京都府議会 1996-06-01
平成8年6月定例会(第5号) 本文
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定例会(第5号) 本文 1996-06-28
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 2 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 3 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 4 :
◯池本準一君
選択 5 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 6 :
◯知事(
荒巻禎一君)
選択 7 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 8 :
◯土木建築部長(
満岡英世君)
選択 9 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 10 :
◯教育長(
安原道夫君)
選択 11 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 12 :
◯山本茂博君
選択 13 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 14 :
◯知事(
荒巻禎一君)
選択 15 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 16 :
◯商工部長(
高見静治君)
選択 17 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 18 :
◯土木建築部長(
満岡英世君)
選択 19 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 20 :
◯教育長(
安原道夫君)
選択 21 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 22 : ◯警察本部長(小林奉文君)
選択 23 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 24 : ◯高橋進君
選択 25 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 26 :
◯知事(
荒巻禎一君)
選択 27 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 28 : ◯農林水産部長(藤原敏之君)
選択 29 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 30 :
◯土木建築部長(
満岡英世君)
選択 31 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 32 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 33 : ◯三双順子君
選択 34 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 35 :
◯知事(
荒巻禎一君)
選択 36 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 37 : ◯総務部長(河野栄君)
選択 38 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 39 : ◯保健福祉部長(道林邦彦君)
選択 40 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 41 :
◯商工部長(
高見静治君)
選択 42 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 43 : ◯警察本部長(小林奉文君)
選択 44 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 45 : ◯三双順子君
選択 46 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 47 : ◯保健福祉部長(道林邦彦君)
選択 48 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 49 : ◯西田昌司君
選択 50 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 51 :
◯知事(
荒巻禎一君)
選択 52 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 53 : ◯総務部長(河野栄君)
選択 54 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 55 : ◯企画環境部長(後藤紳太郎君)
選択 56 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 57 :
◯教育長(
安原道夫君)
選択 58 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 59 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 60 :
◯議長(
小林弘明君)
選択 61 :
◯議長(
小林弘明君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初の
ヒットへ(全 0
ヒット) 1:
◯議長(
小林弘明君) これより本日の会議を開きます。
───────────────────
2:
◯議長(
小林弘明君) 日程に入ります。日程第1、諸報告。
本日までに受理いたしました請願は、お手元に配付の請願
文書表のとおりであります。各請願はそれぞれ所管の委員会に付託いたしましたので、御報告いたします。
(請願
文書表は巻末に掲載)
───────────────────
3:
◯議長(
小林弘明君) 次に日程第2、一般質問を行います。
まず、池本準一君に
発言を許します。池本準一君。
〔池本準一君登壇〕(拍手)
4:
◯池本準一君 公明・新進党議員団の池本準一です。通告をいたしております3点の問題について、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
質問に入ります前に、お許しをいただきまして、一言御礼を申し上げさせていただきます。
去る3月28日、新宇治橋が見事に完成し、開通式が行われました。千有余年の歴史の重みと文化の薫りを継承し、歴史的価値や周辺景観との調和にも特段の配慮がなされた平成の宇治橋は、まさに21世紀への希望あふれるかけ橋であり、後世に誇れる名橋であります。私自身、京都府議会議員に初当選させていただいた昭和62年の10月に宇治橋改築検討委員会が設置され、天下の名橋のかけかえ作業は実質的にスタートし、高欄、擬宝珠、三の間、橋脚、けた隠しなど、宇治橋のシンボル的な特徴を英知を結集して継承し、木橋のイメージを色濃く残した平成の宇治橋のデザインが決定されたのであります。そして平成2年10月の着工以来5年余りにわたる工事期間を経て完成した大事業であり、地元宇治市民はもとより、宇治を愛する多くの人々にとっても大きな喜びであります。今月19日に東京で開催された第8回全国街路事業コンクールにおいて宇治橋は特別賞を受賞したところであり、全国的にも高い評価が得られたことを実証するもので、大変喜ばしい限りであります。大事業を完成させていただきました荒巻知事を初め多くの関係者の皆様に、地元議員の一人として改めて心から感謝とお礼を申し上げ、質問に入らせていただきます。
最初に、府道京都宇治線の交通渋滞対策についてお尋ねいたします。
宇治橋を起点とする府道京都宇治線は、宇治市中心部と京都市伏見区の外環状線を結ぶ東宇治地域唯一の幹線道路であります。新宇治橋の完成に引き続き、宇治橋から京滋バイパスまでの延長 1,288mにつきましては、25m幅員、両側歩道設置、4車線の高規格道路として事業化され、広域幹線アクセス街路事業として工事続行中であり、早期完成が待望されているところであります。交通渋滞が慢性的に発生している京滋バイパス以北についても、六地蔵町並交差点までは16m、町並-外環状線間は25m幅員の都市計画決定がなされてはおりますが、当面事業化は不可能に近い状況であり、歩道整備も交差点改良もなされていない片側1車線道路の現状であります。近年、沿線の戸建て住宅、高層マンション、大小小売店等の建設が相次ぎ、加えて、昭和63年の京滋バイパスの開通に伴い交通量が飛躍的に増加しており、平成2年及び平成7年の交通量調査結果では、24時間当たり約2万台、12時間当たりは1万 5,000台となっております。京滋バイパス開通後は京滋バイパス以南についてはバイパス効果により12時間交通量は約1万台に減少しております。さらに京滋バイパス以北は、JR奈良線、京阪宇治線が近接して並走する区間であり、踏切部及び通常交差点とも右左折だまり皆無の現状では、1台の右左折車両によって数十台の直進車の走行を妨げる状態が頻発しており、渋滞の指標と言われる混雑度の数値以上に交通渋滞が常態化しているのであります。JR奈良線の輸送力増強で列車本数もふえ、踏切遮断の頻度の増加が悪条件となり、特に夕刻時間帯の北行車線は、宇治病院前を先頭に京滋バイパス付近まで府道を車が埋め尽くす状態で、消防車や救急車などの緊急車両ですらも満足に走行できない状況であります。道路改良は未着手のままに沿線の開発やモータリゼーションの進展に歯どめをかけるすべもなく今日の状況に至っており、沿線地域住民の行政の対応おくれに対する不満も日々エスカレートしている状況であります。
この問題は、私を含め地元選出議員が本会議や委員会質問で繰り返し訴えてきたところでありますが、重ねて数点についてお尋ねをいたします。
第1は、府道京都宇治線の京滋バイパス以北の交通渋滞の現状を道路管理者の本府はどのように認識をされているかであります。
第2は、道路の全面改良が不可能な現況において、渋滞発生の最大要因となっている交差点付近に絞り込んだ右左折だまりを設ける局部改良を重点的に実施することが最も現実的な対応策であり、既に調査・検討の段階は終えているものと認識しております。本府として交差点付近局部改良の具体策を地元に示していただき、地元の協力を得て、最大のネックである用地の確保に全力を挙げていただくことが最優先課題であります。六地蔵町並、木幡、宇治病院前、黄檗北、黄檗南、岡本の各交差点改良の進捗状況と完成の見通しをお示しください。
第3は、中長期を展望した対策についてお伺いいたします。具体的には、府道京都宇治線京滋バイパス以北の交通量を分散緩和するため、バイパス・迂回機能を目的とする周辺道路の整備計画の早期事業化であります。黄檗公園須留線は、川東京大線から須留までを区間とする府道京都宇治線のバイパス道路であり、渋滞対策に最も効果を発揮する道路でありますが、その進捗状況と今後の見通しをお伺いいたします。また、宇治川改修にもかかわる宇治川東岸線や外環状線を起点とする六地蔵神足線は、京都宇治線への車両流入を減少させる道路となりますが、事業化や都市計画決定がおくれております。進捗状況と見通しをお示しください。
次に、京都宇治線の迂回路ともなる黄檗停車場線隠元橋のかけかえについてお伺いいたします。
隠元橋は宇治橋と観月橋の中間点付近にかかる橋で、宇治川右岸の木幡・黄檗地域と左岸の向島・槙島地域を結ぶとともに、府道京都宇治線と向島宇治線、国道24号、京滋バイパスなどの幹線道路にもアクセスしやすい交通の要衝となっており、12時間交通量も1万台を超える重要橋梁であります。隠元橋のかけかえは宇治川改修の引き堤工事と重要なかかわりを持つものでありますが、建設省の引き堤工事完了目標は平成13年と仄聞しており、本府も橋梁予備設計に着手されているようであります。本府は隠元橋の下流を通過する計画の六地蔵神足線の宇治川架橋との共用も検討されているようでありますが、六地蔵神足線の都市計画決定は大幅におくれており、隠元橋単独でのかけかえで進む方針が有力となっているようであります。本府は、隠元橋付近の交通渋滞対策も含めて、かけかえの位置、橋梁の幅員等を検討されておりますが、宇治川引き堤工事との関係でその決定のタイムリミットはいつなのか。また、変則交差点の解消も実現させていただきたいと考えておりますが、隠元橋かけかえ事業についての本府の基本方針をお伺いいたします。
次に、21世紀に向けての本府の鉄道網整備方針についてお尋ねいたします。
荒巻知事は、就任以来、極めておくれていた府域の鉄道網の整備に積極的に取り組まれ、JR山陰本線、KTR宮福線の高速化やJR奈良線の当面の輸送力増強等が既に実現をし、JR奈良線の高速化・複線化及び舞鶴線の電化・高速化の早期実現に向けて懸命の御努力をいただいているところであります。
近年のモータリゼーションの進展による自動車交通量の飛躍的増大は大きな経済効果と利便性をもたらした反面で、大都市周辺での慢性的交通渋滞や第2次交通戦争時代とも言われる交通事故死者の増大、さらには地球温暖化や資源の大量消費など、多くの今日的課題の発生要因ともなっており、自動車偏重の交通体系の見直しは重要な課題と認識しているところであります。鉄道は大量性、安全性、定時性、高速性、低公害、省エネルギーなどすぐれた特性を持つ交通機関であり、鉄道網のより一層の整備と鉄道利用人口の増大策の推進は自動車交通に起因する諸問題の解決策であるとともに、今後の総合交通体系の整備の基本方向と考えるのであります。また、超高齢社会となる21世紀の京都府社会は、高齢者、障害者、子供など、すべての人にやさしい福祉のまちづくりと地球環境にやさしい社会、そして4府総でも掲げられている、豊かさが実感できるモビリティーの高いダイナミックな社会とすることが重要な目標と考えます。
