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  1. 奈良県議会 2005-02-01
    02月28日-01号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    平成17年  2月 定例会(第274回) 平成十七年        第二百七十四回定例奈良県議会会議録 第一号 二月    平成十七年二月二十八日(月曜日)午後一時四分開会                            由本知己・北中路子速記   --------------------------------    出席議員(四十四名)  一番 井岡正徳          二番 浅川清仁  三番 上村庄三郎         四番 奥山博康  五番 荻田義雄          六番 田中惟允  七番 藤本昭広          八番 山村幸穂  九番 田中美智子        一〇番 今井光子 一一番 上田 悟         一二番 山本進章 一三番 中野雅史         一四番 笹尾保博 一五番 神田加津代        一六番 森下 豊 一七番 畭 真夕美        一八番 上松正知 一九番 吉川政重         二〇番 高柳忠夫 二一番 欠員           二二番 岩田国夫 二三番 粒谷友示         二四番 菅野泰功 二五番 中辻寿喜         二六番 安井宏一 二七番 丸野智彦         二八番 辻本黎士 二九番 吉川隆志         三〇番 岩城 明 三一番 田尻 匠         三三番 欠員 三四番 国中憲治         三五番 秋本登志嗣 三六番 小泉米造         三七番 飯田 正 三八番 米田忠則         三九番 松井正剛 四一番 新谷紘一         四二番 小林 喬 四三番 服部恵竜         四四番 山下 力 四五番 山本保幸         四六番 中村 昭 四七番 梶川虔二         四八番 川口正志   --------------------------------    欠席議員(二名) 三二番 大保親治         四〇番 出口武男   --------------------------------    議事日程一、知事招集挨拶一、開会宣告一、議席の変更一、会議録署名議員指名一、会期決定(二十六日間)一、諸報告一、就任挨拶(岡本教育委員宇野教育委員永田公安委員)一、議案一括上程一、知事提案理由説明   -------------------------------- △開会式 ◎議事課長(森本芳文) ただいまから知事のごあいさつがあります。 ◎知事(柿本善也) (登壇)定例県議会の開会に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。 本日ここに二月定例県議会を招集いたしましたところ、議員各位のご出席をいただき開会の運びに至りましたことは、県政のため、誠にご同慶にたえないところでございます。 このたびの定例県議会でご審議いただきます案件は、平成十七年度一般会計特別会計並びに企業会計予算案をはじめ、条例の制定及び改正、その他でございます。 何とぞ慎重にご審議の上、よろしくご議決またはご承認いただきますようお願い申し上げまして、開会のごあいさつといたします。   --------------------------------        (議長米田忠則、議長席に着く) ○議長(米田忠則) これより、平成十七年二月第二百七十四回奈良県議会定例会を開会します。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 初めに、議席の変更を議題とします。 議会運営の都合により、議席の一部を変更したいと思います。 お諮りします。 お手元に配布の議席変更一覧表のとおり議席を変更することにご異議ありませんか。        (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。 それでは、ただいま決定しました議席にお着き願います。        (それぞれ変更議席に着席)      井岡正徳議員  二十一番 →   一番      浅川清仁議員    一番 →   二番      上村庄三郎議員   二番 →   三番      菅野泰功議員    三番 → 二十四番   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、会議録署名議員を、会議規則第九十三条の規定により指名します。                           三十番  岩城 明議員                          三十一番  田尻 匠議員                          三十二番  大保親治議員 以上の三人を指名します。 被指名人にご異議がないものと認めます。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、会期の決定を議題とします。 お諮りします。 今期定例会の会期は、本日から三月二十五日までの二十六日間としたいと思いますが、ご異議ありませんか。        (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認めます。 よって、会期は二十六日間と決定しました。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、地方自治法第百二十一条の規定により説明のため議場に出席を求めました文書の写しをお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- △奈議第二十九号の四 平成十七年二月二十一日  奈良県知事 柿本善也殿                             県議会議長 米田忠則      第二百七十四回二月定例県議会への出席要求について  二月定例県議会(平成十七年二月二十八日開会)に説明のため、貴職及び下記の者の出席を要求します。          記   副知事         出納長   理事兼平城遷都一三〇〇年記念事業準備事務局長   総務部長   企画部長兼観光交流局長   福祉部長こども家庭局長   健康安全局長      生活環境部長   商工労働部長      農林部長   土木部長        財政課長   -------------------------------- △奈議第二十九号の四 平成十七年二月二十一日 教育委員長 教育長 人事委員長 代表監査委員 殿 公安委員長 警察本部長 水道局長                             県議会議長 米田忠則     第二百七十四回二月定例県議会への出席要求について 二月定例県議会(平成十七年二月二十八日開会)に説明のため、貴職の出席を要求します。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、監査委員から財務監査及び現金出納検査結果の報告があり、その写しをお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、本日、知事から議案四十五件が提出されました。 