滋賀県議会 2024-06-28
令和 6年 6月定例会議(第2号~第8号)-06月28日-03号
令和 6年 6月定例会議(第2号~第8号)-06月28日-03号令和 6年 6月定例会議(第2号~第8号)
令和6年6月
定例会議会議録(第4号)
令和6年6月28日(金曜日)
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議事日程 第3号
令和6年6月28日(金)
午 前 10 時 開 議
第1 決議第1号(ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議(案))(議員提出)
第2 議第88号から議第97号まで(令和6年度滋賀県
一般会計補正予算(第1号)ほか9件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
第2 日程第2の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 小 林 雅 史
総合企画部長 松 田 千 春
総務部長 岡 田 英 基
文化スポーツ部長 東 郷 寛 彦
琵琶湖環境部長 中 村 達 也
健康医療福祉部長 山 田 忠 利
子ども若者部長 村 井 泰 彦
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 中 田 佳 恵
土木交通部長 波 多 野 真 樹
会計管理者 谷 口 義 博
企業庁長 藤 原 久 美 子
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 一 丸 裕 介
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(有村國俊) これより本日の会議を開きます。
直ちに日程に入ります。
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△決議第1号(ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議(案))(議員提出)
○議長(有村國俊) 日程第1、決議第1号ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議案が議員から提出されておりますので、これを議題といたします。
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△決議第1号 ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議(案)
令和6年6月28日
滋賀県議会議長 有 村 國 俊 様
提 出 者 河 村 浩 史
清 水 ひとみ
奥 村 芳 正
清 水 鉄 次
今 江 政 彦
節 木 三千代
議 案 の 提 出 に つ い て
令和6年度
滋賀県議会定例会令和6年6月定例会議に下記の議案を提出します。
記
決議第1号
ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議(案)
………………………………………………………………………………
イスラエルとハマス等の
パレスチナ武装勢力との間では、武力衝突と停戦が長年にわたり繰り返されている。昨年10月7日にハマス等によるイスラエルに対するテロ攻撃が発生し、ガザ地区での戦闘が始まって以来、子どもや女性を含む多くの尊い命が奪われ、医療・教育・ライフライン・食糧確保など生活全ての面において、著しく危機的な人道状況にある。
この間、我が国も、議長国として開催したG7外相会議において、テロ攻撃を断固として非難することやガザ地区の人道危機に対処するため戦闘の人道的休止を支持するとした緊急声明を発表するなど、国際社会と連携して停戦に向けた努力をしてきたものの、地上作戦等によりさらに犠牲者が増え続けている状況は、本県としても看過できるものではない。
よって、本県議会は、民間人の被害根絶と安全確保に向けて、即時の停戦と人質全員の速やかな解放、人道支援活動が阻害されることのないことを希求する。
政府におかれては、国際社会とも連携し、ガザ地区の人道状況の改善、事態の早期沈静化に向けて外交努力を尽くされるよう強く求める。
以上、決議する。
令和6年6月28日
滋 賀 県 議 会
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○議長(有村國俊) お諮りいたします。
決議第1号議案については、提出者の説明、質疑および委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
これより討論に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありませんので、討論なしと認めます。
これより採決いたします。
決議第1号議案を原案のとおり可決するに賛成の方は、御起立願います。
〔賛成者 起立〕
御着席願います。起立全員であります。よって、決議第1号議案は原案のとおり可決いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議決されました決議中万一字句等について整理を要する場合は、その整理を本職に一任されたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように取り計らいます。
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△議第88号から議第97号まで(令和6年度滋賀県
一般会計補正予算(第1号)ほか9件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(有村國俊) 日程第2、議第88号から議第97号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
発言通告書が提出されておりますので順次これを許します。
まず、40番
冨波義明議員の発言を許します。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇、拍手)6月定例会議の一般質問1日目、
トップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従い、郷土の花、シャクナゲの保全と知名度向上の取組について、および学校部活動の地域移行に向けた取組について、質問をいたします。
まずは、郷土の花、シャクナゲの保全と知名度向上の取組について、一問一答でお伺いします。本日は滋賀
県シャクナゲ協会の皆さんもたくさん傍聴にお越しいただいておりますので、執行部におかれましては前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。
さて、全国各地の自治体では、その自治体の花や木、鳥、また、ゆるキャラなど各種シンボルを制定され、それぞれの自治体の特色を発信されていますが、これら自治体のシンボル制定のはしりとしては、昭和29年に
日本放送協会──NHKや、日本交通公社──JTB、そして
日本観光協会などが共催して、全国の都道府県の花を選定されたのが始まりだと仄聞をしております。そして、このときにシャクナゲが滋賀県の郷土の花として選定されたと聞いております。シャクナゲが郷土の花とされてから今年で70年、私も昭和29年の生まれでございまして、70歳を迎えます。お互い、古希となる節目の年でもございます。
ちなみに、昭和40年には県の鳥としてカイツブリが、翌41年には県の木としてモミジが制定されていますが、シャクナゲは、県の花とは言わずに郷土の花と呼ばれております。
シャクナゲは、もともとはヒマラヤの高山地帯に植生し、日本を含む東アジア一帯に広く分布するツツジ科の常緑低木で、
日本シャクナゲと
西洋シャクナゲに大別され、いずれも4月から5月にかけて、華やかさと気品を備えた美しい花を咲かせます。本県では日野町鎌掛地区の
しゃくなげ渓に群生する
日本シャクナゲ、
ホンシャクナゲとも呼ばれるらしいですが、これが国の天然記念物として指定されているところです。
シャクナゲは、山野に群生するものと鉢で観賞用として育成するものがあり、県内にはシャクナゲの愛好家も多数おられ、現在は日本ツツジ・
シャクナゲ協会滋賀県支部がその普及振興に尽力をされております。
また、
近江富士花緑公園に咲くシャクナゲは同協会の皆様により手入れ、管理がなされており、例年、シャクナゲが咲く4月から5月頃に、会員が育てられたシャクナゲをこの花緑公園に持ち寄り、栽培技術の講習会や展示、販売などを行っておられるところです。
その一方で、シャクナゲは本県を代表する花でありながら、その知名度の低さや
県シャクナゲ協会会員の皆様の高齢化や会員の減少、また、今年度は日野町鎌掛の
しゃくなげ渓の
ホンシャクナゲがほとんど開花しない事態となるなど、シャクナゲを取り巻く諸課題が顕在化しております。
そこで、郷土の花として選定されてから今年で70周年を迎えるに当たり、県民はもとより、全国の皆様にシャクナゲの魅力を伝え、知名度を上げるための取組を進めるとともに、県内の
群生シャクナゲの保全対策をこれまで以上に講じるために、以下、質問をいたします。
まず、県のホームページにはシャクナゲが郷土の花と掲載されていますが、シャクナゲが郷土の花とされた経緯について、知事公室長に伺います。
○議長(有村國俊) 40番
冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事公室長(小林雅史) (登壇)お答えいたします。
シャクナゲが郷土の花として選定された経緯でございますが、昭和29年にNHK、日本交通公社、
全日本観光連盟、植物友の会の4者が共同主催となり、当時の農林省、文部省、各都道府県が後援を行い、各都道府県ごとに郷土の花が選定されたとなってございます。この際に、本県の郷土の花としてシャクナゲが選定された理由でございますが、「蒲生郡鎌掛村に9万株群生し、天然記念物に指定されているため」とされているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。私も昭和6年に、この鎌掛地区の9万株の
ホンシャクナゲが国の天然記念物として指定されたことによるということはお聞きをしておりました。
それでは、次に、県内の幾つかの場所で
自生シャクナゲの群生が見られると聞いておりますが、県内のその分布状況について、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) (登壇)お答えいたします。
滋賀県内に自生するシャクナゲは、本州、四国に広く分布いたします
ホンシャクナゲという種類でございまして、気温や土壌などの生育条件から、標高約600メートル以上の尾根筋を好んで生育しているとしております。
県内全域の山地に広く分布しておりますが、群落として有名な場所は比良山系や鈴鹿山系、湖西の野坂山系の一部でございまして、毎年5月頃に見事な花を咲かせることで訪れる多くの登山者の目を楽しませております。
最も有名な自生地として挙げられるのは、先ほどもございましたが、鈴鹿山系日野町綿向山の
鎌掛谷ほんしゃくなげ群落でございまして、昭和6年──1931年に国の天然記念物に指定されておりまして、郷土の花にシャクナゲが選定される由来となったとされているものでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
大体、このシャクナゲは高山に咲くものだということなので、例えば日野の
しゃくなげ渓なんかは珍しい場所だというふうに聞いております。ただ、ここは有名ですから知っておりますが、今も御答弁にありましたように、比良や鈴鹿などはなかなか有名ではございません。郷土の花、シャクナゲを末永く守っていくためには
自生シャクナゲの分布の実態を把握しておくということが大変大事なことでございまして、また、県民へこのような情報を提供するためにも重要と考えます。早急な調査と広報をお願いしたいというふうに思います。
ただいま御答弁の中で、日野町鎌掛地域の
しゃくなげ渓のシャクナゲについて御紹介がありました。そこで、この
しゃくなげ渓の
ホンシャクナゲの群落が天然記念物に指定された、その経緯について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) (登壇)お答えいたします。
日野町
鎌掛谷ほんしゃくなげ群落は、本来高地で自生するものが、比較的低い標高で大規模に群生しておりまして、日本の本州中部におけます
ホンシャクナゲの群落の代表的なものとして、学術上貴重で、我が国の自然を記念する代表的原始林、希有の森林植物相と評価され、先ほど議員からも御紹介がありましたとおり、昭和6年3月30日に、
史蹟名勝天然紀念物保存法に基づき、天然記念物に指定されたものでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)この質問をするに当たりまして、国の天然記念物、そんなすばらしいものだというんですけど、行ったことがなかったので、この5月中旬に私も日野町鎌掛の
しゃくなげ渓に行ってまいりました。渓谷沿いに5分ほど登った山の斜面に、このとき花は咲いていませんでしたが、
ホンシャクナゲの群生を見ることができました。大変残念でした。
この
しゃくなげ渓の
ホンシャクナゲが今年は、時期が遅かったというのではなしに、咲く時期にもほとんど咲かなかったということを聞いております。この咲かなかった原因について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
ホンシャクナゲは毎年同じように咲くわけではなく、よく咲く年とあまり咲かない年を交互に繰り返すことが知られております。地元では、今年は咲かない年に当たっていると受け止められているところでございます。
また、風が強く吹くなどして、咲き終わった花がらが多く落ちた翌年などは、花がよく咲くとも言われておりますが、植物学的には、原因は明らかにされていないところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)そのような植物の特性もあるとは思うんですけれども、私がこの
しゃくなげ渓を訪れた際に、シャクナゲが群生している山の斜面、これがひどく崩落をしておりました。また、シャクナゲの根がむき出しになっている、また、シャクナゲの上に、松ですとか、枯れた木が倒れている、それがそのままになっているなどの光景をちょっと目にいたしまして、少し残念に思いました。
この
しゃくなげ渓、先ほどから出ていますように、この群落は国の天然記念物に指定をされていることから、その維持管理については、一定、制限があるというふうにお聞きもしております。
しゃくなげ渓の今後の保全対策について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
鎌掛谷ホンシャクナゲ群落の日常的な維持管理は、地元の綿向生産森林組合様が御尽力され、開花シーズンには、日野町や商工会、観光協会と連携し、情報発信に努められているところでございます。
今後の保全や管理につきましては、文化財保護法に基づく管理
団体である日野町が、天然記念物の適切な保存と積極的な活用を図るため、新たに保存活用計画を策定することを検討されておられます。県としましては、文化庁とも連携を図りつつ、その取組に対する技術的支援をしてまいりたいと存じます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。国の天然記念物に指定されているということの制限があるにせよ、それがために、この地域のシャクナゲが消滅の危機に瀕してしまえば、これは元も子もございません。ぜひ、国や日野町との連携を密にして万全の体制を講じていただくようにお願いをいたします。
さて、本県のシャクナゲの普及、振興を担っている
団体は、県内で唯一、日本ツツジ・
シャクナゲ協会滋賀県支部ですが、同支部と県との連携の現状について、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
当協会は、鉢によるシャクナゲの栽培を行うとともに、
県立近江富士花緑公園内におきまして、自ら栽培したシャクナゲの森を、40年以上管理されておりまして、
シャクナゲ開花の時期、4月には花見会や展示会、そして、栽培指導教室を開催されております。
県といたしましては、公園運営を通じて協会のイベントPRを行うとともに、昨年はシャクナゲの森40周年を記念しまして、知事が植樹を実施するなどの連携した取組を行っております。
また、一昨年に滋賀県で開催した全国植樹祭において、皇后陛下がお手まきされました
ホンシャクナゲについては、協会と連携して、健全な苗木に育つよう取り組んでいるところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)冒頭でも申し上げましたが、
県シャクナゲ協会でも会員の高齢化や会員数の減少が進み、シャクナゲの保全や普及、振興の担い手がいなくなるのではないかと心配をされておられます。このような状況は、郷土の花、シャクナゲの存続にも関わる大問題でございますので、ここもしっかりと連携をしていただきたいというふうに思います。
さて、今もございましたように、昨年、本県で開催されました第72回全国植樹祭では皇后陛下が
ホンシャクナゲの種をお手まきになられたと聞いております。それを同支部の皆さんが大切に、今、育成されているとのことですけれども、今後、
シャクナゲ協会とこのお手まきのシャクナゲを、どのように連携強化して活用していくのか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也)
シャクナゲ苗の健全な育成には、植栽時の根つきをよくするため接ぎ木の作業が必要になるなど、協会の専門的な技術と豊富な栽培経験が不可欠になることから、これまでよりも連携を密にしながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。
また、現在、実施しております
花緑公園施設改修工事におきまして、シャクナゲの森の周辺整備や看板のリニューアルなど、御意見を伺いながら進めているところでもございます。
今後は、シャクナゲの持つ魅力や可能性を広く県民の皆さんに知っていただくため、効果的なPR方法等につきましても、協会の皆さんとともにしっかり考えてまいりたいと考えている次第でございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。有効にこの苗を活用されますようにお願いしておきたいと思います。
シャクナゲの普及、保全を図るためにも、シャクナゲが郷土の花であることについて県民の認知度を調査していくことも必要と考えますが、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(小林雅史) お答えいたします。
これまでシャクナゲに関します認知度を調べたことはございませんが、一方で、県政世論調査では、県民の多くの方が「琵琶湖や山といった身近な自然や環境が守られていると感じている」と回答してございまして、自然や環境への高い意識を持っておられるものと認識しているところでございます。
このようなことから、今後も様々な機会を捉えて、滋賀のシンボルとしての郷土の花、県の木、県の鳥などをPRし、それぞれの認知度向上を図っていくことが大切だと考えているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)認知度調査は、分布調査と同じように、これからシャクナゲを保存していくために、認知度を高めるために、あるいは県民へその情報を伝えるためにも必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
何度も申し上げますが、本年度はシャクナゲが郷土の花となって70周年の節目の年でもあります。シャクナゲの認知度向上のために、もう少し戦略的なPRを行ってはどうかと考えますが、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(小林雅史) お答えいたします。
現在、県のホームページや県庁見学の来館者にお渡ししている冊子で、郷土の花をはじめ県の木や県の鳥などを紹介しているところでございます。
また、議員御指摘のとおり、本年は郷土の花となって70周年の節目の年であるとともに、来年は大阪・関西万博、本県での国スポ・障スポの開催など、国内外から多くの方に来県いただく機会が増えることから、郷土の花であるシャクナゲをアピールする好機と考えているところでございます。
今後も様々な機会を捉え、県広報誌やホームページ、SNSなどの広報媒体を活用し、戦略的な広報により、シャクナゲをはじめとする本県のシンボルの認知度向上に努めてまいりたいと考えております。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)前向きな御答弁、ありがとうございました。
大河ドラマ「光る君へ」も大変好調だと聞いております。滋賀県への興味も高まっているようでございますので、ぜひ、まずはNHKに掛け合って、70周年の番組をしていただくというのも1つかと思います。
日野町鎌掛の
しゃくなげ渓や、そこに群生する
ホンシャクナゲは、日野町のみならず本県の貴重な観光資源でもございます。
そこで、これまで以上に日野町と連携して、
しゃくなげ渓と
ホンシャクナゲの保全に努めると同時に、観光面でも連携強化し、もう少し積極的にPRすることも大事かと考えますが、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
四季折々に県内で咲く美しい花々は、色や形、匂いで人々を魅了するだけでなく、癒やしや感動を与えるなど多様な魅力があり、シガリズムを推進する上で重要な観光資源の一つであると考えているところでございます。そのため、郷土の花で、華やかで気品のあるシャクナゲにつきましても、その魅力を知っていただくため、日野町にある
鎌掛谷ホンシャクナゲ群落について、滋賀県観光情報ウェブサイト等において紹介しているところです。
今後も、さらに魅力あるシガリズムコンテンツの一つとして提供できますよう、日野町との連携により、近隣の観光地も含めた周遊促進や開花情報に合わせましたSNS等での発信により、シャクナゲの魅力を積極的にPRしてまいりたいと考えております。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。こちらも前向きな御答弁をいただきました。
さて、シャクナゲの認知度向上のためには、子供たちが、郷土の偉人たちを学ぶのと同じように、本県がシンボルとしている花や木、鳥について、それらを学ぶ機会や時間を設けることは環境先進国を標榜する本県にとって大切なことと考えます。
郷土の花、シャクナゲの認知度向上のための子供たちへの取組について、教育長の所見を伺います。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えします。
県内の小中学校におきましては、社会科や総合的な学習の時間におきまして、滋賀の郷土の花であるシャクナゲをはじめ、滋賀県や自分たちの住む市町がシンボルとしている花や木、鳥など、郷土の特色について調べたり紹介したりする学習を行っているところでございます。このような学習を通じまして、子供たちが地域の特徴やよさについて考え、理解を深め、そして、守り育てようという気持ちになることは大切なことだと考えているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。ぜひ、まずは子供たちへの取組を強化していただきたいというふうに思います。
最後です。昨年、三日月知事御自身も
近江富士花緑公園においてシャクナゲを植栽されておりますが、花緑公園におけるシャクナゲ保全の取組などを通して、多くの県民の皆様にシャクナゲの魅力を知っていただくことは大変重要なことだったと思っております。
この項の最後に、郷土の花、シャクナゲに対する知事の思いについてお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
私も昨年4月に初めて
ホンシャクナゲを植栽させていただきました。日本ツツジ・
シャクナゲ協会滋賀県支部の方々のシャクナゲの森での継続した活動には敬意を表するところでございます。
シャクナゲは山地に自生することから人目に触れることが少なく、
近江富士花緑公園のような身近にシャクナゲに触れることのできる場所は大変貴重であると思います。とても丹精込めて手入れしていただいている様子を拝見いたしましたし、気品のある咲き方というのに魅せられたところでございます。
これまで答弁させていただきましたように、シャクナゲには、観光資源や文化財として、また地域の自然資源といった様々な側面があると言え、そのことが大きな魅力であり、シャクナゲの持つ大きな可能性であるとも感じたところでございます。これからも郷土の花であるシャクナゲの魅力を県内外の多くの皆さんに伝え、滋賀のシンボルの一つとして認知度が向上するよう、来年はいよいよ国スポ・障スポ大会などもございますので、庁内部局間で連携を図りながら積極的にPRしてまいりたいと存じます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。傍聴に来ていただいた協会の皆さんも大変お喜びだったというふうに思います。
このたびの天皇皇后両陛下の英国への御訪問では、チャールズ国王夫妻主催の晩さん会において、テーブルには桜の花が飾られ、会場ではさくらさくらの曲が演奏され、また、国王が上着のポケットに桜をイメージするピンク色のチーフを入れられていたことが大きな話題となりました。英国国王は、日本を代表する花、桜に最大級の敬意を払われたのではないかと感じたところです。
我が郷土の花、シャクナゲの花言葉は威厳、荘厳です。ラグビーフットボールの日本代表が桜の花を図案化したエンブレムをジャージの胸につけて戦うと同じように、滋賀県代表は、郷土の花、シャクナゲのエンブレムをジャージの胸につけて戦っております。また、滋賀医科大学では、篤志による献体を対象とした調査研究事業を実施されておられますが、この事業に協力する篤志
団体の名はしゃくなげ会と呼ばれております。平成16年に亡くなりました私の父も、このしゃくなげ会の一員として、亡くなった際には献体をさせていただいており、私にとりまして、シャクナゲはほかの花以上の思い出もあります。
このようなシャクナゲにまつわる様々なエピソード等も踏まえまして、子供や県民の皆様に、郷土の花、シャクナゲを広く広報していただき、その認知度を高めるとともに、シャクナゲの保存、普及がさらに進むことを期待いたしまして、次の質問に移ります。
次に、学校部活動の地域移行に向けた取組について、一問一答にて伺います。
公立中学校における部活動の地域移行推進事業──以降、学校部活動の地域移行と申します──については、児童生徒の減少やニーズの多様化、教員の働き方改革などを背景として、平成30年にスポーツ庁が学校部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定いたしました。これを受けて、平成31年には中央教育審議会で、地域で、部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境を整えた上で、将来的には部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきとの方針が答申されました。
また、令和2年9月には文部科学省──以降、文科省──が「学校の働き方改革を踏まえた部活動について」を通知し、「令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこと」などが示されました。
そして、令和4年にはスポーツ庁および文化庁が合同で設置をいたしました有識者会議から、休日の部活動を段階的に地域移行していくことを基本に、地域の実情に応じた地域移行の進捗状況を継承し、さらなる改革を推進していくことなどを提言いたしました。同年12月には、この提言を踏まえ、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインが策定され、公立中学校における部活動の地域連携ならびに地域の運営
団体や地域スポーツ、文化クラブ活動への移行に取り組むことが明示されたといった経過がございます。
国では、令和5年度から7年度までを部活動の地域連携、地域移行の改革推進期間としており、本県でも令和4年9月に部活動の地域移行に関する検討会が設置され、令和5年には部活動の地域移行に関する協議会を立ち上げられ、意見交換会などを開催されるとともに、令和4年度には2市町、令和5年度には8市町の中学校をモデル校として実証事業が行われたと仄聞をしております。
しかし、県下の自治体や学校現場、教員や地域スポーツ指導員からは、学校部活動の受皿となる
団体や施設、場所、指導者などが不足をしているという実態、生徒や指導者の安全、安心体制が構築できていない現状、また、活動予算の確保をどうするかなどの課題、さらには各種大会の在り方などなど、学校部活動の地域移行に向けた様々な環境整備がまだ不十分であり、このような状況下での地域移行は拙速かつ時期尚早ではないかとの声も上がっているところです。
そこで、本県の公立中学校における部活動、特に運動部の活動の地域移行に向けての取組について、その進捗状況と課題について、以下、伺います。
まず、大きな1問目として、学校における部活動の意義について改めて伺います。
学校における部活動の歴史をひもといてみますと、明治初期の大学や軍隊において、当時、来日した諸外国の教師や将校が学生たちに海外の各種スポーツを伝えたことに由来をし、また、当時の文部省も、国策として課外スポーツを奨励することとしたことで、部活動が学校の教育活動に位置づけられていったとされています。その後、昭和22年の新しい学制の制定により、学習指導要領に部活動が選択科目として位置づけられ、初めて教育課程の中に示されました。昭和26年の改訂では、部活動が特別活動の領域として位置づけられましたが、これ以降、学習指導要領が改訂されるたびに、部活動は教育課程の位置づけを外されたり、あるいは位置づけられたりを繰り返してまいりました。直近の平成29年、30年の改訂では、部活動は学校教育の一環として教育課程との関連を図ることに留意するなど、その意義と留意点が再確認されるとともに、総則に持続可能な運営体制の整備に関する内容が示されたところでございます。
そこで、改めて、学校における部活動について、部活動が果たしてきた教育的意義について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学習指導要領では、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動は、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するものとされているところでございます。また、異年齢との交流の中で、好ましい人間関係の構築を図り、自主的な活動、努力の結果として達成感や充実感をもたらし、自己肯定感を高め、豊かな学校生活を実現させる役割を果たすなど、その意義は非常に大きいものがあると考えているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。私もそれにのっとって、使命感を持って子供たちの運動部の指導に当たってきた記憶がございます。
現在、行われている部活動の現状と課題について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) 令和6年度の本県公立中学校の運動部の部活動加入率につきましては、令和2年度と比較いたしまして、4.1%減りまして62.8%、また、部活動設置の数につきましては、男女合わせまして、令和2年と比較いたしまして、88の部が減りまして1,146部となっているところでございます。
年齢別人口の推計からは、今後、中学校の生徒数の減少が見込まれる中、学校や地域、また、競技によりましては、その存続が厳しい状況にあると認識をいたしております。
このような中、学校部活動がこれまで果たしてきた役割を考慮しつつ、生徒自らが望む活動が持続可能なものとなるよう、運営体制の整備や指導者の確保のほか、成果発表の機会の確保など活動環境の整備が必要になってくるものと考えているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。ちょっと急ぎます。
次に、大きな2問目として、部活動の地域移行の取組について伺います。
多感で、心身ともに大きく成長する中学生の時期においては、学校部活動が生徒の心身の健全な育成にとって大きな意義があるとされていることから、これまで学校部活動が果たしてきた教育的な意義を残しつつ、地域クラブ活動にどのように移行していけるかどうか、これがこのたびの事業の大きな課題となっております。執行部ではこのような重要なミッションに、鋭意、取り組まれていると承知をしています。
そこで、県がこれまで進めてこられました学校部活動の地域クラブ活動への移行に関する取組の内容と現状につきまして、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
部活動の地域移行につきましては、教育委員会とともに取り組んでおり、スポーツ関係者や学校関係者等をメンバーとした部活動の地域移行に関する協議会を令和5年7月に立ち上げ、市町と取り組んでいる実証事業の成果や課題を踏まえつつ、国のガイドラインに基づいた本県の方針を令和6年3月に策定したところでございます。
受皿
団体の整備や指導者の確保、健康面、安全面の配慮など課題も多くあると認識しておりまして、これに関わる多くの方々の御意見を伺いながら、各地域の実情に応じた形となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。
さきにも申し上げましたんですけど、国のガイドラインでは令和5年度から7年度までを改革の推進準備期間として位置づけられており、県の取組も、これからさらに地域の実情に応じた取組が加速化されていくことと期待をするところでございますが、二度と返ってこない中学時代に生徒が大きく成長できる環境を整えることに責任の重さを私も感じているところです。
