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  1. 京都府議会 2018-12-01
    平成30年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会12月定例会 本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成30年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会12月定例会 本文 2018-12-17 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 71 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  要約 選択 2 :  開会 選択 3 :  所管事項の調査 選択 4 :  ◯二之湯委員長 選択 5 :  ◯村尾政策企画部副部長(企画総務課長事務取扱選択 6 :  ◯二之湯委員長 選択 7 :  ◯稲継参考人 選択 8 :  ◯二之湯委員長 選択 9 :  ◯島田委員 選択 10 :  ◯稲継参考人 選択 11 :  ◯島田委員 選択 12 :  ◯稲継参考人 選択 13 :  ◯島田委員 選択 14 :  ◯稲継参考人 選択 15 :  ◯二之湯委員長 選択 16 :  ◯島田委員 選択 17 :  ◯二之湯委員長 選択 18 :  ◯稲継参考人 選択 19 :  ◯二之湯委員長 選択 20 :  ◯能勢自治振興課長 選択 21 :  ◯島田委員 選択 22 :  ◯二之湯委員長 選択 23 :  ◯稲継参考人 選択 24 :  ◯光永委員 選択 25 :  ◯稲継参考人 選択 26 :  ◯光永委員 選択 27 :  ◯稲継参考人 選択 28 :  ◯光永委員 選択 29 :  ◯稲継参考人 選択 30 :  ◯光永委員 選択 31 :  ◯稲継参考人 選択 32 :  ◯光永委員 選択 33 :  ◯稲継参考人 選択 34 :  ◯酒井委員 選択 35 :  ◯稲継参考人 選択 36 :  ◯酒井委員 選択 37 :  ◯稲継参考人 選択 38 :  ◯酒井委員 選択 39 :  ◯平井委員 選択 40 :  ◯稲継参考人 選択 41 :  ◯平井委員 選択 42 :  ◯稲継参考人 選択 43 :  ◯平井委員 選択 44 :  ◯林田委員 選択 45 :  ◯稲継参考人 選択 46 :  ◯林田委員 選択 47 :  ◯稲継参考人 選択 48 :  ◯林田委員 選択 49 :  ◯小鍛治副委員長 選択 50 :  ◯原田政策企画部情報政策統括監 選択 51 :  ◯小鍛治副委員長 選択 52 :  ◯稲継参考人 選択 53 :  ◯小鍛治副委員長 選択 54 :  ◯渡辺副委員長 選択 55 :  ◯稲継参考人 選択 56 :  ◯渡辺副委員長 選択 57 :  ◯稲継参考人 選択 58 :  ◯渡辺副委員長 選択 59 :  ◯二之湯委員長 選択 60 :  ◯稲継参考人 選択 61 :  ◯二之湯委員長 選択 62 :  ◯稲継参考人 選択 63 :  ◯二之湯委員長 選択 64 :  ◯稲継参考人 選択 65 :  ◯二之湯委員長 選択 66 :  ◯稲継参考人 選択 67 :  ◯二之湯委員長 選択 68 :  閉会中の継続審査及び調査 選択 69 :  今後の委員会運営 選択 70 :  その他 選択 71 :  閉会 ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1:                                      別 紙              議 事 の 経 過 概 要 ┌                                       ┐ │ 二之湯委員長開会宣告の後、議事に入り、所管事項の調査、閉会中の継続審査及び調│ │査、今後の委員会運営についての協議等を行い、閉会した。            │ └                                       ┘ 2: 1 開 会  (1) 二之湯委員長から開会宣告が行われた。  (2) 本日の委員会に係る出席要求理事者について、議事に関係する理事者を出席要求し   ていることが確認された。 3: 2 所管事項の調査   下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換  が行われた。
      ・人口減少時代の持続可能な京都を目指して─自治体戦略2040に学ぶ─ 4: ◯二之湯委員長  まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは「人口減少時代の持続可能な京都を目指して─自治体戦略2040に学ぶ─」であり、参考人として、早稲田大学政治経済学術院教授の稲継裕昭様に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。  10月に予定していた委員会については、台風の影響とはいえ、特段の御配慮をいただきながら、直前の中止の判断となり、大変御迷惑をおかけいたしましたことをまずもって参考人におわび申し上げます。  また、本日は、そういった事情があったにもかかわらず、本委員会のために改めて参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。  稲継様におかれましては、大阪役所での勤務を経て、早稲田大学政治経済学術院教授として行政学、人事行政学、地方自治論などの分野を専門に研究されるとともに、文部科学省の中央教育審議会・教員の働き方改革部会委員など、政府や自治体の公職を多数歴任し、また多数の著書を上梓されるなど、幅広く御活躍されていると伺っております。  本日は、そういった日ごろの御活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは初めに、理事者からテーマに係る説明を聴取いたします。説明は、簡潔明瞭にお願いいたします。 5: ◯村尾政策企画部副部長(企画総務課長事務取扱)  それではまず、お手元の「京都府の2040年将来予測に関するデータ」について、御説明をさせていただきます。お手元の資料をお願いいたします。  京都府で把握しております将来予測に関するデータを、子育て・教育、医療・介護、インフラ・公共施設、空間管理、治安の順に取りまとめております。  まずめくっていただきまして、1ページでございます。  (1)保育ニーズの試算結果データでございます。これは、日本総合研究所が取りまとめをいたしました「保育ニーズの将来展望と対応の在り方」に記載されている、京都府分のデータでございます。保育所及び幼稚園のニーズの将来予測であり、母親の就業率が高くなると、幼稚園から保育園にニーズがシフトしていくと予測されております。  次に、(2)2013年を基準とした中学校3年生数の推移でございます。こちらは、京都府の各エリア別に府立高校の入学者推計を10年後の2028年まで予測したデータでございます。  次に、2ページをごらんください。(1)の高齢者人口の将来推計でありますが、こちらは京都府内のエリア別に高齢者の人口及び総人口に占める比率を2045年まで予測したデータでございます。2040年の将来推計といたしましては、京都・乙訓エリアや山城南エリアでは、65歳以上の人口比率が34.6%、34.4%になる。丹後地域においては、48.9%になるという予想になっております。  次に、3ページをごらんください。(2)の高齢世帯の将来推計でございますが、一番上、1985年の高齢世帯比率8.3%が、2035年には29.2%になります。特に、高齢世帯のうち高齢単身世帯比率の上昇幅が大きくなっております。  続きまして、4ページでございます。(3)介護需要の将来予測でありますが、京都府内のエリア別に2018年度から7年後の2025年度までの認定率の将来予測でございます。表の一番右側、山城南エリアでは、2018年度の認定率15.9%が2025年度には18.7%に、京都・乙訓エリアでは、21.8%から25.7%になるという状況でございます。  5ページをごらんください。(4)介護人材の需給推計でございます。これは、京都府全体で2025年に5万1,940人の介護人材が必要なのに対しまして、供給のほうが4万5,129人と6,811人の供給不足になるという予測でございます。  次に、(5)医療需要に対する必要病床数につきましては、2015年の2万9,006床が2025年には2万9,957床になり、機能別では、急性期病床が1万2,386床から9,543床となる一方、回復期病床が2,462床から8,542床となる予測となっております。  次に、(6)在宅医療等の必要量の推計でございます。2013年度の京都府全体の在宅医療等の必要量は2万1,784人から、2025年には3万9,979人になる予測でございます。エリア別では、京都・乙訓が1万4,113人から2万7,498人に、山城北が2,872人から5,551人と増加する予測になっているところでございます。  6ページをお願いいたします。(1)公共建築物の老朽化状況と(2)主な社会基盤施設の老朽化状況でございます。それぞれ、平成27年が2015年でございますので、10年後は2025年ということになっております。2015年9月末時点の対象施設につきまして、築30年経過、建設後50年以上経過する施設の割合を示したものでございます。2040年につきましては、参考として、対象施設が2040年になった時点で引き続き存続している前提ではございますが、50年超の施設の割合をお示ししているところでございます。15メーター以上の橋梁では2040年には63%に、砂防設備では89%に、府営住宅では79%になる予測となっております。  また、(3)中長期的な維持管理・更新コストの見通しでは、総務省が推奨いたします公共施設等更新費用試算ソフトによりまして、今後40年における維持管理・更新コストを推計し、ごらんの見通しとなっているところでございます。  続きまして、7ページでございます。2013年の住宅・土地統計調査によりまして、現況の空き家率を算定したもので、府域全体では13.3%、中丹では17.5%、丹後では15.8%の空き家率となっているところでございます。  続きまして、8ページでございます。(1)の特殊詐欺の被害認知状況でございます。京都府における2011年から2017年までの、振り込め詐欺及び振り込め詐欺以外の特殊詐欺の認知件数及び被害金額の推移に係るデータでございます。近年では、認知件数が増加し、被害金額は横ばいとなっているところでございます。(2)金融機関等による特殊詐欺の水際阻止状況は、阻止件数が伸びているところでございます。  続きまして、9ページでございます。2015年に策定いたしました、京都府の人口ビジョンでございます。こちらは、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに、京都府の2080年までの人口を推計したものでございます。将来展望のところにございますように、出生率が2040年に人口置換水準とされる2.0程度まで上昇し、北・中部において2030年に社会減が解消、そして2040年以降、5年間で3,600人の社会増が実現いたすという仮定で推計しました推計では、2040年の京都府の人口は2010年の264万人から244万人になるという予測をしているところでございます。  最後の10ページのほうには、北部、中部、南部別の推計データを取りまとめをしているところでございます。  続きまして、お手元の「自治体戦略2040の第2次報告に関する府の取組」という資料をごらんいただきたいと思います。  まず1ページでございます。自治体クラウドの取り組みでございますけれども、1の京都府内市町村における公共施設案内予約システムなどの共同開発システムや、2の住民記録や税、福祉などの市町村の基幹系業務システムのクラウド化を進めることで、(3)のように情報システム運用コストの削減、そして情報セキュリティ向上等の効果が出ているところでございます。  2ページをごらんください。京都府のテレワーク試行の状況でございます。ワーク・ライフ・バランスの推進を図るため、合計29名の職員が参加して3次にわたる試行を実施したところでございまして、このプロセスを通じて課題を洗い出し対応を順次進めているところでございます。  続きまして、3ページでございます。マイナンバーカードの普及につきまして、現状と課題でございます。現在、10%強の交付率にとどまっているマイナンバーカードにつきまして、府内市町村と連携しながら普及拡大に努めているところでございます。  4ページをごらんください。RPA導入に伴う効果検証結果でございます。庁内の3所属の業務を対象に業務プロセスの自動化を試行するなど、業務の効率化を進めているところでございます。  続きまして、5ページをごらんください。地域における移動手段の確保についてでございますが、住民団体等による旅客輸送サービス提供の状況は、府内の24の団体により公共交通空白地等における移動手段の確保が進められているところでございます。  続きまして、6ページでございます。「コミュニティ・コンビニ」整備事業の概要でございますが、過疎・高齢化が進みます中山間地域の暮らしを支えるため、府内4地域において生活に必要となるサービスをワンストップで提供する拠点構築のモデル事業を進めているところでございます。  続きまして、7ページでございます。京都府北部連携都市圏の取り組み状況でございます。北部52町が連携と協力によりまして、1つの経済生活圏として圏域全体の活性化を図る取り組みを進めているところでございます。  続きまして、8ページでございます。相楽東部未来づくりセンターの取り組み状況でございますが、相楽東部の3町村が京都府の支援連携のもと、政策連携・共同化を推進するセンターを設置し、交流人口、定住人口の拡大に向け取り組みを進めているところでございます。  9ページをごらんください。京都府と京都による施策の協同設置事例である、京都動物愛護センターでございます。府協同設置により、類似施設の重複を避け、動物死体の焼却を京都施設で実施することとしたため、府の焼却炉の更新が不要になるなど、施設整備費の大幅な抑制を図ることができているところでございます。  最後に10ページをごらんください。府計量検定所及び計量検査所の共同化についてでございます。市内にございました、府・の類似施設を一元化することによりまして、利便性の向上と事務軽減が図られるとともに、施設集約によるコスト削減を進めているところでございます。  説明は以上でございます。 6: ◯二之湯委員長  ありがとうございました。  参考人さんからきょう用意していただいている資料に入る前に、皆様のお手元に、もう一つ、「京都府の2040年将来予測に関するデータについて(委員長作成資料)」というものがございます。これは何かと申しますと、今、理事者から説明があった「京都府の2040年の将来予測に関するデータについて」の中で、皆さんもお気づきかと思うんですけれども、まだ京都府の各部局で2040年の推計値がないというところに関しましては、さまざまな他の資料等々を活用して2040年の推計値を推測するようにということで、私から指示をいたしました結果として、京都府の公式資料ではないんですけれども、きょうの話の参考になるようにということで添付をしたということでございます。ですので、きょうの委員会審議に当たりまして、参考にしていただければというふうに思っております。  また、京都府の理事者におかれましては、今後、新総合計画策定において長期ビジョンは大体2040年ごろを展望するということになっておりますので、総合計画の作成が充実したものになるように、それぞれで長期ビジョンを策定するのに必要なころまでにしっかりとした推計を京都府としても公式に提出できるようにということで、また努力をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。  それでは、次に、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまで、しばらくお待ち願います。  