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  1. 奈良県議会 2009-06-01
    06月25日-03号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成21年  6月 定例会(第294回) 平成二十一年        第二百九十四回定例奈良県議会会議録 第三号 六月    平成二十一年六月二十五日(木曜日)午後一時開議   --------------------------------         出席議員(四十三名)       一番 小林茂樹          二番 藤井 守       三番 井岡正徳          四番 浅川清仁       五番 岡 史朗          六番 大国正博       七番 尾崎充典          八番 藤野良次       九番 宮本次郎         一〇番 松尾勇臣      一一番 上田 悟         一二番 山本進章      一三番 中野雅史         一四番 田中惟允      一五番 畭 真夕美        一六番 森山賀文      一七番 森川喜之         一八番 高柳忠夫      一九番 中野明美         二〇番 山村幸穂      二一番 岩田国夫         二二番 神田加津代      二三番 安井宏一         二四番 奥山博康      二五番 荻田義雄         二六番 粒谷友示      二七番 丸野智彦         二八番 岩城 明      二九番 藤本昭広         三〇番 田尻 匠      三一番 今井光子         三二番 田中美智子      三三番 国中憲治         三四番 中村 昭      三五番 辻本黎士         三六番 米田忠則      三八番 出口武男         三九番 秋本登志嗣      四〇番 小泉米造         四一番 服部恵竜      四二番 山下 力         四三番 梶川虔二      四四番 川口正志         欠席議員(一名)      三七番 新谷紘一   --------------------------------        議事日程一、当局に対する代表質問及び一般質問   -------------------------------- ○議長(川口正志) これより本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(川口正志) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、十五番畭真夕美議員に発言を許します。--十五番畭真夕美議員。(拍手) ◆十五番(畭真夕美) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、ただいまから、公明党を代表し、知事並びに関係理事者に質問をいたします。 政府は、十七日発表した六月の月例経済報告で、日本が主要先進国では最も早く、景気がこれ以上悪くなることはないという底打ちを宣言しました。未曾有の経済危機の中、政府・与党の一連の景気・経済対策の効果があらわれてきました。底打ち宣言をしたのは、企業の生産や輸出が二カ月連続で改善したのに加え、個人の消費の一部にも下げどまりの兆しが出てきたためです。半面、雇用情勢は急速に悪化しており、厳しい状況にあると指摘しています。これから本格的な景気回復軌道に乗せることが重要です。県においては、国の補正予算を最大限活用し、経済活性化と暮らし向上に向けた喫緊の課題に対応し、百八十八億円規模の補正予算案を今議会に提出されました。この中身にも触れながら質問を進めてまいります。 最初に、平城遷都一三〇〇年祭について質問します。 いよいよ半年後に迫ってまいりました平城遷都一三〇〇年祭は、日本の歴史・文化が連綿と続いたことを祝い、感謝するとともに、日本のはじまり奈良を素材に、過去・現在・未来の日本を考えるとの趣旨で、また、平城遷都一三〇〇年祭の中核として平城遷都一三〇〇年記念祝典、東アジア未来会議奈良二〇一〇を展開し、内外の幅広い賛同と参加のもとで、国家的、国民的事業として展開するとの趣旨で開催をされるものです。昨年十月、平城遷都一三〇〇年記念事業が閣議了解され、国家的事業となってからは、さらに事業の進捗に拍車がかかり、知事は大成功に向け精力的に活動を展開されておられます。 さて、昨年十一月に行われた中国での知事トップセールスには、公明党を代表し、私もご一緒させていただきました。中国陝西省と奈良県との友好交流が約束され、交流団の一員として参加できたことには、大変感慨深いものがありました。また、ことし一月十五日東京で、平城遷都一三〇〇年記念事業推進委員会、日本と東アジアの未来を考える委員会、そして東アジア地方政府会合実行委員会の三つの委員会が設立されました。その会合に私も参加をさせていただき、財界や政界、学識経験者や企業、マスコミなど多数の参加者を目の当たりにし、大変力強さを感じました。ご承知のとおり、平城京はシルクロードの終着点であり、たくさんの外国の人々が行き来する国際色豊かな都市であったと言われています。平城遷都一三〇〇年祭を機に、日本と東アジアの未来を考える機会になることは、とても意義あることだと痛感します。 さて、平城遷都一三〇〇年祭のプレイベントとして行われる、本年八月六日から八日に開催される二〇〇九ユネスコ東アジア子ども芸術祭イン奈良があります。昨年は韓国で開催されましたが、東アジアの子どもたちが、それぞれ固有の文化、芸術伝統を伝え合い、友情を深めながら国際交流を促進するというすばらしい芸術祭と聞いております。何よりも、東アジアの子どもたちがふれあい学び合うという有意義な機会になることは間違いありません。広く県内の子どもたちにもこのことを伝え、芸術祭が大成功するよう、私たちとしても応援していきたいと思います。まずはプレイベントを大成功させることが、来年の成功につながると確信をいたします。 そこで、知事にお伺いしますが、平城遷都一三〇〇年祭成功のために、国内外に対し知事はどのようなトップセールスを行ってこられたのか、また今後どのように行おうとされているのか、お尋ねします。 次にお尋ねしたいのは、地元県民の皆様に対してどのように平城遷都一三〇〇年祭の情報を発信していくのかということです。県内の人たちからは、平城遷都一三〇〇年祭についてはどのようなものか、あまり詳しくわからないとの声を聞きます。いろんな機会にPRをしておられるとは思いますが、まだまだ隅々まで届いていないようです。そこで、例えば県民だよりなどで特集を組まれるなど、より一層の情報提供が必要ではないかと思います。さらに、いつ、どこで、どのようなイベントが開催されるのかが一目でわかるようなカレンダー形式で示すなど、わかりやすくPRする工夫も必要と思いますが、どのようなPR計画を立てているのか、お尋ねします。 この質問の最後に、要望をさせていただきます。先日東京国立博物館にて、興福寺創建一三〇〇年記念、国宝阿修羅展が開催されました。三月三十一日より六月七日までの六十一日間で約九十四万人を超える人たちが訪れ、大変好評を博しました。阿修羅の魅力に心を癒されたという方が数多くいたとの報道もあり、改めて奈良の持つ魅力に、地元の私どもが再発見したところです。また同様に、毎年秋に行われる正倉院展も、多くの方が来られ、大好評です。奈良の魅力アップのため、例えば、毎年一回の正倉院展の開催をさらにもう一回開催できないのか、考えるところです。今後、県としても、国との調整があるかと思います。検討をお願いしたいと思います。 次に、少子化対策について、知事にお尋ねします。 二〇〇八年の我が国の合計特殊出生率は一・三七で、二〇〇七年を〇・〇三ポイント上回ったことが、厚生労働省人口動態統計でわかりました。出生率の上昇は三年連続で、出生数は前年比千三百三十二人増の百九万一千百五十人、晩婚、晩産化でこれまで出産を控えてきた三十代の世代で出産が増えたことが大きく影響しています。また、第三子以降の出生数も、前年比四千八百八十五人と増加し、長らく低水準で推移する出生率ですが、子育て世代は決して子どもが欲しくないと考えているのではないという、二〇〇八年の結果からはそうした思いが結実した様子がうかがえます。 さて、少子化対策としてこれまで公明党は、安心して子育てできる社会を目指し取り組んでまいりました。児童手当の拡充、そして出産育児一時金については、本年十月に四万円増額し四十二万円へと拡充されます。また、妊婦健診についても、去る四月から、奈良県内すべての市町村で十四回以上の公費負担が実現しました。さらに、政府の一連の経済対策でも、都道府県に安心こども基金の創設や、さらに幼児教育の無償化に向けた第一歩として、就学前三年間の全児童が対象となる子育て応援特別手当が実現するなど、少しずつですが、子育て環境が整備されてきました。子育て家庭からは大変喜ばれているところです。 一方、奈良県の合計特殊出生率はといえば、一・二二と、三年連続低迷を続けています。最下位が東京都、次に北海道に続いて、京都府と同順位で、奈良県が全国下から三番目という結果です。この状況に対し県は、女性の未婚率が全国水準より高く、独身者が多いことが要因と分析されました。この状況を改善するためには、まず奈良県の実態を知り、そこから見えてくる課題をスピーディーに解決していくことが求められます。そこで県は、昨年少子化実態調査を実施されました。その調査の結果から、奈良県にどのような課題があると考えておられるのか、お伺いします。また、その課題解決のために、今回の補正を含めて、どのような対策を講じているのか、お伺いします。 次に、要望をさせていただきます。奈良県少子化実態調査報告書を見ますと、少子化対策へのニーズとして、少子化対策として重要と考えるものの第一位が経済支援措置となっており、七三%で、内閣府調査結果の六九・九%を上回っています。望ましい経済的支援については、第一位が児童手当の支給対象の年齢引上げ、第二位が乳幼児医療費の無料化、第三位が児童手当の支給額の引上げ、第四位は保育料の軽減です。以上これらは、奈良県内の未婚者や子育て家庭の切実な声が反映されたものです。 第一位と第三位の児童手当については、現在の支給対象は小学校六年生までですが、さらに中学校三年生にまで、また金額も倍額を、公明党としても今後国に要望していきたいと考えています。第四位の保育料の軽減については、今回国の補正予算で子育て応援特別手当として実現し、幼児教育無償化の第一歩を踏み出したところです。以上三点は、国としての事業です。 県の事業としては、第二位の乳幼児医療費の無料化です。乳幼児医療費の助成は、現在就学前までとなっていますが、さらに小学校六年生まで年齢を拡大してはどうでしょうか。国の制度である児童手当は、これまでの要望の結果として、小学校六年生まで拡大されてきました。乳幼児医療の助成については、多くの他府県が奈良県と同じ水準であるというのは存じておりますが、県が独自でできる施策であるからこそ、深刻な少子化をかんがみ、他府県に率先して小学校六年生まで拡大していくべきです。子育て世代からは、経済的負担についての声が多く寄せられています。子育てにかかる経済的負担を軽減し、さらに住みやすい奈良県とするための環境を整えていくために、県が今取り組めることは一体何でしょうか。県が子育て世代を応援しているという姿勢を示すべきではないのでしょうか。少子化対策子育て支援策として、県は市町村とともに、乳幼児医療費助成の年齢拡大を思い切って実施するべきだと思います。 子どもが安心して医療にかかれるということは、これから子どもを持とうとする親にとっても、子育て中の親にとっても、何より大きな支援となります。また、それにより、子どもらも元気で健やかに育っていくことができます。安心して子どもを産み育てることができる奈良県、子どもが健やかに育つ奈良県をつくっていくために、ぜひとも前向きな対応をいただけるよう強く要望します。 次に、地球温暖化防止対策についてお尋ねします。 甚大な自然災害をもたらしかねない地球温暖化の防止は、待ったなしの課題です。地球温暖化防止対策の象徴的な取り組みとして昨年開催された洞爺湖サミットに合わせ、七月七日をクールアース・デーとして決定し、午後八時から午後十時までの間、国内約七万六千カ所でライトダウンが実施され、約三万世帯が一日に消費する電力を削減しましした。この取り組みは、多くの県民の方々も参加され、地球環境に対する意識向上に大きくつながったと確信しており、ことしもより多くの県民の参加が望まれるところです。そこで、クールアース・デーが七月七日に実施されますが、県としてクールアース・デーにどのように取り組まれるのでしょうか。また、県内事業所などの取り組み状況はいかがでしょうか。 また、麻生太郎首相は、六月十日、日本の二〇二〇年までの温室効果ガス削減の中期目標について、二〇〇五年比一五%削減とすることを発表しました。国と地方、企業、そして私たち国民一人ひとりがそれぞれの立場で前向きに取り組み、目標を達成し、低炭素社会づくりを進めていくことが重要と考えます。日本の目標達成のためには、太陽光発電を現状の二十倍に、新車販売の五〇%、保有台数の二〇%をエコカーに、新築住宅の八〇%を次世代省エネ住宅になどの施策が必要で、太陽光発電の普及を後押しする買い取り価格引上げの早期実施や、今年度補正予算に盛り込まれ、既に大きな経済効果が見込まれているエコカーへの買いかえ補助、さらには省エネ家電を普及させるためのエコポイント制度など、支援策の充実が不可欠です。また、エネルギー政策の転換も急がれます。また、企業にも一層の努力が求められます。各家庭での節電やエコへの買いかえなどをお願いするなど、温暖化防止のコストを未来への投資ととらえ、低炭素社会構築を着実に進めていかなければなりません。一方、地方自治体としての取り組みも重要であり、温室効果ガス削減に積極的に取り組む京都市では、二〇一〇年度から五年間、電気自動車など環境対応車の購入者に対する軽自動車税を全額免除や、また、太陽光を活用した電気自動車の充電設備を今年度、市内に五カ所設置し、無料で提供されます。 私は、奈良県として独自の取り組みが必要と考え、例えば太陽光を取り入れた古都奈良の景観にふさわしい街灯設置に取り組まれたらどうかと提案したいと思います。自然エネルギーを取り入れた街灯は、奈良を訪れた観光客にとってやすらぎとなり、奈良は地球にやさしい県であると、きっと感じてくださると思います。同時に、地元企業の経済の活性化にもつながると考えます。このような背景を踏まえ、奈良県は今後どのような地球温暖化防止対策を進めようとしているのか、今回の補正予算での対応を含め、お答えをいただきたいと思います。 次に、女性特有のがん対策について質問します。 本年度国の補正予算の成立により、一定の年齢に達した女性に対する乳がんと子宮頸がんの無料検診が実施されることになりました。今や日本は世界一のがん大国と言われても過言ではないぐらい、年々がんによる死亡率が増えてきています。この現状を変えるため公明党は、平成十八年のがん対策基本法の制定に先導的役割を果たし、日本をがん医療先進国にする道筋をつけました。その基本法を受け、国は平成十九年六月、がん対策推進基本計画を策定し、それを受け奈良県は、がん対策推進計画をこの秋にまとめる予定と聞き及んでおります。 今回、乳がん、子宮頸がんの無料の検診の対象となる女性は、全国で約七百六十万人です。乳がんの場合、対象は四十歳から六十歳までの五歳ごとに、子宮頸がんは二十歳から四十歳までの五歳ごとの方が対象となります。対象者には、市町村から順次、無料検診のためのクーポン券と検診手帳が届けられます。乳がんは、四十代、五十代で、子宮頸がんは近年、二十代から三十代で死亡する人が増えてきています。早期発見すれば完治する可能性が高いのですが、しかしその受診率は、英米の七〇%から八〇%程度に比べ、日本は二〇%台前半と極端に低い現状です。奈良県における受診率は、乳がんは八%、子宮頸がんは一五・九%とさらに低い状況です。特に二十代の女性の子宮頸がんの受診率は、全国ではわずか一一%にとどまっていますが、奈良県ではさらに低く、八%です。乳がんや子宮頸がんは若い人に起こりやすい。仕事をし、子育てをしている人の命を脅かすという意味で、注意すべきがんであるということからも、検診が必要です。 子宮頸がんの場合、HPV、ヒト・パピローマ・ウイルスが原因で感染するもので、ワクチンで予防すれば一〇〇%予防できるがんです。このワクチンを承認していないのは、先進国では日本だけです。さらに、欧州など世界二十カ国以上で、ワクチンの公費負担も始まっています。韓国や台湾はワクチンがありますが、公費負担がないため、普及率は三%前後です。このワクチンは少し値段が高く、自己負担で五万円ぐらいかかります。日本では、ワクチン承認と同時に、公費負担が実現できることが大切です。検診の受診と予防ワクチンのセットで子宮頸がんを予防できることになれば、毎年二千五百人の死亡者を減らすことにつながります。そのような状況の中、公明党東京都本部女性局が、女性の意識調査を実施した中で、検診を受けやすくするため、定期検診の項目に入れる、また、女性の医師による検診を、といった検診環境の整備が望まれていました。このことについては、舛添厚生労働大臣にも申入れをしたところです。また、今回クーポン券と一緒に配布される検診手帳には、乳がんや子宮頸がんについての正しい知識がわかりやすく記載されており、検診の対象者には検診の必要性を知ってもらえる内容になっています。今回の実施は、受診のきっかけをつくる意味では大変有効であると評価されています。今回の取り組みで受診率五〇%を目指していきたいと思います。 そこで、健康安全局長にお伺いします。乳がん、子宮頸がん検診の実施について、市町村が積極的に取り組むようどのような働きかけを行っていますか。また、検診開始に向けてどのようなスケジュールで進められていくのでしょうか、お伺いいたします。 次に、学校におけるスクール・ニューディール構想についてお尋ねします。 国は、経済危機対策で、小・中・高等学校などに約一兆一千億円という大規模な投資を行うスクール・ニューディール構想を掲げました。この構想は、安全で安心な学校施設を確保するための耐震化や、二酸化炭素削減による環境負荷を低減するため、太陽光パネルなどを設置するエコ化、子どもの学力、IT活用能力の向上を図るため、パソコン整備などを行うICT化を集中的に進めるものです。これらを一体的に進めることで、二十一世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図るとともに、雇用創出、経済波及効果地域活性化、国際競争力の向上にもつなげるねらいを持つことから、この構想には高い関心が寄せられています。 まず、耐震化については、これまでも公明党は党として取り組んでまいりました。