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  1. 大阪府議会 2004-12-01
    12月10日-02号


    取得元: 大阪府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    平成16年 12月 定例会本会議    第二号 十二月十日(金)◯議員出欠状況(出席百十人 欠席一人 欠員一)      一番  阿部賞久君(出席)      二番  尾辻かな子君(〃)      三番  吉村善美君(〃)      四番  清水義人君(〃)      五番  浦野靖人君(〃)      六番  東  徹君(〃)      七番   欠員      八番  西川弘城君(〃)      九番  荒木幹雄君(〃)      十番  小林隆義君(〃)     十一番  奥村健二君(〃)     十二番  かけはし信勝君(〃)     十三番  森 みどり君(〃)     十四番  井上 章君(〃)     十五番  中川隆弘君(〃)     十六番  松井一郎君(〃)     十七番  三田勝久君(〃)     十八番  大橋一功君(〃)     十九番  岩木 均君(〃)     二十番  井上哲也君(〃)    二十一番  長田公子君(〃)    二十二番  谷川 孝君(〃)    二十三番  樋口昌和君(〃)    二十四番  西野修平君(〃)    二十五番  土井達也君(〃)    二十六番  森山浩行君(〃)    二十七番  小沢福子君(〃)    二十八番  今井 豊君(〃)    二十九番  山岸としあき君(〃)     三十番  松浪耕造君(出席)    三十一番  三浦寿子君(〃)    三十二番  池川康朗君(〃)    三十三番  柏原賢祥君(〃)    三十四番  光澤 忍君(〃)    三十五番  野上松秀君(〃)    三十六番  伊山喜二君(〃)    三十七番  中野まさし君(〃)    三十八番  永野孝男君(〃)    三十九番  浅田 均君(〃)     四十番  花谷充愉君(〃)    四十一番  田中誠太君(〃)    四十二番  徳丸義也君(〃)    四十三番  北口裕文君(〃)    四十四番  品川公男君(〃)    四十五番  関  守君(〃)    四十六番  黒田まさ子君(〃)    四十七番  岸上しずき君(〃)    四十八番  堀田文一君(欠席)    四十九番  小谷みすず君(出席)     五十番  阿部誠行君(〃)    五十一番  宮原 威君(〃)    五十二番  和田正徳君(〃)    五十三番  中島健二君(〃)    五十四番  上の和明君(〃)    五十五番  山添武文君(〃)    五十六番  漆原周義君(〃)    五十七番  西脇邦雄君(〃)    五十八番  西口 勇君(〃)    五十九番  大島 章君(〃)     六十番  山下清次君(〃)    六十一番  さぎり 勁君(〃)    六十二番  中野 清君(出席)    六十三番  那波敬方君(〃)    六十四番  谷口昌隆君(〃)    六十五番  野田昌洋君(〃)    六十六番  池田作郎君(〃)    六十七番  山本幸男君(〃)    六十八番  岩下 学君(〃)    六十九番  杉本 武君(〃)     七十番  三宅史明君(〃)    七十一番  坂本 充君(〃)    七十二番  北之坊皓司君(〃)    七十三番  鈴木和夫君(〃)    七十四番  井戸根慧典君(〃)    七十五番  竹本寿雄君(〃)    七十六番  西村晴天君(〃)    七十七番  谷口富男君(〃)    七十八番  浜崎宣弘君(〃)    七十九番  朝倉秀実君(〃)     八十番  原田憲治君(〃)    八十一番  岡沢健二君(〃)    八十二番  西野 茂君(〃)    八十三番  岩見星光君(〃)    八十四番  畠 成章君(〃)    八十五番  梅本憲史君(〃)    八十六番  奥田康司君(〃)    八十七番  園部一成君(〃)    八十八番  中村哲之助君(〃)    八十九番  松田英世君(〃)     九十番  半田 實君(〃)    九十一番  西浦 宏君(〃)    九十二番  冨田健治君(〃)    九十三番  北川法夫君(〃)    九十四番  吉田利幸君(出席)    九十五番  若林まさお君(〃)    九十六番  長田義明君(〃)    九十七番  小池幸夫君(〃)    九十八番  横倉廉幸君(〃)    九十九番  杉本光伸君(〃)      百番  川合通夫君(〃)     百一番  釜中与四一君(〃)     百二番  橋本昇治君(〃)     百三番  徳永春好君(〃)     百四番  美坂房洋君(〃)     百五番  高辻八男君(〃)     百六番  隅田康男君(〃)     百七番  大前英世君(〃)     百八番  大友康亘君(〃)     百九番  土師幸平君(〃)     百十番  古川光和君(〃)    百十一番  酒井 豊君(〃)    百十二番  京極俊明君(〃)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議会事務局     局長         中村幹雄     次長         岡田重信     議事課長       西井正明     総括補佐       入口愼二     課長補佐(委員会)  中田 茂     主査(議事運営総括) 郷路秀男     主査(議事運営総括) 大河内隆生     主査(記録総括)   奥野綱一     主査         田澤孝夫    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議事日程 第二号 平成十六年十二月十日(金曜)午後一時開議 第一 議案第一号から第二十一号まで並びに報告第一号及び第二号(「当せん金付証票発売の件」ほか二十二件)    (質疑・質問)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯本日の会議に付した事件 第一 日程第一の件    ~~~~~~~~~~~~~~~午後一時一分開議 ○議長(若林まさお君) これより本日の会議を開きます。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(若林まさお君) 日程第一、議案第一号から第二十一号まで、並びに報告第一号及び第二号、当せん金付証票発売の件外二十二件を一括議題といたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(若林まさお君) この際、御報告いたします。第十六号議案 職員の給与に関する条例等一部改正の件については、地方公務員法第五条第二項の規定により本職から人事委員会の意見を求めておりましたが、その回答文書はお手元に配付いたしておきましたので、御了承願います。   (文書は巻末に掲載)    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(若林まさお君) ただいまより上程議案に対する質疑並びに府政一般に関する質問を行います。 通告により東徹君を指名いたします。東徹君。   (東徹君登壇・拍手) ◆(東徹君) 自由民主党の東徹でございます。 冒頭に、過日新聞報道されました二〇〇八年のサミットの誘致についてお伺いします。 サミット--先進国首脳会議は、他の国々が毎回開催地を変えてさまざまな横顔を紹介しているのに対し、我が国では東京開催が続き、前回ようやく九州・沖縄で開催されました。関西には、それぞれ魅力を磨き上げてきた府県がひしめき、我が国の魅力を遺憾なく発揮できるととともに、元気がないと言われている関西の浮揚策として強烈なインパクトとなり、関西全体の知名度を高めるとともに活性化に寄与するものと大いに期待されます。 サミットでは、首脳会議にあわせて外相・蔵相会議が開催されますが、前回は沖縄や九州各地に会場を分散させました。本府は、APEC大阪会議を成功させた実績もあり、さらに大阪国際会議場など大規模な国際会議を開催できるだけの施設や警備体制などのノウハウも、官民問わず府内に十分蓄積されております。大阪の底力を世界に存分にアピールできる絶好のチャンスです。 熾烈な誘致合戦が予想されますが、関西が一丸となって力を発揮すれば必ず誘致できるはずです。ぜひとも関西サミットの実現に向けて一致団結しなくてはなりませんが、牽引役が期待される知事はどのように取り組まれるおつもりでしょうか。 次に、分権社会にふさわしい地方制度のあり方についてお伺いしますが、その前に、真の地方分権社会の実現を左右する三位一体の改革について知事の認識をお伺いします。 先月、三位一体改革の全体像が示されましたが、個別の補助金をどうするかに終始するとともに、多くは判断を先送りしてしまい、地方の権限や裁量の幅がどうすれば広がるのか、また地方の自立を促し自治能力を高めるには、三位一体の改革をどう進めればいいのかという改革の理念が置き去りにされた感は否めません。 また、地方は小異を捨てて大同についたのに対し、中央は既得権益を守ることに結束してしまいました。EU各国を初め世界じゅうの国々が、国の役割を国家の存立や特に必要な企画立案などに重点化するとともに、地方分権を進めて国際競争力を高めようとしている中で、これで果たして熾烈な国家間競争を勝ち抜いていけるのでしょうか。三位一体の改革は、地方自治の改革であると同時に国政の改革であるはずであり、このような状況は大変残念でなりません。 全国知事会の会長は、このたびの改革の全体像に対する評価を六十点とされました。私は、地方のみならずこの国の将来を憂い、そんな高得点をつけていいものかと思いますが、知事ならどう評価され、どう採点されるのか、お伺いします。 今回、全体像が示される一連の流れの中で、国も地方も住民を置き去りにしたまま数字合わせのせめぎ合いに終始してしまいましたが、改革によるメリットをはっきり示すことによって住民を味方につける努力を怠ってしまい、それが結果的に本当に地方に任せていいのかという疑問へとつながったのではないでしょうか。 また、地方分権社会において、住民の信頼に足る地方であることを、信頼できる大阪府であることを明確に示していかなくてはならず、そのためには、小異を捨てて大同につく一方で、府独自の考え方をどんどん発信するとともに、分権の基本理念に反することには率直に反論するなど、大都市を預かる知事としてもっと存在感を示すべきです。 知事は、ことしの反省とともに住民の信頼を獲得し、将来に向かって三位一体の改革を真の地方分権に結びつけるために、地方、そして大阪府は何をするべきであるとお考えでしょうか。 さて、三位一体の改革論議が白熱する中、大阪府地方自治研究会から大阪都市圏にふさわしい地方自治制度について最終報告が出されました。報告では、大阪府を廃止して、新しいタイプの広域連合の設置が提案されています。昨年は、中間報告が発表された直後に、大阪市長とのバトルが繰り広げられ、二重行政の問題点を改めて府民に印象づけました。 地方分権や広域行政の重要性が高まる中で、本府が抱える課題への対応とさらなる発展のために、ぜひとも新たな地方自治制度の確立が必要であるとお考えであるなら、府民の理解を得るとともに、新たな地方自治制度の確立に向けて確実に前進していかなくてはなりません。 特に府市の二重行政の解消は百年来の課題であり、いまだ決着のつけられないはれもののような存在ですが、これだけ大阪の地盤沈下が進み、課題が山積する中で、今回も挫折の歴史を繰り返すのであれば、報告書も絵にかいたもちとなり、知事のパフォーマンスとやゆされても仕方がありません。 知事御自身が考える大阪の将来構想はこうだから、その実現のためには現行の地方制度を変えなければならないということを府民にわかりやすく示すとともに、府としての案を策定するに当たり、最終報告における提言をどの程度参考にされるのでしょうか。御自分の構想もないまま、全く白紙の状態で提言を受け取られたわけではないと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 最終報告では、将来の検討課題として道州制に触れています。国においては、第二十八次地方制度調査会で道州制の導入について検討が進められ、最近では関係副大臣による検討も始まっています。また、北東北三県や中国地方など日本各地で道州制の論議が高まりを見せています。 私も、常々道州制の導入には関心を抱いておりましたが、大阪の発展を考えると、道州制は避けて通れないと考えています。例えば、私の地元を流れる大和川を例にとりますと、現在、国、府、奈良県など関係機関が一つの河川をばらばらにして管理を行っていますが、道州制を導入すれば大和川を一体的に管理でき、地域のニーズに的確にこたえられることでしょう。 河川だけでなく、交通網の整備や三空港の問題、観光振興、環境問題などどれをとっても、大阪府の枠組みで答えを出すよりもっと広域的に解決した方が、大阪のみならず関西全体の発展につながるのではないでしょうか。また、国からのさらなる権限移譲を進めるためには、その受け皿である地方がもっと規模を拡大しなければ、本当に効率的で効果的な地方行政にはつながりません。 これまでも、我が党の代表質問において道州制についての知事のお考えを伺ってきましたが、時期尚早として明言を避けてこられました。既に時代は道州制導入へと動きつつあり、そろそろ知事のお考えを府民に披露されてはいかがでしょうか。 また、道州制については、住民がその利点や欠点を総合的に理解し、その導入の可否について判断するべきであり、そのためにも自治体間における理解の促進を図るとともに、住民の認識を高め、道州制導入についての議論を深める必要があります。 そこで、知事が旗振り役となり、近畿二府四県の知事や議会の代表者がひざを交えて意見を交換する機会を設けて、広く近畿の住民に公開してはいかがでしょうか。 次に、地方からの提言力の強化について、選挙費用の面からお伺いします。 現在、我が国では、債務残高が国と地方を合わせて七百兆円を超え、それぞれ財政再建にしのぎを削っています。しかし、三位一体の改革では、国みずから行うべき行財政改革を地方につけ回しするような議論に終始するなど、いまだかつて国と地方双方のスリム化に資する建設的な議論が交わされないのは嘆かわしいことです。 御存じのように、地方で実施する選挙は、かつては統一地方選挙として、知事、府議会議員大阪市長選挙などが同日に行われておりましたが、昨今はそれぞれ異なった期日に選挙が行われるようになり、経費がかさむようになりました。具体的に言いますと、平成十一年度は、知事選と府議選は同日実施され、選挙経費として約三十一億円が支出されました。ところが、平成十五年度は、府議選と知事選が別の日に実施されたことになり、トータルでは約四十五億円もかかってしまい、重複する経費は無視できず、同日選挙のメリットは大きいと思われます。また、知事選挙大阪市長選挙を同日に行うことができると、大阪市域分だけで予算ベースで約十四億五千万円が必要とされていますが、それが九億円程度に節減できます。 私は、かつて米国のカリフォルニア州において州議会議員連邦下院議員の選挙のボランティアを経験したことがありますが、副知事も選挙で選ばれるなど、我が国よりもたくさんのポストが一つの選挙で選ばれており、その合理的なシステムに感心しました。 公職選挙法を改正して同日選挙を実施できるようにすれば、かなりの経費が節減できるはずです。大阪府内で実際に選挙費用をどれだけ節減できるか、市町村も含めて調査されてはいかがでしょうか。 また、三位一体の改革においては、各省庁や国会議員から、地方に任せて大丈夫かといった意見も出されていましたが、国に追随し国の動きを待つのではなく、国全体の発展を地方から進める姿勢を明確に示すため、地方からあらゆる制度の矛盾やむだをどんどん指摘していくべきであり、知事が近畿の各府県の知事にも呼びかけ、手始めに選挙費用について共同研究し、一致協力して国に進言してはいかがでしょうか。 本日御参集の議員の皆様もともに考え、御一緒に語りかけようではありませんか。 次に、地球温暖化対策についてお伺いします。 京都議定書は七年を経てもなかなか正式に発効しませんでしたが、先月ロシアが批准に踏み切ったことで、ようやく来年早々にも正式に発効する運びとなりました。 本府では、既に独自に二〇一〇年までに九%の温室効果ガスの削減目標を掲げております。高い目標を設定した府の心意気は高く評価できますが、残念ながら達成にはほど遠い状況にあります。特に達成度の低い民生部門や運輸部門では、都会生活の利便性や快適性を追求すればするほど削減が難しく、府民一人一人が認識やライフスタイルを変えない限り、目標達成は難しいのではないでしょうか。 都市化が進む大阪で民生部門の削減を促すためには、府民がおのずとエネルギー消費を抑えられるように、ヒートアイランド現象の解消策を充実させて、温暖化防止につなげていかなくてはなりません。また、温暖化防止対策は複数部局にまたがる課題であり、目標達成に向けて実効性のある施策を展開するには、専任の統括責任者を設置するなど全庁的な推進体制を構築し、全部局が腰を据えて対策を講じなければ、目標値はただのかけ声に終わってしまいます。二〇一〇年はもう目前です。来年度以降、目標達成に向けてどう取り組むのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、再建が失敗すれば本府の財政再建にも大きな影響が及ぶりんくうゲートタワービル及びホテルの再建策についてお伺いします。 先月十一月末の借入銀行による利子の減免措置の期限切れを目前に、りんくうゲートタワービル及びホテルの再建策が示されました。しかしながら、大阪府都市開発株式会社ホテル経営のために設立する子会社に営業譲渡するという実に難解で唐突な再建策であるため、府民の目には右から左に債務を移しかえるだけに映ってしまい、抜本的な再建につながらないのではという疑念を消すことはできません。 また、ホテルの営業方法や経営環境の問題、りんくうタウンの開発のあり方など、会社の経営主体がかわるだけでは解決しない課題もあります。本体のビル会社も、法的処理を視野に事業再生を目指していますが、三百六十億円にも上る債務を抱えて本当に再建できるのか、甚だ不安です。 知事は、本当にこの再建策は成功するのか、この再建方策がほかの方策に比べてどれだけ公共の利益につながるのかという府民の疑念を真摯に受けとめ、積極的に説明責任を果たすべきです。 また、新たな社名と同時に、企業経営の経験のない府のOBが社長に就任するということが発表されましたが、府民には単にOBの天下り先を確保しているようにしか受けとめられず、再建策自体の真実味が損なわれかねません。知事は、ビル、ホテルともに必ず再建し、りんくうタウンの発展につなげるという決意を府民に示すべきです。 