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令和 7年度予算特別委員会・速報版(第10日 3月18日)

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  1. 兵庫県議会 2025-03-18
    令和 7年度予算特別委員会・速報版(第10日 3月18日)


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    令和 7年度予算特別委員会・速報版(第10日 3月18日)               予算特別委員会議事順序                                  令和7年3月18日(火)                                  午前10時                                  大会議室     開    会 1 諸  報  告 2 付託議案審査  (1) 総括審査     質    疑  (2) 修正を求める動議    趣旨説明    質疑並びに意見  (3) 表    決  (4) 委員長報告   閉    会 …………………………………………………………………………………………………………………… 出席委員     委  員  長     村  岡  真 夕 子     副 委 員 長     高  橋  みつひろ
        委     員     別  府  けんいち        〃        北  村     智        〃        前  田  と も き        〃        菅     雄  史        〃        太  田  やすふみ        〃        白  井  か ず や        〃        橘     秀 太 郎        〃        長  瀬  た け し        〃        小  泉  弘  喜        〃        伊  藤     傑        〃        中  村  大  輔        〃        佐  藤  良  憲        〃        鍔  木  良  子        〃        北  上  あきひと        〃        伊  藤  勝  正        〃        藤  本  百  男        〃        長  岡  壯  壽        〃        黒  川     治        〃        石  井  秀  武 …………………………………………………………………………………………………………………… 説明のため出席した者の職氏名     知事                    齋  藤  元  彦     副知事                   服  部  洋  平     病院事業管理者               杉  村  和  朗     公営企業管理者               梶  本  修  子     防災監                   池  田  頼  昭     理事(若者・Z世代応援等調整担当)     稲  木  宏  光     技監                    新 井 田     浩     会計管理者                 高  永     徹     総務部長                  有  田  一  成     企画部長                  守  本     豊     財務部長                  中 之 薗  善  明     県民生活部長                木  村  晶  子     危機管理部長                唐  津     肇     福祉部長                  岡  田  英  樹     保健医療部長                山  下  輝  夫     産業労働部長                原  田  剛  治     農林水産部長                守  本  真  一     環境部長                  菅     範  昭     土木部長                  上  田  浩  嗣     まちづくり部長               松  浦     純     財務部次長                 近  藤     巧     教育長                   藤  原  俊  平     公安委員会委員               高 見 澤  惠 美 子     警察本部長                 村  井  紀  之     議会事務局長                法  田  尚  己     人事委員会委員長              大 久 保  和  代     人事委員会事務局長             古  川  卓  哉     代表監査委員                小  畑  由 起 夫     監査委員事務局長              村  上  恵  一     労働委員会事務局長             小  枝  隆  之     財務部総務課長兼財政課長          金  澤  友  道 ………………………………………………………        午前9時59分開会 ○委員長(村岡真夕子)  おはようございます。  ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、ご報告いたします。  委員会条例第14条の規定により、本日、当委員会に説明のため、出席を求めた者の職・氏名は、お手元に配付いたしております一覧表のとおりであります。  なお、公安委員会関係の説明員のうち、澤田公安委員会委員長には、所用のため審査を欠席する旨の届出がありました。つきましては、その代理として高見澤公安委員会委員に出席を求めておきましたので、ご了承願います。  次に、本日、北上あきひと委員から第225号議案、令和6年度兵庫県一般会計補正予算の修正動議及び第49号議案、兵庫県県政改革方針の変更の修正動議が委員長あてに提出されました。  よって、その写しをお手元に配付しておきましたので、ご了承願います。  これより議事に入ります。  令和6年度関係、第225号議案ないし第228号議案、令和7年度関係、第1号議案ないし第22号議案及び第49号議案を一括議題といたします。  本日は総括審査を行います。  これより質疑に入ります。  この際、当局に申し上げます。  答弁は、発言の趣旨を的確に捉え、簡明・率直に願います。  委員の発言は、通告に基づき、委員長より順次指名いたします。  まず、橘秀太郎委員。 ○(橘 秀太郎委員)  自由民主党、橘秀太郎である。3月6日から始まった予算委員会であるが、委員各位、それぞれいろいろな自分の満足いく議論ができたかと思う。最終日であるが、総括審査、私も実のある議論になればと思い、質問させていただく。  質問に入る。  質問の第一である。県財政の健全化についてお伺いする。  本県では、財政フレームの見直しにより、令和10年度までの収支不足額総額が昨年度の215億円から55億円へ改善し、160億円となったことが示された。これは、税収の増加や経済成長率の上昇が主な要因とされているが、一方で、令和11年度以降も収支不足が予測される厳しい状況が続いている。また、財政指標においても、実質公債費比率は令和11年度に23.9%でピークを迎えた後、令和12年度以降にかけて緩やかに改善する見通しとなっているが、依然として、目標である18%を上回る状況が続くことが見込まれている。  このような状況下で持続可能な財政運営を実現するためには、収支不足額の更なる解消や財政指標の改善が喫緊の課題であると考える。そのため、県税収拡大策やふるさとひょうご寄附金の活用、選択と集中の徹底、公民連携事業の推進など、具体的な施策の実施が求められる。  そこで、今後、収支不足額の解消や財政指標の改善のためどのような取組を進めていくのか、当局の方針と対策についてお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  本県の財政は、今後も議員ご指摘のとおり収支不足が見込まれるとともに、財政指標も高い水準で推移されると見込まれるなど、引き続き厳しい状況が続くというものである。加えて、多額の債務処理や震災復興に起因する県債管理基金の積立て不足の解消などがこれからも財政運営上の課題だというふうに認識をしている。  こういった状況の中であるが、令和7年度の当初予算では、議員もご指摘の好調な税収にも支えられ、収支均衡の予算案が編成できたと考えている。  一方で、海外景気の下振れリスク、為替相場の変動など社会経済情勢の先行きは不透明であり、今後の税収見通しなども予断を許さないというものである。このため、まずは、今回提案した県政改革方針に基づく取組の推進や、歳入歳出両面での改革に全力を尽くしていく。  こうした取組をベースに、ファンドレイジングの更なる推進や金利上昇局面を踏まえた低利な資金調達、有利な資金運用など、たゆまぬ改善を積み重ね、収支不足額の解消を目指していく。また、県債管理基金の積戻しや県債の繰上償還なども検討し、財政指標の改善にも努めるとともに、財政基金の着実な積み増しにより不測の事態に備えるなど、緊張感を持って財政運営に当たっていく。  県政改革の歩みを進めることで、確立した持続可能な行財政基盤のもと、どこよりも安全・安心で夢や活力にあふれ、新たな躍動が広がる兵庫の実現に向けた政策を積極的に推進していく。 ○(橘 秀太郎委員)  財政の話は本当に難しく、私も普通に市民、県民の方と話をしていて、兵庫県の財政は悪いんだと言ってもなかなか信じてもらえない。兵庫県、雄県兵庫と言われるように、一般の県民の方々は、兵庫県は雄県なんだと思っている方が結構いらっしゃる。  一方で、やはり震災の関係、震災関連債で1,100億円をまだ超えているし、なかなか財政状況も悪いが、実質公債費比率も実際、再来年度から許可団体になると思う。なので、兵庫県はそんなに財政がよくないということを私も地元で言うが、なかなか信じてもらえない。  一方で、やはり財政はしっかりしていかなければいけないため、当局にもそのような視点で、一般の方にも分かっていただけるような情報発信もしていただきたいなと思っている。  では、2点目の質問に移りたいと思う。  県立大学授業料等無償化についてお伺いする。  少子化、人口減少が深刻化する中、若者世代への支援強化が求められている。特に高等教育の負担軽減について、OECD加盟国中14ヵ国で国公立大学の授業料無償化が進んでおり、国でも多子世帯や私立の理系、また、東京都や大阪府で授業料無償化が実施されている。また、企業による奨学金返済支援制度の導入も広がっており、高等教育の費用負担軽減は大きな潮流となっている。  このような状況のもと、齋藤知事の国による高等教育無償化という理念に基づき、本県が県立大学授業料等無償化に先導的に取り組むことは、学びの機会を確保し、経済的不安を軽減することで、県内定着を促進することへの県民の強い期待に沿ったものであり、国の議論の先鞭を付け、全国的な議論を活性化させ、高等教育の負担軽減のあるべき姿を追求する観点からも意義があると私は考えている。  ただし、無償化は県立大学に進学する学生にとって大きなメリットとなる一方で、私立大学に進学する学生や、大学進学を選択しない若者との公平性確保という観点でも課題が残る。世代の公平性を確保するための補完策の検討も議論すべきである。また、県内就職や定住促進という目的においては、奨学金返済支援制度のほうがより直接的で即効性のある手段とも考えられるため、その組合せも併せて議論すべきと考える。  さらに、本事業が若者・Z世代応援パッケージの中で果たすべき役割についても明確化が求められる。大学入学時の支援にとどまらず、卒業後の県内就職や定住を促す仕組みをどう構築するのか、また、奨学金返済支援制度や地域創生戦略との相乗効果をどのように生み出すのかが重要なポイントとなる。  政策の実効性を担保するためには、事業の具体的なKPIや継続基準、測定方法を設定することも重要である。例えば、若年層の県外流出数など、事業効果を毎年度を測定しながら、5年程度ごとの事業検証を行うことも考えられる。また、国の議論の先鞭を付けるためには、どのような具体的な目標とロードマップを示すのか、議会や県民に分かりやすく説明しながら取り組むことが重要である。  加えて、県立大学の魅力向上も欠かせない。兵庫県立大学ビジョン2036に基づき、教育の質を維持しながら、より魅力的な大学づくりを進める方策も並行して検討すべきである。一方、授業料無償化による大学運営費の増加が懸念されるため、その財源確保についても議論が必要である。  持続可能な制度設計の観点からは、基金の使途や財源の確保についても課題が残る。本県は大阪府や東京都のように潤沢な特定財源を持たず、国による大学授業料無償化の見通しも不透明な中、基金を奨学金返済支援制度など、より公平かつ効果的な施策へ拡大する可能性も検討すべきではないか。また、外部資金の活用や安定的な財源確保の方策についても、具体的な計画を示す必要がある。  今後、5年程度ごとの事業検証等を踏まえた事業見直しの判断基準やプロセスをどのように設計するのかも重要な検討課題である。  以下の点を踏まえ、県として本事業をどのような方針で推進し、どのように政策効果を検証しながら持続可能な制度として運用していくのか、当局のご所見をお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  県立大学の授業料等の無償化は、兵庫の若者が学費の不安を抱くことなく、安心して希望する教育を受けることができる仕組みづくりのため、県がまずできることとして実施させていただくものである。若者・Z世代応援パッケージを教育面から支える大きな柱だと考えている。  本事業は県民の関心も高く、多額の県費を必要とする事業であることから、県政改革特別委員会でのご議論などや調査を踏まえ、適切なKPIの設定及び効果の検証を行わせていただくことにした。また、制度の完成までに数年かかるということ、効果の検証にも一定の期間を要することから、5年程度ごとを目途とした事業評価を行っていく。  客観的な評価を行うため、有識者などをメンバーとする委員会等の設置を予定しているほか、来年度は、事業改善レビューにおいても本事業に関する意見をいただく機会を設けることも検討していく。  現在のKPIは、まずは過去との比較が可能な定量的なデータとして、県立大学における県内生の志願者数、県内就職率などを設定している。今後、大学や本人の協力を得て、卒業後の勤務先、居住地などの追跡調査も行うとともに、高校生や保護者などへのアンケートも実施していく。これらの結果を踏まえ、専門家の意見もいただきながら、若者が安心して将来を描けるという事業目的に沿ったKPIの設定、評価の方法も検討していく。  地域創生戦略を推進する上でも、県立大学で学んだ若者が県内企業や地域の活動現場などで活躍されることを期待している。持続的な発展を目指す戦略との相乗効果も生み出していく。  他大学の学生については、もう一つの柱である議員もご指摘の奨学金返済支援制度を活用いただくことも考えている。奨学金返済支援制度については、今年度より対象年齢や補助期間の大幅な拡充を行わせていただいたところであり、更なる拡充を求める声があることも承知しているが、当面は現行制度の利用促進に力を入れさせていただき、導入される企業の広がりを強化してまいりたいと考えている。また、大学進学をされない若者についても、県全体の若者支援施策の枠組みの中でも支援していく。
     国の議論の先鞭を付けるという点については、来年度、これまでのような関係機関等への要望に加え、例えば、全国知事会、子ども・子育て政策推進本部会議などでの活動も行う予定である。加えて、今後は効果検証のデータなども活用しながら、より効果的な働きかけができないか考えていく。  基金の使途については、県内就職や定住促進といった観点での活用ができるよう拡充すべきとのご意見があることも承知しているが、まずは本事業を安定的に実施するために、無償化に限定した基金を創設するということにしたものである。  大学では、昨年11月に将来構想であるビジョン2036を策定し、大学の強みを生かした大学改革をスタートさせたところである。大学の改革を加速化し、更なる魅力向上を図っていくことができるよう、運営費も含めた必要な支援を行っていく。  若者が安心して将来に夢を描くことができる社会の実現に向け、大学の無償化をはじめとした若者・Z世代支援の取組をしっかりと進めていく。 ○(橘 秀太郎委員)  検証方法のKPI、志願者数や県内就職の数という言葉があった。私はこの県大無償化、県の姿勢だと思っている。税の再配分や、どこに県が方向、ベクトルを向けているのかというのは、やはり今、こどもたちが少なくなっていっている、若者の生活がなかなか苦しいという中で、今、大学生を抱える私たちも、我々世代がそうだが、生活が苦しいという中で、大学を無償化して自分のこどもたちを大学に行かせてやりたいという親にとっては大変ありがたい一方で、公平性の部分で議論があるのは確かである。我が会派の中でもいろいろな意見があります。  そのような中で、県の方向性を示すということがまず一つと、基金、これは余剰金を当てて基金を創設するということであるが、余剰金を当てると言いながら、先ほど1問目でも言ったように、県財政は厳しいという声がある中で、どこに余剰金があるんだという声もよく聞きます。なので、他の事業を圧迫するようなことがないようにしていただきたいのと、また、圧迫するように見えているような、見えるようなことがないような基金の積立てをして、持続的な事業にしていただきたいという思いもある。  いずれにしろ、この事業に関しては様々な意見がある。なので、私は県民に分かりやすい形でしっかりと議論をしていただき、議論を重ねた上で情報発信をしていただきたいという思いがあるので、今後もよろしくお願いする。  次にいく。三つ目である。  障害のある方の生活向上についてお伺いする。  近年、障害のある方の自立支援と社会参加の促進は、兵庫県のみならず、全国的に重要な課題となっている。障害のある方々が自らの力で生きがいを見いだし、地域社会の一員として活躍できる環境を整備することは、共生社会の実現に向けた不可欠な取組である。  兵庫県においても、就労継続支援事業やパラスポーツの振興、福祉サービスの充実など、多方面にわたる施策が展開されてきた。しかし、障害のある方々の生活の実態に目を向けると、依然として多くの課題が残されている。特に障害のある方の賃金向上は長年の懸案事項であり、全国平均を下回る水準が続いているという現状がある。工賃が低いために経済的自立が難しく、結果として、社会参加の機会が限られてしまうという悪循環が生じている。  こうした状況を改善するためには、障害のある方々が持続的に働き続けられる環境を整備し、仕事を通じて生きがいを感じられる仕組みを構築することが不可欠である。加えて、単に就労の場を提供するだけでなく、専門的なスキルを習得し、キャリア形成が可能となる支援策を講じることも求められる。  また、障害のある方々が社会の中で役割を持ち、多様な分野で活躍できる機会を創出するためには、県民全体の理解促進も欠かせない。共生社会の実現には、障害のある方々への適切なサポートとともに、地域社会全体が障害に対する認識を深め、共に支え合う意識を醸成することが重要である。そのためには、企業や自治体との連携を強化し、障害者雇用の拡充や芸術・スポーツ活動への参加機会の拡大など、幅広い施策を展開していく必要がある。  このような観点から、県として、障害のある方の自立支援と社会参加の促進に向けた新たな施策の展開が求められている。特に、仮称ではあるが、兵庫障害者総合トレーニングセンターのような拠点施設の整備は、障害のある方の生活の質の向上にも大きく寄与するものと考えられる。このような施設を通じて、身体機能や競技力の向上が図られるだけでなく、働く意欲を育み、社会との接点を増やすことにもつながり、障害のある方の生きがいづくりにも貢献するものと期待される。  こうした観点に立ち、県として、障害のある方の生きがいや自立、そして、社会参加をより確かなものとするために、どのような施策を展開していくのか当局のご所見をお伺いする。 ○福祉部長(岡田英樹)  県では、障害のある方の自立や社会参加等を促進するため、このたび改定したひょうごユニバーサル社会づくり総合指針を踏まえ、様々な施策を幅広く展開をしている。  自立支援では、一般就労が期待できる清掃、介護、観光の分野で基礎的な知識・技術を取得する実践研修や、市町、企業等での就労体験などにより、障害のある方の受入を促進していく。工賃向上では、商品開発、経営の効率化、新設備の導入による生産性向上のほか、+NUKUMORIマルシェの開催の拡大やSNS等を活用し、販路を拡大していく。また、先進的な農福連携の取組を横展開もしていく。  社会参加では、障害者芸術文化活動で、音楽や舞台活動の新たな発表の場としてユニバーサルなミュージックフェアを開催するほか、安定的・継続的な組織運営体制の構築に向け検討会を設置し、議論を進めていく。パラスポーツでは、神戸世界パラ陸上競技大会のレガシーとしてパラスポーツ体験会やパラアスリートとの交流会の機会を充実させるほか、ユニバーサルなスポーツ施設検討会において、ご指摘の障害者総合トレーニングセンターを含めた全県中核拠点の在り方や、市町立や民間の施設を含めた競技ごとの圏域拠点の在り方等を検討するなど、普及・振興を図っていく。  今後とも、障害のある方が自立や社会参加を通して生きがいややりがいの持てるユニバーサル社会の実現に向け、取り組んでいく。 ○(橘 秀太郎委員)  私は、県もしくは行政の役割というのは、弱い人たちにいかに弱くない方、健常者の方と一緒に幸せに生活できるかというのをなるべく平行にというか、健常者の方に近い形で生活ができるようにするかというのも行政の役割の一つだと思う。  先ほどトレーニングセンターの話もした。箱物を造るということに対して、一度立ち止まるということも私は大事な視点だと思っている。  一方で、本当に必要なもの、箱物の中身にちゃんと着目したときに、必要なものに対しては手を差し伸べるという姿勢、積極的に手を差し伸べる姿勢というのも私は大事だと思う。なので、このトレーニングセンター、今は玉津と西播磨にあるわけであるが、利用率も非常に高いと聞いているし、兵庫県としても、ユニバーサルツーリズムだとか、弱者や障害者に対して優しい県なんだという外に対しての情報発信にもなると思う。体育館は地域それぞれたくさんあるが、例えば、車椅子の方が車椅子を走らせることができる体育館なんかほとんどない。なので、こういう障害者の方に特化した体育館というのも本当に大事な施設だと思うので、兵庫県の優しい県なんだという姿勢を示すためためにも、トレーニングセンターの整備も併せてご検討いただければと思う。  次に、観光振興についてお伺いする。  兵庫県は多様な観光資源を有し、国内外から多くの観光客を受け入れるポテンシャルを持っている。現在、コロナ禍を経てインバウンド需要が回復しつつあり、大阪・関西万博や神戸空港の国際化を契機に、更なる観光振興の好機が訪れている。  万博は、世界中から約2,800万人の来場者が見込まれ、兵庫県としても、これを生かした誘客策が求められる。万博期間中の集中的なPRだけでなく、万博後も見据え、県内各地への継続的な観光需要の創出が重要である。特に、但馬・淡路・播磨などの地域へのアクセス向上や国際的な観光ルートの確立など、持続的な観光振興策を講じる必要があると考える。  また、神戸空港の国際化が進む中、インバウンド誘致の強化に加え、国内観光客へのアプローチも欠かせない。近年、国内旅行の志向が体験型へと変化しており、自然・文化・食を生かした地域ならではの観光コンテンツの充実が求められている。例えば、城崎温泉や有馬温泉の滞在型観光の促進、但馬・丹波・淡路の食文化を生かしたグルメツーリズム、瀬戸内・日本海沿岸でのアドベンチャーツーリズムなど、国内外の観光客双方に訴求できる魅力を発信することが重要である。  そこで、万博を契機としたインバウンド誘致に加え、万博後の観光振興の方向性、さらに、国内観光客を含めた持続可能な観光戦略についてご所見をお伺いする。 ○産業労働部長(原田剛治)  ひょうご新観光戦略に基づき、誘客決起を捉えた戦略的なプロモーション展開をするとともに、地域資源を生かした魅力的なコンテンツの形成により兵庫観光の価値を高めることで、本県への再訪意欲の向上につなげている。  具体には、万博開幕に向けてはOTAや海外メディアを活用したデジタルプロモーション、ユニバーサルツーリズム推進により、県内誘客を促進してきた。加えて、万博期間中はひょうごフィールドパビリオンを中心としたPR、また、交通事業者と連携したデジタルバスの造成など、インバウンド誘客だけでなく、国内観光客に向けても情報発信を強化していく。  また、継続的な観光需要の創出には、魅力的な観光コンテンツの充実が不可欠である。これまで、湯村温泉の湯がき体験、丹波篠山茶のきき茶体験、ジオパークを巡るジオカヌー、そういった地域の文化・食・自然が体験できるコンテンツを発掘し、価値を高めてきた。  これまでも万博後を見据えながらプロモーション、コンテンツの充実に取り組んできたが、来年度の新観光戦略の中間見直しでは、フィールドパビリオンの在り方検討を踏まえながらこれまでの取組の検証を行うとともに、加速する神戸空港国際化の動きなどにも適切に対応できるよう、実効性の高い施策の検討を行っていく。  県内各地に根差した食・温泉・自然・歴史・文化、そういったことを伝える兵庫ならではの旅を提供し、国内外から多くの人が何度でも訪れたい地HYOGOを実現するよう努めていく。 ○(橘 秀太郎委員)  観光に関しては、私も但馬の人間であるので、本当に期待している。県としても、OTAの活用だとかフィールドパビリオンなど、本当に力を入れていただいているというのはありがたく思っている。  一方で、このフィールドパビリオン、万博を契機にどのように万博後に活用していくのかというのも重要な視点だと思う。インバウンド、確かにこれからまだまだ恐らく右肩上がりで、海外の方がどんどん日本に入ってくると思う。一方で、京都では日本人が観光できないというような、もう海外の観光客であふれているという状況があり、日本人が観光できないというような状況を京都ではお聞きしている。  私の住んでいる但馬でも、城崎まではインバウンド、お客様がたくさん来ている。一方で、それよりも西側、城崎よりも西側にはまだまだインバウンドが来ていない。