• 片耳難聴(/)
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  1. 奈良県議会 2019-12-01
    12月09日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 元年 12月 定例会(第339回) 令和元年        第三百三十九回定例奈良県議会会議録 第四号 十二月   令和元年十二月九日(月曜日)午後一時一分開議   --------------------------------          出席議員(四十名)        一番 小村尚己          二番 樋口清士        三番 植村佳史          四番 川口延良        五番 山中益敏          六番 亀甲義明        七番 中川 崇          八番 小林 誠        九番 浦西敦史         一〇番 欠員       一一番 池田慎久         一二番 西川 均       一三番 乾 浩之         一四番 松本宗弘       一五番 大国正博         一六番 太田 敦       一七番 佐藤光紀         一八番 清水 勉       一九番 阪口 保         二〇番 井岡正徳       二一番 田中惟允         二三番 奥山博康       二四番 荻田義雄         二五番 岩田国夫       二六番 小林照代         二七番 山村幸穂       二九番 尾崎充典         三〇番 藤野良次       三一番 和田恵治         三二番 国中憲治       三三番 米田忠則         三四番 出口武男       三五番 粒谷友示         三六番 秋本登志嗣       三七番 小泉米造         三八番 中村 昭       三九番 今井光子         四〇番 森山賀文       四一番 田尻 匠         四二番 山本進章       四三番 川口正志          欠席議員(二名)       二二番 中野雅史         二八番 猪奥美里   --------------------------------        議事日程 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、七番中川崇議員に発言を許します。--七番中川崇議員。(拍手) ◆七番(中川崇) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良テレビインターネット中継をごらんの皆様もこんにちは。日本維新の会、中川崇です。議長の許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。今回は内容が盛りだくさんですので、二十五分という持ち時間に対して早口になってしまいますが、ご承知ください。 最初に、一般財団法人奈良ビジターズビューローの違法な運営について質問をさせていただきます。 この外郭団体は、奈良県観光連盟と奈良市コンベンションビューローを母体として、観光振興コンベンションの誘致・支援などを行うものとして平成二十一年にできたもので、出資割合として奈良県が約七割、残りの約三割を奈良市などが出資し、設置者は奈良県、理事長は奈良県知事荒井正吾さんが務めています。また、出資はしていませんが、知れば知るほど奈良はおもしろい、観光キャンペーン事業に対して奈良県が一千八百万円、奈良県内の全て三十九市町村から九百万円、民間企業、民間団体から九百万円、合わせて三千六百万円の負担金を毎年いただいています。ほか、事業ごとに国や県から補助金をもらっており、我々の税金でできているといっても過言ではない組織です。副理事長は奈良市長の仲川げんさん、奈良商工会議所会頭のUさんの二名が務め、専務理事を元奈良県職員のNさんが務めています。ご参考までにそういった注記をつけた定款内容がこちらのパネルでして、議場やマスコミの皆さんにも紙の資料にして配付しています。 このビューローで勤務されている職員から内部告発があり、私は取材をいたしました。執行部側である専務理事事務局長、現在勤務している職員、退職した職員、負担金を払っている民間の方十数名に聞き取り取材をした結果、違法行為やパワハラと思われる人権侵害的な言動も多々あり、改善する必要を大いに感じましたので質問するものです。また、専務理事のNさんは私にとって学校の先輩であり、何かとよく話していた人間関係でしたが、このたびは証拠もそろっており残念ですがこのような追及になっています。 私は聞き取り取材をしていて、人の人生を何だと思っているのだろうかと思わざるを得ない職場との印象を持ちました。人権侵害については、奈良ヒューライツ議員団をはじめ、関心の高い議員の方もこの議場には非常に多いのではないかと思います。この職場では日常的にこのような発言がなされています。おれは知事に気に入られてるから何をやっても許されるんじゃ。おまえらが何を言っても相手にされへんけどな。おれは知事のご下命を受けてみんなができへんことをやってるんや。この暴言がもはや誰の発言かは特に言いませんが、ここで知事というのは当然ながら奈良県の荒井正吾知事のことであり、また、ビューローのトップである荒井正吾理事長のことであります。 このように殺伐とした職場でありますから、昨年四月から今年九月までの一年半で出向を除いた雇用職員三十二名のうち、半分以上の十七名が退職していきました。これは有期雇用の方も含んだ数字ですが、この職場にいても未来はない、まるで組織の体をなしていないなどと吐き捨てて、期限前にやめている方もたくさんおり、そもそも働き続けたい職場だと思われていないわけで、人材の採用や定着の難しさを改めて実感します。公式サイトには、ともに働く仲間、関係者、そして、奈良の人たちの幸せのために行動しますときれいごとが書かれていることについて、やめた方に聞きますと、ショックだ、悲しいことだとおっしゃっています。大量退職はその後もおさまっておらず、ビューローの中でMICEの誘致・推進を担当しているベテラン職員二名についても両名とも近々退職予定と聞いています。 MICEというのは、M・I・C・Eという表記で、それぞれ、ミーティング、インセンティブ・トラベル、コンベンション、エキシビジョンの頭文字をとったものです。MICEは企業の産業活動や大学などの学会活動と関連していることが多いため、一般的にイメージする周遊観光とは性格が異なる部分が多く、その誘致推進に当たってはより専門的な知見が求められる仕事であり、また、奈良県の行政にあっても奈良県コンベンションセンターという大ホールだけで二千人を収容できる大きな施設が、近鉄新大宮駅の近くに来年四月にオープンする予定である中、その仕事がますます重要なものになっていると私も承知しています。こういった専門的な仕事を担当し、経験を蓄積されてきた職員さんも退職の意向を示しているということです。なぜそんな事態になったのかという視点で以下お聞きいただけますと幸いです。 今年三月二十日ごろ、MICEの部門に対して突然職場移転が命じられました。四月一日から君たちの職場は奈良春日野国際フォーラム甍の別館だと。しかしながら、年度末に急に引っ越し業者が手配できるわけもなく、職員がみずからの手足で運び、四月一日からは固定電話すらない劣悪な環境で働いていました。今はビューローの職場、猿沢池のほとりにある建物の三階を訪問されるとわかりますが、職務スペースには十分な余裕があります。にもかかわらず、上司の思いつきのような指示で短期間のうちに目のつかない場所へ追いやられた事実があり、劣悪な環境で働かされていました。固定電話が開通したのはゴールデンウイーク前後で、それまでは別の部署で使っていた携帯電話を一つだけ与えられましたが、もともと固定電話で三回線あったのが一回線だけになったので、一人が使っているとほかの二人の職員は使えないため、個人所有の携帯電話で仕事をせざるを得ず、その使用料金も補填されていません。また、その与えられた携帯電話がいわゆるガラパゴス携帯と言われるスマホではないものですが、専用の充電器が壊れたので購入したいと言っても、事務局長は許さなかったそうです。インターネット環境については、ようやく開通しデータへのアクセス環境が整ったのは六月十五日と聞いています。現在に至るまで専務理事事務局長はその職場に対して足を踏み入れてすらいません。見る気もないのでしょう。 移転の経緯について、当時のMICE担当部門の部長が初めて聞いたとき、さすがに四月一日の移転は無理だ、学会の受け入れもあるからせめてゴールデンウイーク前後にできないかと話したところ、専務理事から、県庁からも職員が観光局から一名、まちづくり推進局から一名がその新しい職場にやってくる、県庁職員だけにさせるわけにはいかないからすぐに移転しなさいと指示され、夜中の十時ごろまで公用車で何往復もしながら、スチール棚や紙の資料を運んだりしましたが、四月一日、そんな県庁職員はあらわれずうその指示だったことがわかりました。 こういったことは厚生労働省が指針案としてこのたび示した、パワーハラスメントの構成要件、一、優越的な関係を背景とした言動であって、二、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、三、労働者の就業環境が害されるものにも早速該当するのではないかと思います。また、朝礼などの場でMICEの仕事は要らんのやと言ったり、MICEはやっぱり大事なんやと言ったり、定見がないからか、知事からのお達しがあったからか、発言内容がころころ変わるので職員は振り回されていました。このほかにもこの四月に大学を卒業して入った職員にもストレスをかけ続け、片耳が聞こえなく突発性難聴になるといったこともありました。半年でやめたその方について、あの子はもともと耳が聞こえにくい子だったと事務局長は私へ言いわけしましたが、本人へ取材するとうそだったことがわかりました。なお、本人がいない職場でほかの職員にも聞こえるように特定の宗教を指して、あの子は何々教やから何にも知らんねんといった旨の発言をしていたことがわかっています。 また、労使間協定、いわゆる三六協定を結ばないまま時間外労働をさせていた。そもそも労働基準監督署に届け出ている正式な就業規則がなく、時と場合と人によって都合よく内容を書きかえた就業規則事務局長がその都度渡していたなどの疑いで、十月末、労働基準監督署ビューローを調査し、是正勧告がなされました。この是正勧告については既に新聞報道にも出ています。労働基準法に照らして違法でございます。 また、理事会を軽視した勝手な運営も問題であると考えています。一般社団財団法人法第九十一条第二項に基づいて、ビューローは定款に理事長、副理事長及び専務理事は、毎事業年度ごとに四カ月を超える間隔で二回以上、自己の業務の執行の状況を理事会に報告しなければならないと規定しています。しかし、平成三十年度は五月に一回しか行われておらず違法であり、自身の定款にも違反しています。なお、三月に行われている理事会は毎年翌年度の事業計画案や予算案を審議する場ですので、業務執行の報告が議事次第にも含まれていないので、カウント対象ではありません。 また、こちらのパネルをごらんください。ビューローから今年四月以降、情報共有がぱったりとなくなりました。組織体制の改編も含めて県庁の担当課、すなわち観光局、観光プロモーション課への情報共有がなくなりました。ですから、県もこういった事実をきちんと知らなかった状態です。私が聞き取り取材をして、少なくとも今年四月からの組織はこのように変わってきた、部長の方もかわってきたということをまとめさせていただきました。県庁の職員さんからも、ビューローは最近こうなっていたんや、知らんかったわといった声を聞きます。議場やマスコミの皆さんにも紙の資料にして配付しています。 こういった組織の大幅な改編や部長の選任、解任というのは、一般社団財団法人法第九十条第四項第四号、重要な組織の設置、変更及び廃止の規定によって理事会に諮る必要があり、また、ビューロー自身の定款にも規定されています。また、部長の選任、解任についても一般社団財団法人法第九十条第四項第三号、重要な使用人の選任及び解任によって理事会に諮る必要があり、また、ビューロー自身の定款にも規定されております。 しかしながら、理事会そのものが行われていないので、何重にも違法や定款違反を犯していると言えます。この事実に対して、組織改編は試行錯誤でやっていたんだといった言いわけの声も聞こえてきますが、試行錯誤にしては大幅にいじり過ぎだろうと思います。理事会を開きにくいならば人数をスリムに絞って機動的に開けるようにするなど、本来的な対処のしようがあると思います。理事会の存在意義が疑われ、ガバナンスにも課題があるように感じます。 また、さきに紹介しました、知れば知るほど奈良はおもしろい観光キャンペーンについても、負担金を納める市町村や民間企業への説明不足で怒りを買い、平成二十九年度までは特別会計にしていたところ、これをチャンポンにして一般会計に組み入れ、実態がわからないようにしています。荒井知事は理事会での発言からも特別会計という形に納得していましたよね。ほか、観光庁や文化庁からの補助金事業についてもペーパーをつくるだけつくってろくに配付せず、地下の倉庫に大量に山積みされたままであるなど、何をしているのかと思います。 また、対内的には組織改編の際にも口頭説明だけで、ちゃんとした組織図が職場に共有されず、誰が明確な上司なのか判然とせず、こちらのインバウンド営業部に至っては、発注先企業代表取締役副社長と取締役が部長と次長についているのですが、月に数日間しか出勤していませんから、下の職員もどうしていいのかわからないと困惑し、金銭上の決裁は隣の地域づくり部長に仰ぎ、業務上の決裁は事務局長に仰いでいるとのことで、何のための組織だろうと思います。 このところ近鉄奈良駅付近を歩いていても、ばったり会った知り合いから、何や最近、ビューローやばいらしいな、ビューローは大丈夫かといったお声が向こうからあり、何のことだろうと思っていたのですが、調べてみて実にびっくりでした。こういった事柄が噴出していて法的にも問題がある運営をしている法人組織だと考えますので、次の点をお伺いします。 法的には就業規則がない、三六協定を結んでいないなどの労働基準法違反、理事会をめぐる一般財団法人法違反、自身の定款違反という事実があり、対外的には発注先企業との不明朗な関係、支出している市町村や民間企業から説明不足で怒りを買い、対内的にも大量退職、パワハラと疑われる指示、指示系統の混乱、人材を大切にせずMICE部門も崩壊寸前といった状況を聞いているが、どのような認識でしょうか。