• "観光情勢"(/)
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  1. 奈良県議会 2008-06-01
    07月07日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    平成20年  6月 定例会(第289回) 平成二十年        第二百八十九回定例奈良県議会会議録 第四号 六月    平成二十年七月七日(月曜日)午後一時開議   --------------------------------         出席議員(四十四名)       一番 小林茂樹          二番 藤井 守       三番 井岡正徳          四番 浅川清仁       五番 岡 史朗          六番 大国正博       七番 尾崎充典          八番 藤野良次       九番 宮本次郎         一〇番 松尾勇臣      一一番 上田 悟         一二番 山本進章      一三番 中野雅史         一四番 田中惟允      一五番 畭 真夕美        一六番 森山賀文      一七番 森川喜之         一八番 高柳忠夫      一九番 中野明美         二〇番 山村幸穂      二一番 岩田国夫         二二番 神田加津代      二三番 安井宏一         二四番 奥山博康      二五番 荻田義雄         二六番 粒谷友示      二七番 丸野智彦         二八番 岩城 明      二九番 藤本昭広         三〇番 田尻 匠      三一番 今井光子         三二番 田中美智子      三三番 国中憲治         三四番 中村 昭      三五番 辻本黎士         三六番 米田忠則      三七番 新谷紘一         三八番 出口武男      三九番 秋本登志嗣        四〇番 小泉米造      四一番 服部恵竜         四二番 山下 力      四三番 梶川虔二         四四番 川口正志   --------------------------------         議事日程 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○副議長(中野雅史) これより本日の会議を開きます。 この際、お諮りします。 追加議案の上程を本日の日程に追加することにご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。   -------------------------------- ○副議長(中野雅史) ただいまより、当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、三十番田尻匠議員に発言を許します。--三十番田尻匠議員。 ◆三十番(田尻匠) (登壇)議長のお許しを得まして、ただいまから一般質問を始めさせていただきますが、きょうが最終日となりまして、私の質問する事項の中で既に同僚議員が触れられた点もございますが、重複することをお許しをいただき、ただいまから質問を始めたいと存じます。 まず最初に、荒井知事にお伺いをいたします。 荒井知事が就任をされまして一年が経過をいたしました。柿本前知事の突然の辞任を受けて、現職参議院議員を辞して知事選挙に出馬、そして知事就任と激動の二〇〇七年だったと思います。そして、就任直後から救急母子医療事件と全国的な大きな問題の対応策の取り組みとなりました。このことで東奔西走され、問題点である医師不足を解消するため特別委員会の設置、奨学金の創設、周産期母子医療センターの開業など現実的な取り組みをされてきたことは評価するものであります。 一方、知事の平成二十年度予算からもわかるように、運輸省時代からの専門でありました観光・運輸行政を中心とした施策が大きく前面に出されています。奈良県の特色や全国的なイメージは観光が第一だと内外ともに認識されていると思われ、県民の期待は大変大きいと感じております。 しかし、今の奈良県の観光産業の落ち込み、観光客や修学旅行生の減少に歯どめがかからない現状の要因の一つにホテル、宿泊施設の不足が指摘されてきました。 そのような中で、奈良市三条大路にあります県営プール、約六千七百坪の敷地でございますが、を撤去して大型のホテルを誘致する大胆な企画をされました。また、そのホテルの事業対象は、客室が三百室程度、VIP対応、国際会議の受け入れが可能なコンベンション機能を備えていること、宿泊価格は高価格のものを中心とすることなど、かなりハイクラスのホテル誘致だと思われます。 しかし、五月から応募登録申請の受け付け、六月の事業計画提案書の受け付けでは、どちらも一件、一社しかなかったようで聞いております。四月の説明会では三十四社もあったようですが、やはり場所の立地条件や県の募集要項のハードルが高いのでしょうか。私の試算によりますと、売買の場合は約二十六億四千万円、賃貸の場合ですと月五百九十四万円ぐらいと私自身計算をいたしました。貸し付け期間三十年以上五十年未満の条件は、奈良県側にとっては好条件でしょうが、企業側にとっては採算ベースにすると大変厳しいのかと想像をいたしております。 そこで、知事、私の提案ですが、私、本来県庁が奈良公園内にあることに非常に違和感を持っております。勤務をいたします県庁職員や議員にとりましては非常に職場環境に恵まれていますが、東大寺、春日大社、若草山などの景観を考えたとき、あるいは厳しい経済や観光情勢を考えたとき、私は、この県庁をホテルに変更して、まさしく世界各国のVIPや観光客に宿泊を提供し、見晴らしのすばらしい知事室を特別スイートルームにする。そして、県庁別館には、コンベンションホールや結婚式、披露宴を含むホールとして、県庁屋上では結婚式を挙げるなどの大変魅力の創出で大きな話題になると思います。 その反対に、県庁を県営プール跡地に移転をして、県庁、県警本部、奈良警察署が一緒になった複合県庁が奈良市役所と向かい合わせとは、県民の利便性や地域の発達を考えたとき、効果が絶大と考えます。そして、新大宮駅を、(仮称)県庁、奈良市役所前駅や、あるいは平城京駅などと変更も考えられ、まさしく平城京、県庁、市役所、昔の都の現代版の復元だと考えています。このように、今後の県の施設のあり方につきましては、地理的条件に応じた有効活用住民サービスの向上という観点で、その配置などを市町村とともに連携しながら検討していくべきではないかと考えますが、知事、私の発想はいかがでしょうか。 そして、前回の私の代表質問の中の答弁で、平城宮跡内で仮設の近鉄の駅はつくらないと答弁をされました。そこで、知事の運輸省時代からのノウハウのすべてを出されて、平城宮跡を今二分割されています近鉄線の移設や地下化を進められてはいかがでしょうか、お伺いをしたいと思います。まさしく、今、動く奈良、魅力の奈良、やさしい奈良をつくる最大のチャンスを平城遷都一三〇〇年のめぐり合わせと考えますが、いかがでしょうか。 先日、ブラジル移民百周年記念式典に出席のためサンパウロへ行かせていただきました。県民及び県、皆様に御礼とその一部をご報告を申し上げたいと存じます。 式典は、六月二十一日、ブラジルサンパウロ市、サンボードロモ広場皇太子殿下出席のもと、数万人の日系関係者の方や日本からも三十数県を超える各県関係者、議員も出席をされ、厳かに、華やかに開催をされました。改めて日本人とブラジル人の友好関係の強化を確認をいたしました。その後、ブラジル奈良県人会の皆さんと懇談会を開催をしていただきました。そのときに、NARA万葉世界賞を受賞されましたジェニ・ワキサカ先生サンパウロ大学の元教授の表彰伝達式もあり、久しく懇談もさせていただきました。荒井知事や県民の皆様方にくれぐれもよろしくお伝えくださいと何度もお礼を申し上げておられました。 私たちがブラジル奈良県人会館へと到着をいたしますと、百人近くの県人会の皆さんが激しく手をたたき大歓迎をしていただきました。まるで親子や兄弟が久しぶりに会った、その気持ちと同じでございました。その歓迎式典の中で、奈良県内でもなかなか聞く機会が少ない県民の歌がしっかりと歌われました。私も歌詞をいただき一緒に歌いながら胸に熱いものがこみ上げてまいりました。覚えておられる方が少ないと思いますので、その中で一番と三番の歌詞を紹介をしたいと思います。 吉野のさくら 畝傍山 歴史を染めて 陽がのぼる 大和の国に 住む歓びを 肩よせて誇る 奈良県民おお! 頼母し 三番は、 近畿の要め 文化の府 花咲く明日に 夢かけて 大和の国に 溢れる幸を たからかに謳う 奈良県民おお! 美し ブラジルへ移民されて、言葉、食べ物、文化、宗教など数え切れない幾多の難関を乗り越えられ今日ブラジルで活躍されている約千三百人の奈良県人会の皆様方に心から尊敬と同郷愛を感じたものであります。私たちは、奈良で住める誇りと喜びをしっかりと実感できる奈良をつくり出さなくてはならない使命があると再認識をいたしました。 懇談会の後、すぐ帰国のため、空港へと向かいました。県人会の皆さんも空港まで見送りをしていただき、二〇一〇年、平城遷都一三〇〇年には日本へ行くよ、日本へ帰るよと何度もおっしゃられていたことが、今も鮮明に覚えております。 一方、県内でも、奈良県を背負い頑張っていただいている各界を活躍された方がたくさんおられると思います。その中でも、オリンピック柔道ゴールドメダリスト野村忠宏選手は代表の一人だと思います。今年の北京オリンピックの四連覇の夢は消え去りましたが、心から県民とともに御礼、感謝申し上げたいと思います。今後は、同志社大学の客員教授として指導に当たられるとお伺いをいたしております。ご指導とご活躍を心からお祈りを申し上げます。 また、先日、奈良市出身の元サッカー日本代表で奈良県で初めてJリーグ選手になりました柳本啓成さんと久しく懇談をする機会がございました。彼は、Jリーグ発足と同時にサンフレッチェ広島に入団をし、九五年から九七年は日本代表として活躍をされ、昨年引退をされました。柳本さんは、郷土奈良の地で恩返しがしたい、私がプロ生活で通じて培ったものを奈良の子どもたちに伝えたい、そんな思いで自費で第二阪奈宝来インター近くに人工芝のフットサルコート四面でナイター設備まで完備して先月オープンをされました。夕方は、小中学生を相手にサッカースクールの開校、同じく奈良県出身で元名古屋グランパスエイトで活躍した矢部次郎さんがスクールコーチとして指導をされています。夜は社会人にコートを貸し出されているようであります。 このように、郷土愛を強く持ち活躍いただいた人が恩返しに子どもたちに指導をいただくことに感謝を申し上げます。私は、県行政としても、県民の健康や運動、余暇の過ごし方を含めてかかわりが必要だと考えておりますが、いかがでしょうか、くらし創造部長にお伺いをいたします。 次に、環境問題でございます。 きょうから北海道洞爺湖サミットが開催をされ、世界のトップリーダーが日本に参集して環境を最大のテーマとして会議が開かれています。毎年国を変えてサミットが開催されるが、最近は、先進国のお祭り、セレモニーのようにとらえる人が多いのではないでしょうか。日本でも、過去に東京、沖縄、そして今回の北海道と、しっかりとしたテーマと具体的な数値を持って目標を掲げてこそ、実現に対する可能性が見えてくるわけであります。今回のテーマ、環境は、地球・人・物・温暖化、人や生物が存在するすべてが環境のバランスを保ちながら今日の地球上の生活があります。そのバランスが崩れるとき、すべての生物に生の危機が来ると想像されます。もう既に地球上では、いろんな形で環境が破壊をされ自然災害をもたらしている傾向があります。この解決策は、各個人がしっかりとした目標を定め、強い意志のもとに努力と辛抱が必要だと思われます。その目標には、世界各国・国・県・市が総合的な指針を示すべきであると思います。 既に、奈良県は平成八年十二月に奈良県環境基本条例を公布済みであります。その内容の一部は、近年の資源やエネルギーを大量に消費する社会経済活動は、私たちに物質的な豊かさや便利さをもたらす反面、環境への負荷を増大させ、地域の環境のみならず、人類の存続の基盤である地球全体の環境をも脅かすまでに至っている。もとより、健全で恵み豊かな環境は、健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできないものであり、私たちは、その環境を良好な状態で将来の世代に継承していかなければならない。このため、私たちは、一人ひとりが環境の有限性を深く認識し、事業活動や日常生活など、私たちの活動そのものを環境への負荷の少ないものに改め、持続的な発展が可能な社会を構築するとともに、このような取り組みを通じて地球環境の保全に貢献していかなければならない。ここにすべての奈良県民の参加のもとに豊かで美しい奈良の環境を保全し創造するとともに、これを将来の世代に引き継いでいくため、この条例を制定するであります。まさしく、このことに反論する理由はございません。 しかし、この条例公布から十二年、時の流れや経済、社会情勢、各個人の価値観の変化など、環境を取り巻く状況は厳しい危機感もあります。そこで、奈良県としても、この段階で地球温暖化防止に関する条例を制定して、具体的に事業活動、自動車使用、電気機器、建築物、森林保全など多くの分野の地球温暖化対策を打ち出すべきだと考えていますが、いかがでしょうか。 そして、県民の皆さんに絶対的な協力をいただくそのためには、税制で優遇するなど、その方向性が必要と思います。 例えば、現在、自動車税のグリーン税制は、排出ガス要件や燃費要件を満たせばおおむね二五%、または五〇%、一年間に限り軽減をされています。これを、ハイブリット車なら三年間の軽減とか、自動車取得税を思い切って〇%にするなど、税制で奈良県の車は日本一低公害車を使用しているというレッテルをはられるようにするべきだと考えますが、いかがでしょうか。 知事の公用車もネットオークションで売却予定でハイブリット車へ乗りかえられることは歓迎すべきであります。以前、私は、本会議の質問の中で、知事や首長さんなど、その地域で代表や看板になる人は、すべて低公害車に乗るべきだと訴えてまいりました。今現実になったことは大変高く評価するものであります。 次に、県として歩きたばこの禁止であります。 今日、全国的、世界的に喫煙場所は厳しく規制されていることは世界的な流れであります。空港、駅、公共施設をはじめ、屋内外を問わず、健康、環境、美化、他人への迷惑など、本人のみならず複数の第三者に不快感を与えます。この奈良県、奈良公園、飛鳥、世界の文化遺産など、地域を喫煙制限区間と指定して歩きたばこや喫煙をしないように規制するときが来ていると思います。条例化してなお罰則を課することの必要があると考えますが、いかがでしょうか。 次に、教育長にお伺いをいたします。 今日、日本の教育の改革は大きな課題であります。子どもたちの教育の中でも、学校での教育は大きなウエートを占めるものであります。学校教育の中でも、教師の指導力、文部科学省の指導要綱、学力・体力の低下、食育の問題などたくさんあります。今回は、その中でも、子どもから大人、学生から社会人への成長の過程で、子どもの問題より保護者の問題や姿勢でありますが、学校の授業料や給食費、奨学金の返還未納などについてお尋ねをいたします。 まず、県立学校の授業料の未納についてでありますが、苦しい受験勉強を経験して、十五才の春に県立高校へ多くの中学生が進学をいたします。そのときには、県立高校へ入学金、授業料を納入いたします。そして、三年間の高校授業を受けるわけであります。しかし、昨今の経済状況は、政府がずっと言ってまいりました、景気は上向き、景気は回復傾向と言われてきたのは全くでたらめであると実感をしております。県民のだれに景気の回復や豊かさが感じられたでしょうか。奈良県のどこにあったでしょうか。疑問であります。 そんな中、保護者の経済状況も厳しくなっていることは認めますが、しかし、授業料の未納とは別問題です。今回、授業料の未納のまま卒業していき、五年間たてば不能欠損処理で終わりではあまりにも残念です。今年の四月の千葉の県立高校入学金未納だった新入生を入学式に出席させなかったことで賛否両論があります。入学式の前に学校側から保護者に連絡したところ、後日払いに行きたい、お金を持ってきていないとの話がありながらも、式に参加させず別室で待機させ、入学式終了後、保護者がすぐに入学金を納めたため二人の入学を許可したという報道がされたり、給食費未納問題が大きな問題となりました。小中学校で給食を子どもが食べながら保護者が払わないとはとんでもないことであります。そして、学校から家庭へ連絡し催促すると開き直るとのことです。そのような中、橿原市で給食費未納に対しては、市が差し押さえ通告をするとすぐに支払われたという報道がされました。まさしく現実はこのとおりであります。 次に、奨学金の返還状況についても大変厳しい、嘆かわしい問題があります。今日、奈良県においては、私は、入学金や授業料、給食費、奨学金の返還などは、子どもさんがしっかりと教育を受けることは豊かな人間社会を築き、将来日本や社会を背負って立派に活躍していく人間形成のため大変大事な段階であります。そのときに納入すべき教育費の滞納は絶対にあってはならないことですし、本人が成人し社会人になったときの納税意識が大きな問題になると考えます。本人のためにも、県教育委員会法的申し立ての強化や、県立学校の授業料の未納者に対しては卒業を延期するなど強い姿勢を打ち出したらどうでしょうか。また、奨学金についても、社会人となって就職しているのですから、給料の差し押さえを含む措置をとるべきだと考えていますが、いかがでしょうか。教育委員会が把握をしています未納状況とその対応について教育長にお伺いをいたします。 次に、警察本部長にお伺いをいたします。 警察本部長は、今年の三月に奈良県警察本部長に就任をされました。本部長の経歴は、警備畑を中心に、国土庁震災対策課、皇宮警察、防衛省運用支援課など数多く歴任をされました。初めて奈良県に赴任され、奈良県の感想はいかがでしょうか。歴史と文化と緑豊かな穏やかな県と感じられるでしょうか。表面はそのように見られますが、全国的に報道された殺人事件や、つい先日には、大和郡山市で子どもが父親を殺すという悲しい事件が起こりました。全国的にも、秋葉原での無差別殺傷事件など、平穏に暮らしている県民を不安に陥れる凶悪な事件が発生をし、また、県民がより身近に不安を感じる住宅侵入窃盗、車上ねらい、振り込め詐欺など、県民が肌で治安が悪くなったと体感治安に直結する犯罪が増加しているのではないでしょうか。 