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  1. 奈良県議会 2019-12-01
    12月05日-02号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 元年 12月 定例会(第339回) 令和元年        第三百三十九回定例奈良県議会会議録 第二号 十二月   令和元年十二月五日(木曜日)午後一時開議   --------------------------------          出席議員(四十二名)        一番 小村尚己          二番 樋口清士        三番 植村佳史          四番 川口延良        五番 山中益敏          六番 亀甲義明        七番 中川 崇          八番 小林 誠        九番 浦西敦史         一〇番 欠員       一一番 池田慎久         一二番 西川 均       一三番 乾 浩之         一四番 松本宗弘       一五番 大国正博         一六番 太田 敦       一七番 佐藤光紀         一八番 清水 勉       一九番 阪口 保         二〇番 井岡正徳       二一番 田中惟允         二二番 中野雅史       二三番 奥山博康         二四番 荻田義雄       二五番 岩田国夫         二六番 小林照代       二七番 山村幸穂         二八番 猪奥美里       二九番 尾崎充典         三〇番 藤野良次       三一番 和田恵治         三二番 国中憲治       三三番 米田忠則         三四番 出口武男       三五番 粒谷友示         三六番 秋本登志嗣       三七番 小泉米造         三八番 中村 昭       三九番 今井光子         四〇番 森山賀文       四一番 田尻 匠         四二番 山本進章       四三番 川口正志   --------------------------------        議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、二十二番中野雅史議員に発言を許します。--二十二番中野雅史議員。(拍手) ◆二十二番(中野雅史) (登壇)皆さん、こんにちは。自由民主党、中野雅史でございます。議長のお許しを得ましたので、ただいまから代表質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず最初に、来年度の予算編成についてお伺いしたいと思います。 いよいよ師走を迎え、五月に元号が改まった令和元年も残すところあと一月足らずとなってまいりました。毎年この時期は、国において来年度の予算編成が佳境を迎える時期でありますが、先月七日に開催された政府の経済財政諮問会議では、新たな経済対策を策定し、必要な対策費を今年度の補正予算と来年度の当初予算に盛り込む方針が示されました。 安倍内閣総理大臣が、世界経済が不確実性を増す中、時機を逸することなく、先を見据えたマクロ経済政策を講じていく重要性を強く感じており、今、何をすべきか判断したいとコメントされているように、今回の経済対策では、自然災害からの復旧や防災・減災対策のほか、当面の需要喚起にとどまらず、我が国の将来の成長につながる中長期的な政策を実施するとされています。 我が国の将来の成長を考えるとき、人口問題という構造的な問題を抜きにしては考えられませんが、特に働き手世代の急速な減少は、経済成長のみならず、社会保障制度など、国の根幹をなすさまざまな制度に深刻な影響を与えることが懸念されております。まさに今、この国の活力をいかに維持し、次の世代に引き継いでいくか、国、地方を挙げて全力で考え、取り組んでいかなければならない状況にあります。このことは本県においても例外ではなく、むしろ、少子高齢化が他府県に比べて急速に進むなど、成熟したベッドタウンに特徴的な課題を数多く抱えております。 そのような中、荒井知事は就任以来、地域の自立を図り、くらしやすい奈良を創ることを県政の目指すべき姿とし、直面する県政諸課題に積極的、果敢的に取り組んでこられました。幾つか例を挙げますと、県外就業率が非常に高い本県にとって、働く場の確保が大きな課題ですが、過去十二年間の企業立地件数は三百件を超え、特に昨年は三十八件の立地が実現し、近畿で二位、全国でも十一位の件数となりました。 また、観光の分野においては、近年、全国各地でインバウンド観光への取り組みが盛んになり、我が国を訪れる外国人観光客は五年間で三倍に急増しましたが、本県では、恵まれた歴史文化資源を活用し、さまざまな誘客プロモーション受け入れ環境の整備に努められた結果、昨年二百五十八万人に達し、五年前の五倍を超えました。来年には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界各国から寄せられる我が国への関心がますます大きくなりますが、オリンピック終了後、多くの方々に本県を訪れていただきたいと願うところでございます。 このように、本県の弱みを克服するとともに、強みを生かしてさまざまな課題に取り組んでこられたところですが、若者や女性の就業、次世代を担う人づくり、さらには県有施設やインフラの老朽化対策、防災・減災対策など、将来を見据え、まだまだ取り組むべき課題は数多くあります。そのような中、荒井知事は、四期目の知事就任直後、もっと良くなる奈良を目指して、これまでの県政の歩みを確認し、これから歩むべき道筋を探索する作業が必要として、奈良新「都」づくり戦略(案)を発表されました。その後、県政各般の課題について議論が進められていると聞いております。 そこで、これから本格化してまいります来年度の予算編成について、どのような方針で臨もうとされているのか、知事にお伺いしたいと思います。 次に、防災対策についてお尋ねいたします。 昨年に続き、今年も日本各地で台風等による大きな災害が発生いたしました。特に十月十二日、伊豆半島に上陸した大型で強い台風第十九号では、西日本から東日本の太平洋側を中心に激しい雨が降りました。気象庁では、十三都県に大雨特別警報を発表し、警戒を呼びかけましたが、関東・東北地方を中心に甚大な被害が発生いたしました。 過去には、奈良県においても、平成二十三年に台風第十二号による長雨によって紀伊半島大水害が、昭和五十七年には台風第十号によって大和川大水害が発生するなど、災害によって多くの命が失われています。災害時に最も優先すべき課題は人命を守ることであり、そのためには事前に十分な対策を講じる必要があると考えております。 今回の他県の被災状況を見ると、避難情報等に対する住民の認識不足や、六十歳代以上の高齢の犠牲者の比率が高いなど、さまざまな課題が挙げられています。奈良県で同じような災害が起きれば、同様の問題が起きるのではないでしょうか。私はそこに大きな不安を覚えます。 県では、昨年の平成三十年七月豪雨の教訓を踏まえた奈良県緊急防災大綱を示されました。災害に備え、迅速・的確に対応するためには、実際の災害現場で何が起こったのか、どのように対応したのか、また、どのような課題があったのかなどを分析し、そこから得られたさまざまな教訓を生かす取り組みが重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 昨年、今年と自然災害が多発し、激甚化している中で、県では現在、地域防災計画の修正に取り組まれていますが、大切な県民の生命・財産を守るため、どのような取り組み、備えを実施していこうとしているのかお聞かせ願いたいと思います。 また、先般の台風第十九号による災害では、各地で河川の堤防が決壊し、大きな被害をもたらしましたが、その後の現地調査で、水流が堤防を乗り越える、いわゆる越水という現象が主な原因であったと報じられています。改めて、常日ごろからの対策の重要性を認識させられたところでございます。 そのような中、川底に土砂が堆積している河川を見ると、水の流れが十分確保できているのか、出水期になるたび心配しておりましたが、県では、国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の予算も活用され、河川整備や堆積土砂撤去などが計画的かつ着実に進められていると伺っております。 私は、山地から河川に流出して堆積した土砂を、単に残土あるいは産業廃棄物として処分するだけではなく、山に戻すという観点で、盛り土として公共工事等に有効に活用することで、公共事業全体の経費節減にもつながり、より効率的に堆積土砂撤去の事業進捗が図れるものと考えております。堆積土砂の再利用の可否は、当然、撤去した土砂の質や状態にもよるものとは思いますが、その点はぜひ今後の検討課題としていただきますよう、特に要望しておきたいと思います。 さて、今回の災害においても、全国各地の警察、消防及び自衛隊が出動し、被災地住民の救助活動や生活支援に尽力されました。 昨今の激甚化する被害の状況を見ますと、大規模災害が発生した場合に備えて、このような機関が迅速に救助活動を行うことができる広域防災拠点の整備は必須であると思います。現在、県が五條市で進めようとしている大規模広域防災拠点を早期に整備し、災害に備える必要があるのではないでしょうか。また、南海トラフ地震が発生した場合には、この場所が紀伊半島全体の支援拠点になり得るものだと考えています。早期に整備することで陸上自衛隊駐屯地の誘致にもつながれば、県の防災力の向上にも寄与いたします。 そこで、県では、今後どのような方針で大規模広域防災拠点の整備を進めていこうとしているのか、知事にお尋ねするものでございます。 次に、文化財の防災対策についてお伺いいたします。 本年四月に、パリの世界遺産ノートルダム大聖堂で大規模な災害が発生し、世界的に貴重な文化遺産が焼損するという大変残念な出来事がありました。また、我が国においても、十月末に、同じく世界遺産に登録されている沖縄県の首里城跡でも火災が発生し、正殿や北殿などが全焼したほか、被害に遭った建物内部に保管されていた多くの美術工芸品などの文化財も同時に焼失するという大きな被害が発生いたしました。 十一月上旬にも、同じく世界遺産の岐阜県白川郷付近で火災が発生しました。こちらは合掌づくり集落への延焼を防ぐため、防火装置の放水銃を稼働させるなど、日ごろの防火対策が功を奏し、世界遺産に延焼するというような大きな被害には至りませんでしたが、いつ被災してもおかしくない危険が存在するということが再び認識されたわけでございます。 文化財は、火災等により滅失毀損すれば、再び回復することが不可能な、かけがえのない、国民、県民全体の財産でもあります。古くは、昭和二十四年一月に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺金堂で火災が発生し、貴重な壁画などが被災したことから、世論が高まり、翌昭和二十五年に文化財保護法が制定されたところであります。行政、所有者、観光客も含む関係者が、それぞれの立場で文化財を守り、受け継いでいく役割を果たしていかなければなりません。 こうした中、国においては、ユネスコの世界文化遺産や国宝の建造物の防火対策を一層促進するため、国庫補助率の引き上げなど、支援策の強化に向けた検討を進めていると聞いております。 これまでも、文化財の防火対策等については、所有者や管理者をはじめとする関係各位が各種の取り組みにご尽力いただいてきたところでございますが、今般のことを受けて、文化財の適切な管理を図るため、改めてこれまで以上の防火対策の徹底が必要であるとともに、国や県の文化財の防火対策に係る支援も一層重要になってきていると考えています。 また、防火対策に加えて、昨今では豪雨等による自然災害により都市機能や生活基盤が失われると同時に、文化財もまた大きな被害を受けており、文化財の防災対策全般の重要度が増している状況であります。 そこで、知事にお伺いします。 奈良県には、三つの世界遺産をはじめ、国指定、県指定や市町村指定の貴重な文化財が多数所在していますが、今後の文化財の防災対策をどのように進めていこうとされているのか、ご所見を伺いたいと思います。 次に、地域医療構想の推進についてお尋ねいたします。 本年九月に厚生労働省は、地域医療構想に関するワーキンググループにおいて、公立病院や公的病院の役割が当該病院でなければ担えないものになっているかどうかを再度検証してほしい病院として、全国で四百二十四の公立病院や公的病院を名指ししました。本県では、済生会奈良病院済生会中和病院県総合リハビリセンター済生会御所病院、吉野病院の五病院が名指しされました。 厚生労働省は、各地域における地域医療構想の議論があまり進んでおらず、過剰ではないかと考えている急性期病床から、不足する回復期病床への転換の動きが鈍いと見ているようであります。このため、名指しすることにより、地域での議論を活性化させたいようであります。 しかし、名指しされたことへの反響は大きく、多くの新聞紙上でも取り上げられました。新聞では、厚生労働省の狙いを説明する一方で、身近な病院を残したい地域住民や自治体の不安や反発を紹介していました。実際に本県でも名指しされた病院には、存続を心配した患者さんから、病院が統合されてなくなってしまうのかといった問い合わせが相次いだとも聞いております。十分な情報がない中で、患者さんや病院にお勤めの方は大変不安を感じられているのではないかと推察いたしております。 また、自治体側からは、機械的に算出したデータから名指ししており、地域の事情を考慮していないといった批判が出ました。このようなことから、厚生労働省は、ブロック別に自治体や病院を集めた意見交換会を開催したようですが、自治体や病院からは、データの作成方法への疑問や情報の開示、民間病院との関係性などについて多くの質問があったことを聞いております。 さらに、地方の不満の声を背景に、全国知事会全国市長会全国町村会とともに、地域医療の確保に関する国と地方の協議の場の開催を求め、地域の実情に合った必要な医療の確保について、国と地方が全体的な方向性を合わせながら、引き続き議論していくこととされております。 一方、本県では、荒井知事はこれまでから、医療に関しても並々ならぬ関心を寄せられ、リーダーシップを発揮して取り組んでこられました。特に南和広域医療企業団による南和三病院の再編は、厚生労働省から折に触れて、地域医療構想のお手本となる事例として紹介されております。 また、地域医療構想の推進に関しては、急性期病床を県内の利用実態に合わせ、重症急性期軽症急性期に分けた、いわゆる奈良方式を採用されました。この考え方を厚生労働省は高く評価し、他府県に対して同様の取り組みを推奨するなど、地域の実情に合わせて病床の機能を考える取り組みの先駆けとなりました。 さらに、断らない病院、面倒見のいい病院と、とてもわかりやすいネーミングにより、端的に病院の機能を示し、病院の進むべき方向性を打ち出すなど、先進的な取り組みを進めておられます。 今後、少子高齢化が本県でもますます進み、特に後期高齢者が増加する中、医療や介護のニーズも大きく変わっていくものと思われます。このようなニーズの変化に対応し、これからも県民が安心して医療にかかれるよう、過不足のない医療提供体制の構築が必要であると思います。 そこで、知事に伺います。 今回、厚生労働省地域医療構想において再検証が必要な病院名を公表したことなどを踏まえ、県として、地域医療構想をどのように進めていこうとされているのか、お尋ねしたいと思います。 次に、児童虐待対策についてお伺いいたします。 昨年三月、東京都目黒区において、五歳の女の子が養父からの虐待により亡くなるという事件がありました。新聞、テレビ等で大きく報道されました。世間から大きな悲しみと注目が寄せられる事件となりました。私も大きなショックを受けた一人でございます。 また、本年一月には、千葉県野田市で十歳の女の子が父親からの虐待により命を落とし、六月には、札幌市で二歳の女の子が保護者の虐待により衰弱死するという事件が起こりました。さらに、昨年十一月、福岡県で一歳の男の子が両親からエアガンで撃たれ大けがをし、その後、死亡するという事件があり、先月、両親が逮捕されております。 本来、子どもが安心して生活できるはずの家庭において、保護者から虐待を受け、命が奪われるという非常に痛ましい事件が立て続けに発生し、深刻な社会問題となっているところでございます。これらの事件については、事件が起こった各自治体においてさまざまな検証がなされていますが、関係機関との連携や、適切な一時保護の実施、児童相談所の体制強化などが児童虐待対応における大きな課題とされております。 また、国においては、昨年七月二十日に、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が取りまとめられ、関係機関におけるルールの徹底、子どもの安全確認を早急に行うとともに、児童相談所や市町村の体制・専門性強化を図ることや、適切な一時保護などに取り組むこととされました。さらに、昨年十二月八日には、児童虐待防止対策体制総合強化プランが策定され、児童相談所の体制強化のため、令和四年度には、児童福祉司の数について、人口三万人に対し一人を配置することを目指すとしております。 また、児童虐待死が繰り返される状況を深刻に受けとめ、児童虐待防止対策の抜本的な強化を図るため、本年六月に児童福祉法等の改正法が成立したところであります。改正法では、児童相談所による、児童虐待をした保護者に対する再発防止のための医学的・心理学的知見に基づく指導の実施や、親権者が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことなどが盛り込まれました。 一方、本県の児童虐待の現状を振り返りますと、県内二カ所の児童相談所における昨年度の児童虐待相談対応件数は一千八百二十五件で、前年度から約二三%の大幅増となり、過去最多件数を更新しております。また、平成二十八年四月には生駒市で、平成二十九年三月には川西町で、虐待による死亡事案も発生いたしております。そうしたことから、県におかれても、さきに述べた相次ぐ死亡事案において指摘された課題や、国の動向を踏まえた対策に万全を期すべきと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 児童虐待による痛ましい事件が後を絶たない中、決してこのような事件が起こらないよう、県としてどのように取り組もうとされているのでしょうか、お尋ねをいたします。 次に、都市計画区域マスタープランの改定についてお伺いいたします。 昨年度より、県では都市計画区域マスタープランの改定作業に取りかかっていると伺っております。人口減少、少子高齢化社会の到来などの社会情勢の変化を勘案しながら、奈良が目指す将来像を実現するために、おおむね二十年後の都市の姿を展望して、都市計画区域における土地利用や、都市施設の整備などの方針を定めていくものと理解していますが、現況では、市街化調整区域で新たな住宅開発が進み、市街化のような土地利用が進行してきている実態がある一方で、市街化区域の閑静で低層な住居地域では、良好な住居の環境が形成されているものの、土地利用の制限から、コンビニなどの店舗が立地できないなど、課題がございます。 今後、多くの高齢者が買い物難民になることも予想され、高齢者の運転免許証の返納が叫ばれている中、車がないと生活できないような都市計画の制度そのものが、現代社会とマッチングできない時代に突入してきているのではないかと危機感を抱いております。今後も、県民の皆様に住みよいと感じていただけるよう、社会構造の変化を捉えた上で改定がなされるべきものと思っております。 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針は県が示すものでありますが、都市計画の権限のほとんどが、現在、市町村に委譲されてきております。さらに、県と市町村で連携協働によるまちづくりを進められていますが、実際に起こっているまちの課題に対して、対応できるよう改定を進めていくことが非常に重要なプロセスではないかと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 県では、これまで都市計画区域マスタープランに基づくまちづくりを推進されてきていますが、人口減少、少子高齢社会の到来など社会情勢が変化する中、具体的にどのような課題があると考えておられますでしょうか。