または調査が必要ではないかと考えますが、どうでしょうか。 次に、芸術文化活動の基盤となる文化会館整備について質問します。 奈良県文化振興大綱の冒頭で、心豊かな文化の都を標榜し、具体的な成果指標として、県民が文化芸術の鑑賞活動や創作活動などを盛んに行っている状態の実現を掲げる一方で、中心地である県庁所在地付近でも貸し会議室が減少している、そんな現状があります。芸術文化活動というのは、茶道の野点や書道パフォーマンスのように屋外で行うものもありますが、日常的な活動については華道や茶道、その他いろいろな文化的な講座もやはり屋内で行うものが多いわけです。ところがこの付近だけを見ても、婦人会館の建物がなくなり、大和ビルが閉鎖され、そのお隣の奈良商工会議所のビルも来年秋で貸し会議室をやめると関係団体へ通知しています。 そのような中、大綱でも施策の方向性として、県立施設ごとの独自機能を最大限に果たす館運営を行うとあることから、現状、ハード面で手を加える予定がある県立施設として文化会館についてお伺いします。 県民のニーズをどのように把握し、今後の文化会館整備に生かしていこうとしているのでしょうか。 次に、文化財の防災について質問します。 文化財をめぐっては防災も含めてこれまでも重点的に取り上げてまいりましたので、このたびの条例検討については期待しているところでございます。 そこで次の点を伺います。 県では文化財の防災対策に関して独自の条例を検討していると聞いていますが、対象とする範囲はどのように考えているのでしょうか。また、未指定文化財についてはどのように考えているのでしょうか。 次に、児童虐待、特に子から孫への虐待の連鎖を断ち切るための取り組みについて質問します。 私の近くにも虐待を受けたお子さんがいらっしゃいます。何でおまえは勉強ができないんだといった暴言とともに暴力に訴える父親がおりました。母親が、あなたやめてと言っても母親が見ていないところで父親が暴力をふるい続けたので、こんな男あかんわということで離婚されました。しかし、よく聞きますとその父親自身も親から同様の虐待を受けていたとのことです。これは、公益的な内容ですから一例を紹介させていただきましたが、児童虐待をめぐってはこのように子ども時代に受けた虐待と同様のことを成人後、自分の子どもにもしてしまうといった虐待の連鎖も近年明らかになってきたテーマであり、私自身も課題ととらえておりますので、次の点についてお伺いします。 児童虐待については、かつて親から虐待を受けた子どもが成人後、自分の子どもに対しても同じような虐待をしてしまう虐待の連鎖も少なくないと聞いていますが、その連鎖を断ち切るためにどのような取り組みを進めているのでしょうか。 次に、職員の長時間労働及びストレス軽減への対策について質問します。 これは、県庁の職員さんからの切なる願いでもあります。また、そのご家族からも旦那がまだ家に帰ってこない、嫁がまだ家に帰ってこないといったように長時間労働について頻繁にお声を頂戴しています。期限が決まっている仕事をしているのに、日中に不当要求のような長時間の電話も頻繁にあり、本来業務に集中して取り組めるのは電話応対を終えてから、つまり実質的に夕方以降となり、結果として、長時間労働になってしまうといった実情を聞いています。その電話というのも、誰々から言ってもらっているのに、なぜできないんだといったくだらない内容も多いと聞いています。私も同感で、そんなものは何を言おうと、そもそも書類がそろっていなかったら処理できるわけがないだろうと思うわけです。そんなの知らんがなと思います。 さまざまな電話が庁外からあるので、抑止のために、例えば、録音していることを冒頭に示して録音したいという切実な声も聞いています。そんな職員さんの声をもとに、今回、三点お伺いします。 (一)期限が決まっている定型業務を処理するために、長時間労働を強いられている部署がいまだにあると聞いていますが、その環境改善のため、どのような取り組みを進めているのでしょうか。 (二)職員のストレス対策、あるいは心身の健康対策のためにどのような取り組みを進めているのでしょうか。 (三)電話応対業務の効率化や、職員の負担軽減のため通話録音システムを導入してはどうでしょうか。 次に、高校入試でも使用されている内申点のつけられ方について疑問の声を聞いており、質問します。 この質問を作成してからもこのような不安の声を中学生の保護者から聞きました。賢い生徒が多い中学校なので、点数で差別化するため、近隣の中学校に比べて、定期試験の問題そのものが難し過ぎて内申点が不安だといったものです。こういった声が非常に多いため、県教育委員会としてどのように取り組んでいるのか、三点に分けて問います。 (一)中学校の調査書における内申点にあっては、学校ごとに評価のばらつきがあるのではないかとの疑念の声をいまだに聞いていますが、評価の公平性を高めるために、制度的な改善をどのようにしているのでしょうか。 (二)制度的に公平な評価に近づけようとしても、ふだんの試験問題は中学校ごとに異なるし、単元ごとの生徒の習熟度がどれほどかについても、究極的には個々の教師の感性に依拠してしまうのではないかと考えますが、その点どのようにとらえているのでしょうか。 (三)県教育委員会による特異点を監視するような俯瞰的な視点と、中学校による現場の実態を熟知した視点は内申点をめぐっても意見を異にすることがあるのではないかと考えますが、両者の認識の差を縮めるためにどのような取り組みをしているのでしょうか。 最後に、平城高等学校とその校地に令和四年四月に移転する奈良高等学校の関係性について、概念的な整理が必要ではないかとの声を関係者から聞き、私もそう思いますので、次の点、要望いたします。 平城高等学校の校地を舞台とした県立高等学校適正化をめぐっては、現在、平城高等学校の校長、奈良高等学校の校長及び地元の自治連合会の会長が一堂に会して協議を進めていますが、当の平城高校生、それにかかわる平城高等学校後援会をはじめとした関係者や地域教育協議会関係者を含む地元住民の中に、いまだ感情のわだかまりが残っていることは否めません。移転してくる奈良高等学校の関係者からも、居心地の悪い思いだとのお声をいただいています。平城高等学校奈良高等学校の卒業生が教育実習などで戻ってくる際にも心の壁を感じることだろうと思います。 同地での活動の中心となるであろう奈良高等学校関係者だけでなく、もともと同地で活動していた平城高等学校関係者地元関係者、その保有する資源が同地での新奈良高等学校の活動へスムーズに合流し、ともによい学校をつくっていけるような環境を整えるためには、学校統合という表現を用いるかどうかは別として、一定の概念的な整理が必要だと考えますので、令和四年の奈良高等学校移転までに対処されるよう要望します。なお、これは地元平城ニュータウン在住の議員として、平城高等学校及び奈良高等学校の関係者の声を聞いて要望するものです。 以上で壇上での発言を終わります。盛りだくさんの早口で失礼いたしました。持ち時間に対しまして、三分三十秒ぐらい残しての読み上げでした。手話通訳の方もお疲れさまでした。ご答弁よろしくお願いします。(拍手) ○議長(粒谷友示) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)七番中川議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問は、奈良県ビジターズビューローの運営についてでございます。 奈良県ビジターズビューローの運営につきましては、先般、コンプライアンスに関する申し立てがございました。そのため、同法人の理事長として、私でございますが、同法人の監事に対しまして監査を実施するよう要請いたしました。まずは監事からの報告を待って対応を検討する所存でございます。また、その対応については理事会等に諮っていくことになろうかと思います。議員ご指摘の各点につきましては、現時点では予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきまして、監事からの報告を待ちたいと思います。 ビジターズビューロー奈良労働基準監督署より、労働基準法等の違反に関する是正勧告を受けられたことは大変遺憾でございます。また、同法人の職員について相当数の離職者が生じているなど、専門的なスキルの蓄積や人脈の継承が極めて困難な状況になっていると認識しております。組織としての専門性の維持・向上に重大な懸念がございますので、同法人の運営の適正化を図る必要があると考えているところでございます。 二つ目のご質問は、文化会館の整備についてでございます。 県文化会館の整備につきましては、県立美術館とあわせて平成二十七年度に文化会館・美術館及び周辺整備基本計画を策定いたしまして、老朽化と耐震面の課題に対応するため、一体的なリニューアル整備の検討をしたところでございます。しかし、美術館北側土地の文化財発掘調査に相当な期間を要しておりますし、また、文化財が出てきたこともございまして、具体的な検討に至るまでにはさらに数年要する状況でございます。文化会館の整備を美術館から分離し、先行してリニューアル整備を進めることといたしました。これに伴い今年の九月議会におきまして、補正予算をご承認いただき、先行整備に伴う諸課題の整理・検討に着手させていただきました。 当初策定した両館の一体整備の計画におきましては、美術館を増床し、アネックスをつくり、そこへ文化会館の展示機能を移転することで、新たな機能を付加、拡大しようとしたものでございました。しかし、文化会館を先行して整備することにより、その拡張ができないことになってまいります。物理的制約がある中で、展示室、会議室などの諸機能をどう効率的に再配置するのか、これまでの稼働状況等を勘案するなどして検討を進めたいと思っているところでございます。 文化財の防災についてのご質問がございました。 この四月にフランスのノートルダム大聖堂での大規模火災がございました。また、十月には首里城正殿の火災がございまして、人々に大きな喪失感を与え、改めて文化財を守り、継承していく重要性を再認識する機会となったものと思っております。本県には多くの文化財が所在し、そのうち建造物の多くが木造でございます。文化財の防火対策の構築が必要と考えております。その中でも、行政や文化財所有者、地域住民などのそれぞれの役割を明確にし、チームとなって取り組む体制の整備ができたらと思っております。このため今般、条例の作成を検討することにいたしました。今後、文化財の防火対策に関する条例を制定し、継続した文化財防火対策を推進していきたいと思っております。 この条例の対象とする範囲でございますが、今後、具体的に検討を行ってまいることになりますが、未指定の文化財でございましても、所有者や地域住民にとっては現在まで守り伝えられてきた貴重な公共財である場合もございますので、文化財としての未指定も含めて条例の対象範囲のあり方を考慮いたしまして、効果的な所有者の対応措置や公的機関の対策がどう実現できるかを検討してまいりたいと思っております。 文化財は火災などにより滅失、毀損すれば再び回復することが不可能なかけがえのない財産でございます。今後、条例制定に向けて、その対象範囲とその対応措置について議論を深めてまいります。この防火対策に関する条例の制定を契機に、奈良の大きな魅力であります文化財、とりわけ木造の文化財を守る持続的な文化財防火対策を推進してまいりたいと考えております。 児童虐待についてのご質問がございました。虐待の連鎖を断ち切る取り組みについてのご質問でございます。 虐待の連鎖を断ち切るためには、虐待を受けたお子様たちの深い心の傷を癒やすとともに、自分は大切な存在だという自己肯定感を養うことが必要でございます。このことは将来、働いて自立し、親となった場合に必要な心の土台となると思います。そこで、児童相談所や児童養護施設では、児童心理の専門職員が虐待を受けた子どもの状態を的確に診断し、その子どもに合ったカウンセリングを行うなど、心理的ケアに当たっているところでございます。また、虐待を受け、児童養護施設で生活するお子様たちは自分に自信が持てないだけでなく、大人の方々への不信感を拭えないために施設退所後、うまく社会に適応できないこともございます。そのため子どもの将来の自立につなげるために有効なライフストーリーワークと呼ばれるものがございますが、他府県に先駆けて昨年度から児童養護施設において導入いたしました。 ライフストーリーワークと申しますのは、子どもが施設の職員とともに、自分の家族が抱えていた困難や自身の生い立ちを振り返るプロセスでございます。そのプロセスを通して、自分は本来、大切な存在であることを再確認していただきますことで、自己肯定感を高め、生きていく力の醸成を支援していく取り組みでございます。あわせて県や児童養護施設では、施設等を巣立ち、自立して家庭を築くため、生活支援、就労支援等も行っているところでございます。引き続き、決して虐待が繰り返されないよう、連鎖が起きないよう、虐待を受けた子どもさんの心に向き合い、健やかな育ちと自立を支えていきたい覚悟でございます。 残余の質問は部長からご答弁をさせていただきます。 ○議長(粒谷友示) 末光総務部長。 ◎総務部長(末光大毅) (登壇)七番中川議員から私には、職員の長時間労働及びストレス軽減への対策について、三問ご質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。 まず一つ目として、長時間労働に関し環境改善のためどのような取り組みを進めているのかとのお尋ねについてです。 本県では、限られた人的資源を有効に活用し、職員がやりがいを持って業務を効率的に遂行することで、組織として最大の成果を上げるため、職員の働き方改革に積極的に取り組んでおります。このうち、超過勤務縮減の取り組みについては、毎週水曜日の定時退庁などの取り組みに加え、本年四月から超過勤務の上限時間を導入し、単月で百時間以上や二カ月から六カ月平均で八十時間を超えること等がないよう、所属内の人員配置や業務分担の見直し等を行っております。さらに業務効率化を推進するため、定型的な業務については外部委託を積極的に推進するとともに、今年度から自動化ツール等を活用した業務効率化を実施しております。 次に二つ目として、職員のストレス対策、あるいは心身の健康対策のためにどのような取り組みを進めているのかとのお尋ねについてです。 