特に、振り込め詐欺につきましては、ここ数年減少してまいりましたが、再び増加の兆しを見せ、今年の一月から四月の全国の被害額は約百十二億円で、このままでは、年間の被害が三百億円を超え、ピーク時の平成十六年を上回る可能性も出てきております。警察庁は、振り込め詐欺として家族を装い、交通事故を起こしたなどと示談金を請求したり、警察官や弁護士を装い、息子さんが事故を起こしたなどと示談金を請求するおれおれ詐欺、市役所、社会保険庁、税務署などの職員を装い税金や年金など過払い分を返却する電話をし、携帯電話でATMを操作させる還付金詐欺出会い系サイトの料金が未納などの理由で払わなかったら取り立てに行くなどと請求する架空請求詐欺、金融業者を装ってダイレクトメールを送ったり、広告を出したり、申し込んだ人に保証料などを請求する融資保証金詐欺を上げています。 特に、最近では、社会的弱者である年金暮らしをしている高齢者の皆さんに、払い過ぎた税金を返すなどと言葉巧みに近くのスーパーなどのATMで現金を振り込ませる還付金詐欺事案が多発していると聞いております。今日の日本を築いてこられた貢献者である高齢者の方々をだまして生活費である年金をだましとる連中は本当に許せないと思います。そして、これら詐欺グループの増殖を許すような被害者をだますための問答や、多重債務者を心理的に追い込むテクニックの説明、法律の裏をかくといったマニュアルの存在が確認されるなど、今後ますます被害が出るのではないかと危惧をいたしております。 県警察を挙げて、悪質な詐欺グループの検挙と、社会的弱者である高齢者の方々が被害に遭わないように、奈良県内では1件たりとも振り込め詐欺の被害者を出さないと強い決意をもってしっかりした対策をとっていただきたいと思っております。 そこで、奈良県下における振り込め詐欺の発生状況と、同事案に対する諸対策について警察本部長にお伺いをいたします。 以上をもちまして、第一問目の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(中野雅史) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三十番田尻議員のご質問にお答えさせていただきます。 まず、県有資産を利用いたしましたホテル誘致につきましてご提言を含めたご質問をいただきました。 財政の厳しい我が県にとりまして、県有財産の有効活用は、財政再建のためにも、県内への投資の誘発のためにも重要な手法だと考えてきております。そのような観点から、昨年度、県有資産有効活用のために県有資産全体について利用状況の調査をいたしました。九百七十五件があります。そのうち八百十四の施設につきましては、建物のほぼ半数が築後三十年を経過しており老朽化が進行しております。また、小規模施設は分散して、その運用状況が非効率であることもわかりました。したがいまして、それらの施設の配置のあり方や、場合によってはその存在意義についての再検討が必要な施設も相当数あることがわかってまいりました。そこで、県有資産の全体を対象にしてどのように有効利用できるかについて、施設や組織の統合も視野に入れ検討を進めているところでございます。 今後の取り組みにつきましては、県民の利便性、業務の効率化の視点を加えつつ、幾つかの基本的な方針を考えていかなければいけないと思っております。 まず、市街地におけるものにありましては、地域活性化への活用が期待できる施設は再配置をして他の利用方法をさぐりとることとするのが適当じゃないかと思います。次に、小規模で非効率に分散している施設につきましては、中規模以上の施設に機能を集約し効率化を図ることが適当ではないかと思います。三番目に、低利用、未利用な土地及び施設につきましては、積極的に売却、貸し付けを行い、地域活性化につなげることとすることが適当じゃないかと思います。そのような考え方を基本的な考え方としながら県有資産を有効利用していきたいと思います。 県有資産を処分する場合は、将来的な手戻りが生じないよう、実現性が高いものを優先して地域活性化に寄与することが期待できるものから資産の再配置や売却等を提案していきたいと思います。具体的な計画の検討に当たりましては、地元市町村とも情報交換をし連携を図りながら、地域活性化に貢献できる県有資産有効活用を目指していきたいと思います。 次に、ご提案がありました県庁舎をホテルにして、県庁舎を県営プール跡地へとの提案でございますが、なかなか有力な提案と思います。県庁舎はすばらしい景観を有し、近鉄奈良駅にも近く、そのような利用にホテルに代替するというのには適地として申し分のないところではございますが、実現のためには多少高いハードルが幾つかあるように思います。 まず、厳しい土地利用に関する規制がかかっていることがございます。すわなち、市街化調整区域の第五種風致地区に当たりまして、さらに敷地の一部は、国指定名勝奈良公園に含まれ、現状変更する場合も奈良市や文化庁の許可が必要となります。また、現在の庁舎につきましては、平成八年度から十一年度にかけてリニューアル工事を行いましたが、その移転に係る経費は百五十億円から二百億円程度必要と考えられ、財源が課題となります。また、庁舎を仮に移転する場合、その移転先については、県土の均衡ある発展の観点を含む多くの事項について十分に思慮、検討されるという議論もあるところでございます。そのような高いハードルが幾つかある事情にあると思いますが、今の時点では、議員からの貴重なご提言として承っておきたいと思います。 次は、平城宮跡を二分している近鉄線の地下化というご質問でございます。 近鉄線の平城宮跡からの移設の問題、それと、近鉄西大寺駅周辺の交通渋滞対策、それと、近鉄西大寺駅を北和の交通拠点とできるかどうかについてはすべて関係をしておりまして、これらは奈良にとって非常に重要な課題だと認識をしております。 現在の状況を少し整理してみますと、まず、近鉄奈良線は運行回数が非常に多く、西大寺駅周辺にあかずの踏み切りが存在するため、抜本的な渋滞対策の検討が必要でございます。また、同駅は、多数の乗降客がおられるにもかかわらず、大規模な車庫が近くに併設されていることもあり、駅周辺が計画的に整備されておらず、駅自体の施設の機能も低水準にあるものでございます。 また、平城宮跡を通る近鉄線については、本年五月に文化庁から公表された特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画において、近鉄線が利用動線や景観の観点から支障となるため、関係機関において移設等を含め、将来のあるべき姿について協議、検討を進めることとされたところでございます。仮に平城宮跡を通る近鉄線を地下化する場合の最も困難な課題は、地下水位の変動による木簡や地下遺構への影響と地下化工事のための多大な財源問題でございます。 そのような事情でございますので、昨年度は、地下水の変動について検討をいたしました。一定のルートを想定して既存のモデルを活用して概略の予測を行いました。その結果、地下水が全体として北から南に流れておりますので、地下線の想定ルートの北側では水位が上昇し、南側では水位が低下するという傾向が見られたところでございます。今年度も作業は進めていきたいと思っておりますが、昨年の予測結果を踏まえて、専門家に技術的な助言をいただきながら地下水位の変動による木簡等の保存状態への影響について検討するとともに、地下化以外の方策も含めて検討対象といたしまして移設の実現可能性について幅広く検討を進めていく予定でございます。 三番目は、くらし創造部長に答えていただきますが、私には環境問題についてご質問がございました。 地球温暖化防止に関する条例の制定についてのご質問でございます。 きょうから始まりますサミットの主要テーマであります地球温暖化問題に象徴されますように、環境のアンバランスが人類の生存を脅かしつつあるという問題の深刻さは議員お述べのとおりでございます。そこで、県レベルの対応策についての地球温暖化防止条例の制定についてのご提示があったわけでございますが、他府県の地球温暖化防止条例が幾つかございますが、その例を見ますと、企業の温暖化防止計画の策定とか、排出実績の報告、あるいは違反時の公表等を盛り込んで策定しておる、規制が入っている条例でございます。特に、東京都では、国に先駆けて排出量取引制度も導入しております。このような例を見てみますと、中小企業の多い奈良県においては、このような規制を中心とした地球温暖化防止対策を導入する場合、課題も多く議論が分かれる可能性があるということも考えられます。 しかしながら、過日、畭議員のご質問に、地球温暖化対策の重要性についてのご質問もありましたので、この週末少し考えました。それは、奈良にふさわしい奈良の事情に適した温暖化対策はないかということでございます。多少頭の整理ということで恐縮ですが、まず、議員もご指摘のありましたように、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムが今日の豊かさをもたらしていることは確かでございますが、そのことが気候や自然のバランスを崩し社会システムや、さらには、人間システムにも襲いかかってきている、問題を起こしているというような認識もあろうかと思います。したがいまして、今の社会システムそのものに無理があって、日常のライフスタイルの見直し、特に、自動車がないと生活が困難になるような社会システムの見直しが必要ということもあるのではないか。つまり、温暖化対策というふうにとらえましても、CO2削減だけの問題ではなく、大気・水・土壌等人間を取り巻く必要不可欠な物質の汚染を考えるべきであるということ。もう一つは、安全・安心の問題の背景にある心の汚染の問題も含めて考えるべきではないかということ。ひいては、将来の我々の生活と社会のあり方全体を踏まえて実行できることを考えるという必要があることなどについての論点が頭に浮かびました。自殺率が奈良では低いということが報道されておりましたが、そのようなこともちょっと勘案いたしますと、目指すべきは、奈良の社会、暮らしのよいところもあるので、それを伸ばして悪いところがあれば改善するということで、いい、環境にやさしい奈良の暮らしが実現できないかというようなことでございます。例えば、ロハスと言われるような生き方、ゆっくりでややスローで自然志向の社会といった生活スタイルを奈良で実現するといった方向での考え方でございます。 幸い、奈良では、そのポテンシャルが非常に高いのではないかとも思います。例えば、歩いて、あるいは自転車で暮らせる安全でコンパクトなまちづくりや観光客にもそのようなことをしていただくというようなこと。そのためのインフラ整備もするということ。あるいは、非常に細々とした農業でございますが、一層の地産地消を進めるということ。それから、大きな面積を占めております森林の利活用をどうするかということ等が検討の対象になろうかと思います。まだイメージの段階でございますし具体的な方向までは思いついておりませんが、議員のご発言をきっかけに今後県庁内で勉強を進めていきたいというふうに思います。検討の結果、よい方向性が見出せれば、環境基本条例の見直し、あるいは地球温暖化防止条例のようなものの制定、あるいはもう少し広い対象範囲の条例の制定も視野に入れて、またご提言、ご相談を申し上げたいと思います。稚拙な考え方をこのような場で申し上げて大変恐縮でございましたが、今の段階での考え方ということでご理解を賜りたいと思います。 次に、環境問題の分野、税制についてご発言、ご質問がございました。 自動車税制のグリーン化は、私が自動車交通局長をしておりましたときに初めて導入、実施できたものでございまして、私自身としては思い入れもございます。これまで地球温暖化対策の政策税制として一定の役割を果たしてきたものだと考えております。奈良県独自でそのあり方を検討することも決して否定できるものではございませんし、一つの考え方だと思いますが、自動車税と自動車取得税は県税収入の二割近くを占めておりまして、財政状況が厳しい中で減税のみを行うということは、その額にもよりますが、多少抵抗感といいますか、困難な感じがいたします。また、自動車取得税は道路特定財源となっておりまして、道路整備に多額の一般財源を投入している実態を踏まえると軽減対象の拡大による減収は県と市町村の財政に深刻な影響を与えるという懸念もございます。 したがって、県独自のグリーン税制を検討する場合は、少なくとも税収中立と言われます減税と増税を組み合わせたような考え方を基本に検討を進めせざるを得ないと思いますが、今の時期につきましては、石油製品の高騰化がある現状でございますので、県民生活や県経済の影響へも十分注意する必要があろう、時期を選ばなきゃいけないということでございます。 税制の活用を地球温暖化のために国全体が行う場合は大変有力な手段であろうかと思います。県といたしましては、先ほど申し上げましたように、税制だけではなく、自動車社会のあり方も含めた奈良県らしい独自の観点からの対応を並行して検討していきたいと思います。国におきましては、低炭素化促進というような言葉での観点から税制全般の見直しも行われる方針であると聞いております。そのような動向も注視をしていきたいと思いますが、我が県の自動車関係税制についていかなる対応が可能か、来年度の予算編成に向けて検討していきたいというふうに申し上げたいと思います。 次に、歩きたばこのことにつきましてご提言がございました。 歩きたばこの禁止という場合には、幾つかの要素があろうと思います。一つは、議員がおっしゃいました環境美化の問題、それと、受動喫煙の禁止の問題、そして、もう一つは、周囲への安全性の問題があろうかと思います。環境美化の面については、たばこのぽい捨てだけでなく、ごみや空き缶のぽい捨てなどをなくすことが必要であろうかと思います。県民の皆様、あるいは観光客がお互いに気持ちよく生活するための最低限のマナーでありまして、観光立県の奈良県において基本的な条件だと思います。県では、従来から親切・美化県民運動、もてなしの心県民運動などのような形で啓発、実践活動を展開してまいったところでございます。議員お述べの地域を限定しての歩きたばこの禁止に関する条例の制定は一つの方法論かと思います。 ただ、実現の仕方を考えてみますと、取り締まりを行う人員が、場所によってはたくさんいる。その範囲はどうするか、その取り締まりの公平性をどう確保するか、実効性の問題でありますが、考え方として、ルールでやるのかマナーで、モラルでやるのかといった議論もございます。県としては、研究すべきテーマと思っております。受動喫煙の防止や他者に与える安全性の問題も含め、歩きたばこの禁止をどのような場所でするかどうかについては、このたびの検討課題とさせていただきたいと思います。 その際、分煙の観点から、非喫煙者に迷惑のかからない場所で気持ちよくたばこを吸えるようにすることも検討課題だと思います。たばこ派に肩を持つわけではありませんが、気持ちのよいところでたばこを吸っていただくのも一つの要請かと思います。 私に対しましては、以上の質問でございます。残余は教育長と警察本部長で答えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(中野雅史) 松永くらし創造部長。 ◎くらし創造部長(松永久典) (登壇)三十番田尻議員のご質問にお答えをいたします。 私には、奈良県出身の元プロスポーツ選手によるスポーツ教室等の取り組みへの県のかかわりについてのお尋ねでございます。 奈良県出身の選手がオリンピックや世界選手権などの場で活躍することは、県民スポーツ意識の向上につながり、スポーツ人口のすそ野を広げるとともに、県民の健康増進にも寄与するものと認識をしております。また、現役を引退したトップアスリートがスポーツ教室や講演などで子どもたちや学生とふれあう機会を持つことは、子どもたちに夢や目標を与えるとともに、青少年の健全育成の上でも大きな効果が期待されるところでございます。したがいまして、県内でも、そうした機会がふえることは大いに歓迎すべきことであると認識をしております。 各地で行われている個々の取り組みについて県が直接支援することは、ビジネスという面もありまして難しさもありますが、県のスポーツイベント等の指導者として招いたり、スポーツ教室の開催などで何らかのつながり、連携を持つことはできることでありますし、その必要性はあると考えております。 なお、県民の健康増進等を含めたスポーツ振興のあり方につきましては、今年度改定予定の奈良県スポーツ振興計画の中で検討していく予定であります。 以上であります。 ○副議長(中野雅史) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)三十番田尻議員のご質問にお答えします。私には、県立高校の入学金、授業料、奨学金返還金、小中学校の給食費について、それぞれの滞納状況とその対応について強い姿勢を打ち出すべきと考えるがどうかとこういうご質問でございました。 平成十九年度末時点で県立高校の入学料の滞納はございません。授業料の滞納は約二千六百万円でございます。奨学金の滞納は約十億四千四百万に上っており、さらに近年増加する傾向にございます。また、県内小中学校の給食費の未納については、平成十七年度に文部科学省が市町村に対して調査したデータでは、単年度で約九百八十万円発生しているところでございます。経済的に支払いが困難な方には、授業料免除制度や奨学金返還猶予・免除制度の活用を促しておりますが、払える能力がありながら滞納する者に対しましては、繰り返し文書や面談で督促を行うとともに、今年度、一部簡易裁判所に、法的措置である支払い督促の申し立てを行いました。その実績は、法的措置実施の予告を、授業料、奨学金合わせて十名に行い、半数が返還に応じたところでございます。 ご提案の卒業と授業料の滞納を関連づける徴収の方法については、法的に可能かどうかも含めた慎重な検討が必要と認識しております。いずれにせよ、滞納額縮減のため、払える能力があるにもかかわらず返還に応じない悪質滞納者に対し、強制執行を含めた毅然とした対応をしてまいりたいと考えております。 なお、小中学校の給食費の未納問題についても、先進自治体の事例を紹介するなどにより、市町村に法的措置を含めた適切な対応を促してまいりたい、そのように考えております。 以上です。 ○副議長(中野雅史) 森田警察本部長。 ◎警察本部長(森田幸典) (登壇)三十番田尻議員のご質問にお答えいたします。 奈良県下における振り込め詐欺の発生状況と対策についてご質問がございました。 