それでは、よろしくお願いいたします。 7: ◯稲継参考人  早稲田大学の稲継と申します。どうぞよろしくお願いします。  先ほど、委員長から御紹介がありましたように、最初は大学を出て大阪役所に13年間勤務して、それから姫路獨協大学、大阪市立大学、そして今の早稲田大学に移りました。早稲田大学にはもう11年勤務していることになります。  きょうは、「人口減少時代の持続可能な京都を目指して─自治体戦略2040に学ぶ─」ということでお話しするように御依頼を受けました。大変光栄なことでございます。  自治体戦略2040の報告書については、委員の皆さん方は大変お詳しいとは思いますけれども、私にとっては非常に現実味を帯びたものではなかったのです。けれども、先月、2週間前と5日前に私の孫が相次いで生まれまして、彼らが大学4年生になるころの日本の社会がどうなっているのか、そういうことを考えた場合に、これはちょっとイメージしやすいものだということを感じました。そのことも踏まえて、この自治体戦略2040について主にお話を進めてまいりたいと思います。着座してお話をさせていただきます。  この自治体戦略2040の研究会は、昨年から始まりまして、ことしの4月、6月に報告書を出しておられます。総務省の自治行政局行政経営支援室のほうで事務局をしてまとめられたものであります。彼らとお話をしてお聞きしたところでは、各省庁を巻き込んで2040年にどういう日本の社会になっているのかということをまず理解した上で、そこから今、何をすべきかということをバックキャスティングして、どういうふうに取り組むのかということを考えたということでありました。  従来の発想でいうと、現状がこうだからこう変えていくべきだとか、そういう話になるんですけれども、各省庁は、2040年前後の未来の姿をいろいろな形でいろんな検討会で報告書を出しているものですから、それもかき集めていろんな省庁を巻き込む形でこの報告書をつくっていかれました。ここに挙げているようないろんなものについて検討したというか、総務省自体が持っているデータはそれほど多くはなくても、各省庁からいただいたデータをもとに議論されたということであります。  スライドが二個一で入っているスライドをこれから投影していきますけれども、それとお手元にもう一つ配付資料というのがありまして、これは自治体戦略2040の報告書から抜粋したもので、こちらのほうが鮮明に見えていますので、見ていただくときにはそちらのほうを見ていただくということになります。  まず、自治体戦略2040の研究会ですけれども、この報告のところは、2040年ごろをターゲットに人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方の検討が必要だということであります。増田レポートが出てから、この先、どうなるんだという暗い話ばっかりだったわけですけれども、実際に2040年の時点でどういう日本の未来があって、それを維持し、あるいはそれを改善するためには現状をどういうふうにしていかなければならないのかということを考えていこうということであります。  中段のやや下のところにあります、「持続可能で多様な自治体による行政の展開が、我が国のレジリエンス向上につながる」というところから、その上のところですけれども、「高齢者人口がピークを迎える2040年ごろをターゲットに、1)住民生活に不可欠な行政サービスがどのような課題を抱えていくことになるのか、2)その上で、住み働き、新たな価値を生み出す場である、都市を初めとする自治体の多様性をどのように高めていくのか」といったようなところ。「3) 1)、2)のために、どのような行政経営改革、圏域マネジメントを行う必要があるのか、検討を進める必要がある」、ここがポイントのところです。  この3)に書いているところですが、「どのような行政経営改革」、これはIoT、AI、RPAの破壊的技術による変革を前提にした議論が今、進められています。それと「圏域マネジメント」、これは今まで連携中枢都市圏とか定住自立圏とかという形で若干の予算措置はありましたけれども、それほど本格的には動いていなかったものをかなり本格的に動かしていこうという背景があります。開催主旨はこういったことです。  ちょっと全体としてお話ししますと、ことしの6月にこの第2次報告が出まして、7月から第32次地方制度調査会がスタートしています。皆さんも御存じのように、地方制度調査会の最終取りまとめが、大体今までの傾向でいうと2年ぐらい後になされます。今まで、地方制度調査会報告が出されると、ほぼ時をたがわずして地方自治法の改正ですとか関連諸法の改正につながってきています。ですので、恐らく2020年ぐらいに地制調報告が出されて、さまざまな形の法律改正が行われます。その全体として、この報告書には幾つか、「こういう法改正が必要だ」みたいなことが書かれておりまして、それは恐らく地制調に盛り込まれるものだと思います。まだ始まったばかりですので、それほど本格的な議論にもなっていませんけれども、例えばスマート自治体に関連するさまざまな法整備ですとか、あるいは圏域マネジメントでいいますと、後でお話ししますけれども、定住自立圏とか連携中枢都市圏をもう少し格上げする、それから府県による市町村の補完、垂直的補完というのをかなり本格化するということを法律に書いていくということを目指しているのではないかというふうに私は推測しております。  自治体を取り巻く環境ということで、さまざまな変化が起きています。入院需要が急増し、医療と介護の連携が必要になってくるとか、福祉で介護需要が増加するけれども、介護人材は圧倒的にこれから不足が予測されています。  それから、インフラでいいますと、高度経済成長期に投資したさまざまなインフラが、次々に更新時期を迎えていて、その費用がばかにならない。今までの新設プラス更新費用を上回るほどの費用が必要になってくるということであります。空間管理でいうと、都市のスポンジ化。人口集中地域(DID)がどんどんスポンジ化していって、それをどうするのか、空き家の管理をどうするのかといったようなところが問題になってくるということがあります。左上のところは空き家数、空き家率が急増していくということで、それが治安とか防災にさまざまな問題をもたらすことになるんじゃないかとかですね。  産業でいいますと、国際競争の激化にどう対応できるのか。今、日本の産業の力がかなり衰えているのは御存じのとおりでありますけれども、それをどのように回復させるのかということであります。  左下でいいますと、ICTによる行政課題の解決ということで、今までICTということでずっと言われてきましたけれども、この一、二年、自治体にもRPA、AIの導入がかなり進められつつあります。そういった破壊力のある技術をどのように地方自治体の行政課題解決に向かわせるのかということがあります。  右上のところの教育・子育てでいいますと、15歳未満人口が4分の3になるということであります。昔のベビーブームのころは、毎年260万人の子どもが誕生していました。ベビーブームのジュニアの時代にも200万人ぐらいです。今、100万人を切っております。もうしばらくすると、その4分の3ぐらいにさらになってしまうということで、昔、260万人毎年子どもが生まれていたころに比べると、今、3分の1、4分の1になっているということであります。これが何を意味するのか。日本の将来図が非常に大きく変容する可能性があるということであります。それを少しでも防ぐためには、子育て支援ですとか、あるいは育てやすい環境をどのようにつくっていくのかということが日本国家にとっても課題であるということであります。  子どもが260万人から97万人まで減りましたので、生産年齢人口が急減することが予想されています。その中で、担い手をどのように確保するのかといったことも課題であります。財政的にも、社会保障関連費とかが非常に大きくなってきているので、昔のように、何でもかんでもお金をつけるというわけにはいかなくなっているということであります。  人口段階別市区町村の変動ということで、非常に見にくいので申しわけありません。参考資料の4ページのところにもう少し大きなやつが載っていますけれども、ここのところで、人口が増加する市町村というのはごくわずかで、ほとんど減っていくということであります。人口段階別に、減るパーセンテージの予測を2040年まで市区町村別にやっていますけれども、この中で京都府内の市区町村について私のほうで赤丸を囲みました。ごくわずか、京田辺、木津川で人口増が予想されていますけれども、その他の大部分の市町村で人口減少が予想されている。とりわけ、マイナス40%とか、あるいは次のスライドにありますけれども、マイナス50%、60%近くが予想される地域もたくさんあるということであります。  次に、各行政分野の課題でありますけれども、子育てでいうと、減少傾向なのは先ほど申し上げたとおりですけれども、働くお母さんはふえるので、それによって何が起きるかというと、幼稚園の園児の数は圧倒的に減少する。他方で、保育ニーズがますます増加する。しかも、0歳、1歳、2歳の保育ニーズが非常に増大するということであります。これにどう対応するのか。幼稚園の数は減るというか、園児はどんどん減る。でも、保育ニーズはどんどんふえる。その中でどのようにそれを調整するのか。幼保一元化するのか、ほかの方法があるのかということであります。  次のところは、小・中学校ですけれども、学校の老朽化の問題であります。耐震問題についてはここ数年、急いで各自治体は耐震補強をしましたけれども、耐震補強だけでは耐えられないほどの老朽化に見舞われている小・中学校も多い。現在は、昭和45年から49年に建てられたものについて更新時期を迎えていて、改築の主な対象になっているということでありますけれども、お金が全然足りていないんですね。足りていないので、相当数が老朽化をそのまま抱えたまま、経年変化していくということになっております。  それから、小規模校とか廃校が増加する。これは、廃校された数をずっと年度ごとにあらわしているグラフでありますけれども、青色が小学校、黄色が中学校、赤色が高校で、それらの廃校がこれだけ、毎年500前後あるということであります。  医療提供体制の話です。高齢者が増加すると、同じ病院の中でも異なる診療科の需要がふえるということで、循環器系とか呼吸器系の疾患が増加するということであります。それに見合った病院の診療科の対応が必要になってくるという話が出ておりました。  それから、これはもういろんな新聞にも載っているところで、きのうも日経新聞に、東京圏で実はこれだけ介護施設が余っているんだけれども、介護人材が不足しているので受け入れられないみたいな話が出ていましたが、今後の予測でいうと、2025年時点で約40万人不足する。2040年時点では想像できないほどの数が不足する。外国人材を導入するとかそういったことも考えられていますけれども、これにどう対応するのかということが非常に大きな課題になっています。  次のスライドです。これは先ほど、京都府の状況について御案内いただいたところでありますけれども、道路、トンネル、河川管理施設、下水道環境とか、あるいは水道管もそうですが、50年以上たっているものが非常にふえている。これをどのように費用を工面して更新していくのかということが、非常に大きな課題になっています。  次のスライドに書いていますのは、これは全国全部じゃないですが、全国でいうと今、3.6兆円ぐらいが維持管理・更新にかかっているけれども、20年後には4.6兆円~5.5兆円になるだろうということでありますが、そのうちの111団体を集計したところ、現在は青色のところが、これは新規の建築とかの費用です。ダイダイ色が更新費用ですけれども、この111団体の計でいいますと更新費用が物すごく跳ね上がるので、今の予算だと新築ができない状態になってしまうということが、ここに出ております。  それから、人材の流動化というのも今後求められているところで、特に真ん中の右側の赤色のところですが、販売従事者とかホームヘルパー・介護職員のサービス業については、人間的な付加価値を求められる職種でありますけれども、ここのところはふえることが予想される。他方で、生産工程従事者ですとか、その他の部分で要らなくなる人材というのはたくさんある。なので、人材のシフトが求められるんだけれども、それに果たして能力開発が追いつくのかという課題が突きつけられています。これは現在、2015年から2030年までの15年間の予測なんですけれども、2040年まででいいますと、これがさらに加速すると考えられるところであります。  テクノロジー、AIの話はもう既に民間企業、特にFinTech(フィンテック)といいますか、金融系では当たり前に相当数入っています。RPAとAIで、三菱UFJ銀行でいうと1.9万人の人員削減をするとか、そういうことが当たり前に出ているような時代ですので、今後、さまざまな形で人材の移動も起きてくるし、開発もさまざまに進んでいくということであります。  次のものは、第1次報告のものであります。左上にページ数を打っていますけれども、これは参考資料の12ページに大きいシートが出ていますので、そちらを見てもらったほうが見やすいと思います。  第1次報告では、「2040年ごろにかけて迫りくる我が国の危機を乗り越えるべく、全ての府省が政策資源を最大限導入するに当たって、地方自治体も持続可能な形で住民サービスを提供し続けられるようなプラットフォームであり続けなければならない」ということで、プラットフォームというのは、パソコンでいうところのウィンドウズとかマックとかそういう基盤のことですよね。そういう基盤であり続けなければならないということです。「新たな自治体と各府省の施策(アプリケーション)の機能が最大限発揮できるようにするための自治体行政(オペーレーティングシステム)の書きかえを大胆に構想する必要がある」ということで、これはかなり踏み込んで書いていると思います。今まで総務省は、こういう形でほかの省庁の縄張りに足を突っ込むことはあんまりなかったんです。経済産業省はそういうのもずっとやってきた省庁でありますけれども、総務省もこういうところまで踏み込んでいる。それほど危機感を感じているということだと思います。  それで、3つの柱をこの第1次報告では書いていまして、1番目に「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」、2番目に「標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全」、3番目に「スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ」ということであります。  1番目の「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」ということで、左側に青色で「2040年ごろにかけての危機」とあります。まず、東京圏は、入院・介護ニーズの増加率が全国で今後最も高くなります。医療・介護人材が地方から流出するおそれ、地方から東京へ介護人材が集められてしまっていくことが予想されます。それから、東京圏には子育ての負担感につながる構造的要因が存在して、少子化に歯どめがかからないおそれがあるということ。地方圏では、東京からのサービス移入に伴う資金流出が常態化するということで、東京の会社がサービスを地方で行うということで、そこにお金が流れていくということが考えられます。中山間地域等では、集落機能の維持や耕地・山林の管理がより困難になるということから、考えられる対応として、右にいろいろ書かれています。  元気な高齢者が高齢者を支援するような仕組みとか、圏域内の自治体が連携した医療・介護サービスの供給体制とか、AIによるがんの画像診断とかの技術革新が飛躍的に今、ここ1年で伸びていますので、そういったものを積極的に導入して支え手不足を緩和するとかいったようなこと。  それから、共働き社会に対応した保育サービスとか、より安定的な就労環境とワーク・ライフ・バランスを図り、長時間通勤を減らす職住環境など、複合的な少子化対策をするということ。  3つ目にワーク・ライフ・バランスを実現しやすい地方圏に移住しやすい環境の整備。それから、これはいっとき、地方創生のときに言われたCCRCだけではなくて、もっと本当に働く場所もつくるという意味での移住の話です。