災害などのやむを得ない理由で、先ほど申し上げた超過勤務の上限時間を超えて勤務することとなる場合は、事前に人事課長等と協議するとともに、事後に医師による面接指導を義務づけ、職員の健康に配慮しております。また、ストレスチェック制度を活用し、職員に心理的な負担の程度について気づきを促すとともに、高ストレス者に対して医師による面接指導を実施しております。所属長は面接指導の結果を踏まえ、仕事の軽減など適切な処置を講ずるとともに、ストレスチェック結果の分析を踏まえた職場環境改善を進めております。あわせて、職員が自身の状態に応じて気軽にカウンセリングや産業保健スタッフへの相談ができる体制を構築しております。これらの一連の取り組みにより、職員が健康で生き生きと働ける職場づくりに取り組んでおります。 最後に三つ目として、電話応対業務の効率化や職員の負担軽減のため通話録音システムを導入してはどうかとのお尋ねについてです。 議員ご提案の通話録音システムについては、一部の電話において職員の負担軽減の効果も考えられますが、他方で、録音することをあらかじめ伝えることで、電話をかけてこられた多くの県民に心理的な負担を与えるなどの課題もあると認識しております。このような点も考慮に入れつつ、窓口対応業務を含め、県民への対応に直接当たる職員のストレス軽減の手法については、具体的な業務内容などを踏まえながら、総合的に検討する必要があると考えております。 なお、本年十月から定型的な問い合わせの一部について、スマートフォン等のアプリでAIが自動回答するシステムの運用を開始しております。これは県民サービスの向上とともに、職員の業務効率化にも資するものであり、今後、問い合わせ内容に応じて回答内容を充実させるなど、さらなる活用を図りたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)七番中川議員のご質問にお答えをいたします。 私には、中学校の調査書の学習成績について、学校間で評価のばらつきが生じないように、どのように取り組んでいるのかとのお尋ねで、三つを合わせてお答えさせていただきます。 公立高等学校の入学者選抜では、入試当日に行う学力検査等の成績と中学校で作成される調査書の九教科の学習成績を合計いたしまして、合否を判定する際の資料といたしております。参考までに三月に実施の一般選抜では、学力が二百五十点、調査書が百三十五点を基本といたしております。各教科の学習成績は、学習指導要領に示された目標に照らし、学習状況を知識だけではなく、意欲・態度などを観点別にまず評価をした上で、それらを総括的に一から五までの五段階の数字であらわして入学者選抜に用いることといたしております。 こうした学習評価は平成十三年四月に出された文部科学省通知により、学年や学級での位置づけによって評価をする、いわゆる相対評価から、学習内容の子どもの理解の到達度を評価する絶対評価へと移行されました。絶対評価におきましては、特に観点別評価の基準や、それらの総括のあり方が中学校間でばらつかないようにすることが重要でございます。そのために公立中学校の校長会では、郡市代表の校長等、約二十名程度と伺っておりますけれども、これによる評価のための委員会を年間二回開催し、その内容を全ての公立中学校長が共有することで、公平・公正な学習評価に努めております。 加えて県教育委員会では、入学者選抜にかかわる手続において、各中学校が作成した学習成績一覧表を提出させることといたしており、各中学校の分布状況を把握することで、必要に応じて中学校への指導や支援が行えるようにいたしております。 今後とも入学者選抜において、適正な合否判定が行われるよう、市町村教育委員会や各中学校、各高等学校への指導と支援に努めてまいる所存でございます。以上でございます。どうもありがとうございます。 ○議長(粒谷友示) 七番中川崇議員。 ◆七番(中川崇) ご答弁いただきました。この中で最も重要な質問だと今回捉えていますのは、奈良県ビジターズビューローの違法な運営についてという質問でありました。こちら一定の客観的な評価も知事から直接ございました。これは本当に定款も改めて見ていただきましたらわかるように、理事長が知事であるといった点で、ただ、知事が見ていないところで専務理事によって実質的な経営がされていると、そういった中でこのような事態が起こっております。 これはもちろん専務理事であったり、事務局長であったり、明確に上司的な立場にある人たちへの聞き取りもさながらですけれども、本当に弁護士さんを交えて全職員さんに聞き取り調査をしてほしいと、そのような願いも私は持っております。本当にこの組織を残していくのであれば、抜本的、解体的な出直しも必要ではないかと、そんな感想を抱いております。私、こういった聞き取り調査をしてまとめていく中で課題が大きく三つほどあるかと思っておりますので披露させていただきます。 一つ目ですけれども、遵法意識がそもそも低いので高める必要があると。 二つ目は、ガバナンス機能の問題でございます。 理事会のメンバーたくさんいますからなかなか集まっていただくことができないと、そういった課題もあるかと思います。専門的な議論がなかなかしにくい方につきましては、評議委員会の方におりていただきまして理事会のメンバーを絞るとか、そういった本来的な対策も必要ではないのかと思っております。 三つ目がコミュニケーション不足というのが全般的にあるのではないかと思っております。 これは、職場内のコミュニケーションもそうですけれども、お金をいただいている市町村であったり、民間企業の方たちに対するコミュニケーションもそうですし、県庁におきまして、観光局の中の観光プロモーション課がこのビューローに対する所管でありますから、観光プロモーション課とも日常から密に連携する必要があるのではないかと考えております。 そういった三点、大きな課題として私は感じておりますけれども、そういったことも踏まえて、今後、是正していってほしいと思っております。本当にやめていった方のことを思いますと、もうちょっと早く気づけなかったのかと私も個人的に思うわけです。こちらは監事さんに監査を任せているということの答弁でありましたけれども、その報告を見て納得しないようであれば、私自身もこれからもまた追及していきたいと思っております。知事の答弁をいただきましたので、それを踏まえまして、今後も引き続き調査をしていきたいと思っております。特に答弁は結構であります。言いっ放しで終わりたいと思います。以上で終わります。 ○議長(粒谷友示) 答弁はいいんですね。分かりました。 ○議長(粒谷友示) 次に、九番浦西敦史議員に発言を許します。--九番浦西敦史議員。(拍手) ◆九番(浦西敦史) (登壇)議場のみなさん、こんにちは。また、テレビやインターネット中継をごらんの皆様、こんにちは。自分は吉野郡選挙区選出県議会議員、所属会派、創生奈良の浦西敦史です。よろしくお願いいたします。 まず、九月議会に続いて二回連続一般質問の機会、チャンスをいただいた創生奈良先輩議員の皆様ありがとうございます。今回質問は四点させていただきたいと思います。 まず一点目は、SDGsの推進について。初めに、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの推進についてお伺いいたします。 二〇一五年九月に国連で採択されたSDGs、持続可能な開発目標、誰一人取り残さないとの理念を掲げ、貧困のない持続可能な世界を次世代に受け継ぐことを目指し、二〇三〇年までに達成する十七の目標、百六十九のターゲット、二百三十の指標を示しております。このことに対しては、目標を達成するために既に世界規模での取り組みが始まっているところであります。奈良県内においても平成三十年度、十津川村をはじめとして、これまでに四市町村が国からSDGs未来都市に選定されるなど、取り組みが進んでいるものと認識しております。また、奈良県としても関西SDGsプラットフォーラムに登録を行っていると伺っております。これによりSDGsの課題に対して一自治体が解決に動くよりも、近隣の市町村や他府県と連携して広域的な対策をとれるものと大いに期待しているところです。 先日の公明党、大国議員の代表質問では、国際的な動き、政府の動き、また、代表的な事例として神奈川県の取り組みをご紹介になりましたので、私からは重複を避けたいと思いますが、知事のご答弁にもございましたように、県が実施するさまざまな取り組みにはSDGsの理念と重なる部分があり、また、SDGs達成に通じる取り組みが非常に多いということがわかり、少し安心、納得をいたしたところでございます。 そこで私からは、SDGsが掲げる十七の目標のうち幾つかに掘り下げて、県の取り組み内容についてお聞きしたいと思います。 まず、一点目はジェンダーについてです。 SDGsの五つ目の目標、ジェンダー平等では、ジェンダー平等を達成し、全ての女性と女児のエンパワーメントを図ることを目標に、あらゆるレベルの意思決定における女性の参画の実現や女性への差別と暴力の撤廃などが上げられています。 そこで、こども・女性局長にお伺いいたします。 県においては、さまざまな分野での女性の活躍推進に鋭意取り組まれていると存じますが、SDGsの推進のための具体的な取り組み内容をお伺いいたします。 二点目は教育について、特に子どもたちにも理解させるため、どのような取り組みを考えておられるかについてです。 小・中学校の新学習指導要領においては、その前文にSDGsに関する内容として、子どもたちが持続可能な社会の創り手となることにできるようにすることが新たに盛り込まれていると伺っております。この新しい学習指導要領に基づく教育は、小学校においては二〇二〇年度から、中学校においては二〇二一年度から実施されると聞いております。 そこで、教育長にお伺いいたします。 持続可能な社会の創り手となることが掲げられた新学習指導要領の全面実施に向け、趣旨の周知等、必要な取り組みがあると考えるが、どのように準備されようとしているのか、お伺いしたいと思います。 次に、宿泊施設の開業支援についてお伺いいたします。 奈良県における平成三十年の宿泊者数は、観光庁が行っている宿泊旅行統計調査によりますと、延べ二百五十七万人でありまして、全国四十七都道府県中、第四十六位と非常に下位となっています。また、外国人の方々はどうかと申しますと、宿泊者数は延べ四十四万人と、こちらは全国の中位にあるものの、訪問者数が二百五十七万人であることを考えますと、せっかく奈良県を訪れていただいても奈良県内には宿泊せずに日帰りされてしまう方がかなり多いことがわかります。 本県におきましては、県内全域への周遊滞在型観光の実現が課題であると言われており、訪れていただいた方々には奈良県内でできるだけ宿泊していただき、滞在を長く楽しんでいただくことが大切であると考えております。その実現のためには、宿泊施設の質と量の充実が大変重要であることは言うまでもありません。これまで知事が熱心に誘致に努めてこられたJWマリオットホテル奈良をはじめとした高級ホテルだけではなく、たとえ小規模でも外国人観光客をはじめとした多様な観光客の宿泊ニーズに対応する施設についてもふえていくことが望ましいのではないかと考えています。 このような中、平成三十年六月に住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されました。一般の住宅を宿泊施設として活用することができるようになりました。また、農作業の体験や農村の生活文化体験といったことができるような農家民宿が本県の南部・東部地域を中心に徐々に広がっていると伺っています。こういった宿泊施設を営業する方々がさまざまな工夫を凝らして、宿泊客のおもてなしをされていると考えます。 一方、新たに宿泊施設の営業を始めるに当たっては、民泊での届け出、農家民宿では旅館業の許可申請といった手続を行わなければなりません。その際には、消防法や建築基準法といった法令に適合しているなど、クリアしなければならない基準が多く、届け出や許可申請の手続が非常に複雑で開業のハードルが高いのではないかという声が聞こえてきております。県内各地にこのような宿泊施設がふえることにより、お互いの施設が切磋琢磨し、サービスの向上につながることが予想されます。 したがいまして、魅力的な宿泊施設を県内にふやすためには、少しでも手続をわかりやすくし、開業しやすくすることが大切ではないかと考えます。このようなことから、開業相談ができるワンストップ窓口の設置をはじめ、開業を目指しておられる方々へのサポートの充実が必要ではないでしょうか。 そこで、観光局長にお伺いいたします。 宿泊施設の質と量の充実を図るため、農家民宿や民泊などの開業に向けた支援をどのように行っていくのかお考えをお聞かせください。 次に、鳥獣被害対策についてお伺いいたします。 今月の県民だより奈良に特集として鳥獣被害の現状と対策が掲載されています。これによりますと、鳥獣害による農作物の被害額は全国で百五十億円を超えており、本県においては減少傾向にあるものの、平成三十年度では約一億五千万円を超えています。また、林業においては二百六十ヘクタールの被害面積となっているようです。私の地元である吉野・五條地域でも、地域の特産である柿をはじめとしまして、お米や野菜等に大きな被害が出ており、特に今年は稲刈り前に水田をイノシシに荒らされる被害をよく耳にするなど、その対策を望む声を多くの方々から聞いております。農作物被害額で見ても八千五百万円と県全体の五六%を占めており、鳥獣被害は本地域の農林業にとって非常に大きな問題となっています。 さて、県においては、人材育成、環境整備、被害防除、個体数調整を四つの柱として、国の鳥獣被害防止総合対策交付金や県の単独事業を活用して、イノシシや鹿等の農地への侵入を防ぐ侵入防止柵の設置や、野生鳥獣を捕獲する有害捕獲など、市町村の地域協議会による地域の取り組みを総合的に支援していただいていることは承知しております。ところが、これまで鳥獣被害が発生していなかった地域にも被害が発生するようになったと聞いております。このように、さまざまな鳥獣被害対策に取り組まれているものの、野生鳥獣の生息地域の拡大に追いついていないのが現状ではないかと思います。 また、山が荒れていくなど、森林環境の変化から野生鳥獣の餌が少なくなり、里山へとおりてくることも一つの要因と考えています。このまま鳥獣被害が続きますと、地域の方々の農林業に取り組む意欲がなくなってしまうのではないかと心配しております。農林業の存続はもちろんのこと、地域の暮らしを守るためにも、鳥獣被害対策をより一層充実する必要があると思います。 そこで、農林部長にお尋ねいたします。 