滋賀県議会 2023-02-16
令和 5年 2月定例会議(第24号〜第32号)−02月16日-02号
令和 5年 2月定例会議(第24号〜第32号)−02月16日-02号令和 5年 2月定例会議(第24号〜第32号)
令和5年2月
定例会議会議録(第25号)
令和5年2月16日(木曜日)
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議事日程 第2号
令和5年2月16日(木)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第49号まで(令和5年度滋賀県
一般会計予算ほか48件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 菅 沼 利 紀 2番 桐 田 真 人
3番 井 狩 辰 也 4番 本 田 秀 樹
5番 柴 田 清 行 6番 重 田 剛
7番 清 水 ひ と み 8番 河 井 昭 成
9番 佐 口 佳 恵 10番 小 川 泰 江
11番 黄 野 瀬 明 子 12番 松 本 利 寛
13番 杉 本 敏 隆 14番 田 中 松 太 郎
15番 角 田 航 也 16番 塚 本 茂 樹
17番 山 本 正 18番 大 橋 通 伸
19番 駒 井 千 代 20番 中 村 才 次 郎
21番 白 井 幸 則 22番 村 上 元 庸
23番 桑 野 仁 24番 周 防 清 二
25番 海 東 英 和 26番 加 藤 誠 一
28番 目 片 信 悟 29番 有 村 國 俊
30番 岩 佐 弘 明 31番 富 田 博 明
32番 細 江 正 人 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 木 沢 成 人
36番 清 水 鉄 次 37番 大 野 和 三 郎
38番 冨 波 義 明 39番 江 畑 弥 八 郎
40番 成 田 政 隆 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
公安委員会委員長 北 村 嘉 英
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 中 嶋 毅
総合企画部長 東 勝
総務部長 河 瀬 隆 雄
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 高 木 浩 文
健康医療福祉部長 市 川 忠 稔
商工観光労働部長 浅 見 裕 見 子
農政水産部長 宇 野 良 彦
土木交通部長 門 間 俊 幸
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 鶴 代 隆 造
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 吉 田 亮
議事課課長補佐 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(岩佐弘明) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(岩佐弘明) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
議第24号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。
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○議長(岩佐弘明) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第49号まで(令和5年度滋賀県
一般会計予算ほか48件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(岩佐弘明) 日程第1、議第1号から議第49号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに一般質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、25番海東英和議員の発言を許します。
◆25番(海東英和議員) (登壇、拍手)おはようございます。
自由民主党滋賀県議会議員団を代表し、目片議員の迫力と、竹村議員の緻密さと、周防議員の落ち着きを目標にして、知事、教育長、警察本部長に質問させていただきます。
まず、2月6日に
トルコ南部シリア国境を襲った地震により、両国で2,600万人を超える被災者が発生し、4万1,000人を超える方々がお亡くなりになったと報道されています。お一人お一人の命の御冥福を念じ、一人でも多くの方が助かるように皆さんと共に祈りたいと思います。
ウクライナでも、ロシアの侵略から1年。
国連常任理事国の行為で貴い命が失われています。平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼するのみで我が国が守れますか。温暖化ガス、環境汚染は地球生命に対する攻撃でしょう。私たちは問いかけられていると思います。今は、まず一日も早い戦争の終結を祈念します。
冒頭にあえて申し上げます。滋賀県手話言語や
情報コミュニケーションに関する条例案を今定例会に提案することを断念したと承りましたが、
担当常任委員長としてじくじたる思いであります。事のてんまつについて、議会ならびに県民に説明願います。
さて、3年にわたって2類相当の感染症に分類されてきた
新型コロナ感染症が5月8日から5類感染症となり、一区切りを迎える予定です。まさにシン・ジダイが始まります。
未知の感染症に対して、我が身を顧みず治療や看護の最前線に立ってくださった皆さん、知事はじめ、何日も休みなく事務対応に御献身くださった皆さん、そして、社会生活を支えてくださったエッセンシャルワーカーの皆さん、また、仕事がなくなり途方に暮れながら耐え忍んで暮らしを守り続けた皆さん、一隅を照らす人、その明かりに励まされた人、共に乗り越えてきた3年を振り返り、皆さんをねぎらい、感謝と敬意をささげます。
他方、忘れてはならないこともあります。感染初期の頃には、感染者や家族への深刻な差別がありました。2月1日に議会を代表してお見舞いした
国立ハンセン病療養所で、「このたびのコロナ感染症では私たちの悲しい教訓が生かされなかった」と落胆の声を拝聴してきました。国の間違った政策で治る病気であるのに強制的に隔離され、差別を受け続けてきた方々の言葉です。改めてコロナの差別事象を見詰め、私自身が差別をする存在であることを戒めたいと思います。
また、コロナでお亡くなりになった感染者が、家族に見守られることもなく火葬され、お弔いもちゃんとできなかったことなどを総括し、記録にとどめる作業に着手していただくようお願いします。
さりながら、もしサポ滋賀など思いどおりにいかなかった部分はあるものの、滋賀県は近畿でコロナ感染による死亡率が最も低く、
コントロールセンターの設置など、リーダーの判断と現場対応の的確さをたたえ、深甚なる敬意を表します。
これからは、日本一の長寿県である気概を発揮し、統合医療などにも関心を向け、県民の体力を増進して世界一の健康長寿県になっていこうではありませんか。
まず、三日月知事に、コロナの3年に関し、現時点での御所見を問います。
本県の
新型コロナ感染状況は、1月中旬から減少傾向にあり、お亡くなりになる方も減ってきておりますが、油断はできません。この時期、
季節性インフルエンザも流行期に入っており、基本的な感染対策の継続は必要です。
学校現場では、5月を待たずに一足早いマスクのない卒業式の話も出ています。医療現場や介護施設、学校などでの対応の変化が混乱にならないように賢く備えていただきたいと存じます。感染症分類が2類相当から5類になることを踏まえての対応はどのようにお考えになっているかを知事に問います。
次に、
帰宅困難者対策についてお尋ねします。
1月24日から25日にかけて、この冬一番の寒気の襲来で、北日本から西日本の日本海側を中心に大雪となり、滋賀県内においても全域で積雪が観測され、氷点下となりました。県民生活にも大きな影響を及ぼし、特に名神高速道路と新名神高速道路において大渋滞が発生しました。
また、JR琵琶湖線では、京都府向日町駅から京都駅、山科駅構内で線路のポイントが20か所以上切替え不能となり、合わせて15本の列車が立ち往生し、加藤議員を含む約7,000人の乗客が10時間も閉じ込められるなど、多くの帰宅困難者が発生しました。湖西線は事前運休で出勤すらできませんでした。
県内の駅でも帰宅困難者が多数おられ、救援対応された野洲市と守山市には賛辞が寄せられています。
そこでまず、帰宅困難者の対策について、県ならびに関西広域連合の計画ではどのように備えているかを問います。
滋賀県は、京都へ6万人、大阪へ2万人の通勤通学者がおられると聞いています。また、滋賀県内を山科や近江塩津で乗り換えて通勤通学されている方も相当数おられるでしょう。今回の大雪による
帰宅困難者対応において明らかになった課題と、今後どうしていくのか、県の決意と政策を問います。
国では、一昨年9月にデジタル庁が創設され、遅れている日本のデジタル化を推進するために、まずは国、地方の行政機関からDXを推進するとされ、滋賀県でも令和4年度にDX推進課が設置されました。帰宅困難者がDXの力で助けられる日が待ち遠しいです。
さて、7月定例会議の代表質問で、コロナ禍においての県の情報発信力の弱さを指摘したところです。広報、広聴における現状、課題について、根拠となる調査結果等も含め、滋賀県広報戦略の進化、変化はあるかを問います。
これまで県の広報誌は紙媒体を新聞折り込みで配布してきましたが、近年、新聞購読世帯の減少と、特に若年層では、
スマートフォンで必要な情報を入手し、新聞を引かない世帯を増加させており、届ける難しさに直面しています。一方、高齢者を中心として、新聞、テレビ等が情報源という方も多数おられます。知事への手紙や県政世論調査では紙を希望される声もあり、尊重する必要があります。
しかし、現在の新聞折り込みだけでは広報誌の全戸配布は達成できません。ポスティングや市町と連携することなども考えられますが、懸案の全戸配布をいかに達成するか、紙媒体を今後どう扱うおつもりかを問います。
県では、昨年10月に
デジタル版広報誌「
web滋賀プラスワン」を開始されたところです。デジタル技術を活用することで、双方向で即応性の高い広報広聴機能を持つことになりますが、単に広報誌をデジタル化するだけではなく、県民の皆さんに、よりアクセスして活用してもらわねばなりません。
そこで、
デジタル版広報誌のこれからの活用戦略を問います。
一方で、運用を開始された「
web滋賀プラスワン」において、デジタル化のメリットを生み出す基幹となるホームページが4年も先の令和8年にならないとリニューアルできないと聞き、驚きました。慎重と臆病は違います。前回のリニューアルの反省を踏まえた上で、DX戦略上、今回の対応は的確であるのか、知事の御所見を問います。
次に、びわ湖放送への出資についてですが、令和4年度予算に対する議会の附帯決議を受け、県は、テレビは現在も重要な情報の入手手段であり、びわ湖放送は県政情報を県民に伝えるインフラとして不可欠な存在であるので、県と市町、民間が一体となって、同社が設備更新を乗り越えられるようしっかり支援を行っていくと方針を示されました。
そして、令和4年2月定例会議の一般質問において、知事は、びわ湖放送の設備更新に対し4億円を上限に支援を行うこととし、令和4年度に2億円を出資した上で、さらなる経営改善や株主への働きかけを求め、令和5年度には、その状況を見極め、2億円を上限に追加出資を行うと答弁されています。
