滋賀県議会 2024-02-22
令和 6年 2月定例会議(第23号~第32号)-02月22日-03号
令和 6年 2月定例会議(第23号~第32号)-02月22日-03号令和 6年 2月定例会議(第23号~第32号)
令和6年2月
定例会議会議録(第25号)
令和6年2月22日(木曜日)
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議事日程 第3号
令和6年2月22日(木)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長 吉 田 清 一
人事委員会委員長代理 曾 根 寛
公安委員会委員長代理 北 村 嘉 英
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として曾根寛委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として北村嘉英委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第1号から議第51号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、6番
桐田真人議員の発言を許します。
◆6番(
桐田真人議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
それでは、一般質問を行ってまいります。
本日は、三日月知事と図らずも同じネクタイでございますので、意識を共有しているということで、答弁に期待を申し上げまして質問に入っていきたいと、このように思っております。
それでは、まずは、17日に
宇宙航空研究開発機構──JAXAが開発を進められておりました
新型基幹ロケット「H3」2号機の打ち上げが成功いたしました。一人の国民として大変うれしく思うところでございます。また、幾多の困難を乗り越えられ、すばらしい成果を得られました開発チームの皆様をはじめ、携わられました全ての皆様に敬意を表します。
それでは、通告に基づきまして、
分割質問方式により、滋賀県における宇宙政策について、質問を行います。
現在、宇宙空間の活用は、安全保障や防災および通信、医療、バイオなど、私たちの生活に欠かすことのできないインフラ整備としての重要性が増しています。このことから、政府においては、宇宙基本法に基づき、
宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、岸田総理を本部長とする
宇宙開発戦略本部が内閣府に設置をされており、
宇宙基本計画に示されている政策の企画立案や、準
天頂衛星システムに係る施策等の推進に取り組まれており、その予算規模も組織も年々増加してきております。
令和5年6月に閣議決定されました新たな
宇宙基本計画においても、目標と将来像として、宇宙安全保障の確保、国土強靱化、地球規模課題への対応と
イノベーションの実現、宇宙科学、探査における新たな知と産業の創造、宇宙活動を支える総合的基盤の強化の4項目が力強く掲げられており、これら各項目における様々な分野の取組を通じて、宇宙産業を日本経済における成長産業とするため、その市場規模を2030年代早期には現状の4兆円規模から2倍となる8兆円とすることが掲げられました。
また、宇宙産業は裾野も広く、経済波及効果が高い傾向にあることから、安全保障と宇宙産業の発展の好循環の実現に向け、産学官一体となった
先端基盤技術開発力の強化が求められ、それらに必要と考えられる様々な取組に対して総合的かつ手厚い支援の方針が示されています。
あわせて、経済界においても、
宇宙基本計画改訂の際には、
一般社団法人日本経済団体連合会──経団連が提言を行い、
宇宙開発戦略本部と足並みをそろえ、官と民が連携を図り、宇宙産業の一層の発展に取り組む姿勢を明確に示されています。
本県においては、我が国における
宇宙開発利用の機運が高まる中、2023年7月1日に、
立命館大学びわこ・くさつキャンパスを主な研究拠点として、
立命館大学宇宙地球探査研究センターが設立をされました。このセンターは、「人類の生存圏の維持と拡大に貢献をする」を設立目的に掲げた日本で唯一の研究拠点として設置され、多様な領域を専門とされる研究者が集い、宇宙開発や人材の育成および
宇宙関連産業の発展に資する研究などに取り組まれています。
また、12月には、3度の宇宙飛行を完遂した宇宙飛行士の野口氏を学長特別補佐およびセンターの研究顧問に迎えられました。
私は、日本のみならず世界各国が
宇宙開発利用の取組を加速させていく中にあって、本県に設立された
立命館大学宇宙地球探査研究センターが我が国の
宇宙開発利用の分野において果たしていく役割や機能に大きな可能性を感じるとともに、本県における新しいビジネスや産業の創造、これらを支える人材の育成や宇宙空間の平和利用に係る教育の推進など、将来、本県の宇宙政策においても多岐にわたる効果をもたらすものと期待をしています。
現在、本県は、平成27年1月に
学校法人立命館大学と連携・協力に関する包括協定を締結され、今日まで様々に連携協力しながら県政全般における課題解決に向け取り組まれてきました。今後は、さらに、
立命館大学宇宙地球探査研究センターとの情報、意見交換を通じて、本県が果たすべき役割や支援の在り方を検討し、滋賀発の産業の創造や人材育成および宇宙空間の平和利用に向けた教育などに積極的に取り組むことも必要になってくるのではないかと認識をしています。
そこで、以下、知事にお伺いをいたします。
立命館大学宇宙地球探査研究センターの設立により、本県にもたらされる効果と期待することについてお伺いをいたします。
次に、本県においては、どのような産業が
宇宙開発利用分野に関わっていくものと考えておられるのか、新たな可能性も含めてお伺いをいたします。
最後に、私は、宇宙といえば滋賀県と世界から認知されることを期待しています。立命館大学が本県に
宇宙開発利用分野の先端研究拠点を設置されたことをまたとないチャンスと捉え、滋賀発の産業の創造や人材育成および宇宙空間の平和利用に向けた教育の推進など、宇宙といえば滋賀県と認識されるよう、
立命館大学宇宙地球探査研究センターとの連携協力し、大学や企業などとの連携や国の
宇宙開発戦略本部の予算の活用、県としての支援の在り方などを考えていく必要があると思います。今後の取組についてお伺いをいたします。
○議長(奥村芳正) 6番
桐田真人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)宇宙政策について、3点御質問をいただきました。
まず1点目、その効果と期待についてでございますが、先月、
小型月着陸実証機SLIMが月面への高精度着陸に成功するという、とてもうれしいニュースが届きました。このSLIMに搭載された
マルチバンド分光カメラの開発をリードされた佐伯和人教授をはじめ、25人の研究者を迎えて設置された立命館大学の
宇宙地球探査研究センター──ESECは、宇宙開発、
インフラ構築分野を牽引する日本有数の拠点となるものと認識しております。
今後より一層、諸外国や民間による宇宙活動が活発化する中で、ESECが設置されたことは、滋賀においても
宇宙開発利用に関わる産業の創出や、その技術を活用した産業の活性化等の効果が期待できると考えております。
また、宇宙飛行士の野口聡一氏がESECの研究顧問に就任されたことは、子供たちにとりましても、宇宙が身近になり、夢と希望を抱く機会が増えるとともに、
宇宙開発利用に関わる人材の裾野を拡げる効果も期待をしているところでございます。
2点目、本県においてどのような産業が
宇宙開発利用分野に関わってくるのかということについてでございますが、議員も御指摘いただいたとおり、
宇宙開発利用分野は裾野が広く、多種多様な産業が集積する本県にとっては多くの産業分野での関わりが期待されるところでございます。先日打ち上げられたH3ロケットや人工衛星の開発におきましても、既にその素材や電子部品、精密加工等の分野で県内企業の持つ技術や知見が活用されており、今後、宇宙空間の利用の加速とともに、本県産業との関わりも広がり、また深まっていくものと認識しております。
また、苛酷な環境である宇宙への挑戦が
イノベーションを促進するとともに、宇宙空間や人工衛星を利用した地球規模の課題解決に資する取組等が新たな
宇宙利用産業の創出にもつながることも考えられるところでございます。
今後、商業化が加速し、
宇宙開発利用分野が拡大していく中で、新たな産業の創出や産業のさらなる集積を図ることで、本県産業の持続的な発展につなげてまいりたいと存じます。
3点目、今後の取組についてでございますが、ESECの設置は、
宇宙開発利用に関わる産業の創出や、その技術を活用した産業の活性化、人材の裾野拡大など、県にとって新たな可能性を切り開いていくまたとない機会であると認識しております。
昨年12月には、私と両副知事が参加いたしまして、立命館大学のトップ層とびわこ・くさつキャンパスを核とした研究活動について勉強会を開催いたしまして、宇宙分野におきましても連携協力していくこととしたところでございます。
また、宇宙飛行士や機材運用の訓練をはじめ、滋賀をフィールドとした研究の可能性などについて意見交換しており、引き続き、ESECと緊密に連携しながら、県内の大学や企業等との連携、国の予算の活用など、協力や支援の在り方を検討してまいりたいと存じます。
◆6番(
桐田真人議員) (登壇)再問いたします。
大変前向きな答弁でありました。
全般的に、しっかりと連携をして取り組んで、その効果、可能性を本県においてもしっかりと波及をさせていくと、こういうような意向が示されましたが、そうなりますと、やはりそれを実現していこうと思いますと、やはり組織、あるいは予算、こういったところが大変充実というか、必要になってくるというふうに思います。今、予算で新年度予算、議論をしております。今年度もまだ残りあります。そしてまた、次年度、その次の年度、将来にわたっての予算ということも考えられます。
今、本県においては、現状、今の答弁を踏まえて、今後、予算あるいは私が申し上げているものに対応する組織というところがどのようになっているのかと。例えば、この
宇宙開発関連に参入したい、あるいはこういったところの知見を生かしたい、こういったときに、本県の窓口がどこであるのかということであれば、やはりタイミングを逸する可能性もあります。そういったことも踏まえて、この宇宙産業に、あるいは宇宙の窓口となる本県の組織、そして、それに対応する予算、これらのことについて現状どのようにお考えなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
また、先ほど、知事以下副知事2人、また県の上層部の方が御対応されたということであります。誰がこの宇宙に関わっての責任者となられるのか、そういったことも踏まえてお伺いをしたいというふうに思います。
◎知事(三日月大造) この宇宙基本法は、私の記憶が間違っていなければ、2005年に自民党の河村健夫先生、
額賀福志郎先生が中心となって議員立法で検討され、不肖私も、2007年から8年にかけて、野田佳彦議員、のちの首相となられる野田先生はじめ、民主党の
ワーキングチームに所属さしていただいて、末席でこの法律、法案の検討をしたことをよく覚えております。2008年に成立をし、以降、様々な取組が進められてきたということでございます。
先般、12月に立命館大学の皆さんと、このESECを中心とするSLIMでさらに広がっていく、また、先ほど、滋賀県をフィールドに様々な訓練と申し上げましたけれども、例えば琵琶湖というのは、そういった苛酷な環境の中で、機材ですとか、あと、人がどのように動いていけるのかということの訓練のフィールドとしてもいいんじゃないかという、こういう様々な御紹介などもいただきましたので、すいません、この時点で何か宇宙に関して組織、予算というものを整えられているわけではありませんが、産業分野では
商工観光労働部が、そして、立命館大学との連携という意味では総合企画部が中心となって、様々な調整を進めていきたいと考えているところですし、先般のその立命館大学との意見交換では、例えば半導体分野、まちづくりの分野、そしてこの宇宙の分野と様々な議論が行われました。また、近く、まだちょっと日程は私も今手元に持っておりませんけれども、年度内にもう一回やれたらいいなということで準備をしているところでございます。
ちなみに、担当の副知事は、江島さんを宇宙担当副知事にしようということで今考えて、様々な勉強をしているところでございますので、今の時点でまだ十分整っていないところも、今後、大学等と協議いたしまして、どのような取組ができるのか考えていきたいと存じます。
◆6番(
桐田真人議員) (登壇)宇宙といえば滋賀県、江島副知事、よろしくお願いいたします。強い期待を申し上げまして次の質問に移ります。
それでは、
分割質問方式によりまして、仮称「
みなとオアシス琵琶湖大津」の登録に向けた大津港における取り組みを契機とした港湾の在り方について、質問をしてまいります。
現在、国におきましては、地域住民の交流や観光の振興を通じた地域活性化に資する「みなと」を核としたまちづくりを促進するため、平成15年に
みなとオアシス制度を創設され、現在、旅客施設や観光案内施設、飲食物産店などに構成された全国各地の160を超える港が登録され、住民参加による地域振興の継続した取組を担う拠点として親しまれています。
また、期待されている役割は、観光やイベント開催などといった地域振興や地域間交流という分野にとどまらず、災害時の支援など多岐にわたり、今後、さらなる機能の深化が期待をされています。
本県に隣接する京都府におきましては、川の
みなとオアシス水のまち京都・伏見における取組が進められており、
京阪電鉄中書島駅や伏見港および酒蔵が集積する地域などを各エリアとして設定し、それらの個別的かつ総合的な取組が相互に促進していくことが可能となる整備内容が取りまとめられ、今後、順次着工されていく予定であります。
一方、大津市浜大津地域に所在する本県最大の港湾施設である大津港は、港を生かし、地域住民や団体企業の参画による観光振興やイベント開催などの地域活性化に資する取組を年次的に進められているとともに、
サイクルステーションの設置や
琵琶湖疏水観光船の乗り入れおよび新・琵琶湖文化館の開館が予定されるなど、今後の展望は極めて明るく、さらなるにぎわい創出が期待をされています。
このことから、私は、大津港における取組を一段と推進し、その成果を地域全体に広げていくことのできる仕組みが必要であると認識をしています。
その仕組みの一つとして、西日本で初となる淡水湖の(仮称)
みなとオアシス琵琶湖大津の登録に向けた取組を進めることにより、大津港や
京阪電鉄浜大津駅を含む大津市
中心市街地周辺の活性化への機運がさらに高まることを期待しております。
また、
みなとオアシスの制度においては、地域住民の交流や観光振興など地域活性化への役割に加え、繰り返しになりますが、災害時の支援など防災面における機能を有することを求めています。
この
みなとオアシス登録に向けた取組を大きな契機として、
広域湖上輸送拠点に位置づけられている大津港の防災機能の向上を一層推進していくことが、県民の安全・安心な暮らしにつながるものと確信をしています。
例えば、大津港を母港としている環境学習船うみのこは、既に船内に防災倉庫を備えています。また、民間旅客船は、災害時に人員や物資の輸送支援について、本県との間で災害時応援協定が締結をされています。これらの機能や仕組みに検討を加え、大型船舶等を活用して医療を提供するために必要となる資器材や医療衛生用品の備蓄倉庫を設置するなど、災害時における琵琶湖からの取組の有効性と実効性を高めていくことが重要とも考えます。
そこで、初めに、大津港を(仮称)「
みなとオアシス琵琶湖大津」に登録申請に向けた取組と今後の見通しについて、
土木交通部長にお伺いをいたします。
次に、この登録を通じて、地域住民の交流や観光振興を通じた地域活性化について期待される効果を
土木交通部長にお伺いいたします。
次に、この登録を通じて、災害時の支援など防災面における機能を高めていくことが求められています。今後の取組の展望について、
土木交通部長に伺います。
次に、災害時における琵琶湖からの取組の有効性と実効性を高めていくことを求められています。大津港を母港とする環境学習船のうみのこや
大型民間旅客船を医療の提供などができる多目的利用の可能性について、教育長ならびに知事公室長に伺います。
次に、本県には
広域湖上輸送拠点として18の港湾施設が位置づけられていますが、耐震対策が進められているものも含め地震への備えのある港湾は、大津港、彦根港、長浜港の3港だけであり、湖西には地震への備えのある港湾施設がない現状にあります。私は、
広域湖上輸送拠点に指定されている近江今津港を強化をし、湖南、湖東、湖北、湖西の全方位から湖上輸送拠点を確保することにより、災害時における琵琶湖からの取組の有効性と実効性が高まるものと考えますが、知事公室長にこの見解をお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)港湾の在り方について、私にいただきました2点の質問にお答えいたします。
1点目の民間旅客船の多目的利用についてでございますが、現在、琵琶湖を活用した災害時の緊急輸送については、
船舶運航事業者と負傷者の収容や搬送、そして、医薬品等物資の輸送について協定を締結しているところでございます。
今回の能登半島地震を受け、災害時におけるさらなる輸送力強化が必要というふうに認識いたしました。そのため、来年度の地域防災計画の見直し等の検討の中で、議員の御指摘を踏まえまして、例えば、消防やDMATをはじめとする救命救助に係る機関とどのように連携できるのかや、災害時の輸送に係る民間事業者との協定の充実に向けた協議を進めるなど、民間旅客船の多目的利用の可能性を検討してまいりたいと考えております。
2点目の近江今津港の位置付け強化についてでございます。
能登半島地震を受け、本県においても、来年度当初予算案において湖上輸送調査を行う予定としてございます。
現在、地域防災計画において、湖西地域では近江今津港のほか、今津漁港、堀川揚陸施設等を
広域湖上輸送拠点に位置づけているところでございます。
来年度予定している調査では、現在位置づけている拠点施設の経年変化を踏まえた調査や、活用でき得る船舶や台船の把握等を行うとともに、他に拠点となり得る適切な候補地があるかについても調査を行いたいと考えているところです。
御質問にある近江今津港については、この調査の中で関係部局と共に活用方法を検討してまいりたいと考えております。
◎
土木交通部長(三和啓司) (登壇)
みなとオアシスにつきまして、私にいただきました3点の御質問についてお答えをいたします。
1点目の登録申請に向けた取組と今後の見通しということでございます。
みなとオアシスの登録を受けますには、港湾利用者の交流や休憩、観光、交通の情報提供などの機能を有するとともに、住民参加による地域振興の取組が継続的に行われることが要件とされておりまして、全国の先行事例では登録までに3年程度を要しているところでございます。
登録申請に向けました取組といたしまして、大津市と協力いたしまして、既に先進地の視察等を行っておるところでございます。来年度からは、大津港の今後あるべき姿を見据えまして、活性化と再整備を推進するための基本構想の策定に向けまして検討を開始いたします。また、施設の構成や運営等につきまして、地元の合意形成を図るとともに、運営の担い手となります組織づくりなども並行して進めていく予定としております。
今後の見通しでございますが、令和9年12月に予定されております新しい琵琶湖文化館の開業を待つことなく、できるだけ早い時期に登録できますよう、関係者と緊密に連携しながら鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
2点目の登録により期待される効果ということでございます。
登録されることで、
みなとオアシスの全国協議会等を通じた情報発信が可能となります。これによりまして、知名度、認知度が向上し、国内はもとより海外からの観光客など、交流人口の増加や特産品の販売促進等にもつながるというふうに考えております。
また、県や市、企業、団体、地域住民の関係性が深まり、活性化に向けた体制が強化されることによりまして、港だけにとどまらない周辺地域の活性化につながることなどの効果を期待しております。
また、国からは、社会資本整備総合交付金が重点的に配分されるというふうに聞いておりまして、老朽化した施設の修繕や改修等も促進できるものと期待をしております。
3点目の防災面における機能を高めていくことの今後の展望ということでございます。
国の
みなとオアシス運営要綱によりますと、
みなとオアシスは災害支援機能を有するよう努めるものというふうにされております。
大津港は、岸壁の耐震化は既に完了しておりますが、現状の施設では、資機材や物資の保管、備蓄能力の不足等も見込まれますことから、今後、それらの機能をさらに充実できるよう、先ほど答弁いたしました基本構想策定の中で、必要な施設整備も検討してまいりたいというふうに考えております。
◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました災害時におけますうみのこの多目的利用の可能性についてでございますが、滋賀県地域防災計画の震災対策編におきまして、緊急輸送ネットワークの一つとして、県等が保有する船舶を活用した救援物資等の輸送を計画しており、学習船うみのこもこれに位置づけられております。
また、現在、船内の保健室には、乗船する児童等のための医薬品また医療器具等を常備しているのみでございまして、有事の際の様々な状況を想定し、災害時におけますうみのこのさらなる利活用について、防災部局等と共に検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆6番(
桐田真人議員) (登壇)ありがとうございました。
みなとオアシスが、私は、大津の中心市街地も、本当に観光拠点の、あるいは地域の皆さんの宝でありますので、そういったものが光るように取組を進めていっていただきたいというふうに思います。
これは全般的に申し上げて質問をさせていただきましたけども、一つの港の機能を向上していくためにも、土木交通部であったり、あるいは知事公室であったり、あるいは教育委員会であったり、様々な分野が関わってきます。やはりそこの部分で、
土木交通部長が新・琵琶湖文化館の開業を待たずしてというような力強い取組の方針を示していただきました。そういった組織がたくさんあれば合意形成がなかなか図れないということもあろうかと思いますので、そういったところを踏まえて、丁寧な合意形成、そしてまた丁寧な機能の充実に向けた取組、こういったことを踏まえて、私は、浜大津港が観光の施設になるような、神戸や横浜、港が人を呼んできます。それぐらいの目標を持って、この浜大津港が光り輝くように、全県挙げて取り組んでいただくことを強く期待をし、そうなることを確信をしてこの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、6番
桐田真人議員の質問を終了いたします。
次に、45番節木三千代議員の発言を許します。
◆45番(節木三千代議員) (登壇、拍手)日本共産党の県議団の節木三千代でございます。
まず最初に、中小零細事業者への支援について、一問一答で全て知事に伺います。
エネルギー価格の高騰が中小零細事業者の事業に大きな負担となっていますが、滋賀県の現状についてお聞きします。
○議長(奥村芳正) 45番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
県が実施いたします令和5年度第3四半期の景況調査によりますれば、エネルギー、原材料価格上昇について、「悪影響がある」、「少し悪影響がある」と回答された中小企業の割合は全体の約9割でございまして、幅広い事業者に影響が及んでいるものと認識しております。
これらの事業者のうち、約4割の皆さんは販売価格への転嫁を、また、約3割の皆さんは経費の削減を対策として挙げられており、経営努力をなされていることもうかがえます。一方で、事業者からは、相次ぐ物価高で価格転嫁が追いつかないでありますとか、燃料高騰により業績が悪化しているなどのお声も引き続きいただいているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、知事から厳しい状況が述べられました。ぜひとも消費税を5%緊急減税を国に求めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) この点は、議員とは見解を異にします。
国の令和6年度の当初予算案では、消費税収は23兆8,000億円、税収の約3分の1を占める最大税目となってます。また、本県においても、地方消費税収と地方消費税清算金収支の合計が671億円となっておりますので、県税収支合計の約3分の1を占める欠くことのできない財源でございます。
また、急速な少子高齢化社会が進展する中、特に平成26年4月からの税率引上げによる増収分は、子ども・子育て支援などの社会保障制度の充実、安定化に活用することとされており、社会保障制度を持続可能なものとし、次世代に引き継いでいくためにも、私は、税率は維持すべきであると考えております。
確かに、痛税感もありますし、逆進性も指摘される間接税でございますが、例えば国際競争力をそぐものではないということですとか、世代間の公平、また勤労意欲に中立であるということ、そして、景気による変動幅が小さいという、そういったメリットもございますので、私は安定的な税として活用すべきであると考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)消費税導入されてから33年、年金や医療の社会保障は切下げが次々とされてきたと思います。一方で、大企業と富裕層の減税が行われ、穴埋めに消えてしまったというのが現実ではないかなと思います。消費が落ち込んで景気を悪くさせて中小零細業者の皆さんを苦しめている、その認識は知事はおありなのか、再度伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 中小企業の皆様方が影響を受けられる経済の状況、社会の状況というのは様々諸々あると思いますので、消費税の創設やその税率の引上げというものだけが影響起因しているものではないと思います。いずれにいたしましても、私たちの社会の社会保障、様々な諸制度を安定的に運用していくために、この消費税というものをきちんと説明した上で活用していくということが肝要なのではないかと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)法人税率の引下げなど、私たちは大企業に応分の負担を求めていきたいと思います。
次に移ります。昨年10月からインボイスが導入されました。財務省の試算でも、免税業者の年間粗利益は平均154万円であり、課税業者になった場合は15万円もの消費税負担、1割近くになります。物価高騰の下で、全国で数百万から1,000万もの零細業者やフリーランスで働く人に深刻な負担増をもたらします。多数の廃業を生み出すインボイスの中止を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)この点も、私は議員と見解を異にします。
インボイス制度は、消費税等の複数税率の下、売手が買手に正確な適用税率と税額を伝える仕組みとして導入されたものでございまして、公平かつ適切に納税いただくために必要な制度だと存じます。インボイス制度の円滑な実施、運用に向けて、令和11年9月末まで、免税事業者からの仕入れに関する一定の仕入税額控除を認める経過措置が設けられておりますほか、新たにインボイス発行事業者となる免税事業者の方には一定の負担軽減措置等を設けるなどの影響緩和措置も講じられていると承知をしております。
本県といたしましても、国と協力いたしまして、このインボイス制度の周知等を図ることで、事業者の円滑な導入を支援してまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)大変複雑な制度になりまして、確定申告を前に非常に現場は混乱をしています。さきに述べましたように、粗利益の1割近くが負担になるというのは、経過措置があっても、これは変わりがないと思います。ぜひとも中止を求めていただきたいと思います。
さて、新年度予算で、中小零細業者への支援について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 今般、滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例を改正させていただくべく議会にお諮りをしておりますので、新年度予算では、改正条例に基づきまして、中小企業、小規模企業の持続的な成長に向けた施策のさらなる推進を図ることといたしまして、新たな挑戦および社会課題の解決の取組の促進でありますとか、人材の確保や育成の促進、また経営基盤の強化への支援に取り組むこととしております。
例えば、新商品開発や販路開拓等の取組に対する補助ですとか、商工団体による経営支援および地域経済活性化のための事業、また資金繰り支援に加えまして、条例に定めますちいさな企業応援月間における施策周知や小規模企業の魅力発信などの事業を予定させていただいているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)未来を見据えた投資という形での中小企業支援が予算の中では大きな位置を占めているかなと思います。もちろん融資は必要ですけれども、例えば、近江八幡市では、エネルギー価格高騰対策支援として1億1,000万余の予算案を計上されておりますけれども、法人で5万円、個人で3万円の給付がされます。県としても、こうした手続が簡素で、中小企業に直接支援をするべきではないかと思いますが、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) それぞれの自治体の状況に基づく御判断というのはあるんだと思いますが、一律直接に支援するというやり方がそういった状況改善、克服に有効なのかということについては、私は議員と違う考えを持っております。
長引くこの物価高騰等の影響は幅広い事業者に及んでおりまして、依然として厳しい状況にあると認識しておりますが、一方で、DX──デジタルトランスフォーメーションの進展ですとか未来志向の経営革新、社会的課題をチャンスと捉えた前向きな動きも見られます。
このため、まずは、厳しい状況にある事業者に対して、先ほどもお触れいただきましたけれども、多様な資金繰り支援等による事業活動を下支えさせていただきながら、未来を見据えた意欲的な投資に対し助成させていただき、生産性向上や新事業展開に取り組もうとされる事業者を応援することで持続的な経営を促進していきたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)冒頭、知事が述べられましたように、中小零細業者の皆さんの営業は大変な状況です。コロナ、そして今のエネルギー価格の高騰ということでは、県が直接の支援ということが非常に強いメッセージとして受けていただけると思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
次の質問に行きたいと思います。
次に、子どもの医療費助成について、一問一答で全て知事に伺います。