そういう穴場というか、まだまだ来ていないところに来ていただく、2回、3回来ていただいたときにもっともっと日本を楽しんでいただくという視点、また、地元の方と話をしていると、インバウンドのお客さんもありがたいが、基本は日本人の観光客なんだという声も一方でお聞きする。地元でも日本人がいて、そこでプラスアルファのインバウンドなんだという声も聞くが、私はそこのバランスだと思う。しっかりと日本人にも目を当てた視点も忘れないでいただきたいという思いで質問させていただいた。  今後とも、この観光というのは兵庫県の本当に誇るべき資産になると思うので、どうぞこれからもどんどん推進していただきたいと思う。  次の質問に移る。  新しい森林管理スキームについてお伺いする。分収林契約の未解約林の取扱についてお聞きする。  県では、分収林契約を解約できた森林について、収益が見込める森林は林業事業体へ移管し、それ以外の保育林等は市町管理とし、県と兵庫農林機構が中核を担う、仮称であるが、兵庫県森づくり支援センターに委託する方針である。保育林の針広混交林整備等には新たな整備支援事業を活用し、公的資金で実施するとされており、一定の財源確保が見込まれる。  一方、解約に至らなかった未解約林については、引き続き農林機構が管理を担うこととなるが、解約交渉期間中の収益確保が不透明であり、管理財源の確保が課題となる。また、これまで未解約の保育林の管理は必要最低限の間伐にとどめるという方針が示されている。しかし、解約の有無による管理手法の違いが、森林の公益的機能の維持に影響を及ぼすのではないかと懸念されている。  そこで、解約後の森林管理において、林業事業体や市町へ移管された森林の一体管理をどのように担保するのか。また、未解約林の数量、場所が不透明な状況で、どのような管理手法・水準を想定し、公益的機能を維持するのか。  そして、収益確保が困難な場合、新たな負債発生を防ぐため、未解約林管理にかかる経費をどのように試算し、財源確保をどのように見通しているのか、当局のご所見をお伺いする。 ○農林水産部長(守本真一)  まず、解約後の森林管理であるが、林業事業体や市町が管理主体となる森林の一体的管理を担保するためには、目指す森林の姿を森林所有者や林業事業体とも共有しておくことが重要であると考えている。  このため、今後、新たな森林管理スキームへの移行交渉などにおいて、森林所有者など地域の意向も踏まえながら、将来の森林の姿を地域や関係者と共有し、林業事業体からの施業提案や新たな整備支援事業を活用した針広混交林化、また里山林整備など、適切な整備プランをパッケージで提案し、一体的に整備を進めていく。  一方で、解約に至らなかった未解約林の管理については、当該森林の施業履歴や航空レーザー測量データを活用して防災上整備が必要な森林を特定し、防災機能が低下しない水準で必要な間伐を実施することで、公益的機能を維持していくことを想定している。  今後、未解約が生じないように取り組む方針であるが、未解約となる場合も想定し、先ほどご答弁申し上げた間伐方法の見直しなどにより管理費用の削減を図りますとともに、森林所有者との交渉状況も踏まえて必要な経費を試算し、円滑な事業運営に必要な資金を確保するよう努めていく。  新スキームに移行後も森林の公益的機能が適切に発揮されるよう、引き続き、市町や林業事業体、農林機構と連携を密にして取り組んでいく。 ○(橘 秀太郎委員)  この分収林契約の解約の話であるが、私たちも会派で群馬に行って、この解約をした現状を見てきた。解約に応じてもらえるところと、応じてもらえないところが当然たくさん出ている。要するに、解約に応じてもらえない例がたくさんあったということである。なので、この未解約の解約に応じていただけない場合の取扱をどうするのかというのは、本当に大事なことだと思う。  新たなスキームに移行するわけであるが、この新たなスキームのあるべき姿、こちらに移行して解約したほうがいいんだというのを示さないと、解約に恐らく応じていただけないと思う。群馬の例は、群馬は個人所有が多かったので、兵庫県は個人所有は4件しかないという中で、私も地元にたまたま個人契約をしている方がいらっしゃって、会って話を聞いてきた。解約したくないという臭いがプンプンしたので、本当にそのような方もいらっしゃるというのをしっかりと分かっていただいた上で、この解約を進めていっていただきたいと思う。  そのような観点からも、新しい森林管理スキームの確立の進捗状況について、2問目をお伺いする。  令和8年度から兵庫県森づくり支援センター(仮称)を始動し、市町の森林管理を支援する方針である。まずは受皿となる市町を優先して交渉し、モデル事例を積み重ねながら移行を進めるとされている。しかし、円滑な移行のためには、今年夏から秋頃には支援センターの体制、仕組みづくりや市町との調整が一定程度進んでいることが求められる。  そこで、新しい森林管理スキームの始動に向けた現在の進捗状況と課題、スキームの確立や経費の確保に向けた今後の見通しについてお伺いする。 ○副知事(服部洋平)  令和8年度から新たな森林管理スキームを円滑に始動させるためには、あらかじめ解約後の分収林管理の受委託に係る市町の体制づくりと、それから、森林所有者や林業事業体の意向確認等が必要となってくる。  このため、昨年12月から1月にかけて、分収林が存在する21の市町長等に対し、新スキームの検討内容を個別にご説明し、一定のご理解を得たところである。一方で、改めて市町職員の事務負担軽減や森林整備費用の支援に加え、森林経営管理制度に係る理解不足、それから、進め方についての不安を解消してほしいとのご指摘も頂戴したところである。  こうした課題に対しては、支援センターが市町に代わって業務を担うことで、市町職員の事務負担の軽減に努めていく。また、県が実施中の研修を通じて市町職員のスキルアップを図るとともに、森林経営管理制度の推進に意欲的な市町とまずはモデル的に新スキームへの移行を進め、他の市町へ取組の横展開を図っていく。  支援センターと市町との役割分担、それから、森林管理・整備に必要な費用等については、来年度上期までに固めてまいりたいと考えている。  一方、森林所有者や林業事業体に対しては、市町の準備状況を踏まえ、順次説明会を開催し、アンケート調査や分収林の現況、施業提案等を示した森林カルテを用いた事前調整など、管理移行に向けた意向確認を行い、令和8年度からの移行交渉に備えたいと考えている。  分収林地を含め、手入れ不足の高齢人工林の管理は全国共通の課題である。今後も市町や森林所有者等と丁寧に調整しながら、兵庫県から新しい森林管理の姿を全国に発信する意気込みのもと、新スキームへの移行を進めていく。 ○(橘 秀太郎委員)  この森林の問題、兵庫県では、分収造林契約の問題が発覚したというか、700億円の負債ということで出てきたが、これは先ほど服部副知事も言われたが、全国的な課題なんだと思う。昭和30年代、戦後間もなく始まった国の森林施策の流れを酌んで、兵庫県も恐らく当時は先進的にどんどん進めていった事業の結果がこのような結果になってしまったというのが実情だと思う。しかし、このようになったからには、しっかりと森林を管理しなければいけないというのも、私は思うところである。  先ほど副知事も、市町の職員のスキルアップというお話もあった。私も地元の長に、香美町の森林担当の方と話をしたが、担当は1人である。2年、3年ごとに変わる。なので、森林担当といえども、森林のことに詳しくない。それが市町の実情だと私は思っている。森林にしっかりと人を割けるところと、割けられないところ、割けられる市町なんかほとんどないと私は思っているので、県の役割も大きいと思っている。なので、ひょうご農林機構のほうもしっかり頑張っていただきたいし、市町にも頑張っていただければいけないと思っている。  なので、このひょうご農林機構も頑張ってもらう一方で、ひょうご農林機構もかなり苦しいと思う。このスキームに移行する間、機構というのは経営的にも苦しくなると思うので、迅速にこの経営計画を立てて進めていかなければいけないという思いもある。新スキームへの移行、令和8年からとされているが、もし前倒しできるんだったら、早く迅速に行うような考えも持っていただきたいと思う。  次に移りたいと思う。鳥獣害対策についてお伺いする。  鳥獣被害対策は、県民の安全・安心な生活を確保する上で極めて重要な課題であり、特に県北部地域では、鹿による農林業被害が深刻な状況にある。令和5年度のデータによると、鹿とイノシシによる農業・林業被害額は約2.7億円に上り、下層植生の衰退も拡大している。これまで個体数調整や防護柵の設置が進められてきたが、十分な効果が得られず、被害の大幅な減少には至っていない。また、鹿の生息域が拡大している地域もあるため、森林生態への影響も懸念されている。  熊については、近年、出没地域が拡大し、県内の目撃情報は今年度2月末時点で1,124件と、昨年度年間の524件を大きく上回り、人的被害も発生している。生息環境の変化やえさ資源の増減が出没増加の要因と考えられるが、具体的な対策が追いついていないのが現状である。  また、カワウによる漁業被害は河川などで深刻であるが、特に但馬地域の漁業関係者からは水産資源への影響を懸念する声が上がっており、漁業への被害も無視できない。さらに、ニホンザル、イノシシ、アライグマ等による農作物被害拡大や住宅街への出没など、被害も発生している。農山林地域では電気柵の設置や捕獲活動が行われているが、十分な抑止効果が得られていない例も見られる。  ICT技術を活用したスマート獣害対策モデルの育成も進められており、AIカメラやドローンを活用した被害状況の把握や遠隔操作による捕獲効率化が期待されるものの、実用化に向けた課題も多く残っていると感じる。  また、鳥獣被害対策には地域住民の協力が不可欠であるが、担い手不足や高齢化により、地域ぐるみの取組が難しくなっている現状がある。被害を受ける農林漁業や自治体、猟友会等とどのように連携し、効果的な対策を進めるのかが課題である。  これらの現状や課題を踏まえ、被害の実態をどのように把握し、個体数管理や生息環境の改善にどのように取り組んでいくのか。また、ICT技術を活用した獣害対策をどのように進めていくのか、さらには、地域住民や関係機関と連携し、持続可能な鳥獣被害対策をどのように強化していくのか、所見をお伺いする。 ○環境部長(菅 範昭)  鳥獣による農林漁業被害額は市町を通じて把握しているが、令和5年度には4億1,000万円と、ピーク時の平成22年度の約6割減となっているが、依然として高い水準にあると認識している。このため、森林動物研究センターの研究成果に基づき鳥獣ごとに管理計画を策定し、個体数管理、被害管理、生息地管理の観点から、総合的な被害防止対策に取り組んでいる。  増え過ぎた個体数の管理として、市町、猟友会とも連携し、報償金を活用した捕獲促進に加え、特に鹿の生息数が多い但馬北部では、県が主体の捕獲も行っている。加えて、県立総合射撃場を活用した捕獲者の確保・育成も図っている。  被害防止としては、獣害防止柵の整備や潜み場、誘因物の除去支援のほか、集落ぐるみの取組として農家自らによるわなの設置、捕獲の実践指導なども行っている。また、生息地管理としては、人と野生動物とのすみ分けを図るバッファーゾーンの整備や、奥山の広葉樹林の育成に取り組んでいるところである。  今後は、ICT機器や超音波による追払いなどの新技術も活用し、地域住民、捕獲者、市町が一体となって取り組むモデル集落の育成を図ることで、効果的で持続可能な被害防止対策を推進していく。 ○(橘 秀太郎委員)  この鹿の対策、鳥獣害の対策というのは、私は喫緊の課題だと思っている。先週の週末であるが、地元の詳しい方に話を聞いていきた。そうしたら、鹿は一時期確かに減ったが、海岸部ではまだまだ増加しているという話であった。なので、一時期減ったというのは、要するにもう食べ物がなくなったのである。山が死んでしまったということで一時期減ったかも分からないが、増えているということであった。  毎年、県では4万5,000頭ほど捕獲しているが、鹿の15万頭、県内にいるというこの数自体は、恐らく高止まりしているんじゃないかと思っている。  3年前の話であるが、鳥取県の方がこちらに来たときに、夜運転をして、初めて鹿を見たと言われた。鹿、いるんですねって言われた。でも、今はその鹿はもう鳥取のほうにも移動している。なので、鳥獣害には本当に県境がないというのを今は実感しているところである。  引き続き隣県とも力を合わせながら、この鳥獣被害には取り組んでいただきたいと思う。  次に移る。高規格道路ネットワークの整備推進についてお伺いする。  高規格道路ネットワークは、広大な県土を有する本県において、地域経済を支え、広域的な地域間交流を促進させるとともに、災害時の代替路確保や救急医療の速達性強化による緊急輸送機能等の役割を担う重要なインフラである。  令和6年8月の日向灘を震源とする地震では、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を初めて発令し、本年1月には、政府は南海トラフ地震の今後30年以内に発生する確率を80%に更新するなど、巨大地震に対する備えの必要性を再認識させられたところである。  また、本年春には神戸空港で国際チャーター便の就航や発着枠が拡大されるなど、インバウンド需要が増加すると考えられ、この経済効果を県内各地へ広く行き渡らせる必要がある。  そこで、本県の高規格道路ネットワークの早期実現に向けて、今後どのように進めていこうとしているのか、当局のご所見をお伺いする。 ○土木部長(上田浩嗣)  高規格道路ネットワークは、産業・観光・防災に欠かせない重要なインフラであり、新たな躍動が広がる兵庫の実現に向け、昨年9月の豊岡道路開通など、県内各地で全力で整備を進めている。  阪神地域では、神戸空港の国際化や万博の開幕など、新たなステージを迎える大阪湾ベイエリアの活性のため、大阪湾岸道路西伸部などの整備を進めている。西伸部は六甲アイランドの橋梁工事に続き、海上長大橋の詳細設計にも着手した。昨年、有料道路事業を導入した名神湾岸連絡線と合わせ、早期全線開通を国などに要望していく。  播磨地域では、全国屈指のものづくりの拠点である臨海部の活性化に不可欠な播磨臨海地域道路について、都市計画の手続を進めている。国、市町と連携して、昨年度から5市1町、合計で87回の住民説明会を開催するなど、丁寧な対応に努めている。播磨と丹波をつなぐ南北軸では、東播磨道が令和7年秋に全線開通予定である。東播丹波連絡道路は、令和8年春に西脇北バイパスが開通見込みであるため、残る区間の早期事業化を沿線市とともに、国などに要望していく。  但馬地域では、広域観光圏の形成や救急医療を支える山陰近畿自動車道など、早期整備に取り組む。浜坂道路Ⅱ期は全線にわたりトンネル・橋梁工事を進め、令和10年度の開通を目指す。竹野道路では令和7年度に本線部の橋梁工事に着手し、工事を本格化させる。  今後とも、国土強靱化実施中期計画の十分な事業規模の反映を国に求めるなど、予算を確保し、高規格道路ネットワークの早期実現を目指していく。 ○(橘 秀太郎委員)  この高規格道路ネットワークであるが、道路ネットワーク、ネットワークである。しっかりとつながらなければ意味がないと私は思っている。  数年前、東京の山陰近畿整備促進決起大会に行った際、当時、国会議員の議連の会長だった今の石破総理が、「できたときに人がいませんでしたにならないようにしなければいけない」と。「遅れているところほど、人が減っているところほど早くしなければいけない」とおっしゃった。まさにそのとおりだと思う。人が出ていく道になっては駄目である。人の生活に役立つ道路じゃないといけない。生活だけじゃない、観光や防災の面からも必要である。私たちの但馬地域では命の道とも言われている。  この高規格道路ネットワークの整備、お金がかかる事業ではあるが、整備、全県において整備していないところもそうであるが、県南部のほうも含めてネットワークをつないでいただきたいという思いがあるので、進めていっていただきたいと思う。  次に移る。スクールカウンセラーの配置拡充についてお伺いする。  昨今のこどもたちを取り巻く状況は、貧困や教育格差等のほか、いじめ、不登校、ヤングケアラーなど複雑かつ多様化しており、学校生活に大きな影響を与えている。  全国の小・中・高・特別支援学校の状況を見ると、令和5年度のいじめ認知件数は約73万3,000件、うち、重大事案の発生件数は1,306件となっている。不登校児童生徒数は過去最多の約34万6,000人、そのうち、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒数は約13万4,000人である。不登校対策については、部局審査で我が会派の藤本委員からフリースクールとの連携に関する質問があったところであるが、公立学校が児童生徒にとって安心できる楽しい場所であることも重要である。  本県では、公立学校全てにスクールカウンセラーを配置する目標を掲げ、県内市町と連携して、児童生徒のカウンセリングや保護者に対する助言・援助の充実を図っている。全国的にもスクールカウンセラーの配置は徐々に増加している。しかし、現状の配置時間数では全ての学校に支援が十分行き届いているとは言えず、教員以外の専門家による相談体制に一層の充実が求められている。県の取組と同時に、国に対しても各種制度等の充実を求めていく必要もあると考える。  そこで、児童生徒の心の理解やケアに加え、保護者、教員等への支援体制の充実の観点から、スクールカウンセラーの配置の充実について、当局のご所見をお伺いする。 ○教育長(藤原俊平)  スクールカウンセラーの配置の拡充についてである。  いじめや不登校など、こどもたちを取り巻く課題が複雑化・多様化する中、その課題の対応のためにも、チーム学校としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、サポートルーム支援員などの専門家や外部人材が参画した総合的かつ重層的な支援が欠かせないと考えている。  スクールカウンセラーについては、中学校は全中学校、小学校は今年度に9校を増やした143校に拠点校方式で配置した上で、全体として全小中学校をカバーしている状況である。特に、今年度は不登校対策プロジェクトの一環として、こどもたちの小さなSOSに気づき、組織的に早期発見・早期支援を行うため、1人1台端末を活用した兵庫県版ストレスチェックシートを全市町に提供するとともに、その導入に向け、6時間分のスクールカウンセラーの追加配置を行った。加えて、全小中学校の教職員を対象にスクールカウンセラーによるカウンセリングマインド研修を実施し、学校の相談体制の充実も図っている。  また、各教育事務所の学校問題サポートチームにスーパーバイザーとしてスクールカウンセラーを配置し、学校や市町への訪問指導や重大な事案が発生した際に当該学校を支援しており、令和7年1月末の対応件数は1万6,000件に上っており、学校からも評価をいただいている。  スクールカウンセラーの配置事業については、令和7年度当初予算案では、今年度配置人数を確保した4億7,000万円を計上している。また、校内サポートルーム支援員の全小学校配置に向けた段階的な取組も進めており、引き続きこのような状況も踏まえながら、スクールカウンセラー配置の拡充についての検討もしてまいりたいと考えている。あわせて、国に対しては、全小中学校に配置すべき職として基礎定数化するよう要望している。  今後とも、学校課題にチーム学校として総合的に取り組んでいくので、引き続きのご指導、よろしくお願いする。
    ○(橘 秀太郎委員)  重大事案の発生件数が1,306件と言ったが、2月の新聞記事で、いじめの重大事案が令和5年に全国最多、1,306件あったという記事があった。兵庫県でも、全国で2番目に多い135件だという記事であった。1,000人当たりにしても全国2番目に多いそうである。  一方で、私、これを現場の先生に聞いたら、では兵庫県はいじめが多いのかと言えば、必ずしもそうじゃないと言われた。その先生はである。実態は分からないが、その先生が言われるには、兵庫県ではこういういじめの事案をしっかりと把握して、対応している数なんだというように言われた。昔はもっといじめがあったかもしれない。なので、この重大事案が多いからといって一概に悪い方向に向くのではなく、しっかりと重大事案を拾い上げながら一つずつ解決していっていただきたいという思いがあるので、そのように教育委員会も頑張っていただきたいと思う。  最後の質問である。県立病院経営の今後の展望についてお伺いする。  県立病院は県民の医療を支える重要な役割を担っており、救急、小児、周産期医療といった不採算部門、民間病院では限界のある高度・先端医療、さらには、政策医療を担う公共性の高い使命を担い、県民の健康と安全を守る最後の砦となっている。しかし、その経営環境は、コロナ禍後の受療行動の変化による病床稼働率の低下、急激な物価高騰等により大幅に悪化してきており、令和5年度には91億円の経常赤字、94億円の当期純損失を計上している。令和6年度補正予算では経常赤字が129億円、純損失は134億円と更に悪化し、今年度末には内部留保資金が枯渇する可能性があり、早急な対策が求められる。  本県の県立病院の財政状況は他の自治体病院と比較しても厳しく、流動比率は全国平均を大きく下回っている。運動資金が逼迫する中、令和8年から令和9年度に向けて、仮称であるが、西宮総合医療センターやがんセンターの開院を控え、更なる財政負担が見込まれる。  県は第5次病院構造改革推進方策で抜本的な経営改革を掲げているが、全国平均よりも高い給与費比率に対する具体的な対策や、新病院開設に伴う費用増に対する持続可能な財源確保の見通しが不明確である。  内部留保資金の不足に対して、一般会計からの基準内繰入を含めた資金調達の方策も示す必要があるが、県民医療を守るという公的使命と経営の健全化という両立困難な課題に対し、今後どのような道筋を描こうとしているのか、当局のご所見をお伺いする。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  現在、県立病院は、コロナ禍後の県民の受療行動の変化に加え、物価や賃金の急激な上昇に対応し切れていない診療報酬水準という構造的な問題のもと、厳しい病院経営を強いられている。  内部留保資金は今年度末にも枯渇する見込みであるが、病院事業の場合、必要に応じて金融機関から一時的に借入れが可能であり、毎月100億円以上の診療報酬により返済できるため、直ちに病院運営に影響が生じることはない。ただし、資金不足額がその後も増加し、収益に対する比率が10%を超えると、5年以内に資金不足を解消する計画を策定し、短期間での経営改善を実行する必要が生じる。県民が求める高度で良質な医療を提供し続けるためにも、このような事態は絶対に避けなければならない。  そのため、病院経営の専門家などで構成される経営対策委員会において、経営改善に必要な抜本的な対策を議論しており、今月末には、来年度から各病院が取り組む収支改善策が取りまとめられる予定である。その中には、現在の稼働状況や将来の人口動態を踏まえた一部病棟の一時的な休止や職員配置の適正化など、給与費削減にもつながる、これまでの病院事業にはなかった踏み込んだ費用削減策も含まれている。  外部の専門家との議論を踏まえたこの収支改善策に、病院局及び各県立病院が一丸となって取り組むことで、経営状況の更なる悪化を食い止め、将来的な黒字化の見通しを立てることができる。私自身、不退転の決意で先頭に立ち、これらの収支改善策を推進し、使命である良質な医療の提供と自立的な経営改善の両立を達成していく所存である。 ○委員長(村岡真夕子)  橘委員に申し上げます。  申合せの時間がわずかですので、発言は簡明にお願いいたします。 ○(橘 秀太郎委員)  我が会派の伊藤傑議員からも、僻地医療そして救急小児など、民間では担いにくい重要な役割を県立病院は果たしているという言葉もあった。私も同じ思いである。  私の住む但馬には県立病院がないが、やはり公立病院の果たす役割というのは大きいと思っているので、赤字解消も必要であるが、県立病院の果たす役割というのをしっかりと担っていただきたいという思いがあるので、今後ともよろしくお願いしたいと思う。  以上で、私の質問を終わりたいと思う。 ○委員長(村岡真夕子)  以上で、橘委員の質疑は終わりました。  次に、佐藤良憲委員。 ○(佐藤良憲委員)  それでは、続いて、維新の会議員団の佐藤である。本日は齋藤知事を迎えての総括質疑に臨むに当たり、部局別審査では、我が会派の議員とともに多岐にわたり伺ってきた。この総括の場においては、機会をいただいた各委員に感謝を申し上げ、項目をまとめながら伺っていく。  それでは、質問の1点目、新任期で初めての当初予算編成に対する知事の評価についてを伺う。  令和7年度当初予算は、県債管理基金への計画的な積み戻しや分収造林事業の債務処理等により、一般会計は前年度比で192億円増となる2兆3,582億円となった。部局別審査にて、我が会派の高橋委員より伺ったように、県税等は好調な企業業績に伴う法人関係税などの増により過去最高となったが、今後も継続すると見込まれる物価高騰による兵庫県経済への影響、社会保障関係費の増など、本県を取り巻く財政環境は引き続き予断を許さない状況である。  当局においては、個人版ふるさと納税や企業版ふるさと納税、ネーミングライツなど、自主財源の確保への取組や各種事業の見直しなど、改革による財源確保の取組を精力的に行っていただいている。  今回見直した財政フレームでは、令和10年度までの収支不足額総額が昨年度の215億円から55億円改善し、160億円となった。当局における様々な取組により収支不足の改善につながったことは高く評価するが、まだまだ厳しい財政状況であることには言をまたない現況である。  このような厳しい財政状況であるが、我が会派も強く主張している県立大学の授業料等無償化のため、基金の創設や大阪・関西万博の関連事業の充実などに精力に取り組んでいただいていることには敬意を表す。  ここでお伺いする。  分収造林問題や地域整備事業会計問題の対応など様々な財政負担が求められる中で、厳しく、難しい予算編成であったことは推察する。このような現状でも、知事が推進したい事業を進めることはできたのか。新任期で初めてとなる令和7年度当初予算に対する知事の評価をお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  先般の選挙においても、県民の皆様からこれまでの政策や取組に対する評価、そして、それを更に推進してほしいという形でご負託をいただいた。令和7年度の当初予算案ではこうした声にも耳を傾け、安全・安心で夢や活力にあふれ、新たな躍動が広がる兵庫の実現に向けた施策を積極的に展開するということを意に用いさせていただいた。  誰もが安全・安心に暮らせる兵庫を構築するため、創造的復興サミットの開催、トイレカーやスターリンクの導入など、防災や危機管理対策にも強化をしていくとともに、特殊詐欺の被害対策、そして客引きの行為の防止、対応の強化などにも取り組んでいくということにさせていただいた。  