学校は子どもたちが一日の大半を過ごす活動の場であり、災害時には応急避難場所としての役割も果たすことから、安全性の確保は極めて重要であり、国では、特に緊急性の高い一万棟余りの耐震化について、二〇一一年度までの五年計画だったものを前倒しして、今回の予算ですべて予算化したとされるなど、加速度的に取り組まれています。現在、奈良県小中学校の耐震化率は五六%と、全国の六七%に比べて低く、全国三十七位という現状です。 また、低炭素社会づくりの一環として進める学校施設への太陽光パネルの設置は、クリーンな自然エネルギーを利用した発電を行うとともに、児童生徒への環境教育の効果も期待できることから、現在千二百校に設置されている太陽光パネルを、当面十倍の一万二千校に設置することが目標とされています。 学校におけるICT環境の整備も急務の課題と言えます。ICT技術は、今や社会に不可欠なインフラです。こうしたICT環境整備の格差が、子どもたちが本来身につけるべき知識、能力の格差となってはいけないと考えられることから、地上デジタルテレビや電子黒板、コンピューターの整備等のための補正予算が今回確保されたところです。 なお、各施策の実施に当たっては、地方自治体財政負担分を大幅に軽減する地域活性化公共投資臨時交付金及び地域活性化経済危機対策臨時交付金が設けられました。このため、財政状況が厳しい市町村で滞りがちだった公立学校の施設整備・改修が一気に進むと期待されます。そこで、このスクール・ニューディール構想の三本柱である耐震化、エコ化、ICT化について、市町村を含めて、それぞれどのように対応しようとしているのか、教育長にお伺いします。 最後に、新型インフルエンザ対策についてですが、世界保健機関がフェーズ六に引き上げたことを受け、国内で秋から冬に想定される感染者の大量発生を見越して、厚生労働省が運用指針を改定しました。基本的な考え方は、重症患者の救命を最優先する対策、医療体制については全医療機関で診療を行うなどとなり、これまでの代表質問で県がお答えになったとおりです。奈良県においても、既に新型インフルエンザ感染者が確認されました。県民への正確な情報提供が何よりも大切です。地域や社会が混乱を来さぬよう、万全の体制で迅速に対応されることを要望しておきまして、壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十五番畭議員のご質問にお答え申し上げます。 まず最初は、平城遷都一三〇〇年祭に対してのセールス、また今後のセールスの内容についてのお問い合わせでございました。 平城遷都一三〇〇年記念事業は、三つの分野で展開しております。お祝いのイベントと、国際的な会議、未来のためのビジョン作成などでございますが、それを一体的に展開することで国家全体や国際的にも意味のある取り組みにしたいと考えておりまして、広報の推進も、その趣旨を踏まえた形で行いたいと思ってまいりました。 そのようなことから、本年一月十五日、全国レベルの記念事業の応援団として記念事業推進委員会東アジア地方政府会合実行委員会、及び日本と東アジアの未来を考える委員会の三つの委員会を合同で設立いたしました。その立ち上げに際しまして、政財官の日本の各界を代表する約二百名の委員の方々のほとんどに私自身が面会いたしまして、協力、支援を求めたところでございます。また、本年の五月六日から約一カ月の間で、中国、韓国の八地方政府に出向きまして、東アジア地方政府会合への参加を招請するとともに、平城遷都一三〇〇年祭のイベント、展覧会への参加、協力を呼びかけてまいりました。このほか、国のビジットジャパンキャンペーンという予算制度を利用いたしまして、中国、韓国、両国への三回の観光関連のトップセールスを行いました。昨年の秋には畭議員にも中国訪問に参加していただいたところでございます。本年二月には、パリでの平城遷都一三〇〇年祭のPRも実施いたしました。 これらのセールス活動において心得てきたところでございますが、奈良時代は日本史上まれに見る濃密な近隣諸国との国際交流が行われ、それをもとに日本の国家基盤の形成が行われたという認識を持ち、平城遷都一三〇〇年記念事業は国家的意義のある事業であり、国際的交流の意義を今日においても改めて確認することが必要ですと訴えてきたところでございます。二〇一〇年まであと半年に迫り、記念事業への関心や認知は、国際的にも国の中央においても高まってきているとの手ごたえを感じておりますが、平城遷都一三〇〇年祭の意義がより広く認識されますよう、今後とも内外での直接的な広報活動及び参加協力への働きかけを率先して行うとともに、国内外の有力な方々との面談の折にはその都度、記念事業の紹介や協力支援を求めるなど、時宜にかなったPR活動等に努めてまいりたいと思っております。その結果、記念事業を機会に、奈良が国際的にも意味のある地域として持続的な発展が遂げられるよう期待しているところでございます。 また、平城遷都一三〇〇年祭のPRのやり方、またその計画についてのお問い合わせがございました。 平城遷都一三〇〇年祭の具体的な事業内容については、本年四月に事業計画を、最終版に近いものを策定いたしましたので、それにあわせて要約版冊子やPRリーフレットの策定、協会ホームページへの登載等を行ってきたところでございます。さらに、この九月を目途に、具体的なイベント内容や県内の各地をめぐるガイドブックなどを盛り込んだイベントガイドの発行をしたいと思っております。さらに、具体的、最新の情報等を提供できるホームページや携帯サイトを立ち上げ、いつ、どこで、どのようなイベントが開催されるのかというような具体的な情報を、県民や来訪者のニーズに即して発信を行うことにしております。また、あわせて県民だよりや市町村広報誌での特集、マスメディア広告等による事業PRにもこれから、より精力的に取り組んでいきたいと思っております。 また、このような周知活動に加えまして、誘客の観点も含めまして、県内周遊や滞在型観光等の仕掛け品といたしまして、国宝等の一覧や周遊モデルルートを紹介いたしました国宝巡礼奈良まほろば手帳というようなものの発行や、平城宮跡会場の有料施設及び県内観光文化施設の入場券等をセットした、せんとくんクーポンなどの発売も予定しているところでございます。今後一層、さまざまな機会や広報ツール等を活用しながら、平城遷都一三〇〇年祭の周知や来訪に結びつくような、具体的でわかりやすい広報PR活動の展開を図ってまいりたいと思っております。 次に、少子化対策についてのお問い合わせがございました。 議員ご指摘のように、実態を知り、そこから見えてくる課題をスピーディーに解決するという点につきましては、その他の事項でもそうでございますが、少子化対策についてもまさにそのとおりのことでございます。そのような観点から、昨年九月に少子化実態調査を実施いたしました。その結果から見えてきた事項が少しございます。例えば、奈良県において働いている女性の七割が出産を機会に離職されており、仕事と出産の二者択一構造になっているように思われます。また、母親、特に奈良は専業主婦が多いわけでございますが、専業主婦の育児不安、負担感が近年増加しているように思われます。また、子育てや教育にお金がかかり過ぎることから、理想の子どもの数と現実の数に多少開きがあるようなことが見受けられます。また、適当な相手にめぐり合わないため結婚が遅くなるといったことも実態から見えております。 議員もご指摘になりましたように、先日平成二十年の合計特殊出生率が発表されまして、本県は三年連続一・二二ということで、全国ワースト三位になっております。少子化の真の原因であるとか、奈良の出生率が低い原因というのは、少しわからないところがあるようにも感じております。例えば、出生率の高い地域を見てみますと、沖縄とか九州が高いほうへ全部入っております。また、低いほうのところを見ますと、東京とか大阪とか大都市、あるいはその近所の県でありますとか、あるいは北海道、青森と東北の二県が入ったりして、このような地域の出生率の偏在はどうして起こっているのだろうかというふうなことも多少わからない点がございます。出生率の高い地域と低い地域のそれぞれの要因を地域比較、分析するという手法も必要かというふうに感じまして、今後そのような調査の実施もしたいと思います。 しかし一方、すればいいといったことは即座にしていく必要がございますので、奈良を子育てしやすい地域とするという観点からは、幾つかの施策を講じてきております。例えば、延長保育の充実、あるいは育児休業取得の促進の啓発、あるいは子育て広場の整備によって子育て支援をする、あるいは、結婚や子育てを応援する県民運動の展開に対する支援などといったことは、従来から取り組んでおります。また、今回の補正におきましては、子どもを安心して育てられる体制の整備の促進の観点から、安心こども基金の積み増しを行う予定にさせていただいており、市町村とより一層連携を密にして、子育て支援NPOの立ち上げ支援や家庭支援スタッフの派遣などへの取り組み、また、待機児童解消のための保育所の緊急整備などの具体化を進めていきたいと思っております。 また、さきの調査におきまして、専業主婦の子育て不安、負担感の増大という課題がありました。これは、専業主婦率が全国で最も高い本県におきましては、特に大きな課題だと思います。専業主婦を対象とする子育て支援策、また働く主婦向け、父親向けなども含めまして、それぞれの生活の立場に応じた支援や多様なニーズに対応できる対策を講じる必要性があると感じております。また一方、若者の安定就労化の促進や、出会い機会の提供によりまして、若者が結婚しやすい環境をつくるということも必要かと思っております。 一方、奈良県の子育て環境という面について見てみますと、本県は子育て世代の転入増があるということがわかっております。十五歳未満の年少人口比率は一三・九%ということで、全国平均の一三・七%をやや上回っております。転入の理由について調べますと、親が近くに住んでいるからというのが最も多くて、自然環境がよいから、子育てがしやすいから等ということになっております。奈良は、産みにくいのに育てやすいというような実態の表面的な結果が出ておりますが、さらに実情の把握に努め、少子化の真の原因を探って、適切な対策を継続的に打つ必要があろうかというふうに改めて感じるところでございます。 地球温暖化防止対策についてのご質問が二つございました。 まず、クールアース・デーへの取り組み状況についてでございますが、昨年、県内で九十五の事業所が参加いたしました。ことしは、昨年度から実施の寺社等に加え、飲食店や販売所などの参加が増えてまいりまして、現在百五十六の事業所が参加表明されて、約五割増しの参加がございます。県の独自の取り組みといたしましては、昨年に引き続き、県の庁舎の一斉消灯や県民ホールでのパネル展の実施、またNPO法人と協働したライトダウンキャンペーンへの参加を事業所に呼びかけるなど、クールアース・デーの定着を図ってまいりたいと思っております。 また、県の地球温暖化防止対策でございますが、国におきましては最近、中期目標、平成三十二年度までに対平成十七年度比で一五%削減するという目標が示されました。その目標達成のためには、新エネルギーの活用、CO2吸収源対策のための森林整備など、総合的に取り組むことが不可欠だと考えております。県におきましては、平成十九年から省エネルギーの分野において県民への啓発運動を実施しておりますが、県の施設独自で実施できるものとして、御所浄水場の太陽光発電や水道管理センターでの小水力発電の設置、あるいは県庁本庁舎屋上緑化などを実施してきております。 今年度におきましては、校庭の芝生化による温暖化対策や省エネルギー性を有する長寿命住宅の普及、さらに、クリーンエネルギーの活用を推進するための桜井浄水場の小水力発電の設置を実施したいと思っております。さらに、全国初めてになる制度でございますが、住宅用太陽光発電の設置について無利子貸付制度及び利子補給制度を近々開始したいと思っております。さらに、今議会で所要の経費を提案させていただいております項目といたしまして、県立奈良養護学校での太陽光発電の設置、県公用車のハイブリッド車への転換の促進、森林整備のための間伐の実施のための経費がございます。 最後に、CO2排出量の構成割合が産業部門より家庭部門のほうが高い本県でございますので、家庭での取り組みが今後さらに重要になります。省エネルギーの推進のほか、ごみの減量、生活雑排水の浄化など、環境にやさしい暮らしの提案や、その仕組みづくりなどについて真剣に検討してまいりたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。 ○議長(川口正志) 武末健康安全局長。 ◎健康安全局長(武末文男) (登壇)十五番畭議員の私に対するご質問、がん対策についてでございます。 がんによる死亡数を減少させるためには、がん検診の受診率を向上させ、がんを早期に発見することが極めて重要であると認識しております。女性特有のがん検診、特に乳がんと子宮頸がんについては受診率が低いため、ご指摘のように、比較的若年者、つまりは子育て世代における死亡が増えていることから、未来の投資につながる子育ての支援の一環として、この検診費用が国の平成二十一年度の補正予算で措置されたところでございます。 県から市町村への働きかけにつきましては、現在、本事業を紹介しまして取りまとめを行っているところでありますが、実施市町村において検診対象者の利便性を考慮しながら、当該事業が円滑に進むようにスケジュール等の調整を行っているところでございます。また、七月上旬に全市町村に対して会議を開催いたしまして、当該事業がスムーズに進行できるよう協議を行う予定でございます。今後、市町村において本事業の住民への周知を図るとともに、国が示しております検診手帳、クーポン券を作成し、十月からの無料クーポン券使用による検診の開始に向けて、県から医師会等の関係団体に対しまして強く協力を要請してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(川口正志) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)十五番畭議員のご質問にお答えいたします。 私には、スクール・ニューディール構想について、三本柱である耐震化、エコ化、ICT化について、市町村を含めてそれぞれどのように対応するかのお尋ねでございます。 二十一世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図ることを目的とする、国のスクール・ニューディール構想では、耐震、エコ、ICT化を推進することとしております。 まず、市町村の取り組みについて、一つ目の耐震化では、今回創設されました地域活性化公共投資臨時交付金を活用しますと、市町村の負担は平成二十年度の約半分となることから、県教育委員会では事業の前倒しを市町村に働きかけ、平成二十一年度補正予算では約九十棟が追加されました。今年度中には約百六十棟の耐震化工事が実施される予定でございます。これにより耐震化率は、現在の五六・〇%から六六%程度に改善される見込みでございます。 二つ目のエコ化、具体的には学校施設への太陽光発電の導入について、環境負荷の低減や環境教育に活用が見込まれることから、これを推奨しております。耐震化と同じ臨時交付金を活用することによって、実質的負担が二・五%と見込まれますが、現在のところ、六市町村、八校での計画となっているにすぎないことから、この秋に国の第二次申請の受付けの予定に合わせ、市町村に積極的な取り組みができないかどうかも含め、市町村説明会を開催するなどして働きかけを行う予定でございます。 三つ目のICT化は、市町村に対して国からの情報等を随時提供し、市町村教育長会や学校長会等で、学校ICT環境整備に積極的な取り組みを要請し、結果、デジタルテレビや電子黒板、コンピューター等の整備に、総額で三十四億円以上の計画となりました。 一方、県立学校における耐震化では、今年度は耐震診断十四棟、補強設計三十四棟、補強工事九棟の工事化を予算化し、順次計画的に事業を進捗しております。太陽光発電では、奈良養護学校に百キロワットの太陽光パネルの設置を今議会の補正予算に計上しております。これにより、同校の年間電力使用料の約七割を発電可能と推定しているところでございます。 ICT化では、総額で三億八千万円余を同じく今議会の補正予算に計上させていただいております。高等学校のコンピューター一台当たりの生徒数は約七人だったものが、五人に改善される見込みでございます。 以上です。 ○議長(川口正志) 十五番畭真夕美議員。 ◆十五番(畭真夕美) それぞれの質問に対してお答えをいただいたところでございます。少し時間がございますので、再質問をさせていただきます。 平城遷都一三〇〇年祭ですが、開催の趣旨が二つあるということで、私もこの質問をするに当たっていろいろと勉強させていただきました。特に二つ目のほうの東アジアとの友好ということについては、私自身も昨年、中国に一緒に行かせていただいて、そういったことを目の当たりにさせていただきました。知事のお考えになっている、この平城遷都一三〇〇年祭を機に東アジア、そもそも一三〇〇年の昔の平城京は、世界の人々が常に行き来をしていたという国際都市であったということでございますが、それを一三〇〇年たった今再現していく、しかも、最も近い東アジアとの友好、平和、この平城遷都一三〇〇年祭を機にスタートしていく、これはもう本当にすばらしい発想であるということで、私は、知事のそういった平城遷都一三〇〇祭年に対する趣旨に賛同、評価をしたいと思います。 そういったことをたくさんの人々に、県民の方はそういった趣旨で行われるというのは、ほとんどご存じございません。単なる祭りというふうにとらえていらっしゃるんですが、その祭り自体も、いつから始まるのやらということで、よく皆さんおわかりになってない、私も、あるグループで、全国大会の会合を三月七日にとったんですが、三月七日に何かあるかなと思ったら、何もなかったと。四月二十四日以降、平城京のイベントは開始されるということを初めて知りました。一月一日から十二月三十一日まで通年の行事であるということでしたので、三月七日であれば、何か平城京でやっているかなと思ったんですが、現実には四月二十四日以降ということがわかりました。これ一つとっても、やはり、いつからどこで何が行われるのかということ自体が、私自身もわかっていなかったということでございますので、そういったことで、わかりやすく、カレンダーの形式にいただければ、きょうはどこで何をやっているということで、そこに出かけることもできるのではないかなというふうに思っているところです。 環境でございますが、昨年も同じ六月に、環境の問題、質問をさせていただきました。読売新聞に、知事が就任をされて二年目ということで、評価をされている新聞記事がございました。その中に環境というテーマ、項目がなかったんです。だから、環境に対して知事の評価がわからないので、残念なことだなと思っているんです。環境というのは、雇用にもつながりますし、地域経済の活性化にもつながります。観光と環境をそれぞれリンクさせながら、何か奈良らしい環境対策ができないものかなと思っております。すばらしい発想を持たれた知事であれば、いろんな発想ができるんではないかなというふうに思っているところです。 