滋賀県議会 2023-12-11
令和 5年11月定例会議(第16号~第22号)-12月11日-05号
令和 5年11月定例会議(第16号~第22号)-12月11日-05号令和 5年11月定例会議(第16号~第22号)
令和5年11
月定例会議会議録(第20号)
令和5年12月11日(月曜日)
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議事日程 第5号
令和5年12月11日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第132号から議第160号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)ほか28件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(1名)
32番 岩 佐 弘 明
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長代理 吉 田 清 一
人事委員会委員長代理 尾 賀 康 裕
公安委員会委員長代理 高 橋 啓 子
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として吉田清一委員が、また、
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として尾賀康裕委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として高橋啓子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第132号から議第160号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第5号)ほか28件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第132号から議第160号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、39番角田航也議員の発言を許します。
◆39番(角田航也議員) (登壇、拍手)おはようございます。
それでは、通告に従い、自転車乗車時のヘルメット着用の促進について、知事、教育長ならびに警察本部長に一問一答方式でお伺いいたします。
12月1日から31日まで、県内で年末の
交通安全県民運動が実施されています。滋賀県
交通対策協議会構成員の皆様、推進機関、団体の皆様をはじめ交通安全に携わっておられる全ての皆様の御尽力に感謝を申し上げます。
この年末、交通死傷事故がゼロであることを願うところではありますが、そのためには県民一人一人が交通ルールを守ると同時に、自分の身の安全を守る意識を高め、対策を講じることも重要と考えます。
道路交通法──以下、法といいますが、今年4月に改正され、自転車に乗る際のヘルメットの着用が全年齢で努力義務となって8か月が経過しましたが、校則で着用が定められている中学生やビワイチなどをされるサイクリストを除き、ふだんの通勤や買物の際にヘルメットを着用する人はごく少数派にとどまっているのが現状です。
自転車は、免許も要らず、気軽に利用可能な移動手段として子供から高齢者まで日常的に多く利用されています。とりわけ車の運転免許が取得できない高校生や免許を返納された高齢者の利用率が高いと言えます。また、警察庁の資料によりますと、全国の
自転車関連死亡重傷事故件数は令和4年で7,107件と年々減少してきてはいるものの、全ての
死亡重傷事故件数に占める
自転車関連死亡重傷事故件数の割合は増えています。今月2日には愛知県一宮市の交差点で自転車に乗っていた14歳の女子中学生が軽乗用車にはねられ、頭を強く打って意識不明の重体となっています。現場は横断歩道のない交差点で、女子中学生は学習塾へ向かう途中で、ヘルメットはかぶっていなかったということです。本県でも、昨年1月に大津市の県道で自転車乗車中の男子高校生が軽乗用車と衝突し、頭などを強く打ち、死亡する事故が起きています。男子高校生もヘルメットはかぶっていませんでした。
車との衝突では間違いなく自転車が跳ね飛ばされ、その際、けがをする危険性は高く、頭など打ちどころが悪ければ死亡するおそれもあります。あるデータによれば、ヘルメットを着用しなければ死亡率は3倍に上がると言われています。車との衝突や接触に限らず、段差での転倒や雪道などでスリップして転倒することもあります。死に直結する事故を防ぐ意味で、頭を守ることは非常に重要と言えます。
警察庁が自転車乗車時のヘルメットの着用について、今年の7月に、駐輪場が整備された駅周辺と商店街またはいわゆる
ショッピングセンターなどの周辺の2か所において目視による全国調査を実施され、その結果が9月に公表されました。全国の平均着用率は13.5%でしたが、本県は7.2%で全国35位と、ほかの都道府県と比較して
ヘルメット着用率が低い状況が明らかとなりました。こうした状況にあることから、自転車の交通安全対策として様々ある中で、今回はヘルメットの着用の促進を中心に取り上げさせていただきます。
まずは、先ほども触れましたが、通学や部活動などで自転車利用率が高く、
自転車関連死傷事故の件数がほかの世代と比べて多い高校生のヘルメット着用の促進について、教育長に伺います。
自転車通学の中学生は、登下校時、ヘルメット着用が校則に定められているということもあり。
○議長(奥村芳正) 角田航也議員。一問一答です。
◆39番(角田航也議員) はい。
○議長(奥村芳正) 暫時休憩します。皆さんはそのままでお待ちください。
午前10時6分 休憩
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午前10時8分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
角田議員どうぞ。
◆39番(角田航也議員) 失礼しました。では、続けさせていただきます。
自転車通学の中学生は、登下校時、ヘルメット着用が校則に定められているということもあり、ほぼ着用していると思います。ところが、私もそうでしたが、中学校を卒業すると途端に着用しなくなる現状があります。せっかく中学3年間で習慣となっていたこと、また
ヘルメットそのものも使われなくなるのはもったいないことです。大事な頭部、また、命を守るために、新たに自転車通学する高校生、部活動や日常生活でのみ自転車に乗る高校生も含め、ぜひとも自転車乗車時はヘルメットの着用をしていただきたいと思います。
そこで、まず、高校生の自転車乗車時のヘルメットの着用の現状について、教育長に伺います。
○議長(奥村芳正) 39番角田航也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
県立高校の生徒の自転車通学率は53.1%であり、
ヘルメット着用率は、本年6月の調査では1.6%となっております。これは、令和2年の0.2%に比べ増加はしておりますものの、浸透している状況にはないと考えておるところでございます。
ヘルメット着用を中学校から継続している生徒や、家庭で話し合って、重要性を認識し、着用するようになった生徒がいる一方で、髪型を気にしたり、格好がよくないと感じることなどを理由に着用していない生徒が多い現状にございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)先ほども申し上げましたが、昨年には大津で男子高校生の自転車乗車中の死亡事故があり、今年4月からは全年齢でのヘルメット着用が努力義務化されました。令和5年2月定例会議における清水ひとみ議員の、高校生へのヘルメット着用の推進についての質問に対し、教育長は、リーフレットの配布、交通安全対策の実施などを活用し、ヘルメットの着用を推進してまいりたいと答弁され、これまでも啓発に取り組んでこられたと思いますが、改めて、これまで高校生に対しヘルメット着用の促進に向け取り組んでこられたことについて、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
これまでから、新入生に
ヘルメット着用啓発をするため、「自転車に乗るならヘルメットでGO」をキャッチフレーズとしたリーフレットを関係課と連携して作成し、保護者、生徒への配布、また教室へ掲示するなど、安全指導を進めているところでございます。
また、県警察と連携した交通安全教室の実施でありますとか、入学時のオリエンテーションにおきまして、生徒および保護者を対象にヘルメットを着用しないことの危険性を説明するなど、自分で命を守ることの大切さを周知しているところでもございます。
あわせまして、生徒会役員、市の職員、警察署員などによる街頭でのヘルメット着用の呼びかけ活動など、関係機関と連携をした取組を進めているところでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。
高校生のヘルメットの着用率を上げるのは、すぐには難しいかもしれませんが、先ほど述べました警察庁の全国の着用率調査で、着用率の高い県では全世代でヘルメット着用を努力義務とする条例をつくっていたり、県立高校の生徒の着用を校則で義務づけていたりします。着用率約6割と最も高かった愛媛県では、2014年に自転車に乗っていた高校生2人がトラックと衝突し、頭を打って亡くなる事故が起き、保護者からの要望が高まり、2015年に県内の全ての県立高校で自転車通学の生徒のヘルメット着用が義務化され、当時、自転車通学していた約3万人の生徒に通気性のいいスポーツタイプのヘルメットが無償配布されました。購入補助制度が2年続いた後、現在は終了しているとのことです。着用率46.3%で2位の大分県も2021年に全ての県立高校でヘルメット着用を義務化しています。43.8%の群馬県も全世代で着用を努力義務とする条例を施行し、一部の高校をモデル校として着用を呼びかけています。
ヘルメットの着用率を上げるには、こうした条例による義務化や校則による義務化もありますが、交通安全教室を通じて、事故の恐ろしさ、頭部を守ることの大切さを実感し、ヘルメット着用の必要性について自ら考え、行動する機会とすることも重要です。また、髪型を気にしたり、おしゃれに敏感な世代ですので、ヘルメットをファッションの一部になるよう、おしゃれなものも認めたり、校内の鏡の設置数を増やすなど、着用率向上の工夫はいろいろ考えられます。さらには、高校入学時にヘルメットの無償配布、または購入補助をする、あるいは中学生の
学校指定ヘルメットを高校生でも使えるようなおしゃれなヘルメットに変え、耐久性の問題はありますが、県内高校生の約半数に及ぶ自転車通学の高校生が継続して使えるように、市町と連携して、中学入学時に無償配布または購入補助をするのも有効かと考えます。
こうしたことを踏まえまして、高校生へのヘルメット着用の促進を今後いかに進めていかれるのか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今年度から新たに県立高校2校をモデル校といたしまして、生徒が中心となり考案したキャッチフレーズや、機能とファッション性から自分で選んだヘルメットを着用した生徒の様子を掲載したポスターを作成するなど、生徒の視点を生かした啓発を進めているところでございます。生徒自身が交通事故の危険性などをより自分事として捉え、自分の命は自分で守る意識を高め、自らが着用することが重要であると考えております。
警察や関係部局と連携を密にし、交通安全教育の徹底に努めますとともに、生徒の意欲や主体性を生かした取組の充実を通して生徒や家庭への理解と実践を進めまして、在学中はもとより、卒業後もヘルメットを着用するように取り組んでまいる所存でございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)1問、教育長に再問したいと思います。
令和2年の6月定例会議で桑野議員が、児童生徒に対するヘルメット着用に向けた県としての支援策について、購入補助を例として挙げて、教育長に質問されています。その際、教育長は、その効果を含めまして、研究をさせていただきますとともに、効果的な取組としてどのようなものがあるのか、引き続き研究していきたいと考えているところでございますと答弁されています。
そのときから3年以上経過し、東京都、愛知県、岐阜県、兵庫県、徳島県など、次々とほかの自治体で
ヘルメット購入補助の制度が導入されていますが、購入補助についての教育長のお考えをお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えを申し上げます。
他県の例を見ますと、一定、購入補助をすることによって着用率を上げていく取組というのを実施されておりますので、そのことの効果というのは一定の効果はあるものとは認識をしております。
現在、自転車通学をしておられる高校生の数は約1万5,000人いらっしゃいます。ただ、中学校と違いまして、高等学校の場合は自宅から最寄り駅まで、また、学校の最寄り駅から学校までという形で通学する生徒もいらっしゃいますので、
ヘルメット購入助成をしてかぶっていただくということ、そういった生徒さん、そして、自宅から学校に直接通う生徒さんもいらっしゃいます。また、購入補助ということになりますと一定の、当然、予算化が必要でございますので、その点も含めまして、その取組については、ちょっと引き続き研究をしていきたいと考えております。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ぜひ、前向きに研究、そして検討していただきたいと思います。
高校生が交通ルールを守ること、自らの意思でヘルメットを着用し、自分の身の安全は自分で守るという安全意識を高めることはもちろん大事ですが、中学生に比べ通学路が長距離であったり、自転車走行の安全性の面において道路環境が全て整備されているとは言えない状況下では事故に巻き込まれるおそれもあり、やはり高校生のヘルメット着用の効果的な促進が重要と言えます。
愛媛県では、重大な事故が起きたことで県民世論が動き、高校生へのヘルメットの無償配布、着用の義務化へと進みましたが、本県では、重大な事故が起きる前に、購入補助など有効な促進策を全ての高校で統一して講じていただきたいと思います。
では、次に、警察本部長に伺います。
ヘルメットの着用率向上には、高校生だけでなく、未就園児、小学生、高校を卒業した大人から高齢者まで全世代での着用を広げていかなければなりません。平成28年に施行された滋賀県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例──以下、条例と省略しますが、その第8条で県の高齢者へのヘルメット着用の推奨を、第10条で保護者の、その保護する児童生徒等へのヘルメット着用の努力義務などに関する規定があります。条例制定から8年ほどが経過しますが、自転車による事故の発生状況について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)お答えいたします。
令和4年の自転車事故につきましては、発生件数515件、死者数8人、傷者数501人となっております。
条例が施行されました平成28年は発生件数798件、死者数6人、傷者数786人、今から10年前になります平成25年は発生件数が1,245件、死者数14人、傷者数1,244人となっております。
令和4年の発生件数を平成28年と比較いたしますと、283件の減少、率にいたしますと35.5%の減少、平成25年と比較しますと730件の減少、率にしますと58.6%の減少となっております。
令和3年と令和4年の自転車乗車中におけるヘルメットの着用状況につきましては、令和3年の死傷者数が456人、この
うちヘルメット着用者数が83人、非着用者数が373人、着用率が18.2%、令和4年の死傷者数は509人、
うちヘルメット着用者数が76人、非着用者数が433人、着用率が14.9%となっております。
◆39番(角田航也議員) (登壇)これまでから様々な取組をされ、事故件数が減少傾向にあることは警察関係者の皆様や地域のボランティアの皆様の御尽力のおかげと感謝申し上げます。もっとも、減少傾向にあるものの、依然として
自転車関連死傷事故は後を絶たないことから、引き続き、安全対策が必要と考えます。とりわけ高校生の
ヘルメット着用率が低く、中学生に比べ死傷者が多いと仄聞しておりますが、自転車乗車中における中高生の死傷者数とヘルメット着用との関係を警察本部長にお伺いします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
令和3年と令和4年の2年間における自転車乗車中に死傷した中高生の
ヘルメット着用状況につきましては、中学生の傷者数が113人、
うちヘルメット着用者数が59人、非着用者数が54人、着用率が52.2%、高校生の死傷者数が143人、うち着用者数が18人、非着用者数が125人、着用率が12.6%となっております。また、過去5年間における自転車乗車中の死者の状況を見ますと、死傷者数に占めます死者数の割合は、ヘルメット非着用者は1.22%、着用者は0.46%でありまして、非着用者の致死率は着用者に比べ約2.7倍となっております。
◆39番(角田航也議員) (登壇)それでは、次に、条例には自転車安全教育や啓発、保険加入の促進等が取組として規定されていますが、それ以外も含め、
自転車交通安全対策の現状について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
県警察におきましては、自転車事故の防止を図るため、関係機関、団体、学校等と連携しながら街頭啓発や交通安全教育を推進し、
乗車用ヘルメットの着用や
自転車損害賠償保険の加入促進などを呼びかけております。また、自転車利用者に対する悪質、危険な交通違反行為などの指導、取締りにも努めているところでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)さきにも述べましたが、今年4月の法改正前からも、条例では幼児、児童生徒へのヘルメット着用が保護者に努力義務として、高齢者へもその家族に着用の助言が努力義務として規定されていました。ヘルメットを着用しないと死亡率が、先ほどのお答えでしたら2.7倍、また、自転車事故による死者の56%が頭部を損傷していること、あわせて、滋賀県の
ヘルメット着用率の低さを考えますと、県民の皆さんの命を守るため、ヘルメット着用を特に力を入れて取り組む必要があると考えます。
令和5年2月定例会議の桐田議員の交通安全教育、啓発の推進等についての質問に対し、警察本部長は、ヘルメット着用を促すCMを作成するといった、あらゆる機会、手段を活用して広報啓発に力を入れていく旨、答弁されていますが、県民全体のヘルメットの着用促進に向けたこれまでの取組について、警察本部長にお伺いします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
県警察におきましては、自転車の
乗車用ヘルメットの着用を促進すべく、議員御指摘ございましたとおりでございますが、今年の3月からヘルメット着用を促す啓発動画をテレビCM、警察署や運転免許センターのデジタルサイネージ、SNS等により発信しているところであります。また、学校や関係機関、団体等と連携を図り、街頭啓発や交通安全教室におきまして、ヘルメット着用の重要性をさらに呼びかけてきたところでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。
自転車関連死亡重傷事故件数を年齢層別に見ますと、19歳以下が約2割を占め、高校生は小中学生と比較して2倍程度で推移しており、高校生に対する対策の必要性が高いと言えますが、高校生向けに実施されてきたヘルメット着用促進のこれまでの取組について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
高校生の交通安全意識の向上を図るため、スタントマンの実演による交通安全教室を開催いたしまして、自転車の交通ルールの遵守や
乗車用ヘルメット着用の促進に努めております。また、学校等と連携しながら、生徒会による自転車の安全利用の啓発の支援も行っておるところでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ぜひ、高校生の行動の変化を促す効果的な取組をお願いしたいと思います。
次に、法改正を受け、県民全体のヘルメットの着用促進に向けた最近の取組など今後の対策について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
全ての自転車利用者に対して、より一層、ヘルメットの着用を促進するため、中高生が製作したデザイン性の高いヘルメット等を披露するファッションショーを開催するなど、今後も教育委員会や関係機関、団体とも連携を図りまして、広報啓発に、それから情報発信に力を入れてまいりたいと考えております。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。そうした新しい取組、ぜひ、積極的に広げていっていただきたいと思います。
おしゃれなデザインのヘルメットや普通の帽子に見えるヘルメット、さらには、ヘアポケットという空間が後ろについていて、長髪でも髪型を崩すことなくかぶれるヘルメットも開発されていますので、ぜひ、そういったヘルメットの存在の周知もお願いしたいと思います。
今後の対策に関連してですが、今回の法改正でヘルメットの着用が努力義務となりました。義務であれば、違反した場合、何らかの罰則があったりしますが、努力義務の場合は違反した場合でも罰則がないことから、その効果に限界があるのではとの声があります。努力義務規定の意義について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
努力義務とは、明確な規定はございませんが、一般論として申し上げますと、法令上において努めなければならないなどとされた規定でございまして、強制力を伴わないものの、その内容を行うように努めるということを義務づけたものでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)罰則はないということで何も不利益はないように受け取られがちですが、努力義務も、法の趣旨にのっとり、努める義務はありますので、努力義務にあえて反する行動を取れば社会的な評価が下がるおそれがあります。
私も自転車に乗る際はヘルメットを着用し始めました。ぜひ、議場におられる皆様、県の職員の皆様も率先して着用していただきたいと思います。大人がかぶらないのに高校生が納得してかぶってくれるとは思えません。若い人の命を守る、そして、もちろん自分の命を守るためにお願いしたいと思います。努力義務への正しい理解の啓発も含め、ヘルメット着用の促進を図っていただきたいと思います。
頭部を守ることに関連してですが、自転車用ヘルメットの着用促進に併せて、警察庁では歩行者向けの頭部保護帽の着用も推奨されています。
過去5年間に全国でおよそ5,000人の方が歩行中の交通事故で亡くなられ、そのうち52%が頭部に致命傷を受けています。また、年齢が高くなるにつれて、歩行中の事故で亡くなられる方が多くなる傾向とのことです。
交通事故時以外にも、転倒の際などに頭部を保護する用品として、見た目は普通の帽子に衝撃吸収素材が入った頭部保護帽が市販されています。歩行中も頭部の保護は事故の被害を軽減する上で非常に重要と考えますが、頭部保護帽など歩行者への安全対策について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
歩行者への安全対策でございますけれども、県警察におきましては、歩行者事故の防止を図るため、街頭啓発や交通安全教室の際には、反射材を配付いたしまして、夜間に出かける際の着用を呼びかけてきたところであります。また、交通事故や転倒の際などに頭部を保護するものとして、帽子に衝撃吸収素材が入った頭部保護帽が販売されております。議員御指摘のとおりでございます。交通安全教室における紹介や啓発チラシ、県警ホームページなどを通じて情報発信に力を入れていくということとしておるところでございます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ、歩行者への安全対策も、高齢者の方を中心に啓発をお願いしたいと思います。
最後に、知事に伺います。
自転車は、条例の前文にもありますように、環境保全、健康寿命の延伸、観光資源の開発、高齢化社会に向けての移動手段の確保などに寄与する点において非常に価値や魅力がある乗り物である一方で、身近な移動手段であるため、法令遵守の意識や事故予防への備えがおろそかになりがちです。
4月の法改正で、自転車乗車時のヘルメット着用が全年齢で努力義務化されましたが、その後の調査で、本県の着用率は全国平均よりも低く、着用促進に向けた実効性ある対策を講じる必要があると考えます。県民の皆様にヘルメット着用の機運を醸成するため、啓発の強化はもちろん、一般の方向けの安全教室の開催や、他府県で実施されて着用率向上に成果が上がっている、例えば児童生徒、高齢者への
ヘルメット購入補助など、着用促進の様々な方策を検討していただきたいと思います。とりわけ自転車に乗る頻度が高いにもかかわらず着用率が低く、死傷事故数が多い高校生、前途の長い若者への着用の促進が重要と考えます。
最後に、ヘルメット着用の促進をはじめ自転車の安全で適正な利用の促進に向けた知事の意気込みをお伺いします。
◎知事(三日月大造) (登壇)自転車は環境に優しく、健康増進にも資する乗り物でございまして、私も好んで乗ることが多いです。今や本県の重要な観光コンテンツとなりましたビワイチ、爽快な気分で安心して走れるよう、私もロードバイクを乗るときはいつもヘルメットを着用いたしますが、ちょっとした街乗りで、いつも100%ヘルメットをしているかというと、正直、ヘルメットをせずに乗ることも多くございます。
先般、道路交通法が改正され、ヘルメットの着用が努力義務となったことを踏まえまして、先ほど教育長と警察本部長からヘルメットの着用促進に向けた取組について具体的に答弁をさせていただきました。いずれも県民の命、そして、議員御指摘の高校生はもとより、子供の命を守る大切な取組だと認識しております。
また、こうしたソフト対策に加えまして、歩道の設置やその拡幅、自転車通行帯の整備、交差点改良等、安全で快適な自転車走行環境の整備にも取り組んでいるところです。
今後も、道路交通法や自転車条例の趣旨を踏まえ、ヘルメットの着用促進はもとより、ソフト対策、ハード対策の両輪を組み合わせ、自転車の安全で快適な利用の促進に全庁を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
◆39番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。
ヘルメットの着用は2次的なものです。それだけでは事故は防げません。車の運転者も含め、交通ルールの遵守が第一であることは言うまでもありませんが、万が一に備え、頭部を守り、命を守るのがヘルメットです。かぶっていたら助かったのにという悲惨な事故をなくすために、自転車に乗るときはヘルメットをかぶるのが当たり前の滋賀の実現に向け、着用促進に取り組んでいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、39番角田航也議員の質問を終了いたします。
次に、2番田中英樹議員の発言を許します。
◆2番(田中英樹議員) (登壇、拍手)おはようございます。自由民主党滋賀県議会議員団の田中英樹です。よろしくお願いいたします。
一般質問の許可をいただきましたので、通告に従い、大きく2つの質問をさせていただきます。
まず最初に、家族等の介護を抱える労働者の介護離職について、一問一答で知事、
健康医療福祉部長に質問させていただきます。
2015年、政府は、一億総活躍社会を実現するため打ち出した新三本の矢の一つ、安心につながる社会保障の中で、介護離職ゼロに直結する緊急対策が盛り込まれ、家族等の介護などによって離職を余儀なくされている人を減らし、継続したキャリア形成や経済の発展につなげるという政策を示しました。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を控え、働き盛りの人が親などの介護のために仕事を辞める介護離職を防ごうと、政府が旗を振り、8年がたちました。
また、2025年問題は、人口構造の変化により様々な問題が発生すると懸念され、日本の人口は2010年を境に減少を続けており、2025年には約800万人いる全ての団塊の世代──1947年から1949年生まれが後期高齢者、75歳以上になることで国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。家族等に介護が必要となると、その家族は仕事や生活に大きな影響を受けることになり、最悪は離職へとつながっていきます。日々の仕事と介護の生活の両立に疲弊して、会社を辞めなければならない人をなくす取組が必要だと考えます。
まず最初に、介護が必要な方の現状として、県内の65歳以上で介護が必要な方の割合について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 2番田中英樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
本年8月末現在、県内の65歳以上の方で要支援、要介護の認定を受けている方は6万8,556人で、65歳以上の方に占める割合は18.2%という状況でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)御答弁ありがとうございます。
少し再質問をさせていただきたいと思いますが、過去の現状と推計を比較して、どのような状況になっているかということを
健康医療福祉部長にお伺いしたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
手元に推計がちょっとございませんが、この状況というのはだんだん増加しているという状況だと認識しております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)私もそのように認識をしておりまして、2040年にはこの18%が21.5%になるというふうな推計が出ているような、そういうデータもあるというふうに思います。
次に、要支援者、要介護者の今後の見込みについて、
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
団塊ジュニア世代が65歳以上となります2040年──令和22年でございますが、には約9万2,000人となりまして、議員御指摘のとおり、認定率は21.5%まで上昇する見込みと推計をしております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)21.5%ということで、5人に1人ということが、今後、見込まれているわけですが、そういった中で、現状もそうなんですが、介護が必要な方が利用する特別養護老人ホームなどの施設は充足しているのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
本年4月1日現在で在宅生活を送っている方で、特別養護老人ホームの入所を希望されている方は1,268人おられるという状況でございます。こうした方は、ホームヘルプサービスであったりデイサービス、ショートステイ等、必要なサービスを受けながら在宅での生活を送っておられるものと認識をしておりますが、本人または家族が望むサービスの提供という点では十分ではないと認識をしているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)次に、介護職員についてはどうか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
国の介護サービス施設・事業所調査がございますが、これを基に本県を推計しますと、介護職員は、平成25年の約1万6,500人から令和3年の約2万100人へと着実に増加はしておりますけれども、目標値の2万1,600人を下回っておりまして、現場は逼迫している状況と認識をしているところでございます。
今後の介護ニーズの増大を踏まえますと、さらなる介護人材の不足が見込まれますことから、県としましても、介護の仕事の魅力発信であったりICTの活用による働きやすい職場の環境づくり、そして、外国人材の活用などの取組を通じまして、介護人材の確保に取り組む所存でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)今のお話ですと、特別養護老人ホーム、また、介護職員の数がなかなか足りていないというふうな現状があるのかなというふうに思います。
そこで、政府は2019年に在宅介護を増やす施策に転換し、介護職員や特別養護老人ホームの不足を踏まえて、政府はそういうふうな形に転換をすると。在宅介護を推奨する施策に転換したわけでありますが、介護職員がなかなか増えない結果、介護施設数も連動して不足する事態に陥ってしまったような要因かなというふうに思われます。また、医療費の増大がしてしまうということから、さらに病床数が足りなくなるというような問題もあり、自宅でのみとりを推奨するようになったというふうな背景があるのかなというふうに推測いたします。
育児や子育ては、成人するまでなど、必要となる期間が分かりやすいですが、介護については、期間が一定でないこともあり、平均的な期間等の要介護の介護期間について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
公益財団法人生命保険文化センターが令和3年に行いました全国調査によりますと、介護の期間の平均は5年1か月、また、4年以上が49.1%という状況でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)それでは、家族等による介護に関する相談について、家族介護者が追い詰められ、孤立しているなどが懸念されるところではありますが、家族介護者から寄せられる相談件数はどれぐらいあるのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
家族介護者からの相談でございますけれども、各市町が設置をしております地域包括支援センターで対応しました令和4年度の実績でございますが、3万3,862件という状況でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)それでは、家族等による高齢者虐待の相談通報件数はどのぐらいあるのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
