平成24年 2月 定例会(第306回) 平成二十四年 第三百六回
定例奈良県議会会議録 第五号 二月 平成二十四年三月八日(木曜日)午後一時
開議 -------------------------------- 出席議員(四十三名) 一番 小林茂樹 二番 井岡正徳 三番 大国正博 四番 阪口 保 五番 猪奥美里 六番 尾崎充典 七番 藤野良次 八番 太田 敦 九番 小林照代 一〇番 欠員 一一番 田中惟允 一二番 岡 史朗 一三番 畭 真夕美 一四番 浅川清仁 一五番 森山賀文 一六番 森川喜之 一七番 宮本次郎 一八番 山村幸穂 一九番 乾 浩之 二〇番 上田 悟 二一番 中野雅史 二二番
神田加津代 二三番 安井宏一 二四番 奥山博康 二五番 荻田義雄 二六番 山本進章 二七番 岩田国夫 二八番 高柳忠夫 二九番 今井光子 三〇番 和田恵治 三一番 松尾勇臣 三二番 国中憲治 三三番 辻本黎士 三四番 米田忠則 三五番 出口武男 三六番 新谷紘一 三七番 粒谷友示 三八番
秋本登志嗣 三九番 小泉米造 四〇番 中村 昭 四一番 藤本昭広 四二番 山下 力 四三番 梶川虔二 四四番
川口正志 -------------------------------- 議事日程一、当局に対する
一般質問 --------------------------------
○議長(国中憲治) これより本日の会議を開きます。 --------------------------------
○議長(国中憲治) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、二十五番
荻田義雄議員に発言を許します。--二十五番
荻田義雄議員。(拍手)
◆二十五番(荻田義雄) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、ただいまから県政に対する諸課題につきまして質問をいたしたいと思います。 質問に入ります前に、一言申し上げます。
東日本大震災、紀伊半島大水害により、昨年は、悲痛な思いの中での悲しみに絶えない一年でございました。そして、日本人の心と心のふれあいをより一層強め、きずなを再確認することができた一年でもありました。被災地の一日も早い復旧、復興を願うばかりでございます。また、天皇陛下におかれましては、震災発生後、三月末から七週連続で東北三県をはじめとする被災地や避難所をお見舞いになりました。被災された方々には、どれだけありがたく、そして勇気づけられたことでしょう。陛下は、その心労から体調を崩され、二月十八日、
心臓冠動脈の
バイパス手術をお受けになられました。どうかご静養に専念され、一日も早く快癒されますことを心からお祈り申し上げる次第でございます。 それでは、質問に入ります。 まず第一に、新
県立奈良病院についてでございます。 新
県立奈良病院は、平成二十八年度にオープンを目指し、六条山地区で開院するため、現在、事業実施に向けての病院の基本計画、基本設計を推し進められているところでございます。今日まで、
県立奈良病院をはじめ、ほかの病院を利用されている患者さんは、初診で来られても診察していただけることから、特に病院に隣接する身近な地域では、便利のよい病院としてご利用いただいてまいりました。 しかし、
高度医療拠点病院としての目的を持つ新
県立奈良病院は、がんに特化した病院であること、重篤な患者さん、さらに高度な医療を必要とする病院であるため、病院からの紹介状がなければ受診ができ得ないということでもございます。 この際、
高度医療拠点病院としての位置づけ、病院の内容を県民の方々にわかりやすく説明をするとともに、県民の納得のいく理解を得る必要があると存じます。知事のご所見をお聞かせください。 また、先日の出口議員に対する知事答弁の中で、新病院は
公立病院トップクラスの病院経営で、黒字経営も可能との
試算見通しを立てられました。しかし、単に新しい病院を建てるだけではなく、その実現は難しく、経営努力や人材確保や育成などの取り組みが不可欠でもあります。 そこで、新
県立奈良病院は、どのような病床規模に考えておいでになるのか、また今後、
トップクラスの経営を目指し、どのように取り組まれていこうとされているのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、
近鉄西ノ京駅から新病院への
交通アクセスについて、
まちづくり推進局長にお尋ねをいたします。 六条山地区の
自治連合会では、病院が開設することには賛成でもあります。しかし、交通の安全対策は、しっかりやってくださいよと強い要望が出されているところでございます。
近鉄西ノ京駅から新病院までの間は狭隘な市道であり、朝夕問わず歩行者、自転車の通行が絶えないところに、さらに新病院の開院ともなりますと、
交通渋滞等が起こり、また歩行者や
自転車利用者に危険が及ぶのではないかと危惧しているところでございます。 一例を申し上げますと、
近鉄西ノ京駅から新病院の
予定地方向に向かうバスの停留所は、駅から七十メートル余り西側にございます。今でも駅から歩道もない混雑する道を、車と車の間をくぐり抜けるようにして停留所まで歩いて行かれるわけでございます。県は、
近鉄西ノ京駅から新病院に至る市道の歩行者等に対する
交通安全対策について、どのように考えておられるのか。また、県は、奈良市との協議を始められたとお聞きをしています。どのような協議が進んでいるのか、その内容についてもお聞かせください。 次に、
県立奈良病院移転後の平松地区における
まちづくりについてであります。 代表質問でもございました。平松地区の
まちづくりについての知事の考え方はお聞きいたしましたが、少し観点を変えて質問させていただきたいと思います。 平松町、宝来町、さらに近隣地域からの要望等を受けて、県は、平成二十四年度から病院跡地について基本構想を取りまとめるべく、(仮称)平松地区の
まちづくりプロジェクトが発足をし、二月二十七日に奈良市、県による第一回目の
担当者会議が開催をされ、平松地区の
まちづくりについての協議がされましたと。 その中で、県は、
まちづくりの方向性として、身近な医療の確保、健康増進を図るための機能、介護、さらに高齢者の住まい、そして
子育て支援、特に病児保育など平松地区に導入すべき機能について協議をしていくとのことであり、地域での
協議会設置を踏まえて進めるとお聞きしています。今後どのように協議を進めていかれるのか、
医療政策部長にお尋ねをします。 次に、
ホテル誘致についてでお伺いいたします。 知事は、税収基盤の強化、観光振興を図るため、
県営プール跡地及び
奈良警察署用地への
ホテル誘致に向け、積極的な誘致活動に取り組んでおられました。四年近くが経過した現時点においても、
ホテル誘致の見通しはなく、現下の経済情勢は、非常に厳しいものがあると言わざるを得ません。 一方で、奈良と同様に歴史、文化等の観光資源を有する京都における
ホテル事情は、奈良とは少し違っているようであります。
東日本大震災後においても、京都市内の
主要ホテルの
客室稼働率は、昨年八〇%台を維持し、後半では、震災の影響から早くも持ち直したと聞いています。また、近鉄京都駅に新たなホテルが開業し、さらに三十三間堂の近くや鴨川沿いにも外資系の超
高級ホテルが進出計画を発表するなど次々と
ホテル立地が進んでいる状況でございます。 そこで、なぜ奈良は、京都のように
ホテル誘致が進まないのでしょうか。
県営プール跡地及び
奈良警察署用地への
ホテル誘致につきまして、現状を打開するためには、何かこれまでとは違う取り組みが必要だと考えておりますが、知事のご所見をお聞かせください。 次に、
奈良公園についてでございます。 今二月議会の冒頭、知事は、新年度における重点的な施策や所信を述べられました。その中で、観光の振興について、だれかがやってくれるであろう、人任せにするのではなく、県がイニシアチブをとって、豊富な観光素材を最大限に活用し、ポスト一三〇〇年祭の観光振興を大いに進めていくと表明されました。みずからリーダーシップをとって奈良県を牽引していきたいという知事の熱い思いを改めて感じたところでございます。平城遷都一三〇〇年祭が開催された平成二十二年には、四千三百九十二万人余りの人が奈良県にお越しになったようであります。大きな輝きを継続させることが大切でもあります。 先日、私は、
相国寺派管長であります
有馬頼底猊下の講演を聞く機会がございました。その中で、以前にテレビでも報道されましたけれども、京都市が昭和六十年、古都税と称して、寺社に拝観料一人当たり五十円を上乗せをして、十年間で百億円の税収を見込む計画がされたわけでございますが、仏教界が大きく反発をされ、拝観停止などにより、京都への観光客、収入ともに大きく落ち込んだことがございます。 そのため、仏教界が立ち上がり、
観光客誘発のために、京の花灯路、京の七夕、さらに荒廃した竹林の再整備を目的として、竹細工の明かりなどを実施をされ、平成二十二年の観光客数は、京都市で五千万人、京都府下では七千七百万人になり、京都のホテルや物産業界は大きくにぎわったと言われています。 要するに、黙っていても客は来ないんですよ。とにかく私たちが、地域の者が、あるいは寺社、そういったものがアクションを起こすことが大切なんですよ。先ほどの知事の思いと全く同じことでございます。そういう中で、大きな感銘を受けたところでございます。 奈良では、
春日山原始林など世界遺産を数多く抱え、恵まれた環境にある
奈良公園が奈良の観光振興の大きな核となり、推進力になることが不可欠でございます。近年は、
春日山原始林は、荒廃の危機に迫る状況にあります。 そこで、県は、
春日山原始林をはじめとする奥山一帯の保全について、新年度予算に計上されているところでございます。具体的にどのように推し進められていくのか、知事にお伺いをいたします。 ところで、私は、
常々観光客の
受け入れ体制として、おもてなしの心がやはり最も重要であると考えています。世界一の公園を目指す
奈良公園にとって、東大寺、興福寺や春日大社など寺社と一体となって取り組み、観光客が満足してお帰りをいただけることが何より求められていると思います。 そこで、今後の
奈良公園での取り組み、特に整備について、寺社等とどのように連携をして進められていかれるのか、あわせて知事にお尋ねをしたいと思います。 次に、
奈良公園管理事務所を新たに建設をされる
予定地東側にある大仏池のことについてお伺いをします。 この件については、私も以前に取り上げさせていただいたこともございます。大仏池は、
安土桃山時代、天正十七年にできた歴史のある池でもございます。満々と潤いのある池として、地域の方々に親しまれてきましたが、近年、上流からの土砂の流入により水面に映る大仏殿も寂しそうに小さくなっている有様でもあります。 この大仏池の昔の姿への復活を、写真家や文化人や、そして地域の方々は心待ちにしておいでになります。大仏池の管理は宮内庁であり、私も昨秋、
宮内庁書陵部に出向き、この対応方についてもお話をいたしました。私は、東大寺、正倉院事務所、県の連携した取り組みが必要であるとも思います。 この
大仏池周辺は、
奈良公園の北側の玄関口でもありますし、心いやされる景観地となっており、その周辺には、転害門、戒壇堂、正倉院などもあり、周遊できる
散策ルートの整備が望まれるところでございます。 そこで、今後、このルートを一つの
メーン道路として整備をしていく必要があると存じますけれども、
まちづくり推進局長のお考えをお聞かせください。 次に、
登大路観光駐車場の
ターミナル化についてお伺いをいたします。 大仏前、
高畑観光駐車場においては、昨年の秋から団体バスを対象にした
駐車場予約システムの運用が開始されました。
登大路観光駐車場の
ターミナル化については、これらとの連携や役割分担が最も重要であると思いますし、
奈良公園内での
交通渋滞解消に向け、今後の課題ともなっています。 そこで、新年度予算化されています
登大路観光駐車場の
ターミナル化に向けた今後の進め方について土木部長にお尋ねいたします。 最後に、農業振興について知事にお伺いいたします。 本県の農業は、いわゆる
都市近郊農業と言われて久しく、農作物としては、イチゴをはじめとして、柿、お茶、米、野菜を中心に栽培されてきた歴史がございます。 そこで、イチゴについてでございますけれども、奈良県では、県の育成品種であります
アスカルビー、そして古都華が生産をされ、JAならけんにおいて販路拡大にお努めをいただいています。また、旧奈良市農協が二十年前に導入した章姫、これは、静岡県の一農家が育成をされた品種ではありますけれども、二十年たった今も品種を変えずに取り組んでいる農家がほとんどでございます。それは、
アスカルビー等に比べて安定した収益があるからであります。このことは、県の
農業関係者の満足度だけが先行しているのではないかとの思いを禁じ得ません。 現在、全国的なブランドであります栃木県のとちおとめ、福岡県のあまおう、ともに全国一を目指し、知事が先導して活発な販路拡大に努めてこられました。 また、栃木県では、とちおとめが、
作付け面積全国一位を誇っておりますけれども、最近、栃木i二十七号が育成され、非常に好評を得ているということでもございます。 せっかく奈良のイチゴ等が全国一の
ブランド品として成功するには、
農業総合センターの研究員の資質や情熱が、最も不可欠でもあります。品種改良における今日までの取り組みと今後の方針をお聞かせください。 以上をもって壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(国中憲治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)二十五番荻田議員は、私をはじめ、
関係部局長に幾つかのご質問をされました。 まず、新
県立奈良病院についてのご質問がございました。私に対しましては、新
県立奈良病院の
高度医療拠点病院としての位置づけをわかりやすくもう少し言えないか、今後の経営の方向といった質問でございます。 県民の方々がどのような病院を望んでおられるのかということを少し考えてみますと、三つのご要望があるように思います。まず、何らかの病気を抱えながら生活されており、できるだけ通いやすい病院で治療を受けたいと思われる方々、また脳卒中や心筋梗塞などに思わずかかられ、急病の場合は、できるだけ早く治療を受けたいと思われる方々、さらにがんなどの命にかかわる病気は、できるだけいい病院で治療を受けたいと思われる方々、ちょっと種類が違うと思います。 最初は、身近な病院を望まれますし、二つ目の分野では、断らない病院を望まれますし、三つ目のがんなどでは、高度の治療の受けられる病院を望まれるというふうに思います。 現在の
医療提供体制のもとでは、限られた人員の中で工夫をされているわけですが、多くの軽症患者と重症患者を一つの医療機関で受け入れることは、今日の高度化、複雑化された医療のもとでは困難な状況にございます。優秀な専門医を軽度な疾患に、時間を多くとられることは、資源の浪費という指摘もあるものでございます。地域の医療機関が身近な医療か高度な医療か、役割を明確にし、県民にうまく選択をしていただくシステムが必要かと思います。三つのいずれの立場の県民も、ニーズにこたえるべく大事な方々でございますので、そのシステムを構築することで、よりよい医療を提供できるものになると思います。 そこで、新
県立奈良病院の役割ですが、現病院の機能と役割を見直すことにしておりますが、病床数は五百から六百床ということを考えております。北和地域の拠点病院として位置づけたいと思います。この拠点病院という意味は、具体的には、命にかかわる救急医療とがん治療を中心としたいと思います。今まで奈良になかった先進的、
専門的医療を提供する病院にしたいと思います。 一方、身近な医療の提供も重要でございます。また、医療とともに、高齢者の生活を支える
公共サービスの充実も必要でございます。そのため、病院のあります平松地区において、身近な
医療サービスを提供する取り組みをあわせて研究していきたいと思います。六条山地区では高度な病院、平松地区では身近な医療、サービスといったようなことで、医療提供をしていく方向で考えていきたいと思います。 このように、新しい体制の医療が整備された際には、医療機関の役割の違いについて、県民にご理解願うことがどうしても不可欠でございます。議員ご指摘のとおりでございますが、今後、県民であり、奈良をはじめ県庁の持つ各種の
広報ツールを通じて積極的に広報に努めて、地元の方々、また広く県民の方々の理解と納得を得ていきたいと思っております。 また、新
県立奈良病院の経営についてもご質問がございました。 新病院は、患者によし、職員によし、地域社会によしの三方よしの理念を持ってスタートさせたいと思いますが、それを実現していくためには、確かな経営感覚を持って、最適な医療を継続的に提供できる人材と仕組みが必要だと思います。 このため、県では、
病院経営講座をみずから開設して、経営力のある人材養成をし、医師をサポートする体制の整備に努める所存でございます。 さらに、新病院では、職員のための研修環境・教育体制の充実、働き続けられる職場環境を整備していきたいと思います。
医療スタッフがその能力を最大限発揮して、働きがいを感じる病院にしたいと思います。職員よしという項目を入れたのは、新
県立奈良病院がむしろ珍しい病院であろうかと思います。 次に、
ホテル誘致についてのご質問が私にございました。 現状打開を図るための新しい取り組みはないのかというご質問でございます。
県営プール跡地及び
奈良警察署跡地の
ホテル誘致につきましては、平城遷都一三〇〇年祭前に完成をしようという投資家がおられたので、その方向でできればと思ったわけでございますが、直後に
リーマンショックが起こり、その状況がまだ影響を与えている面もございます。私も何度も投資家の人たちに働きかけを直接行ってきましたが、最近では、次のようなことを重点的に説明を申し上げている次第でございます。 まず、奈良におけるホテルの施設数ですが、相変わらず
全国最下位でございますが、最近急速に増加している傾向がございます。また、それにもかかわらず、
客室稼働率は全国と同水準かやや上回る水準であること、また、宿泊客の消費額は、全国でも上位に位置するといったようなデータが出ております。そのようなデータを
ホテル市場の方々に、有望な市場ですよということを説明しております。 感触でございますが、これまで奈良は、地域として
ホテル誘致にあまり熱心でなかったじゃないですかといった言われ方をまだされます。投資先としてリサーチもしませんでしたといったようなことも、まず最初の言葉でございます。そのようなための情報提供、またリサーチの対象になるように働きかけることから始めなければならないマーケットであるということも事実でございました。 二つ目は、この当該地域は、平城宮跡や