市民の皆さん、また団体の皆さんをはじめ、日本共産党は繰り返し子供の医療費無料化の拡充を求めてきました。県議会にも度々請願が寄せられ、今回、新年度予算案で県として拡充されますが、その内容について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 新年度の取組についてでございますが、子供の保健の向上と健やかな育成を図りますとともに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、県では、これまでやってきた乳幼児に加えまして、高校生世代への医療費助成を開始するための予算を計上させていただいたところでございます。これにより、市町と協力いたしまして、県内のどこに住んでいてもゼロ歳から18歳までの全ての子供が等しく医療サービスを受けていただくことができ、また、県民の方々に制度の充実を実感していただけるものと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)4月から実施されますけれども、自己負担がある市町があります。その状況について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お尋ねいただいた自己負担につきましては、財政的な理由や受診体制への影響等を考慮され、6つの市、これは大津市、草津市、守山市、栗東市、野洲市、東近江市、この6つの市で設けられる予定とお聞きしているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)先ほど、県内で等しく医療サービスが受けられるようにと言われましたけれども、このように自己負担がある6市があるということであります。通院で1診療、1レセプト500円ということで、幾つかの科をかかると1,000円、1,500円、きょうだいさんもいはったらまた負担が増えるということで、非課税世帯でも負担がかかるということで、こういう凸凹があることについて、知事の所見を伺いたいと思います。再問いたします。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、それぞれの市のお考え、また、受診体制にどのように影響が出てくるのかというのを勘案した上で自己負担を設けられるということについては、県内全ての市町で、まずは高校生世代まで医療費助成を拡充しようということで、その制度創設を優先させていただきましたので、一定の自己負担については、議論の結果、全ての市町が参加しやすいようにということで自己負担を設けさせていただくことにいたしました。ただ、上限を設けたり、できるだけ低廉な形で御負担いただくような制度設計にも配慮したつもりでございますので、まずはこの制度がスムーズにスタートするように努めてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)凸凹があることについて、市町の事情というように受け取りましたけれども、多くはやはり財政に関わる問題だと思うんです。ですから、市町への財政支援を行って無料化すべきと思いますが、見解を伺います。
◎知事(三日月大造) 無料化についてでございますけれども、県としては、市町と協力いたしまして、県内のどこに住んでいてもゼロ歳から18歳までの子供が、一定自己負担の凸凹はあるのかもしれませんけれども、等しく医療サービスを受けられる仕組みを構築できたのではないかと考えておりまして、現在、この現時点で市町が実施している事業に対するさらなる支援の拡充は考えておりません。
ただ、新たに創設いたします子ども・子育て施策推進交付金、こちらを活用いただきまして、自己負担を免除される市町もあると伺っております。
引き続き、国に対して、そもそもこういったものは全国一律の制度が望ましいのではないかということを考え、これまでも全国知事会を通じて主張しておりますので、全ての子供が全国のどこに住んでいても安心して必要な医療が受けられるよう、全国一律の子供の福祉医療費助成制度を創設することを要望してまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)国には要望していただきたいと思いますが、県内どこに住んでいても等しく医療サービスが受けられるように、この凸凹があるということは非常に問題だというふうに思います。そこはやはり市町への財政支援ではないかなと思います。
交付金は4億円ということで創設はされました。しかし、高校生の医療費無料にするには、あと県で1億円、あと、小学校、中学生の世代に、県が半分持つとして、無料にするには13億円、合わせて14億円入れれば、市町と協議の上ですけれども、財源的には無料にするようなことができるのではないかと思います。
私は、「子ども、子ども、子ども」を掲げる知事として、やはり無料化、検討されるべきだと思いますが、再度所見を伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 議員の御主張は受け止めたいと思います。
今回、種々検討、そして市町とも議論をした結果、それぞれ違っていたものを高校生世代までそろえていこうじゃないかと、ただ、財政のこと、医療受診の状況を懸念されるお声もございましたので、一定自己負担はいただく形で高校生世代までそろえさせていただきました。
確かに、全て無料、今足りないところも全部補ってということになれば、さらなる財政負担をしながらということになりますが、県の財政も勘案し、また、「子ども、子ども、子ども」ということでいえば、それ以外にも様々な諸施策の拡充等も図らなければなりませんので、一定今回の拡充をまず市町と共にスムーズにスタートさせていただき、またその後、どういったことが必要なのかということを議論、検討していくと、こういったことで臨んでいきたいと思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)ぜひ検討していただきたいと思います。
3問目に行きます。特別支援学校について、一問一答で知事ならびに教育長にお聞きします。
特別支援学校の大規模化、過密化は慢性化し、教室不足のために特別室を普通教室にするなど、滋賀県でも続いてきました。
日本共産党地方議員団は、現地を調査し、分離新設を議会で繰り返し求め、毎年政府交渉も行い、文科省に改善を求めてきました。国会では、日本共産党山下よしき参議院議員が、特別支援学校にだけない設置基準、これが最大の要因であることを明らかにし、国民運動を背景に、文部科学大臣は設置基準が必要との答弁を引き出し、2021年には設置基準が交付されました。今回、南部に新しい県立特別支援学校を整備するための調査費が予算案で計上されたことは、20年にわたる保護者、関係者の皆さんの粘り強い運動の成果だと考えます。
その上で、さきのチームしがの代表質問でもありましたけれども、改めてお聞きします。県全体の特別支援学校の課題は何か、教育長にお聞きします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
特別支援学校におきましては、大規模化、狭隘化および老朽化などの課題があるものと認識をいたしております。
まず、大規模化の課題といたしましては、個別の指導方針を共有することの難しさや教室不足に伴います特別教室の普通教室への転用、またスクールバスの乗車時間などがございます。
次に、狭隘化におきましては、教室不足などの課題がございます。
また、施設の老朽化等の課題があると認識をいたしておりまして、引き続き、トイレ改修や必要な修繕などを計画的に実施してまいりたいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)様々な課題があるというふうにお聞きをいたしました。特に、スクールバスの乗車が長い点については、県としては、どの程度のスクールバスの乗車が長いというふうなことで、その辺は、時間はどのぐらいが長いというふうに認識しておられるのか、ちょっとそこを確認したいと思います。
○議長(奥村芳正) 答弁者の指定をお願いします。
◆45番(節木三千代議員) 教育長にお願いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
一応スクールバスの乗車時間は様々ございますけれども、一つの目安として、まずは60分未満であるか、60分以上であるかというのが一つの目安としてあると思います。
さらに長く乗っておられる児童生徒もいらっしゃいます。もう1つの目安として、90分以上であるのかというところがもう1つの目安であるというふうに私どもは考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)90分以上というのは非常に長時間ではないかなと思います。
次に、大規模対策について、冒頭述べましたけれども、新年度予算案で分離新設に至った経緯について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
特別支援学校につきまして、今回、分離新設に至った経緯についてでございますが、令和5年度の県立特別支援学校の在籍者数は過去最高となりまして、特に野洲養護学校は、令和4年度に400名を超え、令和5年度も過去最高の413名となり、在籍者数の増加が続いているところでございます。また、草津養護学校におきましては、近年360名を超える状態が続いております。
今後の児童生徒数の推計を踏まえますと、野洲養護学校、草津養護学校では、引き続き300名以上の児童生徒が継続して在校すると見込まれますことから、子供たちにとってよりよい教育環境を整えるため、分離新設が最善の策であると考えたものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、答弁いただきましたけれども、学校の規模としては、300人以上はやはり好ましくないという、そういう考え方なのでしょうか、教育長に再度伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
全国に特別支援学校がございますけれども、この全国の状況を見てみますと、およそ9割以上は300人以下の学校規模でございまして、400人以上となりますと約1%という現状がございます。
各都道府県におきましても、極端な大規模化は避け、対策を講じておられるものと考えておりまして、本県におきまして、分教室を除きます本校単独で300人を超える学校規模となっているのは、先ほど御答弁申し上げました野洲養護学校および草津養護学校の2校でございますので、この2校を大規模化の課題解消の特別支援学校として分離新設で対応を進めていきたいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今の答弁で、300人以上の学校は1割程度ということでありますので、やはり300人を超える規模は適正ではないという、そういうことなのでしょうか、再度確認させていただきたい。教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) 特別支援学校だけではございませんが、全ての学校におきまして、児童生徒数をもって適正、適正でないということではなくして、やはり極端な大規模化になりますと様々な課題が生じますので、その課題を解消するためには300人以下の学校にすることがより望ましいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)300人以下にすることが望ましいということですね。
2月の8日に保護者、教員らでつくる滋賀県の障害児教育をよくする会(スマイルの会)が、1万8,371筆の要望署名を提出されました。担当課との懇談の中では、新設1校では大規模化の解消には至らないと指摘をされています。今回、草津と野洲養護学校、この2校の分離新設のために調査費がつけられました。この1校は本当に新設急ぐべきだと、そこはそう考えます。そして、同時に、今後、大規模化対策については、増える子供たちについて、滋賀県全体を見据えて、学校の規模、そして負担のないバスの乗車時間、そして先生の配置人数など、子供たちにとって最適の教育環境をつくっていくための、こういう議論する場、検討会を設置してビジョンを示されるべきではないかと思いますが、教育長の所見を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
知肢併置特別支援学校の教育環境の整備を検討するに当たりまして、統計等に基づきまして児童生徒数の将来推計を行った結果、今回は、適切な校区を設定すれば、分離新設は1校で対応が可能と考えているところでございます。
この対応なり対策につきましては、教育委員会にも諮りながら検討を進めてきたところでございまして、今定例会議の常任委員会におきましても、特別支援学校教育環境整備方針として具体的な内容を示させ、御意見を伺いたいと考えているところでございます。
今後も、設置場所でありますとか施設の規模などにつきましては、議会に丁寧に諮りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)これまで、児童生徒の増加対策について、推計がやっぱり読み間違えておられたのではないかなと、予想を超えて子供さんが増えているというふうに思います。草津養護学校に聞きましても、新年度、400人になるということもお聞きをしていまして、そういう点では、本当に増加に対するやはり全体的な方針が要るのではないかなと思います。
提案させていただいたように、子供たちにとって最適の教育環境をつくっていく、このためにも、私は、整備方針を委員会で示されるという形ですけれども、やっぱり教育委員会の中だけではなくて、様々な御意見もいただきながら、見える形で、どういう学校が県内全体で必要なのかということを議論される場が必要ではないかなと思いますが、再度教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今回、常任委員会の方で示させていただきたいと考えております教育環境整備方針につきましては、過去の児童生徒数の推移でありますとか、そして今回、将来にわたっての児童生徒数の推計、その推計の見直し、新しい推計方法等についても御説明を申し上げたいと考えております。
これは、草津養護学校、野洲養護学校だけではなく、先ほど御答弁申し上げました知肢併置8校の状況がどうなるのかをお示しして、それをトータルでお示しをいたしまして、議員の皆様の御意見もお伺いし、また、この資料につきましては広く公表することによって、様々な関係者の御意見も伺っていきたいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)大規模化と、後ほど狭隘化のこともお聞きしますけれども、例えば、三雲養護学校でも増設が繰り返し行われ、7割余りの教員が厨房が狭くて給食が食べれないと、給食不足もあると、こういう状況もありますので、その点も対応が必要ではないかなということを述べておきたいと思います。
次に、狭隘化対策について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
狭隘化対策といたしましては、今回、北大津養護学校の教室不足解消のための校舎の増築を行わせていただきたいと考えております。
具体的に申し上げますと、現在のプールの設置場所に2階建ての増築棟を建設いたしまして、普通教室を10室、特別教室を3室設置し、プールにつきましては屋上に設置をする予定でございます。
なお、供用開始は令和9年4月を目指しているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)先日、中山議員と北大津養護学校を訪問しました。スクールバスの乗車が90分かかるコースもあるとお聞きしました。給食は、厨房の狭さから教員の1割が食べられない状況。今後、御飯は自宅から子供たちに持ってきてもらうことになるとお聞きをしました。グラウンドも狭く、思い切り走ることができないということも保護者からお聞きをいたしました。
北大津養護学校は、1991年、草津養護学校との分離のときに106名でしたが、今207名ということで、今後230人に増えることが予想をされています。もともと100人規模で建設された学校ですから、今回、教室不足で増設はやむなしということでありますけれども、私はさらなる何らかの対応が必要ではないかと思いますが、教育長に再度伺いたいと思います。
◎教育長(福永忠克) まずは、現在ある校舎では対応が十分ではないということでございますので、今回はできる限り早く教室不足を解消するために増築という手法をお願いしているところでございます。そして、この増築が完了いたしますと、北大津養護学校の校舎面積は設置基準を満たす状況であり、一定授業に支障を生じる状況には至らないものと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)国の設置基準は、規模の人数がなかったり、様々なところではまだまだ甘い設置基準ではないかなというふうに思います。それも含めて、先ほど、その前に質問しましたように、全体を見据えた滋賀県全体のビジョンが必要だと考えます。
次に、老朽化対策についてお聞きします。
北大津養護学校は築44年であります。(資料掲示)このように内壁にクラック、ひびが入っています。老朽化等の対策も必要だと思いますが、教育長に所見を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
御質問の北大津養護学校をはじめ、県立学校における老朽化の必要性については十分認識をいたしておるところでございまして、これまでから、長寿命化等推進事業によります予防保全事業や建築基準法第12条に基づきます定期点検の結果を踏まえた施設改修などを順次実施しているところでございます。
今後も、学校現場の状況をしっかりと把握しながら、計画的に、児童生徒の皆さんにとって安全・安心で快適な教育環境となるよう、その整備を進めてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)築44年ということで、外壁は改修されたと聞いていますけれども、こういうひびが入っているような状況を見ますと、県政全体で、国スポには主会場、また県立体育館など豪華な施設が建てられている一方で、快適な環境に努めるということはお願いしたいと思いますけれども、北大津養護学校では職員トイレも本当に古いんですね。私は、ここにこそ予算をつけるべきだと、ここは次の知事に対する質問の中でその思いを言いたいと思います。
滋賀県は、全国で特別支援学校に通う子供1人当たりの教育費は37位という低さです。大規模化、狭隘化を解消し、最適な教育環境を整えるために、教育予算を抜本的に増やすべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
◎知事(三日月大造) 今回の対策につきましては、教育委員会で児童生徒の将来推計を検討された結果、大規模化した状況が継続するのは野洲養護学校と草津養護学校のみであり、在籍者数の減少につながるよう、適切な校区を設定すれば、分離新設校は1校で対応が可能と判断し、北大津養護学校の校舎増築と併せて実施することとしたところでございます。特別支援学校の学びの基盤を確かなものにできるよう、例えば、るるいろいろと御指摘いただいたことも、順次、どのように対応していくのかということも検討しながら、必要な予算措置に努めてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)必要な予算措置と言われるんですが、抜本的にやはり予算措置が必要だと思うんです。教育委員会の中でも、非常にこの財政の枠内での様々なやり取りを私は今回させていただいて、やはりビジョンを示しながら、子供たちに最適な教育環境をつくるという、その中での予算をやっぱりきちんと充てるべきだというふうに思いますので、全国で高知県に比べれば半分ぐらいなんです、特別支援学校に通う児童生徒の1人当たりの予算が。そういう点でも、「子ども、子ども、子ども」と言われる知事が、やっぱり教育予算は抜本的に増やす、この姿勢に立っていただきたいと思いますが、再度伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 子供たちの育ち、そして学びをみんなで支えていくという観点から、今回、教育委員会とも議論いたしまして、当面の将来推計に基づいて、課題でありました野洲養護学校と草津養護学校を分離新設して1校を整備していこう、こういうことに一歩踏み出すこととしたいと考えておりますし、北大津養護学校の狭隘化に対しても、一定の措置を行い、令和9年4月開校予定で今準備を進めているところでございます。
こういったことで、確かにすぐに全てというのが無理だとしても、確実にこれまでできなかったことにも予算を御理解いただき措置していくということはぜひ続けてまいりたいと思いますので、またそれ以外にも、先ほどお取り上げいただいた医療の問題ですとか、不登校の状態にある子供への支援ですとか、こういったことごとに総合的な観点から対応してまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)分離新設で1校はつくるということはおっしゃっておられますので、そこは急ぎながらも、1校だけでは大規模化は解消されないという保護者、関係者の皆さんの声がありますので、しっかりと耳傾けていただきたいということを知事に要望しておきたいと思います。
次に、最後の質問です。第五次滋賀県立病院中期計画(改定素案)について、一問一答で全て知事に伺います。
第五次滋賀県立病院中期計画(改定素案)が1月の30日に厚生産業常任委員会で示されました。令和7年1月に県立総合病院と小児保健医療センターを統合する計画で、今回初めて県立総合病院と小児保健医療センターの病床が示されました。
(資料掲示)改定素案にある病院移転のイメージ図ですけれども、2つの病院の今の635床の病床を560床に減らす、75床、およそ1割減らす計画となっています。素案では、地域医療構想との整合性を図り、施設規模の最適化を図るとしていますが、そもそもコロナパンデミックの下で、県内でも、休床、休んでいるところ、そこの病床も利用をして、コロナ患者さんを受け入れながら命を支えてきたという経過があります。しかし、それに見合う、休床ですから、看護師さんのスタッフが配置をされていなくて、医療現場は本当に逼迫をしました。私は、県立の病院として病床は確保しておくべきだと思います。削減すべきではないと思いますけれども、知事の所見を伺います。
◎知事(三日月大造) 県立の病院ですので、適正な病床数を見積もり、措置することが必要だと思います。その県立病院は、全県型医療ですとか高度専門医療とともに、地域医療構想など県の政策と連動した医療を提供することが求められております。そのため、統合後の総合病院では、現在の患者動向から少子高齢化の進展を踏まえた将来の医療需要を推計いたしまして、また、県立病院の役割、地域の医療機関との機能分担や連携強化を考慮いたしまして、560床が適正だと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)この場でも何度か、この滋賀県地域医療構想については、国が医療費削減のその政策の下に、各都道府県に建てさせ、そして、高度急性期病床の削減、全国で20万床、滋賀県では2,600床余りの削減計画は問題だと指摘をしてきました。県立病院は、政策医療であったり不採算医療であったり、こういう感染症についても、本当に民間の病院では担えないような役割が今後もさらに私は大変重大だというふうに思います。一足飛びに病床はできるわけではありません。その役割がこの病床削減で発揮できるのか、再度知事に所見を聞きたいと思います。
◎知事(三日月大造) 今まさに議員がおっしゃっていただいたように、県立病院として、これは公的な病院として、しかも広域行政を担う県が行う病院として、政策医療ですとか、不採算であっても必要とされる医療を整えていくということが重要ですので、だからこそ適正な規模の病床を見積り、そして運営できる、採算のことも十分考えながら持続可能なものにすることが必要だという観点から、病床数についても見積もらせていただいておりますし、総合病院とも統合してその運用を図っていこうということを考えておりますので、この点は議員のお考えにある意味では沿った形で考えているのではないかと思いますが。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)全く相反する答弁でありました。病床削減はするべきではないというふうに思います。
次に行きたいと思います。
病院事業庁が示したこの改定素案、このイメージ図のように、小児保健医療センターは廃止をし、そして総合病院の一診療科になります。小児病棟の位置も、急性期は総合病院の9階と聞いております。外来と慢性期病床のみ別棟になる計画です。小児保健医療センターについては、2月の7日に保護者関係者への説明会が行われましたけれども、不安の声が寄せられました。知事は聞いておられますか、お聞きいたします。
◎知事(三日月大造) 説明会等を行った、その概要報告を受けております。この患者、家族の皆様方への説明会での概要として、病院統合によって小児保健医療センターがなくなることや、小児病棟の病床数が減ること、また、医療型短期入所としてレスパイトを実施することなどについて御不安や、また、反対だというお声があったということは聞いております。一方で、保護者の会の方から、小児保健医療センターが総合病院と統合することについてはメリットも多いので反対はしないという御意見もあったと聞いているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)説明会の当日に保護者の皆さんが取り組まれたアンケートが配布されたように聞いていますけれども、知事はそのアンケートは読まれたのでしょうか、お聞きします。
◎知事(三日月大造) すいません、どういった内容のアンケートが配られ、その結果がどうであったのかということは、今、すいません、手元に私は持っているわけではありません。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)アンケートをぜひ結果を読んでいただきたいと思います。非常に切実な声が書かれております。1月の30日に具体的にこの案が示されて、そして、もう3月末には病院事業庁としては計画を改定されようとしています。私は、このアンケートの結果を読みましても、3月末までにすること、この期間は非常に乱暴ではないかなと思いますが、再度知事の所見を伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 一定のスケジュール感は持って進めていくことと、そして、そういった患者の皆様方や保護者の皆様方のお声も聞きながら、その後、不安にどのように寄り添っていくのかということも必要だと思いますので、病院事業庁をして誠心誠意対応に当たらせたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)保護者さんからは、どうか子供たちのことを一番に、命、医療、福祉、そして生活を守るための計画ということを望んでおられます。ぜひアンケートの結果、目を通していただきたいし、乱暴にこの3月に計画をつくるようなことはやめていただきたいということを知事も病院事業庁に言っていただきたいと思います。
次に、レスパイト入院について充実を願っている声が、先ほども紹介ありましたけれども、上がっていますが、統合すればどのように変わるのか、知事にお聞きいたします。
◎知事(三日月大造) これまでは、病床の状況ですとか患者の皆さまの状態に応じて医師が入院の判断をしてきましたが、新型コロナ感染拡大時には、感染症病棟を設けたため、受入れできない状況も生じていたと聞いております。
こうしたことから、統合後は、障害者総合支援法に基づく医療型短期入所として位置づけ、常に一定人数のレスパイトを受け入れられる体制を構築できるよう検討しているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)コロナ禍でレスパイト入院の受入れがなかなかできなかった状況はありました。今回、大きく仕組みが変わります。市町を窓口にサービス支給が決定をされて、一定の利用料の負担が生じます。そして、保護者の方も言われていたように、呼吸器などの機材を持ち込まないといけないということもあります。これで本当に充実するのか、その点について、私は明確な説明がいまだかつてないと思いますけれども、知事はどのように受け止めておられるのか、再度お聞きしたいと思います。
◎知事(三日月大造) 必要な体制は整備していけるものと考えております。もちろん、統合後のこういった小児保健医療センター、統合された後も小児に対して必要な医療が届けられるということと同時に、やはりそれぞれ県内各地にお住まいだと思いますので、それぞれお住まいの地域で、より身近なところで、例えばレスパイトをはじめとする福祉として、福祉医療として制度が受けられる、この体制を整備していくことも必要であると思いますので、このことに県として役割を果たしていきたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)県内で受け入れられるようになると、それはいいんですけれども、今は、びわこ学園の医療福祉センター2か所、紫香楽病院でも定員は2床と、非常にレスパイトのサービスを受けるには、あまりにも今体制が整っていないというふうに思います。レスパイト入院があるからこそ頑張れるというのが保護者の皆さんの声ではないかなと思いますが、私は、今、本当に県立の小児保健医療センターで行ってきたことが、コロナ禍のときはできなかったけれども、今後やっぱり維持し、充実してほしいとおっしゃってるわけで、そこについてやはり明確な説明が要るのではないかと思いますが、再度お聞きしたいと思います。
◎知事(三日月大造) 繰り返し御指摘もいただいていますし、私からもお答えさせていただいておりますが、統合後のセンター、医療機関におきましても、需要を見積もれば、きちんとそういったレスパイトをはじめとする需要にも対応できる状況は整備できると考えております。
加えて、その場所だけで診るのではなく、県内各地にそういった受入れ可能な福祉医療が担えるような、そういう施設を整備していくことを目指して、病院事業庁としても役割を果たし、各医療機関と連携して体制づくりを進めていきたいと考えているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今現在、なかなか医療スタッフの確保であったり、困難であるからこそ、小児保健医療センターに大変期待を抱いておられるのだと思います。その点、先ほどのアンケートの結果をしっかりと見ていただきたいと思います。
最後の質問です。1月の24日、県立病院の未来を考える会と守山の会は、総合病院と小児保健医療センターの統合と病床削減に反対する知事宛て署名を6,141筆提出をし、今も署名が広がっているとお聞きをしています。ぜひとも、病床削減はもとより、総合病院との統合はやめるべきではないかと思いますが、知事に所見を伺います。