県下における平成十八年中の振り込め詐欺の認知件数は八十七件、被害総額は約一億八千三百二十一万円、昨年中が九十五件、被害総額は約一億六百九十五万円でありましたが、本年六月末では、認知件数は百七十二件、被害総額は約二億二千二百五十七万円と前年同期と比べ認知件数がプラス百二十二件、被害総額がプラス約一億五千五百十九万円と三倍以上増加し深刻な状況にあります。 とりわけ、四類型の手口の中でも、還付金等詐欺につきましては、一昨年の認知件数はなかったものの、昨年の認知件数は四十件、被害総額は約四千三百四十万円となっており、本年六月末では認知件数は八十五件、被害総額は約一億千八十三万円と急激に増加しており、振り込め詐欺増加の主な要因となっております。 このような情勢を踏まえ、県警察では、関係法令を活用した取り締まりの強化を図り被疑者の検挙に努めるとともに、金融機関に対して、犯行に使用された口座の凍結依頼を実施するなど、被害拡大の防止を図っているところであります。 また、被害防止対策として、各種広報媒体を活用した県民への情報発信活動、高齢者の被害防止意識の高揚を目的とするさまざまな機会を活用した防犯教室等の実施のほか、金融機関に対しては、店舗、ATM施設への啓発用ポスター、チラシ等の掲示や、被害者と思われる人が振り込む前に職員による声かけを行っていただくなど、連携強化を実施しております。 さらに、検挙対策及び被害防止対策を総合的かつ強力に推進するため、本年六月十六日付けで私を長とする奈良県警察振り込め詐欺対策本部を設置したところであり、県警察の組織を挙げて振り込め詐欺の抑止に努めているところであります。 以上です。 ○副議長(中野雅史) 三十番田尻匠議員。 ◆三十番(田尻匠) 今、知事はじめ各部長に答弁をいただきました。知事からは、特に丁寧にご説明を含めていろんな観点から答弁をいただいたと思っております。 私は、一例としてホテルと県庁の移転と申しましょうか、そのことを申し上げましたが、私自身は、政治は、ある意味、県民の夢であってロマンであると思っております。入り口から何もかもができないというその議論ではなくて、こういうふうにする思いや単純な県民の皆さん方の思いもあるというそういう観点から申し上げたところでございます。そういう意味におきましては、荒井知事は、ある意味、私の考えるところによりますと、大変広範囲な、ある意味、固定概念がないような発想をされるのではないか、あるいは、そういう幅広い考えを持っておられるのではないかとこのようにも考えております。そういう意味におきましては、この本会議場、あるいはいろんな場所で知事といろんな議論を交わしながら、県民の皆様方にその議論の内容を公開をし、そして聞いていただき、見ていただき、そしてまた、多くの意見を取り入れながら、よりよい奈良県のために共に頑張ってまいりたいとこのように考えております。 温暖化の問題も知事のおっしゃるとおりであります。法で規制をするばかりが能ではないと思っておりますし、できるなら、各個人がいろんな形で自分の意識の中で高いモラルを持って取り組んでいただければよいかと思います。 しかし、その中で、一点だけ、歩きたばこの件ですが、大人の同士の観点ではあまりわからないんですが、先日、ある方からお伺いをいたしました。子どもさんを連れて奈良公園へ行っていると、歩きたばこをしていた方のたばこが、手を振っていたらちょうど子どもの目の当たり、顔に当たったようであります。その方は全く気づかれずに行かれたということがあって、本当に子どもの視線、あるいは子どもの目線が非常に大人とは全く違うところにあることも、これも事実として確認をいただきながら、子どもたちにとっても安全である、そのように奈良であってほしい、社会であってほしいと思っております。 教育長のおっしゃられたいろんな問題の中で、奨学金も大変大きな社会問題となりました。奈良県としても、なお一層強くおっしゃっていただきたいと思います。 最後に、警察本部長、奈良が本当にすばらしい県になりますように強いリーダーシップをとって県民の安全性のためになお一層のご尽力をいただきたいと思います。 以上で質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(中野雅史) 次に、四十三番梶川虔二議員に発言を許します。--四十三番梶川虔二議員。 ◆四十三番(梶川虔二) (登壇)新創NARA、社民党の梶川が、ただいまから一般質問をさせていただきます。 きょう七月七日は、日中戦争勃発の発端になった蘆溝橋事件の起こった日です。私たちは、今後、国際紛争は武力をもって解決しないと誓い合って新しい憲法をつくりました。平和憲法を守る糧の一日にしたいと思います。あたかも、きょうは、国際会議拡大G8サミットが北海道で開催をされます。 今、我が国は、雇用問題、福祉予算の二千二百億円カットなど、厳しい社会にハンドルを切っております。政権与党、為政者はどのような社会をつくろうとしているのでしょうか。来年は介護保険見直しの年です。老人介護の社会化を言いながらできた介護保険も、同居者があれば家事援助のヘルパーは依頼できなくなる場合があるとか、あるいは、後期高齢者医療保険制度にあわせて療養型病床群をカットして高齢者の療養介護の場をなくしております。我が県には、榛生昇陽高校に介護科があります。単に高校卒業資格をとる学科でなく、先生も自信を持って介護の道に生徒を導けるように、そして、介護科が存続できるような福祉部、県教育委員会が連携を取り合って介護の社会化、介護従事者の待遇改善などを柱に意見具申をするよう要望しておきます。 それから、最近、五月十九日に、私の家の方に匿名の投書が入ってきました。これは、国道に関してのいろいろ、歩道などのことが書かれておるわけですが、その中の最後の末尾に書かれたことを紹介をしておきたいと思います。原文のままです。 また、三室病院の職員の皆さんも親切に応接してくださり、医師の先生方も一生懸命になって患者のために日夜働いておられますことも梶川議員にお伝えをしておきます。以上よろしくお願いします。 たったこれだけの文章ですが、大変お世話になったという、勤務医の先生方にご苦労いただいているということを感謝されている気持ちがありありとわかりますので、一つ紹介をしておきます。 質問の第一点目は、国の直轄事業の地元負担金制度の廃止を求めることについてお尋ねをいたします。 四月のかかりに、国土交通省直轄管理の国道二五号が斑鳩町区域内にある竜田大橋でアルミ製欄干が突如鉄製の欄干に交換されました。特に傷んだところはないがなぜという質問が県民からもありました。欄干の交換は、福岡県で酔っぱらい運転の青年の車が他の車を海に突き落とし三人の子どもを死なせた事件がありました。それにかんがみ、軟弱なアルミ欄干を堅固な鉄製欄干にかえたものでした。一千万円の工事費で、県は四五%、四百五十万円を負担しております。 三年前には、同じく国の直轄管理の吉野川で河川浄化装置をつくりましたが、予期どおりの機能を果たさず、一年間稼働することなく放置して、再び掘り返し手を加えました。このときは、設置費一億五千万円の二四%を県で負担し、そして手を加えた改良費も二四%を県が負担しております。国の不十分な設計の改良費まで県に持たすことは腑に落ちません。大和川の河川浄化装置でも同じようなことがありました。 今、国道二五号斑鳩バイパスの工事が進められております。斑鳩町は、斑鳩パークウェイと言っておりますが、今工事現場に行ってみますと、国は、これは二五号のバイパスとしてつくるんですよということを大きな看板に書いております。あたかも町がパークウェイということに対して、国の方は、そうではなくて、これはバイパスなんだということをはっきりと言っておるんではないかと思いますが、あの風光明媚な竜田川に大きな橋脚ができて、心ある人の、この橋脚は何だという声が聞こえております。この工事も三分の一は県が負担をしております。ちょっと驚いたのは、一夏に何回も刈る大和川の堤防の草刈りまで直轄負担が約半分、四五%あります。県の河川も一回すらまともに草刈りできていないのに、県に相談あるのかないのか知りませんが、草刈りまで負担をさせて近畿地方整備局が奈良の予算をほしいがままにしているような感じがいたします。国の事業の地元負担、直轄負担金は、国の行う国道や河川の事業費の一部を受益者負担ということで県に負担をさせるもので、今年度は九十四億八千九百万円あり、県の予算編成時にはどこに使われるのか我々にはわかりません。ブラックボックスです。大阪府では、橋下知事が財政改革をしておりますが、それを見た改革派の鳥取県片山元知事が、一カ月前の当時、大阪府の橋下知事の財政改革に対し、いろいろやっているが、二つの聖域をつくっている。すなわち、議会と国の直轄負担金には手をつけていないと指摘をされました。直轄負担金は、維持補修の場合は四五%、改築事業では約三分の一の負担になっております。 そこでお尋ねいたしますが、直轄負担金制度は、財政力のあるところは国の事業を引っ張ってこれるし、資金があるのだから県独自の事業もたくさんできます。奈良県のように財政力の弱い県は、その逆で、国の事業も引っ張ってこれないし、無理すれば県単独の事業に金が回らなくなります。今日、地方分権と言われる時代です。直轄負担金はなくし国の予算でやるように求めていただきたいと思います。荒井知事のお考えをお聞かせください。 質問の二点目は、功労者表彰制度、(仮称)奈良・県士無双章についてお尋ねをいたします。県、武士の士に無い双ですね、双子の双と書きまして、県の中ですぐれた人という意味です。名前にこだわりませんが。 あることから、著名な県内在住の文化人の叙勲申請の相談を受けました。県関係課に相談したところ、民間業務功労で叙勲の選考を受ける場合、知事表彰を受けていることが大きな要素であるとわかりましたが、奈良県には、県としての表彰制度は十分でないことでございます。例えば、市町村の農作物共進会に知事賞があるとか、高齢者作品展に知事賞などがあることがわかりました。商工労働部や教育委員会には、もう少し格好のついた制度があるようですが、縦割りの行政の中で県として功労者を表彰する制度がないことがわかりました。県民栄誉賞は出していますが、これは特殊なケースでございます。 そこで、遷都一三〇〇年にちなんで、県内の各界で功労のあった人を表彰する制度、(仮称)奈良・県士無双章を創設していはいかがでしょうか。県内の功労者をまず県が発掘し表彰することにより、奈良県の文化、その他の分野の活性化になるのではないでしょうか。それが、民間業務で苦労した人の叙勲に結びつけば幸いです。荒井知事のご所見をお聞かせください。 質問の第三点目は、ワーキングプア、働く貧困層を生じさせないための対策についてお尋ねいたします。 九十年代以降、一貫して進められた自由化、規制緩和により、労働者の就業形態が、派遣制度など不安定なものになりました。派遣制度は、多様な、自由な働きができるという言い方に若者がどれほどだまされてきたことでしょう。多様とか自由とかいうのは企業側にとってのことであって、働く者にとっては、ワーキングプアやホームレスになる自由であると言われております。総務省の四、五日前の発表の最新のデータによると、派遣労働者、フリーターなどの非正規労働は千八百九十万人で、働く者の三五・五%を占めております。内訳は、男性は一九・九%、女性は五五・二%が非正規です。二十四歳以下の青年労働者が、男女ともほぼ二分の一が非正規雇用労働者でありますから、このままにしておくと、近い将来、二分の一が非正規労働になります。これでは、将来は、名ばかり管理職と派遣社員だけになります。労働集約型産業の労働組合、電気連合は、六十二万人が組合員、すなわち正社員で、派遣などが五十万人を超えた、これから労組の組織化をすると方針を出しております。過労死、ノイローゼと、労働界に明るい話題はありません。交通事故死だって、単に事故に終わらせず、勤務実態まで踏み込んで捜査をしてほしいと思います。新しく本部長になられた森田本部長に要望しておきます。働いても働いても生活できないワーキングプアと言われる若者が生まれる社会のもとで、毎日通り魔事件や家族殺傷事件が起こり、最近の極めつけは秋葉原事件と自殺者三万人、十年連続であります。派遣社員制度など、希望の持てない雇用形態が続く限り、このような事件はなくならないと思います。 そこで、お伺いします。 ワーキングプアが大量に増加している格差社会で賃金や労働条件の格差を是正、解消を図るためには、労働者派遣法の廃止、または抜本的見直しなどによる正規雇用拡大が重要課題と考えます。県として、これらの課題をどのようにとらえ、県内企業における安定した雇用の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いをします。さらに、県の行う公共事業契約、業務委託契約、指定管理者契約の業者の応募条件を改定していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねをいたします。 質問の四点目に移ります。 住民基本台帳カードが発行されて五年になります。利用を進めるため、今年三月の確定申告に際しては、五千円の税額控除があると大きく宣伝されたが、実際にカードを求める住民は一向に増加していないようであります。奈良県でも、二〇〇八年三月三十一日現在で一万五千七百三十五人であります。県内成人百十万人として一・五%の利用率になるでしょうか。ふえない原因は何か、利用されているのは何か、その分析のないまま、この住民基本台帳カード制度を維持するための費用、すなわちランニングコストは毎年数百億円、奈良県庁だけでも一億七千二百万円が必要になっております。中央政府も地方自治体も財政危機と言われているのに、無駄遣いの見本と言うべきです。厚生労働省では、近い将来に住民基本台帳ネットワークシステムとは別に社会保障カードを進めているということですが、そうなれば、住基ネットシステムの価値はますますなくなります。現状何に使われているのか分析し費用対効果の実態を明らかにしてください。橋下大阪府知事は手をつけたのかどうか知りませんが、このままにしておくのではなく、経費の運用ダウンを国に働きかけてはどうでしょうか。地域振興部長にお尋ねをいたします。 次に、子どもの虐待と里親制度の充実についてお尋ねをいたします。 我が国の労働環境の問題点など、前項目のところで申し上げたとおりで、その環境のもとで子どもの虐待も急速にふえ、虐待で亡くなった子どもは二〇〇六年で百二十六人あります。死に至らないまでも、きつい虐待を受けている子どもは何人いることでしょう。一番やすらぎ、かわいがってもらえるはずの母親や父親にぞっとするような手法で幼児が虐待をされておりますが、決して見逃してはなりません。親と子を引き離すということは大変なことだと思いますが、国内の虐待児の救出は、後追いで取り返しがつかなくなってから児童相談所は言いわけをしているケースが多いように思います。我が奈良県でも、三月に、生後四カ月の子が虐待で意識不明になり、この四日には死亡しました。かわいい命のご冥福を祈り、供養との思いで質問をします。 このケースの親は逮捕されましたが、これらのケースの虐待の察知は絶対できないのか、察知した場合、安心して保護できる施設の数はあるのか、お聞かせください。虐待を受けた子どもは、家庭的な雰囲気の里親制度のもとで育つのが一番いいとも言われております。今NHKでは、朝ドラに「瞳」が放映をされております。見ている人も多いと思いますが、これは、ダンサーを目指す主人公、瞳が三人の子の里親になる人情味あふれたドラマです。我が国の場合、このような子どもたちの一割しか里親制度のもとで育っていないと言われております。里親の登録も、昭和三十五年ごろ二万件ありましたが、二〇〇六年には七千八百八十二件です。里親制度が普及しない原因は、制度が知られていないということのようです。奈良県も、もっと制度の啓発、宣伝をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。女性、初めてここで答弁されることになるかもわかりませんが、こども家庭局長にお尋ねをしたいと思います。 次に、障害者就労実態についてお尋ねいたします。 障害者自立支援法の施行により、地域生活支援の応益負担は大きな問題があり、見直しが求められております。もう一つの柱の就労支援は、現在、関係機関など連携を図りながら取り組みが進められております。 昨年、広陵町の家具製造会社大橋製作所で、住み込みで働く知的障害者の障害基礎年金奪取をはじめ、数多くの不正、人権侵害を経営者がしていたことが発覚しました。既に司直による捜査もされ刑の求刑もあったようです。知的障害者は、自分に対する権利侵害を認識することができません。大橋製作所の場合でも、被害者からの具体的な訴えがないまま、企業倒産によって問題が発覚しました。 厚生労働省、奈良県の縦割り行政の中で、三十年ぐらいこの事業所に立ち入ったことがなかったことも問題でしょう。障害者から訴えがなくても、障害者を支援する機関や地域社会がキャッチするシステムがあればこんな事件にはならなかったのではないでしょうか。昨年九月の厚生委員会で障害者の権利擁護にかかわって成年後見人制度の活用についてモデル事業を考えてみたいと前福祉部長は答弁をされています。障害者雇用事業所を定期的に立ち入り点検をすることも必要と思います。今後、二度とこのような事件が発生しないように県として再発防止に向けてどのような取り組みを進めているのか、福祉部長にお伺いいたします。 質問の最後は、特定優良賃貸住宅に関してお尋ねをします。 この特優賃という制度は、民間において公営住宅並みの優良な住宅を確保するという政府や県の方針によりできた制度で、住宅建設に当たっては、費用の九割を民間事業者が、一割を国、県が負担して建設された賃貸住宅です。そして、入居者募集、契約、建物管理は県住宅供給公社がする仕組みになっております。 しかし、今日この仕組みがしっかり動いて所期の目的を達成しているのか検証した場合、不十分と言わざるを得ないのではありませんか。既に住宅供給公社の管理から外れたマンションがありますが、これは入居率は高い。しかし、県が一括借り上げしているものが二棟ありますが、一棟は三十二戸中六戸、一棟は二十二戸中十六戸が空き家です。全体で入居率六〇%、逆に見れば、空き家率四〇%になっております。宣伝はほとんどないなど問題点を挙げれば切りがありません。 そこで質問ですが、昨年八月末の入居率は六〇%と聞いたが、一年後のこのたび聞いても六〇%の入居率と言っているが、もう出入りの動きはないのか。この特優賃はどう位置づけて仕事をしているのでしょうか。特優賃の入居率は六〇%と低いが、その対策はどのようにしているのでしょうか。特優賃は不動産業です。不動産業で土曜日など休んでいる業者はいないと言われております。大阪府の公社は、土曜日は十時から十六時まで、UR都市機構、旧公団は土曜日も相談を受けていると聞くが、奈良県も検討する必要はないのでしょうか。