奈良公園、西ノ京といった奈良の誇る観光地、あるいは世界にも誇れる観光地に極めて近いわけでございまして、それらをめぐる
周遊型観光拠点の適地になり得るということも説明をしております。 また、三つ目として、奈良は、観光素材、観光資源が実に豊富でございますが、持てる者の威力を十分発揮してきませんでしたということも正直に申し上げております。
平城宮跡歴史公園、国営公園になるんですよというようなこと、あるいは
奈良公園を立派に整備していこうと思っているんですよと。国宝の数は全国三位ですが、正倉院の国宝の数は、国宝で今、指定されていませんが、九千点もあって、日本有数の文化財の保有地でございますが、これを展示をするということだけでも、すごい威力になりますよといったようなことを宣伝しております。 四つ目は、交通の便でございますが、北和地域の幹線道路に囲まれて、関西空港や遠距離からすぐに来れる
道路アクセスがございます。そのような、近くにあるということも、
ホテル投資家が本当に知らなかったと言っておられます。 さらに、
リニア中央新幹線の新駅が近くに来ますよ、実現性が確実になってきていますよといったようなことも説明をしております。興味をやっと示し始めていただいているといった状況でございます。 さらに、事業者の投資意欲を引き出すための追加のアイディアを幾つか出しております。 一つ目は、平城宮跡の
朱雀大路西側区域の工場移転が決まりました。その跡地と、この当該地のホテルの施設と連携した活用提案も可能になるというふうに言っております。また、近くにありますイトーヨーカドーのような物販施設も、中国人のお客さんなどの免税店にもなる可能性もありますよといったことも言っております。 また、
当該ホテルの仕様といたしまして、イベントの広場をつくり、それを客室から鑑賞できるという全国的にもユニークなホテルを構想しております。広場空間における多様なイベントをしていただくことも可能ですよということを言っております。 また、ホテルは、この奈良に来られるお客さんの多様性を考え、グレードの高いホテルの客質もおりますが、その他
修学旅行生、外国人、中国人の方、韓国人の方も含めて多様な客層への対応をするホテルも可能ですよなどといったことをご説明をしております。 また、地元の努力でございますが、
オフシーズン対策に取り組んでいるということも最近の努力として言っております。なら瑠璃絵、
奈良マラソン、またことしから始まります
奈良音楽祭、また国際会議の人気のスポットであることなどをご説明して、ホテルの
有望投資先ということを売り込んでおります。 引き続き、
ホテル関係事業者への
セールス活動を、私みずから積極的に展開していかなければいけないと思っておりますが、努力が実ることになればと願っておる次第でございます。
奈良公園についてのご質問がございますが、
春日山原始林のことと
奈良公園の社寺等との
取り組み連携についてのご質問でございます。
奈良公園の価値は、
奈良公園の自然の資源、
歴史文化資源、公園資源などが融合した独特の風致景観を基本としたものであるというふうに思います。 今回、策定してご説明にまいっております
奈良公園基本戦略におきましては、この
奈良公園の価値を十分に維持するとともに、利活用するということ、それを推進する
取り組み体制を充実するということを中心にしておりますが、それとともに、県と社寺と関係者との関係を強化するという面も重要だと思っております。維持するものの中で、
春日山原始林は、天然記念物や世界遺産にも指定されております日本でも数少ない照葉樹林の原始林の一つでございます。それ自体に大変価値が高いものでございます。 しかしながら、近年、鹿などの影響によりまして、原始林の
主要構成種でありますシイ、カシなどの後継樹が育っておりません。かわって、
ナンキンハゼ等の外来種が浸入して、危機的な状況であると専門家などから指摘を受けております。 このため、
春日山原始林をはじめとする奥山一帯を将来にわたりきちんと残せるようなことをしなければいけないと思っております。(仮称)
春日山原始林再生計画を策定する予定でございます。来年度、有識者による委員会を立ち上げ、対策の検討も含め、さまざまな議論をしていきたいと思います。 この議論を進める中で、速効対策と中長期の取り組みがあると思います。すぐできる速効対策は、来年度にもすぐに実施できるようにしたいと思います。 次に、社寺等との連携でございますが、これまで各種のイベントを中心に連携をしてきております。にぎわいの創出や誘客の促進に効果がございました。 例えば、なら瑠璃絵におきましても、三社寺を光の回廊でつなぐことをテーマに実施し、また講演などもしていただき、多くの人々に好評を得ました。また、整備についても、公園区域と社寺境内地を分けることなく一体的に考える必要があろうかと思います。これが入りまじっているのが、いい面でもあり、整備の多少困難でもあったということでございます。案内サインやトイレ、照明などについても、積極的に社寺等と連携して、配置計画を立案して、体系的な整備を進めていきたいと思います。
奈良公園の社寺、また正倉院、また国立博物館などとの連携を深め、関係者の総力を結集して取り組みを進めたいと思います。この活性化のためには、地域活性化の特区というのがございますが、
奈良公園を対象に申請することも有力な考え方だと思っております。特区申請の検討を進めているところでございます。 最後に、農業振興についてのご質問が私にございました。 品種改良の取り組みと今後の方針ということでございます。 イチゴについての例を挙げられました。イチゴは、品種の戦国時代にあると言われておりますが、奈良は、そのイチゴについても努力をしておりますが、その他の品目についても、いろいろ品種改良を重ねておるところでございます。 県では、マーケティング・コスト戦略というのを立てました。開発する品種をリーディング品目とチャレンジ品目に分けて、それぞれの高付加価値化、高品質化、生産拡大、コスト削減を図っておるところでございます。品種改良は、オリジナル品種によるブランド力向上に大きな寄与をする分野でございます。研究員一丸となって取り組むべき課題だと、分野だと思います。 具体的な取り組みをちょっとご紹介申し上げますと、リーディング品目は、本県農業を牽引する品目と位置づけております。イチゴ、菊などでございますが、イチゴにつきましては、主要品種の
アスカルビーに続く新品種の古都華を昨年十月に品種登録をいたしました。今のところ、好評を得て発売されております。 菊につきましては、わき芽の摘み取り作業を大幅に削減できる二輪菊を育成いたしまして、千都の輝というブランド名で本年二月に品種登録をいたしました。また開花時期がそろいやすく、一斉収穫に適する小菊、春日の紅を登録出願中でございます。 さらに、将来の成長品目として育成を図ると位置づけておりますチャレンジ品目でございますが、例えば大和まなでございますが、葉が黄色くなりにくい夏なら菜というもの、冬でも生育のよい冬なら菜を、昨年秋に品種登録をいたしました。これによる年間を通じた出荷を可能になると思っております。 平成二十四年度は、奈良県として初めて柿の品種改良に着手をしたいと思っております。これにより、栽培の手のあく十月下旬に収穫のできる品質のよい甘柿を育成し、ハウス柿から富有柿までの継続した安定出荷の実現を目指したいと思います。 また、イチゴでございますが、品種の戦国時代と言われるように、競争が厳しい分野でございますが、古都華に続く次の新品種の育成に力を入れたいと思います。 また、菊につきましても、二輪菊、小菊で、赤・白・黄の三色をそろえる開発を進めたいと思います。シリーズ化によるブランド力強化を図る予定でございます。 来年度は、
農業総合センターの全面移転を施設的には検討すべき時期でございますが、その際、
農業総合センターの研究のあり方というのを根本的なところで再検討をしていきたいと思っておりますが、その中で、今後の品種改良の方向性も検討をしていきたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問、ありがとうございました。
○議長(国中憲治) 上田
まちづくり推進局長。
◎
まちづくり推進局長(上田喜史) (登壇)二十五番荻田議員の私に対する質問は二点ございます。 まず、一点目は、新
県立奈良病院についてでございます。
近鉄西ノ京駅から新病院に至る市道の歩行者などに対する安全対策についてどのように考えているのか、また奈良市との協議を始めたと聞くが、その協議内容はどうかということでございます。 新病院を整備するに当たり、
近鉄西ノ京駅から新病院への市道の歩行者などに対する安全性を確保することは重要と認識しております。現在、道路管理者である奈良市と協議をしながら対応を検討しているところでございます。 現時点においては、具体的な対策案を取りまとめるまでには至っておりませんが、まずは新病院の開院後、どの程度、地域の交通状況が変化するかを見きわめる必要があると考えております。その上で、
近鉄西ノ京駅周辺での安全・安心な鉄道からバスへの乗り継ぎ空間の確保や地域の方々の利用も多い
近鉄西ノ京駅から新病院への奈良市道の安全・安心な歩行空間の確保について検討する必要があると考えております。 奈良市との協議の状況についてでありますが、ことしの一月初めに、県・市と医療関係者が集まり、新病院の開院に向けて県と奈良市が連携して課題解消に向け努めていくことを確認したところでございます。その後も、引き続き県と奈良市とで対策案を協議しております。 現在、
近鉄西ノ京駅から新病院へのアクセスについて、県としては、道路の構造や利用状況の把握、具体的な対策案の立案に向けて調査を開始したところでございます。 今後とも奈良市と協議をしながら、できる限り速やかに対策案を取りまとめ、奈良市と連携して必要な歩行者等の安全対策に重点的に取り組んでまいる所存でございます。 次に、二点目でございます。
奈良公園についてでございます。
大仏池周辺は、
奈良公園の北側の玄関口にあたり、心いやされる景観地であり、
散策ルートとしての整備はどうかというご質問でございます。 議員お述べのとおり、
大仏池周辺には、東大寺大仏殿や正倉院があるなど景観上価値が高い地域であり、観光の主要なルートとなる可能性があると思っております。しかしながら、大仏池は、上流からの堆積土砂による水面減少により水辺環境が悪化し、昔の景観が失われております。さらに、この周辺には、一般の方々が利用できるトイレもないのが現状でございます。 このため、新年度には、大仏池のしゅんせつを行うことにしており、これにより水辺空間の改善を図り、さらに大仏池西側に移転予定の
奈良公園管理事務所においては、一般の方々にも利用していただけるトイレの設置を検討しているところでございます。 このような整備を進めていくとともに、今後も案内サインなど周遊環境の向上の取り組みを進めていくことにより、この周辺が
奈良公園の北の主要な
散策ルートとなっていくものと考えております。 以上でございます。
○議長(国中憲治) 武末
医療政策部長。
◎
医療政策部長(武末文男) (登壇)二十五番荻田議員の私へのご質問は、
県立奈良病院移転後の平松地区の
まちづくりの協議をどのように進めていくのかということでございます。 平松地区の
まちづくりについては、大国議員のご質問で知事が申し上げましたように、これからの高齢化社会の進展を見据えて、健康増進、医療と介護が連携した包括ケアサービスの提供、地域コミュニティの充実が可能となる
まちづくりができればというふうに考えております。 これらの
まちづくりの検討を進めるに当たっては、地元である奈良市との十分な協議を行った上で、県と市とが協力して進める必要があるというふうに考えております。このことから、県と奈良市の関係部局をメンバーとする(仮称)平松地区
まちづくりPTを立ち上げまして、去る二月二十七日に第一回目の会議を実施いたしました。この会議の中で、私は、県が考える町づくりの方向性について奈良市の方にご説明するとともに、奈良市の理解と協力をたまわるようお願い申し上げたところでございます。今後の進め方としては、このPTでの協議を重ねまして、奈良市との意思疎通を図った上で、地域住民や奈良市医師会の方々にもぜひ参加いただいて協議会を立ち上げ平松地区にふさわしい
まちづくりの構想を協働してつくっていきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○議長(国中憲治) 大庭土木部長。
◎土木部長(大庭孝之) (登壇)二十五番荻田議員の私への質問は、
奈良公園に関しまして、
登大路観光駐車場の
ターミナル化について、大仏前観光駐車場などとの連携が重要課題だと思うが、今後どのように進めるのかというご質問でございました。
奈良公園への観光バスの流入抑制策として、また園内の周遊観光を促進するための周遊バスの乗降場として、
登大路観光駐車場のバス
ターミナル化の検討を進めているところでございます。 現在、有識者などからなる奈良中心市街地交通処理対策検討委員会において、バスターミナルの設計に必要となる計画条件や機能、規模などについて議論をいただいているところでございます。特に、
ターミナル化に当たっては、園内の流入抑制策や大仏前観光駐車場などの運用などとも密接に関係するため、これらについてもあわせて議論いただいているところでございます。 今後、この検討委員会において、六月をめどに取り組み方針について一定のとりまとめを行うこととしております。来年度には、設計の具体化に向け、文化庁との協議や埋蔵文化財の発掘調査などを行っていきたいと考えておりまして、平成二十六年度末供用を目標に検討を進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○議長(国中憲治) 二十五番
荻田義雄議員。
◆二十五番(荻田義雄) 知事さんをはじめ、理事者の方々からご答弁をいただきました。自席から要望なりさせていただけたらと思います。 今、知事さんの方からは、新
県立奈良病院についての病床数、五百から六百床というようなお話が出ました。非常に
トップクラスの病院経営をしていこうと。全国では、六百から九百床ぐらいのところで、病院規模で、ちょうど四病院、ともに
トップクラスの病院があるようでございます。 しかし、今、おっしゃるように、五百、六百床と言いますと、ここで言います大阪府立成人病センターがちょうど五百床であります。成人病センターは、近畿付近からは、がんに特化した病院であるという認識のもと、優秀なスタッフがおいでになる中で、命をかけてみよう、そんな思いで大勢の方が入院、手術をされています。手術の件数でいきますと、年に二千七百件という数字でございますし、患者数は十六万人ということが平成二十二年度に出ているわけでございます。ましてや、やっぱり採算がとれるというのは、稼働率、何としても九〇%以上、入院患者さんがおらなくてはということでもあります。 しかし、知事さんの理想とする病院経営、そのとおりだと思います。しかしながら、今、この奈良県の県立医科大学附属病院を中心に、今現在、三病院ございますけれども、そんな中で医師の確保、これは、何としても、医師団がその病気に対して本当に信頼のおける医師確保、これはもう必要不可欠であります。病院の経営は、有名な先生、特にドクターが全国的に有名であるとか、あるいはこの病気にはこの先生が非常にいいんだというような、そういう先生の数をそろえることによって、この病院経営は成り立つとも言われています。 そんな中で、本当に県立医科大学附属病院を中心とする私どもの奈良県の医師確保、これには、知事さん、万全を期して、これだけの
高度医療拠点病院、今、ここでございますけれども、次に続いて、恐らく県立医科大学付属病院、橿原市にございますけれども、建て替えとともに、ひとつ持っていこうということでもありますから、この辺は、しっかりと地に足をつけて、やっぱり県立医科大学附属病院とも向き合って、そしてしっかり経営方針を立てていただきますよう心からお願いをする次第であります。 それから、平松地区での
まちづくり、これもしっかりと、ひとつ地元の意向あるいは協議会の意見を十二分に反映をして、対応していただけるようお願いを申し上げます。 それから、農業問題の質問を取り上げましたけれども、知事さんは、いろんな意味でトップセールスをおやりでございます。そんな中で、やっぱり農業、いろんなブランド商品を、今、県の農林部を中心におやりをいただいていますけれども、知事さんが、もっともっとそういった農業についても、やっぱり大きな目標を持って実践をする指揮者として、頑張っていただけるようという意味を込めて、質問をさせていただきました。 あと、大仏池のしゅんせつなども含めて、ちょうど北の玄関口としての転害門付近から始まりまして、そういった再整備をする。
奈良公園全体として、いろんな寺社仏閣、さらには新しい県庁、そして美術館、美術館にもいろんな方々が訪れていただいています。何か秀でたものを出品、展示をしていただきますと、十一月ごろの展示でございますが、二万人余り入場者がお入りになったということもお聞きをしています。いろんなそれぞれのセクション、県庁力で、ひとつ新しい方向の見える奈良県づくりを、知事さん、頑張っていただきたいと思います。 いろいろ申し上げましたが、これから
ホテル誘致も、まだまだやっぱり危惧されるところも多々あります。そして、民間活力も導入するというような時期もありますけれども、四年間たって、何か目に見えるもの、これをやっぱりやらなくては、知事さん、いつになったらホテルを誘致するんだろうということに相成ります。しっかりとした、先ほどのいろんなことを、経験を積み上げながら、一刻も早く新しい
ホテル誘致に向けて現実味を帯びますように、ご努力をいただきたいと思います。 以上で質問を終わります。
○議長(国中憲治) 次に、七番藤野良次議員に発言を許します。--七番藤野良次議員。(拍手)
◆七番(藤野良次) (登壇)議長よりお許しをいただき、一般質問を行います。 まず最初に、
リニア中央新幹線の中間駅についてをお聞きいたします。 この件につきましては、五日の代表質問でも行われましたが、今までの経過等について、改めて触れさせていただきます。 東京-名古屋間が二〇二七年度、名古屋-大阪間が二〇四五年度に開通予定となっている
リニア中央新幹線のルートは、昭和四十八年、奈良市付近を経過地点とする基本計画路線として、全国新幹線鉄道整備法に基づく当時の運輸省の告示がなされ、昨年五月に決定した整備計画でも奈良市付近と明記されました。 しかし、
