京都府議会 2021-11-01
令和3年11月定例会(第3号) 本文
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月定例会(第3号) 本文 2021-12-07
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 2 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 3 :
◯前波健史君
選択 4 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 5 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 6 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 7 :
◯前波健史君
選択 8 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 9 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 10 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 11 :
◯前波健史君
選択 12 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 13 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 14 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 15 :
◯前波健史君
選択 16 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 17 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 18 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 19 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 20 :
◯梶原英樹君
選択 21 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 22 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 23 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 24 :
◯梶原英樹君
選択 25 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 26 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 27 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 28 :
◯梶原英樹君
選択 29 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 30 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 31 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 32 : ◯教育長(橋本幸三君)
選択 33 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 34 :
◯梶原英樹君
選択 35 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 36 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 37 : ◯園崎弘道君
選択 38 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 39 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 40 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 41 : ◯教育長(橋本幸三君)
選択 42 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 43 : ◯園崎弘道君
選択 44 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 45 :
◯知事(
西脇隆俊君)
選択 46 :
◯議長(
菅谷寛志君)
選択 47 : ◯園崎弘道君
選択 48 :
◯議長(
菅谷寛志君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初の
ヒットへ(全 0
ヒット) 1:
◯議長(
菅谷寛志君) これより本日の会議を開きます。
─────────────────────
2:
◯議長(
菅谷寛志君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。
まず、前波健史君に
発言を許します。前波健史君。
〔前波健史君登壇〕(拍手)
3:
◯前波健史君 自由民主党議員団の前波健史でございます。
私は4項目を知事並びに理事者に質問いたしますが、質問内容に関しましては、先般の衆議院選挙において多くの方から私に質問や依頼事、そして要望等がありました。その中のベスト4に選んだ項目を質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、コロナ感染拡大の第6波に備えた感染防止対策の強化について、お伺いいたします。
昨年も今年も、コロナ対策一色と言っても過言ではない年でありました。日本はもとより、世界各国から多くの情報が寄せられました。日本におきましては、令和2年1月15日に国内で初めての感染者が確認されました。そして、2週間後の令和2年1月30日には京都府内で初めての感染者が確認され、府において対策本部が設置されました。そして、令和2年4月7日、国内では初めての緊急事態宣言が発出され、京都府では令和2年4月17日から5月21日、令和3年1月14日から2月28日、令和3年4月25日から6月20日まで、そして令和3年8月20日から9月30日まで、4回の緊急事態措置が実施されました。
その結果は、10月末時点において全国の感染者数172万2,610人、死者数は1万8,261名、京都府におきましては、感染者数3万5,881名、そして亡くなられた方が291名であります。また、世界において10月末時点でのWHOの報告によりますと、全世界の感染者数は2億4,629万7,757名で、死者数は499万4,113名となっています。
世界の地域別に感染者数を見ますと、アフリカ地域での感染者の多い上位3か国は、1位はエチオピア、続いて南アフリカ共和国、そしてカメルーン。アメリカ地域での感染者数の多い上位3国は、1位はアメリカ合衆国、続いてブラジル、そしてメキシコでございます。ヨーロッパ地域での1位はイギリス、続いてロシア、そしてトルコ。東南アジアでは、1位インドに続いてタイ、そしてミャンマー。最後に西太平洋地域での1位はマレーシアに続いてフィリピン、そしてベトナムとのことです。日本及び世界の情報は、こういう状態でございました。
このような中で、今後いつ来るか分からない感染拡大の第6波に備えて、状況が落ち着いている今こそ、しっかりと備えを講じておくべきであり、今後とも感染防止対策を進めるとともに、万全な医療体制等の整備が極めて重要であると考えます。
そこで、知事にお伺いいたします。
先日、国において基本的対処方針が見直され、行動制限の緩和が盛り込まれたと伺っておりますが、京都府としての医療体制強化に向けた取組状況と、感染防止対策、社会経済活動の回復に向けた取組について、知事の御所見をお伺いいたします。1項目ずつ分割して質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
4:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
5:
◯知事(
西脇隆俊君) 前波議員の御質問にお答えいたします。
初めに、コロナ感染拡大の第6波に備えた感染防止対策の強化についてでございます。
我が国における感染状況は、新規感染者数の減少に伴って、療養者数や重症者数、死亡者数も減少するなど、落ち着いている状態が継続しており、京都府も同様の状況でございます。一方で、感染拡大リスクが高いとされる冬季を迎え、また年末年始で人の移動も増えることが想定される中、オミクロン株も出現するなど、感染再拡大への危惧が高まっております。
感染が急速に減少した要因については、専門家の中でもいまだはっきりとした評価はされておりませんが、ワクチン接種が進んだことに加え、これまで要請してきた様々な行動制限等について、府民の皆様、事業者の皆様がしっかりと遵守され御協力いただいたことが大きな要因と考えており、改めて感謝申し上げたいと思います。
感染状況が落ち着いている時期に、次なる感染の波に対する万全の備えを講じていくことは重要なことでございます。そのため、まずは第6波に備えた医療提供体制の強化を行うこととし、第5波を超える感染者数を想定した上で、入院が必要な方を確実に受け入れられる体制や、自宅療養者への健康観察・診察を確実に行える体制を取れるよう、専門家の御意見も聞きながら、保健・医療提供体制確保計画を11月に取りまとめ、体制の整備を進めてまいりました。
コロナ患者の受入病床については、各医療機関の状況を聞きながら、さらなる病床の確保について調整を行い、11月末には745床の確保が可能となりました。また、京都府が主体的に運営する臨時医療施設も30床から110床に拡充し、合わせて855床の病床を確保しているところでございます。
また、自宅療養者が安心して療養できるよう、診察・検査を実施する陽性者外来を36か所、電話診療や訪問診療を実施する医療機関を168か所まで拡充するとともに、自宅療養者に対するきめ細やかな生活支援が行えるよう、市町村との連携を進めているところでございます。
さらに、府内全ての患者の入院・療養先を一元的に調整する入院医療コントロールセンターにおいても、感染拡大時にはDMAT(ディーマット)隊員などによる応援態勢を取るなど、機能の強化を行うこととしております。
今後とも、府民の命と健康を守るため、医療関係団体とも連携しながら、保健・医療提供体制を整えてまいりたいと考えております。
また、感染防止対策と社会経済活動の回復に向けた取組を進めることも重要でございます。国において、感染拡大を防止しながら日常生活や社会経済活動を継続できるよう行動制限の緩和の取組を進めていくとの方針が示されたことを踏まえ、京都府としましても、去る11月25日に新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、今後の対策等について決定したところでございます。
具体的には、府民の皆様に、正しいマスクの着用や小まめな手洗い等の基本的な感染防止対策の継続をお願いするとともに、事業者の皆様には、業種別ガイドラインの順守を改めて要請いたしました。
その上で、今後のイベント等につきましては、5,000人を超え、かつ収容率が50%を超えるものについては、感染防止安全計画を策定・提出いただき京都府が確認することで、大声での歓声等がない場合は収容定員までの開催を可能とする等の取扱いとしたところでございます。
また、飲食店等に対しては、京都府新型コロナウイルス感染防止対策認証制度の取組と併せて、GoToイートや「安心・安全な京の飲食店応援クーポン券」事業などの需要喚起策を実施しているところであり、引き続き、認証店舗の拡大と感染防止対策の質の向上に努めてまいりたいと考えております。
このほか、府内経済を温めるため、府民の皆様に府内の魅力を楽しんでいただく「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」や、府内の小売・サービス業の店舗で使用できる「京の小売・サービスクーポン」の発行などの需要喚起策についても、感染リスクの低減を図りながら段階的に実施しているところでございます。
さらに、ワクチン接種歴や陰性検査結果のいずれかを確認することにより、行動制限の緩和を可能とするワクチン検査パッケージ制度を積極的に活用できるよう、新型コロナウイルス感染症拡大防止推進費の予算を御議決いただいたところでございます。本事業により、民間事業者の感染拡大防止の自主的な取組に参加する場合の検査費用の無料化とともに、誰もが簡易かつ迅速に利用できる検査拠点整備を進めてまいります。
今後とも、常に感染状況や医療体制等を把握し、それらを踏まえて迅速的確な対応を図りますとともに、次の感染期に備えながら、感染リスクを下げつつ日常生活や社会経済活動の回復に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
6:
◯議長(
菅谷寛志君) 前波健史君。
〔前波健史君登壇〕
7:
◯前波健史君 ありがとうございました。
府民の多くの皆様が、知事の御答弁に期待をされていると私は思っております。これだけのコロナ感染拡大防止対策をしていただければ、第6波が来ても、府民の皆様は不安のない安心・安全な生活ができると確信いたしました。
1点だけ、強く要望いたします。
第5波では感染者が増加したため、最大で4,500人ほどの方が自宅で療養していただくことになりました。自宅療養になりますと、患者さんは病状が悪化した際、不安を抱えますし、家族も家庭内感染の不安を抱え、療養を余儀なくされることになります。本来、全ての患者は自宅療養でなく医療機関や宿泊施設で療養していただくことが理想だと私は思っておりますが、介護や子育てなどの事情により自宅療養を
選択しなければならない方に対して、家族が安心して療養できる体制整備を実施して、自宅療養者には保健所や医療機関などからの健康観察をしっかりと見守っていただきたいとこのように思っております。
私は、コロナに感染された方と、その方はお元気になりましたけれども、お話しすることができました。この方は農家の方でありまして母屋と離れがありました。6人家族でございましたが、離れには今、誰も住んでいないということで、離れで自宅療養されたそうでございますが、2日、3日たち、非常に家族も不安と恐怖に襲われ、本人も不安と恐怖に襲われたのでございます。自分が感染したことで両親がもし感染して重傷になって、コロナに命を奪われたとなったとき、自分は御先祖さんにどのようにおわびしたらいいのか。また、身内、親類の方々にどのように報告し、おわびしたらいいのかということで、非常に精神が不安になったということで、近くの花瓶をドアにぶつけたり、いろいろしたと。時には泣き崩れるということがございました。
私は、自宅療養される患者さんにも、感染したならば必ず医療関係の方に診ていただいて、医療関係もしくは保健所の方から、こういった状況でありますので御心配なく自宅療養をしてくださいと非常にしっかりした、本人に不安のない報告をしてやらなければいけないとこのように思っておる次第でございます。
この方は、西脇知事がいろいろと医療関係者、そしてまた個人経営者、中小企業の経営者、こういったお商売されている方に対してはしっかりと支援されているということをよく分かっておるわけでございますが、やはり感染した人には、重症であろうが軽症であろうが、しっかりした対応をしてくださいということでございました。この方が私に最後に言われたことが、涙ぐんで、阪神とヤクルトと楽天で監督をされた野村監督の色紙、この色紙をぼろぼろに破って捨てたと。この色紙は、自分が苦しくなったときにこの色紙を見て一生懸命仕事に励んだと言っておられました。私がこの方に「どんな色紙があったんですか」と言ったらば、この方は、「失敗と書いて成長と読む」という色紙やったそうでございます。こういったことのないように、今後、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、京都市との連携についてお伺いいたします。
都道府県と政令指定都市との役割については、これまでから数多くの議論がされました。ここ京都府におきましても、林田府政以来、昭和53年から約40年にわたってトップ同士の懇談会を実施し、府と市が二重行政を排除し、よりよい住民サービスを提供すべく、議論を交わしてまいりました。また、京都の未来に向けた発展のため、京都経済センターの整備や、中央省庁として明治以来初となる文化庁京都移転の実現など、数多くの目覚ましい成果を収めてきたところでございます。
今後の京都の発展を考えますと、より一層の府と市の連携の強化が求められますが、今まさに暗雲が立ち込めております。それは、京都市の財政難でございます。
京都市は、本年8月、新たに行財政改革計画を公表いたしました。改革の中には、人件費の削減などに加え、先般、市議会で決議されました敬老乗車証の対象年齢・負担額の引上げや学童クラブの利用料の見直しなど、市民生活に影響を及ぼすものであり、市民から不安や戸惑いの声をお聞きすることがあります。
京都市の財政難は、今後の府市協調の在り方にも影響を及ぼすかもしれません。このような事態を招かないためにも、直接的な財政支援が難しいとしても、これまでの府市協調の枠組み、経験を生かした京都市への支援を何かできないものかと考える次第であります。
そこでお伺いいたします。
京都市が財政難になっている今、改めて、京都市への支援について、知事の御所見をお聞かせください。
8:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
9:
◯知事(
西脇隆俊君) 京都市との連携についてでございます。
京都市とは、林田府政以降、約40年にわたってトップ同士の懇談会を毎年開催するとともに、施策の企画構想段階からきめ細かく調整を行うことで取組を充実させながら、府市協調で政策を推進してまいりました。
これまで、府民・市民の視点に立って二重行政の弊害を解消し、効率的、効果的な行政運営を実現していくため、例えば、動物愛護センターの共同設置や府保健環境研究所と市衛生環境研究所の共同整備などの取組を進めてまいりました。
また、議員御指摘のように、中央省庁として明治以来初となる文化庁京都移転の実現をはじめ、「もうひとつの京都」と「とっておきの京都」の一体的なキャンペーンの実施等による周遊観光の促進、京都経済センターの開設や京都スタートアップ・エコシステムの推進など、京都市域が有する多彩な強みを生かして、市域はもとより府域全体の発展へとつなげてまいりました。
