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  1. 京都府議会 2020-06-01
    令和2年6月定例会(第3号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和2年6月定例会(第3号)  本文 2020-06-17 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 63 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長田中英夫君) 選択 2 :  ◯議長田中英夫君) 選択 3 :  ◯森口亨選択 4 :  ◯議長田中英夫君) 選択 5 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 6 :  ◯議長田中英夫君) 選択 7 :  ◯森口亨選択 8 :  ◯議長田中英夫君) 選択 9 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 10 :  ◯議長田中英夫君) 選択 11 :  ◯馬場紘平選択 12 :  ◯議長田中英夫君) 選択 13 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 14 :  ◯議長田中英夫君) 選択 15 :  ◯馬場紘平選択 16 :  ◯議長田中英夫君) 選択 17 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 18 :  ◯議長田中英夫君) 選択 19 :  ◯馬場紘平選択 20 :  ◯議長田中英夫君) 選択 21 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 22 :  ◯議長田中英夫君) 選択 23 :  ◯馬場紘平選択 24 :  ◯議長田中英夫君) 選択 25 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 26 :  ◯議長田中英夫君) 選択 27 :  ◯馬場紘平選択 28 :  ◯議長田中英夫君) 選択 29 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 30 :  ◯議長田中英夫君) 選択 31 :  ◯馬場紘平選択 32 :  ◯議長田中英夫君) 選択 33 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 34 :  ◯議長田中英夫君) 選択 35 :  ◯馬場紘平選択 36 :  ◯議長田中英夫君) 選択 37 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 38 :  ◯議長田中英夫君) 選択 39 :  ◯馬場紘平選択 40 :  ◯議長田中英夫君) 選択 41 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 42 :  ◯議長田中英夫君) 選択 43 :  ◯教育長(橋本幸三君) 選択 44 :  ◯議長田中英夫君) 選択 45 :  ◯馬場紘平選択 46 :  ◯議長田中英夫君) 選択 47 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 48 :  ◯議長田中英夫君) 選択 49 :  ◯教育長(橋本幸三君) 選択 50 :  ◯議長田中英夫君) 選択 51 :  ◯馬場紘平選択 52 :  ◯議長田中英夫君) 選択 53 :  ◯議長田中英夫君) 選択 54 :  ◯村井弘君 選択 55 :  ◯議長田中英夫君) 選択 56 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 57 :  ◯議長田中英夫君) 選択 58 :  ◯村井弘君 選択 59 :  ◯議長田中英夫君) 選択 60 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 61 :  ◯議長田中英夫君) 選択 62 :  ◯村井弘君 選択 63 :  ◯議長田中英夫君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長田中英夫君) これより本日の会議を開きます。            ──────────────────── 2: ◯議長田中英夫君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。  まず、森口亨君に発言を許します。森口亨君。    〔森口亨君登壇〕(拍手) 3: ◯森口亨君 自由民主党京都府議会議員団の森口亨でございます。初めての代表質問の機会を与えていただきました議員団の皆様に心から感謝を申し上げます。  まず、今日まで、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。また、現在も治療中の皆様の一日も早い御回復を心からお祈りいたします。  そして、この間の府民の皆様の感染拡大防止に対する御協力に厚く御礼を申し上げますとともに、府民を守るため献身的に御奮闘いただいております医療従事者、福祉関係の皆様に改めて感謝を申し上げます。  それでは、通告に従い、西脇知事並びに関係理事者に議員団を代表して質問させていただきたいと思います。  まず、新型コロナウイルス感染症につきましては、引き続き感染拡大防止に努めなければならない現状ではありますが、コロナショックによる社会構造の変化も言われており、WITHコロナ社会、POSTコロナ社会について質問をいたします。  昨年末、中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスによる重症肺炎が報告されて以降、短期間で世界各地に感染が広がり、我が国では1月16日に神奈川県在住の30代男性が初めての感染者として公表され、1月30日には本府最初の感染者が国立感染症研究所より国内12例目として報告されました。  政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定に基づき対策本部を設置され、2月1日、新型コロナウイルス感染症は指定感染症に指定されました。国では、入国時の水際対策、検査・医療体制の整備など感染拡大防止に取り組まれましたが、この感染症の特徴と言われる多くの無症状や軽症の感染者が把握しきれなかったことなどにより、感染者数は増え続けました。  また、一時は不確かな情報によりマスクや消毒液の品薄状態が続き、トイレットペーパーなどが店頭から姿を消し、生活必需品の入手が困難になったことや、感染拡大防止のため感染者の行動履歴などの情報を公開したことで、風評被害や感染者への差別的な扱いなど、新たな問題も発生いたしました。  経済に対しましては、インバウンドも含めた国内外の観光客の激減、各種イベントの自粛、生産の遅れと売上げ減少、株価の下落など、感染拡大の影響は業種、規模、地域を問わずあらゆる分野に及び、雇用にも大きなダメージを与えました。  何とか5月25日に緊急事態宣言が全都道府県で解除されたのは、国民の皆様が感染拡大の防止に努めていただいた成果と言えますが、我が国の経済は大きな減速を余儀なくされました。経済を元に戻すことが最も大切な経済支援であると思いますが、経済活動が本格化することで感染拡大の第2波、第3波が懸念される中では、「新しい生活様式」の定着を図り、WITHコロナに対応した社会へと転換していく必要があると言われています。  今回のコロナショックにより、我々が当たり前と考えていた自由な外出や旅行、一堂に会しての会議やイベント、またインターネット通販も含めた生活必需品の買い物など、日常の多くのことが当たり前でない状態となり、人が密集することのリスク、また人、物、金が国境を越えて移動するグローバル化によるリスクなど、現代社会のひずみや新たな課題が次々と明らかになりました。  今回のような初めての事態に遭遇したとき、私の選挙区でもある京丹後市網野町出身の元プロ野球選手で、今年2月11日に84歳で御逝去されました故・野村克也氏の「固定観念は悪、先入観は罪」という言葉を思い出します。当たり前だったことが当たり前でない状態となっている今、固定観念や先入観にとらわれることなく、しっかりとこの困難に立ち向かっていく必要があります。  人口減少を少しでも穏やかにしながら、都市の中心部に住居と都市機能を集約したコンパクトシティを形成し、行政や都市機能のコストを抑えなければ、地域社会の維持は困難になる、また、経済が成長を続けるためには、国境を越えた消費や投資の活性化がこれまで以上に不可欠であるといった、今日まで私たちが信じ進めてきた地域づくりやまちづくりは、今回のコロナショックで大きな転換期を迎え、今後は、コロナウイルスと共生していく社会、WITHコロナ社会を再構築することが必要と言えるのではないでしょうか。  不要不急の外出を自粛し、密閉・密集・密接の3つの密を避けるために、在宅勤務や時差出勤、オンライン会議などステイホームでの働き方に、現在考え得るあらゆる工夫がなされ、また、これまでなかなか進まなかったテレワークやリモートワークといった柔軟な働き方が、この短期間で急速に進展しました。  このことは、人間関係を尊重し、コミュニケーション能力が重要とされる日本社会においても、業種や業態によっては人と人との対面を避けながら、分散して業務に当たることができることを証明し、働き方改革の新しい可能性が見えてきました。
     政府もこれまでから総務省を先頭に、少子高齢化対策や地域活性化などテレワークの意義・効果として示し、実証実験等を推進してこられました。中には、人間関係のストレスや障害などで通勤の困難な方々が、テレワークを導入した在宅勤務により就労が可能となった事例や、ワーク・ライフ・バランスが求められる中、仕事と家事、育児の両立が可能となった事例などが報告されています。  また、学校教育においても、今回のコロナショックによりリモート授業、オンライン授業が導入・実践されたことで、地方にいながらにして高度な教育を受けることが現実のものとなりつつあります。  そこで、西脇知事にお尋ねいたします。  WITHコロナ社会における「新しい生活様式」は、今後の京都府づくりや地域づくりの新たな方向を示しているのではないかと考えており、今こそ、国と地方の在り方を再構築するため、真の地方創生により、東京圏への過度な人口集中を是正し、全ての地域で住みよい環境を確保しながら、将来にわたって活力ある社会を維持することを議論する時期に来ているのではないかと思います。  昨日の我が会派の菅谷議員の代表質問にもありましたが、今回の新型コロナウイルス感染症による社会構造の変化は、近年、若干手詰まり感のあった地方創生の取組に結びつく可能性を秘めていると考えております。  緊急事態宣言の解除とともに、都市部では徐々に通勤電車が混雑し始めるなど、密になる機会が増えているようですが、私の地元・京丹後市をはじめとする京都北部地域においては、都市部に比べて圧倒的に3つの密が生じる可能性が少なく、豊かな自然に恵まれ、大人も子どもも皆が伸び伸びと暮らせる環境があります。  多くの企業でリモートワークに移行しても、問題なく社会や経済が回っていくということは、この間のステイホーム期間中に証明されました。中央から地方へという流れは、新型コロナウイルスで大きな影響を受けた私たちの社会において、再び動き出しているのではないかと感じているところですが、知事は、WITHコロナ社会において地方創生の取組をどのように進めていくお考えなのか、お聞かせください。  また、今申し上げましたことを裏づけるかのように、新型コロナウイルスの感染拡大を契機として地方移住を希望される方が増えていると聞き及んでおります。もちろん、移住が一気に加速し、社会が大きく変わるというところまでは期待をしておりませんが、それでも、多くの人が新型コロナウイルスを契機に生き方や働き方を見詰め直し、また自分や家族がどこに住むべきかということについても考えを巡らせていることは事実だと思います。  そこで伺います。  本府においては、平成28年4月に施行した「京都府移住の促進のための空家及び耕作放棄地等活用条例」、通称移住促進条例に基づき移住促進の取組を進めてまいりましたが、当該条例は本年度末で失効することとなっております。新型コロナウイルス感染症の影響により、地方移住の流れが進みつつある今、当該条例を今後どのようにしていこうとされているのか、知事のお考えをお聞かせいただければと思います。  また、緊急事態宣言を挟む前後の期間において、本府の移住相談窓口における相談件数はどのような傾向を示しているのでしょうか、お聞かせください。  さらに、以前のような対面式での移住相談は、感染拡大のリスクが高く、相談を希望される方にとってもハードルになると考えられますが、例えばオンラインでの移住のための相談会を実施するなど、本府でもWITHコロナ社会に対応した取組を行う予定はおありなのでしょうか、併せてお聞かせください。  次に、社会生活を維持する上で必要な施設の地域間格差と支援についてお尋ねします。  新型コロナウイルス感染症対策で避けなければならないと言われる、密閉・密集・密接の3密ですが、これらはまさに都市機能そのものであり、3密が進んでいる地域ほど都市化が進んでいると言えます。4月17日に緊急事態宣言が全国に拡大したことを受け、本府も緊急事態措置について府民の皆様に要請をされました。  その中で、基本的に休止を要請しないが、社会生活を維持する上で必要な施設として、医療施設や生活必需物資販売施設、食事提供施設、交通機関、生活必需サービスを提供する店舗などが示されましたが、この休止することのできない社会生活を維持する上で必要な施設の幾つかは、既に存在していない地域も多いのではないでしょうか。スーパーやガソリンスタンドなど、社会生活を維持する上で必要とされる施設の地域間の格差が、今回、改めて見えてきたのではないでしょうか。  私の暮らす京丹後市でも、これまでから徒歩圏内における日用品店や食料品店などの閉店や廃業が続き、問題となっています。自治体の人口そのものも減少していますが、1つの自治体の中でもより利便性の高い地区へ若者等が移動し、統計以上に周辺集落の疲弊が進んでいます。社会生活を維持する上で必要な施設の中で、民間ビジネスが担っている部分が多くある以上、採算や経済性を全く無視することはできませんが、WITHコロナ、POSTコロナ社会においては、持続可能な地域社会の在り方も変化が必要と考えます。  そこで、知事にお尋ねいたします。  4月17日から5月21日まで継続された本府の緊急事態措置においては、外出自粛や施設の使用制限など、基本的に同一の要請が府内全域に対して行われました。それは、新型インフルエンザ特措法の枠組みにおいては致し方ない部分もあるかとは存じますが、その一方で、御承知のとおり南北に長い京都府は、人口の半数以上が京都市に集中していることをはじめ、それぞれの地域で産業構造や人口密度、地域の実情も大きく異なるという実態があります。  例えば、今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止策の中で、感染者の発生状況が少ない京都府北部地域では公立高校を前倒しで再開したように、また独自の判断で学校休業見送りや期間短縮を行う地方自治体があったように、学校教育をはじめ住民の身近な暮らしに深く関わる案件については、各自治体が地域の実情に応じて柔軟に判断すべき事柄であります。  今回の感染拡大防止の取組等により、改めてこうした地方分権の課題が明らかになったところですが、新型コロナウイルスの関係にかかわらず、こうした、地域のことは地域で決めるという地方分権について、知事はどのようにお考えでしょうか。御所見をお尋ねします。  また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請等によって、過疎地域における医療施設や生活必需物資販売施設、ATMや交通機関など、社会生活を維持する上で必要な施設の少なさが改めて浮き彫りになりましたが、休業要請のあるなし以前の問題として、休業することのできない、社会生活に欠かすことのできない施設が、そもそも過疎地域には不足しているのです。  新型コロナウイルスの影響等により、これまで以上に厳しい状況が予想される中、過疎地域において日用品店や食料品店などの社会生活を維持する上で必要な施設は、日常生活の行動範囲の限られた地域の高齢者等にとっては、今後とも非常に重要な役割を果たしてまいります。  そこで伺います。  そうした施設を含めた過疎地域の振興やまちづくりの問題は、当然のことながら市町村の役割であるとは理解しておりますが、京都府として広域的な立場から、過疎化に苦しむ地域や市町村に対しどのような支援が考えられるのか、お考えをお聞かせください。  次に、農林水産業への支援についてもお尋ねします。  新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う経済活動の自粛等によって、観光客の激減、飲食店等に対する休業や営業時間の短縮、休校に伴う学校給食の休止、インバウンド需要、外食需要の減少や輸出の停滞など、食材を提供する農林水産業にも大きな影響が生じています。  特に、高級食材とされる単価の高い産品への影響が大きいと言われており、ブランド京野菜や京漬物、日本を代表するブランドでもある宇治茶、高品質で特色のある京都ブランドの畜産物、水産物では「丹後ぐじ」「丹後とり貝」などなど、これまで進めてこられた京都のブランド力を軸とした商品価値競争力の強い京都府産農林水産物は、外食産業や観光客などが購買層であったため、他県に比べてもコロナショックの影響が大きく、量販店などへ販売先を振り替えても家庭等での消費量が多くないため、需給バランスの崩れから単価が下落し、出荷を取りやめた生産者もあると聞いています。  西脇知事におかれましては、4月臨時会の補正予算で、宇治茶、とり貝など府内産品に対する需要拡大対策や京野菜、畜産物に対する緊急支援策等を迅速に対応いただき、国に対しては、農林水産業の事業継続、食材の需要喚起、販路拡大、セーフティーネット対策などを何度も要望していただきました。我々自民党府議団も国政に対して同様の緊急要望書を提出し、対策を求めてきたところです。  そこで、西脇知事にお尋ねします。  京都府の高級食材をはじめとした農林水産物にどのような影響が出ているのか、お尋ねいたします。また、これからのWITHコロナ社会における農林水産業に対して、どのような支援策を講じ、振興を図っていかれるのかについて、お考えをお尋ねいたします。  以上、ここまでの御答弁をよろしくお願いいたします。 4: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 5: ◯知事西脇隆俊君) 森口議員の御質問にお答えいたします。  WITHコロナ社会における地方創生の取組についてでございます。  京都府では、第2期地域創生戦略に基づき、府域全体で進展する少子高齢化、人口減少や東京への一極集中、地域の担い手の減少などの課題の克服に向け、京都ならではの強みや総合力を生かし、国の地方創生関連交付金等も活用しながら取組を進めているところでございます。  議員御指摘のとおり、今回の感染症への対応として、テレワークやオンライン会議などの柔軟な働き方が急速に普及し、学校教育でもオンライン授業が実践されるなど、IT、デジタル技術を活用した、時間や場所を問わない活動が広がりを見せております。  また、今回の感染症で、東京などにおける過度な人口集中が抱えるリスクが明らかになっており、WITHコロナ社会やその先にあるPOSTコロナ社会の到来は、これまで地域創生の取組においてなかなか進んでこなかった東京一極集中の是正に向けた好機ではないかと言われております。  