まちづくり推進局長にお尋ねをいたします。 これをもちまして、ひとまず質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(中野雅史) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えさせていただきます。 最初は、国直轄事業の地元負担金制度についてのご質問でございました。 まず、奈良県の直轄事業の地方負担金事業を申し上げますと、平成十八年度決算におきまして、本県一般会計の総額の約三%が直轄負担金でございまして、額にして百二十八億円でございます。このうち六三%に当たる約八十一億円が道路事業に関する地方負担金で、約九%に当たる約十二億円が河川事業に関する地方負担金でございます。平成元年から、全国知事会が直轄負担金の廃止について要望している状況にございます。 直轄負担金については、分野が違いますが鉄道で一〇〇%国費のAB線という事業がございました。私が担当課長をしていたときがございましたが、それは、その後事業そのものが国鉄改革とともに廃止されたわけでございますが、前に廃止されたわけでございますが、国費一〇〇%事業については、鉄道でございますが、政治力のみで採択が決まってしまうという、事業の採算性の計算が非常に度外視されてしまうという弊害があるようには思いました。効果的な事業採択の観点からは問題があったように思いました。直轄負担の建設における負担と、その後の維持補修についての直轄負担というのに若干性格の違いがあると思いますが、現在は、建設について直轄負担があれば、維持補修についても地方の負担があるというふうになっておるようでございます。道路は、無料にするのが原則になっておりますので、税で整備をするときにはその後の補修については各地域も負担をして補修しなさいというのが現在の制度でございます。奈良県の事業から判断しますと大変苦しい制度でございます。道路整備がおくれていたり財政力の弱い地域にとりましては、国直轄事業の地方負担は、誠に財政への打撃の大きい負担と言わざるを得ないと思っております。 我が県の直轄事業に係る負担のそのような特別な需要にかんがみまして、今般、来年度予算に向けましては、国に対しては京奈和自動車道の整備に関する地方負担金の軽減と、名阪国道の維持修繕に関する地方負担金の軽減について、県としては初めて要望することにいたしました。また、他県の例からしても、このような個別の事例の要望は例がないわけでございますが、名阪国道については、幹線でございますが、通過交通が約六割ということで、県としては、その通過部分の維持補修費を持つのは大変負担感が大きいという事情がございます。また、京奈和自動車道につきましては、幹線の一部でございますが、財政の影響の軽減をやはり要望したいという観点から、県の特別な事情を斟酌してもらうべく、直轄負担金の軽減について要望しようとしているところでございます。 次に、奈良・県士無双章という名前の顕彰制度の創設についてご提言がございました。 現在の顕彰制度でございますが、それぞれの分野で功績のあった県民の方々を顕彰する制度がございまして、その方々自身への励みになるだけではなく、その方を支えてきた人たちや、後に続く人たちにとっても意義があるというふうに考えまして従来からの顕彰制度を持っております。平成十九年度におきましては、約四百の個人、団体に対して知事表彰を行いました。また、県民栄誉賞というのもございまして、広く県民に親しまれ、県民に明るい希望と活力を与える顕著な功績があった方ということでございます。現在の県の表彰制度を見ますと、かなり広い分野について顕彰を行っているというふうにも見えます。 したがいまして、今後、県民の方々への顕彰については、各分野で功績のあった方々をより広く発掘し、表彰対象としてこれまでの表彰制度をより充実する方向で努力はさせていただきたいと思います。委員から提案のございました新しい名前の表彰制度の創設につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。 次に、ワーキングプアについてのご質問がございました。 本県における正社員の有効求人倍率ということで見ますと、平成二十年五月の段階では〇・四二倍と、一人の求職に対して〇・四しか求人がないという低い数字でございまして、全国の値は〇・五三倍、これも低いわけですが、それをさらに下回っている状況にございます。 派遣労働、パートなどの非正規雇用については、先日もご質問がありましたが、時間や曜日に制約のある方々にとっては多様な働き方として労働者側にも一定のニーズはあると言われておりますが、その反面、正規雇用との不当な差別が生じがちな点も指摘されているわけでございます。労働者派遣制度という制度自身にとっては、現在、国においても、そのような事情、すなわちニーズがある反面、問題も多いというふうに認識されて研究会が設置され、今後の制度のあり方について議論されていると聞いております。労働者派遣制度の問題は我が県だけの問題ではなく、全国でも見られておりますので、また、法的な取り扱いについて各県の差があることは好ましくないという面もございますので、県としては、国の検討の動向を基本的には見守りたいというふうに思います。 しかし、我が県における不安定な労働者の実情の把握に努めて、その改善に向けた必要な措置が講じられるようにするのは大事なことでございますので、その点は特に国に対して要望してまいっていきたいと思います。 一方、我が県は、全体の有効求人倍率も低いわけでございまして、安定した雇用の確保を図るには、県経済の活性化を図り有効求人倍率全体を向上させていくことが何よりも重要だというふうにも思います。本年四月に策定いたしました奈良経済発展戦略に沿って企業立地やホテルの誘致の推進など、外部からの投資の呼び込みや、農商工連携の促進などによる県内産業の競争力の向上に取り組み、県内の正規雇用の受け皿の充実・拡大を図ってまいりたいというふうに思っております。 また、正社員と非正規社員を不当に差別しないためには事業者サイドの意識が重要であると思います。昨年度に引き続き、今年度におきましては、奈良労働局と連絡をとり、経済団体に対し要請活動を行ってまいりたいと思います。 また、県の行う契約についてのご提言がございました。県が行う契約は、公共事業だけでなく、印刷物の発注なども含め、あらゆる発注案件については競争入札が原則としておりますが、入札条件に正規雇用の条件を盛り込むことについては、正規雇用の少ない中小企業を排除し正規雇用の多い大企業優先にはならないかという心配もございますので、直ちに改定することは困難であろうかと思っております。 なお、建設業のような受注産業におきましては、非正規雇用や臨時雇用が多いのは事実でございます。公共事業を受注する建設業者等には、技術者や作業員の直接雇用が法令で義務づけられておりまして、請負能力の評価に当たり雇用状況は重要な評価項目となっております。この条件の重視は重要であり、このチェック機能は高めていく必要があろうかと思います。このことは、間接的でありますが、正規雇用の拡大にも効果があるものと理解しておるところでございます。 残余のご質問は、関係の部局長から答えさせていただきたいと思います。 ○副議長(中野雅史) 中野地域振興部長。 ◎地域振興部長(中野理) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えをいたします。 私への質問は、住民基本台帳カードについて、現状の利用実態を分析し費用対効果を明らかにすべきではないのか。また、運用経費の負担軽減について国に働きかけてはどうかとのお尋ねでございます。 本県の平成二十年三月末の住民基本台帳カード、いわゆる住基カードでございますが、カード発行枚数一万五千七百三十五枚のうち六千九百十二枚が昨年度の交付でございます。対前年比は約八割増で、これは、電子申告による税額控除の影響が大きいものと推定をしております。このような各種電子申請事務の拡充により、発行枚数は今後増加していくものと期待をしております。 また、住基カード以外の住基ネットを利用した行政サービスとして、旅券発給申請の際に、年間約六万件の本人確認が行われ、住民票を取得する手間や経費が不要となるなど、住民サービス向上に効果を上げていると考えております。さらなる利用促進を図るため、国においては、議員お述べの社会保障カードとして年金手帳、健康保険証、介護保険証を一枚のカードにまとめるシステムの構築が検討されておりますが、これは、新たな投資を抑制するため、住基ネットシステムの活用を検討中と聞いております。今後の省庁間の連携促進を期待し、その動向を注視してまいりたいと考えております。 なお、全国ネットワークの運用経費についてでありますが、各府県が分担して地方自治情報センターへ支出をしておりますが、県としても、当然、ランニングコストの縮減を求めているところでございます。 また、先ほど申し上げました社会保障カードのように利用できる事務が拡大されれば本県の負担額の軽減につながると考えているところであり、利用範囲の拡大についても、引き続き、国及びセンターへ要望してまいる考えでございます。 以上でございます。
    ○副議長(中野雅史) 高木こども家庭局長。 ◎こども家庭局長(高木三起子) (登壇)四十三番梶川議員の質問にお答えいたします。 私に対しましては、子どもの虐待と里親制度の啓発についての二点のご質問でございます。 一点目は、虐待を早い段階で察知できないのか。また、保護できる施設の数は十分であるのか。二点目につきましては、里親制度の啓発の充実についてのご質問でございます。あわせてお答えをいたします。 児童虐待につきましては、年々増加するとともに深刻化する中で、県こども家庭相談センターが昨年度受けました児童虐待相談は六百八十二件と過去最高となっております。県におきましては、平成十七年度から、中央こども家庭相談センターに、県内全域の児童虐待事案を所管いたしますこども支援課を設置するとともに、二十四時間相談体制を整備するなど体制強化を図り、あわせて市町村や関係団体等と連携を密にしながら要保護児童対策に取り組んでまいりました。 しかしながら、児童虐待は、家庭内という密室で起こることが多く、早期発見が非常に難しいことも事実でございます。県といたしましては、今年三月に発生いたしました奈良市月ヶ瀬の痛ましい事件を受けまして、四月に児童虐待等調査対策委員会を設置したところでございます。現在、児童虐待の発生予防、早期発見の方策について検討を進めておりますが、九月をめどに、今後構ずべき対策について報告を取りまとめる予定をしております。 虐待を受け保護を要する児童につきましては、県内二カ所の乳児院、六カ所の児童養護施設への入所措置を行っておりますが、いずれの施設も入所児童が増加している現状にございます。特に、児童養護施設につきましては、入所定員を上回る状況もあることから、今年度、施設の定員増と、家庭できめ細かいケアの充実を図るため、県内二施設目の小規模児童養護施設の設置を予定しているところでございます。 次に、里親の拡充につきましては、平成十九年度に里親推進事業を創設いたしましてセミナーの開催、パンフレットの配布、ホームページの立ち上げ等による制度の普及・啓発を行うとともに、中央こども家庭相談センターに里親委託推進員を配置し、積極的に奈良県里親会、乳児院や児童養護施設などの関係機関、あるいは里親を希望される方などへの働きかけを行っているところでございます。また、今年度は、十一月に実施の児童虐待防止キャンペーンにおいても、里親制度の啓発を行う予定にしております。 今後は、議員にもご指摘いただきましたように、里親制度に対する社会的認識が浸透していくよう、さらにきめ細かい啓発活動を実施しながら里親の開拓、拡充など、要保護児童対策の一層の充実に引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(中野雅史) 稲山福祉部長。 ◎福祉部長(稲山一八) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、障害者就労の実態把握について、大橋製作所のような事案の再発防止には、障害者雇用事業所へ定期的に立ち入り、点検や協議を行うことも必要と考えるが、県としてどのような取り組みを進めていくのかというご質問でございます。 今回の大橋製作所の事件は、従業員である障害のある人の賃金の未払い、年金通帳の不適切な管理による障害者年金等の横領、劣悪な住環境での寮生活など、障害のある人の権利擁護の観点から極めて悪質かつ重大な事件と認識しております。 県では、この事件の発生を受け、労働サイドのハローワークと福祉サイドの障害者就業・生活支援センターが連携し、知的障害のある人が住み込みで従事している十一事業所を訪問し、従事者の就業状況や生活実態を調査するとともに、事業者からの相談にも応じたところでございます。 また、社会福祉協議会が実施します地域福祉権利擁護事業を活用した住み込み従事者の通帳管理システムや今回のような事件を未然に防止する通報システムなどにつきましても早急に整備すべく、県自立支援協議会の就労・教育部会におきまして検討を進めていただいているところでございます。 県といたしましては、このような事案を二度と発生させないためには、事業所への訪問が最も効果があると考えており、市町村、労働局をはじめ、障害者就労支援関係機関等との連携を強化し、今後とも定期的に訪問し、従事者の就業状況や生活実態の把握に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(中野雅史) 宮谷まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(宮谷太) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えいたします。 特定有料賃貸住宅につきまして、入居率が改善されていないが、今後の出入りはないのか。県としてこの制度をどのように位置づけているのか。入居率対策についてどのように取り組んでいるのかというお尋ねでございます。 特定有料賃貸住宅制度は、中堅ファミリー層向けに居住環境が良好な賃貸住宅の供給を促進するために、平成五年に創設されまして、この制度に基づきまして、民間事業者などが国、県などの補助を受けまして優良な賃貸住宅を建設したものでございます。県内では、平成七年から平成十四年の間に二十七団地、七百三十四戸が建設されましたが、特定有料賃貸住宅としての管理期間終了に伴いまして、現在は十三団地、三百三十五戸となっているところでございます。このうち、県の住宅供給公社では、三団地、七十八戸の管理を受託しております。 この間、県内の住宅戸数は既に世帯数を上回っておりまして、中堅所得者層における持ち家の比率が増加しております。一方、家賃の安い民間賃貸住宅が増加しておりまして、その家賃水準が下落傾向でございます。そのために、毎年入居者負担額が増加する仕組みの特定有料賃貸住宅は、家賃の優位性を失いまして入居ニーズが低下していることから、その役割は終えたものと考えております。 また、平成十五年以降は新たな特定有料賃貸住宅は建設されてはおりません。既に建設されました住宅の入居状況につきましては、建設当初はほぼ満室でございましたが、平成十四年ごろには八〇%程度になりまして、現在は、入居者の出入りはあるものの、六〇%程度で推移しております。 入居率の向上策につきましては、平成十四年度から、例えば、所得要件の引き下げや単身入居を可能とするなど、入居対象者の拡大、それから、管理主体の民間法人への移行を可能とするなど、順次緩和策を取り入れまして、事業者はその中から適した制度を取り入れてきたところでございます。 県の住宅供給公社が管理している住宅では、住替え需要が最も多くなる二月に土曜日、日曜日の受け付けを実施するほか、随時ホームページの空き家情報を更新し、パンフレットの作成などPRを行い入居者募集に努めてきたところでございます。 今後とも、県の住宅供給公社に対しましては、相談窓口の土曜日設置など、入居率向上のための指導を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(中野雅史) 四十三番梶川虔二議員。 ◆四十三番(梶川虔二) それぞれご答弁いただきましてありがとうございました。 私は、ある職員に、梶川さんの質問はユニークな質問があるときがありますねと言われたことがあるんですが、どういう意味かよくわかりませんが、県民といろいろ話をしとるときに、ああ、それやったら一回議会で本会議場で質問してみてあげましょうというようなことを手形を切るもんですから、今回もそういった幾つかの問題がありまして質問させていただきました。一つ一つが直ちに、よし、これをやります、やりませんいうことにはなりませんので再質問はいただきませんが、ぜひ頑張っていろんな点でしっかりやってほしいと思います。 その中で、特に、ワーキングプアの問題ですが、県の委託事業あるいは公共事業、その他指定管理者制度、これらも含めて、県のやる公共事業でワーキングプアが出ないように、ぜひ要望して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(中野雅史) しばらく休憩します。 △午後二時四十三分休憩    -------------------------------- △午後二時五十八分再開 ○議長(辻本黎士) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 次に、三十四番中村昭議員に発言を許します。--三十四番中村昭議員。 ◆三十四番(中村昭) (登壇)初めは、知事のトップセールスを生かした観光振興及び宿泊力の強化についてお尋ねをいたします。 しばらく前に、全国各地で改革派知事がもてはやされた時期がございましたが、最近は、改革派知事にかわりましてタレント知事がマスメディアを席巻いたしております。タレント知事への評価はそれぞれあるかと思いますが、非常に評価できるのはそのPR効果であります。例えば、昨年一月に東国原宮崎県知事が就任をされましたが、関西大学の宮本教授の調査によりますと、宮崎県内の消費額は、前年度に比べて約八十三億円の増加、マンゴーの売り上げは約十七億円の増加、誘致企業十七社の投資額も二百八十三億円増加しており、このようなデータに基づいて試算をいたしますと、宮崎県知事が就任後一年間の経済効果は、少なく見積もっても約四百九十二億円、入手できなかったデータも推定をいたしまして計算いたしますと、約一千億円程度の経済効果が認められるということであります。