現在、京都市は大変厳しい財政状況にあり、新たな行財政改革計画を策定して、財政状況の改善に向けた取組を進めようとされております。議員御指摘のように、もとより京都府と政令指定都市である京都市はそれぞれの権限と責任の下で行政事務を分担しており、京都府として、京都市財政に対し直接の支援を行うことは考えにくいところでございます。
その上で、京都府といたしましては、これまでの府市協調の積み重ねを生かし、何ができるのかということについて常に検討していかなければならないと考えております。京都府においても厳しい財政状況にあることから、互いに知恵を出し合いながら、よりよい府民・市民サービスを提供していくことが重要と考えております。
このため、まずは、京都府、京都市の効率的、効果的な行政運営の実現につながる取組を引き続き検討してまいりたいと考えており、さらに、例えばコロナ禍において実現した民間金融機関における実質無利子・無担保の融資制度のように、府市協調で実施する施策については、府市連携で積極的に国の財政支援の取り込みを図っていくことも考えていかなければなりません。
本年の府市懇談会において門川市長からは、コロナ禍の影響により経営の危機にある市営地下鉄への支援や中央卸売市場への支援について要望がございました。
市営地下鉄につきましては、コロナ禍の影響を受ける公共交通全般への支援について、先日私から直接国土交通大臣に対して要望を行っており、中央卸売市場につきましても、仲卸事業者の経営継続のための支援制度の創設を国に強く要望したところでございます。
また、厳しい財政状況にあっても、府民・市民の安心・安全の確保は待ったなしであることから、府市協調で取り組む防災・減災基盤の整備について、今後、5か年加速化対策関連の補助制度等を最大限に活用していくことで、京都府、京都市それぞれの負担の抑制と事業効果の早期の発現を図ることができないかと考えており、門川市長とも議論を深めてまいりたいと考えております。
今後とも、京都府といたしましては、京都市の行財政改革の動向も注視しながら、京都市との連携をさらに強化し、府民・市民が夢と希望を持てる未来の京都づくりを共に進めてまいりたいと考えております。
10:
◯議長(
菅谷寛志君) 前波健史君。
〔前波健史君登壇〕
11:
◯前波健史君 御答弁ありがとうございました。京都市との連携について要望させていただきます。
京都市の財政難が問題となる一方、来年度に文化庁の京都移転が実現すると、京都として世界に誇る京都文化を発信する絶好の機会であり、併せて、将来にわたって新たな文化を創造していくチャンスでもあると思います。京都市との一層の協力は欠かせないものです。また、コロナ感染症対策をはじめ、子育て環境日本一に向けた取組や京都産業の成長戦略など、課題は数多くありますが、より一層の府と市の連携強化が必要と考えます。
私は、京都市が発展すれば京都府も発展すると信じております。
私ごとで申し訳ございませんが、私の趣味は国内・海外問わず旅行することですが、旅行するたびに京都のよさを身をもって感じますし、私自身、京都で生まれ育ってよかったなという感謝を持ちます。私は50代、60代のとき一人旅をして、プライベートは全て一人旅でございましたが、大体こういったパックツアーは御夫婦、若いペアで来られる方、また40代・50代の女性の方が二、三人でツアーに来られるんですね。私はいつも一人旅でございますので、1日目、2日目ぐらいはあまり私に声をかけてくることがないわけでございますが、3日目ぐらいに私に声をかけていただくことが多々あります。その最初の言葉が「いつも一人旅ですか」とかいうことでなしに、「あなたはどこから来られましたか」と私に声をかけてくれます。私は、「京都から来ました」。多くの皆、10人が10人とも「京都はすばらしいところですね」。紅葉の秋、嵐山に行ったならば本当に感動しますし、旅館に泊まっても非常におもてなしもいいということで、多くの方が感動していただくわけでございますが、この京都が財政難になっておる、私はこれを信じることができません。
京都は全国、世界各国から京都のよさで皆、旅行に来られるわけでございますが、この2年間でインバウンド、いわゆる海外から来られる方が少ないといえども、2年ほどで京都が財政難になる、本当に私は信じることができません。京都の多くの神社仏閣、多くのお寺等があり、きちっとしたこのような観光・京都として目指されておるわけです。こういった中で、大事に大事に、この京都を守っていかなければならないと私はこのように思っております。
次に、淀川水系の治水対策についてお伺いいたします。
大変残念なことに、今年も大雨により日本各地で尊い人命や財産が失われました。今年7月1日からの大雨では、熱海市で土石流災害を引き起こしたばかりでなく、24の都道府県に被害をもたらし、死者26名を含む38名の人的被害が発生いたしました。また、8月11日からの大雨でも日本各地で土砂崩れなどが発生し、死者13名を含む29名の人的被害が発生いたしました。
気象庁の分類では、1時間雨量80ミリ以上は「猛烈な雨」とされており、車の運転は危険とされております。それでは、これを上回る1時間に100ミリを超える雨は毎年どれぐらい降ってるのかということで、国土交通省の資料によりますと、30年前は年平均1.9回程度であったものが、近年では年平均3.2回程度まで増加しており、この30年間で約1.7倍にも増加しております。
京都府でも、平成29年10月の台風第21号の際に綾部市で1時間49ミリ、平成30年7月豪雨の際にも同じく綾部市で61ミリの最大雨量を観測しており、大きな被害が発生しております。今年は京都府では今のところ災害はありませんが、いつ何どき襲われてもおかしくない状況と言えます。
そのような状況の中、平成21年に策定された淀川水系河川整備計画により、この10年余りで、宇治川や桂川の河川改修などの事業が大きく進捗してまいりました。
宇治川では、塔の島地区の改修工事が完了し、天ヶ瀬ダムの再開発も本年度末に完了する予定であります。また、宇治川の堤防も順次強化されておりますし、また桂川では井堰の撤去、河道の掘削などが行われ、木津川でも堤防の強化が進められてきています。
さらに、8月には整備計画が変更されました。そして、大戸川ダムの本体工事に着手されることが決定したところであります。
そこでお伺いいたします。
淀川水系河川整備計画の変更により、淀川水系の河川整備は今後どのように進められていくのか。また、大戸川ダムは、宇治川や淀川流域全体にどのような効果があるのかをお伺いいたします。
12:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
13:
◯知事(
西脇隆俊君) 淀川水系の治水対策についてでございます。
今年8月に国において変更された淀川水系河川整備計画は、まず第1に、桂川や宇治川につきまして、戦後最大を更新した平成25年台風第18号洪水を目標として河川整備を行うこと。2つ目に、木津川につきましても、気候変動の影響を考慮した新たな目標に向けた河川整備を行うこと、3つ目に流域治水を推進することを主な内容とするものでございます。
具体的には、府域の最優先課題である桂川では、平成25年台風第18号洪水を安全に流下させるため、現在実施中の嵐山改修のほか、河道掘削、日吉ダムの再生、堤防強化等が実施される予定でございます。
また、宇治川では、同じく平成25年台風第18号洪水対応として、今年度完成予定の天ヶ瀬ダム再開発に加え、大戸川ダム本体工事、河道掘削、堤防強化等が実施される予定でございます。
また、木津川では、気候変動の影響等を踏まえ、降雨量がこれまでの目標洪水の1.1倍以上となる洪水を安全に流下させるため、令和4年度完成予定の川上ダムの整備に加え、河道掘削や堤防整備、堤防強化等が実施される予定でございます。
また、淀川本川では、上流の河川整備によって増加する流量への対応と、三川合流部付近の水位低下のため、現在実施中の阪神なんば線橋梁架け替えや河道掘削等が実施される予定でございます。
これらの河川整備は、上流部を先行して行うと上流部での氾濫は解消されるものの、それまで氾濫していた洪水が下流まで流れてくることとなり下流部の治水安全度が低下することから、上下流バランスを考慮し、下流の河川整備や上流のダム整備等の進捗状況を踏まえながら、段階的に進められることになります。
国管理区間の整備が進むことで、上流の京都府管理区間の整備を新たな段階に進めることができるようになることから、京都府管理区間についても河川整備を進め、流域全体として治水安全度を高めてまいりたいと考えております。
次に、大戸川ダムの効果といたしましては、まず、洪水調節によって下流河川の流量を低減させることが挙げられます。
国の平成25年洪水を用いたシミュレーションによると、大戸川ダムもなく、桂川の整備も完了していない現状では、桂川の約11キロメートルの区間で計画高水位を超過するとされており、この区間で堤防が決壊すれば、京都府域に約3兆円の被害が及ぶと想定されております。
一方で、仮に大井戸川ダムなしで桂川の整備を完了した場合には、洪水が氾濫することなく、下流に集中し、その結果、淀川本川の約2.5キロメートルの区間で計画高水位を超過するとされております。この場合、京都府域の約3兆円の被害は解消されますが、大阪府域で堤防が決壊すれば、被害は約10兆円に及ぶと想定されております。
大戸川ダムは、淀川本川の氾濫被害を防止しつつ、桂川の河川整備をさらに進めることを可能にし、京都府域と大阪府域の氾濫被害防止に同時に寄与することとなります。また、滋賀県域では、ダム下流の大戸川の治水安全度が向上するとともに、瀬田川洗堰の全閉操作の回避・軽減により、琵琶湖沿岸の浸水被害軽減にも寄与いたします。
さらに、大戸川ダムは、ダム直下流から大阪湾に至る延べ約70キロメートルの区間にわたって水位を低減させる効果があり、国の平成25年洪水を用いたシミュレーションでは、宇治川及び淀川本川で約4時間、最大約20センチ水位を低減できるとされております。これにより、宇治川や淀川本川に合流する支川からの排水を円滑に行うことができ、内水被害の軽減につながります。また、水位上昇が緩和されることにより、住民の避難時間を確保することにつながるとともに、洪水が堤防に浸透する時間や水圧が低減でき堤防決壊リスクを低減させることにもなります。
なお、大戸川ダムの整備につきましては、引き続き国に対して徹底した事業費の縮減を求めてまいりたいと考えております。
京都府といたしましては、府民の命と財産を守るため、河川整備等の国直轄事業が河川整備計画に基づいて着実に進められるよう、関係市町村と連携し地元調整などに協力してまいりたいと考えております。
14:
◯議長(
菅谷寛志君) 前波健史君。
〔前波健史君登壇〕
15:
◯前波健史君 ありがとうございました。淀川水系の治水対策に対する要望をいたします。
防災対策、特に治水対策等の京都の現状は、他府県に比べ河川整備率は少し遅れています。京都府の河川整備率は、令和元年度末現在で36.49%、全都道府県のうちデータを確認できる39都道府県の平均は令和元年度末現在で49.54%で、約13%、京都府は低いです。
しかし、他に比べてすばらしい点もございます。それは、京都府独自の条例を制定して、総合的な治水対策を実施している。平成28年8月に「災害からの安全な京都づくり条例」を制定し、河川整備だけでなく総合的な治水対策の取組を実施、全国で進められている流域治水より進んでおります。府民の安心・安全を守るには、これらの治水対策をしっかりと取っていただきたいと強く要望いたします。
昔は、まちづくりは道路整備からと言われておりましたが、近年は安心・安全なまちづくりは治水対策からと、私は思っておりますのでよろしくお願いいたします。
最後に、私のライフワークとも言うべき動物愛護の観点から、災害時のペット対策についてお伺いいたします。
近年では、京都府内において集中豪雨が年々多く発生しております。そうした自然災害が発生した場合におけるペットの対策について質問いたします。
コロナの影響で人々が不要不急の外出を控えるようになり、自宅で過ごす時間が増えたことや他人と接触する機会が減ったことなどから、ペットを飼う方が増えました。実際、一般社団法人日本ペットフード協会の調査によりますと、令和2年中に新たに飼われた犬は、2年前に比べると7万9,000頭増加し、一方、新たに飼われた猫は約9万3,000頭の増加であり、いずれも2割以上の増加となっています。
ペットを飼われている方の中には、ペットを大切な家族の一員と考える人が年々増えていることも事実です。そうしたかけがえのない存在であるにもかかわらず、いざ災害が発生した際には避難所での安全面や衛生面の問題、さらには他の避難者とトラブルになる可能性があることから、ペットと一緒に避難することができないこともあると伺っております。その結果として、避難が遅れてしまったという事例もあります。
そうしたことを防ぐためには、ペットを連れていくことのできる避難所の設置と住民への周知、災害発生のときの対応等を記載したマニュアルの整備や防災訓練等を通じた、ふだんからの備えが重要であると考えます。
実際に広島県では、平成30年7月に発生した西日本豪雨災害の経験を生かし、令和元年7月に災害時動物救護基本指針を作成するとともに、ペットを受け入れるための避難所等の運営ガイドラインを作成するなど、先進的な取組が進めてこられました。その一例を申しますと、人間の部屋と別にペットのみ受け入れる部屋が設けられております。
建物の外にはペット専用の足洗い場やリードフックなどが設置されています。
そこでお伺いいたします。
京都府でもやればできると思います。京都府では毎年防災訓練を実施していますが、ペットとの同行避難訓練が可能である避難所の設置状況や、ペットとの同行避難訓練の実施状況はどのようになっているのか。また、ペットとの同行避難を円滑に行うためには、行政機関の取組だけでなく、飼い主に対する啓発も必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
16:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
17:
◯知事(
西脇隆俊君) 災害時のペット対策についてでございます。
災害時の避難者の中には、家族同様にペットと一緒に避難することを望まれる方がいる一方、動物アレルギーの方や動物の臭いや鳴き声などが苦手な方もおられます。
議員御指摘のとおり、ペットと同行避難する方が他の避難者とのトラブルを恐れ避難が遅れるという事態を防止するためには、平常時から市町村や関係団体と連携し、災害時のペットの取扱いについて検討していくことが必要であると考えております。
そのため京都府では、市町村に対し、ペット同行に対応できる避難所の確保について、地域防災計画に盛り込むよう指導・助言を行ってきたところでございます。その結果、令和3年4月1日現在府内の全避難所2,652か所(後刻「1,652か所」に訂正)のうち654か所の避難所において、ペット同行避難が可能となり、これらの避難所については、京都府のホームページにおいて公表しているところでございます。
しかしながら、地域によりペット同行が可能な避難所の設置状況にばらつきがあることから、引き続き、市町村に対してペット専用スペースやテントの設置の必要性を機会あるごとに要請するなど、ペット同行避難所の設置をさらに進めてまいりたいと考えております。
また、京都府では、平成28年度から令和元年度まで毎年総合防災訓練の中で、地域住民や獣医師会と一体となって、ペットとの同行避難訓練やペットの健康相談などを実施してきたところでございます。
訓練に当たりましては、避難スペースの設営を行政と住民が一緒に実施するとともに、避難所の運営についても、行政だけでなく住民の方に携わっていただくロールプレイング形式とすることにより、ペットを連れた避難者が行政と住民双方の立場を理解し、飼い主の方に、周りの方とのトラブルを避けるためには、日頃からのペットのしつけが重要であることを再認識いただくきっかけとするなど、災害時に備えた啓発にもつながっております。
また、災害発生時には飼い主とはぐれてしまうペットもいることから、訓練においては、京都動物愛護センターの保護犬をモデルとして、マイクロチップリーダーによる個体識別番号の読み取り訓練も行っております。
なお、令和2年度、3年度は、新型コロナウイルスの影響で総合防災訓練は中止となりましたが、9月の動物愛護週間期間中に、京都動物愛護センターを紹介するテレビ番組の中で「ペットの災害対策」について取り上げていただき、日頃からケージに慣らしておくこと、人や他の動物を怖がらないようにしておくこと、ペットとの同行避難が可能な避難場所を把握しておくことなどについて啓発したところでございます。
また、京都動物愛護センターでは、ホームページでペットの防災対策について詳しく広報しているほか、飼い主向けに毎月実施しているイベントの中で、ペットの災害対策講座を開催しているところでございます。
この講座では、ペットの同行避難に必要な最低5日分の餌、水、薬のほか、ペットの写真やワクチン接種状況等を1つのバックにまとめて準備しておくことなど、災害時の対応について幅広く周知しているところでございます。
今後、京都府では、平成25年3月に策定した災害時における動物救護対策マニュアルを改定するとともに、「ペット同行避難の円滑な受入マニュアル(仮称)」の策定に着手し、地域住民の皆様や市町村、獣医師会、民間団体等関係団体と協力して、災害時におけるペットとの同行避難が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。
ちょっと訂正いたします。4月1日現在府内の全避難箇所を二千と言いましたが、「1,652か所中654か所にペット同行が可能」だということでございます。失礼いたしました。
18:
◯議長(
菅谷寛志君) この際、午後2時10分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。
午後1時57分 休憩
─────────────────────
午後2時10分 再開
19:
◯議長(
菅谷寛志君) 休憩前に引き続き会議を行います。
次に、梶原英樹君に
発言を許します。梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕(拍手)
20:
◯梶原英樹君 府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。初となる代表質問の機会をいただきましたことに先輩方の御厚情にも心から感謝申し上げ、会派を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、議長のお許しをいただき一言申し上げます。
本府における新型コロナウイルス感染症との闘いも、約2年と長きものとなりました。この間、度重なる緊急事態措置やまん延防止等重点措置の実施など、総力を挙げて感染防止対策に取り組んでいただいておりましたが、無念にも多くの方々がお亡くなりになられました。改めて、お亡くなりになられた方々に対して、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、現在治療中の皆様の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