最後に、府民の関心が集まる災害対策の充実についてお伺いします。 ことしは、上陸した台風が十個と日本各地で深いつめ跡を残しました。幸いにも本府では大きな被害は出ませんでしたが、これはたまたまのことであって、果たしてこれまでの予測を大きく上回る風水害にきっちり対応できるのでしょうか。 ことしは、地震も多発しました。九月には近畿地方で震度五弱の地震が発生し、翌月には震度七の激しい揺れが新潟県中越地方を襲い、山合いのまちや村は壊滅的な状況に陥りました。そして、今月には北海道で震度五強の強い地震がありました。全国各地どこにあっても、地震の危険から逃れることはできません。本府では、東南海・南海地震のみならず、上町断層が市街地の真ん中を南北に走っており、直下型地震の危険性も高まってまいります。 今望まれているのは、予想を大きく上回る規模の天災に対する万全の備えです。市町村を含め府の防災体制は万全なのでしょうか。例えば、新潟で大活躍した東京都のハイパーレスキュー隊は、首都の守りのかなめとして規模も機能も充実しています。現在、府内の消防機関には特別救助隊が編成されてはいますが、高度に都市化した市街地や土砂崩れなどの二次災害における救命活動には、今まで以上の装備と機動力を擁したハイパーレスキュー隊に期待が集まります。また、地震により府内あちこちで火の手が上がった場合、消火用水は漏れなく供給できるのでしょうか。 ことしの災害を見る限り、市町村任せにするのではなく、府がもっと防災対策に力を入れなければ、府域全体をカバーできないのは明白です。府民の命と財産を守るという行政の存在意義の根幹にかかわることに、財源不足や権限の有無などを言いわけにはできません。一義的には市町村の役割であっても、ハイパーレスキュー隊の府域全体への増強配備や防災用水の確保など、市町村によって対応に差が出ないよう府の防災対策を充実させるべきではありませんか。 しかしながら、どことも財政に余裕がなく、なかなか防災に手が回らないのが現状です。それならば、災害対策に目的を限定して財源を確保するため、府民に広く理解を求めるのも一つの選択肢ではないでしょうか。高知県が、期間を限定して、森林環境保全を目的に県民税の超過課税を実施しています。橋本知事の施策や判断に県民の理解が得られたからこそ、さきの知事選で再選されたのでしょう。 災害に強い大阪にするために、あらゆる手法を検討して財源を生み出し、市町村と一体になって災害対策に万全を期すべきですが、知事の御所見をお伺いします。 以上、六項目について伺いましたが、知事の誠意ある答弁を期待して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(若林まさお君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 東議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、御質問の関西サミットについてですが、お示しのように、関西全体の知名度の向上あるいは活性化に大きく寄与するものと期待をされますので、先般、四者懇の場で協議を行い、今後サミット誘致に向けて四者で検討を進めることで合意をいたしたものであります。 サミットは、世界の平和と経済の安定に加え、我が国の多様な文化と伝統を世界にアピールする、あるいは経済の活性化に向けさまざまな創意工夫をしていく絶好の機会となるものであり、幸い大阪には、都市インフラの集積やAPECの開催実績などがあることから、サミット開催地にふさわしいポテンシャルがあるというふうに考えております。 現在働きかけております二〇〇七年の関空二期の供用が実現をし、それに続いてサミット開催ということになれば、すばらしいのではないかと考えているわけです。現在、京都もサミット誘致の意向がありますので、今後、関西として一体的な誘致活動が行えるように、広域連携の取り組みのモデルとしても検討してまいりたい、このように考えております。 検討に際しましては、今後、府議会の御意見も十分伺いながら、関係をする地方公共団体と経済界等との間でさまざまな課題について積極的に協議を進めまして、サミット誘致に向けた最終的な合意形成が行えるように努めてまいりたいと考えています。 次に、三位一体の改革についてでありますが、三位一体の改革は、地方がみずからの権限と責任と財源のもとで必要なサービスを選択し提供し得る分権型社会の実現を目指すものであります。本年の八月、地方六団体が結束をしまして改革案を取りまとめて提案をしたところでありますが、その後示された各省庁の代替案など国における多くの議論は、本来の改革の趣旨からかけ離れたものでありました。これに対して、地方として強い危機感を持って、地方案が最大限尊重されるように、本府としても国に強く働きかけを行ってきたところであります。 先般、政府・与党の間で合意をされました平成十八年度までの全体像につきましては、おおむね三兆円規模の税源移譲を目指して、個人住民税への税源移譲が明記をされたことなど評価すべき点もある一方で、必ずしも地方の改革案は尊重されておらず、また多くの課題が先送りをされるなど不十分なものであると言わざるを得ません。大事なことはこれから決まるという意味で、あえて点数をつけるとすれば、私は五十点というふうに考えます。 また、今回の政府・与党内の議論の過程では、地方に任せて本当に大丈夫かというような意見も出たようでありますが、極めて遺憾であります。 私は、地方に権限と財源が移れば、住民生活に密着をした立場から、住民が真に求める質の高いサービスを提供できるというふうに考えています。また、地方では、地域主権を担うにふさわしい主体となるべく、国に先駆けてさまざまな行財政改革の取り組みも進んでおります。住民を含めた地方全体の力で改革を推進していくためには、住民の一層の信頼が得られるように、こうしたことを具体的にわかりやすくアピールしていくことが大事だと痛感をしておりまして、府議会の場を初め積極的な情報発信に努めていきたいと考えています。 今後とも、地方六団体として三位一体の改革が理念に沿って前進をするように、国と地方の協議の場を通じ、地方の主張をさらに展開するとともに、私自身あらゆる機会をとらえて国に働きかけを行ってまいります。 次に、新たな自治制度の確立については、私は、大阪が元気を取り戻し、魅力ある都市として再生をしていくためには、大阪都市圏において産業振興、拠点開発などの広域行政を一体的に展開するとともに、大阪府と大阪市の二重行政、二重投資を解消、防止し、住民ニーズに応じた効率的なサービスを提供することが必要だと考えています。 今回御報告いただきました大阪新都の案は、こうした考え方に沿うものであり、府域にわたる計画、共通政策の策定などの役割を大阪新都機構が担うことによって、大阪都市圏における広域的な計画、調整機能を一元化する一方で、住民に身近な行政については、市町村により大きな役割を担っていただくものであります。府内それぞれの地域の自主性、主体性を高めつつ、府域全体の活性化を図る方向を目指したものだというふうに言えると思っておりまして、私の申し上げております地域主権の時代にふさわしいシステムだと考えています。 ただし、大阪都市圏にふさわしい新たな自治システムを考えるに当たっては、今後の道州制をめぐる議論を踏まえながら、道州制との関係、さらにはそのもとでの政令市、市町村との役割分担などについても整理をする必要があります。 こういった観点から、今後、今回の研究会報告の内容をもとに細部について検討を進め、府民を初め議会、市町村等と議論を深めながら合意形成に努めてまいります。 次に、道州制についてですが、関西の発展のためには、お示しのように、環境、観光、交通など府県域を超える広域的な課題について積極的に対応することが必要です。そして、このためには、関西の各自治体がそれぞれの強みを発揮しながら一丸となって連携していく、そのための広域的な制度の導入が求められております。 こういった観点から、道州制は国からの権限・財源移譲を受けつつ、府県域を超える行政課題に対応するための制度として有効な方策だと考えます。ただし、広域にわたる新たな制度については、全国一律のものである必要はなく、特に大阪のような大都市圏においては、人口や高度な都市機能が集中していることに伴う大都市特有の課題に対応するための制度があわせて必要だと考えています。 また、道州制については、近畿各府県でもさまざまな意見があって、具体的な施策での連携やその方策などを含めて、幅広く議論をしていく必要があると考えています。現在、関西の各府県、政令市、経済界が参加をしております研究会で、関西のあるべき姿について検討が続けられておりまして、また国の地方制度調査会での審議にあわせまして全国知事会でも道州制研究会が発足をし、本府を初め二十五道府県が参加をして議論が始まったところです。 今後、広域的な制度に関する取り組みについて府民に活発な情報提供を行い、議論を喚起いたしますとともに、近畿の各府県の知事と意見交換を行う場について私が提案をしてまいりたいと考えているところです。 次に、地方からの提言力の強化については、社会経済活動の範囲が広がっている中、災害対策あるいは三位一体の改革など一府県では十分に対応できない行政課題が増加をしておりまして、その解決のために広域的な連携はますます重要になってきております。このため、これまでも私が近畿の各府県に呼びかけまして、国に対し連携をしてさまざまな政策の実現を働きかけてまいりました。 お示しの地方の選挙を同日に行うことについてでありますが、私も、府内の地方公共団体の多くが同日に選挙を行うことになれば、大幅な経費の削減が図られ、また投票率の向上も期待できるというふうに考えています。しかしながら、特定の日に選挙を集中するということについては、首長や議員の任期の延長や短縮といった課題がありまして、地方自治制度に係る抜本的な法改正を必要としますので、今後、近畿の各府県とも十分意見交換をしながら、経費削減の効果を含めて研究をしてまいりたいと考えています。 次に、地球温暖化対策についてでありますが、京都議定書が来年の二月十六日に発効することになりまして、温室効果ガスの削減義務が現実のものとなります。地球温暖化対策は、言うまでなく官民挙げて全力で取り組んでいかなければならない重要な政策課題であります。 このために、府内の温室効果ガスの削減目標を設定いたします大阪府地球温暖化対策地域推進計画を今年度末を目途に見直して、二〇一〇年度の目標達成に向け、省エネルギー対策、新エネルギーの導入などを促進するための具体的な方策を再構築いたすことにしております。このほか、産業・業務部門において省エネルギー化をさらに促進いたしますとともに、効果的な緑の創出を図るための方策を環境審議会において御審議をいただいているところであり、来年五月に答申をいただいて、その制度化を図ってまいります。 また、これらの対策は全庁的に進めていく必要がありますので、そのかなめとして、来年度に向けて地球温暖化対策を総合的かつ強力に推進する体制についても検討いたします。 次に、りんくうゲートタワービル株式会社については、平成八年の開業以来厳しい経営状況が続いております。ビル会社の事業は、一部公共的施設部分を除いて専ら賃貸ビル経営でありますために、幅広いネットワークや専門的なノウハウを持った民間にお任せをし、公共は基本的に撤退すべきであるというふうに考えています。 お示しをしたスキーム案は、まず子会社が経営するゲートタワーホテルの営業を譲渡し、その後、ビル会社について公平性、透明性の高い法的手続を活用し、ビル会社と子会社に合計四百十億円余りの貸し付けを行っている金融機関に対して大幅な債権放棄をお願いし、民間企業に譲渡をするものであります。 ホテルについては、民間企業への営業譲渡を目指しましたけれども、条件が折り合わず、最終的に大阪府都市開発株式会社に対し進出を依頼いたしました。今後、新しいホテル経営会社が収支改善に努めることになりますが、本府も、経営が安定するまでの間、公共としてできる限り支援をしてまいりたいと考えています。 なお、新会社の業務執行体制については、大阪府都市開発株式会社から、民間人の登用も検討したが専門のホテルコンサルタントを活用しつつ、組織の効率化や経費負担等を考え、社長については親会社役員が兼務することとしたというふうに聞いておりまして、新会社の経営努力に期待したいと考えています。 ホテルの営業を譲渡した後、本府の指定出資法人の中で最大の懸案でありますりんくうゲートタワービルの問題を、府民の御理解をいただきながら早急に解決できるように全力で取り組んでまいります。 最後に、災害対策の充実についてです。 府は、地域の消防責任を担う市町村が十分に対応できるように市町村との連絡や市町村間の連絡調整を図る役割になっております。市町村が消防力を向上させることは府にとっても重要でありますし、大阪府としても、消防防災ヘリコプターを府内市町村と共同運用するなど消防力の充実に取り組んでいるところです。また、大規模災害など独自の消防力では対応できない被災市町村のために、他の市町村に対する消防応援の指示や自衛隊、緊急消防援助隊の派遣要請などの措置を迅速的確に講じ、被害の最小化を図ってまいります。 防災施策のための財源確保についてですが、財政状況が厳しい中でも、大阪の今と未来のためにこれだけはやらなくてはならないということについては、東南海・南海地震や都市型水害に対する備えなどの府民に信頼される安全なまちづくりを初め、七つの戦略的取り組み分野としてこれをお示しいたしました。この戦略的取り組み分野については、新たに設定をした再生重点枠も活用しながら、予算全体を通じた施策の選択と集中によって重点的な財源配分を行うことにしています。 今後、防災対策については、具体的な予算編成の中で重点分野として検討いたし、災害対策に万全を期してまいります。 なお、他府県での独自課税の例を挙げて御指摘をちょうだいいたしましたけれども、本府としては、先般策定をいたしました大阪府行財政計画案において、課税自主権の活用について行財政改革ワーキンググループを設けることにいたしておりますが、この場で、新たな行政ニーズの有無と行政ニーズに対応するために税負担を求めることの適否について検討することにしておりますので、そうした中でお示しの点も含め研究してまいりたいと存じます。 ○議長(若林まさお君) 東徹君。   (東徹君登壇) ◆(東徹君) ただいま知事から、三位一体改革の全体像への評価や今後の対応、さらに地球温暖化対策のための新たな庁内体制など、はっきりとしたお答え、前向きな答弁をいただき、来年度に向けてぜひとも実現されることを期待したいと思います。 しかしながら、新たな地方制度については、まるで大阪市に遠慮しているかのように、府市の関係にはふたをしてしまい、まさしくさわらぬ神にたたりなしといった感が否めません。知事は、広域連合型で激化する都市間競争を勝ち抜く強い大阪が本当に実現するとお考えでしょうか。場当たり的で、大阪の将来像をきちんと描いていないのが透けて見えます。衝突を避け、議論を避けてやすきに流れるのではなく、言うべきことは、たとえ反感を買ってでも主張し、信念を貫いてこそ信頼を得ることができます。 災害対策については、悠長なことは言っておられません。一葉落ちて天下の秋を知ると言いますが、ことしの各地の被害を見るにつけ、大阪で同様の災害が発生すれば、想像を絶する被害に見舞われることは火を見るより明らかです。いつまでも財源不足を理由にしてはいられません。検討ばかりに時間を費やすのではなく、早急に答えを見出し、本当に必要であれば、知事がみずから頭を下げ府民に理解を求めて財源を生み出し、災害対策に万全を期すべきです。 信念を貫く知事の姿を見せてくださることを切望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(若林まさお君) 次に、井上章君を指名いたします。井上章君。   (井上章君登壇・拍手) ◆(井上章君) 民主党・無所属ネット議員団の井上でございます。 本議会の一般質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、新潟県中越地震や特にたくさん台風が参りましたけれども、台風二十三号により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。 大阪府も、十年前の阪神大震災の際には、私の選挙区である池田市も含めて大きな被害を受けました。全国からの支援の力で、復興のスピードを上げることができました。今回の災害に対しては、大阪府はいち早く復興支援に取り組んでいただいています。台風二十三号では、兵庫県へ緊急消防援助隊四十四隊百五十三名、また職員も合わせて十一名が派遣をされました。また、京都府へは宮津市へ給水車の派遣を初めとして、水道部職員十六名の派遣も行われておりますし、中越地震へは医師、看護師の人的支援、また大阪府の備蓄物資の支援を大量に行っていただいています。 思い返しますと、阪神大震災のときに多くのボランティアが現地で献身的な支援を展開し、その後の福井県沖のタンカー座礁事件での活躍もあって、ボランティアが社会の中で貴重な社会資源として認識をされ、その後、NPO法が制定をされたという記憶に残っておるところでもございます。 パートナーシップ--協働という言葉もそのころから使い始められて、最初は新しい言葉でしたから少しなじみにくい言葉でございましたけれども、今や普通の言葉になりつつあるというふうに思っております。 大阪府でも、その後、府民のボランティア活動支援のための指針が策定をされ、施策の組み立てが行われていますが、残念ながら、国、府、市の三層構造の中で、ボランティアと直接に協働することが少ないために、大阪府社会福祉協議会を初めとして、その中にあるボランティアセンターを通じた支援活動に終わっているのが実情だろうというふうに思います。しかし、災害は広域で発生するわけですから、府県単位での対策を講じておかなければならないことも明白でございます。 民主党は、災害ボランティアの育成、自治体にボランティアの受け入れ体制の整備を義務づける法案を今党内で検討し、超党派の議員立法として提案をしたい、そういう準備もさせていただいております。 また一方、政府においても、来年度の概算要求の中で三千六百万円余りの要求を行って、ボランティア団体と行政の平時からの連携整備やボランティアコーディネーターの機能強化などを行うことといたしております。 東南海・南海地震が懸念される中で、広域行政を担当する大阪府として、災害発生時にボランティアが円滑に活動ができるような受け入れ体制を整備するとともに、災害に備え、日ごろから災害ボランティアに関する人材育成や関係機関との強化を図り、政府の法律整備をまつまでもなく、大阪府独自で取り組みを行わなければならない課題ではないかというふうに思いますが、総務部長の見解をお伺いいたしたいと思います。 次に、交通バリアフリー法に基づく鉄道駅エレベーター設置補助制度の後退についてお伺いいたします。 