ツイート シェア
  1. 京都府議会 2006-02-01
    平成18年2月定例会(第2号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成18年2月定例会(第2号)  本文 2006-02-09 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 81 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長酒井国生君) 選択 2 :  ◯議長酒井国生君) 選択 3 :  ◯多賀久雄君 選択 4 :  ◯議長酒井国生君) 選択 5 :  ◯知事山田啓二君) 選択 6 :  ◯議長酒井国生君) 選択 7 :  ◯多賀久雄君 選択 8 :  ◯議長酒井国生君) 選択 9 :  ◯知事山田啓二君) 選択 10 :  ◯議長酒井国生君) 選択 11 :  ◯多賀久雄君 選択 12 :  ◯議長酒井国生君) 選択 13 :  ◯知事山田啓二君) 選択 14 :  ◯議長酒井国生君) 選択 15 :  ◯教育長田原博明君) 選択 16 :  ◯議長酒井国生君) 選択 17 :  ◯多賀久雄君 選択 18 :  ◯議長酒井国生君) 選択 19 :  ◯知事山田啓二君) 選択 20 :  ◯議長酒井国生君) 選択 21 :  ◯多賀久雄君 選択 22 :  ◯議長酒井国生君) 選択 23 :  ◯知事山田啓二君) 選択 24 :  ◯議長酒井国生君) 選択 25 :  ◯多賀久雄君 選択 26 :  ◯議長酒井国生君) 選択 27 :  ◯松尾孝君 選択 28 :  ◯議長酒井国生君) 選択 29 :  ◯知事山田啓二君) 選択 30 :  ◯議長酒井国生君) 選択 31 :  ◯松尾孝君 選択 32 :  ◯議長酒井国生君) 選択 33 :  ◯知事山田啓二君) 選択 34 :  ◯議長酒井国生君) 選択 35 :  ◯松尾孝君 選択 36 :  ◯議長酒井国生君) 選択 37 :  ◯知事山田啓二君) 選択 38 :  ◯議長酒井国生君) 選択 39 :  ◯松尾孝君 選択 40 :  ◯議長酒井国生君) 選択 41 :  ◯知事山田啓二君) 選択 42 :  ◯議長酒井国生君) 選択 43 :  ◯教育長田原博明君) 選択 44 :  ◯議長酒井国生君) 選択 45 :  ◯松尾孝君 選択 46 :  ◯議長酒井国生君) 選択 47 :  ◯知事山田啓二君) 選択 48 :  ◯議長酒井国生君) 選択 49 :  ◯教育長田原博明君) 選択 50 :  ◯議長酒井国生君) 選択 51 :  ◯松尾孝君 選択 52 :  ◯議長酒井国生君) 選択 53 :  ◯知事山田啓二君) 選択 54 :  ◯議長酒井国生君) 選択 55 :  ◯松尾孝君 選択 56 :  ◯議長酒井国生君) 選択 57 :  ◯知事山田啓二君) 選択 58 :  ◯議長酒井国生君) 選択 59 :  ◯松尾孝君 選択 60 :  ◯議長酒井国生君) 選択 61 :  ◯知事山田啓二君) 選択 62 :  ◯議長酒井国生君) 選択 63 :  ◯松尾孝君 選択 64 :  ◯議長酒井国生君) 選択 65 :  ◯知事山田啓二君) 選択 66 :  ◯議長酒井国生君) 選択 67 :  ◯松尾孝君 選択 68 :  ◯議長酒井国生君) 選択 69 :  ◯議長酒井国生君) 選択 70 :  ◯松尾忠昌君 選択 71 :  ◯議長酒井国生君) 選択 72 :  ◯知事山田啓二君) 選択 73 :  ◯議長酒井国生君) 選択 74 :  ◯松尾忠昌君 選択 75 :  ◯議長酒井国生君) 選択 76 :  ◯知事山田啓二君) 選択 77 :  ◯議長酒井国生君) 選択 78 :  ◯教育長田原博明君) 選択 79 :  ◯議長酒井国生君) 選択 80 :  ◯松尾忠昌君 選択 81 :  ◯議長酒井国生君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長酒井国生君) これより平成18年2月京都府議会定例会を再開し、直ちに本日の会議を開きます。            ──────────────────── 2: ◯議長酒井国生君) 日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。  通告により、順次発言を許します。  まず、多賀久雄君に発言を許します。多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕(拍手) 3: ◯多賀久雄君 自由民主党の多賀久雄でございます。私は、自由民主党府会議員団を代表いたしまして、山田知事並びに理事者に質問いたします。  質問に入ります前に、一言申し上げます。  2月7日、秋篠宮妃紀子様が御懐妊されたとの報道がありました。宮内庁による正式な発表は後日適当な時期にされるようでありますが、大変おめでたいことで、心からお喜び申し上げますとともに、無事に健康なお子様がお生まれになるようお祈りいたします。  それでは、質問に入ります。  提案されました当初予算案については、これからの予算審議でしっかり議論させていただきたいと存じますが、4月に知事選挙が行われることから、例年どおり、いわゆる骨格的予算として編成され、一般会計の予算規模は7,988億円と、対前年度当初比180億円の減、率にして2.2%減のマイナス予算となっております。しかしながら、人件費の削減、府民目線による施策の見直しや指定管理者制度の導入などの取り組みで、厳しい財政状況を補われ、「子ども・地域安全見守り隊」活動の支援や、発達障害児に対する教育的支援のための教員配置を初めとした「緊急こども対策」、府立学校の耐震改修や府中北部の医師確保対策を初めとした「安全確保対策」など、一刻の猶予も許さない、府民の安心・安全を守るための緊急対策につきましては積極的に盛り込まれたことを、私ども自由民主党府会議員団は高く評価するものであります。  また、私ども自由民主党府会議員団が要望いたしております雪害対策につきまして、御検討いただいておるようでありますが、しっかり対応いただくようお願いしておきます。  その上で、まず初めに、山田府政の第1期目であるこの4年間の府政運営の総括についてお尋ねいたします。  山田知事は、荒巻前知事の「新しい世紀は、新しい知事が、新しい心で」という言葉に送られ、「府民のために役に立ちたい」という強い意志で、困難な選挙戦を戦い抜かれ、多くの府民の御支持をお受けになり、平成14年4月、京都府知事に御就任されました。  御就任時は、中小企業の倒産、大手企業の撤退、失業率悪化など、地域経済や雇用情勢は最悪と言っていいほど極めて深刻な状況でありました。また、府税収入は急激に下降線をたどり、三位一体の改革を先取りした地方交付税削減など、4年間を通じて極めて厳しい財政事情でありました。加えて、SARS、鳥インフルエンザ、台風23号など、次々と危機に襲われました。  そんな中でのかじ取りでありましたが、文字どおり、新しい心、研ぎ澄まされた感覚、持ち前のエネルギッシュな行動力で、職員の先頭に立ち、力強く、しっかりと府政を牽引し、時期を逃さず、限られた資源の中で考え得る最も効率的な手法で効果のある施策を展開され、積極的に課題の解決に立ち向かってこられました。しかも、大胆な内部改革の断行により、健全・堅実に進めてこられました。  改めまして、自由民主党府会議員団を代表いたしまして、心からの敬意を表しますとともに、大変困難な時期をうまく乗り切ってこられましたことに、大いなる賛辞を送りたいと存じます。  この言葉の後には、なかなか続けづらいのでありますが、2~3懸念について申し上げます。  1つは、地球温暖化対策についてであります。  本府は京都議定書誕生の地であります。そうしたことから、知事も議会も、京都議定書誕生の地にふさわしい取り組みをしなければならないという認識を共有していたはずであります。確かに、平成16年に実施されました、姉妹提携しているロシアのサンクトペテルブルクへの友好訪問の際、山田知事からも、田坂幾太当時の府議会議長からも、まだ京都議定書に批准をいたしておりませんでしたロシアに批准を促したこと、また先日も、姉妹提携しているアメリカのオクラホマ州知事を初めとしてすべての州知事に対し、アメリカが京都議定書に批准するよう促す書簡を送るなど、京都議定書誕生の地にふさわしい取り組みがされております。
     また、そうしたことも積み重なって、ロシアの批准につながり、京都議定書が発効したわけでありますので、すばらしいことではあるのですが、地球温暖化対策条例の制定が、昨年9月に制定した大阪府に先を越され、都道府県で2番目の制定となったことは残念でならないのであります。今後は、京都議定書誕生の地にふさわしく、先頭を切っていただくよう願うものであります。  2つには、高速道路ネットワークについてであります。  綾部ジャンクションのフル化による京都縦貫自動車道と舞鶴若狭自動車道の上下線乗り入れの実現、京都縦貫自動車道の綾部宮津道路の開通、舞鶴若狭自動車道小浜西までの開通、鳥取豊岡宮津自動車道宮津野田川道路の本格事業化に続き大宮までの着手、去る2月7日に決定された西日本高速道路株式会社による第二名神高速道路の事業化など、山田知事が先頭に立って多くのことが実現したところであります。  とはいえ、残念ながら、新京都府総合計画における数値目標である到達時間の達成は困難であると言わざるを得ないのであります。荒巻前知事は、綾部宮津道路の早期完成を願う府民に向け、「京都府による国庫補助事業と京都府道路公社による有料道路事業の二本立てで事業促進を図る」というメッセージを発信されましたが、山田知事におかれましても、より一層、早期完成に向け邁進いただくよう願うものであります。  3つには、仕事に取り組む姿勢についてであります。  職員にいかにやる気を起こさせ、そのことを通じ府民にいかに本気であるかを伝えるか、これも知事の重要な仕事の一つで、こうした積み重ねの中で府民との信頼のきずなが深まっていくのであります。職員がだれも経験したことのない未知との遭遇でありましたSARS、鳥インフルエンザ、昭和28年の台風13号を超える被害をもたらした台風23号への対応などが、非常に象徴的でわかりよいのでありますが、知事が常に先頭に立って現場に入っていく姿勢を示すことによって職員の士気は高揚し、その職員の仕事ぶりを見て、府民は多少の不都合には目をつぶり、「京都府は頑張ってくれているんだ」という信頼感が醸成されていったと、私は確信しております。  鳥インフルエンザのときなどは、自衛隊の活動として妥当なのかという議論が防衛庁の中にあった中で、自衛隊の出動にこぎつけることができたことや、消毒した鶏ふんや埋設した死亡鶏を当分の間現地で保管する合意を取りつけることができたのは、「挑戦しなければ前進はない」という知事の強い意志を持った行動、それを意気に感じた職員の献身によるものであり、このことが府民の共感を得、鳥インフルエンザ対策を成功に導いたのであります。  また、これらは一応の解決は図られたものの、埋設されている死亡鶏や発生農場に残る鶏ふんの処理、いまだ道路通行規制が解除されていない道路等の災害復旧など、完全に府民の安心・安全を脅かさないものとなったとは言えないのでありますが、府民は、「あのときそうであったから、これからもしっかり取り組んでくれる」と信頼のまなざしを向けているのであります。  それにつけても残念なのは、フェロシルト埋設事案、耐震強度偽装事案への初期段階の対応であります。府としての対応に限界があったこと、判断に苦慮する事案であり検討に時日(じじつ)を要したことなど、法令遵守の観点からは問題なかったものの、結果的には、より慎重な判断とそれに基づく迅速な対応が求められる事案でありました。今回のことを貴重な教訓として、今後の安心・安全行政にぜひとも生かしていただきたいと願うものであります。  そこで、知事にお尋ねします。府民のためにどう頑張ってきたのか、山田府政4年間のプラン(Plan)・ドゥー(Do)を、知事御自身の物差しでのチェック(Check)も含め、思いのたけを率直にお答えください。 4: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 5: ◯知事山田啓二君) 多賀議員の御質問にお答えいたします。  多賀議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、平成18年度当初予算を初め、私の府政運営に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。  この4年間を振り返ってどうであったかということについてでありますが、御指摘がありましたように、私が就任しました時代は、まさに不況・雇用問題が大きな社会問題となっており、しかも少子・高齢化の進展の中、右肩上がりの経済成長が期待できない状況で、いかに府民の皆さんの雇用を守り、府民サービスを維持しながら21世紀への確かな京都づくりを行うかということが課題になる、大変厳しいスタートでございました。  このため、府政をこうした時代の変化に対応できるようにするため、現地・現場主義で、府民の目線・感覚に立つ府政、透明性の高い開かれた府政、責任をとる府政、スピーディーかつ柔軟に推進する府政を基本方針として、府政改革に取り組んでまいりました。特に、直面する課題を先送りせず正面から向き合うために、行政運営の基本となります条例や、何年も先のことをただ書き連ねるというだけではなくて、それに基づきすぐに議会に予算をお願いし、行動に移すということを前提にいたしました34のアクションプラン等による、議会はもとより、府民の皆さんの協働によります実行する府政というものの実現に全力を挙げてきたところであります。  また、こうした実行を確保するためには、府税収入が大幅に落ち込むとともに、国の厳しい地方財政抑制策によりまして、私が就任いたしました平成14年度より地方交付税が500億円余りも削減される中、財政を的確にコントロールすることも求められてきたところであります。このため、財政健全化指針によりまして3,000億円に上る健全化を達成するとともに、公共事業の見直し等についても全力を尽くし、その上で経営改革プランをお示しし、府民の皆さんからお預かりいたしました税金を最も効果的に使えるよう、徹底いたしました行財政改革に取り組んでまいったところであります。  しかし、この4年間は決して順調なものではなく、私どもが経験したことのないSARS事案や鳥インフルエンザの問題、そして昭和28年以来と言われる台風23号の災害など、予期せぬ大きな災害に見舞われました。京都はこのため、議会の皆様の御協力をいただきながら一丸となって対策に明け暮れてきたというのが実情ではないかなというふうに私は思います。  こうした中で、御指摘のように、まだまだ課題として残っている問題も多く、さらに、子供が被害者になる痛ましい事件、アスベスト問題やフェロシルト埋設事案など、府民の皆様の安心・安全の確保が今何よりも大きな課題となっているところであります。  私は、今回の予算におきましても、まさにこの点について早急に手を打たなければならないという覚悟で予算をお願いしているわけでございますけれども、今までの改革の上に従来のように法令等にのっとり国に従うだけでは府民の安心・安全を守ることができないということを、私どもはもう一度徹底して、これまで以上に歩みを進めた行政を展開しなければならないという思いで今おります。  私は、これからの府政展望につきましては、アクションプランについてのPDCAサイクルを確立するとともに、昨年お示ししました「中期ビジョン」と「経営改革プラン」により、これからの京都府づくりの方向性をお示ししたところでございますけれども、さらに新しい時代を踏まえ、一層その歩みを進めなければならないという気持ちでおります。  府民の安心・安全を守るための対策や、福祉・教育・環境等の問題、伝統産業や文化に対する取り組みを初め、行財政改革につきましても、まさに真価が問われるのはこれからであるという思いで続けてまいりました。この道は、大きな転換期にある国・地方の行財政状況を考えれば、厳しい、険しいものでありますけれども、京都府はさらに府民本位の府政を目指し、「挑戦しなければ前進はない」との信念で今立ち向かうことが求められていると考えております。 6: ◯議長酒井国生君) 多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕 7: ◯多賀久雄君 御答弁の中でもあったわけですが、知事は、正面から堂々と、先送りすることなく、すべての事案に対してしっかりと前向きに進んでいっていただける、そんなことが受け取れました。また、その思いの中で、まだまだ課題も山積をしておると、そんな御答弁だったかというふうに思いますが、再度改めてお聞きをしたいと思います。  12月定例会で、知事は再選に向けての決意を述べられました。改めてお聞きするのですが、先ほどの総括を踏まえて、どんなモチベーションで、これからどんなアクションを胸に描いておられるのか、そのことについて再度お答えをください。 8: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 9: ◯知事山田啓二君) 先ほども申しましたように、目指した京都づくりには、まだ道半ばの感がございます。それと申しますのも、鳥インフルエンザや台風、こうした正面から向かってくる事案につきましては、我々も一生懸命対応を全力を挙げてやってまいりましたけれども、一級建築士の方が構造計算を偽装する、そしてリサイクルの認定商品が実は産業廃棄物であったというように、まさに陰の部分と申しますか、今まで予想もつかない、信頼を裏切る事案がたくさん出てきたことに対しまして、私は大変危機感を持っております。  豊かさの陰で、家庭や地域が非常に孤立し希薄化する中で、私は、地域の、また人の信頼する力というのが失われつつある現状というものに対しまして、これは京都府として的確な手を打っていかなければならないという気で今おります。そのために、「『人・間中心』の京都づくり」をテーマに掲げ「中期ビジョン」をつくりましたのも、まさに地域の力をつけて、安心・安全の社会をつくっていきたいとの思いであります。  京都は、こうした心のきずな、環境との共生、ものづくりの再生などに、日本のモデルとならなければならない地域であるというふうに思っております。そして、それによって府民の皆さんがあすに希望の持てる京都をつくらなければならないという決意でいるところでありまして、そのためにも、行財政改革につきまして、さらに意識改革・組織改革・事業改革を続けていかなければ、これはもとのもくあみになるという思いでおります。  これからの21世紀にふさわしい日本の新しいモデルを、日本人の心のふるさとであります京都から発信する気概を持って、何よりも府民の思いを大切にし、府民と一緒に全力を尽くす決意でおります。 10: ◯議長酒井国生君) 多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕 11: ◯多賀久雄君 非常に心強い言葉をちょうだいし大変心が踊っておりまして、日本のモデルを目指して、ぜひとも頑張っていただきますようにお願いしたいというふうに思います。  続きまして、地域活力の維持・向上について質問いたします。  平成17年の厚生労働省人口動態統計の年間推計によりますと、死亡数が出生数を上回り、統計をとり始めた明治32年以来初めての人口減少となったようであります。