促進や、学校給食での新鮮な県産食材の活用を進めておりますが、加えまして、こども食堂を増やし、運営の支援にも努めていきたいと考えます。 3点目は、戦略的な販売の推進、展開でございます。今年8月10日にリニューアルオープン予定の奈良まほろば館を活用し、奈良の優れた農産物やその加工品をPRし、首都圏への販路拡大につなげていきます。さらに中央卸売市場の再整備では、BtoBとしての市場の高機能化に加えまして、BtoCとして、にぎわい創出エリアの整備を進めてまいりたいと思います。 4点目でございますが、食を支える農業の振興でございます。首都圏や海外への販路拡大を目指した農産物の高品質化等、販売戦略を踏まえた生産振興を行います。また、特に重点的に農業を振興する地域を特定農業振興ゾーンとして7か所設定しておりますが、さらに箇所を増やし、施策を集中的、優先的に推進いたします。 今後も引き続き、食と農の一体的な推進を進め、県民の健康で豊かな生活の向上や観光振興等による地域経済の発展につながるよう努力してまいりたいと思います。 次に、近鉄郡山駅周辺地区のまちづくりについてのご質問がございました。近鉄郡山駅周辺地区は大和郡山市の中心市街地に位置し、まちづくりの観点からとても重要な地域でございます。しかしながら、現在のところ、駅への送迎スペースが限られているほか、周辺道路の幅員が狭く、歩行者、自転車、自動車が混在するなど、安全面などに大きな課題がある状況でございます。また、近年は城下町の歴史資源等を生かしたまちづくりが進められてきましたが、かつてのにぎわいを取り戻すまでには至っておりません。 このため、県と大和郡山市では、城下町の風情を生かし、歩いて健康に暮らすことができるまちづくりを目指し、令和元年7月にまちづくり基本計画を策定いたしました。2年も前のことでございます。現在、この基本計画に位置づけられた駅の移設や駅前広場の整備などを検討する近鉄郡山駅周辺整備事業や、空き店舗などの利活用を促進するリノベーションスクールの実施、民間まちづくりセミナー開催事業などについて大和郡山市と個別協定を締結し、取組を進めているところでございます。 このうち近鉄郡山駅周辺の整備についてでございますが、駅前整備は市の責任分野となっており、市が中心となって検討を進めておられます。昨年度に実施されました駅東側の新たな駅前広場に関する調査結果を踏まえて、今年度は新駅の構造や駅移設に伴う線路の付け替えなどについて検討が行われる予定だと聞いております。 県としても、こういった市の取組を支援するとともに、県、市、近畿日本鉄道株式会社の3者において、事業化に向けた協議を進めます。 このほか、安心して歩ける環境づくりを進める観点から、駅前を通る矢田町通りの歩行者優先化など、道路空間のあり方について県が中心になり、検討を進めてまいります。 魅力あるまちづくりに向けて近鉄郡山駅周辺地区の整備が少しでも早く進むよう、大和郡山市と連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。私に対する質問は以上でございました。残余は警察本部長からご説明申し上げます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 大橋警察本部長。 ◎警察本部長(大橋一夫) (登壇)37番小泉議員のご質問にお答えさせていただきます。 スマートフォンで撮影されました現場の映像を活用できる110番通報システムにつきましては、昨年10月に兵庫県警察において運用が開始され、令和4年度中にシステムの運用開始ができるよう、各都道府県警察への導入に向けて、現在、警察庁で準備が始まっていると聞き及んでおります。 本システムにつきましては、110番通報者に事件事故現場等の撮影を依頼して、その了解を得た上で、その映像を警察本部に送信してもらう仕組みとなっております。令和2年中における、当県のスマートフォン等による通報件数は4万9,912件であり、有効受理件数の約4分の3に当たる74.4%を占め、非常に高い割合となっております。これら通報していただいたスマートフォン等による現場の映像を警察の初動対応に活用できれば、警察本部において直接、現場の状況を確認でき、警察署に対する必要な体制の確保や、現場の状況に即した指示等がより具体的に可能となる上、同映像を現場警察官のデータ端末に送信し、共有することで被害の拡大防止や被疑者の早期検挙などに迅速、的確な初動対応に役立つものと思われます。県警察といたしましては、導入が予定されている本システムを有効活用し、さらなる初動対応に万全を期してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(山本進章) 37番小泉米造議員。 ◆37番(小泉米造) それぞれ、知事、警察本部長、ご答弁ありがとうございました。あと1分ぐらいしかございませんので、再質問はいたしませんけれども、感染防止対策施設認証制度を先ほど聞いておりますと、飲食店が60件で、宿泊施設が39件という話でございました。ご承知のように、飲食店は8,696店舗があるわけでございますし、また宿泊施設も742施設がございますので、まだまだ認証制度を受けておられない方がたくさんおられると思うわけです。ぜひともスピードを出して、早期にこの認証制度をそれぞれの店でやっていただくように、非常に頑張って、県のほうも頑張っていただきたいと思いますので、そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。 ○議長(山本進章) しばらく休憩します。 △午後2時46分休憩    -------------------------------- △午後3時3分再開 ○副議長(乾浩之) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、9番浦西敦史議員に発言を許します。--9番浦西敦史議員。(拍手)
    ◆9番(浦西敦史) (登壇)皆様、こんにちは。吉野郡選挙区選出県議会議員、創生奈良の浦西敦史でございます。今回で連続8回目となりました。本当にこのような貴重な機会をいただいております、創生奈良先輩議員の皆様方、本当にありがとうございます。 それでは、創生奈良を代表いたしまして、質問をさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症への対応について、数点お伺いいたします。 本年3月以降、全国的に新型コロナウイルス感染が再び拡大いたしました。関西では従来株以上に感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株の影響もあり、これまでの第3波を上回る勢いで感染者が増加し、特に大阪府では感染者を受け入れる病床、特に重症病床が逼迫する等、医療提供体制が危機的状況となりました。4月25日には、大阪府、京都府、兵庫県において三度目の緊急事態宣言が適用され、酒類を提供する飲食店への休業要請や、その他の飲食店への営業時間短縮要請、大規模商業施設への休業、営業時間短縮要請等、厳しい処置が実行されました。奈良県においても、いわゆる第4波が訪れ、3月下旬以降、感染が急拡大し、4月下旬には新規感染者が100名を超え、5月上旬には重症病床の占有率9割を超える日が見られる等、感染者病床の占有率が高い水準に達するとともに、これまで抑えられてきた自宅で療養される方が急増する等、医療を取り巻く環境が大変厳しい状況となりました。お亡くなりになった方も、第1波から第3波の合計を上回る数となっています。これまで亡くなられた多くの方々に謹んで哀悼の意とお悔やみを申し上げます。 こうした感染拡大を踏まえ、4月下旬に市長会、町村長会等から、県に対して感染拡大を防止するための対策を求める要望が相次いで出される等、地域で新型コロナウイルス感染症に向き合われている市町村から、強い危機感が示されました。そうした中、奈良県では4月27日に奈良県緊急対処措置を決定され、近隣府県の緊急事態宣言の期間と合わせて、独自の措置を実行されました。特に市町村による飲食店への営業時間短縮要請に対して、県からも同様の要請を行うこと、市町村の取組に合わせた公立施設の閉館、閉園及びイベント開催の自粛を行うこと、近隣府県からの流入を抑制する対策が盛り込まれました。新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に向けたこれまでにない取組がなされたものと考えます。 大型連休前後の厳しい状況を脱し、現在、奈良県における感染状況は落ち着いてきており、新規感染者数、病床の占有率等も低下していますが、医療従事者、高齢者をはじめとしたワクチン接種等、市町村との連携が必要な課題が残っています。県におかれましては、市町村と緊密に連携し、意見交換をしながら感染拡大防止に向けた取組を進めていく必要があると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 今回の奈良県緊急対処措置を検討するに当たり、市町村から要望をどのように受け止め、方針を決定されたのでしょうか。また、方針決定のプロセスにおいて、市町村との意見交換をどのように進めてこられたのでしょうか。 次に、コロナ対応の2点目は、高齢者へのワクチンの接種についての質問です。 先ほど小泉議員からも、ワクチン接種に関連したご質問がありましたが、私は地元である県南部・東部地域におけるワクチン接種について質問いたします。 本年4月12日から県内の高齢者への接種が開始され、2か月と10日余りが経過したところです。4月には県内に到着するワクチン量が少なく、4月中の接種実績は僅か約3,000回程度にすぎませんでしたが、現在は1日約8,000人の接種が実施されるなど、接種スピードの加速化が進展している状況であります。その結果、6月21日現在で19万5,432人、対象の46.9%について1回目の接種が完了している状況です。高齢者が7月末までに2回の接種を完了するためには、7月10日までに1回目の接種を終える必要がありますが、現在の接種スピードで7月10日まで移行した場合には、県全体では約36万人の接種が完了する計算になります。接種率は84%となり、接種を希望する方々への接種はおおむね完了するのではと考えています。 一方、県南部・東部地域では、県全体に比べて接種が進んでいます。