野生鳥獣による農林業への被害は依然深刻な状況が続いている中、本県での鳥獣被害対策の状況と今後の取り組みについてお伺いします。 最後に、国道一六九号の整備についてお伺いいたします。 国道一六九号は国道一六八号と同じく、紀伊半島のアンカールートとして位置づけされており、また、紀伊半島の南部と関西圏を最短で結ぶ幹線道路であります。紀伊半島南部地域において、物流、観光、そして沿線の川上村、上北山村、下北山村にとりましては、住民の生活、福祉、医療と大変住民の生活と命を守る重要な道路であります。現在、国道一六九号につきましては、伯母峯峠道路が県のお力添えをいただき、今、国の直轄権限代行事業として整備が進められているところであります。しかしながら、上北山村の白川から三重県境までの間はまだまだ未整備区間が多く、素掘りの狭隘なトンネルや線形が不良で急カーブが多く、事故も多発しています。特に下北山村の前鬼、音枝、下北山村スポーツ公園の間は急カーブ等が多く、線形不良が顕著となっています。前鬼から音枝までの約三・五キロメートル間には三十カ所の急カーブがあり、大型車がセンターラインを越えないと曲がれないような急カーブもあります。大きな事故が起こるのではないかと懸念もしているところでございます。 また、上北山村、下北山村においては、大変雨の多い地域でもあります。雨量規制や崩土による通行どめが多発しています。長期間の通行どめになると地域経済や救急医療、住民生活に大変大きな支障を来しています。今現在も上北山村白川地内ののり面崩壊箇所の一カ所で片側通行が実施されています。こういうことから、国道一六九号の早期に整備していただくことで、安全で安心な道路ができることで迅速な救急搬送ができ、住民生活の利便性が向上し、観光振興、地域産業等、地域の特性を生かした地域創生ができると期待しています。 また、紀伊半島沿岸部を周遊する高速道路の紀勢線の全線事業化が決定しています。さらに、国道一六八号は地域高規格道路として着々と整備が進んでおり、この国道一六八号と国道一六九号を結ぶ和歌山県の同じ国道一六九号の奥瀞道路も国の直轄権限代行事業として事業化が決まって、整備が進められています。県の政府要望では、国道一六九号の重要物流道路の指定を要望いただいているところではございますが、奈良県側の国道一六九号が整備されることにより、紀伊半島の公域道路ネットワークが形成され、紀伊半島南部、奈良県南部の医療や災害時の総合支援、また、物流、観光等にも大きく寄与することが期待されます。そして、紀伊半島アンカールートとしての大規模災害への対応力の強化にもつながると思います。 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 県南部の幹線道路の一つである国道一六九号につきましては、急カーブ等が多く、線形不良が顕著な上北山村から下北山村の区間は早期の整備が必要であると考えますが、現状の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(粒谷友示) 橋本こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(橋本安弘) (登壇)九番浦西議員のご質問にお答えします。 私にはSDGsの推進について、女性活躍推進の具体的取り組み内容のお尋ねでございます。お答えします。 本県の女性活躍に関する計画であります奈良県女性の輝き・活躍促進計画では、基本理念を男女ともにライフステージの各段階で多様な選択肢の中から、みずからの道を選択できる社会の実現としており、これは、議員お述べのSDGsの五つ目の目標であります、ジェンダー平等に合致していると考えております。 本県の女性活躍の現状としましては、民間企業における女性管理職の割合が近畿で一位、また、女性社長の割合が全国で五位という民間の調査結果がございます。一方で、ここ数年で大きく改善はしているものの、女性の就業率は依然として全国一低い状況でございます。このため、女性が希望に応じ働くことができ、能力を生かしてキャリアアップできるよう、経営者や女性職員を対象とするセミナーや異業種交流会等の取り組みを行っているところでございます。また、男女がともに尊重し合い、多様な生き方を認め合う社会づくりのためには、身近な市町村における男女共同参画の推進が重要なことから、策定がおくれている市町村の男女共同参画計画の策定支援を現在進めているところでございます。 さらに、誰もが安全・安心に暮らせるよう女性への重大な人権侵害であるさまざまな暴力を容認しない社会の実現のため、性暴力やDVの防止に関する県民への意識啓発や、被害に遭われた方への相談支援を行っているところでございます。これらの施策を市町村や企業、関係団体とともに推進することで、男女にかかわらず能力を生かすことができ、安心して暮らせる奈良県づくりに努めてまいりたいと思います。以上でございます。ご質問、ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)九番浦西議員のご質問にお答えをいたします。 私には、学校教育におけるSDGsの推進についてのお尋ねでございます。 持続可能な社会とは、地球環境や自然環境が将来、未来にわたり適切に保全されるよう、我々現世代の要求が満たされる開発や発展が、これからも継続して進む社会であると考えており、そのような社会を創造するためには、議員お述べの十七の持続可能な国際目標であるSDGsが有効な手段となっております。しかし、SDGsの認知度はまだまだ低く、新学習指導要領の実施に合わせてその理解を広め、SDGsの視点を取り入れた学習を展開することで、持続可能な社会のつくり手となる子どもを育成すべきであると考えております。 現在の取り組みを一部紹介しますと、奈良市の小・中学校では、春日山原始林の保全等を取り扱う世界遺産学習を行っております。また、県立高等学校では、各教科や総合的な探究の時間を持ちまして、地球規模での環境問題、また、先進国と途上国の間に生じる経済格差、いわゆる南北問題などを取り上げ、生徒の学習成果の発表の機会を設けております。このような学習を推進するため、今年度、高等学校では、総合的な探究の時間の研究会を立ち上げ、複数の学校が参加して生徒や教員の学び合いの場とする学習発表会を企画いたしております。また、郷土の伝統文化を尊重し、その理解を深めるため、全ての県立高等学校で現在、奈良TIMEを実施しておりまして、その学習をSDGsの視点から再度捉え直し、各校での取り組みを支援してまいりたいと考えております。 今後、新学習指導要領を実施する中で、SDGsにまず関心を持ち、そして理解を深め、将来は行動に移せる児童生徒の育成に努めてまいる所存でございます。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 折原観光局長。
    ◎観光局長(折原英人) (登壇)九番浦西議員から私へは、宿泊施設の開業支援についてお尋ねがございました。お答えいたします。 議員ご指摘のとおり本県におきましては、通過型観光から滞在型観光への転換を図るために、宿泊施設の質と量の充実が極めて重要でございます。このため、外国人観光客の多様なニーズに対応し、宿泊施設の選択肢を広げるものとして住宅などを活用した民泊、農山村地域に宿泊し、地域資源を活用した食事や体験などを楽しむ農泊を推進してございます。議員お述べの農家民宿につきましては、農泊において重要な拠点となるものと考えてございます。民泊につきましては、十一月十四日時点では、県内の届出住宅は百四十七件となってございます。都市部での一般的な住宅や観光拠点周辺での古民家を活用したもの、寺院での写経体験や山間部での自然体験を伴うものなど、バラエティーに富んだ民泊サービスが県内全域で広がりつつあると受けとめてございます。 また、農泊につきましては、現時点では、農泊をビジネスとして実施できる体制を持った県内の地域は十一地域となってございます。これらの地域を中心に、農家民宿などの魅力的な宿泊施設、地域の食材を生かした食事、万葉集ゆかりの地を散策するツアーなどの奥深い奈良の魅力を体験できるプログラムの整備が進んでいると受けとめてございます。 県といたしましては、このような動きを後押しし、良質な宿泊サービスの供給を促進していくため、開業やサービスの向上に対する支援を積極的に行っているところでございます。具体的には、県におきまして新たに宿泊施設の開業を検討している方などを対象としたセミナーを開催してございます。開業手続はもとより、県内外の魅力的な取り組み事例などの情報提供を行っているところでございます。また、宿泊施設の開業に関する問い合わせや相談に関しまして、県の四つの保健所と奈良市の保健所が窓口となりまして、市町村や消防などと連携して一元的に対応しているところでございます。 引き続き、宿泊施設の質と量の充実に向けまして、本県の豊かな地域資源を最大限に活用しつつ、多様なニーズに応える宿泊施設の整備に精力的に取り組んでまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 杉山農林部長。 ◎農林部長(杉山孝) (登壇)九番浦西議員のご質問にお答えをいたします。 私には鳥獣被害対策について、その現状と今後の取り組みについてのお尋ねでございます。お答えをいたします。 県としてこれまで、野生鳥獣による農林業被害のより一層の軽減を目指して、地域ぐるみで取り組む活動に対して支援をしてまいりました。その結果、ここ五年間で五百二十九キロメートルの侵入防止柵が整備され、また、平成三十年度においては、イノシシでは八千八百三十八頭、また、ニホンジカでは九千九十一頭の捕獲が行われました。しかし、住民の高齢化などによって、集落ぐるみでの活動が停滞し、農作物被害が軽減できていない集落がふえていると認識してございます。 県といたしましては、集落ぐるみの活動をより一層推進するため、集落リーダーの育成研修をはじめ、今年度新たに侵入防止柵の維持管理や、隠れ場所をなくす取り組みなどを支援いたしますモデル事業を県下四カ所で開始したところでございます。また、新たな森林環境管理制度の取り組みの中で、林業経営に不利な人工林を自然林へ誘導することによって、森林に野生鳥獣を戻していくという取り組みも進めてまいりたいと考えてございます。 鳥獣被害対策は一挙に解決できるものではないことから、引き続き、市町村や関係団体等と連携しながら、地域ぐるみの取り組みが進むよう支援してまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)お答えさせていただきます。 私には国道一六九号の整備について、特に上北山村から下北山村の区間についてのご質問でございました。 議員お話しのとおり国道一六九号ですが、国道一六八号、五條新宮道路と一体となって、紀伊半島アンカールートを構成し、県南部の地方創生や強靱化を推進する上で必要不可欠な幹線道路だと認識してございます。お話にもありました伯母峯峠道路ですが、直轄権限代行による事業でございまして、平成二十八年度に事業化されました。昨年十二月に起工式典が開催されまして、現在、西原地区の橋りょう下部工事を進めているところでございます。 お尋ねの下北山前鬼から音枝の区間でございますけれども、上北山村から下北山村管内で最も線形等が悪い区間です。地元の村長さんから知事にご要望をいただきまして、これからのまちづくりに関する計画、道路整備の必要性、地元情勢等が確認できましたので、先月より調査路線と位置づけて、線形不良区間におけるルート比較等合わせまして、前後にあります橋りょうの耐震・老朽化対策の検討も進めております。 また、のり面対策のお話もございましたが、上北山村白川地区内ののり面崩壊箇所は、今、発注手続中で、年度内に工事着手する予定でございます。今後とも国道一六九号の早期の整備に向けて国とも連携しながら事業を進めてまいる所存でございます。以上です。 ○議長(粒谷友示) 九番浦西敦史議員。 ◆九番(浦西敦史) ご答弁いただきありがとうございました。 二点、要望をさせていただきたいと思うのですが、有害被害対策についてモデル事業を四件されるということをお聞きしましたが、その中身についてまた後ほどでもいいので、資料等をいただければと思います。 そして、SDGsの推進について、さまざまな取り組みのご紹介をいただき、ありがとうございます。県の取り組みに対して大変力強く感じているところです。また、私はSDGsの課題は長期的な施策が必要であり、目に見える身近な課題解決ではないかと思っております。なかなか住民さんの理解が得られにくいものでもあるのかと感じております。そのために、SDGsが掲げる百六十九のターゲットと自治体が把握している地域課題のうち、リンクする問題に対して一部署で取り組むよりも、他部署、他団体と連携して、より効果的で社会に適した施策が可能になると思っておりますので、今後の施策展開ではこういったことも期待しております。 そして、今、私もバッジをつけさせていただいておりますが、今のところ職員さんでつけていただいておるのは桝田局長だけなのかとも思いますので、このバッジ、奈良の木ブランド課でも、SDGs、奈良の木を使ってバッジをつくっていただいているということがございます。また、職員の皆様方にもこのバッジをつけて、皆様方でSDGsの意識統一をしていただければよりよい県政になるのかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○議長(粒谷友示) しばらく休憩します。 △午後二時二十分休憩    -------------------------------- △午後二時四十一分再開 ○副議長(森山賀文) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、二番樋口清士議員に発言を許します。--二番樋口清士議員。(拍手) ◆二番(樋口清士) (登壇)皆さん、こんにちは。自由民主党の樋口清士でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 それでは、議長の許可を得まして、ただいまより一般質問を行います。今回は、学校教育の情報化推進に向けた取り組みについて、産業の振興に向けた取り組みについて、県有施設への民間活力の導入についての三項目について質問をいたします。 まず一つ目の質問項目であります、学校教育の情報化の推進に向けた取り組みについてです。教育長に質問をいたします。 この質問項目につきましては、九月定例会において三名の議員が質問されておりますので、できるだけ重複のないように、特に教員の育成・配置に重点を置いて伺いたいと思います。 