京都府議会 2017-02-01
平成29年2月定例会(第3号) 本文
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定例会(第3号) 本文 2017-02-21
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 2 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 3 :
◯藤山裕紀子君
選択 4 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 5 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 6 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 7 :
◯藤山裕紀子君
選択 8 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 9 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 10 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 11 :
◯西脇郁子君
選択 12 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 13 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 14 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 15 :
◯西脇郁子君
選択 16 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 17 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 18 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 19 :
◯西脇郁子君
選択 20 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 21 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 22 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 23 :
◯西脇郁子君
選択 24 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 25 : ◯本庄孝夫君
選択 26 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 27 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 28 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 29 : ◯教育長(小田垣勉君)
選択 30 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 31 : ◯本庄孝夫君
選択 32 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 33 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 34 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 35 : ◯本庄孝夫君
選択 36 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 37 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 38 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 39 : ◯本庄孝夫君
選択 40 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 41 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 42 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 43 : ◯本庄孝夫君
選択 44 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 45 : ◯教育長(小田垣勉君)
選択 46 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 47 : ◯本庄孝夫君
選択 48 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 49 : ◯教育長(小田垣勉君)
選択 50 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 51 : ◯本庄孝夫君
選択 52 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 53 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 54 : ◯小鍛治義広君
選択 55 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 56 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 57 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 58 : ◯小鍛治義広君
選択 59 :
◯議長(
近藤永太郎君)
選択 60 :
◯知事(
山田啓二君)
選択 61 :
◯議長(
近藤永太郎君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初の
ヒットへ(全 0
ヒット) 1:
◯議長(
近藤永太郎君) これより本日の会議を開きます。
────────────────────
2:
◯議長(
近藤永太郎君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。
まず、藤山裕紀子君に
発言を許します。藤山裕紀子君。
〔藤山裕紀子君登壇〕(拍手)
3:
◯藤山裕紀子君 自由民主党議員団の藤山裕紀子でございます。
平成29年度当初予算の審議を行うこの2月定例議会におきまして、初めての代表質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。
今回は4点について質問をさせていただきます。前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
まず1点目は、地域包括ケアシステムについてです。
昨年9月の
定例会におきましても、地域包括ケアシステムについて質問をさせていただきました。質問の最後に、視察で訪れました富山型デイサービスでお会いした方が転んで骨折したことから寝たきりになり、一時は要介護5の認定を受けられましたが、その後の懸命なリハビリによって、そのデイサービスでお手伝いするまでに回復されたというお話をさせていただきました。これはかなりまれな例かもしれませんが、このときにリハビリテーションの重要性と可能性を強く感じました。今回は地域包括ケアシステムの中でも、このリハビリテーションに絞って質問をさせていただきます。
京都府では、平成13年度に京都府地域リハビリテーション協議会が設置され、平成14年度から地域リハビリテーション支援センターの指定及び事業展開を開始されました。平成16年度には「きょうと健康長寿日本一プラン」を策定し、府立医科大学附属病院をリハビリテーション医療の総合拠点として、急性期リハビリテーションの充実と地域リハビリテーション支援センターへの支援機能の整備とともに、京都府全域における地域リハビリテーション体制づくりのため現在の京都府健康福祉部リハビリテーション支援センターを開設、さらに平成23年度から、前年度に策定された「京都府総合リハビリテーション推進プラン」に基づいて総合的なリハビリテーションの充実を目指して取り組まれています。現在はその2期に当たり、平成30年度がその最終年度となります。
リハビリテーションは地域包括ケア3大プロジェクトの一つであり、現在策定が進められています「京都府地域包括ケア構想」の中にも、「急性期から回復期、維持・生活期まで総合的なリハビリテーション提供体制の整備、リハビリテーション専門医、在宅等においてリハビリテーションに対応できる医師、専門職の人材の確保・育成・質の向上を図ること」、そして「生活機能向上や社会参加を促進するリハビリテーション提供体制の充実」が必要との認識とともに施策の方向性を示されており、大いに期待するところでございます。
厚生労働省が昨年発表しました平成27年分の簡易生命表概況によりますと、我が国の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳ですが、ワシントン大学研究チームが発表した健康寿命は男性71.11歳、女性75.56歳と推定されており、つまり男女ともに10年程度は医療や介護を受けながら生活をしているということになります。また、現在の死亡原因の第1位は悪性新生物ですが、1980年ごろまでは脳血管疾患が第1位でした。医療技術の進歩により脳血管疾患による死亡は減少しましたが、発症した方の約6割の方が何らかの後遺症を抱えて生活をしていらっしゃると聞きました。厚生労働省が発表した平成25年国民生活基礎調査によりますと、要介護者の介護が必要になった主な原因は、1位が脳血管疾患、2位が認知症となっており、これを反映した結果になっているのではないかと思われます。特に要介護5の方のうち約35%の方が脳血管疾患が原因によるものであり、こういったことから考えますと脳血管疾患を発症された方をいかに寝たきりにしないかということが健康寿命の延伸に大きく関係すると言えます。そして、脳血管疾患に限らず、病やけがにより日常生活に障害が生じる方に対して、いかに効果的にリハビリテーションを提供できるかということが、これからますます進む高齢社会の医療、福祉のあり方に大きな影響や変化をもたらすものであり、早急に進めていかなければならないと考えております。
平成29年度当初予算にも「京都式地域包括ケアセカンドステージ事業費」として約46億円が計上され、関連する事業として「在宅療養支援パワーアップ事業」やリハビリテーションプロジェクトの推進が計上されています。
そこでお伺いいたします。
平成29年度のこれら事業の中ではリハビリテーションについてどのように取り組まれるのでしょうか。また、府立医科大学に設置されているリハビリテーション医学教室との連携についてはどのように進められるのか、お聞かせください。
また、2025年には認知症患者数が現在の1.5倍となる700万人を超え、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症、さらに軽度認知障害の方を加えると1,300万人となり、3人に1人が認知症もしくは軽度認知障害ということになるといった推計も出されています。こういった中で特に認知症の初期にはその進行をおくらせるリハビリテーションの普及が重要になるのではないかと考えますが、認知症リハビリテーションの府域への普及・効果についてはどのようにお考えでしょうか。
次に、精神障害者支援についての質問をいたします。
そもそも我が国における精神障害者に関する福祉施策は、ほかの身体障害者、知的障害者よりもスタートがおくれており、なかなかそのおくれを解消できていないと考えております。少し歴史的な話をさせていただきますと、身体障害者については、昭和24年に「身体障害者福祉法」、知的障害者については昭和35年に「知的障害者福祉法」が制定されましたが、精神障害者に対しては精神衛生法による保健医療
対策という枠組みの中にあり、障害者基本法の前身となる昭和45年に制定された「心身障害者
対策基本法」においても、医療措置を必要とする精神障害者は心身障害者に含まれないといった解釈のもとに施策が進められていました。そして、昭和56年の「国際障害者年」、昭和58年からの「国連・障害者の十年」によって、ようやく精神障害についても福祉施策の必要性が認識されるようになり、昭和62年の「精神保健法」で社会復帰施設の設置が盛り込まれることになりました。つまり、精神障害は長らく福祉の対象ではなく医療
対策のみの対象としての施策が行われてきたという歴史があり、平成5年の「精神保健法」の改正によって精神病院から社会復帰施設へ、そして社会復帰施設から地域社会へと、地域社会の中で生活をするための支援をどうしていくかという視点へと変化するまでに多くの年月を要しました。ちなみに、精神障害者が障害者として明確に位置づけられたのは、同じく平成5年の「障害者基本法」であるということは驚くべきことだと思います。
このような歴史を経て近年では、平成16年、厚生労働省精神保健福祉
対策本部によって国民の意識改革、精神医療体系の再編、地域生活支援体系の再編、精神保健福祉施策の基盤強化が柱として掲げられた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が示され、その後、「障害者自立支援法」の改正、「精神保健福祉法」の改正等によって、より入院医療中心の精神医療から精神障害者の地域生活を支えるための精神医療へ、という方向性が明確になりました。
そういった国での施策の方向性が示される中で、京都府としては、「京都府障害者基本計画」が平成17年の第1期から進められ、この平成29年度は平成27年度から3カ年の計画を定めた第4期の最終年ということになります。第4期の策定に当たる成果目標のうち、入院3カ月時点の退院率、入院後1年時点の退院率に関しましては、京都府としては国の定めた成果目標をクリアしており、現状維持という目標設定になっておりました。長期入院者の地域移行につきましては、平成24年6月末時点の長期在院者数から18%以上減少させることと目標が設定されており、京都府としては平成27年度から累計650人以上との目標を設定しておられます。
現在、我が国の精神科病床数は世界一であり、入院日数を見ましても、先進国の入院日数は平均30日であるのに対し我が国は290日、そして1年以上の長期入院患者は20万人に上ると言われております。しかし、実は長期入院患者の中には、必要な支援を受ける体制が整えば地域の中で十分に生活をしていくことができる、いわゆる社会的入院という状況になっている方が大勢いらっしゃると言われています。精神科の長期入院患者のうち最も多くを占める症状が統合失調症ですが、世界保健機構(WHO)によると、統合失調症は、現在、新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は完全かつ長期的な回復を期待できるようになったとされており、世界的に見ると、イタリアのように精神病院がない国もあります。しかし我が国では、訪問看護・訪問介護を行っている事業所で、精神障害者を対象としていながらも実際に精神障害者の訪問を行っている事業所は少ない、居場所の一つでもある精神障害者を受け入れるグループホームが少ない、地域住民の理解が進んでいない等、退院しても地域の中で受け入れる環境が整っていないため入院が長期化しているという状況が続いているのです。社会的入院を減少させるためには退院後の居場所をつくること、そしてその後の生活を支援していくことが欠かせません。
そこでお伺いいたします。
先月、厚生労働省におきまして、精神科の長期入院患者を2020年度末までに全国で2万8,000人から最大3万9,000人減らす目標を決めたとの報道がありました。退院から地域で生活していただくための支援実施に当たっては、個別支援を担う地域移行支援従事者を中心として、コーディネーターや保健所職員等、十分な連携を図りながら本人の希望を尊重した上で支援を展開していくことが重要であります。同時に、今後さらなる普及啓発活動を進め、精神疾患や精神障害者の地域生活移行に対する府民の皆様の正しい知識と理解や、関係者の機運の醸成を図っていく必要があると考えます。そのためには、高齢者のみならず、精神障害者にも地域生活を支えるための医療・介護・福祉がしっかりと連携する地域包括ケアシステムが必要であり、地域で安心して住んでいただく支援をしなければならないと考えますが、長期入院の抑制と地域移行について、平成29年度はどのように取り組まれるのでしょうか。
また、本府では一昨年、「障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」を策定し、その中で、雇用及び就労の促進もうたわれています。昨年12月に発表された集計によりますと、平成28年6月1日現在の京都府における企業の障害者実雇用率は2.02%と法定雇用率2.0%をわずかに上回る結果が出ており、全国的にも障害者の実雇用率は上昇をしています。その一方で、障害の種別による雇用の格差はなかなか縮まっておらず、精神障害者の就業意欲は身体障害者、知的障害者の方より高い傾向にあるにもかかわらず、同じく昨年のデータによりますと、身体障害者は32万8,000人、知的障害者は10万5,000人に対し、精神障害者は4万2,000人となっています。そんな中、平成25年に「障害者雇用促進法」が改正され、平成30年4月より精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることとなりました。平成29年度の当初予算には精神保健福祉総合センター等の就労支援機能を強化するとともに、京都ジョブパーク、医療機関、大学と連携し、医療・福祉・教育から就労まで一貫した支援体制を構築するとして精神障害・発達障害者就労支援促進事業費1,500万円が計上されているところですが、精神障害に対する理解が十分に深まっていない中で、障害者と企業の間に入った支援や、企業の従業員の方々の理解を深める取り組みも必要と考えますが、これまで精神障害者雇用がなかなか進んでいなかった原因とその課題解決、今後の精神障害者の雇用促進についてどのように取り組まれるのでしょうか。
ここまで、まず御答弁をお願いいたします。
4:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
5:
◯知事(
山田啓二君) 藤山議員の御質問にお答えいたします。
藤山議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして当初予算案に対して高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
地域包括ケアシステムについてでありますが、高齢化時代に健康寿命の延伸のためには、例えば脳卒中などを発症した場合に、急性期において救急医療を行う病院において疾患の治療と合わせ早期の離床に向けたリハビリを開始いたします。これが2週間から4週間ぐらい。さらに回復期では、リハビリ病棟を有する病院において歩行や日常生活の自立に向けた訓練を実施していきます。これが三、四カ月ぐらいになると思います。そして、社会復帰・生活復帰の時期では、在宅において獲得した回復した機能を長期にわたり維持し、自立した生活を行うことを目的にリハビリを行う。ですから、リハビリといっても3種類のリハビリがあって、それを切れ目なく提供できる体制、そしてこれを支える人材をどうやってつくっていくかがこれからの時代においては非常に課題になっているところであります。
このため、リハビリテーションを地域包括ケアの重要な柱と位置づけ、府のリハビリ支援センターを総合的な拠点にして医療機関相互の連携を図る地域連携パスの導入や、リハビリ専門職や看護職、介護職向けの技術向上研修などに取り組んでいるところであります。さらに、高齢化が急速に進む中、多分、一番重要な点は在宅におけるリハビリというものが、これは安心して在宅療養生活が継続できるためにもより一層重要になってくると思っておりますけれども、急性期リハビリと回復期リハビリを結んでいくものはできてきているんですけれども、問題は、そこから在宅に持っていくところのものがなかなか、組織的対応はまだというのが現状でございます。