私は、昨年九月の初めての一般質問で、交通バリアフリー法によって公共交通機関施設のバリアフリー化を市町村や事業者とともに進めていくべきではないかという質問をいたしました。阪倉建築都市部長からは、高齢者、障害者の皆さんが自立した日常生活や社会生活を営む上で非常に重要な問題であり、今後とも補助制度を活用して、国、地元市町村、鉄道事業者と協調しながら、エレベーター設置などの旅客施設のバリアフリー化に取り組むという力強いお答えをいただいておりました。しかし、今年度から補助限度額を一基当たり二千五百万円から一駅当たり二千万円に改定されているではありませんか。本当にびっくりいたしました。あのときいただいた答弁はどうだったんだろうなというふうに、その結果を見てつくづく思わされました。 三位一体改革の中で補助金改革が行われ、税源移譲で地方に配分をされておれば、地方のことは地方で決めることができるわけでありますから、このようなことはなかったのかもわかりませんけれども、先日の我が会派と各市町村との政策協議の中で、ぜひこの限度額をもとに戻してほしいという要望が出されました。 大変厳しい大阪府の財政状況の中で総額を確保するということの困難性、法律施行による平成二十二年までに五十カ所の整備が必要になっているという理由については私も理解をできる範囲もあるわけですが、少しでも多くの箇所で設置をしたい、そのために二千万円にさせていただいたということでございました。 この制度の基本的認識は、御承知のように、阪倉部長からお答えをいただいたバリアフリー化を実現するための法律であります。同時に、大阪府は福祉のまちづくり条例を持ち、大阪府全体の福祉化についても取り組む決意をしているところでもございます。今日、多くの補助制度が国、府、市町村、企業の共同による補助制度になっていますが、企業から見れば、法律の制定によって事業を起こすことが義務づけられた以上、法律を制定した側も一定の負担をすることは当然であるというふうに思います。 例えば、府県の守備範囲の外で国会で法律ができていたとしても、定められた責任は果たすべきではないでしょうか。財政論からだけでそうした責務が十分に果たされないということであれば、ある種のモラルハザードを起こすのではないでしょうか。 大阪府は、計画段階で事業内容にしっかりとコミットし、内容を精査し、府民の財産をむだに使うことは許されませんが、適正な事業に対して定められた役割を果たすべきではないかと思いますが、限度額を二千五百万円に改めるというお考えがあるかどうか、部長の見解を伺いたいと思います。 あわせて、今回の問題の一つに、予算審議の段階で、議会がこうした要綱による補助制度をしっかりと把握することが難しいという課題があります。予算額が増減しますと内容についてただす場面もあるわけですが、今回の場合は、一定の予算は守られているわけですから、どうしても見逃しになりがちになってしまいます。説明責任を果たす上でも、改変のある箇所については議会に報告をするシステムを構築すべきではないかというふうに思いますが、建築都市部の見解をお伺いいたしたいと思います。 さて、私の選挙区でもあります大阪国際空港をめぐる問題について数点お伺いいたします。 関西国際空港二期工事、二〇〇七年運用開始、大阪国際空港の位置づけについて、十一市協へ空港整備法上の位置づけとして、国際線が飛んでいない空港が一種であるのは矛盾であり二種Aを検討せざるを得ないということで落ちつこうといたしておりましたけれども、きょう朝の情報によりますと、何らかの形で明記をせざるを得ない、そういう決定になりそうな情報もございます。十一市協の地元市町村に国交省の方からここ数日以内に説明があるということで、一応の決着ということになりそうでもございます。 当初、十一月の八日に国土交通省岩崎航空局長が、大阪国際空港のあり方について、大阪国際空港騒音対策協議会、いわゆる十一市協に五つの問題について申し入れを行いました。同日に、大阪府が考える大阪国際空港の今後のあり方という文書もいただきました。ちょうどそれから一カ月--それぞれの地域の思いが交錯をした一カ月ではなかったかなというふうに思います。 大阪国際空港は、一九九〇年に行われた存続協定で、国が管理をする国際線が就航しない一種空港、国際空港として国が決めたことであり、合理的な理由もなしに二種格下げが行われるということは当然受け入れることのできない問題であるというふうに思いますが、大阪府自体として、大阪国際空港をめぐる個別の問題意識と関西空港との関連性における認識が本当に一致しているのかどうか、疑問に思うところがたくさんあります。大阪国際空港は、今日まで大阪、関西の産業経済に大きく貢献してきましたが、平成十四年の交通政策審議会において国内の基幹空港という位置づけが行われ、しかしながら時を経るに従って、具体的に少しずつ変化をしてきているのではないかというふうに感じています。 一方、関西国際空港を初め三空港のトータルな一体利用について議論が先行すべきところなのに、関西国際空港をめぐる最近の政府の動きは、私から見ると、二〇〇七年第二滑走路の運用開始に向けて大阪国際空港の使用枠制限や財政支援が先行し、関西三空港において的確な議論が行われていないように思います。関西全体の経済がいまだに不透明な先行きの中で、このことが景気回復にどの程度貢献することができるのか、大阪府の意思が不透明なままに終わっています。このままでは大阪国際空港が際限なく縮小されてしまうのではないかという懸念がありますが、知事の明確なお考えをお伺いいたしたいと思います。 九月の十一、十三日に大阪国際空港活性化協が行ったアンケートでは、利用者の七割が大型機の乗り入れ禁止に反対、長距離便の使用制限についても八割が反対しています。大阪国際空港の利点は、アンケートでもおわかりのように利便性であり、大阪の企業にとっても、東京との競合の中で迅速性が一番必要なときではないかと思います。大阪国際空港から関西国際空港へ航空便を政策的に移動させても、結果として航空需要を減少させるだけではないかと危惧いたします。 関西経済の早期回復を目指すためにも、利用者の利便性、市場メカニズムに任せた判断が必要だというふうに思いますが、その点についても知事のお考えをお伺いしたいと思います。 また、先日、航空保安大学校のりんくうへの移転が決まりそうだという話がありました。この施設は、今羽田空港にありますが、数年前から移転が計画をされておりました。関西国際空港開港時に大阪国際空港の利用者が大きく落ち込んだときに、運輸省から移転の打診があり、私もそのとき池田市議会議員の一人でございましたから、景気回復のために大変役立つ施設だなというふうに喜んでいたところでもあります。 その後、池田市では、建築確認申請まで双方の中で協議が行われていたにもかかわらず、先日の情報によりますと、国交省の中に候補地の検討に当たっての選考委員会が設置をされることになる、そしてもう一度改めて選定について委員会の中で協議をすることになっているというふうに聞かせていただいています。 大阪府としても、大阪全体の経済浮揚策、公正な立場で取り組んでいただけるものと思います。 最後に、安心安全の課題で、九月定例会の私どもの漆原議員の代表質問で提起をしましたANSINメールの経過についてお伺いをいたします。 代表質問の中で、子どもの連れ去り、暴行、痴漢など犯罪が多発している中、こうした犯罪から子どもを守ろうと私の選挙区でもある池田市で行っているANSINメールを例に、子どもの安全監視と見守り体制の強化を提言いたしました。生活文化部長からは、大阪府は安全なまちづくり条例に基づき、府と市町村、警察、学校、PTAが一体となってこども一一〇番の家を推進し、ことし五月には、有識者、民間企業の参画を得て、庁内関係部局による安全なまちづくりIT活用研究会を設置して、インターネットメールを活用した情報提供システムやICタグを使った子どもの下校情報確認システムなどの実例把握や課題整理を進めている、今後はシンポジウムなどの開催で府内の市町村に対して安全対策へのIT活用を促進するという答弁がありました。 先日来の新聞報道や十九日の知事の定例記者会見の中でも、この課題が最優先課題として取り上げられておりました。子どもの安全をしっかり守っていくという決意も伝わってまいります。 私は、市民に一番身近に接している市町村や地元警察、学校、PTAなどが協力をする中で、みずからの地域社会の安全はみずからで努力をするとの意識が高まり、リアルタイムで情報を発信できる体制が整うのではないかと思います。現在、来年度予算の編成過程の中でどのような経過になっているのか、御答弁をいただきたいと思います。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(若林まさお君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 井上議員の御質問にお答えを申し上げます。 大阪国際空港につきましては、羽田空港に次いで二番目に多い年間約一千九百万人の国内航空需要を支える空港でありまして、国内線の基幹空港の名にふさわしい空港と考えています。 関西国際空港二期事業が完成をした場合の処理能力は、理論値として最大年間二十三万回というふうにされておりますけれども、現在、大阪、関西の両国際空港で受けとめております航空需要は既に二十三万回近く、利用者数は三千六百万人に上っております。さらに、今後の航空需要の伸びということを考えれば、これを関西国際空港の二本の滑走路ですべて受けとめることはできません。国内の都市間移動を担うためにも、大阪国際空港は今後も基幹空港としての役割を果たすことが期待されています。 また、利用者利便についてですが、今後、関西の三つの空港、五本の滑走路時代を念頭に置いて、これら社会資本をトータルとしていかに最適に活用し、関西の将来につなげていくかということが重要になってまいります。大阪国際空港の利便性は多くの利用者が評価をするところでありますが、その一方で地元に受忍を強いてきた歴史もあり、同空港の運用は総合的な視点から判断されるべきものと考えます。 一連の大阪国際空港の運用見直しは主として環境問題に起因するものでありますが、本府としても、利用者利便が著しく損なわれたり、地域経済への大きな影響が生じることがないように配慮されるべきものだと考えています。 ○議長(若林まさお君) 総務部長三輪和夫君。   (総務部長三輪和夫君登壇) ◎総務部長(三輪和夫君) 災害時のボランティア活動支援についてでありますが、災害が発生した場合、被災者の多様なニーズにこたえて迅速で的確な救援対策を実施するため、ボランティアの自発的な活動が重要な役割を果たしております。このため、大阪府においては、平成九年に災害時におけるボランティア活動支援要綱を制定したところであります。 府域において災害が発生した場合に備えて、あらかじめボランティア活動に参加しようとする団体について府に登録をしておく事前登録制度を設けており、現在、五十団体、二千五百四十人の方々が登録をしていただいております。この登録ボランティアや市町村のボランティアリーダーなどが災害支援活動に必要な知識、技術を習得できるよう、災害時におけるボランティアハンドブックを作成するとともに、リーダー研修会を開催いたしております。また、避難所運営訓練を初め、各種の防災訓練への参加を通じて実践的な体験を行っていただくとともに、連携の確保に努めているところであります。 実際に災害が発生した場合には、大阪府社会福祉協議会と連携して、ボランティア活動の需給調整を行うセンターを開設し、ボランティアの登録、被災地の情報の提供、事故に備えた保険の加入を行うなど、受け入れ体制を整備しております。 今後とも、市町村及び大阪府社会福祉協議会や日本赤十字社大阪府支部等のボランティア活動推進機関との緊密な連携を図りながら、災害時のボランティア活動が円滑に実施できるよう、その環境整備に努めてまいります。 ○議長(若林まさお君) 生活文化部長綛山哲男君。   (生活文化部長綛山哲男君登壇) ◎生活文化部長(綛山哲男君) ITを活用した子どもの安全対策についてお答えを申し上げます。 先般、奈良県において発生いたしました痛ましい事件を初め、子どもたちの安全を脅かす事件が多発しており、地域で子どもを守り、安心して暮らせるまちを早期に実現していくことは重要な課題であると認識をいたしております。さきに策定をいたしました行財政計画案におきましても、今後重点的に取り組む七つの戦略的取り組み分野の一つとして、府民に信頼される安全なまちづくりが位置づけられたところでございます。 九月定例府議会において御提言をいただきましたメールを活用した不審者情報等の提供システムは、必要な情報を迅速に地域に伝えることができ、犯罪被害の未然防止に有効な方策であると考えております。このため、本年十月には、学識経験者や専門家の参画も得て、ITを活用した事例や課題を整理し、地域での取り組みに活用していただくため、安全・安心なまちづくりICT活用ハンドブックを作成したところでございます。 お示しの情報提供システムは、これまで池田市や門真市、和泉市、富田林市において実施されてきたところであり、今月からは総務省においても、防犯防災総合情報を住民に一斉に配信するITシステムの実証実験が豊中市の一小学校区をモデルに開始されることとなっております。 こうしたメールを活用した情報提供システムは、子どもの安全確保を図る上で効果が大きいと考えており、市町村とともにこのような取り組みが府内全域に広がるよう、その支援方策などを警察本部や関係部局とも十分連携を図りながら積極的に検討を行ってまいりたいと考えております。 ○議長(若林まさお君) 建築都市部長阪倉嘉一君。   (建築都市部長阪倉嘉一君登壇) ◎建築都市部長(阪倉嘉一君) 交通バリアフリー法に基づく鉄道駅エレベーター設置補助等についてお答え申し上げます。 駅舎のバリアフリー化については、交通バリアフリー法に基づき、国の基本方針が定められております。この方針に基づき、平成二十二年までに一日の利用者が五千人以上かつ高低差五メートル以上の駅舎を対象に事業の推進を図っており、交通バリアフリー法が施行された平成十三年度からエレベーター一基当たり二千五百万円の補助を行い、平成十五年度までに十二駅、二十七基のエレベーターが設置されました。 今後、平成二十二年までの七年間に、対象となる約五十駅について事業を推進する必要がございます。したがいまして、より多くの駅舎に対して補助を行っていくことが交通バリアフリーの推進につながるものと考え、限られた予算の中でやむを得ない選択ではありましたけれども、限度額を一駅当たり二千万円として目標駅数の補助を期限内に確保できるように補助制度を改正したところであります。 本制度の運用に当たっては、駅舎整備の推進に支障を来すことがないようにする必要がありますので、今後、市町村や鉄道事業者などと十分協議をするとともに協力を要請し、必要な事業費の精査など、市町村に過度な負担を強いることにならないような方策を検討してまいります。また、国に対しましても、駅舎整備に対する補助の充実を要望してまいりたいと存じます。 なお、補助要綱の改正に際して事前に御説明しなったことにつきましてはまことに遺憾であり、今後、重要な要綱の改正に当たっては事前に御説明を行うようにいたしてまいりたいと存じます。
    ○議長(若林まさお君) 次に、柏原賢祥君を指名いたします。柏原賢祥君。   (柏原賢祥君登壇・拍手) ◆(柏原賢祥君) 公明党の柏原賢祥でございます。 一般質問の機会をいただきましたので、私からは、市町村合併、保育所待機児童解消と在宅の子育て支援、ヒートアイランド対策、公営住宅の地位承継のあり方、大阪府育英会奨学金について順次質問をさせていただきます。 まず初めに、市町村合併についてお伺いをいたします。 私は、昨年の十二月議会において、大阪府として力強く市町村合併を推進、支援するという姿勢を示し、知事みずからが地域に出向いていって、その思いを語る決意を持っていただきたいと府の強力な支援を知事に要請をいたしました。 しかしながら、府内の合併は、守口市、門真市を初めほとんどが挫折する見込みであると伺っており、結局平成十六年度末の合併特例法の期限内において成就する市町村合併は、堺市、美原町のみという状況であります。大都市圏の市町村合併の難しさを痛感せざるを得ない結果となってしまい、私としてもまことに残念な思いであります。 このような結果には住民投票が大きく影響したと言えますが、知事は、九月の定例記者会見で行政の住民に対する説明が欠けていたのではないかと発言をしました。このことは、合併に関しては余りにも人ごとという感が否めないわけでございます。 地元では、協議会だよりの各戸配布や住民説明会の開催、合併効果のPRなど、かなり積極的に広報活動を展開してまいりました。私も、ミニ集会を幾度となく開催するなど、住民の皆様に対して合併の必要性を訴えてきたところでございます。自主的、主体的な合併という府の基本スタンスは一定理解をするものでございますが、地元が地域課題の解決のために合併の必要性を訴えることとあわせて、知事みずからも地域に出向いていき、大所高所の視点から合併の必要性を訴えるべきではないのか、リーダーシップを発揮すべきではないのかと申し上げたいのでございます。 そこで、まず知事は、今回の相次ぐ合併協議の挫折に対して、また一連の住民投票の結果をどのように受けとめておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。 一方、今後の府内における市町村の財政状況は、さらに厳しくなると見込まれております。団塊の世代の職員退職金問題に加え、大地震に耐え得る学校施設の整備を初め、高度経済成長期に建設をいたしました多くの公共施設が大規模な改修を行わなければならない時期に来ております。また、ごみ処理対策のように、一定規模以下の市町村が単独で対応していくには非効率であり、広域的な対応が求められる課題も多くございます。そのためにも、市町村合併によって規模の拡大を図っていくことが重要であります。市町村合併により、行財政基盤を強化し、市町村が自律的に課題解決を行っていけるようになれば、ひいては大阪府の財政負担を軽減することにもつながります。 ところで、この十月に大阪府地方自治研究会から、大阪都市圏にふさわしい地方自治制度のあり方について最終報告がなされました。これによりますと、大阪都市圏域にふさわしい新しい自治システムを確立するためには、その前提として地方分権を推進し、市町村が住民に身近なところで住民の意見を反映しながら、より大きな役割を果たせるよう全市町村に中核市並みの権限移譲が必要であるとしております。 このことは、私も同感でありまして、権限移譲の受け皿になり得る市町村をつくるためにも市町村合併が必要であり、大阪府は引き続き市町村と一緒になって強力に推進していくべきであります。 そのため、知事みずからが先頭に立ち、市町村合併の意義、必要性を積極的に府民に働きかけ、訴えていくべきであると考えますが、具体的にどのように取り組んでいこうとされるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、保育所待機児童解消と在宅の子育て支援についてお伺いをいたします。 