環境問題というのは、先ほども申し上げましたように、待ったなしの課題でございますので、ぜひとも奈良県独自の特色あるそういった環境対策、エコ観光と申し上げてもいいと思いますし、全国の先進的な取り組みを参考にしていただいて、奈良独自のそういった環境に対する取り組み、ぜひとも期待をしておきたいと思いますが、知事のほうでお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。 あとは、女性のがんに対して、県内市町村で今スタートするということで、県のほうからも今市町村のほうにお話をいただいて、準備を今地元はしているところかとは思いますが、県内すべての市町村がこのがん検診に取り組めるよう、県としてのご決意のほどをお伺いしたいと思います。 それと、スクール・ニューディール構想につきましても、教育長、九月補正もございますし、特に太陽光パネルの設置については、六市町村、八校ということで、本当に残念に思っておりますが、まだもう一度、九月補正に向けて機会があるかと思いますので、十分にこれは徹底をしていただきたいと思いますが、教育長としてのご決意を聞かせていただきたいと思います。 ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 観光と環境という、二つのことについての所見と、さらなるお問い合わせが若干あったように思います。 平城遷都一三〇〇年祭の性格づけ、発展の形については、正直申し上げまして、考えながらつくり上げてきたというところでございまして、奈良のお祭りらしい意義はどこにあるのかということを考えながら来たように思いますので、県内のPRも含めて、周知が若干おくれてきたのかなという、議会のご質問などを聞きながら、多少反省をしておるわけでございますが、議員お述べになったように、単なるお祭りではなしに、また一過性にしないように、奈良の意義が今後とも県内外、国内外に浸透するようにという願いをより強く持ってきているところでございます。 一つのエピソードといたしまして、先日、東アジアの地方政府会合の招聘、売り込みに陝西省へ参りましたときに、陝西省博物館という最近充実した博物館を案内していただきましたが、そこに、現地で発見された和銅開珎の実物とペルシャのコインが一緒に飾ってございました。その場であったということでございますので、当時はペルシャの銅貨も、日本の銅貨も、長安の都で、まあ流通というわけじゃないが、何か持ち込まれていたということが展示されていて、その往時の国際交流がこんなふうにもあったのかということに大変感銘を受けたところでございます。ことしは和銅二年の千三百年後の年でございますので、そのような感銘も、このようなお祭りの中で発見させていただきました。 環境についてでございますが、奈良の環境をどのように評価するかということでございますが、経済活動が非常におくれてきた反面、環境が、また文化財があることで環境が維持されてきたという面があるようにも思いますが、しかし、これから活動をもう少し活発化する中で、奈良の環境のよさを維持するという道を追求しなきゃいけないというふうに思っています。今までと違った工夫が要るのではないかというふうに思っております。特に家庭から排出される環境悪化に対する活動、省エネルギーにしろ、家庭排出ごみの問題にしろ、その点が生活による環境悪化。特に住宅が増えてきたことによる大和川の汚染のワーストワンが脱却できないということのようなものが象徴でございますけれども、そのような個別の事象に着目しながら奈良の環境を向上させるということに、総合的に見た力を入れていきたいというふうに改めて思ったところでございます。 以上、報告をさせていただきます。 ○議長(川口正志) 武末健康安全局長。 ◎健康安全局長(武末文男) 全市町村で実施していただくということを、必ずやりたいと思っております。と申しますのは、今回補正予算でございますので、今のところ単年度でございますけれども、次年度以降は今年度の効果を見て決めたいということになっておりますので、まずは全市町村でやっていただきまして、女性の乳がん、子宮頸がんの検診の効果を見ていただくということが重要だと思います。 そしてもう一点、先ほど申し上げたように、この乳がんと子宮頸がんの問題点は、その病気にかかる方のお子さんが、実はまだ赤ちゃんであったりとか、小中学生であるということです。亡くなられる方は非常に心残りの中で亡くなられているという現実がございますので、そういったことも含めて、市町村の方にご理解をいただき、検診を受診していただくことが必要だと思っておりますので、ぜひとも全市町村で実施をしていっていただきたいというふうに努めてまいりたいと思う所存でございます。 以上でございます。 ○議長(川口正志) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) ICTと耐震につきましては、個別に動いておりまして、まずまずかなと、それぐらいに思っておるんですが、議員ご指摘のように、太陽光発電についてはちょっと少ないかなと思っておりますので、先ほども申し上げましたように、積極的な取り組みできないかどうか、もう一度市町村の説明会を開きまして、その中で働きかけていきたい、そのように思っております。 ○議長(川口正志) 十五番畭真夕美議員。 ◆十五番(畭真夕美) ありがとうございます。特に女性のがんについては、女性が元気であれば地域が元気である、社会が元気であるということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 以上です。
    ○議長(川口正志) 次に、四十三番梶川虔二議員に発言を許します。--四十三番梶川虔二議員。(拍手) ◆四十三番(梶川虔二) (登壇)議長からご指名をいただきましたので、新創NARAを代表して、社民党の梶川が代表質問をさせていただきます。 このたびの新型インフルエンザ対策に昼夜を問わず従事した皆さん、本当にご苦労さまでした。心よりご慰労申し上げます。 質問に入ります前に、私の昨年十二月議会質問で、国道二五号斑鳩バイパスの項で、知事は国道二五号三室交差点が死傷事故率の多発交差点と言われましたが、その交差点が特別多発地帯ではないと道路建設課と確認をしました。なぜ三室交差点を特別に挙げたのか知りませんが、十分気をつけて答弁されますように要望しておきます。 さて、質問はひと月ぐらい前からあらかたつくるのですが、ここに立つのは最後でございますので、ダブル点がありますが、ご容赦願いたいと思います。 質問の第一点目です。来年二〇一〇年は平城京に遷都されて千三百年目に当たるとして、さまざまな取り組みが準備されております。そこで、国際交流にかかわって、平城遷都一三〇〇年祭の、東アジア未来会議奈良二〇一〇についてお尋ねをいたします。 私は、川口正志議長を団長として、奈良県議会日中親善議員連盟有志議員八名と職員二名で、去る五月十一日から十五日まで、中国は北京、西安、上海に行ってまいりました。昨年の五月に胡錦濤国家首席が奈良においでになり、日中友好と平城遷都一三〇〇年祭成功への激励をいただきました。そのお礼と、荒井知事が進めていなさる奈良県の陝西省との友好都市提携を奈良県議会としても協調する目的で中国に参りました。もちろん私費で参りました。特に平城遷都一三〇〇年祭の西安ゆかりのイベントには、兵馬俑の像の貸し出しも要請して、友好を深めてまいりました。ところで、陝西省や上海市では中国の要人から、六月には荒井知事が平城遷都一三〇〇年祭の中核事業である東アジア地方政府会合について協力要請に西安市などを訪れることを聞かされましたが、私たちは知りませんでした。東アジア地方政府会合や日本と東アジアの未来を考える委員会は、内容があまり定かでありません。もっと議会にも県民にもわかる事業にしていただきたいと思います。 さて、二〇一〇年は中国の陝西省と友好都市提携を結びますが、二〇一〇年は韓国併合百周年でもあります。人権と民主主義という人類の普遍的価値に基づき、東アジア、さらには世界の平和を実現する必要があります。平城遷都一三〇〇年の新しい奈良を国際交流のスタートとし、その具体的な取り組みを発信することが求められていると思います。 そこで、知事にお尋ねいたしますが、東アジア未来会議奈良二〇一〇の中核的事業は、東アジア地方政府会合、日本と東アジアの未来を考える委員会が中核事業でございますが、それぞれ意義と規模、そして、どのような議論を期待しているのか、お聞かせください。 質問の第二点目に、ハンセン病問題についてお尋ねをいたします。 私たちは今から三十年前、一九七九年、奈良県職員の田中魁さんの呼びかけで、ハンセン病療養所のある岡山県の長島愛生園と邑久光明園を訪問し、奈良県人会の方々と話し合いをし、誕生したのが、架け橋長島奈良を結ぶ会であります。そして、入所者の要望で、趣味の作品展をすることになり、一九八二年から架け橋美術展が誕生し、県内の各地で開催をし、ことしで二十五回目を迎えました。この間、奈良県、奈良県議会、市町村、県民の皆さんにご協力を賜り、感謝申し上げます。一九九六年にいわゆる予防法が廃止され、強制収容は解かれましたが、療養所入所者は結婚しても、断種をされており、子どもがなく、社会復帰を促す身内もなく、社会復帰が進まないのが現実です。国の誤ったハンセン病隔離政策のもとで既に亡くなった人もたくさんあります。ハンセン病療養所入所者は、高齢で減っていくばかりですが、療養所のあり方をうたったハンセン病問題基本法がことしの四月一日から施行されました。 奈良県には、療養所はありませんが、国の誤ったハンセン病患者隔離政策の片棒を担いできた責任はあり、奈良県としてこの新法施行に当たり、療養所入所者への福祉、人権啓発など、新しく取り組まなければならない課題は多いと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 第三点目に、循環型社会の構築に関して、知事にお尋ねをいたします。 この四月三十日、日立製作所のお詫びと題した新聞広告や、テレビでも同じものが流れておりましたが、広告が出ておりました。中身は、「今般、弊社の冷蔵庫のカタログや新聞広告等におきまして、事実と異なる記載をしてしまい、公正取引委員会より、排除命令を受けました」で始まるこのおわびは、同社が製造する冷蔵庫に使用されているリサイクル材の使用量などに虚偽の表示を行っていたことが、公正取引委員会により指摘されたものであります。家電製品は、家電リサイクル法で消費者に適正な排出が義務づけられておりますが、不法投棄があれば市町村が処理費用を負担しますし、同じく市町村は、空き缶やペットボトルなども容器リサイクル法で分別収集が義務づけられており、大きな負担になっております。日立製作所のカタログの内容は、県民、事業者、行政が循環型社会実現に取り組んでいるときに、大変遺憾であります。 二〇〇〇年の五月、循環型社会形成推進基本法が施行され、容器リサイクル法や家電リサイクル法などの個別法が整備されました。県においても、循環型社会を構築し、廃棄物の排出抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)、いわゆる三Rを推進することとしました。奈良県循環型社会構築構想を二〇〇三年三月に策定をされました。県はこの基本構想に基づき、さまざまな施策を進めてこられましたが、現時点での成果と課題をお聞かせください。 また、循環型社会構築のためには、産業廃棄物の量を減らすことだけでなく、産業廃棄物を適正に処理するための最終処分場の確保も重要であると考えます。しかしながら、土壌や水質などに関する安全性や事業者に対する信頼性の問題などもあり、民間業者による産業廃棄物処分場の設置は困難な状況にあります。そうしたことから、県など公機関の関与する処分場の整備が必要であると考えます。県は二〇〇二年度、今後の廃棄物処理技術の動向や奈良県における適正な処理システムのあり方について調査・検討をしてきたが、その結果を踏まえ、現時点での県の考え方をお聞かせください。 第四点目に、国の直轄事業について質問いたします。 国の直轄事業廃止について、知事にお尋ねをいたします。国道や一級河川整備には三分の一の地元負担があり、同じく維持管理や改修には四五%の地元負担があります。これを直轄負担と言うのはご存じのとおりでございます。昨年の六月議会で私は、国道二五号斑鳩町の竜田大橋の欄干の改修に端を発し、直轄負担廃止を求めました。そのときは、大阪府知事は直轄負担について言及をしていないと、私は批判したものでした。荒井知事は、私の質問に答えて、平成十八年度決算は、奈良県の一般会計総額の三%、百二十八億円が直轄負担に当たり、このうち六三%、八十一億円が道路、九%、十二億円が河川に充当されているという説明がなされました。この中には、国道事務所庁舎の改築費や国道事務所職員の人件費、同じく職員の退職金、さらに大阪にある近畿整備局の人件費、退職金も含まれていると思いますが、こういった説明はありませんでしたし、今もって詳しい説明はありません。 県は、直轄負担の明細を見ていないし、求めていないのではありませんか。なぜ直接関係のない国道事務所の職員の給与や退職金を負担しなければならないのでしょうか。この場所においでの国から来られた職員さんの退職金は、国がちゃんと全額負担しているではありませんか。その昔、負担内容について国と県、まあ知事会ということになるかと思いますが、協議をして合意をしたわけではなく、総額を示すだけで明細の提示もなく、好きなようにされただけと私は思います。国道の管理レベルや国道事務所の職員の労働条件を決めるのは国ですから、国が負担すべきであります。 そこで質問ですが、国は、今後は事業費と業務費は分離して、使途を明確にすると言っていますが、全然改善されたように思いません。県は、直轄負担金のこのような費目への使い方を容認する立場でしょうか。数字や内容をきちんと見せてもらい、納得できないような負担金については払うべきでないと思いますが、どうでしょうか。 次に、質問の第五点目に移ります。地域の学校における障害児の受入れについてお尋ねをいたします。 今、県内の下市町で、小学校を卒業した障害を持つ女子生徒が、地域の中学校の入学拒否に遭っております。車いすでも、みんなと同じ中学校に行きたい、漢字も書ける、水泳もできる、なのになぜと訴えていると新聞は報じておりました。現在、裁判になっております。当該の教育委員会の拒否の理由は、スロープやエレベーターがなく、予算的に、改造、介助員の増員は困難であるということです。障害児教育を地域でするか、それとも地域から離れたところに障害児を集めて教育をするかは、地域であるべきだと思いますし、県内では少なくとも要望にはこたえてきたと思います。 三十年前、奈良市で、障害児の梅谷尚司君を、五年間の闘いの末、普通学校に入れた運動がありました。私自身も三十年前、一九七九年四月、障害児の養護学校義務化の年、斑鳩町で、知的障害児の島崎和美さんを普通小学校に入れる取り組みをしたことがあります。大みそかの夜でしたが、島崎和美さんのお母さんの思いをつづって、謄写版印刷で千枚のビラをつくりました。元旦早々に和美さんのお父さん、お母さんが、各戸にそのビラを配って歩きました。その日のうちに教育長の目に入り、斑鳩小学校に受け入れるから、ビラ配りをやめてくれと言われたことを覚えております。これが障害児との私は出会いでございました。今も元気で、地域でみんなに支えられて暮らしておられます。 国連の障害者権利条約は、障害児、健常児の統合教育を原則としております。批准している国のほとんどは、原則統合教育に基づいた法整備をしております。我が国もこの条約に署名をし、批准を決めてはいますが、国内法は分離教育のまま批准しようとしており、予断を許さず、政府に統合教育の法改正を求めなければなりません。今回の下市町の措置は、統合教育に各都道府県、各市町村が努力しているのに、下市町に言い分があるとしても、逆行していると言わざるを得ません。こんな事象を見ると、以前と何も変わってないし、部落解放運動、人権、同和教育発祥の奈良県が問われている思いがいたします。 本件について知事は、マスコミのインタビューに答えて、県には責任は何もない。だから、論評と県の立場の回答をはっきり区別しないと、混在して報道される面がある。責任を追及するには、はっきりしないと。責任をとるべき人がとらないというのが一番だめな形態だと思う。論評とあわせて言うと、普通の通学はできるように、が一番よいと思う。と続きます。知事の考えはわかりましたので、あえてお尋ねいたしませんが、バリアフリーの改造には、過疎債を使えば、地元負担はわずかでできるようなアドバイスはしてあげてほしいと思います。 教育長にお尋ねをいたします。下市町の事案を踏まえた上で、障害のある子どもが地域の小学校で学びたいということにどうこたえていくのか、特別支援教育の理念を踏まえて、教育委員会の基本的な考え方をお聞かせください。また、地域の小学校の特別支援学級の設置状況はどうなっているのか。小学校、中学校、高校のハード面のバリアフリーはどのように進めているのか。財政力の弱い市町村には、学校改造に充当できる(仮称)福祉の学校づくり基金をつくるよう要望をして、お尋ねをいたします。 最後に、法輪寺の三重塔のについてお尋ねをいたします。 斑鳩三塔といえば、斑鳩町にある法隆寺五重塔、法起寺三重塔、法輪寺三重塔を指します。斑鳩町では、この三塔を眺めながら六・七キロメートルを走る、三塔走ろう会というジョギング大会があります。ことしで三十二回を数え、町民はもとより、町外の人にもなじんでおります。私は二十八回は参加をしており、最多出場者かもしれません。 この三塔で一つ気になることがあります。法輪寺の三重塔です。もともとは七世紀中期には建立されていたことが確認され、国宝の指定を受けていました。仏像は飛鳥、平安の重要文化財がたくさんありますが、残念ながらこの塔は、戦前の一九四四年、昭和十九年七月二十一日に落雷で炎上しました。戦争の金属供出令で、避雷針は国に持っていかれてしまっていたのであります。ランドン・ウォーナー博士は連合軍に、奈良・京都の文化財を守るために、奈良・京都は爆撃しないように訴えたという話がある一方で、この戦争のつめ跡は誠に残念であります。当時の地元の消防団といえば、女性とか老人が中心で、荷車に乗せたような手押しポンプで、必死の消火活動をしましたが、またたく間に焼失をしたということです。直ちに再建をの思いで、当時の井上慶覚住職は、全国勧進行脚をされましたが、戦後の経済混乱期などで、何度も停滞を余儀なくされました。それから約三十年、一九七五年、昭和五十年に当たりますが、次の井上康世住職の全国勧進行脚に加え、幸田文さんの協力、地元のミニコミ紙ぽっぽも支援し、浄財が集められ、再建がなされました。 私は、再建の直後、井上康世住職にお会いし、お話を聞く機会に恵まれました。そのとき話されたエピソードに、再建は竹島卓一博士の設計のもと、清水建設株式会社や宮大工の西岡常一棟梁が建設に従事しましたが、現代建築工学で時に金属の使用を主張する竹島博士と木の寿命を主張する西岡棟梁が、各場面で涙の葛藤を繰り返したというようなお話を聞きました。 