人口が集中している京都府南部地域の交通網は、道路、鉄道ともに歴史的な人と物の流れを反映して、南北放射線状の配置となっており、東西方向の整備が極端におくれている現状にあります。道路については、名神、京都縦貫、京滋バイパス、京奈、第2外環、第2京阪、第2名神等の高規格幹線道路のネットワーク化が着々と推進され、近い将来の姿が見える状況となっておりますが、鉄道についても東西方向の整備によるネットワーク化を期待するものであります。待望の京都市都市高速鉄道東西線が明年11月に二条-醍醐間で開通予定であり、事業主体の京都市は醍醐-六地蔵間及び二条-西大路間の延伸計画の促進を来年度政府予算の概算要求の重点要望項目に上げられ、2005年度完成を目指しているところであります。さらに1989年の運輸政策審議会第10号答申では、2005年度までに西大路-洛西間を「計画を進めるべき路線」、洛西-神足間を「計画を検討すべき路線」と位置づけられている現状を踏まえ、21世紀を展望した京都府南部地域の鉄道網整備に関して、数点についてお尋ねをいたします。
第1は、京都市高速鉄道東西線の六地蔵-神足間の接続による環状線化構想の実現性についてであります。4府総の広域的プロジェクトの一つでもあります京都半環状都市ゾーン整備構想の先導的エリアに予定されている洛南新都市を含め、京都市南部と隣接する市町域への鉄道整備は、本構想の実現に向けての重要な都市施設と考えるのであります。京都市域を越える新都市軸への鉄道整備を、本府、京都市、関係市町、JR西日本、関係施設が協調して、第三セクター方式での事業化が望まれるところでありますが、御所見をお伺いいたします。
第2は、東西線延伸計画にかかわる六地蔵駅の設置位置についてであります。既に京都市は宇治市域の3地点で地質調査を開始されており、宇治市も、東西線、JR奈良線、京阪宇治線の各六地蔵駅が一体的に利用できる形態の実現を強く希望されているところであります。本府としても東西線の将来構想や商業集積ゾーンとして整備される六地蔵地域の将来構想の観点からも、東西線六地蔵駅の宇治市域への設置に向けて積極的な支援と協力をいただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
第3は、京都市高速鉄道烏丸線の南伸計画についてであります。さきの運政審第10号答申では、烏丸線の南伸計画は京都市域の洛南新都市エリアまでは「計画を検討すべき路線」と位置づけられておりますが、第2京阪道路敷を活用して、道路交通の要衝でありながら鉄道空白地域となっている久御山町以南への延伸を府市協調事業として検討いただきたいと考えるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
これらの課題を含めて新たな都市軸となる京都半環状都市整備ゾーンを中心に、21世紀を展望した人と地球にやさしい府南部地域の鉄道網整備の方向について、次の運輸政策審議会に向けて夢とロマンあふれるグランドデザインをあらゆる機会をとらえて検討していただきたいと考えるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
最後に、単位制高校を中心に、教育問題について質問をいたします。
昭和40年代以降「教育の荒廃」と言われる状況を生み出し、近年には偏差値教育の弊害や受験戦争の問題に加え、いじめ、不登校、高校中退などの深刻な問題が噴出しており、教育分野の大改革が必要との認識が社会全体で共通のものとなりつつあります。
6月18日に発表された第15期中教審の審議のまとめによりますと、21世紀に向けた今後の教育目標として「生きる力」の育成と「ゆとり」の重視の2つを掲げ、実現方策として学校週5日制の完全実施を提言し、文部大臣も2001年実施を目標とすることを表明されたところであります。知識偏重教育を改め、新たな教育目標を達成するためには、大学や企業を含めた社会全体の意識変革が必要不可欠であり、教育分野のみで教育改革を実現することは不可能であります。新たな教育目標と教育現場の実態にはなお大きな乖離が感じられる中で、教育改革の最優先課題の一つは中等教育の制度改革と考えるのであります。高校進学率が 100%に近い今日の状況にもかかわらず、中学校と高等学校に分割されている中等教育にかかわる制度を高校受験の廃止を含めて中高一貫教育の実現に向けて思い切った改革を実施することが第一歩とも思うのであります。
本府教育委員会は、昭和60年度の新高校教育制度導入以来今日まで、中学校における進路指導の充実とともに、特色ある学校づくりに取り組みつつ、高校教育においては職業学科の大改編、普通科I類、II類における多様なコースの設置、専門学科京都こすもす科の新設などに続き、平成9年度から単位制導入を発表されたところであり、高校教育活性化に向けての意欲的な取り組みを高く評価するものであります。
単位制は、学年制に比較して履修形態の弾力化と学習計画を生徒自身が作成できることが最大の特徴であり、多様な生徒に対応しつつ、個性伸長教育の充実という時代の要請にこたえる制度であり、我が党議員団も早期導入を求めてきたところであり、その成果を大いに期待するものであります。そこで、単位制の導入に際して、数点についてお尋ねをいたします。
第1は、単位制導入の形態と今後の普及拡大方針についてであります。本府の単位制は、全日制の西宇治高校、定時制の桃山高校、定時制・通信制の朱雀高校の3校で、学校単位の導入と決定されました。学年制と単位制を同一校で併存させる方式ではなく、学校単位とされた理由をお示しください。単位制は来年度をスタートとしてさらに普及拡大すべき制度と考えておりますが、学校単位を原則とすることは今後の普及拡大をやりにくくする要因にならないかと懸念するものでありますが、今後の展開方針をお尋ねいたします。
第2は、単位制高校の入学及び在籍定員と在学年数についてお伺いいたします。現在の中学3年生の単位制高校入学希望者の最大関心事と思われる学校別入学定員と選抜方法及び
選択科目のメニュー等について、発表時期を含めて、お答えできる範囲でお示しをください。現行学年制での在学最長年数は全日制は5年、定時制8年、通信制は無制限となっておりますが、単位制高校では卒業に必要な80単位以上を修得するまでの在学年数についてどのような考え方かをお示しください。
第3は、単位制高校の教職員配置と学校施設の対応についてであります。単位制高校では、
選択科目の比重が高いため少人数講座や専門コースの実習などへの対応が必要でありますが、学年制との比較で対処方針の違う点をお示しください。
第4は、単位制で懸念される問題と学年制に及ぼす影響等についてであります。単位制はもろ刃の剣とも言われるように、大学受験向けの科目に偏って
選択することも可能な制度であり、学年制の普通科II類以上の学力伸長コースをつくり出すことも考えられます。本府の高校教育制度の根幹である学年制普通科の類・類型制度に単位制のメリットを導入する見直しも検討すべきと考えますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
第5は、高校中退対策などへの単位制高校の活用についてであります。本府が導入する単位制は、全日制、定時制、通信制の学校間連携も行うとされておりますが、さらに弾力的な運用により、中退者の修得単位を持ち込める形で単位制への再入学などの活用方策も工夫できないかと考えるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
最後に、待望の新しい制度である単位制高校が、生徒や保護者の期待にこたえ所期の目的を達成されますよう、そして明年のスタートに向けて万全の準備をいただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
5:
◯議長(
小林弘明君)
荒巻禎一知事。
〔知事
荒巻禎一君登壇〕
6:
◯知事(
荒巻禎一君) 池本準一議員の御質問にお答え申し上げます。
鉄道線整備についてでありますが、議員も御承知のとおり、京都府域のJR鉄道線の電化率を見ますと、昭和53年時点では、全国平均37%に対し京都府では7%と大変おくれておりましたけれども、現在では、全国平均55%に対し京都府では80%ということで、大きく充実されてきたところでございます。今後ともJR奈良線や舞鶴線などの輸送力増強や電化・高速化等の整備にあらゆる力を総合して積極的に進めまして、府民の利便性の向上と地域の活性化を推進してまいりたいと考えているところでございます。
現在、京都市及び京都高速鉄道株式会社では、平成9年11月の開業に向けまして地下鉄東西線二条-醍醐間の工事を鋭意進められておりますけれども、その完成に引き続く東西線の延伸と六地蔵駅の実現が課題であると存じております。JR奈良線等と一体となった輸送体系が確立され、府市民の利便性が大きく向上できるよう願っておりますが、現在京都市において採算性などを中心に検討がなされていると聞いております。
また、京都府南部地域の鉄道整備、中でも地下鉄東西線の環状化構想や烏丸線の洛南新都市以南への延伸につきましては、平成5年3月に京都市が策定されました新京都市基本計画において検討していくこととされておりまして、将来的には運輸省の地方交通審議会や運輸政策審議会等に提起されるべき課題であろうと存じているところでございます。
いずれにいたしましても、鉄道整備には莫大な資金と長い期間を要しまして、国の財政支援策や投資採算性など、大変課題の多い事情がございますが、地下鉄建設の進捗や地域整備の進展などとあわせまして、長期的検討課題として勉強してまいりたいと存じております。
一般的に交通輸送手段には、その輸送距離によりましてそれぞれ長所、短所がございまして、輸送特性と申しますか、例えば人や物につきまして 100kmからちょっと 200km近くまでは自動車が一番使いやすい。そして 300kmから 500kmぐらいまでは鉄道が一番使いやすいのじゃなかろうか。そして 500kmを超えるような長距離になりますと、やはり航空機が一番使いやすいと、このようなことがございますけれども、これは一般的な線の上での話でございまして、面的に人口が大変大規模に集積しておりますところは、今度は違った意味で地下鉄、電車、あるいは環境面を考慮した意味での鉄道、いわゆる電車、これが非常にいい乗り物になる、このようなこともあるわけでございます。行政当局としては、現実性に基づきました堅実性は保ちながらも、先ほどおっしゃいました常に夢とロマンを保ちながら今後とも努力をしてまいりたいと存じております。
7:
◯議長(
小林弘明君) 土木建築部長
満岡英世君。
〔土木建築部長
満岡英世君登壇〕
8:
◯土木建築部長(
満岡英世君) 京都宇治線についてでありますが、京滋バイパス以北の渋滞解消については重要な課題と認識しており、従来から主要交差点の改良や公安委員会による信号運用改善など、渋滞解消に向けた事業を進めているところであります。既に六地蔵町並交差点の改良については概成し、現在宇治病院前交差点の用地買収に取り組んでおり、他の交差点についても今後関係機関と連携し、検討してまいりたいと考えております。
次に、黄檗公園須留線については、現在宇治市において事業化の検討が行われているところであり、京都府といたしましても早期に事業化が図られるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
また、宇治川東岸線の整備につきましては、宇治市の考え方を聞いてまいりたいと存じます。
さらに、六地蔵から神足間の道路計画については、京都南部地域の東西を連絡する幹線道路として、現在、京都市及び宇治市において協議検討されているところであり、京都府といたしましても早期に計画がまとまるよう十分連携して進めてまいりたいと考えております。
次に、隠元橋につきましては、宇治川河川改修事業と整合を図りかけかえを行うこととし、現在、河川管理者と計画協議を進めているところであり、変則交差点の解消など、円滑な交通が確保できるよう計画してまいりたいと考えております。
9:
◯議長(
小林弘明君) 教育長
安原道夫君。
〔教育長
安原道夫君登壇〕
10:
◯教育長(
安原道夫君) 池本準一議員の御質問にお答えをいたします。
単位制高校についてでありますが、単位制は従来の学年制にはない柔軟な教育システムとして生徒や保護者の方々から期待されており、現在、万全の準備を進めているところでございます。西宇治高校全日制、桃山高校定時制、朱雀高校定時制・通信制への単位制の導入につきましては、そのメリットであります多くの
選択科目の学習を可能にすることや、学校間連携により他校の特色ある科目を受講できるようにするため、全面転換としたところであります。また、今後の単位制の導入につきましては、今回の成果を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
単位制高校の募集定員や
選択科目などにつきましては、近日中に公表いたすことにいたしておるところでございます。また、生徒の在学できる最長期間につきましては、現在の学年制の例を基本にしながら検討しているところでございます。
次に、施設及び教職員配置についてでありますが、少人数講座の教室、福祉関連科目の実習室、さらに個別指導を行う教育相談室などを整備するとともに、実習を含む幅広い
選択科目に必要な教職員を配置することといたしております。
次に、単位制における
選択科目の履修についてでありますが、各教科・科目や特別活動をバランスよく履修した上で、興味、関心、進路希望などに応じ
選択科目を履修することとなっております。また、学年制と単位制についてはおのずと教育システムが異なりますが、学年制の普通科につきましても、平成7年度から第I類にコース制を導入するなどして、生徒が個性や進路などに応じてさらに幅広い
選択ができるよう対応しているところでございます。
最後に、中途退学者の受け入れについてでございますが、過去に修得した教科・科目の単位が生かせることが単位制のメリットでありますので、その方向で検討しているところでございます。
11:
◯議長(
小林弘明君) 次に、山本茂博君に
発言を許します。山本茂博君。
〔山本茂博君登壇〕(拍手)
12:
◯山本茂博君 自由民主党の山本茂博でございます。私はさきに通告いたしました数点の事項について、知事並びに関係理事者に質問させていただきます。
まず初めに、和風迎賓館についてお尋ねをいたします。
京都御苑内に建設される和風迎賓館の基本設計費が認められ、実現に向けて進み始めたことは喜ばしい限りであります。しかるべき事前調査を入念に行った上で、平成の名建築とたたえられるような立派な施設を完成して、京都のステータスを確立しなければなりません。
そもそも今回の和風迎賓館は、千年の古都であり数多くの文化遺産を有する京都に建設することに意義があります。さらに、京都御苑に建設されてこそその価値は一層重みと輝きを増すのであります。ただ、残念なことに、特定の政党や政治団体に扇動された一部の人々がエキセントリックな反対論を振りかざし、多くの市民の期待に水を差しています。しかし、この反対派の言い分を分析してみますと、基本的な認識に誤りのあることがわかります。