6月21日現在では、接種率が61.6%となり、県全体に比べて14.7ポイントも上回っている状況です。また、県南部・東部地域の多くの市町村では、既に一般接種に移行するなど、順調に推移している状況かと認識しています。 一方、国が4月末に高齢者への接種を7月末までに完了すると発表された際、当初は県全体で22市町村が、完了が難しいとの回答をされたと思います。そのうち、県南部・東部地域においても幾らかの市町村で7月末完了が難しい状況であったと聞き及んでいます。 そこで知事にお伺いします。 県南部・東部地域における高齢者へのワクチン接種は、他地域に比べて順調に推移しておりますが、もともと7月末に接種が完了することを見込んでいなかった市町村もあったと伺っており、この地域での接種が7月末に完了するよう、県としてどのように支援しておられるのか、お聞かせください。 3点目は、感染された方や医療従事者の方、あるいはその関係者の方の人権に関する問題について伺います。 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染された方や医療従事者、そのご家族に対する誹謗中傷が発生しています。特定の人を名指しし、あの人は感染者だというデマを流す行為や、自宅周辺に中傷のビラがまかれるといった事案も起こっています。また、患者の命を守るため、医療行為を行っている医療従事者に対しても、その矛先が向けられ、勝手なうわさが広がったことから、その方の子どもが保育園で受入れを拒否されたなどの事案も発生していると聞いています。その他にも感染されたとの情報が近隣の方に知られるところとなり、家族で引っ越しを余儀なくされたとの話を伺ったこともあります。このようなデマや間違った情報で誹謗中傷することや、その情報を広げていく行為は、決して許されることではありません。これらの行為は、損害賠償責任を負うことや、名誉毀損罪など刑事処罰の対象になる可能性があるだけではなく、感染を疑われる人などの受診控えにもつながり、感染拡大防止に支障が生じることにもなりかねません。 また、デマの情報を流されたことから、風評被害を受け、営業に支障を来した店舗もあると聞いています。デマの情報が広がっていくことに対する対応が必要となってきていると思います。そのためには、県民に対しての周知、啓発が必要であるとともに、どのような差別事象が発生しているのか、県に相談されているのかを把握していく必要があると思います。 そこで知事にお伺いします。 新型コロナウイルス感染症に関連して発生している差別事象に対し、県民への啓発にどのように取り組んでおられるのか、お聞かせください。また、県が受けている相談への対応状況についても、併せてお聞かせください。 新型コロナウイルス感染症への対応の最後に、県南部・東部地域の観光産業の回復について伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響により、県南部・東部地域の観光産業は大きなダメージを受けました。観光庁の直近の宿泊旅行統計調査速報値によりますと、令和2年の本県の年間宿泊者数は約128万人と、前年に比べ52.9%減少しています。吉野山では1年のピークである桜の時期の需要がコロナ禍で2年にわたり大幅に減少し、特に外国人観光客の宿泊需要がなくなりました。宿泊事業者や旅行会社からは、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、長期にわたって続く宿泊需要の落ち込みにより、経営状況が非常に深刻で、廃業の危機に立たされているところもあると聞いています。さらに、感染状況はいまだに先を見通せず、観光事業者は大きな不安を抱えた状況が続いています。 そのような中ではありますが、一方で、昨年度の「いまなら。キャンペーン」は、県民の方々が県南部・東部地域の魅力を新発見、再発見するきっかけとなり、観光需要の創出にもつながりました。多くの方が洞川温泉や吉野山などを訪れ、秋には一時的ににぎわいは回復したとの話を聞きました。また、天川村、黒滝村などのキャンプ場は三密回避の宿泊先として人気となったようです。さらに、感染症の拡大を契機として、ワーケーションをはじめ、新たな生活スタイルに対する関心が高まりました。自然豊かで温泉や観光スポットのある県南部・東部地域は、心身ともにリフレッシュしながら仕事と休暇ができるワーケーションの地として非常に適していると思います。 今後、県内や近隣府県の感染状況が収束に向かった際には、まずは県民の方々から、県内に旅行に出かけていただけるような観光振興施策を速やかに実施し、観光事業者の回復を支援することが喫緊の課題であると考えます。その際、観光客が宿泊先を選ぶ際に、感染防止対策がしっかり取られている施設かどうかが選択材料の1つになると思われることから、安心して宿泊できる環境整備を行う宿泊事業者や、ワーケーションなど新しい生活様式にチャレンジされる宿泊事業者を県が後押しすることにより、経済活動を早期に回復できると考えます。 そこで観光局長にお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、ダメージを受けた県南部・東部地域の観光産業の回復に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 次に、国民スポーツ大会等の開催に向けた施設整備についてお伺いします。 令和13年度の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の奈良県開催が決まり、県では現在、橿原市や磯城郡で会場整備の検討を進めておられると聞いています。特に橿原市では、県立橿原公苑と市立橿原運動公園を一体と捉えた県の新たなスポーツ拠点の整備を目指しておられます。これらは私の住む南部地域にとって、橿原市がゲートウェイの位置でもあることから、ここで新たに創出されるにぎわい、交流が南部の各地域とつながり、南部地域全体の活力が向上するよう、心から期待しています。 さて、このような中で、私はさきの2月定例会において、南部・東部地域においても、10年後の二巡目国民体育大会開催を契機として、スポーツ振興と地域振興を図るために、競技ごとに地域特性を生かした会場を検討すべきでないかと質問を申し上げたところ、知事から、南部・東部地域ならではの豊かな自然や地勢など地域の魅力を生かせる競技の実施が重要とご答弁いただきました。私もまさにそのとおりと思います。 現在、南部地域では、様々な取組を実施されており、例えば下北山村ではサッカー場を整備され、合宿やイベントが盛んになりました。また、十津川村は昔から剣道が盛んな地域です。しかし、南部地域、特に吉野郡地域の町村は小規模な自治体が多く、人口減少が進む中で自主財源は非常に乏しく、新たな施設の整備など、環境整備の取組には大変苦慮されているのが実情であります。前回の議会でも申し上げました、昭和59年のわかくさ国体では、県内各地で競技大会が実施され、必要な施設も整備され、その後のスポーツ振興と地域振興の重要な礎となりました。 次の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会でも、これを機会にぜひ南部地域においても競技大会を実施いただき、そのために必要となる施設を整備することで、吉野郡地域に新たな健康増進と地域振興の拠点づくりを進めていただきたいと思います。そして、今後、平野部で新たに整備される施設や既存の施設等と連携し、新たな人の流れをつくり、県内全域ににぎわい創出の効果が行き渡るように取り組んでいただきたいと思います。 そこで知事にお伺いします。 10年後に開催が予定されている国民スポーツ大会等に向け、県は橿原市や磯城郡で施設整備に取り組んでおられますが、吉野郡地域においても、県が地元への支援に力を入れ、国民スポーツ大会等の競技を実施できるように施設整備などに取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、森林の防災機能の向上についてお伺いします。 近年、ゲリラ豪雨の頻発や日本列島への上陸台風の増加等、異常気象による災害が増加傾向にあり、森林の防災機能に関心が高まってきています。県内各地に甚大な被害が発生した災害としては、平成23年に発生した紀伊半島大水害がありますが、今年はその災害の発生から10年目の年に当たります。平成23年8月30日から9月4日にかけて紀伊半島全域が1,000ミリメートルを超える記録的な豪雨に見舞われ、南部・東部地域を中心に、深層崩壊54か所を含む約1,800か所で山地災害が発生し、15名の尊い命が奪われ、いまだに9名の方が行方不明になっておられます。この場をお借りいたしまして、お亡くなりになられた方々、被害に遭われた方々に深い哀悼の意とお悔やみを申し上げます。 さて、県では大きな被害を受けた紀伊半島大水害を契機として、森林の防災機能を重視した森林管理を行っているスイスを参考に、新たな森林環境管理制度の導入に向けた検討を行い、令和2年4月に奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例を施行されました。この条例では、森林の防災機能、森林資源の生産機能、生物多様性保全機能、レクリエーション機能の4つの機能を高度に発揮させることを目標とし、そのために県内の森林を恒続林、適正人工林、自然林、天然林のいずれかに誘導することとされています。このうち針葉樹と広葉樹が混交する恒続林は、地中部では根が複雑に張りめぐり、地上部では複数の高さの異なる樹木と草本類に覆われることから、崩壊しにくく上部で崩壊した土砂を受け止める効果が高くなるため、防災機能が高いとされています。 さらに、本年4月には奈良県フォレスターアカデミーが開校し、新たな森林環境管理制度を担う人材の養成が始まったところでありますが、アカデミーでは今後の森林管理に重要な森林の防災機能の向上や、恒続林についても教育されるものと認識しています。 そこで知事にお伺いします。 近年、ゲリラ豪雨の頻発や日本列島への上陸台風の増加等、異常気象による災害が増加傾向にあると思いますが、県では森林の防災機能向上に向け、これまでどのように取り組んでこられたのでしょうか。また、今後どのような森林づくりを進めていかれるのか、お聞かせください。 次に、介護保険料についてお伺いします。 