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  1. 奈良県議会 2010-09-01
    09月24日-05号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成22年  9月 定例会(第299回) 平成二十二年        第二百九十九回定例奈良県議会会議録 第五号 九月   平成二十二年九月二十四日(金曜日)午後一時開議   --------------------------------         出席議員(四十四名)       一番 小林茂樹          二番 藤井 守       三番 井岡正徳          四番 岡 史朗       五番 大国正博          六番 尾崎充典       七番 藤野良次          八番 森山賀文       九番 松尾勇臣         一〇番 宮本次郎      一一番 田中惟允         一二番 上田 悟      一三番 浅川清仁         一四番 山本進章      一五番 畭 真夕美        一六番 奥山博康      一七番 森川喜之         一八番 高柳忠夫      一九番 中野明美         二〇番 山村幸穂      二一番 中野雅史         二二番 神田加津代      二三番 安井宏一         二四番 岩田国夫      二五番 荻田義雄         二六番 粒谷友示      二七番 丸野智彦         二八番 岩城 明      二九番 藤本昭広         三〇番 今井光子      三一番 田中美智子        三二番 国中憲治      三三番 辻本黎士         三四番 米田忠則      三五番 新谷紘一         三六番 出口武男      三七番 中村 昭         三八番 秋本登志嗣      三九番 小泉米造         四〇番 服部恵竜      四一番 田尻 匠         四二番 山下 力      四三番 梶川虔二         四四番 川口正志   --------------------------------         議事日程一、当局に対する一般質問一、追加議案の上程   -------------------------------- ○議長(出口武男) これより本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(出口武男) この際、お諮りします。 追加議案の上程を本日の日程に追加することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。   -------------------------------- ○議長(出口武男) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、十六番奥山博康議員に発言を許します。--十六番奥山博康議員。(拍手) ◆十六番(奥山博康) (登壇)奥山博康でございます。議長のお許しを得ましたので、一般質問をこれからさせていただく前に、まず二つ。 一つは、本当に涼しくなってまいりました。一カ月前の暑さをすっかり忘れるような、本当に涼しいです。ちょうど一カ月前、全国都道府県議会議員の野球大会を平城遷都一三〇〇年記念事業大会として、八月の暑いときにさせていただきました。全国から四百五十名の議会議員が一堂に奈良へ会して、試合をさせていただきました。大過なく終わらせていただきました。関係者の皆さんも、そして応援に来ていただいた議員の皆さんも、本当にありがとうございました。これからも議会野球部、一生懸命親睦のために頑張りたいなと。私の試算では、今回の四百五十名来ていただいた経済効果は一億円ぐらいだったなと。(笑声)全国から四百五十名の議員が一堂に会したということは、やはり経済効果があったなと思って、喜んでおります。ありがとうございました。 もう一つは、きょうはちょうどタイムリーです。私の質問の中にも関係するとは思うんですけれども、今回、組閣で民主党の馬淵議員が国土交通省大臣に就任されました。高席ではございますけれども、お祝い申し上げたいなと思いますし、これから奈良県の道路行政、しっかりとバックアップして安心したものになるかなという期待を持っておりますので、どうか皆さんよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。ことしの五月、田中惟允議員のほうから、消防の広域化ということで知事に対しての代表質問があったと思います。それに関連して、きょうは消防の広域化について質問させていただきたいんですけれども、あのときは、これからのスケジュール、そして広域化にするメリットとはどういうものであるかというような質問をされていたように思います。 平成二十四年度、ということは平成二十五年三月末までに広域化ということで、奈良県の消防組合が十三あります、それを単一広域消防にしようということで協議会もつくられたことはもう皆さんご存じだろうと思います。それに並行して、家庭でもデジタル化デジタル化とよく言っていますけれども、平成二十八年をめどにして消防救急無線システムのアナログをとりやめて、デジタル化をするということも言われております。これは平成二十四年度と平成二十八年度と、年月に多少の開きはありますけれども、広域化をすることイコール奈良県民の生命と財産を守るということに関しましては、非常に期待しておるものではございます。この中で、きょうお尋ねしたいのは、私は平成二十四年度というとあと何年やと考えましたら、もう二年ぐらいしかないんですね。この問題につきましては、いろんなところでいろんな効力、そして効率化、省力化も聞いております。一番大事なのは、奈良県民の安心・安全を守る、生命・財産を守るということが一番大事な観点からすると、この単一広域消防化というのは、非常に有効であるというふうに認識しておる議員の一人でございますけれども、これから十三の組合、そして消防長、各市町村長さん、いろいろ集まって協議をされるわけなんですけれども、聞くところによりますと、各経費の負担割合ということも非常に問題になってくるだろうと思います。また、各消防組合でも、財産もたくさんあるところもあると聞いております。こういうことをしっかりと整理をしなければ、なかなかこの消防広域化協議会も前を向いて進まないと実は思っておる一人でございます。 ここでお尋ねしたいのは、この消防の広域化というのは、市町村合併とは少しわけが違う。あのときは、奈良県内市町村合併をしようということで、いろいろ各議員の質問もありましたけれども、なかなか奈良県がその中に入り込めないような制度でございました。しかし、これは奈良県内の県民の安全を守るということからすると、県を挙げてこの単一消防広域化については力を入れていただきたいと思うんですけれども、これから奈良県がこの協議会等々にどのようにかかわって、そしてどのようなリーダーシップをとりながら奈良県民の財産と生命を守っていただけるのかということを、川端危機管理監に答弁をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 続きまして、中和幹線について少しお尋ねしたいと思います。 私は県議会議員になってもう十二年目になりますけれども、中和幹線についてはもう絶えず質問をしてきた議員の一人でございます。柿本知事から荒井知事になりました、この間も中和幹線の促進については一生懸命訴えてきたつもりではございます。その都度、答弁をいただいております。私の記憶しているところによりますと、柿本知事には、平成二十二年、平城遷都一三〇〇年祭が開会するときには中和幹線は必要であるということを聞いておりまして、うれしいなと思っておりました。それから知事もかわり、いろんな情勢も変わったんでしょう。その中で中和幹線も、香芝を除く桜井工区から香芝の入口まではほぼ完成したということは、幹線・交通対策特別委員会でも非常に力を入れていただいております。また、中和幹線建設促進議員連盟でも力をいただいております。この結果、最終の答えだと思って、中和幹線国土交通省の直轄を除いて、県、市の工区は一体いつできるかということを尋ねておったわけです。来年の夏までには大丈夫であろうと聞いているところでございました。ところが、今聞きますと、来年の十二月末になるようなことを聞いておりますが、なぜ、どういう状況でこうしておくれたのかということも、きょう確認させていただきたいと思いますので、まちづくり推進局長、的確な答弁をよろしくお願いいたします。 続きまして、要望を一つ、この中和幹線でさせていただきたいと思います。 中和幹線といいましても、国土交通省直轄部分の二キロメートルほどが含まれて中和幹線と呼んでおりますけれども、どうしても国土交通省の国の直轄事業についてこれからどのようにしていかなければいけないかということを本当に心配しているわけでございます。桜井市から香芝市まで、あれだけすばらしい中和幹線ができてきております。南からは南和地域から通称山ろく線という道ができております。国道一六五号も通っております。中和幹線、国道一六五号、そして山ろく線、これが合流すると約六車線、三車線、三車線の六車線になっております。それを受けるのに、直轄区間が二車線、国道一六五号の香芝の一番西のほうですけれども、柏原インターチェンジのところまで行っているところがその区間でございます。この区間につきましては、やっと四車線の都市計画変更決定が国でもなされて、喜んでいるところではございますけれども、そうすると、昨年九月、新しい内閣ができたときには、新規の事業の採択は承認はできませんということで、残念ながら都市計画変更決定はできましたけれども、事業の採択ということまでは至っておりません。しかしここに至って、国のほうも積極的に取り組んでくださっているようなことも聞いております。特に高規格道路、そして総事業費二百五十億円以上の道路については、しっかりと検討しなければいけないというような朗報といいますか、いいようなニュースを聞いておりますけれども、来年度の事業化に向けてしっかりと県当局も頑張っていただきたいなと、かように思うんですけれども、要望といたしまして、これは奈良新聞で見させていただきましたけれども、香芝市の都市計画道路の変更で住民訴訟が行われたということを聞いて、非常に実は心配をしております。私は香芝市選出でございますので、その地域の方々もよく知っております。でも、この中和幹線の四車線は全員がずうっと昔から望んだおられたことでございましたけれども、たまたまその連結する香芝市の計画道路が変更になったということで、訴えは、この都市計画変更についての取り消し及び都市計画法の違憲についての確認という訴訟であるということを新聞紙上で見ております。これは、この四車線の直轄事業に私は影響しないかなという思いで心配ばかりしておりますけれども、これから県当局も含めてしっかりと前向きにこの事業化に向けて取り組んでいただきたいということを、この中和幹線に関しましては要望させていただきます。 続きまして、河川について少しお尋ねしたいと思います。 河川については、香芝市に葛下川という川がございます。近鉄五位堂の駅前、皆さんご存じだろうと思います。五位堂駅前で今二期工事、土地区画整理事業が行われております。その土地区画整理事業の中に葛下川の河川改修事業も入っております。これは非常に珍しいというのか特殊なんです。土地区画整理事業の中で河川改修事業も入っているということについて、これは二つの事業が一緒になされているということです。この中で、この葛下川、香芝市下田という地域がございまして、それから東のほうに行くと別所、瓦口と。この葛下川が約二キロメートルあるんです。この二キロメートルが土地区画整理事業内を走っている。ところが、これが浸水常襲地域であります。このことについて県としては、河川改修をしっかりしなければいけないということで、土地区画整理事業内の葛下川についてはバイパスの川、大きないい川を河川工事していただいておりますのは、私も現地へ行ってよく見ております。旧の河川については、遊歩道、そして水路というような利用もされているということを聞いておりますけれども、この河川改修事業が終了しなければ、やっぱり土地区画整理事業は成り立たないという思いではございますので、この下田工区の進捗状況についてきょうはお尋ねしたいなと。続きまして、その延長でありますけれども、ことしも六月から九月、非常に例年よりもたくさんの雨が降りました。その中で浸水常襲地域を二カ所抱えております。瓦口、別所地域というのがございます。ここも取り組んでいただいているようには聞いておりますけれども、葛下川の二キロメートルの中での瓦口、別所区域の進捗状況等についてお尋ねしたいと、かように思っております。 次に、一般質問で今回させていただいております質問は、外資系による大規模な山林買収について、ずうっと自分自身でも勉強しておりましたけれども、これは代表質問でされましたということで、要望にさせていただきたいと思います。 外資系企業による大規模な山林買収という項目では書いておりますけれども、今議会で山下力議員、そして松尾議員も非常に、森林・林業についてかなり突っ込んで質問されたのは皆さんご存じだろうと思います。特に南部の山林について、実はもう一カ月以上前ですか、十津川村の村長と勉強会をさせていただきました。私は香芝市ですから、あまり林業のことは知らないんですけれども、非常に気になる水資源、環境等、そして雇用の問題について聞きたかったので、村長に二時間ほどレクチャーをいただきました。私がずばり聞いたのは、外国人が買収したのはありますか、そういう話を聞いていますかという切り口で聞きました。それは二年前ぐらいからは、ちょこちょこうわさでは聞いております。森林組合さんのほうからも聞いておりますと。ただ、現実にそういうことがあったらわかるんでしょうけれどもと。その中で一番言われていたのが、このことについては、法的な整備をしていただかなければどうにもならないと。農地等であれば、各農業委員会、なかなか厳しい農業委員会が各市町村にございます。ここが勝手に売買できないということを厳重にチェックする機能を持っておりますけれども、山林は今やっと一ヘクタール以上を買った場合は事後届出制というようなことで、どうしても我々県民では手の届かないような法律になっているのは事実だろうと思います。 北海道で、クローズアップ現代の話も出ておりました。北海道ではもう現に、イギリス人の名義で百六十二ヘクタールでしたか、もうそれぐらいの土地も現実に所有権移転されているというようなことも聞いておりますし、北海道では今十何カ所、中国人が買いに入っているようなことも事実聞いております。これは、水資源、そしてCO2の問題、そしてちょうど四十五年から五十年のいい木が今日本にあるというようなことを、憶測も含めて、マスコミも取り上げているのが事実でございます。しかし私は、県議会で、そして市町村議会でどうにもならない、行政でどうにもならない法整備をやっぱりしなければいけないということについては、これから県当局も国に対して要望もしてもらわなければいけないと思いますけれども、県議会も一生懸命このことについて皆さん、研究して取り組もうではありませんか。 私は更谷十津川村長と話しをしていて、結論はと、こうなってきたわけですね。九十五、六%が十津川村は山というようなことを聞いておりました。その中で、観光はもちろん大事だろうけれども、観光では本当に生活ができない、やっぱり林業をしっかりしなければいけないという林業の体制づくり、そして若い人、女性にもできる仕事というのは、九州のほうではどんどんあるらしいですね。それは、切り出す道路の林道を本当に広くして、そして材木をちゃんと集積できるようなパターンで、若い人でも女性でも働けるような環境づくりをしているなと、私はぜひとも一回行ってみたいなと実は思っております。そういうことも含めて、これからこの林業について、しっかりしなければいけない。ただ、森林組合さんも頑張っておられるんでしょうけれども、これも、ちらっと聞きますと、大きな山をお持ちの方がたくさん林業を育成しなければいけないということで、本当に民間が今一生懸命頑張っていただいていると。これにやっぱり森林組合等についてもしっかり頑張らなければいけない。ただ、南部の市町村だけではどうにもならないということが現実であります。もちろん、外国人が買いに来ても、今やったら売りたいというのは事実でございますというのもおっしゃっておりました。我々はこの水資源、源流、そして環境問題、CO2、四十五年から五十年の木を今しっかり切り出して、そしてまた植林をしなければいけないということが、CO2の吸収に役立つのではないかなと。これは森林というのは本当に公共的なものという、我々議員としても認識をしながら、この問題に取り組みたいと思いますので、県当局といたしましてもこの法的な整備も含め、そして林業の活性化に向けてしっかりと頑張っていただくことをお願いしたいと思います。 それでは、いい時間になりましたので、私の壇上での質問は終わっておきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(出口武男) 川端危機管理監。 ◎危機管理監(川端修) (登壇)十六番奥山議員のご質問にお答えいたします。 私には、市町村の消防の広域化に関しまして、県民の生命・財産を守り、安全・安心につながることから、実現に向けて県の積極的な取り組みが必要であるということに関してでございます。 近年、災害や事故は、頻発する集中豪雨による土砂災害や浸水被害、またたび重なる大規模地震、さらには列車事故等インフラ事故の発生など、多様化及び大規模化するとともに、救急をはじめ住民の安全・安心に対するニーズ等の多様化など、消防を取り巻く環境は急速に変化しております。消防は、こうした変化に的確に対応するため、初動体制の強化や、高度な救助技術や知識の習得など、すべての地域において住民の期待と信頼にこたえるため、消防体制の充実強化が急務となっております。 本県には十三の消防本部がございますが、管轄人口が十万人未満の小規模な消防本部が七つを占めており、また、非常備消防も二村ございます。小規模な消防本部においては、出動体制、保有する消防車両、専門要員の確保等に限界があり、また、組織管理や財政運営面での厳しさが指摘されるなど、消防の体制としては必ずしも十分でないのが現状でございます。消防の広域化は、こうした状況の中で、災害発生時の初動体制の強化、統一的な指揮のもとでの効果的な部隊運用、本部機能の統合等効率化現場活動要員の増強、また救急予防業務の高度化及び専門化、財政規模拡大に伴う高度な資機材の計画的な整備、また消防署所の配置や管轄区域の適正化による現場到着時間の短縮など、消防力強化による住民サービスのさらなる向上を目指すものでありまして、県としてもぜひとも推進しなければならない重点課題と認識しております。 このために、平成十九年四月に、有識者、市長会、町村会、消防関係機関等代表による市町村消防広域化検討委員会を設置し、平成二十年三月に県内一消防本部体制とする奈良県市町村消防広域化推進計画を策定いたしました。県といたしましては、この協議会の設立・運営に積極的に参画し、必要な支援を行ってきたところでございます。具体的には、平成二十年度の消防広域化協議会設立準備当時から、担当職員一名の派遣、また事務所等の提供、協議会の運営費に対する助成等を実施いたしております。