また、感染者数は少し落ち着きがある状況でございますけれども、感染対策に御協力いただいている府民の皆様、そして医療・介護の従事者の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝を申し上げます。
次に、今定例会に提出されております11月補正予算案について申し上げます。
今回の補正予算案は、年末年始の安心・安全対策として、コロナ患者の診療受入体制を確保するとともに、厳しい状況にある伝統産業事業者への事業継続対策や、障害者雇用の促進対策を講じるなど、開会日に議決いたしました対策と併せまして、これから迎える冬季に備えた、切れ目のないきめ細やかな対策となっており、まさに時宜にかなった対策であると会派を代表して高く評価いたします。
それでは、質問に入ります。まず、新型コロナワクチンの接種についてお尋ねいたします。
新型コロナのワクチン接種が進む一方で、2回目の接種を終えて2週間以上たってから感染が確認される、いわゆるブレイクスルー感染という事象が各地で発生しています。例えば、福井県内での9月22日の新規陽性者数41人のうち32人が、介護施設でのブレイクスルー感染。山口県内で8月1日から9月16日の間に感染した2,172人のうち8.8%にあたる192人が、ブレイクスルー感染という報告がされています。
また、山口県議会環境福祉委員会では、ブレイクスルー感染が確認された192人のうち189人は軽症か無症状で中等症は3人と、厚労省も発表しているように、ワクチンには発症を一定程度防ぎ、重症化を回避する効果があると説明をされています。
こうした中、日本をはじめ世界各国でワクチンの効果を高めようと3回目の追加接種、いわゆるブースター接種の動きが出てきています。ブースター接種については、各国の動きを見てみると、16歳以上の8割以上が2回目のワクチン接種を終えているイスラエルでは、一時は1日の新規感染者数が1桁台にまで減りましたけれども、デルタ株の拡大に伴って再び感染者が増えたため、8月から3回目の接種を始めました。
また、イギリスではワクチンの効果を保つためとして3回目の追加接種を9月に始め、ドイツでは、60歳以上の人や高齢者施設の入居者、免疫不全がある人、感染者と定期的に接触する医療従事者や救急隊員などが対象となり、アメリカでは、FDAが新型コロナワクチンの3回目の接種の必要性についてファイザー社のワクチンを対象に検討を行い、65歳以上の人や重症化リスクの高い人を対象とする案を全会一致で承認し、順次3回目の接種が開始をされています。
一方、日本では、厚労省が11月11日に、国内で使用を認めているワクチンでは初めてファイザー社のワクチンを3回目の接種に使うことを承認し、今月から医療従事者を対象に接種が開始され、来月からは高齢者の接種も始まります。そして、11月15日の厚労省の厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会で、接種の対象を18歳以上とすることが決まり、同月17日には職域接種でも行われる方針が決まり、2022年3月をめどに始める方向とお聞きをしております。
そこで、3回目接種に関する今後の計画、準備などについてお尋ねいたします。
これまで、ワクチン接種については、医療機関は日常診療を維持しながら接種に尽力され、本府も各自治体と連携を図りながら進めてきたところですが、しかしながら、6月25日には全国で1日134万回の接種を実現したものの、7月に入ってから、国からのワクチンの供給不足のため予約の停止やキャンセルをする自治体が続出し、予約については数分で満員となるなど、様々な時期、場面で混乱が生じました。
初めて経験することが多く、工夫を重ねる中で、本府についても大変な苦労があったかと心中察するに余りありますが、府民が混乱なく予約接種を迎えるに当たり注力したこと、課題に感じていること、それを3回目の接種でどのように生かしていくのか、今後の計画や準備状況を含めて御所見をお聞かせください。
そして、3回目の接種を迎えるに当たり、副反応を気にされている方や効果について疑問を持たれている方も多いのではないかと推測いたします。
京都大学iPS細胞研究所所長の山中教授は、3回目のワクチン接種について「感染抑制効果が11倍、重症化抑制効果が19.5倍も増大した」と発表され、多くの専門家が、感染者数と死亡者数を減少するために3回目の接種は有効な手段と評価をされています。
しかしながら、特に2回目の接種時に副反応で37.5度以上の熱が出た方の割合は80%と、一部の報道でもあったように、副反応に対する恐怖から3回目の接種に強い抵抗を感じている方も多いと思います。ワクチンの有効性、安全性を初回のときよりも丁寧かつ広く周知すべきかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
また、さきに述べました山中教授の話の中で、ワクチン接種をさきに行っていたイスラエルの事例を紹介しながら、3回目のワクチン接種を行っても感染爆発が起きる可能性があると指摘され、3回目接種の効果については慎重に見極める必要があり、3回目接種の議論も大切だが、まだ1回も接種していない国民にいかに接種を推奨するかも重要な課題と考えられると述べられていました。
本府のワクチン接種率は、11月30日現在で、2回目接種完了者は対象者の82.3%と全国43位の状況であります。今後の感染予防対策を進める上でも、1回目を接種しない府民に対して、どのように推奨していくのか、本府のお考えをお聞かせください。
次に、子育て環境日本一に向けた不妊治療と不育症に対する支援についてお尋ねいたします。
2020年5月に閣議決定した少子化社会対策大綱において「不妊治療に保険適用を検討」と記載され、2020年12月に全世代型社会保障改革の方針で2022年度からの保険適用を明言し、今年1月から中央社会保険医療協議会でも議論が始まり、不妊治療の保険適用の内容についても、年内にも結論を出す予定とのことであります。
不妊治療をめぐっては、6年前、2015年の時点で5.5組に1組の夫婦が「経験がある」としていて、体外受精などで生まれた子どもは、2018年でおよそ5万7,000人に上っています。一方で、治療を受ける人の経済的な負担が課題の一つとなり、厚労省が今年発表した調査結果によると、1回当たりの治療の平均費用は、精液を採取して良好な精子を取り出し妊娠しやすい時期に子宮内に注入する「人工授精」が3万円余り、卵子を採取して受精させた後、体内に戻す「体外受精」が50万円余りとなっています。
医療費の総額で見ると、治療を受けたことのある5分の1を超える人が「100万円以上かかった」としていて、経済的な支援を求める声が高まり、政府は保険適用までの経過措置として、2021年1月から不妊治療の助成額や対象を拡充し、所得制限の撤廃、助成額を1回30万円に倍増、助成回数の制限を通算から1子ごとに変更いたしました。
本府も「子どもを持ちたい」という府民の皆様の願いに寄り添い、助成回数の国の制度への上乗せや通院交通費の助成など全国トップレベルの経済的支援を行い、西脇知事の子育て環境日本一にかける思いは府民に伝わっていると私は感じております。しかし、不妊治療の保険適用に期待が寄せられる一方で、不妊治療の経験者からは、具体的な議論の中身が見えない現状への不安を指摘する声もあります。
一般に、保険が適用されれば患者の自己負担額が減り、経済的負担の軽減にもつながりますけれども、保険では疾病ごとの医療行為に診療報酬が決められているため、適用範囲をどう拡大するかが大きな課題となります。
日本の不妊治療は、国内未承認の海外の最先端の治療技術や薬を導入するなど、自由診療を中心として発展したこともあり、治療方法が標準化していない不妊治療で、診療報酬を一律に設定することの課題を指摘する専門家もおられます。
そこでお尋ねいたしますが、さきに述べたように、日本の不妊治療では自由診療を軸に夫婦に合った治療が行われてきておりましたが、保険適用が拡大されることで、支援の対象となる治療が限られることになれば、逆に、できない治療が増え、妊娠が遠のいてしまう恐れがあります。
年齢的にも時間がないという人や、体への負担から流産を避けるための治療を行いたいという人のためにも、治療の自由度は高くしてほしいという声もある中で、本府は今後どのような支援を行っていくのか、御所見をお聞かせください。
加えて、不妊治療を受ける夫婦の負担は、経済的なものだけではありません。仕事との両立ができず、仕事や不妊治療をやめたり雇用形態を変更した人の割合は、34.7%というデータもあります。
自身が不妊治療をやっていることを会社に知られたくないという気持ちもあって、「何で休むの」「何で早退するの」と言われて退職し不妊治療だけに専念していくと、それしかなくなって追い詰められているケースにもつながっていると耳にしております。
不妊治療に関する助成制度や相談窓口といった情報だけでなく、当事者が抱える悩みや職場など周囲の理解が重要であり、啓発の必要性があると考えますが、この点についても、本府の取組や思いも併せてお聞かせください。
次に、不育症の支援についてお尋ねいたします。
妊娠後に2回以上の流産や死産を繰り返す不育症の方への支援を不妊治療と同様に、政府は2021年度から拡充し、検査費用を助成、心のケアの相談体制の強化を図っています。流産、死産した胎児などの染色体検査は保険適用外のため、4万円から10万円かかり、こちらも検査費用は高額です。
不育症検査の助成事業は、保険外の胎児の染色体検査に1回当たり5万円を上限に支給し、原因の特定と患者が妊娠に向きやすくなる効果が期待されているとされています。厚労省の研究班は、2回以上連続して流産する患者を年間約3万1,000人と推計しており、妊娠を望むカップルの約5%が不育症というデータもあるそうです。
厚労省の調査では、過去5年間に流産や死産を経験した女性のうち、鬱や不安障害が疑われた割合は75%を超えたとされ、各都道府県などの不妊専門相談センターには、流産や死産の悲しみに寄り添うカウンセラーを配置し、対応を行っています。そして、不育症学会は、新たに認定医制度を導入し、約100人の医師が講座で専門知識を学び、認定医が誕生しているとのことであります。
そこでお尋ねいたします。
日本不育症学会理事長、名古屋大学の杉浦教授は、「原因が判明し、適切な検査や管理ができれば85%が出産に至り、出産率の改善が示されていない検査や治療を高額な自由診療で行っているケースもある。認定医が症例を共有できる仕組みをつくりたい」。また、「日本では不育症の定義でさえ間違った情報が流れ混乱し、さらに原因不明の場合でも平均的な年齢であれば、薬剤投与をしなくても一定の確率で出産できるが、研究的な治療が説明・同意が不十分なまま自由診療として実施されている」と訴えておられます。
子育て環境日本一を目指す本府が進めてきた不育症対策の取組実績や相談センターに寄せられた声などについてお聞かせください。
また、不妊症に比べ、社会的な認知度が低いと感じますけれども、今後どのように周知されるのかも併せてお聞かせください。
まずは、ここまでの御答弁をお願いいたします。
21:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
22:
◯知事(
西脇隆俊君) 梶原議員の御質問にお答えいたします。
梶原議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に高い評価をいただき、厚く御礼申し上げます。
ワクチン接種についてでございます。
重症化や発症の予防に効果があるとされるワクチン接種については、京都府といたしましても、ワクチンの配分調整や市町村への支援など、希望される府民の皆様の早期接種に向け、取組を進めてきたところでございます。
この中で、接種を開始した3月、4月や、高齢者から一般府民の皆様への接種に移行した7月において、ワクチンの供給量が減り接種が滞る事態が発生したことから、ワクチンの安定的な供給が円滑に接種を進める上で大変重要であると考えております。
このため、国に対し、供給スケジュールの明示とワクチンの安定供給について繰り返し要望し、必要なワクチンの確保に努めてきたところでございます。
今後、3回目接種を進めていくに当たり、3月までの供給量は示されているものの、1・2回目接種の9割以上を占めていたファイザー社製ワクチンの割合が減る見通しであり、国が示すように、2回目接種完了から8か月後に3回目接種を実施するためには、モデルナ社ワクチンとの交互接種を進めていく必要がございます。そのため、国に対し、十分なワクチンの供給や、モデルナ社ワクチンの副反応等についての丁寧な広報を求めるとともに、交互接種を前提とした接種体制を構築していくため、市町村や医師会等と使用するワクチンや接種会場等について調整を行ってまいりたいと考えております。
また、ワクチン接種の開始当初に、市町村において予約が集中する事態が起こったことから、京都府といたしましても、接種会場を設置し、その数を順次増やすことで、接種機会を拡大してまいりました。
また、京都府の接種会場における予約方法も、高齢者接種では140回線のコールセンターとウェブ予約を併用するほか、一般接種ではウェブ予約を週ごとに受け付けるなど、ニーズに合わせて対応してきたところでございます。
3回目接種におきましても、市町村の接種を補完するため、京都府として接種会場を設置しますとともに、職域接種の実施に向けた企業や大学等への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
今後、3回目接種は12月から医療従事者、1月から高齢者、その後一般府民の皆様への接種へと進んでまいりますが、1回目、2回目接種の課題を市町村や医師会など関係団体と共有し、接種計画の調整を行うことで、接種が円滑に進むよう取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、3回目接種の情報発信についてでございます。
第5波においては、クラスター発生件数に占める医療機関や高齢者福祉施設の割合が減少するとともに、新規陽性者や重症者についても、ワクチン接種が進む高齢者の割合が減少していることが、国のアドバイザリーボードで示されております。
このようにワクチン接種の効果は高いことから、3回目接種においても、府民の皆様の不安を取り除くために、正しい情報を伝えていく必要があると考えております。このため、ワクチンの有効性・安全性について科学的知見を踏まえた丁寧な広報を国に求めますとともに、京都府といたしましても、府民だよりや新聞広告、ホームページなどあらゆる広報媒体を通して、正しく、分かりやすい情報発信を行い、3回目接種についての御理解を得てまいりたいと考えております。
次に、1回目・2回目のワクチンを接種されていない方への対応についてでございます。
議員から御指摘がありました、京都府のワクチン接種率が全国と比べて低い主な理由として、10代の接種率が低いことが挙げられます。このため、若い世代向けにメッセージ動画の配信や、教育委員会を通じた府内中学・高校へのデジタルチラシの配布などを通じて、ワクチン接種に関する情報をしっかりお伝えしてきたところでございます。
また、京都府のワクチン接種会場として、モデルナ社ワクチンの接種を実施した府内5病院において12月以降も継続して接種を実施し、まだワクチンを接種されていない方の接種機会を提供することとしております。
今後とも、府民の皆様にワクチンについての正しい情報を提供することで、ワクチン接種を
選択していただけるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、不妊治療費の助成についてでございます。
不妊治療につきましては、子どもを持ちたいという府民の皆様の願いに寄り添い、助成回数の国制度への上乗せや通院交通費の助成など、全国トップレベルの経済的支援を行っており、昨年度は9,000件もの申請があったところでございます。
現在、国において不妊治療への保険適用について検討されておりますが、国に対しましては、保険適用に伴ってかえって患者の自己負担が増えたり、新たな負担が生じたりすることがないように、経過措置の適用や、保険適用対象外となる治療についての新たな支援制度を設けることを強く要望してきたところでございます。
今後、京都府といたしましては、国の動きをしっかりと見据えながら対応していきますとともに、引き続き、全国トップレベルの支援制度となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、仕事と不妊治療の両立についてでございます。
働きながら不妊治療を受ける皆様方に対しては、その気持ちに寄り添い、1人でも多くの方の希望をかなえるため、個々の状況に応じた支援を充実することが必要だと考えております。
このため京都府では、きょうと子育てピアサポートセンターに平成30年度から「仕事と不妊治療の両立支援コール」として産業カウンセラーによる相談窓口を設け、悩み事の御相談などにワンストップで対応しているところでありまして、企業の従業員の方からの、不妊治療中であることを職場に伝えておられず休みが取りにくいという悩みや、企業の人事担当者からの休暇制度の創設にあたっての留意事項などの相談があるところでございます。
また、本年3月に京都労働局と連携して、不妊治療に関する企業の従業員に対する支援制度や就労環境の整備状況を確認するため、府内の企業に対してアンケートを実施いたしました。その中で、不妊治療を受けている従業員数を把握している企業は少数にとどまるなど、まだまだ職場で気軽に不妊治療についての相談ができる状況ではないという課題が明らかになったところであり、企業からは、先進事例の紹介や、他社との取組状況の情報交換を求める御意見もあったところでございます。
このため、京都労働局の「両立支援等助成金」や京都府の「多様な働き方推進事業費補助金」の周知、子育て企業サポートチームなどによる伴走支援を行いますとともに、労働局と連携して、企業向けの研修会等において休暇制度の創設や職場での普及方法などについて講習を行うなど、不妊治療に対する啓発を促進してまいりたいと考えております。
次に、不育症の方への支援についてでございます。
不育症とは、妊娠はするが流産や死産を繰り返して結果的に子どもを持てない状態であり、全国で毎年約3万1,000人の方がこうした状態にあると推定をされております。このため京都府では、平成26年度から全国に先駆けて独自の助成制度を創設し、不育症の治療に要する自己負担の軽減に取り組んできたところであり、令和2年度には100件の利用がございました。また、「妊娠出産・不妊ほっとコール」として助産師などの専門職による相談窓口を設け、精神的な苦痛や治療方法に関する相談などに対応しており、「流産して気持ちが落ち込んでいる」「次に妊娠したときにまた同じことが起こるのではないかと心配」などの相談が寄せられているところでございます。
不育症を来す要因のうち約65%は原因不明となっていることから、今年度、先進医療である流産検体を用いた染色体検査の検査料に対する助成制度を創設いたしました。