また、都市計画の多くの権限が市町村に委譲されている中で、県の役割を果たすためにどのような方針で改正を進められるのか、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。 最後に、奈良高等学校仮設体育館について、教育長にお伺いいたします。 県立高等学校の耐震化については、昨年度の県議会においても大きな議論になりました。昨年度、県議会で議決された県立高等学校適正化実施計画では、令和四年度までに県立高等学校の耐震化を完了させるという方針を打ち出されましたが、耐震化が完了するまでの間、生徒や教職員の安全確保が喫緊の課題でありました。 特に奈良高等学校については、育友会や一部の保護者から、仮設校舎の早期設置、仮設校舎設置までの応急補強、そして、体育館の補強を求める要望などが提出されております。自由民主党においても、昨年十月に、党奈良県支部連合会長から教育長宛てに、県立奈良高等学校をはじめ、耐震化が未完了の県立高等学校において、耐震化完了までの間、生徒や教職員の安全確保を図るため、仮校舎の確保などの対策を早急に実施されるよう求める要望を行いました。 そうした動きの中、県教育委員会において、震度六以上の地震の震動や衝撃に対して倒壊または崩壊する危険性が高いとされる構造耐震指標、いわゆるIs値〇・三未満の建物については、生徒や教職員の安全確保のため使用を停止し、仮設校舎などの代替施設を確保することが決定され、昨年十一月の県議会において必要な予算が議決されております。その中で、奈良高等学校の体育館については、今年一月から使用を停止し、再利用が可能な木造の仮設体育館で対応することとされました。 その後、昨年度から今年度にかけて、これらの安全対策が実施され、奈良高等学校では、一学期中は一、二年生が大和郡山市の城内学舎を利用していましたが、仮設校舎が設置され、ようやく二学期から、三学年そろって法蓮学舎で学ぶことができるようになりました。 しかしながら、仮設の体育館はいまだ設置されておりません。先日来の新聞報道などにより、奈良の木を使用した移動式仮設体育館の設置工事の入札が既に二回も不調となっていることを聞いております。そして、奈良高等学校では体育館を使用停止にしているため、部活動などについては、今もなお、近隣のアリーナや小・中学校の体育館などを借りて、生徒がその都度移動して対応している状況であるということも聞いております。 このような状況の中、今議会において、仮設体育館建築工事費を増額して、そして、工期を確保するために予算の繰り越しを行うという補正予算案が提出されていますが、私は、これ以上、学校運営に支障が出ないよう、何よりも生徒にこれ以上の負担をかけないよう、一刻も早く仮設体育館を設置していただきたいと強く願っているところでございます。 そこで、教育長にお伺いいたします。 奈良高等学校仮設体育館について、今後どのように対応していかれるのでしょうか。見通しも含めてお伺いするものでございます。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(粒谷友示) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十二番中野議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問は、来年度の予算編成の方針についてでございます。 財政の運営に当たりましては、将来の県民に過度な負担を残さず、いかに将来の県民の利益になるような投資を行うことができるかが県政の重要なポイントになるものと考えてまいりました。 本県では、今後、他府県に比べまして、議員お述べのように急速に高齢化が進んでいくと見込まれる一方で、従前から経済・産業構造が脆弱で働く場が少なく、進学や就職を機会に県外に転出されてしまう方が多くいらっしゃいますので、若者が流出して高齢者が多くなるということをどのように緩和するかが大きな課題でございます。 このため、知事就任以来、奈良県で生まれ育った若者が、奈良県で働き、安心して暮らし続けられるよう、地域の自立を図り、くらしやすい奈良を創ることを県政の目指すべき姿とし、経済活性化や、くらしの向上に取り組んでまいりました。幸いなことに、これまでの取り組みの成果が数値や形であらわれてまいりましたが、議員ご指摘のように、まだまだ力を入れていかなければならない課題も数多く残っている実情でございます。 そこで、これまで着実に積み上げてきた土台を元手に、さらに知恵と工夫を積み重ねるため、四期目就任後の今年六月に、県政発展のプロセスについての議論を深めるたたき台として、奈良新「都」づくり戦略(案)を取りまとめ、発表したところでございます。これまで、県内各地で開催している地域フォーラムや県庁内で議論を重ね、具体的に検討を進めているところでございますが、これらの議論を踏まえまして、令和二年度の奈良新「都」づくり戦略として取りまとめるとともに、当初予算案に反映し、奈良をもっとよくするため、積極果敢に取り組んでまいりたいと考えております。 一方、将来の県民に過度な負担を残さないよう、引き続き、県税など自前の財源で償還する県債残高と年間の県税収入額との比率を注視していきたいと考えております。今年度末においては、この比率が三・〇倍となる見込みで、知事就任以来最も良好な水準ではありますが、今後とも財政運営のメルクマールとして、大きく上昇することがないように努めてまいりたいと考えております。 また、議員もお述べになりましたが、現在、国において検討されております補正予算を積極的に活用したいと考えています。これまでも、本県の実情を踏まえた政策提案を行い、真に有用な国予算の獲得を図ってきたところでございますが、国の補正予算は、通常、地方にとって財源措置が手厚く、これを最大限活用していきたいと考えております。 このように、来年度予算の編成においても、将来の県民負担とのバランスを十分配慮し、持続可能な財政運営を継続しつつ、本県の将来の発展に資する投資を積極的に行っていけたらと考えております。 二つ目のご質問は、防災対策でございます。地域防災計画の修正の方向についてのご質問でございます。 議員お述べのように、近年、毎年のように大きな災害が発生しております。奈良県で同じような災害が発生しても、死者が出ないようにしたいという思いを強く持っております。本県では、過去の災害から得られた教訓を踏まえ、県民の命を守る取り組み・備えを着実に実施するため、本年四月に奈良県緊急防災大綱を策定いたしました。さらに、現在、奈良県地域防災計画の修正を行っております。 地域防災計画の修正では、近年の災害で最も大きな課題となりました避難行動・避難生活を一番のポイントにしております。住民の、みずからの命はみずからが守る意識の徹底、正しい避難行動の周知、避難所での良好な生活環境の確保など、避難をめぐる課題についての、県、市町村、住民が取り組むべき内容をまとめています。その他、高齢者や障害者、外国人等の要配慮者への対応、救急救助のための体制整備、南海トラフ巨大地震への備え等の観点で、県の方針を整理し、それぞれ内容を充実させているところでございます。 既に今年度、新たな取り組みとして、桜井市忍阪地区において、専門家の助言のもと、地域の災害リスクや避難経路を確認するなど、実際の災害を想定した住民が参加する実践的な避難訓練を行い、住民の方々の防災意識の高揚を図る取り組みも始めたところでございます。 これからも、この地域防災計画をもとに、市町村と連携し、県民の大切な命を守る取り組みを進めていきたいと考えております。 防災対策の中で、大規模広域防災拠点の整備の方向についてのご質問がございました。 大規模災害発生時には、被災地へ迅速に多数の人員・物資等の搬送を行うことが求められます。また、救助要員の集結、救援物資の集積・配送機能等を備えた広域防災拠点が常に必要とされています。東日本大震災で、山形空港が果たしました役割を踏まえまして、紀伊半島全体の後方支援拠点としての機能を担う面から、津波被害の心配が少ない五條市に二千メートル級滑走路を有する大規模広域防災拠点を整備したいと考えています。 整備箇所につきましては、平成二十六年度から、プレディアゴルフ地区を中心に整備候補地を検討してまいりました。五條市の意向も踏まえまして、集落の状況や上野公園の災害時における活用等を勘案し、現在、プレディアゴルフ地区を想定して、具体的な整備手法を検討しておるところでございます。今後、関係者と調整しながら整備予定地として位置づけていきたいと考えております。 また、どのように整備をするのかという整備手法につきましては、南海トラフ級の巨大地震発生の切迫性が指摘される中、防災拠点としての効果を早期に、一刻も早く発現する必要があるものと思っております。防災拠点の造成方法や必要な機能等を考慮して、段階的に整備を進めていきたいと思っております。 段階的とはどのようなことかということになりますが、具体的には、第一期といたしまして、現場内の切り土、盛り土による造成が可能な五ヘクタール程度の広域防災拠点の整備をすることを考えております。 次に、第二期といたしまして、新天辻トンネルや河川の堆積土砂の除去などの県内の公共事業により発生する予定の盛り土材料の活用を行うことにより、六百メートル級の滑走路を有する大規模広域防災拠点の整備を考えております。 そして、三期、最終期といたしまして、リニア中央新幹線のトンネル工事から大量に発生する盛り土材料で谷を埋めることによりまして、二千メートル級滑走路を有する大規模広域防災拠点を整備することを考えております。 このような三段階にわたる整備を図ることで、一刻も早い防災拠点としての機能の発現、それと、将来の機能の向上を図っていきたいと考えているところでございます。今後とも、地元の五條市と緊密に連携し、順次、大規模広域防災拠点の整備を進めていく所存でございます。 次は、文化財の防災対策についてのご質問がございました。とりわけ防火対策についての内容が入っております。 奈良県には、三つの世界遺産をはじめ、国指定文化財の建造物が二百六十四件ございます。そのうち国宝は六十四件で、その数は全国一でございます。また、このような文化財は、長い歴史の間、多くの人々から貴重なものとして評価される公共財とも言えるものでございます。地域の力で災害や犯罪から守り、確実に次世代に継承していくことが我々に課せられた使命だと思っております。 この四月にございましたフランスのノートルダム大聖堂での大規模火災や、十月の首里城正殿の火災は、人々に大きな喪失感を与え、文化財を火災から守り、次世代へ継承していく重要性を再認識させる機会となったと考えております。このようなことから、先月、奈良県文化財緊急防火対策強化会議を開催いたしまして、文化財所有者に防災対策の事例報告をいただくなど、所有者の意識向上に向けた取り組みも行ったところでございます。 また、国の防災対策の補助事業につきましても、今後五年間の緊急措置として、補助率のかさ上げなどが予定されており、国の予算の活用として、防災設備の緊急点検を行うとともに、着手可能な建造物から、順次、防災設備の整備を進めていきたいと考えております。 さらに、とりわけ文化財の防災対策、火災対策につきましては、所有者や行政、地域住民などのそれぞれの役割を明確にし、連携して文化財を守るため、チームとなって取り組む体制整備が必要と考えております。そのような目的のため、今後、文化財の防災対策に関する条例を制定し、継続した文化財防災対策を推進していけたらと考えているところでございます。 地域医療構想の推進についてのご質問がございました。 本県では、従来より、地域の実情や将来の医療需要の変化に対応した医療提供体制の構築を目指し、エビデンスをもとに、関係者との協議を重ねるスタイルをとってまいりました。協議の中で、重症な患者に対する救急医療や、高度医療を担う断らない病院と、地域包括ケアシステムを支える面倒見のいい病院という二つの目指すべき病院像が医療機関の共通認識となってまいりました。この二つの病院像を中心概念として、奈良県の医療機能の分化・連携を進めていきたいと考えております。 このように、地域医療構想の推進には、データをもとに関係者と話し合うことが大事だと思ってきましたので、厚生労働省がエビデンスにより地域における議論を活性化させようとされました試みは高く評価しているところでございます。 一方で、名指しされた公立・公的病院ばかりに注目が集まる傾向がございますが、地域の医療は、公立・公的病院のみならず、民間病院によっても大いに支えられているところでございます。本県では、民間病院も含めて地域全体で医療機能の分化・連携を進める必要があると考えております。そこで、今回公表されました厚生労働省のデータにとらわれることなく、県独自に、年度別の入院単価や新規入院患者数など病院経営に関するデータのほか、診療科別の医師数や長時間労働の実態など、医師の働き方改革と連動した、医療構造に関する新たなデータを集めまして、さらに地域での議論を活性化することにしたいと考えております。 このようにデータに基づく議論を進め、病院の統廃合ありきに考えるのではなく、医療機能の分化と連携を図ることを目標に、全国のモデルとなる地域医療構想を、エビデンスに基づく議論を重ねることにより実現したいと考えているところでございます。 次のご質問は、児童虐待対策についてでございます。 児童虐待の現状でございますが、平成二十九年度に全国で五十二人の子どもが児童虐待で亡くなられまして、そのうち、〇歳児が約五割を占めておられます。また、加害者の約五割が実母、実際のお母さんでございます。そのうち、予期しない妊娠のケースが約三割あると聞いております。 また、議員お述べのとおり、昨年度、本県の児童虐待相談対応件数が過去最高になりました。児童虐待の未然防止に力点を置き、妊娠期からの切れ目のない相談対応や子育て支援サービスにつなげることと、児童相談所と市町村の虐待対応力の向上が重要な課題になってきているものと考えております。 現在、策定を進めております第四期の奈良県児童虐待防止アクションプランにおきましては、妊産婦や子育て家庭を切れ目なく支援するための関係機関における組織づくり・しくみづくりと、児童相談所と市町村のひとづくりを虐待対応の新たな視点として追加することを検討しているところでございます。 まず、関係機関における組織づくり・しくみづくりにつきましては、家庭に身近な市町村において、子ども家庭総合支援拠点を中心に、乳幼児健診等にかかわる母子保健とも連携をしながら、子どもの安全確認や子育て家庭への相談支援機能の充実が図られるよう、児童相談所が支援してまいりたいと考えております。 また、児童相談所と市町村のひとづくりにつきましては、児童相談所の体制をより強化するため、児童福祉司を確保するだけでなく、ちゅうちょなく一時保護を行うなどの高度なリスク判断を行うための専門性の強化など、児童虐待対応職員の計画的な育成と高機能化に取り組んでまいりたいと思っております。 このような取り組みを進めることにより、行政や関係機関だけでなく、地域社会全体で、小さな虐待のサインを見逃さず、適切に手を差し伸べ、子どもを守り育てる奈良県になるよう、万全を期す覚悟でございます。 次は、都市計画区域マスタープランの策定についてのご質問でございます。どのような方針で改正を進めるのかという質問でございます。 県が策定いたします都市計画区域マスタープランは、市町村が都市計画を定める上での基本方針となる重要なプロセスのものでございます。昨年度から、市町村とともに、土地利用の具体的な課題について共有・議論をしながら、現在、改定作業に取り組んでいるところでございます。県内の土地利用の現状は、モータリゼーションを背景に、郊外に都市機能が分散したため、市街地と農地が虫食い状態になっておりまして、秩序ある土地利用とは言えない状況でございます。 議員お述べの低層な住居地域での土地利用制限による課題のほか、まちのにぎわいを誘導する鉄道駅周辺の商業地域においても、マンションが連立し、大規模小売店舗は郊外に立地が進んだりしております。高齢者も車がないと買い物ができない生活環境、まちになっている事例も奈良県では多く見受けられます。 次期都市計画区域マスタープランの基本テーマは、そのようなまちをリニューアルすることでございます。人口減少、少子高齢社会の到来など社会構造の変化を捉えた上で、市街地の拡大抑制、秩序ある土地利用への誘導が図れるよう検討を進めています。また、市町村が土地利用の誘導を円滑に図るための運用指針についても、市町村が具体的に目標とされているまちをイメージし、実効性のあるものとなるよう、策定に努めたいと思っております。 また、本来、県土の土地利用政策は、都市計画区域マスタープランが対象としている都市地域に限りませんで、農業、森林、自然公園、自然保全の五つの地域を包含する国土利用計画法に基づく土地利用基本計画が、総合調整機能の役割を担うこととされておりますが、十分な機能を発揮してこなかったと思われる分野でございます。 五地域に係る個別法により規制や措置がなされている実態であり、ばらばら感が否めません。五つの地域の調整機能を重視いたしました調整が図れるような土地利用基本計画とするため、今後、有識者懇談会を設置し、意見を伺いながら、同計画の改定に向けても議論を進めてまいりたいと考えております。 このようなことから、都市計画区域マスタープランにつきましては、この土地利用基本計画の改定と合わせて、また、その結果を踏まえながら、改定作業を進めていくのが適切であると考えているところでございます。 私に対するご質問は以上でございました。残りの一問は教育長がお答え申し上げます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)二十二番中野議員のご質問にお答えいたします。 私には、奈良高等学校仮設体育館について、今後どのように対応していくのか、見通しも含めてお尋ねでございます。 県立高等学校の耐震化は令和四年度末に完了いたしますが、この間、生徒の安全確保をまず最優先に考え、Is値が〇・三未満の建物については使用を停止し、仮設の建物などの代替施設で対応する方針のもと、鋭意取り組んでおります。 議員お述べのとおり、今議会に木造仮設体育館建築工事費の増額と予算の繰り越しについて、補正予算案を提出いたしておりますが、これは、入札が二回不調となったことを踏まえまして、改めて設計内容と金額を精査いたしましたところ、アーチという形状のため特殊な加工や組み立てが必要であること、また、奈良高等学校での利用後は別の用途に再利用できるよう、一定の強度を保持した部材を使用することなどが要因となりまして、一般的に見込まれる価格の競争原理が働かずに、実勢価格との間に乖離が生じていたことが判明したため、設計額を見直し、増額をお願いいたしております。 またあわせて、この工事は年度末までの工期を設定しておりましたが、必要な工期を確保するため、予算の繰り越しもお願いいたしております。この補正予算案が議会において承認していただければ、直ちに三回目の入札手続を行い、来年一月中に契約をし、六月末までの設置完了を目指したいと考えております。 学校での利用開始は来年七月からとなる見通しでございますが、それまでの間、体育の授業、また、部活動、学校行事につきましては、引き続き、近隣のアリーナ等を利用することや、現在使用しております旧城内学舎の体育館にかわる施設として、奈良西養護学校、これは旧の富雄高等学校でございますが、この体育館の利用も検討いたしております。 県教育委員会といたしましては、一日も早く仮設体育館の設置に努めることはもちろんのことでございますが、現在、仮設施設で学校生活を送る生徒の教育活動が少しでも充実するよう、できる限りの対応を行ってまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 二十二番中野雅史議員。 ◆二十二番(中野雅史) 知事と、そして教育長には、丁寧にお答えいただきまして、本当にありがとうございます。 荒井県政の目指すところというのは、いろいろなことを職員の皆さん方から聞かせていただきまして、よくよく理解しているつもりでございます。しっかり協力しながら、これからも進めてまいりたいと思っているのですが、一つだけ聞かせてください。 防災拠点の件、僕の聞き間違えでなければ、三つの工期に分けて工事をしていくということをおっしゃったように思うのですが、聞きたいのは工期のスパンです。最低限度機能が発揮する時期というのは大体いつで、そして最後に、リニア新幹線のトンネルの土を運ぶという話も発想としては非常にすばらしいものだと僕は思うのですが、その時期というのは大体いつごろになるのですか。