リニア中央新幹線の京都府誘致を図る明日の京都の高速鉄道検討委員会は、二月一日JR京都駅を経由するルートの実現を目指すべきとする提言をまとめ、京都府と京都市に提出、それを受けて、京都府と京都市は、国土交通省とJR東海に提言書を提出されています。また、京都府の山田知事は、名古屋-大阪ルートについては、関西全体の問題であるとし、関西広域連合の知事会合で、ルート見直しを視野に議論したいとの考えを示されています。 今さら感が否めない京都府の対応ですが、JR東海の山田社長は、法律で奈良市付近を通ると明示されている、手続きにのっとってやるしかないと述べられ、計画変更について、現状では困難であるとの見解を示されています。その言葉に、安堵する思いと共に、情報収集のためのアンテナを張りめぐらせておくことが肝要であると考えるところであります。 このような県外に向けての対応も手をゆるめることができない中、県内において、今後大きな焦点となってくるのが、中間駅の設置場所についてであります。 恐らく、荒井知事の頭の中には、幾つかの構想があると推察するところでありますが、現在、誘致に向けて積極的に声を上げているのが大和郡山市でございます。大和郡山市議会においては、昨年十二月の議会において、
リニア中央新幹線中間駅の大和郡山市内への建設を求める決議が可決され、内容文書について、直接、荒井知事に手渡しされています。 大和郡山市においても、本年度の市長市政方針の中に、中間駅の設置に関して、県内屈指の立地条件を有する大和郡山市の特性を大いに生かすとともに、広くは紀伊半島をも視野に入れた空間的な広がりや、歴史的な環境、つながりを踏まえた未来に夢を持つことのできる提案を目指し、積極的に取り組むとうたわれています。 また、今週の月曜日に開催された大和郡山市議会の本会議において、上田市長は、大和郡山市への設置に関する要望書を先月二十八日に県へ提出したことを明らかにされたところでございます。 そこで、荒井知事にお尋ねいたします。 市の要望や市議会の決議にも記されていますが、奈良市付近とされている中間駅設置場所については、JR大和路線と近鉄橿原線が交差する場所に乗りかえ駅の新設と中間駅の設置によって、多大な相乗効果が期待できるとともに、西名阪自動車道や京奈和自動車道、国道二四号、国道二五号、大和中央道の接続点であることから、県内各地へ、また県外各地へのアクセスが容易であることや、県下第一位の工業製品出荷額を誇る昭和工業団地を中心に、県内産業振興につなげることができるという観点を踏まえ、奈良県としては、県北和地域のみならず、中和、南和地域の活性化も視野に入れる必要があり、県経済全体の底上げを図る意味においても、明記されています奈良市付近の中でも、より南に位置し、県内外への総合的な
交通アクセスが充実している大和郡山市が最も適した場所ではないかと思うところであります。荒井知事のお考えをお聞きいたします。 次に、友好提携と歴史文化交流協定についてをお聞きいたします。 ご承知のように、奈良県は、長らく特定の地域、都市との特定な関係を結んではおりませんでした。世界に開かれた国際文化観光平和県として、すべての国や地域と等しくおつき合いをする。なら・シルクロード博覧会のときも、そうした考えの上に立って、事業に取り組んできたと言われる方もおられます。しかし、荒井知事は、就任以来、国内外に向けた積極的な外交を展開するとともに、昨年、歴史的または文化的にゆかりが深いとされている中国、陝西省、韓国、忠清南道と相次いで友好提携関係を樹立されました。 さらには、ことしの二月に、新潟市出身で、奈良をこよなく愛したと言われています歌人の會津八一氏の功績を顕彰し、互いの歴史文化の理解を深める歴史文化交流協定を新潟市と締結されました。残念ながら、今回の締結については、新聞報道で初めて知って驚いたというのが正直な感想で、私自身もほかの議員もあまり知らなかったということもあり、あまりにも唐突の感は免れないといった印象を持ったところであります。 決して賛同しないということではなく、それこそ県民不在と言われかねないような進め方について、あえて苦言を呈したいと思うところであります。 さて、陝西省と忠清南道の協定書の中に、双方は平等互恵の原則に基づき、両県、省、道間の友好交流と経済貿易交流を促進し、科学技術、文化、観光、体育、教育、文化財保護、環境保護などの分野において積極的に交流と協力を展開するとうたわれております。 また、新潟市との歴史文化交流協定の締結を終えた荒井知事は、多様な歴史文化を互いにたっとびながら、いろんな面で交流を深めたいと述べられています。友好提携、交流協定、いずれにしても、予算を伴うものであり、それぞれの成果を広く県民に還元されるべきと考えるところであります。 そこで、荒井知事にお尋ねいたします。 陝西省、忠清南道との友好提携については、どのような考えにより行われたのか。そのねらいや目的についてお聞きするとともに、それぞれの協定書を踏まえ、今後どのような交流を進めようと考えているのでしょうか。 次に、新潟市との交流協定については、歴史、文化の教養を深めるための具体的な事業展開について、どのように考えておられるのか、お聞きいたします。 次に、県の消防広域化計画についてを要望いたします。 このたびの県消防広域化において、奈良市、生駒市が脱退するということでありますが、代表及び一般質問の答弁において、今後残る十一消防本部の統合を目指し、県も最大の努力をするとお聞きしましたが、消防広域化の実現に向け、改めて県の積極的な取り組みをお願いするところであります。 ただし、これからの広域行政のあり方を見詰める上で、もう一度、このことについて振り返る必要があると感じましたので、申し述べさせていただきます。
民主党奈良県議団では、市町村合併が進まなかった本県にとって、消防の広域化については、小異を捨てて大同につくという考えに立ち、一定の評価をしてきたところですが、
民主党奈良県連所属の市町村会議員から消防広域化への不安、不満の声が寄せられ、昨年八月に消防広域化協議会から講師を招聘し、
民主党奈良県連所属議員による勉強会を開催して、消防の広域化について議論してきたところであります。 勉強会では、統合による財政負担の問題、職員配置の問題、消防署の統廃合の問題など地域に密着した不安、不満が出ました。その根底には、市町村の費用負担額が明確に示されない、統合後の形が見えない、県としての積極姿勢が見えないというものでした。私たちは、こうした市町村の不安、不満に対して、県が積極的に解決策を示されるものと理解していました。 しかしながら、ことし一月十七日に生駒市が、一月二十四日に奈良市が、相次いで県消防広域化協議会からの脱退を発表しました。両市の脱会の理由は、統合後の人員や経費負担がはっきり示されていない、整備のおくれている市町村の消防強化に市の財源を投じることには、市民の理解を得られないというのが大きな柱だと思われます。このことは、既に消防広域化協議会で明らかになっていたことではなかったのか。さきにも述べました勉強会の開催も、こうした不満がくすぶっているがゆえに開催したものであります。 常備消防に係る経費は、人口密度の違いはあるものの、整理しなければならない課題であると言わざるを得ないところであり、消防署の耐震化率も、奈良市などではほぼ一〇〇%近く、それ以外の平均は約五〇%という数字なども、事前に明らかになっていたことです。 だからこそ、当初において、県がビジョンとその果たす役割をもう少し丁寧に示すべきではなかったのでしょうか。広域行政というスケールメリットに相反して抱える市町村の課題やデメリットへの対応など、かかわる難しさはあるものの、各市町村における県への期待は、やはり大きいものがあるということは、認識しておかなければならないと思うところです。 広域行政のあり方とかかわりについて、県をはじめとした各自治体に問われるものは何か、いま一度立ちどまって、お互いに考えるべきではないか。そんなことを問題提起させていただき、要望にかえさせていただきます。 次に、昭和工業団地周辺の企業立地についてをお聞きいたします。 関西を拠点とする中堅中小企業の間で、海外移転の動きが目立ってきています。円高の影響で、大手企業が工場や調達拠点の海外移転を加速しており、関連産業の中小企業も、生き残りをかけて海外移転を考えていることは、現下の経済情勢では認めざるを得ません。 しかし、まだまだ国内でものづくりにこだわる中小企業も多数派を占めていると認識しています。 奈良県は、ほかの県と比較して、企業誘致に積極的に取り組むのがおくれたことが幸いしてか、企業立地に魅力的な地域が数多くあります。県が企業誘致に積極的に取り組み始めた二〇〇七年から二〇一〇年のこの四年間で百一件の立地を達成したことは、全国的に厳しい状況の中での成果として、一定の評価をしたいと思うところであります。 ただ、二〇一一年の上半期の工場立地動向調査結果では、伸びが鈍化しており、企業誘致に中だるみというか、新しいインパクトが不足して、企業立地の問い合わせがあっても立地にまで結びつかないというジレンマも抱えているのではと推測しています。 昨年九月の一般質問でも申し述べましたが、企業立地、工場立地にとって、阪神間と中部圏を最短で結ぶ名阪国道のアクセスは、最大の魅力であり、西名阪大和まほろばスマートインターチェンジの開通は、昭和工業団地をはじめ周辺の工業ゾーンにとって、工場立地の最大の魅力であります。 大和まほろばスマートインターチェンジで大和中央道に接続し、さらに大和郡山ジャンクションで京奈和自動車道が接続されると、周辺のみならず、本県にとって、企業立地促進や経済の活性化、雇用拡大と期待が膨らむところです。 先般、昭和工業団地の関係者の方から、工場立地の問い合わせがふえているとお聞きをいたしましたが、団地内にはほとんどあきがないといった状況であり、周辺においても、確保された工場用地も少ないことから、大変残念な思いであるとお話しされていました。中には、優良企業もあったとお聞きをし、無念な思いを抱いたことは言うまでもありません。 そこで、産業・雇用振興部長にお尋ねいたします。 大和まほろばスマートインターチェンジの整備が進められ、昭和工業団地周辺では、さらに工場用地としての利便性が高まるものと考えます。ただし、農業振興との調整という課題があり、その解決に向けた努力は必要ではありますが、県として昭和工業団地周辺にさらに工業用地を確保するべきではないか。そのためにも、地元市町村、住民との合意を踏まえ、県の方針とともに周辺の土地利用について、さらにもう一歩踏み込んだ施策を早急に打ち立てるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。お聞かせください。 次に、学力格差の問題についてをお聞きいたします。 全国学力・学習状況調査結果についての意見がいろいろと取りざたされています。地域間格差、学校間格差などに言及し、地域の教育力や教員の資質に矛先を向け、またゆとり教育の弊害を声高に語る方々もおられます。私は、そうではなくて、子どもの育ちを社会全体でどう保障していくのかという観点から問題をとらえるべきと考えています。 さきの調査結果で、設問への正解率で比較するのではなく、学習状況調査とリンクした、例えば、朝食を毎日食べる児童生徒の方が正解率が高い傾向や、家の人と学校での出来事について話をしている児童生徒の方が正解率が高い傾向などの結果をとらえると、その根本のところでは、やはり親の経済的な問題と深くかかわっているのではないかと思うところであります。 民主党は、学力格差、学力低下傾向の問題は、その背景として、保護者の経済状況のばらつきがあり、親の所得等によって子どもの学びの機会に差がつき、結果として習得できる能力や就業できる職業、ひいては、生涯の所得に格差がつく、まさに格差の世代間連鎖という問題が起こっていると提言しています。 このため、人生前半の福祉の充実を掲げ、子ども手当、高校授業料の無償化に取り組んできたところです。 子どもの貧困が深刻化していることについては、国立社会保障人権問題研究所の安部氏の研究結果でも明らかになったとおり、子どもの貧困をもたらした最大の原因は、規制緩和と競争の強化の結果、企業間、地域間の格差の拡大、非正規雇用労働者をはじめとする低所得者の急増です。この流れを断ち切るためには、人生前半の福祉の充実、それは、子育てをこれまでの家族の責任とともに、社会全体の責任へと重点を置くことが大切であると思うところでございます。 このたびの社会保障と税の一体改革では、社会保障の充実の方向として、四つの柱を定め、子ども、子育て対策が大きな柱となっています。こういった国の方針を踏まえるとともに、改めて格差の問題、特に学力格差についてさらに追求していかなければならないと思うところであります。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 今日における学力格差をとらえ、奈良県の小中学校における学力格差の実態はどのようになっているのか、また学力格差解消に向け、どのような取り組みを行っているのか、お聞かせ願いたい。 最後に、県中央卸売市場の活性化についてを要望いたします。 県中央卸売市場は、一九七七年に開場されて以来、約三十五年の歳月が経過し、施設の老朽化や新たな市場ニーズなどへの対応が求められていますが、抜本的な改善には至っておらないのが現状です。県民への食品の安定供給と安全安心を守る県中央卸売市場の役割は、昨今の食の安心、安全に対する不安の中で、ますます重要になっています。 しかし、近年の流通システムの大きな変化は、卸売市場にとって大きな課題であり、あの築地市場さえ、売り上げの減少により観光客の誘致を働きかけるようになり、一般の見学客や購買客が大勢訪れるようになって、一大観光地になっています。 特に、場外市場は、一般客や観光客で縁日さながらのにぎわいぶりです。もちろん、観光客や一般客の急増が市場業務に支障を来すという弊害も指摘されていますが、食のイベント等は、卸売市場の存在と役割を理解していただくための手法として、大いに学ぶべき点もあります。 ちなみに、現在、県中央卸売市場では、春の市場まつり、冬の市場まつりを開催されており、多くの県民が集い、にぎわう中、その存在と役割を理解していただく取り組みが行われています。 その県中央卸売市場は、冒頭申し上げた施設の老朽化や取引量の減少が目の前の課題となっていますが、取引量では、二〇一〇年度が十六万トン、金額で四百六十八億円、前年度一万五千トンの減となっておるものの、それでも県内消費額の約五割を占めているとお聞きいたします。 県では、流通システムの変化など時代の流れを受け、今後の市場のあり方を、業者も参画して検討しているとお聞きいたしておりますが、県営施設として、まずはビジョンを示してから、それぞれの役割分担を明確にすべきであると考えるところであります。 例えば、京都市中央卸売市場でも、水産物の取り扱い量が大幅に減少している中、ことし市場が取り扱う鮮魚を提供するすし棟と、京都の食文化に関する資料展示や調理実習が楽しめる京の食文化普及啓発施設が開設するそうです。市場を身近に感じてもらう、魚食の普及と市場の活性化、そして家族連れや観光客が楽しめる施設につなげたいと期待されています。 こうした取り組みも参考にしていただき、県として県中央卸売市場の活性化に積極的な役割を果たすよう、強く要望させていただきます。 以上、壇上による一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(国中憲治) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)七番藤野議員のご質問がございました。 私に対しましては、まず
リニア中央新幹線の中間駅のご質問でございます。 総合的な
交通アクセスが充実している大和郡山市が最も適した場所であると思うが、どうかという趣旨のご質問でございます。 先日、大和郡山市長から、
リニア中央新幹線の新駅について、市内への設置を求める要望をいただきました。議員もお述べになりましたが、市長は、駅立地の考え方に関しまして、駅周辺部だけじゃなしに、県南部地域や紀伊半島地域の活性化を考えることが必要であるということ、大和郡山市は、西名阪自動車道や京奈和自動車道との接続、JR大和路線や近鉄橿原線との交差などがあり、広域的なアクセス条件に恵まれているという考えを示され、大和郡山市内への新駅設置を求められました。 県の考え方でございますが、先ほどの質問にもお答え申し上げました点でございますが、全国新幹線鉄道整備法というのがございます。その法律に基づいて、このような大幹線を整備するということでございますので、法目的はどのようなものかを理解しなきゃいけないと思います。その中で、高速輸送機能がもたらす効果が広く均てんされるというのが基本的な考え方になっております。 この奈良市付近の駅の設置におきまして、均てんということを解釈いたしますと、県南部地域や紀伊半島地域の方々をはじめ、より遠くまで効果が及ぶというふうに解釈するのが自然じゃないかと思っております。 このため、駅の位置につきましては、既存の鉄道や高規格道路などとの結節性の高い地域への設置が必要であると考えております。 具体的な駅位置については、まだ決めておりませんが、駅の立地に求められる要件につきましては、大和郡山市長の考え方と同じ方向性を持っていると思っております。
リニア中央新幹線の整備建設は、JR東海が行うことになりますが、JR東海からは、県に対しまして、
リニア中央新幹線の早期実現と建設整備の円滑化のために、県は市町村の取りまとめなど重要な役目を果たすことを求められてきております。 県といたしましては、多くの県民の方々が、できるだけ短い時間で便利に駅に到達できる、アクセス性がいい、また遠くから