厚生労働省が実施しました令和3年度高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査によりますと、本県におきましては、家族などの養護者による高齢者虐待の相談、通報件数609件で、そのうち、市町による事実確認の結果、虐待と認定された件数は301件という状況でございました。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)再質問させていただきたいと思います。
相談や通報件数が609件だったということですが、県では高齢者虐待防止に向けてどのような対応をされているか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
県では高齢者権利擁護支援センターを設置しまして、高齢者虐待の相談、通報の窓口となります市町への支援としまして、市町職員の対応力向上のための研修、対応が困難な事例などの専門的な助言を行うほか、県民を対象としました虐待防止啓発セミナーなどの取組を実施しているところでございます。また、認知症の方を介護する御家族が気軽に相談できるよう、電話相談であったり、あるいは介護の集いなどの取組も実施をしているところでございます。
こうした取組を通じまして、引き続き、高齢者虐待の防止に努めてまいる所存でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)もう一度、再質問をさせていただきたいと思います。
介護者の状況、介護者の属性について、
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
全国の状況になりますが、令和4年国民生活基礎調査では、同居している家族が介護をしている割合は45.9%と最も高く、次に、介護事業者が15.7%という状況でございます。
また、同居で介護している者の続柄でございますけれども、配偶者が49.9%、子が35.3%という状況でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)確認なんですが、配偶者が49.9%、子供が35.3%ということでしたが、例えば子の配偶者であるとか、そういった方の介護というふうなパーセントというのは出ていませんでしょうか。
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 子の配偶者でございますけれども、全体に占める割合が5.4%でございますので約10%弱という状況だと認識をしております。
同居に占める割合は約10%だと認識をしております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)10%弱ということでしたが、今の、その介護に当たっている方が子であったり子の配偶者ということが、まさに働いている世代の方がやっぱり介護に携わっているということで、しっかりと介護をしながら働いておられるのかなというふうにも思いますし、また、介護のために離職されている方もその中に含まれるのかなというふうに思います。
国は早くから介護離職ゼロを掲げていますが、国の介護離職ゼロへの取組の状況を踏まえた本県の取組について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
国では、介護サービスの確保、そして、働く環境改善、家族支援、この2本柱として施策を立ち上げておりまして、これを踏まえて、県では介護施設をはじめとする様々な介護サービスの充実や、それを担う介護人材の確保、さらには、家族などへの相談、支援を行う地域包括支援センターの機能強化などに取り組んでいるところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)再質問させていただきます。
本県の取組の成果について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
本県の介護離職者数でございますが、総務省の就業構造基本調査によりますと、平成25年から29年までの5年間で5,700人という状況でございましたが、平成30年から令和4年までの5年間では4,700人と1,000人減少しておりまして、介護サービスを利用しながら働く、いわゆる介護と仕事の両立に向けた様々な取組の成果が、一定、表れているものと認識をしております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)それでは、本県における健康寿命はどのような状況にあり、平均寿命と健康寿命との差をなくすための今後の取組について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
本県における日常生活動作が自立している期間の平均であります客観的健康寿命でございますが、国の令和元年の調査では男性が81.07歳で全国の2位、そして、女性が84.61歳で全国7位という状況でございまして、全国的に健康長寿県であると考えているところでございます。
今後は、栄養バランスに配慮した食生活や運動の習慣化、睡眠時間の確保などの健康な人づくりや高齢者の活躍の場づくりを進めます健康なまちづくり、こういったことを推進しまして健康寿命の延伸を図ることによりまして、平均寿命との差を縮小してまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)少し再質問させていただきたいんですが、客観的指数と主観的指数というのがあると思うんですが、主観的指数のほうはどれぐらいになっているかというのが分かれば教えていただきたいと思いますが、
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
申し訳ございません、ちょっと手元にございませんが、ただ、客観的な健康寿命よりもかなり全国的な位置づけは低かったということで認識しておりまして、こういった点も今後の施策を進める上での観点かなというふうには認識をしているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)今、御紹介がありましたとおり、男性の平均寿命は全国1位、そして女性の平均寿命は全国2位、全国トップクラスの長寿県であるのは間違いないのかなというふうに思います。
健康寿命との差を、できるだけ乖離があるところを詰めていく、そういうことが非常に大事な取組かなというふうに思いますので、今後とも、どうぞよろしくお願いしたいなというふうに思います。
総務省の令和4年度就業構造基本調査によりますと、いわゆる介護離職者数は増加傾向にあり、10万6,200人に上っています。
そこで、本県における介護離職の状況について、
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
総務省の調査結果によりますと、令和3年10月から令和4年9月までの1年間での滋賀県全体の離職者数は、男性が2万7,100人、女性が3万800人ということで合計5万7,900人という状況で、このうち介護、看護を理由とした離職者数は男性が200人、女性が1,500人、合計1,700人という状況でございました。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)今、お示しいただいたとおりだと思うんですが、介護のために辞められた方が男性で200人、女性で1,500人ということですかね。そういった介護のために離職をされる方が傾向としては増加傾向にあるのかなというふうに私は思っているところでありますが、介護離職者をなくすため、介護者への負担軽減について本県の取組について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
家族の介護負担軽減のためには、医療福祉サービスの活用に加えまして、悩みを気軽に相談できる環境づくりであったり、家族にとって特に負担感のある認知症への対応の充実が必要、重要だと考えております。
このため、県では在宅での生活を支える様々なサービスがあることをしっかりと周知しますほか、介護家庭への訪問や介護技術教室、あるいは認知症サポーター養成など、市町が取り組む事業への支援、そして、認知症に係る相談窓口の開設などによりまして、介護を行っている家族の負担軽減に取り組んでいるところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)今後、進めていただかないといけないことなのかなというふうに思っています。
中小企業における、こういった介護離職等で職場を離れられる方、また、そういうふうな企業において支援ってなかなか厳しいものがあるのかなというふうに思っていまして、ある意味、大企業である本県の職員について、先日もボーナス支給の話で、対象職員1万9,000弱ぐらいの職員にボーナスが支給されたというふうな報道がなされている中で、ある意味、大企業である滋賀県職員の介護休暇、短期介護休暇について、総務部長にお伺いしたいと思います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
知事部局での介護休暇の取得者についてでございますが、こちらにつきましては、ここ5年間で合計6名が取得をしておりまして、その内訳といたしましては、平成30年度が2名、令和元年度が2名、令和2年度は1名、令和3年度は1名、令和4年度が取得者なしとなっているところでございます。
また、短期介護休暇の取得者につきましては、ここ5年間で合計214名が取得をしておりまして、その内訳といたしましては、平成30年度が32名、令和元年度が38名、令和2年度は40名、令和3年度47名、令和4年度が57名となっているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)横ばいというか、あまり過去と比較しても変わっていないのかなというふうに思いますが、今の介護休暇、短期介護休暇の制度の内容について、総務部長にお伺いしたいと思います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
介護休暇につきましては、民間でいう介護休業に対応する制度でございまして、介護を要する家族等の介護のために通算6月までの期間を3回まで分割して取得できる制度でございまして、一定期間以上の休暇が必要な場合に活用できる制度となっているところでございます。
また、短期介護休暇でございますが、こちらは民間でいう介護休暇に対応する制度でございまして、介護を要する家族等の介護のために、1年ごとに5日までを限度として取得できる制度となっておりまして、これらの制度を活用しながら、職員が仕事と介護を両立できる職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)それでは、滋賀県職員の介護離職の状況について、総務部長にお伺いいたします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
知事部局での定年以外の年度末の退職者のうち介護を理由としたものは、ここ5年間で計26名でございまして、その内訳といたしましては、平成30年度が4名、令和元年度は6名、令和2年度は3名、令和3年度は7名、令和4年度は6名となっているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)やっぱりここでも介護離職というふうな問題が出てきているのかなというふうに思っていますし、滋賀県の職員におかれましても、介護休暇、短期介護休暇の取得が、必要がないのかどうかは定かではございませんが、また、こういうふうな制度の周知というか、そういうことが中小企業によって、それぞれの従業員さんにまで広がっているのか、周知されているのかというとこら辺も今後の課題かなというふうに思いますので、そういった方向に向けても県として取り組んでいただければいいのかなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
政府は、一億総活躍社会を実現するため、必要な介護サービスの確保を図るとともに、働く環境の改善や家族への支援を行うことで2020年代初頭までに介護離職をなくす介護離職ゼロを目指していますが、なかなか厳しいものがあるかと思いますが、この項の最後に、本県の介護離職に対する知事の所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
家族の介護を行うために仕事を辞めざるを得ないということは、県職員も含め、働く人の人生設計や生活への影響にとどまらず、企業、さらには地域経済、社会活動にとって大きな損失であり、仕事と家庭事情を両立できる環境づくりが重要と認識しております。
後ほどビジネスケアラーという観点でお取り上げいただくという、この両面、そういった課題だと思っておりますが、そのため、引き続き、介護サービスの基盤を整備するとともに、地域包括支援センターによる家族介護者への相談、支援の充実などにより、仕事を続けたいと望む人が介護を理由に離職することなく活躍できる社会の実現を目指してまいりたいと存じます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)知事のおっしゃったとおりだと思いますし、今後とも、またそういった取組をしっかりとやっていただきたいと思います。
この後、今、知事から御紹介ありましたとおりビジネスケアラーについての質問もさせていただきますので、その中で、また御答弁いただければいいのかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、働きながら家族等の介護に従事する労働者、ビジネスケアラーについて、一問一答で知事、商工観光労働部長に質問させていただきます。
超高齢社会の日本において生産年齢人口の減少が続く中、ビジネスケアラーの数は増加傾向であり、介護に起因した労働総量や生産性の減少が日本の労働損失に有する影響は甚大であります。
経済産業省は、ピークを迎える2030年時点で家族介護の数を833万人、仕事をしながら家族等の介護に従事するビジネスケアラーの数を約318万人になると推計されており、生産年齢人口の減少などに直面する我が国では極めて重大な問題の顕在化が進むと予測される中、ビジネスケアラー発生等による経済損失額は、2030年時点で約9兆円に迫ると推計が出ています。
また、2040年には団塊ジュニアと呼ばれる世代が後期高齢者となり、高齢者数のピーク到達に伴い、生産年齢人口が相対的に減少も見込まれ、現役世代の負担は増加する一方であり、公的保険制度による介護ニーズへの対応にも限界があり、また、その結果、多数の後期高齢者を支えるために社会保障、主に医療、介護、年金などが限界に達し、社会全体に負の影響がもたらされると考えられます。
そのような中で、今後も増え続けるであろうビジネスケアラーの支援は大変重要で、喫緊の課題であると考えます。そこで、働きながらも家族等の介護を幸せにできる環境を整えるため、今後の課題や取組についてお伺いいたします。
まず最初に、ビジネスケアラーが生まれる社会的な背景についてどのように捉まえているのか、ビジネスケアラー状況について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
ビジネスケアラーが生まれる社会的背景につきましては、高齢化による介護対象者の増加、少子化による介護の担い手である若い世代の減少、共働き世帯の増加、さらには社会政策としての在宅医療、在宅介護の推進が考えられるところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ビジネスケアラーの今後について、本県の状況を商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
国の就業構造基本調査によりますと、本県の令和4年時点の、仕事をしながら介護を行っている方、いわゆるビジネスケアラーは約3万人でございまして、この数値に経済産業省の増加率の試算を加味いたしますと、2030年頃に約3万7,000人になる見込みと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)御答弁で、今後、3万7,000人になるということですが、そういったことに対して、仕事と介護の両立の支援の必要性についてどのように捉えておられるか、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
経済産業省の試算によりますと、本県の2030年におけますビジネスケアラー発生による経済損失は約700億円と推定されているところでございます。この経済損失をできる限り抑制することが重要であることから、ビジネスケアラーが、仕事と介護の両立が可能となるテレワークの活用やフレックスタイム制などの柔軟な働き方ができる環境を整備することが必要であると認識しているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)700億円の経済損失があるということでしたが、今後、ビジネスケアラーがますます増加すると予測されますが、また、晩婚化や出産年齢の高齢化により、育児と介護を同時に行うダブルケアラーが今後ますます増えていくと思われますが、ダブルケアラーについての現状はどうなっているか、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
ダブルケアラーにつきましての正確な数字は把握できないところではございますが、就業構造基本調査によりますと、本県の、仕事をしながら育児を行っている方は約8万4,000人、先ほどの、仕事をしながら介護を行っている方は約3万人でありまして、それらを加味いたしますと、いわゆるダブルケアラーが県内にも相当数おられることと認識しているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)8万4,000人と3万人ということで、その中でダブルケアラーというふうな状況に置かれている方が、かなりの数いらっしゃるというふうにお答えいただきました。
昨今の人手不足が叫ばれる中、特に中小企業にとって、優秀な人材が介護により仕事を辞めなくてはいけなくなるという事態は避けなければなりません。
そこで、仕事と介護の両立を支援する取組について、市町とも連携を図りながら、ビジネスケアラーに対する相談支援体制の強化を行っていく必要があると考えますが、今後、県としてどのような取組をしていくのか、
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
就業構造基本調査によりますと、本県のビジネスケアラー約3万人のうち約8.6%の2,600人が介護休業制度を利用されているにとどまっておりまして、仕事と介護の両立支援につきまして、企業が相談できる窓口が十分に認知されていないことも要因の一つと考えられるところでございます。
このため、滋賀労働局とも連携しながら、企業に対し、円滑な介護休業取得や職場環境整備の相談窓口として国が設置しております仕事と家庭の両立支援プランナーの活用を促すとともに、関係部局や市町とも連携しまして、地域の福祉窓口の周知にも努めてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)介護をしながら仕事もするという中で、その職場の中において従業員さんが主体的に介護をオープンにできる企業はまだまだ少なく、介護を、従業員が抱える個人の課題として捉えるのではなく、企業の課題としても捉える意識変革が必要と考えますが、本県の、企業に対しての支援策についての取組を
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
企業に対します支援策といたしまして、まず、国では、育児・介護休業法に基づきまして、介護休業、休暇、残業の免除などの制度上の支援策を講じているほか、介護に関するパンフレット等の作成配布、相談窓口の設置、各種セミナーの実施など、両立支援に向けた施策を推進されているところでございます。
県におきましても、滋賀県産業支援プラザや滋賀県社会保険労務士会が実施いたします専門家の派遣によりまして、両立支援に向けた取組を支援しているところでございます。
現在、経済産業省におきまして、企業経営と介護両立支援に関する検討会を設置されまして、より幅広い企業が両立支援に取り組むことを促すためのガイドラインの策定を予定されているところでございます。こういった動きもしっかりと注視いたしまして、県としての施策の立案にも生かしてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)国もいろんな施策をやって、県のほうでもお取り組みいただいている状況なのかなというふうに理解はいたしますが。
経済産業省は、介護を個人の課題からみんなの話題へ転換することを目指すプロジェクトとしてオープン・ケア・プロジェクトを発足させました。本県は認識されているとは思いますが、今後の本県の取組に期待するところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
介護離職者をなくし、働きながら介護できるために、ビジネスケアラーの負担軽減について、本県のお考えを
商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
ビジネスケアラーが抱える不安や悩みは、民間事業者の調査によりますと、心理的負担が最も高く、続いて、介護度が上がることへの不安、物理的な負担、金銭的な負担となっているところでございます。こうした負担の軽減に向けましては、さきに答弁いたしました各種支援策をケアラー本人や企業、事業所に対してしっかりと周知し、その利用を促すことが肝要であると考えているところでございます。
先ほどの
健康医療福祉部長の答弁での取組と併せまして、介護のための柔軟な就労形態の制度を導入した企業を支援する国の
両立支援等助成金について、今年度、ケアラーへの個別周知や企業におけます相談体制の整備等に対する加算措置が新設されたところでありまして、こうした情報も県内企業へしっかりと届けてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)国ができること、県ができること、市町がやること、また、その市町がやることを県が支援すること、できることってたくさんあるのかなというふうに思いますので、今後もしっかりと、また県でも取り組んでいただきたいと思いますし、今までも、もちろんやっていただいているということは理解もしていますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
家族の介護に直面するのは40代から50代が最も多く、40代後半から50代の働く世代は管理職に就くなど職場で中心となって働いているケースが想定され、そういった人材の突然の離職は、社員本人だけではなく、社会や企業にとっても大きなマイナスとなってしまいます。そのために、仕事と介護の両立を可能とするための支援制度の整備は、社会や企業にとって、単に社員に対する福利厚生の充実にとどまらない重要な人事戦略と言えます。
最後に、ビジネスケアラーに対する知事の所見をお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) お取り上げいただき、やり取りしていただきましたとおり、介護を行いながら働き続けることは、労働者にとっては収入の減少やキャリアの中断、自らの健康も損なうおそれがあること、企業にとりましては人材の離職などを招くことから、仕事と介護を両立できる職場環境が整備されることがとても重要だと認識しております。これは、企業等が職場内でやるということと併せて、いろんな制度、社会全体で仕組みを整えていくということが重要だと思います。
各種施策を個人、事業所等へしっかりと届けるとともに、育児同様、介護についても社会全体の課題として取り組んでいくことが必要だと考えておりまして、優良事例の横展開や、関係者による両立支援について検討する場を設けるなどして、ビジネスケアラーを社会全体で支える滋賀の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)知事、御答弁ありがとうございました。
お話いただいた中で、私の思う、重複するかもしれませんが、県の支援としてどういうことができるのか、何をやっていただきたいのかと申しますと、まずは医療福祉、在宅のみとりの推進、望む場所で日常医療支援体制の整備などをお願いしたい。また、市町の現状分析や市町の保険者機能の発揮の支援、また、人材、介護職員も含めて、の確保育成、サービスを提供する基盤整備、介護されている介護者の離職も耳にするところではございますが、例えばその介護の仕事を楽にする介護ロボット、またICTなどの機器の導入の促進について、県として御支援いただければなというふうに思っていますし、地域包括ケアの推進、地域包括支援センターの取組の支援、また、高齢者虐待防止の推進、2024年を見据えた着実なサービス提供の体制づくりをお願いしたいというふうに思っています。
本県が目指す、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現、高齢期の暮らしを支える滋賀の医療福祉の推進と、誰もが生き生きと活躍できる共生社会づくり、みんなでつくる健康しがに向けて、しっかりと私も協力していきたいと思いますので、今後とも取組を、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
これで私の質問を終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、2番田中英樹議員の質問を終了いたします。
次に、28番海東英和議員の発言を許します。
◆28番(海東英和議員) (登壇、拍手)28番、自民党の海東英和であります。
通告に従いまして、まず、第4期滋賀県教育振興基本計画について質問します。
第4期滋賀県教育振興基本計画が提案されました。滋賀県教育の夢や志、そして、滋賀の特性を考えた施策が編集されたことと存じます。これは、誰が読んでも理解ができ、具体的なイメージを共有できることが大切です。議論の経過も含め、お尋ねし、文章化されていない滋賀県の意思を御答弁によって承りたいと存じます。
以下全て、提案者の知事にお尋ねします。
まず、国の計画との整合性について。
人口減少局面において複雑さが加速する現代において、社会教育が様々な地域課題を解決する手法として有効と再評価され、生涯学習と社会教育を両輪にしてウエルビーイングを向上させていこうとする国の政策は文科省第4期計画の肝だと思います。このことは本年3月の予算委員会でも申し上げ、基本計画に向け、熟慮していくと教育長の答弁をいただきましたが、提案された第4期計画には社会教育の項目が立っていません。本県計画の策定趣旨に国の第4期教育振興基本計画を参酌するとうたっているにもかかわらず、文科省案や他府県の計画を、どの程度、参酌されたのでしょうか。
一つのキーワード、ウエルビーイングの記述についても、文科省は日本社会に根差したウエルビーイングの向上とし、日本発の調和と協調あるウエルビーイングの発信と明記しています。国の計画の狙いを読み取り、滋賀県はウエルビーイングの向上をどのように表現し、どのような戦略で実行するのでしょうか。
参照した福井県や京都府の最新の教育振興基本計画には社会教育という項目が立っています。県計画には、社会教育主事、社会教育士を養成するなどの文章はあるものの、その社会教育士によって何をしていくかが整理されていません。国のCOCOLOプランでも、不登校の児童生徒の多様な学びの場や居場所に公民館、図書館等の社会教育施設を活用するとしており、北部振興など社会課題への取組にも社会教育は欠くことができません。
本県計画策定段階で、知事は国の動向等、どのような説明を受け、滋賀県の社会教育について考察し、提案に至ったのか、問います。
次に、第4期計画を定めるに当たり、1期からの滋賀県の計画の積み重ねを評価、継承し、新たな志を盛り込んだのかについて問います。
平成21年の最初の基本計画では、教育の範囲を、教育を受ける場所に関わらず家庭教育、学校教育、社会教育を含むとし、乳幼児期から高齢期までを対象としていましたが、第4期計画では教育の守備範囲が混乱しているように思います。
スポーツの分野でも、世界における日本人選手の活躍は、これまで、緊張に押し潰された時代を脱し、スケボーやダンスなどの若者が世界の壁を突き破り、MLBの大谷翔平選手がプロスポーツ選手最高額で契約するなど、そして、桐生選手が日本人初の100メートル9秒台を出したこともさることながら、滋賀県出身選手がオリンピックやパラリンピックで金メダルを勝ち取るなど、夢のレベルも飛躍的に高くなってきています。国スポ等に向かう中、スーパーアスリートを育てる心意気も、遠慮してか、書かれていません。
実績を踏まえて、第4期の教育対象、目標、到達点をどのように考えられたのか、説明を求めます。
次に、社会の変化に対する定義づけについて問います。
先般、子供の教育は親の責任、社会の責任をめぐり、ある市長さんが一方的に批判にさらされる事案がありました。家庭や親の在り方、自助、互助、共助、扶助、公助などの社会認識の境目が変わってきています。
ネットで拝見した登別市の次世代育成支援は、父母その他の保護者が子育ての第一義的責任を有するとの基本認識の下に、国、道、市町村、職場や地域社会を含めた社会全体で担い手として協働するとの一連の整理があり、大変分かりやすいと思いました。
本県計画策定に当たり、滋賀県は家庭や親の責務についての認識を、そして、それらの変化をどのように整理したのか、問います。
重ねて、義務教育の位置づけも変化しました。不登校児童生徒が学校に行かなくても、他の受皿に配慮し、出席扱いも可能とする世の中になりました。公教育の担う役割と責任について、コペルニクス的転回というか、学校教育の考え方が宙ぶらりんになっているやに感じます。
平成28年に教育機会確保法が出来て7年がたちますが、子供の受皿となるフリースクール等の位置づけが文科省ですらできないままであり、財政的支援の在り方も確立していません。
昨年、特別委員会で川崎市を訪問し、フリースクールの運営を見聞しました。子供たちの心には学校に戻りたいとの意思がしっかりとあり、それぞれに努力している様子、そして、その児童生徒に絶妙に関わっておられる公設民営型の施設運営は、フリースクールへの懐疑的なまなざしの曇りを払ってくれました。
滋賀県は、多くの教員を採用し、公教育現場を担ってきました。今般、じくじたる思いもあるかと存じますが、学校以外の子供たちの学びを保障する場を認め、フリースクール等への行政の適切な関与の在り方を明示しなければなりません。全国知事会の子供政策をリードするお立場からも、COCOLOプランの先を具体化して、全国の範となる指針を提案することが期待されます。
教育の大転換期を迎え、目の前に事象がある県が、民間フリースクール等の存在個々をきちんと確認し、肯定し、条例等で位置づけ、基本計画において行政の関与、支援、連携、協働する内容を明記すべきと考えます。知事の御所見を伺います。
次に、知事は不登校児童生徒の親への費用助成をしている自治体に対して、新年度当初予算から助成をすると発表されました。報道で知りました。来年度からの、学校へ行かない子供たちへの学校以外の場所に行く支援を、憲法89条違反ではない形で公費を投入する以上、法的背景を整理して、どのような基準で運用するのかを明らかにする必要があります。
現状は、市町の判断により、フリースクール等を出席として扱い、財政支援をしている自治体と、国や県の整理、方針を待っている自治体とが並立しています。来春実施だと、出席扱いの基準や、どこまでを支援の対象にするのか等、本来、本計画にしっかり記載されていてしかるべきです。フリースクールを運営する団体本体への支援を求める声も上がっています。受皿となる社会教育施設の充実なども課題です。
COCOLOプランを超えて、滋賀県が学びと居場所の保障プランでどう腹をくくるか、まさに世紀の重大局面です。誰一人取り残さないために、せめて正月明けには出席扱いの基準なりを定めて、令和6年度から全ての県下不登校児童生徒に使える制度を提案していくことが必要です。
財政部局も、基準もないままで新年度予算の予算化はできないと思います。第4期計画に書かれていない現在進行形の課題について、どうするのかを問います。
次に、今年から中体連の大会にスポーツクラブのチームが正式に参加できるようになり、大きな地殻変動が起こっています。学校の部活動が生徒不足で成り立たない地域などで、学校域を超えて、クラブチームが活動の受皿となる場合は、一定、理解がしやすいですが、中学校の部活も熱心に成立しているエリアでは、市町域をまたいで、専ら専門性の高い指導者に費用を支払い、指導を受けて、民間経営で取り組んでいるクラブチームと対戦することが始まります。第4期計画では、そのような生徒たちや親や顧問の先生方の直面するリアルな状況を反映できていないと思います。部活動の地域移行への進め加減をしっかり伝え、部活動の未来を指し示す責任があると考え、説明と加筆を求めますが、いかがでしょうか。
食育に大きな期待を寄せて、もう10年以上、取り組んできました。文部科学省、農林水産省、厚生労働省、食糧庁など、それぞれが食育の取組を展開し、これまでの滋賀県の教育基本計画にも一定の記述があります。
明治の教育者、石塚左玄が提唱した知育、徳育、体育、食育という柱立ては大変有効だと考えます。滋賀県は日本一の長寿県であり、その心身の健康の根底をつくる食育について、本計画にも他の項目よりしっかり書かれていますし、お隣の福井県や京都府と並んで、教育の柱に食育を積極的に立てるべきと考え、再考を求めますが、いかがでしょうか。
また、『近江の心』に取り上げられている中江藤樹の第一の功績は、愚鈍な大野了佐にオリジナルテキストまで作り、まさに心血を注いで、命を削って一人前の医者に育てたことと言われています。個別最適教育の鏡のような事例です。近江の心にある良知についても、子供たちにこそ、生まれながらに備わっている良知を信じ、良知に問いかける生き方をちゃんと伝えてほしいと思います。
書きっ放しでなく、教育者が自分に引き寄せ、探求していく教材教育の取組が必要と考えます。どのような取組をお考えか、問います。
第2期計画の図書館活動では、県民1人当たりの貸出冊数全国一を誇らしく扱い、実際に平成25年には11冊を達成するという目標数字を掲げています。
以前、担当者に、再度、滋賀県が貸出冊数全国1位になるという気概はあるかと問いましたところ、思いはあるという御答弁でありました。本計画にその熱意が反映されているでしょうか。テンションが下がっていないでしょうか。知事のお考えはどうでしょうか。具体的な目標数値を掲げて県民が取り組んでいくことがすてきなことではないでしょうか。図書館活動で全国一の誇りを取り戻すことについて、知事に問います。
そして、注意喚起したいのは文化財教育の位置づけです。
他府県でも、文化財教育で地元に学び、文化財や史跡や祭りなどに関心を高め、継承者をつくることも積極的に位置づけています。滋賀県は、文化財行政が知事部局に移ったことで、教育振興基本計画における文化財に関係する内容が極めて薄くなっているのではと思います。これは丁寧に考えるべきことです。知事の御所見を求めます。