しかしながら、現状では想定されていた株主からの出資が思うように得られておらず、市町による令和5年度分の出資金が希望どおりお願いできても1億4,900万円余りが不足すると伺っています。この状況は昨年来の説明と整合性を欠きますが、どのように乗り越えるおつもりか、知事の御覚悟を問います。
また、インターネットによる動画視聴の拡大等により、県民の情報入手手法が急速に変化する中で、びわ湖放送が社会的役割を引き続き担っていくためには、番組制作能力を高めてコンテンツを充実させていくことや、MaaSの発展形で、テレビのリモコンで病院や買物やタクシーの予約ができる機能などの導入に活路があると思います。今回の設備更新を機に、今後、びわ湖放送はどのような姿を目指していくべきか、また、県は筆頭株主としてどう関わっていくのか、知事の考えを問います。
次に、知事肝煎りの北部振興について伺います。
昨年11月に北の
近江振興プロジェクトチームを庁内に設置し、県内で先行する人口減少問題や高齢化等の諸課題への対応、北部地域のポテンシャルや地域特性等を生かし、さらなる振興に取り組むため、検討を重ねられてきたと仄聞しております。
そのプロジェクトの推進に当たっては、3つのアプローチとして、住み続けたくなる還りたくなる北部へ、挑戦する若者が集う北部へ、訪れたくなる北部への3点を念頭に、県、市町、多様な主体の3本の推進軸の連携、協働等によって取組を展開するとされております。
ちなみに、お隣の京都府は、平成25年2月に海の京都実践会議を立ち上げ、平成26年6月に京都府北部地域の
観光圏整備実施計画を策定し、今日まで具体的な政策を展開してこられました。お茶の京都、森の京都の政策も、課題と特徴を分析し、戦略を定めて中心部以外の地域振興策を展開してこられたのであります。
人口減少を見据えた未来へと幸せが続く滋賀総合戦略の策定の折に、
人口減少地域を見据えた京都や高知のような
人口減少地域の活性化政策が必要と訴えましたが、1県2制度の理解が得られませんでした。知事が一番最初に七つ星と表現されたまなざしが、熟成されて北部振興政策として始まると期待をし、全国の事例も大いに参考にされ、加速化を念願いたします。
滋賀県は、均衡ある県土の発展という県是を封印し、選択と集中の名の下に、各部ごとに県立施設や政策を効率のよい人口集中地域に移すことを推進されました。バランスを取る発想はなくなり、南高北低が加速度的に進み、合併も抑止につながらず、高校の全県一区制も拍車をかけました。北部地域にあった自然環境を生かした県立施設も、直営、指定管理を問わず、事業予算が先に削られ、利用人員が減少してきたとさらに予算を削り、現場に復活の機会を与えることなく、政策効果が期待できないと廃止されました。私たちは、北部地域を衰退させる負のスパイラルとも言える行政改革を止められませんでした。
関西広域連合の研究会でも、
琵琶湖北部地域の人口減少と高齢化が水源である琵琶湖の持続可能性を阻む要因になると警告しており、滋賀県だけの課題にはとどまりません。
北部振興を進めるに当たっては、北部地域が有する魅力である多様な資源を生かす振興策が必要であり、地域に人を呼び込む観光誘客の取組はとりわけ重要であり、期待されています。特に、2024年春に予定されている
北陸新幹線敦賀駅の開業は、首都圏、北陸圏からの誘客を図る上でまたとない好機とおっしゃっています。
そこで、隣接県との連携については様々に期待されてきましたが、北部振興に資する観光誘客の取組に関して、どのようにお考えか問います。
次に、北部地域の振興に向けた教育の取組について伺います。
北部振興におけるポイントとして、教育、とりわけ高校の魅力化が重要であることは、知事も常々言及されているところです。地域の担い手が不足している北部地域の現状を踏まえると、地域の未来を担う子供や若者が地域の中で学ぶことができる環境を整えることは重要な視点であります。高校魅力化と
北部地域振興を達成する政策をどのように展開するのか、知事に問います。なるべく具体的に答えてください。
この項の最後に、北部地域の振興は、知事が言及されているように、単年度で終わるものではなく、息の長い地道で継続的な取組が必要と考えます。また、北部地域の成果を全県域に波及させることができれば万々歳であります。
これから始まる北部振興への知事の決意と、具体的な取組をどのような体制で見極め、どのような体制で臨まれるのか、このことについて知事に問います。
次に、令和5年度予算は、昨年3期目の当選を果たされた三日月知事の最初の予算であります。知事は、ビヨンドコロナ、コロナを乗り越え、シン・ジダイに向けて、健康しが2.0が実現、実感できるよう、新たなチャレンジをするとおっしゃっています。この2.0へのバージョンアップはどのようなことなのか、御説明ください。
また、知事は、昨年の3期目の当選直後から、今回の提案説明においても、「コロナ禍で再認識した滋賀の強みを手がかりに、あらゆる政策の中心に子供を置き、子供たちが将来にわたって幸せと誇りを感じられる健康しがを目指す」と述べられ、「『子ども、子ども、子ども』政策以下、ひとづくり、こころとからだの健康づくり、安全・安心の滋賀づくり、グリーン・デジタルによる経済・社会づくりを、市町と協力しながらシン・ジダイの健康しが施策を構築し、進めていく」と述べておられます。
シン・ジダイの「シン」の意味するところをたくさん例示くださいましたが、昨今、キャッチフレーズが唐突に次から次へと出てくることに県民は戸惑っていないでしょうか。僣越ながら、例えばシン・レイカディアなら、何となく日本一の長寿県を達成し、新たなる理想郷建設を目指すバージョン2.0だと理解と期待が生まれる気がします。古来より民信無くば立たずと申します。信用、信頼の絆となる県民と共有する言葉を大切にしていただくよう、県庁職員さんにもお願いをいたしまして、令和5年度予算を「子ども、子ども、子ども」をはじめ5つのテーマで組み立てられた知事のあふれ出る思いを問います。
そしてまた、滋賀県教育会館の係争案件が2月9日付の最高裁の決定により確定しました。失われた時間は戻ってきませんが、速やかなる
医療福祉拠点整備に邁進いただきたいと存じます。事業面、予算面でどのような対処をしていくおつもりか問います。
令和4年の出生数は、明治期の調査以来最少を更新し、全国で80万人を下回ると見込まれています。人口増を続けてきた本県も、人口減少に転じ、特に、昨年──令和4年の県内出生数は、1947年以降で初めて1万人を割り込んだのではないかと思われます。特にここ10年の減少は著しく、本県では3年ごとに1,000人ずつ減少している状況です。そして、現在の出生数が20年後、30年後にさらなる深刻な少子化につながると考えられます。このような状況は、日本国も滋賀県もかつて直面したことがありません。
出生率を少しなりとも上げることはたやすいことではありませんが、子供を安心して産み育てやすい環境づくりに向けて、積極果敢に取組を進めるべきであります。このことを知事としてどのように受け止めておられるかを問います。
毎年、保護者負担を軽減するための私立学校への補助金を近畿平均に追いつくよう予算要望をしていますが、
高等学校等就学支援金では910万円未満という所得制限があります。
共働き世帯収入で見れば910万円を超える世帯も増えており、日本も賃上げ局面で、対象外となる世帯の増加が予想されます。
第2子、第3子を授かることを考えるとき、どの親も子供にかかる費用を考えます。仕事の不安定さや賃金の低さでなく、この所得制限が子供を授かることをちゅうちょさせるのであれば、本末転倒と言わざるを得ません。
国においても、児童手当の所得制限撤廃が議論され始めました。出生率を上げるために補助金や奨学金制度などを見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、ほかにもどのようなきっかけが考えられるでしょうか、知事に問います。
国においては、現状を危機的な状況と認識され、先月、岸田総理が異次元の少子化対策や子供関係予算の倍増を掲げ、
こども政策担当大臣の下、3月には
一定取りまとめをすべく、急ピッチの検討が進められていると仄聞します。
国の政策との連携協議において、
全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして先頭に立ち、地方の現状を伝え発信しておられると存じますが、どのような状況か、知事に問います。
令和5年度は、特に子供政策を最重点と掲げ、「子ども、子ども、子ども」をうたうのであれば、全国の動きを牽引するような力強い展開を率先して進めるべきと考えます。知事の御所見を問います。
そして、子供、子育て施策の多くは市町が担っています。特に、子供が生まれる前から乳幼児期にかけての子育て支援の充実に向けて、市町にはますます重要な役割を担っていただくことが期待されます。県は、それは市町事業であるからと腰を引くのではなく、市町の取組が円滑に進められるよう、県がしっかり支援すべきと考えます。市町と共にどのような点に力を入れて実施するおつもりかを問います。
少子化対策として、子育ての経済的負担の軽減が重要で、国においては児童手当の拡充が検討されています。
滋賀県では、かねてより子供の
福祉医療費助成制度の拡充が検討されております。令和4年7月定例会議の我が会派の代表質問で、目片議員が、「子供の医療費助成制度について、どのように拡充の検討を進め、また、どのように予算を見込むのか」との質問に、知事は、「拡充に当たり必要となる予算は、小学生以上について1学年当たりおおむね8,000万円である」として、「今後は、市町の御意見を踏まえながら、医療現場の状況や医療費の増加、財政状況等を勘案し、拡充に向け時期や規模を含めて検討を進める」と答弁されています。
市町や他の府県でも、独自に小中学生や高校生までを対象に医療費助成制度を拡充する動きが広がっており、本県でも早期の実施が望まれます。目標達成には日付を入れることが大事なのだそうであります。県はどのような時期と規模で医療費助成の拡充を打ち出すのか、知事に問います。
次に、国スポ・障スポに係る経費についてお伺いします。
11月議会の代表質問において、とちぎ国体から学ぶことや2025年の滋賀県開催への準備等質問いたしましたが、その際には経費の話は出ず、1月になってから直近の国体の開催費用から算出した金額というものが出てまいりました。特に開催経費に関しては、67億円から104億円と実に37億もの増になります。そもそも67億円の前提で財政収支見通しを定め、県政運営をしてきた中で、この増額をどのように措置していこうとされているのか問います。
また、これまでの67億円という数字も、滋賀県の国体誘致を表明するずっと以前の平均を取ったもので、結果的に過少な見積りであったのではと思わせます。今回も直近の開催県の経費の平均額を取ったもので、積み上げたものではありません。今後、どのように精度を上げて算出していくのかを問います。
また、滋賀県で開催される第79回国民スポーツ大会は9月28日から10月8日まで、そして、第24回全国障害者スポーツ大会は10月25日から10月27日までと日程も発表されました。この令和7年は、大阪・関西万博も開かれます。それぞれの競技場も完成していく中で、段階的に機運を盛り上げていくことが重要です。
この国スポ・障スポから2027年のマスターズまでをゴールデンスポーツイヤーズと銘打たれています。これからどのように一体感を熟成していこうとされているのか、県民一体となって応援できるような盛り上がりをどのようにつくり上げていくのかを問います。
また、万博と同年開催されるこの大会の経済波及効果はどの程度になると試算されているか問います。
これだけ経費が膨らんだことで、削減策も講じられていると承ります。無駄は削減しなければなりませんが、新たに必要な物や事も出てくるでしょう。そして、さらなる物価高騰や人件費増も予想されます。しかし、湯水のように膨らんでよいものではありません。必要なものと不要なものを精査していただきたいです。そして、全国の方々からは、滋賀はよかった、すばらしかったと言ってほしいではございませんか。