地方自治体のトップが積極的にPRを行うことでいかに地域が活性化するかということがわかる事例ではないかと思います。 さて、我が荒井知事におかれましては、タレント知事とはまた違った形で運輸省時代に国際的な仕事をされてこられた経験を生かして、特に海外へのトップセールスを積極的に行われております。 そこで、まず、知事トップセールスの成果を生かした今後の国際観光、善隣友好交流の取り組みについてお尋ねをいたします。 奈良は、古代より、中国や韓国と遣隋使、遣唐使などによる交流が盛んで、これらの地域から現在の桜井市金屋の海石榴市に仏教が伝来するとともに、さまざまな文化、技術などがもたらされ、日本の国の礎が築かれました。そして、この交流のあかしである法隆寺や唐招提寺をはじめとする歴史文化資産が数多く現存する、日本でもまれに見る観光資源に恵まれた地域であります。県におかれましては、鑑真和尚や飛鳥文化など、中国、韓国とのゆかりに着目し、観光客や修学旅行生の誘致と相互交流を促進するため、今年一月に中国揚州と上海、六月には韓国忠清南道とソウルに奈良の魅力を紹介するミッション団を組織され、知事トップセールスを実施されました。現地の旅行業者やメディアなどを招いて開催された意見交換会、日本・関西・奈良を語る集いでは、毎回百名を超える参加者のもと活発な意見交換がなされ、奈良の魅力が大いにアピールできたものと思います。 また、韓国では、昨年六月に忠清南道を知事が来県された際に締結されました協力意向書をさらに発展させ、来る二〇一〇年に開催予定の平城遷都一三〇〇年祭と大百済展の実施に当たり、実務協議会を設置し、相互協力を行う文化観光交流協定が締結をされました。このように、知事みずからが本県経済の浮揚を図るべく先頭に立って諸施策の実現に取り組まれていることについて大いに評価をいたしております。 さて、私は、昨年十月に忠清南道を知事の招聘で訪韓いたしましたのをはじめ、中国、韓国への知事トップセールスのいずれにも参加をしておりますが、この三回の経験から一段と思いを強くしている点について述べていきたいと思います。 本県は、国際文化観光・平和県を標榜しており、私も、県勢の均衡ある発展のためには、奈良の歴史と文化を活用した観光振興が非常に重要だと考えております。しかし、ご案内のとおり、平成十九年の本県来訪者の宿泊者数は全国最下位、外国人の宿泊者数も全国三十七位と低迷いたしております。中国や韓国を訪問して現地の方の話を聞きますと、奈良公園、大仏、鹿は知っているが、ほかはあまり知らないというように、まだまだ奈良の魅力についてのPRが不足している気がいたします。そうしたことから、早急に今回の知事トップセールスで得た成果を具体化する観光交流・善隣友好のための取り組みを開始をし、歴史文化を踏まえた相互交流、奈良らしい旅行商品の造成など、中国、韓国の観光客に奈良へ来ていただく仕掛けづくりを行う必要があると思います。 日中政府間においては、去年十二月に結ばれた日中青少年友好交流年の活動に関する覚書により、本年から四年間、毎年四千人の青少年の相互交流が実施されます。本県におきましても、荒井知事のご尽力による胡錦濤主席来県をよい契機として、積極的に次世代を担う青少年を中心とした友好交流を深める取り組みを進めるべきという思いを持っております。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 中国、韓国へのトップセールスで得られた成果を観光振興に結びつけるための具体的な取り組みが必要だと考えます。 例えば、仏教という歴史・文化上の共通点に着目し、相互訪問団を結成して、中国や韓国との相互交流を深めることも一案でありますし、また、今回締結した文化観光交流協定書の平城遷都一三〇〇年祭と大百済展の連携を具現化する必要があると考えます。今後の取り組みについて知事の考えをお聞かせください。 それとともに、観光振興を進める上で忘れてはならないのが宿泊施設の整備であります。先ほど述べたトップセールスを生かした施策をすることにより、また、来る二〇一〇年の平城遷都一三〇〇年祭を契機として、国の内外からさらに多くの観光客の来県が予想され、外国人観光客をはじめ、要人の方々も多数来県されることが見込まれますが、こうした宿泊需要に対応し、本県における滞在型観光を定着させるためには、県内の宿泊施設の受け皿の整備は重要な課題であります。 そこで、知事は、県営プールの撤去後の跡地に大型ホテルの誘致を積極的に進められておりますが、本県にとって、滞在型観光の振興を目指す重要なプロジェクトとして大いに期待をいたしております。しかし、今回の議会で議員から発言もございましたが、今回のホテル誘致事業計画提案競技につきましては、実際に提出された提案書がわずか一件となっており、なぜこのような結果となったのか、その要因をどのように分析しておられるのか、知事の所見を改めてお尋ねをいたします。 また、県は、今後、提出された提案書について審査会を開催し審査していくとのことでありますが、万が一にも審査会において提案書が不採択と判断される場合や提案企業に何らかの支障が生じる場合も想定されますが、知事は、この場合、どのように進めようと考えておられるのかをお尋ねをいたします。 さらに、今回のプロジェクトはあくまで第一弾の取り組みであり、奈良県には、斑鳩、三輪・山の辺、宇陀、飛鳥、吉野など豊かな観光資源に恵まれた地域がありますが、奈良市域のみならずこれらの地域も視野に入れた取り組みを進めていただきたいと強く望むものであります。そのためには、例えば、県や市町村が保有する遊休資産や民間が所有する遊休地を活用したホテルや宿泊施設の誘致を積極的に展開されるべきと思いますが、奈良市域以外の地域への宿泊力の強化に向けた取り組みをどのように進められるのかをあわせてお尋ねをいたします。 次に、奈良県の医療を担う医師や看護師など医療従事者の確保についてであります。 私は、日ごろから県民が安心して治療を受けることができる体制の整備と次世代を担う若者を育てる教育の充実が奈良県にとって重要な課題だと認識いたしておりますが、その意味で、知事が県政の大きな柱の一つとして地域医療提供体制の充実を掲げておられることは当然であります。今年度は五月に総合周産期母子医療センターを開設されましたほか、新たに地域医療等対策協議会を設置され、広範な議論によって、あるべき医療提供体制を検討されているということで、その成果にも注目をいたしております。 ところが、県民の医療の根幹を担うはずの県立医科大学附属病院において、看護職員の不足から、相当の病床の運用を休止しているという話をよく聞きます。せっかく整備が完了した総合周産期母子医療センターにおきましても、同様の理由でNICUがフル稼働に至っていない状況であります。 また、患者の立場からは、治療だけではなく心のケアも含めた手厚い看護が望まれており、看護職員を手厚く配置して過重労働を解消し、安全で質の高い医療、看護の提供を行うことが、ひいては入院日数の短縮にもつながります。そのため、看護職員一人が患者七人を受け持つ七対一看護の実現が望まれておりますが、看護職員不足の中、かなり厳しい状況とのことであります。県立医科大学を卒業した医師や看護師もかなりの割合で他府県で就職している状況であり、私が考えますところ、これは、大阪や京都など大都市の病院との待遇に差があることから人材が流出した結果ではないでしょうか。大都市に比べて経済力が弱い奈良県であるからこそ、医療や教育に集中投資を行うことが今重要であり、現下の看護職員の不足を考えますと早急に待遇改善に取り組むべきと考えますが、その他の対策も含めまして医療従事者の確保にどのように取り組むお考えか、知事の所見をお尋ねをいたします。 次に、行政改革についてであります。 行財政改革の推進につきましては、本年二月に、今後三年間で行政運営の効率化と財政の健全化に向けて取り組む項目を奈良県行政経営プログラムとして取りまとめ発表をされました。そのプログラムの中で、公社、事業団や公の施設の改革方針が示されております。このプログラムを机上の空論に終わらせないためにも、さらにもっと踏み込んで進めるべき時期に来ていると私は考えております。とりわけ、県の施設のうち、中央卸売市場、南和労働会館、野外活動センターなどは、設立当初の役割を終えたり、現在のニーズに合わず利用が減っている施設であります。それぞれの施設の設立の原点に立ち返って、存在意義そのものの検証が必要だと思います。公社・事業団では、道路公社は建設事業を既に終えており、ETCの整備はあるものの、維持管理が主たる業務となっておりますし、土地開発公社は、長期保有地の早期処分を進めていく必要があります。また、住宅供給公社は、良質な住宅の供給など、現在の社会経済情勢から見ましても、公がするべき時代ではなくなっていると思います。 先日、私の住む桜井市内で住宅供給公社が開発・分譲した住宅地で、直径、深さとも二・五メートルにわたる陥没が発生いたしました。幸いにもけが人や建物の損傷はなかったようでありますが、もともと古井戸があって地元からは公園にという要望があったにもかかわらず、宅地として開発・分譲された土地で、この件につきましては、今後、購入者への十分な補償を行うとともに、跡地利用も含めて考えていかなければなりません。 そこで、土木部長にお尋ねをいたします。 特に、道路公社、土地開発公社、住宅供給公社の三公社につきましては、設立当初の任を既に終えており、管理部門を残して廃止することを決断すべきと考えます。今この時期をおいて改革を断行できる時期はないと考えますが、土木部長のお考えをお尋ねをいたします。 次に、教育長にお尋ねをいたします。 私は、我が国の未来を展望するとき、重要な課題の一つが教育であると考えております。現在、教育が抱える問題は多岐にわたっておりますが、とりわけ、子どもたちの学力に関する課題は見過ごすことができません。国際的な学力調査や全国学力・学習状況調査などの結果から、我が国の子どもたちの学力の状況が明らかになり、国においては、これまでのゆとり教育からの転換が図られております。ことし三月二十八日には、文部科学省が、幼稚園、小学校、中学校の学習指導要領等を告示しました。この新しい学習指導要領では、理数教育の充実や小学校における外国語活動の新設など、学校教育が直面している課題を克服するための教育内容の改善が図られたと聞いております。確かに、二十一世紀の社会をたくましく生きる上でこれらの力が必要であることは否めません。 しかし、子どもたちの学力の現状を見るとき、私は、まず第一に、国語の力を重視すべきではないかと考えております。国語は、私たちの生活に欠かせないものであることはもとより、世界に誇る日本文化の重要な部分を担ってきたことは言うまでもありません。折しも本年は、源氏物語が書かれて千年目に当たるそうです。千年を経てもなお、現代の私たちを魅了する源氏物語は、後世の日本はもちろん、世界の文学にも多大な影響を与えました。源氏物語を形づくる美しい日本語を学ぶことは、日本人としての情緒や感性を豊かにするものであるとともに、日本人のアイデンティティーを培うものでもございます。 また、国語の学習を通して養われる読解力は、すべての学習の基礎でもあります。子どもたちが人生を主体的に生き、責任ある社会人として社会に貢献していくためには、相手の立場をおもんばかったり、自分の意見を適切に述べたりするなど、読解力を中心とした実生活に生きる国語力の育成が重要であると考えております。 同時に、子どもたちに国語の力を育成する教員の指導力の向上も欠かせないと考えます。このような視点から、国語教育を充実される取り組みを進めることで日本人としての自覚と、より確かな言葉の力を未来を担う子どもたちにつけさせることができるのではないかと考えます。本県の国語教育の充実に向けた取り組みはどのようになされているのか。また、今後、どのように国語教育を進めていくおつもりなのかをお答え願います。 二点目は、子どもたちが安心して学べる安全な学校整備についてであります。 本年五月中旬に起きました中国・四川大地震でも、多数の学校が被災し、多くの子どもたちが今も学校に戻れない状態が続いております。そして、日本におきましても、六月十四日の岩手・宮城内陸地震により、数多くの小中学校などが壁の亀裂や天井の落下などの被害を受けました。 さて、先日公表されました国の調査結果によりますと、県内の小中学校の校舎や体育館の耐震化率は、阪神淡路大震災から十年以上もたつというのに、いまだ五〇%に満たない状況であります。しかし、本年六月十八日に施行されました改正地震防災対策特別措置法により国庫補助率のかさ上げが図られ、課題であった市町村の財政負担が従来の三分の一程度に軽減されました。これは、平成二十二年度までの三年間の時限措置であり、今こそ学校施設の耐震化を全力で進め、時代を担う子どもたちが安心して学べる学校の整備を進めるべきときであります。 そして、私は、今喫緊の課題となっている耐震化対策を進める際、学校施設の老朽化対策や危険箇所の点検をあわせて取り組むことで、子どもたちが良好な環境の下ですくすくと成長できる学校づくりが実現できると考えております。最近、東京の小学校で屋上の天窓から落下事故が起きておりますが、遊具やプールなど施設の老朽化や不備による事故も絶えることがありません。この際、県立学校、市町村立学校ともに耐震化工事と並行して、学校施設の傷んでいる箇所の総点検を実施し計画的に修繕を進められてはいかがでしょうか。教育長の考えをお聞かせを願いたいと思います。 次に、警察本部長にお尋ねをいたします。 本年二月に中華人民共和国の唐国務委員、四日には楊外交部長、そして、五月十日に国賓として胡錦濤中華人民共和国国家主席が来県されました。今回の胡錦濤国家主席の警護警備に関しましては、法隆寺や唐招提寺への訪問が予定されていたことや、中国製冷凍ギョウザ中毒事件、長野市での北京五輪聖火リレーの混乱状況などから厳しい治安情勢であると感じておりましたが、県警察は、短期間で警備計画を策定され、大きな混乱もなく無事に警備を完遂されました。県警察のご苦労に対し、県民を代表して敬意を表したいと思います。 今回の国賓警護では、一部において過剰警備ではなかったのかと指摘されておりますが、長野市での聖火リレーが混乱したことなども考慮して、県警察ではあらゆる事態を想定して、過去に例のない三千人体制で警備に臨まれました。そういうことから考えまして、今後の県の警護警備に対する基本方針についてお尋ねをいたします。 最後の一点は、薬物問題であります。 私が住む桜井市においては、この一年間に六人の市役所職員が覚せい剤取締法違反で逮捕されました。未来を担う青少年がこのコカインに侵されている現状を考えるとき、コカインを含む薬物乱用を防止することは、今後の県政にとっても大きな課題であります。このことに関しまして、警察本部長及び健康局長に薬物乱用防止の啓発活動や再犯防止も含めましてお尋ねをいたします。 以上で終わります。 ○議長(辻本黎士) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三十四番中村議員のご質問にお答えをさせていただきます。 観光の問題が最初にご質問がございました。 本県の特性を生かした今後の観光振興でございますが、本県の歴史的・文化的特性を活用した東アジアの国々との相互理解と友好交流を深めることは、平城遷都一三〇〇年祭の基本的な趣旨にもかない、それを契機とした観光振興を図るという点でもきわめて重要だと思っております。特に、中国・韓国とは、議員ご指摘がありましたように、古代より我が国は深い交流の歴史がございます。胡錦濤主席が来られましたのも、他県が非常に希望されておる中で来られましたゆかりが深いということでございますし、韓国でも、日本における韓国のゆかり発見ということをテーマにした学者さんもおられました。奈良はそのようなあかしがたくさんあるというふうに認識をしております。 具体的な取り組みをこれからどうするのかということでございますので多少申し上げたいと思いますが、このたび、県会議員の方々にも多数参加していただきましたし、市町村長にも参加していただきました。そのような組織での海外プロモーションを行ったわけでございますが、ご紹介ありましたように、韓国の忠清南道知事との交流、信頼関係が深まったと思います。具体的には、忠清南道との間を結びました文化観光交流協定がございますが、それに基づきまして、平城遷都一三〇〇年祭と大百済展との具体的な連携を進めていきたいと思います。例えば、クルーズ船を活用した相互交流事業構想の具体化を図っていきたいと思います。昔は、桜井まで船で来られたことがあるように聞いておりますが、そこから船が今でも出ることができれば、遣唐船のような船に乗って百済まで船で行けるようなクルーズが可能かどうかというふうにも考えております。 また、感受性豊かな時期にございます青少年の交流というのも国際理解の促進のために重要だと思います。奈良で宿泊していただく海外からの修学旅行の誘致も積極的に行っていきたいというふうに思います。 さらに、今月は上海から、来月はソウルからでございますが、現地の旅行会社の商品造成責任者等を招聘いたしまして、ファムトリップと言っておりますが、奈良の魅力をPRして、特に中南和地域への誘客を図るなど、県内の宿泊を含んだ旅行商品の造成を促進したいと思っております。中南和地区は、関西空港から非常に直結した近いところでございますので、そのような利点を生かす商品造成ができないかというふうに考え、県庁関係者に指示をしているところでございます。 また、この秋には、北京・西安へ第三回のトップセールスを予定しております。そのようなことで、善隣・友好交流とおっしゃいましたが、誠に重要な課題だと、また、それが契機に奈良の観光が発展する余地が十分あるというふうにも考えております。 また、宿泊力の強化でございますが、今回のホテル誘致の提案競技におきましては、結果的に一事業体からの応募になりました。説明会の参加者やホテル事業関係者にその後担当が伺っておりますが、その様子によりますと、観光地奈良のブランド、あるいは発展可能性、あるいは現在の宿泊力が不足している点などには魅力はあるということでございますが、応募に至らなかった点は、現在世界の金融市場において百兆円規模の損失とも試算されるサブプライムローン問題が影響して、国内の投資環境も冷え込んで、不動産ファンド等によるホテルへの投資力が減退しているというのが一つの要因。加えて、多くの埋蔵文化財を抱える本県の特性から、事業用地が周知の埋蔵文化財包蔵地として発掘調査を要することも、特に県外の投資家にとっては負担と感じられている。これまでにそのような大型のホテルの投資案件を経験したことがないということも影響しているというふうに思います。 