一方で、今回の感染症の影響により、出産への不安の増加や保護者の負担の増大等による、地域における少子化への流れのさらなる加速、消費の著しい減退やサプライチェーンの寸断、世界的な需要減に伴う地域経済や雇用環境の悪化など、様々な懸念が生じており、大きな課題が見えてきております。  こうした状況からも、WITHコロナ社会における地域創生は、感染症による負の影響を最小限に抑えつつ、社会構造の変化がもたらすメリットを最大限に取り込んで進めていくことが重要なポイントになるのではないかと考えております。  このため、今議会に提案している補正予算案においては、第2波・第3波に備えた医療・検査等の体制整備や事業者や府民、子どもへの支援を強化するとともに、国の地方創生臨時交付金を活用して、府内や近隣府県から「もうひとつの京都」エリアへの周遊観光の促進、北部地域への人の流れをつくる京都縦貫自動車道の通行料金の割引、ウェブ商談会による伝統工芸品の販路拡大など、新たなビジネスモデルを構築するための取組への支援など、WITHコロナ社会における戦略的な施策展開を図ることとしており、また来るPOSTコロナ社会を見据え、確かなビジョンを描き、京都府の戦略づくりを進めることとしております。  こうした取組を通じて、WITHコロナ・POSTコロナ社会のありようをしっかりと見定めながら、市町村の取組とも十分に連携を図りつつ、魅力と活力のある地域づくりに向けて、地域創生の取組を進めてまいりたいと考えております。  次に、いわゆる移住促進条例についてであります。  京都府では、「京都府移住の促進のための空家及び耕作放棄地等活用条例」を平成28年度から施行し、空き家及び農地の活用による移住促進等に関する施策を推進することにより、地域の活性化を図っております。  市町村による移住促進区域の設定に加え、移住相談窓口の設置や空き家改修支援等を通じて、条例施行前の平成27年度と平成30年度を比較いたしますと、移住相談件数が1,824件から4,916件へ、また年間移住者数が288人から658人へと、いずれも2倍以上の増加となっており、さらには、令和元年度までの空き家登録と移住希望者のマッチング成立が230件となるなど、着実に成果を上げてきております。  近年、都市農村交流をきっかけとした地方への移住、二地域居住、さらにはサテライトでの勤務など、移住に対する考え方は多様化しつつあります。さらに、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワーク等が一気に進展し、働き方が大きく変化すると予想されることに加え、生活に関する価値観の変化が都市から地方への人の流れを加速させることへの期待も高まりつつあります。  こうしたことから、移住政策を農山漁村における空き家対策や耕作放棄地の活用など限定的に捉えるのではなく、地域振興やまちづくりを進める重要な施策として抜本的に見直したいと考えております。  しかしながら、京都が、豊かな自然や長い歴史に育まれた多様な地域資源を持っているというだけで、移住先に選ばれるほど容易な状況にはないと考えております。このため、外部の専門家で構成する研究会を立ち上げまして、文化、産業、環境、情報化、地域の在り方など、コロナ後の社会像を想定しながら、京都の魅力をさらに強化する方策や移住された方が地域づくりにどのような形で参加していただくかなど、多くの課題についても議論を行い、移住政策がまさに地域創生を牽引していくような条例となるように検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、京都府の移住相談についてでございますが、東京、大阪、京都に常設の相談窓口を設置し、日々の相談に加え、セミナーなどにより対応してまいりました。  緊急事態宣言後は、直ちに常設の相談窓口を閉鎖し、自宅からアクセスできるオンライン相談に切り替え、安心して相談していただける環境を整えるとともに、全国規模で開催された「オンライン移住フェア」に出展するなどの取組を進めてまいりました。  しかしながら、緊急事態宣言前は毎月100件程度の相談件数が、宣言後には約20件と5分の1程度という状況となっております。  宣言も解除された現在、大阪、京都では5月下旬から、東京では6月の初めから、感染防止の対策を行いながら常設の相談窓口を再開しておりますが、オンライン相談も好評であったことから、引き続き取り組んでおります。  その際には、先輩移住者の暮らしぶりを生中継で見てもらいながらの相談や、チャット機能を活用した相談など、オンラインならではの機能を生かし、これまで足を運べなかった遠方の方や子育て世代の皆様にも自宅で気軽に相談できる取組として進めてまいります。  今後は、テレワークの普及などWITHコロナ社会における変化に伴う新たな移住ニーズを把握し、京都府への移住促進につなげてまいりたいと考えております。  次に、地方分権についてでございます。  これまでの地方分権改革により、国と地方の関係は対等・協力の関係に変わり、地方に対する義務付け、枠付けの見直しや、国から都道府県、都道府県から市町村への事務権限の移譲が進むことで、地域の実情を踏まえた対応ができる環境が徐々に整いつつあります。  さらに、平成26年度からは、住民により近い地方公共団体の発意に基づき分権改革を推進する提案募集方式が導入され、例えば過疎地域において、タクシー車両を活用した貨物運送が可能となるなど、住民生活に関わる身近な課題が解決されてきているところでございます。  議員御指摘のように、住民に身近な行政は、できるだけ住民に近い地方が行うことができるよう、地方分権改革を推進し、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図っていくことは、大変重要であると考えております。  今回の感染症に伴う本府の緊急事態措置につきましては、感染者の発生状況が地域により違いがあることを踏まえながらも、通勤や通学、買い物などの人の移動が行政区域を越えて行われることから、4月17日より感染拡大防止の観点から、広域的に京都府全域を対象としたものでございます。  一方で、例えば府立高校の再開時期につきましては、議員御指摘のとおり、地域の実情を踏まえ、中丹通学圏以北は5月25日に、口丹通学圏以南は6月1日となったところでございます。  次に、社会生活を維持する上で必要な施設の地域間格差・支援についてであります。  医療施設や食料品店等、日常生活機能の維持に必要な施設は、今般の緊急事態措置において休業要請の対象としなかったところですが、議員御指摘のとおり、過疎化が進む地域においては、これら施設が果たしている機能の維持や利用者のアクセス手段の確保が課題であると認識をしております。  このため、京都府ではこれまでから、きょうと地域連携交付金、地域交響プロジェクト交付金などにより、広域自治体として市町村、NPO等と連携し、高齢者等を対象とした買い物支援や移動支援を行っております。例えば、買い物や医療・介護施設への通院通所の際の福祉有償運送や食事宅配の実施を支援しているところであります。  また、このコロナ禍を契機に休業が広がらないよう、新型コロナウイルス感染対策に係る緊急応援補助金や再出発支援補助金により支援していくこととしております。  今後とも、地域の持続性の確保と地方の創生、地域の活性化を図るため、さきに述べました交付金により、子育て、介護予防、見守り生活支援などを重点分野として地域の取組を支援してまいります。  併せまして、地域医療体制の維持に向けた医師の確保、基幹産業でございます農林水産業の担い手の確保・育成、そして地方創生の根幹である山陰近畿自動車道等の道路整備など、過疎地域が抱える社会生活に欠かすことのできない様々な広域的課題に対し、京都府の施策を展開してまいりたいと考えております。  次に、農林水産業への支援についてであります。  府内産の農林水産物の影響については、京野菜のうちブランド品目を除く一般品目の市場での取扱高が、4月は対前年比113%となっており、これは外出自粛に伴う家庭消費の増加等によるものと考えられます。一方で、議員御指摘のとおり、料亭や土産品などの高級食材として取り扱われてきた京のブランド産品などは大きな影響を受けており、3月と4月の2か月は対前年比で、賀茂なすが69%、丹後とり貝が27%、宇治茶が32%、和牛が48%とそれぞれ出荷額が大きく減少しております。  このため、既に御議決いただきました4月補正予算により、大きな影響が生じている京のブランド産品などを対象に、飲食店などが行う中食向けの販路開拓や学校給食への食材提供による需要喚起などの緊急対策を講じたところでございます。  また、府内産の農林水産物を原料とする漬物や日本酒などの加工食品関係にも大きな影響が出てきていることから、今議会では、内食向けの新たな商品開発や販路開拓を支援するための予算を提案しております。  さらに、危機克服会議において、外食から中食、内食への消費行動の変化等を踏まえ、食関連産業の川上から川下まで幅広い事業者の意見も聞きながら、事業化可能性調査への支援等を通じまして、WITHコロナ社会における新たなビジネスモデルを構築してまいりたいと考えております。 6: ◯議長田中英夫君) 森口亨君。    〔森口亨君登壇〕 7: ◯森口亨君 積極的な御答弁ありがとうございました。  WITHコロナ社会、そしてPOSTコロナ社会に向けた新しい取組を大いに期待させていただきます。時間がありませんので、次の質問に入らせていただきます。  農業と漁業の担い手について質問いたします。  「農は国の大本なり」と言われるように、古代から農業が我が国の発展を支えてきました。そして、古くから日本人の心のふるさととして、里山や棚田など、美しい日本の原風景を形づくってきました。また、北から南まで約120キロメートルと南北に長い地形の京都府では、各地域の気候や豊かな自然の下で、地域に根差した農業が展開され、地域経済を支えるだけでなく、その生産活動を通じて自然環境や生物多様性の保全、文化の継承など、多面的な機能や役割を果たしてきました。  この美しい環境や多面的機能の恩恵は、農村に住む人たちだけでなく、広く全ての府民が享受しているもので、未来の子どもたちに確実に引き渡していかなければなりません。  しかし、この大切で美しい、日本の原風景が消えつつあります。その理由は1つとは言えませんが、近年頻発している自然災害や農業従事者の減少、農地を所有する非農家の増加による荒廃農地の増加、世界的な貿易協定をめぐる経済環境の変化などが言われています。  自然災害については、京都府内でも地震や豪雨などにより大きな被害が出ており、平成30年の7月豪雨や立て続けの台風などの被害に見舞われ、153億円を超える農林水産関係の被害が発生したのは、記憶に新しいところです。  とりわけ台風21号の最大瞬間風速39メートルという前例のない暴風により、京都府南部を中心にパイプハウス2,131棟が被害を受け、うち446棟が全壊するなど、被害額は23億円にも上りました。私も現地を視察いたしましたが、離農を回避し、担い手不足に歯止めをかけるためにも、災害に強い農業の推進が必要だと痛感いたしました。  「2015年農林業センサス」によると、本府の農業従事者は、農家数3万723戸、販売農家人口6万790人、農業経営体の数は1万8,016経営体となっていますが、高齢化のほか、野生鳥獣被害による生産意欲の減退も、担い手不足の要因となっています。  少子高齢化による人口減少は、都市部と比べ農村のほうが深刻な状況にあり、小規模な農村では、農道、用排水路、パイプライン、鳥獣害防護柵などといった農業用施設の維持管理のための共同作業が困難な状況となってきています。  中でも、水田の用排水路においては、耕作放棄地が増加しても用排水路全体を維持管理する必要があります。私も先日、地元集落の排水路管理作業に参加いたしましたが、耕作者が年々少なくなる中、少人数での作業は日頃の運動不足も重なり、大変過酷なものでありました。  一方で、昨年12月に策定されました京都府農林水産ビジョンによりますと、都市住民の約3割が「農山漁村に定住してみたい」と答えており、その割合は2005年に比べて増加し、また移住相談者が増えているなど、都市に住む若者を中心に農村への関心を高め、新たな生活スタイルを求めて都市と農村を人々が行き交う田園回帰の動きや、定年退職を契機とした農村への定住志向が見られるとされています。  また、農家の高齢化や人口減少に伴う農村の過疎化が進む昨今、技術継承や地域農業の担い手として定年帰農者や半農半Xなどの多様な担い手を増やしていく取組も必要とされ、農作業の省力化、軽労化とともに、スマート農林水産業に向けた様々な取組が加速していると現状分析されています。本府農業の将来に明るい兆しも現れていると考えます。  次に、漁業については、全国的にはまだ海のイメージが定着していない部分もある京都府ですが、海岸の総延長は約315キロメートルあり、起伏に富んだリアス式海岸や波の穏やかな内湾、沖合の天然礁など、良好で多様な環境を有しています。本府の漁業は、このように多様な漁場とそこに生息する多様な魚種を対象として、主に小規模な個人漁業者による沿岸漁業を中心に営まれています。  一方で、漁獲規模から見ると、大型定置網の割合が水揚げ量で7割を超え、水揚げ額でも約5割と大半を占めています。また、養殖は生産量ベースで全体の6%程度と全国的に見ても非常に低い状況ですが、養殖に適した湾が多く、新しい養殖漁場の設定も可能であるため、新たな人材の確保・育成なども通じて、養殖を種類、質、量ともに増やし、オールシーズンで幅広いニーズに対応する取組が必要となっています。  京都府水産物のうち、丹後ぐじ、丹後とり貝などではブランド化の取組が進み、京のブランド産品として市場並びに観光関係者から高い評価を受けていますが、夏の高水温や大雨など、毎年の気象変化が影響し、供給量や品質が安定せず、生産額の乱高下が問題だと言われています。  内水面漁業については、府内の中山間地域における貴重な地域資源として、観光誘客や特産品への原材料供給等を通じて地域に貢献している一方で、稚魚放流や漁場管理を担う内水面漁協は、遊漁者の減少等により経営環境が悪化しています。  「2018年漁業センサス」では、本府の漁業経営体は636経営体、漁業就業者数は928人で、調査開始以来の最小値となり、全国的な減少傾向以上に大きく減少しています。  そのような状況下、豊かで魅力ある京都府の海を守り、将来の漁業や漁村を支えるための人材を育成する学びの場として、平成25年度に策定したアクションプランに基づき、京都府漁業者育成校「海の民学舎」が開校されました。  第1期生から第4期生までの就業状況は、舞鶴市4名、宮津市3名、京丹後市1名、伊根町5名となっており、本府の漁業振興と北部地域の活性化に向けて、個人漁業者や漁業経営体の育成、若手漁業者の経営力の向上、加工や海業等の漁村ビジネスのリーダーの育成などが期待されています。  そこで、西脇知事にお尋ねします。  平成14年度から続く担い手養成実践農場や、昨年度までの丹後農業実践型学舎など、今日まで取り組んでこられた先進的な、本府の農業担い手対策により、新規就農・就業者は毎年100名以上で推移しており、特に若年層の割合が高いことは大いに評価できるものだと考えます。また、昨年度策定されました京都府総合計画(京都夢実現プラン)に掲げる農業の新規就業者数5年間累計750人の目標値達成が、大いに期待されるところです。  漁業においても、商工観光業者と連携した漁業体験などといった海業の推進や、海の民学舎による若手漁業者の育成が、京都府北部に新たな活力を与えていると考えます。  知事は、これまでの農業、漁業の担い手対策の懸命な取組について、どのように評価されていますか。また、事業を推進する中で見えてきた課題と今後の展開について、御所見をお尋ねいたします。  最後に、地元課題でもあります河川改修について質問をさせていただきます。  本府における二級河川は、日本海に注ぐ36水系89河川でございますが、そのうちの一つ、竹野川は、京丹後市大宮町の五十河(いかが)地区から峰山町、弥栄町、丹後町を流れて日本海に注ぐ、全長は32.6キロメートル、流域面積は206.4平方キロメートルの丹後半島最長・最大の二級河川です。  竹野川流域では、これまで集中豪雨等によりたびたび大きな被害が発生しており、昭和47年9月の台風20号をはじめ、平成10年の台風7号、平成16年の台風23号、平成20年の7月豪雨などにより、大きな被害に見舞われました。
     近年では、竹野川の中下流と支流の小西川などで浸水被害が発生しており、特に小西川流域の中では、人口が集中している峰山市街地で浸水被害が多発しています。このエリアは、京丹後市役所の本庁舎や福祉事務所等が隣接しており、災害時には対策本部が設置される、地域防災の拠点となるエリアです。  竹野川は、明治40年や大正7年の大洪水を契機に大正5年から昭和6年までの15年間をかけて改修工事が実施され、河口から京丹後市大宮町の口大野付近まで改修を行ったそうです。しかし、その後も幾度か出水とともに災害復旧工事が実施され、昭和47年の洪水で甚大な被害を受け、これを契機として災害復旧助成事業による改修が進められ、昭和50年度に完成しました。さらに、昭和56年から平成12年にかけて局部改良事業による改修が進められました。  そのため、小規模な出水に対しては被害の防止・軽減が図られ、中下流域部には霞堤が点在し、洪水時の被害を軽減する機能を有してはいますが、災害の頻発化、甚大化により、近年の豪雨災害等により大きな浸水被害に見舞われています。  このように、異常とも言われる豪雨が全国各地で頻発し、京都府でも大規模な浸水被害が多発している中で、平成27年の水防法の改正と平成28年の「災害からの安全な京都づくり条例」の制定により、最大規模降雨による浸水想定区域の検討が実施され、竹野川水系でも洪水浸水想定区域図を公表いただく一方で、危機管理型水位計を設置していただき、水防活動や避難の目安となるリアルタイムの雨量、水位情報、河川防災カメラ映像の提供など、防災情報の共有化も進められています。  河川改修事業につきましては、平成27年8月に竹野川水系河川整備基本方針を策定いただき、昨年3月に、今後おおむね30年間の整備内容を定めた河川整備計画を策定していただき、現在も、人家浸水被害を解消することを目的として、竹野川、小西川、鳥取川の改修を実施していただいており、心から感謝を申し上げます。  このような状況の中、京丹後市におかれましては、洪水浸水想定区域図の公表を受け、本年3月に地域防災計画を修正され、ハザードマップ見直し作業を進められているとお聞きしております。  そこで、西脇知事にお尋ねします。  想定される最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域として指定されたことにより、防災情報等の伝達や周知の方法、避難場所や避難経路を含めた避難体制の充実・強化されることは水防法の改正の趣旨に合致し、最大規模の降雨による洪水浸水想定区域図を公表することで、地域住民の防災意識は高まるものと考えますが、同時に、防災・減災対策の強化や河川改修事業等の促進などに対し、期待や要望も強くなるものと考えます。国は、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」によりソフト、ハードの両面から集中的に取り組むとしていますが、知事の御所見をお尋ねいたします。  最後に、竹野川、小西川、鳥取川の改修事業につきましては、京丹後市役所、京都府丹後広域振興局、京丹後警察署など都市機能や防災拠点が集中している地域であるとともに、山陰近畿自動車道の早期延伸が見込まれる中で、京丹後市のまちづくりや、京都北部のグランドデザインを検討するためにも、竹野川、小西川、鳥取川の改修事業の早期完成が必要だと考えますが、西脇知事のお考えをお尋ねいたしますとともに、竹野川水系全体の早期改修を強く要望を申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。  