サービス業について、多様な人材が集積する指定都市や中核等を中心として、新陳代謝によるイノベーションを誘発し稼ぐ力を高めるとか、意欲ある担い手への集約を進め、農林水産物の輸出を拡大していくということであります。  最後に、「中山間地域等において、集落移転を含め、地域に必要な生活サービス機能を維持する選択肢の提示と将来像の合意形成」。これはやや複雑な、さまざまなニュアンスがここに含まれていると思います。まだはっきり明確に示していませんけれども、第32次地制調の報告書では、この辺のところがちょっと書き込まれると思います。  それから「粗放的な針広混交林としての保全」など、「保険的な管理も選択肢化」というふうに書かれています。  次に、2つ目の「標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全」ということで、2040年ごろにかけての危機ということで、世帯主が雇用者として生活給を得る従来の世帯主雇用モデルがもはや標準的とはいえないとか、就職氷河期世代で経済的に自立できない人々がそのまま高齢化すれば、非常に低賃金で低収入の人がそのまま高齢化していくというリスクを社会が抱えているのは明らかでありますが、そういうことになりかねない。若者の労働力が希少化し、公民や組織の枠を超えた人材確保が必要になってくる。教育の質の低下が、技術立国として、国際競争でのおくれにつながるおそれとかが、危機として考えられています。それに対する対応として、右のほうに書かれているようなものが挙げられています。システム教育とかそういったものですね。  3番目、「スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ」として、2040年ごろにかけての危機ということで、多くの都市でスポンジ化が顕在化し、放置すれば加速度的に都市の衰退を招くおそれがある。東京圏では、都市居住が、まだ今では都心に人口がふえていますので、過度の集中が起こる。これは、首都直下地震が早晩起きると言われていますので、そのときのリスクが非常に高くなるということ。それから、高度経済成長期以降の整備したインフラが老朽化し、更新時期を迎えているということであります。それに対応する考えが右側に書かれているとおりであります。  ここまでが第1次報告で、第2次報告は、これにプラスしまして、「スマート自治体への転換」ということで、半分の職員数でも担えるようなそういう自治体に2040年を目指して脱皮していくべきだという話。それから、AI、RPAを使いこなすスマート自治体への転換が必要だと。「自治体行政の標準化・共通化」、これは今、AIとかRPAを導入するにしても、割とベンダーの言いなりになってしまっていて、自治体ごとに相当費用をかけている場合があります。これは総務省が音頭をとってということだと思いますが、仕様を標準化すればかなりコストダウンして導入することが可能になりますので、そういったことも目指すということだと思います。  それから、「公共私による暮らしの維持」ということで、プラットフォーム・ビルダーへの転換。プラットフォームは、先ほど申し上げたようにウインドウズとかマック OSのようなプラットフォームをつくるもの。サービスを全部提供するのではなくて、プラットフォームをまずつくって、それを「公」ももちろん提供しますけれども、「共」も「私」も提供するという、そういった社会に変えていくという話。新しい公共私の協力関係の構築、暮らしを支える担い手の確保といったことが掲げられています。  3)ですけれども、「圏域マネジメントの二層制の柔軟化」ということで、先ほど申し上げた連携中枢都市圏を初めとする、さまざまな制度はつくられたんですけれども、まだ本格稼働していないという認識であります。それを本格稼働させるために地方自治法を改正するとか、今まで市町村はそれぞれフルセット主義でどのも町も村も全てのことをやってきたが、今後はそれはなくてもいいんじゃないかという立場をここでは鮮明に出しています。つまり、幾つかの市町村が集まって1つの教育委員会をつくるとか、あるいは1つの何か行政サービスを提供するとか、そういったところへ踏み出していくこともあり得るんじゃないかということが読み取れるところであります。  それから、都道府県・市町村の二層制の柔軟化ということで、今までは市町村の広域行政について府県が担っていたわけですけれども、市町村単体では担えないような市町村が出てくる。そしたら、そこについて府県が垂直的に補完するということがあってもいいんじゃないかという話です。  「圏域を超えた結いのネットワークの形成」ということで、例えば隣の県であっても生活圏が一緒であれば、同じような圏域をつくってもいいんじゃないか、そんな話です。  あと4番目に、「東京圏のプラットフォーム」の話が出ています。  第2次報告は、参考資料の14ページ、15ページあたりにもう少し大きな字で載っております。労働力の絶対量が不足します。先ほど申し上げたように、ベビーブーマーは260万人毎年誕生していたのに、今は97万人です。間もなく70万人ぐらいになる。圧倒的に労働力が不足します。人口縮減時代のパラダイムへの転換が必要だということで、一つはスマート自治体への転換。AI、RPAを使いこなすスマート自治体ということで、従来の半分の職員でも自治体が本来担うべきものを担えるような、そういうものに転換していくべきだということであります。  その際、自治体行政の標準化、共通化が重要であって、その下に図を描いていますけれども、それぞれ今までA、B町が別々にやっていたものを共通のものにして提供することによって、相当費用を削減するとかということであります。ただ、これを今まで、例えば国民健康保険を市町村から府県に吸い上げた場合に、共通のシステムを総務省で提供しましたけれども、今まで既にあるいろんなシステムについて共通のものを提供するということはなかなか予算措置が難しいということで、これは法律改正が必要であろうというふうにここに書かれているところです。  それから、右側の赤色のところですけれども、「公共私による暮らしの維持」ということで、「プラットフォーム・ビルダーへの転換」ということです。公共私相互間の協力関係を構築するプラットフォーム・ビルダーへ転換する必要があるということで、ちょっと前の平成18年に、公共についてのある報告書が総務省から出ておりまして、それを受ける形のものだと思うんですけれども、その話がここに載っております。  次のスライドで、「圏域マネジメントの二層制の柔軟化」。先ほど申し上げたとおりです。これは多分、今、地制調で議論が始まったところだと思いますけれども、全国町村会なんかはかなり反対の立場を示されると思います。ただ、総務省としては、合併がこれ以上進まないので、どういう形で、今まで市町村がフルセット主義でやってきたものを圏域でフルセットというほうに持っていくのかということを今、考えておられるのではないかなと推測しております。  標準化の必要性の話はここに載っているとおりで、ベンダーの言いなりにならない、共通仕様のものを提供するようなことが必要になってくるんじゃないかという話です。これも同じものです。クラウドの話で、導入率を県別に示している図とかが提供されています。  それから、これは先ほどちょっと申し上げたんですけれども、国民健康保険のときの標準事務処理システムは、法律改正があったので予算措置があって無償配付されました。それから、その前の地方公会計のやつとか後期高齢者医療制度の標準システムといったものは法律改正とか制度改正のときに無償提供できるんですけれども、今、既にあるものの標準システムを提供するためには、法律措置が必要だというふうにこの報告書では書かれています。マイナンバー制度によるデータ標準化などについては、ここで書かれているとおりです。  それから、この次のスライドは、自治体間での業務プロセスの比較というところで、同じ法令であっても、また同じ情報システムであっても、自治体ごとにサービス提供の方法が異なることがある。これは、情報システムにとどまらない業務プロセスの共通化が課題になってくるということで、この共通化というもの。昔の言葉でいうと業務棚卸しとかいうものをしていく、RPAも使う形で共通化していくということが、今後の重要なポイントになってくるんじゃないかというふうに書かれています。
     この報告書の中には、AIとかRPAの導入による業務プロセスの自動化・省力化の例として、ごみの分別案内。これは横浜のもので、チャットボットで「このごみはどういうふうに分類したらいいの」というふうに聞くと答えてくれるという、おしゃべりをするロボットですね。LINEでいろいろ問い合わせをすることができるようなものをつくったりとか、真ん中のものはかなり本格的なAIですけれども、千葉と室蘭とか4つの自治体と東京大学の関本研究室が共同で、道路の補修についてのものを今、実証実験をやっておられます。道路の損傷箇所をどうやって調べるか。今まで係員がずっと回って目視で調べていたものを、今、千葉とかでは、全ての公用車にスマホを乗せて、スマホでずっと動画を撮影して、1秒間を12ぐらいに分け、それを瞬時に要補修とか要観察とか補修必要なしというふうに分けて、クラウドにどんどん上げていって、それを集約して、どういう順番で補修していくかという計画を立てたりしています。これはかなり精度の高いものになりつつあって、来年の4月からは販売といいますか、実用化されるというふうに聞いております。  右端はRPA。先ほど京都府の例も出てきましたが、つくばとか熊本県の宇城市では、総務省のお金でほぼ全業務についてRPAの実証実験をやられました。そういった話について、この報告書でも出ているところです。  次のところは、「公共私による暮らしの維持」ということで、これまでの世の中が、自治体の経営資源はどんどん制約がある、住民同士の関係性も希薄化している、地縁組織の扶助機能も低下している、家族の扶助機能も低下しているといったようなところで、今後、どのようにこの喪失あるいは低下を補っていくのかという話が出ているところであります。  次のスライドで、この左下のところが先ほど申し上げた、平成18年の報告書で有名なウサギさんの図であります。主に行政により提供されてきた公共サービスについて、その提供主体になり得る意欲と能力を備えた多様な主体、住民団体、NPO、企業などが登場していて、このような多元的な主体により担われ、新しい公共空間をいかに豊かなものにしていくかが重要だと書かれています。既に平成18年のときには、この議論をして報告書も出ているんですけれども、本格的にやっぱりやらなきゃならないよねということで再度、この図が出てきたんだと思います。住民ニーズを充足する機能が低下しているということがあります。これをどういうふうに補っていくのかということがそこに書かれています。  それから、次のスライドでは、新たな公共私の協力関係によってそれを満たしていく必要があるとかという話ですね。買い物の代行だとか、これも南山城村で買い物代行のAIの実証実験をやられましたけれども、そういったような話も含めてでありますが、今まで「公」がやってきたものが十分にはできない。共助で担ってきたものが十分に共助が行き渡らない。では、どういうふうに多様な担い手でやっていくのかという話が、このスライド、次のスライドあたりにずっと出ているところであります。  今後の方向性として、幾つかの事例が挙げられています。北海道の天塩町とか、あるいは奈良モデルなんかの話がたくさん出ていたと思います。ワンコインでシルバー人材センターがさまざまなものを提供するといったようなものですね。それから、共助としての地域運営組織によるサービス提供の話なんかも出ておりました。  次のスライドは、先ほど言いました「圏域マネジメントの二層制の柔軟化」ということで、明治期に7万ほどあった市町村が、明治の大合併、昭和の大合併で3,400になり、平成の大合併で1,700に減ったわけですけれども、合併するというのはほぼ限界に来ている。でも、今後、人口はさらに減る。地域によっては、2040年までに半分以下になってしまう。今までのフルセット主義で行けるのかというと、そうでもないんじゃないか。だとすると、1つの町や村が、戸籍から教育委員会から何でもかんでも全て提供するということから脱皮して、圏域でそれを担うようなもの、あるいは圏域がないようなところは、県が垂直的補完をするようなそういうことにならざるを得ないのではないか。例えば長崎県でいいますと、長崎県を3等分しますと、北の3分の1は佐世保が中心になって担えるだろう、真ん中は長崎が中心になって担える。南のほうは、担うような中核的ながないので、これは県の垂直的補完になるだろうというふうに外から見て考えられるんですね。そういったものが、多分今後いろいろ出てくると思うんです。  これまで、総務省もいろいろアドバルーンをぶち上げていろんな何とか圏というのをつくってきました。予算措置も8,000万円とか4,000万円とか微々たるものをやってきましたけれども、本格稼働させるにはやはり法律の後ろ盾が必要で、それをやっていくということが多分第32次地制調の報告書では出てくるんだと思います。県をまたいだいろんなものも今後出てくるだろう。医療圏の話はここに出ています。垂直的補完では、静岡県の例がここに出ているところです。これも同じ話ですね。  最初に申し上げました、第1次報告の3つの柱に対応するには、こういったことが必要で、しかも都道府県でいうと今まで同じ形で都道府県が、京都府は京都府で府内の市町村に対して同じように手を差し伸べてきた、同じように見てきた。でも、今後は、この市域は大丈夫だと、でもこの町村はもっと町村の仕事まで府がやるんだみたいなことに多分今後なっていくんだろうと考えられます。そうでないと、町村はとてももたないというところまで来ていると思うんですね。幾つかの合併後の市町村合併の話も出ています。  ここまでが自治体戦略2040の報告書なんですけれども、第32次地制調が今、走っていますけれども、今後、議論されていきます。もちろん、この圏域マネジメントの議論は、町村にとっては自分たちのレゾンデートルである、全部仕事をやるんだというところを奪われるわけなので、大変な反対が予想されるところでもありますが、今のままではだめだというのもみんなわかっているわけで、では、どういうところに着地点を見い出せるのかということを地制調で報告をまとめていかれると思います。  それから、スマート自治体への転換というのは、ここ四、五年の、特に2013年以降のAIの飛躍的発展が自治体に取り入れられた場合に何が起こるのかということが見えてきた段階ですので、そのためにどういうふうに総務省としてバックアップしたらいいのかということが考えられているかなと思います。  それから、公のお金を伴わない、公共領域の担い手をどうやって確保していくのかということも、今後、重要なポイントになるかなと思います。圏域マネジメントは先ほど申し上げたとおりです。  私も幾つか、これまでに本を書いていて、その中で関連するような本も書いているのでちょっと御紹介させていただきます。  まず、「行政ビジネス」という本を私と山田君という私の親友なんですが、今、福井県の副知事をやっていて、彼と7年前ぐらいに書きました。これは、従来の公と民の完全な二分論がちょっと違うんじゃないかということがきっかけです。その2年後に「自治体行政の領域」ということで本を出しました。これは、10人ほどの自治体職員の方に書いていただいています。  まず、「行政ビジネス」でいいますと、従来の公私の二元論というのはちょっと変わってきていて、行政もビジネスをやる。例えば、福井県でいうと恐竜博物館が売りですので、ここに、当時二十数万人だった来客者数を50万人ふやしたらどうだ、100万人にふやしたらどうだということで、山田君なんかが駆け回って、実際ことしは100万人になると思うんですけれども、それで落ちるお金が福井県民に還元される。とすると、恐竜博物館を売るというのも、やはり県の重要な仕事だ、行政もビジネスをやっていいんだ。水を売るという水ビジネスもありますし、さまざまな形のビジネスがあり得るんじゃないかということ。他方、公共の担い手は役所だけではなくて、「民」も担う、NPOも担う、地縁団体も担うということで、それもお互いに交錯しているんじゃないかということを提案したものでありました。  「自治体行政の領域」でいいますと、実は京都府の職員の方お2人に書いていただいています。見守り集落の話とか見回り活動の話を書いてくださっています。