いずれにしても、今後、提案内容をどう扱うかという点でございますが、審査委員会において慎重かつ適正な審査を行うということが大前提でございますが、県営プール跡地における優良なホテルの立地を目指して取り組んでいきたいと思っております。 また、不採択になる場合もあるのかということでございますが、一般論でございますが、提案件数にかかわらず、このようなコンペにおきましては、提案内容が要求水準に至らないで審査委員会の審査において不採択と判断される可能性は当然あると思います。しかし、現在進めている県営プール跡地へのホテル誘致につきましては、すぐれた立地条件を有する大規模な公有地を有効活用にすることにより大型・優良なホテルの立地を目指すものでございますので、奈良の宿泊力を抜本的に強化して奈良県の経済発展、観光振興を図る上で欠かせない試金石となるプロジェクトだというふうに考えております。このため、審査の進展を見守らなければいけませんが、多様な選択肢も視野に入れつつ、このプロジェクトに不退転の決意で取り組む所存でございます。 万が一不採択となった場合どのように取り組むのかというご質問もございました。ホテル関係者などにも幅広く意見を伺いつつ、原因となったものの分析を行い、さまざまな選択肢を想定しながら、開業時期や客室数の弾力的な取り扱いなど、募集条件の変更も含めて再募集に向けて検討を行うことになろうかと思います。 同じく、宿泊力の強化につきまして、奈良市域以外の地域、特に中南和は宿泊キャパシティーが非常に少ないということでございます。本県の宿泊施設は、実態を見ますと、全県レベルで、施設数は全国四十六位、客室数は四十七位で最下位でございますが、特に中南和、東部地域を見ますと、知名度のPR力のある宿泊施設はほとんどない状況と言ってもいいと思います。遷都一三〇〇年を迎え、また、各地で文化財と観光魅力が存在している本県にとって宿泊力の強化は非常に大事でございますし、中南和は、日帰りといってもなかなか行けない地域でございますので、やはり宿泊というのが大きな要素になろうかと思います。県営プールの跡地への誘致を進めておりますが、県内のその他の地域においても、宿泊施設の誘致を積極的に進めていきたいと考えております。 例えば、中南和・東部につきましては、自然環境を生かした滞在型の宿泊施設や、地域の伝統文化・風土とマッチした質の高い宿泊施設の整備など、県内各地の特性を生かした宿泊力の強化に幅広く取り組んでいきたいと思います。 今回、県営プール跡地へのホテル誘致に向けて県が全力を挙げておりますが、そのことは、ホテルへの投資家、ホテルのオペレーターなどに関する、これまであまりお付き合いのなかった有益な情報やルートが発見されつつございます。それらが積もりますと県庁の誘致力というようなものが向上するということを感じております。今後、今回のケース以外に、県庁がたくわえたノウハウ、人脈が役立つことが十分あるのではないか。それを県内のその他の地域の誘致にもつなげていけたらというふうに思っております。 今後、県におきましては、立地を希望する市町村から宿泊施設の適地情報を積極的に収集把握したいと考えておりますが、県内に進出意欲のある事業者・投資家へのセールスを行いたいと思いますし、特に中南和地域の魅力も説明していきたいというふうに思っております。そのように投資家と現地がマッチングをするようにサポートして、県内全体が宿泊施設がバランスよく立地されるように進めていきたいというふうに考えております。 医療従事者の確保についてのご質問がございました。ご指摘のとおりの点が多々あろうかと思います。特に医師、看護師がいないと医療行為ができないということでございますので、施設整備だけでは十分な条件じゃないということでございます。 県立医科大学附属病院のことでございますが、総合周産期母子医療センターを整備いたしましたが、看護職員の不足により運用病床の制限が行われております。全面稼働に至っていないのは看護師不足の実情でございます。 七対一の看護というのは、議員ご指摘のとおり、患者さんに手厚い看護が提供できるほか、看護師や病院にとっても、収入の面でも、また、過重な労働が抑制される意味でもメリットがあるというふうに認識しております。 医大病院では、看護職員採用試験の毎月実施をしておりますし、募集年齢制限の撤廃をしたりして看護師の確保に努めていると聞いております。 また、県の県立・附属病院の給料が安いんじゃないかというご指摘がありましたが、今年度の予算で議会でもお認めいただきまして、予算案の中では二億九千万円余りを計上いたしまして、医大や県立病院に勤務をする医師等の処遇改善を実施いたしました。それ以前には、全国でも下位にあった給与水準を中位レベルまで引き上げることができました。近畿地方ではトップ水準に引き上げることができました。医師の給与は、具体的に申し上げますと、四十四位でございまして、近畿の中では五番目に位置しておりましたが、今年の予算を認めていただいた結果、医師平均では二十六位まで躍進をいたしまして近畿のトップになりました。産科医の場合は全国四位の水準まで向上いたしまして、近畿の、もちろんトップでございますが、二位の兵庫県は全国二十七位、近畿の中では断然トップということにはなった次第でございます。これも議会の予算のご認定に感謝申し上げますが、このような改善の努力が信頼感につながり、医師、看護師の確保になれば幸いかと存じている次第でございます。 残余の質問は、関係の部局長に答弁をさせていただきたいと存じます。 ○議長(辻本黎士) 木谷土木部長。 ◎土木部長(木谷信之) (登壇)三十四番中村議員のご質問にお答えいたします。 三公社を管理部門を残して廃止することを決断すべきと考えるがどうかという点でのご質問でございます。 まず、土地開発公社につきましては、住宅団地、公共団地、研究所等の造成、処分を実施してきたところでございますが、社会情勢の変化に伴いまして、現在造成事業は休止している状況でございます。 一方、国、県からの依頼に基づきます用地先行取得事業につきましては、特に京奈和自動車道などの直轄事業の用地取得につきまして用地国債、あるいは道路開発資金の活用が必要なため、その受け皿となっているところでございます。 また、県の公共施設用地の取得に際しましても、機動的、弾力的な対応ができるということで引き続き必要な業務であるというふうに考えているところでございます。 次に、住宅供給公社につきましては、これまで橿原ニュータウンをはじめ二十一団地、約四千の住宅・宅地を分譲するなど、適正な価格で良好な住宅・宅地を供給するという役割を担ってまいりました。平成十五年時点では、住宅戸数が約五十六万戸と世帯数を上回っておりまして、良好な住宅・宅地を供給するという本来的な目的はおおむね達成したものと考えております。 また、県営住宅の管理につきましては、県営住宅八千四百戸のうち、平成十九年から指定管理者制度を導入いたしまして二団地、約千二百戸を指定管理者へ管理を移管したところでございますが、引き続き四十三団地、七千二百戸を管理しているところでございます。今後、指定管理者制度の拡大を図るとともに、そのスリム化を進めていきたいと考えております。 道路公社につきましては、第二阪奈有料道路を建設し、現在は料金徴収業務及び道路維持管理業務を大阪府の道路公社と一体となって行っております。料金徴収期間は平成三十九年四月までとなっているところでございます。 三公社につきましては、平成十三年度に総務部門、業務部門を統合いたしまして組織のスリム化、人員の削減に努めてきたところでございますが、今後も引き続き公社業務、組織体制のあり方について検討していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(辻本黎士) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)三十四番中村議員のご質問にお答えします。私には、教育問題で二点でございます。 まず、一点目は、国語教育の充実に向けた取り組み及び今後の国語教育の進め方についてでございます。 一般的に国語の力は知的活動だけでなく、コミュニケーションや感性・情緒の基盤として大切であり、現在小学校の国語教育では、六年間の全授業の約二五%、中学校では約一二%の時間を割き、文学作品や説明文などを読ませ、感想文や作文を書かせたり、スピーチやディベートを行うなどの指導を通して国語力の育成を図っております。 しかし、平成十五年度のOECDの学習到達度調査結果では、我が国の高校生の読解力の低下が問題となりました。昨年の全国学力・学習状況調査でも同様に、読み取った内容を要約する力、目的に応じて文を再構成して書きかえる力などが課題とされましたが、本県においてもほとんど同じ傾向が見られるところでございます。 こうしたことから、外部委員も含めました教育の専門家の協力を得まして策定した奈良県学校改善支援プランの中で、読み取ったことをポスターに表現するなど、読解力をつける具体的な指導例を示しました。これを各小中学校のすべてに配布するとともに、市町村からの指導主事の派遣要請に可能な限り対応しているところでございます。 一方、教員に対する方策としましては、教育研究所で言語活動の充実を目指した授業づくり、また、奈良県ゆかりの万葉集を題材とした古典に親しませる授業づくりの講座を開催するなど、子どもたちに国語に対する親しみを持たせる指導上のヒントが得られる新たな取り組みを始めたところでございます。 二点目でございます。これは、耐震化工事と並行して施設の傷んでいる箇所を点検し計画的に改善を進めるべきだがどうかとこういう質問でございます。 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習、生活の場であることから、児童生徒が知・徳・体をバランスよく育てるための教育環境として重要な意義を持つもので、その耐震化など安全性の確保が特に重要であると認識しております。 県立学校の耐震化につきましては、特別支援学校は平成二十二年度まで、高等学校は平成二十七年度までという目標を明確にして耐震化が必要な建物の補強等を行うこととしており、あわせて天井の落下防止、屋上防水や外壁の改修など、老朽化等の状況に応じた対策にも取り組む計画でございます。 さらに、今年度から、県有資産全体について施設ごとに維持保全の計画をつくることとされたところでございまして、県立学校もその一環として、学校ごとに施設や設備の状況を記載したカルテや整備計画を作成し、将来を見据えた計画的な維持修繕に取り組むこととしたところでございます。今年度は三校において施設カルテ等を作成する予定でございます。 また、小中学校など市町村立の学校については、今年度から耐震補強だけでなく、あわせて実施される内外装等の改修も関連工事として国庫補助対象となったことから、これを周知するとともに、県が取り組んでいる学校ごとの施設カルテや整備計画など、計画的な維持修繕の手法についても積極的に情報提供し、子どもたちが安心して学べる安全な学校づくりにつなげてまいりたいと考えております。 以上です。 ○議長(辻本黎士) 森田警察本部長。 ◎警察本部長(森田幸典) (登壇)三十四番中村議員のご質問にお答えいたします。 私には、まず、警衛警備及び警護警備についてご質問がございました。 県下における天皇陛下や皇族の方々の警衛警備及び内外要人の警護警備の実施件数につきましては、警衛警備は昨年六件でありましたが、本年は実施しておりません。また、警護警備は、昨年四十七件であり、本年は本日現在十八件であります。 次に、警衛警備、警護警備に対する基本方針につきましては、警衛警備は、ご対象のご身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏等による事故の防止を基本とし、あわせて、皇室と国民との親和を妨げないように配慮しつつ、そのときどきの情勢を踏まえて実施しているところであります。一方、警護警備は、警護対象者の身辺の安全を確保することを本旨とし、警護対象者の意向を考慮しながら、諸般の情勢を総合的に判断して実施しているところであります。また、国賓、公賓等外国要人の警護につきましては、その地位にかんがみ、国際儀礼にも配慮しております。 次に、県内における覚せい剤等薬物犯罪についてご質問がございました。 本県における薬物事犯の検挙状況は、平成十五年から平成十七年までは、年間三百人前後で推移していましたが、平成十八年は二百六十八人、昨年は二百三十四人と減少傾向にあり、この主な要因は、シンナー事犯の減少によるものであります。 また、昨年の特徴として覚せい剤事犯が百八十五人で検挙者全体の約七九%を占めること、シンナー事犯を除く検挙者二百九人中暴力団関係者が九十七人、約四六%であり、薬物事犯への暴力団の強い関与がうかがえること。さらに、検挙者二百九人中薬物事犯前歴者が百十二人で約五四%を占め再犯性が高いことの三点が挙げられます。 県警察では、こうした現状を踏まえ、末端乱用者の徹底検挙、暴力団が介在する密売組織の摘発を図るとともに、県警ホームページ、交番・駐在所だより、市町村広報誌による広報啓発活動をはじめ、学校や職場での薬物乱用防止教室の開催など幅広い対策を推進しているところであります。 以上です。 ○議長(辻本黎士) 竹村健康安全局長。 ◎健康安全局長(竹村潔) (登壇)三十四番中村議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、薬物乱用防止のための啓発活動、再犯防止のための取り組みについてのご質問でございます。 薬物乱用を防止するには、ご指摘のとおり、厳正な取り締まりとともに徹底した啓発活動が重要と考えておりまして、知事を本部長といたします奈良県薬物乱用対策推進本部を設置し、県警本部や教育委員会などの行政だけでなく、家庭裁判所などの司法の関係機関も一体となって取り組んでいるところでございます。 具体的には、「ダメ。ゼッタイ。」を合言葉に、県民に対し薬物に関する正しい知識と薬物乱用の恐ろしさについての普及啓発を行う「626ヤング街頭キャンペーン」などのイベントを年五回開催しております。 また、民生児童委員、学校薬剤師やライオンズクラブなどの方々三百二十五名を薬物乱用防止指導員として委嘱しまして、地域における集会の場などを利用した啓発活動を実施するほか、学校からの要請を受けて、薬物乱用防止教室を昨年は五校で実施しますとともに、県内大学の学園祭での啓発活動も十五校で実施しております。 さらに、一度薬物に手を染めた者に対しましては、保健所や薬務課に薬物相談窓口を設置しまして再発防止に向けて本人や家族からの相談に応じており、昨年も三十九件の相談を受けたところでございます。 なお、今般の桜井市職員の事件を受けまして、桜井市が行いました全職員を対象とした服務基準に関する研修に県から講師を派遣いたしまして薬物乱用防止研修を十三回にわたり実施したところでございます。 今後も、覚せい剤などの薬物乱用を許さない社会環境づくりに、関係機関との連携をもとに継続的に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。   -------------------------------- ○議長(辻本黎士) 次に、十九番中野明美議員に発言を許します。--十九番中野明美議員。 ◆十九番(中野明美) (登壇)日本共産党の中野明美でございます。通告に従って、まず最初に、関西学研都市について知事にお尋ねをいたします。 五月二十日、生駒市長に対して関西文化学術研究都市高山第二工区開発計画の見直しに関する申し入れを行われております。この申し入れでは、学研高山第二工区について、住宅中心の開発計画を見直し、大学、福祉施設、研究開発型産業施設を中心とすることを提案すると五つの具体例が挙げられています。これを見て驚いたわけですが、なぜなら、昨年九月定例県議会の一般質問で、今後の土地利用計画の策定に当たっては県が責任を持って調整に当たるべきで、住民に莫大な財政負担をかぶせる開発ではなく自然環境保全を願う住民の立場に立って開発をどう図っていくのかと知事の所信を尋ねました。 これに対して知事は、まちづくりは、基本的に地元市が主体的に取り組むべく課題である。まず生駒市において高山地区の今後のまちづくりのあり方を市民の立場に立って考えていただくことが何よりも重要である。県が責任をもって今後の土地利用計画の策定の調整に当たるべきとの議員の提案は全く承服しかねる考えであると明確に答弁されています。その後、県は、昨年十一月に、生駒市と都市再生機構に呼びかけて意見交換の場を持っています。そして、前回から八カ月足らずで開発計画の見直しに向けた今回の動きになっております。一体どういう経過で開発計画の見直しが進められたのか、お聞きをいたします。 また、昨年十一月三十日に民事再生手続開始の申し立てをして事実上破綻した株式会社けいはんなの再生計画案が出されています。百億円の資本金は九九%の減資を行うことが計画され、この減資によって奈良県が出資している二億五千万円はほとんど消えてなくなります。この破綻の原因の一つに、財団法人民間都市開発推進機構に売却した事業用地の処理問題があります。開発事業の実施が見込めなくなったときはこの推進機構が十年以内の間に売り戻すことができる契約になっていたからです。一等地の土地の開発計画が定まらないほど、関西文化学術研究都市構想そのものが破綻している証明であります。このことは、高山第二工区を見ても明らかです。多くの生駒市民の声は、開発ではなく自然環境保全であり、無駄な税金を使わないでほしいということであります。知事はこの声をどのように受けとめられるのか、お聞きをいたします。 次に、地球温暖化対策について、景観・環境局長にお尋ねをいたします。 きょうは、地球温暖化問題を最大テーマとした洞爺湖サミットの初日でもあります。地球温暖化は、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、人類の生存基盤にかかわる最も深刻な環境問題であります。日本共産党は、地球温暖化の抑止に日本はどのようにして国際的責任を果たすべきかという基本的な見解を明らかにしています。地球の危機を回避するためには、今世紀半ばまでに温室効果ガスを半減させることが必要であり、今後、二十年から三十年間の削減努力が地球の将来を決定づけると言われています。 また、人間活動に伴う排出の四分の三は化石燃料の消費でもあります。県民の中でも、地球温暖化問題への関心が高まり、現在の地球と将来の子どもたちに対する責任を果たそうという声と取り組みが広がっております。自分にできることはとマイバックを持ち、家庭やオフィスでもこまめな省エネに取り組む人も多くなってきています。奈良県でも、奈良県地球温暖化防止地域推進計画が二〇〇七年三月に策定され、その中で二〇〇二年度の二酸化炭素排出量五百七十一万四千トンを二〇一〇年度までに五百十三万五千トンにする削減目標を掲げています。 