まず、御苑の緑を減少させ自然を破壊するとの主張であります。京都御苑は、現在でこそ国民公園として市民の憩いの場となっておりますが、その樹木の大半は明治以降に整備されたものであって、決して原生林ではありません。事実、明治維新まで建設予定地は公家の屋敷が立ち並ぶ住宅街であったのです。また、迎賓館は御苑の周辺環境がすぐれているからこそここに用地を求めたのであって、環境を破壊するとの主張は実にナンセンスな論理であります。
次に、貴重な動植物の生態系を破壊するとの主張であります。反対派の取り上げるオオタカは、えさをとるために周辺の三山から飛来するのであって、御苑内で巣をつくり繁殖しているわけではありません。また、タシロランは迎賓館の予定地以外で生育しており、建設が直接的に影響を及ぼす可能性は少ないとされています。反対運動の小道具に使われ希少植物だと騒がれたばかりに、あわれなタシロランはかえって盗掘の危機にさらされているではありませんか。
次に、旧閑院宮邸を保存せよとの主張であります。反対派が旧閑院宮邸を貴重な文化遺産と言い張るならば、グラウンドの移転を中止して、御苑の外に十分な広さを持った用地を求め、そこにグラウンドを新設すれば懸案は解決できます。苦心して善後策を提示しても、新たな難題を吹っかけるのは、はなから迎賓館を認める気がないことを露呈しています。これでは話になりません。
次に、要人の警備のために周辺住民に迷惑がかかるとの主張であります。世界各国からひっきりなしに要人が京都を訪れるわけではありません。むしろ我が国の伝統文化を集大成する格調高い施設が新築されることで、周辺の環境が現在よりよくなるのは確実です。常識外れの難癖だと言っても差し支えありません。
最後に、不要不急の施設だとの主張であります。昨今、修学旅行生を初めとして、京都を訪れる観光客が減少しつつあります。これは、従来のような神社仏閣や日本庭園を拝観する観光スタイルだけでは、全国の人々の京都に対する期待を支え切れないことを意味しています。だからこそ、京都のイメージアップにつながるプロジェクトは積極的に推進すべきなのであります。
現在の京都では、新しい計画が発表されると必ずといってよいほど一部の市民から反対の声が上がります。そして、まち壊しだとわめくのであります。その上、反対派は巧みにマスコミを利用し、少数意見を、さも大多数の市民の声であるかのように装っています。しかし、建設に賛同する15万人の署名者を初め、サイレントマジョリティーはもっと冷静に和風迎賓館を受けとめているのです。いや、その建設を心待ちにしている人々も少なくありません。
例えば今回の迎賓館建設に対しては、和風建築の伝統技術をしっかり継承している京都の建築職人さんたちは、その確かな技術を後世に伝える絶好の場として大いに注目しています。実際、社寺建築から数寄屋建築に至るまで和風建築を手がける京都の職人の技術水準は全国屈指であり、京都ならば、大工のみならず屋根葺き・左官・錺り板金・表具・指物から造園などの外構工事まで、すべての専門職種の第一級の技能者を地元だけでそろえることが可能なのです。また、建築資材についても、地場産業の定着している京都では、北山丸太・ジュラク土・鞍馬石などの特産品、綴れ織・草木染・黒谷和紙などの装飾品がずらりと控えており、ほとんどの材料が地元で調達できます。和風建築を支える諸条件にこれほど恵まれた地域は、まず京都以外にはあり得ません。だからこそ、京都なのであります。
したがって、和風迎賓館の建設に当たっては、京都の技術者、技能者がその卓越した伝統的技術を総結集して後世に誇る現代の和風建築を目指すべきだと考えますが、いかがでありましょうか。さらに、反対派の空虚な論争に惑わされることなく、着実に計画を推進しなければなりません。この際、和風迎賓館にかける荒巻知事の確かな御決意のほどをお伺いしたいと存じます。
2番目に、大型店の進出についてお尋ねをいたします。
昨年来、京都市内を中心とする府下の各地で、相次いで大型店の進出計画が発表されました。大店法の改正により、大型店の建設そのものを否定することはできませんが、進出計画は地域社会を破壊しないものであることが絶対条件でありましょう。進出予定地には例外なく既存の商店街があります。出店する側は消費者の利益につながると主張しますが、それはあくまで商業活動上の利便性を論じたものにすぎません。現在、京都市の中心部では高齢化とともに居住者の減少による空洞化が進んでおり、地域社会の健全な活動に支障を来し始めております。そうした状況のもとで、既存の商店街は地域社会に溶け込み、その発展に寄与してまいりました。すなわち中小の商店経営者は営利を追求する事業者のみならず、自治会や各種の団体役員を引き受けて、地域社会を支える担い手としてその責任を果たしてきたのです。
昨年の大震災において、私たちは健全な地域社会の構築が都市災害対策に不可欠であることを学びました。阪神・淡路大震災は、たまたま早朝に発生したためほとんどの家庭では家族全員が在宅していましたが、これが日中であったなら状況は一変します。一家の働き手は会社や職場に出かけて不在となり、家庭にはお年寄りや子供たちが残されます。となれば、地域社会に組織されている自主防災会が、ほとんど機能しないことは明白なのであります。ここで忘れてならないのは、中小の商工自営者は自宅を職場としており、昼間でも在宅しているという点です。一たん事あるときには、恐らく彼らは住民の避難行動や被災者の救助活動に対して献身的な働きをするに違いありません。しかし、大型店の進出を無感覚に容認すれば、既存の商店街の存立を脅かし、やがては転廃業に追い込んでしまいます。そのときになって高齢化の進んだ昼間の地域社会を一体だれが支えるのでありましょうか。現に、震災で大きな被害を受けた神戸市の長田区では、住民が地域を離れたことから大型店は商売にならないと判断してさっさと店じまいをしてしまいました。ところが、13万人を数えた区の人口がいまだに9万人にしか回復していないのに、中小の商店主の8割は地域に戻って営業を再開しています。この現実からして、彼らの商業活動が単に営利だけでなく地域社会に根差したものであることを、私たちは謙虚に受けとめなければなりません。
昨年来、右京区内の太秦安井と西京極地域に相次いで大型店の出店計画が発表され、地元の商店街では存亡にかかわる大問題だとして、本府に対して請願や要望書を提出して行政指導の強化を求めてこられました。商店街の人々は大店法を踏まえつつ地元商店街と共存する道を模索しておられるわけですが、大型店側は大店法をクリアすれば一件落着と判断している節があり、地元への配慮が全く感じられません。このような不誠実な態度では、地域社会にプラス効果をもたらすとはとても思えないのであります。
荒巻知事は、事あるごとに安心・安全のまちづくりを積極的に推進するとの意欲を表明されています。私は、大型店の進出を単に商業活動の面から論議するのではなく、地域社会にとって有益か否かの視点に立って考えるべきではないかと思います。御所見をお伺いいたします。
3番目に、いじめ問題とテレビについてお尋ねをいたします。
いじめ問題はますます深刻の度合いを深めておりますが、一部の政党や団体は、いじめの原因を学校教育に求め、35人学級の実現を要求しています。しかし、いじめは我が国の社会教育のひずみに原因があり、仮に35人を30人にしたところで根本的な解決を望めるものではありません。数年後の実施に向けて、完全学校週5日制が検討されています。現在でも、子供たちが学校にいる時間は1日の3分の1にすぎません。残る3分の2は家庭や地域社会で過ごしているのですが、将来はさらにそのウエートが大きくなります。したがって、家庭教育・社会教育を充実させなければ、いじめの根絶は不可能なのであります。
私は、いじめの原因を生む諸悪の筆頭に、低俗なテレビ番組の存在を指摘したいと思います。TBS問題でもわかるように、現代社会においてテレビというマスメディアの影響力は、私たちの考えている以上に絶大です。一たび悪用すれば、人間の命すら奪ってしまうほどの恐ろしさをも秘めているのです。TBSは特別番組で国民に対して謝罪しました。しかし許せないのは、TBSと五十歩百歩の他の局がこれをまるで他人ごとのように報道していることであります。今日、テレビ局の命運を握るのは視聴率であり、視聴率こそがテレビを支えています。ですから、どんなに非難されようとも、一定の視聴率を獲得さえしていれば低俗番組がまかり通るのです。通常、番組視聴率は30%をクリアすれば大成功と言われています。つまり、10人のうち7人が嫌悪感を抱いても、残る3人が確実に視聴してくれたなら、いかに低俗で反社会的なものであっても例外なく番組は継続されるのです。
現在、テレビ局で幅をきかせているのは、品位のないタレントの出演するバラエティー番組であり、お年寄りや障害のある人々を笑い物にしたり、心身に苦痛を伴うようなことを強要して番組のネタにしています。例えば日曜の午後に放映されているある番組では、熱湯を張った湯舟に出演者をつからせ、つかった時間だけ自己PRをさせるという企画を続けています。出演者はPRの時間が欲しいばかりに、煮えたぎった湯舟に入らざるを得ないのですが、人間が苦しむ姿を眺めて、スタッフやスタジオの観客はゲラゲラと笑い転げるわけであります。これすなわち人の弱みにつけ込んだ悪質ないじめではありませんか。このような番組を毎週継続して視聴している子供たちに、他人を思いやる優しさや人間の苦しみを理解する心がはぐくまれるでありましょうか。いじめの現場に遭遇しても、見て見ぬふりをする非情さを生み出す土壌がこのあたりにあるのです。
ビジュアルの効果は大きく、確実に人間の精神構造を変えてしまいます。いわゆるマインドコントロールであります。教育現場で教師が懸命に人権教育に努力しても、教師の手を離れたところでとんでもない光景を何度も見せられては、子供たちの心理に悪影響を及ぼすのは当然でありましょう。しかも悪いことに、こうした番組に出演しているタレントが年間数億円という高額所得者である点です。人をからかい、辱めている不逞のやからが、まじめに働いている人々の生涯所得以上の大金を1年間で稼いでしまう。この事実を子供たちが知っている限り、まともな社会教育などできるわけがないのであります。私は、このような現状を黙認し、改善姿勢を示さないテレビ局や番組を提供するスポンサーに対して、反社会性を批判する世論を喚起し、徹底的に追及すべきだと思います。教育長の個人的な見解でも結構ですから、教育関係者の一人として御意見をお聞かせください。
4番目に、警察に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
私は、昨年の9月
定例会で、地域の防犯体制を強化するために空き交番の解消を訴えました。今年度、わずかながら警察官の増員が認められましたが、抜本的な解決策とはなり得ません。となれば、退職した府警のOBを再雇用して不足分を補うのも一策でありましょう。現に、府警では一部の交番に交番相談員としてOBを配置され、大変好評であると聞いております。交番相談員の現状と今後の計画についてお伺いをいたします。
次に、性犯罪事件の担当者の件についてお尋ねいたします。昨年の8月の鴨川納涼におけるアンケート調査では、実に7割以上の女性が痴漢の被害を受けたと回答しております。ところが、実際には被害届が出されていないのです。これが、性犯罪となると被害届はもっと出しづらくなります。なぜなら、男性の担当者から事件の一部始終を調書に取られることは、若い女性には耐えがたい苦痛であるからです。今回、府警では担当者に女性を登用されるとのことですが、どのようなシステムであるのか、具体的に御説明ください。
次に、ピンクビラについてお尋ねいたします。京都市内を中心として電話ボックスにデートクラブなどのピンクビラが大量に張られ、環境を著しく害しています。さらに最近では、マンションなどの郵便ポストにデートクラブやいかがわしいビデオのチラシ、ビラが投げ込まれております。このようなビラを見て青少年が遊び心で安易に勧誘に応じるおそれがあり、健全育成上無視できない問題です。府警では、今後どのようにピンクビラの取り締まりをされるのか。また今後、どのようにして蔓延防止を図られるのか。以上、本部長にお尋ねをいたします。
最後に、賃貸住宅の契約についてお尋ねをいたします。
このところ、賃貸物件の契約の解除をめぐって、トラブルが多発しております。契約期間が終わって明け渡しとなった際、クロスやふすまなどの傷み、汚れを口実にして修繕費を敷金から差し引くというもので、中には仲介業者以外に管理会社が介在して、いろいろな名目をつけては敷金のほとんどすべてを巻き上げてしまう悪質な事例すら報告されています。学生の多い京都では学生を対象とした賃貸物件が少なくありませんが、特に契約に無知な学生を食い物にして、敷金を返さない事例が目につきます。先日の京都府開庁記念式典では、名誉友好大使が紹介されました。そして、友好大使任命の目的は、本府についての理解と友情を深め、帰国後は親京都派として本府と母国のかけ橋となっていただくためとのことでありました。要するに、次の時代を担う若い人々に京都のよさをPRしてもらうことがねらいなのであります。となれば、全国各地から京都にやってきた学生さんも同じことであります。彼らが学生時代を過ごした京都によい印象を抱いて帰国すれば、格好のPR媒体となります。ところが、その学生を食い物にする者がいて、彼らから詐欺まがいの行為で金員を巻き上げたとしたら、京都のイメージがダウンするのは明らかです。しかるべき対策を立てて、今すぐにでも悪徳業者を駆逐しなければなりません。関連業界に対して本府は、契約書式の是正や修繕に要した費用の領収書の添付を義務づけるなどの指導を速やかに行うべきであると考えますが、いかがでありましょうか。御所見をお伺いいたします。
以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
13:
◯議長(
小林弘明君) 荒巻知事。
〔知事
荒巻禎一君登壇〕
14:
◯知事(
荒巻禎一君) 山本茂博議員の御質問にお答え申し上げます。
京都迎賓館についてでありますが、ただいま議員が明快に御意見をいただきましたように、京都に蓄積された伝統的な産業・技術や文化などを「しつらえ」や「もてなし」に十分活用して、平成を代表する和風建築物とすることにより、世界の方々に京都が代表する日本文化の粋に直接触れていただき、歴史と伝統にはぐくまれた我が国の真の国民性を理解していただこうとするものでございまして、21世紀における我が国の国際交流、国際貢献に京都が大きな役割を果たそうとするものでございます。本年3月に国において取りまとめられました「京都和風迎賓館建設基本計画(骨子)」では、施設の延べ床面積を1万m2とし、隣接する京都御所などの歴史的建造物や御苑の景観との調和、自然環境に対する留意、国民公園としての役割への配慮はもとより、木材のよさを生かした内装に努めるとともに、建築と庭園との一体的融合を図り、伝統的技術や技能の活用に配慮するとされております。また、調度・備品につきましても、この迎賓館が京都という奥行きの深い伝統文化を有する地域に建設されることを留意いたしまして、品格と高い質を持つよう配慮するとされております。議員御指摘のように、迎賓館建設を京都の活性化の好機と位置づけまして、京都の産業やすぐれた職人さんの技術を十分に生かした、後世に残る立派な施設ができますよう、今後とも地元市、経済界や関係団体の御協力もいただきながら、国に強く要望してまいりたいと存じます。