◎知事(三日月大造) これも先ほど来から述べさせていただいておりますとおり、そういったなくてはならない医療施設であるからこそ、そして、もともと設置された頃から様々変化をしてきて、例えば対象となる方が増えたり、また、成人期にもその医療を受けながら対応しなければならないというようなことも含めて対応していくために、私は病院の統合は必要なことだというふうに考えております。かつ、需要に応じたその適正規模、病床数も含めて、どのような規模を見積もるのかということについても、これは持続性を確保する観点からも県として責任を果たすべきだと思っておりますので、私は、当然色んな御不安を抱かれる方に対する丁寧な説明は必要だと思いますので、今後、そういったことも果たしながらこの統合を進めていきたいと考えているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)当時、小児保健医療センターの設立の経過を知っておられる立命館大学元教授の中村隆一さんは、この統合は県の役割の放棄だと、統合に厳しく反対をされておられます。そのときの議論としては、併設では、一般小児診療の片手間の業務であり、それ以上の発展は望めない。公的一診療病院で実施不可能な子供病院をつくることで、県費の最も有効な施策、投資であり、その意義は大きいと、県総合保健対策協議会調査報告書の中でこういう議論がされたというふうに述べておられます。その上で、子供の医療と保健に必要な独自の手だてを見つけ出していく仕事は、総合病院の片隅ではできません。設立当時の議論を踏まえれば、センターの統合は、滋賀県の小児科医療の全体を引き上げていくという役割を県が放棄をしたことになるというふうに述べられておられます。
滋賀らしさと知事が言うのならば、福祉先進県と言われた滋賀の障害者福祉の火を消さずに発展させることこそ最も求められているのではないかと思います。再度知事に見解を伺います。
◎知事(三日月大造) その先生がどういう文脈でそういったことを御指摘されているのか、私は承知をしておりませんが、まさに今おっしゃったように、難治であったり、長期間御家族の看護も含めて大変な状況にある子供たちの医療を、総合病院と統合した形で、体制もきちんとした上で、分けてではなくて、しっかりと診ていける体制をつくろうとしているところでありますし、かつ、その規模については、もちろん、もともとあったものを統合によって需要に合わせて小さくするということに御不安を抱かれる方もあると思いますので、そこは丁寧にしつつ、かつ、全てを守山の統合後の医療機関だけでやるのではなくて、びわこ学園を含め、紫香楽も含め、各地で診ていただけるような体制づくりと併せて行うことによって、全県各地のこういった医療体制を整えていこうということに私たちは取り組んでいくべきだと思いますので、ぜひこの点、御理解いただけるように今後も努めてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)全県各地で受け入れる体制がない今、本当に県立の小児保健医療センターの果たしてきた役割は非常に大切ですし、そこのスタッフを本当に保護者の皆さんが信頼をされておられます。それが1つになって、本当に小児保健医療センターとしてのスキルが継続されるかという点でも大変不安に思っておられます。当時設立されたときの状況を聞いていますと、本当にビルとしての四角い建物ではなくて、屋根があって、本当に子供がこの空間だからこそ遊びの要素も取り入れて発達が保障される、こういう施設をつくろうということで設立されたということを、昨日も関係者の方からお聞きをしてきました。それを総合病院に統合をして1病院の診療科としていいのかというのは、私は、障害福祉の先進県と言われてきたこの滋賀として、本当に恥ずべきことだというふうに思います。その意見を述べて質問を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、45番節木三千代議員の質問を終了いたします。
次に、10番田中誠議員の発言を許します。
◆10番(田中誠議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告書に従い、大きく分けて2つの質問をさせていただきます。
このたび私が質問させていただく2つの質問は、もちろん全く別の事業についての質問ではありますが、どちらも子育てに奮闘中の保護者の負担軽減やレスパイトケアの観点に着目して質問させていただきたいと思います。
それでは、まず、大項目1として、ファミリーサポートセンター事業について、
分割質問方式でお伺いいたします。
私は、6月の定例会議のときから常々申し上げていることでありますが、人口減少が全国的に加速度を増し、我が県においてもその波は避けることができず、次世代を担う子供たちはもとより、その保護者にとっても、あらゆる側面において危機的な状況に陥る未来がもう目の前まで迫ってきていると言えます。
ここで我が県の人口を毎月人口推計調査から見てみますと、令和5年1月1日時点では140万8,499人で、うち18歳以下が24万15人だったものが、丸1年後の令和6年1月1日の調査結果では140万5,245人で、うち18歳以下が23万5,909人と、単に人口が減少しているだけではなく、総人口が3,254人減少した一方で、18歳以下の人口はそれを上回る4,106人が減少しているという現状は、非常にゆゆしき問題であると考えられます。我が県において18歳以下の人口が24万人を切った今、「子ども、子ども、子ども」とおっしゃる知事の少子化を打開するに当たっての本気度をいま一度問いたいと思います。
現在、生後数か月の新生児からおおむね12歳までの子供を対象に、子供を預けたい人と子供を預かりたい人が会員として登録し、保育所までの送迎をしたり、保護者の病気や休養、外出などの際に子供を預かったりすることができる制度で、要援助者と、その要望に応えたいと考える援助者の相互援助活動を補助、調整する役割として、ファミリーサポートセンター事業──以下、ファミサポ事業と言います──が各市町で実施されています。
もし、本事業を民間事業者のサービスに置き換えて、要援助者がベビーシッターという形で1時間お願いすると、2,000円から4,000円の相場で料金がかかってしまう一方で、本事業は有償事業ではありますが、中間マージンなどが発生することなく、要援助者と援助者の間で直接金銭のやり取りが行われる上、ボランティアの意味合いが強い公の事業であることから、ほとんどの自治体で1時間につきおよそ700円から1,000円までの安価で援助を受けることができます。それによって、共働きの家庭でも片働きの家庭でも、子供のお迎えが難しいときや、冠婚葬祭で自宅を留守にしたいとき、また、子育てに疲弊したときのレスパイトケアの観点からも非常に重要な事業だと考えられますが、いまだに19市町のうち栗東市と竜王町だけがこの事業を実施しておりません。
ここで1問目として、同じ県に住んでいるのにもかかわらず、この2市町だけ未実施である状況は、知事のおっしゃる誰一人取り残さないという観点からは乖離が出てくると考えられますが、このファミサポ事業の重要性と現在の事業において行政サービスの不均衡性が生じていることについての知事の見解をお伺いいたします。
2問目に、私自身4人の子供を抱える父親としての観点から捉えても、本事業の充実は、子育てを円滑に、そして楽しく進めていくため、そのための一助になり得る事業だと考えますが、現在は19市町中17市町が実施している中、栗東市と竜王町の2市町だけがいまだに実施していない理由はどこにあるとお考えなのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
3問目に、栗東市と竜王町に対して県からこの事業の実施を促すような働きかけはしているのか否か、また、している場合は、どのような働きかけをしていて、どのような成果があったのかを
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
4問目に、先日、栗東市にお住まいで、お子様がおられる共働きの20代の方とお話しする機会があり、ファミサポ事業の内容についてお話しし、同時に、栗東市にはまだこの事業が実施されていない事実をお伝えすると、その方は、もし栗東市にもこんなサービスがあったら絶対使っていたし、何よりほかの市などでは既に実施されているなんて知らなかったし、不公平で許せないと大変憤っておられました。このように、栗東市と竜王町に住んでおられる方々にとっては、滋賀県では自身の市町だけがこの行政サービスの対象外になっている状態を、自ら積極的に情報を取りにいかないと知り得ることができないという、いわゆる情報の非対称性が起こっている現状は大変問題があり、直ちに県民の皆様に周知していただくべきだと考えるのですが、県としてはどのような対応をされるのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
最後に、滋賀県の公式LINEアプリ内でのファミサポ事業の表記の仕方を含めた本アプリの構成内容についてお伺いしたいのですが、現在、このアプリ内で子供関連のタブを選び、子育てのカテゴリーからホームページに飛んで下にスクロールしていくと、ファミリーサポートセンターと表記されたものが出てくるので、そこをタップすると、最初に簡易的なファミサポ事業の内容が表示され、下にスクロールしていくと、ファミサポ事業の実施市町とその施設の所在地などの詳細が表示されていますが、当然、栗東市と竜王町の情報は記載されていないので、何も知らずに、もしこのアプリを見てファミサポ事業に興味を持ち、会員になりたいと思ってくださる栗東市や竜王町の方がおられた場合、誤解や混乱を招く可能性があるのはもちろんですが、そもそも、この事業について調べただけでも、このように使い手が不便なアプリの構成になっているため、恐らくほかの事業においても利用者にとっては使いにくいアプリの仕様になっていることは容易に予見でき、本件を踏まえて、利用者にとってもっと使いやすく、本当の意味で県民に寄り添うアプリの構成内容になるよう変更していただくことを強く要望いたしますが、この件について
健康医療福祉部長の所見をお伺いいたしまして、この項の質問を終わります。
○議長(奥村芳正) 10番田中誠議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)5点いただきました。
私には、最初に、ファミリーサポート事業の重要性と、そのサービスに不均衡が生じていることについてどう考えているのかということがございました。
この事業は、保護者が急な用事や病気などの際に、会員である地域の住民が子供を預かったり送迎などを行う、言わば地域の支え合いを生かした取組でございまして、社会で子育てを支援するという点からも大切な事業の一つであると認識しています。
子育て支援は、この事業をはじめ、地域のニーズや資源等の実情に応じて様々な事業を組み合わせながら対応いただくものと考えており、そのことにより、県内どこに住んでいても子育てに優しい環境が整っていることが望ましい姿であり、またそのような滋賀を目指して取組を進めてまいりたいと存じます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)私にいただきました4点の質問にお答えいたします。
1点目の実施されていない市町の理由でございますけれども、該当の市町からは、三世代同居であったり、あるいは近隣に祖父母が居住している、また、保育所や幼稚園、シルバー人材センター、こういったところで一時預かり等のサービスが提供されておりまして、本事業に代わる子育て支援サービスが一定整っているということから実施に至っていないということをお聞きしているところでございます。
2点目の市町に対する働きかけおよび成果についてでございます。
県では、淡海子ども・若者プランにおきまして、安心・安全な子育て環境を進める中で、本事業を含めた各子育て支援施策について目標を設定をし、進捗管理を行いながら市町の目標が達成されるよう、財政的な支援を行ったり、あるいは取組事例の横展開を図るなどの支援を行ってきたところでございます。
実施されていない市町におかれましても、住民のニーズや現場の課題について把握に努められておられまして、このうち1市につきましては、来年度以降の実施について検討をされているとお聞きをしているところでございます。
3点目の情報の非対称性に係る県の対応でございますけれども、子育て施策に限らず、市町が実施する施策は、限られた予算の中で、どの施策を優先するかにつきましては各市町に委ねられているところでございます。本事業を実施されていない市町におかれましては、先ほど申し上げました代替的なサービスが整えられているといったことも踏まえまして御判断をいただいているものと承知をしております。
県としましては、こうした点も踏まえまして、まずは市町で実施をされている子育て支援策について、県の少子化ポータルサイト「ハグナビしが」等を通じまして、県民の皆様に情報提供を行い、様々なニーズに対応した支援につなげてまいりたいと考えております。
4点目の県民に寄り添うアプリへの変更についてでございます。
平成28年度から、子育て支援に関する情報発信を行うために、専用サイト「ハグナビしが」を開設をしまして、昨年度は約9万件のアクセスをいただいております。開設から8年が経過しまして、県民の皆さん、そして関係機関の皆さんからは、サイトが複雑、また情報も多過ぎて使いづらいといった御意見もお聞きしておりますので、県としましても、来年度におきまして、県民や子育て支援団体等の御意見もお聴きしながら、必要な人が必要な情報を分かりやすく入手できるよう、サイトの再構築を行うこととしているところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)
健康医療福祉部長に再質問させていただきます。
1市と教えていただけたので、恐らく栗東市のことをおっしゃっているのだなと思いまして、来年度からはそういった形で行政サービスが行われるという見込みになっているということで、しっかり働きかけていただいているということでありがとうございます。
その点に関しては感謝申し上げるのですが、1点聞きたかったところは、私はアプリ全体は改善できるのでしょうかというお伺いをしたんですけれども、サイトという言い回しでお伝えいただけたので、アプリ全体は改善されるのかどうかというお答えをもう一度再度お伺いしたいです。お願いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 今回、再構築の対象としておりますのは、ハグナビしがという子育て等に関する情報発信を行うための専用のポータルサイトということで考えております。
◆10番(田中誠議員) (登壇)ありがとうございます。
そのハグナビしがに関しては変更していただけるという形で受け取りましたが、ぜひ全般を通して、もっと見やすいアプリ運営にしていただけるよう、よろしくお願い申し上げまして次の質問に移らせていただきます。
それでは、大項目2として、医療的ケア児童生徒の通学に係る保護者支援事業について、一問一答形式でお伺いいたします。
近年、全国的に見ても、特別支援教育対象者は年々増加していて、ここ10年間で約2倍に増加し、我が県においても令和5年度の県立特別支援学校に通う児童生徒の数は過去最高の2,327人となりました。それに並行して、人工呼吸器などを含めた医療的ケアが日常的に必要な児童生徒、いわゆる医ケア児の数も、令和元年の177人から年々増加を続け、本年度は185人と増加傾向にあります。
本来、義務教育課程にある児童生徒は、安全に学校に通い学問を学ぶ権利があることから、現在、知肢併置8校の特別支援学校では児童生徒を安全に送り迎えするスクールバスが運行されていますが、その一方で、特別支援学校に通う医ケア児の中には、ほかの児童生徒と一緒に登校できずに、その保護者自らが自家用車で自宅から学校まで我が子を送り迎えすることになっている児童生徒数も、令和元年の69人から本年度は85人と増加傾向にあると言えます。
こうしたスクールバスを利用できない保護者からの声を受け、過去遡ると、公明党の議員の方々をはじめとするたくさんの議員の働きかけがあり、数々の実証実験を経て、関係事業者や関係機関の方々の御尽力の下、令和2年度から正式に本事業である医療的ケア児童生徒の通学に係る保護者支援事業が実施され、年に10回の通学支援が本格的に始動されることになり、その後、送迎回数が10回から12回へと増えたり、今年度途中に実施されたアンケート結果から、家と学校以外の場所への送迎ができるようになったりと、サービスが一部拡張される運びとなりました。
しかしながら、本事業自体は、さきの6月定例会議での公明党の岩崎議員の一般質問や11月定例会議での自民党の海東議員の一般質問でも度々議題に上がるほど、まだまだ課題の多い事業であるという言い換えもでき、本年度の7月に本事業の対象となる医ケア児の保護者に向けて取っていただいたアンケートの形式や内容などを踏まえ、本事業の妥当性や改善すべき点について改めてお伺いさせていただきます。
まず初めに、そもそも本事業の目的は、医ケア児を抱える保護者の日常生活と、通学の送迎への身体的、精神的負担をおもんぱかり、レスパイトケアを目的として実施された事業であるにもかかわらず、上限で年間12回で、往復に直すと6往復しか利用できない上に、利用したいと思う日の約1か月前から利用するための調整を事業所などと行わないといけないので、結局利用したいときにすぐに使えないという現状は、回数の面から見ても、システムの面から見ても、到底保護者の負担軽減になっているとは言えないと思うのですが、この現状についての所見を教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
本事業につきましては、5年にわたる実証研究を経て、地域ごとに限られた医療資源等の中、県内全域で実施できるよう、各市町とも調整しながら令和2年度からの実施に至ったところでございます。
こうした中、保護者の皆様からは、当初は10回、そして現在12回の送迎回数をさらに増やしてほしいというお声があることは十分承知をいたしておりますが、この事業があって助かっているという声もいただいているところでございます。
令和4年度までの3年間で、利用回数は延べ1,000回を超えておりまして、引き続き改善等に取り組む必要性、余地は十分あると認識をいたしておりますが、一定、送迎されている保護者の負担軽減につながっているものと考えているところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)それでは、次に、前述しましたとおり、現在の本事業の実態を把握し、それを基に今後の本事業のさらなる充実を図る目的で、本年度の7月に本事業を利用する保護者にアンケートを取っていただき、その結果として、年度途中にもかかわらず、自宅と学校との往復以外にも、放課後デイやショートステイの送迎に対しても、本事業の適用範囲を広げてくださった姿勢に対しては、大変感謝申し上げるところであります。
しかしながら、改めてこのアンケートについて着目すると、回答割合だけ見れば71%と一見高い数値にも見えますが、その対象者数としては、僅か69名という小さな母数にもかかわらず、回答があったのが49名であり、20名もの保護者から回答すら得られなかったことは、このアンケートの意図がしっかりと保護者に伝わっていなかったと言わざるを得ず、非常に大きな問題があると思うのですが、全ての保護者から回答を得られなかった原因はどこにあるとお考えなのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
お取り上げいただきました今回のアンケートは、保護者にとりましてより利用しやすい制度となるよう、さらなる改善を図りたいという思いで実施をさせていただきました。
回答につきましては、令和4年度に全10回を利用された方のほとんどから回答をいただく一方で、1回も利用されなかった方からは半数程度しか回答をいただけなかったところでございます。本事業の利用が少ない方につきましては、私どもが考え実施しましたこのアンケートの趣旨について十分御理解いただけなかったのではないか、やはりアンケートの取り方に一定の課題があるものと認識をいたしております。
◆10番(田中誠議員) (登壇)教育長に再質問いたします。
アンケートの取り方に一定の問題があったとおっしゃいましたけれども、どのようなアンケートを取るときに周知をされたのか、その69名の方にどういう周知をされたのかをお伺いしたいと思います。
◎教育長(福永忠克) 本アンケートにつきましては、医療的ケアの通学支援を受けておられる保護者に確実に渡るように、それぞれの特別支援学校の担任の先生から保護者のほうに届くように手渡しをさせていただいたところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)ありがとうございます。
となると、個別にお渡しいただいたということなので、恐らく先生にとっては、回収できていない方がどなたかというのはある程度理解できていたと思うんですが、提出しなかった方に、まだ未提出ですよ、提出してくださいねというように促したりはしなかったのかというところをもう一度お伺いしたいです。教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) 保護者の皆様には様々な思いがございますので、こちらから、まだ提出されてませんよ、出してくださいよと強く申し上げることは、アンケート調査の趣旨からしてあまり好ましいことではないと考えておりまして、やはり自主的にというか、保護者の方から、こういう思いがありますのでよろしくというのをやっぱり検討いただく方の返答をというような形のアンケートを実施したということでございまして、さらなる追加の督促等は実施をいたしてはおりません。
◆10番(田中誠議員) (登壇)やっぱり提出してもらうことを目指すべきというか、提出するかどうかは本人次第だと思うんですけど、趣旨をしっかりと説明して、後にも質問させてもらいますけど、これはただのアンケートではないんだよというところを分かってもらった上でしっかりと説明するというのも大事なのかなと。なので、返ってくる強制というのはできないのは分かってはいるんですけれども、意味合いをもう少ししっかりと伝えていただくべきじゃないかなと思うので、これは要望としてお伝えしておきます。
それでは、次に
アンケート形式についてお伺いしたいのですが、このアンケートの設問3問全てで自由記述回答ができ、非常に個人的かつデリケートな部分について書き込むことができるため、保護者からすれば、本事業に対する要望や希望にとどまらず、不安や不満といった強い思いを書き込むことができる一方で、任意ではあっても保護者氏名の記入欄があることで、そこに氏名を書いた保護者においては、自分がそのアンケートに答えた人間だということを特定されてしまうため、個人的な思いを存分にぶつけることをためらってしまう可能性が考えられるので、あえてマイルドな表現に変えて回答する保護者が出てきてしまうことは容易に想像でき、保護者の本音を出し切れずに、質問者に気を遣ったようなバイアスがかかったアンケート結果になってしまうおそれがあると言えます。
逆に、例えば無記名
アンケート形式にしてしまったときのデメリットを考えてみると、一般的な不特定多数を対象としたアンケートであれば、匿名であるがゆえに、質問者に対して無責任な意見や心ない誹謗中傷まで出てくる可能性が考えられますが、今回のアンケートに関して言えば、限定的な人たちを対象にしている上に、言わばアンケートというよりも、むしろ我が子の現状と今後に関わる大切な意見聴取に近い実態で行われているがゆえに、わざわざ冷やかし半分の無責任な回答をする人が出てくることは到底考えづらく、無記名
アンケート形式にすることのデメリットは全く思い当たらないのですが、それでもあえて記名
アンケート形式にされた意図はどこにあるのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今回のアンケートにつきまして、アンケートに記載をいただきました内容について、さらに詳細な事情でありますとか、あるいは保護者の思いを伺うことも想定をいたしまして、記入いただける方には記入していただけるよう氏名欄を設けたところでございます。ただし、御質問にもございましたこの氏名の記入は任意とさせていただいておりまして、無記名での率直な意見もいただけるよう配慮をしたところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)教育長に再質問いたします。
先ほどの1個前の質問ともかぶってくる部分があると思うんですけれども、やっぱり記名式、絶対に記名しないといけないというわけではないけれども、記名欄があることによって提出するのがやっぱりためらうという人も中にはいる可能性があると思うので、費用対効果として、わざわざ記名欄を設ける必要性自体が全く考えられないんですけれども、個別具体でわざわざこのアンケートに対して何か答えた方にアプローチをするということはあり得るのでしょうか、お伺いします。
◎教育長(福永忠克) まず、今回のアンケート調査を基に、御記名いただいた方にさらなる思いとか事情を聴かせていただく事例はございませんでしたので、そういったことは実際は行ってはおりません。
また、今回のアンケートの回答者は、先ほど69名中49名と御質問にもございましたけれども、この49名のうち記名いただいた方は34名、そして全体として率は69%になります。そして、無記名で御提出をいただいた方が15名いらっしゃいますので、無記名でも率直な思いをいただけたものと考えているところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)それでは、次にアンケート内容についてお伺いしたいのですが、このアンケートの問2に、令和4年度に1度以上本事業のサービスを利用した方に対して、その利用理由を6つの選択肢の中から該当するものに丸をつける形で問うていますが、ここで、以下2点に着目した上で導き出せる答えについてお伺いいたします。
1つ目は、本事業の大前提としての考え方は、保護者のレスパイトケアを目的としてスタートしたはずなのにもかかわらず、「送迎による心身の負担を軽減し、自身の休息に充てたかったから」というような内容の選択肢自体が一切なかったという点と、2つ目は、選択肢の③である「その日に用事が入っており、自身で送迎できなかったから」という理由が回答された中で群を抜いて一番多かったという点であります。この2点から導き出せる答えは、つまり、質問者である県から見ても、回答者である保護者から見ても、もはやこの事業はレスパイトケアとして利用されることを前提とした事業ではないという認識で双方の考えが一致してしまっているということです。
この結果を受けて、改めてお伺いしたいのですが、本事業の最大の目的とは何なのか、明確にお答えいただきますよう教育長にお願いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
医療的ケア児のうち、通学途中に医療的ケアが必要となることが見込まれまして、スクールバスに乗車できない児童生徒につきましては、児童生徒の安全のために保護者による送迎をお願いしているところでございますが、本事業は、こうした保護者の送迎に係る負担を少しでも軽減し、児童生徒の通学のしやすさの向上を図ることを目的として実施しているものでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)教育長に再質問いたします。
先ほど、私が質問というか、この問いの中でレスパイトというところの選択肢が一切ないというところが非常に何か不可思議だなと、6問あるうちの1問でもそういったところがあれば、そこに丸する人が出てくるかなとは思ったんですけれども、その選択肢すらなかった理由は何なんでしょうか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) 本事業につきましては、先ほども申し上げましたように、保護者の皆様の負担を軽減したいという思いで設置をいたしました。確かに議員がおっしゃるように、保護者のレスパイトケアというのも非常に大切でございます。これは基本的にこの事業全てにおいて関わることでございます。ただ、具体的に利用する際には、利用の手続等もございますので、どういったときにこの制度を利用したい、あるいはしたかということを知りたいというか、我々として把握をさせていただきたいという趣旨でつくったものでございまして、それが、例えば、その日にほかの用事、例えばきょうだいの方の学校での参観があるので、この日はちょっと私が送迎ができないのでこの事業を頼むとか、そういったことを主な質問項目として書かせていただいたところでございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)やはりレスパイトケアも一定思いを寄せていただいているということであれば、やはりこういう選択肢の中にも、今後つくっていただくのであれば、送迎による心身の負担を軽減したいと、自身の休息に充てたかったからというようなところも枠内欄に入れていただくと、またいろんな広がりが見せられるのかなと思いますので、これは一つ要望でお願いいたします。
次に、アンケートの最後の質問に対してお伺いしたいのですが、この最後の質問には、御意見、御要望があれば御記入くださいという自由記述欄が設けられていて、そこには49名の回答者中、実に77個もの回答があったことで、保護者の切実なる思いが如実に表れていることを実感するとともに、その内容の偏りにも驚くばかりでした。数えてみますと、本事業が実施されたことへの喜びや感謝の意を表す御意見が77個中11個だった一方で、もっと利用できる回数を増やしてほしいという回数増加に対する要望と、事業所などと日程調整せずに気軽に使いたいというシステム変更に対する要望が、何と77個中の40%を占める31個に上っていたのです。その中でも、本当は毎日、少なくとも週1回は利用できるようにしてほしいというような声は複数ありました。
ここで、本事業を予算規模で振り返ると、年間12回の利用で、往復に直すと6往復で約2,400万円であります。これを、それぞれの仮定の下、概算費用を計算すると、毎日往復利用で約8億円、週1往復利用で約1億6,000万円、月1往復の夏休みを除いた年間11往復利用で約4,200万円がかかりますが、本来、県立の特別支援学校に通う児童生徒は義務教育課程にあるため、ほかの児童生徒と同様に、障害の程度にかかわらず、分け隔てなくスクールバスに乗れる権利を有しているはずであることから、県が本事業に追加の予算を投入することはあってしかるべきだと考えるのですが、知事の所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
医療的ケア児を含む全ての障害のある子供たちが学校で学べる環境を整えることは大切なことであると認識しています。
医療的ケア児の通学に対する保護者の思いはしっかりと受け止める必要があると考えますが、県内各地域の実情を見ますと、医療的ケア児の通学に対応できる事業所ですとか、看護師が少ないということとか、事業所の予約が取りづらい、新しい事業所を見つけにくいといった声もお聞きしておりまして、医療資源等の課題も現状ではあると捉えております。
そうした様々な要素を総合的に勘案いたしまして、引き続き、各市町や関係事業者の御意見のほか、先ほど来お取り上げいただいております保護者のお声等も十分に伺い、検証し、また検討を進めてまいりたいと存じます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)ありがとうございます。
今の知事の御回答と関連して次の質問にさせていただきたいんですけれども、事業所などと日程の調整が合わないことに悩んでおられる保護者も多数おられることから、例えば、年度初めに保護者と事業所が面談を行い、年間計画をつくった上で、毎月固定してAさんには第1月曜日、Bさんには第2火曜日を送迎日にするといったようにあらかじめ送迎日を決めてしまい、月1往復の年間11往復分を最初の段階で決めてしまえば、保護者から見ても事業所から見ても、毎度調整するための時間や労力が削減できると言えます。そして、さらにこれに加えて、今までどおり必要に応じて保護者と事業所の調整の下、年間12回を頼みたい日にお願いできるような支援に変更していただければ、保護者としては、月に1回は必ず送迎してもらえる安心感を得られる上に、ある程度自身の予定に合わせて送迎日を選択する自由が生まれるため、本事業の根幹をなす考え方であるレスパイトケアとしての効果は、多少ではありますが期待できるのではないかと考えます。