そこで、地域クラブ活動への移行を行う上で、その活動の受皿となる地域スポーツ
団体や、その
団体の活動場所、施設の現状について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
県内には、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、その他民間が運営するスポーツクラブなど400を超える
団体がございまして、こうした
団体の一部が地域移行の受皿となり得ると考えております。
一方で、現時点ですぐに中学校部活動を受け入れることができる
団体は非常に少ないものと認識しております。
また、活動施設につきましては、小中学校の学校体育施設、公立の社会体育施設などを使用している
団体が多いと聞いているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)次に、その具体的な諸課題についてお伺いいたします。
部活動の地域移行に際しましては、実際に活動を行う生徒やその保護者の不安を解消し、期待に応えていける制度となっているかどうか、これについて、生徒や保護者の視点に立って考えることが必要不可欠ですが、地域の実情を鑑みますと、諸課題が次々と頭をよぎってまいります。例えば、地域の指導者には、技術的な指導はもちろんのこと、事故やけが、生徒間トラブルが発生した場合の対応、活動場所や活動施設、道具などの手配、さらには部員の個人情報や部費の管理など多くの責任が課せられることになりますが、中学生の発達段階に対応した技術的な専門性や生徒指導力を有する外部人材の確保が果たしてどれほどできるかという課題があります。また、学校管理下の部活動では、事故やけがが発生した場合、教員顧問以外の教職員も連携してこれら事故等の対応に当たることになっており、地域スポーツ
団体が管理する活動時の場合、この安全管理体制の構築も不可欠となってまいります。また、生徒の心や体に関する情報はもちろん、交友関係や家庭環境、緊急時の保護者の連絡先など、取扱いに細心の注意を要する事柄も数多くございます。個人情報を地域スポーツ
団体等が取得する手段と、取得した後の管理についても十分な体制整備が図られなければなりません。さらに、これまでいわゆる中体連と称される、中学校総合体育大会をはじめとする様々な競技大会の運営を教員が担ってきたことを考えますと、各種大会の運営自体が困難となるおそれや、全国大会等への選手の選抜ができなくなるのではないかという懸念もございます。これら地域クラブ活動への移行に関する諸課題を取り上げると切りがなく、また、中学生の部活動の意義や、生徒、保護者のことを考えると不安は募るばかりでございます。
そこで、学校部活動の地域クラブ活動への移行に向けて、これら諸課題をどのように乗り越えて体制整備を行っていかれるのか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、様々な面において課題があると認識しているところでございます。これらの課題を解決し、将来にわたって子供たちがスポーツを楽しむ機会を確保するには、市町や学校関係者だけでなく、地域の方々や生徒、保護者など、様々な御意見を丁寧に聞きながら、地域の実情に応じて検討を進めていくことが重要だと考えております。
このため、先ほど申しました、関係者で議論する部活動の地域移行に関する協議会を立ち上げたほか、市町担当者会議や現場訪問など、様々な声が届くような体制を整備したところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ぜひ、現場の声も聞きながら、教員の働き方改革との関連も含めまして、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、大きな3問目として、部活動の地域連携、地域移行に向けたスケジュールについて伺います。
冒頭でも触れましたが、平成31年に中央教育審議会が、地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境を整えた上で、将来的には部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきと答申してから5年がたちます。そこで、現在、本県でも段階的な移行に向けた取組が進められていますが、本県における本事業のスケジュールについて、改めて教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
令和5年度から令和7年度までの3年間につきましては、国が部活動の改革推進期間として位置づけておりまして、本県におきましては、令和5年度に8つの市町、そして、令和6年度──本年度、10の市町で実証事業を行うなど、それぞれの地域の実情に応じた取組を進めつつ、その成果、また課題を検証することとしているところでございます。
そして、令和8年度以降につきましては、全国的な取組に対する検証結果に基づいた国の施策や動向について注視しつつ、学校部活動の地域移行に関する協議会等で課題の共有と方向性の検討を継続し、各市町の実情に応じた部活動の地域連携、また地域クラブ活動への移行に向けた、そういった取組を推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆40番(
冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。私もこの原稿を書いていまして、果たしてこの事業の決着点がどこか、いつなのかというのがなかなか分からなくなってまいりまして、令和7年度までは取り組みなさいと、後は地域の実情に応じてやりなさいと、こういうようなことがありまして、これは、いろんな方からのお声も聞いていると、皆さん、なかなか分からない。あるいは、先ほどから出てますように、教員の働き方改革が優先されるのか、子供たちのクラブ活動の保障をしていくのか、いろんな課題がございます。既に静岡県掛川市では市立中学校のクラブを全廃して地域に任せたということがあったんですけど、一度、私も行ってみたいなと思ってるんですけど、果たしてそんなことができるのかどうか。仮に静岡県で掛川市だけがやっても、じゃ、中体連の県大会をやるときはどうするんだとか、様々な問題が横たわっております。よろしくお願いいたします。
このたび取り組まれているこのような学校部活動の地域移行が仮に円滑に進んだ場合でも、学校の部活動がすぐ全てなくなるわけではございません。当面は、学校部活動と地域部活動が並立するような形になるのが多分考えられるんですけども、これに伴い、例えば受益者負担、学校部活動をやっている子は経費がかからない、地域へ行った場合には経費がかかる、受益者負担の問題です。このような新たな課題も出てくるように考えられます。その点も、また今後、考えていかなければならないというふうに思います。
最後に、教員のモチベーションについて、あえてちょっと触れさせていただきます。
私自身もかつてはそうでしたんですけれども、教員の中には、運動部の指導に関わりたくて、そのために教員になったという方も少なからずおられます。また、部活動が学校から地域へと移行した場合、教員が担ってきた各種競技大会の監督や引率、大会役員としての従事など、これまで教員が培ってきた知識や経験を十分に生かせないという事態も考えられます。そうした教員の夢ややりがい、生きがいも大切にして進めていただきたいというふうに思います。
そのためには、学校や地域にこだわらず、部活動指導を希望する教員に対する兼職兼業制度の導入についても、今後、十分に検討していただきますことをお願いをいたしまして、これは質問といたしません、要望いたしまして、私の質問を終わります。いろいろとありがとうございました。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、40番
冨波義明議員の質問を終了いたします。
次に、30番目片信悟議員の発言を許します。
◆30番(目片信悟議員) (登壇、拍手)それでは、早速ではございますが、発言通告に従い、再犯防止と支援する方々の安全について、現状と今後の対応について、全て知事に問います。
昨日も、国、そしてまた、滋賀県では更生保護の関係7
団体の方と知事が懇談会を開かれたというような記事も出ておりましたけれども、保護司という活動というのが本当に皆さん方に改めて御認識をいただいたんではないのかなということを実感しております。
それでは、まず初めに、保護司として、また、更生保護に係る諸
団体に関わってくださり、長年御尽力くださいました今は亡き新庄博志様に心から哀悼の意を表します。私が県政において長年取り組んでまいりました再犯防止の取組につきましては、まさに新庄さんと一緒に歩んできた道のりにほかなりません。保護司として、また、更生保護事業協会事務局長として、そして、協力雇用主として、あらゆる立場で更生保護活動に取り組んでこられました新庄さんに、本当に改めて心を寄せたいというふうに思います。
知事とも長年にわたり、活動を通じて交流をされました。私自身はまだ10年に満たない保護司としての経験しかありませんが、今後の再犯防止の取組が後退しないか、また、法務省をはじめとする行政関係者はもちろんのこと、保護司はじめその御家族、また、県民の皆様の気持ちを考えますと、速やかに何らかの対策を講じる必要があるというふうに思います。
このたびの事件につきましては、いまだ容疑者は犯行を認めておりませんし、事実関係が明確ではない状況であります。とはいえ、例えば保護観察対象者が、担当する保護司や保護観察官に対して敵意は絶対に持たないという前提は考え方として排除しなければならない、そういったことも想定せざるを得ないということを、悲しいことではありますけれども、私たちに突きつけた事件であったのではないでしょうか。
私はこれまで、再犯防止の取組について、県に対し、県行政としてできること、また、ぜひ取り組んでいただきたいと思うことを訴えてまいりました。そして、これからも新庄さんの残された志を継いで、再犯防止への理解と取組の推進について、県の姿勢を問うてまいりたい、このように考えております。
本県は、10年ほど前までは近畿でも最も再犯防止に対する取組が遅れていると指摘をされておりました。ですが、三日月知事の強いリーダーシップの下、近畿はもとより全国でも有数の先進県として注目され、その活動は質、量ともに目をみはるものとなりました。それゆえ、今回、こうした不幸な事件が本県で発生したということを考えますと、本県が様々な角度から議論を積み重ね、県行政として何ができるのか、一刻も早く示していくべきだと考えます。
そこで、まず最初に、昨年度、本県が平成31年度に策定した滋賀県再犯防止推進計画が改定され、今年度から第2次計画の推進が始まりました。以下、計画と言いますが、まさかこのような事件が発生するとは想像もしませんでしたので、この計画では保護司の安全という面に関しての記載が薄いように感じます。もちろん更生を進める、再犯を防止するという目的でこの計画の立てつけがなっておりますので、当然、対象者に対する取組に重点が置かれるのが当然だと思いますけれども、今回のこのような状況を考えますと、安全に保護司の活動ができる環境づくりや支援についても記載すべきなのではと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、市町との連携についてであります。
言うまでもなく、更生保護、再犯防止については、一義的には法務省、国が強力に進めることであります。しかしながら、再犯防止の取組は、保護司や協力雇用主、また、企業についても滋賀県在住の方、滋賀で根を張り、業を営んでおられる方々で成り立っております。本県ではこうした方々をしっかりサポートし、また、たたえてくださっております。大変感謝を申し上げたいというふうに思います。
やはり自治体間の連携があってこそ、より効果的、より効率的な再犯防止活動ができるのではないかというふうに考えます。今後の市町との連携について、今回の事案も鑑みて、どのような連携ができるのか、ぜひ滋賀モデルの構築をと思いますが、知事の所見を伺います。
次に、今回の事件で保護司の安全について大きく取り上げられました。例えば自宅での面接に不安があるなら面接場所を提供する等、いろいろ議論もあるようであります。これは私の思いつきではありますが、一つの可能性として、オンライン面接は不可能でしょうか。サポートセンターや公民館といった議論も当然ございます。特に現役世代は夜でありますとか休日にしか時間が取れないかも分かりません。時に、約束した時間が急に都合が悪くなるということもしばしばあります。今はスマートフォンやタブレット端末も普及してまいりました。以前に対象者の方から聞いた話では、就職活動をするためにはスマートフォンは必須とも聞きました。
2年前に法務省保護局と若手保護司によるフォーラムでオンライン面接の議論があったようであります。その際には、保護司が抱える様々な課題も併せて議論され、例えば自宅での面接への不安、また、近隣に対する不安、これは保護司であることが地域住民の方に知られ、社会的に排除を受けたというようなことも現実にあったようであります。まさに今、大きな問題となっていることも、当時、議論されております。今後、保護司にとって安全に、また対象者も安心できる、寄り添った更生保護活動が推進できるよう、オンライン面接なども含め、滋賀からぜひ提言していただきたいのですが、いかがでしょうか、知事の見解を伺います。
次に、知事は機会あるごとに息の長い支援と発信しておられます。当然ながら、その支援を受ける方々にも息の長い活動をお願いしなければなりません。特に保護司は高齢化が進んでおります。また、新たに保護司になってくださる方も簡単にはおられません。近頃では報酬を出してはという議論もあるようですが、私自身はいかがなものかというふうに感じております。世間や、特に対象者の方から、どうせお金をもらって保護司をしてるんやろうという目で見られることによって、果たして本当の信頼が築けるのか、など課題も多いというふうに思います。
そこで、このたびの事件を受けて、保護司に対する息の長い支援、保護司の安全について、本県としてどのように取り組み、進められるのか、知事のお考えを問います。
最後に、将来を見据えた更生保護の取組について、知事に問います。
人は皆、誰一人として犯罪者になりたくて生まれてきたのではありません。人生の中でいろいろな出来事を経験したりいろいろな人との関わりの中でその人の人生がつくられていきます。以前、本県では子供たちを巻き込んでの大きな事件もありました。悲しいかな、未然に防ぐことができず、大切な命が失われました。今回も更生保護活動において大切な命が失われました。命を大切にする教育を進める、罪を犯す人、その立ち直りを支え寄り添う人、今回の事件を通じて何か学ぶものはないのでしょうか。こういう現実の中で、どちらの立場になるのも人なのであります。将来を見据えるということは、子供たちにきちんと教え育てることだと考えますが、知事の思いを、ぜひお聞かせください。
そして、知事、新庄さんへの思い、伝える言葉があるなら、ぜひお話しください。新庄さんもきっと知事の力強い気持ちの籠もった言葉を待っておられると思います。よろしくお願いをいたします。
○議長(有村國俊) 30番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)再犯防止について6点、御質問いただきました。
まず1点目、保護司の安全についてでございますが、第2次滋賀県再犯防止推進計画では、議員御指摘のとおり、具体的な内容ではなく「保護司の活動しやすい環境を整備し」という記載にとどまっております。今回の事件を受けまして、昨日、県保護司会連合会をはじめとする更生保護関係機関や国との意見交換を実施いたしまして、今もお触れいただいた、面接場所や家族の方の御不安などについて御意見を頂戴したところでございます。
県といたしましては、いただいた御意見のほか、国の動向などの情報収集にも努め、国や市町、民間
団体等と連携協力しながら、安全に保護司の活動ができる環境づくりや支援につきまして、計画への追加も含めて検討を進めてまいりたいと存じます。
2点目、市町との連携についてでございます。
市や町とは、毎年、再犯防止市町担当者会議を開催し、情報の共有と職員への研修などを行っているところでございます。今回の事案を踏まえ、より効果的な再犯防止活動を行うため、これまでの県と市町、県と
団体という関わりだけでなく、国、県、市町、民間
団体が一堂に集まり、連携して取り組むべきことについて考える場づくりを検討したいと存じます。また、県と市町との連携につきましては、より充実したものとなるよう、滋賀県首長会議で議論することも併せて検討してまいりたいと存じます。これにより、令和元年──2019年に法務省と県が宣言いたしました再犯防止「三方よし」宣言の多職種、多分野による地域の支援ネットワークづくりをさらに進め、滋賀モデルの構築につなげてまいりたいと存じます。
3点目、オンライン面接についてでございます。
国においては、現時点では原則、対面で実施することとされておりますが、各保護観察所からの保護司への聞き取りなどにより、保護司の安全対策の強化を検討するとされていると承知をしております。
県といたしましても、保護司の皆様から、地域や個人の特性に応じた方法で面接が行え、かつ安心して活動できる仕組みづくりについての御意見を伺っているところでございます。国の検討過程において県からも意見を申し述べ、オンライン面接を含めた面接方法や場所など、保護司の皆さんが安全に活動に取り組める環境整備が進むよう、県としても努力してまいりたいと存じます。
4点目、保護司の皆さんの息の長い支援等につきましては、一義的には国において検討されるものではございますが、現場の声が反映されるよう、国に対して働きかけを行ってまいりたいと存じます。
あわせまして、今回の事件を受け、更生保護関係
団体等の意見交換を実施いたしますとともに、国が行う保護司への聞き取りなどを踏まえて、国、県、市町、民間
団体それぞれで情報を共有し、対象者等を支援する保護司等の不安の解消など、ケアする人のケアについて、県自ら取り組めることを検討してまいりたいと存じます。
5点目、子供たちに教え育てることについてでございますが、子供たちが過ちを犯してしまったとき、自分の立ち直りを支えてくれる人がいることや支えてくれる仕組みがあることを知っておくことは非常に重要だと考えます。そのため、更生保護や再犯防止について、子供たちに自分事として関心と理解を深めてもらえるよう、7月の「社会を明るくする運動」強化月間や親子向けのイベントなどを活用した広報啓発を行うとともに、国などが行う啓発活動とも連携してまいりたいと存じます。
最後、6点目、新庄さんへの思いについてでございます。
議員もよくよく御存じのとおり、更生保護や再犯防止に対する志の半ばで活動を終えざるを得なかったことは無念の極みだったと思います。
地域社会全体で立ち直りを支えるKANAMEプロジェクトは、まさに新庄さんが立ち上げられ、司令塔として活動されており、昨日も多くの関係者の方が、司令塔を失って、これからどうしたらいいんだろうという、そういう失意の思いをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、本県にとってもなくてはならない存在であり、私としても痛惜の念を禁じ得ないところでございます。
今回の事件により、更生保護や再犯防止の取組が停滞、後退すること、また、関係者や対象者等に差別や偏見が及ぶようなことがあってはならないと考えます。今回の事件をきっかけとして、よりよい取組となるよう、県としても力を尽くしてまいりたいと存じます。
新庄さんの思いを絶やすことなく、国、市町、民間
団体等とともに、罪を犯し、生きづらさのある人が犯罪を選択肢とすることなく地域で暮らしていくことができる社会の実現、誰も被害者にも加害者にもならない、そういった包摂性のある社会づくりに努めてまいりたいと存じますので、今後とも一緒に頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。大変心強く思っておりますが、何点かだけ、ちょっと確認も含めて再質問させていただきたいと思います。
まず、市町との連携につきましては、おっしゃいますように情報の共有でありますとかそういったことが非常に重要でありますし、特に市町が関わらなきゃいけないような支援も、当然、福祉の面でありますとか、そういうこともあろうかと思いますので、そういったことの充実について、ぜひ、その辺りのことも併せて、市町との連携を強力に進めていっていただければというふうに思います。
それと、この議場にも幾人か保護司の方がいらっしゃいます。そういった方々、どなたが保護司かというのは皆さん御存じ、柴田栄一議員、中山議員は保護司さんというふうに聞いております。私もこの間まで全然知りませんでした。こういう、誰が保護司かというのが分からへん状況というのが、非常に、保護司の中でも、私はいいのかなということはちょっと考えたりもします。たまたまこの議場に3人いるということ。ほかにいはったかな。ほかにいはりますか。そういう、近くの保護司さんとの連携というのも、今の安全という面に関して言えば、取り組んでいくのに大きな要因かなというふうに思うんです。というのは、先ほどオンラインでの面接というのを、御提案というか、お話ししましたけれども、例えば場所のお話で、昨日、多分、知事も聞かれていると思うんですけど、公民館とかコミュニティーセンターというお話もあったと思うんですけれども、例えばそういった保護司さんの事業所で、もしそういった場所の提供がお互いやり合いができるとするなら、そういったことを連携をしながら、保護司同士で場所を提供しましょうかということも1つ考えられるのではないのかなと。例えば私がどこどこの保護司さんの会社の場所を借りて面接を行うとか、私のところへ場所を提供してくださいというようなやり取りができれば、身近で場所の提供のやり取りができるんじゃないのかなと。場合によっては第三者が、直接、面談に関わらなくても、そこにいるということで安全も確保できるのと違うんかなというようなことをふと思いました。そういったことは、ぜひ、場所を提供する企業さんなりに何らかの、やっぱりそこはインセンティブをお渡しする、消防団でありますとかいろんな面で、今、保護司も、協力雇用主の企業に対しては加点制度等があるように、逆に、そういった場所を提供してくださる企業さんでありますとか、これはまた質問になりますけれども、保護司を雇用されている企業さんでありますとか、そういったことでそういった会社さんを応援してあげるというのも1つ、方法としてあるのではないのかなと。そうすることによって、更生保護全体の制度としての進め方というのがより強固になっていくかなというふうに、ふとというのか、そういうことをずっとこの質問をするに当たって考えておりましたので、保護司の皆さん方はどういう割合で、例えば自営業者さんなのか、会社員さんなのか、公務員さんなのか、ちょっとそこらあたりの割合は、今、存じ上げませんけれども、少なくとも企業でそういったことに取り組んでいらっしゃる方に、そういったことも併せて協力を求めることによっての場所の確保とか安全の確保に少しでもつながればというふうに思うんですけれども、その辺り、このインセンティブのことも含めて、どう、これから考えていかれるのかということを1点、お聞きをしたいというふうに思います。
それから、昨日、7
団体の方とお話しいただいた。これはこれで非常に大きな収穫を得ていただいたのかなというふうに思うんですけども、先ほども申し上げましたけれども、法務省が令和4年6月に若手保護司とのオンラインフォーラムということで開催をされまして、その中で、今回起きた事件に絡む様々な課題というのも、その時点でも、もう議論をされております。保護司の安全とか、例えば保護司をやっていることによっての、先ほども申し上げましたけど、不利益になっていることとか、そういうことがあるんで、ぜひ、どういう立場の方が、今、現役世代で保護司をされているのか、そしてまた、そういった課題というのを一つ一つあぶり出すことによって、それへの手だてを打って、保護司へのハードルを下げて、現役の世代の皆さんにも、より多く保護司になっていただくということを考えますと、ぜひ、若手保護司とも面談をしていただいて意見交換をしていただければなというふうに思います。例えば、先ほども申しましたけれども、私が面接するタイミングというのは午後9時とか10時になることもあります。相手も仕事を抱えていたり、私も仕事を抱えていたり、そのタイミングが合わないで面談がキャンセルされる場合もあったりするんで、そういった事情がある、例えば公共施設だけで面接して、ほんならその時間まで誰か開けといてくれてはんのかなとか、「今日あかんし、明日使わせてくださいな」ということも大きなハードルになってくるということ、これは現役の50代の保護司さんがそういうふうにおっしゃっていたので、ぜひ、そういう現役世代の若手保護司との意見交換も、知事として、また部局として、一回やっていただくと、より様々な課題というのが共有されて、それの解決方法が、県としてできることというのが見いだせるんではないのかなというふうに思うんですけれども、その2点、ぜひ、要望も含めてなんですが、お尋ねをしたいと思います。
◎知事(三日月大造) ありがとうございます。いずれも重要な御指摘だと思います。
まず、現在、県には488名の保護司の御登録をいただき、活動いただいているということでした。定数は498、お願いをしたいところ、488人ということで、全国各都道府県と比較いたしますと、比較的その充足率は、おかげさまで高いという、こういう状況があるとのことでございました。
ただ、5月と12月に毎回ある更新時、また次をお願いする、後継をお願いするというときに、随分、御苦労をいただいているということですとか、御高齢の方が多くて、なかなか体力的にも精神的にもつらい状況におありだということも聞かせていただきました。
私は、議員のように保護司というのをやっておりませんので、その御苦労の一端もなかなか分からないところはあるんですけれども、先ほども申し上げたように、誰も被害者にならないように、そして、罪を犯した人の立ち直りを、施設の中だけではなくて、社会で包み込んで支えていくという、このことがひいては安全、安心な地域にもつながっていくんだという、こういう信念の下、まさに10年前から議員からいろいろと教えていただきながら、この県の取組を行ってきたということがございます。
昨日も、この答弁協議、臨ませていただくときに担当者と話をしておりますと、なかなか市町の御理解も得るのは難しいという、そういう実情があることを聞きました。どうしても更生保護、再犯防止の仕事は国の仕事、保護司さんの仕事、県や市町はちょっと、なかなか分からないことも多いし、関わりが難しいということがあるようでございますが、ただ、お触れいただいたように、福祉の面、教育の面、時には医療や様々な面で自治体が関わるということが更生保護や再犯防止を有効にしていくためにも極めて重要だというふうに思いますので、そういう視点に立った改善点をさらに求めて、そして、積極的に実施していきたいというふうに思っております。
1つ目にお尋ねいただいた、保護司の皆様が様々活動していただきやすい状況をつくり出すための諸制度、例えばインセンティブということでありますとか、そういった事々につきましても、一度、国でも成り手不足をどのように克服していくのかということで議論されるようでございますので、県として、さらにどういうことができるのか考えていきたいというふうに思いますし、どなたが保護司で、どこにお住まいで、どんな活動をされているのかということは、よくよく議員御案内のとおり、特性にもよりますし、相手、対象者との関係にもよりますし、立ち直りの状況にもよるというふうにも聞いております。自宅がやはりいいと、家庭的な雰囲気の中で気楽に話せるという環境が適している場合もあれば、なかなかそのようにならないときにコミセンや公共施設を使えるといいねと。ただ、夜間はどうするんだろう、すぐに行けるんだろうかというような課題があるので、先ほど御提起いただいたオンライン面接などは、私は可能性として追求すべきだと思いますし、そういったことが可能になるよう、保護司さんをしっかりと確保するための様々な諸制度を、繰り返しになりますが、県としても検討していきたいというふうに思います。
そして、2つ目に、そういったことも含めて、若手保護司ともぜひ面談をして、いろんな意見を聞いたらどうだという御提起もいただきましたので、昨日は会の代表の方からお話を聞きましたけれども、いろんな年代の方々が、また、いろんなお仕事をされながら保護司をしていただいている方というのもいらっしゃると思いますので、ぜひ、そういう機会をつくれるように努力したいというふうに思います。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)保護司であることを公にしたので御迷惑をかけたかも分かりませんけど、申し訳なかったなと思いながら。ただ、私が申し上げたかったのは、いろんな方法を駆使しながら、当然、立ち直りを支援する、そしてまた、支援する側もしっかりと安全で安心な、そういった環境をつくってもらいたいということでございましたので、先ほどちらっと申し上げた保護司さん同士の横のつながりというのはなかなかないし、研修会もあるんですけど、特に現役世代の方は参加しづらい平日で行われるとか、そういったことになってくると、何と言うんでしょう、顔見知りになる機会もなかなか少ないかなというようなこともありますし、悩み事、例えばこの間ちょっとしゃべっていたら、「どんなことを面接で聞いてはんの」という、そんな情報交換なんかしないんですよね、保護司同士の中で。もちろん誰が保護司であるかということも分かりませんので。ですから、自分が今やっていることが自分自身の更生保護活動やというようなことで、今現在、動いているというのが実情ですので、複数人での面談はどうかという議論も今されているようでありますので、そういったことを考えますと、横のつながりもひょっとしたら必要になってきて、中には、場所の提供という部分では、保護司さんの企業さんでありますとかそういう方に関わりを持ってもらうということも、ひょっとして一つの大きな展開につながるのかなということも思いましたので、今回の大変悲しい事件ではありましたけれども、これは、1つはやっぱり大きな宿題を新庄さんが残していってくださったのかなということで、改めて、私自身もこれからも更生保護にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思いますので、引き続き御指導いただければと思います。終わります。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、30番目片信悟議員の質問を終了いたします。
次に、21番本田秀樹議員の発言を許します。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、質問をさせていただきます。
滋賀県における産業廃棄物管理型最終処分場についてお伺いをいたします。
平成20年10月に、県内唯一の産業廃棄物管理型最終処分場として開業したクリーンセンター滋賀が昨年10月に廃棄物の受入れを終了いたしました。これまでの15年間に約90万立米の廃棄物を受け入れ、本県における廃棄物の適正な処理と、企業立地のための産業基盤の確保に大きく貢献したところであります。
このように、県内における産業廃棄物処分の中核を担ってきたクリーンセンター滋賀でありますが、その後継施設については、県は令和2年1月に、滋賀県における産業廃棄物最終処分の方向性として、県の公共関与による管理型最終処分場の新たな整備を行わないとすることを決定をいたしました。
私は、県内に産業廃棄物管理型最終処分場がなくなることを懸念して、令和2年9月に議会の一般質問において、今後の最終処分場の考え方および影響について知事にただしたところ、近隣最終処分場の拡張計画等による受入れ量の減少に伴い採算性の確保が困難なこと等により、県の公共関与による新たな整備は行わないと答弁され、方針の決定に変わりはないことを確認いたしました。
しかしながら、その決定から4年余りが経過する中で社会情勢は大きく変化し、廃棄物処理についても新たな課題が生じてきております。かつて電力の固定価格買取制度──FITがスタートしたことを契機に全国的に急速に設置が進んだ太陽光発電ですが、その当時に設置されたパネルが2030年代後半に耐用年数を迎え、大量に廃棄されることが懸念されております。また、今年1月に発生した能登半島地震は記憶に新しいところですが、東日本大震災や熊本地震など大規模な災害が発生した際には、それに伴い排出される大量の廃棄物の処理が課題となっております。こうした問題は滋賀県においても、当然、課題を共有し、備えをしておくべきものと考えますが、こうした新たな廃棄物を取り巻く課題を踏まえて、以下、一問一答により質問をさせていただきます。
まず、クリーンセンター滋賀の役割について、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
○議長(有村國俊) 21番本田秀樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) (登壇)お答えいたします。
クリーンセンター滋賀は、県下唯一の産業廃棄物管理型処分場として、平成20年──2008年10月30日の開業以来、県内廃棄物の適正処理を通じて、県民の生活環境の保全、地域社会の健全な発展に大きく寄与し、循環型社会形成の一翼を担う役割を果たしてきたところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、滋賀県における産業廃棄物の状況について、県内で発生した産業廃棄物の総排出量はどのような状況か、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
県内で発生いたしました産業廃棄物の総排出量は、平成19年度──2007年度の約404万トンをピークとして減少傾向にございましたが、ここ数年は横ばいで推移しておりまして、令和4年度──2022年度の総排出量は約389万トンとなっているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
県内で発生した産業廃棄物のうち、最終処分場で最終処分された量はどのような状況なのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