御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 8: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 9: ◯知事西脇隆俊君) 農業と漁業の担い手についてでございます。  農業や漁業の担い手の減少、高齢化が進む中、京都府の農業と漁業を持続可能な産業として次世代に引き継ぐためには、人材の確保・育成対策が大変重要であると考えております。  京都府では、希望される生産品目や働き方、専業農家や法人への就業など、担い手のニーズに合った体系的な人材育成に取り組んでおります。  農業では、府立農業大学校において基礎技術の習得を目的としたカリキュラムを編成し人材育成に努め、毎年20名弱の方々が農業法人を中心に就業しております。  ただ、専業農家を志す方には、農業大学校のカリキュラムだけでは不十分であるため、担い手養成実践農場を全国に先駆けて創設し、より高い技術習得に加え、新たな担い手の受入れを希望する地域と就農希望者をマッチングし、農地もあっせんするなど、関係機関や地域全体で一貫した支援を行っております。  さらに、高度な技術習得が必要な分野につきましては、平成25年度から、試験研究機関での技術研修を受け就農する、丹後農業実践型学舎、宇治茶実践型学舎、畜産人材育成研修制度を順次創設してまいりました。  こうした様々な取組の結果、令和元年度は新規就農が64名、農業法人への就業が107名、合計171名が府内で就農し、10年前に比べ約2倍となっており、例えば丹後農業実践型学舎の卒業生が丹後国営農地で大規模な畑作に取り組む事例も出てきております。  さらに、就業先としての農業法人を拡充するため、規模拡大や省力化に必要な機械、施設整備を支援してまいりました。  その結果、農産物や加工品等の年間販売額が2,000万円を超える事業者が、平成30年度には394経営体と、ここ5年間で138経営体増加しております。特に九条ねぎや紫ずきんなどのブランド京野菜の分野では、周年栽培で取り組む若手経営者が活躍するなど、売上げ規模の大きな農家や全国トップクラスの経営を行う農業法人も生まれております。  今後、より一層収益力の高い専業農家を育成するためには、AI、IoT、ロボティクスなどのスマート技術の活用が必要であり、京都の品目や栽培方法に合うようメーカーと協力して製品開発を進めるとともに、農業分野でIT技術を活用できる人材を育成してまいります。  一方で、中山間地域や小規模な集落を多く抱える京都府においては、兼業農家など地域農業を支える担い手の確保・育成も大きな課題となっております。そのため、多数を占める小規模農家の販路開拓などを支援する「小さな経営革新チャレンジ支援事業」や、集落営農組織の特産品づくりなどの6次産業化の支援を引き続き行うとともに、定年帰農や移住による地域外からの多様な人材確保をさらに強化したいと考えております。  次に、漁業の担い手対策についてでございます。  将来の漁業を支える、高度な技術を備えた人材を確保・育成するために、現場での実習を担当する漁業団体や、研修後の定住先となる沿海の市町とともに、平成27年度に京都府漁業者育成校「海の民学舎」を開設し、人材育成に取り組んでおります。  この取組の結果、現在、13名の若者が「海の民学舎」を修了しておりますが、そのうち9名が京都府の基幹漁業である大型定置網や底引き網漁業に就業し、4名が二枚貝養殖や釣り・はえ縄漁業などの経営に自ら取り組まれております。  また、この学舎の取組を契機に、他府県から直接漁村に移住し、新規参入されるケースもあり、漁業の傍ら「漁港めし」などの海業に携わり、漁村振興の貴重な戦力として一翼を担っていただいております。  このように漁業においても、これまでの担い手対策が成果として現れていると考えております。今後は、若手経営者を対象とした経営力向上研修を拡充するとともに、海洋センターが技術開発中の金あじ養殖参入など、経営の多角化を進め、経営力の強い法人化を目指した取組を支援してまいりたいと考えております。  一方、U・Iターン人材による、漁村の地域資源を生かした漁村レストランなどの取組が成果を上げており、これらが漁村ビジネスとしてステップアップするよう伴走支援を強化してまいりたいと考えております。  現在、コロナ禍の影響が各方面で出ておりますが、食を支える農林水産業の安定感や地方での生活に対する関心が高まってきております。この機を捉えまして、意欲ある人材を確保・育成し、販売チャネルの多様化や新たなビジネスの創造を支援し、WITHコロナ、POSTコロナ時代でも農業や漁業が持続的に発展できるように取り組んでまいりたいと考えております。  次に、防災・減災対策の強化や河川改修事業の進め方についてでございます。  近年は、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生しております。昨年の台風第19号では、複数の河川で観測史上最大の流量を記録し、東日本を中心に142か所で堤防が決壊するなど、広い範囲に甚大な被害がもたらされました。  京都府におきましても、河川整備が着実に進んでいるところですが、災害が頻発・激甚化している昨今の状況を踏まえれば、堤防等の施設では守りきれない豪雨も想定し、ハード整備とソフト施策を組み合わせながら被害の最小化を図り、しなやかで災害に強い地域づくりを進めることが重要だと考えております。  まず、ハード整備につきましては、竹野川をはじめ府内64河川の河川整備計画を策定し、計画的に河川改修に取り組んでおります。平成30年度から今年度まで、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」により事業の前倒しを図っているところですが、来年度以降におきましても継続的な取組が必要であり、安定的、持続的な財源確保を国に求めているところでございます。  こうしたハード対策は確実に災害リスクを低減する効果が得られる一方、多くの時間と費用を要するため、被害軽減のためのソフト対策を並行して進めております。具体的には、昨年策定いたしました京都府総合計画におきまして、「逃げ遅れゼロ」プロジェクトを掲げ、地域ごとに自主防災組織における水害等避難行動タイムラインの作成を進めることとしております。  こうした地域における防災の取組を支援するため、府管理の377河川の洪水浸水想定区域図を作成することとしており、既に233河川を公表しているところでございます。また、3か年緊急対策で、水位計122基、河川防災カメラ58基を新たに整備し、河川の水位、映像をホームページで提供するなど、防災情報の充実に取り組んでいるところでございます。  次に、竹野川、小西川、鳥取川の改修事業についてでございます。  丹後半島で最大の流域面積を有する竹野川は、旧大宮町、旧峰山町、旧弥栄町、旧丹後町の市街地を流れているため、ひとたび氾濫いたしますと大きな被害をもたらします。特に平成16年には相次ぐ台風による災害に見舞われ、台風21号では床下浸水60戸、台風第23号では床上浸水26戸、床下浸水184戸の浸水被害が発生しております。  この平成16年の災害時と同規模の出水から人家浸水被害の解消を図ることを目指した、竹野川水系河川整備計画を平成28年3月に策定し、竹野川、小西川、鳥取川の河川改修を進めるとともに、洪水浸水想定区域図の作成や水位計の設置などに取り組んでいるところでございます。  このうち、河川改修では、3か年緊急対策を活用して、竹野川下流区間等の事業を促進したところであり、今年度からは小西川の市街地区間に国の大規模特定河川事業を活用して、集中投資を進めることとしております。  これらの河川改修事業の早期完成を目指しつつ、洪水浸水想定区域図や水位計、河川防災カメラ等の防災情報を活用し、京丹後市とも連携いたしまして、住民により伝わるよう工夫を行い、災害からの逃げ遅れゼロを目指してまいりたいと考えております。 10: ◯議長田中英夫君) 次に、馬場紘平君に発言を許します。馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕(拍手) 11: ◯馬場紘平君 日本共産党の馬場紘平です。通告に基づき、知事並びに教育長に質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症は、全国で感染者1万7,587人、死者927人、本府でも感染者363人、死者18人と、これまで経験したことがないような緊急事態、非常事態となっています。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、最前線で奮闘いただいている医療従事者の皆さん、生活を支える仕事に従事していただいている多くの皆さん、行政関係者の皆さんに改めて感謝と連帯を申し上げます。  「自粛と一体に補償を」という声は、野党はもちろん、多くの国民の一致した声になってきました。先日成立した国の第2次補正予算では、雇用調整助成金の日額上限1万5,000円への引上げ、休業による影響を受けた労働者への支援金、中小企業などへの家賃補助、経済的に困窮する学生への給付金など、国民の声に押されて進んだものの、それでも危機的な状況に十分に見合ったものだとは言えないと考えます。  その上、この間の国会では、その支給の遅れが大きな問題として議論されている持続化給付金で、広告代理店最大手の電通などがつくった団体が支給業務を受託し、その大部分を電通やパソナ、その関連企業へと再委託し、再委託のたびに委託料が各企業に落ちていく仕組みが国民の疑念を招く事態になっています。「こんな大変なときに、国は一体何をしているのか」という怒りが広がっています。  地域の中では既に廃業したお店も少なくありません。影響を受けた全ての事業者に、事態に見合った十分な支援を至急に行う必要が求められています。  こうした中で、世界各国の対応との差が鮮明になっています。まさに政治の在り方が問われています。  全ての中小企業などを下支えするために、消費税を緊急に引き下げることが必要ではないでしょうか。さらに、暮らしや地域経済を支える財源を確保するためにも、株価の買い支えや武器などの大量購入を見直す必要があるのではないでしょうか。政治の在り方について、知事の認識をお聞かせください。  次に、新型コロナの影響で苦しむ全ての中小企業・小規模事業者が事業を継続することができる支援の在り方と、今後の経済政策の在り方について伺います。  「かつて経験したことのないような危機に見舞われている」、地域経済の土台である中小企業、小規模零細事業者の状況を、京都商工会議所の5月26日の会頭記者会見ではこのように表現されました。  企業への調査でそれぞれの指標が悪化しているのか、良好なのか、回答の割合を数値化して現状の方向を示すと言われるDI値は、京都府中小企業団体中央会の4月調査では景況動向のDI値がマイナス92.9となっており、非製造業ではマイナス87.5、製造業ではマイナス100など、深刻な数字が並んでいます。  丹後機械工業協同組合の調査でも景況動向DI値はマイナス77となっており、府下の広い範囲で深刻な事態になっていることが示されています。さらに、茶業や漁業、林業など一次産業でも、価格の低下や販売先の喪失など影響が広がっており、本府の地域の暮らしや地域経済を支えるあらゆる分野に深刻な影響が出ている状況です。  我が党議員団では、ゴールデンウイーク中も含め連日、電話や現場に出向くなど相談活動を続けていますが、当初「制度の内容を教えてほしい」といった問い合わせが多かったものが、最近では、「持続化給付金を申し込んではいるが間に合わない。ほかに何か使える制度はないか」「使えると思って申請したが、却下された。運転資金がない」など、差し迫った相談が増えています。  こうした声が示しているのは、国の持続化給付金や府の休業支援給付金、緊急応援補助金など様々な支援策を使っても、影響がいつまで続くか分からない中で、次の支援がなければ続けられないという実態ではないでしょうか。現場の実態に見合った、実効性ある対策を急いで実施する必要があります。  そこで伺います。  中小零細事業者などが倒産や廃業に追い込まれかねない事態が迫っていると考えますが、知事の認識をお聞かせください。  事業の継続を見通すことができる支援が求められています。国に対して持続化給付金の再給付を実施するように求めるべきと考えますが、いかがですか。さらに、府としても事業継続への支援として、緊急に固定費への補助を実施する必要があると考えますが、いかがですか。  新型コロナによる地域経済の深刻な事態の背景には、中小零細企業や地場産業が元々置かれていた困難な状況があります。昨年10月の消費税10%への増税による消費の冷え込みが、地域経済に暗い影を落としている中で、今回の新型コロナが追い打ちをかけています。  特に京都では、和装産業の衰退、金属機械工業の海外へのシフトの対策として、1998年以降観光を重要戦略に位置づけ、観光客を呼び込み、その波及効果で京都経済の押し上げを図るとしてきました。  そうした中で、昨年の観光入込客数は8,500万人、観光消費額は約1兆4,000億円に膨れ上がってきました。安倍政権の進めるインバウンド政策に沿って、ホテル誘致による建設ラッシュもすさまじい勢いで進んできました。  しかし、観光客は急増したものの、観光公害と指摘されてきたように、地域の暮らしや経済は置き去りにされてきました。そうやって進めてきた観光が、新型コロナの影響でほぼ消滅とも言えるような状況になったのです。  4月のホテルの稼働率が、前年比83.3ポイント減の5.8%となりました。これまでの観光戦略があまりにももろいものであったことが、奇しくも浮き彫りになりました。今こそ、厳しい状況にある、その中でも必死に頑張る99%の中小企業、伝統産業に光を当てた支援が必要です。  そこで伺います。  インバウンド中心の観光に軸足を置いた経済政策が、新型コロナウイルスの影響で破綻を来していると考えます。これまでの観光政策や経済政策の総括と転換が必要と考えますが、いかがですか。お答えください。 12: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 13: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の御質問にお答えいたします。  今後の政治の在り方についてでございます。  新型コロナウイルス感染症について、京都府としては早期発見、早期対応に向けた1日350検体の行政検査が可能な体制や、陽性患者を確実に治療できるようにするための431床の入院病床、338室の宿泊療養施設を確保してまいりました。  事業者支援についても、例えば無利子融資は約1万件、金額約2,000億円を超える申し込みをいただいておりますが、おおむね2週間程度で実行されるなど、必要な施策を速やかに講じてまいりました。  また、この間希望する妊婦に対するPCR検査の公費負担にいち早く取り組むとともに、国に対し、雇用調整助成金の拡充、無利子融資の民間金融機関への拡大と融資限度枠の増額等、多くの提案をしてまいりました。  これらの提案はいずれも国の補正予算に盛り込まれており、国としても現場の声を踏まえた柔軟な対応を行っていただいているものと認識をしております。  議員御指摘の諸点のうち消費税につきましては、全世代型社会保障に必要なものとして法律で税率の引上げが行われたものであり、少子高齢化社会における我が国全体の社会保障財源の問題として、国において検討されるべきものであります。  また、事業者に対する支援は、税率の引下げに限らず給付金や助成金、無利子融資など様々な選択肢があることから、国におかれましては、速やかに効果が発現し、真に実効性の高い施策を講じていただきたいと考えております。  また、金融マクロ経済政策や安全保障政策については、国の責任において適切に検討、判断されるべきものと考えております。  今後とも国におかれては、現場の声に耳を傾け、第2波・第3波に備えた検査・医療体制のさらなる充実や、感染拡大防止のための制度の運用、さらにはWITHコロナ社会における社会経済活動に必要な支援などに取り組み、国、地方がそれぞれの役割に応じ、より迅速・的確な対応を取ることができるようにしていただきたいと考えております。  次に、経済対策についてでございます。  国の持続化給付金につきましては、事業の継続にとって大変有効な支援策であり、必要とされている方々に一日も早く届けられる必要があると考えております。そのため、京都府では、中小企業緊急経営支援コールセンターを設置し、府の制度と併せまして、当該給付金をはじめとする国の制度につきましても案内・相談等に応じております。  また、全国知事会においても、国に対しまして複数回の支給やフリーランスなど対象者の拡充について提言し、京都府独自でも、当該給付金の早期かつ円滑な執行について要望したところであり、この結果フリーランスへの対象拡充や申請サポート会場が増設されるなど、制度の充実につながったところでございます。引き続き、必要な支援が迅速に行われるよう国へ要望してまいります。  この持続化給付金をはじめ、雇用調整助成金や京都府の制度融資、助成制度等あらゆる施策を総動員して、企業の経営の継続と雇用の維持に全力で取り組んでいるところでございます。また、固定費に対する支援につきましては、国の持続化給付金や雇用調整助成金のほか、国の第2次補正予算において家賃支援給付金が創設されたところでございます。  次に、観光政策や経済政策についてでございます。  京都産業の特色は、伝統産業とその技術を生かした電子部品や電気機械、化学メーカー等のハイテク産業、コンテンツ等の文化産業、和食や観光関連産業など、極めて多彩な産業構造となっており、それぞれの産業が成長できるようバランスの取れた施策を講じてきたところでございます。  例えば、平成26年から平成29年にかけまして京都府のGDPは1兆円増加いたしましたが、うち5,000億円はそうした多彩なものづくり産業の成長が牽引したものでございまして、京都府の経済政策は、決してインバウンド観光に偏重しているわけではございません。  今後も、京都経済の総合的な振興を図ることが重要であるため、危機克服会議において、商店街・小売業、ものづくり産業、伝統産業、観光関連産業、食関連産業の5つの産業分野それぞれにおいて、WITHコロナ社会における産業戦略を検討してまいりたいと考えております。 14: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 15: ◯馬場紘平君 御答弁をいただきました。昨日もお答えをいただいていたんですが、無利子の融資などは1万件を超えて、必要な施策については取り組んできたし、多くの方に利用いただいているということでお答えをいただいたんですが、現状は、先ほどお伝えしましたように、「このままでは、事業継続ということがなかなか見通せない」という声が非常に多くなってきているということを、一つは受け止めていただく必要があるというふうに思っています。  そういった意味でいいますと、政治の在り方が問われていて、今後も国においては、WITHコロナ社会を実現していくために、経済支援も含めてしっかりやっていただきたいという一般的な話があったんですが、そうではなくて、今、目の前で困窮している府民の皆さんの切実な声にどうやって応えていくのかということが問われているわけですね。  消費税の増税というのは、消費の大きな冷え込みはもちろんですけれども、この新型コロナの中で、その逆進性がやはり際立ってきている。収入の減少に苦しむところに、さらに重い負担になるということが現場で言われているわけで、この深刻な形で影を落としている消費税を今、緊急に引き下げる、このことがやっぱり必要なんじゃないかというふうにお聞きしています。  社会保障の財源ということがありましたけれども、緊急な引下げについてどのように考えるのか、お答えいただきたいと思います。再度、御答弁をいただきたいと思います。  経済対策についてですけれども、今、言いましたように、現場では経営を持続するために支援が必要だというふうに考えています。そういった意味でいいますと、これまでは、観光はどちらかというと裾野の広い産業で、これを広げていくことが京都経済のプラスになるんだというふうにおっしゃってきていたと思うんですけれども、今回は、ものづくりが主体であって、そうではないんだという話があって、どういうことかなというふうには思います。  「Go Toキャンペーン」も国が打ち出していて、コロナ後はこれを対策として広げていくと言われているわけで、そういう観光、いわゆる外からの呼び込みだけで本当にいいのかどうかということがやっぱり問われているというふうに思っています。  地域では、先ほど言いましたように、「持続化給付金は確かに助かる」と。ただ、「影響がいつまで続くのか分からない。このことを考えたら展望が持てない」という声があるわけで、売上げ減少が続く中で事業を継続していこうと思ったら、重い負担になっている固定費をどうするのか。家賃はありますけれども、例えばリースであったりとか、水光熱費であったりとか、いろんな固定費があるわけですから、そうした補助制度が必要ではないかというふうに思いますけれども、その必要性について再度、御答弁いただきたいと思います。 16: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 17: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の再質問にお答えいたします。  まず、1点目の消費税の問題についてでございます。先ほど御答弁いたしましたけれども、全世代型の社会保障の財源の問題として導入されており、この扱いについては国において検討されるべきものと思っておりますが、この間の国の1次補正予算、2次補正予算を見ましても、かなり大幅な国費というか税金が投入されているという状況でございますので、当面コロナ対策という形におきましては、今の措置をいち早く必要な方に届けるということで、その施策の推進に最大限努力するのが必要じゃないかと思っております。  3番目に御質問いただきました持続化給付金につきましても、今、様々な給付制度なり支援制度がございますので、それを確実に迅速に、必要な人に届けるということが必要だというふうに考えております。