協議会設立後は、協議会委員として、危機管理監幹事会幹事として消防救急課長各種専門部会委員として消防救急課職員が各種会議へ参加し、市町村、消防本部とともに、課題の抽出や課題解決方法を協議・検討し、県として指導・助言等を実施してまいっております。 今後、消防本部の位置、経費負担の方法、財産の取扱い、職員給与など、広域化を実現する上で極めて重要な課題を協議していくこととなりますが、市町村や消防本部だけでは解決が困難な課題に対しましては、県が積極的に関与し調整を図るなど、広域化の早期実現に向けて一層努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 上田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(上田喜史) (登壇)十六番奥山議員の私に対しての質問は、中和幹線下田工区の供用時期が、これまでの平成二十三年夏ごろからおくれると聞いたが、その理由を伺いたいというものであります。 中和幹線下田工区の供用時期につきましては、道路の地下埋設物件移設工事のおくれなどにより、約半年間の工事延長が必要不可欠となり、今般平成二十三年度末と見直したところでございます。中和幹線をご利用いただく県民の皆様には、いましばらくご不便をかけることとなります。おくれることとなった理由といたしましては、国道一六八号、JR和歌山線を横断しますアンダーボックスの施工におきまして、埋設されている通信ケーブル及びガス管の移設工事に予想以上の時間を要したことでございます。具体に申し上げますと、通信ケーブルにつきましては移設の対象が広域幹線ケーブルなどがありまして、全国レベルの広域調整や多数のユーザーとの切りかえ日時の調整に不測の日時を要したことでございます。 次に、通信管路との同時移設作業を計画いたしておりました幹線の高圧ガス管につきまして、試掘の結果、ガス管の移設予定位置と通信管路との間隔が不足しておりましたことが判明し、同一期間内での施工が保安上困難となったため、ガス管の切りかえ工事を別途といたしまして、その結果、おくらさざるを得なかったことでございます。また、昨年夏の衆議院議員総選挙前には、通信の供給に支障が生じないよう通信事業者が工事を自粛したことであります。これらの理由によりまして、約半年間の工程のおくれが生じたものであります。今後、少しでも供用時期を前倒しできますよう、なお一層工程管理を厳格に行い、一日も早い供用に向けまして全力で取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 川崎土木部長。 ◎土木部長(川崎茂信) (登壇)十六番奥山議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、葛下川の河川改修についてのお尋ねがございました。 葛下川では、下田地区別所地区が浸水常襲地域となっており、早期の対策が必要であると考えております。このため、下流の下田地区につきましては、土地区画整理事業と一体となった河川の付け替え工事を平成十六年より実施しており、ことしの六月上旬には最上流部の護岸工事が完了し、新河道に流れを切りかえたところでございます。下田地区河川改修が完了したことによりまして、今年度より直上流の瓦口地区の整備は無論のこと、さらに上流の浸水常襲地域である別所地区においても整備が可能となりました。具体的には、直上流の瓦口地区におきましては、下田地区の改修に引き続き、計画断面での改修を本年度より着手する予定でございます。さらに、上流の別所地区につきましては、一番ネックとなっている富名橋周辺での浸水被害を早期に軽減するため、暫定的な整備としまして下流に影響を与えない範囲で、今年度より河床掘削を実施する予定で考えているところであります。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 十六番奥山博康議員。 ◆十六番(奥山博康) 消防の広域化については、危機管理監の答弁、よく聞いておきました。積極的にこの広域化を実現していくためには、県も一生懸命頑張るというような答弁だったと思います。ちょうど思い出したら、川端危機管理監市町村合併のときもこの市町村合併の担当で頑張っていただいていたなというような記憶をしております。そのときと、先ほども言いましたけれども、やっぱりこれは県全体の安全を守る件でございますので、しっかりとリーダーシップをとりながら頑張っていただきたいということで、これは要望にかえておきます。 続きまして、中和幹線については、再質問をさせていただきたいと思います。下田工区の供用時期が、これまでの平成二十三年からおくれてきたということでございますね。今聞かせていただいたら、非常に不測の事態がたくさん発生してきた。この時代に何でこれだけ、ケーブルがどうの、高圧ガスの位置が思っていたところと違ったとか、いろんな理由が出てきておくれたということを言われました。私はいろんな土木事務所を勉強させていただきました。桜井工区って、非常に早く進んだなあと実は思っておったんですけれども、場所的な問題かな、位置的な問題かなと思っておりました。でも、一つだけ、桜井土木事務所には幹線建設課という、幹線に集中してできる課があったと聞いておりまして、あ、なるほど、そういうことだったらいいなと、大和高田市はどうなんだろうと聞いたら、何もかも一緒というんですか、そういう課はなく、中和幹線、西幹線、ほかの問題についても一つのところでされているように思いました。いろんな地下埋設とかケーブルの理由があるにせよ、幹線というのは非常に推進していかなければならないような道路であるから、今後、その幹線建設課が適切なのかどうか言葉はわかりませんけれども、本当にこれに真剣に対応できるような集中して進められるような組織体制も必要ではないかと思いますけれども、それについてはいかがでございましょうか、答弁願いたいと思います。 葛下川の河川改修については、事業の推進、しっかりと頑張っていただきたいなと思います。 以上、再質問は一問でございます。 ○議長(出口武男) 上田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(上田喜史) 西幹線の確実な整備を進めるためには、用地買収などの計画的な進捗を図ることが不可欠であると思っております。そのためには、関係市町村の協力を得ながら、土木事務所と本庁が連携して組織的に取り組むことも重要と認識しているところでございます。既に、用地の進捗状況や買収のネックとなっている課題に関しては、早期の情報の共有化、また関係市町村、特に王寺町、香芝市との連携など、早期買収のための環境づくりなどに取り組んでいるところでございます。今、議員の説明のように、組織の体制のことですけれども、組織の体制の整備につきましては、担当職員の充実など、組織的な体制の整備が重要と認識しておりまして、部内の応援体制も含めて、今後検討してまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 十六番奥山博康議員。 ◆十六番(奥山博康) 時期がこの九月二十四日ということで、なかなか組織までということについては、私も質問すべきかなどうかなと思っておりました。でも、これはこれからの大きな課題であるから、こういうことも含めて検討していただいたらどうかという質問でございますので、中和幹線、今度国土交通省直轄の部分でもやっぱり直接わかるような課が必要であろうし、西幹線も本当に大事だろうと思います。進めるに当たって、組織体制の整備もあってもいいんではないかということで質問させてもらいましたので、どうか結論、しっかりと幹線の事業が進むような体制づくりを前向きに考えていただくことをお願いいたしまして、私の質問は終わっておきます。 ○議長(出口武男) 都合により、副議長と交代します。       (副議長藤本昭広、議長出口武男にかわり議長席に着く) ○副議長(藤本昭広) 都合により、私が議事を進めさせていただきます。 次に、三十九番小泉米造議員に発言を許します。--三十九番小泉米造議員。(拍手) ◆三十九番(小泉米造) (登壇)議長のお許しを得まして、早速一般質問に入ります、自由民主党改革の小泉米造でございます。よろしくお願いします。 まず、リニア中央新幹線のルートやリニア奈良駅の設置について、知事にお伺いをいたします。 昨年私は、JR東海の葛西会長の講演を拝聴する機会を得ました。葛西会長は、国鉄の分割民営化が行われた昭和六十二年四月以降、JR東海が実践してきた東海道新幹線を持続的、発展的に運営するための経営戦略や、旧国鉄債務を返済するといった社会的使命等について熱く語られておりました。また、十九世紀は鉄道の時代で、全国でも七十五万キロメートルを超える鉄道が建設されました。続く二十世紀は、航空と自動車の時代であった。そして、二十一世紀は超電導リニアが交通機関の新しいスタイルとなるだろうと語られておりました。 リニア中央新幹線につきましては、昭和四十八年十一月に、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画において、奈良市付近を経由することが決定され、以来四十年近い歳月が経過しております。この間県においては、リニア中央新幹線建設促進の推進母体である奈良県期成同盟会を組織し、東京-大阪間の早期全線整備の実現やリニア奈良駅の設置に向けて鋭意努力をいただいているところであります。また、県議会においても平成元年に、リニア中央新幹線の建設促進と奈良駅設置に関する意見書を国に提出したところであります。現在国においては、交通政策審議会の場において、整備計画の決定等、次のステップに向けた審議が行われております。 知事は、本年七月に開催されたこの交通政策審議会の場で、リニアに対する考えを述べておられたところであります。中でもリニアルートや駅の位置、駅の構造等の決定に当たっては、地方公共団体の意見を適切に反映させる仕組みが必要であり、また、二千二百億円とも言われている地下駅の設置費用についても、地元の地方公共団体が全額負担するのではなく、地域の受益の範囲内の負担とすべきであるとの意見には、私としても全く同感する次第であります。JR東海では、東京-名古屋間の開業目標を平成三十九年、そして大阪までが平成五十七年と設定しており、夢のプロジェクトと思われていたリニア中央新幹線が、少しずつではありますけれども、確実に実現に近づいているなと実感すると同時に、一刻も早い全線整備と奈良駅の設置に大きな期待を寄せているところであります。 そこで、知事にお伺いします。今後、具体化が進むリニア中央新幹線について、そのルートや奈良駅の設置等についてどのようなお考えをお持ちなのか、所見をお示し願いたいと思います。 次に、中国からの観光客の誘致に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。 沖縄県尖閣諸島の日本領海での中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件をきっかけとして、日中関係が多少ぎくしゃくしている状況の中、アメリカや中国、オーストラリアなど二十一の国・地域が参加し、観光産業を通じた経済発展等を討議するAPEC観光大臣会合が無事開催できたことは、本当によかったと思っております。しかし、この事件に関連しては、中国企業が一万人の訪日旅行をキャンセルするなど、中国人の日本観光ブームに水を差すような出来事も起こっております。いずれ正常化するものと思いますけれども、早期に事態が好転することを期待しながら、質問に移ります。 現在、観光庁においては、訪日外国人観光客数を将来的に三千万人、その第一期として二〇一三年までに一千五百万人を目標に、外国人観光客誘致に取り組んでおられます。そのような中、ことしの七月には、富裕層に限定されていた中国人への個人観光ビザの発給要件が緩和され、対象世帯が約百六十万世帯、四百万人から、約一千六百万世帯、四千万人になり、より多くの中国人観光客の訪日が見込まれているわけであります。テレビ、新聞などのメディア関係も連日、各府県の中国人観光客誘致への取り組み状況を報道しており、最近では、日本へやってきた中国人観光客が、旅行期間中に日本国内で人間ドッグを受診し、結果が出るまでの期間に観光してもらうという、医療と観光をあわせた医療観光という新しい観光の形態も生まれているところであります。 奈良県においても、知事は平成二十年一月と十一月の二回にわたり、約五十人のミッション団を組織し、中国へトッププロモーションを展開されました。その後も、民間事業者を中心とした官民一体となったプロモーション活動を年一回程度展開されていると聞いております。また、開催中の上海国際博覧会には奈良県としても出展され、一週間で約六万二千人の来場者があり、一定の成果が出たと聞いております。一方、現在の中国人の日本での観光は、いわゆるゴールデンルートと言われる、大阪を起点として京都、富士山、箱根の温泉、東京での買物というルートが主流となっており、まだ奈良は観光地として中国人観光客の間に浸透していないように見受けられます。奈良県では、遣隋使、遣唐使の時代から、中国との交流が盛んで、特に中国から来日し、唐招提寺を建立した鑑真は、中国の教科書にも登場すると聞いております。このように、中国とのゆかりというものが奈良県にはたくさん残っています。また、中国人が特に好むと言われている温泉についても、県内には豊富に存在しております。これらの観光資源を中国人観光客の誘致に一層活用すべきではないかと考えております。 そこで、知事にお尋ねいたします。現在奈良県においては、中国人観光客誘致に対しどのような取り組みを行われているのか。また、中国人のニーズに合った仕組みづくりとか、魅力ある観光商品化のため、今後どのように展開していこうとされているのか、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、高齢者の日常生活、とりわけ買物の支援についてお伺いいたします。 衣食住は、すべての国民が健康で文化的な生活を営む上で最低限の権利であります。衣食住の一つでも欠ける人がいると、それを保障してあげる行政の責務があります。衣食住のうち、それを満たす買物ができないと困っている高齢者が増えてきている事態が起きております。経済産業省がことしの五月に発表した報告書によりますと、全国で約六百万人の高齢者が買物難民として日常の買物が不自由になっているという結果が明らかになりました。 また、県でも昨年度、今後の高齢者福祉行政を展開する上での基礎資料とすることを目的に、高齢者の生活・介護等に関する実態調査を実施されました。その中で、六十五歳以上の高齢者の方に外出目的について聞いたところ、七〇・三%もの方が買物と答えておられます。一方、家事についての将来の不安について調べた結果を見ますと、二人に一人の五四%の方が、日常の買物に将来の不安を感じると答えておられます。高齢者の方々は、日常生活において買物が最も重要であるとともに、将来の不安も大きいということが明らかになっております。 高齢者の方に限らず、買物に対しては不安を感じるようになった要因として、身近に買物をする場所が日に日に減っているという現実があると思います。山間部においては、過疎化が進み、買物ができる商店や移動販売も減ってきており、また都市部においても、中心市街地の商店街がいわゆるシャッター通りとなり、郊外の大型ショッピングセンターが増え、身近な買物の場所が減っています。身近な買物の場所がなくなり、遠くまで出かけなければならないことになると、特に長距離の自由な移動が困難な高齢者の方にとっては、深刻な問題となっております。 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。県では、このような高齢者の買物が困難な現状をどう認識されておられるのでしょうか。また、今後高齢者が安心して暮らせるよう、買物をはじめとする日常生活の支援についてどのような方向に進められるのでしょうか、お尋ねしておきます。 次に、多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染対策についてお伺いをいたします。 多剤耐性菌アシネトバクターに感染し、入院されていた患者が死亡していたといったニュースが、新聞やテレビ等で取り上げられているところです。アシネトバクター菌は、もともとは自然環境や住まいの湿潤な箇所から検出され、健康な人には無害な菌だと聞いておりますが、私たち県民は、専門的な部分はよくわからないわけで、帝京大学附属病院では何人もの患者が亡くなっているということを聞きますと、大変不安になります。ほとんどの抗生物質が効かないアシネトバクター菌などによる院内感染が、県内の医療機関で起こってしまっては、県民の不安が現実のものとなります。県民の多くが今回、他の都県での事例ではありますが、院内感染について心配しております。奈良県では、院内感染対策のための体制確保について調査をされていると聞いております。 そこで、医療政策部長にお尋ねをいたします。ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染により帝京大学附属病院で死亡者が出たり、インドからの帰国者から新型多剤耐性菌の感染が、獨協医科大学病院で見つかるなど、感染事案が発生していますが、本県の状況はどうなのか。 また、県内の医療機関に対して、院内感染の予防や危機管理の徹底について、どのように取り組んでいるのか、お伺いをしておきます。 次に、全国学力・学習状況調査についてお尋ねいたします。 七月三十日、平成二十二年度の全国学力・学習状況調査の結果が、文部科学省から公表されました。本調査は、平成十九年度から平成二十一年度までは全国すべての小学六年生、中学三年生を対象に実施されてきましたが、今年度は抽出調査として実施されたことを本当に残念に思っております。そもそも全国学力・学習状況調査が実施された目的は、国際的な学力調査等の結果から、子どもたちの学力低下が叫ばれる中、全国的な子どもたちの学力や学習状況を把握・分析することにより、教育施策の成果と課題を検証し、各学校での教育指導等の改善を図ることにあったと思います。県教育委員会では、これまでの本調査から明らかとなった本県の子どもたちの課題の解決に向け、さまざまな教育施策を講じてこられたと認識しております。各市町村教育委員会や学校においても、子どもたちの学力や学習状況を把握するためには、本調査は非常に有効な手だての一つであり、この調査結果を分析することにより、学校の教育活動に反映させることが重要であると考えています。とりわけ、本県の子どもたちの規範意識が低いという課題もあり、そのためにも、私はすべての学校が参加する形で全国学力・学習状況調査が実施されるべきだと考えております。 本年度調査における全国の抽出率は三〇%でしたが、本県の抽出学校数は、公立小学校九十四校、中学校七十二校、抽出率は小学校が四五・四%、中学校が六七・三%であり、国全体の抽出率に比べ、非常に高い抽出率であったとは聞いていますが、本年度の抽出調査で本県の子どもたちの課題が明らかとなり、その課題の克服につなげることができるのでしょうか。 そこで、教育長にお尋ねいたします。県教育委員会として、抽出調査となった本年度の全国学力・学習状況調査の結果をどのようにとらえ、その結果を踏まえ、どのような取り組みを進めようとしているのか、お伺いいたします。また、全学校が参加すべきと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、奈良社会保険病院について、再度要望しておきます。 