クリーンセンター滋賀の設置の協議を進めておりました平成5年度──1993年度には、県内で発生いたしました産業廃棄物総排出量のおよそ16.5%に当たります約57万トンが最終処分されておりましたが、リサイクルの取組が進んだ結果、令和4年度──2022年度は総排出量のおよそ2.6%に当たる約10.1万トンまで減量化されているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど、リサイクルによって減量されているということ、ありがたいなと思っております。
それでは、県内の産業廃棄物最終処分場の数はどのような状況か、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
県内の産業廃棄物最終処分場の数でございますが、排出事業者の自己処理施設を含めますと、令和4年度──2022年度末現在で、安定型最終処分場が9、管理型最終処分場が1の合計10施設でございました。このうち管理型処分場でございますクリーンセンター滋賀が昨年10月に廃棄物の受入れを終了したところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。もう少し多いのかなと思ったんですが、管理型がなくなったことは少し寂しいかなと思います。
次に、県内唯一の産業廃棄物管理型最終処分場であるクリーンセンター滋賀は、昨年10月に受入れを終了いたしましたが、県内に産業廃棄物管理型最終処分場がなくなったことによって、廃棄物の処理についてトラブルは出ていないのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
クリーンセンター滋賀の廃棄物の受入れの終了につきましては、事前に搬入事業者に周知していたことや、受入れ終了後の処分先といたしまして、全国の最終処分場の情報提供を行ってきたところでございます。
また、一般社団法人滋賀県産業資源循環協会にも事業者からの相談窓口として御対応いただいたことなどによりまして、県内に産業廃棄物管理型処分場がなくなったことによるトラブルは特に生じていないと考えてございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)トラブルがなかったということで安心をいたしました。
それでは、次に、クリーンセンター滋賀が受入れを終了したことにより、周辺地域では不法投棄事案が増えていないのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
不法投棄事案につきましては、廃棄物処理法による規制強化によりまして、県内全体の発生件数は大幅に減少しております。また、新たな事案の発生を防ぐため、関係者と連携し、不法投棄を発生させない地域づくりを進めているところでございます。
なお、クリーンセンター滋賀の受入れ終了に向けまして、周辺地域の監視体制を強化してきておりまして、現在まで新たな不法投棄は発生していない状況でございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、産業廃棄物は県域を越えて収集運搬、処理されることもあると思いますが、県内で発生した産業廃棄物のうち、県外へ搬出され、県外の最終処分場で処理された量はどれくらいあるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
令和4年度──2022年度の実績において、県内で発生した産業廃棄物のうち約10.1万トンが最終処分されている状況でございますが、このうち約5.3万トンが県外の最終処分場で処理されている状況でございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)もう少しあるのかなと思いましたけども。
次に、県外で最終処分しているところはどこなのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
環境省が実施した調査書によりますと、令和3年度──2021年度の実績では、県外で最終処分されたもののおよそ7割が近畿地方や中部地方の近隣府県の最終処分場において処理されているところでございます。このほか、中国地方や九州地方の遠方の最終処分場においても一定量の処理がされているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)近畿、中部が多いということでありました。今後も増えていくかなと思うんですが、よろしくお願いします。
次に、全国の最終処分場の埋立ての状況について、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
環境省の公表資料によりますと、令和3年度──2021年度の全国の産業廃棄物最終処分場の残余容量は1.71億立米、残余年数は19.7年となっているところでございます。前年度との比較では、残余容量、残余年数とも、やや増加している状況にございます。
なお、残余容量1.71億立米のうち、近畿および中部地方が全体の約3割の5,000万立米となっているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次にですが、県内で最終処分した場合の費用と県外で最終処分した場合の費用ではどちらが安いのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
県が平成30年度──2018年度に行いました近畿および中部、中国、四国地方におけます公共関与の管理型最終処分場の処分料金の比較調査では、クリーンセンター滋賀の処分料金は、汚泥やばいじんなどは他県の処分料金の平均値となっているところでございます。紙や木くずは、他県の処理料金よりもこれは高くなっております。繊維やゴムくずは、他県の処分料金より安くなっていることから、廃棄物の種類や性状により異なる結果となっているところでございます。
なお、最終処分場の処理料金は基本的に公表されておらず、公表されていても、実際には排出事業者と最終処分事業者が個別に契約を締結し、料金を定めているケースもございますため、把握が難しく、単純に比較することができない状況でございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、県外で発生した産業廃棄物のうち、県内へ搬入され、県内で最終処分された量はどれくらいあるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
令和4年度──2022年度の実績において、県内の最終処分場で処理されました産業廃棄物の量は約14.4万トンでございます。このうち県内で発生した産業廃棄物が4.8万トン、県外で発生し、県内に搬入された産業廃棄物が約9.6万トンとなっているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)令和4年度時点では、県内の最終処分場で処分された量のうち、県内よりも県外で発生した廃棄物の割合が多いとのことでありましたが、クリーンセンター滋賀が受入れ終了したことにより、今後は県内で発生した産業廃棄物も県外へ持ち出され、県外で最終処分をされる量が増えてくると考えます。県内で排出された産業廃棄物については県内で処理されるべきと考えますが、県としてどう認識しているのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
性状ごとに異なる技術を必要といたします産業廃棄物の処理につきましては、まずは発生を抑え、地域で循環できるものにつきましては循環利用をするということがまず重要であるというふうに考えてございます。その上で、県外も含めました大きな循環の中で、産業廃棄物も資源として、効率的、循環的な利用を図りまして、付加価値の最大化を図るサーキュラーエコノミーへと移行していくことが重要であろうというふうに考えているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほどの答弁で、地域で循環が必要だと、そしてまた、資源としての考え方が必要だということはそのとおりだと思いますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、クリーンセンター滋賀は受入れを終了しましたが、今後も浸出水の水処理を行う必要があります。この水処理に年間どれぐらいの費用がかかるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
クリーンセンター滋賀を運営する公益財団法人滋賀県環境事業公社によりますと、令和5年度──2023年度の浸出水の水処理に係る費用として、年間約5,000万円を支出しているということでございます。
なお、廃棄物の受入れを終了したため、今後は段階的に、水処理に係る費用も縮小していくものと考えてございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)年間5,000万ぐらいが、今後、減っていくということですので、また水処理も必要ですので、しっかりと対応願いたいと思います。
次に、いつまで水処理をされるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
クリーンセンター滋賀の水処理につきましては、廃棄物が安定化して維持管理が不要となり、処分場が廃止できるようになるまで実施する必要がございます。今後、浸出水の濃度がどのように低下してくるのか不確定な要素もございまして、安定化までの正確な年数をお示しすることが難しいところではございますけれども、40年程度かかると想定しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)廃棄物が安定するまでのということで40年ということなんですけど、生きているか生きていないか分からないんですけども、対応もしっかりとしていただきたいと思います。
それでは、維持管理が終了するまで水処理費用はどれぐらいかかるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
維持管理が終了するまでの水処理に係る費用でございますが、滋賀県環境事業公社は、現時点ではおよそ14億円程度と見込んでいるところでございます。
なお、廃棄物の安定化が進む段階において水処理も縮小していくというふうに考えられます。また、水処理が終了できる時期も、今現在、明確ではございませんので、費用の総額には一定の幅が出てくるものと考えてございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、クリーンセンター滋賀に係る地域振興について、現在までの地域振興費の総額を
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
滋賀県環境事業公社は、クリーンセンター滋賀の設置に際しまして、地元神区、旧甲賀町、旧土山町、野洲川漁協および土山漁協と地域振興に資する事業について協定の締結をいたしまして、これまで総額約41.5億円の助成金を支出してきたところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)もう少し多いのかなと、正直、思っていました、やっぱり地域にということで。
それでは、次に、地域振興について、いつまで支援をするのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
滋賀県環境事業公社による地域振興事業につきましては、開業から15年ということで実施してきたところでございます。令和5年度──2023年度の事業をもって終了しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、次に、クリーンセンター滋賀は受入れを終了したため受入れ収入がなくなりましたが、今後の収入の確保について、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
クリーンセンター滋賀の廃棄物の受入れが終了したため事業収益はなくなりますが、今後の維持管理ですとか施設の必要な修繕につきましては、開業当初から必要と想定される金額を計画的に積み立ててまいりまして、維持管理積立金として20億円、積立てをしてきたところでございます。これらを活用していくこととしているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、次に、冒頭で申し上げたとおり、太陽光パネル廃棄物など新たな課題となる廃棄物や、災害のたびに大量に発生し、全国各地で問題となっている災害廃棄物などについて、本県も対策を考えていく必要があると考えますが、これらの課題についてお伺いをいたします。
今後、使用済みの太陽光パネルの大量廃棄が懸念されますが、太陽光パネル廃棄物は一般的にどこで処理をされているのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
太陽光発電設備の解体撤去に伴い発生する使用済み太陽光パネルは産業廃棄物に該当いたします。産業廃棄物の品目上、金属くず、それからガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、そして、廃プラスチック類の混合物として取り扱われることになります。したがいまして、それらの許可品目を持つ収集運搬業者や処分業者に処理を委託する必要がございます。
なお、埋立て処分する場合につきましては管理型処分場への埋立てが必要となるところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、太陽光パネル廃棄物の課題についてどのように考えておられるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
太陽光発電設備の導入量は年々増加しているところでございまして、環境省では、2030年代後半における全国の太陽光パネルの廃棄量は、年間約50万から80万トンにもなるというふうに推計しているところでございます。
太陽光パネルは非常に耐久性が高く、複合素材で作られておりまして、リサイクルには多くの手間と費用がかかるため、適切なメンテナンスや、可能な限りリユースをすることで廃棄物の発生抑制につなげていく必要がございます。また、リユースできないものも可能な限りリサイクルすることが望まれております。
なお、現在、国が使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務づける制度の創設、これを検討しているところでございますので、国の動向をしっかりと注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)昨年の10月に特別委員会の県外調査にて訪問した青森県三沢市ソーラーシステムメンテナンス事業協同組合は、東日本大震災をきっかけに、再生可能エネルギーを活用し、地域の発展に貢献するため2012年8月に設置され、メガソーラー発電事業をはじめ、今後の社会的な課題と考えられる廃ソーラーパネルのリユース、リサイクルなど先進的な事業を展開されていますが、本県において、こうした太陽光パネルの資源化の取組について何か考えておられるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
県では昨年3月に滋賀県電気工事工業組合と協定を締結いたしまして、太陽光パネルの適正処理について情報交換を行うということとしております。令和5年度──2023年度は、太陽光パネル廃棄物の排出状況、これの聞き取りですとかアンケートを行ったところでございます。
引き続きまして、国の動向や他府県の事例、これを参考にしながら、持続可能な資源循環に向けて必要な方策を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)6年、7年後にはそういう問題が大きくなってくると思うんで、早急な対応を、また今後、お願いしたいと思います。
次に、石川県では能登半島地震により約240万トンの災害廃棄物が発生すると推計されております。こうした大規模災害時に大量に発生する災害廃棄物はどのように処理をされるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
災害廃棄物でございますが、一般廃棄物であるため、まずは被災市町による処理、次いで、被災していない市町や事務委託を受けた県による県内処理、それでも処理し切れない場合は、地域ブロックでの広域処理や複数の地域ブロックにまたがる広域的処理、さらには国による代行処理を行うなど、国、県、市町が連携し、重層的な対応で処理をすることとなっております。
滋賀県で大規模災害が発生し、県内で処理が困難となった場合には、環境省の地方環境事務所が中心となって、他府県等と連携しながら対応することとしているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、例えば南海トラフ巨大地震、または琵琶湖西岸断層帯地震が発生した場合には、大量に排出される災害廃棄物を処理した場合、最終処分量はどの程度になると考えておられるのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
平成30年度──2018年度に策定をいたしました滋賀県災害廃棄物処理計画では、南海トラフ巨大地震で被災した場合、約123.1万トンの災害廃棄物が発生をいたしまして、このうち約51.2万トンが不燃物として埋立て処理が必要になるというふうに推計をしているところでございます。
なお、計画では再資源化率が60%で推計しておりますが、熊本地震の例では再資源化率は78.2%でございました。実際の処分量はもう少し少なくなるかというふうに考えられると思っているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)地域によって建物が大分変わってきますので、また、この数字も増えるのではないのかなと思っております。
それでは、次に、災害廃棄物は一般廃棄物でありますが、産業廃棄物最終処分場で処理されることがないのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
災害廃棄物は一般廃棄物であるため、原則的には市町による処理施設で処理することになりますが、災害廃棄物に限っては、特例的に、届出をすることによって、産業廃棄物処理施設での処理が可能となっております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、大規模災害発生時には、他府県に処分を依頼しても断られるケースはないのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
平時から広域的な支援・受援体制を整えるため、環境省が主催いたします近畿圏、中部圏の両ブロックの大規模災害時廃棄物対策協議会に積極的に参画をいたしまして、国および各構成自治体との連携体制を強化しているところでございます。
過去の大規模災害におきましても、数年単位の年月をかけるということになりますけれども、環境省を中心といたしまして、関係
団体や民間事業者の協力をいただきながら、全国での広域的処理が進められているというふうに聞いてございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)最後に、これらの課題への対応を踏まえて、改めて、県の公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備の必要はないのか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
産業廃棄物につきましては、まずは企業等における発生抑制の取組、これを促していくことが重要であるというふうに考えております。その上で、太陽光パネルや災害廃棄物など大量の排出が懸念される廃棄物につきましては、リサイクル等による一層の減量化や広域での処理が進められるよう対策を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
また、管理型最終処分場は、現在、県内では民間事業者による処分場整備の計画が進んでおりまして、県外でも大阪湾フェニックスの拡張が計画されているという現状にございます。
こうした現状も踏まえつつ、今後は県の公共関与による管理型処分場の整備は行わないとする従前からの方針の下、民間事業者とも連携しながら、サーキュラーエコノミーの観点に立った3Rや資源循環の取組をさらに促進をいたしまして、最終処分される廃棄物を削減していくことで、持続的な地域循環型社会づくりを推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございました。これから多くの課題もあると思いますけども、また、今のお話でしたら民間業者とのということもありましたので、そのあたりもしっかりと協力しながら進めていただきたいと思いますので、この項の質問を終わりたいと思います。
それでは、次に質問をさせていただきます。
次に、財源不足と税収の確保についてであります。
ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化が及ぼす世界経済の行き先の不確実性の高まりが原油価格や物価の高騰を招き、本県経済にも大きな影響を及ぼしているところであります。民間では高水準の賃上げが実現しつつあるものの、足元では物価上昇が賃金上昇を上回る状況にあり、消費は力強さを欠き、海外経済の下振れによるリスク等も懸念されているところであります。
こうした中、本県の財政状況も、国スポ・障スポをはじめとする大規模事業の実施や公共施設の老朽化対策のほか、物価高騰等の対応など、今後も多額の財源不足──2024年度から7年間で808億円の──が見込まれるなど、財政健全化に向けた歳入確保が重要な課題であると考えます。
そこで、県財政においては重要な自主財源である県税収入を確実に確保することは大変重要な課題と考えています。そのことから、一問一答にて質問をいたしたいと思います。
令和6年度当初予算編成においては、経済動向等の予測を踏まえて県税収入を見込まれたと思いますが、考え方について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
令和6年度──2024年度の県税収入につきましては、直近の税収状況等を踏まえつつ、例えば主要税目である個人県民税につきましては、毎月勤労統計などの基幹統計を、また、法人二税につきましては、県内の主要法人へのアンケート調査や業種別の業績動向などを用いて見積もったところでございます。
その結果、特に県内の製造業の業績の低迷や個人住民税の定額減税の影響により、法人二税や個人県民税などで減収が見込まれることなどから、県税全体では前年度予算から3.5%減の1,793億円としたものでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、令和6年度当初歳入予算のうち、今ほど県税収入は1,793億円を見込んでいるということでありましたが、これに占める主要な税目、その見込額について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
令和6年度──2024年度の県税の歳入予算において最も金額が多い税目は法人二税で約560億円、次いで、個人県民税が約557億円、そして、地方消費税で約256億円を見込んだところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、県税収入における主要税目の割合について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
主要税目が全体に占める割合につきましては、法人二税、個人県民税がともに約31%、地方消費税が約14%であり、これら3つの税目で全体の4分の3を占めております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)まず、県税収入の3割を占める主要税目である個人県民税については、県内人口に左右される面もあろうかと思います。
国立社会保障・人口問題研究所によりますと、滋賀県の将来推計人口は減少が続くとされているところではありますが、個人県民税の今後の動向について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
今後の個人県民税の税収につきましては、国の税制改正や景気の影響による県民所得の動向など、多くの要因に左右されます。県内人口という点に着目しますと、その減少は納税者の減少につながり、税収にはマイナスの影響を及ぼすものと考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、個人県民税と同じく税収の3割を占める法人二税についてでありますが、今後の厳しい社会経済情勢の中、大企業が生き残る一方で、中小企業は、後継者問題等により、その経営や存続が厳しい状況であるとお聞きしますが、中小企業への支援状況について、
商工観光労働部長にお伺いをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
県内企業の99%以上を占める中小企業は、生産や消費活動、雇用等の面におきまして地域経済の重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。
そのため、今年度、滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例を改正し、中小企業の持続的な成長発展に向けて、価格転嫁や賃上げなどの喫緊の課題への対応はもとより、資金繰りや事業承継をはじめとする経営基盤の強化のほか、生産性の向上や新事業展開を図る未来を見据えた意欲的な投資の促進などに取り組んでいるところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今の答弁で、県内は99%が中小企業ということと、資金繰りが中小企業は一番大事だと思いますので、そのあたりもお願いしたいと思います。
新たに企業を誘致することで、県内経済の活性化と法人二税や個人県民税等の県税の増収などの効果が見込まれると考えますが、企業誘致の状況について、
商工観光労働部長にお伺いをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
現在、県内企業からは多くの再投資計画をお聞きしている状況ではございますが、新たに工場等を建設する目的で1,000平方メートル以上の土地を取得した事業者を把握する工場立地動向調査におきましては、令和5年──2023年は4件で、面積は11.5ヘクタールとなり、ともに2年連続で減少している状況でございます。その主な原因は、企業ニーズにお応えする産業用地が不足していることによるものと認識しております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)令和5年ということで、今、4件、企業誘致ですか。もう少しあるのかなと思ったんですけど、本当に少ないなと思うのは、いろんな条件があると思いますけども、企業誘致について御尽力いただきたいと思います。
それでは、今後の企業誘致の見通しについて、
商工観光労働部長にお伺いをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
先ほどもお答えしたとおり、用地の不足から、当面、新たな企業の立地が大きく増加することが見込めない状況でございますが、今年度から、県が主体となり、市町と連携した産業用地の開発に取り組むとともに、引き続き、庁内サポートチームなどにより、市町や民間事業者からの開発に関する相談に対し、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
また、県内企業の設備投資意欲を確実に取り込めるよう、市町とともに企業を訪問し、一層の関係強化を図り、今年度、新たに創設した助成金の活用による再投資を働きかけてまいりたいと考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)税収確保という観点からではなく、本県の経済、産業界の維持発展のための中小企業への支援や、また、地域経済活性化のためにも企業誘致の成果が上がるように、今後も御尽力いただきたいと思います。
それでは、次に、県税収入を確実に確保するためには、適切、適正な課税業務および着実な徴収業務の遂行も大事な要素と考えますが、税務に携わる最近の組織体制は十分な体制になっているのか、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
税務職場におきましては、業務に必要な体制は一定確保しておりますものの、全庁的な課題であります職員の若返りやベテラン中堅職員の不足という課題を同様に抱えていると認識しております。
税務経験5年以下の職員が全体の約6割を占める中で、経験不足による問題が顕在化しないよう、OJTや研修の充実による職員の育成に努めているところでございます。
さらに、育児や介護など、様々な事情を抱える職員が増加しておりますことから、業務のデジタル化やマニュアル化を進めることで、組織の持続性、代替性を確保し、県民の皆様から信頼される適切な税務行政が行えるよう、今後とも必要な組織体制の確保に意を用いてまいりたいと存じます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)やはり組織をしっかりとしていただきたいと思いますし、十分な体制になっているのかなという部分もありますけども、その中でもいろいろと、今後の税についてもお願いしたいと思います。
それでは、次に、県税収入を早期にかつ確実に確保するために取り組んでいる内容について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
県税収入の確保に向けましては、クレジットカードやスマホアプリなどキャッシュレスによる納税方法を拡充することにより、納税者の利便性向上、納め忘れの抑制などに取り組んでおります。
なお、自動車税ではSNSなどの各種媒体の活用や商業施設などでの放送などを通じた期限内納付の呼びかけなど、税務広報に努めているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、納付期限内に納付されなかった場合は滞納整理を行う必要があると思いますが、県税の滞納状況について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
県税の滞納額は、平成19年度──2007年度の所得税から個人住民税への税源移譲以降、増加してきましたが、徴収対策の取組により、平成21年度──2009年度の約45億円をピークに、ほぼ毎年度縮減させており、令和5年度──2023年度につきましては19億円程度と見込んでいるところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)見込みは19億円ですか。それを少なくしていただきたいと思っております。
次に、自主納付に応じない場合には財産の差押え等の滞納処分もやむを得ない場合があると思いますが、滞納処分の状況について、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
税負担の公平性と税収確保を図るため、財産の差押え、事業所や居宅への捜索、公売など、滞納額の縮減に向けた処分を執行しているところでございます。
令和5年度──2023年度は差押え923件、捜索3回、公売1回のほか、特に市町が徴収する個人住民税については、市町から権限を引き受け、県として254件の差押えを実施したところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)主要税目である個人県民税の徴収対策として市町との連携をされているとのことでありましたが、非常によいことだと思いますが、具体的にどのような連携をされているのか、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
県、市町の職員の能力向上に向けまして、研修や情報交換会など、知識やノウハウの習得、共有に取り組んでおります。また、それぞれの地域の実情に応じた効果的な連携方法として、県と市町の職員が相互の身分を持ちながら行う共同徴収や、県職員が市町職員の身分を併任する短期派遣、また、県が市町の個人住民税の徴収の権限を引き継いで行う直接徴収などを進めてきております。そのほか、困難な事案には、県と市町の合同捜索チームを編成し、捜索するなど、連携して対応しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、市町との連携の県および市町にとってのメリット、効果、それについて、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
県としましては、市町への調査を円滑に行うことができ、税務情報を迅速かつ効率的に把握できることが挙げられます。市町からは、困難な事案を解決するためのノウハウを県や他の市町から得ることができるほか、捜索の対応人員等の面で直接的なメリットもあると伺っております。また、事務処理上の気づきや現場の一体感の醸成など、様々な副次的な効果もあると考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、市町との連携について、今後の取組方針はどのように考えておられるのか、総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
県、市町とも、滞納額の縮減は依然として重要な課題であり、引き続き、連携して取り組む必要があると考えております。そうした中、限られた人員で税負担の公平性と税収確保に向け、例えば地方税務協議会における合同研修、賦課徴収における課題の共有や意見交換のほか、共同徴収などの滞納整理の現場におけるノウハウの伝達、デジタル技術を活用した効率的な調査方法の普及促進など、県と市町が連携して税務の課題に対して高め合えるよう、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今後も、県にとっても市町にとっても実益のある共同体制を維持しつつ、県税収入を確実に適正に確保していくために必要な人員配置──マンパワー、人数──と、そして人材──質──の確保を図っていただきたいと思います。