ところが、二〇〇五年度は、逆に二酸化炭素排出量は五百九十三万七千トンにふえています。県は、家庭からのCO2排出量が自家用車も含めて約四〇%となっており、県民の努力を強調されております。当然、県民一人ひとりの努力が必要であります。それと同時に、残り六〇%を占める県内の産業、業務、運輸部門に対して排出量削減に向けて県はどのような対応をされているのか。また、日本全体のCO2排出量の半分を占めている火力発電や鉄鋼など産業界に、この大もとに対してCO2削減を、自主行動計画任せにするのではなく、具体的な排出量削減の期限と目標を明らかにした公的な協定を結び、世界に対して日本の責任を果たすよう、国に対して県として求めるべきと考えますが、この点どうかお聞きをいたします。 県としても、県の施設を利用して太陽光発電などの新エネルギー、つまり自然エネルギーの導入を積極的に取り組むべきであると考えます。他県では、おひさま発電として地域の子どもたちも含めて地球温暖化対策の環境教育にもつながっております。また、県独自の太陽光発電の買い取り価格上乗せ補助などに踏み出し、県内に広く太陽光発電の普及促進を図っているところもあります。 また、発光ダイオードを使用したLED信号機ですが、警察庁の試算によりますと、一灯当たりの消費電力十五ワットで済みます。これまでと比べて五十五ワットも少なく、ランニングコストが安くつくことや、耐用年数も長いと言われております。奈良県では、車両、歩行者用、合わせて信号機は二万二千五百四十四灯設置されており、このうちLED信号機は二一・八%の設置率であります。発色が鮮明で、ドライバーや歩行者にとっても安全性が高まり、何よりも省エネであります。 県としても、目標を持って促進すべきだと考えます。全国知事会の地球温暖化対策の推進宣言でも、待ったなしの地球温暖化防止に貢献するため、地球温暖化対策の強化を地方公共団体の重要な施策に位置づけ取り組みを推進する。その中で、地方公共団体みずからの環境負荷を減らしていき、太陽光発電などの新エネルギー施設やLED信号機などの省エネルギー設備を一層導入します。また、新エネルギーの導入を支援していきます。太陽光発電や風力発電を普及させますと述べております。このような削減に向けて、太陽光発電などの具体的な取り組みを進めてこそ、県の二酸化炭素排出量の削減目標達成につながると考えます。県は、知事会の推進宣言をどのように具体化されていくのか。また、二〇一〇年度としている削減目標達成の見通しはどうか、お聞きをいたします。 次に、安心して子どもを産み育てられる奈良県について、健康安全局長にお尋ねをいたします。 奈良県を取り巻く医療状況は、医師、看護師不足の点からも大変であり、医師不足は何と言っても絶対数の不足であります。これまで国は医者がふえると医療費がふえるという考え方で医学部の定員を削減するなど、長年、医師養成を抑制してきました。医療施設で働く医師数は、OECD加盟国三十カ国中二十七位という低水準になっています。また、病院で働く勤務医に過酷な労働環境をもたらし、過密労働に耐えかねた医師の退職がさらなる医師不足を招くという悪循環を拡大いたしております。 奈良県の状況を見ますと、医師不足のトップが産科、次に小児科、麻酔科となっています。常勤の麻酔科医が確保できないので緊急時に支障が出ている病院もあると聞いています。このような医師不足への対応として、若い医師、特に将来を担う女性医師となる医学生は三割を占めており、年々女性医師もふえてきている状況を考えますと、女性にとって魅力ある職場、環境づくりが大事であります。そのためにも、出産や子育てなど家庭生活と両立できる、働く環境整備や職場復帰のサポート体制などの対応が必要と考えられますが、この点どうか、お聞きをいたします。 また、医療事故をめぐっては、この間、医師や病院を相手取った訴訟が急増し、それが勤務医のストレス増大、リタイア促進の要因となっていることも見逃せません。特に、リスクが高い産科の被害者救済の公的基金の無過失補償制度の創設なども必要であると考えます。この問題は、国において検討中と聞いております。県としても、国の動向を注視しておいていただきたいと思います。 看護師についてですが、医大での総合周産期母子医療センターでは、看護師不足のため、NICU後方ベッドが十床しかオープンできませんでした。特に、センターでは高度な医療技術が必要であり、看護師を育てるのに二、三年はかかると言われています。奈良県の第六次看護職員需給見通しによると、昨年は九百五十四人不足しています。これに対して、看護師学校卒業生は五百五十五人、県内就業者数は五七・七%で、仮に一〇〇%県内で就業したとしても足らず、奈良県での就業促進を図ることが求められています。しかも、この需給見通しは、七対一導入前の基準を前提にしていることから、実態に見合ったさらなる看護師確保対策が必要であります。 また、さまざまな理由で退職した看護師の再就労を支援するためにも、働く意欲を持っている人たちが職場に復帰できるよう、仕事と家庭生活が両立できるなど、何よりも看護現場の労働条件を改善することが急務です。 また、幾つかのところでも取り組みが始まっておりますが、病院での無料研修講座の実施、充実であり、これらを受けやすくする体制も含めて、さらなる再就労支援策を強化していくことが必要であります。看護師にかかわっての対応や方向性など、どうなっているのか、お聞きをいたします。 県下の病院での分娩取り扱い数を見ると、医大では、平成十四年は三百六十四件、これが、平成十九年は六百三十五件と他と比べても極端にふえております。正常分娩は地域で支えてもらわないと本来の大学病院の役割が果たせないとも言われています。この背景には、中南和地域での相次ぐ病院の産科休止もあると言えます。やはり地域で安心してお産ができる場を確保していくためにも、助産所や病院内での助産師さんの活用も含めて整備していくことが求められています。県としてお産の受け入れ体制をどのように進められているのか、お聞きをいたします。 また、周産期医療についてですが、五月に総合周産期母子医療センターが県立医大にオープンし、ようやく一歩前進したと言えます。県全体での周産期医療を考えますと、地域周産期母子医療センターの整備が大事になってまいります。周産期医療体制整備基本構想の中で、他の周産期高度医療機関と連携して機能を分担しながら医療を提供する。また、総合周産期母子医療センターとは一定の間隔をとった県内での分散した配置となるとともに、複数の医療機関を認定することが望ましいとしています。これら地域周産期母子医療センターの進行状況や見通しはどうなっているのか、お聞きをいたします。 次に、周産期の高度医療提供の体制整備とともに、NICUを退院した患児の対応を充実することは、結果として円滑な周産期医療の提供を図ることになるため、長期入院が必要になる重症心身障害児の受け入れ施設の整備や周産期医療施設との連携、また、退院後の在宅ケアを充実することが必要であります。この対策を講じてこそ、はじめて周産期医療の一環した対応と言えるのではないかと考えますが、この点、どのように考えていかれるのか、お聞きをいたします。 次に、妊婦健診の公費助成についてですが、先日、人口推計結果を静岡大学の研究グループが発表いたしました。これによると、奈良県は、二〇〇〇年に百四十四万千人だった人口が二〇五〇年には八十一万九千人になると推計いたします。合計特殊出生率が四十三位の奈良県にとって、さらなる少子化対策が求められ、その一つとして妊婦健診の公費助成があります。妊婦健診は、母子ともに健康に出産できるように、妊娠の週数に応じて必要な検査を受ける制度です。しかし、健診を受けないまま出産する飛び込み出産が増加し、妊婦や胎児が死亡するという痛ましい事故が全国でも奈良県でも起こっており、また、出産の高齢化に伴うリスクも増大いたしております。 こうした中、厚生労働省は、昨年一月、妊婦健診の公費負担は十四回が望ましいと通知を出しております。ことしの実施状況を見ますと、全国平均は五・五回となっており、奈良県は平均三・九回であります。五回以上実施は三十八都道府県、八〇・九%で、逆に、四回以下は九府県、一九・一%となっており、この中に奈良県も入っております。妊婦健診受診に関するアンケートを新日本婦人の会が今年の三月から四月にかけて行っております。この会は、国連のNGOに登録し活動している女性団体ですが、これを見ますと、受診しなかったことがある場合の理由についてのトップが、経済的に大変が挙げられています。また、受診で異常が指摘されたことがあるかについては、あると答えた人が三割近くとなっております。回答した女性の多くが、妊婦健診を、一人目でも二人目以降でも十一回から十五回受けており、きちんと受けると十万円前後かかり、費用負担の重さや、また、自治体ごとの無料回数に大きな格差があることが浮き彫りになっております。 また、厚生労働省の望ましいという十四回程度の公費負担実現が待たれていることが、このアンケートからも明らかになっております。今年の五月、厚生労働省の公費負担の調査結果において、今後とも母体や胎児の健康確保を図るために、妊婦健康診査の受診勧奨に向けた取り組みの推進や経済的負担を軽減するための公費負担の充実が図られるよう、都道府県においてはこの趣旨について市町村への周知徹底を求めています。 しかし、財政的にも厳しい市町村もある中、奈良県が県独自の妊婦健診公費助成を実現することによって実施が低いところの底上げにもなると考えます。一日も早く、奈良県のどこにいても妊婦健診、最低五回、公費助成が受けられるようにすべきと考えますが、この点どうかお聞きをいたします。 次に、ヤマトハイミール食品協業組合について、商工労働部長にお尋ねいたします。 二月議会の代表質問で県が平成元年に貸し付けた高度化資金二十億円のお金を県民に損失を与えないようきちんと回収するにはどうするのかと質問いたしております。商工労働部長は、昨年十月三日にヤマトハイミール食品協業組合の競売開始決定を経て、現在、奈良地方裁判所において手続中である。また、詐害行為取り消し請求訴訟を提起していた連帯保証人に対しても、認諾を十月十二日に得て、自宅の土地建物について十二月六日に強制執行を申し立て、十二月十四日に競売開始決定が出されている。いずれも、資産評価も含めて現在奈良地方裁判所において手続中と答弁されています。 その後、ヤマトハイミールの土地建物などの競売については、県外の専門業者が工場内の機械の一部所有権を主張したため延期されたと新聞報道されております。県は、これまで機械はすべて高度化資金を使って組合が購入したものと主張されていましたが、矛盾するものであります。 さらに、連帯保証人の一人から契約について印鑑を無断使用され委任状を偽造されており、連帯保証契約は無効であるとの裁判が提訴されています。さらに、ヤマトハイミール理事長の自宅が売買によって名義が同業者に変更されており、しかも、この会社は、昨年末に理事長の自宅を住所にして創設されており、連帯保証を免れるための詐害行為ではないかとの疑問が出てきます。 次々に不正常な状況が起きており、これらを明らかにすると同時に、この際、きちんと破産手続申し立てを行い、破産管財人によって回収手続をすべきと考えますが、この点どうか、お聞きをいたします。 これにてこの場での第一問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(辻本黎士) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十九番中野議員のご質問にお答えいたします。 まず、高山第二工区の質問でございますが、昨年九月の答弁につきましての、踏まえてのご質問でございます。 最近の経緯につきましては先日の本会議で答弁いたしましたとおりでございます。高山第二工区の開発については、生駒市長の白紙撤回表明を受けて、昨年七月に都市再生機構が事業の中止を決定し現在まで至っているということでございます。そのような経緯から、高山第二工区の今後のまちづくりをどのようにしていくかについては、本来生駒市が主体的で責任ある取り組みを行うべきと申し上げてきたところでございます。 先般の質問との関係で申し上げますと、質問の中には、県が責任を持って開発すると、県の責任というのは、生駒市民の白紙撤回を受けた県の責任というのが理解できないということでございまして、その点を承服しかねると申し上げた点でございます。市の白紙撤回に県が責任をとる必要はないんじゃないかということでございます。と言いますのは、URは生駒市に損害賠償請求の可能性がございましたし、今もそのようなことが残っております。損害賠償の対象となることを県が軽々に責任をとると申し上げることはできないというのが基本的なスタンスでございました。そういう点については市が責任をとるべきだと、発言者が責任をとるべきだということは変わりません。 しかし、開発計画そのものを今後どうするかということについて多少考えてまいりました。奈良県では人口が減少し始めております。これからも大規模な住宅地を造成するということは、需要があるかどうかという点について危険性があるということについては一定の理解ができると思います。 一方で、高山地区周辺は鉄道や高速道路等のインフラ整備が進んでいるのが事実でございます。このようなことを考えまして、大局的な見地から総合的に判断して、今般、従来の住宅中心の開発計画を見直し、大学、福祉施設、研究開発、また、産業施設を中心とする見直し案を生駒市長に提案し、生駒市とも文章で同意されたところでございますが、これは、県が一方的に提案して押しつけたとか強要したとかという立場には全くございませんで、そのような理解の上で開発計画の見直しについての賛同しながら、そのような方向での開発計画の見直しは受け入れられるかどうかということを賛同しながらやった結果でございまして、最終的に文書にまとまったというものでございます。 その背景には、本県の議会におきましても、先日の粒谷議員のご質問のように、開発計画の見直しについて県がイニシアチブをとるように再三要請がありましたし、また、地元の商工会議所などからも同様の要請がされてきたわけでございます。また、中野議員自身からも、今後の土地利用計画の策定に当たっては県が責任をもって調整に当たるべきというご質問がされたわけでございますが、この責任をもってという点には引っかかるところでございますが、県が土地利用計画の策定に当たっての調整という点については、今回、多少の労をとらせていただいているというふうに自分の方では理解をしております。 次に、学研都市の今後の開発についてのお問い合わせがございました。 URによる高山第二工区の開発は中止になりましたが、住宅地の開発は中止になりましたが、関西文化学術研究都市全体では着実に施設の立地が進むとともに、都市、鉄道、道路等の交通基盤整備も進んでおります。人口もここ二十年で約五倍に増加しております。今申し上げましたように、開発の内容を見直して、その見直しの方向に沿って県庁内でプロジェクトチームで事業の実現可能性についての検討に着手をしております。 今後の土地利用について、自然をそのまま残すということでございますが、そのまま全部残すということであれば県の調整の余地はないわけでございます。現在のままでそのまま放置すると、あるいは管理者が管理するということになるわけでございます。そのようなことに対して、そのまま残すのも問題があるんじゃないかということでその策定計画の見直し案を提示したものでございます。 しかし、高山第二工区のような大規模の開発事業の性格を考えてみますと、土地区画整理事業というもので行うのが普通でございます。土地区画整理事業の場合は、土地造成などの工事費は、地権者への減歩と造成された土地の売却費で償うことになります。土地造成工事費が多額になったり土地売却が進まない場合は事業の採算が合わないという可能性がございます。そういう意味で、この開発計画は県及び生駒市にとって大きなリスクを伴う事業であるわけでございますが、計画の見直しに当たっては、事業の採算性を一番のポイントして検討するとともに、自然環境や生活環境に配慮した土地利用計画の作成を並行して検討していかなければいけない事情にあると思います。その際、自然環境への配慮は当然ながら重要な事項だと思います。そうした場合、開発面積は少なくなると思いますので、事業採算性に影響を与えます。その結果、高い減歩率が必要となります。この問題は、地権者とその他の市民の間の利害が対立する可能性を含んでおりますので、地元生駒市民の意向を十分そんたくする必要があろうかと思います。まずは、県庁内のプロジェクトチームで十分な、今申し上げました観点も含めながら十分な検討を進めていきたいと思っております。 残余の質問は関係の部局長に答弁をさせていただきたいと存じます。 ○議長(辻本黎士) 松永景観・環境局長。 ◎景観・環境局長(松永久典) (登壇)十九番中野議員のご質問にお答えをいたします。 地球温暖化対策について二点ございます。 まず、一点目は、県内で二酸化炭素排出量約六〇%を占める産業、業務、運輸部門に対する県の対応。また、国に対しては、産業界と具体的な排出量削減の期限と目標を明らかにした協定を結び日本の責任を果たすよう求めるべきというお尋ねでございます。 県では、平成十九年三月に策定いたしました奈良ストップ温暖化アクションプランの中で、産業、業務部門では、事業者がCO2削減に自主的に取り組めるよう、具体のCO2削減対策モデル例を提示し取り組みを進めていただいているところでございます。また、今年度は、CO2等排出量の調査や削減に向けた助言を行うCO2削減アドバイザー派遣事業を創設をし、現在、その募集を行っているところでございます。運輸部門では、環境にやさしい低燃費車の普及、PRなどによる導入促進や、急発進の抑制、アイドリングストップなど、エコドライブの推進に取り組んでいるところでございます。特に、今年度秋には、実際に体験できるエコドライブ講習会をJAFと共催で実施をいたします。 議員お述べの産業界の業種別の排出量目標に関する協定につきましては、国の環境経済政策として国民的議論の中で検討、決定されていくものと認識をしておりまして、県としては、身近な、そしてできる取り組みを着実に進めていくことが重要と認識をしております。 二点目は、全国知事会の地球温暖化対策推進宣言の具体化、そして、二〇一〇年度としている奈良県地球温暖化防止地域推進計画の二酸化炭素排出量の削減目標の達成見通しについてのお尋ねでございます。 全国知事会として宣言された各項目については、本県でも重要な取り組みと認識しておりまして、既に公共交通機関の利用促進、夏のエコスタイルの実施、電力、紙の使用量の低減、森林環境税を利用した森林整備や森林環境教育の実施などに取り組んできたところでございます。