また、議員もご指摘の県立大学の授業料無償化を着実に進めるとともに、県立学校の教育環境の充実、高校生の留学の支援であったり、不登校児童生徒支援員の配置の拡充や不妊治療の対応病院の医療機関の拡充など、若い世代、Z世代を応援するパッケージも充実させていただいたというところである。  さらに、4月に開幕する万博における取組、そして、有機農業の取組の拡大やスタートアップの支援、水素などの次世代エネルギーの育成やスポーツコミッションの設立など、検討も進めてまいりたいというふうに考えている。  分収造林事業など、大きな課題に対する債務整理などにも一定の道筋をつけながら、過去最高となった県税収入にも支えられ、今回、歳入歳出両面における改善を図り、収支均衡の予算案が編成できたというふうに考えている。今回の公約にも掲げさせていただいた取組も反映することができた。  齋藤県政2期目の第一歩を力強く踏み出す案ができたというふうに考えており、これについては、私が不在の間も、服部副知事を含めて職員の皆様が精力的に議論と対応をしていただいたため、それに対する感謝も申し上げたいと思っている。 ○(佐藤良憲委員)  今の点について、再質問をさせていただく。  私、今期からの議員であるが、知事とは議会で何度もお会いしてきた。今、知事の顔を見ながら、様々な思いが交錯していた。このたび、知事はご自身で疑惑に向き合いながら再選されたこと、これは見事である。今なお親齋藤、反齋藤と言われているが、その他に一番多いのは中間派である。私もであるが、正直申し上げて、知事の姿勢は計りかねている。  ここでお伺いする。  このたびの選挙では、政策議論には必ずしもなっていなかったと私は感じていた。一方、先日の記者会見では、各会派と政策議論は大事であり、今後取り組んでいくことかもしれないが、齋藤知事の代名詞とも言える政策、齋藤知事は何をされる方なのか、この点、1点お伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  今回、選挙をさせていただいたが、県民の皆さんから直接お伺いする中で、先ほども申し上げたが、これまで進めてきた政策、改革に対する強い期待とそういったものを更に進めていってほしいという声が強かった。政策予算、事業というものをしっかり進めていってほしいというのが県民の皆様の強いご期待だったというふうに感じている。  そういった意味で、今回、令和7年度の当初予算を編成させていただき、こうして今日も総括審査でご議論いただくということは大変意義深いし、大事なことだと思っている。  齋藤県政としては、先ほど申し上げた多方面における取組というものもしっかりやっていきつつ、選挙戦でも訴えさせていただいた一つの柱としては、兵庫の未来を担う若者の支援をこれからもしっかりやっていくということが大きな柱の、施策の一つだというふうに考えている。 ○(佐藤良憲委員)  ぜひとも私はこれをやる、齋藤知事の代名詞ともなるそういった政策を前面に出していただきたいなと思う。  そのほかに改革というのはおっしゃっておられたし、私は、その改革については期待している部分もある。しかし、例えば今の県大の無償化等で言うと、県の予算4兆5,000億円の中でかかる費用からいくと、そこまで大きな改革ではないのかということを感じているので、これについては、引き続き様々な形で発展していくものと期待している。  それでは、このたび予算委員会でこうしてお伺いする機会を得たので、私も質疑を通して遠慮なく伺っていくので、引き続きよろしくお願いする。  それでは、質問の2点目に移る。  フェニックス共済の在り方について。こちら部局別審査では、我が会派の別府議員より伺った。  フェニックス共済については、3月13日、兵庫県住宅再建共済基金の理事会で県から、この4月より複数年一括契約の新規受付停止、フェニックス行政の積極的PR停止を説明されたことは、共済改革の一歩と評価する。このことを踏まえ、次のとおりお伺いする。  抜本的な見直しが終わるまで、県政改革方針変更案の「加入促進への取組を実施」の部分、そして、令和7年度予算案のうち新規加入促進の予算は、現在の加入者へ制度の抜本的改革を周知する経費への流用を除き、凍結するなど、そして、これらの点について見解を伺うとともに、国の被災者生活再建支援制度や民間の地震補償保険が充実してきた今、有識者会議による抜本的見直しに当たっては、フェニックス共済の存在意義そのものも議題として検討するべきと考えるが、そのご見解をお伺いする。 ○副知事(服部洋平)  フェニックス共済についてであるが、来年度有識者会議に諮り、制度の在り方を検討することとしている。結論を得るまでの間、先ほどご指摘もあったとおり、加入者増に向けた積極的な広報・PRは行わないこと、あわせて、複数年一括契約の新規受付を停止すること等について、3月13日に開催した住宅再建共済基金の理事会において承認が得られたところである。  複数年一括契約の新規受付の停止に当たっては、方針の変更について丁寧な説明が必要となることから、新たな周知パンフレットの作成や、現在、4万人おられる複数年契約の加入者へのお知らせ、また、ホームページの改修等に相当額の経費が必要と見込んでいる。これに令和7年度予算案の普及啓発費を充当し、残額が出る場合は、検討結果が出るまでの間、執行を保留することとする。  今後の制度の在り方については、さきの理事会において、助け合いの精神により、被災者の生活再建と被災地域の早期再生を図るという阪神・淡路大震災の教訓から生まれた創設当時の理念を大切にしてほしい。また、平成21年の台風第9号災害など、地震だけでなく、風水害に対する給付で成果があったことも踏まえるべきとのご意見をいただいているところでもある。  今後実施する有識者会議では、県財政への影響、民間の保険と比較した場合の課題、自助・公助・共助の適切なバランス、既加入者への配慮など様々な観点からご意見をいただきつつ、制度の存在意義も含めて丁寧に検討していくのでよろしくお願いする。 ○(佐藤良憲委員)  それでは、答弁を理解して、次の質問に移る。  3点目、ひょうご住まいの耐震化促進事業について。  ひょうご住まいの耐震化促進事業は、市町が窓口になり、県が市町に補助を行っているが、県の要綱により、計画策定や耐震改修などへの補助を住民が申請する際には、フェニックス共済への加入を義務付けている。住宅耐震化促進とフェニックス共済加入は全く関係がなく、また、民間の地震補償保険もある中で、フェニックス共済加入を義務付けることは、民業圧迫の誤解を招くとも考えられる。  4月から積極的PRを停止することと加入義務付けは矛盾しているので、そこで、県の要綱による加入義務付けは即刻停止すべきと考えるが、こちらについても見解をお伺いする。 ○まちづくり部長(松浦 純)  県では、災害時における県民の安全・安心を確保するため、市町と連携し、ひょうご住まいの耐震化促進事業に取り組んでおり、今年度においても、簡易耐震診断2,682件、改修工事958件の実績となっている。  そして、従来、大規模地震に対する発災前の備えとして、このひょうご住まいの耐震化促進事業を実施する際には、あわせて、発災後の備えとしてのフェニックス共済への加入を促進することが災害への備えとして効果的であるとの考えから、同時加入を条件化してきたところである。  なお、このことが独占禁止法に抵触するのではとのご指摘もいただいたこともあり、先般、公正取引委員会に確認したところ、補助事業としては違法性がないとの回答を得ているところである。  しかしながら、今後は先ほどの服部副知事の答弁にもあったとおり、フェニックス共済制度の在り方について検討される方向性が示されたということから、まちづくり部としてもその動向を踏まえ、災害後の備えとして、近年、充実が図られてきている民間の地震保険なども対象保険に追加する方向で検討していきたいと考えている。 ○(佐藤良憲委員)  当局のそうした柔軟な思考についてはよく理解するので、今後の動向を注視していく。  それでは、続いて質問の4番目、市町と重複するいわゆる二重行政と言われる点、あるいは類似事業の発展的統合についてをお伺いする。  このたび予算委員会で伺う中で、県民意識調査については疑問だったが、答弁を聞いて深く疑義を抱くことになった。そこで、県が市町と重複する二重行政の解消について、1点目の事例として、まずは県民意識調査を例に伺う。  県民意識調査は県下5,000の調査に対し、市長は行政区域内で各1,000から3,000ほど実施している。この方法では特定の方々の声となってしまい、圧倒的に多数のサイレントマジョリティーである県民の声は反映できているのかと感じている。より効果的な方法としては、ほとんどの市町が行っている意識調査を参考にするほか、直近で調査を行う市町の調査に県の聞きたいことを追加していただくなど、そうした方法が取れれば、41通りの質問を聞きたいエリアで聞くことなどもできる。  このように、市町と施策統合あるいは連携が行われたほうがサンプルも多く、データの精度が上がるので、私は協議してはいかがかと伺ったが、難しい、できない、こうした答弁であった。  明らかに非効率的でありながら、二重行政になっていても、統合について市町と相談すらしない理由について伺う。 ○総務部長(有田一成)  意識調査についてであるが、県民・市民の声から地域課題やニーズを把握し、県、市町の重要な計画の策定や施策の実施等につなげていく上で重要なツールであると認識をしている。  県で実施している県民意識調査であるが、県全体を母集団として、性別や年齢、市町別の人口構成比をもとに無作為に抽出した県民5,000人を対象に、県の主要施策から選定したテーマ、これは毎年異なるものになるが、そのテーマと生活の満足度などの県民生活全般等に関する調査項目、これは毎年度共通の項目で、経年の推移変化を調べるためのそういった調査項目であるが、この二つを組み合わせ、年1回、大規模な統計調査として実施をしているものである。調査に当たっては、統計的な精度を確保した上で、県民意識の変化や大きな傾向を把握するために統計調査等の有識者に諮り、設問数や構成も含めた細やかな配慮を行って、調査のほうを実施していくという状況である。  ちなみにサンプル数の話もあったが、そちらについても統計調査の専門家など、学識者や調査専門機関によると、調査対象数が3,000、回答率が50%あると信頼度の高い分析が行われる、可能であると言われており、本県の5,000人を対象とした調査というものは、十分な信頼性を有しているというふうに考えている。  ご指摘をいただいた県の調査項目を市町の調査に追加するなど、調査に当たって市町と連携をしていくということは、実現できたら、業務の効率化等に資するものであると認識をしている。  ただ、実務的な課題もあり、調査したい項目の違いであったり、例えば、調査の実施時期や頻度の違いも挙げられる。市町によって毎年調査を実施されているところと、例えば、総合計画などを策定・改訂する際に、4年に一度や複数年に一度だけ調査を実施するような市町もあり、調査実施時期が異なっているというのが現状である。調査を行う時期、タイミングが異なることで統計調査の信頼性の確保が課題になるということも考えられ、仮に調査時期を統一するということになると、一部の市町において新たに毎年の調査をお願いすることになるため、負担が増加する、そういった課題も考えられる。  また、一部の市町からは、設問数が増えると回収率が下がるという傾向があり、回収率を上げるために設問数は可能な限り絞りたいという意見も伺っており、県の質問を市町の調査のほうに追加するということについて、その影響等を見極める必要もあるというふうに考えている。  ご指摘をいただいたように、効率的な事業実施を検討するということは重要なことであると認識をしている。課題は様々あるが、それらも踏まえて市町の意向を確認をした上で、調査に当たっての市町連携について研究を進めていきたいと考えている。 ○(佐藤良憲委員)  厳しく申し上げましたが、理解してくれている部分もあるのかということを感じたので、視点を変えて、1点だけ再質問させていただく。  確かにサンプルなどを見ても、県の調査も意味がないとは思わない。ここに全市町の調査の結果をまとめたものを僕は持っているが、毎年やっているところもあるし、おっしゃるように総合計画ごと、あるいは数年ごとという単位でもある。調査のサンプルが明らかにうちより、申し訳ないが県より多い。こういうところを見ていくと、こっちのほうが制度として高いと感じ、県としてかけるべきお金はもっと違うところにあるのかなと私は感じていた。  また、躍動カフェについてはこことは違うのかもしれないが、詳細なニーズを把握する意味では私はいいのかなとは思っているが、新しいことをやるのであれば、今までのことは必ずしもそのまま必要かということを考えていただきたいということである。  それでは再質問に入り、市町の意識調査等の結果と県の調査、これは差があるのかというのを1点伺う。  例えば、人権意識調査というのは県下29市町で実施されており、さきに述べたように、サンプルが県よりも多い。自治体ごとに地域性といった課題もここには入っており、さらには、人権意識調査単独じゃなくても、市民意識調査の中でも聞いていたりする。そうなると、調査結果を持つ自治体は29市町以上になる。ここは完全に一致しているが、市町と県の回答結果の違いというのは分析したことはあるか。 ○総務部長(有田一成)  ご指摘をいただいた市町の調査と県の調査結果、分析というものは、詳細には行ったことはない。市町のほうでどういった調査をされているかということについては、一定、把握はさせていただいている。  県において調査をする際において、それぞれ地域バランス、他の人口状態等を鑑み、調査のほうはさせていただいている状況であるので、統計データとしては、県のデータとしても十分信頼性のあるものと認識をしている。 ○(佐藤良憲委員)  例えば、先ほど市町と連携するのは難しいような話も伺ったが、理想としてそういう形だと思う。  実際、市町と行政側のお付き合いとしては、市長懇談会であったりとか実務者の担当会議、あるいは、議会側としても議長会等が地域別にあり、こういったところと県は一緒に会議はしているはずである。こうして意見交換の機会はあるので、この1点にこだわっているのではなく、こうしたことについては前例踏襲ということに疑問を持っていただき、変える勇気、これが改革だと私は思っている。  ここでは、当局の改革への本気度を伺ったと申し上げ、次の質問に移る。  続いて、小項目の2、同じく重複する施策であるが、こちらはやや様子が違い、さきの県民意識調査は、申し上げたとおりしっかりやっていただきたいなと。一方で、こちらについては広域行政の役割としての観点から、類似事業についての見解を伺う。  同じく他団体と類似、重複する事業についてであるが、ひょうごっ子ココロンカード、のびのびパスポート、どんぐりカードというのがある。これは現在、県下で市町を超えて未就学・小中学生等の児童生徒が社会教育施設等、相互に利用し合う取組、県でいうところの博物館等無料開放事業がそれぞれ行われている。  ひょうごっ子ココロンカードというのは、県内全域で兵庫県が主体、のびのびパスポートというのは、兵庫県内と大阪府の一部、和歌山県、徳島県。県内においても、神戸市、三木市、三田市、芦屋市、西宮市などが参加している。それは、鳴門市とか徳島県なども含めて、全85施設が相互利用できる。同じく、どんぐりカードというのは、姫路市が主体になっている。こちらは連携中枢都市圏形成に係る連携協約により、姫路市及び近隣市町で形成されている。こちらには、相生、赤穂、加古川、加西、宍粟、高砂等々入っている。こちら、姫路市内の動物園等、12の施設が無料で利用できる。  ココロンカードが県内全域、のびのびパスポート・どんぐりカードが地域ごとに活用できているが、利用施設の多くが重なっている。こういった事業こそ広域で担うべき行政ではないかと私は考えている。  実際にのびのびパスポートの神戸市と12市町、どんぐりパスポートの姫路市と16市町では、ココロンカードとそれぞれのカードが2枚配られ、稲美町に至っては3枚とも配られる。この中にない市町には、ココロンカードのみが配布されている。  施策として、こどもたちへ兵庫型体験教育、こころ豊かで自立した人づくりなど、大いに賛同するものでもある。  教育としては自治体間格差を生まず、充実した環境を提供できるが、課題は、施設を持つ自治体と持たない自治体で住民への財政負担に差が生じてしまう。結局のところ、自治体間の施設はみんなで使いましょうということは、施設を有する基礎自治体だけに維持管理、運営費等、財政負担させる仕組みは検討した上で一元化して、児童生徒にも分かりやすく発展的に展開できると考えるが、ご見解はいかがか。 ○教育長(藤原俊平)  ココロンカードについてである。本県では、児童生徒が芸術や文化、歴史などに親しむ学校外活動を促進するため、平成4年度から県内在住・在学全ての小中学生を対象にココロンカードを配布し、県内博物館等の無料開放を実施している。  県が負担する経費については、カードの印刷及び配送費のみであるが、施設の無料開放は本事業の趣旨に賛同する施設のご協力によって成り立っている。なお、参加の意向確認は毎年実施をしており、参加施設は県教育委員会のホームページにも掲載をしている。初年度の平成4年度は19施設であったが、令和7年度には201施設と大幅に増加をしており、本事業の趣旨が着実に県内に浸透しているのではないか、このように理解をしている。  一方、ご指摘のように、神戸市や姫路市なども施設の無料開放事業を行っているが、神戸市では85施設を対象に、大阪や徳島などの県外の施設も対象とし、県と重複していない割合は46%である。また、姫路市では12施設を対象に4歳からの未就学児も対象としており、県と重複していない割合は42%であり、各市町とも対象施設や対象者について独自の特色を有しているのではないかと考えている。  社会教育法上も、県及び市町とも児童生徒に対して社会教育施設などを活用した活動の機会を提供する役割を担っているので、県が全県的な取組を推進し、そのもとに、各市町の判断で独自の魅力づくりを展開することは、法の趣旨を更に推進するものと考えている。なお、同じく社会教育法上、県及び市町ともそれぞれが所管する社会教育施設の設置及び管理を行う義務があるため、施設の維持管理への負担はやむを得ないと考える。  その上で、ご指摘の自治体間の財政負担の格差、これについて課題があるのであれば、例えば、地方自治法を踏まえた地方自治体間の広域連携などの取組等により対応されるものと認識をしている。  今後とも、カードの重複については市町とも連携しながら、分かりやすい普及にも努めつつ、多くの児童生徒が県内の博物館等に気軽に訪問できる一助となるよう、ココロンカードの利用促進を図っていく。 ○(佐藤良憲委員)  1点、再質問させていただく。先ほどの費用負担についてである。  例えば、施設の数を今おっしゃっていただいたが、これは良い施設だなというのが各自治体にはあるが、そういった施設が入っていないという形も私が見る限りではあった。ですから、例えば、施設全てというわけではないが、利用者に応じて、大規模修繕などの自治体の一部費用の負担は考えるべきと思っている。  私も元市議だったので、市議会でいろいろ見ている中で、施設を多く持つ自治体は貸す一方で終わってしまっていたので、ここをぜひ広域で考えてもらえたら、これからの今の各自治体も、人口減少の中で厳しい公共施設マネジメントを新たな計画を策定して、施設の維持管理には必死になっている。ですから、こういう場合こそ広域で県が活躍する場面かなと思っているので、費用負担についてもう一度お伺いする。 ○教育長(藤原俊平)  各市町の社会施設の費用負担について、教育委員会の立場でそれを答弁する立場にはない。基本的には、先ほどは小中学校のこどもたちの社会教育施設の利用促進という形での事業をさせていただいているので、もしその費用負担について市町のほうで課題があるのであれば、先ほど申し上げたような地方自治法を踏まえた広域連携なり、その辺りで各自治体でよく話し合って対応していただく課題ではないかと思うので、その点については、教育委員会として更に答弁する立場にはないということだけはご理解いただきたい。 ○(佐藤良憲委員)  教育委員会としては広域で利用するという点だと思うので、これについては、また場面を変えて県にはお伺いしていきたいと思っている。  それでは、続きまして5点目、トライやる・ウィークについて。こちらは、ぜひとも一生の思い出になる体験になればという観点で伺う。
     兵庫の教育といえば、まず思い浮かぶのがトライやる・ウィークである。これは、さきの部局別審査では当会派、鍔木議員が質問していた。長期間続く施策の制度疲労が起きていることへの指摘もしている。  そこで、平成20年3月、地域に学ぶ「トライやる・ウィーク」―10年目の評価検証(報告)―を参考に私も確認してきた。これは約170ページほどあるが、こちらからも様々な指摘が確認できた。  まず、生徒が希望の職場へ参加できているか。第一希望、70%から80%台、類似も含んでいる。活動内容は思い出に残る内容か。この中にはトライやる用のプログラムが存在したりもしている。施策の希少性、体験が今後につながる仕組みかなどである。  当初は、須磨区の事件や阪神・淡路大震災からこころの教育として始まった社会体験活動も、今現在では、高校生や大学生がアルバイトで行くようなところではなく、一生の思い出となるような取組にするべきであると私は考えている。県としても受入先の確保は最大限協力することで、課題である行政区域内の完結、ここをクリアした上で、更に発展した施策にできないものかをお伺いする。  実態として、現在は昼食に賄いのあるところが人気など、楽しみにされなくなってきている傾向がうかがえる。さきの―10年目の評価検証(報告)―では、不登校生徒がトライやる・ウィークを通して学校へ復帰した、こうした生徒が約40%存在するとされていた。こうして、多方面での成果が伺えている。  そこで、様々な改革を訴え、若年層への支援に注力する齋藤知事はじめ兵庫県は、トライやる・ウィークをこどもたちが目を輝かせ夢を追うような施策へ刷新するお考えはないか。  例えば、兵庫県内には数多くのプロスポーツチームが存在している。阪神タイガース、ヴィッセル神戸、バレーボールではヴィクトリーナ姫路、こうしたプロスポーツチームなどへ球団職員として参加するなど、ふだん接することができない仕事を体験することを検討してみるのもいいのかもしれない。  ほかには、水族館や動物園の飼育員、遊園地のスタッフ、現在人気のYouTuber等から映像職種や鉄道会社、保育園、幼稚園、新聞、テレビ等のメディア関係、芸能関係、警察は既に参加しているが、そのほかにも消防や自衛隊。  我々の経験上も、将来なりたい仕事に就ける人はごくわずかです。トライやる・ウィークを通して、憧れの職業体験や非日常空間を経験することで、兵庫に生まれてよかったと、こどもたちに一生残る貴重な体験にしたいと考えますが、ご見解を伺う。 ○教育長(藤原俊平)  トライやる・ウィークの充実についてである。  神戸市須磨区の痛ましい事件を背景にスタートしたトライやる・ウィークの目的であるが、これは、心身ともに大きく成長する中学生が様々な活動や体験を通して豊かな感性や創造性を育むこと、そして、その成長を地域社会全体で支えていくということである。  このため、県下約50の関係団体が参画をした全県推進協議会のもとに、多くの事業者の方々のご協力をいただきながら推進をしている。今年度の実績では、活動場所は約1,000ヵ所増加した1万7,000ヵ所、第一希望がかなえられた生徒も2%増加し、約7割、第二希望まで入れると約9割となっている。  生徒へのアンケートでは、働くことの大切さや楽しさを感じたが85%に上っている。また、事業者の皆様方のご協力についても、今後とも協力したいが95%の回答をいただいている。生徒たちは、ご指摘のような水族園や動物園、メディア関連等の職場に加え、地域の様々な受入先で活動を行っている。  一方、社会状況の変化等を踏まえた持続可能なトライやる・ウィークに向けた取組も欠かせないと考えている。受入先確保に向けた事業所バンクの活用やコーディネート機能の強化に加え、全県への更なる魅力発信に向けた動画やリーフレットなども作成し、今後も充実に取り組んでいく。  先週3月10日に開催した推進協議会では、改めて事業の意義や事業の推進に向けた連携について共有をしたところである。今後とも、兵庫が大切にしてきた心の豊かさやふるさとを愛する心を育成する重要な事業として、ご提案の様々な仕事の体験も含め、社会全体で地域に学ぶトライやる・ウィークを推進していくので、引き続きのご指導をよろしくお願いする。 ○(佐藤良憲委員)  再質問しよう思っていたが、やめる。私が伺った事例というのを聞いていただきたいなと思う。  中学生でケーキ屋さんで体験してみたいと言った子がいた。この子は実際、第一希望ではあるが、違うチェーン店でドリンク係をやっていた。あるいは、ペットショップでトリマーの体験をしたいという子が、熱帯魚屋さんで水槽を掃除している。おすし屋さんですしを握りたいと思って参加した子が、トライやる・ウィーク用の業務として清掃係であるとか注文機器を中心にやっていて、実際、おすしには触れなかったと。こういった事例を聞いて、私、何とも言い難い気分になった。中学生がまだ現実を知るのはもっと先でいいのかなと。  私はぜひとも、さきのプロスポーツチームのような話は夢の部分もあるが、一方で、工夫次第で今のままでも改善はできると思う。例えば、郡部の子が通学路にある農家にトライやる・ウィークに行っても、あまり面白くないと思う。でも、一方で都会の子が農家に行って新鮮に感じるものも多いし、こういった行政区内の移動だけでも考えられることは多いのかなということで、引き続き様々な形でトライやる・ウィークの充実を図っていただきたいと思う。  それでは、続いて6点目。  子どもを産み育てやすい兵庫の実現について伺っていく。  こちら部局別審査では、我が会派の中村・北村両議員から保育について質問し、保育士の処遇改善につながる研修等や企業主導型保育の空き定員の活用や保育所等における定員の弾力化措置、小規模保育事業の調査などを実施するとの答弁をいただいている。  では、こどもを産み育てやすいとの観点から、引き続きお伺いする。  県内自治体では、待機児童は例年4月にはほとんどが解消していると発表されている。これには特定の施設を希望している等の項目は除外し、待機保留児童と換算するため、保護者には実体の伴わない待機児童数の発表になっており、それがいわゆる隠れ待機児童と言われてきた。  育休などは制度としてはできるものの、実際に働く現場では肩身の狭い思いをしている。両親とも近隣にはいない。我々議員は、このような切実な相談を何件も伺ってきた。  既に民間保育事業者は将来推計から拡大傾向にはなく、県内自治体でも同様の認識となっていると伺っている。