それでは、最後に、県税の果たす重要性について、知事にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
県税は、県の基幹歳入として、県政運営において最も重要な自主財源であります。また、納税という行為や税制をめぐる議論などを通じて、県民の皆様に主権者としての意識を醸成していただくなど、地方自治の観点からも、県税は重要な役割を果たすものと認識しております。
こうした役割が十分に発揮されるよう、市町とともに滞納額の縮減に取り組み、公平公正な税務行政の推進に努めるとともに、既存の税制度の検証と見直しに不断に取り組むこと、また、参加型税制の考え方に立ち、県民の皆様との対話を深めることで、滋賀にふさわしい税制の構築を目指してまいりたいと存じます。
◆21番(本田秀樹議員) 終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、21番本田秀樹議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時15分 休憩
────────────────
午後1時14分 開議
○議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、13番中山和行議員の発言を許します。
◆13番(中山和行議員) (登壇、拍手)私は、1、大阪・関西万博、2、高時川濁水問題、3、県立高専、4、県立大学の4点について、全て一問一答方式で質問いたします。
初めに、大阪・関西万博について質問をします。
私は、去る2月議会において、大阪・関西万博について質問をしました。この万博会場がごみの島であり、1区は一般ごみ、焼却残滓、上下水汚泥や産業廃棄物で、2区は建設工事に伴う掘削残土、3区は海のしゅんせつ土砂で埋立てを行っていて、非常に軟弱地盤であること、1区には一面にPCBが詰まった汚泥袋が置かれ、それを埋め立てて駐車場にすること、同じく1区で83本のパイプや煙突を立てて土中のガスを抜いていることを報告し、大変危険な場所であり、万博会場にはふさわしくないと説明をいたしました。
その後、この2月議会が終わって9日後の3月28日に1区でガス爆発事故が起こりました。この事故をいち早く詳しく報道したのはしんぶん赤旗だけでした。博覧会協会は、当初、事故をありのままに報告せず、事故現場写真も1枚しか公表しませんでした。その後、新たな写真を公表し、爆発がコンクリート床100平方メートルだけでなく、天井部にも及んでいたことを発表いたしました。
そこで、知事にお尋ねします。知事は、いつどのように博覧会協会から事故の報告を受けられましたか。
○議長(有村國俊) 13番中山和行議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
ガス爆発事故の発生につきましては、記憶と記録は定かではないんですけれども、3月29日の報道で承知したと記憶をしております。御来場いただく皆様の安全・安心を確保するため、博覧会協会には事故の報告と再発防止を求めており、博覧会協会からは、昨日の6月27日に開催された理事会の場におきましても事故の説明と対応の報告が行われたところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)29日、翌日に知られたということですけども、正式に協会のほうからはあったのかという、そのことについてはどうですか、再質問ですけども。
◎知事(三日月大造) その時点で協会からあったのではなく、報道で知ったんだと思います。
◆13番(中山和行議員) (登壇)私のほうも、正式に協会のほうから知事のほうに来るというのは聞いていないというふうに聞いてますので、やられる協会本部が隣の県である滋賀県に、三日月知事に報告がないというのは、やっぱりこれは問題だなというふうに思っています。
続いて、再質問ですけども、知事は、今回のこのガス爆発なんですけども、このことをどのように受け止めておられますか。
◎知事(三日月大造) 昨日、開催された博覧会協会、私はオンラインで出席させていただいたんですけれども、その際にもこの部分だけ参加をして申し上げました。やはりこういった多くの方々が来られる、また、お迎えをしようというこういう場所でこういった安全に関わる事案があったことというのは多くの御心配の声が上がるのはもっともなことだと思いますので、安全・安心に開催できる体制を取ってほしいと。したがって、どういう再発防止策を取るのか、こういったことを徹底し、また、それを発信してほしいということを申し上げたところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)再質問です。大阪市環境局の調査で、メタンガスは今も毎日1.5から2万トン出続けています。博覧会協会は対策を、先ほども言われましたけど、講じているというふうに言っておられますけども、再び事故が起きる危険性はあります。
先日、24日の協会の発表では、2区、3区でもガス発生が確認された、あるいは地下ピットで爆発を起こす危険性がある濃度のガスが2回検出されたというふうに報告されています。
このような大変危険な場所に、想定で2,820万人もの来訪者を迎えるというのは無謀としか言いようがありません。日本人だけでなく外国からも、またVIPも来られるようですけども、知事はこの安全が保障されない危険な場所に多くの人を迎え入れる、このことを危険と思われませんか、お尋ねいたします。
◎知事(三日月大造) まず、多くの方をお迎えする場所、会場になりますので、自然災害の対策、また、暑い時期でもありますので熱中症の対策、そういったことも含めた危機管理というのは万全を尽くしていただくように、その対策と情報の発信、こういったことの徹底を求めているところでございます。
あわせて、このメタンガス等に関する対策につきましても、昨日も報告がありましたけれども、工区によって若干違いがあるようですけれども、発生するガスの侵入を防ぐということでありますとか、そういったものがもし検知された場合には強制排出する、こういう対策、また、そういったことが迅速に可能になるための検知、速報のシステムをしっかりと用意するという説明もあったところでございますので、その内容等を確認していくことが必要だと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)協会のほうはそういうような強制排気をするとかいうふうに言っているんですけども、それが十分ではないというふうに私は思っています。
さて、4月8日付で文部科学省初等中等教育局長から各都道府県知事あるいは教育長宛てに通知が出されました。内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長と経産省大臣官房商務・サービス審議官名で、修学旅行等における2025年日本国際博覧会の活用についての依頼があり、ついては、各学校に周知するように求めたものです。これは文科省からの学校への教育旅行の押しつけ、強制ではありませんか。知事にお尋ねします。この通知をどのように受け止めておられますか。
◎知事(三日月大造) 今お尋ねいただいた文書、通知というのは、教育旅行等における万博の活用について、各学校における検討に資するよう、開催の準備状況や受入れ体制の概要、事前学習の教材等について学校への周知を依頼する通知であったと認識しております。
万博の活用は、この情報等を参考に、あくまでもそれぞれの学校で御判断いただくものでございますので、強制されるものではないと考えております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)先日も知事あるいは教育長のほうから、強制されるものではないというふうに記者会見でも言っておられるということで、改めて確認をしたいと思います。各学校の判断に委ねるということを確認したいと思います。
さて、6月18日に万博推進室によるオンラインでの説明会が行われました。推進室からの説明の後、質問に答えられましたが、どのような質問が出たでしょうか、総合企画部長にお尋ねいたします。
◎総合企画部長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
教育旅行で子供たちを万博に招待するに当たりまして、学校や市町教育委員会に対しオンライン説明会を開催したところ、約90者から申込みがございました。
参加者からは、下見はいつできるのか、会場内に食事を取る場所はあるのか、パビリオンの予約方法はどうするのか、教職員が待機できる場所はあるのか、会場の安全対策はどうなっているのかなど、不明な点や不安に思われる点について御質問いただきました。
前向きに検討いただいていく中で質問を多数いただきましたけれども、現状では不明な点も多く、教育現場の声として博覧会協会に届けるとともに、逐次、学校に対し情報提供を行ってまいります。
◆13番(中山和行議員) (登壇)私もオンライン説明会を視聴いたしました。今、部長がお答えになられましたけども、それ以外に、例えば駐車場からどれくらいの距離があるかとか、あるいは弁当が持ち込めるかとか、熱中症対策はどうとか、あるいは現金が使えるのかどうかとか、ほかにはパビリオンの内容とか予約方法、あるいは場内で放送ができるのかとか、あるいは小学生が体験学習ができるのかどうかとか、そういった質問もほかにもあったように思います。
万博推進室の職員の方は、一生懸命、答えておられましたけども、先ほど言われましたように、博覧会協会からの情報が非常に少なくて、まだ決まっていないというふうにお答えとか、あるいは問い合わせるというふうな答えが多かったように思います。開催まで290日を切っているというのに、まだ一向にパビリオンが建たないだけでなくて、運営の詳細が学校関係者に知らされていないというのはあまりにもお粗末としか言いようがありません。
質問の中にもありましたけども、教育旅行に学校が参加する場合、事前に下見が必要なわけですけども、下見はいつから行けることになっていますか、総合企画部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
博覧会協会からは、下見が可能になるのは、現時点では万博の開幕後になる予定だと聞いております。引率者向けのマニュアルの作成も予定されておりますが、教育旅行に必要な情報は、随時、提供させていただくとともに、博覧会協会に対しまして、開幕前に下見が可能となるよう、引き続き申入れをしてまいります。
◆13番(中山和行議員) (登壇)4月13日、開幕以降にしか下見に行けないということです。
教育旅行に参加する場合、天候や熱中症のことを考慮して、4月、5月に希望が集中するというふうに言われています。まず、4月13日以降に下見に行くことが可能なのかどうか、学級開き、あるいは学年開き、授業開始、修学旅行、家庭訪問など、学年始めで、ただでさえ1年の中で一番忙しい時期に行くことはできないというふうに思います。仮に行けたとしても、その後、計画書を作成したり、保護者に説明をしたり、子供たちと事前学習をするなど、準備をすることは不可能だと思います。だから、通常、校外学習や修学旅行の下見は前年度中に行っておくものです。下見にも行けず、計画も立てられないような教育旅行は行うべきではないというふうに考えています。
次に、総合企画部長にお尋ねします。現在、教育旅行として万博に参加したいと希望している学校は小中高、養護学校でそれぞれ何校ありますか。また、不参加としている学校はそれぞれ何校あるか、お尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
5月末から9月6日を締切りといたしまして、県内の約400校に対しまして万博招待事業の活用希望を調査しておりまして、6月21日時点で約1割の学校から回答がございました。参加を希望すると回答があった学校は小学校で9校、中学校で3校、高校で10校、特別支援学校で1校など計24校となっております。
一方、希望しないという回答があった学校は小学校で16校、中学校で6校、特別支援学校で5校の計27校でございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)再質問です。今、高校が抜けたように思うんですけども総合企画部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) 現時点では行かないというふうに回答された高校はございません。
◆13番(中山和行議員) (登壇)再質問します。9月6日が参加希望の回答期限というふうになっていますけども、一番心配される安全対策なんですけども、これが担保されて、そして、先ほどの多くの質問があったんですけども、こういった質問内容が解決されるかどうか、それらが担保されないで、今、希望調査を取っておられるんですけども、参加するとかしないとか、それは決められないというふうに思うんですよね。
そこで、総合企画部長にお尋ねしますけども、9月の6日まであと2か月なんですけども、2か月でこのことが解決されるというふうに思われますか。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
これほど大規模なイベントでございますので、なかなか思うとおり、予定どおり進んでいないところもあるかと思います。また、お尋ねがあって決まっていく物事もあるのかなと思っておりまして、御不安、御心配のところもあるかと思いますので、そういう声も寄せていただきまして、それを届ける形で準備を進めたいと思いますし、不安の解消に努められればと思います。せっかくの機会でございますので、できるだけ子供たちには現地で見ていただきたいというふうに思っております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)現場の感覚としては、やっぱりこの教育旅行は非常に難しいと。行くのは難しい、無理があるというふうに思っておられると思います。
私は、子供たちと万博の関わりに当たって、カジノについて一言言いたいというふうに思います。この万博がなぜ夢洲に決まったのか、この万博が後に続くIR、カジノのインフラ整備のためであることが国民の中にもかなり知られるようになってきました。
賭博は、古くは飛鳥時代の天皇によって禁止をされました。現在も刑法では賭博は禁じられていますけども、公営ギャンブルという形で、今や日本中に蔓延しています。
日本にはギャンブル依存症の方が200万人もいるというふうに言われています。大リーガーの通訳者が賭博で数十億円の損をし、人生を台無しにしてしまったことは大きな事件でした。ギャンブルはこのように、自らの身を滅ぼし、身内も滅ぼし、ひいては国を滅ぼすものです。全国で7,000店あるパチンコ店と公営ギャンブルを合わせた総売上高は1年で20兆円とも言われ、マカオでの売上げの7倍です。日本はギャンブル依存症国家と言わざるを得ません。私は、このようなギャンブル、カジノにつながる万博に日本の未来を担う子供たちを行かせることには絶対に反対です。
そこで、知事のギャンブルに対するお考えをお尋ねします。
◎知事(三日月大造) ギャンブルは、一定の楽しみを提供するものではありますが、これにのめり込むことにより生活に支障が生じる、今も御紹介いただきましたギャンブル等依存症の問題などもあり、そういう方を生まない対策というのも同時に必要であると考えているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)大阪・関西万博の後ろにはカジノがあります。今言われましたけど、滋賀県もギャンブル依存症対策に予算を計上しています。全く教育的でないギャンブルに関係するこの万博に子供たちを参加させることについては、今後も引き続き、強く反対をしたいと思います。
日本共産党滋賀県議会議員団は、万博について、5月23日に中止を求める緊急要望書を知事宛てに、そして、28日には中止を求める声明を記者会見で発表いたしました。改めまして、今回の万博について、国に中止を求めるよう要望をしたいと思いますけども、知事のお考えを伺います。
◎知事(三日月大造) そういったお声、また御要望というのは一旦受け止めますけれども、私とは見解を異にいたします。
今回の万博、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマで、世界各国から人類共通の課題解決に向けた様々な技術ですとか英知、こういったものが関西へと結集する場でつくっていこうとされておりますので、大きな価値を持つものだというふうに思います。
ただ、いろいろある課題、先ほど子供たちを教育旅行、校外学習等で連れていく場合の様々な手続や課題等もございますので、こういったこと、また、安全に対する課題等も、きちんとこれは丁寧に対策を取ると同時に説明をすることによって、開催に向けた準備が着実に進むよう、我々も努力いたしますし、協会等にも求めてまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)共産党は、万博そのものについて反対というわけじゃないんですね。やっぱり問題点は夢洲に持ってきたこと。そこが一番問題があるというふうに思っています。やっぱり裏には、先ほども言いましたようにカジノがあるということですね。そして、近隣の府県が、本当に子供まで動員してそこに行かそうと。いのち輝くとか、新しい科学的な最先端を見られるとかいろいろと言われますけども、それが普通の万博で行われるんだったら問題ないだろうけども、やっぱり今回の万博、物すごくお金をかけて、国費をかけて、あるいは大阪市民のお金を使ってやる価値があるのかどうかということについては、私はずっと疑問を持っています。
続けて、次に、高時川濁水問題について質問します。
6月19日に長浜市の高月支所において高時川濁水問題に関する報告会が開かれました。この中で報告されたことの内容を
琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) (登壇)お答えいたします。
今回の報告会は、今年度の取組につきまして、地元の皆さんへの周知と理解、協力を得るために開催したものでございます。
報告会では、まず、昨年度までの取組として、国、県、長浜市で構成いたします連絡調整会議で取りまとめた長期の濁りの原因と、その軽減対策についての報告書の概要を報告したところでございます。
次に、報告書に基づきまして、今年度の各構成員の取組につきまして、スキー場跡地や大音波谷川からの土砂流出対策、高時川本川での災害復旧工事、下流のアユ産卵場での河床耕うん、自記濁度計による濁水モニタリング、検討会議の新たな体制といった取組内容やスケジュールを報告し、意見交換を行ったところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、その中で、地域住民の方の意見ですけども、どんなものがあったか、同じく
琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
今回の報告会の参加者は、報道関係を含めまして約30名でございました。地元在住の方や漁業関係者、農業関係者、観光関係者、環境問題に取り組まれている方々などでございまして、地元ならではの視点からの御意見や御要望を聞く貴重な時間であったというふうに考えてございます。
当日は、8名の参加者から、上流では濁りが解消されつつあるものの下流では収まっていないこと、スキー場跡地の是正工事の早期完了を求めると、そういった御意見などがございまして、特に高時川濁水の早期解決を求める声が多かったということでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今、幾つかの意見を紹介いただきましたけども、私のほうも、やっぱりこの場でもう少し付け加えて、地元の方がどんな声を上げておられるのかというのを紹介したいと思います。
うれしいことですけども、今年は丹生川と、それから高時川のほうでアユの放流を再開されるということを報告されておられました。それから、先ほどもありましたけども、下流域の状況が非常にひどいと。上流の濁りばかりを言うんではなくて下流のことももっと考えてほしいとか、あるいは泥の堆積が非常に多くなってきている、それから、ヤナや網が泥で詰まってしまって、その除去が大変である、あるいは姉川河口域に泥が大量に流れ込んできている、漁業者に影響があるのではないか、それから、ベルクスキー場跡の土砂を何としても食い止めるべきである、年内に完成してほしい、あるいは下流域で河床が上がってきている、水害事故が心配である、しゅんせつが必要である、それから、上流域のほうでも河床が上がってきていると。これについては測定が必要ではないかというふうな意見もありました。それから、土砂の量はスキー場跡で1万2,000立方メートル、大音波谷川で3万立方メートルと言われていますけども、本当にこの量なんだろうかと。正確につかむ必要があるんではないかという意見がありました。それから、GPIには早く撤退をしてもらって、国と県が是正工事をやるべきである、こんなふうな意見も出ていたというふうに思います。
報告会の中で、今年度の濁水問題検討会議は、学識者に加えて、先ほども言われましたけども、漁業関係者、自治会関係者、観光関係者、環境問題関係者など幅広く、人数を増やして行うというふうに言われました。このことは大変結構なことだというふうに思います。しかし、この検討会が昨年は年4回行われたのに、今年度は8月と2月の2回の予定というふうに言われました。なぜ半分に減らすのか。私は検討会議を一気に半分にしてしまうことには反対です。
さらに、私は2月議会におきまして、地元関係者の皆さんと県当局との月1回くらいの交流連絡会を持つべきだというふうに求めました。この連絡会は、今年度、実施される予定はないのでしょうか、
琵琶湖環境部長にお尋ねをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
今年度は、学識経験者の方に加えまして地元関係者にも新たに委員として参画いただきまして、情報の共有や地域の実情が反映できる体制で検討会議を開催いたしたいというふうに考えているところでございます。
開催の頻度につきましては、昨年度に原因究明がなされたことや、対策に係る取組方針がまとまりまして一定の成果が得られたことから、今年度は検討会議を2回程度といたしまして、濁度調査のモニタリングや対策の取組の進捗などを図ることとしています。
その検討会議と並行する形で、議員御質問にあったような報告会を可能な限り開催をいたしまして、地元の方々から生の声をお聞きいたしまして、濁水対策の取組に反映させていただきたいというふうに考えているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)大雨が降るたびに濁水がひどくなる状況は改善されていません。先日の大雨でもひどい状況でした。今日もそうだと思います。毎日、地元で川を見ている者と大津におられる県の関係者の方では認識が大きく違います。このギャップを埋めるためにも、そして、今現在の川の状況を共有するためにも、月1回くらいの頻度で連絡会を持つ必要があると思います。
先ほど、できるだけというふうにお答えいただきましたけども、今年度、連絡会を持って、地元の状況を定期的につかんでいただけるように、再度、要請をしたいと思います。これは地元の皆さんの要望です。
私は、この6月の初めにベルクスキー場跡を視察してきました。昨年11月末以来、約半年ぶりでした。
(資料掲示)これがそのときの写真なんですけども、パネル1を御覧ください。半年前には見られなかった、これなんですけども、地中のコルゲート管がたくさん表出しています。以前は埋まっていたんですね、この辺が。それが今、現れて出てきたということです。そして、ゲレンデ最低部に下りていく道はこのように大きくえぐれています。大変危険な箇所が幾つもありました。
私は、昨年の5月から4回ほどスキー場跡を視察していますけども、行くたびに道は荒れて崩れています。
これはパネル2です。ゲレンデ最低部に盛土してあったところです。ここは全部、かつて盛土してあったんですね。前はここを通れたんですけども、こういうふうに通って観察ができたんですけども、今はもう、これだけあらへんで、崩れてしまって通れなくなっています。
GPIが今年中に是正工事を完成させるというふうに先日も言っておられましたけども、この状況を見れば、とても完成するというふうには思えません。
今年度、
琵琶湖環境部長も、そして、検討会事務局長の森林保全課課長も交代をされました。地元の皆さんは、県の職員さんは数年で替わってしまわれるけども我々は何年も何十年もこの濁水問題と向き合っていかなければならない、職員の皆さんには自分事のように仕事をしてほしいというふうに言っておられます。
琵琶湖環境部長は、今年、現地視察をされる予定はありますか。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えをいたします。
状況につきましては、担当課、森林保全課のほうから逐次聞いてはおりますけれども、現地につきましては、6月の中旬、中流域に当たります木之本町の新川合橋、そこから高時川の濁りの状況は確認させてはいただいているんですけれども、やはり先ほど写真で見せていただきましたように、スキー場跡地の視察というのは、私、できてございません。やはり機会を見て、現場を見ることによって皆様方と課題を共有するということが非常に重要だというふうに思っておりますので、ぜひ、機会を見て現地に出向きたい、伺いたいというふうに考えてございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ、そのときは御一緒したいと思います。
次に、高時川上流付近で計測されている余呉南越前第一・第二ウインドファーム発電事業、いわゆる風力発電事業ですけども、現在の進捗状況を
琵琶湖環境部長にお尋ねしたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) お答えいたします。
令和5年──2023年5月19日に事業者になされました経済産業大臣勧告では、風車の配置等、事業計画を抜本的に見直すことに加え、その検討の際には専門家などからの助言を受け、科学的な検討を行い、その経緯を公開することなど、知事意見と同趣旨の指摘が盛り込まれたところでございます。
現在、事業者は大臣勧告を受けましての対応を考えている、検討しているということでございますので、県といたしましては、引き続き、事業者の動向、これを注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今年度、グリーン・パワー・インベストメント──GPIは、先ほども言われましたが、環境影響評価書を、再度、作り直すために、学者の方などを交えて、公開で検討会を数回開くというふうに聞いています。GPIとしては、環境影響評価が経産省の審査で通るように風車の数を減らすなどすると思いますけども、しかしながら、この風力発電が進められたならば、スキー場跡付近の自然は大きく破壊されてしまいます。私は、現地に行くたびに、地上約200メートルの高さの風車が何十基も尾根伝いに林立する風景を想像します。貴重なブナ林を伐採し、野生動物や鳥類に悪影響を与える、また、スキー場に匹敵するほどの土砂崩れを起こす危険性がある計画です。今、是正工事を行っているGPIですが、風力発電はきっぱりとやめるべきだと指摘しておきたいと思います。
知事は、昨年12月初めに現地視察をされましたけども、高時川本流と大音波谷川の合流地点を見られただけで、スキー場跡地には行かれていません。現地に行って自分の目で確かめなければ、現在の悲惨なスキー場跡の状況や風力発電の姿は理解できないと思います。先日の報告会に参加された方々も、知事に現地の様子を見てほしい、こういうふうに言っておられました。
高時川濁水問題に、今後、県としてどういう方針で取り組んでいくのか、現地視察をされることも含めて、知事の所見を伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 昨年度、伺いましたけれども、雪でスキー場跡地への訪問、そして視察がかないませんでしたので、先ほども部長が答弁しましたけれども、私自身も機会が持てるように検討していきたいと思います。
この問題の解決に向けましては、議員も御案内のとおり、また多くの方が御存じのとおり、清流で名高い高時川が長く濁り続け、多くの方々に影響、また御心配を及ぼしてきたことに思いを致し、このことにしっかりと向き合いながら、先ほど
琵琶湖環境部長がお答えしたように、土砂流出対策や河床耕うんなど、各構成員が取り組むこととした対策を講じていくことが重要だと考えておりますので、できるだけ早く、元の清流の姿に戻るよう、関係者の皆さんと力を合わせて取り組んでまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)それでは、次に、県立高専について質問します。
野洲川の高専予定地には河辺林という河川の周辺に繁茂する森があります。河辺林という言葉はあまり聞き慣れませんけども、滋賀県でも多くの川の周辺の森は畑その他に利用されてしまって、ほとんど残っていないということです。野洲川でも最後の自然林だということです。
そこで、総合企画部長にお尋ねします。高専予定地の河辺林にはどのような絶滅危惧種、希少生物が存在していますか。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
県立高専の予定地につきましては、民間
団体がされた調査によりますと、マイコアカネというトンボでありますとかギンランという植物などの希少種を含めまして、滋賀県レッドデータブックに記載の種が14種、確認されているという情報を得ております。なお、絶滅危惧種については確認されておりません。
この民間
団体がされた調査につきましては詳細な調査データが確認できませんでしたので、現在、県として調査を行っているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)この河辺林は長年にわたって市民の方々が手入れをされてきまして、散策される方も多く、市民にとって憩いの場となってきたところです。高専の造成が進められようとしていますけども、県はこれらの市民の方々の声を聞いておられるでしょうか、総合企画部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
これまでから、地域の方に向けた説明会を12回実施するなど、担当者が直接お会いし、御意見を伺っております。御意見の中には、自然環境への配慮をしてほしい、木々を残してほしい、動物が住宅地に出てくることがないようにしてほしいなどの御意見もいただいておりますが、県立高専の整備に反対する意見は伺っておりませんで、総じて県立高専の整備については好意的に受け止めていただいていると認識しております。
地域の皆様からの御意見も踏まえまして、南側の雑木林とどんぐり広場を残置するとしておりまして、引き続き、御意見を伺いながら事業を進めてまいりたいと考えております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)好意的と言われましたけども、決してそればかりではなかったというふうに私は聞いています。
高専予定地の河辺林は、野洲川で最大で最後の第一級の自然林と言われています。2021年に先ほどの研究会が野洲川河辺林の生物という調査報告書を出されています。研究会は、昆虫などの虫の仲間、鳥類、コケ類、草本、木本などを調べて、実に大変多くの動植物が生息しているというふうに報告されています。河辺林には、先ほどのマイコアカネのような希少生物だけでなく、樹齢100年のケヤキやエノキの大木なども存在しています。西日本で河辺の周辺に残っている林は珍しく、大変貴重であると言われています。このような河辺林は後世に残さなければならないというふうに考えていますけども、そこで、知事にお伺いします。知事は高専予定地を視察されたことがあるでしょうか。
◎知事(三日月大造) 私は、その当地で国会議員を10年やっておりましたので、そういったところは何度も行っておりますし、ただ、知事になってから公務で予定地を訪れたことはないんですけれども、土地の状況については詳細を存じ上げているつもりでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)もちろん環境問題に知事自身も強い関心を持っておられるというふうに思っていますので、貴重なこの河辺林を残すべきだというふうに私は思っていますけども、河辺林を残すということについては知事はどのようにお考えですか。
◎知事(三日月大造) 今、計画しております県立高専につきましては、その整備と自然環境の保全のバランスを取りながら進めてまいりたいと考えております。
なお、予定地の自然環境につきましては、先ほども一部、部長が答弁しましたけれども、周辺に残す森林や水辺環境を生かしながら、根源の森ともいうべき空間を構成いたしまして、自然と共生していく環境保全の観点も埋め込むこととしているところでございます。その上で、基本構想2.0では、どんぐり広場や南側雑木林は現状のまま保存し、地域の方々の憩いの場とするとともに、環境教育の実践の場としても活用していきたいと考えております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今回の場合、県条例に基づく環境アセスメントが必要でない広さであるということになっています。それで本当にいいのかどうか。先ほどの調査報告書は会議の中で十分に討議されたのかどうか。環境県を名のっている滋賀県はこの貴重な河辺林を残すように、私はこの計画は中止すべきだというふうに考えています。
改めて知事に、予算も大幅に増額されたこの高専の計画をやっぱりやめていただくように進言をしたいと思います。
最後に、県立大学の授業料について質問します。
県立大学の授業料、初年度納付金についてですけども、お幾らでしょうか、総合企画部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