     観光の問題につきましては、観光を入り口として総合政策として進めるということを申し上げてまいりましたし、インバウンドにつきましては、かなりリスクヘッジをする形で京都観光は進めてきたつもりでございますが、今回の新型コロナウイルス感染症というのは、人と人との接触、人の移動を止めるということで、観光にとりましてはその根本的なところが止まっているという状況でございますので、今、我々がやらなければならないことは、第2波・第3波に備えながら、感染予防に万全を期して段階的に観光振興を取り戻していく、そのことに注力することが必要でございまして、その先に、さらに新しい観光の在り方については検討してまいりたいと考えております。 18: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 19: ◯馬場紘平君 再度御答弁をいただきましたけれども、本当に今の現場の皆さんの感覚と少し違うのではないかなというふうに私は思っています。  確かに、今ある制度をいち早く使えるようにして届けていくということは大切ですけれども、今現場で非常に苦しんでいる人たちにしてみたら、いつまで続くか分からないこの影響を乗り切っていこうと思ったら、自分たちが続けていけるのかどうか、ここの瀬戸際に立っているわけなので、そこに光を当てようと思えば、持続的に経営していくということを保障するような、こうした支援がやはり必要だというふうに思います。  特に今、国会の議論を見てみますと、影響を受ける人々の中に、また中小企業の中に線を引いて、制度が使える人と使えない人という分断を生み出す一方で、持続化給付金の外部委託に見られるように、大企業の利益は最優先にする。そうした姿勢が浮き彫りになっていますし、まさに国民の命と健康、暮らしとなりわいが危機に陥っている中で、不要不急の憲法の改正や種苗法改正などは推進する。検察庁検事長の定年延長を後追い的に合法化するために検察庁法改正、これは国民の声に押されて延期せざるを得なくなりましたけれども、こういったあまりにもひどいやり方が、国民の怒りを大きく買って広げているというわけです。  政治のこうしたゆがみから府民の命や暮らしを守るという本府の役割が最も求められているし、大きく問われていると思っています。目の前で苦しんでいる府民の皆さんや事業者の皆さんをどうやって守っていくのか。そのためには、国に対してきっぱりと物を言っていただかなければいけない。本当の意味で物を言える知事が求められているというふうに思っています。  ドイツでは、消費税に相当する付加価値税を緊急に3%減税するというふうになり、メルケル首相は「未来のための経済対策だ」と説明をされました。与党自民党の中でも、消費税減税の声は根強く上がっております。府民の代表として、国に消費税の減税をぜひ求めていただききたいというふうに思います。  同時に、国がやらないからということではなくて、それほど府民の暮らしもなりわいも危機的な状況にあるわけですから、地域の土台である中小・零細事業者の事業の継続、これをぜひとも全力で応援する対策をしっかりと強化していただきたいというふうに強く求めて、次の質問に移りたいと思います。  暮らしと地域経済を考える上で、もう一つ重要な課題が雇用の問題です。  6月2日に厚生労働省が発表した、新型コロナウイルス感染症の雇用への影響調査によりますと、京都府内の事業所で雇用調整を行う可能性のある事業所が651事業所、解雇などが見込まれる労働者が396人に上ることが明らかになりました。今後、影響が長期化すれば、さらに深刻な事態が広がっていくことが予想されます。  また、その影響が真っ先に、立場の弱い非正規労働者に表れているということも重要です。「突然の雇い止めで収入が断たれ、家賃が払えずに家を失う」、こうした相談が労働組合で増えているといいます。自粛やそれに伴う休業などによる雇用への影響も深刻です。さらに、フリーランスなど、国が進めてきた新しい働き方で、労働基準法による休業手当や当初、持続化給付金の対象にならない場合があるなど、様々な法律や制度のはざまに陥るという事態も明らかになりました。  そこで伺います。  仕事を失うことが即、暮らしの崩壊につながる事態が出てきています。仕事の相談はもちろん、生活も含めた総合的な相談をワンストップで行うことができる相談窓口を、労働局など国の出先機関や府内の市町村などとも連携して、急ぎ設置するべきと考えますが、いかがですか。  経済再生の根幹にあるのが雇用です。新型コロナで影響を受ける雇用・労働の対策として、冷え込んだ個人消費をどう温め、内需を温めていくのか、その最大の保障となる最低賃金の引上げが必要だと考えますが、いかがですか。  多様な働き方の名の下に、フリーランスや非正規雇用という不安定な働き方が増やされてきました。こうした雇用破壊が、今度の新型コロナウイルスの影響をより深刻なものにしているのではないでしょうか。こうした流れを転換し、正規雇用を中心にした雇用の在り方へ見直す必要があると考えますが、いかがですか。  次に、学生のまち京都でこそ求められる学生への支援の強化について伺います。  そもそも、大学などの高等教育は、社会の知的・文化的な発展、国民生活の質の向上、地域経済などに大きな役割を果たすものです。だからこそ、世界各国は高等教育の発展に力を入れるし、欧米などではコロナ禍でもいち早く支援が実施されています。そうした世界の流れから見ても、国の対策は極めて遅れていると言わなければなりません。  家族の収入減少やアルバイトのシフト激減、内定取消しなどが、学生生活に深刻な影を落としています。家族の収入減少は、学費の支払いや仕送りなどに直結します。さらに、多くの学生が生活費の全部もしくは一部をアルバイト収入に頼っている中で、アルバイト収入が途絶えたり減少したりすることは、即、学生生活の破綻につながります。  学生団体FREEが4月に行ったインターネットアンケート調査では、4人に1人の学生が「退学や休学を考えている」と答えており、学生の将来に深刻な影響を及ぼしかねない事態になっています。  さらに、京都では大学が多く集中する中で、学生たちが学び続けることができない事態が、地域の経済などにも深刻な影響を及ぼしています。  ある大学では、学生数の約半数が下宿生で、そのうち約60%が京都府に来ることができない状況にあるとお聞きします。その大学だけで30%の学生が、地域から消えたことになります。大学周辺の学生マンションや学生をターゲットとした飲食店などは、大きな影響を受けています。国の対策が大きく遅れる中で、学生が京都で学び暮らし続けることができるような支援が必要だと考えます。  そこで伺います。  学生のまち京都とは、決して大学が多い、学生が多いということだけではなく、学生が地域の暮らしや経済の中で非常に重要な役割を果たしていることではないでしょうか。学生が京都経済に果たす役割について、知事の御所見をお聞かせください。  大学が休業し、大学構内への立ち入りまで制限されてきた状況の下で、まずは大学などとの連携組織を立ち上げて、学生の置かれている実態についてしっかりとつかむ必要があると考えますが、いかがですか。同時に、大学などと連携して、学生の身近なところに相談窓口を設置する必要があると考えますが、いかがですか。  国の第2次補正予算に学生への給付金が盛り込まれました。しかし、大学ごとに割り振られた金額は、2,000人を超える学生を抱える京都府立大学では2,760万円、約1,400人の府立医科大学では940万円で、あまりにも不十分と言わなければなりません。国に対して、困窮する全ての学生が給付を受けられるよう制度を改正するとともに、そのために必要な財源を確保するよう求めるべきと考えますが、いかがですか。  高等教育無償化や給付型奨学金などは、要件が緩和されたものの、まだまだ対象は限られています。全ての学生が学び続けられるよう、国に対して授業料半額支援を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、本府としても、幅広い学生を対象とした独自の給付型奨学金制度や家賃などへの補助制度を創設すべきと考えますが、いかがですか。ここまでお答えください。 20: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 21: ◯知事西脇隆俊君) 雇用対策についてでございます。  京都府では、労働者からの相談を京都府労働相談所において、来所、電話、メール等の様々な手段で対応しているところでございます。この間、「新型コロナウイルス感染症の影響により勤務がフルタイムから週1日になり、このままでは生活ができない」「勤務が減少して、ローン返済等に困っているがどうすればよいのか」といった、仕事と生活が密接に結びついた内容の相談が多く寄せられているため、幅広い相談や各種支援制度に精通した相談員が対応しており、例えば生活資金の確保が必要であれば社会福祉協議会につなぐなど、相談内容に応じて専門の機関におつなぎし、ワンストップで対応しているところでございます。  次に、最低賃金の引上げについてでございます。  最低賃金の引上げは、地域経済の好循環につながることから重要であると考えており、京都府ではここ数年、毎年20円以上の引上げが行われ、900円を超えているところでございます。現在は、新型コロナウイルス感染症による影響が大きいことから、企業の事業継続、雇用維持を最優先に考え、あらゆる施策を講じて全力で対応しているところであり、まずはこの危機を乗り切ることが最重要課題であると考えております。  次に、雇用の在り方についてでございます。  現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、とりわけ非正規雇用やフリーランスなどの方にとって大変厳しい状況となっております。  京都府では、このような不安定な立場の方に対するセーフティーネットの構築について、国に対して緊急要望を行うとともに、離職を余儀なくされた方や新規学卒者等を対象に、京都ジョブパークでのウェブ相談も活用するなど、きめ細かい就業支援に取り組んでいるところであります。  その中でも、正規雇用を希望される方へのサポートは特に重視しており、コロナの影響を受けて離職を余儀なくされた方々に雇用型訓練を実施し、休職者の生活の安定を図りつつ正規雇用につながる仕組みを構築する京都未来塾事業費の予算を今議会に提案しているところであります。  いずれにしても、一人一人が年齢や性別などにかかわらず、正規雇用、非正規雇用やフリーランスなど、希望する働き方で、意欲的に充実した職業生活を送ることが大切であると考えており、セーフティーネットの充実を図りながら、引き続き多様な働き方の推進を支援してまいりたいと考えております。  次に、大学生への支援についてでございます。  学生が京都経済に果たす役割についてであります。京都府では、大学周辺の商店等をはじめとした多くの事業所が、学生生活に密着した経営をしておられます。また、地域の行事やボランティア等の担い手として地域活性化に貢献いただいている学生も多く、京都にとって学生はかけがえのない存在となっております。加えて、大学や研究機関が集積する京都で学ばれた学生は、京都企業にとって優秀な人材の供給元になっており、学生が京都経済に果たす役割は非常に大きいと認識しております。  次に、学生に対するきめ細やかな支援と身近な相談窓口の設置についてでありますが、この間、京都府では、大学の休業や遠隔授業に伴う大学生への影響や生活状況、大学の感染拡大防止への対応状況等について、府内の大学と意見交換を実施してまいりました。大学からは、学生が安心して大学に通うため、どうやって再開すればよいかとのお声を受け、大学の再開に向けたガイドラインをお示しし、再開を支援してまいりました。  今後、大学連携会議の場などを活用し、大学から、学生の状況、課題等をしっかり把握するとともに、授業再開支援補助金により各大学の相談体制を充実する取組を支援するなど、大学と十分連携を図りながら、大学生を支えてまいりたいと考えております。  なお、学生の相談窓口につきましては、身近な各大学に既に設置されており、大学によっては全学生に連絡を取り学生の状況を把握されているところもあるなど、きめ細やかに対応されているところでございます。  次に、国の予備費を活用して創設されました学生支援緊急給付金でありますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でアルバイト収入等が減った学生等に対し、住民税非課税世帯の学生には20万円、それ以外の学生には10万円が支給されることとなったところでございます。現在、各大学において申請を受け付け、審査を行っているところでございます。  なお、国によれば、何よりも早く学生に支給したいとの意向で、配分を2回に分け、第1次の推薦期限を6月19日とされているところであり、今後、1次推薦ができなかった人数などの調査を行った上で、2次配分額が示されると伺っております。  次に、学費等の支援についてであります。新型コロナウイルス感染症の影響で学費等の支援が必要となった大学生につきましては、昨日、園崎議員にもお答えしましたとおり、授業料等の支援が必要となった学生に対しましては、国の要請に応じ、各大学では授業料の延納も行った上で、国の制度である年収380万円未満世帯を対象とする入学料、授業料の減免や給付型奨学金の手続を進められているところでございます。  さらに、府立の2大学につきましては、国の新制度を上回る年収460万円未満世帯を対象に授業料の減免を行っております。  京都府といたしましては、こうした学生向けの支援が十分活用されるよう、引き続き各種制度の周知に努めるとともに、引き続き国や大学と連携をしながら、次世代を担う学生が経済状況に左右されることなく安心して学べるよう、取り組んでまいりたいと考えております。 22: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 23: ◯馬場紘平君 御答弁をいただきました。  まず、雇用対策についてですけれども、労働相談所でワンストップで対応させていただいているということ、不安定な立場な人たちへのセーフティーネットの話がありましたけれども、今、民間の調査研究機関が、最悪の場合、この新型コロナで300万人を超える失業者が生まれるというふうな調査結果を発表されています。  リーマンショックのときの関連失業者数が約97万人ですから、その影響の大きさは極めて深刻だと私は思っています。そうしたものに対応できるような体制になっているのかということだと思うんです。  労働相談所で頑張っていただいているのはもちろんなんですけれども、それは氷山の一角だと見る必要があるというふうに私は思っています。このコロナの中で、専用の相談窓口、先ほど御紹介をいただいたように、労働相談所でも、生活と仕事を失うということが密接に関わったような相談が増えてきているわけですから、やっぱり緊急の相談窓口を設ける必要があると思います。  4月の臨時議会の際に予算がつきまして、労働局と連携をして中小企業の雇用継続の相談窓口をつくっていただいています。これを、例えば対象を企業だけではなく労働者にも広げながら、そこに生活相談機能も拡充すれば、それこそ今あるものを生かしてでもすぐに設置できると思うのですが、こうしたことをぜひとも考えていただきたいと思いますが、この点はどうか、再度答弁をいただきたいと思います。  さらに、休業によって給料が減ることが暮らしの崩壊に直結する、これは、最低賃金の低さなどの労働条件の低さが招いているものだと私は思っていまして、労働者の暮らしはもとより、地域経済の再生を考えていく上でも、先ほど言いましたように消費を温めていく。どうやって温めていくのか、やはり労働者の懐を温めていく、そのためには最低賃金を抜本的に引き上げていく。当然、先ほど御紹介があったように、中小企業などへの影響がありますから、そうしたところにはしっかりと支援をする。こうしたものを両輪で、国に対してしっかりと求めるということが必要ではないかと思いますが、その点について、再度、御答弁をいただきたいと思います。  学生についてですけれども、「かけがえのない存在だ」というふうに御紹介いただきましたが、ただ、「様々な制度、支援策については、国のほうでやっていただいています」「大学のほうでも取り組んでいただいています」という話があるだけで、府として何をしてくれるのかということには、なかなか御答弁がいただけなかった。これは背景にあるのは、この間も給付型奨学金の話をしますと、京都府は高校のことは全力でやります、大学については国がやってもらうんだという話がありまして、まさにこの考え方が、今、お話があった制度の中にも反映されているのではないかと思っています。  このコロナ禍の中で大学生の果たす役割、果たしていただいている役割が極めて重要だ、かけがえのないものだというふうになったわけですから、例えば全国に目を向けますと、八王子市では、国の学生給付金の対象から外れる学生がいる、そこに向けて10万円の給付制度を創設するといった取組もされています。こうした全国の取組にも学びながら、学生のまちと言われるこの京都で、学生たちがどんな状況でも学び続けることができる、このことを支えるということが重要になっているわけですから、もう一度御答弁いただきたいと思います。  府としても独自の給付型の奨学金や、家賃などへの補助をぜひともつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。 24: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 25: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の再質問にお答えいたします。  まず、1点目の雇用の問題でございます。