保育所の待機児童については、知事選挙の公約の中で、平成十七年度当初に解消を目指すとして、明確に目標年次を定められました。今年度は、保育所の緊急整備分として十五億円余りの予算を上積みするなど、その取り組みは一定評価をいたしたい。仕事を持ちながら子育てに奮闘しているすべての保護者にとって、必要なときに保育サービスが受けられる日が一日でも早く訪れることを待ち望んでおります。 しかしながら、我が党の調査によりますと、平成十五年四月一日現在で待機児童が千五百九十一名であったものが、今年度当初の時点では千五百一名と九十名の減少にとどまっております。平成十五年度中に保育所整備等により定員は約二千名増加したにもかかわらず、待機児童はほとんど減少していないという状況でございます。府は、平成十六年度当初の待機児童をおおむね八百名程度と予測していましたが、この予測とは大きく乖離している状況でございます。 待機児童がほとんど減少しなかった理由、これはいろいろあると思いますが、不景気の影響などによる共稼ぎ家庭の増加や離婚する夫婦の増加、社会事象の変化も大きな理由であります。私は、地域における子育て支援が十分に用意されていなかったことから、入りやすくなった保育所に子どもを預けたいといったニーズを掘り起こしたのも一つの原因ではないか、このように考えております。 一昔前であれば、家にいるおじいちゃん、おばあちゃんや近所の方々、いわゆる子育ての先輩方に相談し、いろいろと悩みを打ち明ける機会もありましたが、核家族化や都市化が進む中、身近な相談相手が少なくなったことなどにより、こうした子育て家庭の不安感や負担感が大きくなっております。身近な相談相手もなく、子育てに悩みを持つ保護者の多くが、子育ての専門機関である保育所に頼らざるを得ない状況に追い込まれているのではないでしょうか。 このような状況を放置すれば、保育所の入所ニーズはますます増大し、幾ら保育所を整備しても待機児童の解消は困難と言わざるを得ません。待機解消のための保育所整備も大切ではありますが、家庭において子育てに孤軍奮闘している多くの保護者を支援する地域の体制整備が非常に重要ではないかと思っております。 我が党は、かねてより子育て支援の重要性を機会あるごとに訴え、国においては、育児相談や子育てサークルの支援等を行うつどいの広場事業などを整備してきたところであります。また、住民同士が相互に子育ての援助活動を行うファミリー・サポート・センター事業については、五年前には府内でわずか二つの市で実施していただけでございましたが、現在は二十九の市と町まで実施が拡大されてきたところであります。府としても、このような各市町村で実施している子育て支援事業の拡充に引き続き努めていくべきであろうと、このように考えております。 大阪市、堺市、高槻市を除いた大阪府域には、三歳未満の子どもが約十四万六千人いらっしゃいます。そのうち、保育所に入所している子どもは約二万一千人でございます。実に約八五%に上る子どもが家庭で過ごしている実態でございます。三歳未満の子どもを保育所に預ければ、公費分として一人当たり約三百万円が必要となります。これに比べますと、在宅の子育て家庭のために使われている公費は、先ほど申し上げたような子育て支援事業への取り組みが少しずつ広がってきているものの、まだまだ比較にならないほど少ないのが現状でございます。 こうした状況を考えてみても、在宅の子育て家庭を地域社会全体で支えていくため、行政の手厚い支援がぜひとも必要でございます。子育てに関する不安感や負担感を軽減するための育児相談等きめ細やかでぬくもりのある支援を行うことにより、初めて安心して子育てできる家庭環境や社会環境が整備され、子育て日本一の大阪が実現できるものと考えます。こうした取り組みは、身近に相談相手がいない家庭の孤立化を防ぎ、増加している児童虐待の発生を防止することにつながることからも、一層力を入れていくべきであります。 そのため、府としては、子育て支援の実施主体である市町村を強力にサポートするなど、子育て日本一の大阪の実現に向け、指導力を発揮していただきたい。待機児童の解消とともに、身近な地域できめ細やかな子育て支援を展開するための府の取り組み方針について、知事の所見をお伺いをいたしたい。 次に、ヒートアイランド対策についてお尋ねをいたします。 ロシアが京都議定書を批准したことにより、京都議定書は来年の二月十六日に正式に発効することとなりました。これにより我が国においては、二〇〇八年から二〇一二年までに、二酸化炭素、メタン、代替フロンなどの六種類の温室効果ガスの排出量を一九九〇年の排出量と比べ六%削減することが義務づけられることとなります。国においては、この六%削減を実行していくために、地球温暖化対策推進法の改正や省エネルギー法の改正などを検討しております。私たちの子孫のためにも、地球規模で温暖化対策に着実に取り組むことが望まれるところでございます。 気象庁のデータによりますと、ことしの大阪の夏は、真夏日が九十四日と過去最高であり、だれもが寝苦しいと感じる熱帯夜も五十一日もありました。また、十一月の気温も平年より二度以上高いという状態でございます。大阪では、温暖化現象とヒートアイランド現象が相まって気温が上昇しているものと思われます。 私は、十月三十一日から十一月八日まで、大阪府議会海外行政調査団の一員として、イギリス、フランス、オランダで地方分権、都市再生、環境問題等々の調査を行わせていただきました。ロンドンのまち中を歩きますと、ハイドパークなどの公園が整備され、緑が至るところにあり、何百年も先を見据えたまちづくりが行われた結果として、まちに潤いと歴史と重厚感を感じることができたところでございます。 それに比べ、大阪市の中心部はと申しますと、大阪城公園や鶴見緑地はあるものの、それ以外は建築物やコンクリート、アスファルト舗装などにより地面が覆われ、道路を自動車が我が物顔に走行しております。このような都市化の進展とエネルギーの大量消費の結果としてヒートアイランド現象が起こってきており、この現象を緩和するための対策を早急に講じなければならないと感じているところでございます。 大阪府では、ことし六月にヒートアイランド対策推進計画を策定し、その中で優先対策地域を定めていきたいとしております。ヒートアイランド対策については、緑化の推進などさまざまな対策がございます。府民が実感できる効果を上げるには、区域を絞り込み、官民が一体となって集中的に取り組むことが必要でございます。また、太陽熱を遮る塗料やエアコンの室外機に水を噴霧する装置など、ヒートアイランド対策として効果が実証されてきている新技術の導入についても研究をさらに進めていただきたい。 私の地元守口市では、都市再生緊急整備地域の指定を受けております守口大日地域の周辺道路で、大阪府と守口市によるヒートアイランド対策として効果が期待できます透水性舗装を行ったところでございます。これにあわせ、民間事業者が開発区域内道路を透水性舗装とする予定であると聞いております。府と市が協調してヒートアイランド対策を積極的に進めることで、民間事業者の取り組みを促すことにもつながったのではないかと考えております。 ヒートアイランド対策は、まちづくり、防災、観光集客などの課題と同様に、大阪市を除いては解決できるものではございません。都市再生緊急整備地域につきましては、府内十二カ所、一千七十二ヘクタールのうち、大阪市内で四カ所、六百九十一ヘクタールが指定をされております。今後、効果的なヒートアイランド対策を重点的に進めていくためには、大阪市域を含めて対策地域の絞り込みを行うとともに、府と市が協調して施策誘導をすべきであると考えますが、環境農林水産部長の所見をお伺いをいたします。 次に、公営住宅の地位承継のあり方についてお伺いをいたしたい。 府営住宅は、低額所得者の居住におけるセーフティーネットとして大きな役割を果たしてきたところでありますが、長引く不況の影響等によりまして、近年、応募倍率は上昇傾向にあり、昨年度は平均で約十二倍に迫る狭き門となっております。府営住宅への入居が難しくなっている要因として、既入居者の居住期間の長期化が考えられるところでございます。府営住宅入居者の平均居住年数は約二十年であり、十五年以上居住している世帯の割合も全世帯の五七%に達している状況にございます。 その中で、エレベーターのない中層住宅の四階、五階の居住者がだんだんお年をとられ、上りおりが困難となり、一、二階に住みかえを希望しても、入れかえができておりませんのでなかなか実現しない話や、まれなケースかもしれませんが、入居の実態がなく、倉庫がわりに使用している者がいたというような話さえ耳にするところでございます。とりわけ名義人が死亡した場合や退去した場合に、その地位が配偶者、子どもなどに引き継がれる地位承継により、同じ親族が長く住み続けている状況が見受けられ、府営住宅への入居を希望しながらなかなか入居できないという方との不公平感が拡大しているところでございます。 府営住宅は、府民共有の財産であることから、その門戸は府民全体に開かれるべきであり、とりわけ真に住宅に困窮している府民に対して公平、適切に供給されることが必要でございます。このため、入居者の名義人としての地位を承継できる条件をより工夫するなど、より多くの府民に入居の機会が与えられるべきであると考えますが、建築都市部長の所見をお伺いをしておきます。 最後に、大阪府育英会奨学金についてお伺いいたします。 経済環境が回復基調にあるとはいえ、依然として全国的に失業率が高い状況にあるなど、府民の生活は厳しい状況にあります。とりわけ、高校進学を控える生徒のいる家庭にとって、教育費の捻出は大きな悩みとなっております。このような中、平成十五年度におきましては、大阪府育英会奨学金を二万七千六百七十六名が利用するなど、全国的にも類を見ない充実した、日本一すばらしいと言っても過言ではない制度でございます。教育の機会均等を保障するためにこの制度が果たす役割は、今後ますます重要なものになると思われます。 奨学金制度は、生徒が学校卒業後に返還し、それを次に学資を必要とする人が活用するという制度であるため、確実に返還金を回収できなければ将来立ち行かなくなる制度であります。ところが、過日の新聞報道や大阪府行財政計画十六年版に示されているように、昨年度大阪府育英会奨学金の償還率が六割を下回るという残念な状態となっており、このままでは、この奨学金制度を持続させることが難しいのではないかと危惧される事態でございます。このような状況となるまでにはさまざまな債権回収の取り組みをされてきたとは思いますが、ここに至っては、従来と同様の取り組みを進めても、飛躍的な効果を得ることは難しいのではないかと考えるところでございます。 現在、大阪府育英会の職員が滞納整理に当たっておりますが、現在の滞納状況を見る限り、滞納整理に関するより専門的なスキルやノウハウを十分持っている民間会社などに電話や訪問による督促をアウトソーシングすることが効果的かつ効率的であると考えますが、生活文化部長の所見をお伺いいたします。 また、滞納者や滞納金額を減少させるには、既に発生している滞納債権の整理も必要でございますが、将来の滞納を未然に防ぐ予防的措置の効果も大きいものと考えます。とりわけ、本人に返還の自覚を持たせるための奨学金教育は、高校入学時、在学中、卒業時など時期に応じた取り組みを適切に行っていくことが大切であります。奨学金教育について、借りたものはきちんと返すという意識を徹底させるためにも今後どのように取り組んでいくのか、生活文化部長の所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(若林まさお君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 柏原議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、市町村合併についてでありますけれども、これまで市町村長さんを初め関係者の皆さんには本当に大変御苦労をいただいたと思っております。府としても、こうした市町村の取り組みを積極的に支援しただけに、今回の結果はまことに残念であり、私としても重く受けとめております。また、一方で、改めて大都市圏において合併を進めていくことは難しいということを痛感させられました。 しかしながら、お示しのような市町村が直面する課題を解決するためにも、また分権時代を担うにふさわしい市町村の行財政基盤を確立する上でも、市町村合併の推進は今後とも重要な課題であり、合併新法のもとにおいても、府として引き続いて市町村合併が促進されるように取り組みを強化していかなくてはならないと考えております。 大都市圏における基礎的自治体の役割、あるいは分権時代における合併の意義、必要性などについて、経済界など各界各層の方々とともに私自身も改めて問題提起を行い、できるだけ具体的な説明を申し上げて、府民の皆さんの御理解が得られるように訴えかけていきたいと、このように思っております。 次に、子育て支援についてお答えをいたします。 保育所の待機児童につきましては、昨年度、保育所整備等によって約二千名の入所枠の拡大を図ったところですけれども、本年度当初の待機児童はなお一千五百名おられます。そのため、保育所整備を進めるとともに、市に対して、定員に満たない保育所の活用、定員の見直しなど、地域の実情に応じた取り組みの強化を今一生懸命要請しておるところでありまして、平成十七年度当初の待機児童ゼロの実現を目指して、引き続いて最大限の努力をしてまいります。 在宅の子育て家庭への支援については、一層充実していく必要があります。九月に取りまとめました次世代育成支援に係る行動計画素案でも、取り組みの大きな柱として位置づけておるところです。これまで、育児相談などを行う地域子育て支援センター事業を初め、子育ての援助活動を行うファミリー・サポート・センター事業など多様な事業につきまして、市町村に目標値を働きかけするなど、充実に努めておるところでございます。また、今年度からは、親子の交流の場事業を新たに実施いたしますなどメニューの充実を図っておるところでもございます。 今後、こうしたさまざまな事業の推進に市町村と十分連携をしながら積極的に取り組んで、安心して子育てができるまち大阪の実現にさらに努めてまいります。 ○議長(若林まさお君) 生活文化部長綛山哲男君。   (生活文化部長綛山哲男君登壇) ◎生活文化部長(綛山哲男君) 奨学金についてお答えを申し上げます。 大阪府育英会奨学金につきましては、お示しのように、貸付人員、貸付額とも他府県に比べ極めて充実した制度として進路保障に大きな役割を果たしていると考えております。しかしながら、近年の償還率の低下や滞納債権額の増加は、制度の根幹をも揺るがしかねない大きな問題であり、より一層取り組みを強化する必要があると認識いたしております。 このため、奨学金教育として、全奨学生に対して奨学金制度を周知し、返還意識を高めるためのパンフレットの配付や学校へ出向いての説明会の開催などに取り組んでまいりましたが、今後さらなる徹底を図るため、学校の協力も得ながら、ビデオなどの教材提供を行うなどきめ細やかな対応を図ってまいります。 また、お示しのように、滞納対策をより徹底して進めていくためには、民間活力を活用したアウトソーシングが有効な手法であると考えておりますが、大阪府育英会は債権回収業に関する特別措置法の適用外でありますため、回収業務全般を委託することはできないこととされております。このため、昨年度から電話による支払い案内等一部業務を委託いたしておりますが、今後は回収業務の委託が可能となるよう国への法改正についても働きかけるとともに、現行法の範囲内におきましても、可能な限り民間のスキルやノウハウが活用できるよう努めてまいりたいと考えております。 また、こうした滞納状況を受け、本年七月に大阪府育英会と本府関係課から成る緊急プロジェクトチームを発足させ、滞納整理対策の徹底方策について検討を進め、今月中にも取りまとめをすることといたしております。 今後、新たな取り組みをも含めた強化策を講じますことにより、償還率の大幅な向上と制度の安定的な運営に努めてまいります。 ○議長(若林まさお君) 環境農林水産部長草川大造君。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) ヒートアイランド対策についてお答えいたします。 ヒートアイランド対策は、本府における重要な環境課題と認識しております。このため、ことし六月に、熱帯夜の日数を二〇二五年度までに三割削減することなどを目標としたヒートアイランド対策推進計画を取りまとめたところでございます。また、大阪市におきましても、府の計画を踏まえながら、ことし九月にヒートアイランド対策推進計画素案を取りまとめ、公表されております。 府の計画では、地表面温度が三十三度以上の地域を優先対策地域として定めております。この地域は、おおむね市街化区域と重なり広範囲でありますため、今後ヒートアイランド対策が集中して実施できますよう、大阪市域を含め地域の絞り込みについて検討してまいりたいと存じます。 国におきましても、東京、大阪などの都市再生緊急整備地域や都市活動の集積している地域において、まちづくり施策とあわせ、環境負荷低減のための対策を一体的、集中的に投入することにより、経済活力と良好な環境をあわせ持つ持続可能な都市の再生を目指した取り組みを推進していくと伺っております。 今後、国の動向も見きわめ、都市再生緊急整備地域など効果的かつ効率的にヒートアイランド対策が実施できると考えられる地域を対象に、府と市が協調しながら緑化の推進や地表面被覆の改善などの対策に集中して取り組めるよう努めてまいりたいと存じます。 ○議長(若林まさお君) 建築都市部長阪倉嘉一君。   (建築都市部長阪倉嘉一君登壇) ◎建築都市部長(阪倉嘉一君) 公営住宅の地位承継のあり方についてお答えいたします。 府民共有の財産である府営住宅は、居住におけるセーフティーネットであることから、住宅に困窮する府民の方々の利用に供するよう公平な募集を行い、適切な管理に努めているところでございます。 しかしながら、お示しのとおり、府営住宅の応募倍率が年々高まる中、真に住宅に困窮する府民の方々に公平に府営住宅に入居していただくためには、府営住宅入居者の地位承継のあり方も重要な課題であると認識しております。 当初入居以外の親族で入居名義人の地位の承継、いわゆる地位承継ができる範囲については、国では入居名義人の三親等以内を限度として事業主体が定める範囲の親族とするとの運用指針を示しているところでございます。大阪府では、従来から同居期間が一年以上の直系二親等以内の親族に範囲を限定して取り扱ってきたところでございます。 なお、地位承継の条件を見直す場合、一定の福祉的配慮や救済措置などもあわせて設定する必要があると考えており、引き続き府として地位承継のあり方などについて研究を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(若林まさお君) この際休憩いたします。