国立社会保障・人口問題研究所の予測よりも2年早く、いよいよ人口減少時代に突入したようであります。  ところで、本府の状況は、平成17年の国勢調査の速報値によりますと、全体では、平成12年に比べ3,132人の人口増加となっておりますが、これを与謝野町も含む新しい枠組みでの市町村で見てみますと、28市町村のうち19市町村で人口が減少しており、とりわけ京都市より北の市町では軒並み人口が減少しております。また、平成7年と12年の国勢調査結果に基づいた将来推計人口の平成17年の数値と比較してみますと、綾部市を除くすべての市町で速報値が下回っております。  人口減少は、地域の経済力や市町村の財政力を脆弱にするだけでなく、地域の文化を守ることができなくなったり、地域の連帯感が弱まっていくなど、さまざまな形で地域に影響を及ぼします。  そこで、まずお尋ねしたいのは、知事は決意表明の中で「地域活力の維持・向上は重要な課題」と述べられましたが、地域活力なるものをどうとらえておられ、どのようにしていかれようとしておられるのかお答えください。  また、これまで地域活力の牽引役を果たしてきた中心市街地に関連し、お尋ねいたします。  中心市街地は、これまでの長い歴史の中で、文化・伝統をはぐくみ、各種の機能を養ってきた「まちの顔」であり、その空洞化は、まさに「まちのアイデンティティーの喪失の危機」と言っても過言ではありません。しかも、そうした空洞化が、人口減少を続ける私どものような地域だけではなく、京都市内においてすら進行していることに大変危惧しております。  こうした中、平成10年に整備された、改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律、いわゆる「まちづくり三法」の改正案が、現在開会中の通常国会に提案されております。日本経団連は、私ども自由民主党の中心市街地再活性化調査会とまちづくり三法見直し検討ワーキングチームの合同会議で、都市計画法の改正案で検討されている大型店の出店規制強化について、全国一律での規制導入は都市の活力を失いかねないとの懸念を表明したようでありますが、郊外型の大型店の出店に悩む市町村では、都道府県による広域調整を望む声の大合唱となっております。私の地元でも、出店を進めようとする町と、出店を阻止しようとする近隣の市町やその議会、また出店町の商工会を初めとする商工団体との関係がぎくしゃくしており、本府による広域調整に大きな期待が寄せられております。  そこで、お尋ねいたします。本府では、昨年12月に「京都府中心市街地活性化懇話会」を設置され、中心市街地のあり方を考えるためのガイドラインづくりに取り組んでおられますが、市町村から受けている広域調整の期待にどうこたえようとされるのか、御所見をお答えください。  次に、地域活力にかかわって、教育長にもお尋ねします。  子供が少ないということも地域活力の維持に大きな影響を及ぼすのでありますが、宮津市を例にとりますと、現在、9小学校で総計66学級が編制され、1,158名の児童が学んでおります。これは、団塊ジュニア世代であります私の長男が3年生として通っておりました昭和61年の、宮津小学校1校の児童数1,141名とほぼ同じであります。また、児童・生徒数の減少は学級編制にも大きな影響を及ぼしており、平成17年5月の時点では、1学年1学級となっている学校は、小学校では12市21町1村に206校、中学校では7市5町に34校となっております。また、複式学級を編制している学校は、小学校では6市8町1村に21校、中学校では2市に2校となっております。  私は、小学校・中学校は、知育・徳育・体育を義務教育として施す機関であり、徳育は別にして、知育を通して身につく学力、体育を通して培われる体力を高めるためには、教員の指導技術の高さは当然でありますが、子供たちが競い合ったり、刺激し合ったりすることも必要であると考えております。児童・生徒のことを第一義に考えるならば、一定の学級規模、一定の学校規模を確保すべきであり、スクールバス運行等そのための通学の安全・安心を確保することも含め、行政が果たすべき役割をいま一度検証する必要があると考えております。  教育的見地から客観的に見て、義務教育段階において子供たちが互いに切磋琢磨できる学習環境が必要と考えますが、教育長の御所見をお答えください。 12: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 13: ◯知事山田啓二君) 次に、地域活力についてでありますが、人と人とが信頼ときずなで結ばれ、交流し、みんなで地域を守ろう、地域をよくしていこう、地域を守り立てていこうという心が、住民の皆さんの持っている力を引き出し、産業の活性化を促していくと思います。地域活力とは、まさに地域住民の力である。一人一人の方が希望を持って、地域の連帯のもと、住民の皆さん一人一人の力が最大限に発揮できる社会が地域活力ある社会であると考えております。  地域見守り隊など安心・安全のネットワーク、産学公の連携、都市と農村の交流、またPTAとコミュニティーのきずななど、私は、多くのきずなと信頼の中で地域の活力が高まり、その中で弱い立場の人々も守られていくと考えております。人と人との結びつきや交流レベルが高いほど地域に活力があるということは、学問的にも評価をされております。「『人・間中心』の京都づくり」という中期ビジョンのテーマは、まさにこうした人と人とのつながりの中から生まれる地域力を高め、安心・安全の土台のもとに希望のある京都府をつくっていこうということでございまして、今後、着実に中期ビジョンの取り組みを推進し、地域活力の維持・向上に努めてまいりたいと考えております。  大型店の出店問題についてでありますが、車社会の進展や消費者のライフスタイルの変化などを背景に、郊外を中心に大規模店が積極的に出店をしております。こうした大型店の出店は、人の交流の場であり、まちづくりの核として地域コミュニティーの形成に大きな役割を果たしてまいりました中心市街地の衰退を招き、高齢者など交通弱者の日常生活にも影響を与えるなど、効果的なまちづくりの推進に影響を与えております。  しかしながら、現行の「まちづくり三法」では、商業調整は禁止されており、また土地利用規制の制度も十分に活用できないことから、国において見直しが進められ、1万平方メートルを超える店舗等について、土地利用規制の強化を行うなどの制度改正案がまとめられたところであります。郊外型大型店の立地につきましては、今回の制度改正においても、市町村がまちづくりの中で主体的に対応すべきという基本は変わるものではありませんけれども、その上に立って、都市計画に基づく土地利用規制の強化とともに、市町村間の調整が必要となる場面におきましては、都道府県による広域的な視点からの制度対応が可能となってまいります。  京都府といたしましても、この仕組みが今後でき上がった際には、効果的に活用できるよう、昨年末に設置いたしました「中心市街地活性化懇話会」におきまして、大型店立地のガイドラインや地域事情の反映手法などを検討いただいているところでありまして、それを踏まえて対応していきたいと考えているところであります。  今後、こうした取り組みとともに、平成18年度当初予算案におきまして、「まちなか再生推進事業」や、空き店舗を活用いたしました「地域子育てステーション事業」など、市街地再生の取り組みを講じることとしておりまして、地域コミュニティーの再生に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 14: ◯議長酒井国生君) 田原教育長。    〔教育長田原博明君登壇〕 15: ◯教育長田原博明君) 多賀議員の御質問にお答えいたします。  義務教育における学習環境についてでありますが、子供たちが豊かな人間性や社会性を培い、みずから学び、みずから考える力を養うためには、一定の集団の中で、さまざまの場面で切磋琢磨できる学習環境が重要であると考えております。  このようなことから、国においては、小・中学校の学級数の標準を12学級以上18学級以下としておりますが、「地域に特別の事情があるときはこの限りではない」とされているところであります。各市町村におきましては、こうした点も踏まえまして、子供たちにとって最も適した教育環境の整備に向け、それぞれの地域における交通等の条件や、通学距離等の児童・生徒への影響などを総合的に勘案しながら、地域の実情に応じて対応されているものと考えております。  府教育委員会といたしましては、今後とも、小・中学校の設置者である市町村において、子供一人一人の個性や能力を伸長させる学習環境が一層充実されるよう、市町村教育委員会に対して必要な指導・助言をするなど、適切に対応してまいりたいと考えております。 16: ◯議長酒井国生君) 多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕 17: ◯多賀久雄君 それぞれ御答弁をいただいたわけでございますが、まず地域活力でございますが、知事のおっしゃることも十分よくわかります。地域の連帯力が地域の活力を生み出していく、それにつながっていくという思いは私も同感です。しかし、残念ながら物理的にどんどん人口が減っていく。  例えば、私の地元宮津市でございますが、2025年の将来推計人口は、たしか1万4,000人になるという見込みです。実は、地域連帯力からいいますと、宮津のような人口の町で、心臓病に悩む女の子を救うために1億2,000万円のお金が集まった。また、天橋立が台風23号でずたずたにされたときに、それを再生しようという取り組みが今一生懸命やられておる。そういうことを見ると、本当に連帯感に恵まれた地域であるなと思うのですが、現実に人口が減っていくということがございまして、そういうこともどうしていくのかという具体的な策ですね、そういうことが少し気になりますので、いま一度お答えをいただきたいなというふうに思います。  それから、教育長から御答弁ございまして、一定の集団のもと、地域の実情に応じて対応していっているということでございまして、まさにそのとおりであるわけでございます。ただ、こういった事例につきましては、例えば小・中学校の設置者は、そこの首長の市長さんであり町長さんであり村長さんであるわけでございまして、教育委員会部局との話の中で、住民の学校がどうのという意見よりも学校の学習環境がどうのという議論を、どうしても市町村長部局でしっかり議論ができないというようなこともあろうと、そんなふうにも思っておるわけでございます。そういう部分について、やっぱり知事と市町村長との話す場も必要なのではないかなというふうに思っております。  教育委員会サイドがそれぞれの市町村教委といろいろな学習環境について調整する、これはこれでしっかり進めていっていただきたいのですが、知事としても、やはり教育委員会任せと言ったらちょっと語弊があるのですが、そういうことだけではなくて、市町村長とそうしたことをしっかりと話す場というのも、あってもいいのではないかなというふうに思いますので、その辺のところ、もう一度お答えをいただくようにお願いいたします。 18: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 19: ◯知事山田啓二君) 地域活力でありますけれども、まさに御指摘どおり、私は地域活力というのは地域住民の力と申しましたので、住民の数が減れば地域活力も減っていくことになります。ですから、それを補うためには、より交流を盛んにして、そしてその中で地域としての戦略、例えば宮津ですと、おっしゃいましたように豊かな観光資源があり、それを守ろうとする住民の皆さんの連帯力があります。さらに、例えば農業にしましても、産業にしましても、一つの地域としての戦略を高めて、どうすれば地域住民の力をさらに引き出せるかということを私どもは今考えていく、それが必要だというふうに考えております。そして、そのためにも、広域振興局の再編をしました中で地域戦略を考えますし、また、府域の均衡ある発展という名のもとに、社会基盤の整備、産業の集積というものを今目指しているところでございます。  次に、義務教育における学習環境についてでありますけれども、子供たちの教育につきましては、やはり基本は、子供や住民に一番身近な市町村におきまして、その子供の交通の条件とかさまざまな生活実態を踏まえて、まず考えていくことが基本になるというふうに思っております。その上に立ちまして、私どもは、まさに小・中学校の設置者である市町村と、子供一人一人の個性や能力を伸長させていく、そういう学習環境の整備に向けて議論が実りのあるものになるように、市町村長さんとも機会を見つけてお話をして、できる限り京都府として支援ができるようにしてまいりたいと考えております。 20: ◯議長酒井国生君) 多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕 21: ◯多賀久雄君 最後に、4点まとめてお尋ねいたします。  1点目は、戦略的な地域づくりについてお尋ねいたします。  本府では、平成4年に制定された「地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律」の規定により、平成5年、福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、三和町、夜久野町及び大江町で構成する地域が、「北近畿地方拠点都市地域」として指定を受けました。指定当時の地域のポテンシャルは、人口24万6,000人、普通会計予算規模総計905億円、税収額総計265億円など、日本海側では、新潟市、金沢市、富山市に次ぐ第4の都市と言えるものであり、企業にとって十分に魅力的で、企業の地方拠点の立地は進むものと期待されておりました。しかし、どちらかというと、誘致に力点を置くというより、立地を促せるような都市機能の整備に力点を置いたこともあり、残念ながら法の想定するような立地は進みませんでした。  当時は、舞鶴市は港湾都市として、福知山市、綾部市は商工業都市として、宮津市は観光都市としてなど、それぞれが機能分担し、地域が連携する中で企業の地方拠点の誘致を図るというものでありました。地域がすべてにおいて綿密に連携するということは、大変難しいものであります。歴史に「もしも」はないのでありますが、私は、この地域が一つの都市であったなら、立地は多少進んだのではないかと考えております。しかしながら、この地域が一つの都市になるということが、当時も話題となりませんでしたし、現在も今のところそんな声は上がっておりません。  本府には、北近畿地方拠点都市地域以外にも、宇治市とその周辺地域、学研地域など、地域のポテンシャルを生かし、地域の活力を飛躍的に高めることが期待できる地域があります。  そこで、お尋ねでありますが、広域振興局の次なるチャレンジとして、戦略的広域連携方策の調査・研究を進めることについて、御所見をお答えください。  2点目は、犯罪被害者等の支援についてお尋ねいたします。  警察官の増員、空き交番ゼロ対策、祇園・木屋町特別警察隊、今回の予算案に盛り込まれました「子ども・地域安全見守り隊」への活動支援など、府民の安心・安全に懸命に取り組んでおられますことに、まず敬意を表しておきたいと存じます。  さて、さまざまな犯罪等の発生により犯罪被害も増大し、地下鉄サリン事件を初め、最近の児童が犠牲となる事件など、いつでも、だれでも犯罪被害者となる可能性が高まっております。一方、被害者の支援は、三菱重工ビル爆破事件などを契機として、昭和55年に「犯罪被害者等給付金支給法」が制定され、被害者への経済的援助が始まり、平成3年に開催された「犯罪被害給付制度発足10周年記念シンポジウム」において、被害者や被害者の遺族の方々から精神的援助の必要性が強く指摘され、これを契機にさらなる被害者支援のための検討が開始されたと聞いております。  しかしながら、加害者の人権は早くから保護されてきたにもかかわらず、被害者や遺族の精神的支援は始まったところであり、加害者への弁護士費用や収監費用などへの国費投入額に比べ、被害者や遺族への給付金などの経済的援助はわずかなものであるなど、加害者に比べ、被害者や遺族は置き去りにされてきたと言えます。  このような中、国では、平成16年12月、被害者団体の要請に基づき「犯罪被害者等基本法」が制定され、私ども京都府議会でも、平成16年12月定例会において、全会派一致により、議員提案による初めての政策的内容の条例として「京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例」を制定し、その中で犯罪被害者等に対する支援について一章を設け、3条にわたり規定し、犯罪被害者や遺族等への支援に努めることとしたところであります。その後、国においては、昨年12月、犯罪被害者等基本法に基づく基本計画が決定され、同時に本府でも、条例に基づく被害者支援を安心・安全なまちづくり計画に盛り込まれたところであります。  犯罪被害者の支援は、行政とともに民間活動団体が大きな役割を果たしてきており、本府では社団法人京都犯罪被害者支援センターが、相談や直接的支援を初めとした事業を行っていると聞いております。先ほど述べました国の基本計画や本府の安心・安全なまちづくり計画では、行政において幅広く被害者支援に取り組んでいくこととされておりますが、それとともに民間活動団体についても定められており、その活動に期待される部分は大きく、民間活動団体のボランティアによる活動は極めて重要であります。  そこで、お尋ねします。「人」にやさしい府政の推進を標榜される知事として、犯罪被害者等への支援について、今後どのように進めていかれるのか、御所見をお答えください。  3点目は、地球温暖化対策についてお尋ねいたします。  骨格的とはいえ、予算案において新規事業を含め地球温暖化対策の取り組みを強化する方向が示されており、知事の思いがしっかり伝わってくるのでありますが、条例に高らかに掲げた削減目標達成のためには大変な努力が必要であります。例えば、太陽光発電の普及でありますが、新エネルギー財団の補助制度や本府の融資制度があったにもかかわらず、平成16年度までに京都府内に設置された太陽光発電の件数は3,617件で、総戸数に対する普及率は全国平均に及ばず、今のところ京都議定書誕生の地としてふさわしい状況とはなっておりません。  そんな中、平成18年度からは補助制度が変更され、各住宅に設置する場合には本府の融資制度のみとなり、住宅への太陽光発電の普及にとって大変厳しい状況となります。平成22年を目標の最終とします新京都府総合計画では、太陽光発電を1万5,000戸に普及させることとなっておりますが、私ども自由民主党府会議員団が要望いたしております住宅等の太陽光発電資金の利子補給など、大きなインセンティブが働かない限り、数値目標の達成はおぼつかないと思われますし、他府県におくれをとるのではと危惧するのであります。各種施策も着実に推進してこられ、条例も整備され、これからその定着を積極的に取り組んでいかれるとは存じますが、数値達成には大変な努力が必要であることは間違いないのであります。  そこで、お尋ねします。京都議定書誕生の地の知事として、決意のほどをお聞かせください。  最後に、制度改正が予定される介護保険と障害者自立支援並びに乳幼児医療助成制度についてお尋ねいたします。  介護保険制度がスタートしてから、はや6年が過ぎようとしていますが、介護を必要とする「要介護認定者数」や介護に要する費用である「介護給付費」などは急激に伸びており、老後の安心を支える制度として、国民の間にすっかり定着したようであります。  