このため、今年度、医師会と連携をし、一人一人に応じた計画策定とリハビリ専門職やかかりつけ医、看護師、薬剤師、ケアマネジャーなどで構成する10名程度のチームをまず府内で5チームつくりまして、そしてそこで在宅リハビリを支援していただこうという在宅療養支援パワーアップ事業を今議会にお願いをしているところであります。こうした取り組みとあわせて、専門医療から在宅までの全てに対応できる医師の養成として府立医大に府リハビリ教育センターを開設し、府立医大リハビリ医学教室とも連携して、かかりつけ医から専門医までリハビリを担う医師を平成28年度までで43名養成、平成34年度までに、さらに260名養成するなど、リハビリ医の確保・育成を行っていきたいというふうに考えておりまして、これで切れ目のないリハビリ体制を何とかつくっていきたいと思います。
さらに府立医大では、高度医療を生かしたロボットリハビリテーションセンターにおいて、企業と連携の上、先端的なリハビリ機器の製品化に向けた支援や、府内医療機関との共同研究などを行っているところでありまして、これからリハビリ自身を、単なる苦しいものだけではなくて、ゲーム的な要素も入れたり、上からつっていただいたりして、非常に楽な形で機能回復ができるような、そういう時代へと入っていけるような取り組みも進めていきたいと思っているところであります。
次に、認知症についてでありますけれども、認知症の方が少しでも進行をおくらせて住みなれた地域で暮らし続けていくためには、本人の症状や家族の状況に応じた医療・介護・福祉サービスの仕組みをつくっていくことが重要であります。例えば、軽度認知障害や初期からの軽度の認知症の方、ちょっと物忘れが出てきたなとか、何かうっかりして、あれっというようなことが出てくるような方、こうした方も認知症カフェで集い、病気の理解も深めて情報を交換することで少しでも発症や進行を防ぐことが可能であります。なかなか治るというような形は薬では難しい。一部のアルツハイマー病などでは薬で進行をおくらせるのが一定期間できるのはあるようでありますけれども、そうした状況でありますから、軽度から中度では、通所介護や訪問介護を利用して在宅生活を続け、それが難しくなったら特別養護老人ホームなどでケアを受けていくと。この段階でも、音楽療法ですとかセラピーの実施によって症状を一定緩和できる場合もあります。
このため、私どもではこうした一連のものをつくっていくために、身近なところでは認知症カフェの開設について市町村補助を行い、平成28年10月末現在で24市町村、123カ所の認知症カフェが、今、開設をされております。また、通所・訪問介護等において適切なケアが受けられるように各事業所の介護職員の研修を実施し、昨年度も700名を超える人材を養成してまいりました。ただ、私はやっぱり理想というのは、認知症の方は施設入所など急激な環境変化により心理的に不安定になったり混乱が起きる。それによって症状が進行する場合があるというふうに言われておりまして、まさに認知症カフェの段階から重度までを一つの拠点でワンストップでできるような施設というものができないだろうか。これは欧米ではありますので、そうした認知症のいわば総合センターというものをぜひとも今、京都につくっていきたい、まさに全国のモデルになるようなものをつくっていきたいということで、そのセンターの整備を今進めているところでありまして、今議会の予算におきましても、このセンターにおける支援プログラムの開発の予算をお願いしているところでありまして、将来的にはこうした施設が各箇所にでき上がることによって、本当に認知症の方々が安心して過ごせる地域づくりを行っていきたいというふうに考えているところであります。
次に、精神障害者の長期入院と地域移行でありますけれども、御指摘のように、社会的入院、これは国の調査研究では、退院困難な理由として居住支援がないためと回答した割合が3割以上あるという調査が出ておりますし、そのうちの約半数が65歳以上という結果となっております。精神症状だけではなくて年齢や身体機能も加味した退院後の住まいの確保ですとか生活支援というものがないと、なかなかこの社会的入院の解消につながらないというふうに考えております。
こうした状況を踏まえまして、京都府では、「障害者基本計画」において地域生活への移行に係る目標数値を掲げまして、精神科医、精神保健福祉士、作業療法士等で構成するチームが入院中の生活訓練から退院後の訪問診療まで行う「アウトリーチ推進事業」を実施しております。さらに、ケースワーカーが退院に向けた日中活動の体験や居住確保に向けた支援などを行う地域移行支援事業も実施しておりまして、障害者週間や国際障害者デー等の理解促進、啓発活動とあわせて実施をしておりますし、居宅の面ではグループホームの計画的な整備を進めてきたところであります。それでも府内の精神科病床の約半数に当たる約3,000人が長期入院をしている現状がありまして、その中で退院できない方、それは国のアンケート調査から推計すれば、約900人ぐらいいらっしゃるのではないかなと思っております。そのために、29年度におきましてもグループホームを新たに5施設整備いたしますけれども、「障害者福祉計画」で見込んでいる必要なサービス量を引き続き確保いたしますとともに、地域の生活支援をコーディネートする相談支援専門員の研修ですとか、介護保険を希望される方の場合はケアマネジャーや地域包括支援センターと連携したサービスの提供等を実施いたしまして、精神障害者の皆様の希望に応じて社会に復帰できる取り組みを強化してまいりたいと考えているところであります。
そのためにも、もう一つ、やっぱり精神障害者の皆さんの雇用促進も大事だと考えているんですけれども、平成28年の障害者の雇用数の割合を見ますと、身体が70.5%、知的が22.7%、精神は6.8%になっております。手帳交付者の数を見ますと、精神保健福祉手帳の交付者1に対して身体は7ぐらいの割合、そして知的は1.2ぐらいの割合になっておりますので、こうした患者数、手帳の交付割合から見ても、やはり精神障害者の皆さんの雇用の数は少ないと言わざるを得ないと思っております。
このため、京都府におきましてはジョブパークにおいて今まで取り組みを続けてまいりましたけれども、平成27年には障害者の雇用促進と就業安定を図るため、市内2カ所目となる障害者就業・生活支援センター「はあとふるアイリス」をジョブパークに設置いたしまして、そして専任のカウンセラーによる就職支援、企業に対しましては京都障害者雇用企業サポートセンターにおいて企業の会社訪問、セミナーや啓発、アドバイザーの派遣などの支援を行っているところであります。この結果、京都ジョブパークを利用した精神障害者の就職数は、5年前には年間60人でありましたけれども、今年度は1月末で既に100人を超えるなど、一定の成果は上げているところであります。しかし、実際、精神障害の方の雇用につきましては、疲れやすく体調に波があるという障害特性ならではの課題もありますし、企業としてはそうした特性がよくわからないと、どのように接したらいいのかわからないとか、提供できる仕事をどういう形で提供したらいいのかわからないといったような不安や心配から雇用に踏み切れない状況もあります。精神障害者の求職数は5年間で倍増しておりますので、これから算定基礎に加わることも見据え、求職者、企業、双方へのさらなる取り組みが必要でありますので、来年度から新たに、はあとふるコーナーに精神保健福祉士などの資格を有する専門相談アドバイザーを配置し相談体制を強化いたしますとともに、障害者を常時雇用する上で必要なハード整備、そして臨床心理士やカウンセラーなどの専門家派遣等を対象とした補助金の新設を行います。さらに、障害特性の理解を深める社内研修の支援を実施するなど、今議会に関連予算をお願いしているところでありまして、こうした事業を通じ、共生社会実現の予算として障害者の活躍の場を広げ、精神障害者の雇用拡大につなげてまいりたいと考えております。
6:
◯議長(
近藤永太郎君) 藤山裕紀子君。
〔藤山裕紀子君登壇〕
7:
◯藤山裕紀子君 御答弁ありがとうございました。リハビリテーションにつきましては、これも先ほどの精神障害者の方と一緒なんですけれども、退院できる状態にあってもなかなか自宅に帰れない、帰れる状況にないということがあり、長期入院になってしまうというような現実もあるということをお聞きいたしました。人材確保と育成に向けて頑張っていただけるということですので、期待をしております。
昨年なんですけれども、委員会の視察で兵庫県立リハビリテーション中央病院に参りました際に、リハビリを効果的に行うことで、支えられる側の方が、逆に支える側の方になり得ることが可能になるということを学ばせていただきました。この転換というのは、今の少子高齢化がどんどん深刻化して行く中では非常に重要な視点になると思いますので、このリハビリテーションに関しまして、ぜひとも、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
精神障害者の方の支援につきましても、今後ますます精神障害の方、数がふえるであろうということも言われております。雇用の促進等を初め、相談体制、ハード整備にも努めていただけるということですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最近では障害者の方にさまざまな場面で接する機会がふえてきたというふうに感じます。それは、施設のバリアフリー化が進んだこと、また人々の意識の変化にあるのだと思うんですけれども、精神障害というのは非常に目に見にくく理解がしにくいということもあると思います。ただ、実はこの精神障害というのは身近なものでして、15歳から39歳までの若い方の死因の第1位というのが自殺になっています。恐らく、鬱であるとか精神的な要因も大きく関係するものだと思いますし、また統合失調症も日本人の約1%が発症すると言われておりまして、発症が最も多いのは10代から30代ということも言われておりますので、これは、例えば学校教育の中でも何らかの形で精神障害についての理解を深めていくということも大事なことの一つなのではないかと思います。
先ほど、共生社会という言葉も知事はおっしゃっていました。施政方針の中にもありました。平成29年度の大きなテーマの一つが共生社会です。高齢の方や障害のある方が住みよい町であるとか、子育てがしやすい町というものをよく耳にしますし、我々議員も、理事者の皆様も、恐らくそういったものを目指して日々奮闘いただいているのだと思います。しかし、本当の住みよい町というのは制度や施設の整備だけではなく、もちろんそれは大切で、それは私たちの仕事なんですけれども、親子であるとか、家族が近くに住んでいて、お互いに頼りたいときに頼ることができる、持ちつ持たれつという関係の中の生活であったり、お互いさまの寛容の気持ちがあるような社会の中ではないかなということを常々感じます。この共生社会というのも、家族のきずなであったり地域コミュニティなどの結びつきが失われつつあって、孤立化が進んでいる中で生きづらさを感じる中で、持ちつ持たれつ、お互いさま、ともに生きる関係を取り戻そうというのがこの共生社会なのだろうと私は理解しております。
そこで、これは「京都流地方創生」の中にも盛り込まれているんですけれども、例えば同居であるとか近居を推進できる事業というものも、この共生社会の実現に向けた一つの方法になり得るのではないかなと思いますので、そういったことも同時に進めていただきたいなということを申し上げておきます。
次の質問に移ります。
次に、「お茶の京都」事業について質問をいたします。
一昨年、「日本茶800年の歴史」が初めての日本遺産に認定され、喜びに沸いたことは記憶に新しいと思います。また、国外におきましても、昨年11月には宇治茶のプレミアムブランド化に向けて、城福副知事、京都府茶業生産協議会、京都府茶協同組合の訪問団でフランスを訪ねられ、パリの料理人やレストランオーナー、日本文化に関心の高い方々に宇治茶の魅力を知っていただくとともに、パリの文化や食の中心となっていらっしゃる方々による「Association de the′ UJI(アソシアシオン ドゥ テ ウジ)」(宇治茶愛好会)を設立され、他の国内産地に先駆けて世界トップブランドとしての宇治茶の地位確立を目指してこられました。そして、「海の京都」「森の京都」に続き、いよいよ来年度は「お茶の京都」ターゲットイヤーを迎えようとしています。昨年末に発表されました「お茶の京都博」実施計画案によりますと、宇治茶の価値再発見、茶文化情報受発信、茶産業創造支援を進めることにより、そこから産業振興、交流人口の拡大、地域活性化へとつなげ、地域相互の結びつきを強めることでブランド化を図ることを目的としており、その内容は、「お茶の京都ハウス」をプラットフォームに、オープニングイベントとなる淀川河川公園背割堤地区で開催される「さくら茶会」を皮切りとし、メーンシーズンには目玉となる総合イベントとともに、南部12市町村が横断的に開催するイベントや市町村独自で開催するイベントと連携するなど南部全域で盛り上がりをつくり、締めくくりには、この1年間で醸成された機運を翌年につなげられるよう今後の展開への期待を高めるとともに次世代への思いを発信するテイクオフイベントを行うなど、50以上のさまざまなイベントが企画されていると聞き及んでおり、にぎわいのある1年になるとともに、この成功は宇治茶のユネスコ世界文化遺産登録に向けた大きな一歩になると期待するところでございます。
そこでお伺いいたします。
この1年間では誘客100万人を目指して取り組まれるということですが、達成には、やはり、観光に来られる方がどういった興味を持って何を目的に来られるのかといったニーズを的確に把握した上でイベントを企画・運営しなければならないと考えております。ニーズについてはどのように把握され、それを「お茶の京都博」でどう反映されるのでしょうか。また、地元市町村の取り組み内容についても、これらニーズを踏まえたものになっているのでしょうか。地域が一丸となって取り組むことが成功の鍵になると考えますが、来年度にかける思いをお聞かせください。
また、この「お茶の京都博」は南部地域の持続可能な地域振興を目指すことを大きな目的とされています。つまり、このターゲットイヤーのみの盛り上がりではなく、この後もその機運を継続的なものにしていかなければなりません。地域の資源を点ではなく線で結び、面として捉えると同時に、時間軸についてもこの1年を点としてではなく、この1年から翌年、さらにその翌年へとつながっていくような仕掛けづくりや、長期的な視点に基づいた計画をしていくことが必要と考えます。その仕掛けの一つが、このほど設立される、お茶の京都振興社、通称「お茶の京都」DMOであると理解をしていますが、この「お茶の京都」DMOは「お茶の京都博」の中でどのようにかかわっていかれるのでしょうか。
また、DMOにより「観光まちづくり」を進めていくためには、そのメリットや効果を地域に波及させていくことが必要であり、またその逆に、地域で活躍されている、多くのまちづくりに向けた活動をされている団体の方々に、この1年の「お茶の京都博」の中でどうかかわっていただくかによって今後のDMOの取り組みのスピード感や広がりも変わってくるのではないかと考えます。地域の団体の方々との連携はどのように進められるのか、お聞かせください。
最後に、スポーツ施設の整備について質問をいたします。
平成17年に伏見区醍醐にあったアイススケート場が閉鎖されて以降、京都府のアイススケート場は右京区のアクアリーナのみとなっていました。さらに、このアクアリーナも冬季のみの営業ということで、府内の有望な選手の方々は大阪や滋賀へ流出してしまうといった状況にあり、これに鑑みて、京都府スケート連盟とアイスホッケー連盟によって、昨年9月、京都府立山城総合運動公園内での通年型アイススケート場の整備に協力を求める要望書が京都府に提出されました。その後、「京都府におけるスポーツ施設のあり方懇話会」で議論が重ねられ、アイススケートは府民の関心も高く公益性があるとして施設整備のための土地の提供が決定され、2月1日、京都府、一般社団法人京都スケート、整備、運営を手がける専門業者の間で協定書の調印が行われたところです。さらに、平成29年度に着手、30年度に開業するということも新聞等で報じられていました。多くの日本人選手の活躍により、近年、アイススケートは国民的にも親しみのあるスポーツになってまいりましたが、多くのアイススケートに憧れる子どもさんたちが京都府内では練習をする環境が整っていないことから、夢を断念していたかもしれません。子どもの可能性は無限大であり、より多くのスポーツとの触れ合い、めぐり会いが可能性や能力を開花させることにつながると思いますので、今回のアイススケート場の整備は大変喜ばしいことだと思っております。
しかしながら、昨年3月の予算特別委員会総括質疑の中で質問いたしましたように、京都府のスポーツ施設の整備は京都国体以降なかなか進んでおりません。昨年7月には、丹波自然運動公園内に京都トレーニングセンターがオープンしました。昨年11月に2020年の東京パラリンピック出場を目指す車椅子フェンシングの選手が合宿され練習に励まれたほか、トレーニング施設と合宿所が一体になっており便利であるということで、多くの方々に御利用いただいているところでございます。先ほど触れました山城総合運動公園の宇治ゲート東側に整備が予定されているアイススケート場は、国際規格のメーンリンクの設置、さらには24時間の営業が予定されていると伺っております。こういったことから考えましても、山城総合運動公園にも京都トレーニングセンターのような合宿施設、宿泊施設を設けることによって、アイススケートだけでなくさまざまなスポーツに励まれる方々により集中して練習に打ち込んでいただくことができる環境になると考えられます。平成29年度の当初予算には、丹波自然運動公園及び山城総合運動公園におけるスポーツ施設の計画的整備の実施及び市町村が実施する広域的スポーツ施設の整備に対する支援として、スポーツ拠点施設充実費約1億6,000万円が計上されています。山城総合運動公園の整備につきましては、スポーツヒル構想にのっとり弓道場も新設され、クラブハウスの整備やテニスコートの屋根の設置などにも取り組まれてきたところでございます。
そこでお伺いいたします。
今後、京都府としてこのアイススケート場を活用した冬季競技の振興、さらにこの施設を核とした地域振興や波及効果については、どのようにお考えでしょうか。
また、スポーツヒル構想も佳境に差しかかってきたのではないかと考えますが、新たなるステージに向けた取り組みについては、いかがお考えでしょうか。
今回のアイススケート場への土地の提供ということにつきましては、「公平性や財政リスク軽減の観点から当面は無償とするが、施設の利益に応じて使用料を求めていく」といった考えをお持ちであるとも報道されていましたが、恐らくほかのスポーツ種目においても、環境が整っておらず施設整備を強く望んでおられる団体も多くあるのではないかと思います。
その中で今回と同じような要望があった際、京都府としてどのような対応をしてくのか整理をしておく必要があると思います。そういったことも踏まえた上で、2020年のオリンピック・パラリンピックを視野に入れた今後のスポーツ施設の整備、またスポーツ関連施設の整備についてもどのようにお考えか、あわせてお聞かせください。
以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
8:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
9:
◯知事(
山田啓二君) 「お茶の京都」事業についてでありますが、山城地域は長い歴史の中でお茶の歴史や文化を育んできた日本茶のふるさとであり、「お茶の京都博」をきっかけに宇治茶や茶畑景観などの価値をもう一度認識し、その文化や魅力を全国、世界に発信していく年にしたいと考えております。観光面での分析の話が出ましたけれども、この地域はビッグデータを活用した調査によりますと、周遊がなくて滞在時間が短い、宿泊施設が少なく観光消費額が低いという極めて問題のある課題が出てきております。確かにそれで見ますと、大体、日帰りが78%、宿泊は22%ですけれども、うち、エリア内の宿泊は5%で、しかも宿泊先は知人宅が多いとなっております。これではちょっと、正直に言って消費が伸びるはずがないという現状がございます。