第1期基本計画から国際教育の取組があります。今般、トビタテプログラムを組織までつくって推進していきます。これから5年を見据えた基本計画には力を入れて明記すべきです。
ほかにも100歳大学やレイカディア大学など、老いていく学びをどうするか、また、以前は若者に「明日の親のための学級」という公民館活動もありました。今日的な若者政策をどうするか、また、デジタル社会での消費者教育も必要です。さらに、農──農業をする人のことですが、農の貴さや生産現場で働く人たちへのリスペクト、そして、武道や茶道や短歌や俳句の教育についても、滋賀県らしい取組目標を掲げることができると思います。
今申し上げた項目の扱いについて、知事の御見解を求めます。
滋賀県知事として、本計画の熟度は納得のいくものでしょうか。手続は経てきたけれど、知事も悩ましいことと拝察します。今風に言えば、今回の第4期滋賀県教育振興基本計画は伸び代があると思います。本計画の最終項に「計画期間中でも、本県の教育を取り巻く状況の変化に機動的に対応するため、必要に応じて計画の内容について見直しを行います」と明記されています。見直しについて、知事の見解を求めます。
隣のことで何ですが、京都府の計画には、日本一の教育環境をつくるとうたわれているところがありました。原稿を書く県の職員さんが対抗心を燃やしていただきたいというふうに思うのは私だけでしょうか。
結びに、県民や子供たちに、三日月知事の教育行政にかける夢をお聞かせください。
○議長(奥村芳正) 28番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)第4期の滋賀県教育振興基本計画について、13点、御質問いただきました。
まず1点目、計画案の説明についてでございますが、国の教育振興基本計画のコンセプトなどを確認した上で本県計画の策定を進めてまいりました。
社会教育につきましては、国の第4期教育振興基本計画では目標の一つに地域コミュニティーの基盤を支える社会教育の推進を掲げ、具体的な基本施策として、社会教育人材の養成や地域課題の解決に向けた関係施設、施策との連携等を掲げております。
本県計画案では、施策の3「みんなで学びに関わる」の項目において、社会教育人材の養成として、社会教育士の養成、育成を掲げ、地域での学びのコーディネート役を担ってもらいたいと考えております。また、関係施設や施策との連携に関しましては、本県の現状を踏まえ、図書館等の地域資源を活用した地域づくり支援を進めますとともに、地域住民、企業やNPOなどがそれぞれの立場から、共に学びに関わり、支え合う取組を通じて、つながりづくりや地域社会の活性化を図ってまいりたいと存じます。
2点目、教育の対象、その目標についてでございますが、計画案における教育の対象につきましては、家庭教育、学校教育および社会教育を包含し、生涯のあらゆる場面での教育活動が教育施策の対象と考えており、こうした考え方は第1期計画から変わるものではございません。
また、計画案におきましては、個別の施策についてそれぞれ目標を設定いたしますとともに、全般的な到達点といたしましては、子供たちの幸せ、教育に関わる皆さんの幸せ、社会全体の幸せの実現と考え、「三方よしで幸せ育む滋賀の教育」と掲げさせていただいているところでございます。
3点目、家庭や親の責務についてでございますが、教育基本法第10条において、保護者は子の教育について第一義的責任を有するとされており、家庭教育の基本認識となっております。一方、地域のつながりの希薄化や家庭環境の多様化が進む中、子育ての不安や負担感を抱え、自信が持てず、行き詰まり感を抱える家庭が増加しているという現状もございます。
県といたしましては、社会みんなで家庭教育を支える体制の構築が重要であると捉え、基本計画の柱Ⅲに「みんなで学びに関わる」を掲げ、家庭に寄り添い、共に学び合い、子供の育ちを支えていく取組を推進することとしております。
4点目のフリースクールについてです。
フリースクールは、学校に行きづらい不登校の子供にとって学校外の学びと居場所の一つとして大切な機能を果たしている場所と捉えております。第4期教育振興基本計画では、フリースクール等民間団体については連携対象として位置づけております。今後、しがの学びと居場所の保障プランの検討の中で、議会はもとより、市町、関係者の御意見を承りつつ、フリースクールとの連携の在り方についても考えてまいりたいと存じます。
5点目の運用基準についてです。
フリースクールに通う子供が出席扱いとなるかどうかにつきましては、子供一人一人の活動状況や相談状況等が国の定める要件を満たしているかどうかを学校長が判断することとなっております。出席扱いの基準につきましては様々な御意見等があることから、引き続き、関係者の御意見も伺いながら考えてまいりたいと存じます。
また、フリースクール等への財政支援につきましては、今後、議会はもとより、市町、関係者の御意見を伺いつつ、フリースクール等を活用する家庭への支援について個人助成を行う市町への支援策を考えてまいりたいと存じます。
6点目の部活動についてです。
部活動の地域連携、地域クラブ活動への移行が推進される中にありましても、生徒自らが望む活動機会の確保が必要であると認識しております。現在、県ではこの基本計画を踏まえ、生徒にとって望ましいスポーツ、文化芸術活動の機会確保に向けた考え方を示す方針の策定を進めているところです。学校の部活動に所属する生徒も、地域クラブに所属する生徒も、それぞれが希望する大会や発表会への参加など、活躍できる機会が確保できるよう、関係団体等と連携して取り組んでまいります。
7点目の食育についてです。
子供たちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくためには何よりも食が重要であり、食育は生きる上での基本であって、知育、徳育および体育を支える基礎となるべきもので、大変重要であると考えております。
現在、滋賀の食文化を生かし、地場産物や湖魚の活用、郷土食を取り入れる等、学校給食を中心とした食育が計画的に実施されておりますほか、朝食摂取状況を継続的に把握し、家庭や地域との連携を図っているところです。
今後も、幼少期から食の大切さを学び、発達段階に応じた食育の推進を図ってまいりたいと存じます。
8点目、教育者が近江の心を生かす教材を使った教育ということについてでございますが、滋賀の教職員の皆さんが子供たちに寄り添い、子供たちの学びたいという思いを大切にすることや、一人一人に応じた指導を心がけることなど、まさに近江の心の教えに倣い、学校教育の充実、活性化につなげていただくことが大切であると考えているところであり、また、現にそういった実践が様々行われていると承知をしております。
次に、9点目、図書館活動についてでございますが、滋賀県は全ての市町に図書館が設置され、図書館ネットワークを通じて、協力しながら図書館サービスの提供に努め、県立図書館がその活動をバックアップするという仕組みを構築しております。県立図書館におきましては、資料の充実をはじめとしたサービスの推進、司書の資質向上に努めるなどして、県民の読書を支えているところです。
議員御指摘の、具体的な目標数値を掲げて取り組むことも一つの手法ではございますが、具体的な数値にとらわれず、常に増加を目指すという決意で、市町と共に、図書館活動の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
10点目の文化財についてです。
計画案におきましては、滋賀の豊かな自然、歴史、文化に親しむ学びの推進に取り組むこととし、施策の一つとして、文化財を学びに活用することを位置づけているところです。また、滋賀県文化財保存活用大綱におきましても、多彩な歴史、文化の学びを通じて、ふるさとへの誇りや愛着、地域とのつながり等を育むことができるよう、学校教育、社会教育の中で文化財を活用していくこととしております。
引き続き、関係部局の緊密な連携の下、先人から守り伝えられてきた貴重な文化財を学びに生かす取組を推進してまいりたいと存じます。
11点目、計画の書き方の工夫についてでございますが、議員から御指摘のあった事項のうち、例えばトビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラムにつきましては、外国語教育の充実およびグローバル社会で活躍するための学びの充実の取組の一環として、高校生の海外留学の促進に取り組むこととしております。
その他の事項につきましても、生涯学習の振興や主権者教育等の推進、キャリア教育、起業家教育の推進、滋賀の豊かな自然、歴史、文化に親しむ学びの推進として取組を位置づけたところでございます。
議員御指摘のように、あらゆる教育施策を網羅することは困難でございますが、この計画案では教育施策全般の今後の方向性を示すことが重要と考え、作成に当たり、意を用いてまいったところでございます。
12点目、ブラッシュアップの実行についてです。
今回お示ししている計画案は、丁寧に検討を重ね、取りまとめてきたものでございます。しかしながら、複雑性や不確実性が増している時代にあっては、計画に基づく施策の推進において新たな課題が生じることも十分に想定されますことから、情勢の変化に的確に対応し、機動的に措置を講ずることが重要だと認識しております。こうした認識の下、計画案に記載しておりますとおり、必要に応じて計画の内容を見直してまいる所存であります。
最後、13点目、私からのメッセージでございますが、まず、子供たちには、一人一人がかけがえのない大切な存在であり、今を大切に、将来に向かって夢を持ち、可能性を広げていくことができるように教育施策に取り組むことを伝えたいと存じます。
また、大人たちには、子供たちのために、子供と共につくる「子ども、子ども、子ども」の視点を共有し、誰一人取り残されることがないように、連携して、愛情を持って取り組もうと呼びかけてまいりたいと存じます。
三方よしで幸せが育まれる滋賀県を目指し、皆さんと共に未来を拓く心豊かでたくましい人づくりに取り組んでまいる所存であります。
◆28番(海東英和議員) (登壇)第1期から4期、滋賀県の教育計画は進化しているかということを問いかけたつもりであります。起案をする人たちの責任、能力、意欲、そういうものが極めて大事だと思います。最後の決裁者の知事に行くときに、これからのよい計画をしっかりつくっていただくようにお願い申し上げまして、そして、文章の向こうに現場があります、人がいます、滋賀県の未来がありますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと申し上げて、次の質問に移ります。
教育振興基本計画の実行段階の判断について、副題「そこに愛はあるんか」について質問します。
第4期教育振興基本計画を審査中です。三方よしなどを幾らうたっていても、担当者が冷たい心で判断をすると、サービス利用者が失望するだけでなく、滋賀県教育委員会の手戻りももたらし、財政的な損失にもつながることがあります。
例えば国体のウエートリフティング会場となった県立安曇川高校のウエートリフティング練習場が、国体本番でもアップ場として使うこと、国スポまでの滋賀県の強化拠点となることを見込んで、2年前に建て替えが行われました。規模は、平家の25メートル掛ける10メートルぐらいと思っています。しかし、その施設には空調施設が設置されておらず、2年後に──今年、設置を考えることになりました。近年、猛暑で37度を超えると部活動などは、命の危険があるとの判断から活動を自粛することを求められます。このことを教育委員会が知らないはずはありません。しかし、高校部活動の施設には空調は入れない平等を守る必要があるとの、どの段階の判断か分かりませんが、縮み志向で設置しないことに決定しました。片や、地元材を使うとか、一部は割高な材料も使って完成したのであります。実際、練習場は、夏場は40度を超える日もあり、重量物を上げる競技の特性からしても大変危険であるとの観点から、2年後に設置の判断をすることになったのであります。
完成後の工事は、諸経費をはじめ新たに必要になるので、割高になると考えられます。電源容量の見直し、壁に穴を空ける工事など、設計を一から起こし、後任職員の手を煩わすことになります。あのときにかたくなな担当者の狭い視野を周りが広げることができていれば、子供ファースト、競技者ファーストで考えていたらと思われてなりません。最小限の経費で最大の効果を目指す地方自治法の精神からして、明らかな判断の誤りだと思います。これは組織風土の問題だと私は思います。教訓となっていますか、教育長に問います。
2つ目は、今年の4月、新学年が始まったら医療的ケアが必要な児童の関係者から相談が来ました。昨年は、医療的ケア児が養護学校から帰途に医療的ケア施設に帰れていたのに、新学年からはそれを許さない決定があり、必ず自宅に送り届けなければならないと県は運用を厳格化し、徹底する決断をされ、困っているとのことでした。子供ファースト、支援家族本位に考えたら、毎日しんどい思いをしているお母さんや家族を助け、子供の安全が確保される方法は何かということでありますので、ナースが常駐し、医療的ケアができる専門施設が排除されるとの結論は導けないと思います。しかし、教育委員会は、三方よしとは違う、がっかりさせる運用を一旦決めたのであります。
このことをようやく7月から再検討していただき、2学期からは医療的ケア施設に送ってもらえると決まりましたが、9月になったら、養護学校現場に変更内容が伝わっていないとのことで、10月から医療的ケア施設に送り届け、そこへ、夕方、家族が迎えに行くことが許されるようになりました。なぜ上から目線で、半年もがっかりさせる必要があったのか。なぜこのことを判断する人が、御家族や医療的ケア児のために心を砕き、内部調整に努力され、年度初めから子供ファーストの仕組みにつなげることができなかったのか、教育長にお伺いします。
昨年の子ども議会で、守山の小学生が、授業が分からない人がいるので放課後に教え合う時間を取ってほしいと訴えられました。教育長が書かれた答弁だと思いますが、愛のない表面的な答弁をお読みになる場面は、私は歯ぎしりをしました。この教え合う時間というすばらしい提案を葬るようでは、分からないと言える学校づくりなどと、どの口が言っているのかと言いたくなります。
学力・学習状況テストで、小学校の国語が分からないと答えている生徒が15%あります。1クラス35人で考えると5人の生徒が分からないまま放置され、より分からない学習を強いられている状況。数字の向こうにある痛みを感じ取れているでしょうか。
数学者の藤原正彦先生が、子供の教育は一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数と、人にとって国語力は全ての根幹となる能力だとおっしゃっています。小学校低学年の国語教育にターゲットを絞って、分からない子供を減らす具体的な施策が必要だと、自民党でも、川島議員をはじめ、何度も訴えてきています。今回の学校図書館についての御質問もまさにそのとおりだと思います。分からない子がいることは数字で分かるのに、そして、どの子が分かっていないかはタブレットで分かるのに、なぜ手をこまねいているのか。全国学力・学習状況調査に表れる子供たちの状況を直視した政策を真っ正面から教育振興基本計画に記述し、なぜ取り組もうとしないのか、教育長に質問します。
皆さんの頑張っておられることは十分承知しているつもりです。辛辣過ぎるかと逡巡しましたが、全て、それぞれの現場で起こっている事実です。大切なことを曖昧にしたり、先送りしたり、時に愛のない判断で子供をがっかりさせるような弱さや甘えを減らすように、現場に神宿るとか細部に神宿りたまうなどと先人は言いますが、マインドセットの転換が必要と考え、教育長に御質問申し上げます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)教育振興基本計画の実行段階の判断につきまして、私に頂きました4点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、安曇川高校のウエートリフティング場についてでございますが、空調につきましては、今後の大会等の利用を見据えまして、追加で整備することとしたものでございますが、議員御指摘のとおり、建設時に併せて整備しておれば、より早期に子供たちが快適な環境で競技に取り組めたものと考えております。
今回の教訓を生かしながら、今後とも施設整備に当たりましては、施設の目的や将来の利用の在り方などを踏まえて、必要な設備を整備してまいりたいと考えております。
2点目の、医療的ケア児の支援事業の改善についてでございますが、本事業につきましては、数年にわたる実証研究を行い、令和2年度から対象児童生徒のいる全ての市町で実施できますように制度設計を行い、自宅と学校間を対象にして、市町に委託の形でお願いをしてきたところでございます。
事業開始から3年を経過し、様々なお声を頂いておりますことから、この制度の運用につきまして、各市町担当者との意見交換のほか、保護者アンケートを実施いたしまして、改善点について検討を進め、少しでも早く保護者のお声に対応できるよう、2学期から試行という形で改善に努めさせていただいているところでございます。
議員の御指摘は真摯に受け止め、今後とも児童生徒や保護者のお声を傾聴しながら、子供たちが安全・安心に学べる環境づくりに取り組んでまいります。
3点目の、授業が分からない子供を支援する施策についてでございますが、第4期教育振興基本計画では、国語をはじめとして全ての教科において、子供一人一人の興味、関心や学習の状況に応じた指導の充実により、基礎的、基本的な知識や技能の定着を図ることが重要としております。そのことから、子供一人一人の状況を担任教員等が的確に把握することに努め、子供たちが主体的に学習に取り組むことができますように適切に指導することで、全ての子供たちが、分かった、できたと実感できる授業となるよう、授業の改善や研究に努めることが大切であると考えております。
また、学級での話合い活動を通じまして、子供同士が互いに学び合い、助け合う取組も併せて進めてまいりたいと考えております。
最後、4点目の、マインドセットの転換についてでございます。
何よりも子供たちを第一に考えて教育施策を遂行することが肝要でございまして、全ての教職員におかれては、こうした思いを持って日々の職務に当たっていただいているものと認識をいたしております。
教育施策の遂行に当たりましては様々な判断を下さなければなりませんが、その判断が子供たちの最良のものとなりますように、私自身、県内の全ての子供に対し、愛情を持ってしっかりと努めてまいる所存でございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)知事の代わりとして、教育長の代わりとして現場を掌握して担当する方が、どうかしっかりとその思いを、愛を持って判断し、また、現場を守っていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
最後に、大阪・関西万博に向けたヨシ刈りイベントについてお尋ねします。
12月2日、びわこ高島のヨシを守る会主催のヨシの刈取りセレモニーに、知事代理として琵琶湖環境部長が参加されました。琵琶湖のヨシを生かした糸が紡がれ、それが高島で織物となり、大阪の企業に採用され、万博協会の計らいで大阪・関西万博のユニフォームの一部に採用される運びと承りました。三日月知事も11月定例会の冒頭にこのことに触れられ、さぞ期待を寄せておられることと拝察いたします。
このイベントにどのような意味合いを感じておられるか、知事にお伺いします。
今後、知事の理解の下、万博滋賀県ブースでの活用や、関西広域連合などで琵琶湖のヨシの繊維がもっと活用いただけるように期待をします。
488日後に迫る万博開幕の場面を想像しながら、滋賀県の万博に向けてのさらなるアクションについて、トップセールスマンの知事に伺います。
◎知事(三日月大造) ヨシ刈りイベントにつきまして、2点賜りました。
まず1点目、イベントの意味合いと展開ということについてでございますが、このイベントは大阪・関西万博のスタッフ用ユニフォームの素材の一部として利用される琵琶湖のヨシを刈り取る催しでございまして、水質の改善など、環境保全に資するヨシの重要性やヨシの新しい活用方法を国内外にPRすることを目的として開催され、県内外から多くの参加者が参加されました。
今回刈り取ったヨシを活用したユニフォームを大阪・関西万博でPRすることを通じて、琵琶湖のヨシを知っていただき、ヨシ製品の利活用の拡大を図りますとともに、万博に御来場の皆様に持続可能な未来について考えていただく契機となることが期待されているところでございます。
2点目、万博でのヨシの活用についてでございますが、万博は、滋賀の魅力を国内外の皆さんにお伝えし、滋賀県へいざなう大変貴重な機会だと認識しております。そうした中で、万博のユニフォームに琵琶湖のヨシが使用されることは、琵琶湖や滋賀県に興味を持っていただくチャンスだと考えております。
このため、例えば会場内での展示や催事でのヨシの使用、あるいはヨシを使った記念品の配布など、ヨシの活用について検討してまいりたいと存じます。また、琵琶湖のヨシを全国の会場との水のつながりの象徴と捉え、様々な展開ができるのではないかと考えているところです。
万博の会場にとどまらず、ぜひ、滋賀県にお越しいただき、ヨシをはじめとする琵琶湖の持つ豊富な魅力を多くの方々に感じていただけるよう、検討してまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、28番海東英和議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時9分 休憩
────────────────
午後1時10分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、14番赤井康彦議員の発言を許します。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇、拍手)私は、今定例会に際しまして、大きく1点に絞り、質問させていただきたいというふうに思います。理事者の明快なる御答弁をお願いし、質問を始めてまいりたいと思います。
彦根城世界遺産登録について質問いたします。
1992年に世界遺産暫定リストに記載されてから30年以上経過した中で、2007年に彦根城の世界遺産登録を推進する方策を考える懇話会が設置され、翌年──2008年には彦根市において彦根城世界遺産登録推進室が新設されました。2014年からは、滋賀県教育委員会から文化財専門職員が彦根市に派遣されるとともに、県と市の連絡調整会議と作業グループが設置され、2020年に滋賀県と彦根市が世界遺産登録に関する協定を締結したところであります。そして、今年、国内推薦が決まるかと思っていたところ、ユネスコの諮問機関が事前に関与して評価する事前評価を活用して登録を目指すこととなりました。今年の9月5日には彦根城の世界遺産事前評価申請書を提出され、三日月知事もコメントを出され、「彦根城の世界遺産登録の実現に向けて邁進し、世界遺産にふさわしい湖国、滋賀を育み、世界に発信する決意を改めて心に誓ったところです」と力強くコメントされており、心強く思っているところでもございます。早くても2027年に世界遺産に登録されますが、来年10月にも事前評価における結果が示されるとのことであり、この数年の取組が非常に重要なこととなることから、以下、質問してまいります。
まず、滋賀県と彦根市の予算配分は、彦根城世界遺産登録推進協議会へ1,650万円ずつの案分であり、協議会の運営や調査の研究、機運の醸成などのための予算であるとされておりますが、予算面から見れば、どちらが主体なのか分かりません。実質の主体はどこになるのでしょうか、
文化スポーツ部長にお聞きいたします。
○副議長(有村國俊) 14番赤井康彦議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) (登壇)お答えいたします。
彦根城世界遺産登録に向けましては、令和2年の2月に県と彦根市が協定を締結しまして、相互に必要な体制を整備の上、共に連携しながら、それぞれが主体的に事業を進めていくこととしたところでございます。また、この協定に基づきまして、実行組織として、同年5月に彦根城世界遺産登録推進協議会を設けまして、市との連携体制の下に、県がお預かりしております事務局におきまして推薦書の素案の作成や広域的な情報発信、普及啓発などの事業を推進しているところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)再質問させていただきますけれども、今、共に連携をしながらというのを一番最初におっしゃっておられました。
世界遺産を目指したり既に登録された地域等を調べてみますと、地域の都道府県庁が主体となっているように見えるんですけれども、彦根城世界遺産登録については、私自身が彦根市民であるからか分かりませんけれども、彦根市が主体的に動いているように見えますが、いかがでしょうか。
○副議長(有村國俊) 答弁者をお願いします。
◆14番(赤井康彦議員)
文化スポーツ部長にお願いします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
国内推薦の獲得に必要な推薦書の素案の作成や、昨年度、米原で開催しましたシンポジウムのような広域的な情報発信などは県が事務局を担います協議会で行うこととしております。
一方で、登録を目指している構成資産などの保存活用に係る様々な計画の作成や彦根市内における機運醸成などは市が行うこととなっております。そのような基本的な役割分担を決めた上で、両者が柔軟に連携、補完し合いながら、それぞれ主体的に取り組んでいるところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。
彦根市内における機運醸成は彦根市がやるというのは、後ほどつながってまいりますので、質問したいと思います。
次に、国の文化審議会世界文化遺産部会が7月4日に意見を出され、彦根城の課題について3点、意見されております。
1つ目、物証に基づいた具体的な記述に加え、彦根城が近世日本の統治体制を表す城郭であることの説明をより深めること、2つ目、近世城郭が約180存在した中で、主張する価値に照らし、なぜ彦根城がその代表となるのかについてさらに明確に説明すること、3つ目、暫定一覧表記載が長期間を経ていることから、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスとの対話を通じて顕著な普遍的価値をさらに明確化することとされておりますが、御指摘された御意見というものは以前より問題となっていた課題ではなかったのか、
文化スポーツ部長に見解をお聞きしたいと思います。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
今年の7月に国の文化審議会から示された意見はこれまでも指摘された内容ではございますが、課題がより絞り込まれてきたものと受け止めております。
この課題の解決に向けましては、イコモスとの対話を通じて取り組むことが有効とされたことを受けまして、このたび、国との連携の下で事前評価の申請を行ったところでございます。よい評価を得られますように、引き続き、国や市と共に力を尽くしてまいります。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)加えて、イコモスの評価次第では、その指摘に応じて提案内容の見直し、あるいは推薦の可否の検討も視野に入れて取り組むべきであるとの意見が出てきております。想定したくはないことでありますが、来年10月の事前評価の結果において芳しくない結果が出た場合、彦根城の世界遺産登録を断念することもあり得るのでしょうか、
文化スポーツ部長にお聞きいたします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
彦根城が我が国の世界遺産暫定一覧表に掲載されてから30年以上経過しております。これまでも数々の困難に直面し、一つ一つの課題を乗り越えて今に至っているものというふうに考えております。
今年の5月には、彦根城が世界遺産に登録されるまで粘り強く県と市が共に歩みを進めていくという決意を示した協定を新たに締結し直したところでございます。来年10月にどのような結果が得られるか、現時点では分かりませんが、県としては粘り強く取組を続けてまいりたいと考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)
文化スポーツ部長に再質問させていただきますけども、これ、最終的に決断は誰がするということになるんでしょうか。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
来年10月の事前評価結果を受けてからの判断となりますが、県と市で協議会を設置して推進しているというところでございまして、重要な方針については県と市で、合意の上で判断することになると認識しております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)分かりました。
次に、9月5日には彦根城の世界遺産事前評価申請書が国からユネスコに提出されましたが、来年10月の事前評価結果が示されるまではどのような動きをしていくのでしょうか、
文化スポーツ部長にお聞きいたします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
事前評価におきましては、イコモスからの求めに応じた追加の情報提供、あるいは申請内容に係る問合せへの回答など、国や市と連携しながら、イコモスとの対話を続けていくこととなります。
また、事前評価の結果を待つだけではなくて、イコモスとのやり取りを踏まえた推薦書の素案の磨き上げ、あるいは必要な資料の英訳の作業などにも取り組んでまいります。あわせまして、彦根城の価値や現在の取組状況につきまして県内外に広く周知するシンポジウムの開催などに取り組みまして、さらなる機運醸成に努めてまいります。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。
先ほども申し上げましたけれども、本来であると、今年の8月頃、夏頃に国内推薦が決まるかもしれなかったというような状況を踏まえますと、事前評価になったということで時間の猶予というものもあろうかというふうに思っておりますので、ぜひとも活発な活動等をしていただければというふうに思います。
それでは、次に、彦根城の世界遺産登録を勝ち取るまでには様々な活動をしていくことが必要でありますが、機運の醸成を図ることはとても重要であります。先般も「いよいよ世界遺産へ、彦根城」と銘打ったポスターやパンフレット、名刺サイズのPRカードなどが作成されております。配布先等は、ポスターやパンフレットが県内の博物館や図書館などとされ、PRカードは主に彦根市内中心となっておりますが、彦根市民だけでなく、滋賀県民にとって誇りのある世界遺産彦根城とするためにも、県民一体となっての機運醸成を図る必要があろうかと思いますので、引き続き、以下、質問してまいります。
まず、県内の世界遺産は比叡山延暦寺があるというものの、古都京都の文化財の中の一つのくくりがあるので、滋賀県の世界遺産としてのPRが弱いと感じております。比叡山延暦寺が世界遺産であるという県民の認知度はどれくらいのものでしょうか、
文化スポーツ部長にお聞きいたします。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) お答えいたします。
延暦寺の世界遺産としての県民の皆さんの認知度につきましては調査をしたものがございません。そのためにちょっと把握ができておりませんが、県といたしましては、観光パンフレットのほか、現在実施しております根本中堂の大改修事業におきましても、世界遺産としての延暦寺のPRに努めておるところでございます。
また、大津市や坂本観光協会などで構成されております比叡山坂本活性化事業実行委員会におきましても、観光パンフレットの作成やホームページの映像発信、また、世界遺産としての魅力発信に取り組まれておりますことから、多くの県民の皆さんに認知されているものと考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)この質問は、滋賀県民の中で世界遺産についてどれぐらい知っているのかと。比叡山延暦寺においては大津市周辺の方々の認知度が高いのじゃないかなというような思いで、県民の中では、やはり地域差があるんじゃないかなというふうに思っておりました。それが彦根城の世界遺産になると逆のことが言えて、地域差は、やはりこれにもあるんじゃないかと。地域差、そして温度差もあるんじゃないかというふうな思いで認知度の調査をしているかというような質問をさせていただいたんですけども、していないということでございますので、次に移りたいというふうに思います。
世界遺産登録は登録がゴールではなく、世界遺産を守り生かしながら持続可能な社会の実現を図っていくことが大切であります。彦根城の世界遺産登録は、彦根市のみならず近隣の市町の地域振興につながる重要な取組であることは、江戸時代に彦根城が平和を維持していた彦根藩領が広がっていた湖東、湖北地方においては一定の理解が図られ、湖東、湖北の経済団体が連携し、世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアムが誕生しているところであります。こうした取組を全県的に広げるためには県の主体的な働きかけが必要であろうかというふうに思いますが、残念ながら、現在のところ、そこまでの動きは見られません。
県と市が令和2年5月に彦根城世界遺産登録推進協議会を立ち上げた直後に、三日月知事は、彦根城の世界遺産登録の機運を醸成するために県民会議の発足を呼びかけられていたと仄聞しておりますし、報道等でも事あるごとに県民の機運醸成を述べておられますが、県民会議のような全県的な組織が結成されておりません。2018年には彦根市民による応援組織、彦根城世界遺産登録意見交換・応援1000人委員会が設立されており、市民の機運醸成に寄与しているところでありますが、滋賀県民全体においても機運醸成を図る必要があろうかというふうに思っております。県民全体で機運を醸成する県民会議を発足させることはできないのでしょうか、三日月知事にお伺いいたしたいと思います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
この取組は世界遺産に登録されて終わりではありませんで、まさに議員も御指摘のとおり、そこから新たなスタートとして、世界遺産を守りながら持続可能なまちづくりを行っていくことが大切であると認識しております。そのためには、行政だけでなく、県民、企業、団体など多くの方々が世界遺産の意義について理解を深め、一体となって保存、そして活用に取り組んでいくことが重要であります。