とはいえ、今ほど御提案した回数分を、前述の概算費用を参考に、年間予算額として単純計算すると、約4,200万円足す2,400万円で約6,600万円が必要となり、人員調整の面においても相当なマンパワーが必要となる上、面談に費やす時間や労力が多分にかかってくることは重々承知しております。しかしながら、やはり日々医ケア児の介護で疲弊しておられる保護者の心に真に寄り添う支援を行いたいと考えるのであれば、いま一度、本事業に対する予算を含めたシステム自体を私が先ほど述べたような一例以上にドラスティックに変更する必要があると思うのですが、知事の所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 今御提案いただいた方法というのも一つの考え方だと思います。先ほどもお答えしたとおり、各市町、関係事業者の状況、御意見も十分に伺いながら検討を進めていきたいと存じます。
この事業は、私も知事になりまして以降、この議場でお取り上げいただき、そして様々実証研究を経て、各市町とも調整しながらつくり上げてきた制度でございますが、現在が完成形だとは考えておりません。引き続き、保護者のお声、また今日いただいた様々な御指摘等も踏まえて、持続可能でよりよい制度となるよう取り組んでまいりたいと存じます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)知事、ありがとうございます。一定前向きな御回答をいただけたとは思いますが、より具体的に前に進めていただけるよう、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、今回のようなアンケートは、質問する形式や内容自体にはまだまだ検討の余地は多々あると思いますが、保護者の大切な生の声を聴くという点においては非常に重要な機会であり、また、本事業の方向性そのものを考え直すという点においても絶好の機会になると言え、今後も定期的に実施していくことが望ましいと考えられるので、今後のアンケートの実施周期を含め、全員が回答してもらえるように、どういった形式や内容でアンケートを取っていくことが好ましいとお考えなのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
特別支援学校には毎年新たに入学される児童生徒もおられますことから、毎年度、適切な時期に保護者の声を聴くことが必要であると考えているところでございます。
また、できるだけ多くの方に回答をいただくために、アンケートの形式でありますとか内容に工夫を凝らしますとともに、調査の趣旨を明確にし、その目的を保護者の皆様に御理解いただくことで回答率の向上につなげ、保護者の声が十分に把握でき、制度の改善につながるように引き続き努めてまいる所存でございます。
◆10番(田中誠議員) (登壇)やはり形式という形でいいますと、必ず記名しないといけないというわけではないにせよ、記名欄があることによって、やはり先ほどもずっと申し上げているように、一定バイアスがかかってしまって、質問もしにくかったり回答もしにくかったりする部分が出てきてしまうのかなというところは考え得ることではありますので、ぜひその辺は無記名形式にしてもらうことも検討していただいた上で、私が言いたいのは、やはりアンケートを全部見させていただきました。本当に皆様の切実なる思い、日々医ケア児の介護をされている保護者様の本当に悲痛なお声、涙ぐましい努力で皆様頑張っておられるというところにやはり寄り添って何ぼだと私は思っておりますので、今後もやはり社会的弱者の皆様に寄り添うような支援を心からぶつけていただき、私もしっかりとそれに対応できるような議員としてアクションを起こしていけたらと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
これで私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、10番田中誠議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時13分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、27番周防清二議員の発言を許します。
◆27番(周防清二議員) (登壇、拍手)午後1番、自由民主党滋賀県議会議員団、周防清二が、震災への備えについてということで質問させていただきたいと思います。
今年は暖冬ということで、非常に昨日まであったかい日で、今日は少し涼しいというか、寒くなりましたが、三寒四温というより、本当に一寒六温みたいな気候が続いております。
そういった寒い冬のさなか、新年早々の1月1日16時10分、石川県能登半島でマグニチュード7.6、最大震度7の激震が観測される地震が発生し、能登半島周辺で死者241人を含む人的被害1,537人となる大惨事が発生いたしました。お亡くなりになられた方にはお悔やみと、また、被災された多くの方々にはお見舞いを申し上げたいと思います。
地震に加え、津波による家屋の倒壊、大規模火災の発生で、2月20日現在ではありますが、住家被害が全壊8,791棟を含め7万21棟、現地に通じる道路は亀裂や崖崩れで寸断され、消防や自衛隊、行政職員や救援物資の到着が遅れるなどで、当初は約3,100人が孤立するという厳しい状況となりました。既に1か月半が過ぎ、仮設住宅の入居も始まっておりますが、当初より減ったとはいえ、2月20日現在、避難所生活者は1万1,593人、また、断水は2万2,880戸とのことであります。
救援が遅れるにつれ、避難生活で必要なのが、食料に加え、生活用水と電気や燃料などのエネルギーとのことで、いかに現代生活を支えるインフラが重要か、また、道路の寸断に対し、いかに迂回路が重要か、また、自衛隊が存在するありがたみを再認識させていただくことでありました。
一方、避難所の支援物資では新たな機材が導入されております。避難生活での生活用水不足に対し、排水の循環再利用により再生した水で簡易シャワーや手洗いができるシステム、循環式の水洗トイレや密封処理できる水の要らないトイレなど、これまでの経験から生まれた新たな製品が届けられております。
今回の地震を教訓に、滋賀県の来年度予算においても、今後の新たな取組として、道路啓開計画の作成、実動訓練、災害時の湖上輸送の検討、トイレトレーラー導入、停電時の医療的ケア児用電源確保などが提案されており、今後もできる限りの備えは進めていただきたいと思います。
ただ、今回の震災の情報を得る中で、気になる点が何点かあり、質問させていただきたいと思います。
まず、今回は、震災による災害度が低いと想定されていた場所で、このような甚大な被害を及ぼす大地震が起こったということであります。本県も、琵琶湖西岸断層帯、花折断層帯、木津川断層帯、鈴鹿西縁断層帯、柳ケ瀬・関ヶ原断層帯など、活断層帯が琵琶湖を取り巻いているということから、今回の震災を教訓にすれば、県民が被災者になる地震がいつ起こっても不思議ではないと考えねばなりません。
今回の震災は、半島という地理的要件で道路網が発達していない地域で、その地につながる唯一の道路が被災し、その沿線にある集落が孤立したわけでありますが、本県においても周囲の山間部にある集落は同じように孤立する可能性があると考えられます。
まずは、滋賀県において孤立する可能性のある集落をどう認識しているのか、知事公室長に伺います。
また、孤立した集落は海と山に囲まれており、道路が亀裂や崖崩れで寸断されているため、自衛隊などは、余震が残る中、道なき道を徒歩で走破して、また、海から救援物資を届け、啓開作業が終わるまで本格的な救助隊が到着できなかったわけですが、そのような状況を踏まえた上で、滋賀県では孤立集落住民の避難、救助はどのように対応するのか、知事公室長に伺います。
さきに述べましたが、避難生活で必要なのが、食料に加え、生活用水と電気や燃料などのエネルギーということで、救援が遅れるにつれ、この傾向が高くなるものと思われます。孤立する可能性のある集落において、生活用水の確保に対する備えはできているのか、これは
健康医療福祉部長に伺います。
滋賀県のみならず、各自治体においても配水池施設を整備されております。震災時には配水管が破断することは予想されますが、その配水管に緊急遮断装置があれば、タンクに残った水を活用することができます。滋賀県においては、企業庁の貯水施設の水を非常時に利用できるようにすべきと考えますが、企業庁長の所見を伺います。
滋賀県からも、緊急消防援助隊、県警本部も広域緊急援助隊、災害派遣医療チームDMAT、福祉専門職DWATなど専門家が出動されていますが、半島という地形もあり、珠洲市ではなかなか復興の手が届かず、いまだ被災時そのままになっている集落があるとのことで、まだまだ復興の手助けをするボランティア等の人的支援が必要とされております。
さらに、今回課題となったのが、介助が必要な老人や障害者が通常の避難所生活がそぐわないとのことでありました。このような非常時には、公的施設のみならず、老人介護施設などが一時的に福祉避難所として受け入れされておりますが、もともとおられる入居者もあり、職員も少ない中、そう多くは受け入れできないとのことでありました。
要介護の避難者を受け入れる福祉避難所の受入体制はどのようになっているのか。
健康医療福祉部長に伺います。
そもそも、その介護施設の職員自体も被災されている中で施設を運用されるわけで、通常より少ない人員での運用となり、大きな負担になっているとのことであります。被災された介護士は仕事を続けることができず、退職されている方もおいでと報道されております。
病院など医療施設も同様で、医師や看護師、介護士の広域での支援が求められるわけで、医師や看護師はDMATなど県内外から広域の支援体制が組まれておりますが、介護士の広域支援体制はどのようになっているのでしょうか。
かつて、コロナ禍での介護士不足を補うため、県内各事業所の相互の応援体制を組まれましたが、当時はコロナということで、感染を恐れてうまく機能しなかったと仄聞しております。災害時の介護施設や病院が事業継続できるような計画は策定されているのか。
健康医療福祉部長に伺います。
現在はSNSが発達し、各人が現地の状況を伝えることができることから、SNSは大変重要な役割を果たしていると思います。しかし、中には心ない者が、SNSで収益を上げる目的のために、フェイク──偽情報を垂れ流しているということが大きなニュースになっておりました。海外から過去の別の場所の写真を載せて発信しているものが多いとのことでありましたが、これは被災者や支援者に混乱が生じる元であることから、正しい情報でフェイク情報を迅速に否定することが大変重要となります。それができるのは最も信頼されている行政からの発信で、石川県庁は対応できたというふうに仄聞いたします。滋賀県ではフェイクニュースにどのように対応するのか、知事公室長に伺います。
被災し倒壊した家屋にも太陽光発電設備が設置されている家があり、また、蓄電池を設置している家もあるかと思います。太陽光発電パネルは、明るくなれば単独で発電することは既に御承知のことと思いますが、被災者の捜索活動や復旧活動において、思わぬところで感電する可能性があります。消防隊やボランティアの方への太陽光パネルによる感電防止に対してはどのようにされているのか、知事公室長に伺います。
同じように、現在は多くの車がハイブリッド車であり、電気自動車も増えておりますが、そのような車両の蓄電池にも高電圧で電力が蓄えられています。ハイブリッドや電気自動車への対応はできているのか、知事公室長に伺います。
今回も自衛隊の活躍が被災者の早期の救援につながりました。しかし、自衛隊の使命は日本国の防衛であり、行政等の支援体制が整った時点で撤収されることになります。もしもこのような災害時に近隣国からの攻撃が発生し、有事体制となれば、自衛隊の派遣を期待することができません。県民の命を守るためには、自治体が主体となって、民間業者の協力でもって対処せねばなりません。有事と災害が同時に起こった場合の想定はできているのか、知事公室長に伺います。
これまで、幾つか今回の能登半島震災を受けて感じた様々な質問をさせていただきましたが、周囲に山が連なり琵琶湖を預かる滋賀県は、滋賀県なりに考え得る震災への備えをしておく必要があります。しかし、何より県民を守るという知事の決意が重要と思います。最後に、県民を守る知事の決意を伺い、質問を終わります。
○議長(奥村芳正) 27番周防清二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)震災への備えということで御質問いただきました。最後に賜りました県民を守る私の決意ということについてお答えいたします。
県民の生命、財産を守ることは、県の最も重要な使命でございます。
滋賀県には、議員も御指摘いただきましたように活断層が多く分布しており、また、南海トラフ巨大地震の発生が懸念されるなど、大規模地震への備えの強化が喫緊の課題であると認識しております。
これまでの災害への備えに加えまして、能登半島地震での経験を踏まえ、速やかに自助、共助、公助における課題を整理し、着実に災害対応能力を向上させていく必要があると考えております。
後ほどそれぞれの部長等が答弁いたします観点も含め、国や市町、関係機関と緊密に連携いたしまして、滋賀県地域防災計画や滋賀県防災プランの見直しを進め、災害への備えに全力を尽くしてまいりたいと存じます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)震災への備えについて、私にいただきました6点の質問にお答えいたします。
1点目の孤立の可能性のある集落についてでございますが、地震が発生した場合、地割れや斜面の崩壊などにより、道路が通行できなくなることが想定されます。このため、平成26年3月に見直しました滋賀県地震被害想定では、例えば琵琶湖西岸断層帯地震では大津、高島地域の山間部、鈴鹿西縁断層帯地震では東近江、湖東地域の山間部において道路が通行できなくなることにより、集落が孤立する可能性があると考えております。
2点目、孤立集落が発生した場合の対応でございますが、孤立集落に残された住民の健康状態や備蓄物資の状況に応じて、緊急性が高い場合には、自衛隊や防災ヘリなどにより、住民を避難させたり、必要な物資を搬送することとしております。
あわせて、道路管理者や建設業協会などの関係機関が連携し、速やかに道路啓開を行い、早期の孤立解消を図ることとしております。
これらの対応を迅速に実施できるよう、平時より関係機関と顔の見える関係の構築や訓練等を実施しております。
3点目、フェイクニュースへの対応でございます。
まずは、県ホームページや防災ポータルなどを災害発生時に信頼できる情報源として活用いただけますよう、日々の情報発信に努め、認知率向上に取り組むことが重要であると考えております。
議員御指摘のとおり、フェイクニュースは被災者や支援者に誤解や混乱を生じさせることから、人々が惑わされることがないよう、速やかに正確な情報を繰り返し発信することが必要であると考えております。
本県においても、こういったフェイクニュースを認知した場合には、県のホームページや防災ポータルへの情報を掲載したりとか、しらしがや公式SNSによるプッシュ型の配信の活用、あるいは報道機関へのリリースなどを組み合わせまして、正確な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
4点目の太陽光発電パネルへの対応でございます。
各消防本部におきましては、現場の安全確保のため研修などが実施されております。
また、今年度、消防学校におきまして、消防訓練用の模擬家屋といたしまして移動式のユニットハウス4棟を設置いたしましたけれども、現場からの要望も受けまして、このうちの1棟に太陽光発電パネルを設置したところでございまして、実践的な火災防御訓練や救助訓練により技術の向上を図ってまいりたいと考えております。
また、ボランティアに対しましても、募集を行う際などに、活動に関する注意喚起を行うなど安全確保に努めてまいりたいと考えております。
5点目のHV、EV車両への対応についてでございますが、EV車両の事故発生時は、委員御指摘のとおり、高電圧の蓄電池が活動する隊員の障害となる可能性がありますことから、隊員の安全を確保するため、ガソリン車等との対応の違いを理解することが重要であると考えております。
また、脱炭素社会に向けて、今後、HV車両等は増加していくというふうに認識しておりまして、HV、EV車両への対処訓練については、消防学校で行う専科教育において、車両構造の学習や実車を使用した訓練を実施しているところでありまして、引き続き隊員の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
6点目、有事と災害が同時に起こった場合の想定でございます。
有事と災害が同時に起こる、あるいは複合的に災害が起こるということは想定しなければならないと考えております。有事であるかどうかにかかわらず、自衛隊の支援が受けられない場合を想定いたしまして、日頃から備えていくことが重要であると考えております。
このため、災害対応に当たっては、全国の消防や警察をはじめ、国や他府県等々の自治体、災害応援協定を締結している企業や団体等の皆様と平時より顔の見える関係の構築に努めているところでございます。
災害時に迅速な連携が取れるよう、これらの関係機関と共に訓練の充実を図ってまいりたいと考えております。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)私にいただきました3点の質問にお答えいたします。
1点目の孤立した集落での生活用水の確保に対する備えについてでございます。
道路が寸断され孤立した集落については給水車が給水活動できません。そのため、県では、生活用水の確保の一つとして非常災害用井戸の認定を進めておりまして、導入に当たってのガイドラインを策定し、個人や事業所が所有する井戸を非常時に活用できるよう、市町に働きかけ、平時からの備えに努めているところでございます。
また、生活用水が確保できない場合に備えまして、除菌シートであったり簡易トイレなどの衛生用品なども平時から備蓄するなど、自助の取組も重要であると考えているところでございます。
2点目の福祉避難所の体制についてでございます。
福祉避難所は、市町において443か所確保されておりますが、施設が被害を受けたり職員が被災して出勤できないなどにより開設できないことも想定をされます。
そうした事態を想定しまして、県では、介護施設など県内34施設と協定を締結をしまして、配慮を要する被災者が広域的に避難できる仕組みを整えたり、避難された要配慮者を支援するDWATの養成を進めているところでございます。
今回の能登半島地震では、要配慮者の避難に関し、専門職の確保など様々な課題が明らかになっておりまして、今後、これらの課題を検証し、支援者や当事者団体等で構成します災害時要配慮者支援ネットワーク会議などで意見交換をしながら、安心して避難できる福祉避難所の在り方等につきましても市町と共に検討してまいりたいと考えております。
3点目の災害時の業務継続計画についてでございます。
介護施設では52%が策定済みで、残りの48%も今年度内の策定予定となっておりまして、来年度は、計画に基づく効果的な訓練の進め方などを学ぶ研修会を開催する予定でございます。
病院では57%が策定済みであります。未策定の病院に対しましても、BCP策定研修への参加を働きかけますとともに、全ての病院に対しましては、災害時に速やかに病院情報を収集、共有するシステムを活用しました訓練、研修を今後も継続的に実施していく予定でございます。
今般の能登半島地震やコロナ禍の教訓を踏まえまして、感染症も想定した実効性のある業務継続計画となりますよう、県としても積極的に支援や働きかけを行ってまいりたいと考えております。
◎企業庁長(東郷寛彦) (登壇)私にいただいた4点目の貯水施設の水の利用についてお答えいたします。
当庁では、地震の発生に備えまして、貯水施設であります山脇調整池と瓶割山調整池の2か所に緊急遮断装置を設置しておりまして、各浄水場と併せまして応急給水活動の給水拠点として活用することとしております。
また、地震発生時には、一日も早く復旧できるように対応しますとともに、日本水道協会や市町等と連携しまして水の確保に努めてまいりたいと存じます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございました。おおむね皆さん、意識していただいてるということで、ありがたいなと思っておるところでございます。
1、2点だけ再質問させていただきたいと思うんですが、まず最初に、今、孤立する可能性というのは西岸断層帯と鈴鹿西縁断層帯、大津、高島、東近江と3か所の地域だというふうにおっしゃっていただきましたけど、ほかの断層帯に関しての孤立する地域、長浜とか甲賀とか、そちらにはないんでしょうかというのがまず1点、これは公室長にお伺いしたいと思います。
それから、SNSでの発信に関してですけど、プッシュ型でしていただくという話でありました。これはホームページとか受入れ方じゃなくて、一番多いのは、商品名を言っていいのかあれですけど、Xというのが多分一番情報としては多いと思いますし、逆にこれを見ておられる方が多いかと思います。いろいろほかにもございますが、これが一番ネタというか、最も情報拡散される可能性が高いなと思うんですけど、県にはそういうXの対応できる体制ができているのか、もう1回再度質問させていただきたいと思います。
○議長(奥村芳正) 2問目も一緒、答弁者は。
◆27番(周防清二議員) 公室長にお願いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
先ほどの孤立集落の可能性というものにつきましては、例示でその2つを挙げさせていただいたものでございまして、そのほかの断層帯についても孤立集落を発生させる可能性はあるというふうに想定しているところでございます。
もう1つのSNSのほうでございますが、今回でもやっぱり大変だというSOSをXに出して拡散するということもあったのかなと思っておりますが、それがまた本当かどうかというところの見極めもあったりするので、拡散性も見ながら、それ以外に、例えばLINE、言ってもいいんですかね。LINEでは登録されている方がございますので、日頃からもうこれは元が大丈夫だというふうに認識されているところで繰り返し出していくということも1つかと思います。もちろん、Xについてもアカウントを持っておりますので、そちらでも発信してまいりたいと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
ほかにもあるのであれば、やっぱりほかの断層帯に応じた形の地域があるのであれば、しっかりとそういう可能性のあるところ、あんまり大きくその地域がどうこうというのは言うのは言いにくいのかもしれませんけど、やっぱり避難訓練というのは非常に大事でございますし、特に今回でも本当に人が遮断されて立ち寄れんかったということがありましたので、特に今のお話でありますように、いわゆる防災ヘリとかでの救助が主になってくるのかなと──滋賀県ではですけどね──思いますし、さらに湖上交通が大変重要になるのではないかなと思っております。ぜひともそういうふうな体制をしいていただいて、訓練をしっかりしていただいて、いわゆる被災されていつまでも救助を待っている方ならびにその後の震災関連死も含めまして、やっぱり亡くなる方がないような体制を組んでいただきますようお願い申し上げたいと思います。
簡単ではございますが、これで終わらせていただきたいと思います。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、27番周防清二議員の質問を終了いたします。
次に、15番河井昭成議員の発言を許します。
◆15番(河井昭成議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
最初の項目は、道路交通状況の変化への対応について、一問一答方式で質問をいたします。
まず、リバーシブルレーンの運用取りやめの試行の状況についてお伺いをいたします。
県道高島大津線には、大津市内の柳ケ崎から浜大津の間で、渋滞緩和のために時間帯によって中央線の位置が変わる中央線変位、いわゆるリバーシブルレーンが導入をされています。しかし、湖西道路などのバイパスが整備されて交通量が減ったことなどから、本年1月23日午前5時以降、リバーシブルレーンの運用を取りやめる試行が行われています。尾花川交差点から北側の区間は、北向きが2車線、南向きが1車線に、尾花川交差点から南側の区間は、北向きが1車線、南向きが2車線に固定化され、道路のオレンジや白の中央線を引き直して対応がなされています。今後、半年間は試行期間として、警察が周辺の交通状況などを検証するとされています。
試行を始めてからまだ1か月程度というタイミングではありますが、これまでに道路の利用者や交通事業者、地域の方などから少なからず声をいただいており、まずこの件についてお伺いをいたします。
初めに、中央線変移──リバーシブルレーンの運用を取りやめた後の県道高島大津線の交通状況について、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 15番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)お答えいたします。
中央線変移規制、いわゆるリバーシブルレーンの運用を停止した区間内におきましては、中央線部分に黄色標示を追加し、また、交差点付近に進路を示す矢印標示を追加するなどしたことで、運転者が自身の走行車線を明確に認識できるようになり、逆走による交通事故等の防止につながっているものと認識をしており、これまで人身事故の発生は認められない状況であります。
運用を停止した後の渋滞につきましては、例えば、最も交通量が多い平日の午前7時から午前9時の時間帯において、南進、南方向への渋滞長が約26パーセント長くなる状況が認められますものの、平日のその他の時間帯の渋滞は緩和されております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)平日の朝方の混雑は少し想定よりも悪化した。ただ、この道路、もともと渋滞がある道路でして、そこから悪化したかなので、もともと渋滞がないところが渋滞になったとかいうわけではないということはちょっと改めて指摘をしておきたいと思います。
2車線と1車線を切り替えるポイントは尾花川交差点とされていますが、これはシミュレーションを行って検討した結果を踏まえてと説明をいただいております。これまでの試行の状況は、おおむねこのシミュレーション、予測どおりなのか、このシミュレーションの結果と比較について、警察本部長に見解をお伺いいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
試行開始後の平均渋滞長につきましては、シミュレーションでは、南進は渋滞が今までよりも長くなり、北進は渋滞が今までよりも短くなるという予測をされておりました。実際の試行開始後の平均渋滞長は、これまでのところ、おおむね予測どおりの結果となりましたが、平日の南進は、1日全体で見ると予測とは異なり、渋滞が短くなるという結果となったところであります。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)渋滞が長くなると、この道路を通らず、別のルートを選ぶという運転者も少なからずおられることが想定をされます。県道高島大津線の山側には、長等小学校、皇子山中学校、大津商業高校と学校が立地をしてございます。朝の時間帯、この時間帯が混雑をしている、渋滞をしているということですが、この時間帯は通学時間でもあります。また、この辺りは道路幅が狭いところもあり、注意が必要であると言えます。
リバーシブルレーンの運用を取りやめた後の県道高島大津線の周辺道路への影響について、警察本部長にお伺いいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
試行開始後は、以前は混んでいなかった道まで渋滞し迷惑をしているといった意見を受理しておりますので、渋滞を避けようとする一部の車両が周辺道路へ迂回している可能性はあると考えられます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)道路の利用者からは、浜大津方面に向かう際、朝の時間帯は以前よりも時間がかかるようになった、時間が読めないなどの声を耳にしております。特に路線バスへの影響が気になります。このリバーシブルレーンの運用を取りやめて車線を固定化した後の路線バスへの影響など、交通の状況について、警察本部長の見解をお伺いいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
路線バスを運行している民間事業者によりますと、午前7時台から9時台までに当該区間を通行する堅田駅発のバスが終点である県庁前または大津駅に到着する時刻につきましては、今回の試行開始直前の平日5日間の平均が約7分間遅延であったところが、試行開始後、2月第2週の平日5日間の平均につきまして約10分の遅延になったと聞いておるところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)朝はリバーシブルレーンの運用をやめ、車線を固定化した後、浜大津に向かう南向きはリバーシブルレーンで運営をしていたときに渋滞がひどくなっているという状況が分かっています。こちらは何らかの改善が図れないかと考えるところですが、この現状のまま試行を続けるのか、今後の試行の進め方について、警察本部長に見解を伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
現地の交通状況を確認しながら信号周期の調整を行いまして渋滞の緩和を図っているところでありますが、今後も渋滞の緩和を図りながら試行実施を続けてまいる方針でございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)この道路はもともと渋滞があって、湖西のほうから浜大津のほうに向かって移動する車、非常に時間がかかる、読みにくい場所となっています。平均でお答えいただいていますが、一番混んでいるときはかなり時間がかかるような道路でもあります。そもそもの交通量に対して道路の交通断面が足りていないというところなので、ここの改善が根本的な改善なのかなと。警察が今、一生懸命様々な知見を使いながら改善を試みていただいていますけども、本質的には県道高島大津線を片側2車線の道路に整備することであると考えます。県道高島大津線の浜大津周辺の道路改善の取組状況について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
浜大津周辺の県道高島大津線は、道路整備アクションプログラム2023におきまして、茶が崎から大津港口までの区間を着手時期検討路線に位置づけたところでございます。
今年度は、道路の概略設計を進めておりまして、交通量を調査し、その結果を踏まえまして、車道、歩道、自転車通行帯等の幅員構成や道路の中心線の位置等につきまして検討を始めたところでございます。