それだけ聞かせていただきたいと思います。 ○議長(粒谷友示) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 大規模防災拠点の整備に、これから発生する県内の土砂を利用して、谷を埋めてつくろうという発想でございます。一番大きな大量の土砂は、リニアのトンネルから出る土砂でございますので、それが無事に五條市に運べたら、二千メートルを超える滑走路ができることになりますが、それまでに南海トラフが発生するかもしれませんので、できるだけ早く土台をつくっておくと。短い滑走路でも土台をつくる。幸いゴルフ場が上にありますので、それを整備するということを第一の目標にしたいと思っております。 先ほど申し上げましたように、第一の整備は、とにかく土台があれば、何もなくても、例えば自衛隊に救難を要請したら、自衛隊は来て活動してくれる、防災活動してくれるということがわかっておりますので、そのような防災機能のある防災基地というのも早急につくりたい。 いつかということになりますが、今、工事の手法、また、工事の内容などをコンサルに発注しておりますので、その結果が出れば、その工程ももう少し明確になってくると思います。 あわせまして、そのような工事でありましたが、今、国の方で用意されております緊急防災・減災事業債というのがございますが、それを活用させていただけたらということで、先日、高市総務大臣にご陳情申し上げたところでございます。 緊急防災・減災事業債は、七割もの補助が適用される地方債でございますので、それが適用されると、大いに整備の礎になるものと思っております。ただ、二千メートルもの大きな工事がどの程度の工事費になるかというのはこれからの試算でございます。土台をつくるだけならそんなにかからないと思います。谷を埋めて、土の運び代と盛り土の工事というのは壮大なものになる可能性がございますので、その工事の概要、工事費について早急に詰める必要があろうかと思っております。 その時期でございますけれども、第二期の土砂につきましては、国道一六八号の近くでございますので、新天辻トンネルの土砂もそこそこ出ますので、それを利用して第二期の工事をする。また、議員お述べになりましたように、堆積土砂の補助も補正予算などで取り沙汰されておりますので、河川の堆積土砂を使って滑走路の土台にすると。川の土でございますので、うまく使い方を研究しなければいけないという課題がありますけれども、それがうまく使えると、川の土を山の土にして防災拠点をつくるという発想になりますので、うまくいきますと大変いい結果になるわけでございます。堆積土砂はそこら中たくさんございますので、場所としては利用可能でございますけれども、うまく利用する工事の手法が必要かと思います。その時期は、第一期の工事の完成の対応によるものと思います。一期から二期に行くのは比較的スムーズにいくような気がいたしますが、課題の第三期になりますと、大変大きな工事になります。 それと、リニアの工事がいつ始まるかということになりますが、今の予定では、あと七年ぐらい先に工事が始まる。それまでに環境アセスの試掘などもあると思います。それと、第二期の大和北道路のトンネル部分、京都まで行くトンネル部分の土も相当大量に出る予定でございますので、これは大和北道路の用地買収が進めば、引き続きトンネル工事に入っていただけるものと。これはNEXCO西日本の工事になりますが、その土砂の土捨て場は五條市にお願いするということになれば、八十万立方メートルぐらいは大和北道路のトンネルから出るものと見込んでおります。 リニアのトンネルにつきましては、今の見込みでいうと、七百六十万立方メートルという膨大な量になりますので、そのぐらいあっても引き受けられる谷でございます。そのような利用がうまく工事の手法としてできればということで、段階的に整備して、南海トラフに備えることができたら、とにかく役に立つ防災拠点に段階的になっていくものと願っているものでございます。 ○議長(粒谷友示) 二十二番中野雅史議員。 ◆二十二番(中野雅史) 期間については、私の感性ではからせていただいておきます。未定の部分が多いので、なかなか答えにくいかと思いますけれども、早く成就するように頑張っていただきたいと、このように思っております。 終わらせていただきます。ありがとうございます。 ○議長(粒谷友示) 次に、二十三番奥山博康議員に発言を許します。--二十三番奥山博康議員。(拍手) ◆二十三番(奥山博康) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良テレビをごらんの皆さん、ネット中継をごらんの皆さん、自民党奈良、奥山でございます。 令和になって、明るい、災害のない日本が来るかと思っていたら、やっぱり去年と同じで、台風、風災害に見舞われました。たくさんの方々が亡くなられました。なおかつ、まだ行方不明の方もたくさんおられますし、まだふだんの生活に戻れない方、経済環境、しっかりと仕事につけない方もたくさん、たくさんおられます。改めましてお悔やみと、お見舞い申し上げたいと、かように思います。 きょうは、冒頭、この話ですぐに質問に入る予定でしたけれども、私が尊敬するペシャワール会の中村ドクターが、きのう、ジャララバードで銃撃されて亡くなりました。私も、パキスタン、アフガニスタンは二回入らせてもらっていますけれども、当時、ジャララバードも入らせてもらいました。非常に危険な地域でしたけれども、中村ドクターは本当に地域の方々のためにやっているということで、非常に尊敬、リスペクトされて、非常に広範な、ドクターであるけれども、命は水から始めようと、千六百ぐらいの井戸も掘ったということで、非常に尊敬した人でした。その方が亡くなられました。謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。 粒谷議長の了解を得まして、これから代表質問に入らせてもらいたいと、かように思います。 私は、奈良県が健康寿命日本一を目指そうではないかと、長野県あたりが非常にトップを走っておりますけれども、この荒井知事の心意気、そして、奈良県民を思う気持ちに感動し、少しでもお役に立てたらと、かように思います。 今年の十一月に、厚生労働省から、予防医療の充実ということで、これから都道府県が予防医療に対してどれだけの施策をして、成果を出すかというのを、交付金に反映するまでの罰則規定のようなものをつくると。これは日本経済新聞に出ておりましたけれども、それだけ日本国民の長寿、そして健康長寿ということの予防医療も厚生労働省は取り組んでいることを評価したいと、かように思っております。 ちょうど荒井知事が初めて就任されたときに、周産期医療の関係等々で非常に大きな事件がございました。それから、南和、北和、県立医科大学を中心として県立医科大学附属病院、そして西和医療センターと、周産期の関係もしっかりと荒井知事は対応されました。県民から非常に喜んでいる声も聞いております。 また、南奈良総合医療センター、これは大きな評価をいただいています。特に山間部の首長さんあたりとお話させていただくと、ドクターヘリを使った南奈良総合医療センター、これの評価というのは非常に高い。 そして、当時、公立病院の統合という形にも踏み切ってくれました。これも荒井知事の大きな功績だと私は評価をしたいと思いますし、国の方でも評価されております。私は常々、奈良県民の安心・安全なまちづくり、奈良県づくりをしてこそ、いろいろな施策ができるなと常に考えております。 今、病院の体制は非常によくなってきました。これから、西和医療センターの老朽化も含めた今後の取り組みについても、荒井知事が今、案として出されている百五十二項目に及ぶ奈良新「都」づくり戦略の中にも入っていると。これが達成できれば県民は非常に安心するでしょうけれども、今、医療現場ではドクター、そして看護師の不足が叫ばれております。 これから長寿社会になるにつれて、病院に通われる方も非常に多くなるのは当たり前でございます。今、ハード面できちっと体制づくりをしているときに、このドクター・看護師不足の問題についてしっかりと考えていかなければいけません。私の時代ではなしに、私の子どもたち、孫たちの時代のときに、安心して生活できる奈良県づくりをしなければいけないと私は考えております。 荒井知事、この将来の医師不足、看護師不足についてどのような対応をされるのか。そして、外国人労働者の導入についてもこの中に入ると考えておりますので、所見をお尋ねしたいと、かように思います。 次に、安心・安全、人生百年時代と言われるようになりました。奈良県も人口減、少子高齢化が、日本全国の都道府県を見ても特に激しいという数字が出ております。奈良県の人口が今、百三十三万人ぐらいですけれども、三十年後には百万人を切る、三十万人以上の人口減になると。このときのことを考えてまちづくりはしなければいけないと私は考えております。 そのときの様子を、皆さん、目をつぶって考えてください。小さいお子さんから若い人たちまでの数ががくっと減り、やっぱり高齢者はふえる。これは計算上出てきておりますけれども、そうなりますと、元気な高齢者が少しでも外へ出て買い物をしたり、いろいろなことをするには、各市町村でしっかりとしたまちづくりをする。そのことによって奈良県がどれぐらいお手伝いできるか。私が素直に言うのは、公共交通の利用が、高齢者であっても、そしてハンディキャップを持った人でも、小さいお子さんでも、にぎわいのある駅前づくりを、その市町村がいかに考えてやることが、将来のまちづくりに対する非常に大きな考え方かと僕は思っております。知事のその辺の所見をぜひともお尋ねしたいと思います。 続きまして、今、国のほうでは、荒井知事が提唱している奈良モデルを、奈良県と各市町村が水平補完しながら、お互い協力しながらやっていこうではないかということを、非常に評価されております。私も考え方は非常に感銘を受けておりますけれども、昨年、自民党奈良の議員団で九市町の研修に行ってまいりました。全部が全部言われるのは、財政が厳しいから支援をお願いしたい、このことがほとんどでございました。 私は、きょう、お手元に経常収支比率というのを配付させていただいております。非常に細かいので見にくいのですけれども、経常収支比率を見るというのが、私、議員として一番わかりやすいので、皆さんに見ていただいております。 経常収支比率が一〇〇%を超えると非常にしんどい。生活がしんどい。年収二百五十万円のご家庭が、家賃、そして教育費、食費等々で二百五十万円要って、これでゼロでございますけれども、緊急な病気なりアクシデントがあったときにお金がないと。こういうことが出るわけで、ちょっとでも余分に置いておかなければいけないというのが一般家庭でございます。 一〇〇%を超えるということは、その市町村が非常に厳しい財政状況にあるということは間違いがないと私は思いますけれども、奈良モデルで知事を中心として各市町村長さんがしっかりとそのまちづくりをされている中で、昨年、一〇〇%を超えているところが七団体ありましたけれども、この表を見てもらったら九団体になっております。この経常収支比率の改善をしっかりと奈良モデルでも対応してもらいたい。 私は香芝市出身でございます。たまたまこの指標の中の下には、市では香芝市だけが八九%ぐらいであると、ここに書いておりますけれども、これから人口減になっても、香芝市は三十年後でも約五%ぐらいしか人口が減らない。非常にうれしい紙面があるのですけれども、私は違うといつも言うのです。これがそのまま、時代が変わったら、大変多くの高齢者が残り、そして若い人が非常に少なくなっていく、大変なまちになっていくから、今の間に雇用、税収も含めた考え方をきちっとしなければいけないと思っております。あすは我が身ということでこの表を出させていただきました。 知事、この奈良モデル、評価はしております。将来に向けての発展的なことであれば財政支援もいいでしょう。人的支援はもちろんのことだと思います。どうかこの辺で、この改善も含めた中で、知事、どのように考えておられるのかお聞かせ願いたいと思います。 市町村の財政の話をしました。 続きまして、荒井知事は就任以来、三百三十三企業を奈良県に立地、誘致されました。これは非常にすばらしい。雇用が生まれ、税収が生まれ、その中には都市計画も含めたいろいろな取っ組み合いはあったかと思っておりますけれども、実質三百三十三企業が来てくれるということは奈良県にとって非常にありがたい。私は、これを市町村の人たちはどのように考えていただいているのかということをお尋ねしたいと思います。 企業立地、先ほども言いましたように、尾崎議員と私は香芝市でございます。非常に住環境はいいとよく言われますけれども、今、固定資産税なり、住民税なりでは入ってきていますけれども、将来に向けて、企業という企業が全然ない。やっぱり雇用も含め、住工一致。住む、工業、住工一致という施策も大事であるというのを、私は香芝市なんかを見ていつも思っております。 ほかの市町村の方々が、経常収支比率も大変やと、こういうことがわかっていると私は思いますし、努力はされていると思いますけれども、いま一度、企業誘致についてしっかりと対応していただきたいというのが僕の願いです。そのためにも、荒井知事、企業誘致についての所見をお尋ねできればと、かように思っていますので、よろしくお願いいたします。 続きまして、実は皆さんに配付したところにマイナンバーカード、私のいい写真が張ってあります。個人情報には全然関係ないので印刷させてもらいました。一カ月かかりました。きょうの質問があるから早く欲しいと思っていたら、きのう、やっとでき上がりまして、皆さんにお見せしております。 私は住民基本台帳カードもいち早くつくっておりました。残念ながら一回も使うチャンスがなかったのです。でも、このマイナンバーカード、皆さんご存じのように、マイナンバーは皆さん日本全国全員持っておられます。ナンバーは持っておられますけれども、マイナンバーカード、番号カードを持っておられる方は非常に少ない。奈良県は多分一六・九%ぐらいの方々がお持ちでございます。聞くところによると、日本全国四位らしいです。もうちょっと頑張ると銅メダル、三位になります。 私、これは茶化して言っておりません。これから行政の効率化、そして税の安定も含めた中で、非常に大事だということを認識しているからマイナンバーカードというのをとりました。このマイナンバーカードは、もう少ししたら健康保険証にも使えるということを聞いております。 今、コンビニで住民票、そして印鑑証明書等を休日にとりたいとかいうときがあれば、このカードがあれば非常に便利でございます。そして、身分証明書のようなものにも十分なりますので、どうか皆さん、議員の皆さんも、ほとんどとっておられるとは思いますけれども、再度確認のために申請していただきたい。ただし、一カ月かかります。市役所での手続、町村役場での手続は非常に難しいです。私は、職員の皆さんに来てもらって、写真を撮るところから全部やりました。でも、これは職員の皆さんが今やってくれています。彼らは、将来、自分の行政の効率化のために、これをたくさんの方々が持ってもらったらいいなと思っているからだと思います。(発言する者あり)今、銀行もいいという意見も出していただきました。本当に住民基本台帳カードと違って、これは非常に大事です。 これを、もっと普及するためには、荒井知事、県の職員さんはどれぐらい持っているのか。市町村の職員さんは一体このマイナンバーカードを何%ぐらい持っておられるのか。やっぱり必要性も含めて、行政マンが一番認識されておりますので、私は今回この質問に入りました。このマイナンバーカードの普及について、知事はどのようにお考えなのかの所見をお尋ねしたいと、かように思います。 最後になります。大変申しわけございません。私、大規模広域防災拠点、そして、陸上自衛隊の駐屯地について質問をしたかったのですけれど、中野議員が非常に詳しく、そして、すばらしい質問をしていただきましたので。 私は、十年以上前になりますか、この壇上で、自衛隊の駐屯地はどうなっているのですかと知事に質問をしたときに、ちょっと失礼な質問をして、知事にえらい怒られたというのはよく覚えております。でも、機は熟してきております。私はやっぱり大規模広域防災拠点というものを、奈良県が必死に、しっかり地権者の方々の協力を得て、地元の方々の協力を得て、一刻も早くつくっていただくことが、ひょっとしたら将来の駐屯地の誘致にも自動的になるかと思いますので、まず我が身でしっかりと頑張るためにも、県の大規模広域防災拠点づくりについて努力してもらいたいと。これは要望で終わっておきます。 いろいろ質問させていただきましたけれども、どうか皆さんには大きなご理解と、奈良新「都」づくり戦略(案)というのが出ています。これは、今年から来年にかけて知事としっかりと議論し合える場ができました。これは、百五十二項目読むのに一時間はかかりますから。私は二回で二時間使いました。どうか皆さん、しっかりとこの奈良新「都」づくり戦略(案)を読みながら、すばらしい年を迎えて、来年も頑張りましょう。 それでは、終わっておきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(粒谷友示) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十三番奥山議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問は、医師・看護師の確保についてでございます。 医師・看護師の確保は重要な県政の課題でございます。まず、医師につきましてでございますが、奨学金制度の運用や初期臨床研修医に対するプロモーション活動など、県や県立医科大学をはじめとする医療関係者が一体となって取り組みを進めてまいりました。その結果、県全体では人口十万人当たりの医師数が全国平均を上回るようになってまいりました。また、今年度の県全体の臨床研修医のマッチング率は一〇〇%を達成いたしました。臨床研修医が来られますと、そこで働かれる率は極めて高いということで、各地域で臨床研修医のマッチング率の向上競争が行われているものでございます。全国で初めての一〇〇%達成、また、全国で唯一、奈良県がマッチング率一〇〇%を達成したということでございます。二位が東京都でございますが、一〇〇%達成には至っておりません。 今後、複数疾患を抱える高齢者が増加することや、在宅医療のニーズが拡大していくことが予想されますので、医師はまだ要る状況でございます。医師需要に対応できますよう、県立医科大学等と協力の上、幅広い診療能力を持った、また、患者さん、患者さんの家族との信頼感があふれるコミュニケーション能力を持った医師の養成に努めていただいているところでございます。量と質、医療の需要に適用する幅広い質が要求されるという認識を持っております。 一方、看護職員につきましてでございます。奈良県の就業者数は年々増加しております。平成二十八年からの二年間で、全国九位となる四・五四%の伸び率となりました。伸び率はいいのですけれども、人口十万人当たりの看護職員数、おられる看護職員数は、まだ全国平均を下回っている段階でございます。また、今年九月に実施されました二〇二五年における看護職員の需給推計では、需要が供給を約一千人上回る、ということは、約一千人の看護師不足が生じるという推計が出ておるところでございます。 どのように医師・看護師を確保していくかということでございますが、よい職場には、よい医師・看護師が来ていただけるということを信じて活動していきたいと思っております。目標といたしましては、新規就業者の確保、定着の促進、復職者への支援という三本の柱になるわけでございますが、よい職場づくりに全力を挙げていきたいと思います。 よい職場とは何かということになりますが、時間の制約、労働時間にあまり無理が発生しないこと、あるいは雰囲気がよいこと、医師同士のコミュニケーション、また、医師とのコミュニケーション、看護師同士のコミュニケーションがいいこと、それと、何よりも働きがいのある職場であることが重要であろうかと思っております。これらはソフトの状況だと思います。看護師、看護職員が働きがいを持って働き続けられる魅力ある職場となりますように、勤務環境の実態把握を行った上で、働き方改革の取り組みを、看護師というセクターを対象に、ワーク・ライフ・バランスの充実を図るため、研究会を立ち上げていきたいと思っております。 また、在宅医療の需要が高まりますと、訪問看護師の確保が重要な課題となってきております。看護師の分野が拡大するものでございます。訪問看護ステーションでのインターンシップの受け入れや、先輩看護師による同行訪問の支援などにより、訪問看護師の確保・育成に努めていきたいと思っております。 