それから、「多主体協働による持続可能な地域づくり」ということで、和束町の話とか大学連携機構の挑戦といったことも書いていただきました。  最近では、ギャビン・ニューサムがこの前カリフォルニア州知事選挙に通りましたけれども、彼が副知事のときに書いた本で、私がカリフォルニア州立大学のバークレー校に留学したときに、たまたまこの本の原本が発行されたものを翻訳して出しました。「未来政府」です。これは、将来的に技術革新によって自治体の行える業務が飛躍的に変わる。それから、オープンデータによって「民」がいろんな便利なものをつくることによって、役所がお金を出さなくても市民が便利になる。そういったことをサンフランシスコの元市長をやっておられた方なので、その失敗談からいろんな事例を書かれている本です。これを翻訳しました。そのときに、シビックテックというものに私も出会いまして、民間が役所のデータをもとにいろんなものをつくっていくみたいな話ですね。ICTを使って、地域課題を自分たちで解決する。役所が解決するんじゃなくて、自分たちで解決する。こういう動きがアメリカではかなり広まっていて、日本でも動きがありますので、そのことをやっておられる方々と一緒に書きました。  ことしの10月には、「AIで変わる自治体業務」というものを出版しまして、先ほどの破壊的技術、AI、RPAを使いこなすスマート自治体へ今後、脱皮していく必要があるだろうということで、ここに目次を書いていますけれども、既にAIを活用している自治体もかなりの数があります。  例えば、わかりやすい例でいいますと、コールセンターですね。コールセンターは、今、銀行や保険会社、証券会社、みんなIBMのワトソンを使っています。何かというと、預金者が電話で問い合わせをすると、オペレーターとやりとりをしている間に音声認識機能によってどういう問い合わせがなされているかということをワトソンが認識をして、その回答の候補をずっと画面にもう出しちゃうんですね。オペレーターはそれを読み上げるだけということです。昔は、マニュアルを一生懸命調べていた、あるいはカタカタと打って調べていたんですけれども、今はそれが必要なくなっていて飛躍的に業務効率が上がっています。コールセンターへのワトソン導入状況ですね。  それから、チャットボットの実証実験の拡大ということで、三菱総研が昨年からことしの2月にかけていろんな自治体でやりました。そして、10月からはもう実用化ということで売り出しています。そんなに高くない値段で出していて、先ほど申し上げたように、LINEでいろんなものを問い合わせると答えてくれるというものを実用化している自治体もかなりあります。  大阪で今、やっているのは、戸籍業務の職員支援システムです。戸籍業務というのは、「戸籍10年」と言われて、非常に専門性の高い業務なんですけれども、今、大阪ではさまざまな行政改革のあおりを受けて、私がやめる1996年時点では24の区役所にそれぞれ20人ぐらいずつ戸籍担当の職員がいたんですけれども、そしてその中で10年のベテラン職員もいたんですけれども、今はもう七、八人とか、少ないところでは5人ぐらいなんですね。しかも、5年ぐらいいたら配置転換されてしまってベテランがいなくなった。なので、とても困っているんですね。専門人材がいないと。例えば、セネガル人が日本人との婚姻届を出してきた。でも、これは2人目の奥さんで、セネガルでは認められている、日本ではどうなのかというもの、そういう難件をベテランがいない中でどう処理したらいいかわからない。それを、戸籍係の後ろに2本分ぐらいのキャビネットにずっと先例通達集とか質疑応答集があって、それを全部AIに放り込んで、問い合わせをすれば答えてくれるようなそういうシステムを今、富士通と実証実験をやっておられます。  それから、自動運転なんかも、これはもう既に御存じのようにレベル4、アウディがことし出しましたけれども、完全に自動運転。自動車の中で寝ているだけで相手先に運ばれるところまで、もう技術的には可能になっています。法律の問題だけ残っているんですね。そういったところまで、今、来ている中でいうと、どういう仕事が残るのか。野村総研が3年前に非常に衝撃的な報告書を出しまして、日本の人々の仕事の51%はAIとかRPAで代替可能だというものだったんです。でも、営業とかあるいは教員、看護師、医師はお客様とかクライアントと直接相対する仕事で、これは絶対になくならない。それから、デザイナーとか漫画家、コピーライター、これは創造的な仕事ですね。これも絶対なくならないだろうとされています。そういったところにどういうふうに人材をシフトしていくのかというのが、今後、求められているところかなと思いました。  40分になりましたので、私からの話は以上とさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。 8: ◯二之湯委員長  どうもありがとうございました。  説明はお聞き及びのとおりでありますが、もとの状況に復するまでしばらくお待ち願います。  本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて参考人も交えて、委員間の活発な意見交換の場となるよう運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、御意見、御見解などがございましたら御発言願います。 9:   (発言◯島田委員  本日はありがとうございます。  多々データがありまして、我が国の内政の危機だということで議論がされているようですが、本来、国家戦略的な課題であるはずなので、内政の危機はどこから生まれたかというこれまでの政治の責任、そしてその点での国家戦略として少子化をどうするか、人口減少をどうするかというのがなしに、自治体戦略の議論の場に持ってきてしまって議論されているのが率直に言ってとても気持ちが悪い感じがします。  やはり、政府が果たすべき責任と役割、これをしっかり踏まえた上で自治体との役割分担、そして市町村は何をするか等々という議論も必要ではないかと思いますが、この点、ちょっと柱の問題として伺いたいと思います。 10: ◯稲継参考人  御質問、ありがとうございました。もちろん国家として、今まで少子高齢化に十分な反応ができていなかった。フランスでは、戦後、少子化が問題になったときに相当頑張って、少子化の歯どめがかかったというのがありますけれども、それに日本はできなかったという政府の責任は当然あると思います。  ただ、日本で、もちろん仕事をやっている、行政をやっているのは自治体であります。ほかの国と違って、国の仕事も地方でやってあげていることが多いんですよね。これは、昔の機関委任事務、今の法定受託事務です。それを地方で全部やっている。国際比較すると融合型といいますけれども、例えばカナダですと、国政選挙はカナダ選挙管理委員会が全国から40万人を雇って選挙のたびにやるんですね。ところが、日本の場合は市町村が選挙管理委員会として選挙管理事務をやってくれるとか、全部やってあげているということでいうと、やはり自治体の力を借りずには、国としては何もできないというところがあります。それから、財政支出の7割が地方で出ているということでいうと、地方が本気にならないと何もできないということがあります。  なので、おっしゃっていることはよくわかります。もちろん国の責任もありますけれども、地方が動かないと何もできないという状況が今あるので、それを総務省としては地方にお願いしているということかなと思います。 11: ◯島田委員  フランスとかイタリアとか、小さい自治体の組織を大事にして、それこそ集落ごとに教会があり、議会があり、住民自治、団体自治。それで、国の政策としても子育て支援を強化しながら人口減少に歯どめをかけて、特殊出生率なども引き上げるというようなこともありますと、もう少し諸外国に学んだらどうかなと思っております。  いろいろな文章で勉強させていただいているわけでありますけれども、そもそも、この議論の場ということで、この研究会、自治体戦略2040構想研究会の運営要綱を見ますと、これは原則非公開。研究会終了後に配付資料が出される。そして、公表されたのは議事概要であって、誰がどのような発言をしているというのは全く示されていないということで、非常に不透明な中で議論が進んでいるというふうに書いてあるんですけれども、この辺の事実関係はどうなんでしょうか。 12: ◯稲継参考人  私はこの委員ではありませんので、詳細はわかりません。 13: ◯島田委員  本当に日本のこれからの大問題を議論する場が非公開であると、議事概要も大変抽象的で断片的なまとめで問題があるなと思っています。それで、この研究会の特徴、ディスカッション・フォーラムが設置をされていて、配付資料によりますと、関係府省、警察庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、総務省等の若手課長・室長クラスの8人が議論を行う場が設けられていて、そして随時開催をされて、たまに研究会のオブザーバーも参加されるようですけれども、総務省に置かれた研究会に関係省庁で将来を嘱望されている職員がバックアップメンバーとして参加をしているというようなことで、そして各種データを各省庁ごとにおまとめになっていろいろ問題認識の意見交換がされているようであります。なので、先ほども申し上げましたように、国家戦略的な課題、我が国の内政上の危機の問題の議論が自治体戦略を議論する場で取り上げられて、そしてこのような議論が進んでいくこと、しかも法制化をしていくというようなことはとても問題だなというのが私の意見であります。  それで、先ほど、自治体の町村会や市長会も相次いで地制調の場で反対の意見を出されておりますが、全国市長会の会長さんは、地方創生に頑張ろうとしている努力に水を差す以外の何物でもないと。全国町村会の荒木会長は、「机上の発想ではなく、現場の実態を踏まえて我々の声をしっかり受けとめてほしい。上からの押しつけではなく選択可能な制度や仕組みが準備され、自治体が主体性を持ってみずから選択実行できることが何より重要だ」と訴えられていますが、地方から反対の声を聞いているというお話がありましたけれども、これはしごくもっともなことでありますが、この点はどうなんでしょうか。どんな議論が進んでいるんでしょうか。 14: ◯稲継参考人  私は地制調の委員でもありませんので、中での議論はよく存じません。 15: ◯二之湯委員長  島田委員に申し上げます。今回、稲継参考人には、総務省が出されたこの調査報告を我々に説明いただきまして、教えていただいているということで、この報告書がつくられたプロセスとかの中の議論ということについては、ちょっと答えていただく任にはございません。ですので、きょう教えていただいたことで、しかも冒頭、京都府の理事者からも京都府の2040年ころのデータも出していただいていますので、そういったことを踏まえていただきまして、ある分野の見解を参考人に問うていただくとか、各委員に問うていただくとか、そういった意見交換になるよう御配慮いただくとありがたいなと思っております。よろしくお願いいたします。 16: ◯島田委員  はい、了解いたしました。  先ほど、合併が頓挫をして今度は広域化だと。それならば、合併の検証をしっかりとすべきだというふうに私は思います。選択と集中によって、中心部にそういう公共施設を集めてというやり方でいきますと、ある研究者の話によりますと、大体2割のところしか救えない。そうすると、8割のところは公の施設がなくなり、道路もぼろぼろ。これは本当に被害が広がるなというようなことを考えております。合併で役所がなくなり、学校もなくなり、病院もなくなり、住めない地域がふえていって、どうして持続可能な日本ができるのかなというようなことを思っております。  これは京都府の理事者のほうに1点聞いていきたいと思います。合併の検証はどのようにされたのか。合併のときは、フルセット自治体でなければいけないから、小さいものは集まって大きい自治体にして頑張ろうと言っていたのに、今度はフルセット自治体はだめだと。合併が頓挫したから連携で助けあってやりなさいと、こんな発想では矛盾していると思うんですけれども、合併の検証とあわせて、京都府の理事者の見解を伺いたいと思います。 17: ◯二之湯委員長  事実関係として、参考人に私からお伺いしたいのですが、この出された報告書で、フルセット行政はだめだと言っているのか、将来を予測してフルセット行政にとらわれずに柔軟にやるべきだと書いてあるのかという事実について、ちょっと。 18: ◯稲継参考人  だめだとはどこにも書いていません。圏域マネジメントという言葉が出てきて、その言葉に対しては、やっぱり市長会、町村会はかなり敏感に反応しておられるところです。私なりに推測して、フルセット主義をちょっと捨てることも可能性としてあるんじゃないかという私の理解です。私の推測なので、この報告書にあるかないかと言えば、それはないです。 19: ◯二之湯委員長  ということですので、先ほどの理事者への質問もありましたけれども、当時はフルセット行政を目指せ、次は目指すなということはちょっと認識として違うんですけれども、その上で何か御質問をされたいということであれば、改めて委員からおっしゃっていただいて結構ですが。何かお答えされますか。質問はちょっと余り明確になっていないんですけれども、市町村合併のある種検証のようなことで。 20: ◯能勢自治振興課長  市町村合併の関係でございますけれども、従来から私どもが申し上げていますように、地元の議員の方あるいは住民の方が、その地域をどのようにするかという真剣に議論をなさった上で合併がなされたという形ですので、その評価につきましては、地元の方からの評価が先行するんだというふうに思っています。また、地域格差が合併によってできたということは考えていなくて、これは基本的に、ずっと戦後のいろんな構造的なものとか、そういったものから地域格差が生まれていると考えておりまして、合併によるものでそういうものが起きたものではないというふうに考えております。  以上でございます。 21: ◯島田委員  ちゃんと科学的な根拠をもってどうなのかというのは、やっぱり調査もして分析、検討しないとそんな結論づけはできないというふうに思うわけです。とにかく、今回の報告書の構想する圏域、この圏域に関する法律上の枠組みを設けて法制化をして、圏域が主体となって行政のスタンダード化を進めていくということですよね。その圏域というのは、広域で連携をしなさいというね。市町村、各自治体には自治体としての議会があります。ところが、圏域というのは議会がない。そこに直接国がお金を入れるということで、これは地方自治制度も破壊する仕組みです。その圏域というのは、先ほどおっしゃっられたように合併がうまくいかなくて、そして今度は連携だ、広域化だという議論ですので、それならば合併等の問題もこれまで実際に進めてこられたわけですから、しっかりと検証・分析がなされるべきだなというふうに思っているところです。  日本弁護士連合会なども、今回の問題については地方自治法等も破壊しかねないそういう内容であるということでありますが、私も引き続き勉強させていただきます。見解を述べて終わります。 22: ◯二之湯委員長  ちょっと私から事実関係として参考人にお伺いしたいのは、きょう御説明いただきました自治体戦略なんですけれども、そこに、圏域行政について、議会等に言及している部分というのはあるんですか。 23: ◯稲継参考人  ちょっと記憶は確かじゃないですが、なかったんじゃないかなと思いますね。 24: ◯光永委員  きょうは本当にありがとうございます。  まだ提言として出たところでありまして、最初の御報告にもあった地制調で論議されていく、論議というか具体化をされていくということだと思うんです。私の感覚的な印象ですと、地制調で論議して出てきたときにはもう割と制度化されてしまっているということがある。この提言はあくまで提言の範囲なので、基本的な国家の原則方針みたいな側面もありつつ、しかしそうでない部分もあるというか、非常に曖昧な部分を残している。とはいえ、地制調にかかっていっているのでそこのギャップがあったり、あるいは出てきたときには地方は従うしかないみたいなスキームがつくられてしまうと、なかなか地方は大変やなということがある。なので、町村会とかが反対されていることの一つに、スキームのこともあるんだけれども、もうちょっと当事者を入れてしっかり論議してほしいなという思いもあるのかなと思ってお聞きしていたんです。  