また、県庁みずから率先するため、県庁ストップ温暖化実行計画を策定し、既に一期、一次の取り組みでは、マイナス七・八%を達成するなど一定の成果を挙げてきたところでございます。さらに、太陽光発電設備につきましては、御所浄水場や図書情報館に導入を図ってきたところでありますし、県庁舎の屋上緑化も、脱温暖化のメッセージを発する県の取り組みの一端として意義あるものと考えているところでございます。 県全体のCO2削減目標については、平成二十二年度までに十四年度対比でマイナス一〇%のところ、十八年度のCO2排出量は、速報値で二%余りの増加となっておりまして、目標達成は少し厳しい状況となっております。今後とも、県が率先してCO2削減に努めるとともに、県民、事業所、NPO、行政などで構成するストップ温暖化県民会議を中心に、LEDや太陽光発電など、再生可能エネルギーの活用・検討も含め、可能な取り組みを進め、目標達成に向けて引き続き努力してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(辻本黎士) 竹村健康安全局長。 ◎健康安全局長(竹村潔) (登壇)十九番中野議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、安心して子どもを産み育てる奈良県について四点ご質問をいただいております。 まず一点目でございますが、医師不足の状況に対応する中、女性医師にとって魅力ある職場、環境づくりに関して、及び看護学校の卒業生の県内就職、就業促進や再就労支援の状況についてでございます。 まず、医師確保についての質問でございますが、全医師数に占める女性の割合は年々増加しておりまして、特に三十歳未満の若手医師に占める女性の割合は、産婦人科で七割強、小児科で約五割となっております。医師の養成には十年近くかかる中で、女性医師が生涯を通じて働くことができる環境を整備することは、即効性のある対策として重要なテーマでございます。 県立医科大学附属病院におきましては、女性医師再教育研修を受け入れるなど一部の取り組みは始まっておりますが、女性が働きやすい多様な勤務形態の導入など具体的な対応策については積極的に検討し実施してまいりたいと考えております。 次に、看護師確保についてでございます。 看護学校卒業生の県内就業促進や離職者の復職支援は、医療の現場で働く看護師を確保する上で重要なテーマの一つでございます。県では、平成十七年度から、看護師等養成所運営費補助金の配分におきまして、県内就業率に応じた調整を加えることにより県内就業への誘導を図りますとともに、復職の支援につきましては、今年度から、長期間医療現場を離れていた方に対して、病院での実習などにより看護技術の習得や最新の医療、看護の動向について研修をいただく看護職員復職応援事業に取り組んでおります。看護師確保につきましては、従来より、看護師等修学資金貸付事業ですとか無料での就業相談を行ったり、いろいろ事業を行ってまいりましたが、看護師不足が解消しない現状を踏まえまして、既存事業の効果も検証しつつ、県として取り組むべき施策について積極的に検討し実施してまいりたいと思っております。 続きまして、お産の確保のため助産師の活用などを含めたお産の受け入れ体制の整備についてのご質問でございます。 近年、産科医師の不足等を反映しまして、県内におきましても、分娩の取り扱いを休止する医療機関がふえているところでございます。特に、中南和では、平成十七年以降、五病院が相次いで分娩の取り扱いを休止し、また、平成十八年六月から大和高田市立病院でも地域制限をするなど厳しい状況にございます。 地域で安心してお産ができる体制を確保していくことは重要な課題と認識しておりまして、県全体のお産の受け入れ体制における院内助産所及び助産師外来の果たす役割や、助産師と産科医との連携を含め、体制の充実についての具体的な方策を検討した上、県としてとるべき施策の推進を図ってまいりたいと考えております。 三点目は、周産期医療における地域周産期母子医療センターの整備、及びNICUを退院した後長期入院が必要となる子どもたちのその後の体制ということでございます。 地域周産期母子医療センターにつきましては、昨年度策定しました基本構想に基づきまして、県立奈良病院にNICUの後方病床を新たに整備しセンターに認定する予定としております。 また、市立奈良病院においてNICUの後方病床六床の整備計画が発表されるなど、それぞれの病院において周産期医療体制の充実に向けてご努力いただいております。 NICUなどの長期入院患者への対応につきましては、後方病床の整備とともに、重症心身障害児施設等の福祉施設や在宅ケアなどの充実、及びそれらの福祉施設と周産期医療施設との連携が重要であり、このことは、NICUの効率的な運用を可能としまして、さらには、ハイリスク妊婦の受け入れ体制の充実につながるものと認識しております。そのため、既に、NICUなどの長期入院患児や福祉施設の状況を現在調査しているところでありまして、在宅ケアの状況なども含め、どのような連携が図れるかについて検討し取り組んでいく必要があると考えております。 なお、これまで申し上げてきました安心して子どもを産み育てる体制づくりにつきましては、既に地域医療等対策協議会で協議を始めているところでありまして、この協議会での議論を踏まえ、県として対応すべきことに取り組んでまいりたいと考えております。 四点目は、市町村の妊婦健診助成につきまして、県独自の助成をすべきではないかというご質問でございます。 母体や胎児の健康管理を図る上で定期的な受診が必要であることから、妊婦健診に係る市町村の公費負担の増加は重要な課題であり、そのため、県としましては、市町村において、より一層の公費負担の回数増に向けて取り組まれるよう積極的に働きかけてまいりました。その結果、妊婦健診の公費負担の回数は、平成十九年度の平均一・七回から、今年度は平均三・九回にふえ、二十市町村が五回の公費負担を実施するところとなりました。特に、非課税世帯につきましては、平均四・五回と大幅に増加しております。各市町村におかれましては、財政的に厳しい中、多大な努力をしていただいたものと考えております。 県としましては、妊婦健診の公費負担の充実は市町村の責務であると考えており、また、平成十九年度から妊婦健診に係る市町村への交付税措置が拡充されていることから、五回以下の市町村に対する県の助成については考えておりません。今後も、実施回数の少ない市町村に、引き続き、公費負担回数の増加を働きかけてまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(辻本黎士) 杉田商工労働部長。 ◎商工労働部長(杉田憲英) (登壇)十九番中野議員からのヤマトハイミール食品関係についてのお尋ねにお答えいたします。 ヤマトハイミール食品協業組合につきましては、昨年七月の事実上の倒産を受けまして、県といたしまして、抵当権の実行による競売手続を行いますとともに、連帯保証契約に基づく強制執行等の請求を行うなど、弁護士とも協議しながら、公正かつ着実に債権管理を進めているところでございます。 まず、抵当権実行によります競売手続につきましては、現在、裁判所におきまして競売対象物件の確定手続が行われており、その中で、今般、第三者が所有権を主張している貸し付け実行後に独自導入された一部機械類につきましては対象から除外される見込みであり、その後、早ければ本年十月ごろに入札に進む見込みでございます。 また、連帯保証人への求償につきましては、そのうち一人に詐害行為が見られましたことから、昨年八月からの取り消し訴訟、強制競売手続等を経まして六月に七百万円余りの償還を得ることができました。 また、委任状の偽造を争う連帯保証人につきましては、現在訴訟を継承中でございます。など、四人の連帯保証人に対しまして厳正に求償を行っているところでございます。 ご指摘の理事長の自宅につきましては、延滞時点で既に複数の金融機関から抵当権が設定済みでございまして、県による抵当権の設定は不可能であり、当該物件の売却により県が債権回収をできる余地はございませんでした。 なお、高度化資金貸付時に理事長所有の工場敷地につきましては、抵当権を的確に設定しておりまして、今回、工場の建物、機械設備とともに競売対象物件となっております。 県といたしましては、今後、資産を保有しているにもかかわらず十分な弁済を行わないという事態が生じないよう、弁護士とも協議しながら、ご指摘のあった破産申し立ても視野に入れ、回収手続を一層強化してまいりたいと考えております。 ○議長(辻本黎士) 十九番中野明美議員。 ◆十九番(中野明美) まず、関西学研についてですけれども、調停の問題では、県と生駒市とURとの間の基本協定、これに基づいて、住民の立場に立った調整をすべきだということで九月のところは質問したわけでございます。 今回の件で、生駒市の広報で市長は、今回の見直し案は、大学や福祉施設といった核となる施設の立地が決まり、採算の面でも見通しが立たないと実現できませんと書いております。ところが、県のプロジェクトチームでは、今年の十二月をめどに事業実施の可否について結論を得るといたしております。無理があるのではないかと考えますし、また、さきの奈良県のホテル誘致に見られますように、問い合わせは幾つも来ている、バラ色だというようなイメージを言われておりましたが、ふたをあけたら手を挙げたのは一事業所だけというように、知事のやり方を見ておりますと、今回の大学誘致一つとっても、まあ、いい感触があったということで開発を進めていったが、結局、知事のたとえ話で言われておりますように、奈良の県立大学だけというように押しつけていくんではないかというふうなことも懸念されるわけなんです。 また、URや国土交通省に相談に行き、応援すると言ってもらったというように言われておりますけれども、大学や福祉施設、今の昨今の経済事情ではなかなか難しいというふうに思います。結局のところ、知事も言われておりましたように、アクセスも含めて企業立地には最適の場所である、大阪、京都とも大変近いということで、そういうことで高山第二工区の開発を進めていく、ここのところがねらいではないのかと思わざるを得ないわけであります。 きょうもサミットが開かれておりますけれども、ストップ地球温暖化を求められるこれからの社会は、開発優先ではなく、自然環境保全、これらとどういうふうに折り合いをつけていく社会にしていくのか、このことが問われるわけです。この点で、知事のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。 もう一つは、商工労働部長にお聞きをいたしますが、今いろいろお答えをいただきました。現在、回収した額、二十億円かけて回収したお金は幾らになっているか、このことを再度お聞きをいたします。答弁でも二十億円貸し付けたと。連帯保証人一つとりましても、民間金融機関であれば、直接本人に確認して、また、保証に耐え得る資産状況はどうやということで調査をいたします。ところが、これらは一切されておらず、また、理事長の自宅についても、他の抵当権がいっぱいあって県が打つ余地がなかった、こういうことでございます。こういうことを考えますと、もとをたどっていけば、当初からずさんな貸し付けであったんではないか。日本共産党と住民から指摘されるまで返済すら要求してこなかった。こういうことを見ましても、始めから返済してもらう気、ほんまにあったのか、こういうふうに思わざるを得ないわけでございます。県民の税金二十億円、回収の見込みはどうなのか。また、これまでも国に相談に行っておられますが、国は一体どういうふうに言っているのか。また、この責任を県としてどうとっていかれるのか、お聞きをいたしたいと思います。 もう一つは、健康安全局長にお尋ねいたしますが、厚生労働省が十四回が望ましい、こういうふうに言っておりますから、県として十四回、国にちゃんとお金を回せ、こういうことで言うと同時に、やはりこれに近づけるようにすることが大事だと思います。県内どこにおいても最低五回は受けられるようにすべきであります。県が一回助成するとしたら一体幾らあったらできるのか、お聞きをいたします。 そして、地球温暖化問題につきましては、今やられておりますけれども、日本全体のCO2排出量、この半分以上を占める産業界の大もと、ここに対してしっかりと削減を求めていく、このことをしなければなかなか実現が難しいと思います。奈良県におきましても、五十年、百年先の奈良県を考えたとき、やはり化石燃料、いつまでもあるわけではないですから、自然のエネルギーをどう活用していくか、ここのところを奈良県全体で対応していくことが大事であることを言います。 以上です。 ○議長(辻本黎士) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 大分、私に対しては決めつけてご質問ありましたが、そういう事情には全くないということのみをしっかりと申し上げておきたいと思います。 以上です。 ○議長(辻本黎士) 杉田商工労働部長。 ◎商工労働部長(杉田憲英) 私に対しましては、ヤマトハイミール関係の現在の償還状況と今後の見通しと、また責任というようなお尋ねがございましたけれども、現在の償還状況につきましては、これまで、先ほど申し上げましたことしの六月の七百万も含めて約千百万円弱でございまして、二十億円の貸し付けの中からするとわずかでございます。 ただ、これにつきましては、今後、工場の土地建物等の抵当権の実行がございますので、私どもとしては、そのできる限りの回収を図ると。さらには、連帯保証人の資産の状況を徹底的に洗い出しまして可能な限り回収を図ってまいりたいと。県といたしましては、まずもって現在、この、先ほど言いました抵当権の実行、あと保証人への求償、これを県民の皆様に対して説明できるように厳格かつ公正にやってまいりたいと考えております。 ○議長(辻本黎士) 竹村健康安全局長。 ◎健康安全局長(竹村潔) 妊婦健診につきましては、先ほど申しましたように、交付税措置されているということで、これを五回にするのは市町村の努めと思っておりますけれども、もし県が全額補助しますとすると、一回当たり約五千四百万円ぐらいはかかるだろうと試算しております。 ○議長(辻本黎士) これをもって、当局に対する一般質問を終わります。   -------------------------------- ○議長(辻本黎士) 次に、十三番中野雅史議員ほか七名から、平成二十年度議案、議第五十三号「奈良県の県行政に関する基本的な計画等を議会の議決すべき事件として定める条例」の議案が提出されました。 議案はお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- ○議長(辻本黎士) 次に、平成二十年度議案、議第五十三号を議題とします。 三十三番国中憲治議員に提案理由の説明を求めます。--三十三番国中憲治議員。 ◆三十三番(国中憲治) (登壇)ただいま上程されました議第五三号「奈良県の県行政に関する基本的な計画等を議会の議決すべき事件として定める条例案」につきまして、提案者八名を代表しまして提案理由の説明をさせていただきます。 昨今の地方分権のさらなる進展と三位一体改革により、地方公共団体の権限と役割は大きく拡大し、同時に自己決定、自己責任の範囲が増大したところであります。 一方、地方議会を取り巻く環境も大きく変化しており、議会の役割と責任はますます大きくなる中、全国の地方議会において監視機能の強化をはじめ、住民意思の施策への反映や政策立案機能の強化など、議会の権限強化や機能充実に向けた取り組みが進められているところであります。 さらに、平成十七年十二月の第二十八次地方制度調査会の答申では、議会の自主性・自立性が求められたところであり、議会の自己改革を進めていくべきであるとされています。また、平成十九年十一月の地方分権改革推進委員会の「中間的な取りまとめ」では、地方自治の原点は住民の「声」であり、説明責任と応答責任が果たされなければならない。また、住民自治の観点から、住民の代表機関である議会が住民にとって身近な存在となり透明で開かれた議会を目指すことを求めています。 このような状況下、県議会は二元代表制による住民の代表機関として知事と対等の立場にありますが、多様な民意を反映する合議制の議決機関として、執行機関に対する監視、審議、修正を行い、積極的な政策提案をすることが使命として課せられています。そのため、基本計画の策定にあたっては、県議会が積極的に参画することにより、民意を反映した透明性の高い県行政を推進することが、必要であると考えました。 本条例は、地方自治法第九十六条第二項の規定に基づき、県行政に係る基本的な計画の策定や変更、廃止に議会の議決が必要とする条例を設けるものであります。 主な内容としては、総合計画や分野別の基本計画を策定、変更、廃止するときには、議会の議決を要するとともに議会への報告を求めています。 この条例の制定により、計画の実効性及び透明性が高められ、より県民の視点に立った県行政が推進されるものと考えています。 少々早口で申しわけなく、ご提案を申し上げましたが、議員各位におかれましては、本条例の趣旨をご理解いただき、よろしくご賛同いただきますようお願い申し上げ、提案説明とさせていただきます。 以上です。 ○議長(辻本黎士) 次に、平成二十年度議案、議第四十二号から議第五十三号及び報第一号から報第二十号、並びに平成十九年度議案、報第三十号を一括議題とします。 ただいま上程中の各議案については、調査並びに審査の必要がありますので、お手元に配布しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。   -------------------------------- ○議長(辻本黎士) 次に、陳情四件を上程します。 お手元に配布しております文書でご承知願います。   -------------------------------- ○議長(辻本黎士) 一番小林茂樹議員。 ◆一番(小林茂樹) 常任委員会開催のため、明七月八日から七月九日まで本会議を開かず、七月十日会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○議長(辻本黎士) お諮りします。 一番小林茂樹議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回七月十日の日程は各常任委員長報告と同採決とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時四十七分散会...