リーマンショックの話がございましたけれども、私どもも、雇用についてはほかの経済統計に比べると若干遅れて出てくるということもあるし、非常に深刻な状況は今後も続いていくというふうに思っておりまして、京都府独自としても、リーマンショック時に設けました緊急雇用創出事業の創設を強くお願いしております。これであれば、3番目の問いにもつながるわけでございますけれども、学生とか非正規雇用の方も含めて、かなり幅広い雇用創出ができるのではないかというふうに思っており、引き続き、雇用につきましては努力をしてまいりたいと思っております。  窓口につきましては、全て一本化の窓口をつくりますとそこは膨大になりすぎますので、私としては、労働相談所できちっとさばいてつないでいくということのために、ワンストップではぜひ労働相談所に御相談いただく体制を、逆にうまく流れるように整備してまいりたいと思っております。  それから、最低賃金の引上げにつきましては、従来から最低賃金の引上げは非常に重要な課題ということで努力してまいりました。ただ、現下の状況を見ますと、やはり雇用の維持について最大限の努力を払うべきだと考えておりまして、このコロナの危機を乗り切る、その過程の中で、最低賃金については次の課題ということで、これは引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  学生独自の話がございましたけれども、答弁の中では触れませんでしたが、一つは人数は少ないですけれども、京都府で会計年度任用職員として学生の方を採用するという取組をしております。それから、大学側・学生側の要望として、再開ガイドラインをつくらせていただきましたけれども、そのときに再開の補助金もお認めいただいておりますので、そういうことを活用し、大学、学生の希望をよく聞き取りまして、何が学生にとって一番支援になるのかということを含めて、もし必要があれば、さらなる努力は重ねてまいりたいというふうに考えております。 26: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 27: ◯馬場紘平君 御答弁をいただきました。  一つは、雇用や労働、また学生生活の中で起こっている問題というのは、これまでの制度が遅れていたということが問題を大きくしていると思っています。安い労働力を供給して、しかも企業にとっての使いやすい労働力という形で進めてきた、この間の安倍政権の雇用・労働政策の矛盾がここで噴出をしていると思っています。  この矛盾を根本から転換しようと思いますと、中小企業をしっかりと支援しながら内需を温める、そのために労働者の働く環境、特に賃金を引き上げていく、このことが必要だと私は思います。同時に、この間、多様な働き方の名の下に増やされてきた不安定な雇用というものをしっかりと正規の雇用に、在り方を変えていくことが必要ではないかなと思っています。  この間、コロナの対策の中で、国民の声や運動が様々な制度を動かしてきています。先ほども紹介がありましたように、雇調金や休業支援金、こうしたものの制度の拡充とか中身が前進するということがあります。  雇調金でいいますと、派遣労働者も利用可能だということが国会で答弁されましたし、同じように休業支援金はパートやアルバイトでも利用できると、これは担当大臣が国会の中で答えています。  ただ、こうした制度は、知られないことには使われないということがありまして、制度を知らずに、今現状でいうと、生活が成り立たなくなるという方がたくさんいらっしゃる。そのためには、当然、制度を前に進めていくということはもちろんですけれども、先ほど言いましたように、やっぱり相談窓口をしっかりと整える、このことが必要だと思うんです。  私が紹介しましたように中小企業の雇用維持、雇用継続の窓口でなくて、労働相談所だというふうにお話があったわけですけれども、だったらその労働相談所で、今、申し上げたような様々な制度もしっかりとやる。特に300万人を超えるかもしれない失業者が生まれると言われているわけですから、体制も強化しないといけないし、同時にそこには様々な支援機関が、「じゃあ、どこどこに相談してください」ではなくて、そこでワンストップで受けて答えることができるという制度が必要だと思います。ぜひとも、労働相談所であれば、そこの拡充、制度・機能を充実させていく、このことについては前向きに検討していただきたいというふうに思います。  学生については、学生からの声を聞き取りながら、必要があればさらに充実させていくというお話がありました。そういった意味では、学生たちが今、上げている声を聞いていただきたい。「学び続けたい」という声を上げているわけです。始まった実態調査で今、出ているのは、学費を半分支援してほしい、こうした署名が大きく広がっています。  同時に、学生への給付金が打ち出された後には、使える人と使えない人といった分断を持ち込まないでほしい、全ての学生を対象にしてほしい、こういった署名も大きく広がっている。この声にぜひとも応えていただきたいと思いますし、国が背を向ける中で、学生のまちである京都の果たす役割が大きくなっていると考えます。  今の労働相談所の中身について、もう一度御答弁いただければと思います。 28: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 29: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の再々質問にお答えいたします。  労働相談所の窓口の件でございます。おっしゃるように、窓口の一本化というのは、私もいろんな経験がございますが、全部集中させるとかえって機能しない場合もあります。とにかく相談された方が納得して、なるべく必要なところにつないでいく、そのために必要があれば改善もし、機能も強化してまいりたいと思っております。  いずれにしても、雇用の維持が一番重要な課題でございますので、それに向けて努力をしてまいりたいと思います。 30: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 31: ◯馬場紘平君 再度御答弁をいただきました。私はワンストップというのは一つの手ではないかなと思いますので、ぜひ、前向きに検討いただきたい。次の質問にいきたいと思います。  次に、医療崩壊を防ぎ、予想される感染拡大の第2波・第3波へ備えるための対策について伺いたいと思います。  医療現場の最前線でも大きな困難が広がっています。私は先日、医療従事者の方々からお話を聞いてまいりました。感染の不安と隣り合わせの中で、人員不足、マスクや防護服などの不足に直面しながらも、ぎりぎりのところで奮闘してきた実態が生々しく語られました。  サージカルマスクは1週間に1枚しか支給されず、医療用のN95マスクやガウン、フェースシールドも十分にそろわない中で、「自分が院内感染を起こさないか、とても不安」「妻の初出産にも立ち会えないで、いまだに赤ん坊をだっこすることも控えている」という若い看護師さん、「今、ぎりぎりの人材で頑張っているため、本来なら介護休暇も取らせてあげたいけれども、それもできなくてとてもつらい」と涙ながらに訴える主任の看護師さん。このように、ぎりぎりのところで奮闘している現場の方々のこうした声にどう応えていくかが問われています。  同時に、医療労働者だけでなく、医療機関の経営でも深刻な事態が広がっています。京都府保険医協会の緊急アンケートによりますと、サージカルマスクはようやく供給が回復しつつあるものの、ガウンやフェースシールドなどは6割近い医療機関が「既に在庫がない」と回答しており、感染防止に必要な基本的な物資がいまだに不足している状況です。さらに、9割を超える医療機関で、保険診療収入が減っていることが報告されています。  私の地元伏見区のある診療所では、収入の大半を支える健康診断が4月は80%減少、5月に至ってはほぼゼロになり、4月、5月の2か月間で前年比8,000万円の減収で、借入金の返済や職員の給与の支払いなど、経営に深刻な影響を及ぼしているという話も伺いました。  今、国や京都府に求められているのは、現実に医療現場で働く皆さんの感染の不安をできるだけ引き下げるために、マスクやガウン、フェースシールドなどの安定供給に全力を挙げること、さらに、現場の皆さんが安心して働くことができるように、減収に苦しんでいる医療機関を全力で支えることです。  そこでまず、支援制度の拡充について伺います。  患者や利用者の減少、健康診断の自粛などによる減収の影響を受ける全ての医療機関への支援が必要です。診療報酬の概算払いについて前年度の医療収入を基準とし減額調整などを行わないようにするなど、収入への補填を行う必要があると考えますが、いかがですか。  また、本府の医療機関等緊急資金確保支援事業は病院のみを対象としており、地域の診療所やクリニック、介護施設などは利用できません。全ての医療機関などを対象とするべきと考えますが、いかがですか。  さらに、第2波・第3波に備えるためにも、発熱者が診察を受け、必要な場合にはスムーズにPCR検査を受けることができるようにしておく必要があります。そのためには、設置を進めているPCR検査センターと一体で発熱外来を整備する必要があると考えますが、いかがですか。  さて、新型コロナによる医療崩壊の危機をより深刻なものにしたのは、この間の国の社会保障政策ではないでしょうか。  厚生労働省は昨年9月に、公立・公的医療機関のうち424の病院について、再編統廃合について特に議論が必要と病院名を公表しました。がんや救急など高度な医療の診療実績が少ない病院だから、あるいは近隣に機能を代替できる民間病院がある病院だからとして、ベッド数や診療機能の縮小なども含む再編が必要だという機械的な選定で、地域の実態を全く見ないものであるとして、本府は、計画の撤回は求めないもののこうしたやり方は認められないと表明されました。  こうしたことがなぜ行われるのか。その背景には、全世代型社会保障の名の下に、社会保障における公的責任を弱め、自助、共助を社会保障の中心に持ち込もうとしてきたことがあるのではないでしょうか。
     そこで伺います。  どの地域でも安心して医療を受けることができるように、国や行政がしっかりと責任を持つことの重要性が、新型コロナの対策で改めて示されたと考えます。知事の御所見をお聞かせください。  また、公立・公的医療機関の再編統廃合を迫る国の424病院の公表については、明確に撤回を求めるべきと考えますが、いかがですか。  次に、府民の命を守る保健医療体制の問題についてです。  2001年に発足した小泉内閣は構造改革を加速し、医療分野では国民の負担増に加え、医療費削減を目的とした医師数抑制政策が続けられたため、医師不足が社会問題化し、医療崩壊と呼ばれる事態になりました。  このとき、日本医師会など医療関係40団体は2008年7月に、「社会保障費の年2,200億円削減の撤回」を決議されています。にもかかわらず、公立病院改革ガイドラインが策定され、強力に病院改革が押しつけられ、全国各地で地域医療の崩壊が加速されました。  京都府でも、小泉構造改革に追随し、市町村合併の押しつけ、府立洛東病院の廃止、保健所と土木事務所の統廃合など、構造改革路線を持ち込み、府民生活や地域を壊してきました。2004年には保健所が12か所から7か所に統廃合され、保健師だけでも7人減らされています。2004年3月には100年の歴史を持つ府立洛東病院を閉鎖するとともに、2013年には与謝の海病院を法人化、附属病院化を行いました。その後、京都市では、2010年に11保健所を1保健所と11支所に統廃合し、保健所の設置要件の緩和が進められてきました。  そこで伺います。  第1波の対応では、保健所の保健師などの専門職に大きな負担がかかりました。こうした職員を抜本的に増員する必要があります。同時に、今回のように緊急に対応が求められるようなときに、どんな事態でも府民の命を守るために十分に機能できる保健所が必要です。その配置の見直しを検討すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。 32: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 33: ◯知事西脇隆俊君) 医療機関への支援についてでございます。  診療報酬の概算払いにつきましては、新型コロナウイルス感染症により収入が減少した医療機関等からの、短期的なつなぎ資金繰り対策を求める声を踏まえ、国が審査支払機関に要請したものでございます。  これを踏まえ、審査支払機関においては特例的に、令和2年5月診療分の報酬の一部を本来の支払い月である7月から6月に早め、概算前払いとなったものでございます。このため、迅速かつ簡素な手続きとなるよう、東日本大震災において適用された仕組み、直近3か月の平均診療報酬実績を踏まえた措置が講じられているところでございます。  また、医療機関等の減収に対する補填につきましては、国の責任においてその支援策を早急に講じるとともに、都道府県による医療機関等への支援の取組につきましても、幅広く緊急包括支援交付金の対象とするよう、国に対して要望を行ってきたところでございます。  医療機関の資金確保に対する支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた医療機関に対しては、独立行政法人福祉医療機構が、長期運転資金の無利子・無担保での優遇融資を実施しておりますが、夏の賞与などの短期的な運転資金への支援が必要であります。  このため、従業員数300人を超える病院向けの制度として、医療機関資金確保緊急支援事業を創設するとともに、小規模な病院や診療所に対しては、個人事業主や中小企業者等を対象とした無利子無担保の融資制度を創設しております。これらの制度の活用により、全ての医療機関の資金確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、発熱外来についてでございます。  新型コロナウイルスの疑いがある方につきましては、これまでから、帰国者・接触者相談センターを通じて、42か所ある帰国者・接触者外来への受診調整を行い、診察と検査を一体的に実施しているところでございます。  3月下旬から4月上旬にかけて「相談センターにつながりにくい」とのお声もお伺いし、京都府医師会の協力を得て、かかりつけ医の判断で迅速に検査を受けられる京都検査センターを2か所設置したところでございます。  今後、第2波に備え、帰国者・接触者外来を45か所に、また検査センターを5か所まで拡充するとともに、かかりつけ医を通じて有症状者を把握する京都府医師会の「京ころなマップ」と連携するなど、相談センター及びかかりつけ医で受診体制を整え、感染者の早期発見と感染拡大防止に努めてまいりたいと考えております。  次に、公立・公的医療機関等の役割についてでございます。  京都府ではこれまでから、府民の皆様が住み慣れた地域で安心して医療を受けられることを目指し、地域における保健医療提供体制の構築を進めてまいりました。こうした中で、今回の新型コロナウイルス感染症について、公立・公的医療機関を中心とした感染症指定医療機関や多くの民間医療機関にも協力をいただき、第1波においては医療崩壊を起こすことなく対応ができたところでございます。  公立・公的医療機関の再編・統廃合につきましては、これまでから、各地域医療構想調整会議において、各医療機関の機能や役割について丁寧に議論を進めているところであり、国に対しましては、地域医療構想調整会議の結果を十分に尊重するよう、強く申し述べているところでございます。  今後は、WITHコロナ社会を前提に、府民が必要なときに適切な医療を受けられる地域医療につきまして、感染症対策も含め、改めて公立・公的病院及び民間病院が参加する地域医療構想調整会議において、議論を進めていきたいと考えております。  次に、感染症対応に係る保健所等の執行体制についてでございます。  保健所の配置につきましては、地域課題に迅速に対応するとともに市町村への支援を充実するため、平成16年度の振興局再編におきまして集約化と拠点化を図っており、感染症対策をはじめとする健康危機管理から保健医療、福祉、環境衛生において専門性と機動性を発揮してきたところでございます。  保健師の職員体制につきましては、近年多様化する府民の健康ニーズや自然災害への対応力を強化するため、10年間で22名増員し、現在105名を配置しております。また、平成26年度から本庁に統括保健師長を配置し、平成27年度には2か所の保健所に、今年度にも新たに2か所に地域統括保健師長を配置し、保健所機能の強化に取り組んでいるところであります。  特に院内感染やクラスターの発生など、疫学調査対象の接触者を多く抱えた保健所におきましては、振興局全体で保健所支援の体制を取るとともに、本庁や他の保健所からの支援はもとより、市町村からの保健師派遣を要請するなど、総力を挙げて応援体制を構築したところでございます。  今後、第2波に備え、これまでの保健所における対応を検証し、検査技師や保健師等の技術スタッフはもとより、一般職員による支援の充実など、より一層の体制強化を進めてまいりたいと考えております。 34: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 35: ◯馬場紘平君 御答弁をいただきました。  医療崩壊対策ですけれども、医療従事者が働き続けられなくなるということであったり、地域の診療所やクリニックが経営できなくなると、地域医療を担う地域の医療機関、こうした現場を支えるマンパワーが弱まるということです。こうなれば、第2波・第3波に対する対応というのはできなくなると思います。  先ほど、300人以上は府の緊急資金の確保の制度、それ以下については中小企業の資金確保の制度というものを使っていただくということがありました。それをしっかりと現場に届けていただくということはもちろんですけれども、ただ、現場でお話を聞くと、それでも間に合わないという声もやはり一方である。短期的なお金についてはそれでいけるかもしれないけれども、これから先どうなっていくかということを考えたときに、それでいけるのか。特に力の弱い小さなところについては、それでは対応できないという声もあるわけですから、地域の通常の医療を担う診療所や病院への減収補填がやっぱり必要ではないかなと思いますけれども、この点についてはもう一度答弁をいただきたいと思います。  医師が必要と判断した人が検査を受けることができる、この検査体制を確保することであったり、重症化に対応するために病床を確保することは必要なことであります。さらに、第2波・第3波を考えたときで言いますと、インフルエンザなどと同時に発生するのではないかということも言われていて、そうなれば、今その発熱がインフルエンザによるものなのか、新型コロナによるものなのか、この診断をする必要が出てまいります。  第1波では、地域の診療所などの中では、先ほど紹介した防護資器材が不足して、発熱者を受け入れることができないという事態も発生しました。第2波・第3波で、もし同じように地域の診療所が発熱者を受け入れられなくなったら、一体どこでその発熱者を診断するのか。  私はそのためにも、相談センターはもちろん、かかりつけ医ももちろん、それと併せて第3のルートとして、検査センターとセットで発熱外来を整備する必要があると提案をさせていただいていますけれども、その点について、もう一度お答えいただけますでしょうか。 36: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 37: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の再質問にお答えいたします。  1点目、地域医療への支援についてでございます。この間、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の過程で、感染症患者を受け入れるだけではなくて、受診控えを含めた、地域医療が全体的に経営が苦しいという状況は、これは全国的に皆さんが認識しているとおりでございまして、先ほど申し上げました融資体制もその一環として措置したものでございます。  