また、郡部では既に保育園が閉園するなど、少子化を目の当たりにしているが、そのような中でも、姫路や加古川、明石など、播磨地区の大都市や阪神間などは、いまだに多くの待機児童を抱えている状況である。  そこで、昨年6月に知事は「地域の保育事業を見極めつつ、市町や保育関係者と連携しながら早期の待機児童の解消に努める」とコメントされているが、このたびの予算には、積極的な待機児童対策が見当たらないと私は感じている。まずはこの意図をお伺いする。 ○福祉部長(岡田英樹)  県では、このたび改定をしたひょうご子ども・子育て未来プランにおいて、この計画期間中の待機児童の早期解消を数値目標の一つと掲げ、市町や保育関係者と連携をし、保育所等の受皿の拡大や人材確保に取り組んでいく。  具体的には、市町と連携をし、保育需要の推移等を見定めながら国庫補助を活用した保育所等整備を進めるとともに、待機児童の9割以上を占める1、2歳児を受け入れる商業保育事業や送迎ステーションの整備など、多様な受皿を確保していく。  また、これまでの人材確保対策に加え、来年度から将来を見据えて、高校生を対象に保育所等でのお仕事体験を実施するほか、保育士養成校の学生を対象に、就学準備金の返済免除付貸付事業を開始する。さらに、働きやすい職場環境に向け、ICT機器等の導入支援にも取り組んでいく。  これらの人材確保対策事業については来年度当初予算に計上させていただいており、また、かねてからの国要望が実現をした10.7%の保育士の処遇改善についても、2月補正予算及び来年度当初予算に計上しており、保育士の給与に適切に反映するよう、県内の保育所等へ徹底をしていく。  今後とも、待機児童の早期解消を目指して、市町や保育関係者等と連携もしながら、保育の受皿拡大や人材確保などに取り組んでいく。 ○(佐藤良憲委員)  待機児童については分かった。  では、引き続き、こどもを産み育てやすいとの観点から、今、県が向いている意識のほうについて1点、再質問する。  子どもを産み育てやすい兵庫として、2月の所信表明の際には、齋藤知事から産後ケア事業の充実、地域での産科医療体制の検討など、安心して不妊治療・出産ができる環境づくりを推進してまいりますと述べられておられる。  そうしたことから、妊婦出産支援の強化について改めてお伺いする。  子どもを産み育てやすい兵庫として、県の役割とは、市町と同様の取組ではなく、出産や子育てを例に挙げるのであれば、地域子ども・子育て支援事業費補助、産後ケア事業であるが、事業費2分の1を国、4分の1が県、4分の1を市町が負担するといった事業がある。実際にとっての課題は、4分の1の費用面の負担と施策内容、これには宿泊型・通所型があり、宿泊型が人気であるが、宿泊施設がない自治体では実施できない。こうした事業に手を挙げることができない自治体に対して、他の市町と同じようにできるような支援こそが、県全体の少子化対策に尽きるのではないかと考えている。  現在のように、一定の補助率を設けて自治体におまかせしているようでは、これは県の役割を果たしているのかと私は考えているが、この点についてのご見解を伺う。 ○保健医療部長(山下輝夫)  産後ケア事業の広域ということで、私のほうから答弁させていただく。  委員ご指摘のように、今まで国が2分の1、市町が2分の1で産後ケアというのは行われていたが、令和7年からは国2分の1は同じであるが、県が4分の1、市が4分の1と市の負担をまず減らすという方向で、県も財政負担をするということになった。加えて、県の役目としては、全県的なまず標準化、すなわち質を同じようにすることと、広域化、今委員が言われたように市町をまたぐようなサービス、これはそれぞれの市町に置かれている状況があるので、これらをしっかりと協議しながら、県内全体の産後ケアの質を高めていくというのは県の役目である。  このために県は市町と委託いただき、また、産後ケア事業を実施する医療機関並びに助産師会とも委託をいただき、県が主導的に集合契約を結ばせていただく。この集合契約に多くの市町に参加いただき、お互い例えば宿泊施設を持っていない市町であれば、近隣の宿泊施設、産後ケアを持っている市町との連携を進めていく、こういうふうに、お互いが相互乗入れできるような形で県としては取りまとめを進めていきたいと思っている。 ○(佐藤良憲委員)  佐藤委員に申し上げます。発言が通告の範囲に収まるように、逸脱しないようにだけよろしくお願いをいたします。 ○(佐藤良憲委員)  こどもを産み育てたいという点で聞いていた。  産後ケア事業というのは、県の発表を受けて皆さん期待しているので、ここについてはぜひ力を入れていただきたいなと。今回追加された訪問型であるが、実際は宿泊型が一番人気であるので、ここをぜひほかの市町でもできるように検討していただきたいなと思っている。  これについては、何度も聞くつもりはないのでしっかりとやっていただき、さらに、県民が県はここまでやってくれるのかと、こうした満足感を得ていただくような施策になることを期待している。  それと、待機児童対策については、基本的には基礎自治体の義務だと思っている。しかし、厳しいことを言うが、兵庫県だけではなく、これまでの行政の対応が必ずしも効果的ではなかったと。だからこそ、私は少子化対策が足りなかったおかげで、待機児童対策はどんどん進んでいったのかなと考えている。  ちなみに私、平成23年に伊丹市議になったが、そのときに初めて子どもが産まれた。当時の兵庫県の出生数は平成23年4万7,351人、これが令和4年だと3万3,565人、この数字だけ聞くと少し減ったなぐらいの感じだと思うが、これを市町に置き換えてみると、例えば、神戸市だと1万2,720人いたのが、令和4年8,940人である。  これをもっと市町に見ていくと、例えば姫路市・尼崎市・西宮市辺りは1,000人ぐらい減っている。私の地元の伊丹市と隣の宝塚市で大体600人ぐらい、その隣の川西市では1,151人いた子どもがもうついに1,000人を切って、823人となっている。更に郡部のほうへいくと、例えば佐用町なんかは、平成23年120人いた子どもが、令和4年で45人、大分減っている。  先日、部局別審査で橘先生が言っていた地元の小学校が減ったというお話だったが、香美町とか新温泉町は、子どもの数が大体当時の半分ぐらいである。132人いたのが64人、新温泉町は106人が51人。これだけ減っているが、全体を見極めていくと、分娩施設のない町にはなかなか子どもは増えていない。ぜひともここは検討していただき、兵庫県全体が皆さんとともに発展していくように私は考えている。  県の皆さんもおっしゃっているが、シビックプライドの醸成、こういうのはその町で生まれた、育ったということにつながると思うので、少子化対策につきましては、より一層の強化を期待している。  それでは、質問の7点目である。  SNSを起点としたインバウンドの獲得と県内観光地の状況についてを伺う。  部局別審査では、SNSを活用した観光PRの成果としての答弁で、福崎町の妖怪のインスタグラム投稿、351万件のインプレッション、いいねが16万3,000件あったとのことだった。神戸新聞では、福崎町のまちおこしが奏功、観光入込み客が70万人突破となっており、こうした地域の取組が観光客の増加につながることは大変喜ばしいことである。福崎町の取組には、まずは敬意を表す。  一方で、県の役割はSNSの発信だけだったのかということに疑問を持っている。インバウンド獲得に向けて、今年度は海外OTAやSNS等を活用し、温泉・グルメ・絶景といった多様なテーマの記事を配信したとのことであった。こうした取組により、結果と分析は重要なデータであり、次の施策に生かされる必要があると言えるのではないか。  そこで、質問の1点目、SNSを起点としたインバウンド獲得と県内観光地の状況について、部局別審査では、今年度は「温泉・グルメ・絶景等をテーマに記事を作成し、SNSで発信することで、海外OTAの誘導に取り組んでいる」という答弁があった。  まず、このデジタルプロモーションにおけるこれまでの成果についてお伺いする。あわせて、神戸空港の国際化や大阪・関西万博の開催など、今後、本県へ来訪するインバウンドの増加が見込まれる中、情報発信だけではなく、観光地の磨き上げなど、せっかく訪れていただいた訪日観光客に再び来てもらうための取組が必要だと考えるが、ご所見をお伺いする。 ○産業労働部長(原田剛治)  今年度実施しているデジタルプロモーションでは、海外メディアやSNS、海外OTAなど、様々な手法で本県の多彩な魅力をPRし、兵庫の認知度向上を図った結果、県のインバウンド向けの観光サイトの閲覧数が大幅に増えるなど、一定の効果が現れている。また、OTA経由の宿泊予約からは、宿泊者の属性や単価、また、地域の宿泊傾向がデータとして得られることから、これからだがこれらの要因を分析して、次の施策につなげてまいりたいと考えている。  一方、委員ご指摘のとおり、兵庫を来訪したインバウンドに繰り返し訪れてもらうためには、更なる観光コンテンツのみ磨き上げや受入環境の整備が重要であると考えている。  例えば、最寄り駅からの移動手段が課題であった但馬のカヌー体験では、宿泊施設と連携した送迎の実施により、利便性の向上を図ってきた。また、淡路の人形浄瑠璃では、スクリーンへの英語字幕投影やバックヤードツアーの実施、そういったことを通じて観光体験の質を高めてきた。こういったこれらの取組を通じ、リピーターの獲得につなげてまいりたいと考えている。  さらに、受入環境の整備としては、誰もが気兼ねなく旅を楽しめるユニバーサルツーリズムの環境づくり、そういったことも進めていく。  引き続き、市町や地域のDMO、事業者等とも連携しながら、来訪者のニーズに沿った魅力的な観光地づくりを進め、国内外からの観光客の再訪につなげていく。 ○(佐藤良憲委員)  再質問を考えていたが、答弁を聞いてよく努力されているなと思ったので、これは質問もやめておく。  リピーターになっていただくのは、来て観光客の方が満足していただくというのが重要だと思う。例えば、県内の有名な温泉、観光地としたら城崎温泉、有馬温泉とかもあるが、例えばその城崎温泉でいくと、ホームページを見ると、湯巡りとか旅館の外に出ることを結構促している。食べ歩きとかも載っているが、飲食店の営業時間を見ると、大体5時とか6時に終わっている。そのほかに、パーキングが埋まるなんていうことも結構散見され、実際、私自身が数年前に行ったが、旅館に行って少し外を歩くと射的とかスマートボールなんかがあり、そのほかに、少し歩くと数件飲食店もあったりする。こうした飲食店に行くのはいいが、実は夜間に城崎温泉にはタクシーが1台しかなかった。だから、当時私達はそれを利用できなかったが、こうした観光地として皆さん来てくださいとなったときに、来たお客さんが満足するというのを一緒に考えていただいて、もう皆さんが兵庫に2度も3度も来たいと思っていただけるような観光地の整備というのも、意識していただけたらと。これは地元だけでというわけにいかないと思うので、兵庫全体の利益として考えていただけたらなと思う。  それでは、最後の質問をする。  これまで種々伺ってきたが、兵庫の魅力将来像というのを伺おうと思っていたが、実はひょうごビジョン2050というのがあり、ここにひょうごの目指す姿というのがあった。  これは、2050年の兵庫の姿として、誰もが希望を持って生きられる一人ひとりの可能性が広がる躍動する兵庫と題して、具体的に五つの目指す社会として、1.自分らしく生きられる社会、2.新しいことに挑戦できる社会、3番が誰もが取り残されない社会、4番、自立した経済が息づく社会、生命の持続を先導する社会の5つの視点をベースに、例えば、自由になる働き方やわきたつ文化、安心して子育てができる社会、循環する地域経済、カーボンニュートラルな暮らしなど、それぞれに対して具体的なアクション例が取り上げられている。  ここまでるるひょうごビジョン2050について述べてきたが、このビジョンについてこうありたいという姿を示すのはいいが、具体的に伝わってくるものが弱いと私は感じた。  そこで、このひょうごビジョン2050を県民に浸透させ、躍動する兵庫を実現し、ひいては兵庫の魅力の向上につなげることが重要と考えるが、実現するための方法としてどのようにお考えなのかお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  ご指摘のひょうごビジョン2050であるが、これは2001年に策定した21世紀兵庫長期ビジョンの策定から20年、そして、一度改定をしており、その改定からも10年が経過したという2021年度に、社会の変化を踏まえて、改めて明らかにするために策定したというものである。  策定に当たっては約2年半、スタートとしては2019年度であるので、令和元年度から議論を開始して、いわゆるビジョンを語る会であったり、ビジョン出前講座、県民アンケートなどを実施しながら、県民の皆さんとの意見交換を重ねて、県としての方向性を議論してきたというところである。ビジョン策定の目的は、激しい変化の時代の中で私たちがどう進むべきかを共有するということ、そして、その将来像を見据えて、今後何をすべきかということを逆算するバックキャストの思考で施策などに反映していくというものである。  このひょうごビジョン2050では、目指すべき将来像を誰もが希望して生きられる一人ひとりの可能性が広がる、いわゆる躍動する兵庫というものを掲げさせていただき、それを羅針盤にして各種計画の策定、施策の立案を進めてきたというものである。  その象徴的なものが若い世代を応援するという若者・Z世代応援パッケージというもので、若者が望む学びや働き方、暮らし方ができ、議員ご指摘の大変少子化が進んでいる中でも、だからこそ1人ひとりの若者が力を存分に発揮できる環境づくりをしていくということが大事だというふうに考えている。その実現には行政だけではなく、県民の主体的な行動も欠かせないということで、フォーラムであったり出前講座などを実施し、県民への浸透と活動の促進をこれからも図っていきたいというふうに考えている。  自分らしく生きられる兵庫、新しいことに挑戦できる兵庫という県民の思いをもとにしたビジョンの作成を目指すことが兵庫の魅力の向上につながるというふうに考えているので、引き続き県民の皆さんへの周知などをしっかりやっていきたいと考えている。 ○(佐藤良憲委員)  この兵庫ビジョン2050、私も推進状況報告書というのを確認していたが、県政上の位置付けが羅針盤であるとか、策定の指針の中に兵庫の強みである開放性、私が聞いたことのない言葉が幾つか出てきていたり、調査を見ていくと、子育てとか長生きできる社会と何かマイナスの評価が出ていたりと、何か気になるところが幾つかあったが、いろいろな計画あるので、全般的に参考にしていこうかなと思っている。  それでは、最後であるが、兵庫県は財源とか人口規模で関心の高い県民、そして知事、議会、職員、これだけそろっていて、日本を引っ張っていくような県じゃないかなと私は思っていた。今の正直ギクシャクしたような環境というのは、広義に言えば仲間割れしているんじゃないかと、よそから見たらそう見えるんじゃないかと。ですが、全員が兵庫の発展のために働いている。  ここで申し上げたいのは、日本を引っ張っていけるポテンシャルを秘めている兵庫県がこのままでは残念でならんと、私はこのように感じている。とはいえ、谷があれば山がある。私たち維新の会も兵庫のために全力で取り組むと申し上げ、このたびの予算案は概ね理解した。  最後になるが、仕事も趣味も社会の全てに共通することとして、全員が輝くわけではない。輝く人の裏には陰になる人がいる。そういう人のことを考えてあげられることが、我々議会もそうであるし、リーダーの資質ではないかと申し上げ、県民、知事、職員、議会がそれぞれ思いやりと尊重する精神で、明日の兵庫のため、皆様の更なるご活躍を祈念し、質問を終わる。 ○委員長(村岡真夕子)  以上で、佐藤委員の質疑は終わりました  この際、暫時休憩いたします。  再開は午後1時といたします。        午前11時59分休憩 ………………………………………………………        午後0時59分再開 ○委員長(村岡真夕子)  ただいまから予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  小泉弘喜委員。 ○(小泉弘喜委員)  尼崎市選出、公明党の小泉弘喜である。会派を代表して総括質問をさせていただく。  本年は阪神・淡路大震災から30年の節目である。県としても、また我々県議会議員としても、どんなにつらい大変な状況であっても次の世代へのバトンをしっかりと手渡していく、そんな政策を実現できるようにと思いを込めて質問させていただくので、よろしくお願い申し上げる。  それでは初めに、令和7年度当初予算編成についてお伺いする。  知事は、第370回定例会の開会日において、新たな躍動が広がる兵庫 次のステージへとして提案説明をされた。その冒頭で、阪神・淡路大震災から30年の節目であることに触れ、天皇・皇后両陛下ご臨席のもと、1.17のつどい阪神・淡路大震災30年追悼式典が執り行われた旨の報告もあり、知事は、震災30年の節目を迎えた今年、改めて私たちが手にしているバトンの重みに身を引き締め、県民の皆様とともに新しい兵庫づくりを進めていく決意であると述べられた。  また、提案説明の最後に、新しい兵庫づくりに歩む私たちへの力強い応援歌として、しあわせ運べるようにの歌詞を引用し、ふるさとの誇りを胸に、全ての県民の皆様が希望を持って生き生きと暮らし、活躍できる、そんな躍動する兵庫の実現を目指し、一層の力を尽くしていくと決意を述べられた。  昨年3月の文書問題に端を発した県政の混乱は収束していないが、県民の生活を守るためにも、県政を前へと進めていくしかないと、決意を新たにしたところである。  さて、令和7年度当初予算編成だが、1、誰も取り残さない安全・安心な兵庫、2、若者が輝く兵庫、3、活力がわきあがる兵庫を3本柱とし、それを支える県政運営基盤の構築を重点に編成された。この3本柱の中には、我々公明党が知事に要望させていただいた多くの要望事項も盛り込んでいただいた。  そこで、齋藤知事が目指す躍動する兵庫、新たな躍動が広がる兵庫を次のステージへ進めるための令和7年度当初予算編成に込められた思いと、その決意についてお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  先般の選挙においては、県民の皆様から県政を、しっかり政策、予算などを前に進めてほしいという多くの言葉をいただいた。各会派からの予算申入れも踏まえ、2期目の羅針盤となる令和7年度当初予算案は、新たな躍動が広がる兵庫の実現を目指し、編成させていただいた。  編成に当たっては、ご指摘の四つの視点に重点を置いた。まずは、防災・減災対策の強化をはじめ、救急安心センター事業の全県展開や特殊詐欺被害対策、フリースクールなどへの授業料の負担軽減など、安全・安心な兵庫づくりを進めていく。  そして、県立高校の環境整備や不妊治療支援の拡充、産後ケア事業の充実など、若者・Z世代応援パッケージも更に充実させていく。  加えて、万博に向けたひょうごフィールドパビリオンの展開や万博への子供の無料招待など各種施策、課題となっている空き家などの活用促進、そして、先ほども質問が出たが、野生鳥獣被害対策の強化などにも取り組むことで、兵庫に活力を生み出していく。  これらの施策の土台となるのがしっかりとした県政運営基盤である。将来に課題を先送りすることなく、未来志向で解決に取り組む姿勢のもと、分収造林事業などの県政改革の取組も着実に進めていく。  丁寧な対話と謙虚な姿勢を改めて胸に刻み、県政運営に当たっていくということで、県議会はもとより、市や町、県職員、そして県民の皆さんと真摯に議論や対話を重ね、信頼関係を構築し、兵庫の未来を切り開いていきたいと考えている。 ○(小泉弘喜委員)  コメントをさせていただく。
     1月21日には我が会派として緊急要望も、申入れも知事にさせていただいた。その中身でも、帯状疱疹ワクチン接種補助事業は、国の定期接種化の65歳以上というところから、今年度やっていただいている事業が50歳からということもあるので、この範囲に入ってこない方への対応ということで要望させていただいて、受入もしていただいたということで、評価させていただいている。  また、先ほど特殊詐欺の話もいただいた。特殊詐欺でも、リスクの高い独居高齢者の方に対しての機器等の設置の推進というところも要望させていただいているし、また、幼稚園等における安心・安全の確保として、現場のニーズを踏まえての防犯カメラの設置、緊急修繕対応の支援を行うということで要望もさせていただいた。  また、農水系の話もさせていただいているが、そういったご意見、2月補正も含めて、来年度予算の中に計上していただいているということを大変評価をさせていただいている。今後もこの県政、前に前にしっかりと進んでいけるように頑張っていきたいと私も決意しているので、何とぞよろしくお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただく。  二つ目の質問である。  公益通報者を保護する体制の整備についてである。  今回の文書問題における県の対応において、公益通報の認識がない状況で調査や処分が行われた。文書問題調査特別委員会の報告書では、「県行政・県組織の不正行為や違法行為に関する告発に対しては、常に公益通報の可能性を念頭に対応すること」や、「指針第4に掲げる内部公益通報対応体制の整備は当然のことながら、外部公益通報に対応できる体制づくりを進める必要がある。」と提言している。  文書問題調査特別委員会の証人尋問で、兵庫県の職員公益通報窓口である県政改革課を統括する当時の稲木財務部長に対して、公益通報者保護法の法定指針で定める通報者に対する不利益取扱の禁止や範囲外共有、通報者探索の防止措置に関する規定に基づく役割を担うのは財務部であるのかどうかの確認が行われているが、財務部は職員からの内部通報担当のみであり、外部通報に対する体制云々というのは財務部の所管ではないという趣旨の証言をしておられる。  このことから、法定指針で定める体制整備義務に違反していると言え、昨年3月時点で公益通報者保護法に基づく指針第4の2の公益通報者を保護する体制の整備で求める措置が取られていれば、県の対応は異なったものになったかもしれない。  つまり、3号通報に対応する防止措置があれば、指針第4の2(1)の不利益な取扱を防ぐための措置や(2)の通報者の探索を行うことを防ぐための措置が取られることで、今回の文書問題のような対応に一定の歯止めをかけることができる。  文書問題調査特別委員会報告書でも指摘されているとおり、公益通報者保護法に基づく指針第4の2の公益通報者を保護する体制の整備を早急に行う必要があると考えるが、当局のご所見をお伺いする。 ○知事(齋藤元彦)  公益通報制度の適切な運用は、県民生活の安全・安心の確保に資するものである。文書問題調査特別委員会からもご指摘いただいたとおり、制度維持の根幹に関わる中で、公益通報者の保護というものは極めて重要であると認識している。  ご指摘の3号通報に対する体制整備について、現行制度における他都道府県などの取組状況などを参考にしながら、今回、国会で法改正が行われており、法案についての上程がされて、今議論されているところである。  その法案の内容、そしてその後の指針の改定など、消費者庁の今後の動向を注視しながら、それらを踏まえ、新制度に沿った適切な対応をしていきたいと考えている。 ○(小泉弘喜委員)  国の法改正が必要だというところもあり、なかなか県として今動けることが少ないのかなというご答弁だったのかなと思う。  通報者の保護は極めて重要であるという認識は、知事のお言葉でもいただいたし、この2号・3号通報に対してもしっかり体制整備をしていくべきである。  本来であればもう少し早くできるのも大事だったのではないかなとは思うが、今ここで恐らく再質問等させていただいたとしても、突っ込んだようなお話というのはなかなかできないのかなと考えるので、コメントで終わらせていただく。  全てにおいて、県民の皆さん、職員の皆さんも含めて、我々も含めてだが、兵庫県にお住まいの皆さんが、こうした事態になったときに、自分が困った状況になったときに通報ができる、そして安心・安全を確保していただけるような、そういった制度を今後も構築していかないといけないと思うので、そこに関しては我々も知事と同じ意見なのかなと思う。そこは今後も議論を重ねて、皆さんが納得できるような形にできるようにしていきたいと思うので、よろしくお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただく。  三つ目の質問は、県内企業の外国人材の獲得と定着に向けた取組についてお伺いする。  兵庫労働局によると、令和6年10月末時点で外国人を雇用する事業所数は1万1,235ヵ所で、前年同月末から923ヵ所増加、外国人労働者は6万6,165人で、前年同月末から8,790人増加している。国籍別では、ベトナムが全体の約4割を占めている。今後ますます県内での外国人材は増えるとともに、その必要性や重要性が一段と高まると考えられる。  内閣府の企業の外国人雇用に関する分析によると、企業が外国人材に対して、日本語能力に問題があるが29.5%、日本人社員とのコミュニケーションに不安があるが19.5%と、課題を挙げる割合が特に高い点が指摘されている。  また、高度外国人材については、業務上のコミュニケーションが容易となるような職場環境の整備や、技能に応じた能力主義的な制度の導入が効果的である可能性が示唆されている。  一方で、新卒留学生の場合には、職場環境の整備のほかに、日本語教育のような基礎的能力を底上げする人材育成を手厚く実施することが定着率の向上に資する可能性があるとされている。  さらに、外国人雇用の課題として日本語能力が上げられているが、企業の行う日本語研修については、技能実習生を除けば、あまり行われていないことが指摘されている。  県では、外国人材の獲得に向け、来年度、外国人雇用企業認定制度の創設や、ベトナム国内での理工系学生を対象にした外国人採用ジョブフェアの開催など、県内企業への積極的な支援を予定されており、これらの事業が外国人材の獲得につながることを大いに期待している。  一方で、先ほど触れた外国人雇用の課題である企業での日本語に関する研修や職場環境の整備に対する支援も必要ではないかと考えるが、こうした課題に対する当局のご所見についてお伺いする。 ○産業労働部長(原田剛治)  外国人が経済の重要な担い手として期待される中で、企業にとって外国人の獲得は喫緊の課題であり、外国人が安心して就職・定着できる環境整備が欠かせない。  これまで県では、外国人を雇用する企業、また県内に就職を目指す留学生向けの支援として、相談窓口の設置、合同企業説明会によるマッチングなどを行ってきた。  今年度実施した人手不足対策を検討した会議の中では、外国人労働者の日本語でのコミュニケーションや労働環境の整備についても議論がなされ、一つには、外国人が安心して企業を選択できる仕組み、そしてもう一つには、働きやすい企業を効果的にPRする仕組みが必要だという意見をいただいた。  