高齢者やその家族が、たとえ介護が必要となっても、地域で生活し続けられるよう、社会全体で支えていく介護保険制度ですが、先頃、令和3年度から令和5年度を計画期間とする市町村の第8期介護保険事業計画において介護保険料が改定され、平成30年度から令和2年度の第7期計画時と比較して、県内の半数以上の22市町村で介護保険料が増額となりました。平成12年度からスタートした介護保険制度ですが、今回の改定により、奈良県の令和3年度の介護保険料基準月額は平均5,851円となり、改定のたびに増加し続けた結果、ついに平成12年度の介護保険料基準月額の平均2,859円の2倍を超えました。さらに南和地域では、6つの村におけるそれぞれの介護保険料が、令和3年度では平成12年度の3倍を超えるなど、南部・東部地域では特に保険料の伸びが顕著となっています。また、第1期保険料の県内最低額は1,825円、最高額が3,200円、約1,400円差であったものが、第8期保険料では、県内最低額の川上村は4,600円、最高額の東吉野村は7,600円となり、3,000円差と、市町村格差も拡大しております。 第8期奈良県介護保険事業支援計画によると、65歳以上の高齢者である第1号被保険者に占める要介護・要支援認定者の割合を表す要介護認定率は、令和2年度では18.7%であったものが、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる令和7年度においては21.1%、令和17年度においては24.8%にも達することから、今後介護保険料は引き続き増加し続ける可能性が高いことが推測できます。中でも、南和地域の各市町村における要介護認定率は、今後いずれの年度においても常に県平均を上回り続ける見込みであり、小規模で財政的にも厳しい市町村が多く存在する南和地域において、介護保険制度を維持するためには市町村、住民双方に、より重い負担がのしかかり続けることとなります。 そこで、医療・介護保険局長にお伺いします。 県は、県内市町村において介護保険料が増加の一途をたどり、市町村格差も拡大している原因をどのように捉えられているのでしょうか。また、その改善に向け、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)9番浦西議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問は新型コロナウイルス感染症への対応、市町村の意見の受け止め方、交換の仕方ということでございます。 本年3月以降、全国的に感染が再拡大し、関西でも大阪市を中心に急速に感染拡大が進み、4月25日に近隣3府県に緊急事態宣言が適用されました。本県におきましても、4月以降、急速に感染が拡大し、市長会、町村会等から県に対し、感染拡大防止に向けたさらなる取組を求める意見が出されました。主な意見として、市長会からは緊急事態宣言の国への要請を求めるもの、町村会からはワクチン接種への支援を求めるものなどがあり、ともに感染状況に危機感を持たれ、県に強い対応を求められていたものと認識いたしました。 まず、国の緊急事態宣言の内容について、具体的に一つ一つ県では点検をいたしまして、内容について、県内関係者にはあまり知られていなかった段階での検討でございました。この緊急事態宣言を点検してみますと、大都市で比較的有効と考えているものが中心になっているように思われました。飲食店等への営業時間短縮要請、酒類の提供自粛、商業施設への休業要請などでございます。このような内容の宣言を適用いたしますと、県下全域にわたって全ての措置項目の適用が求められます。本県では、地域によって、また市町村間で感染状況に差があることや、適用に伴う県民生活や経済への影響等を考慮し、国へ緊急事態宣言を要請するのではなく、感染拡大を防止し、医療提供体制を守るための実情に沿った措置が必要と判断し、4月27日に奈良県緊急対処措置を策定し、実行したところでございます。その時点では、一部の人は認識の差があったように思っております。 この奈良県緊急対処措置の内容は、緊急事態宣言の全項目について詳細に採用の適否を検討した結果でございます。市町村からの飲食店への営業時間短縮要請を求める意見についても考慮の上、県外からの流入防止対策として、市町村が営業時間短縮要請し、協力金等を支払われる場合、同様に県も営業時間短縮要請を行い、上乗せ財政支援を行うことといたしました。公立施設の閉館、閉園やイベントの制限についても、市町村と協議の上、県も同様の取組を行うこととしました。また、研修医の派遣等、市町村と連携したワクチン接種の早期展開に向けた措置も盛り込んだところでございます。 なお、三度にわたる緊急対処措置の延長に当たりましては、その都度、市町村の方針をお聞きするとともに、県対策本部会議において決定した内容について、その直後に県、市町村担当者によるウェブ方式の連絡会を開催してきております。情報共有を図ってまいりました。今後もさらなる感染拡大防止に向け、引き続き市町村との意見交換を丁寧に行っていく必要があろうかと考えております。 ワクチン接種についての経緯、またこれからの対応についてのご質問がございました。菅内閣総理大臣が、希望する高齢者全員の接種を7月末までに完了するという目標を4月末に示された時点では、議員お述べのとおり、県内でも複数の市町村から完了は困難であるとの回答がございました。たしか64%ぐらいしか完了しないという回答であったと思います。県では、完了が困難であるとの市町村に対し課題の聞き取りを行いました。集団接種会場を設置しているにもかかわらず、特に打ち手の確保が難しい平日にフル稼働できていないという事情もあることが分かりました。そのため、臨床研修病院のご協力のもと、研修医等を派遣することで、稼働日数を増やす取組を強力に進めて接種率を上げる試みを提案いたしました。その結果、6月21日現在で延べ354人の研修医等が11市町の計3万9,000人に対して接種を実施されたところでございます。また、遡りますが、研修医の派遣を提案いたしましたところ、全部の市町村から7月末に完了することができるという回答がその時点でございました。 南部・東部地域においても、五條市、御所市、宇陀市の3市に派遣を行い、例えば御所市におきましては、研修医による接種が全体の4割までに達しております。接種の加速化にかなりの効果を出し、貢献しているものと聞いております。特に南部地域では、南奈良総合医療センターによる支援の効果も大きいと聞いております。研修医等の派遣に加え、個別接種にも積極的に取り組んでいただいております。 また、県では南部・東部地域でのアナフィラキシーショックという副反応に対応するため、ドクターヘリによる搬送体制も整えました。ドクターヘリによる搬送はこれまで1件発生していますが、幸いにして命に別状はありませんでした。安心してワクチン接種を受けていただくためにも、この体制を維持していきたいと思います。 今後、一般の方々への接種が広がっていきますが、引き続き市町村の課題を丁寧に聞き取り、課題解決に向け、県も知恵を出し、一日も早く希望する方全員に接種が完了するよう支援してまいりたいと思います。ワクチン接種は他の分野以上に県と市町村の連携が必要な分野だと認識しております。 感染症に関連して差別事象が発生しております。啓発の取組、また相談への対応状況についてのご質問でございます。 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染された方々をはじめ、濃厚接触者、医療従事者やそのご家族、その方々が属する施設、機関などに対する差別や偏見、SNSでの誹謗中傷など、人権を侵害する事象が依然として発生していることは大変残念なことと思います。いかなる場合でも、差別、偏見、いじめなどは決して許されるものではございません。県民が新型コロナウイルス感染症に関連する臆測等に惑わされずに、行政機関の提供する正確な情報に基づき、人権侵害につながることのないよう、冷静な行動を取っていただきたいと願うところでございます。 そのため、県では新型コロナウイルス感染症奈良県緊急対処措置はもとより、県ホームページや県民だより奈良のほか、SNSやデジタルサイネージなどにおいて繰り返し人権への配慮について発信を続けているところでございます。 また、新型コロナに関連して人権侵害を受けた方などの相談につきましては、これまで同様、人権施策課に設置いたしました人権相談窓口に加えまして、新型コロナ・発熱患者受診相談窓口などにおいて対応しております。これらの相談窓口での昨年4月からこれまでの相談件数は253件でございます。相談内容は、医療従事者や病院等の施設が誹謗中傷を受けたもの、陽性者の情報提供を求めるものなど多岐にわたっております。相談内容に関して、法的措置など専門的な対応が必要な場合は、なら人権相談ネットワークを活用し、そこに加盟する奈良弁護士会などの機関と連携・協力して対応しております。 今後も引き続き、様々な機会を捉えまして県民への啓発に取り組んでまいります。また、当然のことでありますが、当事者の差別意識が誤っていることを理解していただき、再発を防止するよう努めるとともに、差別等を受けた方の立場に立った対応、取組をしっかりと進めていきたいと考えております。 次のご質問は国民スポーツ大会等の開催に向けた施設整備でございます。 令和13年に本県で開催を予定しております国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の競技種目は、両大会合わせて約50種目になります。開催に当たっては、市町村の協力のもと、全県挙げて実施したいと考えております。このため、市町村に対しましては、既に本年2月の奈良県・市町村長サミットにおいて、大会開催への協力を呼びかけました。 各競技の会場選定においては、競技施設の確保はもとより、多くの選手や関係者が訪れられますことから、交通アクセスや宿泊施設の確保なども重要な要素になると考えております。さらに大会開催を機に実施する競技が地域に根づくことも大切でございます。総じて言えば、国民スポーツ大会の開催が一過性にならないように願っているところでございます。効果がその後も持続するように思っております。 また、大会を開催するためには、照明設備や車椅子観覧席の設置などの施設改修等も必要になります。さきに開催されました県の例に倣って、県が施設の新設や改修費の一部を支援することも考えております。 