奈良社会保険病院につきましては、病床数が二百五十三を保有し、大和郡山市のみならず、周辺自治体を含めた地域の中核的な病院であり、とりわけ県内で廃止が相次ぐ産科を備え、年間五百件を超える分娩を取り扱うほか、地域の二次救急輪番、あるいは小児二次救急輪番病院として、地域医療にとって重要かつかけがえのない病院であります。一方で社会保険庁改革が進められる中、平成二十年十月以降、国が社会保険病院等を有することができなくなり、それまでの社会保険庁からRFO、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資・移管され、新たな譲渡先が検討されることとなりました。 その後、政権交代の後、RFOを引き継いで新たな受け皿として地域医療機能推進機構を設置する法案が審査未了で廃案となり、本年九月末でRFOが解散するという事態となりましたが、さきの臨時国会におきまして、与野党間で話し合いが行われ、RFOの設置期限を平成二十四年九月まで延長する法改正が行われました。また、これにあわせて、前・長妻厚生労働大臣は各社会保険病院等の病院長にあてて、社会保険病院等が地域医療における必要な役割を果たし、また医療の現場で不安や混乱が生じないよう、さまざまな取り組みを引き続き進めていく所存であるとのメッセージを送付されています。 このような状況におきまして、もし奈良社会保険病院が民間等に譲渡されることになれば、大和郡山市はもちろんのこと、奈良県全体の地域医療にも影響を及ぼし、県民の安全・安心を脅かすことにもつながりかねないと危惧しています。このようなことから、奈良社会保険病院の存続につきましては、これまで大和郡山市はもとより、県議会でも意見書を提出したほか、知事におかれましても国に対して要望をしていただいているところであります。つきましては、今回の法改正によりまして、病院存続の法的根拠がなくなるという事態は回避されましたが、奈良社会保険病院が地域医療において重要な役割を引き続き果たしていくためにも、国が責任を持って公的病院として存続させるよう、引き続き県から強く働きかけをしていただくことを要望いたします。 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三十九番小泉議員から私に二つの質問がございました。 リニア中央新幹線について、そのルートや奈良駅の設置等についてどのように考えているか、所見をお問い合わせになりました。 リニア中央新幹線は、新しい国土軸を形成する高速輸送鉄道として、本県に駅が設置されれば、それは本県の地域経済の発展、活性化、観光振興、県民の生活向上において大きな役割を果たすと思います。県におきましては、東京-大阪間の早期整備と、奈良県内における駅の設置を強く要望しているところでございます。 そのルートにつきましては、奈良市付近に駅を設置することを前提に、国において検討を進められております。私といたしましては、二つの大事な点があろうかと思います。まず、国土の新しい中心軸となる新しい幹線鉄道のルートは、地震などの災害ですべての高速鉄道が機能停止とならないよう、駅も含め、既存の既設の鉄道とできるだけ離れたところに建設することが必要であろうかと考えております。リダンダンシーと呼ばれる考え方でございます。二つ目は、高速輸送機能をできるだけ国土の遠くまで均てんすることが必要であるということでございます。これは既存の鉄道や幹線道路といった既存の地域の交通インフラとのネットワーク化が図られることで、より多くの人が幹線の新しい高速機能の利益を受けることになるという考え方でございます。 さらに二つの点も、検討事項として国に申し上げました。一つは、中央新幹線の西のターミナルは大阪市となっておりますが、一方、関西国際空港をルートに含める奈良から、あるところで南へおりるルートを建設するということで、関西国際空港に来訪する外国の方々が容易に、日本の誇れる自然環境豊かな奈良、長野、岐阜、山梨など、これまで国際空港と離れていた観光地を訪れることを可能とし、外国人旅行者の増加等を進めることができないかという検討事項でございます。ヨーロッパの鉄道は、大きな空港に入っていることが多いわけでございます。二つ目は、高速輸送体系の形成を図るため、我が国全体の高速輸送体系を見た場合、大阪市到達以遠の延伸ルートとしまして、伊丹空港を通り、大阪-敦賀間をリニア線として整備し、北陸新幹線との組合せによる中部の日本のど真ん中の環状新幹線化を進められないかといった考えを国に対して検討提案をいたしました。 そのほか、国に対して二つの提案をいたしました。一つは、リニア中央新幹線の効用を高めるために、リニア中央新幹線の施設を利用して、夜間の貨物便を走らせられないか、あるいは、工事完成後の作業道を利用したコンテナ輸送はできないか、あるいは、旅客便の一部を貨物室に利用するなどの効果拡大、経営安定化についても提案をいたしました。二つ目は、リニア中央新幹線は超高速でありますので、追い越し駅やすれ違い駅を設置すれば、一部の区間において単線で運行することが可能であると思いますが、そのような技術的な検討をしてはどうかという提案も行いました。大変目新しい提案も含めて、国に意見を申し述べたわけでございます。 一方、駅についてでございますが、駅は地域の交流拠点施設でございます。地域情報発信の場として、また、地域経済の発展や地域の振興に極めて重要な役割を果たすものでございます。国の基本計画におきましては、主な経過地の一つに奈良市付近ということが入っております。その駅の位置や構造、運行サービスの確保等については、今後十分に検討を深めていっていただくことが必要だと思っております。ちなみに、駅に関する費用負担について、JR東海の試算では、奈良市付近の駅では、地下駅であること、工費約二千億円かかること、全額地元負担であることが、JR東海の案として入っております。一方、終着駅の大阪市、東京都では、JR東海が全額負担をし、地元負担なしとされており、不公平感もありますので、他の県の知事さんの意見もありましたが、本県の意見としては、駅建設費の地元負担は地元に関する受益の範囲ということを提言いたしました。駅はじめ計画の検討においても地元の意見を十分聴取していただくようにも申し越しておるところでございます。 中国からの観光客の誘致についてのご質問がございました。現在の取り組み、今後の展開についてのご質問でございます。 平成二十一年の訪日外客数は大変減少いたしました。リーマン・ショックや新型インフルエンザの影響でございますが、その中で中国からの訪日客は、アジアの中で唯一増加したものでございます。また、本年一月から七月までの期間、前年同期比約六〇%増になるなど、中国からの訪日客は増加し、重要性を増しているところでございます。奈良県におきましては、そのような見込みの中、中国を今後の外国人観光客誘致の最重点地域の一つと認識し、中国におけるプロモーションと、県内における中国観光客に対するもてなし環境の整備を積極的に取り組んできたところでございます。議員お述べのように、七月より個人観光ビザの発給要件が緩和され、本県で夏休み期間の商品造成に間に合わせるようなプロモーションを実施いたしまして、五月下旬に上海、北京、大連へプロモーション活動をいたしました。六月下旬には、上海の主要旅行会社を招請し、ファムトリップと言われる下見旅行を実施いたしました。七月下旬には、上海国際博覧会日本館イベントステージで奈良ウイークを開催いたしまして、一週間で約六万二千人が来場されまして、中国国内の一般市民にも奈良県の魅力を強く印象づけたと言われております。また、日本館関係者からも、出展イベントの中で最も人気が高いイベントであったとの評価もいただいております。 一方、これも議員お述べの点でありますが、中国人観光客、特に初めて日本へ来られる観光客の日本国内の観光ルートは、大阪、京都、富士山、箱根、東京を訪問するいわゆるゴールデンルートが中心であり、奈良はその中に入らないのが常でございました。今後、リピーターや個人の観光旅行の数が増えることになりますと、中国人の観光客の嗜好の多様化が見込まれると思います。中国とゆかりのある観光地であることや、ショッピングの内容を高度化すること、また、温泉など中国人の趣向に合わせた観光資源の提案をすることなどを組み合わせてPRすることにより、中国人の観光ルートへの奈良の組み入れを図る必要があろうかと思います。また、訪問客の中で、中国人と韓国人の観光客の嗜好を見ていますと、求められているものは大きく違うこともあろうかと思います。観光客の嗜好を分析し、できるだけそれに合ったサービスのできる観光地というふうに奈良も成長していく必要があろうかと思います。さらに、将来のリピーターにつながる教育旅行や青少年交流を誘致するためのプロモーション活動も必要かと思いますし、医療観光等、中国人観光客のニーズに対応できるよう奈良県としても発展のため取り組んでいく必要があろうかと思っております。 私に対する質問は以上でございました。 ○副議長(藤本昭広) 杉田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(杉田憲英) (登壇)三十九番小泉議員からの私に対するご質問は、高齢者の買物をはじめとした日常生活支援についてでございます。 外出や買物につきましては、人との交流、買物の楽しみなど、生きがいにもつながるものであり、高齢者が自立した生活を維持し、住みなれた地域で生き生きと暮らし続けていく上で重要な役割を持つものと考えております。県内の小売業の事業所数は、平成九年の一万三千七百五十五から平成十九年の一万千五百三十二へと、十年間で一六・二%減少しております。住民の身近な買物の場である商店街の空洞化、大規模店舗の撤退が見られ、高齢者の買物環境が悪化しております。高齢者等の買物に関する課題は、大きく分けまして二点。一点目としまして、身近な買物をする場の確保と、二点目、買物する場への移動の確保がございます。 県では、身近な買物の場の確保と商店街の活性化を図るため、県内商店街の次世代を担う若手経営者の活性化プランを支援するとともに、商店街の空き店舗等を利用した農産物直売所の設置を支援しております。また、五條市におきまして、電話・ファクスで商品の注文を受け、宅配すると同時に高齢者の安否確認を行う、地域の買物支援モデル事業をNPOに委託し、実施しているところでございます。また、高齢化はビジネスチャンスであるととらえ、ネットスーパーによる宅配、スーパーの配送サービス、生協による個別配送サービスなど、民間事業者によるさまざまな取り組みが行われておりますが、県としても、そのような企業による高齢者の生活支援サービスへの取り組みを促進していきたいと考えております。 次に、移動の確保についてでございますが、地域内の移動手段として、県下二十七市町村がコミュニティバスの運行に取り組んでおり、さらに田原本町では、高齢者等の町内移動手段を確保するために、町内各地から町中心部や商業・医療施設等を結ぶデマンド交通サービスの実証運行を今月八日から開始しております。また、NPO等が身体障害者や要介護者の運送を行う福祉有償運送も、二十五地域で七十八台が稼働しております。 高齢者が在宅で暮らし続けていくためには、買物の場や足の確保に限らず、家の管理、庭の手入れ、電球の取りかえや炊事など、日常の生活支援といったきめ細かな対応が必要となってきます。このような課題に対しましては、行政による公助のみならず、地域、NPO、企業による共助が不可欠と考えております。このため、奈良の未来を創る構想案におきまして、外出、食等の自立生活支援を政策課題として位置づけたところであり、この課題に官民連携して取り組む体制づくりを検討してまいります。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 武末医療政策部長。 ◎医療政策部長(武末文男) (登壇)三十九番小泉議員の私に対するご質問は、多剤耐性菌による院内感染症対策についてでございまして、本県の状況と、県内の医療機関の予防の取り組みなどについてでございます。 東京都の帝京大学医学部附属病院を皮切りに、都内の二つの病院や愛知県の病院などで、多くの抗生剤が効かない多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染症により多数の患者の方が亡くなられ、新聞やテレビなどで大きく報じられているところでございます。県内では、最近一年間の院内感染者数等について県独自で調査いたしましたところ、県内七十五病院の実態の把握をしたところでございます。その結果によりますと、県内の感染者数は、多剤耐性アシネトバクター菌感染症が一病院で三名、薬剤耐性緑膿菌感染症が二十病院で八十八名ございました。なお、これらの細菌により院内で感染をしたことが疑われるような事例、あるいは患者さんが亡くなったような事例は、認められておりません。また、インドで初めて見つかったNDM-一、これはニューデリー・メタロ・βラクタマーゼ一でございますけれども、新しい多剤耐性菌については県内では確認されておりません。 今話題となっている多剤耐性菌については二種類ございまして、一つは議員がお述べのとおり、広く自然界に存在するアシネトバクター菌によるもので、本来は一般的に健康な人には無害でございます。しかし、重症な病気や抗がん剤の治療などで免疫力が低下した場合に、患者に感染することがございまして、時として肺炎などを起こして亡くなる場合もございます。これは従来から院内感染症として問題となっていたものでございまして、今回は大学病院で多数の患者さんが発生したということで、問題とされております。 一方、新型の多剤耐性菌でございますけれども、これはNDM-一という酵素をつくる遺伝子を持った大腸菌などによるものでございまして、近年欧米などで感染が拡大、指摘されているところでございます。NDM-一は、ほとんどの抗生剤を分解してしまう酵素でございます。この酵素をつくる遺伝子を、腸内細菌である大腸菌や肺炎桿菌などの細菌が獲得しますと、抗生物質がこのNDM-一酵素で分解されてしまうために、感染した患者さんの細菌の治療が難しくなるということでございます。また、このNDM-一遺伝子というものが他の菌に移りやすいという性質がございまして、他の菌までが多剤耐性菌になる危険性が懸念されております。今直ちに国内で問題があるということではございませんけれども、今後注意が必要と認識しております。 そのため、県内の医療機関に対する院内感染防止の徹底については非常に重要でございまして、まず、厚生労働省医政局から多剤耐性アシネトバクター菌等に対する院内感染対策の徹底の通知がありまして、県内の病床を有する助産所、診療所と、当然病院に対して、院内感染対策の徹底を図ったところでございます。また、十月上旬に県の医師会と共催で研修会を開催しまして、正確な情報の伝達と共有、そして清掃の徹底や抗菌剤の適正な使用、さらに院内感染対策マニュアルの見直しなど、院内感染の予防、多剤耐性菌、特に新型の多剤耐性菌が発生した際の危機管理の徹底に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)三十九番小泉議員の私に対するご質問は、全国学力・学習状況調査につきまして、抽出調査となった本年度の調査結果をどのようにとらえ、その結果を踏まえてどのような取り組みを進めようとしているのか、また、全学校が調査に参加すべきと考えるが、どうかでございます。 本年度の全国学力・学習状況調査は、これまでの悉皆調査から、九五%の確率で全学校で実施した場合の平均正答率との誤差が一%以内となるように、国が都道府県ごとの学校を指定し、全国で平均約三〇%の抽出率となる抽出調査に変わりました。今年度のこの調査結果からも、本県の状況はこれまで同様、国語や算数等の成績は全国的に比較的よいが、国語や算数等が好きな子どもは全国と比べ少ない、学校の決まりを守ることや新聞などへの関心は低いなどの傾向が見られたところでございます。 このことから、現在実施しております施策をさらに推進し、今後も課題の改善を図っていくこととしております。具体には、児童・生徒の学習に対する興味関心を高めるため、昨年度の奈良県小学校教科等指導資料三千八百部に加えまして、今年度は中学校用の指導資料を約四千五百部作成し、公立学校の全学級や私立学校等に配布することとしております。また、規範意識の低さに起因する問題行動への対応につきましては、学校支援アドバイザーや生徒指導担当教員の補助を行う学校サポーターの派遣を継続するとともに、本年度は、生徒指導第二係を設置し、さらに社会性などの向上を目指し、ノーテレビデーなどに取り組む、見直そう!家庭と学校協働プロジェクトを小学校五校で実施しているところでございます。 次に、全学校が調査に参加すべきかどうかにつきましては、先ほど述べたように、県全体では全国比較も可能であり、県全体の特色や傾向を知ることは従来どおり可能となっております。ご指摘の抽出外の学校の調査への参加は、現制度では希望利用が可能となっており、採点等は市町村の責任と費用負担で行うことが定められておりまして、採点と集計だけでおおむね一校当たり十二万円程度の費用負担となると把握しております。分析情報等までさらに得ようとしますと、費用負担がかさむものと考えられますが、いずれにしましても、希望利用するかどうかは各市町村が、調査利用の目的を明確にし、判断していくべきものと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 三十九番小泉米造議員。 ◆三十九番(小泉米造) 知事はじめそれぞれご答弁ありがとうございました。数点だけ再質問したいなと、こう思っております。 まず、リニアの問題でございますけれども、あと四、五年ほどしますと、いよいよリニアの工事の着工が始まってくるわけでございまして、あと十七年先、つまり私が八十ぐらいになるわけですけれども、そのころに東京-名古屋間ができる。さらに、大阪まで行きますと私は百歳ぐらいになりまして、そのころはいないだろうなと、こう思ったりしているんですけれども、しかし、将来的な日本の基本的な問題でございますので、とりわけ奈良県にとっては大切な問題だと思いますので、再度質問をしたいと思っておりますけれども、駅の設置を奈良県ではどこにしたらいいのかなという問題です。 私が当初聞いておりましたのは、平城山のとこら辺に来るんではないかという話がございました。しかし、今知事の答弁にございましたように、これからの将来の奈良の玄関口となっていくわけですし、一つの新たな拠点になっていくわけですから、そういう点で奈良という地形の上でどこに駅を設置していったら一番いいのかなと。JR東海は、既にその範囲をこのあたりというふうに言われているんですね。いわゆる奈良市、生駒市、大和郡山市、天理市の各市と周辺の自治体を一つの範囲とするという、非常に広い範囲なんですけれども、その範囲のエリア、いわゆる南のほうへ行きますと天理まで行くわけですから、北のほうは京都との境まで行くわけですから、さらに西のほうは生駒まで行くわけですから、その範囲の中で一体どの地域がいいのかなという、これは知事の私的なといいますか、知事の個人的な見解でも結構でございますから、一度知事の意見があったら述べていただきたいなと思います。 といいますのは、現在ある新幹線と、それからリニア新幹線は8の字のようにするというんですね。つまり、東京は品川駅が決まっております。大阪は新大阪ってなっているんですけれども、大阪府の橋下知事はここだと言ってるんですね。