これらの意見等を踏まえ、来年度創設する外国人雇用企業認定制度では、日本語学習の支援、安全衛生面や業務マニュアルの多言語化・図示化、キャリア形成支援などを項目として示し、外国人を雇用する企業に自発的な取組を促すとともに、我々としても後押ししていきたいと考えている。  加えて、外国人が安心して働き、地域に定着するには、家族も含む生活支援が欠かせない。来年度、市町や有識者を交えて設置する実務者会議では、地域における課題を整理した上で、日本語学習など、どのような支援が必要か、また効果的かということの検討を進めていきたいと考えている。  引き続き企業や市町と連携しながら、外国人が安心して働き、地域で暮らせる環境整備に努めていく。 ○(小泉弘喜委員)  それでは、コメントをさせていただく。  外国人材の中ではベトナム人の方が多いということもある。私の地元の尼崎市においても、社会増で増えてはいるが、外国人の方が大変多いということで、この前、市長とお話をさせていただいた。  尼崎市の中でも、企業の中では、人材派遣等をされながら、日本語教育をその企業内でして、また不動産のこともしているような企業さんもいらっしゃるので、そういう方たちとも交流をして、今後、外国人材の皆様にどういったことをしていただくのかというのは見ていくのも大事だなと、私個人としてはさせていただいている。  こうした企業はまだいいのだが、そうでない企業、自社でなかなかこういった日本語教育等が難しいという場合もやはりあるし、そういった場合、コミュニケーションが難しい場合、外国人の方が孤立してしまうであったり、日本語ができないがゆえにコミュニケーションから外れて、地域の方ともちゃんとコミュニケーションが取れないということで、逆に自国の方と固まってしまって、日本人の方からしたら、その集団を見ることで少し恐怖を感じるだとかという、本来とはまた違う形になってしまうこともあるかと思う。  ご家族の方も行く行くは来てもらえるようにというお話もあったが、そのためには、今日本に来ていただいている方々にしっかりと、日本語の教育も含めて、していただくということがやはり大事だなと思う。  また、認定企業を募られて、100社というふうにお聞きしているが、現状把握も含めて、調査を今後もされていくのだろうなと思う。先ほどもお伝えしたが、しっかりと現場の声を聞いていただいて、先ほど私の質問の中でも入れたが、そうした日本語教育等々、こうしたことにもしっかりと支援をしていくということが大事ではないかと思う。来年度のこの事業を先駆けに、しっかりと体制を強化していただきたいと思うので、よろしくお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただく。  続いては、在宅介護サービス向上に向けた取組についてお伺いする。  我が会派では長年、訪問介護員などの介護人材の確保の推進と併せて、在宅医療・介護を支えるサービスの確保として、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス、小規模多機能型居宅介護サービス、訪問看護などの在宅医療・介護を可能とするサービスが全市町で実施できるように支援することを来年度当初予算編成に対する申入れ書に盛り込み、知事に要望を続けているところである。  このたび、県は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の参入支援について、補助基準額、負担割合等を見直す一方で、対象事業者等を拡充した新たなスキームにより支援するため、24時間対応在宅介護サービス参入促進事業を予算計上されている。  主な支援スキームの変更点として、1.看護小規模多機能型居宅介護を対象事業者に追加、2.提携事業所業務委託費やサテライトオフィス賃借料を対象経費に追加、3.補助基準額の見直し、4.事業者負担の設定、負担割合の見直しの4点を上げておられる。  我々が訪問介護等の課題を現場からお聞きする中で、問題視しているのが、都市部と中山間地域等でのサービス提供に要する費用の差である。  一方で、中山間地域等では、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算及び中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を取得できるが、今後も国のほうで報酬改定等による影響を十分に調査・検証し、現場の負担や保険料、利用者負担への影響なども考慮して、丁寧に検討されるかと思う。  そこで、本事業を行うことになった経緯と期待される効果をどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いする。 ○福祉部長(岡田英樹)  県では、高齢化の進展に伴い増加する在宅介護ニーズに対応するため、平成27年度から全国初となる定期巡回・随時対応型訪問介護看護への事業所参入支援や運営費支援を実施してきた。  このたび、この事業の財源として活用してきた地域創生基金の介護分が底をつく見込みであること、また、県内各市町の在宅介護サービスの整備状況、また市町や事業所の意向などを踏まえ、今後の当該事業の在り方を検討してきた。  その結果、今後更に増加が見込まれる在宅介護サービスのニーズに対応するため、看護小規模多機能型居宅介護といったサービスを新たに補助対象に加え、一般財源を活用した新たなスキームで在宅介護サービス参入促進事業を実施することとしたものである。  見直しに当たっては、今後はやはり事業者へも一定の負担を求めることとし、補助基準額を見直したほか、中山間地域での参入を想定し、提携事業所への業務委託費やサテライトオフィスの賃借料を補助対象に追加するとともに、運営費の補助率に差を設けるなどした。  また、これとは別に、訪問系の介護サービスに従事するために必要な介護職員初任者研修というものがある。これについて、新たに但馬、丹波などの地方部での開催経費を支援することとしている。これらと併せて、中山間地域を含め、県下全域で在宅介護サービスが広がっていくことを期待しているところである。 ○(小泉弘喜委員)  再質問させていただく。  概ねご説明いただいたので理解はしているが、事業者に対する負担の導入というところで、そこは大事な部分なのだろうが、事業者に対する負担の導入、また見直しというところで、現場の方々からはどのようなご意見があったのか。要は、そういったヒアリングというのはどのようにされているのかというのを教えていただければありがたい。 ○福祉部長(岡田英樹)  委員おっしゃっていただいたように、今回の事業の見直しに当たっては、実際、事業を行う市町、それと事業者の意見聴取をしっかりさせていただいた。それで、限られた財源の中で行政も事業をする中で、一定の負担が生じるのは致し方ないなというご意見も頂戴し、それなら、県としても一定見直しながら継続していけるということで、今回新たなスキームで実施をさせていただくこととしたものである。 ○(小泉弘喜委員)  では、コメントさせていただく。  我々も長年ずっと要望をさせていただいて、この事業をしていただいているのが都道府県の中で兵庫県だけだとお聞きしている。我々しっかり要望させていただいて、その事業を継続していただくために、事業者負担も致し方ないというところでのお話なのかなと思う。  だからといって、そうでない事業者の方もいらっしゃる可能性というのも含めて、事業者負担をどこまで減らせるのかというところも、事業を継続しながら負担も減らしていくというところを目指していかないといけないのではないかなと思うので、そこは要望とさせていただきながら、また我々も様々研究等させていただきたいと思うので、よろしくお願いする。  それでは、次の質問に移らせていただく。  五つ目の質問は、公共事業予算の確保についてお伺いする。  近年、豪雨災害が激甚化、頻発化し、また、今年に入ってから南海トラフ地震の30年以内の発生確率が80%程度に引き上げられるなど、巨大地震の切迫性も高まりを見せている。さらに、本年1月28日に埼玉県八潮市で下水道管の破損に起因する道路陥没事故も発生する等、インフラの老朽化に対する懸念が高まっている。  このため、自然災害による被害を最小限に抑えるための事前防災対策や、進行するインフラの老朽化対策等を行うことにより、県民の安全・安心な生活を確保することがこれまで以上に求められてきている。  災害発生時の救援ルートの確保や応急工事等を担う地元建設企業は、社会インフラを支える地域の守り手であり、その役割を持続していくためにも、必要な予算を確保した上で、事前防災対策や老朽化対策等を進めることが重要である。  そこで、公共事業予算を確保し、今後、事前防災対策や老朽化対策をどのように進めていかれるのか、当局のご所見をお伺いする。 ○副知事(服部洋平)  気候変動による豪雨災害の激甚化・頻発化、南海トラフ地震の発生リスクの高まり、また、インフラの老朽化問題が深刻化する中で、県民の安全・安心を確保するためには、ご指摘のあった事前防災対策と老朽化対策を着実に進める必要があると考えている。  まず、事前防災対策であるが、豪雨災害対策として、河川整備計画に基づく武庫川の河川改修や、河川堆積土砂撤去等を、また、高潮対策として、西宮市枝川町等の海岸防潮堤のかさ上げ等を、そして、土砂災害対策として、危険度の高いレッド区域を中心とした砂防堰堤整備等を進める。  地震対策としては、橋梁の耐震補強や道路斜面の落石防止など、緊急輸送道路の機能強化を推進する。  老朽化対策では、インフラ・メンテナンス10箇年計画に基づき、橋梁修繕や排水機場の大規模更新等に計画的、効率的に取り組んでいく。  また、ご指摘のあったさきの埼玉県の道路陥没事故を踏まえ、下水道管路について速やかに調査と緊急修繕等を行った上で、重大な欠陥が生じないよう、計画的な改築・更新を図る。さらに、能登半島地震において顕在化した上下水道の一体的な管理に向けた体制の強化等についても検討する。  これらの対策の推進には、安定的かつ十分な予算の確保が重要であり、国土強靱化実施中期計画に十分な事業規模が反映されるよう、国に強く働きかけていく。また、地元建設企業がこれからも継続して地域の守り手としての役割を発揮していただけるよう、受注機会の確保に加え、担い手の確保やDXによる生産性の向上など、建設業界が直面する課題に対しても真摯に対応していく。 ○(小泉弘喜委員)  コメントさせていただく。  下水管の調査等もしていただいているというところで、国でも八潮市の事例を挙げて、国の通達も2月にあったかと思う。報告という形であれだが、必要な箇所において、兵庫県では猪名川、武庫川の下流で調査をしていただいたと聞いているし、記者会見もされていたかと思う。  その中で、目視と、また専用車による路面下の空洞調査ということもしていただいて、そこは県民の皆様の不安を払拭できるような形でできているのかなと思うし、国土交通省、中野大臣も含めて、国、県、市でしっかりと連携をしていかなくてはいけないということで、しっかりとここはされていると。二度と八潮市のようなことが兵庫県であってはいけないと思うので、そこはしっかりと調査、管理等をしていただきたいなと思う。事前防災とか、また老朽化というものを日々調査をしていきながら、検査をしていただきながら、県民の皆様の不安をとにかく払拭しようということで、重ねての話になるが、県民の皆様の安全・安心のために尽力していただきたいと思うので、よろしくお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただく。  続いて、6問目である。  風水害から県民を守る河道対策の取組についてお伺いする。  全国各地で台風や線状降水帯が発生し、風水害が頻発していることから、河道対策の加速化が必要である。本県でも、昨年の台風第10号が8月31日土曜日午前中に最も接近し、播磨南西部や淡路島で降り始めからの降水量が200ミリ超えの大雨を記録した。29日には、淡路島で線状降水帯の発生により、顕著な大雨による兵庫県気象情報を県内で初めて発表された。佐用町、南あわじ市では、人家等裏ののり面の崩壊が発生している。  県は、平成30年度から防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の予算を、そして令和3年度からは防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を活用し、河道対策は一定程度加速されたと評価をしているところである。  ただ、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策の予算については、令和7年度までである。この河道対策は令和8年度以降もペースを落とすことなく進めていかなければいけない。  私の地元でもある武庫川だが、この地域は人口も多く、平成27年の水防法改正を踏まえて、平成30年度に兵庫県が尼崎市域を含む武庫川に係る浸水想定区域を発表されたが、尼崎市の約半分が被害に遭う想定となっているため、河道対策を強力に進める必要がある。  そこで、本県において、県民の安全・安心を確保する河道対策を今後どのように進めるのか、当局のご所見をお伺いする。 ○土木部長(上田浩嗣)  県では、浸水被害から県民の命と生活を守るため、全国初の総合治水条例を平成24年に制定し、流域全体でながす、ためる、そなえるを3本柱とする総合治水の取組を推進している。  「ながす」に当たる河道対策では、川幅を広げる河道拡幅や、河川内の川底や高水敷を掘削する河道掘削により流下断面を拡大させる。豪雨等による増水等による河川水位を低下させる大きな効果があり、着実に進める必要がある。  河道対策では、上流側だけを改修すると下流側の洪水リスクが増大するため、下流側から順次改修を進めることを基本としている。現在事業中の武庫川でも、河口からJR東海道線までの築堤区間において、河口から上流に向かって順次、河道掘削による流下断面の拡大に取り組んでいる。令和7年度には本格的に潮止堰の撤去に着手し、令和12年度の完成予定を3年前倒し、令和9年度の完成を目指していく。  今後とも、県土全体の治水安全度向上に向け、通常予算に加え、国土強靱化予算を確保し、風水害から県民を守る河道対策に着実に取り組んでいくので、どうぞよろしくお願いする。 ○(小泉弘喜委員)  再質問させていただく。  令和7年度までの加速化対策の中でしっかりしていただくと。恐らくここにも尼崎市の選出の議員はいるが、半分以上つかると言ったが、恐らくみんな被害に遭うのかなと思う。尼崎だけに、武庫川に特化した話ではないが、令和8年度以降もしっかりと加速化していく、しっかりとフォローしていくためには、国の新たな対策のそういった交付金が大変大事になってくるのではないかなと思う。  そうしたときに、国に要望も恐らくされると思うが、今、喫緊の課題であるところもお話しはいただいたが、国に要望等をされる、国がしっかりとそこに応えてくれるような対策として、何か考えてらっしゃることがあれば、抽象的過ぎるか。もしよろしければ教えていただければと思う。 ○土木部長(上田浩嗣)  防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の次期の計画というのは、実施中期計画の策定を国が進められていると聞いているところである。先日も意見、照会等もあり、これまでの5ヵ年15兆円を上回る規模でというようなことも兵庫県として要望させてもらったところである。  それについては、いかにこの効果を分かりやすく示すかというようなことを求められているかと思うので、そこを分かりやすく国にも訴えていきたいと考えている。先生方におかれても、様々な事例があれば、また我々に提供いただくようよろしくお願いする。 ○(小泉弘喜委員)  国、県でしっかりと連携もしていかないといけないということで。  とにかく、どのような事業をすればどのような効果があるというのは、蓄積されたものももちろんあるだろうし、今調査されているところもあると思う。そこもしっかり国にも要望していただいて、国からも資金等々の支援が来るような形で、兵庫県の安全・安心が守られればいいなと思っているので、何とぞよろしくお願い申し上げ、次の質問に移らせていただく。  それでは、7問目である。  阪神・淡路大震災の教訓を生かした具体的施策についてお伺いする。  知事は、今定例会での提案説明の際、阪神・淡路大震災30年ということで、冒頭に人命救助等に当たられた消防隊員の震災直後の言葉を紹介し、想像をはるかに超えた災害に直面しながらも、決して心が折れることはなかった。そこに生まれたのは、同じ悲しみを繰り返してはならないとの固い決意であると述べられた。  恐らくこうした思いも込められて、県では、能登半島地震で死者の約9割が家屋倒壊による圧死や窒息死と推定されることから、比較的に低コストで実施できるシェルター工事等の補助メニューを拡充するため、令和7年度当初予算において約7,880万円の予算を計上されている。  今予算委員会で、危機管理部に対し、我が会派の伊藤勝正議員より、阪神・淡路大震災の犠牲者の4分の3が家屋倒壊などによる圧死により、約1割が生き埋め状態のまま焼死により亡くなられたと当時の死因を述べた上で、復電火災を防ぐ感震ブレーカーの普及に触れ、阪神・淡路大震災の教訓を生かした施策についての質問があったが、昨年の能登半島地震で起きた石川県輪島市の大規模火災は、電気機器や電気関係の配線などが発火する電気火災が原因とも言われ、住宅や店舗約240棟が焼損する甚大な被害をもたらしている。  なお、大地震における出火原因のうち、電気関係が原因となった割合は、阪神・淡路大震災で61%、東日本大震災で54%を占めている。大規模地震では、まず身の安全確保が最優先とされているが、その後、電力供給が再開したときに火災が発生する復電火災を防ぐ対策が急務と考える。  知事は、提案説明の中で、震災の経験と教訓を生かして、防災力の強化に力を注いできた。来るべき災害に立ち向かい、安全・安心な社会をつくり上げる挑戦はこれからも揺るぎない方針として貫いていくと決意を述べられている。まさにそのとおりである。来るべき災害に立ち向かうため、あらゆる対策を講じていかなければならない。  そこで、二度と家屋倒壊や火災による犠牲者を出さない取組を展開するなど、阪神・淡路大震災の教訓を生かした具体的施策を推進していくべきと考えるが、当局のご所見をお伺いする。 ○防災監(池田頼昭)  震災の経験と教訓を踏まえ、県民自らの防災意識を高め、家屋の耐震化や震災時の火災防止などの自助の取組を促進し、更に共助、公助と併せて、災害における犠牲者を減らすことが大変重要であると考えている。  県では、これまで、こうした自助の取組の重要性について、具体的な取組などをまとめた新ひょうご防災アクション整備し、教材として活用し、県民運動に取り組むとともに、SNSなどを通じて県民に対して発信してきた。  委員ご指摘の感震ブレーカーについては、今年度、国の防災基本計画において、国、地方公共団体の役割として、その普及推進に努めることが新たに記述されたところである。  このため、更なる設置促進に向け、来年度、人と防災未来センターにおけるPRの展示や、電力事業者などと連携した周知活動等について取り組む方向で検討を行っていく。
     また、家屋の倒壊防止に向けては、耐震化促進事業における屋根軽量化工事の要件緩和や、シェルター型工事に対する高齢者世帯への補助額の拡充などを通じて、県民の命を守る住宅の耐震化を促進していく。  また、県内の密集した市街地においては、老朽建築物などの建替や道路などの公共施設整備など、都市の再開発に取り組み、防災性の向上に努めていく。  今後も引き続き、来るべき災害に備えて、県民とともに防災力の強化に取り組み、安全・安心な地域づくりを推進していく。 ○(小泉弘喜委員)  それでは、再質問させていただく。  自助、公助、共助ということで大事だというお話もいただいた。その中で感震ブレーカーのお話もいただいたが、大規模火災が発生している状況で、しかも、最後おっしゃっていたが、住宅密集地になると、全世帯が感震ブレーカーを設置しているなどの対策を取っていないと、地域として対策を講じていかなくてはいけないという部分も多くあると思う。  そうした中で、感震ブレーカーを来年度、人と防災未来センターでPR等もしていただけると。国でも普及を言っていることもあり、そのように対策をしていただくのかなとは思う。来年度それをPRをしていただいた上で、その先というものを多分考えていかれるのかなとは思うが、その一つとして、このPRという部分をどのような形でされていかれるのか。どのような方針でというか、設置をしていただけるようなPRの仕方をしていくのか、ただこういうのがあるという紹介だけのものなのかというのを明確に教えていただけるとありがたいなと思うので、よろしくお願いする。 ○防災監(池田頼昭)  現在、新ひょうご防災アクション、先ほど触れさせていただいたが、その中でも記載をしているが、阪神・淡路大震災における被害の状況等を踏まえて、県民の皆様に災害後の電力回復に伴う火災が起きたという事実をしっかりとお伝えするということと、それから、こういう機材があるという情報の発信、こういう取組があるということをお伝えできればと考えている。  また、電力関係の事業者などとも議論をしながら現在実施をしているところであるが、どのような形で周知をするのがいいのかというのは、実際に現場のご意見なども踏まえながら検討していきたいと考えている。 ○(小泉弘喜委員)  コメントさせていただく。  重要性というのは多分分かっていただいているので、このような形でPR等、しっかりとそうしたものを、大規模火災の恐ろしさというところをしっかりとPRしながら、感震ブレーカー等々、こうした防災設備を普及していけるようにということだと思う。  伊藤勝正委員もおっしゃっていたが、過去このような形で本当に多くの方が大規模火災で亡くなられている。圧死等ももちろんあるが、そこで挟まれて身動き取れない状況で、まだ生きられる状況にあったにもかかわらず、火災が起きてしまって亡くなられるという事態もあったのではないかということでお話もされていた。そういった方をお一人お一人しっかりと救っていけるという、その観点で様々な施策を取っていただいているとは思うが、そうした一つひとつを感震ブレーカー等のこうした普及にしっかりとつなげていかなくてはいけない。  そうなった場合には、PRだけではなくて、何か購入された際の何かしらの支援であったり、これはまだ先の話だと思うので、答弁は求めないが、要望として、様々な見える形でしっかりと、その方々にしっかりと設置もしていただける、こういった施策が今後必要ではないかと考えている。  今後も議論を深めて、しっかりと一人ひとり誰も取り残さないということで、そうした災害時、明日起こるかもしれないので、そこは分からないので、早めにしていただいたほうがいいと思うので、何とぞよろしくお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただく。  それでは、最後の質問になる。  最後に、フリースクール等に通う児童生徒への経済的支援についてお伺いする。  今定例会の一般質問において、我が会派の島山議員から、不登校児童生徒に対する経済的支援についての質問内で、フリースクール等民間施設へ通う児童生徒への支援事業から神戸市が外されていることについて言及した。  藤原教育長から、平成29年度から学級編成基準や教職員定数等の決定権限及びその給与負担に係る税財源が政令市に移譲されたことで、義務教育に係る全ての権限が移譲されたことを踏まえ、神戸市は対象とならない旨の答弁があったところである。  フリースクール等の民間施設に通う児童生徒数は、文科省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)によると、不登校児童生徒数が兵庫県の小学校では、兵庫県5,912人、神戸市1,812人、中学校では、兵庫県9,937人、神戸市2,902人である。  また、文科省の不登校児童生徒の実態調査(令和2年度)によると、不登校児童生徒のうち、フリースクール等の民間施設の利用率が小学校11.9%、中学校11%であるとの調査がある。  それぞれ調査年度が異なるため、正確な数は出せないが、仮に令和5年度と令和2年度の調査をもとに県内のフリースクール等の民間施設に通う児童生徒数を推計すると、県内のフリースクールに通う児童生徒の約3割が神戸市の児童生徒の可能性がある。これらの児童生徒に対する支援も大変重要と考える。  本事業は、県ガイドラインを踏まえたフリースクール等に通う児童生徒の家庭に対して民間施設での授業料等を支援する市町に対して、県2分の1、市町2分の1の負担割合で、月額1万円を上限に支援としている。  県ガイドラインに準じたフリースクール等の民間施設が何ヵ所あるのか、兵庫県全体のフリースクール等の民間施設に通う児童生徒のうち神戸市の児童生徒がどれだけいるのか、実態調査をした上で、本事業に神戸市を対象に加えることを検討するとともに、改めて、神戸市にも本事業の協力を求めるべきではないかと考えるが、当局のご所見をお伺いする。 ○教育長(藤原俊平)  フリースクールへの支援についてである。  フリースクール等民間施設への支援については、県としては、教育機会確保法の趣旨を踏まえ、今後もフリースクール等民間施設に通う児童生徒数の増加が見込まれ、家庭への経済的支援が喫緊の課題であること、また、今年度から県下の3市町、尼崎市、明石市、稲美町が独自に先行実施していること、また、これまでの県議会からのご要望も踏まえ、今年度に入り、不登校対策プロジェクト全県推進協議会や市町とも精力的に意見交換を重ね、このたび予算化することとしたものである。  神戸市については、ご指摘のとおり、答弁させていただいているが、既に政令市に対しては義務教育に係る全ての権限が移譲されており、神戸市の権限による人員配置により、地域や学校の特色・課題に応じた教育施策が展開できる環境が整っている。このたびの教育機会確保法の法の趣旨を踏まえた対応についても同様ではないかと考えている。  このため、既に神戸市では、今年度から全小中学校への校内サポートルーム支援員の配置や、来年度からは学びの多様化学校の設置など、神戸市単独での不登校施策が展開されている。今回のフリースクール等への支援についても、神戸市の庁内で議論されたとも聞いている。  ご指摘のフリースクール等へ通う神戸市の児童生徒の割合については、令和5年度、国の問題行動調査を踏まえると、ご指摘のとおり、約3割と見込まれる。このことも参考に、フリースクール等へ通う神戸市の児童生徒数や利用する民間施設の調査も含め、神戸市の教育施策の中で対応されるべきと認識している。  先般の神戸市議会の予算特別委員会でのフリースクール等への支援についての質問に対し、神戸市教育委員会では、国の動向、他都市の具体的な実施状況を調査して、望ましい支援の在り方について検討していくと、その旨ご答弁されておられるので、今後の事業化について、ぜひ期待していきたいと思う。  