本区間の沿道には既に建物も林立しておりますことから、今後は、その道路拡幅による市街地への影響など、事業実施に当たっての課題についても整理してまいるということでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)この県道高島大津線、湖西、高島から浜大津に向かってくる大事な道路になります。ここが渋滞をしていると、経済的だったりとか、人の時間だったりとか、また環境にもあまりよろしくないという状況ですので、せっかくアクションプログラムに盛り込んでいただいております。早急な対応が求められると思います。急いでやることは効果が高いと思いますが、今、やっと検討に着手されたとこですけども、スピードアップして取り組むことについて、
土木交通部長に見解をお伺いいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えをいたします。
今後は、鋭意設計を進めまして、その後、測量、調査、関係者との協議を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)では、次に、大津市由美浜の大津湖岸なぎさ公園市民プラザに菓子製造販売の老舗たねやが大規模店を開く予定となっていますが、この集客施設の開業が周辺の交通状況に与える影響についてお伺いをいたします。
このたねやの新規大規模店のオープンは2025年春の予定とされていて、近江大橋そばの湖岸にある2万7,800平方メートルの土地に整備されることになっております。民間資金で公園を整備するPark-PFI事業を活用、たねやが公募に応じ、大津市は2022年7月に事業者をたねやに決定、2023年3月に施設整備計画を認定をしています。
2015年にたねやがオープンした近江八幡市にある旗艦店ラコリーナ近江八幡は、県内の随一の集客施設で、2021年まで6年連続トップになるなど、年間約300万人が訪れる人気スポットとなっています。また、大津市は、たねやが開く新店舗について、来年度以降に大津港までの航路延伸を目指す琵琶湖疏水船などとともに、にぎわい創出につながることを期待するとしています。
新店舗には多くの人が訪れると予想されますが、一方で、この周辺は現状でも朝夕のみならず渋滞が発生する場所でもあります。このたねやの新規店舗のオープンが周辺の道路に影響することが懸念されます。
そこで、大津市由美浜にオープンする集客施設であるたねやには、どの程度の人が訪れ、どのような手段でアクセスすると想定をしているのか、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
大津市由美浜にオープン予定のたねやの新店舗につきまして、その集客等に関するデータを県では持ち合わせていないところでございます。公表されているデータや県内の他の商業施設の状況から勘案いたしますと、一定の集客が見込まれ、車での来場が主となるものと考えられるところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)あまり詳しいことが分かっていないということなんですが、でも、これ、にぎわい創出につながることを期待される集客の施設になります。
近江八幡のラコリーナ、ここから推察すると、敷地面積が大体4分の1から5分の1ぐらいなります。年間の来場者キャパとして5分の1ぐらいかなと想定をすると、60万人ぐらいの方が訪れる施設になるんじゃないか、なんていうことが想定はされるわけですけども、正確には分からないと。ただ、このぐらいの人が来ないとにぎわい創出にはならないわけで、ならば一定、人が集められる、期待されている施設ですので、そこに備えておかなければならないのではないかと考え、次の質問です。
現状でも由美浜の交差点から近江大橋西詰の交差点周辺は交通渋滞箇所であるのは皆さん周知のとおりです。たねやの新規店のオープンが県道大津草津線をはじめとする周辺道路の交通状況に与える影響をどのように見ているのか、警察本部長にお伺いいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
近江大橋周辺道路におきましては、現在でも渋滞の発生が認められるところ、新規店舗の予定地は湖岸に位置し、出入りする動線が少ない状況にありますことから、今後、集客力の高い商業施設が出店し、周辺道路の車両や歩行者の交通量が増加した場合には、渋滞等がさらに発生する可能性があると考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)この場所の交通量の多さから、たねやのこの新規店へのアクセスについては、できる限り公共交通でという取組が必要ではないかと考えます。また、このエリアの特性を生かしてというならば、湖上交通の利用も計画できるのではないかと考えます。自転車の利用は想定しておられるようですが、いずれにしても、周辺道路への影響を想定して交通渋滞や道路の安全への対応が必要だと考えます。
そこで、県道大津草津線、近江大橋西詰から由美浜交差点エリアの周辺道路への影響を想定して交通渋滞の対策が必要だと考えておりますが、これについて
土木交通部長の見解をお伺いいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
集客施設の設置に伴う周辺道路への影響や、それに伴い講ずべき対策等につきましては、たねやを大津湖岸なぎさ公園に誘致いたしました大津市が、管轄する大津土木事務所や警察に対して協議をされているところでございます。
県といたしましては、施設がオープンした後も、周辺道路の円滑な交通が確保されますよう、必要な対策を求めますとともに、適宜助言等を行ってまいりたいというふうに考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)地域の皆さんも期待されている一方で、このエリア、従来から渋滞が多くて、交通への心配というのは非常に声をいただいているところであります。にもかかわらず、この場所は道路改良がなかなか難しい場所だとも理解をしています。なので、冒頭申し上げましたとおり、様々に安全の対策だったり、この後、今でも混んでますので、渋滞の解消に資するような取組を検討していただくということだったんですけども、道路整備マスタープランにも、施策にマイカーに頼り過ぎないための道路整備などということも掲げていただいておりますので、ここについて言うならば、周辺の公共交通を利用しやすい環境の整備なども土木交通部として考えていただいて、提言をいただくというのが必要なのではないかと考えております。
土木交通部長の見解をお伺いいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
今議員御指摘の視点も含めまして協議を行ってまいりたい、適宜助言等も行ってまいりたいというふうに思っております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)こちらもまだこれからなので、ぜひとも取組をしっかりと行っていただければと思います。
この項目でもう1点、石山駅北側にあった半導体工場跡に3棟1,000戸のマンション建設が予定をされておりますが、この大規模なマンション開発が周辺の交通に与える影響への対応についてお伺いをいたします。
既に工場の解体は終了し、ほぼ更地となったところです。徐々に開発工事は進んでいますが、大きい開発にもかかわらず、情報が少なく、周囲への様々な影響を懸念する声が地域にはあります。多くの人が住み、多くの人が動くため、周辺の道路交通に与える影響もその一つです。
現状でもJRと京阪の石山駅があり、また、バスの乗入れなどで人が多い、JRを挟んだ反対側には国道1号線が通り車の交通量も多い、横を瀬田川が流れているという地形もあって朝夕は特に周辺道路が渋滞するという状況にありますが、1,000戸のマンションが完成すると、1,000戸の住居がある一つのまちが出来上がることになります。
石山駅北側の工場跡地へのマンション開発が周辺道路に与える影響について、警察本部長の見解を伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
現段階では、入居者の年代や家族構成、車両の保有状況等が不明ではあるものの、定住人口等の増加により周辺道路の車両や歩行者の交通量が増加し、渋滞等が発生する可能性はあるものと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)駅に非常に近いところの開発になるわけですけども、石山駅への人の流れ、また、小学生、中学生の通学などもあります。特に小学生は近隣の晴嵐小学校に通うことになると思いますが、石山駅を越えて国道1号線を渡って登校するというようなことになります。通学通勤時などの人の動きを想定して周辺道路の歩行者への安全対策が必要と考えますが、警察本部長の見解をお伺いいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
警察といたしましては、周辺地域も含めて車両や歩行者の交通量が増加することを想定し、道路管理者とも連携を密にして、周辺道路の信号周期の調整や通学路等の必要な箇所への横断歩道設置などの各種対策を検討し、交通の安全と円滑の確保に努めてまいりたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)この石山駅周辺の湖岸道路、唐橋西詰交差点などは現状でも渋滞をしています。今後の開発を踏まえても改善が求められると考えます。石山駅周辺の県道について、今後の交通状況の変化への対応が必要と考えますが、
土木交通部長に見解をお伺いいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
大規模マンションの建設による周辺の県道への車や歩行者の交通量の変化を注視しつつ、影響が認められる場合には、交通管理者とも協力をしながら、道路管理者として必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)この質問をするに当たって部局の皆様とやり取りをさせていただいたときに感じたことなんですけども、なかなか直接的に接していない道路の対応はし難いというふうな反応が返ってくるわけです。とはいいながら、大きな人の動きができたり、多くの人が住む場所が割と狭い上にどんと出来上がることになって、影響がないわけでは決してないはずなんです。すぐ直近のところは想像がしやすいんですけども、少し離れたところにも影響を及ぼすことがある。それは、広域の道路である県道、こういうところが、もともと混んでいるところでもありますし、そこにさらに影響を与えるのではないかみたいなことまでなかなか想定が及ばないというか、できていないような感じがします。ぜひとも今までよりも広く影響を見ていただきたい。特にこの石山駅の周りというのは、交通の量が多いですし、ハブにもなっていますので、公共交通への影響も大きい。ぜひとも幅広く、今までよりもちょっとエリアを広げてこの影響を見ていただくような観点を持っていただきたいと思いますが、
土木交通部長の見解をお伺いをします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
影響の範囲というのは、このような大規模な開発等があった場合には、狭い範囲、あるいはもっと広範囲と、いろんな観点で交通への影響を見る必要があると考えておりますので、そういう観点も踏まえまして、影響を見極めて必要な対策を取っていきたいというふうに思っております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)では、次の質問に移ります。
点群データの活用について、これは
分割質問方式で伺います。
点群データとは、レーザースキャナーなどによる3次元測量によって得られた3次元座標を持った点の集合です。1つ1つの点は、3次元の位置情報、地面の情報ですと緯度、経度、高さ、数学的に言うとXYZになります。これを含んでおり、デジタルカメラを併用して取得した点群には色情報を追加することもできます。このデータを使うと、地形や建物などの地物の形状を実物と極めて近いコンピューターグラフィックスなどで表すことが可能となります。
点群データの使われたものについて一例を挙げるならば、安土城の復元プロジェクトで作成された安土城跡全体の赤色立体地図を記憶されている方もおられると思いますが、この立体地図も点群データから作られたものです。
点群データは、都市計画やインフラなどの維持管理のほか、災害対策、自然環境のモニタリングや観光など幅広い分野での活用が期待をされています。点群データの整備や、それを活用した取組は、各自治体で進んでおりますが、東京都、静岡県などは、活用にとどまらず、点群データのオープンデータ化が進んでいます。この2月からは大阪府でもオープンデータ化が始まったところと認識をしております。
そこで、これらを踏まえて、点群データの活用について3点、全て総合企画部長にお伺いをいたします。
滋賀県においても、各部局において点群データの活用が進んでいると認識しておりますが、滋賀県における点群データの活用の現状について伺います。
次に、行政が保有する点群データを民間に開放するならば、どのような効果があると考えるのか、行政が保有する点群データの民間での活用について見解を伺います。
他都府県では既に取り組まれている事例のある、滋賀県が保有する点群データのオープンデータ化について、滋賀県も進めてはと考えますが、見解をお伺いをいたします。
◎総合企画部長(浅見裕見子) (登壇)点群データの活用について、3点の御質問にお答えいたします。
1点目の活用の現状についてでございます。
本県では、国土交通省が公開をしている地盤高データや、各部局が活用目的に応じて取得している地盤高データを、点群データとして利用をしているところでございます。例えば、文化スポーツ部では、議員御紹介の幻の安土城復元プロジェクトでの詳細な地形測量図の作成、琵琶湖環境部では、地形および森林資源情報の把握、土木交通部では、土砂災害危険箇所や既存盛土箇所の選定に活用しているところでございます。
2点目の民間での活用についてでございます。
点群データは、民間事業者において、送電線に近接する樹木の保安伐採や、太陽光発電におけるソーラーパネル設備建設の立地検討などで利用されていると承知をしております。
また、静岡県では、インターネット上で点群データをオープンデータとして公開をし、自由に使えるようにしており、民間事業者が、そのデータを活用して、地形や構造物などを再現したバーチャル観光ガイドの提供などもされているところでございます。
このように、点群データを用いれば、対象の位置や大きさを正確に把握することができることから、詳細なシミュレーションも可能であり、車両の自動運転など、様々な分野で新しい技術やサービスが生まれることも期待できると考えております。
3点目のオープンデータ化についてでございます。
県では、これまで、行政経営方針に基づきオープンデータ化を推進しており、県ホームページ内に専用のコーナーを設けて、各データの掲載ページへのリンクを一覧で御案内しているところでございます。
各部局が保有する点群データのオープンデータ化につきましても、他の自治体の先行事例を参考に、データに含まれる個人や事業者等に関わる情報の扱いにも留意をしつつ、例えば、一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運営をし、全国の地理空間情報を提供しているG空間情報センターを活用した公開について検討してまいりたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)ありがとうございます。前向きに答弁をいただいたと理解をいたしております。
民間での活用は、民間で使ってもらうと何が生まれてくるか分からないところが面白いのでして、ぜひともこういうデータを民間での活用に資するように、こういうデータを取ろうと思うと、必要な機材が一定費用がかかってというものなんですけども、このデータが自由に使えるようになれば、その辺を飛ばして次のステップに進めるということにもつながると思います。ぜひとも滋賀県の中で新しい技術やサービスが生まれることを期待できると思うので、オープンデータ化に積極的に取り組んでいただきたいなと。
そこで、ここから検討されるということなんですけども、他都市ではもう既に事例がありますので、そんなに検討の時間も要らないかなと思っております。どのぐらいを目途にとかいうめどを持ちながら取り組まれて、目標を早期に達成していただけたらと思うんですけども、スケジュール感を含めて総合企画部長にお伺いをしたいと思います。
◎総合企画部長(浅見裕見子) お答えいたします。
先ほどお答えをいたしましたとおり、点群データの中には個人や事業者等に関わる情報が含まれておりますことから、その取扱いや対応について、先行事例などを参考に検討してまいりたいと考えております。
こうしたことから、関係部局と調整を図りながら、できるだけ早期にオープンデータ化できるように努めてまいりたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、15番河井昭成議員の質問を終了いたします。
次に、23番重田剛議員の発言を許します。
◆23番(重田剛議員) (登壇、拍手)まず、元旦に発生しました能登半島地震によりお亡くなりになられた方や被災された方々に衷心よりお悔やみとお見舞い申し上げます。
発災直後に現場に駆けつけて実際にし尿処理に当たってくださった方とお話をしている中で、本県でも想定し、準備をしておかなければならないことがたくさんあると改めて思いました。その中でも、特に命の根幹に関わる水と、し尿処理を中心に知事に質問をいたします。
まず初めに、衣食等や生活物資について伺います。
1日1人当たり飲料水や食料はどれぐらい必要か、知事に伺います。
○議長(奥村芳正) 23番重田剛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
食料については、主食となるレトルト食品、アルファ化米、パンを1日3食分、飲料水については1人1日当たり約3リットルが必要だと考えているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、それを県や各市町はどれくらい準備をしているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 地域防災計画では、県が1日分を、市町は各家庭や自治会、自主防災組織と一体となって2日分を備蓄することとしているということでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、衣類、毛布、おむつ、トイレットペーパーなどの生活物資はどれぐらい準備をしているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 生活物資につきましても、県と市町で分担して備蓄しており、県では、1日分に相当する量の毛布、紙おむつ、マスク、生理用品は備蓄により備え、衣服や日用品等につきましては、民間事業者との協定に基づく流通備蓄により備えて、いざというときに届けていただく備蓄として備えているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)県や各市町で災害が起こった場合の想定する人数を知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 平成26年──2014年3月に見直しました地震被害想定では、県において最大の被害が想定されている琵琶湖西岸断層帯地震の発災直後3日間の避難所生活者数である約10万人を想定しているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)大体人口の8%ぐらいは見なあかんとかおっしゃっているので、140万からいくとそれぐらいかなと思います。
それでは、供給する体制はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 供給に当たりましては、県倉庫協会と県トラック協会との協定に基づき、輸送調整所を開設し、対応することとしているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)障害者、乳幼児、高齢者、患者、精神疾患者などの弱者と呼ばれる要配慮者への対応については、どのような対応をするのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) いろんな状況の方がいらっしゃると思うんですけれども、幾つか例を申し上げますと、県では、配慮を要する避難者がおられることも想定いたしまして、アレルギーやハラールに対応した食品、乳幼児用や介護用の紙おむつなどを備蓄しております。
今後、能登半島地震における被災者ニーズも踏まえ、高齢者や障害者も食べやすいゼリーの備蓄も予定しているとのことでございます。
また、食品につきましては、外国人にも安心して食べていただけるよう、原材料の表記について、多言語対応するなどの配慮を行っているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)今のゼリーなんかは珍しいと思いますね。
それでは、自衛隊、消防、警察、各行政職員、医師などの援助者への供給対応はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 一般的に、議員も御案内のとおり、災害時の応援につきましては、被災地の負担にならないよう、応援する側が必要な生活物資を持ち込んで、自己完結で活動していただいております。本県が被災した場合におきましても、派遣元により必要物資を持ち込んでいただいて対応していただくことになると思います。
◆23番(重田剛議員) (登壇)ということなんですね。
次に、避難施設と居住等の生活について伺います。
盗難、精神的ストレスもあり、一部崩壊家屋、車内、ビニールハウスでの生活をしておられる被災者がおられます。ビニールハウスの人は随分とメディアに取り上げられていましたけど。その中で、まず、県や各市町は、避難施設について、どのような基準で避難することを指示するのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 住民への避難指示につきましては、災害対策基本法により原則として市町村長が行うこととされております。
その判断基準は、各市町において、被災の状況や今後の気象見込み等を総合的に勘案し、住民の生命、身体を保護するべき状況にあるかを基準とされているところでございます。
また、市や町がその事務を行うことができなくなったときは、県が代わって実施することとなっており、その判断基準は先ほど申し上げた内容と同様のものとなっております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)県や各市町は、避難施設で生活する場所、スペース、広さ、これは何か基準があるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 避難所の設置運営主体となる市、また町において、それぞれの判断の下、1人当たり2平方メートルから3.3平方メートル程度を目安として避難所の確保に努められているとのことでございます。
また、県といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策のための避難所運営ガイドラインにおきまして、感染症のまん延を防止するため、1世帯当たり12平方メートルの広さを推奨しているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)今、知事の答弁にございましたように、コロナを経て見直されたときに、そういうスペースのこともしっかり数字でつくってくださっていると思っております。
それでは、県や市町は、災害を受けた直後の家屋について、余震等による2次災害防止のためにどのような指導を行うのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 地震により被災した建築物は、その後の余震により、瓦や外壁が落下したり、倒壊がさらに進行するなど、人命に危険を及ぼすおそれがございます。そのため、被災後直ちに被災建築物応急危険度判定士による調査を実施いたしまして、その結果を当該建築物の出入口等の見やすい場所に明示し、居住者のみならず付近の通行者に対しても危険性を周知することで、二次災害の防止を図っているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、障害者、乳幼児、高齢者、患者、精神疾患者等の弱者、要配慮者の避難や避難場所の対応はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 市や町におきまして、要配慮者の避難につきましては、個別避難計画の作成、また、避難場所については福祉避難所の確保に向けた取組を進めていただいております。
県は、今年度から市や町を直接訪問し、課題等を聞き取りながら、必要な情報提供や助言を行う伴走型支援を実施しているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)今回の能登半島地震では、福祉避難所に指定されていたところが損壊して利用できなかったところがたくさんございましたので、1か所だけではなく、やっぱりこれは数か所用意しておく必要があるかなと思いました。
今後、弱者対応について、どのような体制で対応していくのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 市や町では、個別避難計画の作成や福祉避難所の確保を進めていただいておりますが、防災部局と福祉部局の連携不足や福祉避難所となる施設との調整などに課題があると聞いております。
また、今回の能登半島地震においては、施設の職員が被災され、福祉避難所が開設できないといった課題も明らかになっております。
今後、こうした課題を検証いたしまして、支援者や当事者団体等で構成する災害時要配慮者支援ネットワーク会議で意見交換を行い、安心して避難できる個別避難計画の作成や福祉避難所の確保について、市や町と共に検討してまいりたいと存じます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)一般の方たちと同じようにはなかなか避難できない配慮の要る方々ですので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、現在指定されているところも含めて、今後、避難場所となり得る県内の体育館のエアコンの設置率はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 例えば、避難所として指定されるケースが多く見られる市町立小中学校の体育館でございますが、こちらで空調を設置されているのは、ちょっと前のデータ、令和4年9月1日現在で1か所のみとなっております。
なお、スポットクーラーを配備されている体育館もあり、それを含めますと設置率は約10%になるとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)ほぼ皆無に近い状態でございますね。
それでは、エアコンのこれからの整備計画はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 全部私に聞かれても分かりかねるところもあるんですけれども、空調設備の設置を含めた避難所の環境整備につきましては、避難者の収容人数や地域の特性、施設の特徴等を踏まえ、避難所の指定を行う市や町において、施設管理者との協議の上、検討されるものであります。
御質問のエアコンの整備計画につきましては、防災の視点のみでのものは持ち合わせておりません。各施設における平時の利用状況や特性との兼ね合いの中で、検討されることが適当ではないかと考えているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)知事ばっかりで申し訳ございません。知事が好きでございますんで辛抱してください。
冬の寒さ対策や近年の異常な夏の暑さを考えると、県内の体育館のエアコンの整備をされているところが全くございませんので、これはもう早急に進めていただくように要望しておきたいと思います。さきの選挙で当選された大津の佐藤市長は、今期は体育館のエアコンを整備していきたいと、やはりこれだけ災害も多くて避難所として使うのもあるし、それから夏場の暑さ対策もございますので、ぜひともお願いいたします。
それでは、次に、インフラ関係について伺います。
まず、道路について伺います。
地震や津波で土砂崩れ、地盤沈下による段差、道路の崩壊、家屋の崩壊、液状化による下水道マンホールの隆起、停電等による信号機停止、道路の寸断等の交通障害で、救助、援助、支援が大幅に遅れて、助けられる命もあったように聞いております。また、道路の寸断により集落の孤立も発生していたことは皆さん御承知のことでございます。
さて、本県に大地震が発生した場合、道路はどのような状況になると想定しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) これも、平成26年3月に見直した滋賀県地震被害想定におきましては、南海トラフ地震や琵琶湖西岸断層帯地震などの大規模地震が発生した際には、液状化や山間部での崖崩れ、盛土崩壊などにより道路被害が多数発生いたしまして、多くの箇所で通行不能になることが予想され、救助、救援や物資の輸送などに大きな影響が出るものと想定されているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)さきの我が会派の加藤議員の代表質問や、先ほどの周防議員の質問でもございましたが、孤立集落の発生も想定するという答弁をいただきましたが、再度、孤立する集落が発生する可能性はあるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 滋賀県地震被害想定では、これは一例でございますが、琵琶湖西岸断層帯地震の場合は大津、高島の山間部、また、鈴鹿西縁断層帯地震の場合は東近江、湖東地域の山間部など、震源に近い山間部で孤立集落が発生することを想定しなければならないと考えております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)対応として想定している状況で、どのような準備をしているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 地震の発生を想定し、道路の被害状況や孤立集落発生の有無を確認するため、道路パトロールや防災ヘリ等により情報収集を行う訓練を毎年行っております。
また、能登半島地震では、道路の寸断により多くの孤立集落が発生し、その解消に長期間を要したことから、来年度は、中山間地の孤立集落までのルートを速やかに確保する県独自の道路啓開計画を市町と連携して策定いたしますとともに、その計画に基づく実動訓練も実施したいと考えております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)大規模地震時の通行確保計画が本県ではまだ策定されておらず、1月31日に国土交通省滋賀国道事務所や県、陸上自衛隊などの担当者が出席して、道路啓開計画づくりに向けた初会合が開かれたと報道されていましたが、その内容と今後の予定を知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 去る1月31日に開催された滋賀県域の道路啓開計画を策定するワーキンググループ、こちらでの初会合では、琵琶湖西岸断層帯地震をモデルケースとして、高速道路や、国、県管理の広域的な幹線道路を活用した啓開ルートの選定や、関係機関相互の連絡手段の確保、啓開作業の手順等、具体的な道路啓開計画の策定を進めていくことが確認されたところでございます。