ただ、おっしゃるように、この経営の厳しさがどれだけ続くのかということにつきましては、我々も全国知事会を通じまして、緊急包括支援交付金の活用も含めて、地域医療の支援については万全を期すように政府のほうにお願いをしておりますし、今後これがどの期間続くか分かりませんけれども、今後の展開次第では、さらなる措置を国に求めてまいりたいと考えております。  2点目の発熱については、御指摘そのとおりだと思っております。これからは暑くなる季節でございますけれども、秋から冬にかけては一般の感冒なり、一般のインフルエンザによる発熱、発熱にはそれ以外にも様々な要因がございますけれども、そうした方が病院に行かれたときにそれに対応できないということでは困りますので、現在進めております帰国者・接触者外来の拡充はもとよりですけれども、御指摘のありました検査センターと併せた、かかりつけ医の拡充も含め、医師会とも十分連携を取りながら、発熱された方が困らずに、的確に受診していただけるように体制を整えてまいりたいと考えております。 38: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 39: ◯馬場紘平君 再度御答弁をいただきました。地域医療を担っていただいている、特に小さな診療所やクリニック、こうしたところも含めてやはり支えるということがないと、第2波・第3波を含めて対応するということは非常に難しいと思っています。  先ほど御答弁の中でもありましたけれども、概算払いの制度は前倒しで払っていただけるけれども、翌月で精算されてしまうということになっていまして、それでは現場の状況と合わないと私は思っています。地域の対策を進めていく上でも、しっかりと損失補填に踏み切るということを求めていきたいと思っています。  医療対策については、地域のクリニックや診療所なども感染症指定医療機関などとともに、不足する資機材の中で感染リスクを感じながら、同時に患者さんが減っていくという経営を圧迫するといった状況の中でも診療を続けていただいて、地域の医療を守っていただいた。これが第1波の現状だと思います。  医療従事者の中でいっても、現場の体制についても、新型コロナ対応にどうしても集中せざるを得ないといった状況の中で、今まで以上に厳しい体制の中で医療を支えていただいた。これがあったからこそ、第1波で医療崩壊が起きずに乗り切ることができた。こうした大きな力だというふうに思っています。  本当に今、求められているのは、どの地域でも安心して医療を受けることができる、このことだと思いますし、全ての医療機関が引き続き診療を続けることができる、このことの支援が必要ですし、全ての医療従事者が安心して働き続けることができる条件を整えていくことがどうしても必要です。  だからこそ、繰り返しになりますけれども、損失補填、減収補填については、しっかりと取り組んでいただく、このことを求めていただきたいというふうに思っています。  保健所については、やはり現場の体制には非常に困難がありますので、そうしたところの体制の強化についてはしっかり取り組んでいただきたい。このことも求めておきたいと思います。  次の質問に移ります。  次に、教育への影響に関わってお聞きいたします。  全ての学校が約3か月の休業を経て、6月1日から再開されました。教育とは、知識や教養を身につけることはもちろん、人格の完成を目指すものであります。だからこそ、子どもたちにとって大切な学校での生活が失われた、この影響は極めて深刻だと考えます。  我が党議員団で取り組んでいるインターネットアンケートには、子どもたちからも声が寄せられています。「学校に早く行きたい」「友達と会いたい」、こういった声とともに、「学校が始まらなかったらいいのに」「勉強が難しくなるのが不安」など、学校の再開への不安の声も多くの子どもたちから寄せられています。  感染症対策についても、学校が再開したことを歓迎する声とともに、3密を避けることが難しい学校生活は大丈夫だろうかという保護者の声も少なくありません。こうした中で学校が再開されています。子どもたちの成長・発達と、感染防止対策の両方をどう確保するのか、現場ではこれまで経験したことのない対策が求められています。  そうした立場から、我が党議員団では6月1日に学校再開に当たっての緊急申入れ、6月11日には子どもたちの健やかな育ちを保障するための対策について、緊急申入れを行いました。  国の第2次補正予算では、コロナ対策の名の下にICT端末などを活用した家庭学習の推進などには積極的な一方で、子どもたちが学校に登校することをどう保障するか。感染症対策でも行き届いた教育の実施でも、その最大の保障となる教員の加配については、最終学年を少人数編制とするためとして、全国で3,100人のみです。これでは10校に1校しか加配がないことになります。さらに、学習指導員も1校当たり1から3名程度の配置にとどまるなど、人員増には極めて後ろ向きです。  集団生活をする学校での感染症対策としては、マスクや体温計、消毒液などの資器材を整え、教員や児童生徒の感染防止対策を徹底し、学校にウイルスを持ち込まない対策を徹底することに加え、社会的距離をしっかりと確保するためにクラス編制を抜本的に見直すことが必要です。  さらに、子どもたちの成長や発達を保障する上で、突然の長期休業で成長・発達に差が生じていることが考えられる児童生徒一人一人の到達点に寄り添った教育を徹底し、ストレスを抱えたり、不安を感じている子どもたちの心に全力で寄り添うことができる体制を急ぎ整えることが必要です。  そこで伺います。  感染防止対策に必要となる社会的距離の確保のためにも、また一人一人の児童生徒に行き届いた教育を行うためにも、全ての学年での30人以下学級を実施すべきで、そのために教員体制の強化を早急に行う必要があると考えますが、いかがですか。  同時に、子どもたちの心に寄り添うためには、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる支援や、虐待やDVなどに対応するための児童相談所の支援も重要です。そのための抜本的な体制の強化も必要と考えますが、いかがですか。  最後に、自治体の在り方、府政の在り方についてお聞きいたします。  今回のコロナウイルスは、府民の暮らしと営業に未曽有の影響を与え、行政の果たす役割が厳しく問われました。また、今後の第2波・第3波の感染拡大が予測される中で、感染拡大を防止し、命と暮らしを守る抜本的対策の一刻も早い実施が求められています。そのために、府政の在り方を率直に見直すことが必要です。  コロナ前、コロナ後ということが言われ、生活様式や働き方、社会の在り方の抜本的転換が求められています。今までのやり方に大胆にメスを入れ、抜本的な転換が必要だと考えます。それは国政だけでなく、地方自治体も同様です。その観点から幾つか、お聞きいたします。  コロナ対策で浮き彫りになったのは、圧倒的なマンパワーの不足ではないでしょうか。民間の医療機関と同じく府立病院でも、新型コロナ対応の病床確保をしようとすると、そこに配置する医師や看護師などの体制確保に大変苦労していると現場からお聞きしました。  感染者の移送や検体の運搬、濃厚接触者の確認と経過観察など、重要なゲートキーパーの役割を果たしている保健所でも、「もし内部で感染者が出たらどうなるか」という不安の中で、ぎりぎりの対応に当たっていただいたとの話もお聞きしました。府民の命や暮らしを守る力は、システムだけでなく人の力であることが改めて浮き彫りになっています。  そこで伺います。  一昨年、本府では職員定数条例が改正されました。その中身は、正規職員の定数を約1,000人減らすというもので、定数割れしていた実態に条例を合わせるという本末転倒なものでした。こうしたやり方を改め、抜本的な職員増にかじを切る必要があると考えますが、いかがですか。  もう1点は、府民の暮らしを守るという点での府政の在り方です。  知事は、防災対策などが大きく遅れていることは認めながらも、北陸新幹線の延伸やリニア新幹線誘致を、財政負担や環境影響など府民へのまともな説明もないまま、強引に推進する姿勢を示しています。  さらに今後、第2期となる舞鶴港の拠点機能整備や城陽東部丘陵地のアウトレット建設と再開発など、国の事業と結んだ開発型、呼び込み型の開発を進めようとしています。府民の安心・安全な暮らしを守る点で大きな課題があると考えます。  また、京都のまちと文化をもうけの道具にする外国人観光客誘致、インバウンドに偏重した、国の地方創生戦略の下、京都府が率先して京都市と一体で文化・観光総合特区の活用を進めた結果、空き家や学校跡地が違法民泊や東京・大阪資本のホテルに次々と変わり、地価の高騰で子育て世帯は住めなくなり、地域住民が市バスにも乗れず、交通渋滞が常態化するなど、暮らし破壊とまち壊しが起こりました。そして、今、インバウンド頼みの経済政策の破綻は、あまりにも明確ではありませんか。  そこで伺います。  北陸新幹線など大型開発は一旦見直して、新型コロナウイルス感染症対策に財源や人的資源を集中するなど、万全を期すことが必要だと考えますが、いかがですか。お答えください。 40: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 41: ◯知事西脇隆俊君) 児童虐待やDVの相談体制の強化についてでございます。  新型コロナウイルス感染拡大防止のため長期間の外出禁止のストレスにより、児童虐待やDVのリスクの高まりが懸念されているところでございます。そのため、学校など関係機関と連携し、リスクの高い家庭に対して、家庭訪問や電話連絡など子どもの状況の把握に努めており、現在までのところ、相談件数や一時保護の増加は認められないところでございます。  児童相談所の人員体制につきましては、この5年間で児童虐待の相談件数が2倍となっていることから、平成29年度から計画的に増員し、今年度も児童福祉司と心理判定員合わせて5名を増員しており、この間、19名の増と大幅に拡充したところでございます。  また、DV家庭においては子どもへの暴力も同時に行われていることも多いことから、重篤化を未然に防止するため、市町村などとの一層の連携強化を担う児童虐待DV防止連携推進員3名を昨年度末に配置したところでありますが、市町村や警察とも十分な連携を図り、必要な支援体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、これからの職員体制についてでございます。  今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る体制については、コールセンターやPCR検査センター業務に全庁的な応援態勢を組むとともに、管内で多数の感染者が発生した南部の保健所には、本庁や北部の保健所から保健師を派遣したほか、補正予算の迅速、的確な執行のため、5月1日及び6月8日付で対策業務の中心となる危機管理部や健康福祉部、商工労働観光部に合計50名を超える人事異動を行うなど、時期を逸することなく対応してまいりました。  現在、今日までの対応に係る執行体制の検証を行っておりますが、現場対応をする保健師業務等の点検を踏まえ、また頻発する自然災害への対応も念頭に置いて、計画的に技術職、専門職を確保・育成することが必要であると考えております。  このため、有事に備えた国の応援部隊制度を活用した土木職など技術職員の採用増や、保健師などの技術職員OBを活用する人材バンクの検討を進める一方で、毎年度、事務事業の徹底的な見直しを図る中で、引き続き厳しい行財政環境を踏まえた、簡素で効果的、効率的な執行体制を確立してまいりたいと考えております。  次に、府政の在り方についてでございます。  議員御指摘の北陸新幹線につきましては、日本海国土軸の一部を形成するとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識しております。  京都府といたしましては、引き続き、環境影響評価手続において自然環境、生活環境の保全が十分に図られるようしっかりと必要な意見を提出するとともに、府民の皆様への分かりやすく丁寧な説明を求めてまいります。  また、費用負担につきましては、今後詳細計画が固まった段階で建設費や負担の考え方が示されるものと考えており、京都府としては引き続き受益に応じた地元負担となるよう強く求めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、府政に求められるのは、地域の活性化も含め住民福祉の増進を図るという地方自治体の役割を踏まえ、多岐にわたります行政課題に迅速かつ的確に対応していくことでございます。  この観点から、議員御指摘の防災・減災対策につきましては、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」等を活用し、ハード・ソフト両面から強力に取り組みを進めているところでございます。  また、現下の喫緊の課題であります新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国の地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金等の財源を確保し、累次にわたり総額で2,000億円を上回る規模の補正予算を編成するとともに、全庁的な応援態勢により医療・検査体制の確保、厳しい状況にある京都経済への対応、府民生活の安心・安全対策を時期を逸することなく、最優先かつ集中的に対策を講じてきたところであります。 42: ◯議長田中英夫君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 43: ◯教育長(橋本幸三君) 馬場議員の御質問にお答えいたします。  少人数学級の実施についてでありますが、新型コロナウイルス対策として学校における感染症予防を徹底するとともに、児童生徒の学びの保障を図ることが大切であります。  国における少人数編成による授業はその取組の一つであり、指導内容の年度繰越しが困難な小6と中3を対象に、原則今年度限りの措置として、必要な教員配置ができるよう第2次補正予算に必要経費が計上されたところでございます。
     本府におきましても、教員の加配をはじめ児童生徒への学習支援や様々な感染症対策の補助を行う学習支援員やスクール・サポート・スタッフ等、教育体制の緊急強化に係る予算を今議会でお願いしております。  今回の措置は臨時的なものであって、少人数学級自体を目指すものではなく、また一律30人以下学級の実施に向けた教員定数の増には、多額の財源や教員の人材確保が必要なことから、直ちに抜本的な定数増を図っていくことには課題もあるものと考えております。  こうした中、本府においては、京都式少人数教育の継続や専科教員等の配置拡充、ICT機器の活用などを通じて学びの環境を充実する一方で、学校における様々な課題に的確に対応できるよう、引き続き、教員定数の確保・拡充に向け、国にしっかり要望してまいりたいと考えております。  次に、スクールカウンセラーやまなび・生活アドバイザーについてでございますが、日常的な子どもたちの心のケアのみならず、臨時休業や学校再開の影響による子どもたちの抱える様々な悩みやストレス等の的確な把握や迅速な対応は、喫緊の課題であります。  そのため、さきの4月補正予算において、スクールカウンセラー等の学校への派遣回数を年4回から週1回に拡充したところであります。  今後とも、各学校において追加配置したスクールカウンセラー等が十分活用され、児童生徒の心身の状況の把握や心のケアなど、一層きめ細やかな支援が行われるよう努めてまいります。 44: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 45: ◯馬場紘平君 御答弁をいただきました。  まず、教育への影響について、再度質問させていただきたいと思います。  先ほど紹介しましたように、子どもたちの心の中であったり、教育については非常に心配をしておりまして、こうした状況の中で全ての子どもたちに行き届いた教育と心のケアを届ける必要があるというふうに思っています。  詰め込みになって勉強についていけない子どもや学校に行けない子ども、こうした子どもたちに寄り添うことも必要だと私は思っています。そのためには、子どもたちの成長・発達を支える、現場の教職員の皆さんの力がどうしても必要です。  この間、分散登校期間中の子どもたちの様子をお聞きする機会がありました。クラスの人数が半分になって、「いつもは手を挙げないうちの子どもが授業で手を挙げるんです」と言うお母さんがいらっしゃいました。子どもたちが「分かった」「分からない」、そういうことをちゃんと言える。今、求められているのは、そうした授業ではないかというふうに思います。  今、国に対して財源もしっかり求めながら、同時に府としても、この少人数学級を全ての学年で取り組むことが必要ではないかと思いますけれども、再度御答弁をいただきたいと思います。  自治体の在り方についてですけれども、第1波の際には、厳しい状況にあった保健所については、様々な他の保健所、市町村なんかも含めて応援をいただいて乗り切ってこられたという話がありました。  こういう中で、今後、OBの人材バンクなんかもつくって対応できるようにという話があったんですけれども、まさにこれは、府内全域でもし感染者が急増する、第2波・第3波がどうなるか分かりませんから、こういった状況、また新たな感染症が発生したときに本当に対応ができるのか、そこに大きな課題があるのではないかというふうに私は思います。  府の職員の皆さんが総力を挙げていただくということはもちろんですけれども、やっぱり府として計画的に職員を増やしていくということが必要ではないかと思うんですけれども、その点についてはもう一度御答弁をいただきたいと思います。 46: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 47: ◯知事西脇隆俊君) 馬場議員の再質問にお答えいたします。  第1波につきましては、まさに御指摘のとおり、同じ振興局の中、また本庁、他の保健所からの応援、さらには市町村からの保健師の応援を含めて、総力で何とか乗り切ることができました。現在、その過程につきまして検証しておりますけれども、第2波への備えにつきましては、そうした検証結果を踏まえて、万全の体制になるようにこれから準備を進めてまいりたいというふうに考えております。  計画的に増やすという御指摘がございましたけれども、これも府民の税金を使って整えているものでございますので、そこは簡素で、なおかつ効果的、効率的な組織を目指すというのが基本と考えております。全体の行政ニーズのバランスを考えながら、必要なところには思い切って増員配置する等の、めり張りをつけた組織運営を努めてまいりたいと思っております。 48: ◯議長田中英夫君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 49: ◯教育長(橋本幸三君) 馬場議員の再質問にお答えいたします。  少人数学級についてのお尋ねでございます。  教員定数の拡充を図り、より丁寧に子どたちを指導できる環境を整えることは、子どもたちの学びの質を高め、また教員の負担を軽減する意味でも大変望ましいことであるというふうに認識をしております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、教員の量とともに質も重要である中、御指摘いただいたような30人以下学級を一気に実施していくためには、財源問題のほか、質の高い教員の確保や、また教室の確保など、解決すべき課題も多くあるのではないかと思います。  こうしたことを踏まえますと、今は小1のみ35人、2年生以上は40人とされております学級編制基準をまず見直し、標準法改正による定数改善を段階的、計画的に進めていくことが、より現実的また効果的ではないかと考えております。  