このため、「お茶の京都博」では、おいしい宇治茶や地域の歴史文化を体験できる場をつくり、山城地域の各拠点を周遊して、その中で景観やお茶の魅力に出会える機会の創出によりまして、滞在時間、今は平均3時間しかありませんけれども、これをやっぱり一日単位に延ばしていきたいなと思っております。そして、そのために30万人の人が集まる場所でのオープニングイベントをお花見に合わせてやりたいと思いますし、お茶と普茶料理、文化などのおもてなしを展開する「京都×(バイ)東京ティーパーティー」、東京でもしっかりアピールをし、さらに宇治茶のおいしさを体感いただく「1万人の大茶会」ですとか、「プレミアム大茶会」、「一坪茶室」など、非常にユニークな取り組みを展開していきたい。同時に、日本遺産サミットや映画祭など、また地域をつないだ茶畑ハウスや茶畑アートなど、市町村の特徴を生かした形でできる限り周遊ができるような地域が一体となって取り組みを行うことによって、観光面にとどまらず、海外にもお茶の文化のすばらしさを発信していけるようなものにしていきたいと思っております。観光消費額の拡大に向けましては、府、市町村が共同して宿泊施設の誘致に踏み出すことにしておりまして、本議会にこうした宿泊施設立地を促進する補助制度の予算もお願いしているところでありまして、今後とも、「お茶の京都博」を通じて山城地域の活性化をしっかりと行っていきたいと思います。そして、そのためにも、この「お茶の京都」を一過性のものにするのではなくて、これを中心として地域を総合的にアレンジメントしていくようなそういう組織が要るということで、「お茶の京都」DMOを4月に本格稼働することを目指して、今、活動を続けております。ここでは、旅行商品などの造成・販売や地域情報の発信などともに、地域資源の掘り起こし、ネットワーク化、そして宇治茶のブランド化など、幅広いプロデューサー機能を担うことによってこれからの山城地域が一体となっての地域づくりの原動力にしたいと私は思っています。なかなかすぐに、そういけるかどうかという問題はあるんですけれども、そういう意識でもって取り組んでいくことが必要ですし、そのためには「お茶の京都博」の取り組みを通じて地域がやっぱり一体感を持てるようにしていきたいと思っております。このため、「お茶の京都博」実行委員会に幅広い団体や個人の参加を募りますとともに、地域イベントをつくり上げていただくことによって、「お茶の京都」を中心としたコンセプトを各地域に浸透させることで「お茶の京都」DMOへとつなげていけたらというふうに考えているところであります。
次に、スポーツ施設の整備についてでありますけれども、今回のアイススケート場の整備につきましては、御指摘にありましたように、府内に通年でスケートを楽しむ施設がないと。しかも、府内には有望な選手が、これは日本一の選手、そして次の日本を背負う選手が続々と出ているにもかかわらず、残念ながら練習場所を求めて他府県に流出をしてしまっているという厳しい現状があります。しかしながら、スケート場の経営のノウハウですとか広域的な集客、資金的な問題、さまざまな課題があって今まで整備には取り組んでまいりませんでした。しかし今回、京都府スケート連盟、京都府アイスホッケー連盟から、スケートリンクの建設や運営に実績のある民間会社と共同して設置したいという申し出があり、京都府には土地の提供が求められたわけであります。このアイススケート場が完成すれば、これはフィギュアだけではなくて、アイスホッケーやショートトラックからカーリングの使用も可能になってくるということで、本当に府民の皆様の冬季スポーツのニーズに応えられますし、通年型のアイススケート場が実現することによりまして競技者の裾野の拡大を図るとともに、長期的視点に立った選手育成も可能になる。さらに、山城総合運動公園、これは大阪や奈良などからもアクセスはいいわけでありますので、京都府民だけではなくて近隣府県からも利用が見込まれることによって地域全体の活性化にも波及効果が生まれるということで、今回、取り組みを進めることにしたところであります。
これまで山城総合運動公園におきましては、京都スポーツヒル構想に基づいて、都市部に近い立地を生かして、競技スポーツだけではなくて府民が手軽にスポーツを楽しめる拠点として弓道場や陸上競技場のスタンド屋根と夜間照明、テニスコートの屋根の設置など、順次整備してまいりました。今後、クラブハウスの新設やグラウンドの人工芝生化など、構想に盛り込まれている施設整備を計画的に進めていく中で、府議会の御意見も伺いながら今後の整備の方向性を考えていきたいと思っておりますけれども、割と都市に近接をして、アクセスがいいという観点からできているところと、それから京丹波のように、どちらかというとアクセスが高速道路一本で、そこからすると宿泊等の施設が必要なところとはちょっと違うというところもあるということでございまして、そうした特性を見きわめながら、今後、設備の整備方向性を考えていきたいと思っております。
今はとにかく当初予算に盛り込みました京都スタジアムと通年型アイススケート場の整備を着実に進めていくことが第一でありますけれども、今回のアイススケートのように、行政とスポーツ団体と民間が協力する中で、いわば三方よしといってもいいような状況が生まれる可能性が広がったと思っております。その点、私どもとしましても初めての経験でありますけれども、民間会社が建設の資本を出して、そして建てた後にそれを今度は公益的な団体に譲渡をして運営をしていく、そして基盤を行政がつくり上げるという、こうしたものは本当にモデルケースにはなると思っておりますので、こういうモデルケースが出てくるのであれば、私どもはやっぱり前向きに考えていけるのではないかなと思っておりますので、その点においても、まずこのケースを成功させたいなというのが今の私の一番の大きな願いであります。
10:
◯議長(
近藤永太郎君) 次に、西脇郁子君に
発言を許します。西脇郁子君。
〔西脇郁子君登壇〕(拍手)
11:
◯西脇郁子君 日本共産党の西脇郁子です。議員団を代表しまして知事並びに理事者に質問いたします。
初めに、府内の雪害
対策について伺います。
1月14日からの大雪により、丹後や中丹、南丹の広範な地域で、多数の農家のビニールハウスの倒壊やお茶などの農作物被害、倒木等、深刻な被害が発生するとともに、高齢者の買い物や病院に通う交通手段や雪おろしなどの問題など、府民生活と地域経済に重大な影響を与える事態になりました。今回の大雪で2人の方がお亡くなりになりました。心から御冥福をお祈りするとともに、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
私ども日本共産党府会議員団は全員で、これまで地元の党議員団と、丹後や中丹、南丹振興局管内全域を5回訪問し、実態調査を行い、要望をお聞きしました。2回にわたる府と近畿農政局への申し入れも行い、附帯設備の復旧作業に対する補助や、被害農作物の補償を求める緊急要望を行ってまいりました。私が伺った福知山市内の野菜栽培農家では今回の雪害で8棟全てのビニールハウスが全壊していました。80代の御主人は、「これから種をまいたり、出荷予定だった野菜が一晩でやられ、悔しくて寝られなかった。ビニールハウスの再建は難しいが、せめて撤去に少しでも行政の援助があれば」と訴えておられました。舞鶴市内の米づくりと花卉栽培の専業農家の方もビニールハウスが全壊し、ハウスの撤去を自力で行うようなことになれば苗の植えつけは大幅におくれてしまいます。被害農家の多くの方が小規模で農業共済未加入者も多く、高齢化でビニールなどの設備更新など、自力では再建は困難だということでした。京北町を初め、北山杉への被害も深刻です。今回の府の補正予算は当然必要なものですが、農家の皆さんが農林業を諦めずに営農が続けられるよう弾力的な運用が必要です。一刻も早く生産が再開できるように、種苗購入等への支援とともに農産物被害に対する支援を求めます。いかがでしょうか。
次に、京都市内での開発問題について伺います。
1997年に、京都市内に京都府と京都市が出資してJR京都駅ビルが開業しました。当時、府も市も商店街などへの波及効果を大きく宣伝されましたが、現実には周辺の商店街などは、「地域破れて巨大店あり」「潤うのは駅ビルばかり」とマスコミがこぞって書き立てるような事態となりました。そして現在、京都が京都でなくなるさらに新たな危機が京都市内に押し寄せています。安倍政権のもとでの「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指すという成長戦略と地方創生への方針と一体に、リニアや北陸新幹線など大型開発が進められており、京都府と京都市は、京都財界などと一体となって国の「グランドビジョン」のもと、京都市の都心部と京都市南部からけいはんな学研都市を中心に、さらなる大型開発優先の「京都ビジョン2040」の計画を推進しようとしておられます。
京都市においては、一昨年、「都市再生緊急整備地域」が拡大され、私の地元下京区、南区内の地域が指定されました。そこでは民間事業者の開発提案に対して都市計画の手続を簡素化することや用途規制、容積率、高さ制限などを取り払うなどの規制緩和が整備され、京都市中央卸売市場第一市場においては、集約して民間が活用できる整備が進もうとしています。10年計画で大規模な再編整備が進められ、賃料の大幅値上げが実施されることになれば、零細な仲卸業者が廃業に追い込まれることになります。既に京都市中央卸売市場第一市場の一角では、プロポーザル方式でホテルと一体となった商業施設の建設計画が進められていますが、集客はにぎわいゾーンだけで商店街の振興にはつながらないと不安の声が相次いでいます。また、京都第一中央卸売市場の場外市場の一部では悪徳な地上げも既に起こり、商売が続けられていない仲卸業者も生まれ、大きな問題になっています。
このような京都府と京都市による観光誘致等を名目にした大型開発では、さらに京都市内のまち壊しが加速し、住み続けたい、商売を続けたいと願う市民は追いやられてしまうのではありませんか。知事の認識を伺います。
先日、私は下京区内の自治連合会役員の方々を訪問し、お話を伺いました。下京区東部の有隣学区はもともと和装などの職人の町でしたが、京鹿の子絞りの業界も仕事量は昭和40年の最盛期の4分の1から5分の1に減り、少なくない和装関連業者は不動産を売って借入金の返済に充て、そのまま自主廃業されるなどしておられます。その跡地は次々とマンションにかわり、今ではマンション世帯数は学区内の7割、人口の5割になっています。
こうした状況の中で、京都市内の多くの学区や町内では、消防団を初め各種団体の担い手不足が深刻になり、地蔵盆や祇園祭など伝統行事の開催や維持・保存も年々困難になっています。その上に、京都市中心部の土地の値上がりは近畿全体の中でも突出し、平均価格は6年連続で上昇し、一般家族世帯などは購入しづらくなっています。下京区内では、既に路地の世帯の半数が民泊になってしまった町内も出ているなど、急増する民泊に市民の不安も広がっています。このような状況が続けば、地域のコミュニティや防犯力の弱体化、災害時等への迅速な対応が一層困難になっていくと考えますが、知事の認識を伺います。
次に、堀川団地の問題についてお聞きします。
先月10日に突然、京都府住宅供給公社は、堀川団地の店舗家賃を平成30年度から順次16.6%ずつ値上げし、5年後には今の2倍にする提案を行いました。「耐震化による値上げはしないというので営業を決断したのに」「8月にこちらの意見を述べてから府からは何の連絡もなく、契約期限の切れる間近にこの提案はひどい」などと商店街から落胆と怒りの声が上がる中、先日、京都府は値上げ等については2年先まで延ばすことを検討しているということをお聞きしました。既にこれまでもこうした混乱の中で廃業された商店も出るなどしていますが、なぜこのような事態になったのか、知事に説明を求めます。また、このような商店や中小業者を追い出すようなやり方はやめるべきではありませんか。いかがですか。
次に、府立中小企業会館と京都府と京都市が共同で建設する京都経済センターについて伺います。
府立中小企業会館は、「中小企業者のとりで、よりどころをつくろう」「業者一人一人が瓦1枚持ち寄って建設をしよう」と府内の中小企業者、団体への呼びかけで、建設費用の11億1,629万円のうち、中小企業者みずからが浄財1億5,300万円の建設資金を集め、中小企業者の熱意と総意のもとで建設されました。以来、今日まで42年間、この会館は京都府と入居する各中小企業団体との共同で管理され、府の中小企業振興の拠点施設として京都経済の発展に寄与するだけでなく、地域住民の大切な交流施設としての役割も果たしてきました。
ところが京都府は、京都市と共同で京都経済センターの建設と一体に府立中小企業会館を廃止するだけでなく、区分所有権がないにもかかわらず賃料や募集要項を示し、申し込み受け付け、入居団体の選定作業まで行っていましたが、このことは明らかに間違いであり、なぜそうなったのかについて、知事の説明を願います。
また、府立中小企業会館は引き続き存続をさせ、現在入居している財政力の弱い中小企業団体を
排除するようなやり方についてはやめるべきだと考えますが、いかがですか。
さらに同じように、大型開発により京都の町を壊そうとしているのが北陸新幹線の延伸問題です。政府与党は昨年12月に、北陸新幹線の敦賀以西の延伸ルートを、福井県小浜市から京都駅を通る小浜・京都ルートを正式決定し、京都-大阪ルートについては北回りルートと京田辺市を経由し新大阪駅に至る南回りルートについて、今年度内に結論を出そうとしています。北陸新幹線延伸計画は、東京一極集中と地方の疲弊をつくってきた反省もないまま、リニア中央新幹線とともに、安倍政権による財界、大企業の利益を最大化するための巨大開発そのものです。
これまで我が党議員団は、北陸新幹線延伸計画について、2兆円を超える費用負担問題や並行在来線がどうなるのか、住宅密集地などの住環境への影響、自然環境が破壊される問題などを指摘してきたところでございます。
そこで、知事に伺います。小浜から京都駅に入ってくる場合、京都市内の住宅密集地や京都丹波高原国定公園を通ると、多くが大深度地下トンネルにならざるを得なくなる問題や莫大な費用負担について、府民、市民への説明責任が必要ですが、知事としてどのように考えておられるのですか。
以上、ここまでお答えください。
12:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
13:
◯知事(
山田啓二君) 西脇議員の御質問にお答えいたします。
まず、雪害
対策ですけれども、私どもも現地を訪れさせていただき、また各市町村の首長さんからも要望を聞き、農業者の皆さんからも要望を聞き、いち早く今回補正予算に取り組んだところでありまして、議会の皆様には冒頭で可決をしていただきまして、改めて心からお礼を申し上げたいと思っております。この予算を使いまして、京都の農業の基幹的な作物であります万願寺とうがらしやミズナを初めとするブランド京野菜などの生産体制を一刻も早く復旧・復興するために、パイプハウスなど生産の基本的な施設整備を支援していきたいと思っております。
農作物の被害につきましては、基本的には農業共済制度を中心としてお互いに助け合っていく中でやっているわけですから、非常に大規模に起きて、その中でどうしてもというような場合を除いては、やっぱりそれぞれがしっかりと対応していくのが先決であると思っておりまして、まず京都府としては、生産設備の復旧支援に全力を挙げていきたいというふうに考えているところであります。
次に、京都市内の開発問題ですけれども、「京都ビジョン2040」は、別に大型開発とかそういうのが書いてあるわけではありませんで、どちらかというと、これは産学公の連携によって企業の集積を図っていこう、中小企業の集積と連帯をしっかりとつくり上げていこうという構想でありますので、その点は御理解いただきたいと思います。
都市再生緊急整備地域については、京都市内のまちづくりは基礎自治体でその任に当たる京都市の責任と権限のもとに行われるので、京都市会で質問していただいたらありがたいなと思っております。
地域コミュニティ
対策ですけれども、これも基本的には京都市が行う問題でございますので、ただ、京都府は治安などについては担当しておりますけれども、京都府警察に頑張っていただきまして、また地域の皆さんも頑張っていただきまして、御指摘の下京区、南区内の年間刑法犯罪の認知件数は、平成14年には7,748件ありましたけれども、今は2,884件と大幅に改善をされているところでありまして、地域の皆様が一体となって、府民協働防犯ステーションを初めとして防犯活動に取り組んだ大きな成果が出ているところでございますので、安心をしていただければありがたいのではないかなと思っております。
民泊問題につきましては、京都市内は京都市が監視・指導しておりまして、府としては、行政に従わない民泊業者に対する取り締まりを強化していただきたいということで、今回、警察本部にも予算を計上しているところでございます。
次に、堀川商店街の家賃改定でありますけれども、この問題は建物を所有します住宅供給公社が商店街の皆様と話し合いをしながら対応してまいりました。公社によりますと、堀川団地の店舗家賃につきましては、昨年7月に堀川商店街協同組合に対して、近傍の市場家賃を踏まえて来年度から再契約の家賃額を提示したという話でありますけれども、今まで住民の方に配慮をして長い間家賃の見直しが行われていなかった。これが低い水準であったことから、「急激な家賃変更は受け入れられない」とか「定期借家と普通借家とで条件が違い過ぎる」という意見が出されたところであります。このため、公社に対しまして、京都府といたしましても家賃改定の検討に対して助言をする中で、個々の家賃設定の合理性や店舗間のバランスを踏まえた総合的な見直し案として1月16日に提示が行われたところでありまして、現在2月末を期限として各店舗の再契約や継続契約に係る御意向の確認を行っているところであります。京都府といたしましては、住民の立場に立った料金設定という立場から、今後とも公社に対して助言をしてまいりたいと考えております。
次に、京都経済センターについてでありますけれども、まさに西脇議員から御指摘ありましたように、中小企業会館は京都府が主体となって運営をしてきたものでありますけれども、その中で、老朽化等を通じまして廃止をし、今後は経済センターに機能を移転させて、これでオール京都の体制をつくって中小企業の新しい拠点として整備していくということを考えているところであります。したがいまして、新しい経済センター、中小企業会館の役目を果たす経済センターにつきまして、家賃の低減の要請等も踏まえまして、京都府としてもお考えを示していくというのは、まさに当然のことではないかなというふうに考えているところであります。
次に、北陸新幹線の延伸問題についてでありますが、ルートについては来年度からのルートの詳細調査や環境影響評価を経て国が決定することになっております。残念ながら、京都府が希望いたしました舞鶴ルートにはならなかったわけでありますけれども、北陸新幹線自体は北陸の方々にとって悲願でありまして、国家的な高速鉄道として、その必要性に私は議論はないと思っておりますが、費用負担の問題につきましては、これは私も与党PTの場において「受益の範囲内で負担を」と申し上げてきているところであります。整備新幹線の整備に関する基本方針では、安定的な財源見通しの確保が着工条件の一つにされていることから、京都府としましては、国の費用負担についての考え方をお聞きしながら、府としての説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
14:
◯議長(
近藤永太郎君) 西脇郁子君。
〔西脇郁子君登壇〕
15:
◯西脇郁子君 知事の先ほどの御答弁について、まず3点について要望させていただきたいと思います。
まず、雪害
対策ですけれども、今ここで一番問われているのは、今回の雪害を機に農家の多くの皆さんが、これを潮に農業をやめたいと、やめられるようなことがないようにということで、そこが大事だと思いますので、こういった方たちが農業を再開できるための支援、これは強く求めておきたいと思います。
それから、堀川団地についてですが、この団地は知事も御承知のように1950年代に日本で初めての店舗つき住宅として誕生し、商店街の皆さんは今日まで、夏祭り等々いろいろと行事も開催されて、それから自治会の活動も支えてこられたわけです。ところが、これまでの耐震化等々の中で、こういった方々が存続の危機に直面しておられるという状況、これは府としてこれからどう解決をしていくのかということが問われていると思います。これからも堀川商店街の希望される皆さんが残れるようにということで、知事もおっしゃった話し合いでしっかりと解決されることを強く求めておきたいと思います。
それから、経済センターについてですが、そもそも権利がない京都府が経済センターの入居募集を行うという越権行為を行っていたのみにとどまらず、経済センターの家賃を3倍にして、事実上これまで中小企業会館に入居してこられた小さい中小企業団体、小さいけれども大きな影響を与えてきた、京都の経済発展に寄与してこられた、こういった団体がセンターに入居できないようにしてきたことについて知事は、先ほどの御答弁を聞きますと何の反省もないなと思っているんです。知事といいますか、府としてですね。ですので、体力のない中小企業団体の希望者全員が経済センターに今後も移れるように、これは強く求めておきたいと思います。