今後は、国土交通省近畿地方整備局や陸上自衛隊、建設業協会等のワーキンググループ構成機関と緊密に連携いたしまして、一日も早い啓開計画の策定に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)これはぜひともお願いしたいと思います。滋賀の場合は、地形的に琵琶湖に注ぐ河川がたくさんあって、橋梁がたくさんございますので、大至急お願いしたいと思います。
私がお話ししている中で、今回の支援で思ったこととして話されたのが、道路の亀裂による車のパンク、実際にバキュームカーがパンクしたそうです。それと、渋滞による支援の遅れ、片道100キロ程度の場所に行くために片道5時間程度かかったと。それから、水が出ないために大便器は使用不可能。男性の小便器があるトイレはたまたま浄化槽であったので使用はできた。しかし、女性トイレはほぼ使用不可能な状況であったと思います。道中でのトイレ使用は厳しい環境であった。液状化と停電による信号機の停止。それから、積雪による道路状況の確認が厳しかったと。土砂崩れ、道路一部崩壊している場所で片側通行をしており、雨などで二次被害が起きそうな場所も多々あったと。その通行止めの判断が非常に難しいと写真を見せていただきながら語ってくださいました。
それでは、道路、琵琶湖、空のあらゆる手段を活用して、いかに早く救助、援助、支援体制をする必要があると考えますが、シミュレーション等は考えているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 災害発生時には、迅速な救助活動等を行うため、県災害対策本部に道路の被災情報を集約いたしまして、通行可能なルートを自衛隊やトラック協会等の関係機関に共有することとしております。
能登半島地震では、道路網の寸断により、今も御紹介いただいたように救助支援活動に支障があったとのことでございますので、今後は、さきに申し上げました道路啓開計画の策定のほか、
広域湖上輸送拠点や船舶などを再調査いたしまして、湖上輸送能力の検証も行うこととしております。
これらの取組の実効性を高めるため、策定した計画や実施した調査結果を基に実動訓練等も行いまして、災害時の救助、また支援体制を強化してまいりたいと考えております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)次に、水道について伺います。
今回の能登半島地震では、地盤沈下、道路亀裂、液状化等で水道管が破断、浄水施設の一部損壊等で水道供給が長期間復旧しておらず、健康、公衆衛生、住環境に多大な支障を来しました。命の根幹に関わることであります。
それでは、水は1日1人当たりどのくらい使用しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 厚生労働省から出されているデータによりますと、家庭内で1日に使用する水量は1人当たり約230リットルとなっているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、県や各市町はどのように生活水の確保をするのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 飲料水につきましては、緊急的な対応が必要なことから、市や町におきまして、ペットボトルの備蓄水を確保いただいているところでございます。
また、県内の水道事業体では、常に応急給水が行える体制を整えておりまして、さらに県内での対応が困難な場合は、日本水道協会を通じて、他府県の水道事業体から応援をしていただく体制が確保されているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)県や各市町の水道の管路の耐震化はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県内の水道事業体において耐震化等を進めているところでございますが、令和3年度末時点で、基幹管路の耐震適合率は31.9%、全国平均が41.2%でございますので、若干下回っている状況ということでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、県や各市町の浄水施設の耐震化はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県内の水道事業体におきまして、浄水場の耐震化等も進めていただいているところでございますが、こちらも令和3年度末時点、浄水施設の耐震化率は33.6%、全国平均が39.2%、こちらも下回っている状況ということでございます。
なお、企業庁の吉川浄水場において、大規模地震に備えて設計された新浄水施設が今年度末に完成予定ということでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)吉川は、私も工事中のところを見せていただきましたけども、非常にすばらしいと思います。
それでは、今後どのように耐震化を進めていくのか。知事に伺います。
◎知事(三日月大造) まず、着実に県各水道事業体で耐震化の工事をまず進めていくということといたします。
そして、県としては、各事業体の実情に応じて耐震化を進めていただけるよう、他事業体の事例の紹介や管材の最新情報等について研修も実施しておりますので、これからも続けていきたいと思います。
また、こういった耐震化計画等による耐震化を進めるに当たりましては、各事業体から国庫補助制度の拡充を求めるお声もお聞きしており、引き続きこういったことを国に対し要望を行ってまいりたいと存じます。
今後もどうしたら耐震化をより進めることができるのか、各水道事業体からの御意見も聴きながら、県としてどのようなことが必要なのか考えてまいりたいと存じます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)耐震化をしっかり進めていっていただきながら、先ほど知事の答弁の応急給水じゃないですけど、給水車の確保もしっかりしていただくようにお願いいたしたいと思います。
それでは、次に生活排水について伺います。
今回の能登半島地震では、地盤沈下、道路亀裂、液状化等で下水道マンホールの隆起、下水道管路破損、下水管の逆勾配、下水道内土砂流入等での使用停止、また、下水道施設、し尿処理施設等の一部損壊等、水道使用ができないことで、水道と同様で健康、公衆衛生、住環境に多大な支障を来し、これもまた命の根幹に関わることであります。また、万が一にも琵琶湖に汚水が流入すると、感染症も含め多大な影響被害が発生する可能性があり、大変危惧いたします。
し尿の1日1人当たりの排出量はどれくらい想定しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) し尿の1日1人当たりの排出量につきましては、滋賀県災害廃棄物処理計画では1.4リットルとしておりますが、そんなに少ないかということで、国が示す数値を参考に、現在、2.5リットルで見直しを進めているところでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)それでは、生活排水の1日1人当たりの排出量はどれくらい想定しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 炊事や風呂、洗濯、トイレなどの家庭から排水される汚水量につきましては、平常時は1日1人当たり約250リットル程度を想定しているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)県や各市町は、し尿収集をどのような基準で処理対応することを想定しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 市や町は、避難者数等に基づきまして、し尿の発生量を推計し、必要な人員、車両等を確保した上で収集および処理を行うこととなります。
県は、市町が行うし尿の収集および処理の実施状況を把握し、被災市町だけで処理が困難な場合は、支援が可能な市町や廃棄物関係団体等に支援要請を行います。また、県内調整で困難な場合は、国等を通じて、広域調整を行うこととしております。
なお、去る2月9日に、今回の地震の教訓を踏まえた意見交換会を国、県、市町、関係団体等と実施しておりまして、相互支援に関する手引きを作成することで実効性を確保してまいりたいと考えております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)仮設トイレの設置基数の少なさ、し尿収集の遅さ、仮設トイレ環境、それから、携帯トイレ等で安心して用を足すことができない、エコノミー症候群、精神的ストレス等で健康被害がある等、現地に入った方が話されておられました。私は、下水道の普及により、くみ取りというか、バキュームカーの台数がもう近年極端に少なくなっていることも非常に問題であると思います。やはり給水車同様、バキュームカーの確保がこれから必要になってくると考えております。
それでは、県や各市町は、生活排水はどのように処理対応することを想定しているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 下水管やマンホールが被災して流下能力が確保できなくなった場合は、それぞれの自治体が備蓄しているポンプなどの資材を用いて排水を行うこととなります。
被災自治体だけで処理が困難な場合は、県と市町が下水道関係団体と締結しております災害支援協定などに基づきまして、早期復旧に向けて対応することとなります。
◆23番(重田剛議員) (登壇)本県や各市町で災害が起こった場合の、先ほどの自衛隊、消防、警察、各行政職員、医師等の援助者のし尿処理対応の想定はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 自衛隊の方々は慣れていらっしゃるところもあるんですけど、一般的に災害時の応援に行った方々は、被災地に負担をかけないということのために、必要となる携帯トイレなどの資材を持ち込み、それら出たし尿等のものも持ち帰る対応をされており、本県が被災した場合についても同様の対応になるものと認識しております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)なかなか大変なことですよね。これは1週間ぐらい行かれるので、1週間分持って帰ってこられるということになるんですよね。
それでは、県や各市町の下水道管路や下水道施設、し尿処理場の耐震化はどのようになっているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 下水道の管路について、県は100%、市町は約46%が耐震基準を満たしているとのことでございます。
下水道施設について、県は24施設のうち10の施設が、市町では26施設のうち19の施設が基準を満たしているとのことでございます。基準を満たさない施設については、設備更新に合わせて、随時耐震化を進めております。
市や町および一部事務組合が管理するし尿処理施設につきましては、8施設のうち5施設が耐震基準を満たしております。なお、基準を満たしていない3施設のうち、1つの施設は建て替え中、1つの施設は今年度、耐震化工事を行っているとのことでございます。
◆23番(重田剛議員) (登壇)汚水が琵琶湖に流入した場合の想定はしているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) まずは流入しないように、下水道施設が被災した場合は、琵琶湖流域下水道BCP、──これは業務継続計画──に従って下水道機能の復旧に努めることとしております。とはいえ、出る分があるでしょうから、それは次の御質問でお尋ねいただくことになると思います。
◆23番(重田剛議員) (登壇)その場合、今後どのような体制で対応するのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、基本的には汚水が流出しないように耐震化を進めていくと、また、BCPに基づく対応、これに遺漏がないようにハード、ソフト両面で対応するということでございますが、万が一、汚水が琵琶湖へ流出してしまった場合は、漁業や水道などへの影響も懸念されますため、下水処理施設等では既に構築しております関係者との協力、連絡体制を適時適切に運用し、できるだけ迅速な対応につなげてまいりたいと考えております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)想定外のことが起きますので、あってはならんのですけど、液状化もあるかも分かりませんので、やっぱりこれも想定して考えておかなければならないなと思います。
それでは、最後に、過去の災害から様々なことを学び、課題対応も見えてきました。最後に、全国各地で頻発する地震や災害から、障害者、乳幼児、高齢者、患者、精神疾患者等の要配慮者をはじめ、県民の命と暮らしを守るためにどう備えて取り組んでいくのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 今も細かいことも含めてるる御確認いただきましたとおり、今回の1月の能登半島地震では、幸い滋賀県内に大きな被害はございませんでした。ただ、他の地域で起こったこの被災をしっかりと見ながら、もちろん支援のために寄り添うと同時に、それを見ながら本県の防災対応能力強化、向上に努めていくという、こういったことがとても重要なことだと思います。
見ていますと、大規模な災害が発生するたびに、高齢者等に、いわゆる少し弱っていらっしゃる方とか、なかなか動けない方であるとか、そういった方々に被害が集中してしまう、そういった方々に災害関連死が見受けられるということでございますので、要配慮者へのきめ細かな支援がとても重要だと認識しております。
また、今回の能登半島の地震では、こういった高齢化の進展を踏まえた、どうやって自助と共助を組み合わせて対応していくんだということ、また、道路が寸断された場合も含めて、複数の輸送手段をいかに確保するのか、それでもライフラインが途絶したときに、どのような避難環境を整えるのか、同時に、たくさん寄せていただけると思うんですけれども、迅速かつ的確に対応できる受援の在り方ですね。物資の整理を含めて。受援の在り方についても検討する必要があると認識しております。
引き続き、現在も県の職員、第10クールまで、2月に入ってからは県内市町の職員の皆さんと一緒に被災地に入っております。刻一刻と現地の状況が変わってきているようですし、それぞれ対応、個々のニーズもあるようでございますので、そういったことなどを共有いたしまして、県内市町、関係団体とも連携して、こういった地震災害、自然災害が起こった場合も大切な命が守れる体制整備を整えてまいりたいというふうに思います。
◆23番(重田剛議員) (登壇)よろしくお願いしたいと思います。
発災から間もない頃に、たまたまテレビを見ておりましたら、今回の支援の中で、阪神・淡路大震災を経験している、いろんな支援が来るんですが、その中でも関西広域連合の支援が非常に高く評価されていました。中でも、関西広域連合長の三日月知事の下、本県の職員が現地でリーダーシップを取って活躍していると、偶然私が見たときにテレビのコメンテーターがおっしゃってくださいましたので、私は本当にうれしく、非常に誇りに思いました。私たちの生活が昔と比べて便利で快適で豊かになりましたが、頻繁に起こる大地震や災害に便利になったがゆえに弱いところも多くなった気が私はいたします。
最後に、今回の地震で救助、援助、支援に携わってくださった全ての方々に感謝と敬意を申し上げ、現地の一日も早い復興を願って私の質問を終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、23番重田剛議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後2時45分 休憩
────────────────
午後3時9分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、21番本田秀樹議員の発言を許します。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い質問をさせていただきたいと思います。
琵琶湖と一級河川の適切な管理について質問をさせていただきます。
昨年秋からの少雨により、琵琶湖の水位が下がっており、年が明けてから若干水位の回復は見られるものの、まだまだ平年値に比べると水位は低い状況であります。知事の定例会見や提案説明の中でも、今後とも水位については注視していきたい旨の発言があったことから、我々も水を大切にという気持ちは常に持ち続けたいと思います。
そこで、現在公開中の「翔んで埼玉2」でも取り上げられたように、今話題の琵琶湖について焦点を当てたいと思います。
琵琶湖の面積は約670平方キロメートルと非常に広大であり、また、周囲は約235キロと非常に長い延長であります。琵琶湖で一番深いところの深さは約104メートル、南北の長さは約60キロメートル、東西の最大幅は約20キロメートルであり、日本最大の淡水湖であります。湖岸の形態は、砂浜や湖岸堤防、山地や港など多種多様であり、その管理についても非常に大変であることは容易に想像ができます。
琵琶湖は、様々な機能をもって私たちに多くの恵みを与えてくれております。琵琶湖で生活する、琵琶湖で遊ぶ、琵琶湖で学ぶ、琵琶湖で癒されるなど、様々な人たちが多くの恵みを求めて琵琶湖に集まってきております。
ところが、時代が移り、人々のニーズも多様化し、琵琶湖に様々な恵みを求めるあまり、時に琵琶湖を環境面で悩ませたり、琵琶湖に接する人同士の間でトラブルが発生したり、あるいは琵琶湖を不法に使ったり、様々な問題が起こっております。
そこで、まず、琵琶湖岸の管理者は誰なのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
○議長(奥村芳正) 21番本田秀樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
琵琶湖岸につきましては、主として県が管理をしております。
なお、一部区間におきましては、独立行政法人水資源機構が管理をされておられます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほどの答弁では、琵琶湖岸の大半が河川管理者である滋賀県が管理をしていることになりますが、河川管理者として琵琶湖岸の日常管理はどのようにされているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
湖岸の日常的な管理といたしましては、本県職員が定期的に巡視を行いますほか、現地で不法占用等を確認した際には指導を行っているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今の答弁では、日々職員が巡視をしているということでございました。
それでは、琵琶湖における土地の占用に関する規定について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
河川法第24条に河川区域の土地の占用許可制度が規定されており、琵琶湖におきましては、その運用に当たり、具体的な許可基準として、琵琶湖の敷地の占用許可基準を県において定めております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、琵琶湖における工作物の設置に関する規定について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
河川法第26条に河川区域での工作物の設置許可制度が規定されておりまして、琵琶湖におきましては、その運用に当たり、具体的な許可基準といたしまして、琵琶湖敷地の占用方法の基準を県において定めているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)私の記憶では、過去、琵琶湖では不法占用されている事案が非常に多くあり、問題視されてきた時期があり、対策チームまでつくってその対応をされてきたと思いますが、チーム発足時から現在までの間にどのような不法占用事案があったのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
御質問いただきましたとおり、不法占用事案に対応するため、平成15年度、部内に河川適正利用対策班を設置したところでございます。以降、現在までに、不法な船舶の係留や、桟橋、小屋、畑、花壇の設置などの事案がございました。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)現在の琵琶湖岸の不法占用の内訳について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
令和4年度末の時点でございますが、全体で302件の不法占用があり、その内訳は、船舶の不法係留が127件、桟橋や小屋などの不法工作物が103件、畑や花壇37件となっております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど答弁をいただきましたが、小屋等の建築物があるとの答弁でございましたが、現在はどのような対応をされておられるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
小屋等の工作物に対しましては、所有者等に対しまして撤去指導を続けておりますほか、指導に従わない場合は、河川法に基づく撤去命令や、行政代執行も視野に入れて対応することといたしております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、畑や花壇、先ほど37件ということで答弁いただきましたが、不法占用にもありますが、これらの物件については、過去の経過や同様の内容で許可されているのも存在していると思いますが、どのような対応をされているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、琵琶湖岸にある畑の中には現行の河川法施行前に占用が許可されているものがございます。これらは現状では既存不適格になりますことから、許可の更新のタイミングを捉えまして占用廃止の呼びかけを行っているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、レジャー利用の多様化等により、キャンプや持込み艇の揚げ降ろし、また、周辺の走行等のための湖辺域への車両等への乗り入れする事例も多くなっていると思います。乗り入れ行為の制限について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
琵琶湖岸は、広く一般の方々が自由に使用していただくことが本来の姿でございます。しかしながら、特定の者が土地を囲い込むなどして独占排他的に使用している場合や、自動車の危険な走行など、他の利用者の安全を脅かす場合には、是正指導を行い、改善されない場合には、車止めを設置いたしまして乗り入れを制限する場合がございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、湖岸の適正な利用に向けては、民間事業者による湖岸の活用も一案と考えますが、県としてどのような取組をしているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
湖岸の適正な利用に向けましては、民間事業者から、湖岸を活用し、地域の活性化や水辺のにぎわい創出に向けた事業を実施したいとの相談があれば、いわゆる河川空間のオープン化の制度なども活用し、その実現に向けまして、占用許可手続が円滑に進むよう助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)助言のほうもしっかりしていただきたいと思っております。
琵琶湖敷地の占用については、琵琶湖敷地の占用許可基準により運用されていると思いますが、必要最小限の範囲で河川管理者が許可されていると思いますが、事例について
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
琵琶湖敷地で占用を許可している事例といたしまして、例えばマリーナ施設でありますとか、エリなどの漁具、またバルーン式の水上遊具などがございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、許可を受けていない土地の占用や工作物の設置は不法占用であり、河川法に違反する行為でありますが、河川法には不法占用に対する罰則がなく、こうした行為については河川法に基づく撤去命令を行い、なお撤去されない場合には、行政代執行法に基づき強制撤去を行うことになりますが、琵琶湖での取組について、現状について
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
平成15年度の河川適正利用対策班の発足以降でございますが、琵琶湖におきましては、4件の不法占用事案におきまして、小屋や桟橋、ボート収納庫などを行政代執行により撤去いたしました。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。もう少し多いのかなと感じておりましたが、案外少ないのかなと思います。
そこで、行政代執行法により、現状どのように改善されたのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
行政代執行を実施した場所におきましては、不法占用状態が解消されまして、現在では誰もが自由に利用できる状況というふうになっております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、不法占用が及ぼす琵琶湖岸の影響について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
琵琶湖岸での不法占用によりまして、琵琶湖岸の良好な環境が損なわれますとともに、一般利用者が自由に使用できなくなるなどの影響がございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)次に、現在でもまだ不法占用案件として残っているようですが、全てをなくすことは難しいと思います。行政代執行を行うためにはどのような手続が必要なのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
行政代執行を行うには、不法占用者に対しまして、まず、河川法第75条に基づく是正命令を行います。是正されない場合には、行政代執行法第3条に基づく戒告を行います。それでも是正されない場合には、代執行の実施時期、責任者、概算費用を記載いたしました文書を交付しました上で、不法占用物件の撤去を行います。その後、撤去に要した費用を不法占用者に対して請求するということになります。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)引き続き、残っている不法占用事案を減らす取組を計画的に実施していただきたいと思っております。
また、悪質な不法占用事案を発生させないため、どのような取組をされているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
不法占用の発生を防止するため、まず、悪質な不法占用事案には厳格に対応し、不法占用を許さない県の姿勢を示しますとともに、許可案件に対しても条件どおり占用されているか巡視で確認したり、湖岸に啓発看板を設置するなどの取組を行っているところでございます。
あわせて、不法占用状態の迅速な解消には、早期発見、早期指導が重要でありまして、そのために陸上だけではなく湖上からも巡視を行い、不法占用が疑われる事案を確認した場合には速やかに是正指導を行うこととしております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)悪質な不法占用事案の説明をいただきましたので、またしっかりと取組をしていただきたいと思っております。
次に、冒頭にも述べましたが、現在、琵琶湖の水位が低いこともあり、今まで沈んでいて見えなかったものが出現したということもあるのではないかと推測しますが、現状でそのような事例はなかったのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
琵琶湖の水位低下に伴いまして、通常でありますと水面下にある施設の状態が見えるようになりましたことから、この機会を利用いたしまして調査を実施したところ、護岸の損傷や土砂の堆積などが新たに確認できたところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、その事案に対してどのような対応をされておられるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
水位が低下しておりますこの機会を逃すことなく、現在、土木事務所におきまして、施設の補修でありますとかしゅんせつについて迅速に対応をしているというところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)しっかりと取組をしていただきたいと思います。
では、次に、一級河川の管理についてでありますが、県管理の河川は504本、そして、約2,250キロメートルと非常に長い距離を管理されていると思いますが、適正な管理を行うために、どのように河川の巡視点検等を実施されているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
河川の巡視点検でございますが、県が定めます維持管理計画に基づき、河川の規模や治水上の影響等に応じまして、職員や委託業者、加えまして、河川管理パートナーという、いわゆるボランティアの方々の協力も得まして、目視による点検を実施しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)河川の規模、治水上の影響等に応じてとのことですが、河川の規模、治水上の影響等の違いによる巡視点検の頻度の違いを
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
巡視点検につきましては、原則として全ての管理区間で1年に1回実施しております。さらに、流域面積が大きく治水上の影響が大きい区間におきましては、おおむね2か月から4か月に1回実施をしております。
また、降雨による増水後でありますとか震度5弱以上の地震の発生後など、必要な場合には追加で点検を実施しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)点検のほうもしっかりしていただきたいと思っている次第でございます。
次に、河川の巡視点検を行っている中で、不法占用案件が見つかった場合にはどのように対応されているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
河川におきましても、先ほど琵琶湖岸に関して答弁を申し上げましたとおり、不法占用を発見した場合には、行為者を調査いたしまして、速やかに是正指導を行い、これに従わない場合には、撤去命令や行政代執行を視野に入れて対応をしております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)不法占用については、早期対応が重要なため、引き続きしっかりとした対応をお願いをいたします。