そんな中、昨年6月、「予防重視型システムへの転換」「施設給付の見直し」「サービスの質の確保・向上」などを内容とする改正が行われ、施設給付が昨年10月から、その他については、この4月から施行されることとなっております。昨年から施行されております「施設給付の見直し」につきましては、特別養護老人ホームなどの介護保険3施設の入所者の居住費及び食費について、在宅と施設の利用者負担の公平を図るため、また介護保険と年金給付の重複の是正を図るため、保険給付の対象から外し、自己負担とされたものであります。  介護保険制度は、高齢者も含めて社会全体で支えていくということがその趣旨であり、制度を持続的に運営していくためには、低所得者に十分配慮しつつ、所得に応じた負担を求めていくことも必要であると考えておりますが、その一方で、介護が必要な人にとって、その人の状態に応じて必要なサービスが受けられる制度となっているかという点検も必要であると考えております。  そこで、お尋ねします。本府では、制度見直し後の実態を把握するため、10月改正後の施設給付に関する実態調査を行ったとお聞きしておりますが、その調査結果はどうであったのかお答えください。  また、こうしたことを踏まえた上での措置だと思いますが、提案されております当初予算案には、利用者の負担を軽減するため、府独自の緊急対策が盛り込まれております。この予算の基本的な考え方について、御所見をお答えください。  さて、あと2カ月で障害者自立支援法が施行されますが、身体障害者福祉が法制化されて55年が経過し、この間、知的障害者福祉、精神障害者福祉が法制化されるなど、福祉施策の充実が図られてきました。そして、平成15年度からは「支援費制度」が導入され、障害者に行政権限によってサービスが施される「措置」という概念が根本から見直され、障害者みずからがサービスを選択できる制度となったところであります。しかしながら、国における制度利用予測が甘かったことにより、制度改正以来、毎年国庫ベースで200億円に上る予算の不足が起こる事態が生じておりました。この間、山田知事は、各自治体の先頭に立って、国に対して提案・要望を重ね、財源確保について主導的な役割を果たされてきたのであります。  従来の制度は、財政基盤に障害者の選択の自由を抑制しかねない問題を持っていたのでありますが、今回施行される自立支援法は、この問題を解決し、障害者の選択に対応し、サービスに係る国や地方自治体の負担を義務的経費と位置づけ、予算不足が生じないよう改善されたのであります。障害者にとって、ようやく自立のための前提となる援護を安心して得られるようになるのであります。  しかしながら、障害者の方々の所得状況を考慮した低所得対策が講じられることとなっておりますものの、本人負担について、所得区分に応じた負担であったものが原則1割負担に改められ、また、介護保険と同様に、居住費と食費が別途必要となるのであります。障害者やその保護者の方々からは、「制度利用の抑制も考えねばならなくなるかもしれない」との不安の声を少なからず聞くのであります。ようやく充実した制度となったのでありますから、障害者の方々が自立のために制度を活用できなければ意味がないのでありまして、制度利用の定着を期待するものであります。
     そこで、お尋ねします。制度利用に当たってのこうした声を、知事はどのように受けとめておられるのか、当初予算案に府独自の緊急対策を盛り込まれた思いも含め、御所見をお答えください。  さらに、医療保険制度の改革も、いよいよ国会で議論されようとしております。改革は、相互扶助制度を堅持しつつ将来にわたる持続性を高めようとする観点、生活習慣病対策など予防重視の観点、子育て支援の観点から行われるものでありますが、子育て支援の観点につきましては、私ども自由民主党と公明党が、将来の持続性も念頭に改革案に盛り込んだものであります。  その内容は、出産に係る費用負担の軽減のため、出産一時金を35万円に引き上げるとともに、子育て世代の経済的負担軽減のため、小学校就学前の児童の医療費自己負担割合を、平成20年4月から、現在の3割から2割に改めようとするものであります。子供の健やかな成長は、かけがえのないものであり、だれもが願ってやまないものであります。子育て支援につきましては、山田知事も大いに力を入れられ、今回の当初予算におきましても、小児救急医療体制の拡充など緊急対策を提案されているところであります。  そこで、お尋ねします。乳幼児医療助成制度は、制度発足以来、数度の改善を経て現在に至っているところでありますが、こうした国の制度充実も視野に、さらなる改善について、知事の御所見をお答えください。 22: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 23: ◯知事山田啓二君) 戦略的地域づくりについてでありますが、議員御指摘のとおり、地域戦略を効果的に遂行するためには、例えば御指摘の北近畿地方拠点都市における取り組みのように、地域の持つ人的・物的資源を最大限に活用いたしまして、市町村の枠組みを超えた地域活性化の取り組みを、府と市町村が連携し、展開していくことが必要でありまして、広域振興局再編のねらいというのは、まさにそこにあるわけでございます。  このため、広域振興局におきましては、市町村やNPOなどの地域の皆様の参画を得ながら、管内の広域的な課題に対処するため、昨年3月に地域振興計画を策定いたしまして、現在この計画に基づき、地域戦略推進費を核とした地域づくり事業や、市町村未来づくり交付金などの市町村支援の取り組みなど、広域的・戦略的な施策展開を進めておりまして、府と市町村が連携し、地域が一体となって地域の将来を考えていこうという機運が醸成されつつあると思います。  今後、こうした広域振興局における取り組みを積極的に推進していく中で、京都府と市町村や市町村相互の行財政の連携を進め、また、市町村の理解を踏まえましたいろいろな観点からの、例えば合併・統合につきましても支援をいたしまして、多様な観点から広域連携の取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。  犯罪被害者等の支援についてでありますが、京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例では、犯罪被害者等が平穏な生活を確保することができるよう、京都府が必要な支援に努めることを規定していただいております。それに基づき、京都府では、昨年12月に策定いたしましたアクションプランにおきまして、犯罪被害者等の支援を盛り込んだところでございます。  現在、警察を初め関係行政機関におきまして、犯罪被害者等の支援を行いますとともに、平成10年に発足いたしました京都犯罪被害者支援センターが、京都府も支援する中で、民間ボランティアとして、電話や面接による相談、裁判付き添いなどの支援、広報・啓発を実施しております。  今議会には、被害者の視点に立ちました警察活動の強化や、DV被害者支援の充実などの関連予算をお願いしているところでございますけれども、引き続き、警察における支援強化とともに、府営住宅の優先入居や学校でのカウンセリングの充実などに努力をしているところであります。  今後、国が行います計画の具体化も見据えながら、被害者の一時保護所などの福祉サービスを初め、警察や京都犯罪被害者支援センターと協力いたしまして、犯罪被害者等を支えていけるようなトータルサポートについて施策を実施するため、現在検討を進めているところでありまして、その推進に努めてまいりたいと考えております。  次に、地球温暖化対策についてでありますが、御指摘のように、温室効果ガスの10%削減目標を達成するというのは大変厳しい対策が必要と考えておりまして、現在、13分野に及ぶ総合的な対策を府民総ぐるみで取り組んでいきたいと考えております。  そのため、平成18年度当初予算におきましても、産業分野では、中小企業の地球温暖化対策の応援、電器・自動車販売業の環境情報の説明推進員の育成支援、民生・家庭分野ではエコライフの普及促進、京都府自身の率先した取り組みといたしましては、府立の病院における環境に配慮いたしました設備改修や、道路の信号機のLED化、そして地球にやさしい府庁プランの推進、また、取り組み体制の強化といたしましては、京都府地球温暖化防止活動推進センターや推進員の活動強化等、総額5億4,200万円に及びます地球温暖化対策の関連予算を、例えば緑の公共事業などとともにお願いをしているところでございます。  また、アイドリング・ストップや屋上緑化などの周知を図りますとともに、事業者に対する温室効果ガス削減計画等の報告制度の説明会を2月下旬から実施をいたします。さらに、年度内におきましても、府環境審議会におきまして議論を開始し、産業、運輸、民生、各部門ごとの温室効果ガスの削減目標や対策の方向などを定めます「地球温暖化対策推進計画」を早期に策定する予定であります。  議員御指摘の太陽光発電の普及につきましても、これまで、府営水道浄水場を初めとする府の施設へ率先導入するとともに、地域の人々が身近な施設に太陽光発電設備を設置する「府民参加型自然エネルギー普及促進事業」等を通じて、その普及を図ってまいりました。今後、エネルギー関連等の民間企業も含めましたエコ住宅促進に係るネットワーク組織の立ち上げや、住宅改良資金融資制度による低利融資の手続の簡素化や周知などにも積極的に取り組みまして、この普及に向けた条件整備を一層進めてまいりたいと思います。  さらに、京都府といたしましては、「学研都市新時代プラン」でモデル街区を設定いたしまして、21世紀にふさわしい環境共生に配慮いたしました先導的住宅地の整備を提案してまいりましたけれども、条例の制定を踏まえまして、全戸で太陽光発電等自然エネルギーを活用するなど、低負荷型のまちづくりを目指すパイロットモデル事業を、来年度、府も参画して具体化していきたいと考えております。  実は、昨日も私は、アメリカの大使に対しまして、議定書の重要性というのを改めて訴えたところでございますけれども、今後とも、京都議定書誕生の地にふさわしい先導的な取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。  次に、介護保険制度についてでありますが、利用者本位の安定した制度にしていくこと、特に高齢者の経済的負担が過度とならないようにすることが重要であると考えておりまして、今回の制度改正により、施設給付の見直しの影響、とりわけ低所得者層に係る利用実態等を把握することが必要と判断し、調査を実施いたしました。  その結果、低所得者層、利用者負担の第1から第3段階というところでございますけれども、ここにつきましては、国の軽減施策の効果によりまして、負担額改定に伴う影響は余り見られなかったという結果が出ております。しかしながら、世帯分離によると思われる低所得者数の増加が見られるほか、利用者負担のもう1段階上の階層につきましては軽減施策もないことから、特に所得の比較的少ない境界層の方々の中に負担と感じておられる方も見受けられるなど、このあたりに潜在的な問題が今生じつつあるというふうに考えております。  こうした調査結果を踏まえ、問題が生じている階層におきまして、比較的所得の少ない高齢者夫婦世帯を対象に急激な負担増加を緩和するために、市町村とも連携いたしまして、当面の激変緩和措置を講じることといたしました。具体的には、高齢者夫婦世帯の一方が特別養護老人ホーム等の施設に入所した場合の負担軽減の対象を府独自に拡大いたしまして、これにより、例えば多床室の場合、食費、居住費合わせまして月5.2万円の負担となるところを月3万円までの負担とすることとし、必要な予算を今議会にお願いしているところでございます。  京都府といたしましては、こうしたきめ細やかな措置を講じることにより、入所者の皆様が必要なサービスを受けられるとともに、在宅で生活されている配偶者が安心して生活し続けていただけるよう支援をしてまいりたいと考えております。  次に、障害者の自立支援についてでありますが、ノーマライゼーションの理念のもと、障害のある方も、その状態に応じまして、できる限り住みなれた地域で普通の生活が送れることを目指し、福祉サービスの提供、働く場や住まいの確保など、総合的な取り組みを推進してまいりました。  本年4月施行の障害者自立支援法につきましては、障害の種別、身体・知的・精神にかかわりませず福祉サービスが共通の制度で利用でき、財政的な安定性も確保されることとなる一方、利用者負担が増加するため、低所得の方や重度の障害のある皆さんにとって必要なサービスを利用できなくなるような状態が生じることになれば、これは「自立支援」という施策の基本方針にかえって反する事態になるおそれがあると考えました。  私ども地方公共団体といたしましては、常に申し上げておりますように、財政的なさまざまな制約はありますが、国の基本的な施策は施策としつつも、住民に身近な団体として、できる限り、障害の種別や程度、また生活の実情などに応じて、自立に向けた取り組みをきめ細かく支えていくセーフティーネットの役割を果たしていくことが必要との思いで、都道府県としましては初めての今回の措置に踏み切ったところであります。  この措置の内容でございますけれども、関係団体等からの要望や障害者の方の実態を踏まえまして、国の制度を基本にしつつ、全国に先駆けまして、低所得者等の利用負担を緩和する緊急対策を市町村と連携して講じることとしまして、必要な予算をお願いいたしました。内容は、新制度を利用する一定の所得以下の方につきましては、在宅福祉サービス等の負担上限額を原則国制度の半額に引き下げまして負担を緩和するとともに、さらに独自の所得階層を新たに設定いたしまして、きめ細かく障害者の方の実情を踏まえた緩和措置を実施してまいります。そして、各種のサービスが重なって利用された場合にも、障害者の方の負担が極めて重くなる場合がありますので、独自の総合上限制を設けることによって負担緩和を図ることとしているところでございます。  また、このような負担緩和策とあわせまして、障害がある方の自立した生活を積極的な面から促進するために、授産製品の販売施設の開設や、ITを活用しました在宅就労の促進、そして共同作業所への支援増などの取り組みを同時に行っているところであります。  これらの取り組みによりまして、障害のある方々が必要なサービスを安心して利用していただくとともに、障害者の自立と社会参加の促進をしっかりサポートすることによりまして、基本といたします「『人・間中心』の京都づくり」を進めてまいりたいと考えております。  次に、乳幼児医療助成制度についてでありますが、まず少子化の問題への対応といたしましては、子育ての大切さを共有し、子供を産み、はぐくむ家庭を地域全体で支援する京都府づくりというのが基本的な考えだと思っております。この考えのもと、乳幼児医療助成制度を子育て家庭への経済的支援策として極めて重要な施策として位置づけ、私も知事就任直後から、市町村の皆様との協議を踏まえまして制度の改善を行うなど、総合的な子育て支援策を進めてまいりました。しかし、引き続き厳しい現状を踏まえまして、本年1月には、京都府未来っ子いきいき推進戦略本部におきまして、直ちに実施すべき課題を「緊急こども対策」として取りまとめたところでありますけれども、その中で、乳幼児医療助成制度につきましても、「今後緊急に検討を要する課題」と位置づけたところであります。  この制度につきましては、実施主体である市町村との協議が必要でありますので、府内市町村からの御要望もいただき、また京都市からもあり方についての協議をしたいとのお話もありますので、国における医療制度改革も踏まえ、市町村と協議する中で検討を深めていくようにしてまいりたいと考えております。 24: ◯議長酒井国生君) 多賀久雄君。    〔多賀久雄君登壇〕 25: ◯多賀久雄君 それぞれ御答弁いただきました。  まず、戦略的な地域づくりにかかわって、知事の方から、地域で考えていこうという機運が非常に高まっておるということをおっしゃられました。確かにそうでございまして、きょうは実は、そういうことで地域で何とかしていきたいというグループの方が傍聴にお見えになっておられるのですが、また、こういったグループを指導する広域振興局の皆さん方も非常にモチベーションが高まっておりまして、できるだけそういう形でうまく結びつきながら地域戦略を考えていっていただきたいなというふうに思うところでございます。  それぞれの御答弁から、いずれにいたしましても山田知事の熱い熱い思いが伝わってまいりまして、改めまして、京都府発展のためには、山田啓二知事が再選され、知事として再びリーダーシップを振るっていただかなければならないと、思いを強くした次第であります。この中継をごらんになっておられる府民の皆様も、きっとそう感じておられるというふうに思う次第でございます。  私ども自由民主党府会議員団は、山田色に染め上げられた京都府政のさらなる推進のために、友党・会派の強い結束のもと、山田啓二氏を推薦する各種団体を初め、広範な府民の皆様の御支援をいただきながら、勝利に向けて全力を尽くすことをお誓いし、質問を終わります。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 26: ◯議長酒井国生君) 次に、松尾孝君に発言を許します。松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕(拍手) 27: ◯松尾孝君 日本共産党の松尾孝です。議員団を代表し、知事並びに関係理事者に質問いたします。  今、小泉内閣が進めている構造改革のいわば害悪、耐震強度偽装事件、ライブドア事件、アメリカ産牛肉輸入再停止問題などに国民の大きな怒りが巻き起こっております。また、格差と貧困の拡大の中で、新たな不安が高まっております。京都でも、ホテルの営業停止、JR西日本の大事故、加茂町のフェロシルト問題など、生活の安全・安心を脅かす事件が相次ぎました。府民の暮らしも大変で、国保滞納世帯、生活保護世帯がふえ続けております。  このような中で、今京都府政に求められていることは、国の悪政から府民の暮らしを守る本来の役割をしっかり果たすことでありますが、かつて蜷川知事は、この役割を防波堤に例え、精いっぱい努力をいたしましたが、今の府政はとてもそうなっておりません。  昨年秋、民主府政の会が府民アンケートを実施いたしました。予想をはるかに超える3万1,000もの回答が寄せられました。今の府政に「不満」が60.6%、「満足」の17.7%の3.4倍にも上っております。そして、1万を超える「自由記入欄」への書き込みがあり、「国民健康保険、介護保険の負担を軽くしてほしい」「医療、福祉、保健のサービスを充実してほしい」など、暮らしと命にかかわる切実な多くの要求が寄せられ、府民の暮らしを守る温かい府政を強く求めております。これは、多くの府民の偽らざる思い、願いではないかと思いますが、これにどうこたえるのか、以下、具体的に伺いますのでお答えください。  まず第1に、先ほどもございましたが、安全・安心の問題です。  知事はかねがね、「安心・安全」を強調し、府政の売り物にしてこられました。しかし、先ほども指摘のありましたとおり、フェロシルト問題、耐震偽装問題など、その看板はすっかりはがれ落ちたと言わざるを得ません。「構造計算書に問題はない」と言って安全宣言し、10日後には「改ざんがあった」と撤回、ホテルは営業中止となっているのであります。また、フェロシルト問題でも、「企業が調査したが問題はない」と安全宣言、府独自の調査をしませんでした。