授業料、初年度納付金についてでございますけれども、授業料は53万5,800円、入学料は、県内の方は28万2,000円、県外の方は42万3,000円でございまして、そのほか後援会費などは6万円でございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)そうですね。それに加えまして、後援会費が5万円と同窓会費が1万円ということで、初年度納付金になりますと、県外生で101万8,800円ということになると思います。非常に高額な金額になります。そのため、ほとんどの学生が奨学金を借りて、アルバイトをして学費とか生活費に充てているという実態があります。
授業料を無償にした大学は、現在、東京都立大学、大阪公立大学、兵庫県立大学があります。先日、私も電車内で兵庫県立大学のポスターを見ました。大変インパクトがあるもので、これを見て、この大学に行ってみたいなというふうに思う高校生が増えていくんではないかなというふうに感じました。
そこで、知事にお尋ねします。滋賀県立大学も、これらの大学のように授業料を無償にすること、まずは県内の学生から実施する、こういうふうに思われませんでしょうか、お伺いします。
◎知事(三日月大造) 議員も御紹介いただきましたように、他の自治体でそういった事例もございますので、滋賀県としても、どういうことができるのか、やるべきなのかというのは検討させていただきました。
現時点では、県立大学生の主体的な学びを支援する奨学金を制度化するための予算を、今年度、措置したところでございまして、民間企業等の支援も得ながら、学生の未来に向けた夢や志の実現を応援してまいりたいと考えております。さらに、それ以上に踏み込んで、また、全ての方を、もしくは県内在住者の方をということであるような、そういう制度につきましては、やはり国全体の課題として対応すべきものではないかと考えております。
国におきましても、こども政策の重要な事項と認識されており、新たな支援策の創設、拡充がされておりますほか、国のこども大綱の中でも、さらなる支援拡充を検討し、必要な措置を講じる旨、明記されているところでございます。
全国共通の課題でございますので、全国知事会等様々な機会を通じて議論し、また、提言や要望を行ってまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今、知事が言われましたように、やっぱり本来的には国が高等教育を無償化にしていくということをやっていかんとあかんと思うんですよね。本当に軍事費とかに数兆円をかけるお金がある。その税金を何に使うのかと。私は教員出身だから言うわけじゃないんですけど、やっぱり教育にお金をかけるということが将来的には日本のためになるんだと、そういうふうに確信しています。
それが、今、進んでいないからこそ、東京都あるいは大阪、兵庫で先進的にまず始めるという形になっているんだろうと思うんですけども、これが大きく広がっていって、滋賀県もその仲間に入って、そして全国的に、本当に学びたいけどもいろんな経済的な状況でそれが困難であるという、そういう格差をつくらないと。どの子も日本にとって大事な子供なんだと。その人たちに教育をつけていくということが、その子供だけでなくて、やっぱり日本のためになっていくんだというふうなこと、そういう考えで教育行政を国は行っていかなければならないというふうに思っています。そこまでに今なっていないわけですけども。
県立大学で学ぶ学生のうち県内生が約30%だというふうに聞いています。県内の授業料を無償にすれば、滋賀県内から多くの高校生が受験をして進学してくれるという、そういうふうになるのは間違いがないと思います。現に先ほどの3大学でも、地元の都府県から一番多く進学してきているのが先ほどの3つの大学でした。こういうふうな流れになるわけです。ぜひとも、先ほども言いましたけども、滋賀県から高等教育の無償化を実現していく、そのために滋賀県が、率先して三日月知事が取り組んでいただけるように要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、13番中山和行議員の質問を終了いたします。
次に、28番海東英和議員の発言を許します。
◆28番(海東英和議員) (登壇、拍手)28番海東であります。通告に従いまして、まず、全問、知事に開通50年を迎える湖西線の現在、過去、未来について御質問をします。
JR湖西線は、国鉄によって1974年7月20日に近江塩津から山科までの74.1キロが開業され、本年7月20日に50周年を迎えます。全線高架で、開通以来、琵琶湖の西岸の山々と、朝日から夕日に染まる琵琶湖、そして、時には雪景色の中を美しい琵琶湖を車窓から堪能しながら通勤通学、通院、観光客をはじめ経済や生活の根幹を支えてまいりました。広域的には関西と北陸を結ぶ基幹路線として、旅客だけでなく貨物輸送も支えて運行されてきました。
かつてから雪に強い湖西線と言われ、2メートル近い豪雪も経験しましたし、2017年の台風の襲来では35メートルとも言われる暴風で架線の電柱が9本も折れる事故も数日で復旧を果たし、乗り越えてきました。耐震補強にも取り組んでくださり、橋脚の補強などは速やかに実行されました。強風対策の防風柵も2019年3月に設置完了され、運転規制も秒速25メートルから30メートルに──風速のことですが──引き上げられ、強風による運転見合せを減らすことに貢献してきました。
50年の長きにわたる間にお世話になった幾多の皆様に感謝と敬意をささげます。しかしながら、近年、利用者の減少と減便、サービスの削減、さらなる利用者の減少という負のスパイラルに陥っており、ここからの脱却を目指す政策が期待されます。
さて、令和6年冬は正月から3月にかけて湖西線が何度も運休になり、多くの利用者が途方に暮れることが多発しました。知事は防風柵で運休が減ったと仰せになりましたが、今年の冬の運休は例年にない事態が連続しました。高校受験の日に電車が来ないなど、自然は日を選んでくれません。自分が当事者になると途方に暮れてしまいます。令和6年になってからの運休はどれぐらいあったでしょうか、件数と内容を問います。
そして、このことに対して県はどのように事実を確認され、その対策をどのように取りまとめをされ、働きかけをしてくださっているのでしょうか。夜の無線放送で「明日は湖西線が運休します」と親切に事前に知らせてくださることが増えたわけですが、天気予報で風速25メートルが予測される場合、安全のために運休を決定されるということですが、実際にはどこでどれだけの風が吹いたか、検証はされているでしょうか、お伺いします。
京都から堅田間はほとんど運休がありません。悩ましいことに、近江舞子以北の運休が最も多く、次に和邇以北、堅田以北など、運休が切り分けられて実行されます。高島からの通勤を断念し、堅田以南に住まいを求める通勤通学者が増える一因とも考えられます。運休区間を決定する判断のポイントはどこにあると聞いておられますか、お尋ねします。
繰り返しになりますが、若者定住に対して、京阪神に通勤通学することに度々困難が発生すると、出ていかざるを得ない状況に追い込まれていくことを我が事として受け止めていただきたいです。風対策でこれから改善に取り組めることには何が考えられるでしょうか、お伺いします。
新幹線の敦賀開業が実現したものの、敦賀からサンダーバードの乗換えがスムーズに乗り継げないことが指摘されています。湖西線の風の影響で米原回りになる遅延や運休で旅行の日程に影響が出るためです。このことは、湖西線沿線の住民だけでなく、日本の鉄道幹線交通のウイークポイントであり、関西経済圏と北陸経済圏を結ぶ重要な課題ではないでしょうか。さらなるレベルの高い強風、そして強雨、豪雨の対策を進める必要性があると考えます。関西広域連合の代表でもおありの知事のリーダーシップにより、JR西日本に対して、大局的な観点からも効果的な対策を求める必要があると考えます。御所見を求めます。
次に、帰宅困難者対策ということが昨年冬のJRの雪対応により検討がなされてきました。例えば堅田駅で降ろされた乗客はどのような扱いになるのでしょうか。かつては代替バスの運行があったことを覚えています。高齢化が著しい地域の実態で、家族が堅田や和邇に迎えに行くこともだんだんと困難になってきて、どうか助けてほしいと高齢の御家族からのお手紙を頂きました。
JRの約款で守られない方々は被災者と言えると思います。帰宅困難者は県の防災計画の対象であると思われます。現今はどのように決め事の下で対応されているでしょうか。代替バス運行は期待できないのでしょうか、お伺いします。
次に、マキノ駅で、観光に来て帰りの電車が運休となって途方に暮れる観光客はほったらかしになっています。民宿の方々ができる対応をしてくださっていますが、観光振興の観点からも、観光客の対応を考えて備える必要があると思います。インバウンドの増加も視野に入れてお考えを聞かせてください。
次に、明るい話題としては、乗降客が3,000人とか2,000人とか、今までの基準に達していなくても観光目的でエレベーターの設置ができるように決まり事が改正されたと聞きます。近江舞子駅やマキノ駅のエレベーターの設置について、県が新しい制度をつくってでも、観光振興の観点から積極的に取り組むべきと考えます。交通ビジョンの観点からも、見解はどうでしょうか、お伺いします。
次に、国スポ・障スポが来年に迫ってきています。障害者差別解消法や合理的配慮の観点からも、湖西線の設備に御配慮をお願いしたいと思いますが、特に近江塩津駅のエレベーターについては滋賀県が責任を持って取り組まねばならない課題ではないでしょうか。琵琶湖環状線を実現するために県費を75億円投入し、湖西、湖北の列車利用による移動を便利にするとしてテーマに掲げていたことも考えると、乗換えに大きな障害が立ちはだかる近江塩津駅はどのような対応を考えているでしょうか。
今日的な課題としては、時速百数十キロでサンダーバードが通過する駅のホームには安全柵の設置も必要と考えます。要望に力を入れていただきたいと存じます。いかがでしょうか。
エレベーターの設置の負担と維持費の負担が地元自治体にかかる現行の制度では、駅のたくさんある長浜市や大津市、高島市などは荷が重くなり過ぎてしまいます。交通ビジョンはこれらのことも整理していただきたいと思います。
50周年を迎える湖西線の未来について、日本の交通ビジョンの一翼を担う基幹路線について、どのように希望あふれるビジョンを示せるでしょうか。関空から敦賀まではるかが定期運行し、例えばインバウンドのお客さんを乗せて滋賀県の主要駅に停車するなど、大いに夢を持って練り上げていただきたいと期待します。
余談ですが、去る6月15日に、針江生水の郷委員会の20周年の記念式典が行われました。NHKで20年前に今森光彦さんの「映像詩 里山Ⅱ 命めぐる水辺」が日本でも放映され、そして、イギリスのBBCを起点に世界90か国ほどに放映されていると聞きます。
この集落に20年間で10万1,386人の訪問者を迎え、一応、有料で地域の人が案内をしてきたということが報告されると同時に、この頃はインバウンドのお客さんが関空から直接来られることが何度かあるんだと。この間も南アフリカから、関空に降りて、この針江に来たいということで来られたんだというようなことが報告されました。湖西線の夢ある未来について、可能性の一つになり得るのではないかと思って、今、御紹介をした次第です。
湖西線の未来について、御所見を求めます。
○議長(有村國俊) 28番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)湖西線について11点、御質問いただきました。
まず1点目、今年──令和6年に入ってからの運休の状況でございますが、JR西日本のプレスリリースによりますれば、今年になってから13回の運休があり、原因としては風、雪、雨と伺っているところでございます。
2点目、運休した際の風速の検証についてでございますが、JR西日本からは、現システムの検証は行っていないものの、気象庁よりもさらに細密な気象予測が可能なAI技術を活用した独自の強風予測システムを試験導入し、予測の精度を高める取組を行っているということと、予測ほどの風が吹かない場合も一定数あるが、駅間停車を避けるため、御理解を賜りたいというふうに伺っているところでございます。
3点目、その運休区間を決定する判断についてでございますが、JR西日本からは、強風が予測されるエリアおよび折り返し設備の位置を踏まえ、その都度、判断の上、決定していると聞いております。例えば高島市域で基準を超える強風が予測された場合には、最寄りの折り返し可能駅である近江舞子駅より南の区間で折り返し運転が実施されることが多いと承知をしております。
4点目、風対策の改善の取組についてでございますが、JR西日本におきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、独自の強風予測システムを試験導入して効果を検証中ということでございます。安全運行を確保しつつ、運休回数がさらに少なくなるよう、現在、試験導入中のシステムの早期本格導入を働きかけてまいりたいと存じます。また、折り返し設備や防風柵のさらなる整備による改善が見込めないか、調査検討いただくよう、併せて要望してまいりたいと存じます。
5点目、大局的な観点からの対策の要望についてでございます。湖西線における強風が敦賀駅での特急サンダーバードと北陸新幹線の乗換えにも影響を及ぼしていることは承知をしております。関西広域連合では、JR西日本に対して利便性向上に向けたダイヤ改正を要望した実績もございますことから、北陸新幹線の敦賀開業による効果を最大化するためにも、湖西線の強風対策について要望できないか、構成
団体と協議、また調整してまいりたいと存じます。
6点目、帰宅困難者対策についてです。特に代替バスの運行についてでございますが、JR西日本からは、列車が目的地へ向かう途中で、急遽、運転できなくなった場合は、救済措置として、いわゆる救済バスを手配する事例はあるということでございます。そのように伺っております。
一方、気象予報に応じて計画的な運休が決定、公表されている場合は救済措置の条件には当てはまらず、原則として、バスの手配は実施されないというふうに聞いております。
なお、本県といたしましては、帰宅困難者が発生した場合には、代替交通手段についての案内をはじめ帰宅困難者ガイドラインに基づく列車ホテルや一時滞在施設の開設など必要な対応が取れるよう、沿線の市やJR西日本等の関係機関と連携を図ってまいりたいと存じます。
7点目、運休時の観光客への対応についてでございます。観光客は、地域住民と比較して、鉄道が運休した場合に行き場のない帰宅困難者となられるリスクが高いと認識しております。そのため、外国人はもとより全ての観光客に、鉄道の運行見通しをはじめ代替交通手段についての御案内や一時滞在施設の開設状況等の情報が適切に伝わるよう、JR西日本を含む関係機関との連携を強化してまいりたいと存じます。また、運休となった際の駅および近郊の宿泊施設等での受入れ体制の構築について、JR西日本や沿線市、関係
団体と検討を進めてまいりたいと存じます。
8点目、近江舞子駅等のエレベーター設置についてでございますが、滋賀地域交通ビジョンでは、観光客はもとより、誰もが使える移動手段をどのように確保していくかが地域交通にとっての課題であると考えており、観光振興の観点からも駅のバリアフリー化はとても重要だと認識しております。
湖西線では全ての駅が高所、高架駅でございますので、ホームまで長い階段があり、利用者の負担が大きいため、利用者数に関わらずバリアフリー化の支援対象とするよう、国に対し強く要望してきたところでございます。また、観光関係の国の支援事業も活用し、エレベーターを設置できないか等、様々な選択肢について、沿線市とともに工夫して対応してまいりたいと存じます。
9点目、近江塩津駅のエレベーターについてでございますが、近江塩津駅は湖西線と北陸本線の結節点ではございますが、利用者数が少なく、国の補助制度の対象とならないことからバリアフリー化に着手できていないという現状がございます。そのため、先ほども答弁したとおり、利用者数に関わらずバリアフリー化の支援対象とするよう、国に対し求めてきたところでございます。
そのほか、当駅での乗換えの負担が軽減されるよう、米原─近江今津間を直通運行する列車の便数の増加や、同一ホーム、対面で乗換えができるダイヤの設定など、運行上の工夫も、沿線市とも協調しながらJR西日本に要望してまいりたいと存じます。
10点目、サンダーバード通過駅への安全柵の設置についてです。現在、湖西線ではホーム柵が設置された駅はございませんが、JR西日本からは、本年3月、乗客のホームへの転落を検知するホーム安全スクリーンを令和14年度──2032年度までに堅田─山科間で整備する方針が発表されました。今後もJR西日本に対して、湖西線の全駅でのさらなる安全確保策の実施を求めてまいりたいと存じます。
最後、11点目、湖西線の未来についてでございます。湖西線は50年にわたり住民の皆さんの通勤通学をはじめ日々の生活の移動を支え、また、沿線地域の魅力的な観光コンテンツに来訪者をいざなってきた極めて重要な交通軸でございます。湖西線が将来にわたり地域に愛され、ともに発展していくには、安全性の確保はもとより、より便利で使いやすく、もっと乗ってみたくなるような路線となっていくことが必要だと考えます。そのため、先日、JR西日本の関係者に、関空から湖西線経由で敦賀まで、途中、雄琴温泉等にも停車するはるかを運行してはどうかと提案もしたところであり、私自身も議員がおっしゃったようなことに通ずる夢に向かって歩みを始めているところでもございます。
また、今年度から、交通ビジョン実現に向けて具体の施策やそれに必要な負担、分担の在り方について議論を重ねてまいりますが、湖西地域のワークショップでは湖西線の未来についても大いに語り合い、この中でいただいた御意見やアイデアも踏まえ、地域交通計画として練り上げてまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)まず、風が吹いて、止めて、風が吹いたか検証していない、このことについては、やっぱり県としても確かめるということについて考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。1つ目、再問です。
それから、22年の6月からAIを使った局地的な強風予想システムを導入して、大阪ガスと、気象庁データを参考にして2.2キロ四方で予測をするというふうに公開されています。これが、いわゆる防風柵のあるところは25メートルを30メートルに引き上げるというのが全国共通の運転規制ルールでありますので、これが何か必要以上に低い値で運転規制ルールが適用されていないかとか、そのことについて、やはりJRときちんと話し合って、安全というのは大変大事ですので、そのことには従いますが、安全ということを盾に、運転規制ルールが一方的に逸脱していることはないのかとか、そういうことについて、もう一度、県としてJR西日本と向き合っていただきたいというのが2点目。
それから、堅田─山科間で安全柵ですが、スピードが上がるところはどこかというと、どっちかというと堅田以北のところで120キロ、130キロでサンダーバードが通過しますので、ぜひとも、この安全に対する対応を強化するように、引き続き、お願いをしていただきたいと思いますが、この3点について御質問します。
◎知事(三日月大造) 風の検証ですね。止めたけれども本当はどこでどのように吹いたのかという、こういう検証を会社とも共有すべきではないかという、この御指摘を承って、どういったことができるのか、JR側にも投げかけたいと思います。
また、それにも関連いたしますが、本来、こういうシステムは速度規制をむしろ緩和して、風が吹いても走れるようにするということを目的に導入したはずではないかと。安全は認めるけれども、もちろん大事だけれども、運行に支障が生じ過ぎていないのか検証すべきだという視点は我々も常に持ちながら、JR側に対して話をするということは重要だと考えます。とはいえ、事故が起こったときのことも考えられる事業者の観点といかにすり合わせていくのかということだと思います。
いずれにいたしましても、1つ目に申し上げたように、いろんな最新のシステムを導入して規制の緩和や様々な基準の見直しをされようとしているのであれば、そういったことを、ぜひ沿線市、沿線自治体とも共有をして議論をしてもらうように働きかけを行ってまいりたいと存じます。
3点目、サンダーバード等、高速で通過する列車があるところの柵の問題です。私も答弁しながら、堅田─山科間と言って、高島はどうなっているんだと言われるだろうなというふうに思いました。
したがって、速度の面でどうなのかということとか、お客様が多いところはどこなのかとか、いろんな観点で、区間の定め方であるとか、また投資の行い方であるとか、我々沿線市としての、自治体としての要望をJRにきちんと届ける活動というのは粘り強く行ってまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)ぜひ、地元の皆さんの気持ちをしっかり背負って、JRと向き合っていただきたいと思いますし、言うてるのは、これぐらいの幅のホームのところ、階段で上がってきて、これぐらいのところに、つえついて、よちよち歩いている人にサンダーバードがびゅーって通るんですよ。だから、またお願いしたいと思うし、京都で帰りの電車に乗ろうとしたら、「堅田以北は行けるか分かりません」という案内で電車が出る。行ったら、やっぱり堅田で降ろされたということがあるんです。JRはそれで、約款上、責任はないというようなことをおっしゃるんですが、やっぱりそれは大変な困難なことですので、どうかこういう事情も受け止めて、JRとお話をしていただきたいと思います。
そして、この50年間のいろいろな維持管理、そして安定運行に対する御努力に対しては心から敬意を表しまして、この50周年がさらに希望のある節目になりますように念願いたしまして、この質問を終わって、2問目に参ります。
2問目、生き物のゆりかご、琵琶湖の水質問題というテーマで御質問いたします。
県は2023年度の琵琶湖の水質測定結果を6月25日に発表されています。気になるのは、植物プランクトンの増殖につながる全窒素が現在の観測方法を始めた昭和54年──1979年以来、最低を記録したと。コメントとして、特異な値が確認されたとしています。今、アユの問題でこれから取り上げていくんですが、まず1つ目、瀬戸内海で貧栄養の指摘があり、対策が打たれているやに伺います。それはどのような認識の下にどのような対策が取られているのか、
琵琶湖環境部長にお尋ねします。
次に、琵琶湖南湖の貧酸素の調査はどのような答えが出たでしょうか。お亡くなりになった岩佐議員が気にかけておられたことも思い出します。高島や長浜に数百か所、南湖と同じ湖中砂利採取の痕がアリ地獄のようにくぼみを残しています。この県の調査はどのようなことが確認されましたか、
琵琶湖環境部長にお尋ねします。
さて、今年の前代未聞のアユの不漁も琵琶湖の命を育む力の低下が影響しているとの説があります。水質浄化が進み過ぎて、生き物にとっては忌まわしい環境に向かっているのではないかとの指摘です。この指摘に関して農政水産部長にコメントを求めます。
最後に、里山の映像を世界に発信しておられる今森光彦さんは、あめ色の水に生き物がたくさんいるというふうにおっしゃったことがありました。命のゆりかご、琵琶湖をお預かりしている滋賀県として、生物多様性の観点からも、真正面から向き合う琵琶湖の水質の課題だと思います。どのように対峙していこうとお考えか、
琵琶湖環境部長にお尋ねします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) (登壇)琵琶湖の水質問題につきまして、私にいただきました3点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、瀬戸内海での貧栄養についてでございます。
瀬戸内海では高度経済成長期に工場や家庭からの排水等によりまして水質汚濁が急速に進行いたしましたが、その後、法整備や下水道の普及などの環境保全対策によりまして、今では全窒素、全リンの環境基準を下回るまで大きく水質が改善したところでございます。一方で、一部の海域ではイカナゴの不漁や養殖ノリの色落ちなどの課題が生じ、その要因の一つとして窒素等の栄養塩不足が指摘されているところでございます。
そのため、例えば兵庫県では、良好な水質を保全し、かつ豊かな生態系を確保する上で望ましい栄養塩類の濃度を定めまして、下水処理場等の一部の工場、事業場に対しまして排水規制を緩和するほか、漁業者等による海底耕うんなどの取組が行われているところでございます。
2点目の、琵琶湖南湖での貧酸素の調査についてでございます。
南湖のくぼ地における貧酸素・無酸素状態の影響を把握するため、琵琶湖環境科学研究センターにおきまして、令和元年度──2019年度から令和4年度──2022年度にかけまして、くぼ地およびその周辺で溶存酸素量の連続測定などの調査を実施したところでございます。これまでの調査の結果、夏に深いくぼ地で生じた無酸素状態の水の塊が移動いたしまして、くぼ地周辺の水域において溶存酸素濃度を一時的に低下させているということを確認をいたしたところでございます。ただし、その影響の範囲は局所的でございまして、広範囲への影響は認められなかったということでございます。
そして、3点目の、生物多様性の観点からの御質問でございますけれども、今年3月に策定をいたしました生物多様性しが戦略では、生物多様性とは、いろいろな場所で様々な種類や個性の生き物でにぎわっていることであり、それは生き物のつながりの維持によって実現するというふうにされております。
現在、琵琶湖においては在来魚介類の減少、侵略的外来水生植物の拡大など、生物多様性に関する様々な課題が現れているところでございます。
このことから、県では在来魚介類の生息基盤となります湖底や湖辺域の環境、森、川、里、湖における生き物のつながりの維持が必要であるという認識の下、ヨシ群落の保全や水草の除去、さらには在来魚の産卵に適した河床環境の改善などの対策を講じてきているところでございます。
さらに、今後でございますが、環境省とも連携をいたしまして、豊かな生態系と良好な水質の両立に向けました水質管理手法を構築することと併せて、地域の皆様とともに生物多様性の保全にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
◎農政水産部長(中田佳恵) (登壇)生き物のゆりかご、琵琶湖の水質問題に関する4点の御質問のうち、私にいただいた1点の御質問にお答えいたします。
生き物にとっての環境についてでございますが、琵琶湖環境研究推進機構の研究では、魚介類の減少は、水質だけでなく、琵琶湖の栄養塩を利用して植物プランクトンが生み出した有機物が動物プランクトン、さらには魚介類へと滞りなく受け渡されていないことがその一因とされております。
漁場の現場では、アユの成長不良やセタシジミ、ホンモロコの肥満度低下などが認められ、漁業者の方からも「魚が育たない琵琶湖になった」といった声が聞かれるなど、琵琶湖の生産力低下に強い危機感を持っているところでございます。
このため、今年度より水産試験場において、国、大学、琵琶湖環境科学研究センターなどの専門家に参画いただき、栄養塩環境と漁場生産力の関係解明や具体的な改善策について検討を始めており、琵琶湖の生産力の回復につながるよう、取組を進めてまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)再問させていただきます。
まず、穴ぼこの、いわゆる貧酸素について「局所的であると確認された」とおっしゃいました。局所的であると確認されたこのことは問題があるのかないのか、問います。
それから、今の瀬戸内海の話でも確認されたし、最初に申し上げた、県が発表した水質測定結果では、全窒素は特異な値が確認されたと言って県が発表しているということは、栄養塩の問題というのはスポットが当たっているわけで、だから、
琵琶湖環境部長がおっしゃった対策は今までやってきたことばかりで、いわゆる琵琶湖の悲鳴を聞いて、何かすぐにせねばならないことはないのかという切迫感というか、真剣味が足りないのではないかと思うんですが、どうですかというのが2点目。
農政水産部長は、そういうことについて国や大学や国環研の協力も得て研究していくということですので、いつ頃をめどに方策が見定められて、どういうことをやっていこうというふうにもくろんでいるのかということについて、もう一度、お伺いします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) 1点目の、貧酸素の状況について局所的ということでございますけども、局所的といいますのはその部分にとどまっていて広範囲の影響が認められないというふうなことでございますので、直ちに対策を講じるような状況にないというふうなことでございます。
そして、もう1点でございます。今現在、リン、窒素、特に窒素のことでございますけれども、北湖ではかなり栄養塩の状態というのは改善し、昭和30年代後半と同程度になってきているというところでございますが、今現在、南湖では、いまだ環境基準が未達成の状況であるというふうなことがございます。
そういった点を考えながら、まず、栄養塩のことについてはしっかり対策を講じていく必要があろうかというふうに思いますし、さらに、貧栄養化というふうなことを考えるときに、今現在、栄養塩の状態だけではなくて、栄養塩がしっかりと植物プランクトンに行って、そして、その植物プランクトンで動物プランクトンが食べて、その循環、受渡しがしっかりできていないのではないかというふうな、そういった見解がございますので、それらのことを総合的に考えながら、今現在、検討会議を環境省とともに持たせていただいておりますので、そういった研究結果もしっかり見ながら、どういった対策を講じていったらよいのかということを考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◎農政水産部長(中田佳恵) 先ほど御質問にございました、琵琶湖栄養塩環境検討会でございますが、6月の14日に第1回目を開催させていただいたところでございます。その場では、琵琶湖の漁場生産力の評価および回復に関する技術開発研究の案について説明し、御意見をいただいたところでございます。これは、アユやニゴロブナを指標といたしまして、琵琶湖の沖合や沿岸の漁場生産力の評価、それと併せて、生産力を回復するための手法の検討を行うというものでございます。これにつきましては委員の方々からも、モデル指標につきましては、やはり水産資源の状況も含めてしっかりと押さえていくことが必要だというような御意見もいただいたところでございます。
今の漁場生産力の回復というのは喫緊の課題というふうに認識しておりまして、できるだけこの案が実現可能なものとなりますように、早急に検討会で議論し、進めてまいりたいというふうに考えております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)琵琶湖に貧酸素、無酸素になる穴ぼこは幾つあるんですか、もう一度、
琵琶湖環境部長に聞きます。
それから、早急にというのはどれぐらいの年数を考えておられますか、農政水産部長にお尋ねします。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) 貧酸素水塊につきましては、すみません、データのほうは、今現在、ちょっと手元にございませんので、幾つ存在するのかというのはここでちょっと申し上げることができないんですが、砂利採取で穴が出来ている、くぼ地があるというところにつきましては南湖で268万立米、北湖で284万立米、これが採取されまして、くぼ地が出来ているということにつきましては確認をさせていただいているところでございます。
◎農政水産部長(中田佳恵) 時期でございますけれども、琵琶湖を所管しておられます琵琶湖環境部とも調整し、取り組んでいく必要があるというふうに考えております。できれば来年度以降から、段階を踏んで取り組めていければというふうに考えております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)穴は何百か所もありますので、しっかり引き寄せて考えていただきたいと思います。
それでは、3点目を御質問いたします。中干し延長と生物多様性についてを申し上げます。
CO2ネットゼロの政策で、メタンの排出を低減させる名目で中干しを延ばす政策が推奨されています。従来の中干しに加え、中干し延長の取組によるメタンの削減量はどれほどで、CO2削減計画における意味を総合企画部長に問います。
このことで、生物多様性の観点から、両生類はじめ水生の生き物が生きられない環境になるデメリットが指摘されています。弊害面、マイナスの影響はどのように掌握しておられるでしょうか、農政水産部長にお尋ねします。
ラムサール条約の観点から湿地の消失は避けるべき行為でありますが、ラムサール条約の登録湿地である琵琶湖の管理責任者として、生物多様性の観点から、生息環境がピンチに陥ることにどのような見解をお持ちでしょうか、
琵琶湖環境部長にお尋ねします。
民間稲作研究会や有機農法研究会などでも、中干しの延長は水生昆虫の生存環境を脅かすと指摘しており、高温障害の心配される今日、水稲に有効な働きかけにならないのではとの見解があり、田んぼが酸性かアルカリ性かでも働きが違うと申します。
中干しの長期化について、滋賀県はどのような御見解であるか、農政水産部長にお尋ねします。
目先のCO2削減に走る人たちによって、生物多様性のまなざしを深めないまま、中干し延長によるメタン削減の取組をJ-クレジットで評価しようとの動きがあります。環境こだわりを自認する滋賀県は、この相反する問題にどのように向き合うか、滋賀県としてしっかり確認、検証することを求めますが、いかがでしょうか、農政水産部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(松田千春) (登壇)私にいただきました1点の御質問、中干し延長によるメタンの削減量およびCO2削減計画における意味についてお答えいたします。
本県のCO2ネットゼロ社会づくりに向けた農林水産分野の計画であります、しがの農林水産業気候変動対策実行計画に、水田の中干し期間を通常より長い14日間以上を実施する長期中干しを排出削減対策に位置づけているところでございます。
県内で長期中干しを実施している水田は2013年度から2023年度までで3,895ヘクタール増加しておりまして、このことにより、CO2換算で約0.9万トンのメタン発生が抑制されたことになります。滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画では、2030年度までにメタン排出量をCO2換算で4.7万トン削減することを目標としておりまして、長期中干しの推進により、目標の約18%の削減に寄与しているものと考えております。
