滋賀県議会 2023-12-12
令和 5年11月定例会議(第16号〜第22号)−12月12日-06号
令和 5年11月定例会議(第16号〜第22号)−12月12日-06号令和 5年11月定例会議(第16号〜第22号)
令和5年11
月定例会議会議録(第21号)
令和5年12月12日(火曜日)
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議事日程 第6号
令和5年12月12日(火)
午 前 10 時 開 議
第1 議第132号から議第160号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)ほか28件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
第2 議第161号から議第165号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)ほか4件)(知事提出)
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
第2 日程第2の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(1名)
32番 岩 佐 弘 明
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長代理 中 原 淳 一
人事委員会委員長代理 曾 根 寛
公安委員会委員長代理 北 村 嘉 英
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
中原淳一委員が、また、
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として曾根寛委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として北村嘉英委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第132号から議第160号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)ほか28件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第132号から議第160号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、16番
佐口佳恵議員の発言を許します。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇、拍手)発言通告に従い、
琵琶湖博物館の
クラウドファンディングと未来に向けた
ファンドレイジングについて、一問一答方式で質問いたします。
ファンドレイジングと
クラウドファンディングは混同されがちですが、異なる概念です。
以下、文化庁のホームページで、
ファンドレイジングで検索すると表示される
博物館ファンドレイジングガイドを参考として定義させていただきます。
ファンドレイジングは、直訳すると資金調達で、最も狭い定義では、NPOなどの非
営利活動法人が寄附金を集めるものとされ、最も広い定義では、民間企業なども含めた主体が、株式、社債発行、融資や事業収入など、財源獲得を行うものまで広く含むものとされます。
このように広い概念ですが、一般的には、
ファンドレイジングとは、非
営利活動法人など様々な主体が寄附金、会費、助成金、補助金などの支援的資金を集めることとされています。
ファンドレイジングを行う意義は、単に活動資金を調達することではありません。支援を募る過程や御支援いただいた後の
コミュニケーションを通じて、より多くの人たちに社会の課題を示し、自分たちの活動の目的や目指している社会像、生み出している価値を伝え、理解と共感を得て、その課題解決への参加者を増やして社会をよりよくしていくことにあります。
次に、
クラウドファンディングとは、インターネット上で公開されたプロジェクトに共感した多くの人たちから資金を調達する仕組みのことを指します。群衆を示すCrowdという単語と資金調達を示すFundingを掛け合わせた造語です。
クラウドファンディングはあくまでも
ファンドレイジングの手法の一つです。
琵琶湖博物館では、現在、
クラウドファンディングを実施されています。まずは達成、おめでとうございます。登壇直前の時点で500万円の目標のところ528万4,000円という、非常に大きな御支持をいただいております。御寄附いただきました皆様におかれましても、誠にありがとうございます。
琵琶湖博物館は、かねてより寄附や会員制度等を通じて県民の皆様や地域の企業と良好な関係を築いてこられています。令和4年7月議会において、平成28年度から令和3年度までの
琵琶湖博物館への御寄附は254件、約8,883万円であり、特に平成29年度から令和元年度までの3年間は、博物館のリニューアルのため多くの寄附をいただいたことを御答弁いただきました。
令和4年度における
琵琶湖博物館への寄附の実績はいかがでしたでしょうか、
琵琶湖環境部長に伺います。
○議長(奥村芳正) 16番
佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
令和4年度における
琵琶湖博物館への寄附は合計で16件、約656万3,000円でございました。また、寄附以外にも協賛といたしまして、
水槽サポーター43件で約306万円、企業の
メンバーシップが62件で435万円、
樹冠トレイルサポーターが6件60万円、キャンパス
メンバーシップが2件で約21万円と、合計しまして129件、金額で約1,478万円の御支援をいただいているところでございます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)129件、1,478万円とのこと、本当にありがたいことと思います。
以前の議会では、企業から寄附をいただいた際に、博物館内の銘板やホームページに企業名等をお知らせするとともに、企業等が実施される研修会や観察会に協力するなど、博物館のサポーターとして継続して応援していただけるよう努めているとの御答弁もいただきました。
本日の御答弁では、会員制度、
メンバーシップを挙げていただいていますが、個人を含め、これまで支援いただいた方々とどのような
コミュニケーションがなされ、どのような関係性の構築に至っているか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
琵琶湖博物館は、開館当初より地域の皆様との関係性を大切にしながら、博物館を利用したい個人、法人を含む全ての人々に対して広く開放し、地域活動や交流の機会をつくってまいりました。特に、約6年をかけて実施したリニューアルをきっかけといたしまして、延べ600以上もの企業、団体の皆様への訪問を重ね、
コミュニケーションを取りながら博物館のことを知っていただくとともに、博物館に求められるニーズを把握し、関係を深めてまいったところです。
その結果、博物館と企業、団体の皆様との協働の研修会や観察会の実施など、新しい関係を構築できるようになってまいりました。今後もこうした関係を深めてまいりたいと存じます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)ひとえにそういった日常の御活動あっての今回の
クラウドファンディング達成かと存じます。
今回の
クラウドファンディングについて、順次伺ってまいります。ここから厳しい話もいたしますが、今回の
クラウドファンディングの成功について、関係者の皆様に深く敬意を表し、また、寄附者の皆様に心より感謝を申し上げます。そして、
議員ファンドレイザーを自称する私ですので、本県でどっしりとした
ファンドレイジングが行われ根づいていくことを、これからも変わらず推奨を申し上げたいと思っておりますことを、誤解なきよう申し添えさせていただきます。
今回の
ファンドレイジングでは、
クラウドファンディングのサイトに寄せられた多くのコメントを見ると、400件を超える心温まる応援の言葉が並び、私も感激いたしましたが、大変温かく応援していただいていることが分かります。その一方で、滋賀県が誇る県立の博物館である
琵琶湖博物館が、行いたい事業や新たな展示のため等ではなく、急な破損事故があったとはいえ、修繕費を
クラウドファンディングで資金調達されていることに対し、心配のお声も上がっています。主に、なぜ全補修費用を県費で賄えないのかという趣旨の御意見です。
本年8月から11月にかけて行われた
国立科学博物館の
クラウドファンディングでも、類似の議論が起こっています。
国立科学博物館の
クラウドファンディングは、開始9時間で目標額の1億円を達成、最終9億1,602万5,000円という大成功を収められたこと、まずはともにお喜び申し上げますものの、やはりそもそも国が負担すべきという議論と、
国立科学博物館ともなれば今年度の光熱費だけでも3億8,000万円に及ぶと報道されておりますので、今後は大丈夫なのか、
クラウドファンディングはそうそう繰り返せないという心配のお声です。
琵琶湖博物館の
クラウドファンディングは、こうした議論が起こる前から企画されていたと仄聞しておりますし、せっかく時間も労力もかけて準備していただいた
クラウドファンディングですので、様々な御意見がある中で果敢に実施していただいたことは、私は前向きに受け止めております。ただ、県民の皆様の御心配のお声や、
国立科学博物館の議論を踏まえて、今後の
ファンドレイジングについて議論を深めていくことは重要です。
そこで、現時点における
国立科学博物館の議論を踏まえ、
琵琶湖博物館の今回の
クラウドファンディングについて、
琵琶湖博物館を所管している
琵琶湖環境部の長としてどのように捉えていらっしゃるか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
国立科学博物館での議論については承知をしておりますけれども、
琵琶湖博物館では、水槽の破損事故の発生以降、全国各地から数多くの
応援メッセージや博物館の力になりたいという意向をいただいておりますことから、そのような皆様と一緒に水族展示の復旧を進めていきたいと考え、
クラウドファンディングの実施に至ったものでございます。
今回の
クラウドファンディングにおいても、多くの方々に共感をいただき、支援の輪が広がっていることに加えまして、博物館の取組の発信にもつながっており、非常に有意義な取組になっていると考えております。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)力になりたいとのお声がたくさん寄せられ、その受皿として
クラウドファンディングを行っていただいたということでございました。それをお聞きして、多少ほっとしております。
ただ、今回私に寄せられたお声は、県は予算措置をしなかったのかと、お叱りのような嘆きのような厳しい御意見をいただきました。私ども議員はともかく、県の財政担当課からすれば、それは誤解で不名誉なことでしょう。というのは、
琵琶湖博物館の水槽修繕費については、6月の補正予算で県費で賄ってくださっていたからです。
予算措置されていた水槽修繕費について、なぜ
クラウドファンディングになったのか、時系列を含めた経緯を環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
今年2月の
水槽破損事故直後から原因究明と早期の復旧に向けた準備を進めまして、まずは関連の予算を6月議会にお願いをしてお認めいただいたところでございます。その予算を基に復旧に向けた取組を進める一方、事故直後より多くの皆様から博物館を応援したいというお声をいただいておりまして、これを形にできる
琵琶湖博物館らしい手法について検討した結果、
クラウドファンディングの実施が最もふさわしいのではないかと考えるに至りました。
実施に向け具体的な手法の調査や関係機関との調整などの準備を経まして、11月15日に実施に至ったものでございます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)ありがとうございます。2月の事故に、6月に急ぎしっかりと予算をつけていただいたということだと思います。そして、それが知れ渡る中で皆様から応援のお声をいただき、それならばということで
クラウドファンディングにしていただいた。この理由は、県民の皆様の予算措置してもらえなかったのかという御不安を多少解決できるものであり、私もほっといたしました。
しかしながら、やはり疑問も落胆も感じた方々がいらっしゃいました。
琵琶湖博物館の水槽破損の修繕費などは、博物館法の理念からすれば公が準備しておかなければならないものと言えます。日本の寄附文化がもっと成熟してくればともかく、現状では幾らすばらしい
参加型博物館といえども、毎度毎度
クラウドファンディングで御寄附をお願いできる性質のものでありません。本来的には地域の宝として未来へ引き継ぐものとして、公が守るべきもののはずです。
私は、財政がそれほどまでに苦しいのだろうと思ってはいますが、果たしてそうなのか分からなくなるときがあります。本議会でも取り上げられましたが、草津のプール、
東北部工業技術センターの土壌改良、そして、以前の原松原線、窯業試験場と億単位の補正予算が次々と提案されてきます。かえって費用と時間を使うこととなった
県ウェブサイトの委託事業や
コールセンターなどの
業務委託費水増し請求などもありました。
こうした中で文化方面はといえば、入館料さえ法律の原則的な運用をできていません。博物館法第26条では、公立博物館は入館料などの対価を徴収してはならないと定められていますので、博物館は本来無料で開放されなければならないはずなのですが、同条文で、ただし、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は必要な対価を徴収できるとの規定があるため、それを適用して入館料を徴収し続けているような状況です。
例外であるはずの有料状態が恒常化し、その上、修繕費まで寄附で募るという状況は、市民の皆様に御理解をいただける状況とは言えないことでしょう。大きな声を上げない方々も、行政の振る舞いをよく見ておられます。こうした環境の中で、こうして様々に御意見ある中で、それでも今回の
クラウドファンディングが成功した要因は何か、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
まず、今回の
クラウドファンディングに当たって頂戴した
応援メッセージなどからも、これまで
琵琶湖博物館が行ってまいりました様々な取組が皆様から認めてもらい、愛される博物館となっていることが大きいのではないかと考えております。
その上で、
水槽破損事故以来、皆様から頂戴しておりました博物館を応援したいという声を形にする趣旨から、「みんなでつくる新水槽」を合い言葉として実施したことにより、さらに多くの共感の輪が広がり、今回の
クラウドファンディングの成功につながっていると考えております。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)ありがとうございます。御答弁いただきましたとおり、これまでの様々なお取組、ここがすごく肝だったと思います。
琵琶湖博物館はかねてから博物館の持てるリソースを広く公開し、支援者をはじめとする
ステークホルダーとの関係性構築にも力を入れてこられています。こうして
琵琶湖博物館が地域やファンの皆様とこれまで築き上げた関係性、大きな信頼の蓄積があったからこそ、
琵琶湖博物館が困っているならと御篤志を寄せていただけたものと思います。
支援してくださった皆様は、設置主体の県というよりは
琵琶湖博物館を応援してくださっているはずです。今回の
クラウドファンディングは、当の
琵琶湖博物館にとってどういう意義があったでしょうか。6月補正とその
クラウドファンディングで御支援いただいた資金はどのように取り扱われるかについて伺います。
○議長(奥村芳正) 答弁者は
琵琶湖環境部長でよろしいですか。
◆16番(
佐口佳恵議員) 大変失礼いたしました。
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
今回の
クラウドファンディングで御支援いただきました資金は、6月補正予算でお認めをいただき、進めております水槽復旧の財源として活用いたしますので、2月議会で議決の財源から振り替えて充当する予定をしており、その際は改めて御審議をいただきたいと考えております。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)つまり、予算がついたけれども、御寄附が集まった分は上乗せになるのではなく、一旦一般財源に戻されるということです。
この公立館が
ファンドレイジングなどで外部資金を調達しても予算が減らされるという問題は、滋賀県だけの問題ではありません。令和4年度文化庁発行の
博物館機能強化事業の成果報告書、2つありますが、
日本ファンドレイジング協会が作成されたほうの成果報告書の中で、公立館が
ファンドレイジングなどで外部資金を調達しても、予算が減らされる行政の仕組みが外部資金調達の意欲をそぐという指摘がなされています。
寄附で支援してくださった皆様にしても、県の財源を応援したいと思っているというよりは
琵琶湖博物館を応援したいと思ってくださっているわけですから、頑張って外部資金を得ても、その分、公的資金が減らされる仕組みでは、寄附者の皆様の思いにも沿えないのではないでしょうか。
寄附をお願いするなら、
インセンティブとなり得る相応のメリットが、寄附者に対してはもちろん、寄附者が支援したいと思っている直接の相手、今回なら
琵琶湖博物館に届き、
クラウドファンディングが関係者全てに喜びがあるものとならなければ、持続的なものとはなりません。
成果につなげたいなら、根性論ではなく制度論が重要です。やる気が出るような制度に変えていかなければならないと思います。
今回の水槽復旧に向けた
クラウドファンディングにしても、今回の議会の中の御答弁でもありましたが、来年度も行われるという予定と聞いております。来年度も
クラウドファンディングを行うというなら、寄附者や寄附者が応援した
博物館関係者にとって
インセンティブの面で
プラスアルファがある制度、例えばやってみたかったけれど予算の関係で諦めていた展示ができるといったようなことにも使える制度にするべきではないでしょうか。
全額が充てられて当然という気もしますが、もしも
クラウドファンディングが成立しない場合のバックアップは財政課が踏ん張って頑張ってくださっていることもありますので、せめてまずは集まった金額の2分の1でも、一部でも
プラスアルファの展示など、寄附者や博物館の思いを実現する予算として措置できないかと考えます。
こういった寄附などの獲得に努力するところに、より予算がつくような仕組みが必要であるとの指摘は、令和3年の国の文化審議会でもなされています。財政的な課題や他の課も関わることであり、
琵琶湖環境部長から確答いただけないのは承知しておりますが、すばらしい成果を上げている今回の
琵琶湖博物館の
クラウドファンディングを契機として、その努力が無駄とならないよう、
琵琶湖環境部内で課を越えた問題提起を行っていただきたいと思います。
琵琶湖環境部長の思いを伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
歳入確保の努力をした部局に一定のメリットがあるということは、歳入確保に向けた
インセンティブにもつながるものと考えております。歳入確保は県全体に関わります財政的な課題と受け止めておりますので、財政を所管する総務部とも共有してまいりたいと存じます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)総務部とも共有していただけるとのこと、ぜひやる気が起きる程度に、制度論としてお話しいただければと思います。
ここで、今回の
クラウドファンディングではプラットフォームを利用されていますが、その目的、理由、所感を
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
寄附を募るに当たりまして、全国の方々から幅広く受けられる手法として有効であるということ、短期間で効果的に
クラウドファンディングを実施するためには、専門的なノウハウを持った事業者にアドバイスを受けながら行う必要があったことなどから、博物館、美術館の分野に実績のあるプラットフォームを利用いたしました。
また、このようなプラットフォームを利用することで、これまで
琵琶湖博物館を知らなかった方々にも認知度を上げるという効果も期待できると考えました。現時点で大変多くの方々から御支援をいただいておりまして、よい選択だったと受け止めております。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)私も、よい選択だったのかなと思っております。やはり全国に広報できる、また、一定のファン層を獲得してくださっている、短期間で様々な取組をしていただける、サポートがあるなど、プラットフォームの役割は非常に大きいものがあります。手数料については様々議論があるところでございますが、今回の成功にも一助いただけたのではないかなと、私見ですが考えております。
こういった広報的な効果、新しいファンの掘り起こしなどを挙げていただきましたが、今回のような規模のプラットフォームでは、御支援いただいた皆様のアドレスをダウンロードできたり、性別や年齢などをいただける場合もあります。寄附者の属性分析を行うことで、
琵琶湖博物館がどのような方々に何を求められているかのヒントとなり、それらを今後の展示や企画に生かしていけるなど、より深い関係性構築につなげていくことができます。
せっかくプラットフォームを使ったなら、ぜひ
クラウドファンディングを契機として、持続力のある継続的な
ファンドレイジングにつなげられるよう、プラットフォームから得られる情報など、十分な活用をしていただきたいと思いますが、
琵琶湖環境部長のお考えを伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
今回サイトを御覧になった方々や御支援いただいた方々の地域、アクセス情報、時系列的な寄附の推移など、プラットフォームから得られる情報を基に、今回の残りの期間と、また、来年度の実施に向けましても、効果的な支援者増加につながる方法を検討しているところでございます。
また、博物館を応援してくださる皆様と今後さらにつながっていくための検討にも活用できないか考えてまいりたいと存じます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)なぜこのような活用について申し上げるかと申しますと、
クラウドファンディングをより長期的、持続的な
ファンドレイジングにつなげていっていただきたいからです。レコグニションという概念がありますが、寄附をいただいたら、次の寄附をお願いするまでに7回ありがとうを示すというような考え方です。
7回というのは一つの説ですけれども、言葉で表すだけでなく、報告会であったり、すばらしい展示であったり、共にする活動であったりです。そうした中の一つとして次の寄附のお願いがあるという形でなされないと、むやみな
クラウドファンディングを繰り返せば、言わば焼き畑的なものとなり、どんどん達成が難しくなるという面も持っています。これはさきの
国立科学博物館の議論の中でも心配されている論点の一つです。
そして、その
クラウドファンディング1回にしても、リターンの設計、そのリターンの実行など、思っている以上に大変な作業です。
クラウドファンディングは効果が高い反面、リターンの設計などは通常でも大変ですが、博物館の
クラウドファンディングとなると博物館法の理念などもあり、実施には御苦労があったのではないかと推察いたします。
今回、
ファンドレイジングの中でも、500万円規模の
クラウドファンディングに取り組まれました。御苦労であったであろうこと、察して余りありますが、
クラウドファンディングに取り組んでみていかがだったか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
クラウドファンディングのまず、実施に当たりまして、職員に専門的な知識やノウハウも乏しいところ、限られた期間の中での対応が必要となりましたので、関係部局との調整等に相当の時間と労力を費やしました。また、
クラウドファンディング実施中は、事業者との連絡調整を重ね、状況分析や対策を講じながら、メッセージの返信、活動報告の公表など、丁寧な対応を行い、目標達成のため業務を行ってきております。
さらに、本業務は通常業務に加えまして
水槽破損事故の原因究明や水槽の安全確保のための対応を行う中、実施してまいりましたので、多くの職員が多岐にわたる業務を同時並行で進めることとなりました。
こうした数多くの苦労がありながらも、短期間で当初の目標額を達成できましたことは、
琵琶湖博物館が皆様から愛され、期待されていることの表れと考えております。その期待に応えるべく、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
◆16番(
佐口佳恵議員) (登壇)非常に大変だったと思います。毎日のようにサイトを拝見していたんですが、非常にこまめに寄附者の方のメッセージに返信などを返しておられましたし、通常業務と並行しては大変だったろうなと拝見しておりました。
様々課題あるとしても、今回のような
クラウドファンディングにチャレンジすることを否定はいたしません。経験を積んでいただけますし、スチュワードシップと呼ばれますが、寄附金を有効に使うことで寄附者の期待に応え、その中で寄附者とさらに関係性が深まるなど、将来的に
クラウドファンディングにまつわる努力が博物館を支えることにつながる可能性は大いにあるからです。ですが、今それを博物館に求めるなら、十分なサポートをお願いしたいと思います。
というのは、博物館を取り巻く環境の変化です。多様な使命を持つこととなってきました博物館、文化庁の諮問を受けての日本学術会議がまとめた2022年改正博物館法を受けて、今後の博物館制度の在り方についてが公開されていますが、2022年改正博物館法でも、その目的に従来の社会教育法に加え、「文化芸術基本法の精神に基づき」が追加されたこと、他の博物館との協力や地域の活力向上への寄与が努力義務化されたこと、居場所としての役割なども期待されています。事業としても、博物館の事業に博物館資料のデジタルアーカイブ化も追加されています。
これらの意義や趣旨には賛同するものの、さらに文化観光推進法では、高度に専門的な学芸員が期待されています。観光をしながら保存するというところですね。これまでも保存にはマイナスになる面を持つ展示、観光などを慎重かつ細心の注意を持って取り組んできてくださってはいるものの、活用に傾き過ぎないかというのは、国内だけでなく国際的にも強い懸念が示されている中、一層気を遣われることと思います。つまり、担う役割と仕事が増しに増しています。
しかし、今回の改正でも、学芸員制度についての整理は十分ではなく、数も役割分担も権限も十分ではありません。学芸員をはじめとする博物館の職員の皆様の負担増加に強い危惧感を持っております。博物館の役割、事業の幅が広がるのは望ましいことですが、学芸員が全ての業務を果たすことが求められている現状ですので、ただでさえ、理念はよくとも学芸員が行う調査研究の比率が減る傾向にあります。
最重要と言える研究や資料の保管、管理ができない状況に陥りかねません。それが続けば最悪の場合、
琵琶湖博物館の宝と言える学芸員などの専門家、職員の皆様が疲弊され、人材の流出にもつながりかねません。そこにさらに無理やり資金調達までも担当するとなれば、働き方改革もウエルビーイングもあったものではないでしょう。
せめて専門家や専門機関が存在している
ファンドレイジングについては、予算と人員を置きサポートしていただくことが、資金調達の目的のみならずこれら数々の法により期待される博物館の役割を実現し、成果を高める上で必要であろうと思います。
1例だけ、専門家活用の好例として、すみだ北斎美術館を挙げさせていただきます。事業がなかなか進まず、最初賛成していた市民の皆様も反対に転じるというような厳しい外部環境の中、5億円を集める必要が生じ、悩まれた担当者の方は専門家の力を活用されました。結果的に、20億円の資金と多くのファンの獲得につながられました。
同じ資金調達でも、適切なサポートの下、自主的、意欲的に行われるものとなるか、割り当てられた仕事として本来行いたい業務を削るだけのように感じて実施するか。その1回の資金調達のみならず、その後の継続的な
ファンドレイジングや、本来の目的である博物館事業の展開にも影響することでしょう。
博物館は魅力的であるがゆえに、厳しい財政見通しの中で寄附を集めていただきたいということは重要と思うものの、専門家や専門機関に
ファンドレイジングをサポートしていただくこと、事務手続面でのバックオフィス的な支えが必要と考えます。餅は餅屋で、それにかかる費用分を上回る効果を生み得ますので、それは寄附の最大化にもつながります。
専門家活用については会派を超えて長く指摘されているところですが、今回のように、本来の業務以外に慣れない
クラウドファンディングを依頼するなら、それを支える人員、広報資材のための人員、予算面でのサポートが効果の最大化のために必要と感じます。人事で人員を割ければ理想的ですが、定数条例の厳しさもあると思いますので、せめて専門家、広報資材などの予算を確保していただけないかと思います。
最後に、今後もこうした形で寄附を募るならサポートも行わなければならないと考えますが、それについての総務部長の所見を伺います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
ファンドレイジングは、財源確保としての取組にとどまらず、多くの皆様から共感と応援の輪を広げ、途切れることなく未来へとつなげていく手法として有効であると認識をしております。
そのため、有識者を招いた研修会を開催いたしまして基礎的な知識を習得させるなど、職員のスキルアップに取り組みますとともに、本年4月からは総務部内に専門部署を設置をいたしまして、共創の観点に立ちまして企業等との関係づくりを行っているところでございます。
今後とも、総務部が庁内の牽引役といたしまして知見やノウハウの蓄積、集積を図りつつ、
ファンドレイジングのさらなる推進につながりますよう、適宜専門家の助言もいただきながら、各部局の取組を効果的にサポートしてまいりたいと存じます。
◆16番(
佐口佳恵議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、16番
佐口佳恵議員の質問を終了いたします。
次に、30番目片信悟議員の発言を許します。
◆30番(目片信悟議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
それでは、早速ではございますけれども、発言通告に従い大きく2点、滋賀県が締結する契約に関する条例と現状について、そして、2点目に県民にかかる様々な害について、知事および関係部局長に問います。
まず初めに、滋賀県が締結する契約に関する条例と現状について、全て知事に問います。
滋賀県が締結する契約に関する条例──以下、本条例と言いますが、これは令和4年4月1日に施行され、本条例第3条に掲げる4つの基本理念を実行し、県の契約に関する制度の公正かつ適正な運用および一定の行政目的の実現に向けた県の契約の活用を図り、本県経済および社会の持続的な発展に寄与することを目的として制定をされました。
私は、本条例の具体的な目的とその役割について、県内事業者の受注機会の増大は大変重要な視点であると考えております。この目的に照らし、現在県が進める事業の発注について、地域経済の活性化という観点から適正なのかどうか検証するため、以下、質問をいたします。
まず、近年、事業発注する方法にPFI方式によるものが少なくありません。コスト面などを考慮してがこの方式を選定する理由に挙げられますが、一方では課題もあるのではないでしょうか。
今回は取り上げませんが、以前に発注された、何度もこの議場でも議論になっております
東北部工業技術センターについても、私の目から見ても本当にPFI方式で事業発注してよかったのか疑問に感じているところであります。これまでは、公共事業の発注では競争入札、プロポーザル、コンペ方式などにより受注者を選定してまいりました。一方、PFI方式では、事業構築に当たり、それぞれの専門分野の企業がグループを構成しますが、これまでの発注形態に比べ、地元企業の参画が妨げられているとの指摘もあります。
また、PFI方式では、県内事業者の参画に対して、なるほど評価において加点はされますけれども、代表企業はそのことを十分理解しているのか、大きな疑問でもあります。
そこで、改めてPFI方式において本条例に定める目的に照らし、県内事業者の受注機会の確保が図られているのか、現状および知事の見識を問います。
また、PFI方式をはじめ様々な発注形態がありますが、一企業、事業者のみの参加であれば、他の県内企業は参画できず受注機会は奪われます。特に基本計画を手がけた企業がグループに参画すれば、当然応札に対して大きな優位性、アドバンテージがあると考えられます。こうした適切な競争が働かない憂慮すべき事態、問題、課題について、入札の公平性や多くの企業の参画促進を図るという観点から、県としてどのように考えているのか、知事の見解を問います。
私が申し上げたいのは、先ほど指摘をいたしました県内事業者の受注機会の拡大であります。県内事業者が実際に受注できるかどうかは、もちろん事業者側の努力が求められることは言うまでもありませんが、そもそも様々な事情、例えば参加要件、事業スケジュール等から、最初から入札に参加する意欲がそがれてしまうようなケースもあるように聞いております。
事業者の参加意欲が高まらなければ、先ほど申し上げましたとおり、入札不調や1社のみの応札になるなど、適正な事業執行の面や健全な価格競争の面でも問題があると考えますし、それらは結局、県民の不利益につながるものと考えます。このことからも、より公平公正に、また、コストを抑え県内事業者が参画できる工夫や入札方法の改善も求められるのではないでしょうか。そこで、地元企業参画の推進について、どのように進められるのか、知事の見解を問います。
次に、大型事業になればなるほど参加グループや企業には大きな経費負担がかかります。例えば100億円規模の事業にもなりますと、応札するための詳細項目を積算するためには、少なくともその経費について5,000万円は必要とのことであります。金額をはじき出す作業にも、人件費をはじめとする経費がかかるのであります。
確かに、落札や受注した事業者はその経費を事業の中で吸収できますが、そうでない事業者にとりましては、丸々その経費負担を強いられるのが現状であります。そうなると、参加意欲を高めるどころか、大型事業案件については事業参画する意欲がなくなる。また、低下する事業者が増えるのではないかとも考えられます。現にそうして参加を取りやめたという現実の話も仄聞をしております。
そこで、県内事業者の入札参加意欲を高めるためにはどのような点が課題となっているのか、知事の認識と見解を問います。
また、地元企業にとりまして大きな問題の一つに、技術者の流出があるということであります。さきの代表質問でも人材についての議論がありましたが、県内企業において新規に採用し、コストをかけて資格取得や技術経験を積ませ、さあこれからというときに、県はじめ行政機関へ転職される人材が少なからずおられるということであります。