フィンランドにおきまして、保健医療分野と社会サービス分野の日常ケアに関する複数の資格を一体化して、一つの社会・保健医療基礎資格とした、ラヒホイタヤと呼ばれる資格がございます。県で複数の国家資格を一体化した資格をつくることは難しいと思いますが、フィンランドの事例を参考に、医療、保健、介護、保育、生活支援など、多職種の機能を担うことができる在宅医療、在宅での療養の人を助ける人を育成できないか、県独自の認証の仕組みができないか、奈良県版ラヒホイタヤをつくることができないかという観点で研究していきたいと思っております。 二つ目のご質問は、まちづくりについてでございます。議員お述べのように、奈良県の人口は急激に減少し、また、高齢化が進んでおります。 まちづくりにアイデア、熱意があり、その考え方が県と合致する市町村との間で、まちづくりに関する連携協定を、現在、県内の二十七市町村と締結し、五十五地区において、協働でまちづくりをしようということに取り組んでおります。 この協定では、地域の活力の維持・向上や、持続可能で効率的な行財政運営を目的として、ハード整備では市町村負担額の四分の一、ソフト事業では市町村負担額の二分の一を、県が財政支援を行うことを基本としております。 本県の人口は平成十一年を契機に減少に転じました。特にベッドタウンにより発展した地域では高齢化と人口減少が急速に進み、県全体としても早く進む傾向がございます。また、今後加速する見込みでございます。これらの状況を踏まえますと、議員お述べのように、市町村と連携したまちづくりにおいても、二十年、三十年先を見据えつつ、直面する課題に一つ一つ対応していく必要があろうかと思います。 本県での具体的な取り組み事例としては、桜井市の中和幹線粟殿近隣周辺地区で、福祉関係の協働のまちをつくってまいりました。また、大和高田市では、シビックコア周辺地区において都市機能の集積など、大和高田市と連携してまいっております。 これらの取り組みから学んでまいりましたのは、専門家や住民の代表らによる検討の場、市民参加のワークショップにおける議論が非常に有効だと感じております。これからの我がまちをどのようにするのか、市町村の行政担当だけに委ねるのではなく、関心のある住民の方、また、県も対等の立場で議論に参加させていただき、けんけんがくがくの議論を始めることがよいまちづくりのスタートであろうかと思っております。 県といたしましては、県内の先進事例を紹介する、また、他県の先進事例も紹介する、県内市町村と住民の方と情報を共有する、どのような方向のまちづくりをしようかという意識を共有化する、目的を共有化する、できれば行動を協働化するということを目標に、奈良モデルによる新しいまちのリニューアルということにさらに取り組んでいきたいと思っております。 協働の取り組みの中で、市町村財政の分野の取り組みについてのご質問もございました。 先日公表いたしました平成三十年度県内市町村の普通会計決算におきましては、財政の硬直度を示す指標でございます経常収支比率の平均は九八・四%にもなりました。一〇〇%が悪い方の数値でございます。平成二十九年度よりもさらに〇・八ポイントも悪化いたしました。平成三十年度の全国順位はまだ示されておりませんが、平成二十九年度に全国最下位でございましたので、平成三十年度も最下位になる可能性が高いものと思っております。早急な改善が必要な県内市町村財政でございます。 このような経常収支比率などの財政指標を健康診断表に例えまして、あなたのところは重病ですねというような形で図式にしたりして、見えやすく、わかりやすくしております。市町村の行政担当だけでなく、市町村議会の皆様方、市民の皆様方のご認識、また、財政に対する意識醸成が必要な病気の状態でございます。 市町村長からは成績表などと言われて大変嫌がられている県の活動でございますが、そのように比較するということは県にしかできない役割でございますので、今後はさらに資料を充実させて、嫌がられる資料をどんどん出していきたいと考えております。嫌がられる資料も自慢の資料になる可能性がございます。いや、うちのまちはこんなによくなったよという資料も必ず出てまいりますので、競争して財政改善を図っていただきたいと思います。 市町村財政の効率化のための奈良モデルの取り組みでございますが、まず、広域化などのスケールメリットによるコスト削減がございます。そのようなスケールメリットのあるコスト削減の取り組みにご支援をさせていただいております。消防の広域化によりまして、約三十九億円が削減できました。また、ごみの処理につきましては、山辺・県北西部の広域ごみ処理プロジェクトにおきましては、焼却施設建設費が約百億円削減できると試算しております。また、収集の経常業務についても、共同収集などの取り組みが発生しておりますので、市町村の運営経費も削減されることが可能になってまいりました。 また、先ほどのまちづくりの連携におきましても、新しいまちづくりに取り組まれる方への県の支援措置がございますので、具体化してくると将来のまちづくりが楽しみになってまいります。 歳入面におきましては、まず市町村税徴収率が全国で最も低いことがございました。財政規律と徴税率の低さというのは関連している面もあろうと考えて、県職員を派遣した上で、市町村税徴収率を上げる努力をしておりました。平成二十四年度から平成三十年度にわたりましては、九二・八%から九六・五%にまで、約四ポイントほど上昇したものでございます。 奈良モデルでは、県の役割は自立心を持って努力される市町村を支えるという考え方を基本にしておりますので、財政についてはなかなか難しい面がございます。財政健全化に積極的に取り組まれる方にどのような手法でご支援するかというのは多少難しい面がございますが、積極的な検討をしていきたいと思います。 そのような中で、税源の涵養ということは大きなテーマだと思います。税収源を広く涵養していくという考えでございますが、今まで奈良県でもそのような考え方があまりございませんでしたので、県も市町村も同様のことでございます。 例えば、共通の目標でございますが、工場誘致がありますと、固定資産税が発生いたしまして、市町村財政にプラスの寄与をいたします。また、工場が参りますと、地元の取引がございますので、例えば運送業など地元企業の法人税とか雇用される方の所得、住民税などが発生するものでございます。そのような効果が徐々に出てきているものと思っております。また、奈良県で消費を行っていただくことになりましたら、地方消費税が地元に落ちる割合が高くなってまいります。 このような税源涵養という観点からの行政活動は、県も含めましてあまり今までございませんでしたので、そのような活動も協働でやる大きな活動でございますが、企業誘致のための土地造成ということでは、そのような動きが積極的に見られるようになってきております。 その次には、そのような観点も踏まえまして、企業誘致の活動についてのご質問がございました。 奈良県経済の活性化や、今申し上げました税源涵養の充実、あるいは新たな雇用の場を創出するためには、まず企業誘致、工場誘致が必要と考え、積極的な誘致活動を行ってまいりました。平成十九年以降、四千六百社を超える企業への働きかけを職員がしてくれまして、効果も出てきております。 こうした取り組みの結果、この十二年間で企業立地件数は三百三十三件、年平均で二十件以上になっております。全国で十一番目、近畿でも二番目の多さになってきております。三位を割と離すランクになってきております。 立地した企業が新たに県内企業と取引を始めるなど、県内経済の活性化に寄与し始めているのではないかと思われる面がございます。例えば、平成二十八年度の県民経済計算の全国集計結果が最近出てまいりましたが、各県の実質経済成長率が出ております。全国平均はプラス〇・六%でございますが、奈良県は大体低かったのですけれども、プラス二・三%の成長率という統計が出ております。 この全国順位は、前の年は四十位でございましたが、九位まで上昇いたしました。本当かと一瞬思ったランクでございます。一過性でなく、続くようになればと願っておりますけれども、経済の実質経済成長率、GDPの成長率がとても低い奈良県でございましたのが、全国九位のランクまでなったことはとてもうれしく思っているところでございます。 また、工場の操業、企業の販売が順次進むことに伴いまして、雇用の増が確実にふえていることは確認しております。また、売上高が増加いたしますと、法人事業税、消費税に反映する、先ほど申しました税源涵養につながるものと期待しております。 奈良県へ立地していただく企業をふやしていくために、引き続き、積極的な情報発信や努力を重ねていきたいと思っております。それとともに、県内に立地していただいた企業へのご支援も必要かと思っております。 中長期的な観点におきましては、企業の立地ニーズにかなう、まとまった産業用地の確保が今、重要になってきております。土地が足りなくなってきている実情でございます。これまでの工業ゾーンの創出の取り組みに加えまして、現在、新たな産業用地の創出のため、意欲のある市町村と、さまざまな観点から整備の実現可能性について候補地の事前調査を行っております。熱心な市町村もおられますので、具体的な土地が出ないと、それに道路をうまくつけないというようなこと、それと、プロモーションをそれに重ねるということでございますので、そのような連携したプレーをしていきたいと思っております。 その次のご質問は、公務員によるマイナンバーカードの率先取得についてでございます。 本年六月二十一日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、いわゆる骨太の方針におきまして、令和三年三月から本格実施されるマイナンバーカードの健康保険証利用を着実に進めるため、国家公務員や地方公務員による本年度中のマイナンバーカードの取得を推進することが明記されたところでございます。 マイナンバーカードの活用に向け、今後、官民挙げてカードの取得を推進していきたいと思いますが、公務員の先行取得は、市区町村における交付事務を平準化させ、カードの円滑な交付に資すると思っております。 ご質問のあった県職員のマイナンバーカード取得率でございますが、本年六月末時点では一八・〇%にすぎないところでございます。県職員のマイナンバーカード取得を推進するため、取得申請時に、地方職員共済組合において、氏名・住所等を印字した交付申請書、記載要領、申請用封筒が職員に配付されております。これにより、職員は最小限の必要事項の記入と写真の添付のみで申請ができるため、取得申請が簡易に行えます。 また、本年十月十五日から、県職員がマイナンバーカード取得のため、勤務時間中に市町村の窓口に出向く必要がある場合には、職務専念義務免除の対象としたところでございます。さらに、県職員の在住が多い自治体と協力して、カードの取得申請を県庁で行えるよう、期間限定での出張受付所の設置を検討しております。採血のバスのように、市町村が県に来られて、大量一斉取得というような手段でございます。 引き続き、マイナンバーカードの活用に向けて、県職員によるマイナンバーカードの取得を推進していきたいと考えております。なお、県内市町村職員の取得状況でございますが、本年六月末時点の取得率は一六・五%と聞いております。県内市町村の職員に対しても、県職員同様、簡易に行えるように申請書等を配付しておりますので、同様の状況でございます。これも課題だと思っております。 以上が質問に対する答えでございます。ご質問、誠にありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 二十三番奥山博康議員。 ◆二十三番(奥山博康) 予定より時間が余り過ぎましたので、少しだけお尋ねと要望をさせていただきたいと思います。 過日、県の職員さん、無作為に十人ほど、マイナンバーカードをもうとったのかというお話をして、無作為にアンケートをした。たまたま十人ですよ。一人だけおられまして、ああ、よかったなと。これぐらいの率かと思っておって、ちょっとがっくりきたのですけれども、たまたま無作為の十人で、あとほとんどの方が、取得、先ほどからいうと一八%と。思っているよりもいいなと。十人に二人は大体とっておられると。 私がなぜしっかり行政マンから進んでやっていこうと言ったのは、今、非常にいろいろなことが多くて、働き方改革から含めて、職員の皆様方、市町村の職員もそうですけれども、大きな仕事から小さな仕事までたくさんたくさんあるし、資料づくりもたくさんあると思います。 本来は、このマイナンバーカードの普及が行政効率を上げるのやったら、職員さんの数を減らしたらどうですかと、一部でそんな意見があるけれども、私は現場をいろいろ見させていただいたら、今、しっかりと働いている職員の皆さんに、もっと県、そして住民に対して仕事をしてもらえる体制にし、行政効率を上げていくということであり、その一つがこのマイナンバーカードだと思って、この質問をさせていただきました。 県から市町村に向けての取得促進も非常に頑張っていただいているようです。しっかりと令和三年までにやっていただくことをこの場をかりてお尋ねしたいと、かように思います。 もう一つ、大体、企業立地とか住工一致、それが雇用、税収を上げるということの大切さは、以前から私は荒井知事と意思を共有していると思っております。 非常に大事なことだろうと思いますけれども、特にベッドタウン化で奈良県は非常に人口がふえてきた。特に私の住んでいる香芝市を中心とした奈良県の北西部は、まさにベッドタウン化して、住民がたくさん縁があって来ていただいた地域です。 このベッドタウン化で非常に人口が縁があってふえた地域を、これから存続させるためにはどのようにしたらいいかと。当時は、住宅地、住宅地、住宅地になっておった。残念ながら、工業なり工場が来るチャンスがなかなかなかったというのも事実だろうと思います。だから、私は、特に北西部については、収入財源の内訳を見たら、決算を見たらよくわかると思いますけれども、しっかりとした企業立地をもっと推進しなければいけないと思うから、きょう、こうして税収、財政の面での質問をしながら、企業立地について知事はどのようにお考えですかということをただしました。 これから、やっぱり市町村によっていろいろまちづくりというのは変わってくると思いますけれども、要は、財布の中をしっかりとふやしていく、出ていくお金を少なくしていく、なおかつ住民福祉を充実させると。非常にぜいたくな言い方なのですけれども、こういうことを今からしていかなければ、三十年後、ほとんどの市町村が四〇%から五〇%の人口が減っていくというようなことは国立社会保障・人口問題研究所で出ているのですから、そのときにその市町村が成り立つことを私らが今しなければいけないので、こういう質問をさせていただいております。 奈良新「都」づくり戦略、私は二回ばかり見させてもらっただけですけれども、非常におもしろい中身で、二十年後、三十年後の土台になるような案件がたくさんあると感じておりますので、知事とけんけんがくがく、いろいろな協議もしたいし、提言もしたいと、かように思っております。 再質問にはなっておりません。要望になっているのと、私の所感を述べさせていただいて、きょうの代表質問は終わっておきます。
    ○議長(粒谷友示) しばらく休憩します。 △午後二時五十一分休憩    -------------------------------- △午後三時十分再開 ○副議長(森山賀文) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、十九番阪口保議員に発言を許します。--十九番阪口保議員。(拍手) ◆十九番(阪口保) (登壇)創生奈良、生駒市選挙区選出の阪口保でございます。 早速、質問に入ります。 一つ目の質問は、二〇一九年奈良県内における政治意識調査についてです。 こちらがその政治意識調査票でございます。このように一ページから十八ページにわたっております。 政治意識調査は、奈良県地域振興部市町村振興課が、投票率の向上、奈良県の地方政治の活性化につなげるために実施したものです。しかし、投票率の向上に寄与するどころか、憲法第十五条第四項、すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならないに抵触し、基本的人権である個人の思想・信条の自由を侵害するものとなっています。 事業の概要を調査したところ、県の予算は約七百十五万円で、質問項目は、県が依頼した有識者が検討したものです。実際の調査と集計は、業務委託先の株式会社サーベイリサーチセンター大阪事務所が当たっています。 今回の調査の特徴は、調査業務委託を受けた業者が、調査用紙を直接調査の対象者に送付し、調査対象者の回答の有無を把握するようになっています。地方政治調査業務委託仕様書の委託業務の概要では、調査対象者に督促状兼礼状を送付するように明記されています。当然、調査用紙を回収した際のチェックや集計の仕方によっては、政治意識調査用紙に氏名を書く欄がなくても、個人の情報が特定され、投票の秘密が侵されるリスクが生じます。 次に、有識者会議で検討され、質問した事項に、投票率の向上、また、奈良県とは直接に関係しない事柄が多くあります。例えば、参議院議員選挙、奈良県の知事選挙、奈良県議会議員選挙について、あなたはどの候補者に投票しましたか。投票する際に、どのような点を重視しましたかとの質問です。 こちらが奈良県議会議員選挙について記載された調査票でございます。奈良市・山辺郡から吉野郡まで、候補者全員の氏名を選挙区の得票数順に記載しています。議員の皆様にはお手元に置かせていただいております。生駒市ですと、阪口保はじめ六名の候補者を載せ、投票先を一つ選びます。 次に、投票する際にどのような点を重視しましたかと問いかけ、一、主張している政策がよかった。二、人柄に引かれたから。三、所属している政党を支持しているから等の七項目から一つ選びます。現在、自治体では二元代表制をとっており、そのもとで、行政が県議会議員の選挙結果を分析し、口を挟むのはいかがなものかと思います。 さらに、政治家・政策については、好感度について、〇度から百度で回答する問いかけです。 問題点を指摘しますと、一、安倍晋三については国のことです。二、荒井正吾については、県が知事の人気度を聞いてどうするのでしょうか。三、あなたのお住まいの市町村長と、五、大阪都構想のことは、それぞれの自治体の有権者に任せるべき事柄で、県の権限外のことでございます。 今回の政治意識調査は、投票の秘密、憲法第十九条の思想・信条の自由等の基本的人権が侵害されるおそれ。また、奈良県と全く関係のない調査項目が数多く、公金を使っての目的外支出の可能性があります。 そこで、知事に伺います。 一点目は、今回の政治意識調査は、憲法で保障されている投票の秘密や思想・信条の自由等の基本的人権が侵害されるおそれがあると考えます。また、奈良県に関係がない調査項目が多く、投票率の向上や奈良県の地方政治の活性化という調査目的を逸脱していると考えますが、いかがお考えでしょうか。 二点目は、調査を中止し、回収した質問票も廃棄すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。 三点目は、今回の政治意識調査は公金の目的外支出であり、知事は調査委託業務費を返還すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。 二つ目は、奈良公園バスターミナルについての質問です。 県は、本年四月、奈良県庁東に約四十五億円をかけ、県庁の東側に乗りおり専用のバスターミナルを整備されました。整備の目的は、交通渋滞の緩和、周遊環境の向上です。しかし、観光バスの利用が少ないことから、県は予約システムを当日予約もできるように変更しました。 私のほうで調査した奈良公園バスターミナルの問題点を指摘いたしますと、観光バスの利用がふえればふえるほど、交通渋滞と交通事故の危険性が出てくることです。 実際に交通渋滞の起こっていることを説明いたします。 こちらの画像は、十一月十八日午後十二時五分。この日はバスが少ない日でございました。観光バスの移動経路は、ここで乗客をおろし、一方通行の道路を、このように空車で本庁舎、分庁舎、奈良合同庁舎、議会棟、奈良県立美術館、奈良県文化会館の施設を通り、バスの待機場に向かいます。 こちらの画像は、十月二十三日午後四時十四分。この画像にはバスが六台写っています。この日はバスが非常に多い日でございました。この周辺では、日によっては交通渋滞が起こっており、県の施設が集中していることから、このように大きな観光バスが道路を占有することで、歩行者との交通事故の危険性が出ています。