例えば議員も御紹介いただきました彦根城世界遺産登録意見交換・応援1000人委員会は個人の会員により構成されている団体で、彦根市民を中心としながらも、半数程度が市外の方と伺っており、彦根市から県全域へと活動の輪が広がりつつあると大変心強く感じているところです。自発的に活動されている団体の皆さんの熱意も大切にしながら、どのような形で県民全体の機運醸成を図るのか、また、県民参画の場をどうつくるのがよいのか、登録までのステップに応じて、また、その後の盛り上げのことも考えながら検討し、必要な組織を調整してまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ぜひ、拡大1000人委員会とか1万人委員会とか、そういうような形で、本当に滋賀県が主体となって、さらにつくっていただければなというような思いでございますけども、ちょっと再質問、三日月知事にさせていただきますが、機運醸成というふうに事あるごとにおっしゃっていただいておるかと思います。三日月知事の思う機運の醸成というのはいろんな方法があろうかと思います。パンフレットを配ったりポスター、それ以外に具体的に何があるか、考えがあれば教えていただきたいというふうに思います。
◎知事(三日月大造) それは、議員もおっしゃったようにいろいろあると思いますね。いろいろあると思います。そして、タイミングにもよると思いますし、主体もそれぞれでしょうから、何をやればどうなるということが必ずしもつながるものばかりではないのかもしれません。ただ、それは、先ほども答弁しましたように、いろんな段階に応じて、それこそ事前評価というのもそうでしょうし、絞り込まれて、国内推薦、いよいよ近づくというタイミングもそうでしょうし、タイミングタイミングに応じた取組というのが功を奏して、皆さんがいよいよかと、もしくは、その後どういうまちづくりにしようかということにもつながっていくんだと思いますので、そこはもちろんメディアの効果も大きいでしょう、SNSの活用も、当然、視野に入ってくると思いますし、従来型の紙媒体等もあるでしょうし、交通や観光と連動した取組、教育と連動した取組というようなこともあろうかと思いますので、そういったことが、全体的にぐっと底上げができるように努めていくということが肝要ではないかと考えます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。後ほどまた質問がありますけれども、機運醸成というものにおいては、やはりリーダーである三日月知事が発信するということも一つの大きな滋賀県民に対しての機運醸成になろうかというふうに思いますので、後ほど質問したいと思います。
さらに加えて、今年度、彦根商工会議所が大津や草津、守山の商工会議所に呼びかけて、この3団体に、世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアムに参加していただきました。三日月知事が構想する県民会議の結成が難しいのであれば、県内の経済団体の連携組織である世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアムの活動をサポートし、彦根城の世界遺産登録を全県的な取組に広げていただきたいと思いますが、知事に御見解をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 議員御紹介のコンソーシアムによる自発的な活動は、世界遺産登録に向けた推進力になるばかりか、登録後においても欠かすことのできない資産の保存活用のための活動へと引き継がれていくことが期待されているところでございます。そのため、県と市で組織いたします協議会といたしましては、引き続き、全県的な機運醸成に取り組みますとともに、今後もコンソーシアムの活動と連携していくことにより、相乗効果を生み出していきたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ、サポートをお願いしたいというふうに思います。
次に、彦根城の世界遺産登録を全県的な取組に広げるためには様々な分野にわたる連携が必要であります。例えば県内の経済団体の連携組織である世界遺産でつながるコンソーシアムの活動を県がサポートするためには、世界遺産登録の担当部署である文化財課彦根城世界遺産登録推進室だけでなく、産業部局との連携が必要であります。
彦根市においては、彦根城の世界遺産登録を実現するため、既に市役所内で横断的な連携を図っています。彦根城世界遺産登録推進室の職員には、文化財担当職員だけでなく、観光、都市計画、景観まちなみ、博物館の職員が兼務職員となっております。また、今年度には彦根城世界遺産登録推進室が事務局となり、観光交流課、地域経済振興課、住宅課、エンタテインメント課などの担当職員が集まり、世界遺産を生かしたまちづくりの取組を進めるための課題整理を始めております。
県においても、彦根城の世界遺産登録を滋賀県全体の地域振興につなげていくために、彦根城世界遺産登録推進室と関連部署との連携を図り、産業分野、観光分野、スポーツ分野など県庁組織全体で情報や課題の共有、施策の検討に取り組んでいただきたいと思いますが、県庁内の横断的連携について、知事に御見解をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 例えば国スポ・障スポの主会場となる平和堂HATOスタジアムの整備に当たりましては、世界遺産との共存を掲げ、全体の形や景観に配慮するなど、調和の取れた公園整備が実現しつつあるということは横断的連携の一つの象徴的な取組であったのではないかと捉えております。そのほかにも、観光や交通、広報など庁内関係部局が連携することはもちろん、交通や流通の事業者など企業とも手を携えながら機運醸成などに取り組んでいるところです。
今後も、国スポ・障スポ大会や大阪・関西万博等の機会も生かしながら、彦根城の魅力発信や滋賀県への誘客を図るなど、彦根城の世界遺産登録の取組を本県の文化観光推進につなげられるよう、県庁組織一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)おっしゃることはよく分かっておりますが、さらなる連携を必要とされていると思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
他県では世界遺産登録のために知事が積極的に活動されております。例えば新潟県と佐渡市は、文部科学大臣に就任されたばかりの盛山大臣を10月9日、祝日の日に佐渡金山にお招きして、新潟県知事と佐渡市長が盛山大臣に佐渡島の金山の世界遺産登録への理解を要請し、大臣はこの資産の世界遺産登録の意義を十分に認識されました。
彦根城の世界遺産登録を確実に進めるためには、世界遺産登録のキャスティングボードを握っている国に、彦根城を世界遺産に登録するという強い意思、決意を持っていることを見せることが不可欠であります。まして、お隣の京都に文化庁が移転されたのをチャンスと捉え、世界遺産に登録を目指している滋賀県の知事が積極的に動くべきかと思いますが、知事の御見解をお願いいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)動いてないですかね。もっと動く可能性があるという激励だと受け止めたいと思います。
今年3月、海外の専門家を招いた国際会議には私自身も参加して、直接、意見交換を行いましたほか、5月には平和堂HATOスタジアムでの彦根市との新たな協定の締結式において、彦根城を仰ぎ見ながら登録実現へ向けた強い決意を発信したところでございます。来年1月に開催予定の東京でのシンポジウムにおきましても、私から彦根城の価値や魅力、登録実現への思いをメッセージとして全国に向かって発信していきたいと考えているところでございます。
また、国との関係におきましては、6月に文化庁の都倉長官を本県にお招きいたしまして、彦根城を含めた文化財の保存活用、魅力発信、文化観光などについて意見交換させていただくなど、文化庁の移転を好機として、国との連携強化にも努めているところでございます。
今後、国内推薦、本推薦へとさらに高いステージに上がっていくことを見据え、なかなか難しい面もあると聞いておりますが、私自身も先頭に立って、彦根城の世界遺産登録の実現に向けて邁進していきたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)全くやっていないというふうには思っておりません。さらに、さらに、やっていただきたいという思いで質問をさせていただきました。
三日月知事はいつも一緒にやりましょうという言葉をおっしゃっておられます。彦根城の世界遺産登録においても、滋賀県民全体に、一緒にやりましょう、一緒に勝ち取りましょうというふうに訴えていただいて、これからも活発な、そして積極的な活動、運動をしていただきますことお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、14番赤井康彦議員の質問を終了いたします。
次に、27番周防清二議員の発言を許します。
◆27番(周防清二議員) (登壇、拍手)それでは、自由民主党、周防清二が義務教育の役割についてということで質問させていただきたいと思います。午前中にも海東議員のほうから、よく似たといいますか、教育についての質問がございましたけど、海東議員ほど高尚な質問はできませんので、私なりの質問をさせていただきたいと思います。
この10月から、不登校とかフリースクールに対して、非常にメディアがにぎやかになっております。不登校に対する県議会での議論というのは実は早くからされており、昭和62年から、登校拒否という言葉で議事録に残っており、フリースクールという言葉は平成14年から出ております。いじめなどは毎議会と言っていいほど議論されておるわけでございまして、私も令和元年の6月の定例議会において、ひきこもりについて議論をさせていただきました。
不登校生徒が年々増える中、国は平成28年に教育機会均等法を施行し、不登校生徒を国や自治体が支援し、登校のみならず、休養の必要性を認め、個々の状況に応じた支援を行うよう促し、不登校児童生徒の多様で適切な教育の機会として、不登校特例校や教育支援センター、夜間中学の設置を自治体で促進することが示されております。
県の調査によりますと、平成25年は小学生で400人程度が、30年には620人、昨年は1,270人と年々増えており、中学校では平成26年で1,000人まで減少傾向であったのに、令和3年からは大きく増えて、昨年は2,200人に迫っております。これは、コロナ禍による学校閉鎖を経験して、コロナ関係での長期欠席者も大幅に増えていることから、何かしらの関連があるのではと思われます。これだけ増えてくると、改めて不登校に着目して、あわせて、義務教育を考えてみたいと思います。
まず最初に、県内の小学校と中学校での最近の不登校者数は何人いるのか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(有村國俊) 27番周防清二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によりますと、不登校児童生徒とは、年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的理由等を除いた者となっておりまして、本県では、公立小学校では1,265人、公立中学校では2,120人でございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。もっと最近のデータが分かるかなと思ったんですけど、令和4年のデータということでございました。
それでは、それぞれ不登校の主な理由は何なのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げました令和4年度の調査結果によりますと、公立小学校におけます主な理由の1位は無気力、不安、2位は親子の関わり方、3位は生活リズムの乱れ、遊び、非行となってございます。また、公立中学校における主な理由の1位は無気力、不安、2位はいじめを除く友人関係をめぐる問題、3位は生活リズムの乱れ、遊び、非行となっているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)再質問させていただきたいと思います。
無気力というのはどのような状態を指すのか、教えていただければと思います。
○副議長(有村國俊) 答弁者を指定。
◆27番(周防清二議員) 教育長にお願いします。
◎教育長(福永忠克) お待たせいたしました。お答えをいたします。
無気力、不安とは、当該調査によりますと、無気力で何となく登校しない、登校の意思があるが、漠然とした不安を覚え、登校しないという状態をいうとなってございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)すみません、突然の再質問でございました。
何となく登校しない。要は学校が楽しくないということなんでしょうか。あと、親子の関わり方とか生活のリズムの乱れとか、家庭に課題があるのではないかと思われるような状況でございました。
欠席が、先ほど30日、年間ということでございましたが、欠席のもっと多い不登校者数というのは何人おられるのか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えします。
すみません、先ほどの御質問のちょっと追加で申し上げますと、不登校の要因は、学校に係る状況と家庭に係る状況、そして本人に係る状況と、3つに大きく区分されておりまして、このうち本人に係る状況の中に、先ほど御答弁申し上げました無気力、不安というのがございますので、学校とか家庭以外に、本人に関わる状況ということでございます。失礼いたしました。
ただいまの御質問にお答えいたします。
令和4年度の調査結果によりますと、不登校で年間90日以上欠席のある児童生徒につきましては、公立小学校では528人、公立中学校では1,208人でございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
90日以上休まれると進級とか卒業に影響してくるんではないかなと思うんですけど、どのように対応されているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学校教育法施行規則によりますと、進級や卒業につきましては、各学校の校長が児童生徒の平素の成績等を評価し、認定することとなってございます。欠席が著しく長期にわたる不登校児童生徒につきましては、あらかじめ保護者等の意向を確認するなどの配慮をしながら、校長が弾力的に認定を行っているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。校長先生の御苦労が何かしのばれる状況でございます。
親としては、我が子が学校へ行かないとなれば、焦り、うろたえ、悩みます。ここで誰かに相談する相手がいればましなんですが、なければ、我が子の心と体を守るために、学校へ行くことが子の最善の利益ではないと判断して休ませるという流れになるのではないかと思います。学校教育法の第6条の2で、「学校においては教育を受ける者が学校生活で必要な規律を重んじ、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視しなければならない」とありますが、それができていない現状であろうかと思います。
不登校生の受皿としてフリースクールが注目されております。特に、先ほど申しました10月17日に行われた不登校対策をテーマにした首長会議での議論により、フリースクールに対する注目が一気に高まり、私もそうですが、あらゆるところでこの話が議論されるようになりました。
まず、フリースクールとはどのようなところなのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
フリースクールに関しましては法令等の明確な定義があるわけではございませんが、不登校の状態にある子供に対しまして学習支援や相談、指導等を実施するなど、学校外の学びの場や居場所となっている民間の施設を指すものと考えております。その施設におきましては、子供たちの様々なニーズに応じた学びや活動を提供していただいているものと認識をいたしております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、県内にフリースクールはどれだけあって、何人通っているのか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
令和5年9月現在で、フリースクール等連絡協議会という団体がございますが、そちらに登録されている団体数は43と聞いているところでございます。
令和4年度の調査では、公立小中学校の不登校児童生徒のうち192人が民間団体、民間施設において相談、指導等を受けたとなっておりまして、フリースクール等を活用する不登校児童生徒はこの192人に含まれているものと考えているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)意外と少ないのかなというふうな感じでございます。
フリースクールというものは、先ほど定義を教えていただきましたけど、一方で、塾とか習い事をする場所がありますが、それもフリースクールに含まれるということでいいんでしょうか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
文部科学省におきましては、令和元年の10月25日でございますが、不登校児童生徒が民間施設において指導、相談を受ける際の民間施設についてのガイドライン(試案)を示しておられます。このガイドラインには、相談指導スタッフが不登校への支援について知識、経験を持つこと、学校と施設が相互に不登校児童生徒やその家庭を支援するために必要な情報等を交換するなど、学校との間に十分な連携協力体制が保たれているということなどが示されておりまして、御質問の、一般的な塾や習い事を提供しているのみでは、これには該当しないものと考えているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)分かりました。
それでは、その190人のフリースクールに通われている生徒さんたちは、フリースクールに通うことで出席日数にカウントされることになるのか、その辺はどういうふうに取り扱っておられるのか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほど申し上げました文部科学省通知では、出席につきましては、フリースクールにおいて通所もしくは入所して相談、指導を受けている場合、保護者と学校との間に十分な連絡協力関係があること、また、その施設が適切であるかについては、国のガイドライン、先ほど申しましたガイドラインを参考として、校長が教育委員会と連携して判断することとなっているところでございます。本県におきましてもこうした対応を取っておられ、学校長の判断により、出席扱いにしている事例はございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
学校教育法の第1条でございますが、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学および高等専門学校とされております。先ほど来、答弁ございましたが、フリースクールは私塾と同じような扱いになりますが、学校と連携をされるということでありますが、そこに公金を支出するとなれば、憲法89条を踏まえると、そのための根拠が必要になってくると思われます。さきに述べた首長会議でもフリースクールに対する県の認証を求める意見が相次いだとのことであります。
県内で、フリースクールの利用に独自の補助金制度を設けている自治体が6市町ありますが、支援をするのであれば、県として、フリースクールの位置づけを明確にして、その支援の根拠が求められているものと思います。さきの谷口議員の質問において、まだ定まっていないような答弁でございましたが、改めて、フリースクールはどう定義されているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げて、繰り返しで申し訳ございませんが、フリースクールにつきましては法令等の明確な定義があるわけではございませんが、不登校の状態にある児童生徒に対し、学習支援や相談、指導等を実施するなど、学校外の学びの場や居場所となっている民間施設を指すものであると考えております。
不登校児童生徒がフリースクールなどの民間施設において相談、指導を受ける際には、先ほど述べました民間施設についてのガイドライン(試案)には、相談・指導スタッフが不登校への支援について知識、経験を持つこと、学校と施設が相互に不登校児童生徒やその家庭を支援するために必要な情報等を交換するなど、学校との間に十分な連携協力関係が保たれていることなどが示されております。
今後、不登校児童生徒、また、その保護者への支援を充実するに当たりましては、このガイドラインも参考にしながら、子供にとって最適な学びの場や居場所が提供できますよう、民間施設との連携の在り方について検討を進め、市町と共に取り組んでいく必要があるものと考えているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
我が会派の代表質問で、教育長が今おっしゃられた内容とほぼよく似た答弁をしていただいております。多様な学びと居場所の確保に関するプランには、一人一人の状況に応じた安心して学び育つことができる学校づくりに加え、地域、教育と福祉の役割、市町や家庭、フリースクール等様々な主体との連携を位置づけると答弁されております。
教育機会確保法第13条では、学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援として、状況に応じた学習活動が行われるよう必要な情報の提供、助言、その他、支援を行うために必要な措置を講ずるとあります。
不登校生の居場所として、各市町には教育支援センターが設置されていると思いますが、先ほど来、説明もありますが、フリースクールにはどのような役割を求めようとされているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
フリースクールは、不登校の児童生徒が安心して過ごすことができる多様な学びの機会と居場所としての役割を果たしていただいているものと認識しております。
学校につきましては、まずは全ての子供たちが学校で学べるように学校現場をしっかりと整えること、そして、学校以外でも公的な学びができないか、その取組を充実させることがまずは重要であると思っておりまして、学校や教育委員会がそういう取組をまずは進めていくことが一番大切なことだと思っております。
そうした取組を進めた上で、学校や教育委員会がフリースクールと連携することもまた大切でございますので、今後、児童生徒や家庭を支援するために必要な情報交換を行うなど、学校や家庭、そして、教育委員会とフリースクールとの連携協力体制が保たれるように努めてまいる所存でございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)どう言うたらええのかな。午前中にもあったんですかね、子供たちは学校に戻りたいという意識は持っていてもなかなか戻れないという、ここが多分、大事なのかなと思っているんですよね。今もお話ありましたけど、学校と連携してしっかりと情報交換していただくことで、うまく学校に戻してやれる、公教育の場に戻してやれる、そういうことをやっていただけるようなところであれば、それなりの理由といいますか、認証ができるんではないかなという気もするんですけど、本当にそこが多分、キーになるんではないかなと思っております。
学校へ子供たちを戻す、しばらくの間でも、少しそこで気を休められた後は学校に戻れるようなスタンスができる、そういうところに重き、役割を持っていただけたらと思うんですけど、再度、教育長のお考えをお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供たちの不登校の要因というのは様々ございます。我々としては、まずは、学校に行きづらさを感じるようになったときに、できるだけ早く担任の先生、また、必要に応じてスクールカウンセラー等の相談業務を通じまして、その子供の悩みなりをしっかり聞いて対応することによって、学校に引き続き行けるようにしていくことというのも改めて大切だと思っておりますし、また、先ほど申し上げましたフリースクールとの連携の中で、フリースクールで学ぶ子供たちの様子や状況をフリースクールの関係者と学校の先生方、保護者、教育委員会の関係者がしっかり共有することによって、その子にとって今後の学びをどうしていくのか、その子供の思いをしっかり受け止めながら、その子供が学校にやっぱり戻って学びたいという思いを持つときにはしっかり学校に戻れるように、学校での学びができるように取り組んでいくことが大事だと思っております。ただ、なかなか学校に戻るのはしんどいと感じる子供さんについては、引き続き、フリースクールの関係者の皆様と連携しながら、その子にとって社会的自立につながるような学びをどのようにしていただけるのか、この点については、今後も引き続き、どういった学びができるのか、関係者としっかり考えていくことが大切だと思っております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
ここからは、不登校を生まないために学校や社会が何ができるのかということについて少し議論してみたいと思うんですが、学校教育法の第2章には、16条と17条で、保護者は子供に9年の普通教育を受けさせる義務を負うとなっております。こうした義務化がされているわけですけど、なぜなんでしょうか。改めて、義務教育とは何か、教育長にお伺いさせていただきたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
ただいま御質問にございました学校教育法第16条で保護者の義務が規定されていることは私も承知しているところでございます。
義務教育は、国民が共通に身につけるべき公教育の基礎部分を誰もがひとしく享受し得るように制度的に保障するものであるとされているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。私が言おうと思ったことを教育長がそのとおり言っていただきました。
学校教育法の第21条で義務教育の目標が掲げられておりますが、今、教育長が御答弁いただいたように、国民が共通に身につけるべき公教育の基礎部分を誰もがひとしく享受し得るよう、制度的に保障するのが義務教育でありまして、その係る費用は税金で賄われます。おかげで、日本の国家を支える日本国民の識字率はほぼ100%であり、日本の伝統文化を知る日本社会の一員としての基本的な資質を国民は備えることができているものであると思います。
我が会派の代表質問で、教育の使命は持続可能な社会の発展を生む人づくり、変化の厳しい社会に対応しながら未来社会に参画する人づくりと教育長は答弁されておられますが、その教育の使命の中で、小学校はどのような役割をするべきなのでしょうか。私としては、子供たちが学校という集団に入って、日々、ストレスを感じながらも、社会のルールや他人との協調性を学びながら、友達づくり、仲間づくりをし、また、スポーツや様々な体験で心身共に鍛える場であり、日本人としての人生に最低限必要な日本語の読み書きそろばんを習得することが最も大事なことではないかと思うんですが、人間形成の中で小学校の役割をどのように捉えられているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
小学校は、幼児期の教育を通して育まれました資質、能力を踏まえて教育活動を実施し、児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かえるようになるようにすることが役割の一つとされているところでございます。また、集団の中で自分や他者を尊重し、協力する能力を身につけ、自分のよさに気づき、そして、生かそうとする態度を育てていくことも大切とされているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)小学生の間、そうやって人とのつながりの中で自分を集団と協力ということを、今、教育長はおっしゃっていただきました。そういう人のつながりをそこでつくってもらうことでありますし、勉強は、どっちか言うたら、読み書きそろばんができたらええかなと思っているんですけど、指導要領等いろいろありますので、それはあれですけど、とにかくそういう体験をしてもらうことが大事かなと思っています。
その後、中学校に行きますが、中学校という年代は、私は、論理的思考が活発になって物事の道理や仕組みが分かるようになる、また、思春期にかかって自己が目覚めるときでもあって、将来を見渡す能力が備わる時期、自分が興味のあることを発展させるという経験をさせてやるのが中学校だと考えておりますが、中学校の役割はどのように捉えられているのか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
中学校は、社会的自立のために必要な資質、能力を育成することが主な役割でございまして、生徒一人一人が自己理解を深め、自らの将来の生き方を考え、卒業後の進路を主体的に選択し、その後の生活におきまして自己実現を図ろうとする態度を育てていくことであるとされているところでございます。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
今おっしゃっていただいた教育長の思いを現場で実践する専門家が教師でありますが、大変忙しく、子供たちそれぞれに向き合う時間がないと聞きます。教師は、ただ勉強を教えるだけの専門家ではなく、それぞれの子供の人格形成に関与して、健やかな育ちを導いてくれる専門家であるべきで、子供の才能を見極め、伸ばす手助けをする専門家であってほしいと思います。
ある元教員の話でありますが、下校時間から夕方までは保護者対応に迫られるとのことで、子供が40人なら、保護者と合わせて80人対応することが必要になると聞いたことがあります。子供に向き合う時間がそがれているのが現状ではないかと思うわけでありまして、実はアメリカでは保護者対応は別の担当者が行うということで、教師は子供たちに常に向き合っていられるというふうに聞いております。
日本でもスクールカウンセラーやソーシャルワーカーがおいでですが、保護者対応を教師から完全に切り離して専門家に委ねることで、教師の負担を減らす、特に小学校で教師が子供に向き合う時間を確保すべきかと思いますが、どのようにお考えか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
県教育委員会では、様々な悩みを抱える子供や保護者の対応を教師だけで対応するのではなく、専門家に対応をお願いすることも大切だと考えており、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置に努めているところでございます。
今後、教員がすべき業務の見直しや、校務におけますICTの活用を進めますとともに、スクールカウンセラーなどの外部人材を、より一層、充実してまいりたいと考えております。特に学級担任制である小学校につきましては、教科担任制を推進することにより、教員に時間的な余裕を生み出すことで、教員が子供と向き合う時間を増やしていくことが大切だと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
何より本当に、教科担当でどれだけ、ちょっと僕、学級担当が楽になるのかって、もうひとつよく分からないところもあるんですけど、とにかくそうやって、しっかりと先生が子供たちに向き合える時間をつくってもらえるような仕組み、できれば保護者の対応は専門家がするというような対応をしていただければ、もっと先生は楽になるのと違うかなというふうに思います。
続いて、地域社会の関わりについてお尋ねいたします。
地域社会において、子育てに関する様々な活動を行う団体がそれぞれ活動されておりますが、その一つにPTAがあります。PTAとは、保護者が学校の先生や地域の人たちと協力し合って学校運営に取り組み、子供たちの健やかな育ちを応援していくためにあると理解しておりますが、現状はどうなのでしょうか。ただ学校行事の手伝いに駆り出されるのであれば、役を受けない、参加しないと有名無実化しているところもあると聞きます。学校という社会の中で、共助として、不登校など学校内の課題を自ら解決する努力をすべきではないかと考えますが、PTAの役割をどのように捉えておられるのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
PTAは、子供の健全な育成を図ることを目的とし、保護者と教職員が協力し、学校および家庭における教育に関し理解を深め、会員相互が学び合い、活動を行う団体であり、大切な団体の一つであると認識をいたしております。
昨今、会員数の減少などの課題はございますが、一方で、各学校におけるコミュニティースクールの取組の中で、地域住民とPTAの有志の方々が教室に入りにくい子供の居場所を確保して学習支援を行うなど、地域や学校の実情に応じた活発な取組事例を行っている学校もございますので、こういった取組を、今後、県内各学校に広げていくことも大切だと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)そうですね、そういった形で学校と地域が、PTAという形だけではなくて、そうやって関わっていただいて、不登校の子供たちを見守ってもらえるような仕組みができればと思います。
同じように、もっと地域社会の内容についてお聞きしたいんですが、御近所付き合い、コロナ禍で地域の祭りなどの催しがなくなって、さらに付き合いが減って、各家庭の孤立化が進んでいる現状だと思います。子供会はもとより、自治会そのものが、存在が危ぶまれている状況でもあります。民生委員さんや主任児童委員さんもおいでですが、人との接触を避けて、相談されることが減ったのか、あるいは相談されようと保護者のほうがされないのか、あるいはこれまでの地域社会における組織や活動が今では役に立たないのであれば、もう一回、つくり変えるべきでもありますし、もう一度、人と人とのつながり、付き合いを復活させる努力をすべきなのか、地域社会の役割をどのように考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
地域のつながりの希薄化、また、家庭環境の多様化が進みます中で、家族の置かれた状況によりましては、子育て、また、親育ちが困難な状況となり、地域や家庭の教育力の低下が危惧されているところと認識をいたしております。
地域社会が果たしていただく役割というのは大変重要であると私は認識をしておりまして、学校におきましても、地域学校協働活動などを通じまして、地域の皆様がその地域の子供たちの学びや育ちのために協力していただけるよう、市町教育委員会と共に、県教育委員会としてもしっかり進めてまいりたいと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
災害では自助、共助、公助という言葉はよく使われます。ぜひとも、青少年の健全育成という面においても自助、共助、公助という考えで、地域は地域で子供たちを育てるという取組をしていただければありがたいなと思います。