リニア中央新幹線で奈良に来られた方々が、できるだけ便利に多くの目的地に行っていただけるような交通結節性の高い位置に、できるだけ早く位置を決めていきたいと考えております。 交通体系の整備や政治的配慮を配し、交通体系として最も望ましい点を追求するのが基本だと従来思ってきております。早期の駅設置に向けても、県においてよく検討を行い、国やJR東海に対しても引き続き働きかけていきたいと思っております。 外国及び地方の都市との友好提携、歴史文化交流協定についての考え方のお問い合わせがありました。 奈良は、中国、韓国などの東アジアの国々と深い交流の歴史がございます。奈良にとっての誇るべき大きな資産であると、資源であると思っております。奈良時代は、日本の歴史の中でも、最も主体的な外交活動を行い、最も国際性の著しい時代であったというふうに思っております。 このような奈良の歴史とゆかりのある東アジアの国々とお互いの歴史的、文化的な特性を活用して、相互理解と友好交流を未来に向けて深めることは、それぞれの地域の振興のためにも大変有意義なことだというふうに考えております。 こうした考え方から、奈良とゆかりの深いところとの交流をまず優先させようということで、遣唐使がまいりました唐の都、長安の地でありました中国、陝西省、また多くの渡来人が来られました百済の地であります韓国、忠清南道と友好提携を締結したところでございます。この友好提携に基づきまして、本県と両省道の双方にメリットがある交流を、県民の皆様とともに実施していきたいと思っております。 これらの地域に対しましては、県内の自治体、市、町、村が交流を進めてきておられます。 例えば、陝西省西安市とは奈良市が、忠清南道端山市とは天理市が、扶余郡とは明日香村が、それぞれ既に友好都市提携を締結され、市民レベルでの交流などを実施されておる実績がございます。 また、県では、これからさまざまな分野で、双方にとって実効的な交流を展開していきたいと思っております。 例えば、陝西省におきましては、少年交流団の来県に合わせた学校交流や経済交流を予定しております。折しも、本年は、日中国交正常化四十周年に当たりますが、日本でも、官民挙げて各種交流イベントが開催されます。本県におきましても、五月に平城宮跡で開催する平城京天平祭に、陝西省西安市から西安音楽学院が出演されることになっております。忠清南道に対しましても、昨年、忠清南道知事が来県されまして、その答礼団を派遣し、両県共通の課題であります観光振興などさまざまな分野における交流を検討してまいりたいと思っております。 今後、多様な文化遺産を持つ東アジアの友好提携先とは、長い交流の歴史に培われたお互いの歴史的、文化的特性を生かしながら、県民とともに双方に成果をもたらす交流を積極的に実施していきたいと思っております。 新潟市との交流提携でございますが、唐突だということで、大変失礼をいたしましたが、奈良県と新潟市との交流協定の仲人がおられます。その仲人は、新潟市出身で、古都奈良をこよなく愛した歌人、會津八一さんでございます。 奈良の文化的価値を発見、発信した人として名を挙げられますのは、岡倉天心、フェノロサ、和辻哲郎さんなどでございますが、會津八一の影響はもっと大きかったんじゃないかというふうに言われております。県内では、この功績に対して十七基の歌碑が建立されておりますが、出身地の新潟市のみならず、早稲田大学で教鞭をとられたということでございますが、先日、早稲田大学の前総長であります白井さんを訪問したときは、早稲田大学では、大隈重信よりも會津八一の人気がずっと高いんですよという、英雄視されるようなご発言がございました。私もそこまではよく存じなかった点でございましたが、そのような方を事実上の仲介として交流協定を締結したものでございます。 また、新潟市は、中国に現地事務所を置くなど国際交流にも力を入れておられます。環日本海交流拠点として、東アジア地域とつながりの深い自治体でございます。奈良時代、奈良と交流がありました渤海とは、新潟市は大変至近な距離で、交流があったと聞いております。そのような新潟市と、今後、相互に協力することは、国際的な歴史文化交流の一層の推進に寄与することであろうかと思います。 そのような考え方から、二月十七日に、歴史文化交流に関する協定を締結したものでございます。今後の具体的な事業は、ぼつぼつ始めるという程度でございますが、五月に県立図書情報館におきまして、會津八一記念館収蔵品及び會津八一の歌を映す写真コンテストをいたします。また、會津八一記念館に神林恒道さんという大阪大学出身の館長さんがおられますが、そのような方に講演に来ていただくことを予定しております。 一方、新潟市では、先日、中宮寺の弥勒菩薩の展示を新潟県で行われましたが、今年は、會津八一記念館におきまして入江泰吉没後二十年、會津八一と入江泰吉展を四月から三カ月開催されると聞いております。 また、新潟市は、地域の音楽祭の先進市で先進地域でございます。ラ・フォル・ジュルネという、大変全国的に有名になった音楽祭をされておりますが、奈良は、そのラ・フォル・ジュルネのまねをしまして、ムジークフェストなら二〇一二をことしスタートさせる予定にしております。 このような新潟市のやり方を追従していきたいといった面もございます。また、このような交流を通じまして、奈良の文化の価値を他の地域に発信していただいた新潟人、會津八一が奈良で再認識されたこともありがたいことだと思っておる次第でございます。 以上でございました。ありがとうございました。
○議長(国中憲治) 浪越産業・雇用振興部長。
◎産業・雇用振興部長(浪越照雄) (登壇)七番藤野議員のご質問にお答え申し上げたいと思います。 私への質問は、昭和工業団地周辺におきます工業立地の工業用地を確保すべきではないか。さらに一歩踏み込んだ施策を打ち出すべきではないかというご質問でございます。 昭和工業団地周辺は、従来より工業立地のニーズが非常に高いところでございます。議員ご指摘のように、大和まほろばスマートインターチェンジの整備によって、さらに交通利便性が向上するものというふうに考えております。 また、当団地は、造成されて以来四十数年が経過しておりまして、既存の工場の老朽化等に伴う建替え用地の需要も見込まれるところでございます。 しかし、当団地周辺は、この工場立地のニーズの高さに比べまして、工場適地が少ないことが課題として挙げられます。そのような中、工場適地を確保するため、昨年五月に都市計画の線引き見直しによりまして、安堵町で約三・五ヘクタールを市街化区域に編入したほか、大和まほろばスマートインターチェンジ近隣で、川西町が学校跡地周辺を工業用地として活用するための調査事業を始めておられます。 県としても、調査方法の検討や誘致活動の面で協力しているところでございます。また、県では、市街化調整区域での工場立地が可能となるように、規制緩和に向けたメニューを設定しております。大和郡山市においては、旧国道二四号沿道ゾーン、昭和工業団地西部ゾーンの二つの箇所を工業系ゾーンとして指定をしていただいております。 本県は、良好な住宅地の形成を優先してきたために、現時点では、工業系の用途地域の比率が全国で一番少なくなっております。 今後も、
交通アクセスなど立地条件のよい産業用地に対する企業からの需要にこたえていくためには、県内、とりわけ平野部におきまして、農業と住宅地との調整を図りながら、工業適地を確保しなければならないという課題があるというのは議員ご指摘のとおりでございます。 この課題解決に向けましては、農地としての適切かつ効率的な利用とのバランスも調整しながら、都市計画における一般保留の制度を活用した市街化区域編入や市街化調整区域の規制緩和を行う工業系ゾーンの指定などの方法が必要だというふうに思っています。 そのためには、地元住民の方々との意向調整などが不可欠でございまして、市町村からの積極的な取り組みを前提とした協力体制を構築することが必要であることから、今後も市町村と連携を深めながら、工場適地の創出に向けて努力を重ねてまいりたい。 以上でございます。
○議長(国中憲治) 冨岡教育長。
◎教育長(冨岡將人) (登壇)七番藤野議員のご質問にお答えいたします。 私には、学力格差の問題について、本県の小中学校における学力格差の実態はどうか、また学力格差の解消に向け、どのような取り組みを行っているのかのお尋ねでございます。 学力格差につきましては、OECDの学力到達度調査、いわゆるPISA二〇〇九で、十七の先進工業国及び地域の中で、我が国は、イタリア、ドイツ、オランダに次いで学校間の格差が大きいとされたところでございます。 一方、悉皆調査で全国比較が可能な平成二十一年度の全国学力学習状況調査では、本県の学力は、全国比較で高いものの、学校間の成績のばらつきを示す標準偏差で、本県小学校が六・七と、全国の七・八以内に分布し、中学校では八・八で、全国並み、これが八・七でございまして、これとなっており、学力の学校間格差は、小学校は全国平均より少なく、中学校は全国並みという結果になりました。 このように、県内にも格差はございますことから、対策として、指導主事の派遣、学校アドバイザリーチームの指導支援のほか、学力向上等の支援として、小中とも、おのおの十校程度に非常勤講師の配置も行っているところでございます。 ほかの取り組みとしましては、学校・地域が連携する学校・地域連携事業の取り組みの中で、学校の実情に応じて、体力や規範意識向上の取り組みに加え、学力格差対策にも活用できる仕組みとしているところでございます。 以上でございます。
○議長(国中憲治) 七番藤野良次議員。
◆七番(藤野良次)
リニア中央新幹線の中間駅についてでありますが、知事から答弁いただきました。 交通の結節性ということで、それをお聞きいたしますと、やはりこの大和郡山市内に位置するJR、近鉄両線のこの交差、ああいった部分の周辺に中間駅が設置されると、より県民の利便性の向上につながるかなと、このように思いますし、また、この奈良県の持つ可能性がどんどん広がってまいるんじゃないかなと、このように思うところです。 ただ、名古屋-大阪間の開通予定が三十三年後ということで、実際に乗ることができるかと言えば、私でも恐らく厳しいかなというように思います。 しかし、現時点においては、我々の夢と希望を乗せてもらうということであり、その夢と希望というのは、やはり県政の発展と県民の充実した暮らしということであります。大いにこれから期待を膨らませながら、今後の展開を見詰めてまいりたいなと、このように思います。 友好提携と歴史文化交流協定についてでありますが、陝西省、忠清南道との交流というのは、やはり県内経済あるいは県内の奈良県の観光、ここにしっかりとつなげていただきたいなとこのように思いますし、またそのためにも、この民間レベルの交流というのを、さらに力を入れていただきたいと、このように思います。 新潟市との歴史文化交流協定、私は大変勉強不足で申しわけなかって、ネットで調べますと、會津八一さん、非常にすばらしい歌人であると。もともと教育者ということも書いておりましたが、さまざまな歌、あるいはその生きざまというか、人生もいろいろ書いておったんですけども、非常にすばらしい方だなというふうに思いました。こういう方を、本当に多くの県民の方々が知っていただく、あるいは、きのうも、歴史という小林(茂)議員のご質問でもあったように、やっぱりそういった歴史上の人物というか、そういった方々は、子どもたちにもっと知ってほしいなというふうに思いますし、また教育的にも非常にすばらしい方なんで、どんどん子どもたちにもそういった會津八一さんのさまざまな人生やあるいは歌、これを知っていただくための取り組みをいただきたいなと、このように思います。 さらに、昭和工業団地周辺の企業立地についてです。 本当に期待をいたしております。各自治体との連携というのは、本当に今、産業・雇用振興部長がおっしゃったとおりでございます。重点的にやっていただきたいなと、このように思います。 最後に、学力格差の問題についてでありますけども、今後、またさまざまな教育の問題については、追ってまいりたいなと。また、予算審査特別委員会でもお聞きいたしますが、よろしくお願い申し上げます。 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(国中憲治) しばらく休憩します。
△午後二時三十六分休憩 --------------------------------
△午後二時五十二分再開
○副議長(浅川清仁) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、十八番山村幸穂議員に発言を許します。--十八番山村幸穂議員。(拍手)
◆十八番(山村幸穂) (登壇)日本共産党の山村幸穂です。我が党の田中美智子前県議会議員の葬儀に際しましては、知事はじめ、理事者、議員の皆様の温かい対応、心から感謝申し上げます。お礼を申し述べ、質問に入らせていただきます。 まず初めに、国土交通省の地方整備局の存続についてお尋ねします。 地域主権改革と称して、野田政権は、地方整備局など国の出先機関を原則廃止する方針のもと、出先機関の事務権限をブロック単位で地方に移譲しようとしており、三月にも閣議決定、五月に関連法案を提出しようという意向です。 しかし、防災の専門機関である地方整備局の廃止、移管には、全国や県内の市町村長が反対の声を上げておられます。 全国の市町村長四百四十七人が参加する地方を守る会は、三月三日の総会において、拙速に国の出先機関廃止論を進めないよう要望する決議を採択しました。政府は、国の出先機関の原則廃止の口実として、二重行政のむだを挙げていますが、その根拠は示されていません。二重行政のむだについては、個別具体的に一つずつ解決すべき問題であり、一挙に廃止してしまうのは、国土の保全、防災、災害復旧、労働者保護など国が果たすべき責任を放棄するものと言えます。 奈良県でも、内吉野土木協議会、会長十津川村長、副会長野迫川村長、監事五條市長の連名で、国に要望書が出されております。その要望書では、台風十二号、この大災害に直面し、我々被災市村は、被害の大きさに大混乱に陥りました。そのような状況下、我々の要請に応じて、緊急対応や復旧支援等に、専門的立場から、国の出先機関である近畿地方整備局をはじめ他の地方整備局の職員が現地に赴き、迅速かつ的確に対応された活動は、地域住民の大きな励ましとなると同時に、復旧、復興を目指して歩みを進めている我々の大きな支援となりましたと述べています。 その上で、平常時の管理をせず、基礎的自治体の実情を十分把握していない関西広域連合などが、災害時の非常対応を行えるのか、基礎的自治体の意見を反映する仕組みのない関西広域連合への奈良県の参加については、反対であるとして、地方整備局の権限を地方に移管することなく、さらなる組織強化を図るべきであると強く求めています。 災害と闘い、復興へ全力を挙げる自治体首長からの心の叫びのような訴えを重く受けとめるべきではないでしょうか。地方整備局の廃止及び地方移管はすべきでないと考えます。こうした声にこたえて、政府に働きかけていただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。 次に、中小企業への支援について知事に伺います。 まず第一は、中小企業振興基本条例に基づいて、奈良県のすべての中小企業を支援して底上げを図っていくことについてです。 長引く不況のもとで、県内企業、中小零細企業の経営は深刻です。県下の中小企業は、とりわけ小規模零細企業が多く、必死の頑張りを続けていますが、倒産、廃業は後を絶たず、困難に直面をしています。 世界的な不況のもとで、景気回復には内需の拡大、国民の懐を暖める対策、雇用の安定とともに、事業数でも九九・一%を占め、従業員数でも七五・一%となる県経済を支えて頑張る中小企業の応援こそ重要です。 今、多くの人々の中に、短期的なお金もうけだけを大事にする経済から、人間の尊厳、人間性を復興するような経済にすべきという声が確実に広がっています。とりわけ
東日本大震災後、また奈良県でも、台風十二号災害の体験を通じて、山村の村長さんらからも、山村や漁村は効率が悪いと切り捨てられてきたが、これでいいのか。このままでは日本がつぶれてしまうとの思いが語られています。 このような思いを生かして、住み続けられる地域にと、地域再生に取り組む地方自治体が各地で頑張っています。地域の経済をよくするために、自分たちが住む地域の特性を生かして、暮らしを支え、経済活動を担っている地元の事業者や商店、農林業者や地域の金融機関が活発に活動して雇用を生み出し、利益を地域に還元できるような仕組みを住民と事業者、地元の金融機関、地方自治体が共同してつくっていく取り組みです。地域の中でお金が回る仕組みを強化すること、地域の資源を有効に活用することが成功の秘訣のようです。 この間、中小企業の皆さんの運動で、政府もようやく閣議で中小企業憲章を決定しました。また、全国各地では、中小企業振興基本条例を制定し、自治体と地域が一緒になって知恵を出し合って、独自の努力、政策を具体化しています。 例えば、ものづくり産業の集積で頑張る東京都墨田区では、一九七九年、全国で初めて制定された中小企業振興基本条例に魂を入れるには、徹底した実態把握と当事者が参加することが大事だと、職員百五十人による全事業所悉皆調査を実施、ここから現状と課題を分析して政策を打ち出し、中小企業者が参加した産業振興会議が設置され、今、全国に広がっているさまざまな先駆的な取り組みが展開されています。 千葉県の中小企業振興条例では、千葉県の中小企業は、県内企業の大部分を占めており、本県経済の成長を支える存在として、また地域社会の担い手として、県民生活の向上に大きく寄与してきたと評価して、千葉県の持続的発展を確固たるものにするためには、県を挙げて中小企業を育てていく体制を築いていくことが何よりも重要であるとしています。これは、これまでの企業誘致に頼る産業政策から育てる産業、育てる企業へと県として産業政策の転換を図ることを目指してつくられたということです。 この条例に基づいて、県だけではなく、中小企業の当事者や中小企業団体も参加して、具体的施策を策定し、遂行する体制を築いています。 一方、奈良県では、他府県に先駆けて、中小企業振興基本条例がつくられました。この条例が、特にものづくり産業に対する施策にどのように生かされてきたのか、また今後の課題について、どうお考えなのかお伺いいたします。 次に、奈良の住まいリニューアル事業について伺います。 地域の住民にも喜ばれ、同時に中小零細業者の仕事興しにもつながる住宅リフォーム助成では、今年度、一般リフォームの助成を実施されました。その結果、八百件の申し込みがあり、最も需要が多く実績も高かったと聞いております。私たちが議会でも提案しましたように、地域内経済循環として、大変効果的な施策であったと言えます。 にもかかわらず、来年度は、この制度を見直して、一般リフォームへの補助を廃止しています。なぜなのか、このような制度こそ、県内中小企業の活性化につながるために続けるべきであると考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。 次に、消防広域化計画について、危機管理監に伺います。 前回質問いたしました後、奈良市、生駒市の脱退ということで、全県一つの消防本部という計画は、根本から破綻したと言えます。今後どのように進めるのか、今議会代表質問でもお答えになっています。 しかし、全県一つの消防広域化計画がなぜ破綻したのか。今そのことを真剣に考えなくてはならないと思います。それは、これまで私たちが主張してきたように、この計画は、小さい市町村が一部事務組合をつくって助け合ってきたこれまでの広域化とは性格を異にする、初めに経費削減ありきの合理化計画であるからです。 実際、消防力という点では、消防職員の数は、県全体で国の指針から大きくおくれて、充足率では、平均で六三%、千五十五人の不足です。また、消防署所、車両などの不足もあります。 ところが、消防広域化協議会の試案では、十一消防本部を統合することで、総務通信部門の人員を効率化して、現場に送ることができると言います。しかし、総勢で、なんと七十三人もの人減らしをしようというものではありませんか。 確かに人件費の再生負担は、市町村に重くのしかかっています。しかし、私たちが消防本部に伺ってお話をお聞きしましたところ、どこでも住民の命、財産、安全を守る仕事に誇りを持っておられ、何とか消防力を強化したいとの思いが語られました。一人でも多くの人を助けるのが消防人としてのポリシーであり、そのためには消防力を強化しないといけない。広域化の目的は市民へのサービス向上、そのためにお金を削っては、いい仕事ができないと、人員体制の強化を求めるのが現場の声です。