京都府医師会などの関係団体や産科医療機関等を通じた情報提供など、制度の周知に取り組んでいるところでございますが、議員御指摘のとおり、不育症そのものに対する認知度が低く、どのような検査を受けることができるのか等もあまり知られていない状況でございます。
そのため、不育症の検査・治療に取り組む産科医療機関にヒアリングを行い、制度の利用が進まない実態を把握いたしますとともに、きょうと子育てピアサポートセンターのホームページ上で最新の情報を正確に伝えるなど、今後も一層の情報提供に努め、悩みを抱えておられる方がお一人で抱え込むことのないよう、不育症に係る周知・啓発や相談支援体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
23:
◯議長(
菅谷寛志君) 梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕
24:
◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
ワクチンについてでありますけれども、1回目・2回目接種のときに、予約方法が分からないとか、さらには目まぐるしく世の中が変わることもあって不安になる方も多かったのではないかなと思います。分かりやすい情報発信に努めていただくとともに、今こそ地域の絆や家族の絆を大切にした、社会全体で困っている方を助け合える、支え合える仕組みをつくっていただきますようお願いいたします。
また、ワクチンの安全性についてでございますけれども、私も2回目接種のときに体温が39度まで上がったんですけれども、3回目接種はどれだけつらいのかなとか、交差接種をしても大丈夫なのかなとか、そういった声もいろいろと寄せられるところでございます。11月30日に開催された全国知事会でも国に対して要望されているところでございますけれども、ワクチンの安全性についても丁寧に説明する機会を多くつくっていただきますよう要望いたします。
そして、不妊治療と不育症についてでございますけれども、大変心強い御答弁いただきました。本府として様々に支援を実施しているところでございますけれども、「年齢的に体力的にも限界が近づいているけれども、子どもを授かるためにできることの全てをやっていきたい」とおっしゃる方が多いと耳にしております。保険適用が拡大されることは大変いいことかと思いますけれども、その方にベストな治療が受けられる仕組み、そして不育症についてもさらに改善を図っていただきますようお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
次に、次世代に胸を張って引き継げる温暖化対策についてお尋ねいたします。
今年8月、西日本を中心に記録的な大雨が降り、私が住む山科区でも川の氾濫、道路の冠水、土砂災害等の大変な被害が発生いたしました。
この事象について、気候に関する専門家などでつくる気象庁の検討会は9月に会合を開き、観測された総雨量が3年前の西日本豪雨を超えるなど異常気象と言えると指摘し、地球温暖化による気温の長期的な上昇で、大気中の水蒸気の量が増え、降水量が増えた可能性を示す分析結果も得られたとされています。
そのような中、気候変動対策を話し合う国連の会議「COP26」がイギリス北部のグラスゴーで開催され、開幕式で国連の気候変動枠組条約のエスピノサ事務局長は、「私たちは今、歴史の重要な局面にいる。地球温暖化を1.5度に抑えるという目標を維持するため、迅速かつ大規模な排出削減を達成するか、荒涼とした地球で将来人類が過ごすことを受け入れるかだ。私たちはグラスゴーで前進しなければならない」と述べておられました。
2020年10月、政府は2050年温室効果ガス排出実質ゼロとする目標を宣言し、西脇知事も2020年2月に行われた「KYOTO地球環境の殿堂」の御挨拶の中で、2050年までの温室効果ガス排出量を実質ゼロを目指すといち早く宣言をされ、本府は環境省のゼロカーボンシティにも登録をされました。
2050年CO2排出実質ゼロ宣言は、本府では、京都市をはじめ与謝野町、宮津市、大山崎町、京丹後市、京田辺市、亀岡市、福知山市、綾部市が表明をされ、2021年10月29日時点で全国479の自治体に拡大をしています。さらに今年10月には、宮津市と与謝野町で、気候非常事態宣言をされ、各自治体や議会にも広がっているところであります。
そこでお尋ねいたします。
2021年4月に政府は、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を決定し、本府は政府よりも先駆けて目標を設定し、温室効果ガスの削減に向け取組を重ねているところです。しかしながら、本府の2019年度温室効果ガス排出量について見ると、2020年度には1990年度比で25%削減しなければならないところ、2019年度はマイナス15.1%と目標達成には厳しいことがうかがえます。
本府における温室効果ガス排出量の削減が、なぜ苦戦を強いられているのか、現状の課題と達成できなかった排出量をどのようにリカバリーをしていくのか、御所見をお聞かせください。
次に、省エネルギー政策と住宅断熱についてお尋ねいたします。
地域における省エネルギー政策の中で、住宅断熱は重要であると最近よく耳にします。その中で、本府は省エネ住宅等の促進のため、住まいの脱炭素化大作戦事業に取り組まれているところですが、この大作戦の取組と成果に対してどのように分析されているのか、御所見をお聞かせください。
内閣府は、2050年カーボンニュートラル社会の実現のためには、再生可能エネルギーの主力電源化及び最大限の導入が非常に大きな鍵を握り、必要な規制の見直しや迅速化を促すことが不可欠と発表しています。こうした規制改革に対してスピード感を持って実現するために、2020年12月、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースが設置され、会議では、住宅断熱が大きなテーマとなり、有識者は「期限を決めて猛スピードで今すぐ実行」と指摘がありました。
2021年4月、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の改正で、省エネ住宅性能についての説明義務制度が発足したこともあり、ZEH(ゼッチ)が注目をされています。ZEHとは、住宅性能や高効率設備機器により住まいの省エネ性を高めて使うエネルギーを減らし、使うエネルギーを太陽光発電などで自家発電し、家庭で必要なエネルギーを自給自足でできる住まいのことであります。
ZEHについては、福知山市では建築費用を一律20万円補助する制度があります。住宅断熱の取組をさらに一層推進していく流れの中で、本府における住宅断熱支援としては、融資制度があるのみです。さきに述べた地球温暖化対策のためにも、住宅断熱、ZEHをはじめ、省エネ住宅の普及に次世代を担う子どもたちのためにも一層の力を注ぐべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
また、環境省は、家庭などの温室効果ガス排出を2030年度までに実質ゼロにする脱炭素先行地域の第一弾を来春に選ぶと発表し、来月の1月以降に公募を始めるとのことであります。全国で少なくとも100か所を選定し、政府が目標とする50年に先立って脱炭素化を進める計画で、農山漁村や市街地などが対象で、太陽光など再生可能エネルギーと省エネを組み合わせ、家庭やビルの電力消費に伴う温室効果ガスの排出ゼロを目指し、先行地域に選定されると、来年度の新設に向けて、環境省が200億円を概算要求している交付金の重点配分対象となるとのことであります。
歴史上初めて、温室効果ガス削減の国際的数値目標を定めた京都議定書が採択をされて24年がたちます。当時私は14歳でありましたけれども、この京都をとても誇りに思ったことをきのうのことのように覚えております。選ばれる、選ばれないは別にして、次世代を担う子どもたちのためにも、脱炭素先行地域に名のりを上げていただきたい。本府としての責務でもあるかと考えますが、いかがお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。
次に、新たなニーズに応える京都観光についてお尋ねいたします。
2020年は、訪日外国人旅行者数消費額が約85%減、国内宿泊旅行の延べ人数が約48%減といずれも前年比で減少となりました。観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業等、幅広い分野を含んだ産業であり、我が国の経済に与えている影響は非常に大きく、地域経済を支える産業としても重要であり、観光都市京都としても存続基盤であります。
この間、本府の支援として、国内観光の需要を喚起するため、提供サービスの経費に対して1人1泊につき2,500円を限度額に補助する「京都のお宿で魅力再発見キャンペーン」、修学旅行先での3密を解消するために追加で必要となる経費等を支援する「京の修学旅行3密防止対策等支援事業費」など、様々に工夫を凝らしながら寄り添って支援を重ねてきたところでありますが、今もなお苦しい状況であります。
そこで、これからの京都観光についてお尋ねいたします。
国は今年4月から、感染が落ち着いていることを条件に居住する都道府県内の旅行に限り、1人1泊当たり最大7,000円分の費用を都道府県を通じて補助する制度を創設し、本府としてもこれを活用し「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」として、10月22日以降の宿泊分から補助を開始しています。
また、政府は11月19日、停止中のGoToトラベルを再開するまでの代替え措置として、都道府県が行う住民向けの旅行割引への補助を拡充する方針を固め、対象となる旅行を居住する都道府県内限定から、隣県などを含む地方ブロックにまで広げるとのことであります。今後、隣県割について本府はどのように進めていくのでしょうか。隣県だけでなく、関西各府県との連携も大きなポイントになるかと考えますが、現時点で本府のお考えをお聞かせください。
また、観光で行きたい市町村ランキングで常にトップを走り、多くの観光客の入り口であり、スタート地点となる京都市との連携は欠かせません。昨年11月補正予算で議決した府市協調の観光事業者等緊急応援事業費、そして府内周遊の旅行商品造成に対する補助を活用し、地域の発展につながる好循環を生み出すことが重要であり、新たな観光ニーズへの対応や、地域や他産業とも連携した多様なコンテンツ開発につながる仕組みが今こそ必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
また、新型コロナウイルス感染症危機克服会議「観光産業」の提言において取り上げられた、観光におけるDXの推進化についても質問いたします。
本府では今年度、地域の魅力を生かした観光振興事業として3つの事業、京都観光データ収集・分析事業、観光人材育成事業、京都観光チャレンジ事業を展開し、京都の観光分野におけるDXの推進に取り組まれています。
京都観光チャレンジ事業としては、ビッグデータの収集・分析やデータに基づくマーケティング、新たな観光スタイルの提案など、観光分野におけるDXに関わるアイデアを民間事業者から広く募集し、優れた企画提案6件が採択されるとともに、夕日ヶ浦温泉では、京都観光データ収集・分析事業として、GPSによる人流データやSNS上で観光地等に対する興味、関心の傾向を調査、季節ごとの分析、消費額を上げる方策を検討するなど、データ収集・分析などが行われています。
コロナ禍を通じてデジタルが進んだ分、京都の歴史とロマンあふれる「本物の魅力」に触れたいという需要がさらに高まると考えられることから、観光が本来持つ多面的な価値や魅力を再認識する仕組みと、学びや体験を通じてその魅力に触れる機会の創出が重要であり、新たなターゲット層を導き出すために、10年後、20年後を見据えて、この分野については来年度もさらに力を注ぐべきだと考えますが、いかがでしょうか。本府が考える将来像も含めて、観光におけるDXの推進にかける思いをお聞かせください。
ここまでの答弁をお願いいたします。
25:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
26:
◯知事(
西脇隆俊君) 地球温暖化対策についてでございます。
京都府におきましては、京都議定書誕生の地にふさわしい先導的な役割を果たすため、京都府地球温暖化対策推進計画に基づき、産業、運輸、家庭、業務の4つの部門別に温室効果ガスの削減目標や対策を定め、様々な施策を展開してまいりました。この結果、府内の2019年度の温室効果ガス排出量は1990年度比15%減となりました。
改定前の推進計画において当面の目標としておりました2020年度の排出量は、来年8月頃に判明いたしますが、議員御指摘のとおり、25%の目標達成は厳しい状況になると考えております。
部門別に見ますと、産業と運輸は削減目標を達成しているのに対し、世帯数や世帯当たりの家電製品が増加している家庭部門や、大規模店舗数が増加している業務部門で削減が進んでいない状況にあります。また、再生可能エネルギーの伸び悩みなども、達成が厳しい原因であると認識しているところでございます。
現在は、昨年に宣言した「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」という大きな目標の実現に向け、まずは国の計画に基づき、2030年度に2013年度比で46%削減することを目指し、省エネの加速化や荒廃農地や駐車場などを利用した再エネの導入などに、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
次に、住まいの脱炭素化大作戦事業についてでございます。
府内の温室効果ガス排出量の2割を家庭部門が占めており、その削減には、家電と住宅の省エネ化が重要と考え、2018年度に「省エネ家電の導入促進に関する研究会」と「住まいの高断熱・高気密化に関する研究会」を設置いたしました。省エネ家電研究会では、省エネ家電への買換えによる経済的メリットと、それを消費者に理解いただくための効果的な周知方法などについて議論をいただきました。
その結果を踏まえ、省エネ家電に関して、身近にアドバイスができる大手家電流通協会などと連携いたしまして、今年度は、省エネ性能の高いエアコンへの買換えなどを促すキャンペーンを実施したところ、目標を上回る応募があったところでございます。
また、省エネ住宅につきましては、一度建築されれば長期にわたって温室効果ガス排出量の削減に寄与することから、議員御案内のZEHや住宅断熱などによる省エネ住宅を普及していくことは非常に重要であると考えております。
住まいの研究会からは、省エネ住宅は通常の住宅と比べて建設コストがかかるものの、省エネ化によりCO2排出量が削減されるだけではなく、健康や快適性といった暮らしの質の向上にもつながることを分かりやすく府民に説明することが必要だとの提案もいただきました。こうした省エネ住宅のメリットを正しく理解いただけるように、「住宅の断熱・気密まるわかりBOOK」を作成したほか、府民向けセミナーを開催し、多数の方に参加いただいたところでございます。
また、一部の大手ハウスメーカーでは省エネ住宅が一般的となっておりますけれども、さらなる普及には中小工務店の協力が不可欠であると考えており、より多くの中小工務店の方などに省エネに関する知識を習得いただくためのセミナーを開催することとしております。
今後も引き続きこれらの取組を進めますとともに、新築住宅に対する国のZEH化補助金や、既設住宅の二重窓への変更などの省エネ改修に対する支援制度なども活用し、省エネ住宅の普及を進めてまいりたいと考えております。
次に、国が選定する脱炭素先行地域につきましては、CO2排出量実質ゼロを目指すとともに、地域課題を解決し住民の暮らしの質の向上を実現することも求められておりますことから、応募主体は原則基礎自治体と考えており、府内では、ゼロカーボン宣言市町を中心に応募に向けて検討がなされております。
先行地域の具体的な要件や選考基準は今後明らかになりますが、学研地域では、スマートグリッドの実証実験に取り組んだ実績もあり、市町村をまたぐエリアでは広域自治体による応募も想定されていますことから、京都府といたしましても積極的に応募を検討してまいりたいと考えております。
こうした脱炭素先行地域を核に京都府内全域への波及を図り、脱炭素社会の具体的な姿を示すことで、次世代を担う子どもたちが明るい未来を描けるよう、脱炭素で持続可能な社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、新たなニーズに応える京都観光についてでございます。
旅行で学びや体験を求めるなど、新たなニーズが生まれてきている中、京都には優れた文化財やお祭り、食など、長い歴史の中で育まれた本物の魅力があり、新たなニーズにも応えることができる強みを持っていると考えております。
昨年度、コロナ禍において移動が制限されたこともあり、近隣観光から段階的に再開いたしましたところ、府民の皆様に、地域に根差した食や歴史・文化など多様な京都の魅力を再発見いただき、地域の郷土料理づくりや御城印めぐりなどの新しいコンテンツの掘り起こしにつながりました。
今年度も、府民の皆様に京都府内を観光していただく「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」を実施しており、多くの府民の皆様に活用していただいております。
次に、隣接府県割につきましては、ワクチンの接種履歴やPCR検査等の結果を的確に確認できる体制を整えるとともに、隣接する6府県や、今後ブロック単位で拡充する際に対象となります和歌山県とも協議を行い、早期に実施してまいりたいと考えております。
次に、多様なコンテンツ開発についてでございます。
多様化する観光客ニーズに対応し、再訪や滞在時間の増加につなげるためには、地域や様々な産業との連携により府域の資源をブラッシュアップし磨き上げますとともに、点在しているコンテンツを周遊していただくストーリー性のある提案が求められます。
例えば、文化財を見るだけではなく、文化財修復現場の見学など新たな視点を取り入れたツアーをはじめ、地域の伝統行事への参画や伝統工芸の工房体験など、多様な資源を観光に活用する取組も強化してまいりたいと考えております。
また、周遊性を高めるため、観光の大きな要素である食体験に着目し、府内各地の旬の食材を味わえる「食の京都TABLE」の整備を進めますとともに、地元の食に関する魅力や、優れた料理を提供している料理人等に関するストーリーを掘り起こして発信する「食の京都」を展開しております。
今後とも、京都府観光連盟や各DMO、様々な産業等と連携し、観光客のニーズに対応した既存の観光資源の充実や新たな観光資源の開発など、多様なコンテンツづくりを進めてまいります。
また、議員御紹介の観光事業者等緊急応援事業も活用いたしまして、多様なコンテンツを活用した観光商品の造成を進め、より多くの観光客の来訪を促して、観光を入り口とした地域振興を図ってまいりたいと考えております。