まず、参考人の稲継さんは、大阪役所におられましたよね。ちょっと前の話にはなってしまうんだけれども、言うなら政令市での二層制というか、国を入れた三層制、今回の提言はちょっとそれを含め見直していこうかみたいなことがある中で、御自身の経験で、政令市だからちょっと感覚は違うのかもしれませんけれども、府の役割というようなことを一番現場で働かれた実感として、どう思われていたのか。  あと、今回の提言の中の要素として、県は小さい周辺部などを補完していこうという役割にちょっとシフトというか、そういう役割を担おうとなったときの政令市との関係というのは言及されていないんですけれども、それは御本人の思いとしてはどういう形がいいと思われているのかをまず、体験されておられるのでお聞きしたい。私は府議会議員しかやっていないので、とはいえ京都市内選出でありますので、そのあたりの感覚というんでしょうか。ちょっとまず、御経験を踏まえてお聞かせいただけないでしょうか。 25: ◯稲継参考人  どうも御質問をありがとうございます。  私は申し上げましたように13年間、大阪役所に勤務していまして、比較的長くの時間を人事委員会事務局というところで採用試験とか給与勧告するところで勤めていましたので、大阪府とのかかわりでいうと、民間給与実態調査を共同でやってとか、そういう形で、上とか下とかそういう関係は全然なかったんですね。でも、非常に特殊な職場だったと思います。  一般的なところでいうと、やはり政令市なので、割と多くの権限が移譲されてきているということで、かなりやる気になってみんなやっているんだけれども、肝心のところの法律がやっぱり府を通さないとできないとかそういうことがいろいろあって、それでの職員としてはちょっと悔しい思いをしている感じを持っている人もいたようには思います。それは領域によりますけれども、あったと思います。  あと、府知事と市長が並んでいろいろ挨拶されるときに、どっちが先に挨拶して、こっちが先にこの話をしたらこっちはできないとか、そういう非常に何か些細なことなんですけれども、それがいつもすごく問題になっていまして、私の非常に仲のよかった友達が市長の挨拶を書く担当だったんですね。彼はそのことでもうほぼ半分以上の時間をとられて、知事はどの発言をするのか、じゃあ、これはもう差し引いてこっちをしなきゃならないとかということをいつもやっておられて、あれは非常に気の毒だったなとか思います。  あと、私は橋下市長のときに大阪に特別顧問として2年ぐらい雇われたことがありまして、そのときに、私は人事の担当だったので大阪都構想にかかわったわけではありません。けれども、それにかかわった特別顧問、あるいは大阪の職員で私の非常によく知っている人と話していたときに、大阪都構想というのは非常に大きな課題で、やはり市民が決めなきゃならないということで、住民投票の結果、否決されたわけですが、やはり今まで、先ほどの挨拶の話もそうですけれども、何かお互いに遠慮し合っているというか、1つになったら何かできた話が、それでできなかったというのは結構あったので、ある意味、そっちの方向に議論が展開していったのも、理屈がないわけではないことかなと思いました。私は賛成とか反対とかどちらの立場も表明したことはないので、どちらもコミットしませんけれども、賛成された方の意見もよくわかるところです。  今回の自治体戦略2040の中でいいますと、参考資料の左上のページで35ページのところに、都道府県の補完の話が出ていまして、この補完をどういうふうにするのかといった場合に、政令市の場合は、やっぱり府県が補完する部分というのは非常にごくわずかだと思うんですね。でも、村役場とかだと本当にいろいろ面倒を見てあげなくてはならない部分もたくさんあって、それは自治体の規模とか力によって、相当今も既に大分変わってきていると思うんです。  この自治体戦略2040の中には、政令市の話はほとんど出ていませんので、その話はちょっと別だと思うんですけれども、やはり柔軟化というのはもう既に現状としては動き出しているのかなというふうにも思いました。お答えになっていますでしょうか。
    26: ◯光永委員  ありがとうございます。  それで、今おっしゃっていただいた府の役割ということとの関係で、今は政令市のお話をお聞きしたんですけれども、最後のほうにおっしゃっていただいた小規模とか、職員さんが減ってなかなか大変だという自治体を補完するという、自立を高めるために補完しているという仕事もありますし、併任しているところもたくさんあると思うんです。それをさらに進めていこうというふうになったときに、もともとの自治の仕組みといいますか、二層制、国を入れたら三層制みたいなことが、やっぱり少し変わってきますよね。そうなったときのガバナンスの仕方。  例えば京都、大阪もそうでしょうけれども、政令市でありながら、そこからの財源を広域に再配分するというのが府県の大きな役割の一つ。それが政策に生きるということになるかと思うんだけれども、しかし直接的に業務をやり出すというふうなことが制度化されていって、仮にそこに特別地方交付税とかが措置されていったら、そうなっていく可能性がある中で、府のガバナンスということや、京都市民の府に対する自治のあり方みたいなことはほとんど書いていないのでわかりにくいんですけれども、参考人としてはどんなふうに。  私は、これでいいのかなと率直に思っていて。補完することがいいとか悪いとかじゃなくて、ガバナンスとしていいのかどうかということは、新しい課題で出てくるんじゃないかなと思っています。そこの検証とか論議なしに割と地制調で具体化されていくと、一番大事な、最初に言った町村会とかが反対されている理由の大元になる、やっぱりもっと地方の声とか実情をつかんでほしいということの思いをまた制度的に壊していくというか、踏みにじっていくというか、そういうことになりかねない。なので、そこはよく考えておかなければいけないし、我々議員は特にそのことは慎重になるべきだと思っているんですけれども、そのあたりは、参考人はどうでしょうか。 27: ◯稲継参考人  御質問、ありがとうございます。  ガバナンスの話でいうと、県民、府民から選ばれている知事や議会と、それから圏域内の市町村の市長とか町長、あるいは市議会との関係ももちろんあると思うんですね。それが実はあんまりこの報告書には出てきていないんですよ。議会の話は出てきていない。  どう考えるかということなんですけれども、例えば、今、府議会議員は府民から選ばれている、垂直で補完する町役場の町長とか町議会議員はその町民から選ばれているといった場合に、その2つの関係をどういうふうに把握するのかということは、どこにも書いていないし、今後どうなるのか、地制調でもまだ議論していないと思うんですね。  ガバナンスのグリップをきかせるということでいうと、府民から選ばれた府議会で決めたからいいじゃんという話なのかもしれないですけれども、いや、それは町議会を飛ばしていいのかとか、ちょっと複雑な話になりそうなんですね。それはちょっと整理していく必要があるのかなと個人的には思います。でも、私はここの委員じゃないので発言機会はないんですけれども。 28: ◯光永委員  整理ですけれども、私はこの方向はどうかなと思っているんです。要するに選ばれた首長さんと町会議員さんがおられて、その仕事の代行を京都府がしているその地域にも府会議員がおられるということになってくると整理というのは可能かなと。私らも発言するときは、いろんな思いがあっても、やっぱり京都の中身については、なかなか議会で言ったりは。やっぱり自治体を尊重するということで、団体自治と住民自治を尊重する立場から言わないようにしているんです。控えているというか。そういうことを考えたときに、本当に整理できるのかなという。  多分そこもすごく町村会の人とかもお困りなのかなと思っているんです。市内出身の議員さんも多いので、立場は別にしてそこら辺はどうなるんだろうなという思いもあるし、あるいは町村部を抱えていはる選挙区の方もお困りやないかなという気はするんですけれども、そのあたりは解決の方向というのはあるんでしょうか。 29: ◯稲継参考人  自治の原則でいうと、町村の業務の一部、例えば戸籍とか住民とか教育委員会とかを県が垂直的に補完する場合には、その町議会の議決が必要だとか、そういう手続は絶対必要だと思いますね。そこで町議会で、府にやってちょうだいとお願いするということを議決した場合には、府としてどんどんやるということでいいんじゃないかなと思うんです。そこの民主的プロセスはやっぱり踏まえた上でということになるかなというふうに思います。 30: ◯光永委員  多分プロセスはそういうことで整理されるんだろうと思います。が、日常的なガバナンスはどうするかというのはすごく大事で、例えば地方税機構とかだったら、僕は不十分だと思うんだけれども、しかし一応、地方税機構議会が特別地方公共団体としてあって、そこに意見する。選出されている自治体から議員としてしゃべるということだから、それは一定のガバナンスが仕組みとしてはあるんだろうけれども、仕事をそのまま垂直補完みたいになっちゃうと、なかなかガバナンスの日常化というのは、仕組み上の話として難しいんじゃないかなと私はちょっと思うので、そこを抜きにした形の先行というのはちょっと難しいんじゃないかなと私自身は思っているところなんです。  その上で率直にお聞きしたいのは、少し別の話になりますけれども、これまで地方創生ということでこの5年間ほどずっと予算もついて、当初は丸々10分の10補助金があったのが半分になり、ストーリーをつくらないとなかなか交付金が出ないみたいなことになってきた。それには私も意見はあるんだけれども、少なくとも一応全市町村を対象にして都道府県も市町村も地方創生で頑張ろうという、厳しいけれども頑張ろうやないかという方向を示されてきたと思うんですよね。ただ今回は、私の印象では、そういう分権型の社会をそれぞれ頑張りましょうということを応援するという関係から、ちょっと京都府に、難しいところは広域でというか。  この数年間ずっと努力して、国も一定それを認めたのかわかりませんが交付金もつけていたのが、全体が頑張ろうという方向じゃない方向にちょっと選択・集中されていく可能性があるんじゃないか。恐らくそこについても、市長会、町村会とかは、これまで地方創生で頑張れと言っておいて、今度は、「あんたのところは大変やから、もう府県に助けてもらいなさい」みたいなことをちょっと頭ごなしに言われているように受けとめられているのかなと思うんです。根本的な思想が変わっていく可能性があるのか、ないのかですね。そこら辺は、私はすごい危機感を持っているんですが、参考人の受けとめとしては、そこはどうでしょうか。 31: ◯稲継参考人  今の御質問は非常に私も同意するところで、地方創生のときは、増田レポートが出て、政治のほうのいろいろな御都合もあったと思うんですね。石破担当大臣をつくらなきゃならないとか、それなりのいろんな背景もあったと思うんです。でも、それなりに地方も頑張っていろんな計画をつくったりとか頑張ってきたのが、何となくこの話はちょっと「はしご外され感」があるんですよね。それは、私も同意するところです。  他方で、財務省と総務省の駆け引きを見ていると、もうお金が本当にないので、どうするんですかみたいな話をいつも総務省は言われているんですね。交付税の話はきのう決着したようですけれども、見込みがどんどんない状態の中で交付税はどんどん減りますよみたいな話で、じゃあ、本当にどうするんだ、2040年どうするんですかみたいなところを財務省からも突きつけられていると思うんです。それでいうと、もう本当ににっちもさっちもいかなくなっているのが、地方の財政の現状かなと思っていて。いや、もっとふやしましょうよとか、もっとこれをやりましょうよという話は、結構いろんなところから出るんだけれども、その要求団体の言うことを全部聞いていたら、お金はとても回らないよという現実もあるわけで、どこで落ち着き先を見つけるのかなと。人口縮減社会の中で財政的にももうどんどんシュリンクしていく中で、何ができて、何ができないのかということの選択と集中をせざるを得ないのかなということも、理解できるんです。  さっきおっしゃった話はよくわかって、「はしご外され感」はいろんなところで聞くんですよ。こんなに頑張ったのにいきなり外すんかみたいな話を聞くんですけれども、他方で、やはりお金がないというのは現実問題としてあるし、将来的にも生産年齢人口はどんどん減っていく、日本の経済はどんどんシュリンクしていく中でどうやって地方自治体の業務を回すのかというところをやっぱり考えておられるのかなというふうに個人的には推測しているんですけれども。 32: ◯光永委員  長くなったので最後にさせてもらいますけれども、この前、東京で、全国議長会の自治体戦略2040の研修会があって、京都府議会から私も行かせていただいて、委員の方の講演をお聞きしたんです。その方が率直におっしゃっていましたのは、広域マネジメントだとか垂直補完とか幾つか自治体のあり方について提案しているけれども、それは後からついてくる話で、ちょっと不正確ですけれども、中心はIT、IoTを使って業務の標準化をすることなんだということを、物すごく露骨に言わはるなと思って聞いていたんです。それは一方では、今、おっしゃっていただいたような事情もあるのかもしれませんが、他方では、市場が縮小化していく中で、公務の産業化ということも打ち出されているので、そこを標準化していって、企業とかに委ねていこうみたいな動きがあるんだろうなと思って。なかなか率直というか、そういうふうに委員の方がおっしゃったんで、私も驚いてというか、やっぱりなという気持ちで聞いていたんです。  大きく3つか4つぐらいの柱が今回の提言ではあると思うんですが、IT、IoTなどを使う標準化ということについては、やっぱりそこが中心になるのかなと。今の財政のことを考えても、参考人はそう思われているんでしょうか。そこをやってしまうと、自治体の決定権、自治権といいますか、交付決定だけは自治体がするけれども、実際の業務の中身はほとんど民間がやっていくというようなことに仮になったときに、それも結局ガバナンスの話になってくると思うんですが、それが本当にいいのかなという気が私はしているんですが、そのあたりについての参考人の御見解を教えていただいて終わりたいと思います。 33: ◯稲継参考人  どうも御質問、ありがとうございました。  スマート自治体というところでいうと、AI、RPAをどんどん導入してという話なんですね。いろんな実証実験、京都府でもやられたやつは9割とか8割ぐらいの業務プロセスのカットとか時間のカットになっているので、今後、やっぱりそれがここから二、三年の大きなトレンドになると思うんですね。自治体戦略2040の中に書いているのは、職員数が半分でも可能なように、みたいな感じですよね。人口が減少して、財政も減少すると、雇える職員は半分ぐらいになっちゃうかもしれないというふうには書いていないんですけれども、「半分の職員でも可能なように」と書いてあって、多分そういうところは見据えているのかなと思います。だとすると、AI、RPAでいろんな業務量の削減、自動化というのは、これはもう民間企業では当たり前になっていますから、今のトレンドでいうとそうなるだろうと。  他方で、今、御指摘あったように、標準化してしまうと自治体の決定権限というのは奪われてしまうんじゃないかという危惧もわからないではないです。ただ、自治体が、A社じゃなくてB社に決めるということが、果たして府民とか市民のためになっているかどうか。A社、B社と乱立しているところでB社に決めたら1,000万円かかったと。でも、標準仕様化されたら200万円でできるとすると、これは市民、府民のプラスになるんですよね。安いほうがいいんです。今は、ベンダーが乱立している中でいろんなシステムの更新費用が物すごくかかる状況になっています。それはある意味、ちょっと食い物にされていると思っていて、それは標準仕様を提供してもらったほうが、府民、市民のためにはなると私は思うんですね。もっと、そんな技術的なことじゃないところ、いろんな決定をするところがたくさんあるので、そこはやっぱり渡せないところだとして死守してもらって、技術的なところで安く済むような話になるんだったらどんどんやればいいし、マイナンバーも、まだ十数%しか活用されていないところでいうとまだまだ本格稼働できていないんだけれども、これが80%、90%になればそれを使っていろんなことが可能になってくる時代がもうそこまで見えていますから、そうすると半分の職員でも可能になると思います。  