東日本大震災でも、台風十二号災害でも、県下の消防職員は、最大限の救援活動に取り組まれました。みずからを顧みず、住民の命を守るために最後まで頑張って、多くの消防職員が犠牲となられた
東日本大震災の経験をして、身近な消防の大切さを多くの方が実感し、効率という観点からのみ合理化を進めることの間違いに気づいています。 二〇一六年に消防無線をデジタル化するという政府の一方的な取り決めで、デジタル化の莫大な経費を軽減したいということも目指しています。この点についても、現場では、デジタル化を共同で推進することは、全県一つの消防本部広域化と切り離しても可能だという意見も出されています。 今でも足りない消防職員を確保して強化するために、政府に対して基準に見合った交付税とするよう改善を強く求めることが必要です。そして、住民の安全確保という面からも、県、市町村は力を合わせて、消防施設の整備強化や相互の応援体制の改善などを知恵を出し合って進め、消防職員削減につながる広域化計画を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、記紀・万葉プロジェクトについて、観光局長に伺います。 奈良県では、ことしが古事記編さん千三百年に当たるということで、新しいプロジェクトが計画されています。奈良県の魅力を発掘して観光に結びつける取り組み、また県のプロジェクトの理念には、本物の古代と出会い、本物を楽しめる奈良とありますが、こうした観点は大事なことだと思います。 しかし、古事記、日本書紀ともに、当時の権力者である天皇の命によって作成され、神話に基づく国づくりが描かれているものであり、実際の史実と異なることが多いことも事実です。研究者の研究途上にあることから、扱い方によっては、事実と異なる特定の考えを発信することになりかねないという懸念もあります。私たちは、神話や伝承をどう考えればよいのか、学者、研究者の皆さんにもご意見を伺いました。 考古学によって、歴史の真実を科学的に明らかにする努力が続けられてきた。このことをこの機会に学ぶ取り組みにしてほしい。何が本物なのか、何が真実なのかを学問的に探求する機会とする。本物を大切に保存、継承することを県に求めてほしいとの意見が出されました。 県内の地名にも、天皇伝説によって後からつくられたものがあったり、伝承にも天皇賛美の目的でつくられたものも多い。歴史上の人物から物語を設定するときにはどう扱うのか。美化して実態とかけ離れることになりかねないなどの問題も指摘されました。 そこで伺います。 このような疑問や懸念がある中、事実と異なる特定の考えを発信することにならないよう、このプロジェクトの推進に当たっては、取り扱いに十分注意が必要であると考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。 こうした中で、歴史を本当に県民が楽しめる取り組みにしていこう、そのために、真実の歴史を知る学びの提案を積極的に発信しようと、県民による自主的な歴史探訪ツアーの計画もあります。興味深く、おもしろい企画だと思いますが、たくさんの方の参加申し込みがあるそうです。ぜひこのような取り組みを応援していただくよう要望いたします。 次に、介護保険制度について、健康福祉部長に伺います。 介護保険は、ことし四月からの第五期計画において、保険料が見直しされています。そもそも介護の利用が多くなり、給付費がふえると、保険料が高騰する仕組みそのものが、際限なく国民負担をふやすという根本矛盾があります。介護保険にかける国庫負担が二割台とあまりにも少なく、公的責任を果たしていないことが問題です。 今回の保険料改定では、六十五歳以上の第一号被保険者の保険料は、平均五千円を超えるような負担増が見込まれることから、政府も、介護保険財政安定化基金や介護給付費準備基金を取り崩し、保険料引き下げに充てることとしました。それでもなお、県下の市町村の保険料は、平均五千円を超えるところがあります。年金からの天引きで容赦がない、後期高齢者の保険料も上がって、これでは生活できない、こんな悲痛な訴えが聞こえます。高齢者の負担の限界を超えるものです。 また、県下の市町村では、介護報酬の水準を決める地域区分を低く抑え、保険料を抑制するところもあります。これによって、介護の事業者は、同じサービスを提供しても収入が減少するという矛盾も生まれております。県の裁量で、財政安定化基金として残す八億円、あるいは八億円の新たに設置する地域包括ケア推進基金を活用して、さらなる保険料軽減を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、地域包括ケアシステムについて、奈良県での取り組みについて伺います。 地域包括ケアシステムについて、厚生労働省の構想は、今後高齢化が進み、現状のサービスを維持するには、人材、財源に限りがあるから、給付の優先順位を決め、できるだけ利用を制限する選択と集中を図ることや、自己責任、近所の助け合いという考えを持ち込み、国の責任を投げ捨て、介護サービスを受けられる人を減らし、安上がりにすることが基本となっています。さらに、税と社会保障の一体改革として、利用料負担をふやすなど国民に負担を強いるさらなる介護保険制度改悪がもくろまれています。 このような政府のやり方から県民の福祉を守る県の役割は重要です。住みなれた地域で、安心して老後を過ごしたい、この県民の願いにこたえるためには、地域により充実した介護体制整備が必要です。 とりわけ地域の医療、介護、福祉の連携のために重要な役割を担う地域包括支援センターの充実、強化を推進しなくてはなりません。 厚生労働省は、人口一万人に一カ所の地域包括支援センターを目指すとしていますが、奈良県の現状からは、現在の二倍必要です。当面は、中学校区に一カ所を目指してふやすことが必要です。 今、地域包括支援センターでは、少ない予算でぎりぎりの職員が、地域の駆け込み寺のように多様な要望にこたえて頑張っています。地域には、ひとり暮らし高齢者のみの世帯もふえて、認知症が進んでも見守りがないケースや、日常生活に支障を来してごみの山になっていたり、生活そのものが破綻しているケースなど寄せられる相談は深刻なものばかりで、とても手が回らない。地域での教室や行事に取り組んでも、どこからも予算が出ず、持ち出しばかりと、現場からの切実な訴えをお聞きしております。 地域で、見守り、支え合いのネットワークをつくっていくには、地域をよく知り、自治会や関係機関への積極的な働きかけも重要です。それぞれの地域の実情に合った取り組みが必要で、地域包括支援センターの力量も問われます。力をつけていく、役立つ研修や情報交換を求める声も切実です。 そのためにも、県として、財政面での支援、マンパワーの支援を特に強化して、内容の充実と増設に向けた支援が必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。 また、待機者が増加して六千人ともなる特別養護老人ホームの整備は引き続き課題です。介護サービスの基盤整備という点では、県下の市町村で大きな格差が生じている点も問題です。 こういう中にあって、地域包括ケアのため、今回の介護保険改訂では、二十四時間巡回サービスの提供も導入されていますが、使いやすく、責任あるサービスが提供できるか問われます。小規模多機能型居宅介護施設は大きく不足しています。県は地域密着型のサービス提供を進めるために、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。伺います。 以上で壇上からの第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅川清仁) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)十八番山村議員のご質問がございました。 まず、私に対しましては、地方整備局の地方移管についてのご質問がございました。 最近、全国の市町村から反対の意見も多いので、地方移管を行うべきではないと思うが、知事の考え方はどうかということでございます。 紀伊半島大水害の際には、国のテックフォースの派遣や土砂ダムの緊急工事の迅速な対応、国道一六八号折立橋の仮橋復旧による命の道の早期確保など、近畿地方整備局には、大変迅速に工事を進めていただきまして、感謝をしております。また、地元の市、村も大変喜んでおられます。 このように、国は、国土並びに県民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有しておられます。そのための大きな災害対応能力があるものと思います。災害などの責務を地方移管した場合、何が違うのかということでございますが、国と地方行政組織の公的な性格の違いがまずあるように思います。 地方が大規模な災害を受けた場合、国に救助を要請するのは、地方にとって法に裏付けられた権利であるとも思います。国は助けろと、こういうことを言えるわけでございます。 そのような権限、責任が地方へ移譲された場合、それぞれが平等な立場である他の地方行政組織へ救助を要請することになりますが、被災地が執行を法的に要請できる責務になるかどうかが問題でございます。相互救助の精神に基づく助け合いの仕事というふうに位置づけられますと、それは、法的責務を伴う公序ではなく共助、お互いに助け合うという性格のものになるのではないかと思います。 そのような法的な性格が違いますと、いざというときの対応の内容にも大きな違いが生じるのではないかというふうな不安を基礎自治体の方々が持たれているのではないかと思います。国は、災害救助の責任は免れないという立場にあるように思います。 また、府県と広域連合も、国と異なる中間自治体という位置づけでございますが、我が国の形は、国と中間自治体と基礎自治体と、三つの行政組織がございます。私は、この国の形で基本的に重要な役割があるのは、まず国と基礎自治体であると思っております。中間自治体は、基礎自治体を助ける役割を担うというふうに認識しております。サッカーのミッドフィルダーのような、よく考え、よく動き回る役目を果たすべきだと思います。 そのような中間自治体の組織は複雑で、屋上屋を重ねるものであってはならない思っております。我が国の国、中間自治体、基礎自治体の役割分担は、外国がそれぞれの役割が明確であるのに対して、比較的不明確であると言われております。大阪市、京都市のような政令指定都市と府との関係もその例の一つで、不明確な点があるのが、今回、問題になっている点でございます。 議員お述べの地方を守る会が、最近、活動されました。全国の約四百五十の市町村長が参加されていると聞いております。先週開催された総会にも、多くの市町村長と与野党の国会議員が参加され、当日の会議では多くの意見が出されたように聞いております。 その中では、基礎自治体の意見を十分に反映した上で議論を行い、拙速に国の出先機関廃止論を進めないよう、また今後とも基礎自治体と国の出先機関との十分な連携が担保されるように要望するといった決議が出されたと聞いております。 また、会合の中での発言では、広域連合が災害に係る工事を発注し、その工事に欠陥やミスがあった場合などは、国と違って責任がとれる体制になっていないじゃないかと。発注は広域連合、責任は国ということでは問題だといった発言もあったと漏れ聞いております。 これは、広域連合のガバナンスの欠点に基づくものだと思いますが、奈良県は、このような点はかねてから申し上げてきた点でございます。また、内閣府地域主権戦略室が行った全国の市町村の代表、首長からの意見聴取が伝わってきております。大規模災害時の地方整備局の迅速な対応が評価される一方、国の出先機関を移譲した場合、その対応を担保できるのかという意見や、国の出先機関の原則廃止にかかる検討が、国と県との議論のみで住民の安全などにかかわる基礎自治体に対する意見聴取や説明が十分になされていない意見、住民の安全安心を守る責任は基礎自治体にある、くれぐれも拙速な判断をさけるべきといった意見が出されたと聞いております。 このように、全国の基礎自治体から多くの懸念や不安が出されている状況でございます。出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲については、国は基礎自治体の意見に十分耳を傾けた上で判断すべきであると考えるものでございます。 中小企業の支援についてのお問い合わせがございました。 まず、中小企業振興基本条例に基づく施策の展開についてのご質問でございます。 ご質問の中で、誘致する産業政策とともに育てる産業政策が重要だというご指摘がございました。そのように思います。誘致するとともに育てる産業政策を充実させていきたいと思います。奈良県中小企業振興基本条例は、平成二十年三月に、中小企業の健全な発展を促し、中小企業が地域経済の活性化と地域社会の交流の促進に重要な役割を果たすということで設定されたものでございます。 基本方針がございますが、経営革新の促進、資金供給の円滑化、創業及び創造的事業活動などでございますが、この基本方針に基づきまして、ものづくり産業に対する施策として、主に次のような取り組みを進めてまいりました。 一つは、新たな事業展開への支援でございます。新商品開発や新たなビジネスモデル構築を支援する補助制度を活用しようとしております。 二つ目は、資金供給の円滑化でございます。工場の新・増設や高度化を支援する資金の創設などでございます。 三つ目は、創業及び創造的事業活動の促進でございます。ビジネスプランコンテストや県内起業機運の醸成、高付加価値獲得に向けた取り組みを県が率先して推進をしております。 四つ目は、研究開発の促進でございます。工業技術センター内に拠点を整備し、大学や研究機関との共同研究を推進したいと思っております。 また、特色ある県内企業の紹介や、高校生を対象とした企業見学会を実施するなど企業と地域社会との交流促進も課題であります。 今後の課題といたしましては、国内市場縮小への対応、また下請け・OEMからの脱却、また中小企業のさらなる連携に向けた体制強化などが重要だと思っております。 新年度の事業でございますが、これらの課題、目標を踏まえまして、まず首都圏を中心とする国内、また米国、中国への海外の販路拡大の努力を重ねたいと思います。次に、高付加価値化を目指す企業への、開発から販売までの一体的な支援を行いたいと思います。また、新たに創業・経営支援室という組織を設置いたしますが、中小企業支援センターと連携して、県内企業ニーズの収集ときめ細かな相談、支援を行いたいと思います。 このような取り組みにより、県内経済の中で重要な位置を占めております中小企業の健全な発展を図り、地域経済の活性化につなげていけたらと思っております。 中小企業への支援で、住まいリニューアル事業のことについて、ご質問がございました。 住まいのリニューアルには、最近力を入れてきた分野でございます。平成二十二年度から国の住宅エコポイントの創設とあわせまして、複数の政策目的を持った県独自のリフォーム補助制度を実施いたしました。特に、県内消費の拡大という観点から、プレミアム商品券の交付による補助という形態をとったのが独特なところでございます。 平成二十二年度におきましては、景観に配慮した屋根・外壁改修と、木造住宅における耐震改修を補助対象にいたしました。平成二十二年度は、この二つのリフォームに加えまして、県産材を活用したリフォームと、県内消費を拡大する一般的なリフォームを補助対象といたしました。 平成二十三年度の実績は、この四つの中で、議員もご指摘になりましたが、屋根・外壁改修が百件、耐震改修が二十八件、県産材を活用したリフォームが三十一件、一般リフォームが八百件の合計千五十九件でございました。これにより住宅産業の活性化にも一定の効果があったと思います。 このうち、八百件ありました一般リフォームは、県内消費の振興を大きな目的としており、県プレミアム商品券による補助の形をとったものでございます。県プレミアム商品券につきましては、県内消費の拡大という目的に一定の効果があったため、平成二十四年度は、地域の実情に応じて市町村等が実施した場合、プレミアム商品券の発行の補助をするという形に移行いたしました。 一定の効果があった一般リフォーム補助ではございますが、県プレミアム商品券が終了したことから、県内消費の振興という政策目的の大きな柱がなくなったため、補助対象にしないとしたものでごます。 リフォームということにつきましては、今後も一定のニーズがあり、リフォーム市場の活性化を支援していきたいと思っております。 県では、住生活ビジョンの作成を現在進めております。この住生活ビジョンの中で、リフォーム市場の活性化は重要な課題の一つと考えております。リフォーム相談窓口の設置や、リフォーム業者に対する技術講習会の実施などで、リフォーム業者の育成方策を行うことを検討しております。 この住生活ビジョンに基づきまして、施策を推進し、県内中小リフォーム業者の活性化につなげてまいりたいと思っております。 ご質問は以上でございました。ありがとうございました。
○副議長(浅川清仁) 林県理事兼危機管理監。
◎県理事兼危機管理監(林洋) (登壇)十八番山村議員のご質問にお答えをいたします。 私には、消防の広域化計画について、消防職員の削減につながる広域化計画を見直すべきと考えるかどうかということでございました。 厳しい財政状況下にあって、地震・台風等の大規模化する災害、高齢化に伴う救急搬送の増加等に的確に対応していくためには、市町村消防を広域化し、総務・通信指令部門の一元化・スリム化により生じた人員を現場部門に配備し、現場の消防力の強化を図ることが必要と考えられます。 そうした観点に立って、奈良県消防広域化協議会で広域化の協議が進められてまいりましたが、昨年四月の協議会総会等におきまして、多くの市長村長から、間接部門の一層の合理化により現場の消防力の向上だけでなく、消防全体の負担軽減を図るべきである、また県の強いリーダーシップにより消防広域化と消防救急無線のデジタル化を一体的に進めてほしい、そういった強い意見が相次いで出されました。 これを受けまして、県でデジタル化と相まった消防本部の段階的統合案を作成、提示し、十三消防本部の管理者であります市町村長の大勢の賛同を得て、県及び広域化協議会の事務方で具体的な検討を進めてまいりました。 そのさなかの本年一月に、以前から広域化に否定的な生駒市、奈良市が協議会から離脱をされましたため、残る十一消防本部による広域化の効果について改めて試算をし、各消防本部に提示するとともに、二月県議会の総務警察委員会に報告を行ったところであります。 試算の内容としましては、総務・通信部門の統合により生じる二百人程度の人員のうち、消防署所に百二、三十人程度を配置し、現場の消防力を強化するとともに、全体で七、八十人程度の人員削減を図るというものであります。 市町村財政が非常に厳しく、一層の経費削減が求められる中、現場の消防力の増強及び消防救急無線のデジタル化等の負担増に対応していくため、消防広域化により組織の合理化メリットを最大限発揮していくことは、十一消防本部こぞっての市町村の強い声であり、県としても同様の認識に立っております。 県としましては、十一消防本部一体となった広域化の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 中山観光局長。