法隆寺は、日本書紀の天智天皇九年の条に、落雷で焼けた意味のことが書かれておりますし、同寺は失火で金堂の壁画を昭和二十四年一月二十六日に焼損しました。その一周年に寺の僧たちが何げなく上げたお経が文化庁を動かし、一月二十六日は文化財防火デーになったという話もあるようです。いずれにしても、誠に残念なことをしました。 そこで質問ですが、文化財の避雷針の設置、点検は、どのようになっているのでしょうか。そして、この再建の塔は、焼失前の図面がありました。それに忠実に再建され、既に三十五年経過していますが、この塔の文化財的価値はどのように評価されているのでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。 以上でひとまず私の壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答え申し上げます。 ご質問の前にご注意がありましたので、私も答弁の前に、その点について反論をさせていただきたいと思います。 平成十二年十二月議会答弁で、梶川県議が斑鳩バイパスについてのご質問がありまして、私は渋滞、事故の状況について答弁させていただきました。ただいま梶川議員からは、当時の答弁で知事は、国道二五号三室交差点が死傷事故率の多発交差点と発言されたが、それは事実じゃないので、発言に気をつけるようにというご趣旨のご注意だったと思いますが、私はその答弁の中で、死傷事故率の極めて高い交差点、例えば三室交差点でございますが、そういうのが存在し、というふうに申し上げました。それは事実でございます。死傷事故率が極めて高い。死傷事故率と申しますのは、交通量分の死傷事故の件数の割合でございますが、三室交差点のその事故率は、一億台キロメートルに対して三百六十件の事故率でございます。これは県内の直轄区間千四百五十九区間中、上位六十四番目に当たるわけでございます。国土交通省では、事故率が一億台キロメートル以上で百件ある区間を事故発生の高い区間と位置づけておりますが、当該区間はその三・六倍の事故率でございますので、三室交差点は死傷事故率が極めて高い交差点だということは事実でございますので、答弁に誤りはなかったことを改めて反論させていただきたいと思います。 質問にお答え申し上げます。東アジア地方政府会合及び日本と東アジアの未来を考える委員会についての、その意義、規模、またどのような議論を期待しているのかを伺いたいということでございます。 東アジア地方政府会合は、今に続く日本の歴史文化の多くが、古代からの東アジア諸国との交流によってもたらされたことに深い感謝の気持ちを込めて、平城遷都一三〇〇年記念事業の中核的取り組みの一つとして実施するものでございます。会合では、歴史的、地理的にも交流の深い日本、中国、韓国を中心とする東アジアの地方政府が、現況や課題を報告し合い、情報を相互に共有し、忌憚のない議論を展開したいと思っております。奈良県にゆかりのある中国の陝西省、河南省、江蘇省、西安市、洛陽市、揚州市、韓国の忠清南道、瑞山市、扶余郡、慶尚北道、慶州市など、日本も含めて全体で十七程度の地方政府による会合を開催したいと思っております。 先般初めて、中国、韓国の地方都市を直接訪問して、呼びかけを行いました。どのような反応があるか、心配しながらの訪問でございましたので、短期で訪問したということで、広く周知広報していなかったものでございますが、地方政府会合の趣旨についての賛同と、参加についての確約を初めていただくことができて、喜んでおります。二〇一〇年の本会合には、日・中・韓三カ国に加え、東南アジア諸国やインド等の地方政府にも参加を呼びかけ、二〇一一年以降も継続して開催していきたいと思っております。この会合は、住民の身近なところで行政サービスを提供するという特性を持った地方政府間の共通の課題について本音で語り合うことにより、相互理解が進むことを期待しております。また、地方政府同士の交流は、国家間の交流と異なり、ぶれが少なく、東アジアの国際関係の安定化に資するものと考えております。 次に、日本と東アジアの未来を考える委員会でございますが、これからの百年を見通して、日本や東アジアが目指すべき進路を構想する弥勒プロジェクトというものを推進する組織でございます。本年一月十五日、平山郁夫氏を委員長に、日本の各界を代表する約百名の方々をメンバーとして設立いたしました。政治、産業、科学技術、人と文化などの幅広い分野で現代社会の課題が論議され、その成果は、二〇一〇年開催の委員会の全体会合で平城京レポートとして採択、提案するほか、平城京レポートのエッセンスを再編集し、二〇一〇年秋の祝典における日本と東アジアの将来アジェンダとしての平城京宣言を提案することとしております。また、フォーラム、シンポジウムの開催、記念書籍の出版など、持続的な情報発信を行うことにしております。最近発刊いたしましたNARASIAという書物は、この一環としての事業でございます。 日本と東アジアの未来を考える委員会についてもう少し説明させていただきますと、平城京の時代は、当時のグローバルセンターであった大唐帝国の影響のもと、我が国は旧来の仕組みに大きな質的転換を加え、その後、今日まで及ぶ国家の基盤を形成したものと思われます。今日はまた、グローバリズムの潮流の中で、日本の国家のあらゆるシステムがどのような質的転換を行うべきかが問われているように思われます。平城京の時代から千三百年たった今、時代の先人の知恵とエネルギーを今に呼び起こし、これからの日本と東アジアが目指すべき進路を考えるときが来ているように思います。平城京遷都一三〇〇年の節目を契機に、これまでの歴史の変遷を振り返り、その知恵に学んで、国際社会と調和できる国家の新たな基軸、信望、発見、再構築する知的活動でございます。記念事業の三つのキーワードのうち、考えるの中心となる事業と考えております。 ハンセン病についてのご質問がございました。 ハンセン病は、戦前不治の病とされ、感染力が強いものと誤った認識をされたため、強制隔離、収容という大変厳しい措置がとられました。本県におきましても、昭和初期より、国の施策に基づき、ハンセン病を感染させるおそれがあるとして、療養所への強制入所を行っていたことは、誠に遺憾なことと思っております。本年四月一日に施行されたハンセン病問題の解決に関する法律により、ハンセン病患者の福祉の増進や名誉回復等のための措置を講じ、ハンセン病問題の解決がさらに促進されることになりました。大変喜ばしいことと考えております。 国におきましては、ことしから六月二十二日を名誉回復と追悼の日と定め、厚生労働大臣をはじめ全国の入園者の代表者等が出席し、社会復帰できないまま亡くなられた方々を追悼されました。私は昨年九月に、岡山県にあるハンセン病療養所、長島愛生園と邑久光明園を訪問いたしました。奈良県出身の方々とお会いし、話を伺いました。八十年近く園で生活されてきた方もおられました。十代で家族と離れて入園されたいきさつ、今だにわき上がる奈良への望郷の思いなど、話は尽きませんでした。これまでの長い期間の無念さを強く感じたところであり、入園者の方々とのふれあいやコミュニケーションの大切さを再認識いたしました。 本県では、昭和四十年から毎年、交流と社会復帰の一助となるよう、奈良県人会の方を対象に里帰り事業を実施しておりますが、既に平均年齢は八十歳を超えておられ、健康状態などの理由から奈良県に帰れない人もおられるという話も伺いました。このため、故郷を思い出していただくために、私からは、県内の特産品を贈らせていただくことにいたしました。これはこれからも続けていきたいと思います。今後、このような不幸なことを二度と起こさないよう、本県の諸施策を遂行する上で重要な教訓として生かしてまいりたいと思います。 また、平城遷都一三〇〇年祭が開催されております来年におきまして、六月二十二日ごろ県人会の方々をお迎えして、本県でもハンセン病であった方の名誉回復と追悼を行いたいと考えております。 循環型社会の構築についてのご質問がございまして、現時点での成果と課題についてのご質問でございます。 まず、現時点の成果につきましてでございますが、環境負荷の少ない持続可能な社会を実現するため、我が県では平成十五年三月に、県民、事業者、行政の連携で、ごみゼロ奈良へ挑戦という題を目標といたします奈良県循環型社会構築構想を策定し、これに基づいて施策を推進しております。 その推進状況でございますが、家庭やオフィス、飲食店等から排出される一般廃棄物につきましては、分別収集の普及やごみ処理の有料化等により、平成十三年度から十七年度の五年間で年間の総排出量が二万四千トンの減少、率にして四・二%の減少がありました。再資源化の指標となる年間にリサイクルされる量は四千トン増えまして、総排出量に占めるリサイクルの量は一・二%上昇いたしました。その結果、最終的に埋め立てられる処分量は四千トンの減となり、総排出量に占める割合でも〇・二%減少いたしました。瓦れき類や汚泥、廃プラスチック等、産業活動に伴って排出される産業廃棄物では、年間にリサイクルされる量が十八万八千トンの増加、総排出量に占める割合でも六%上昇いたしました。破砕や脱水等、中間処理による減量化が進み、最終的に埋め立てられる処分量は十八万四千トンから九万九千トン、総排出量に占める割合でも一二%から六%と、おおむねそれぞれ半減するなど、一定の成果を見ております。一方、産業廃棄物については、個々の業種の経済動向の影響を受けるものでございます関係で、平成十三年度から十七年度の五年間で年間の総排出量が十八万八千トン増加、一二・五%の増加が見られます。このような現象も見受けられますので、これは一つの課題だと認識しております。 循環型社会の構築で県等の公的機関の関与する処分場についてどう考えているのかというご質問がございました。 平成十四年度の奈良県産業廃棄物処理施設整備構想作成調査がありましたが、その調査によりますと、当時、本県における最終処分場の残余年数が約四年という見通しがなされました。そのような中で、民間と県との適切な役割分担のもとで設置するリサイクル施設や最終処分場の必要性及び施設等に関する技術動向について調査・検討が行われました。その後、産業廃棄物の最終処分量は、建設リサイクル法をはじめとする個別リサイクル法が整備されたこと、事業者の排出抑制にかかる努力や再生資源のリサイクルが進展したことにより減少いたしまして、県内の最終処分場の現時点での残余年数も十二年を超えているところでございます。また、広域的な公共関与事業である大阪湾フェニックス計画の受入れ期間も、平成二十二年度から平成三十三年度まで延長されるなど、最終処分場をめぐる環境は大きく変化をしております。 県といたしましては、平成三十四年度以降の新たなフェニックス計画の実現に向け、他の自治体と協議しながら要望をしているところでございます。県内の最終処分場の確保については、産業廃棄物の排出量や最終処分量等の実態を考慮し、今後とも中長期的課題として検討していくための情報収集に努めてまいりたいと考えております。 国の直轄事業負担金についてのご質問がございました。 昨日も他の議員からのご質問がございましたが、幹線道路の整備がおくれている本県にとっては、県単独での道路整備は大きな財政負担となりますので、県単独で道路整備のおくれを取り戻すことは困難でございます。少ない地方負担で道路整備が可能となる直轄事業は、奈良県の道路整備のため有効な制度と考えております。また、奈良県において実施されている直轄事業は、県が要望した、地域にとって真に必要な箇所において実施されているものであると認識しております。これらの箇所で実施される直轄事業では、工事費、用地費、測量設計費といった工事費関係及び関連した経費として、それに携わる職員の人件費や現場事務所の営繕費等が費用の内容であると聞いております。 地方負担として納得できる経費の内容かどうかにつきましては、当該経費が我が県で行われる直轄事業に直接かかわるものであるかどうかによるものと考えています。これらの経費の内訳や範囲が、不透明で十分説明のなかったのは事実であると思います。さらなる透明性の向上や地方の意見の反映を行うとともに、地方としてどこまで負担すべきかについてルールを明確にすることが重要であると思います。全国知事会からも申入れがございましたが、知事会と国との協議の中で整理が行われることを期待しております。地方の負担の範囲は地方によって異なるのは望ましくないと考えますので、国と地方の協議の中で統一的基準がつくられ、それに従った経費の内訳となっているかどうかの透明性が確保されるのが望ましいと考えております。県負担金の支払いは、そのような透明化され基準化されたルールの中で行っていきたいと考えます。 私に対する質問は以上でございました。 ○議長(川口正志) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えいたします。 私には二点でございまして、まず一点目は、下市町での事案を踏まえ、地域の学校で学びたいという障害児についてどのようにこたえていくのか、特別支援教育の理念を踏まえた基本的な考え方をということと、それから、地域における特別支援学級の設置状況、小学校、中学校、高校におけるハード面のバリアフリーの進め方はどうかのお尋ねでございます。 現在制度的には、学校教育法施行令が平成十四年度に改正され、障害の程度や就学環境など諸事情を市町村において総合的に考慮し、地域の小中学校へ就学させることが可能となりました。さらに、平成十九年度改正では、特別支援教育が制度化されるとともに、就学先の決定に際しては、教育や医療等の専門家に加えて、保護者の意見を聴取することを市町村教委に義務づけられており、基本的に、市町村はこの法令改正の趣旨を参酌して対応すべきことは言うまでもないところと考えます。なお、これらの法令改正の趣旨や一連の流れの方向は、障害のある児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ、さまざまな人々が活躍できる共生社会の形成を基礎としたものと認識しております。また、特別支援学級の今年度の状況は、小学校では千五百一人で五百九十一クラス、中学校では五百二十六人で二百四十三クラスとなっており、在籍者数も平成四年から増加し続けておりますが、このうち施設整備等の対応が必要な肢体不自由のある児童生徒は、小中学校で約六十名で、市町村で何らかの施設整備等の対応をしている状況でございます。 一方、学校におけるバリアフリーの状況としましては、スロープ、障害児用トイレ、エレベーターなど、身体に障害のある児童生徒の学習環境を整備する目的で、これまでからも各市町村において安全・安心な学校づくり交付金を活用しており、その内容は、バリアフリーを単独で行う場合は補助率三分の一、耐震補強とあわせて行う場合は、耐震化事業の有利な補助率が適用されることから、県教育委員会では従来より、市町村の事情に応じた国庫補助の活用を進めてきたところでございます。また、県立高校においては、補助制度はないものの、計画的にバリアフリー化を図るほか、身体の状況に合わせて自走式の階段昇降機を必要な学校に配備したり、施設の利用方法を工夫するなど、障害のある生徒に対応しているところでございます。 二点目は、法輪寺の三重塔にかかわりまして、文化財建造物の避雷針について定期的に点検されているのかどうか、また、再建された法輪寺の三重塔につきまして文化財的価値をどのように評価されているのかのお尋ねでございます。 本県の文化財建造物の大半は木造であり、文化財所有者と協力しながら、防火を主眼にした防災設備の整備を進めているところでございます。具体的には、自動火災報知設備、消火設備、避雷針の設置を所有者に働きかけ、技術的な支援を行うとともに、負担能力に応じた補助を行ってきたところでございます。避雷針をはじめとする防災設備は常に機能維持を図ることが重要であるため、所有者に対して定期的な点検を義務づけるとともに、点検等に要する費用の補助も行っているところでございます。 法輪寺三重塔は、明治三十年十二月に、法隆寺五重塔、法起寺三重塔とともに、特別保護建造物として指定されておりましたが、残念なことに落雷により焼失し、昭和五十年代に再建されました。この塔は、かつての名塔を忠実に再現したものと伺っており、名工とうたわれました宮大工が手がけたものであり、今後その文化財的価値が高まっていくものと認識しております。この再建された塔が、多くの人々の力添えを得て保存管理され、後世に伝わることを望んでおるところでございます。 以上でございます。 ○議長(川口正志) 四十三番梶川虔二議員。 ◆四十三番(梶川虔二) それぞれご答弁をいただきました。 まず、斑鳩バイパスの件では、知事のほうから反論いただきました。ここへ傍聴に来た人が特に知事の発言を指摘なさったわけですが、事故率というのを、きのう確かに職員さんが僕のところへ説明に来て、そんな難しいことを言われても、住民は事故率が一億キロメートル走って何ぼやらいうような数字を並べられて、言いながら、逆に警察のほうがつくったデータは事故件数で出ておるわけです。だから、事故率と事故件数という数字の間に、何か住民のほうに誤解があるようですけどというようなことを県の職員は言うておりましたが、これはここで抽象的にあんまりやり合いしても、おもしろくない。しかし、きょう僕は感じたのは、いきなりお互いに物を言い出して、ちょっと議会に緊張感があっておもしろいなと思いましたので、(笑声)またやりましょう。一応そういうことで、これ以上反論しませんが、住民は怒っておるということだけお伝えしておきます。 それで、障害児の件ですが、いずれにしても私は、さっき知事に、知事のインタビューのことも紹介しました。確かに仕組み上言えば、県に、あるいは県教育委員会にそんなにいろんな権限があるものではないと理解はしておりますけども、同時に、市町村がやっておることで、県は関係ないというようなことは言ってほしくないわけで、特にこれは教育の問題に限らず、福祉の問題でも、県や国は、案外やっておる福祉をぽんと切ってしまったりします。しかし、最先端でやられておる市町村というのは大変苦労しておるわけです。ですから僕は、一日市町村課長というようなことでも一回やって、市町村がどんな仕事しておるか、苦労しておるかというのを勉強されたらいいと思うんですが、いずれにしても、そういう知らん顔をしてほしくないということで、そういう意味で、福祉の学校づくり基金をしたらどうですかというような提案もしたんですが、それもあんまりやる気はなさそうでございます。 いずれにしても、先ほどの答弁を受けて、僕は、わかりやすいところで、教育長、あなたにもう一回答弁を聞きたいんですけど、以降、第二の下市中学校のような形、第二、第三のそういった学校を出さないという一つの決意を聞かせてほしいのと、それとあわせて文部科学省にも、統合教育をするように法改正をするような働きかけをやっぱり、県教育委員会なり全国の関係者会議の中でそういった要求もしてほしいと思うんですが、その点についてちょっとお聞かせ願いたいと思います。 