同級生のことについて、ちょっとお伺いしますが、過日、小学校の後半3年間、不登校だったという方と話をする機会がありました。学校に復帰できた理由を尋ねると、友達からの誘いが大きかったということでありまして、ちょうど中学校へ進学するという時期でありましたので、タイミングよく復帰できたということでもありました。令和元年6月の教育長答弁でも、多様な人が交わりながら共に生きる社会を実現するために、困った友達がいれば自然と助け合える仲間づくりを大切にした学級、学校づくりを進めていく必要があると述べられております。不登校生に対する同級生や社会の関わりはどうすべきなのか、教育長の考えをお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
不登校の子供たちからは、友達にどう思われているか不安であるという声や、学校の友達からの声かけがあれば休まなかったのにという声があったと聞いておりまして、同級生による働きかけによる力は大変大きいものがあると考えております。
そのため、子供たちがお互いを尊重し、共に学び、話し合い、お互いのよさを認め合う学級活動を行いながら、学校が一層、子供たちにとって安全・安心、また魅力的なものになるように取り組むことが大切だと考えております。
さらには、地域社会の関わりによるものとして、地域の方々や教員、民生委員、スクールソーシャルワーカーなどで構成する訪問型の家庭教育支援チームによりまして、保護者や子供との信頼関係を築き、行き渋りのあった子供たちの状況が改善されたという報告もいただいているところでございます。
地域と共にある学校づくりにより、子供や学校の抱える課題の解決に向けて、地域との連携、協働をさらに進めてまいりたいと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
本当に声かけというのは大事だと思います。犯罪者も、一言の声かけで犯罪を止めたという話も聞きます。今の、学校へ行っていない子供が近所にいたら近所の人が心配になる、心配になるというたらちょっとおせっかいし過ぎというのもあるかもしれませんけど、やっぱりそういうおせっかいというのも大事かなと思いますので、ぜひともそういった取組をよろしくお願いいたします。
一方で、塾通いで放課後がない子供たちがいるとも聞きます。滋賀県でどれだけあるのか、ちょっと私も分かりませんけど、学校が終われば塾へまっしぐらで、宿題に追いかけられて、疲れて学校で寝る。学校での勉強は塾で済ませるので授業がつまらない。また一方で、早くに自分の興味を見いだして集中することで、学校での授業より先に進む子もいるとも聞きます。学校の授業がつまらなくなって不登校になる子もいるとはお聞きしますが、かつて戦前の学校教育では、そうした秀でた子の才能を伸ばすことができる体系があったというふうにもお聞きします。教育長の言う、一人一人の状況に応じた安心して学び育つことができる学校づくりの中で、子供の特技を伸ばすための方策をどのように考えておられるのか、教育長の考えをお聞かせください。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供たちの可能性を引き出すためには、子供が様々な場を通じての学びや体験活動から得た興味関心に応じて、自分に合った内容や方法で学ぶことが重要であると考えております。そのため、各学校におきましては、子供たちの個別最適な学びにつながりますよう、1人1台端末を活用するなどして、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することが大切でございます。
議員の御質問の中にございました、秀でた子供、あるいは特異な才能のある子供に対してどのような学べる場を提供するのかという点につきましては、国におきましても指導、支援に関する実証研究が進められていると聞いておりまして、子供たち一人一人の特性に応じた学びの場を提供するにはどうしたらいいのか、国の実証研究の成果についても注視をしてまいりたいと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
昔と違って、本当に今はインターネットでいろんな情報があふれているときでありまして、子供たち自身が勝手に調べていく、我々よりも詳しくなる、テレビでも「博士ちゃん」という番組があるぐらいですから、そういうふうな本当に秀でた子というのが多分、そういった子をどんどん伸ばしてやれるような体系というのを考えていただければありがたいなと思います。
それでは、最後に、知事に質問させていただきたいと思います。
教育基本法の前文に「我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」とあります。また、第1条には「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とあります。この崇高な教育の目的を実現するために何をなすべきか。目の前の不登校生の対応も大事なんですが、根本的な原因への対処をしない限り、今後もこういった問題は増え続けるのではないかなと心配しております。
不登校生を生まないために、また、教育基本法の目的に沿うために何をなすべきか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
まずは一人一人、その個性や置かれている状況、もちろん家庭の状況もそうですけれども、そういったものを大切にする、そういったことが必要ではないかと思います。と同時に、学校は社会的自立に重要な役割を果たしますので、その学校が安心できる場にすること、また、子供自身の自己肯定感を高めるために、分かった、できたと感じられる授業をつくること、同時に、「先生、分からない」と言える教室づくりであるとか「助けてほしい」と言える社会や空間づくり、こういったことも大事ではないかと考えております。
私は、人は人の中で人となるという考え方を大切にしながら、総合教育会議などでも基本計画や、そして具体の施策に反映できるよう努めているところでございます。保護者、学校だけでなく、地域をはじめとする全ての人が愛情を持って子供に関わり、生きる力を育むことが子供たちの人格形成につながると考えているところでございます。
子供たちが安全・安心に学び、育つ学校づくり、同時に、一人一人の状況に応じた居場所づくりを通じて、全ての人に居場所と出番のある、誰一人取り残されることのない社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
◆27番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。
もう一度、人と人が助け合う社会、御近所さん社会、そんな社会に戻すことが重要なのではないかなと私は思っております。
○副議長(有村國俊) 周防議員に申し上げます。発言時間を超過いたしましたので、簡潔に願います。
◆27番(周防清二議員) (登壇)はい。
虐待やDV、ひきこもりなどは人のつながりがないことが起因しているのではないかと思うわけでございまして、もう一度、人が助け合う社会に戻ることを願って、質問を終わります。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、27番周防清二議員の質問を終了いたします。
次に、7番岩崎和也議員の発言を許します。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇、拍手)通告に従いまして、2項目を質問いたします。よろしくお願いをいたします。
世界情勢が極めて緊迫した状況となっています。イスラエルとハマスによる戦闘が始まって2か月が経過いたしました。軍事衝突によって罪なき人々が犠牲になっています。昨年から続くロシアとウクライナの戦争についてもそうですが、戦争は一旦始まってしまうと、双方に憎しみが増大し、悲劇が繰り返されていきます。連日、数多くの子供たちが犠牲になっている報道を目の当たりにし、戦争の悲惨さを痛烈に感じています。本来は国際紛争を解決すべき国連の機能不全が指摘されている中で、私たちは一体何ができるのでしょうか。
皆様御存じのとおり、ユネスコ憲章の前文には、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」と掲げられております。
日本社会においても、いじめやネット上の誹謗中傷、児童虐待、DV等、そして、今議会でも性暴力についても取り上げられましたけれども、人権をないがしろにした諸問題が発生しております。学校教育はもちろんですが、私たち大人も日頃から人権への意識向上を図らなければなりません。そのためには、読書の中で想像力を養い、文化や芸術、そして自然に触れることで豊かな心を育んでいくことが重要ではないでしょうか。そういった意味を込めて、今回、2項目の質問をさせていただきます。
それでは、1項目め、子ども読書活動推進計画と「こども としょかん」について、知事と教育長に一問一答方式で質問いたします。
子供たちが読書習慣を身につけるためには、幼い頃から本が身近な存在であり、本に親しむことのできる環境づくりが重要です。本県は、家庭、地域、学校を通じた社会全体で、子供たちに読書に親しむ機会が提供されるよう取組を進めてこられました。
しかしながら、ここ近年では新型コロナウイルスの感染拡大やデジタル化の進展など社会情勢の変化もあって、読書習慣の定着がなされておらず、小学、中学、高校と学校段階が進むにつれて読書率の低下も指摘されています。このたび、子ども読書活動推進計画を改定し、子供の読書活動に、より一層の力を入れていかれるとのことです。
それでは、まず初めに、知事に質問をいたします。
読書が子供たちの成長にどのような効果をもたらすと知事は考えておられるのか、お伺いをいたします。
○副議長(有村國俊) 7番岩崎和也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)読書は、本を読む行為を通して著者という他者の知識や考え、つくり出された世界に触れることができ、知らなかった言葉を自分に取り入れたり、個人の経験を超えた幅広い知識を得たり、それらと向き合う中で豊かな感性や情緒を育むことができる、そして、読んだことを基に主体的に考える中で、言葉によって考えや気持ちを相手に正しく伝える力を育てるものではないかと思います。つまり、自己を変革、形成していく営みではないでしょうか。私にとりましては、未知の世界に飛び立てる羽にもなり、困ったときの木陰にもなり、社会に対する窓にもなっております。特に子供にとっては、自ら考えて、生きていく力を身につけるという効果があるのではないかと考えております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)知事、答弁ありがとうございます。
主体的に考える力、また、自ら生きていく力を育てていく、そのために読書が大変に重要だということで回答をいただきました。
デジタル技術の進歩とともに子供たちの読書離れも指摘されているところですが、コロナ禍に、小中学校では1人1台のタブレット端末が配備されることになりました。授業の中でも大変便利なツールとして活用はできるんですが、成長段階に応じて、うまく活用していくことが重要だと私は考えています。
最近の子供たちは極めて忙しい生活を送っている中で、特に小中学校時代は、限られた時間の中で、数多くの書物に触れていただきたい、そのように考えています。
小中学校では子供の読書活動を進めるためにどのような取組をされているのか、具体的にお示しください。教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
小中学校におきましては、子供たちが本に親しみ、読書習慣を身につけるための取組として、一斉に本を読む時間を設けたり、授業において学校図書館を活用したりしていただいております。また、学校の図書委員を中心に、子供たち自身がお薦めの本の紹介でありますとか学校図書館に関するクイズ等のイベントを実施するなど、行きたくなる、魅力ある学校図書館づくりに取り組んでおります。さらに、司書教諭等と学校司書が協力をして、本や新聞、授業で役立つ資料をそろえるなど、子供たちの関心、興味に幅広く対応できるよう努めていただいております。
そのほかにも、読書ボランティアによる絵本の読み聞かせを行ったり、公共図書館から定期的に本を借りて学級での読書の充実を図ったりするなど、子供たちが様々な本と出会う環境づくりに取り組んでいただいているところでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
御回答の中で、学校図書館の活用であったり、司書さんが子供たちに関心を持ってもらうよう、また、ボランティアの方々もいろいろサポートしてくださっているそうですが、子供たちにとって本が一番身近となるのが学校の図書館になります。これまでも学校司書の重要性が指摘されてきたところで、県も学校司書の配置を進めていきたいとの答弁を今議会でも頂いているところですが、それでは、県内の小中学校の図書館の状況について、教育長にお伺いをいたします。
学校の図書館には、専属の方以外に、掛け持ちであったりとか市町の図書館から派遣されている職員さん、そしてまた、非常勤の方々も含めて、何らかの形で関わってくださっていると思うんですが、週に1日でも学校図書館に関わられている方々の数、その学校の数は何校ありますか、割合も含めてお示しください。
◎教育長(福永忠克) お答えいたします。
令和5年度は、小学校におきましては220校中174校、率にして約79%、中学校におきましては98校中77校、こちらも率にして約79%の学校図書館に学校司書または公立図書館の司書が関わっていただいております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
79%の小中学校で司書の方、もしくは職員の方が関わってくださっているということで。
しかしながら、一方で、21%は週に1回もどなたも学校図書館に関わっておられないということが分かります。学校図書館が全く機能していないのじゃないかと危惧してしまうんですけれども、教育長にお伺いをいたします。県内の小中学校で司書さんが毎日勤務されている学校の数は何校ありますか、割合も含めてお示しください。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学校司書が週5日勤務している学校は、小学校では7校でございまして、率は約3%。中学校は4校でございまして、率にして約4%でございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
毎日開けられている学校図書館の数がかなり少ないということが御回答から分かりました。
教育長に再質問をさせていただきますが、この状況について、教育長はどのようにお考えか、お伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) 子供たちが学校図書館を利用したいのは、別に司書がおられる曜日に使いたいということではないと思いますし、また、先生方が授業で学校図書館を活用するのも別に曜日が決まっているわけでもございませんので、できる限り多くの日に学校司書の方が学校図書館で勤務していただくことが望ましいと考えているところでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
現在、第5次滋賀県子ども読書活動推進計画の策定を検討されておられます。この計画の中で、子供たちの置かれた環境に関わらず、滋賀の子供がいつでもどこでも楽しく読書ができる環境づくりとして「こども としょかん」の取組を進めるとされています。チームしがさんの代表質問の回答で、子供の読書を支援する機能を持つセンターを設置されるとのことですが、そのセンターは具体的にどのような役割を果たすのか、教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供の読書に関しまして、資料や情報の収集、発信、また相談、研究等を行うセンター的な機能を県立図書館に置くことについて、今、検討を進めております。
役割といたしましては大きく3つございます。1つには、子供の読書支援として地域や家庭の読書を支えること、2つ目として、学校図書館の支援として学校図書館の活性化を推進すること、そして3つ目として、読書支援策との総合調整でありますとか研究、発信を行うこと、この3つを、今、考えているところでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
2008年──平成20年から、谷口議員の質問でもありましたけれども、県立図書館の休館日が、月曜日に火曜日が加えられまして、週に2日となりました。元の週1日の休館日に戻してもらいたいという要望も少なからずあると認識をしております。
また、同じ時期に県立図書館の予算が大幅に減額されています。具体的には、平成19年には県立図書館への予算が約2億500万円でしたけれども、翌平成20年には1億4,900万円と約5,500万円、率にして約30%も減額をされています。それに伴って図書費、資料費などが大きく減らされています。図書費については、平成19年に8,500万円であったところが平成20年には5,900万円と、2,600万円の減少ということで約30%減少しております。平成20年に大幅に削減をされまして、その後は現在までも同水準にとどまっていることから、市町の図書館の蔵書を補完する立場にもある県立図書館としては、必要とされている図書の購入については予算をしっかりと確保していく必要があると思います。
図書費についての御見解を知事にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
県立図書館では、児童書は重点的に購入し、平成元年から新刊全点購入を実施してまいりました。近年では、一部の学習漫画や参考書を除くなど工夫をしながら、優先して児童書の整備に取り組んでいるところでございます。
今後も、市町を支える県立図書館として、市町の御意見も参考にしながら必要な資料費を確保してまいりたいと存じます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)知事、ありがとうございます。
今、答弁いただきましたように、平成20年以前は、新しく発行される児童書については県立図書館が全点購入されていたようです。市町の図書館では、当然のことながら全点購入はできないので、どのような新刊の児童書を購入すべきか選択するときには、県立図書館に来て、児童書の実物を手で取って見比べておられたそうです。市町の図書館をサポートできる一つの大きな役割であると私は思いますので、今回、「こども としょかん」と銘打っているからには、児童書をはじめとして、必要とされる書籍は確保していただきたいと私は考えています。
さて、県ではふるさと納税制度を利用して県立図書館を支援できる制度があります。実績はどのくらいあるのか、知事にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
令和4年度の滋賀応援寄附におきましては、「子どもたちに読書のよろこびを」と題した県立図書館への寄附をおかげさまで約270万円頂いたとのことでございます。令和5年度につきましても引き続き、応援寄附をお願いしているところであります。
ちなみに11月末現在では101万6,000円ということになっているそうでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)270万円もの寄附を昨年度は頂いているということですけれども、再質問させていただきます。
この270万円というものは県立図書館において具体的にどのようなものに活用されているのかお示しください。知事に再質問いたします。
◎知事(三日月大造) 令和4年度に頂いた御寄附で児童書約1,700冊を整備したとのことでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)270万円で、児童書に充てていただいたということで、私も本当に望ましい使い方であるというふうに思いますので、引き続き、ふるさと納税分については児童書の購入費用として充てていただけたらなというふうに要望いたします。
次に、市町では、図書館の置かれた環境は様々ではございますが、知恵を絞って取組を進めてくださっています。例えば親子が安心してくつろげるような空間と、見やすく、手に取りたいと思うような本のレイアウト、司書による読み聞かせイベント等、また、移動図書館と呼ばれるバスの運行や町立の図書館から学校の図書館に職員を派遣して、子供たちと直接に関わっておられるという好事例もございます。
これから「こども としょかん」の取組に向けて、県は市町の図書館と連携してどのようなことを重点的に進めていかれるのか、教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
「こども としょかん」の取組に向けましては、子供たちが置かれた環境に関わらず読書に親しむことができるよう、子供たちにとって身近にあります市町立の図書館の役割は大変大きなものがあると考えております。そのため、県立図書館では、各市町の図書館が進める様々な取組を支援し、情報共有を図るなど、連携を深めてまいったところでございます。
これからの「こども としょかん」の取組を通じまして、市町の図書館と連携して、共に県全体の児童サービスの向上を図り、これまで図書館サービスが届いていなかった子供たちへも読書の楽しみを届けるために力を入れてまいりたいと考えております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
市町の図書館職員さんに聞くと、依頼した図書を県立図書館から巡回して届けてくださるので、それが大変に助かるという御意見や、一方で、市町の図書館が学校図書館に応援に行かれたり、ほかにも先進的な取組をした場合には県から何らかのインセンティブが欲しいといった御意見も頂きましたので、申し添えておきます。
いずれにしても、学校図書館、市町の図書館がより充実したものとなるよう力強くサポートをしていただき、子供たちが読書を通じて健やかに成長されることを心から期待をしております。
続きまして、項目の2つ目、琵琶湖博物館の運営について、一問一答方式にて知事と琵琶湖環境部長に質問をいたします。
琵琶湖博物館は、湖と人間をテーマに、地域の人々と共に新しい共存関係の構築を目指し、1996年──平成8年10月に一般公開されました。開館以来、延べ1,200万人を超える人々が博物館を訪れ、博物館を通して自然と人との関わりをはじめ多くの学びと感動を与えてこられたところです。
近年では、平成28年から令和2年の間、3期にわたり、リニューアルも実施されました。私も先般、リニューアル後の琵琶湖博物館を訪れ、その展示物の数々に圧倒されたところです。より多くの県民の方々、そして県外からも、琵琶湖博物館で思い出の1日を過ごしていただきたい、そう思うようになりました。また、海外からの旅行客からも大変に好評であるともお聞きしました。琵琶湖博物館を学びや研究の拠点にとどまらず、滋賀県の重要な観光スポットにもしていただきたいと思います。
そこで、まず、知事に質問をいたします。
琵琶湖博物館が滋賀県においてどのような役割を担っているのか、御所見をお伺いします。
◎知事(三日月大造) 琵琶湖博物館が担っている役割ということでございますが、まず1つ目は、人々が湖と共に生きることについて考えるための情報や機会を提供すること、2つ目は、利用者の皆さんと共に、琵琶湖とその周囲の自然や湖と共にある暮らしの多様性や成り立ちについて探求し、発見したことを広く共有し、共に学び合う場をつくること、3つ目といたしまして、貴重な資料を将来にわたって保管、継承し、多くの人々に使えるようにすることで、様々な活動を世代を超えて応援、継承することなどであると認識しております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
特に児童生徒には魅力的な展示物の数々で、水族展示部門については来館する子供たちが興味津々で見学をしてくれているとのことです。
そこで、琵琶湖環境部長にお伺いします。
校外学習においては、団体で県内、県外から多くの児童生徒が琵琶湖博物館を訪れておられるようですが、令和4年度にはどのくらいの来館者がありましたか、県内、県外を分けてお示しください。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
令和4年度に校外学習で来館した児童生徒数でございますが、県内からは241校で1万6,398名、県外からは363校で3万2,250名ということでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御回答、ありがとうございます。県内だけではなくて、県外からも多くの子供たちが来てくださっているということで、分かりました。
琵琶湖博物館は滋賀県が誇るすばらしい施設の一つであり、子供たちにとって、自然を知り、生き物を尊ぶ大切な学びであると考えられます。これからも来館者に満足していただくために、設備については適正な維持管理が必要です。
しかしながら、開館から27年が経過し、老朽化も目立ってまいりました。先日訪れたところ、博物館の一番の人気スポットであるトンネル水槽は、修繕のため、水が抜かれた状態でした。また、水族展示近くのトイレが故障して使用ができない状況が長く続いているということを知りました。
職員さんに伺ったところ、トイレ以外にも施設や設備が度々故障していることや、中には耐用年数を超え、部品供給もできないものもあって、修繕では対応できず、抜本的に更新が必要なものもあると聞いています。水槽のひびなどは来館者の安全にも関わってくる問題です。さらに、追い打ちをかけて光熱費や物価高騰等による影響も加わり、開館していく上で必要な維持管理費が年々増加しているとのことです。一体どのぐらいの運営費がかかっているのでしょうか。
それでは、令和4年度の琵琶湖博物館の運営費の決算額について、その内訳も含め、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
琵琶湖博物館におけます、職員費を除いた令和4年度の決算額は5億8,347万3,469円でございました。内訳でございますけれども、まず、光熱水費や施設の維持管理、修繕費等の管理運営に3億3,128万円余、水族の飼育管理、資料の収集、整理、研究などに1億4,709万円余、常設展示や企画展示の運営、水槽破損への対応に8,694万円余、情報システムの維持管理などに1,049万円余、博物館と各種団体等との交流事業に138万円余、環境学習の推進に626万円余でございました。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。5億8,300万円ということで、そのうち維持管理等に3億円はかかっているということで、特に維持には大変な費用がかかっているということが分かりました。
博物館法の第26条によりますと、公立の博物館は、原則、「入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」とされていますが、「博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」ことになっています。全国に博物館は多数ありまして、入館料も施設によってまちまちです。琵琶湖博物館におきましては、運営費に対して収入がどれぐらい占めているのでしょうか。
それでは、令和4年度の琵琶湖博物館の観覧料と呼ばれる入館料収入の決算額の状況について、それが歳出決算の何割程度を占めているのかを含め、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
令和4年度の観覧料収入の決算額でございますけれども、1億3,517万2,430円でございまして、先ほど申し上げました歳出決算額に対しまして約23%という割合を占めてございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)歳出決算額の23%ということですが、この比率というのは高いのか低いのか、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
令和4年度における全国17の県立博物館につきまして、歳出額に占める観覧料などの収入の比率を調査いたしましたところ、その17の博物館の平均値としては約8%でございました。琵琶湖博物館の約23%という割合は、ほかの県立博物館と比較しても高い比率となってございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
現在の琵琶湖博物館の入館料ですが、大人一般が800円、高校、大学生450円、中学生以下は無料となっています。加えて、県内在住の65歳以上の高齢者も無料で観覧することができます。年間パスポートは大人一般で1,600円という料金設定になっておりまして、それでも博物館の持続可能な運営が厳しくなっているというのであれば、例えば料金体系の見直しで増収を図るという選択肢もあると考えますが、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
できるだけ多くの方々に御来館をいただきたい中で、他府県の公立博物館でございますとか本県の他の県立施設の状況を鑑みまして、現時点では、直ちに入館料を値上げして利用者の御負担を増加させることについては慎重であるべきだと考えてございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御回答、ありがとうございます。
ただいまの回答から、料金の値上げについては、現時点では難しいという回答でした。これまでも個人や企業様から御寄附をいただいたり、クラウドファンディングでも幅広く御支援をいただいています。それでもなお運営に支障が出ているのであれば、やはり県立の施設ですので、県として予算を確保してしっかりと支えていただきたい、そのように思います。
先ほども申し上げましたとおり、琵琶湖博物館は全国でも屈指の規模を誇る、一度訪れると、その魅力に引きつけられる評価の高い博物館です。県内、県外を問わず、中学生以下の生徒は無料で観覧できますし、ゴールデンウイークや夏休みなどには多くの家族連れでにぎわっております。これまでどおり来館者に喜んでいただくためには、県の施設ですので、しっかりと県の予算を投入して維持運営ができるようしていく必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) 特に水槽の破損事故以降、琵琶湖博物館にお寄せいただくたくさんの応援メッセージを拝見いたしますと、皆様の思い出に刻まれている様子やすばらしい博物館を支えたいという思い、早期復旧を願うお声などを多く頂いておりますことから、皆様から愛されている博物館であると改めて認識しております。
そんな滋賀県が誇る琵琶湖博物館を守り、つなげていくための予算を、さっき、トイレが何か故障しているとか、(「はい」)ちょっと、そうかと思って聞かせていただきましたので、ちょっと確認します。確認して、どういうことをしなければならないのか、そのための予算の確保策なども検討し、引き続き皆様から愛される、特に琵琶湖と人間との関わりを示す、こういう博物館というのはほかにありませんので、こういう博物館を大切に守る観点から、特に2026年には開館30年を迎えるという節目になりますので、どういうことができるのかというのを一緒に考えていきたいと思います。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)知事、ありがとうございます。
トイレについては約1年ほど故障中だということで、団体の方が来られた場合にはトイレの行列が出来て、本当にもう、そうですね、雨漏りも出来ているそうです。ですので、限りある財源だと思いますけれども、琵琶湖博物館は、環境のみならず、文化や歴史、農業、水産など県の多岐にわたる分野を支える重要な施設です。学芸員の方々も研究を進めながら施設の維持管理に尽力してくださっているとお伺いしています。また、来館者を案内するスタッフも、限られた人数の中で、丁寧に対応をしてくださっています。滋賀県の看板施設である琵琶湖博物館に来館された方々が満足して帰っていただけるよう、維持運営に必要な予算は、入館料に関わらず、県がしっかりと責任を持って確保していただくよう改めて要望し、この質問を終わらせていただきます。
以上、2項目の質問をさせていただきましたが、県立図書館、県立琵琶湖博物館については、限られた財源の中で厳しい運営を迫られていることだと存じます。しかしながら、子供施策を第一に置いておられる三日月知事には、「こども としょかん」の取組や琵琶湖博物館の充実は健全な子供の育成にとどまらず家族の絆や人との調和を深めるものと確信をしておりますので、ぜひとも取組を大きく前進をしていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、7番岩崎和也議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時4分 休憩
────────────────
午後3時25分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、18番田中松太郎議員の発言を許します。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告に従いまして、大きく2項目について質問をさせていただきます。
まず、1項目め、ユーチューブの収益化と活用について、一問一答で伺います。
本県の公式SNSは、180以上のアカウントが各所属ごとに乱立するように開設されており、中には、ほとんど更新されていないものや有効に活用されていないものなどが見受けられ、広報媒体としての役割を十分に果たせていないのではないかという問題については以前から指摘をしております。さらに、最近では動画による情報発信が増えてきたことに伴い、県公式のユーチューブチャンネルも所属ごとに開設されるようになり、ユーチューブのチャンネル数も増加傾向にあります。そこで、まず、本県で開設されている公式ユーチューブのチャンネル数について、総合企画部長に伺います。
○副議長(有村國俊) 18番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎総合企画部長(浅見裕見子) (登壇)お答えいたします。
本県では、警察本部を除く各所属においてユーチューブなどのソーシャルメディアサービスを利用する場合には、情報セキュリティー対策の観点から、DX推進課を通じて最高デジタル責任者である副知事に届け出ることとなっております。