それから、京都市内の開発問題についてですけれども、先ほど「京都ビジョン2040」で、産学公でやっていると、開発だけではないとおっしゃっていましたけれども、この産学公の中には地元の住民の意思というか合意が余りないわけなんです。トップダウンでやっておられるという、そのひずみが出ていると私たちは思っております。現在、京都市内のホテルやマンション、それから商業施設の建設など、企業の開発中心ではとても安心して暮らせない、商売も続けられないという市民の批判が広がっている現状を京都府としても市内の問題だから何も物を言わなくてもいいのか、そこが問われていると私は思うんです。これまで京都府と京都市では府市行政協働パネルを何度もやってこられたと思いますが、その中で、京都府の人口の過半数を占める京都市との緊密な連携は府政の推進上、極めて重要であり、さらに府市協調を深化させていくとして何度も懇談を行ってこられたわけですから、今こそ京都のよさを守り、そして住民が住みやすくなるよう知事として、やっぱりきちんと物を言っていただくべきではないかと思いますけれども、ここのところは再度答弁をお願いしたいと思います。
それから、北陸新幹線の延伸問題ですけれども、京都市内など人口密集地の場合、トンネルが大部分になるということで、当然これは費用がかさむことなど、事業費の地元負担が今後どうなるのかということ、いまだにわからないままでいいのかということです。また、工事で水脈を切断して地下水が枯れることなど深刻な問題は山積みにされたままで、これをどうクリアしていくのかということがあるわけですが、全くいまだに不明だということです。
知事は、きのうの代表質問で費用負担について、「府民の皆さんに説明していくために今議会に受益の負担や課題整理のための調査費をお願いしているところだ」と答弁しておられますけれども、先ほどの財政負担の問題も、そしてさまざまな環境問題などを含めましたこんな大事な問題を、事前に何も検討しないまま、まずはルート先にありきで府内への北陸新幹線の延伸を勝手に決めていいのか。ここも再答弁をお願いしたいと思います。
以上です。
16:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
17:
◯知事(
山田啓二君) 何かとんちんかんな質問ばかりで困ってしまうんですけど。まず、これは自治制度の根幹を基本的にわかっていらっしゃらないんではないか。権限と役割を持って、それを京都市が住民の皆さんに選ばれた市長さんとそして市会とで決定をしていく。それに対して私たちは広域的な立場から調整をしなければならないことがあれば調整をする。そうでなければ、今度は、じゃ、国にも言うんですか。国に対して、安倍総理、これは国の問題でもありますからというようなことがあったら、我々は自治の基本的な侵害だと思います。やはり、これは住民の皆さんが決めていく。そういう制度の中で議論をしていかなければ、それは住民の皆さんの思いの通じる市政にはならないと思います。まるで全体主義のように、京都府が上から物を言うような話は絶対あり得ないと思っておりますので、そうした点は、私はもうちょっと自治を基本的に勉強されたらいかがかなと思います。
それから北陸新幹線の話も私が決めたわけでは全然ありません。これは国の路線として政府与党PTが決められた。私どもといたしましては、「環境に配慮してください」、そして「舞鶴からの路線のほうが地域経済効果が大きいですよ」ということを申し上げたわけでありまして、私が決めたように言われるということは全くの筋違いでありますので、全然基本的なことがわかっていらっしゃらないのではないかと言わざるを得ないと思います。
18:
◯議長(
近藤永太郎君) 西脇郁子君。
〔西脇郁子君登壇〕
19:
◯西脇郁子君 京都市内の開発問題についてですけれども、先ほど知事は、京都市とこの間調整をしてきたとおっしゃっておられましたけれども、(山田知事「何を」と言う、その他
発言する者多し)。調整と知事おっしゃったじゃないですか(山田知事「広域的な調整が必要な場合は」と言う)。はい、必要な場合はですね。今こそ、その調整、知事がしっかりと今の京都市内のいわゆる乱開発とは言いませんけれども、大型開発によって地元の皆さんが困っている窮状に対してしっかりと物を言っていただきたいと思っているわけです。これは強く求めておきたいと思います。
それから、北陸新幹線の延伸についてですけれども、もちろん知事が決めているわけではありません、それはよくわかっております。ただ、市町村と一緒になって誘致合戦をやっておられるということは事実なわけですね。今、私がはっきり言いたいのは、これだけ府民の暮らしも、京都経済も本当に厳しいときに、北陸新幹線誘致で血道を上げていっていいのかということなんです。理解は得られないと思います。今、府民にとって必要なのは、「新幹線よりも雨が降るたびにとまる奈良線を何とかしてほしい」などの声に応えた暮らしに密着した交通網の整備、医療や介護、教育の充実でこそあり、北陸新幹線の延伸計画そのものの中止・撤回を国に求めるべきだと思います。指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次に、労働者の違法な働き方の改善について伺います。
2014年に過労死防止
対策の推進をうたった初めての法律「過労死等防止
対策推進法」が制定されました。しかし、その後も全国で過労死・過労自殺という痛ましい事件が相次ぎ、過労死・過労自殺の全国の労災認定件数は、1998年度の52件から2015年度には189件と4倍にも激増しています。京都府内においては、年間就業日数200日以上の雇用者のうち、1週間の就業時間60時間以上の者の割合は男性19.1%で全国ワースト1位、女性も6.3%でワースト2位となっています。京都労働局によると、2015年の府内企業への監督総数2,725件のうち、最も違反が多かったのは労働時間で27%の736件になっていますが、こういった状況について府としてどのように改善を図られるのでしょうか。
また、京都府の職員の働き方も見過ごせません。これまで職員定数削減によって本庁総務部や児童相談所などを初め、多くの部署で大変な長時間労働が蔓延しています。府職労連の超勤実態アンケートには「月曜から金曜日まで残業で睡眠不足で金曜の帰りの電車で倒れそうになった」「午前2時半まで勤務し、翌日出勤した際、頭がぼうっとしてふらふらだった」などの声も寄せられるなど深刻です。京都府も足元の職員の異常な長時間労働を解決することが必要ですが、府としてどう対応されようとしているのか、お答えください。
私ども党府会議員団はこれまで「LDA全世代行動」の若者の皆さんを初め、幅広い府民の皆さんと共同して違法な労働者や学生の働き方を是正するため、議会論戦や申し入れを繰り返し行ってまいりました。これ以上、過労死や過労自殺を生み出さないという本気の取り組みが京都府に問われています。
厚生労働省は「働きやすい」「子育てしやすい」企業に対して「くるみん認定」を行っていますが、府内の企業50社のうち、半数以上の21社が過労死ラインとされる月80時間以上のサブロク協定を結んでいます。この認定を受けた府内企業の中で1カ月の残業時間が最も長いのは任天堂の180時間で、次いで佐川急便の130時間、京セラ、堀場エステックが120時間となっています。仮に月180時間残業をすれば、朝8時に出勤し、深夜の12時過ぎまで連日勤務という、いつ過労死になってもおかしくないような勤務となります。過労死ラインを超える協定を結んでいる企業の認定は取り消すよう国に求め、府として労働局と連携して、直ちに企業に対して是正を求めるべきではありませんか。
現在、残業時間の上限を規制する法律がないことが問題です。労働基準法は労働時間について、1日8時間、週40時間と定めていますが、労使で取り決めるサブロク協定の特別条項があれば大臣告示の上限、週15時間、月45時間、年360時間を超えて残業時間を青天井で延長することが可能となっています。
昨年11月、野党4党は衆議院に「長時間労働規制法案」を再提出しました。その内容は、青天井の残業時間に法的上限規制を設けることや、次の勤務までに一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を設けること、会社にいた時間や社外で働いた時間を使用者が把握・記録することなど、労働者を違法な長時間労働やサービス残業から守る上で極めて重要な内容となっています。この法案に盛り込まれた内容の必要性について、知事の認識を伺います。
厚労省は、1月20日付で全国の都道府県の労働局長に「4.6通達」にかわる新しい通達を出しました。新通達では、使用者の講じるべき措置として、職場の入退場記録やパソコン使用時間の記録などと自己申告時間の乖離をもとに実態調査し補正すること、また自主的な研修等も実際には使用者の指揮命令があれば労働時間として扱うということ、サブロク協定を超過しているのに遵守しているように見せかける偽装がないか確認すること、悪質事案については司法処分を含め厳正に対処するなどとされています。この通達は、労働者一人一人の労働時間を適正に管理する責任を企業に徹底させ、違法な長時間労働を是正するためにも極めて重要だと考えます。
京都府として、京都労働局や各労働基準監督署、経営者協会、労働組合などとオール京都で連携して新通達を全ての企業に徹底させることが必要だと考えますが、現在、府としてどう対応されていますか。
この質問の最後に、自衛隊福知山射撃場の米軍共同利用と経ヶ岬米軍レーダー基地について伺います。
トランプ新大統領は、「米国第一主義」を基本に核兵器を含む軍備を増強して「力による平和」を目指すと明言しています。そのような米国に安倍首相は、「日米同盟こそ我が国の外交・安全保障政策の基軸」とどこまでも米国に追随し、戦争法に基づいた米軍と自衛隊の参戦体制が強化されようとしています。そのもとで、現在、韓国に続き、日本でも高高度で弾道ミサイルを迎撃する武器システム「THAAD((サード)」導入が本格的に検討されています。THAAD((サード)配備により、一層、北東アジアの緊張が高まり、経ヶ岬を初め日本全体がテロなどの脅威に巻き込まれる現実的な危険性が一層高まることが懸念されています。
昨年秋、米軍は「経ヶ岬米軍レーダー基地から近く、交通事故発生のリスクが低減でき、効率的な訓練環境の確保の観点からも最適な射撃場」だという理由で福知山自衛隊射撃場を日米地位協定に基づく米軍の共同利用施設として要望し、閣議決定を経て11月29日から実弾訓練を開始しました。先月14日には、福知山市内で「米軍くるな福知山市民集会」が行われ、参加者の中から相次いで、防衛省が言う安心・安全は信用できないとの声が上がるなど、日ごとに地元の不安は増しています。
自衛隊福知山射撃場の共同利用に際して京都府は、11月に防衛大臣に対して安全管理
対策と騒音
対策の要望を提出し、防衛省は翌日、府に「射撃訓練に伴う米軍関係者による事件・事故の防止に最大限努める。万が一、訓練に伴う事件・事故が発生した場合には責任を持って適切に対応する」との回答を行いました。防衛省の回答について知事はコメントで「誠実に対応する旨」のものと評価しておられますが、「さきの沖縄のオスプレイの墜落事故後の米軍や防衛省の対応や、これまで経ヶ岬米軍レーダー基地での集団通勤などの約束がほごにされてきた経過を見ましても、本気で防衛省が住民の安全最優先の立場に立っているとは思えない」という府民の批判を知事はどう受けとめておられますか。
また、2010年の閣議決定では、福知山のほかにも桂駐屯地や大久保駐屯地、舞鶴地方隊など、京都府内の7カ所の自衛隊基地も米軍の共同利用の対象になっており、今後も米軍が要望すれば自衛隊基地の共同利用が進む可能性があります。既にアメリカ海兵隊は米軍岩国基地に駐留する一部の部隊の射撃訓練を経ヶ岬米軍レーダー基地の軍属と全く同じ理由で、東富士演習場から岡山県の自衛隊の演習場で単独で行いたいと防衛省に要請していることからも明らかです。このままでは全国の自衛隊基地が米軍基地化する危険性が増し、今後一層京都府内の多くの自治体でも福知山市や京丹後市のように安全・安心が脅かされ、理不尽な日米地位協定への対応が問われることになるのではありませんか。いかがですか。
以上、お答えください。
20:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
21:
◯知事(
山田啓二君) 働かせ方改善でございますけれども、指摘のありました週間就業時間の順位につきましては、就業構造基本調査の結果だと思うんですけれども、どちらかというと、この調査には会社役員の時間も含まれておりまして、本社が多く立地する都市部などの府県では長く出る傾向があると。それからもう1つ、京都の特徴なんですけれども、やはり宿泊業など就業時間が長い産業がメーンになっている、サービス業を中心としている都道府県でありますので、その中で比率が高く出る傾向があると思います。しかし、長時間労働は過労死につながりかねないことですので、ワーク・ライフ・バランスの阻害要因となっていることからも、京都府としましては、京都労働経済活力会議におきましてオール京都で働き方改革を進め、長時間労働の是正に取り組むことを確認いたしますとともに、経済団体に長時間労働の是正等、就労環境の改善を要請しております。経営者の意識改革を促すセミナーの開催や、さらに社会保険労務士を是正に取り組む企業へ派遣するなど、長時間労働が常態化につながることのないように労働環境の確保を国に対して要望する。こうしたことを通じて、今、改善策を講じているところであります。来年度は、就労環境面で課題を抱える企業を支援します就労環境改善サポートセンターを京都テルサ内に新たに設置いたしまして、長時間労働の是非につきまして、企業へのアドバイザーの派遣、就労環境改善サポート補助金の活用など、オール京都で積極的に取り組んでまいりたいと思います。
京都府の職員につきましては、京都府の職員の時間外を見ますと、全国の中位ぐらい、22位から24位ぐらいのところでありますから、特にうちが多いということではないんですけれども、特に特定の職員に業務が集中しないように応援態勢の構築など、時間外勤務の縮減に向けて取り組みを進めてきたところであります。災害があったときにどうしても長く出たということはあり得るのかもしれません。さらに先般、各職場に対しまして時間外勤務を縮減するような通達を発出しまして、業務見直しなどの取り組みを行っていくこととしておりまして、引き続き、一層の縮減に努めてまいりたいと考えているところであります。
次に、「くるみん認定」についてですけれども、認定の取り消し基準は、規定する基準に満たなくなったと認められた場合、または社会問題となるような事件を起こすなどのときに出されますけれども、今、国の労働政策審議会において、月の平均時間外労働が60時間以上の労働者がいないことを新たな認定基準に加えますとともに、是正勧告を受けて是正しない場合も認定取り消しの対象とするなど、制度の厳格化が検討されているところであります。労働基準法では、サブロク協定によって臨時的に月80時間を超えた場合でも直ちに違法となるものではありませんけれども、過労死ラインを超えるような長時間労働については、労働局とともに是正を求めていきたいと思います。
長時間労働の規制につきましては、4党が共同提出の長時間労働規制法案に加えまして、国のほうも働き方改革実現会議において時間外労働の上限規制のあり方など、長時間労働の是正に関する関連法案の提出が検討されているところでありまして、長時間労働の是正に効果的な施策が実現されるよう、これは国会の与野党間の議論の中で早期に一致する点を見出して効果的な
対策を講じていただきたいと考えているところであります。
厚生労働省の1月20日付の新しい通達につきましては、京都府としましても、就労環境改善サポートセンター等において、労働局とともに周知啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、米軍関係についてでありますけれども、陸上自衛隊福知山射撃場限定使用につきましては、これは防衛大臣に要請し、真摯に対応する旨、回答を得ているところであります。経ヶ岬におきましても、電磁波の調査やドクターヘリ飛行時のレーダー停波など、また福知山におきましては騒音調査を実施するなど、安心・安全に関する事項にも対応されているところであります。いずれにしましても、京都府といたしましては、住民の安心・安全に関することについては防衛省や米軍に直接申し入れなどを行いますとともに、国と確認した事項の履行について、今後ともしっかりと確認し、毅然として対応をとっていきたいと思っております。
なお、議員お尋ねの岡山県の日本原演習場は、既に日米共同使用施設として日米合同訓練が行われてきている施設でありますし、福知山射撃場も、静岡県で行われている訓練、これでは余りに遠く、かえって問題も起こりかねないだけに、地元の御理解をいただいて利用できるようになったものでありまして、それぞれ事情が違いますので、そうした懸念というものは、私は当たらないのではないかなと思っているところであります。
22:
◯議長(
近藤永太郎君) 西脇郁子君。
〔西脇郁子君登壇〕
23:
◯西脇郁子君 長時間労働問題についてですけれども、先ほど私が述べましたように、府内の長時間労働の実態というのは、やはり男性では全国ワーストワンと言われるほど極めて深刻だということ、これはしっかりと受けとめていただきたいと思います。その上で、まず知事自身がその認識に立っていただいて、先ほどおっしゃったようなオール京都でということで、是正のために本気で取り組んでいただくということ、これが問われていると思います。
足元の京都府の職員の働き方ですけれども、例えば児童相談所の職員さんですけれども、今急増している虐待通報の対応のために24時間携帯が手放せないなど、その実態を見ても、職員体制の抜本的な改善は急務です。千葉県ですけれども、定数条例を改定し210人増員されるということですけれども、実は驚いたんですけれども、京都府は逆に、今議会に府の職員を5,105人から4,110人に大幅に減らす定数条例改正案を提案しておられるんですけれども、これは他府県の動きや働き方改革の社会的な動き、流れに対しても全く逆行するものではないかなと思います。やはり府として、各種イベントとか大型プロジェクトを次々と打っておられるわけですけれども、こういったあり方が従来のままでいいのかということも含めてしっかりと見直す検討をしていただいて、現場の実態に見合った職員体制の拡充を求めておきたいと思います。
最後、福知山の射撃場共同訓練の問題ですけれども、昨年12月の沖縄でのオスプレイ墜落事故の後の日本政府の対応は、まるでアメリカの植民地のようだとの厳しい批判が全国で起こったのは知事も御存じだと思いますけれども、まして今後トランプ新大統領のもとで日本への過重な基地負担要求が強まる可能性が心配される中で、米軍の自衛隊基地の共同利用、これは府民の安心・安全の願いには全く逆行するものだと考えます。今回、自衛隊の福知山射撃場が米軍の共同利用になったのは、やはり2年前に知事が国言いなりで経ヶ岬米軍レーダー基地を容認したことにあると思います。知事として、府民の安全・安心のためだとおっしゃるのであれば、福知山射撃場の共同訓練、利用中止とともに経ヶ岬米軍レーダー基地も撤去していただくようにということで、国に強く求めていただくよう、これは要望、指摘をして終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
24:
◯議長(
近藤永太郎君) 次に、本庄孝夫君に
発言を許します。本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕(拍手)
25: ◯本庄孝夫君 日本共産党の本庄孝夫です。議員団を代表して、知事並びに教育長に伺います。
質問に入る前に、議長のお許しを得て一言申し上げます。
去る2月13日以降、京都府立医科大学長と同附属病院長の
暴力団山口組との関係や診断書偽造、京都府警元警部補の介在などの疑惑が報道され、府民の批判と不安が広がっています。府民の命と健康を守るべき府立の病院として、知事の設置者責任と公立大学法人理事長の責任は極めて重大です。この際、府民の信頼回復を図り、
暴力団との関係の徹底した真相究明と責任の所在、抜本的
対策を明確にするよう強く求め、質問に入らせていただきます。