まず、質問の背景を整理いたしますと、平成二十九年三月に小・中学校の平成三十年三月には高等学校の新学習指導要領が告示され、主体的・対話的で深い学びを実現するよう学習過程を改善することとともに、情報活用能力を言語能力と同等に学習の基盤となる資質と能力と位置づけ、情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが明記されました。 令和元年六月二十一日には、成長戦略フォローアップ及び統合イノベーション戦略二〇一九が閣議決定され、児童生徒一人ひとりがそれぞれ端末を持ち活用できる環境整備を実現するための目標の設定とロードマップの策定を行うことなどが示されました。令和元年六月二十八日には、学校教育の情報化の推進に関する法律が公布、施行され、基本理念として、情報通信技術の特性を生かし、児童生徒の能力、特性等に応じた教育、双方向性のある教育等を実施すること。デジタル教材による学習とその他の学習を組み合わせるなど、多様な方法による学習を推進することなどが示されております。 このように国において、児童生徒一人に一台ずつの情報端末を配備し、これを活用しながら情報活用技術を育み、主体的、対話的で深い学びを実現できるよう、学習過程を再構築することが求められており、教育の大きな転換期にあることが理解できます。このような流れに対応するための奈良県の取り組み状況を、これまでの議会答弁等から整理いたしますと、教員の情報活用能力の向上や業務改善に向けて、平成三十年度から県内モデル校を指定して、統合型校務支援システム導入の実証研究事業を実施している。県立学校において、平成三十一年三月に教員一人一台の校務用コンピューターを整備し、全ての県立学校で統合型校務支援システムが利用できる環境を整えている。来年度開校する県立国際高等学校で生徒一人一台のタブレット端末をBYODにより整備し、その実践の成果を教育モデルとして紹介していく。教育の情報化を推進するためのリーダーを平成二十八年度から養成している。令和元年六月に施行された、学校教育の情報化の推進に関する法律により策定が努力義務とされた、学校教育情報化推進計画を本年度中をめどに策定作業を進めている。県立教育研究所に教育の情報化の担当部を設置し、教育用コンテンツを蓄積しつつあり、今後組織を強化することを考えている。あと、情報端末やWi‐Fi環境の整備については、市町村で格差はあるが総じて不十分である。 このように奈良県の学校教育の情報化に係る取り組みは、まだ緒についたところという感があり、今後、取り組みが加速化することに期待しつつ、以下、質問をしたいと思います。 教育の情報化を推進するための主要な要素は、施設、設備、そして、教材、指導方法、指導する人材であり、これらをいかに速やかに整えるかが目下の課題となっております。施設、設備を早期に整えることについては、いかに財源を確保するかにかかっているといえ、エアコン設置が急速に進んだことを踏まえれば、国、県、市町村の姿勢いかんで速やかに整備することは可能と考えます。また、教材については、現在、今回の学習指導要領の改訂を受けて、教育関係の事業者がさまざまな教材を開発しており、民間主導で順次整っていくかと思います。 今、最も大きな課題は、最適な教材を選択すること、その活用指導方法を研究し構築すること、その成果を踏まえて、県内全ての公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全ての教員が情報端末等を活用して、主体的・対話的で深い学びを実行する力を身につけることであると考えます。これまでの指導方法が大きく変わることから、この課題は一朝一夕には解決できないものと考えます。特に一人の教員が発達段階が大きく異なる子どもたちを対象に、全教科の授業を実施する小学校においては、相応の工夫が必要となります。 そこでお尋ねします。教育の情報化を推進するためには、施設・設備の整備とともに、教員の指導力向上や適正配置、教材や指導方法の研究開発が不可欠と考えますが、取り組み方針及び取り組み状況をお聞かせください。 次に、二つ目の質問項目である産業の振興に向けた取り組みについて、産業・雇用振興部長に質問をいたします。今回は特に産業の中でも、製造業に焦点を絞って質問したいと思います。 さて、社会保障費の増大、公共施設の維持更新費用の増大など、歳出増が続く中で、多様化、高度化する行政需要に持続的に応えていくため、いかに歳入を確保するかが大きな課題となっております。特に生産年齢人口が減少し、県民税の伸びに期待しにくい中で産業振興による税収増は重要な課題となっております。ここで奈良県の地域経済の状況を見ますと、産業集積が弱い、中小企業が中心であるため研究開発に対する投資力が弱い、労働生産性が低い、産学官連携が不十分、地域経済の連関が弱い、産学連携の核となる理工系大学が少ないといった弱みが見えてきます。現在、奈良県では、奈良新「都」づくり戦略案に工場誘致、工業ゾーンの創出、産業育成支援・産業クラスターの形成、起業支援、県内産業への研究支援強化といった取り組みを掲げて事業を進めているところです。 例えば、産業集積の強化に向けて、京奈和自動車道や西名阪自動車道の沿道を中心に、産業集積地の形成に取り組まれています。しかしながら、いまだ企業の立地ニーズに十分応えられる用地を提供できない状況にあります。また、奈良県産業振興総合センター等を拠点として産学官連携に取り組んでおり、現在、製薬関連企業等が連携して漢方のメッカ推進プロジェクトが進捗中であります。しかし、これ以外には特定テーマでの共同研究プロジェクトは見られず、いまだ産学官連携が活発に行われている状況にはございません。奈良県経済を強化していくためには、単に企業集積を進めるだけではなく、時代に対応した産業集積と企業間の連関の構築を進めて、産業クラスターを形成することが重要であると考えます。 そこで、産業集積地の創出、企業間の連関を進める核となる産学官連携の二点について質問をいたします。 まず、産業集積地の創出についての質問です。 奈良県では、京奈和自動車道や西名阪自動車道の沿道を中心に産業用地の創出に取り組んでいますが、その他エリアも含め、どのような方針により今後の施策を展開しようとしているのでしょうか。 次に、産学官連携についての質問です。 産業クラスターの形成に向けて、産官学連携のもとに特定のテーマでのコンソーシアムの形成、研究開発プロジェクトの創出等の取り組みが必要と考えますが、現在の取り組みについてお聞かせください。 最後に、三つ目の質問項目である県有資産への民間活力の導入について、まちづくり推進局長に質問をいたします。 現在、奈良県では、奈良県公共施設等総合管理計画に基づき、県有資産の有効活用に向けてファシリティーマネジメントに取り組んでいるところです。この総合管理計画の中では、資産の活用方針として施設の統廃合、未利用施設や低利用施設の市町村への売却、貸し付けとともに、施設運営に対する民間活用、具体的には民間貸し付けや、指定管理者制度の導入などを検討することが方向づけられております。今後、継続的に運営していくと判断された施設について維持更新費用の確保という観点からも、施設そのものの収益性を上げていく取り組みが重要であり、そのための民間活力の導入は不可欠と考えます。 しかし、現状を見ますと、ファシリティーマネジメントの実施に際して、利用状況等の評価はされているものの、収益性という視点はまだまだ弱いのではないか。また、収益性を考える対象範囲もまだまだ狭いのではないかと考えます。ここで公共施設を一くくりにいたしますと、話が発散してしまいますので、公共施設の中で比較的大きな面積を占めている県営住宅、都市公園に絞って質問をいたします。 まず、県営住宅についてですが、県内に四十三団地、八千百七十戸のストックがあり、県は人口減による将来的な空き住戸の増加、老朽化の進行などを背景として、長寿命化計画を策定し、ストック活用に取り組んでいるところです。ここで、他府県の取り組み事例を見てみますと、公営住宅については、建てかえ余剰地等を活用した民間住宅や生活利便施設の導入、空き住戸への居住以外の機能の導入、敷地を活用した生活利便施設等の導入などの事例が見られます。奈良県においても既に桜井団地の建てかえに合わせて、周辺のまちづくりに寄与する形で生活利便機能を導入する取り組みも見られますが、有効活用という観点から、さらなる可能性を追求、実施することが必要と考えます。 次に、都市公園についてです。 都市公園は、公園内施設を除いて総合管理計画の対象外となっておりますので、ファシリティーマネジメントという観点からは有効利用の検討は今のところ行われておりません。他方、平成二十九年八月に国土交通省が都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上、公園利用者の利便の向上を図ることを目指して、都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用のガイドラインを作成いたしております。また、大阪では、てんしば、大阪城公園など民間活力の導入により、集客力を高め施設の維持管理費用以上の収益を上げている事例も出てきております。このような状況を踏まえ、県営住宅及び都市公園のそれぞれについて質問をいたします。 まず、県営住宅についてです。 県営住宅の空き住戸や建てかえ等により生じる余剰地について、民間活力の導入により積極的に活用していくべきと考えますが、現在の取り組みと今後の方針についてお聞かせください。 次に、都市公園についてです。 県営都市公園についても、民間活力の導入を積極的に推進すべきと考えますが、Park-PFIの活用を含め、現在の取り組みと今後の方針についてお聞かせください。 以上で登壇しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)二番樋口議員のご質問にお答えをいたします。 私には、学校教育の情報化の推進に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。 経済協力開発機構、いわゆるOECDでございますけれども、十二月三日に二〇一八年に実施いたしました国際学習到達度調査、PISAと呼ばれております、この結果を公表し、日本の読解力は前回二〇一五年調査の八位から十五位へと大きく順位を下げました。その原因として、日本の高校生が授業でデジタル機器を活用する割合が参加国中で最低水準であり、デジタル情報を読み取る、いわゆるデジタル読解力が不足している点が大きく取り上げられております。 今後、子どものデジタル読解力の向上を図るためにも、施設、設備の整備といったハードと教員の指導力向上や指導法の研究開発等のソフトの両面で効果的かつ円滑に教育の情報化を推進する必要があると考えております。特に文部科学省のアンケート調査によりますと、本県教諭が授業でICTを活用して指導ができると答えた割合は、平成三十一年三月現在で六一・四%と全国平均の六九・七%を下回っており、教員の指導力が依然と課題となっております。このため、今年度、教育研究所において教育の情報化に対応する二つの新たな取り組みをスタートいたしております。 一つ目は、ICT機器の活用による効果的な指導法を紹介する教育用コンテンツの蓄積でございます。 二つ目は、プログラミング教育を手始めに、今後導入が進むと思われます、スティーム教育、S、T、E、A、M、これは、科学、技術、工学、芸術、数学の頭文字でございまして、スティーム教育、これを推進する教員を養成するための研修プログラムでございます。つい最近行いました一回目の研修講座でございますけれども、グーグルの統括部長であるスチュアート・ミラー氏による講演会、それから交流会を開催いたしました。残り四カ月ございますけれども、今年度でも十五回程度を予定いたしております。 教育の情報化は本県の喫緊の課題であり、プログラミング教育を免許更新の講習として継続して実施すること、また、先ほど述べました二つの取り組みをさらに充実、発展させるためにも、来年度には、教育研究所の組織を見直し、全県的な教育の情報化の推進活動を展開したいと考えております。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 中川産業・雇用振興部長。 ◎産業・雇用振興部長(中川裕介) (登壇)二番樋口議員から私に対しまして、産業振興に向けた取り組みにつきまして、二問ご質問をいただきました。 まず一つ目でございます。産業用地の創出についての取り組みの状況ということでお答えさせていただきます。 県では新たな雇用の場の創出や経済の活性化、税源涵養の充実を目指し、積極的な企業誘致に取り組んできております。平成十九年から平成三十年の十二年間で三百三十三件の企業立地を達成することができました。本県への企業立地に際しまして、大阪の本社や他の既存拠点への近接性、京阪神の都市部と比べ地価が安い、京奈和自動車道などインフラ整備が進んでいる、内陸県で津波等の災害の心配がないなど、評価されていると理解しております。しかし、好調な企業立地が続いている一方で、企業のニーズにお応えできるまとまった産業用地が少なくなっていることが本県の重要な課題と認識しております。このような状況を踏まえまして、企業の立地ニーズが高いと思われます京奈和自動車道や、西名阪自動車道の周辺地区をターゲットに工業ゾーン創出プロジェクトを進めてきております。 川西町では十月から企業募集を開始されます。田原本町では、今後、立地を検討されている企業が出てくるなど、一定の成果が出始めているところでございます。企業立地を推進するためには、常にまとまった産業用地を確保していくことが重要でございます。県では現在、企業立地のポテンシャルが高いと考えられます新しいエリアでの実現可能性について調査しているところでございます。その実現には、市町村の主体的な取り組みが重要であると考えておりまして、市町村の取り組み意向を確認しながら、産業用地の創出に努めてまいります。 続きまして、二つ目のご質問でございます。産業クラスターの形成に向けまして、産官学連携のもと、その取り組みについてのご質問でございます。お答えをさせていただきます。 県では産業振興につながります研究開発を効果的かつ効率的に推進するため、重点テーマについて、産学官で構成します研究コンソーシアム、研究の共同体でございますが、構築しております。また、県内企業の開発課題の解決を目指し、産業振興総合センターが中心となりまして、積極的に取り組んでいるところでございます。