◎観光局長(中山悟) (登壇)十八番山村議員のご質問にお答えします。 ご質問の内容は、記紀・万葉プロジェクトについて。古事記や日本書紀は、神話に基づく国づくりが描かれており、史実と異なることも多い。このプロジェクトの推進に当たっては、取り扱いに十分注意が必要であると考えるが、所見はどうかという、そういうご質問でございました。 本年、二〇一二年、本格的にスタートしました記紀・万葉プロジェクトは、古事記・日本書紀に書かれている物語などを観光素材として活用していく長期のプロジェクトです。とりわけ古事記・日本書紀につきましては、世界各地で共通に見られる神話的な要素も含まれた日本誕生の物語です。このような日本と日本人の源流をたどることができる書物が、千三百年前にこの奈良の地で編さん、完成されました。 このプロジェクトは、古事記・日本書紀を通じて、奈良の魅力と価値に自信と誇りを持っていただく、奈良らしい取り組みであります。その推進につきましては、議員ご指摘のとおり、近代の歴史を顧みると、慎重な取り扱いを必要とするものであると認識しております。 そのような認識を持ちながら現在進めている記紀・万葉プロジェクトの、観光素材としての古事記の物語を味わえる場所は、県内各地に点在しております。例えば、ご紹介しますと、明日香村は、古事記の編さんを命じたとされる天武天皇の飛鳥浄御原宮や陵墓があります。次に、田原本町には、古事記の編さん者・太安万侶ゆかりの多神社があります。大和郡山市には、古事記を諳誦されたとされる稗田阿礼ゆかりの売太神社があります。桜井市には、神と人の交流の伝説に彩られました三輪山があります。御所市には、一言主大神と雄略天皇が出会った場所とされる葛城山があります。天理市には、古事記にその名が書かれています石上神宮があります。また、日本書紀に目を向ければ、橿原市に宮跡が残る藤原京、これは、女帝であった持統天皇が遷都をしたという、そういう場所であります。 このように、県内各地には、ご紹介以外にもさまざま、いろいろまだまだたくさんあるわけですが、記紀ゆかりの地が数多く存在するということから、県の観光には大いに活用できる観光資源であるというふうに考えております。 そして、このような各地域の魅力を通じまして古事記に親しんでいただくという、こういう取り組みを広げたいというふうに考えております。さらに、記紀が編さん、成立された本県が、全国の記紀ゆかりの地の牽引役となって、九年間の長期の記紀・万葉プロジェクトとして全国に広がり、持続的で観光産業と雇用に結びつくような観光振興につながっていくように積極的に取り組む所存でありまして、頑張りたいと思います。 答弁は以上です。
○副議長(浅川清仁) 前田健康福祉部長。
◎健康福祉部長(前田努) (登壇)十八番山村議員のご質問にお答え申し上げます。 私に対しましては、介護保険制度につきまして、財政安定化基金の残額や地域包括ケア推進基金を活用し、さらなる保険料の軽減を行うべきではないか、そして、地域包括支援センターの内容の充実や増設に向けた県の支援及び地域密着型サービスの提供を進めるための県の取り組みについての二問のお尋ねがございました。 第五期の介護保険料につきましては、高齢化の進展に伴う介護サービス利用の増加等によりまして、本県におきましても、現在の平均月額四千十六円から四千円台の後半に届くことが見込まれております。保険料のご負担が大きくふえるということは認識をいたしております。 そこで、今般の介護保険法の改正を踏まえまして、介護保険財政安定化基金につきましては、基金本来の目的に支障を生じないために必要と考えられますぎりぎの約八億円を残しまして、二十四億円を取り崩し、市町村拠出分に当たります取り崩し額の三分の一、八億円を保険料の増加の抑制を図るため、市町村に交付することといたしたところでございます。 さらに、市町村の介護給付費準備基金の取り崩し額や、第四期からの繰越金につきましても、第五期の財源に繰り入れるよう、従来からも市町村にお願いをしてきているところでございます。 議員ご指摘の県拠出分八億円につきましては、これは、保険料の軽減に充てるべきではないかというご指摘があることは承知をいたしておりますけれども、お年寄りが住みなれた地域に安心して生活していただくために、介護や医療、さまざまな生活支援などの必要なサービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの構築、これが急務であると考えまして、新たに地域包括ケア推進基金を設置いたしまして、その実現のために活用することといたしたところでございます。 この基金の活用につきましては、これは、議員がお尋ねになられました二問目になるわけでございますけれども、地域包括支援センター、これは、いわば地域の高齢者の駆け込み寺とも言うべき重要な役割を担っていると認識いたしておりまして、その充実を図るべきであるという議員のご指摘は、まさに私どもと問題意識を共有させていただいているというふうに考えております。 地域包括支援センターでございますが、市町村が地域の状況に応じて現在県内六十カ所に設置いたしているものでございますが、最近では、平成二十三年五月に大和郡山市が一カ所を増設いたしました。十月には天理市が身近なところで相談を受け付ける窓口一カ所を新たに整備いたしました。このように徐々に箇所数もふえてきていると承知をいたしております。しかしながら、地域包括支援センターにおきましては、ケアプラン作成等の業務に忙殺されまして、総合相談支援業務あるいは地域の関係機関とのネットワークの構築などにつきましては、十分な取り組みができていない状況にあるというふうに認識をいたしております。 このため、県といたしましては、従来から地域包括支援センター機能強化推進会議、これを運営いたしまして、課題の抽出と解決に向けた検討を行いますとともに、地域包括支援センター職員や市町村の担当者に対しまして、地域ネットワークの構築や対応が困難な事例への対応手法についての事例紹介や意見交換、これを実施いたしてきているところでございます。 さらに、現在策定中であります第五期介護保険事業支援計画におきましては、地域包括ケアシステムの構築、これを新たに中心的な課題として位置づけまして、地域包括支援センターの機能強化につきましても、特に計画の中で柱立てをいたしたところでございます。 具体的には、地域包括ケアシステムの核であります地域包括支援センターを、今ほどご説明申し上げました平成二十四年度に新たに設置いたします地域包括ケア推進基金を活用いたしまして支援を行うべく、現在設置主体であります市町村とも意見交換を行っておりまして、早急に支援策を具体化してまいりたいというふうに考えております。 最後に、議員お尋ねの地域密着型サービスでございますが、従来から小規模多機能型居宅介護施設につきましては、制度周知のためのパンフレットの作成ですとか、事業所職員向けの研修の実施、支援、あるいはハード整備に対する助成等により普及を図ってきたところでございます。 新年度につきましては、これらの取り組みに加えまして、定期巡回・随時対応サービス等の新たなサービスに対するハード整備の助成ですとか、市町村担当職員向けの研修などによりまして、サービスのより一層の普及を促進してまいりたいというふうに考えてございます。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 十八番山村幸穂議員。
◆十八番(山村幸穂) ご答弁いただきましてありがとうございます。 それでは、再質問をさせていただきます。 初めに、知事に、地方整備局につきましては、大変わかりやすく知事の考えをお述べいただきました。よくわかりました。知事の思っておられるように、ぜひとも国に十分働きかけをしていただきたいということを、これは要望でございます。改めてお願いいたします。 そして、二問目でお聞きいたしました住宅のリフォームの制度についてなんですけれども、せっかくいい制度ができたということで、大変喜ばれました。私のところにも、リフォームしたいという方からたくさん相談がございました。それで、お聞ききいたしましたら、年間約一億円の県の予算で、結果として三十一億円の仕事ができたというふうに聞いています。本当に少ない予算であっても大きな仕事の効果があったということで、知事は、先ほど育てる産業育成が大切だということもおっしゃっていただいております。そういう点から見ましても、この仕事が県内でふえるということが、結果として県の税収にもつながりますし、県底上げのための大きな力になるというふうに思いますので、効果絶大ではないかと思います。ぜひともその点について、どのようにお考えなのかお聞きしたいというふうに思います。 それから、もう一点、次に、危機管理監に伺いますが、消防広域化についてであります。 現場に人をふやしてほしいというのは、本当に切実な声だということを、私も各地の消防本部に伺って直接お聞きをいたしました。この奈良県消防広域化協議会が出されました人員配置のシュミレーション、これは、どういう根拠に基づいてつくられているのか。実際にすべての消防署所で配置がどうなり、実際の運用はどのようになるのか、そういう詳細な検討がなされているのかどうか、まずお聞きしたいというふうに思います。 次に、介護保険のことでございますが、県下では、平均で四千円台の後半と言われましたが、私は、お聞きいたしましたら、決定されるのはこれからかもしれませんが、五千円を超える市町村が幾つか出ております。この五千円を超える保険料というのは、大変重い負担だというふうに思いますけれども、健康福祉部長、どのように思われますか。お聞きしたいと思います。
○副議長(浅川清仁) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 一般リフォームの補助についての再質問でございます。 先ほどご説明申し上げましたように、リフォーム市場の活性化は、大変重要だと思っております。その中で、一般リフォームは大変好評でございましたが、県内消費の定着ということを主たる目的にしてプレミアム商品券を使った補助ということでございました。 そのほか、リフォームの活性化を含める県住宅ビジョンというのを今、作成中で、それに従って、今後、住宅施策を受ける方の側と供給する方の側を活性化するように努めていきたいと思います。重要な分野だと思っております。 その中で、リフォームというのが雇用を生むのではないか、仕事を生むのではないかというご指摘が今あったように思います。来年度予算では載せておりませんが、リフォームマーケット、リフォーム需要の動きを見ながら、もう少し判断していきたいと思っております。最初の目的からはちょっと違った目的になってきたということでございますが、リフォーム市場全体の活性化また雇用における影響などをもう少し注視していき、今後の判断をしたいと思います。
○副議長(浅川清仁) 林県理事兼危機管理監。
◎県理事兼危機管理監(林洋) 消防の広域化についてですけれども、試算ということではありますが、消防広域化協議会の事務局において、十一消防本部につきまして、具体的なシミュレーションに基づいて行われているものと承知しております。
○副議長(浅川清仁) 前田健康福祉部長。
◎健康福祉部長(前田努) 介護保険の保険料でございますけれども、確かに四千円台の後半になるということは、その増加の程度も含めて、やはり負担としては必ずしも低くはない、軽くはないものではあるというふうに認識いたしております。
○副議長(浅川清仁) 十八番山村幸穂議員。
◆十八番(山村幸穂) 知事のお考えでは、これからさらに検討をということであるかのように聞きました。たしかに中小企業で仕事がふえると、雇用がたくさんふえると私たちは思っております。実際に、経済効果という点で、プレミアム商品券で使われた金額は一億円ということですが、仕事として落ちた金額が三十一億円ということですから、はるかに大きな効果があったということは、だれの目にも明らかだというふうに思います。 知事は、この制度を導入されますときに、やはり公共事業より民需、民間ということで、建設業の活性化は本当に大事だということで英断をされたというふうに思います。ですから、こういういいことは、やはりどんどん続けていっていただきたいと、その点を強く求めておきたいというふうに思います。 それから、消防広域化についてですが、現場でどんなシミュレーションになったのかということは、具体的にお話はありませんでしたが、それぞれの消防署所に一体何人の人がふえて、今、兼務、兼務で、非番のときにも呼び出しになられたりとか、大変な苦労をなさっている人たちが、どれほど仕事が軽減されるのかという裏付けがありません。 そもそも、人員配置というのは、消防力指針に基づいて行われるべきものであります。それが原則です。そこが不足をしておるのに、さらに減らすということは、市長村長が幾ら申しましても、県民にとってマイナスですし、現場の消防職員の思いとも、まったく違うというふうに思います。 私たちは、広域化がすべてだめだというふうには言っておりません。効率的に運用されるということは大事なことだと思いますが、根拠もなく人を減らすという、ここの点については、改めるべきだということを強く求めておきたいと思います。 今でも、高い介護保険料が払えずに滞納される方がたくさんいらっしゃいます。介護保険料が滞納のために、実際の介護が受けられないという高齢者の相談も伺っております。こういう人たちの思いというのを、本当にしっかりと県がとらえるべきだというふうに思います。このことを強く求めておきます。
○副議長(浅川清仁) 次に、四十一番藤本昭広議員に発言を許します。--四十一番藤本昭広議員。(拍手)
◆四十一番(藤本昭広) (登壇)議長の指名により一般質問を行います。 本日は、私が四人目の質問者であり、議員の皆様をはじめ、知事、理事者の皆様は大変お疲れのことと存じますが、何とぞご協力、よろしくお願いいたします。 初めに、県債残高について知事に意見を申し上げます。 奈良県行政の借金と言うべき県債残高は、平成二十四年度末で、総額一兆七百九十九億円となる見込みです。これは、県民一人当たり約七十七万円の借金です。県民に何とかしてくれ、返してくれと言ってもだれも払いません。この借金をいかに減らしていく、努力をしていただきたいのです。 そして、税収をふやすには限界があります。また国の交付税や補助金が増額される見込みもありません。やはり歳出をいかに減額していくかが問われています。 知事にお願いしたいのは、県の予算歳出、つまり使い方は、自分の家計と思って予算を考えていくべきではないでしょうか。 私は少し調べました。臨時財政対策費などの特別な県債を除いた通常の借金と言うべき県債を、歴代の知事はどうされたか。上田知事は在籍十一年間で三千八百八十二億円、柿本知事は十五年間で一兆六百三十七億円、荒井知事は四年間で千二百五十七億円発行しています。 知事も我々議員も、県債が幾ら残っていようが、やめたら関係ないのです。だからこそ、今、歳出削減と県債発行を抑える努力を求めておきます。 次に、行財政運営の推進について知事に質問します。 今まで県は、効率的な行財政運営のため、さまざまな取り組みを行ってこられました。知事をはじめとした給与のカットや定数削減、事業見直しなど、もちろん県議会でも、議員報酬を、一番高いときと比べ五万二千円の減額、議員定数を六名削減、登庁旅費の見直しなどを行ってきました。 これからは、県政運営にかかわるわまざまな課題を解決するには、民間の会社の感覚で、行政経営という視点が必要になっています。 県では、その行政経営の進め方として、PDCAサイクルを用いられています。これはいいことです。つまり、プランを立てて行動し、チェックして見直しのアクションを起こしていくわけですが、私は、この中に、例えば大学の教授、弁護士、公認会計士など外部の声を聞く仕組みを取り入れられ、内部の視点からでなく外部の新鮮な視点を取り入れ、反映させることによりPDCAサイクルがより実効性の高いものになると考えます。 知事の見解と答弁を求めます。 次に、関西広域連合と総合特区について知事に質問します。 政府は、昨年六月、新成長戦略~元気な日本復活のシナリオを閣議決定し、地域の責任ある戦略、民間の知恵と資金、国の施策の選択と集中の観点を最大限に生かす総合特区制度を創設することとなりました。この政府の新成長戦略の呼びかけに関西が連携し、我が国の経済成長のエンジンとなる産業、機能の集積拠点を形成することを目指して、関西イノベーション国際戦略総合特区を国に申請してきました。大阪府、京都府、兵庫県の三府県と大阪市、京都市、神戸市の三政令市が申請主体となっています。 昨年十二月二十二日、留保条件を付与されながらも、一次指定地域の決定がなされました。製薬、家電、蓄電池、太陽電池等、世界