この大会での総合優勝とレガシーの構築もずっと言い続けておりますが、県民や子供たちの心に感動が深く刻まれ、それを語り継ぐだけのものをつくり上げてこそ税金を投入する価値があるというものであります。
歳入面でも、寄附金や協賛金獲得について、特にクラウドファンディングの立ち上げや企業版ふるさと納税などの普及を進めると説明を受けましたが、一歩踏み込んでファンドレイザーを雇用または契約し、県民のため、未来のために寄附を積極的にお願いしていく方法も検討されるように御提案申し上げます。
当初の金額から大幅に増加している予算ですが、それに見合ったすばらしい大会にしていくだけの決意と資金面での算段を問います。
次に、地域循環社会の構築についてお尋ねします。
2030年までのSDGs目標達成に向け、世界中で持続可能な社会づくりの取組が加速しています。御承知のとおり、国は2050年までにカーボンニュートラルを打ち出し、企業もこれまで以上の対応が求められる中、滋賀県は新たなキーワードに循環経済──サーキュラーエコノミーを加え、努力する意向のようです。
これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムは、気候変動や資源枯渇、生物多様性の喪失、プラスチック汚染など様々な問題を引き起こしてきました。これからは、限りある資源をできる限り有効に活用し、廃棄物の発生を抑制するとともに、新たな資源投入量を減らしていくことが必要不可欠であります。
国においても、様々なビジョンや目標が設定され、滋賀県にも幾つも計画やキーワードがありますが、一体幾つあるのでしょうか。循環経済──サーキュラーエコノミーへの移行をSDGsやMLGs、CO2ネットゼロ計画等とどのように編集して県民と進めていくのかを問います。
次に、プラスチックごみ問題についてお尋ねします。
プラスチックは、その特性上、安価で大量生産しやすいため、様々な製品に使われ、快適、便利をたくさんつくってくれております。世界経済フォーラムの報告書では、世界のプラスチック生産量は今後20年間で倍増が予想されるとしています。
一方、プラスチック循環利用協会によりますと、2020年の国内廃プラ総排出量822万トンのうち86%が有効利用されているものの、そのうちの63%は熱回収であり、焼却時のCO2排出は依然として問題であり、また、未利用のまま焼却や埋立てされるものが14%もあるとのことであります。
国では、令和4年4月にはプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が施行されました。また、滋賀県においても、マイクロプラスチック問題は、本議場でも何度も取り上げられてきたところです。プラスチックごみを放置すると、自然界が汚れるだけでなく、魚や鳥、そして、それを食する我々にも、知らないうちにプラスチックが体内に蓄積されていく危険性があり、琵琶湖や河川に流入するプラスチックごみが私たちの問題であります。
このような問題については、県内の現状をしっかり踏まえた上で、科学的知見に基づく効果的な対策を講じていくことが必要であります。滋賀県におけるプラスチックの資源循環に向け、機運醸成や実践行動の促進が急がれます。令和5年度の取組を問います。
次に、バイオマスの有効活用についてお尋ねします。
我が国には、温暖多雨な気候条件のおかげでバイオマス資源が豊富に存在します。世界の一次エネルギー総消費量の60%を賄えると言われながら、我が国では、安い化石燃料の普及によってバイオマスの活用はほとんど普及しませんでした。
国においては、令和4年9月に、新たなバイオマス活用推進基本計画(第3次計画)を策定し、都市部も含めた地域主体のバイオマスの総合的な利用の推進、バイオマス産業の拡充を目指すとされています。
県でも、これまで下水道汚泥や家畜排せつ物などのバイオマスの有効活用に向けた試験的取組が実施されてきましたが、今後どのように積極的に取り組んでいくのかを問います。
滋賀県が環境先進県と自分で言うのではなく、外からも呼んでいただけるように、循環経済の実現を目指すアプローチにおいて、たくさんある計画が束ねられ、県民が一丸となって取り組めるように、ロードマップが集約され、そして循環経済の実現に向けた歩みが進むようお願い申し上げ、知事の運転計画を問います。
続いて、シン・ジダイの滋賀県経済について問います。
2類相当から5類感染症となることを機に、コロナ後の飛躍を実現していかなければなりません。しかしながら、原油、資材価格、物価高騰が重なる事態となりました。この複合的試練を乗り越えていくためには、個々の企業が新たな強みを創出し、国内外を問わず新たな市場と顧客を開拓していくことが不可欠であります。
DXは、コロナによって加速進展した面があり、また、近年、日本産農産物が魅力的な輸出品になってきています。明らかに変化、進化が感じられます。その上に、CO2ネットゼロ、SDGsの達成は地球生命の未来にとって最重要の課題であり、コロナに関係なく新たな活路にしていけるか試されています。これまでも新たな時代へのチャレンジに支援策を講じてきました。待ちに待ったコロナ明けと言える令和5年度は、どこに焦点を当てて挑んでいくのかを問います。
加えて、懸案である企業立地の促進のために、高速道路スマートインターチェンジの周辺の一定範囲を重点開発区域などに指定してでも推進することが待たれています。ポストコロナ経済の動脈、静脈とも言える流通の基点になり得る滋賀県の立地を生かし、水素エンジントラックやBDFの活用も視野に、物流における自動運転の実用化に貢献し、環境経済を前進させる積極的な企業立地政策が期待されます。令和5年において新たな踏み込みはあるのか、期待を持ってお考えを問います。
製造業から建設、運送、医療福祉の現場に至るまで慢性的人材不足が叫ばれる中、人材不足による事業の縮小や閉鎖に至る事例が散見されますが、実情はどうでしょうか。県内就業者数は、コロナ前の2019年度の内閣府経済統計でも逓減傾向にありました。コロナの3年間を経て、人材確保について状況はどのように推移していくと思われるか、その改善の糸口はどこにあるでしょうか。
外国、特に先進国の給料のほうが数段高い現状に、若者の海外出稼ぎという現象がNHKの「
クローズアップ現代」でも取り上げられました。世界との関係において潮目が変わったことを認め、考え方を転換する必要に迫られていると思います。
外国からの労働者の受入れについても、日本の賃金が先進国の中では低いこと、その上、円安で実質の受取額が減少していることなどから、日本で就業を希望する機運が著しく減退していると聞きます。これらのことは、外国からの人材を今まで以上に得にくくなる、困った方向に事態を動かしています。製造業によって税収の多くを支えていただいている滋賀県は、これらの労働力確保を新たな視座で考えなければならないと思います。これまでの政策で何が効果的だったか、そして、迫りくる変化を予見し、どのような政策を打ち出していこうとされているのか問います。
また、人材育成について、令和10年の高専の開校に期待しつつも、さらに5年後の1期生卒業まで待ってはいられません。この春、神山まるごと高専が開学されます。新たな時代の産業人材を育成するチャレンジに、シン・ジダイへのヒントを見つけ出し、取り入れることも必要です。
さて、今々の産業人材育成の強化も必要です。これまで、教育委員会の管轄の下、商工観光労働部が連携協力して、工業高校や総合学科はじめ実業を学ぶ高校生に、機械設備の今日化や一層の支援策を講じてはどうかと提案してきました。その必要性の共通理解と令和5年度に具体的な政策実施を期待いたしますが、知事はどのように考えておられるのか問います。
何千品目もの値上げが始まった今、物価上昇を上回る賃上げが必要と叫ばれる社会情勢です。政府も大きく旗を振り、賃上げを呼びかけています。現実には、最低賃金もだんだんと上がってきて、仕事内容は変わらないのに賃金の支払いが増嵩し、途方に暮れている企業もあります。
賃上げをどのように理解し、実施を促していくか。県内のスーパーでは、パートさんの時給を7%上げるところがあると仄聞します。何十年に一度の変化の波が来ています。生産県の滋賀では、国際競争の中での労働力確保の観点からも、賃上げの必要さの理解と実態の把握、経営者に寄り添う勉強会等も必要ではないかと思いますが、賃上げという課題に県はどのように対応を考えておられるのか問います。
観光需要の回復こそコロナ脱却のあかしであります。観光関連産業の中長期的な成長を戦略的に実現するためには、今できることをすぐやり、しっかり種もまくことが必要です。そして、いわゆるタイムパフォーマンスの向上も不可欠です。
新型コロナ感染症の水際対策の緩和も受け、インバウンド需要を先駆けて取り込んでいくことが大切です。
例えば、歴史の面でも、韓国の方にとっては、白村江の戦いに援軍を送った天智天皇と近江の国はとても好感度が高いと教えられましたし、百済の文化が近江の国には色濃く奥ゆかしく残っています。また、大阪城の唯一残る建築物である竹生島の宝厳寺唐門は国宝であり、旅行エージェントにはきちんとPRができていないコンテンツです。これら特別な歴史的強みを観光の引力に結びつけられないでしょうか。
インバウンドについて、どのような戦略で立ち向かうのかを問います。
また、国内外にかかわらず、観光振興には、滋賀の強み、違い、魅力を編集し直して効果的に打ち出したいものです。前回の定例会議一般質問で茶の文化についても申し上げましたが、これに当たると思います。
さらに、特に健康長寿の分野において、滋賀県は世界一の長寿県であると胸を張れる状況にあります。これは食や恵まれた環境によるところが大きいと思われますし、まさに観光の一大ジャンルとして確立が期待されます。そして、そのことを誇ることは県民満足につながると思います。
また、県内向けには、大河ドラマも向こうから来てくださる幸運を積極的に生かす努力が必要です。万載一遇のチャンスはコロナによって生かすことができませんでしたが、再びチャンスが巡ってきました。改めてチャンスを生かす滋賀を子供たちや若者たちにも見せたいものであります。メディアでの評価とともに地元経済への効果も大いに期待されます。
世界農業遺産の認定も受け、エコツーリズムやアグリツーリズムも、琵琶湖システムのスタディーツアーなど観光商品として育て上げたいものです。子供たちの多様な体験の受皿としての役割も拡大の可能性があります。農政分野のフィールドに商工観光政策の開花が期待されます。
さらに、2025大阪・関西万博を見据えた滋賀のアプローチはどのようなことを考えているでしょうか。大河ドラマに万博と国スポ・障スポが上乗せされるのですから、知事も奮い立っておられることと存じます。県庁一丸などの掛け声よりも、今日をチャンスの日にするんだという数人の侍の発奮と、次元の違う腰を入れた観光振興政策の展開も期待されます。さきに述べた歴史、万博、健康長寿、大河ドラマ、世界農業遺産などの万載一遇に上乗せ横出しの観点も生かす観光振興にかける知事の御覚悟を問います。
次に、もうかる農業、水産業、畜産業についてお尋ねします。
本県の農業、水産業、畜産業は、安全・安心な食料をお届けする大変重要な役割を担っているにもかかわらず、従事する方の減少、高齢化が進んでいます。農業者の数は減少傾向が続いており、このままでは、将来、集落の農業が維持できなくなり、農地は荒廃し、農村が衰退してしまうのではないかと大変危惧しているところであります。
このように、農業者の減少や高齢化が進む中、本県農業の担い手の幸せをどのように描き、そして、その実現に向けて具体的にどのように取り組むのかを問います。