次に、巡視点検の結果や地元要望も含めて、昨年度にしゅんせつや竹木伐採、護岸補修等の河川維持管理の対応が必要な箇所はどの程度あったのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
昨年度、護岸補修、しゅんせつ、竹木伐採等の対応が必要な箇所は、約800か所ございました。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)それでは、その対応が必要な箇所について、全て対応はできたのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
対応が必要な約800か所のうち、約7割につきましては、昨年度末、昨年度中に対応をいたしたところでございます。残る約3割の箇所につきましても、市町からの要望を踏まえまして、治水上、緊急度の高いところから順次対応をしているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)残り3割ということだと思いますが、できていないのが。未実施の箇所について、市町や地域住民の方々にも丁寧に説明しながら対応をお願いをしたいと思っております。
河川維持管理の中でも、特にしゅんせつについては、国の緊急浚渫推進事業債の制度を活用し、対応されていることと思います。当制度は、令和2年度から5年間の制度であり、次年度で終了となりますが、しゅんせつや竹木伐採は地域からの要望も多く、制度の延長が必要だと思いますが、どのように対応されるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
令和6年度に終了予定でございます、この緊急浚渫推進事業債でございますけれども、これにつきましては、昨年春の政策提案や近畿ブロック知事会等を通じまして、国に対して制度の延長を強く要望しているところでございます。今が正念場との思いで引き続きしっかりと要望してまいりたいというふうに考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)引き続き、国への要望をしっかりとお願いしたいと思います。
琵琶湖や河川、非常に長い延長を管理しなければならないことは理解をしており、その大変さも重々理解できます。しかし、我々の貴重な財産であるこの琵琶湖や河川を大切に管理し、次世代に引き渡していくことが我々の責務であると考えますので、最後に、県が管理する琵琶湖や一級河川の適切な管理に向けた考えを
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
琵琶湖は、近畿1,450万人の生活や産業活動を支える命の水をたたえ、本県のみならず下流府県にも広くその恩恵がもたらされております。また、琵琶湖岸や一級河川の河川敷は、憩いの場、遊びの場、また暮らしの場として、多くの県民にとって自由に楽しく御利用いただける貴重なオープンスペースとしての役割を担っております。貴重な財産である琵琶湖や一級河川の恵みを次世代に確実に継承できますよう、今後とも不法占用への的確な対応でありますとか、計画的な維持修繕等、河川管理につきまして、土木交通部として使命感を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
最後に、琵琶湖という河川を管理者である県が適切に管理をしていただき、そして、本来の琵琶湖の姿を取り戻していただくようお願いをいたしまして、この項の質問を終わらせていただきます。
次に、交通渋滞に伴う様々な損失を減らすことについて質問をさせていただきます。
私は、自宅のある愛荘町から県議会まで自家用車で通っておりますが、途中、琵琶湖大橋東詰交差点や近江大橋西詰交差点は1年中渋滞が発生しております。渋滞箇所の通過には時間がかかり、交通事故があろうものなら、さらに30分以上の時間を要するところであります。早朝や深夜の時間帯などスムーズに走れるときには、ふだんよりも15分から20分ほど早く着くことができますので、ざっと計算をして年間約180時間を渋滞で奪われていることになります。
交通渋滞の発生は、単に時間を失うだけではなく、ほかにも様々なマイナス面やデメリットをもたらしていると考えます。交通渋滞に伴う様々な損失を、県ではどのように認識をされ、対処されているのか、伺ってまいります。
まず、交通渋滞の発生による時間と経済的損失についてであります。
県内には、慢性的に渋滞が発生する箇所というのが何か所もあります。私の身近なところでは、国道8号の河川愛知川を渡る御幸橋南詰の簗瀬交差点、簗瀬北交差点がありますが、県内には慢性的な渋滞箇所はどの程度あるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
慢性的な渋滞箇所につきましては、県内全域で63か所ございます。その中には、今ほど議員に御指摘いただきました国道8号簗瀬交差点なども含まれております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)63か所と。もう少し私は多いのかなと思ったのであります。
では、県管理道路の渋滞による時間の損失は、年間トータルでどのくらいとなるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
渋滞による損失時間でございますが、令和2年度に県管理道路を対象に試算したものがございます。その結果でございますが、年間合計で約4,954万時間でございました。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほどの答弁では、令和2年度に4,954万時間と。結構な時間だと感じました。
それでは、次に、時間が失われることは経済的な損失につながります。県管理道路の渋滞による経済的な損失は年間トータルでどのくらいになるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
県管理道路の渋滞による経済的な損失額ということでございます。同じく令和2年度の試算結果でございますが、年間約939億円というふうに試算しております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど、令和2年度のということで、930億円の試算ということで、これも大変大きな金額だなと思っております。令和3年、4年になれば、またその金額も前後するかも分かりませんが、その答えが出れば、また教えていただきたいと思っております。
ただいまの答弁を県民1人当たりに換算すると、どのくらいの時間が失われていることになるのでしょうか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
先ほどの年間の約4,954万時間を、これを県の総人口でございますが、約140万人でございますので、これで除算いたしますと、1人当たりは年間約35時間の損失ということになります。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)それでは、次に、県民1人当たりに換算すると、どれくらいの金額が失われているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
渋滞によります年間の損失額は、約939億円というふうに試算いたしました。これを全県人口で除算いたしますと、1人当たり年間約6万7,000円の損失というふうになります。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど答弁をいただきました1人当たり6万7,000円、子供からお年寄りまで見ると結構な金額かなと思っております。
それでは、次に、慢性的な渋滞の発生は、自動車の排気ガスにより環境面にもよくない影響を及ぼすものと想定されますが、どのように考えておられるのでしょうか、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
本県では、大津市と共に大気汚染防止法に基づく大気汚染の常時監視を行っておりまして、窒素酸化物──NOxや浮遊粒子状物質──SPMなどの大気中の濃度を県内の16か所で測定をしております。このうち4か所が自動車からの排出ガスの影響を把握する地点でございまして、NOxやSPMについては全ての測定地点において環境基準は達成をしております。
しかしながら、自動車からの排出ガスは、停止、発進時や低速の走行時に多く排出されますので、交通渋滞は環境面からも望ましい状態ではないものと考えるところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど部長の答弁の中にもございましたが、停止、発進時や低速走行に多く排出されるものということですので、また県民一人一人の認識と、そして啓発もまたお願いしたいなと思っている次第でございます。
それでは、次に、交通渋滞を発生させない、あるいは緩和させるための対策についてお伺いいたします。
信号の時間やタイミングを調整することで渋滞を減らせると聞いたことがありますが、県警としてはどのような対応を取っておられるのか。警察本部長にお伺いをいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)お答えいたします。
主要な道路につきましては、警察本部の交通管制センターにおいて、交差点などに設置された情報収集装置から得られた情報を総合的に判断いたしまして、タイムリーに信号制御の最適化や交通情報の提供などを行っており、また、その他の道路につきましても、必要に応じて交差点の信号周期を調整するなどして渋滞の緩和を図っているところであります。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ただいま答弁をいただいた対応によりまして、どのような効果が生じていると把握をされているのか、警察本部長にお伺いをいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
対策を講じました箇所につきましては、事後に現地調査を行い、渋滞の緩和状況を確認をしているところでありまして、運転時間の短縮、排出ガスの削減などに寄与しているものと考えております。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)では、道路整備としては、交通渋滞を発生させない、あるいは緩和させるためにどのような対策を取っておられるのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
本県では、道路整備による渋滞対策といたしまして、交通容量を増やし、交通集中を解消するため、バイパス整備や道路拡幅等に取り組みますとともに、交差点での通過速度が低下しないよう、右折レーンの設置や交通誘導のためのカラー舗装等に取り組んでいるところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ただいま答弁をいただいた対策によりまして、渋滞が緩和することでどのような効果が生じていると把握されているのか、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
渋滞が緩和し、交通が円滑化することで、インターチェンジでありますとか、救急医療施設、鉄道駅などへのアクセス性が向上し、物流の効率化、迅速な救急搬送、バスやタクシーの定時性、速達性の確保、観光振興や地域活性化の促進といった効果があるものと認識をいたしております。
また、幹線道路の渋滞解消によりまして、生活道路に流入していた車両が減少し、地域内の交通の安全性の向上にもつながっていると認識しているところでございます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)渋滞により通過スピードは下がりますが、逆に危険性が高まり、発生する事故もあると思います。また、先ほどの答弁にありましたとおり、渋滞する幹線道路を避けて生活道路に車が流入するといった危険性もあると考えます。交通事故により貴い命が奪われることが、これが最も重大で避けなければならない損失ではないかと思います。痛ましい事故の発生を防止するために、県警としてはどのような対策を取っておられるのか、警察本部長にお伺いをいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
県警察としましては、痛ましい事故の発生を防止するため、地域の交通実態や地域住民の御意見を踏まえまして、交通規制の見直し、交通安全施設の適正な維持管理や更新、交通情報の提供などを推進いたしまして、安全で円滑な交通流の維持に努めているところであります。また、悪質性、危険性の高い交通違反の指導取締り、交通安全教育、啓発、運転免許更新時講習等の充実などにも努めております。
議員御指摘のとおり、交通事故により貴い人命が奪われること、最も重大で避けなければならない損失であると認識をしておりまして、引き続き、知事部局をはじめとしました関係機関、団体、ボランティアなどとも連携しながら、こうした対策を総合的に進めてまいります。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)今ほど答弁もございましたが、またいろんな各種団体、地域の方々としっかりと連携を取りながら取り組んでいただきたいと思ってる次第でございます。
それでは、渋滞箇所を解消するためには、やはりしっかりとした道路整備が必要であります。私が冒頭に申し上げました国道8号線の御幸橋南詰の簗瀬交差点、簗瀬北交差点につきましては、現在、交差点改良として、右折レーン設置のための橋梁拡幅等が行われております。また、国道8号線の北側を通る県道神郷彦根線においても、河川愛知川を渡河する新しい橋の建設が令和8年度の供用開始を目指し急ピッチで進められております。さらには、愛知川右岸道路や国道8号線バイパスの彦根─東近江区間の建設につきましても、いよいよ進んでまいります。県民に大きな損失を与える交通渋滞の解消に向けて、道路整備を少しでも早く着実に前進させていくことが重要であります。
最後になりますが、知事の決意と意気込みをお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
人とモノの円滑な移動を支える道路というのは、健康しが2.0ですとか選ばれる滋賀実現のために不可欠でございますが、本県の道路の整備状況はまだまだ十分ではない状況もございます。渋滞の抜本的な解消をはじめ、道路を取り巻く様々な課題の改善が急務であると認識しております。
引き続き、県議会、また県民の皆様の御理解、御支援を賜りながら、予算の確保に努め、国や市町をはじめ関係機関等とも連携いたしまして、道路整備アクションプログラム2023に基づき、バイパス整備や道路拡幅、交差点改良などを着実に推進してまいりたいと存じます。
あわせまして、道路をたくさん造っても、やはりまた車が増えるということであれば、どんどん渋滞は増えていきますので、マイカーから公共交通への転換といったこと、そのための利便性の向上、維持、充実、また利用促進、こういったことも図っていく必要があるのではないかと思いますし、今行っております運転免許証の返納をこういった公共交通利用とセットで行うというような取組も重要だと存じますので、組み合わせて展開してまいりたいと存じます。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。
今ほど知事のいろんな決意をいただきましたので、また公共交通等も、しっかりこれもしていかなければならないという思いもあります。そして、道路予算についてもしっかり確保していただきたいと思いますので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、21番本田秀樹議員の質問を終了いたします。
次に、41番九里学議員の発言を許します。
◆41番(九里学議員) (登壇、拍手)それでは、埋蔵文化財行政について、一問一答で全て知事にお伺いします。
令和9年末に、仏教美術、神道美術をはじめとした近江の文化財の保存、継承、活用、発信を目的に浜大津琵琶湖岸に開館を予定をされております新・琵琶湖文化館。県議会での様々な議論を経て、令和3年6月にリニューアルオープンされ、近代美術やアール・ブリュットを積極的に発信をし続けていただいております県立美術館。平成2年に開設され、本県を誇る伝統工芸品の信楽焼の文化、産業振興に力を注ぎ、現在は指定管理者を見直し中の陶芸の森。大中の湖南遺跡、瓢箪山古墳、安土城跡、観音寺城跡をはじめとした近江風土記の丘の中核施設として平成4年に開設をされて以降、城郭と考古、この2本柱をテーマに、休館中の琵琶湖文化館や埋蔵文化財センターの収蔵資料等を活用するなど、趣向を凝らした展示をこれまで約30年間にわたって行ってこられた安土城の考古博物館。加えて、びわこ文化公園内の県立図書館や美術館に近接し、昭和55年4月の開館後、44年もの半世紀もの長きにわたり県内で発掘調査をされ出土をした遺物資料の収集整理、調査研究、保存処理、保管から考古学の普及啓発や情報発信、展示活用に至るまで、本県埋蔵文化財行政のまさに殿堂として中枢を担ってこられた埋蔵文化財センターなど、本県の文化財行政の保存活用は、それぞれの施設ごとの役割をこれまで地道に果たしてこられました。
そこでまず、本県文化財関連施設の現状についてどう捉えておられますか、お伺いをします。
○議長(奥村芳正) 41番九里学議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
埋蔵文化財センターは、埋蔵文化財の調査や出土文化財の収蔵、保管など、また、安土城考古博物館は、近江風土記の丘を構成する4つの史跡とその時代に関する資料の調査研究や普及啓発など、そして、琵琶湖文化館は、仏教美術をはじめとした美術工芸品等の資料収集や調査研究などを行っており、それぞれの分野に求められる役割に合わせて施設を整備、また運営してきたところでございます。
◆41番(九里学議員) (登壇)では、今お答えの文化財の関連施設の使命について、知事はどうお考えか、お答えください。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
埋蔵文化財センターは、埋蔵文化財の調査研究、普及啓発、遺物や資料の収集、整理、保管管理を行い、郷土の埋蔵文化財を保護し、かつ、その活用を図ることを使命としております。
安土城考古博物館につきましては、これまでは、大中の湖南遺跡、瓢箪山古墳、観音寺城跡、安土城跡のガイダンス施設として、リニューアル後は、安土城と信長、戦国をテーマとする唯一無二の博物館として、資料の収集、整理、保管、展示、調査研究等を通じて、その情報、魅力を発信することを使命としております。
新しい琵琶湖文化館の使命は、近江の文化財を保存、継承、活用、発信する中核拠点として機能することにより、個性あふれる地域づくりを実現するとともに、地域振興や観光振興を通じた地方創生や地域経済の活性化に貢献することだと捉えているところです。
◆41番(九里学議員) (登壇)今、るる現状なり使命なりをお答えいただいたんですが、保存と活用を車の両輪のように進めていくと。文化財の保護と公開についての使命、それをベースに、様々なこれまで半世紀近くにわたって文化財関連施設は成り立ってきたというふうに思っていますが、ちょうど令和2年の2月議会の本会議で、私、このことも含めて、びわこ文化公園の周辺の文化の在り方、図書館なり美術館なり、あるいは、今、今回取り上げている埋文センターの在り方等を議論をさせていただきました。
その後、今もお話がありましたように、それぞれ各地域、分散して施設が今成っています。それを中長期的にプロデュースというか、統括されている部局についてはどこか、お聞かせをください。
◎知事(三日月大造) 文化スポーツ部です。
◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます、端的に答えていただいて。
そうなんです。その当時、琵琶湖文化館の話がありまして、私が質問した次の翌年度から、教育委員会部局のほうから文化スポーツ部局のほう、いわゆる知事部局にこの文化財関係の業務が替わりました。そして、今もなお司令塔的に、あるいはリーダーシップを発揮され、各それぞれの施設、文化財について統括をされていると思いますが、埋文センター、安土城の博物館、新しく今建設を予定されている琵琶湖文化館、それぞれに文化財行政が今、分散されようとしている状況があります。人事交流を含めた横の連携がこれではなかなか取りにくいのではないかなと懸念もしますし、文化財の分野ごとの縦割り、あるいは、当時から直営、あるいは指定管理、アウトソーシング、そういう違い、委託料から指定管理料になったり、予算面の扱いの違いなどあったら、トータル的に本県の文化財保存大綱にある文化財の保存と活用と両面での中長期的な計画が立てにくいのではないかなと、困難ではないかと私は考えます。
そこで、所管部局には、今こそ関連施設や組織間に横串を刺していただき、司令塔的な役割を文化スポーツ部に果たしていただきたいと思います。
では、ここからは、今議会の代表質問、自民党さん、そして我がチームしがからの代表質問の答弁を聞き、大変私自身危機感を持ちました埋蔵文化財行政の部分について質問していきたいと思います。
琵琶湖を中心に自然風土に恵まれた本県は、湖辺を中心に古代から人々の営みが続いてきた全国的にも類いまれな地域であります。県内には約4,600という遺跡があり、今、話題、ここ数日、新聞紙上をにぎわしていますが、坂本城址や安土城址を含めた約1,300もの城跡があります。知事が代表質問答弁でもございましたが、「新年度から本格的に着手をする」と答弁をされました琵琶湖岸や湖底の水中、湖底遺跡は70か所以上あります。
そこで、人類の誕生から今に至るまで、歴史を土の中、いわゆる土中から、あるいは水中から遺物を通じて明らかにせんとするアーケオロジー、いわゆる考古学の分野では、遺跡や遺物が地中や水中に多数眠っている本県の埋蔵文化財は学術上大変貴重だと専門家の方々からは言われています。埋文業務を進めていく上で、本県の実態は大変厳しい状況が近年続いているということを、ここ数か月勉強させていただき、現地調査をさせていただき感じました。とりわけ埋文行政の中の中心的な役割を担っている考古学博物館と埋文センターの施設運営は、設立当初から、知識の普及、刊行物を含めた啓発に関する事務事業、施設設備および物品の維持管理業務を県から文化財保護協会が受託をされ、一手に運営をされています。
先日、安土城の考古博物館と埋文センターに赴き、改めて現状をお聞きし、大変驚きました。
まず、安土城考古博物館では、館のテーマである弥生時代から古墳時代および信長と城郭の常設展示、これらテーマを深掘りした特別展示、県の歴史をテーマにされた企画展に加え、市町や埋文センターの保管物や旧琵琶湖文化館の収蔵資料を積極的に活用し、今、展示中でもありますが、そうした部分を広く公開してこられましたが、来年度から、考古資料展示をされてきた第1常設展示室はリニューアル工事をされ、令和7年度からは、博物館の弥生、古墳時代の考古に関する常設展示はなくなり、安土城を中心とした映像空間に変わることが決まっています。さらに、年1回行われてきた弥生、古墳時代の特別展もなくなり、県内小学校の歴史授業でこれまで長年活用されてきました観覧の機会も、「翌々年、令和7年度以降は少なくなるのでは」という皆さん方のお声でした。
そこで、博物館のリニューアルに伴い、これまで弥生、古墳時代の考古に関して常設展示をされてきました第1展示室が、令和7年の春から、安土城や信長の世界を総合的に伝えるガイダンスシアターに変わり、弥生、古墳時代の考古の常設展示がなくなることで、それらを発信する機会が減ることについて、今後どう対応されるのか、知事にお伺いをします。
◎知事(三日月大造) 今お尋ねいただきました、現在、第1常設展示室にございます弥生、古墳時代の主要な展示品は、リニューアル後も当分の間、安土城考古博物館で保管、管理いたしまして、企画展等で県内発掘調査の成果等とともに紹介してまいりますほか、小中学生の校外学習にも対応していきたいと存じます。
加えまして、琵琶湖博物館はじめ、他の県立施設や民間施設等においても活用することで、原始、古代の歴史に親しんでいただける機会の創出に努めてまいりたいと存じます。
なお、弥生、古墳時代に関する常設展示が無くなることにつきましては、埋蔵文化財行政における課題と認識しておりまして、今後、埋蔵文化財センターの在り方検討の中で考えていきたいと存じます。
◆41番(九里学議員) (登壇)一定今の知事答弁ですと、残していただけるということで、現場なり調査した部分よりは前進したかなというふうに思っているんですが、弥生、古墳時代の部分については、やはりスペースが少なくなると、なかなかそういった機会が少なくなるという御答弁だったというふうに思っています。
古代から近代まで、いわゆる通史、ずっと歴史を追っている博物館が全国では27府県しかなく、指定文化財の多い東京、京都、奈良、そして4番目の滋賀県を含めて20都道府県では歴史系の博物館がありません。それだけに、安土城の博物館が通史を含めた滋賀県民に開かれた博物館にならなければならないし、そういうことを強く望みたいと思います。
そこで、現在、県は文化財保護協会にアウトソーシングをされていますが、文化財保護協会への指定管理料の近年の推移について伺います。
◎知事(三日月大造) 安土城考古博物館の管理運営につきましては、平成4年の開館当初から文化財保護協会に委託しておりまして、平成18年度から指定管理制度に移行しております。
指定管理料の推移につきましては、平成18年度は1億4,600万円余、第2期指定管理期間の平成23年度は1億2,900万円弱、第3期の平成28年度は1億3,300万円弱、現在、指定管理期間の始まりました令和2年度の指定管理料は1億3,400万円余となっております。
なお、昨年度は、物価変動に伴う著しい光熱費の増加を理由といたしまして、指定管理料を1億3,800万円に増額させていただいたところでございます。
◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。
ここ数年は、以前は委託料やったのが指定管理料になって増減がなっていると。昨年度は物価変動の高騰の中で上げていただいたということなんですが、今から30年前の平成5年と比べたら、2億3,500万あったのが1億3,800万と、オープン時と比べて半減をしています。これから令和8年には、安土城の築城450年、副知事が大変御尽力いただいたというふうにも聞いてるんですが、そういうことも含めて観光活用にも力を入れてもらえるということですので、ぜひ本県を代表する、先ほども申し上げました、この博物館しか通史の部分を扱えるのはなかなか今のところありませんので、その辺の部分にぜひ予算分についても力を入れていただきたいと思います。
次に、今日の主たる課題となります埋文センターについてお伺いをします。
私は、ちょうど大学4年間、発掘作業や土器の復元、実測製図作業のアルバイトをし、県のセンターのほうにもいろんな遺物を持っていき、製図作業等、携わらせていただきました。当時から見て40年経った今も、先般も寄せていただいたセンターの施設や業務を見て、全く変わらない状態の中で、スタッフの皆さんは、保存処理室や収蔵室、図書資料室で遺物の実測製図や保存処理、そういうことを行われ、耐震化のできていないセンター内で黙々と業務をこなされていました。地震が起きるたびに、耐震化ができていないセンターでは不安を感じておられる職員さん、給水タンクや冷却塔や空調、放送備品は、当時から44年たっていますので老朽化がひどく、昭和55年の竣工以来、建物本体の設備は経年劣化が進んでいる状態でした。設備機器の大幅な更新はできておらず、遺物の保管状態はもちろん、空調、照明、展示ケースなど、重要な文化財を管理するには大変心配な状況を見てしまいました。
センターの今申し上げた設備、施設のこんな状況、現状について、知事はどうお考えか、お伺いをします。
◎知事(三日月大造) 現在の埋蔵文化財センターは、耐震診断ができていない上、屋根や外壁など建物本体の傷みが進んでおりますほか、給水や空調等の設備も老朽化が著しく、毎年一定の対応を図っておりますが、十分でないということは認識しているところでございます。
現在の建物が引き続き安全に利用できるのか、あるいは耐震対策が必要となるのか、どの程度の対策が必要となるのかなどを見極めるため、まずは耐震診断を今年度、行っているところでございます。
◆41番(九里学議員) (登壇)ちょうど4年前にこの質問をさせていただき、当時の本会議の答弁では、建物の老朽化対策は不十分であると理解していると、公開活用できる設備が必要であるという御答弁をいただいたんですが、それから教育委員会部局から先ほど申し上げました知事部局に行った、隣の美術館はきれいになった。今も知事から御答弁いただきましたように、安全面とか緊急性からも、あるいは効果、効率的にやっぱり業務を進める上でも、すぐに改善をすべきやし、しなければならないというふうに思っているんですが、知事はセンターの施設に、いつ現場に行かれたか教えてください。
◎知事(三日月大造) ここでこのセンターの質問を受けた後だったと思いますが、令和2年3月にセンター、現地に訪問いたしました。
◆41番(九里学議員) (登壇)ありがとうございます。
ちょうど4年前、質問させていただいてから、御答弁のとおり行っていただいて、恐らく、今、水中遺跡とか安土城のプロジェクトとかいろいろあるんですが、そこで感じられたことを反映をしていただいているというふうに思いますし、そこを期待をしていきたいと思いますが、やっぱり文化財の保護協会の皆さん方は、先ほどの博物館は指定管理、アウトソーシングですし、こちらの部分は委託料で賄っておられます。その委託料の中に修繕費も一定入ってきますが、この委託料の近年の推移がどういう状況か教えてください。お願いします。
◎知事(三日月大造) 埋蔵文化財センターにつきましても、開設当初から文化財保護協会に管理運営を委託しております。その委託料の推移につきましては、平成20年度、2008年度が3,200万円弱、平成25年度が2,700万円余、平成30年度、2018年度が2,600万円余となっており、今年度は2,546万5,000円で委託契約を締結させていただいているところです。
◆41番(九里学議員) (登壇)なかなか厳しい予算の中でセンターの部分に委託をされていることは重々よく分かるんですが、今年度、やっと、今日もたくさんそれぞれ質問が各議員から出ていますが、耐震診断が行われると、年度末には一定方向性が出ると、その上でのセンターの機能強化を来年以降やるということなんですが、先ほど言いました給水の部分にしても、温度、湿度の管理にしても、空調にしても、あるいは建物自体の、恐らく行かれた方は分かると思うんですが、雨漏りや柱、手すりの剥がれ落ち、ひび割れ、もっと言えば、視覚障害者の誘導ブロックがもう割れて使いようがないということで、保存、活用も含めて、到底、展示公開のほうはもちろんのこと、緊急性を要する抜本的な修繕が必要だというふうに思います。知事の見解を問います。
◎知事(三日月大造) この埋蔵文化財センターの建物や設備の修繕につきましては、耐震診断の結果を踏まえまして、センターの機能強化検討と併せて対応等を考えてまいりたいと存じます。