午後二時四十一分休憩    ◇午後三時十分再開 ○副議長(半田實君) これより休憩前に引き続き質疑質問を続行いたします。 通告により今井豊君を指名いたします。今井豊君。   (今井豊君登壇・拍手) ◆(今井豊君) 大阪府議会主権おおさかの今井でございます。 このたび一般質問の機会をいただきましたので、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、教育対策について二点お伺いしたいと思います。 第一点目は、NEET対策についてであります。 このテーマは、本年九月の定例会の一般質問で我が会派の北之坊議員が鋭く問題提起をいたしましたが、今回それらをもう少し踏み込んだ形で質問をさせていただきたいと、こう思うわけです。 厚生労働省は、二〇〇四年版労働経済白書で、初めて労働力の調査をもとにNEETと呼ばれる若者たちの数を推計をしたわけであります。NEETとは、年齢が十五歳から三十四歳で、学卒者あるいは中途退学者、未婚者であって、通学や仕事にもつかず、また職業訓練も受けておらない若者のことを意味するものでありますが、英国で数年前から使われ始めた言葉でありまして、欧米でも現在大きな社会問題となっております。 さきの白書によれば、NEETの数は、昨年度には五十二万人にも達しているとされております。学者によれば六十三万人もおるというふうなことも言われますが、いずれにしてもその数は増加傾向にあって、年間で一〇%近くふえ続けていると言われております。 これまでの若年の雇用問題では、二百十七万人いるとされているフリーターが主に注目を浴びてきたんですけれども、このNEETたちは、アルバイトで暮らして定職につかないフリーターとはかなり違い、労働市場にすらその数字があらわれてこない存在でありました。また、その予備軍も増加の一途をたどっている状況であります。 このNEETと呼ばれる若者たちが長期間ふえ続けると、若年者自身の問題にとどまらず、企業にとっても、国、地方の経済にとっても、あるいは財政や雇用にとっても、また年金問題に至るさまざまな分野における大きなマイナスの影響を及ぼすどころか、少子化社会の進展の中で、国の屋台骨をも揺るがしかねず、国力の大きな損失にもなりかねないわけであります。 NEET対策は、働く意欲という人間の内面の問題が絡んでいるだけに、一朝一夕に解決することは恐らく難しいと思うわけであります。しかし、この問題解決のためのあらゆる手段を講じながら増加するNEETのベクトルを変えること、そこからスタートする必要があると思うわけであります。 そこで、深刻化するNEET増加に歯どめをかけるための処方せんとして、府は国の施策を待つばかりではなしに、例えば知事を初め三役をトップとした協議会を早急に立ち上げて、府内からNEETをなくすんだという意思表示を大阪NEET防止行動宣言として打ち出すなど、思い切った手法が今まさに求められていると思うわけであります。 また、NEETになってしまってからでは解決がより困難になることをかんがみて、義務教育の段階からその予防策がとても大事だと思うわけであります。例えば、中学校などで従来行われてきた二日以内の短期、単発な体験学習ではなしに、教育委員会は、商工労働部と連携しながら、関西経済連合会や各地域の商工会議所あるいはNPO、地域によれば農協なども巻き込みながら連携協力をして、一週間を通じた就労体験学習のカリキュラムを府内の全公立中学校で一斉に実施すべきだと考えるわけであります。 就労体験は、何のために勉強するのかという各個人の学力の動機づけにもなるばかりではなしに、社会全体の力で若者や子どもたちを包み込む、いわゆるソーシャルインクルージョンの力をもってNEET解決につなげていく抜本的で有効な手段だと思うわけであります。地域で一週間ぶっ通しで実際に働いて、親でも先生でもない大人たちと交わって、その中であいさつの仕方、人づき合いを覚え、将来社会に出ても働いていけそうだという自信をはぐくむところにこの政策の大きなねらいがあるわけであります。 大阪からNEETを生み出さない将来への投資として、若い義務教育段階からの動機づけとして、大阪就労教育チャレンジウイークを施策として位置づけられたいと強く思うわけです。既に兵庫県、富山県では実施されておりますが、この際知事の御所見をお伺いしたいと思うわけであります。 次に、教員の採用について御質問をいたします。 府では、これから十数年にわたり、過去に大量採用をされた教員が定年退職を迎えるいわゆる大量の退職時代に突入すると言われております。現在、本府における教員の年齢構成は、二十歳から三十歳代の若い教員が本当に少なくて、四十歳から五十歳代の大変年配の教員が多い、いわばワイングラス型の偏ったものになっておりますし、このことは学力問題やいじめ・不登校問題などの教育課題が山積する学校現場にとって、さらには今後の大阪の教育にとっても放置できない大変重要な課題となっております。 これまで教育委員会では、社会人経験者や現職教諭対象の選考を創設したり、受験資格の年齢制限を引き上げるなどさまざまな試みをされておるんですが、これまでの社会人経験者等の合格者は約三百五十名にとどまっており、年齢構成の点からも、ワイングラス型を解消するにはまだまだ至っておらないのが実情であります。こうした点を踏まえて、今後の教員の採用に当たっては、まず社会人経験者や現職教諭について、年齢構成の是正、学校の活性化を図る観点から、例えば府内の全小中学校に複数配置するくらいの意気込みで積極的に多数採用していくことが必要だと思いますが、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。 また、大阪の教員の年齢構成の偏りというものは他府県と比べても顕著であり、五十歳代が他の年代に比べて大変飛び抜けて多くなっております。教員の高齢化がますます進んでいると言わざるを得ないわけであります。私が聞くところでは、他県の中には、年齢構成が四十歳代に偏った状態にあり、新規採用も困難な県もあるようなので、この際こうした他県との人事交流によって層の薄い年代をカバーするなど、多面的な対策をとることが今まさに求められているように思いますが、教育長の御所見をあわせてお伺いしたいと思うわけです。 次に、住宅対策として二点お伺いいたします。 まず初めに、府営住宅及びその管理について質問したいわけであります。 現在、府下には二十四万五千戸の公営住宅がございますが、そのうち府が直接建設、管理している府営住宅は十三万六千戸となっています。府営住宅は、戦後高度経済成長期を通じて、住宅不足を解消して、住民生活の基礎を提供するという大変重要な役割を担ってきました。しかしながら、戦後五十年以上がたってしまって、高度経済成長から成熟社会へ移行する中、人口・世帯構成も大きく変わってまいりました。府営住宅など府の住宅政策のあり方も、大きな転換期を迎えていると言えるわけであります。 平成十四年二月に策定されました大阪府住宅まちづくりマスタープランにおきましても、成熟時代にふさわしい住宅・まちづくりの必要性を掲げておられます。住宅政策の大きな転換期である今、府は、直接建設し管理する府営住宅に関する施策について、そのあり方を見直して、行政が新たな住宅を直接供給するのをまず優先するというそうした施策から、住民のニーズに柔軟に対応できるようなそうした施策に重点を移すべきと思うわけであります。また、地域性を活用した個性豊かなまちづくりの観点からも、公営住宅は、地域の実情をより把握している市町村こそが住民のニーズに沿った形で取り組むべき施策と考えるわけです。 来年四月一日から、財団法人大阪府住宅管理センターと大阪府住宅供給公社は統合されます。公社賃貸住宅と府営住宅の一元的管理システムが構築されるわけですけれども、府民の視点からすれば、府営住宅も府内各市町村営住宅においても、公共住宅という点では同様の感覚であります。府営住宅の供給から管理までを一体的なものとして直ちに市町村に移管することを念頭に置きながらも、少なくとも管理については、府の財政事情も踏まえて、約百五十億円と言われる管理費のコスト削減にも大きく寄与する一元管理をこの際行うことを検討すべきであり、市町村と具体的な協議を早急に始めるべきと考えますが、本年三月の代表質問でも同様の質問を私はしましたが、さらに踏み込んだ建築都市部長の御所見を伺いたいと思うわけであります。 次に、府営住宅比率格差に伴う各種行政需要に対する支援策についてお伺いしたいと思います。 二〇〇三年大阪府住宅統計年報によりますと、私の地元貝塚市では、市内世帯数三万二千百五十四世帯のうち、府営住宅は三千九百四十九戸で、一戸を一世帯とみなしますと、府営住宅の比率が一二・三%となり、府下第一位となります。それは日本でも有数の比率となっておりますが、府下で府営住宅の比率が最も低い市はわずか〇・七%で、貝塚市と比べて十七・六倍の格差が生じているわけであります。 特に、貝塚市内の府営住宅団地では、本年十月に府内三団地を対象に実施されました空き家待ち特別募集の対象団地の一つとして先着順に入居者の受け付けが行われたんですが、府営住宅は低家賃ということもあり、結果的には府内全域から緊急避難として、あるいは福祉政策として利用されているところであります。 しかしながら、各行政需要のうち、例えば生活保護費、児童扶養手当の各扶助費について見てみると、まず生活保護費では、生活保護世帯の比率が四倍近い差となってあらわれ、貝塚市全域で二・一%、府営住宅分のみでは七・六%、府営住宅分を除けば一・四%に下がっていくわけであります。また、児童扶養手当については、受給者の比率が全市で二・一%に対し、府営住宅分では八・九%と上がり、府営住宅分を除けば一・六%と逆に下がっていくわけであります。そのほか、母子家庭医療費助成、就学援助の各扶助費についても、府営住宅の設置により客観的に各行政需要が市財政を圧迫している状況がうかがえるわけであります。 さらに、市税収入におきましても、市民税の全市課税人口比率が三七・二九%で、課税者一人当たり八万二千九百円の課税額に対して、府営住宅課税人口比が二四・一七%で、同じく課税額が二万四千百円となっているなど、市財政は大きな影響を受けているのがまた事実であります。 以上、貝塚市における主な影響について述べてきましたけれども、貝塚市以外にも、府内各市で府営住宅比率に格差が生じている現状が少なからずあるんだということを踏まえ、今後の良好な住宅政策あるいはバランスのあるまちづくりを進める上で庁内横断的な協議会を設置するなど、抜本的な是正策、支援策を早急に検討すべきだと思われますが、あわせて建築都市部長の御所見を伺いたいと思うわけです。 次に、災害対策について質問いたします。 日本列島は、ことし新潟県中越地震を初め台風二十三号など自然災害に連続して見舞われたわけです。自然災害はどれも日本に住む限り避けようがございませんが、災害への備えは常に点検と更新が不可欠であります。府の地震対策としても、今後三十年以内の発生率が五〇%以上と予測されている東南海・南海地震への対策が緊急を要しておりますが、この地震はマグニチュード八クラスの巨大地震であり、府域では震度六弱の強い揺れ、あるいは津波による甚大な被害が懸念されております。私の地元である貝塚市には、南北約四キロにわたる沿岸部に二色の浜海水浴場や多数の住宅がひしめき、一たび津波が襲来すれば、大きな被害が発生するのではないかと多くの市民が不安を抱いております。 国において、平成十五年七月、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、この法律に基づき、昨年十二月には府内市町村の大部分である三十八の市町村が、この地震の防災対策の推進地域として指定を受けたところであります。府においても、ことし九月に府の地域防災計画を修正し、また推進地域の指定を受けた市町村においても、推進計画の策定に向け取り組んでいると聞いております。津波による被害が想定される東南海・南海地震対策を実効性あるものとするためには、沿岸部の住民の防災意識をもっと高めるとともに、津波対策にかかわる広範な防災関係機関が連携を密にした防災体制を確立することが何よりも大切だと考えております。 そうした点を踏まえ、阪神淡路大震災から丸十年を迎える来年一月、東南海・南海地震を想定した実践的かつ大規模な津波対策に専ら主眼を置いた住民参加あるいは体験型の防災訓練をぜひ実施してみるべきだと思いますが、総務部長の御所見を伺います。 次に、府職員のボランティア休暇制度の活用についてお伺いします。 ボランティア元年と呼ばれた阪神淡路大震災から来年で十年を迎えるわけであります。ボランティア休暇制度が自治体や企業にも広がって、大阪府でも平成九年度から職員のボランティア休暇制度が創設をされましたが、しかし休暇制度はあっても、十分に活用し切れていないのではないかと思うわけであります。創設から現在に至る八年間で、総数として百一名の職員がこの制度を活用しただけであります。職員がこの休暇制度の趣旨を十分に理解してボランティアを体験して、それを職務に反映するとともに、その経験を生かして、自主的に使える時間を広くさまざまなボランティア活動に使うことによって、ボランティア活動の普及・推進が図れることが今後の府政運営にとって非常に有意義だと考えるわけであります。 例えば、この制度がもっと活用されて、職員が地域へ出向いて、さまざまな地域活動を通して府民の本音を聞き、今まで見えなかったものが見えてくる。それを仕事に反映させることは、まさに府民の視点で業務を見直すことそのものにつながると考えるわけであります。また、昨今の公務員に対する批判的な世論等を考え合わせると、せめて府職員は、全体の奉仕者として地域社会にその人材力を生かして、各人の専門的知識やノウハウをボランティア活動を通じて社会貢献をしていくべきだと常々考えております。 そこで、職員が地域活動に積極的に参画していくための仕組みづくりとしてのボランティア休暇制度を全職員が取得するための数値目標をはっきりと打ち出すなど、具体的な取り組みを進めるべきだと考えますが、総務部長の御所見を伺いたいと思うわけです。 次に、構造改革特区による定住外国人への地方参政権の付与についてお伺いします。 現在、府内には百四十カ国、約二十一万人の外国人の方々が地域の構成員として生活をされておりますが、府民の約四十人に一人が外国人という状況になっており、大阪のこれからの国際化の進展を考えるとき、この問題はもはや放置することはできないと思うわけであります。 我が会派においても、先日、在阪の外国人の多数を占める韓国・中国総領事と意見交換を行いました。その中で、府は在日の人々の生活と権利の向上が重要視されていないという総領事からの厳しい言葉を耳にしたわけであります。 現在、国では、この問題に対して議員立法により審議されているところであるとか、国の制度の根幹にかかわる問題であって、国会で十分議論される必要があるといった回答に終始して、遅々として前進しない状況が続いておるわけですけれども、国に依存するのではなしに、府が今後の観光・経済戦略などで中国や韓国などを本当のパートナーにしようとするのなら、その戦略の一角に組み込んで、大阪のアジアに対する見せかけではない地方参政権の付与というメッセージを大阪から独自に大阪らしくアジアに向け発信することも、地方分権時代の地方政府の役割だと思うわけであります。 三位一体改革が進む中、地方への税財源移譲及び権限移譲がもしも制度化されたなら、大阪に住む数多くの納税者でもある定住外国人の府に対する目、あるいは納税者としての主権意識がやっぱり高まって、当然従来にも増してその権利意識も大変厳しいものになると考えるわけであります。 また、平成十一年三月に外国籍住民の地方参政権に関する意見書が府議会で採択されたことも踏まえ、その機運も醸成されている今、時代の大きな変革期であるからこそ、大阪という都市の姿勢として特区を活用して、これまで府民として、また企業人として大阪という地域社会に貢献もし、責務も果たしてきた府内定住外国人への地方参政権の付与をその内容も含めて真剣に議論し、具体化していくべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 それでは最後に、府立大学農学部大学院の移転推進について御要望したいと思います。これについては、静かに聞いていただきたいと思います。 さて、府の大学は、平成十七年度の三大学統合、法人化により新しい大学に生まれ変わりますが、今その準備の最終段階を迎えております。そして、大学の重要な課題の一つである計画的な学舎改善のために、キャンパスプラン--中長期整備計画案を策定し、その内容を大学法人の中期目標、中期計画に盛り込むための検討が進められているところであります。府は、九月に、大学との協議も踏まえた移転に関する基本的考え方でりんくうタウンへの移転方針を示して、今後両キャンパス間の連携など、さらに課題の検討を進めることを明らかにしたところであります。 この問題は、ともすれば堺地域と泉南地域の課題、綱引きととらえられ、私もその中に入っておるんですが、本当に大学の発展のために中長期的な観点から一体何が必要なのか、どうしていくことが必要なのかを考えるべきであります。りんくうタウンの救済ありきという声も一方であります。関空の対岸のりんくうタウンの商業業務ゾーンの移転候補地は、長期間利用されておらない真っさらの土地であり、府立大学生命環境科学部大学院が産声を上げるにふさわしい場所であると考えております。 また、私が確認したところ、府、大学とも移転方針では全く一致しておるわけでありまして、これは進展著しいバイオサイエンスに対応するために、できるだけ早く教育研究環境の改善を図りたいという大学の強い思いを府が支援していくというものであり、りんくうタウンのまちづくりの促進にもつながる将来を大きく見据えた判断であると考えるわけです。 財源的にも負担の平準化を厳しく行って、行財政計画に悪影響を与えないように取り組んでいくことも説明されておりますから、ぜひとも移転に向けた取り組みを積極果敢に進めていただきたいと思うわけであります。そのためにも、大学が持つ考え、情報をもっともっとオープンにして、真摯に議論することを最後に要望して、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(半田實君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 今井議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、NEET対策についてですが、若者の就労意欲の低下などによりまして無業者が増加するということは、経済社会の発展、維持という観点からも憂慮すべき事態だと考えます。お示しのように、将来を担う子どもたちが健全な職業観を身につけ、意欲に満ちた若者として育つためには、確かな学力の定着を図るとともに、自然体験活動あるいは社会体験活動などの体験学習が重要であり、この観点から大阪府内の大半の中学校では、現在も二日程度の職場体験学習を実施いたしておるところです。 