それから、二〇一〇年の平城遷都一三〇〇年祭の関係の取り組みですが、これもいろいろ先ほど、ずっときのうから知事がご説明なさっておる中で、多少は理解できたわけですが、しかし、私が言いましたように、来年は韓国併合百年になるというようなことで、日本の憲法の中にも、名誉ある地位を占めたいというような言葉まで使われておるわけですが、そういう意味では、今度の会議が、そういったアジアで尊敬される国になり、同時にそういった名誉ある地位を占められるような国になるような、奈良県に荷が重いかわかりませんが、ぜひそういう取り組みになるような会議なり委員会なりにしてほしいと思います。 それから、ちょっと順序がいろいろあっちへ行ったりこっちへ行ったりしますが、法輪寺の件ですが、法輪寺の塔がどうこういうのではなしに、一般的に言って、例えばこの前、新聞でちょっと見たんですけど、登録文化財という名前があるようですが、こういうのは、ある程度年限を経たら来る、そういう登録文化財になる時代が来るという年限みたいなものがあるんでしょうか。 以上です。 ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) まず、事故件数、事故率等でございますが、議員のご趣旨は、住民にわかりやすくお互いに言わないかんというご趣旨が本質的にあるように思いましたので、その点については十分意を用いてせないかんというふうに改めて思っております。 それから、下市町のことでございますが、議員、大変ご賢察のことだと感じましたのは、町教育委員会の権限のことについて、実は記者会見で知事の所見と、こういう質問でございましたので、特に教育委員会の権限に属していることを、市という行政機関、あるいはさらに離れた県の行政機関がどのように発言できるのかということで、一瞬そういう点でためらったわけでございます。知らん顔という趣旨ではなかったわけでございますが、しかし、一般的な所見でも言えというご質問がありましたので、私は、今もそうでございますが、一般的なこういう扱いの所見としては、来られたいという方を普通の扱いで何とか来られるようにするのが一番いいんじゃないかというようなことを申し上げたわけでございます。 その点については、一部の記者の方からはよく理解されたというふうに思いましたが、要は、施設をもしつくって、あるいは県がつくってやったら、来られたというと、杞憂かもしれませんが、多分、あの子はああいう要求をして施設までつくらせて来たんだというような言われ方もしないとも限らないので、みんなが手を助けて、普通の助け合った中で障害児の方が学校に行く、生きていくという姿が、私個人としてはより望ましいというふうに思っておりましたので、ちょっと言い方はどのように理解されたか不透明なところはあったわけでございますが、普通の扱いをしてほしいという、そういう所見を述べた次第でございますので、むしろ知らん顔よりももっといろいろ、関心はあるというつもりでございますが、県の立場もやはり多少わきまえなきゃいけないとは思いますが、そのような方向で県の権限、責任でできることは、努めさせていただきたいというふうに思っております。 平城遷都一三〇〇年のお祭りにつきまして、なかなか、考えながらやってきた面もございますので、十分体系的に説明するのが大変おくれてきたように思いますが、だんだん形がまとまってきましたので、その点についてわかりやすく体系的に、これからはよりわかりやすく説明できるように思いますので、そのような意味でご質問いただき、答弁の機会があったことを感謝申し上げる次第でございます。 以上でございます。 ○議長(川口正志) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) 下市町の障害児の話につきましては、全く知事と同様の考えで、先ほど答弁させていただいたとおりでございます。 少なくとも私のところへ三月にはもう既にこの話が来ておりました。やはり話し合い、最終的には法令上は、また法令を持ち出しますけれども、これは市町村教育委員会が就学通知をその障害の程度に合わせまして、市町村教育委員会がまず県のほうへ通知をするという行為を受けましたら、県はいい、悪いじゃなくて、保護者へ、県立の中でどの学校がいいかということを通知しなければならないと、こういうふうになってございます。ですから、その前段で保護者の方々のご意見も聞かねばならないという義務化になってございますので、その段階の前に既に制度の法改正の趣旨、現行の制度はこうなっておる、これは下市町にもお話しもしていますし、もう私どもの学校教育課長なんかは何度も足を運んでいる状況でございまして、決してにわかに対応したということではございません。十分にやったんですけども、なかなかその辺の折り合いがつかなかったという、非常に残念なことだと思います。 もう一点は、文化財ですけれども、文化財の指定制度から登録制度というのが追加になりました。おおむね五十年を超える状況から登録の対象になってくるのかと、目安としてそのようなものがございます。 ○議長(川口正志) これをもって当局に対する代表質問を終わります。 しばらく休憩します。 △午後二時五十七分休憩    -------------------------------- △午後三時十四分再開 ○副議長(神田加津代) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、二十五番荻田義雄議員に発言を許します。--二十五番荻田義雄議員。(拍手) ◆二十五番(荻田義雄) (登壇)議長のお許しをいただきまして、理事者に対して数点の質問を通告いたしました。順序に従って質問していきたいと思います。 荒井知事が就任されて二カ年が過ぎ、知事が最も力を入れて取り組んでこられた施策に観光振興と企業誘致がございます。言うまでもなく、世界同時不況、また、それに追い打ちをかけるかのように世界的なインフルエンザ流行と、世の中は大変厳しい状況下にあります。知事としてみずから、海外に向け、さらに国内外問わずトップセールスとして励行され、日々努力をされておられることに、本当にご苦労さまでございます。 全国都道府県がともに、景気回復を図るため、財源確保に向けてそれぞれの取り組みをされているところでございます。一に行財政改革の断行、さらに企業誘致、立地、さらに観光振興等が主なものでございます。 まず、企業立地、企業誘致についてお尋ねをいたします。 本県では、知事就任以来、企業誘致・立地に取り組んでこられ、誘致合戦そのものが、全国どこの県にとっても、この合戦で大変な厳しい状況でございます。このような中、企業にとって魅力がないと立地は難しいと思います。そんな中にあって、奈良県では今日までどのような営業活動、さらには、企業からはどんな反応をいただいているのか、また、県経済の発展の隘路となっている工場用地を確保するためには、工業地域など工業系用途地域を前提とした市街化区域への編入を積極的に進めることが必要と思います。現在の取り組み状況はどうか、あわせて知事にお伺いをいたします。 次に、ホテル誘致であります。 知事は、観光振興の一環として、昨年度県営プールを廃止、撤去し、その跡地にホテルを誘致するための公募をされました。その結果、当初の募集では一提案があったものの、不採択となり、再募集では応募ゼロというような状況でございました。その後、県営プール跡地に隣接する奈良警察署を移転する計画が発表されました。大宮通りからの進入が可能となり、ホテル誘致の条件もよくなるものとして、奈良警察署の移転を決断されたものと思うわけであります。現下の状況で、ホテル誘致を推し進めることは厳しいものがあると存じます。ホテル誘致は、その後どのようになっているのか、また、今後の方針についてどのようにお考えなのか、さらに、県内においても、民間レベルでホテルの立地を進めていきたい、こんな企業に対しても、積極的に県として支援していくべきだと考えるわけでございますけれども、あわせて知事にお伺いをいたします。 次に、奈良警察署の移転先についてお伺いをいたします。 奈良警察署用地を含めた、ホテルを核としたまちづくり基本構想策定事業の調査費も、当初予算に計上されているところでございます。奈良警察署の新たな候補地は、奈良市大森町の奈良県農協会館の南隣に位置します県奈良総合庁舎であります。移転候補地にあっては、出入口が一方通行規制でわかりにくい場所でもございます。一方、現在の奈良警察署は大宮通りに面し、凶悪な事件や広域事件に対応するため、緊急性を要する立地条件としては最適のように思われます。また、奈良警察署は、十年余り前、三億七千万円を投じてリニューアルをしたところでございますし、今日でも奈良警察署に行ってみますと、まだまだ新しさを感じる署でございます。そうした中で知事さんは、老朽化していることや、耐震がなされていないことを理由に移転するとのことですが、現下の奈良県における県内での警察署の中には、生駒警察署など、今にも手を加えなくてはならない署がほかにもあると思います。そこで、総合的に考えてみると、住民の利便性や一般来訪者にとって不便であること、また、一方通行では交通に支障が生じるなど、県民の安全・安心、緊急時の初動体制から見ても、移転先としては、現在の奈良警察署より立地条件で劣ると考えますが、知事さんのお考えをお聞かせください。 次に、医療を支える人材の育成、養成についてお伺いをいたします。緊急医療の事例を紹介しながら質問をしていきたいと思います。 県民の皆様方に大きな不安を与えた妊産婦の搬送事案をはじめ、二度とあってはならない事案に対して、命のとうとさを教訓に医療体制の充実に向けて、奈良県では荒井知事を先頭に対策に取り組んでこられたところでございます。ところが、そんな中にあって、三月に生駒市内で救急患者のたらい回しが起きるなど、依然として救急医療にかかわるさまざまな問題が起こっています。この原因として、多くの救急病院での医師が一人で当直をしているなど、当直体制が脆弱であること、勤務時間が長いなど、救急医療現場の勤務環境が過酷であるため、救急を目指す人材が不足をしていることなどが考えられます。病院を、医師や看護師等の医療スタッフが働きやすい職場環境へ変えていくことが必要と考えます。 また、この点につきまして取り組んでおります事例についてご紹介をしたいと思います。沖縄県の医療拠点で、病床数五百五十床を有する沖縄県立中部病院では、軽症から重症までの患者さんを受け入れるER方式の救命救急センターを運営し、救急医療の最後のとりでとして、たらい回しのない救急医療を支えています。そんな中で注目すべきだと考えますのが、過酷な医療現場であるにもかかわらず、この病院に多くの若手医師が全国から集まってきていることでございます。このことは報道番組でも紹介をされました。そして、沖縄県立中部病院の院長さんが書かれた論文をも拝見いたしました。その中で、救急現場を支えるには若い力が必要であること、若手医師にとっても、救急はすべての症例が集まる医療現場であることから、そこでの経験はキャリアアップに不可欠であること、この二つの要素が結びついて若い医師が集まり、病院としての発展があったということが、院長から述べられています。 そこで、健康安全局長にお尋ねをいたします。奈良県では、救急をはじめとした県民の期待を担う医療を支える人材として、若い医師を引きつけ、さらに養成していくために、どのような取り組みを進めておられるのか、お聞きしたいと思います。 次に、農業問題についてであります。 国では、専業農家などに集中して支援をすることを推し進められるとともに、減反政策の見直しをも議論されている昨今であります。以前にも取り上げましたが、耕作放棄地が、本県では二千十ヘクタールに及んでいるようです。耕作放棄地の解消のための手段としては、国の事業でございます農地・水・環境保全向上対策は、私が感じるのには、有効な手段ではないかと思います。さらに、宮崎県では、農地創出コーディネーターの指導のもとに、酪農家によるレモングラスというハーブの一種を飼料としてつくる取り組みもされているところでございます。 そこで、農地・水・環境保全向上対策は、平成二十三年度までの実施とされています。ぜひ、平成二十四年度以降も本制度が継続されますよう、国に対して強く要望するものでございます。 次に、農業担い手対策についてでございますが、担い手の確保は、魅力ある農業経営とともに、安定した収益が得られて初めて若者が就農するものと思います。県はこれまでどのような担い手対策を講じられてきたのか、農林部長にお伺いをいたします。 また、JA奈良県が、一県一JAに組織をされて、十年余り経過いたしました。農家は、営農指導、購買に力を注いでいただけるものと大変期待をしておりました。しかし、合併以来、支店の統廃合や、JAが安定経営をするための共済・金融に重点を置いているように思われます。JAと農家というものは表裏一体でございます。この時期にこそ、原点に立ち返って、販売や営農に特色ある集落営農や、地域の農業指導にもっと目を向けてほしいものでございます。そこで、県、市町村、JAなどが、地産地消を図るため、都市近郊地域において新鮮な農作物を販売する大型直売所を設置すべきと考えます。農林部長の考えをお聞かせください。 次に、道路問題についてでございます。 まず、大和中央道についてでございます。 大和中央道は、県の南北を貫く基軸であるとともに、大和郡山市内では、西名阪自動車道にスマートインターチェンジの整備も予定をされています。また、奈良市六条町の未整備区間には、住宅公社が良好な住宅を提供すべく、用地を既に取得されています。県は、この大和中央道の未整備区間についてどのように対応していくお考えなのか、知事にお尋ねをいたします。 また、大和中央道の未整備区間にある住宅公社用地について、どのように活用されようとしているのか、これまでの取り組みと今後の方針について、知事にお伺いをします。 次に、国道三〇八号大宮通りについてでございます。 現在、阪奈道路菅原工区について高架化が進められています。四月二十七日から尼ヶ辻から大阪方面への高架部一車線が供用開始をされたところでございます。当時、高架化についての地元説明会でも、土木部としては高架から第二阪奈有料道路へ接続することができるというようなご答弁でございました。しかしながら現在、高架から第二阪奈有料道路へは進入ができません。また、菅原工区から二条大路南五丁目交差点まで、その間三つの信号機がございます。大阪側から高架を利用され、近鉄橿原線を越えた地点から交通渋滞するのではないかと危惧しています。このような道路整備のあり方について、知事のご所見をお聞かせください。 以上、壇上からの質問を終わります。(拍手) ○副議長(神田加津代) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二十五番荻田議員の質問にお答えさせていただきます。 企業立地・誘致についてのご質問が二つございました。 まず、企業誘致について、これまでどのような営業活動を行い、どのような反応かというご質問でございました。 企業立地・誘致を熱心にはしてまいりましたが、企業立地のためには、行政の熱心さと企業とのコミュニケーションの強化が重要な要素であると思ってまいりました。企業立地推進課を中心に、積極的な企業訪問を行ってまいりました。平成十九年度からの約二年間で、私自身のトップセールスも含め、企業との相談対応件数は延べ千回を超えております。 昨年、経済情勢が悪化し始めましたため、最近は、高い技術を持つ元気な企業を中心に、企業訪問を実施しております。例えば具体的に、東京ビッグサイトで開催された国際太陽電池展や、インテックス大阪で開催された中小企業総合展等に出展している企業等との面談を積極的に実施し、本県の魅力や支援制度をPRしてきております。現状の反応でございますが、企業の投資意欲は落ち込んでおりまして、なかなか具体的な投資計画を聞き出すことは難しい状況でございます。また、企業訪問時の反応といたしまして、奈良県は道路環境がよくないとか、規制が多いイメージがあるといった話も聞かされることがございます。しかし一方で、奈良県は徐々に道路環境がよくなっているとか、支援制度が充実してきたといった評価も聞き始めております。この二年間で、奈良県に初めて進出したという企業は増加傾向にございます。平成十九年における本県の総立地件数二十六件のうち八件、平成二十年においては、二十六件中十件が本県に初めて進出した企業でございます。これら初進出企業が本県に立地した理由については、本社に近いこと、地価が安いこと、高速道路を利用できることなどでございました。 企業を取り巻く環境は依然として厳しいものでございますし、他府県との立地競争はさらに激化している状況でございますが、県内企業の活性化も図りつつ、奈良らしい立地環境の整備に努め、これら奈良の魅力を内外にPRし、今後とも、雇用や財源の確保につながる優良企業の立地を積極的に進めてまいりたいと思っております。 企業立地・誘致についてのご質問が、さらにございました。 議員の言葉の中に、県経済の発展の隘路となっている工場用地を確保すべきだとか、工業系用途地域を前提とした市街化区域への編入を図るべきだとかいったご指摘は、企業立地・誘致を図るための最も重要なキーワードと考えてきましたので、その点のご指摘があったことについて感心いたした次第でございます。 市街化区域と市街化調整区域の区分、いわゆる都市計画の線引きの見直しを現在しておりますが、現在の取り組み状況についてでございますが、平成二十二年度末完了を目途に作業を進めているところでございます。今回の見直しでは、企業立地の推進による県経済活性化のため、インターチェンジ周辺等の工場・流通業務に適する土地を中心に市街化区域に編入し、工業用地等を拡大していく方針でございます。 現在、市町村から提出された案について、都市計画変更の必要性、妥当性を検証するとともに、必要に応じて市町村と協議をしております。一方、市町村では地権者の合意形成等に努めていただいておりますが、整備手法の問題や市街化区域編入等に伴って農地の固定資産税等の増加などが原因で、円滑に合意形成が図れていない地域もあるといったのが実情でございます。このため、県と関係市町村は、課題解決方法を模索するための会議を開催し、情報交換や意見交換等を行っているところでございます。引き続き、県と市町村が協力して市街化区域編入に当たっての課題解消に努め、できる限り早期に県素案を作成した上で、国などの関係機関との調整など諸手続を進めていきたいと考えております。 次に、県営プール跡地へのホテル誘致について、三点ほどのご質問がございました。 県営プール跡地へのホテル誘致については、引き続き個別交渉型の誘致活動を展開しております。まず、その後どうなっているかという点でございますが、観光資源の豊富な奈良県へのホテル立地に強い関心を持ち、問い合わせをいただいている事業者も現在おられますが、不動産への投資環境は依然厳しく、特に新規開発への企業マインドは非常に慎重でございまして、残念ながら、現在のところ、ホテル立地に特段の目立った動きはない状況でございます。 今般、奈良警察署の移転・建替えを機に、県営プール跡地と奈良警察署用地の一帯を、平城宮跡から奈良公園に至る新たな観光軸の中心として、ホテルを核とした魅力あるまちづくりを進めていけたらと考えております。ホテルと相乗効果を発揮する土地利用を誘導するため、例えば、良質な飲食店などの商業施設や、やすらぎとにぎわいを創出する広場など、県としての方向性を打ち出すための検討を幅広く行っているところでございます。