県南部地域では、既に大規模な大会やイベントの実施経験がある五條市のシダーアリーナ、ワールドマスターズゲームズ2021関西のカヌー競技を実施される吉野町の津風呂湖、サッカーの合宿が盛んな下北山村のスポーツ公園などのほか、既存の施設や地勢を生かした競技の実施が期待されるところでございます。この大会が南部地域の振興につながり、また地域住民の皆様がスポーツや健康づくりに関心を高めていただけるよう、南部地域の市町村と十分に協議を重ね、南部ならではの地域にふさわしい競技を実施できるよう、ともに取り組んでまいるつもりでございます。 森林の防災機能の向上についてのご質問でございます。 森林の整備と森林の防災機能の維持は密接な関係がございます。森林防災機能の向上に向けまして、これまで県では奈良県森林環境税を活用し、通常の2倍程度となる40%の強度間伐を実施するなど、施業放置林の解消に取り組み、平成18年度から令和2年度までの間に約1万2,000ヘクタールの森林を整備してきました。 一方で、平成23年の紀伊半島大水害により大きな被害を受けたことを契機に、改めて森林環境管理の重要性を認識し、スイスの森林環境管理制度を参考に、森林資源の生産、防災、生物多様性保全、レクリエーションの4機能を高度に発揮することを目標とした森林づくりを進めることとし、昨年、新たな森林環境管理制度をスタートさせたところでございます。この新制度では、日本で初めての取組となる恒続林への誘導を進めることといたしました。恒続林とは皆伐せずに継続的に木材を伐採、搬出することにより、環境が維持される森林のことでございます。杉、ヒノキなどの人工林の一部を伐採した跡地に、クヌギやミズナラなどの広葉樹を植栽し、防災機能の高い混交林へと誘導していくものでございます。令和7年度までに1,100ヘクタールの恒続林化を計画しております。 また、間伐木の林内放置や計画的でない皆伐の実施など、不適切な森林伐採は林地崩壊、土砂崩れなどの災害の原因になる恐れがございます。昨年4月には、森林を伐採する際の留意事項や遵守事項をガイドラインに取りまとめたところでございます。これは森林保有者、管理者の責任になるわけでございますが、今後は全ての森林伐採がこのガイドラインに沿って適正に実施されるよう、伐採する事業者を指導してまいりたいと思います。 なお、これらの新たな取組の推進役を奈良県フォレスターが担うこととしております。本年4月に開校した奈良県フォレスターアカデミーでは、必要となる知識やノウハウの習得をフィールドワークを中心に行っていきます。今後は奈良県フォレスターを核に、防災機能の向上を図る取組を着実に実施し、災害に強い森林づくりを進めたいと思っております。私に対する質問は以上でございました。ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 平田観光局長。 ◎観光局長(平田千江子) (登壇)9番浦西議員のご質問にお答えいたします。 私には、新型コロナウイルス感染症によりダメージを受けた県南部・東部地域の観光産業の回復に向けた取組についてのお尋ねがございました。お答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、議員お述べの県南部・東部地域を含め、県の観光産業全体が非常に厳しい状態であり、その回復が極めて重要であると認識しております。この認識のもと、まず5月末に、適切な感染防止対策を実施する宿泊施設を県が認証する制度を創設いたしました。県が安心なお宿を認証し周知することで、利用者の方々に安心と信頼を提供できると考えており、感染防止に係る経費も併せて補助し、宿泊施設を支援いたします。なお、この認証制度は既に県南部・東部地域の宿泊施設も積極的に取得いただいているところです。 今後、新型コロナウイルスの感染状況等を慎重に見極めながら、感染が落ち着いた際には、新たな生活様式のもと、県民の皆さんがさらなる奈良の魅力を新発見、再発見していただけるよう、「いまなら。キャンペーン」を改めて実施することも検討してまいりたいと考えております。キャンペーンでは、県南部・東部地域ならではの自然を満喫できるプランなどの商品造成を推進し、専用ウェブページでおすすめ観光スポットを紹介するなど、魅力の発信と県内周遊を促してまいりたいと思います。 これらの取組により、宿泊事業者、旅行事業者の皆さんと連携しながら、県南部・東部地域を含め、県内の観光産業の維持、回復に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 石井医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(石井裕章) (登壇)9番浦西議員の質問にお答えいたします。 私に対しましては、介護保険料につきまして、県内市町村において介護保険料が増加の一途をたどり、市町村格差も拡大している原因をどのように捉えているのか、また、その改善に向けて今後どのように取り組んでいくのかというお尋ねでございます。お答えいたします。 介護保険料増加の原因は、全国各県同様ですが、主に高齢化の進展に伴う要介護認定者の増加です。また、保険料に市町村格差が生じる原因は大きく2点あり、1つ目は高齢化率の差であり、2つ目は介護保険サービスの提供形態の差です。 一般的に約6割の方が要介護認定者となる85歳以上の方の比率が高いほど、また、利用者1人当たりの費用が高い特別養護老人ホームなど介護保険施設への入所率が高くなるほど、その市町村の保険料は高くなります。本県の南部・東部地域はその両方に該当し、保険料が県平均を上回っている市町村が多い状況です。 一方で、川上村のように、看護師や歯科衛生士による健康づくりや健康相談、地元住民による共助や集いの場の運営など、介護予防、重度化防止の推進により保険料を抑制できているよい例もあります。 県では、県民の介護保険料の負担が過重なものとならないよう、川上村をはじめ県内外の先進事例を多数紹介し、各市町村が地域の実情に応じた有益な取組を導入できるよう支援しています。また、県介護支援専門職員の市町村派遣や、地域ごとの合同ケアプラン点検研修を通じて、サービス提供がより効率的になるよう支援を行います。また、南和地域においては、健康寿命を延ばすことをテーマに、昨年10月から知事と市町村長との意見交換を始めています。併せて、南和地域の地理的条件に対応するため、ICTを活用した専門職による健康指導や、AIを活用した高齢者の見守りや介護予防の実証実験などにも取り組んでいます。 今後も引き続き、県民の健康寿命の延伸に取り組むとともに、介護サービスの適正化を進めてまいります。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 9番浦西敦史議員。 ◆9番(浦西敦史) 全ての質問に丁寧にご答弁いただきありがとうございました。新型コロナウイルス感染症への対応についてですが、今後も新型コロナウイルスの新たな変異株が蔓延するかもしれません。これからも各市町村と連携を密に取っていただき、意見交換をして、県民の安心・安全に努めていただければと思います。また、ワクチン接種についても、先ほどご答弁いただきましたように、各市町村との連携が重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 そして、3つ目の差別事象の件ですが、これは絶対にあってはならないことだと思います。このようなことがあって、みずから命を絶たれるようなことがあってもなりませんし、県としても引き続きよろしくお願いいたします。 そして、4つ目ですが、ご答弁いただいた「いまなら。キャンペーン」をまた実施していきたいとおっしゃいましたが、やはりこのタイミングが非常に難しいものだと思います。県内の感染者数や病床占有率等も見ながら、また皆さん方と意見を交わしながら、いいタイミングで「いまなら。キャンペーン」を取り組んでいただければ、南部・東部地域の振興発展につながると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、国民スポーツ大会等の開催に向けた施設整備についてですが、先日の南部・東部地域振興対策特別委員会で、当会派の川口正志議員からも提案があった、南部・東部地域は北中部よりも土地が安価であると。また、新たな施設の整備や既存施設の改修に取り組んでいくことで、今後、南部・東部地域の振興にもつながるとおっしゃっていただいております。自分自身も、南部振興、吉野郡の振興につながっていくものだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、森林の防災機能向上についてですが、先ほど田中議員からもございましたように、今、外国産材が入ってこないウッドショックとなっております。このような状況下で国産材は値上がりし、材料不足となっております。この機会を契機として、県産材を売り出し、その後に恒続林と進めればスムーズだとは思うのですが、今、ヘリコプターの運賃が値上がりしております。そういった点で材を出すのも厳しい状況が続いております。そういった点も、県で支援、サポートしていただければ、材が出せれば、森林の防災機能向上につながるものだと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、介護保険料ですが、これについても、市町村との連携が重要であると思いますので、引き続きよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ○副議長(乾浩之) 次に、28番猪奥美里議員に発言を許します。--28番猪奥美里議員(拍手) ◆28番(猪奥美里) (登壇)皆様、こんにちは。新政ならの猪奥美里です。2011年の初当選から10年、こうして本会議で質問させていただくのも恐らく最後になるかと思います。10年間の感謝の気持ちを持って心を込めて質問したいと思います。どうぞよろしくお願いします。 新型コロナウイルス感染症も既に1年半となりました。ブレーキを踏み、感染が少し下降傾向になるとすぐにアクセルを踏み出し、また拡大が始まる。特に第4波は大波で、県内の重症対象病床占有率も90%を超える、そんな日もありました。私ども会派も党と連名でゴールデンウイークを迎えるその前に、少なくとも奈良県にもまん延防止等重点措置をと要望いたしましたし、同時期には要請が多方面からあった、そんなふうに聞いています。この間、県民の皆様からは、情報がない、奈良県が何やっているか分からない、そんなお叱りの声をたくさんいただきました。 