トップクラスのリーディング企業が集積していること、世界屈指の大学、研究機関、科学技術基盤が集積していること、また事業エリアがコンパクトに集積していることなど関西の持つ高いポテンシャルを活用し、日本の国際競争力の強化を牽引しようとするものです。 それがため、複数の規制の特別措置に加え、税制、財政、金融上の措置を総合的に実施できるよう国に求めていくものです。すでに関西は、五年間で六百七十七億円の財政上の支援を申請中と聞き及んでいます。 この国際戦略総合特区の背景に、関西広域連合の存在が大きく影響していることは事実です。私たちは、産業や雇用について、県単独でできることは少ない。このたびの国際戦略総合特区の成否は、我が奈良県民にとっても、大きなかかわりがあるのではないでしょうか。 知事にお尋ねします。関西イノベーション国際戦略総合特区にかかわって奈良県に誘いはなかったのでしょうか。 次に、国との人事交流について、知事に質問します。 県の職員が高校や大学を出て、一生懸命働いて、やっと係長や課長補佐になってきた。いよいよ課長かなと思ったら、国から急に課長、部長の席が取られてしまう。今、国から派遣された部課長は十二名です。あまりにも多すぎませんか。長年勤務している県職員があまりにもかわいそう。一度、見直されてはいかがでしょうか。確かに国からの補助金の獲得のねらいもありましょうが、知事のご所見をお伺いします。 また、私の意見ですが、県の幹部職員がインターネット交流サイト、フェイスブックで、産経新聞の不買運動を呼びかけた問題や、特定記者の実名被害についても、知事は、ほかにも行き過ぎた書き込みがなかったかと、調査したいと思うと新聞に載っていました。そうしたことが起こりました。人事を行うときは、もっと考えて、適任者を慎重にすべきということを進言しておきます。 次に、高齢者の介護についてお聞きします。 高齢者になっても、家族や親しい人たちの近くで暮らしたいというのは、県民の皆さんの願いです。しかしながら、特別養護老人ホーム等の入所施設への希望はふえています。県の調査によると、平成二十三年四月一日時点で、約六千七百人の待機者がおられる。このうち、要介護三以上で、自宅で一年以上待っている人が約八百人とのことです。この方々が早急に入居できるようにしてほしいのです。 高齢者の中には、医療ケアニーズを抱えて入所されている方も多数おられます。質の高い介護サービスを提供するためにも、この医療ケアニーズの対応が必要です。県では、この入所待機者の解消のために、どのような取り組みを進めていくのですか。また、施設等における医療ケアニーズにどのような対応をされていくのでしょうか。健康福祉部長に答弁を求めます。 次に、
子育て支援について、こども・女性局長に質問します。 一人の子どもを生み育て、一人前にしていくのに、高校卒業まで、約千四百四十万円かかると言われております。大学を卒業するまで二千三百六十万円かかるという調査結果があります。長期的な経済不況がもたらす家計への負担も大きいものがあります。 このような状況を反映している、また結婚しない若者がふえて、奈良県の合計特殊出生率は一・二五で、全国ワースト五位という情けない状況です。 しかし、少子化で子どもの数は減っているにもかかわらず、夫婦共稼ぎなどを背景に、保育所のニーズはふえています。待機児童の解消も必要です。 一方、子育ての孤立感と負担感の増加も指摘されています。親の心を支える
子育て支援が必要です。安心して子育てできる環境づくりを社会が一丸となって進めなければなりません。 現在、経済的な
子育て支援として、子ども手当が月額一万円または一万五千円が支給されていますが、県として、安心して子育てができる環境づくり、すなわち仕事と子育ての両立支援としての保育所待機児童の対策や、子育て不安、負担解消のために、どうした対策を今後どのように進めていくか、お答えください。 次に、若者の就職支援について質問します。 このごろの日本は、全体的に、いま一つ元気がありません。僕は元気ありますけど。 どういうわけか、日本全体が、そして奈良県が、ぱっとした爆発的な明るさや活気を失っています。それは、皆さん、なぜでしょうか。それは、きっと若い人の元気がないからです。高齢者の方は、医療や介護が充実しているためか、元気で長生きされておられます。それはよいことです。 しかし、若い人はどうでしょうか。県内在住の十五歳から三十五歳までの働く若者約十九万人の、実に三分の一以上が、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員などの不安定な仕事についています。しかも、こうした非正規雇用の若者の七割以上は、何と年収二百万円以下です。これでは、結婚できない。結婚して、子どもを生み、育てる状況にないんです。だから、活気がないんです。安い飲み屋へ行って、すぐに帰っていく。二次会に行かない、そんな若者の後ろ姿はかわいそうです。 これまで、県では、ならジョブカフェにおいて、五千人以上の若者の就職支援に取り組まれたと聞いておりますが、今の若い人たちが安定した職につくために、今後さらにどのように支援していくのか、産業・雇用振興部長に質問します。 次に、周産期医療について、
医療政策部長に質問します。 平成十八年に町立大淀病院において症状が急変した妊婦の受け入れが奈良県ではできず、大阪府の病院で受け入れられ、妊婦が死亡されました。テレビ、新聞で大きく取り上げられました。平成十九年にも妊婦が奈良県内で受け入れられず、大阪府へ搬送中に死産するという事実が発生し、県民に大きな不安を与えることとなりました。 現在、県内の産科医療を担うのは、九つの病院と十八の診療所から、母体を県立医科大学附属病院、
県立奈良病院に搬送されており、その件数が増加していると聞いています。 そこで聞きますが、県内における母体搬送状況はいかがですか。 次に、二つの事案を受けての反省から、県は周産期医療の充実を図ってこられたと思うが、その間、具体的にどのような対策をとられたのか。また、今後どのような対策をとられるのか、質問しておきます。 次に、土木部長に質問します。 まず、県道天理環状線の、私の近所の、近鉄前栽駅周辺は大変狭く、車のすれ違いが困難で、朝夕の通勤ラッシュには、かなりの停滞が発生している。歩行者も危険です。私は、十六年間議員をして、地元の人から何してるねんとよく言われました。現在、この拡幅事業を推進されておりますが、地元住民や私にとって、十数年来の要望してきた箇所です。この踏切の拡幅事業における取り組み状況と、今後の予定について答えてください。 次に、国道二五号、勾田町交差点付近の歩道整備についてです。 この付近の歩道は斜めになっており、これでは車いすやベビーカーも通りにくい。地元からの要望を受けており、私も早急に段差解消等の対応が必要と考えます。取り組み状況と今後の予定について答えてください。 次に、子どもの教育について教育長に質問します。 子どもは、国の宝と申します。先生や親などの大人の心の持ち方が、子どもに大きく影響しています。それは、子どもの安全を守るという名のもとに、知らない人には気をつけよう、用心しようという声が多すぎて、知らない人にあいさつをしない子どもがふえています。 ある山間の人のふれあいの温かい小学校で、大人の人が朝早くから校門の前で、おはよう、おはようと何度も子ども一人ひとりに声を掛けていたそうです。子どもらは、嫌がって、怖がって、逃げて、近所の家に走って逃げたそうです。ところが、何とその人は、四月から来た新任の校長先生だったそうです。皆さん、どう思いますか。もっと声を掛けよう、あいさつしようという世の中にしたいです。 実は、皆さん、私の事務所と接骨院に二度も泥棒が入って、現金などかなりの被害がありました。警察署の、いわゆる警察官の防犯に聞きました。先生、プロの泥棒は、盗みに入る前に、家を探しに下見するそうです。そのとき、近所のおばさんや子どもらから、こんにちは、おはようございます、おはようございますと二、三人に声を掛けられたら、ああ、おれは顔を見られたということで、知られたということで、その地区周辺の盗みをあきらめるそうです。もっとあいさつ、声をかけることの大切さを広めるようにしてはいかがでしょうか。 次に、私らもそうですが、将来を担う子どもらは、食べるとき、動植物の命を絶ってみずからの命をつないで成長していくのです。昔は、米一粒落としても、父親から怒られました。食べ物を大切に、食べ物を残さない教育を充実させるべきではないでしょうか。 ある小学校のPTAの役員さんが、学校に対して、先生、子どもらの給食のときに、いただきますと言って手を合わせて食べているそうですね。それはおかしい。ただで食べてへんよ。給食費を払うてますよ。私ね、もうあきれましてね。動植物の命をいただくのです。感謝の心で食べるのです。食べ物を大切にし、残さない。ものを大切にする心、それが、友達を大切に、親を大切にする心へとつながっていくのではないでしょうか。 学校教育におけるあいさつや食べ物を大切にする心を育てる教育をどう進めておられるのでしょうか。また、このような教育は、学校、家庭、地域全体で進めることが重要だと思いますが、教育長の所見をお願いします。 最後に、警察官拳銃発砲事件について要望しておきます。この事件について、二月二十八日に、奈良地方裁判所で判決が下りました。裁判は、逃亡防止のため、発砲する必要があったと正当性を認め、殺意も認定できないと無罪となった。すぐ原告側は大阪高等裁判所へ控訴される予定と聞いております。 私は、この判決内容を分析して批評するのではなく、この事件は、平成十五年、逃亡車両に警察官が拳銃を発砲して、助手席の男性が死亡しましたが、この発砲は、車上ねらいの犯人が国道二四号で暴走を繰り返し、次々車をぶつけて、一般の人に危険が及ぶと、一般市民の身体、生命を守ると判断して、撃てと促した警察官も、拳銃を使うしかなかったと述べている。運転手は、覚せい剤を使っていて、パトカー、一般車などに激突しながら逃亡し続けていたということでございます。 そこで、私は警察本部長に一言言いたいのは、県民、市民を守るために、拳銃をやむを得ず使わなければならない場面は、必ずあると思います。暴力団との抗争や、市民が恐れているとき、凶器や拳銃を持った犯人などに発砲しなければならない場面が必ずあると思うんです。そのとき、今回の裁判に影響されて、非常時に警察官が拳銃を使うことをためらったり、命令・指揮に悪い影響の出ないようにしてほしいんです。警察本部長に強く要望しておきます。 以上で壇上からの質問を終わります。答弁によっては再度質問いたします。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅川清仁) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)四十一番藤本議員のご質問にお答えいたします。私に対しては三問ございました。 まず、冒頭、県債残高と財政規律についてのご発言がございました。 藤本議員は、かねてより、県債残高に特に注目され、財政規律の維持について発言を続けてこられております。敬意を払っておるところでございます。 県債の残高は、財政規律の一つのメルクマールになると思っております。その中で、臨時財政対策債が国の全額償還という条件で発行されて、地方交付税にかわる措置として発行されておりますので、その分がふえてきている面もございますので、通常債をどれだけ発行したか、残高は幾らかというのは、一つのメルクマールでございます。通常債の発行を抑制するように運用してきておりますが、通常債の中でも、交付税措置のあるのとないものとがございますので、発行する場合は、交付税措置のあるものを優先して発行するようにしております。 現在、全体で一兆円をちょっと超える県債残高でございますが、その中で、交付税措置のない県債残高が四千億円強ございます。県の自主財源は、千億円超でございますので、先ほど藤本議員が家計に例えられましたように、自分の給料で返す借金は幾らあるのかという観点でいきますと、千億円に対して四・三倍あるということでございます。年収五百万円の者に対しまして二千万円程度の借金があるといったような比率になるわけでございます。借金がないにこしたことはございませんが、その中でも、自主財源との比率を注目しているものでございます。 質問の冒頭に、PDCAサイクルについてご注目をいただき、その中で、外部の意見を聞き、実行性を高めたらどうかというご質問がございました。本県では、私は、各種指標による現状分析や県民アンケートの調査によるニーズの把握に努めまして、既存の政策事業の評価を行う実証的な評価を行い、それらを次年度に生かすというPDCAサイクルを重視した行財政運営を進めております。 PDCAサイクルの流れといたしましては、まずPのプランとして、予算案決定時に、一年間の取り組むべき方向性を行財政運営プランとして、また今後数年間の具体的な取り組みとして、その工程などを主な政策集としてお示ししております。次に、Dのドゥーとして、プランに基づき事業を実施いたします。また、Cのチェックとして、決算審査時に、前年度の取り組みについて評価した重点課題に関する評価を公表しております。また、評価結果は、知事と幹部職員との政策検討会議の場であります夏期・秋期集中討議等において活用し、A、アクションとして、評価を踏まえた重点的に取り組む分野と方向性を明らかにした行財政運営の基本方針としてお示しすることによりサイクルをさせ、それを公表するように努めているところでございます。 PDCAサイクルの中で、PのプランとCのチェックは特に重要であると思っております。P、プランの段階では、県民の方のご意見も施策に反映する必要がありますので、毎年県民アンケートを行うとともに、私に直接意見、提言をいただく知事と県民の集いを毎年開催しております。 平成二十三年度におきましては、田原本町などで四回開催し、若手企業家から起業について、若手農業従事者から農業経営について、高校生から観光について、就労中の女性などから女性の就労について、立派な多様なご意見をいただきました。また、C、チェックの段階では、評価手法について、専門的、客観的な立場から意見をいただくため、大学教授や公認会計士などの学識経験者を、政策評価アドバイザーとして委嘱し、評価制度の質の向上を図っております。 このような奈良県のPDCAの充実は、アドバイザーの方々から大変驚かれている状況でございます。 今後ともこのような仕組みを活用して、PDCAサイクルを継続的に向上させることにより、奈良はもっとよくなると思います。PDCAは未来志向でございます。未来の県民のためにも、これまで育ててきた発展の目をより大きな成果へと結実され、よりよき奈良の未来づくりをPDCAの仕組みで進めたいと思っております。 次に、関西イノベーション国際戦略総合特区にかかわって、奈良県に関西広域連合などから誘いはなかったのかというご質問がございました。 経緯を申し上げます。昨年二月に開催されました関西経済連合会主催の関西財界セミナーにおける拠点連携型の広域総合特区を実現すべきとの提言を受けて、国際戦略総合特区の共同申請に向けて、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県及び京都市、大阪市、神戸市、堺市の四府県、四政令市が協議してまいりました。 この関西イノベーション国際戦略総合特区は、けいはんな学研都市など九つの拠点から形成されております。奈良県は、けいはんな学研都市全域を特区として指定されることが発展につながるものとして、京都府、大阪府、奈良県の三府県が、民間企業等と共同して進める次世代エネルギー社会システム実証実験を特区事業として自認し、昨年五月から特区申請に向けた協議会の準備会に参加してまいりました。 しかし、九月に協議会と内閣府との間で事前協議を進めておられる中で、特区事業を展開しない地域、その地区にその特区事業の場所がないと、それを特区の区域に含めることは困るという判断が出されました。奈良県の地域の中には、実証実験を展開する区域はございません。奈良県の中で立地している企業、ならやま研究パークの企業や高山第一工区の企業が次世代エネルギー社会システム実証実験の事業には参加されておりますが、その実証実験をする場所がないということで、特区事業の特定事業をやっていない地区ということで、認定されたものでございます。 残念ながら、そのようなことで、共同申請には参画できないということになったものでございます。関西広域連合の参加の有無とは全く関係しないものでございます。 国の人事交流についてのご進言も含めたご質問がございました。 現在、県では、十二名の方が国から派遣していただいております。これが多いか、少ないかということはありますが、おっしゃいましたが、私は、よく働いていただいているかどうかということの観点が重要だと思います。 県の職員は、学歴に関係なく要職についてもらっており、よく働いていただいておりますが、国からの職員の方については、適材適所の配置により、本人の知見や人脈、過去の経験等を生かし、力を発揮してもらっていると思います。これらのご活躍は、県行政の円滑な推進に大いに役立っているものと認識しております。 派遣していただく際は、私がみずから派遣元の省の人事担当幹部のもとにお伺いいたします。次官とか官房長だとか人事担当審議官でございますが、できるだけ能力の高い人を派遣していただくようにお願いをしてきました。このような人事交流によって、お互いが切磋琢磨し、能力を向上していただくことを期待してきております。県職員のやる気や能力は大いに高まってきているように思われ、職員の皆様には感謝をしているところでございます。 また、従来から人事については、国からの派遣職員や県職員を区別することなく、適材適所の配置に努めてもらってきました。県職員であっても、やる気や業務への貢献を考慮して、重要な仕事を数多くこなしていただいており、若手の登用も積極的に図っているところでございます。 今後も、引き続き同様な考えのもとで、適材適所の配置に努めていきたいと思いますが、県職員の方にはよくやっていただいてきていると感じているところでございます。 私に対する質問は以上でございました。
○副議長(浅川清仁) 前田健康福祉部長。
◎健康福祉部長(前田努) (登壇)四十一番藤本議員のご質問にお答えをいたします。 私に対しましては、特別養護老人ホームの入所待機者解消のための取り組み、また施設におけます医療ケアニーズへの対応についてのお尋ねがございました。 特別養護老人ホームにつきましては、かねてより計画的に整備を進めてきたところではございますけれども、議員のご指摘のとおり、なお多くの入所をお待ちの方がおられるということは大きな問題であるというふうに認識をいたしております。 そこで、昨日の松尾議員にもお答えを申し上げましたとおり、現在策定中の第五期奈良県介護保険事業支援計画では、約七百床の整備を計画しておりまして、現在整備中の約六百床と合わせまして、議員にご指摘いただきました要介護三以上で自宅で一年以上待機しておられる約八百名の皆様につきましては、できるだけ早期に対応できる見込みというふうになっております。 また、介護サービスの量の整備に加えまして、介護の質の確保も必要でございます。議員ご指摘のとおり、とりわけ医療ケアニーズへの対応は、極めて重要なものであるというふうに認識いたしております。 そこで、県といたしましては、医療行為であります喀たん吸引及び経管栄養、これが適法に実施できる介護職員の要請を本年度から実施いたしております。また、新年度につきましては、新たに、資格をお持ちでいながら現場で働いておられない看護師の方々への復職の支援の研修などによりまして、介護福祉職場におきます看護職員の確保対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 あわせまして、在宅で療養されておられますお年寄りの方々に対しましても、訪問看護や小規模多機能型居宅介護等のサービス提供基盤の充実、医療と介護の連携の強化、在宅と施設の連携の確保等によりまして、住みなれた地域で可能な限り自立した日常生活を営んでいただけますよう地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 西岡こども・女性局長。