また、決して少人数学級を否定するものではございませんが、一律の少人数化によってクラスを分割しますと、学級規模が小さくなりすぎるというケースも出てまいりますので、京都式少人数教育の趣旨であります、市町教育委員会や学校の判断で少人数授業を含め柔軟に方式を選択できる制度としたほうがよいのではないかというふうに考えております。 50: ◯議長田中英夫君) 馬場紘平君。    〔馬場紘平君登壇〕 51: ◯馬場紘平君 再度答弁をいただきました。  教育についてですけれども、私は先ほども言いましたように、今の現状というのは、今まで以上に一人一人の子どもたちに寄り添った、こうした教育が必要だというふうに思っています。同時に感染症防止、こうした面でもしっかりとした社会的距離を保とうと思えば、やはり少人数のクラス編制を実施するといったことがどうしても必要だというふうに思っています。  ICTであったりとか、極めて限定的な職員増では、とても対応できないというふうに私は思います。子どもたちの成長と発達をしっかりと守る、そのためにも少人数教育の実施、そのための教員増が絶対に必要だということは、申し上げておきたいというふうに思います。  コロナ対策を通じて私は、住民に身近で暮らしをトータルで支える、こうした自治体の重要性が改めて浮き彫りになってきたというふうに思っています。  しかし、この間、自民党政治が進めてきた地方制度改革は、行政サービスは民間へ、職員の数はできるだけ減らすといったもので、今こそ、こうした地方自治破壊は根本から転換することが必要だというふうに思っています。職員体制や組織そのものの在り方、住民福祉の向上という自治体本来の役割に立ち戻って見詰め直していくことが必要だというふうに思います。  その意味では、本日幾つか質問させていただきましたけれども、コロナ禍の中でそのもろさが明らかになりましたけれども、公衆衛生や医療・福祉はもちろんですが、地域経済対策をどうしていくのか、目の前の府民の暮らしをどうやって守っていくのか、このことが今、本府に鋭く問われているというふうに思います。  しっかりとした体制の強化ももちろんですし、府民の皆さんの願いに応えることができる、府民の皆さんの命や暮らしを守ることができる。本来の役割、これをしっかりと果たしていただくことを強く求めて、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 52: ◯議長田中英夫君) この際、午後3時55分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。    午後3時34分 休憩            ────────────────────    午後3時57分 再開 53: ◯議長田中英夫君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、村井弘君に発言を許します。村井弘君。    〔村井弘君登壇〕(拍手) 54: ◯村井弘君 公明党議員団の村井弘です。通告どおり、会派を代表いたしまして、西脇知事に質問を行います。質問が重なるかもしれませんが、非常に大事な課題でありますので、明快な答弁をお願いいたします。  まず初めに、今回の感染症でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げます。また、御関係者の皆様方にお見舞いを申し上げます。  また、医療・福祉関係者の方々をはじめ、今回の対策に関わっておられます全ての皆様方に感謝申し上げます。  6月補正予算案について一言、申し上げます。  4月補正、5月補正に続き、国による新型コロナウイルス感染症対策に連動した補正予算案になっています。感染症拡大防止への取組強化、第2波への備え、並行して進めなければならない社会経済活動のレベルアップと慎重さの中で力強さが要求される府政運営ですが、様々な局面を想定した予算案であることを評価いたします。議決されれば、スピード感のある予算執行を要望しておきます。  それでは質問に入らせていただきます。  まず初めに、公衆衛生の役割と府民生活の変化についてお聞きいたします。  公衆衛生の歴史は、感染症対策の歴史と言われております。公衆衛生の果たしてきた役割を示すものとして、19世紀半ば、世界的なコレラの大流行がイギリスに及び、5万人の死者が発生しましたが、このとき、ジョン・スノウという医師が感染源は飲み水の取水地に原因があることを突き止め、感染を終息させています。この出来事は、コッホによるコレラ菌発見の30年前であります。日本においても、2月質問で示したように近代水道を採用した日本の乳幼児の致死率は大きく下がります。  これらの事例は、感染症対策において公衆衛生が果たしてきた役割がいかに大きいものかを示しています。今回の新型コロナウイルス感染症において有効な治療薬や確立した治療法がない現在、最大の処方箋を公衆衛生に求めることは必然のこととなり、また将来発生するかもしれない新たな感染症に対しても、公衆衛生の観点から、人の行動の在り方に変化が求められると思われます。  また、最近、「新常態」とか「社会的距離」という文字をよく見たり、聞いたりします。具体的には、3つの密を避けた人との日常、テレワークと称する一人きりの会社勤務、ICT活用による直接ではない対面教育などを代表例として、全く別の生活様式が求められていると言われております。これは、従来の行動からいえば、新鮮味もあれば、不安も伴うことが予想されます。  そこでお聞きいたします。  感染症対策において、公衆衛生が果たしてきた役割を踏まえますと、今回の新型コロナウイルス感染症への対応でも、公衆衛生上避けることのできない生活様式の変更が求められていると考えますが、これに対する本府の対応について、現時点での御所見をお聞かせください。  また、新常態からいえば、交流人口の活発化を基本にした考え方に大きな変化が生じます。そうなりますと、例えば京都府総合計画や今年度当初予算に影響が生じるものと考えますが、この点についていかがお考えでしょうか。  次に、新型コロナウイルス感染症の検査体制についてお聞きいたします。  令和2年初春、中国の武漢市から拡大した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界へと感染を広め、今や感染がないのは南極と北極だけと言われるほど、世界同時進行で流行した感染症であり、特筆されるのはその潜伏期間の長さであります。  過去、世界でパンデミック、つまり、ある病気が国中、あるいは世界中で流行することを起こしたものとして、ペスト、コレラ、スペイン風邪や新型インフルエンザなどが挙げられます。特にペストは、今までに5回、パンデミックを起こしたと言われており、第2回目は14世紀にヨーロッパを中心に流行し、ヨーロッパの3分の1の人がこの疫病のため亡くなったとの記録があります。  北里柴三郎氏の発見によるワクチンが開発されてからの19世紀末においても、1,000万人が亡くなり、ワクチン開発後の近年においてもパンデミックは発生しています。コレラにおいては、19世紀から現在までの間に7回の大流行。毎年、130万人から400万人が発症し、2万人強から14万人強が亡くなったとの推計があります。また、1918年から19年には、感染者5億人、死者が4,000万人から1億人とも言われるスペイン風邪という感染症が起こり、日本においても大きな犠牲が出たことは、100年前の歴史であります。  新型コロナウイルス感染症においては、治療薬の開発はこれからであり、既存薬の候補はあくまでも治療薬ができるまでの代替とされています。その意味からも、早期発見による衛生面での封じ込めが、現時点で重要であります。そのためには、検査体制の強化と陽性者の隔離が重要となることは、これまでの指摘のとおりであります。  新型コロナウイルス感染症の感染者が本府で発見されてから約4か月がたちました。陽性者は減り、当初、懸念された医療現場の大きな混乱はひとまず回避されたと思われる昨今ですが、第2波拡大抑制のため、ワクチンを含めた医療薬の完成までは、早期発見に努めることが何より重要となります。  そこでお聞きいたします。  現在の体制として、検査に至るまでの相談窓口となる帰国者・接触者相談センターを設置されました。当初、電話が通じないなど苦情があったとお聞きしていますが、現在の相談件数や対応状況をお示しください。  検査方法には、現在、感染しているかどうかを判定するPCR検査と抗原検査、過去に感染したことがあるかどうかを判定するための抗体検査の3種類があり、PCR検査では唾液を検体とした検査も実施されると聞いております。  これらの検査は大変重要な検査になりますので、検査結果に判定ミスが生じないようにしなければなりません。より正確さと速さが求められますが、どのようにしてより精度の高い検査にしていこうとされておられるのでしょうか。  帰国者・接触者外来でのPCR検査のための検体採取に加え、京都府と京都府医師会が協力して運営する京都検査センターを今後5か所に拡大するとのことですが、京都府の人口は260万人、南北に長く人口密集地域や日常の生活圏が他府県と交差している地域があり、おのずと比重が異なるところが本府の特徴であります。よって、人口集中地域での検査体制を手厚いものにしておく必要があります。  また、PCR検査は希望者全員ではなく、あくまでも医師の判断によるものとのことであり、ここでは専門家の知見が発揮されるわけですが、希望者全員ではないところに不安を残すことも考えられます。  また、国は、6月19日までに都道府県などに、ピーク時に対応できる検査体制の整備について報告を求めているとのことです。5月補正では、670名までの拡充を図られましたが、十分とお考えでしょうか。今後の検査体制の強化についてお示しください。  次に、医療供給体制についてであります。  PCR検査結果により陽性者を無症状者、軽症者、中等症者、重症者の4段階に選別したものを入院医療コントロールセンターで調整するとされており、京都・乙訓地域、山城地域、南丹以北の3ブロックごとに、重症度の高い患者に対しては集中的に対応できる医療機関と、軽症者を中心に治療を行う医療機関を分けることにより、より重症者への治療に専念できることは、今回の感染症の傾向からも的確な対処方法であると考えます。  その上で、患者受入れ病床を431床、軽症者等への対応用として宿泊施設900室確保を目指していると聞き及んでいますが、十分との判断をされたのでしょうか。さらなる体制強化の必要性をどのように感じておられるのでしょうか。加えて、重症化が懸念される高齢者、基礎疾患、慢性疾患をお持ちの方や妊産婦の方への医療体制を医師会と連携の下、今後整えていただきたいと思います。  また、医療用の資材の不足が一時伝わってきましたが、第1波での供給状況はどのようなものだったのでしょうか。感染拡大の第2波に備えて、資材を安定的に確保するためにも、先を見据えた資材の備蓄計画が必要だと考えますので、お考えをお伺いいたします。  医療従事者に対する配慮も、これまで以上に必要です。このたび国においては、第2次補正予算として緊急包括支援交付金が拡充し、医療や介護・福祉の提供強化や病院経営の安定化、医療従事者や福祉事業所の職員の慰労金の支給ができるなど、地方創生臨時交付金と合わせると自由度の高い予算が交付されることになりましたので、これを十分に確保し、しっかりと活用していただくことをお願いしておきます。  次に、京都府立大学が支援する、ダチョウの抗体の研究について質問いたします。  これは新型インフルエンザが発生したときより、ダチョウの抗体が非常に有効であるとの研究が進んできているとお伺いしています。この活用方法としては、マスクや除菌スプレーとして実用化されていることも頼もしい限りであります。  さらに研究を重ねていただき、感染症の治療薬などの開発と実用化に向けて、その成果を生かしていただきたいと考えますが、ダチョウの抗体研究の位置づけはどのようになっているのでしょうか。さらなる支援が必要と考えますが、このお取組についての本府の御所見をお聞きいたします。  次に、感染症を前提とした複合災害対策について質問いたします。  まずは、新型コロナウイルス感染症を前提とした避難指示、避難勧告など、避難情報の発令時の府民の行動計画と避難所の体制についてであります。  避難所の体制については市町村の運営でありますので、避難情報の発令、避難所運営に関しては府は十分な支援を行う必要があります。過去に発令された避難情報において、町全体が対象になっていたり、隣接する市町村で発令が異なっていたり、また市町村横断で適用されるほうが実質的であったり、実際に避難が可能であったかどうかなど検証が必要な事象が見受けられたと認識しております。  そういう課題がある中で、本年は感染症が前提の中、市町村が出す避難情報が住民に的確に伝わり、住民が的確な行動が取れるようにしなければなりません。  府は、避難所整備のための補助金などで支援があることは承知していますが、避難そのものがより現実性のあるものにしておくことが必要です。現在、府が発表した洪水浸水想定区域図に各市町村が避難場所や避難経路などを落とし込んだハザードマップを策定中ですが、さらに精度が必要とも言われています。  その中で新型コロナウイルス感染症が前提となり、3つの密を避ける避難所運営には、今までなかった人数制限が加わり、避難所の数や立地場所も含め、検討が必要と思われます。市町村がつくる避難体制が速やかに策定できるよう、本府としても最大限に支援を行うことを求めておきます。  新型コロナウイルス感染症の広がりを経験し、改めて複合災害対策の必要性を強く感じます。南海トラフ大地震への備えが言われ出してから、実際には、大雨による洪水対策が課題となっていた京都府であります。  その中で府や市町村は、原子力防災と地震、または大雨などの複合災害を想定し、防災訓練などを積み上げてこられました。そこに予想もしない新型コロナウイルス感染症の流行が起こり、感染症が前提の複合災害を想定した避難計画、それに基づく避難訓練の実施などが求められるようになります。これも喫緊の課題です。防災計画について御所見をお聞きいたします。 55: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 56: ◯知事西脇隆俊君) 村井議員の御質問にお答えいたします。  村井議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に評価をいただき厚く御礼を申し上げます。  公衆衛生の役割と生活様式の変更についてでございます。  議員御紹介のとおり、我々はこれまでの歴史の中で衛生環境の改善により、多くの感染症を克服してまいりましたが、公衆衛生を向上させることは、現在においても行政の重要な責務であると考えております。  新型コロナウイルスは、飛沫、接触感染で広がりますので、手洗いやマスク等の基本的な感染防止策の徹底を図ることが必要でございます。その上で、WITHコロナ社会においては、いわゆる3密の回避や、適正な身体的距離の確保などの「新しい生活様式」をあらゆる機会を通じて周知し、感染防止策を十分に講じながら府民生活、社会経済活動を段階的に戻していく必要があると考えております。  また、当初予算につきましては、編成時と状況が異なっていることから、その執行の見直しも必要と考えており、今後も機動的な補正予算を編成するなど、きめ細かな対策を講じてまいります。  京都府総合計画についても、策定時には想定していなかった新型コロナウイルスの影響が生じているため、まずは今議会に、WITHコロナ・POSTコロナ社会を見据えたビジョンを描き、6つの分野の戦略づくりを進めるための予算案を提案しており、この戦略の検討を通じて、総合計画の見直しにつなげてまいりたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症に係る検査体制についてであります。  第2波の感染の広がりを早期に捉えるためには、相談・検査体制は大変重要であると認識しております。帰国者・接触者相談センターにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対する不安を軽減するとともに、感染が疑われる方を迅速、適切に帰国者・接触者外来につなげるため、京都市を含め府内9か所に設置いたしました。相談の増加に伴い、24時間対応や回線の増加、5か国語の同時通訳などを行い、これまでに6万件を超す相談に対応しているところでございます。
     設置当初は、海外から帰国した御家族や同僚への対応などの相談でしたが、徐々に、発熱等症状を有する府民からの相談が増え、4月第3週には1日1,000件近くの相談のうち7割は症状を有する方であり、うち感染が強く疑われる方を帰国者・接触者外来につないでまいりました。現在では、1日300件程度と減少しているものの、有症状者の相談が75%を占めている状況でございます。  今後、帰国者・接触者相談センターによる対応に加え、スマートフォンアプリLINEによるパーソナルサポートや、かかりつけ医を通じて有症状者を把握する府医師会の「京ころなマップ」等を活用し、感染者の早期把握に努め、府民の健康を守ってまいりたいと考えています。  PCR検査についてでございますが、行政検査に加え、保険適用後は民間検査機関や医療機関での検査導入が進み、その精度管理や人材育成が重要となっているところでございます。  このため、府保健環境研究所が核となり、府内の民間衛生検査所や病院臨床検査部門との連携体制を構築し、迅速、正確な検査ができるよう情報共有を図るとともに、研修会を開始したところでございます。  また、検査体制につきましては、5月中旬のクラスターが重なった時期には、1日200件前後の検査を実施し、第1波を乗り切ったところでございます。第2波に備え、より充実を図るため、中丹西保健所が北部の拠点となるよう機器を整備するとともに、民間検査機関や医療機関に対する機器の整備支援に加え、この6月1日には企業と連携した臨時衛生検査所を創設するなど、感染拡大期までには、1日670検体の行政検査ができるよう体制を構築することとしております。  さらに、陽性者をいち早く確定できる抗原検査の活用や医療従事者の感染リスクを下げることが期待できる唾液による検査、検体採取後、短時間で結果が判明する新たな検査キットの導入などに必要な予算を今議会に提案しているところであり、第2波に備えて、医師が必要と認めた場合には円滑に検査につながるよう、さらなる体制の強化を図ってまいりたいと考えております。  次に、医療提供体制についてでございます。  京都府においては、入院治療が必要な方のための医療施設として30病院、重症者用86床を含む431床の病床確保に加え、軽症者や無症状者のための宿泊療養施設2施設338室を確保したところであります。  第1波につきましては、4月上旬の病床確保が100床を満たない段階では、病床使用率が7割を超えましたが、病床の確保や宿泊療養施設の開設に伴い、4月下旬には4割から5割となったところでございます。  今後、第2波での医療提供体制の逼迫を防ぐためにも、宿泊療養施設のさらなる確保については、感染の状況を見ながら施設に協力をお願いするとともに、医療体制につきましても、病床の拡大、医療機能の明確化や集約化に向け調整をしているところでございます。  医療資材の供給と備蓄につきましては、新型コロナウイルス対応医療機関の備蓄状況を随時把握し、これまで、マスク及びフェースシールドをそれぞれ約9万枚、長袖ガウンを約12万枚等の医療資材を計画的に配付し、医療機関の機能維持に努めてきております。  特に4月中旬には、長袖ガウンが不足したため、急遽府内ものづくり企業に製造をお願いし確保するなど、京都府独自の緊急対策も講じてきたところですが、現在は、国からの配付や京都府で発注した資材が順次納入され、新型コロナウイルス対応医療機関ではおおむね、1から2か月の備えができている状況でございます。  