観光バスの騒音の指摘もあります。 待機場として、高畑駐車場、上三橋駐車場が指定されており、同じバスが送迎するわけで、二回道路を使用することとなり、奈良公園周辺の交通渋滞の緩和を掲げながら、反対に交通渋滞に拍車をかけることになります。 また、奈良公園バスターミナルから待機場所まで遠いということがあります。バスターミナルで乗客をおろし、高畑駐車場へは片道十五分、利用料金三千円で、上三橋駐車場へは片道三十分かかり、利用料金二千五百円支払います。さらに、県庁東のバスターミナルから、観光客に人気のある東大寺、春日大社は徒歩で遠いこと、また、県庁内のコンビニ、奈良公園バスターミナルにスターバックス、土産物店ができたことで、逆に奈良町まで観光客が足を運ばなくなったとの声も聞いています。 そこで、知事に伺います。 一点目は、奈良公園バスターミナルについては、周辺での歩行者の安全確認や騒音、ターミナルと駐機場を往復することによる新たな交通渋滞の発生等多くの問題があり、運用方法を抜本的に見直すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。 二点目は、奈良公園バスターミナルの運用に係る経費と収入について伺います。 三つ目は、平城宮跡南側の積水化学工業株式会社における工場跡地の今後の活用方策についての質問です。 本県は、二〇一八年八月二十日、平城宮跡歴史公園南側、積水化学工業株式会社所有地四・九ヘクタールについて、跡地活用に関する包括連携協定を県・市・積水化学工業株式会社の三者で締結しました。 包括連携協定事項では、にぎわい創出や来訪者の拡大に向けたまちづくり、都市施設の整備、観光・交流施設整備及び事業者の誘致に関すること等を検討するとなっています。 しかし、知事は、ここに奈良市役所の移転を求めました。また、最近では、奈良公園バスターミナルの観光バスの待機場所に活用するとも発言されています。当初の包括連携協定事項である平城宮跡歴史公園のにぎわい創出や来訪者の拡大に向けた観光・交流施設の構想や誘致がうまくいっていない印象を受けます。 そこで知事に、平城宮跡歴史公園南側の積水化学工業株式会社における工場跡地の活用方策の検討について、進捗状況を伺います。 四つ目は、生駒市西松ケ丘の砂防指定地における行政代執行についての質問です。 業者が生駒市西松ケ丘住宅地で違法盛り土を行いました。その盛り土の擁壁工事がずさんで、私は、平成二十八年六月県議会の定例会で、盛り土が崩壊し、近隣の住宅地への被害と、擁壁崩壊で市管理の薬師堂川に被害を与えると指摘しました。そして、県管理の砂防地内での出来事であったこと、違反行為者の所在が不明であったこと、さらには、盛り土の崩壊の危険性が高いことから、知事に行政代執行を求めました。 平成二十九年十月二十二日の台風で、違法盛り土の半分近くが崩壊、薬師堂川に土砂が堆積し、河川を完全に塞ぐ結果となりました。 その後、県は、一億三千万円の費用をかけ、行政代執行を行いました。県が行政代執行を行ったのは適切な対応であったと理解いたしています。しかし、税金を使っての行政代執行でございますので、県は違反行為者に費用の請求と回収の義務が発生します。 そこで知事に、県が実施した行政代執行の費用回収について、現在の進捗状況と今後の進め方を伺います。 五つ目は、動物愛護基金の創設についての質問です。 近隣の自治体では、京都市の京都市動物愛護事業推進基金、大阪府の動物愛護管理基金等があります。私が、奈良県で動物の殺処分が多い現状に鑑み、その低い譲渡率の改善のために質問をしたのが五年前の県議会の一般質問でした。当時と比べて、県の取り組み、県と愛護団体の共同の活動を通して、犬、の殺処分数も着実に減少してきていると伺っています。 また、本年は四千五百十五万円の予算措置も行われています。しかし、殺処分のゼロを達成するには十分な予算とは言えないと考えます。 そこで、くらし創造部長に伺います。 動物殺処分ゼロに向け、寄附金を財源に動物愛護の取り組みを推進する新たな基金の創設が有効と考えますが、いかがお考えでしょうか。 六つ目は、プラスチックごみ対策についての質問です。 本年六月定例会の一般質問において、レジ袋を含む奈良県のプラスチックごみの削減の取り組みと、奈良公園の鹿のプラスチックの誤食への対応の質問をし、知事から答弁をいただきました。そこで、その後、どのような対応をされたのか伺うものです。 本年は例年にない暑さで、各地で熱中症による事故が多発したり、台風十九号により堤防が決壊するなど、深刻な自然災害被害が発生しました。自然災害の猛威は、地球温暖化によるもので、地球温暖化の原因の一つは、化石燃料の大量の使用により、大気中の二酸化炭素の濃度がふえることであります。 日本は、一人当たりの使い捨てプラスチックごみの発生量が世界二位。化石燃料である石油からつくられているプラスチックの削減が早急に必要です。現在、日本のプラスチックごみの処理方法は、燃やすリサイクル、サーマルリサイクルが六割を占めており、燃やすことで発電・暖房等にも活用していますが、しかし、燃やすことで二酸化炭素が排出され、地球温暖化の原因ともなっています。このような状況のもと、プラスチック使用量の削減とともに、既存のプラスチックを使わない新素材の導入を図る必要があるのではないでしょうか。 国においては、コンビニエンスストアやスーパーなどのレジ袋の有料化を、年内に詳細を決め、来年七月からの施行を目指しています。民間のANAは、ナイフ、フォーク、ストローを環境配慮素材に変更すると発表、また、&Gは、日本の海岸で回収した海洋プラスチックごみを洗剤容器に再生し、日本で海洋プラスチックごみを使った製品を発売すると発表しています。本県においても、バイオプラスチックの導入等、環境に配慮した商品が普及するように積極的に取りかかるべきです。 次に、海洋プラスチックについてですが、プラスチックが海に流れ、マイクロプラスチックになり、魚類等による誤食を通して生態系に混入すると、最終的に人体に健康被害が及ぶと指摘されています。 奈良県も加盟する関西広域連合の琵琶湖・淀川流域対策に係る研究会海ごみ発生源対策部会報告書の中で、大阪湾の海ごみは、沿岸から流入するだけでなく、大阪湾に流入する淀川と大和川でつながる流域全体からも流入することから、流域各府県が一体となって大阪湾に流出するごみの発生源抑制対策を講じなければならないと述べています。大和川の流域には、大阪府、奈良県が含まれており、奈良県においても、大和川のプラスチックごみの削減の取り組みを進めなければいけないと考えております。 最後に、奈良県の奈良公園の鹿は、天然記念物として奈良県の観光資源ですが、レジ袋や包装用ビニールの誤食によって死に至る事例が頻発しています。 そこで、一点目は、景観・環境局長に伺います。 国や民間におけるプラスチックごみ対策の取り組みが進む中、本県においても積極的な取り組みが必要と考えます。また、関西広域連合における海洋プラスチックごみ対策の取り組みと連携し、本県においても、大和川を含む河川へのプラスチックごみの流出抑制の取り組みが必要と考えますが、現在の取り組み状況を伺います。 二点目は、まちづくり推進局長に伺います。 奈良の鹿の健康被害の問題の対策として、観光客への啓発や、奈良公園周辺におけるプラスチックごみの発生抑制の取り組みを早急に進めるべきと考えますが、奈良公園管理者としてどのような取り組みを行っているのか伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十九番阪口議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問は、このたびの奈良県内における政治意識調査についてでございます。お答え申し上げます。 まず、調査の動機ということで申し述べておきます。 地方分権が進む中、地方がみずからの裁量で行政を進めることができる領域が拡大している一方で、地域差も大きくなっているのが地方分権の現状と認識しております。 その地域差が生まれる要因の一つに、地方政治のあり方が関係しているのではないか、また、地方政治のパフォーマンスを上げると地域の活性化につながるのではないか、また、全国的に見ても非常に悪い状況にある県内市町村の財政の改善にもつながるのではないかと考え、地方政治研究を深めたいとの思いが本事業のきっかけでございます。地方政治がよくなれば、地域は元気になると信じて行ったものでございます。 調査の内容についてでございますが、地方政治を研究する手法の一つとしてアンケート調査を実施し、県民の投票行動、政治意識等を分析することで、県民の政治意識の所在がどこにあるかをつかむのが最近の政治研究のやり方となってきていると聞いております。地方政治の研究によって、奈良県の地方政治への県民意識を理論的に整理し、地方政治の活性化につなげることができればと思います。こうしたデータとその分析結果は、今後の地域の活性化につながる施策の方向性の確認や体系化に役立つ基礎的なデータになるとともに、地方政治に関心のある方々の役に立つものと考えております。 投票の秘密や思想・信条の自由等が侵害されるとのご指摘でございますが、憲法上保障される投票の秘密は誰が誰に対して投票したかを他人に知られないことと言われております。また、思想・信条の自由は、個人の思想を明らかにすることを強制されないこととされていると聞いております。 今回の調査への回答についてですが、回答は任意でございます。また、回答に当たっても無記名でございます。また、県では、住所・氏名等、調査票の送付先の情報を手に入れることはありません。アンケートの回答の送付先を事業委託業者としておりますが、委託業者におかれましては、送付と回収業務を分離するなど、特定性に配慮されていると聞いております。個人の特定につながらない仕組みとなっておることを確認しております。したがって、投票の秘密や思想・信条の自由等を侵害するものはないものと思います。 また、奈良県に関係のない調査項目が多く、調査目的を逸脱しているとのご指摘についてでございますが、調査項目の設定や分析につきましては、地方政治の高度な専門家にお願いしており、それぞれの設問項目同士を関連づけて分析することにより、分析結果が有意義になるものと設計されているように思うところでございます。日本のトップクラスの先生に設計を委ねたものでございますので、憲法で保障されている学問の自由を尊重する、侵してはならないという思いも同時に持ったところでございます。 分析結果は、地方政治に関心のある県民の皆様にとって、地方政治の向上を通じた地域の活性化につながるという点で、大変意義のある共有財産になると思っております。したがって、ご質問にありましたように、この調査を中止するつもりはありませんし、県の予算で実施することに問題はないものと思っております。 二つ目のご質問は、奈良公園バスターミナルについてでございます。 奈良公園バスターミナルにつきましては、目的は三つ挙げることができます。一つは、観光シーズンを中心に公園周辺で発生している深刻な渋滞を軽減することでございます。二つ目は、奈良公園のアメニティーを向上する、快適性を向上することでございます。三つ目は、周遊しやすい環境をつくることでございます。 県庁東から大仏殿前にわたります長年にわたる渋滞は、県運営の大仏殿前駐車場周辺に問題があるようにも言われてまいりました。そのような場所で、進入路部分のすれ違いが困難であること、料金徴収に時間を要すること、入場時間が集中することから生じる入場待ちバスが、県庁東交差点から大仏殿前駐車場入り口までの道路を塞ぐことが大きな原因となって渋滞が発生したと言われてきました。 このため、県庁東側に新しいバスターミナルをつくることで、乗客をそこでおろし、空車バスを郊外駐機場へ回送させるとともに、大仏殿前駐車場の流入をとめることで、奈良公園中心部へのバス流入を抑制することといたしました。また、観光バスの一時的集中を避けて、周辺道路の渋滞を防ぐため、事前予約制を導入し、平準化を図ったものでございます。 さらに、駐機場に向かうバスは、県庁周辺の道路を利用することから、混雑や歩行者の安全確保の対策として、この県議会棟を回る県庁西交差点を改良して、そこに流すことになっております。あわせて、バスには駐機場までの推奨ルートなどの案内も行っております。 秋の観光のハイシーズンであります先月七日に実施いたしました交通量調査におきましては、県庁東交差点で、東向き方向への渋滞の長さが九十メートルでございました。昨年十一月九日の渋滞の長さが六百七十メートルございましたので、それに比べますと随分緩和されている状況でございます。これまでの調査結果を見ますと、平日を中心に渋滞は緩和され、バスターミナルの整備効果が発揮されているようにも思われます。 バスターミナルの運用にも改善を加えてまいりました。バス会社等の声や運営状況の検証等を踏まえまして、九月からは予約バスの受け入れ台数を十分当たり八台から十三台にふやしました。また、ターミナルにより近い高畑駐車場の駐機台数をふやしました。さらに、十月からは当日予約を開始するなど、バスターミナルの利用促進に努めております。その結果、速報値ではありますが、今年十月、休日のバスターミナルの一日平均利用台数は二百十六台で、昨年同時期の大仏殿前駐車場と高畑駐車場の二百七台と同等の利用となっており、十月以降は利用台数の改善が図られているものでございます。 今後とも、引き続き、周辺地域の交通量の状況やバスターミナルの運営状況の検証を行いつつ、改善や工夫を加え、観光地奈良の魅力向上につなげてまいりたいと考えております。 そのような奈良公園バスターミナルの経費と収入についてのお問い合わせがございました。 奈良公園バスターミナルについては、高畑駐車場、大仏殿前駐車場及び上三橋駐車場と一体運営を行ってきております。登大路駐車場につきましては、普通車専用駐車場として運営しており、これらの経費は、奈良県自動車駐車場及び奈良県自動車乗降場費特別会計で管理をしております。 今までのところ、予算ベースでございますので、予算ベースで数字を申し上げます。 まず、バスターミナルのバス受け入れに関する運営費が二億二千五百万円余でございます。運営費、支出でございます。また、高畑駐車場、大仏殿前駐車場、上三橋駐車場の運営費は五千八百万円余でございます。登大路駐車場の運営費は二千六百万円余でございます。一般会計への繰出金が二千七百万円余でございまして、これらの駐車場の運営の合計の支出は三億三千八百万円となっております。 一方、収入の見込みでございますが、バスターミナル使用料は二億六千八百万円余、高畑駐車場、大仏殿前駐車場、上三橋駐車場の使用料は一千三百万円余、登大路駐車場の使用料は五千百万円余、前年度からの繰越金が四百万円余、合計三億三千八百万円となっております。 この特別会計予算は、支出額を駐車場使用料等の収入額で賄う仕組みとなっております。 また、バスターミナルで実施しております観光情報サービスの提供や奈良公園への誘客促進のための経費などは約一億六千五百万円でございますが、これらは広く奈良の観光振興を目的とするため、一般会計予算に計上しているところでございます。 次のご質問は、平城宮跡南側の今後の活用方策についてでございます。 積水化学工業株式会社の工場跡地は、平城宮跡歴史公園に隣接しておりますとともに、朱雀大路の遺構が含まれているエリアも含んでおり、観光・交流の拠点としての可能性が極めて高い場所でございます。 このため、昨年八月に積水化学工業株式会社、奈良市、県の三者で包括連携協定を締結し、この地にふさわしい活用方策を検討していくことといたしました。その地に積水化学工業株式会社の子会社でありますセキスイハイムが戸建ての建て売り住宅をつくるということに対して、違う運用、違う活用方策が望ましいのではないかという思いで、積水化学工業株式会社、県、市が申し込んで連携協定をしたものでございます。 これまで、ホテル、商業施設など民間企業の誘致について検討するとともに、県から奈良市に市庁舎の移転整備候補地として提案することもありましたが、当該地の絶好の立地環境から、県としては、憩いとにぎわいの機能をあわせ持つ公園整備が最もふさわしいのではないかと今考えております。 その理由といたしましては、奈良市の中心市街地における東西幹線道路である大宮通りと三条通りの間に歴史的雰囲気が漂う貴重かつ広大な公共空間の創出が図られること、また、北側の平城宮跡歴史公園との整備コンセプトが統一的な考えのもとに計画的に進められること、三つ目には、災害発生時の避難場所にできることなど、多様な公共機能が将来にわたって期待できると考えております。 今後、このような県の考え方について、積水化学工業株式会社様、奈良市と議論を深め、跡地活用に向けて、効果的な取り組みを進めていけたらと思っております。 その次のご質問は、生駒市西松ケ丘の砂防指定地における行政代執行についてでございます。 議員も行政代執行には賛成だったとおっしゃっていただいておりますが、生駒市西松ケ丘における砂防指定地内の違法盛り土につきましては、県が平成二十八年五月から現地に地盤伸縮計等の観測機器を設置し、同年末ごろには、対策を講じなければ、違法盛り土の一部が直下の薬師堂川に崩落し、周辺住民の生命・財産への影響が懸念される状況であることが確認されたところでございます。 行為者の方とは平成二十三年より連絡がとれない状況が継続しており、是正命令にも従われなかったため、平成三十年三月から県が行政代執行により是正を行い、平成三十一年三月に工事が完了したものでございます。 その後、平成三十一年四月に行政代執行費用額を確定させ、現在、行政代執行法、国税徴収法、地方自治法等に基づき、代執行費用の徴収手続を進めております。これまで行為者に対しまして納付命令書、督促状を送付いたしましたが、所定の期限までに代執行費用が納付されておりませんので、行為者の財産を調査しているところでございます。 今後も代執行費用に充当する財産を把握するため、財産調査の状況を踏まえながら、調査の実施範囲や期間について、県税事務所の徴収事例等も参考に対応を検討していく必要があると思っております。 このような事案を踏まえまして、砂防指定地の適正管理は今後とも必要で、努めていくつもりでございます。 私に対するご質問は以上でございました。残余は関係の部局長から答弁をさせていただきます。 ○副議長(森山賀文) 桝田くらし創造部長兼景観・環境局長。 ◎くらし創造部長兼景観・環境局長(桝田斉志) (登壇)十九番阪口議員から私には、二点ご質問をいただきました。 一点目は、動物の殺処分ゼロに向け、寄附金を財源に新たな基金の創設が有効と考えるがどうかとのご質問でございます。お答えいたします。 犬、の殺処分数は平成三十年度八百四十四頭で、五年前と比べまして四八%の減、十年前と比べまして六四%の減と大幅に減少しております。この殺処分数の九一%、七百六十七頭がであり、その約七割が、譲渡が困難な生まれて間もない子猫となっております。 このような状況のもとで、の殺処分数をさらに減らすため、市町村等と連携して、所有者不明のを捕獲し、不妊去勢手術を行い、もとの場所に戻すTNRモデル事業を昨年度から開始し、今年度は桜井市など六市町で実施しております。また、譲渡数をふやす取り組みとして、動物愛護団体と連携した譲渡事業や、ミルクボランティアの皆さんによる子猫の飼育などにも取り組んでいるところでございます。 引き続き、民間の方々にご協力をいただきながら、より効果・効率的な取り組みを促進したいと考えております。その中で、議員お述べの寄附金による基金の創設につきましては、県内民間団体等の活動状況を把握しながら、既設の奈良県地域貢献サポート基金が動物愛護の活動にも活用できることを視野に入れまして、他府県の動物愛護基金も参考に研究してまいりたいと思います。 次に、プラスチックごみ対策についてのご質問にお答えいたします。 プラスチックごみを削減するためには、ごみの排出抑制と再利用・再生利用の促進が重要となります。また、海洋プラスチックごみ対策では、川から流出するごみをなくす取り組みが必要と認識しております。 そこで、排出抑制の取り組みでは、県のホームページや県民だより、環境イベントなどさまざまな機会を通して、買い物袋の持参や容器等のリユース、過剰包装の自粛などの啓発を行っております。再利用・再生利用の促進では、市町村が好事例や課題等を共有し、さらなる事業推進を図れるよう、平成二十八年度から県と市町村担当者によるワークショップを年二回開催し、技術的な支援に努めているところでございます。 次に、ごみが川から海に流れ出ることを防ぐためには、川にごみを捨てない、流さないという県民意識をさらに高め、それを実践する生活スタイルの普及を図る必要があると考えております。 