議案送付文の写し並びに議案をお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- △財第七十九号 平成十七年二月二十八日  奈良県議会議長 米田忠則殿                             奈良県知事 柿本善也      議案の提出について平成十七年度議案 議第一号 平成十七年度奈良県一般会計予算 議第二号 平成十七年度奈良県立医科大学費特別会計予算 議第三号 平成十七年度奈良県営競輪事業費特別会計予算 議第四号 平成十七年度奈良公園費特別会計予算 議第五号 平成十七年度奈良県観光自動車駐車場費特別会計予算 議第六号 平成十七年度奈良県母子寡婦福祉資金貸付金特別会計予算 議第七号 平成十七年度奈良県農業改良資金貸付金特別会計予算 議第八号 平成十七年度奈良県中小企業振興資金貸付金特別会計予算 議第九号 平成十七年度奈良県証紙収入特別会計予算 議第一〇号 平成十七年度奈良県用地先行取得費特別会計予算 議第一一号 平成十七年度奈良県流域下水道事業費特別会計予算 議第一二号 平成十七年度奈良県林業改善資金貸付金特別会計予算 議第一三号 平成十七年度奈良県中央卸売市場事業費特別会計予算 議第一四号 平成十七年度奈良県公債管理特別会計予算 議第一五号 平成十七年度奈良県育成奨学金貸付金特別会計予算 議第一六号 平成十七年度奈良県水道用水供給事業費特別会計予算 議第一七号 平成十七年度奈良県病院事業費特別会計予算 議第一八号 奈良県個人情報保護条例の一部を改正する条例 議第一九号 奈良県立学校における授業料等に関する条例等の一部を改正する条例 議第二〇号 一般職の任期付職員の採用等に関する条例等の一部を改正する条例 議第二一号 奈良県職員定数条例等の一部を改正する条例 議第二二号 一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 議第二三号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例 議第二四号 県吏員及び県費支弁職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例 議第二五号 県税事務所等設置条例の一部を改正する条例 議第二六号 奈良県看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例 議第二七号 奈良県結核診査協議会条例の一部を改正する条例 議第二八号 奈良県中央卸売市場条例の一部を改正する条例 議第二九号 国有財産特別措置法第五条第一項第五号に規定する土地の市町村への譲与に伴う関係条例の整備に関する条例 議第三〇号 奈良県高等学校等奨学金貸与条例及び奈良県特別会計設置条例の一部を改正する条例 議第三一号 警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例 議第三二号 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例 議第三三号 案内人取締条例を廃止する条例 議第三四号 奈良県改良普及員資格試験条例等を廃止する条例 議第三五号 職員の修学部分休業に関する条例 議第三六号 職員の高齢者部分休業に関する条例 議第三七号 奈良県人事行政の運営等の状況の公表に関する条例 議第三八号 奈良県森林環境税条例 議第三九号 奈良県国民保護対策本部等に関する条例 議第四〇号 奈良県砂防指定地等管理条例 議第四一号 奈良県長期継続契約を締結することができる契約を定める条例 議第四二号 奈良県立図書情報館条例 議第四三号 全国自治宝くじ事務協議会への静岡市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について 議第四四号 包括外部監査契約の締結について 議第四五号 有料道路南阪奈道路」の事業変更の協議に応じることについて 以上のとおり提出します。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、去る十二月定例会において任命同意を与えました岡本和美教育委員のごあいさつがあります。 ◎教育委員岡本和美) 昨年十二月をもちまして、皆様のご同意をいただき、教育委員に再任されました岡本和美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(米田忠則) 同じく任命同意を与えました宇野義明教育委員のごあいさつがあります。 ◎教育委員宇野義明) 同じく昨年十二月、皆様方のご同意を得まして、再任いただきました宇野義明でございます。 心を新たに務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(米田忠則) 同じく任命同意を与えました永田正利公安委員のごあいさつがあります。
    公安委員(永田正利) 公安委員に再任をいただきました永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 次に、平成十七年度議案、議第一号から議第四十五号を一括議題とします。 知事に提案理由の説明を求めます。 ◎知事(柿本善也) (登壇)本日ここに、平成十七年度予算案をはじめ多数の案件を提出して、県議会のご審議をお願いするに当たり、新年度における重点施策を中心に所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解とご協力を得たいと存じます。 さて、平成十七年度の我が国経済は、政府の経済見通しによりますと、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けるとのことでありますが、私は、本県をはじめ、いわゆる地方を取り巻く今日の社会・経済情勢は決して楽観できるものではないと考えております。特に、財政問題は、国・地方を通じての最大の課題の一つでありますが、平成十六年度予算編成において、「三位一体の改革」の影響と地方交付税の大幅削減により、各地方団体が大きな影響を受けたことは、ご承知のとおりであります。この反省に立って、私は、新年度の国予算編成等に際し、地方が現に担っている行政サービスの水準を踏まえ、それに見合った財源確保が必要であること、あるいは、国庫補助負担金の改革に当たっては、税源移譲と地方交付税による財源調整の双方を確実に行うべきであると、全国知事会を通じ、あるいは県議会とも連携しながら、国に対して強く主張してまいりました。このような地方の窮状を訴える多くの声に対して、国において、多少の理解は示されたものの、決して事態が好転したわけではなく、新年度においても、地方の財政環境は一段と厳しいものとなりました。 しかし、こういった時期にこそ、却って勇気を持って、県政を将来とも安定的かつ持続的に進めるための礎を作っていくことが、県民の皆様から私に負託された大きな使命であるとの自覚を強くした次第であります。新年度の予算編成におきましても、仕上げの年となりました「奈良県新総合計画後期実施計画」の実現を基本にして、「わかりやすい県政」や県民参加型の県政を念頭に置き、県政の諸課題にそれぞれ適宜的確に取り組みつつ、県政各分野における改革を行い、本県の将来展望に確実につながる新たな施策を積極的に取り上げるよう努力を傾けたところであります。 