近年、技術者不足は官民問わず大きな課題として挙がっておりますが、せっかく育てた人材が流出してしまうことは、企業にとりまして死活問題であります。このことについて知事はどのように考えられるのか、見解を問います。
この項の最後に、県内事業者が受注することによって、少なからず県内の下請企業、さらには孫請と、より多くの県内で事業を営む企業の活用、また、県産材、県産品の利用などにより、短期的なコスト削減とは比較することのできない幅広い経済効果をもたらすものと私は思います。
また、県内で様々な専門的な技術等を持つ企業が、その技術の承継、そして、事業そのものを継いでいける環境を整えなければ、大きな企業のみが生き残り、地元で頑張っている企業が衰退していくのは目に見えております。
そこで、改めて本条例の活用により、どのように県内事業者の参加を拡大し、地域経済の活性化を図ろうとするのか、知事の考えを問います。
○議長(奥村芳正) 30番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)滋賀県が締結する契約に関する条例と現状について、6点御質問を賜りました。
まず1点目、PFI方式における県内事業者の受注機会の確保についてでございますが、PFI方式におきましても、これまでの発注方式と同様、県内事業者の参画は重要であると認識しており、落札者決定基準において、地域経済への配慮に関する事項を評価項目に盛り込むほか、WTO政府調達協定の対象でない事業につきましては、参加資格要件に地域要件を設け、県内事業者の参画を促しているところです。
こうした取組の結果、これまで本県が実施した全てのPFI事業において県内事業者の参画が図られているところであり、今後とも、契約条例の目的を踏まえ、県内事業者の受注機会の増大に努めてまいります。
2点目の基本計画を手がけた企業の優位性についてでありますが、入札の基本は、公平性、透明性、競争性の確保であります。この観点から、工事では設計業務の受託者やその受託者に一定の関連のある企業の入札参加を認めておらず、同様に、PFI事業ではアドバイザリー業務の受託者やその関係企業等が応募、参画することを認めておりません。
御質問にございました基本計画とは、施設の規模や管理運営等の基本的な考え方や方向性を示すものであり、工事やPFIの入札に直結する詳細な設計や積算を伴うものではございません。
このことから、基本計画策定に関与したことをもって直ちに優位性が生ずるものではなく、工事入札等への参加の制限は必要ないものと考えており、引き続き入札の基本原則の確保に努めてまいりたいと存じます。
3点目の地元企業参画の推進についてでございますが、調達契約のうちWTO政府調達協定の対象のものにつきましては、入札参加資格に地域要件を設定することができないこととなっております。その他のものにつきましては、技術的難易度等により対応可能な県内事業者がいない場合や、入札参加可能事業者数が一定数に満たず競争性が確保できない場合を除き、規模の大小に関わらず県内事業者を優先することとしております。この取組は庁内において徹底しているところでございます。
4点目、入札参加意欲の向上についてでございますが、令和4年度に実施いたしました事業者アンケートでは、県内事業者の入札不参加の理由といたしまして「業務多忙のため」が最も多く、次いで「応札準備の時間がなかった」と「入札情報の確認が遅れた」というものでございました。この結果から、年間の業務見通しを立てるための情報の不足や、入札手続等に要する時間が不十分である等の課題があるものと認識しております。
このため、県発注予定案件の公表対象事業を拡大いたしましたほか、入札公告期間の規定の見直しも検討しているところでございます。さらに、過度に過去の実績等を求めることにより参加意欲を阻害するおそれがありますことから、案件ごとに適切な参加資格要件を設定するよう徹底してまいりたいと存じます。
5点目、県内企業からの人材流出についてであります。県におきましても、経験を積んだ職員が離職して民間企業等へ転職する事例が少なからず生じており、人材獲得競争が激化する中、せっかく育て上げた人材が転職により流出してしまうことが、各企業にとって大きな痛手であることは実感を持って実感しているところでございます。
一方、職業選択の自由もある中で、転職希望者が採用試験を受験された場合、県としては、公平公正に選考を行う必要があることも御理解いただければと存じます。
働く場所に関わらず、滋賀県内で働きたい、働き続けたいと思われるような魅力ある職場づくりを県全体で進めてまいりたいと存じます。
6点目、条例の活用による地域経済の活性化についてです。条例の基本理念である地域経済の活性化と県内事業者の受注拡大は密接不可分の関係にあると考えており、県内での専門的な技術の承継や、地元での事業継続が本県の経済および社会の持続的発展に寄与するものと考えております。
そのため、県内事業者優先の仕組みと併せ、適正な履行期間の確保や契約手続の簡素化等、入札に参加しやすい環境を整えていくことにより、県内事業者の受注拡大を図ることが重要だと考えております。
引き続き、入札制度等に関する事業者の御意見も伺いながら、不断の見直しを行い、取組をさらに向上させ、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。何点か再質問をお願いいたします。
まず、PFI事業そのものの性格としては、民間事業者の資金を活用するでありますとか、ノウハウを活用して、よりコストに見合う事業を公として展開をしていこうというのが大きな役割かなというふうに思うんですが、今まで県が発注してきたPFI事業において、そういった新たな事業構築を生むような、そんなPFI方式による事業発注であったのかなということを、少し疑問に思っているところもございます。
その点について振り返ってみて、例えばあるこの事業では、こういった民間のノウハウを生かした新たな県が求める設計の内容というか事業の内容以外に、民間がそれをノウハウを生かして、いろんな事業展開ができて、お互いウィン・ウィンだよねというようなことがあったのかどうか、その点について一度お答えをお願いしたいと思います。
それともう1点、今、御答弁の中で、基本計画等に参画して優位性をあるようなものは今までなかったという私は理解をしたんですが、新文化館はひょっとして本当にそうだったのかと。新文化館においては、言えば本当は代表企業となるべき非常に体力のあるところが、代表企業ではなくて大方様々な面で影響があるような事業者が代表企業として参画、応札をしたために、ほかの企業がひょっとしたら手を引いたのではないのかと疑われるようなことも感じました。その点について、本当にそれが公平性があったのかどうか、再質問させていただきます。
◎知事(三日月大造) 過去、県が行ってきたPFI事業でこういった民間の資金、ノウハウが活用され、もしくは一括発注することで新たな事業構築が生まれてきたのかという、こういう1つ目の御懸念でございますが、全てのPFI事業をきちんと評価できているわけではありませんが、例えば直近のこういった新県立体育館のアリーナなどにおきましては、一定その後の運営につきましても、健康づくりの取組ですとか、様々なところでこれまでにはなかった新たな事業展開が一部可能になり始めているところもあるのではないかと思います。
ただ、今後こういった方式を使う場合には、PFI方式を使うことならではのこういった価値ですとか意義とか、そういったものがより多くの皆様方に御理解いただけるような説明や、事業構築をするということも非常に重要だと思いますので、今後さらに努めてまいりたいというふうに思います。
また、2つ目、基本計画を担った事業者が、その後の受注に優位性があったのではないかということについてでございます。個別事業について私から何か言うことは控えたいと思いますが、事業そのものの、建物そのものの特異性といいますか特殊性というようなものも、もしあれば、その基本計画を担われた方と、その後の実施計画ならびに工事、そういったものに一定つながっていきやすい面もあるのかもしれません。
そういったことが外からうかがい知れるがゆえに、どうしても手を引かれてしまったり、比較優位で劣ってしまわれたりということがあるのかもしれませんが、その場合にありましても、あくまで公平性を貫くことはもとより、できるだけ地元企業の皆様方にも参画していただきやすい環境をつくるということはとても重要なことだと思いますので、そういったことにまた意を用いてまいりたいと存じます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)これをやっていますともう時間がとても足りませんのであれなんですけど、今、知事がおっしゃいました、地元企業の参画という視点でどういうふうに進めていくのか、私は、PFI方式だけが何かもうばら色の事業発注形態かなというような今の風潮が、何でもかんでもPFIというのが、果たしてそうなのか。地元の企業がより参画することによって、先ほど申し上げた事業が継続できたり技術者を育てたりということにつながるので、ぜひそういった意味では、広く門戸が開けて、参画する事業者が増えるような方式も、少しちょっと念頭に置いていただければなというふうに思います。
申し上げたいことはまだまだありますけど、次に移ります。
2点目は、県民にかかる様々な害について問います。これは以前からこの議場においても再三議論になったところですが、改めて私からも、まずは香害、香りの害について問います。
ついに知人から、この件について相談が来ました。思わず黄野瀬前議員に言うたらどうやろうというふうに、心の中で半分冗談混じりに思いましたけれども、彼女が半ばライフワークのように取り上げてこられたことを思い出しました。
初めに質問されたのは令和3年6月定例会議ではなかったでしょうか。そのときのやり取りを明確に覚えてはおりませんが、やはり困っている人がいるなら、少しでも解決するように取り組むことは責務だと思いましたので、知事はじめ関係部局長に確認の意味も含めて、改めて一問一答で私からも問います。
まず、最初に知事に問います。知事は日頃から「誰一人取り残さない」でありますとか「全ての人に居場所と出番を」とおっしゃっておられます。例えば、周りにいる人のほとんどが特に問題としないことが、1人の人を非常に苦しめている状況があるとしたら、また、自分の居場所だと思い生活していたら、周囲から耐え難い苦痛となるような状況に追い込まれたとしたら、知事はどう思い、どのように対応しますか、お願いします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
多くの人がともに暮らす地域社会でございます。誰一人取り残さないという考え方に立てば、たとえ一人でも苦しんでいる人があれば見逃すことなく、また、苦しんでいる人はためらうことなくそのことを伝えることができ、周りの人もその思いをしっかり受け止めることができる、こうした社会をつくっていくことが大切なことではないかと考えております。そのことは、私自身も目指しております共生社会の実現にもつながるものだと考えております。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)私もそう思います。そういった意味で、なかなかやっぱり忘れてしまうようなことも多々あるのかなということもありましたので、改めて1年余りがたって取り上げさせていただきました。
2点目に、令和3年6月定例会議で質問された後、本県ホームページにおいても、化学物質過敏症として周知され、相談窓口なども明示がされました。一方で、インターネット等そうした媒体にふだんから触れない当事者の皆さんや、これは当事者だけでなく周囲の人にこそ、知ってもらうことが大変重要であると思います。
令和4年9月定例会議での質問で、ホームページ掲載後に20件の多岐にわたる問合せや要望があり、各部局と共有するとの答弁がありましたが、共有した後に、どのようなアクションを各部局は起こされたのでしょうか、
健康医療福祉部長に問います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
いただいた要望のうち、学校に対して周知啓発に努めてほしいという要望に対しましては、教育委員会に情報共有を行いまして、各学校への周知に取り組まれたと聞いております。また、福祉や医療従事者にも知ってほしいという要望もございましたので、民生委員に周知するとともに、県が設置しておりますアレルギー疾患対策推進会議の議題としても取り上げまして、情報共有を図ったところでございます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。情報共有をされて、それがしっかりとアクションを起こされるということが大事ですが、今ちょっと答弁を聞いていると、あまり具体的なアクションとしては、ピンとこないなという思いもいたします。
困っている方は本当に困っておられるということを思うと、そのあたりの取組がこの1年余りでそんなに進展していないのかなという印象を受けますが、その後、現在までに相談、要望、問合せはどのように推移しているのか、
健康医療福祉部長に問います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
令和4年10月以降に5件の相談が寄せられまして、当事者団体の紹介がほしいという相談が1件、そして、症状についての相談が4件でございました。このうち症状を訴えられた方につきましては、全国で相談に対応されておられます認定NPO法人の相談窓口を紹介したところでございます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)では、4点目です。
こうした被害を訴えられる当事者の方と、そうでない方との分断を助長するような取組は控えるべきだと思いますが、一方で、そのような被害があるということを認知または理解してもらう取組は必要ではないかと思います。広報誌での情報発信やポスター制作、各施設への提供、また、チラシの配布など、やはり当事者以外への啓発広報は行うべきと思いますが、そうした取組は現在ではどうでしょうか、
健康医療福祉部長に問います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
県のホームページで県民の皆様に広く周知をしておりまして、令和4年度には県庁、各合同庁舎、そして保健所等の県施設で啓発ポスターを掲示するとともに、しらしがメールでも情報を配信したところでございます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)もちろんデジタルな媒体も大事なんですけど、やはりアナログな部分も、もう少し力を入れてほしいなと思います。ふだんから目に見える、例えば県庁でも何かそういった啓発であるとか、そういうようなことが分かるポスターでありますとか、市役所等本当に目につくところに、そういうことで困ってはる人がいはりますよということが分かるようなことをぜひお願いをしたいと思います。これはもう再質問しません。また機会があれば問いますけれども。
次に、5点目です。ただ、そうした被害当事者がどこにおられるのか、身近におられても分からない、知らない状況もあり得るわけで、漠然と知っているだけでは解決にはならないとも考えます。直接伝えるのではなく、私は化学物質過敏症ですと意思表示するようなマークのようなものを考えてみてはどうかと思いますが、
健康医療福祉部長、いかがでしょうか。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、まずは苦しんでいるということを周りの人に伝える、知ってもらうということが大切だと考えております。当事者の方からは、意思表示すること自体をためらうというようなお声も実はお聞きをしておりまして、周りの人に対しどのような伝え方がよいのか、また、できるのか、こうした当事者の皆さんの御意見を丁寧にお聞きしながら、議員から御指摘、御提案のございました意思表示マークのことも含めまして、検討して考えてまいりたいと存じます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)当事者の方にとってそれが最善なのかどうかとは分かりませんけれども、やはり周りの方がそういうことを知らないまま、当人だけが苦しんでおられるこのバランスを考えると、ぜひそういった意思表示も踏まえて、そういった方が少数であるけれどもいらっしゃるということを、御本人もしくは周りの方がお互いに理解できるような環境づくりをぜひともお願いをしたいと思います。
次に6点目です。医療機関の紹介等については、診断基準が明らかになっていないということで、県としてホームページ等での診療機関や医療機関に関する情報提供をすることは、現時点では困難であると答弁されておりますが、現在もその立場は変わっておりませんか、
健康医療福祉部長に問います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
現在、県では受診できる医療機関、まだ把握をしておりませんけれども、今後化学物質過敏症の診療を標榜する診療科や医療機関の確認を進めまして、速やかに情報提供をしてまいりたいと存じます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)そういった情報はしっかり御当人に届くように、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
次に、7点目であります。教育長に伺います。これは一連の検証のための質問ですので、所管である委員会ではありますけれども、1点、教育長に問います。
昨年9月定例会議にされた質問で、全県内の幼稚園、小中学校の保護者に、香り製品の使用自粛を求めるおたよりを出されてはとの問いに「県教育委員会は、各県立学校および市町の教育委員会に対し、令和3年8月16日に、香りや頭痛で吐き気がするなど困っている人がいることや、柔軟剤などの使用に当たっては周囲の配慮が必要である旨のポスターのデータの送付と併せて掲示をお願いする旨の通知を出し、広く学校や園での啓発に取り組んでいる。今後もこうした啓発資料の提供等を行い、学校、園における保護者の皆様への周知に努める」と答弁されましたが、この1年間で県立学校および幼稚園や各小中学校におけるポスター掲示は全校園に及んでいるのか。また、保護者の認知、周知が十分に行き渡っているのかなど、現状どのようになっているのか、教育長に問います。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
県立学校では、多くの学校がポスターの掲示やホームページへの掲載、また、生徒や保護者向けの保健だより等の配布でありますとか電子データの配信など、様々な方法で周知啓発に努めております。
また、幼稚園や小中学校におきましては、ポスターの掲示や学校だよりへの掲載などとともに、給食配膳時の共用エプロンの洗濯の際には、香りの強い洗剤の使用を控えるなどの配慮をたよりに掲載して求めている学校もあると承知をいたしております。
今後はより多くの保護者に認知いただけますよう、全ての保護者に配布しております保護者向け教育情報誌「教育しが」へ掲載するなど、認知と配慮が進むよう努めてまいります。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)では、引き続き、周知のほうをよろしくお願いをしたいと思います。
次に8点目ですが、低周波音のその後について
琵琶湖環境部長に伺います。
私は、平成30年2月定例会議で低周波音について質問いたしました。大津在住の方から、エアコンの室外から発する低周波の音で昼夜問わず悩まされているというお話でした。先ほどの香害と同様に、原因や症状等それぞれ、その人にしか分からないところに難しさがあると思います。しかしながら、当事者にとりましては本当に悩ましい問題であります。あれから5年余りが経過しておりますが、低周波音に関する苦情や相談がありましたか、
琵琶湖環境部長に伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
平成30年2月定例会議の後でございますが、平成30年度から令和4年度までの5年間、県内での低周波音に関する苦情の受付件数は、5年間の合計で19件ございました。具体的な内容は、工場、事業場の変圧器や一般家庭の省エネ型給湯器等に関するものでございました。
法律に基づく低周波音の規制基準はございませんが、低周波音に関する苦情は騒音規制に関する事務を所管しております市町において一義的に対応されておりまして、県といたしましても必要に応じて助言を行っているところでございます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)それでは、9点目です。低周波音の発生源についてはエアコンの室外機、先ほども御答弁もありましたけれども、太陽光発電のパワーコンディショナーやヒートポンプ給湯器等、身近にその発生源となるものが存在していますが、苦情の内訳は産業用機械に起因するものが2割、家庭用機器に起因するものが約2割、その他の機器によるものが約2割で、原因不明のものが約4割あるとの答弁でした。当時から5年以上が経過していますが、この低周波音に関する苦情の傾向、現在はどのようになっているのでしょうか、
琵琶湖環境部長に問います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
総務省の公害等調整委員会が公表しております令和3年度公害苦情調査結果報告書によりますと、低周波音に関する全国の苦情件数は令和3年度で294件となってございます。
発生原因の内訳でございますが、産業用機械に起因するものが約2割、家庭用機器に起因するものが約2割、その他の原因によるものが約2割、さらに原因不明のものが約4割となっておりまして、当時と傾向に大きな変わりがない状況でございます。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)以前、被害を訴えられる方のお宅へ行ってきたんですけど、今の窓のある真横にエアコンの室外機があるんですね。いつもブーンというこの何とも言えない音が聞こえるということで、本当に実際に生活しておられる方にはお困りの部分があるということで、そのあたり、何かできることはというとなかなか難しいのではありますけれども、少しそういったことにも意識をしてもらいながら、生活環境の改善に向けての取組もぜひとも進めていただきますように、お願いをしておきたいというふうに思います。
それでは、最後に、低周波音の原因にヒートポンプ給湯器やエアコンの室外機、また、太陽光発電のパワーコンディショナーが挙げられることから、土木交通部において「今後、関係事業者との意見交換の機会を活用して周知を図る」と答弁くださいましたが、その後の経過や実績、また、結果、状況に変化があったのか、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
低周波音に関しましては、関係省庁による啓発や業界団体によるガイドブックの配布等により周知がなされるとともに、住宅事業者において設置方法あるいは設置場所の工夫などの対策がなされてきたこともありまして、県から特段の周知は行ってこなかったというのが実情でございます。
今回の議員からの御指摘を受けまして、県のホームページに参考資料といたしましてこうした啓発リーフレットを掲載いたしますとともに、今後は事業者向けのセミナー等におきましても、家庭用ヒートポンプ給湯器の据付けなどに関しましてのガイドブックを紹介するなど、機会を捉えまして周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆30番(目片信悟議員) (登壇)ホームページに改めて記載をいただいたということで、大変それはそれでありがたいかなと思うんですけども、やはり私、最近いろんなところで住宅を見ていますと、隣と隣の間が物すごく狭いというのか、隣接している家が非常に多いなというのを、やっぱり宅地開発なんかを見ていると感じます。そういったところで、どこに窓があってどこにエアコンなり、例えば太陽光なりヒートポンプなり、置くかというのは、細かいところまで考えながら宅地開発されるということは少ないかなというふうに思うんです。
ですから、当然直接県が開発行為等で許可をするところがあるとするなら、そういうところには一定そういった配慮も必要というようなことを指導するということも必要かなというふうに思うんですけど、市町、そして、また県がそういった情報を共有しながら、そういった開発の指導なり助言というのがあればいいかなと思うので、そのあたりは土木交通部長、いかがでしょうか。
◎土木交通部長(三和啓司) 御指摘ありがとうございます。
今の御指摘も踏まえまして、県としてできることを考えてまいりたいというふうに考えております。
◆30番(目片信悟議員) ぜひよろしくお願いいたします。終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、30番目片信悟議員の質問を終了いたします。
次に、23番重田剛議員の発言を許します。
◆23番(重田剛議員) (登壇、拍手)教育振興支援について、分割方式で知事と教育長に質問いたします。
我が国は少子高齢化に全く歯止めがかからない状況となっております。厚生労働省が11月に公表した人口動態統計の速報値によると、本年1月から9月に生まれた子供の数は前年同期比5%減の56万9,656人となり、このままで推移すると、戦後最少であった昨年──令和4年の79万人を大きく下回る可能性が高くなっております。
少子化に歯止めをかけるには、残念ながら特効薬はなく、総合的な政策が必要と考えます。その中でも教育の充実を図ることは国家百年の大計であり、人材育成こそ国家の要となることから、たとえ財政難であろうが、いついかなるときでも教育に力を入れなくてはなりません。少子化に歯止めをかける上でも、教育の充実は避けては通れない重要な政策の一つであります。
本年6月定例会議でも質問いたしましたが、まず、医療福祉人材の育成について伺います。
平成27年11月議会において、医療福祉拠点整備におけるリハビリ人材養成のための大学の設置を目指すことを表明して、県は前の教育会館に対して退去勧告を行いました。その後、教育会館との調停は不調に終わり、県側が裁判に踏み切り、最高裁まで争った結果、昨年度に県側は勝訴することができました。しかし、当初の計画から7年が経過し、6月には現厚生会館に代わる医療福祉センター機能を持つ行政棟と、にぎわい機能を併せ持つ医療福祉人材養成施設から成る医療福祉拠点の整備計画が、スケジュールとともに示されました。
今後、事業者を公募するに当たっては、医療福祉人材を明確にすべきだと考えますが、県が必要とする医療福祉人材は、具体的にどの過程の人材なのか、知事に伺います。
また、この構想は県庁周辺のにぎわいとセットで、民間の力で実現しようとされており、市場調査がされてきたと思いますが、市場調査の状況と実現の可能性について知事に伺います。
ただ、可能性があった場合、医療福祉人材の育成については、その必要性を自治体としての方針を踏まえ、文部科学省との調整なども必要になるかと考えます。その場合、一定の行政の関わりや支援はないのかと懸念もいたします。この構想推進における現在の課題と対策の方針を知事に伺います。
次に、私立学校振興補助金について伺います。平成17年3月に財政危機回避のための改革プログラム策定過程において、私学助成の県費上乗せ全廃が打ち出されました。しかしながら、当時、県議会においては多くの県民の願いを集めた私学助成の拡充を求める請願が採択され、県民からも反対の署名が相次いだことから、当時の國松知事は、平成17年2月定例会議で私立学校振興補助金の水準を維持することとし、平成18年度以降についても堅持する意思を表明しています。
けれども、嘉田知事に代わった途端、平成20年度に私立学校振興補助金が高校生1人当たりにすると1万8,000円も削減され、その単価は33万3,000円から31万5,000円に引き下げられました。その結果として、多くの県内私学が学費値上げを行い、保護者負担がより一層重くなるということになりました。令和2年に1万2,000円引き上げられるまで、その水準を回復することはかなわず、保護者のみならず県内私立学校の教育力への影響は計り知れないものがあったと推測します。
また、私立学校は公立学校とともに公教育を担っていることから、県内の教育力全般への影響も当然あったことと思います。優秀な生徒の県外私立学校への流出を防ぐためにも、近隣府県よりも金額を増やすなど、私立学校振興補助金の拡充は重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
当時の財政構造改革プログラムは、県立学校にもおよび、教職員給与も引き下げられております。また、河瀬、守山、水口東に続いて、中高一貫校の導入が計画されていた虎姫、安曇川も中止されています。守山では、中高一貫校生から東大生も複数人輩出しているなど、大成功を収めております。中高一貫校が県下全域に拡大しなかったのは、私は誠に残念でなりません。
さきの3校は、平成15年に中学校を併設して中高一貫校としてスタートしました。虎姫、安曇川は平成21年──2009年にスタートする予定だったと記憶しますが、なぜ中止になったのか、教育長に伺います。
当時近江八幡で教育に携わっていました私としては、滋賀の教育は嘉田県政時に相当遅れることになったと嘆いていたところでありますが、その当時の反省点について知事に伺います。
知事は今期、「子ども、子ども、子ども」を掲げておられます。また、北部振興も同時に掲げておられます。県北部や湖西地域の人口減少問題は深刻であります。また、高校の全県一区制度が平成18年度入学者から採用されて以来、湖南地域周辺に入学希望者が集中し、この地域の高校への入学希望者も減少しております。学校の魅力化に取り組んでいますが、それぞれの学校の特色をいかに出しながら子供たちが行きたいと思えるものにしていくかが大きな課題であります。
虎姫高校には国際バカロレアを導入し、昨日の柴田議員の質問にもありましたが、伊香高校でも新たな試みがされています。ただ、まだ道半ばの改革であることは事実であります。本来であればそれぞれの地域に中高一貫校を設置することで域外への流出を防ぐ狙いもあったと思います。しかし、全県一区制とのバランスを欠いてしまったことで、湖北や湖西地域の流出を招いた側面は否定できません。
これらの課題を踏まえて、全県一区制との関係の中で、虎姫、安曇川両校の中高一貫校化を再考する考えはないのか知事に伺います。
教職員の採用試験に係る受験倍率は、近年低下しております。令和3年度に我が国全体の教職員受験の過去最低の倍率になった結果を受けて、永岡文部科学大臣は「現在の採用倍率の低下について危機感を持って受け止めており、改善のために様々な方策を検討し、積極的に取り組むことが必要だと考えています」と発言されておられます。
教職員の希望者が少なければ、教職員の質の確保にも影響を受けることは避けられないところであり、大変危惧いたしております。
去る2月定例会議の加藤議員の一般質問での教職員の採用試験に係る受験倍率の低下の要因に関する質問に対して、教育長は「ここ数年、定年退職をされる方の数が高止まっていることや特別支援学級が増加していることなどを踏まえ、できるだけ正規の教員を配置していきたいと考え、採用数を一定確保してきたことから受験倍率は低下傾向にございます。あわせまして、受験者数も減っております」と答弁されておられます。
確かに分母が増え分子が減れば倍率も下がります。これは算数の話です。ですが、算数の話だけではないことは、教職員採用試験の受験者に限らず、県民の皆さんも当然感じておられると思います。なぜ受験者が減ったのか、もっと深い分析が必要であると考えます。
様々な要因が考えられますが、私はその一つに、児童生徒の指導以外の業務により、残業が多いなどの職場環境によるものや、教職員の給与が民間と比較して低い、また、都市部の教職員と比較して低いなどの待遇の悪さが滋賀の教職員の魅力低下につながり、ひいては受験倍率の低下にもつながっているのではないかと考えます。
他の都道府県や近隣府県と比較して、教職員の待遇の現状についてどのように考えておられるのか、教育長に伺います。
また、物価上昇する中で、賃金のベースアップは官民ともに思ったように進まない中での、今回提案されている給与改善程度では、滋賀県によい教員は集まらないような気がしますが、今後の教職員の給与改善に対する考え方を知事に伺います。
嘉田知事は「もったいない」のキャッチフレーズにより、新幹線新駅建設を一旦立ち止まることを掲げて当時当選されたものの、その際のマニフェストでは、次世代育成型県政の実現も掲げておられました。しかしながら、そのマニフェストとは裏腹に、就任時からこのように、次世代を育成する教育面でも「もったいない」を優先させ、滋賀の教育の改悪を行ってこられました。にもかかわらず、何事もなかったかのように、今回、教育無償化を実現する会と称する政党を立ち上げ、県民受けや同じく教育無償化を掲げておられる日本維新の会の受けを狙うのはいかがなものかと考えております。日本維新の会も迷惑な話でしょう。
嘉田県政時代に始まった全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストで、本県はずっと下位に低迷したままです。先生のやる気をそぎ、必要な経費も縮減したことで、米百俵の精神に言われるような未来に希望を持てる教育が果たして行われたのでしょうか。嘉田前知事の教育行政に対する姿勢への評価について、知事に伺います。また、滋賀の教育をどのようにして立て直してこられたのか、就任時からの実績を知事に伺います。
さらには、知事も就任10年目を迎え、百年の計の10分の1が過ぎましたが、教育に対する知事の今後のビジョンをお聞かせください。
教育無償化を実現する会には、嘉田参議院議員のほか、斎藤アレックス衆議院議員や徳永久志衆議院議員もおられ、5人中3人が滋賀県の国会議員であります。三日月知事はもともと民主党に所属しておられ、前原誠司衆議院議員とは国土交通大臣と副大臣の仲であり、滋賀県選出の3人とも近しい仲と推測しております。
少子化の要因の一つは高い教育費が負担になっているものと私も考えますが、当然、少子化は教育無償化だけで解決するものではありません。にもかかわらず、ワンイシューのキャッチフレーズを党の名前にすることは、県民の皆さんにも見透かされているのではないでしょうか。交付金目当ての新党はむしろ次の選挙までのつなぎとしか思えてなりません。
また、日本維新の会は教育無償化を掲げているものの身を切る改革を主張しており、教職員の給与削減など、教育体制の改悪への警戒感は拭えません。報道等から仄聞しますと、知事は前原氏から新党参加への誘いもなく、参加意思もないことを表明されておられますが、行政機関の長として、自己保身ではなく県民の利益や県行政のための行動をお願いしたいものであります。
最後に、戦後最低を更新し続ける少子化の波の中で、教育無償化への考えならびに新党との連携への考えを知事に伺います。
○議長(奥村芳正) 23番重田剛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)教育振興支援に関して11点、私に御質問をいただきました。
まず1点目、医療福祉拠点プロジェクトに関して、県が必要とする医療福祉人材についてでございますが、当初は不足が見込まれていたリハビリ専門職の養成課程の設置を想定しておりました。その後、整備用地の課題解決に時間を要する間に、リハビリ専門職大学の開学や働き方改革等の状況変化もございました。将来を見据えて特に必要とされる人材を改めて検討いたしました結果、リハビリ専門職の大学院、そして、看護職に係る4年制大学、そして、歯科衛生士養成課程の設置を求めることといたしました。