このためには、河川ごみの現状を広く周知することも重要と考えまして、今年八月に実施した吉野川での清掃イベントにおきまして、プラスチックごみの量や割合などを調査いたしました。この結果、ごみ回収量百十キログラムのうち、プラスチックごみは十二キログラム、全体の約一割となっており、それらの多くはポリ袋、食料品袋でありました。 今後、市町村や関係機関・団体等と連携して、大和川など他の河川でも同様の調査を実施し、これらの調査結果を踏まえまして、より効果的な広報・啓発を検討し、実施してまいりたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)十九番阪口議員から私には、プラスチックごみ対策につきまして、奈良の鹿の健康被害対策としまして、観光客への啓発やごみの発生抑制の取り組みを早急に進めるべきと考えるが、公園管理者としてどのような取り組みを行っているのかとのご質問でございます。 県では、奈良公園の鹿が誤ってごみを食べ、健康被害が生じることについて、早くから問題意識を持ってまいりました。このため、奈良公園内のごみ箱は、昭和六十年までに全て撤去しました。 奈良公園を訪れる観光客に対しましては、園内四十カ所に設置している多言語を用いた啓発看板により、ごみを捨てないよう周知するとともに、園内巡回によるごみの回収徹底にも努めているところでございます。また、奈良公園バスターミナルでは、近年増加しております外国人観光客にもわかりやすい啓発動画の放映を先月からスタートいたしました。さらに、奈良の鹿の愛護団体である奈良の鹿愛護会や鹿サポーターズクラブとも連携し、SNSやチラシなどさまざまなツールでの啓発活動をはじめ、奈良公園内の一斉清掃等の取り組みも行っているところでございます。 今年度からは、新たに、実際に鹿の胃から取り出したプラスチックごみの写真を用いまして、奈良公園を訪れる方々にイベントを通じて紹介する取り組みも行っております。 今後とも、これら取り組みの充実を図り、元気な鹿が見られる、ごみのないきれいな奈良公園となるよう努力してまいります。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 政治意識調査について再質問をいたします。 本年十月十五日、統計調査実施に係る事前協議結果についてとの公文書が私の手元にございます。この公文書の一部を読ませていただきます。 事前協議結果で統計分析専門員の意見が付されておりまして、その意見を申しますと、そもそも、県の立場で、誰に投票したのか調べてよいのでしょうか。無作為抽出で回答者を選びますので、万が一、県議会議員の関係者に調査票が届いて、質問が来た場合に対応できるようにお願いしておいてくださいと。このように、この調査結果の設問項目に内部からも危惧する声が上がっているわけです。このような個人情報収集の危惧する声に知事はどのように考えておられるのかお聞かせください。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 先ほどから、思想・信条、秘密など、個人が特定されないということと、質問内容の有意義性と二つのポイントがありました。 今の質問内容がどうなのかということについてでございますが、政治意識調査は、先ほど申し上げましたように、最近、大変進んでおります。地方政治だけではなしに、国政の意識調査をダイナミックに調査されるのが、アメリカでそういう政治意識調査が多いのですけれども、その勉強された学者さんが日本にもたくさんおられます。 今回、奈良県の研究会に来ていただきました学者さん、何人もおられますが、日本のトップクラスの政治学者さんでございます。そのようにおっしゃっていましたし、そのように思います。よかったらご紹介いたしますけれども。そのような方が設問をつくられて、出されたものでございますので、きっと、設問を今、議論されるだけではなしに、分析結果を見られると、それと引き合わせて、設問の意味があったのかどうか、もう一度議論していただくと、設計された政治学者さんの意図と分析の結果がわかるように私は思っております。設問自身が、自分のことを聞いたからおかしいよというようなものは、今の日本ではないように思います。自分で投票した先を、おまえだなと聞くのはいかにもおかしいと思いますけれど、全体を集合的に聞いて分析するのは極めて重要な手法ではないかと、先生方の意見を伺いながら感じたところでございます。 個別の質問がいいかどうかというのは、先ほどお答え申し上げましたように、高度な政治学者さんでございますので、学問の自由を侵してはいけないという思いも当時ございましたし、それに委ねた結果になっております。 私の意識というのはその程度でございます。答えになっているかどうかわかりませんが、そのように考えて、政治学者さんの設問を頼りにしたものでございます。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 先ほどもお見せいたしましたが、こういう調査で県民の方、お二人から私のところに声が届いています。何でここまで調べるねんと。もう一つは、息苦しいという二点でございます。 法的に考えていきますと、やはり、不適切な質問によって、憲法で保障されている個人の投票の秘密、思想・信条の自由等が侵されていると考えておられるからではないかと思います。 この調査の中で、県民が不安を持っているわけですから、当然、公表等をすべきでないと考えますが、いかがお考えでしょうか。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 公表すべきでないのは、誰が誰に投票したかというのは公表すべきではないと思いますし、まだわからないわけでございます。民主主義でございますので、集合的に、全体としてどういう政治意識が今あるのかということを調べちゃいけないのでしょうかねと思うところでございます。 分析の結果を見ていただくと、きっと、日本で最高峰の政治学者さんの設計意図、分析結果がわかるように私は期待しておりますので。個人のことを聞いておられ、匿名で答えてくださいよと言っておるわけでございますので。それと、答えること自身、任意でございますので、聞いちゃいけないよということは、学問の自由を侵すことになるのではないかとも思うぐらいでございます。学者さんが聞けばいいので、行政が後ろにいるとおかしいということでございましょうか。そのような学問の自由を応援するのは行政の大きな意味があると思いますし、地方政治の内容について聞くのは、我々共通の大変関連している関心事項だと私は思っております。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 知事は、有識者が調査をして、専門的だから間違いがないというふうな答弁でございましたが、私は、今回の調査は荒井知事の特異な政治意識調査から始まっていると考えております。 五月十三日、山下地域振興部長は知事に復命書を出しています。私の開示請求いたしました復命書がこちらでございます。内容は、五月十日、山下地域振興部長が北村教授との打ち合わせをしたというものです。同日、ホテルグランヴィア大阪ロビーラウンジで山下地域振興部長、市町村振興課長、課長補佐と北村教授が面談し、北村教授に調査の依頼をしています。そして、五月十三日、市町村振興課は調査研究に係る制度設計をしています。制度設計とは、事業の概要と、事業に係る経費のことが制度設計でございます。そして、五月十四日十三時二十分、山下地域振興部長、堀辺市町村振興課長が知事と面談をし、制度設計を報告いたしております。 五月十四日の知事とヒアリングをされたことについては、知事ヒアメモということで、私はここに持っております。知事はそのときに指示をいたしております。研究手法としては、投票データ分析、アンケート調査、インタビュー調査などが考えられると指示をいたしておりまして、以上の行政文書からは、有識者がこの起案をしていったというよりは、地域の特異な政治思想でもって調査を進めていっていると。これは公金の目的外使用ではないかと考えますので、その点についてお聞かせください。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 今、北村教授の名前が出ました。北村教授とは、以前、橿原市で地方政治のシンポジウムをしました。そのときにお越しになったかどうかわかりませんが、県内の市町村の議員の方がたくさん来られまして、大変感銘的な議論でございました。そのようなシンポジウムでおつき合いが始まったわけでございます。 北村教授は日本でトップクラスの政治学者さんでおられます。また、北村先生は何人も政治学者さんを集めて県庁へ来られました。その中でこのような調査が発生したわけでございます。 今の対談のところで私がその調査を指示したとお疑いのようでございますが、私ごとき者がこのような高度な調査設計ができるわけがございません。きっと政治の先生方の話を聞きながら、このような手法があるのかということをやっと勉強して、そのような依頼をしたわけでございます。日本でも、きっとこのようなものがはやってくると私は思っております。 政治意識は民主主義の基本でございます。それを学問的に調査して、いいように分析してもらうのはとても大事だと思われませんでしょうか。私はこれからも大事な設計だと思います。そのような調査に、内容について、狙いは高度な狙いであろうかと思いますが、具体的に、私がこのように調査してくださいと言えるような玉であるとはめったに思っておられないと思いますけれども、そのような能力は全くございません。しかも、調査を依頼して、二千名の無作為調査で、約八百八十名の方が答えていただいたと聞いております。このような調査としては十分立派な数であろうかと、回答例であろうかと思います。 繰り返しになりますが、匿名性を確保するということと、その中身をクロスで分析するというのは政治学の基本の手法になっているようでございます。そのようなことぐらいは私もわかりますので、そのような手法で、日本の一流の政治学者がされていることをサポート申し上げたいと思う次第でございます。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 知事はサポートされたとおっしゃられていますが、第一回の地方政治研究会は八月二日でございます。そのときの議事録もこちらにございまして、出席者は、知事、副知事二人、地域振興部長、総務部長、有識者は北村教授をはじめ六人であったと理解いたしております。 この議事録を読みましても、知事が趣旨説明をして、趣旨説明の中で、地方の政治は、予算提出権や拒否権限があるのは首長であると。権限が大きい。また、議会での議論をもっと活発にしてほしいと述べられております。議会のことも心配されているようです。あとの意見交流でも、ほとんど知事がしゃべっていて、この議事録には知事の発言しか県側としてはございません。知事が意図してこの調査をしていっている、知事主導であるというふうなことはここからもわかると思います。 そこで、聞きたいのは、今回、六月補正予算では、地方政治研究事業費として一千五百万円計上されていると思います。業務委託費用が約七百十五万円、そして、教授の方には一人五万円、合計六人参加されたから三十万円。今、支出されたのは七百四十五万円程度かと思いますが、一千五百万円計上されていまして、あと、二回の有識者の会議と、それから次年度はインタビュー対象者への事業をしていくということですから、一千五百万円の予算を執行していくという考えをお持ちなのかお聞かせください。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 設計をしたか、次は予算をどのようにつくったか。先ほどの議事録、私がしゃべったところの議事録が中心でございますが、それが政治学者の人の対話の全てではございません。北村先生、また、神戸大学の砂原先生というトップクラスの若手の学者さんがおられますが、いろいろ私は本を買って読んだ中で、地方政府の民主主義というふうな本もございました。大変立派な本でございますので、そのような本を読んだ上での問答でございます。一から私がお願いして指示できるようなレベルの方ではございません。だから、そのような本、十分こなしているわけではございませんが、今、地方政府の民主主義というような本を書かれる先生、だんだん出てきておりますので、その点は、これからの地方政治がよくなる、日本の学問の方向かと思った次第でございます。 その中で、予算の一千五百万円は議会で認められたものであると思いますが、その内容が、それが適切かどうかというのは、またこの場で私は適切だと、議会で認められたからそのように思っておりますけれども、もし不適切か、あるいは過剰な予算であるかどうかは、具体的に吟味していただくのが適切かと思いますので、その予算の妥当性については、私は妥当であったと思っております。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 残りの約七百五十万円は、次年度、県議会議員や市議会議員等にインタビュー形式でやっていくというふうなことが地方政治研究事業の概要には書かれているわけです。それをするのかしないのかということ。 議員に聞いていって、議会のことに口を挟んでいくのは、現在、日本は、地方自治法で二元代表制がとられているわけでして、私たち自身は住民を代表して、知事も知事選挙で選ばれています。この両輪で議会を進めていこうと、県を進めていこうというのが二元代表制でして、県議会に口を挟んでいくことは、地方自治法に規定されている二元代表制そのものを否定していくことにつながりかねないと考えますが、その点についてもお聞かせください。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 大変興味深い議論になってきました。 議会に知事が口を挟んでいるのではないかということでございますが、もちろん議会の人は知事に口を挟まれるのが仕事でございますので、歓迎をするところでございます。 議会に口を挟むというのはどういうことかと改めて思います。そんな思いは全くございません。議会に口を挟むという言葉はどのように解釈すればいいのか。議会制度に口を挟むのか、議会のそれぞれの議員の方の意見に口を挟むのか。答弁でありますので、口を挟むという言い方ではなしに、お答え申し上げるというのが私の役目だと思います。ご質問も、口を挟んでいると思うがどうかと。ちょっと答えようがないようなご質問ではないかと思います。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 時間は一分三十五秒しかありませんので、残りの予算は執行されるのか、それはお答えされていないのでお聞きします。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 済みません、あまり聞き取れなかったので、口を挟むというのと予算の話とどう関係するのか、すぐにわからなかったので、答えられなかっただけでございます。 ご質問の趣旨が、予算の一千五百万円の中で、インタビュー調査も含まれているというので、執行するかどうかということで、もしそういうご質問の理解が正しいとすれば、それは今後のことでございます。予算としてはついておりますので、執行権はこちらにありますけれども、先生方と相談してやるということになります。今は、しないでおけと言われても、しないでおけと口を挟まれることはあまりないのではないかと経験的に思うし、両輪でございますので、口を挟んだらとまるものでもございません。そのように理解しております。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 奈良公園バスターミナルの質問をいたします。 三月になりますと、確定申告で、この辺は税務署がありますので、百メートルぐらいの列ができるわけです。観光シーズンである、観光客も来る、そして交通渋滞が発生して、バスが非常に占有しますので、交通事故の発生が起こると私は危惧していますが、そこの懸念はあまり知事がないので、再度お聞きします。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) バスターミナルの建設は、この周辺の渋滞の緩和というのが目的でございます。十分ではないかもしれませんが、随分緩和されたように思います。とりわけ、県庁東から大仏殿前駐車場、東のほうに行くのは緩和されたものでございます。 それとともに、今、議員のご質問、この周辺、駐車場が裏にもありますので、その回遊性が十分かということでございます。確定申告の渋滞ということでございます。税務署の前には、車で来ないでくださいといつも書いてございますので、そのような方、いらっしゃいとおっしゃっているわけではないと思いますけれども、駅により近いわけでございますので。外国から来られて、バスで大仏殿へ来られる方は、バスでしかなかなか効率的に来られない方でございます。確定申告の方は毎年来られているので、込みぐあいもよくわかられています。車で来られることはあまり望ましいことではないと思いますけれども、渋滞が発生しないようにということは、この周りの交通の流れを整流する、ちゃんとするという角度で大事なことだと思っておりますので、注目して、渋滞が発生しないようなことを考えていきたいと思っておりますが、基本は、今、税務署におきましては、車で来ないでくださいと書いておられることを、ぜひ皆さんに、県民の方にも申し上げておきたいと思います。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 知事は認識が乏しいんです。確定申告、そんなのは自動車で来ないです。ほとんど歩いてこられて、百メートル列をつくるということです。 それから、積水化学工業株式会社の工場跡地のことと西松ケ丘のことにつきましては理解いたしました。 最後、質問は、動物愛護基金の創設です。本日は、動物愛護団体の方、渡瀬良子さんをはじめたくさんの方が来ていただいています。この活動を、できれば私たちも積極的に基金集めとか基金に貢献をしたいと、そういうふうにおっしゃられておりますので、再度この辺につきまして担当者からお聞きかせください。 ○副議長(森山賀文) 桝田くらし創造部長。 ◎くらし創造部長(桝田斉志) 繰り返しになりますけれども、民間団体の活動を支援する基金として、くらし創造部のほうで所管しております基金で、先ほど申し上げました奈良県地域貢献サポート基金がございます。この基金には、テーマを定めたり、補助金を交付する団体を登録したりという制度がございますが、そういった制度の中で、動物愛護の活動に係る、例えば寄附金の話、活動の話、そういったものもお答えすることができるのではないかと考えております。ただ、具体的な内容によって少し変わっていくところもあろうかと思いますので、そういったお申し出のご意向のある団体の皆様、そういったお話がございましたら、ぜひお話をお伺いさせていただいた上で、しっかりと考えていきたいな、そのように思います。 ○副議長(森山賀文) 十九番阪口保議員。 ◆十九番(阪口保) 最後は要望でございます。 プラスチックごみの削減と奈良の鹿のことでございますが、やはり私たちが思っているよりも地球温暖化が激しくて、対応がおくれているということでございますので、積極的に県職員の方もよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○副議長(森山賀文) 次に、二十八番猪奥美里議員に発言を許します。--二十八番猪奥美里議員。(拍手) ◆二十八番(猪奥美里) (登壇)皆さん、こんにちは。新政ならの猪奥美里です。本日最後の質問になりました。どうぞよろしくお願いいたします。 十二月に入りまして、今年を振り返りますと、新しい時代を迎えられ、喜ばしいことが多かった反面、災害、そして、子どもの虐待など悲しい事件も多い年でした。死亡にまで至った事件だけでも、一月に千葉県野田市で、六月に札幌市で、七月には京都市右京区で、八月には鹿児島県で、福岡県田川市で、そして、おとついの三日にも東京で、同居する交際相手が三歳の子を暴行の上、死に至らしめたと男性が逮捕されました。 子どもの命が奪われる、それも、本来愛し慈しんでくれるはずのごく親しい人から、本来外部から身を守るはずの家の中で、どんなにか怖かったろう、苦しかったろうと思います。これまでになく報道でも取り上げられるようになり、児童相談所の判断が適切だったか、行政の判断はよかったか、常に問われています。 