来年度の政府予算に対する京都府の重点要望事項の中にも当然これを入れておりますけれども、今年は特に京都の有する伝統技術、技能、それから主な伝統工芸品の
一覧表をつけておりますが、それを見られる方は一様に、京都にはこんなにたくさんすばらしいものがあるのかということを今さらのように認識をしていただいておりまして、こういう形の中でも京都の存在をアピールしてまいりたいと存じております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
15:
◯議長(
小林弘明君) 商工部長
高見静治君。
〔商工部長
高見静治君登壇〕
16:
◯商工部長(
高見静治君) 大型店の進出についてでありますが、議員御指摘のとおり、高齢化社会を迎え、安全で安心できる地域社会をつくる上で、商店街の果たす役割は極めて大きいものと考えております。そのため、大型店の出店に当たりましては、いわゆる大店法に基づく調整4項目、店舗面積・開店日・閉店時刻・年間休業日数以外に、京都府といたしましては地域の実情を反映した調整が図られますように、地元市町村や商工会議所等とも協議しつつ、国に対しましても強く要請しているところであります。住民生活に密接に関連する問題につきましては、庁内に連絡会議を設置いたしますとともに、出店者に対しましても必要な要請を行っているところであります。
また、家庭的な雰囲気やきめ細かなサービス、個性的な店舗など、大型店にはない魅力を持った商店街をつくることが重要であると考えております。このため、商店街が自主的に取り組まれる事業に対しましては、京都府独自の補助制度や国の助成制度を有効に活用いたしまして、魅力ある商店街づくりに努めているところであります。
今後とも商店街の活性化に向けて積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
17:
◯議長(
小林弘明君) 土木建築部長
満岡英世君。
〔土木建築部長
満岡英世君登壇〕
18:
◯土木建築部長(
満岡英世君) 賃貸住宅の契約にかかわりまして、特に敷金からの修繕費の控除方法などについて当事者間のトラブルが多いことも事実であります。このため、建設省では賃貸契約の標準契約書を定め、通常の使用に伴う損耗は貸し主の負担とするよう指導されているところであります。京都府におきましても、建設省による不動産業関係団体に対する指導にあわせて、府の各相談窓口や市町村を通じてこの標準契約書の使用について普及啓発を行ったところであります。
また、宅地建物取引業法の改正により、平成8年4月1日から宅地建物取引業者は賃貸物件について退去時の修繕義務の範囲を事前に入居者に説明することが義務づけられたところであります。しかしながら、今なお議員御指摘の現状もあり、今後とも引き続き法改正の趣旨内容の周知徹底を図るとともに、標準契約書の普及について業界を指導してまいりたいと存じます。
19:
◯議長(
小林弘明君) 教育長
安原道夫君。
〔教育長
安原道夫君登壇〕
20:
◯教育長(
安原道夫君) 山本茂博議員の御質問にお答えをいたします。
いじめ問題とマスメディアについてでございますが、学識経験者やジャーナリスト、学校、PTA、行政関係者など幅広いメンバーで構成される国のいじめ対策緊急会議の報告において、情報化社会の進展の中でマスメディアが子供の成長、発達に与える影響は極めて大きいものがあるが、その内容が子供の豊かな人間性の涵養の観点から不適切なものとならないよう、関係者の理解と協力をお願いしたいとされているところであります。府教育委員会といたしましても、子供たちが豊かな心やたくましく生きる力を身につけるために、その内容が不適切なものとならないよう、マスメディアが取り組まれることを期待するところでございます。
21:
◯議長(
小林弘明君) 警察本部長小林奉文君。
〔警察本部長小林奉文君登壇〕
22: ◯警察本部長(小林奉文君) 山本茂博議員の御質問にお答え申し上げます。
交番相談員についてでありますが、現在12警察署12交番に配置し、困り事相談等の各種相談への対応、事件・事故の取り次ぎや被害者に対する助言、指導等を行っているところであります。交番相談員は経験豊富で警察業務に精通している警察官OBであることから、地域住民の皆さんから大変御好評をいただいているところであります。今後とも関係部局の御理解を得ながら、計画的に配置するように努めてまいりたいと考えております。
次に、被害者対策についてでありますが、犯罪の被害者は犯罪による直接的な被害だけでなく、その結果として精神的、経済的な被害など多くの被害を受けており、中でも性犯罪の被害者の方々は極めて大きな精神的被害を受けておりますことから、その心情に配意し、被害者からの事情聴取を適切に行い、精神的負担の軽減を図るなど、そのような措置を講ずることが必要ではないかと考えております。そういった観点から被害者対策を推進しているところでありますが、当面、性犯罪の被害者に対する具体的な対策といたしまして、6月21日、被害女性からの事情聴取を行う婦人警察官35名を女性犯罪被害捜査員として指定したところであります。
また、7月1日には鉄道警察隊の京都駅南警備詰所及び私鉄沿線等の6交番に性犯罪被害等の相談を受ける「レディース相談所」等を開設するとともに、性犯罪に関する相談専用電話「レディース 110番」を開設することとしております。今後とも犯罪等の被害者に対しましては敬意と同情を持って接し、その尊厳を傷つけない対応を行うことを基本に、全警察職員に対する指導教養を徹底し、被害者が安心して相談できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
最後に、ピンクビラ等についてでありますが、御指摘のピンクビラ、チラシ等につきましては、公衆電話ボックスへの貼付や繁華街での頒布に加え、一般民家等への投げ込みがなされており、青少年の健全育成に少なからず影響を及ぼしているものと認識しており、売春防止法、屋外広告物条例等の関係法令を積極的に適用して取り締まりを行っているところでございます。
また、この種事案の蔓延防止を図るため、防犯推進員、少年補導委員等関係機関・団体と連携した街頭パトロール等によりビラ等の排除活動を推進しているところであります。今後とも強力な取り締まりを実施するとともに、関係機関・団体と連携して、この種ビラの排除活動等を推進してまいりたいと考えております。
23:
◯議長(
小林弘明君) 進行いたします。
次に、高橋進君に
発言を許します。高橋進君。
〔高橋進君登壇〕(拍手)
24: ◯高橋進君 日本共産党の高橋進でございます。通告をしております本府の松くい虫対策、京(みやこ)の川づくり事業について、提案を含めて質問をいたします。
白砂青松の天橋立で松くい虫防除をされている風景が、今月18日、NHKニュースで報じられ、観光客の方々から生き生きした松の緑に感嘆の声が上がっていました。また、古来日本の山は松の緑が基調であり、多くの山水名画にも松が描かれ、日本人の最も愛してきたのが松ではなかったでしょうか。ところが一方、京都の山はどうでしょうか。国際観光都市京都を取り囲む三山も、また天下に名高い丹波マツタケの産地でも、松くい虫の被害は依然として猛威を振るい、山が赤く見えるほどに松枯れが広がっています。加えて、排気ガス汚染による酸性霧の影響と思われる集中的な松枯れも各地で見受けられる状態であります。その上に、国において実施をされてまいりました松くい虫防除特別措置法も今年限りで廃止されようとしている今日、山紫水明の日本の山が危ないと考えるのは私一人ではありますまい。
限りある化石燃料に依存した生活が定着をし、薪の需要が減少し、もうけ本位に世界の樹林を切り尽くして輸入される建設外材やパルプ材などによって、日本古来の豊かな森林資源はその犠牲となってきたのではないでしょうか。だからこそ、松山のみならず、戦後の林野行政の中心であった杉、ヒノキなどの植林地でさえ、かれこれ40~50年を経過してようやく用材としての価値が出始めてきたのに、山林経営では採算割れを来し、過疎や高齢化と相まって放置される山林がふえ続けているのであります。
国による特別措置法の廃止を目前にして、今回私は、京都にとって重要な松、すなわち特用林産物のマツタケ山及び観光資源の位置づけや公共性の高い松林保全について、この際、その保全と再起の道を見出す努力をしていただき、歴史に残る京都の緑の山を再生させ、丹波マツタケも庶民に取り戻すために、知事にお尋ねをする次第です。
私は今から16年前の昭和55年6月定例本会議において、当時府下各地で松くい虫被害が激増し始めたもとで、その対策を求め、あわせて全国的にも最も進んでいる本府林業試験場のマツタケ施業の研究成果を生かし、本府が市町村及び財産区や個人所有の山林で高価なマツタケ生産のための環境整備を指導奨励し、そのためにも松くい虫の徹底防除を図ることを提案をし、質問をさせていただきました。その結果、本府では「松くい虫防除特別期間」の設定と農林部長を本部長とする「松くい虫防除対策本部」が設置され、緊急予算として2億 3,000万が予算化され、松くい虫の防除方法とマツタケ育成のための環境施業を解説したパンフレットの作成と、特別期間キャンペーン用のポスターの作成などが実現いたしました。これを契機に、弥栄町などを初め府下各市町村と森林組合でも被害木の伐倒駆除が一斉に開始されるとともに、マツタケ山の環境整備も瑞穂町など財産区の山林で集団的に取り組まれ、1ヘクタールのマツタケ山入札で 1,000万円にもなるなど、熱心な林業家の間では大きく取り組みが前進をいたしました。しかし、残念ながら全府下的にすべてを駆除することを求めた私の提案は 100%実施されず、もはや手おくれ状態の松林が広がってしまったのであります。
当初、松枯れを起こすマツノザイセンチュウの媒体であるマツノマダラカミキリの飛翔距離が約 800mから1kmであるために、カミキリムシが飛び越えられない緩衝帯を設ける等の案さえ提案をしていた本府の対応は、実際には市町村の意向や森林組合の作業班の人手不足、所有権問題などを理由に、結局公共性の高い松林、すなわち天橋立の松や防風林、防潮林などに限定をし「市町村の姿勢と森林組合の人員確保の有無などに任せる」という不徹底に終わったために、被害を一定減少させる成果を上げながら、松くい虫被害を府下全域で撲滅させることができずに、被害が継続し、現状はすぐれたマツタケ山でさえも先行き危ぶまれるほどのひどい状態を許す結果になっているのであります。
現在、府下の被害木はピーク時に比べて半分程度に漸減しつつも、昨年で2万 4,000m3と続いており、私が最初に質問をした昭和55年以降16年間で府下の被害木の体積が本府の資料でも56万 1,221m3にもなります。数十年生育した松がこうして消えていくわけですから、マツタケ生産にも大きく影響することは避けられません。そして、マツタケ生産量についても、かつて京都の山から産出をされたマツタケは、ピーク時、昭和20年代後半 1,200トンもあったものが、今では20数トンにまで後退していると聞いています。被害が減少している今こそ、思い切って全滅させる取り組みを展開する絶好のチャンスではないでしょうか。知事がその気になってさえいただけば可能だと考えますが、いかがですか。
私は、今春以来3度にわたって長野県を視察と旅行で訪れる機会がありました。長野県は日本アルプスの大半を占める山岳県でありますが、見事に松林が緑に包まれ、松枯れはほとんどないのであります。松くい虫被害がないのかと言えば、そうではありません。バスで移動する際、かなり高い厳しい松林の中に至るところ光るものが目につきます。よく見ると、それは松くい虫の被害木を伐倒し、薬剤散布を行って、マダラカミキリムシの
完全駆除をするためにビニールで被覆されたものが光っていたのであります。さらに長野県では、険しい岩場などの松枯れにはヘリコプターを使っても被害木を完全に除去するまでの防除を徹底していると聞いています。あの広大な長野の山も、県が本気になって取り組めばほぼ完璧に守っていくことができる実証ではありませんか。
私は、長野県にお願いをして松くい虫防除の対策について資料を送っていただきました。それによると、長野県では被害は現在でも拡大し続け、昨年度は被害木が最高の5万 7,000m3に達していますが、さきに申し上げたように、毎年全量駆除を実施しています。その事業費も平成7年度、実に10億円を超えています。マツタケ生産量も年々増加傾向で、岩手県に次いで第2位となっています。山を治め、水を治めてこそ施政者の本旨であることは古来言い尽くされてまいりました。
私はこの際、そうした観点から、あきらめることなく改めて原点から見詰め直して、せめて京都の公共性の高い松山とマツタケ生産可能な松山を守り、今や庶民の高ねの花とも言われてきた丹波マツタケ再生のためにも、本府が重大な決意で松山を守る施策の展開を知事に求めたいのであります。
以下、幾つかの提案を交えて知事にお尋ねをします。
第1に、松くい虫対策特別措置法を、廃止ではなく、財政措置の強化と法の延長を全国知事会などで決議し、国に求めるべきではありませんか。また、独自にも国に要求されるよう求めます。
第2に、市町村とも協力をし、マツタケ施業適性地などの選定を行って、その山を守る施策やマツタケ山育成の施業を集中させることも必要かと思います。
第3に、マダラカミキリの飛散防止のための緩衝帯を市町村と山林所有者、森林組合などの協力を得て実施することであります。また、作業員確保や林業後継者育成のために特別補助制度やUターン奨励制度、雇用拡大のためにも、今関心が高まっている都市労働力の活用方策の策定を行うことです。
第4は、被害木の駆除などの森林組合作業班の人員確保のための特別な予算化と仕事確保のためにも、市町村をまたがる地域間調整を図って、防除面積を広げること。
第5には、こうした施策の実行のために、本府が松山復興のための再生計画と特用林産物として高価な商品となるマツタケやシメジなどの収益性と展望を関係者に示すこと。
第6は、既に林業試験場でも研究が進められている松くい虫に強い樹種の普及をあわせ実行することです。
以上の点は、京都の誇りでもある松山やマツタケ生産を守る上でも、今求められる大切な施策だと考えますが、具体的にお答えください。京都の山を荒廃するままに放置するのか、それとも山を見直して中山間地における過疎問題や高齢化、そして高い失業率の打開に効果を上げるためにも再生の道を見出す努力を始めるのか。重大な