これらの人材の中でも、将来推計における不足数が大きい看護職について、県として優先的に設置したい考えを示しながら、事業者からの提案を求めてきたところでございます。
2点目、その市場調査の状況、そして、実現可能性についてでございますが、市場調査におきましては、医療福祉拠点事業に関心のある学校法人が存在することは把握できましたものの、事業者との対話を重ねる中で、設置認可や採算面での課題を伺っており、具体的な提案を得ることはできていない状況にございます。現在の募集要項の内容では、人材養成機能の実現が見込めないことから、学校法人の積極的な参画を促すための条件等について再検討し課題に対応することで、構想を実現してまいりたいと考えております。
3点目、その課題と対応方針についてでございますが、新たな人材養成課程の設置に当たりましては、学生確保の見通しや安定した学校運営のための財政支援などの課題が明らかとなりました。このため、学生確保につきましては、少子化における大学設置認可の動向や県内養成課程の定員充足状況等を踏まえつつ、老朽化等の課題を抱える県立総合保健専門学校も含め、県全体の養成の在り方について、県が主体的に検討、調整を進めること。また、財政支援につきましては、過去の大学誘致事例などを参考に、土地の貸付けや施設整備に対する補助等について検討することが必要であると考えております。
つきましては、こうした課題への対応を検討、提示した上で、改めて学校法人の参入意向を確認させていただき、医療福祉拠点の早期整備に向けて鋭意取組を進めてまいりたいと存じます。
4点目、私立学校振興補助金についてです。この補助金は、私立学校の経営の安定化および保護者負担の軽減を図るため、私立学校の経常経費に対して助成しているものでございます。補助単価は全ての校種において令和2年度以降、前年度の近畿平均の水準まで引上げてまいりましたが、令和5年度はさらに同年度の近畿平均の推計額まで引き上げ、拡充を図ってきたところでございます。
今後も学校教育における私立学校の果たす重要な役割に鑑み、各学校の自主性を尊重しながら、必要な財政的支援を図ってまいりたいと存じます。
5点目、前知事県政時の教育行政についてでございますが、県税収入の減少や三位一体改革による地方交付税の大幅な削減による厳しい財政状況を背景として、平成15年度以降の財政構造改革プログラム等により、県政全般にわたる事務事業の見直しや補助金等の削減、教職員を含む職員給与費のカット等が行われたところでございます。そうした中、教育施策につきましても、議員御指摘の私立学校振興補助金の削減や、虎姫、安曇川高校の中高一貫教育校の開校断念など、やむを得ず見直さざるを得なかったものと認識しているところでございます。
6点目、虎姫、安曇川を中高一貫教育校とすることについてでございますが、中高一貫教育校の設置につきましては、少子化が進む中においては地域の中学校に及ぼす影響は大変大きいことから、検討に当たりましては、まずは市町の思いをお聞きすることが必要だと考えております。
7点目、今後の教職員の給与改善に対する考え方でございます。地方公務員である本県の公立学校教職員の皆さんの給与につきましては、人事委員会勧告を尊重し決定しているところです。全国全ての都道府県において、この人事委員会勧告制度に基づいて給与決定をしておりますことから、滋賀県が独自に人事委員会勧告にない給与改善等を実施することは適当ではないと考えております。しかしながら、勤務実態に見合った処遇となっていないため、国において教員給与の見直しに向けた議論が行われていると承知をしております。
県といたしましても、引き続き政策提案の中で、勤務実態に見合った処遇となる給与制度の実現を要望してまいりたいと存じます。
8点目、前知事の教育行政に対する評価についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、前知事がおられた平成18年度から26年度までの間は、厳しい財政状況を背景として、数次の財政構造改革が行われたところでございます。こうした厳しい財政事情の中にあっても、少人数学級編制や少人数指導を順次拡大してきたほか、環境教育や中学生の職業体験授業、中学生チャレンジウィークなど、滋賀が有する地域の力を活用しながら、滋賀らしい教育の推進などに取り組まれたものと認識しております。
9点目、私の知事就任時からの実績についてもお問いがございました。知事就任以来、教育を重要な政策の柱に据え、必要となる施策が着実に進められるよう、心を砕いてきたところでございます。また、教育の独立性や中立性を大切にしながらも、総合教育会議の場などを活用いたしまして、積極的に教育行政に関わってもまいりました。この間、子供たちの学ぶ力を高めるため、教育大綱において、読み解く力の育成でありますとか、教育相談体制の充実のためのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの拡充、また、医療的ケアが必要な児童生徒の保護者への支援などに取り組んできたところであり、引き続き教育施策の充実に努めてまいりたいと存じます。
10点目、今後のビジョンについてです。今定例会議に提案させていただいております第4期滋賀県教育振興基本計画案において、私が考える今後の教育についてのビジョンを一定お示ししたところでございます。
社会が抱える課題は多様化、複雑化していると言われますが、他方では可能性と挑戦の機会でもあり、これまでの価値観から、新しい豊かさを追求していくための鍵こそが教育だと考えております。子供たちの今と未来が希望に満ち、三方よしで幸せが育まれる滋賀県になるよう、県民の皆さんとともに、計画案の基本目標である「未来を拓く心豊かでたくましい人づくり」に取り組んでまいりたいと存じます。
11点目、教育無償化と新党との連携についてでございますが、教育費の無償化は子育ての経済的な負担を減らし、子供を安心して産み育て、子供の健やかな育ちを支える環境づくりにつながる大きなテーマの一つであると認識しています。本県では現在、国や県独自の制度により、高等学校等の教育費支援を行っておりますが、さらなる支援の拡充を国へ働きかけますとともに、県といたしましても、教育費支援の在り方について議論をしたいと考えております。
滋賀県知事として、こうした子供教育施策の充実に向け、県関係の国会議員の皆様とは、これまで所属政党等に関わらず意見交換をしながら、その実現にお力添えをいただけるよう連携をお願いしてきたところでございまして、今後もこの考えに変わりはございません。
◎教育長(福永忠克) (登壇)教育振興支援について、私にいただきました、2点の御質問にお答えをいたします。
1点目の虎姫、安曇川両校を中高一貫教育とすることについてでございますが、虎姫、安曇川高校の中高一貫教育につきましては、平成20年6月の定例会におきまして、本県財政の極めて厳しい状況を鑑み、平成21年4月の開校を断念することを、当時の教育長が答弁申し上げたところでございます。
その後、平成24年12月に決定いたしました滋賀県立高等学校再編基本計画の中で、新たに中高一貫教育校を設置することは、地域の中学校の学級編制などに及ぼす影響が大きいと考えられることから、当面は既設の3校のみとすることとされたところでございます。
2点目の教職員の待遇の現状についてでございますが、教職員の給与水準につきましては、行政職のように都道府県ごとのラスパイレス指数が公表されておりませんので、他の都道府県と比較をすることは難しいところでございます。一方で、公立学校の教職員も地方公務員でありますため、その給与につきましては、本県人事委員会が民間準拠を基本として勧告することとされており、その勧告に基づき給料表の改定を行っているところでございます。
この給料表につきましては、行政職におきまして国の人事院の給料表に基づくのと同様、教育職におきましては、全国人事委員会連合会が策定したモデル給料表に基づくものとなっており、独自に給料表を作成しておられる東京都などを除けば全国的にも同様の給料表となっており、給料表自体に大きな差はないものと認識しているところでございます。
都市部との違いにつきましては、その地域における民間の賃金水準を基礎とし、物価等についても考慮して定められている地域手当の率の差によるところが大きいものと認識をいたしております。
◆23番(重田剛議員) (登壇)初めの質問の医療福祉人材養成施設については、学生の確保であったり、それから、過去の大学の誘致のとき並みの支援をしていきたいということをおっしゃってくださいましたし、これから本当に人材不足になる介護職とか看護職とかを、そこに的を絞って頑張って取り組んでいくというか、探していくという、大変前向きな答弁をいただきましたので、うまくいくことを祈りながら、そこはお願いしたいなと思っております。
あと、高校の入学試験の見直しが最近、公表というか発表されまして、今までの特色選抜の入試を校長推薦一本に持っていって試験の日程も合わせていくようなことや、それから、ほかにも県立高等学校再編計画で、学校の統廃合や滋賀の高等学校魅力化プランを策定されるなど、様々なお取組をしていただいている中で、特色ある学校づくりの努力はされておられることは私も承知しております。
地元の中学校に生徒数の影響が出るからということで、中高一貫校に関しては当面見送るそのつもりはないという御答弁でございましたが、私も別に中高一貫校にこだわるわけではありません。全ての施策の中で、子供自らが行きたい、学びたいと思えるような、子供たちにとって魅力のある学校づくりをしていくことが、私は県に課せられた使命だと思っておりますので、その点についての教育長の所見をもう一度お伺いいたします。
それから、教職員の質の確保は、これは私は非常に大事であると思っております。これは私の私見ですが、教職員の採用試験の倍率が3倍を切ると、非常に危機的状況にあると私は感じております。秋田の子も、東京の子も、滋賀の子もみんな同じ子供であります。年齢も同じなら学校で学ぶ期間も同じであります。全く差はないはずです。
学習をはじめ、子供たちに様々な指導をして生きる力をつけていくためには、教職員の高い指導力が私は必要と考えます。子供たちの学習に対する姿勢や家庭環境も多少あるでしょうが、逆に考えると、先生の指導力によって、同じ子供たちに差が出るようにも考えられるんですよね。だから、高い指導力を持った教職員を確保していただくために、継続して取り組んでいただきたいと思うのですが、その点についても教育長にもう一度伺います。
今、私が再問している部分は、教育長も十分承知していただいていることと思っております。本年の6月に、質の高い教育と様々な課題を抱える子供たちへの対応を充実させるため、教員が心と時間にゆとりを持って子供に関わることができる教育環境を整えるとかいうことで、文科省のほうに多様な教育課程への対応の要望であったり、それから、専科教員の配置を一層拡充する必要があるのでそこをお願いしますとか、それから、スクールカウンセラーやね。スクールソーシャルワーカーも文科省へ要望されておられますし、また、本年の10月にも、本県の教職員は超過勤務が高止まりしているので、働き方改革のより一層の推進に向け支援をお願いしたいとか、教員不足が深刻化していると。これ、文科省へ県から提出してくださるんですよね。
ですから、今の点についてもう一度、教育長にお伺いします。
それから、知事には、誰一人取り残さないと知事はいつも申してくださいます。先日、大杉副知事から岐阜市の草潤中学校のお話が出ましたので、昨日の海東議員、周防議員の質問の中で不登校の話がございましたが、実は私も以前、この議場で草潤中学校の紹介をさせていただいたのですが、私は、令和3年の7月に草潤中学校に寄せていただきました。
草潤中学校は、もう一度言いますと、岐阜市内にある、もう本当に市内の真ん中でございます。そこがドーナツ化というか、市の中心地の人口が減って地域の学校がなくなるというので、2つの学校を1つに統合するときに、地域の皆さんが何とか学校を残してほしいということで、全国に幾つかあるんですけど、不登校の子供たちを対象にした中学校でございます。公立の中学校です。
私も寄せていただくまでは、近江八幡の教育委員会から申し込んで近江八幡の教育長と一緒に行ったんですけど、なかなか見させてもらう機会がなくて、今日からやっとオープンするという日に寄せていただいて、テレビ局とかいろいろ来ていたんですが、非常に生徒が殺到している。今まで、地元の学校には不登校だったのに、草潤中学校には行きたいという子が殺到しているというので、市内全域から子供たちが来ている姿も見させてもらいましたし、それから、その日に視察も殺到していて、愛知県の教育委員会とか神奈川からも来ておられました。初日だったので、ざっくり20名から30名ぐらいでしたけど。
文科省の特認校の許可を取って、コマ数もちょっと減らしてということで、そしていろんな、本来学校に来られなかった子供たちが、そういう工夫をすることによって、学校に来て伸び伸びと普通の子供と変わらず学校生活を楽しんでいるということもございましたので、そういう発想から、滋賀県としても様々なことを考えていただきたいなと思います。
平成27年の4月に教育委員会制度が非常に大きく変わりました。首長を交えて総合教育会議を設置し、首長が教育大綱を策定するようになりました。私はこれを機に4月の前の2月に辞表を出して、その当時の職を下りたのですが、本県においても同様で、知事がそれに当たってくださいます。また、高校や特別支援学校の設置者でも、知事は県立学校の設置者でもあられます。
教育に対する今後のビジョンもお伺いしましたし、教育大綱や次期策定の教育振興基本計画の中でも、先ほどおっしゃってくださった基本目標「未来を切り拓く心豊かでたくましい人づくり」、サブテーマのほうは「『三方よし』で幸せ育む滋賀の教育」と、両方ともうたってくださっているのですが、知事、どこの教育長や教育現場の校長先生とお話ししても、昔も今も一番望んでおられるのは立派な学校じゃなくて、やっぱり人だというんですよね。教育長も学校長も人が欲しいと。とにかく人が欲しいということで、人をつける予算を確保してほしいということでございます。
そこをしっかり御理解いただいて、もう一度知事に、御答弁いただきたいのですが、文科省の白書なんかでもそうですし、いろんなところでやはり一般の家庭に換えると、家庭の年収というか、教育費にかける費用によってその教育に差が出るというのを、あちこちでうたってるところもございますので、やっぱり財政的にいろんなところに必要ではありますが、教育に、それこそ人をつける予算を確保してほしいと思うのですが、もう一度知事の見解をお聞かせください。
3点お願いいたします。
◎知事(三日月大造) ありがとうございます。
最後に、改めて大所高所から議員の教育委員時代の様々な御経験も踏まえてお話をいただきました。それで、草潤中学校には大杉副知事が視察に行ってくれていますし、こういった不登校特例校をどのように県として考えていくのかということについても、これは教育委員会ともしっかり議論をしていかなければならないと考えております。
聞いていますと、この草潤中学校は学校らしくない学校というものを標榜されていらっしゃったり、また、子ども・若者総合支援センターと緊密に連携するということをすごく大事にされていたりということですので、いろんなことで学ぶべきところがあるのではないかと見ております。
そういったことも含めて、最後に総括してくださった、やはり人こそ全てだということは、強く共感いたします。一朝一夕にできるものではありませんし、やはり人との関わりにおいて、連鎖してよりよい環境がつくられたり、また、よりよい教育が行われたりということがあると思いますので、全てにおいて人にあるんだということですので、教育の現場においても、人への投資ですとか、対応する人の確保でありますとか、そして、携わる方々の質の向上でありますとか、そういったことを、もっとこれはもう具体的に言えば予算もつけて対応すべきではないかという、そういう御指摘だと思います。
教育長からも常々いろんな相談受けていますし、来年度に向けてもいよいよ大詰めにかかる様々な対応等を協議しなければなりませんので、先生がおっしゃったようなことも十分に踏まえて対応を検討してまいりたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
大きく2点いただいたと思います。1点は魅力ある学校づくりという点だと思います。
今、子供たちは多様な子供たちがいると思っておりまして、そういう多様な子供たちにとって学びの場を提供することが大事だと思っております。県立学校、特に県立高校におきましても、様々な学びが実現できるよう、魅力ある県立高校づくりに努めますとともに、中学校段階におきましても、やはり私が思いますのはそれぞれ住んでおられる地域の学校で、地域を知りながら、地域の課題を考えながら様々な学びをしていくことも大事だと思っております。
お取り上げいただきました県立中学3校ございますが、こちらは6年間の学びを通して、また違った学びをやっていくということですので、それぞれが特色を出しながら、特徴を出しながら取り組む。各市町においてもそれぞれの地域で特色ある取組を進められておられますので、その点は19人の市町の教育長ともいろいろ議論しながら、それぞれの市町の学校がよくなるように、併せて県立中学もよくなるように頑張っていきたいと考えております。
そして、もう1つ、先ほどから出ておりました人、特に教員でございますけれども、優秀な教員が滋賀の教育現場で学ぶこと。一番大切なことは、子供たちの学びを充実させることであることは疑う余地のないことでございますので、そういった子供たちの学びを充実させるために、先生方が果たしていただいている役割は大きい点がございますので、県の教育委員会としては、1つは、先生方がより質の高い授業なりが行えるように研修事業を充実していく。
県の教育委員会の役割は、教職員の研修というのが一つ大きな役割でございますので、その点をしっかり進めますとともに、それぞれの先生方が授業改善について研究なりをされるお手伝いをするとともに、先生方のやはり働き方改革を通じて、滋賀の教育現場が今よりも働きやすい、若い者にとって魅力のある現場にすることで、若者に教員の道を選んでもらえるように、こちらはそういう取組を進めるとともに滋賀の魅力を発信することで、1人でも多くの若者が滋賀で先生になっていただくように、しっかりと取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
◆23番(重田剛議員) (登壇)すみません。よろしくお願いします。
うみのこに代表されるように、滋賀の体験学習は本当にすばらしいと思いますので、滋賀に生まれてよかった、滋賀で学べてよかったと思えるような教育を引き続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、23番重田剛議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午前11時56分 休憩
────────────────
午後0時59分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、33番川島隆二議員の発言を許します。
◆33番(川島隆二議員) (登壇、拍手)よろしくお願いします。
まずは投資を呼び込む産業政策について知事にお伺いをいたします。
2020年11月議会で、コロナ後に来るであろう社会の在り方について質問をいたしました。その後、果たして滋賀県は時代の変化に即した対応が取れてきているのでしょうか。コロナ後は、社会の変化はもとより物価高、資源高、人手不足など矢継ぎ早に今まで潜在的に問題視されてきたことが表に出てきた印象であります。少し先のことと考えていたことがすぐ目の前に起きてしまっている状況で、滋賀県にはまだまだやれるべきこと、攻めていかなければならないこと、やれることはこれからたくさんあります。常に情報を求め、積極的な発信とセールスに努めていかないと先を越されてしまう危機感と、すぐにでも対処していかなければいけないというスピード感を持たなくてはいけないのではないでしょうか。
これからの社会経済情勢に即した産業政策を形成していかない地域は、成長力でほかの地域に遅れを取ってしまうことになります。滋賀県は、ものづくり県として成長を遂げてまいりました。先人たちのたゆまぬ努力に裏打ちされ、高度経済成長のど真ん中で成長を続けてきたことは、今までの滋賀県の大きな強みでありました。ただ、これからは今までの強みにさらに磨きをかけることは当然のこととして、新たなイノベーションの創出をし、さらに促進していくことで時代に即した、また、一歩先を進んだ産業構造を構築していくことは急務であります。
多種多様な社会課題の解決に向けて、滋賀県でも幾つかの新たなイノベーションが芽生えてきておりますが、それを育み育てる仕組みづくりがさらに重要になってまいります。国でもイノベーションを生み出す主体としてスタートアップに力を入れており、岸田政権では、令和4年の年頭記者会見で「スタートアップ創出元年」を宣言し、スタートアップ育成5か年計画を策定いたしました。そこでは、スタートアップへの投資額を5年で10倍以上にすることが目標として掲げられ、将来的にはユニコーン100社、スタートアップ10万社の創出をすることで、アジア最大のスタートアップハブとしてスタートアップの集積地を目指すとされております。
また、本年11月にはデフレ完全脱却のための総合経済対策が閣議決定され、そこでもイノベーションを牽引するスタートアップ等の支援は挙げられております。
本年7月に、所属の厚生産業常任委員会の県内調査において、2019年に創業された長浜バイオ大学発の研究開発スタートアップである株式会社ノベルジェンを訪問いたしました。ここは微細藻類の活用により、地球温暖化やマイクロプラスチック問題などの地球規模の課題の解決に向けて積極的に取り組んでおられます。また、先日、自民党で行われた勉強会では、多くのスタートアップ企業にお集まりいただき、意見交換をしたところであります。
先日の井狩議員の代表質問においても、イノベーション創出のための取組に関する質問に対して、知事は「本県発のスタートアップが続々と生まれ、大きく育つエコシステムを構築し、イノベーションの創出へと着実につなげてまいる」との答弁をされましたが、どのようにシステムを構築し創出していくのか、ここが大きな課題になってまいります。
さきのスタートアップ企業との意見交換会でも大きな課題として挙がったのは、資金面での苦労でありました。銀行だけではなく投資家をどう呼び込んでいけるのかというところは、今後の課題として大きなものがあると思いますが、エコシステムの具体的な構築と併せて知事はどのように認識されているのでしょうかお伺いいたします。
資金の確保は、これから軌道に乗せていく上で当初よりも重くのしかかってまいります。せっかくよいアイデアや優れた技術があったとしても、スタートアップ企業が大きく成長することは難しく、必要なときに必要な資金確保ができることが重要になってまいります。資金調達には、今はいろいろな形態がありますが、日本ではまだ一般的ではありません。M&Aをしやすい環境をつくっていくことは、スタートアップ企業にとって重要な要素であります。
一方で、その後大きく成長する過程で欠かせないのが新規株式上場であります。県内企業の株式上場の状況を見ますと、株式会社オーケーエムが令和2年12月に、また、直近では、株式会社湖北工業が令和3年12月に、それぞれ当時の東京証券取引市場第2部に上場されております。しかしながら、上場企業数で見ますと、全国で約4,000社ある中で、本県では、さっきの2社を含めても11社にとどまっている状況です。
スタートアップに限らず、企業の上場のメリットとして、域外資本の獲得を通じて地域経済を活性化させることや売上増による税収の増加、県内学生の地元定着や県外に進学した学生の県内へのUIターンの促進などの効果が予想されます。福島県では、震災後、県内の経済の活性化を目指し、上場しようとする企業に支援をしているところでありますが、長期的な視野に立って本県経済を活性化していく意味でも、上場企業を輩出していく後押しをする必要があると考えますが、株式上場を目指す中小企業への支援に対する考え方を知事にお伺いいたします。
この30年間、デフレ下における国内需要の停滞と新興国のコスト競争を背景に、企業はコストカットに邁進し、海外生産比率を高めてまいりました。その結果として国内投資は不足し、賃金も大きく抑制されてきた面もあります。一方で昨今、従来の国際秩序が変容し世界が歴史の転換点にある中で、国内外の環境は変化してきております。この状況は、サプライチェーンの国内回帰と相まって、新たな成長のチャンスとも言えるでしょう。グローバルサプライチェーンの再編の動きの中で、国内投資の拡大と研究開発の促進を通じたイノベーション力と成長力の強化を進めていくことが、これからは重要になってまいります。
知事も定例記者会見等で投資を呼び込むことの重要性について発信しておりますが、今後の産業立地戦略も検討されているようでありますけども、滋賀県への投資の呼び込みに対して、自らトップセールスをしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、3問、知事にお伺いをいたします。
○議長(奥村芳正) 33番川島隆二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)投資を呼び込む産業政策について、3点御質問いただきました。
まず1点目、投資を呼び込んでいくための課題についてでございますが、スタートアップが大きく成長していくためには成長段階に応じた適切な資金調達が重要でございますが、特に研究開発型スタートアップにつきましては、自社の事業内容を投資家目線で魅力的に説明することが難しいことや、研究成果が事業化するまでの期間が長く、それを支える資金供給者を見つけることなどが課題であると認識しております。
これらの課題を踏まえ、産学官金で構成いたしますコンソーシアムで取り組む滋賀テックプランターでは、ビジネスプランコンテストの場において優れた事業シーズを有する大学発スタートアップ等が、県内外のパートナー企業の前でプレゼンテーションを行い、賞金の授与だけでなくその後の関係性を構築し、研究開発資金の提供や共同研究へとつなげているところであります。
加えまして、スタートアップには資金調達に必要な知識や事業の見せ場などのノウハウを習得する実践の場として、また、金融機関やベンチャーキャピタルには資金ニーズがありそうなスタートアップと早期に接点を持つ場として、投資検討プレゼン会を開催するとともに、県でも成長段階に応じたきめ細かな補助金による資金支援を行っているところでございます。
さらに、今後は国等の複数年にわたる競争的資金の獲得に向けたチャレンジを積極的に後押しするなど、テックプランターと併せましてスタートアップの発掘、育成から成功へと着実に導く伴走支援を行い、成功事例を1社でも多く輩出してモデルとして横展開し、滋賀発の多種多彩なスタートアップ群を形成して、国内外の投資家を惹きつけるエコシステムの構築を目指してまいりたいと存じます。
2点目、株式上場を目指す中小企業への支援ということについてでございますが、企業の株式上場は企業価値の向上や新規事業への投資によるさらなる成長等を通じて、地域における雇用の創出や投資の拡大、税収の増加など地域経済に与えるインパクトが極めて大きく、地域経済の活性化につながることが期待できるものと認識しております。
このため今年度、県としては初めて県内の中小企業の経営者を対象としたセミナーを開催し、金融機関や証券会社等の支援機関とともに、上場に向けた機運の醸成を図っているところです。今後、本県経済を牽引する上場企業の輩出に向け、県内中小企業を後押しできるよう支援機関とも連携し、他の自治体の取組も参考に、どういったことができるか検討してまいりたいと存じます。
3点目のトップセールスについてでございますが、企業のサプライチェーン再構築や設備投資意欲の高まり等を背景に、一層地域間競争が激化すると想定される中、税収の増加、雇用の創出、地域の消費を拡大するなど、様々な効果が期待できる産業立地を強力に推進することが必要だと考えております。
このため現在、県が主体となりまして、市町との連携による新たな産業用地の開発や、近隣府県に見劣りしない設備投資を呼び込む新たな支援制度について検討を行っており、立地前から立地後の円滑な創業支援まで切れ目ない施策を積極的に展開したいと考えているところです。
産業立地の推進に向けましては、待ちの姿勢ではなくこちらから企業に対して積極的にアプローチしていく姿勢が肝要と考えておりますことから、まず、私自身が先頭に立ち、より一層熱意を持ってトップセールスを行い、本県への投資につなげてまいりたいと考えております。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)ありがとうございます。
スタートアップ10万社というと、100分の1県なので大体1,000社ぐらいですね、滋賀県では。1,000社やな、1,000社。4,000社上場企業があるので、それでいうと大体40社ぐらいですよね。今11社でありますので、まだまだ30社ぐらいは上場できる余地があるというふうに思っています。
これ、上場しようと思うとそう簡単ではないですし、上場しようというきっかけをつくるのもそう簡単ではないと。スタートアップの場合は、一番初め、始めたのはいいんだけども、そこから次の段階に行くときに、やっぱりなかなかその一歩踏み込めない、それから、横のつながりがないといったところがいろいろ問題になってくるんですね。
今、国でも相当スタートアップに関しては力が入っていますので、税制面であるとか制度面であるとかは、これは国のほうでいろいろやってもらえるところだろうと思いますけども、一方で、県としてはどれだけその土壌をつくっていくのか。これがやっぱり大事になってくるんだろうなというふうに思います。
そこで、いろいろと滋賀大学のデータサイエンスもそうですし、立命館大学とか長浜バイオ大学もそうですけど、そこからスタートアップは幾つか出ているんだけども、じゃあ、その次につなげていくときに、どういう業界とそういうプロダクトのマッチングをしていくかといったところ。ここはある程度、テックプランターをつくるという話だったんですけども、どういうふうにしてそこに県が絡んでいくのかというのが、これからやっぱり大事になってくるのかなと。
そういう意味では、そこに必ず出てくるのがスピード感なんですよね。スピード感がどれだけあるのかといったところが大事になってきますので、そういった意味では、これから先、滋賀県で起業をして滋賀県で大きくなっていくんだというような、そういった土壌づくりをこれからどうやっていくのかといったところ、もうちょっと知事に一歩踏み込んでいろいろと聞いておきたいと思います。
それから、昔の高度経済成長のときは、国がどんどん勢いがあったので、どんな企業でも行け行けだったんですけどもね。当時ホンダとかソニーとか、こういったところがアメリカ市場に打って出ていきながら、当時はやっぱり敗戦したばかりだったので、いろんな差別とも闘いながらやってこられたんだろうと。だけど、製品のよさであれだけ大きくなっていったというところもあるんだろうというふうに思うんですけども、昭和のときはそういう日本のものづくりというのが一番の強みだった。だけど、平成になってIT革命があって、ITになると半導体であるとか、いわゆるソフトですね、そこら辺でどんどん負けていって、失われた30年となったと。
今度、令和になってじゃあ次の違うステージというのをどう目指していくのか。このITで同じような土俵でやるというよりも、次のステージにどう目指していくかということを考えると、これから先、新たな産業という意味では、例えば環境ビジネスであるとか脱炭素ビジネスですね。こういったやつ、それから宇宙とか、あとはバイオ系か。こういったところになってくるんだろうなというふうに思います。
そこら辺のスタートアップ企業をこれからどうつくっていくのか。この前のモデルナも、あれも実はスタートアップで、ベンチャーへ金をどんどん入れてあれだけ大きくなったんですけども、やっぱりそういったところを考えていくと、今大きく、スケールをどう大きくしていくか、ダイナミズムをどう生んでいくかといったところに関して言えば、知事がトップセールスするという話がありましたけども、知事1人じゃなくて県庁全体でどれだけ突っ込んでいけるかなというふうに思っています。
さっき言っていましたけど、産業立地戦略、これ、新しくつくるという話だったんですけど、本来で言うと二、三年前、コロナのときにこれはつくってなくちゃいけないやつだったんだろうと。そのスピード感の遅さがやっぱりネックになってくるのかなと。これは知事、トップセールスをするのと同時に、県庁をどんどん引っ張ってもらって、そういうスピード感をつくってもらうと。職員もどんどん外に出て営業してもらうという、そういう意識を持ってもらわなくちゃいけないと思うんですけども、そういったところはどうでしょうか、2問お願いします。
◎知事(三日月大造) まず、1つ目のエコシステムということは、単発で出てくる、また、一時的に出てくるということだけではなくて、様々な連携、そして様々な段階に伴走支援していく、もしくは持続的に回っていくシステムというのがとても大事だと思っています。
そのために、滋賀県でやってきたテックプランターは一つの、私は土壌になり得ると思っています。例えば企業であるとか大学であるとか、そういったところのシーズを社会課題やビジネスプランに結びつけていく。そして、それぞれの段階に応じた支援をしていくということは大切にしていきたいと思いますし、特に大学との連携ということにはまだまだ可能性があると思っております。
同時に金融機関、先ほどから繰り返しおっしゃっているように、段階に応じた資金調達というのがとても重要になってきますので、金融機関とのつなぎ、ぜひ行政はその間に入って、それぞれシーズとニーズのマッチングができるように、これからも取り組んでまいりたいと思います。
2つ目におっしゃった、よりスピード感を持って戦略をつくる、また、実行する、さらには知事だけではなくて、全庁一丸となって待ち受けではないセールス体制、プロモーション体制を構築していくべきだというのはとても大事でありますし、私も同じ思いでおりますので、ぜひそういったことができるよう、近く打ち出します戦略、これらを基に前に出て多くの皆様方に働きかけ、情報をつかみ、そして、投資を呼び込む。そういう取組をつくっていきたいと思います。
特に蓄電池であり半導体であれ、滋賀県が強みにしてきた様々なものづくり、とりわけこれからということで言えば医薬品だとかバイオだとか、そういったことにも大いなる可能性があると思っています。滋賀県はその土壌もありますので、ぜひその土壌がしっかり磨きをかけてより回っていく仕組みになるように努めてまいりたいと存じます。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)これ、本当にこれからの滋賀県を占う大事なところだと思いますので、5年、二、三年かな、二、三年が勝負かなと思います。
企業誘致も、やっぱりどんどん地域間競争やっていますので、ここでほかに遅れを取るとよくないと。大阪と名古屋の間にある滋賀県がどれだけ存在感を出しながら、ここで起業すると、ここで企業を持ってくるというのはいいよねと思えるような、そんな土壌づくりをぜひお願いをしたいなというふうに思います。
じゃあ、次に行きます。ラーケーションについてお伺いいたします。ラーケーションというのは、学びという意味のラーニングと休暇という意味のバケーションを組み合わせた造語でありますけども、最近にわかに注目されております。愛知県の公立学校でこの2学期から全国初で始まりましたが、その内容は事前に学校に届け出て、年3日までは欠席扱いにならずに休めて、その分の授業は自習で補うというものであります。