◎
琵琶湖環境部長(中村達也) 私にいただきました1点の御質問、ラムサール条約登録湿地であります琵琶湖の生物多様性の観点からの見解についてお答えをさせていただきます。
琵琶湖の生物多様性を保全する上で、水田をはじめとする森、川、里、湖のつながりは重要でございまして、ラムサール条約においても水田は湿地生態系の一つとして重要な役割を果たしているとされているところでございます。
長期中干しにつきましては、令和3年度──2021年度の農林水産省の調査によりますと、魚類や両生類、昆虫類を含む水生生物の生息に悪影響があるというふうにされております。このような課題への対応を含めまして、水田における生物多様性の保全が図られるよう、国等からの情報収集にも努めまして、農政水産部とも情報を共有するなど連携をしてまいりたいというふうに考えてございます。
◎農政水産部長(中田佳恵) 中干し延長と生物多様性に関する5点の御質問のうち、私にいただいた3点の御質問にお答えいたします。
まず1点目の、長期中干しによる弊害の把握についてでございますが、
琵琶湖環境部長の答弁にもございました、令和3年度──2021年度に国が実施した環境保全型農業効果調査におきまして、長期中干しを行った圃場で中干し前後の両生類や水生昆虫類等、水生生物の個体数が調査をされました。その結果、長期の中干しにより、強く乾燥した圃場の中では水生生物の生息が難しくなることが確認されておりまして、マイナスの影響があることを承知しております。
2点目の、長期中干しによる高温障害への影響についてでございますが、中干しは過剰な生育を抑え、茎を太く強くすること、土壌中に酸素を供給し、根の張りを促すことを狙いに、これまでから一般的に行っている水管理でありまして、結果として、倒れにくく、夏の高温にも強い稲づくりに有効であると考えております。この中干しを1週間延長する長期中干しでは米の品質には影響がないことが国の研究機関において確認をされております。
御指摘の高温障害については、穂が出る前後各3週間、常に水をためる管理を行った後、収穫直前まで水を切らさないようにする対策と組み合わせることが有効でありますことから、これらの取組を行っているところでございます。
3点目の、県による検証についてでございますが、水稲の栽培に当たりましては、地球温暖化防止効果を発揮しつつ、生物多様性保全効果にも配慮し、さらに、生産性を維持することが重要であると考えております。現在、国において長期中干しによる生物多様性への影響を軽減する技術について各種調査結果等を踏まえた検討が進められておりまして、県においても、これらの動きも踏まえつつ、情報収集や関係機関との連携の下、どのような取組が有効なのかを考え、対応を検討してまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)天皇陛下がイギリスに訪問されて、その公式なパーティーの中でも、いわゆる温暖化対策と生物多様性に取り組むイギリスの国王はじめ多くの研究者に敬意と賛辞を贈られているという場面がありました。CO2ネットゼロばかりを何か言い出しましたけど、世界では温暖化対策というものと生物多様性の保持というのは2本柱であって、どっちが軽い重いとかは言えない問題として扱われていると思います。ですので、滋賀県として、温暖化対策と生物多様性の2本柱をどのように取り組んでいくのかということを、滋賀県こそが全国のリーダーになって、生物多様性も守りつつ、世界的な目標を達成していくリーダーになってほしいという思いで聞いています。ですから、私は、「滋賀県は」「滋賀県は」「滋賀県と」ということで聞いているのに、「国は影響がないと言っています」ということは、僕は答弁としては残念です。ですから、滋賀県として考えましょうと。コシヒカリと日本晴ときらみずきによって中干しの仕方も違いますし、土壌の酸性、アルカリでも違う。ですから、やっぱり滋賀県として、滋賀の生き物と会話のできる農家の方たちとともに、滋賀県らしい生物多様性も保障し、また、メタンも減らすような農業を見いだしてほしいということを要望いたしまして、本日の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、28番海東英和議員の質問を終了いたします。
次に、8番野田武宏議員の発言を許します。
◆8番(野田武宏議員) (登壇、拍手)御存じのとおり、1981年、びわこ国体をテーマに、「水と緑あふれる若さ」をスローガンとした第36回国民体育大会が本県で開催され、年齢に関わらず県民が一丸となり、湖上輸送など湖国ならではの創意工夫を行ったことで、内容豊かで実りある国体として好評を博したと仄聞しています。
それから44年の月日を経て、来年──2025年には、国民スポーツ大会──以下、国スポという──と名称を変更した国内最大のスポーツの祭典が本県に帰ってきます。あわせて、2001年から全国身体障害者スポーツ大会と全国知的障害者スポーツ大会を統合して始まった全国障害者スポーツ大会──以降、障スポという──も開催することで、スポーツの普及や地域振興だけでなく、障害の有無に関わらず、誰もが共に楽しめる社会の実現に向け、理解を深めていくことができる大きな機会となることは間違いありません。
いよいよ開催まであと457日と迫った国民スポーツ大会。そこで、通告に従いまして、国スポ・障スポ大会について、全て
文化スポーツ部長に一問一答方式で伺います。
初めに、各競技のネット配信についてです。
前回のびわこ国体との大きな違いは、テクノロジーの進化による情報通信技術、いわゆるICTの普及です。実際に現地に来て試合を見たり、テレビなどで、選択された一部の試合しか見ることができなかった時代から、今では運営側が環境を整え、発信することで、自宅からでも試合を観戦することができます。
そこで、現在、県内のスポーツイベントや大会においてネット配信を行っている事例、その手法を
文化スポーツ部長に伺います。
○議長(有村國俊) 8番野田武宏議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) (登壇)お答えいたします。
本県で開催されているびわ湖マラソンおよび全国中学校駅伝大会につきましてはユーチューブ等による配信を実施しておりまして、直近の大会のユーチューブ視聴回数では、それぞれ約2万8,000回と1万9,000回でございます。それ以外にも、バスケットボールのBリーグ所属の滋賀レイクスやサッカーJFL所属のレイラック滋賀FCの試合などがネットで配信をされているところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。どのスポーツでも、少しでも興味を持ってもらい、競技人口やファンの創出につなげるために、少しずつネット活用が進んできていることがうかがえます。
次に、技術的、インフラ的な準備状況について伺います。
現在では、スマートフォンで撮影した動画を誰でも気軽に配信することができます。少し前では考えられなかった、誰もが情報発信をするメディアの役割をすることができる中で、県として配信をする際には、安定した配信に向け、最大限の準備を欠かすことができません。
そこで、国スポのネット配信を実施するための環境は整っているか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
国スポでは、公益財団法人日本スポーツ協会のインターネット動画配信サービス「国スポチャンネル」におきまして競技映像を配信することとされておりまして、配信に当たりましては、競技会場での撮影やサーバーへのデータ伝送等の技術、インターネット回線の敷設や電源の確保等、それぞれの競技会場に応じた対策が必要となります。
本県の配信に当たりましても、今後、各競技会場に応じた具体的な撮影方法や必要な設備、人員体制等も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
続いて、予算およびコストについてです。
技術的な準備と人員配置を行い、ネット配信を行うためにはどの程度の予算が必要か、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
「国スポチャンネル」におきまして、先催県の事例を参考に、式典および正式競技の決勝戦を基本として配信を行う場合、試算では1億円程度の費用が必要と見込んでおります。今後、各競技会場の通信環境等を調査の上、技術的な準備や人員体制の検討を重ね、必要な費用を精査してまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
先催県の一般的な仕組みの中で、ネット配信を行うための予算を安いとは言えません。また、国スポの動画配信で欠かすことのできない「国スポチャンネル」の配信に係る費用も安くないものと仄聞しています。しかしながら、時代に合わせた国スポや障スポの次のステージを考えたときに、ネット配信を欠かすことはできないと考えます。
そこで、現時点で予定されている、今年開催の佐賀大会の計画を含め、先催県における国スポのネット配信を実施した事例について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えします。
令和元年の茨城大会から、「国体チャンネル」において式典および正式競技の決勝戦を基本に映像が配信されております。今年の佐賀大会におきましては、正式競技の全試合について映像配信を予定されているところと聞いております。
大会のネット配信は、会場に足を運べない方々にも競技を観戦していただくことが可能になり、大会PRにつながるツールであると認識しておりますが、一方で、配信に当たっては多額の費用が必要となりますので、費用対効果等も踏まえた検討が必要になると考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)さきに述べたびわこ国体との大きな違いが及ぼした変化に伴うウェブやソーシャルメディアの普及によって、ペイドメディアに依存するマーケティング戦略は大幅な見直しが求められるようになりました。広告を通じてブランドを構築することは困難となりつつあり、自社サイトや店舗、製品パッケージ、自社の従業員といったオウンメディアやマスメディア、ネットメディア、ソーシャルメディアなどの評価を受けるメディア、いわゆるアーンドメディアにも注目が集まり、広報戦略も当時とは大きく異なってまいります。
さらに、ネット配信を活用することで、商品の販売だけでなく、スポーツ観戦の楽しみ方も新たな価値が生まれています。ネット配信を通じて、試合のライブ中継やハイライト、選手インタビューなどをリアルタイムで共有することでファンとの双方向のコミュニケーションが可能となります。これにより、スポーツイベントの臨場感を自宅で楽しめるだけでなく、即時のフィードバックを得ることで、より魅力的なコンテンツづくりが実現できます。
このように、スポーツ観戦の新たな形態として、その重要性を増しているネット配信ですが、国スポを広く周知するための広報戦略としてネット配信を組み込むことで、どのような効果が期待できると考えているか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
ネット配信により、これまで会場でしか味わうことのできなかったスポーツの面白さにどこからでも気軽に触れていただくことは大会の発信につながることと考えております。また、映像を通して、滋賀の豊かな自然環境や充実した競技施設など、滋賀の魅力を多くの方に知っていただくきっかけとなることが期待できると認識しております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ネット配信という新たな入り口が1つでも増えることで、別の切り口からの広報も可能になると考えられます。
次に、障スポについて伺います。
まず、現状の障害者スポーツの配信状況についてです。さきの質問でお聞きしたスポーツ大会の配信ですが、その中で、県内で開催された障害者スポーツイベントや大会におけるネット配信事例があるか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
県内の障害者スポーツイベントや大会をネットで配信している事例は承知しておりません。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
障害者スポーツにおける大会は、移動や準備に比較的大きなエネルギーが必要となる参加者とその家族、関係者にとって非常に重要なイベントです。選手たちの努力や成果を共有することは感動や喜びを分かち合う貴重な機会ですが、当然、現場に足を運ぶのが困難な場合も少なくありません。貴重な機会を共有するせっかくのチャンスに、現地に来れなくても、ネット配信を活用すれば、遠くにいる家族や友人など1人でも多くの関係者に選手たちの奮闘をリアルタイムに近い形で共有することができます。
そこで、障害者スポーツ大会の関係者や参加者、その家族からネット配信に対する要望はあるか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
障害者スポーツ大会の関係者等から障スポ大会のネット配信に対する御要望は伺っておりません。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)デジタルトランスフォーメーションが進んでいることや、障害者スポーツ以外ではネット配信が広がっている現状がある一方で、障害者スポーツ大会ではネット配信が行われていない状況は、ネット配信に対する要望がない現状が、イコール望んでいる関係者がいないということではないと推測できます。具体的な要望はどの程度、存在するのか、ヒアリングを行うなどしながら、こういったところにも光を当てながら本県の障害者スポーツも次のステージに向けて進めていただきたいと思います。
次に、技術的、インフラ的な準備状況について伺います。
さきの質問で国スポ・障スポについてお聞きしていますが、障害者スポーツ大会のネット配信を実施するための環境は整っているか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
障スポ大会の競技映像の配信に当たりましては、「国スポチャンネル」のように主催者から指定されている動画配信サービスはなく、ネット配信を行う場合は、国スポ同様の技術的な準備に加え、独自に動画配信の仕組みが必要となります。
本県におきまして、障スポ大会の競技映像を配信する場合に必要な設備や人員体制等は、各競技会場の通信環境や配信競技数等を踏まえて、今後、検討することになると考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
配信の指定サービスがないということで、自由度が国スポよりも比較的高いのかと思います。当然、予算面でもそこの縛りが薄くなってくるのかと思います。
ほかの面で国スポと障スポで大きく変わらないであれば、1つの準備で2つの効果が得られるのではないでしょうか。設備の問題や体制づくりなどの課題もあると思いますが、先催県の事例や今年開催の佐賀県の状況から今の流れを知ることも大切だと思います。
そこで、先催県で障害者スポーツ大会のネット配信を実施した事例はあるか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
先催県では、競技解説を主な目的としまして、音声配信をグランドソフトボール競技において実施された事例はありますが、競技映像をネット配信された事例は承知しておりません。
なお、今年開催の佐賀大会におきましては、新たに、障スポの正式競技の全試合について映像配信を予定されているところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
佐賀で全試合配信を予定しているということで、さきに開催された県で行われ、本県では行われないということになった際に、関係者から落胆の声が出てこないか、注意していく必要があると考えます。
今月22日、23日と滋賀県希望が丘文化公園で行われた、わたSHIGA輝く国スポラグビーフットボール競技リハーサル大会に伺い、スポーツ専用AIカメラによる無人自動撮影によるスポーツDXソリューションの実証実験を見学してきました。様々なカメラがありましたが、その一つに、左寄り、中央、そして右寄りで撮影した3つの動画を瞬時に1つに合わせ、フィールド全体を1つの動画にする機能を持ち、ボールを持った選手を自動で追尾するだけでなく、ボールが例えば高く上がった際にはボールだけが映っているような状況になってしまうので、寄り過ぎないアングルに切り替えるなど、それぞれの競技に応じてルールを学習し、最適な形の撮影を自動で行うAIの進歩に驚きを隠せませんでした。
わたSHIGA輝く国スポ・障スポ実行委員会の会長である三日月知事と民間企業が連携し、試験的に行われたこちらの実証実験を見て、本県としても、ネット配信に向けて着実に前に進んでいることを実感し、実証実験だけで終わることなく、国スポや障スポでは実用化することができると感じました。
費用面でも、張りつきとなる人件費の大幅な削減が期待できます。実際、現地では、私が訪れたのは23日なんですけど、たった1人でそれを動かしていました。
また、この技術革新は、AIカメラによる映像配信の有用性だけではなく、応援コミュニティープラットフォームによる情報発信によって、ネットを通じた新たな関係性の創出も期待され、配信映像を通じた関係人口づくりや開催地の魅力を発信することもできますし、環境整備が進むことにつれ、そのシステムを活用し、遠方にいる有名な指導者による部活指導にもつなげることができます。
さきの冨波議員の質問でもありましたけど、部活動の地域移行による地方の指導者不足解消に対する新たな施策にもつながるという意味で、国スポ・障スポ以降でも活用できる可能性が大いにあります。
これらを踏まえ、国スポ・障スポのネット配信を行うことについてどのようにお考えか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
ネット配信は、見る、支えるという立場でもスポーツに参加できる有用なツールであると認識しておりまして、ネット配信を通じて国スポ・障スポ大会を身近に感じ、スポーツに関心を寄せていただくことは県民のスポーツ振興につながるものと認識しております。
本県における国スポの配信や、加えて、障スポでの配信、また、議員が質問でも触れていただいたAIカメラの活用については、各競技会場の環境や配信方法の制約、さらには費用対効果等も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
強豪校を倒すジャイアントキリングが起きたことが大きなニュースになったことや、好きなミュージシャンが競技とコラボしたCM応援ソングに使われているなど、スポーツに興味を持ってもらうきっかけは、決してスポーツを行うことだけではなく、ささいなことから始まると考えます。
また、近年、新たな観光地になっているところはSNSを中心としたネット配信からというケースも多く見られます。ネット配信をすることは、来県者が減るのではなく、今まで開催地に行くことができなかった競技関係者や家族とつながり、滋賀の魅力を伝え、滋賀に訪ねてもらうきっかけを生むことになると考えます。
また、甲子園などでも、自分が負けた高校を応援していくケースを頻繁に耳にします。負けたからそこで終わりではなく、その思いを次に託し、託した相手の試合を見守っていく、そうやって関係性を継続していくからこそ思いがつながり、決勝戦や準決勝という盛り上がりが最高潮に近づく試合を観戦してみたいという思いが強まるのではないでしょうか。そういう意味で、決勝のみの配信などというふうになると、どうしてもストーリーの連続性が失われてしまうのではないかなと思います。
過去のびわこ国体では選択肢としてなかったICT技術の活用が、人件費の削減や県民の日常生活における豊かさ向上にもつながっていく可能性は否定できません。スポーツのみならず、教育、福祉、医療、観光など全ての分野でデジタルトランスフォーメーションの流れは止まることがないと言われているからこそ、ぜひとも大会における発信をきっかけとして、本県の新たなデジタルトランスフォーメーションにつなげていただきたいと思います。
さて、国スポ・障スポ大会、特に障スポ大会には、選手を中心に、多くの障害のある方々が本県を訪れることが予想され、社会福祉の父である糸賀一雄さんにゆかりの深い本県としては最大限の合理的配慮は欠かすことができません。
そこで、障スポ大会において、どのような障害のある選手や関係者が訪れると想定しているのか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
全国障害者スポーツ大会には、大会競技規則に定められた障害区分に応じまして、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、知的障害、精神障害等の障害のある選手およびその関係者が参加されます。
なお、昨年の鹿児島大会におきましては、延べ人数で、選手、監督2万2,745人、競技役員、ボランティア等の大会関係者4万5,818人、一般観覧者2万2,096人、合計で9万659人の参加があったところで、本県においても同程度の参加を見込んでおるところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
9万人ほどという大きな数字をいただきましたが、次に、確保している宿泊先情報から、競技会場までの移動時間で最も長い時間はどれぐらいを想定しているのか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
現在、客室確保と併せて配宿先の調整を進めておりまして、宿泊施設から競技会場への最長の移動時間は現時点では不明でございますが、競技特性に応じて、選定した宿泊施設のうち競技会場に近い施設から配宿するなど、移動に係る選手への負担が軽減されるように努めてまいる所存でございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)御回答、ありがとうございます。
宿泊施設の確保状況や移動時間についての詳細をお聞きできて、計画が進んでいることがよく分かりましたが、まだまだ未確定な部分が多いということで、ぜひとも引き続き御尽力いただければと思います。
移動時間の短縮に最大限の配慮をしていくことは、参加者の快適さに直結するため、非常に重要だと感じています。多くの先催県でも快適に過ごしてもらうために、問題が発生しないよう準備を進めてきたと思われますが、それでも想定外の事態が起きてしまうことは多々あります。ただし、少なくとも先催県でも起きた問題が再び起きることのないようにすることで1つでも問題を減らすことができます。
そこで、先催県で、障害のある方々が宿泊した際に発生した想定外の問題について確認されているか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
開催県は、選手団の派遣元に対し、あらかじめ希望する宿泊支援用具等の調査を行っておりますが、宿泊の際に宿泊支援用具等に不足があるとの申出があって、急遽、手配したような事例があったと聞いております。
今後、選手団の派遣元から宿泊申込みを行っていただくことになりますけれども、その際には、宿泊支援用具の必要数を正確に申し出ていただくように、改めてお願いしてまいりたいと考えております。
あわせて、本県では一定数の予備を確保するなどの対応を行い、参加者が宿泊される際に不便を感じられることのないように準備してまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
先催県での経験を踏まえ、本県でも同様の問題が発生しないように対策を講じることが重要だと感じています。特に、事前に可能な限りの準備を行い、障害のある方々が安心して宿泊できる環境を整えることは体力回復にも影響しますので、試合結果にもつながるという意味において大変重要です。引き続き、よろしくお願いします。
障害者スポーツにおいては、スポーツの知識や経験だけでなく、障害者福祉についての知識や経験も併せて持つ必要があり、既に行われているように、県庁内でも部局間を超えた連携を行っていくことで、小さな問題を含めた障壁を1つでもなくし、関係者の満足度を上げていくことができます。
そこで、障害者について詳しい関係者とスポーツについて詳しい関係者の連携はどのように行っているのか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
大会の開催に向けまして、障害者スポーツ協会や各競技
団体等に国スポ・障スポの実行委員会へ御参画いただきまして、様々な場面で、専門的な立場から御意見や御助言をいただいているところでございます。例えば障スポ各競技会場では、障害者
団体と競技
団体の参加の下、バリアフリー調査を実施するなど、各
団体が有する知見や経験を会場設営に反映できるように取組を進めており、引き続き、関係
団体としっかり連携を図ってまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
障害者スポーツ協会との連携がしっかりと行われていることを確認できて、大変心強く思っています。専門知識をお持ちの皆さんと協力し、小さな問題でも事前に共有し、より関係者の満足度が高い大会を目指していただきたいと思います。
満足度について考えると、試合後の本県における観光や飲食に対する満足度の向上は、もう一度、本県に来たいと思ってもらうためには非常に重要です。しかしながら、障害のある方、特に車椅子を利用している方がバリアフリー対応の店舗を探すことは大きな障壁の一つとなっています。アプリなどを活用した民間サービスなども進んではいますが、そこまで無事にたどり着けるかどうかの情報入手は容易ではありません。
そこで、県として、地域と連携し、バリアフリー対応ができている店舗を分かりやすく知ってもらうための仕組みをどのように考えているか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
障害のある方も観光や飲食を一層楽しんでいただけるよう、庁内関係部局におきまして、障害者関係
団体との連携により、県内の観光施設や飲食店などと、そのうち一部については周辺道路の状況も含めましてバリアフリー調査を行い、結果を当該
団体や県のホームページで公表する予定でございます。
加えまして、大会実行委員会におきましても、競技会場やその周辺の飲食店等に関するバリアフリー情報やアクセス情報等を掲載した冊子を作成予定でございまして、来県された方々が滋賀の魅力やおもてなしを堪能いただけるよう、情報発信を進めてまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
競技関係者の皆さんが、試合が終わった後にちょっと一杯飲みに行きたいみたいな形で打ち上げなどを考えた際に、大会の中ではストレスなく行われていたにもかかわらず、その後、滋賀県に、飲食などを楽しもうと思ったときにストレスを感じることが最後の最後でネガティブなイメージにならないようにぜひとも御注意いただき、これからも御尽力いただきたいと思います。
階段しかない場所では車椅子を使っている人にとって障害が生じますが、高い壁がある場所では、車椅子を使ってない人でもその先に進むことができず、同様に障害が存在することになります。しかしながら、これらの問題はエレベーターやはしごの設置で解決することができます。この問題解決の方法は1976年にUPIASという組織によって発表されたもので、「障害は物理的な障壁や社会的な排除によって生じるものであり、それらを取り除くことで障害を解消できる」とする、いわゆる障害の社会モデルとして知られています。この考えに基づき、国でも障害者差別解消法やバリアフリー法などの法律が整備され、障害のある方々が生活しやすい環境づくりが進められています。
また、本県でも、この考えを取り入れた滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例を制定し、障害のない共生社会を目指しているからこそインフラ整備を行い、障害の社会モデルに基づく解決をさらに進めていく必要があるのではないでしょうか。ぜひとも、国スポや障スポ開催を契機に、誰もが安心して快適に楽しめるよう、現地に行かなくても参加できるネット配信やバリアフリーなまちづくりを進め、大会の満足度を高めていただければと考えています。あわせて、大会終了後には、今後の県政に生かせる多くの学びや改善点を直接のフィードバックとして得られると考えます。
そこで、最後に、大会終了後には参加者からアンケートを取り、その結果を今後の県政に生かしていく予定があるか、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
国スポ・障スポ大会は、全国から選手、役員をはじめ観客など様々な方々が参加されることから、単にスポーツの祭典というだけでなく、大会に参加された方々が感じられた点を観光、地域の活性化や共生社会の実現など、これからの滋賀づくりに生かすチャンスであると認識しております。
このことから、大会に併せて、参加された皆様にアンケートを実施しまして、御意見や感想などの貴重な声を庁内でも共有し、今後の県政、そして滋賀の新たな時代の創造につながるレガシーづくりに生かしてまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) 終わります。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、8番野田武宏議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時27分 休憩
────────────────
午後3時49分 開議
○議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、5番菅沼利紀議員の発言を許します。
◆5番(菅沼利紀議員) (登壇、拍手)それでは、通告書に従いまして、一般質問させていただきたいと思います。
今回は、椿井文書の利活用についてということで、
文化スポーツ部長のほうに、まずは聞かせていただきたいと思います。
あんまり僕、自分の村の話をするのはちょっとお恥ずかしいんですけれど、私の家から程近いところにございます文書のことでいろいろと騒がれておりますので、御紹介がてら、今回は質問させていただきたいと思っております。
椿井文書というのは、椿井さんによる古文書でありまして、京都は山城の国、相楽郡椿井村、現在は木津川市、そこの出身の方だと言われております。江戸後期の国学者でございまして、椿井政隆による古文書、これが偽文書と言われていることで、今、騒がれてございます。
1770年から1837年の間に、関西を中心に数百点の家系図であったり連名帳であったり、寺社の縁起と呼ばれる絵画であったり、そういったものを大量に作成されて、それぞれその相互関係を持たせることで信憑性というものを高めており、それがゆえに偽作、贋作ということが見抜けないまま指定文化財になったり、郷土の歴史の根拠になったりするケースが各地で見られているようでございます。
ただ、その全てがうそや空想に限らず、物によっては、現地踏査や聞き取りも行わないと書けないだろうと推測されるような、現在の条件と一致するようなものも数多く見られていることも確かであります。当時の文化の一端を知る資料として、現在は再評価の動きもあるということをお聞きしております。
ここ最近も、京都新聞さん、中日新聞さん、産経新聞さんでニュースとして取り上げていただくこともありまして、そこのニュースの内容は指定がどうこうということで、トラブルも多い、そういった題材でございます。これは滋賀県、江州も舞台となり得る、世間を魅了する歴史ミステリーではないかということを皆様方に感じていただきたいなと思っております。
事の発端は、2020年、椿井文書に関する研究をされている中京大学の教授でございます馬部隆弘教授によりまして研究書が発刊されました。「椿井文書─日本最大級の偽文書」という本でございます。それを機に、2021年のヤフーニュースの特集で配信された「うそでつくられた歴史でまちおこし、200年前のフェイク、椿井文書に困惑する人たち」で火がついてしまったんです。そのときに載っていた写真が、大きな写真が載っているんですけれども、県道にある、私の住んでいる菩提寺にある円満山西応寺に伝わる廃少菩提寺絵図というものが必ず写ってくるということで、もしよろしかったら、またネットで調べていただいたらありがたいなと思います。これがいわゆる椿井文書、偽文書というふうに言われております。
私は、この椿井文書そのものが偽物か真実か、認定すべき文化財なのかどうか、そういうことではなく、多分、歴史ミステリーの一つとして滋賀県を十分に盛り上げる材料になるんではないか、そういった気持ちで聞かせていただきたいと思います。やっぱり滋賀県自身は、あったことは確かなんですけれど、姿の分からない安土城に対するロマンを追いかけていますし、また、100周年になるのか分からないですが、湖底の遺跡、こういった部分も取り上げて盛り上げていこうという県でございますので、これは全国のミステリーファンが確実に食いついてくる題材ではないかなということが私の思いであります。
まずは、椿井文書で県が把握されている状況というものをお聞きさせていただきたいと思います。県が指定するもの、指定ではないけれども県が所有する椿井文書はあるのか、また、市町や個人が所有するもので、現在、確認や把握できているものがあるのかということをお聞かせください。
次に、県は椿井文書について、現在、どのような評価を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
続いて、2021年から注目を浴び始め、継続的に話題に上がってくる歴史文化の題材でもあるので、市町によれば、さらなる歴史の検証等も、今後、進められる可能性があるのではないかと思います。発掘調査などでありましたら非常に大がかりなものになっていきますので、県に対する支援の要望ということも考えられるのではないかと思います。そのような場合、滋賀県としてはどのような支援体制が準備できるというふうに思われておりますか。