一見して普通の家庭の中でも育児ノイローゼや家族の孤立、DVなどによって深刻な虐待が起こり得ることも明らかになってきており、虐待に至る前の段階で行政がいかにうまく手を差し伸べられるか、もっと真剣になる必要があるのだと感じています。 児童相談所や行政が介入でき、親との分離が必要と判断されれば、一時保護され、児童相談所の一時保護所や児童養護施設で子どもたちは暮らし、その間、親には再統合に向けたケアが行われますが、どれぐらいの期間離れるかはケースによって異なって、一時的なものから十八歳になるまでという長期にわたることも間々あります。 こうした保護者のない児童や保護者に監護することが適当でない児童を、子どもの最善の利益のためにと、社会全体で子どもを育むために、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことを社会的養護と呼ばれています。 社会的養護が必要な子が育つ場所は、生まれ育った家から離れ、施設、里親家庭、養子縁組前提の新しい家族、病院などさまざまあります。国際的に見てみると、里親が多く、オーストラリアでは九三%、香港では七九%、アメリカでは七七%、お隣の韓国でも四三・六%と、生まれた家ではないものの、家庭の中で子どもたちは育っています。しかし、日本では乳児院や児童養護施設などの施設で育つ子が八割と、圧倒的に施設に偏った状況があります。 国は二〇一六年に児童福祉法を改正し、子どもに対しては、家庭的養育を優先する方針が明記され、実の親による養育が難しい子どもに対しては、里親による家庭的環境での養育、さらには、特別養子縁組による永続的関係の提供を第一に考えるということが示されました。 現在、奈良県で初めて社会的養護に関する計画が作成されており、間もなくパブリックコメントと聞いています。この計画で里親委託率についても初めて目標値が設定されました。今、県内で里親さんのもとで育つ子は六十一人、率では一八%。これを十年間で三四%にまで引き上げるとのことです。 現在、全国で三例目、関西初の中核市での児童相談所の設置が行われた明石市に先月伺いました。ここ最近、明石市というと、毎月のように全国初が連発され、全国的にも子育て政策を中心に注目されています。里親の分野でも、ショートステイ里親という取り組みをこの八月から始められました。これは、国が定めた里親の区分の中に、特に短い期間の受け入れを行う里親をショートステイ里親として市で独自に定義され、長期の里親とは区分してリクルートされています。今年は、たった半年で十組の登録を目指されているとのことです。ショートステイ里親さんは、登録へのハードルが下がる。親もより気軽に、つらくなる前に子どもたちを預けることができる、親支援にもなっているとのことです。さらに、通常の里親さんも小学校区に最低一人確保するとされ、現在、二十八の小学校区のうち、三十六家庭が里親登録されています。これも今年度中には五十組までふやしたい、そんなお話を市長よりお伺いいたしました。 奈良県の一時保護は年間三百人を超えています。県の一時保護所は児童相談所の中に設置されていますが、学習支援はその中で行われており、学校に通うことはできません。一時保護といっても、二カ月以上になる子も少なくなく、その間、学校に行くことができないということは、学習の機会が十分に得られないだけではありません。子どもにとっては、親との分離だけでなく、子どもにとってもう一つの大きなコミュニティーである学校や友達からも離されてしまうことにほかなりません。 もし、家の近くに里親さんがいれば、子どもにとって特定の大人からの養育を受けながら、学校にも通い続けることができる。子どもの権利擁護の観点からも重要だと考えます。 そこで、まずは知事にお伺いいたします。 児童福祉法の改正において、子どもの家庭的養育優先の原則が打ち立てられ、里親による養育を推進していくこととなりました。県ではどのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いします。 また、この法改正をより具体化するために取りまとめられた新しい社会的養育ビジョンでは、家庭の支援体制、児童相談所の機能強化などと並び、永続的解決として、特別養子縁組制度の利用促進が挙げられました。現在、県内の養子縁組の里親の登録者数は四十九組。特別養子縁組の成立には、児童相談所でも取り組みを進めていただいていますが、過去十年間を振り返っても、県内での成立はわずか三十組と、なかなかふえません。 十一月二十九日の福井新聞で、増える里親と題した記事の中にこういう記載がありました。里子を迎え親子になる養子縁組を希望し、里親登録をした。一年たって児童相談所から関西の乳児院の男の子を紹介された。仕事は休職し、一カ月間実費でホテルに泊まり込み、毎日乳児院に通った。 よいお話のように書かれていましたが、乳児院の子を里子として迎えるそのために一カ月間。私がお聞きした別の例では、関西の別の相談所ですが、特別養子縁組のためには、両親そろって一カ月間通うことを条件として出された、そんなお話も伺いました。どうやら児童相談所によって、県外の養親との養子縁組に相当のハードルを設けておられ、大きなむらがあるようです。それぞれの府県だけで完結する話ではない。各児童相談所との連携や、現在国内に十九あります民間あっせん機関との連携が不可欠だと考えました。 また、現在、国内では六人に一組の夫婦が不妊治療を受けているとされています。しかし、まだ不妊のメカニズムの完全解明はできておらず、長年治療しても子どもさんが授からないこともあります。養子縁組を希望される方の多くが不妊治療の経験者であるにもかかわらず、不妊治療されている多くの方は、特別養子縁組のことを知り、選択をすることができる状態になっているとは言えません。婦人科との連携が必要だと考えています。 そこで、お伺いいたしますが、社会的養護を必要とする子どもたちに安定した環境を永続的に提供するため、特別養子縁組の促進に向けて、県ではどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。 この問題の最後に、障害を持つ子についてお伺いしたいと思います。 社会的養護を必要とする子どもの中で、障害のある児童が増加しており、施設においては三人に一人。この数は十五年前の三倍となっているそうです。県内においても、二百六十人中六十五人と、施設で暮らす子のうち四人に一人は障害がある。 医療ネグレクトという言葉をご存じでしょうか。治療したら改善が期待できるのに、子どもの障害を理由に親が治療を拒む。毎日新聞によると、医学雑誌掲載分で、過去十年間で障害を理由に治療を中止した報告が五十七件あったとのことです。そのうち二十人はそのまま亡くなっておられます。 また、治療はしたものの、親がそのまま迎えに来ることのない社会的入院、これも大きな課題となっています。心身障害児総合医療療育センターの調査では、入所施設の三割の子が虐待を受けており、要因として、障害や病気が挙げられている。調査をしたセンター長によると、障害児など育てるのに手がかかる子どもの親は、心身ともに追い詰められ、虐待を起こしやすい、このように分析されています。 そこで、知事にお伺いいたしますが、障害のある子どもがいる家庭へのケアは虐待リスクの軽減の観点からも重要であるため、県が策定する社会的養育推進計画に盛り込むべきだと考えますが、県の考えをお聞かせください。 次に、がんと子どもとの質問に移ります。 近年、がん治療の進歩は目覚ましく、早期発見、早期治療で治る病気となってきました。また、治療を日常生活の一部にしながら、がんとともに生きるがんサバイバーもふえてきています。そのため、治療のみをゴールとするのではなく、その後のクオリティー・オブ・ライフを考えた個別治療を検討することや、長期的な健康問題に対応することが求められています。現在、国内で小児がんは年間二千人、思春期と若い成人を指します十五歳から三十九歳のAYA世代と呼ばれる方々では、がんと診断される方は全国で二万人と推計されています。 がんの種類にもよりますが、抗がん剤の影響や放射線治療等の影響により、卵巣や精巣などにダメージを伴う治療や、また、手術で子宮や卵巣、精巣などの生殖臓器を失ってしまう場合もがん治療の場合は多くあり、特に女性であれば人生の大きなライフイベントである妊娠・出産をすることが難しくなる可能性も非常に高く、妊孕性の温存とは、こういったがん治療によって、将来妊娠の可能性を失うことのないように、生殖機能を事前に温存する考え方です。特に乳がんは三十歳代よりその罹患率が上昇し、近年の晩婚化や晩産化と相まって、乳がんの治療時期が子どもを希望する時期に重なることが問題となっています。 二〇一二年、日本がん・生殖医療研究会が発足し、二〇一七年には、小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドラインが発表され、近年、この分野の発展が期待されています。 厚生労働省においても、二〇一八年の第三期がん対策推進基本計画で、AYA世代に対するがん対策が初めて盛り込まれ、生殖機能への影響などについて、治療前に医療者が情報提供し、支援する体制について盛り込まれました。それを受けて、県の第三期計画にも盛り込まれています。 しかし、こうした治療は自由診療のために費用面のハードルが非常に高く、凍結保存に係る費用は、精子が二万円から七万円、卵子・卵巣組織が十五万円から六十万円、さらに保管料で年間一万円から六万円がずっとかかる。がん患者さんの経済的負担は非常に大きいことが課題となっています。もし、経済的支援があれば。卵子凍結保存等を望む女性のがん患者さんは年間で二千六百人とのことです。 そういった中で、近年、十二の府県、そして市町村単位で幾つかの自治体において独自に助成制度を設け、滋賀県を筆頭に、近隣では三重県、京都府、和歌山県でも助成が始まっています。埼玉県の助成を例に挙げますと、世帯収入七百三十万円未満の家庭において、患者さん一人につき、卵子・卵巣採取凍結二十五万円、精子採取凍結五万円、そして、手術を伴う精子採取凍結は二十五万円までを上限として助成されています。 がん治療は、病気の宣告から治療までの間にさまざまな決断を繰り返さなければなりませんし、考えなければならないことばかりです。仕事や学校、家族、お金、そして将来。先の見えないがん治療の中で、唯一将来のことを見据えた妊孕性の温存治療に対し、支援するべきではないかと考えます。実際、温存したことによって、つらい闘病生活のモチベーション向上にもつながった、そんなお話も伺いました。 そこで、知事にお伺いいたしますが、妊孕性温存治療に対し、助成制度を奈良県も検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 また、この妊孕性という言葉自体がまだまだ世間に浸透していないように、これまでがん患者さんの中には、がん治療により妊孕性を失うことを知らないケースが多々あったとお聞きします。治療の影響をしっかりお伝えしていないケースや、未成年の場合、親御さんがそうした情報をなかなか伝えづらいということもあり、がんに打ち勝ち、治療が終わった後に、自分自身が妊娠する力を治療によって失っていたことを知り、愕然とするケースも少なくないと聞いています。 もちろん、治療においては命が最優先事項であり、治療が遅延なく実施できることが大前提ではありますが、医療従事者に重要性を理解してもらい、生殖医療従事者へとつなげる取り組みは必要不可欠だと考えます。がん治療専門医と生殖医療専門医、両者がともにいることは患者にとっても大きなメリットですし、主治医から妊孕性温存の提案があるだけで、治療の選択、視野が広がります。 そこで、お伺いいたします。 妊孕性の温存について、正しい情報を正しいタイミングで患者さんに知らせ、治療の選択肢を広げる必要があると考えますが、県の取り組みについて教えてください。 次に、観光についての質問です。 東京オリンピック・パラリンピックを来年に控え、インバウンドの好調が続き、県においても毎年右肩上がりで増加を果たしています。観光は、本格的な少子高齢化・人口減少を迎える中で、真に我が国の地方創生の切り札と政府も位置づけ、二〇二〇年には、人数では四千万人、消費額では八兆円が目標とされています。 さて、伸び率、増加率の多い日本へのインバウンドですが、非常に多いように体感では感じても、国際的なインバウンドの受け入れ率では第十一位。一位のフランスと三倍近い差があります。 こうした状況を、北海道大学の北村先生はこのように指摘しています。これまでの日本の観光は、観光資源の魅力によって自然に訪問客がふえてきた。もちろん地道な観光対外プロモーション活動が寄与してきたことも事実であるが、主にプロダクトアウト(ある資源をもとにした商品提供)による観光振興が成功してきた。しかし、これからは観光客マーケットのグローバル化は急速に進展し、観光先進国の仲間入りを果たそうとする日本は、先進国間の熾烈な観光客誘致競争にさらされていくことになり、マーケットイン(顧客ニーズを反映した商品提供)の発想による観光マーケティング戦略の立案と実践が不可欠とされています。 こうした観光マーケティングは欧米を中心に熱心に行われており、これからの競争に打ち勝つには、地域受け入れ環境を整え、質の高い経験を提供しなければいけません。そのために、マーケティングやマネジメントを行うデスティネーション・マネジメントの重要性が高まってきています。 日本でも二〇一五年、まち・ひと・しごと創生基本方針の中で、欧米での先進事例を踏まえて制度設計された日本版DMOの育成が打ち出され、登録をスタートさせました。この日本版DMOというのは、地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛情をつくる観光地経営の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役として、多様な関係者と協働しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための調整機能を備えた法人とされています。 少しややこしいと私は思いますけれども、自治体レベルで輸出産業として外貨が獲得できるインバウンド客を誘致し、その観光消費で地域創生をする役割が日本版DMOには求められています。今現在で、広域連携DMOで十件、地域連携DMOで六十九件、地域DMOで五十七件、国内では百三十六件が登録され、奈良県でもビジターズビューローが手を挙げ、地域連携DMOとして登録されています。 まだまだ全国的にも立ち上がったばかりで、ほとんどがまだ手探り、模索の状態ですが、国内DMOで最も成功されているとされるせとうちDMOを立ち上げられた村橋教授にお伺いすると、成功例を見るとやるべきことに共通点があると教えていただきました。まず、明確な役割分担があること。二点目に、専門性を持つ多様な人材が必要だということ、そして、その上で明確なビジョン、目的があること。 この役割分担ですけれども、例えば気仙沼市のDMOである気仙沼地域戦略では、結成に当たり、まずは事業の棚卸しから始められたとお伺いいたしました。気仙沼市、観光コンベンション協会、商工会議所、関係者で議論を重ねられ、誘客営業と受け入れは市と観光協会が担っています。商品開発は観光協会とコンベンション協会がやっています。情報発信はそれぞれでやってしまっています。重複と欠落が明らかになっただけでなく、役割分担が不明確で、無駄の多さが明らかになったということです。これは恐らく奈良県も含めた全ての地域で起こっていることではないかと考えます。 そして、二点目の人材です。DMOで世界的に最も成功されているとされているアメリカ・フロリダ州のオーランドでは、マーケティングを中心にした組織づくりを行い、十二名の役員のうち、前職がホテル総支配人、コンサルタント、公認会計士、ITのマーケティング等の専門性を持った人々が活動されています。現在、ホテルやコンベンションの営業経験だけでなく、ブランド管理やマーケティングの専門人材がふえてきており、特に分析手法からデータが持つ多変量解析等の多くの手法に対する専門職員は不可欠とされています。また、インバウンドが輸出産業であるということを考えれば、多言語化という言葉であらわされるような流暢なものではなく、ターゲット諸国の消費者に響くマーケティングを行うためには、その国出身者を採用することや、少なくともネーティブレベルで使える人も必要になってくるとのことです。 そこで、知事にお伺いいたします。 奈良県が観光を進めていくに当たって、現在、インバウンドを対象にした計画が策定されていますが、インバウンドやユニバーサルツーリズムなども含めた奈良県全体の観光計画をまずは策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、DMO法人である奈良県ビジターズビューローにおいて、県との役割分担をしっかりと行い、マーケティングの充実を図る必要があると考えます。そのためには、外部人材を十分に登用するなど、体制についても充実させ、機動的に活動すべきと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、奈良市平松地区のまちづくりに関してお伺いします。 平松地区も奈良市とのまちづくり協定の中に入り、協議をこれまで行われてきました。この地域まちづくりには、県の総合医療センターが移転することになったときから、跡地の利用について議論が開始されています。 この四月に奈良市が示したまちづくり基本構想の素案に、奈良市が中核市四例目として設置を準備されている児童相談所、(仮称)子どもセンターを主たる施設として記され、議論が行われてきましたが、奈良市長より令和三年の完成を優先させたいとのことで、この平松の地域では、事業が間に合わず、別場所で設置をする発言があり、昨日の奈良市議会では、その場所が柏木町と明言されたところです。 そこで、知事にお伺いいたしますが、奈良市が平松地区に子どもセンターを設置しなくなったことについて、県としてどのように考えられているのか、まずはお伺いします。 そして、奈良市長のこれまでの、この平松の地域は県の病院の跡地利用なので、ほかの協定の場所とは異なるなどの発言からもわかるように、県との意識のずれがあったことがスムーズな事業進行の妨げの要因の一つであったと思います。この平松地区のまちづくりに関する県の考え方と今後の取り組みについてお聞かせください。 以上で壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十八番猪奥議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、社会的養護が必要な子どもに対する取り組みの中で、子どもの家庭養育優先の原則に対する里親による養育の推進についてのお問い合わせでございます。里親についてのご質問でございます。 我が国では、子どもは家庭で親が育てるべきという考え方が根強いように思われます。本県では、虐待や経済的困窮など、家庭での養育が困難な場合は、施設や里親など、個々の子どもにとって一番ふさわしい選択ができるよう、養育環境を整えることを基本的な考えとして、施策を進めたいと考えております。 本県の里親制度の現状でございますが、本年十月時点で百三十一組の里親登録がございますが、里親に養育されている子どもは四十三人にとどまっております。また、虐待を受けた子どもなどを里親が適切に養育できるよう、専門性の向上や、里親の悩みを聞き、アドバイスする機会をふやすことなどが課題となっております。 このため、児童相談所に里親等委託調査員を配置し、里親と子どもさんのマッチング、里親の資質向上のための研修、定期的な里親への訪問や相談のほか、里親支援機関に委託して、里親制度説明会の開催や、里親同士の交流会なども実施しております。 今後は、児童相談所に里親養育を支援する専任の児童福祉司を配置することで、里親登録数をふやし、子どもとのきめ細やかなマッチングにも努めてまいりたいと考えております。また、里親委託の前段階として、児童相談所が行う最長二カ月までの一時保護を里親に委託するなどの工夫を行い、里親を確保してまいりたいと考えております。 社会的養護の二つ目のご質問は、特別養子縁組の促進についてでございます。 保護者が死亡しているなど、他に養育できる親族等がいない子どもさんのために、親にかわる永続的に安定した養育環境を整える趣旨でございますが、それは、子どもが社会により育てられる権利を保障する観点からも非常に重要であると思っております。 県ではこれまで、法的に実親との親子関係がなくなる特別養子縁組が子どもにとって適切と判断した場合、児童相談所におけるケースワークの中で、養子縁組を希望する里親と子どもをマッチングするなどの取り組みを進めてきたところでございます。