愛知県は土日出勤の割合が高くて、子供が平日に休むことで家族の時間が取れるというメリットもあり、好意的な反応が多く見受けられております。また、大分県の別府市でも、たびスタ休暇というのを始め、愛知県同様にラーケーションを進め、地域の観光業の活性化を進めたいという思いで動き出しました。
2021年の総務省の調査では、有業者の45%が土曜日に、また、30%が日曜日に仕事をしているという結果が出ております。愛知県のようなラーケーションを導入するということは、子供の休みを平日に取りやすくすることで家族の時間を増やし、働き方や休み方の改革につながるものになると考えます。
ただ、難しいのが、愛知県でも名古屋市が制度導入を見送ったのですが、その理由として、経済的事情や家庭環境などで休めない子が出てくれば公平性を欠くという声や、同じ日に多くの生徒が休んだ場合の学習のフォローなどが挙げられております。こうした懸念は教育界から常に出てくるところでありますが、そこをどう工夫していくのかという視点に立てないのが教育界の難点ではないでしょうか。
愛知県などで導入されたラーケーションの制度のメリット、デメリットを、知事の視点から知事はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。また、教育長の視点から、この制度を滋賀県に導入しようとしたときにどのような問題点があるとお考えでしょうか、お伺いをいたします。
知事は2025年に県内の小中学生を万博に招待することを表明いたしました。高校生も含めてですね。また、2025年には国スポ・障スポもあります。子供たちが万博に行くときに、教育研修で、この前中山さんの質問がありましたけど、長浜だと1時間か2時間ぐらいしか万博に行けないんですけども、1時間程度行くというよりも、家族と一緒に行きたいといったときに、わざわざ混んでいる週末に行くより平日に行ったほうが、よりよい学びは得られるというふうに思います。
また、国スポ・障スポの応援に平日に行こうとなったときに家族と行けるようになると、学校では得られない学びがそこにはあります。そういう意味でいうと、2025年は家族の関わりと学校の休み方の新たなスタートになり得るというふうに思います。子供が欠席扱いにならず学校を休めることで、保護者が有給休暇を取りやすくし、新たな学びを得るために一緒に出かけるということは決して悪いことではないというふうに思います。
デメリットばかりを見ずに、何が子供たちの健やかな成長に必要なのかいま一度考えながら、このラーケーションの制度を見つめてはいかがと思いますが、教育現場を預かる教育長はどのように考えますか、お伺いいたします。
これはある意味、子供の有給休暇だと思います。大人にも有給休暇があるように、学校に疲れ、気分転換をしながら新たな視点で学びを得る機会をつくることは、子供たちにとっても重要であります。教員の働き方改革ばかりが言われますけれども、子供の休み方改革も必要かと思います。学校という狭い世界だけではなく、いろいろな視点を育む上でも、多くの学びを得る上でも、このラーケーションという制度は新たな取組として大いに導入してもいいと考えますが、「子ども、子ども、子ども」の知事はどのように考えるんでしょうか、お伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) ラーケーションについて、私には2点御質問いただきました。
まず1点目、メリット、デメリットということでございますが、メリットといたしましては、親子で過ごす時間が増えること、学校以外での学びが増えること、そして、旅行に行きやすくなることや、ワーク・ライフ・バランスの向上や産業の活性化にもつながることなどが挙げられると思います。一方、デメリットといたしましては、子供の学習が遅れる可能性があること、教員の負担が増加するおそれがあること、経済的な状況によって様々その休みのときにできることなど、家庭に差が生じることなどが挙げられるのではないかと思います。
2点目、ラーケーション制度の導入についてでございますが、愛知県におきましては経済界、労働界、教育界とともに休み方改革が進められており、その中であいちウィーク、これは毎年11月21日から27日と伺っておりますが、このウィークにおけるイベントの開催や、県民の日学校ホリデーやラーケーションの日の創設などに取り組まれていると伺っております。
休み方改革は、全国知事会でもプロジェクトチームが提言を取りまとめており、県民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と地域経済の活性化などにつながると考えられますことから、本県でも取り組めないか、先般検討を指示したところでございます。ラーケーションにつきましては子供の意見を聞くとともに、愛知県での取組結果なども参考にさせていただきながら、今後、教育委員会等とも意見を交え、導入の可否について検討してまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)ラーケーションにつきまして、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目のどのような問題があるかについてでございますが、まずは児童生徒が制度を利用した日の授業の学びをどう保障するのかという課題がございます。また、学校におきましてラーケーションの導入に当たりまして、教職員が対応しなければならない業務が増加することが考えられるところでございます。あわせまして、様々な事情によりこの制度を利用したくてもできない家庭の子供や保護者等への配慮が必要であると考えております。
2点目のラーケーション制度についてどのように考えるかについてでございますが、子供が家族と一緒に過ごし、ふだんできない体験をすることで思い出をつくったり絆を深めたりすることは大切であり、特に保護者が土曜日や日曜日に仕事をされている場合には、ラーケーションはそのような時間を確保する手段の一つになると考えております。
今後検討する場合におきましては、まずは子供のためになるのかどうか、子供の意見を聞くこと、そして、学校現場の教職員の声を聞いて取り組む必要があると考えております。また、教職員の負担を軽減するために必要な手段を確保するなど、慎重に制度設計をする必要があると考えているところでございます。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)2025年、万博で、この前、中山さんが質問されていましたけど、押しつけないように、学校の好きなようにしたいという話があったと思うんですけど、僕も知事も万博の後に生まれているので万博がどういうものか知らないんですけど、多分、教育長はもう、さっき言ったら行ったと言っていましたので、学校で行くとか家族で万博に行くということ、これ、どういう学びがあるのかといったところ、ちょっと体験談を交えて教育長、お願いします。
それと、これ、何がというのは、日本ってずっとお盆と正月休みという、この2つの大きな休みがあって、そこにみんなが一斉に休んで、それで、どこかへ行く、混んでいるときに出かけるという、こういうのをずっと続けてきたと。だけど、本来いうと、そういう休み方がだんだん最近変わってきたんだけど、だけど、子供の学校を休ませてどこかに行こうとするのは、まだ抵抗感が強いんですよね。休みにするというのは。
そういった意味では、このラーケーションという制度を導入して、学びも含めて一緒に親と出かけるというこの体験というのは非常に大きいのかなというふうに思いますので、そういった意味では、昔と違って働き方も変わっているんだし、働き方改革をいうなら、そういった子供の休み方も変えていくというのも一つ大きなポイントかなというふうに思います。
先生の仕事量が増えるというけど、そっちのところと子供の健全な健やかな発達というのが、どっちが大事かといったところを含めて考えていただきたいのと、タブレットも進んでいますので、幾らでも自習というのはできると思いますので、そこはそんなに問題じゃないのかなと思うんですけど。
この制度、さっき知事は検討中とおっしゃいましたけど、制度を導入しようとするときに、多分、今言ったデメリットのところが問題になると。だけど、そのデメリットのところって、さっき知事言ったんだけど、おそれなんですよね。学びの保障が、学習がちゃんとできるかどうかのおそれがあるというおそれと、メリットのほうは家族の時間が取れて有意義だという、これはもう断定だったと。
そういった意味では、おそれを前に出しているということは、知事はやりたいんだろうなと思っているんですけど、ちょっと知事のほうから、そこら辺のやりたいなという思いをもう一度お聞かせください。ちょっと2問、はい。
◎知事(三日月大造) 誘導質問にはならないように。ただ、この働き方改革という言い方よりも、むしろ休み方を変えて、家族と過ごす時間であるとか、遊びの中で家族とともに例えば学ぶとか、出かけることで様々な体験を積むということはとても大事なことだと思いますので、愛知県から御提案があったときから、とてもいい取組だなというふうに思いました。
後ほど教育長からお話があるかもしれませんが、学校は1年間の中でその学年でやらないといけないことというのがいっぱいあって、その日程を取ったり、それをこなしていくのにきゅうきゅうとされているところもあると思うので、その現場の声はよくお伺いしないといけないなと思いつつ、また、子供の声もぜひ聴いてみたいなと思います。
したがって、導入に向けた、例えば試しに行うことであるとか、どういうデメリットが本当に出るのか出ないのかということの検証などもですね、ぜひ積極的にやりながら、検討を重ねていきたいというふうに思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今から53年前──1970年に大阪で万博、吹田で行われました。私は当時小学校6年生でして、一度学校の行事としてバスで行ったのと、家族でももう一度行きました。ただ、家族で行ったのは休日でございました。
印象でございますけれども、まずは非常に多くの人が来ているので、学校で行った場合には、もう迷子にならないように、先生方も大変御苦労をしておられたと思っています。ただ、当時は一番人気がありましたのはアメリカ館の月の石だったと覚えております。それ以外にも、まだ当時はソ連でしたので、ソ連館、カナダ館、そして日本館などなどがございましたので、そういったものを見るという、そして、いろんなものを触れるという体験。私は滋賀の甲賀の田舎に住んでおりましたので、都会を見るということも含めて、体験になったとは思っております。
今後、大阪・関西万博をどうしていくのかについても、また学校現場で先生方いろいろ考えていかれると思いますけれども、子供にとって、そういったものを体験することは非常に充実した学びだと思いますし、家族で行ったときも、なかなか家族で旅行するというのがない時代でしたので、それはそれでよかったと思っております。
このような答弁でよろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いいたします。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)福永さんも子供の頃、そういうことをしながら学びの多い万博だったんだなというふうに思いますけど、じゃあ今回、教育で、知事が万博に子供たちをということで、これ、僕はすごくいいことだと思うんです。中山さんは反対されていましたけど、僕はすごいいいことだと思うので。
ただ、うちのほうは、朝8時に出て2時間半から3時間、10時半から11時ぐらいに着くと。これ、学校で行くと、小学校だと4時までに帰らなくちゃいけないんですよ。そうすると、向こうを1時に出なくちゃいけない。2時間しかない。混んでいるなという印象しか残らない。
それだったら、親と一緒に、休日じゃなくて平日に、平日休みにして行って、子供だけのチケットは県が払えますよとか。中学生だったら子供たちだけで行って、グループで行って、そのチケットを払えますよと。後払いでいいと思うんですけど、という形を取ると、学校の休みを公の休みにしていくことで、万博も行けるし、親と一緒に行くともうちょっと長い時間いられると。もっと時間的にね。学びもあると。
多分、福永さんも子供のとき親と一緒に行ってうれしかったんだろうなと思うんですけど、ただ、今の万博はもうちょっと維新頑張れよと思ってはいるんですが、どうなるか分かんないんやけどね。そういった意味では、この万博というのと、それから、国スポ・障スポのこの2つが25年というのは、非常に休み方を考えるいいきっかけだなと思う、これ、滋賀県の中で。
そこからしていくと、やっぱりこれ、学校の先生の多忙化というけど、親と一緒に行くのは先生関係ないし、迷子になる生徒をどうにかしなくちゃいけないということもないので、そういったことも含めて、万博への行き方というのを考えたらどうかなというふうに思います。
先日、北部振興で知事、甲津原のスキー場へ行ったと思うんですけど、草野君からそのときに言われたと思うんで、このラーケーションについては。いいね、面白いねと言って、やろうと言ったはずなのでね、知事としては、これ、やっていったほうがいいかなと思いますので、最後に、若干教育長はやりたくないのかなという雰囲気はあるんだけども、結局子供というのは進化を求めるんですよね。これ、じゃあできないよと言ってやめましょうと言われたら、子供ってやっぱりええってなっちゃうの。だけど、できないのをどうやってできるようにしていくのかというのを考えていくというのは、教育の要諦だろうと僕は思っているので、この進化を止めるようなことを教育がやるっていうのは、これは駄目だろうなと。
こういういろんな問題があるけど、これを克服しながらやろうよということを、僕は教育としては言わなくちゃいけないというふうな思いを持っていますので、教育長にもう1回聞いておきますけど、知事にも同じことを聞いておきます。
知事と教育長のスタンスの温度差が埋まれば僕はいいかなと思っていますので、同じ問いを2人に聞きますので、よろしくお願いいたします。
◎知事(三日月大造) まず、子供たちにとってどういう学びを、これは学校も大事ですけども、休みのときにしてもらうのかというのは、今日の問いかけのとても根幹になる部分だと思います。
このこともとても大事なことですので、ただ、子供1人で、小さい子供1人で行けるというよりも、御家族や周りの親戚などと一緒に行動するということもあると思いますので、そのためには休み方の改革、ここにやはり手を入れていく、今とは違う選択肢を用意していくということも、とても重要だと思っています。
また、2年後には、もう2年切っていますけど、大阪・関西万博という大きなイベントがあって、そこに子供たち行ってもらうようにしようということで、今、様々な検討を行っておりますので、そういうものの選択肢の中に、学校で行くこと以外にどういう行き方があるのかというのも一緒に考えていければいいなと思いました。
教育長も、議員はスタンスが違うとおっしゃいましたけど、子供のことを考えるという意味においては共通してあると思いますので、ただ、様々伴う課題や戸惑いにどう対応していくのかということを一緒に相談しながら、力を合わせてね。ちょっと返事遅かったですけど、乗り越えていければというふうに思っております。
◎教育長(福永忠克) 改めてお答えをいたします。
やはり制度を導入したら、学校での学びがどのようになるのか、そして、子供たちの学びがちゃんと確保できるのかという点は、子供のことを考えればしっかりと考えておかなければならないことだと思っております。先ほど委員からも御紹介ありました、授業内容の連絡をどういう形でやるのか。確かに1人1台タブレット端末も導入されていますので、そういったものの利活用も含めてやらなければなりませんし、それと、年3日の休みを自由に取れるということになりますと、子供たちがどのように休むのかなと、そこはなかなか難しいところがあると思います。例えば1度に35人学級で20人休んだら、20人を除いた授業を15人でやるのか、その日はもう全体を休みにしたほうがいいのかとか、様々な課題もあると思います。
制度を導入することを否定はいたしませんけれども、やはり課題をしっかり考えて制度を導入するということは、教育に携わる大人として責任ある取組をやっていかなければならないと考えておりますので、その点はよろしくお願いします。
あわせまして、教職員の皆さん、先生方も保護者であられる方はたくさんいらっしゃいます。ですが、先生方が平日に、保護者として休まれたときの、代わりの子供たちを見る先生をどのように確保するかという点も併せて考えながら、また知事ともしっかり議論をして、制度について検討を進めていきたいと思います。
課題は、解決できる課題は多くあると思いますが、その点についてもしっかりと考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)25年なので、来年1年間、時間の余裕があるので、十分考える時間はあるかなというふうに思います。
これ、やっぱり一つは、一番大きいのは休み方なんですよね。これ、休み方をどう変えていくのかなので、いろんな時期をずらしていく、休みの分散化も含めてやっていけると思いますので、課題は解決すると。その先にあるのは、今はアクティブラーニングですから、子供たちもいろんなことを考えながら、納得しながら授業を受けるし、いろんなことを学校現場でも感じていると思いますので、これから先の教育を変えるという意味では非常に有意義なことだろうなというふうに思いますし、また、全体のこの滋賀県の経済をどう動かしていくかも含めて、いい取組だなというふうに思っていますので、ぜひこれは導入に向けて検討をしていただきたいなというふうに思います。教育長、しっかり、しっかりね、しっかり頼みます。しっかりよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、33番川島隆二議員の質問を終了いたします。
次に、12番柴田栄一議員の発言を許します。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇、拍手)議席ナンバー12番、滋賀維新の会柴田栄一です。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
大問は1つ、不登校、いじめ問題についてです。質問形式は分割にて行います。答弁につきましては、知事、教育長にお願いします。
文部科学省の不登校の児童生徒等への支援の充実について、令和5年11月17日の資料によると、令和4年度の国立、公立、私立の小中学校の不登校児童生徒数が約29万9,000人で過去最多となっております。そのうち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が約11万4,000人で過去最多で、90日以上欠席している児童生徒数が約5万9,000人、過去最多と高水準で推移しており、生徒指導上の喫緊の課題となっております。
さらに、国立、公立、私立の高等学校においても不登校生徒数が約6万人。そのうち学校内外で相談を受けていない生徒数が約2万5,000人で、90日以上欠席している生徒数が約4,000人となっております。
一方、滋賀県では、令和4年度児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査等を小中高別に結果を見てみると、公立小学校における年間30日以上の長期欠席者数は2,476人で、前年度の2,420人より56人増加。そして、長期欠席者のうち不登校児童数は1,265人で、前年度の1,066人より199人増加しており、学校内外の機関等で相談、指導等を受けていない児童は不登校児童数のうち365人で、前年度の323人より42人増加。不登校児童数に占める割合28.9%は前年度の30.3%より1.4ポイント減少となっております。
次に、公立中学校における年間30日以上の長期欠席者数は3,242人で、前年度の2,872人より370人増加。そして、長期欠席者のうち不登校生徒数は2,120人で、前年度の1,835人より285人増加しており、学校内外の機関等で相談、指導等を受けていない生徒は不登校生徒のうち732人で、前年度の736人より4人減少。不登校生徒数に占める割合34.5%で、前年度の40.1%より5.6ポイント減少となっております。
次に、県立高等学校における年間30日以上の長期欠席者数は1,187人で、前年度の1,099人より88人増加。そして、長期欠席者のうち不登校生徒数は102人で前年度の27人より75人増加しており、全日制の不登校生徒数656人で前年度の573人より83人増加と、滋賀県においても全国同様に不登校児童生徒数が年々増加しています。
このような状況を鑑みて、今、学校で何が起こっているのか。不登校児童生徒の現状、これからの学校教育について滋賀県としてどのような取組をされ、どのような姿を目指しておられるのかを伺っていきます。
では、質問に移ります。
しがの学びと居場所の保障プラン(原案)の中で、支援に当たり重視する視点として3つの項目が挙げられています。子供の小さなSOSを見逃さず、チームで支援します、では、伝えにくい心の中の不安や悩みに、教員がいち早く気づくことができる、心の小さなSOSにチームで素早く対応することにより、早期に最適な支援につなげられる、教育と福祉等が連携し、地域とも連携しながら子供や保護者が必要なときに支援が行われるとあります。
先生がいち早く気づいて早期対応と支援をいただき、保護者への支援まで対応いただくことは、生徒だけでなく保護者にとっても大きな安心につながります。しかし、一方では、気づいてもらえず、相談することもできず1人で悩んでいる児童生徒もいますので、安心・安全に相談できる窓口が必要と考えます。
全国では、たくさんの市町がいじめ報告相談アプリや不登校児童生徒向けの相談アプリの活用を始められています。県としては現在、こころのサポートしがLINE相談を実施されていますが、不登校、いじめの相談件数はそれぞれ何件でしょうか、教育長にお尋ねします。
また、学校における1人1台端末を活用した相談の実施は行われていますでしょうか、これも教育長にお尋ねします。
次に、学校に行けなくてもオンライン等で授業や支援につながることができる、とあります。オンライン等というのは、タブレット端末を活用して家と学校をネットでつないで授業を受けるものと思いますが、現在小中学校においてオンライン学習等を行うための整備はどこまで進み、学校ではどのような取組事例がありますでしょうか、教育長にお尋ねします。
そして、自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の判断はされていますでしょうか、こちらも教育長にお尋ねいたします。
次に、一人一人のニーズに応じた多様な学びの場や居場所が確保されている、学校に行きたいと思ったときに本人や保護者の希望に沿った行きやすい環境づくりを進める、の観点ですが、学校外の学びの場である教育支援センターやフリースクール等へ行くことが出来ない子供がいることも現状です。
このような児童生徒の新しい居場所の一つとして、バーチャル空間を活用した教育メタバースが注目されています。滋賀県としても、このような教育メタバースの活用について、メタバースに関する実証実験などを含むコンテンツ等に関するモデル事業実施、普及とありますが、どのような場面、そして、使い方を目指しておられますでしょうか、こちらも教育長にお尋ねします。
次に、不登校児童生徒の不登校になったきっかけについて。滋賀県フリースクール等連絡協議会の会長、柴田雅美滋賀大特命教授による実態調査を行った結果、不登校児童生徒と家庭を対象にした初の実態調査は、当事者が何に困っているのかを明らかにするため、令和4年11月から令和5年の1月まで、滋賀県在住または滋賀県内の学校に通う小学生から高校生のうち、不登校児童生徒、過去に不登校の経験をしている者、学校に行きづらい状況にある者、過去に生きづらさを経験した者およびその保護者を対象にアンケート専用公式LINEで実施されました。
その数は、児童生徒75人と保護者276人が回答しました。結果として、合わなかった、怖かった、体罰があったなど「先生のこと」が23人で最多。続いて「友達のこと」「身体の不調」「カリキュラムが合わない」が20人という結果になっております。
今回のアンケートは滋賀県が正式に行ったアンケートではありませんが、決して軽視できない結果として受け止めています。その理由として、1つ例を挙げますと、昨年県内の小学校で、本来子供を一番守るべき学級担任の先生が低学年の男子児童をいじめていたという事案が発生し、児童や保護者だけでなく、地域の皆様の学校教育への信頼を大きく損ねる結果となりました。多くの先生が一生懸命に子供たちを思い、守ってくださっていることも理解していますので、非常に残念な事案となってしまいました。
一方、文部科学省が学校および教育委員会を対象に実施した令和4年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によると、不登校のきっかけは、児童生徒の「無気力、不安」が最多でありました。そして、滋賀県の令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査等の結果でも、文部科学省同様に、不登校の要因として、公立小学校における不登校の要因は、不登校要因の主たるもので「無気力、不安」が640人で50.6%、「親子の関わり方」が188人で14.9%を占めています。
公立中学校における不登校の要因では、不登校要因の主たるもので「無気力、不安」が1,048人で49.4%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が301人で14.2%を占めています。全日制の県立高等学校における不登校の要因でも、不登校要因の主たるもので「無気力、不安」が293人で44.7%。「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が115人で17.5%を占めています。定時制の県立高等学校では、不登校の要因の主たるもので「無気力、不安」が89人で61.0%、「入学、転編入学、進級時の不適応」が24人で16.4%を占めるとなっています。
この結果から、それぞれの立場の違いやアンケートの方法や質問内容の違いなどによる結果の相違であることは顕著であり、どちらがよい悪いということではありませんが、不登校になった本当のきっかけが何なのか、正しく原因を追求することが正しい対策につながり、結果として不登校児童生徒数の減少につながるのではないかと考えますが、県として調査結果の相違をどのように受け止め、今後それをどう生かし取組を進められますでしょうか、こちらも教育長にお尋ねします。
また、デジタル化の加速に伴い、社会でも表面上見えにくくなっている部分が増えてきていると考えます。子供たちを取り巻く環境は、デジタル化を含め目まぐるしく変化しており、学校でも同様にそのような環境で生きている子供たちの不登校やいじめ等、困り事は見えにくくなっているのではないか危惧しています。このような現状にある子供たちへの対応について、県のお考えをお聞かせください。こちらも教育長にお尋ねします。
次に、不登校児童生徒の中には、いじめがきっかけで不登校になってしまった児童生徒もいます。滋賀県のいじめ件数の推移を調べてみますと、平成30年の6,847件から毎年増加しており、昨年度、令和4年度ではついに1万1,716件と、初めて1万件を突破してしまいました。
いじめ防止対策推進法で定義する生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いがあったり、長期間の欠席を余儀なくされている疑いがある重大事態も13件と過去最多となりました。具体例を挙げますと、滋賀県内の中学校で4月下旬に発生した生徒同士のいじめについて、昼休みに廊下にいた1年生の男子生徒に対し、2年生の男子生徒2人が頬をつねったりした。さらに別の2年の男子生徒ら4人が、理科室に連れ込んで男子生徒を転倒させ、軽く蹴る、つねるなどした。ドアを閉めて鍵をかけ、室内のカーテンを閉めるなどして周囲から見えないようにしたという。理科室には男性教諭がいましたが、授業準備をしており生徒たちの暴力に気づかなかったということです。
市立小中学校いじめ問題専門委員会は、学校などのいじめに対する危機意識の低さを指摘。情報の全校共有や見守りに穴を生じさせない学校運営、生徒たちが安心できる場づくりなどに取り組むように求めています。
そして、先日の滋賀県内私立中学校において、中学3年生の女子生徒1人が1年生のときにいじめ被害を訴えて長期間欠席しており、30日以上の欠席の場合は文科省で重大事案と定義されているにもかかわらず、いじめ防止対策推進法に基づいて文部科学省が求めている第三者の調査を、同校が約1年間実施していなかったことが分かりました。保護者からの要請を受け、今年2月になって第三者委員会を設置したという、とても残念なニュースがありました。被害者生徒や保護者の心情を思うと、想像をはるかに超えた恐怖や苦しみ、悲しみであったことが容易に想像できます。
子供たちが安全に安心して学校生活を送れるように努めたいという教育長の言葉がありましたが、今の滋賀県内の学校は本当に安心・安全に児童生徒が過ごせる場所になっているのでしょうか。私が学生時代のときのような目に見えるいじめは少なくなっているのかもしれませんが、一方では、コロナ禍にあっても増え続けたいじめ件数の結果から、新たな目には見えにくい形でのいじめが増加していると言えるのではないでしょうか。
本来であれば、いじめの発生を少なくすることが目指すべき目標であるかもしれませんが、まずはいじめの重大事態への対応が何よりも重要であると判断します。滋賀県として、13件のいじめの重大事態が発生したことを踏まえ、今後どのように対応されますでしょうか、教育長にお尋ねします。
最後は知事にお伺いします。滋賀教育大綱──第3期滋賀県教育振興基本計画の冒頭の挨拶文で知事は、「私は、日々学ぶことはとても楽しいと感じています。特に、子供たちには『わかった!』『できた!』という実感をどんどん経験してもらい、学ぶことの楽しさや、人と共感したり議論を交わしたりする充実感を味わってほしいと思っています」と、御自身の思いをつづられています。
私もこの内容には同感していますが、学校で学ぶ、学びたい、そう思っていてもどうしても学校に行くことができない、そんな子供たちが増えています。
問題行動への対応や、困難な状況における子供たちの学びや居場所の保障など、教育は今、大変革期の真っ最中だと感じております。教育は特に力を入れている政策の一つとおっしゃる知事は、困難な状況における子供たちの学びや居場所の保障についてどのようにお考えでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。
以上、9点質問させていただきます。
○議長(奥村芳正) 12番柴田栄一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)不登校、いじめ問題について、私に賜りました、最後にいただいた1問にお答えいたします。子供たちの学びや居場所についてという御趣旨でございました。子供自身の自己肯定感を高めるために「わかった!」「できた!」と感じられるような授業づくりを行うだけでなく、「先生、分からない」と言える教室づくりや「助けて」と言える社会や空間づくりが大切であると認識しております。
子供たちの学びや居場所の確保に向けて、新たに策定しようとするプランにおきましては、全ての人が愛情を持って関わり、子供たちの生きる力を育むことを基本理念とし、子供たちに多様な学びの機会と安心して成長できる居場所の確保を目指しているところでございます。
プランにおいては、安心して学び育つことができる学校づくりや教育と福祉の連携、チームによる支援体制の強化などを位置づけていきたいと考えているところでございます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)不登校、いじめ問題について、私にいただきました8点の御質問にお答えをいたします。
1点目のLINEの相談件数でございますが、令和4年4月から令和5年3月までの1年間の小中高校生からのいじめについての相談は54件、不登校についての相談は23件ございました。また、令和5年4月から10月末までの小中高校生のいじめについての相談は18件、不登校についての相談は13件あったところでございます。
2点目の1人1台端末を活用した相談についてでございますが、1人1台端末を活用した児童生徒への相談の対応を実施している市町は8つの市町、そして、実施予定と考えておられる市町が4つの市町ございます。また、文部科学省の今回の不登校・いじめ緊急パッケージでは、1人1台端末等を活用した心の健康観察の導入推進事業が計上されておりますことから、今後、本県においてもこの事業の活用をしていきたいと考えているところでございます。
3点目の小中学校におけるオンライン学習等を行うための整備状況、また、取組事例についてでございますが、GIGAスクール構想によりまして、現在、小中学校では全ての児童生徒に対して1人1台端末が整備されているとともに、学校や家庭のネットワーク環境は対応可能なものと認識をいたしております。個々の児童生徒の必要性に応じて、オンラインにより授業の様子や学習動画を配信したり、個々の学習状況に応じた学習課題を送信したりして指導を行っていただいている市町もございます。
4点目の不登校児童生徒の指導要録上の出欠の判断についてでございますが、文部科学省より、不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いが令和元年10月25日に通知をされておりまして、本通知を基にして校長が指導要録上の出席の扱いを判断しているところでございます。令和4年度の諸課題調査では、県内の公立小学校で23人、公立中学校で22人が指導要録上の出席扱いと判断されたところでございます。
5点目のメタバースの活用についてでございます。現在検討中のしがの学びと居場所の保障プランでは、不登校の子供の状況をそれぞれ「登校できる」「登校できない」「外出できる」「外出できない」に分けて、一人一人の状況に応じた支援を考えているところでございます。メタバースでの支援につきましては、登校できない子供への支援として考えておりまして、御質問の場面や使い方など具体的な取組につきましては、今後、先進的に取り組んでおられる自治体の事例などを参考にして、市町とともにどういった使い方がいいのか、議論を重ね考えてまいりたいと思います。
6点目の様々な調査結果の相違の受け止めと、今後どう生かすのかについてでございますが、不登校になったきっかけにつきましては、学校が考える理由と子供が思う理由は異なるかもしれないという視点を持った上で対応することがまずは大切だと考えております。不登校に至る背景は子供により異なりますことから、理由は複雑に絡み合っております。こうしたことから、学校現場におきましては、丁寧に子供の状況を見立て、アセスメントし、子供の状態に応じて、子供の社会的な自立に向けてどのような支援ができるのかを考えることが重要でございます。また、学校の教員に対しましては、教員向けのリーフレット等を活用した研修を通じまして、先生方が的確なアセスメントが行えるよう指導に努めてまいります。
次に、7点目の困り事が見えにくくなっている子供たちへの対応についてでございますが、議員の御質問にもございましたように、今、社会は急速に変化しております。情報化の進展は著しいものがございます。こういった社会にありましても、やはり日頃から全ての子供たちにとって安全・安心な学校にすることがまずは大切でございます。