それから、市民サービス、府民サービスが低下するという心配は確かにあるんですけれども、大阪役所の例をまた出しますと、今、戸籍は法定受託事務ですので職員がやっていますけれども、隣の住民のところは全部パソナがやっているんですね。それでも全然市民に不満はないんですよ。むしろ態度がよくなったと好評らしくて、なので、別に公共の担い手は誰でもよくて、その住民票を出すというサービスがきっちりできればいいという考え方もあり得るのかなと思います。そう遠くない未来に韓国のように、住民票のやりとりとかそういうことがなくなって、パソコンで全部できるようになると思うんです。  なので、誰が提供するかは余り重要ではなく、何を提供するかが重要で、これを決めるのはやはり首長であり議会が決めるということは必要だけれども、そのサービスを誰が提供するかは、私は別に民間企業でもNPOでもいいかなと思っております。 34: ◯酒井委員  今、お話がありました、AI、RPAが進化していくスピードと人口が減っていくスピードとどちらが速くなる可能性が高いと思われますか。 35: ◯稲継参考人  私は、AI、RPAの導入速度が飛躍的に高まると思っています。というのは、2013年にカナダであるチームが発表したディープラーニングの技術が、そこから火がついて、ここ5年でもう民間企業は物すごいことになっています。2016年1月1日の日経新聞の朝刊はコンピューターの特集で、チェスと将棋は人間にコンピューターが勝てるようになったけれども、囲碁はまだまだ後10年、20年かかると書いてあるんですね。その2カ月後、3月にアルファ碁というAIが、イ・セドルという人間のチャンピオンを破ったんですよね。もう、日経新聞ですら予測できないスピードでAIは進んでいる。もう自動運転の話も実用化する。トヨタがソフトバンクにすり寄っていったのも、明らかにそういう世界がそこに見えているということですので、AI、RPAは本当に物すごいスピードで入ってくると思います。  実は、総務省系の研究会が今、3つ、4つ走っていまして、自治行政局にスマート自治体研究会、AI研究会というのが走っていて、来年の5月ぐらいに報告書が出ます。地方自治研究機構というのが、今、AIの研究会を走らせていて、来年の3月に報告書が出ます。それから、日本投資センターの研究会にAIの研究会が走っていて、来年の3月に報告書が出ます。来年の3月、5月ぐらいにそういう報告書がいっぱい出て、自治体でのAIとかRPAの話が出ると、これは本格的に主戦場になってくる。ベンダーにとっても主戦場になってくるし、自治体にとってもかなりの話になりますから、来年の春、夏以降はすごいスピードでAI、RPAが入ってくるかなというふうに思います。人口減少は、今まで予測されたとおりのスピードなので、そんなに急に減るということはないと思います。 36: ◯酒井委員  私も全くそう思うんです。このスマート化が想像以上のスピードで、民間を初め、周辺から行政にも絞り込んでくるんだろうと思うんですが、そうなったときに、自治のあり方だけではなくて暮らしのあり方というのも相当変わってくる。それに対してどういうような議論がなされていて、アメリカではベーシックインカムの話が出たりしていましたけれども、その辺も含めて、どういう検討が今、これと同時にされているのか、お聞かせいただけたらと思います。 37: ◯稲継参考人  暮らしのあり方とかいうことは、ほとんど議論されていないかと思います。AIを行政にどう入れられるのかという議論を総務省の自治系じゃない郵政系の検討会なんかでもやっていますけれども、余りないと思いますね。 38: ◯酒井委員  スマートになるというのは、一見格好よく思えたり、夢が描けたりしますけれども、実際この話をしていくと、現状では、多くの方々には同じぐらいの不安が生まれてきていると思います。これから、この制度は外せない、どうしてもこうならざるを得ないと私も思いますけれども、同時に話し合わなければいけない、検討しなければいけないということが、今、私が申した部分かなと思います。また、その辺についても御指導いただけたらというふうに思います。以上です。 39: ◯平井委員  御意見、ありがとうございました。  参考人のお話を聞かせていただいたり、あるいは他の委員のお話も聞かせていただいて、結構私自身きょうはショッキングな御報告だというふうに受けとめています。  確かに人口が減少していく中で、当然税収入のこと、いわゆる財布、財政のことを考えていくと、スマート化していって、ある意味でまとめて執行する部分が必要だという一般的な理屈はよくわかるんですが、政治というのは逆にそこをすごく補完するものであり、行政もそうだと思うんですけれども、最後のところで残る業種というので、例えば営業とか、どっちかというと人と接する、人と相対するところがやはり業務として残るんだろうね、そのほかは効率化することができるでしょうねという考え方もよくわかるんです。きょうのお話を聞いて、我々が議員として、あるいは政治や行政の横にいるメンバーとして考えなければならないかなというのが、ある意味で速度は速くなるでしょうという話も理解はできる一方で、医療圏のように圏域をつくって、どんどん実施しているところがあって、これも何かの過程なのかと思うんですが、少し僕自身がわからないので、参考人のわかる範囲で御経験の中で教えていただきたいと思います。  こういうものがどんどん提案されて、自治体戦略2040が一定、ひょっとしたら国からも指針として、あるいはそれこそ法律も踏まえて先行してしまうという現実が近くあった場合と、自治体の反乱じゃないんですけれども、そこまでという思いとの接着点が必ずどこかで出てくるとは思うんですが、医療圏とか何々圏域というのをどんどん先行させていって当面は進むのかなと勝手な思いはしているんです。といいつつ、自分らの立ち位置と時間軸が全く読み切れない。多分技術的なこと、テクニカルなことなので、進むときはどんどん進んでしまうんですけれども、実際の日本の世の中の変わり方とかが、例えばキャッシュレス問題でも日本は非常におくれているんですけれども、世界的にはキャッシュレスが主流なんですよということで今、キャッシュレスを進めようとしている。けれども、日本人は現金という問題についてはまだまだ信用度が高かったりということで、ついていく度合いが遅いと思うんです。遅いか早いかはちょっと議論があるかもわからないですけれども、このあたりがどういう時間軸で実際動いていくのかというのが非常にわかりづらいんです。私が見えていないんですけれども、参考人の中で何かこういう時間軸というのがおぼろげでもあるようでしたら、教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 40: ◯稲継参考人  どうも御質問、ありがとうございました。  医療圏の話が、例えば参考資料の27ページなんかに載っているんですけれども、国民にとって非常に切実な問題は、市町村とか県とか関係なしにサービスを受けたいと思っていると思うんですね。私も前は大阪の豊中市民だったんですが、今は新宿区民で、例えば病院にかかるときには別に新宿区じゃなくても、一番いい病院にかかりたいとか、倒れたら近くにかかりたいとか思っていて、そういうサービスは県がこうなっているからとかがこうなっているからとか、そういう垣根は欲しくないなと思うんですよね。それは多分、役所の方は違うと思うんですが、大部分の国民、県民、市民はそう思っていると思っています。自分に非常に切実にかかわることについては、こういうのは崩してほしいとみんな思っていて、医療については本当に緊急性があるので、圏域を飛び越してやっている現状がありますね。  でも、保育でいうと、先ほど言った私の孫が、1人は目黒区に、もう一人は千葉に住んでいるんですね。千葉のほうはほとんどみんな入れるらしくて何の問題もない。でも、目黒区はすごく不足していて入れないんですって。義理の娘は割とばりばり働いていた人で、すぐ2月ぐらいから戻りたいんだけれども、入れるところがないし目黒区としてもやっていない。なので、民間の15万円とかかかるようなところしかもう入れなくて、どうしようみたいな話になっているんですね。でも、ちょっと隣のが空いていれば、そっちへ入れればいいと思うんですよ。そういうのが何で、県とかとかそういうつくった区域で区切られているのか、わからないんですね。それはもっとどんどん柔軟に広げていったらいいと思います。  そういうことでいうと、そういう身近なところからどんどん広げてくれとか、圏域を超えてくれという話は、これから、国民、県民、市民からいっぱい出てくると思うんです。それが起爆剤になって、さっきおっしゃったAI、RPAがいろんな形で提供できる。今までは、市域を超えると保育園のマッチングはとても難しかったけれども、AIを使うと一発でできるように今、さいたまなんかでもやりましたけれども、できちゃうので、そういう技術の進歩と国民のニーズが合致する方向で、割とそんなに遠くない時期にいろんなところが動いていくのではと思います。  この自治体戦略2040の報告書が出たのは、ことしの5月、6月ですけれども、それ以降、物すごく進んでいるので、スピードは物すごく速いと思います。なので、AI、RPAの導入速度は来年の夏以降、各自治体で物すごく普及が進みます。それと、この圏域の話は、やっぱり昔からエスタブリッシュされたものがありますので、なかなか進まない。そのギャップが、今後、国民、県民、府民、市民にとってどうなっているのみたいな声が出てくるんじゃないかなというふうに、私自身はちょっと予想しております。あくまで予想なんです。 41: ◯平井委員  ありがとうございます。  またさらに、もし専門分野が違ったら申しわけないんですけれども、今、お話に出たように、例えば子育て環境を整えるということで頑張っている特に首都圏なんかの自治体は人口増が進んで、少し周辺のところでは、流山、千葉県なんかもそうですけれども、できるだけ子育てを充実させて、若い世代の人口が増になっているというところが非常に特徴的に今、出てきている。一つの事例だと思うんです。  一方で、ある意味、税の配分じゃないんですけれども、まちづくりという視点で見た場合に、取り残されてしまいそうな自治体がやっぱり今後、むしろたくさん出てくるだろう。これも同じことで、どう補完するかは、科学技術的な問題ではAI、RPAで補完できそうな部分もあるんですが、でも実際、人口の流動とかが進まない県、パイは小さいかもわからないですけれども、ここもやっぱり政治なり行政的にしっかり補完して、ある程度最低的な生活水準ができることを保障していかなければならない。それはひょっとすると、財政面あるいは経費的な部分でいった場合には非常に非効率な部分も出てくると思います。それをどういうふうにマッチングするかというのは、コンピューター上とかシステムとしてできそうなんですけれども、対人間の部分とそのマッチングは本当に進むのかなというのが、一方で僕自身は見え切れないんです。専門分野が違ったら申しわけないんですが、そのあたりはどのようにお考えか、御経験があれば教えていただきたいと思います。 42: ◯稲継参考人  非常に難しい課題と思いますけれども、効率性だけが一つのメルクマールでは決してなくて、平等性だとか、あるいは公正性とかいろんな理屈があると思うんですね。それも全部勘案した上でやっぱり行政はしていかなきゃならないと思うんです。  流山なんかは非常に子育て支援をよくやって、今、人口増の非常に珍しいケースなんですけれども、そういうことができるところばっかりではありません。あそこはつくばエクスプレスがあるからできるんだけれども、そうじゃないところが千葉県内でも取り残されている地域はあります。そこはじゃあ、人口が減っているからもう見捨てるかといったらそんなわけにはいかないので、やっぱり日本国民である以上、割とユニバーサルサービスを提供するというのが国家としての使命でもあるので、その辺のところを効率性は重視しつつも、でもどうやってサービスの行き届かない人のところにちゃんとサービスを行き渡せるのか。それは、ひょっとしたら行政じゃないかもしれない。行政の領域だけれども、担い手は違う人が提供する。NPO団体が提供することになるかもしれない。この中にもちょっと書いていますけれども、そういったことになってくるのかな。効率性だけが、お金だけが全てじゃない。でも、お金はない。じゃあ、どういう工夫をしていくのかなというところになるのかなと思います。答えになっていますかね。 43: ◯平井委員  わかりました。ありがとうございます。まだまだ到達点が見え切れていない自分もいるんですけれども、こういう一石を投じていただくことでさらに研究をしなきゃならないなということを感じましたので、きょうは大変勉強になりました。ありがとうございました。 44: ◯林田委員  2040年というようなことで、多分僕はいなくなっちゃうなと思いまして。昔ちょっと地域で呼ばれまして、年金がなくなっちゃう、これから年金はどうなるんですかという話がありました。そのときにお話をさせていただいたのは、基礎年金は多分なくならないでしょう、そのまま続いていくでしょう、だけど、皆さんが蓄えたあれはそれなりに上手に使っていったらいいんじゃないかなと。ただ、健康で自分がしっかりと生きていっていただきたい。そして、しっかり年金をとってほしいというようなことをお願いしましたら、それなりにお年寄りも理解していただきまして、ただ年金がなくなっちゃうという話じゃなくて、自分がどうして生きていくかということを考えていかなきゃならないのかなというような思いを持たせていただいたんです。  それと、そのときに言ったのが、多分、わたしらみたいな団塊の世代が亡くなったら世の中は少しはいろいろ変わってくるんでしょうなと。この統計やらを全部見ていると、とにかく下がり続けていく、本当に下がっていくのかなと。もし何かあったときに、ひょっとしたらまともな、まともといったらおかしいですけれども、それなりの落ちついた社会というものが見えてくるのかなというような、ちょっと期待もあるわけなんですよね。その辺の前向き思考とかそういう感じのこと。もうそんなことを言ったら、宮澤さんがおられたころに、もう二十何年たったら4人に1人は高齢者ですよというそのままになってきているんだから、統計というのは実際そうなんですよね。  だから、その辺をどうやっていくのかというのが、ITもしかり、いろいろなやり方はあると思いますけれども、やっぱりその辺が、これからの自治体が置かれている立場と役割といいましょうか。それとその地域の発展、安心・安全ですね。その辺のことをどう担保して考えていただけるのかなというような話があったら、少しうれしいなと思うんですけれども、その辺のお考えはどのようなことになっていくのでしょうか。 45: ◯稲継参考人  大変難しい御質問をありがとうございます。  私の息子が29歳、娘が31歳になるんですけれども、彼らは日本の成長を全く知らないんですね。平成に入ってから日本は全然成長していないので。昔は、私なんかはオイルショックのころは、公務員の給料が3割ぐらい毎年上がったりしていたとかそういう時期もあったことを言ったら、「考えられない」と言うんですね。彼らにとって、やっぱり未来というのはシュリンクするんだということが植えつけられちゃっているような世代なんです。そういう意味では非常に気の毒で、でも明るい未来を彼らにも、若い人にも示してあげるのがやっぱり私ら年寄りの仕事だとも思うんです。  では、どうやってその明るい未来を届けてあげられるのかということなんですけれども、人口減少というのは、これはもう本当に、おっしゃったように昔予言されたとおりの減り方をしているんですよね。今の予測でいうと、本当に減っちゃうのはもう間違いないので、フランスのような急展開はなかなか望めそうにないです。  そうすると、税収も減っていくのは見えている。その中でどういう明るい未来を彼らに示せるのかというと、一つはやっぱり技術革新なんですね。今、私はスマホを持っていますが、しゃべれば近くの中華料理屋さんを案内してくれたり、電話をかけたりしてくれるんですよね。そういう世界は10年前は予想できなかった。多分何千万円もかかったような話が、こういうAIが普通に身近に使えるような時代になっています。どんどんいろんな形でそういった技術革新が起きていて、それは君たちの生活にもプラスになることがたくさんあるんだよ、例えば介護のロボットができて、介護人材がいなくてもロボットがちゃんと面倒を見てくれるような世界になるんだよとか、そういう技術革新のことぐらいしか、明るい未来を見せてあげられないのかなというふうに思っております。済みません、答えになっているのかどうかわかりません。 46: ◯林田委員  SFの世界かなというような、昔の鉄腕アトムじゃないけれども、ロボットができてきて人工衛星が空を飛ぶなんて考えられなかったんですけれども、人体に装着して多少なりとも体をいたわるような話も出てきていまして、やっぱりいろんなことが起きてくるのかなとの思いがあるんです。ただ、わたしら自民党で一応政府の味方ということになっているのですけれども、東京の一極集中でね、皆さんがあそこに住まれて本当に、さっきお孫さんのお話をされて、区によって格差が出てきちゃうとかそんなことがね。だから、住むところ一つにしても何か問題があるんじゃないかな。高層のタワーマンションができているけれども、あれは、地震があったらエレベーターがとまっちゃって、上の階の人は買いだめをしておかなかったら絶食状態になっちゃうんじゃないかなというような思いだろうし、エレベーター一つにしても点検して安心・安全を確認して初めて動くんであって、それまでは階段の上り下りをそんな年寄りになったらできない、どうして住むんだというような話もあります。  だから、社会の構造というのか、もうちょっといろいろあったほうがいいんじゃないかなというような。効率的にお金を投資して、一番効率的に世界から金が来て、それで経済が回るというのもわからんわけではないですけれども、これから日本の人たちが日本列島で生活していくにはどうしたらいいのかなということも、ちょっとどこかで議論していただきたいなというような気はしますけれども、どうでしょうか。 47: ◯稲継参考人  ありがとうございます。  やっぱり東京一極集中は、僕はだめだと思っております。首都直下が起きたら壊滅状態になると書かれていますけれども、それだけではなくて、人々の幸せということでいうと、一極集中というのはおかしいと思っています。