連携の具体的な成果といたしまして、奈良先端科学技術大学院大学と県内酒造組合が共同で開発いたしました、肝臓にやさしいオルニチンという成分を含んだ日本酒や奈良県立医科大学と県内機械メーカーがヘルスケア製品として運動機能の回復を助けるトレーニング機器を開発するなど、具体的な製品化に結びつく事例があらわれているところでございます。 また、現在進めています研究開発には、京都大学と大和郡山市の機械メーカーによります海水ポンプなどに応用する耐久性の高い部品の研究や奈良工業高等専門学校と生駒市の部品メーカーによります、航空機部品などへ応用する金属の加工技術についての研究がございます。また、産学官連携を一層深めるため、今年の十一月二十七日にDMG森精機、国立研究開発法人産業技術総合研究所、県内工業系高等学校と県内の研究機関、それぞれの技術者や教育関係者が集まりまして、金属加工の技術や人材育成に関する講演会を開催したところでございます。 今後とも、物づくりにつきまして、産学官連携を進め、研究開発プロジェクトを重点化して、産業集積の形成を目指すなど、本県産業の発展と活性化にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○副議長(森山賀文) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)二番樋口議員から私には、県有施設への民間活力の導入について、二点お尋ねでございます。 一点目は、県営住宅の空き住戸や建てかえにより生じる余剰地につきまして、民間活力の導入を積極的に活用していくべきと考えるが、現在の取り組みと今後の方針についてはどうかとのご質問でございます。 本県におきましては、県営住宅の空き住戸の増加を踏まえ、平成二十三年より橿原団地において、社会福祉法人と連携して、障害者向けグループホームへの貸し出しを実施しております。さらに、平城団地におきましては、近年増加する外国人留学生のための寮として利用するなど、地域の実情に対応した弾力的な活用に努めております。また、県営住宅の高層化建てかえに伴う余剰地につきましては、民間活力の導入を図るための幅広い検討を進めています。現在、建てかえを進めております県営住宅桜井団地では、桜井市と大福地区まちづくり連携協定を締結しまして、高齢者や子育て世代が地域に活き活きと住み続けられる多世代居住のまちづくりを基本コンセプトとしまして、建てかえに伴って生じる余剰地に民間のこども園や高齢者支援施設等の整備を検討しているところでございます。 既に建てかえを完了しました天理団地、小泉団地におきましても、生じた余剰地につきましては、立地環境や地域ニーズを踏まえ、利活用調査を実施しているところでございます。これら県営住宅の建物や敷地の活用につきましては、地域の課題を解決する有効な取り組みと考えておりまして、今後も引き続き、全国の優良事例を参考に、市町村との連携を深めて取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。 二点目は、県営都市公園について、民間活力導入を積極的に推進すべきと考えるが、Park-PFIの活用も含め、現在の取り組みと今後の方針についてはどうかというご質問でございます。 県営公園への民間活力の導入につきましては、運営の合理化や、にぎわいの創出などの効果が期待できるため積極的に導入すべきと考えております。本県の取組実績としましては、まほろば健康パークでPFI制度を活用しまして、民間のノウハウを生かしたスポーツ施設の整備を行い、指定管理者制度により民間事業者が運営を行っているところでございます。開園から五年が経過し、公園の利用者数は初年度の十七万四千人から、昨年度は三十二万五千人となり、順調に成果が上がってきております。 また、奈良公園におきましては、奥深い魅力を感じてゆっくりと訪れていただくことを目的に、都市公園法に基づく設置管理許可制度を活用しまして、公園内に民間事業者による上質な宿泊施設の整備を進めております。来春オープン予定の施設もございまして、奈良公園の魅力のさらなる向上につながるものと期待しているところでございます。 議員お述べのPark-PFIは、民間事業者が公園内の飲食店や売店など利用者の利便性向上に資する施設の整備運営と、これら施設から生じる収益を活用して、その周辺の園路や広場など公園施設の整備、改修、維持管理を一体的に行えるようにするものでございます。この新たな制度の活用によりまして、施設の老朽化が進んでいる公園の魅力アップや維持管理の充実など、多くの効果が期待できるため、本県としましても先進事例の研究等を進めているところでございます。 今後、各県営都市公園の立地特性やポテンシャルを生かし、この制度が活用できるか具体的に検討を進めたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) ご答弁ありがとうございます。何点か再質問並びに要望、提案ということをさせていただきたいと思います。 まず、学校教育の情報化の推進に向けた取り組みについて、何点か質問させていただきたいと思います。 まず、先ほども申し上げましたように、全ての教員が情報端末を活用してこれまでと違った形での教育、学習指導をやっていかなければならないということで、端末が一定程度配備されていく経過の中で、なかなか教員が一斉に同じ能力を持って、同じレベルで授業ができるという状況をつくるというのは難しいのかと、やっぱり段階的にということになってくると。その段階段階で、フォローアップしていく人員配置といったものも必要になってこようかと思います。 特に小学校については、一人の教員が全ての科目を見ないといけない、それぞれ科目ごとに指導の仕方も変わってくる、こういう状況に対してどういう形でのフォローアップが可能なのか、このあたりをぼちぼち考えて、手を打っていかないといけないとも思うのですけれども、このあたり何か考えているところはございますでしょうか。 ○副議長(森山賀文) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) まず、小学校の先生、全ての科目を一人で教えるということで、なかなか授業の準備が大変であるというふうな結果も出ております。そういった結果を踏まえますと、やはり教育コンテンツをしっかり整備してあげるということが大事ではないか。今、いろいろな業者がいろいろな教育コンテンツを準備しておりますけれども、研究所の方で小学校の教育に何が有効であるかということをしっかり考えながら、そういった準備を今後も進めていくということが一点でございます。 それから、一昨年度までは研修講座は限られた人間に対しまして、あるいは限られた学校に対しまして実施しておりました。免許更新講習を、これは十年に一回更新しますので十年間続けるとほぼ全教員が対象になるわけでございますけれども、昨年度、今年度と実施をいたしております。これは最低でも五年続ける必要があるのかという思いを持っております。 それから、スティーム教育というのは、やはりかなり高度なスキルを必要としますので、この教育を推進するためにも研修会をスタートさせました。これも、先ほど言いましたように四カ月で十五回程度準備いたしておりますので、三年間で約百回程度にまで拡充をしたいと、このように考えております。 ○副議長(森山賀文) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) わかりました。ただ、やっぱり聞いていて、全ての教員の育ちを待つというふうにも聞こえてくるのですけれども、なかなかそこまで児童生徒が待てるのかということだと思うのです。政府の方でも、四年後の二〇二三年度までには小・中学校全ての児童生徒が一人一台の情報端末を使える環境を整えていくということで、これは経済対策に具体的に盛り込んで閣議決定までしたという状況がありますので、これは早晩進んでいく話だと思うのです。そのときに機械はあるけれども、コンテンツもあるけれども、それを活用できる人材がまだ整っていませんということではちょっと困るわけです。そのあたりをどう考えているのかと。 ここには速やかに手を打っていく必要がある。全てを待つということは、イコール全ての人材をきっちり育成するということ、これはなかなかやっぱり時間のかかる話なので、となると、そこをフォローする人材はどういう形の人材が必要なのか、その人材をどこに張りつけていくのか、こういうことを絶対考えていく必要があると思うので、そこはきちんと考え切って実行していっていただきたいと思うのですけれども、もし何かお答えがあれば。 ○副議長(森山賀文) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) 今申し上げましたのは、ほぼ三年間で全教員対象に研修ができる体制を整えていきたいということと、今、エバンジェリスト、要するに情報教育のリーダーは既に養成をいたしておりまして、この養成は継続して実施しながら地教委に適切に配置し、そして地教委の中で、学校の中でリーダー的な指導的な役割を果たしていただけると、そのように思っております。 ○副議長(森山賀文) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) わかりました。三年あればそろうのだということ、これを信用しておきます。もし難しければ、やっぱりこの部分での専門人員をそこのフォローに充てるとか、そういう人の配置ということも考えていく必要があるかと思います。そこはまた考えていただく話かと思います。 それと先ほども申しましたように、教育のやり方、指導方法そのものが大転換期にあるということだと思います。先ほど令和二年度には、教育研究所の体制強化を図ってということでありますが、せんだって伺って状況を聞いていますと、三名の方が兼任、兼務でやっておられるということで、大丈夫なのかと。やらないといけないことが多分山積みで、先ほどコンテンツの話をされていましたけれども、当然、これのいいものを選んでいくという選別するところから始まって、それを使ってどんな指導をしていくんだと。それを考えた後に、それをまた全教員に伝えていくというそういう作業があるわけです。それがどの学年で、あるいはどの教科でということになると、すごく多様なコンテンツなり指導法ということをそろえていかないといけない。これを三人でやるというのは、もちろんそれはできない話だと思いますし。 そうなると各教科あるいは小中高という各発達段階でどうするというところを、考えられる人たちがプロジェクトチームを組んで、そこに当たっていくということも必要になってくるとも思いますので、そのあたり、来年度からというところの構想の中にそこは含まれているのかどうか、この点だけお伺いできますか。 ○副議長(森山賀文) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) 当然含まれております。今まで研究所は教科の指導を中心に、学校教育課と一緒になって学校へ指導に行っておりましたけれども、教育研究所は教科の指導というよりも教科にかかわっては、情報教育という担当の指導ができる、そういった体制、チームをつくるのか、あるいは部を拡大拡充するのか検討してまいりたいと思います。 ○副議長(森山賀文) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) わかりました。そこは早急に整えていって、もうこれは待ったなしの話で、すぐに実行に移していっていただきたいと思います。 いずれにしても、どういう手順で、どう全県に展開していくのかということについては、恐らく、今、考えておられる、あるいは策定作業中と、国の計画待ちということもあるのでしょうけれども、学校教育情報化推進計画、これの奈良県版をつくるということで、その中で一定示されていく話だろうと思いますけれども、いつ、誰が、何をするかというところの具体的なロードマップみたいなものも、この三年、五年というところを照準に当てて考えていっていただきたいと思いますので、これは要望といいますか提案しておきます。 教育の話はこれまでにしまして、次に、産業振興に向けた取り組みについて、これは質問ということではないのですが、何点か要望、提案をさせていただきたいと思います。 まず一点目なのですけれども、産業用地の創出という部分について、先ほどの部長のご答弁の中で、京奈和自動車道、西名阪自動車道という既存の道路だけではなくてと、こういう言い方はされていないですね、沿道だけではなくて新たにポテンシャルの高いところについては、これから用地創出というところについての取り組み、あるいは方針を検討していっていますということなので、その言葉を手がかりに物を申させていただきますと、事業中の道路というのが奈良県の中にも幾つかあると思うのです。 例えば、清滝生駒道路、これは大阪とのアクセスを向上させていく基幹的な道路の一つだと思うのですけれども、私は生駒市選挙区選出ということなので生駒市のことを申し上げますが、やっぱりそういう整備中の道路について、でき上がってから用地を手当していては時流に乗りおくれるというか、そのときの景気の状況によっては、なかなか埋まらない状況が生じてしまうということなので、道路のでき上がりに合わせて一定、用地の提供、あるいは創出ということをやっていかないといけない。事業の進捗状況を見ながらそういう構えをしていっていただきたいと思います。 特に生駒市の場合は、北田原の工業団地という具体的にも集積のあるところですし、東大阪市の近隣というところの位置関係にもありますので、立地ニーズ、ポテンシャルはかなり高いところかと思います。そのあたりについて、これは先ほどの話ですと、地元自治体がどう考えているかということによってくるわけですけれども、もし、生駒市あたりがこういうことを考えているから協力してくれということで来られた場合には、ぜひ、協力していただきたいと思います。これは切にお願いしておきます。 こういう用地の創出をしていくときに、やっぱりお金の話というのがどうしても市町村にとってはネックになってくる部分もあると。税収がふえるから市町村でそこは負担していくべきという論もあると思うのですが、県についても一定、税収増というところにかかってくるわけですから、例えば、そういう財政的な支援ということについても、また考えていただきたいと思います。 それと、産学官連携の話についてですけれども、今、いろいろテーマは掲げてやっていますということ、これはありがたい話だと。やっぱり年間三つ、四つ必ずいろいろなテーマが同時並行で動いていると。