安倍政権の経済政策アベノミクスが格差と貧困を一層拡大し、社会と経済の危機をさらに深刻にしています。ごく一握りの富める者はより巨額の富を手に入れる一方で、中間層の疲弊が深刻になっています。労働者の平均賃金は、1997年をピークに年収で55万6,000円も減少し、所得階層別に見ると増加しているのは年収2,000万円以上のごく一部の高額所得者と年収500万円以下の層であり、年収500万円から1,000万円の層は減少しています。大企業によるリストラと正社員の削減、非正規雇用労働者の増大で国民全体の所得が低下する中で中間層が疲弊し貧困層が増大する、これが現在の日本社会の姿です。貧困は特別な事情ではなく、倒産、失業、リストラ、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥ってしまう経済社会となっています。今、日本社会の持続可能な発展にとって、特別に貧困問題を位置づけることが大切となっています。
そこで伺います。
知事は、この中間層の疲弊が深刻となり貧困層が拡大していることについて、どのように認識されていますか。
今ほど自治体の組織と機構を挙げて、貧困と孤立に苦しむ市民を救済する取り組みが求められているときはありません。そこで、子どもの貧困、高齢者の貧困について伺います。
まず、子どもの貧困の問題です。高い学費と教育費、卒業後も奨学金の返済に苦しむなど、世代を超えて貧困が続くという「貧困の再生産」が重大です。山科区で2人の息子さんと暮らすお母さんは、「無理がたたって難病となり、仕事ができなくなり全てが崩れていった」と語られました。25歳の長男は大学を中退して派遣の仕事、20歳の次男は専門学校から大学編入を目指し、アルバイトで高校の奨学金を月1万4,000円返済。修学旅行にも参加できず、お金が要るので友人をつくらないという息子に、ごめんねと謝っていると語られました。3人の娘さんと暮らすお母さんは、朝は牛乳配達、昼は介護のパート、夜は百均で働き、月20万円の収入で家族を支えてこられました。定時制高校の娘さんは、就職のための面接でリクルートスーツとヒール、黒いバッグをそろえるようにと説明を受けましたが、相談せず、無理だと断わりました。お母さんは「先生からの連絡でそろえようとしたが、2万円はかかるため買ってやることができなかったことが一番つらかった」と語られました。
安倍政権は、ようやく返済不要な給付型奨学金の導入を決めましたが、本格実施の2018年度からでも、1学年2万人で余りにも規模が小さく、関係者に失望を広げています。国に対して、大学の学費負担の軽減、給付型奨学金の抜本拡充を求めてはいかがですか。また、府としての独自
対策を求めますが、いかがですか。そして、就職の面接で制服がない定時制高校に、スーツなど貸し出しの就職活動のセットを備えるよう求めますが、いかがですか。
沖縄県では、昨年1月に貧困率を発表し、2022年度までの子どもの貧困に関する目標値を具体的に提示しました。この特徴は、子どもの食生活や健康状況、保護者の就労や家計と公共料金の支払い、通塾率といった踏み込んだ独自調査で、貧困世帯が具体的にどのようなことに困っているのかを把握していることです。
本府でも、子どもの貧困のリアルな実態調査を全面的に行い、実態を踏まえて
対策の見直しを求めますが、いかがですか。
さらに、子どもの貧困
対策として不可欠な、子育ての負担軽減と支援の問題です。伊根町では過疎と不況のもと子育て世代を応援することを最優先に、給食費や教材費、修学旅行費など義務教育にかかる費用を無償にし、医療費についても高校卒業まで無料にしています。
まず、国に対して家計の負担軽減による子育て支援や少子化
対策として、全国55自治体までに広がってきた給食費の無償化を要望してはいかがですか。また、府内26自治体のうち、実施計画を含めて22自治体まで広がってきている中学校での全員制の給食実施に向けて、国への予算要望と合わせて、本府として市町村への財政的支援に踏み出してはいかがですか。
子どもの貧困の解決に向けて、本府や市町村、NPOや市民団体によって、子どもの居場所づくりや学習支援、子ども食堂などの取り組みが広がっています。しかし、子どもが直接的に助けを求めに行けるわけではありません。高校生でさえも納入金の滞納や欠席が続くことなどから、教職員が丁寧に話を聞く中で課題を抱えていることがわかる状況です。
そこで、学校をプラットフォームにした
対策で、子どもと教育、福祉などの施策をつなぐスクールソーシャルワーカーが大きな役割を発揮されています。現在、スクールソーシャルワーカーは小・中学校に57校、府立高校では3校を拠点校としての派遣にとどまっていますが、全校配置と処遇改善を国に強く求めるとともに、府として思い切った予算化を求めますが、いかがですか。
次に、高齢者の貧困の問題です。「78歳女性。電気代を節約するため電灯を1つ取り外し、夕食時はテレビの明かりだけ。風呂は週に3回、水は1週間かえない。近所づき合いを避けようとする自分に寂しさと惨めさを感じる」、これは新聞での報道ですが、高齢者の貧困の特徴には、深刻化する収入の少なさ、貯蓄の少なさ、つながりの希薄さがあります。経済的な貧困は経済的な貧困にとどまらず、社会的な孤立に作用することがうかがえます。
安倍政権の4年間で2.5%の年金の削減、1食260円から460円へ入院食費の負担増、介護保険利用料への2割負担の導入など、高齢者への給付を削り負担をふやしてきました。
そこで伺います。
地方自治体の目的は、住民の暮らしと福祉を守ることにあります。知事として、後期高齢者医療保険料の引き上げ、70歳以上の高額療養費の患者負担増、高額介護サービス費の負担増など、国の社会保障大改悪の中止と撤回を求めるとともに、高齢者や住民の命と暮らしを守る制度の拡充へ踏み出すことを求めますが、いかがですか。
ところが本府では、昨年4月から老人医療制度、いわゆる「マル老」制度の窓口負担を1割から2割にふやし、対象も「世帯全員が所得税非課税」へと改悪しました。その結果、京田辺市では、助成額が9,600万円から6,000万円へと急減し、利用者1人当たり約2万3,000円の負担増となりました。病院では、65歳になられた糖尿病の患者さんが、「マル老」であれば4万4,400円であった1カ月の入院の限度額が5万7,600円となり、1カ月の入院費は食事代を入れて約8万円の負担となりました。退院してからも自己負担は3割です。負担による治療中断が心配とお聞きしました。多くの府民から喜ばれてきた制度をもとの1割負担などに戻し、対象年齢を74歳まで拡充することを求めますが、いかがですか。
山科区の社会福祉協議会では、孤立している人を定期的に訪問し、具体的な支援につなげていく「地域あんしん支援員」の制度を使い、生活困窮問題にかかわっておられます。また、地域包括支援センターでは、老老介護、徘徊や経済的虐待、精神疾患を抱える高齢者などの困難事例の把握とともに、独居老人の全戸訪問も担っています。本来的な介護予防や医療の問題でも連携が強調されるもとで住民と接し、全体の健康問題をつかむ保健師の役割が一層重要です。ところが、この地域包括では保健師2名の配置のところ1名が欠員のままで、他の地域包括でも保健師が確保できていないともお聞きしました。住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うためにも保健師の公的配置を重視し増員すること、そして保健師を確保して責任を持って配置すべきですが、いかがですか。ここまで質問いたします。
26:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
27:
◯知事(
山田啓二君) 本庄議員の御質問にお答えいたします。
貧困問題についてでありますけれども、施政方針でも申し上げましたように、今、さまざまな格差の問題が社会のゆがみを増大させていることを憂慮しております。貧困問題の
対策としては、本来、ナショナルミニマムであります生活保護制度によって国民の最低限度の生活を保障することが基本でありますし、京都府もその厳しい財政状況の中でセーフティネットを支えてきているわけでありますけれども、今日的課題として、特に貧困が固定化し、再生産されているのではないかということが非常に厳しい問題として出てきております。私どもは、こうした貧困の連鎖を断ち切る
対策が今求められていると思っておりまして、このために、まず就労支援
対策として「第4次京都府再雇用創出就業支援計画」に基づき、4年間で3万人の正規雇用創出を目指した就職支援、そして京都ジョブパークにおける福祉施策と連携した就労支援を実施しております。さらに、子どもの貧困
対策については、私自身、「子供の未来応援国民運動」の発起人の一人として、官民一体となった施策を国と協力して推進するとともに、全国に先駆け「子どもの貧困
対策推進計画」を策定し、「あんしん修学支援事業」や「高校生給付型奨学金」などの取り組みを進めているところであります。さらに、正規雇用の拡大を含めた就労支援
対策、子どもの貧困
対策を今回の予算におきましても、特に共生社会実現のための重点施策と位置づけ、「きょうとこどもの城づくり事業」、「就労・奨学金返済一体型支援事業」といった思い切った施策を盛り込んでいるのは御存じのとおりだと思っておりまして、今後とも、貧困問題を初め、あらゆる格差の解消に努めてまいりたいと考えているところであります。
次に、大学生の教育費負担軽減についてでありますけれども、私どもはやはり、意欲ある学生が経済的な理由により進学を断念することがないよう国に対して制度の充実を求めており、府としましても直接要望しました。また、全国知事会におきましても、教育費の負担軽減策の充実に対し、国に対して緊急提言を行いますとともに、昨年の11月28日の全国知事会議でも、改めて緊急決議を行い、私から直接、安倍総理に対して提言をしたところであります。
こうしたことを受け、国の平成29年度予算におきましては、無利子奨学金貸与人員の4.4万人増、低所得世帯の子どもたちに係る無利子奨学金成績基準の実質的撤廃、国立大学・私立大学の授業料減免等の充実、そして免除対象人数の増、給付型奨学金の創設など、制度の充実に向けた予算案が、今、審議をされているところであります。京都府といたしましては、国と役割分担する中で、高校生のほうが私どもの担当になっておりますので、その中でも高校生修学支援事業として、旧日本育英会から引き継いだ貸付制度を着実に実施するとともに、京都の場合には私立高校の占める割合が大変に多いということを踏まえて、「あんしん修学支援事業」を実施し、毎年約1万7,000人の子どもたちを支えていることは、あまり言っていただけないんですけれども御存じのとおりだと思います。さらに、奨学金返済に苦しむ若者・勤労者の負担軽減と、そして中小企業の人材確保を一体的に促進するために、就労・奨学金返済一体支援型事業に今回予算をお願いしているところであります。
次に、子どもの貧困の実態調査についてでありますが、京都府では真に支援が必要な要保護世帯や準要保護世帯など、小学校6年生、中学校3年生、約1,200名に対して生活や学習の状況を毎年度把握しておりまして、規則正しい就寝・起床や朝食の摂取等の生活習慣や学習環境が学校の成績に影響を与え、また全日制の高校進学率が低いなどの結果が出ているということを申し上げてまいりました。今年度はこれに加え、民生児童委員が把握するひとり親世帯7,514世帯を対象に母子・父子世帯実態調査を実施し、中間集計ではありますけれども、夕食では小・中学生の40人に1人が子どもだけで食事をしており、いわゆる孤食の実態が明らかになっているところであります。このため、子どもの貧困
対策検討会の委員の御意見も伺いながら、子ども食堂を初めとして、居場所、地域未来塾など、地域の実情に応じた多様な支援拠点、こどもの城の整備・運営への支援、さらに家庭支援教育員とまなび・生活アドバイザーが連携して、地域で子どもを支えていく訪問型の家庭教育支援、さらに奨学金返済、先ほど申しましたような一体型支援など、取り組みを一層強化するために、今議会でも重点施策として御審議をお願いしているところであります。
次に、学校給食についてでありますけれども、学校給食につきましては、市町村の役割の中で、交付税等によりまして給食の委託料や設備品の備品費なども算定されておりまして、一応、市町村の財政手当についてはきちっと手当てをされている現状があります。給食費自身につきましては、これは安ければ安いにこしたことがないと私も思うんですけれども、全ての保護者を対象に無償化しようとすると、ではその経費をどこに求めるんだろうかという問題になってまいりますので、こういう議論と一体的にしないと、なかなか国に要望しても取り合ってもらえないというのが、私は現状ではないかなと思っておりまして、そうした点から私どもは、まず貧困にかかわる課題を抱える子どもへの支援を強化していきたいということで、京都の子ども食堂の開設や運営支援についての予算を今回お願いしているところであります。また、給食に必要な施設整備に当たっての国の交付金や起債などの財源制度については市町村に措置されておりますけれども、さらにその充実を国に対しては求めていきたいと思っております。こうした中で、府内の市町村では新たに6市町村において中学校給食の実施に向けて取り組まれているところでありますので、こうした中において、さらに御要望がありましたら応えていけるような体制をとっていきたいというふうに考えております。
次に、社会保障制度改革についてでありますけれども、制度の持続性を高めるためには、国において低所得者に配慮し、負担能力に応じた負担となるように、さらに世代間の公正の観点からも見直しが行われているんですけれども、私も全国知事会長として、介護保険制度を初めとする社会保障制度の充実と、そのためには安定的な財源が要りますので、その財源確保について強く国に求めてきたところであります。京都府としましても後期高齢者と介護保険に対し、合わせて650億円の予算を引き続き確保しております。老人医療の助成制度「マル老」については、これも言っていただけないんですけれども、これだけやっているのは京都府だけですよ、今。もう京都府だけになりました。でも私どもは、消費税の値上げが見送られて180億円の財源が来なくても一生懸命この制度を支えているんですから、その点については、私は評価をしていただきたいなと思っているところでありまして、こうした頑張っていることについては御理解いただきたいと思います。
地域包括支援センターについてでありますけれども、これは市町村が設置していくわけでありまして、主任ケアマネジャーと社会福祉士に加えて、保健師または看護師を配置することになっているところでありまして、その中で保健師は、この4年間で15名ほど配置が進んできているところであります。ただ、急速に高齢化が進む中、保健師の不足の問題もありますので、京都府としましては保健師の人材育成を支えていくなど、これからも地域包括支援センターの運営をしっかりと推進機構を通じてサポートしていきたいと思っているところであります。
28:
◯議長(
近藤永太郎君) 小田垣教育長。
〔教育長小田垣勉君登壇〕
29: ◯教育長(小田垣勉君) 本庄議員の御質問にお答えをいたします。
制服を定めていない定時制課程における就職指導についてでございますが、就職試験を受ける際には、TPOをわきまえ、華美でなく、簡素で清潔な服装とするよう指導しているところでございます。一般的に大学生の就職活動に見られますような画一的な服装を一律に指導しているものではございませんので、「御指摘のような就職活動用のスーツの貸し出しセットが必要」との声は、府立学校長からは聞いてはおりません。
次に、スクールソーシャルワーカーについてでございますが、近年、困難な家庭環境にあります児童生徒に対しまして、学校現場におきましても家庭や福祉機関等と連携した適切な対応が求められるようになっているところでございます。こうした中で府教育委員会では、国に先駆けまして平成19年度から、まなび・生活アドバイザーを学校に配置し、家庭や福祉機関等との連携を通じて児童生徒を支援しており、その配置も年々拡充してきたところでございます。また、今年度策定いたしました「学校の組織力向上プラン」におきまして、平成31年度をめどに、まなび・生活アドバイザーを全ての公立小・中・高等学校、特別支援学校へ配置することを目指しており、来年度もさらに拡充すべく本議会で予算をお願いしているところでございます。あわせまして、国に対し、スクールソーシャルワーカーの配置充実とともに、処遇の改善につながります法令上の職として位置づけられるよう、引き続き要望をしてまいりたいと考えております。
30:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
31: ◯本庄孝夫君 お答え、ありがとうございました。再質問をさせていただきます。
冒頭知事に、中間層が疲弊し、貧困層が拡大していることについて認識をお伺いいたしました。今、貧困解決は社会全体の課題であることは当然でございます。その貧困層が、冒頭紹介しましたように大変拡大をしている、憂慮する事態になっております。また、知事も答弁されましたように、貧困を次世代に連鎖させない、こういう点でも子どもの貧困打開は待ったなしの課題として政治に迫られていると思います。ところが予算案では、先ほど御紹介がありましたように、個別の
対策への補助というのにとどまっております。府民生活全体を制度的に底上げするものとなっておりません。
先日のNHKスペシャルで紹介された東京都大田区では、全ての小学5年生と保護者を対象に生活実態調査を実施されております。本府でも、子どもの状況を把握し、より効果的な施策へ、全面的な実態調査を行ってはいかがですか。以上、お答えください。
32:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
33:
◯知事(
山田啓二君) 調査については、一番効果的に私どもが対応していかなければならない人にきちっとやっていくというのも一つの考え方ではないかなと思っております。全面的な調査という話、今は統計の精度も上がってきておりますし、調査手法も上がってきておりますので、京都府では、一応、要保護世帯、準要保護世帯といった、まさにここをきちっと見ていかなければならない世帯についての調査をしていく。ただそれだけでは世帯全体のところの状況というものの特性がわかりにくいので、母子・父子世帯の実態調査を今年度実施をしていくという中でしっかりとした把握ができるのではないかなというふうに考えておりまして、今後とも、それぞれの施策のポイントを押さえながら調査を続けていきたいというふうに考えているところであります。
34:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
35: ◯本庄孝夫君 御答弁いただきましたけれども、私は、今ほど府の役割発揮が求められているときはないと思います。この実態調査につきましては、見えない貧困と言われる問題を可視化するような、先ほどの知事の答弁では、1,200人ということでありましたが、東京都大田区では5年生全員の児童と保護者対象にやる、そうすることによって困難が見えてくる、課題が見えてくる、そういう角度から踏み込んだ実態調査と
対策を強く求めまして次の質問に移ります。
原発の問題について伺います。
福島原発事故から6年近くが経過しても収束とはほど遠く、8万1,000人もの人々が避難生活を強いられています。政府が進める避難指示解除と賠償の打ち切り、除染の不徹底などが被災者に新たな苦しみを押しつけています。ところが安倍政権は、依然として40年炉も含めて再稼働するなど、原発に固執しています。しかし、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉に追い込まれ、核燃料サイクル路線は完全に破綻し、使用済み核燃料の処理方針は成り立たなくなっています。1月20日には、関西電力高浜原発で工事用の大型クレーンが倒れ、燃料取扱建屋などの一部が損傷した重大な事故で、暴風警報への
対策が行われず、安全がおろそかにされていました。さらに、福島原発2号機の原子炉格納容器内の放射線量が、人間が数十秒いるだけで死に至るほどの毎時530シーベルトに上ることが明らかになりました。
そこで伺います。
40年炉の廃炉と破綻した原発再稼働路線は、きっぱり中止を求めてはいかがですか。
新潟県では、米山隆一知事のもとで原発再稼働を議論する大前提として、福島第1原発事故の原因、住民の健康や生活に与える影響、安全な避難方法、この3つの検証を進めています。京都でも、検証する立場から独自の体制をつくり、滋賀や兵庫県のように独自の放射能拡散のシミュレーションを行うよう求めますが、いかがですか。
原発再稼働を急ぐ安倍政権は、自主避難者を対象に行ってきた住宅無償提供を打ち切ろうとしています。本府は2月7日に、対象世帯を限定し、無償期間終了後1年間の負担軽減措置を講じた上で、有償による継続入居を発表しました。山科区の市営住宅に両親と一緒に避難された女性のお話では、お父さんは認知症が進み、京都の施設で亡くなり、お母さんは足腰が弱っている。福島に帰ると子どもの声が聞こえない、家の奥に高齢者がぽつんとおられ急に老けられたようだ。帰るに帰れない状況で、京都での生活は経済的にも大きな負担で、引き続く無償提供を求めておられます。