また、支援体制の一つとも言えるんですけれども、2023年には大阪の大谷大学の特別展において「椿井文書をめぐる人々─拡散する偽文書」という、こういった特別展覧会を開催をされておりまして、また、ここに多くの歴史好きでにぎわっていたというふうにお聞きをしております。県においても、このような話題性を生かし、椿井文書を用い、展示や講演会などで利活用すること、そういったことを通して文化振興や観光の振興というものが図れるんじゃないかということを感じますので、その辺の部分についての見解もお伺いさせていただきたいと思います。
○議長(有村國俊) 5番菅沼利紀議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) (登壇)椿井文書についての4点の御質問にお答えいたします。
1点目の、県内におけます椿井文書の把握状況についてでございますが、椿井文書とは、江戸時代後期に活躍した椿井権之輔という民間の学者さんが収集、作成して、滋賀県を含めて近畿地方の各地に残した古文書や絵図、系図などをいうものでございます。
県として指定をしているものはございませんが、琵琶湖博物館には、県内で出土したトウヨウゾウの骨の化石を記録した絵巻1巻を所有しております。このほか、県内には湖南市、大津市、米原市、日野町などにもありますが、総数でどれぐらいあるかというのは把握しておりません。
2点目の、椿井文書についての評価でございますが、近年の研究で、椿井文書の中には、例えば室町時代の年代を記しながら、実際には江戸時代に椿井権之輔本人が新たに作り出したというような偽文書なども含まれていることが明らかになり、文化財としての保護と活用については議論が生まれつつあると認識しております。
江戸時代におけます歴史研究の実態を知る上で興味深い資料群として評価する見方もございますが、県としては、最新の研究動向や市町等での議論の状況を見守っているところでございます。
3点目の、市町の調査に対する県の支援についてでございますが、椿井文書には椿井権之輔自身による史跡調査の成果が生かされているという指摘も存在します。椿井文書の議論を発端に、改めて関係地域の正しい歴史像を明らかにするために関係市町が調査を検討され、県に協力要請がある場合につきましては、調査の目的や、どのような手法を検討されているのかを詳しくお聞かせいただき、専門の立場から適切な助言、協力を行ってまいりたいと考えております。
4点目の、椿井文書の利活用についてでございますが、椿井文書が残された地域では描かれた歴史像についての関心が特に高いものと認識しております。まちづくり等に利活用されているところでございます。今後、各地域によって様々な捉え方が出てくるものと思われますが、椿井文書の世界に興味を抱かれた方々が現地を探訪して歴史や文化に触れてみようとするきっかけとして活用することも考えられます。そのための仕掛けとして、例えば市町が主体となって、議員御指摘のような展示や講演会など、積極的な活用を検討される場合につきましては、県としても専門的な助言や研究者の紹介などの協力を行ってまいりたいと考えております。
◆5番(菅沼利紀議員) (登壇)皆さんにどういうものかというのを感じてもらうために、絵図を借りてきたらよかったなと、今日、パネルで出しておられる方もたくさんいましたので、そこはしもたなと、ちょっと感じております。
正しい歴史認識だけに着眼すれば、この椿井文書というものは決して評価されないものかも分からないと思います。しかし、これは200年、時を経て、地域に根づいて市民権を得ているのも事実であります。作品数については、有名どころを何点か紹介いただきましたけれど、その数は正確には把握されていないということでしたけれど、特別展の例や研究書からも分かるように、興味深いというお話もありましたので、十分に何かできる題材ではないかなということを感じていただいているんだなと思いました。
皆さんが全てと言えませんけれども、人というのは、結構、ミステリーに興味がある方が僕は多いと思っています。なぜ、その当時、そのような文書を作成して、関係性を持たせながら広く分布する必要性があったのか、これは、ひょっとしたらお寺が本山に認めていただくために自分の存在をしっかり伝えるための偽文書で「わしらは偉いんやぞ」ということを見せるための証拠にしていたかもしれませんし、例えば家系図もありますので、私の先祖はこんなすばらしい人がいたんやと、家の権威をつけるためにやってきたことかも分かりません。その裏には、ひょっとしたらお金もうけもあったかもしれませんし、ただただ絵のうまい、そういった趣味のある方の楽しみであったのかも分かりません。
もし市町からの御要望があった際にはできる限り寄り添っていただけるという御回答をいただいておりますので、ぜひ、そのようなお声がありましたら、共にその謎を解き明かしに行っていただきたいなと思います。
200年たったら許されるのかどうか分からないですけれど、偽の文書でお金を取っていた。これは罪や思うんですが、次の質問で、ちょっと詐欺系のお話で、どうつなぎにしてしもうたんやなと、ちょっと申し訳ないですけれど、次の質問に移らせていただきたいなと思います。
SNS型投資詐欺、そしてロマンス詐欺への対策強化ということで、まず、警察本部長のほうにお聞かせをいただきたいと思います。
県民の生命と財産を守るということは決して容易でないということを思っております。県警の皆さんには、日々の努力、改めて感謝申し上げるところでございます。
新型コロナウイルスの収束が見えてきた頃、特殊詐欺やインターネットを活用した詐欺事件については既に増加傾向にあると。その懸念については県警の方々も十分に把握されていたというように私は記憶をいたしております。
しかしながら、連日、詐欺被害のニュースは止まらないような状態であります。恐らく、新たに被害に遭われる方がないように、できる限り市民の皆様方にこういうことがあるんだよという、そういった気遣いもあってのことかなとは思うんですけれども、この被害が止まらない状況というのは非常に懸念するところでございます。会うこともないですよ。しゃべることもない。ネットの中だけで事を済ますんですわ。その仕掛け人はAIなのか、また、外国の方、外国で拠点をされている方なのか、日本の方なのか、そういうのも分からない。だますことに対して義理人情を感じへんような状況で、それでだましてお金を取るような行為。これに対して本当に腹立たしいと私も感じております。
私の近辺でも20歳の若者がSNSの投資詐欺被害に遭っております。世間では暗いニュースが多いんですわ。日本の将来への不安な気持ち、自分の将来を考えたときに少しでも預貯金を持っていたほうがいいかもしれない、そんな状況から若い子たちもそういった犠牲になっているんではないかなということを感じております。
先日の代表質問の答弁によりますと、被害者の半数を高齢者が占めている特殊詐欺については、被害額は増加傾向でありますが、件数は減少傾向であるということをお聞きをいたしました。これも県警の皆様方による細やかな努力の結果であるというように、改めて感謝を申し上げたいところではありますけれども、決して油断のなきように、引き続きの御尽力はお願いしたいと思っております。
一方、匿名性が高く検挙が難しいという答弁があったロマンス詐欺、SNS投資詐欺については、今年度5月末時点で被害額は11億8,000万円、そして、被害件数が221件と大幅な増加が予測されているところであります。
今回の代表質問でも取り上げている項目ではありましたけれども、検挙が難しいのであれば、だまされる機会を少しでも減らそうと思うと、こういった機会を通して皆様方に知っていただかなくてはならないなという思いで、今回は質問をさせていただきます。
まず、ロマンス詐欺やSNS投資詐欺は被害を把握できないものが多いのではないかと思います。ネットバンクを主として送金も完了でき、なおかつ、ロマンス詐欺のようなものは、疑似であっても恋愛も絡むことで、だまされたと気づいたところで打ち明けられないようなこともあるんじゃないかなということを推測いたします。そういった理由もあって、県警として把握し切れていない被害も実は多いんじゃないのか、その見解をまず伺います。
次に、被害防止の対策についてです。
ロマンス・SNS投資詐欺は現役世代の被害が多いため、県内企業や事業所に対して注意喚起を行うとともに、自治体、金融セミナーなどにおいて、被害事例を基に防犯指導を行っていると答弁のほうがございました。現状の被害状況を見ると、やり方は量を増やしていくのか、質を変えていくのか、高めていくのか、もしくは全然違った手法で攻めていくことが必要ではないかなということを感じるんですが、そういった考えはあるのかないのか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(有村國俊) 菅沼議員に申し上げます。質問の都度、答弁者を、お願いします。
◆5番(菅沼利紀議員) 分かりました。警察本部長にお伺いをさせていただきたいと思います。
また、効果の高い全国や国際事例など参考になる手だては既にあるのでしょうか。こちらも警察本部長のほうにお伺いをさせていただきたいと思います。
ぽけっとポリスしがをはじめデジタルツールを活用し、手口の例を示しながら防止対策を小まめに行ってはいただいているというふうにお聞きしていますけれども、県民人口の1%に当たるダウンロード数では防ぎ切れないのではないかと感じます。目標は高く持つべきであるということを思いますけれども、そちらの見解も警察本部長にお伺いをいたします。
次に、Xやユーチューブを活用した情報発信があるようでございますが、具体的にどのような手法を取られているのか、私自身が目にしたことがございませんので、数値や説明のほうを警察本部長にお伺いをいたします。
また、SNSやインターネットによる対策を強化するに当たり、市場の把握や技術における専門的知識を要する職員が必要ではないかと思いますが、十分に足りているのか、また、委託であれば、予算内において十分対応可能であるのか心配するところでございます。こちらについても警察本部長にお伺いをいたします。
続いて、ロマンス、SNS投資詐欺ともに全国でも増加傾向であることは確かであります。検挙の強化では、7都道府県に発足した特殊詐欺連合捜査班など広域連携を試みているようではございますけれども、こういった防止対策においても全都道府県警で足並みをそろえて対策を講じることが効果的ではないかということを感じますが、その見解について、警察本部長にお伺いをいたします。
最後に、教育長にお伺いをいたします。
県立高等学校などをはじめ各教育現場においても、ネットやSNS利用についての危険性などは実践をされているかというように思います。若者の被害が増加しているSNS型投資詐欺、そしてロマンス詐欺については、今後、就職も予想されるような3年生などに対しては強化して行うことも必要ではないかと感じますけれども、その見解を教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました、児童生徒に対するSNS等の犯罪被害防止対策についてお答えをさせていただきます。
子供たちのSNSの利用は年々増加しておりますことから、学校におけます児童生徒への情報モラル研修の実施と併せまして、SNSを利用したトラブルや、また犯罪に巻き込まれないような取組を進めることは必要であると認識をいたしております。
これまでから、SNS等の利用による犯罪被害から児童生徒を守るために、警察をはじめ関係機関等による外部講師を学校に招いた研修会の実施により、具体的事例を知ることなどによりまして、その危険性を周知し、犯罪被害の未然防止に努めてきたところでございます。
引き続き、県教育委員会といたしましては、警察等と連携をし、高校生をはじめ児童生徒の犯罪被害の未然防止にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)SNS型投資、ロマンス詐欺に関する御質問のうち私にいただきました6点についてお答えをいたします。
まず1点目の、未把握の被害についてでありますが、SNS型投資、ロマンス詐欺の被害につきましては、警察で被害届を受理しているもののほか、詐欺なのかどうか判然とせず、相談として把握しているというものもあります。また、このほか、被害者の方が犯罪であると気づいておられなかったり、話すことをちゅうちょして相談されなかったりして、警察で把握していないものも少なからずあると認識をしております。
2点目の、被害防止に向けた新たな手だて等でございますけれども、議員御指摘のとおり、被害防止に向けましては常に新たな対策を講じていくことが必要であろうと考えており、まず、被害の増加を踏まえまして、全国に先駆けて、私から県民に向けた注意喚起のメッセージを発信したところでございます。また、全国警察で実施されている効果的な施策につきましては本県においても導入を進めております。一例といたしましては、先進県で運用されております防犯アプリについて、本年3月に本県でも導入したところであります。
この種の詐欺につきましては世界的にも被害が急増しておりまして、国際会議の場において組織的な詐欺への対策に取り組むことが合意をされますなど、国際的にも対応を進めていくものと承知をしております。幅広く新たな対策を研究いたしまして、効果的な対策を取り入れてまいりたいと考えております。
3点目の、ぽけっとポリスしがのダウンロード数に対する見解についてでございますが、ダウンロード数につきましては、県民人口の約1%を本年度の目標とした上で、当面の目標は県民人口の約5%、約7万人としております。既に同種の防犯アプリを運用しておられます都道府県警察の中で最も高いダウンロード率が5%でありましたところ、これを本県においても当面の目標としたものでございますけれども、アプリを利用することで、県民の皆様の安全・安心を確保するということが最終的な目標でありますので、より多くの県民の皆様に使っていただけるように努めてまいりたいと考えております。
4点目の、SNSを活用した具体的な周知方法についてでございます。
Xを活用した取組、こちらは犯罪に加担させないための取組であります。県内において、X上で犯罪実行者を募集する、いわゆる闇バイトに関連すると考えられる「高額報酬」ですとか「簡単バイト」等の特定のキーワードを検索したアカウントに対して、犯罪の実行者にならないための注意喚起のメッセージを自動発信するというものであります。
また、ユーチューブを活用した取組は犯罪の被害防止の取組であります。ユーチューブを視聴する際に流れる、スキップすることのできない15秒の広告枠を利用しまして、手口を説明するなどの啓発動画を流して利用者に視聴していただくものであります。
いずれの取組も本年の7月1日からの実施を予定をしております。
それから、5点目の、インターネット等への対策強化に向けた体制等の現状についてであります。
県警察では、インターネット等を利用した犯罪の対策を強化するため、組織内部で体制を構築をしております。具体的には、専門知識を有する人材を選考採用しまして、高度な民間研修を受講させるなどして育成をしております。また、一般の職員に対しましても警察学校での専門的な研修などを実施するほか、部内の検定制度を設けるなどして、職員全体の対処能力の向上に不断に努めているところであります。
サイバー空間における事案に対処するため、必要な人材を確保するということは今後ますます重要になってくると認識をしておりまして、時代に後れを取ることのないよう努めてまいりたいと考えております。
6点目の、全国警察で足並みをそろえた対策という見解についてでありますが、SNS型投資、ロマンス詐欺はインターネット上で敢行されるため、県境を越えて被害が拡大しておりまして、被害防止対策についても全国警察で部門横断的に取り組んでいるところであります。
国においては、被害防止に向けた動画やチラシを作成し、全国警察での活用を促しておりますほか、幅広い世代に高い発信力を有する著名人によって結成されたSOS47という防犯のチームによる広報啓発活動を全国展開をしております。全国警察が足並みをそろえることが大事であると認識をしておりまして、国と都道府県警察の役割分担も考慮しながら、足並みをそろえて、常に情報共有しながら、効果的、効率的に施策を進めてまいりたいと考えております。
◆5番(菅沼利紀議員) (登壇)代表質問では大きく御説明いただいていましたので、先ほどの質問でよく分からせていただきました。
昔から先輩や親たちがよく言われた、甘い話に乗ってもええことはないというような、楽して金をもうけられることはないというような教育を長らく受けてきましたけれども、本当に今、こういう機会、議会もそうですし、今日お答えいただいたようなことを私自身が県民の皆様方にお伝えする機会、そういったことを通しながら、自分自身もこの防犯についてしっかりと頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、質問を終わります。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、5番菅沼利紀議員の質問を終了いたします。
次に、36番木沢成人議員の発言を許します。
◆36番(木沢成人議員) (登壇、拍手)それでは、早速、発言通告書に従い、近江鉄道線と沿線地域の活性化、再生について、一問一答方式で、以下、伺ってまいります。
本年4月1日、近江鉄道線は、運行を近江鉄道株式会社が担い、駅舎、線路等設備については県や沿線自治体で構成する一般社団法人近江鉄道線管理機構が維持管理する、いわゆる上下分離方式、公有民営方式により新たなスタートを切ることとなりました。同4月6日には、米原市役所1階コンベンションホールにて出発式典が開催され、三日月知事や沿線5市5町の市町長、近江鉄道株式会社と一般社団法人近江鉄道線管理機構の両代表、沿線の各
団体等関係者、来賓として斉藤国土交通大臣、西武ホールディングスの後藤代表取締役会長ら総勢200名が出席し、これまでの取組を振り返るとともに、持続可能な公共交通、まちづくりのモデルとして、より一層の取組を進めていくことを皆で確認したところであります。
式典終了後は、近江鉄道米原駅ホームにて新生近江鉄道記念列車の出発式が開催され、関係者によるテープカットの後、一般の招待客とともに列車が出発をいたしました。
振り返りますと、2016年、近江鉄道株式会社から、今後の設備更新等の費用負担を考慮すると単独での運営維持は困難との申出があり、以後、同社と県、沿線5市5町政策担当者らによる勉強会の立ち上げ、これを強化する形での任意協議会の発足と、同会での議論を経て、2019年11月からは法定協議会である近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会での議論がスタート。3年超に及ぶコロナ禍では近江鉄道線のさらなる収支悪化という事態も生じましたが、これを乗り越え、本年4月1日を迎えたところであります。
そこで、最初に、この8年間を振り返り、これからの知事の意気込みについてお伺いをしたいと思います。
○議長(有村國俊) 36番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
近江鉄道線の活性化、再生につきましては、知事に就任させていただいて以降、最も注力してきた分野の一つであります。今も御紹介いただきました、2016年に当時の社長から経営状況を知事室で聞かせていただいたときは、どうなるかしら、どうしようかしらと思ったことを今でも強く覚えております。
今般、関係各位の御尽力のおかげさまで公有民営化が実現したこと、これは新たな一歩でございまして、改めて深く感謝申し上げたいと存じます。
本年4月からは、これまで以上に、日々、近江鉄道線の運行状況や御利用状況に思いを致す中、後ほど詳しくやり取りをされると伺っておりますが、乗降客数は、前年同期比で6.5%上昇するなど好調に推移しておりますし、高齢者向けシルバーパスや子供向けパスなども大変好評と伺っております。
今後も、沿線市町とともに近江鉄道線を支え、ICOCAの導入はもとより、何より安全に運行することを第一に、JR線とスムーズに乗換えができるダイヤの改善や駅を中心としたにぎわいのあるまちづくりなど、利便性とサービスの向上にも取り組んでまいりたいと存じます。こうした取組を積み重ね、鉄道はもとより様々な公共交通の利用を促進し、持続可能にして健康で元気なまちづくりにつながるという滋賀モデルとして、全国に、また未来に発信、継承していければと存じます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございました。
それでは、この後、各担当部長さん等に伺っていきたいと思います。
これからますます利便性向上や利用促進に向けた取組の実施が求められているわけですけれども、まずは、コロナ禍明けとなりました昨年度──2023年度の輸送実績について、種別も含めてお答えをいただきたいと思います。土木交通部長にお伺いいたします。
◎土木交通部長(波多野真樹) (登壇)お答えします。
2023年度の輸送実績について、2022年度との比較も含め、申し上げます。
まず、通勤定期は前年度より6%増の151万916人、通学定期は2%増の160万792人、定期全体では4%増の311万1,708人となりました。また、定期外は11%増の148万7,164人となり、定期と定期外の合計では6%増の459万8,872人となりました。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)コロナ明けの中で、一定、その中でもかなり乗客が増えてきているというところは確認させていただきました。
上下分離方式、先ほど申し上げた本年4月1日からスタートしたわけですけれども、それへの移行に向けて、特に昨年度は様々な利用促進の取組が実施をされてきたところでありますが、新たなスタートとなりました本年4月1日以降5月末まで、2か月になるわけですけれども、そこでの輸送実績につきまして、その特徴等も踏まえてお答えください。土木交通部長にお伺いいたします。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
本年4月から5月の2か月間の輸送実績について、前年同期との比較も含めて申し上げます。
まず、通勤定期は前年同期より4.3%増の26万5,871人、通学定期は5.6%増の33万3,466人、定期全体では5%増の599万337人でございます。定期外利用者は10.1%増の26万5,604人となり、定期と定期外の合計は、先ほど知事から答弁いただいたとおり、6.5%増の86万4,941人でございます。
また、特徴といたしまして、通勤通学定期利用の増加につきましては、沿線に立地する一部事業者の工場拡張や大学のキャンパス増設が、一定、寄与したものと、また、定期外利用者につきましては、子供や高齢者向けの割引乗車券の販売が、一定、寄与したものと鉄道事業者から伺っております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)今も言及いただいたんですけれども、高齢者向けの施策として、近江鉄道株式会社では、利用促進の取組として、近江鉄道沿線5市5町に在住の65歳以上の住民の方を対象として昨年の10月15日より高齢者向け会員証、シルバーパスを発行されております。これ、発行自体は無料なんですけれども、こちらのシルバーパスの提示により、1乗車、これは距離に関係なく一律100円で乗車できるという割引のサービスでありますが、サービスの開始以降、大変好評と伺っており、私の周囲でもシルバーパスを所持されている高齢者の方が増えているのを実感しております。このサービス開始以降の利用の実績につきまして、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えいたします。
先ほどの答弁で、4月から5月の2か月間の利用実績のうち定期全体の利用者数について間違ってお伝えしましたので、ちょっと修正させていただきます。定期全体では5%増の59万9,337人でございます。失礼いたしました。
続きまして、先ほどの質問にお答えいたします。
シルバーパスの利用実績についてでございますが、その発行数につきましては、令和5年度は約5か月間で5,261件、令和6年度は5月30日までの約2か月間で7,821件となっており、期間は異なりますが、前年度と比較し、既に約5割増加をしております。
利用実績について、正確な利用人数は把握されておりませんが、シルバーパス申込み時のアンケートや、昨年11月に実施されました利用実態調査の結果から、1人当たり月2回程度の利用があるのではないかと鉄道事業者では推測されております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。
先ほど申し上げましたように、私の周囲にもこのパスを持っておられる方がたくさんいらっしゃるんですけれども、今、月2回程度というふうな利用回数をお示しいただきましたけども、私の周囲の方で、一番乗っておられる方だと週に3回ぐらいはこれを使って外出、買物に行ったり、新たに、今までの、病院に通っていたルートを変えられて、買物と併せてみたいなことができるのでこちらにというふうにスイッチされた方なんかもいらっしゃいます。大変好評であります。
次なんですけれども、近江鉄道線の活性化、再生は、先ほど知事の答弁にも総合的なまちづくりの視点が入っていたと思うんですが、単に一鉄道会社の活性化、再生のためにだけ取り組むものではなく、その鉄道線を活用して沿線地域全体を活性化、再生しようとするものであり、交通政策だけでなく、まちづくりや地域づくり、人づくりに関わる様々な政策との連携が必要で、鉄道線を活用して、これら各政策を進めていくという視点が大切と考えます。
先ほども述べましたが、シルバーパスの取組開始以降、同パスを所持して外出される高齢者が増えていることを私自身も実感しておりますし、これまで近江鉄道線を利用していなかった方も含めた高齢者の積極的な外出機会の創出という効果を生んでおります。
コロナ禍におきましては、他人との接触機会も減少し、自宅に閉じ籠もりという中で、かえって、そのことにより健康を害された高齢者の方も少なからずいらっしゃいます。自力で公共交通機関を使って積極的に外出される高齢者が増えることは、医療や福祉負担の軽減はもとより、新たなまちのにぎわいの創出にもつながり、健康しがを実現する上で大切と考えます。
沿線5市5町のそれぞれで様々な高齢者の健康づくり政策は実施されておりますが、広域行政の立場から、県もこうした政策と連携し、鉄道線を活用した健康しがづくりの取組を進めるべきと考えますが、これにつきましては
健康医療福祉部長の御所見をお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) (登壇)お答えいたします。
県では、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を基本理念に、健康いきいき21─健康しが推進プラン─を策定してございます。その中で、健康な人づくりの項目では、公共交通機関の利用促進により自然、歴史、文化、地場産品などを楽しみながら歩数を増やす取組等を推進しているところでございます。
また、健康なまちづくりの項目では、多様な社会とのつながりや心の健康維持などが重要であるとしておりますことから、議員御提案の、鉄道を活用した健康づくりの取組につきましても、個人が運動習慣を得る一つのきっかけづくりとして有効な手段であると考えてございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)県全体の4割弱を占める約14万人弱という沿線5市5町の65歳以上高齢者の人口を考えますと、今後、シルバーパス等、高齢者の鉄道線利用促進の取組を進めていく中におきましては、健康しがの実現につながるような効果につきまして定量的な分析も必要かと思います。
つきましては、鉄道線を使った高齢者の健康づくりの視点で、近江鉄道株式会社や市町、大学等研究機関や医療機関などとも連携しながらデータの利活用を目指すべきと考えますが、
健康医療福祉部長の御所見をお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) お答えいたします。
本県では、健康寿命を延伸していくため、健康関連データの分析、見える化に取り組むこととしてございます。このため、議員御提案の、シルバーパス等を利用した高齢者の移動履歴や個人のヘルスデータなど、分析に必要なデータ収集を進めることには、今後の高齢者の健康づくりを推進する上で大変重要であると考えてございます。
データの収集、利活用を進めることは我々健康医療福祉部だけでは難しいと考えますが、庁内関係課や大学等とも連携しながら、どのようなことができるか、検討を始めたいと思ってございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど約14万人弱という数字を申し上げましたけれども、昨年度の統計データで申し上げると、正式に言うと13万7,610人ですかね、沿線5市5町の65歳以上高齢者。同じく県全体が37万5,445人ということで、そのうちの36.65%の方が沿線5市5町にお住まいということなんですね。
先ほどシルバーパスの発行数、7,821件というふうに数字が出ましたけども、潜在的に、今言っている14万弱という方が対象なので、その方たちがこのシルバーパス、例えば全員が使われて、それで、使い勝手がいいので外出機会を増やそうというような行動変容を起こしていかれた場合に、これはかなりの人数なので、その効果というのは適切に測っていって、それがどういう効果があるのかということの中で、先ほど知事がおっしゃった、鉄道を使って健康しがづくりを実現していくということができるし、近江鉄道の上下分離方式への移行というのは、様々な意味で全国のリーディングのモデルになるということで注目されているわけですから、そういう部分については引き続き、県庁内で部局連携いただいて積極的に進めていただきたいと思います。
それでは、次の質問なんですが、近江鉄道線と沿線の活性化、再生の柱となるのが令和3年10月に策定されました近江鉄道線沿線地域公共交通計画でありますが、この地域公共交通計画の中では、上下分離による再生に向けて様々な事業実施を行っていく中、最重点として行うべき事業として6項目が選定をされております。そのうち、学生の通学に関わる項目として、通学定期券の購入促進および通勤通学における公共交通利用の促進の2項目が挙げられております。このことに基づき、これまで近江鉄道沿線の高校、大学等生徒にアンケート調査などを実施し、通学で利用する交通手段の実態や通学定期券の利用状況の把握に努めてきたところでありますが、近江鉄道線の利用者の中でも特に要望の高い通学定期券の割引実施に向けた検討状況につきまして、土木交通部長にお伺いいたします。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
通学定期券の割引実施に向けた検討に当たり、その基礎資料とすべく、本年2月から3月にかけて、沿線市町の中学校や高等学校を対象とする、通学に関するアンケート調査を実施したところでございます。現在、沿線市町と共同でアンケート調査結果の取りまとめを行うとともに、学識経験者の意見も伺いながら調査結果の分析を進めており、今後、鉄道事業の経営状況を十分見極めつつ、アンケート結果や他事例も参考に、慎重に検討を進めてまいる予定です。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、述べました、通学における交通手段の実態調査の中では、近江鉄道沿線の学校への通学手段として、自動車、家族等における送迎を挙げる比率が高いことが示されました。近江鉄道線に比べて定期券が割安であるJR線の最寄り駅まで送迎するケース、近江鉄道線の最寄り駅まで送迎するケース、また、ふだんは自転車を利用しているんですけれども、本日のような降雨時等に一時的に送迎するケース等はこれまでも知られてきたところでありますけれども、近年は、保護者のみならず祖父母の方等により、直接、学校の校門前まで送迎するケースも増えてきていると仄聞しております。県立高校への通学手段として、家族等の送迎により自動車を使うことについてどのような見解をお持ちか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
県立高校への主たる通学方法につきましては、公共交通機関や自転車、徒歩等でございまして、各高等学校の入学許可予定者オリエンテーション等でも、安全に配慮した通学方法について保護者の皆様にお願いをしているところでございます。
ただし、生徒の都合、また御家庭の都合、天候等の事情によりまして、保護者等が自家用車で送迎をされている場合もあることは承知をいたしております。その際には、学校の立地等によりまして、周辺の住民の皆様に御迷惑がかからないよう配慮を保護者の皆様にお願いしている学校もあるところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)様々な事情で、一定、配慮しないといけない御家庭なりがあるのはよく分かるんですけれども、教育長から、周辺に迷惑がかからないということはありましたけれども、やっぱり自動車送迎によって、学校周辺の道路であったりとかその辺が非常に混雑したりなかなか走れないということで、一般市民の方から苦情をいただくようなこともたくさんあるんですけれども。
今、様々な事情というところの中で、本来であればやっぱり公共交通を使って行きたいんだけれども、どうしても経済的な負担が大きいのでやむを得ずという方もいらっしゃるのかなと思います。昔と違って、今の高校生ぐらいの祖父母の方ですと、例えばおばあちゃんなんかでも免許を普通に持っておられて、普通に車を運転される方というのもたくさんいらっしゃるんで、そういった中で、やっぱり孫のことなのでということで、それを、逆に言うと、生きがいと言ったらあれですけど、そういうことにされて一生懸命やられているような家庭もあるのかなと思うんですが、一方、私も、朝、八日市養護学校に通われる生徒さんを八日市駅とかそういうところで見かけることが多いんですけども、知的の障害を持っておられたり、多少、肢体が不自由な方でも外を歩けるような方が自ら積極的に公共交通機関を使って、ある意味、お友達と駅であったりとか電車の中でしゃべることも楽しみにしながら通っておられるという風景もたくさん見るんですけど、親御さんに聞きますと、将来、社会に出たときに、自立していくということを考えたときに、やっぱりそういうことも含めて、しっかり社会に出ていけるようにということを親御さんも願っておられる中でそういう形になっているというのもよく聞きます。そういくと、高校生の場合も、やっぱり中学校までの教育段階と違って、一定、16歳で、それまでの中学校の学区から大きく離れて、今、全県1区ですから県内どこへでも行けるわけですけれども、そういう遠くのところまで通うというところの中に、一定、自分で立ち、自分を律するというその2つの「じりつ」の意味があると思うんで、単に自宅から学校までという、その移動手段だけでなく、そこ自体にも様々な教育効果であったりとか社会性を身につけるということがあると思いますので、そういう中で、やっぱりできるだけこういう公共交通機関を使えるような環境をつくっていかなくてはいけないのかなというふうに思ってます。