今後は、第2波に向け、引き続き、病院ごとの備蓄状況をモニタリングするとともに、第1波における患者の発生や受入状況を基に、感染拡大期にも耐えられるよう、京都府として3か月分の資材を備蓄するために必要な予算を今議会に提案しております。  次に、京都府立大学が支援するダチョウの抗体の研究についてでございます。  本研究は、この4月に学長に就任された塚本教授が中心となって取り組まれてこられたものであり、ダチョウ由来の抗体を低コストで大量に作成する技術を開発し、平成20年に大学発ベンチャー企業を設立して、抗体の作成と実用化を進めてこられました。  京都府としてもこの研究を支援するため、平成23年度に精華キャンパス内に共同研究室や実験室、ダチョウの飼育施設などの産学公連携拠点施設を整備したところであります。共同研究室では現在も、様々な素材への応用を進められているところであり、今回、府内幼稚園に配付する子ども用マスクを特別に製造し、いち早く供給いただいたところでございます。  今後とも、このような社会に貢献できる研究成果を広く還元する取組が進められるよう、府立の大学として研究環境の整備や産学公連携の推進など、積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、感染症を前提とした複合災害対策についてでございます。  議員御指摘のとおり、風水害や地震、原子力災害など、様々な災害に対する感染症対策が必要となっており、京都府地域防災計画の避難に関する計画を改定し、避難所における3密対策や避難所の分散、避難者の健康状態の確認方法、避難所の衛生環境の確保方法などについて追加したところでございます。  今後、市町村の地域防災計画や地域の避難計画が、京都府の地域防災計画に基づき、感染症対策を踏まえた内容となるように助言してまいりたいと考えております。  さらに、原子力災害時の住民避難では、原子力災害特有の屋内退避、避難待機時検査、広域避難のバス移動等における感染症対策の検討が必要であり、6月2日に内閣府から「原子力災害時における防護措置の基本的考え方」が示されたことから、この考え方を踏まえた対策を国、関係府県、市町と協議したいと考えております。  また、これらの地域防災計画や地域の避難計画が実効性を持つよう、救助等を実施する市町村や関係機関、そして避難する住民との合同訓練を行い、避難方法について共有、確認を行っていくことが必要でございます。  そこで、現在は、3密を避けるために多くの住民が集まって行う訓練はできませんが、京都府としても、夏に予定している総合防災訓練や秋に予定している原子力総合防災訓練において、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた訓練を実施し、課題の抽出と地域の避難計画等の改善を図り、今後の複合災害に備えてまいりたいと考えております。 57: ◯議長田中英夫君) 村井弘君。    〔村井弘君登壇〕 58: ◯村井弘君 丁寧な御答弁をありがとうございました。  当初予算の見直し、またせっかくつくり上げました京都府の総合計画の見直し等々、非常に過密なスケジュールの中、やり遂げていただかなければならないことだと思いますが、大変重要なことですので、ぜひともその点は、どうぞよろしくお願いいたします。我々も全力でまた議論をさせていただきます。  あと、検査、それぞれ治療に関しましては大体の大きな数字が分かりました。第1波と違い、第2波、第3波にはそれなりのしっかりした構えで京都府は臨んでいくということは、しっかりお聞かせいただけたと思いますので、この点も十分、油断なくお願いしたいと思います。  防災計画に関しましては、例えば自宅で療養をされておられる方とかそういう方の避難も、必ず必要になってきます。ぜひとも、その点も織り込んでください。見直しということですから、コロナ前提の防災計画ですから、改めてそういう細かな点にも配慮いただける防災計画になることを要望しておきます。  それでは、次の質問に入らせていただきます。経済対策について質問いたします。  新型コロナウイルス感染症が世界中の経済に与える影響は、いまだ計り知れないものがあります。報道等によれば、「リーマンショック以上」「大恐慌に匹敵する」などの表現があります。また、3月、4月の売上げを前年度と比べ、5割から9割減との統計が発表され、「消えた需要」「需要の消失」などの言葉が使われています。  事例を挙げれば、観光を中心とした産業は観光業が直接的に減少、交流人口の手段である航空会社は国内2社とも数千億円の融資手続を済ませ、海外の航空会社は破産手続に入り、歴史を持つ世界的航空機メーカーは大幅減産により、部品供給を行ってきた日本国内大手企業全てが大幅減産になるなど、さらなるサプライチェーンを形成する企業群に経済活動の縮小が起こっています。  本府においては、府内総生産の約3割を占める観光業と製造業を含め、多くの業種が打撃を受けています。また、小規模事業所が多いことも、低迷の長期化で企業の体力の消耗が懸念されるところであります。  外出規制による商店や小売業の大幅減少、インバウンドに支えられた観光入込客の消失や修学旅行の中止は、宿泊業に直接的に大きなマイナスの影響が出ており、それらにより購買があった京扇子、京焼・清水焼、西陣織などの伝統産業の低迷。これは地場産業としての製造業の低迷にもつながります。  また、主力である宇治茶は、初摘みのタイミングでのイベント中止は影響が大きく、消費の減少は新茶の在庫調整などにも影響を与えるなど、他府県と比較しても交流人口の激減の影響を直接受け取ってしまっており、このことから経済対策は、本府独自の産業構造と企業規模を踏まえ、効果のあるものにしなければなりません。  そこでお聞きします。  給付においては、国における事業継続のための持続化給付金、雇用調整助成金、京都府の休業要請対象支援給付金、各市町村における独自の給付制度、貸付けにおいては日本政策金融公庫や制度融資、民間金融機関による実質無利子になる貸付けなど、新型コロナウイルス感染症対策としての別枠貸付けは大変に手厚いものがあります。厳しい経済状況が続いていますが、本府企業が置かれている状況について御認識をお示しください。  そして、今、実施されている経済対策、資金繰りについては、早期の給付や貸付けが強く望まれていますが、給付に関しての事務手続の簡素化、オンライン化の仕組みの強化について、本府の御所見をお聞かせください。  今後の予測と対策について質問いたします。  V字回復を強く望むものであります。令和元年6月、本府の有効求人倍率は1.62倍と統計を取り始めてから2番目に良い数字が出ていました。過去最大値は、昭和48年3月が1.63倍であり、この50年間、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックを経験しましたが、京都経済は大きな成長の循環を示してきました。これらの経験を生かしていただき、まずは京都経済を上昇させなければなりません。  そのためには、出遅れてならないのが、今このときの力強い投資です。景気回復のタイミングがどうしても少し遅くなる本府の中小企業の特徴を踏まえるならば、他府県よりも資金の継続的な支援が必要と考えます。そして、それはこの時期、大きな効果を発揮するはずです。  こうした中、国においても第2次補正予算で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を2兆円増額し、総額3兆円とすることが決定されました。こうした財源をまずは、京都府としてしっかりと確保していただきたい。その上で、どのように継続的な支援を展開し、中小企業の事業継続、雇用を維持していくのか、御所見をお聞かせください。  次に、資金の確保、予算について質問いたします。  新型コロナウイルス感染症対策を講じる上で、予算の確保は重要な課題です。特に長丁場が予想されるならば、それに見合った予算の見通しがなければなりません。国が直接的に行う給付金や、地方が柔軟性を持って活用できる地方創生臨時交付金など、ナショナルミニマムの考え方に基づき国が投資を行うことは、国の大きな責務であります。その一方で、独自の給付制度を設けた市町村があります。また、企業支援の給付においても、東京などの財政が豊かな地域と本府とでは支援の中身に差が生じているのが気がかりです。  小規模企業が多く占める本府の過去の経済指標から言えることは、景気の上昇期には遅れて上がり、下降期には早く下がるということがあり、国施策とは別に、京都府の独自施策が必要と感じますし、独自の予算が必要になるとも考えられます。  本府の財政状況は、当初予算編成時における令和2年度末見込みで府債残高が約2兆3,575億円で、そのうち政府による返済保証がされている臨時対策債が9,196億円、積立金残高は2,613億円で、財政状況は決してよいものではありません。近年の府債発行の大きな要因の一つは洪水対策であることから、この借財は府民を災害から守るために有効ですので、投資としての価値を高めたとの見方ができますが、実質1兆円以上の府債残高は気になるものであります。  そこでお聞きいたします。  厳しい財政状況を補う手段の一つとして、府有資産の売却が考えられますが、本府は売却可能な資産を現時点の評価額でどの程度有しておられるのか、近年の資産売却状況も含め、お示しください。  次に、洪水対策についてお聞きいたします。  三川合流部を持つ府域南部にとって、桂川、木津川、宇治川の計画どおりの洪水対策が急がれます。その中でも天ヶ瀬ダムの再開発は、本府の負担も重なりましたが、淀川河川整備計画の中でも最重要工事であります。これをもって、淀川水系の河川整備は大きく前進し、本府の技術検討では、過去の全ての洪水パターンに対応できる能力を持つということにされておりますので、これ以上遅れることなく完成させていただきたいことを強く要望いたします。  また、身近で発生を繰り返す内水氾濫については、市町村と協力の下、地域事情を考慮し、着実に進めていただいていると承知しております。出水期に入った京都府にとっては、近年、予算をかけてきた洪水対策の効果を十分に期待したいものであります。  そこでまず、国が近年精力的に進めてきた宇治川、木津川、桂川の堤防強化や河道掘削、天ヶ瀬ダムの再開発、それに入る府管理の河川、内水対策などの効果についてお聞きいたします。 59: ◯議長田中英夫君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 60: ◯知事西脇隆俊君) 京都経済の活性化についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの産業に多大な影響が生じており、6月10日に発表された日銀京都支店の経済概況によりますと、小売業では4月の販売額が前年比マイナス約16%で、業態別に見ると、スーパーは前年並を維持しているものの、百貨店ではマイナス約75%、乗用車の新車登録台数も前年比でマイナス約30%となっており、観光では4月の京都市内の主要ホテルの宿泊数が前年比マイナス約96%、製造業では電子部品デバイスが増加しているものの、自動車向けの減少幅が拡大しており、全体として3月の鉱工業生産指数は前年比でマイナス約12%となっております。また、有効求人倍率も4か月連続で低下しており、府内企業が置かれている状況は大変厳しいものであると認識しております。  次に、事務手続の簡素化とオンライン対応の強化についてでございます。  厳しい経済状況に苦しむ方々に対し、各支援策を一刻も早くお届けするためには、できる限り事務手続を簡素化し、申請から交付までの期間を短縮することが重要でございます。  このため、例えば休業要請対象事業者支援給付金は、他府県が要件としているような減収要件を設けず、速やかに交付可能な制度とし、申請書も1枚として手続の簡素化を図りました。これに加え、対象企業が非常に多く、かつふだんから行政手続に不慣れな方も多いことから、日常使われているスマートフォンやパソコンからの申請を可能としたところ、現在、約1万6,000件の申請のうち、その7割以上がオンラインでの申請となっており、事務作業の大幅なスピードアップにつながっております。  昨日から申請受付を開始いたしました再出発支援補助金も、同様にオンラインでの申請を可能とし、事務作業の迅速化を図ることで速やかな補助金の交付につなげたいと考えております。  次に、中小企業の事業継続、雇用維持に向けた支援についてでございます。  これまでから、制度融資による資金繰り支援や各種給付金・補助金、相談窓口の充実等、あらゆる施策を総動員して中小企業の事業継続と雇用の維持に全力で取り組んでまいりました。  今議会では、国の第2次補正予算における地方創生臨時交付金の増額を踏まえ、無利子融資の限度額を拡充するため、利子補給額の増額や商店街の各店舗が事業再出発に向けて行う店舗改修等への助成、安心・安全な京都観光のPRを通じた観光需要の喚起のほか、研修と企業実習を組み合わせた訓練コースの受講によって、府内中小企業の未来を担う人材を育成し正規雇用につなげる雇用型訓練などを実施するための予算を提案しており、中小企業の事業継続等に全力を尽くすとともに、さらに必要な支援については、時期を逸することなく施策を講じてまいりたいと考えております。  次に、資金・財源の確保についてでございます。  京都府が保有する資産のうち、道路、公園、学校などの行政目的で使用されていない、いわゆる未利用資産については、府有資産利活用推進プランに基づき、京都府、府内市町村、民間等による公共目的での利活用を検討し、その可能性がないものを売却することとしております。  未利用資産の売却実績としては、平成30年度は綾部市の元産業センターなど3件、3億4,100万円を、令和元年度は宇治市の元伊勢田職員住宅など9件、13億3,000万円を売却するなど、この10年間で50件、54億円の財源を確保しております。  現在、未利用資産一覧としてホームページ上で公表している物件37件のうち、売却の方針であるものは12件となっております。その評価額につきましては、現時点では把握をしておりませんけれども、売却時に不動産鑑定を行う予定であります。  今後とも、不動産市況を見極めつつ、売却、定期借地権の設定、暫定利用としての貸付など、様々な手法による利活用を進め、財源の確保を図ってまいりたいと考えております。  なお、京都府独自の新型コロナウイルス感染症対策に要する財源については、地方公共団体が地域の実情に応じ、きめ細かく必要な事業を実施できるよう措置された、国の地方創生臨時交付金を最大限に活用してまいりたいと考えております。  次に、淀川流域の河川改修などの効果についてでございます。  京都府南部の淀川流域は、宇治川、木津川、桂川の三川合流点を抱え、過去から浸水被害に苦しめられてきましたが、現在、平成21年に策定された淀川水系河川整備計画に基づき、鋭意河川改修などが進められてきたところでございます。  整備計画策定から10年が経過する中、宇治川では、塔の島地区の河道改修が完了し、天ヶ瀬ダムの再開発も来年度の完成に向けて事業が進んでおります。  この2つの事業の効果として、限られた天ヶ瀬ダムの治水容量を有効に活用できるようになるため、緊急放流の可能性を減らしつつ、淀川水系の治水の要所である三川合流点での水位を抑制することが可能となります。  また、木津川では下流部の堤防補強が進捗し、桂川では緊急治水対策事業による大下津地区の引堤や河道掘削の進捗が図られ、治水安全度が着実に向上しつつあると考えております。  実際に、桂川につきましては、河道掘削により平成30年7月豪雨の際に、久我地区で約0.5メートルの水位低減効果があり、計画高水位の超過を免れたと国土交通省において推測されておられます。  このほか、支川の京都府管理区間では、平成24年南部豪雨により大きな浸水被害をもたらした弥陀次郎川において、天井川区間の切下げが完了するなど、治水事業を着実に進めてきたところでございます。さらに、内水対策についても、宇治市による貯留施設の整備など、面的な対策が進められているところでございます。  各事業については着実に効果が得られつつありますが、災害の激甚化、頻発化が懸念される状況にあるため、国や市町村とも連携し桂川嵐山地区の改修を進めるなど、引き続き治水事業を推進するとともに、ダムの事前放流や住民の避難行動につながる情報の発信の改善などソフト施策も組み合わせて、府民の安心・安全の向上に努めてまいりたいと考えております。 61: ◯議長田中英夫君) 村井弘君。    〔村井弘君登壇〕 62: ◯村井弘君 丁寧な御答弁ありがとうございました。  厳しさはよく分かります。私自身は、機械金属で勤めていたときにバブル崩壊の経験をしました。企業は低空飛行をずっと続けた記憶がありますけれども、何とか持ちこたえた記憶があります。約1年間ぐらい、ぎりぎりの売上げを維持したような気がします。そういうことよりもひょっとしたら苦しい状況に置かれている本府の企業の皆様だと思いますので、どうか、必ずV字回復できる──私はよく景気循環という言葉を使わせていただいています。不景気になっても上がっても、縮小であっても膨張であっても、やっぱり循環するのだろう。コロナ終息は、例えば観光業とお茶、その関連商業は一気に回復の可能性があります。京都市域や宇治市域など南部は、短期での効果が期待できます。これはぜひともつくっていただきたい。そして、そのためには集中的な資金支援、これが今の時期はやっぱり効果的だと思います。  製造業も早く回復することが期待できますけれども、サプライチェーンの課題が解決しない限り、生産拠点の移設などから、フル稼働まで時間を要する設備投資の機会を待たなければならないことが予想されます。建設業も、テレワークなどが進み、生活と仕事ができる拠点づくりが進んだときに、建設循環が早く、長く続く。農業は、人材確保を行いながら中期の上昇の変動が起こるなどが予測できるのではないかと思います。どうか、本府の今までの豊富な経験や綿密な分析力、それに基づく的確で力強い活性化策、回復のためのプログラム、メニューづくりに期待をいたします。  洪水対策についてであります。  近年の雨の降り方は、平成30年に出されました技術検討の中間報告の洪水パターンを超える可能性が出ているのではないかという声を聞きます。淀川水系や由良川水系では、先ほどありましたとおり、河川管理者、ダム管理者及び関係利水者によりまして、事前放流などにより洪水調節機能強化に向けての協定が締結されるなど、運用面での洪水対策の強化は大変心強いものがあります。  さらなる安全のため、大戸川ダムについては、中上流の改修の進捗とその影響を検証しながら、その実施については検討されるべきものとのことですので、どうか議論の準備、これをぜひともお願いしたいと思います。  最後に地元要望をいたします。宇治川の鵜飼いについてであります。  国による宇治川の河川整備、それに伴い府立宇治公園、通称塔の島の整備につきましては、地元の御意見、要望をお聞きいただき、景観はもちろんのこと、トイレや安全面、防犯に至るまで細やかな配慮をいただき、洪水対策と地元としての親しみ、さらに観光名所として両立していただいたことに感謝いたします。  島の横で行われる鵜飼いは、京都府及び地元宇治の大事な観光資源であります。これらの整備の事業の影響でしょうか、以前よりも川の流れが少し速くなっており、船の扱いが難しくなったとのお声をお聞きいたします。どうか、工事はやっていただいていると思うんですけれども、さらなる流速の緩和対策をさらに国に求めていただきますようお願い申し上げ、私の質問を終了させていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)            ──────────────────── 63: ◯議長田中英夫君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  明6月18日午後1時15分から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時49分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...