国においては、みどりの食料システム戦略が策定され、持続可能な食料生産に向けた取組が進められていますが、食料安全保障の観点からも、国内生産の増大に向け、かじが切られたところでございます。環境負荷軽減と生産力向上を両立させ、もうかる農業を実現させるためには、担い手を支え、農業のグリーン化、スマート化を可能にする基盤整備が必要だと考えますが、今後どのように進めていくのかを問います。
侵略的外来植物のオオバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウは、一定コントロールできているようでありますが、陸に上がり田んぼの土手や空き地で繁殖することが心配されます。滋賀県では、現在、水際での繁殖抑制ができているようですが、決して農地での繁殖を許さないように、県民に周知し、防御体制を取る必要があると思います。県の見解を問います。
また、農業所得向上には、滋賀県産の主力農産物、畜産物が消費者に選ばれること、買っていただけることが重要と考えます。海外も含めた消費者ニーズを的確に捉え、生産、流通、販売に反映していくために、誰が何をどうするのかということについて問います。
特に、これから名称が決まり、令和6年に本格デビューする近江米新品種や、現在、県内大型量販店での試験販売で好評を博し、来年度に本格的に生産を開始するイチゴ新品種みおしずくなど、滋賀県オリジナルの品種を活用した取組は重要だと考えます。他県との差別化を図り、新たなブランドとして確立させていくための計画を問います。
一方、水産業においては、担い手の減少や高齢化、湖魚の漁獲量の減少など、様々な課題がある中、もうかる漁業を実現させるためには、担い手の確保、支援はもとより、湖魚の魅力や、それを支える産地としての魅力を発信し、価値に見合った価格での販売につなげる等、流通、販売の強化が重要であると考えます。
そこで、新たな就業者の確実な確保や経営維持への支援、また、湖魚の新たな販路の開拓やそのための体制づくりについて、県職員自らがセールスに取り組むと打ち出してこられましたが、根性論では勝てません。今後の具体的な取組と目標を問います。
最後に、コロナ禍による需要の減退や不安定な国際情勢の影響による価格高騰など、食料生産を取り巻く環境が大きく変化し、食料安全保障の強化といった大きな転換期を迎える中、本県の農業、水産業、畜産業が持続的に発展していくには、もうかる産業、夢のある産業にならなければなりません。知事は、年頭の挨拶で、「コロナを乗り越え、様々な物事を超越してシン・ジダイへ」をスローガンに掲げられました。本県の農業、水産業、畜産業のシン・ジダイとはどのような姿でありましょうか、知事の考えを問います。
次に、本県地域交通の維持、活性化について伺います。
地域公共交通の役割が近年議論になりますが、利用者の減少と、その必要性、採算性、補填財源等、評価が大変難しいところです。
そんな中、JRは、輸送密度が低い線区の収支率等を開示するなど、ローカル線の切捨てとも受け取れる動きもしています。
また、国が今国会で成立を目指す地域公共交通活性化再生法の改正案では、ローカル線について再構築協議会の設置を盛り込むなど、鉄道からバスへの転換も含めた公共交通機関の再構築を進める考えが示されました。
こうした状況の中、本県では、近江鉄道線について、令和6年4月から公有民営方式による上下分離での運行に向け取り組むなど、公共交通機関の再構築を進めていますが、将来的にどうしていこうと考えているのかを問います。
次に、知事は、これまでから、地域交通は広く地域住民の暮らし全般を支える重要な社会インフラであり、教育、健康、福祉、文化、観光など様々な行政施策の土台であるとも繰り返し述べてこられました。国も、必要なインフラ整備に取り組む自治体に対し、社会資本整備総合交付金で、駅、線路といった鉄道施設や、停留所などバス施設の整備費を補助するなど、様々な支援制度を検討していますが、国に頼るだけでなく、以前にも指摘したように、地域の交通は地域で守るという気概も必要と考えます。本県の将来を見据え、地域交通の維持、活性化に県としてどのように取り組んでいこうと考えているのか問います。
次に、県では、来年度新たに策定する滋賀地域交通ビジョンにおいて、滋賀県が目指す地域交通の姿を描き、そこには、各地域の特性に応じた交通サービス水準の設定、社会インフラである地域交通の維持、活性に向けた各主体の責務、役割の整理等を盛り込むということでありますが、そもそもビジョンをつくることが目的ではなく、ビジョンで描く姿を実現することこそが重要であり、そのためには、様々な施策と財源がなければ、ビジョン自体、絵に描いた餅にすぎないと考えます。ビジョンの実現に向けて、先頃公表された大きな事業費も踏まえ、その財源をどのように確保するのか、知事の所見を問います。
次に、都市公園の魅力向上の取組について伺います。
県内外から多くの人が利用する都市公園湖岸緑地は、琵琶湖畔の開放感と心潤す美しい風景を手軽に楽しむことのできるすばらしい空間であると思いますが、一方では、昨今、バーベキューやキャンプの人気が高まる中、マナーのよくない公園利用者も増えており、本県の魅力を損ねる状況が散見されます。また、利用者によるごみの放置、進入禁止にもかかわらず禁止区域に押し入る車両など、運営管理や秩序維持にかかる費用の課題もあります。湖岸緑地におけるこうした課題に、もうそろそろ実効性のある対策を取るべきだと考えます。その解決策をどのように考えているのか問います。
また、コロナ禍では、公園駐車場の全面閉鎖により、近隣集落へ車両が拡散し、迷惑が広がるなど課題もありました。今後、都市公園の魅力をより一層高め、新たな価値観を提供するといったことが必要になってくると考えます。知事はどのように具体化していかれるのか問います。
次に、次期滋賀の教育大綱についてお尋ねします。
現行の教育大綱が5か年の計画期間を終了するのに伴い、次期教育大綱の改訂が進められています。前回との大きな違いは、コロナを経験することで、タブレットの急速な普及、オンライン授業、そして人との距離の変化など、今までとは違う視点や置かれている状況の変化がありました。
特に、ICT教育など、遅々として進まなかったものが加速度的に導入され、1人1台タブレットが支給されたことに伴い、授業の形態も大きく変化しました。コロナがなければここまで早く普及できなかったと思いますが、一方で、先生がタブレットを使いこなせていないケースも散見されています。
議会においても、議員提案で滋賀県生きる力を育むための学校教育の情報化の推進に関する条例が施行されていますが、まだ十分な形になっているとは言えません。こうした現行計画の弱点や積み残しを次期計画ではどのように落とし込んでいるのでしょうか、併せて第4期計画で目指す姿を教育長に問います。
また、今後5年間で実施する政策を3つの柱でまとめていますが、その中で第3期から変わらずに課題になっているのが読み解く力の向上であります。学力・学習状況調査によると、依然として課題がありますが、その指導の一つに読書習慣が挙げられています。読書習慣をつけるということは、子供たちがいかに興味を持つような糸口をつくるかということであり、それは絵本でも漫画でも一つのきっかけになることが重要です。
昨年の9月議会で質問された「こども としょかん」に関して、現在、その在り方の検討が行われております。令和5年度に市町を含む多くの皆さんから意見を聴き、滋賀ならではの「こども としょかん」のコンセプトを固めると聞いております。滋賀の子供たちの読み解く力の向上を目指すのであれば、どこかに「こども としょかん」を造るのではなく、図書館同士のネットワーク、連携を強化し、また、市町図書館の子供向けのコーナーの充実を力に、貸出しの工夫もしながら、わくわくどきどきをたくさんプレゼントしたいものです。
また、子供たちの最も身近な図書館である学校図書館の充実が図られているとは言い難い現状です。現在、学校図書館司書の数も足りず、満足いく図書館活動ができていない学校が多く見られます。残念ながら予算の優位性が学校では低く、学校図書館のWi−Fiも未整備で、子供たちのタブレットは宝の持ちぐされという状態です。
「こども としょかん」のコンセプトを決める際に、学校のこうした状況を改善する財源も明らかにし、親しめる学校図書館づくりをすることが大事だと考えますが、「こども としょかん」の滋賀ならではというポイントを知事に問います。
また、コロナ禍で海外に留学する機会や現地で学ぶ機会が失われました。今回、大杉副知事の号令の下、トビタテ!留学JAPAN事業を予算化されました。飛び立ち探求する若者たちが育っていくことは、滋賀の教育にもよい影響を与えると考えます。この事業を通して、滋賀の子供たちにどのような学びを提供していきたいとお考えか、教育長に問います。
そして、滋賀県は、子供たちを真ん中に置き、子供たちを育てる環境をレベルアップさせていくことが大切で、不可欠であります。次期教育大綱によって子供を真ん中に置く滋賀の教育をどうしていきたいとお考えか、知事に問います。
最後に、警察行政について問います。
我が会派は、これまで長きにわたり、警察官の増員について再三再四働きかけ、国家公安委員長へも要望活動を行うなど取り組んでまいりました。
今回、2月定例会議におきまして、本県独自の措置として、警察官の定員を2,282人から2,302人へと20人増員する滋賀県地方警察職員の定員に関する条例の改正案が上程されました。長きにわたる我が会派の活動が実を結び、ようやく県民の願いに応えていただけたと安堵するところであります。そして、これは全国でも例を見ない快挙であると賛辞を表したいと思います。
その背景としては、鶴代本部長、また、森脇警務部長をはじめ本県警察幹部の皆様が、より安全・安心な滋賀をつくるために御尽力くださったおかげであろうと推察するものであります。
ところが、滋賀県は、本県の刑法犯認知件数が6,830件、平成25年以来9年ぶりに増加し、上昇率は全国ワースト1位の対前年比17.5%の増となり、検挙人数も対前年比13.4%の増となりました。特に、特殊詐欺やサイバー犯罪など新たな手口が次々に現れ、DV、ストーカーや児童虐待など、人身安全関連事案についても検挙件数が増加していると伺っております。加えて、交通事故に関しても、死者数、事故発生件数も増加しております。
こうした状況を考えますと、警察官の増員は、県民の命と暮らしを守る最善の方法だと言えるのではないでしょうか。このたびの警察官増員という大きな決断、英断をされた知事に、ここに至った思いと、引き続き県民の命と暮らしを守るため、どのように進められるのか、その決意と覚悟を問います。
そして、今回の増員は、DVや児童虐待など人身安全関連事案に10人、サイバーセキュリティー対策の強化に5人、令和7年度に開催される国スポ・障スポ警備に5人と承っております。それぞれの増員をどのように生かされるか、警察本部長に問います。
そして、警察はマンパワーの組織と言われているとおり、精強な第一線を支える優秀な人材なくして県内の治安を維持することは困難と思います。来年度から県警察におきましても定年退職制度の引上げがスタートすると聞いております。条例を有効に使って強化につなげていただきたいと思いますし、増員にならなかった部署の強化も必要であります。今回の増員に満足することなく、さらなる警察力の強化を図っていく取組が不可欠と考えますが、警察本部長の見解を問います。
そして、私たち自身も、防犯や交通事故に対する意識を新たにすることが重要です。そして、いかに社会情勢が変化しても、県民の願う安全・安心な滋賀を実現していかなければなりません。我々
自由民主党滋賀県議会議員団は、引き続き、県や県警察の取組をしっかりと見守りつつ、これからも県民のため、力強く支援していくことをお約束申し上げ、質問を終わります。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 25番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)