厳しい経済情勢ではございますが、このような長期的、大局的な観点から、さまざまな可能性を考慮しつつ、引き続き県営プール跡地へのホテル誘致に取り組んでまいる所存でございます。 次に、議員お述べの、民間企業の方々による宿泊施設の立地に関する支援についてでございますが、県内宿泊施設の施設数、客室数が全国に比べて非常に少ない実態から、このような支援は重要と認識しております。県内各地に多くの文化財や観光資源が存在している本県にとりまして、地域の特性を生かし、多様化する宿泊ニーズにこたえる宿泊施設の充実を図ることは、日帰りと宿泊施設の経済効果が極端に違いますので、経済の活性化、雇用の創出という観点からも重要でございます。民間企業が進める宿泊施設の立地や整備に対しても、県として積極的にサポートしていきたいと考えております。 例えば、宿泊施設の創業や経営革新を図る事業者に対して、設備投資に対する融資制度をはじめ、経営アドバイス、県税の特例による事業税、不動産取得税の軽減措置などの支援を展開しております。また、宿泊施設の立地に意欲のある事業者に対して、地域の立地環境などの情報提供、事業者、地域、市町村とのマッチングのサポート、課題解決のための取り組み支援など、円滑な宿泊施設の立地に向けた取り組みを引き続き努めてまいりたいと思います。 また、本県のホテルの容量は全国最低の水準でございますが、観光地としての奈良の特徴を見ますと、冬場の需要が少ない、夜の散歩、買物、食事をする場が少ないなどの現実が、ホテルの経営をより困難にしている面があると思われます。マラソンや冬の燈花会など、冬のイベントの充実、冬のコンベンション、演奏会などの開催、奈良の食の充実、夜に散歩をしたり見物したりする場所の創設など、観光地として常備すべきハード、ソフトの充実を、県が率先して図っていきたいと考えております。 関連で、奈良警察署の移転先についてのご質問がございました。 現在の奈良警察署は、築後四十年を経過し、耐震性もない建物でございまして、今後における施設機能の拡充の必要性も考えると、建替えが望ましい施設でございます。建替えを現敷地内で行おうとすると、工事期間中における業務への支障や来庁者にご不便をかけることもあり、移転による建替えを模索いたしました。奈良警察署の移転先としている奈良総合庁舎の敷地は、庁舎系施設の再配置計画の検討の中で、跡地として活用する余地が出てきたものでございます。JR奈良駅にも近いなど利便性も高く、大森高畑線、木津横田線など近隣の道路拡幅整備などにより、今後道路アクセスも一層向上する見込みでございます。現在の奈良警察署と同等の機動性の確保は可能であることから、奈良警察署の移転先として適地と判断いたしました。 一方、現在の奈良警察署の敷地については、前問でご答弁いたしましたように、県営プール跡地との一体的な活用が望ましいと思います。県有資産の有効活用の観点から、奈良警察署を大森町のほうへ移転することにしたものでございます。 続きまして、道路問題についてのご質問が三問ございました。 大和中央道の質問がまずございました。大和中央道の未整備区間への今後の対応ということでございます。 大和中央道は、昭和四十一年に四車線で都市計画決定された幹線道路でございますが、大宮通り以南の約二・五キロメートルが未着手でございます。道路には、広域な交通を担う幹線道路としての機能と、住宅地や病院へのアクセスなど地域の生活を支える機能とがございますが、大和中央道は幹線道路として計画されたものでございます。現在、大和中央道の西側を南北に走る枚方大和郡山線が四車線の幹線道路として整備が進む一方、大和中央道の東側を走る高規格幹線道路の大和北道路がことし三月には事業化されるなど、広域的に見ますと、広域的な幹線道路としての大和中央道を取り巻く環境は、都市計画決定がされた二十五年ほど前、四半世紀前の当時から大きく変化してきている実情にございます。すなわち、計画された大和中央道の西側に四車線道路の整備が進み、東側に同じく四車線道路の整備が間近になっている状況でございます。 一方、国におきまして、最近のことでございますが、将来交通量推計の見直しが行われました。平成四十二年に当たります二〇三〇年の全国の交通量は、平成十四年に行った前回推計に比べ、約一三%下方修正されました。また、二〇〇五年、平成十七年の実績に比べても、二・六%減少するという推計結果が公表されました。また、国では、新たな交通量推計に基づき、事業中箇所のB/C、費用対効果の見直しや、道路計画におけるネットワーク構造規格の見直しなど、ネットワークの整備方針を再検討するといった動きがございまして、そのような動きが大きな潮流となってきている実情にございます。本県におきましても、全県的に将来交通量の見直しを進めておりまして、ご指摘の大和中央道の広域的な幹線道路としての必要性につきましては、県内の将来交通量の見直しの結果を踏まえて、この夏には整理をして考えたいと思っているところでございます。 道路問題で、大和中央道関連につきまして、未整備区間に住宅供給公社用地がございますが、どのように活用するのかというお問い合わせがございました。 奈良県住宅供給公社が所有しております奈良市七条西町及び石木町内の主に山林の土地約十・七ヘクタールがございますが、これは平成二年度から平成八年度において宅地造成用地とする計画で用地買収を行ったものでございます。しかしながら、人口減少による住宅需要の低下、地価の下落など、住宅開発を取り巻く環境が著しく変化し、採算性に懸念が生じ、住宅開発計画を平成十年一月に一時中断してきております。その後、経済状況等を見据えて事業再開の機会をうかがってきたわけでございますが、経済状況の悪化や地価の下落がとどまらない状況でございます上、県内人口の流出もあり、今日まで事業再開に至っていない状況でございます。今後のことでございますが、経済状況や人口減少による住宅及び住宅用地の需要実態や採算性を見きわめ、あわせて地元行政機関等の開発計画などの動向の把握を行い、住宅開発を行うのか、住宅開発以外の活用などの有効開発を図るのかなどについて、検討してまいりたいと考えております。 最後に、道路問題につきまして、高架化が進められています国道三〇八号大宮道路宝来地区の道路のアクセス、接続の状況についてのご質問がございました。 大宮道路と第二阪奈有料道路との接続の問題でございますが、これは昭和六十一年の都市計画決定時において、大宮道路の高架部と平面の一般部とが一たん合流し、その後に生駒行きと第二阪奈ランプに分流する現在の構造の計画となったものでございます。その際、分合流部、合流して分流するといった部分につきましては道路が重なるわけでございますが、道路構造令を踏まえて、交差するために必要となる延長を満たしていると判断が当時されまして、大宮道路の高架部から第二阪奈ランプへの直接乗り入れが可能と、当時は考えていたということがわかっております。その後、首都高速道路等における同様の分合流部において事故が多発していることから、通行形態を再検討した結果、安全性を最優先し、大宮道路の高架部から第二阪奈ランプへの直接乗り入れを制限する形態で、去る四月二十七日に大阪行き高架部の一車線を暫定供用したところでございます。その結果、この高架部から第二阪奈ランプへの直接乗り入れは制限されておりますが、その後の交通流の様子を見てみますと、高架部一車線増加をいたしましたので、大阪行き平面道路の一部では休日の渋滞が緩和され、地上部になりますが、円滑な交通が確保されている状況でございます。 今後、四車線の完成供用を目指し事業を進めるわけでございますが、利用者の方々にご不便をおかけしております大宮道路の高架部から第二阪奈ランプへの直接乗り入れの制限をどうするかということにつきましては、その当該場所の構造の改善に向けて、地域住民や警察とご相談しつつ、取り組んでまいりたいと考えております。 また、同じ大宮道路の東のほうの部分でございますが、議員ご指摘の大宮道路東側の信号機について、三基連続しておりますが、これらの信号は連動して制御されております。さらに、並行する三条道路が現在の二車線から四車線に拡幅されることになりますので、大宮道路と三条道路の両方に交通が分離され、交通渋滞の解消が相当図られるものと考えております。今後とも、警察と連携し、大宮道路や三条道路の案内誘導を工夫し、合計で八車線化されるこの区間の交通の円滑化を図り、利用者の方々が安全かつ円滑に通行できるよう努力してまいりたいと考えております。 私に対する質問は以上でございました。ありがとうございました。 ○副議長(神田加津代) 武末健康安全局長。 ◎健康安全局長(武末文男) (登壇)二十五番荻田議員の私に対するご質問で、医療の人材の確保・養成についてでございまして、県では、救急をはじめとした県民の期待を担う医療を支える人材について、若い医師を引きつけ、さらに養成していくために、どのような取り組みを進めていくのかというご質問でございました。 通常、医師は、医科大学を卒業しました後、臨床研修の二年間でいろいろな診療科を経験し、その後、将来の専門にしたい診療科で三から五年間の専門研修を行っているということでございます。この時期の若い医師は、将来医師としてひとり立ちをするための技術や知識を身につけるために、よい指導やさまざまな症例、数多くの経験をできる病院を選択する傾向が顕著でございます。このことから、医師を確保するためには、議員お述べのとおり、若い医師を引きつけ、養成していく取り組みが、まず大事だというふうに認識しております。 県では、本年度新たに、県が研修病院と連携して、魅力のある研修プログラムの策定や、医学生向けの情報発信等に取り組んでいるところでございます。具体的には、これらの取り組みを進める母体となる、仮称でございますが、奈良県臨床研修連絡協議会を設置するため、県内の臨床研修病院のプログラム責任者等による準備会を開催するとともに、七月二十六日に医学生向けの臨床研修病院の合同説明会を開催する予定としております。また、八月初旬には、臨床研修情報を発信するポータルサイトの開設、さらには十一月下旬には、県内病院で研修を行っている研修医が一堂に会しまして、日ごろの成果の発表や交流を行う研修医の集いの開催等、そのほか、また県立病院においても専門研修医向けの研修プログラムの充実や定員の増、さらには処遇の改善等を行うこととしております。このような取り組みにより、全国から研修医を招聘してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(神田加津代) 浅井農林部長。 ◎農林部長(浅井眞人) (登壇)二十五番荻田議員のご質問にお答えいたします。 農業問題につきまして二点お尋ねでございます。 まず一点目でございます。魅力ある農業経営とともに安定した収益が得られて初めて若者が就農するものと考えるが、県はこれまでどのような担い手対策を行ってきたのかというご質問でございます。 担い手対策につきましては、安定した収入を得て継続的な経営が成り立つ農業を推進することが大切と思料しております。そのためには、収益増加と費用削減を図ることを視野に入れながら、生産、販売、経営の各方面での支援を行うことが必要と考えております。 このため、これまで、生産面におきましては高付加価値化への取り組みとして、抹茶原料の生産、イチゴ等の新品種開発、新品目導入としましてサクランボ、ブルーベリー等を推進してきたところでございます。販売面におきましては、奈良の柿、大和茶の首都圏での販売促進や、県と協働協定を締結しました農産物直売所への支援を実施しているところでございます。また、経営面におきましては、制度資金等の活用を含め、意欲的な担い手に重点的に経営指導を実施し、さらに、高度な経営を目指す担い手には、法人化への取り組みを指導してきたところでございます。また、人材確保として、平成十八年度に農業大学校の全寮二年制を一年で終了する三課程に改編し、幅広い就農希望者の要望に対応してきたところでございます。 加えて本年度は、新規農業参入希望者を広く募集し、意欲ある農業者のもとでの産地実践研修と就農支援に取り組んでいく予定でございます。また、農産物の価格が低迷しているため、意欲的な産地に販売、流通等の専門家を派遣し、所得向上策について生産者とともに検討する考えでございます。これらを円滑に進めるため、農林振興事務所が中心となり、市町村、JA奈良県などと担い手支援チームを結成して、農業者への支援を実施することとしております。しかしながら、農業を取り巻く状況は依然として厳しく、これまでの取り組みも必ずしも十分とは言えないことから、担い手の実態と意向を把握するための調査を行い、担い手対策の方向性を探り、的確で効率的な支援に取り組んでいくこととしております。 農業問題につきまして二点目でございます。県、市町村、JAなどが、地産地消を図るため、都市近郊地域において新鮮な農作物を販売する大型直売所を設置すべきと考えるがどうかというお尋ねでございます。 農産物直売所は現在、県内百十カ所で、市町村、JA、生産者による組合等により運営されており、新鮮で安全・安心な県産農産物の地産地消を推進するとともに、地域の農業を活性化する拠点として、地域振興を図る上で大変重要と認識しております。このような農産物直売所の活性化を図るため、県では本年一月二十一日に、地域活性化に意欲がある十九カ所の農産物直売所と協働協定を締結し、そのネットワークブランド名を地の味土の香と名づけ、ブランド確立に向けて重点的に支援を行っているところであります。この中には、市町村が整備した八カ所、JAが設置、運営する六カ所の農産物直売所も参加していただいているところであります。 あわせて、こうした取り組みを行いながら、新規直売所の開設に向けても、庁内プロジェクト会議を設置し、促進に努めているところでありますが、都市近郊での大型の農産物直売所を設置することも重要と考えており、今後、候補地、運営主体、農産物供給体制や事業手法などにつきまして、市町村、JA等と連携、調整しながら検討を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(神田加津代) 二十五番荻田義雄議員。 ◆二十五番(荻田義雄) 私から、自席から二問目、質問させていただきたいと思います。 今、知事さんをはじめ理事者の方々からご答弁をいただきました。順序に従って質問してまいりたいと思います。 知事さんからいろいろとお話を聞かせていただく中で、特に企業誘致に関しては、随分トップセールスでご努力をいただいているんだなあという思いを持っています。しかしながら、今の経済の動向から見まして、大変な状況下であることは事実であります。 私もこの間ちょうど、長野県の村井知事さんのところでちょっとお話をしておりますと、やっぱり長野県の周辺というのは、いわば企業立地、それから誘致については、静岡県が全国で一番だそうです。特に静岡、群馬、愛知、この両翼の間に挟まって大変誘致に苦労している、こういうお話を聞かせていただきました。そんな中において、やはりこの企業誘致をしていくための体制、組織、もう奈良県と長野県では随分違います。もちろん、経営支援課というのが長野県にございまして、東京事務所では誘致担当四名、そのうち市町村職員三名、立地推進課二名が嘱託とか、あるいは名古屋事務所、大阪事務所、さらには、長野県内での産業立地推進委員という二十九名を擁して、そして企業誘致に取り組んでいるところでございます。そんな中にあって特に、企業誘致については、奈良県に企業を誘致したい、魅力があるから行きたいんだ、利益を生むんだという中にやっぱり企業としての立地の利点、これはやっぱり高速道路のインターチェンジに近いこと、交通の利便性、さらには地価が安いこと、自然環境に恵まれていること、さらに、いい人材が採れること、これはまず東京本社、次いで名古屋本社、大阪本社だそうであります。だから、こういう意味では本当に奈良県は苦労をしているということが言えるかな、このように思うところでございます。それから、長野県の場合は、精密機器や次世代の自動車、あるいはロボットや医療機器、そういったものが非常に、研究所なども多うございますし、この地はやっぱり水が豊富、水資源が豊富であるというようなことも言われています。 こういった中で、この大和中央道でのちょうど昭和工業団地に隣接します西名阪自動車道において、スマートインターチェンジができるというのは、非常に知事さん、一生懸命に取り組んでいただいているんだろうと思います。長野県ではもう既に、スマートインターチェンジは三カ所あったように思います。そういったいろんな企業立地・誘致をする際に、いろんな都道府県のそれぞれの利点や、あるいはまた欠点なども参考にされて、さらにやっぱり企業誘致がしやすいような環境づくりをぜひひとつ今後も取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。 それから次に、ホテル誘致にかかわってでございますが、なるほど、もう県営プールの跡地、私にとってはやっぱり、お年寄りや子どもたち、そして勤労者にとって、温水プールなどは本当に奈良市内でも利用客が多かったんです。それだけに、ホテルが見えないものですから、寂しい思いはするわけです。で、殊更に、ホテル誘致ができ得なかったから、今度は大宮通りを拡幅して、大きな大通りから入れる、あるいはホテルが誘致しやすいような環境づくりをしようということになったのではないかというふうに思うわけですが、知事としては、奈良警察署をその場所で建替えをするとなれば、非常に建替えをするのが難しい、その場所での建替えが容易に進まない、だから移転するんだと。このことについては、警察本部も十分周知をされていることだろうと思いますが、ともあれ、その新たな場所に行っても、やっぱり進入路そのものが一方通行規制になっています。どういう形で整備をされるのか、その付近住民の皆さん方や、あるいはまた住民の皆さん方が警察署を利用しやすいような形態づくり、これをやはり今から真剣に取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。 次に、若い医師の人材確保になります。 救急医療体制というのは本当に、病気、病魔というのは恐らく夜間に集中をするのが多いようです。こういった中で、救急医療体制は、せっかく県立医科大学があるのでございますから、それをひとつ活用をしていただいて、若い医師が率先して救急医、あるいはまた救急医療態勢に取り組んでいただけるような、そんな医師を育てていただきたい、このように思うわけであります。 それから、国道三〇八号にかんがみてですけれども、一つは、高架橋のこの問題で随分調停までして、請願まで出てやった問題の道路でございます。しかし、できてきますと、尼ヶ辻から大阪方面へ第二阪奈有料道路にダイレクトに上っていけないとか、いろんなものが今出てきているわけですが、やっぱり一番この道路形態でよろしくないのは、一たん第二阪奈有料道路から平面におりてくるというのが問題でございます。第二阪奈有料道路から一気にダイレクトにやはり菅原工区を越して、そしてさらに、やっぱり二条大路五丁目の交差点、これをも高架で越えていくのが、私は本来の姿ではないかな、このように思うわけですし、この前も、柿本知事さん当時は、これでいろいろと論議したわけでございます。