本府は、福島-京都間のシャトルバスの運行、自主避難者も含めて入居時から丸6年間を支援してきました。鳥取県や山形県では住宅無償提供の延長に踏み出しています。住まいは生活の基盤です。国に対して、被災者の生活となりわいが再建できるまでの無償提供を求めるとともに、独自の無償提供の継続を求めますが、いかがですか。
次に、亀岡スタジアム問題について伺います。
2月3日の公共事業評価第三者委員会では、当初計画から予定地を変更したJR亀岡駅北側の土地区画整理事業地での事業化の議論のあり方について、批判や疑問が相次ぎました。これは1月25日の環境保全専門家会議で、アユモドキの保全に必要な地下水への工事の影響について府の調査が不十分として調査結果の了承が見送られたのに、わずか1週間余り後に専門家会議が開かれ調査結果の了承を求めるという手法について委員から、「大きな予算を決める大事な会議だ。公共事業の進め方としてよいと思っているのか」との批判が出されました。その結果、追加の調査と専門家会議の同意が必要となり、工事着工は認められませんでした。予算案編成ぎりぎりの日程で専門家会議、第三者委員会のお墨つきを得るために手続を押し切るという「先に建設ありき」の手法に最大の問題があるのではありませんか。
そもそも、昨年4月の専門家会議の座長提言を受け建設予定地を変更しましたが、本来なら、地下水の保全とアユモドキへの影響を調査してから変更を決めるべき問題ではなかったのですか。そして、当初予算案でスタジアム建設に本体工事費6億900万円、用地取得に13億7,000万円など、計19億9,500万円が計上されていますが、最初の公募条件としては、用地は自治体からの無償提供であり府が用地取得を行うことにはなっておらず、亀岡市と合わせた34億円の用地取得を共有名義とするなども、府民・市民には説明がつかないことではありませんか。さらに、建設には追加の調査と専門家会議の同意が必要であるもとで、建設費を計上していることも、債務負担行為を組んでいることも、認めることはできません。予算を撤回してはいかがですか。
治水問題では、市民から「外部から大量に運び込んだ土砂を積み上げた造成で、市内の水害常襲地であった地域以外にも被害が拡大するのではないか」と不安の声が寄せられています。元京大防災研究所長の今本名誉教授は、「亀岡の特徴は、淀川水系で府内唯一の狭窄部・保津峡があり、駅北地域一帯が遊水地となっている。市民の命を守るためにも広い遊水地の面積が必要であり、氾濫のおそれがある場所は開発せず、人が住むことも制限すべきだ」と述べておられます。何よりも市民の命を最優先にすべきではありませんか。「先に建設ありき」のやり方は直ちに中止し、撤回を求めますが、いかがですか。
また、亀岡市が行う土地取得に対する財政支援、スポーツ関係者や市民の利用と管理運営、交通渋滞や商業施設と経済効果など、市民の疑問や懸念に一旦立ちどまって見直すこと、府民や市民への早急な説明会の開催を求めますが、いかがですか。お答えください。
36:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
37:
◯知事(
山田啓二君) 原発の廃炉についてでありますけれども、運転期間が40年を経過した原発は、原則廃炉にすべきでありまして、京都府としましては延長申請に当たって、国に対して責任を持った慎重な対応を強く求めてまいりました。京都府としましても、エネルギー自給・京都の実現を目指し、京都ビジョン2040、さっき西脇議員には評判悪かったんですけれども、原子力エネルギーゼロの京都を目指して、今、取り組みを進めております。
国は新規制基準に適合した原発の再稼働を進めようしていますけれども、京都府としては府民の安心・安全確保をする観点から、今後とも高浜発電所に係る地域協議会を通じて、国や関西電力に慎重な対応と説明を求めていきたいと思います。
原子力防災
対策の検証体制と拡散シミュレーションの向上でありますけれども、原子力の検証体制については、京都府におきましても防災専門委員、そして原子力担当参与を設置して、さらに関係市町村と協議会を開催。また、高浜発電所及び大飯発電所に関する環境測定技術検討委員会も開催し、京都府緊急被ばく医療ネットワーク調査検討会を開催し、さらに自衛隊との意見交換会を開催するなど、独自
対策もやっているところでありますけれども、やはり国と自治体がうまく連携した中で検証体制をつくっていかなければ本当の安全は確保できないという観点は強く感じているところでありまして、これからも国としっかり連携をしていきたいと思います。
放射性物質拡散シミュレーションについてでありますけれども、京都府でも、SPEEDI(スピーディ)を活用した拡散シミュレーションを平成24年3月に公表して、避難計画や訓練想定の参考として活用しているところであります。
それから、東日本大震災の自主避難者への公営住宅等の無償提供でありますけれども、この検討に当たりまして有識者意見交換会を開催し、私もお話をちょっと伺ったんですけれども、大変難しい話になっております。震災から6年が経過する中で、「やっぱり自立に向けて後押しをしてもらわないと、本当の意味での京都での暮らしができない」と訴えられる方もいらっしゃいますし、「これはもう天災なんだから全て公が持つべきだ」という方もいらっしゃいますし、福島県のほうは早く戻ってきていただきたいということで一生懸命そういう施策を講じていらっしゃるし、そうしたいろんな中で私どもとしましては、公営住宅に最長、平成30年12月まで無償入居については継続をすると。入居から6年間の無償期間経過後は、公営住宅に当選しないとか、通学・通院などで転居できない世帯に対しては、1年間の家賃負担軽減措置を講じた上で有償による継続入居を認めるとか、有償期間中に府内に転居した世帯に対する引っ越し補助を行うとか、住宅・就労、その他生活全般にわたる相談事業を行うといった形で、そうした皆さんの意見の最大公約数を何とか探って、今回、議会にお願いをしているということでありますので、その点は御理解いただきたいと思います。
次に、スタジアム整備についてでございますけれども、このスタジアム自身は5万人もの亀岡市民の思いを踏まえた建設の決定、そして環境保全専門家会議による環境保全の慎重な結果、さらには建設位置の変更についても、座長の提言を受けてそれを踏まえた形で受け入れ表明をしたということで、地元の関係の皆さんにも理解と協力を得たところであります。こうして、当初の計画に固執せずに、多くの人々の納得と理解を得ながら柔軟に対応してきたところであります。今回も環境保全専門家会議からは「スタジアムの基礎構造による地下水への影響は軽微」との了承を得た上で建設費の予算計上を行ったところでありますけれども、アユモドキへの影響についても季節単位での分析に加え、年間を通じた地下水の水流量の分析などの調査を行いまして、工事の着工までに確認作業を進めていきたいと考えております。
建設予定地につきましては、環境保全専門家会議の座長から「地下水保全等を行えばアユモドキの影響は軽微である」という提言をいただいておりますけれども、これまでのアユモドキの調査や駅北地区で行っていた地下水位や土質調査等から、アユモドキの保全の対応は十分可能という前提で出されたものでありますが、さきに述べたように、さらに調査を行っているところであります。
スタジアムの用地につきましては、亀岡市は当初の建設予定地について都市計画公園の用地取得をしておりまして、またアユモドキの生息環境調査や実証実験など、私はその責務は十分に果たされたと思っております。また、駅北の土地区画整理事業地への変更により立地条件がさらに改善し、また20億円程度減額することもできる、そして旧建設予定地はアユモドキの保全のために活用することができるといったようなことを総合的に勘案をして、また関係市町村にも十分御理解をいただいて行っているところであります。
治水
対策につきましては、これまで申し上げてきましたとおり、平成10年の日吉ダムの完成や平成21年度に完成した桂川の当面計画の河川改修により、おおむね一定程度の治水の安全性が高まったということで、亀岡駅北土地区画整理事業区域が都市計画審議会などの手続を経て、土地利用計画、土地利用ができる市街化区域に編入され、既に基盤整備が進んでいる。高水敷の掘削の土を土地区画整理の盛り土に充てるなど、治水上の問題がないことを確認しながら、既に盛り土工事が進んでいる土地にスタジアムを整備するものでありますので、スタジアムの建設によって何か急に危ないことが起きるとかそういうものではないことは御理解いただきたいと思います。こうしたことの府民や市民への説明につきましては、府議会や地元の亀岡市の関係者に対し説明を重ねてきたところでありまして、昨年11月の亀岡市の市民説明会でも府の職員を出席させ、こうした問題について回答したところであります。
亀岡の地の具体的な問題は、基本的には亀岡市の意向を踏まえて行うものでありますので、今後とも、亀岡市議会や府議会の御理解のもとに丁寧に進めていきたいと考えているところであります。
38:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
39: ◯本庄孝夫君 再質問させていただきます。国は原発の運転期間を原則40年とする法改正をしましたが、それが骨抜きとされています。相次ぐ40年炉の延長認可に若狭の地元からは、「例外中の例外どころか、全員合格ではないか」と怒りの声が起こっています。国に対して、40年炉の廃炉と原発再稼働路線の中止を強く求めるものです。
また、新潟県の米山知事は、原発事故の検証として先ほど紹介した3つの検証を徹底して進め、検証総括委員会設置などで4,875万円の予算を計上しています。これは原発の是非にかかわらずできることです。検討されるよう求めます。
避難者への住宅無償提供の継続では、避難者はこれまで1年ごとの延長で先の生活が見えず、「まるで余命宣告を繰り返されているようだ」と、不安を抱えての避難生活を余儀なくされてきました。国への要望と府独自の無償提供の継続を強く求めます。
亀岡スタジアム問題で再質問します。知事は6日の記者会見で、批判や疑問を真摯に受けとめなければならないと述べられましたが、亀岡市アユモドキ緊急調査検討委員会の委員長は、「専門家会議が責任を持って十分な調査と検討ができるようにすべき」「余りにも拙速過ぎて看過できない事態」と、知事と亀岡市長に緊急意見書を提出されました。また、54の自然保護団体などの緊急意見書では、「十分な影響評価と影響回避の確証がないまま、一旦着工されれば評価調書にある『工事期間中、工事完成後にモニタリングを継続して、万一影響が認められた場合は
対策を実施』するとしても既に対応が限定され、その結果、アユモドキの存続が不可能となることが深く懸念されます」と指摘されています。知事はこのような意見書や指摘にどう向き合われるのですか、お答えください。
40:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
41:
◯知事(
山田啓二君) 京都府としましては、こうした皆さんの声に応えるように、環境保全専門家会議によって慎重な検討を重ねてきているところでありまして、今回につきましても着工までに、「大丈夫であろうけれども最後の確認はしていただきたい」というお話をいただいたわけでありますから、それまでは着工はしないということできちっと対応しているところでありまして、これからも環境保全専門家会議の提言をしっかりと踏まえて環境を守り、また開発と両立できるスタジアムを目指していきたいと考えております。
42:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
43: ◯本庄孝夫君 調査の問題なんですが、仮に地下水への影響は示せても、アユモドキへの影響はないとは言えないという問題があるんです。それは、アユモドキの越冬場所がわかっていないことからも言えることでもあり、アユモドキにとって取り返しのつかない事態を回避するためにも今回の専門家会議の指摘は当然であります。知事にはしっかり受けとめていただきたいと思います。トップダウンで進める知事のやり方は認められません。今、地元亀岡市では、市民の会によるスタジアム建設中止を求める署名が1万筆を超えて集められております。治水問題では市民の命を最優先すること、アユモドキの保全では専門家会議の調査と同意を尊重すること、そのためには一旦立ちどまって見直し、予算を撤回することを強く求め、次の質問に移ります。
教育長に伺います。教育委員会の丹後通学圏での高校再編・統廃合案では、14キロ離れた宮津高校と加悦谷高校、20キロ離れた網野高校と久美浜高校をそれぞれ統合して「学舎制」とし、分校については、間人(たいざ)、伊根、弥栄の3分校を弥栄分校に統合するとしています。
しかし、小・中学生の保護者へのアンケートでは、「今後のあり方」として一番多かったのは「本校継続」で32.4%、「学舎制」はわずか16.9%と最も少なく、また「高校に必要だと思う教育内容」では「普通科教育」が84.8%という結果でした。「本校継続」が多かったのは「統廃合や学舎制になったら地域がさびれるのではないか」「今でも通学が大変なのにこれ以上負担がふえては困る」「地元の普通科のある高校で学ばせたい」などの願いが込められているからです。
ところが教育委員会は、「学舎制と統廃合を合わせると42%だ」として学舎制を強引に推進するとしています。なぜ、理不尽にも統廃合と学舎制をくくって大きく見せつけ、保護者や住民の声を踏みつけにするのですか。
次に、学舎制についてです。府立の高校はどこに住んでいようとも教育を受ける権利を最大限保障し、住み続けられる地域づくりの拠点、最高教育機関の役割を担っています。学舎制は一つの高校に統合することが前提であり、地域の高校がなくなる道につながりかねない問題です。教育委員会の説明でも、部活動や交流のための移動の負担など、14キロ、20キロ離れた学舎制が最大のデメリットです。丹後にはふさわしくない制度は見直すべきですが、いかがですか。
教育委員会は来年度の募集定員で高校の学級数を減らさず、宮津高校では35人、加悦谷高校、網野高校では30人、久美浜高校では28人として学級数を確保し、少人数学級としました。これは、広い丹後地域で学校や学級規模を柔軟に検討することを可能にするものです。「小さくても今の高校を残して充実させる」との住民の願いにも合致します。少人数学級編制を一時的なものに終わらせず継続すべきですが、いかがですか。
教育委員会は学舎制のメリットとして「通学条件は変わらない」と挙げていますが、今やるべきは高校再編・統廃合ではなく、通学時間や通学費の負担を軽減することではありませんか。そして、広域で交通の利便性が低い丹後地域で実施されている「50%枠」を最低維持することではありませんか。
加えて、公聴会や懇談会で保護者から、分校の一人一人に向き合うきめ細やかな教育と支援を必要とする子どもの成長が語られました。しかし、分校統廃合で誰もが通学できるのか、3年・4年卒の教育課程はどうなるのか、細やかな教育や学びの保障など、何一つ明らかにされず不安が広がっています。
分校統廃合によるフレックス制導入について、なぜ説明しないのですか。そして、当事者である児童や生徒、保護者、住民の声を聞き、しっかり時間をかけて議論することを強く求めますが、いかがですか。
44:
◯議長(
近藤永太郎君) 小田垣教育長。
〔教育長小田垣勉君登壇〕
45: ◯教育長(小田垣勉君) 高校再編などについてでございますが、懇話会で御意見を伺います中で、府教育委員会の基本的な考えをお示しし、本校での学舎制の導入と分校を再編する案を提案した上で説明会やアンケートを行いまして、それを踏まえてさらに説明を続け、時間をかけてこれまで丁寧に検討を進めてまいりました。しかし、丹後地域では生徒数の減少が急速に進展するという厳しい現実がある以上、通学時間や通学費の負担を軽減するだけでは学校が小規模化することにより生じるさまざまな課題を解消できず、その対応を始めるに当たっての猶予の期間はないと考えております。そのため、昨日、田中英夫議員にお答えいたしましたとおり、平成32年度から、本校につきましては宮津高校と加悦谷高校、網野高校と久美浜高校でそれぞれ連携した教育活動を行います学舎制を導入し、また分校につきましては3校を再編し、京都フレックス学園構想に基づく新しい学校づくりを進めてまいりたいと考えております。
また、将来の丹後地域を支える人材を育成するため、地域創生につながる教育を地元市町などと連携しながら来年度から段階的に進めたいと考えており、この間、地元市町の首長さんと直接お話をさせていただき、御理解と御協力をお願いしたところでございます。
今後は、3月開催の教育委員会で方向性を定めた上で、設置学科などの教育課程やICTを活用いたしました遠隔授業の導入などにつきまして、高校や地元市町などとの協議や調整を進めてまいりたいと考えております。なお、募集定員につきましては、中学校卒業見込み者数や前年度までの中学校卒業生の進路実績などを踏まえて策定しているところであり、また学区以外から入学できる者の範囲につきましては、交通事情などにより、丹後地域ではこれまで定員の50%以内と定めてきたところでございます。今後の募集定員の設定や通学区域、選抜制度のあり方につきましては、丹後地域の府立高校6校の教育内容の検討状況と連動させながら適切に判断してまいりたいと考えております。
46:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
47: ◯本庄孝夫君 2点、再質問します。
保護者アンケートでは、教育委員会が進める「高校のあり方を変えていくこと」には19.4%、「学舎制」には16.9%と、いずれも2割に達しておらず、教育委員会の一方的な説明資料の配付で保護者や住民の理解が得られるものではありません。では、教育委員会は何のためにアンケートをしたのですか、伺います。
どこに住んでいようと、子どもがいれば学校が必要です。「丹後だから諦めよ」ではなく、小さな規模でも安心して学べる「丹後スペシャル」が求められるのではありませんか、いかがですか。
48:
◯議長(
近藤永太郎君) 小田垣教育長。
〔教育長小田垣勉君登壇〕
49: ◯教育長(小田垣勉君) 本庄議員の再質問にお答えをさせていただきます。
府の教育委員会では、これまでから少子化が顕著に進みます丹後地域におきまして、さまざまな場でさまざまな御意見を伺ってまいりました。その中で、昨年、保護者にアンケートをとらせていただきまして、貴重な御意見、そして素朴な疑問といいますか御質問も寄せていただきました。それを受けて、このたびアンケートで寄せられました御意見や疑問点にお答えするために、「丹後地域の高校の在り方NEWS(ニュース)」というニュースレターを発行いたしまして、学舎制や分校の統合についてもより詳しく説明をさせていただいたところでございます。
教育委員会といたしましては、これまでから時間をかけてさまざまな御意見を丁寧にすくい上げる取り組みを進めてまいりましたけれども、その上に立ちまして、時期を失することなく次回の教育委員会で方向性を定めて、来年度より将来の丹後地域を支える人材育成を積極的に進めてまいりたいと考えております。
50:
◯議長(
近藤永太郎君) 本庄孝夫君。
〔本庄孝夫君登壇〕
51: ◯本庄孝夫君 質問に対する答弁ではなかったと思います。なぜアンケートをとったのかということについては何一つお答えがございませんでした。アンケートは教育委員会にとって都合が悪かったということを物語っているのではないでしょうか。
学校教育は人格の完成を目指し、社会の主人公となるべく学ぶ子どもを中心に、子どもの発達を願う親、教育の専門家としての責任を持つ教職員、学校と学校教育を支える住民、そして教育条件整備に責任を持つ教育行政がそれぞれの役割を果たしてこそ十分に機能するのではありませんか。
高校は地域の宝、まちづくりの拠点です。昨日の答弁で教育長は、「3月に開催する教育委員会でこの方向性を定めます」と見切り発車の意向を明らかにされましたが、このような見切り発車は絶対に許されないことを強く指摘して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
52:
◯議長(
近藤永太郎君) この際、午後3時50分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。
午後3時33分 休憩
────────────────────
午後3時53分 再開
53:
◯議長(
近藤永太郎君) 休憩前に引き続き、会議を行います。
次に、小鍛治義広君に
発言を許します。小鍛治義広君。
〔小鍛治義広君登壇〕(拍手)