ところが、10月に入ってようやく調査、環境基準の36倍もの六価クロムが検出され、企業がうその報告をしていたことが明らかになりました。強度の再計算もせず、また、企業の虚偽報告をうのみにして安全宣言とは、一体どういうことでしょうか。知事の言う「現地・現場主義」は何だったのかと言わざるを得ません。  知事は、この点について、どう反省しておられるのか、率直にお答えいただきたい。問題は、なお未解決であります。全面解決まで責任を持つべきであります。  また、フェロシルトの下に産廃残土が埋められていることが明らかになっていますが、この問題についても厳しく対処するよう求めます。あわせてお答えください。  アメリカ産牛肉の輸入が再開されて1カ月、危険部位の脊柱が見つかって大問題となり、即刻再停止となりました。今回の事件で明らかになったことは、アメリカには再開条件が守られる保証も担保もなかったというひどさであります。ところが日本政府は、閣議決定や国民への約束をほごにし、再開前の事前調査を全く行っていなかった。アメリカの言いなりに輸入再開を急ぎ、国民の命まで危険にさらす、政府のこのやり方は絶対に許せません。  この際、知事として、全頭検査と危険部位の除去、トレーサビリティの確立、肉骨粉の全面禁止を含め、日本並みの対策実施、及び定期的な施設立入検査の実施をアメリカに強く迫るよう政府に求めるべきと考えますが、お答えいただきたい。  鳥インフルエンザについてですが、知事は昨年末、「危機来襲」と題する回顧録を出版され、その中で、48日間で終息宣言できたとひどく自慢をしておられます。しかし、一片の終息宣言ですべて終わったわけではありません。今なお後遺症は大きく、現地の住民からは、「鶏ふん処理は始まったばかり」「終息でなく、とりあえずの休息」などと厳しい批判が出されております。この声にどうこたえられますか。  また、何の補償もなかった30キロ圏外の業者や農家、あるいは鳥関連業者のことを、よもやお忘れではないと思いますが、この際どうお考えかお聞きしておきます。  台風23号災害の対応ですが、明らかになった最大の問題は土木事務所の体制問題でした。振興局の広域再編で舞鶴土木は綾部に統合され、舞鶴は6人の駐在体制になり、被害の一番ひどかった舞鶴市域に直接の担当部署はなかったのであります。あのバスの水没事件は、このような中で通行規制がおくれ、起こるべくして起こったと言っても決して過言ではありません。台風は毎年必ずやってきます。この教訓を生かし、府域全体の土木事務所体制について改めて検討・見直しを求めるものですが、お答えいただきたい。 28: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 29: ◯知事山田啓二君) 松尾孝議員の御質問にお答えいたします。  耐震強度偽装及びフェロシルト問題についてでありますが、京都府といたしましては、これまでから、府民の安心・安全を確保するため、法令等の遵守を基本としながら事案に積極的に対応してきたところであります。しかしながら、先ほど多賀議員にもお答え申しましたように、一級建築士がプログラムを改ざんしていく、また、三重県がリサイクル認定したものが実は産業廃棄物であったというふうに、まさに信頼を裏切られる事態が続く中で、法令を遵守しながらでは府民の安心・安全を守ることができないという事態が生じており、今後さらに一歩進めた対応をしていかなければならないとの考えのもと、安全のための徹底した対策を講じているところであります。  フェロシルト問題につきましては、昨年12月に、廃棄物処理法に基づき、製造会社である石原産業に対しまして、全量撤去の措置命令を発出するとともに、埋立処分時の違法な処理委託に関して同社を刑事告発したところであります。また、埋設地周辺の排水、土壌、農作物等につきましても、京都府が調査を実施し影響がないことを確認し、まず安全を確保するとともに、全量撤去に向けまして今指導をしているところであります。  なお、フェロシルトの下部にある盛り土につきましては、平成12年当時にゴルフ場の改修工事の際に搬入されたものと考えられますが、現在、土壌検査を行っているところでありまして、今後、その結果を踏まえて的確に対応してまいりたいと考えております。  次に、BSE問題についてでありますが、食品の輸入に当たりまして、国民の安心・安全の確保を最も優先すべきと私も考えております。京都府では、これまでから、平成16年9月定例会での「BSE対策に関する意見書」の内容も踏まえまして、BSE政策の決定に当たっては、情報を広く国民に開示し、国民の理解と納得を得て行うこと、米国産牛肉の輸入につきましては、特定危険部位の除去など、我が国と同一基準による安全措置が確立されるまで再開しないことにつきまして、国に対しまして強く要請をしてきたところでありまして、今後とも、こうした考え方を基本に適切に対応するよう、引き続き要請してまいりたいと考えております。  次に、高病原性鳥インフルエンザ対策についてでありますが、終息宣言につきましては、発生農場や周辺地域での防疫措置が完了し、ウイルスがいないことをしっかりと確認し、出荷制限を受けました養鶏業者の皆さんの事業活動を再開し、また、風評被害に苦しめられていた関係の方々に対しての、「もう安心してもいいですよ」という意味で終息宣言を出したものでございます。  ただいまの松尾議員の御質問の中では、終息ではなく休息だとの発言がありましたが、これではウイルスが死滅しておらず再び活性化するという誤解を与えかねず、いたずらに不安をあおる発言でありまして、厳しい環境の中で防疫対策に協力をしていただきました地元を初め多くの方々の気持ちを踏みにじるものと、府議会でこのような発言をされることは、私は心外であり怒りを禁じ得ないものであります。  養鶏農家対策につきましては、国の融資対策は、30キロ圏内と圏外で貸付金利などの制度内容が異なっておりましたが、京都府では、圏内・圏外を問わず一律無利子の特別措置を講じたところであります。さらに、当初30キロ圏内の防疫措置として実施しました防鳥ネットや消毒施設等への助成につきましても、その後、府全域の農家を対象に実施するなど、30キロ圏外の養鶏農家の経営支援にも努めてきたところであります。  地域機関の災害対応体制についてでありますが、一昨年5月の地方機関再編では振興局を4つに広域統合いたしましたけれども、災害対応の中で中心的な役割を担います土木事務所につきましては、7つの中規模再編にとどめました。台風23号に際しましては、非常時に職員を集中して動員できるという再編メリットも生かし、土木事務所を初め管内機関連携のもと、速やかに初動体制を確保し、災害対応に全力を挙げたところでありますが、今後とも、広域振興局体制のもと、国・市町村など関係機関とも緊密に連携し、災害対応体制の一層の強化を図り、府民の安心・安全に万全を期してまいりたいと考えております。 30: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 31: ◯松尾孝君 ただいまの御答弁ですが、耐震偽装事件、あるいはフェロシルト問題、知事が御答弁なさったことは、例えばフェロシルトの問題では6月から問題が起こっている。ところが、11月から12月段階のお話しかなさらない。6月に岐阜県その他では、明らかに産廃だということで県の動きも始まっている。それを京都府は何カ月も見過ごしてきたということでございますから、これは知事がどうおっしゃっても現地の皆さん方からは納得できる話ではない。  耐震偽装問題にいたしましても、知事みずから、例えばことしの新年のごあいさつの中で、マニュアルどおりやっていたというだけでは済まないんだと、それでまずかったからといって幾ら言っても言いわけだという趣旨のこともおっしゃっているわけです。耐震偽装というのは、やった人が悪いというのは当然ですけれども、構造計算を改めてやらなくて安全宣言をする。あれだけ全国で問題になっておるときにこういうやり方というのは、やっぱり納得できないというふうに思います。  先ほどの知事の御答弁は、全く反省が足りないのではないかというように思います。これは厳しく指摘をしておきます。  災害対応で一番大きな役割を持つ土木事務所の体制につきましても、従来の細かいといいますか、狭い範囲で隅々まで目が届く体制がより好ましいということは当然でありますから、この点についても見直しを強く求めておきたいと思います。  次の質問です。  昨年9月定例会でも提起いたしました「京都府中小企業振興基本条例」の制定について、改めて伺います。  知事は、「融資対策その他総合的に手を打っている、府の商工行政のすべてが中小企業対策と言ってもいい」ということをおっしゃってこられたわけです。しかし、今日の京都府商工行政が、企業誘致、ベンチャー育成に偏重していることはだれの目にも明らかであります。今必要なことは、京都における中小企業の位置づけを法令として明確にし、中小企業振興が京都の経済、産業、府民生活全体にかかわる重要な課題であることを府民合意として確立する、そして中小企業重視への転換を図ることではないでしょうか。  また、知事は、「伝統と文化のものづくり産業振興条例」や振興局の「地域振興計画」で対応していく旨述べておられますけれども、出荷額等では、電機、機械金属、化学、印刷なども大きなウエートを占めているのが京都の特徴であります。京都経済全体を視野に入れ、中小企業振興の基本方向を示すことが必要であります。中小企業振興基本条例の制定を改めて強く求めるものでありますが、お答えをいただきたい。  消費税の問題ですが、財務大臣が「来年には法案を出す」と明言しています。仮に10%になれば、12兆円の増税であります。家計を直撃し、消費を冷え込ませる、内需の減退など、地域経済はもちろん、日本経済にはかり知れない打撃を与えます。消費税大増税は絶対にやるべきではありません。  知事は、12月府会で、「消費税増税反対だけ言うのは幼稚な議論だ。受益と負担の問題をしっかり議論する必要がある」と答弁されましたが、国に物申すどころの話ではない。「消費税増税は絶対に困る、何とかしてほしい」という中小零細企業や商工業者、お年寄り、府民の切実な声にどうこたえるのか、どう考えておられるのか、はっきりお答えいただきたい。  また、「幼稚な議論」というのは、府民をばかにした失礼な言い方ではないですか。この際、謝罪・撤回すべきと思いますが、いかがですか。  農業・農村対策についてですが、国が今進めている品目横断的経営所得安定対策は、京都の実情には全く合いません。品目横断的とは名ばかりで、麦、大豆、てん菜、でん粉用バレイショの4品目です。京都農業の中心である米、野菜なども対象に加えるよう国に求めると同時に、府独自にも一定の所得対策を講ずる必要があります。いかがですか、お答えください。  また、集落営農の組織化が強調されております。中心となる担い手がいなければ集落営農は成り立ちません。府独自の思い切った担い手対策が必要であります。この対策をどう講ずるか。  また、国の政策の対象となる認定農業者、集落営農などの登録が、この夏から始まります。知事特認などを含め、現在の取り組み状況もあわせてお答えいただきたい。  なお、この際、農協の問題についてお尋ねしますが、今、京都の農協を一本化する計画が進められています。この10年来、大規模合併が進められてまいりましたが、支店、営業所などが統廃合され、営農活動も弱まり、農協本来の役割が果たせなくなっているのが実態です。一本化の中で、ますますひどくなるのではないかと心配されております。京都の農協一本化は行うべきではないと思いますが、知事はどう考えているのか、お答えいただきたい。  なお、JA丹後の吸収合併に際し、労働組合の解体を図る不当労働行為が行われ大問題になっております。指導・監督責任を持つ知事として、これらの問題についてどうお考えか、お答えいただきたい。  また、鳥インフルエンザの対策の中で、農協が養鶏農家、事業者に対して国が決めた対策融資を行わないという問題が起こりました。議会でも問題になりましたが、知事はこれに対する指導を徹底せず、京都の養鶏農家・業者は国の融資が受けられないという異常な事態になったのであります。知事は、この問題についてどう反省しておられるのか、この際お聞きをしておきます。 32: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 33: ◯知事山田啓二君) 中小企業対策についてでありますが、京都経済の発展には、京都の産業の大半を占める中小企業の活性化が不可欠でありまして、経営安定のための制度融資や伝統産業の職人さん支援など、全国でも最高水準となります施策を実施しているところであります。また、条例につきましては、昨年12月府議会で報告をいたしました「産学公連携の促進による新産業の創成プラン」におきまして、中小企業の成長や第二創業などを支援していくという観点から、頑張る中小企業を応援する条例の制定を打ち出したところであります。  次に、消費税の問題についてでありますが、公的サービス費用を賄う租税の負担水準の議論は、公的サービスの水準のあり方と表裏一体の関係にありまして、負担の多寡だけを議論することは一面的であります。したがって、少子・高齢化の進展、企業活動や個々の人のライフスタイルの多様化といった経済社会の構造変化を踏まえ、持続可能な社会をつくるための国の行政水準全体にかかわります受益と負担の問題として、その両方を総合的に議論すべきものであるとの考え方に変わりはありません。  次に、品目横断的経営安定対策についてでありますが、京都府ではこれまでから、農家所得の確保を図るため、野菜につきましては、国の価格安定対策に加え、ブランド京野菜を初め、多品目・少量生産を行います京都府の生産実態に対応した府独自の対策を講じてまいりました。また、米につきましても、産地間競争が強まる中で、安心・安全でおいしい米づくりの推進と地産地消を重視しました販路開拓に努めているところであります。  今回の国の対策では、中山間地域を中心に多くの農家が対象から外れることから、京都府では、これらの農家の経営を守るために、これまでの対策に加えまして、受託組織の育成により対象農家の拡大を図るとともに、ブランド京野菜や宇治茶の生産拡大、小豆・黒大豆の新たな産地づくり等を総合的に推進することとしているところであります。  地域農業を支える核となる担い手につきましては、これまでから、京野菜や花卉、宇治茶などの収益性の高い農業の振興を図る中で育成に努めてきたところでありまして、新規就農者の確保につきましても、実践農場等の取り組みを通じ積極的に進めているところであります。これらの取り組みとあわせて、さらに受託組織の法人化や定年退職者の就農促進を図るなど、多様な担い手を基本とした担い手育成に積極的に取り組んでいるところであります。  また、国による品目横断的経営安定対策の加入受付時期が、当初よりかなりおくれておりまして、今秋から来春にかけて順次行われる状況となっておりますが、京都府では現在、知事の申請により要件が緩和される特例基準づくりを市町村とともに進めているところであります。  さらに、農作業受託組織に関する経営実態調査もあわせて実施中でありまして、今後、この調査結果を踏まえ、府、市町村、農業関係団体で構成する「地域担い手育成総合支援協議会」におきまして、法人化や経理の一元化等、施策対象組織の拡大に向けた経営指導の強化を図っていくこととしているところであります。  次に、農協についてでありますが、農協は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的・社会的地位の向上を目的としたものであり、合併など経営基盤や組織強化の具体的な方法につきましては、こうした農協の性格上、各農協におきまして組合員の皆様の判断によることになっているところであります。  また、旧京都丹後農協の労働組合から出されております不当労働行為の救済申し立てにつきましては、独立した行政機関であります京都府労働委員会において現在審査が行われているところでありまして、その動向を見守っているところであります。  次に、鳥インフルエンザに係る融資対策についてでありますが、農協につきましても、各金融機関と同様に、緊急融資の趣旨を踏まえました積極的な対応を要請してきたところであり、農協への融資相談の案件も幾つかありましたが、辞退者もありまして、結果としてまとまらなかったというふうに聞いております。ただ、この資金につきましては、養鶏農家にとって使いづらいという問題点もありましたので、京都府といたしましては、国に対しまして、養鶏農家の実情を踏まえた無担保・無保証人等の実効性ある緊急融資制度の創設等を強く要望してきたところであります。 34: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 35: ◯松尾孝君 鳥インフルエンザの農家・養鶏業者への融資の件は、使いづらいということで辞退があったというようなお話もございましたけれども、農協が扱わないという問題を私は指摘しているわけです。これは紛れもない事実でございますから、こういう状況をそのまま放置された知事の責任というのは大変大きいということは、きっちり指摘をしておきたいと思います。  中小企業振興基本条例でございますけれども、府の条例としてそれを法令で定めるということは、府がそういう方針をきっちり内外に示すということであり、これは府の中小企業振興にとって大変大きな意味を持つということは間違いないと思います。頑張る中小企業応援条例の検討に触れられましたけれども、府全体の京都経済、地域経済全体の立場に立って、ぜひこれはやっていただきたいということを要望しておきます。  消費税問題は、考えは変わりないということでございますけれども、この間、負担と受益とおっしゃるけれども、受益は減る、負担はふえるというのが日本の社会保障全般の流れになっている。こんなことが放置できるのか。その最たるものが消費税でございまして、10%で12兆円からの増税になる。高齢社会のため、福祉のためと導入に当たって言ってきましたけれども、16年余、国民が160兆円を超える消費税を納めている。この間、法人税の減税は、トータルで150兆円を超えているわけです。給付は減っている。そして、結局消費税は、大企業減税、法人税減税の穴埋めに回ったというのが、この間のそろばん勘定なんです。だから、そういう消費税の増税は絶対認められないというふうに思いますが、それでもなお知事は、受益だ負担だということで府民の痛みをわかろうとなさらないのか。これはもう一遍ひとつお答えください。