◆41番(九里学議員) (登壇)併せてというのはよく分かるんですが、資料の破損や防火面は言うに及ばず、遺物、いわゆる鉄製品の温湿度管理とか土器の害虫対策、重要文化財の借用展示ができない状況が今センターにはあります。公開承認施設にするには、学芸経験の5年以上、2名の学芸員が必要で、加えて、たくさんおられます作業員の人材確保、人件費や光熱水費の高騰が課題となり、これ以上予算が減額され、文化財の公開を行っていないセンターが現状のままでは、安全面や財政面から開けるのが大変困難な状況です。先般も図書館のことをしましたが、今の状況は、土日祝祭日、いわゆる一番文化公園に人の多いときは閉館をされてて、9時から16時半までの開館時間だという状況があります。
何でこんなんやと言うと、やっぱり安全面、人が来てもうたらなかなか危ない、修繕ができひん、もし何かあったときにというお話があったんですが、現場の方から、これではまさに何のための施設かなという部分がしますし、ぜひ、耐震診断を終えた後、老朽化対策、本格的に検討をしていただきたいですし、これ以上もう、4年前にもやらせていただきましたが、先延ばしにすることなく、安全面からももっとスピード感を持って、この施設について新築あるいは改築工事も含めて検討されることを強く望みたいと思います。
博物館に代わる先ほどもありました考古の展示や発掘の成果、子供らの教育施設の機能もこちらのほうに移る可能性もありますので、ぜひ充実をしていただきたいと思います。
次に、るる今回の議会でもありますが、遺物収集についてお伺いをしたいと思います。
センターの出土品は、収蔵余力は現在、遺物保管のコンテナが約1,000箱分しかなく、令和7年度から8年度には飽和状態になるというふうに言われています。開発等で出土遺物量の対応をするには、収蔵施設のまずは増設が急務です。本来センターで一括して収蔵すべき貴重な遺物が収蔵庫不足では大変な状況になります。博物館や風土記の丘内の収蔵庫3棟のほか、長浜市内の老朽化した竹生荘の遊休施設や、大津市内のプレハブなど、今は分散して県内のそれぞれ9か所で保管をされています。劣悪な保存環境、安全管理で盗難事例まで発生し、出土品にとって電気や防犯設備の不備など、到底良好なものとは言えない状況です。収蔵スペースの確保と収蔵施設の新設含めた収蔵計画の策定、収蔵環境のいち早い整備が喫緊の課題で望まれます。
収蔵スペースの確保、遺物収蔵環境の整備等、今後の対策について知事の見解を問います。
◎知事(三日月大造) 県が実施いたしました発掘調査によって蓄積してまいりました出土文化財は、今議員からも御紹介いただきましたけれども、県内9か所の収蔵庫で分散保管いたしまして、温度や湿度管理が必要な金属製品や特に資料的価値の高いものは、埋蔵文化財センターの特別収蔵庫など、その材質や活用の頻度を考慮して保管させていただいております。
しかしながら、その量は今後も増加すると見込まれ、新たな収蔵場所や出土文化財の材質に応じた適切な収蔵環境の確保、公開活用や資料の貸出しに適した保管方法の効率化や安全対策などが課題であると認識しております。
先人の知恵や技術、さらには精神文化まで、多くのことを伝えてくれる出土文化財を大切に保存し、活用の充実を図るため、これも、先ほども申し上げました埋蔵文化財センターの今後の在り方検討において考えてまいりたいと存じます。
◆41番(九里学議員) (登壇)今日も朝一、桐田議員のほうから浜大津の新・琵琶湖文化館の話なり開発の話がありましたが、これだけ遺物が分散して保管されている劣悪な環境にある、一方では、安土なり坂本なり城郭の遺跡、70以上の水中遺跡をやっていこうという話なんですが、こういった状況の中、遺品なり遺物がその保管状況では、埋もれたままの文化財になるのではないかなということを懸念して、今回、こういう質問をさせていただいています。
まずは、そういうスペースなり保管場所を一定やっぱり確保しないと駄目だというふうに思います。できれば、復元とか整理作業の風景を窓越しに見られるような、まさに展示公開できるようなそういう施設、職員のやりがい、もう地道にやられているんです。あるいは、これは文化財やん、これあかんやんというようなものまで収蔵スペースがないから放置されている状況もあります。ぜひ職員のやりがいも含めて、きっちりとスペースの確保、収蔵、保管場所の確保をしていただきたいというふうに強く望みたいと思います。
次に、写真データのデジタル化についてお伺いします。
これまで、センターの在り方検討の議論でも県の責務としてデジタル化は求められており、文化庁が平成29年3月に示しておられる埋蔵文化財保護行政におけるデジタル技術の導入では、発掘調査で作成した写真データの保存についてはサーバーやハードディスク保存が望ましいとされ、令和3年度から写真データの受入れが始まっていますが、令和5年度になった今でも、本県センターでは、そのための機器の整備、受入体制が示されていません。
また、出土遺品のデータベース化やデジタル写真など、埋蔵文化財の世界の公開活用の基本となるべく対応もできておらず、そのための具体的な計画も県としていまだ示されていません。
そこで、写真データのデジタル化について、知事にお伺いをします。
◎知事(三日月大造) 埋蔵文化財発掘調査における写真記録の作成につきましては、令和4年2月にデジタルカメラ導入に関する指針を定め、これまでのフィルム記録からデジタルデータへの移行を図ってきているところです。
今後は、作成したデジタルデータをどのように保管し、公開、活用を図っていくのかが課題であると認識しております。
発掘調査の成果や出土文化財とともに、デジタル化したデータを効果的に活用できるよう、検討を行ってまいりたいと存じます。
◆41番(九里学議員) (登壇)4日目でしたか、佐口議員が文化政策のデジタルアーカイブ、歴史保存上どれほど大事かという質問をされるようですが、まさに検討も大事なんですが、やはりもうこれだけ遅れてくると、スピード感を持ってやっていただきたいというのが強い思いであります。教育委員会さんから県のほうに、知事部局に移った。文化財保護協会さんとの間で、博物館とか埋文センターの今後の在り方について、これまで再三議論をされてきたように聞いていますが、少し議論にも隔たりがあったように現場調査をして感じました。
県の文化財保存大綱では、県と協会との効果的、効率的な連携の下、開発に伴う発掘、整理調査、埋蔵文化財センターなどの施設管理、文化財の普及啓発を実施、提示をされています。文化財の保存活用の推進に当たってのパートナーとして、今後も財政支援はじめ、県がリーダーシップを取り、市町や関係団体とも連携協働して保存の礎ができてこそ、今後進むであろう城郭や水中遺跡の発掘調査も可能となるというふうに思います。
開発による発掘調査をはじめ、今後、質量ともにわたる増大が見込まれ、今回課題を提示した埋蔵文化財行政は進捗をしていくと私は考えます。新文化館に続く本県文化財行政の整備計画を早期に推し進めるためにも、センターの公開承認施設取得も視野に、スピード感を持って埋文行政を進めていただきたい、そのように思います。
最後に、本県埋蔵文化財行政にかける知事の意気込みについてお伺いをします。
◎知事(三日月大造) 埋蔵文化財は、文字の記録だけでは分からない県の歴史を生き生きと物語る滋賀の宝だと思います。これを適切に保存し、歴史を学び、魅力を発信することが未来の発展につながると認識しております。
令和6年度からは、滋賀ならではの埋蔵文化財である琵琶湖の水中遺跡に光を当て、調査、保存、そして公開活用に取り組むこととしたところでございます。
この取組を地道に進めながら、令和6年度には埋蔵文化財センターの今後のあるべき姿の検討を行い、その後、短期的な課題への対応策と機能強化に向けた長期的な展望を明確化させていただき、それらを着実に進展させることで埋蔵文化財行政の充実、強化を図ってまいりたいと存じます。
申し訳ないんですけども、すぐに全てということは無理だと思うんですが、計画的にどういったことが必要なのかというのを考えて実行してまいりたいと存じます。
◆41番(九里学議員) (登壇)令和2年の2月議会で、私は、琵琶湖文化館の計画があるときに、埋文センターと、それから博物館と、あるいは今造られようとしている新・琵琶湖文化館の機能も含め、分散をすることも大事だけども、総合的な文化財センターみたいなものがつくれないだろうかと。そういう提案を提示をさせていただきました。実際は、その後4年たって、浜大津、瀬田の丘陵地、そして八幡の安土ということで、3か所に分かれた状況が今あります。文化財とか埋蔵文化財の宝庫である滋賀県だからこそ、全国的に学術的に非常に価値が高い遺物や遺品が、遺跡があるというふうに言われているこの滋賀県だからこそ、何とか一定早期に今日申し上げた課題に対応していただきたいなというふうに思いますし、後ほど小川議員が文化財保護活用の拡大ということを質問をされるようですが、保存なくして活用なしという話が常々知事は言われています。土の中とか湖の中、あるいは河川の中から歴史が見える。引き続き、子や孫の代までそうした遺産をきちっと残すということが非常に文化財にとって大事だと思いますので、ぜひ、今日申し上げた、特にセンターと博物館の課題を申し上げましたが、そういうことも含めて、全部を一気にやるということは難しいと思うんですが、まずは在り方検討を早く進めていただき、今問題になっている遺物収集、あるいはアーカイブ、そうしたことの対応をしていただくことをお願いを申し上げまして私からの質問とさせていただきます。
終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、41番九里学議員の質問を終了いたします。
最後に、20番井狩辰也議員の発言を許します。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇、拍手)本日最後となりました。私のほうから、世界農業遺産琵琶湖システムを活用した取組について、一問一答で質問をいたします。
2022年7月、琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業、琵琶湖システムが国連食糧農業機関から世界農業遺産の認定を受け、また、昨年5月には、大杉副知事をはじめ生産者の皆さんがイタリア、ローマに赴き、認定書を受け取っていただきました。このことは、県民の皆さんと県がこれまで守り育ててきた琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業が世界に認められたことを改めて実感し、大変喜ばしく誇らしく感じました。
この世界に認められた琵琶湖システムを次世代につないでいくには、世界や国の動き、とりわけ、現在、国で改正を検討されている農業の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法の方向性も注視しながら、琵琶湖システムを発展して守り続けられるような生産振興に係る施策と併せ、消費者に率先して県産の農水物を選び続けてもらえるように琵琶湖システムを生かす情報発信、消費喚起施策を進めていくことが重要と考えられます。
そこで、琵琶湖システムが世界農業遺産認定からの取組と今後についての考えを伺います。
琵琶湖システムが世界農業遺産に認定を受けてから約1年半が経過をいたしました。これまでの取組を踏まえ、改めてその意義について、農政水産部長に伺います。
○議長(奥村芳正) 20番井狩辰也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎農政水産部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
認定を契機として、琵琶湖システムの認知度向上と県産農畜水産物の消費喚起による農林水産業の振興を目指して、学ぶ、食す、訪れるを柱に取り組んできたところでございます。
これらの取組を進める中で、生産者と飲食事業者などとの新たな連携や、消費者自らによる情報発信が行われるなど、農業と水産業に関わる人の裾野の拡大をしてきていると感じております。
こうしたことを踏まえますと、滋賀の風土と歴史の中で生み出されてきた琵琶湖と共生する農林水産業を次世代に継承し、本県の農林水産業を振興していく上で、大きな意義があるものと認識しております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)裾野が広がってきているということなんですけれど、琵琶湖システムが世界農業遺産に認定された事実を多くの方が知ってもらうことが重要かと思います。現在の県民の認知度について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
本県では、出前講座や様々なイベントへのブース出展、SNSによる情報発信などによりまして、琵琶湖システムの認知度向上に取り組んできたところでございます。
その成果といたしまして、県政モニターアンケートの結果では、琵琶湖システムが世界農業遺産に認定されたことを知っていた人の割合は、昨年度の39.6%から7.2ポイント上昇し、今年度は46.8%となっております。
しかしながら、約半数の方にはまだ認知されておりませんので、その認知度を向上させる必要があると認識しております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)県政モニターアンケートでは46.8%ということなので、やはりまだ半数の方が知らないという現状がございます。こうした現状を受けて、認定を受けてから、様々な取組の一つの成果として認知度につながりますが、現状を踏まえて、今後どのように認知度を向上していくのか、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
県内における認知度の更なる向上を図るため、学校や企業、団体に向けた出前講座、イベントへのブース出展などを引き続き実施してまいります。
あわせて、首都圏や京阪神でも琵琶湖システムを感じていただけるグルメフェアを開催するなど、県外への発信も行ってまいります。
さらに、県だけではなく、国や他の認定地域と連携したネットワークを活用し、世界農業遺産自体の認知度向上も図ってまいりたいと存じます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
認知度の向上に向けては、県内外に向けた情報発信が重要と考えられ、SNSによる双方向型の情報発信やホームページのリニューアルによる情報発信に取り組まれていますが、その成果について農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
SNSでは、琵琶湖システムのインスタグラムを活用して、消費者が県産農水産物の魅力を発信するキャンペーンを実施しております。このキャンペーンの結果、インスタグラムのフォロワーが、世界農業遺産認定直後は約150人であったのに対し、令和6年1月末には約2,000人と大幅に増加しております。
ホームページでは、琵琶湖システムの紹介や認定までの経緯がメインであった内容を、本年1月に学ぶ、食す、訪れるを柱に再構成し、体験メニューなどを追加できるよう改修したところでございます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)今、成果、おっしゃっていただいたんですけれど、その成果を踏まえて、これまでのことを踏まえて、今後どのように情報発信に取り組まれようとされているのか、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
SNSは、今年度の取組に加えまして、生産者や食品関連事業者御自身が食材のよさを、皆さんのこだわりを伝えていただくことで、より魅力ある発信をしていきたいと考えております。
ホームページは、今般のリニューアルを契機に、県の情報に加えまして、市町や生産者のイベント、体験メニューなどの情報も盛り込み、琵琶湖システムに関する情報のプラットフォーム化を図ることで、関係者の方が参加しやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
このように、滋賀の農林水産業に関わります様々な主体と連携、協働しながら情報発信の充実強化に取り組んでまいります。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)連携を取りながら充実を図っていくということなんですけれど、次年度には関西万博も開催される予定であり、海外の方が本県にもお越しになる可能性のある中、リニューアルされたホームページは、海外の方に向けた英語、中国語のサイトも一部用意されていますが、全てのページにおいてはそこまで至ってないという現状がございます。そこで、今後の対応を農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、琵琶湖システムに興味を持っていただいた海外の方が滋賀県に行ってみたいと思われるように誘導することが必要と認識しております。
そうしたことから、今般のリニューアルでは、琵琶湖システムの専門用語が多い内容につきましては、英語と中国語の概要版を作成したところでございます。
概要版以外の食すや訪れるなどのページにつきましては、本県公式ホームページと同様、ウェブ上の翻訳機能により閲覧していただくことを想定しております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)琵琶湖システムの内容は、中国語、英語で理解はできるんですけれど、やはり全てのページがリンクも含めてしやすいような形でぜひまた考えていただけたらと思います。
次、琵琶湖システムを次世代につなぐためには、これまでに質問しました消費喚起につながる情報発信と生産振興とを両輪としてブランド化を図ることが重要だと考えられます。特に生産者の期待が大きい県育成品種きらみずきの付加価値化やブランド化に向けて、世界農業遺産琵琶湖システムをどのように活用するのか、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
オーガニックをはじめ、化学肥料や殺虫、殺菌剤を使用しない栽培方法に限定したきらみずきの生産は、水環境や生態系の保全に大きく寄与することから、世界農業遺産との親和性が高いと考えております。
このため、きらみずきは世界に認められた琵琶湖システムの営みが生み出す代表的な農産物であるという価値を県内外の消費者に発信し、ブランド力を高めてまいりたいと存じます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)県内外に発信をしてブランド力を高めていくということなんですけれど、やはり最終的には、それが価格として転嫁してもらえるように、それが生産者にとってもプラスになりますし、持続可能性のある農業につながってくると思いますので、その辺りもぜひそうした経済的なところにもつながってくるようによろしくお願いいたします。
また、世界農業遺産琵琶湖システムを象徴する魚のゆりかご水田について、現在の取組状況を農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
これまで、水田の魚道づくりをはじめ、魚のゆりかご水田米の魅力発信など地域の活動を支援しながら取組面積の拡大を図ってきたところでございます。魚類の産卵や生育が確認され、魚のゆりかご水田米として認証された今年度の水田は、18地域、約118ヘクタールとなっており、その取組面積は、制度が開始された平成20年度頃と比べ約3倍となっているところでございます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)それでは、今後、魚のゆりかご水田を推進していく上で、販路拡大が重要であると思いますが、どのように進めていくのか、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
販路拡大におきましては、魚のゆりかご水田米を食べてもらう機会をより多く創出することが重要でございます。
消費者向けには、魚のゆりかご水田米の統一パッケージによる訴求や、京阪神の大型商業施設でのPRイベントの実施により知名度の向上を図ってきたところでございます。
事業者向けには、米小売商などを対象とした現地ツアーを開催し、生産者との交流によりまして取組の理解促進を図ったところ、新たな商談が成立し、取引も開始されたところでございます。
今後は、生産者自身による情報発信を支援いたしますとともに、商品開発など6次産業化の取組を促進し、さらなる販路拡大につなげてまいります。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)よろしくお願いいたします。
次に、琵琶湖システムの中核的な取組であります琵琶湖漁業について、現在進められている琵琶湖漁業の流通体制の再構築がブランド化には重要でありますが、どのように進めようとしておられるのか、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
湖魚のブランド化には、消費者から選び続けられるための魅力訴求と併せて、多様なニーズに応える安定した流通が重要であると認識しております。
そのため、まずは物量の確保が必要でありますことから、漁業組織が取り組まれます、県域で湖魚を集荷し、出荷する、新たな流通体制の構築に対して支援をしてきたところでございます。
さらに、県域での流通体制を着実なものとするため、漁獲物の鮮度やサイズなど、品質に応じた規格化を目指す漁業組織の新たな取組を支援し、安定した湖魚流通の構築を推進してまいります。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)次に行きます。
これらの生産から消費喚起の取組を踏まえると、先ほどのホームページの質問と関連しますけれど、琵琶湖システムは観光誘客にもつながるコンテンツにもなり得ると思います。琵琶湖システムを活用した観光について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
今年度、農業体験や漁業体験などの観光コンテンツを再構築いたしまして、DISCOVER琵琶湖キャンペーンとして実施いたしましたところ、約3,000人の方に御利用いただきました。
また、本年2月に公表いたしました県域の御当地グルメでありますびわ湖魚グルメの情報発信により、魅力訴求や誘客を図っているところでございます。
今後は、こうした取組に加えまして、農業や漁業の体験と食とを組み合わせるなどいたしまして、農林水産業と食文化のつながりを感じられるようなコンテンツの造成に取り組み、誘客につなげてまいりたいと考えております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)1点再質問をさせていただきます。
2月7日にびわ湖魚グルメが誕生しました。その中で、ロゴマークも新しく作成され、観光誘客、消費喚起につながるものと大いに期待をしております。この世界農業遺産を契機に、びわ湖魚グルメ、つくられましたけれど、それ以前の取組として琵琶湖八珍であったり「おいしが うれしが」の取組もございまして、それぞれにロゴマークがあります。そのロゴマーク、県内で使用されておりますけれど、びわ湖魚グルメ、琵琶湖八珍、「おいしが」それぞれのロゴマークの活用方法について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
びわ湖魚グルメのロゴマークは、琵琶湖システムを消費者に身近な食として体感してもらえるように本年度作成したところでございます。湖魚や農産物を使ったメニューや商品を提供される飲食、宿泊事業者などで活用いただいております。
琵琶湖八珍のロゴマークは、平成28年度に湖魚の認知度向上、消費拡大を目的に作成いたしました。現在、湖魚を積極的に使用する県内外の小売事業者や飲食、宿泊事業者273店舗で活用いただいております。
「おいしが うれしが」のロゴマークは、平成20年度に地産地消を推進する目的に作成いたしました。県産農畜水産物やこれらを使用した商品メニューを提供されます県内外の小売事業者や飲食、宿泊事業者2,042店舗で活用いただいております。
いずれのロゴマークも、事業者の創意工夫の下で活用され、県産農水産物の魅力を伝えていただき、消費を促しているところでございます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)それぞれ意味があるんだと思うんですけれど、観光客の方にとって混乱が生じないように、しっかりと明確にその意図を示していただきたいなと思います。
次、コロナ禍も明け、県内外からの来客者の増加も見込める中で、農村地域に滞在するような滞在型観光が期待されますが、琵琶湖システムを体感できるような農泊の取組の推進について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
これまで、農泊につきましては、各農家民宿の開業支援をはじめ、受入環境の整備や魅力発信などの取組を進めてきたところでございます。
今後は、これらの取組に加えまして、棚田の景観や魚のゆりかご水田での体験、びわ湖魚グルメなどのコンテンツを結び、その魅力を長期間滞在しながら体感できる滋賀ならではのアグリツーリズムとして造成してまいりたいと考えております。
さらに、農泊を持続的に取り組むための地域の体制整備や情報発信力の強化を行うことで、地域の活性化とともに、移住、定住も見据えた関係人口の創出を図ってまいりたいと考えております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)最大限、琵琶湖システム、活用していただいて、観光、また滞在につながるように、あと、移住支援につながるような形でまた取り組んでいただけたらと思います。
次、琵琶湖システムを次世代につないでいくには、生産者への支援に加え、次世代を担う児童や生徒への理解促進や参加等も重要と考えられますが、その取組について農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
次世代を担う子供への理解や参加を促進するためには、琵琶湖システムを学んでいただく機会を提供することが重要でございます。
そうしたことから、生産者と連携いたしまして、出前講座や生き物観察会を積極的に実施しているほか、小学校高学年向けに制作した学習教材をうみのこなどで活用いただいているところでございます。
今後は、親子での農作物の収穫や漁業の体験、調理体験を通じまして琵琶湖システムを体感いただくモニターツアーを実施するなど、さらなる学びの機会の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)よろしくお願いいたします。
次、琵琶湖システムを守っていくためには、ヨシの保全活動や赤野井湾での外来生物駆除等の琵琶湖保全活動が重要でございます。先日御逝去された岩佐議員も熱心に参加されておられました。今後、琵琶湖システムを次世代につないでいくということを踏まえて、ヨシの保全活動をどのように進めるのか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
湖魚の産卵や成育の場となりますヨシ群落につきましては、これまでの造成や保全活動などによりまして、近年、琵琶湖周辺の群落面積は、昭和28年──1953年と同じ程度にまで回復してきておりまして、今後は造成事業を中心とした量的な回復から維持管理中心の質的向上を図ることとしてございます。
こうした観点から、引き続き、事業者やボランティア等による保全活動の促進、ヨシの成育を阻害するヤナギの伐採、ヨシを地域資源として利活用していく取組への支援などを進めていくことによりまして、ヨシ群落のさらなる保全を図り、琵琶湖システムを次世代にしっかりつないでまいりたいと存じます。
◆20番(井狩辰也議員) (登壇)琵琶湖の環境が守られて、やはり琵琶湖システムというのが成立しますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
最後に、世界農業遺産に認定された琵琶湖システムは、今後の滋賀県農畜水産業を振興していく中で、担い手確保、生産振興、消費喚起において大きな武器となり、琵琶湖をはじめとした豊かな自然環境を次世代につないでいくためには重要な財産となります。
そこで、最後の質問となりますが、今後どのように琵琶湖システムを生かした本県の農林水産業の振興を図ろうとしているのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)まさに先人からずっと守り伝えてこられたこの琵琶湖システムが世界農業遺産に認定されたということは、私たちにとって誇りですし、その基盤、つながりをしっかりと維持しながら、広げながら、まさに今、最後にお触れいただいた、本県の農林水産業の振興にどのように生かしていくのかという、こういう視点を持って取り組むことが肝要と考えます。
これまでも、認定以降、この琵琶湖システムの認知度を向上させることと併せて、せっかく世界農業遺産に認定されたんだから、農林水産物のブランド化、また地域資源を活用した観光振興、魅力発信に取り組んできたところでございます。
その一つの成果というか、具体的なアウトプットとして、全国初と評されていますけれども、県域で御当地グルメとして出来上がったねというびわ湖魚グルメ、こういったものが生まれましたり、SNSのフォロワーですとか出前講座の大幅な増加、私もさっき聞いてびっくりしたんですけど、DISCOVER琵琶湖って3,000人も来はったんですね。ああ、そうかと思って、なかなかええことやってくれてるなと思いましたし、農泊を発展させたアグリツーリズムというのも可能性があると思います。
また、いよいよ来年は国スポ・障スポ、万博などもありますので、こういうタイミングで、そういったイベントに合わせて、ぜひこの琵琶湖システム、世界農業遺産の滋賀の各地を周っていただいて感じていただく、食べていただく、こういう取組につなげていきたいなというふうに思っております。
折しも昨年の末に、この様々な活動の評価を農林水産省の農村振興局長からいただきまして、私に助言として通知をいただいております。その中にも、今まさに議員がお触れいただいた魚のゆりかご水田のことですとかヨシの問題、さらには教育やツーリズムを通じてこの琵琶湖システムを体験してもらえるような、こういう取組をぜひこれからも検討してほしいという、こういう指摘もいただいておりますので、ぜひこのタイミングを生かして、さらに取組を進化、また拡充させていきたいと考えております。
あわせて、これも私は最近知ったんですけれども、日本で最初に世界農業遺産に認定された場所はどこかというと、議員御案内だと思いますけれども、新潟県の佐渡のトキと共生する農業と、もう1つは能登の里山里海なんですね。まさに今、この奥能登が震災で大変な状況になっていらっしゃるとすれば、こういったところと連携しながら、その復旧復興のためにも、今、能登町に支援をしている滋賀県として、どういう取組ができるのかというのを考えて、一緒に盛り上げていくという視点もあるんじゃないかなというふうに思っております。
ぜひいろんな角度からこの世界農業遺産、琵琶湖システムを盛り上げるべく取組を進めてまいりたいと思いますので、今後ともよろしく御支援、御指導お願いいたします。
◆20番(井狩辰也議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、20番井狩辰也議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明23日から25日までは、県の休日のため、休会であります。
来る26日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時5分 散会
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