大阪駅北の梅田北ヤードのところにリニアの駅を持ってきてほしいということを発信されているようでございますけれども、それぞれいろんな思いがあると思うわけでございますけれども、しかし、奈良県は奈良県として一つのやっぱり、この場所が非常に奈良県にとってはいいなという発信をぜひしてもらったほうがいいんではないかなと思いますので、もしも知事がいろんなことを考えておられるようでございましたら、ひとつ述べていただきたいと、こう思っている次第でございます。 次に、中国人の観光客の誘致の問題でございますけれども、いわゆる尖閣諸島からいろんな問題が起こって、中国との関係というのは非常に悪化しているわけでございまして、大変危惧しているんですけれども、しかし、これから非常に大きな観光産業の一番のやっぱり目玉は中国だというふうに思っております。中国人を誘致することでいきますと、何が一番大切かなと思えば、やはり今ほとんどの中国人が来られているのは団体で来られているんですね。個人で旅行で日本に来るというんじゃなしに、ツアーで来られている。そのツアーで来られているということになりますと、当然中国の観光業者といいますか、そういうとこら辺で奈良県の商品化をしてもらわなければいけないというふうになってくるわけでございまして、そうなりますと、いかに中国のところで奈良県の観光を商品化することができるのかというとこら辺に非常に力を注いでもらわなければいけないと、こう思ったりいたします。 天理にあるNホテルは、バスでずらっとそのホテルのところに朝鮮の観光客が来られます。よくはやっているわけですが、何でそうはやっているのかなと思ったら、やはり韓国の旅行会社と提携をして、そしてバスのツアーの中でそのNホテルへ必ず泊まるというふうになっているんですね。今、知事がプール跡地へのホテルの問題を言われておりますけれども、例えばそこに一枚、中国人の投資家を投入さすことによって、中国の現地で、向こうのほうで奈良のツアーを入れて、そして宿泊はそこだというようなこともできるわけでございまして、そういう点でいったら、さらに誘致をしていくための観光が広がるんではないかと思ったりいたすわけでございますけれども、そういうことがどうなのかなという、知事の見解があれば述べていただきたいと思います。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)リニアの駅の設置場所についての所見のお尋ねでございまして、JR東海がどこを考えているのか、まだよくわかりません。これは運行主体ですので、いろんな考え方はあろうかと思います。しかし、地元とは調整をされるということでございます。非公式にも意見交換をしたことはないわけでございます。終着駅ではなしに、途中駅ということでございますので、いろんな考え方が可能だと思いますが、長野県で北回り直行ルートなどで地元とJR東海との考え方がもめているということなので、それと、JR東海は名古屋までまずつくるということで、名古屋以西についてはまだ検討対象に入ってないということもあるかもしれませんが、まだ感触の交換もしたことがございませんので、見解のかけらも持ってないわけでございますけれども、奈良に場所を言うと、病院にしろ、施設にしろ、狭い地域の綱の引き合いということが十分考えられるんじゃないかと危惧をするところでございます。奈良県全体、あるいは近隣、あるいはこの高速輸送機関という何兆円にも上る大きなプロジェクトでございます。その性格を考えて、奈良県の一部の地域だけでなくて、他の地域、あるいは大きく外国からもいい立地だなと言われるような駅がやはり望ましいかというふうに思っております。広く均てんするというのは、既設のネットワークとうまく組み合わせるというのはよくやることでございますが、空港への線を引くというのもそのようなことの一つでございます。 それから、中国人観光客と、観光地としての奈良県の関係でございますが、胡錦濤さんが奈良へ来られて以降、中国のメディアで随分露出が増えております。奈良は中国のメディアの中では有名地というふうに位置づけられてくるほど大きくなってまいりました。奈良の皆様には、東京でメディアの露出が多くても、中国の人民中国に記事が載ろうとも、あまりお知りになる機会が少ないので、どのように動いているかということはあまりおわかりにならない面がありますが、最近関係者から言われるのは、奈良の中国のメディアへの露出は随分増えたということが言われております。 それが誘客、観光客の増加に結びつくにはどうすればいいかということでございますが、他の観光地でいろんな韓国にしろ台湾にしろ、増えている一つのパターンは、一般のメディア露出とともに、観光施設、特に宿泊ホテルが直に向こうへ働きかけて、成功しているのが多いわけでございます。宿泊施設が長年にわたり韓国とか中国、台湾へのマーケットに働きかけていかれるのは、その目的地が奈良であろうと、能登であろうと、そういう能登という観光地でなく能登の何々ホテルというふうなディスティネーションになるのが普通でございますので、奈良の観光施設もそのような働きかけをもう少し常にするようになれば、奈良の観光誘客も迫力のあるものになるかと思います。韓国へ県が初めてプロモーションに行ったときには、ちょっと冷やかされまして、奈良は大仏さんがいるから、歩いてプロモーションなんか来ないと思っていたら、やっと大仏さんが歩いてきたかという言われ方を韓国でされましたが、大仏さん自身が本当に歩いていただくと迫力はあろうかというふうに思いますが、大仏さんのような座った旅館じゃなしに、動く旅館のプロモーションになれば大きな動きになろうかと。それには県が、むしろ率先して、あるいはそばに付き添ってやるには全くやぶさかではございません。それと、着かれてからも、何や来たのかというようなおもてなしの仕方じゃなしに、一歩進んで、よく来ていただきましたということを言う観光地になれば、これは観光地として大きく成長するんじゃないかと思います。中国だけじゃなしにほかのお客様にもそのようにやれば、奈良は素材はもう不足はない観光地でございますので、あとは気迫というふうに思っております。 ○副議長(藤本昭広) 三十九番小泉米造議員。 ◆三十九番(小泉米造) 終わります。 ○副議長(藤本昭広) しばらく休憩します。 △午後二時三十分休憩    -------------------------------- △午後二時四十九分再開 ○副議長(藤本昭広) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、二十三番安井宏一議員に発言を許します。--二十三番安井宏一議員。(拍手) ◆二十三番(安井宏一) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 この秋の奈良県は、平城遷都一三〇〇年祭、APEC観光大臣会合、全国都市緑化ならフェア、東アジア地方政府会合等々、本当に華やかな雰囲気の中で、未来への力強い希望に満ちあふれております。荒井知事の卓越したリーダーシップのもとでの県挙げての取り組みが実を結びつつあると思うものでございます。 さて、先週末、菅改造内閣が発足いたしましたが、我が国がグローバル化の中で、デフレ対策、円高対策に象徴される経済運営、日米・日中外交、財政規律、地方分権をはじめさまざまな課題を抱え、それぞれに的確に対処していかなければならない、極めて難しい局面にあることには全く変わりはありません。 県政を論じるに当たりましても、これら国の課題と密接に連動した地方の課題が浮き彫りになってくるわけですが、一方で、本県独自の課題も決して少なくはありません。また、いずれの課題につきましても、一朝一夕の即効性のある対応策があるケースはほとんどありません。ここは地道に一つ一つ施策を議論し、そして、着実かつ果敢に実行し、成果を出していくことこそが、奈良県をさらに元気にし、県民の暮らしをよくすることに必ずやつながるものと私は確信しているところでございます。このような思いから、本日は知事、教育長、関係各部長に六点にわたって質問をしてまいりたいと思います。 初めに、学研都市高山地区第二工区について、知事にお伺いします。 学研都市高山地区第二工区については、独立行政法人都市再生機構による住宅地を中心とした土地区画整理事業が平成十二年十一月に都市計画決定がされました。その後、都市再生機構は用地買収に着手し、これまでに一千億円以上もの事業費を投入したと聞いております。しかし、平成十八年二月に生駒市が突然白紙撤回を表明したことを受け、平成十九年七月に都市再生機構による事業は中止に至りました。 翌平成二十年五月、荒井知事が大学や研究開発の産業施設を中心としたまちづくりを考えてはどうかと生駒市長に申し入れたことを受け、これに生駒市長が同意をし、平成二十年六月に県、生駒市、都市再生機構の三者によるプロジェクトチームが組織され、住宅中心の開発計画を見直し、大学・福祉施設・研究産業施設を中心とするまちづくり事業の実現可能性について検討が開始されました。そして、一昨年二月には関西文化学術研究都市高山地区第二工区のまちづくりの中間とりまとめが公表され、それによると、リスクや課題はあるものの、土地利用計画と資金計画を検討した限りにおいては、事業の実現は可能と判断されました。 さらに昨年十月に、県立医科大学の教育部門を学研都市高山地区第二工区に移転する構想が発表され、議論が大いに高まったところでしたが、本年二月に関西文化学術研究都市高山地区第二工区のまちづくりの検討経過概要が公表され、高山プロジェクトの意義やまちづくりの計画については、おおむね三者の合意が得られたものの、事業に不均衡が生じた場合の負担の考え方や大学の誘致等については、今年度引き続き外部有識者の意見を聞きながら三者で一定の方向性を得るべく検討を行うということになりました。その後、生駒市、都市再生機構と奈良県は検討協議会を設置し、その中で、大学を中心としたまちづくり、大学運営、不動産市況やリスクの考え方など、さまざまな意見交換がなされ、学研都市高山地区第二工区をめぐる状況が刻々と変化していったと聞いているところであります。 生駒市民である私からすれば、この高山地区は関西文化学術研究都市の中心部に位置し、文部科学省から、一、教育水準、二、研究水準、三、教育研究達成度、四、業務運営達成度から成る評価項目で全国第一位の評価を受けている奈良先端科学技術大学院大学が立地しているほか、周辺には多くの研究機関が立地しているなど、東の筑波研究学園都市と並ぶサイエンスタウンとして将来性のある土地であると考えております。ただ、高山地区の現状は、耕作放棄地が増加し、不法投棄や土地の荒廃が進むなど、見過ごせない状況となっており、市民も非常に将来に不安を感じているところであります。 そこで、荒井知事に質問いたします。過日の国際文化観光・学研都市・平城遷都一三〇〇年記念事業推進対策特別委員会、総務警察委員会にて報告されました学研都市高山地区第二工区まちづくりについての県の提案についてお伺いします。この提案は、県が現在考えている学研都市高山地区第二工区の開発の方向性をまとめたものということですが、この提案の趣旨はどのようなものなのか、さらに、生駒市の地元自治会と商工会議所等から本年五月二十四日に、学研都市高山地区第二工区の早期着工と県立医科大学の移転を求め、荒井知事、生駒市長及び県議会議長に対し、学研都市高山地区第二工区事業に関する要望書が提出されました。私も学研都市高山地区第二工区については、この要望どおりに進めていただきたいと考えている一人でございますので、学研都市高山地区第二工区を今後どのように進めていこうと考えておられるのか、知事のご所見をお伺いするものでございます。 次に、学研都市高山地区第二工区に関連して、生駒市域における富雄川の改修状況について、土木部長にお伺いします。 一級河川の富雄川は、生駒市高山町を上流端とし、奈良市などの市街地を貫流する河川であります。生駒市域におきましては、先ほど述べました学研都市高山地区第二工区の開発や平成十八年のけいはんな新線の開通による宅地開発の進展など、土地利用の変化が想定され、これまで以上に富雄川への流入量が増えることが予想されます。このため、洪水を未然に防ぐ観点からも、富雄川の早急な改修が望まれているところであります。一方、富雄川の堤防を利用し並走しております主要地方道枚方大和郡山線は、道づくりの重点戦略において重点整備宣言箇所として位置づけられており、関西文化学術研究都市への重要なアクセス道路であるとともに、生駒市北部の発展のためにも非常に重要な道路であると認識しております。このため、現在生駒市上町において、枚方大和郡山線と富雄川の整備を一体となって進めていただいていることに感謝をしております。この工事における用地取得はほぼ完了し、主には富雄川の改修工事が残っていると聞いておりますが、現在、富雄川の改修工事の進捗はどのような状況であるのか、ご答弁をお願いいたします。 三点目として、市町村支援のあり方と、その取り組み状況について、知事にお伺いします。 知事はこれまで、県政の目指すべき姿として、地域の自立を図り、くらしやすい奈良を創るを実現するための取り組みの一つとして、市町村の支援に力を注いでこられました。しかし、本議会で知事が答弁されているとおり、各市町村の財政状況は、平成二十一年度決算で好転の兆しを見せてはいるものの、まだまだ厳しい状況で、今後の国の地方財政対策の動向により、予断を許さない状況と考えております。このような中、今回の補正予算として提案されている市町村振興臨時交付金については、条件不利地域や財政状況が悪化している県内の市町村においても、みずからの知恵を生かした追加投資が行えるようにするものと聞いており、先行きが不透明な本県の経済状況の中で、県が緊急的な施策を独自に実施されることは、市町村の支援策として、また条件の厳しい地域の活性化策の一つとして、私は期待しているところであります。 しかし、県内各市町村は、市町村合併が進まなかったことから、小規模な団体や地理的条件の厳しい地域も多く、また近年の各市町村の行財政改革への努力の結果、皮肉にも職員数の削減などにつながり、組織体制が脆弱になっている状況にあります。それぞれの市町村が、地域の実情に合ったサービスを行っていくため、また、県内の市町村がそれぞれ抱える多様な課題に対応するためには、今回のような臨時的な交付金のような財政面の支援にとどまらず、ほかにも市町村に対する多様な県の支援が必要と考えます。これまでも知事は、県と市町村とが協働した行政の推進を図ることを目的に、毎月市町村サミットを開催され、市町村長との意見交換を行われておられます。この中で、県と市町村の持つさまざまな行政資源を県全体として有効活用するという観点から、奈良県に合った地方行政の仕組みを奈良モデルとして考えるという取り組みも、各市町村長と協議を行いながら進めてこられました。 これは、国で今なされている地域主権改革の基礎自治体優先の原則による、国から県へ、県から市町村への権限移譲という考え方だけではなく、奈良県という地域に合った、県も積極的にかかわった市町村間の連携や小規模町村への支援という考え方を示したもので、順次具体化を図るために取り組んでいると聞いております。そこで、今回の市町村振興臨時交付金を含め、県における市町村支援のあり方についてどのようにお考えになっているのか、また、知事の市町村支援の考え方の主な柱が奈良モデルでもあらわされていると思いますが、その実現に向けた取り組みの状況はどのようなものなのか、お伺いしたいと思います。 四点目として、平城遷都一三〇〇年祭を契機とした東アジアとの青少年交流について、文化観光局長にお尋ねをいたします。 奈良は古代より、中国や韓国などの東アジアの国々との交流が盛んで、これらの地域から仏教が伝来するとともに、さまざまな文化や技術等がもたらされてきたところであります。特に奈良に都が置かれた千三百年前の平城京の時代は、日本の歴史の中でも国際交流が盛んであった時代であり、その交流のあかしである世界的な歴史遺産が県内には数多く存在いたしております。県におかれましては、奈良とゆかりの深い東アジアの地方政府との交流、特に韓国忠清南道や中国陝西省との交流を進めておられます。百済ゆかりの韓国忠清南道とは、平城遷都一三〇〇年祭と二〇一〇世界大百済典との相互交流を内容とした文化観光交流協定を締結して、交流を図っておられます。 私もことしの二月に、奈良県議会の訪問団として忠清南道を訪れました。百済の地の風景、歴史遺産や文物等を目にして、奈良と百済との古代からの深いつながりを再認識したところでございます。この訪問時には、忠清南道議会の議長や忠清南道の道庁の皆様ともお会いをいたしまして、平城遷都一三〇〇年祭と二〇一〇世界大百済典の成功に向けた意見交換を行うとともに、平城遷都一三〇〇年祭のPRをしてまいったところでございます。ことし四月の平城遷都一三〇〇年祭の開幕時には、忠清南道から交流ホールに出展していただくとともに、まほろばステージでも忠清南道の伝統舞踊を披露していただきました。この秋には、忠清南道で開催される二〇一〇世界大百済典に奈良県からもブースが出展されるとともに、交流団も派遣されました。 また、唐の都、長安の地であった中国陝西省とは、友好県省関係の発展に関する覚書を締結して、交流を進められています。私も二年前に、知事トップセールスで陝西省を訪れました。その際に荒井知事から、陝西省の省長に友好提携の申入れをされ、お互いの交流、協議も進み、この秋には奈良県として初めてとなる友好提携が締結される予定とも聞いております。さらにはこの五月には、奈良市と鑑真和上ゆかりの中国揚州市が友好提携都市の調印を行い、八月には奈良県が上海国際博覧会に、阿倍仲麻呂をモチーフとしたOSK日本歌劇団のステージショーを展開されました。また来月には、東アジア地方政府会合が開催されるなど、東アジアとの交流がますます盛んになってきております。 このように、東アジアとの国際交流が活発に行われる中で、私は平城遷都一三〇〇年祭を契機として、奈良県ならではの歴史や文化を活用した東アジアとの交流をさらに進めていくべきであると考えており、同時に、この交流を一過性のものではなく、将来に向けて継承したものとするために、次世代を担う青少年が交流の一翼を担っていく必要があると考えております。また、国際化が急速に進展する中で、現代に生きる私たちは、グローバルな国際社会に生きているという広い視野を持つとともに、国を超えて相互に理解し合うことがますます重要な課題となっております。このような状況の中で私は、次世代を担う奈良の青少年や東アジアの青少年に夢を持ってもらいたい、国際的な視野、国際的な感覚を持ってもらいたい、また、この機会に東アジアの青少年に奈良や日本を理解してもらいたいと考えております。 そこで、文化観光局長にお伺いいたします。平城遷都一三〇〇年祭を契機として、積極的に次世代を担う青少年を中心とした東アジアとの友好交流を深める取り組みを進めるべきと考えますが、今後の取り組みについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 五点目として、看護職員の確保について、医療政策部長にお伺いしたいと思います。 看護職員の確保については、県では、奨学金の貸与などの従来からの取り組みに加えて、復職者に対する研修の実施や認定看護師資格取得等のキャリアアップに対する支援を行うなど、さまざまな取り組みを進めてこられました。また、昨年度に策定された地域医療再生計画では、県立奈良病院や県立医科大学附属病院を高度医療拠点病院、マグネットホスピタルとして整備することとし、建設に向けて具体的な検討を進められているところであります。 ところで、地域の医療を守るためには、ハード整備も重要ですが、これと同じくらい重要なことは、医療を支える人材の確保であると考えております。