現在、開設の届出がされ、公開されているユーチューブのチャンネル数は56でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)56ということで、非常に多くのユーチューブチャンネルがございます。2021年6月にユーチューブの運営側が利用規約を変更したことから、今では本県の幾つかの公式ユーチューブチャンネルにおいて、動画に広告が表示されるようになりました。本県の公式チャンネル内で様々な企業の動画が流れるわけですが、この広告収入は全てユーチューブの運営側の収益となります。そこで、この広告収入を本県の財源に充てるために、まずは、本県の広報課が運営しているユーチューブチャンネルについて、収益化の手続を行ってはどうかという提案を広報課に行ってまいりました。これは、いわゆるユーチューバーと呼ばれる方々がユーチューブで収益を上げておられる仕組みを本県の公式チャンネルにおいても取り入れてみてはどうかということです。
こうした中、10月18日に財政課長から各課長、局長宛てに、広告等事業の推進に係る要綱類等の改正についてという通知が発出されました。この広告等事業の推進に係る要綱類等の改正についての通知の内容について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
御質問の本通知は、滋賀県広告等事業実施要綱等につきまして、ユーチューブに投稿した動画に流れる広告のように、県の意向に関わらず表示される広告の収益化を図る規定の追加や、県庁舎等に掲示する広告の審査事務の見直しを行うなどの改正を行ったものでございます。
これまで、県が事前に広告の内容を審査できない場合は広告事業として収入を受け取る対象としておりませんでしたが、ユーチューブにおきましては、動画の投稿者が収益化しているかどうかに関わらず、再生時に運営側の広告ポリシーの範囲内で広告が流されますことから、この仕組みを活用し、収入の機会を確保するため、規定を追加したものでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今回の改正において、県公式のユーチューブチャンネルについては、原則として収益化をする旨の規定が追加されたということになろうと思いますけれども、ユーチューブの運営側が定めております収益化の条件について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
ユーチューブの公式ホームページによりますと、広告収入を得るためにはガイドラインに準拠したコンテンツを作成している等の要件を満たした上で、チャンネル登録者数が1,000人以上、かつ公開されている動画の過去365日間における総再生時間が4,000時間以上、またはショート動画の過去90日間の視聴回数が1,000万回以上であることが条件とされているところでございます。収益化のためには、これらの条件をいずれも満たした上で、収益化する旨、運営者側に申請をいたしまして、承認される必要があるということでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、チャンネル登録者数1,000人以上というふうにおっしゃいましたけど、ちょっと私の認識では、今、500人に下がったのではないかなという認識なんですが。
いずれにしましても、今、56の本県公式のユーチューブチャンネルがございますが、その中で、ユーチューブの運営側が定める収益化の条件に該当する本県の公式ユーチューブチャンネルについて、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
令和5年12月6日現在、登録者数および再生時間の条件、先ほど申し上げました基準を満たしているものにつきましては5件ございまして、それらにつきまして収益化を申請いたしましたところ、承認されましたのは4件となっているところでございます。
承認されたチャンネルにつきまして登録者数の多い順に申し上げますと、ボートレースびわこ公式メインチャンネルは登録者数4万1,377人、ライブ配信1,182本、動画本数はショートを含め450本で、再生回数5,387.8万回、総再生時間は903.7万時間となっております。また、2件目のボートレースびわこ公式Vチューバーチャンネルは、登録者数1万5,796人、ライブ配信6,960本、動画本数はショートを含め1,623本でございまして、再生回数は289.5万回、総再生時間が30.3万時間でございます。3件目の滋賀県公式ユーチューブチャンネルにつきましては、登録者数1万4,365人、ライブ配信が206本、動画本数はショートを含め2,197本でございまして、再生回数が1,105万回、総再生時間は25万6,000時間となっております。最後の4件目でございますが、「いなずまどぼっく」──滋賀の建設業の魅力発信チャンネルにつきましては登録者数が1,532人、動画本数はショートを含め40本で、再生回数74万回、総再生時間が2.5万時間となっているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
56の公式チャンネルのうち、今回、4つのチャンネルが公式に。これは収益が決定したということでよろしいんでしょうか、再度、確認いたします。
◎総務部長(東勝) 承認のほうは、先ほど申し上げました4件についてはいただいているというところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
多い順に述べていただきまして、やはりボートレースが非常に登録者数が多くて、県の広報課の公式チャンネルで1万4,000ぐらいということで、自治体のユーチューブの成功事例としましては、茨城県が行っておられます「いばキラTV」というチャンネル、こちらの登録者数が16万8,000人ということで、非常に注目されているチャンネルでありますけれども、それと比べますとまだまだ滋賀県は頑張れる余地があるのかなと。また、4番目に御紹介いただきました「いなずまどぼっく」、これは県の職員さんなんかも出演されていまして、ちょうど1年前も甲賀土木の次長さんが、除雪車の試運転ということで自ら運転されている動画なんかも楽しく見させていただいておりました。ぜひ、皆さんも御覧いただきたいと思うんですけれども。
それでは、収益化に該当する公式チャンネルの収益化に向けた取組状況について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
先ほど申し上げましたように、4件につきましては収益化の申請が承認されたということでございますが、この4件のチャンネルにつきまして、いずれも広告収入受け取りに向けまして、現在、申請者の情報確認などの手続を行っているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
これは一般のユーザーを想定されていますので、何か申請にスマートフォンの携帯の番号が必要だったりとかカードが必要だったりとか、いろいろハードルがあると思うんですけれど、よろしくお願いいたします。
それでは、ユーチューブの収益化の取組につきましては幾つかの基礎自治体においても取り組まれている事例は私も確認しておりますが、他の都道府県や県内自治体における収益化の取組状況について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
ユーチューブの収益化につきまして、各自治体のほうに聞き取り調査を行いましたところ、令和5年12月5日現在、基礎自治体以外の自治体も含めてでございますが、本県以外の都道府県では2自治体、県内の市町では1自治体が取り組んでいるというふうに承知をしているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)各自治体もいろいろと工夫をされている。波に乗り遅れないように本県もお取り組みいただいているということでございますが。
それでは、気になる、各チャンネルの収益の見込額について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
ユーチューブの収益額につきましては、再生状況や広告単価によりまして変動いたしますが、直近1年間の再生状況を基に年間の収入見込みをチャンネルごとに試算をいたしましたところ、ボート事業で30万円程度、その他のチャンネルで2万円から3万円程度の収入になるものと見込んでいるところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今の見込額の算出根拠について、もし分かればお教えいただきたいと思います。
○副議長(有村國俊) 答弁者は。
◆18番(田中松太郎議員) 総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) 失礼いたしました。お答えいたしますが、詳細の算出根拠につきましては、すみません、今ちょっと持ち合わせておりませんので、総額の見込みのみということでよろしくお願い申し上げます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)1再生当たりで0.01円とか0.5円とか、掛ける再生回数で、大体、収入が決まってくるんですけれども、皆さん今お聞きになられて、ボートレースで約30万、そのほかが年間で1万から2万ということで、ちょっとユーチューバーとして生計が立てられる状況ではないかと思うんですけれども、この収益額をどのように捉えられるかというのは様々あろうかと思いますが、この収益額をそのまま各チャンネルの金銭的な価値と捉えるならば、むしろ今の県公式チャンネルはその程度の価値しかないというふうにも理解できるかと思いますし、そもそも大半の公式チャンネルが収益化の対象にすらならないという状況は、広報媒体としての広告価値がないことになるということも含め、また、収益を生む生まない以前に、県公式チャンネルとして、動画を通じて情報を伝えるという本来の役割が果たせていないということの裏づけにもなります。そこで、収益化の条件に達していない本県の公式チャンネルの状況を幾つか見ていきたいと思います。
まず、2025年に本県で開催する「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025」に向け、現在、様々な機運醸成にお取り組みをいただいておりますが、本県の状況を確認する前に、来年──2024年に開催されます佐賀県の「SAGA2024国スポ・全障スポ」のユーチューブチャンネルの状況について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) (登壇)お答えいたします。
「SAGA2024国スポ・全障スポ」のユーチューブチャンネルにつきましては、平成31年3月に開設されたものでございまして、令和5年12月7日時点の状況は、登録者数が2,930人、動画本数は160本、総視聴回数は78万8,000回でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)登録者数が2,930人ということで、開催前に大いに盛り上がっているなという感じなんですが。
それでは、次に、滋賀県で開催する翌年──2026年に開催されます青森県の「青の煌めきあおもり国スポ・障スポ」ユーチューブチャンネルの状況について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) 「青の煌めきあおもり国スポ・障スポ」のユーチューブチャンネルにつきましては令和2年6月に開設されたものでございまして、令和5年12月7日時点の状況は、登録者数が1,350人、動画本数は31本、総視聴回数は38万7,000回でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)滋賀県の翌年に開催される青森が、今、1,350人の登録者数があるということでありますけれども。
それでは、2025年に本県で開催されます「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025」公式ユーチューブチャンネルの状況について、
文化スポーツ部長に伺います。
◎
文化スポーツ部長(谷口義博) 本県の国スポに向けたユーチューブチャンネルにつきましては平成29年12月に開設したものでございますが、同じく、令和5年12月7日時点の状況、登録者数252人、動画本数34本、総視聴回数8万1,000回でございます。
さきに申し上げた佐賀県や青森県のユーチューブチャンネルでは、大会イメージソング関連の動画やアスリートを取り上げた動画を多くの方が御覧になっていると認識しております。本県におきましても、現在制作中の大会イメージソング「シャイン!!」の新しいプロモーションビデオや今後作成するPR動画などによりまして、大会ユーチューブチャンネルの充実を図りながら、大会の盛り上げにつなげてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)滋賀県の翌年に開催される青森が1,300人オーバーの状況で、本県が252人ということで、まだまだちょっとてこ入れをしていかないといけないなという、そういう状況にあろうかと思います。
次に、マザーレイクゴールズチャンネルのユーチューブの状況について、琵琶湖環境部長に伺います。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
マザーレイクゴールズチャンネルにおきましては、MLGsの理念を広め、理解を深めるために、令和2年10月に開設いたしました。令和5年12月7日時点の状況は、登録者数242人、動画本数が55本、総視聴回数は約16万5,000回でございます。
今年度は、県内外の方にMLGsをより身近に感じてもらうきっかけとするために、啓発動画にインフルエンサーを起用いたしまして、視聴回数の向上につなげたところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)登録者数242人ということで、県政世論調査でMLGsの認知度がまだまだ低いという部分もありますけれども、それを向上させるためにも、しっかりと、やっぱりユーチューブチャンネルそのものが認知されていく必要性があるのかなというふうに思います。
それでは、次に、県政の大きな柱の一つでもあります健康しが公式チャンネルのユーチューブの状況について、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
県民の健康づくりを目的としまして、健康しが公式チャンネルを令和4年12月1日に開設をしまして、令和5年12月7日現在、92本の動画を配信し、1万4,415回の視聴があり、チャンネル登録者数は28人でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)昨日、確認しましたら動画は100本上がっていました。ただ、登録者数28人ということで、100本の動画のうち視聴回数がゼロとか1とかいう動画がたくさんあるということは、これ、関係者さえも御覧になられてないのかなという、チェックの意味も含めて、皆さん、ぜひ御覧いただきたいと思いますし、登録者数、これ、関係者の方も登録されていないような気もしますので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
次に、滋賀県女性活躍推進課のユーチューブチャンネルの状況について、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
女性の就労支援を目的といたしまして、滋賀県女性活躍推進課の公式チャンネルを令和2年10月15日に開設いたしまして、令和5年12月7日現在、10本の動画を配信し、779回視聴があり、チャンネル登録者数は13人でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)非常に寂し過ぎる状況に唖然としております。
それでは、次に、世界農業遺産琵琶湖システムのユーチューブの状況について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
琵琶湖システムの魅力と価値を発信するため、2021年12月にアカウントを開設したところでございます。本年12月7日現在で、チャンネル登録者数は33人、8本の動画を掲載し、再生回数は8万7,122回となっております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)登録者数33人ですか。世界遺産に琵琶湖システムが認定されて1周年ということで、もう少し頑張れる余地もあるのかなという気もいたします。
ただ、女性活躍推進課のチャンネルが投稿動画10本で視聴回数が七百数十回に対し、琵琶湖システムのチャンネルは投稿8本で視聴数が8万7,000回以上と、1本の動画でそれぞれ1万回以上、視聴されています。各動画の再生回数が多い理由について、農政水産部長に伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
今年度、琵琶湖システムのテレビ番組の制作・放送業務を委託しておりまして、テレビ放送後、その番組をユーチューブ動画として掲載しているところでございます。
委託業務内容の一つといたしまして、その動画をユーチューブ内の他の動画に広告として配信していることが多くの方の視聴につながっているものと認識しております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)広告を活用して再生回数を増やしているということで、今、一通りお聞きしましたけれども、チャンネルを開設して動画を並べただけではなかなか見てもらえないという状況かと思います。ただ、その一方で、それぞれの担当者の方は非常に御苦労いただいているのではないかなと、そんな気がいたします。
先ほど琵琶湖システムでも御説明いただきましたとおり、事業者が持っておられるノウハウを生かしながら工夫をされている事例のほか、2021年の6月定例会議の私の一般質問でも取り上げましたが、ボートレースびわこでは、コロナ禍でパチンコ店に休業要請が出たタイミングでパチンコ系のユーチューバーを起用したことでパチンコファンをボートレースに取り込み、びわこボートの業績に大きく寄与した成功事例もあります。しかし、こうしたノウハウが県庁内で共有や蓄積がなされていないように思います。
本県では2022年3月に滋賀県広報戦略を策定されています。戦略的に広報を行い、PDCAサイクルを回しながら、広報戦略会議において本県の広報の在り方を検討していれば、県公式のユーチューブの各チャンネルについても、もう少し有効的に活用されるのではないかと考えますが、滋賀県広報戦略の取組状況について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
各所属が実施しています広報は各事業全体の中の一つの要素であり、事業効果の確認や改善に資する情報を得るためにも、各事業の一環として行っているところでございます。その上で、ソーシャルメディアを活用した広報については、それぞれの媒体の特性を踏まえて有効に活用できるよう、県庁全体でスキルの底上げを図ることが重要であると認識しております。
このため、ユーチューブを含むソーシャルメディアの活用に関して、先ほども御紹介ありました、土木交通部が運用している「いなずまどぼっく」などの好事例を広報戦略会議において共有し、今年8月には、自治体広報におけるSNSの効果的な活用についてをテーマにした研修会を開催したところでございます。また、随時、専門的な知識を有する広報アドバイザーによる個別の相談にも対応しているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ユーチューブの戦略を練る上でエンゲージメント率をどう高めるかといったことは非常に重要です。また、ターゲットを明確化することも重要で、そういう意味では、女性活躍推進課のチャンネルなどは、ターゲット属性を滋賀の女性と絞り込みができるため、ターゲティングしやすい利点があります。
戦略を進める上で新たに直接的な広告予算や専門家に依頼する予算も必要となってまいりますが、これまでの広報予算よりも効率的に広報することが可能になると思われます。こうしたことから、SNS広告やリスティング広告を活用するなど、ソーシャルメディアの長所を生かし、情報を求めておられる県民、情報を届けたい県民に対し、情報をしっかり届ける工夫を講じることが重要と考えますが、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
ユーチューブなどの動画は伝えられる情報量が多く、言語に頼らず、分かりやすく伝えられる、あるいは表現方法が豊かで印象に残りやすいといった特徴がございます。
企画段階から届けることを意識して、受け手や発信のタイミング、狙いを明確にしてコンテンツを制作することが重要であると考えております。また、広報戦略において、コンテンツの制作だけではなく、対象者に届けるための取組にも重点を置くこととしておりまして、議員が御提案されました手段も含めまして、ソーシャルメディアを活用した広報を行う際のノウハウや困り事を担当者間で共有し、受け手に伝わる情報発信の実現を目指してまいります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今定例会議の自民党、井狩議員の代表質問において、広報広聴についての質問がありました。この答弁で知事は、県の情報発信について半数近い方が満足していない、中でも若い世代ほど満足度が低いと、この結果を重く受け止めなければならないと発言をされています。また、報道官のような専門的な立場を置く体制などについての質問に対しても、知事は、広報を所管する知事公室に庁内の旗振り役を担わせることとし、紙や電波、インターネット等、それぞれの媒体の特性を生かすこと、効果的なタイミングで発信すること、庁内はもとより、市町や民間企業、県民と連携すること、これらの相乗効果によって人々の心に響く情報発信となるよう工夫を重ねてまいりたいと、このように答弁をされています。
知事公室において旗振り役をしていただくわけですけれども、ユーチューブをはじめSNSの特性やネット広告に対する専門的な知見があまり蓄積されていないというこの状況において、果たしてその役割が十分に担えるのか、専門的な立場の人間を置いて体制を整えるべきではないかというふうに考えますけれども、再度、知事公室長の見解を伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
確かに広報課といいましても数年で異動するということはございますけれども、先ほども申し上げましたように、広報というのは事業の中で出口に当たる事業の一環でございますので、まずはそれぞれのところがどういうふうな形で発信し、どういう反響があるのかということが改善につながるために、各事業担当がそれぞれやるべきであるというふうには思っております。ただ、そのときに、せっかくお金と手間をかけてやるものでございますので、いかに効果的にするのか、どう言えば届くのかということについては、やはり専門的な知見、ノウハウというものは必要であると考えておりますので、広報課のほうで、先ほど言いましたアドバイザーでありますとか、また、専門家のほうの知恵も借りまして、全体が底上げできるように努めてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今の役割分担の部分なんですけれども、今、各所属において全てやっていただいていますけれども、私は、各所属はコンテンツの制作に特化して、発信あるいは運用の部分は、やはり知見を持った広報課がしっかりと行っていくべきではないかということも考えておりますので、また、そういった可能性も、ぜひ探っていただければということで、次の質問に移ります。
次に、デジタル地域コミュニティー通貨、まちのコインビワコについて一問一答で伺います。
令和4年7月にデジタル地域コミュニティー通貨、まちのコインビワコのサービスがスタートしました。導入から1年4か月が経過しましたが、まだまだその存在が知られていない状況で、また、その仕組みも理解されていない状況です。
そこで、改めて、デジタル地域コミュニティー通貨、まちのコインビワコとはどのようなものなのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
デジタル地域コミュニティー通貨ビワコは、まちのコインという、スマートフォン、タブレット端末向けのアプリ上で使用いたします滋賀県の地域コミュニティー通貨でございまして、県と関係市町、大学で構成する協議会が通貨の発行主体でございますが、換金性がありませんことから発行コストもかからず、また、90日間の有効期限があることが特徴として挙げられるところでございます。
体験を提供するスポットと呼ばれる地域の加盟店舗等と体験を利用するユーザーとの間で当該通貨をやり取りする中で、域内の人だけでなく、域外の人も、関係人口として新たに、そして継続的に地域に関わっていただき、まちのにぎわいづくりにつなげようとするものでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)本年3月には移住・関係人口創出のウェブサイトSMOUTとまちのコインビワコの連携機能を全国に先駆けて初導入をされていますが、この移住・関係人口創出のウェブサイトSMOUTとまちのコインビワコの連携についての狙いを総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
人口減少や高齢化により、全国的に地域づくりの担い手不足という課題に直面をしておりまして、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる関係人口と呼ばれる地域外の人材が新たな担い手となることが期待をされているところでございます。
そうした中で、本県におきましては、例えばビワコのスタンプラリーをSMOUTに掲載するなど、ビワコを活用した地域のにぎわい創出と、SMOUTによる、全国の地方に関心を寄せられる方々への発信を組み合わせまして、新たな関係人口の創出や移住の促進につなげていきたいというふうに考えているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)まちのコインビワコは、令和4年度においては長浜市、近江八幡市、日野町をモデル地域にされ、令和5年度は甲賀市、高島市をモデル地域に展開をされておられますが、現在のまちのコインビワコの状況について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
サービスの開始から約1年4か月がたちまして、約600の企業、団体、個人の皆様に体験を提供するスポットとして参画をいただいております。また、これまで2,000を超える体験が登録されてきているところでございます。
また、ユーザーにつきましては既に1万人を超える方に登録をいただいておりまして、直近12週間の総流通量は約2,000万ビワコという状況になっているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)600スポットでユーザーが1万人を超えたということでありますけれども、まちのコインビワコは、鎌倉市に本社を置く面白法人カヤックが提供するまちのコインというプラットフォームを使用されておりますが、現在、全国25地域での導入実績があります。全国の他の自治体におけるまちのコインの状況について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
まちのコインは、これまで全国で、本県を含めまして25地域で導入されておりますが、本県以外では神奈川県鎌倉市や大阪府八尾市など、個々の市区町村単位で運用がされているところでございます。特に、御紹介いただきました鎌倉市におきましては取組が進んでおりまして、例えば竹林の保全活動につながるタケノコ掘り体験や建長寺を巡るスタンプラリーなどの体験がユーザーによって利用されておりまして、地域からも「たくさんの店やイベント、人とのつながりが出来、様々なエピソードが生まれた」といったお声も上がっておりますし、それ以外の地域におきましても、まちのコインが地域の活性化につながっているというふうに伺っているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)他の導入地域とは異なり、滋賀県の場合は県域で導入しているということで、いろいろと注目を集めている取組ではあります。
まちのコインをリリースする前の令和4年5月に、面白法人カヤックと本県との間で、多様な人がつながり活躍できるローカルDXの実現に向けた協定が締結されています。内容は大きく3つで、1つ目は、デジタル技術を活用した関係人口の拡大に関すること、2つ目は、デジタル技術を活用した地域活性化の実現に関すること、3つ目は、デジタル人材の育成に関することとなっています。
多様な人がつながり活躍できるローカルDXの実現に向けた協定に基づく成果について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
御紹介いただきました協定に基づきまして、全国でデジタルによる地域活性化に取り組まれてきた株式会社カヤックのノウハウを取り入れながら事業を展開しているところでございます。
そうした中で、SMOUT、まちのコインの運用によりまして県内の地域資源を活用したイベント等を県内外の方々に体験いただきまして、協定で掲げる関係人口の拡大や地域活性化の実現に一定つながっているほか、人材育成の点でも、デジタル技術を使いました魅力発信スキルが地域において養成されているものと考えているところでございます。
また、企業版ふるさと納税を活用いたしまして、イベントの企画や広報にたけた人材を受け入れ、県職員にはない視点も取り入れながら事業を推進するといったことができておりまして、先進的な取組として、今年度、全国知事会の優秀政策に選定されましたほか、多くの視察の御依頼もいただいておるなど、おかげさまで全国から注目をいただいていると受け止めているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)全国知事会の優秀政策に選ばれたということで、おめでとうございます。今後、ますます視察が増える中で、堂々と胸を張って視察に来ていただける環境を急いでつくらないといけないなと私も改めて感じているところでございますが。
滋賀県域で取り組むデジタル地域コミュニティー通貨ということで、滋賀県が実施する様々な事業等にも連携していくべきと考えます。これまでの県の事業等での取組状況について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
今年度の連携事業といたしましては、例えば琵琶湖環境部のびわ湖を美しくする運動や、文化スポーツ部の滋賀の子ども応援プロジェクトにおきまして、ビワコを絡める形で事業を実施しているところでございます。また、来年の3月には、昨年度に引き続きまして、びわ湖マラソンのランナーやボランティアの方が参加できる企画を予定しているところでございます。
全庁的に連携できる事業はまだまだあるものというふうに考えておりまして、ビワコを活用して、各事業の事業目的がより効果的に達成され、また、同時に、ビワコの利用拡大も図れるような相乗効果を生み出すべく、各部局との連携をさらに進めてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、幾つか御紹介いただきましたけれども、まちのコインのアプリの側から見るといろいろ連携している事業が見えるんですけれども、一方で、県のホームページとか県のポスターからは、あまり告知されていないというケースが非常に多いように感じます。
先日もびわ湖一斉清掃が実施されましたが、これに参加すると500ビワコがもらえるということでした。ただ、この告知も、県のホームページのびわ湖一斉清掃の告知ページの中のPDFファイルの2ページ目の一番最後に記載されており、かなり遠慮ぎみに告知をされていました。
先日の我が会派の代表質問で、県政世論調査の際にナッジ理論を活用されたことに触れましたが、まちのコインビワコをPRしていく上でも、ナッジ理論に基づき得られた知見を活用できるのではないかと考えます。
ナッジ理論の活用による成果の共有について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
昨年度の県政世論調査において、調査票を送付する封筒の表面に、調査対象者に選ばれたことをポジティブな表現で記載、あるいは過去の県政世論調査において意見が反映された事例を簡潔に明記、回答の手間を省くためのQRコード表示などを行った結果、回収率は、その前の年度の50.6%から67.8%へ大幅に上昇いたしました。
今年度は、ナッジ理論の効果をより詳細に検証するため、回答をお願いするメッセージを5種類、用意いたしまして、それぞれの効果を測ったところ、最も効果が高かったのは「3,000人のお1人に選ばれました」という社会的責任感を訴えるもので、これに加えまして、回答者へのプレゼント情報を強調するメッセージを組み合わせた場合に回収率が最も高くなりました。
レイアウトや表現の工夫をするなど、ナッジ理論は、まちのコインビワコを含め様々な業務に生かせる可能性があると考えられるため、政策研修センターでは今年度の職員研修メニューに加えられたところでありまして、知事公室といたしましても、県政世論調査における取組事例を、広報戦略会議などを通じまして、広く全庁に共有してまいります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)非常に丁寧に御答弁いただきましたけど、端的に言うと、プレゼントを表に明記すると反応がいいということかと思いますので、ぜひ、このまちのコインがもらえるということを様々な事業に組み合わせながら、訴求の一つとして全面的に訴えていただければいいかなと、そんなふうに思います。
さて、まちのコインビワコの展開に当たっては、モデル地域にそれぞれエリアコーディネーターが配置されています。このエリアコーディネーターの役割について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
御質問のエリアコーディネーターは、琵琶湖のモデル地域となる市町に配置をいたしまして、県や市町と連携しながら事業を効果的に運営するための支援を行っていただいているところでございます。
具体的には、地域での普及に向けまして、事業の趣旨や利用方法に関する説明会の開催のほか、独自の広報ツールの作成やスポットの開拓など、多岐に渡って活動いただいているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)それぞれの地域にこうしたエリアコーディネーターも配置をしていただき、市町と一緒に進めていただいているまちのコインビワコですけれども、なかなか県内に浸透していっていないという、そういう現実も一方ではあります。
そこで、まちのコインビワコの課題について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
コミュニティー通貨ビワコは、まちのコイン導入自治体の中でも、スポット数で1位、ユーザー数や流通量でも3位と高い利用状況にございますが、今後、さらに地域の活性化に有効に活用していくためには、ユーザーの方にビワコを継続的に利用いただく仕組みづくりが課題と考えているところでございます。