選択が迫られている今こそ、知事の英断を求めるものであります。お答えください。
次に、京の川づくり事業について質問します。
人が水辺に憩うことができることは、心安らぐ都市空間の中で貴重であります。本府が進めてきた鴨川を初め、私の地元山科の山科川、旧安祥寺川でも整備が進み、ジョギングや散歩、子供たちが川の中に入って遊ぶ光景も見られるようになってまいりました。しかし、今の手法では、両岸がコンクリートであったり、場所によってはコンクリートブロックの三面張りのままという状況も多く見られ、これを見て「せっかく金をかけて整備しているのにこれでは川本来のあり方から逆行している」という批判も生まれています。山科では、公共下水の普及がようやく90%を超え、水の透明度も随分とよくなって、コイやフナ、ハエなどが徐々に上流に向かって見え始めています。冬鳥の渡り鳥もふえて、ウォッチングを楽しむ人たちからは「両岸のコンクリートブロックと石畳による整備のあり方はせっかくの川を台なしにする」と厳しい批判が返ってきます。
これまでの河川改修の最大の目的が、治水事業として流量の確保にあり、そのために建設省は堤防上の桜並木まで伐採させてきましたが、整備が進むとともに、環境問題への人々の関心の高まりや都市周辺の河川においても樹木の植栽、アシなどの水質浄化作用の見直し、魚の生息条件の確保のための穴あきブロックや巨石を水際に設置しての自然に近い改修など、随分川本来の姿を取り戻す努力が続けられています。また、小さな小川にもかつてはホタルが飛び交い、コブナが泳いでいた川を取り戻す試みも各地で進められ、地域住民の清掃参加や水質調査など、住民ぐるみの運動も各地で進められてきました。「水辺の環境学」という言葉が生まれるのも、人々の意識の変化と建設省を初め施策の前進結果だと考えています。
私は、かつてヨーロッパ視察の際に見たミュンヘンの河川の風景が脳裏に焼きついていますが、水の透明度の高さとともに、両岸が大木によって市街から隔絶された空間になっていたことです。川の大小、河川敷の面積や堤防敷の広さなど、それぞれの川の持つ特徴が異なりますが、可能な限り、より自然に近い河川への回復に向けた努力こそ今求められているのではないでしょうか。
そこで、山科川について私なりの提案を申し上げて、知事の見解を伺います。高度成長の中で、都市計画道路の線引きさえ無視して無秩序に住宅建設が進められ、スプロールの迷路に住宅が密集する山科は、周辺の山以外は緑が極めて少ない町となっています。その中心を流れる山科川こそ、今残された緑を取り戻す絶好の空間になっています。私はこの山科川の堤防敷に、近い将来木が育ち、山科に緑の回廊ができ上がることを期待をしています。そしてふちも瀬もある川ではかつてのようにアユさえも泳ぐ清流を取り戻す、そんな川づくりこそが本当の「京の川づくり」ではないかと思うのです。
まず第1に、堤防敷には可能な限り、長年成長する樹木を植栽をし、住居などと隔離した空間をつくり出すこと。第2には、水際のコンクリートブロックは自然石に取りかえ、魚の生息条件を拡大すること。第3には、既に山科川を美しくする会など、地元の河川美化組織が活動されていますが、こうした住民の組織と連携した維持管理などの仕組みを育てること。第4は、アユやコイ、フナ、シジミなどの魚種を回復するためにも、京都市とも協議して、疎水の水を一定量上流部から流せるようにすることなどの改善策をぜひ検討していただきたいと思うのであります。
各河川の特徴を生かし、それぞれに工夫を凝らして計画されてきたこの事業が、それぞれ遠い未来まで夢を残せる事業となるよう、この機会にもう一歩改善を図っていただくことを求める次第です。お答えください。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
25:
◯議長(
小林弘明君) 荒巻知事。
〔知事
荒巻禎一君登壇〕
26:
◯知事(
荒巻禎一君) 高橋進議員の御質問にお答え申し上げます。
松くい虫の防除対策についてでありますが、一時期やや鎮静化しつつあった被害が最近再び増大傾向にある中で、伝統的な景観や京都府の特産物であるマツタケの生産基盤を守る上からも、被害防除は大切であると考えております。このため松くい虫防除対策協議会を開催し、関係機関が連携しながら、地域の被害状況に応じ、国の制度や府の単独事業を有効に組み合わせて、総合的な防除対策を行っているところでございます。本年度末をもって松くい虫被害対策特別措置法の期限が終了するため、これまでから機会あるごとに制度の継続、充実につきまして国へ強く要望しているところでございます。全国知事会はもちろん、府の平成9年度政府予算に関する要望書にも項目を立てて要望しておるところでございますが、今後とも努力をしていきたいと思います。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
27:
◯議長(
小林弘明君) 農林水産部長藤原敏之君。
〔農林水産部長藤原敏之君登壇〕
28: ◯農林水産部長(藤原敏之君) 丹波マツタケの生産振興につきましては、樹木の切りすかしや落ち葉の除去などを行う京都方式のマツタケ発生環境整備が府内各地で取り組まれ、その成果が全国的にも評価されているところでございます。あわせて、マツタケ発生林など重要な松林につきましては、松くい虫防除対策を重点的に行うとともに、被害の拡大を防止するための樹種転換も進めているところであります。また、これまでから松くい虫防除作業の中心的な役割を果たしております森林組合では労働力の広域調整も行っておりますが、京都府といたしましても新たな林業労働者の確保対策として、森林整備担い手対策基金、林業労働者共済制度の充実を初め、森林作業を体験するグリーンスカウトの募集など実施しているところでございます。さらに、林業試験場におきましても、松くい虫に強い松の選抜や、マツタケ、本シメジの発生研究を進めており、今後とも健全な松林の育成、マツタケなど収益性の高い特産物の振興に努めてまいりたいと存じます。
29:
◯議長(
小林弘明君) 土木建築部長
満岡英世君。
〔土木建築部長
満岡英世君登壇〕
30:
◯土木建築部長(
満岡英世君) 山科川についてでありますが、京の川づくりの中で緑豊かな空間となるよう、散策路、憩いの広場、植樹など積極的に整備を進めてきているところであります。生態系への配慮につきましては、山科川は出水時には水位の変化が急激であるという特性があり、このようなことも十分に考慮し、瀬やふちを自然のまま残したり、階段式落差工へ改良するなど、魚が生息しやすくなるよう工夫をしてきているところであります。
次に、河川の維持管理についてでありますが、山科川だけではなく、地元自治会等の河川美化活動の時期に合わせまして従来から除草工事を実施し、あるいは収集されたごみの処分を行うなど、積極的に連携をしているところであります。
次に、山科川への琵琶湖疎水の活用につきましては、疎水の水がさまざまな目的のある用水であり、困難な課題が多いと認識しているところであります。
31:
◯議長(
小林弘明君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時40分 休憩
───────────────────
午後3時03分 再開
32:
◯議長(
小林弘明君) 休憩前に引き続き会議を行います。
次に、三双順子君に
発言を許します。三双順子君。
〔三双順子君登壇〕(拍手)
33: ◯三双順子君 三双順子でございます。私は、日本共産党府会議員団を代表して、痴呆性老人対策、中小零細業婦人の社会的、経済的地位向上を図る対策について、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
まず、痴呆性老人対策についてであります。
年をとっても元気で暮らしたい、病気になっても人間らしく生きていたい、そんな府民の当たり前の願いを実現するために、痴呆性老人の施策を拡充する積極的な姿勢が今、京都府に求められていると思います。94年に策定されました京都府高齢者保健福祉計画では、痴呆性老人は15%だけが要介護だとしていますが、財団法人「呆け老人をかかえる家族の会」が既に全国の市町村に出されました要望書で「痴呆性老人はその症状が軽度であっても介護は24時間心身の休まることはありません。この時期に大切な対応、介護ができれば、痴呆の進行をおくらせることができるとも言われている」として、「軽度、重度を問わず、全員を要介護老人と位置づけ、施策の対象にしてほしい」と訴えてこられました。このことからも、介護の必要な痴呆性老人を正確に把握してこそ、実態に即した福祉サービスに責任を持つことができるのであり、要介護の割合を少な目にするなど、許されることではありません。これから高齢者がふえていくわけで、出現率が高くなるのは当然なのに、痴呆性老人を少なく見積もっていたのでは、知事の言われる「2000年にはいつでも、どこでも、だれでも福祉サービスを受けられるようにします」ということにはならないと思うのですが、立ちおくれている痴呆性老人対策を拡充するために、まず対象範囲を実態に即したものに改めることが急がれますが、いかがですか。まずお答えをいただきたいと存じます。
特別養護老人ホームやデイサービス、ホームヘルパー事業が不足している現状のもとで、高齢者が自分の親を見る、いわゆる「老老介護」が社会問題化しています。市内南区で鉄工業を営まれる68歳のMさんは、66歳の奥さんと2人で痴呆症状の進んだ91歳のお母さんをこの3年間、家で介護されてきました。夜中に何回も起こされ、汚れた紙おむつをたんすにしまい込むなどの行動が頻繁になり、このままでは共倒れになると心配されていました。そのうちにMさんとおばあちゃんが交代で入退院を繰り返すようになり、昨年12月にMさんは肝臓がんで亡くなられました。息子さんが亡くなったことさえわからない痴呆状態のおばあちゃんを、頼み込んでようやく1年半目に特養の特別枠に入所させることができましたが、施設から「痴呆で夜、大声を上げたり徘回がひどいと、限られた体制ですので自宅に引き取ってもらうこともあります」と言われ、気の休まる場がないと涙をされていました。程度の差こそあれ、在宅で介護されているのはやはり多くは女性です。そして、高齢者が高齢者を見ているいわゆる老老介護のケースがふえておりますだけに、事態はまことに深刻であります。
私は、先日開かれました「京都呆け老人を抱える家族の会」が主催された「痴呆老人の在宅介護のシンポジウム」に参加をさせていただきました。介護者、福祉施設職員さんがみずからの体験を報告される貴重な
発言でございました。「デイサービスの利用は1年半待ち、利用できても1週間のみ、それでいい方だ。日曜日は休園、では間尺に合いません」と多くの声が出され、「痴呆老人に対する福祉メニューは確かにふえているけれども、肝心の量と質において現状は決定的におくれている」と厳しく指摘をされておりました。
在宅介護の苦しみは24時間で、心身の疲労、家庭生活の混乱、いつまでこの状態が続くのかの不安、その上痴呆の問題は周りに理解されにくい面があり、孤立無援の思いなど、大変であります。家族の苦労をどう軽減して社会的に支えるかは、将来の問題ではなく、今対応を求められている問題なのです。このようなおくれた痴呆性老人対策を一日も早く改善されなければなりません。本府の高齢者保健福祉計画が2000年に完全に 100%達成されるならば、少なくとも今のようなおくれた現状は一定改善されるでありましょう。しかし、各自治体からの声は「計画をつくっても財源の裏づけがない状況のもとでは到底実現はおぼつかない」と7割の自治体がおっしゃっているのです。これはまことに大変なことであります。せめて市町村がみずから立てられた計画目標は実現していただかなければなりません。そのためには、国や府の財政援助が決定的な決め手ではないでしょうか。財政支援を明確にした達成見通しについて、そして今の到達についてお示しをいただきたいと存じます。
これまで重度の痴呆性老人でも処遇できるよう、我が党議員団はモデル的役割を持った府立特別養護老人ホームを府立病院に併設することを要求してまいりました。老老介護や重度化が深刻になっております今日、その必要性は一層増しており、本府の施設拡充への積極的な姿勢を示す上でも、府立の特別養護老人ホームは極めて大切なことであります。痴呆性老人を特養ホームに入れた場合、運営費補助を1%上乗せしていますが、これでよしとするのではなく、重い痴呆症のお年寄りがどの民間の特養ホームでも受け入れられるように体制強化を図るための独自の加算をして、運営補助を引き上げていただきたいのです。いかがでしょうか。この2点について積極的な御答弁を求めます。
次に、寝たきり・痴呆性老人介護者激励金についてお尋ねをいたします。
府民の強い要望で、92年、痴呆性のお年寄りの介護者も激励金が出るようになり、1カ月 5,000円ではありますが、介護家族への励ましとなってまいりました。在宅介護が続けられる条件として、1つは家の広さや家族が健康であること、また経済問題や家族、親戚の理解、行政のサービス、支援などが欠かせない条件であり、思いやりと社会的な制度が効果的に組み合わさって初めて在宅介護が続けられるのではないでしょうか。これまで我が党議員団は「介護者激励金」ではなく「介護手当」の創設をこそ行うべきだと主張してまいりました。さきの介護保険論議の中でも、介護を担っている家族に対して現金給付をすべきかどうかが議論の対象となってまいりました。それはそれとしまして、当面、せめて激励金を1万円に増額するよう、思い切った改善を求めます。御所見をお聞かせください。
次に、徘回老人SOSネットワークについて質問いたします。
私の身近なところでも思いがけない事故が起こりました。昨年9月21日午後5時前、73歳のAさんは、痴呆症状の改善のために通っていたデイサービス施設からの帰り道、あるJR駅付近で行方不明となりました。家族や親戚、友人はもちろん、警察にもお願いして必死の捜査にもかかわらず、今年の1月7日、隣町の造成地で悲しい白骨遺体となって発見されました。この間の家族の思いや悲しみ、不安と焦りは本当にはかり知れないものでございました。このほかにも、入院中の病院から抜け出して徘回し「治療に責任が持てないから」と退院を余儀なくされた相談事例、早朝に不明になって夕方に駐在所から保護されて助かった例などがふえています。
このように全国的な増加の事態を重視した警察庁は、昨年10月、都道府県に対しまして徘回老人保護と事件の未然防止のために地域ぐるみの取り組みを喚起する通達を出しました。既に北海道釧路市では、痴呆老人が徘回の末、行き倒れになる不幸な事件が相次いだため、徘回老人SOSネットワークが取り組まれ、近隣市町村との連携も含め、警察や介護家族、福祉事務所、タクシー会社、保健所、消防署、老人会、婦人会など、地元関係機関、ボランティアの連係プレーで、痴呆老人の徘回や異常な行動から来る危険を取り除く先進的で積極的な取り組みとして、昨年12月、NHKでも放映されました。