その中で、運行ダイヤ等の課題があって、それも使いづらいという御意見も聞いているんですけども、やはり通学定期券の負担がJR線等と比べて大きいことが近江鉄道線の利用回避や家族等による自動車送迎の一因となっていると思います。
さらには、中学校から高校への進路選択の過程におきまして、先ほど申し上げた学区における全県1区制度とも相まって、近江鉄道線沿線高校を回避するということにもつながっております。これは実際、私の周囲でも何人もそういう方がおられるのを確認しています。
現在、沿線地域のうち東近江市や愛荘町では住民を対象として通学定期券の補助制度を実施しておられますし、他府県の事例では、府県も関わった中で補助制度を設けておられるところがございます。
公共交通機関を利用した高校の通学に関しまして、通学定期券の負担軽減という課題につきまして、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほどの御答弁でも申し上げましたように、高校生につきましては、多くの高校生が公共交通機関を使って通学をしている実態がございます。その公共交通機関、多くはJRでございますが、京阪電鉄でありますとか近江鉄道を使っている生徒も一定数いることは把握をしております。その公共交通機関の一つである近江鉄道が、生徒や、また保護者にとって利用しやすくなる環境が整うということは望ましいことであると考えているところでございます。
通学定期券の割引につきましては、先ほど土木交通部長から、アンケート調査等を参考に、慎重に検討を進める旨の御答弁をいただきましたので、私として、その検討結果に期待をしているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)期待という言葉があったんですけれども、先ほど申し上げた他府県の事例ということの中で少し紹介しますと、例えば北海道は高等学校生徒遠距離通学費等補助制度というのを設けておられるんですけど、御案内のとおり、北海道というのは、やはりエリアが広いですし、学校の統合とか様々な課題があるので、直ちにうちと同じような状況ではないですけども、そちらは北海道教育庁の学校教育局高校教育課さんというところが担当なんですね。例えばお隣の京都府も京都府公立高等学校生徒通学費補助金というのがございまして、こちらも府の教育庁高校教育課というところが御担当となってます。同じように、長崎県とか、沖縄県は鉄道はありませんけれども、沖縄県の場合なんかでも教育部局のところが主管としてやっておられます。一方、鳥取県も全県的な高校生等の通学費の助成事業をされているんですけども、ここは県と市町が一緒になってそういう事業を展開されているんですが、こちらは鳥取県の子育て・人財局子育て王国課というところがあるみたいなんですけども、滋賀県でいったら子ども若者部みたいなところが主管となってやっている感じになると思うんですけど、いずれにしても、子育ての政策であったりとか交通政策、そして教育政策というのをミックスしてやっていかないといけないと思いますので、単なる期待だけではなくて、積極的に土木交通部なりの議論にコミットしていっていただきたいと思うんですけど、そこについて、再度、御答弁をお願いしたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
高校生が公共交通について、実際に乗りながら考えていくということは非常に大切なことだと思っております。
今、他の都道府県の例もお示しをいただきました。教育委員会としてどのような対応をしていくのかというのは様々な手法があると思います。幾つかの視点がございます。教育につきましては、どのような視点でどういう支援を保護者の皆様にしていくのか、そして、公共交通の場合は交通事業者の皆様がどういった取組をしていただけるのか、それをセットで考えていく。その中に我々教育委員会も、今、通学の定期のお話になっておりますけれども、様々な部活動等でも公共交通機関を使って大会等、あるいは練習試合に参加している高校生、場合によっては中学生もいらっしゃいますので、そういった点も含めて、教育委員会として、その負担の在り方について他の部局の皆さんと一緒に考えていくことが大切だと認識をいたしております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)他国と違って、日本における場合ですと、こういった施策は交通事業者がやるべきだということが、ずっとそういう立てつけになってきていまして、そのことが、今、近江鉄道線だけではなくて、各地の同じような地方鉄道なりローカル線の再生というのがどんどん動いているんですけども、そこでも課題になっているんですね。
4月1日の上下分離を前にして行われました第13回の近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会の中でも、これまでずっと学識経験者としてこの議論をリードいただきました宇都宮先生が「今後の取組の中で通学定期が話題になっているので申し上げます。通学定期は、単に割引によって学生利用を増加させるためだけではなく、本来、通学の負担軽減により、誰もが教育を受けられ、そして、地域全体の教育レベルが上がるという教育政策の下で通学定期の割引はあります。そうなると、社会全体、地域全体が恩恵を受ける受益者となるので、本来的には鉄道事業者が負担するものではなく、既に愛荘町と東近江市では支援をされていますが、もっと公的な形で地域が負担するよう、しっかりと進めていただきたいと思います」と。その前の協議会でも申しておられたんですけども、「受益と負担の矛盾については既に国会でも指摘され、昨年度の地域公共交通活性化再生法の改正の際には、国会の附帯決議として、費用を交通事業者が負担していることを踏まえ、本来の教育費等の予算で検討することが明記されている」と。流れとしては、そういう議論がずっと今の国会の中でも動いてきていますので、ある意味、教育委員会、滋賀県だけの話ではないので、国に対して、今申し上げた宇都宮先生の言葉の中身を具現化するようなことを求めていったりとか、そういうことも併せてお願いしたいなと思います。
それでは、次の質問に移ります。
上下分離方式移管を前にした本年3月28日開催の、今申し上げた、この近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会の場におきまして、利用促進策の大きな柱としてキャッシュレス決済の導入、具体的にはJR西日本が使用するICカードシステムICOCAの導入を進めていくことが知事より提案され、承認されました。来年開催のわたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025に間に合わせる形での導入をとのことでありますが、導入に向けた課題につきまして、土木交通部長にお伺いいたします。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現在、令和7年度中の導入に向けて、近江鉄道株式会社とメーカーとの間で導入準備が進められておりますが、導入時期の詳細につきましては調整中と伺っております。
現在のところ、電車に乗るときにピッと当てる入場機は全ての駅に、また、電車を降りるときにピッと当てる出場機は全ての車両に設置し、そのほか、有人駅や乗降客の多い一部の駅にも出場機を設置する計画であり、これらの設置完了には相当の期間を要する見込みであるということで鉄道事業者から伺っております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)ちょっと間に合うかどうかというところが微妙な感じなのかなというのを受けましたけれども、先ほど来申し上げている通学定期券の割引なんかも含めて、ICOCAなり交通系のICカードになると、そこにいろんなポイントを付与したりとか、付加のサービスなんかも併せてできてくるようになるのかなと思いますので、そういうことも含めて、中身のサービスの検討等を含めて、ちょっと前に早く進めていただきたいと思います。
それでは、最後の質問に入ります。
前述の最重点事業では、地域の特色を生かした魅力あふれる駅づくりが項目として挙げられております。これまで豊郷駅自転車駐車場の改築や新八日市駅のトイレ整備、太郎坊宮前駅のロータリー整備等、利便性や快適性を高める整備が進められてまいりました。また、滋賀県立大学環境科学部建築デザイン学科、学生有志らによる多賀木匠塾の皆様により、県産木材を活用した木製ベンチが沿線13駅に設置をされました。
一方、私の地元でありますけれども、京セラ前駅ではバリアフリーとなるスロープの設置、近江八幡市の武佐駅では屋根つき駐輪場の整備等の要望が出ておりますし、また、令和4年度の公共交通・国スポ・障スポ大会対策特別委員会における県民参画委員会におきましては、彦根口駅そばの県立彦根翔西館高校を訪問いたしましたが、その際には駅ホームへの待合室の設置要望なども伺ったところであります。
駅整備につきましては市町が主体でありますが、今後の様々な整備につきましては、国の社会資本整備総合交付金に加えまして、県産材利用など県事業で活用できるものについては活用し、進めていくべきと考えますが、土木交通部長に御所見を伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
これからも鉄道を便利で快適に御利用いただくには、引き続き、駅や駅周辺施設の整備、改善に取り組むことが必要不可欠であると考えております。一方で、沿線自治体の財政負担を可能な限り低減しつつ、施設整備を持続的、計画的に進めていくためには、鉄道だけではなく、観光や農村振興といった国の支援制度も効果的に活用いただくことが重要と考えております。
引き続き、沿線市町の整備計画を丁寧にお伺いするとともに、庁内連携を密にし、整備内容にふさわしい支援制度を適時適切に御活用いただけるよう努めてまいります。
◆36番(木沢成人議員) ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、36番木沢成人議員の質問を終了いたします。
最後に、24番白井幸則議員の発言を許します。
◆24番(白井幸則議員) (登壇、拍手)自民党滋賀県議会議員団の白井幸則です。本日最後の質問者となりました。よろしくお願いいたします。
では、発言通告に従いまして、レスパイトについて、分割質問にて知事と
健康医療福祉部長に伺います。
2021年9月に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されました。この法律は、医療技術の進歩に伴い医療的ケア児が増加するとともに、その実態が多様化し、医療的ケア児およびその家族が個々の医療的ケア児の心身の状況に応じた適切な支援が受けられるようにすることが重要な課題となっていることを鑑み、国、地方公共
団体等の責務を明らかにするとともに、保育および教育の拡充に係る施策、その他必要となる施策について定めることにより、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に寄与することを目的としています。
令和5年11月の定例会議では、県内の医療的ケアが必要な学齢期の児童生徒の約77%が県立特別支援学校に在籍していることから、そういった視点に基づいて、医療的ケア児の支援を行う責務について質問をさせていただきました。早速、災害時に対応できるように非常用電源やバッテリーなどを点検し、数が足りていない学校には医療的ケアが必要な児童生徒数に見合う補充を進めていただいております。本当にありがとうございます。
そして、今回は医療的ケア児の家族の支援という視点から、未就学期、学齢期、成人期、全ての年代に共通するレスパイトについての質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
医療的ケア児の在宅療養は家族の負担が重く、24時間のケアのために保護者が仕事を失う、新たな就労を断念せざるを得ない、社会とのつながりを失い孤立する、慢性的な寝不足により心身ともに疲弊してしまうなどの問題が生じています。
医療的ケア児支援法の基本理念の一つに、居住地域に関わらずひとしく適切な支援を受けられる施策という項目や、医療的ケアの必要な人やその家族が地域で安心して暮らせる体制を構築していくとされています。レスパイトとは休息、息抜きという意味で、在宅療養をしている医療的ケア児の家族などの休養を目的とした短期入院ですが、まず、令和5年度に実施した滋賀県重症心身障害児および医療的ケア児等実態調査の概要と、同調査において、レスパイトサービスに関してどのような御意見が出ていたのかについて、
健康医療福祉部長に伺います。
次に、障害者プラン2021では、令和8年度までに県内7つの福祉圏域にレスパイト事業所を1か所以上の目標となっていますが、現状について、
健康医療福祉部長に伺います。
続いて、令和6年3月の障害者プラン2021の中間見直しを経て、県内のレスパイト資源の増加に向けてどのように取り組んでいくのか、
健康医療福祉部長に伺います。
次に、県内のレスパイト資源の増加に向けては、サービスを提供する病院等に周知していくことが重要と考えますが、どのように周知を進めているのか、
健康医療福祉部長に伺います。
この項の最後に、在宅療養をする医療的ケア児にとって、介護や医療的ケアをしてくれる家族が倒れてしまっては生きていくことができません。少しずつではありますが、お散歩をしたり運動ができるようになる子供もいます。しかしながら、多くの子供は、複数の医療的ケアを受けながら、ほぼ1日、ベッドで過ごしているのが現状です。知事は医療的ケア児の人生をどう思い、この子供たちの健やかな成長を図るのか、知事の思いを伺います。
○議長(有村國俊) 24番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)医療的ケア児のレスパイトに関する御質問をいただき、私には最後に賜りました。
本県ではこれまでから、糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」の言葉、その思想に基づく実践を福祉の基本として、各種事業に取り組んできました。このことは、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しながら共に生きる社会を実現することを目指すものでございます。
このため、医療的ケアが必要な子も、本人の意思が最大限尊重され、健やかに育っていくとともに、一人一人の個性が尊重される幸せな社会を実現することが知事としての使命であると考えているところでございます。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) (登壇)レスパイトに関する5点の御質問のうち、私へ賜りました4点の御質問にお答えをさせていただきます。
まず1点目の、令和5年度医療的ケア児等実態調査におけるレスパイトの概要についてでございますが、回答のありました医療的ケアが必要な方270名のうち、短期入所を利用している方は103名、そのうち希望どおり利用できている方は55名でございました。一方、短期入所を利用していない方は167名ございまして、このうち、希望しているが利用ができていない方が17名、利用を検討されている方が23名でございました。また、御意見につきましては「自分が病気になったときにすぐに受入先が見つからない」や、「人材不足もあって、なかなかショートステイが使えない」「もう少し近い場所でショートステイがあれば」などといった御意見をいただいたものでございます。
2点目の、レスパイト事業の進捗状況についてでございますが、7圏域における医療型短期入所事業所の現状といたしましては、大津、湖南、甲賀および高島の4圏域におきまして1か所以上の整備が進んでいるところでございます。
3点目の、レスパイト資源の増加にどのように取り組んでいくのかでございますが、現場において人材育成の課題がありますことから、医療的ケア児の特性の理解や人工呼吸器の取扱いなどの習熟につきまして、看護職員等に対する技術的支援に、今、取り組んでいるところでございます。あわせまして、今年度から、湖北、高島圏域をモデル地域とし、医療的ケア児等を受け入れた短期入所事業所に対しまして財政的支援を実施することにより地域偏在の解消を図っているところでございます。
4点目の、レスパイト事業の周知でございますが、医療福祉制度が複雑であることや利用者ニーズの個別性が高いこと等がございまして、病院等における導入がなかなか進んでいないものと認識してございます。このため、びわこ学園と連携いたしまして、令和4年度から新たに医療的ケア児者対応事業所開設促進事業を設けまして、医療型短期入所事業所につながりそうな病院等を直接訪問いたしまして、医療型短期入所制度のほか、レスパイトの必要性や事業所のメリット、また、サポート体制について周知を行っているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)御答弁、ありがとうございます。
1番目と2番目の質問について再質問をさせていただきます。
まず、1番目の質問に対してですが、利用されている方もありますし、なかなか利用できない、自分が病気になったときに心配だということですけれども、そもそも医療的ケア児の在宅療養の介護や医療的なケアというのは主に誰がされているのでしょうか、実態調査の結果を踏まえて、
健康医療福祉部長に伺います。
そして、2つ目の質問に対してですけれども、まだ全ての圏域にないということであります。湖南地域の重症心身障害児者および医療的ケア児等に関する実態調査の意見にもありますように、レスパイト需要に対して、その供給が全く追いついていない状況にあるのではないかと思います。プランを上積みしていただいて、さらに前倒しで進めていただく必要があると思いますが、再度、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) 1つ目にいただきました実態調査の、誰が主に介護されているかというところでございます。アンケート結果によりますと、医療的ケア児全体の96.5%について、主に母親が介護や支援を担っていると回答されているところでございます。
また、2つ目の質問でございまして、プランの目標の前倒し等の件でございます。こちらにつきましては、まずはプランの目標どおり、全圏域に1か所以上の整備を目指し、全力で進めてまいりたいと考えてございます。そのため、残る東近江、湖東および湖北の3圏域において、これらの圏域の病院や介護老人保健施設等に積極的にアプローチをしてまいりたいと考えてございます。あわせまして、既に整備が進んでいる圏域におきましても、さらなる箇所の増加や前倒しについて調整してまいりたいと考えてございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
母親がほとんど介護あるいは医療的ケアをしてくださっているということですね。そして、今、心強く、全力でとおっしゃっていただいたんで、遅れているようだったら、それで精いっぱいかと、また聞きますので、頑張ってお願いいたします。
3番目の質問に対して再質問させていただいております。1つの圏域ではありますけども、医療型短期入所受入れモデル促進事業を取り組んでいるということですけども、その状況について、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) お答えいたします。
今年度4月から事業所を開始しておりまして、5月までの2か月間でございますが、この実績につきましては、診療所と福祉サービス事業所の2か所におきまして計16名、延べ139回の利用実績がございました。また、この6月からは、新たにマキノ病院におきまして医療型短期入所事業が開始されてございまして、病院が追加されましたことで、さらなる利用が見込まれるものと考えてございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)4番目の質問に対して再質問をさせていただきます。
なかなか思うように進んでいないということで、今、直接、病院に訪問しているということでしたが、私も、先月になりますが、滋賀県がしております医療的ケア児者対応事業所開設促進事業を受託してくださっているびわこ学園の担当者の方と一緒に、民設民営の病院に医療型短期入所の説明にお伺いしました。結果から言うと、前向きに検討してくださるということになったのですが、説明を聞いた後に事務長さんが一番におっしゃったことは、まず、公的病院がもっと積極的に役割を果たすべきであるという趣旨の言葉でありました。公的病院が積極的に取り組むことによって、民間の病院や民間施設なども取り組もうとする機運が高まるのではないかと思うのですが、
健康医療福祉部長に所見を伺います。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) お答えいたします。
現在、公立病院および公的病院の協力を得まして、レスパイト入院事業を委託で実施しているところでありますが、これまで以上に取り組んでいく必要があると考えてございます。あわせまして、民間病院等も含め、県全体でレスパイトを拡充する必要があると考えてございまして、関係機関が一丸となり、レスパイトの充実に向けた取組を進めていきたいと考えてございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。一丸となって取り組んでいただけるということです。
では、最後に、5番目の質問に対して再質問します。知事への質問です。
本当に誰かがそばについていてあげないと命が途切れてしまう子供たちです。この子供たちと家族のために、公的機関や民間の事業者、みんなが協力し合って、できる限りのことをしていこうではありませんか。そして、医療的ケアが必要な彼らや彼女たち──めでぃっこ──の人生が少しでも幸福に満ちたものになるよう、どのように考えるのか、知事に、最後、伺います。
◎知事(三日月大造) まず、議員もお取り上げいただき、このやり取りをさせていただいてるように、一人一人、今生きている、そして懸命に生きているという、この現実をしっかりみんなが見て、その個性を尊重する、そして、例えば眼球を動かすことによって意思表示をするとか、その中で少しでもできるようになったことを捉まえて、また次、できるようになることをみんなで応援するという、この一人一人、命と生きていることを大事にするということだと思います。
そして2点目は、その持っている障害ですとか個性、その症状からいたしますと、医療的ケア児というのはケアが必要ですし、24時間365日、主に母親の皆さんが、ある意味では過重な負担も背負いながら、子供たち、家族の面倒を見ていらっしゃるということですので、例えば機器ですとかサービス、これは支援も含めた、レスパイトも含めたサービスというのをできる限り県内津々浦々でしっかりと届けられる、受けられる状態にするということが重要なんだと思います。そして、そのことも含めて、最後に議員もおっしゃいましたけど、一緒に生きているんだという、共に生きるというのはそういった意味も込めて申し上げておりますので、そういったことがそれぞれの皆さんに実感していただけるように、そのことに幸せが感じられるような、そういう地域をつくっていくために、まだまだやらなければいけないことはあると思いますが、みんなで力を合わせて努力をしてまいりたいと存じます。
○議長(有村國俊) 白井議員、ただいまで4回終わって、次、行かれるんですね。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
では、次の質問に移らせていただきます。
次に、琵琶湖の東西間の移動時間短縮に向けた道路ネットワークについて、一問一答にてお伺いをします。
滋賀県の道路整備は、平成2年に策定された環びわ湖放射状ネットワーク構想で示されており、その後、滋賀県道路整備マスタープラン等に引き継がれてきました。
(資料掲示)ちょっと資料を掲示させてもらいます。タブレットにも入っております。
この構想やマスタープランの考え方に基づき、当局のたゆまぬ努力によって滋賀県の道路整備が進められ、県土の発展と県民生活の質的向上に結びつけることに大きな貢献をしてきました。現在では、国土交通省が滋賀県と京都府を結ぶ国道1号バイパスの実現に向けて調査を進めると示されるなど、環状、放射状のネットワークの形成の道筋が立ってきたと言えます。それらの動向を見ながら、いよいよ琵琶湖の東西を横断する道路についても機が熟したと考えるわけであります。
まず、令和3年度に策定された道路整備マスタープラン(第3次)では、琵琶湖における東西間の移動時間を短縮する道路ネットワークを検討すると示されたところであり、それを受けて、令和4年7月定例会議、自民党滋賀県議会議員団の代表質問に対して知事からは「本県は琵琶湖が中央に位置するため、横断するルートが限られておりますことから、社会経済活動の増進のためには東西間の移動時間の短縮が課題であると認識しております。このため、東西の拠点間を結び、移動時間を短縮する道路ネットワークについて、その効果やコスト、新技術の活用、有料道路制度等の事業手法、橋梁やトンネルといった道路構造など様々な選択肢や可能性を幅広く研究したい」との答弁があり、その後、道路整備アクションプログラム2023において、今後の道路ネットワーク整備に向けた検討として示されました。
こちらの資料を御覧ください。タブレットにも入っております。
道路整備アクションプログラムは、道路整備マスタープランの具体的な10年間の行動計画として、真に必要な道路の整備計画を整理したものであります。資料は道路整備アクションプログラムの9ページと10ページの抜粋であります。
この左上のタイトルのところで、今後の道路ネットワークの整備に向けた検討として大きく2項目、1つは名神名阪連絡道路についてであります。そして、もう1つが右側の、県内東西間の移動時間短縮に向けて検討する道路ネットワークについてであります。
そこで、まず、現在までどのような研究を進めてきたのか、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) (登壇)お答えします。
これまでの研究概要ですが、琵琶湖を横断する複数のルート、具体的には琵琶湖大橋以南の南湖で5ルート、以北の北湖で3ルートを仮定し、概略的ではありますが、それぞれの交通量予測や整備効果について確認したところです。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
では、研究の中で仮定されたルートの位置を土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
概略ではありますが、一例として、南湖では琵琶湖大橋と近江大橋の中間付近のルートを、また、北湖では高島市新旭町と彦根市を結ぶルートを仮定しました。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)北で3、南で5とおっしゃいましたので、そういったものを中心にということだと思います。
その仮定されたルートでの横断の延長など、規模感を土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
先ほどお答えしたルートで申し上げますと、南湖では横断延長が約4キロメートルとなり、これは明石海峡大橋に肩を並べる規模となります。また、北湖では横断延長が約19キロメートルとなり、これは神奈川県と千葉県を結ぶ東京湾アクアラインを超える規模となります。いずれも国家プロジェクトに相当する大規模な事業になるものと想定しております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。かなり大きな事業ということです。
では、その研究から得られたルートの交通特性を土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
南湖横断では、県内を移動する車両の割合が多くなり、市町間を連絡する幹線道路としての特性が見込まれます。一方で、北湖横断では、岐阜県や京都府北部、福井県嶺南地域を結ぶ県境をまたぐ車両の割合が多くなり、他府県と連絡する主要幹線道路としての特性が見込まれます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)今の御説明ですと、北湖のほうは通過する交通が多くて、南湖のほうは県民利用が多いというふうに聞かせていただきました。ありがとうございます。
では、次に、琵琶湖を東西に横断する道路は、現在、琵琶湖大橋および近江大橋があるものの、1日の交通量は合わせて8万台を超過し、東西を行き来する交通需要に対して交通容量が足りていない状況で、慢性的に混雑している状況です。渋滞緩和や移動時間短縮は地域の持続的な発展に有効な手段であると考えますが、滋賀県として、琵琶湖を横断する新たな道路は県民の利益につながるのか、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
琵琶湖を横断する新たな道路のうち、南湖横断では、議員御指摘のとおり、慢性的な渋滞緩和や移動時間の短縮、経済活動の活性化などに寄与するものと考えています。また、北湖横断では、琵琶湖を周回する環状道路を構成する国道1号や8号、161号などと組み合わさり、幹線道路ネットワークを形成することで、本県のみならず、隣県を含む広域的な発展の起爆剤となり得るものと考えております。
一方で、いずれも国家プロジェクトに相当する大規模な事業費が必要になることは間違いないことから、先ほど申し上げた効果がその費用に見合うものとなり得るのか、慎重に見極めていく必要があると考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
今、効果の部分をお伺いしましたが、それにかかる費用がどれぐらい必要なのかというのもまた精査していただきますと、費用対効果、B/Cで恐らく基準となる数字もあると思いますので、そういったものを見ていきたいなと思います。
次の質問に移ります。
先ほどもお話ししたとおり、滋賀県の環状道路は整備が進んでいっております。国道1号や8号等のバイパス整備も一定の方向性が見えてきたところであります。しかしながら、それらと交差する放射状道路が不足しています。その一つが東西を横断する道路であると認識を共有させていただきました。また、自民党の代表質問の際に、知事の答弁では、基礎資料の整理のほか事業手法や道路の構造など様々な選択肢や可能性についても研究すると答弁がありました。課題解消に有効で、かつ県民の利益に資するのであれば具体的な検討を進めるべきと考えますが、今後の検討内容を土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
南湖横断や北湖横断は、いずれも現在の汎用的、一般的な土木技術では解決できない課題が数多くあることから、今後も最新技術の普及状況や国内外の類似事例などの情報収集を進めてまいります。
また、道路整備に伴う渋滞緩和などの直接的な効果だけではなく、観光や防災、企業立地や雇用増加など間接的な効果や、さらには将来の国土計画の方向性なども見据えて分析を進めてまいります。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)代表質問での知事の答弁では有料道路制度等も研究したいということでした。有料道路制度の研究も行うということであれば道路公社と連携すべきと考えますが、道路公社との連携についての見解を土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現時点では、事業費や事業手法をお示しできる段階には至っておりませんが、先ほど申し上げたように、大規模な事業費が必要になることは間違いないことから、有料道路制度を含む様々な事業手法を念頭に、道路公社が持つ技術的知見やノウハウも生かしながら、幅広く研究を進めてまいります。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
最後のところ、再質問をさせていただきます。
幅広く検討していただくということでしたけれども、先ほど掲示させてもらいました道路整備アクションプログラム2023で、この右側の肩のところ、2ページから4ページ、6ページ、8ページ、最後の10ページとあるんですけれども、2ページでは構想を考えているようなイラスト、次は基礎工事に入ったイラスト、次は工事が進んでいるイラスト、最後に、10ページに完成したよという、こういうイラストになっていて、皆さん、気づいた方がおられるか分かりませんけれども、これは本当にプログラムを作成した若手職員とか技術者の強い思いが込められているのではないかと思います。研究途中だとは思いますが、事業の可能性はあるのか、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
先ほども答弁しましたとおり、今後の検討内容に加えまして、琵琶湖を横断する移動手段として、将来においても道路交通が適しているのか、あるいは新たな交通モードが適しているのかなど、将来の県の姿はもとより国の姿も見据え、県民の皆様と共有できる大きな夢を描きつつ、事業化の可能性が見いだせるか、それこそ砂漠にあって1粒のダイヤモンドを探し当てるかのごとく模索してまいります。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)大いに期待をしております。
終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、24番白井幸則議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明6月29日および30日は、県の休日のため、休会であります。
来る7月1日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時33分 散会
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