実際に私も、病院に勤務する看護師さんからは、有給休暇が取りたいときに取れない、子育ての中の夜勤を軽減していただきたい、院内の保育所をもっと充実してほしいなどの声を聞いております。女性が大多数を占める看護職員の一人ひとりは、結婚、妊娠、出産、育児、親の介護、子どもの教育、PTA活動など、ライフステージに応じて家庭や地域の中で、仕事以外にもさまざまな役割を担っておられます。働きながらこれらをこなすことは、大変なことでございます。一方で、キャリアを積み重ねてこられた看護職員は、本人が質の高い医療を提供できるだけでなく、新人の教育や研修などを通じて、病院全体の医療の質を支えていく人材でもあります。少子化が進んでいる今日、新たに病院に就職する看護職員の数を大幅に増やすことは難しい状況であります。このような状況の中で、働きやすい、辞めずに働き続けられる環境を整備することは、病院現場で活躍いただける看護職員の人数を増やすための重要な取り組みではないでしょうか。看護職員の確保対策においては、看護職員が辞めずに働き続けられる職場づくりが大切と考えますが、県ではどのように取り組みを進めていかれるのか、お尋ねをするものでございます。 最後に、高等学校卒業予定者の就職についてお伺いいたします。 昨今、全国的に若者の就労に関するニュースが紙面をにぎわせることが多く、また、その内容もあまり明るいものではありません。先月に文部科学省から学校基本調査の速報が発表されました。それによりますと、全国の今春卒業した高校生で、就職も進学もしていない方が約六万人、大学生では約八万七千人いるということでありました。本県のことし三月末に卒業した県立高等学校の生徒の就職状況については、全国の高校生の就職率が昨年度より一・六%低い九一・六%であったのに対し、昨年度から〇・九%上昇して九三・四%となり、全国を一・八%上回るものであったと聞いております。この結果、全国的に就職状況が厳しい中で、生徒本人が就職に向けて真摯に努力したことはもちろんではありますが、学校関係者等周囲の方々のご尽力のおかげも相当にあったものと考えているところであります。ただ、県立高校においても約八十人近い方が就職できなかったという現実は、依然として無視できないことであると考えています。 世界的な状況としては、一昨年から金融危機などから来る同時不況、また国内におきましても最近の急激な円高の進行など、日本経済の置かれている状況はより一層厳しさを増しています。そして、そのことは高校生等の就職状況が今後ますます厳しくなることを物語っていると考えております。高校生にとって就職というのは、人生の一大事であり、その後の生き方に大きな影響を与えることは言うまでもありません。 そこで、教育長にお伺いします。来春高等学校を卒業する予定の生徒たちを取り巻く就職の状況は、現在どのようなものになっているのか。また、それに対して県教育委員会としてどのような手だてを考えておられるのでしょうか。さらに、高等学校を卒業しても、就職ができない方に対してどのような支援を講じようとされているのか、あわせてお伺いしたいと思います。 以上、壇上からの質問を終わります。(拍手) ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十三番安井議員のご質問にお答えいたします。 私に対しまして二問ございました。第一問目は、学研都市高山地区第二工区の今後の進め方ということでございます。 学研都市高山地区第二工区は、議員お述べのような経過で今日に至っております。第二工区の位置からして、学研都市内の連携の核になるエリアとして大いに発展が期待できるものと考えてまいりました。このプロジェクトは積極的に進められたらいいと考えてきたものでございます。平成二十年六月から、県、生駒市、URの三者で事業の実現可能性について検討を始めました。今年度は、学研高山地区第二工区まちづくり検討協議会を新たに設置し、外部の有識者の意見を聞きながら、事業リスク軽減や負担の方法、リスク軽減を念頭に置いた開発対象区域や開発手法、大学の構想等について検討を進めてまいりました。 今回、これまでの検討を踏まえて、県が考える開発の方向性をまとめ、議会でご意見を伺った上で、生駒市、URにこれから提案することにしたものでございます。提案の内容につきましては、主なものとして四つございます。一つ目は、土地利用のおおむねめどがつくところから着手する。保留地の売れ残りが発生しにくい方法により開発を進めるということでございます。二つ目は、第二工区の東部は事業区域から除外し、北部はURの換地分を集約するにとどめるなど、開発する区域を縮小することで事業費の抑制を図ることとしております。三つ目は、県においては、県立医科大学の移転を進めるとともに、東アジア大学構想を進めるとしております。四つ目は、引き続き首都圏等の大学誘致に努めるが、私立大学の誘致の可否や県立医科大学の教育部門の一部の移転については事業実施の前提としないということでございます。今後、県の提案に対して、生駒市、URの合意及び積極的な協力が得られれば、県を事業主体とする土地区画整理事業の認可に向けてより具体的なまちづくりプランを作成していくことになります。県は、第二工区の土地の環境劣化の心配もあり、また、発展の可能性が大いにある位置でもあるので、積極的な役割を果たそうとしてまいりましたし、今もそのような気持ちに変わりはございません。 二つ目、市町村支援のあり方と、その取り組み状況についてのご質問がございました。奈良モデルの取り組み状況はどうかということも含まれております。 議員お述べのとおり、本県の市町村は小規模町村が多く、財政も厳しい状況にございます。過疎地域など地理的な条件から、いろいろな分野における県内格差が生じていることもございます。これらの困難条件の克服に向け努力を行う市町村を県は積極的に支援し、ともに取り組む必要があると考えてきたところでございます。今回の市町村振興臨時交付金もこの考え方によりまして、臨時的な措置ではございますが、条件不利地域や財政状況が悪い市町村における創意工夫を凝らした活性化のための努力を支援しようとするものでございます。 また、市町村支援のあり方、また工夫についてのご質問がございます。 奈良県・市町村長サミットをほぼ毎月開催してまいりました。各市町村長と意見交換をしてきておりますが、その中で、県と市町村の役割分担について検討し、奈良県という地域に合った地方行政の仕組みを奈良モデルとして、ことし三月に取りまとめたものでございます。これは、県や市町村が行っている事務のうち七十三業務について、県が積極的にかかわった市町村間の連携や、小規模町村に対する県の支援などの方向性を示したものでございます。今年度は十課題について具体化に向けた検討を行っているところでございます。これは合併が進まなかった奈良県において、連携、あるいは県の支援により行政の効率化を図ることを目指すものでございます。この中で、道路橋りょうの点検、計画策定は、既に今年度から県が業務を受託するという形での支援を行いました。できるものから実施しているところでございます。さらに、市町村の住民情報系システム共同化について検討いたしました結果、先般、香芝市ほか六市町で事業を進めることが合意されました。また、ごみ処理の共同化という分野につきましては、自主的に御所市と田原本町で共同化の協議に入ることになり、奈良モデルの考え方に沿った具体的なプロジェクトの実現の動きも出てきたところでございます。 このような広域連携の取り組みをはじめとする各市町村の行政経営向上の努力には敬意を払うものでございますが、引き続き県と市町村の持つさまざまな行政資源を活用し、積極的に支援を実施していきたいと考えているところでございます。 私に対する質問は以上でございました。 ○副議長(藤本昭広) 川崎土木部長。 ◎土木部長(川崎茂信) (登壇)二十三番安井議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、生駒市域における県道枚方大和郡山線と富雄川の一体的な整備について、富雄川の改修工事の進捗状況についてのお尋ねがございました。 県道枚方大和郡山線は、道づくり重点戦略におきまして、京奈和自動車道から大和中央道を介して県北西部への広域的なアクセス道路として重点的に整備を進めることにしております。一方、県道枚方大和郡山線と並走いたしまして富雄川とは、一体的な構造形式となっており、道路の重点的な整備を図るためには、河川においても道路整備と歩調を合わせて計画的、重点的な整備を図る必要があります。 議員ご質問の富雄川の河川整備の状況につきましては、これまで護岸整備を先行実施し、三基の井堰の改築と一つの橋りょうのかけかえが残っている状況であります。上流から二基の井堰につきましては、水利権者との調整が完了し、昨年度より工事に着手しております。最下流部の井堰につきましては、現在水利権者との交渉を進めており、合意が得られれば、約二カ年で工事は完了する予定であります。また、橋りょうのかけかえ工事につきましては、橋りょうに電話線と水道管が併設されておりますので、それら占用者との協議成立後速やかに工事に着手する予定であります。県道枚方大和郡山線は早期整備が必要な広域幹線道路でもあり、引き続き一体的に整備が必要な富雄川の改修に精力的に取り組んでまいりたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(藤本昭広) 廣野文化観光局長。 ◎文化観光局長(廣野隆信) (登壇)二十三番安井議員のご質問にお答えいたします。 ご質問は、平城遷都一三〇〇年祭を契機として、次世代を担う青少年を中心とした東アジアとの友好交流を深めるための取り組みについてでございます。 奈良は、中国や韓国などの東アジアの国々と古代より深い交流の歴史があり、そのあかしが県内には数多く現存しております。このような本県独自の歴史的・文化的特性を活用して、東アジアの国々との交流を推進しているところでございます。特に韓国忠清南道とは文化観光交流協定を締結いたしまして交流を進めているほか、中国陝西省とは本年十一月に奈良県として初めてとなる友好提携の締結を予定しております。これらの東アジアの地方政府との交流の中で、本年二月に陝西省学生訪問団が来県いたしまして、茶道などの日本文化を通じた交流を行い、四月には陝西省の小学生訪問団二百人が来県いたしまして、奈良市の小学生と学校交流を行うなど、青少年同士の交流も進めているところでございます。さらに来月には、中国陝西省や韓国忠清南道の青少年を奈良に招きまして、スポーツを通じた交流を行いますとともに、ホームステイにより日本の生活文化を体験していただく予定としております。 このような次世代を担う青少年の交流を通じまして、国際的な視野、感覚を養い、相互の国際理解を深めることが重要であると考えております。今後も東アジアからの教育旅行を誘致するための海外プロモーションを実施するなど、東アジアとの青少年交流が一層進むよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 武末医療政策部長。 ◎医療政策部長(武末文男) (登壇)二十三番安井議員の私に対するご質問は、看護職員の確保対策について、看護職員が辞めずにに働き続けられる県の取り組みはどのようにしているかということでございました。 本県の看護職員の年齢階級別の人数は、二十五歳から二十九歳をピークに、年齢を経るごとに減少しております。また、常勤職員の主な退職の理由では、結婚、出産、育児、介護が上位を占めておりまして、一たん離職すると復職が進んでいない状況があります。そこで、フルタイム職員と比較して労働時間が短く、基本的に残業がない正規雇用の身分が継続する短時間正規雇用制度などの多様な働き方を導入することにより、仕事を辞めずに働き続けられる職場づくりを推進することが、看護職員の確保において重要な取り組みであると認識しております。しかしながら、病院の現場では、夜勤者の確保が大変になるであるとか、人員配置、シフトの管理が複雑になるなどの懸念から、制度の導入、運用が進んでいないのが現実でございます。 そこで、本県では、本年度予算で新たに多様な働き方ができる就業環境の実現に取り組む意欲のある病院の中からモデル病院を選定しまして、制度導入時の具体的な課題の解決に取り組んでいただくこととしております。具体的には、アドバイザーを導入することを支援するとともに、その成果をガイドラインとしまして、県内の病院に成果を普及させていくこととしており、先日、選定評価委員会を開催しまして、モデル病院を選定したところでございます。また、病院長や看護部長などの医療機関の管理者を対象とした研修を開始しまして、多様な勤務形態などの導入を働きかけているところでございます。これらの取り組みにより、働きやすい職場環境を実現し、看護職員の確保対策を推進していきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)二十三番安井議員の私へのご質問は、来春高等学校を卒業予定の生徒を取り巻く就職の状況、現状はどのようなものか、また、これに対してどのような手だてを考えているのか、さらに、高等学校を卒業しても就職ができない方に対してどのような支援を講じようとしているかのご質問でございます。 厚生労働省の発表によりますと、七月末現在の県内すべての高等学校の来春卒業予定者の就職希望者数は、前年度比一九・〇%増の千四百八十三人に上る反面、ハローワークで確認できる県内事業所の高等学校新卒者の求人数は前年度比一一・一%減の八百二十八人でございました。このことを受け、県教育委員会が県立高等学校に対して九月一日現在で行った独自調査によりますと、県立高等学校の就職希望者数が前年度に比べ六十三人増の千二百五十九人であり、それに対して各校に提出されている県外企業を含めた延べ求人総数は、前年度に比べ三百二十三人減の四千五百八人と把握しております。 このことから、来春卒業予定の高校生に対する支援として、去る九月七日に県内経済五団体に対して、知事、奈良労働局長、県教育長名による新規高等学校卒業者の求人確保等の要請行動を行うとともに、十月、十一月に県中小企業支援センターと連携して、就職未内定者対象の企業合同就職説明会を開催し、さらに、本年度は一月にも同説明会を追加実施する予定でございます。このほか、昨年度から進路担当教員の事務を補助する就職サポーターを就職に課題を抱える県立高等学校四校に配置も行っているところでございます。なお、この三月末の県立高等学校全体の就職内定率は、前年度比〇・九ポイント上昇し、九三・四%になっているところでございます。 次に、高等学校卒業後も就職できなかった者に対する支援の一環として、本年度から九月一日付で、すべての県立学校のウエブページに卒業生等就労相談窓口を設置したところでございます。さらに、就職に関する相談機関等の紹介、就労にかかわる法律等の基礎知識等を掲載した就活ガイドブック、これは仮称でございますけれども、この就活ガイドブックを現在作成中であり、相談窓口利用者や高等学校中退者等への情報提供にウエブページ、印刷物、どちらでも提供していく予定でございます。今後、県教育委員会としましては、十月上旬から判明する就職内定率等の推移を見きわめながら、関係機関との連携を強め、高校生等の就職を支援してまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 二十三番安井宏一議員。 ◆二十三番(安井宏一) ご答弁をいただきましたが、再質問をさせていただきます。 高山地区第二工区の事業推進につきましては、現在も、県と生駒市とURと三者によって検討協議会で事前協議が進められていると、今の答弁でございましたけれども、十分な協議を経て、この事業が実現に向かっていきますように、最大のご努力を重ねていただきたいことをお願い申し上げたいと思います。 あわせまして、まだ結論が出ていないとされておりますけれども、県立医科大学の移転につきましては、現在、移転についての条件、または基準についてなど検討されているところでございますが、さまざまな意見がある中ではありますけれども、移転候補地の一つであります高山地区第二工区への立地については、地元の要望書のとおり、ぜひ推進していただきたいと、同じく要望するものでございます。 また、市町村支援につきましては、地方分権一括法が平成十二年に施行されて十年たちます。この間に、機関委任事務の廃止をはじめ、国と地方との関係の見直し、また、国から県へ、県から市町村へと権限移譲、そしてまた市町村の合併、三位一体の改革などがなされてこられました。県と市町村の役割分担検討協議会の報告によりますと、奈良県では、市町村合併、あるいは広域行政や県から市町村への権限移譲が進んでいないと、また、地方分権改革は生かされていないのではないかという指摘もされております。 以上、こういうことから、県の課題解決に向かいましてもさらなるご努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。 ○副議長(藤本昭広) よろしいですか。 ◆二十三番(安井宏一) 終わります。 ○副議長(藤本昭広) 次に、二十番山村幸穂議員に発言を許します。--二十番山村幸穂議員。(拍手) ◆二十番(山村幸穂) (登壇)日本共産党の山村幸穂です。最後の質問となりましたが、よろしくお願いいたします。 知事は、先日の代表質問の答弁で、京奈和自動車道大和北道路のトンネル区間、(仮称)奈良インターチェンジから(仮称)奈良北インターチェンジの新規事業化の要望を当面は行わないと明言されました。これは、多くの県民、全国の文化財を保全したいと願っておられる学者、研究者らも求めていたことで、我が党も一貫して主張してきたことでございます。この英断にまず敬意をあらわし、質問に入ります。 まず初めに、高齢者の孤立対策について、知事に伺います。 民生委員からの連絡で訪問をすると、認知症が進んで、食事をとっていないひとり暮らしの高齢者が、近所の方が届けていた食事を、自分は食べずにに食べさせていた。近隣の親族から通報があり、同居人が介護を拒否している。訪問すると、敷布団の上にブルーシートをかぶせ、尿や便に汚れたまま、寝たきりの状態。近所の人からの連絡。自力で外出もできないぐらい弱っている。食事は近所の知人がたまに運ぶだけで、一日一食、極端な栄養不良。八十歳の本人と息子の二人暮らし。転倒してから歩けず、寝たきりと通報があり、訪問すると、足の踏み場もなく、物に埋もれて動けない本人を発見。電気、ガス、水道がとめられ、ごみ屋敷状態の中で暮らす高齢者。別居する息子が弁当を運ぶ。訪問時、脱水状態で全く動けず。これらは、地域包括支援センターに連絡があった相談のほんの一例です。すさまじい実態です。これほどまでに高齢者の生活状態の悪化が進んでいます。 これらの例は、民生委員さんやご近所の方などから通報があって、何らかの対応がすぐになされ、何とかぎりぎりで命を救うことができた方です。しかし、これは氷山の一角で、地域で人知れず危険な状態で緊急の対応を求めている方はどれだけおられるでしょうか。発見されたときには手おくれで、既に亡くなっておられたということもあるそうです。どんな状況なのか、少しでも手がかりになればと、私は県警察に伺いました。六十五歳以上の高齢者の病気によると見られる孤独死は、ことし一月から八月までに何と二百三人にも上っていました。昨年は一年間で二百五十三人ですから、ことしは急増しているのです。この実態に衝撃を受けました。さらに驚いたことには、四十歳から五十歳の働き盛りの方が、ことしだけでも六十一人も孤独死されているという事実です。 一体どうしてと思わずにはおられません。だれにもみとられず、死後何日もたって発見される。