警察庁通達と前後して、既に神奈川県を初め、93年現在で18の都道府県でSOSネットワーク活動が取り組まれています。本府でも、最悪の事態を防止するためのネットワークづくりの対策をとるべきだと考えます。警察庁通達を本府ではどのようにお受けとめになり、具体化されようとしているのかをお示しいただくとともに、本府の積極的な取り組みを求めます。御所見をお聞かせください。
次に、痴呆性老人の財産管理サービスについて質問します。
痴呆老人や知的精神障害の方は、不動産や預貯金、生活費を管理することが困難な上に、みずからの十分な意思表示ができませんことから、福祉サービスを利用しにくかったり、悪徳商法にねらわれやすいなど、自立した生活が困難であります。勝手に名義を変えられて使い込まれた例や、年金を失敬する人権侵害が発生しています。そのために、被害を防止し、財産管理をサポートする制度の必要性が社会問題化してまいりました。既に東京都品川区を初め都内13の区や市で社会福祉協議会などが中心になって財産管理サービスを行い、それを監督・チェックする審査会や弁護士会の協力も得られています。大阪府が痴呆性老人の経済生活サポーター制度を発足する方針を決められ、この6月25日に社会福祉審議会の答申も出されました。社会福祉協議会、弁護士会など、関係機関とも連携をとって、痴呆性老人の財産を守るサービスの創設に踏み出していただきたいと存じます。積極的な答弁を求めます。
この項の最後ですが、老人性痴呆診断センターについて、91年、京都府立医科大学附属病院と府立与謝の海病院に、その後福知山市立病院などでも老人性痴呆診断センターが設置され、痴呆症の早期発見と早期対応、的確な診断に大切な役割を果たしてこられました。相談件数、鑑別診断も年々ふえていることに見られますように、必要性は一層増しています。センターの充実と府内関係機関との緊密な連携をもっと強くする必要がございます。当面、府南部にセンター開設を急ぐべきと考えますが、いつまでにどうされますか、お答えください。
次に、自営業婦人の問題で質問をいたします。
本年2月、京都府は「男女平等と共同参画の21世紀社会をめざす京都府行動計画(KYOのあけぼのプラン)」の改定版を発表されました。これに先立ち知事が諮問された京都府女性政策推進専門家会議は「特に事業所規模で1人から4人の零細な事業や自営業については、健康管理を含めた労働実態の把握に努め、改善を講じていく必要がある」さらに「市町村に対する積極的指導、支援を行う必要がある」と提言を行っています。自営業婦人はこれまでから夫とともに仕事の現場に入り、加工から仕入れ、帳簿、資金繰りなど、営業の重要な担い手となってきました。加えて、家事、育児、商店街や町内会のお世話役にと1人で2役、3役もこなし、地域や町の消費者と直接つながっています。こうした働きは町の経済の担い手であり、西陣織や丹後ちりめんでも見られますように、伝統産業と文化の担い手の役割も果たしておられると思うのです。ところが、このように必死で働いている自営業の婦人の働き分はどのように評価されているかと申しますと、働き分は白色申告でわずか86万円の控除しか認められていません。
私はこうした業者婦人の働き分を正当に評価することは、業者婦人の人間としての人権を認めていく上で大変重要なことと思うのです。これら自営業婦人は地域経済に不可欠な担い手ではありませんか。地域の文化や伝統にも深いかかわりを持ちながら、社会的にも大きな貢献をされてきたと思いますが、知事はこうした自営業婦人の社会的、経済的役割をどのように御評価をなさいますか。まず見解をお伺いいたしたいと思います。
全国商工団体連合会婦人部協議会が94年、全国 6,017人の業者婦人を対象に、今の仕事、暮らし、健康の実態調査を行われました。京都でもその後約 2,000人に「暮らしと営業の見直しアンケート」を行ったところ、4年前の調査よりも深刻な実態が浮かび上がっています。長引く不況のもとで、単価の切り下げと仕事減で実収入が減り、そこから公共料金、教育費、医療費、生命保険、国保料、それから借入金返済分を差し引きますと、食費や衣服費が出てきません。そのため、生命保険を解約したり、ビルの掃除やお弁当屋へ働きに行くなど、1日に2~3種類の仕事に出ている、そして生計を維持している厳しい実態です。病気になれば、その家庭、商売はもうピンチです。こうして今多くの業者が廃業や転業に追い込まれているのです。
労働者の賃金に相当する分が今の営業では出ないのです。今、自営業は、働いても労働力の再生産さえできない実態であります。このように追い込まれてきたのは、これまでから大型店の進出の野放しや企業の海外進出、逆輸入、下請加工業者のリストラをそのまま容認してきたからではないでしょうか。本人の努力が足りないのではなく、本人の努力だけではどうにもならない状況を救済、支援するのが自治体の役割だと思うのです。
そこで、3点お尋ねをいたします。
住宅金融専門会社の不良債権の穴埋めは、先ごろ国民の税金で処理をするということになりました。零細業者はまじめに「借りたものは返す」の原則を守っています。この際、景気回復の一定のめどがつくまでの間、借入金の返済猶予、あるいは返済額の減額をすべきと思います。また、低利の借換え制度の全業種への拡大を行うなど、零細業者の営業を守る方向を打ち出すべきであります。
2点目は、パートでもよそへ出て働けば少なくとも時給 800円で賃金が払われます。自営業で家で働けば正当に評価されず、ただ働きです。税制上必要経費として認められないこんな不合理はあるでしょうか。青色申告は計算上経費として認められている形にはなっておりますけれども、不景気で売り上げが減った場合、平然と否認をされるのです。自営業婦人の働き分、自家労賃を税制上認めるよう国に強く働きかけていただきたいのでございます。積極的な対応を求めます。
最後に、業者婦人には、休業補償、傷病手当がございません。病気になれば労働者の人たちのように休業補償が欲しい、その要求は切実なものです。国民健康保険法で「保険者は、前項の保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより傷病手当の支給、その他の保険給付を行うことができる」と規定しています。1996年4月現在で厚生省や地方自治体への請願や陳情が相次ぎ、既に北海道、東京、大阪など8県の43自治体が、国保に傷病手当、出産手当を支給した場合の必要な財源は幾らかの試算を行い、公表しています。もともと社会保障の基本は、医療保障と生活保障が基本ではないでしょうか。法のもとに平等であるべき国民健康保険には社会保険に比べても生活保障が抜けています。傷病手当、出産手当を実施した場合の必要な財源を試算することは、今全国的な流れになっています。本府でも、国保制度に傷病手当、出産手当を実施するための予算措置を含む市町村への援助とそのための試算を行うよう指導するなど、前向きな姿勢を求めます。いかがですか、お考えをお示しいただきたいと存じます。
昨年9月、北京で開かれました第4回世界女性会議で採択された行動綱領の中には、業者婦人などの労働評価について研究と情報の交流と普及を奨励するとされています。零細な自営業婦人の社会的、経済的地位向上を前進させるためにも積極的な本府の取り組みを求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
34:
◯議長(
小林弘明君) 荒巻知事。
〔知事
荒巻禎一君登壇〕
35:
◯知事(
荒巻禎一君) 三双議員の御質問にお答え申し上げます。
自営業に就業する女性に関してでありますが、家業に従事する方も含めまして、女性が産業や地域社会において果たす役割は非常に大きいものがあり、女性の地位の向上を図ることは極めて重要であると認識をいたしております。その中で、自営業に就業される婦人は中小零細企業が多い上に、職場と家庭が一体になっておりますので、家事・育児・業務と時間の切れ目がなく、大変肉体的にもお疲れであろうというふうに認識をいたしております。京都府におきましては、それぞれの業種団体の女性組織の育成や強化を通じて、人材育成やネットワーク化を図りますとともに、家事・育児の負担を軽減するための条件整備などを促進しているところでございます。今後ともKYOのあけぼのプランに基づき、男女共同参画社会の実現を目指しまして、女性の地位の向上に努めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
36:
◯議長(
小林弘明君) 総務部長河野栄君。
〔総務部長河野栄君登壇〕
37: ◯総務部長(河野栄君) 自営業婦人に係る税制についてでございますけれども、いわゆる白色申告事業者の専従者控除は、事業所得者の負担軽減等を図りますために設けられておる制度でございまして、給与支払いの有無にかかわらず、一律に一定金額を控除するものでございます。その金額は税体系の中で税制上の観点から定められているものでございまして、自営業婦人の自家労働等に対する社会的評価とは必ずしも結びつかないものと考えております。
いずれにいたしましても、控除制度は税制そのものの問題でございますので、国で議論されるべきものと存じております。
38:
◯議長(
小林弘明君) 保健福祉部長道林邦彦君。
〔保健福祉部長道林邦彦君登壇〕
39: ◯保健福祉部長(道林邦彦君) 痴呆性老人対策についてでありますが、高齢者保健福祉計画におきます在宅の要介護痴呆性老人の出現率は、各市町村において実態調査などをもとにして適正に設定されたものを府全体について取りまとめたものでございます。なお、この計画につきましては、現在国において公的介護保険やこれに伴う基盤整備の推進などについて検討が進められておりますので、これらの動向を踏まえ、必要に応じ見直しを検討することとしております。計画の推進に当たりましては、市町村への支援を京都府の柱の一つとして位置づけ、各般にわたるきめ細かな助成措置の創設、充実を図り、市町村を積極的に支援する取り組みを進めてきたところであります。この結果、府内の進捗率は、ホームヘルパーで50%、ショートステイで60%、特別養護老人ホームで80%を超えるなど、平成11年度の計画達成に向けておおむね順調な進行を見ているところでございます。
特別養護老人ホームにつきましては、地域と密着した形での施設整備を進める上でも、民間の意欲や活力を生かしていくことが極めて有効な方法であると考えておりまして、京都府独自のきめ細かな助成措置などにより、近年、全国を上回るスピードで整備が進んでおります。
こうした中で、痴呆性老人の受け入れにつきましても、ハード、ソフトの両面にわたる京都府単独の各種助成措置によりまして、現在では全入所者のうち重度の方が4割を超え、軽度まで含めますと6割は痴呆性老人が占める状況になっております。
また、介護者激励金につきましては、その額や所得制限のないことなど、全国的にもトップレベルの制度として実施しているところでございます。
痴呆性老人の財産管理の問題につきましては、京都府高齢者総合相談センターにおきまして特別相談等を実施するとともに、法律的な専門機関とも連携しながら、既に研究を始めているところでございます。
老人性痴呆診断につきましては、府立医科大学附属病院のセンターにおきまして、南部地域におけるニーズに対応しているところであり、今後とも国及び医療機関などとの協議を行う中で、必要な整備に努めてまいりたいと考えております。
市町村国民健康保険についてでありますが、この制度は、保険料と国庫補助金等により運営されている中で、傷病手当等については保険者である市町村が財政運営状況を考慮し、条例により給付することができることとされております任意の手当でございます。この傷病手当等は休業補償としての性格を有しているものでありまして、被用者保険と異なり、被保険者に年金受給者など就労されていない方が非常に多い中で、これら手当金の対象となり得る就業者との均衡をどう図るかという問題もありまして、全国的にも市町村において実施されている例はないと聞いております。なお、この手当を実施した場合の財政上への影響の試算については、あくまでもそれぞれの保険者において御判断されるべきものと考えております。
40:
◯議長(
小林弘明君) 商工部長
高見静治君。
〔商工部長
高見静治君登壇〕
41:
◯商工部長(
高見静治君) 京都府の制度融資についてでありますが、先日の代表質問で知事がお答えいたしましたとおり、依然として厳しい経営環境にある中小企業を支援するため、本年4月から貸付限度額 750万円、貸付利率年 2.3%と既存制度の貸付条件を上回る無担保・無保証人融資制度、マル府-マル特を創設いたしまして、既に多くの中小企業の方々に御利用をいただいております。
制度融資の返済猶予につきましては平成7年に実施をいたしましたが、さらに対象要件を緩和して、現在実施しているところでございます。また、低利への借換えにつきましても、過去にも経済状況に応じて実施してきたところでありますが、特に厳しい状況にある和装関連業者等に対しまして、本年4月から借換え措置を講じるなど、適時適切にきめ細かな融資制度を実施しているところであります。
42:
◯議長(
小林弘明君) 警察本部長小林奉文君。
〔警察本部長小林奉文君登壇〕
43: ◯警察本部長(小林奉文君) 三双議員の御質問にお答え申し上げます。
徘回老人対策についてでありますが、高齢化社会の到来に伴い、老人の徘回事例等が増加傾向にあるところから、応急の救護を要する老人の的確な発見、保護を図り、家族の安心感を高めるために、警察といたしましては、関係機関、団体と連携して、老人の早期発見、保護、アフターケア等に当たることが極めて重要であると考えております。そのような観点から、府警といたしましては、徘回老人の発見、保護、アフターケア、情報提供などを行ういわゆる徘回老人SOSネットワークを早期に構築するため、現在、鋭意関係機関・団体に働きかけを行っているところでございます。(三双議員
発言を求める)
44:
◯議長(
小林弘明君) 三双順子君。
〔三双順子君登壇〕
45: ◯三双順子君 ただいま御答弁いただきましたが、2点について再度伺いたいと思います。