クラスの友達と相談できる学級、学校づくり、また、担任はもとより担任以外の先生とも相談できる体制、また、相談に関して多様なツールを用意することが必要だと認識をいたしております。このため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談すること、24時間子供SOSダイヤルやこころのサポートしがLINE相談等、様々な相談窓口につきまして、子供がしっかり知ってもらえるように、周知に努めてまいる所存でございます。
8点目のいじめの重大事態の発生を今後どう生かすのかについてでございますが、令和4年度のいじめの重大事態は13件発生しておりまして、大変重く受け止めております。この13件の中には、重大事態として把握する以前には、いじめとしての認知もしていなかったものもありますため、まず、いじめを積極的に認知することで早期に対応し、重大事態に至る前に未然防止、対応をすることが大切であると考えております。
そして、いじめを認知した際には、それが重大事態に至ることがないよう、被害を受けた本人および保護者に寄り添った対応を徹底的に行うことが必要であると認識をいたしております。最も重要なことは、何よりもいじめが起こらないようにすることでございまして、学校現場において、児童生徒等による子供が主体となった学校全体でいじめについて考える取組なども通じまして、子供たちが安心して学べる学級、学校づくりを推進してまいります。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)再質問させていただきたいと思います。
教育長の言葉にありましたように、子供たちにとって様々な相談できる窓口がたくさんあるというのは、すごく僕もそれがいいなと思っています。その中で、やはり今の時代に合った相談の方法として、他府県でやっておられるような相談アプリ、今、滋賀県内でも8校ですかね、されていると先ほどちょっと答弁いただきましたが、1人1台端末を配布されていますので、ぜひそちらのほうに相談アプリなどを入れていただいて、子供が、児童生徒が親にも相談できない、そして、先生にも相談できない、友達にも相談できない。もう本当に独りぼっちで抱え込んでいる子供ってたくさんいると思うんです。その子たちの声をやっぱりどうしても届けるというか、どこかに訴えたいという意味では、1人1台端末の中の相談できるアプリみたいなものを、そういう仕組みを普及させていくというものが、いじめの解決にちょっとつながっていくのかなと思いますが、教育長の見解をお願いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供たちが相談したいと感じたときに相談できる体制をつくることは、子供たちの不安や悩みにいち早く気づくことにつながりますので、これは一番大切なことだと思っております。そのためには、御質問にございました教育端末の活用は有効な手段の一つであると認識をしておりまして、まずは教育端末で子供たちの相談を受け付けられる、受付できるということは、心の小さなSOSの早期の対応から支援につなげられるものと考えております。
議員の御質問にございました、全国で様々なアプリも使われております。全国で行われているアプリの活用状況、また、県内の市町によりましても取組が違いますので、県内の市町の取組状況など情報を取りまとめまして市町とも情報共有し、そして、市町の取組が一層充実されるよう、県教育委員会としても取り組んでまいる所存でございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)答弁いただきましたが、この相談アプリというものを1人1台の端末の中に入れると。僕が思うには、いじめられている子供の声を拾える、聞くことができるということと、それを見ている友達であったりとか、傍観者になっている子供たちの声も拾えると思うんです。様々ないじめとか不登校に関係している人たちの声がやっぱり拾えるということで、たくさんの声を拾えると思いますので、ぜひ滋賀県としても、そういう本当に声を出せない子供たちの声を拾っていただけるような仕組みをこれから滋賀県内全校に対して普及させていただきたいなということをお願いしたいと思います。
知事のほうに再質問をさせていただきたいと思います。不登校、いじめということで、その要因は本当に様々あって複雑に絡んでおりますので、原因追求して、対策を実施して解決という、なかなかそういうふうにはいかないとは思うんです。でも、そんな中でも、やはり県として、滋賀県として、滋賀県内の小中高校ですね、何か目標を持って取り組むということも大事かなと思っているんです。
いろんなことを取り組まれているとは思うんですけど、なかなかいじめの件数であったりとか、そういったところはなかなか目標にしにくいと思うんですね。というのは、声を聞けば聞くほど件数ってやっぱり増えてくると思いますので、とはいえ、先ほどちょっと言ったような重大事案なんかというのは、13件というものは、もしかしたら早期に対応したら早期に収まるとか、重大事案までに収まるかもしれませんので、そういった目標とかも、もしかしたら僕は必要なのじゃないかなと思うんですけど、知事のそういう見解、思いみたいなところ、いじめに対するとか不登校に対する今後の思いなんかも含めて、ちょっとお聞かせ願えたらなと思います。
◎知事(三日月大造) お取上げいただき、教育長を含めてやり取りさせていただいた、いじめと不登校の問題ですね。おっしゃったように、なかなか件数の目標を掲げて対応するというのは、どちらもなかなか難しい面があるんじゃないかなと思っています。
やはりいじめというのは、究極的には学校や社会からなくしていくということを目指したいと思いますが、ゼロにしよう、なくそうというと、目の前にあることを見なかったことにしようとか、なかったことにしたいという、こういう誘因が働きますので、むしろ早期発見を阻害するようなことになるとすれば、そういう目標の立て方というのは適切ではないのかもしれません。
ただ、先ほども教育長から御答弁がありましたように、なくすことを目指し、そして、見つけたらいち早く対応する。さらにはチームで対応し、重大事態に至らないようにする。こういうことはとても大事なことだと思いますので、そういうことはぜひ現場にも徹底できるように、また、行政としても、教育委員会と一緒にサポートできるように努めてまいりたいと思いますし、不登校につきましては、これも御答弁がございましたけれども、その子その子に応じた状況、これは時々変わっていく状況でもあるのかもしれません。様々ありますので、その子供にとって必要な学びの場でありますとか安心していられる居場所、こういうものを一人一人全ての子供に対して、きちんと保障できる環境をつくることというのがとても大事なことだと思いますので、その構築に向けて努力をしてまいりたいと存じます。
◆12番(柴田栄一議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、12番柴田栄一議員の質問を終了いたします。
最後に、26番桑野仁議員の発言を許します。
◆26番(桑野仁議員) (登壇、拍手)失礼します。一般質問日、一般質問の最終質問者となりました。よろしくお願いいたします。
それでは、発言通告書に従いまして、大きく3項目について、全て分割方式にて質問をさせていただきます。
まず最初に、琵琶湖の利用における課題と活用について、知事、
琵琶湖環境部長、
商工観光労働部長、土木交通部長、警察本部長に伺います。
琵琶湖ルールにあるローカルルールについてですが、現在このローカルルールが認定をされているのは、大津市南小松の近江舞子、高島市横江浜、長浜港の3地域となっております。レジャー活動に伴って生じる騒音、ごみ、花火、違法駐車、航行規制など、課題は地域によって様々ですが、住民やレジャー利用者の安全、安心の確保には、県が主導して地域住民や関係事業者との対話、対策の話合いなどを行い、このローカルルールの策定が重要との考えから、昨年11月の定例会議でも、このことについて取上げをしました。
そのときの
琵琶湖環境部長の答弁では、ローカルルールの策定も視野に入れて、関係者や地元自治会と課題の解決に向けた話合いを進めているところであり、今後とも地域における自主組織づくりをより一層支援をしていく、また、知事からは、琵琶湖ルールの中にあるローカルルールを策定し、それを守っていく、守ってもらうことがとても大事であるとの答弁をいただいたところです。
ただ、以降このローカルルールが策定されたとは聞いておりません。なぜローカルルールが策定できないのか、その要因と今後の取組について、
琵琶湖環境部長に伺います。
次に、令和4年度の7月下旬から8月中旬までの日曜日1日の水上オートバイの利用隻数は県内で484隻となっており、その過半数を超える289隻が大津市のエリアで、特に近江舞子、北小松が突出して利用隻数が多くなっています。以前は本当に多くあった苦情ですが、航行規制水域監視員や琵琶湖レジャー監視、指導補助員、また、レジャー利用監視員の方々の啓発、指導により、水上オートバイ等に関する苦情が随分と減ったと聞いており、連日、陸上もしくは湖上から監視し、啓発、指導していただいていたことに感謝を申し上げたいと思います。
ただ、こうした取組を強化していただいているにもかかわらず、今年も水上バイクが航行規制水域内において蛇行しながら航行している、水上バイクが浜付近で暴れており、騒音がひどいなどの苦情が県に届いています。このように、いまだ航行規制水域内を急発進、旋回、横断するなどして騒音を立てている水上オートバイが後を絶たない状況です。
こうした状況からすると、次年度に向けさらなる啓発、指導に取り組んでいく必要があると考えますが、
琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
次に、滋賀県では、河川法第32条により滋賀県流水占用料等徴収条例を制定、施行し、河川占用許可を行い、流水占用料、土地占用料、土石採取料、その他河川産出物採取料を徴収されています。そこで湖岸の利用についてですが、大津市湖西の湖岸でよく見かけるのが、水上オートバイ等を保管、管理している事業者が一定区間、例えば店舗の前の湖岸やその隣接地など、つまりは河川敷を占用し、プライベートビーチ化し、またはキッチンカーなどを湖岸に出して営業活動をされているところが見受けられます。
多くの方がこの琵琶湖の恵み、つまり、琵琶湖で遊ぶ、学ぶ、癒やしを求めて来られていますが、反面、近隣住民の生活も保障しなければなりません。こうした人たちが安全、安心して生活できる、また、琵琶湖を楽しんでもらうためにも、やはりルールやマナー、また、条例等を遵守していただく必要があると思います。もし不法に河川敷、湖岸を占用し、営業活動等をしている事業者がいるのであれば、適切に是正指導すべきと考えます。こうした事業者の現状と課題、そして、今後の対応について、土木交通部長に伺います。
琵琶湖において水上オートバイを操船する場合は、滋賀県水上安全協会が実施する琵琶湖水上オートバイ安全講習を受けなければならないことになっています。毎年、県内外から約3,000名を超える方が受講をされています。講習内容は、琵琶湖の基礎知識、琵琶湖での水上オートバイの安全な乗り方、湖上交通ルールと船舶事故の実態などが説明されているところです。講習時間は90分程度となっております。講習が終われば、安全講習終了証が交付されます。その有効期間は5年、この5年間は自由に琵琶湖を航行できるということです。
人というのは、時を経過するとどうしても教わったことを忘れがちです。1回の講習で多くの方が受講されており、時間的に難しいところがあるかと考えますが、琵琶湖で安全に乗っていただくためにも、また、事故が起こってから対策を取っていては遅いわけですから、本県の琵琶湖水上オートバイ安全講習の受講時間を延ばしてでも、関係する条例等について今まで以上に周知徹底を図っていく必要があると考えますが、警察本部長に伺います。
次に、琵琶湖岸には多くの水上オートバイを保管、貸出しを業としている方がおられます。この夏の水上オートバイの事故等により、一部の悪質な操船者のために、北海道屈斜路湖のような全面航行禁止にすることには課題が多くあると考えます。滋賀県琵琶湖水上安全条例第16条の2において、琵琶湖等またはその付近地を利用して、遊興に供する船舶を保管するための施設または設備を設け、業として人に利用させようとする者に対する事故防止等の措置について定められています。
琵琶湖で多くの人が安全、安心して湖上スポーツ等を楽しむためには、官民等が協力してルールを守らせ、事故を起こさせないようにしていく必要があると考えますが、今後の取組について警察本部長に伺います。
琵琶湖の利用は、本来ルールやマナーを守る限り重要なものであり、また、多くの方が琵琶湖の雄大な自然環境に触れ、日々の活力を得ることは非常に重要なことです。一定のルールの中で利用者が増加することは、琵琶湖への誘客や環境にとって決してマイナス面ではなく、もっと活用することも考えていく必要があると考えます。
平成30年には、琵琶湖の保全再生に向けた活用の在り方〜保全再生と活用との循環の推進について〜が策定されました。この活用の在り方では、具体的な取組の展開方策の中で関わる仕組みがあり、その中に琵琶湖を楽しむという重点事項が示されています。本県は、琵琶湖をはじめとした豊かな自然や景観があり、魅力的な観光地も数多くあります。比叡山延暦寺や国宝彦根城、寺社仏閣など豊富な歴史的、文化的資産も多く有し、湖上アクティビティーも盛んです。
また、シガリズム観光振興ビジョンにおいても、琵琶湖でのアクティビティーやスポーツ等の体験、体感型の観光を推進するとしています。観光資源である琵琶湖において、誰もが楽しめる湖上アクティビティーの普及や魅力の発信、そして、水泳場やキャンプ場、マリーナ等との連携、協力による琵琶湖を楽しむ体験、体感型アクティビティーの推進を図っていく必要があると考えますが、今後どのようなことに取り組んでいこうとするのか、
商工観光労働部長にお伺いをします。
琵琶湖では、朝日レガッタやドラゴンボート、セーリングなど数多くの大会が開催され、この10月1日には守山市を中心として国内外から個人の出走者610名、リレーの出走22チームが参加してのLAKE BIWA TRIATHLON 2023が開催をされました。また、5月には、長浜のさいかち浜において、ALL JAPAN JET SPORTS SERIES SECOND STAGEが開催をされました。琵琶湖でこのような水上オートバイのレースが行われるのは、2001年のワールドカップジェットスキーチャンピオンシップ以来22年ぶりの開催ということです。琵琶湖の持つ魅力をもっと多くの皆さんに知っていただく必要があると思います。
琵琶湖での湖上スポーツには、いろいろな規制や環境への負荷など課題がありますが、こうしたことに向き合いながらも琵琶湖を利用した湖上スポーツの促進や湖上スポーツイベントなどへの積極的な関わりについて、知事の考えを伺います。
○議長(奥村芳正) 26番桑野仁議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)琵琶湖の利用における課題と活用について、私には最後に、湖上スポーツの促進等についてお尋ねをいただきました。
湖上スポーツは、琵琶湖の雄大さや景観の美しさなど自然のすばらしさを体感できる貴重な機会となり、スポーツ振興だけでなく滋賀への愛着がより高まることが期待されます。また、湖上スポーツを目的に来県される方々に合わせて、食や歴史文化など本県が有する様々な地域資源を体感いただくことで、スポーツツーリズムを通じた地域の活性化にもつながるものと認識しております。
一方で、陸上のスポーツのように気軽に取り組むことが難しいことや、様々なイメージなどから、多くの方にとって湖上スポーツはまだ遠い存在になっていることが課題であり、また、逆に可能性だと思います。今後は少しでも多くの方に湖上スポーツに親しみを感じていただけるよう情報発信に努めますとともに、競技団体や民間企業等とも協力しながら、大会の誘致や体験教室を開催するなど、湖上スポーツを積極的に推進してまいりたいと存じます。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)私にいただきました2点の質問のうち、まず1点目のローカルルールについてでございますけれども、ローカルルールとは、琵琶湖レジャー利用適正化条例に基づく地域協定でございまして、レジャー活動による環境負荷低減のため、地域住民、関係事業者等により自主的に組織された団体が策定するものでございます。
議員御質問のとおり、一部の地域ではローカルルールの策定を視野に入れて、県も調整に入りながら利害関係者間で話合いを進めてまいりましたが、残念ながら合意には至らなかったところでございます。今後とも、県といたしましては、地域の実情に応じローカルルールに限らず適切な手法により課題が解決されるよう、地域住民の皆様や関係事業者等による取組を支援してまいります。
2点目のさらなる啓発、指導についてでございますが、これまで監視船の運航回数の増加、監視員の増強、住民の皆様からの情報を基にした監視箇所の絞り込み、監視時間帯の適正化などを行っているところでございまして、近年苦情件数も減少はしてきてございます。しかしながら、いまだ水上オートバイ等による違反行為や迷惑行為が散見され、お困りの地域住民もおられる状況でございまして、議員御指摘のとおり、さらなる啓発指導が必要と認識しております。このため監視箇所のさらなる絞り込みやマリーナ事業者への啓発の強化などにより、啓発指導の実効性を一層高め、レジャー活動に伴う琵琶湖の自然環境と生活環境への負荷の低減を図ってまいりたいと存じます。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)琵琶湖を楽しむことの質問にお答えをさせていただきます。
琵琶湖の湖上アクティビティーは、滋賀の豊かな自然を体験、体感できるとともに、心と体の癒やしにもつながる大変魅力的なシガリズム観光コンテンツの一つと考えているところでございます。
SUPやカヤックなど、琵琶湖を間近に感じられる湖上アクティビティーは県内各所で体験でき、また、多くの学校に教育旅行のメニューとして採用されるなど、誰もが豊かな自然を体感できるコンテンツとして親しまれているところでございます。これからも多くの方々に湖上アクティビティーの魅力を体感いただけるよう、積極的な教育旅行誘致とともに、関係施設とも連携、協力しながら、ウェブやSNSなどを活用しPR映像や体験談の紹介など、効果的な情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)私にいただきました不法占用による営業活動等の現状と課題、今後の対応についてお答えをいたします。
不法占用による営業活動等は、特に大津市北部の湖岸で夏場に多く見られまして、河川巡視員や職員による巡視、県民からの通報により確認をいたしまして、速やかに是正指導を行っているところでございます。しかしながら、特にキッチンカーは移動が容易でありますことから、翌日には場所を変えて営業されることもあり、指導の徹底が容易ではございません。また、草木が繁茂するなど陸上からの見通しが悪い湖岸では、不法占用の確認が困難であるといったような課題もございます。
このような課題に対しまして、この秋には湖上から巡視を行い、陸上からは発見できなかった不法占用を確認いたしまして、是正指導を行ったところでございます。
今後の対応といたしましては、特にレジャー利用が多い夏場には、陸上に加えまして湖上からも巡視を行い、粘り強く是正指導を行ってまいります。さらに、不法占用が繰り返される場所には、注意看板や車止めなどの設置も検討いたしまして、不法占用の解消に取り組んでまいります。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)私にいただきました2点の御質問のうち、1点目の水上オートバイ安全講習における関係条例の周知徹底についてお答えいたします。
琵琶湖において水上オートバイを航行させるに際しましては、議員御説明のとおり、滋賀県琵琶湖等水上安全条例により安全講習の受講を義務づけ、船舶事故や遭難の防止、琵琶湖ルールの遵守を含む迷惑行為の禁止等について講習を行っております。今後、操船者の安全意識の向上やルール遵守に向けまして、最新の事故写真や迷惑行為の具体的な事例を取り入れた資料を用いるなど、限られた時間の中で安全講習の効果が一層高まるよう、真に心に響く講習の実施に努めてまいります。
2点目の官民等の協力による取組についてお答えをいたします。
県警察では、琵琶湖におけるプレジャーボートの航行、騒音、マナーに対する苦情、船舶、水難事故等の諸問題に対応するため、県、市、船舶、マリーナ関係者、水泳場開設者、水上安全協会等の協力を得て適宜会議を開催し、課題の共有を行うとともに、問題解決に向けた方策や官民の役割分担について話し合っております。また、毎年、国や県と合同で悪質操船者に対する一斉取締りを行うほか、水上安全協会や船舶、マリーナ関係者等と共同して、湖上や湖岸から安全意識やマナー向上の啓発活動を実施しております。今後も引き続き官民連携による取組を強力に推進してまいりたいと考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございました。それぞれ御答弁いただいた内容を次年度に向けてしっかりとやっていただきたいなと思います。
私、あと2項目ありますので、ちょっと私のしゃべる時間を考えると、本当はもっと聞きたいんですが、ここで次の質問に入らせていただきます。
それでは、次に、棚田地域の振興について、全て農政水産部長にお伺いをいたします。
棚田とは、山の斜面や谷間の傾斜地に階段状につくられた水田のことを言います。食料の生産はもとより水源涵養、保水機能、洪水調整機能、地滑り防止機能、生物多様性、生態系保全機能、保健休養機能、社会教育機能、景観形成など、日本のピラミッドと言われるほどの伝統、文化、美しい景観、教育、国土保全といった、人や環境にとって有益な多面的な機能を有しています。
生産活動を主体としつつ、地域住民等の共同活動によって、守られている、また、守られてきた国民共通の財産であり、日本の現風景です。ただ、琵琶湖ハンドブックにも記載があるように、棚田地域はその厳しい地形条件から、10アール当たりの労働時間が平たん地の水田の3倍以上に達するという報告もあり、日照時間や気温、水温等の影響を受けやすく、野生動物による被害も受けやすいことから、単位面積当たりの収穫は低い傾向にあるとされています。
このような地形的な生産条件が悪いことから、棚田の維持には多大なコストを要するのが実情であり、人口減少や高齢化によって担い手不足が進み、全国各地で棚田が荒廃の危機に直面しているのが現状とのことです。棚田は、日本全国の水田面積の約8%に当たる22万1,000ヘクタールを有しており、本県では全水田の約4.5%、約2,200ヘクタールが棚田となっています。
こうしたことを受け、農林水産省は多面的な機能を有する棚田について、その保全活動を推進することを目的として、平成11年に優れた棚田134地区を日本の棚田百選として認定をされました。その中には本県として唯一、高島市畑の棚田が認定をされています。
令和元年には棚田地域振興法が施行され、改めて優良な棚田を認定するポスト棚田百選の取組として、つなぐ棚田遺産〜ふるさとの誇りを未来へ〜が実施され、全国で271の棚田がつなぐ棚田遺産として令和4年3月に選定をされました。
滋賀県においては、高島市畑の棚田以外に大津市の上仰木の棚田、仰木平尾の棚田、栗東市の走井棚田、甲賀市の山女原棚田、今郷棚田、そして、高島市の鵜川の棚田、計6地区が新たに選定をされ、計7地区が棚田遺産として農林水産省から認定を受けました。
本県では、貴重な国民的財産である棚田を保全することにより、農作物の供給にとどまらず、様々な多面的な機能の維持、発揮を促進するとともに、観光や都市農村交流等の取組を通じた交流人口、関係人口の増加など、棚田を核とした棚田地域の振興に図ることを目標に、滋賀県棚田地域振興計画が令和2年11月に制定をされました。そこでまず、棚田地域で実施をされている棚田オーナー制度や、農村交流体験イベントについて、現在どのような取組が地域で行われているのか。また、これらの取組により移住、定住の促進や関係人口の創出、拡大にどのような成果があったのかを伺います。
次に、しが棚田トラスト制度というものがありますが、これは年々荒廃が進む県内の棚田を保全するため、棚田地域と地域住民等ボランティアが一体となって取り組む棚田保全活動に賛同いただける企業や個人から寄附金を募り、これを保全活動の資金として活用する制度です。また、滋賀応援寄附には世界農業遺産、琵琶湖システムと美しい棚田を未来へというものもあり、これは世界農業遺産の認定を受けた滋賀の農業、水産業の振興や、棚田の保全など、豊かな農山漁村を次世代に引き継ぐ取組に活用するものですが、それぞれの現在までの寄附金の状況について伺います。
次に、しが棚田トラスト制度において寄附をいただいた方への特典ですが、各棚田地域では、寄附金3,000円以上で地域通貨や収穫した棚田米1キロやみそ700グラム、また、お米で醸造したお酒などを寄附者の方に進呈をされていますが、滋賀県へ寄附をいただいた方への特典としては、企業はチラシへの広告のみ、個人は1万円以上の寄附で、滋賀県立
琵琶湖博物館観覧券を贈呈をされています。
棚田を維持していくには、草刈りやあぜ、農道の補修、獣害防止柵の設置など多大な費用が必要です。先ほども述べたように、皆様からいただいた寄附金を棚田の保全活動に活用するわけですから、もっと多くの方に棚田のよさを知っていただき、棚田を守っていかなければいけないという機運を高め、中山間地域等直接支払交付金や滋賀県ふるさと・水と土保全基金、棚田地域水と土保全基金等による支援もありますが、このしが棚田トラスト制度により、多くの寄附金を募っていく必要があると考えます。
そこで、県内県外を問わず、この制度の認知向上に向けた普及啓発をどのように行っていくのか。
また、滋賀県の寄附金に対する特典について、県内には多くの県施設があります。
琵琶湖博物館観覧券だけでは、インパクトがあまりにも弱いと考えます。多くの方に寄附していただくためにも、しが棚田トラスト制度について、滋賀県への寄附に対する特典をもっと幅広くしていく必要があると思いますが、お考えを伺います。
令和元年に農林水産省が実施した農業・農村の多面的機能および棚田に関する意向調査の結果が公表されています。この調査結果で、棚田を知っていると回答した方の86.7%のうち、棚田を将来残したいと回答した方が75.9%おられるとのことです。その残したい理由では、複数回答の結果ですが「澄んだ空気や水、四季の変化などが癒やしや安らぎをもたらすから」が37.4%、「農地や農作物などがきれいな景色をつくるから」が37.3%、「先祖が守り、守ってきたのだから」が35.9%となっています。
滋賀県棚田地域振興計画が策定され、3年が経過をしました。棚田の保全だけでなく、このように多くの方が棚田に関して関心を持ち、残したいと思っておられる方がいる現状から、引き続き、棚田を核とした地域振興、活性化を図っていく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
◎農政水産部長(岡田英基) (登壇)棚田地域の振興についての6点の御質問にお答えいたします。
1点目のオーナー制度や交流イベントについてでありますが、いずれの取組も都市農村交流を通じた地域の活性化とともに、将来の移住、定住を促すことを目的に実施しております。オーナー制度に取り組まれている大津市上仰木や高島市鵜川などの4地域では、田植、稲刈り体験のほか、参加者の地域への愛着が増すよう、棚田米や特産品を提供されています。
また、交流体験イベントにつきまして、高島市畑では、農家民宿でのみそづくり体験、栗東市走井では、地元の竹を活用したながしそうめんや収穫祭など、それぞれの地域の資源を生かした内容で実施されています。
2点目の移住、定住の促進や関係人口の創出、拡大の成果についてでございますが、栗東市走井と甲賀市山女原の2地域に4世帯が移住され、地元の草刈りや水路の清掃活動に参加されるほか、自らが地域のイベントを主催されるなど、地域の活性化に貢献されております。また、関係人口の創出といたしましては、地域と企業、大学などが新たに連携する滋賀のふるさと支え合いプロジェクトに14地域が取り組まれ、都市農村交流が進展しております。さらに、関係人口の拡大としては、棚田ボランティア登録制度、たな友に12地域で取り組まれ、参加人数は令和3年度の154人から令和4年度には342人へと倍増しております。
3点目の寄附金の状況についてでございますが、しが棚田トラスト制度は寄附者が県か棚田地域を選択して寄附を行う制度でありまして、平成21年度の制度開始から昨年度までの14年間で、県、地域合わせて79件、81万9,000円余の寄附をいただいたところでございます。一方、滋賀応援寄附、豊かな棚田を未来に残そうは県に寄附を行う制度でありまして、令和2年度の制度開始から昨年度まで3年間で232万7,000円余の寄附をいただいたところでございます。
なお、今年度からは滋賀応援寄附の名称を世界農業遺産「琵琶湖システム」と美しい棚田を未来へに変更し、世界農業遺産認定との相乗効果による寄附者の増加を期待しております。
4点目の寄附制度の認知向上に向けた普及啓発についてでございますが、これまでの県のSNSなどを通じた情報発信に加えまして、市町や観光協会などとの連携により、棚田への来訪者を増やし、棚田の魅力だけでなく課題も認識していただき、寄附制度の重要性に対する理解を促進してまいります。また、各経済団体を通じて県内企業に制度の周知を図りますとともに、東京本部が取り組んでおります、首都圏での本県とゆかりのある企業訪問などと合わせた周知を検討してまいります。加えまして令和6年3月には「ここ滋賀」での棚田PRイベントの開催と併せて、制度の周知を実施する予定でございます。
5点目の寄附に対する特典の拡充についてでございますが、しが棚田トラスト制度は、寄附者が県または地域のいずれかを選択して寄附を行われますが、このうち県に対する寄附につきましては、現在寄附額が多く返礼品の選択肢も豊富な滋賀応援寄附に統合し、一本化することを検討しているところでございます。
なお、滋賀応援寄附は、県内在住者が返礼品を受け取れない制度でありますことから、県内在住者の方には、しが棚田トラスト制度により地域に直接寄附を行っていただきますよう働きかけてまいります。
6点目の棚田を核とした地域振興についてでございますが、美しい景観や琵琶湖の水源涵養など多面的な機能を有する棚田は、琵琶湖システムにとって重要な役割を果たすことから、県民共有の財産として次世代に引き継ぐ必要がございます。そのためには、たな友やしがのふるさと支え合いプロジェクトなどの事業を継続し、棚田保全にとどまらず棚田の地域の魅力を磨き上げる取組を推進してまいります。さらに、琵琶湖システムを体感することができるコンテンツの一つとして、棚田での農山村体験をツアー化するなど、さらなる関係人口の創出や、地域活性化に向けた取組をしてまいりたいと存じます。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)引き続きよろしくお願いをいたします。本当に維持管理とか草刈り機のところで棚田の方からいろいろとお話やらを聞きますので、ぜひ寄附のほうを頑張っていただいて、どんな形でも周知をしていただいて、寄附をできるだけいただけるようにお願いをしたいなと思います。
それでは、次に生態系保全について、全て
琵琶湖環境部長にお伺いをします。特に今回は条件付特定外来生物についてお伺いをいたします。
アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメ──以降アカミミガメと言いますが、この言葉をよく聞きます。アメリカザリガニについては、その分布は本州から沖縄までの都市部から里山の水田、用水路、ため池、緩流域、湖沼など水辺に多く定着し、北海道でも温水が入り込むような水域で定着しているとのことです。
2020年1月時点で、全国で約65万世帯、約540万個体が飼育されていると推測されます。また、学校教材としても取り上げられることが多い生物で、全国調査で教育機関における飼育経験は全体で11.1%。特に幼稚園から小学校において多く、その利用目的は、生き物との触れ合いについて学ぶということです。
アメリカザリガニは雑食性で、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定されている昆虫や魚類、両生類が悪影響を受けた事例も確認されており、また、水草を摂食、切断して水生植物群落を壊滅させたり、また、稲の苗を摂食、切断してあぜに穴を空けるなどの農業被害ももたらしています。
もう一方のアカミミガメは、河川、湖沼、ため池や水路などの淡水域だけでなく、河口の汽水域まで様々な水域に生息をしています。水質汚濁にも強く、底質が軟らかい場所や水生植物が繁茂する場所、緩やかなながれを好むとともに、これも雑食性で魚類、両生類、水中昆虫などの動物のほか、藻類、水生植物、陸生植物の葉、花、果実等の植物を食べるとされています。
2015年度の環境省の調査では、アカミミガメは全国の約110万世帯で約180万匹飼育されていると推計されており、野外に生息するアカミミガメは約800万個体と推定されています。アカミミガメが引き起こす被害として、まずは生態系への被害ですが、日本の水辺には本来、在来のカメ類が生息をしていますが、アカミミガメが優先することにより、在来の亀であるニホンイシガメなどは絶滅の危機にさらされています。
先ほど述べたように、アカミミガメは雑食性で水生植物を好む傾向があり、浮葉植物やハスが消失するほどの被害を受けている場所もあると聞きます。滋賀県においても、彦根城の堀で県の絶滅危惧種であるオニバスが食害され調査をされたことがありますが、結果、アカミミガメがオニバスを摂食し、食害を及ぼしている可能性があるとの報告がなされるとともに、アメリカザリガニによる影響にもさらされているということが報告をされています。
次に、農業等への被害ですが、徳島県鳴門市では特産品であるレンコンの生育不良が深刻化し、調査の結果、アカミミガメによる食害であることが判明をしています。また、愛知県、静岡県では、稲への食害も報告をされています。
次に、人体への被害ですが、サルモネラ感染症というものがありますが、これは日本においてはカメ類を感染源とする場合が多く、抵抗力が弱い子供や高齢者が感染しているという事例が知られています。
このように、多方面にわたっての被害が報告されているところです。また、もう1つの被害例として挙げられているのが、アカミミガメが高密度に生息している池では、初夏、水面にいているカイツブリやカルガモのひながアカミミガメに襲われるケースがあるということです。堅田内湖でも、以前は県の鳥、ニオ、いわゆるカイツブリが多数生息をしていましたが、今は全く見ない状況でございます。堅田内湖でも高密度に生息をしており、夏場は多くのアカミミガメが日光浴を行っている現状があります。これがカイツブリを見ない1つの要因ではないかと考えています。
このように、アカミミガメ等によるさらなる未侵入地域への侵入とそれに伴う在来種の減少、食害等が予想され、その結果として当該生物による生態系等に係る被害が生じる恐れがあることから、令和5年6月1日に、国はアカミミガメとアメリカザリガニを条件付特定外来生物に指定をしましたが、その規制内容について具体的にお伺いをします。
次に、両種の条件付特定外来生物への指定に伴って県民に対する周知、普及啓発をどのように行っているのかお伺いをいたします。
2019年7月に環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室が作成したアカミミガメ防除の手引というものがあります。御存じかと思いますが、この手引は国内の水辺環境にあるアカミミガメの影響を抑え、生態系の保全、再生が図れるよう、地域の生態系保全や公園管理等を担当する行政官や、ため池や水路等で保全活動を行う方々が、アカミミガメの防除を実施する際に参考としていただけるような科学的知見や実施の手順等を目的として策定をされたものです。