さらに、食や文化などの観光コンテンツを活用して、効果的に府内各地の周遊や再訪を促すためには、デジタル技術の進歩により収集・分析が容易になった行動履歴や、SNSへの書き込みなどのビッグデータを観光ニーズの把握や誘客に活用することが必要であると考えております。そこで、今年度はモデル事業として京丹後市夕日ヶ浦を対象に、ビッグデータを分析し、訪れた旅行者像とニーズを把握した上で、個々の旅行者に適した情報発信を行う実証実験を京都府観光連盟の中心として行っているところでございます。
今後、DX時代を迎える中で、観光事業者が過去の経験に頼った経営からデータに基づく戦略的な経営へ変革する必要があることから、データの分析結果を事業者に提供するとともに、データを活用できる人材の育成など総合的なサポートができるよう、観光連盟の体制を強化したいと考えております。
今年度の実証実験で得た成果を踏まえ、来年度以降は、府内の他の地域へ同様に取組を広げますとともに、多様なデータの利活用やマーケティング力の強化によりDXを推進し、京都観光の振興を進めてまいりたいと考えております。
27:
◯議長(
菅谷寛志君) 梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕
28:
◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
温暖化対策、省エネ政策についてでございますけれども、この問題というのはまだ生まれてきていませんけど、我々の子孫からずっと見られているような感覚であります。前向きな御答弁いただきましたけれども、基本的方向性を示すことも大事ですし、さらにはそれにとどまることなく、今まで達成できなかったことも含めてリカバリーをしていただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
そして、京都観光についても様々に前向きな御答弁いただきましたけれども、「住んでよし、訪れてよし」の実現に向けて目標と成果指標を設定して、観光の貢献度を可視化して伝えることも重要であると思います。地域内での経済循環のチェック、質から量への転換も欠かせないと思います。温暖化もそうですし京都観光もそうですけれども、知事がまさしくいつも掲げていらっしゃる「安心・いきいき・京都力」、これでどんどん進めていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。時代に応じた校則についてお尋ねいたします。
2017年、大阪府立の高校に通う女子生徒が、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう教諭らから何度も指導され、精神的な苦痛を受けたとして、大阪府に約220万円の賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。
訴状によると、生徒の母親は2015年4月の入学時、生徒の髪が生まれつき茶色いことを学校側に説明をしていましたが、教諭らは染色や脱色を禁じる生徒心得を理由に黒く染めるよう指導しました。元々が金髪の外国人留学生でも、規則では黒染めをさせることになるとも述べられたとされています。
生徒は黒染めに応じていましたが、色が戻るたびに染め直すよう指示され、2年時には黒染めが不十分だとして授業への出席を禁じられ、翌10月の修学旅行への参加も認められず、不登校に追い込まれたとされています。
その後、大阪地裁は、生徒の席を置かなかったり、学級名簿から削除した学校の行為は違法と認定し、府側に33万円の賠償を命じ、一方で、染色や脱色を禁じる校則や教諭らの頭髪指導については、適法と判断されました。
これがきっかけとなり、有識者からは「社会の変化に合わせて柔軟に見直されるべきものだ」という声が上がり、佐賀県弁護士会は「中学校の校則の見直しに関する提言書」を策定し、合理性の観点から校則を見直し、校則の中で子どもの権利を明らかにすることや、校則の策定・変更に生徒を関与させるべきと佐賀県教育委員会に提出するなどの動きが全国各地で見られます。
こうした中、文部科学省は「社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知」を2021年6月に都道府県教育委員会などに出し、最終的に校則を決める権限は各校の校長にあり、学校ごとに教育方針が異なることを踏まえ統一的な基準は設けませんでしたけれども、各校の校則を実態調査して改定を促した教育委員会の具体例を示し、積極的な対応を要請したところです。
今年の4月には三重県で地毛証明書の廃止、沖縄県でも今年度中に廃止する方向で検討されています。
そこで、お尋ねいたします。
今回の文科省から出された「社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知」については、京都府教育委員会においても各学校に通知したとお聞きをしておりますが、その後、各学校でどのように対応され、教育委員会に対してどのような報告が上がってきたのか、特筆すべき点などがあればお教えください。
また、子ども中心のルールづくりに取り組む動きも一方であります。東京都世田谷区の桜岡中学校では2010年以降、「生徒に考える力、判断力を養ってほしい」と校則や定期テスト、チャイムもなくしていきました。熊本市教育委員会は、小学1年生から3年生を除く児童や生徒、保護者、教職員を対象に校則についてアンケートを行い、約5万人の回答を得て、必要のない校則について、「靴下の長さ」「髪を結ぶ高さ」「日焼け止めの禁止」などが上がり、「児童・生徒が校則をつくったり考えたりする場が必要だ」という回答は、子どもも教職員も8割を超えたそうです。
市教育委員を務める熊本大の苫野准教授は、「学校のシステムは多くが『みんな同じが美徳で効率的』となっていて、多様化への対応が追いついていない」と話し、子どもが声を出せる環境を整える必要があると指摘をされています。
一方で、私事で大変恐縮ではありますけれども、恩師から、校則とは生徒を守る・育てる・鍛えるものと教わりました。時代は変化していく中でも、社会に出て生きていく力をつけるためにも、自分を律するためにも校則というのは重要なことであると思います。
文科省の生徒指導提要にもあるように、校則の見直しを児童や生徒の主体性を培う機会になるようにするには何が必要なのか、教育長の御所見をお聞かせください。
また、さきに述べたように、学校を取り巻く環境や状況は変化するため、校則の内容は絶えず見直す必要があると考えます。校則と学校の指導が一貫するように、教育委員会としてどのようにマネジメントしていくのか、また教員がいたずらに校則にとらわれ、校則を守らせることのみの指導となっていないか注意を払うためにも配慮が必要で、何かしらの対策が必要かと考えますが、いかがお考えでしょうか、御所見をお聞かせください。
次に、持続可能な公共交通体系の構築についてお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症によって、公共交通事業者は大きな打撃を受けており、未曾有の難局に立たされています。とりわけ、これまでも大規模な自然災害や経済危機を乗り越えてきましたが、今回のコロナ禍は一過性の災いではなく、人々の生活や生命のみならず、社会全体あるいは従来の価値観といったものに対して大きな変容をもたらしています。
現下においては、移動自粛等により公共交通を構築する多くの業種・業態に深刻な影響を及ぼしていますが、一方で、産業の変革に向けた重大な転換点とも捉えなければなりません。
超少子高齢化社会の進行や大都市一極集中、地方過疎化といった我が国、そして公共交通事業者が直面する社会構造上の課題でもあり、鉄道・バス路線の維持・存続は、地域の活性化、地域住民の移動手段の確保という観点から重要な課題ですが、沿線人口の減少、過疎化及び高齢化の進行など、取り巻く環境は今後ますます厳しくなることが想定されます。
加えて、地方ローカル線は地上設備や車両の近代化が遅れ、速達性や利便性も相対的に低く、鉄道の特性を十分に発揮できていません。また、鉄道はメンテナンス等の費用が高く、設備の老朽化はコスト増にもつながっています。さらに防災対策が不十分なため、徐行運転や運転見合わせが多発するなどの問題もあります。しかし、民間企業として内部補助には限界があり、不採算路線に多額の設備投資を行うことは困難であることから、鉄道の特性を発揮し難い状況にますます拍車がかかっています。
こうした状況下では、マイカー依存型の社会経済が進展し、公共交通の衰退とともに交通弱者が急増してしまうような状況にもなりかねません。また、そのような悪循環に陥れば、交通空白地域の拡大につながることは明らかであります。
そこでお尋ねいたします。
各自治体や事業者、そして地域住民をはじめとする利用者などの全ての関係者が集い、地域の実情に即した真に必要とされる交通体系の構築を目指す「チーム公共交通」を組織し、責任を持った話合いを通じて、共に考え、つくり、支えることが何よりも必要であるかと考えますが、いかがでしょうか。
その具体的な場として、地域公共交通会議などといった会議体の積極的な活用が図られなければなりません。本府には、そこに集う全ての関係者の調整と連携を図りつつ、主体的な交通政策を展開することが求められています。
一方で、各地域においては、人口減少や過疎化の進展度合いの差のほか、さきに述べたような取組の中核となるべき人材、余力の不足なども要因となっていて、具体的かつ危機意識を持った交通政策には至っていない箇所も散見されます。
本府は地域の将来を展望し、あるいは強い危機意識を持って、可能な限り早い段階から関係者が集い、議論を重ねる必要があると考えます。そのためにも、本府がリーダーシップを取り、地域公共交通会議などの会議体のさらなる活性化、利活用、全ての関係者の積極的参加及び利害関係の調整が促進されるよう、仕組みの強化、ルールの整備を図ることも必要であると考えますが、いかがでしょうか。これまでの取組と今後の公共交通への支援、未来の展望をお聞かせください。
次に、事業者間及び官民のパートナーシップを促進する取組についてお尋ねいたします。
日本の公共交通事業者は、あくまで民間企業として、事業者の自助努力による独立採算を主として、他事業者との競争の中で力を蓄えてきた経緯があります。その結果として、安全性の向上、速達性といったサービスレベルを向上させてきたのも事実であります。
今後も適度な競争関係の中で技術の錬磨を図ることは大切ですが、人口増加局面の中で事業体を拡張してきたこれまでの時代と人口減少局面である今後は、様相が異なります。国が、公共交通の在り方に対するスタンスとして、公共交通事業者の独立採算を前提とした交通行政を継続するのであれば、今後は、各事業者が必要な部分に必要な資源を投下する
選択と集中による筋肉質な事業体へと再構築していかざるを得ません。
一方で、公共交通事業者においては、こうした経済性原則のみに基づく経営と、限られたパイの奪い合いといった競合・競争関係が継続した場合、必然的に、さきの質問で触れた悪循環や交通空白地域が多く発生することにつながると考えます。そのような事態を安易に生み出さないための重要な対処法が、まさしく「チーム公共交通」の形成なる概念であり、交通モードを超えた事業者同士の連携と自治体とのさらなる関与が必要であります。
真に必要とされる持続可能な交通体系を構築するに当たっては、公共交通全体が一体的なシステムとして機能することが求められ、特に高齢化及び人口減少の著しい地域・エリアにおいては、喫緊の課題と言えます。
そのためには、事業者間のパートナーシップが必要不可欠であり、ソフト面では、乗り継ぎの際の接続や運賃・料金の設定、利用ルールの簡素化などといった工夫や、事業者が競合エリアでも連携したり、広域連携を強化したりすることで利用者の利便性を高め、パイを増やす工夫を創出することも必要です。
そこでお尋ねをいたします。
MaaS(マース)の取組も、都市部、地方都市、地方部観光エリアなどで展開されており、一層連携の輪を広げ、さらには人流・物流を一体的に扱う貨客混載輸送などの共同事業も、限られた経営資源を有効活用する優位な手法と言えますが、現状として、同業あるいは異業種間で連携の事例は依然として数少ないのも実情であります。そして、鉄道やバスの路線廃止は近年相次いでおり、私の地元である山科区小金塚でも、循環バスの実証運行の終了が検討されています。いわゆる待ったなしの状況に陥っており、スピード感を持って対処することが必要です。
採算性が悪くても、地域において鉄道やバスを存続することを
選択するのであれば、鉄道については上下分離をはじめとする公有民営方式の経営手法についても踏み込んで検討する必要もあるかと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、クロスセクターベネフィットについてお尋ねいたします。
クロスセクターベネフィットとは、ある部門で取り組んだことが他分野で利益をもたらすという意味で、公共交通に当てはめると、例えば高齢者や障害者をはじめ誰もが利用しやすい公共交通を整備することにより、ふだん外出できなかった人が外出をして、自分で病院に行くことができたり、就労の機会を得られるなどの変化が生じ、医療費や社会保障の減少につながるなど、社会全体の費用を削減している可能性があります。
公共交通については、これまで利用者数や収支などで評価することが多かったのですが、本来は赤字の地域公共交通を補助金などの公的資金で支える意味を定量的に評価するために開発されたクロスセクターベネフィットの視点において、公共交通が医療や教育、観光などの多様な行政活動に及ぼす便益を算定し、真の公共交通の価値を把握した上で、必要性等の評価を行うべきかと考えますが、いかがでしょうか。本府のお考えをお聞かせください。
ここまでの答弁、よろしくお願いいたします。
29:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
30:
◯知事(
西脇隆俊君) 持続可能な公共交通体系の構築についてでございます。
鉄道・バスなどの公共交通は、通勤・通学、子育てや通院などの地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとっては欠くことができない移動手段でございます。
しかしながら、今日の公共交通を取り巻く環境は、高齢化や人口減少、自家用車の普及、さらには新型コロナウイルス感染症の影響により、独立採算では維持することが困難な路線や事業者が増加し、特に過疎地域では深刻な問題となっております。
そのような中、令和2年に「地域が自らデザインする地域の交通」を目指して地域公共交通活性化再生法が改正され、市町村が地域公共交通計画を策定することが努力義務となりました。同計画では、鉄道やバスなどの従来の公共交通サービスに加え、地域の多様な輸送資源を総動員して持続可能な旅客運送サービスの提供を確保することとされたところであり、関係者が協議を十分に行うことが重要でございます。
この地域公共交通計画の策定及び実施に当たりましては、必要な協議を行うための場として、交通事業者や地域住民などの地域の移動に関する関係者を集めた法定協議会を組織することができるとされ、この法定協議会において、議員も御指摘のとおり、全ての関係者が責任を持った話合いを行うことで、公共交通を共に考え、つくり、支える体制を整えてまいりたいと考えております。
これまでの公共交通の取組と今後の支援についてでございます。
京都府におきましては、これまで、広域的な公共交通でありますJR奈良線などの鉄道網の整備促進、複数市町村にまたがるバス路線の運行支援などを行ってきたところでございます。また、京都丹後鉄道、山陰本線、関西本線沿線地域において、市町村と共同で法定協議会を設置の上、地域公共交通網形成計画を策定し、京都丹後鉄道の上下分離、相楽東部広域バスの運行など、公共交通の維持・確保に取り組んできたところでございます。
議員御指摘の地域公共交通会議は、元来、利害調整機能や道路運送法の手続の円滑化を目的としたものでありますが、既存の地域公共交通会議の構成員を充実させ、先ほどの法定協議会としても位置づけることで、地域の公共交通の課題を総括的に協議する場としても機能する仕組みであると考えております。
この法定協議会の構成員には決定事項の尊重義務があるため、各構成員の主体的、積極的な議論を通じて、各地域の真に必要な具体的施策を地域公共交通計画に盛り込み、それを様々な主体が共有することで、地域の実情に応じた公共交通確保の実現可能性が高まるものと考えております。
京都府といたしましては、府内市町村の法定協議会に参画をし、計画策定議論の中で広域的な見地からの助言や支援を行っているところであり、いまだ設置されていない市町村に対しましては、地域の実情に応じた公共交通が確保されるよう、地域公共交通計画の策定と法定協議会の設置を働きかけてまいりたいと考えております。
鉄道の上下分離など、公有民営方式の経営手法についてでございます。
鉄道の上下分離につきましては、京都府と沿線市町村と連携し、北近畿タンゴ鉄道の安定的な経営体制確保のため、平成27年に鉄道施設を第三セクター会社が保有し、列車の運行を民営化する上下分離方式を導入しているところでございます。
このほか、府域で不採算路線を運行しているのはJR西日本でございますが、同社はコロナ禍による一時的な収入減少はあるものの、完全民営化以降、純利益を計上してきているところであり、JR在来線については、ネットワーク全体として同社が維持すべきものと考えております。
また、バス事業者につきましては、市町村が車両を保有し、民間バス事業者や貨物運輸事業者へ運行を委託するなど、官民連携による取組をされており、地域の実情に応じた移動手段が確保できるよう、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
クロスセクターベネフィットについてでございます。
クロスセクターベネフィットは、公共交通の運行に係る直接的な公的支援とその公共交通がなくなることで必要となる代替費用を比較し、公共交通を公的資金で支える意義を定量的に評価する手法の一つであり、市町村などのコミュニティーバス存続を検討するときに有効な評価手法でございます。
地域の公共交通の維持・確保においては、市町村が地域の移動に関する関係者と連携をして、医療、教育など公共交通の有する多面的な効果を勘案し、バス路線のみならず、デマンド交通や自家用有償運送も含めた幅広い公共交通サービスを検討することとなります。
京都府といたしましては、人口減少、運転手をはじめとする担い手不足など多くの課題がありますが、このような検討が各法定協議会でしっかりと行われるよう地域公共交通計画の策定段階から参画し、計画に位置づけられた施策に対する支援や助言などを行うとともに、PDCAサイクルによりまして、地域における公共交通が持続可能なものとなるよう市町村と連携し取り組んでまいりたいと考えております。
31:
◯議長(
菅谷寛志君) 橋本教育長。