     アメリカの場合には、首都機能はワシントンDCにあって、経済の中心、金融センターはニューヨークにあって、これはアムトラックで二、三時間かかりますけれども、例えばIT企業だったらテキサスにあったり、カリフォルニアのシリコンバレーにあったりします。あるいは、ある企業はワシントン州の北西のほうにあったり、放送センターはアトランタにあったり、でかい企業は散らばっているんですね。多極分散していて、それぞれのセンターがばらばらにある。それで、例えばITのでかい企業の社員でもプールがあるような家に住むことができるんです。みんなニューヨークに集まっていたら不可能な話です。  そういうことでいうと、やっぱりそういう人たちは幸せなんですね。家にプールがあって広い家に住みたいとか。東京だとそれはあり得ない。70平米でも1億円とかする世界でいうと、全然もうスペースがないんですね。上に行くしかない。上に行ったら、地震が起きたらどうなるのという話になっていって、決して東京の人は幸せじゃないと思っています。  例えば、そこにしか仕事が集まっていないとか、あるいは省庁は全部そこに集中しているとか、その省庁に陳情しに行く企業もそこにセンターを置くとかいうことになっている現状がちょっとおかしくて、文化庁がこちらに来るというのはすごくいいことだと思うんですけれども、文化庁だけじゃなくて、いろんな省庁が多極分散するとか、あるいは経済もいろんなところに分かれていくということのほうが、首都直下の地震の備えという意味じゃなくて、人々の幸せのためには、やはりいいと私は考えております。 48: ◯林田委員  文化はどっちかというと早く発達したほうだと思いますので、文化庁さんが来ていただいて、京都に来てよかったなと思えるような京都府のあり方であったり、京都のあり方だと思うし、またほかの都道府県の皆さんにもいろいろお世話にならなきゃならないかなと思いますけれども、その辺のちょっと分散を成功例としてぜひみんなでサポートしていただきたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 49: ◯小鍛治副委員長  稲継参考人様、きょうはどうもありがとうございました。  まず最初に、自治体のクラウドの導入ということで資料についてお聞きしたいんですが、これは多分お答えは京都府の方になるかと思うんですが、参考人からいただきました自治体戦略2040の資料の13ページのクラウドを導入している市町村の割合で、京都府が30.5%、30.6%ということになっています。京都府からいただきました、自治体クラウドの取り組みについてのデータとどの辺がリンクしているのかというのを教えていただければというふうに思います。  パーセントがたくさん、全てできているというのもあれば、平成31年の3月に76%になるとか、そういうデータが出ていますが、これは何かリンクして見るようにできているのか、それともばらばらなものなのか、教えていただけますか。 50: ◯原田政策企画部情報政策統括監  この資料につきまして、総務省のほうにも業務の標準化、共通化を示す資料としては適当ではないのではないかという話をずっと投げかけております。私どもが提供させていただきました資料にございますように、京都府内におきまして、税の共同化、そのベースとなる業務を共同化しようとしますと、どうしても業務フローの標準化とかそういったものが必要になってまいりますが、なかなか難しゅうございますので、同じシステムを入れることによって業務の標準化を成し遂げるという手法をとった関係で、システムの共通化というのは非常に進んでおります。恐らくは、全国一進んでいる状態になってございます。  その意味からいきますと、業務の標準化、共通化というのは、京都府内が本来は1番になってしかるべき状況かなというふうに思ってございます。ただ、なかなかそういう指標というのがない関係で、総務省のほうではクラウド化という指標を使われています。クラウド化によって、一定の指標になるのは事実でございますけれども、京都府内におきましては、まずは業務システムの共通化ということを取り組んで、京都府内のシステム受託業者さんのほうに、例え北のほうの市町村さんであっても、南のほうの端の市町村さんであってもしっかりとサポートするようにという契約条件で受けていただいている関係もございまして、クラウド化の進展が若干おくれた経過はございます。  それとあとは、セキュリティ問題を起こした市町村さんもあって、なかなか進展しなかったという経過もございます。しかし、昨今は大分意識も変わってこられまして、またネットワークもございます関係で、クラウド化が非常に急速にここ一、二年で進展してきているということでございまして、今お出しさせていただいたような状況で、いずれにしても実質的にも形式的にも、全国の最先端に近い状況に今、なっているかというふうに考えてございます。  以上でございます。 51: ◯小鍛治副委員長  ありがとうございます。  以前も私は、このクラウドについて質問をさせていただいたことが何回もあるかと思うんですが、本当に、国が出している資料と京都府の資料とかがなかなかうまくマッチングするような指標がないというのもお聞きしています。  今も御答弁いただきましたように、全国で一番進んでいる中にあるかと思うんですが、参考人様にもちょっと教えていただきたいんですが、私は30年ぐらい前に日本IBMでコンピュータの営業を3年ほどさせていただいていたことがあるんですが、その当時から、やはりクラウドとか、各市町村で持っておられるコンピューターのハードも違えばソフトも違う。ちょっと何かやりとりをしようと思っても、本当にデータの互換性がないというのがあったんですが、今、ハードはどこであっても、OS環境が同じであれば一定のソフトは動くのもありますし、アプリというものが出てきているために、非常に円滑にいろんなデータをやりとりすることができるようになっていると思います。  こういった取り組みが進んでいくと、先ほども御指摘がありましたマイナンバーカードを使って、いろんな医療の管理とか、例えば医療で健康な人にポイントをつけていくとかいったことも今後は十分可能だとは思うんですが、国レベルで、何か大きなそういったことを取り組みとしてされようとしていたりということを御存じであれば、教えていただければなと思います。 52: ◯稲継参考人  私自身はちょっと残念ながら、そういう、やろうとしていることについての実情を知りません。ただ、官僚の人と飲みながら話している中での話ですけれども、マイナンバーを使うといろいろできるよね、これを載っけられるよねみたいな話は彼らはしていて、可能性は探っているんだと思いますけれども、実際に研究会で何か方向を出したとかそういう話は、私はちょっと残念ながら存じません。 53: ◯小鍛治副委員長  ありがとうございます。  そういったいろんな業務で、コンピューターが進んでいけば、可能性もあるかと思います。先ほど参考人様から御指摘があったように、特に日本のどこかで成功事例が出てくると、一気にそれをみんなやりたくなる。また、成功しているのでやりやすくなるというのがあるかと思うんです。AIとかチャットボットを使った取り組みをまた来年、再来年以降、特にグーグルさんも世界全体に対してIoTを含めていろんなことをされようとしているかと思います。そういったことも含めて、またいろいろ御指導、教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 54: ◯渡辺副委員長  稲継参考人様、本当にありがとうございました。  冒頭お話しされたように、私も孫が1歳になりまして、本当は自分も大分年がいっているから、将来というのはあんまり展望できなかったようなところも正直ございます。反省として。でも、きょう、お話を伺って、本当に自分たちの子どもたち、また孫がどのようにして未来に生きていくのかということについては、今を生きている私たちがしっかりと見定めないといけないかなというような思いで聞かせていただきました。本当にありがとうございます。  先ほど、特に、いろいろ技術革新とかAIとかの導入によって、半分の職員でも担えるようなということではあるのですけれども、私は府の職員の方、また基礎自治体の職員の方々を拝見していまして、今までのように事務的なこととかを自分たちだけでやるということよりも、より住民の方たちと一緒になってやっていく方向性というものが重要視されるようになり、基礎自治体だけではなくて府の職員の方も本当に現場に行って、いろいろと皆さんと協働していただく取り組みが進んでいるのではないかなと思っているんです。  これは、一方では大変重要な視点だと私は思っていまして、先ほど、人事委員会事務局でもお勤めになっていたという御経験もお聞きしましたし、これから職員の方々に求めていく資質というかそういうものについて、何かお考えがございましたらお聞かせ願えますでしょうか。 55: ◯稲継参考人  どうも御質問ありがとうございました。  2040年は22年後ですけれども、その前にもう既にAIとかRPAはどんどん入っていくところでいうと、むしろ、今おっしゃったように住民と協働できる、あるいはコミュニケーション能力の高い人材がどんどん求められてくると思います。今まで、事務処理が速い職員が非常に重宝されたり、あるいはベテランで何でも知っている職員が重宝されていた時代がずっと続いたんですね。ここニ、三十年だと思います。でも、恐らくそれはAI、RPAで代替していけると思うんですね。昔、そろばんの速い人が重宝されましたけれども、今は全部エクセルでやっちゃうのでそろばんは別に関係ないとか、浄書のうまい人が重宝されたが今は全部ワードで打ってしまうので関係ないというふうに、同じように事務処理とか、そういったベテラン職員でなきゃならない知恵だとかそんなのは要らなくなって。  野村総研の報告書でも、やはり営業人材というのは絶対不可欠なので、今、民間企業で物すごく採りたがっているのは、やっぱり営業ができる人材なんですね。昔は、内勤ができる人も募集みたいなのがありましたが、それはどんどんRPAに置きかわっていますので要らなくなるんです。多分自治体でも、同じような現象がここ5年ぐらいで間違いなく起きてきますので、事務処理ができるという人よりも、営業力のある人ですよね。住民のところに出かけていって、調整したりとかいろんな対応ができるような人が求められてくる、これは間違いないことだと思うんですね。  あと、翻訳能力のある人。これは英語の翻訳じゃなくて、例えば国とかが通達を出すとか法律ができたのを、自分の地元だとどういうふうに置きかえて話ができるのかということがわかる人材ですね。今まではむしろ国がこう言っているからこうですよと地元で言って、「何それ」みたいなことを言われていて、でもそれが当たり前だったんですけれども、今はそんなのはむしろ嫌われる存在になっていて、翻訳をして、これはこういうことですよと説明できる、そういう能力のある人が、今後、ますます求められてくるんじゃないかなと思っております。 56: ◯渡辺副委員長  ありがとうございます。  まさに京都府の職員の方々も、そういうふうな能力を持っておられる方が活躍していただいているかとも思います。  やっぱり人づくりという面では、少子化になってきて、先ほどの報告の中でもあったように、保育所とか0歳児の早いうちから預かってもらうというようなことのニーズがふえていく。女性の活躍ということで、女性も仕事を継続してやれるという意味ではそれは一方では大切なことだと思うんですけれども、もう一方では、やはり子どもを産み育てていくことの大切さというものを皆さんが認識されている。それで、今のままの働き方では、できるだけ早く復帰したいとか、仕事を続けたいという方々は、早く預けないといけないということになっていて、統計、予想を見てみますと、幼稚園の需要が大分減ってくるということではあるのですが、一方で私が思っているのは、働き方の改革を社会全体で認めていくというか。子どもを育てる時間は一生の中で本当に大切な時間だと思いますので、企業とか中小企業の方の中でも、その時間についてはみんなで何とか確保していこうねと。それで、また復帰してもらったりとか。子育てをするというのは人間的にもすごく成長すると思いますし、子どものためにも親のためにもいいことだと思うので、今までの働き方の認識と同じように、産んだらすぐにできるだけ早く預かってほしいみたいな思いをしておられる人にとっては制度を充実するのも必要なんですけれども、ゆったりと子どもを家でも育てながら、また仕事に復帰したいというような方も多いかと思います。  ですので、ちょっとこんなことを聞いて何なのかもしれないんですけれども、そのような働き方とかそういうふうなことと、皆さんで育てるというような風土づくりみたいなこと、幾ら制度があってもそれを活用できないような実情が今あるかと思いますので、そのことについてもし御示唆があれば、教えていただきたいなと思います。 57: ◯稲継参考人  今、内閣府のほうで女性活躍推進法の検証をやっています。私も委員の一人なんですけれども、特定事業主行動計画や、府庁とか市役所の行動計画と、その圏域の事業主に向けての計画も含めて、どういうふうに見直すかというのをやっています。その中で今、まさにおっしゃったような議論が出てきていて、すぐに復帰できるようなそういう制度も必要だけれども、でも復帰したくない人は二、三年置いてから復帰できるような制度も必要ではないか、まさにそういう議論をやっています。  子育てをする人が選択できるように、そういう指標も必要じゃないかという議論もされていて、私はそのとおりだと思っています。単に、すぐ復帰できる制度づくり、0歳児保育の施設をふやすというのも大事だけれども、二、三年置いてから、子どもと向き合って育ててから戻りたいという人もすぐに受け入れられる、戻れるような居場所をつくるような仕組みも必要じゃないかなと私自身もそう思っております。  ありがとうございました。 58: ◯渡辺副委員長  ありがとうございました。  先ほどの府と政令指定都市との関係とか、私も京都選出ですので、大変課題は多いかと思っております。しかしながら、これを機会にいろいろと皆さんが考えていただいたり、この前は「西脇知事と行き活きトーク」ということで、新総合計画も考えている中で知事がいろいろな地域に行かれてお話をされています。