さて、政府の新年度予算案は、持続的な財政構造の構築と予算の質の向上を図るため、歳出改革を一層推進することとされたものの、国債費や社会保障関係費等が増加したことから、一般会計予算総額は本年度に対して〇・一%の増、国債費、地方交付税交付金を除いた一般歳出は〇・七%、約三千五百億円の減ですが、これは、地方向け補助金五千億円の減等によるものであります。 これに対し地方財政計画総額は、一・一%の減、公債費除きでは一・二%の減とされております。まず、本年度に引き続き、「三位一体の改革」として、国庫補助負担金の廃止・縮減が進められ、所得譲与税として地方へ税源移譲されたり、また、義務教育国庫負担金の一部については、税源移譲予定特例交付金により措置することとされました。同時に、本年度の大幅な地方財政規模の圧縮による影響に配慮し、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保に努めたとされてはおりますが、給与関係経費地方単独事業費一般行政経費などの歳出項目について引き続き縮減が加えられました。これらの結果、地方財政全体としては、地方交付税自体は、〇・一%の増となったものの、地方交付税に代わる臨時財政対策債が、二十三・一%の減とされ、この減額分の影響を予定される税収増によりカバーするというのが、地方財政計画の姿であります。 このため、個別の地方団体、例えば、本県や県内市町村の多くでは、交付税や臨時財政対策債の減収を税収増では全てカバーできず、十六年度よりも一層厳しい財源状況となりました。 すなわち、新年度の本県財政は、歳入面では、「三位一体の改革」による国庫補助負担金の減少等による影響額と、所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金による措置額との差額が約十四億円のマイナスとなるほか、地方交付税臨時財政対策債との合計額においても、本年度当初予算に対して百五億円の大幅な減少となりました。県税収入は六十億円の増が見込まれるものの、このほか、既に本年度において、地方交付税等が二百五十三億円削減された影響はそのまま継続されており、十六年度を上回る極めて厳しい財源状況となっております。一方、歳出面では、教育、福祉、健康、安全・安心、環境、文化、産業、基盤整備などの各分野において引き続き相当額の財政需要が見込まれ、著しい財源不足が生じたところであります。 このため、「新行財政改革大綱」「財政健全化指針」等への取り組みを一層推進することを基本に、特に財政特別点検を開始し、行政全般にわたって制度論を含む見直しを実施したところであります。引き続き自主的な給与抑制と職員定数の削減にも努めて人件費を縮減し、また、公債費についても平準化措置を講じるほか、事務事業評価による見直し、マイナスシーリング、施策・事業の重点化など、特別会計も含めて幅広い歳出の合理化を進めたところであります。なお不足する財源としては、財源対策債地域再生事業債を発行するとともに、さらに財政調整基金及び県債管理基金を合計百五十億円取り崩すことにより、漸く収支の均衡を図ったのであります。 このように著しく厳しい財政環境について、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げる次第であります。 さて、このような財政環境のもとではありますが、新年度予算の編成に当たりましては、「奈良県新総合計画後期実施計画」をもとに、現在策定中の「新長期ビジョン」を視野に入れ、今後の県政運営の戦略資源である「人」「県土」「遺産」を活用しながら、「平城遷都一三〇〇年」に向けた取り組みをはじめ、当面する諸政策課題に最大限の取り組みを行うことといたしました。また、各般にわたり、きめの細かい配慮を行い、自民党をはじめ各政党会派、市町村、関係団体等を通じて寄せられた県民の皆様のご要望につきましても、その実現に努めながら、後程申し上げます八項目の主要施策を基本として、新年度予算案の編成を行ったのであります。 これらの結果、新年度の一般会計の予算案の規模は、四千七百九十億三千万円、本年度当初予算に対して、三・九%の減となったのであります。なお、一般会計特別会計及び企業会計の十七会計を合計いたしますと、七千二百九十九億五千百万円となります。 以下、新年度予算案につきまして、主要施策別に簡潔にご説明申し上げます。 第一は、二十一世紀に羽ばたく奈良県の基盤づくりであります。 その一は、交通ネットワークの整備についてであります。 道路網の整備は、本県の基盤づくりにおける最も重要な課題と位置づけ、従来から積極的に「なら・半日交通圏道路網構想」の実現に取り組んできたところであります。とりわけ、その基軸である京奈和自動車道については、大和・御所道路の大和区間と五條道路の開通を目標に事業の推進を図り、また、御所区間についても事業を推進するとともに、大和北道路については、引き続き国の協力を得ながら着実に環境アセスメント都市計画の手続きを進めてまいります。地域高規格道路につきましては、学研都市連絡道路五條新宮道路、中和幹線の整備促進に努めており、このうち五條新宮道路宇宮原バイパス中和幹線松塚工区では、新年度中の完成を予定しております。 また、国の補助事業の確保を図り、国道三〇八号大宮道路三条道路、国道一六九号高取バイパス、国道三六九号栂坂バイパス、国道一六六号女寄道路県道枚方大和郡山線などの幹線道路をはじめ、県民生活に密着した道路網の整備を進めてまいります。さらに、県内各地の市街地における渋滞対策として、街路整備主要交差点の改良、道路案内標識の整備等を進め、安全で円滑な道路交通の確保に努めることといたします。 なお、飛鳥葛城自転車道を延伸し、奈良自転車道と連結する整備が、新年度を以て概ね完了し、大和中央自転車道を含めて自転車道三路線のネットワークが形成されることとなります。 京阪奈新線につきましては、平成十八年三月の開業を目指し、軌道工事などの実施に必要な出資等を行うことといたします。 その二は、生活基盤の整備についてであります。 大滝ダムにつきましては、現在、国において、川上村白屋地区の住民の方々に対する補償協議を行うとともに、本格的な地すべり対策工事の着手に向けて鋭意作業が進められているところであります。県といたしましても、住民の方々の一日も早い本移転並びにダムの早期供用開始に向けて、国及び川上村と連携を図りながら、取り組みを進めてまいります。 県営水道につきましては、災害や渇水時に送水系統間の水融通を図るため整備を進めてまいりました新平群ポンプ場等施設の供用を開始するとともに、桜井浄水場高度浄水施設の整備に着手いたします。 下水道につきましては、各浄化センターにおいて流入水量の増加に応じた処理能力の確保に向けて施設整備を行うとともに、竜田川幹線及び信貴山幹線の整備を引き続き促進し、竜田川沿線市町での早期供用開始を目指すなど、生活環境の改善と河川の水質保全に引き続き努力してまいります。 住宅の整備につきましては、県営住宅小泉団地建替事業の第一期工事として八十戸の建設に着手するほか、既設県営住宅の居住性の向上、高齢者対策バリアフリー化等を計画的に進めてまいります。 都市公園事業につきましては、馬見丘陵公園の整備を進めるとともに、「(仮称)うだ・アニマルパーク」内の「(仮称)動物学習館」の整備にも着手してまいります。 