現在、福井県では三方五湖自然再生協議会が三方五湖アカミミガメ防除実施計画を作成して、2019年4月から2020年3月までの5年間ということで、野生の個体を根絶することを目標に最終目標に取り組んでおられています。時間があまりないので、今後県がどのようにアカミミガメの駆除に向け取り組んでいくかについては、アカミミガメの生息実態を把握していく必要があると思います。令和3年9月に、定例会議で当時の中村才次郎議員が、このアカミミガメの状況を質問をされています。そのときに、琵琶湖周辺地域での調査を令和3年度で行っているということでしたので、琵琶湖周辺水域でアカミミガメを含めた外来生物の生息状況の調査実施についてどのような分析状況であったのか、お伺いをいたします。
アカミミガメは、大きくなると甲羅の長さが20センチ以上にもなり、攻撃的になることもあります。寿命は飼育下でも40年くらいとも言われています。また、雌は1回に10個、1年に複数回産卵するとされています。この夏、堅田内湖においても琵琶湖へながれる堰において約200匹ものアカミミガメの子供であるミドリガメが網に入ったとの報告を受けております。また、ある漁業関係者とお話をする機会があり、漁に出るとアカミミガメが網にかかって魚とともに上がってきている。漁業に支障を来している、処理方法はなく、そのまま琵琶湖に戻しているというようにお話を伺っております。
このように、多くの方々からアカミミガメに対しての苦情をお聞きします。捕獲の方法は、かごわな、日光浴わな、小型の定置網、手探りなどがあります。また、殺処理の方法としては、あくまでも生き物ですから苦痛を極力与えない冷凍処理が環境省の調査からも現実的な方法であるとされています。
そこで、本県として、今回の条件付特定外来生物への指定に伴って、アカミミガメ防除の取組をどのようにしていくのか。例えば県として捕獲されたアカミミガメの引取りを行うとか、また、捕獲網や冷凍庫の貸出しをした上で、地域で活動されている団体、例えば堅田内湖や近江舞子沼の再生を図っている団体などや琵琶湖で漁業を行っている方々との協働の下、一定の期間を設け、継続的にアカミミガメ防除の取組を進めてみてはと考えますが、所見を伺います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) 生態系保全につきましての4点の御質問にお答えいたします。
まず、1点目の規制内容についてでございますが、アカミミガメとアメリカザリガニが条件付特定外来生物に指定されたことにより、生きた個体を野外に放すことや輸入、販売、頒布および購入すること、販売等を行う目的で飼育、保管および運搬することが原則禁止されてございます。
なお、両種とも指定の時点で一般家庭を含め広く飼育されていたことを踏まえまして、販売等を目的としない飼育や譲渡などについては、特例として認められているという内容でございます。
続きまして、2点目の周知、普及啓発についてでございますが、県のホームページや
琵琶湖博物館での展示により、両種についての規制内容や飼育個体が野外に逃げ出すことのないよう、適切な飼育方法等を周知してございます。また、地域や関係機関等が行う水辺での保全活動や、講演会に職員が講師等として参加する際には、両種の規制内容等について説明を行っている状況でございます。
続きまして、3点目の分布状況でございますが、令和3年度の調査では、琵琶湖周辺の665区画で湖岸や河川、水路、ため池などの水辺に絞って調査いたしましたところ、約2割の127区画でアカミミガメの生息を確認いたしました。県内で広く調査を行いました平成23年度とは調査方法が異なっておりますので、単純な比較はできませんが、当時確認できなかった場所でも令和3年度には確認をされておりまして、10年間で分布区域は増加したと考えられます。
最後、4点目の防除の取組についてでございますが、アカミミガメをはじめとする侵略的外来種による生態系や農業、漁業等への影響が広がらないようにするためには、議員御指摘のとおり地域の団体や関係者の皆様と協働して取り組む必要があると考えてございます。地域団体等との協働を進める上でも、捕獲されたアカミミガメの処分が一番の課題だと認識しておりまして、まずは、捕獲個体の引取り方法を検討して、効果的な防除に努めてまいりたいと考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。先ほども言いましたように前中村才次郎議員も、このアカミミガメに関しては非常に関心を持っておられましたので、私もやはり地元でいろいろとお聞きをして、あまりにも多過ぎるなと、現状はね。低密度化をしていかないと、このままの状況で放置をしておくと、どういうのかな、本当に琵琶湖から水草がなくなり、内湖からも水草、固有種がいなくなる。こういう状況にならざるを得んというふうに思っています。ぜひね、これ、短期間でやっても難しい。1年限りの事業でしても絶対無理なので、ある程度長期間、長時間かけてやれるような事業として取り組んでいただきたい。
このことをお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、26番桑野仁議員の質問を終了いたします。
以上で発言通告のありました発言は終わりました。
この際、関連質問はありませんか。
(「なし」)
関連質問なしと認めます。
以上で質疑ならびに一般質問を終わります。
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△議第161号から議第165号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)ほか4件)(知事提出)
○議長(奥村芳正) 日程第2、議第161号から議第165号までの各議案を一括議題といたします。
これより、上程議案に対する提出者の説明を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)ただいま提出いたしました議案につきまして、御説明申し上げます。
議第161号は一般会計の補正予算でございまして、11月29日に可決成立いたしました国の経済対策に係る補正予算と歩調を合わせ、喫緊の課題である物価高騰対策をはじめ、県民の安全・安心の確保、県内投資の促進、賃上げ・人材確保対策、防災・減災、国土強靱化、デジタル改革の6つの柱から成る滋賀県版経済対策を講じ、喫緊の課題に迅速に対応することにより、県民生活および地域経済の下支えをしていこうとするものであります。
具体的には、LPガスや特別高圧電力に係る支援の延長、不登校の状態にある子供の支援、いじめ対策の強化、県内事業者の未来を見据えた意欲的な取組への支援、リスキリングの推進、防災・減災、国土強靱化に対応した公共事業の追加、教育、介護等の現場のICT環境整備などを実施するための経費を追加しようとするものでございます。
このため、一般会計の総額といたしまして228億5,323万3,000円を増額し、補正後の額を6,705億3,307万6,000円とするとともに、繰越明許費、債務負担行為および地方債の補正を行おうとするものでございます。
議第162号から議第165号までは企業会計の補正予算でございまして、特別高圧受電費用の負担軽減のため、それぞれ収益的収入の増額補正を行おうとするものでございます。
以上、何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
○議長(奥村芳正) 以上で、提出者の説明は終わりました。
これより、質疑に入ります。
議第161号から議第165号までの各議案に対し、質疑はありませんか。
(「議長、質疑」)
質疑があるようでありますので、しばらく休憩いたします。
午後3時 休憩
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午後3時58分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
議第161号から議第165号までの各議案に対する質疑を行います。
発言通告書が提出されておりますので順次これを許します。
まず、6番桐田真人議員の発言を許します。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)それでは、自由民主党滋賀県議会議員団を代表いたしまして、ただいま提案されました議第161号令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)に対する質疑を全て知事に問います。
去る11月29日に、デフレからの完全脱却のための総合経済対策を実行するための財政的な裏づけとなる国の補正予算が成立をいたしました。これを受けて、本県においても、総額約228億円となる県版の経済対策に向けた補正予算が編成されています。
そこでまず、このたびの国の補正予算が自民党、公明党の与党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決成立したことについて、知事の見解を伺います。
○議長(奥村芳正) 6番桐田真人議員の質疑に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
これまでから政府に対し、物価高騰対策や国土強靱化対策など、様々な提案や要望を行ってまいりましたが、今般の国の補正予算にそれらが盛り込まれ可決成立したことについて、大変感謝しているところでございます。
県といたしましては、速やかに国の経済対策に歩調を合わせ、補正予算案を編成させていただいたところであり、早期に県民の皆様にその効果を実感していただけるよう努めてまいりたいと存じます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)この国の補正予算は、今回、県の補正予算の裏づけとなる国の補正予算の成立の際は、立憲民主党ならびに共産党などは、明確に我々と対立軸を示されて反対をされています。本県におけるこの補正予算の審議をしっかりと見守ってまいりたいなというふうに思って、次の質問へ移ります。
国の総合経済対策は、物価高から国民を守る、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する、をはじめとする5つの柱で構成されていますが、県版経済対策は6つの柱で構成をされています。その意図するところは何であるのか、知事の見解を問います。
◎知事(三日月大造) 今回の補正予算案は、国の経済対策の事業によるものに加えまして、重点支援地方交付金を活用した独自施策も盛り込み、総額で約229億円の大型補正予算案として編成させていただいたところでございます。
編成に当たりましては、県民の皆さんに対して県としてのメッセージがより分かりやすく伝わるよう、県の課題認識に基づき、喫緊の課題である物価高騰対策をはじめ、県民の安全・安心の確保、県内投資の促進、賃上げ・人材確保対策、防災・減災、国土強靱化、そしてデジタル改革の6つの柱立てで打ち出しをさせていただいております。県民生活や事業者の活動、さらには地域経済の発展を下支えするとともに、各分野におけるDXの取組を大きく前に進める上で、いずれの柱の取組も重要であると考えており、今後、全庁を挙げて効果的な施策展開に努めてまいる所存でございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)次に、補正予算編成に当たり、現下の喫緊の県政課題の解決と将来を見据えてもたらされる成果をどのように見込まれておられるのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
まず、喫緊の課題である物価高騰対策につきましては、引き続き、電力料金等に係る国の激変緩和措置と歩調を合わせた対策を講じることにより、消費生活や経済活動への影響の軽減につながるものと認識しております。また、本県経済は、以前に比べますと緩やかに持ち直しておりますものの、業種によって改善状況に差が見られ、物価高に伴う価格転嫁の遅れや人手不足といった課題も見られるところでございます。今回、県内事業者の新事業展開等に対する支援や、企業、事業所の賃上げに向けた環境整備を後押しいたしますとともに、公共事業費を大幅に増額し、経済活動の基盤となる公共インフラの整備促進と地元企業の受注機会の拡大を図ることにより、本県経済の持続的発展にも資するものと考えております。
今回の対策をスピード感を持って講じることで、県民生活と経済活動をしっかり下支えしてまいりたいと存じます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)DXハイスクール推進事業として、ICTを活用した文理横断的な探究的な学び等を強化するための環境整備に対する支援の対象校として、15校が想定をされています。現時点において全て採択される見込みであるのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
今お取り上げいただきました事業は、文部科学省の高等学校DX加速化推進事業により、デジタル等成長分野を支える人材育成の強化に取り組む学校の環境整備に対して補助を行うものであると認識しております。今回、補正予算でお願いしているこの事業につきましては、現時点で実施要綱が定められておりませんが、滋賀県の未来を見据え、高校生の学びを充実させるために、できるだけ多くの、また、様々な学校が採択されるよう、15校分をお願いしているところでございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)また、採択がかなわなかった場合について、県は不採択となった学校に対してどのような支援をしていかれるおつもりであるのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) 採択されるよう最善を尽くしながら、採択されなかった学校については、今後、文部科学省の事業が継続されれば、再度チャレンジしていきたいと考えております。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)再問します。
今の御答弁ですと、国の制度に乗っかってということでありますけれども、県としては、そうすると、このDXのハイスクール事業に採択されなかった場合には、県としては、その事業を推進というか、そういったことはなされていかない、こういったことになるのか、そこの部分をお伺いしたいというふうに思います。
◎知事(三日月大造) 決して今お尋ねのように推進しないということではなくて、まず、せっかくこうやって国の事業があるわけですから、そこで最大限採択されるよう努めてまいります。
仮に採択されなかった場合にどういった対応をしなければならないのかということについてはその時点で考えていくことになりますが、基本は国の事業を使って、できる限りこのDXを進めていこうという、そういう考えで現在おります。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)物価高騰対策関連の事業費が各部局において計上がなされています。しかしながら、飼料関連分野は財源の振替となっており、補正計上がなされておりません。追加補正がされていない理由を踏まえた今後の見通しについて、知事に問います。
◎知事(三日月大造) 餌の配合飼料や粗飼料等の価格高騰対策につきましては、本年1月から12月分までの所要経費を令和5年度当初予算等に計上させていただきますとともに、単味──1つの味の飼料──単味飼料の対策も補正予算で追加計上しておりますことから、現時点で予算額に不足はないものと認識しております。
来年以降の対応につきましては、引き続き国の動向も注視しながら、生産者の皆さんが安心して生産できるよう、必要な対策を検討してまいりたいと存じます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)中小企業の賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業や、滋賀未来投資支援事業として、賃上げや人材確保につながる生産性の向上や、魅力ある職場環境の整備などに支援を行うとされています。このことにより本県にもたらされる1人当たりの賃上げ効果と所得向上をどの程度見込まれておられるのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
中小企業等への賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業は、計画的な方針の下、賃上げ・人材確保に向けた環境整備のため就業規則等の見直しを実施する中小企業を支援するものでございます。賃上げにつながる業務改善や、非正規雇用から正規への転換などに係る国の各種助成金等を積極的に活用することで、労働環境を改善し、ひいては人材確保につなげていただきたいと考えております。
また、滋賀県未来投資支援事業は、生産性向上や新事業展開、人材育成など中小企業等が行う未来を見据えた取組を支援することで、持続的な賃上げにつなげようとするものでございます。この事業による賃上げ効果といたしまして、県が6月末に実施いたしました民間労働組合を対象とした春季賃上げ妥結状況調査によりますと、企業規模が従業員300人未満の労働組合における賃上げ率は2.48%でございまして、支援を利用する企業の平均的な従業員規模を50人と仮定して試算いたしますと、総額で約6億2,000万円、対象1人1月当たりで約6,800円の賃上げ効果が見込まれると捉えているところでございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)本日、我が党の重田議員の質問にも関連分野が取り上げられておりましたが、福祉人材確保対策事業として、補正予算においても介護福祉士修学資金等貸付事業の原資を積み増しされています。このことにより何名程度の確保を見込まれておられるのか、本県における福祉人材を取り巻く環境を踏まえ、知事に問います。
◎知事(三日月大造) 今般の貸付事業に係る原資の積み増しによりまして、255名分の介護職員の確保を見込んでいるところです。令和4年におきまして、全国では介護分野から離職者が入職者を上回っておりまして、本県におきましても、令和3年度の介護職員数の目標2万1,600人に対しまして2万104人という状況でございまして、介護を含めた福祉人材を取り巻く状況は一段と厳しさを増しておりますことから、この貸付事業をはじめ、あらゆる手だてを講じて、介護・福祉人材の確保に取り組んでまいる所存でございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)次は、昨日我が党の田中議員の質問にも取り上げられておりましたが、介護職員職場環境改善支援事業として、介護事業所等が行う介護ロボット、ICTの導入に要する経費に対して補助をするとされています。このことにより、介護事業所等が抱える職場環境の課題の改善がどのように図られると見込まれているのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) お取り上げいただきました介護職員職場環境改善支援事業は、例えば事業者が見守りセンサーを設置し、夜間の巡回を効率化されることや、タブレット端末を導入し、介護記録の作成を行う時間を削減いたしますとともに、職員間の情報の共有を図るために実施するものです。
こうした機器の導入によりまして介護現場の負担を軽減し、職員がやりがいを持って働き続けることができる職場環境を実現いたしますとともに、ひいては利用者への質の高いケアにもつながるものと考えているところでございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)このたび補正予算の提案と同時に繰越明許費が設定をされています。その理由について、知事に問います。
◎知事(三日月大造) 今回の補正予算におきましては、防災・減災、国土強靱化に係る公共事業や、県内中小企業、小規模事業者が行う未来を見据えた投資への支援など、事業執行に相当期間を要し年度内完了が困難なものが含まれること、また、国庫支出金の交付決定の時期が年度終盤となるものがありますことから、今年度の事業執行の見通しを踏まえ、歳入歳出予算の補正と併せて、繰越明許費として提案させていただいているものでございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)本県のこれまでの予算執行の手続は、年度末を見据えて真に必要な事業であったと認識をしますが、早々に繰越明許とされることにメリットはあるのか、知事に問います。
◎知事(三日月大造) 今回、繰越明許費を合わせて計上させていただくことによりまして、今年度の約3か月と翌年度の12か月を合わせまして、実質的に15か月の事業期間を切れ目なく確保することができます。このことによりまして、例えば工事におきましては、早期の事業着手と適正工期の確保を図ることができ、事業者支援などにおきましても、事業者の皆さんに、期間の制約なく、早い段階から計画的に事業に取り組んでいただけることができると考えております。
年度後半のこの時期に講じられた国の大型経済対策と歩調を合わせた取組でありますことからも、繰越明許費について御理解を賜りますようお願い申し上げたいと存じます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、6番桐田真人議員の質疑を終了いたします。
次に、15番河井昭成議員の発言を許します。
◆15番(河井昭成議員) (登壇、拍手)通告に従い、議第161号令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)について、一問一答方式で質疑を行います。
11月29日に約13兆2,000万円の大型の補正予算が成立をいたしました。補正予算案は政府の総合経済対策の裏づけとなり、財源の大半は国債で8兆8,750億円に上ります。経済対策は1つ、物価高対策1つ、賃上げや地方の成長1つ、国内投資の促進1つ、人口減少を乗り越える社会変革1つ、防災や安全・安心、この5つの柱、これを柱として構成をされています。
デフレ脱却に向けての正念場、あらゆる政策を動員して物価高を乗り越えるための賃上げの実現に向けて努力すると、首相は予算成立に当たり述べられています。この国の補正予算を受けて、県の会計においても、本日の本会議において追加の補正予算が提案をされました。この補正予算について、以下伺います。
まず初めに、この補正予算の対応すべき社会状況の一つは、物価の高騰とされております。滋賀県における物価の状況について、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 15番河井昭成議員の質疑に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
物価の動向について、大津市における本年10月の生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比で2.5%上昇しており、特に生活に必要な食料の指数は前年同月比で9.2%と大きく上昇しております。
一方、国が実施する直近の毎月勤労統計調査によりますと、物価変動を加味した全国の実質賃金は前年同月比でマイナスとなっており、物価高騰に賃金上昇が追いついておらず家計を圧迫するなど、県民生活に広く影響を及ぼしているものと認識しております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)今回の補正予算は総額で228億5,000万円と計上されています。その内訳は、物価高騰対策5.5億円、県民の安全・安心の確保0.9億円、県内投資の促進21.3億円、賃上げ・人材確保対策2.4億円、防災・減災、国土強靱化対策193.1億円、デジタル改革5.2億円となっています。
冒頭の政府の補正予算に示された考え方や社会課題への問題意識を踏まえるならば、賃上げ・人材確保対策の分野の予算は大変重要であり、実効性を担保するのはもちろんですが、予算の振り分けも大きくあるべきではないかと考えます。今回の国の補正予算を受けた滋賀県の補正予算の構成について、知事の考えを伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
今回の補正予算の編成に当たりましては、国の経済対策のメニューや有利な財源を積極的に活用しながら、経済対策としての効果の早期発現と、本県の課題への対応の両面から、必要な事業を検討したところでございます。とりわけ議員御指摘の賃上げ・人材確保対策、また、そのための環境整備にもつながる県内投資の促進につきましては、それぞれを取組の柱として位置づけ、今回の重点支援地方交付金の総額約22億円の7割以上に相当いたします約16億円を充当することとしたところでございます。
今回の県の支援策を幅広い分野、業種の事業者の皆さんに積極的に御活用いただき、県内において企業の成長と賃上げの好循環が生み出されるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)次に、防災・減災、国土強靱化対策の予算193.1億円のうち、152.8億円が公共事業の予算となっています。近年この時期に補正予算で大幅に増額されるという状況にあります。公共事業の当初予算は約430億円でしたので、当初予算の35%余りの補正予算が措置されることになります。仕事量もそれに応じて増加をいたします。
土木交通部の人員体制、業務量などを踏まえて、今年度の補正前の予算の執行状況について、土木交通部長に確認をいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
土木交通部の人員体制につきましては、これまで国土強靱化対策による追加的な予算措置に伴う業務量の増大に対応するため、技術職員を増員し、また、任期付職員も採用するなど、執行体制の強化を図ってきたところでございます。
土木交通部の公共事業予算の今年度の執行状況でございますが、11月末時点での発注予定額に対する契約済額の割合は約8割でございまして、おおむね当初の計画どおりに進捗をしているところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)ここまでは予定どおりに進捗ということですけども、補正予算を措置する以上は適切に執行される必要があります。大きな補正予算が加わるタイミングとなりますので、改めて確認をしたいと思いますが、土木交通費の適切な執行、着実な事業の実施に向けた今後の対応について、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
補正予算の執行に当たりましては、大規模な構造物の積算業務などのアウトソーシングを行いますとともに、発注手続の簡素化を図り、早期の契約に努めてまいります。また、今定例会議におきまして、繰越明許費や債務負担行為の設定を含む補正予算案を提案しております。これによりまして、受注業者が技術者や資機材の確保状況に応じて、会計年度にとらわれず柔軟に工期を設定することで、工事の品質を確保しつつ、安全かつ着実な施工を図ってまいります。
さらに、発注後の監督業務におきまして、その一部をアウトソーシングしたり、リモートでの現場立会、工事書類の簡素化を推進するなど、発注者、受注者双方の一層の効率化を図ってまいります。また、業務が集中し事務が滞る事態となった場合には、係、課、所属間での応援体制を構築いたしまして、土木交通部が一体となって円滑な事業執行に努めてまいりたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)続きまして、中小企業等の賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業について伺います。
中小企業などが、人材を確保し経営力の強化を図るために賃上げ、リスキリングなどの能力向上、ワーク・ライフ・バランス推進など、労働者にとって魅力ある職場環境の整備を進めていくことが必要として、計画的な方針の下、賃上げ・人材確保に向けた環境整備のために就業規則などの見直しをする事業者を対象にした事業が予定をされています。
1億1,066万8,000円の予算が計上されている中小企業等の賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業の利用見込みなどを含めて、積算の根拠を
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
中小企業庁が公表しております平成28年県内中小企業小規模事業者数は約3万4,600社でございます。令和5年度第2四半期の滋賀県景況調査で、業務改善ができずに賃上げをしていないと答えた割合が約1割、また、令和4年に実施いたしました働き方改革に関しますアンケート調査で、中小企業で公的支援等に関心がある割合は約3割でございました。
これを踏まえまして、これを勘案して、1,100件を対象として積算したところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)冒頭から触れていますけども、賃上げがしっかりとできることが物価高騰対策にもなるということを考えると、この取組、非常に大事だと考えています。
中小企業の数だったりとか公的な支援に関心がある数を根拠にこの予算を設定していただいていますが、こちらも魅力的な制度になっているのかということが非常に大事かなと思っています。準備した予算をしっかりと使ってもらって、目的とする事業が達成されることが、目的とする効果が発現することが大事ですので、こちら、どのような見込みで行われているのか。この企業の利用の状況もこの予算でちょうど満たせると、しっかりと効果が発現できると考えての積算なのか、
商工観光労働部長に改めての確認とさせていただきます。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
この事業につきましては、滋賀県社会保険労務士会と連携をいたしまして、各社労士へ情報提供をいたしますとともに、働き方改革推進支援センターでありますとか、あるいは商工会議所、商工会、そしてまた、中小企業団体と中小企業団体中央会等からも、労働環境改善支援のツールとして、中小企業に御活用を促していただくよう周知をしてまいりたいというふうに考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)次に、地域経済を支える中小企業において構造的な賃上げを実現できるよう、賃上げの原資となる付加価値額を増加させるため、生産性向上や新事業展開の取組を後押ししていくことが必要とし、滋賀県未来投資支援事業15億3,000万円が計上されています。滋賀県未来投資支援事業の賃上げの期待する効果について、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本事業では、事業者が行います生産性向上や新事業展開、人材育成等の取組を促すことによりまして、付加価値額の増加を図ることで賃上げの原資を確保し、持続的な賃上げにつながっていくことを期待するものでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)物価上昇の局面においていうと、賃金を物価上昇に合わせて引き上げるということをしないと実質的な賃金が下がるというのは、以前、私、一般質問で取り上げさせてもらったと思うんですけども、そういうことになります。この話でいうと、生産性が向上しないと賃上げができないかという議論が出てこないかなと。
こちらはこちらで大事なんです。生産性が向上した分は賃上げの、生産性の向上分、賃上げが起こるというのは正しいんですけども、物価上昇局面においての対策としては、もう1段階これ、必要なんじゃないかな。本当の支援、ここで必要な支援の1つは、例えば価格にしっかりと転嫁して、人件費分をちゃんと計上して、製品にこれを転嫁して売ることができるという環境を整えたりすることだと思うんですけども、ここにしっかりとメッセージを出す必要があると思うんですね。これ、このままでいくと生産性向上をすることで賃上げの原資を確保ということになるんですけど、物価上昇局面では、価格転嫁をすることで確保するという手段もちゃんとあるわけです。
ここに誤ったメッセージが伝わらないように取組を進めることが大事だと思うんですが、
商工観光労働部長の見解をお伺いします。
◎
商工観光労働部長(林毅) この事業は事業者が行います生産性向上や新事業展開、人材育成等の取組を促すことにより、付加価値額の増加を図ることで賃上げの原資の確保につながるものとして先ほども申し上げたとおりでございます。
賃上げの実現は、今もお話ございましたように、本事業のみによって達成できるものではないことではございますが、今おっしゃいました価格転嫁に向けました取組の促進ですとか、業務改善に向けた環境整備の支援などを国とも連携しながら総合的な対策を講じることで、持続的な賃上げにつなげてまいりたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)ただいまも申し上げましたが、滋賀県未来投資支援事業では、賃上げの原資となる付加価値を向上させる、生産性の向上や新事業展開の取組を後押しすることが重要とされています。生産性向上が起こった際には、賃上げなどで労働者にも分配することになります。
一方で、物価上昇しているにもかかわらず賃金が上がらないと、賃金の実質的な価値は下がることになります。現在の物価上昇の局面においては、物価上昇に見合った人件費を価格に反映する必要があるということです。これはエネルギーコストや原材料費が上がった分は価格に反映させるというのと同様です。物価上昇に対応した賃上げの必要があると考えますが、現状は十分ではありません。
物価上昇局面に合わせた賃上げが行われることも、構造的な賃上げができる環境づくりの要素と言えますが、ここへの対応について知事の見解をお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
目下の物価高騰に対しましては、物価の上昇を上回る賃金上昇を実現していくことが必要でありまして、まずはコスト上昇分を適切に価格へ転嫁することで、賃上げの原資を確保していくことが重要だと認識しております。円滑な価格転嫁を促すため、県では国の総合的な対策と併せまして、適正な取引関係の下での価格交渉や取引価格への適切な反映など、サプライチェーン全体の共存共栄につながる取組の拡大を、経済団体へ要請しているところであります。
今後も引き続き価格転嫁に向けた取組を促進いたしますとともに、今回の事業等により生産性向上に向けた取組を支援いたしますほか、多様な資金繰り支援や県内消費の喚起などを進めることで、事業者が価格転嫁しやすい環境づくりも推進してまいりたいと存じます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)介護職員等処遇改善事業について、令和6年2月から5月の収入を2%引き上げるための措置に必要な経費を支援する事務を円滑に実施するための補助金を交付する事業を委託するとあります。少々ややこしいですけども、この介護職員等処遇改善事業の対象について、
健康医療福祉部長に見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