    36: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 37: ◯知事山田啓二君) 私が申し上げましたのは、国において租税の負担を考える場合には、受益と負担をしっかりと見詰めて総合的に勘案するのは、持続・安定的な我が国をつくる上で当然であろうと。そしてその中で、例えば、私どもは今回、障害者の皆さんに対する緊急対策を行いましたし、介護保険に対しましても緊急対策を行いましたけれども、地方公共団体というのは、分権の時代にあって、住民の身近にあって、しっかりとした対応をしていく。この両方が相まって、私は日本という国が持続・安定社会になるのだというふうに考えております。そういう観点から、今回、緊急対策も出させていただいたところであります。 38: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 39: ◯松尾孝君 消費税大増税はごめんだというのが府民大多数の偽らざる切実な声でありますから、これをわかろうとされない知事の姿勢というのは、やっぱり知事としておかしいと思います。受益と負担とおっしゃいますけれども、先ほども申しましたように、とにかく給付はこの間、どんどん社会保障は減っているわけです。そして負担だけがふえるということになるわけで、これはやっぱり考え直していただきたいということを強く求めておきたいと思います。  次に、子育て支援、子供の安全対策、教育などについて伺います。  まず、子育て支援ですが、先ほども申しましたアンケートの中でも、「子供の成長や教育に望むこと」の第1位は、「子供の医療費無料化の拡充」であります。子育て世代の20歳から40歳代は、実に40%に上っています。子供の医療費無料化はお母さんの強い要求です。  京都府は平成15年、ようやく就学前までの改善を図りましたが、通院については8,000円以上の制限があります。市町村の多くが、この制限をなくし、就学前あるいはそれ以上まで実施しておりますけれども、京都市ほか幾つかの市で府の制度のままですから、3歳以上は8,000円までの負担がかかっている。この数が圧倒的に子供の中で多いわけです。私どもは、子供たちが住む場所によって扱いが違うということのないように、直ちに改善するよう強く求めてまいりましたが、知事は「全国トップレベルの水準」というふうに言い張ってこられました。8,000円のハードルを除いてこそトップレベルと言えるのです。今のままでは、絵にかいたもちではないでしょうか。これ以上改善をおくらせることは許されません。先ほど検討は述べられましたけれども、国も3歳児未満の2割負担を就学前まで引き上げる予定であります。それを待たずに直ちに改善するよう求めますが、お答えください。  私立高校の授業料減免制度の拡充について伺います。  この制度は、平成2年、我が党の国会質問などによりまして、3年間の時限措置として始まり、2年延長されて、今年度からは恒久措置になりました。対象も生活保護世帯にも拡大されまして、予算額も倍以上の6億3,800万円が計上されております。これを大いに活用し、自営業の急激な経営悪化なども含めまして、経済的理由による中途退学者が出ないように一層の拡充を求めるものでありますが、お答えいただきたい。  また、現在の制度では、学校ごとに適用基準が異なっておりまして、生徒数に大きな開きがあります。府が直接支援する制度に改善すべきではないでしょうか。あわせてお答えください。  次に、子供の安全対策についてです。  昨年頻発した子供の悲しい痛ましい事件は、多くの人々に強い衝撃を与えました。我が党議員団は、昨年末、子供を守る地域の自主的な取り組みを発展させることを呼びかける緊急提言を発表しまして、市町村への財政支援、「見守り隊」などへの活動助成、通学路などの総点検、専門的な研修を積んだ、地域と連携して活動する「安全担当職員」の配置などを求めました。その後、府当局は、全小学校区での「見守り隊」の整備と資機材の提供などを発表され、今議会に必要な予算が計上されております。一日も早く実効ある取り組みが行われるように整備を急いでいただきたい。  また、教職員や児童施設職員の増員とともに、今申しました安全担当職員の配置を早急に実現していただきたいと思いますが、あわせてお答えください。  次に、少人数学級の実施についてですが、この間、私どもは、教育委員会が固執している習熟度別少人数授業について、その弊害を具体的に指摘をし、30人学級の実現を強く求めてまいりました。習熟度別編制の本質は選別政策であります。これが子供たちの人間的な成長を阻害するのではないかとの懸念は払拭し得ないのであります。  今、少人数学級は全国的な流れになり、このような弊害をなくそうという真剣な取り組みが進んでいるわけですが、教育関係者の多くはその効果を認め、府教委も、その選択を市町村教育委員会や学校の主体的判断に任せるとしてきているのであります。ところが京都での実施状況は、約1割の学校、しかも一部の学年だけ、学級数の約15%程度であります。全国と比較しても極端に低く、最低レベルであります。「加配教員を活用すればすべての学校で少人数学級の実施は可能」、こう説明をしておられるわけですから、どうしてこういう状況になっているのか不可解であります。納得のいく説明をお聞かせいただきたい。少人数学級の本格的実施を強く求めますが、あわせてお答えください。 40: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 41: ◯知事山田啓二君) 乳幼児医療助成制度についてでありますが、先ほど多賀議員にもお答えいたしましたとおり、国における医療制度改革の動向も踏まえまして、この制度のあり方につきましては、実施主体であります市町村とも協議する必要がありますので、検討を深めてまいりたいと考えております。  次に、私立学校の生徒に対する授業料減免制度についてでありますが、京都府では、生徒が保護者の経済的理由によって修学を途中で断念することがないよう、林田府政へ転換後の昭和56年度に、府独自のものとして私学の補助制度を創設いたしました。  この制度は、生活保護世帯はもとより、市町村民税非課税世帯の方や、病気・災害の場合に加えまして、失業・倒産や自営業者の経営悪化などにより所得が減少した家庭についても、幅広く補助対象としております。さらに、平成11年度には補助率を2分の1から3分の2に、平成16年度からは実質6分の5まで引き上げるなど、制度の充実に努めるとともに、学校に対します説明会などで、府の制度内容について周知徹底に努めてきたところであります。この間、平成12年度からは、国においても補助制度が確かに創設されましたけれども、対象が限られているため、ほとんどは府の独自制度によって対応しているところであります。  府の制度は、従来から私学と京都府が相互に協力しながら運用を拡充してきたものでありまして、各私立学校においては府の制度を活用しつつ、奨学金制度などとあわせ、各生徒の状況に応じて適切な対応に努められてきており、今後とも、この制度の周知徹底に努めるとともに、私学と緊密な連携を図りながら、生徒の修学に支障が生じないよう、きめ細やかな配慮をしつつ取り組みをしていくこととしております。  次に、子ども見守り隊についてでありますが、子供が被害者となります事件の多発によって、子供の安全確保についての機運が高まり、府内各地で子供を見守るボランティア団体が数多く結成されまして、活動を開始しております。  京都府といたしましては、今後、予算案に議会の皆様の御賛成がいただけましたならば、警察、教育委員会、市町村を初め、犯罪のない安心・安全なまちづくり推進本部に参加する関係団体とも緊密に連携し、自治会やPTA、防犯推進委員等の関係ボランティア団体に対しまして、早急に事業を周知し、子ども見守り隊の結成を促進し、早期に府内すべての学区で活動が展開されるよう推進することとしております。 42: ◯議長酒井国生君) 田原教育長。    〔教育長田原博明君登壇〕 43: ◯教育長田原博明君) 松尾孝議員の御質問にお答えいたします。  子供の安心・安全の確保についてでありますが、地域社会が一体となって子供を守ることが最も重要であることから、既に警察官OBなど防犯の専門家であるスクールガード・リーダーによる学校の巡回指導やスクールガードの養成セミナーを実施しておりまして、住民意識の高まりとともに、地域ぐるみで子供を守るという機運の拡大につながっているところであります。  また、各学校では、学校安全計画に基づき、学校挙げて地域の実情に応じた安全対策の充実に努めるとともに、スクールガード・リーダーの巡回指導を全小学校区へ拡大することから、改めて安全担当職員の配置が必要であるとは考えていないところであります。  今後とも、「子ども・地域安全見守り隊」など、学校、保護者、地域社会が一体となった学校安全体制づくりに一層努めてまいりたいと考えております。  次に、少人数学級についてでありますが、本府におきましては、児童・生徒や学校の実情に合わせ、少人数授業、ティーム・ティーチング、少人数学級の中から、学校現場に最もふさわしい指導方法・体制を市町村教育委員会が主体的に選択して実施しているところであり、少人数学級も選択して実施をされているところであります。  今後とも、画一的な学級編制とするのではなく、発達段階に即した柔軟で効果的な指導方法として保護者や学校現場からも大変高い評価を得ている京都式少人数教育の充実に、引き続き努めてまいりたいと考えております。 44: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 45: ◯松尾孝君 子供の医療費の無料化ですけれども、関係の自治体と協議をしてということでございますが、この1月5日に知事は記者会見なさって、子供の安全対策などに触れておられますが、その中で、この乳幼児医療費の問題を補正で、「補正」というふうにはっきりおっしゃっておられます。ホームページには書いてあります。検討していくということが出ておりますので、これは伺っておきますが、いつの補正のことを念頭に置いておられるのか。6月か9月か。これはひとつお聞かせいただきたい。  いずれにしても、大変強い要求、願いでございますから、一日も早い改善を強く求めておきます。  先ほどの補正云々についてはお答えください。  30人学級、少人数学級の問題ですけれども、ことしの新年度予算を見ましても、752人の具体的人数も上げて、対応できる予算が講じられているわけです。ですから、先ほども言いましたように、加配教員の枠の中でこれは十分にできる。新たに財政的な措置を特別にということにはなっていないわけです。できるのです。ですから、それをなぜやらないのか。市町村教育委員会等、あるいは学校現場でよく検討してということですけれども、それがなぜできないのかというのは、やっぱりおかしいのではないかということを申し上げているわけです。納得できない。説明をお願いしたのはそこのところなのです。どうでしょうか。  これは全国的な流れということを申しましたけれども、山形、福島などでは小学校1年から6年まで全部やられているわけです。あるいは、ほとんどの府県で、小学校1・2年生はクラス全部がそうなっているという実態があるわけですから、京都でできない、全国で最低レベルというのは、どう考えてもおかしい。  少人数学級で、子供たちが教科によって分かれて別々のところへ行って学ぶというようなことではなくて、同じところで、いつもの先生にきっちり教えていただくというのが、子供たちにとっても一番いいのではないかと思うのです。やっぱり、府教委が抑えているのではないかということを疑わざるを得ないのですが、そういうことはないのですか。これは、はっきりお答えをいただきたい。 46: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 47: ◯知事山田啓二君) 乳幼児医療費の助成制度についてでありますけれども、基本は先ほど申したとおりであります。  なお、選挙の後の話をここで述べるのは、やはり差し控えるべきだと思います。 48: ◯議長酒井国生君) 田原教育長。    〔教育長田原博明君登壇〕 49: ◯教育長田原博明君) 少人数学級の実施の問題でありますが、現在、小学校でいいますと、6割を超える学級が既に30人以下となっております。こうした実態の上に、府独自で現場が柔軟に選択できる少人数教育の各種の方法を進めておりまして、少人数学級もそのうちの一つとして、先ほど答弁申し上げましたとおり認めているところでございます。  したがって、全体の少人数教育の中で少人数学級の実施状況だけをとらえて実態を論ずるというのは、私は、木を見て森を見ない議論ではないかというふうに感じているところであります。 50: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 51: ◯松尾孝君 4月に選挙があるから選挙の後のことを言うのは控えるという趣旨です。それだったら、なぜ記者会見であのようなことを述べられるのですか。ごらんになったら、ホームページにはきっちり「補正で」ということが書いてあるんですよ。それこそ、知事の方がこれはおかしい。いずれにしても、一日も早くやるということですから、強く求めておきます。  30人学級の問題ですけれども、私が先ほど申しましたように、6割方はいっている。確かに、農村地域で自然に子供が少なくなっているわけですから、そういう状況が広がっているということは事実です。しかし、子供たち全体でいえば、そうでない子供たちの方が京都市域を中心にはるかに多いわけですから、そこのところをよく考えて再検討して、一日も早く少人数学級の実施をしていただきたいということを強く求めておきます。  第4に、医療改悪の問題についてお尋ねします。  今、国会に出ております新年度予算案では、70歳以上、現役並み所得のお年寄りの窓口負担が、10月から3割に引き上げられます。また、療養病床の長期入院患者は、食費、居住費が自己負担になります。定額制から1割負担となったときにも大変な受診抑制が起こりましたが、今回はそれ以上の事態が予想され、お年寄りの健康破壊が心配されております。  知事は、12月府会で、「給付と負担のバランスを考え、将来にわたり安定した制度を構築すべき」と述べて、負担増を容認しておられます。これは小泉総理の言い分と全く同じ、まさに国言いなりではないでしょうか。知事は本当に、制度維持のためにはこれぐらいの負担は必要と考えておられるのか、改めてお答えいただきたい。  療養病床の長期入院にもホテルコストがかけられますが、お年寄りにとっては大変でございます。この際、昨年の介護保険の改悪により負担増となっている介護保険料、利用料などの軽減措置について、真剣な検討を行うべきと考えますが、お答えいただきたい。  もう1つ、繰り返し申しております在宅酸素療法患者の問題です。  重度心身障害老人健康管理事業の対象を1・2級から3級にまで拡大し、受けられるようにしてもらいたい。ところが、いまだに実現されません。昨年の決算特別委員会でも、負担増で酸素ボンベを中断したために3例の死亡事故が起こっているということも示して改善を求めてまいりました。ところが、それは国がやることだと全く冷たい答弁です。全国で20都県がやっている、京都府下でも20の自治体がやっていることなのですから、府として直ちに実施をしていただきたい。お答えいただきます。  府北部の医療体制の問題についてお聞きいたします。  京丹後市弥栄病院の産科がなくなる、舞鶴でも医療センターの産科が今年いっぱいで閉鎖の予定ということで、出産予約を停止しています。共済病院に妊婦が殺到しておられると、こんな状況が出ておりまして、北部地域では安心して出産できないという大問題が起こっているのであります。さらに、舞鶴市民病院の廃止に等しい大幅な縮小、民間委託が発表されて、市民に大きな衝撃が走っています。北部地域の医療体制確保は大変重要な問題となっておりますが、この背景には深刻な医師不足の問題があります。これらの対策はまさに緊急の課題ですが、医師確保の問題は、個々の病院あるいは自治体では限界があり対応できない、京都府が前面に出て取り組む必要があります。  青森県の取り組みですが、昨年9月、県の健康福祉部長を責任者にする「地域医療・医師支援機構」というものをつくって、医師確保対策監というポストをつくって取り組みを進めている。Uターン、Iターン医師なども募って機構に登録をし、県職員として安定した身分を保障して、必要に応じて県内の自治体病院などに派遣するシステムを確立しているのであります。  京都府も、今年度予算で一定の対策を講じられましたが、府民の健康・命を守る立場から、府立医大医療センターの拡充を初め、より広い協力を求める積極的な対策が必要ではないでしょうか。お答えいただきたい。  この間、大江病院、精華病院を初め、自治体病院の縮小・廃止、民間委託などの計画が相次いでおります。府が行った洛東病院廃止がその引き金になっている、こういう厳しい指摘があります。何しろ、洛東病院は不採算を理由に、知事がわずか1カ月余で、トップダウンで廃止をされたわけです。舞鶴市民病院も同じことという住民の声は、まさにむべなるかなであります。  また、府が先ほど発表した「市町村経営改革支援シート」で、自治体病院の経営指針として「統廃合や経営移譲を検討しているか」というシートがつくられているわけです。これは本当に重大な問題だと。知事の責任が厳しく問われると思いますが、どう思われますか、お答えをいただきたい。 52: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 53: ◯知事山田啓二君) 医療制度改革についてでありますが、療養病床における負担の問題も含め、改革のあり方につきましては、まず基本的に、国が将来にわたり安定した制度を構築すべきであります。そしてその上で、京都府といたしましては、その制度を受けて、住民に近い地方公共団体として、府民の皆様が安心して医療を受けることができるようセーフティーネットを構築していくとともに、地域や府民の実情を踏まえ、どのように府民の健康を守るのかという観点から、国に対し提案・要望を行ってきたところであります。こうした立場から、引き続き市町村と連携をして積極的に提案してまいりたいというふうに思っております。  また、在宅酸素療法につきましても、私どもは今、国に対し提案・要望しているところでございますから、引き続きしっかりと要請をしてまいりたいと考えております。  次に、医師確保対策についてでありますが、特定地域、特定診療科の医師不足が全国的に深刻な問題となります中、京都府といたしましては、特に中北部の医師確保対策として実効ある対策を講じることが必要と考え、京都の場合には府立医科大学という非常にしっかりとした組織がありますので、ここと連携をいたしまして、新たな医師派遣システムを構築する。さらに、医師バンクの設置も予定しており、今議会に必要経費の予算化をお願いしているところであります。  今後、この対策について全力を挙げてまいりたいと考えておりますが、公立病院のあり方につきましては、医療ニーズや医療資源の状況、地域医療機関との連携のあり方などの観点から、それぞれの地域の実情に応じて主体的に検討されているところでありまして、京都府としましても、必要な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。  次に、市町村経営改革支援シートについてでありますが、現下の市町村の厳しい財政状況を踏まえまして、市町村がみずから行政改革に取り組まれる場合の参考に供する趣旨で、市町村のすべての行財政運営に対しまして、これは400項目ぐらいありますけれども、この論点を網羅的に掲げたものでありますので、その一つ一つについて府として方向づけをするものではございません。 54: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 55: ◯松尾孝君 高齢者医療改悪による高齢者の負担増問題は、医療保険制度そのものが破綻してしまったら元も子もないじゃないかというような議論もあるわけでございますが、国の負担が80年の医療改悪スタート以来一貫して減り続けている。国庫負担は、80年比較、30.4%から25%まで今落ちているわけです。事業主負担も同様に落ちている。そして、患者負担だけが4%以上もふえているというのが実態でございます。  