治山対策につきましては、災害に強い安全・安心な県土づくり、水源地域の機能の強化、緑豊かな生活・自然環境の保全を図るために、荒廃山地の復旧整備等に引き続き取り組んでまいります。 治水対策につきましては、集中豪雨や台風などによる浸水被害を未然に防止するため、総合治水対策事業等を促進するとともに、河川環境整備事業や、流域住民や市町村との積極的な連携による「地域が育む川づくり」を推進いたします。岩井川ダムの建設についても、その早期完成に向け取り組んでまいります。 また、がけ崩れ等の自然災害を未然に防止するため、引き続き砂防、地すべり、急傾斜地崩壊対策等の事業を実施してまいります。 なお、災害復旧事業につきましては、本年度において、大塔村宇井地区の道路をはじめ、県内各所で大きな被害を受けましたので、所要の予算額を確保し、その早期の復旧に努めてまいります。 その三は、都市・農山村の整備についてであります。 JR奈良付近連続立体交差事業につきましては、二〇一〇年に向け、高架工事に本格的に着手するとともに、関連街路の整備を進めてまいります。 このほか、都市部の整備につきましては、本年度実施した都市計画区域における人口規模等の現況や見通しに関する基礎調査の結果分析を通じて、今後の区域区分、いわゆる線引き等の基本的な方向性について、検討を進めてまいります。 また、農山村の環境整備につきましては、引き続き農林道、農業集落排水などの整備を図ってまいります。 第二は、生きがいと誇りの持てる長寿社会の実現であります。 その一は、共に支え合う社会の形成についてであります。 地域福祉の推進につきましては、引き続き市町村の「地域福祉計画」の策定を支援してまいりますとともに、新たに福祉サービス第三者評価の実施に向けて、福祉サービス評価基準や評価機関の認証基準等を策定し、モデル的に第三者評価を行ってまいります。 障害者福祉の充実につきましては、「障害者長期計画二〇〇五」に基づき、ノーマライゼーションの理念の実現をさらに進めるとともに、新たに「自閉症・発達障害支援センター」を設置いたします。 また、障害のある中・高校生の放課後等の活動の場を確保することを目的に市町村が実施する「障害児タイムケア事業」に対して新たに助成するほか、支援費制度の一層の充実を図ってまいります。 さらに、知的障害者デイサービスセンター等の障害者施設整備について、所要の予算を計上いたしました。 県単福祉医療制度につきましては、少子・高齢化の進展など社会情勢の変化に的確に対応するとともに、将来にわたり持続可能で安定的な制度とすることを基本として慎重に検討を加えた結果、幼児医療の入院対象年齢を就学前まで拡大するとともに、老人医療を既に受給されている方々に影響の出ないよう経過措置を設けたうえで廃止するほか、一部負担金制度を導入するなど、制度を見直すことといたしました。 なお、国民健康保険制度につきましては、新たに「国民健康保険財政調整交付金事業」が県の事業とされたこと、また、「保険基盤安定化事業」の県費負担割合が大幅に引き上げられたことに伴い、所要の予算を計上し、市町村の国保財政の安定化に努めてまいります。 その二は、明るく活力ある高齢社会の実現についてであります。 介護保険制度を円滑に推進するための基盤整備として、特別養護老人ホームをはじめ、ケアハウスやデイサービスセンター、認知症高齢者グループホームなどについて整備拡充を図るため、所要の予算を計上いたしました。また、高齢者に提供される訪問介護サービスをはじめとする各種介護サービスの質の向上を目指し、介護支援専門員、訪問介護員への研修を充実するとともに、介護サービスの第三者評価の定着に向けた取り組みや事業者への指導の強化に引き続き努めてまいります。 さらに、平成十八年四月に予定される介護保険制度改革に適切に対応できるよう、利用者への啓発、周知を図ることとし、引き続き市町村と連携しながら、制度の安定的な運営に努めてまいります。 高齢者の健康増進と介護予防につきましては、「介護予防・地域支え合い事業」に引き続き取り組むとともに、新たに介護予防支援委員会を設置し、市町村スタッフの研修を実施するなど、市町村における介護予防試行事業を支援することといたします。 さらに「認知症予防総合対策事業」に取り組み、認知症の予防方法と早期対応方法を普及啓発するほか、新たに高齢者虐待防止策として、シンポジウムを開催し、市町村における関係者のネットワーク形成を促進してまいります。 一方、高齢者が豊かな経験と知識を生かし、生きがいのある地域活動が実践できるよう、「まほろばシニアリーダーカレッジ」を開催するなど指導者養成の充実を図るとともに、いわゆる「団塊の世代」の大量退職の時期を控えて、退職後のライフプランを考える「シニアライフセミナー」を新たに開催することといたします。 なお、介護保険制度改革に的確に対応しつつ、高齢者が健康で安心して暮らせる施策を総合的に展開するため、福祉部の「高齢福祉課」と「介護保険室」を「長寿社会課」として再編することといたしました。 その三は、こども・家庭対策の推進についてであります。 「奈良県次世代育成支援行動計画」に基づき、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ育つ環境の整備を図るため、総合的・計画的に施策を推進してまいります。 結婚・子育てに関する社会意識の醸成につきましては、結婚へのあこがれを育む「幸せなふたりの出会い百選」の募集や育児不安に悩む母親を支援する「子育て不安ゼロ作戦」などにより、一層の意識啓発に努めてまいります。また、NPO、企業など地域が一体となって結婚や子育てを応援する取り組みを支援するため、新たに「なら結婚応援団」、「子育て応援団」を設置します。 さらに、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりとして、新たに親の子育て力を高めるための「親育てプログラム活用検討事業」を実施するなど、家庭の養育機能の向上を図るとともに、「子育て家庭サポートセンター」では、引き続き「相談機関のネットワーク形成事業」などを実施し、地域で子育てを支援する体制づくりを応援いたします。 深刻化する児童虐待問題につきましては、中央こども家庭相談センターにおいて、虐待に専門に対応する「こども支援課」を新たに設置するほか、夜間及び土・日、休日にも相談職員を配置して、相談体制を充実するとともに、高田こども家庭相談センターに児童虐待の専従職員を配置するなど、県内全域の児童虐待への迅速かつ適切な対応を進めてまいります。 その四は、保健・医療、健康づくりの充実についてであります。 県立医科大学附属病院並びに県立病院におきましては、経営の効率化に取り組みつつ、本県医療の中核機関として、県民に対し良質で安全かつ高度な医療の提供に努めておりますが、さらに、今後のあり方について検討を行い、将来構想を策定することといたします。 なお、県立医科大学につきましては、地方独立行政法人化についての準備も進めてまいります。 医科大学附属病院におきましては、患者サービスの向上、診療機能の質的向上、県立病院や地域の医療機関との連携を図るため、電子カルテシステムを中心とした「(仮称)総合医療情報システム」の平成十九年度稼働に向け、システムの構築を進めることといたします。また、精神科救急医療の充実につきましては、平成十八年九月供用開始を目途に、二十四時間態勢で対応する「(仮称)精神医療総合センター」の整備を進めてまいります。 