本事業の対象職種でございますけれども、正規、非正規に関わらず、介護職員だけではなくて、令和4年度に実施しましたときと同様に、事業所の判断によりまして、介護支援専門員であったり、あるいは事務職員など他の職種の処遇にも充てることができるとされているところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)労働力の不足が常態化している介護職員の処遇改善は大変重要です。一方で、パートタイムの労働者などで、いわゆる年収の壁の問題が話題となっています。処遇改善が行われると、収入を一定額以内に抑えようとする労働時間の調整が早く起こってしまって、現場で働く時間が短くなることが想定をされます。
人手が不足している現場に追い打ちをかけないようにする必要があります。介護職員等処遇改善事業の想定される課題について、知事の見解をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 御指摘のとおり、年収の壁により労働時間が調整され、結果として人材確保につながらないという懸念はございますが、こうした点は国において議論の上、制度設計していただくものと考えております。
一方で、介護職員の賃金は他分野に比べ依然として低い状況にありますことから、引き続き国に対しさらなる処遇改善を強く働きかけるとともに、この事業につきましては、御指摘の課題もございますが、介護職員の賃金改善につながることから、まずは着実に実施させていただきたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)福祉分野の事業者、医療機関などの食料品価格の高騰への対応について、事業、サービスごとにそれぞれ予算計上されています。当初予算の物価の状況から、大幅に上昇したことに対応するものと理解をいたします。食料品価格高騰への対応する事業の積算について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
まず、医療機関につきましては、国から示されました1食当たりの高騰影響額20円に基づきまして、1床当たり1万2,800円としまして、4月から1年間分を入院施設を持つ医療機関に対し支給するものでございます。また、介護サービス事業者や保育所等の社会福祉施設等につきましては、5月補正予算におきまして、消費者物価指数の上昇分であります6.8%の年間分を計上したところでございます。
今回の補正におきましては、5月補正時からさらに上昇した分を見込んでおりまして、上半期分は2.6%、下半期分は6.2%それぞれ上乗せして計上したものでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。
花粉症対策として行われる県営採種園の増設などを行い、少花粉種子の生産および苗木の流通を促進するとされています。花粉症対策の事業の詳細について、
琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
当事業は、杉林を花粉の少ない苗木へ転換することにより、花粉症対策に資することを目的としておりまして、県内、米原市と甲賀市にあります2か所の林業苗圃におきまして、種子を採取するための採種園を整備するものでございます。整備する採種園は、露地型の杉ミニチュア採種園を6面とビニールハウス型の採種園2棟でございまして、花粉の少ない種子の生産に努めてまいります。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)苗木の生産の施設ということですのであれなんですけども、少花粉杉というふうな予定をされていますが、世間には無花粉杉というのが流通しているみたいでして、そちらのほうが何か性能がいいのではないかみたいなことを考えたりしますが、この点、なぜ少花粉杉を選定されているのか、見解を
琵琶湖環境部長にお伺いいたします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
少花粉杉と言われるものにつきましても、一般の杉と比べまして花粉の発生量というのは1%未満のものでございます。無花粉杉とされるものにつきましては、ちょっとまだ、そもそも生産量が少なく技術的にも不安定で価格が高いというのもございます。そうしたことから、本県ではまず、価格のバランス等を考慮いたしまして少花粉杉を選んでいるというところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)より技術力の高いほうに挑戦してほしいなという思いを持ちながら、次の質問に移ります。
県立学校ICT環境整備事業について、GIGAスクール構想によって、県立高等学校も1人1台端末を使った教育が実施できるように、学校内の通信環境の整備を行ってきています。県立学校においては、来年度全ての学年において1人1台端末の体制が整うという状況にあり、これまでに3年をかけて段階的に進められていますが、学校施設側の通信環境の整備は、全学年で1人1台端末を活用した教育を行う前提で、一括で行われたと認識をしています。
県立学校における詳細なネットワーク環境の調査の目的や必要な理由について教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
県立学校の学習用ネットワークの通信量につきましては、当初想定の範囲内ではございますものの、複数の高校から、場所や時間によっては通信が遅くなるとの声も聞いているところでございます。そのため、今回お願いをしております補正予算におきましては、先行して1人1台端末の導入を始めた2つの高校について、アクセスポイントごとの詳細な通信状況を調査し、実態を把握しようとするものでございます。
調査結果を基に分析を行いまして、必要に応じて通信機器の設定変更などの環境改善を図り、生徒がより簡易的な通信環境でICTを活用した学習が行えるよう努めてまいる所存でございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)通信量とか通信の速度というのは、この施設整備を行ったときに仕様で示されているはずです。それは全学年がそろった段階をちゃんと想定して仕様が決定されているはずです。そこが今、実現できていないということなんでしょうか。これ、教育長に確認をさせていただきます。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げましたが、当初想定の範囲内ではございますが、場所や時間によって通信環境が遅くなる、そこはどういったことが要因となっているのか、今回の調査でその要因を分析をし、なおかつ、効果的なアクセスポイントでありますとか機器の設定を特定することで、よりICTの環境をよくしたいと考えているところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)通信環境を整える段階で通信量の想定はきちっとされていると思いますし、場所も通常使用される、想定される場所ではきちっと通信速度や通信量が出るという状況になっていなければおかしいはずなので、ここはしっかり調査をしていただいて対応を考えていただけたらと思いますが、本来であれば、これは完成検査で確認がされていて、当初予定どおりの範囲だったらば、きちっと使われていることが前提だと考えます。この後の対応は、ぜひしっかりと丁寧に考えていただきたいと思います。
次に移ります。
不登校の状態にある子供の支援、いじめ対策の強化について伺います。国のCOCOLOプランを受けて、滋賀県子ども政策推進本部第5回本部員会議で、しがの学びと居場所の保障プラン(原案)を作成し公表されました。会議の中で、知事は、2月補正や令和6年度当初予算でと言わず、子供関係の予算はできる限り早く、できることは今議会での補正予算での対応をするようにという趣旨の発言をされたと仄聞します。
我が会派の代表質問では、安心して学び育つことのできる学校づくりを後押ししますとともに、特に居場所や学びにつながっていない1,097人の小中学生が支援につながるよう取り組んでいきたいと答弁をいただいています。今回の補正予算は、居場所や学びにつながっていない小中学生の支援にも対応する予算という理解でよいでしょうか、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) 国の補正予算を受けまして、滋賀県として不登校の状態などにある子供たちの育ちと学びへの支援の取組を具体化していきたいと考えておりまして、今回の補正予算におきましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充についてお願いをしております。
文部科学省の不登校・いじめ緊急対策パッケージを踏まえた校内外、学校の内外の教育支援センターの充実等、その他の事業につきましては、国における対応状況を踏まえ、適切な時期に予算をお願いしていきたいと考えております。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)不登校の状態にある子供の支援、いじめ対策の強化のため、補正予算は263万4,000円ですが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの充実に期待する効果について、これは教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今回の国の補正予算を有効に活用させていただき、来年3月までのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの体制の充実を図りまして、不安や悩みを抱える子供や保護者に寄り添う対応ができるものと考えているところでございます。
今回の補正予算では、現在、本県でお願いをしておりますスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの皆様の持ち時間数に時間を追加して対応する予定でございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)263万4,000円ということなんですが、もともとの予算は非常に大きい額で、その後、もともとの予算に比べると、この追加される額というのが小さい額だなと思っているんですが、そういう意味でもこの効果というのが十分に期待できるのかという意味で質問をさせていただいています。教育長の見解を改めて伺います。
◎教育長(福永忠克) スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、いずれにつきましても当初予算でお願いしている額がございまして、それは12か月の対応として予算を見させていただいております。
当然1月、2月、3月にも、当初予算分でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーをお願いしますが、今回はそれをより拡充するために追加でお願いをしているものでございますので、なおかつ、今やっていただいている方の時間数を増やすことの対応ということになりますので、その辺を見極めて今回お願いをしているところでございます。
◆15番(河井昭成議員) (登壇)終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、15番河井昭成議員の質疑を終了いたします。
最後に、45番節木三千代議員の発言を許します。
◆45番(節木三千代議員) (登壇、拍手)私は、日本共産党滋賀県議会議員団を代表いたしまして、提案されました議第161号令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)について、一問一答で知事ならびに教育長にお聞きをいたします。
今回の県の補正予算は、国の補正予算の成立に伴うものです。一言、国の補正予算について述べておきたいと思います。
物価高騰にあえぐ暮らしの実情に、成立いたしました国の補正予算は全く向き合っていません。政府の経済対策の目玉とする減税、給付については1回限り。後には大増税が待ち受けていることを国民は見透かしています。敵基地攻撃能力とする長距離射程ミサイルなども今回の補正予算の中に盛り込んでいることを指摘をし、日本共産党は反対をいたしました。
それでは、まず1問目、物価高騰が続く中で、県民の暮らしや中小零細業者の実態について、知事の認識を問います。
○議長(奥村芳正) 45番節木三千代議員の質疑に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
物価の動向につきまして、大津市における本年10月の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同月比で2.5%上昇しており、特に生活に不可欠な食料の指数は前年同月比で9.2%と大きく上昇しております。
一方、国が実施いたします直近の毎月勤労統計調査によりますと、物価変動を加味した全国の実質賃金は前年同月比でマイナスとなっており、賃金上昇が物価高騰に追いつかず、家計を圧迫している状況です。中小企業への影響につきましては、県が実施する直近の景況調査の速報値では、エネルギー、原材料価格の上昇について、「悪影響がある」「少し悪影響がある」と回答された企業の割合は全体の約92%でありまして、幅広い事業者に影響が及んでいるものと認識しております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)大変厳しい状況が続いているというふうに認識をいたしました。
次に、議第161号令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)についての考え方について知事にお聞きします。
◎知事(三日月大造) 今回の補正予算は、11月29日に可決成立した国の経済対策に係る補正予算と歩調を合わせまして、喫緊の物価高騰対策をはじめ、県民の安全・安心の確保、県内投資の促進、賃上げ・人材確保対策、防災・減災、国土強靱化、そして、デジタル改革の6つの柱から成ります滋賀県版の経済対策として、総額約229億円の補正予算案を取りまとめたものでございます。
予算案におきましては、重点支援地方交付金も有効に活用しながら、県民生活や地域経済を下支えし、将来の本県経済の持続的発展にも資する施策を盛り込んだところであり、効果の早期発現に向けて、全庁を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)再問したいと思います。
総額で228億円余りということですが、今回の補正予算で地方創生臨時交付金の総額は幾らになっているでしょうか、知事に伺います。
○議長(奥村芳正) このまましばらく休憩いたします。議員はそのままでお待ちください。
午後4時54分 休憩
────────────────
午後4時54分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
◎知事(三日月大造) 大変失礼いたしました。重点支援地方交付金の額、この補正予算における重点支援地方交付金の額は約22億円でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)それでは、まず、物価高騰対策について、知事に概要をお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
エネルギーや食料品等の物価高騰が全国的に進む中、県におきましては、昨年度来、影響を受ける生活者や事業者に対し、必要な支援策を順次講じてきたところでございます。今回の補正予算におきましては、物価高騰対策として約5億6,000万円を計上しているところであり、LPガスや特別高圧電力に係る支援措置を延長いたしますほか、社会福祉施設や医療機関における食料品の提供、子ども食堂等における体験機会の確保、認定農業者等の資材、農薬の購入等に対し、必要な支援を追加、そして、拡充することとしているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)冒頭述べられました県民の暮らしの厳しさの点では、5億5,000万円余りが充当されるというお答えでしたけれども、一般財源を使ってでもここの拡充が必要ではないのか、この暮らしの実態と比べて不十分ではないかと思うんですが、知事の認識を伺います。
◎知事(三日月大造) 今回の補正予算では、県民の皆様の御意見等も伺いながら、物価高騰として、減額分を除きますと約15億8,000万円を追加いたしましたほか、重点支援地方交付金を活用した既決予算を合わせますと約71億円の対策を講じておりまして、必要な予算は計上できているのではないかと考えているところです。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)円安によるさらなる物価高騰が、この下半期、続いていると思います。
続きまして、物価高騰に係る食料費の支援について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
医療機関につきましては、病院や有床診療所に対して、病床数に応じて支給するものでございます。また、社会福祉施設等につきましては、食料費高騰分を利用人数に応じて支給するものとなっております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)先ほどの質疑と重なりますけれども、再度、物価動向を踏まえた増額について再問したいと思います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
医療機関につきましては、国から示された1食当たりの高騰影響額、これは20円となっておりますが、これに基づきまして、1床当たり1万2,800円といたしまして、4月からの1年間分を、入院施設を持つ医療機関に対し支給するものでございます。
もう1つの社会福祉施設等につきましては、5月補正予算におきまして、消費者物価指数の上昇分であります6.8%の年間分を計上したところであり、今回の補正は5月補正時からさらに上昇した分を見込んでいるところでございまして、上半期分は2.6%、下半期分は6.2%、それぞれ上乗せして計上させていただいているものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)上乗せした分が、今のかなり物価上昇に見合うような上乗せになっているのか、ちょっとその認識を確認したいんですが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 医療機関ならびに社会福祉施設等におけるこの上乗せ部分、特に後段の社会福祉施設等の上乗せ部分についてお尋ねいただいていると思うんですけれども、一定さらなる上昇分を措置できているのではないかと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)この食料費の支援の中で、今回学校の施設、私立幼稚園、特別支援学校の給食費の高騰分は既決予算でいくというふうになっていますが、いずれにしても円安で食料費が上がっていますけれども、ここはなぜ増額されなかったのか、お聞きしたいと思います。
○議長(奥村芳正) 知事にですね。
◆45番(節木三千代議員) 知事に再問します。
◎知事(三日月大造) 今お尋ねの今回補正に措置されていないものにつきましては既決予算で対応させていただくことにしておりまして、そこに上乗せや、また、さらなる拡充というものが、現時点において予算の補正をさせていただいてまで必要ないと見込んでいるところでございますが、なお今後の状況、今もお尋ねいただいているように、物価の状況は為替も含めて変化してきておりますので、今後必要な対応等につきましては、また検討してまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)ぜひ検討していただきたいと思います。
続きまして、教育長に伺いたいと思います。
市町のスクールソーシャルワーカーの配置が、議会で質問をいたしまして、県全体で30校、掛け持ちされているので実際は22人と、それではとても足りないということで、各市町で独自につけておられることを挙げ、増員を求めてきました。今回の補正で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置促進がされますが、その内容について教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
今回の国の補正予算を活用し、今回補正予算ということでございますので、来年の3月までスクールカウンセラー、また、スクールソーシャルワーカーの持ち時間数を追加することによりまして、不安や悩みを抱える子供や保護者への相談体制の拡充を図ろうというものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)持ち時間数は何時間増やされるのか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
スクールカウンセラーにつきましては244時間、スクールソーシャルワーカーについては344時間の追加を計上させていただいています。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)時間数が増やされることは評価をするものです。ただ、人が足りないということで、市町では、県でスクールソーシャルワーカーの配置をされているその人が、時間を延ばした分は市単でまた働いていただいているという状況もあると思うんです。しっかりと市町の状況を見て、今の時間数よりも全体が、この時間数がしっかりと配置されるように市町の状況を見ていただきたいと思うんですが、その点について確認させてください。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今回の補正予算の計上に当たりましては、各市町の状況等も聞きながら計上をさせておりますので、今後とも引き続き、市町の状況もしっかり把握して、予算措置なり執行に努めてまいります。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)次に、滋賀県未来投資支援事業について、知事にお聞きします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
この事業では、生産性向上や新事業展開、人材育成など県内中小企業等が行う未来を見据えた取組を後押しするため、これらの取組に係る経費の一部を補助するものでございます。補助対象とする取組例といたしましては、DXによる業務の効率化や省人化、新商品や新サービスの開発、新事業展開のための従業員のリスキリング等の取組を想定しております。また、一定の賃上げを実施いただいた場合には、補助率もしくは補助上限額の引上げを行うこととしております。
これらの取組によりまして、賃上げの原資となる付加価値額を増加させることで、地域経済を支える中小企業における構造的な賃上げを実現し、ひいては本県経済の持続的な成長につなげてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)冒頭述べられました中小零細業者の皆さんの厳しい状況から見れば、この生産性向上、また、新事業の展開というところでの条件で、今回直接支援をされるということだと思うんですが、燃料や資材高騰で苦しむ中小零細業者の方の支援には、これはならないということだと思うんですが、どうですか、知事、お伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 長引く物価高騰等の影響は、先ほど冒頭お示ししたように幅広い事業者に及んでおりまして、依然として厳しい状況にあると認識しております。一方で、その先の状況を見通しながらDXの進展、また、未来志向の経営革新をされるところ、そして起業──業を起こす起業の活性化など、社会的課題をチャンスと捉えた前向きな動きも見られるところでございます。
このため、まずは厳しい状況にある事業者に対して、多様な資金繰り支援等により事業活動を下支えいたしますとともに、新たな事業展開等に取り組もうとされる事業者のニーズにも応え、生産性向上など未来を見据えた投資を促進してまいりたいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)地域経済の下支えをするということが補正予算の中で掲げられていますので、そこの部分は、やはり燃料や資材高騰で苦しむ中小零細業者への支援にはなかなかこの事業は当たらないのかなというふうに思います。
次に、中小企業等への賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業の概要について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) この事業は計画的な方針の下、賃上げ・人材確保に向けた環境整備のため就業規則等の見直しを実施する中小企業を支援するものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今回の補正予算で、どのように賃金が上がるかということが大きなポイントだと思いますが、この30年間で、先進国の中で唯一日本は賃金が上がらない国となっています。直近の10年間でも実質の賃金は年間24万円も減るなど、こういう中で、最低賃金が全国平均で時給1,004円、滋賀県では967円という中で、中小企業の賃上げのここに対する直接の支援を、国の事業になりますが、強化して1,500円に引き上げることが求められていると思いますが、今述べられました事業で賃上げ、また、人材の確保はどう実現できるのか知事に伺います。
◎知事(三日月大造) このお取り上げいただいております中小企業等への賃上げ・人材確保に向けた環境整備応援事業では、就業規則等の見直しにより賃上げにつながる業務改善や非正規雇用から正規への転換などに係る国の各種助成金等を積極的に活用することで、労働環境を改善し、ひいては人材確保につなげていただくものでございます。
また、滋賀県未来投資支援事業では、事業者が行う生産性向上や新事業展開、人材育成等の取組を促すことにより、付加価値額の増加を図ることで、賃上げの原資を確保し持続的な賃上げにつながっていくことを期待するものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)実際に賃上げがどのぐらい効果があるかということについて、知事に再問したいんですが、答えていただけるでしょうか。
◎知事(三日月大造) 県が6月末に実施いたしました民間労働組合を対象とした春季賃上げ妥結状況調査によりますと、企業規模が従業員300人未満の労働組合における賃上げ率が2.48%になっております。支援を利用する企業の平均的な従業員規模を50人と仮定して試算いたしますと、総額で約6億2,000万円、対象1人1月当たりでは約6,800円の賃上げ効果が見込まれると捉えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)最後の質問に移ります。
介護職員等処遇改善事業について、その事業の概要について知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 介護職員等処遇改善事業は、介護職員を対象に、令和6年2月から5月までの収入を2%、月額6,000円程度引き上げることができる額を介護事業所に交付するものでございます。
なお、この補正予算案は事業を円滑に実施するための事務経費を計上させていただくものであり、事業所への補助金は、令和6年度当初予算に計上する予定でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)国の施策ですが、この6,000円というのは1桁足りないと思うんです。この賃上げで人手不足がどのぐらい解消できるのか、知事の認識を問いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 先ほども述べましたように、まだまだ介護ニーズ、介護需要に比して、実際に働く方々の数が少ないという状況がございます。その一因にこういった処遇の問題がございますので、引き続きこの処遇を引き上げていく必要がある。したがって、我々もそのことを国に対して求めているところでございます。
今般、国においても介護報酬の見直しの議論が進められていると思いますので、こういった問題認識を踏まえた改定が行われることを期待しているところでございますので、そういったことを見通しながら、今後も県の対応を考えていきたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、45番節木三千代議員の質疑を終了いたします。
以上で発言通告のありました発言は終わりました。
以上で、質疑を終わります。
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△議第132号から議第165号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)ほか33件)ならびに請願(各常任委員会付託)
○議長(奥村芳正) 議第132号から議第165号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
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令和5年11月定例会議議案付託表
令和5年12月12日(火)
〇総務・企画・公室常任委員会
議第132号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳入の部 全 部
歳出の部 款1 議会費
款2 総合企画費
款3 総務費
第2条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 476 滋賀県立県民交流センター管理運営委託
2 変更 13 ミシガン州立大学連合日本センター施設長寿命化事業(エレベーター改修工事)
議第134号 令和5年度滋賀県用品調達事業特別会計補正予算(第1号)
議第135号 令和5年度滋賀県モーターボート競走事業会計補正予算(第1号)
議第141号 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案
議第142号 滋賀県職員等の給与等に関する条例等の一部を改正する条例案
議第148号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立県民交流センター)
議第157号 公立大学法人滋賀県立大学定款の変更につき議決を求めることについて
議第158号 令和6年度において発売する当せん金付証票の発売総額につき議決を求めることについて
議第159号 関西広域連合規約の変更につき議決を求めることについて
議第161号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳入の部 全 部
歳出の部 款2 総合企画費
款3 総務費
第2条 繰越明許費の補正のうち
款2 総合企画費
第4条 地方債の補正
〇土木交通・警察・企業常任委員会
議第132号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款9 土木交通費
款10 警察費
款12 災害復旧費
第2条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 487 大津港公共港湾施設(マリーナ施設を除く。)管理運営委託
488 滋賀県営都市公園(湖岸緑地生川木戸川地区、和邇真野地区、堅田雄琴地区および北大津地区、春日山公園ならびに尾花川公園に限る。)管理運営委託
489 湖東合同庁舎電話交換機保守業務
490 交通安全施設保守管理業務
2 変更 85 地方合同庁舎改修事業(高島合同庁舎受変電設備改修工事)
434 地方合同庁舎改修事業(木之本合同庁舎空調設備改修工事)
議第138号 令和5年度滋賀県工業用水道事業会計補正予算(第2号)
議第139号 令和5年度滋賀県水道用水供給事業会計補正予算(第2号)
議第143号 滋賀県風致地区内における建築等の規制に関する条例の一部を改正する条例案
議第144号 滋賀県企業職員の給与の種類および基準に関する条例の一部を改正する条例案
議第147号 損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて
議第153号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(大津港公共港湾施設(マリーナ施設を除く。))
議第154号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(大津港公共港湾施設(マリーナ施設に限る。))
議第155号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県営都市公園(湖岸緑地生川木戸川地区、和邇真野地区、堅田雄琴地区および北大津地区、春日山公園ならびに尾花川公園に限る。))
議第161号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款9 土木交通費
第2条 繰越明許費の補正のうち
款9 土木交通費
第3条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 493 補助道路整備事業(大津インター線)
494 補助道路修繕事業(国道367号)
495 補助道路修繕事業(欲賀守山甲線)
496 補助道路修繕事業(柳川能登川線)
497 補助道路修繕事業(佐生今線)
498 補助道路修繕事業(香花寺曽根線)
499 補助道路修繕事業(湖北長浜線)
500 補助道路修繕事業(綾戸東川線)
501 補助道路修繕事業(高島大津線)
502 補助道路修繕事業(近江八幡大津線)
503 雪寒機械整備
504 補助通常砂防事業(際川支流3)
505 補助通常砂防事業(東南寺川支流1)
506 補助通常砂防事業(中ノ池川支流2)
507 補助通常砂防事業(信楽川支流1)
508 補助通常砂防事業(信楽川支流2)
509 補助通常砂防事業(荒川西流支流1)
510 補助通常砂防事業(荒川西流支流2)
511 補助通常砂防事業(大川支流)
512 補助通常砂防事業(鳴谷川)
513 補助通常砂防事業(犬上川支流1)
514 補助通常砂防事業(犬上川支流2)
515 補助通常砂防事業(新谷)
516 補助通常砂防事業(横波川支流)
517 補助通常砂防事業(開田川)
518 補助通常砂防事業(水戸坂川)
519 単独都市公園事業(金亀公園)
2 変更 91 補助道路整備事業(国道303号)
147 補助道路整備事業(麻生古屋梅ノ木線)
149 補助道路修繕事業(国道303号)
152 補助道路修繕事業(国道365号)
153 補助道路修繕事業(国道421号)
156 補助道路修繕事業(大津能登川長浜線)
162 補助道路修繕事業(大津守山近江八幡線)
165 補助道路修繕事業(山東本巣線)
242 補助広域河川改修事業(姉川・高時川)
256 補助河川総合流域防災事業(水害リスク情報整備推進業務)
議第164号 令和5年度滋賀県工業用水道事業会計補正予算(第3号)
議第165号 令和5年度滋賀県水道用水供給事業会計補正予算(第3号)
〇環境・農水常任委員会
議第132号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款5 琵琶湖環境費