過日、アンケートをお願いいたしました。わざわざお時間を割いてくださり、ご返答いただいた方、ありがとうございます。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。県外就業が全国でも2番目で、働く人の3割、多い自治体では半数近くが県外、特に大阪で就労している、学生さんも県外の大学や高等学校に通う生徒も多い、これは奈良県の実態です。さらに第4波で10万人当たりの感染者数が、大阪府、兵庫県に次いで全国3番目、そんな時期もありました。奈良県は、社会的、経済的に近隣府県と一体であり、かつ感染状況も医療提供体制も危なかったにもかかわらず、県はまん延防止等重点措置緊急事態宣言も要請せず、県独自の対策の緊急対処措置が取られ、現在に至っています。 まず、知事にお伺いいたしますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止においては、本県と人的交流が多い近隣府県と歩調を合わせた措置が必要と考えますが、奈良県では、どのような措置を講じたのか、また、その措置内容について県民への周知はどのように行ったのか、改めてお伺いいたします。 次に、ワクチンの接種についてお伺いいたします。 一日も早い収束に向け、私も新型コロナワクチンに大きく期待をしています。これから高齢者から64歳以下へと順次シフトしていきますし、自衛隊設置の大規模接種会場の接種も17日からは64歳以下へと拡大されました。奈良県設置の大規模接種も始まってまいりますし、また21日からは職域接種も本格化してまいりました。 そこで知事にお伺いいたします。 新型コロナワクチン接種、これをさらに加速させていくためには職域接種、特に本県に多い中小企業における職域接種を推進することが重要だと考えますが、今後どのように取り組まれるのでしょうか。また、職域接種に当たっては、地域の歯科医師の先生方のご協力をいただくことで、より一層接種が進むと考えますが、どのような状況なのか、併せてお伺いいたします。 さて、海外のニュースを見ておりますと、大麻や銃などが当たる、そんなキャンペーンが報じられており、接種を希望されない方へのアプローチが加速していると感じています。今年の2月、日本弁護士連合会は、行政による権力的契機や同調圧力を背景にして、ワクチンの接種を拒否する少数者が偏見差別の対象となるおそれが懸念されるとの見解を示されました。接種が医療従事者中心だった5月の中旬にも、同じく日本弁護士連合会が行った電話相談で208名からの相談があり、ワクチンを接種しなければ解雇すると言われた医療従事者や、ワクチン接種がないと研修をさせないと言われた医学生や看護学生からの相談が寄せられたと報告されています。先日、大阪府内の自治体でも、キャンセル待ちの希望者と併せて、希望しない職員もリスト化し、部局の責任者に渡す、そんなケースも報じられています。県でも、これから接種が加速するに当たり、ワクチンを接種しない方に対して過剰な同調圧力がかかることのないよう配慮する必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、今後、ワクチンの接種が進む中で、接種を受けていない人が不当な扱いや不利益を被ることがないよう配慮する必要もあると考えますが、いかがでしょうか。 次に、メガソーラー関係のご質問をさせていただきます。 東日本大震災の後、再生可能エネルギーの推進のため、固定価格買取り制度、FITが始まりました。発電種ごとの買取り価格が毎年決められ、その価格で20年間買取りが続く、初年度の価格が最も高く、時間がたつほど、買取り価格を安価に設定することで、できるだけ早い時期での参入を促し、導入コストを下げていくという狙いです。太陽光は水力や風力に比べて設置が非常に安易なため、様々な業種・業態の参入があり、結果、太陽光発電だけが爆発的に増加しました。何事においてもメリット、デメリットがありますが、メガソーラーの課題は、設置場所が平面か山林などの傾斜がある地かによって大きく変わってきます。 山林などの林地への設置は、1ヘクタールを超える場合、森林法の規定で都道府県知事の許可である林地開発許可が必要となります。この制度は高度経済成長で無秩序な森林の乱開発が行われたことで1974年に森林法が改正され、新設されました。もともとスキー場やゴルフ場などの開発が想定されていた制度のため、許可を取ったとしても、大規模太陽光発電施設ならではの問題解決には不十分であると指摘がかねてよりされています。 全国的にも、地元と開発業者との間で事前に十分な合意がないことから、反対運動が各地で起こされています。その解決方法の1つとして、例えば大分県では、林地開発許可要綱を2015年に既に改定され、地域住民との合意形成を十分に求めることを明記されています。その後、林野庁でもようやく令和元年に太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会が開催され、奈良県でも要綱の改定が行われているところです。 さて、現在、平群町でメガソーラーの建設が進められています。面積は48ヘクタール、全長1.2キロメートルという非常に広大な土地です。これほどまでに大規模な案件ですが、住民の方がこの事業について知る以前から既に林地開発許可は取られていました。住民の方が心配されているのは、災害のことです。 最近で言うと、2018年の西日本豪雨の際、姫路で太陽光発電施設が3,600平方メートルにわたり崩壊をする事故もありました。住民の方がご心配されるのも非常によく分かります。生命、財産を守るためにと、現在もいろいろな調査をされています。 山で木を切る、これは災害を引き起こすリスクを大きく高める。だから、木を切っても安全なように、水を要所要所で一旦ためるように防災調整池が設置されます。 少し細かいですけれども、開発許可申請のための添付書類、こちらになります。これは防災調整池をつくるための基本データです。赤で囲っておりますところが山の傾斜です。180パーミルとあります。180パーミルは18%の勾配となっています。山の自然な傾斜は上の方がきつくて徐々に徐々に緩くなっていく、裾に行くほど緩やかになる。この数字を見ると、上から下まで全て18%の勾配。2枚目に移りましても同じです。自然の地形ではあり得ない数字となっています。流れる水の速さも一番早いところで30.2メートルと記載されています。パネルの緑で囲ってある部分です。日本三大急流の1つの球磨川は、平時秒速1メートル、災害をもたらしたときで秒速3メートルとのことで、これらの数字に信憑性があるとは到底思えません。 そこで、知事にお伺いいたします。 林地開発許可の審査項目の1つに災害の防止がありますが、許可申請書類の中で防災調整池の設計内容に関わる項目に不備がある、それが分かった場合には、林地開発許可に基づく工事を一旦停止させ、県の十分な指導が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、今現在、全国各地でこうした地域とのトラブルも起きていますが、県としても本来、本意ではないはずです。事前にもっと地元と調整をしたり、県も積極的に関与ができていればと悔やみます。今後、県内でメガソーラーの設置に伴う問題事案が起こることのないように、県としてもメガソーラーの設置に関するガイドラインを作成する必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。 次に、農作物の安定供給についてお伺いします。 昨年6月議会にも、種子法に代わる種子条例の制定をと質問いたしました。答弁では、現在の米麦改良協会との種子生産に関する覚書のもと、安定供給が行われているので、改めての条例制定は必要ない。しかし、現在、実効性のある仕組みをこれから作成する奈良県豊かな食と農の振興計画に明記したいとの答弁があり、楽しみに今年の4月に策定された、奈良県豊かな食と農の振興計画を見ました。記載を見ますと、(5)生産の安定性の確保の項目で、種苗の安定供給と保存とあり、米やイチゴ等の種苗の安定供給を図ります、ジーンバンクで在来種等の種子を保存しますと軽く触れられているだけです。具体的にどのようにするのか、残念ながら記載はありませんでした。 種子法がなくなり、根拠法がなくなった中、県の生産が不安定になるのではないか、種子の値段が高くなってしまうのではないか、農家さんの中で不安感が蓄積されています。現在、26道県で種子条例がつくられているのは、それぞれの取組をしっかりと明文化し、将来において担保することで農家さんの不安を取り除く、そのためです。 県では、米麦改良協会と種子生産に関し、奨励品種の原原種、原種の生産等について定めた覚書でもって対応していますが、覚書は1年更新で、かつ改廃の申入れが僅か1か月前でできる等のことから、永続性を担保するものには到底なっていません。改めて県が奨励品種の種子供給に関する取決めや、優良な種子の生産に関する計画の策定、ほ場の指定、原原種、原種の生産等の役割が明記された条例や要綱が必要になると考えます。 また、種は誰のものか、そんな議論もあります。民間企業が莫大な資金をかけて作成した種子の育成者権の侵害は許されません。 一方で、農業というものが不断の品種改良の歴史そのものです。その担い手は民間もありますが、奈良県農業研究開発センターをはじめとする各地の公的機関である農業試験場であり、種取りをしながら農業を営んでこられた農家の方々です。在来種の維持や農家が保存してきた品種や県が独自に開発した品種を一旦農家に種苗を提供した場合には、従来の種苗法同様に自家採種を認めることを明文化していくとともに、古都華など奈良県の開発した育種知見を民間に提供する場合の条件なども明記していく必要があると考えます。 そこで知事にお伺いいたします。 地域農業の振興にとって優良な種子を確保することが重要であることから、新品種の育成及び種子の安定供給、在来品種の保全に関する条例を制定し、県が主体的に取り組んでいく必要があると考えますが、いかがでしょうか。 さて、6月はプライド月間です。世界80か国以上で性的指向や性自認で差別を禁止する法律がありますが、日本にはありません。OECD諸国のうち法整備状況は35か国中34位、そんな日本でもようやくLGBT平等法が法制度化される見込みでしたが、提出すらも見送りになりました。