54: ◯小鍛治義広君 公明党議員団の小鍛治義広です。
私は会派を代表し、さきに通告いたしました府政の諸課題数点につき、山田知事に質問をいたします。明快なる答弁を求めるものであります。
質問の前に、今
定例会に付されております平成29年度予算案について一言申し上げます。
このたびの予算案は共生社会実現予算となっており、「子ども貧困支援の拠点」開設・運営支援や障害者者
対策など16の重点事業を初め、約9,150億円が見込まれています。平成28年度税収は当初予算比で約200億円の減収が見込まれており、知事も警戒モードで予算編成を行ったと聞き及んでいますが、京都府企業の景気が腰折れしないよう、今後も適宜支援をしていただくよう望むものであります。新年度予算案は時宜にかなったものと評価するものであり、今後の委員会審査等において真摯に議論をしてまいりたいと思います。
それでは、質問に入ります。
まず、京都府の文化力の向上についてお伺いいたします。
初めに、文化庁の京都府移転が地方創生に果たす役割についてであります。京都は794年第50代桓武天皇により都が移されて以来、それまでの倭の国に発する文化を引き継ぎ、独自の平安京文化をつくり上げることで、世界からも認められる文化・芸術を確立し文化力を発展させてきました。それらには、茶道を初め、華道、焼き物、建築、そして衣食住全てに及び、細かく分類していくと数え切れない1200年以上にわたる先人の努力が詰まっています。平安京を歴史に持つ京都の文化は、その時代背景の中、知恵と工夫、そして新たなものと融合し、創造されてきました。これら京都に伝わる文化・芸術を後世に伝え、さらに向上させることは京都府行政の使命と責任であり、大いなる誇りであると考えます。このような歴史を持つ京都府では、昨年、国において中央省庁の東京一極集中の是正策として議論がなされた結果、文化庁の移転が決定し、準備が進められています。早速の動きとして、本年3月末で京都府庁旧本館にある関西分室を廃止し、先行移転として4月に発足する政策立案拠点「地域文化創生本部(仮称)」に業務を統合することが決まっています。
そこでお伺いいたします。
まず、文化庁の移転により、大きな目的である京都府の地域創生、とりわけ京都への人の流れをつくり京都府の活性化にどのようにつなげていこうとされているのか、お聞かせください。また、その効果は京都府内に限ったものであってはなりません。府域を超え、関西そして日本全国へ波及していくことが期待されていると考えます。そこで、文化庁京都移転の効果をより広げるためには戦略的な広域プログラムのようなものが必要と考えますが、いかがですか。知事の御所見をお聞かせください。
次に、若手芸術家の発掘・育成による芸術振興についてお伺いいたします。京都の文化は若い芸術家によって新たな芸術が生み出され、伝統文化と融合し継承されてきました。例えば、2015年に本阿弥光悦が光悦村を興して400年を迎えた琳派があります。先人のデザインに憧れて影響を受け、作風を踏襲したことで大胆で繊細な琳派という流れができたとされます。こういった歴史からも、現在の若手芸術家の作品が、100年、200年後に新たな京都の文化となり得ることからも、それらの発掘・育成は非常に重要と考え、文化・教育常任委員会では2月7日にこのトピックで出前議会を実施いたしました。関西には芸術・創作系の学部などを有する大学や専門学校が多くあり、京都では毎年約4,000人が芸術家の卵として巣立っています。つまり、多くの人材は京都で既に陸続と輩出されているわけです。
そこでお伺いをいたします。
京都府ではこれまで長年にわたり若手芸術家を支援してきましたが、これまでの取り組みは京都で学んだ芸術家の総数から言えば非常に小規模だったと考えます。例えば、これまで以上に若手芸術家が作品発表できる場を提供できないでしょうか。子どもなど府民が日常的に芸術に触れる機会をふやす意味も含め、学校などの府立施設、病院や鉄道の駅に作品展示ブースをより積極的に提供していく取り組みも必要と考えますが、いかがですか。また、定期的に作品を購入できることや作品展示中に制作者と府民が触れ合える場を設けるなど、京都は府民が芸術に触れ、芸術家を育てているというコンセプトも今後重要な取り組みと考えますが、これまでの取り組み状況も含め、知事の御所見をお聞かせください。
次に、文化の一つである文化財についてお伺いいたします。
京都府指定・登録文化財の種別には、有形文化財である建造物・美術工芸品と無形文化財または民俗文化財などに分類がなされており、毎年少しずつ追加がなされていますが、一方で、京都にはいまだ指定・登録されていない文化財も数多くあると考えます。こうした未指定の文化財については、適切な保存や修復が行われず、その価値が損なわれたり、府外に流出するなどのおそれがあるほか、無形民俗文化財に指定・登録されたお祭りや踊りなどの伝統行事については、高齢化や過疎化などによる担い手不足などから、実際に継承が困難となりつつあるような事例もあるのではないかと考えます。また、文化財の保護や活用については、一過性のものでなく、長期にわたる安定的な財源によって持続可能な施策を講じていくことが不可欠でありますが、そのためには財源の確保が必要であります。本府においては、ふるさと納税制度を活用して文化財を守り伝える京都府基金の取り組みが進められてきたところですが、今後は、例えば世界中から寄附を集めることや、クラウドファンディングのような新たな財源確保の取組も必要ではないかと考えております。また、文化財については、保護・継承にとどまらず、その価値を発信し、観光資源などとして活用するような取り組みもあわせて必要と考えます。
そこでお伺いいたします。
今後、文化庁とも連携して新たな財源確保も含め、府内の文化財の保護や活用についてどのように進めようとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、2019年9月から京都で開催予定の第25回世界博物館大会についてお伺いいたします。
国際博物館会議(ICOM(イコム))は世界137カ国・地域から歴史や美術、考古学、民俗、科学、技術、自然史などの博物館専門家約3万5,000人が参加する、1946年に創設されたパリに本部を置く国際的NGOであります。ICOMは3年に一度、全ての委員が一堂に会する世界大会を開催していますが、いまだ日本では開催されていません。そのことを国会において、我が党の浮島智子現衆議院議員が平成20年6月に指摘し、日本への誘致を進めるべきと質問したことを契機とし、2019年に晴れて京都での開催が決定したという経緯があります。今回のICOM京都大会では、海外から約2,000人、国内から約1,000人以上の参加者が見込まれており、「ほんまもん」の京都文化・芸術を世界の有識者に認識していただく絶好の機会と考えます。これら有識者には大学の教員や各国政府機関関係者も多く、その波及効果はとても大きいものと考えます。
そこでお伺いいたします。
ICOM大会が京都で開催されるに当たり、まずその意義と効果をどのように認識されているのかお聞かせください。開催に当たり重要なことは、府民の機運を盛り上げるとともに、ICOM会員数の増加なども推進すべきと考えますが、いかがですか。また、博物館・美術館など文化に精通した学芸員有資格者のより多くの配置や専門通訳の育成・確保、文化博物館の機能強化なども重要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
私は、これまでの世界大会にはなかった、例えば会議型をより体験型にすることなど、ソフト面で京都府全域の伝統文化が今も進化を遂げながら息づいていることを斬新な、かつ、先進的な取り組みによって認識していただくことも重要と考えます。
ICOM大会では、これまで分科会に分かれて研さんをされており、京都大会でも約30の分科会が想定されていると聞き及んでいます。そのため、受け入れ体制が整えば京都全域の文化を実際に見て研さんしていただくことができると考えます。
そこでお伺いいたします。
私は、京都府として分科会を京都市以外でもより多く開催できるよう各市町村と連携を図り可能性を探るべきと考えます。現状の候補地を含め、知事の御所見をお聞かせください。
ここまでよろしくお願いします。
55:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
56:
◯知事(
山田啓二君) 小鍛治議員の御質問にお答えいたします。
小鍛治議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、平成29年度の当初予算に対しまして評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。
文化庁移転とした京都府の文化力の向上についてでありますけれども、文化庁移転の意義は、お話にありましたように、文化の発信拠点が東京から京都に移転することで、明治以来の東京一極集中から脱し、地方の特色ある文化を生かし、文化による地方創生の推進を進める。また、京都が有する伝統産業やコンテンツ産業、食、観光といった日本を代表する文化資源を生かすことによって新しい文化行政を展開することができる、こうした点にあると思っておりまして、この文化行政が展開されれば、まさに日本の文化の中核ができ上がってきて、それがまた大勢の人を京都に呼び込む原因になり、そして文化が発信され、それがまた新しい人を呼び込むという大変いい循環が生まれないかということを我々も願っているところであります。そして、そうした循環というのは京都だけではなくて、京都を中心に関西全域に広げるべきだと思っておりまして、これまでから、文化庁移転は単に京都の問題ではなく、オール関西の重要課題として位置づけ、関西広域連合としても国に要望してまいりました。さらに、本格移転が決まった後の昨年の7月、文化庁、関西広域連合、関西経済連合会が共同宣言を行い、「文化の力で関西・日本を元気に」の合い言葉のもと、観光や産業と連携した取り組みを関西全体で進めていくことを確認したところであります。さらに、本年4月にこの京都に設置される地域文化創生本部には関西広域連合の構成団体や関経連、経済界などからも職員を派遣いただける予定になっているところでありまして、まさにオール関西の体制ができ上がってくる。この体制のもとで、来年度から文化芸術創造活用プラットフォーム形成や広域文化観光モデルの作成・全国展開など、全国への波及を視野に入れたプログラムづくりが行われるところであります。京都府としましてもアートフェア京都や全国高校生伝統芸能優秀校選抜公演、京都・和食の祭典などの取り組みを通じ、文化庁としっかりとコラボをして文化行政を強化し、そこから日本に発信をしてまいりたいと考えているところであります。
次に、若手芸術家の支援についてでありますけれども、京都府だけで毎年約4,000人の芸術系大学の卒業生を輩出しておりまして、こうした若手を育成するためにも創作発表の場の拡大が必要でありますし、それが京都の文化を高める上でも大変重要であると思っております。そのために京都府では、2001年から若手の選抜展を開催し、延べ930人が展示を行って、多くの新鋭作家が国内外で活躍をしております。また、府庁かいわいでも、まちかどミュージアムで地元金融機関が学生の作品を展覧・展示するとか、植物園や陶板名画の庭でも若手の芸術家の発表機会を確保しているところであります。
また、春と秋に京都文化博物館かいわいでは、京都アートフリーマーケットで若手作家を招待したり、京都造形芸術大学との連携により、府立医大附属病院内にホスピタルアートという形で絵を描くと。また、画廊の専門家を講師に招き、海外での活躍のノウハウを得るための京都アートラウンジ京都若手美術家交流会を開催するなどをしております。このほか、国民文化祭にあわせて日本画家の皆さん100名に参加いただいた「こころの京都百選」ですとか、また一昨年、国内外から40組45名の作家が参加して、26万人の方が鑑賞された「PARASOPHIA(パラソフィア)」など、積極的な芸術振興にも取り組んでまいりました。
今後の方向性としましては、本当に街角のどこに行っても文化に親しめるような、そういう地域づくりというのが私はすばらしいと思っておりまして、そのためにも、例えば京都府の有している京都学・歴彩館の展示スペースも積極的に文化に使っていきたいなと思いますし、来年度、地域住民との交流の中で創作活動を行いますアーティスト・イン・レジデンスの事業もこれから拡大をしていきたいと思っております。このほか、文化庁移転を契機として文化行政の観点から、まさに京都自身が文化の市場ともなるような試みもしていきたい。さらに、障害者アートの点でも、アール・ブリュットの点でも、我々はデジタルアーカイブ化を進めるとか、そうした形で芸術家を支援できる体制をとっていきたいというふうに考えているところであります。
次に、文化財の保護と活用であります。文化財の保護につきましては、文化庁の予算の4割を占めているというように、非常に費用がかかる。しかし、それでもまだ全然足りないというのが今の日本の現状ではないかと思っておりまして、そのためには、新しい観点からの財源確保が課題になってきております。私どもも文化財を守り伝える京都府基金とかそうしたものを広げてまいりましたけれども、寄附ではやっぱりどうしても不安定という問題がありますので、その中で、ふるさと納税制度の税制優遇措置の拡充なども国に要望してまいりましたけれども、さらに国に対しても文化予算の充実に向けた民間資金の活用や新たな優遇税制等の要望を、文化・芸術界の皆さんとも一緒になって行っているところであります。
そうした中で、クラウドファンディングについてはこれから資金を確保する一つの手法としては注目されているところでありまして、特に演劇とか映画の部門でかなり今使われているところであります。インターネットを見ましても、演劇等におきましては、目標額幾らに対してこれだけ集まったみたいなのがすぐにわかるような仕組みが、今、できつつあります。でも、これはどちらかというと、演劇に出資をすることによって、もともとは寄附的な要素が強いんですけれども、成功すればお金も戻ってくるよという、そういうみんなでつくり上げていこうじゃないかという雰囲気のものでありますので、文化財の積極的な活用になってまいりますと、もう一段工夫が必要なのかもしれません。例えば、文化財建造物の保存修理現場公開とか、見学ツアーをしていくとか、さらに文化財自身を観光資源として活用するためのものであるとか、こうした中でうまく連携をどうとるかという問題はクラウドファンディングの場合にはあるのかなと思っているところであります。
そうしたいろいろな例があると思うんですけれども、より広範な海外も含めた、やはり京都の文化に対するファンをふやし、そこに対してしっかりとお金を出していただけるような体制をこれからも模索していくことによって、安定的な財源の確保についても文化庁が来るということを前提に一歩進めていけたらなと思っているところであります。
次に、国際博物館会議(ICOM)についてでありますけれども、ICOMの場合には、京都大会のテーマが「文化のハブとしての博物館:伝統から未来」という、まさに京都にぴったりのテーマになっているところでありまして、京都が日本文化伝統のハブであり、そこに多くの博物館があって、さらにそれに親しむことによって文化というものに多くの府民、国民が触れ、またそれを世界に発信させていく、こういうことがやはりICOMの大きな意義ではないかと思っております。ただ、ICOM自身を見てみますと、前回のミラノ大会でも、大会を通じてミラノ市全体の魅力を世界に発信していくという取り組みが非常に盛んに行われております。分科会も含めて、会場自身がまさに文化の塊のようなところで行うことによって文化の魅力というものを発信していく。これはやっぱり京都でも行いたいなと思っておりまして、私からも京都府の役割として、京都らしいおもてなしをオール京都で取り組んでいくということを申し上げたところでありまして、京料理やお茶など、京都の魅力をハード・ソフトの両面から味わっていただけるような会にしたいと思っております。その点では、会員をふやしていくことも必要でありますし、さらに会員をふやすためには、文化博物館も含めて中の充実が必要だということで、学芸員、通訳等の配置についても、各施設がさまざまな工夫を凝らしておりますけれども、京都文化博物館では、英語や中国語などの通訳の配置とともに、学芸員が2013年のICOMリオ大会や昨年の世界考古学会で発表するなど、育成に努め、その中で今年度すぐれた展示会の企画などを対象とする倫雅美術奨励賞も学芸員が受賞するなど、成果を上げてきているところであります。そして、府域外の活用においては、多分、ICOMのメンバーをまず府域外でつくっていかなきゃいけない。今はおりませんので、例えば舞鶴引揚記念館が分科会の候補地になり得るんじゃないかと思っておりますけれども、そのためにも引揚記念館がICOMの会員になってほしいなという取り組みを進めて、組織委員会と協議をしながら、さらに京都市以外の府の魅力もアピールしていけたらなと思っているところであります。
これからもICOMの大会が京都府、そして京都市内外の文化の新しい刺激になっていくように努力をしていきたいと考えているところであります。
57:
◯議長(
近藤永太郎君) 小鍛治義広君。
〔小鍛治義広君登壇〕
58: ◯小鍛治義広君 御答弁ありがとうございました。特に若手の芸術家の育成に関して、数点要望させていただきたいと思います。
京都府では学校教育など、さまざまな分野においてグローバル化を進めているところでありますが、芸術家自身もグローバル化、また海外で勉強を積むということが非常に重要だというふうに考えております。そういったことも含め、今後、若手の芸術家の方に、よりインセンティブを設けていただき、海外に出ていける、そういった仕組みをつくっていただきたいと思っております。また、京都の文化力を世界へ向けていくということであれば、京都の文化財の魅力をもっと生かしていく取り組みも必要かと思います。例えば、本来は宗教的な施設でありますが、文化財の寺院、神社や歴史的建造物などで芸術をアピールするニーズは年々高まっていると思います。しかしながら、こういった場をもっと利用できないかということで、海外のアーティストの方の作品をこういった京都の文化財で披露していただく、また逆に海外の文化財などで日本の芸術家が発表できる場を得られないか、そういった双方向の取り組みができれば新たな息吹を生むのではないかというふうに考えております。
次に、ICOM大会の分科会でありますが、今もお話がありましたICOMの会員のメンバーをふやすということ、また舞鶴引揚記念館、こういったところも今現在、世界記憶遺産のほうに登録がされていますので非常に可能性があると思いますので、しっかりと協議をしていただき、進めていただきたいと思います。
次の質問に入らせていただきます。
次は、観光施策についてお伺いをいたします。
平成27年の京都府内における観光入込客数等については、地元市町村と連携した観光振興の取り組み、京都縦貫道の全線開通などに伴う交通基盤整備の進捗等により観光入込客数、観光消費額、外国人宿泊数といずれも過去最高となりました。平成23年から平成26年の4年間を見ると、京都市を除き、京都府内では唯一、舞鶴市が毎年コンスタントに10万人以上、観光入込客数を伸ばしています。
そこで、京都舞鶴港についてお伺いいたします。平成23年、国により京都舞鶴港が日本海側拠点港に選定された当初、京都府は平成37年までに、環日本海クルーズ等の寄港を年間14回程度という目標を掲げてスタートいたしました。ところが、平成26年度には目標を早くも達成し、来年度には既に約40回の寄港が予定されています。要因としては、金沢まで北陸新幹線が延伸されたこともあって、首都圏からのクルーズ船利用客の増加など人の流れの変化も大きく関係していると推測されます。一方、京都舞鶴港は寄港に伴う観光客の急増に、受け入れ体制の整備や観光客に対するおもてなしのサービスが必ずしも追いついていないと考えます。現在はSNSなどを利用した口コミによって観光客の動向も大きく左右されるため、京都舞鶴港に来てよかったと思っていただける地元での魅力ある新たな仕掛けづくりが必要となると考えます。
そこで、お伺いいたします。
クルーズ船は夏場しか寄港しないことからも、ハード面はもとよりソフト面の取り組みが重要です。例えば、舞鶴には赤れんがパーク、海上自衛隊の艦艇見学、収蔵資料がユネスコ「世界の記憶」登録がなされた舞鶴引揚記念館などもあります。そこで、クルーズ船の寄港に合わせ、こういった舞鶴の文化的施設などをさらに利用するイベントなどによる誘客も必要ではないでしょうか。また、舞鶴市のみならず北部地域など、広域での取り組みもさらに必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