地域の保健医療につきましては、新たに難病患者やその家族の様々なニーズに対応する拠点として、郡山保健所に「難病相談支援センター」を設置し、専門相談やホームページ等による情報の提供、講演会の開催など、支援対策の充実を図ってまいります。また、医療全般に対する苦情や相談につきましては、県庁や各保健所における相談体制により引き続き迅速に対応してまいります。 救急医療体制の整備につきましては、休日・夜間に手術や入院を要する救急患者の診療を確保するため、病院群輪番制病院に対する設備整備費補助を引き続き行ってまいります。また、小児救急医療につきましては、小児救急医療輪番体制や小児科開業医による電話相談体制を引き続き実施してまいります。 さらに、県民の救命率の向上を図るため、県庁及び保健所等に非医療従事者でも操作できる自動体外式除細動器(AED)を配備いたします。 保健医療を支える人材の養成・確保の取り組みにつきましては、在宅医療を進めるうえで重要となる訪問看護の充実を図るために、看護師に対する研修等を新たに実施いたします。 県民の健康づくり活動への支援につきましては、「なら健康増進戦略会議」を設置し、健康増進行動プランにより「健康体操普及事業」や「食を通じた健康づくり事業」等を推進しているところでありますが、新たに各保健所等に「健康ビデオライブラリー」を設置し、分かりやすい健康情報を提供することといたします。 第三は、地域の特性を生かした特色ある産業振興であります。 その一は、新しい産業の創出についてであります。 本年度に策定いたします「なら産業活性化ビジョン」に基づき、今後、特色ある地域産業の形成を進め、豊かで活力ある奈良県を実現するため、ものづくり産業の活性化、健康・福祉産業の育成など、新たな展開に向けた施策を実施してまいります。 まず、新たに「産業フォーラム」を設け、研究開発から製造、流通に至るまで、地域の関連企業が集まり、自律的に連携し、ともに発展する方向性を見い出す場を提供します。 さらにベンチャー企業の創業を促進するため、奈良市内の「やまと創業インキュベータ」に続き、新たに大和高田市内にビジネスインキュベータ施設を整備するなど、県内の創業環境の充実を図ってまいります。 本県での産業の創出につきましては、国内外の高齢社会への移行に着目し、市場ニーズの広がりが見込まれる福祉用具に焦点をあてて、商品化に向けた調査・研究活動など、事業展開に応じた支援を行ってまいります。 産研学連携につきましては、既に、県立試験研究機関と中小企業支援センターが一体となって、奈良県版技術移転機関「ならテクノ・リエゾン」を構築し、いくつかの技術課題について競争的な研究資金を獲得するなど成果を上げつつありますが、加えて、重点研究開発分野であるライフサイエンス分野において、産研学が結集して共同研究を進めることができる研究開発拠点づくりを目指してまいります。 さらに、資源循環型社会の到来を受け、新エネルギー関連産業を育成するため、県内産業界、大学等と連携し、新エネルギーの活用や普及に向けての検討を行うことといたします。 その二は、農林業の振興についてであります。 二十一世紀にふさわしい新たな視点から本県農林水産業、農山村に対する各種施策の一体的な展開を図るため、新たに中長期的な「(仮称)農林振興ビジョン」の策定に取り組んでまいります。 農林業の基盤整備につきましては、土地改良、農林道などの整備促進に所要の予算を計上いたしました。このうち、新年度には、ふるさと農道馬司線、車谷滝線、農免道路白川和爾線が開通するほか、県営ほ場整備事業の葛城西地区、和爾地区の完成を目指すなど、各事業の進捗に努めてまいります。 特産品の振興につきましては、柿、いちご等と併せて、大和茶や大和野菜、県産米ヒノヒカリ等のブランド力の強化に向けて、県内外へ積極的にPRし、その消費拡大を図るとともに、生産情報などを通じた安全・安心への取り組みや県産農産物の海外輸出などに対して支援を行います。 味覚から奈良をPRするための「奈良のうまいもの」づくりにつきましては、販売店の拡大、普及促進とともに、県外に向けた情報発信、PRに取り組んでまいります。 遊休農地対策につきましては、新たに「就農支援特区」を活用する新規就農者等への小型農業機械のレンタル制度を支援するとともに、本年度設置した「担い手バンクシステム」のなお一層の活用により、農地の有効利用と担い手の育成を関係機関と連携しながら進めてまいります。 農業の担い手確保については、農業大学校において当面定年退職者等を対象とした研修を新たに実施するなど、新規就農対策の充実を図るとともに、農業技術センターにおける研修施設の整備に着手いたします。 畜産振興につきましては、畜産技術センター(みつえ高原牧場)の研究成果を活用し、「大和牛」のブランド化をさらに推進するほか、鳥インフルエンザについては、新たに養鶏農家のモニタリング調査を実施するなど、その対策に万全を期してまいります。 内水面漁業の振興につきましては、アユ、アマゴの適正放流に対する支援などに引き続き取り組んでまいります。 次に、林業につきましては、森林整備に必要な森林の現況調査や歩道整備等に対して引き続き支援を行うとともに、間伐を中心とした森林整備の推進による雇用の場の確保に努めるほか、林業機械化推進センターを核とした機械化を推進し、林業労働力の確保・育成に取り組んでまいります。また、引き続き間伐材安定供給促進事業等により県産材の安定供給を図るとともに、新たに「奈良県地域材認証支援事業」に取り組み、県産材の需要拡大を進めてまいります。さらに、森林組合の経営基盤の強化、効率化を図るための広域合併への取り組みに対して、県として引き続き支援してまいります。 その三は、工業、商業等の振興についてであります。 金融対策につきましては、最近の経済情勢並びに県内中小企業の資金需要動向等を勘案し、新年度における制度融資枠として、本年度と同額の六百四十億円を確保するとともに、需要が多い経済変動対策資金の融資枠を拡大するほか、中小企業の事業再生支援に特化した融資枠を確保し、所要の見直しを行いつつ引き続き金融の円滑化を図ってまいります。 工業の振興につきましては、繊維産業をはじめ地場産業の活性化を図るための新商品開発事業、市場開拓事業などを引き続き実施するとともに、中小企業支援センターを核とする県内産業支援機関のネットワーク化を推進して、ワンストップサービス体制の充実を図り、ものづくりに関わる中小企業を支援してまいります。 また、企業誘致につきましては、県内産業の活性化と雇用の場の確保を図るうえでも特に重要であることから、企業立地促進策としての優遇税制導入について検討するとともに、企業の新規立地や県内企業の工場拡張などにかかる各種手続き等の迅速化を図ります。 薬業の振興につきましては、新たに県内製薬企業との共同・受託研究により新製品開発を支援してまいります。 商業の振興につきましては、「中心市街地商業活性化事業」、「商店街等活性化事業」などについて、引き続き所要の予算を計上するとともに、新たにチャレンジショップ等の空き店舗対策に対して支援を行うなど、ソフト・ハードの両面から魅力ある商店街づくりを支援してまいります。 その四は、労働環境の整備についてであります。 雇用の促進につきましては、今日の大きな課題の一つである若年者の雇用対策として、本年度には若年者就職支援の拠点として「ならジョブカフェ(ヤングコーナー)」を設置したところでありますが、新年度は、キャリアコンサルタントによる就業相談やキャリアアップを図る講座を実施し、就職支援と職業意識の醸成に努めてまいります。 