法の下の平等は基本的人権の根幹であり、人種や宗教、性別、障害の有無で差別が許されないのと同様に、性的指向や性自認でも差別されるべきではありません。差別が許されない、この文言が入るだけで与党内で話がまとまらなかった、信じられません。 知事にお伺いいたします。 LGBTQ+などの性的マイノリティの権利が守られる社会をつくることは、社会の多様性と一人ひとりの尊厳が守られる社会をつくっていくことにほかなりません。そのために、性的マイノリティに対する理解を促進し、差別を解消していくことが必要と考えますが、知事のお考えと奈良県の取組を伺います。 今月、イギリスでG7がありました。参加国中、日本以外の全ての国で同性婚が認められています。欧州先行でしたが、2019年台湾、2020年タイも合法化され、アジアでの動きも加速してまいりました。同性カップルの相続や親権の問題等、国でないと解消できない問題は多くありますが、遅々として進んでいかない中、まず自治体からと2015年に東京都世田谷区、渋谷区でパートナーシップ制度が始まり、県内でも大和郡山市、奈良市、天理市、生駒市と4市で制度化されています。このような取組は全県挙げて取り組むべきだと考えますが、県においても、パートナーシップ宣誓制度を導入するべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、学校現場についてお伺いします。 日本で最初に開設された岡山大学ジェンダークリニックの報告では、性的違和感を持ち始めたのはいつかという問いに、半数以上が物心がついた頃からと答えています。そして、中学生までには約9割が性的違和感を持っていたとのことです。特に、二次性徴が始まってくる小学校高学年や中学生の頃には性的違和感が明確になり、中学生に入ると身体の変化の焦燥感に、制服や恋愛の問題が加わってくる。自殺を考えたり、自傷行為をしたり、そして自殺未遂をしたり、そうしたつらい経験を通して初めてクリニックへとつながる方も多く、中にはいじめによる対人恐怖症等の不安症や鬱病等の精神的な合併症につながっていく例も見られ、もう当事者本人の問題というより、周りの意識や態度、また制度が問題になってきているとの報告があります。まさしく命の問題として取り組んでいかなくてはなりません。 教育長にお伺いいたします。 教育現場において、性的マイノリティに関する教職員の研修や児童生徒への教育など、理解の促進とともに、選択制の制服や、男女問わず使用できるお手洗いの拡充など、制度の充実による両面での取組が必要と考えますが、いかがでしょうか。 次の問題に移ります。NHKの調査では、2020年4月以降の失業や労働時間の大幅減などの影響は、男性に18%、女性に26%で、女性が男性のおおよそ1.4倍に上っています。また、正社員では18%に対し、非正規雇用では33%と倍の開き。またコロナ禍で失業した方のうち、再就職の割合も男性と女性とで10%以上の開きがあることが分かりました。次の仕事を得るのも女性の方が大変であるということです。さらに、子育て中の女性が失業の後、仕事を探さない非労働力化していることも分かっており、ただでさえ大変な仕事と育児との両立が新型コロナウイルス感染症の影響でより厳しさを増している、そんなことが浮き彫りになりました。 昨年、少子化対策・女性の活躍促進特別委員会で育休退園について質問いたしました。例えば、子どもを産み、保育所に預け、職場復帰する。その後、第2子が誕生し、育児休業を取得する。そのときに保育所に預けていた第1子を継続して預けることができるか、それとも育児休業を取得していることを理由に退園しなければならないのか。県では、市町村の実態を把握されておらず、その後、県が初めて調査をしていただき、2つの自治体で継続利用を認めていないということが分かりました。また、継続利用を認めている市町村でも、多くが休業対象となる子どもが1歳までや保育所等を利用している子どもが3歳以上ならなど、継続利用が可能な年齢に関する条件がついていることも明らかになりました。これでは、働くことと子育て支援が車の両輪になっていませんし、こうした状況があるから、今、危機のときにしわ寄せが大きく来てしまっている。 こども・女性局長にお聞きいたします。 希望する全ての働く女性が、育児休業中も保育を利用できるようになるべきと考えますが、県内市町村の育児休業取得時の保育の継続利用の状況と、県の考えをお聞かせいただきたいと思います。 最後の質問になります。 5月31日、OECDは先進国を中心にワクチン接種が進んでいることを受け、今年の経済成長率の予測を5.6%から5.8%へと引き上げました。一方、日本はというと、接種の遅れから2.6%と0.1ポイント下方修正がなされました。遅れから下方修正ということよりも、そもそもの経済成長の低さが何よりの課題だと考えています。 失われた30年と言われますように、日本は1990年代から伸び悩むその間、例えば隣の中国では1990年から2000年代までは、毎年のように10%の成長を記録し、その後、ペースダウンしたものの、コロナ禍前の2018年では6.6%、日本に比べ大きな成長を記録しています。コロナ後、経済の落ち込みからいち早く立ち上がる、そのためには単にコロナ前に戻るのではなく、これまでの経済成長の停滞の原因を解消していかなければなりません。今、最も成長している企業と呼ばれている企業体にユニコーン企業というのがあります。評価額が10億ドル以上、創業10年以内、未上場のテクノロジー企業、世界中には479社あると言われていますが、そのうちアメリカに200社、4分の1、100社が中国、日本には7社ということです。こうした新しい産業やイノベーションを起こす際に、企業の多様性が大きく関係している、これは疑いようのない事実です。ダイバーシティの最たるものが、男性と女性、そして性的少数者や外国人。そんな視点で、最後に留学に関する質問をしたいと思います。 海外留学をする大学生は2004年の8万3,000人で、もう既にピークを迎えており、新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の2018年には5万8,720人と減少の傾向が止まりません。若い人たちの内向き志向と心配されているのも分かる、非常に少ない数字です。留学生を一番引き寄せているアメリカには現在110万人の留学生が各国から来ています。実は1990年代、在米留学生の中で日本人が一番多かったものの、2020年時点では、中国人留学生41万人に対し、日本人留学生約1万7,500人と、中国、日本の人口差は10倍ですが、留学生の数は23倍と大きく開いています。大学生の支援は、国でもっと力を入れていただくとして、県では高校生の支援ができます。減り続ける大学生の留学に対し、高校生の留学者数は、2017年に過去最高となっています。全国的に最も多いのがお隣、京都府で、次いで福井県、滋賀県と続きます。3か月以上の長期留学で見ると、京都府の302人に対し、奈良県18人、まだまだ伸び代のある数字で、まさしく未来への種まきとなる高校生の支援に奈良県も力を入れていただきたい、そんなふうに考えます。 そこで、教育長にお伺いします。 コロナ禍の収束後を見据えて、海外留学したいと思う高校生が増えるよう、国際交流への意識醸成や、留学に係る経費の支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 以上で壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)28番猪奥議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問は、新型コロナウイルス感染症対策の近隣府県との歩調を合わせた措置、また県民への周知ということでございます。 今回の第4波では大阪市をはじめ、奈良県と人的交流の深い関西の大都市において急速に感染拡大が進み、4月25日より大阪府、京都府、兵庫県に緊急事態宣言が適用されました。本県においても大阪府と連動する形で、急速に感染が拡大したことから、国や近隣府県と歩調を合わせ、県の実情に沿った措置を検討の上、4月27日に奈良県緊急対処措置を決定し、現在第4期の措置を実行しているところでございます。 本県の感染の特徴でございますが、大阪のベッドタウンということであろうかと思います。国の緊急事態宣言は、飲食店営業時間短縮、酒類提供自粛、商業施設の休業要請など大都市に比較的効果があって、ベッドタウンにあまり向いていない措置が中心であり、経済への打撃が大きい措置でございます。このような宣言と容易に歩調を合わせて奈良県で適用することは問題があると考えてまいりました。大阪の感染拡大が収まると、影響を受ける奈良県では収束してきたことから、経済の打撃を防ぐという意味において、大都市の措置として取られた緊急事態宣言に歩調を合わせなくてよかったと思っているところでございます。 本県でも、緊急対処措置において、県民に対して緊急事態宣言発出区域をはじめ感染が拡大している地域への不要不急の往来の自粛を要請するとともに、県外の方に対しても緊急事態宣言適用区域からの不要不急の来県を自粛するよう要請いたしました。近隣府県のまん延防止等重点措置の適用後も、本県では同様の要請を継続しているところでございます。 また、県外からの流入防止対策として、一部市町と合わせた飲食店への営業時間短縮要請、公立施設の閉館、閉園及びイベントの自粛等の措置を実施し、6月21日からの第4期の緊急対処措置においても、飲食店への営業時間短縮要請を除き、これらの措置を継続しているところでございます。本県の対処措置は、基本的に防衛的措置であろうと思います。大都市からの蔓延を防ぐ防衛的措置であろうかと思っております。 このような緊急対処措置の県民への周知については、県民だより奈良臨時号の全戸配布を行ったほか、ホームページなど各種メディアを用いた広報などにより、措置内容等を周知するとともに、措置の経過報告を行うなど工夫を重ねているところであり、今後も丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。このような緊急事態において分かりましたのは、やはり同調的なメンタリティーが強いと、我が国民はメンタリティーが強いと、県民においてもそのように思います。よく考えて、無駄なこと、また危ないことに同調しないように、やはり考えていかなければいけないと改めて思ったところでございます。 