今回の改悪も、社会保障の伸びを経済成長の枠の中で抑え込もうという、いわば財界の要求から出発しているというところに一番の問題があるわけで、知事がこういう本質をしっかり見ないで、いわゆる受益負担論でやむを得ないという態度に終始をしておられるのは、大変残念であります。こういう態度を改めて、府民の立場から、痛みを押しつけるようなやり方には厳しく対処をしていただきたいということを求めておきたいと思います。  経営改革支援シートの問題ですけれども、「統廃合・移譲について検討しているか」というようなことが、わざわざ提起をされているわけです。そのほか、これは多岐にわたっておりまして、市町村にさまざまな改革を求める内容に事実上なっているのではないかというふうに言わざるを得ないわけです。先ほど、洛東病院の廃止を知事がああいうやり方でやられたことが、舞鶴病院の廃止などにもいわば見習われているということを指摘したわけですけれども、やっぱり知事の責任、府の責任は大きいと思うのです。これは、よく考えて反省をしてもらいたいということを求めておきます。  次に、経営改革の問題ですけれども、府も一つの経営体だから経営改革は当然だと。知事の持論であります。この間、振興局の広域再編が行われ、洛東病院の廃止も強行されました。高校統廃合、それから1,500名の新たな人員削減、人件費のキャップ制なども出ているわけであります。こういうリストラが何をもたらすか、台風23号災害の対応のおくれを見ても明らかではないかというように思います。洛東病院の廃止、公的責任の放棄に等しい保健所の統廃合も、地域住民に大きな不安を与えているわけであります。自治体行政というのはマンパワーが支えでありますから、人員を減らし、人件費を減らせばよいというものでは決してありません。  ところが、知事は年頭あいさつでも「改革」を強調し、職員にその先頭に立つよう求めておられますが、知事のこういう効率的・効果的サービスは、結局のところリストラ・合理化ではないか。今求められているのは、本当に府民の立場に立った真の改革であります。府民に痛みを押しつける経営改革はきっぱりとやめるべきだというように思いますが、お答えをいただきたい。  私どもは、こういう立場から、不要不急の大型開発や公共事業の見直しを一貫して求めてまいりました。丹後リゾート計画、あるいはワールドカップ・サッカースタジアムの後始末とも言うべき事業が、さらにはバブルの後遺症とでも言うべき事業が今なお続いているわけでありますが、こういうむだをなくしてこそ本当に府民のための改革が可能になる。繰り返し指摘してまいりましたが、和田埠頭建設、海と星の見える丘公園、あるいは木津川運動公園や畑川ダムなどは、きっぱり中止すべきであります。改めて強く求めますが、お答えいただきたい。  さらに、市内高速道路ですけれども、これまで府は「渋滞が解消して温暖化防止に役立つ」と言ってきたわけですが、事実は逆であります。中心部の渋滞がひどくなって、逆行することになる。今年度予算で新たに、斜久世橋線に3億円、継続の新十条と油小路に17億円、合わせて20億円つぎ込もうというのでありますが、やっぱりこれは京都市に見直しを求めるべきだと思います。お答えいただきたい。  市町村合併の押しつけも、これは絶対やるべきではない。今、南部地域で新法に基づく動きが進んでいるわけでありますけれども、今まで府は、自治体がみずから決めることと言いながら、結局押しつけてきた。これは否定し得ないと思うのです。南部地域に押しつけ合併を行わせるということは絶対やるべきではないと思いますが、改めてお聞きをしたい。  それよりも、今、小さくても頑張る、例えば伊根町は合併をやらないで何とか頑張っていこうということで努力を始めているわけでありますが、こういうところに府が温かい支援を行うべきだということを申し上げたい。市町村支援をどう強化するか、長野県の例などにも倣って進めていただきたいということを思いますが、お答えいただきたい。  また、道州制問題ですけれども、知事は積極的な推進の立場をこの間示しておられる。昨年11月の近畿ブロック知事会議で、「スケジュール感を持ち、第三者を入れた委員会を早急に立ち上げるべきだ」と、ここまでおっしゃっておられるわけです。知事は、この京都をなくしてもよいとでも考えておられるのか、改めてお聞きをしておきたい。 56: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 57: ◯知事山田啓二君) 経営改革についてでありますけれども、非常に厳しい財政状況の中で、しっかりとした府民サービスを維持するためには、やはり私は改革というものが必要だと思っております。私どもが一生懸命改革をしてきたからこそ、例えば台風23号のときも全国最高水準になります住宅助成が打てましたし、今回も障害者の方々に対する負担緩和制度を打てるわけでございまして、そういった点についても十分に考えていただきたいなというふうに思います。  その中で、公共事業につきましても、私は常に徹底した見直しを進めておりまして、これまでダムにつきましても、南丹ダム、福田川ダムの2つのダムを中止いたしました。丹後リゾート公園と木津川右岸運動公園の整備計画の大幅な見直しを受けまして、そして、こうした見直しにつきましては、公共事業の再評価委員会の審査も受けまして、見直すべきものは見直し、真に必要な事業につきまして重点的に推進をしているところであります。  京都高速道路についてでありますが、平成15年3月の第二京阪道路の開通によりまして、国道1号などの交通量が15%程度減少いたしまして、交通渋滞が大幅に緩和されたところであります。新十条通り及び油小路線につきましても、京都市及び京都府南部地域における交通の渋滞緩和に効果を発揮するものと期待しておりまして、今後とも、府市連携して早期の整備に努めてまいりたいと考えております。  今回、斜久世橋区間につきましては、阪神高速道路公団の民営化に伴いまして料金徴収期間が短くなりましたので、京都市施行の街路事業となったものでありますが、府市協調の立場から、国とともに支援をしてまいりたいと考えております。  それから、市町村への支援についてでありますけれども、これは各市町村が、今本当に一生懸命みずからの手で、どういう形で市町村のあり方を考えるかということを議論されているわけですから、私どもはその議論に基づきまして、市町村からの要請を受けて支援していこうというものでございます。合併を選択しているところにつきましては、合併協議についての支援をしておりますし、また、例えば共同化をして一緒にやっていこうというところには、そういう支援をしているということでございます。  道州制についてでございますけれども、京都は本当に豊かな自然に恵まれておりまして、世界に誇る伝統文化、独創的な人材、すぐれたものづくりの企業などを生み出してきた歴史・風土の中に、未来への大いなる潜在力を秘めているというふうに思っておりまして、私は、このすばらしい京都府、京都府民を愛することにつきましては、人後に落ちないと自負をしております。  道州制は、この国のあり方の基本を議論するものでありまして、国の方でも議論が始まっておりますので、私が「スケジュール感を持って」と言いましたのは、そういう議論に対してしっかりと近畿の各府県が意見を述べていかなければならないという立場で申し上げたわけでございまして、これからも京都府民の立場に立って議論をしていきたいというふうに思っております。 58: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 59: ◯松尾孝君 市町村の経営改革支援シートでございますが、全面的に市町村行政の、いわばリストラを進める内容の指導文書になっているのではないか。チェックをしなさいということで、そういう方向で進めなさいということになりかねないわけです。これは、分権時代だといろいろおっしゃいますけれども、市町村自治に介入し、破壊することにつながるのではないかということを我々は指摘せざるを得ないわけです。赤字再建団体になったら大変だという話は出てくるわけでございますけれども、支援の仕方はもっとあるということを申し上げているわけで、これは再考を求めたいというように思います。  道州制も、知事は軽々に考えているわけではないという御趣旨の答弁でございますけれども、府のプロジェクトも、今の府県を越える広域地方制度を確立する根拠というのは見当たらないというのが中間のまとめの中で述べられていることですから、このまとめを変えるようなことは押しつけるべきではないし、やってはならないということを申し上げておきたいと思います。  最後に、憲法問題ですが、自民党の「新憲法草案」が決定・発表されました。前文から、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにするとの侵略戦争への反省を削除する。そして、9条2項を全面的に変えて、「自衛軍の保持」を明記いたしました。その任務として、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調をして行われる活動」へ参加をすると、海外での軍事行動への参加も公然と打ち出したわけであります。これによれば、アメリカが今イラクで行っている掃討作戦にも当然参加できる。つまり、日本を再び戦争する国につくり変えて、アメリカの先制攻撃戦争に地球上どこへでも参加する。ここに改憲の真のねらいがあるというふうに私どもは指摘せざるを得ません。  9条1項の「戦争放棄」は残っているから「平和主義」は生きているという主張があります。憲法学者の奥平康弘氏は、「1項の精神、理念を具体化したものが2項であり、2項がなくなれば1項の魂は奪われてしまう。2項があって初めて平和主義は発露するのだ」というふうに語っておられます。  そこで、知事に伺います。知事は、9条を守るのかどうかの問いに、自衛権の解釈などを持ち出されてまともに答えてこられませんでしたが、9条1項・2項の全体、すなわち、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認、これを一体的に守る、これが必要だとは考えないのか。自衛権には当然集団的自衛権も含まれるから、これを妨げる2項は邪魔だとお考えなのか、お答えいただきたい。
    60: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 61: ◯知事山田啓二君) 市町村の経営改革支援シートですけれども、今、市町村の財政は非常に厳しい現状にありまして、おっしゃいましたように場合によっては再建団体に陥るような危険性もある中で、市町村はみんな努力されています。ですから、シート自身は、例えば風邪を引いたときに、せきがあるかとか熱があるかというチェックをしていくだけの話ですから、せきがあるところにチェックしたらせきをしなければならないというわけでも何でもないわけです。そういう症状に合わせて、しっかりとした対策を講じなければならないというチェックシートですから、何ら方向づけをするものではありません。それは申し述べておきます。  それから、憲法問題についてでありますが、これまでからお答えさせていただいていますとおり、私は、この問題を議論するに当たりましては、憲法9条の理念を堅持いたしまして、真に各国の人々が国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする憲法の精神を踏まえた形で考えていくべきだというふうに言っているところでございます。 62: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 63: ◯松尾孝君 憲法ですが、9条全体、1項の戦争放棄、2項の戦力の不保持、交戦権の否認、これは一体のものなんだと。国際協力云々とおっしゃいますけれども、そのもとで9条2項が今削除されようとしているわけです。つまり、自民党の憲法草案というのは、そういうつくりになっているわけです。お読みになっていると思いますけれども。だから、そこのところをどう考えるのかということをお聞きしているわけです。  イタリア憲法には、戦争放棄はあるのです。しかし、戦力の不保持、交戦権の否認条項というのはないのです。つまり、日本国憲法9条2項はイタリア憲法にない。そういう中で、イラクに行っているイタリアの軍隊から27人もの死者が出ているわけです。日本はそうはなっていない。ここのところの違いを知事はどう考えるのか。これは改めてお聞きしたい。 64: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 65: ◯知事山田啓二君) 憲法問題につきましては、今いろいろ広範な議論があるわけでございますので、私は今、先ほど申し上げましたように、憲法9条の理念を堅持して、本当に真に各国の人々が国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする精神を踏まえて議論していきたいというふうに考えております。 66: ◯議長酒井国生君) 松尾孝君。    〔松尾孝君登壇〕 67: ◯松尾孝君 憲法9条問題について、知事はまともに答えられないですね。答えていない。1項・2項全体をまとめて答えるよう言っているわけで、これはまた引き続きただしてまいりたい。  最後に、一言申し述べさせていただきます。  ただいま切実な府民要望などをお尋ねしましたが、まともな答弁がいただけない。それからまた、この4年間の知事の府政運営についても、やっぱり府民の切実な要望にこたえられるものではないと言わざるを得ません。4月は知事選挙ですが、私どもは、この府政を必ず転換を図って、衣笠洋子女性知事を実現して、府民の皆さんとともに力を合わせて、本当に温かい心の通う府政をつくってまいりたい、この決意を申し上げて、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 68: ◯議長酒井国生君) この際、暫時休憩いたします。    午後3時24分 休憩            ────────────────────    午後3時47分 再開 69: ◯議長酒井国生君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、松尾忠昌君に発言を許します。松尾忠昌君。    〔松尾忠昌君登壇〕(拍手) 70: ◯松尾忠昌君 公明党の松尾忠昌でございます。私は公明党府会議員団を代表して、知事並びに関係理事者に質問をいたします。  冒頭、一言お祝いを申し上げます。  このたびの秋篠宮妃紀子様の御懐妊を心からお喜び申し上げますとともに、お健やかな日々でありますよう御祈念申し上げます。  まず、平成18年度当初予算案について一言申し述べます。  今回の予算編成については、4月に知事選挙を控えているという事情から、継続事業を中心としつつも、府民の安心・安全にかかわる緊急課題、すなわち、緊急こども対策、福祉対策、中小企業・農家対策、安全確保対策の4つの対策について、積極的に対応する姿勢を示したことに特徴があります。地域住民が小学校や交番と連携して取り組みを進める「子ども・地域安全見守り隊」事業、社会的に弱い立場にある障害者や高齢者に対するセーフティーネットの構築、教育関係では、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)等の発達障害児童・生徒への対応、国語力を向上させるための新たな取り組み等々、いずれも我が会派が予算要望を含め機会あるごとに主張してきた項目が数多く予算化されています。さらに、地元住民の要望にこたえ、新東山警察署を洛東病院跡地に移転・新築するための建設計画費を計上するなど、全体としてきめ細かい配慮がなされた予算であると高く評価いたすものであります。  ここで、1点要望させていただきます。  それは、乳幼児医療助成制度の拡充についてであります。  子供の出生数が年々減少し、ついに人口減少時代に突入した今日、各種の少子化対策が打たれていますが、まだ出生率の減少傾向に歯どめがかかっていません。これらの原因については、いろいろと分析されてはいます。しかし、昨年5月に内閣府が、子育て中の女性を対象に「少子化対策として何が重要か」を尋ねた調査では、第1位、約7割が「保育・教育費や医療費補助等の経済的支援」を挙げているように、少なくとも少子化対策の目玉として、乳幼児医療費補助の有効性が理解されているものと思います。  我が公明党は、こうした期待にこたえるため、政府与党として、小学校就学前まで医療費の本人負担を2割に引き下げる改革をするとしたところであります。  そこで私は、知事選挙が終わりました暁には、京都府の乳幼児医療助成制度につきまして、子育て家庭の経済的支援に対する強い期待にしっかりとこたえていただくよう強く要望いたします。  それでは、質問に入ります。  質問の第1は、中小企業金融対策についてであります。  中小零細企業や商店の経営者にとって、京都府の融資制度は大変に心強い制度であります。この制度の根幹となっているのが信用補完制度と言われるものでありますが、国においてこれを見直そうという動きがございます。  この制度は、中小企業者が金融機関から資金を借りる際、京都信用保証協会が公的な保証人となることにより融資を受けやすくする制度であります。京都府は、京都市とともに協調しながら、この信用補完制度をベースに各種の制度融資を用意して、金融の面からも中小企業育成の施策を推進しています。しかし、経済支援、再生支援の強化の必要性や、担保・保証人に依存しない保証へのニーズの高まり、金融機関による貸し出し姿勢の変化等を受け、国はこの制度について、一昨年から見直し作業を開始し、昨年6月、中小企業政策審議会基本政策部会小委員会が、その審議結果を取りまとめて要旨を発表しました。  それによりますと、1つは、保証制度の多様化・柔軟化のための見直しとして、信託会社の融資も保証の対象とし、中小企業金融の担い手の多様化を図るとしています。2つに、不動産担保や保証人に過度に依存しない保証、つまり売掛債権担保融資保証制度の一層の促進や、動産・知的財産等も担保とした保証について検討する。3つに、金融機関との適切な責任共有による連携強化という観点からは、これまで銀行や信用金庫等の金融機関は、京都府の制度融資を含め、信用保証協会の保証を付した融資に対しては、京都信用保証協会が原則100%負担としてきましたが、これでは保証協会が一方的にリスクを背負うことになり、逆に金融機関はリスクを負わないため、中小企業に対して適切な経営支援や育成等を行うインセンティブが働く仕組みになっていないとして、これを見直し、金融機関にも責任の分担を求め、負担金制度や部分保証制度を導入して、保証協会と連携して中小企業に対するきめ細かい支援を行う仕組みとすることが必要としています。4つ目に、信用補完制度の持続的な運営基盤の確立として、保証協会に対し業務の合理化等を求めるとともに、地方自治体にも保証協会に対し適切な財政支援を行うべきとしています。その他は省略いたしますが、画期的とも言える内容が含まれていると思います。  しかし、心配な点もあります。それは、金融機関が一定割合の責任を負担しなければならないとなると、資金貸し出しに当たって必要以上に慎重になり、結果として新たな貸し渋りという状況が起きないかということであります。中小企業関係者が最も心配する点であり、こうした事態は何としても避けなければなりません。  もちろん、今直ちにこうした抜本改革が実行されるわけではありませんが、京都府として、国のこうした方針や実施の方向性、それに伴う金融機関の反応、中小企業者の不安感などについて、いかに分析し判断されているのか、また、今後いかに対応していくのか、御所見を伺います。  