何と痛ましいことでしょうか。マスコミでも孤立する高齢者や病弱、貧困で社会から取り残される方などの問題が、無縁社会としてクローズアップされておりますが、私たちのすぐそばに、この奈良県でも深刻な現状があります。こんなことを放置してはいけないと思います。人として生まれたからには、だれもが人間らしく生き、最後まで人としての尊厳が大切にされる社会であってほしい。そのために県としてでき得る限りのことをすべきだと思います。 長寿をすべての国民が喜びの中で迎え、高齢者が安心して暮らすことができる社会の形成をうたった高齢社会対策基本法制定から十五周年になります。国と自治体が責任を果たし、国民と協力していくことが求められています。まず第一には、不安定な孤立した状態にある人が、どこにどれだけおられるのか、その実態に迫る調査が必要です。苦難に苦しみながら放置されている高齢者の実態を、県として把握することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。 二〇〇六年の介護保険法改定で創設された地域包括支援センターは、高齢者が住みなれた地域で尊厳ある、その人らしい生活ができるように、必要なサービスを切れ目なく提供する目的を持ち、地域支援、介護予防事業の中核施設と位置づけられています。それまでの国の責任で行っていた福祉制度である老人保健事業や介護予防・地域支え合い事業がなくなり、介護保険に集約された結果、さまざまな相談が地域包括支援センターに集中しています。地域包括支援センターでの高齢者の相談は、どんどん深刻になっております。独居の方はもちろん、今は家族があっても、高齢夫婦の介護力の問題や認知症、同居の子どもも引きこもりや精神疾患、リストラで仕事がないなど、問題を抱えている家庭が多く、支援の難しい困難な事例ばかりです。地域包括支援センターでは、精いっぱいの対応に追われながらも、使命感に燃えて頑張っておられます。それだけに、相談を待つだけでなく、潜在している問題を見つけ、高齢者の孤立を防ごうと、独居世帯や高齢者世帯の全数訪問もしたいと思うが、人手不足です。また、市役所から名簿などの情報がもらえないとのことです。この地域包括支援センターがその役割を最大限発揮できるよう、人を増やすなど、財政面やマンパワーの確保など、県として支援を強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。 地域の民生委員さん、自治会の役員さんにも伺いました。これまでにご近所の方の通報で孤独死の現場に何度も立ち会ったとのことです。こんな痛ましいことは何とか防ぎたいと、見守り活動に力を入れ、さまざまなサークル活動や触れ合いの場づくりを進めておられます。しかし、財政的にも自治会では苦しく、苦労しているとのことです。閉じこもり、つながれない人も多く、難しい。高齢世帯、独居世帯は増える一方で、どうしたらいいのかと悩んでおられます。もっと、市や県の親身な対策を強めてほしいと訴えられました。地域の自主的な見守りや支え合い活動への支援も重要です。しかし、これだけでは不十分です。現在、介護保険にシフトして、自治体独自の見守りや高齢者福祉の仕事は縮小しています。本来、命を守ることは国と地方自治体の責務です。担当者の配置や全庁的な総合対策ができるようにすべきです。温かい心の通う行政の手が差し伸べられることを望みます。 次に、国民健康保険の広域化について、健康福祉部長に伺います。 病気になったときには、お金のあるなしにかかわらず、だれもが医療を受けられる、このための制度が国民皆保険です。ところが、今多くの国民が加入する国民健康保険が危機的な状況になって、国民を苦しめています。保険料の異常な値上がりで、所得二百万円で三十万円以上の負担は、とても払えないと、住民が悲鳴を上げています。これが払えないと保険証がもらえず、医者にかかれない、こんな悲劇が起こる事態です。また、保険証があっても、窓口の負担は三割もかかる。飲む薬を減らしたり、受診の回数を減らしたりと、深刻です。我が党は繰り返しこれらの問題を解決するため、県としても役割を果たしてほしいと要望してきました。国に応分の負担を求めるとともに、国民健康保険資格証の発行をやめ、すべての加入者に保険証を交付すること、国民健康保険法第四十四条に基づく医療機関の窓口負担の減免制度を普及するよう求めてきました。保険料を引き下げるために、県独自の財政支援もすべきです。 ところが政府は、これらの問題を解決する抜本的な改革に背を向け、国民健康保険を都道府県単位に集約する広域化を目指しています。このほど国民健康保険法の改定を受けて、広域化等支援方針を知事が決定することとされました。県でも準備が始まっていますが、国民健康保険の広域化については多くの問題があります。政府はこれまで、医療給付費が国の基準を超える自治体や、国民健康保険料の収納率が低い自治体に、国庫負担を減らすペナルティーを科してきました。今回、広域化等支援方針を策定すれば免除するという、誘導策をとっています。今後は県が医療費抑制や収納対策の指導監督をすることになります。県下の幾つかの市町村では、国民健康保険料の値上げを抑えるために、一般会計から繰入れが行われております。厚生労働省の通達では、この繰入れを解消するように求めていますから、値上げになります。保険料の決め方も、市町村によって違います。負担能力に応じて負担する分と、一律に負担する分を組み合わせていますが、政府の通達では平準化するようにとしており、所得の少ない人への負担増になります。現在保険料は、市町村によって大きな格差があります。これをどのように調整されるのでしょうか、伺います。 そもそも、国民健康保険の財政の悪化の原因は、国庫負担の削減です。国民健康保険会計への国庫負担金は、一九八四年度の四九・八%から、二〇〇七年度は二五%まで引き下げられています。財政難の市町村国民健康保険を寄せ集めても、好転するどころか、痛みの分かち合いで、かえって苦しくなるだけです。何よりも国庫負担を大幅に増やすよう求めるべきですが、いかがですか。また、これまで市町村国民健康保険では、議会での議論、国民健康保険運営協議会に住民が参加して、さまざまな意見が反映されてきました。県一本化になると、住民から遠く離れ、意見が届かなくなる心配もあります。この点はいかがでしょうか。 本来、国民健康保険は、国民健康保険法にもうたわれているように、運営責任は国が負っております。国の財政支出のもと、基礎自治体である市町村が、保健福祉とも連携しながら、住民に医療を給付する社会保障の仕組みです。住民福祉、社会保障としての本来の役割を果たせる国民健康保険として再建できるかどうかが問われております。県としてこのために何ができるのかを考え、県の役割を果たすことが求められていると考えますが、いかがでしょうか。 次に、纒向遺跡について、教育長に伺います。 纒向遺跡は、四十年近くにわたる桜井市の粘り強い努力、調査で、貴重な発見が続いております。市民、県民はもとより、全国から注目されるロマンあふれる遺跡です。遺跡の学術的価値については、文献調査でも、学会の一致した見解となっております。大阪市立大学名誉教授の直木孝次郎先生は、後に古代国家に成長する政治権力が三輪山山ろくを中心とする地域に成立したことは、恐らく学会の共通認識になっているだろうと述べています。文化財保存全国協議会常任委員で五條市文化博物館の館長でもあった石部正志先生は、階級のない原始社会から音を立てて階級社会に突入した、その中心部隊が纒向遺跡、日本の国の歴史を決定づける情報が秘められた、他に代替することのできない遺跡、全域を史跡に指定して保護することが急務と話しておられます。市民、県民のみならず、国民の文化遺産、またユネスコの理念にあるように、世界の人々の宝としてどう守っていくのか、国、県の姿勢が問われております。九月二十六日の赤旗日曜版に掲載されておりますが、桜井市の谷奥市長は、赤旗の取材に答えて、さらに学術調査を続けて、遺跡の保全・活用を行うために、財政支援を含めた特別立法を国にお願いしたいと話しておられます。 従来、古墳や重要と思われる大型建物跡など史跡は、個々に指定されています。面ではなく、点を保存するやり方ですが、この方法だと、将来古墳が点々と残っているだけで、魅力のない遺跡になってしまうのではないでしょうか。全面的に保存されてこそ、例えば遺跡公園など、魅力ある活用ができます。そのためには、地元住民の支持や納得が得られること、県内外の世論がかぎになると思います。遺跡の全体像を明らかにする調査を、市だけでなく、国、県の調査機関も連携して計画的に行うことが、まず必要です。まだまだわからないことが多い現状ですが、必要最低限でも、試掘調査を含めた基礎調査を行って、保全すべき範囲を明らかにしておくことが必要だと思います。その後、時間をかけて計画的な調査を進めていくことができます。県としてどのように考えておられるのか、伺います。 次に、景観・環境局長に伺います。 景観の保存も大切です。この地に栄えた文化は、古くから信仰の対象であった三輪山と密接に関係があると言われています。点在する遺跡と不可分の関係にある、背後に見える三輪山の景観は、ただ特定の場所から見えるということでなく、囲繞景観、つまり景観や展望を全体として守るということが大切です。この三輪山を望む景観を含めて、周辺のバッファゾーンを守ることは、遺跡保全の国際的到達点であります。遺跡のある地域からの三輪山を望む景観の保全のためには、県としても対策が必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。 次に、奈良公園の整備について、知事に伺います。 知事は、世界一の公園にしたいと、さまざまな公園の整備構想を打ち出しています。文献によると、奈良公園の原型は、千二百数十年前から形成されたと考えられています。自然と文化遺産が調和するたぐいまれな独特の雰囲気を持ったすばらしい公園です。「見渡せば 春日の野辺に 霞たち 咲きにほへるは 桜花かも」、このようにその昔、万葉集にも歌われた歌にも、現代の奈良公園と変わらぬ風情、情景を歌ったものが数々あります。一朝一夕ではなく、長い日本の歴史の歩みとともに、人々の暮らしの営みと自然の移ろいが関連しながらつくり上げてきたものと思われます。 今回、ポスト一三〇〇年祭の五つの構想案では、さまざまな整備構想だけが羅列されています。例えば、春日野苑地にはレスト機能、高畑の裁判所跡地に迎賓館のような宿泊施設の建設、知事公舎などに観光案内とレストランなどの整備、コンベンション機能の強化等々、これではまるで箱物建設の開発計画のようです。その上、若草山への登はんを支援する移動手段としてロープウエーなどが取りざたされています。とんでもないことだと思います。今日まで形づくられてきた歴史的な趣、他に比類のない独自のよさを壊すことにならないのか、多くの方から心配の声が寄せられております。どういう理念のもとで進められるのかがわかりません。知事の目指す世界一の公園とは、どのようなものを目指しているのでしょうか、お伺いします。 高畑町に住んでおられた志賀直哉氏が、一九三八年三月の大阪毎日に、奈良を去られるときの置き土産という短文を書いておられます。奈良公園は、ほかの都市にはない、一言で言えば自然のお庭のようなところだ。これには、人工的な、例えば道路をつくるとか、建物を建てるとかというのは似つかわしくないのである。自然が美しく残っていて、建築も美しい、そして二つが互いに溶け合っている点は他に比を見ないと書かれています。公園の値打ちである文化財と自然が一体となった歴史的景観の保全について、どのように考えておられるのでしょうか、お伺いします。近隣に住む人々はもちろんのこと、奈良を愛している皆さんは、どういうものが公園につくられるのか、大変関心を寄せております。奈良公園がどういう成り立ちでつくられたのかなど、わかるような情報がない、こういう声もあります。よりよい公園にする計画を進めるなら、この構想は一から見直し、やはり県民の意見を広く聞いていただくことが不可欠だと思います。時間をかけて検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 以上、壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十番山村議員のご質問にお答え申し上げます。二問のご質問がございました。 高齢化社会の孤立対策でございます。 近年、高齢者が社会的なつながりがなく、地域から孤立して生活をする、無縁化社会とも言われております。場合によっては、必要な支援の手が差し伸べられずに、倒れたり、亡くなられても発見がおくれてしまうという社会問題が発生しておりますのは、ご指摘のとおりだと思います。これまでの我が国では、高齢者や子ども等社会的弱者に対しましては、家族のきずなや地域社会の幾重ものつながりが支えてきたものでございますが、近年、家庭では核家族化や家族関係の希薄化が進みましたこと、また、地域においてはニュータウンにおける高齢化や山間部の限界集落化等に伴う地域コミュニティーの力が低下していることが、この問題の基本にあるように思います。高齢者について見ますと、二〇〇五年の高齢者単独世帯は約三万七千世帯、高齢者夫婦世帯は約五万六千世帯、合わせて全世帯数の一八・六%でございましたが、二十年後、二〇二五年にはこの二〇%が約三割に達すると推計されており、孤立化の問題はますます量的にも深刻化することが懸念されます。今後、このような状況の変化を前提として、地域レベルで支援や見守りが必要な方を把握して、見守りシステムを再構築する必要があろうかと思います。 高齢者の方々の状況に関する情報を関係機関が共有化し、必要な支援につなげるということをきめ細かく対応する必要があろうかと思います。そのために重要なポイントは三つあろうかと思います。一つは、民間活力の活用でございます。二つ目は、既存の見守りネットワークの強化でございます。三つ目は、地域包括支援センターの活動の充実強化であろうかと思います。 まず、民間活力の活用でございますが、例えば郵便、新聞、ヤクルト、宅配便の配達や電気・ガス・水道の検針など、家庭を訪問する事業者との連携がアイデアとして考えられます。これらの方々が家庭訪問時に高齢者に一声かける、高齢者の異常に気配りをする、異常に気がつけば市町村に通報する等の取り組みを行ってもらえば、新たな地域の見守りネットワークになり得るものと考えます。一部の市町村や東京都の区で実行されていると聞きますが、どうすればこのようなことが全県的に実現できるのかについて研究をし、実現方策を検討したいと思います。また、既存のネットワークとして民生委員が挙げられます。民生委員の方々には、大変よくやっていただいていると思っておりますが、委員の高齢化や個人情報の入手の困難、受け持ち人数の増加、担当業務の増加等により、活動に困難が生じるようになっていると聞いております。個別にはいろいろ聞いているわけでございますが、全体的、客観的な実態把握が必要かと思います。そのような実態把握を行い、課題の解決に取り組んでいきたいと考えます。 次には、地域包括支援センターの充実強化でございますが、地域包括支援センターの重要な役割として、サポートを必要とする高齢者の情報入手と、サポートを実施する関係機関とのネットワークの構築という役割があろうかと思います。しかし、現実についていろいろ聞き及んでいるところでございますが、関係者から事情聴取をしてきたことなどによりますと、現実は、介護予防プランづくりなど個別の支援業務が多忙で、総合的な支援業務が十分実施できていないということも聞いております。また、期待される役割であります地域の関係機関等のネットワーク構築が十分できる余力がないといった問題があるようにも聞いております。このため、県としては、本年六月に地域包括支援センター機能強化推進会議というものを立ち上げまして、関係者と協議をして具体的な取り組みに着手しておりますが、その中で、財源や人員配置、制度改正が必要な事項は、国の事項でもございますので国に対して提言していく必要があろうかと思いますが、地域でできること、地域ネットワークの構築やケーススタディーを通じてのノウハウの集積と普及、研修等による人材育成については、県としても支援しつつ、県もともに学びながら、支援のレベルアップに努めてまいりたいと考えております。 奈良公園の今後の取り組み方についてのご質問がございました。 奈良公園は、歴史文化遺産と豊かな自然環境に恵まれた他に比類のない極めて価値の高い公園であろうかと思います。その価値は、これまで文化財と自然の保存に並み並みならぬ努力を払ってきた関係者のおかげで守られてきたものと考えます。これからも、これら奈良公園の価値の中核的存在である文化財と自然と景観は絶対に守るべきものと思います。一方、これら貴重な価値をより多くの来訪者が楽しめるよう、奈良公園独自のたたずまいを守りつつ、公園に求められる機能やサービスを充足させることも必要不可欠であると考えます。 例えば、奈良公園は多くの人が訪れられます。外国からも近年多くの人が来られております。また、近年の高齢化に伴って、高齢者が増加しておりますので、奈良公園は広い上に東に向かって傾斜があるという地理的な条件がございます。トイレや休息所が少ない。歩くと広過ぎて疲れる。案内が少なく、動線がわかりづらい。広い場所なのにゆったりと食事をするところが少なく、長い時間滞在できないといった評判も聞こえてくるところでございます。公園として通常期待される、あるいは備えておくべき水準を維持するためには、トイレ、休息所、案内板の整備をやはり充実させる必要がございます。また、高齢者や小さなお子さん連れの家族は、公園内を移動しやすくするための電気自動車などによる周遊バスの運行も必要かと思います。食事場所の充実などは、このような広い公園の中ではどのような公園でも基本的に必要な施設として考えられておりますので、今後とも充実を図ることを検討する必要があろうかと思います。 さらに、公園内には新公会堂のような会議施設がございます。このたびのAPEC観光大臣会合のように、すばらしい環境の中で国際的に注目される会議を開催することは、奈良のブランド価値を高める点で大事なポイントだと思います。また、奈良公園は、なら燈花会などのイベントの会場として有意義に使われております。奈良への集客力向上のために大きく寄与してきておるものでございます。このように、奈良公園をコンベンション・イベントのために、本来の雰囲気を損なわないようにしつつ、利用することは有意義でございます。今後どのような利用の仕方が望ましいのかを研究しつつ、必要とされる条件を整備していく必要があるように思います。 一方、公園内には、古くから公園内の使用許可という形で県有地を安く賃借して、土産物店や飲食のサービスをされている方々がおられる伝統的なサービスの形態がございますし、また、吉城園や知事公舎、裁判官公舎跡地、若草山など、県有施設、県有地、県管理地があり、これらの県有資産を有効に使って奈良公園の価値を上げていくことも検討すべき課題であると思います。奈良公園の価値の中核となる文化財、鹿も含めた自然景観を保全しつつ、公園として必要な基本施設の整備充実、今後望ましいと考えられる公園の条件整備について、県庁内で検討を進め、県公園関係者からも個別に意見聴取を行っているところでございますが、今後さらに検討を進めるに当たり、県民の皆様や外部有識者から広く意見をいただき、奈良公園の基本的価値を保全しつつ、不足しているところを補い、よりよいものとしていくための努力をじっくりと進めていきたいと考えているところでございます。 私に対する質問は以上でございました。 ○副議長(藤本昭広) 杉田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(杉田憲英) (登壇)二十番山村議員から私に対しまして、国民健康保険の広域化に関連しまして、一つは保険料の格差、二点目としまして国庫負担の充実、三点目としまして住民の意見の反映、四点目としまして県の役割について、お尋ねがございました。 国民健康保険の広域化に向けた最大の課題は、保険料の統一と考えております。現在、保険料の格差是正のため、一レセプト当たり三十万円を超える高額医療費について、保険者のリスクを分散する再保険として、保険財政共同安定化事業を実施されていますが、なお、最大で、県内で二・三倍の保険料格差が生じているところでございます。保険料の統一については、今後複数年にわたり段階的に進めていくことが重要であります。現在県では、保険料の段階的統一に向けた標準保険料の設定、保険財政共同安定化事業の拡充についてシミュレーションを行い、本県にとって最もふさわしい方式について、市町村にも参加していただき、模索しているところです。低所得者も含め、市町村ごとにそれぞれの所得階層の負担にどのような影響を与えるかを十分に把握した上で、保険料の統一方策を検討したいと考えております。 次に、公費負担でございますが、今後本格的な少子・高齢化が進展する中で、医療費が増加する一方、若年者の所得の低下等により、個人レベルでの保険料負担は限界に近づきつつあることから、国民健康保険を安定的で持続可能なものとするためには、国費の拡充、そのための恒久財源の確保につながる税制改正が不可欠です。このため、国に対して機会をとらえて要望してきたところでございます。 また、住民の意見反映についてでありますが、現在示されている国の改革案では、国民健康保険の県単位化を行った上でも、広域的な運営主体がすべての国民健康保険事務を担うものではなく、住民に身近な市町村が処理することが適当な保険料の設定、賦課徴収、被保険者の資格管理等の事務につきましては、なお市町村が担うことが見込まれており、現行制度と同様の住民参加の仕組みが設けられるものと見込まれております。 こうした状況のもと、本県におきまして、昨年度から独自に国民健康保険のあり方の検討を進めており、医療費分析の実施、保険者機能を発揮した健康づくり、保険料収納率向上方策の検討、国民健康保険広域化に向けたシミュレーション等について取り組んできたところです。今後は、こうした検討結果を踏まえ、広域化等支援方針を取りまとめた上で、本県にとって最適な奈良モデルの実現に向けて、県の関与を強化し、取り組みを進めてまいります。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)二十番山村議員の私へのご質問は、纒向遺跡につきまして、試掘調査を含めた基礎調査を行って、どこをどう残すか範囲を明らかにしておくことが必要と考えるが、どうかのご質問でございます。 ご承知のとおり、纒向遺跡は未確定な広大な範囲を称しており、その範囲内には史跡纒向古墳群として、纒向石塚古墳とホケノ山古墳が国の史跡に指定されております。また、同遺跡は、文化財保護法による周知の埋蔵文化財包蔵地であり、開発等が行われる際、市町村経由で県に届出がなされ、工事の内容に応じて、桜井市の専門職員が発掘調査等を実施することとなっております。一方、学術調査として、国、県の補助金を活用した発掘調査を桜井市が行い、遺跡の保存と情報収集を進めているところでございます。 遺跡の重要度や範囲を明らかにするには、試掘による調査だけでは難しく、詳細に実施された数多くの調査結果の積み上げにより検証がなされ、確認されるものであると考えております。また、広大な遺跡の多くの土地の所有者に対し、このような詳細な調査の積み上げもしないで、保存に対する理解を求め、文化財保護法による規制を受け入れていただくコンセンサスを得ることは、現実的には相当に難しいと言わざるを得ないと考えます。もとより遺跡の調査におきましては、遺跡の性格、価値の解明が最も重要なことと考えており、纒向遺跡においても、桜井市の第百六十八次にも及ぶ調査の結実として、先般報道されました新たな調査結果につながったものでございます。今後も引き続き、桜井市において大型建物跡周辺の調査が予定されており、纒向遺跡の中枢部分の全体像が徐々に解明されるものと考えているところでございます。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 宮谷景観・環境局長。 ◎景観・環境局長(宮谷太) (登壇)二十番山村議員のご質問にお答えします。 私には、三輪山の望む景観の保全についてのお尋ねでございました。 三輪山とその周辺の田園、古墳、社寺、集落などにつながる景観は、自然と歴史文化資産、生活が一体となった奈良固有の風土を形成しておりまして、すぐれた奈良の景観として守っていかなければならないものと認識しております。これまで三輪山は、歴史的風土特別保存地区などに指定しまして、現状変更を禁止しております。その周辺は、風致地区などに指定しまして、建築物の高さや形態、意匠などの規制を行うなど、景観の保全を図ってきたところでございます。また、昨年十一月に施行しました奈良県景観計画によりまして県内全域を一般区域に指定しまして、大規模な建築物などの形態、意匠などの規制の誘導を行っているところでございます。特に山辺地域の一般国道一六九号の沿道は、歴史文化資産が集積する重点景観形成区域として位置づけまして、小規模な建築物なども形態、意匠などの規制誘導を行い、沿道景観の形成に取り組んでいるところでございます。地元の桜井市も今後、景観行政団体となりまして、地域の特性に応じた景観計画の策定など、きめ細やかな景観づくりを推進していこうとされております。県としても、こうした桜井市の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) 二十番山村幸穂議員。 ◆二十番(山村幸穂) 再質問をさせていただきます。 まず最初に、社会的な高齢者の孤立の問題でありますが、知事は民間活力、ネットワークの強化、また地域包括支援センターの強化ということでお述べになられました。知事から出されました観点ということで、さまざまな対策を考えていかれるという点は評価できると思いますけれども、根本にやはり私は、この問題は民間や地域包括支援センターだけの問題ではなく、県として責任ある対応が必要だというふうに思っております。県がこの問題についてどういう責任をとっていかれるのか、全庁的な対策会議でありますとか、問題の本質に迫る対策を検討していただきたいと思うんですが、その点についてお聞きしたいと思います。 それから、奈良公園についてもご答弁いただきましたが、知事は、私は世界一というのがどういうイメージなのかということをお聞きしたかったんですが、今のお答えの範囲では、これで世界一になるのかなという感じなんですが、奈良公園の基本的な価値を損なわない範囲でというふうに言われましたけれども、その本来の基本的な価値というのはどういうものであると考えていらっしゃるのか、志賀直哉が述べられた奈良のことに対する意見がありますけれども、知事としてはそのことについてどう思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。 それから、国民健康保険の問題なんですけれども、健康福祉部長は、検討をして最適な奈良モデルをつくりたいというふうにおっしゃったんですけれども、そのためにはやはり、広域化をやって、保険料が安くなって、住民の負担が軽減されるという結果になるのかどうかということが問われていると思うんですけれども、そういうふうになるのかどうかというところ、その点どのように考えていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。 そしてもう一つ、纒向遺跡の保存の問題なんですけれども、纒向遺跡の全体が非常に大切だということは、地元の方も含めて全国的な共通の認識になってきているというふうに思います。教育長も多分そのように思っていらっしゃると思うんですが、どうでしょうか。将来のために、今の部分的なやり方をこれからも続けていかれるというお答えだったんですが、やはりどうやったらこの全面を残していくことができるのかということを研究していただくということが必要だと思うんですけれども、そういう検討をしていただけるのかどうか、お聞きしたいと思います。 ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 先ほどの質問の続きになりますが、高齢者の孤立を防ぐ対策で、県の基本的な姿勢ということであろうかと思いますが、るる述べましたように、高齢者の孤立、あるいは子どもの児童虐待というようなことをどのような立場で見守るかということは、地域の総合力、あるいは地域のコミュニティー力と言われるような力が要るんじゃないかというふうに思っております。地域のコミュニティー力の発揮の分野は、観光でございますとか、産業でございますとか、雇用とかいろんな分野で、農業でございますとか、試されるわけでございますが、高齢者とか子どもさんに対するコミュニティー力というのは、まだでき上がったいいモデルがないように思います。 多少のいろんな先行的な取り組みはあるように思いますし、勉強しておりますが、これは行政機関がすべきだ、国がすべきだ、県がすべきだ、市町村がすべきだ、学校の先生がすべきだと言って、形ですべきだと言ったところで、最近のいろんな論文では、行政機関はやはり、よく批判されますように、お役人だから、公務員だから心が通わないんじゃないかという批判も、逆にあるものでございます。しかし、公務員も心がございますので、そのように努めるという気持ちは人一倍あるように思います。しかし、公務員を数多く増やして現場に一々張りつけるということも財政上できないわけでございますし、世界じゅう、そのような福祉国家はないわけでございます。コミュニティーに存在するいろんな人の力を合わせる、連携する、きずなをつくるといった地域の工夫を、それぞれの国、あるいはそれぞれの地域でされているのが実情だと思います。ご質問が、県はどうするのかと。県は、その中で働き方、役割を模索しているというのが正直な今の志向の態度かと思っております。県はこのようにすべきだ、国はこのようにすべきだという、紋切りの対策というのはなかなか難しいんじゃないかな。質問の趣旨にかなった答えの筋かどうかはちょっと不明な感じもいたしますが、そのようにお答えをさせていただきたいと思います。 奈良公園を世界一にすると申し上げてまいりました。世界一にもほとんど近い公園かなというふうにも思います。世界のいろんな公園のタイプを割と見てきたような気はいたします。いろんなタイプのいろんな値打ちの公園を見てきた結果で、世界一の公園というふうになり得るんじゃないかなという思いをしているものでございます。世界一のタイプで、例えばグランドキャニオンとか、マチュピチュとか、イグアスの滝のような、自然の大きさということについては、奈良はもう及ぶところではありませんが、歴史を背景にした文化の集積という点では、また他に追随を許さないことがあろうかと思っております。自然もそうでございますが、先日、天皇・皇后両陛下に祝典のご説明と、奈良でのお祝いをする気持ちを趣旨をお伝えしました中で、奈良の持っております歴史の価値を強調させていただきました。例えば、国宝も多いんですが、正倉院御物というのは国宝に数えられていないわけでございますが、九千点ほどございますが、これは国宝を超えるものもほとんど数多くあるわけでございます。その中で、発生した地域にないものも多いわけでございます。ほかにない、発生した地、到来物が多いわけですが、それを大事に保存しているということを我々地域の大事さを自覚する必要があろうかというふうに思っております。それをどのようにこれから展示するというのが、奈良の課題かと、世界の人に認識してもらうというのは大事なものを保存してきましたので、認識してもらうかというのが課題かと思います。そのような意味で、かけがえのない値打ちを奈良は持っているというふうに思い、それは世界一だというふうに認識したものでございます。 ○副議長(藤本昭広) 杉田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(杉田憲英) 私に対して、国民健康保険の広域化についての再質問がございましたが、広域化の目的につきましては、保険料を安くして統一するというのが目的ではございませんで、先日知事答弁で申したように、二十五年後には奈良県の国民健康保険の財政規模の七%の赤字がこのままでは発生する。そうなると、医療のセーフティネットが県で維持されなくなる、こういったことはぜひ避けなければいけない、そのためには県が関与して全県的な広域化を図っていくことが不可欠であるというのが県の認識でございます。そのとき、広域化の目的として重要なものとしまして、保険者機能の発揮というのがあります。保険者機能を発揮というのは、医療費分析をしっかり行って、効果的な健康づくりを保険者として実施して、そして医療費の抑制につなげていく、これが先ほど言いました国民健康保険の維持につながっていくものでございます。こういうことでやっておりまして、そのために、答弁で申し上げましたように、やはり保険料の格差調整、これが重要な課題でございます。これはなかなか簡単な課題ではございませんので、しっかり検討して進めていきたいということでございます。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) まず、全体が大切だということにつきましては、私も大切であると考えておりますが、何せ広大な、二百七十ヘクタールぐらいの広大なところでございます。それを指定するとなりますと、またその纒向遺跡の多くは民有地で、現在住居や耕作中のもの、田畑だったりするわけでございまして、指定するとなるとなかなか、先ほど言いましたようにコンセンサスを得るには制約事項が出てきますので、難しいのかなと思っておりますが、先ほども申し上げましたようにこの遺跡は周知の埋蔵文化財包蔵地でございまして、開発する場合には届出がなされなければならないということになっていますので、一定そういうところで担保できているのかなと、そのように考えております。もちろん、文化財の保存と活用につきましては、常々考えているところですので、その範囲の中で一生懸命考えていきたい、そう思っております。 ○副議長(藤本昭広) 二十番山村幸穂議員。 ◆二十番(山村幸穂) お答えをいただいたんですけれども、私は、最初の高齢者の社会的孤立の問題で、行政がすべきだというふうなことを求めているのではなくて、県がどれだけ責任を持ってやってくださるのかという姿勢のところの問題だというふうに思いましたので、お伺いしたわけです。本当に一人ひとりの命を大切にするというその責任が県にはあるという立場で取り組んでいただくということを望んでおきたいと思います。 そして、奈良公園につきましては、知事もかけがえのない値打ちがあるというふうにおっしゃっているんですけれども、そのかけがえのない値打ちというのは一体何なのかということが問題だと思います。それはやはり、知事も述べられたように、自然と文化財が一体となった景観にあると思っているんですけれども、その歴史的景観というのは、これまでの長い歴史の中でつくられてきたものであって、そのことを保全していくということと、さまざまな快適な奈良公園をつくるための改良という点はなかなか難しい関係にあると思いますので、それを壊さずに進めていくという点でどういう心がけを持っていただいているのかということをお聞きしたかったんですけれども、そこら辺、知事、どう思っていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。 それから、国民健康保険のことにつきましては、医療のセーフティネットということで、これは社会保障の制度でありますから、国民が保険証一つでちゃんと治療を受けることができるということを保証するということがなくてはならないということで、大きな課題を抱えている中で、さらに重い負担を課すような改革であるならば、これは改革とは言えないというふうに思うんです。県が進めようとしておりますように、保険料の滞納を一掃するために収納率を上げたり、あるいは医療機関の医療費の負担を軽減をしていくために受診抑制を進めて、できるだけ医療費を抑えるというふうなやり方、これでは国民の願いに全く逆さまのことになってしまうと思いますので、今回の広域化ということでいくのであれば、県が応分の負担もして、保険料も安くなって安心して医療が受けられるというものを目指すのであればいいですけれども、そうならないんだとしたら、見直さなくてはならないと思いますので、その点、意見を述べておきたいと思います。 それから、纒向遺跡なんですけれども、これは教育長も全体が大切だと思っておられると、ただ、非常に広い、民有地も多い、大変なことだと私も思っております。しかし、多くの学者の皆さんも含めて、一体どうしたらいいんだろうかということでのさまざまな検討が始まっていると思いますので、県としても、そういう立場に立って今後に検討を加えていっていただくと。今すぐ結論は出なくても、どうやったらそれが可能なのかという立場に立っていただくことがまず必要だと思いますので、重ねてその点、要望しておきたいと思います。 ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 特に何か言うようなことはなかったかなというふうに思いますが、ご意見はよく承りました。 ○副議長(藤本昭広) これをもって当局に対する一般質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、本日、知事から議案三件が提出されました。 議案送付文の写し並びに議案はお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- △財第九十五号 平成二十二年九月二十四日  奈良県議会議長 出口武男殿                         奈良県知事 荒井正吾     議案の提出について 議第六四号 平成二十一年度奈良県歳入歳出決算の認定について 議第六五号 人事委員会の委員の選任について 報第二六号 健全化判断比率及び資金不足比率の報告について  以上のとおり提出します。   -------------------------------- △議第六十五号      人事委員会の委員の選任について 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第九条の二第二項の規定により、下記の者を委員に選任したいので、その同意を求める。     平成二十二年九月二十四日提出                         奈良県知事 荒井正吾                 記   音田昌子   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、議第六十四号、議第六十五号及び報第二十六号を一括議題とします。 知事に、追加提出議案の提案理由の説明を求めます。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)ただいま提出いたしました議第六十四号は、平成二十一年度一般会計及び特別会計決算の認定についての議案であります。 議第六十五号は、人事委員会の委員の選任に関する議案です。 