自由民主党滋賀県議会議員団を代表されての海東議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。
まず最初に、現状、そして、これからのコロナ対策ということで大きくお題がございまして、3点御質問いただきました。
1点目、条例案断念のてんまつについてということでございますが、今年度、条例制定に向け、6月と9月に条例専門部会を開催して議論を進めてまいりましたほか、11月にタウンミーティングを開催して、県民の皆様からの御意見にもしっかりと耳を傾けてきたところです。
部会では、条例の名称や内容のほか、改めて条例の形に関する御意見が出ましたことから、その違いを乗り越えるため、9月以降、部会構成員の団体と個別に意見交換を重ねてまいりました。
これまでの議論を踏まえまして、条例素案の作成に取り組み、現在、その内容について委員との個別の調整を進めており、年度内の条例上程を断念させていただいたところでございます。
今後は、年度内に条例素案を部会にお諮りするとともに、来年度には、議会や県民の皆様の御意見も賜りながら、引き続き丁寧な議論を行い、できるだけ早く条例が制定できるよう取り組んでまいりたいと存じます。
2点目、現時点でのコロナの所見ということでございますが、この3年以上にわたり、県民、事業者の皆様の感染対策への御協力、また、最前線で現場で御奮闘いただいております医療、介護従事者等の皆様の御協力を得ながら、感染拡大の波に向き合ったところでございまして、皆様の御尽力に敬意を表しますとともに、改めて感謝申し上げます。
この間、様々な課題もございましたが、
コントロールセンターを中心に医療提供体制を確保し、必要な医療を必要な方に提供することができたのではないかと考えております。この長期にわたる対応につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類への移行を踏まえまして、しっかりと検証し、今後の教訓としていきたいと存じます。
3点目、5類へ移行するに当たっての対応についてでございますが、医療提供体制につきましては段階的な移行を目指す旨、国において示されており、本県におきましても、現場の医師等から御意見を伺うなど、今後の体制の在り方について検討を進めております。
その中で、現在の体制を当面維持するとともに、高齢者施設の感染対策等について引き続き支援する必要があると考えており、全国知事会等を通じて対象事業の支援継続を要望しているところでございます。
また、幅広い医療機関において入院や外来患者を受け入れるよう働きかけ、今後も必要な医療を提供するとともに、県民の皆様に分かりやすい情報の周知に努めるなど、しっかりと命と健康が守れるよう取り組んでまいりたいと存じます。
続きまして、
帰宅困難者対策ということについて、こちらは2点いただきました。
まず1点目、県と関西広域連合の計画についてですが、県の地域防災計画では、市町や鉄道事業者が帰宅困難者が一時的に滞在する施設を確保することとしており、必要に応じて飲料水や食料等を提供することとしております。
また、県では、ホテルのロビー等を一時滞在施設とする協定を締結しているほか、大量の帰宅困難者が発生した場合は、災害救助法適用を検討することとなっております。
一方、関西広域連合では、
帰宅困難者対策ガイドラインにおいて、大規模災害時に、一斉帰宅の抑制、ターミナル駅周辺等の混乱防止、一時退避場所等の開設、運営、帰宅支援などに取り組むこととしております。
2点目、課題と今後の対策についてですが、現在、検証を進めているところであります。今回は、JR西日本の運行上のトラブルに関して、県や市町において十分に情報を共有できず、市町や駅によって対応が分かれたことなどが課題であると考えております。
今後は、県といたしましても情報を一元的に集約、整理するなど、関係者が速やかに情報共有できる仕組みの再整理や、県の施設も含めた一時滞在施設のさらなる確保に向け、JR西日本や市町等と協議を進めてまいります。
今回のような事案は、府県を超え影響がありますことから、関西広域連合とも連携した広域的な対応も併せて、帰宅困難者の安全確保に向け、検討を進めてまいります。
続きまして、大きな3項目めでございますが、広報、広聴についてでございます。
1点目の現状、課題等についてでございますが、県政世論調査や総務省の調査によりますと、情報の入手方法について、おおむね40歳より若い世代ではホームページやSNSが、それより上の世代ではテレビや新聞が多くなっております。
このため、デジタル化の進展に応じてウェブ媒体を積極的に活用するとともに、受け手に届くよう、紙や電波媒体を組み合わせた情報発信が求められていると認識しております。また、声なき声を含め、幅広く県民の声を的確に把握、分析するとともに、施策に反映する必要があると考えております。
こうした現状認識に立って、引き続き広報戦略に基づく取組を着実に進め、応答性を備えた県政の構築や滋賀の魅力の発信に努めてまいります。
2点目、広報誌の全戸配布等についてでございますが、近年、新聞発行部数が減少しておりますことから、ポスティングや市町との連携も含め、全戸に配布する方法について検討いたしましたが、現時点では、主に費用面から困難と判断しているところであります。
今年度、
デジタル版広報誌の運用を開始したことに伴い、紙の広報誌は、来年度の発行回数を年6回から年4回に変更し、印刷部数も減らすこととしております。ただ、紙でしか情報を入手できない県民もいらっしゃることから、当面は紙の広報誌の発行を継続することとし、今後の紙とデジタルの広報誌の利用状況を見ながら、紙媒体の在り方も含め、県政情報を広く確実にお届けできる方法を検討してまいりたいと存じます。
3点目の
デジタル版広報誌は、社会のデジタル化がより進展していくことを見据えて開始したものであり、まず県民の皆さんに知っていただくため、紙版の広報誌やホームページでお知らせいたしますとともに、県公式SNSのフォロワー等に周知を図っております。
また、継続して御覧いただけるよう、記事の閲覧やアンケートへの回答などに応じてポイントを付与し、提携店においてクーポンなどとして利用できる会員ポイント制度も導入しているところです。
来年度は、紙版の広報誌の発行回数を減らす分、デジタル版の特集記事の配信回数を増やすとともに、会員ポイント制度の充実等を図り、さらなる認知度の向上と閲覧回数の増加に取り組んでまいりたいと存じます。
4点目のホームページについてです。
前回のリニューアルでは、事前の分析や専門的な進行管理が不十分でありましたため、リンク切れ等の不具合が多発いたしました。
こうした反省から、次期リニューアルでは、コンサルティング業者の専門的支援を受けて、現状把握や課題分析をしっかりと行った上で、分かりやすい情報分類やサイト構造等を設計し、段階的に進めていくこととしているため、リニューアルの時期を令和8年度に予定させていただいております。
滋賀県DX推進戦略においては、誰もが利用しやすいことを基本原則としておりますことから、機能性と利便性に優れたホームページとなるよう、必要な工程を踏んで着実に取り組んでまいりたいと存じます。
5点目、びわ湖放送への出資等の状況についてです。
今回の設備更新につきましては、県と市町、民間が一体となって支援する必要がありますが、経営環境等から支援が困難とされる株主もいらっしゃり、現時点で、来年度、県と市町からの出資に加えて、民間企業から約1億5,000万円の出資を確保する必要がございます。これは昨年来御説明してきた内容と異なる大変厳しい状況であり、必要な資金を確保し、設備更新を何としても乗り越えなければならないと認識しております。
このため、新規の民間企業に対しましても御支援のお願いを重ねているところであり、6月の株主総会までに資金計画にめどをつけるべく、びわ湖放送と共に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
6点目、目指すべき姿等についてでございます。
びわ湖放送は、唯一の県域民間放送局として、県政情報や地域情報、防災情報等を提供する重要な役割を果たしており、今後も引き続きこうした役割を担っていただく必要があると考えます。
今回の設備更新を機に、さらに地域密着で魅力ある番組づくりを進めるとともに、買物支援等を含むサブチャンネルの活用やインターネット配信への対応など、テレビを取り巻く環境の変化にも適応し、県民から愛され、信頼され、必要とされる存在であり続けることが求められております。
このため、経営状況の確認はもとより、同社の経営戦略に基づく取組について、筆頭株主としてしっかり確認し、必要な措置を求め、県民にとって同社の価値が一層高まるよう取り組んでまいりたいと存じます。
大きな4項目めは、北部振興について、いただきました。
1点目の観光誘客の取組についてです。
まずは、来年3月に予定されております
北陸新幹線敦賀駅の開業という絶好の機会を捉えて、広告看板の掲出などにより本県の魅力をしっかりと発信し、利用客の皆様を本県北部地域へ誘引してまいりたいと存じます。
また、地域振興を図るためには、一時的な人流の創出ではなく、持続的な観光誘客につなげる仕掛けづくりが重要であると認識しております。このため、来年度は、地元の皆様が主体となって取り組まれる誘客イベントの開催や観光キャンペーンの実施に対して支援を行うこととしております。
2点目、高校魅力化と北部振興についてでございますが、未来の北部振興に挑戦する若者を育成するため、高校における地域と連携した探求的な学びや産業教育の実践、地域を牽引するイノベーション人材の育成、北部地域ならではの新たな学びの創出に取り組んでまいります。
具体的には、北部地域の高校生が地域の魅力や課題を探り、北部の未来について考え、提案する高校生サミットを開催したいと考えております。
あわせまして、STEAM教育や、農業の6次産業化を目指した学びの推進、豊かな自然や森林資源を活用した北部ならではの学びの研究に取り組むことにより、北部で活躍する人材の育成につなげてまいりたいと存じます。
3点目、北部振興に向けた決意ということでございますが、議員御指摘のとおり、北部の振興につきましては継続的な取組が必要と考えており、まずは5年間、集中的に取り組んでまいりたいと存じます。
取組に当たりましては、まず、湖北合同庁舎内に北の近江振興事務所を置き、職員が様々な出張に出張って、市をはじめ、各種団体や関係者の皆さんのお声を伺いながら、新たな事業の芽を見いだし、具体的な事業につなげてまいりたいと存じます。
北部の地域資源等を生かすこのプロジェクトによって、課題の先行地域である北部の持続的発展につなげるとともに、その取組の成果を庁内の関係部局や市町と共有し、県全域へも波及させることができるよう、取組を進めてまいりたいと存じます。
続きまして、大きな5項目め、当初予算案についてお尋ねいただきました。
まず、健康しが2.0についてでございます。
基本構想の実現に向けて、ひと、社会・経済、自然の3つの側面が充足する健康しがを目指してきたところでございます。
コロナ禍で、それらの健康が脅かされ顕在化した課題や、CO2ネットゼロ社会の実現に向けた世界的な取組の加速など、社会情勢の変化への対応が待ったなしの状況となっております。
また、新たな生活様式や価値観の広がり、自然環境に対する意識の高まり、デジタル化の進展、未来志向の経営革新など、前向きな変化が生まれてきており、これらを生かしていく好機でもあると捉えております。
この間、改めて認識いたしました滋賀の強み、人の力、つながりの大切さを糧に、より実感が持てる健康しがをみんなで一緒につくっていくこと、シン・ジダイに向けて取組をさらに深め、進めていくことを健康しが2.0と表現させていただいているところです。
2点目、新年度当初予算案に込めた思いについてでございますが、まず、令和5年度は、2030年に向けた基本構想の第2期実施計画および新たな行政経営方針に基づく県政運営の始まりとなる大きな節目の年になるものと考えております。