次に、いわゆる「団塊の世代」が、大量に退職する時期が迫っており、このシニア世代の有する貴重な経験、知識、技術等を本県産業の発展に積極的に生かすとともに、若年労働者等次世代に技能を継承していく仕組みが必要と考え、「シニア世代経験活用・就職支援事業」を新たに実施いたします。 第四は、「国際文化観光・平和県」への着実な進展であります。 その一は、観光・交流の振興についてであります。 まず、新年度において、平成十六年度に開催した「奈良県観光産業活性化推進会議」の場での検討内容等を踏まえ、本県の特性や時流に乗った観光振興策を重点的に実施していくための観光戦略として、特に、経済波及効果が高いとされる「宿泊」を伴う観光を強力に推進することとし、県内における宿泊施設の実態調査及び需要量推計調査を実施するほか、「奈良の朝」を積極的にPRしてまいります。 観光客の誘致対策につきましては、まず、古代首都の歴史や文化に焦点をあてた「大和路歴史首都ルネッサンス事業」の一環として、新年度から「(仮称)藤原京ルネッサンスキャンペーン」に取り組むこととし、藤原京の魅力を発信するホームページの制作やスタンプラリー等を関係市町村とともに実施するなど、藤原京の知名度を高めてまいります。 また、三月に開幕する「愛・地球博」を機会に、七月に予定されている「奈良県の日」に、本県の魅力を来場者にPRするほか、イベントガイドブックやリーフレットにより観光資源やルートを紹介し、誘客を図るなど、「あなたとなら・大和路」観光キャンペーンをさらに積極的に展開してまいります。 さらに、新たな展開として、近府県との連携のもと、観光ルートの開発に取り組み、「宿泊」を伴う観光の推進を図ることとし、大阪府と連携した新しい周遊ルートの開発に取り組むとともに、京都府、滋賀県とも連携を図り、旅行社とのタイアップ事業である「日本の旬」キャンペーンを実施いたします。 なお、海外からの誘客を大きな戦略の一つと捉え、新たに「外国人観光客誘致のためのモデル商品造成事業」に取り組み、マーケティング調査により、今後、増加が見込まれる東アジアを中心とした観光客誘致、受入れのための方策を構築するとともに、本県の特性を生かした旅行商品の開発やPRを行うなど、インバウンド対策を促進してまいります。 その二は、歴史・文化の魅力づくりについてであります。 「平城遷都一三〇〇年」に向けた取り組みにつきましては、平城遷都一三〇〇年記念事業が国民的・国家的事業であることから、広く経済団体、各種団体、関係機関等と行政とで構成する「(仮称)平城遷都一三〇〇年記念事業協会」を新たに発足させ、記念事業の中核となる展示及び催事の実施計画や会場基本計画の策定に着手するとともに、機運醸成のための各種事業を実施してまいります。また、記念事業に主体的に参画する文化ボランティアを育成するため、「奈良二〇一〇年塾」の活動についても充実を図ってまいります。 さらに、東京・代官山にある「奈良県渋谷寮」を部分改修し、「(仮称)奈良県代官山iスタジオ」として今秋オープンすることとし、平城遷都一三〇〇年記念事業をはじめとする奈良の魅力の首都圏における情報発信の拠点としてまいります。 万葉文化館につきましては、万葉集を中心とした古代文化に関する総合文化拠点として、館所蔵の万葉日本画の展示に加え、万葉や古代をテーマに描かれた作品の展覧会や、昨年公募した「第二回万葉日本画大賞」の入賞作品の展覧会等を開催いたします。また、万葉文化の研究や普及を顕彰する「(仮称)なら国際万葉賞」の創設に向けた検討を開始いたします。 その三は、文化・学術研究の振興についてであります。 昨年策定した「奈良県文化芸術振興プラン」に基づく振興策の一つとして、新たに奈良にゆかりのある映画情報を収集、発信する「映画・映像芸術活性化事業」などに取り組んでまいります。 次に、昨年七月に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の活用につきましては、「世界遺産『吉野大峯』魅力創発事業」として、南和広域連合及び関係市町村と連携し、地域の魅力の情報発信、語り部養成への支援など、各種事業を展開することによって、世界遺産「吉野大峯」の定着を図ります。併せて、この地を安全、快適に訪れていただくため、三重・和歌山両県と引き続き連携しながら、世界遺産保存管理事業や国による国立公園整備事業などにより、遊歩道、案内板、道路標識等の整備を、環境保全に配慮しつつ計画的に進めてまいります。 文化財の保護等につきましては、本格的な修復に向けて解体修理が進んでいる国宝唐招提寺金堂などの建造物の保存修理、茶臼山古墳の公有化、飛鳥正宮の学術調査などについて所要の予算を計上いたしました。 なお、昨年の全国知事会議において、文部科学大臣に文化財の防災に対する国の取り組みについて提言したところ、新年度に国宝・重要文化財耐震診断事業が実現したため、こうした事業も活用しながら、文化財防災対策に取り組んでまいります。 関西文化学術研究都市につきましては、引き続き高山地区開発の推進に努めてまいります。 その四は、国際化の推進についてであります。 国際交流・協力を推進しながら、新たに「奈良発信国際セールス事業」や「(仮称)奈良まほろば大使推進事業」などにより、奈良の魅力の国際的発信に取り組んでまいります。 なら・シルクロード博記念国際交流財団におきましては、「シルクロード・奈良国際シンポジウム二〇〇五」の開催、在住外国人向けの生活情報提供などを行ってまいります。 なお、イラン文化遺産観光庁との共同調査を実施し、イランにおける仏教西方伝播の研究をいたします。 その五は、人権政策の推進についてであります。 人権尊重の精神を当然の社会意識として身につけ、人権を基本とした人間関係が広く社会に根付くよう、国、市町村、関係団体等と連携しながら、「奈良県人権施策に関する基本計画」に基づき、総合的な人権政策の推進に努めてまいります。 「なら・ヒューマンフェスティバル」や「人権ワークショップ」、「高校生ふれあい広場」の開催、地域リーダー向けの教材の作成など、県民の主体的参加を重視した人権教育・啓発を進めるとともに、インターネット上の差別書き込みに対する取り組みを引き続き支援いたします。また、人権問題に関する相談機関相互のネットワーク化や相談員の資質向上に取り組むなど、県民一人ひとりの人権が尊重される社会づくりを進めてまいります。 第五は、快適で明るい社会の実現であります。 その一は、快適な生活環境の形成についてであります。 まず、複雑かつ多様化する環境問題に適切に対応し、中長期的な視点から「環境の世紀」にふさわしい施策を展開するため、新たな「奈良県環境総合計画」を策定いたします。 地球温暖化対策の推進につきましては、京都議定書が発効したことを受け、第二次「奈良県庁ストップ温暖化実行計画」を策定し、県自らの温室効果ガス排出抑制に向けての取り組みをさらに進めてまいります。 また、「夏のエコスタイルキャンペーン」の積極的な展開を図るなど、県民、事業者などの自主的な環境保全行動が促進されるよう普及啓発に努めてまいります。県施設での取り組みとして、御所浄水場の太陽光発電施設が稼働するとともに、水道管理センターでは小水力発電の導入を進めてまいります。 循環型社会の形成につきましては、本年度から産業廃棄物税を導入し、産業廃棄物の排出抑制、減量化、再生利用等を促進するため、排出事業者の取り組みへの支援や監視パトロールの強化などに取り組んでまいりました。