新型コロナウイルス感染症対策の中で、ワクチン接種の加速についての質問がございました。現在、高齢者への接種につきましては、7月末の接種完了にめどがついたところでございます。今後、接種を希望される一般の方々への接種を11月末までに完了するためには、職域接種の推進は重要であると認識しております。 本県では、職域接種の申請件数は6月21日現在で8件でございます。その中には、中小企業や中央卸売市場協会、あすかロータリークラブといった大企業以外からも職域接種の申請をしていただいています。しかし、中小企業による職域接種については、最低限必要となる1,000人を集めることや、接種に従事する医療従事者の確保に加え、接種を受けた方の管理、接種会場の運営といった事務負担や費用負担もあるとお聞きしております。 このような状況の中、県ではより多くの方に少しでも早くワクチン接種を受けていただけるよう、広域ワクチン接種会場2か所をめどに設置することといたしました。広域ワクチン接種会場では、約7万人の接種を予定しているところでございます。 また、接種の担い手となる職種を増やす点でございます。重要な観点であると考えております。外国では多様な接種者が存在しております。アメリカなど薬剤師もその1つでございます。そのため、県では従前より薬剤師による接種も可能となるよう国に求めてきたところでございます。法律改正が要るということで、すぐには実現されておりませんが、現在、国において検討対象として議論が行われています。なお、議員お述べの職域接種における歯科医師による接種については、現在、奈良市で既に実施されているところでございます。奈良県では研修医の活用も独自でしたところでございます。県においては、今後も企業等の職域接種について様々なご相談に応じて、ご支援申し上げたいと思っております。 ワクチンを接種しない人への配慮のご質問でございます。 ワクチン接種は感染者のまん延防止の観点から実施しているものでございますが、接種は強制ではなく、あくまでも本人が納得した上で接種を受けていただくことが必要でございます。このことは、県民だより奈良の6月号にも掲載するなど広く周知しているところでございます。 したがって、職域接種を行う事業者に対しては、本人の意思に影響を与えるような同調圧力が生じないような配慮を講じていただきたいと思います。未接種により不利益を与えることのないよう注意喚起してまいりたいと考えております。 今後、職域接種を含め、ワクチン接種が進む中で、接種を受けていない人が不当な扱いや不利益を被ることのないよう、県から情報発信と注意喚起を続けてまいりたいと思います。 メガソーラーの設置についてご質問がございました。 まず、林地開発許可の審査についてでございます。櫟原地内における太陽光発電施設の林地開発許可につきましては、県がしたものでございますが、所管課が事業者に防災調整池の設計内容等について改めて説明を求め、この6月11日に事情聴取を行いました。そこで事業者から防災調整池の規模等を設計する上で必要な数値である開発地の下流水路の勾配や流速等の計測値に誤りがあったとの説明を受けたと聞いております。その時点で事業者に対して現地の安全を確認した上で、直ちに工事を停止することを指示いたしました。その後、6月15日に事業者立会いのもと、現地調査を行い、事業者に対して申請内容が森林法及び宅地造成等規制法に規定する基準に適合すると認めるまで工事を停止すること、また工事を再開できるとしても、先行して防災調整池の工事を行い、完了するまでは全体の造成工事に着手することを認めない旨を通告いたしました。これらについては、昨日事業者に対して改めて文書による通知を行ったところでございます。今後、県としては現場の安全確保を第一に、職員によるパトロールを継続して実施するなど、厳しく監視してまいります。 なお、現場は立木の伐採がほぼ完了し、作業道の設置工事が進められていますが、開発区域全体の造成工事には着手していないことを確認しています。今回のように申請内容に誤りがあることは、理由が何であれ許されないことでございます。県としては、どの事案であっても関係法令等の遵守を徹底させ、状況によっては行政処分を厳格に行うという強い覚悟で対処してまいる所存でございます。 メガソーラーの設置に関するガイドラインを作成してはどうかというお問合せでございます。 太陽光発電設備を設置して、電気事業者に電気を供給する事業は、いわゆるFIT法に基づき、経済産業大臣が認定しておられます。設置の許可は国の経済産業大臣の認定にかかっているということでございます。また、設備設置に伴い、土地等の改変が行われる場合には、その行為につきまして、県、市町村が個別法、条例に基づき許可等を行っております。地域での具体的適用は地域の役割があるということでございます。また、国においては、経済産業省が事業計画策定ガイドライン、環境省が太陽光発電の環境配慮ガイドラインを策定し、地域住民とコミュニケーションを図ること等を規定しております。 議員ご指摘の都道府県レベルのガイドラインは、国のガイドラインを補完する形で、9府県で策定されています。その内容は、事業者に対する指導が主なものだと聞いております。事業者が地域の自治体や地域住民とコミュニケーションを図り、地域住民とのトラブルを回避するため、事業者に対して事業着手前に市町村への事業概要書の提出を求めることが主なものとなっています。 本県においても、近年、メガソーラー設置に関わって地域住民とのトラブルが見受けられます。このような状況を踏まえ、県としては、年度内を目途にメガソーラー設置に関するガイドラインを策定したいと思います。このガイドラインでは、開発地における防災、生活環境対策を含めた事業計画や住民説明の計画などを事前に把握し、必要に応じた指導をした上で、その実施状況を確認することが主な内容になると考えております。 次は、農産物の安定供給の中で、種子の安定供給、従来品種の保全に関する条例の制定についてのお問合せでございます。 米等の主要農作物やイチゴ等の本県農業を牽引する品目については、優良な種子や種苗を農家へ安定供給し、在来品種を保存することは本県農業の振興や地域の活性化にとって大変重要であると認識しております。 振り返りますと、平成30年4月に主要農作物種子法が廃止されたことで種子の安定供給が維持されなくなる心配が生じました。本県では、同年5月に県と奈良県米麦改良協会が覚書を締結し、県の農業研究開発センターで原原種を保存、維持するとともに、米麦改良協会が県内農家へ供給する種子を生産し、現在に至るまで種子生産体制を維持し、農家が必要とされる種子が安定的に供給されている実績がございます。また、県内の農業者が保存してきた在来品種等の種子は、県の大和野菜研究センターに設置したジーンバンクにおいて収集、保存に努めております。現在約1,300種の種子を保存し、発芽率を維持するために種子の更新を図るとともに、県内各地から新たな種類の種子収集も行っております。併せて新品種の育成については、農業研究開発センターで、これまでイチゴや菊などの新品種を育成し、県内農家への普及を図っているところでございます。 議員からは、再度、新たな条例制定をしてはどうかとのお問合せでございますが、以上のような取組の実績がありますので、県が積極的に新品種の育成や主要農作物の種子の安定供給、在来品種等の種子の保存で取り組んでいくことで実態的には十分でございます。条例の制定は必要ないと考えております。 性的マイノリティへの理解促進と差別の解消についてのご質問が2つございました。最初は差別の解消についてでございます。 性のあり方に関わって、どのような性で暮らし、誰と生きていくかは、もとより尊重されるべき基本的人権と認識しています。性的マイノリティの方々が日常生活を送られる上で、偏見を持たれたり、様々な差別を受けておられることは、基本的人権を侵害する問題であると考えています。 県はこれまでから、性的マイノリティの理解促進のため、県作成の人権情報誌、「かがやき・なら」で当事者の方の声を紹介したり、人権に関する相談機関などを対象とした研修会において積極的にカリキュラムに取り入れてまいりました。さらに、昨年3月に改定いたしました奈良県人権施策に関する基本計画では、性的マイノリティの人権を部落差別の解消、女性や子どもの人権などとともに、17の人権課題の1つに新たに位置づけをしたところでございます。また、この計画の審議機関である奈良県人権施策協議会に昨年9月、性的マイノリティに関する部会を新たに設置し、既に3回開催していただきました。この部会には弁護士などの学識経験者に加え、性的マイノリティ当事者を支援する団体の方にも参画していただき、県民への理解促進や相談体制の充実のほか、パートナーシップ宣誓制度に関することなど、幅広く議論されているところでございます。パートナーシップ宣誓制度は、現在、一部の自治体で導入されていますが、パートナーを配偶者と認める、あるいは配偶者に準ずる地位として認めることは、婚姻制度の根幹に関わることでございます。基本的な部分は国の判断、法整備によるべきものと考えております。 一方、地方自治体は法的な根拠がなくても、実態に沿うように個別具体的に対応することもできると考えております。県におきましては、今後も引き続き、性的マイノリティの理解促進などに努め、差別の解消に取り組んでまいります。また、性的マイノリティの方々が自分らしく生活できるよう、部会での検討状況のほか、国で議論されているLGBT理解増進法案の動向を踏まえ、市町村や関係団体と意見交換をしながら、課題の整理、また解決の方策の発見に努めてまいりたいと思っております。私に対する質問は以上でございました。ご質問、数々ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)28番猪奥議員のご質問にお答えいたします。私には2つの質問をいただいており、1つ目は性的マイノリティについて、教員研修、生徒への教育、制服のあり方などについてお尋ねでございます。 体と心の性が異なるなど、性的マイノリティの多くは、学齢期に自覚し始めるとされております。そのため、性的マイノリティに関しましては、これまでから教員研修を繰り返し実施し、本人が自認する性の制服の着用を認めるなど、教員の理解を深めてまいりました。 一方、生徒への教育につきましては、今年度から使用する公立中学校の公民や道徳などの教科書で多様な性について取り上げられ、全ての中学生が教科の中で学習することになります。