その結果、過去二年間で五名の〇歳児を里親に委託し、うち二名で特別養子縁組が成立しています。 このように特別養子縁組を推進することは、児童虐待死の背景の一つとされます予期せぬ妊娠や望まない妊娠に対する妊娠中からの有効な支援策と考えています。このため、予期せぬ妊娠や望まない妊娠に関する情報を児童相談所や市町村に早期につなげるよう、産婦人科医院をはじめ、医療機関との情報共有を図る方策を検討してまいりたいと思います。 今後も、実親と里親の意向を十分に配慮しながら、特別養子縁組を推進してまいりたいと考えるところでございます。 社会的養護の三つ目のご質問でございますが、障害のあるお子様がいる家庭へのケアについての質問でございます。 現在、県において策定を進めております社会的養育推進計画におきましては、在宅で養育する家庭へのきめ細かな支援を施策の方向性の一つとしております。中でも、障害のある子どもを育てておられるご家庭は、子育てへの不安や負担が大きいケースがございますので、虐待の未然防止の観点からも、より手厚い支援が必要であると認識しております。児童相談所では、相談件数の約半数を子どもの発達や障害の相談が占めております。保護者への助言、指導を実施するとともに、児童発達支援や障害児相談支援等の事業所を把握している市町村への橋渡しを行っているところでございます。 今後も、安心して子育てしていただけるよう、社会的養育推進計画に障害のある子どもを育てる親への支援を位置づけ、親の悩みや不安に寄り添う支援の充実に努めてまいりたいと考えております。 次のご質問は、がん患者の妊孕性の温存ということでございます。 議員もお述べになりましたように、妊孕性ということ自身、なかなか理解されていない言葉だということでございますが、妊娠する力、すなわち妊孕性の温存についてのご質問でございます。 がんは早期発見すれば治る時代になってきております。小児や若い世代に多い白血病や乳がん等の治療成績も向上しています。その中で、治療により生殖機能が低下したり、失われることに備え、妊娠する力、すなわち妊孕性の温存など、将来を見据えた治療についても技術の進歩が見られると聞いております。 議員ご指摘のとおり、妊娠する力、すなわち妊孕性温存治療は、患者の経済的負担が大きいことが課題でございます。十二府県では負担軽減のために費用の一部を助成していると聞いていますが、保険適用の要望をはじめ、妊孕性温存治療を望む人が治療を受けられるよう、制度のあり方、また、導入の可能性について検討してまいりたいと思います。 また、本県では、四十歳未満で新たにがんと診断された方が年間約二百名おられます。その多くが県内のがん診療連携拠点病院等で診断されています。まずはがんの治療が優先されるべきだと思いますが、若い世代の患者さんには、将来起こり得る妊孕性の低下について理解を深めていただくことが重要でございます。そのため、がんの診断や治療に当たる主治医等から、適切な時期に丁寧な情報提供を行っていただくよう働きかけてまいりたいと思います。 また、引き続き、県が作成する療養ガイドなどにおきまして、妊孕性の温存に係る相談窓口の周知を図るとともに、拠点病院等のがん相談支援センターにおいて、妊孕性温存についての相談に応じてまいりたいと思います。 妊孕性温存に係る治療を安心して受けるためには、生殖組織等を採取し、長期間保存管理する質の高い生殖医療機関とがん治療を担う医療機関との連携体制が必要だと聞いております。県内の医療連携体制の構築にも努めてまいります。 今後とも、がんになっても安心できる奈良県を目指します。生活の質の向上につなげる取り組みの一つだと考えております。 次のご質問は、奈良県の観光政策についてでございます。 最初は、インバウンドやユニバーサルツーリズムなどを含んだ県の観光全体の計画策定についてのご質問でございます。 本県におきましては、現在、奈良新「都」づくり戦略の策定に取り組んでおりますが、観光産業の振興についても、県政のこれからの展開のための主たるテーマの一つとして位置づけ、その目標と道筋についてお示ししたいと考えております。県民の皆様と議論を重ね、年度内を目途に発表したいと考えております。 とりわけインバウンド観光につきましては、急速に増加を続けている中で、日本の各観光地における争奪戦の様相を呈しております。リニア中央新幹線の奈良市附近駅の設置が見込まれます二〇三七年を見据え、戦略的なインバウンド観光施策を展開するため、奈良インバウンド観光戦略二十年ビジョンの策定を進めているところでございます。これらの戦略に基づき、今後、意欲のある市町村と連携し、奈良の自然・歴史・文化資源などを最大限に活用した観光産業の振興に取り組んでいきたいと考えます。 議員お述べのユニバーサルツーリズムにつきまして、高齢者や障害者等を含めた全ての旅行者が旅の喜びを実感できるような社会を築いていく必要があると思っております。ツーリズム・フォー・オールという標語が印象的でございます。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を契機とし、観光地や交通機関において、より高い水準のユニバーサルデザイン化を進めたいと考えています。 このため、インバウンド観光戦略において、宿泊施設などのバリアフリー化や、ピクトグラムの活用、ユニバーサルデザインタクシーの導入促進等の施策を盛り込むことを検討しているところです。また、鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの設置などは、本県はおくれているところもございます。鉄道事業者の格段の奮起をお願いしたい分野でございます。 観光振興の次のご質問は、DMO法人である奈良県ビジターズビューローの体制についてでございます。 奈良県ビジターズビューローにつきましては、魅力的な観光地域づくりや高度な戦略に基づく情報発信、プロモーションを行うDMOとしての役割を期待してまいりました。具体的な取り組み内容につきましては、既存の取り組みを踏まえつつ、県をはじめ地域の関係者との役割分担を含め、今後、インバウンド観光戦略の中で整理していきたいと考えております。 また、その体制でございますが、ビジターズビューローの専門性を維持・向上していくためには、これまでJTBなどの外部人材に頼ってきた面が強くございますが、持続可能な組織体制を構築する観点から、即戦力となる外部人材の活用に加えまして、プロパー職員の確保・育成に取り組んでいくことが重要だと思います。 DMOにおきましては、観光に関するマーケティングを行い、各種データ等の収集・分析に基づくマーケティング戦略を策定し、観光地域づくりを推進するための地域内の合意形成を促進するなど、マネジメント・コーディネーション機能が求められるところでございます。こうした機能を担う人材確保・育成の支援について、国の対応を注視しつつ、県としても検討を深めていきたいと思っております。 なお、ビジターズビューローのプロパー職員については、昨年四月から現在までの間で、期初の十六人について、延べ九人が離職するなど、専門的なスキルの蓄積や人脈の継承が極めて困難な状況となっております。 こうした状況に関し、先般、コンプライアンスに関する申し立てがございましたので、ビジターズビューローの監事に対しまして、監査を実施するよう要請したところでございます。まずは、監事からの報告を待って、ビジターズビューロー運営の適正化に努めてまいりたいと思います。 次は、奈良市平松地区のまちづくりについてのご質問でございます。 まず、旧奈良県総合医療センター跡地のある奈良市平松地区のまちづくりにつきましては、平成二十七年一月に、県と奈良市がまちづくりに関する包括協定を締結し、地域住民の皆様とともに、医療・介護・健康づくりの観点から、住民の方々が生き生きと暮らせる地域包括ケアの行き届いた健康長寿のまちづくりの実現のために検討してまいりました。 奈良市の子どもセンターにつきましては、昨年度から奈良市がこの地区での設置の意向を示されてまいりましたが、病院建物の除却スケジュールなどを勘案すると、市の方針であります令和三年度の開設には間に合わないと判断され、別の地区での設置を決められたと聞いております。 県といたしましては、子どもセンターの整備のあるなしにかかわらず、旧奈良県総合医療センターの跡地を周辺住民の方々のために有効に活用してもらいたいと望んでいるところでございます。 これまでの住民の方々との意見聴取におきましては、地域の多世代交流ができるコミュニティーセンターの設置や、医療・介護の相談ができる施設、防災公園など、近隣地域住民へのサービスに関する意見を伺っているところでありますが、このような周辺住民の方々へのサービスは、本来、市が主体的に行うべきものが多いため、奈良市が基本構想及び基本計画を主体的に示していただくことが望ましいと考えております。 県といたしましては、奈良市とのまちづくり連携協定の対象地区でございますので、県有地を市に有効に使ってもらうため、土地の減額譲渡など、まちづくり連携協定のスキームに基づき、支援する方針であることを奈良市にお伝えしているところであり、この方針は今後も変わりませんが、今後も引き続き市と協議をしながら、また、地元の方々の意見を奈良市とともに十分聞きながら、まちづくりを進めていきたいと考えているところでございます。 ○副議長(森山賀文) 二十八番猪奥美里議員。 ◆二十八番(猪奥美里) ありがとうございました。 まず、平松地区からお伺いしたいと思うのですけれども、平成二十七年一月にまちづくりに関する包括協定が結ばれて、そこから奈良市が主体になって議論を進めていっていただいているところです。先ほど二問目のところでも少し触れましたが、奈良市長はこれまでの議会の中でも、まちづくり協定は結んでいるものの、これは県有地なので、県が主体的に話を進めるべきであって、ほかのまちづくり協定との場所とは少し様子が違うのだということをずっとこれまで言ってこられました。 この間の決算審査特別委員会でも総括質疑でお伺いさせていただきましたけれども、知事からは、改めて、これはほかのまちづくり協定と同じスキームで行うものであって、県有地であるからといって、県が主体となった事業を行うものではないとご答弁をいただいたわけでありますけれども、きのうも市議会の代表質問の答弁の中で、市長は同じ答弁を繰り返しておられました。この場所は県有地であるということと、県から頼まれてまちづくりをし出したんだというようなご答弁だったのですけれども、このまま、まちづくりを進めていっても、県から県の意向というのはもちろん伝えていただいているのだと思いますし、市の意向の考え方は違うということをその都度都度、県からお示しいただいていると思うのですけれども、根本的な認識が違うままで、それぞれが、県と市と連携してやります、市と連携してやりますと事業を進めても、うまく進まないのではないかと思うのです。もともとの根本的な認識の違いを知事は奈良市にどのように今後お伝えされていくのか、お聞かせいただければと思います。私は、そろそろ知事がお出ましになられて、この件、どこがやるのかというのは先に解決しておかないといけないと思っています。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 何かご心配をおかけしているような感じでございまして、申しわけございません。 病院の跡地になりますので、どのような跡地にすべきかということを、県がまず住民の方と相談をした経緯がございます。住民の方から、望ましい、こんなことをしてほしいということが、先ほど申し上げましたコミュニティーセンターの設置とか、地元の高齢者のためのサービス施設とか、あるいは防災公園というような要望でございましたので、県のでかい建物をどかんと建ててくれという要望は何もなかったのです。だから、そのようなことは、県有地であっても、普通なら、県有地を利用して市がやりませんかというのが普通の市の受け方でございますので、同じようなことを申し上げているのですけれども、市長は、いや、県が率先してやる経緯があったからというのを言っておられるのですか。よくわかりませんが、ご心配のもとになっていると思いますけれども、住民の方の要望の内容によります。県がやるべきことがありましたら、率先してやりますけれども、県有地だから、市がやることを県がかわってやれと、もし思ってしても、議会が納得されないのではないかと思います。そんなことをするのだったら、うちでもやれということになるのが普通でございますので、そうはしないのが普通の県政だし、議会の歯どめということになるように私は思うものでございますので、市民の要望にどう応えるかということになります。県ができることへの要望か、市がすべきことへの要望か、いや、そんなことは、どういうことを聞くのか聞かないのかというように向き合う必要があろうかと思いますが、県は引き続き、平松町の皆様方に新しい県立病院の建設に協力していただいたという思いはございますので、要望を聞き続けていきたいと思いますけれども、いや、県が聞いて、自分の地面だから自分がすればいいよと、もしおっしゃっていれば、ご心配のようになかなか進まない結果になる可能性がありますので、ぜひ、どのようなことになるのか、関係の皆様のご配慮、サポート、とりわけ奈良市出身の議員の皆様のサポートをお願いしたいように思う分野でございます。よろしくお願いいたします。 ○副議長(森山賀文) 二十八番猪奥美里議員。 ◆二十八番(猪奥美里) このまま進んでしまうと、平松の地域の皆さんからしたら、今まで十三回も積み重ねてきたまちづくり協議会の議論が一体どういうふうになってしまうのだと、当然、地域の方というのは非常に心配されているところなのですけれども。 このまちづくり協議会で積み重ねてきた議論というのは、当然、今まで、まだ事業主体が県で、このまちづくりをやろうかと思っていたとき、一回目のときから、途中で奈良市とまちづくり包括協定を結んで、主体がかわってから以降も、ずっと協議会は重ねられてきているわけです。今、児童相談所がなくなっている、児童相談所が案から消えた状態ですけれども、知事は、今の状態というのは、まちづくり協議会の議論の積み重ねというのは生きと考えていらっしゃいますか。この上にまた奈良市が別の素案を出してくるべきだとお考えなのでしょうか。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 子どもセンターをつくるというので参加されていた面もあろうかと思います。では、子どもセンターをつくらないなら手を引くとおっしゃっているのかどうかです。奈良市が手を引くとおっしゃっているのか。もしそうであればとまってしまいますが、まちづくり地区にせっかく指定しました。子どもセンターができなくても、もとは子どもセンターの発想は何も入っていなかった。それでも参加されていたのですから、その時期の、その組み合わせに戻るというだけのことかと私は思っています。であれば、子どもセンターをそこにつくらなくても、県と市が、このまちのために何をつくるか、住民とまた対話を重ねる必要があろうかと思います。県だけではなしに、市も参加していただいて、平松町周辺の方と、どのようなまちにすべきかということを、また対話をできたら、続けられたらと私は強く願っております。それを県だけでやれというと、いや、子どもセンターだけをつくりたかったんだ、あと、やめたら勝手にやれと、ちょっと言い方は変ですけれども、それでは、まちを対象にしている意味がなくなってきます。子どもセンターの発想が出る前に市が参加されておりましたので、そのような状況で、また平松町のまちづくりを、検討は随分進んでおりますので、子どもセンター抜きで考えましょうということを県としては呼びかけて、ご参加をともにしたいとこの時点では思っております。 ○副議長(森山賀文) 二十八番猪奥美里議員。 ◆二十八番(猪奥美里) ありがとうございます。 市から子どもセンターが出てきたのは、第十一回の協議会のときに地元にはご説明があったようですけれども、とりあえずその時点にまで戻って、それまでずっと議論を積み重ねてきた地元からの、例えば医療の関係のものが欲しいですとか、保健に係る機能があればといったような、これまで重ねられてきた機能というのは、県として当然残っていると思っておられて、児童相談所はなくなったけれども、もう一度市の方から基本構想、今は素案の案みたいなものが出ている状態ですけれども、基本構想案の素案をもう一度、市の方でもんで、つくって出してきていただきたいという理解でよろしいですか。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) そのように思っています。今、議員ご指摘のように、子どもセンター案が出てきたのは、途中から出てきたわけです。その前にまちづくりの協定も結んでいるわけでございますので、それまでご破算にはならないと私は思っています。その時点の、原点ということは変ですけれども、立ち戻って、もう一回始められたらと思います。幸か不幸か、跡地の建物の除却は時間がかかりますので、検討の時間はまだ残されているように思っております。 ○副議長(森山賀文) 二十八番猪奥美里議員。 ◆二十八番(猪奥美里) もともと話がスタートしたときは、平成二十七年度中に基本構想ができればというところから始まって、平成三十年になって、ずるずると今おくれてきているわけです。こういったおくれ、今、除却のお話がありましたけれども、除却をすることによってまたおくれてしまうというのは事実です。県がいつまでに除却をできるから、市はここぐらいまでに基本構想を出してくれというようなスケジュール感も含めて、ちょっと言葉が間違っているかもしれませんけれども、県としても、市の事業をご支援するわけですから、監督責任というようなものもあるかと思います。市がなかなか出してこないから次に進まないのですというようなことではなくて、一度白紙にしっかりと戻して、市長ともお話をいただいて、県からも踏み込んだお働きをしていきながら、この平松の地域を進めていただきますようにお願いしておきます。 次に、障害のある子なのですけれども、障害のある子の親が必ずしも虐待をするわけでは決してありませんけれども、リスクが非常に高いということが明らかになっています。そのとき、つくっていただく計画の中に、親のケアですとか、専門里親のリクルートであったりですとか、特別な研修であったりとかというのも、しっかりと章立てて書いていただく、つくっていただくということが必要かと思います。奈良県内でも民間あっせん機関がありますので、民間あっせん機関にお願いをするだけでなくて、彼らも持っている知見がありますので、研修をお願いするですとか、もっとより密な連携ができるかと思います。民間あっせん機関の知見を県も使わせていただくといったことも取り組むべきだと考えているのですけれども、知事はどういうふうにお考えになられますか。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 県の福祉計画の中で、全ての困った人を助けるというのをモットーにしています。全ての困った人というのは、すごく今、バラエティーが出ています。いろいろなタイプでお困りになっておられますので、それを、できるだけカテゴリーを分けて、それぞれの、個別のケースではなしに、そのカテゴリーのケースに寄り添った対策を考えていきたいというのが今の県の福祉計画の方針でございます。障害者計画もそのように思っております。今までの、一緒にして何でもしますよと、口だけ言っているのは気が済まない。個別に何かできることを、困難はありますけれども、少しでもしていこうというのを、全ての困った人という気持ちで、それぞれの個別の困ったカテゴリーの人に助けになるようなことを積み上げていこうという姿勢でございますので、今述べられました障害児、障害者をお持ちのご家庭も当然対象になるものでございます。どのようにするかは知恵と力が多少要るようには思いますが、奈良県は障害者雇用率全国一の県で、誇らしくも思いますので、そのような気持ちの十分ある地域でございます。そのような気持ちが、県も一緒になって、福祉の奈良県ということを実現できたらと思っております。   -------------------------------- ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(森山賀文) お諮りします。 十八番清水勉議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、十二月六日の日程は当局に対する代表質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後五時十六分散会...