今後は、これらの取り組みの成果を検証するとともに、国において検討されておりますキャリア教育実践プロジェクトの活用も含めまして、議員御指摘の点も踏まえ、職場体験やボランティア活動などを含めたキャリア教育のより一層の充実に向けて、産業界、教育界、行政が同じ協議の場につくなどして、総合的な取り組みを推進してまいりたいと考えております。 次に、定住外国人の地方参政権については、現在国会において、永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案が継続して審議をされております。この問題に関しまして、埼玉県の草加市などで過去数度にわたって国に対し構造改革特区の提案がなされたのは御指摘のとおりであり、また国の方が、永住外国人に対する地方参政権の付与については、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題でもあり、まずは国会の各党各会派において十分議論がなされる必要があるという意見であるということも御指摘のとおりでありまして、この考え方に基づいて現在もこの特区は認められていないという状況になっております。 大阪が歴史的にアジアとの関係が深く、また在日韓国・朝鮮人の方々を初め、多くの外国人が暮らしておられるという特性を持っているということは、議員御指摘のとおりです。私としては、定住外国人の方々が地域の構成員として身近な地方行政にその意思を反映させたいと、そういうふうに望まれる気持ちは十分理解しておるところですが、そういうことに対して、先ほど申し上げたような国の考え方であり、またアジアがいろいろな意味で成長している中で、この問題について国にしっかりと考えてもらわなきゃいけないということもまた事実だと私は思いますので、当面は国会での審議動向を十分注視していきたいと、こういうふうに考えております。 ○副議長(半田實君) 総務部長三輪和夫君。   (総務部長三輪和夫君登壇) ◎総務部長(三輪和夫君) まず、災害対策についてでありますが、大地震が発生した場合の被害を最小限にするためには、日ごろの訓練を通じて防災関係機関との連携強化と対応能力の向上、府民の防災意識の高揚などに努めることが重要でございます。このため、大阪府においては、毎年市町村を初め、陸上自衛隊、警察、消防など防災関係機関と連携し訓練を実施をいたしております。また、平成十四年度から、東南海・南海地震を想定し、水門、鉄扉等の津波防御施設の操作訓練や図上シミュレーション訓練など実践的な訓練の実施に努めているところであります。 お示しの東南海・南海地震による津波対策に主眼を置いた防災訓練については、来年一月の防災とボランティア週間関連行事に位置づけ、実施をする予定にいたしております。具体的には、二色の浜において津波を想定した住民の参加による初めての避難誘導訓練を実施するとともに、沖合では、これまでの訓練参加機関に加え、新たに海上自衛隊や海上保安庁などの協力も得て海難救助訓練を実施するなど、実践的な訓練となるよう現在関係機関と協議を進めております。 次に、府職員のボランティア休暇制度の活用についてであります。 ボランティア休暇は、災害時における被災者や障害者等に対する支援活動など、社会的要請の強い地域貢献活動に職員が自発的な意思で参画していくことを積極的に支援するため、平成九年度から特別休暇として制度化し、職員にもその趣旨を周知してまいりました。その取得状況は、制度創設以降、知事部局において毎年数名から二十数名程度で推移しており、その主な活動内容として、平成十六年の実績では、福井県の豪雨や台風二十三号により被害を受けられた方への支援活動、里山保全のための環境改善活動などとなっております。 職員が府民の皆様方とともに地域貢献活動に参画することは、職員の視野を広げ、府民の視点に立った府政をより一層推進するために有益であると同時に、府民の皆様の信頼を得、よきパートナーシップを築くためにも大変重要であると認識をいたしております。お示しのボランティア休暇の取得拡大に向けた数値目標の設定は、職員のボランティア活動への参画を促進する上で効果があると思われますが、御指摘の趣旨も踏まえ、今後有効な方策について種々の角度から具体的に検討してまいりたいと考えております。 ○副議長(半田實君) 建築都市部長阪倉嘉一君。   (建築都市部長阪倉嘉一君登壇) ◎建築都市部長(阪倉嘉一君) 府営住宅に係る住宅対策について一括してお答えします。 府営住宅は、終戦直後の戦災者や引揚者に対する住宅確保から始まり、高度経済成長期には大阪都市圏に集中する地方からの人口の受け皿として、広域的利用に対応して供給されてきたものでございます。貝塚市を初めとする府内全域において、当時の住宅需要に対応するため積極的に府営住宅を建設し、その結果、現在約十三万六千戸を管理しております。 府営住宅と市町村営住宅の管理の一体化についての御質問でございますが、大阪府では、特定公共賃貸住宅約二千戸を含む府が管理する約十三万八千戸と、公社賃貸住宅約二万三千戸を一元的に管理することにより、スケールメリットを生かし、より効果的、効率的な管理を行いますため、財団法人大阪府住宅管理センターと大阪府住宅供給公社を統合すべく現在準備を進めており、府民サービスの向上と効率的な業務執行体制の確保を図ってまいりたいと考えております。このため、まずは統合による効果が最大限に発揮されるよう全力を傾注したいと考えております。また、府営住宅の効果的、効率的な管理のあり方につきましても、議員の御指摘も踏まえまして、さらに市町村とも十分協議しながら研究してまいります。 次に、府営住宅比率に格差が生じている現状を踏まえた今後の良好な住宅政策、あるいはバランスのあるまちづくりを進める上での是正策と支援策の検討につきましてお答えいたします。 高齢化の進展など社会経済情勢が大きく変わる中、府営住宅におきましても、高齢者や母子家庭、DV被害者など多様な住宅困窮者に対応するとともに、子育て世帯や新婚世帯を含めた勤労者世帯等の広域的なニーズにこたえていくことも求められております。府営住宅として、これらに積極的に対応していく必要があると考えております。このため、公営住宅における大阪府と市町村の役割分担、公営住宅の整備や管理のあり方、さらには福祉施策との連携など、多様な視点からの検討が必要になります。このため、来年早期に多様な府民の安心を確保できる住まいづくり、大阪の活力を支えるまちづくりなど新しい住宅まちづくり政策のあり方について、大阪府住宅まちづくり審議会に諮問する予定であり、府営住宅のあり方につきましても、必要に応じて関係市町村の意見を聞きながら検討してまいりたいと存じます。 ○副議長(半田實君) 教育長竹内脩君。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 教員の採用についてお答えいたします。 今後の大阪の教育にとって、教員の偏った年齢構成の是正や学校現場の活性化を図る観点から、年齢的にも多様な人材を求めることは重要な課題であると認識しております。このため、お示しのように、受験資格年齢の引き上げや社会人経験者対象選考、また現職教諭対象選考を創設して、幅広い年齢層から教員として十分な資質を備えた優秀な人材の確保に努めてきたところであります。社会人経験者や現職教諭の採用につきましては、今後配置校における実態や応募状況、一般選考によって採用された者とのバランス等も見きわめつつ、今後とも積極的に推進してまいります。 最後に、他府県との人事交流につきましては、大阪府より若い世代に年齢層の固まりがある県と交流することは、相互の府県にとって有意義なものと考えられますことから、早期実現に向け努力してまいります。今後とも、採用面のみならず、人事政策面でさまざまな工夫を凝らし、年齢構成の是正や学校の活性化に努めてまいります。 ○副議長(半田實君) 次に、小林隆義君を指名いたします。小林隆義君。   (小林隆義君登壇・拍手) ◆(小林隆義君) 日本共産党の小林隆義でございます。 私は、府政の当面の課題について知事及び教育長に質問をいたします。 まず、国の施策に対する府の態度についてです。 先月末、政府・与党が発表した三位一体の改革案は、国庫補助負担金、地方交付税の縮減・廃止、地方への税源移譲を一体にやるものとして進められています。国庫負担金は、義務教育、国民健康保険、生活保護など、法律で国に義務づけられているものがほとんどですが、国は、義務教育費国庫負担金を二年間で八千五百億円、国民健康保険で七千億円削減し、生活保護は先送りにしていますが、国の負担率を引き下げようとしています。義務教育費においては、国民がひとしく教育を受ける権利を危うくするものであると言えます。改革を言うのならば、まず大型公共事業などのむだなひもつき補助金こそ改革をすべきです。 今回の案は、地方の権限拡大の名で、実際には福祉、教育などの国の責任を後退させ、地方財政の削減を推し進めるものとなっています。国民の権利や国の責任の後退を招くような改革は、改革の名に値しません。知事の見解を求めます。 国は、高齢者いじめも連続して行ってきています。年金支給額の連続削減、老人医療制度への定率制導入、公的年金の控除額引き下げ、老年者控除・配偶者特別控除の廃止など、非課税であった高齢者に税負担を押しつけています。その結果、高齢者の方は、介護保険料や国保料、老人医療費の上限などが上がるなど大幅な負担増となります。私の地元である東大阪市で計算すると、夫婦二人の世帯で夫の年金が年額二百五十万円では、年間約十三万円の負担増になります。 こうした中で、介護保険制度は、五年目の制度見直しが進められ、国は新たな負担増や給付の切り捨てなどを検討し、来年二月にも法案が国会に提出されようとしています。今回の見直しは、介護保険財政破綻が軸となっていますが、介護保険財政破綻の原因は、介護施策に対し国の負担を半減させたことにあります。国庫負担の調整交付金五%を別枠として、国庫負担全体を三〇%に改めれば、住民税非課税世帯の在宅サービス利用料を三%に軽減し、保険料を減免することが可能となるように国の公費負担こそふやすべきです。 また、各自治体が実施している保険料の減免制度に対し国は、保険料の全額免除禁止、資産審査、一般財源の投入を不適当とする三原則で締めつけています。自治体の努力が実のあるものとなるように、この三原則の撤廃とともに、国自身が保険料、利用料の減免制度を創設することを求めることが必要です。それぞれ答弁を求めます。 第二の柱は、こうした国の政治の中で、府が府民の暮らしと中小企業を守る最低の責任を果たすことです。府の行財政計画案はそうしたことまで切り捨てようとしています。 まず、医療制度です。 大阪府は、一九七二年に全国に先駆けて老人医療費無料制度を実施し、翌年には障害者医療費も無料化しました。全国の自治体も大阪に倣い制度創設を進め、こうした取り組みが契機となり福祉医療制度の向上が図られてきました。しかし、府は、一九九八年以来、この老人医療制度を次々と改悪し、この十一月からは原則廃止し、助成の対象者は精神障害者、結核患者などとなり、全国最低レベルにまで落ち込んでいます。知事にその認識はありますか。答弁を求めます。 十一月からの老人、障害者、一人親、乳幼児の各医療制度の自己負担導入に対し我が党は、反対するとともに、府がアクションプログラム案で示した各医療制度の自己負担額が試算よりも高いものとなると指摘し、実態を把握するように求めてきました。それに対し府は、自己負担の実態調査をし、来年度中には新たな制度的な対応も含めて示していくと答弁しました。しかし、調査に当たっては、改悪後の現在では既に受診抑制が働いていることを考慮に入れなければなりません。医療機関、各自治体の協力を得て、受診状況の変化も含め全面的な調査をすべきです。答弁を求めます。 ところで、六十五歳以上の非課税世帯高齢者からも老人医療証を取り上げるということを実施をしたために、三割負担という大きな負担が七十歳まで継続する方が増加します。国民健康保険法第四十四条には、この三割分の一部負担金の免除ができるとしています。しかし、ほとんどの自治体で実施されておりません。府として、この制度を徹底し、実施するように指導することが重要です。答弁を求めます。 次に、生活保護施策についてです。 生活保護の老齢加算が段階的に廃止されることとなり、ことし老夫婦家庭では月額一万六千円以上の給付減となり、生活扶助基準に老齢加算を加えた支給額は、前年度比で一一%引き下げられ、二年後には完全廃止で三万五千円以上、約二五%の引き下げとなります。そのため、保護世帯へのアンケート調査では、冷暖房費の節約、夏に扇風機も買えない、ふろの回数を減らしている、食事を二回に減らしているなどの声が集中しています。府は、さらに生活保護世帯への夏季・歳末一時金の廃止を打ち出していますが、この使い道についても、せめて夏には墓参りがしたい、冬の灯油代、正月ぐらいは新しい下着を買いたいなど、いかに必要な手当かという切実な声が寄せられています。 府は、廃止の理由として、生活保護勤労世帯の消費水準が一般勤労世帯と比較して七〇%に近づいたことなどを挙げています。しかし、総務省の家計調査年報を見ると、勤労者平均世帯収入は九八年度と比較して一一%も減少しており、消費水準が七〇%に近づいているということは、一般家庭が落ち込んでの結果です。府の一時金の廃止の理由は全く成り立ちません。この一時金の存続は、わずか六億円程度でできます。府として、国の改悪に追随するような独自支給の廃止を進めるのではなく、むしろ拡大をすべきです。答弁を求めます。 第三は、高校授業料の減免制度についてです。 府教委は、制度見直しについて、財源確保ではなく修学機会を確保するためと説明をしています。しかし、有識者会議での府教委の発言は、他府県と比べて非常に高い減免率、厳しい財政状況の中で存続可能な制度にするなど、まず減免率をいかに下げるか、財政支出をいかに減らすかが先にありきになっています。減免率の高さは、府民の生活が全国的に見ても大変厳しいことを反映をしたものです。 府教委は、急激に府民の生活状態が悪くなっているというようには実感がわきませんなどと発言をしています。しかし、府の資料でも、確定申告所得階層二百万円以下の世帯が、九八年の二五%前後から二〇〇二年には四〇%近くになっています。所得は、昨年、ことしとさらに下がっています。一体何を根拠としてこのような発言をされるのか、無責任としか言いようがありません。発言の訂正を求めますが、どうですか。答弁を求めます。 また、他府県と比べて減免が受けやすいかのような議論がありますが、有識者会議に出されている資料からも明らかなように、減免基準や収入基準は高くありません。大阪の減免率が高くなっている要因の一つは、太田知事になって授業料が全国の都道府県と比べ約三万円も高いものに一気に引き上げられたことです。減免率の上昇状況がそのことを示していますが、どうですか。答弁を求めます。 有識者会議において減免を受けている生徒の中退が問題になっていますが、我が党の議員の質問に対し、決算委員会で府教委は中退と減免は直接的に連動していないと答弁し、それを理由にした見直しには道理がありません。府が今やるべきことは、減免制度の改悪ではなく、制度をさらに徹底し、この制度によって修学できる生徒がさらに広がるよう支援を拡充することです。そのための予算こそ確保すべきです。答弁を求めます。 第四に、不況の中で頑張っている中小企業支援です。 先月末スタートした金融機関提携ポートフォリオ型融資は、これまで金融機関から門前払いとされていた赤字企業も利用できるものとして歓迎され、申し込みが殺到するという事態が見られました。今まで融資を受けられなかった中小企業の資金需要がいかに大きかったかのあかしです。この制度を実のあるものとしていくためにも、金融機関だけが利益を上げるということではなく、申し込みをした中小企業が融資を希望どおりに受けられるように府の厳正な監視とチェックが求められます。 また、地域経済を支えてきた信金、信組と連携して中小零細業者が利用しやすい制度融資を創設すること、さらに金利の引き下げ、返済期間の延長など、中小企業を応援していく仕組みをつくることが求められていますが、どうですか。それぞれ答弁を求めます。 次に、大阪経済のかぎを握る製造業支援に関連してお聞きします。 先日、クリエイション・コア東大阪に行き、職員の方とも懇談をさせていただきました。この施設は、技術・製品の情報発信とものづくりに関する総合支援として専門コーディネーターが配置され、ワンストップサービスの相談業務は月四百件の方が利用されています。取引先の紹介や販路拡大、発注相談、また国際的対応など、中小企業だけでは困難な問題について専門的な助言をし、コーディネーターみずからが事業所を訪問しながらも指導しているとのことです。これから小規模零細業者がもっと活用しやすいように一層の改善が求められています。また、各中小企業支援センターの機能充実のために、コーディネーターなどの体制充実をするとともに、さらにセンターの増設が必要と考えますが、府の見解を求めます。 また、地元の東大阪市は、市内全事業所実態調査を行ったことが、市内企業の技術や業者の要望把握、そして何よりも職員の意識改革につながり、施策に大変生かされているとのことでした。既存の零細企業への支援施策の充実も必要です。府の施策を充実させるために、各地域の事業所実態把握をすることが重要です。各自治体と協力して実施すべきと考えます。答弁を求めます。 最後に、りんくうゲートタワービル、同ホテル事業の破綻処理問題についてです。 府は、ゲートタワービル株式会社を法的整理する方針を明らかにしました。同ビルは総事業費六百五十九億円、同ホテルは九十三億円で建設されたものですが、同ビル会社の二〇〇三年度末の借入金残高は三百五十七億円、累積赤字百二十六億円、また同ホテル会社は借入金残高九十二億円、累積赤字七十五億円に上り、債務超過で破産状態です。なぜこんな状態に陥ったのか、その責任はどこにあるのか、明らかにする必要があります。 りんくうタウン事業の行き詰まりは、関西財界と大阪府が当初予定していた千七百億円の事業費を五千五百億円に巨大化させ、りんくうタウンに群がった大企業が、バブル経済崩壊とともに、九〇年代に入り無責任に一斉に撤退したことによるものです。ところが、大阪府の当時の態度は、一九九三年当時に企業局理事が行ったりんくうタウンの今後の進め方での講演に示されているように、大阪府が参加しないですべて民間企業に任せるというのではこのまちは成立しないという認識を示し、りんくうタウンへ府費を投入し、さらに過大なホテル需要を当て込んでゲートタワーホテルの建設が進められたのです。ゲートタワービル、同ホテルの破綻の原因についてどのように考えているのか、責任はどうとるのか、見解を問うものです。 府は、今日までりんくうゲートタワービルに対して、出資金五十一億円、工事負担金百五十億円、施設運営負担金十九億円、貸付金二十二億円、ビル敷地の地代軽減で四億円など、合計で二百五十億円余り、さらに府企業局をビルに移転させるなど、あらゆる支援を行ってきました。 