この令和5年度の当初予算編成では、引き続き、コロナ対策に万全を期すとともに、未来を見据え、「子ども、子ども、子ども」をはじめとした5つの施策の柱、さらには北の近江振興を重点テーマに掲げて議論し、検討してまいりました。
次世代の子供、若者と共に健康しがを実現するため、子供を施策の中心に据え、進化、伸ばす、深める、信じる、新たなチャレンジなど、「シン」という言葉に様々な思いを込めてシン・ジダイと表現したメッセージとともにつくり上げたこの予算を、県民の皆様にしっかりとお届けし、未来へと幸せが続く滋賀の実現をみんなで目指してまいりたいと存じます。
3点目、
医療福祉拠点整備についてです。
滋賀県教育会館訴訟につきましては、判決に基づき、速やかに退去を求めてまいります。教育会館敷地を含む県庁前の土地は、駅に近く利便性の高い場所であり、この地域にふさわしい活用を実現してまいりたいと存じます。
今後、誰もが社会参加し、地域で健康に暮らす滋賀県をつくるためには、医療福祉の人づくりが要となります。コロナ禍を受けた健康危機管理への対応、医療福祉人材の働き方改革、厚生会館老朽化等、この間生じました状況変化も踏まえ、今日的な医療福祉のセンター機能と人材養成機能を備えた拠点の整備に向けて全庁挙げて取り組む所存でございます。今後、必要な経費等を十分精査し、適時、関連予算をお諮りしてまいりたいと存じます。
大きな6項目め、子供政策についてでございます。
1点目、少子化の進行についてでございます。
本県の出生数は、平成23年以降、減少に歯止めがかかっておらず、また、合計特殊出生率も低下傾向にございまして、このことについても私も重く受け止めているところです。特に、昨今は、コロナ禍で出産や子育てに対する不安が増していることも影響しているのではないかと考えております。どのような社会環境にありましても、人々の不安に寄り添い、必要なときには支援の手が差し伸べられ、安心できる環境を行政だけでなく社会全体でつくっていくことが必要だと認識しております。
2点目、補助金や奨学金制度の見直しなどについてでございますが、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供たちが希望する教育が受けられるよう、さらなる支援が必要だと認識しております。
これまでから国の制度により教育費の負担軽減が一定図られてまいりましたが、経済的支援の充実は全国共通の課題であり、全国知事会等を通じ、国へ制度の拡充を訴えているところであります。
また、子供に関わる全ての世代へ教育に対する様々な支援制度を広く周知するなど、教育費に対する負担の軽減を図り、出生率の向上につながる取組を進めてまいりたいと存じます。
3点目、国政策への発信の状況についてです。
国では、異次元の少子化対策に向けた検討が今まさに進められている中、先月24日には、
全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして子ども政策に関する国と地方の協議の場 準備会合に出席させていただき、意見を述べたところです。私からは、特に、全国一律の医療費助成制度の創設や保育の質の向上と安全確保に向けた配置基準の見直しについて、緊急に対応されるよう強く訴えたところです。今後も引き続き、機を逸することなく、国において取り組むべき政策についてしっかりと訴えてまいる所存でございます。
4点目、本県の力強い展開についてもお尋ねいただきました。
少子化が進行する中、約3年に及ぶコロナ禍により社会の不安が増しており、安心して子供を産み育てることができる環境づくりはまさに喫緊の課題だと考えております。
こうした中、まずは社会全体で取組を推進するため、(仮称)子ども基本条例の制定に向けた検討を進めております。
また、具体的な取組といたしましては、令和4年度に造成いたしました子ども・若者基金を活用するなどして、妊娠、出産に係る相談支援の充実やヤングケアラーの支援の強化、「こども としょかん」の検討など、様々な観点から全庁挙げて取組を進めてまいりたいと存じます。
5点目、市町との連携についてです。
市町からは、保健師など専門職の不足や支援の対象者が少ないなどの理由により、取組が困難といったお声もお聞きしているところです。
県といたしましては、こうした市町の実情を踏まえ、単独の市町では取組が困難な事業につきましては、専門的、広域的な観点から支援の強化に努めたいと考えており、特に、生まれる前からの切れ目ない支援の充実に向けて、母子保健を子ども・青少年局の所管とし、母子保健と子育て支援施策の一体的な推進を強化することといたしました。
また、今月13日には、県と市町が協議や意見交換を行う県市町子ども政策推進会議を立ち上げたところであり、市町との対話によりニーズの把握に努め、必要な支援を行うことで、県全体の施策の向上につなげてまいりたいと存じます。
6点目の子供の医療費助成についてです。
さきの首長会議の議論を受け、健康医療福祉部内にプロジェクトチームを設け、検討を進めております。
具体的には、制度拡充の効果や市町ごとに異なる自己負担の在り方を検討するとともに、県におきましては、財政状況の見通しを踏まえ、将来にわたって制度の維持が可能な財源確保ができるかなどの検討を進めているところです。
今後は、令和5年度早々に、国が打ち出すとされる少子化対策の動向も見極めながら、拡充の時期や規模についての県の方針案を市町に提示いたしまして、子供施策の充実等につながるよう議論と検討を深め、できるだけ早期の制度拡充に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
大きな7項目めで、国スポ・障スポ大会がございます。まず、その経費について4点お尋ねをいただきました。
1点目、増額する経費に対する財政措置についてです。
国スポ・障スポ大会の開催経費の増額につきましては、経費の精査、縮減を行い、総額の抑制に努め、また、企業協賛制度やクラウドファンディングなどを活用した歳入確保にも取り組むことにより、負担軽減を図りますとともに、併せまして、予算の執行状況や税収等の動向を精査し、今年度中に可能な対応について検討しているところであります。
国スポ・障スポ大会の本県での開催は、本県のスポーツを取り巻く環境を大きく前進させる好機となるだけではなく、県民の健康づくり、地域の活性化に向けた起爆剤ともなりますことから、大会の成功に向けて準備を進めてまいりたいと存じます。
2点目の、今後どのようにその精度を上げ算出していくのかということについてでございますが、今回、直近の開催県の費用を参考に、本県独自の状況も踏まえ試算させていただいたところでございますが、今後、今年は鹿児島県、来年は佐賀県で大会が開催されます。両県の開閉会式会場は本県の規模と似ており、両県での開催状況を注視し、分析しながら、滋賀の大会として、すること、しないことを精査し、必要な経費を算出してまいりたいと存じます。
3点目、大会に向けた一体感の熟成、盛り上がりと経済波及効果についてです。
大会まで本日で955日前となりました。マスコットキャラクターやイメージソングによる啓発活動に加えまして、ボランティアの募集や、選手を迎えるための花いっぱい運動の実施など、多くの県民に大会に関わっていただく全県的な取組を強化してまいります。
また、大会開催をより身近に感じていただくため、各市町での競技種目や出場選手を広報するなど、大会の魅力を市町と連携して発信し、一層の機運醸成を図ってまいりたいと存じます。
なお、今回の再試算後の国スポ・障スポの経済波及効果は1,184億円と見込んでいるところでございます。
4点目、大会に向けた決意、資金面についてでございますが、来年度から組織体制もより充実させ、戦略的な取組によって寄附等の獲得につなげるなど、歳入確保を強化してまいります。ファンドレイザーにつきましても、他自治体の事例も参考に、専門家の有効活用という視点から検討してまいりたいと存じます。
両大会を契機に、整備した施設が健康しがの拠点となり地域を盛り上げ、また、ボランティアが様々なスポーツイベントで活躍し、充実した生活につなげるなど、レガシーとして、いつまでも県民の心に残る大会となるよう、準備を進めてまいりたいと存じます。
大きな8項目め、地域循環型社会についてもお尋ねいただきました。
まず1点目、その循環経済への移行についてです。
地域循環型社会の構築のためには、今後、資源の効率的、循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る循環経済への移行が必要だと認識しております。
SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい社会を目指す国際目標で、MLGs──マザーレイクゴールズは、琵琶湖版SDGsとして、SDGsをアクションまで落とし込んだものであり、循環経済への移行は、これらの目標の達成にもつながるものであると考えます。また、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画におきましても、資源の地域内循環による地域の活性化を位置づけております。
循環経済の必要性や、それぞれの目標、計画との関連を県民の皆様により分かりやすくお示ししながら、移行に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。
2点目のプラスチックの資源循環に向けた令和5年度の取組についてです。
これまでの取組に加えまして、新たにプラごみ削減の日の創設やプラスチック代替製品の普及、子供向けの動画の作成、製造者と連携した資源の循環利用の啓発などにより、機運醸成や県民、事業者の行動変容を促してまいります。
また、科学的知見につきましては、来年度から3か年の計画で、河川や琵琶湖へのプラスチックごみの流入の実態把握やマイクロプラスチックに係る知見収集等の調査研究を進め、その研究成果を関係する行政計画に反映いたしますとともに、発生抑制等に向けた効果的な対策につなげてまいりたいと存じます。
3点目のバイオマスの有効活用についてです。
今後、さらに取組を加速化させていく必要があると認識しております。
下水汚泥につきましては、エネルギー利用や肥料原料としての期待が高まっておりますことから、現在整備中の固形燃料化施設や肥料化施設に加えまして、今年度から開始いたしました有効利用の研究を着実に進め、将来的には100%利活用を目指してまいります。
家畜排せつ物につきましては、ペレット化等による広域流通の促進や、果樹剪定枝、もみ殻などの活用に向けた調査研究に取り組みますとともに、竜王町における官民連携の先進的な取組を支援することにより、資源循環や農地土壌への炭素貯留の推進を図ってまいります。
このような多様なバイオマスにつきましては、環境保全や持続可能性に配慮しつつ、それぞれの特性に応じ、製品やエネルギーとして効率的かつ効果的な利活用を一層進めてまいります。
4点目の循環経済の実現についてです。
これまでの3R──リデュース、リユース、リサイクルに加えまして、製品の設計段階から循環利用を前提にデザインすることや再生可能資源への代替を図りますリニューアブルを推進することにより、生産、流通、消費、廃棄のあらゆる段階での循環の輪を構築してまいります。
今後、県民や企業、市町、関係団体など様々な主体と連携いたしまして、県の基本構想や環境総合計画の下、各部門において視点や取組の方向性を合わせ、全庁を挙げて循環経済への移行を目指すことにより、「環境と経済・社会活動をつなぐ健全な循環の構築」を実現してまいりたいと存じます。
続きまして、大きな9項目め、シン・ジダイの滋賀県経済と題して御質問を賜りました。