次に、観光政策における環境に配慮した自転車や電気自動車の利用について伺います。
平成28年11月に文化・教育常任委員会として、島根県の世界遺産である石見銀山を視察いたしました。岩見銀山は世界遺産登録後、観光客の急増に伴いパークアンドライド方式による交通
対策を導入されました。それは、石見銀山の近くまで車で来られた方には無料の駐車場を用意し、そこから周辺を徒歩か電動アシスト自転車などで移動していただくもので、環境と交通渋滞などに配慮された取り組みとなっていました。京都府においても、観光政策で電動アシスト自転車や電気自動車など、環境にやさしい移動手段をより積極的に取り入れるべきと考えます。
そこでお伺いいたします。
来年度は「海と森の京都」のエリアにおいて導入が予定されていますが、具体的な運営主体はどこが行うのでしょうか。また、冬場の雪の
対策、充電設備の拡充や交通事故防止
対策も必要と考えますが、今後の導入計画内容及び懸念される課題の対応策等についてもお聞かせください。
次に、女性活躍推進政策についてお伺いいたします。
平成28年4月「女性活躍推進法」が全面施行されました。推進法では従業員301人以上の企業に女性の採用比率や管理職に占める割合などの数値を公表してもらい、その数値を向上させるための目標も含めた行動計画の策定を義務づけています。また、京都府での割合が99.6%を占める従業員300人以下の民間事業主は努力義務となっています。京都府では、さまざまな取り組みがこの約10カ月において実施されてまいりました。平成28年12月末時点での策定状況は、301人以上の企業は99.7%、300人以下は0.03%となっていることから、中小企業にどう意識改革を促し、行動目標を策定していただくかという課題が明確になったと考えます。
そこでお伺いいたします。
まず、京都府における女性活躍推進の現状を踏まえると、私は中小企業と一くくりに言っても、ものづくりが盛んな京都において各社の状況には大きな差があると考えています。例えば、多くの事業主が女性管理職の登用を検討しているが、その取り組みにかける人的また費用的余裕がない、あるいは管理職登用の前に女性従業員がそもそも極端に少ないため、管理職の前の中間層になる方もいないことなど、企業ごとの課題点が見えてきたと考えます。そのため、今後はこのさまざまな課題を拾い上げるシステムづくりや、より具体的な解決策を提案できる新たな支援体制が必要と考えますが、いかがですか。
また、モデルケース支援も行い、その成功事例の紹介や女性管理職のネットワークづくりなどに関してウィメンズベースのさらなる機能強化も必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
次に、子ども食堂のあり方と食品ロスの削減にも効果のあるフードバンクなどとの連携についてお伺いいたします。
日本では子どもの相対的貧困率が2014年には16.3%で、実に6人に1人が貧困状態にあることが発表されました。特徴的なのは、子どもがいるひとり親家庭においては、OECD加盟国34カ国中、最も悪い数字であるが、仕事をしている率は最も高い水準であることです。そこには、働いてもひとり親で子どもを育てるための十分な収入が得られていない現状があります。例えば、日本における母子家庭は約123万世帯で、うち8割の方が働いているにもかかわらず半数の約61万5,000人が貧困状態であると言われています。子どもの貧困格差は、教育のみならず食事環境にも大きな格差を生んでいると考えます。未来を担う子どもたちにとって、発育過程で食べるということが最も重要な事の一つであることは誰もが疑わないところであります。そのため、子どもがひとりでも安心して利用できる子ども食堂を初め、地域の子どもたちを支援する動きが各地で広がっています。子ども食堂は、現在4つのパターンがあると言われています。1つは、対象が子どもだけか、大人もよいのか。2つ目は、貧困の人に限るのか。3つ目は、会員制にするか、誰でも来てよいとするか。4つ目は、純粋に御飯を提供するだけか。学習支援や自立支援など、居場所も一緒に提供するかであります。いろんな形の子ども食堂があることは、それだけ子どもをめぐる問題が多様化したためと考えられます。
そこでお伺いいたします。
子ども食堂の運営に関しては、現状、各自治体も支援に動き出していますが、まず京都府として子ども食堂の位置づけをどのように考えておられるのか。また、今後の支援体制についてもお聞かせください。
一方、こういった現状の中、日本では本来食べられるのに廃棄されているもの、いわゆる食品ロスは、平成25年度の推計では年間約632万トンにも及ぶと指摘されています。このもったいない食の廃棄は、例えば企業が廃棄する食品の中には賞味期限は残っていても外箱が壊れているものや日付や産地の印刷ミスなどで売り物にならないものもあります。また、農家で商品にならない規格外のもので消費し切れなかったものもあります。そこで、これら通常の販売が困難な食品・食材を企業などから引き取り、児童養護施設などの社会福祉施設等へ無償提供するフードバンクの活動が重要視されるようになりました。
そこでお伺いいたします。
昨年7月に設置した京都府食品ロス削減府民会議において、フードバンクの認知度向上に向けた啓発活動の強化と食品提供が円滑に進む仕組みづくりなどが議論されたと聞きますが、今後の取り組みはどのようにされるのかお聞かせください。
次に、子ども食堂とフードバンクとの連携について伺います。京都府ひとり親家庭の居場所づくり事業において、私の地元南区でNPO法人ふれあい吉祥院ネットワークが「ししまる食堂」という子ども食堂を運営されています。平成28年度は年間15日間を夏・冬・春休みを中心に開催がなされました。運営者にお聞きすると、年間を通してもっと実施回数をふやしたいが予算が少ない。また、人手が限られているため食材などの提供先をふやすための活動ができていないなどの課題点をお聞きいたしました。
そこでお伺いいたします。
こういった状況を踏まえ、今、活動されている子ども食堂の現状とともに、企業や生産者とフードバンク、子ども食堂、この3つの連携についてどのようにお考えか、知事の御所見をお聞かせください。
現状、京都府ではフードバンクが4カ所しかなく、十分に機能していないと認識しています。これら3つがうまくかみ合っていくには、各市町村との連携とともに農商工、健康福祉部など部局を超えた支援の取り組みが必要です。そのため、私はまだ時間がかかると考えております。そこで、暫定的ではありますが、フードバンクを介さず、直接、企業や生産者と子ども食堂とのマッチングやネットワークづくりなども京都府として取り組むべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
次に、京都府の駅ホームにおける転落事故に対する防止策についてお伺いいたします。
本年1月、盲導犬を連れた視覚障害の男性がホームから転落し、亡くなられるという大変痛ましい事故が発生いたしました。国土交通省によると駅ホームにおける転落事故・車両接触事故の合計は、平成22年から平成26年度の5年間で1万7,251件であり、うち387件が視覚障害者による事故となっています。さきの事故があった駅は平成32年度末までにホームドア整備の予定でしたが、間に合わなかったことは非常に残念であり、京都府においても早急な対応が必要と考えます。
現在、国においては、1日利用者が10万人以上の駅には原則としてホームドアなどを優先的に整備すること。また、利用者が1万人以上の駅には視覚障害者がホームの内側を判別できる「内方線付き点状ブロックの整備」を平成30年度末までに実施する方針となっており、取り組みが進んでいると認識をしています。
そこでお伺いいたします。
観光のまち・京都府において、国の方針以上のより安全な取り組みが必要ではないでしょうか。私は、観光客が急増する中、駅ホームの広さが違う現状を踏まえると、単純に1日の利用者数のみで図る安全
対策では不十分と考えます。そのため、京都府内駅における転落防止
対策については、全ての鉄道駅ホームの危険箇所の実態や転落の危険性が高い駅などの課題点を把握し改善すべきと考えます。また、全駅に「内方線付き点状ブロック」を整備することや費用に関する府の貸付制度の創設なども提案すべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
最後になりましたが、京都府警察本部により京都府立医科大学及び同附属病院が虚偽公
文書作成及び同行使の容疑などで強制捜査がなされたことについては、まことに遺憾であります。本府は外部専門家による調査委員会の設置などにより
対策を講じることとしていますが、我が会派としては、本件の全容解明と府民の信頼を回復するための適切な対応を強く求めるものであります。
以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
59:
◯議長(
近藤永太郎君) 山田知事。
〔知事
山田啓二君登壇〕
60:
◯知事(
山田啓二君) 京都舞鶴港のクルーズ観光についてでありますけれども、ことしのクルーズ船の寄港は約40回、そのうちの大部分を占める日本海周遊クルーズは寄港が午後になりまして、実施されたオプショナルツアーの約9割が府北部地域であることや、オプショナルツアー以外の実態調査においても、大体、舞鶴市内から宮津市を観光したいという回答が出ているところであります。それだけに、こうした北部地域の満足度を高めることがクルーズをこれからも続けていく上では重要であると考えておりまして、特に港に入った際のイメージ、それから、限られた滞在時間の中で楽しめるように舞鶴、宮津など、港近辺の魅力アップと移動手段の確保、さらに観光客の皆さんが消費していただけるような食とかお土産の充実、こうしたものが課題になってくると思います。その中で、特に、主にクルーズ船が寄港する第2埠頭は、巨大なクルーズ船で上から見るとあまり美しくない光景が広がっておりますので、ここをきちっときれいにしていくと。そして、夏が中心になりますので、夏の暑い日に乗船まで過ごせる場所も貧弱でありますので、観光案内所や地元産品の販売など、乗客船のおもてなしの拠点となる「海の京都駅(仮称)」を設置する予算を今議会でお願いをしているところであります。
また、舞鶴市内では観光名所の営業時間延長や特別公開といった取り組みに加えまして、ことしはさらにレンタル着物による街なか散策や舞鶴小町踊り子隊による歓迎などを行いますとともに、電気自動車や電気自転車のレンタルなどによって、市内を回ってもらえる仕掛けづくりにも取り組んでいきたいと思います。
また、北部地域全体での取り組みにつきましては、乗客の滞在時間を有効に生かしてもらえるよう「海の京都」DMOが広域エリアのプロモーション、情報発信ですとか、伊根の舟屋や天橋立、福知山なども含めたオプショナルツアーの造成・販売、さらに海産物を食材に生かした特産品や名物料理の開発、ブランド化などを実施することで、エリア全体でクルーズ客をしっかりと受け入れて、地域のビジネスの刺激になるようにもつなげてまいりたいと考えているところであります。
次に、環境に配慮した自転車や電気自動車の利用についてでありますけれども、ヨーロッパではよく見受けられる、ツェルマットなんかは有名でありますけれども、観光地で電気自動車以外は禁止するといったようなところもございますけれども、京都の自然を守るためにも観光と環境の両立を目指して、来年度は「森の京都」「海の京都」のエリアでエコに配慮した観光事業を展開したいというふうに考えております。「森の京都」では、里山の環境を守りながら新しい国定公園の地域を見ていただくため、2人乗りの超小型電気自動車と電動アシスト自転車を整備して、あわせて多言語対応でその地域の自然や文化を紹介するアプリを開発するなど、まさに森の恵みや文化を体験しながら、地域の空気を本当に実感できるような観光事業を展開したいと思っております。本事業は「森の京都」DMOが支援し、里山を楽しむサービスを提供する観光関係の事業主体を公募により選定して行っていきたいと考えているところであります。
また、「海の京都」におきましては、来年度、京都舞鶴港において再生可能エネルギーなどを活用した物流倉庫のエコ化など、エコ・エネルギーポート化を推進するマスタープランを策定予定しておりますけれども、その先行取り組みとして、先ほどお話がありましたように、舞鶴港に電気自動車、電動アシスト自転車を配備してエコな観光事業を展開したいと思っております。今後、地元の民間事業者を選定し、助成する予定にしております。
こうした事業につきましては、一応、雪害
対策は多分、両事業とも冬期は余り稼働は、クルーズ船とかありますし、また「森の京都」地域も稼働はしないんじゃないかなと思っております。充電器設備の拡充については、「森の京都」エリアにおきまして導入予定の超小型電気自動車に係る充電器設備の予算について本議会にお願いをしているところでありまして、こうした点をこれからも整備していきたいと思います。
交通事故防止
対策につきましては、国土交通省の運用により、超小型電気自動車の利用につきましては運転前講習が義務づけられておりますので、これを徹底していくとか、しっかりと注意喚起を行っていきたいと思っております。
これからいよいよ始めることになりますけれども、事業内容の発信、PR、そして観光ルートの開拓など、うまく観光と環境を生かした取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
次に、女性の活躍についてでありますけれども、これも共生社会の大きな課題でありますが、京都企業の正社員に占める女性社員の割合は29.5%、約3割ですけれども、課長相当職以上は11.6%にとどまっておりまして、そうした中では、やはり社内機運の醸成が不十分でなかなか合意形成ができていないと。そして、もともと女性従業員が少なく中間層が少ないという御指摘のとおりの点もありますし、それだけの設備導入とか費用捻出の点でも難しい点があるといったような意識面や環境面に大きな壁があると思っております。
このため、昨年立ち上げました京都ウィメンズベースによって、「女性活躍推進法」で事業主行動計画の策定が義務化されていない100人から300人の企業に対して、ここを重点的に行動計画の策定に向け企業訪問等を実施しておりますけれども、対象の780社のうち、まだ32件の策定にとどまっている状況があります。このため、このボリュームゾーンをしっかりと行動計画策定に向けて進めていくために、来年度は女性活躍応援マネージャー等の専門家による個々の企業の状況に応じた訪問指導・助言に加えまして、業種別の成功事例の情報提供などの働きかけを強化するとともに、ウィメンズアカデミーを開設して、経営者層の意識改革や女性社員を中心とした在宅勤務制度の普及、さらには企業の枠を超えたメンターとの交流における女性社員の主体的な取り組みを支えていくといったようなことをやっていきたいと。その上で、職場環境を改善するために、女性専用トイレや更衣室の設置ですとか、テレワークや重労働を軽減する設備の導入に対しては補助制度を拡充していきたいと思っているところであります。
先輩社員の成功モデルについては、既に女子シャインCheers!(チアーズ)というグループをつくって取り組みを進めているところでありますけれども、こうした取り組みも含めながら、女性が意欲を持って、そしてまたその意欲を実現できる京都づくりを進めてまいりたいと考えているところであります。
次に、子ども食堂についてでありますけれども、保護者の家庭事情や経済状況によってまともな食事がとれないとか、ひとりで食事をせざるを得ないとか、居場所がなく、そのままコミュニケーションが苦手な状況が続いているとか、勉強を見てもらえる人がいないといったような、本当に多くの課題を抱えた子どもたちが増加傾向にあります。そして、これがまた貧困状況を再生産する、また非常に社会に適応できない状況をつくり出すということになっておりますので、その点で、私どもの一人一人の状況に寄り添った支援という形が必要だと思っております。これはまさに、行政の底上げ支援ではなかなかできない一人一人の伴走支援が必要な状況になってきているので、私どもとしましては、地域でNPOや福祉団体など、民間団体が取り組む食事提供や生活学習支援の拠点を京都府として直接支援することで、この行政の分野と民間が頑張っている分野とのギャップを埋めていきたいと思っておりまして、こうした施設を「きょうとこどもの城」と位置づけ、その開設や運営支援に積極的に取り組むための予算を今議会でお願いをしたところでありまして、府内で既存のものも含め、114カ所の「こどもの城」を目指しているところであります。とりわけ、子ども食堂は課題のある子どもやその保護者を広く受け入れる中で、食事や相談等を通じて、居場所やその他の福祉施策につなげていく入り口として取り組み、42カ所を設置支援していきたいというふうに考えているところであります。
そうしたときに、子ども食堂に食材を提供していく団体としてフードバンクというものが大変注目をされているわけであります。子ども食堂や居場所などを運営する団体は、まだまだ地域的な広がりも少ないし、広域的な食材収集も難しい状況でありますから、こうしたフードバンクと言われる団体がしっかりとこれから確立されていくことが子ども食堂の運営にとっても大きな役割を果たすと思っておりますけれども、まだまだボランティアに頼り、京都市内が中心となっており、認知度も高くない状況があります。食品ロスの問題も社会問題となっておりますので、フードバンク等との橋渡しによって双方をうまくマッチングするシステムをつくることが、今、非常に求められていると思います。このため、昨年7月に京都府食品ロス削減府民会議を立ち上げ、その意見を踏まえて、フードバンクの活動内容を広く府民にお示ししますとともに、その取り組みを強化していくということで、今、取り組みを進めているところでありまして、今回もネットワークをつくり、そこを強化する予算をお願いしているところであります。
ただ、今は府内にフードバンクは4事業者しかなく、府内全体の取り組みは進みませんので、これからも私どもはフードバンクを介さない取り組みも御指摘のようにつくり上げていく必要もあると思っております。これから食品提供団体とフードバンク事業者、社会福祉協議会等が連携したフードバンク等連携会議をつくり上げ、その開催を通じて、まさに農家やスーパーやさまざまなところからフードバンク、またはフードバンクを介さずに直接食材が提供できて子ども食堂が円滑に運営できるような仕組みづくりに努力をしていきたいと思います。
次に、駅ホームにおける転落事故防止策でありますけれども、現在、国が安全性向上に向けた検討を行っておりますけれども、昨年12月の中間とりまとめによりますと、直近5年間で視覚障害のある方のホーム転落、接触事故件数の約9割が1万人以上の駅で発生しておりますので、まずここから整備をしていくという方針になっております。
府ではこれまでから、バリアフリーとあわせて鉄道事業者の支援を行っており、府内全237駅のうち、ホームドアを優先的に整備するとされた利用者10万人以上の地下鉄の駅について、京都駅や烏丸駅だけではなくて、さらに基幹的な駅も中心に、約20駅に設置が行われております。また、「内方線付き点状ブロック」等の転落防止
対策を実施するとされた1万人以上の71駅のうち58駅が整備済みで、残る13駅も平成30年度までに整備が完了する予定であります。まず、ここに全力を挙げていく必要があると思っておりますけれども、それと同時に、ソフト面といたしまして、駅員による積極的な声かけや誘導案内、利用者に対するポスターの掲示や車内アナウンスなどの啓発運動、そして観光シーズンには駅要員等の増員配置や臨時改札口の設置といった強化策も実施をし、そのために研修会等も実施するなど、取り組みを進めております。
まずはさきほど申しましたように、平成30年度までに利用者1万人以上、残る13駅のバリアフリー化の補助制度も活用して支援していきたいと思っているんですけれども、まだそれでも未整備駅は124駅出てくるわけでありまして、ここすぐにというわけにはなかなか難しいだけに、その駅の実情を把握しながら危険防止措置をその駅の状況に応じて求めていく、そしてその中で、さらにどういう支援策ができるかを検討していくということを私どもも鉄道事業者の要望もお聞きしながら進めてまいりたいと考えているところであります。
────────────────────
61:
◯議長(
近藤永太郎君) 以上で本日の日程は終了いたしました。明2月22日午後1時15分から本会議を開きますので、御参集願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時48分 散会
発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...