そのため、県といたしましては、御指摘いただいたような県事業との連携ですとか、趣旨に賛同いただける企業様からの御協力を得ながら、ビワコを使える体験の充実を図り、ユーザーに地域とのつながりを感じながら継続して楽しんでもらえるように、取組を進めてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)まちのコインビワコですけれども、もともと移住・関係人口創出を目的としていることから、本県では総務部の市町振興課が担当されており、また、モデル地域の市町においても移住関係を扱う部署が担当の窓口になっています。そのため、関係人口創出のためのアプローチが中心となってしまい、県民の方のまちのコインのアプリの登録者が非常に少ないという根本的な問題があると考えます。幾らまちのコインビワコを配布しても、それを使えるスポットとなる事業者や定住者の方々が多くおられない状況では、県外から来られた方に魅力を感じていただくことにはつながりません。そこで、より多くの県内事業者に登録をしていただくことが必要かと考えます。
ちなみに、このまちのコインビワコ、スポットになるのには登録は無料です。登録すればアプリ内にお店や事業所が紹介されますので、無料で宣伝ができます。同時に、3万ビワコが付与され、例えば来店するだけで100ビワコあげますといった集客にも利用できますので、無料で、かつ3万ビワコがもらえるというのは中小事業者にとってはありがたい話です。そういう意味では、これは中小事業者支援にもつながるのではないかと考えます。
現在、中小事業者支援として実施している「しが割」の参加事業者、旅行支援の「滋賀たび」の参加事業者、また、コロナ禍で、もしサポ滋賀に協力いただいた事業者など、広く呼びかけをしてはどうかと考えますが、まちのコインビワコによる中小事業者支援の可能性について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)議員御指摘のとおり、事業者にとっては、広告料なしでユーザーに宣伝ができるほか、工夫次第では、ユーザーにお店の顔なじみや常連となっていただくなど、新たなつながりを構築できるメリットがあります。登録しておけば、しょっちゅう来ますもんね、ビワコから連絡が。
県としては、積極的に事業者の参画を促すことでビワコを使う体験の充実につなげるとともに、事業者の皆様にとって宣伝効果もさらに向上するという好循環を生み出していきたいと考えており、これまでに県の施策に御参加いただいた方々も含め、ビワコのメリットを分かりやすくPRしてまいりたいと存じます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
これまで市町振興課ですと、どうしても展開するのに限界がありましたし、エリアコーディネーターの方々も、やっぱりその人の人脈を中心に展開されているところにとどまっていて、なかなかその殻が破れないと、そういった現状もあるような気もいたしますので、ぜひ、お願いしたいと思います。
ただ、今、メリットをおっしゃっていただきましたけれども、その一方で、事業者からしますと、このまちのコインビワコというのはお金に換金ができませんので、ビワコを使っていろいろ体験をしていただいた場合、その体験は全て事業者の負担、お店の負担になるばっかりで、頂いたビワコがお金に換えられないというデメリットも一方ではございます。お店側はそれを広告宣伝費と捉えて、うまくビジネスにつなげたり、あるいは、しっかりお金を頂きながらビワコも頂くという仕組みをうまく工夫しないと、お店が、やり方を間違えると損することにもなりかねないというデメリットもありますので、そこをどうPRしていくかということが必要になりますのと、あと、ビワコそのものを行政サービスの何かに使えないかなと。事業者の皆さんがビワコを使って行政サービスを受けられるような仕組みというのも何か考えられないかなということを、ぜひ、御検討いただければ、何か、よりいい形でビワコが流通していくのかなという気もいたします。
さて、関係人口を創出するに当たり、2025年に開催する国スポ・障スポは大きなチャンスであると考えます。来県された選手の方々にまちのコインビワコをプレゼントすれば、来県中に地域でまちのコインビワコを使っていただくことにつながりますし、獲得したコインは使用しないと90日で消滅する仕組みであるため、3か月以内に、再度、来県いただける可能性も高まり、まさに関係人口づくりには最適なツールです。開催に向け、県内の中小事業者への機運醸成にもつながるのではないかと考えますが、まちのコインビワコの国スポ・障スポ2025での活用の可能性について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、2025年の「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」での活用を視野に入れて、県内の事業者にビワコの活用を呼びかけることは、両大会の機運醸成にもつなげられる可能性があると認識しております。したがって、県の田中に指示しました。
具体的な活用方法につきましては、今後、検討を重ねる必要がありますが、御提案いただいたように、関係者の協力を得ながら、来県いただいた選手やボランティアの皆様にビワコを利用していただける体験を準備し、県内のお店等を訪問していただくきっかけとするなど、あらゆる可能性を探ってまいりたいと思いますし、先ほど御指摘いただいて、私には答弁の機会はありませんでしたけども、ユーチューブの登録者や動画の再生回数の増加なども含めて、連動させて取り組んでいける可能性があると思います。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
ほかにも観光なんかは特に、これまでも、シガリズムの体験をまちのコインを使って行っていただいているケースもありましたし、あと、スタンプラリーの機能がありますので、県域で使える特性を生かせば、ビワイチで回るそれぞれのルートに、これが使えるスポットであるとかスタンプラリーのポイントをつくって活用いただくということも可能ですし、お城巡りですとかロケ地巡りであるとか、そういったスタンプラリーとこのスポットを組み合わせながら、いろんな観光につなげるという、そんな仕掛けをつくることも可能ですし、そもそも一番大事なのは、そうやってサービスを提供しつつ、どこから来た人、あるいはどういう属性の人、男性、女性、あるいはどういった年代の方々がどういう行動をされたか、そういったデータが全て蓄積されていく、実はこれのポイントはそこが一番重要なんですね。これはうまくいけば、こうして得られた情報、例えばそれぞれの登録いただいたお店、この1か月間でどこどこのお店は男性がこれぐらい、女性はこれぐらい、どういった年代の方々が来られましたよと、その方はここのお店に来る前にはここに行かれていましたよとか、そういったデータが全て分かるようになるんですね。これがまさに進める、デジタルを活用したローカルDXの面白法人カヤックと提携したメリットになってくるかと思うんですけど、まだまだそこにたどり着かない状況にあるということを認識していただいた中で、何とか、面白法人カヤックが考えておられるこの構想、面白滋賀になるように、三日月知事にも、ぜひ、全庁的に旗振りをしていただきながら前に進めていただければなということを思うんですけども、再度、知事の見解を伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 大いに可能性があると思います。先ほど御紹介いただきましたように、県エリアでこういうことをやれているところというのはほかにありませんし、最後に御指摘いただいた観光面、いろんなスタンプラリーやお城巡りなどでの活用、そして、何より、そういった事々で蓄積されるデータを分析し、その次の観光振興や商売に生かしていく取組ですとか、また、事業者にフィードバックして、ビジネスチャンスに、またビジネスの拡大につなげていただくことなどにも可能性があると思いますので、いずれにしろ、今回御指摘いただいたことを基に、さらにどういう伸ばし方ができるのかというのを考えていきたいと思います。
◆18番(田中松太郎議員) 終わります。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、18番田中松太郎議員の質問を終了いたします。
次に、9番森重重則議員の発言を許します。
◆9番(森重重則議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告書に基づき、分割方式にて3項目、質問をさせていただきます。
まず1項目め、学校におけるいじめ対策、相談体制の充実に向けて4点、教育長に質問をいたします。
本県では、いじめ防止対策推進法第12条の規定に基づき、滋賀県いじめ防止基本方針を平成26年に策定され、平成29年に国のいじめの防止等のための基本的な方針が改定されたことを受け、平成29年に滋賀県いじめ防止基本方針が、さらに改定が行われました。各学校におかれましては、いじめの問題に対する指導体制の充実や未然防止、いじめ発生時の迅速で適切な対応、再発防止等に取り組んでいただいていると思います。
県教育委員会の調査によりますと、令和4年度の公立学校で認知したいじめの件数は過去最多の1万1,716件、前年度比1,893件増えておりました。初めて1万件を上回りました。いじめ防止対策推進法で定義する、生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いがあったり、相当期間の欠席を余儀なくされている疑いがある重大事態も13件と過去最多でありました。いじめ認知件数の学校の割合は、全国平均では小学校90.5%に対して滋賀の小学校では99.1%、また、中学校におきましては、全国平均が88.3%に対して滋賀の中学校では100%のいじめが認知されています。
現在、本県におきましては児童生徒の自主的な活動による、居心地のよい学級・学校づくりの推進、児童生徒の状況をきめ細やかに把握した、いじめを訴えやすい体制や環境整備、また、組織や関係機関との情報共有体制の構築などに取り組んでおられますが、依然として、いじめ認知件数は減らず、増えているのが現状であります。
そこで、1点目の質問といたしまして、まず、教育委員会として、いじめの認知件数が増加している要因としてはどのような認識を持っているのか、教育長に伺います。
次に、2点目の質問といたしまして、いじめ防止、いじめ未然防止の取組について、教育長に伺います。
最近では子供たちの間で、ネットに関連し、周りの大人には見えにくい深刻ないじめが発生し、日々、苦しい思いをしている子供たちがいます。
いじめは早期に発見し、対応することがもちろん大切であります。日頃から子供のささいな変化にも気づき、子供の気持ちを共に受け止め、相談しやすい体制を整えることや、1人の教員が抱え込んで対応が遅れることのないよう、組織で対応することが重要であります。また、学校だけでは対応できない問題もありますので、関係機関と連携することや、いじめが発生した際に学校全体で組織的に取り組む体制づくりを行うことが重要であります。
いじめの未然防止、いじめを許さない学校体制について、今後、どのような取組を行い、いじめを減らし、なくしていこうと考えているのか、教育長に伺います。
次に、3点目の質問といたしまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの相談体制について、教育長に伺います。
児童生徒への相談体制におきましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの相談体制の充実化が図られ、児童生徒が悩みを自分で抱え込まないために、親身になって相談を受けておられるかと思います。
令和5年、県内公立学校におきましては、スクールカウンセラーが101名、スクールソーシャルワーカーは28名の方が配属されていますが、保護者の方の御意見を聞いておりますと、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの相談時間が短いことや相談できる曜日が限られていることから、児童生徒や保護者が相談したいタイミングで相談できないという課題があると聞いております。
そこで、児童生徒が相談しやすいように、曜日や時間を拡充するなど、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの相談体制の改善も必要だと考えますが、教育長に見解を伺います。
次に、4点目の質問といたしまして、教育端末を使用した相談体制について教育長に質問をいたします。
文科省も、先ほどのようなスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの相談時間の短さや、曜日が限られ、相談のタイミングが合わないなどの時間的なミスマッチがあることを受けて、公立学校で配付されているGIGAスクール向けの1人1台の教育端末を活用し、生徒の悩みやトラブルの早期発見につなげていく相談体制も進められています。
文科省が示している、誰一人取り残さない学びの保障に向けた、不登校対策のCOCOLOプランの中では、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校による支援を実施するため、1人1台の教育端末を活用し、学校全体で小さなSOSに早く気づくことができるようにすることとしても盛り込まれています。
本県における教育端末を使用した相談体制の現在の整備状況について伺います。
○副議長(有村國俊) 9番森重重則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)学校におけますいじめ対策、相談体制の充実に向けての4点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、いじめの認知件数が増加している要因についてでございますが、施行10年を経過いたしましたいじめ防止対策推進法の理解が進み、学校が、ささいな事案も積極的にいじめとして認知し、組織的に対応している結果であると捉えているところでございます。
また、アンケートや教育相談の充実などによる、児童生徒に対する見取りの精緻化でありますとか、SNS等のネット上のいじめについて積極的に認知したことなども要因の一つであると認識をしているところでございます。
2点目の、今後の取組についてでございますが、まずは近くの仲間を大切にできる心が育ちますように、話合い活動等を取り入れた授業を推進することが重要でございます。また、いじめを許さない雰囲気づくりを進めるため、児童会、生徒会等による、子供が主体となった、学校全体でいじめについて考える取組などを進めてまいりたいと考えております。
さらに、教職員に対しましては、子供が相談しやすい雰囲気づくりでありますとか、受けたいと思える授業づくり等について、好事例を題材とした研修の充実を図ってまいります。
3点目の、相談体制の改善についてでございますが、子供たちにとって相談しやすい体制をつくり、チーム学校として支援することは学校を安心して学べる場所にするために大切なことであると認識をいたしております。このため、これまでからスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを、国の補助等も活用し、その拡充に努めたところでございます。しかしながら、現場の声を聞いておりますと、まだまだスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは十分ではないのではないかという御意見も伺っておりますので、今後も不安や悩みを抱える児童生徒にしっかり寄り添えるよう、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充に努めてまいります。
4点目の、教育端末を使用した相談体制の現状についてでございますが、教育端末を使用した児童生徒への相談対応を実施しているのは、19市町中8の市町でございまして、今後、実施予定と申しておるのが4市町ございます。文部科学省の今回の不登校いじめ対策緊急パッケージでは、1人1台端末等を活用した心の健康観察の導入推進事業が計上されておりますことから、今後、本県におきましても本事業を活用してまいる予定をいたしております。
◆9番(森重重則議員) (登壇)答弁、ありがとうございました。
3点目の質問に対しまして、再度、教育長に質問をいたします。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが現在まだ十分ではないということで、今後、整えていきたいという御答弁がございました。今後、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置人数を拡充することを考えておられるのか、また、来年度はどのくらいの配置数で相談体制を充実しようと考えているのか、再度、教育長に見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
スクールカウンセラー、また、スクールソーシャルワーカーの配置拡充につきましては、学校でありますとか市町教育委員会からも強く要望をいただいているところでございまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの人材確保の見通しなども精査をしながら、こちらは計画的に進めていくことが大切だと考えております。
なお、次年度──令和6年度の配置につきましては、今、予算編成の最中でございますので、私として、知事等に配置拡充の必要性をしっかり説明し、要求をしてまいりたいと考えております。
◆9番(森重重則議員) (登壇)答弁、ありがとうございました。非常に積極的な御答弁をいただきまして、ぜひ、来年度、拡充をしていただきたいと思っております。
4点目の質問に対しまして、再度、教育長に質問をいたします。教育端末の相談体制であります。
整備状況については分かりました。教育端末を使った相談体制というのは、守山市では非常に早くから導入を行い、相談を行っておりました。そして、生徒の悩みやトラブルの早期発見につなげている実績というのもございます。相談を受ける第一歩の入り口として効果を発揮していると聞き及んでおります。教育端末を活用した相談体制を、今後、拡充していくことが必要であると考えますが、教育長に見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供たちが相談したいと感じたときに相談できる体制をつくることで子供たちの不安や悩みにいち早く気づくことが大切だと認識をいたしております。そのために、教育端末の活用は有効な手段の一つと認識をいたしており、まずは教育端末で相談を受け付けることができるということが心の小さなSOSの早期の対応からの支援につなげられるものと考えております。
今後、県内の取組状況は様々でございますので、その状況を県内19市町に提供するなどによりまして、まだ取組をされていない市町に対して、その取組を促してまいりたいと考えております。
◆9番(森重重則議員) (登壇)御答弁、ありがとうございました。
小さなSOSを本当に見逃さず、発見して、そして、教育端末からでも相談はできるように拡充を、今後、していただきたいと思います。
それでは、大きな2項目めの質問に移ります。
SOSの出し方に関する教育の推進について、教育長に伺います。
厚生労働省と警察庁におきましては、令和4年中における自殺者の確定値が公表されました。令和4年の全国全世代の自殺者数は2万1,881名で、前年よりも増加しておりました。特に小中高生の自殺者数が514名と過去最多となりました。厚労省のいのちを支える自殺対策推進センターの全国調査によりますと、令和4年の小中高生の自殺者数のうち、高校生が68.9%と最も多く、内訳としましては、全日制の男子高生の自殺者数が最多で、高校生全体の45.5%を占めました。また、定時制、通信制の女子高生の自殺死亡率が特に高く、全日生女子高生の4.6倍、全世代の1.9倍に上っていることが分かりました。
本県においては、滋賀県立精神保健福祉センターの資料によりますと、令和4年の19歳以下の自殺された方が10名おられるということで、自ら命を絶たれるという悲しい実態がございました。本県の19歳以下の自殺者数については、この10年間の推移を見ていましても増えている実態がございます。
平成28年4月の自殺対策基本法改正では、児童生徒のSOSの出し方に関する教育の必要性が改正法として同法第17条に盛り込まれました。SOSの出し方に関する教育とは、子供が、現在起きている危機的状況または今後起こり得る危機的状況に対応するために、身近にいる信頼できる大人にSOSを出すことができるようにすること、そして、身近にいる大人がそれを受け止め、支援ができるようにすることを目的とした教育であります。
この背景といたしましては、全国的にも命や暮らしの危機に陥った子供たちが、助けの求め方が分からない、相談機関や支援策の存在を知らないという課題もあり、自殺に追い込まれるケースがあるからとのことでありました。SOSの出し方に関する教育を進め、それを受け止める実効性の高い相談体制を確立すれば助かる命があるのではないかと思います。
本県の自殺対策基本計画にもSOSの出し方に関する教育が記載されており、この教育を少なくとも年1回実施するなど積極的に推進するよう、文部科学省から地方公共団体へ依頼もされています。
現在、本県におきましても実施されているかと思いますが、そこで、本県におけるSOSの出し方に関する教育の実施状況とその効果について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) SOSの出し方に関する教育の推進について、私に頂きました本県における実施状況と効果についての御質問にお答えをいたします。
令和4年度につきましては、県内の公立の小中学校、高校、特別支援学校におきまして、87%の学校が自殺予防教育を実施したと把握をしております。
SOSの出し方に関する教育につきましては、自分に合った日常的なストレス対処法を身につけること、友達の深刻な悩みを聞いたときに適切に対応できるような力を身につけるなどの効果があるものと認識をいたしております。
また、スクールカウンセラーの皆様を講師とした授業を受けた児童生徒からは、困ったときは相談すればよいということが分かったという感想が多く寄せられておりまして、実際にスクールカウンセラーへの相談につながることも多いと聞いておりますので、スクールカウンセラーの充実について、この点におきましてもしっかり進める必要があると認識をいたしております。
◆9番(森重重則議員) (登壇)御答弁、ありがとうございました。
答弁によりますと、現在の実施状況では、まだ完全に充足していない学校もあるとのことでありました。そして、実施された学校におきましては一定の効果があるということが分かりました。
私の経験ではありますが、友人、同僚が自殺したことがあります。1人目は、あさって運動会があるので練習してくると家族に言い、ジャージとスニーカーを履いてジョギングに行き、その夜に自殺をいたしました。2人目は、現場で働いていた彼は、金曜日に「来週からこの作業をします」と現場に月曜から始める作業の印をして、月曜の朝、出勤する途中に自殺をいたしました。一見、突発的に見えることではありますが、人生の積み重なった複合的な要因が重なっていたと思います。その日、なぜ自殺という行動に出たのか。家族、友人、知人に聞いても、いまだに誰も分かりません。なぜ、助けてくださいと周りに言えなかったのか、何かできることはなかったのかと今でも悔やまれます。
SOSの出し方に関する教育を子供の頃から受けていると、困難な状況、危機的な状況と捉えたときに、少しでも自ら周りにSOSを発信する力が養えるのではないかと思います。このSOSの出し方に関する教育を、今後、拡充していくことも重要だと考えますが、再度、教育長に見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
子供が自らの命を絶つことは大変悲しい出来事でございます。家族にとりましても、同じ学校や地域にいる子供たちにとっても悲しく、また、取り返しのつかない深刻なことであると思っております。
子供たちにとって、相談の壁というのは我々大人が思っている以上に高いことが予想されます。SOSの出し方に関する教育は、子供たちのこの壁をなくす、そういったきっかけになると考えているところでございます。SOSの出し方に関する教育により、子供自身が心の危険に気づき、身近な信頼できる大人に相談できる力を培うこと、これがまず1つ、大切でございます。あわせまして、学校において身近な大人である教職員が子供のSOSを受け止め、支援できる体制を整えていく、こちらも大変重要であると認識をいたしております。
◆9番(森重重則議員) (登壇)御答弁、ありがとうございました。ぜひSOSの出し方に関する教育、進めていただき、少しでも助かる命が本当にあればいいと思っております。ぜひ、お願いをいたします。
それでは、3項目めの質問に移ります。
子供・若者相談体制について、
健康医療福祉部長に質問をいたします。
現在、こども家庭庁が、市区町村におきまして児童福祉に当たる子ども家庭総合支援拠点と母子保健に当たる子育て世代包括支援センターの設立の意義や機能を維持した上で組織を見直し、全ての妊産婦、子育て世代、そして、子供たちへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関として、こども家庭センターの設置に努めることとしています。
また、平成22年には子ども・若者育成支援推進法が施行され、11月を子ども・若者育成支援推進強調月間と定めています。この法の前文には、全ての子供、若者が自尊感情や自己肯定感を育み、自己を確立し、家庭を中心とした、国および地方公共団体、学校、企業、地域等がおのおのの役割を果たすとともに、一人一人の子供、若者の立場に立って、生涯を見通した長期的視点や発達段階において、的確な理解の下、最善の利益を考慮する必要があるとしています。そして、こども家庭庁は、地方自治体における相談体制の充実や、子ども・若者支援地域協議会の活用による、関係機関等が連携した支援の充実を進めることとしております。
本県では平成29年4月から滋賀県子ども・若者総合相談窓口を開設され、対象といたしましては小学生から39歳までの相談が行われていますが、これまでの成果と課題について、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)子ども・若者総合相談窓口についての成果と課題についてお答えをいたします。
子ども・若者総合相談窓口は精神保健福祉センター内に設置をしておりまして、不登校やひきこもり、発達障害等の相談に対しまして、臨床心理士や精神保健福祉士等の専門職が、多角的なアセスメントによりまして、問題解決に向けて継続的なサポートを行っておりまして、直近3か年の相談は平均で年間延べ約1,300件、実人数で約210名という状況でございます。
また、各市町におきましても同様の相談体制を整えていただけますよう、研修会の実施やスーパーバイザーの派遣等の技術的な支援を行っておりまして、現在、6市におきまして相談窓口が設置されたところでございます。
課題としましては、相談の対象が県内全域であるために、関係機関との密接な連携であったり、あるいはアウトリーチによる伴走的な支援が十分に実施できない地域がございまして、今後、各市町で設置が予定されておりますこども家庭センターとの連携が重要であると考えているところでございます。
◆9番(森重重則議員) (登壇)答弁、ありがとうございました。
再度、
健康医療福祉部長に質問をいたします。
子ども・若者総合相談窓口というのは、県のほうは年間1,300件、210名ほどの御相談があるということでした。市におきましては非常に身近なところの相談窓口ですので、当事者の相談実績が高く、有効な事業だと思います。
保護者の方から御意見も聞いておりまして、滋賀県子ども・若者総合相談窓口の開所日時というのが平日の9時から16時であり、休日は土、日、祝日であります。子供、若者が相談するには時間的に使いにくいという課題があるかと思います。子供、若者が相談するには利用時間帯の改善を行い、利用しやすくする必要があると考えますが、見解を伺います。
またあわせて、先ほど御答弁にありましたこども家庭センターにつきまして、相談実績の高い子ども・若者総合相談センターの設置やこども家庭センターの設置を進め、相談体制を拡充していくことも重要であると考えますが、
健康医療福祉部長に見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
まず、利用時間帯の拡充でございますけれども、こころのダイヤルであったり、あるいは24時間の子どもSOSダイヤル、こころのサポートしが、LINE相談、こういった相談は昼夜を問わず受付をしておりまして、こういった取組のしっかりとした周知と連携を図ることによりまして、相談者の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
また、各市町の相談体制の拡充でございますけれども、子ども・子育ての支援拠点であります子ども家庭相談センターにつきましては、できるだけ早期に設置をいただけますよう働きかけますとともに、子ども・若者総合相談センターが未設置の市町に対しましては、好事例の紹介であったり、あるいは国庫活用の助言などによりまして設置を促進しまして、乳幼児から成人期に至るまでの切れ目のない相談支援体制が県内全域で構築されますよう、引き続き、市町の支援に努めてまいる所存でございます。
◆9番(森重重則議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、9番森重重則議員の質問を終了いたします。
最後に、35番駒井千代議員の発言を許します。
◆35番(駒井千代議員) (登壇、拍手)本日最後の質問権者となります。いましばらく、よろしくお願いいたします。そして、本日はオーストリアと日本にちなんだ衣装で質問に伺いました。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして、世界とつながる滋賀について、一問一答で、以下、伺います。
今年度は、感染症による様々な制限が緩和されたこともあり、国外との往来も活発になっています。滋賀県ではこのたび新たに、オーストリア共和国ブルゲンラント州と文化、環境保護、経済、観光、ワインと地酒、公共交通、健康福祉に関する覚書を締結されました。ブルゲンラント州のドスコツイル首相との会談では、陶芸の学校やワインづくり、音楽学校、音楽祭の話など多岐にわたり、ワインづくりが盛んなルスト市の昼食会では、東近江市のLaque(ラクエ)さんのブドウジュースや近江八幡のふなずしをお渡しし、ワインを通じた経済、互いの地域についての紹介がなされました。
この間、オーストリア大使館の水内大使にも同席いただき、今後の大使館でのワインと日本酒の交流において、滋賀県の地酒を取り扱うことも前向きに検討いただくこととなりました。
滋賀県では、これまでびわ湖ホールでの音楽祭でオーストリア体感ブースなどを実施されましたが、ここ滋賀でのワインの販売や、また、ブルゲンラント州では夏に音楽祭が実施されることから、こちらでの滋賀県ブースの出展などをすること、陶芸の森のアーティスト・イン・レジデンス事業なども積極的に活用しながら、互いの陶芸に関する交流なども考えられると思います。
そこで、今後、具体的に交流をどのように進めようとされるのか、江島副知事に伺います。
○副議長(有村國俊) 35番駒井千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎副知事(江島宏治) (登壇)お答えいたします。
今回の訪問では、ブルゲンラント州のドスコツイル首相に対しまして、さらに交流が深まるよう、滋賀県への訪問を要請したところであります。
帰国した後、県政経営会議におきまして訪問の成果を共有し、各部局長に対し、ブルゲンラント州との交流に向けた具体的な検討を指示するとともに、オーストリア大使館の駐日大使と面会して、ブルゲンラント州との交流推進への協力を要請したところであります。
今後、定期的にオンライン会議を開催し、音楽や陶芸分野での交流、サイクルツーリズムなどの観光、環境や健康福祉分野などでの情報交換を行いまして、ブルゲンラント州からの訪問団が来県される際には対面での交流ができるよう調整を進めてまいります。
なお、具体的な交流として、来年度、ブルゲンラント州にゆかりのある指揮者による、びわ湖ホールでの演奏会を開催しようと計画しておりまして、その準備を進めているところであります。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
1つは指揮者をお呼びになってということでありますけれども、お互いの交流であれば、向こうで滋賀県のことを知っていただく機会、そして、こちらでブルゲンラント州のことを知っていただく機会というのも重要なんですけども、各部署で、いろいろと指示をされて今後のことを考えていかれるということなんですが、私は、やはり音楽の都市でもありますし、いろいろなことを考えた上で、滋賀県としては、今回の交流というのは滋賀県にとって、やはり人材育成にもつなぐような形の交流というものも重視して考えてはどうかと考えますが、改めて、江島副知事にお伺いをいたします。
◎副知事(江島宏治) 議員御指摘のように、音楽、文化、音楽ですね、特に。滋賀県にもびわ湖ホールというすばらしいホールがありますので、そこでの音楽の交流は、当然、進めていきたいと思っています。
あと、議員御紹介の音楽大学がブルゲンラント州にありました。ハイドンに非常に深い関係のある州でありますので、滋賀県にも石山高校音楽科がありますし、音楽大学に進む方がいらっしゃれば、当然、そういうところでのつながりが活用できるかなと思います。向こうのドスコツイル首相も、音楽、かなり熱く語っていらっしゃいましたので、そういう交流ができますよう、これからも連携を進めていきたいと思っております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)今回、ブルゲンラント州よりケラーガッセという古くからのワインセラーが建ち並ぶ、桜が魅力的なサイクリングロードの一部を(仮称)シガロードとして提案いただきました。先日の代表質問の答弁でも、互いのサイクリングロードに相手にちなんだ愛称をつけるといった取組も検討しているとのことでしたが、県内における(仮称)ブルゲンラント州ロードはどのような基準で選ばれるのか、また、市町の協力も必要かと思いますが、今後、どのように検討を進めていかれるのか、江島副知事に伺います。
◎副知事(江島宏治) お答えいたします。
本県のサイクリングロードにブルゲンラント州にちなんだ愛称をつけることにつきましては、両県州の風景や文化等を想起させる視点を考慮し、それにふさわしい道路を選定していきたいと考えております。その際には、ブルゲンラント州や県内関係市町などに対しまして、選定した経緯や理由等を丁寧に説明し、御理解いただく必要があると考えております。