款8 農政水産業費
款12 災害復旧費
第2条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 480 滋賀県立近江富士花緑公園管理運営委託
481
琵琶湖博物館広報業務
482
琵琶湖博物館デジタル情報整理業務
483
琵琶湖博物館常設展示運営業務
2 変更 35 琵琶湖環境科学研究センター長寿命化等推進事業(空調設備更新工事)
36
琵琶湖博物館施設維持管理業務
議第136号 令和5年度滋賀県琵琶湖流域下水道事業会計補正予算(第3号)
議第150号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立近江富士花緑公園)
議第161号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款5 琵琶湖環境費
款8 農政水産業費
第2条 繰越明許費の補正のうち
款5 琵琶湖環境費
款8 農政水産業費
第3条 債務負担行為の補正のうち
2 変更 45 補助治山事業
79 県営みずすまし事業
83 県営農地防災事業
議第162号 令和5年度滋賀県琵琶湖流域下水道事業会計補正予算(第4号)
〇厚生・産業常任委員会
議第132号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款6 健康医療福祉費
款7 商工観光労働費
第2条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 484 滋賀県立信楽学園管理運営委託
485 滋賀県立むれやま荘管理運営委託
486 ベトナム人材交流推進業務
議第133号 令和5年度滋賀県国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)
議第137号 令和5年度滋賀県病院事業会計補正予算(第2号)
議第140号 滋賀県手話をはじめとする障害の特性に応じた言語その他の手段による意思疎通等の促進に関する条例案
議第145号 滋賀県病院事業に従事する企業職員の給与の種類および基準に関する条例の一部を改正する条例案
議第151号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立信楽学園)
議第152号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立むれやま荘)
議第161号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款6 健康医療福祉費
款7 商工観光労働費
第2条 繰越明許費の補正のうち
款6 健康医療福祉費
款7 商工観光労働費
第3条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 492 介護職員処遇改善計画書審査等業務
議第163号 令和5年度滋賀県病院事業会計補正予算(第3号)
〇教育・文化スポーツ常任委員会
議第132号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款4 文化スポーツ費
款11 教育費
第2条 債務負担行為の補正のうち
1 追加 477 滋賀県立スポーツ会館管理運営委託
478 美術館施設維持管理業務
479 美術館展覧会開催業務
491 滋賀県立長浜ドーム(宿泊研修館に限る。)管理運営委託
2 変更 412 学習船「うみのこ」送迎バス賃借
414 学習船「うみのこ」各種保険
417 特別支援学校スクールバス運行管理業務
議第146号 滋賀県公立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案
議第149号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立スポーツ会館)
議第156号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立長浜ドーム(宿泊研修館に限る。))
議第160号 第4期滋賀県教育振興基本計画の策定につき議決を求めることについて
議第161号 令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第6号)
第1条 歳入歳出予算の補正のうち
歳出の部 款11 教育費
第2条 繰越明許費の補正のうち
款11 教育費
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請 願 文 書 表
△請願第16号 国民皆歯科健診の実現を求める意見書の提出を求めることについて
請 願 番 号 第16号
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 国民皆歯科健診の実現を求める意見書の提出を求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 清水ひとみ 加藤誠一 川島隆二
付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
【請願の趣旨および理由】
現在、日本における歯科健診は、幼児に対しては母子保健法、児童生徒等に対しては学校保健安全法において実施が義務づけられているところである。
一方で、これら以外の者に対しては、健康増進法および高齢者の医療の確保に関する法律に基づき歯科健診が実施されているものの、受診率は低い状況にある。また、労働安全衛生法において、有害な業務に従事する労働者に対する歯科健診の実施が義務づけられているが、対象が限られており十分とは言えない状況である。
口腔の疾患は様々な全身疾患と密接に関わって、特に歯周病と糖尿病との関連については科学的根拠が明らかになっている。人生100年時代を迎える中で健康寿命の延伸を図るためには、「8020運動」の取組をさらに進めるなど、歯を含めた口腔内全体の
健康維持が極めて重要である。
国においては、令和4年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」に、生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診の具体的な検討に取り組むことが初めて盛り込まれ、さらに令和5年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」においては、その取組の推進が掲げられたところである。また、健康日本21においても、歯や口腔の健康についての取組が推進されている。
現在のところ、国民皆歯科健診の実現を求める意見書については、令和4年10月に熊本県議会で提出されたことを端緒として、27都道府県で同趣旨の意見書が提出され、実現に向けた機運が高まっているところである。
このように、国民皆歯科健診への正しい理解を深め、国民皆歯科健診の実現に向けた後押しになるよう、国に対する意見書を提出することを請願する。
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請 願 文 書 表
△請願第17号 「国の責任で医療・介護施設への支援を拡充し、すべてのケア労働者の賃上げや人員増を求める」意見書の提出を求めることについて
請 願 番 号 第17号
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 「国の責任で医療・介護施設への支援を拡充し、すべてのケア労働者の賃上げや人員増を求める」意見書の提出を求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 中山和行 節木三千代
付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
【請願趣旨】
2022年10月からは診療報酬と介護報酬の臨時改定を行い、「看護職員処遇改善評価料」と「介護職員等ベースアップ等支援加算」を新設した。4年目に突入したコロナ禍において、自らの感染リスクや様々な行動制限に耐え、必死に国民の命と健康を守るために奮闘してきたケア労働者に対し、処遇改善の必要性を明言して賃上げ補助を行った姿勢は一定の評価をするものである。
しかし賃上げ対象を限定してしまったため、本来、チームワークが強く求められる医療現場や介護現場に差別を持ち込み、不団結を生み出している。とりわけ、「看護職員処遇改善評価料」においては、就労看護師約166万人の35%程度である57万人しか対象にならず、施設数で見れば、17万8千余りある医療施設の内対象は2,720施設とわずか1.5%程度に過ぎない。
さらに40年ぶりの物価高騰を背景に、2023年春闘では、経団連が大幅な賃上げは企業の社会的責務だとし、人材獲得の観点から大幅賃上げを表明する企業や、労使交渉で労働組合の要求に満額で応える大手企業が相次いだ。
しかし国が決める公定価格で運営している医療機関や介護施設等は、様々なモノやサービスの値上げを価格転嫁できず、賃上げに必要な財源の確保が困難で、今春闘の賃上げの流れから取り残されている。
政府がケア労働者の賃上げの必要性を理解しているのであれば、全てのケア労働者が差別なく処遇改善につながる施策にするべきである。そのためには、医療・介護施設への経済的援助の拡充も必要であり、国からの感染症病床の拡充要請に応えるために医療機能を変更してまで体制を整え、その病床が埋まらなかったから補助金返還を強要する対応は本末転倒である。そして診療報酬、介護報酬、障害報酬の抜本的な引上げと同時に患者、利用者負担軽減策も実施するべきである。
よって、以下の事項を請願する。
【請願項目】
「医療・介護施設への支援を拡充し、すべてのケア労働者の賃上げや人員増を求める」意見書を国に提出すること
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請 願 文 書 表
△請願第18号 緊急経済対策として「消費税率を5%に引き下げることを求める」意見書を政府に送付することを求めることについて
請 願 番 号 第18号
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 緊急経済対策として「消費税率を5%に引き下げることを求める」意見書を政府に送付することを求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 中山和行 節木三千代
付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
【請願趣旨】
長引く物価高により、中小業者、国民の経営と生活は困難を極めている。ガソリンや電気代の高騰は日常生活やあらゆる経済活動の足かせとなっている。私たちが街頭で取り組んでいる消費税減税を求める宣伝行動では「食料品の値上がりやガソリンの高騰で生活が大変、もうこれ以上削るところもない」「年金だけでは、暮らしていけない」「せめて消費税を5%に下げてほしい」など切実な声が寄せられている。
政府は、物価対策として所得税、住民税の減税を掲げている。しかし来年6月に実施予定など、スピード感はまるでなく、非課税世帯など減税の影響が及ばない人が約1,000万人に上る。経済の専門家からは、経済効果を重視するなら食料品の消費税をゼロにするべきだ、という意見が出ている。消費するたびに恩恵が及ぶため、景気の引上げにつながることや低所得者への支援にもなる。既に世界では108の国や地域で日本の消費税に当たる付加価値税の減税に踏み出している。時事通信の世論調査では消費税減税に「賛成」との回答が57.7%に上っている。様々な世論調査で消費税減税への期待の声が集まっている。国民の暮らしを支えることへの願いを込め、以下の事項を請願する。
【請願項目】
緊急経済対策として「消費税率を5%に引き下げることを求める」意見書を政府に送付すること
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請 願 文 書 表
△請願第19号 「インボイス制度の中止を求める」意見書を政府に送付することを求めることについて
請 願 番 号 第19号
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 「インボイス制度の中止を求める」意見書を政府に送付することを求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 中山和行 節木三千代
付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
【請願趣旨】
2023年10月多くの不安や反対の声が高まる中で、事実上の消費税の増税につながるインボイス制度が導入された。物価高に苦しむ事業者に新たに1兆円に上る消費税負担や事務負担が押し付けられる。その結果、価格が上昇し消費者にも影響が及ぶことになる。
既に中小企業の経理担当者からは、「新たな実務負担が増えた、残業しても追いつかない。そもそも制度がよく分からない」飲食店では「インボイスが出せないなら10%分値引きしろ」と迫られた、制度について質問するため
コールセンターに電話しても、いつ電話しても話し中でつながらない、税務署と
コールセンターで説明が違うなどの声も出されている。フリーランスの会の調査では「廃業や退職」を含め、約7割がマイナスの影響を受けると応えている。このようにインボイス制度は適正な課税どころか現場に混乱を生じさせるだけの制度になっている。消費税の申告、納税の実務は、「記帳方式」で十分に対応できていた。インボイス制度の導入で令和5年度分の確定申告が不安との声が大きく広がっている。このような制度は即時に中止すべきと考え以下の事項を請願する。
【請願項目】
インボイス制度の中止を求める意見書を政府に送付すること
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請 願 文 書 表
△請願第20号 人材確保対策として、福祉職員の奨学金返済補助の拡充を求めることについて
請 願 番 号 第20号
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 人材確保対策として、福祉職員の奨学金返済補助の拡充を求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 中山和行 節木三千代
付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
保育、学童保育、障害福祉、介護など福祉全般にわたって人材不足が深刻である。特にコロナ以降は、従来からの賃金や労働条件等の低処遇に加え、社会全般で雇用状況が改善される等、前にも増して「人が足りない」状況が続いている。特に介護の分野は厳しく、全国で介護就労者が2021年に比べて2年間で1.6%(実数で約6万3千人)減少し、人材の流出が進んでいる。
福祉職員の確保が難しい原因として、第1に挙げられるのは賃金等の処遇の問題である。滋賀県の保育士実態調査(2020年)でも、保育士養成施設の学生が保育所に就職するに当たって、「保育士の処遇改善(給与・職場環境等)」を強く望んでいるという結果が出ているように、経済的な問題が、学生の就職や資格保有者の再就職、また離職を防止する上での壁になっている。
滋賀県は、現在、市町と連携し、保育士を対象にした奨学金返済補助を実施し、県内の保育所の人材確保に一定の役割を果たしている。しかし対象者が新規就職者に限られるなど、制度の拡充を求める声もある。また他の福祉分野の職員に対しては、特別の補助制度はない。
奨学金は、私立大学生の50.8%が受給(学生支援機構「令和2年度学生生活調査」)し、その返済の負担の大きさから社会問題になっている。福祉は資格が必要な仕事であり、大学等に進学し資格を取得して就労する職員が大半である。こうした状況を考えれば、奨学金の返済に対して、県が支援を行うことは、有効な人材確保対策になる。
以上の理由から、以下の項目について請願する。
【請願項目】
1 人材確保対策として、福祉職員を対象にした奨学金返済補助を創設すること
2 既に実施している保育士の奨学金返済補助制度について、対象者の要件を拡大するなど制度を拡充すること
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△陳情についての報告
○議長(奥村芳正) なお、陳情については、お手元に配付いたしておきました一覧表のとおりであります。
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陳 情 一 覧 表
△陳情第14号 免税軽油制度の継続を求める意見書提出について
陳 情 番 号 14
受 理 年 月 日 令和5年11月2日
件 名 免税軽油制度の継続を求める意見書提出について
提 出 者 (略)
要 旨
【趣旨】
これまで冬季観光産業の重要な柱であるスキー場産業の発展に貢献してきた軽油引取税の課税免除の特例措置(以下「免税軽油制度」という。)が、令和6年3月末日で廃止される状況にある。
免税軽油制度は、元来、道路を走らない機械に使う軽油について、軽油引取税(1リットル当たり32円10銭)を免税する制度で、船舶、鉄道、農業・林業、製造業など、幅広い事業の動力源の用途に認められてきたものである。
スキー場産業では、索道事業者が使うゲレンデ整備車および降雪機に使う軽油が免税となっており、この制度がなくなれば索道事業者は大きな負担増を強いられ、スキー場の経営維持が困難となるとともに、地域経済にも計り知れない影響を与えることとなる。
以上の趣旨から、下記事項について意見書を政府関係機関に提出することを陳情する。
記
免税軽油制度を継続すること
送 付 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第15号 湖岸緑地公園駐車場有料化の社会実験について今後も行うのであれば、連休や週末ではなく平日に行い、その結果を踏まえて検討を行うことについて
陳 情 番 号 15
受 理 年 月 日 令和5年11月10日
件 名 湖岸緑地公園駐車場有料化の社会実験について今後も行うのであれば、連休や週末ではなく平日に行い、その結果を踏まえて検討を行うことについて
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
滋賀県は料金ゲートを設けた駐車場有料化を視野に入れた方法の社会実験を11月の最終週末に行うようだが、休日2日、平日1日という日程にしている。仮に料金ゲートを設置することを想定するのであれば、1年間等しく費用は発生する。そうであれば1年の3分の2以上は平日であるから、平日を中心に日程を組まなければ片手落ちであり、実験による損益についての知見は意味をなさない。春の時点では増大した維持管理費用に充てるのが有料化の目的でありアンケートもそのような設問になっていた。有料化事業が赤字になり現状より県民負担が増えるようなら有料化をする意味はない。
また休日がアウトドアブームに乗ったキャンプ、バーベキュー利用者中心であるのに対し、平日は釣りや野鳥観察、写真撮影、犬の散歩など静粛な利用者が中心であり利用の在り方も異なる。今後駐車場有料化を検討するのであれば、平日の利用者の意見を聞くことはもとより、平日の利用実態の把握は必要不可欠なはずである。
したがって滋賀県議会においては、仮に今後も湖岸緑地公園駐車場の有料化の社会実験を行うのであれば、春、秋の行楽シーズンではなく平日に的を絞った実験を行うよう滋賀県に求められたい。
送 付 委 員 会 土木交通・警察・企業常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第16号 政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求めることについて
陳 情 番 号 16
受 理 年 月 日 令和5年11月14日
件 名 政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求めることについて
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情理由】
全国市区町村の庁舎内で、政党機関紙の勧誘(営業)、配達、集金が無許可で行われていることが問題となっており、その是正のために、今年だけで地方議会26か所以上で、庁舎内における勧誘、配達、集金の自粛を求める陳情が採択された。
各種メディアでも実態が報告されているが、特に、議員に勧誘され、「購読しなければならないという圧力を感じた」と答えた職員の割合が、少ない自治体でも3割、多い自治体では8割に上っていることは、大変深刻な事態である。これも自治体がアンケート調査を実施して初めて明らかになったことである。
庁舎内において、議員による職員に対するパワハラ行為、セクハラ行為などは絶対に放置してはならない。2020年6月にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、地方公務員が保護の対象となった。全国自治体において「心理的圧力を感じた」という深刻な実情が明らかになったことから、滋賀県庁においても、政党機関紙の勧誘行為に関して心理的圧力を感じている職員がいないか現状把握に努めるべきである。
また、政党機関紙の勧誘、配達、集金行為は政治活動であり、職員が庁舎内で集金に応じ、特定政党の政治活動に協力する行為を住民が見れば、政治的中立性に疑念を持つのは当然である。「断れずに購読しているが、特定政党への援助に当たるのではないかと職務への後ろめたさを感じてしまう」との職員の苦悩も報じられている。職員は政治的中立性、公平性、公正性への疑義を持たれぬよう、私的に政党機関紙の配達、集金に応じる際は、公共施設ではなく自宅等のプライベートな場所で行うべきではないか。
そもそも、庁舎管理規則によって、行政関係者や一般住民は問わず、「庁舎内で無許可での営業、勧誘行為は禁止」されているはずである。もしいまだ無許可で勧誘している一部政党、議員がいる実態があれば、政治活動に伴う営業行為は庁舎管理規則の「営業許可申請事項」であることを明示し、今後は「無許可営業行為」を改める旨を確認するべきである。
【陳情項目】
1 庁舎管理規則に定められている事項の厳守、また職員へのハラスメントが生じる懸念から、庁舎内で無許可での政党機関紙の営業、勧誘行為を禁止または自粛すること。かつ、住民の大切な個人情報を預かる執務室内に立ち入っての配達、集金が行われないように行政に求めること。
2 政党機関紙の購読は個人の自由であり、制限されるべきものではないが、庁舎内の政治的中立性への疑義を生じさせないため、私的に購読したい場合はプライベートな場所(自宅等)を配達先、集金先として推奨する等、職員の努力、改善を求めること。
3 滋賀県庁内においても、職員が庁舎内で政党機関紙を勧誘されたり、その際に心理的な圧力を感じたという実態が本当にないか、職員に寄り添って調査、確認するように行政に求めること。心理的圧迫を受けた職員がいる場合には、適切に対応すること。
送 付 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第17号 琵琶湖岸の公園について、駐車場の有料化が利用マナー向上に本当に繋がるのか、因果関係を慎重に検討すると共に、有料化が歳入増に繋がらないのであれば利用マナー向上の代替施策を早急に考えて実行に移すことについて
陳 情 番 号 17
受 理 年 月 日 令和5年11月27日
件 名 琵琶湖岸の公園について、駐車場の有料化が利用マナー向上に本当に繋がるのか、因果関係を慎重に検討すると共に、有料化が歳入増に繋がらないのであれば利用マナー向上の代替施策を早急に考えて実行に移すことについて
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
春の有料化社会実験ではおおむねマナー良く利用され、ゴミの放置もゼロではないが少なかったと聞く。しかし実験は昼間に行われ、係員の目があったことが原因である可能性は否定できない。夜間も志那2、志那3が閉鎖されていたことからコロナ閉鎖のとき同様に何らかの監視の目が働いていたことになる。
一方で春以降公園のゴミの放置状況を観察したところ、バーベキューの炭や網、キャンプのテントペグ、ロープなどに紛れて生活家電や滋賀県内の市町の記載がある段ボールなど、家庭ゴミとして処理すべきものを持って来て投棄したものも散見される。アウトドア客がゴミを持ち帰らないことも問題だが、近隣の滋賀県民が家庭ゴミの投棄をしていることは公園利用者のマナーではなく、公園が不法投棄場所と化していることから深刻度ははるかに大きい。
これらの事実を総合的に考えると駐車場の有料化が事態の解決につながるとは到底思えず、監視カメラ等防犯の側面からの管理上の創意工夫の方がはるかに有効な手段に思えてならない。
利用案内看板にも最近まで「ゴミは出来るだけ持ち帰って下さい」などと書かれていたことなどから管理者の不法投棄防止への本気度が甘く見られていた可能性もある。
滋賀県議会は都市計画課に、より一層現場の把握に努め、指定管理者とも情報共有し、有料化が歳入増につながらないのであれば速やかに廃案し、例えば防犯の側面からのインフラ導入など代替策を考えるよう要求されたい。
送 付 委 員 会 土木交通・警察・企業常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第18号 田上土地改良事業(県営経営体育成基盤整備事業)の早期着工について
陳 情 番 号 18
受 理 年 月 日 令和5年12月1日
件 名 田上土地改良事業(県営経営体育成基盤整備事業)の早期着工について
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
田上土地改良事業(県営経営体育成基盤整備事業)は、全員同意の上に事業採択、土地改良区設立認可等を経て平成31年3月2日に土地改良区(組合員総数185名、整備計画面積105.1ヘクタール)を設立したが、現在もまだ不条理な主張を繰り返す2名の行動により着工すらできていない。
この両名は、当初の事業認可申請等には全て同意した上でのその後の脱会表明であり、理不尽な要求を掲げ、さらに所有土地の点在を強調しつつ境界確定立会には応じないとした主張を繰り返して、大区画整備と担い手への集積、集約を目指す当計画自体を成り立たないものにしようとしている。このため、県、市、改良区が連携し、一体となって交渉を重ねてきたが、一向に進展しないため、県の指導の下、早期施工を望む組合員の総意を改めて確認し、条件が整った区域からの工事着手の方針を県より示され、令和5年7月の着工を予定していたところである。
しかし、この両名の抵抗はやまず、本年4月には農林水産大臣や県知事に投書がなされたことで、急遽県の方針が変更され、4町を1つの換地工区として進めてきた当地区に対して、両名を含む区域内権利者の全員の施工同意が条件に加えられ、着工が延期された。
当改良区では、これまで県の指示に従って、早期着工に向けて改良区、各委員会挙げて準備を整えてきたところであり、さらに1工事の予定区域では、現在約8へクタールの圃場が本年春より耕作を中止し、工事を待っている。夏に改良区役員をもって草刈り作業を行ったが、広大ゆえに追いつかず、また雑草が生い茂って悲惨な状況である。
ついては、両名の説得にはなお時間を要すると思われるため、今まさに高齢化や後継者不足に直面し、窮地に立たされている私たち多くの組合員の現状を認識し、組合員183名の望みを早期に叶えるよう実施可能な区域からの着工による早期完成を今一度目指すため、積極的な事業推進を切にお願いする。
送 付 委 員 会 環境・農水常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第19号 湖岸駐車場有料化社会実験の評価は、実験を行った駐車場と周辺の無料駐車場の利用台数の比較結果を踏まえて行い、その評価を次期指定管理者の再公募の募集要項に反映させることについて
陳 情 番 号 19
受 理 年 月 日 令和5年12月4日
件 名 湖岸駐車場有料化社会実験の評価は、実験を行った駐車場と周辺の無料駐車場の利用台数の比較結果を踏まえて行い、その評価を次期指定管理者の再公募の募集要項に反映させることについて
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
滋賀県が志那1中と同南で行った公園駐車場有料化社会実験では、最も書き入れどきの土曜日の21時時点で志那1中の利用は2台、志那1南はゼロであった。一方で同時刻に近隣の志那2、北山田1はほぼ満車であった。日曜日の午前中は志那2で枠外駐車が見られた。
当局は今回の低調な客入りを天候のせいだと釈明するかも知れないが、同条件で志那2、北山田1では満車だったことから、有料の志那1を回避した利用者が圧倒的多数であることは明白である。これが利用者集合体の本音であるとほぼ断定して差し支えないと言わざるを得ない。
一方で、7月26日の常任委員会では「秋の実験が十分有効なものになり、その結果が良好な有料化の内容の協議につながることを前提に次期指定管理者選定を見守る」と確認された。しかし今回の実験は春よりも赤字がひどく、公募で唯一選定が決まった南湖西岸地区の指定管理者も有料化社会実験の事業計画書は費用項目を空欄にするなど良好な有料化の協議とは程遠く、前提が崩れた。
また南湖東岸は応募ゼロで、再公募は実験結果に懲りずに依然有料化試行提案を含む募集要項であり指定管理料参考額以外変更しないと聞く。
議会は、実験報告で当局の報告事項だけに捉われることなく、結果が有効であることが指定管理者選定を見守る前提だったことを鑑み、費用が嵩むばかりの有料化には見切りをつけ、指定管理者再公募の募集要項で有料化提案は削除し、例えば看板の刷新による利用ルールの周知徹底等管理の在り方の提案に差し替えるよう当局に要求するなど、現実的かつ合理的な視点で審議をされることを要望する。
送 付 委 員 会 土木交通・警察・企業常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第20号 緑地公園駐車場を無料で利用出来る状態を今後も継続することについて
陳 情 番 号 20
受 理 年 月 日 令和5年12月5日
件 名 緑地公園駐車場を無料で利用出来る状態を今後も継続することについて
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
コイ釣りはコイが通ると想定される場所に餌を投げ置いて、コイが捕食するまでひたすら待つという長時間の待ち釣りである。またコイ釣りは大きさを競うため長時間の釣りになりがちである。
琵琶湖においては大きなコイが釣れるため滋賀県民のみならず近畿、東海、関東からも多くのコイ釣り愛好家が訪れる日本有数の釣り場である。
全国鯉釣り協会(全鯉協)は全国のコイ釣り愛好家にて構成し会員相互間の親睦、交流を図り、コイ釣りの健全なる発展と育成に貢献し、釣り場の美化と環境保全に努めている団体である。
南湖の駐車スペースは緑地公園駐車場しかないため、有料化実施となれば、長時間利用のコイ釣り愛好家にとっては大きな負担となり、釣行する回数や時間も制約されることになってしまう。
現在、琵琶湖は多くのコイ釣り愛好家の憩いの場である。そのため公園の草刈りやトイレ設備等は最低設備状態でも構わないが、琵琶湖の自然さえ残してもらえれば私たちは十分にコイ釣りを楽しむことができる。
よって緑地公園駐車場については有料化することなく、現状どおり無料を継続するよう陳情する。
送 付 委 員 会 土木交通・警察・企業常任委員会
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陳 情 一 覧 表
△陳情第21号 令和5年度持続可能な社会づくりに向けた再エネ・省エネの推進施策について
陳 情 番 号 21
受 理 年 月 日 令和5年12月6日
件 名 令和5年度持続可能な社会づくりに向けた再エネ・省エネの推進施策について
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情趣旨および理由】
令和5年10月23日決算特別委員会の資料によると、著しく県税費用対効果の低い事業が確認される。
「スマートハウス・エコハウス普及促進事業」における補助金額65,650,000円、1,420件、CO2排出削減量は1736.6トンであり、1.0トン削減に要した費用は37,781円、「省エネ・再エネ等推進加速化事業」における補助金額合計
121,096,314円、省エネ診断137件、設備投資補助件数85件、CO2排出削減量は489.1トンであり、1.0トン削減に要した費用は247,590円である。
上記の2事業は家庭部門、事業部門という違いはあるが、CO2排出量削減への施策としては同類である。なぜ県税費用対効果に約6.5倍の開きがあるのか、どのような集計方法なのか、本当に必要な事業なのか、担当課、執行団体には説明責任があると考える。
令和5年3月8日に公表された令和5年度滋賀県中小企業活性化施策実施計画(案)では、事業所省エネ・再エネ等導入加速化事業において、「事業目標」が設備導入支援件数80件、伴走支援事業60件であるが、令和5年11月20日時点で大きく後退している。貴重な県税を投じた事業において何よりも難しいのが、この状況の良し悪しが定量性を持って判断できない点である。仮に導入件数が達成できればCO2排出量削減ができているのか。
先述の決算特別委員会資料における「今後の課題」では、「中小企業者等が取り組む省エネ診断や省エネ・再エネ設備導入に対して支援することにより、CO2ネットゼロ社会づくりをより一層加速していく必要がある。」とあるが、加速どころか減速していないか。2013年度比50%削減目標への進捗は、民主的で透明性の確保されたプロセスにて評価されていない。
令和5年度において上記の省エネ診断事業は12月28日までの募集であるが、昨年度は1月31日までの募集であり、短くする必要性はどこにあるのか。省エネ等伴走支援事業は11月30日で募集を終了しているが、なぜ省エネ診断事業は継続しているのに省エネ等伴走支援事業は終了するのか。事業目標を達成し、今年度予算を使い切ったのならば理解できるが、そうではない。年度予算執行に期限があるのは理解するが、中小企業等は12月以降も事業を継続している。目標期限である2030年へ時計の針は進んでいるが本当に問題ないのか。
先月成立した国の令和5年度補正予算において中小企業施策が発表されているが、県施策と2重行政になっては大きな損失である。滋賀県は日本国に内包されているので、民主的で透明性の確保されたプロセスを経て、合理的な判断がなされるべきである。
以上について、CO2ネットゼロ推進課へ説明を求めたが、直接応答する機会さえ与えられていないため、陳情書を提出する。
送 付 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
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△休会の議決
○議長(奥村芳正) お諮りいたします。
明13日から20日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
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○議長(奥村芳正) 来る21日は、定刻より本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時15分 散会
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