本府の高齢者保健福祉計画の中で、将来の要介護痴呆老人の数をどう見るかというのは重要なポイントだというふうに思っております。昨年の決算議会で我が党の議員の質問に対しまして、理事者は、高齢者保健福祉計画をつくる際に、介護の必要な痴呆老人の実態把握をした市町村は府下21自治体であり、あとの市町村は厚生省の数字を使って算定された、このように答弁をされているわけであります。この御答弁からしますと、府内の半分以上の自治体が実態把握をしないで厚生省の数値を一律に計画の根拠にしておられるということを認めておられるわけですが、これでは実態に即したものにならないのではないかというふうに思うわけです。痴呆性老人の中の15%だけが要介護だという計算になっているわけですが、あわせて厚生省の90年度長寿科学研究報告でも、この痴呆性老人の64%が中度以上の疾患にある、こういう研究結果を出しておられるんですね。こうした研究結果や、先ほども御紹介申し上げた在宅介護をされている財団法人の多くの介護者の方々の切実な声を本府はどういうふうに受けとめておられるのでしょうかということを非常に疑問に思うわけです、先ほどの福祉部長の答弁からすれば。知的機能の低下で自立生活ができなくなった痴呆のお年寄りはすべて要介護者とすべきだというふうに思うんですが、再度お答えをいただきたい、このように思います。
それからもう1つは、本府の高齢者保健福祉計画の中の在宅介護の3本柱と言われておりますホームヘルパーの進捗状況について、先ほど確か5割というふうにおっしゃったと思うんですが、京都市を除きましたホームヘルパーは、目標年度2000年に 1,621人にふやす計画とされているわけですが、計画期間中に必要な数はあと 1,041人。この間 311人ふやしておられるわけですから、その達成率はまだ29.8%ではないかというふうに思うわけです。しかも、既に確保されているホームヘルパーはそのうちの約8割が登録ヘルパーになっているんですね。重度の痴呆老人がふえてくる中で、やはり十分なサービスが保障されるのかどうか、こういう不安の声があるわけでして、そういう方々に対応できるより専門性がこれから問われてくると思うのです。専門性を持ったホームヘルパーの確保こそ努めていただかなくてはならないと思うのですが、どういうように考えておられますか、もう一度お伺いいたしたいと思います。
以上で終わります。
46:
◯議長(
小林弘明君) 道林邦彦君。
〔保健福祉部長道林邦彦君登壇〕
47: ◯保健福祉部長(道林邦彦君) まず目標の数値についてでございますけれども、先ほどもお答えしましたとおり、京都府のそれぞれの市町村は国が示しておりますそれぞれの計算式を一律的にやっていくのではなしに、それぞれの自治体において、その時点での要介護老人の実態調査も行い、そしてまた京都府では要介護の痴呆性の老人にも激励金を出しておりますから、そういうような激励金を受けておられる方々の実態も踏まえて、適正に目標の数値を決めたというふうに思っております。
それから、ホームヘルパーにつきましては、京都市を除きます京都府が所管いたします区域での目標数値は 1,621名でございます。平成7年末で 920名のホームヘルパーがおられまして、56.8%の進捗率でございましたので、先ほど私は50%を超えた進捗率というふうに申し上げたところでございます。
48:
◯議長(
小林弘明君) 進行いたします。
次に、西田昌司君に
発言を許します。西田昌司君。
〔西田昌司君登壇〕(拍手)
49: ◯西田昌司君 自由民主党の西田昌司でございます。私は、さきに通告いたしましたように、教育に関する問題につきまして、知事並びに関係理事者に対しまして質問をいたします。積極的な答弁のほどをよろしくお願い申し上げます。
まず、教育の高度化、専門化という観点から質問を行います。
現代のようにすさまじい勢いでハイテク化、高度情報化の波が押し寄せてくると、大学等で身につけた技能や知識もすぐに陳腐化してしまい、役に立たないというケースがふえてまいります。そのため、一度身につけた技能や知識をさらに深めたり磨き直したり、また新たな技能や知識を身につけたりすることが必要になってまいります。リカレント教育というのは、学校教育を終えた後、社会人となった人に行われる各種の教育のことで、職場を離れて行われるフルタイムの再教育のみならず、職業につきながら行われるパートタイムの教育や、大学等の正規の学校以外の場で行われるものも含む社会人や職業人に対するいわゆる再教育という意味の言葉であります。技能や知識の更新ということだけでなく、生涯学習という観点からも、今まさにこのリカレント教育の充実が必要になってきているのであります。京都府では、全国8府県のパイロット事業として文部省の委嘱を受け、京都地域リカレント教育推進協議会の主催でリカレント学習講座の開講、リカレント教育に係る学習プログラム研究開発調査、リカレント教育に関する普及啓発活動等が行われてきました。
ところで、京都府や教育委員会などもこの推進協議会に参加されているのですが、文部省から委嘱を受けているリカレント教育については平成8年度で終了するというふうに伺っております。
そこで、まず最初に、平成6年度から3カ年にわたりリカレント教育を実施してきてどのような評価をしているのか。また、こうした実績を受けて、文部省からの委嘱が切れる来年度以降についてどのように取り扱うおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
また、リカレント教育というのは、原則として教育を受ける側がみずからの技能や知識を高めるために自発的に参加することを前提としているのですが、近ごろではバブル崩壊後のリストラの影響もあって、事業者の方も自分の会社の従業員の技能や知識のレベルを向上させるために、リカレント教育を初め各種の社外研修など、社員の能力開発に積極的に乗り出しておられます。こうした場合の費用負担については、会社が派遣を命じたものについては当然会社が負担するわけであります。また、こうした研修の中にはある一定の条件のもとに会社に補助金が支給されるものもあるというふうに伺っております。
こうなってまいりますと、個人でリカレント教育に参加される場合と、会社から業務命令で参加される場合とでは、その費用の負担において随分差が出てきてしまうことになるのではないかと思います。とりわけ短期間の講習ではなくて、大学に再入学したり、また大学院に進学したりということになりますと、その費用負担はばかにならない金額になります。また、こうした大学や大学院に再入学される方に限って、子供さんもまた高校や大学に通っておられるという場合が多いと伺っております。それだけに、家庭にかかる費用負担というものも大きなものとなるわけであります。いわゆる社会人学生はもう一度勉強しようという意識が強いだけに、大学の中におきましても他の一般学生に対しましてもいい意味での刺激になるということが言われております。
そこで、知事にお尋ねいたします。リカレント教育を推進するために個人で受講されている方に何らかの助成や便宜を図るべきであると思いますが、御所見をお伺いいたします。
また、とりわけ期間の長い大学や大学院に社会人入学される場合には何らかの配慮が必要だと思います。例えば土曜日や日曜日にも開講したり、平日の場合は夜間の開講をするなど、講義日程での何らかの配慮がなければ、業務命令以外で社会人が大学で学ぶことはできません。また、社会人の場合は一般の学生に比べ自由な時間が少ないため、講義に出られる時間を確保することが困難なために、どうしても卒業するためには年数を要しがちであり、そのため授業料などの負担も一般学生などに比べると割高なものとなってしまうわけであります。そこで、その授業料についても、受講した単位ごとにいわゆる切り売り式に徴収するなど、何らかの配慮が必要と思いますが、大学の設置者として知事の御所見をお聞きいたします。
さて、これからの社会では、大学等の高等教育機関に高度な専門性がますます要求されてまいります。そのことにより、リカレント教育を初め「高等教育の再教育」「教育機関の開放」、中でも特に大学等の高等教育機関の開放ということがこれからの高度情報化、ハイテク社会では必要になってまいります。そういう見地からも、交通至便な一等地にある府立大学の果たすべき役割は大きいと思うわけであります。そこで、府立大学を「高等教育の再教育」「府民に開放された高等教育機関」として整備を進めるべきであると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
ところで、ハイテク高度情報化社会において高等教育や専門教育の推進を図る上では、情報をその必要とする人に提供する機会をいかにして確保するかということが最重要課題でありましたが、他方、初等教育や中等教育においては、情報の提供よりもむしろいかにして不必要な情報から子供たちを守り、将来情報の洪水の中に放り出されてもおぼれないで泳ぎ切る力をつけさすかということが一番重要な問題となります。
例えば、子供が家庭の外部の人間と接触したりする場合でも、今まででしたら必ず家庭というフィルターを通して外部と接触をしてまいりました。子供がどんな友達とつき合っているかということも、例えば電話を親が取り次いだりすることによって自然に親が察知することができたわけです。また、かつてはテレビも一家に1台であったために、一家の家族団らんの中心になることができたわけです。ところが、今日のように1人に1台ずつのテレビが当たるようになると、子供たちは自分の部屋で自分の好きな番組を見出してしまい、家族団らんが家庭の中から消滅してしまうどころか、子供が一体どんな番組を見て、どんな情報を得ているのかさえもわからないという状態になってしまっているのが現実ではないでしょうか。これは携帯電話やコンピューターネットワークについても同じことが言えるわけで、情報化の波が個人主義にますます拍車をかけ、家庭という媒体なしで子供がどんどん外部と勝手に接触することになり、その結果として、家族のきずなが崩壊されてしまうという最悪の事態を迎えることになりかねません。こうした環境の中、初等教育、中等教育に課せられた使命は、まさに情報の是非や善悪を判断し、取捨
選択するための能力と人格、そして人に教えられるのではなくて、みずから学ぶという姿勢を身につけさせるということに尽きるのでありましょう。そしてそのためには、どうしても学校や家庭が外部の世界との緩衝帯として情報の洪水の中から子供たちを守ってやらなければならないわけでありますが、これが機能していないというのが現実なのであります。
先ごろ公表された中央教育審議会(中教審)の審議のまとめでも「子供に生きる力を」ということを大きなテーマに据えた上で「すべての教育の出発点は家庭」とその重要性を指摘し、学校週5日制や育児休暇などの整備と同時に、父親の責任の自覚と企業の協力を呼びかけております。しかし、問題は家庭の教育力の回復を、かけ声だけでなくて、いかにして実効あるものにするかということなのであります。
審議のまとめでは、具体策には触れず、むしろ学校のスリム化ということばかりが前面に出ている印象であります。しかし、これも大学の入試制度の改革とその受け皿たる家庭や地域社会の回復がなければ、私学や進学塾を中心にますます受験競争に拍車がかかり、PTAなどの一部のボランティアの方々に負担が集中してしまうというだけの結果となってしまいます。また、審議のまとめでは「個性尊重の教育」ということを前面に押し出して、生きる力をはぐくむためにも一層の促進をうたっております。確かに、多様な価値観を認める上でも、またみずから学び、考え、主体的に判断し、行動するという「生きる力」を育てるためにも個性尊重は重要なことであります。しかしその一方で、日本人としての伝統や慣習に基づく価値観や秩序の大切さを学ぶということについては全く触れられてはおりません。私には非常に遺憾であります。
と申しますのも、欧米の自由主義、個人主義という価値観に立って戦後の教育は推進されてきたはずであります。その一方で、戦前の日本の伝統的な、儒教的な価値観はすべて封建的なものとして葬り去られてきたのが今日までの現実ではなかったでしょうか。
そして、その結果どうなったかと言えば、経済の面では確かに自由主義経済体制のもとに大いに発展をし、物質的な豊かさを手に入れることができたわけであります。しかし一方、子供の教育環境の面では、いじめの問題、家庭の教育力の低下など、必ずしも成功したと言えないのが現実であります。しかもその原因は「行き過ぎた自由主義、個人主義」が蔓延してしまったためで、他人や社会のことを考えない勝手気ままな利己主義者を生み出してしまったからであります。また、経済の面でも、社会の秩序を考えず欲望のままに行動すると一体どうなるのか。それはただバブルが膨れ上がり崩壊するだけだということもついこの前に経験をしたはずであります。
これらの教訓が教えるところは「確かに自由主義、個人主義は大切な価値観であるけれども、何の規制もない自由主義や個人主義は、結局のところ勝手気ままな利己主義に陥るだけである。本当の意味での自由主義、個人主義は伝統や慣習という秩序とのバランスの上にあるのだ」ということではないでしょうか。そして、このバランスの大切さを教えることが、みずから学び、考え、判断し、行動するという「生きる力」そのものではないでしょうか。
したがって、これから個性化の教育をすればするほど、本当に教えなければならないのは伝統や慣習、言いかえれば日本人としての伝統的価値観や良識ではないでしょうか。にもかかわらず、この本質の部分に触れず「生きる力」だの「家庭の回復」だの並べ立てても、私は空念仏にすぎないと思うのであります。
そこで、まず今回の中教審のまとめについての知事並びに教育長の御所見をお聞きいたします。特に、これで本当にいじめがなくなり、家庭が回復できるとお思いでしょうか。お伺いをいたします。
私は、これからの教育、とりわけ初等・中等教育を考える上では、個性化と同時に、日本人としての伝統的価値観や良識を教えることがとりわけ重要であると思っておりますが、現在、こうしたことが授業の中で実際に教えられているのでしょうか。教えられているとすれば、何の授業で、どれぐらいの時間数が年間使われているのでありましょう。小学校、中学校、高校とそれぞれにつきお答えください。
また、今後こうした伝統や良識をいかにして教えるべきとお考えか、その御所見をお伺いいたします。
私は、いじめの問題を初め、現代の子供たちの抱えるさまざまな問題の原点は家庭にあり、家庭の回復こそが問題の解決であると思っております。ところで、家庭というものは両親、祖父母、兄弟等と縦と横につながる人間のきずなにこそ子供たちを社会人として教育する力の源があったのではないでしょうか。
こうした、かつてはどこにも存在したいわゆる大家族の環境に加え、農業や家業の商売の手伝いを通じ、子供たちは自己中心的なわがままを許されず、自然に他人との協調を学んでまいりました。また、家庭の中で親が親として、子供が子供としての役割を果たすことをおのずと身につけてきたわけであります。一方、かつてのお役人のおうちに代表されますような、核家族でお勤めの家庭でも、その原点と言える武士の家庭のように、武士道や儒教に影響を受けた家風を守り伝える厳格な家庭が多かったように思います。つまり、かつての日本の家庭には、構造的にもまた思想的にも共同体としての家庭を支える土台がしっかりと存在していたのであります。まさに家庭は社会そのものであり、こうした環境のもとで代々子供たちは立派な社会人になるようにはぐくんでこられたのであります。