こういった状況をもとにしながら、ひとつ今後もそういった、今の道路の形態がいいのか悪いのか、そして改善すべきところはどこにあるのか、もう一度ひとつ知事さんのほうからご答弁をいただきたいと思います。 以上です。 ○副議長(神田加津代) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 特に四つの点について貴重なご示唆をいただきました。 よくいろんなところの情報をとってきていただいておりますので、私にとりましても新規の情報もございますし、ありがたいことだと思いました。特に長野県の様子というのは、今他県の様子を勉強し始めております。内陸地ということで、山梨と岐阜に注目して勉強を始めておりました。山梨も岐阜も、長野は随分早くから企業立地が進んだ地域だと思いますが、山梨のようなものはむしろ最近でございます、それより後でございますが、それでも中央自動車道ができた、もう何十年も前でございます。奈良よりもはるか先を行っておられますが、条件の中でやはりキーワードは、高速道路が少ないというようなことが大きいように思いました。高速道路がやっと整備されるこの時期に、高速道路のインターチェンジを利用した企業立地環境の整備と、それは地価、あるいは環境にも影響いたしますが、それとあわせて人材ということを、奈良は人材が流出している県でございますので、大学と産業との関係等、基本的な根本的なことから奈良は考えないかん課題もあろうかというふうに思いました。情報の中にいろんな示唆があるように思いました。 それから、ホテルのこともそうでございますが、医師の県立医科大学の活用、それから医療機関の整備等も、救急のみならず大事なことかと思います。 それと、国道三〇八号の今後の、構造も含めた改善の仕方というのは、いろいろ議論があろうかと思いますが、特に議員がご指摘になりました場所を中心に、第二阪奈有料道路への接続点のあり方というのは、やはりまだ課題が残っておると思いますので、改善がどのようにできるかということをさらに真剣に考えたいと思います。そこから東のほうにつきましては、平城京の南側を渡るという、また別の課題もありますので、これについては平城京の近鉄の問題をどうするかという課題も別途抱えておりますので、それと西大寺周辺がどうなるのかという課題もありますので、これは北和の交通体系にとりまして大変大きな課題でございますので、むしろ広く考える中での国道三〇八号大宮通り、三条通りの奈良市の東西に走る道路のあり方ということも含めて考えていきたいというふうに思いました。いろんなご示唆を含んでおるように思いますので、その答弁という形にはならない面があったかと思いますが、今後勉強を深めていきたいと思います。 ○副議長(神田加津代) 荻田義雄議員。 ◆二十五番(荻田義雄) 今、知事さんからご答弁いただいたんですが、知事さん、この二年間、大きくはやっぱり平城遷都一三〇〇年記念事業に向けて国営公園化をされた。そして、そういった中で事業を縮小しながら、やはり平城遷都一三〇〇年事業をしっかり頑張っていきたいという思いをしていただきました。さらには、よく話題になりましたマスコットキャラクター、せんとくん、非常にいろんなテレビでも報道でも、さらにいろんなところで話題をつくり上げていただけた、これは非常に知事さんがやっぱり先見の明があったのではないか、このように思うわけですが、しかし、そういった方向はいいものの、ホテル誘致、さらには代官山iスタジオの売却問題なども、いろんな形で一挙に、知事さんの思いとは逆の方向に、そういったところもあるように見受けられます。今後も、県政の課題は、やっぱり県民の皆さんとともに歩んでこそ、あるわけでございますので、そういった常にやっぱり県民の皆様方の目線に立脚をして、さらなる県政運営をされますようご期待をしております。 以上です。終わります。 ○副議長(神田加津代) 議事の都合により、会議時間を午後六時まで延長します。 次に、七番尾崎充典議員に発言を許します。--七番尾崎充典議員。(拍手) ◆七番(尾崎充典) (登壇)では、議長の許しを得ましたので、私自身通算四度目の一般質問を行います。 まず、男女共同参画から見た活力ある奈良県づくりについてお伺いいたします。 男女共同参画社会が進み、女性の社会進出が進めば少子化が加速するとの迷信を信じている人は、もういないと思われます。それは県の指標を見ても明らかで、奈良県の女性の就業率は全国最下位ですが、合計特殊出生率は一・二二で、全国ワースト三位です。全国平均が改善方向にあるにもかかわらず、近畿で唯一横ばいの状況です。逆に、女性の社会進出意欲が子どもを産み育てる意欲につながると言えるかもしれません。奈良県は、女性力をうまく生かすことなく、今の経済状況を維持しているのですから、せめて全国平均並みに生かす工夫さえすれば、まだまだ伸びしろがあると私は考えています。 最近、女性経済学が注目されています。労働力の消費の担い手としての女性が、これからの経済を牽引するという考え方です。この考え方を参考に、女性の社会進出が本県経済に及ぼす影響という視点からお話を進めさせていただきます。 まず、労働力の担い手の部分ですが、女性が働けば一人当たりの県民所得が上がり、奈良県経済が元気になります。今は大不況で雇用の調整が進んでいますが、大きな流れでは、今後労働力人口が減り、女性力は不可欠となります。現状では、特に能力の高い女性の力の無駄遣いは顕著で、子育て中、または終えて職場に復帰する率が低く、そのエネルギーを子どもの受験などに使う傾向が見られます。この最大の原因は、フルタイムが基本となる働き方の問題で、ワークライフバランスを奈良県がうまく取り入れることで解決することができます。すべての職場とは言いませんが、残業するのは当たり前、夜の九時以降に帰宅することを前提に仕事の配分を考えているのではと疑いたくなる事例もあるようです。このことは、無意識に女性を不利な立場に追いやってしまい、長時間労働に耐えなければ正社員になれないし、昇進もできないとの暗黙の了解が確立しているようです。逆に、定時帰宅を原則とした企業が長期安定的な企業収益を上げている例も、報告されています。 次に、消費の担い手の部分ですが、女性は消費性向が旺盛で、こだわり、品質重視型であると言われています。この視点を取り入れて、例えば、まちづくり計画で決定権のある立場に女性を適正に配置し、女性独自の感性が生かされた町並みや本当に欲しい商品が品ぞろえされた商業施設が配置され、奈良県で内需型の経済が確立できて、県内消費も向上できるのではないでしょうか。 さらに、女性の社会進出が進めば、奈良県の場合、追いつき効果が期待できます。追いつき効果とは、成績の悪い学生のほうが成績のよい学生よりも急激に伸びる傾向があるという性質のことです。一方、就労以外にも、女性が地域のボランティアなどに参加していただかなければなりません。私の周りには、子育てを終えてから地域活動に精力的に参加されている優秀な女性が多くいらっしゃいます。しかしながら、子育て真っ盛り世代の女性の参加を見ることができません。これもまた、女性力の無駄遣いだと思います。これらを払拭するためにも、例えば保育所待機児童をなくして、病児・病後児童保育を充実させる。学童保育と保育所双方の入所規定や保育時間などを大幅に緩和、延長する。学童を含めた保育、介護などの不足部分が社会進出阻害要因になっている現状に対する直接補助金の創設や、知事のアドバイザーに現在苦労しながら両立している県民を登用するなどの大胆な取り組みが必要だと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。以上のことを踏まえ、男女共同参画、特に女性の社会進出及び地域活動への参加を容易にする取り組みに力を入れていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事が先頭に立って、女性の社会進出、地域活動参加がしやすいナンバーワン県を目指してみませんか、お答えください。 次に、企業立地の推進についてお伺いいたします。 先般、政府が発表した六月の月例経済報告では、景気の現状について、一部に持ち直しの動きが見られるとしているものの、一方で景気が厳しい状況にあるとの認識自体は変えておらず、先行きについて厳しい状況が続くと分析しています。このような中、知事が積極的に進めようとしている企業立地についても、国内における企業立地が再編・集約を含めて一層厳選され、全国的に数少ない立地案件を多くの自治体が奪い合うという、厳しい時期を迎えております。しかしながら、このような時期であるからこそ、逆に県として企業立地推進のために即座に対応できることは積極的に実施していくことが必要であると考えます。 また、中長期的には、先ほど述べました女性力の無駄遣いを改めるほか、県内の土地を有効に利用しなければなりません。県の総面積のうち工業用地はわずか〇・二%の六百六十九ヘクタールにすぎません。この〇・二%で県内のGDP、総生産の二〇・三%の七千五百七十四億円を稼ぎ出しています。仮に〇・二%の工業用地が〇・一%増え〇・三%になると、単純計算ですが、将来的に県内GDPを一兆一千三百六十一億円にまで押し上げることが可能となります。また、企業立地用地の選択肢が増えて、奈良県の競争力が高まる効果も期待できます。一方では、遊休農地は県土の一%、工業用地の五倍に当たる三千五百五十五ヘクタール存在しており、その一〇%をうまく転化できれば、先ほどの想定をクリアできます。 そこで、知事にお伺いします。知事は本年二月に、国の同意を得た奈良県の企業立地基本計画について、企業立地促進法に基づくさまざまな支援制度を積極的に活用していくとのことですが、具体的にどのような支援策があり、どのように活用しているのか、知事の意気込みも聞かせてください。また、土地の有効利用についてのお考えもあわせてお答えください。 次に、介護職員の処遇改善についてお伺いします。 政府は、四月の介護報酬改定、プラス三%により、介護職員の処遇改善を図ろうとしました。今回、平成二十一年度介護報酬改定の中身は、介護事業者の人材確保、処遇改善などの基本視点での改定で、政府答弁によると月額二万円の増額としていましたが、実際には、この処遇改善のための要件として、人材確保や直接効果がある要件のほかにも、多面的な視点が盛り込まれたために、事業所の運転資金などに回されて、給与の増額につながらないとの指摘があります。その後、国の経済危機対策において、十月から二年半の期限つきで、(仮称)介護職員処遇改善交付金として月額一万五千円の賃金引上げを目指そうとしています。私は、介護職員の処遇を改善することが介護を受ける人たちの幸せにもつながると考えており、この気持ちはすべての県民の思いと一致します。 そこで、福祉部長にお伺いします。今回の介護報酬の改定が県内事業所の処遇改善に結びつくことが重要と考えますが、県として介護職員の処遇状況の実態についてどのように把握されていますか。また、今後介護職員の処遇改善を図っていくためにどのように取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、小学校運動場芝生化の推進についてお伺いします。 県予算に六千六百万円余りが、小学校運動場芝生化推進事業として盛り込まれていますので、先日鳥取県で芝生化を推進しているニュージーランド出身のニール・スミスさんにお会いしてきました。自身で確認しないと気が済まなくなり、無理を言って聞いていただいた次第です。鳥取に行く前の私の芝生化に対する認識では、芝生化予算の優先順位は、ABCでB+でした。その意味は、財政にあまり負担をかけずに実行できるのならば、芝生化は子どもたちの運動能力の向上に役立ち、さらに、情緒をはぐくむなどの効果が期待できるとの認識でした。ところが、認識を新たにして帰ってまいりました。 今から、ニール・スミスさんのお話に自身の調査を交えてご紹介をさせていただきます。冒頭ニールさんは、いきなりこちらの魂胆を見通し、鳥取の芝生は金額が安いから検討してみようとの考えは棄ててほしいと。さらに、芝生に係る作業は、ボランティアや地域の人たちに協力してもらうべきであるとの決めつけも改めてほしいと話されました。理由は、同じように子どもたちのために建設、整備され、利用されているプールや土のグラウンド、校庭の植木なら、維持管理を公費で担うのだから、芝生も同じように考えるべきだということ、公費を使うか否かの認識の差は、皆様に芝生が必要なんだという重要性の欠如があるとのことでした。さらに、小学校のプールについては、夏の一時期に限られた使用で、延べ使用人数も限られるのに、公費約一億五千万円ぐらいをかけてつくられたプールの水代なら、幾らかかってもプールは必要との一般的な理解があります。さらに、土のグラウンドなら、でこぼこになっても修理代は問題にしないが、これが芝生だと保全修理代の是非の議論になってしまうことを憂いていらっしゃいました。コストが安いから検討するのではなく、子どもたちに効果があり、必要なんだという認識の差を訴えていたように感じました。 その上でニールさんは、きょうははだしでさまざまな芝生の違いを体感して、よさを実感して帰ってほしいと言われました。そして、芝生化のメリットについて、広島県の小学校では、芝生化後一年で短距離走の平均タイムが二秒近く速くなり、東京の小学校ではいじめが減ったと校長先生が実感されたこと、さらに、鳥取の保育所では運動場のけがが、ほぼなくなったようです。もちろん、これらはニールさんの経験に裏づけされた意見であり、効果があった事例にスポットを当てたものですが、芝生に公費を使うという認識もなく、頭からボランティアが当たり前という前提などの意識は変えてほしいという熱い思いは、十分私にも伝わりました。さらに、ニールさんは、子どもには十歳前後までに基礎的な筋力をつけることが重要で、日本人がフィールドスポーツで海外での活躍が比較的少ないのは、それが関係しているとの持論でした。幼少期に基礎筋力を鍛えることなく、小学校高学年から集中的に半ばスパルタ的に技術と体力をつけようとするから、無理が起こり、けがなどのために、楽しめずにやめてしまう事例が起こります。ニールさんの母国のニュージーランドでは、練習を週に二、三日、一時間程度するだけなのに、十歳までの基礎筋力の違いのため、その後の運動能力に大きな差が出てくることも紹介されました。そして、それらの問題が、身近な公園や学校のグラウンドの芝生化により解決につながるとの話でした。ニールさんが管理しているグリーンフィールドでは、ゼロ歳児がはいはいをして犬を追いかけて百メートルを往復したそうです。このようなことが母国では日常で、身近に芝生の公園やグラウンドなどの遊び場があるそうです。さらに、日本人にとって、野球のグラウンドは甲子園のイメージが強く、内野は土、外野は芝生であるとの意識が強いようですが、もともと野球発祥の地のアメリカでは、全面芝生が基本だったようです。 また、私自身、芝生そのものについても認識を変える必要がありました。芝イコール草(グラス)を意味して、芝生とはそれらを刈り整えたものを意味します。実際、集合場所でもあったグリーンフィールドの芝生は、十種類以上の草で構成されていて、ティフトン(バミューダ種)にまじってクローバーや黄色い花なとが当たり前のように咲き、芝生の顔をしていました。はだしで歩くと、とても気持ちよかったです。さらに驚かされたのは、移動先の河川敷の芝生でした。芝生にも、プロが使用する国立競技場の芝生から、ボール遊びをする河川敷の芝生まで、必要性に応じてさまざまなグレードがあり、特に河川敷の芝生などはすべてもともと雑草で、六センチメートルまで伸びれば四センチメートルに刈り込むという作業を繰り返しているうちに、生態系が変化して、それだけで立派な芝生のグラウンドになるとの説明を受けました。この作業は、乗用の芝刈り機で、シルバー人材の人が時給でされているそうです。河川敷の草刈りを年間数回、業者に頼むよりも、年間のコストが約半分で済み、グラウンドとして使えます。さらに、ニールさんは、日本の矛盾も憂いておられました。道路を一メートルつくるのに約五百万円かかる。同じように子どもたちの世代につけ回す借金をするなら、せめて子どもたちのためになるものに使うべきだと主張されていました。 以上の視察を終えて、私は、小学校運動場芝生化推進事業の重要性が、自身が考えていたよりもさらに有効性があると認識を新たにしました。しかしながら、芝生化に最初から拒絶反応を示し、導入しないことを前提かと疑いたくなるような発言が関係者の中であるように聞いております。東京のある議会で、教育長が芝生でなわ跳びはだめとの根拠のない答弁をしたようです。県内でも、芝生を根づかせる間、校庭の使用が制限される、また、害虫の駆除が大変、専門的なグラウンドキーパーの助言が必要、野球には適さないなどと、私が、鳥取で見聞きした知識の真逆の答弁がなされています。 そこで、教育長にお伺いします。当事業にて十五校のモデル校を募集されましたが、その結果及び、それを踏まえた今後の取り組みについてお答えください。 最後に、私はたびたび、これからますます地方分権に対する世論的ニーズの議論の加速が予想されると訴えさせていただきました。その変革期の中で、必要だと思われる新たな取り組みについて述べさせていただきます。 先般奈良県でも、天理市が議会基本条例を、生駒市では自治基本条例を相次いで可決したようです。この自治基本条例とは、まちづくりの原理原則、住民の権利と役割、行政、議会の責務や権限の基本ルールといった自治体運営全般にかかわる総合的な事項を体系的に定めた条例です。自立、協働、参画を基本とする地方自治を確立させる有効な手法の一つと考えられており、近年際立ってこの条例の制定が増加しています。同じように、議会基本条例も、地方分権の実現を見越した自治体で次々に着手、検討されています。これは、地方分権一括法の施行以来、地方議会の役割は極めて広範囲にわたり、その責任の度合いはこれまでとは比較にならないほど重くなった現状に対応すべく、それらの自治体の議会みずからが独自の議会運営ルールを定め、制定される条例です。どちらの条例も、既存の自治体のルールや取り組みを改めて可視化し、実行していくために、条例として具現化したタイプと、将来自分たちの自治体が進むべき理想とその理念を掲げるタイプとに分かれるようです。現状では、県内の市町村が既にこれらの取り組みを始め、さらに他の市町村でも検討されており、この条例制定の動きはますます広がる可能性があると思います。 県議会としても、高度発展的に議会基本条例を検討していかなければならないと、私は考えています。そして奈良県としても、自立、協働、参画を基本に、自己責任、自己決定のもと、地域の特性を生かした自治体独自の施策や計画が展開されることが有効です。市町村の取り組みの応援の意味にもなることから、奈良県自治基本条例の制定を要望しておきます。 以上で壇上の質問を終わります。(拍手) ○副議長(神田加津代) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)七番尾崎議員の質問にお答え申し上げます。 