新年度は、これらの事業に加え、民間事業者による減量化の取り組みを支援する「ゼロエミッション推進支援事業」やリサイクル技術等の研究開発を支援する「産業廃棄物排出抑制等事業費補助事業」などを実施してまいります。さらに、適正処理を推進するため、処分場周辺の監視強化や産業廃棄物監視センターの機能強化を図るほか、「不法投棄撲滅推進事業」などを実施してまいります。 次に、新しい奈良の景観づくりにつきましては、NPOや県民が参画する地域からの取り組みを支援し、県内各地域への拡がりを図るとともに、ふるさと奈良にふさわしい景観形成の具体策を検討するほか、市町村向けの「景観計画策定ガイドライン」を作成いたします。 その二は、男女共同参画社会の実現についてであります。 新年度に、新たな「男女共同参画計画」を策定し、男女が社会の対等な構成員としてお互いにその人権を尊重し、生涯にわたって安心して暮らせる社会を実現するための施策を着実に推進してまいります。 また、男女共同参画への意識を醸成するため、「男女共同参画県民会議」の構成団体等に自主的な取り組みを進めていただくとともに、「県民ミーティング」、「男女共同参画週間啓発イベント」等の開催や広報冊子などにより啓発に努めてまいります。 女性に対する暴力防止対策につきましては、新たに「DV防止及び被害者支援計画」を策定するとともに、こども家庭相談センター、女性センターなどの関係機関や民間団体との連携・協力のもと、相談・支援体制の充実に努めるほか、地域でDV相談に対応できる人材の育成を進めてまいります。 その三は、地域すべての人が協働する社会の実現についてであります。 県民が主体となった公益活動の広がりと、県民の視点に立ったより効果的な施策の推進をねらいとして、「ボランティア・NPO活動推進基金」を活用し、「県とNPOとの協働事業提案」を募集するなど、協働事業の一層の充実を図ってまいります。また、様々な課題解決に取り組むボランティア・NPO活動への理解と参加、あるいは寄付意識の醸成を図るため、「奈良ボランティアネット」やパンフレット、テレビ等を通じ、積極的に活動を紹介してまいります。 「もてなしの心」に満ちた魅力ある奈良県づくりにつきましては、「奈良・もてなしの心推進県民会議」を中心に、観光関連を含む関係団体と連携した県民総ぐるみの運動を展開することとし、標語やロゴ及び体験談の募集やフォーラムの開催などのほか、あいさつ・声かけ運動にも本格的に取り組んでまいります。また、落書きやゴミのない美しい奈良をつくるための運動も引き続き実施いたします。 その四は、高度情報通信ネットワーク社会への対応についてであります。 県民の利便性の向上と行政経営の効率化を図るため構築してまいりました県域情報通信基盤「大和路情報ハイウェイ」の運営を開始いたします。これを活用して、県と市町村共同で「申請等行政手続きのオンラインサービス」を運営し、各市町村の手続きにも対応できるよう機能拡充を図るなど、「電子奈良県庁」実現に向け取り組んでまいります。 なお、地上デジタル放送への円滑な移行と、ブロードバンドインターネット環境の整備を図るため、ケーブルテレビ施設整備事業に取り組む山間部の町村に引き続き支援を行うことといたします。 その五は、生活の安全確保についてであります。 震災対策につきましては、第二次奈良県地震被害想定調査の結果を踏まえ、具体的な実施計画となる「地震防災対策アクションプログラム」を策定し、できるものから順次計画的に取り組んでまいります。 災害発生時の初動体制を確立するため、新たに「災害対策本部運営マニュアル」を作成し、災害対応訓練を実施するとともに、災害対策本部施設、情報収集や県民への伝達の体制について検討を行うほか、飲料水や防水シートなど県民向け緊急物資の備蓄の充実を図ってまいります。併せて、災害発生時の支援物資の効率的な搬送方法や、ボランティアとの連携、広域連携等の検討を行うほか、地域防災力の向上を図るため、新たに防災パンフレットを配布するなど、啓発事業を実施してまいります。また、地域での取り組みの中心的役割を担う自主防災組織の充実、活性化を図るため、自主防災組織リーダーの養成等に取り組んでまいります。 さらに、学校における大規模地震災害発生時の被害軽減を図るため、子どもたちが、自ら身を守る意識や行動力を身につけられるよう、防災マニュアル「地震と安全」の改定を行うとともに、各学校において、具体的で実践的な防災教育や訓練等を実施いたします。また、木造住宅の耐震診断を普及させるために、市町村が耐震診断を行う経費の一部を新たに助成するほか、緊急輸送道路の沿道建築物を調査し、それらの耐震性の向上を図る方策についても検討してまいります。 なお、武力攻撃や大規模テロから国民を保護する態勢を整備するため、国の基本指針に基づき県国民保護計画を策定いたします。 これらの防災対策等を今後着実に実現していくため、新たに総合防災監を設置することといたしました。 消費者行政の推進につきましては、社会問題ともなっております架空請求等による被害を防止するため、新たに「消費者被害防止重点対策事業」を実施いたします。 食品の安全・安心対策につきましては、生産から消費までの各段階における安全確保を図るため、「食の安全みはり番事業」などの施策を進めるほか、牛海綿状脳症全頭検査を継続実施いたします。 なお、現在整備を進めております「(仮称)うだ・アニマルパーク」内の「(仮称)奈良県動物愛護センター」につきましては、建物工事に着手いたします。 警察活動につきましては、引き続き治安の再生を図るとともに、県民の身近な要望に的確に対応していくため、警察官定数の四十名の増員を図るほか、県民一体となって安全安心のまちづくりを目指す県民運動の展開など犯罪抑止総合対策を推進することとします。また、「(仮称)香芝警察署」の用地取得、基本設計に着手するなど、警察活動の基盤整備に努めることといたします。 第六は、視野の広い、明るく、たくましい人づくりであります。 その一は、豊かな人間性や創造性をはぐくむ教育の推進についてであります。 まず、県立高校の再編につきましては、再編年次計画に基づき、順次、これを実施してまいります。各校で特色ある学校づくりを推進するため、新年度は、磯城野高校実習棟の改築や奈良情報商業高校特別教室棟の建築など必要な施設整備を進めるとともに、王寺工業高校や法隆寺国際高校、高円高校などにITを活用した最新のコンピュータ設備や実験実習教材備品を整備してまいります。 障害児教育につきましては、該当する希望者全員の受け入れを基本として、学校規模と配置の適正化を図るため、「障害児教育諸学校適正化実施年次計画」に基づき、関係学校における施設設備の改善を図ってまいります。新年度では、西の京養護学校と七条養護学校との統合による奈良東養護学校の設置、盲学校とろう学校の管理・運営の一体化を図ってまいります。 県立高校や障害児教育諸学校の整備につきましては、既存校舎の大規模改造工事等を実施し、老朽化や耐震対策などの改修を進めてまいります。 次に、旧日本育英会高校奨学金の都道府県移管に伴い、新たに「育成奨学金」を設置することとし、勉学の意欲があるものの経済的な理由により修学が困難な高等学校等の生徒に対し、奨学金を貸与してまいります。 「心の教育」の推進につきましては、中学校へのスクールカウンセラー配置校を拡大するとともに、公立小学校に「子どもと親の相談員」を引き続き配置するなど教育相談体制を充実してまいります。 