今後とも、県施策について丁寧に情報提供しつつ、神戸市とも情報共有しながら、不登校対策の充実を図っていく。 ○(小泉弘喜委員)  コメントの後に再質問をさせていただきたいと思う。できれば知事にお答えいただきたいと思う。  知事が提案説明の中で、震災の話の中で、「くやんでいても明日は見えてこない はばたいてみないと幸せはやってこない 友よいっしょに 夢の続きを描いていこう 希望よ広がれ 夢よふくらめ 朗らかな街に栄えあれ」ということで、当時、30年前、被災地の児童が詠んだ歌の中の一節を紹介されており、絶望の中にあっても顔を上げ、未来に向かおうとする力強さに胸を打たれたということでお話をされている。  今お話ししたのは震災の話だが、フリースクールに通う児童生徒にも当てはまるのではないかなと。大変苦しい中で不登校になってしまう。そして、どうにか光を、未来を見据えようとしてフリースクールに通われているという方々も多くいらっしゃるのではないかと思っている。  次の時代を担う若い世代が、自らの可能性を広げ、夢に向かって、もしくは夢を見付けるためにフリースクールに通われているということで、それは兵庫県下41市町の全てのフリースクールに通う児童生徒が対象になるべきだと私は思う。  そこで、知事、若者・Z世代応援パッケージ等々、こうした若者に対する、子供に対する支援たくさんしていただいているが、知事の思いの中で、この事業に対してどのような展開を求めているのか、教えていただければと思う。 ○知事(齋藤元彦)  不登校対策は本当に大事なことだと考えている。これは県下の市や町とともにしっかり連携してやっていくということが大事だと考えている。  神戸市との関係で言うと、先ほど教育長が答弁されたとおりだと私としても今考えている。  今回、不登校児童生徒支援員の配置についても、これは県の補助がない中でも、神戸市が単独で小・中の配置について、久元市長含めて、予算の大きな判断をいただいて、やっていただいたということであるので、フリースクールの支援についても、基本的には神戸市と神戸市教育委員会で予算措置をされるかということをきちっと判断していくということが大事だと思っているし、その中で、兵庫県としてもしっかり連携しながらやっていくということは大事だと考えている。 ○(小泉弘喜委員)  コメントで終わらせていただく。  フリースクールに通うお子さんをお一人お一人守っていく、そして、そのご家族の方の経済的支援をしっかりしていくということは大事だということは、皆さん共通だと思う。そこでしっかりと神戸市とも連携をしていただいて、我々としては、神戸市も外すことなく実現していただきたいなと要望させていただく。  とにかく兵庫県の県政をしっかりと前に進めていくために、我々もしっかりと頑張って尽力していくので、何とぞよろしくお願いを申し上げ、私の質問とさせていただく。本日はありがとうございました。 ○委員長(村岡真夕子)  以上で、小泉委員の質疑は終わりました。  次に、前田ともき委員。 ○(前田ともき委員)  まず一つ目が、県民割引と外国人料金の設定についてお伺いする。  物価上昇を考慮し、各部局から10%ほどの使用料の値上げが上程されている。しかし、公営サービスは利用収入だけでは初期・ランニング費用を賄うことはできず、県民の税金を投入している。そもそもが低過ぎるのであり、大幅値上げをした上で、県民割で料金を調整すべきである。  これまで私は、粒子線治療では外国人向けに大幅値上げをせよ、グランドニッコー淡路では逆に県民割で還元せよ、ピッコロシアターの大ホール2万2,000円は安過ぎるなど申し上げてきた。  国民と外国人で料金を分ける事例は多くあり、例えばトプカプ宮殿は国民1,200円に対して外国人は7,000円、アンコールワットは国民無料で外国人は5,400円。日本の文化財入場料は平均593円に対し、世界平均は1,891円と、安過ぎる。県立美術館はいかがか。市民病院も市民とそれ以外で個室料を分ける事例は多くある。現在の利用料は原価を割る水準であり、県外の人はその分を負担すべきだ。  様々な利用料、行政サービス料は、定価を大幅に引き上げた上で、現行料金程度まで県民割を導入し、県民と外国人、県外で分ける必要があると考えるが、いかがか。 ○財務部長(中之薗善明)  使用料、手数料については、特定の行政サービスを利用される方が、その受益の範囲内で対価を負担いただくものであり、受益者負担の原則の観点から、利用者に適正な負担を求めているものである。  このうち、公の施設については、住民の福祉を増進することを目的に設置されているという趣旨を踏まえて、施設使用料、観覧料については、利用者の利便性や利用促進を図る観点から、いわゆる相場価格としての近隣他団体の類似施設の料金を基準に設定している。  県立施設等は、ご指摘のとおり、県税を投入して設置・運営している施設であることから、ご指摘のとおり、県外利用者の料金を高く設定するという考え方は一定合理性があると考える。その場合、施設等の利用者が減少し、結果として減収につながるおそれもある。慎重な判断が必要である。  県では、唯一、県立総合射撃場において、県内の狩猟者について、レジャー目的の県外利用者より安い料金設定をしているが、これは狩猟者の確保・育成という政策上の配慮によるものである。  また、外国人向けについては、姫路市が姫路城のオーバーツーリズム対策の一環として、外国人料金の設定を検討されている。  本県においても、同様の事象が生じた場合や、外国人観光客向けの環境整備など新たな財政需要が生じる場合には、導入も視野に入れて研究していきたいと考えている。 ○(前田ともき委員)  料金を上げて利用料が減るかもしれないという話があったが、そもそもが明らかに原価割れの水準で、非常に安過ぎると。加えて、住民の福祉のためという話もあったが、住民以外の人が利用している中で、それは適切な料金を取っていただかないと、僕らは納税者としても納得がいかない。  したがって、料金の最適化というのは、県民と県外、外国人でお金をしっかりと分けていただきたい。そのように、今後の課題として、一旦今回は物価上昇率で10%上げるが、それ以外についてもしっかりと、物価上昇率以外についても考えていただきたいと思う。  次の質問、嫌われる勇気とやめる勇気である。  2020年2月、私は本会議で井戸知事に嫌われる勇気を問うた。要旨は、日本は成長から成熟の時代。あれもこれもから、あれかこれか。事業や箱を廃止すると反対。あっちに遠慮、こっちに配慮が強いられる政治家。多選知事の最後の役割、それは嫌われ役、泥をかぶることである。議会や県民に嫌われても反対されてもやりたいことは何であるかという問いかけだった。期待以下の答弁だった。  初当選の齋藤知事には、1期目から嫌われる勇気を発揮せよ、ゼロベースでどんどん改革を進めていただきたいとエールを送った。期待以上の嫌われる勇気だった。  今回はやめる勇気を問う。予算委員会では様々なやめるべき事業を提案してきた。県民だよりひょうごの毎月発行をやめるで年1.3億円の支出削減、公営掲示板数を3割やめるで1サイクル2.5億円の削減、高校プールをやめるで200億円以上の更新費用の削減、長田楠日尾線をやめるで数十億円の収入、無駄な計画行政をやめるで仕事の負担減、フェニックス共済をやめるでテールリスクの減、高規格、好立地な県営住宅をやめるで前田の支持率減など、有権者には嫌われる施策も多々ある。改革派知事をうたうなら、これら事業をやめる勇気を持つべきである。  再選後、知事は議会との対話を図る、政策を前に進めるとよくおっしゃる。その一番分かりやすい対話の形は、今回の本会議や予算委員会での各議員の政策を反映した予算修正案を知事案で提出することではないか。知事のやめる勇気を問う。 ○知事(齋藤元彦)  二元代表制の一翼を担う議会と知事は、車の両輪となり、県民の期待に応える県政を推進していくことが重要だと考えている。今定例会においても多くのご提案をいただき、活発に政策議論ができたと捉えている。こうした議論は議会と知事のあるべき姿であり、今後も様々な機会を捉え、こういった議論を深めていきたいと考えている。  ご指摘の事業について、県民だよりひょうごについては、現在のスタイルについて県民の皆様からも一定の評価をいただいているが、デジタル版との適切なバランスというものは今後も検討していくことが大事だと考えている。  長田楠日尾線を含めた公共空間の在り方については、元町のにぎわいづくりの観点からの神戸市との連携も大事だと考えている。  行政計画は、これまで一定の見直しを行っているが、引き続き必要性の検討や見直しも進めていく。  フェニックス共済は、来年度、負担金水準、給付金額など制度全体の在り方について検討を進めていく。  県営住宅は、経済的負担の公平性にも留意しつつ、基準に従い整備を進めていく。  公営掲示板や県立高校のプールの民間委託等については、選挙管理委員会や教育委員会の検討・判断が大事だと考えている。  ご指摘いただいたとおり、これらの事業について、予算案を修正までとは考えていないが、いただいた意見を今後の県政に生かしていく。 ○(前田ともき委員)  もったいないなと思ったのが、フェニックス共済、飯島議員の提案ですごく前向きに行政の側も改善していったと。さきの答弁でも、販促部分については一旦ストップして、流用して別の事業に振り分けることで、実質的な新規の販促をやめるという話だったが、それをするのであれば、もっと分かりやすく、一旦この予算案を今議会中に修正で新規の販促分を止めて、既存のところの繰越しに変えたほうがよかったのではないか、そっちのほうが、議会との対話を進めていくという意味で言うと、分かりやすい結果につながったのかなとも思う。  次の質問、もう1問いく。  手取りを増やせ、県版年収・対象の壁を撤去せよというテーマでお伺いする。  年収の壁が国民的な関心を呼んでいる。他人事ではなく、県レベルでも存在するのである。2020年本会議で所得制限の最適化を提起した。不妊治療や妊孕性温存の所得制限が400万円でありながら、持家耐震改修の所得制限は1,200万円というちぐはぐさ。その後、所得制限はなくなった。  2021年本会議では、ひょうご保育料軽減や不妊治療ペア検査助成などの所得制限の全廃を提言、2023年予算委員会では、県営住宅の所得・入居要件、添付のとおり、夫婦合算で80歳までなら年収503万円以下で入居できるのに、お金のかかる多子は531万円、子育てが大変な父子、母子は436万円だった。翌年是正されたが、生活の実態に合った年収の設定では全くなかった。  全県的な年収の壁の最適化を問題提起した以降も、このように個別に指摘しないと変わらない。多くはタコつぼで起案し、また、国の同種の施策に合わせるなど、県民目線から乖離した設定である。今でも家賃や債務保証料低廉化への支援は、政令月収が15.8万円以下、多子で25.9万円以下というのは、今の物価水準で合理的だろうか。  添付資料のとおり、私立専修学校の授業料支援では、県は年収300万円未満に3分の2支給するのに対し、年収380万円未満は3分の1支給と、大きな壁がある。  対象の壁もある。新婚・子育て世帯向けの優先入居は18歳未満が対象である。短大や専門を含む高等教育機関への進学率は87.3%と、養育費用がかかる現代において、20歳まで拡大すべきではないか。  奨学金返済支援は、県教職員や警察などの公務員も対象にしてはどうか。東京都は半額支援を開始した。  かつて私立高校の授業料補助は大阪や岡山など隣接府県のみが対象で、奈良や滋賀への通学は対象外となっていた。私の提案で翌年拡大されたが、今度は不妊治療で隣接府県に縛る対象の壁である。我々は関西広域連合まで対象拡大を求めている。  年収の壁は他人事、国マターではない。兵庫県にも年収の壁、そして対象の壁があり、少数かもしれないが、制度のはざまで苦しむ人々に光を当てるため、壁の撤去を求めるが、いかがか。 ○財務部長(中之薗善明)  県施策における事業規模や支援水準、所得制限、対象などの制度設計については、各分野の国制度、類似施策との均衡、他団体の状況などを踏まえて、予算編成の段階で決定している。また、施策創設後も、社会経済情勢の変化などを踏まえ、適宜見直しを行っている。  ご指摘の家賃低廉化補助や私立専修学校授業料等減免補助等については、国が所得制限の要件や補助率などを設定しているが、現下の情勢を踏まえ、必要に応じて国へ要件緩和を求めていく。  新婚・子育て世帯向けの優先入居については、高校進学の状況を踏まえて、今年度から、まずは18歳未満の子がいる世帯まで拡大したところであり、まずはその成果を見極め、今後見直しを検討していく。  奨学金返済支援制度は、中小企業の人材確保・定着支援を目的としており、現時点では県職員等の採用の観点からの導入は検討していない。  不妊治療支援は、自宅や職場に近い大阪府の医療機関を受診したいという要望が特に多く、隣接府県までの拡充とした。  財政規律や所得の再配分という観点から、所得制限の撤廃や対象の拡充は、施策の目的等を踏まえて慎重に判断する必要があるが、時代の変化等を踏まえつつ、支援の行き届きづらい方々への対応等にも今後とも意を用い、施策の制度設計を検討していく。 ○(前田ともき委員)  再質問を齋藤知事にお伺いする。  不妊治療の隣接府県に縛る合理性をお伺いしたい。当然、奈良とか滋賀とか、そういう遠くのところに行く人は少ないとは思う。でも、そこにどうしても行かざるを得ない人というのは、多分数人でも、もしかしたらいるかもしれないと。であるならば、一木一草とおっしゃるのであれば、そこも広げていく必要があるのではないか。  予算的にも大した金額ではないし、人数も大したことはない。でも、その制度からこぼれてしまう。都道府県のこだわりは私はどうでもいいと思っているが、大阪で行ったらオーケーなのに奈良に行ったら駄目だというのは、私は納得いかないと思う。これを変えたらどうか。 ○知事(齋藤元彦)  お答えする。  大阪の医療機関に通われている方が大変多くおられて、その方々の要望というものも強くあったので、そこを踏まえて対応させていただいたというところである。  奈良や滋賀に通われている方がおられて、その方々の声があるのであれば、そこは今後は柔軟に対応していくということが大事だと思うし、もし今そういった方がおられるというエビデンスがあるかどうかはまた確認は必要だと思う。議員のほうでそういった声をお伺いしているのであれば、それを届けていただければと思う。 ○(前田ともき委員)  エビデンスという話があったが、そういうところも想定して制度設計していただきたい。金額的に予算がかかるわけでもない。  私学の助成金の話、要は隣接府県に縛っていたというやつも、私が街頭で演説している際に、奈良に通っているお子さんからお声がけをいただいて、魚崎から奈良は1時間かからないが、隣接府県ではないということで、制度のはざまで受けれないということはおかしいという話を受けて、僕はその声を受けて、予算特別委員会か決算特別委員会で申し上げて、翌年すぐ改定されたのである。  五百何十万人の県民がいれば、そういう人々はやはりいるので、予算的にも金額は大きくもないし、特段、都道府県で縛る必要もないのであれば、僕はすぐにこれは変えたほうがいいと思う。これは指摘だけで終わる。  次の質問が、金利上昇・インフレ下の資産管理について伺う。  2023年本会議では、インフレ時代の資産運用について問題提起した。その中で、現預金偏重は駄目、一括運用を外郭団体も含めて行うべき、資金管理委員会は実務のプロを採用し、資金運用方針はアセットクラスを緩和すべきという提案を行った。  その後わずか1年半で、10年物国債は0.7%から1.57%と16年ぶりの水準を付け、物価上昇は昨対比で4%の水準である。市場金利が上昇すると、既存債券の評価額は下落する。2022年に米金利が急上昇した際は、Bloomberg地方債指数は年初来で12%の下落、日銀も債券の評価損を13兆円計上したが、株式評価益33兆円で、ポートフォリオが機能した結果となった。  仮に債券以外のアセットクラスを組み入れていた場合はどうだったのか。債券入替えも行うべきではないか。どのように柔軟かつ効率的に運用を行ってきたのか、お伺いする。  また、外郭団体も含めた複数の基金を個別で運用ではなく、一体的に運用すべきと提案した。フェニックス共済では、134億円の積立資産に対して、運用益は5,145万円、運用利回りはわずか0.38%。さらに、兵庫地域の地震保証をしながら、その資金の運用先が兵庫県債一辺倒というのは、リスク管理がなっていない。関連公社等の資金運用について、指導・助言はどのように行ってきたのか、お伺いする。  また、指針の運用対象の緩和である。私の質問後に開催された資金管理委員会では、金利のある世界になった今、指針の運用対象を緩和して収益性を高めていいのでは、フェニックス共済の運用議事録でも、県が購入実績を示さないと外郭団体では対応できないとあった。
     かつて朝来市などで外債や仕組債で大失敗した事例は承知しているが、運用指針や透明性の向上、ガバナンス強化で対策すればいいのである。  さらには、実務者不足と指摘した委員のメンバーも従来から変わっていない。例えば人材派遣型ふるさと納税で第一生命からマルチアセットクラスのポートフォリオマネージャーを派遣してもらうことや、国東市財務管理専門員の益戸氏を委員とし、調達、運用、ガバナンスの改善を進めるべきと考えるが、いかがか。 ○財務部長(中之薗善明)  基金などの公金については、地方自治法等に基づき、事業執行等に支障が生じないよう、確実かつ効率的に運用しなければならない。  かつて東京都が株式投資を検討した事例もあった。その当時、法の壁を乗り越えられず、実現していない。また、国東市の債券運用については、金利下降局面でのみ有効な手法であり、かつ、同様の手法を試みた他団体での失敗事例も多いと聞いている。  本県の基金運用においては、運用対象を預金、債券に限定し、債券は満期保有を原則としている。本県では、歳計現金の不足が数年前に比べると最近緩和されてきている。こうしたこともあるし、金利が上昇に転じているので、令和5年度以降、本格的に債券運用を再開している。より利回りを期待できる高速道路会社の債券を運用対象に追加するなど、運用の柔軟化にも取り組んでいる。今年度は455億円の新規購入を行い、平均利回りは1.151%である。県債の平均発行利率を上回る利回りを確保している。  次に、関連公社等の資金運用については、研修会や経済セミナーの開催により、運用責任者等の知識やスキルの向上を図った上で、各公社の運用状況を資金管理委員会で確認している。  なお、債券は満期保有が基本である。日々の運用状況を確認する必要はなく、現在の委員構成には合理性があると考えている。  先日、福岡県福津市において、流動性が求められる基金を国債や社債で運用し、評価損を生じる事案が発生した。公金である基金を毀損した場合の責任の所在を含めて、運用手法、商品の選定には慎重さが必要である。  今後も不透明な金利動向が続くと想定されるが、資金管理委員会からの専門的助言もいただきつつ、確実かつ効率的な資金運用に努めていく。 ○(前田ともき委員)  再質問する。  県の基金の保有債券で、ざっくり1,800億円ぐらいあって、それの想定の評価損はどれぐらいで考えていらっしゃるのか。皆さん満期保有と言うが、それは言い訳に近い感じがする。仮に満期保有でお金が返ってきたとしても、違うアセットクラスとか違う債券で投資をしていればもっともうかったにもかかわらず、これに足止めされているというのは、それは実質的な損と考える。  先ほど福岡県の福津市の事例を出されたが、あれも何で投資に失敗したかというと、同じ債券で投資しているのだが、30年債とか40年債とか、長期のデュレーションでこの5年間ぐらいに投資をしていたから、二、三割大失敗した。債券でも失敗するのである。私がガバナンスが大事と言っているのは、債券にアセットクラスを絞っていることも問題だが、その債券の内訳もしっかりと管理していかないといけないという話をしている。  そこで、例えば具体的に言うと、兵庫県の基金で言うと、20年以上の債券で約20.8%、382億円ぐらいあるわけである。多分50億円ぐらい評価損を出していてもおかしくないと思うが、県としてどのように認識しているのか、お伺いする。 ○財務部長(中之薗善明)  先週土曜日、日経新聞に今ご質問のあった趣旨に近いような記事も出たし、今朝の神戸新聞にもそういった記事が出た。基金の保有する債券の評価損というものが一定生じているということが最近金利上昇局面で言われているが、調べてみると、日経新聞からは本県には調査はなかったと聞いており、本県からは回答はしていない。試算もしていない。  今おっしゃったように、満期保有である以上、時価評価を行う必要がないということもあるので、していないわけだが、長期債の割合というのは、今おっしゃったように、20%ぐらいしかないと。平均のデュレーションは比較的短いと考えている。これから金利上昇局面を迎えていくので、今まで現金中心で運用してきたものを、更に有利な、投資対象も少し拡大ぎみに運用し、利回りを上げていきたいと考えている。 ○(前田ともき委員)  先ほど20年以上でシェアが20%という、どうのこうのという話があったが、例えば三井住友銀行とかみずほ銀行の円債のデュレーションは昨年度で1.2年らしいのである。みずほ銀行は0.8年らしい。兵庫県で1年未満のデュレーションはシェア0.3%しかない。私自身も債券の素人であるので、残存期間の割り振りがどれが最適かというのは正直分からない。分からないので、実務のプロを入れていただきたいという話をしているのである。  外郭団体にセミナーや研修会云々とあったが、こういうプロのビジネスというか、債券運用で、数百億、数千億を運用する中で、セミナーをちょろっと聞いて運用できるわけがない。私らがセミナーを受けて、大リーグでホームランを打てない。囲碁も勝てない。それと同じ乗りで、なぜ債券運用を考えないのか。これは全く分からない。  前にも県営住宅の不動産の話もしたが、自分たちが得意なところ、できないことというのをきっちりと認識した上で、できないところは外から引っ張ってくればいいという発想なのである。そこをもう少し謙虚に考えていただきたいと思う。  次、県立病院の経営改革について伺う。  公立病院は政策医療もやっているし、赤字で当たり前という価値観で、収益を上げるべきところ、支出を抑えるべきところで判断が弱くなっていないだろうか。10億円の赤字に苦しむ粒子線センターには、黒字時代から価格設定や集患戦略に警鐘を鳴らし、撤退を申し上げてきた。県立病院の累損は496億円。収支改善に向けて4点の問題提起を行う。  一つ目、選定療養費の在り方。公定価格から離れて、病院独自に値段設定ができるのが選定療養費。紹介状なしで大病院を受診する初診時、緊急性がない患者の夜間・休日受診には時間外など設定できる。2022年には紹介受診重点医療機関も選定療養費の義務対象となった。  法定価格が7,000円であり、県立病院も一律の最低料金である。日本赤十字社医療センターでは1万1,000円、慶応義塾大学病院は9,900円。収支改善と役割明確化のためにも、県立病院はもっと値上げをすべきである。  また、健康福祉常任委員会では、県民割引を創設した上で、差額ベッド代をもっと上げるべきと申し上げた。極端な例にはなるが、東京慈恵医大病院での最高額は1日14万円、NTT関東病院で12.6万円、神戸市立病院では市民と市民以外で料金を分けている。  県民の税金を投入して赤字を補填する。なぜ県外、外国人と同じ料金を支払わなければならないのか、納得がいかない。選定療養費の値上げと差額ベッド代は県民割の導入を求めるが、いかがか。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  初診患者の選定療養費は、200床以上の大病院への外来患者の集中を防止し、患者の待ち時間を短縮するとともに、勤務医の負担増を抑制することを目的として導入された制度である。  料金については、県立病院が国の示す下限額である7,000円を今おっしゃったような形で設定しているのに対し、神戸大学病院では1万3,200円と県内でも差がある。これは、神戸大学病院が高度な研究機能と臨床研修機能を伴う特定機能病院であるため、初診外来患者の過度な集中を防ぐ必要がより高いことを踏まえた合理的な設定料金であると考えている。  全国的に見て、特定機能病院ではない自治体病院は7,000円台に設定されており、県内でも、神戸大学病院、兵庫医科大学病院を除き、7,000円台の設定となっている。さらに、地域によっては、近隣にかかりつけ医がいないなどの事情から、初診料を支払ってでも県立病院を受診せざるを得ない医療環境もあるため、現時点での値上げは考えていない。  差額ベッド代について、ご指摘の慈恵医大病院の特別個室は130平米、NTT関東病院の特別個室は63平米で、いずれもリビングや応接室を備えている。一方で、県立病院の特別室は最大でも30平米で、リビング等もないため、療養環境には大きな差がある。  特別室料の設定については、近隣病院と比較して均衡しているか、やや高めの水準となっている。さらに、価格帯別の利用率を見ると、1万円以下の部屋の利用率が50%であるのに対し、2万円以上の部屋の利用率は30%と、高価格帯になるほど利用率が低下している実態がある。そのため、差額ベッド代を引き上げた場合、収入の増加以上に利用者が減少し、結果として収益が減るおそれもある。  特別室の利用が逼迫し、県民が利用できない状況であれば問題だが、令和5年度の特別室の利用率は約40%と、一定の余裕がある。このため、現時点では差額ベッド代引上げを伴う県民割の導入は考えていない。 ○(前田ともき委員)  次、軽症者による救急車の利用有料化について伺う。  軽症者による安易な救急車の利用で、医療資源、税金が浪費されている。救急出動件数は700万回を突破し、その半数が救急車不要な軽症者とされている。  東京消防庁の救急事業費285億円を年間の出動63万回で割ると、1回4万5,000円の費用、受入病院の負担費用、当直対応の負担は別になる。海外では5万円前後取られる国が多いようである。  県立病院の救急車搬送数は令和5年で3万4,317件で、4.5万円とすると15.4億円、7億円以上の血税や医療資源が浪費されている試算となる。  さらに、救急車の現場到着時間は、20年前6.3分から、2022年には10.3分と大幅に延びている。真に必要な重症患者への対応が遅れ、救える命が救えない状況にもなる。♯7119もあるが、血圧を測ってほしい、タクシー代わりにみたいな人には抑止にならない。  そこで、救急車を利用しても軽症で外来受診が終わった患者に対して選定療養費を徴収する事例が出てきた。松阪市は2024年から初診時選定療養費を準用した仕組みで7,700円、有料化後1ヵ月で救急出動件数が約22%減少するなど、コンビニ受診の削減に成功。自治体主導は全国初で、都道府県初は茨城県が続いている。  