質問の第2は、京都ブランドの確立と保護についてであります。  本年4月1日から「改正商標法」が施行されます。地域名と商品名から成る商標、いわゆる地名入り商標について、従来の「全国的な知名度がある」等の要件を緩和し、「地域団体商標」として登録ができるようになりました。これによって、全国各地では、地域おこしの観点から、地名入り商標を地元産品に用いた地域ブランドとして地域経済の活性化に結びつけようとする動きが活発化しています。  我が京都は、「京ブランド」に代表されるように、伝統工芸品や京野菜を初めとして数多くの産品があります。ちなみに、京都伝統工芸協議会によると、京の伝統工芸品は94品目に上り、そのうち経済産業大臣指定の伝統的工芸品が17、京都府知事指定の伝統的工芸品が11あります。これ以外に、京都府食品産業協議会が認定する「京ブランド食品」が9品目あります。さらに、この商標登録は、商品だけではなく役務・サービス名も対象となり、例えば「鴨川の納涼床」や「貴船の川床」等も登録が可能と言えます。こうして考えますと、私たちの京都は地域ブランドの宝庫と言えます。  そこで、京都府中小企業団体中央会等の関係団体では、全国的な動きに呼応して、「地域団体商標」の登録を目指す事業協同組合や農業協同組合への支援を進めています。  そこで、私は、京都の先人が長年かかって磨き上げてきた技術力、比類なき文化力、そして守り育ててきた景観などによってつくり上げられた京都のブランドをしっかり守るとともに、こうした伝統を基盤にして新たなブランドの創出なども含め、京都府として指導力を発揮し、京都の中小企業活性化や農林水産業振興の起爆剤として、この「改正商標法」を大いに有効活用すべきであると思いますが、いかがでしょうか。京都府の支援策についてお示しください。  さらに、こうして登録された商標「京ブランド」の全国への発信についても、次の段階で重要となります。京都府は、これまでいろいろな機会をとらえて「京都」を発信してきました。例えば、昨年12月には、京都を訪れた修学旅行の高校生を対象に、京都大学で伝統文化の受講と工芸の体験、そして京大のキャンパスツアーを組み合わせた企画を実施しました。さらに本年1月からは、首都圏で発信するための企画として、早稲田大学と提携し、京都の食文化をテーマとした京都学講座を開講し、終了後の3月には京都ツアーも予定しているとのことであります。  そこで、この4月からは、新たに「京ブランド」の展開が始まるわけであります。今日まで先行して取り組んできた各種イベントを再構築し、全国に大きくインパクトを与えるような京都発信の事業を展開すべきと思いますが、いかがでしょうか。  以上、2点について、知事の御所見をお聞かせください。  質問の第3は、がん対策についてであります。  現在、我が国における死亡原因別死亡率の上位を占めているのは、生活習慣病と言われる「がん」「心臓病」「脳血管疾患」であります。中でもがんは、1981年(昭和56年)から死亡原因の第1位で、平成16年には、死亡数32万358人となり、総死亡数の31.1%になっています。この傾向は京都府も同じで、がんは私たちの健康、生命を脅かす最大の疾病と言えます。  国においては、1983年に「対がん10か年総合戦略」を策定、1994年に「がん克服新10か年戦略」を、そして2004年には「第3次対がん10か年総合戦略」を策定し、がん対策を推進しています。一方、京都府においては、府立医科大学附属病院が、こうしたがんの研究・治療・予防等総合的な対策の中核的機能を有する拠点病院として、スタッフ一同が献身的な取り組みを進めていただいているところであります。  そこで、まずお尋ねいたしますが、さきに述べましたとおり、国は「第3次対がん10か年総合戦略」で対策を進めるため、全国の都道府県におおむね1カ所、都道府県がん診療連携拠点病院を、また、2次医療圏に1カ所程度の地域がん診療連携拠点病院を指定して、がん医療の向上を図るとしています。拠点病院指定に向けた国の方針、それを受けての京都府の対応等についてお答えください。  次に、がん治療に関して、緩和医療についてお尋ねいたします。  WHO(世界保健機関)では、「緩和ケアとは、治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的なケアである。痛みやその他の症状のコントロール、心理面、社会面、精神面のケアを最優先課題とする。緩和ケアの目標は、患者とその家族にとってできる限り可能な最高のQOL(生活の質)を実現することである。また、この緩和ケアは、末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対する治療と同時に適用すべきである」として、その普及を呼びかけてきたのであります。  がんは強い痛みを伴う病気で、患者に精神的・肉体的な苦痛を与えます。がんの治療は、手術、化学療法、放射線療法というように、最新の機器や技術、知識を駆使して行われていますが、この治療の過程で、薬剤や放射線などによる副作用で、吐き気、嘔吐、息苦しさ、怠感、貧血、そして痛みが患者を襲い、これらの症状によって患者は、さらに不眠、不安、うつなどの精神症状があらわれ、家族ともども苦しめられることになります。  そこで、こうしたがんの経過中に生じるすべての不快な症状等を緩和・軽減することを目指すのが「緩和医療」なのであります。かつて、「終末期医療」が話題となった時期がありましたが、それとは別物であります。  過日、NHKテレビでこの緩和ケアに関する特集番組が放映されていましたが、我が国においては、いまだに緩和ケアに対する医師の認識が低いため、がん患者の苦痛を緩和しようとする意識が働かない。その証拠に、同じ病院内に緩和ケアの専門科があるのに紹介もしない。患者に鎮痛剤としてモルヒネを打つ。効かなくなると、さらに強いモルヒネを打つというだけの医者がいる。この場合、なぜ緩和ケア専門科を紹介しないのかと訴えていました。また、ある若手の医師は、「医局では、がんの痛みを取るということは学ばなかった。がん細胞があれば、それをたたくことに専念し、痛みのことは考えなかった」と。  ここで私は、がんの治療に従事する医師、医療関係者の皆さんに訴えたいのであります。治療に当たって、何よりもまず患者の声に耳を傾けてください。そして、家族の方々にもよく説明し、理解を求めてください。  緩和医療によって痛みを取り、和らげることにより、患者に治療に立ち向かう意欲を起こさせることができるのであります。こうした苦痛が取れれば、がんを小さくする治療を再び進めることができるのであります。我が国の医師の間には、まだ緩和医療イコール終末医療という誤解があるのではないでしょうか。緩和医療は消極的治療ではないのであります。  イギリスでは、1995年から国を挙げて緩和ケアに取り組み、現在、がん患者の70%がケアを受けています。しかし、当初はガイドラインを示してもなかなか進まなかったため、医師の意識改革から始め、研修事業に力を入れることにより対策が進んだということであります。  一方、京都府の府立医科大学附属病院には、緩和医療に取り組む先進的な医療チームがあります。中央部門に設置されている疼痛緩和医療部がそれであります。このスタッフが中心となって京都府立医科大学緩和医療検討会が組織され、平成10年5月から第1回の講演会や症例検討会が開催され、既に30回以上続けられ、多大な成果を上げています。さきに述べました国の都道府県がん診療連携拠点病院の指定条件に、施設内における緩和医療の実施が義務づけられていますが、まさにこの医療チームがその中核となる組織であると思います。  以上の点を踏まえ、知事の御所見をお伺いします。  まず、緩和医療に取り組む人材の育成についてであります。特に、専門の看護師になるためには、毎週月曜から土曜までの6日間の講義を6カ月間受講し、試験を受けなければなりません。しかし、これにかかる費用負担はすべて自己負担というのが現状であります。今日までは、関係者の使命感や意欲、熱意で成果を上げてこられたようですが、いつまでもこうしたことに頼るのではなく、京都府として、医療従事者の専門資格取得に対し何らかの助成制度を設けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  次に、今や府立医科大学附属病院の緩和医療部門には、関係者の努力で立派な人材が勢ぞろいしています。医療のソフトも確立しています。あと、ないのは緩和ケア病棟だけであります。緩和ケア病棟が整備されれば、そこが緩和医療の教育の場となり、広く京都府の多くの医療関係者に情報の発信もできることとなり、京都府の緩和医療の飛躍的な推進・発展につながると確信いたします。  ぜひともこの際、緩和ケア病棟の設置を望むものでありますが、知事の御所見をお聞かせください。  以上、前半部分の質問といたします。 71: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 72: ◯知事山田啓二君) 松尾忠昌議員の御質問にお答えいたします。松尾忠昌議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、平成18年度当初予算に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。  まず、中小企業の金融対策についてでありますが、国の信用補完制度の見直しにつきましては、議員御指摘のとおり、中小企業の経営支援や持続的な制度の確立等の観点から提案をされているところでありまして、京都府といたしましても、保証協会と連携して、幅広い保証制度の実現と中小企業への真の支援強化につなげてまいりたいというふうに考えております。  ただ、いわゆる懸念の部分であります「部分保証」についてでございますけれども、この制度につきましては、金融機関が貸し手として責任を持ち、保証協会と連携して、中小企業に適切な支援を行う体制を確立しようとする趣旨でありますが、金融機関が貸し手としてのリスクを負うことで中小企業に対する貸し出し姿勢が消極化する懸念もありました。また、中小企業団体からも同様の声が寄せられていることから、京都府では、経営基盤の脆弱な小規模企業に対する配慮について、さまざまな機会を通じて国に対して要望を行ってきているところでございます。  ただ、京都市と連携しまして昨年4月に創設をいたしました「中小企業再生支援融資」につきましても、実は金融機関もリスクを負担する仕組みとしておりまして、部分保証的な部分があります。ただ、これは地元金融機関が大変熱心に取り組んでいただいておりますので、昨年4月から12月までの9カ月間で、107件、102億円と、予想を大幅に上回るという状況でございますので、こういった金融機関の御尽力というものをしっかりと踏まえていかなければならないというふうに思っております。  京都府では、全国に先駆けて創設いたしました「あんしん借換融資」が、国に新たな借換保証制度が設けられる契機になるなど、中小企業の実態に応じた金融対策を行ってきたところでありまして、今後とも、中小企業金融の一層の円滑化が図られますよう、中小企業地域金融対策協議会等の場で協議いたしまして、制度融資の役割と機能の充実を積極的に図ってまいりたいと考えております。  次に、京都ブランドについてでありますが、京都には、議員御紹介の伝統工芸品を初め、幅広い分野において全国に誇り得ます多くのブランド産品が存在をしております。こうした産品につきましては、これまで法的にブランド力を保護することが非常に難しくて、せっかくの力を十分に生かすことができませんでしたが、今回の商標法の改正により、その登録が認められまして、条件が整ってまいりました。  京都府といたしましては、今回の改正を、京都ブランド産品のすばらしさを全国に発信する絶好の機会であるというふうに考えておりまして、これまで商工・農林水産関係団体などと協力し、説明会や相談会の開催によりまして、登録に向けた動きを積極的に支援してまいりました。  来年度新規事業として今お願いをしております「京都ブランド商標強化推進事業費」につきましては、弁理士等の専門家派遣など商標出願の支援と共同PR、さらにはブランドの不正利用があった場合の対処などを、京都市や関係団体の皆様とともに総合的に進めることとしておりまして、これらの活動を通じ、全国最多、100以上の出願を目標に、日本一を目指して精力的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、こうした京都ブランドの全国発信についてでありますが、先ほど紹介いただきました早稲田大学の講座は、昨年度の政策ベンチャー事業による職員のアイデアを実行に移したものでありますが、有料で、また冬季という条件にもかかわりませず、100名を超える方が熱心に受講されまして、改めて京都に関心を持つ方々の熱心さということを実感したところでございます。  今後、こうした京都ファンを一層ふやし、京都産品の需要開拓を進めるために、「京のまなび」をキーワードにした観光振興や農業体験ツアー、京野菜ファンを育てる「京野菜マイスター」の認定事業などを現在検討しているところであります。また、全国各地で開催される京都展、西陣織東京展、さらには、さまざまな業界が行います各地の展示会におきましても、今回の地域団体商標の登録を契機として、統一的に全国ブランドを発信できるように進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、がん対策についてでありますが、がんは京都府における死因の第1位を占めておりまして、その対策は府民の重要な健康課題として、アクションプランであります「健康長寿日本一プラン」においても位置づけているところであります。このため、これまでから国に先駆け、前立腺のがん検診など各種がん検診や、がん診療施設整備の支援を行ってまいりました。  また、府民医療の中心として位置づけております府立医科大学附属病院におきましては、多くの診療科にわたり、がん対策につきましては総合的な取り組みを行い、全国トップクラスの治療実績を上げるなど、京都府のがん診療の拠点として役割を果たしてきたところであります。しかし、がん診療拠点病院制度は、大学病院などの特定機能病院が今まで対象外とされていましたために、実態とは乖離が生じておりまして、このたび、大学病院の指定が可能となる新たな指針が取りまとめられたところであります。このため、京都府といたしましては、来年度の早い時期に、府立医科大学附属病院を名実ともに府内におけるがん診療の重要な拠点である「都道府県がん診療連携拠点病院」として指定し、その機能の充実を図ってまいりたいと考えております。  それと同時に、2次医療圏ごとの拠点病院の指定を進めまして、拠点病院相互のネットワークを整備することにより、がん診療の水準の向上を図り、府民の皆様に身近なところで質の高いがん医療が提供できるように努めてまいりたいと考えております。  次に、緩和医療に携わります看護師の専門資格取得についてでありますが、日本看護協会におきましては、がん、救急、訪問看護など、17分野で認定看護師制度が設けられているところであります。京都府におきましては、本年1月現在で、合計40名の看護師が認定を受けておりまして、そのうち緩和医療分野は10名となっております。この資格取得のための講習会の受講につきましては、府立医科大学の附属病院は、大学と連携する中で、受講料や認定受験料も含めまして自己負担はございません。その他の病院におきましても、ほとんどが出張扱いになっておりまして、旅費・滞在費を負担するなど、医療機関におきまして受講環境の整備に今努められているところであります。  しかしながら、先ほど数字を申し上げましたように、まだ認定看護師の数は少ない状況にありまして、高度化に対応した質の高い医療サービスを提供していくためには、認定看護師を初めといたします人材育成が重要であります。  京都府といたしましては、今後とも、緩和ケアの拡充やがん対策の一層の充実を目指して、がん細胞診断講習会やがん分野の看護専門研修などの、医療関係団体が取り組む研修等への財政支援や技術的助言、個別医療機関に対して、研修等への積極的派遣や受講環境の整備要請、専門的な医療従事者の配置に対する診療報酬上の評価や財政措置につきましても国に対して要望していく中で、医療関係団体ともさらに連携を図り、専門的な医療スタッフの育成に努めてまいりたいと考えております。  次に、府立医科大学附属病院における緩和ケア病棟の設置についてでありますが、がん診療におきましては、診断と治療、緩和医療は一体のものでありまして、実は私の父親も、最後は末期がんで大変疼痛の中で亡くなったものですから、緩和医療というものは物すごく重要なものであるというふうに考えております。  一方、緩和ケア病棟整備に係りましては、現在、国の助成制度はございませんで、診療報酬上の評価も低いという現状がございますので、まず私どもは国に対しまして、こういう制度上の課題を解決するように要望を行ってきているところであります。  また、こうした中、府立医科大学におきましては、急性期医療を担う病院として、毎年約2,000人のがん入院患者さんに対しまして、先ほど申しました質の高い医療を提供するとともに、平成17年1月に、御指摘の疼痛緩和医療部を設置いたしまして、がんによる痛みなど、患者さんにとりまして本当に耐えがたい症状を和らげるため、診療科を越えて、医師や看護師などのチームが病棟に出向き、患者さんや御家族とともに緩和ケアに取り組んでいるところであります。  現在、医大病院では、府民に対する高度医療の拠点として、より一層府民の健康と安心・安全を提供し、地域に貢献できる病院となるため、中核施設であります外来診療棟の建てかえに総力を結集して取り組んでいるところでありますけれども、緩和ケア病棟につきましては、先ほど申しました制度上の課題に加えまして、患者さんにとりまして最もよい場所とか環境はどうあるべきか、またその中で、現在外来棟の改築に取り組んでおります特定機能病院の府立医科大学附属病院の役割をどう考えるべきかなど、まだ検討すべき課題も多いのが現状でございますので、今後とも、議員御指摘の点を踏まえながら検討を深めてまいりたいと考えております。 73: ◯議長酒井国生君) 松尾忠昌君。    〔松尾忠昌君登壇〕 74: ◯松尾忠昌君 今御答弁をいただきました中小企業金融対策の件でありますが、御要望を申し上げます。  既に、市中の銀行にも御協力いただいて、京都府の中小企業者がお世話になっていると思うのですけれども、もともと京都の銀行、京都銀行しかり、京都信用金庫、京都中央信用金庫、こうした銀行は今、全国に名立たる銀行として成長されました。しかし、この成長の源は何か。これは、やっぱり京都の地場の産業の方々、中小企業の皆さん、そして働く方々の預金を集めていただいて効率的に運用した、その結果が現在の銀行をつくった、私はこのように思います。したがって、ぜひこれからも、京都の中小企業の皆さんを第一に考えていただいて、いろいろな制度融資の面でも前向きに、ぜひ積極的に応援をいただきたい。また、そういう観点から、京都府も指導していただきたい、このように思うわけであります。  さらに、がんの問題でございますが、特に緩和病棟です。知事も前向きに御検討いただいているようでありますけれども、やはり医療関係者、現場の方々が願っているのは、あと残るのはこれだけなんだと。府立医科大学でも、本当にそういう悲願に近い、そういった声をお聞きいたしました。ですから、この病棟ができれば、そこから大いにまたがんの治療について発信ができる、緩和ケア、医療の充実も図れる、このようにおっしゃっておられました。ぜひひとつ、そうした現場の思いをよく体していただいて、今後の御検討をよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  質問の第4は、歯の健康についてであります。  人はだれしも、健康で長生きすることを望みます。我が国は、世界最高と評価されている医療保険制度の確立とともに、生活水準の向上や医療技術の進歩により、平均寿命は世界一の長寿国となりました。しかし、健康で長生きかというと、厳しい現状であると言わざるを得ません。その証拠に、府民が将来の生活で感じる不安の第1位が、病気や寝たきり、認知症など、要介護状態になることを挙げています。これは、自分の家族や身の回りの人に平均寿命と健康寿命にギャップがあり、その現実を感じている結果であると思います。  実際、京都府における65歳以上の高齢者の平均余命と健康余命の差は、男性が約1年半、女性は約2年半となっています。すなわち、男女ともに、それぞれ亡くなる前に平均して1年半なり2年半の間、寝たきり等自立できなくなっているということを示しているのであります。この差をでき得る限り縮めることが、今後の大きな課題であると言えます。  その柱の一つが歯の健康保持であります。  江戸時代に「養生訓」を著した貝原益軒は、「飲食は生命の養いなり」と言いました。「食べる」ことは「生きる」ことの原動力であり、その「食」を支えているのが「歯」であります。したがって、歯は「健康の土台」であり、「生命の土台」であると言えるのであります。昔から、食物を「よくかめ」と言われてきましたが、このかむことには大きな効果があります。幼少期によくかむことで、あごの発育はもちろんのこと、脳を初め、目、鼻、耳などにもよい影響を与えます。