〔教育長橋本幸三君登壇〕
32: ◯教育長(橋本幸三君) 梶原議員の御質問にお答えいたします。
時代に応じた校則についてでございますが、校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくために遵守すべき規律であり、学習上、生活上の行動の指針となるものであります。
一方で、社会の常識や時代の変化に対応していない校則は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況などを踏まえ、柔軟に見直すべきであり、特に人権等の観点から不適切な校則は許されるものではないと考えております。
府教育委員会におきましては、令和元年度に、明らかに時代にそぐわない校則については指導を行い、令和2年4月には全府立高校の調査を行うとともに、校長会や生徒指導に関する協議会において不断の見直しをお願いするなど、取組を進めてまいりました。
また今年6月、議員御紹介の文部科学省からの通知を受け、学校の実情に応じて見直しを行うよう改めて通知するとともに、その参考となる他府県事例についても紹介したところでございます。その結果、全ての教材を毎日持ち帰らせる校則や、靴下や防寒具の色などを定める校則の見直しに取り組んでいるなどの報告を受けております。
次に、児童生徒の主体性を培う機会としての校則の見直しについてでございますが、校則の制定権限は校長にあるものの、自分たちが学校生活を送る上でのルールづくりに児童生徒の参画の機会を設けることは、教育において重要な主体性を培う上で大変有効であります。とりわけ高校生においては、成年年齢の引下げにより、今後、在学中に成人となることを踏まえて、校則を与えられたものではなく自分たちのものとして捉え、自主的に守るように指導を行っていくことが重要となってまいります。
その方法として、生徒会でアンケートを実施することや、それを基に生徒同士で議論する機会を持つことなどが考えられますが、実際に校内でのスマートフォンの利用について、生徒会で話合いが重ねられている高校もあると聞いております。
併せて、生徒同士の議論の過程において、広い視点から物事を考えさせるため、PTAや教員の意見や考え方を投げかけることも重要であり、時間をかけて生徒が主体的に検討する中で、関係者の共通理解が得られるような校則を目指していくべきだと考えております。
府教育委員会といたしましては、こうした方向性を学校に示すとともに、各校の校則に社会の常識や時代の変化に対応していないものや、人権等の観点から不適切なものがないか、絶えず見直し状況の把握に努め、指導してまいります。
また、校則と学校の指導が一貫するためには、各校の教育目標と校則の内容や必要性について教職員が共通に理解することが重要であり、さらに校則を機械的に守らせるといった指導に陥らないようにするためには、背景となる個々の事情に十分留意をし、児童生徒自身に内省を促す指導が求められます。
これらに関しましても、校長会等に重ねて呼びかけを行い、校則に対する教職員の意識の高揚を図ることにより、校則が各学校の教育目的の実現に寄与し、併せて児童生徒の主体的、自律的な行動を促すものとなるよう努めてまいります。
33:
◯議長(
菅谷寛志君) 梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕
34:
◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
交通政策についてでありますけれども、知事も御理解いただいていると思いますけれども、先ほど述べましたように、待ったなしの状況が続いているところでございます。クロスセクターベネフィットについてお話をさせていただきましたけれども、今後もそういった視点で、公共交通の評価を乗車率とか収益だけで評価するのではなくて、やっぱり公共交通が医療や教育、観光など様々なところで行政活動に及ぼしている便益も算定されて、よりよきものになることを御期待申し上げたいと思います。
そして最後、校則についてでございますけれども、他県の事例ではありますけれども、下駄が禁止とかそういったことがまだ書かれていることもあるそうでございますので、やはりこれは教育委員会がグリップをしていただいて、様々にチェックをマネジメントしていただきたいと思います。
何が正解なのかとか的確なのかは大変難しいことだと思いますけれども、生徒たちも考えることによって学校生活の期間で一度あってもいいのかなと。そして、これから社会に出たときにいろいろと羽ばたいていく中で、校則について考えることも、何か生かされるのではないかなと思います。
学校については、教育委員会、関係団体と連携したお取組をさらに押し進めていただきますようよろしくお願い申し上げ、代表質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
35:
◯議長(
菅谷寛志君) この際、午後3時45分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。
午後3時39分 休憩
─────────────────────
午後3時45分 再開
36:
◯議長(
菅谷寛志君) 休憩前に引き続き会議を行います。
次に、園崎弘道君に
発言を許します。園崎弘道君。
〔園崎弘道君登壇〕(拍手)
37: ◯園崎弘道君 自由民主党議員団の園崎弘道でございます。通告に従い、順次質問をさせていただきますので、知事並びに関係理事者の皆様、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
それでは、早速質問に入ります。まず、新型コロナウイルスに対応する人員と体制の強化について数点質問させていただきます。
感染拡大の第5波では、京都府において最大で1日600名を超える新規感染者が発生し、健康福祉部をはじめとする本庁各部局、また山城北保健所をはじめとする各保健所におかれましては、まさに災害級と言うべき大変な局面において日々御奮闘いただいたところであり、府民の皆様の命と健康を守るための懸命の御尽力に心から感謝いたしております。
現場で連日御奮闘いただいている京都府の職員体制ですが、誰もが未曽有の災害とも言うべきコロナ禍であり、想定できるはずはございませんでした。そのため、医療提供体制の確保や感染症対応などの業務に当たる人員体制にそもそもの余裕が少ない中で、この間、年度途中で新規に職員を採用されたり、本庁や保健所で業務を担う職員さんにおいては残業をしていただいたり、また京都府庁の他部局や市町村、関係団体などからの応援体制づくりによって難局を乗り切ってこられたと聞いております。
新型コロナウイルスの猛威に対し、京都府と同様に懸命に立ち向かっておられる他の都道府県においても、職員に係る大きな負担は同じ状況であり、報道によりますと、例えば徳島県では、2020年度に11名の職員の残業時間が年1,000時間を超え、多い方で1,689時間だったと聞き及びます。そのため徳島県では、本年度から感染症対策課とワクチン・入院調整課を新設し、人員の拡充を行うなど体制を強化したところであります。また、三重県では、年度途中となる本年11月1日付で人事異動に踏み切り、新型コロナウイルス対策本部で15人、保健所で4名の増員に加え、医療保険部に次長を設ける組織改編を行うなど、新型コロナウイルス対応強化されたところであります。
そこでお伺いいたします。
コロナ禍においては、京都府においても医師や保健師など専門職員に業務が集中し、長時間勤務を余儀なくされる職員さんもいらっしゃったと聞いております。これに対応するため、人事当局をはじめ様々な対応を行ってこられたと存じますが、専門職員の増員や応援体制の構築など、業務が集中する部署の負担軽減についてどのように取り組んでこられたのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
コロナ禍で長引く感染拡大の第5波があれほど大きなものであったことから、今後の備えに不安をお持ちの府民の方も少なくありません。第6波以降も第5波のレベルを超える大きな波が来ることも想定しなくてはなりません。
京都府におかれましても、幸いにして、第5波は応援支援体制などを整えることにより、何とか職場、組織の崩壊をしのぐことができたのではないかと認識しておりますが、今後訪れるであろう第6波に向けて必要なことは、コロナへの組織的な人員体制を今しっかりと整えていくことではないかと考えます。
猛スピードで感染拡大が進むような局面では、応援職員を大量に動員し対応に当たるということは、考え方として極めてシンプルであります。しかし、問題は、コロナ対応業務の勝手の分からない応援職員の皆さんが大量に押し寄せたときに、元からおられる職員さんが、その教育に忙殺され、本来やらなければならない府民対応などがおろそかになってしまう恐れがある点だと考えております。府民の命を守り抜き1分1秒を争う中において、京都府として、混乱することなく行うべき業務を的確に遂行することが求められます。
この点において、お隣の兵庫県の取組を紹介いたしますと、県では、第5波の際に本庁から保健所に約50人の職員を派遣したものの、保健所業務の逼迫を抑えることができなかったため、その反省から、感染が落ち着いている時期に1,000人規模の職員に対し、疫学調査をはじめとする保健所業務の研修を行っているとのことです。こうして訓練を積んだ応援職員を養成しておけば即戦力となるため、現場の負担も軽減されると考えます。
ここで、議長のお許しを得て、パネル写真1枚を質問に使用させていただきます。(資料提示─古林議員補助)こちらは三重県庁の講堂であり、私が11月中旬に訪問をし、許可を得て撮影をした写真であります。三重県では、コロナ対策に係る全ての部局を三重県庁の講堂に緊急・臨時的に集約し、拠点本部を置かれています。講堂の出入口には、コロナに必要な物資の入ったダンボールなどが所狭しと置かれています。
講堂内には、このような形でコロナ対策に従事される部局をまたぐ担当の職員約100名が机を並べ、防災対策部からは危機管理監、医療保健部からは感染症対策企画班、ワクチン推進企画班、物資体制整備支援班を束ねる感染症対策課、課ではないですがプロジェクトチームとして患者情報プロジェクトチーム、情報分析・検査プロジェクトチーム、医療体制整備・調整プロジェクトチーム、宿泊・自宅療養プロジェクトチームといった職員の皆様が一堂に集まり、またホワイトボード等も活用され、熱心に協議されている姿がありました。コロナの第5波が収まりを見せている11月の中旬でございましたが、第6波への備えのために、今、取り組まなければならない課題がたくさんあると、それぞれ忙しく働いておられました。
視察の際に、三重県の医療保健部長さんから心に残る言葉を御紹介いただきましたので御紹介いたします。「必要なのは、応援や支援という言葉で表現される片手間の人ではなく、正規職員の人事異動によってミッションと責任を任せることである。この体制構築はコロナだけではなく、今後の新興感染症や災害への対応にも生かせるものである」との重い言葉をいただきました。心にしみる言葉でありました。
コロナの危険に最前線で立ち向かってくださっている職員さんも、様々な葛藤を持ちながら業務に当たっていただいていることと推察いたします。その職員さんたちのモチベーション維持に大きく影響してくるのが組織としての覚悟であり、その覚悟の共有が災害時に大切なことであると感じました。
なお、三重県のほかに沖縄県、宮城県、福岡県でも、災害において情報の一元化と共有を図ることに優位である、このようなコロナ対策専用の機能集約型の拠点を設けているということを確認いたしました。パネルをありがとうございました。
そこでお伺いいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大期において、保健所をはじめ、業務が逼迫する部署に応援職員を増やして対応することは大切なことですが、その応援職員が即戦力となり得るよう、平時からの訓練が重要と考えますが、御所見を伺います。
次に、そうした局面において、現場のユニットごとに応援職員を束ねつつ、刻々と変わる情勢に対応し、的確な判断や指示が可能なリーダーとしての役割を発揮できる職員が必要と考えます。その配置や育成についてのお考え、御所見をお伺いいたします。
また、三重県庁がコロナ対策に当たる職員を増員できた理由として、皆様御承知のとおり、三重国体がコロナのため中止となりました。そのプロジェクトチームの人員減をコロナ対策のチームに回すことができたとも伺いました。
京都府も、コロナ対策のため考え得るあらゆる対策を講じるための体制をつくってこられたと聞いていますが、コロナとの闘いが長期化し、担当職員などの疲労による業務効率を落とさないためにも、コロナ対策に当たる部門を細分化するとともに、必要な増員を行い、コロナ対策専門型の機能集約拠点を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
次は2点目として、東京オリンピック・パラリンピックの成果を踏まえたスポーツ、教育の振興についてお伺いいたします。
本年7月から8月にかけて17日間の日程で東京オリンピックが開催され、またその後にはパラリンピックが開催されたわけでありますが、日本選手団とりわけ京都府ゆかりの選手たちの活躍には目をみはるものがありました。京都府ゆかりの選手がオリンピックとパラリンピックを合わせて10個以上のメダルを獲得したことは、恐らく過去になかったのではないかと考えますが、連日繰り広げられる熱戦に多くの府民が勇気と希望を分けてもらったのではないかと思います。
こうした選手の活躍の原動力となったのは、一つには選手御自身の努力、家族や監督など身近な人たちのサポートだと思いますが、地域からの応援も選手の背中を後押しする強い力になったのではないでしょうか。私の地元には、パラリンピック・パワーリフティングの選手団の練習活動拠点であるサン・アビリティーズ城陽があり、パラリンピックに向けた壮行会や結果報告会が開催をされました。選手の皆さんからも、地元京都の温かい御声援に力をもらったと話しておられました。
また逆に、地域の方々も選手を応援する中で元気や勇気を選手からもらうなど、様々な刺激が生まれ、双方にとってよい循環になっているのではないかと考えます。
そこでお伺いいたします。
オリンピックやパラリンピックに出場するようなトップアスリートとのプレーを、間近で見ることのできる機会や地域住民との交流については、選手の競技の面からも、地域を盛り上げていくという面からも効果があるのではないかと考えますが、この点において、どのようにお考えでしょうか。
4年前に開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、日本選手団が獲得したメダル数は金12個、銀8個、銅21個の計41個でありました。それが今回の東京オリンピックでは金27個、銀14個、銅17個の計58個と、4年前の約1.5倍に増加したところであります。また、パラリンピック選手団はより躍進が顕著であり、リオでは金メダルがなく、獲得メダル24個であったのに対して、今回は金13個を含む合計51個ものメダルを獲得されました。こうした数字の面からも、東京大会における日本選手団の活躍が明らかとなっております。
そこでお伺いいたします。
リオ大会と比較して多くのメダルを獲得した東京大会ですが、4年前と比較して京都におけるスポーツの競技力はどのように変わってきたとお感じでしょうか。教育長の御所見をお聞かせください。
また、先ほど申し上げたように、東京大会でのパラリンピック選手団の活躍には目覚ましいものがありましたが、この間、京都のパラスポーツはどのように推進されてきたのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
こうしたすばらしい成果を数多く残した東京オリンピック・パラリンピックですが、その感動や成果を一過性に終わらすわけにはいきません。いわゆるオリ・パラのレガシーですが、大会会場となった首都圏では、新たに建設された国立競技場や有明アリーナなどの競技施設、選手村をはじめ、分かりやすい形で様々なハード施設のレガシーが存在します。
一方、京都をはじめとする首都圏以外の地域には、どのようなレガシーが存在するでしょうか。
一つには、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、スポーツを見たり実際にやってみたりする人たちが増加したことだと考えます。スポーツが日常に溶け込むことで、健康増進、クオリティー・オブ・ライフの向上に役立っていることは立派なレガシーだと感じています。
そして、何より京都の未来を担う子どもたちが、オリンピックやパラリンピックを身近に感じ、その記憶や心に大会の感動が刻まれたことが最大のレガシーであると思います。子どもたちがオリ・パラを見て感じたこと、考えたことは、一生物のかけがえのないレガシーとなり、今後の人生の大きな糧になると思われます。
そこでお伺いいたします。
オリンピック・パラリンピックのレガシーを京都の子どもたちにもしっかりと残していくために、実際に大会で活躍された選手から話を聞いたり、一緒にスポーツを体験したりすることが何よりも効果的だと考えますが、教育現場におけるオリンピック・パラリンピック出場選手との交流についてどのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。
また、その際には、インクルーシブ教育を推進する観点からも、特にパラリンピック選手に教育現場で御活躍いただくべきと考えますが、併せて御所見をお伺いいたします。
次に、障害者の方がスポーツに親しむためにはVRやARの活用が有効というのは、リハビリの最新の研究の方向性でもあります。
一例を申し上げます。ちょうど1年前の本会議でも御紹介させていただきました、バンダイナムコの商業施設で展開される「VS PARK」というところがございます。これはVRやARを活用した新しいタイプの新しいスポーツゲームセンターという印象であります。例えば、「ニゲキル」は基本的には10メートル走ですが、「猛獣逃げきり短距離走」をテーマとして、たくさんの猛獣の中から好きなものを
選択するとその猛獣が壁に映し出され、その猛獣と競走することができます。自分の走力に応じて猛獣を
選択できること、また映像のリアルさと逃げ切るという発想が面白く、何回でも10メートル走を繰り返してしまいます。
子ども・若者などで賑わう人気施設ですが、支援学校の団体利用にも活用されていると伺いました。スポーツ庁でも全ての人々のスポーツ実施率を高める目標を設定されておりますが、支援学校などを卒業した後の障害者の方のスポーツ実施率が上がっていないことに対するアプローチとして、現在のテクノロジーやゲームの技術を用いることで、ニーズに合わせた展開が可能であると感じています。利用者目線の発想に立ち、サン・アビリティーズ城陽の機能強化の方向性はこういうところにあるのではないかと考えます。