1点目、どこに焦点を当てて挑んでいくのかということについてでございますが、社会経済情勢が変化いたします中、新たな課題に積極的に対応いたしますとともに、ゲームチェンジを先導していく産業の創出が必要だと認識しております。
企業におけるDXの推進を加速化するため、きめ細やかな人材の育成や伴走型支援を行いますとともに、DXにより社会的課題の解決を図るため、情報通信業の県内立地に向けて力を入れていきたいと考えております。
また、起業から研究開発、実証実験まであらゆるステージの企業のCO2ネットゼロの取組を支援することにより、本県経済の持続的な成長とCO2ネットゼロ社会の実現につなげてまいりたいと存じます。
2点目、企業立地施策についてでございますが、近年、再エネ等の分野で新たな成長産業が生み出されてきており、その潮流に乗り遅れず、幅広い分野を視野に入れた産業立地の促進に努めるため、今般、新たに産業誘致戦略の策定に着手しております。
戦略では、CO2ネットゼロ社会等を想定し、地の利などの本県の強みを生かしながら、蓄電池等、成長が期待される産業分野を検討したいと考えております。
令和5年度におきましては、グリーン物流推進に向けた機運醸成の予算も計上させていただいているところであり、今後とも本県の将来を見据えながら、循環経済にも貢献できる積極的な産業立地施策の立案に努めてまいりたいと存じます。
3点目、人材不足に関するテーマについてでございますが、帝国データバンクの全国企業倒産集計によりますと、令和4年の全国の倒産件数は6,376件で、前年同期比6%増加しており、特に人材不足による倒産は140件で、前年同期比で26.1%増と3年ぶりに前年を上回っているという状況でございます。
県内におきましても、幅広い業種の企業から、人材確保が難しく、経営に影響が生じているというお声を聞いているところです。
4点目、その人材確保の状況と推移についてでございますが、少子化の影響等により、平成27年に85万8,000人であった本県の生産年齢人口は、令和7年には3.8%減の82万5,000人になると推計されており、企業の人材確保は一層厳しい状況になると認識しております。議員御指摘のとおり、世界との関係において潮目も変化しており、国外からの人材確保も厳しくなるものと見込んでおります。
今後は、国内外からの人材還流をさらに促進することにより県内の労働力を維持する取組と、DX推進による省力化等を図る企業を支援する取組を、両輪で展開していくことが改善の糸口だと考えております。
5点目、労働力確保についてでございます。
しがジョブパーク等の就労支援機関において、令和元年度から企業の人材確保支援に取り組み、企業の採用力向上に貢献してきたところでございます。
また、専門人材の確保を支援するプロフェッショナル人材戦略拠点は、累積の成約件数が全国トップクラスの実績を誇り、企業の経営基盤の強化を一定お支えできているのではないかと存じます。
労働力の確保に当たりましては、企業と求職者の接点の質と量の拡大を政策の基軸としており、令和5年度は、ハノイ工科大学との連携事業、学生向けインターンシップ事業やプロフェッショナル人材戦略拠点事業の拡充をしてまいりたいと存じます。
6点目、実業を学ぶ高校生の育成支援についてです。
本県のシン・ジダイを支えることとなる人材の育成は極めて重要であります。そのため、技能検定の受検手数料に対する助成やインターンシップ事業の実施のほか、県の認可法人である職業能力開発協会による実技指導等を通して、職業意識の向上や技能習得など人材育成に努めてまいりました。
来年度、教育委員会におきましては、企業の最先端の知識や技術に触れることができる機会の充実を図るなど、産業界と連携した人材育成の取組をさらに拡充することから、商工観光労働部など関係部局も連携いたしまして、効果的な展開が図れるよう努めてまいりたいと存じます。
7点目、賃上げへの対応です。
物価上昇が続き、労使共通の課題として賃上げに向けた社会的機運が強まっている中、県におきましても、中小企業の賃上げを下支えすべく、消費喚起や資金繰りのほか、企業の前向きな取組を支援してきたところでございます。
賃上げと生産性向上は相互に関連いたしますことから、今後も引き続き県内企業の技術、製品開発や労働環境の改善、能力開発などにより企業の生産性向上を支援するとともに、国の各種施策をしっかりと周知し、賃上げの機運醸成を図ってまいりたいと存じます。
8点目、インバウンドに係る戦略についてです。
議員御紹介の宝厳寺唐門をはじめとする歴史文化遺産や伝統工芸などを活用いたしまして、外国人に対し訴求力が高い観光コンテンツの創出に取り組んでいるところでございます。
また、多くの外国人旅行者が、日本国内における目的地を、旅行に出発される前、いわゆる旅マエに既に決定されているケースが多いことを踏まえまして、滋賀ならではの体験をはじめとする本県の魅力を旅マエの旅行者に対して効果的にアピールすることにより、本県への誘客につなげてまいりたいと存じます。
9点目、その観光振興にかける覚悟等についてでございますが、本県には、議員御紹介のとおり、多くの歴史、文化や健康長寿につながる豊かな自然、食文化、世界農業遺産など、魅力ある観光素材が数多く存在しております。加えて、本県にゆかりの深い大河ドラマの放映や大阪・関西万博、国スポ・障スポ大会の開催など、本県の魅力を国内外に発信する絶好の機会が控えております。
こうした素材、機会を最大限に生かすとともに、近隣府県や県内市町はもとより、私が連合長を務めております関西広域連合などともより一層緊密に連携しながら、本県が世界から選ばれるよう、コロナ禍を乗り越えたシン・ジダイにふさわしい観光施策を展開してまいりたいと存じます。
大きな10項目めは、農業、水産業、畜産業についてでございます。
1点目は、担い手の幸せに向けた取組ということでいただきました。
大規模農家や集落営農法人等の担い手が地域の農地の大宗を担い、持続的で生産性の高いもうかる農業を実現しつつ、小規模農家や地域住民等と共に活力ある農村を維持し、幸せを感じるような姿を描いているところです。
この姿の実現に向け、各市町が将来の地域農業の在り方を描く地域計画の策定を進めるとともに、担い手の経営発展や事業継承等の支援、新規就農者の初期投資やオーガニック野菜栽培への支援などの取組に一層力を入れてまいりたいと存じます。
2点目の基盤整備についてです。
今後、農地の集積、集約化のための圃場の大区画化、水田野菜等の導入のための排水対策、用水供給を支える水利施設のアセットマネジメントを引き続き強力に進めてまいります。
さらに、自動運転トラクター等の導入、水利施設での省エネ、再エネ化、自動給水栓による水管理等、グリーン化、スマート化に向けた基盤整備にも取り組んでまいります。
加えまして、国営ほ場整備事業「東近江地区」では、地下かんがいシステムの導入、トラクターで草刈りができるよう、あぜの幅を広げる生産、流通、販売の一元化等、本県はもとより全国のモデルとなるような取組も国と連携して推進してまいりたいと存じます。
3点目、侵略的外来植物の問題についてです。
琵琶湖やその周辺水域におきましては、他の箇所に分散するリスクの高い生育地を中心に、定期的に巡回し、早期駆除を継続して行うことにより、低密度状態を維持しているところです。
また、農地におきましては、侵入、繁殖を防ぐためのポイントをまとめた手引きを作成いたしまして、農業者への啓発や研修を行いますとともに、早期発見を呼びかけ、農地などで発見した場合には、農業者や関係機関による一斉駆除を迅速に行っております。
今後、農地での効果的な対策について国の研究機関とも連携した試験研究を進めるなど、農地への侵入、繁殖を許さない防御体制をしっかりと構築してまいります。
4点目、生産、流通、販売についてです。
環境への配慮や健康志向などの消費者ニーズを捉え、近江米、近江の茶では、オーガニック栽培など、自然との調和や環境を守る取組、カフェインレスオーガニック茶の生産技術の確立、近江牛では、アニマルウェルフェアや環境に配慮した生産、野菜や果物では、農産物直売所によるデータ分析に基づく作付など、品目ごとに農家や関係団体と連携しながら進めてまいります。
さらに、消費者の健康ニーズに訴える農産物や、おいしい食べ方などを発信することにより、海外も含めた新たな需要の創出を図り、販路拡大につなげてまいりたいと存じます。
5点目、新品種のブランド確立についてです。
近江米の新品種につきましては、明日、名称の公表を行わせていただく予定でございまして、オーガニック栽培など殺虫殺菌剤や化学肥料を使用しない栽培の専用品種として作付拡大を進めてまいります。
この品種は大粒でおいしいということから、付加価値の高いブランド米としての流通販売戦略を構築し、まずは学校給食や県内店舗、さらにオーガニック専門店やネット販売など多様なチャンネルでの流通拡大を目指していきます。
また、イチゴのみおしずくにつきましては、県内産地の一元化による安定した生産、供給体制を構築いたしまして、県内量販店での販売拡大を進めますとともに、スイーツなどの開発や首都圏、海外への販路拡大により、本県を代表するブランドイチゴに育てていきたいと思います。
6点目、水産業に関する取組です。
就業希望者向けの実践的な研修や高校生向けの職業体験会の実施により、担い手の確保に努めますとともに、市場ニーズや先進事例等を学ぶ、びわ湖漁業塾の開催や、湖魚の普及、販売に関する新たな取組など、もうかる漁業へのチャレンジを応援していきたいと存じます。
また、県職員が湖魚の魅力を売り込む営業に駆け回るとともに、漁業見学や湖魚料理体験、メニューフェア等の体験型の企画により、琵琶湖が魚介のおいしい産地と県内外で認知されることを目指していきたいと存じます。
さらに、漁協の垣根を越えた新たな集出荷体制の実践など、漁業組織の流通改革を支援することで、価値に見合った価格で売れる流れをつくり、定着を図ってまいります。
7点目、シン・ジダイの姿についてです。
琵琶湖の恵みを受けながら、私たちが先人から受け継いできた環境こだわり農業、集落営農、琵琶湖漁業といった本県ならではの取組が、世界農業遺産として認められたところでございます。このような取組をさらに「シン化」させ、環境を重視する持続性の要素と地域の活力による支え合いの要素を磨き上げますとともに、もうかる産業として発展させる経済の要素を掛け合わせたシン・ジダイの農畜水産業の姿を目指し、「県民みんなで創るしがの『食と農』を通じた『幸せ』」を実現してまいりたいと存じます。
続きまして、大きな11項目め、地域交通についてでございます。
1点目、その地域交通の将来についてでございますが、都市計画基本方針に掲げます拠点連携型都市構造の実現と、誰もが行きたいときに行きたいところに移動ができる持続可能な地域交通ネットワークの構築を目指しているところです。
将来を見据えた交通政策の方向性を示す滋賀地域交通ビジョンを現在策定しているところであり、県民や事業者の意向を丁寧に酌み取りながら、公論熟議を重ね、民公共創による地域交通の維持、活性化に取り組んでまいりたいと存じます。
2点目、その地域交通の維持、活性化の取組に当たりましては、国、地方自治体、交通事業者がそれぞれの役割をしっかりと果たすことが必要であると認識しております。
国に対しまして、さらなる制度の充実や財源の確保を求めつつ、県といたしましても、市町や交通事業者と連携しながら、運行本数の増加や交通空白の解消、モビリティーの最適化などの施策を自主的、主体的に進め、地域の交通を地域で守ってまいりたいと存じます。
3点目、ビジョン実現に向けた財源確保についてでございますが、ビジョンで描く目指す地域交通の姿を実現するため、まずは、住民ニーズに応え得る地域交通のサービス水準を確保するために、どのくらいの費用が必要になるか試算を行ったところでございます。
今後、財源につきまして、国の支援、民間投資等の活用はもとより、いわゆる交通税の導入につきましても地域の将来像を描く参加型税制の考え方に立ち、県議会、県民、事業者の皆様と丁寧かつ慎重に議論を積み重ねてまいりたいと存じます。