     ある調査によりますと、弥生時代には1回の食事で3,990回かんでいたのが、現代はその約6分の1の620回に減ってしまったということです。よくかまないと、唾液の量が少なくなり、虫歯にもなりやすくなります。逆に、よくかんで食べると、脳を刺激して腹八分目でも満腹感が得られることから、肥満の予防にもなり、また認知症の進行を弱め、脳の老化防止にもなります。  虫歯もそうですが、成人の場合は歯周病対策も重要です。中高年の約8割が該当すると言われる歯周病は、歯のつけ根の歯茎から菌が入り、進行すると歯茎からうみが出たり、歯がぐらつき最後には抜け落ちていくという病気であります。予防するには、歯をよく磨き、歯茎をマッサージし、口の中を清潔に保つことであると言われています。歯周病は、虫歯と違って痛みもなく進行するので「沈黙の病」とも呼ばれており、気がついたときには入れ歯という事態にもなりかねません。  スペインのことわざに、「ダイヤモンドよりも歯の方を千倍も大事にするべきだ」とあります。歯科医師でもある有名なアルゼンチン国立ノルデステ大学のトーレス総長は、来日の際、「歯の健康を保つために一番重要なことは何か」との質問に対し、「それは『教育』である。子供のときから歯の大切さを教えなければならない」と答えました。私も同感であり、そう訴えたいのであります。  以上の点を踏まえ、知事並びに教育長の御所見を伺います。  まず第1に、虫歯予防についてであります。京都府歯科医師会は、従来の歯磨きだけでは予防に限界があり、より効果が期待できる弗化物の応用が今最も適切な方法であるとして推進しています。WHOや日本歯科医学会も、「虫歯予防には弗化物洗口と弗化物配合歯磨き剤の使用が安全で効果的である」と推奨しています。  京都市は、平成17年度から3年間で、全小学校と養護学校に弗化物によるうがいを取り入れることを決めスタートしましたが、京都府下の各市町村における実施状況は、昨年10月現在で、八幡、亀岡、綾部、福知山、舞鶴、京丹後の6市と、美山、園部、京丹波、三和、夜久野、大江の6町で、公立の幼稚園、保育所、小・中学校の1万5,723人となっており、これは公立の幼・保・小・中学校児童数約11万6,000人の14%という状況であります。  府歯科医師会の協力も得ながら、未実施の市町村や学校に理解を求め、計画的に推進していくべきであると思いますが、知事のお考えをお聞かせください。  また、京都府教育委員会として、子供の健康保持の基本とも言うべき歯の健康への取り組みについて、市町村教育委員会とどのような連携をとってきたのか、また弗化物洗口の実施について、どのように対処されるのか、お答えください。  次に、歯周病対策についてでありますが、現在、府民が歯科健診を受診できるのは、1歳半と3歳児、幼稚園児、小学生、中学生、高校生の18歳までで、それ以降の年代では受診の機会が限られます。歯周病は、まさに19歳以上の年代の人にこそ要注意であります。8020財団の調査結果によりますと、抜歯(歯を抜く)の原因の第1位が歯周病で、42%にも上っています。  京都府の「健康長寿日本一」の実現を目指す計画では、歯科疾患対策の推進として、「歯周病は全身疾患、生活習慣病の原因。市町村と連携し、歯周疾患検診を受けやすい環境を整備する」とうたっています。計画の中身はそのとおりであります。しかし、現状は府民の自主性に頼っているにすぎません。歯周病に対する京都府の積極的な取り組みを望むものでありますが、知事の御所見をお聞かせください。  質問の第5は、耐震化対策についてであります。  大規模地震に見舞われた際に被害を最小限に抑えるには、日ごろからの減災への取り組みが必要となります。その中で最も有効な対策が、住宅や建築物の耐震化であります。11年前に発生した阪神・淡路大震災では、犠牲者のうち8割以上が家屋や家具類などの倒壊による圧迫死であり、焼死した人の多くも、住宅などの下敷きとなり逃げ出せなかったと見られています。  阪神大震災以降、多くの自治体が、国の補助制度などを活用して、住宅の耐震診断や耐震改修に支援制度を設けるようになりましたが、いま一つ飛躍的に普及しているとは言えない現状であります。さらに、多くの児童・生徒が生活の場として一日の大半を過ごし、災害時には地域住民の緊急避難場所ともなる学校の耐震化も重要な課題であります。  ここで、京都府における既存住宅の耐震性について、その現状を申し上げますと、住宅全体の戸数約103万戸のうち、約27万戸、26%が耐震性不十分と見られています。このうち木造の戸建て住宅は約54万戸で、そのうち耐震性不十分は、約23万戸の43%となっています。この戸数のうち、およそ半分が京都市内にあります。次に、公立小・中学校施設の耐震改修の状況については、京都府では、昭和56年以前建設の棟数が1,912棟で、全棟数の68.3%を占め、このうち耐震診断が終わったものが、1,339棟の70%となっています。そして、そのうち耐震改修済み及び耐震性ありと確認された棟数が597棟で、耐震化率は53%となっています。  以上の実態を踏まえ、以下お尋ねいたします。  まず第1に、本年1月26日から改正耐震改修促進法が施行されましたが、各都道府県は、国の方針に基づき耐震改修促進計画を策定することとなっています。経過措置はありますが、減災対策の目玉とも言うべき計画であります。一日も早い策定と具体的な施策の推進を求めるものでありますが、この点どのような対応をお考えでしょうか。  第2に、住宅の耐震化推進についてでありますが、京都府における耐震診断及び相談の実績は、宇治市を除いて、平成16年度が58戸、平成17年度が199戸となっています。3万円の費用のうち、診断員の交通費相当分2,000円のみ自己負担という補助制度でありますが、まだまだ理解されていないのではないかと思われます。しかも、耐震改修となると、その工事費用は100万円から150万円必要と言われています。国は、今後10年間で耐震化率を90%にするとの目標を掲げていますが、京都府もそれに倣うと、既存の木造住宅で約17万6,000戸、このうち半分を京都市とすると、京都府としては8万8,000戸の改修等を促進しなければなりません。  現在、京都府には耐震改修のための補助制度はなく、融資制度のみであります。今後、耐震化の推進のためにいかに取り組まれるのか、耐震改修費補助制度の創設も含め、対応策についてお答えください。  第3に、学校施設の耐震化についてであります。  2月2日の参議院予算委員会で公明党委員の質問に対し、北側国土交通大臣は「学校の耐震診断については年内にすべて行い、その結果を公表したい」と答弁しました。  そこで、お尋ねしますが、聞くところによりますと、京都府下において耐震診断が進んでいないところもあるようですが、この点、京都府としてどう対処されるのか、お答えください。  次に、耐震改修ですが、公立小・中学校については、京都市分を含む全体で約1,300棟ほどが耐震工事が必要と見られます。しかし、今日までの改修実績は、平成15年が18校、16年が28校で、事業費がかさむこともあって、なかなか進んでいないのが現状です。特に、京都府北部地域の市町では大変に厳しい状況であると推測しますが、京都府としても、支援策も検討し、後押ししてあげるべきであると思いますが、いかがでしょうか。  第4に、府立学校の耐震化についてであります。  府立学校施設の耐震診断はすべて今年度中に終了しますが、問題は今後の補強工事であります。京都府は、平成7年度より計画的に改修を進めて、今日まで、19校、33棟が完了または着工中であります。この実績から見ますと、必要な予算は1棟当たり約1億5,000万円かかっています。今後、まだ200棟余りが残っていると見通されます。1棟1億円としても200億円以上の予算が必要となりますが、いかなる対応策をお考えでしょうか。  以上、知事並びに教育長の御所見をお聞かせください。 75: ◯議長酒井国生君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 76: ◯知事山田啓二君) 次に、歯科保健対策についてでありますが、まさに歯の健康というのは、本当に体を守る上で大きいと思っておりまして、健康長寿日本一を目指す京都府としましても、虫歯や歯周疾患の予防を柱として取り組みを充実していくことが必要と考えております。  弗化物塗布・洗口につきましては、全国でも数少ない取り組みとしまして、平成7年度から開始をいたしますとともに、独自に作成したマニュアル等の活用や関係者への講習会等により、その推進を図ってまいりました。この事業の利用者は、平成16年度では約1万8,800人で、10年間で10倍にふえておりまして、12歳児の永久歯の虫歯本数も全国に比べてかなりよい状況にはありますが、まだ実施市町村が全体の約6割にとどまっておりますので、これから積極的に市町村に再度働きかけていきたいというふうに考えております。  歯周疾患予防対策の重要性についてでございますけれども、これは早期の段階では自覚症状があらわれにくいということがございますので、まだまだ府民の関心が低い中、また老人保健法によります歯周疾患検診の実施市町村も数少なく、加えて、事業所による歯科健診も制度化されていない状況であります。  このため京都府といたしましては、国に対しまして、事業所における歯科健診、保健指導などの法的整備の確立を要望いたしますとともに、市町村に対する指導体制を強化しまして、また普及・啓発をしていくために、京都8020運動推進協議会を核として、コンテストの実施や講習会の開催などを行ってまいりました。  今後、4月から、介護予防サービスとして新たに口腔ケアを市町村が取り組むこととなっておりますので、京都府といたしましては、市町村と連携いたしまして、これから関係者への指導・助言や研修会の開催など、口腔ケアの円滑な実施を図るとともに、歯の健康の保持・増進策の強化に努めてまいりたいと考えております。  次に、耐震改修促進計画についてでありますが、府の計画策定に当たりましては、全国平均であります75%とほぼ同様にある現在の耐震化率を、国の目標である今後10年間で90%に高めるということ。多数の府民が利用する特定建築物につきましては、関係業界団体と連携をとって取り組むということ。そして、避難路等を閉塞するおそれのある沿道建築物につきましては、市町村と連携いたしまして、地域防災計画との整合性を図りながら取り組むことにしております。平成18年度当初には、計画策定のための協議会を立ち上げ、年度内のできるだけ早い時期に策定することとしておりまして、必要な予算を今議会にお願いしているところでございます。  また、住宅の耐震化の推進につきましては、これも府民の御理解が重要でありますので、耐震診断推進フェアや、小・中学校への出前講座の実施、木造住宅耐震診断士の養成など、こういったものを通じまして耐震意識の向上に努めてまいりました。さらに、平成18年度におきましては、耐震診断助成事業につきましては、取り組む市町村も着実に拡大しておりまして、すべての市町村で取り組めるよう地域要件を撤廃するとともに、マンションの診断制度を創設いたしました。耐震改修の支援制度につきましては、現行融資制度をマンションの共用部分にまで拡充いたしましたし、国における所得税の税額控除、固定資産税の減免制度等の支援施策の活用を誘導するなど、一層の充実を図ることとしております。  今後、耐震改修促進計画策定の中で、国の補助制度と連携いたしました効果的な耐震改修支援・促進施策につきまして、具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。 77: ◯議長酒井国生君) 田原教育長。    〔教育長田原博明君登壇〕 78: ◯教育長田原博明君) 松尾忠昌議員の御質問にお答えいたします。  歯の健康の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、子供の生涯にわたる健康づくりを推進する上で、子供たち自身が自分の歯や口の健康状態を知り、みずから進んで健康づくりができる能力を育成することは、極めて重要なことと考えております。  そのため府教育委員会では、京都府歯科医師会の御協力を得まして、各市町村教育委員会と連携しながら、毎年130校余りの小学校を対象に歯磨き巡回指導を実施するとともに、ポスター、作文コンクールの開催による啓発活動も実施するなど、学校における歯や口の健康づくりを題材とした健康教育活動の充実に努めているところであります。  また、歯質を強化するとされる弗化物洗口につきましては、国のガイドラインなどで、本人や保護者に対して、期待される効果や安全性などを十分説明し、同意を得た上で実施することとされております。このため、毎年開催しております京都府学校保健研究大会などで、弗化物洗口の取り組み事例の紹介や専門家による講演などにより、その効果について認識を深める取り組みを行ってきたところでありますが、今後とも、市町村教育委員会等と連携を図りながら、より一層保護者への周知と理解が進むよう努めてまいりたいと考えております。  次に、市町村における学校の耐震診断についてでありますが、学校の耐震化が、児童・生徒の安全確保のみならず、地域における防災拠点としても大変重要であることから、かねてから早期に診断を完了するように指導を重ねてきたところであります。その結果、今年度初めには、3年前の4倍近くの約70%の実施率になるなど、着実な取り組みが進められておりまして、平成18年度内の完了に向け、なお一層の支援と指導に努めてまいりたいと存じます。  また、小・中学校の耐震改修につきましては、国の助成制度の説明会を開催したり、個別の相談・協議に積極的に応じるなど、計画的な耐震化の支援に努めてきたところでありますが、来年度から、従来の助成制度の一部が市町村によって活用しやすい「交付金制度」に改正される見込みでありまして、この新しい制度の積極的な活用に向け助言してまいりたいと存じます。  さらに、これまで府立学校の耐震化を進める中で蓄積してまいりました技術的なノウハウについて、積極的に情報提供するなど、小・中学校の耐震改修が着実に進められるよう一層努力してまいりたいと考えております。  次に、府立学校の耐震化についてでありますが、今年度中にすべての耐震診断を完了することとしており、今後は「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づく本府全体の耐震改修促進計画の検討状況も踏まえまして、府立学校の耐震化を着実に進めてまいりたいと考えております。  そのため、耐震化が急がれる建物につきましては、おおむね5年を目途に整備・改修したいと考えておりまして、来年度につきましては、耐震化予算の倍増を今議会でお願いしているところでありまして、今後とも、生徒の安全の確保と防災施設としての機能の充実に万全を期してまいりたいと存じます。 79: ◯議長酒井国生君) 松尾忠昌君。    〔松尾忠昌君登壇〕 80: ◯松尾忠昌君 今の御答弁でございますが、やはり要望させていただきます。  歯の健康、弗化物を使ったうがいは、調べてみますと、八幡市を除く京都府の南部の地域、市町村が全然、1校もやっていない。何かの理由があるのかなと思いますが、ぜひ教育委員会として、南部の市町の教育委員会とよく御相談いただいて、ぜひ実施方進めていただきたい、このように要望いたしたいと思います。  質問を締めくくるに当たり、京都府知事選挙について一言申し上げます。  「新しい時代は、新しい人で」との期待を一身に受け、48歳の若さで荒巻前知事からバトンを受け継ぎ、早くも4年を迎えました。私は、4年前の激しかった知事選挙を思い出し、つくづく山田知事を誕生させてよかったなと思います。  それはなぜか。あのとき、共産党を中核とする陣営の主張は、極めて無責任なもので、選挙民を惑わすような政策を述べていました。例えば、当時、全戸配布された陣営の機関紙では、京都市の行政にかかわることを、京都府の知事がかわれば変えられるという主張です。それこそ、地方自治を無視し、京都市長や京都市議会、そして何よりも京都市民に対し、これほど失礼な主張はありません。さらに、霞が関から京都に天下ってたった2年余の官僚に京都はわからないと中傷し、天下り官僚がどうして国に物が言えるのでしょうかと批判していました。  天につばするとはまさにこのことで、京都府と京都市の行政区分さえわからず、選挙民に誤解を与えるような内容の機関紙を訂正することもできなかったような候補者こそ、京都府のことがわかっていなかったということを自分たちの機関紙でばらしてしまったという、何と間の抜けたことをやっていたのであります。  また、山田知事は当選以来、国に対してびしびし注文をつけ、言い過ぎるぐらい物を言ってきました。そして、広く全国に京都府を発信し続けてきたのであります。  これらは、共産陣営の政策や主張がいかにいいかげんであるかのほんの一例にしかすぎません。知事選挙は4月9日が投票日と決まりました。私たち公明党は、信頼ときずなによる新たな京都の創造を進め、生きる喜びが実感できる「人・間中心」の京都をつくるため、総力を挙げて戦い、圧倒的完全勝利で山田知事の再選を果たしてまいる所存です。良識のある府民の皆様の絶大なる御支援を確信いたしまして、以上で私の代表質問を終わります。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手)            ──────────────────── 81: ◯議長酒井国生君) 本日はこの程度にとどめ、明2月10日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時44分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...