最初に、男女共同参画から見た活力ある奈良県づくりというテーマの質問でございました。 特に奈良県の女性の潜在力を、経済力の向上、地域力の向上にもっと有効に活用できないかという積極的なご提言が含まれているように思いました。奈良県が今まで行ってきております男女共同参画の動きの中でも、女性の居場所、活躍場所をどのように考え、つくっていくのかが大きなテーマになってきている点とかぶさってくるように思いました。 まず、今までの本県の男女共同参画の施策を多少簡単にご説明申し上げたいと思います。平成十八年三月に、男女共同参画推進条例をつくりまして、第二次男女共同参画計画を平成十八年三月に作成いたしました。そのプランに基づきまして奈良県女性センターを、女性の活躍の場を広げ、男女共同参画の取り組みを進めるための総合拠点施設として位置づけた整備をいたしまして、いろいろの活動を行ってきている面がございます。さらに、男女共同参画県民会議を組織いたしまして、いろんな各種の団体がそれぞれの立場で主体的に取り組みを進めていただくような活動もしてまいりました。いろんな取り組みの成果としての数字的な評価でございますが、例えば平成十七年度から十九年度の間に、育児休業制度を規定する企業の割合が七二・六%から七八・九%にやや上昇いたしましたり、介護休業制度を規定する企業の割合は六五・一%から七一・七%に上昇しております。放課後児童クラブ数は百七十四から二百四クラブに増え、一時保育の実施箇所数も四十六から四十九カ所に増加したりしております。また、県内自治会長に占める女性の割合は、全国十三位に位置するなど、地域活動への女性参画が進んでいる分野がございます。 伸びたいいところを多少紹介させていただいたというようなことにもなろうかと思いますが、一方で、女性の就業率は徐々に増加をしているものの、依然として全国最下位でございます。どうしてか多少わからないところはあるんでございますが、本年度は約三千人を対象に、女性の就労意識調査を実施をして、仕事の意欲、あるいはその環境、条件も含めて、県内女性の生の声をお聞きして、女性の経済力への活用について参考になる情報を集めたいと思っております。 本日の尾崎議員の女性の社会進出についてのご説明を聞きまして、正直、大変感銘を受けました。多少の経験においても、奈良において女性が活躍されている分野は大変バイタリティーにあふれ、活動が活性化されていることを実感しております。しかし、その量がどの程度か、あるいは、まだ埋もれた潜在力があるんじゃないかというふうにも感じるところがたくさんございます。そのようなことも含めまして、今、奈良らしい暮らしのあり方を模索して、いろんな実態調査をしたいと思っております。本日のご議論で大変刺激を受けたわけでございますが、奈良らしい暮らしの中で、奈良の女性の社会進出、地域活動参加を中心に据えたことについて、勉強を深める必要があろうかと感じたところでございます。どのような成果が出るか、もう少し勉強させていただき、また、その様子も報告をさせていただく機会があればと思っております。 企業立地の推進についてでございますが、女性力の活用とともに、土地の活用ということにもお触れになったわけでございます。 その前に、奈良県の企業立地基本計画ができた、その内容についてのお問い合わせがございました。 今年二月でございますが、奈良県企業立地基本計画が国の同意を得られました。企業立地促進法にいろいろな支援制度がございますので、この計画を国で同意していただいたことにより、支援の制度が受けられるようになったわけでございます。具体的なことでございますが、例えば県内で企業が立地した場合、機械や建物の特別償却ができるようになりました。また、日本政策金融公庫による超低利融資制度の活用ができるようになりました。税制と金融ということで、企業訪問時など、機会あるごとに制度のPRに努めております。また、同制度による市町村への支援策として、企業立地により固定資産税が増加した場合は、普通交付税が減少するといったマイナスの効果がございますが、この法律の適用により、増収分の五%が特別交付税で措置される、補てんされるというようなことがございますし、財政力指数が〇・六七未満、大変財政力の弱い市町村においては、企業立地のための固定資産税の減免制度を創設した場合、減収額の七五%を三年間普通交付税で措置するという制度が含まれていたりするわけでございます。計画をつくってこのような国の制度が利用できるわけでございますので、利用しなけりゃ損であるというふうに思って、利用したいと思います。 同様に、県への支援策として、企業立地のために不動産取得税や固定資産税を減免した場合、減収額の七五%を普通交付税で措置する制度が設けられておりますが、このたびこの制度を活用して、不動産取得税及び県の固定資産税を免除し、企業立地を促進するために、条例案を今議会に上程させていただいているところでございます。よろしくお願い申し上げます。 最近の企業を取り巻く環境は非常に厳しく、企業立地もなかなか厳しい局面にございますが、このような企業立地促進のために活用できる制度は積極的に導入していきたいというふうに思っております。また、このような制度の活用のほかに、長期的には企業立地適地の確保が最も重要であろうかと思います。先ほど荻田議員の質問にも含まれていた点でございますが、現在、都市計画の線引きの見直しにより、インターチェンジ周辺等の市街化区域の編入を重点的に推進していきたいと思っております。同じ内陸地である奈良県と岐阜県、山梨県を比較した場合、両県は奈良県に比べて経済活動、とりわけ製造業の生産活動が活発であるように思いますが、その理由をはかってみますと、一番目につきますのは高速道路の整備と沿線の利用の差であるように思われるわけでございます。むしろ、おくれてきたことを取り返す部分が発見されたら、それを取り返す、また取り返すチャンスがやってきたのではないかというふうに事態をとらえております。 奈良におきましては、最近ようやく形ができつつある高速道路の整備とあわせて、インターチェンジ周辺の有効な土地利用につきまして、県が積極的な姿勢もとって推進していってもいいのではないかということも考えております。例えば、平成二十三年の御所インターチェンジの開設に合わせた周辺の土地利用計画の策定などにも重点的にモデル事業として力を入れたいと思っておりますし、当初予算でも、その策定費はお認めいただいたところでございます。 また、さらに奈良県にふさわしい企業集積はどのようなものであるのか、奈良県は組み立て加工業というのが五〇%占めておりますが、これから集積を図る、企業の誘致を求めるのには、なかなかこちらで選べない面もあるわけでございますが、でき得るならば、このような集積であれば、来ていただいた方にもメリットがありますよというようなことが言えるものかどうかということを考えていく必要があるのではないか、地域の産業政策ということになろうかと思いますが、そのようなこと。あるいは、それを可能にする立地戦略はどのようなものであるのか、地域の立地戦略ということになります。あるいはひいては、地域の経済政策ということになりますが、地域の産業政策、地域の経済政策の確立が、もしできたらというふうに思い、取り組みの努力をしていきたいと思っております。 私に対する質問は以上でございますが、教育長への質問ではございますが、先ほど小学校運動場芝生化の推進について大変熱心にご指摘をいただきました。答弁ではございませんが、子どもが裸地でけがするよりは、芝生が傷ついたほうがいいんだというふうに思って、芝生化を推進しようと思ってきておりました私にとりまして、大変勇気づけられる言葉でございましたので、壇上からで失礼でございますが、一言申し添えさせていただきたいと思いました。 以上でございます。 ○副議長(神田加津代) 杉田福祉部長。 ◎福祉部長(杉田憲英) (登壇)七番尾崎議員のご質問にお答えします。 私に対しましては、介護職員の処遇改善についてでございます。 介護報酬の改定につきましては、平成十五年度のマイナス二・三%、平成十八年度のマイナス二・四%に続き、今回の改定は、介護保険制度発足後初めてプラス三・〇%となったところでございます。内容といたしましては、全事業所一律に介護報酬を引き上げるのではなく、手厚い夜勤などの業務負担、介護福祉士などの介護従事者の専門性に着目した加算、人件費が高い都市部への加算、認知症ケアの推進への加算などとなっております。 今回の介護報酬の引上げによる処遇の実態を緊急的に把握しますため、県内三圏域から二十四施設をサンプリングして調査を行いましたところ、給与等を既に引き上げた事業者は調査対象の半数の十二事業所、今後引上げを予定しているのは五事業所、引上げを行う予定がないとしたのが五事業所でございました。また、今般の国の補正予算におきまして、介護職員処遇改善交付金が創設され、介護職員のさらなる処遇の向上のため、介護報酬とは別に職員数に応じまして、都道府県に設置する基金を通じて、本年十月サービス分から二十三年度末まで、職員一人当たり月額一万五千円の交付金が交付されることとなっております。これにつきましては、九月補正予算で対応してまいりたいと考えております。 また、県におきまして今年度、これから実施いたします高齢者等の生活・介護等に関する実態調査の中で、約千カ所の事業所、そこにいらっしゃいます介護職員を対象に調査を行いまして、給与、労働環境に関する実態把握を行う予定でございます。その調査結果を踏まえまして、必要に応じて恒久的な介護職員の処遇改善策につきまして、国に要望していまいりたいと考えております。 一方で、介護報酬の引上げにつきましては、被保険者の自己負担、あるいは保険料の上昇にはね返るという一定の制約があることも事実でございます。そうした状況下では、介護従事者について適切な給与体系を構築する、あるいはキャリアアップの仕組みを構築するなど、事業者サイドによる経営改善への取り組みも必要と考えております。今後とも、サービス事業者、関係団体と連携を図り、魅力ある介護の職場づくりに向けて、介護職員の処遇改善に取り組んでまいります。 ○副議長(神田加津代) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)七番尾崎議員のご質問にお答えいたします。 私には、小学校運動場芝生化の推進について、この事業の十五校のモデル校を募集したが、その結果及び、それを踏まえた今後の取り組みについてのお尋ねでございます。 子どもたちの体力向上に好影響を与える運動場芝生化を推進するため、今年度、小学校運動場芝生化推進事業を予算化したところでございます。これは、子どもたちがけがを恐れず、思い切って運動できる芝生の運動場を増やすために、おおむね十五校を先導的モデルとして実施する事業でございます。モデル校選定に当たりましては、ことし二月に市町村教育委員会の担当者を集め、芝生化の趣旨や具体的手法の説明会を開催いたしました。加えて、一月下旬から五月にかけまして、十九市町村へ直接、延べ二十三回、個別訪問をいたし、芝生化先行県の具体的な効果を映像なども交えて説明し、理解と協力を求めてきたところでございます。 県教委では、当初この事業の申請締め切りを四月末に設定していました。一つとして、当年度の水道代及び次年度以降の経費などの財政的な問題、二つとしては、学校や地域の維持管理上の協力体制の不備等から、モデル校を希望したのは四市二町一村で、計九校でございましたが、モデル校拡大のため、その後、五月中旬を二回目の締め切りとして再募集するとともに、市町村を個別訪問いたしましたが、新たな希望拡大にはつながりませんでした。ただ、この結果を受けて、決定九校をモデル校として、この事業の所期の目的を果たせるよう、連携を密にしながら、芝生を活用したさまざまな効果、日常活動の紹介、活動方法、課題などを十分に検証して、その成果が県内の多くの学校へ広がるよう、モデル校による実践報告会などを大々的に行うことを計画しております。また、この際、芝生化に関する国や、他の助成制度の活用も促し、小学校運動場の芝生化を推進してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(神田加津代) 七番尾崎充典議員。 ◆七番(尾崎充典) もう本当に前向きなご答弁、ありがとうございました。 まず、女性の社会進出についてですが、東京の目黒区が認可保育所の待機児童の家庭に対して二万円を支給することを決めたようでございます。さらに、県内でも王寺町が、学童保育の無料化を実行しようとされております。もう非常にすばらしい取り組みだというふうに評価させていただいております。 そこで、知事に要望ですが、奈良県が暮らしたい、魅力のある県となることで、知事が進めています施策、先ほども言いましたが、企業誘致などに相乗効果がやっぱりかなりあると思うので、具体的な取り組みを期待しておきます。 また、今回質問いたしまして、これは要望なんですけども、同じテーマの社会進出というテーマで部局の方々とお話しさせていただいたんですが、大変多くの部局にまたがっておりました。効率的な部局の再編は難しいと思いますが、これもあわせて要望いたしておきます。 ちょっと避けられたのか、答えていただけなかった部分、一点ございまして、女性の社会進出がしやすいナンバーワン県を目指した取り組みでの知事のお考えをお聞きしたかったんですけども、ぜひお願いしたいと思います。知事はあんまりアドバルーンを揚げたりすることを、苦手といいますか、嫌いなのかもしれないと思いますが、時には効果的で、例えばナンバーワン宣言などのようなものも利用して、それに向かって一生懸命県一丸となって取り組むというようなことではいかがでしょうか。これは質問にしておきます。 介護職員の処遇改善についてですが、私の知人に、県下の社会福祉法人にお勤めの方がいらっしゃいます。四月から三%の介護報酬が引き上げられ、年に一度のその社会福祉法人の昇給月でもあったようで、四月のお給料を非常に楽しみにしておられました。ところが、皆さんの予想のとおり、結果は、ほとんどの方が五百円から、多くても三千円ぐらいの昇給だったようでございます。逆に、事務長や副施設長の方には五万円から十五万円の昇給がなされたようでございます。さまざまな事情はあったのかも、もともと安いからかもしれませんし、いろんな状況があったのかもしれませんが、この場合、平均すれば一万円超の昇給になりまして、調査を県もしていただけるということなんですが、調査をした場合、アバウトな調査だと、正確な現場の状況把握ができなくなってしまう。トータルでは一万円ちょっと上がったことになりますので、それをもって行き渡っているということにすると、非常に実態が把握できないように思います。三%の介護報酬の改定には、もちろん罰則規定がないし、反映する時期も明記されていないのも存じ上げておりますが、やっぱり倫理感だけに頼るにはやっぱり限界があるというふうに思っております。要望なんですが、県としても、介護の現場の実態を正確に把握していただいて、適正な指導をしていただき、介護従事者の処遇改善策が、本来の趣旨どおりに実効性のあるものとしていただきますように、これは強く要望しておきます。 芝生化についてですが、教育長、市町村に非常に努力されたことはもうお聞きしております。何度も足を運ばれ、それこそ先ほど言われたみたいに、ビデオも見ていただき、非常な取り組みをされたんですが、誤解されたまま放置するのも非常に問題があると思いますので、これは実はもう子どものためだけではなくて、大人にも心身ともの効果が、癒しの効果も含めて期待できる研究が多く発表されています。さらに手間はかかりません。そういう確認もできておりますので、さらなる市町村の教育委員会の殻を破る努力を続けていただきたいというふうに思います。また、スポーツ振興計画にありますように、公園などにも拡大しての来年度以降の予算が予定されていくと思いますが、これはもう強く知事に予算の計上、ひとつ継続的にお願いしたいと強く望んでおきます。 ナンバーワンの部分だけ、知事、お答えいただけませんでしょうか。 ○副議長(神田加津代) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 答弁漏れのようで申しわけございませんでした。 ナンバーワンについての所感ということでございましたが、多少お見通しのところがございましたが、私は県のいろんな施策で、言葉遣いがよくて中身のないのが割と嫌いなことで、(笑声)きょうも、答弁資料には第二次男女共同参画計画なら男女GENKIプランということのネーミングはあるんですが、むしろ読み飛ばしまして、内容がわかるように言おうと、こう、日ごろしておりますので、多少、ネーミングでやるのに、ちょっといい名前をつけたらいいというものでもない。ただ、このナンバーワンは、ネーミングじゃなしに、具体的な目標でございますが、もう一つは、こう見えても、いろんなことの施策を打ち出すのに、多少実現可能性もしんしゃくしながら打ち出しているところがあるつもりでございまして、奈良の実情から見ますと、何か、四十七番目から一番目に行くというようなことかもしれないので、多少その点について、とっさでございますが、実現可能性を判断して、ちょっと言いそびれた面がございましたが、もう少しフィージビリティーを探って、できれば言い切れるように考えてみたいと思いますが、思えば議会の社会進出という面もあるのかなと思いましたが、神田副議長が座っておられるのは一つの象徴かなと、(笑声)一つは議会は大丈夫だなというふうにも思いましたが、その他のところで、ちょっと現実的な実情を探って、できれば宣言できるような努力をしてみたいと思います。きょうはその点で、そういうふうにお許しください。 ○副議長(神田加津代) 七番尾崎充典議員。 ◆七番(尾崎充典) 荒井知事は、もう前も申したと思うんですが、大阪府や宮崎県に負けずに、実効性のある努力を続けておられて、もう非常に評価しているところなんですが、やっぱり私から見ても、ちょっと不器用なんかなと感じるところがございまして、やっぱりアピールする、周りに得意な方もいらっしゃると思いますので、そういうアピールをして、県民に頑張ってるんだよということを評価してもらうというのも、建設的な手法の一つだと思いますので、ぜひ今後とも取り組んでいただきたいと思います。 そして、壇上でも言いましたが、奈良県の場合は、さまざまなところで追いつき効果が期待できます。これは悲しいことなんですが、非常におくれている部分がたくさんございますので、この追いつき効果をばねにして、今後とも県勢発展のために頑張っていただきたいと思います。 以上で終わります。   -------------------------------- ○副議長(神田加津代) 四番浅川清仁議員。 ◆四番(浅川清仁) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(神田加津代) お諮りします。 四番浅川清仁議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明六月二十六日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時五十八分散会...