今回、破産状態のホテルを特別清算し、大阪府都市開発株式会社がつくる子会社に営業譲渡するものですが、府は、この子会社に府都市開発を通じて八億円を出資し、財団法人大阪府臨海・りんくうセンターから十億円を貸し付けます。さらに、ホテルの債務七十六億円はゲートタワービルが負担することになり、ビル会社も債務超過に陥り、破綻処理が必要となります。これでは何の反省もなく府の支援を重ねることになり、容認はできません。また、そのことで、府の出資金、貸付金七十三億円は回収不能となるだけでなく、さらに新たな府の支援も必要となります。 今回の処理案は白紙に戻し、府民に情報公開しながら、共同出資者である銀行、大企業にも責任を果たすことを求め、府民合意の得られる打開策を探るべきと考えますが、どうですか。答弁を求めます。 以上で私の一回目の質問を終わります。(拍手) ○副議長(半田實君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 小林議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、三位一体の改革については、地方税の充実強化などによって必要な行政サービスを地方みずからが選択をし、その創意工夫のもとで施策を展開できる地方税財政制度の抜本改革を目指すものであります。先般、平成十八年度までの三位一体の改革の全体像が政府・与党の合意により決定をされました。おおむね三兆円規模の税源移譲を目指して、個人住民税への税源移譲が明記されるなど、評価できる点もありましたけれども、多くの課題が先送りされ、地方の改革案の趣旨から見て不十分な点が多いと言わざるを得ません。本府としては、三位一体の改革が今後地方の改革案の趣旨を踏まえて実現をされるように国に強く働きかけてまいります。 次に、介護保険制度について一括してお答えを申し上げます。介護保険の費用負担は、高齢者の介護を社会全体で支えるという観点から保険料や公費負担の割合が定められたものでありまして、府としては、この費用負担割合の枠組みの中で制度の円滑な運営に当たってまいります。介護保険料の減免に関する国の見解については、介護保険制度が全国一律の制度として円滑に運営されるように示されたものだというふうに考えています。保険料や利用料の軽減につきましては、制度上一定の低所得者対策が講じられておりますけれども、市町村と連携をして、引き続いて国に対し負担軽減制度の改善を求めてまいります。 次に、老人医療制度ですが、このたびの再構築は、老人医療費助成制度を今後とも持続可能なものとするために、障害のある高齢者などより医療の必要度の高い方へ重点化を図るものであります。全国では二十六県が老人医療費本体助成を実施していないということからも、全国最低レベルになったとは考えておりません。 次に、影響実態調査ですが、福祉医療制度の再構築のうち一部負担金については、医療へのアクセスを阻害するものとならないように、老人医療費本体助成で市町村民税非課税世帯の方が現に負担をされている額を考慮して、無理のない範囲で一定の御負担をお願いしたものでございます。複数の医療機関にかからざるを得ず、長期にわたって多額の一部負担の生じるケースについての制度改正後の実態把握は行いますけれども、お示しの受診状況の変化については調査をする考えはございません。 次に、一部負担金の免除制度については、国の通知では、災害等で重大な損害を受けたことによりまして生活が困難となった場合に、保険者が必要と認めるときはこの制度の適用ができるというふうに定めております。本府としては、この通知に基づいて保険者において適切な運用が図られるように努めてまいります。 次に、生活保護世帯への夏季・歳末一時金については、昭和三十年代の制度創設当時は、生活保護基準が一般勤労世帯の消費支出に比べて大きな格差があったために支給をしてまいりましたけれども、その格差も順次縮小されてまいりました。総務省の家計調査による一般勤労世帯の消費支出に比べますと、昭和四十五年度は保護基準が約五五%であったものが、昭和五十二年度には六〇%を超え、平成十二年度は約七〇%というふうになっております。こうしたことから、夏季・歳末一時金を見直し、生活保護受給者の自立支援や就労支援事業などに転換を図りたいというふうに考えております。 次に、府立高校授業料の減免制度についてお答えをいたします。授業料の減免は、生活保護認定基準に準じて算出をする世帯の生活費と収入額とを比較しまして決定をしておりまして、授業料が高いから減免率が高くなるというものではございません。本制度については、現在修学を促すより効果的な制度のあり方について御議論をいただいているところでありまして、それを踏まえ、教育委員会において十分に検討をしていただきたいと、こういうふうに考えております。 次に、金融機関提携ポートフォリオ型融資については、中小企業の切実な資金ニーズに的確にこたえられるように、担保や保証人に依存しない融資を一層推進するために創設をしたものです。今後、この制度を中小企業者が十分活用できるように、取扱銀行に対して定期的に報告を求めるなど適切な運営の確保に努めてまいります。 次に、制度融資については、本年十月に信用金庫、信用組合と提携した地域金融機関提携パートナー資金を創設するなど大幅な拡充を図ったところです。また、貸付金利については極めて低く設定をしておりまして、返済期間についても長期に設定をするなど制度利用者の負担軽減を図っております。今後とも、中小企業者の資金需要を見きわめながら、制度融資の充実に努めてまいります。 次に、製造業支援についてお答えをいたします。 クリエイション・コア東大阪については、府内のものづくり企業の総合的な支援拠点として、昨年八月のオープン以来、ワンストップサービス窓口への相談件数が四千六百件を超えるなど、多くの中小企業者に活用をいただいております。 また、地域中小企業支援センターについては、地域の身近な支援拠点として、平成十二年四月に六カ所体制でスタートをいたしました。その後、三カ所を増設しまして体制の充実を図りますとともに、経営、技術等の相談窓口やセミナー・講習会の開催に加え、専門分野のサポーターの配置など機能面での強化にも努めてまいりました。今後とも、これらの支援拠点が、中小零細企業者を初め多くの方々に御利用いただけるように努めてまいりたいと考えております。 製造業の実態については、商工会や商工会議所など地域の商工関連団体や市町村とも連携をして把握に努めておりまして、引き続いてあらゆる機会を通じ情報収集に努めてまいります。 最後に、りんくうゲートタワービル及びホテル事業は、多額の借入金と過剰な設備投資、甘い収支見通し等が原因となって開業以来厳しい経営が続いており、これまで経営立て直しのためのさまざまな対策を実施してまいりました。 しかしながら、金融機関の協調支援体制の維持が困難になり、またゲートタワーホテルの売り上げが大きく落ち込んだことなどから、抜本的な対策が必要となっております。 ビル及びホテル会社の従業員やテナントのみならず、りんくうタウンのまちづくりへの影響を考慮し破産という事態は避けたいと考えまして、種々検討の結果、金融機関に大幅な債権放棄をお願いすることなどを内容といたします今回のスキーム案をお示ししたところでございます。事業の現状を踏まえれば、実現性のある唯一の案であると考えます。 本府としては、この問題を何とか解決することが責任ある対応と考えておりまして、先送りすることなく、府民の御理解を得ながら解決に全力を尽くしてまいります。 ○副議長(半田實君) 教育長竹内脩君。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 高校授業料の減免制度の質問のうち御指摘の発言につきましては、第二回減免制度に関する有識者会議において、委員から、奨学金の貸付総額が二割ずつふえている、それに見合うだけの府民の平均的な所得の低下はないはずとの発言があり、それを受け事務局職員が、府民一人当たりの貯蓄額が全国で三番目に高いという指標をもとに、必ずしも府民の生活状態が急激に悪くなっているのではないという印象から発言したものであります。よろしく御理解賜りたく存じます。 ○副議長(半田實君) 小林隆義君。   (小林隆義君登壇・拍手) ◆(小林隆義君) 二回目の質問をさせていただきます。 まず、生活保護の問題ですが、消費支出が一般勤労世帯に近づいたことを理由にしていますが、これは国自身が一九八四年以降、七〇%に保つことを方針にしてきたものであり、そのことで経済的支援を廃止する理由にはなりません。国が廃止しようとしている老齢加算が創設された趣旨も、高齢者は、消化のよい食品や暖房費、保健衛生費、近所などとのつき合いなど社会的費用が他の年齢よりも必要というものでした。高齢者の方はひとり暮らしの方も多く、その安否を確認する上でも、また食事をしっかり摂取するという視点からも、その社会的費用は一層求められています。 今回の府の一時金の廃止は、高齢者の社会参加、近所とのつながりまでなくしてしまい、孤独な高齢者をつくり出すことにもなりかねません。しかも、自立支援を保護世帯に行っていくとしながらも、その具体的施策はまだ検討中であり、先に経済的支援だけを廃止するとしたものです。今回の一時金廃止は、高齢者の社会的参加をも阻害していくことになると考えます。 一時金に係る費用はわずか六億円ではありませんか。約二十万人の生活がかかっています。緊急性のない関空二期事業に来年、再来年に百二十五億円も府が負担することとなっていますが、一時金は廃止すべきではありません。再度答弁を求めます。 高校の授業料の減免制度についてです。 有識者会議で教育委員会が、座長の低所得者が急速にふえたのかとの問いに対し、府民の生活状態が急速に悪くなっているのではないとの発言をしたことを訂正しないという答弁でした。責任ある事務局が、府民の生活実態について誤った認識を有識者会議に与える発言をしたことが問題ないとは何事なのですか。しかも、質問でも指摘したように、教育委員会が有識者会議に提出した資料でも、年所得二百万円以下の世帯は、九八年の二五%前後から二〇〇二年四〇%弱に急速にふえているではありませんか。無責任な発言は訂正をすべきです。再度答弁を求めます。 また、授業料を一気に引き上げたことと減免率が高くなったことは関係ないとの答弁でした。それなら、関係ないとする資料を示すべきです。減免率の推移は、授業料値上げ後、生活アップも加わって急激に高くなっています。実際私が相談を受けた多くの方も、できるだけ頑張ろうとやってきたが、これだけ授業料が高くなったら減免してもらう以外にはないと申し込んできていました。知事の答弁は、こうした府民の実態を全く知らない発言としか言いようがありません。今後減免率がふえたとしても、この減免制度には数億円の負担で済みます。減免制度は堅持すべきです。再度答弁を求めます。 りんくうゲートタワービル及びホテル事業の破綻処理ですが、破綻の原因について、多額の借入金と過剰な設備投資、甘い収支見通しにあったことは認めましたが、反省が足りません。八〇年代末にりんくうタウン事業を現代の宝島などと言って過剰な需要を当て込んだ府当局と関西財界、大企業の重大な失政の典型であり、その責任は幾ら言葉を尽くしても言い足りません。そもそもビルの開業は九六年です。進出を予定した大企業が無責任にも一斉に撤退した後、二百億円もの府財政をつぎ込んでゲートタワービルとホテルの事業に無謀にも突き進んだのです。 ビルやホテルの従業員の雇用対策などは、当然行わなければなりません。しかし、今回無理に無理を重ねて、大阪府都市開発がつくる子会社に十八億円もの金をつぎ込んでホテル事業を営業譲渡しても、たちまちゲートタワービル会社そのものの破綻処理策が必要になり、府の一層の財政負担が求められます。ビル及びホテル事業を継続することを大前提とするのではなく、事業終結を含め、府民にこれ以上の犠牲を転嫁することのない処理策を再検討すべきです。答弁を求めます。 最後に、医療制度については、老人医療制度の対象者は全国最低レベルになったとは考えてないとしていますが、実際の国基準以外の対象者はわずか三千人ほどしか残りません。限りなく最低レベルに落ち込ませてきているのが実態です。このことは指摘をしておきます。 また、実際に受診抑制は一時的なものとしてとらえているようですが、そのことにより病気の重篤、また治療中断をするということがあれば、命にもかかわる問題です。医療機関、各自治体と全面的な調査を実施することは当然のことです。このことも再度指摘をして、二回目の質問を終わります。(拍手) ○副議長(半田實君) 知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 小林議員の再度の御質問にお答えを申し上げます。 まず、生活保護施策についての御質問ですけれども、夏季・歳末一時金についての御質問がございました。これについては、個人給付事業を見直して、就労支援事業や高齢者を含め就労が困難な方に対する自立支援、こういう方向に転換を図りたいと考えております。 次に、授業料の減免制度についての御質問ですけれども、授業料の減免は、先ほども申し上げましたとおり、生活保護認定基準に準じて算出する世帯の生活費と収入額とを比較して決定をしておりまして、授業料が高いから減免率が高くなるというものではございません。減免制度のあり方については、引き続き御検討をいただいて、教育委員会で十分議論をしていただきたいと考えております。 ゲートタワービル関連についての御質問ですが、ゲートタワービルの現状を考えれば、今回のスキームが実現性のある唯一の案でありまして、白紙に戻す考えはありません。先送りをせず、問題の解決に全力を尽くしてまいります。 ○副議長(半田實君) 教育長竹内脩君。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 無責任な発言を訂正せよとの御指摘でございますが、この発言につきましては、先ほども申し上げましたように、有識者会議においての文脈の中で行ったものでありまして、訂正するつもりはございません。 ○副議長(半田實君) 次に、西口勇君を指名いたします。西口勇君。   (西口勇君登壇・拍手) ◆(西口勇君) 自由民主党の西口勇でございます。 私からは、主に府の行財政運営に関する重要政策課題について質問をさせていただきます。 質問に入る前に、府政運営における基本的な姿勢について一言申し上げます。 厳しい財政状況にある大阪府では、今や選択と集中という言葉が頻繁に使われております。限られた行政資源の中で最大の効果を生み出すという趣旨でありますが、しかし私が日ごろ物足りないなと感じるのは、時間の観念が余り大切にされていないと思うからであります。 もともと選択と集中という言葉は、限られた財源を限られた時間内で最も効果的にという基本理念から生まれました。この限られた時間の意味が果たして本当に十分認識されているのでしょうか。選択と集中は、将来の方向性をどのように見定めるかについて極めて重い政治責任と判断を伴います。だからといって、時間の感覚にルーズになり、当たらずさわらず事なかれ主義に徹していたのでは元も子もありません。 そこで、限られた財源を効果的に使うためには、知恵が必要であります。知恵を絞り、それを生かすためには、時間を省いて即行動に移すことが重要であります。しかし、公務員は、とにかく時間をかけてこつこつとやる、石橋をたたいて渡るという古いイメージがあり、時間の観念に疎いというような気がしてなりません。知恵を即行動に移すことが、効率化し、府民ニーズに特化することにつながります。まず、失敗を恐れないことが大切であり、これが民間であれば、とにかくやってみて、必ず成果を上げようと必死になって努力しますが、その意気込みが今の府政には欠けていると思うのであります。 そこで、選択と集中の次の段階として我々がぜひ取り組まなければならないのは、知恵と行動の府政であります。また、明治維新以後、政治の仕組みは徐々に変わってきた部分もありますが、今日では平成維新による政治の転換期を迎えていると言っても過言ではありません。よって、地方行政としても、今までの行政とは全く違う、みずから進んで殻を破り、社会の変化に即応できる行政の新しいスタイル、私からいえば近代行政ともいうべきものを大阪から生み出し、分権時代の到来に備えるべきであります。このような観点から、以下質問を行います。 初めに、府の財政再建に深く関係する国の三位一体改革は、去る十一月二十六日に政府・与党の全体像が示されました。地方の裁量をふやすという点について問題の先送りが目立つのは不満ですが、これに関して、財務省が地方交付税総額について七、八兆円がむだであるなどとし、大幅な削減を言い出しているのは御案内のとおりであります。財務省が指摘するところのいわゆる投資的経費の過大計上の理屈は、地方の実態を全く理解されないとんでもない意見であります。しかし、もし仮に財務省が主張するような事態にでもなれば、大阪府では二年間で千八百億円もの削減額となり、現在の行財政改革などは一遍に吹き飛んでしまい、来年度からは即破綻であります。 この件に関しては、全国の知事が大ブーイングを発しており、受託事務の返上も辞さないとして国に対して強く反対されておりますが、果たしてそれだけで本当に大丈夫なのでしょうか。もし国の事務を返上することになったとしたら、影響を受けるのはほかならぬ国民、府民であります。果たして府民に対して我々はきちんと説明できるのでしょうか。全く財務省の言うとおりにはならないとしても、仮に五分の一で計算したとしても、府に対する影響額は軽く三百億円を超え、甚大な影響が生じます。交付税改革は間違いなく直近の大問題であります。 そこで、国に対して今後どのように対処すべきなのか。全国レベルの問題ですが、地方の代表たる大阪府として、何らかの具体的な対応策を考えておかなければならないのではないでしょうか。また、万が一府財政に影響が生じるようなことにでもなれば、数字合わせだけでなく、現実の行財政計画の行方は大丈夫と言えるのでしょうか。今こそ知事の知恵と行動の府政で大阪から発言をし、行動すべきであります。知事の御所見を伺います。 さて、平成十九年度危機を迎える大阪府では、さきに行財政計画改定素案を発表し、厳しい財政状況が続く中においても、何とか財政再建団体への転落を回避するための努力が続けられております。しかし、歳出を減らすだけでなく、歳入をふやすための取り組みについて、計画案の中でも若干触れられてはおりますが、より具体的に検討し歳入確保の方策について知恵を絞る必要があります。 そこで、まず企業広告を募集し、ネーミングライツを活用するなどにより、府の歳入を少しでも稼ぎ出す努力をするべきであります。ネーミングライツは、スポーツ施設などの名称にスポンサー企業の社名やブランド名を付与する権利のことであり、日本では比較的まだ新しい広告概念であると言えます。