また、報第二十六号は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、平成二十一年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率について報告するものです。 どうぞ慎重にご審議のうえ、よろしくご認定またはご議決いただきますよう、お願いいたします。 ○副議長(藤本昭広) 次に、議第五十一号から議第六十四号、諮第一号、及び報第二十三号から報第二十六号を一括議題とします。 お諮りします。 ただいま上程中の議第五十一号から議第五十六号、議第五十九号から議第六十三号、及び諮第一号、並びに報第二十三号から報第二十五号については、十人の委員をもって構成する予算審査特別委員会を、議第五十七号、議第五十八号、議第六十四号及び報第二十六号については、十一人の委員をもって構成する決算審査特別委員会をそれぞれ設置し、これに付託の上、調査並びに審査することにしたいと思いますが、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議ないものと認め、さように決します。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) お諮りします。 ただいま設置されました予算及び決算審査特別委員会の委員長、副委員長及び委員の選任については、議長から指名推選の方法により指名することにしたいと思いますが、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。 よって、お手元に配布の予算及び決算審査特別委員会委員名簿のとおり指名します。 被指名人にご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認めます。 よって、それぞれ指名のとおり選任されました。   --------------------------------   平成二十二年九月 予算審査特別委員会委員名簿(定数十名)          委員長    三番  井岡正徳議員          副委員長   七番  藤野良次議員          委員     五番  大国正博議員          委員    十一番  田中惟允議員          委員    十三番  浅川清仁議員          委員    十九番  中野明美議員          委員   二十六番  粒谷友示議員          委員    三十番  今井光子議員          委員   三十七番  中村 昭議員          委員   四十二番  山下 力議員   --------------------------------   平成二十二年九月 決算審査特別委員会委員名簿(定数十一名)          委員長  二十二番  神田加津代議員          副委員長  十七番  森川喜之議員          委員     一番  小林茂樹議員          委員     二番  藤井 守議員          委員     四番  岡 史朗議員          委員     九番  松尾勇臣議員          委員    十四番  山本進章議員          委員    二十番  山村幸穂議員          委員   二十五番  荻田義雄議員          委員   二十八番  岩城 明議員          委員    四十番  服部恵竜議員   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、請願一件、陳情三件を上程します。 お手元に配布しております文書でご承知願います。 なお、請願は、調査並びに審査の必要があると認めますので、所管の常任委員会に付託します。   -------------------------------- (厚生委員会) △請願第八号      奈良県立奈良病院の現地建て替えを求める請願書                  請願者 奈良市宝来三丁目六-一五                      伏見南地区自治連合会                      会長 森田英男                      奈良市平松一丁目七-五                      平松一丁目自治会                      会長 山崎 實                 紹介議員 荻田義雄                      岩城 明                      新谷紘一《要旨》 平成二十一年十一月、奈良県は『奈良県地域医療再生計画』を策定し、その中で奈良県立奈良病院(以下、県立奈良病院)を建て替えると発表しました。 県立奈良病院の建て替えにあたり、奈良県では現地での建て替え案とともに六条地区への移転案について検討を進め、現地調査を経て、新病院の基本構想並びに基本計画を今年中に策定すると聞き及んでおります。 県立奈良病院は、奈良市平松町に開設されて以来約三十年にわたり、県北和地域の基幹病院として存在してまいりました。 そして、これまで地元自治会ならびに住民は、病院建設構想の段階から紆余曲折を経て県立奈良病院開設に至るまでの折衝をはじめ、開設後も駐車場問題や交通アクセスの問題、緊急車両の通行など様々な事柄において長年にわたり病院運営に多大な協力をしてまいりました。私たち地域住民にとって、県立奈良病院は今やこの地に無くてはならない身近な総合病院として、深い愛着をもって共生していることから、すべての住民が「病院の移転には断固反対!」との考えで一致しており、現地建て替えを望んでおります。 もし、私たちの地域において核となる公共施設の県立奈良病院が移転することになると、地域のまちづくりにも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。 私たちは、県北和地域の住民の健康と安全を守り、より高度な医療機関として県立奈良病院が更に充実するために、建て替えには賛成致しますが、六条地区への交通アクセスの問題、さらには新たな用地取得を含めた建設コストの増大など多くの問題を抱える移転案には到底賛成できません。私たちは、誰もが利用しやすい新病院を建設していただくことや私たちが納めた税金を最大限有効に使い、子や孫への将来負担を軽減する意味からも、現地建て替えが最も有効な選択であると考えております。 奈良県におかれましては、私たち地域住民の声を尊重し、現地(奈良市平松町地内)で建て替えを進めていただきますよう請願いたします。   -------------------------------- (厚生委員会) △陳情第四十三号      発声障害の認知と治療の保険適応についての陳情書                  陳情者 千葉県市川市新田二-一九-一一                      S.D.C. ~発声障害患者会~                      代表 田中美穂《陳情の要旨》 痙攣性発声障害(SD)とは、発声時に喉の筋肉が過度に緊張するため声に異常をきたす病気です。主な症状は、無意識に声帯が閉鎖することにより喉が締めつけられているような話し方になる、声が不自然に途切れる、声が震える、場合により息漏れの多いささやくような声になる等です。声をうまく発声出来ないためSD患者の多くが、仕事上の接客、電話、面接又は買い物等日常生活において相当な負担を強いられています。 またSDは医療関係者間でもほとんど知られていないためSD患者の多くが未だ病名も知らないまま各医院を転々としています。中には病名を知るのに十年以上かかった方もいます。 このSDについて現在行われている治療法として喉の筋肉の緊張を和らげるボツリヌムトキシン注射があります。しかし、この注射の効果は数か月しかなく定期的に注射を受ける必要があります。医療費の面においてもこの注射は保険適用外であるため、多額の医療費を要します。また、この注射を取扱う医院も限られているため、場合により通院にかかる交通費も相当なものになります。 以下の三つの事項につきまして、国へ意見書を提出していただきたく陳情いたします。一 全国の耳鼻咽喉科と、全国の教育委員会に周知 SDははとんど知られていない病気のため、患者本人が気付けるよう、簡単なチラシを待合室等に配置。また若年層の発症が散見されるため、学校関係者に認知してもらうことにより、イジメ防止にもなります。二 ボツリヌムトキシン注射の保険適用 ボツリヌムトキシン注射は保険適用外かつ継続的な接種が必要のため、医療費の負担は大きいです。今まで注射を断念してきた患者も注射の接種を受けられやすくなります。三 遠隔地でも治療が受けられるように環境整備 ボツリヌムトキシン注射始めとするSDの治療が出来る医院は少なく、限られた地域でしか治療を受ける事ができません。そのため新幹線や飛行機を必要とする場合もあります。医師の派遣や、若手医師の研修を行うことにより地元でも治療ができるようになります。   -------------------------------- (総務警察委員会) △陳情第四十四号      「選択的夫婦別姓を認める民法の一部改正」に反対を求める意見書提出に関する陳情                  陳情者 奈良市古市町一六四七の三の四四                      夫婦別姓に反対する奈良県民の会                      代表 中尾光子《陳情の要旨》 昨年、法務、男女共同参画担当両大臣が選択的夫婦別姓制度導入を柱とする民法改正案を来年の通常国会に提出する意欲を表明し、本年、法務省が民法の一部改正案の概要を発表しました。 しかし、選択的夫婦別姓に関する国民世論は分かれており、国民的合意には至っていません。 今日、三世代同居の減少など家庭をとりまく環境の変化に加え、離婚の増加、児童虐待等、家族の絆が希薄になっており、これらを憂うる立場から伝統的家族の価値観を尊重する国民感情も根強くあります。 本来、民法は家族を保護する為の基本的な法制度であり、安定した家庭生活が営まれるよう夫婦関係、親子関係等を保護しているものであります。 従って、選択的夫婦別姓制度が導入されることになれば、夫婦の一体感の希薄化、しいては、離婚が容易に出来る社会システムの形成に繋がることが懸念されます。のみならず親子別姓や(場合によっては兄弟別姓をもたらすこともあり)子供の心に取り返しのつかない傷を与えることになりかねません。子供に与える影響を鑑みれば我が国の将来に大きな禍根を残すことになると危惧するものであります。家庭の重要性が叫ばれる今日、むしろ必要なのは社会と国家の基本単位である家族の一体感の再認識であり、家族の絆を強化する施策ではないでしょうか。 尚、一部の働く女性から旧姓使用を求める声がありますが、これについては、民法を改正する必要はなく、各分野の運用面での対応等で、現実的方策による解決を図るべきであります。 以上の内容を踏まえ、政府に対し、婚姻制度や家族の在り方に極めて重大な影響を及ぼす「選択的夫婦別姓を認める民法の一部改正」に反対を求める意見書を提出してくださるよう陳情致します。     「選択的夫婦別姓を認める民法の一部改正」に反対を求める意見書(案) 今日、選択的夫婦別姓に関する国民世論は分かれており、国民的合意には至っていません。 また、三世代同居の減少など家庭をとりまく環境の変化に加え、離婚の増加、児童虐待等、家族の絆が希薄になっており、これらを憂うる立場から伝統的家族の価値観を尊重する国民感情も根強くあります。 本来、民法は家族を保護する為の基本的な法制度であり、安定した家庭生活が営まれるよう夫婦関係、親子関係等を保護しているものであります。 従って、選択的夫婦別姓制度が導入されることになれば、夫婦の一体感の希薄化、しいては、離婚が容易に出来る社会システムの形成に繋がることが懸念されます。のみならず親子別姓や(場合によっては兄弟別姓をもたらすこともあり)子供の心に取り返しのつかない傷を与えることになりかねません。子供に与える影響を鑑みれば我が国の将来に大きな禍根を残すことになると危惧するものであります。家庭の重要性が叫ばれる今日、むしろ必要なのは社会と国家の基本単位である家族の一体感の再認識であり、家族の絆を強化する施策ではないでしょうか。 尚、一部の働く女性から旧姓使用を求める声がありますが、これについては、民法を改正する必要はなく、各分野の運用面での対応等で、現実的方策による解決を図るべきであります。 以上の内容を踏まえ、政府に、婚姻制度や家族の在り方に極めて重大な影響を及ぼす「選択的夫婦別姓を認める民法の一部改正」に反対を強く求めるものであります。 以上、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。  平成  年  月  日提出先 内閣総理大臣    殿 衆議院議長     殿 参議院議長     殿 法務大臣      殿   -------------------------------- (厚生委員会) △陳情第四十五号      「B肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書」の提出を求める陳情書                陳情者 奈良県奈良市法蓮町一五七の六の二一八号                    辰巳創史《陳情の要旨》 貴議会において、B肝炎問題の早期全面解決について、衆参両議院並びに政府(内閣総理大臣・厚生労働大臣・法務大臣)に対し、以下の事項を内容とする意見書を提出していただくよう陳情します。                 記     B肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書(案) B肝炎訴訟は、国が法律により全ての国民・住民に強制した集団予防接種における注射器の使い回しによって、多くのB肝炎ウイルス感染被害者を生んだことについての国の責任を明らかにし、被害救済することを求める裁判である。 この問題については、平成十八年六月に、最高裁判所が国に法的責任があることを明白に認め、平成二十一年十二月に成立した肝炎対策基本法においても、国自身が、集団予防接種により被害を出したことの責任を認めており、国の加害者として法的責任はより一層明確になっている。 このような状況の中、現在、集団予防接種によるB肝炎ウイルス感染被害の救済を求める訴訟が、全国十地方裁判所で係争中である。既に本年三月、札幌・福岡の両地方裁判所が相次いで和解勧告を行い、大阪地方裁判所も和解による解決を促している。しかしながら、国は和解協議には応じると言いながら、被害者の救済に向けた誠意ある対応をとっておらず、解決を引き延ばしている。解決を待たずに亡くなった原告はすでに十名を超え、解決まで一刻の猶予も許されない。 B肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行し、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。原告のみならず、多くの肝炎患者は、今後の症状悪化に対する不安や、多額の治療費の自己負担額、そしていわれなき差別・偏見に苦しみながら日々生活している。よって、本議会は、下記事項を実現するよう強く要望する。一 国は、集団予防接種による注射器の使い回しによって被害を受けた被害者が原告となったB肝炎訴訟において、被害者に謝罪し、被害者全員を速やかに救済すること。二 国は、肝炎患者にとって経済的負担の心配のない医療費助成制度の整備をすすめること。三 国は、肝炎患者に対する差別・偏見をなくすための正しい知識の啓発活動をすすめること。陳情の理由一 我が国には、ウイルス性肝炎患者・キャリアは三百万人を超え、この内B肝炎患者がおよそ百二十万から百四十万人もいるといわれています。ウイルス性肝炎はまさに国民病であり、本自治体内でも多くの患者とその家族が苦しんでいます。しかも、その感染原因大半が、全国民・住民が幼少時に法律によって強制的にうけさせられた集団予防接種における注射器の針・筒の不交換、あるいは輸血、血液製剤の投与、予防接種における針・筒の不交換などの不潔な医療行為による感染、すなわち医原性によるものと言われています。二 このうち、集団予防接種におけるB肝炎被害者が、国を被告として損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が平成十八年六月十六日に言い渡され、この判決で国の法的責任が確定しました。さらに、平成二十一年十二月に成立した肝炎対策基本法においても、その旨が明文で述べられ、国自身の責任はより一層明確になっています。しかしながら、国は迅速に被害者全員を救済するための施策を採ることを怠り、被害者を放置しました。 このような状況の中、集団予防接種によるB肝炎ウイルス感染被害者全員の救済を求めた訴訟が、全国十地方裁判所で提起されました。そして本年三月になって、札幌・福岡両地裁が相次いで和解勧告を行い、本年四月には、大阪地裁も和解による解決を促し、国は和解協議を始めることには応じました。しかしながら、現在もなお、国は協議の中で被害者全員の救済に向けた誠意ある対応をとっておらず、解決を引き延ばしています。解決を待たずに亡くなった原告はすでに十名を超えており、解決まで一刻の猶予も許されません。三 B肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行し、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症するという極めて深刻な病気です。原告のみならず、多くの肝炎患者は、今後の症状の悪化、治療費の自己負担で将来の大きな不安を感じながら日々生活しています。また、肝炎患者に対するいわれなき差別・偏見にも苦しんでいます。四 このような事態に鑑みれば、政府は、B肝炎訴訟において、早急に和解協議の中で被害者全員を救済する和解案を提示し、早期全面解決を実現すべきです。このことが国民の総意であることは、各地の地方議会で既に意見書が採択されていること、及び、全国五大紙を含む多くの新聞社が早期解決を求める社説を発表していることからも明らかです。 そして、原告のみならず、肝炎患者が今後安心して治療を受けることができるように、医療費助成制度の一層の整備と、肝炎患者に対する差別・偏見をなくすために正しい知識の啓発活動をすすめることが、国には強く求められています。五 以上のことから、貴議会において、地方自治法第九十九条の規定により衆参両議院並びに政府(内閣総理大臣・厚生労働大臣・法務大臣)に対し意見書を提出されるよう陳情します。                                 以上   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 六番尾崎充典議員。 ◆六番(尾崎充典) 予算及び決算審査特別委員会開催のため、明、九月二十五日から九月三十日まで本会議を開かず、十月一日会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(藤本昭広) お諮りします。 六番尾崎充典議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回、十月一日の日程は、予算及び決算審査特別委員会報告、並びに各常任委員長報告と同採決とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時三十分散会...