その中から一定成果が見えてくるという状況、これがやっぱり県の産業を興していくための非常に大事な動きだと思いますので、それをやっていくときに、先ほど産業振興総合センターの話もございましたけれども、こういうところが県の公設の機関ということでありますので、やっぱり中心になっていかないといけないところかと思っています。ただ、今の現状を見ていますとなかなかそういう動きというのが、私自身、外から見ているだけなので、やっていますよということなのかもしれませんけれども、やっぱり見えてこない部分もあると。 どういう研究テーマをこれからやっていくべきなのか、あるいはどういうシーズがどこにあって、それを動かすためのファンドはどんなものが使えるのか、こういうことを情報として得て、相談があったときにちゃんとお勧めできる、あとつないでいくというコーディネート機能的なものをもっと強化していかないと、先ほど申し上げたような複数テーマ、どんどん動かしていくということができないのかと。このあたりにもう少し力をぜひ入れていただきたいと思いますのと、あと、産業集積の創出ということは手がけておられるのですけれども、クラスター形成ということでいきますと、テーマをどう決めていくんだとか、そういうビジョンというよりも戦略、奈良県ではどういうところを追っかけていくんだという、そういう戦略みたいなものを持って、企業の誘致なりということもやっていただく必要があるかと思いますので、その戦略づくり。それで、その戦略は固定的なものでは絶対なくて、いろいろな集積資源の変化に合わせて考え直していくということも必要ですので、そのあたりの見直しの仕方とか、そういう仕組みも含めてぜひまた考えていただきたいと思います。これはご提案というか要望として申し上げておきます。 これも言いっ放しで申しわけないのですけれども、次に、県資産の民間活力の導入のことについて、何点かお話をさせていただきます。 県営住宅についてはいろいろもう既に取り組んでおられるということなので、これをさらにどんどん追求していっていただきたいと思います。一つ、所得基準を満たさない子育て世帯の入居とか、こういう目的外の利用になる部分もあるかと思うのですけれども、そのあたりも可能性として、先ほど外国人の居住ということもおっしゃっていましたけれども、ミクストコミュニティーみたいな話の中でまた展開していっていただきたいと思います。 あと、奈良公園というところで、これは本当に観光資源としては貴重な一千万人を超える年間の利用者がいるということで、そこの人たちに対してどういうサービスを提供していくかということは、これは突き詰めて考えていく必要があると思うので、このあたりについて具体的に民間の集客イベントとか、飲食物販、こういった収益性に着目した取り組みというのはどんな形で今、進められようとしているのか。そのあたりの考えとか取り組み状況みたいなものがあれば、再度お聞かせいただけますでしょうか。 ○副議長(森山賀文) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) 奈良公園は貴重な文化遺産として、国から名勝指定されておりまして、県としましても既にシェフェスタであるとか、なら燈花会とかなら瑠璃絵とか、いろいろなイベントをしているところでございます。これは実行委員会方式でやっているところでございますけれども、今後もさらなるそういった取り組みを進めていきたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(森山賀文) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) 最後にしておきますが、奈良公園に関しては、そういういろいろ取り組みができる空間が大事だと思うのです。大きな空間デザインとか、そのあたりをぜひまた考えていただきたいと。例えば、国際コンペして海外からの知恵をかりるとか、こういうことも含めてまたご検討をいただきたいと思います。以上でございます。 ○副議長(森山賀文) 次に、三十八番中村昭議員に発言を許します。--三十八番中村昭議員。(拍手) ◆三十八番(中村昭) (登壇)節気も大雪へと移り、これから、本格的な冬の到来を迎える季節となりました。冬来たりなば春遠からじとは、イギリスの詩人、シェリーの詩の一部でありますが、我が国でも歌人、清原深養父はちょうどこの季節の雪の舞い落ちる風景を眺めつつ、冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむと、春への憧れを詠じております。私も来るべき春の訪れを望みつつ、質問に入りたいと思います。 まず初めに、なら食と農の魅力創造国際大学校を核としたにぎわいづくりについてお伺いをいたします。 NAFICを核としたにぎわいづくりにつきましては、去る平成三十一年二月の代表質問でも取り上げ、セミナーハウス建設地のすぐれた景観を利用した、一般の方々にも気軽に利用できる施設整備や、NAFIC周辺地域を中和地域の一大文化・観光・教育拠点として、さらなる整備を進める取り組みが必要であることを提案させていただき、知事からは、眺望を生かしたセミナーハウスの整備や、その活用方法、そして地元と連携した周辺地域のにぎわいづくりについて、しっかり検討を進めてまいりたいとの答弁をいただきました。NAFICの附属施設として整備が進められているセミナーハウスにつきましては、現在、造成工事が完了したところでございますが、今年の二月議会でも申し上げましたように、地域の住民も気軽に楽しめる特色ある多彩な食を提供する施設などを併設してはどうかと考えております。 例えば、農作物の獣害対策にもつながる鹿、イノシシなどのジビエの活用や、今年の夏、商業捕鯨が再開された鯨肉の活用、多くの世代に人気のあるジンギスカン料理など、さまざまなアイデアがございます。従来から、地域の活性化や観光の振興を図っていくには、中核となる拠点の整備を行うことにより、地域に人を呼び込み、にぎわいを創出することが有効な手法の一つであると考えております。荒井知事の就任以降、宿泊施設の少ない本県において、県北部では奈良公園、大宮通りを中心に、大宮通り新ホテル・交流拠点や奈良公園の吉城園周辺地区、高畑町裁判所跡地に宿泊施設を整備するなど、滞在を念頭に置いた拠点整備を進めておられます。 また、天理市におきましても、現在、文化芸術の一大拠点として整備されている、なら歴史芸術文化村には宿泊施設も併設され、完成後はこの地域の活性化に大きな効果をもたらすものと思われます。このような整備が進む中、県内の周遊観光を考える上で、県北部と中南和地域の間に位置し、日本のはじまりの地でもあります、大和王権の発祥の地でもある明日香や、藤原宮跡などの歴史文化資源にも隣接しておるNAFICの周辺地域は周遊観光の中核的な拠点となるポテンシャルを有していると考えております。滞在型の観光客を呼び込み、中南和への交流人口のさらなる増加や地域の活性化を図るためには、一定のグレードを持った宿泊施設が必要であると考えております。 そこで知事にお伺いをいたします。 NAFIC周辺地域は、県の周遊観光を考える上で中核的な拠点施設となり得ると考えておりますが、この地域のさらなる活性化についてどのように考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、県中南部における周遊観光についてお伺いをいたします。 県では荒井知事の就任以来、観光振興に積極的に取り組んでこられ、海外や首都圏へのトップセールスなどのプロモーション活動を展開され、また、ホテル誘致に取り組まれ、来春完成予定のJWマリオットホテルをはじめとする成果を上げておられます。その結果、奈良県を訪れる観光客は右肩上がりに増加し、平成二十九年に奈良県を訪れた観光客は四千四百二十万人に達しました。しかしながら、これを奈良市を中心とするエリア、すなわち奈良市や生駒市や山添村とそれ以外のエリアに分けてみますと、奈良市を中心とするエリアは平成二十五年から五割以上も増加しているのに対し、県中南部などその他の地域においては、平成二十五年から一割程度しか伸びておりません。 奈良県中南部には、奈良時代からさらに歴史をはるかにさかのぼった上古の時代からの歴史・文化資源が数多く存在いたしております。私の地元である桜井市だけをとってみましても、大和朝廷の起源にかかわる神話の舞台である大神神社、古代史のハイライトである大化の改新にまつわる伝説に彩られた談山神社に加え、邪馬台国の女王である卑弥呼の墓ではないかとも言われている箸墓古墳、初期大和政権発祥の地とも邪馬台国の中心とも言われている纒向遺跡などの全国に名高い社寺、旧跡のほか、相撲発祥の地である相撲神社、仏教伝来の地である海柘榴市、万葉集発祥の地である白山神社、芸能発祥の地である土舞台など、旅行商品の素材となり得るバラエティーに富んだ文化資源が豊富に所在いたしております。 また、食の面におきましても、三輪そうめん、柿の葉すし、地酒などうまいものに恵まれており、さらに宿泊に関しましては、オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井のほか、来年一月には、桜井駅前にもホテルが誕生いたします。これほど観光におけるポテンシャルの高いエリアは、日本全国を見回してもまれではないでしょうか。これだけ豊富な観光資源に恵まれているにもかかわらず、なぜ、なかなか旅行商品に取り上げられないのか不思議でなりません。市町村や観光関連事業者の努力はもちろん必要でございますが、県において、もっとしっかり旅行会社などに奈良県中南部の魅力をPRし、中南部をメーンとした周遊観光を楽しんでいただける取り組みを強力に進めるべきだと考えております。 そこで、観光局長にお伺いをいたします。 豊富な観光資源に恵まれている奈良県中南部における周遊観光を促すために、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、所見をお伺いいたします。 次に、病院機能の向上への支援についてお伺いをいたします。 さきにも中野議員が取り上げられましたが、厚生労働省は公立病院と公的病院のうち、地域で各病院の役割の再検証を要請する病院のリストを公表されました。その病院の一つに、私の地元の桜井市にある済生会中和病院の名前もありました。済生会中和病院は、さまざまな診療科を有し、急性期の医療から自宅に帰って生活してもらうための回復期の医療まで幅広く担ってもらっており、桜井市内はもちろん、宇陀市をはじめ、近隣地域の中核的病院であります。文字どおり、地域医療支援病院であり、地域がん診療連携支援病院であり、災害拠点病院でもあります。このような病院が役割を再検証すべき病院として名指しされたこと自体が本当に不思議であります。 これに対し県は、病院の統合や廃止ありきで考えるのではなく、地域のニーズに合わせたより適切な医療の提供を目指して、地域で議論していくとのことでございますので、地域医療構想調整会議など、地域における議論を注意深く見守りたいと考えております。 さて、地域のニーズに関してでありますが、県内では、高齢者、中でも七十五歳以上の後期高齢者が年々増加いたしております。高齢者になると多かれ少なかれ、介護サービスのお世話になっております。そして、さまざまな病気を抱え、それぞれの病気は完治することなく、自宅や施設と病院とを往復することになりがちであります。そうなると地域の病院では、これまでのように入院中の治療に専念するだけでは、もはや地域住民のニーズに応えることはできません。地域のかかりつけ診療所や介護事業所と連携し、在宅医療や患者の退院後の生活を支えることは大いに必要とされると思います。在宅患者が急に調子が悪くなれば、いつでも受け入れてもらわなければなりません。そして、退院して自宅などで生活を送ろうと思えば、まず、食事や排せつの自立が重要でございますし、リハビリも必要になってまいります。 県では、救急医療や高度医療に責任を持って対応する断らない病院に対し、これら地域において、高齢患者の生活全体を支える病院を面倒見のいい病院と名づけられました。この面倒見のいい病院というネーミングは、これからは、病院が地域で面倒見よく患者の生活を支えることが大事だという、目指すべき方向性を示したものと理解をいたしておりますが、今後、面倒見のいい病院が、より具体的に機能強化に取り組むことが求められています。 そこで医療政策局長にお伺いをいたします。 高齢化の進展により地域のニーズが変化する中、面倒見のいい病院の機能を向上させるために、県としてどのように病院を支援していくのか、お答えを願いたいと思います。 次に、外国人労働者の受け入れについてお伺いをいたします。 本県の有効求人倍率が非常に高くなっている一方で、県内で人手不足が深刻化いたしております。景気回復で仕事の注文はふえているものの、人手不足のために仕事を受けられず、倒産を余儀なくされてしまう中小企業、中でも小規模、零細企業の倒産がふえていると聞いており、心を痛めておる者の一人であります。知事は奈良県経済の発展に向けて全力で取り組んでおられますが、その実現に向けては、特に人手不足が顕著になっている業界において、しっかりと労働力を確保していかなければなりません。しかし、少子高齢化とそれによる国内人口の減少が続く中、国内の労働力でそれに対応していくのは限界があり、今後は外国人の労働力に期待せざるを得ないのではないかと考えております。 外国人による労働力の確保につきましては、既に本県でも民間企業において技能実習制度を積極的に活用しておられ、結果として会社の戦力にもつながっているケースもふえております。企業においては、中国やベトナムなどの海外へ行って就労対象者を探すなど、大変な努力をされていると伺っております。しかし、現行の技能実習制度などは、外国人労働力の本格的な確保の手法としては、さまざまな課題や制約がございます。 そこで、国におきましては、本年四月一日から新たな外国人の受け入れ制度を設け、国内の人手不足を解消するため、積極的に外国人雇用に取り組もうとしております。この新たな制度により、国の当初の計画では、五年間で最大約三十四万五千人の受け入れを行うこととされております。本県においても、県経済のさらなる発展に向けて、この国の大方針に呼応し、人手不足が顕著になっている業界を主なターゲットとして、県が先頭に立って目標感を持って、積極的に外国人労働者の受け入れに取り組んでいくべきと考えております。 そこで、産業・雇用振興部長にお伺いをします。 本県の外国人労働者について、在留資格別、産業別に現在どれくらいの方が働いているのか、お答えをいただきたいと思います。