ところが、現代の子供たちの家庭を見てみると、ほとんどが核家族であり、子供の数も年々少子化の傾向にあり、農業や商売をされている家庭より圧倒的にサラリーマン世帯であるというのが現実であります。子供たちはろくに家の手伝いをすることもなく、食事から行楽に至るまですべて子供が中心に家庭が回りがちになります。こうなると、子供たちが家庭から社会の秩序を学ぼうとしても、家庭の中に社会の姿を見つけることができないのであります。また、家族主義の衰退により、現在のサラリーマン家庭においても、かつてのお役人の家庭のように家風を伝えるという厳格な家庭はほとんどなくなってしまいました。その上、最近では子供の両親自身がこのような秩序なき家庭の中で育ってきており、彼ら自身が家庭に対して秩序ある社会としてのイメージをどう持てばよいのかわからないというのが現実であります。したがって、家庭を回復してその教育力を高めると言っても、一体具体的に何をしたらよいのかわからないという方が多いのではないでしょうか。
欧米の個人主義に対して、日本では伝統的に家族主義であります。しかし、家族主義イコール封建的制度という非常に安直な考えから家族主義を唱えること自体、封建的、保守反動という形で特に公の上では日本人の価値観の中から排除されてまいりました。家の思想は個人を、とりわけ女性を縛る封建的な思想としてすべて排除されておりますが、プラス面も多々あったはずなのであります。今、家庭に必要なものは、家庭の秩序の回復ということであります。そして、そのことは日本の伝統的価値観の回復と表裏一体のものになっているのではないでしょうか。
個人主義の原理を家庭の中にそのまま持ち込めば、家庭が崩壊するのは当然の帰結であります。家庭の回復のためには、まさに行き過ぎた個人主義を是正し、戦後50年間封殺されてきた家族主義に代表される伝統的価値観に回帰し、そのバランスをとること以外にないのであります。そして大切なことは、こうしたことを国民の中で論議し、考える環境をつくることだと私は思います。特に日本的価値観は、戦後政治によって抹殺されてきたものであるだけに、その回復は政治の責任ではないでしょうか。
知事や教育長は、再三、学校・家庭・地域の連携の重要性を述べておられますが、では、具体的に行政として家庭回復のためにいかに取り組むのか、知事並びに教育長の御所見をお伺いいたします。特に、行政の長として知事が目指しておられる来るべき社会とその前提となる家庭像についていかなるものか、そのお考えをお示ししていただきたいと思います。
健やかに子供たちが育てられる健全な家庭の回復のために知事が最大限の努力をされますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
50:
◯議長(
小林弘明君) 荒巻知事。
〔知事
荒巻禎一君登壇〕
51:
◯知事(
荒巻禎一君) 西田昌司議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、中教審の審議のまとめの中での「生きる力」ということについて、あるいはそれに関連した家庭というものの考え方でございますけども、私は今、今度の15期の中教審の答申の「生きる力を養う」という御提言は、今青少年に足らないものに対する問題意識としてそれを提起されたことは非常に評価すべきであろうと考えております。また、家庭を重視して、奥田文部大臣が「お父さんを早く家へ帰してくれ」というふうに企業等の幹部に申し入れられたことも、今の段階として適当なことであろう、このように考えておりますが、私自身も第14期の中教審の委員をした経験から申しますと、やはり政府関係の審議会ともなりますと、表現が非常にソフトになってくるということが避けられないようでございまして、議員御指摘の家庭の教育力、あるいは家庭の将来につきましても、一番本質のことについては余りまだ触れていないという感じが私もいたします。
私個人の意見を交えまして、少し過激なことになりますけれども、考えを少し申し上げますと、私のような年齢の者にとりまして「家庭」というものの言葉から連想するものとなりますと、やはり家族全員がそろって一家団らんの食事を囲む、楽しむという風景が「家族」という言葉の原風景のような感じがいたします。しかし、現在の日本の現実を見ますときに、果たしてそういう形が、静御前が「昔を今になすよしもがな」と言ったようなことで、そこまで持っていけるのかどうかということになりますと、いささか私はペシミスティックといいますか、悲観的と申しますか、正直申しまして少し自信がございません。そういう中で、やはり古きよき時代のことも当然日本の伝統としてできるだけ今の時代にもう一度「いいものはいい」ということで教育をしたいというふうに思いますが、そのもう1つ前の「人間」というものも動物の一種でございますので、最後はやはり動物形態学的に見て現在がどうかということも考えてみなきゃ仕方ないのじゃなかろうか、このように思うわけでございます。
動物は言うまでもなく、食べ物を確保して生命生活を維持しながら、また個体を維持すると同時に、さらに種族維持の営みをするということが原点でございます。そのために、自分の属する種として何が最も適した形の生き方かという中から、それぞれ社会をつくったり、あるいは群をつくったり、家族をつくったりということになっていくのではなかろうかというふうに思います。その種類は、猿のような群をつくるのもありましょうし、またライオンのような形の家族もあろうと思いますし、また犬や猫のような、日ごろは孤独だというような、そういうタイプの形もありましょう。それから昆虫のハチのような女王蜂を囲んで全部が働くというような、そういうなのもありましょうし、また、セミのような形でほとんど単独というのもあると思います。その中で、人間は人間の食べ物を確保するという中で農耕ということを覚えまして、あるいは狩猟ということの中から、やはり人間に最も適した形の中で、共同体といたしましていわゆる家族というものを頭に置きまして、夫婦、そしてその前後の世代の者が力を合わせて食べものを確保しあるいは生命を維持していく、そういう社会を構成して現代まで来ていたのではなかろうかというふうに思います。
しかし、このような生産方式、食の確保という構造が、この 100年か 100数十年の間に非常に大きく変化を来したことは言うまでもございませんで、やはり農耕社会から工業社会に移る中で、職・住というものが一致しておったものから全く職・住が分離してしまう、そういう形になってまいります。それから、核家族化が進みます。同時に少子化という傾向も出てまいります。そして、結婚しないというシングルの考え方の方も出てまいります。さらには、子供は欲しいけれども夫は要らないというような人まで出てまいりまして、そして、不妊対策としてならまだ知らず、精子の売買を望むとか、あるいは代理母を求めるとか、そういう形になってまいりますと、私はこのような形の中で21世紀、日本人の将来はどうなるかということさえ恐ろしく感じるわけでございます。しかし、そういうふうな家族の形態というものが生活様式あるいは生産様式が変わっていく中で変わっていくことはある程度やむを得ないと思いますので、その中でいかにそれこそ「生きる力」をどうやってつけていくかということが大切だと思います。
その「生きる力」ということは、今回の中教審で言っているような力よりも、私はどのような動物でも親というものは子供に食べ物の食べ方、とり方を教え、そしてまた危険が身に迫った場合はどう対処するかということを教え、あるいは社会をつくっている動物については社会のおきてというものを教え込んで、そして独立させていく、このような最低の生きる力というものを必ずこれは与えておりまして、それがない種族は滅びていくのではなかろうかと思います。その意味で、やはりもう1つ原点的な次元の生きる力ということを私はもう一度みんなで議論をして、そういうことを頭に置きながら、今の家族構成をどうやっていくか、あるいはお父さんの役割、あるいはお母さんの役割、また子供に対する教育をどうするかということをやはり真剣に考える時代だというふうに思いまして、余りお答えになりませんけれども、非常に問題は深刻であるという認識をお互いに持つことが必要であろうというふうに思っております。
いろいろ駄弁を弄しましたけれども、私の考えは以上でございます。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。
52:
◯議長(
小林弘明君) 総務部長河野栄君。
〔総務部長河野栄君登壇〕
53: ◯総務部長(河野栄君) 府立大学の社会人教育についてでございますが、府立大学におきましても京都地域リカレント教育推進協議会の一員といたしまして積極的にリカレント教育に取り組んでいるところでございます。また現在、21世紀を展望しました魅力あふれる大学を目指しまして、学部・学科の改組に向け準備を進めているところでございますが、西田議員の御提案も参考とさせていただきながら、さらに府民に開かれた大学として社会人の入学や受講の機会を拡充できますよう努めてまいりたいと存じております。
54:
◯議長(
小林弘明君) 企画環境部長後藤紳太郎君。
〔企画環境部長後藤紳太郎君登壇〕
55: ◯企画環境部長(後藤紳太郎君) リカレント教育についてでございますが、京都府生涯学習振興基本構想、いわゆる京都OWN学習プラン、これに基づく主要な施策の一つとして、京都地域リカレント教育推進協議会が文部省からの委嘱を受け、社会人に最新の知識、技術を学んでいただく再教育の機会を提供してきたところでございます。事業の実施については、大学との緊密な連携のもと、講座数や講座内容が年々拡充するなど、大学の側でもリカレント教育への機運が盛り上がってきておりますほか、受講者からも大変好評を得ているところであり、リカレント教育の普及啓発に大きな成果があったものと評価しております。また、講座の開設に当たっては、大学と十分に協議調整を行い、開講日を週末や夜間とするほか、受講料もできる限り低廉に設定していただくなど、府民の皆様に幅広く参加していただけるよう努めているところでございますが、今後とも引き続き大学と協議をいたしてまいりたいと存じます。
なお、委嘱期間が終了いたします来年度以降につきましては、文部省において検討中と伺っており、京都府といたしましては引き続き事業が実施されますよう、国に対し要望を行っているところでございます。
56:
◯議長(
小林弘明君) 教育長
安原道夫君。
〔教育長
安原道夫君登壇〕
57:
◯教育長(
安原道夫君) 西田議員の御質問にお答えいたします。
まず、国の第15期中央教育審議会の審議のまとめについてでありますが、学識経験者、学校教育や社会教育関係者などの幅広い委員が慎重な審議を重ねられた今回のまとめは、ただいま知事から御答弁がございましたように、生きる力を育成することを基本理念としておるところでございます。今後いじめの解消や家庭の教育力の回復などを図るためには、このまとめで言われております学校・家庭・地域社会が緊密に連携するとともに、さらに社会や大人一人一人が責任を自覚し、それぞれの立場から積極的に取り組んでいただくことにかかっているものと考えております。中でも議員御指摘のとおり、家族の結びつきの希薄化、しつけの欠如などが指摘される中で、家庭の教育力を向上させることが極めて重要な課題となってきております。審議会のまとめでは、家庭教育はすべての教育の出発点であり、基本的な生活習慣、豊かな情操、他人に対する思いやりや善悪の判断、自制心や自立心など、生きる力の基礎的な資質や能力は家庭教育においてこそ培われるものであり、また家庭では家族の団らんや共同体験の中で愛情を持って子供と触れ合うとともに、時には子供に厳しく接するなど、子供の教育や人間形成に主体的な役割を担っていくべきものという考えを示しているところであります。
府教育委員会といたしましては、今後とも市町村教育委員会やPTAなど関係団体と連携を強め、審議会のまとめにも触れられております企業などの協力と父親の家庭教育に対する責任の自覚、親がPTA活動やボランティア活動などの経験を家庭教育に生かすこと、祖父母の孫に対する教育への参加などの重要性にも留意しながら、家庭の教育力の向上に一層努力してまいりたいと考えております。
次に、伝統や良識の指導についてでありますが、我が国の文化や伝統に対する理解と関心を深め、日本人としてのアイデンティティーを持った児童・生徒を育成することは大切であると考えております。そのため、小・中学校では年間35時間の道徳の授業を中心に、高校では国語や地理、歴史、公民などの教科やホームルーム活動などで、先人への感謝の念、郷土や我が国の文化と伝統を大切にする心、良識ある国民として必要な能力や態度などを指導しているところであります。
府教育委員会といたしましては、これからの変化の激しい社会を見通して、日本の文化と伝統を大切にするとともに、個性を生かしながら、21世紀を担う心豊かな人間の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。
58:
◯議長(
小林弘明君) 進行いたします。
以上で一般質問を終結いたします。
───────────────────
59:
◯議長(
小林弘明君) 次に日程第3、第1号議案から第12号議案までの12件を一括議題といたします。
これより質疑に入りますが、通告がありませんでしたので、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております議案12件については、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
───────────────────
平成8年6月京都府議会
定例会議案付託表(資料参照)
───────────────────
60:
◯議長(
小林弘明君) お諮りいたします。
本日はこの程度にとどめ、明6月29日から7月4日までの6日間は委員会審査等のため休会とし、7月5日午後1時から本会議を開きたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と言う者あり〕
61:
◯議長(
小林弘明君) 御異議なしと認め、さよう決します。
それでは、7月5日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時14分 散会
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