基本的なところとしては、照度が不足する体育館についても、照明をLEDにリニューアルし、環境とユニバーサル化に配慮したものとすべきであり、将来的にはサイバーボッチャの導入などデジタル設備の整備を検討すべきものではないかと考えます。
支援学校の体育館や運動場を地域にお住まいの障害を持たれる方へ開放することについての考えも同様であり、この取組はパラリンピックを終えた日本の各自治体に求められる課題であると考えます。
また、VRやARというレベルには至らなくとも、もっと気軽にスポーツに参加できる
ツールがあります。それはeスポーツと呼ばれる分野であります。ゲームの中であれば、障害の有無に関わらず活躍ができ、障害をお持ちの方の社会参加をこれまで以上に促進する大きな可能性を秘めています。
実際には、他県では特別支援学校に「eスポーツ競技部」が設置されているところもあり、大会に参加されているとも聞きます。
そこでお伺いいたします。
eスポーツを府内の支援学校において積極的に検討すること、さらには小学校・中学校・高校においても教育に取り入れることなどを検討してはどうかと思いますが、御所見をお願いします。
こうした新しい技術の活用に関連して質問を進めますが、令和2年2
月定例会で、病気療養中の児童生徒などを対象に分身ロボット「オリヒメ」による登校を出席認定する他府県の事例を紹介をし、教育長から、タブレットと同様、遠隔授業の手法の一つとして研究を進めるとの答弁をいただきました。それから2年弱が経過し、今はコロナとなり、感染拡大期などでは、ZOOMによる授業は欠席日数として記録しないこととされていますが、目指すべき目標に向かって多様な手法を用いることを許しながら進むことが必要です。
例えば、病気療養中の子どたちや不登校の子どもたちなどが学校に登校することなく、授業を受けることのできる環境を整備し、当然単位としても認定するなど、現在の多様な教育ニーズに応え、全ての人々に教育の機会を提供していく必要があると考えますが、教育長の御所見をお願いいたします。
まずは、ここまで御答弁をよろしくお願いいたします。
38:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
39:
◯知事(
西脇隆俊君) 園崎議員の御質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスに対応する人員と体制の強化についてでございます。
新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、府民の命と健康を守り、生活を支えていくことに全力を尽くすという強い決意の下、これまでから全庁を挙げて体制を構築してきたところでございます。
執行体制につきましては、待ったなしの課題に即応するため、その業務内容や必要な対応期間、求められるスキルなどに応じて、効果的・効率的な体制を構築できるよう、今年度当初には対策の要となる部署に30人を増員するとともに、これまで延べ250人以上に上る年度途中の人事異動や全庁動員など、状況に応じて充実・強化を図ってきたところでございます。
特に感染者数の増加に伴い業務が集中する保健所につきましては、府保健所間での相互応援や市町村保健師の協力、潜在保健師等人材バンクの活用に加え、京都府看護協会や民間人材派遣会社からの看護師派遣などにより、医療専門職を確保してきたところでございます。
さらに、従来、保健所が担っていた医療相談窓口や入院調整業務を本庁へ集約化するとともに、患者搬送業務を民間に委託したほか、健康観察や積極的疫学調査を保健師と事務職がチームとなって実施するなど、保健師などの専門職の負担軽減と、専門職が担うべき業務に集中して当たることができる体制の構築を進めてきたところでございます。
先般の第5波におきましては、より迅速に体制を構築するため、あらかじめ応援職員を指定した新たな全庁応援体制を構築してまいりましたが、感染の急拡大に伴い、特に南部の保健所では業務が逼迫する状況も発生したことから、次の感染期に備えては、既に第5波以上を想定した500人規模の応援体制を構築すべく取組を進めているところでございます。
また、応援体制の構築とともに、議員御指摘のとおり、応援職員が即戦力となって業務に従事できるための事前準備が重要であると考えておりますことから、保健所への動員予定の職員を対象に、陽性者へのファーストタッチや積極的疫学調査、健康観察などについて、現場経験のある保健師からの説明や、患者対応に関するロールプレイを含めたウェブによる事前研修の準備を進めているところでございます。
さらに、応援職員を配置する場合は、その職員を指揮・命令する核となる職員の配置が必要となるため、マネジメント力に加え保健所業務や災害などの危機事象に対応した経験なども踏まえた適材適所の配置や人材の育成が重要になると考えております。
また、本庁などで実際に部下職員を指揮・命令して業務を進めている係長職の職員を配置するとともに、応援職員同士が業務を引き継ぐことによりまして、独立して業務を担える応援体制を構築することで、保健所の業務負荷を抑えることにもつながるものと考えております。
また、緊急時の対応も含めた人材の育成につきましては、日々の業務指導の中で身につけさせることが基本であり、管理職員が係長をはじめとする職員に対して、日頃から幅広い視野と連携の意識を植えつけることで、状況に応じて的確な判断や指示ができるリーダーを育成してまいりたいと考えております。
次に、コロナ対策専門型の機能集約についてでございます。
京都府では、私を本部長とする対策本部の下、7班4地域対策本部22チームから成る全庁推進体制により、新型コロナウイルス感染症対策に当たってまいりました。感染症は、検査・診療・入院調整などの健康・医療面での対策が求められるだけではなく、社会経済にも大きく影響が及ぶため、産業・雇用や学校、社会的弱者への支援など、あらゆる分野で対応が求められてまいりました。
感染症対策を行うに当たっては、国との調整、大阪府や兵庫県との調整、保健所・市町村・関係団体との調整に加え庁内全体の調整と想定以上に調整事項が多く、また府民の皆様への正確な情報提供など、ふくそうする対策に関係部局が追われ、情報集約や連携を図る上で非常に苦労が多かったと認識をしております。
この間、危機管理部門を中心に、健康福祉部や商工労働観光部、文化スポーツ部、農林水産部などが様々な対策や事業を施策化する作業に当たるとともに、コロナの協力金支給業務のように大量の事務作業が発生するものにつきましては、職員を1か所に集約して処理をしてまいりました。
しかしながら、状況が刻々と変化する中で必要となる対策・施策の見直しが求められるなど、今までの対応が通用しない状況下において、その判断に当たっては、様々な情報を迅速・的確に分析し、政策の意思決定を行う必要があると痛感したところでございます。
各部局の情報を集約・分析して迅速な意思決定につなげるためには、例えば国での官房機能のような司令塔の役割を持つ体制が必要だとも考えておりまして、これまでの対応をしっかりと検証した上で、次への備えとして求められる体制について検討を深めてまいりたいと考えております。
次に、トップアスリートと地域住民の方々との交流等についてでございます。
府民のスポーツに対する関心や意欲が高まる中、府民の誰もがスポーツに親しむことができる機会を充実させますとともに、スポーツを通じて地域の魅力を高めていくことは大変重要だと考えております。
このため、トップレベルのプレーを身近に体感できる国際試合等の誘致を進めますとともに、子どもからお年寄りまで、障害のある人もない人も気軽に参加できるスポーツ体験会の府内各地での実施、オリンピックやパラリンピック等に出馬した京都ゆかりのアスリートが子どもたちに直接指導するなど次世代アスリートの育成、京都サンガFCの地域イベントへの参加やサッカー教室の開催などに取り組んでまいりたいと考えております。
今後とも、競技団体等と連携しこうした事業を進めることで、スポーツの競技力の向上を図りますとともに、選手の背中を後押ししてくれるスポーツファンの拡大やスポーツを通じた地域の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、京都府におけるパラスポーツの推進についてでございます。
東京2020パラリンピック大会前には、地元NPO法人等と協力して、パラ・パワーリフティングの壮行会などを開催し、私自身も代表選手の皆さんと交流をする中で、パラスポーツの醍醐味に触れることができました。パラリンピック大会での府内選手の御活躍には、たくさんの元気をいただいたところでございます。
京都府では、障害者スポーツ指導員の養成や、障害者に身近な地域でパラスポーツに親しんでいただく「障害者スポーツのつどい」「障害者ふれあい広場」の開催などにより、パラスポーツの裾野の拡大を図りますとともに、城陽市にナショナル
トレーニングセンターを誘致し練習環境の整備を行うなど、競技力の向上を図るための取組を進めてきたところでございます。
今後とも、支援団体、NPO法人、企業などと協力して、パラスポーツを推進してまいりたいと考えております。
40:
◯議長(
菅谷寛志君) 橋本教育長。
〔教育長橋本幸三君登壇〕
41: ◯教育長(橋本幸三君) 園崎議員の御質問にお答えいたします。
東京オリンピック・パラリンピックの成果を踏まえた、スポーツや教育の振興についてでございますが、府教育委員会では競技団体と協力しながら、小学生からトップアスリートまで切れ目のない一貫指導システムにより発掘・育成や強化に対する支援事業を展開し、競技力向上に取り組んできております。
議員御紹介のとおり、東京大会では京都ゆかりの出場選手がリオ大会に比べてオリンピックで約2倍、パラリンピックで約3倍と大幅に増加し、また直近の茨城国民体育大会では7年ぶりの8位入賞を果たすなど、京都府のスポーツ競技力は着実に高まりを見せております。
府教育委員会といたしましては、今後とも、ジュニア期の選手を発掘し、組織的、計画的にトップレベルの選手を育成するとともに、京都府に拠点を置いて活躍するアスリートや指導者を支える環境の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、教育現場におけるオリンピック・パラリンピック選手との交流についてでございますが、府教育委員会では平成27年度より、東京大会を契機としたオリンピック・パラリンピック教育を推進しております。
具体的には、スポーツ文化の広がり、共生社会の形成、国際的な視野を持ち、世界の平和に向けて貢献できる人材の育成につながることなどを目的に、府内の小・中学校、高校、特別支援学校を推進校に指定し、「オリパラについての学び」「オリパラを通じた学び」を柱とした取組を実践してまいりました。
例えば、オリンピアンやパラリンピアンによる講演会をはじめ、パラスポーツ体験や海外拠点選手とのオンライン交流など様々な取組を実施することで、スポーツへの関心や競技力の向上はもとより共生社会について実感し理解を深めるなど、児童生徒にはこうした選手との交流が生涯にわたる大きな財産となっております。
府教育委員会といたしましては、東京大会の感動とともに、こうした取組が今後のオリンピック・パラリンピックに引き継がれるよう、得られた成果をレガシーとして府内に広く周知してまいりたいと考えております。
次に、eスポーツについてでございますが、議員御指摘のように、ゲームの中では障害の有無に関わらず、自らの能力を発揮し活躍できるチャンスにつながることから、社会参加の可能性が広げられるものと考えております。
府立学校においても、大江高校地域創生研究部の取組で、京都府で開催されたeスポーツ大会において2連覇を果たすなど、生徒が活躍しているところです。
eスポーツは、誰でも気軽に参加して楽しめたり、友人や家族とのコミュニケーションの一環にもなるというメリットがある一方で、ゲーム依存や運動不足などの健康問題に発展する可能性もあるというデメリットも想定されます。今後は、国や他府県の動向も注視しながら、特別支援学校だけではなく全ての学校種において、どのような活用ができるのか、eスポーツの持つ多様な可能性について研究してまいりたいと考えております。
次に、ICT等を活用した多様な教育ニーズへの対応についてでございますが、この間、学校における1人1台端末が急速に整備されるなど、教育におけるICT環境が充実してきております。
こうした中、府立高校では、丹後地域の学舎制導入に伴う遠隔授業システムを活用した授業において単位認定をする取組のほか、コロナ禍の臨時休業の際には、オンラインで学校と自宅をつないだ双方向の学習指導や個人面談等も実施してまいりました。
また、小・中学校では、授業等でICTを活用するだけではなく、多くの市町村で端末の家庭への持ち帰りの試行が進められており、さらに一部の学校では、コロナ禍等で学校に登校できない児童生徒に対して、短期間ではありますが、オンラインを活用した指導にも取り組まれております。
オンライン活用の本格的な実施には様々な課題がありますが、府教育委員会といたしましては、ICTを効果的に活用しながら、不登校や病気療養中の子どもをはじめ、一人一人のニーズに対応した多様な教育機会が充実するよう、市町教育委員会とも連携をした取組を進めてまいります。
42:
◯議長(
菅谷寛志君) 園崎弘道君。
〔園崎弘道君登壇〕
43: ◯園崎弘道君 コロナ感染症との闘いは長期戦の構えを取ることの覚悟を持たなければなりません。京都府は第1波から4波の経験に基づいてコロナの体制を構築されてこられましたが、第5波がその体制をはるかに超えた波であったことを踏まえて、府民の皆様の命を守り抜くために、保健所と本庁、そして専門職員と応援職員の皆さんが一体となり、迅速かつ的確に力を発揮できる組織の構築に取り組んでいただきますように強く要望いたします。
また、オリンピック・パラリンピックの興奮を次は京都の地で、府民の皆さんがスポーツにより一層興味を持って運動に親しむことのできる環境の整備に力を入れていただきますようにお願いを申し上げます。
次に3点目として、テクノロジーの積極的活用についてお伺いいたします。
テクノロジーと聞いて、皆様はどのような印象をお持ちでしょうか。私は、テクノロジーは人が人としてよりよく生きるために、また私たちの生きる社会において存在する地域課題、社会課題の解決を実現するための
ツール(手段)であるという考えに立ち、質問をさせていただきます。
スーパーシティを目指したけいはんな学研都市における取組に関して、私もこの間、本会議で何度か取り上げており、また我が会派をはじめ、地元議員からもたびたび質問が行われてきたわけですが、けいはんな学研都市をフィールドとし、新技術や最先端のテクノロジーをどのように生かしていくかという観点で質問をさせていただきます。
例えば、エアモビリティという「空飛ぶクルマ」は、都市における渋滞問題や脱酸素、大気汚染問題という面から注目されており、市場規模も急拡大すると見込まれております。そうした私たちの生活を一変させてしまう新技術開発もあれば、私たちの生活の質を向上させたり、新たな価値を創造する技術もあります。
例えば関西電力が開発した「iino(イイノ)」というモビリティは、自動走行をするもののスピードはわずか時速3から5キロほどしか出ない乗り物です。歩くスピードと同じ速さで、乗り降りに際しては停車させることなく、仮にぶつかったとしても大けがにもなりません。広い公園やショッピングセンターにあれば助かるだろうなと感じました。
この低速自動モビリティは、どのような価値創造を目指しているかというと、例えば動く茶室、動く日本酒バーといったテスト運用され、このたび「動くヘッドスパサービス体験」企画では3万4,000件の予約があったと伺いました。これまでにない価値を移動にもたらすことを目的とされているようです。便利さを追求するだけでなく、新たな価値やサービスを創造することも新技術がもたらす成果の一つとなります。
このように、新技術やテクノロジーといっても様々なものがあるわけですが、スーパーシティではどのような方向性で活用されるのかについて関心が高まってまいります。
そこで伺います。
京都府は、国が進めるスーパーシティ型国家戦略特区区域の指定に応募した31自治体の一つでありますが、国への提案においては、新技術や先端テクノロジーをスーパーシティの中でどのように生かしていく計画なのか、その内容についてお伺いいたします。
また、2025年大阪・関西万博も開催予定ですが、未来社会のショーケースとしての位置づけを持つこの万博は、最先端のテクノロジーを求め国内外から多くの人が訪れる絶好の好機でもあります。京都府としてこの万博にどのように関わり、京都のために生かしていくつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
先端テクノロジーを研究開発し、実用化に結びつけることは重要です。私は府民の皆様に、テクノロジーの効果や実用性を実感していただくことも同様に大事であると考えております。
民間でのテクノロジー開発を行政が支援することは様々あると思いますが、行政と企業、あるいは行政等研究機関など狭い範囲にとどまっているだけでは府民の皆様から、先端テクノロジー開発などに行政が支援を行うことの理解を得ることは難しいと思います。そのため、例えば府域に点在する府立公園や文化スポーツ施設といった府所有施設、さらには公共工事等で積極的に先端テクノロジーや新技術を活用し、府民の皆さんに効果や実用性を体験、実感していただくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
こうした新技術の活用に関し非常にタイミングがいいと思うのが、新名神高速道路建設と歩調を合わせて進めている木津川運動公園北側区域の整備であります。本年3月に取りまとめられた木津川運動公園の基本計画でも、「子育て」「地域のにぎわい」「健康」とともに、「新技術の導入」というキーワードがしっかりと盛り込まれております。公園の魅力や利便性を向上させるために、ICTなどの新技術を活用した次世代の公園づくりを進めるべきとの内容ですが、私はここに、世界的社会課題である「環境」という概念を取り入れてはどうかと考えております。
京都府立木津川運動公園の南側ゾーンのコンセプトは「自然再生」であります。過去に失われた自然環境を再生するのが南側のテーマであれば、これを一歩進めて、北側では「環境」「エコ」そのものをテーマとしてはどうかと考えるものです。
令和2年2月に開催された「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式において西脇知事は、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを宣言されましたが、そのための取組を、これから整備が進む木津川運動公園でまず率先して行ってみてはいかがでしょうか。
世界的に環境問題への関心が高まり、一歩踏み出さなければならない今だからこそ、再生可能エネルギーの活用はもちろんですが、環境に負荷をかけない、そして最新のテクノロジーも活用する中で、環境とテクノロジーを融合させたグリーンパークとして公園の整備を進めるべきだと考えます。