今後、州の取組とも歩調を合わせていく必要があることから、今回の訪問の成果なども踏まえまして、交流に向けた意見交換を進める中で、候補となる道路の選定やネーミングなどを含めまして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ぜひ、ロードをネーミングするだけでなく、県民の人にも、より多く知っていただく機会となりますよう、選定のほうを進めていただきたいと思います。
ブルゲンラント州にある湖のノイジードラー湖は、その水利用が今日のブルゲンラント州において観光、経済の面で欠かせなくなっている一方で、近年の地球温暖化の影響もあり、湖の環境変化を懸念する声があることを聞かれたことと思います。
滋賀県は湖沼の課題を世界の水問題の重要な1つとして位置づけられるよう、また、世界湖沼の日を呼びかけていることからしても、ブルゲンラント州にも次回湖沼会議への参加を呼びかけてはどうでしょうか、江島副知事に伺います。
◎副知事(江島宏治) お答えいたします。
ブルゲンラント州との交流は、琵琶湖とノイジードラー湖というそれぞれの国を代表する湖の縁で始まったものでございます。今後は、気候変動による影響、これはブルゲンラント州にもあるということでございました。そういった影響など、お互いの湖沼に関する課題を共有しながら、湖沼問題の解決に向けた国際的な議論の場であります世界湖沼会議への参加につきましてもブルゲンラント州に呼びかけるなど、連携できるよう努めてまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)現在、琵琶湖でも水位低下が問題となっておりますけれども、このノイジードラー湖も、雨が降らないと将来的には枯渇するかもしれないという危機的な状況を考えていらっしゃいますので、ぜひ、そういったことを共有できる場としても、参加のほうを呼びかけていただきたいと思います。
これまで滋賀県が交流を重ねてきたオーストリア政府観光局は、今年、オーストリア大使館直属の組織に改編されると伺っております。今回は訪問先に入ってはおりませんでしたが、オーストリアの森林研究研修機関であるBFW──オーストリア連邦森林・自然災害・景観研究研修センターと長野県では技術連携の覚書を交わし、長きにわたり、森林、林業技術交流をされていますし、他府県でも調査、交流をされています。森林研修所では、これまで約200人の日本人が研修を受けられたとのことです。2019年には高島市の方がオーストリアでの林業機械展などを視察されておりますが、研修は滋賀県にとっても参考になるのではないかと伺っております。
滋賀県でも、滋賀もりづくりアカデミーでの人材育成など、林業を推進されているところですが、オーストリアの森林の考え方、林業技術に学ぶところもあるのではないでしょうか。オーストリアとの関係強化について、ここは知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
オーストリアは急峻な地形が多く、資源管理の視点に立った広域的な森林管理体制の下で林業経営が実践されているとのことでございます。一方、国内では長野県などの林業県で、技術的な課題解決に向けてオーストリアとの交流を図っていらっしゃる事例があると聞きました。
これからの林業経営にはICTなど最新技術の導入が求められるなど、国内の事例だけでなく、海外からも広く学ぶ必要があると考えます。
このようなことから、先日、覚書を取り交わしたブルゲンラント州との交流活動を生かし、オーストリアの先進的な林業が学べるよう、滋賀もりづくりアカデミーへの講師の招聘や、オーストリアへの受講生等の派遣の可能性について研究してまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)長野県と同様の技術連携の覚書までは難しいと思うんですけれども、ただ、滋賀において、もりづくりアカデミーで人を育てようというとき、そして、日本の林野庁が、オーストリアのフォレスター(専門家)育成制度に倣って、日本でも人材育成を図っていこうという体制づくりをつくられている中、滋賀県でオーストリアの森林経営管理を学んだことがない、誰一人として学んでいないという現状に鑑みると、やはり1人でも、こういった現地でしっかりと森林経営管理の在り方について学んだことがある人をつくるということも非常に重要だと思っております。研究いただくということですので、早期に、こういった件は人材育成の面で考えていただきたいと思いますので、ぜひ、よろしくお願いいたします。
次に、世界湖沼会議について伺います。
ハンガリーで開催された世界湖沼会議では、今回、オンラインによる高校生交流やユースのセッション、ユース宣言など、若者の発表や意見交換が活発になされました。
今回の高校生交流は、昨年11月から県内の高校生と現地の高校生が互いの湖の環境問題について学び、会議当日はそれぞれの主張をまとめたものをオンラインで発表されました。そこで、今回の高校生交流は学校や参加生徒の学びとしてどうだったのか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
第19回世界湖沼会議の高校生交流は、今回、オンラインを活用して行われましたが、4回の事前交流会や当日のセッションを通して、それぞれの学校や国について学ぶこと、また、世界における湖沼の課題を学ぶことにより、改めて琵琶湖について深く考える学びにつながったものと考えております。
また、国際舞台でのユースによる提言等におきまして、英語で自らの考えをまとめて発表することにより、英語学習や探求的な学習に対する意欲の向上、そして、世界的な課題解決に取り組む意識の高まり、こういったことにもつながったものと捉えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)今回の学びのことをおっしゃっていただいたわけなんですけども、私は、高校それぞれにおいて、今回、特色が出たかなというふうに思っておりますのと、コロナ禍においてオンライン交流が活発になって、今回もオンライン交流をされたわけなんですが、やはりまだまだ高校におけるICTの活用における状況は非常に課題があるというふうに見えたのも現実ですし、海外のプレゼンテーションの在り方についても非常に大きく学ぶ機会があったのではないかと思います。
高校生セッションでは参加されなかったわけなんですが、後日のスタディーツアーでは、船上で高校生が、また別でプレゼンテーションされたわけなんですけども、非常にすばらしいプレゼンテーションをされまして、ぜひ、そういったプレゼンテーションの仕方を学ぶという大きな機会でもあったかと思います。
さて、次回の世界湖沼会議はオーストラリア、ブリスベンでの開催です。オーストラリアへは、過去、語学留学や高校交流もされ、つながりのある高校もあると思います。今回は高校生交流参加者の現地参加はかないませんでしたが、TANAKAMIこども環境クラブ所属の中学生、高校生、大学生や、IVUSAやエコツーリズムについて発表した大学生は現地参加をされ、会議参加者と交流をされておりました。
現地参加は、発表するだけでなく、他国の発表者と交流したりすることができます。ぜひとも対面での交流を前提として、次回の参加を検討されてはどうかと考えますが、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
高校生に、グローバルな視点を持ちながら、ローカルな地域課題について考える力を身につけさせるという点で、海外との交流は大切な取組であると考えております。
その一つとして、御質問にございました次回のオーストラリアで開催される世界湖沼会議では、学校の実態や社会情勢等もございますが、高校生の参加の在り方について、対面での交流の有効性を含めて検討してまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)対面での交流を考えますと、やはり来年からいろいろと検討が必要ですので、その可能性を見て、最終的にはいろいろあるかと思うんですけれども、ぜひとも前向きに考えていただきたいと思います。会議への参加は、まずは年が近い学生交流もさることながら、県の発表を見ることができたり、各国の政策責任者や大人との交流をすることができます。これらは生きたキャリア教育であると思いますので、ぜひ、現地参加を強く要望したいと思います。
さて、今回の滋賀のセッションではMLGsとうみのこの取組を発表されました。MLGs、うみのこ、共に高い評価をいただけたと存じますが、特にうみのこは、海を越えて、ニカラグア版UMINOKOの発表をされたことが感慨深いです。
現在、うみのこは県内の小学生の体験が主となっておりますが、将来において子供の数が減少することが予想されています。令和3年の県人口統計と、中学校、義務教育学校の卒業人数の推移を見てみますと、1990年の2万749人をピークに、2035年は1万1,334人と予測されています。そのような中で、外国の子供たちが県内の小学生と共に環境学習を学ぶツールとしても大いに期待と可能性が感じられます。ILECやJICAと連携をして、うみのこが将来的に世界の子供たちの環境学習の場ともなるよう、今後、研究をしていってはどうかと考えますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
世界有数の古代湖であります琵琶湖は、固有種をはじめ、豊かな生態系を有しております。その保全再生の歴史を含めて、世界に誇れる学び多き環境学習の場でございます。その琵琶湖を舞台に、子供たちが体験学習する取組として40年続けてきた学習船うみのこは本県の環境学習を代表する取組であり、この取組が世界で認知されることは大変すばらしく、議員の御提案には共感するところ大であります。
海外の児童が琵琶湖のうみのこで環境学習することについて、実現可能性を考えながら、機会を捉えて研究してまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
なかなか、大量にというのは非常に難しいとは思うんですけれども、ただ、各国の代表の子供たちが経験していただいて、それを持ち帰って、できればニカラグア版UMINOKOのように、湖沼のあるところで、それぞれ小さいながらも、うみのこが広がっていくというような、原点ともなるような、中核としての滋賀の存在というものを将来において考えていただきたいなと思いますので、ぜひ、研究のほう、よろしくお願いいたします。なかなかこれは教育委員会では、枠を超えてしまいますので検討できませんので、知事直轄のほうで、ぜひ、企画のほうを考えていただきたいと思います。(発言する者あり)もちろん教育委員会が参加してですが。
それでは、先ほど申し上げたように、今回の世界湖沼会議は若者の意見交流が活発になされました。次世代を担っていく若者が世界の人々と交流し、学んでいくのは非常に重要な機会であると考えます。
現在、世界湖沼会議には県民参加としての補助制度がありますが、特にユース世代の参加については補助額を引き上げるなど、少しでも参加しやすい制度へと改善してはどうかと考えますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 今回の湖沼会議におけるユース参加の補助制度につきましては、主催者である国際湖沼環境委員会──ILECと連携いたしまして、会議参加登録料を対象に、1名当たり上限4万円の支援を行ったところでございます。また、昨年度にILECが主催されたエコツーリズムコンテストの受賞者の学生に対して、ILECが外部資金を調達して、湖沼会議参加に係る費用を全額助成する支援を行われたということも承知をしております。
今後、県といたしましても、ILECと連携しながら、補助制度の改善のほか、外部資金の活用や情報提供など、ユース世代がより参加しやすい制度や仕組みについて、鋭意、検討してまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)今回の、おっしゃったようなILECの外部資金の活用によってユースの方で参加された方はいらっしゃるんですが、県として補助事業をする場合の参加登録費なんですけれども、もともと学生は学生割引がありますので、逆に言えば、ほかの県民の大人の方と学生の方で言えば、金額として言えば、既に開催地から学生料金が設定されていますので、金額としては低いんですね、学生に対する補助は。そういうことを考えますと、ここの参加登録費だけで例えば拡大をしても、学生割引がありますので、結果的には、もう少し別の形で補助の仕組みを考えていただきたいということであります。金額ベースで考えると、若者への支援の金額は低いということです。学生登録費が低いので、登録費だけで考えると。そうしますと、ほかの姉妹交流の交流事業などもされておりますので、そういった事業も参考にして、補助の在り方というのを、ぜひ、検討していただきたいと思います。
現在、2030年に向けてSDGsの取組が各国で進められ、若者の発表でもそれを意識したまとめ方が見受けられました。滋賀県としても、ローカル版としてのMLGsを発信していますが、それらの取組のまとめとしても、2029年に開催されるであろう世界湖沼会議に、開催国として手を挙げることを検討されてはどうかと考えますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
我が国での世界湖沼会議は、御案内のとおり、滋賀県で2回、茨城県で2回、計4回開催されております。これまでの成果として、昨年には国連環境総会で持続可能な湖沼管理に関する決議が採択されるなど、近年、湖沼問題について国際的な関心が高まってきていると認識しています。
一方で、世界湖沼会議はおおむね50か国が参加する国際会議でありまして、地域的な偏りがなく開催されることも重要だと考えております。こうしたことを踏まえまして、本県が世界湖沼会議に手を挙げることについては、本県を開催地とした場合に、国際貢献の観点からどのような成果が期待できるのか等を勘案いたしまして、国やILECとも十分に連携しながら、適切な時期を見極めてまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)世界湖沼会議の流れの関係だけでいえばそういうことが言えるかと思うんですけれども、やはり私がこだわりたいのは、この2029年。2030年がSDGsの目標年度としまして、滋賀県としても基本構想でありますとかMLGsの目標達成年度としておりまして、2029年はポストSDGsに向けて議論が活発にされるときなんですね。まさに大きな枠組みの目標システムをどう次世代に向けて変えていくか、大きな転換の年になる。世界湖沼会議の前身となる会議が滋賀県で始まった。だからこそ、この時期に滋賀県で開催する意義というのは非常に大きいのではないかと思っております。もちろん地域のこともあると思いますけれども、滋賀県として、その仕組みの在り方をどのように発信するかという観点からも、やはり考えていただきたいのですが、もう一度、知事に伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 次回がオーストラリア、ブリスベンですか。そして、その次の次を狙ってみてはどうかという、そういう御趣旨で御提案いただいているものと受け止めました。
さっき答弁させていただいたように、日本でも滋賀県と茨城県でしかやっていなくて、ほかで開催するところはないのかなとか、あと、世界の湖沼のことを考える会議ですので、ほかにまだまだやりたいところ、やれるところもあるのかなということも考えつつ、ポストSDGsに向けて、何か滋賀県、琵琶湖として役割が果たせるのであれば積極的に検討するということも、ぜひ、考えていきたいと思っていますので、全くやらないということではなくて、ちょっとそういったことを、全体を展望しながら考えてみたいと思います。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ぜひ、よろしくお願いいたします。
次に、このたび、台南市とサイクルツーリズムにおける交流の覚書を締結されたことから、交流の今後と自転車の活用推進について、以下、伺います。
今回の覚書締結に先駆けて、日本の国土交通省に当たる台湾のMOTCに伺い、陳交通部政務次長をはじめとする観光、道路担当の方たちと自転車の活用推進について意見交換をいたしました。
滋賀県からは、2019年にナショナルサイクルルートに選定されたことやサイクルトレインなどの紹介をし、先方からは、2018年に国連総会で6月3日が世界自転車デーとされたことから、この日に台湾の各地のサイクリングルートを走るイベントの実施で自転車をPRされるなど、自転車の活用促進に向けた取組を伺いました。
今回の覚書に基づき、サイクルツーリズムにおける交流を、今後、どのようにされるのか、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
本年11月に台南市との間におきましてサイクルツーリズムに関する覚書を締結し、観光交流人口の拡大や地域活性化を目指すこととしたところでございます。
台湾では自転車で台湾を一周するサイクリングが人気であり、中でも台南市は市内の観光地を巡るサイクリングルートを整備するなど、サイクルツーリズムの取組を積極的に進めておられ、交流の可能性を感じているところでございます。
今後は、覚書に基づき、互いのサイクリングルートの魅力を紹介するほか、例えば観光事業者同士が交流できる場を設けるなど、相互往来の取組も進め、着実に交流を進めてまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
いろいろな可能性があると思うんですけれども、1つは、滋賀として訴えやすいのは、ナショナルサイクルルートに選定されたことというのは非常に世界に訴えやすいことだなというふうに、今回、感じました。それと同時に、例えば台湾では、6月3日の国連総会の世界自転車デーがサイクリングを盛り上げるイベントとして非常に注目が集まるときであります。こうした契機に、例えば滋賀県をPRするというのも一つの効果的な方法だと思いますし、逆に、滋賀県では11月3日をビワイチの日として、9日までビワイチ週間としております。この機会に来ていただくことで、より盛り上げて、サイクルツーリズムを推していくということ、この期間を有効に活用するということも必要ではないかと考えますが、改めて、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) ありがとうございます。今ほどもおっしゃっていただきましたように、台湾には世界的な自転車メーカーもございますし、あるいは台南市におきましては市内だけで約10のサイクリングルートがあるというようなことも承知しております。今、御紹介いただきましたようなことも、それぞれきっかけあるいはいい機会として活用させていただいて、交流を深めていきたいというふうに考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ぜひ、互いにとって効果的な事業となるよう、よろしくお願いいたします。
また、自転車は2050年CO2ネットゼロを目指す上でも重要であり、環境、観光、健康の側面から、いつでもどこでも誰でも自転車が乗れるように、環境整備や自転車の開発、啓発を進めていっているということでした。滋賀県でもさらなる自転車の活用推進に向けた施策を充実していく必要があると考えますが、土木交通部長に伺います。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
自転車の活用推進につきまして、県では、市町と連携しながら、駅周辺でのレンタサイクル、あるいは駐輪場の充実などに取り組んでおります。こうした取組は、マイカーから公共交通利用への転換につながり、CO2ネットゼロの観点からも、さらには健康増進、観光振興にも大いに寄与するものというふうに考えております。
今後も、例えばレンタサイクルも組み込んだMaaSの導入検討など、自転車を利用しやすい環境を整備し、自転車活用推進施策のさらなる充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)誰もが自転車に乗れるためには多様な自転車が必要で、台湾では研究と開発に取り組まれております。滋賀県では、全国に先駆けて、タンデム車が公道で走行できるようにしましたが、実際に走るにはまだまだ課題があります。誰もが乗りやすい自転車を広めていくことも重要ではないかと考えますが、ここは
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えをいたします。
県内のレンタサイクル店におきましては、2人乗りのタンデム自転車や子供を乗せて牽引するサイクルトレーラーなど様々な自転車の貸出しが行われているほか、県といたしましても、多様な自転車の試乗体験を実施するなど、誰もが自転車を楽しむことができる取組を進めているところでございます。
今後とも、様々な自転車の試乗体験を継続的に実施するとともに、ホームページなどを通じまして多様な自転車の楽しみ方を発信することにより、誰もが自転車に親しんでいただき、ビワイチ体験につながるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ぜひ、誰でもという場合にはハンディキャップのある方も安心して走れるルートの創出など、土木交通部と連携して進めていっていただきたいと思います。
最後に、知事に伺います。
アフターコロナでは、より急速に海外との交流が進んできています。今後もさらに増えることが予測されますが、同時に、県庁の体制の整備も進める必要があると考えます。情報の一元化と、より効果的に事業を実施して、部局を超えた相乗効果を得るためにも、国際化の機能を強化し、情報の一元化を図るとともに、各部署の海外案件担当が兼務するなど、世界とつながる滋賀を進める体制について改善する必要があるのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。
◎知事(三日月大造) 御紹介いただきましたように、海外との交流が急速に回復、そして増加する中、国際課が中心となって、激動する世界の動きにアンテナを張って、部局の枠を超えた国際関連業務に庁内横つなぎで対応しているところでございます。世界に開かれ、世界とつながり、世界から選ばれる滋賀県を実現するため、庁内体制の強化も検討してまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)コロナ前でも申し上げたんですが、今回、なかなかつながりが弱いかなというふうに思っておりますのと、さらに、先ほどの話もそうなんですが、教育委員会もぜひ入っていただいて、こういったような体制強化に取り組んでいただきたいと思います。改善していただくということなので、しっかりとよろしくお願いいたします。
今回のテーマは、次世代の人材育成と、滋賀が世界とどうつながっていくのかということでありました。言うまでもなく、日本は島国でありまして、滋賀は内陸県でもあります。だからこそ、より世界を意識する必要があると私は思います。政治は未来をつくるものであります。対話と交流なくしては平和なし、失敗を恐れず、チャレンジすることなくして成長なしであると思います。ぜひ、次世代を担う若者にチャンスのある滋賀をつくっていただくよう願いまして、次の質問に移ります。
次に、産前産後の母子を支える仕組みづくりについて伺います。
少子化が止まらない日本ではありますが、同時に、希望する出産方法で安心して子供を産むことができる分娩体制や、産後鬱による自殺や虐待などを防止することからも、産前産後の母子を支える仕組みづくりも大切であると考えます。
そこで、今回は助産師の役割と産後や子供の預かりに関して、ショートステイ、一時保護の在り方について、以下、
健康医療福祉部長に伺います。
医師の働き方改革が2024年に始まることから、県内における周産期医療体制の再構築も待ったなしの状態であり、周産期医療等協議会でも分娩体制の在り方検討が進められています。現在、関連大学とも連携しながら、各周産期医療圏内の中核病院である周産期母子医療センターに必要な医師の集約化を図るとともに、地域全体で出産から産後の切れ目ない周産期保健医療を提供できる体制、びわこセーフチャイルドバースネットワークの整備を図ろうとされています。
子供を産む場所は、病院、診療所、助産所、自宅と様々ですが、びわこセーフチャイルドバースネットワークにおける助産所の位置づけはどのようなものになっているのか、伺います。
集約化によるタスクシフトを考えると、産前産後に妊婦に寄り添う力も生かした助産師の役割も大事であります。平成30年度、令和元年度に実施した県民意識アンケートでは、希望する出産方法として、「助産師が中心となる自然な出産がよいが、産科医師の立会いがないと不安」が50.1%、「助産師が中心となる自然な出産がよい」が38.5%となっています。助産師も、院内助産師や開業助産師と幅広く活躍いただいておりますが、助産所での出産や、自宅や実家での出産に助産師が赴く場合には、妊婦健診の情報や危機管理の観点から、病院や診療所との連携が重要となりますが、これらの医療機関と助産所との連携体制について伺います。
機能分担を進め、また、産後ケアを担うことがより期待される助産師を今後も安定的に確保するためには助産師のスキルアップと人材育成が欠かせません。助産師の人材育成について、どのようにされていかれるのか伺います。
次に、子育て短期支援事業、いわゆるショートステイについて伺います。
ショートステイは、出産、保護者の病気や出産などの社会的事由や育児疲れなどの身体的、精神的負担の軽減が必要な場合など、家庭での養育が一時的に困難となった場合に、原則、7日以内で児童を預かり、養育、保護する事業です。ショートステイは各市町で実施されることが望ましいですが、取組が進んでない地域もあります。安心して出産するためにも、産後鬱、虐待予防からも重要であることから、県としてもショートステイ事業が進むように働きかけるべきと考えますが、ショートステイの現状と、拡大における課題について伺います。
出産後の状況によっては、生まれた子供やほかの子供たちをしばらく預かってもらうことが必要な場合もあり、その場合は一時保護となります。子供たちの日常の連続性を担保するためにも、できるだけ身近な地域で預かれることが望ましいと考えますが、地域での預かりが難しい場合には一時保護所での預かりとなります。一時保護所では、その機能としても、一定、権利制限がかかりますが、例えば面会する自由など、制限はできるだけ抑制的であるべきであり、また、虐待対応などとは運用において異なると考えますが、一時保護所での子供の権利の制限に関する考え方はどのようになっているのか、伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)産前産後の母子を支える体制づくりについての5点の質問にお答えいたします。
1点目の、びわこセーフチャイルドバースネットワークにおける助産所の位置づけについてでございますけれども、助産所は、分娩取扱施設として滋賀県の周産期医療提供体制の一端を担うとともに、妊産婦やその家族に対して寄り添った支援を行う機関として位置づけしているところでございます。
2点目の、医療機関と助産所の連携体制についてでございます。
滋賀県周産期医療等協議会におきまして、滋賀県看護協会、滋賀県の助産師会などと共に、よりよい体制について検討を重ねているところでございます。また、各周産期医療圏におきましては、医療機関や助産所等が参画する検討会におきまして、例えば妊娠リスクの低い妊婦は診療所等に紹介するなど、妊婦の状態に応じた役割の認識と連携について協議をしてきたところでございます。
今後も、より安全な周産期医療を提供するため、引き続き各周産期医療圏で検討会を開催しまして、地域の特性に応じた連携体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
3点目の、助産師の人材育成についてでございます。
助産師は、分娩介助のみならず、母性に関わる健康相談、そして教育活動を通じまして、広く家族や地域社会に貢献いただいているところでございます。
現在、病院に就業する助産師は、分娩件数の減少により、正常分娩の介助経験を積み重ねることが難しいといった課題がありますことから、病院助産師が診療所に出向しまして正常分娩の経験を積みます助産師出向支援事業を実施するなど、助産師の実践能力の効果を図っているところでございます。
また、資質の高い助産師の育成に当たりましては、これまでから新人期、中堅期、そして、復職に関する研修を行ってきたところでございますが、今後は、さらに、助産師の習熟度に応じた研修体系を構築しまして、段階的かつ計画的に受講できる体制を整えることにより、助産師のさらなる資質向上に努めてまいりたいと考えております。
4点目の、ショートステイの現状と、拡大における課題についてでございます。
現在、全ての市町で児童養護施設や里親等を受入先としましたショートステイ事業が実施されております。令和4年度実績では、13市町で延べ969件の利用があったところでございます。
ショートステイの実施に当たりましては、自宅から離れた場所での受入れは、通学の継続が困難であったり、あるいは友人関係も途切れるなど、子供たちにとって負担が大きいことから、できる限り身近な地域で受け入れることが望ましいと考えておりますが、地域によってはこうした委託先を確保することが困難である状況もお聞きしているところでございます。
こうしたことから、県としましては引き続き、児童養護施設等における一時保護機能の充実や里親等の新規開拓を行うことにより、県内のどこに住んでいても、できる限り身近な地域で安心して利用できる環境づくりに努めてまいる所存でございます。
5点目の、一時保護所での子供の権利の制限についてでございます。
虐待事案など、保護者に連れ戻しが懸念される場合等を除きまして、課外活動を通じた外出や担任教師との面会など、可能な限り子供の状況に応じた対応を行っているところでございます。
今後も引き続き、一人一人の発達の状況や思いに寄り添いながら、制限は必要最小限にとどめ、子供の最善の利益を優先した対応に努めてまいる所存でございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)すみません、1点だけ、少し確認の意味を込めて、ちょっとお伺いしたい点がございます。
今、ショートステイの現状と、拡大における課題についておっしゃっていただいたわけなんですが、13市町でそれぞれ取り組まれている件数をおっしゃっていただいたんですが、市町ごとで大きく件数が異なるはずなんですね。そういった意味でも、非常に市町によってやっぱり温度差があると思っております。お聞きするところによると、支援を受けることが親として不十分であるとか、親として失格であるとか、そういったことではないと思うんです。しかしながら、相談を受けることで、あなたは子供を育てられるんですかというような対応をされることもあって、非常にその支援を求めるハードルが高くなっている現状もあるんですね。そうしますと、本当は支援が必要なのに支援が求められない、最終的に、頑張った挙げ句に倒れてしまうと、今度は虐待のおそれがあるということで子供が引き揚げられる可能性があると。そういうような現状が、滋賀県というわけではなく、全国を見ても見受けられるという現状から考えますと、このショート事業を、どうやってハードルを下げて、よりよく地域で利用してもらう体制が必要なのかということが、やはり課題となるんだと思っております。
それと同時に、親子分離というのは非常に大きな課題があると思っております。そうした意味では、母子ショートが、こども家庭庁からもいろいろ言われているんですけれども、なかなか里親家庭では、母子ショート、親子共々で滞在するというのは難しい中で、どう、その施設で母子ショートを受けているかということが、これはまだまだハードルが高いというふうに言われている中で、どうしていくかということも考える必要があると思うんです。そういったこともやはり課題になると思っておりますし、拡大に当たっては、里親がショートステイを担う存在である、短期の里親という存在、どうしても里親というと長期のイメージが強過ぎて、やはりショートステイを担う里親という形で、県としてリクルートする場合にでも、パンフレットでもしっかりとうたっていく必要があるんだと思います。そうしたリソースの点からも課題があると思いますが、そういった点を認識されているということを確認の意味で、もう一度、
健康医療福祉部長にお伺いしたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
今、使いやすい体制づくり、そして、ショートを利用するにおいてのハードルといいますか、壁ですね、それと、受入先としての里親の拡充、こういった大きく3点、御意見を頂戴したと思っております。
それぞれにまだまだ、おっしゃるとおり課題があるかと思います。特に使いやすいというのは、やはりまだまだ、使ったらということの認識が支援者側にも一定あるのかと思いますし、また、ショートの利用に当たりましては、どうしても身近なところになければ一時保護所を使うなど、そうなってくると、一定の、ほかの子供さんとのバランスから制限がかかる場合もございます。ここは、先ほど申しましたとおり、しっかりと、できる限りそういった制限は抑えて、子供の最善の利益を優先した取扱いをしていくというのが原則でございますし、あと、里親さんにつきましては、どうしても長期の養子里親あるいは養育里親ということで、ショート的な利用というのが現実的にはまだまだ不十分かと私どもも思っておりますので、里親さんを、今後、募集するに当たりましてはしっかりとその辺のアピールもしまして、いろんな里親さんの利用をしていただく形態があるということもしっかりとお伝えして、受入先の拡充についても進めてまいりたいと存じております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
一時保護所での権利制限の話を申し上げましたけども、やはり一時保護所には虐待を受けた子供であったり非行の傾向がある子供であったり、いろんな子供がいる中で、親の出産、育児等の理由により預けられる子供がいたりと、同じ一時保護所の中でもいろんな子供たちがいることになるんですね。できるだけ子供たちがストレスを受けないように、できるだけ親子分離にならないように、地域での支援のリソースを広げていくことが重要だと思います。そうした意味では、市町の理解もそうですし、里親のリクルート等、いろんな整備、拡大に関しては県の役割も大きいと思います。移住、交流で、滋賀県に来て、安心して子供を産んでいただくためには、そういった支援をしやすい環境づくりこそ、やはり訴えていくべきであると思いますし、体制づくりをしていただくことを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、35番駒井千代議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明12日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時38分 散会
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