アメリカでは、一九八〇年代以降、北米のプロスポーツ施設を中心に市場が急速に拡大しており、現在では、施設の建設・運営資金調達のための手法として定着をしているところであります。 また、東京都では、サッカーJ1のFC東京と東京ベェルディ1969の本拠地、東京スタジアムが公共施設で日本初となるネーミングライツの導入を決めました。その結果、味の素株式会社により獲得がなされ、平成十五年三月一日より東京スタジアムから味の素スタジアムへと名称が変更されました。契約期間は五年間で、十二億ということであります。 そこで、大阪でも、毎年大相撲の春場所が開催される府立体育会館や、Jリーグガンバ大阪の本拠地である万博記念競技場、府立門真スポーツセンター--なみはやドームという愛称がありますが、これらのような公共施設について、企業名広告を募集することにより積極的な収益の増加に結びつけるべきであります。また、ネーミングライツ以外にも、府所有の建物や公用車、公園などを活用し、企業からの収入を図る方策はまだまだ見つかるはずであります。府の歳入を少しでもふやすために、府にとっても企業にとっても互いの利になる効果が得られるような方策について知恵を絞り、決めたら即実行すべきであります。そうすることによって、財政再建に必死に取り組む府の姿勢が府民にアピールでき、また府民にも理解してもらえると私は考えますが、知事の御所見を伺います。 また、将来的には、これらの公共施設は、独立採算制の原則に基づく自律的な運営が期待されるところであります。みずからの知恵と努力で得られた収入を公園や施設などの運営費に充てることにより、行財政計画改定案にも掲げられているところの指定管理者制度や市場化テストの導入の足がかりとするべきであります。知事がおっしゃる民間的経営感覚を考えるなら、使用料や広告料を初めとする収入の確保や経費の削減は、経営者にとって極めて重要な改善方策であります。しかしながら、経営赤字を常に行政が補てんする仕組みのままでは、いつまでたっても主体的な経営努力は生まれません。公共施設は、必ずしも行政が直接運営しなければならない理由はありません。できる限り民営化のもとで独立採算制にし、社会一般の冷たい風にさらしてこそ、経営者の主体性、自律性が高まるというものであります。 ところで、現在民間活力を導入するべく府庁でも民間人の登用が一部で行われています。また、逆に府の職員を民間会社へ派遣し、民間のノウハウを学ばせる民間派遣の制度もありますが、庁内の仕事のあり方を根本から刺激するには物足りず、民間人の登用はまだまだ少ないと思われます。関空会社では、民間から社長を迎えて、初めて経営黒字を達成することができました。二〇〇七年供用開始を実現する前提条件として、これは府にとって極めて大きな成果であります。また、府立高校の校長先生も、民間人からの登用で現場の意識改革に大きく貢献しているではありませんか。 そこで、行財政計画改定案に掲げられる市場化テストは、今のところ公の施設管理しか念頭にないようですが、本来の趣旨からいえば、政策企画・立案部門においても民間と競わせるべきであります。将来の本格的な市場化テスト導入を見越して、庁内の一部署を丸ごと、あるいはワングループを民間人だけで構成するといった新しい発想で、庁内に風穴をあける取り組みを考えてみてはどうですか。知事の御所見を伺います。 一方、本府の財政再建を進めるにおいて、三セクの問題は絶対に避けて通れない深刻な課題であります。現在、府の指定出資法人六十一法人のうち約三分の一が赤字とのことですが、赤字を垂れ流している法人はむやみに延命させるべきではありません。設立の経緯などおのおのの事情があるのは当然ですが、つぶすにつぶせないものでも思い切ってやる覚悟が必要であります。 また、さきにりんくうゲートタワービルの処理方策が明らかにされました。これも、経営が立ち行かなくなり、やむにやまれず提示されたものであります。しかし、もともと総事業費六百五十九億円で建てたビルを、わずか一割にも足らないような金額で売り飛ばして処理しようとしていますが、やむを得ずで済まされる問題ではありません。この巨額の損失について、知事、あなたは府民に対して一体どう説明されるのですか。また、このようになった責任は一体だれにあるのですか。大阪府のトップである知事として、非は非として認めるべきではないでしょうか。これこそ三セク問題の大きな見本であります。まず、御所見を伺います。 もちろんこのような例を出すまでもなく、府や民間金融機関等が共同で設立した第三セクターの問題は、漫然と今の状態を続けて延命すれば、将来必ず破綻処理等による影響が重く本体にのしかかってくることになります。そんなことにならないためにも、早目早目に先手を打つことが必要です。銀行が不良債権処理に取り組む中で、本府も問題を先送りするべきではありません。改定案にも掲げられております三セク整理の目標について、計画期間の平成二十三年までに六十一法人を四十程度まで減らすと聞いておりますが、しかし四十では多過ぎます。どうしても残さなければならない、または黒字で順調にやっていける法人は、私に言わせればせいぜい二十ぐらいではないかと思われます。まだまだ処理が甘いと言わざるを得ません。 また、個々の三セクに対する監査機能をより強化する必要もあると思います。一時的に多少の負担を要するにしても、整理すべきものはきっちりと整理をして、あるいは全く府から切り離して、民の力で再生を図るべきであります。三セクの整理について、もっとスピードアップして進めるべきと考えますが、これらの件について知事の御所見を伺います。 次に、府有財産の売却については、今後十分に慎重な検討を行うよう強く要望をしておきます。 最後に、知事、あなたは芋こじ会を御存じですか。これは、二宮尊徳が何事も本音で話し合う会をつくったものであります。芋こじの意味は、芋を洗うときに芋同士がぶつかり合い、きれいになっていくということであります。建前ばかりで中身がなく、前へ進まない。そうではなく、本音でぶつかり合い、スピーディーで中身のある行政をやるべきであります。それが私の申し上げる近代行政ともいうべきものであります。 以上申し上げ、私の一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(半田實君) これより理事者の答弁を求めます。知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 西口議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、三位一体の改革についてお答えをします。 議員お示しのとおり、財務省では、主として投資単独経費において地方財政計画に過大計上があるとして、十八年度までに七兆円から八兆円を削減し、地方財政計画についてもこれを縮減して、地方交付税等を七・八兆円削減することを主張しております。そもそも地方財政計画と実態との乖離については、投資的経費の乖離だけを是正すればよいというものではなく、一般行政経費、こちらは過少計上になっているわけですが、その乖離なども含めて、全体として実態に合った是正をしていく必要があります。 財務省の主張は、明らかに国の財政再建を目的とするものであり、このような一方的な主張をすることは国と地方との信頼関係を大きく崩すものであり、私どもはそのために一丸となって、地方が声を大にして反対を訴えてまいりました。私も、関係省庁、国会議員等に対し精力的に働きかけを行ってまいりました。 これらに対して、先般示された政府・与党における十八年度までの三位一体の改革の全体像では、地方交付税については、十七年度及び十八年度は、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行うなど、いわゆる骨太の方針二〇〇四を遵守することとして、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保することが明記をされております。私としては、年末に示されます地方財政計画において、地方の意見を無視した地方交付税等の一方的な削減がなされないように、全国知事会を初めとして地方六団体との連携を密にして、強い覚悟を持ってその総額確保に向けて国に訴え、働きかけを行ってまいります。 なお、本府では、十七年度当初予算から、翌年度の歳入見通しを踏まえ、あらかじめ歳出の上限を設定する歳入を見通した予算編成に取り組んでおりまして、年末に明らかになる地方財政対策や税収見込み等によっては、必要に応じてその歳出の上限を見直すことにしております。仮に行財政計画案で見込んだ収支に変動が生じた場合は、こうした予算編成における対応とともに、計画案に掲げた取り組みの前倒し、あるいはさらなる取り組みを進めるなど機動的な対応を図ることで、行財政運営に支障が生じないように責任を持って取り組んでまいります。 次に、歳入の確保についてでありますが、行財政改革の推進に当たっては、歳出を削減するだけではなく、歳入を確保する努力が大変重要であるというふうに考えておりまして、その一方策として、ネーミングライツなどの民間活力誘導策を、これまでの固定観念にとらわれず、さまざまな工夫を凝らして考えるように職員に指示をいたしているところです。私は、これによって職員のチャレンジ精神が養われ、意識改革にもつながると期待していますし、お示しのとおり、府の姿勢を府民の皆様に御理解いただける効果もあるというふうに考えています。 現在、民間事業者などからも意見を聞きながら、ネーミングライツを初め、広告事業に関する全庁的な方針の策定を進めておるところですが、広告事業は広告主となる民間企業にとっても地域貢献の手段となり、イメージアップが図れるといったメリットもあるというふうに聞いています。 今後、府のホームページや印刷物に企業広告を掲載するなど、全部局でどのような取り組みができるかを精力的に検討しまして、法令上の課題など条件の整ったものからスピーディーに着手をしてまいります。 次に、民間人の導入については、多様化する府民のニーズを受けとめ、きめ細かなサービスをスピード感を持って実現していくために、民間との連携を強化し、そのノウハウを積極的に活用していくことが必要だと考えています。このたびの行財政計画案においても、こうした思いからPPP改革と銘打ちまして民間と行政との連携をより多様な形で展開し、民の考え方そのものを積極的に取り入れる、あるいは民間企業の府政へのかかわりを広げる、そういう方針を打ち出したところであります。 お示しの民間人材の登用については、本年五月に、大阪再生へ向けた施策立案に携わっていただくために、企画室に民間企業からの職員派遣を求めるなどさまざまな手法で取り組みを行ってまいったところです。 今後とも、府庁全体のより一層の活性化が図られるように、民間人材の効果的な配置を行うなど民間とのさまざまな連携に工夫を凝らして、柔軟な発想とスピード感にあふれる、そういう府政の展開を進めてまいりたいと考えています。 次に、りんくうゲートタワービル株式会社は、多額の借入金と過剰な設備投資、甘い収支見通し等により開業以来厳しい経営が続いて、平成十一年の秋に経営危機が表面化いたしました。このため、私は、平成十二年二月の知事就任以来、本府の財政負担を極力抑えることに留意をしながら、金融機関と粘り強く協議を重ねて、府議会の御理解もいただきながら経営立て直しのためのさまざまな対策を実行してまいりました。 しかしながら、金融機関を取り巻く環境の変化から協調支援体制の維持が困難となり、また子会社が経営するゲートタワーホテルの売り上げが大きく落ち込んだことなどから、抜本的な対策が必要となっております。 ビル及びホテル会社の従業員やテナント、関係業者等への影響のみならず、りんくうタウンのまちづくりへの影響を考え、破産という最悪の事態だけは避けたいと思っておりまして、ホテルの営業譲渡を行った後、ビル会社については、法的手続を活用して、金融機関にも大幅な債権放棄をお願いし、民間企業に譲渡したいと考えております。その際には、厳しい財政状況や二回にわたる府議会の附帯決議の趣旨を踏まえ、本府の負担は最小限にとどめたいというふうに存じます。 りんくうゲートタワービル株式会社がこのような事態に立ち至ったことについては、率直におわびを申し上げたいと存じます。本府としては、この問題を何とか解決することが責任ある対応と考えておりまして、問題を先送りすることなく、府民や議会の御理解をいただき、早期解決に向けて全力で取り組みを行ってまいります。 最後に、指定出資法人の改革については、法人を取り巻く社会経済情勢が変化をする中で、法人を活用して事業実施をすることの意義等について精査をし、府民の視点に立って法人のあり方の抜本的な見直しを進める必要があると考えています。現在、行財政計画案に基づいて、平成十四年度から二十三年度までの十年間で七十九法人を半減する取り組みを進めておるところです。今回の改定案では、平成十九年度までの六年間でそのうちの四割を削減するという目標を設定いたしまして、全庁挙げてその推進に取り組んでまいろうと考えておるところです。 今後、さらなる改革に向けて、法人事業の売却や株式の売却の検討などに取り組みますとともに、抜本的な対策を講じる必要がある法人につきましては、御指摘の趣旨も踏まえて適切に対応をし、出資法人改革のスピードアップを図ってまいります。 また、指定出資法人の運営については、法令遵守や事業の透明性の確保、府民に対する説明責任を果たすことが大切でありますので、出資法人に対する指導を強めるとともに、地方自治法上の委員監査、外部監査などの制度を活用するなどいたしまして、府の監査体制の強化に努めてまいります。 ○副議長(半田實君) 西口勇君。   (西口勇君登壇) ◆(西口勇君) ただいま知事から御答弁をいただきました。後半の方は大体納得いけるかなと思っておりますが、前半の三位一体に関連する地方交付税に対する答弁が不満であります。 知事は、一昨日、この議場でも、三位一体改革に関連し、交付税削減問題について発言をされました。働きかけを強めるとか、全国知事会と連携をしながら最大限の努力をするなど、口先だけにしか聞こえてこないのであります。そこで、今回の質問では、私は具体的な対応策をお聞きしたのであります。それでも同じ内容の答弁を繰り返すということは、私から申し上げれば責任放棄と言わざるを得ないのであります。 もしこれが民間の経営者であればどうですか。あす経営が破綻するかもしれないという状況の中で、もっと緊迫感がなければならないはずであります。しかし、知事の御答弁は、具体的な対応策がないばかりか、第三者的にしか聞こえてこない、御自分のようではない。第三者的に見た感じで、こうしたらいいんじゃないんですか、こうでしょうというような、そんな話にしか聞こえてこない。これは、知事、あなたは経営者としての資格がないと断言せざるを得ません。 また、岐阜県の梶原知事は、地方六団体の代表が七日に麻生総務大臣と意見交換したことを踏まえ、八日の県議会の一般質問で、同じような質問でこういうふうにお答えになっておられます。地方交付税を削るようなことが強行されれば、現内閣の不信任決議を行うよう全国で展開をする。また、地方軽視に我慢ができない。理不尽な仕打ちに力で対決していかなければならないということも出てくる。非常に熱意のある答弁であります。窮鼠猫をかむということわざもありますが、政治家であれば、せめてこれぐらいのことは言って当たり前だと私は思うのであります。 そこで、私から知事に提案いたしますが、知事は、もし来年、ことし同様の地方軽視の交付税削減が強行されるようなことにでもなりましたら、知事自身も不信任決議に賛成をすると表明されてはいかがでございますか。御所見をお伺いいたします。 また、地方交付税が府財政に与える影響についても質問をいたしましたが、まるで危機感がございません。答弁の内容は、行財政計画改定案に書かれているものと同じであります。何とも思っておらず、熱意が全く感じられないのであります。答弁中の必要に応じて歳出の上限を見直すとは、一千八百億円削減されても、そんな悠長なことを言ってていいんですか。一千八百億円どころか三百億円でも削減されたら、もう府の財政は破綻です。来年度は持ちこたえても、数年後には間違いなく破綻するのであります。それほどの危機にあるからこそ、我々は、今回も行財政計画案を改定し、目いっぱい、ぎりぎりの線のところで財政再建に取り組んでいるのではありませんか。 もはやこの問題についてお互いの接点を見出せるとは思わないが、知事答弁作成にかかわった財政当局も、自分の守備範囲でしか物事が見えないようであります。財務省の言い分が幾ら現実離れしているからといって、万が一交付税を切られて、府が破綻するようなことになったらどうするんですか。そうならないために断固とした対応が今必要だと私は言っているのであります。 ○副議長(半田實君) 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。 ◆(西口勇君) 府の対応は責任に対する考えが甘く、自分の力で殻を破ろうともしない。私の言う近代行政とはほど遠いものと言わざるを得ないのであります。交付税削減により仮に府が破綻した場合、その責任は一体だれにあるのか、知事の答弁を求めます。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(半田實君) 知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 西口議員の再度の御質問にお答えを申し上げます。 三位一体改革についての再質問でありますけれども、御指摘のように交付税は地方の貴重な一般財源であり、その改革の行方は、本府はもちろんのこと、地方団体全体の行財政運営に極めて大きな影響を与えるものであります。 地方の実情あるいは意見を無視して、交付税や臨時財政対策債が一方的かつ大幅に削減をされ、地方の行財政運営が立ち行かなくなるようなことは絶対にあってはならない、これはもう私どもとしては絶対に許すことはできません。去年の暮れのような事態が二度と起こらないように最大限の努力をしなくてはならないと思っております。地方の信頼を裏切る理不尽な措置が万一講じられるようなことになれば、地方六団体とも十分に連携をして、私としても断固とした決意で臨みたいと考えています。 私としては、そういうことにならないように、とにもかくにも三位一体改革の全体像に明記されたとおりに、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額がきちんと確保されるように、今後もあらゆる努力をしていくことが今は大事だと思っております。 ○副議長(半田實君) お諮りいたします。本日はこれをもって散会し、十二月十三日午後一時より本日同様の日程をもって会議を開きたいと思います。これに御異議ありませんか。   (「異議なし」「異議なし」) ○副議長(半田實君) 御異議なしと認め、さよう決します。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(半田實君) 本日はこれをもって散会いたします。午後四時五十三分散会...