この地においては山の隆起や川の3作用「侵食・運搬・堆積」があるから、コンクリートの骨材となる細かな砂利をこの地で採取することができたといった、人々の生活、都市を形づくるコンクリートの陰には、このような山砂利採取の土地が全国に存在していることを知っていただきたいと考えます。
そこで伺います。
新技術の実用化や環境問題に対し広く府民の方々がそれらを体験できるようなテクノロジー体験センター、また山砂利資料館の設置を含め、いわばショールームとなるような木津川運動公園整備を官民連携で行うべきだと考えますが、知事の御所見をお願いいたします。
先端テクノロジー等の府民の皆様の理解を得ることによって、行政がこれまで以上に民間の研究開発や技術導入を応援することが可能になると考えます。例えば私達の身の回りでは、日々様々な新技術が導入され、私達の暮らしを便利にし、また社会や経済を活性化するさせるなど、ありとあらゆる場面で生かされています。
例えば鳥獣被害については、テクノロジーが用いられております。センサーやカメラを備えた捕獲システムであり、イノシシや猿がわなにかかるとスマホなどに通知が来、ライブ映像を見ながら捕獲をしたり、また自動捕獲も可能となっているようです。
モビリティの分野では、先ほど御紹介させていただいた「空飛ぶクルマ」や「iino」に加え、山下副知事も御視察された次世代の自走式ロープウェイ交通「zippar(ジッパー)」などもあり、様々な分野で様々な可能性が広がります。このような新技術やテクノロジーが様々な分野にわたっていることを考えると、それを支援する京都府の体制もしっかりしたものでなければならないと考えます。
京都府では、デジタル技術を活用し、スマートシティなどの推進や社会的課題の解決に向けた施策を推進するため今年の4月にデジタル政策推進課を設置されましたが、課の体制は課長さんを含めて5人と比較的こじんまりしていると感じます。
私が先ほど申し上げたように、様々な分野をDXという横串でしっかりとまとめ上げていくためには、さらなる人員や組織の拡充が必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
行政がデジタルトランスフォーメーションを推進するにしても、あるいは新技術や先端テクノロジーへの支援を行うにしても、その際に最も重要なものは予算ではなく人であると考えます。卵がさきかニワトリがさきかという議論もありますが、デジタル化の推進に関しては、人材がいなくては何も始まらないというほど人材が鍵になってくると考えます。
その意味で、京都府は庁内のデジタル人材確保に当たり、今年度は即戦力となる民間人材を3名任用されたと伺っておりますし、プロパー職員の採用の際に、情報工学分野での採用も進められていると聞きます。府庁ほど組織が大きくなれば、様々な人材確保策もあろうかと思いますが、民間企業とりわけ中小企業になると、社会全体でニーズが高まってくるデジタル人材の確保は難しいと言わざるを得ません。
そのためにも、デジタル人材を世の中に供給していくために、育成の裾野を広げていくことが重要であり、例えば高校では次年度からプログラミングや情報セキュリティを学ぶ科目が必修化されると聞いております。既に情報系の学科を設置している府立高校もあります。私が注目しますのは、現在、学部学科再編の検討を行っている京都府立大学であります。
さきの9
月定例会では、学部学科の再編案が示されたところでありますが、その中に「理工情報学部」「理工情報学科」というキーワードが盛り込まれておりました。この府立大学の学部学科再編や理工情報学部の新設などを本府のデジタル人材の育成にどのように生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
本年9月からデジタル社会形成のための司令塔とも言うべきデジタル庁が発足し、国を挙げてデジタルトランスフォーメーションの動きが加速する中、京都府においてもこれまで以上にテクノロジーの活用やデジタル化の推進が求められていると考えます。
京都府において、今後、テクノロジーの活用やデジタル化の推進をどのような方針で進めるお考えなのか、またその目的をどのように捉えておられるのか、知事の御所見を伺います。
東京都では2020年2月に「スマート東京実施戦略」を策定し、2040年を目標として世界最高のモバイルインターネット「TOKYO Data Highway」を21世紀の基幹インフラとして整備し、「いつでも、どこでも、なんでも、何があっても”つながる東京”」を構築するビジョンを描かれております。その上で、ビッグデータ、AIなどの先端技術を活用し、経済的発展や社会的課題の解決を両立させる取組など、分野横断的サービスの社会実装を強力に推進するとされています。
このような戦略は、京都府においても「京都府スマート社会推進計画」として既に策定済みであり、具体的な施策の展開、人材の育成、行政自身のスマート化などを規定されているところでありますが、東京都の戦略の優れているところは、戦略をつくりっぱなしにするのではなく、前年度の実績や当該年度の具体的な取組をまとめ、分かりやすく公開しているところにあると感じました。
現在公開されている最新のものは令和3年3月末に取りまとめられたものですが、令和2年度の実績、令和3年度の取組が、数字やビジュアルなどで分かりやすく掲載されております。これを見れば、DXが具体的にどのように進められているのか、誰の目にも明らかになります。
そこでお伺いいたします。
京都府においても、京都府スマート社会推進計画を策定されておられますが、府民の皆様にその取組の進捗や実績を分かりやすく伝え、京都府が進めるDXの効果などを実感してもらう取組が必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
44:
◯議長(
菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事
西脇隆俊君登壇〕
45:
◯知事(
西脇隆俊君) 新技術とスーパーシティについてでございます。
学研都市では、先端テクノロジーと生活文化が融合した都市づくりを目指し、スマートシティの取組を進めてまいりました。これまでの取組をさらに前進させるため、先般、「人生100年時代にふさわしく、健康で充実したスマートライフの実現」をメインテーマに、スーパーシティ構想を提案したところでございます。
先端技術活用の具体的な内容につきましては、最先端センシング技術とAIによる人の移動を予測し配車を行うモビリティサービスや、ミリ波レーダ技術による完全非接触で心拍や呼吸の変化が管理できる健康見守りサービス、大気中からのCO2回収技術を利用した高機能性野菜の開発などを提案しております。こうした技術を活用し、高齢者等の移動の確保や健康寿命の延伸などの課題を解決いたしますとともに、住民一人一人が社会に参加し、心身ともに健康で満たされた日常生活を送ることができるような学研都市の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、新技術と大阪・関西万博についてでございます。
万博は、人類の科学的・文化的な成果や新たな未来像を提示する世界の祭典であり、京都にとっても健康・ライフサイエンス分野など、京都が誇る最先端の科学技術や和食、伝統工芸などの京都の文化を世界にアピールできる絶好の機会でございます。
このため京都府としましては、関西広域連合のパビリオンへ出展することとし、夢洲の万博会場を京都へのゲートウェイとして位置づけ、国内外からの万博への来訪者に幅広く府域全体へ来ていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
中でも、学研都市においては、「けいはんなで大阪・関西万博を考える会」が、日本国際博覧会協会の参加型プログラムの共創パートナーに登録されており、立地機関や企業、市民から募集した「空飛ぶサービス」や「VRを使った歴史ツアー」など、けいはんなの最先端科学技術と文化が融合した夢のあるプランの提案を行っているところでございます。
引き続き、大阪・関西万博という、京都の魅力を発信し京都への人の流れをつくる貴重なチャンスを確実に捉えるために、万博に向けての機運醸成をはじめ、府内各地をできる限り訪れていただくような仕掛けづくりなど、オール京都体制で検討してまいりたいと考えております。
次に、府民の方に先端技術の有効性を体験・実感していただく取組についてでございます。
まず、府民利用施設における先端技術の活用目的といたしましては、安全性や快適性の向上など施設の管理運営に資するもの、利用者に喜んでいただいたり、健康増進や次世代育成につながるなど、サービス向上に資するものがあると考えております。
京都府では、施設の管理運営に資するものとして、けいはんな記念公園にネットワークカメラを設置し、人流データの解析からトラブル発生の早期検知を行うなど、安心・安全への活用を実証中でございます。また、サービス向上に資するものとして、京都スタジアムにおいて、eスポーツゾーンやVRフィットネスゾーンを設け、楽しんでいただきますとともに、ピッチを囲む24台の自由視点カメラにより、プロ選手などの動きを分析できるシステムを導入し、大学・高校のスポーツチームなどでの次世代の選手育成にも生かしていくこととしております。
他府県の事例に目を向けますと、万博記念公園において、来園者が自動運転バスで快適に園内を巡ったり、平城宮跡歴史公園において、次世代モビリティで移動しながらVRで再現された当時の都の暮らしを楽しく学ぶ実証実験が行われているところでございます。こうした事例も参考に先端技術を取り入れてまいりたいと考えております。
さらに公共工事の分野におきましても、ICTを活用した建設機械の自動制御や、ドローンを用いたインフラ点検などの生産性向上の取組や、VRによる重機運転体験イベントなど、建設業界の魅力向上の取組に先端技術を活用しているところでございます。
今後、さらに先進事例の研究を重ね、効果的に先端技術の導入を進めることで、その有用性を広く府民の皆様に体験・実感いただきますとともに、府民利用施設の魅力や工事施工の生産性の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、府立木津川運動公園についてでございます。
本公園の北側区域の整備につきましては、子育て支援や健康長寿、自然体験学習を主要な柱に、新名神高速道路に近接する好立地を生かしてにぎわいを創出し、南側区域と一体となって、府民の皆様に長く愛される公園を目指して、幅広く府民や民間事業者などからアイデアを募集いたしました。その結果、キャンプ場やレジャー関連施設の設置などを求める意見をいただいたところでございます。
このような意見を実現し、公園の魅力や利便性を最大限高めるためには、民間事業者の優れたノウハウを活用することが有効と考えており、官民が連携して公園の整備に取り組むこととしております。
議員御提案のテクノロジー体験センターや山砂利資料館のようなコンテンツは、ICTなどの新技術を活用した公園の魅力向上や、山砂利採取跡地の自然再生のPRにつながるものと考えておりますが、利用者の満足度が一層高まるよう民間事業者からの提案を期待しております。引き続き、北側区域の具体の検討を官民連携で進める中で、城陽市や地元関係団体などの意見も伺い、魅力ある公園づくりを進めてまいりたいと考えております。
次に、デジタルトランスフォーメーションの推進体制についてでございます。
デジタル技術をはじめとする先端技術の活用により、社会課題の解決を図っていくことは、未来に夢や希望が持てる京都づくりを進めていく上で極めて重要であると考えております。
このため、これまでの京都府IT推進本部を中心にした行政のデジタル化推進だけでなく、今年度から、企画理事を司令塔として全庁の調整機能を担うデジタル政策推進課を設置いたしますとともに、施策の具体化を担う兼務職員を全部局へ配置することで、社会全体のデジタル化に向けて全庁横断的な推進体制を整備したところでございます。
また、行政のデジタル化と両輪で社会のスマート化を進めるに当たりましては、庁内の横断的な連携に加えて、企業、研究機関等との連携や、企業同士の協業を円滑に進めることが重要と考え、デジタル技術やビジネストレンドに明るい民間人材を京都府へ登用し、官民連携の推進体制もさらに強化したところでございます。
今後とも、推進体制につきましては、全庁の事業の進捗状況を踏まえ不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。
次に、府立大学におけるデジタル人材の育成についてでございます。
近年、社会のあらゆる分野でデジタル化が進み、産業を支えるデジタル人材が不足している中で、今回のコロナ禍を契機として、デジタル化の動きはさらに加速するものとみられ、デジタル人材育成の必要性は一層高まっております。
府立大学には、こうした社会情勢の変化を踏まえ教育研究環境をさらに充実・整備し、情報分野をはじめ地域や産業界が求める人材を育成する役割が求められております。このため、府立大学では本年4月に「AIデータサイエンス教育研究センター」を設置し、本格的なAI教育のプログラム化を進め、学科や専攻に関わりなく多くの学生に総合教養教育の一環として情報リテラシーを学ぶ環境を準備しているところでございます。加えて、学部学科の再編の中で、AI・データサイエンス分野に精通した人材を育成する理工情報系の学部学科の新設を検討しているところでございます。
京都府といたしましては、府立大学の教育研究環境の整備を支援し、スマート農業分野でのICT等先端技術の実装にチャレンジする担い手の育成や、スマート防災分野でのデジタル技術等を用いた防災・減災対策の高度化を推進する人材の育成など、府立大学の強みを生かしたデジタル人材の育成を進め、地域や産業界と連携して、様々な分野で活躍する人材の育成に生かしてまいりたいと考えております。
次に、テクノロジーの活用やデジタル化推進の方針、目的についてであります。
京都府では、最先端のテクノロジーとデジタル技術を組み合わせた先端技術を生かして、府民誰もが暮らしやすい快適な社会の実現を目指し、昨年3月に「京都スマート社会推進計画」を策定したところでございます。
この計画を進めるに当たりましては、先端技術を使うことが目的ではなく、人口減少、少子高齢化による人手不足など複雑・多様化する社会課題に対しまして、先端技術をどのように使って解決していくかということに重きを置いて取組を進めております。
取組の推進に当たりましては、優れた先端技術を有する企業や大学等の研究機関が立地する京都ならではの基盤となる「京都ビッグデータ活用プラットフォーム」を最大限活用し、最先端のロボット技術を活用した介護サービスや、AI・IoTを活用した自動運転など、全国のモデルとなるような取組をこの京都から生み出していきたいと考えております。
次に、デジタルトランスフォーメーションの効果などを府民に実感していただける取組についてでございます。
デジタルトランスフォーメーションについて広く府民の理解を得るためには、その効果を府民自身に直接体感いただくことが重要だと考えております。このため、例えば電子申請システムの運用においてさらなる利便性の向上を目指して、納税証明書の発行手続などについて手数料の支払いまでをオンラインで完結できるよう、現在、システムのレベルアップに取り組んでいるところでございます。
また、学研都市において、受診の待ち時間を減らすため、デマンドバスを病院の診療時間に合わせて運行する実証実験を昨年度に続き、府民参加型で実施したところでございます。一方、10月にAIを駆使したビッグデータ解析による感染症対策プロジェクトの立ち上げについて、公開フォーラムを開催したところでございますが、このような専門的な内容でも府民に身近なテーマとして理解いただけるように工夫していく必要があると考えております。
今後とも、府民により質の高い行政サービスを提供いたしますとともに、丁寧で分かりやすい情報発信等に取り組み、府民の理解を得ながら、京都のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいりたいと考えております。
46:
◯議長(
菅谷寛志君) 園崎弘道君。
〔園崎弘道君登壇〕
47: ◯園崎弘道君 国のスーパーシティ構想に手を上げた31自治体の中から、三重県が提出をされた提案を御紹介いたします。特徴的なのは、対象の地域です。三重県の津や四日市、伊勢志摩ではなく、人口減少率の大きな6つの町を対象地域に選定をされています。
この地域に新しくできた宿泊・商業・観光などの複合施設である美尊というグリーンフィールドで社会実装を行い、その成果を6つの町、ブラウンフィールドで生かすという地域活性化を目指すスーパーシティ構想であります。
交通不便な地域であり、高齢者の医療の問題、農林業の地域産業の活性化の課題、地域の魅力を十分に発信できていない課題などをテクノロジーの力を生かして、地域住民の幸福度を日本一にしていきたいという、そういった強い思いが感じられます。
京都は歴史、文化、伝統のまちと言われます。長きにわたり日本の都として歩んできた京都は、伝統や歴史を重ねるためにまちづくりを行ってきたわけではありません。様々な変化に柔軟に対応する中で、よりよいあしたを想像する中で、京都のまちから斬新なアイデアや大胆な発想、京都発の仕組みが生まれ続けてきたのではないかと考えます。
私たち人類が世界中で抱えている諸問題を解決するために、私たちの京都こそが、未来社会を見据えた新技術の積極的な活用に本気で取り組む責任があると考えます。そして、西脇知事や副知事の明確なメッセージが今、求められているのではないかと考えます。
子育て環境日本一は、西脇知事の強いリーダーシップの下、あらゆる関係部署が施策を常に意識し、取り組みが急速に進んでまいりました。京都府が全庁を挙げて取り組むことのできる大きなビジョンの発信と組織化を強く求めます。
最後に1点要望させていただきます。
昨日、我が会派の池田議員のコロナ社会における経済対策に関する代表質問において、西脇知事は、原油高などの新たな課題も出てきていることから、引き続き対策が必要である旨の前向きな答弁をいただき、我が会派としてもとても心強く受け止めております。
御答弁のとおり、府内経済の速やかな回復のためには原油価格・原材料の高騰に加え、入国制限の影響を受ける中小企業等への支援や府内の商業・観光・農林水産業の需要喚起策などが求められるところであり、今後、年末年始を迎えるに当たり、時期を失することのないよう迅速な補正予算の編成を強く要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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48:
◯議長(
菅谷寛志君) 以上で本日の日程は終了いたしました。
明12月8日午後1時15分から本会議を開きますので、ご参集願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時51分 散会
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