仮に1.7万回の軽症患者に有料化で利用が3割減、1万円の選定療養費なら、1.2億円の増収と、現場負担の減少、市町消防部門で2.3億円分の負担減という試算にもなる。  そこで、全ての県立病院で軽症者に対する救急車の有料化を図るべきと考えるが、いかがか。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  軽症者の安易な救急車利用は、病院の救急部門の逼迫を招き、救急医療を必要とする重症患者等への対応が十分にできなくなるという点で、委員同様、私も非常に大きな問題であると考えている。  県立病院においても、過去に救急車利用者からの選定療養費の徴収を検討したが、一つには、軽症か否かの判断を各県立病院の現場で統一することが非常に難しいこと、二つ目には、軽症者の救急車利用は控えねばならないという機運の醸成が十分できていない中で、県立病院単独で実施しても、患者とトラブルが多発し、かえって病院現場が疲弊するおそれがある等の理由から、導入は見送った。  また、軽症者による救急車の安易な利用にはもちろん反対だが、一方で、世間に十分な理解が進んでいない中で救急車利用者への選定療養費の徴収を行うと、本来救急搬送が必要な者までが要請をちゅうちょし、そのことで救える命が失われるといった事態が発生する可能性もある。そういった事態は絶対に避けなければならない。  県では、令和7年度に電話による救急相談や適切な医療機関への案内を行う救急安心センター事業、♯7119の全県展開を進めることにしている。今後は、当該事業により、安易な救急車利用の防止や、その反対に、真に必要な状態のときにはちゅうちょなく救急車を要請できるよう、県民の理解が深まることを期待している。  その上で、選定療養費を導入する際は、先例の茨城県や松阪市と同様、医療圏内全ての救急を担う病院の合意のもとで、面的に導入することが効果的と考えている。 ○(前田ともき委員)  次、保険適用外の点数増について伺う。  公的医療保険は1点10円の全国一律、しかし、保険外では自由に単価を決めることができる。例えば事故で使う自賠責や保険未加入者、外国人が使うときは、10円ではなく、20円以上取る病院もある。さらには、保険では徴収できない消費税も徴収可能で、控除対象外消費税問題は自由診療では解消可能である。  県立病院は、無保険者、外国人を1点12円、自賠責は20円で算定し、消費税は徴収していない。非常に安い、原価割れの料金である。例えば筑波大附属や国立がん研究センター病院は、保険未加入者には30円、消費税も加算している。県の2.75倍の価格。県民の税金で赤字補填されている県立病院が、義務化された保険に加入していない人や外国人に甘くないだろうか。  ちなみに、ニューヨークで虫垂炎で日本人が1日入院すると150万円程度取られるそうである。県立病院は平均で11万円となる。3倍取ってもまだ安い金額である。外国人の受診数はまだ少なくても、在留外国人の数は昨対比5%増の358万人で、今後もこのトレンドは続くため、体制整備が必要である。  未保険者や外国人、自賠責保険に30円、消費税の徴収も行うなど、診療報酬増収に向けた取組をお伺いする。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  神戸大学病院では、海外患者の算定単価を30円に設定している。これは、院内にインターナショナル・メディカル・コミュニケーションセンターを設置し、通訳サービスなどの受入支援に必要なコストを負担しているためである。  今年2月から神戸市民病院機構も海外患者の算定単価を30円に引き上げた。これも神戸市が推進する神戸医療産業都市と連携し、海外患者の積極的な受入を進めるために、相応のコストを負担した上での対応と聞いている。  県立病院では、正確な統計はないが、日本の公的医療保険に未加入の外国人患者は極めて少ないのが現状である。このため、受入体制を整備した上で算定単価を引き上げたとしても、コストに見合う収益の確保は見込めず、公的医療保険に未加入の外国人患者を積極的に受け入れることまでは考えていない。  今後、訪日外国人が更に増加した場合については、まずは神戸大学病院をはじめとする受入体制の整った病院と連携することで対応していく。  なお、自賠責保険は非課税と定められており、その単価は、保険を利用しない場合との均衡を図る必要があることから、県内の他の医療機関と同様、20円としている。  また、既に消費税が含まれている診療報酬以外で、課税対象となる診療については、適切に消費税を徴収している。 ○(前田ともき委員)  再質問する。  外国人については一定の理解をしたが、無保険者については、今の12円で妥当だとお考えなのか。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  無保険者、自費で来られる方である。自費で来られる方は非常に少ない状況であるので、そこについては現在のところ検討していない。 ○(前田ともき委員)  病院局は最後、自由診療への参入について伺う。  保険外の自由診療は広告宣伝費が要らず、既存の医療資源、設備、集患力を転用できるので、収益性向上が期待でき、強化すべき部門と考える。県立こども病院で、赤ちゃんの頭外来なども行われているが、民間提供が少ない先導型だけでなく、収益型も強化すべきである。  広畑病院の視察時には、民間時代に収益部門だった人間ドックや透析などが、県立移行に伴い、廃止させられたとのことである。このような判断では、赤字体質は治らないと考える。  以前も、医療サービス以外に収益部門を持つべきだ、ホスピスはどうかと問題提起した。介護施設への患者紹介も、収益性、業界是正、患者ニーズから期待が持てるのではないか。1人当たりの紹介料は平均21.5万円、患者も自ら最適な施設を見付けることは難しく、横行する紹介ビジネスを適正料金で抑止し、病院、患者、介護施設、納税者の4者両得ではないだろうか。  例えば、国立埼玉病院では、保険で利用しているレーザー機器、重症・難治性の皮膚疾患治療を活用して、ピコスポットやしわなど、自由診療の美容治療に参入。慶応義塾は、加えて、がんゲノム外来やニューロモデュレーションなども行っている。PETやMRIなど既存施設を活用した全身がん検診なども検討すべきと考える。  この話をすると、行政は民業圧迫を気にするが、高年収の開業医や美容外科医の豪奢な生活に対して、政策医療で赤字に苦しむ公立病院がなぜ配慮せねばならないのか、理解に苦しむ。  これらを踏まえて、利益が期待できる自由診療、収益部門の強化をすべきと考えるが、いかがか。 ○病院事業管理者(杉村和朗)  県立病院に求められる役割は、地域の医療機関と連携しながら、県民に対し低廉で良質な医療を提供することである。  そのため、県立病院における自由診療は、基本的に地域の強い要請を受けたものに限られる。頭位性斜頭に対する頭蓋形状誘導療法や先天性代謝異常検査など、保険診療と関連がある診療を、通常診療に支障がない範囲で実施している。  美容医療など保険診療で認められていない特殊な治療を提供する医療機関があるのは事実だが、県立病院がこうした治療を率先して行うことは、利益至上主義と捉えられるおそれがあり、県民の理解が得られないと考えている。  そもそも日本の公的医療制度は国民の社会保険負担によって成り立っており、公的機関である県立病院にはこの制度を守る責務がある。経営状況は厳しいものの、本年度、経営対策委員会で議論を重ねてきた収支改善策に来年度早々から各県立病院と病院局が一丸となって取り組むことで、着実に経営改善を進めていく。 ○(前田ともき委員)  利益至上主義ではないというお話だったが、今回の決算で90億円ぐらいの赤字、平時でも大体30億円とか40億円とか赤字計上する中で、何が何でも収支を改善しようとする、金額が少なくても、仮に批判を受けようとも、そこのPLに対してある程度の責任というか、改善に向けて僕は努力していただきたいと思う。  県立病院のこのままの経営状況だと、持続不可能だ思う。一定の収益部門を持っていただきたいと思うし、最初に申し上げた救急車の有料化についても、♯7119である程度その辺の普及が広まった段階で有料化していく。それだけでも、選定療養費1万円取っても1.2億円の増益である。その辺を一つひとつ積み重ねて、収支改善に向けて取り組んでいただきたいなと思う。  次の質問、県立高校入試の多様化について伺う。  私立高校の無償化と通信制への進学率上昇により、県立高校は生徒獲得への危機感を持ち、改革を進める必要がある。先に無償化した大阪では、私立人気が高まり、過去最低倍率に衝撃が走った。  兵庫県の公立高校受験者数は、平成26年度で延べ約4.2万人が、10年後の令和6年度では延べ約3.6万人と、約14%減少している。更なる発展的統合も必要だが、今回は、入試の多様化による競争力向上を提案する。  兵庫県は愛知県と並び、数少ない複数併願可能な都道府県であることは評価する。一方で、迎山議員が指摘したように、内申書の割合が他の都道府県よりも高く、公平性や生徒に対する過度な抑圧など課題があり、内申書の配分は是正すべきと考える。  1点目の質問、調査書不要の選抜枠についてである。  推薦入試など学力検査によらない入学者選抜があるならば、調査書によらない選抜もあっていいはずである。山梨県では、今年から全ての県立高校で調査書不要の入試枠を設定している。不登校やヤングケアラー、病気などを含め、長期欠席者の多くは通信制や私立などを志望する一方、調査書を重視する公立全日制の志望は少なく、フリースクールなどの関係者から学力中心の選考を求める声が上がっていたとのことである。2026年度からは島根県も続いている。  兵庫県の入試方式では、生徒ニーズに対応しておらず、受験者を獲得できないのではないだろうか。小中学校で不登校の児童生徒数は、2022年度には29万9,000人と過去最多を突破、通信に在籍する生徒は、公私合わせて、2005年に18.3万人から、2024年には前年比9.5%増の29万人へと増加し、公立普通科の需要を食っている。  不登校や特性を持つ子供たちを評価するためにも、調査書不要の特別選抜を設けるべきである。無償化で私立との競争も厳しくなる中、全県立高校への調査書不要の選抜枠導入を求めるが、いかがか。 ○教育長(藤原俊平)  本県では、生徒が自らの興味や関心に応じた高校を選択できるように、多様な入試方法による選抜を現在行っている。  まず、2月実施の推薦入学等においては、各学校の受入方針に基づく多様な入試を143校214学科で実施しており、令和7年度入試では、全体の3分の1に当たる受験者数になるが、約1万2,000人が受験している。この入試では、3月実施の学力検査とは異なり、各学校が調査書と検査結果との比重を独自で定め、総合的な判断により合否を決定している。  さらに、特色選抜では、中学校長の推薦書の提出を求めない生徒の自己推薦による入試も行っており、生徒が自ら個性に合わせて受験できる制度となっている。  一方、調査書は、学力検査でははかれない中学校での努力や活動を評価した記録として重要であると認識している。そのため、3月の学力検査では、中学校での取組を積極的に評価するため、学力検査にない実技4教科の調査書の配点を高くしつつ、調査書の学習評定と学力検査の比重を同等にしている。  他府県でも入試制度は様々ではあるが、本県と同等の、学習評定と学力検査の比重を同等にしている県も多くある状況である。  なお、欠席日数については、現在でも直接の合否判定には用いていないが、心身の疾病などやむを得ない理由により欠席した生徒が、受験に際して不安を抱えることがないよう、本県の調査書の記載内容の在り方について検討を進める予定としている。  入学者選抜制度については、毎年、選抜対策委員会や中高連絡協議会を開催しており、中学校長や高等学校長のご意見も聞きながら実施している。  ご指摘の山梨県や島根県、これらの他府県の特別選考の状況等にも留意しながら、今後とも公平公正かつ柔軟な入学者選抜の方法を研究していくので、引き続きご指導よろしくお願い申し上げる。 ○(前田ともき委員)  再質問する。  今回いろいろな改善の取組をされているが、今回の入試の在り方で最適化されているとお考えなのか。不登校とかフリースクールとか、いろいろな生徒がいるが、彼らを適正に、公平に、納得感がある形で選抜できる体制に今本当になっているのか。 ○教育長(藤原俊平)  入試制度については、毎年いろいろな背景を鑑みながら意見交換をしているので、それぞれの入試制度、例えば令和7年度については、しっかりとした考え方に基づき実施をしている。  ただ、ご指摘のとおり、社会情勢の変化、特に不登校等、このような状況が起きているということも事実であるので、そのような変化には柔軟に今後とも対応しながら、他府県の状況も参考にしながら、その都度の適切な入試制度改革に取り組んでいきたいと思うので、よろしくお願い申し上げる。 ○(前田ともき委員)  次の質問である。  日本語指導を必要とする生徒枠について伺う。  文科省は、2024年度以降の公立高校の入試において、外国籍を対象とした特別枠の設定や、試験問題にルビなどの配慮を通知した。日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は、2021年の調査で全国4.7万人と、10年ほどで1.8倍に増加、加えて、日本国籍でも、親の仕事で外国歴が長く、日常会話はできるが、入試に関係するような学習用語を理解できない生徒も増加している。  東京都教育委員会では、日本国籍も対象とし、入国後の在日期間が6年以内はルビ振り、3年以内はルビ振り、辞書、時間延長など、柔軟に対応されている。  兵庫県は定員18名に対して志望者が29名と1.6倍、2年前に質問したときは募集定員を満たさないことが多いと答弁された。今後は定員数の拡大とともに、外国籍だけでなく、日本国籍も対象とし、入国後の在日期間も3年以内から拡大すべきである。  生徒目線、公立高校の受験者獲得の両面から、定員増や対象拡大を図るべきと考えるが、いかがか。 ○教育長(藤原俊平)  公立高校の外国人特別枠については、来日間もない日本語習得に課題のある生徒への支援を行うために、平成27年度に3校設置し、平成30年度に5校、令和6年度から6校に拡大している。  特別枠の選抜においては、中学生の時期に来日し、入国後の在日期間が3年以内の生徒を対象に、基礎的な日本語の問題を含む3教科、国語、数学、英語に絞った適性検査と面接を行い、各学校3名の計18名の生徒を受け入れている。適性検査の問題にはルビ振りを行うとともに、要請があれば用紙の拡大や時間延長等も実施可能としている。  また、本県では、外国人特別枠選抜以外の全ての入学者選抜においても、日本語習得が不十分な生徒等にはルビ振りの特別措置を行っており、例えば平成31年度は7件だったが、今年度の令和7年度入試では62人の外国人に対してルビ振りの措置を行っている。入試段階での不安軽減にも努めている。  もとより外国人生徒に関しては高校入学後の支援が不可欠であるので、一つには、外国人特別枠を設けている高校での外国語支援員や多文化共生サポーターの派遣、二つには、日本語の能力に課題のある生徒が在籍する高校での個に応じた取り出し授業の単位の認定、三つには、日本語支援を伴った公開授業による教員研修等を行い、全県的な支援体制の充実に向けた研究も進めている。
     ご指摘の今後の募集定員の増や実施対象の拡大については、これもご指摘のとおり、志願者数が令和5年度入試までは定員以内であったが、ここ2年は定員を上回っている状況にあることから、外国人生徒数の地域の状況や学校での対応状況、入学後に必要となる支援の在り方等を見極めながら、今後検討していきたいと考えている。  今後とも外国人生徒を含む多様な背景を有する生徒が主体的に学べる教育環境の整備に取り組んでいくので、よろしくお願い申し上げる。 ○(前田ともき委員)  再質問する。  日本国籍の方の話はあったか。要は、日本語指導が必要な日本国籍というのが、外国籍は4万人ぐらいだが、日本国籍でも全国の場合1万人ぐらいいると。ざっくり2割ぐらいいるということで、結構多いのだなと思った。  この日本国籍者に対する対応をもう少し詳しく教えていただきたいのと、あと、今、来日3年以内に絞っているが、この年数で合理的なのか。僕が例えばインドネシアに行かれて、3年以内にインドネシア語、現地の言語が分かるかというと、分からない。これは東京都は6年であるし、5年なのか7年なのか、いろいろな年数はあると思うが、教育者の立場からして、この3年以内を対象とするのが合理的なのかどうか、教えていただきたい。 ○教育長(藤原俊平)  基本的に日本語指導が必要な日本国籍の方々は一般入試で受験されている方が多いと考えている。  小・中・高いろいろおられるが、令和6年5月1日で見たときに、日本国籍で日本語指導が必要な方は10人程度になっている。一方で、日本語指導が必要な外国籍は高校で93人となっており、93人おられるのだが、先ほど言った外国籍枠の特別枠の高校は、23名が6校に受験をされているので、93名のうち23名が受験、残り70名が残っているが、恐らくこの生徒たちは一般受験で対応しており、先ほど申し上げたように、一般入試でのルビ振りなんかの特別措置が62件と申し上げたので、そちらの一般入試でチャレンジされているのではないかと考えている。  また、3年については、基本的には入試前の中学校でのご指導ということもあると思うので、基本的には中1から中3の間ということでの期間として3年としている。この辺りについても今後検証していきたいと思う。 ○(前田ともき委員)  3年の定義が中1から中3という、アメリカだったら別に1年とか3年とか、中学は関係ない。言語学習の学習曲線に合わせた年数を設定していただかないと、中学3年だから3年以内というのは、やや乱暴に近いのかなと思うので、この辺改善を引き続きお願いしたいと思う。  最後の質問になる。  他国からの政治・世論の介入である。  悪意を持ち、真偽を織り交ぜて世論を誘導し、社会に害をなす情報のディスインフォメーション。現代ではSNSで増幅され、非常に急速かつ広範囲に拡散し、その脅威が増している。  2馬力選挙が問題となっているが、私が更に懸念するのは、他国による政治家、選挙、世論への介入である。個人ではなく国、資金量や人的リソースは10万馬力、情報操作によって外国勢力が民主主義に干渉し、広範囲な影響工作、社会の信頼や統合の毀損を企図する事例が頻発している。  アメリカ大統領選では、ロシア政府が大規模な干渉を行ったとされ、数千の偽アカウントやボットを動員し、FacebookやTwitter上で政治的分断をあおる投稿や政治広告を大量配信した。沖縄県知事選でも、知事をおとしめたり、反基地に関する動画サイトが作成され、中国、ロシアによる可能性もあるとの指摘である。  現代の戦争は、物理的な武器のみならず、サイバー攻撃や情報工作など複数の手段を組み合わせるハイブリッド戦が主流である。私は以前、台湾有事を見据えたグレーゾーン対策として、警察資機材の強化やSATの強化を提言したが、ミサイル1発より政治・世論介入のほうがはるかに容易で安価である。  サイバー安全保障の対応能力向上に向けた有識者会議では、国家主体のサイバー攻撃や他国の選挙干渉、偽情報拡散などハイブリッド戦が平時から展開されているとし、相対的に露見するリスクが低く、攻撃者側が優位にあるサイバー攻撃の脅威が急速に高まっているとした。  各国ではプラットフォーマー規制や外国勢力の介入に事後制裁など取り組まれているが、シンガポールで採用されている虚偽情報規制も参考となる。加えて、シンガポールは、国会議員など政治的重要人物が外国から影響を受ける可能性があると考えられる寄附や、ボランティアやメンバーとして関わった人々の所属等について公表を求められた場合は、開示する義務を負うとある。政治的グルーミング、資金提供や代理勢力の支援も懸念する。  日本は、国家安全保障戦略において、外国による偽情報等に関する情報の集約・分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のため、新たな体制を政府内に整備するにとどまっている。  兵庫県下において、これまで外国政府が絡んだディスインフォメーション等の情報工作はあったのか。これら脅威に対して、兵庫県警の体制は十分と考えるのか、お伺いする。 ○警察本部長(村井紀之)  お答え申し上げる。  SNSなどにおける偽情報の拡散については、県民生活をはじめ社会に様々な悪影響を及ぼし得る深刻な課題であり、特にそれに外国政府等が関係しているとなると、国の治安や安全保障の面にも悪影響を与えかねない問題であると認識している。  県内における外国勢力による工作といった事案の発生状況については、事柄の性質上、お答えを差し控えたいと思うが、県警察としては、外国政府等による偽情報の拡散を含め、対日有害活動への対応を的確に行うため、外事警察の体制の強化を図っているところであり、警察庁や他県警察とも連携し、平素から情報の収集・分析に努めているほか、違法行為を認知した場合には厳正に対処していくこととしている。  また、サイバー攻撃については、県警察内にサイバー攻撃対策隊を設置しており、警察庁との情報共有や技術的連携を通じて、国家的背景を有するサイバー攻撃にも対処する体制を整えているところである。 ○(前田ともき委員)  再質問する。  県警本部長として、県内の事例でこういうディスインフォメーション、外国の政府の介入があったのかというのはお答えしづらいと思うが、これまでの警察官僚経験において、日本国内の事案で、そのような可能性なり、足跡を感じたことがあるかどうか、教えていただきたい。 ○警察本部長(村井紀之)  私の警察での過去の勤務経験上、そういういわゆる外事警察的なものに深く関わるようなことがあまりなかったので、今のご質問に誠実にお答えすると、承知をしていないということになると思う。 ○(前田ともき委員)  結局、バックグラウンド調査をちゃんとしないと、なかなかその足跡はつかめないし、僕自身もこれに対する答えが何かあるわけではないが、基本的には現行法で厳正に対処して、全容解明につなげると。厳正に対処するについても、もう厳に、厳に、厳々に対処していただかないと、この問題というのは実態解明にはつながらないと思う。これは他国でも多く政治的介入というのはなされているし、この辺はリスクとしてしっかりと、兵庫県警だけではなくて、警察庁としてやっていただきたいなと思う。 ○委員長(村岡真夕子)  以上で、前田委員の質疑は終わりました。  この際、お諮りいたします。  ただいまの前田ともき委員の質疑をもちまして、通告のありました質疑は全て終了いたしました。  ほかに通告を受けておりませんので、令和6年度関係、第225号議案ないし第228号議案、令和7年度関係、第1号議案ないし第22号議案及び第49号議案に対する質疑を終局したいと思いますが、これにご異議ございませんか。   (異議なし)  ご異議ないと認め、さように決します。  この際、暫時休憩いたします。  再開は、午後3時10分といたします。        午後3時0分休憩 ………………………………………………………        午後3時9分再開 ○委員長(村岡真夕子)  ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  本日、提出のあった第225号議案令和6年度兵庫県一般会計補正予算の修正動議及び、第49号議案兵庫県県政改革方針の変更の修正動議、以上2件を一括して議題に追加いたします。  まず、第225号議案、令和6年度兵庫県一般会計補正予算の修正動議及び、第49号議案、兵庫県県政改革方針の変更の修正動議について、提出者の趣旨説明を求めます。 ○(北上あきひと委員)  私は、令和6年度関係、第228号議案「県立大学授業料等無償化基金条例」に反対する立場から、令和6年度関係、第225号議案「令和6年度兵庫県一般会計補正予算(第6号)」並びに令和7年度関係、第49号議案「兵庫県県政改革方針の変更」の県立大学授業料等無償化事業の財源に係る修正案について、提案に至った理由を説明する。  我が会派は、均等な教育機会の保障は政治の責務であると考え、教育の無償化そのものを否定するのでは全くない。教育への投資は未来への投資であり、教育予算の拡充はこれまで一貫して求めてきた。知事の教育に力を入れて若者を応援するという考えには大いに賛同する。  しかし、若者・Z世代応援パッケージの主要施策である県立大学無償化については、県政改革調査特別委員会でも議論してきたが、兵庫県の若者を支援する事業というには、受益者があまりにも限定的で、公平性に欠け、多額の予算を永続的に計上する必要がある施策にもかかわらず、政策決定過程が拙速で、透明性が全く確保されていないと考える。  加えて、しっかりとした事業目標の位置付けやKPIなどの指標の設置といった基礎的な事柄についての不安点も指摘せざるを得ない状況である。  4年前の行財政改革の際から、我が会派は、竹内英明議員を先頭にして、県財政の全体像の把握を困難としている様々な要因について、整理するべきものは整理し、県財政の見える化への取組を進めるべきと訴え、行財政の透明性を高め、県民に分かりやすく説明し、県民の共感を得つつ、行財政改革を推進することを強く求めてきた。県立大学無償化を主要施策とする若者・Z世代応援パッケージは、そうした反省や不公平感の是正が乏しく、行財政改革を推進する上で不安が残ると受け止めている。  一方、県立大学無償化は、令和6年度から事業が開始され、既に無償化を期待する学生が県立大学に進学しており、急な見直しは困難であるものの、当該事業の適切な成果指標の設定等を行い、県民に見える形での見直しができる体制を整えるべきだと考える。  県政改革方針の変更案には、適切な成果指標の設定や効果の検証を行いつつ、5年程度ごとをめどに事業評価するとし、その評価までの間、各年度の事業費を安定的に確保するため、決算余剰金等を活用し、一定規模の財源を確保した基金を造成することになっている。  無償化事業のための中長期的な安定財源の確保を図るために、決算余剰金等を活用した基金を造成しようとしているわけだが、目的を絞った基金では、他の事業に活用できず、柔軟な事業見直しを阻害する可能性がある。  県立大学無償化の財源に限定した基金設置ではなく、県民に説明できる見直しができるまでの間は、決算余剰を積み立てた財政基金を活用できることから、県立大学授業料等無償化基金条例の設置には反対する。  よって、兵庫県県政改革方針の変更での当該基金の記載を削除し、令和6年度2月補正時の県立大学授業料等無償化基金への積立てを財政基金への積立てに変更し、令和7年度予算は、基金繰入金の各項明細は、県立大学授業料等無償化基金繰入金から、財政基金繰入金に変更する。  議案について、令和6年度関係は、第228号議案「県立大学授業料等無償化基金条例」には反対を表明し、次のとおり、令和6年度関係、令和7年度関係の各々1議案の修正動議を提出する。  まず、令和6年度関係、第225号議案「令和6年度兵庫県一般会計補正予算(第6号)」について、款総務費のうち、1項総務管理費50億円を追加し、款教育費のうち、6項大学費50億円を削除するものである。  