また、公立の中学校や高等学校では、県教育委員会が作成する人権学習資料「なかまとともに」を活用し、性的マイノリティについての学習に取り組んでおります。 今後、性別に関係なく選択できる制服の導入や、多目的トイレの設置など、取組の充実を図りながら、自他の違いを豊かさとして捉える人権感覚を培う教育の推進に努めてまいります。 2つ目は高校生への留学支援についてお尋ねでございます。 県教育委員会では、国際交流団体の協力を得て、毎年、留学フェアを開催し、奨学金や補助金の紹介もしながら、主に短期留学を推進してまいりました。また、今年度は海外大学に在籍する日本人学生を講師として、セミナー、留学キャラバン隊in奈良を7月に開催し、長期留学や海外進学をより身近に感じる機会といたします。 開校2年目の県立国際高等学校は、文部科学省のWWLコンソーシアム構築支援事業の拠点校に選ばれております。WWLとはワールド・ワイド・ラーニングの頭文字でございます。この事業は、全国の28校を拠点として実施され、大学、企業、国際機関等とネットワークを構築し、生徒が国際会議を開催するなど、高度な学びを通して世界へ羽ばたくことが期待されております。 現在、コロナ禍の中、オンラインによる海外交流を計画する高等学校は増えております。今後、海外留学等への内発的な動機づけとなるよう、県立高等学校における海外とのオンライン交流の充実に努めてまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 金剛こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(金剛真紀) (登壇)28番猪奥議員のご質問にお答えいたします。私へは育児休業取得時の保育の継続利用について、市町村の状況と県の考えについて伺いたいとのご質問をいただきました。お答えいたします。 保護者が育児休業を取得することになった場合、既に保育を利用している子どもについては、市町村が保護者の希望や待機児童の発生状況等地域の実情を踏まえた上で、保育所退所による子どもの環境の変化なども考慮して、保育の継続利用の必要性を判断することになっています。今年度、県が実施した調査では、39市町村の全てで保育の継続利用を認めており、うち16市町村が継続利用の期間に制限を設けていません。残る23市町村では、一定の制限を設けておられますが、その大半で、育児休業を延長する場合は保育の継続利用を認めるなど柔軟な対応を行っておられます。 県の考え方としましては、保育所退所による環境の変化が子どもの発達にマイナスの影響を与えないか、すなわち、一人ひとりの子どもに最もふさわしい育ちの環境を保障するという観点や、保育所が子どもの保護者の意向を受け止め、援助する役割を担うという観点から、市町村において個々の親子の実情をよく見て丁寧にご判断いただきたいと考えています。 引き続き、個々の市町村での継続利用への対応状況を把握し、情報提供をさせていただくなど、制度の適切な運用を働きかけてまいりたいと考えています。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 28番猪奥美里議員。 ◆28番(猪奥美里) それぞれご答弁ありがとうございました。まず、新型コロナワクチンの職域接種についてお伺いしたいと思っています。 今、県の方では研修医の先生方をチームにして派遣していただいています。これから職域接種をスタートしていくに当たって、検討されているところにお話をお聞きしたりしますと、やはり医療従事者の方々の確保というのが非常にネックになっているとお伺いをします。 まず、1点目として、今それぞれ市町村に派遣していただいている研修医の先生方、7月末までというお話と聞いておりますけれども、職域接種にご対応いただけるように県として拡充の方向でお話ししていただきたいと考えるのですけれども、まずその点について県のお考えをお聞かせください。 ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 高齢者の接種を市町村が中心になってやっておられます。和歌山県が進んだのは、開業医の方が頑張られたと聞いております。奈良県でも市町村別に差があるのは、開業医の方が頑張られている高取町などのケースと、それほどでもない市との差があると判断できます。その開業医の方が頑張られていない高齢者の接種に向けて研修医の派遣を提案いたしましたら、喜ばれて研修医を高齢者の接種に向けられるという状況でございます。 職域接種については、それと全く体系が違って、職域接種の方が主催者として接種医を確保する、会場を確保するということがセットになっているから、高齢者が進んでも別途していいよとこの国の方針がそのようになっておりますので、それは職域接種をされる職域の方が今、完結的にしなければいけないということは、ほかの接種の対応に邪魔をしてはいけないというのが国のはっきりした方針でございます。それを奈良県の研修医の接種派遣に引き換えてみますと、今、奈良県の研修医は高齢者の接種において開業医など接種医が少ない地域において大活躍されておりますので、それを引っぺがして職域接種に向けるということはあまり望ましい方向ではないと考えております。 ○副議長(乾浩之) 28番猪奥美里議員。 ◆28番(猪奥美里) ありがとうございます。とはいえ、高齢者のそれぞれの自治体での接種も随分これからも進んでくるようにも思います。大阪でお仕事されている方は、大阪に仕事に行った帰り道に自衛隊の接種会場で接種してくるという例もこれから随分と増えてくるでしょうし、もともとのスケジュールから市町村さん、それぞれ思っていらっしゃったよりも少しずつ少しずつ減ってくると思うのです。そうしたときに、県としても職域でやりたいという方がいらっしゃったら、県内でいろいろな、県でもこれから接種を始めていただきますし、時間がたつごとに状況って必ず変わってくると思うのです。そんなことも含めて、ご検討いただきたいのと、あと引っぺがさないということであれば、歯科医師にご協力いただくというのは非常に有効な手段かと思います。県の方でもぜひご検討いただきたいとお願いしておきます。 次、少しメガソーラーについて申し上げたいのですけれども、工事の停止ですとか、下流域ですとか調整池の精査をこれから行うにしても、今、梅雨の時期ですし、台風もこれからやってきます。今、どういう状態かというと、皆伐が終わっていて非常に山肌がかなり見えているという状況です。県のほうで事業者の監督ですとか、監視ですとか、下流域に影響が出ないようにかなり力強く徹底していただく必要があるかと思います。今回のような開発申請において、重要な下流水域の計測に誤りがあったというのは、これは県ではかなり重く受け取っていただかないといけないのかと思います。大体これぐらいですという面積ですけれども、これだけ大きくて、ここ1.2キロメートルですから、近鉄奈良駅から新大宮ぐらいまでの大きな距離のメガソーラーができると。下流の部分には随分たくさん自治会もあると。これから許可申請の審査に当たりましては、県が現地の調査を必ずしていただく、そんな段取りに徹底していただきたいとお願いをしたいと思います。 次に、ガイドラインの作成について、ありがとうございました。今、9府県、設定されていますけれども、奈良県でも10件目ということでガイドラインをつくっていただくとのご答弁がありました。住民の理解を得たり、生活環境保全をしていくと、それはもう当然ベースになってまいります。これからできるまでの間、住民に対して十分ご説明いただくように、県としても積極的にご指導いただきますようにお願いをします。今、地元の定義ですけれども、やはり山林の場合、当該地だけではなく、山の下の部分、谷線の部分というのは、私は住宅地としてどこまでの範囲を地元とするかは、当然議論のあるところですけれども、ガイドラインをつくっていただくに当たっては、どこを地元と指すのか、それもしっかりとご議論いただきたいと思います。これは、意見として申し上げておきたいと思います。 次に、性的マイノリティについて、知事にパートナーシップ宣誓制度の導入について少しお答えがうまく聞き取れなかったので、再度質問をしたいと思います。もう一度お願いします。パートナーシップ宣誓制度を県として導入するのか、検討するのか、どういう状況でしょう。 ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 導入しません。 ○副議長(乾浩之) 28番猪奥美里議員。 ◆28番(猪奥美里) はっきり確認して、何かがっかりしちゃったという気がします。部会もつくっていただいたのですから、ぜひともご検討ぐらい、少なくともしていただきたいと思います。アメリカのイリノイ大学の研究で、アメリカで同性婚が全州で認められるようになった後、性的マイノリティの方の自殺率が46%減ったと。これはとても大きな効果だと思っています。もちろん国で設定すべきことですし、国のほうでやっていただくということが一番大事なことだとは思いますけれども、県でもできることはありますので、せっかく差別は許さないと言っていただいたんだったら、その1つの解消になると思いますので、ぜひともご検討ください。 次に、この件で教育委員会なのですけれども、中学生までに9割が違和感を覚えると、それぞれ柔軟に対応していただいているとお聞かせいただきました。ただ、柔軟に対応していただくには、自身で違和感を持って、自分自身で確信して、さらにそれを親なり教師なりに話をして初めてその俎上に立つと、私は制服を設定する以上は多様性というのがあらかじめあるということが合理的配慮に当たるのではないかと思っています。中学校の状況も踏まえて、ぜひとも実態をご調査いただきたいと思います。お願いします。 終わります。   -------------------------------- ○副議長(乾浩之) 12番西川均議員。 ◆12番(西川均) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(乾浩之) お諮りします。 12番西川均議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(乾浩之) それでは、さように決し、明、6月24日の日程は当局に対する代表質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後4時53分散会...