また、平成二十一年に本県で全国高等学校総合体育大会が開催される予定ですが、これは昭和五十九年開催の「わかくさ国体」以来の全国的な総合スポーツ大会であり、多くの県民の期待に応えるため、中・高校生の競技力の向上を図ってまいります。 私学の振興につきましては、本県における私立学校の役割の重要性に鑑み、教育経常費補助等の水準確保に努めることといたしました。 その二は、未来を担う世代の育成についてであります。 家庭教育の充実につきましては、家庭と学校との連携を深めるため、教職員の「家庭教育」に関する研修を促進するほか、次世代の親となる高校生を対象に、高校生の手による家庭教育講座を開催するとともに、啓発用リーフレットの配布、学校での活用を進めてまいります。 その三は、心の豊かさと生きがいのあるライフスタイルの実現についてであります。 かねてより整備を進めてまいりました「県立図書情報館」につきましては、県民の皆様に利用していただくための最新の情報機器を多数設置するほか、「戦争体験文庫」や「ふるさとコーナー」など特色ある情報資源を整備するなど、情報発信機能を持つ拠点施設として十一月に開館いたします。なお、県立奈良図書館跡については、広く県民に利用していただく展示ホール等として整備することとし、その準備を進めてまいります。 第七は、均衡ある県勢の発展と総合的な地域づくりであります。 まず、冒頭に申し上げました「新長期ビジョン」につきましては、平成十七年度末を目途に、実施計画と併せて策定作業を進めることとし、県内各界の代表等による「新長期ビジョン県民会議」から、引き続きご意見をいただくとともに、「県民フォーラム」を開催して、県民参加によるビジョンづくりを進めてまいります。 次に、地域の個性を生かした県政の推進についてであります。 過疎地域の振興につきましては、平成十七年度以降五年間の「後期過疎地域自立促進方針及び同計画」に基づき、総合的・効果的な振興方策を着実に実施してまいります。 新年度は、先に述べました、「世界遺産『吉野大峯』魅力創発事業」を実施するほか、過疎地域が有する自然・歴史・文化などの魅力を広く発信するイベントとして、平成十八年度に開催を予定している「(仮称)五條・吉野魅惑体験フェスティバル」の準備を進めてまいります。 明日香地域の保全と活用につきましては、第三次明日香村整備計画に基づき、国、村と連携のうえ、着実にこれを推進するとともに、歴史的風土の創造的活用を図るため、交付金を充実し、その支援に努めてまいります。 次に、県域を越えた交流・連携についてでありますが、首都機能移転につきましては、引き続き「三重畿央新都推進協議会」を核に関係府県と連携して、臨機に効果的な広報活動や要望活動などを実施してまいります。 環境問題や観光振興対策など県域を越えた広域的な課題につきましては、「関西広域連携協議会」、「紀伊半島知事会議」などを通じて、引き続き各府県との連携を図ってまいります。 第八は、新たな時代に対応する行財政システムの構築であります。 地方分権の推進と市町村との連携の充実につきましては、引き続き市町村の行財政体制の整備を推進することとし、現行合併特例法の適用を受ける市町村への支援について所要の措置を講じるとともに、本年四月から施行される、新しい合併特例法に基づく市町村合併を進めるため、各地域の実情や意向を十分踏まえつつ、市町村合併推進審議会を設置し、合併の推進に関する基本構想の検討を進めるなど、県としての役割を果たしてまいります。 行財政改革につきましては、「奈良県新行財政改革大綱」に基づき、開かれた行政経営を推進しているところでありますが、現下の厳しい財政状況を踏まえ、平成十七年度から三カ年を目途とする「第二次新行財政改革実施計画」を本年度内に策定し、取り組み項目ごとの目標を明らかにしたうえで、さらに徹底した改革を進めてまいります。特に、新年度は、公の施設の見直しにおいて、施設の適正な管理を確保しつつ、民間の能力を活用し住民サービスの向上を図るため、「指定管理者制度」の導入を進めてまいります。 定数につきましては、厳しい行財政環境のもと、スクラップ・アンド・ビルドを基本に、全ての部局において徹底した定員管理に努め、行政体制のより一層のスリム化に取り組むとともに、新年度においては知事部局等の六十名をはじめ、全体で百五十四名の削減を行うことといたしました。なお、別途警察官につきましては、先に述べましたように四十名の増員を行うことといたしました。 人材養成につきましては、分権時代に対応できる職員を養成するため、自治能力別研修、専門研修に実務に直結する多彩な研修を導入するなど職員研修の充実を図るとともに、引き続き一般職並びに管理職を民間企業に派遣し、県組織全体の経営感覚を高めるための取り組みを進めてまいります。 税源の涵養と税収確保対策につきましては、県税務職員を一年間市町村へ派遣する新たな制度を設け、個人住民税徴収体制の一層の充実を図るとともに、自動車の差押・公売を推進するなど県税の徴収強化に努めるほか、法人二税の地方税電子申告システムを新たに導入し、またコンビニエンスストアでの自動車税納税を可能にするシステムづくりに着手するなど、納税者の利便性の向上と自主納税の促進を図ってまいります。 また、別途条例案を提出いたしております「森林環境税」につきましては、平成十八年度からの導入に向けて広く周知を図るなど、その準備を進めてまいります。 次に、「県民参加型」の開かれた県政運営の推進につきましては、県内二十カ所の「県政情報コーナー」をはじめ、「県政出前トーク」の実施など、様々な広報手段の充実により、県政情報のより積極的な提供を図ってまいります。 また、情報公開制度につきましては、今後とも県民に対する説明責任を果たすうえで重要な制度として推進を図ってまいります。個人情報保護制度につきましては、個人情報保護法制の整備を踏まえ、現行制度の更なる充実を図るため個人情報保護条例を改正したところであり、その円滑な実施と個人情報保護意識の定着に努めてまいります。 以上説明申し上げましたのは、議第一号から議第十七号の一般会計及び特別会計予算案における重要な施策の概要であります。 次に、予算外議案といたしましては、議第十八号から議第四十五号の二十八議案を提出いたしました。これらは主として以上申し上げました予算案に関連して、当面必要とする条例の制定及び改正案等でありますが、個々の説明は省略させていただきます。以上のほか、詳細につきましては、予算概要など別途関係資料によりましてご承知いただきたいと存じます。 何卒慎重ご審議のうえ、よろしくご議決いただきますようお願い申し上げる次第であります。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) 二十四番菅野泰功議員。 ◆二十四番(菅野泰功) 議案調査のため明三月一日から六日まで本会議を開かず、三月七日、会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○議長(米田忠則) お諮りします。 二十四番菅野泰功議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ありませんか。        (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回三月七日の日程は、当局に対する代表質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後二時十三分散会...