また、令和7年度関係、第49号議案「兵庫県県政改革方針の変更」には、4.財政運営の4.公営企業、公社等の運営の(5)兵庫県公立大学法人の3.高等教育の負担軽減に係る内容について、ウ.無償化事業の安定的な財源確保の項目及び説明の全てを削除するものである。  私たちは、県立大学授業料等無償化は極めて重要な施策であり、よって、多角的で丁寧な議論が求められていると考える。開かれた場でのかんかんがくがくな議論を経てこそ、広く県民の理解を得ることがかない、安定的に持続する強靱な制度となるのではないか。  だからこそ、選挙で選ばれた知事、県民の代表である議員、所管事務に精通し、また現場の実情を熟知する県職員、専門的な知見を有する学識者、当事者である若者等を含め、改めてしっかりと議論をすることを求める。  兵庫県政の未来に禍根を残さないために、真に誰一人取り残さない社会の実現に向けて、お一人お一人の心に従ったご判断をお願いし、提案理由とさせていただく。 ○委員長(村岡真夕子)  北上あきひと委員の趣旨説明は終わりました。  これより、動議に対する質疑並びに議題に対する意見の開陳に入ります。  委員各位の発言をお願いします。 ○(白井かずや委員)  自由民主党議員団を代表して、私から、初めに、本委員会に付託された令和6年度関係の第225号議案ないし第228号議案、令和7年度関係の第1号議案ないし第22号議案及び第49号議案について、意見の表明を行う。  まず、令和6年度関係については、県政改革の取組として、県立大学の授業料等無償化の事業費を安定的に確保するための基金の造成や、分収造林事業、地域整備事業会計の債務整理に活用した県債管理基金への計画的な積み戻し、また、地域整備事業会計の今後の資金不足対策として、企業庁進度調整地の一部を県有環境林として取得するために計上したものであり、早期処理の観点に立ち、今年度中に処理する必要があると認められるところである。  続いて、令和7年度関係である。歳出では、社会保障関係費の自然増や施設整備進捗等による投資的経費の増加などにより、一般会計は対前年度比0.8%増の2兆3,582億円となった。予算編成に当たっては、四つの重点を上げ、防災・危機管理対策の充実強化や、学びやすい兵庫の実現、そして大阪・関西万博の開催や産業競争力の強化等を通じた活力がわきあがる兵庫の実現など、次のステージとして新たな躍動が広がる兵庫を目指すとしている。  次に、歳入では、好調な企業業績等に伴い、県税等で9,982億円、対前年度比819億円の増、地方交付税等は対前年度比56億円の減、国庫支出金は対前年度比131億円の増となるほか、臨時財政対策債を除いた県債は、県債管理基金の積み戻しのための行政改革推進債の発行などにより、対前年度比187億円の増となっているが、令和7年度当初予算では収支均衡が確保されている。ただし、財政フレームでは、令和10年度までの収支不足総額が160億円の見込みとなっている。  現時点では、新庁舎整備や新たな森林管理に要する費用の財政フレームへの反映はされておらず、また、今もなお多額の震災関連県債残高を抱えるなど、依然として財政運営上大きな課題があるので、今後、議論を継続して注視しつつ、引き続き毎年度の収支均衡を目指し、財政運営の健全化による持続可能な行財政基盤の保持に向けて不断の努力を求めるものである。  こうした認識のもと、当局から提案された各議案のうち、まず、県政改革関連を除く令和7年度当初予算案主要施策については、全体を俯瞰すると、防災・減災対策の強化や子ども・子育て支援の充実など、我が会派からの申入れが相当程度取り入れられており、また、本予算特別委員会の審議においても、我が会派の質問に概ね適切に答弁していただいていると一定評価する。  次に、県政改革関連について申し上げる。  まず、地域整備事業、分収造林事業、公社等の在り方に関して、令和7年度当初予算案、令和6年度補正予算案、県政改革方針の変更案は、いずれも県政改革調査特別委員会での我が会派の意見開陳を相当程度反映した内容であり、本予算特別委員会の審議でも我が会派の質問に現時点での方向性を一定程度ご答弁いただいたものと理解する。それぞれ実効性のある取組を遅滞なく的確に進めていただきたいと考える。  このうち、殊分収造林事業に関しては、新しい森林管理スキームと市町管理への移行を促すためにも、分収林地を含む民有人工林全体が県民緑税を使った既存の整備事業の対象であることも考慮しつつ、解約日の旧分収林地の保育林の整備支援事業やその財源について早期に提示いただくことを求める。  また、機構による未解約林の維持管理についても、機構が再び負のスパイラルに陥らないよう、財源措置も含め、令和7年度中に早急に具体的対策を検討することを求める。  続いて、県庁舎の在り方に関して、県政改革方針の変更案では、機能的かつコンパクトな新庁舎整備に向けた方向性が示されており、評価する。引き続き、議場の在り方や、暫定的な本庁舎再編期間中の災害対応に向けた体制整備も含め、スピード感を持って取り組むことを求める。  そして、若者・Z世代応援パッケージに関して申し上げる。次代を担う若い世代を支えることを通じて、将来にわたる兵庫の成長・発展を目指す方向性については、県民からも期待は大きく、我が会派も異論はない。  しかし、パッケージの中でも、特に県立大学授業料等無償化については様々な議論がある。県政改革方針の変更案では、適切な成果指標の設定や効果の検証を行いつつ、5年程度ごとを目途に事業評価を実施していくとの指針や、他の事業費を圧迫することなく無償化の事業費を一定確保するための基金の創設が明記されており、我が会派の意見開陳を踏まえた見直しだと一定評価する。  公平性の観点から、若者世代の不公平を指摘する声は強く、また、県内就職や県内定住に対しては、奨学金返済支援制度のほうが直接的かつ即効性があり、導入する企業も増えている。公平性の確保、補完の具体策が必要である。  その上で、実効性の観点では、卒業後の県内就職、県内定住への直接的効果が弱い無償化を若者・Z世代応援パッケージの施策体系の中でどう位置付け、奨学金返済支援制度や地方創生戦略等との間接的効果、相乗効果をどのように生み出すかが重要になる。  そのためにも、齋藤知事の思いから、より具体的な政策目的や施策体系を抽出、明確化をし、これらの整理を踏まえたKPIや事業の継続基準及び測定方法を県政改革方針実施計画(案)における成果を重視した政策立案手法の導入に明記された内容に沿って具体的に設定する必要がある。  本日の委員会でも、知事から、事業評価に当たっては有識者委員会等の設置を予定しているとの答弁があったが、深刻化する若年層の県外流出の抑制に相応の効果があるのか、費用対効果等も含め、多角的な視点での評価指標や測定方法、その検討、設定のロードマップについて具体的に検討し、毎年度の事業効果測定や5年程度ごとの事業検証の意義や精度を担保することを求める。  同様に、実現可能性、波及性の観点から、国の議論の先鞭として事業を先導する中で、本県の独自性、優位性の確保も図りつつ、本事業を高等教育の負担軽減のあるべき姿へ実現、収れんさせる具体的な目標とロードマップを議会、県民に分かりやすく説明し、取り組む必要がある。  さらに、大学改革については、兵庫の教育の質を維持し、人材育成や社会課題解決に応えられる、より魅力的な大学づくりを目指した兵庫県立大学ビジョン2036の実現の方策が求められる一方で、今後の大学運営費の増加の懸念がある。  また、持続性の観点から、大阪府や東京都のように潤沢な特定財源や健全な財政状況を伴わない本県が、国の議論でも大学授業料等の完全無償化実現の見通しが立たない中で、基金の財源は一般財源の年間収支や決算の余剰金等の一部であり、安定財源とは言えず、外部資金を含めた安定的な財源の確保が重要な課題である。  なお、基金の使途についても、県立大学授業料等無償化事業に限定せず、奨学金返済支援制度等のより公平かつ効果的な使途への拡大を強く求める。  こうしたことから、毎年度の事業の効果・成果の評価及び5年程度ごとの事業検証では、今後の基金の運用状況や財政指標の推移等を十分に注視・参酌する必要がある。よって、県政改革方針実施計画(案)に沿って継続基準を設定し、令和7年度中に明示することを強く求める。仮にその継続基準を満たさないと判断された場合には、ゼロベースでの検討を行い、事業の見直しを決断するべきである。  我が自由民主党議員団は、希望と誇りに満ちた兵庫へと未来を切り開いていく、その責任をしっかりと果たす覚悟を持って、先ほど述べた諸課題及び要望への対応について、令和7年度中に着実に対応いただけることを条件に、令和6年度及び令和7年度関係議案に賛成の意を表明する。  続いて、ひょうご県民連合議員団提出の令和6年度関係、第225号議案の修正を求める動議及び令和7年度関係、第49号議案の修正に対し、反対する立場から意見表明を行う。  これらの議案の修正については、県立大学授業料等無償化基金(仮称)ではなく、通常、決算余剰金等を積み立てている財政基金への積立てに見直す提案である。  我が会派としては、学生たちが安心して県立大学で学べる環境を確保する観点から、制度の安定運営に向けた具体的な取組を提案し、一つの手法として一定評価できると判断している。事業検証等による見直しいかんにかかわらず、無償化の恩恵を受けながら学ぼうとしている学生や大学にとっても、安定運営に資する基金は必要と考えられることから、これらの修正に対しては反対を表明する。  以上、私からの自由民主党議員団を代表しての意見表明とする。 ○委員長(村岡真夕子)  鍔木委員。 ○(鍔木良子委員)  維新の会県議団を代表し、本委員会に付託された令和6年度関係、第225号議案ないし第228号議案並びに令和7年度関係、第1号議案ないし第22号議案、第49号議案について賛成の立場からの意見表明を行う。  今回、本委員会に提出された議案は、令和6年度予算案件が4件並びに令和7年度予算案件が22件、その他兵庫県県政改革方針の変更案が1件である。  齋藤知事は、昨年11月の知事選挙において、兵庫の躍動を止めない!をキャッチフレーズに、未来を担う若者が輝く兵庫などの政策を掲げ、幅広く支持され、中でも若年層の関心も引きつけ、ご当選された。  そして、新任期初めての編成となる令和7年度予算は、どのように県民の声を反映し、兵庫県の躍動へと導いてくれるのか、県民の未来を託すことができるのか、我々は是々非々の立場で審査に挑んできた。  予算案では、行財政改革に道筋を付け、苦しい財政状況の中でも、福祉や教育、産業振興、危機管理に至るまで、充実した施策が並んでいる。また、予算案とともに示された県政改革方針変更案では、地域整備事業や分収造林事業における多額の債務問題への対応など、過去の県政の負の遺産に蓋をせず、批判を恐れることなくその解決策を示されたことは評価する。  次に、歳入に関して、県税等は対前年比プラス8.9%の9,982億円と好調だが、社会保障関係費の増等により、基準財政需要額が増となる一方、法人関係税増等による基準財政収入額の増から、地方交付税等は対前年比マイナス1.6%の3,548億円となっている。  なお、歳入の中には、県政改革案に基づき、県債管理基金を計画的に積み戻すため、行政改革推進債を発行したことによる県債の増などが含まれている。  引き続き県財政を歳入、歳出の両面からチェックし、財務体質の強化に取り組みいただきたいと思う。  歳出に関しては、兵庫の次のステージに向けて、四つの視点から予算を編成されている。誰も取り残さない安全・安心な兵庫、若者が輝く兵庫、活力がわきあがる兵庫、県政運営基盤の構築である。  まずは県立大学の授業料等無償化、奨学金返済支援制度、そしてHYOGO高校生「海外武者修行」応援プロジェクトの継続や拡充など、我が会派がこれまで求めてきた将来世代への投資をより積極的に進める施策である。特に県立大学の授業料等無償化のための基金創設は、兵庫の若者が安心して希望する教育を受けること、将来への夢を持ち続けることへの基盤となるものである。  また、いよいよ開幕まで残り1ヵ月を切った大阪・関西万博に向けたフィールドパビリオンの展開や、次世代産業の創出に向けた取組など、兵庫を次のステージに押し上げる施策である。  そして、不妊治療支援の条例制定や不登校児童生徒への支援の拡充など、何よりも齋藤知事が前任期から一貫して掲げられてきた誰一人取り残さない、誰もが安心して暮らしていける兵庫の実現に向けた施策であり、賛同する。
     一方、我が会派が本会議や県政改革調査特別委員会などを通じて、廃止も含めた抜本的な見直しを求めてきた兵庫県住宅再建共済制度(フェニックス共済)については、3月13日の兵庫県住宅再建共済基金の理事会で、この4月から複数年一括契約の新規受付停止、フェニックス共済の積極的PR停止を県が説明されたことは、共済改革の一歩と評価するが、抜本的な見直しが終わるまで、第49号議案、県政改革方針変更案の加入促進への取組を実施の部分は凍結することを求める。  また、第1号議案、令和7年度予算案の運営費補助予算のうち、フェニックス共済に対する新規加入促進の予算は、現在の加入者へ制度の抜本的改革を周知する経費への流用を除き、凍結することを求める。  国の被害者生活再建支援制度や民間の地震補償保険が充実してきた今、有識者会議による抜本的見直しに当たっては、フェニックス共済の存在意義そのものも議題として検討すべきである。  さて、私たち県民の日々の暮らしを支える食料やエネルギーなどの物価の高騰は常態化している。昨年の消費者物価は2.5%も上昇した。大企業の業績は好調であるものの、その恩恵が全ての国民にはもたらされておらず、継続するインフレにより、実質賃金は減少している。  齋藤知事におかれては、県民の生活を守るため、1年間に及ぶ文書問題による混乱を一刻も早く収めると同時に、二度とこのような事態を生じさせないよう、風通しのいい職場づくりと、その他必要な体制整備を図り、そして、何よりも本県に活力をもたらす改革と、堅実かつ効率的な県政運営に取り組んでいただくようお願いを申し上げる。  以上申し述べたとおり、令和7年度予算案等は、県民の安心・安全な生活のため、また兵庫の未来への投資のため、スピード感を持って取り組むべき内容であると評価し、本委員会に付託された全ての議案について賛成の意を表明する。  次に、ひょうご県民連合から提出された令和6年度関係、第225号議案に対する修正動議及び令和7年度関係、第49号議案に対する修正動議についての意見を表明する。  我が会派は、経済的な理由で進学を諦める子供たちが一人でもいなくなるよう、結果の平等ではなく、機会の均等を促進していくべきと考えている。県立大学の授業料等無償化は、高額の学費により大学や大学院への進学を諦めていた若者の道を切り開き、本県の発展にも資する施策と考える。  例えば大学では卒業まで4年間を要するが、県立大学授業料等無償化基金の創設により、安定して事業を実施することができる。入学志願者や在学生に安心感を与えるものであり、財政基金への積立てでは同様の効果が期待できないことから、本修正案に対しては反対の意を表する。  以上をもって維新の会の意見表明とする。 ○委員長(村岡真夕子)  前田委員。 ○(前田ともき委員)  ひょうご県民連合議員団を代表し、令和6年度関係の第225号議案ないし第228号議案並びに令和7年度関係の第1号議案ないし第22号議案、第49号議案の計27件の議案について意見表明を行う。  税金の使い道に納得感を、政治家として納税者に対する受託者責任を果たすため留意してきた。若者・子育て世帯支援に異論はない。ただ、政策には異論がある。納得感がない。  県立大学の無償化は、受益者があまりにも限定的で、公平性に欠けると考える。高校卒業生のわずか2%に4年間で250万円程度の無償化をするよりも、予算委員会でも指摘した若者・子育て支援の年収の壁、対象の壁を取り壊すなど、公平かつより経済的に苦しむ人々に恩恵を提供すべきである。齋藤知事がおっしゃる一木一草に責任というのは一体どこにあるのだろうか。  高等教育の教育費負担等に関する世論調査では、大学無償化は支払いが難しい世帯に限るべきに、そう思うが62%、無償化のために消費税を1%上げても構わないに対し、そう思うが39.3%、そう思わないは60.7%である。無償化は聞こえがよく、多くが賛成するが、負担を求めると、当然、反対が増える。県立大無償化も誰かにしわ寄せが行くのである。  我々は、声なき声、しわ寄せを受ける人々の声を代弁し、全体の奉仕者として政策判断を下さなければならない。無償化に反対する議会は、負の側面を見ない方からは批判を受ける。しかし、しわ寄せを回避した人には気付かれないし、感謝もされない。しかし、これが我々の嫌われる勇気である。  今の議会でも議論百出の大学無償化、修正案は、長期的に政策の自由度が縛られる基金設置ではなく、柔軟に修正可能な既存基金で対応するものであり、よりよい提案と考える。議会の皆さんには賛意、知事には無償化をやめる勇気を期待し、北上委員の提出した議案の修正を求める動議に賛成する。  また、関連して、同基金を創設するための条例を制定する令和6年度関係、第228号議案等には反対する。なお、それ以外の議案については賛成を表明する。 ○委員長(村岡真夕子)  石井委員。 ○(石井秀武委員)  神戸市西区選出、無所属の石井秀武である。  私からは、まず、本委員会に付託された令和7年度、第1号議案ないし第22号議案、第49号議案に関して意見表明を行う。  新年度予算は、第1に、誰も取り残さない安全・安心な兵庫づくり、第2に、若者が輝く兵庫の実現、第3に、活力がわきあがる兵庫の実現を県政運営の柱として、県政運営基盤の構築を礎に、新たな躍動ステージにつなげる予算を提案されている。  これら政策の実現には、齋藤知事の真に県民一人ひとりに寄り添ったリーダーシップを心から期待するものであるが、県政推進への道筋は知事一人で描けるものではない。一般行政部門や、教育、警察、公営企業を含め、約5万5,000人の県職員のたゆまぬ努力の上に輝ける兵庫の未来への道筋が描かれていることを改めて認識され、互いの信頼関係を取り戻し、県政を推進されることを真に願い、特に新年度に注力すべきこととして、委員会での審議における私の指摘を引用しつつ、議案に対する私の態度を表明する。  まず、財政運営についてである。将来世代への課題対応として、分収造林事業や地域整備会計の抜本的な債務処理に着手する未来志向の姿勢には賛意を示すものであるが、県立大学の無償化事業の安定的な実施のために新たな基金の設置が必要であったとしても、人口減少を踏まえた将来的な財政環境も見据えた基金の柔軟な再編については、引き続き研究していただきたい。  次に、県庁舎の建替整備について、機能的でコンパクトな新庁舎整備に踏み出されたことは、今後の兵庫県政を担う職員や、これから兵庫県職員を目指す若年世代にとって期待感が高まる方針であると思われる。意思決定の際に過去のコストにとらわれると、判断が遅れ、更なる損失を招く。スピード感を持って取り組んでいくべき喫緊の課題に対しては、過去に検討した有益なものは参考にしつつ、現時点で最適な判断を行い、県庁舎整備に限らず、必要な事業は着実に進めていくべきであると考える。  本県は神戸市西区に全国に誇るスポーツ医療の資源、県立総合リハビリテーション中央病院スポーツ医学診療センターを有し、トップアスリートのみならず、中高生など広く活用されている。こうしたサポート機能があるからこそ、兵庫のスポーツポテンシャルも更に磨かれるのではないか。そういった意味からも、障害者総合トレーニングセンターの整備も前向きな検討を進めるべきである。  一方、スポーツ部門の知事部局移管の効果が十分発揮されていないと感じている。プロスポーツとの連携協定という新たな展開は見られるが、従来からのスポーツ団体を含め、より多くの県民にとって、スポーツを通じた活力ある兵庫の実現に取り組んでもらうことを願っている。  積年の課題や逆風にあらがいながらも、果敢に挑戦し、粘り強く前に進む県民や県職員の姿勢が兵庫県にはある。これこそ兵庫の誇るべき人の財産、人材である。  誰も取り残さないターゲットは、一部の新たな既得権益を生み出しかねないことに私は危惧を感じている。まずは県職員、議会と真摯に協議を重ね、一部に光を当てるのではなく、濃淡はあるにしても、広く県民が取り残されていないと感じられる施策を追求する姿勢で、その上で立案、成果を求める、そのような県政が求められているのではないだろうか。  令和7年度当初予算は、齋藤知事も知事不在時に服部副知事を先頭に来年度当初予算をしっかりと練り上げてくれたとねぎらっておられたように、服部副知事をはじめ県職員のご苦労に敬意を表し、賛成の意を表する。  次に、ひょうご県民連合議員団提出の令和6年度関係、第225号議案及び令和7年度関係、第49号議案の修正動議に対し意見を表明する。  直ちに基金造成の見直しを求めるひょうご県民連合提案の動議については、先ほども述べたように、一定程度安定した基金の造成には理解する一方で、将来的な財政環境を見据えた基金の柔軟な再編を求める立場からは賛同し難い内容であるため、反対の意を表明する。  以上である。 ○委員長(村岡真夕子)  以上をもちまして、動議に対する質疑並びに議題に対する意見の開陳を終局し、直ちに表決に入りたいと思いますが、これにご異議ございませんか。   (異議なし)  ご異議ないと認め、さように決します。  これより、表決に入ります。  表決は、議事の都合により、分離して行います。  まず、第225号議案「令和6年度兵庫県一般会計補正予算の修正動議」及び「第49号議案兵庫県県政改革方針の変更の修正動議」、以上2件を一括し、起立により採決いたします。  本動議に賛成の委員は、ご起立願います。   〔賛成者起立〕  起立少数であります。  よって、本動議はいずれも否決されました。  次に、付託議案のうち、令和6年度関係、第225号議案、第228号議案、令和7年度関係、第49号議案、以上3件を一括し、起立により採決いたします。  本案を原案のとおり可決すべきものと決することに賛成の委員は、ご起立願います。   〔賛成者起立〕  起立多数であります。  よって、本案はいずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、付託議案のうち、令和6年度関係、第226号議案、第227号議案、令和7年度関係、第1号議案ないし第22号議案、以上24件を一括し、起立により採決いたします。  本案を原案のとおり可決すべきものと決することに賛成の委員は、ご起立願います。   〔賛成者起立〕  起立全員であります。  よって、本案はいずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  当委員会の審査報告は、口頭で行うこととし、その文案につきましては、正副委員長及び理事にご一任願いたいと思いますが、これにご異議ございませんか。   (異議なし)  ご異議ないと認め、さように決します。  以上で、本日の議事は全て終了いたしましたので、これをもって予算特別委員会を閉会いたします。        午後3時50分閉会 ……………………………………………………… ○委員長(村岡真夕子)  閉会に当たり、一言お礼のご挨拶を申し上げます。  去る3月3日に予算特別委員会が設置されて以来、連日長時間にわたりまして、総額4兆5,000億円に上る令和7年度当初予算案に加え、兵庫県県政改革方針の変更議案及び令和6年度県政改革関連議案をご審議いただき、本日ここに閉会の運びとなりました。  委員各位におかれましては、これら27件の議案につきまして、極めて熱心かつ慎重にご審査を賜りましたことに心から感謝いたしますとともに、厚くお礼を申し上げる次第でございます。誠にありがとうございました。  また、当委員会の運営につきましては、各理事をはじめ委員各位の格別のご理解とご協力によりまして、高橋副委員長ともどもこの大任を果たすことができました。衷心よりお礼を申し上げます。  さらに、審査に当たりまして、齋藤知事をはじめ幹部の皆さんに格別のご協力をいただきましたことに心からお礼を申し上げますとともに、委員会の審査を通じ各委員から述べられました指摘、意見、要望につきましては、今後の県政運営に適切に反映いただき、持続可能な未来の兵庫の構築に向けて、県政各般の課題により一層積極的に取り組まれますよう、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。  誠に簡単粗辞ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○知事(齋藤元彦)  予算特別委員会の閉会に当たりまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。  村岡委員長、そして高橋副委員長をはじめ、委員の皆様には、3月3日の委員会設置以来、連日にわたり、令和7年度当初予算案及び県政改革方針の変更議案並びにこれに伴う補正予算案等についてご審議を賜り、本日、委員会としてのご議決をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。  令和7年度当初予算は、どこよりも安全・安心で、夢や活力にあふれ、新たな躍動が広がる兵庫の実現に向け、編成をいたしました。創造的復興サミットの開催や、能登半島地震を踏まえた対応など、防災・減災対策を強化するとともに、特殊詐欺対策をはじめ、不登校児童生徒支援員の拡充にも取り組みます。また、若者・Z世代応援パッケージを更に充実させます。  県立大学授業料等無償化につきましては、様々なご意見をいただきました。今後、国の議論の先鞭となるよう取り組むとともに、事業の評価もしっかりと行ってまいります。  さらに、4月に開幕する万博における取組をはじめ、スタートアップの新展開、有機農業の取組、スポーツ・芸術の振興など、兵庫に活力を生み出す取組を更に加速させてまいります。  その他の事業につきましても、事業効果が早期に発現するよう、早期の事業着手と適切な事業執行に努めてまいります。  一方、財政フレームにおきましては、令和10年度までの収支不足額は、昨年度から若干改善するものの、依然、総額160億円が生じる見込みとなるなど、本県の財政状況は厳しい状況が続きます。将来世代に課題を先送りすることなく、未来志向で解決に取り組む姿勢のもと、着実に県政改革に取り組んでまいります。  今後の県政運営に当たりましては、ご審議を通じていただきました委員の皆様のご意見などを踏まえ、丁寧な対話と謙虚な姿勢を改めて胸に刻み、進めていく所存でございます。  県議会はもとより、市や町、県職員、そして県民の皆さんと広く信頼関係を構築し、ワンチームで兵庫の未来を切り開いてまいります。  閉会に当たりまして、御礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。        午後3時55分 ………………………………………………………...