◎こども・女性局長(西岡史恵) (登壇)四十一番藤本議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、
子育て支援について、保育所待機児童対策や子育て不安、負担感解消のための対策について、今後どのように進めていくのかについてのご質問でございます。 現在、子育て中の親に関する深刻な課題といたしまして、保育所待機児童の問題、育児不安、負担感の増大などがあると認識しております。昨年十月の県内の保育所待機児童数は、三百八人となっており、また育児不安、負担感については、県の少子化実態調査におきましても増加していることが伺えるところでございます。 このような状況を踏まえまして、県では、安心こども基金を活用した保育所整備を促進し、平成二十一年度からの三年間におきまして十二カ所の保育所を創設、八カ所の増改築により定員増を図ってまいりましたが、待機児童の解消には至っておりません。 今般、安心こども基金の事業期間が一年間延長されましたことから、平成二十四年度におきましても、引き続き市町村における保育所整備を支援していきたいと考えております。 また、育児不安、負担感の解消のための取り組みといたしましては、県内に年間約五千人おられます初めて子育てをする親を重点的に支援していきたいと考えております。 具体的には、第一子を出産されました方に、子育て相談機関を明記いたしましたお祝いメッセージカードをお届けし、親と相談機関をつないでいく取り組みを新たに実施していく予定としております。 また、市町村の両親教室、これは母子保健で実施されている妊娠期の教室でございますけれども、両親教室のプログラムといたしまして、今年度は、妊娠中や出産直後の悩みに対応できますように、妊娠期向けのプログラムを作成しているところでございますが、これに加えまして、平成二十四年度は、出産後向け、また祖父母向けも作成する予定でございます。 今後、市町村において活用していただき、両親教室の場を生かした
子育て支援を充実していきたいと考えております。
子育て支援は、親にとってだけでなく、社会にとっても未来を切り開くとうとい営みであることを認識し、引き続き市町村や関係団体等にもご協力いただきながら、みんなで支える子育てに取り組んでまいります。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 浪越産業・雇用振興部長。
◎産業・雇用振興部長(浪越照雄) (登壇)四十一番藤本議員のご質問にお答え申し上げます。 私への質問は、若者の就労支援について、若い人たちが安定した職につくためにどのような支援を行っていくのかという問いでございます。 若者の安定した就労の実現に向けましては、新卒者への支援、学校卒業後、就職できなかった若者への支援、非正規から正規雇用を目指す若者への支援の三点からのアプローチと取り組みが重要かと考えております。 まず、新卒者に対する就職支援といたしましては、大学等の窓口への求人情報の提供や企業合同説明会の開催、また大学等からの要請に応じまして、就職活動を支援するセミナーも実施していきたいと思っております。 学校卒業後未就職の若者に対しましては、学校とも連携しながら、ならジョブカフェ等の相談窓口への誘導を促進し、希望に則した早期就職の実現に向けて支援を行ってまいります。 非正規から正規雇用を目指す若者に対しましては、相談支援とともに、セミナーや職業訓練を通じまして、段階的なスキルアップ支援を行います。 新年度は、新たに働く力づくり事業といたしまして、非正規労働者を対象に、技能習得の前段階としての研修を行い、職業についての基礎知識と自己表現力の向上を図ることとしております。また、具体的な技能の習得に向けましては、座学と企業実習を組み合わせた訓練コースを百八十人から三百人に増員して実施することとしております。より実践的な能力が身につきますよう、きめ細かな支援を行ってまいりたいと思います。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 武末
医療政策部長。
◎
医療政策部長(武末文男) (登壇)四十一番藤本議員の私へのご質問は、周産期医療の取り組みについてでございます。 県は、平成十八年、十九年の事案が再び起こらないように、これまで周産期医療の体制の整備を行ってまいりました。 具体的には、県内で年間一万件余りの分娩に対して、九つの病院と十八の診療所などの医療機関が対応しているのは、議員お述べのとおりでございます。それらの医療機関の中で、総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターの整備をして、産婦人科の一次救急体制の構築などの対策を講じてきたところでございます。 議員がご指摘されたあの母体搬送でございますけれども、これは、かかりつけの産科医がより安全な出産のために、設備人員の整った周産期母子医療センターに受け入れを依頼するというもので、病診連携の中で行われているものでございますが、その搬送の状況は、搬送数全体では、平成二十年に二百四件あったものが、平成二十三年には三十五%増の二百七十五件にふえております。このうち、県内での受け入れは、百五十八件が二百五十四件と約百件ふえてきております。しかし、県内の受け入れ率で見ますと、七七%が九二%まで向上しておりまして、対応できているようになっているところでございます。 一方、県外への搬送でございますけれども、平成二十年に四十六件であったものが、平成二十三年には二十一件と半減しているということでございます。 つまり、県内の周産期医療体制は、充実している一方で、搬送件数が増加しておりまして、これらの県外搬送につきましては、年ごとにかなり変動があるようでございます。 したがいまして、母体搬送が適切だったかどうか、これは、医療機関同士がスムーズに連携されていたかどうか、関係者と協議してまいりたいと思います。 今後、これらの議論を踏まえながら、周産期母子医療センターである県立医科大学附属病院、
県立奈良病院もさらに充実に向けて整備し、県民の方々が何より安心して出産していただけるように、さらなる体制の向上に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 大庭土木部長。
◎土木部長(大庭孝之) (登壇)四十一番藤本議員へお答えいたします。 私への質問は、天理環状線の近鉄前栽踏切の拡幅事業、そして国道二十五号の勾田町交差点付近の歩道整備についての取り組み状況、予定でございます。 まず、天理環状線の近鉄前栽踏切については、踏切部の幅員が三メートルしかなく乗用車のすれ違いが困難な状況となっております。このため、近鉄、天理市と調整を行ってきました。 これらの調整が整ったことから、平成十九年度に事業化し、地元説明、用地交渉を進め、既に道路拡幅のための一定の用地協力が得られたところでございます。 踏切拡幅に際しては、遮断機、警報器の設置位置や視認性の課題について、現在、近鉄等と協議、調整を進めているところです。この課題を解決した上で、年内に踏み切り拡幅工事に着手できるように努めてまいりたいと思っております。 また、国道二五号の歩道でございますが、これは、天理環状線との交差点である杣之内町から国道一六九号との交差点の勾田町の間、約八百メートルにおきまして、歩行者や自転車の通行が多いにもかかわらず、歩道がない、あるいは歩道があったとしても、議員お述べのとおり、段差がある状況でございます。このため、平成二十二年度より歩道のない東側区間、杣之内町交差点から南側の歩道の整備に着手しているところでございます。 西側の勾田町側の区間は、歩道があるものの、沿道家屋等へのすりつけによる段差がある状況でございます。段差の解消のためには、民地側でのすりつけなど、住民の協力が不可欠でございます。このため、住民と十分調整して対応してまいる所存でございます。 そして、勾田町の交差点そのものでございますが、交差点の西側、天理市道で、現在右折車線と歩道を整備中でございます。国道二五号側においても、右折車線と歩道をあわせて整備する予定でございまして、地元説明と用地交渉に向け、早急に工事に着手できるようにしてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 冨岡教育長。
◎教育長(冨岡將人) (登壇)四十一番藤本議員のご質問にお答えいたします。 私には、子どもの教育について、あいさつや食べ物を大切にする心を育てる教育をどのように進めているのか、所見はどうかのお尋ねでございます。 子どもにあいさつや食べ物を大切にする心を育てることは、基本的生活習慣の形成や、豊かな人間性を育むための基礎となることから、例えば、小学校の学級活動で、日常のあいさつや言葉遣いを指導いたします。給食の時間で、自然の恩恵への感謝を指導いたしております。また、このような教育は、子どもの居場所であります学校、家庭、地域が連携して行うことが有効だと考えており、県教育委員会では、幼稚園、保育所の三歳から五歳児を対象に、夏休み期間に家庭の協力を得て、おはよう・おやすみ・おてつだい約束運動を平成二十一年度より実施いたしました。今年度は、二万五百四十二人の幼児が参加してくれました。 また、昨年度から始めております見直そう!家庭と学校協働プロジェクトにおいて、地域と協働いたしましてあいさつ運動に取り組んでいるモデル校の榛原西小学校では、地域の人から、子どもが進んであいさつをするようになったという声が聞かれ、今後、こうした取り組みの方法の分析を行い、拡大していきたいとも考えております。 一方、食につきましての取り組みとしましては、奈良県食育推進計画に、食に対する感謝の気持ちを持ち、食を大切にする習慣を身につけることを示し、各学校で栄養教諭等を中核として、食育を組織的に推進しており、例えば地域の生産者や食の専門家等をゲストティーチャーとして食育講習会などを実施し、地域との連携を図っているところでございます。このように、今後も、子どもたちに基本的な生活習慣の形成や豊かな人間性をはぐくむための取り組みを推進していく所存でございます。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 四十一番藤本昭広議員。
◆四十一番(藤本昭広) 知事をはじめ、教育長、各部長さん、皆、答弁、ありがとうございました。 一つ、知事もおっしゃっていました行政経営については、やっぱり私どもの財政が苦しいということで、知事も給料を一〇%カットしたり、副知事、部課長もね。そして、職員を三年間で二百三十名減らしたり、団体の補助金を三年で一億二千万円減らしたり、いろいろ努力はしているわけですね。 しかし、一方で、やはり東アジア地方政府会合の予算でも三億八千万円、三年間で十億円と、そういう点についても、事業仕分けかどうか知らんけど、やっぱりこれが県民の、あるいは行政効果についても検討していくということで、また予算審査特別委員会でうちの仲間が言うてくれるんじゃないかと思っております。きょうは意見だけで。 二つ目は、
東日本大震災で、この関西広域連合の知事が集まって、発生したらすぐに、大阪府は岩手県、兵庫県は宮城県、京都府は福島県とてきぱきやっております。確かに奈良県もすぐに支援をしているわけですけども、そういう点で、やっぱり連携してやっていくべきでないかなと。国の出先機関の改革につけても、やっぱり関西広域連合でやっていくべきではなかろうか。受け皿を、名乗りを上げているわけでございます。 そういう関西広域連合の動きに触発されて、四国や九州でも連携の動きがあるわけです。出先機関としての受け皿として名乗りを上げている状況があるんです。私は、もともと知事は奈良県として、関西経済連合会に入っていて、関西広域連合ができ上がる前のとき、知事の政治姿勢からすれば、やっぱり国で高級官僚を経験して、自由民主党の参議院議員として、経歴からすれば、国の流れとか参加する地方分権の本質から言うたら、入っていかれるのかなと思っていたんですけど、そういう点で、奈良県はやっぱり企業誘致がなかなか進まない。観光客の激減とかね。たしかに二年前の平城遷都一三〇〇年祭は多かったでしょう。しかし、それの前後は、ずっとやっぱり落ちているわけです。今からでも、この関西広域連合に参加されてはいかがかなと、知事の腹の底、方針をちょっと聞かせていただきたい。 それから、国との人事交流ですが、十二名の部課長は、みんな有能ですよ。それはわかっていますよ。しかし、やっぱり現場から立ち上がっている人らを、やっぱり多く登用してほしいなということを要望しておきます。 副知事二人が職員上がりでなっていただいて、本当に喜んでいるんですけども、そういう点で、職員の意欲を燃やすように期待しておきます。 それから、前田健康福祉部長、特別養護老人ホームの入所については、八百名が待っているんですよ。七百床ふやしていくということですけど、実際にもうちょっと早く計画も立てて、各市町村と連携しながら入れるような対策を練って、建設も含めて、七百床ふやすことも早くやっほしいと要望しておきます。 それから、子育ての問題について、西岡こども・女性局長、やっぱり保育所へ入りたいと言うてるのね、これ、奈良市が多いでしょう。生駒市とかね。これは、また市と連携しながら、早急に、待機者がこの一年ちょっとしたらなくなっているというような報告を受けられるように努力していただくことを言うときます。 それから、浪越産業・雇用振興部長、十九万人の中で五千人の就職支援にならジョブは取り組んだと言うてるけど、技術習得するために一生懸命やったってくれているがやっぱりハローワークと連携を十分して、職業訓練もいいんですけど、介護事業に若者をやっぱり入れていってほしい。報酬はもうひとつやけどね。高い給料なら若者が、じきにつくねんけど、今はやめていくというような状況。 それから、企業立地の関係で、ふえたのは四年間に百企業ぐらいでしょう。雇用を奈良県で、千人か千五、六百人創出するなら企業をふやさないと、若者も就職でけへんという話もあるので、連携していただくことを希望しておきます。 周産期医療体制について、答弁を求めたいんですけども、二十一名の人が大阪へ行っている。何でこれは、十分に受けられないのかなと。これ、もう一遍
医療政策部長答弁してください。 道路整備は頼んでおきます。 子どもの教育について、教育長、一生懸命やってください。 答弁、もう一度。
○副議長(浅川清仁) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 関西広域連合にまだ入らないかということですが、何かご発言の中で、私が国の役人だったからどうのこうのというご発言があったように思いますが、どういう意味かよくわかりませんが、お互いの立場は、奈良県のことを一生懸命考える立場にあると思います。過去の経験は生かしたいと思いますが、そのことで、奈良県の役に立たないと、もし思っておられるならば、ご訂正願いたいと思いますが、そういうつもりじゃないと思います。 関西広域連合は、設立後一年三カ月がたちました。実施している法定行政事務は一つもございません。連携業務ばかりでございます。発展途上の組織だと知事さんたちも言っておられますので、見守っているところでございますが、なぜ入らないかという中で、行政組織としての存在理由と、権限、責任、業務の輪郭が不明確であるということは、依然と思っておる点でございます。 最近のいろんな動きの中で、いろんな判断、観察をしておりますが、意思決定機構の、政治意思の決め方の話でございますが、今は、関西広域連合委員会理事会で決めておられます。全知事の合意が前提だと聞いておりますが、それは、会社で言えば、取締役会が全員一致で決めて、社長がいないような組織のように思っております。だれが責任をとるのかなということは、最近、いろんなところで出ておるのは、最初から言っていたところでございます。 行政組織としてのガバナンスの輪郭ということでございます。そのような取締役会で、全員一致の決められるときの、議会の決定権というのはどのようになるのかと。これは、多数決で行われるように聞いておりますが、議会の提案権、あるいは議会の否決権というのは、知事が全員一致で決めたことしか実行されない行政組織でございますので、さて、それがどうなるのかということに注目しております。 そのような中で、滋賀県議会の議席の配分についてのご意見がございましたし、先ほどの山村議員のご質問にも出ておりましたが、地方整備局の移管についての、基礎自治体の意見が出てまいりました。それは、先ほど申し上げたとおりでございますが、もう一つ、私が気にしましたのは、関西広域連合の権限逸脱の動きがあるということでございます。これは、
リニア中央新幹線の中央駅設置場所を関西広域連合で決めようという動きでございます。何度も申し上げておりますように、
リニア中央新幹線は、国の計画に基づいて実行されるものでございます。国が奈良市付近と決めた
リニア中央新幹線の計画を、地方の行政組織で決めようと、自分の都合のいいようにひっくり返そうとされているように見えます。そのような動きは、県民の皆様とともに断固反対していきたいと思います。 これは、最近の私の意見でございますが、関西広域連合の参加は、本県の将来にとって大事なことでありますので、議会でも特別委員会が設置され、調査、検討いただいておりますが、高く評価させていただいております。本県の得失を慎重に判断する必要があると思っております。
○副議長(浅川清仁) 武末
医療政策部長。
◎
医療政策部長(武末文男) 県外母体搬送件数が二十一件ある件でございます。 先ほども申し上げたように、県内の整備に対して搬送件数がふえ、その件数があるということでございますが、内訳がまだよくわかっておりませんので、それについては、きちんと調べて、必要な対応を行っていきたいと考えています。 以上でございます。
○副議長(浅川清仁) 四十一番藤本昭広議員。
◆四十一番(藤本昭広) 知事、今後とも議論していきましょう。 以上で質問を終わります。 --------------------------------
○副議長(浅川清仁) 七番藤野良次議員。
◆七番(藤野良次) 本日は、これをもって散会されんことの動議を提出します。
○副議長(浅川清仁) お諮りします。 七番藤野良次議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ありませんか。 (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、三月九日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会いたします。
△午後四時四十八分散会...