その中で、だんだんと人口減少になってきて心配ごとが多いという、その課題について府としても支援してほしいという話もある中で、お一人の方から、先ほどお話もありましたけれども、みんなでこの危機を前向きに、危機というよりもプラスに転じられるようにみんなで頑張っていこうというような方向性も示してほしいというお話がございました。私も、きょうの議論をもとに一層、自分の問題としても考えていきたいと思います。本当にありがとうございました。 59: ◯二之湯委員長  ちょっと私からも少しお伺いしたいと思います。  稲継様には、きょうは大変お忙しいところ、参考人としてお越しいただきましてありがとうございました。  まず初めになんですけれども、参考人の最新の御著書は『AIで変わる自治体業務 残る仕事、求められる人材』ということなんですけれども、この本を書かれた意図、深いところの本心をちょっと教えていただきたいなと思います。 60: ◯稲継参考人  この本は、毎年お正月にぎょうせいの担当者がカレンダーを持ってお見えになるんですけれども、ことしのそのときに、最近何ですかねみたいな話をしたときに、やっぱりAIが気になりますよね、じゃあ、その話で書いてくださいとなったんです。昨年の4月に「ガバナンス」という自治体向けの雑誌に、今後、中長期的にどういう人材が必要かというテーマで書いてくれと頼まれたところで、AIの話を相当書きました。  私自身は60歳で、私の大学の同級生は大体定年を迎えている人が多いんですけれども、金融に行った人が多いんですよね。金融に行った人と同窓会、この年になると同窓会がふえるんですけれども、同窓会に出ていると、やっぱりこんなことになっているよねという話は飲んだ席でいろいろ聞きました。4年前ぐらいから聞き出したのが、このAIの話で、大変なことになる、銀行の窓口は全然変わる、職員が1万人規模で削減されるとか言っていて、ほんまかと思っていたら、1年後ぐらいの新聞でそういうのが出てきてという話になって、これは大変なことが今、日本で起きているという認識が3年ぐらい前からありました。多分2年前ぐらいから日経新聞に毎日のようにAIが載るようになって、自治体の話はほとんどなかったんですけれども、私はこれは絶対、自治体で何か起きるに違いないと。調べていくと、大阪で戸籍の実証実験をやっていたりとか、チャットボットの実証実験を三菱総研がやっていたりという話をキャッチしましたので、ヒアリングに行ったりして、それで本を書いた次第です。  私は、これに書いていますように、AIで全部自治体業務がなくなるとは決して書いていなくて、残る仕事は絶対ある、残る仕事に求められる人材はどういう人材かということを書いております。残る仕事というのは、先ほど申し上げたようにまさに渡辺副委員長から御質問がありましたように、住民と接する仕事とか調整する仕事、これは絶対なくならない。AIではできないんですね。住民説明会にペッパー君を連れていって、ボタンを押しておしまいというそんなわけには絶対いかないので、目と目を向き合わせて、そしてちゃんと真摯に説明してわかってもらう、そういうことができるような人材が必要だということを相当強く書いたつもりです。それは、絶対に自治体でもなくならない仕事。そのことを相当強調して、これからの人材育成は相当変わる必要があるんではないかなということを訴えたつもりでございます。 61: ◯二之湯委員長  ありがとうございます。  自治体職員に求められるもの、残る仕事、求められる人材というところに、私は日本全体のまた希望もあるんじゃないかなとちょっと思っています。それは後でまた質問をしたいと思うんですけれども、今そういう質問をさせていただきましたのは、結局それをやれというよりは、やむにやまれずというか、絶対やらないとだめだというある種追い込まれたところがあるんではないかというふうに思っております。  きょうは、先ほど自治体のあり方とかガバナンスのあり方という話もあって、あるべき姿、理想というものと、とはいえ、参考人からは例えば財政の問題を含めて、こういう現実があって、こういうことはやっぱりしていかなければならないんじゃないかというお話があって、私も非常に関心を持って聞かせていただいたんです。  私が最近思っていますのは、例えば人口が減って、労働力が減る一方で、行政のサービスはある部分は非常に求められるところがある。それをしていくために、こういった破壊的技術は使わざるを得ないだろうなということです。だから、ある種必然というか、追い込まれた感じがあると思います。  あともう一つは、官民の境界が非常に曖昧になっているとか、参考人もアメリカのカリフォルニアの例を出されて、行政業務を民間のビジネスとしてやっている例を紹介されたりとかいうことがあって、私も、前回のこの特別委員会でもちょっとそういうことを話したつもりなんですけれども、地方公共団体がこういった破壊的技術を用いて、デジタル前提で組み立てられることというのが、地域経済のあり方とか発展とかいうことにもかかわってくる。  先般、こういう話を聞いたんです。ある方が車庫証明をとるのに陸運局にいかないといけないというのですが、ずっと紙ベースなので、遠いところにお客さんがいたら、往復で二、三時間かけてやる。一方で自動車の整備工なんていうのは物すごく人手不足で、こういうのを行政がもうちょっと配慮して、電子申請でもいいですよとかいうふうにしてもらわないと、物すごく民間の生産性を下げているわけなんですね。こういった例は本当に随所にあると思っています。  その地域経済という部分ともう一ついうと、私も自民党なんですけれども、我々の党のこういったことに大変詳しい代議士の先生に講演をいただきまして、デジタルが駆動する社会とか経済ということで、非常に世界の最先端の生々しいお話を聞かせていただいた。中国が、アメリカのIT企業を締め出して国内の市場でそういった企業を育ててというところの本当に物すごい対決の様子を聞かせていただいて、世界経済の今後、こういった対決、ブロックチェーン等々の新技術といったことができたときに、この一、二年でそういったいわゆる情報の流通ということの部分で物すごい覇権争いがあって、非常に大事な時期ですというようなことを聞かせてもらいました。  また、前回のこの特別委員会では、EUでは官民問わず電子認証、電子署名が必然であって、それを満たさないところとは取引できませんよというふうになっているということがあって、これも結局そうなっているんだったら、必然的に日本も追い込まれてといいますか、おくればせながらやらなければならないというところに来ているんじゃないか。  という意味では、この自治体戦略2040というのは、戦略とは言っていますけれども、戦略とは本当はもっと先行してやる部分ですので、対応、後追いということになってしまっているんじゃないかなという気がしているんです。日本の地方公共団体というのは、戦略としてまだまだ積極的に、自分たちが何か主導権を発揮してできるという余地があるのか、これは戦略とは言いながらも、後手後手の対応でこうせざるを得ないというそういう感じなのか、参考人の御所見を教えていただきたいと思います。 62: ◯稲継参考人  御質問、ありがとうございます。  おっしゃられたところはまさにそのとおりだと思っておりまして、韓国なんかは本当に電子申請で何でも整う。日本のように、役所へ行って、住民票をもらって印鑑証明書をもらってということは全然要らない状態になっています。EUもおっしゃったように、EU指令でそれが出ていますので、日本がこういう何でもかんでも紙ベースで必要だということは、ビジネスチャンスを相当失わせている可能性があるんですよね。OECDから出している世界のビジネスがどれだけ入りやすいかという指標があって、日本はかなり低いんですよ。シンガポールはすごく高くて、そういうことでいうと国際的には全然負けている状態を何とかしなきゃならないというのは、私も常々思っているところです。  電子申請ということを政府もおっしゃっていますけれども、まだまだちょっと一丁目一番地に入っていない状態だと思うんですね。今後、やっぱりそれを相当進めていかなきゃならない。  それから、いろんなフォーマットも共通仕様にしていかなきゃならないと思っていて、いろんな手続で企業がもらうものが自治体によって本当にばらばらな様式で、とても共通フォーマットに載せられない状態になっているんですね。私の知っているところでは例えば、住民税の課税証明書を各企業に自治体から送りますよね。そうすると、縦とか横とか、黄色とか青色とかばらばらになっていて、企業担当者は非常に悲鳴を上げている状態。それを何とか共通フォーマットにして電子でやりとりするところに、一歩手前まで今、来ているらしいんですけれども、そういうところも必要だし、ほかのさまざまな申請書類についても共通フォーマットをつくって、企業が活動しやすいようにしなきゃならないなと思います。おっしゃるとおりだと思います。 63: ◯二之湯委員長  ありがとうございます。  そういった現状認識を確認させていただいて、きょうも思ったんですけれども、そういったことというのは、今後の社会、経済をしっかりとしたものにしていくための本当の前提というか必須条件であって、明るさとか豊かさとか希望とか、そういう感じには多分受け取られない。その一方で、自分の仕事がなくなるんじゃないかとか、また物すごく新しいことをやっていかないといけないんじゃないかという不安とか負担感というのが、すごく出ているというふうに思うんです。でも、やらなければならない。だから、同時に夢や目標、そういったことが非常に大事だなというふうに僕は思っております。  先ほど、稲継参考人が「AIで変わる自治体業務 残る仕事、求められる人材」の中で、こういうことはずっと職員がやらなければならない、残りますよ、人間しかできませんよとおっしゃっていたそこに、将来の希望を見出すチャンスがあるんではないかなというふうに申し上げたことなんですけれども、参考人は、自治体戦略とかの話を一旦度外視した上で、例えば2040年にどういうふうな社会、すごく漠然なんですけれども、明るさの面で何かキャッチフレーズみたいなものとか、理念でもいいんですけれども、そういったことで多くの人が共有できる、共通に認識できるようなことについて何かお考えがおありでしょうか。 64: ◯稲継参考人  わかりやすい例でいうと、自動運転は完全に実用化されていますので、どこへ行きたいとボタンを押したら勝手に、寝ていても届けてくれるというのが当たり前の世界になっている。役所なんかでも、手続的にはパソコン上でここに引っ越すというのをボタンさえ押せば、転出届とか転入証明書、印鑑証明書が全く要らずに最後に来た案内に本人確認で受け取っただけで転出の全ての手続が終わるとか、相続についても、今までのように複雑な戸籍附票を全部追っかけなきゃならないとかそういうのもなくなるというのは、当然に起きていると思います。  その上で幸せだとかということでいうと、煩わしい手続とかそんなことに府民、市民が煩わされることなく、自分たちのやりたいことができるようなそういう社会。それから、教育でいいますと、今アメリカで「カーンアカデミー」というのが始まっていますけれども、iPadで学習して、学校に行ったら質問を受け付けるような時間になる。塾みたいになっているんですね。家で自分のスピードに合わせて進んで、それを学校で確認して先生に質問するような形ですね。だから、宿題を出すんじゃなくて予習ばかりしていって、学校でみんなと話をする、先生は個別指導に回るみたいなそういう世界。子どもたちにとっては、自分の学びたいスピードで学びたいことが学べるようになっているというのが、多分間違いなく来るところだと思うんですね。  ほかのこともやはり、自分たちがかなえたいことが煩わしい手続なしにできるようになっていて、自分たちのペースで暮らせるような社会になっているんじゃないかなというふうに思います。 65: ◯二之湯委員長  どうもありがとうございます。  私は、今のお話にもあったんですけれども、自己実現できているというか、あとは創造性ということがすごく重要になってくるんだろうなというふうに思っています。今のAIとか何とかの話は手段とかの話で、どっちかというとコンテンツという部分が非常に重要視されて、それをつくっていくということに非常に多くの人がかかわっていける時代になるんじゃないか。  例えば京都府に文化庁が来ますけれども、じゃあ、京都府は文化とか芸術で生活している人が多いかといったらそうではないと思いますし、伝統的な芸能だとか手仕事だとか、高価なものとかはやっぱりどんどん失われていきつつあるんですけれども、これからというのは、むしろそういったものが新しいものも含めて盛んになっていく。人々の創造性とか美とか、そういったことが非常に重要になってくるんじゃないかなというふうに思っていまして、文化庁が来る京都は、官民挙げてそれをしないといけないなと思っているようなところです。それについては、参考人の御意見は。
    66: ◯稲継参考人  文化の世界で一番の都市を目指してもらいたいと思うんですが、先ほども申し上げたように、AIで代替できないのは創造性なんですよね。何かをつくり出すということはAIにはできません。ゼロイチの世界でしかないので、それをつくれるのはやっぱり人間です。それをつくれる人材を育成するのもやっぱり人間でしかないんですよね。それはやっぱり、文化の中心である京都でぜひ担っていただきたいなというふうに思います。 67: ◯二之湯委員長  ありがとうございます。  行政サービスを維持するのは、言うならばホップ。維持するために、さまざまな破壊的技術を駆使することによって経済を世界に比べて出おくれないとか、しっかりと盛り上げていくのがステップだとしたら、最後のジャンプが、人間しかない創造性を持ってより美しくて良質な暮らしをつくっていくのが、これからじゃないかな、そういうことだと私は信じているんですけれども、多くの人がそういったことで、将来の暗さだけじゃなくて、明るさを感じられるキャッチとかスローガンとかがあれば非常にいいなというふうに思っています。  また、何かの折にいろいろと御指導いただければというふうに思います。きょうはどうもありがとうございました。  御発言も尽きたようでありますので、これをもって所管事項の調査を終了いたします。  稲継様には、大変お忙しい中、参考人として本委員会のために御出席いただき、貴重な御意見を述べていただきましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございました。  本日いただきました御意見につきましては、今後の委員会活動の参考にさせていただきたいと存じます。また、理事者各位におかれましては、本日、各委員から出された御意見・御見解などについて、今後の府政の推進に当たり十分御留意いただき、府民のためなお一層の創意工夫をされるようお願いいたします。 68: 3 閉会中の継続審査及び調査   別紙要求書(案)のとおり議長に申し出ることに決定した。 69: 4 今後の委員会運営  (1) 2月定例中の特別委員会    議事内容については、今後、正副委員長で速やかに調整を行うことが了承された。    また、出席要求理事者については、議事内容に沿って出席要求することとし、正副   委員長に一任された。  (2) 委員会調査    本日以降に開催される本委員会所管の行催事等に係る委員会調査については、今後、   新たに、京都府が主催、共催、または後援する行催事等で、委員会の付議事件の調査   のため、委員が出席することが有意義と認められるものについては、委員会調査に位   置づけることとし、その取り扱いについて、正副委員長に一任された。  (3) 今後の委員会運営全般    上記のほか、今後の委員会運営全般について、正副委員長に一任された。 70: 5 その他  (1) 「委員会活動のまとめ」については、年間を通した総括的なものと位置づけ、内容   の充実に努めることとされており、今期については、任期最終の2月定例会中の委員   会で行うことが確認された。  (2) その他    発言なし 71: 6 閉 会   二之湯委員長から閉会宣告が行われた。                                    -以 上- 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...