また今後、県では、外国人労働者のさらなる受け入れに向けてどのように取り組んでいかれるのかをお答えいただきたいと思います。 最後に、防災・減災のための河川の維持管理についてであります。 本年も梅雨の時期以降、豪雨による災害が続発いたしました。九月以降は毎週のように台風が日本に接近し、各地に被害をもたらしました。特に十月の台風十九号は、関東甲信、東北地方を中心に広い範囲に記録的な豪雨を引き起こし、その結果、河川からの越水や堤防の決壊が至るところで生じ、百名近くの方々がお亡くなりになるなど、甚大な浸水被害が発生したことは記憶に新しいところであります。もし、このときのような豪雨が本県内に降り注いだ場合、内陸県である本県から県外に流出する一級河川は限られていることから、県内の至るところで、越水や堤防の決壊が相次ぎ、非常に大きな被害が発生していたのではないかと肝を冷やしているところであります。 実際、台風十九号による大雨の影響は県内にも及んでおり、十月十二日には、私の地元である桜井市内を流れる大和川や寺川の流域を含む広い範囲で避難準備情報や避難勧告が発令されておりました。このような大型の台風や猛烈なゲリラ豪雨などによる浸水等の被害の頻発化、激甚化に伴い、桜井市内の大和川や寺川の流域のような市街地及び周辺地域において、避難準備情報や避難勧告が発令されるケースがふえているように思います。その背景には、地球温暖化等による気象変動の影響に加えまして、これまでの住宅開発や大規模店舗の立地などによる土地利用の変化、田畑の減少などにより土地の保水力が低下し、大雨が降れば一気に河川に水が流れ込んでくるという事態となっていることも関係していると思われます。 その一方で、大和川や寺川の維持管理の状況を見てまいりますと、堆積土砂により流水が阻害されたり、堆積した土砂や堤防のり面から大きな樹木が生えている箇所も多いように思います。地域住民の方からも、大雨が降ったら川の水位がすぐに上がって、水があふれ出るのではないかという心配の声を大雨のたびに聞いております。河川を抜本的に改修する改良工事ももちろん非常に大切ではございますが、特に大和川や寺川周辺のような避難準備情報や避難勧告がしばしば発令される地域の河川につきましては、定期的に堆積土砂の撤去や、樹木伐採を行うなど、維持管理を計画的に行い、河川における防災・減災を確実に進めることも重要ではないかと思います。 そこで、県土マネジメント部長にお伺いをいたします。 近年のゲリラ豪雨や、台風による浸水被害が頻発化、激甚化する中、住民の方々の不安を軽減し、命と暮らしを守るためにも、県管理河川における堆積土砂の撤去や、樹木伐採を計画的に進める必要があると考えておりますが、県における現在の取り組み状況はいかがか。また、今後、この問題に対して県はどのような見通しを立てて対処していこうとされているのか、これは、大和川、寺川だけの問題ではなく、奈良県全体の問題でもあると考えております。 以上で私の質問を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三十八番中村議員のご質問がございました。私に対しましては、なら食と農の魅力創造国際大学校、NAFICを核としたにぎわいづくりの考え方についてのご質問でございます。 NAFICにおいて整備を進めているセミナーハウスにつきましては、食と農に関する学習・研修拠点として、令和四年度中のオープンを目指しております。このセミナーハウスは高台に位置しておりますので、景色を楽しめるウッドデッキやバーベキュー設備等も整備し、眺望のよいところで桜井のおいしいものを食べていただきたいと考えております。また、行政、地元農家や飲食店、関係団体が周辺のにぎわいづくりを一丸となって進めていただくため、本年八月、地元桜井市と連携し、推進母体となるNAFIC周辺賑わいづくり協議会を立ち上げました。現在、食と農をテーマとして、農業・農村体験、最新技術を活用した農業研修の開催などについて検討を進めております。 この地域は県北部から山の辺の道を通り、明日香へつながる場所に位置しております。近隣にございます、飛鳥・藤原の宮都が世界遺産に登録された際には、周遊観光の拠点として活躍の期待がさらに高まるものと考えております。このため、眺望のよい地域の特性を生かしたこの地域の最頂上に宿泊施設等の集客施設を誘致できないか、民間事業者の意見を聞きながら検討を始めたところでございます。NAFIC周辺地域を盛り上げることで、中南部地域への周遊観光の拠点となるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。 残余は関係局部長からご答弁をさせていただきます。 ○副議長(森山賀文) 折原観光局長。 ◎観光局長(折原英人) (登壇)三十八番中村議員から私へは、県中南部における周遊観光について、お尋ねいただきました。お答えいたします。 本県の観光振興に当たりましては、県全体の豊富で多様な観光資源を最大限に活用いたしまして、観光地としての奈良の魅力づくりと、対外プロモーションを強力に進めることによりまして、県域全体への移動、周遊を促していくことが重要と考えてございます。議員お述べの中南部地域におきましては、観光地としての奈良の魅力づくりとして、宿泊施設の質と量の充実が重要と考えてございます。 社寺は地域の重要な歴史文化資源でございますけれども、拝観に加えて、座禅や写経などの文化体験が可能な社寺が多く存在しており、インバウンドの関心が高くなっております。海外では修道院や寺院を活用した宿泊施設が人気でございまして、また、宿泊施設として活用されております宿坊は全国で約三百カ所あると承知してございます。このことから本県におきましても、日本財団のプロジェクトと連携いたしまして、社寺を活用したユニークな体験型宿泊コンテンツの開発に取り組んでいきたいと考えてございます。 また、食の魅力の向上も重要と考えてございます。NAFICにおきましては、食と農のトップランナーを育成しているところでございますけれども、こうした人材など、意欲ある起業家による良質なレストランの開業を促進したいと考えてございます。加えまして、スペインのバスク・クリナリー・センターとの連携について協議を進めてございます。こうした連携をもとにいたしまして、UNWTOが開催するガストロノミーツーリズム世界フォーラムを本県に誘致するなど、食と観光の連携によるガストロノミーツーリズムを推進したいと考えてございます。 他方、対外プロモーションにつきましては、JRなど公共交通機関とのタイアップなどにより誘客を促進してございます。本年は主に首都圏を中心としてJR東海が展開しております、うましうるわし奈良キャンペーンにおきまして、長谷寺から始まる奈良大和四寺の旅といたしまして、室生寺、岡寺、安倍文殊院を含めた四寺が取り上げられました。このことから県におきまして、これらの社寺などにおける特別企画を盛り込んだ旅行商品を造成して販売を促進したところでございます。 さらに今後、おおさか東線の全線開業と、これに伴う奈良・新大阪間を結ぶ直通快速列車の運行が一周年を迎える機会を捉えまして、JR西日本と連携いたしまして、新元号令和にちなんだ万葉のふるさとをテーマにしたラッピングトレインを運行するなど、中国エリアや九州エリアからの誘客についても強化することとしてございます。引き続き、本県の有します自然・歴史・文化資源を戦略的に活用いたしまして、対外プロモーションの強化を図ってまいりたいと考えてございます。以上でございます。ご質問、ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)三十八番中村議員よりご質問いただきました。 私には、病院機能の向上への支援について、特に面倒見のいい病院の機能を向上させるための支援について、ご質問いただきました。お答えいたします。 議員お述べのとおり、少子高齢化社会の進展に伴い、病院完結型から地域全体で治し支える地域完結型の医療に転換が迫られています。そのためにはリハビリの実施、在宅医療・介護との連携、在宅患者の急変時の対応など、高齢者の生活全体を支える病院が必要です。県では、このような機能を備えた、面倒見のいい病院という病院像を打ち出しました。そして、機能向上を支援するため、昨年度に医師や訪問看護師、ケアマネジャーなど、地域包括ケアに関係する方々からご意見を伺い、高齢者の生活全体を支えるために必要とされる機能を入退院支援・介護連携、食と排せつの自立への取り組みなど、七つの分野に整理しました。その上で、分野ごとに診療報酬算定件数などを用いて指標を作成し、病院ごとにその結果を提示しました。この指標化により、病院はみずからの強みと弱みを知ることができ、進むべき目標が明確化され、必要とされる機能の強化に具体的に取り組むことができます。 さらに今年度は、指標のブラッシュアップを行うとともに、優良事例集の発行や、毎回テーマや手法を変えた合計四回のシンポジウムを計画しています。これによって経営層だけでなく、現場の方々の意識が変わり、他病院の進んだ取り組みの横展開や、みずからの弱みを補完するための新たな連携が進むことを期待しています。シンポジウムには、医療、介護関係者を対象として既に二回実施しましたが、各回二百名を超える方が参加され、関係者の関心の高さがうかがわれます。 このような取り組みを継続することにより、面倒見のいい病院全体の機能向上を図り、これからの奈良県に必要な医療が効果的かつ効率的に提供されるよう努めてまいります。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 中川産業・雇用振興部長。 ◎産業・雇用振興部長(中川裕介) (登壇)三十八番中村議員から私に対しまして、外国人労働者の受け入れについてのご質問をいただきました。お答えさせていただきます。 厚生労働省の調査では県内におきまして、昨年十月末で四千百十六人の外国人の方々が働いておられるということでございます。在留資格別に言いますと、技能実習生が一千八百五人、全体の半分近くを占めておられまして、続きまして、永住者や日系三世などの身分に基づく方が九百七十七人の順になっております。また、産業別では製造業で働く方が一千九百五十人で全体の半分を占めておられ、続いて、建設業で三百五十九人という順になっております。 議員お述べのとおり、本県の十月の就業地別有効求人倍率でございますが、一・六三倍と近畿で一位の高水準となっております。セクター別には、特に介護や建設、飲食関係の分野では、有効求人倍率が六倍を超えておりまして、人手不足の深刻さを認識しているところでございます。また一方、県内の大学には約七百五十名の留学生がおられます。特に、奈良先端科学技術大学院大学では、約二百五十名の方が数多くの分野の研究を行っておられます。これらの方々が県内企業で活躍していただくための取り組みが必要だと考えております。今年度は県内大学で学ぶ留学生や、また、県内企業を対象に県内就労ニーズ調査、分析を行っているところでございます。県内企業への就労につなげる方策を検討しているところです。 さらに、改正出入国管理法が四月から施行されました。これを契機に人手不足分野を所管する関係課も含めまして、外国人の受入拡大に係る庁内連絡会議を設けております。国の動きを注視するとともに、先進県の取り組みを収集し、関係課で情報の共有を図っているところです。 県といたしましては、今後、本県が外国人の県内事業所での円滑な就労や共生社会の実現の面で先進的な県となるよう、具体的な施策の展開を検討していきたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○副議長(森山賀文) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私には、堆積土砂の撤去や樹木伐採を計画的に進める必要があるが、どのように考えているかというご質問でございました。お答えさせていただきます。 河川の維持管理につきましては、県内各地域の方々からさまざまな要望をいただいております。議員言われました堆積土砂とか樹木伐採の要望も多くいただいてございます。河川の適正な管理が地域の身近な安全・安心の確保に大変重要であると認識しております。どのように進めるかということでございますが、水防上重要な河川では、土砂が河川断面のおおむね一割以上阻害している箇所を対象とし、その他の河川では阻害率の高い箇所において計画的に撤去を実施することで河川断面を確保し、洪水時でも安全に流下させています。 また、樹木伐採ですが、治水上の観点から流水の阻害が大きいものなどから優先順位をつけて順次取り組んでいるところでございます。特に今年度は、増額いただいております維持管理費の県単独費及び国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策予算を活用しまして、堆積土砂で県全体で八十三河川、約百八十カ所、去年の三倍程度の土砂を撤去してございます。樹木伐採も三十二河川で約三万五千本を予定してございます。 お問い合わせのありました桜井市内、大和川では九カ所で約一万五千立方メートルの堆積土砂の撤去と約七十本の樹木伐採、寺川では四カ所で約七千立方メートルの堆積土砂の撤去を十一月末から順次実施してございます。河川の維持管理も含めまして、公共事業は安定的かつ計画的に実施することが重要でございます。今後とも、必要な事業が着実に実施できるよう予算の確保に努め、安全・安心で快適な環境を求める県民の皆様のご期待に応えられるよう努力してまいります。以上です。 ○副議長(森山賀文) 三十八番中村昭議員。 ◆三十八番(中村昭) NAFICにつきまして、一昨日、菅官房長官が外国人の宿泊を確保するために、全国に五十カ所の高級ホテルを建設したい、そのために政府の財投資金等々、あらゆる資金援助をしたいというふうな記者会見をテレビで拝見いたしました。NAFICを中核とした中南和地域の発展のために、知事は意欲的に眺望のよい宿泊施設、温泉つきのホテルを考えていらっしゃいますが、外国人向けも含めてこの五十カ所の一カ所に立候補されてはいかがかと、このように思ってもおりますので、またご検討のほどをよろしくお願いいたしまして、発言を終わります。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(森山賀文) お諮りします。 十八番清水勉議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、十二月十日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時六分散会...