大きな12項目めは、都市公園について御質問いただきました。
1点目の湖岸緑地における課題等についてでございます。
コロナ禍以降、ごみの放置、直火のバーベキューによる火災、枠外駐車など、マナーのよくない行為が増えており、本来の魅力が発揮されない上、維持管理コストもかさんでおり、マナー改善やコストの縮減が課題であると認識しております。
そこで、来年度、一部の地区において、バーベキューや駐車場の有料化、予約制の社会実験を予定しており、利用者から相応の御負担をいただきながら、トイレや洗い場等を充実させ、快適性の向上を図り、マナーよく利用していただけるような取組を進めてまいりたいと存じます。
2点目、魅力向上と新たな価値観の提供等についてでございますが、今年度は、指定管理者制度を活用いたしまして、ビワイチの日に合わせたEバイクで巡る琵琶湖・湖岸緑地ツアーなど、30回を超える各種イベントを開催してきたところでございます。
来年度は、Park−PFI制度を活用いたしまして、カフェやバーベキューのできる飲食施設、大型遊具の設置やレンタサイクルの提供など、新たなにぎわいを創出する予定であります。
また、近年人気の高まりますスケートボードの利用について、愛好者等と協働した管理など具体の検討を始めているところでございます。今後は、様々な場面で若者や子供を含む各世代に参画いただき、自然公園など各部局が所管する公園も含め、新たな価値観に対応した滋賀らしい公園の魅力向上に努めてまいりたいと存じます。
続いて、大きな13項目めでございますが、教育大綱についてでございます。
まず、「こども としょかん」についてです。
全ての子供に本が届く滋賀を目指して「こども としょかん」の取組を進めてまいりたいと存じます。
本県の強みは、県内の全ての市町の図書館と県立図書館との間に築かれたネットワークにあると認識しております。来年度検討いたします「こども としょかん」におきましては、この強みを学校図書館や幼稚園、保育所等にもつなげることで、子供たちの読書環境を充実させることが滋賀ならではのポイントの一つになってくるものと考えております。
2点目、子供を真ん中に置くこれからの滋賀の教育についてでございますが、子供たちは未来、シン・ジダイの希望であります。子供一人一人を主役といたしまして、みんなで愛情を持って教育に取り組むことが重要です。併せまして、子供や家庭に寄り添い、それぞれの状況に適した学びや支援が提供できるように取り組むことも重要であると認識しております。
次期教育大綱の策定に当たりましては、一人一人の学習者を主体と位置づけ、誰一人取り残さない教育の実現に向けて、子供たちの声も聴きながらしっかりと検討を進めてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)次期滋賀の教育大綱に関して、私への2点の御質問にお答えします。
1点目の課題への対応と目指す姿についてでございますが、現計画におきましては、学びへのICTの活用の進展や、子供の学びを取り巻く困難な環境の多様化、そして教員の長時間勤務の高止まりなどに対して一層の取組が必要となっているものと認識をいたしております。
こうした課題への対応といたしまして、ICTを活用した確かな学力の育成、困難な環境にある子供の学びを社会のみんなで支援する取組、働き方改革を通じた笑顔あふれる学校づくりの推進などに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
こうした取組によりまして、次期教育大綱では、社会の変化に向き合い、心豊かでたくましい未来を切り開く人づくりを目指してまいる所存でございます。
2点目の海外留学を通じた学びの提供についてでございますが、本県では、これまでから、国際理解教育を目的に、海外において語学研修や学校交流、研修等を実施し、それぞれの国の文化、生活、習慣等を体験させることによって、国際的視野を持った青少年の育成を図ってきたところでございます。
トビタテ!留学JAPANしが拠点形成推進事業では、海外での異文化体験や探究活動を伴う個人での留学等を支援いたしますとともに、滋賀ならではの地域探究コースを設け、グループでの参加を認め、留学の機会を拡充する予定でございます。
こうした取組を通じまして、様々な海外留学交流の機会を提供することにより、高校生の学びの充実に努めてまいる所存でございます。
◎知事(三日月大造) (登壇)最後に、私に賜りました警察官増員に関する御質問にお答えをいたします。
本来、警察官の増員は、政令定員の引上げによることが原則だと考えておりますが、その政令の改正の見込みがなかなかしにくい中、本県の治安情勢等を踏まえまして、熟慮に熟慮を重ねました結果、県単独の増員を決断させていただいたものでございます。
今後、採用の質の確保にも配意され、今回の増員が警察本部で取り組む捜査の高度化等と相まって、真に県民の命と暮らしを守る力となるよう期待いたしますとともに、県としても引き続き県警察と連携を密にいたしまして、国に求めるべきところは求めつつ、安全・安心の滋賀づくりに向けて一層努力してまいる所存でございます。引き続き、よろしく御指導、御支援賜れれば幸いでございます。
◎警察本部長(鶴代隆造) (登壇)警察官の増員要求に関する2点の御質問のうち、1点目の増員の運用と効果についてお答えします。
今般の増員は、ストーカー、DV、児童虐待等の人身安全関連事案に関し、夜間、休日を含め、専門性を有する捜査員が対処に当たるとともに、サイバー空間の脅威の深刻化に対応するため、捜査力の強化や社会全体のセキュリティー向上を図るための体制を構築するものです。あわせて、令和7年度の国スポ・障スポに向けた警備諸対策を推進するための体制を整備するものです。
今般の増員により、人身安全関連事案の事態のエスカレートや深刻な被害の発生を防止し、サイバー空間を含めた犯罪情勢の悪化に対処し、警備体制の強化を図るといった重要かつ緊急の課題に迅速に対応することが可能となり、県民の安全・安心の確保に大きく寄与することが期待されます。
2点目のさらなる警察力の強化を図っていくための取組についてお答えします。
県警察としましても、今般の増員だけで山積する課題が全て解決できると考えているものではなく、質量両面で警察力をさらに強化していくことが必要と考えております。引き続き、業務の合理化、効率化を追求するとともに、優秀な人材の採用、その育成、能力向上に取り組み、装備資機材の高度化を進めるなど、警察力の質的な強化にも一層力を入れてまいります。
また、御指摘のとおり、今後の定年引上げに伴う警察力への影響にも配意し、ベテランの力を最大限引き出しつつ、一定の新規採用者数を確保して、しっかりとした体制を構築してまいりたいと考えております。
○議長(岩佐弘明) しばらく休憩いたします。
午前11時53分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、14番田中松太郎議員の発言を許します。
◆14番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)去る2月6日、トルコ南東部で発生いたしました地震により、トルコ、シリアにおいて甚大な被害が発生いたしました。報道によりますと、両国で死者数は既に4万人を超えており、この地震のエネルギーは阪神大震災の約22倍のエネルギーが発生したとも言われております。この地震によりお亡くなりになられた方々、御遺族の方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。
それでは、チームしが 県議団を代表し、質問を行います。
まず初めに、予算と財政について知事に伺います。
2023年は、引き続きコロナ禍での幕開けとなりました。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な社会、経済の混乱、それに伴う原油、物価高騰が世界、日本、そして滋賀に追い打ちをかけ、多くの県民の皆様が不安を抱えての新年を迎えられたことと思います。
こうした中、1月末に、政府は新型コロナウイルスについて、感染症法上の位置づけをこれまでの2類相当から5類へ見直すこととしました。いまだ多くの県民がコロナに感染し、日々の暮らしや事業者の経済活動にも影響を及ぼしておりますものの、2020年に国内で最初の感染症患者が発生してから丸3年を経過した今年──2023年は、コロナ対策の大きな転換期となりそうです。
今定例会議に提出されました、知事3期目、最初の予算編成となる令和5年度当初予算については、コロナ禍の次の段階を目指す予算としてまとめられております。具体的には、「未来へと幸せが続く滋賀」の実現に向けた取組を加速させ、いよいよビヨンドコロナ、つまりコロナを乗り越えること、府県境を越えて、さらには様々な物事を超越したシン・ジダイを掲げ、「子ども、子ども、子ども」や健康しが2.0など、次を見据えた視点を多く盛り込んでおられます。
まず、今回の子供を施策の中心に添え、「未来へと幸せが続く滋賀」を実現するために編成された新年度予算に対する知事の思いをお聞かせください。
次に、財政についてです。
令和5年度の
一般会計予算の総額は、前年度から142億円増の6,583億円、率にして2.2%の増となりました。これは、県として医療提供体制や検査体制の確保等に必要な対策を継続するとの方針を取られ、新型コロナ対策の経費として887億円を計上されたことに伴う増などが影響しておりますものの、予算調整の結果として、なお174億円という多額の財政不足が発生し、収支均衡のため基金の取崩しや県債の発行で対応することとされました。
今後、この令和5年度当初予算とともに、令和4年度予算の執行状況も踏まえつつ、今定例会議にも改めて財政収支見通しを示されることと思いますが、昨年8月の見通し以降、国スポ・障スポ大会の開催や高等専門学校整備などの大型設備投資の伴う案件がある中で、物価高騰や燃料高の影響を受ける可能性があるなど、財源不足の拡大が懸念されます。
県民の安全・安心を守るための防災・減災、国土強靱化対策や国スポ・障スポ大会関係施設に関する整備などは、滋賀の将来の発展に向けて必要な事業だと考えます。そのために必要な施策や投資を適時適切に実施していく必要があります。一方で、臨時財政対策債を除く県債残高が増加傾向にあることにも留意しなければなりません。
そこで、より持続性の高い財政基盤の確立に向けて、今後どのように取り組むのか伺います。
次に、広報について、知事に伺います。
昨年3月、コロナ禍による県民意識の変化、情報伝達手段の高度化、複雑化、自治体間競争の激化といった社会情勢の変化に即応しながら、戦略的な広報を展開するため、本県広報の基本的な方針となる滋賀県広報戦略が策定されました。その内容を全庁で共有することにより、応答性を備えた県政を構築するとともに、滋賀の魅力の発信に努めていくとされています。令和4年3月の策定から1年近くが経過した現段階での取組状況について問います。
まず、具体的な取組を推進するための2つの視点の一つ、広報DXの推進について伺います。
デマンドサイド視点への情報発信への転換や、県ホームページにおける双方向通信機能の検討、ICTの活用による検証、分析などがうたわれていますが、広報DXの推進について、現段階での進捗と見えてきた課題の今後の進め方について伺います。
次に、もう1つの視点である情報発信力の最大化について伺います。
令和4年度11月定例会議の我が会派の代表質問の答弁で、知事は、「各部局の広報責任者および関係各課で構成する広報戦略会議を毎月開催し、効果的な情報発信につなげている。今後は、さらに各部局で連携する意識を高め、情報素材の発掘や磨き上げ、有効なメディアの選択や多様な広報媒体の組合せ、適切なタイミングなど、受け手に伝わる効果的な情報発信手法を検討し、全庁が一体となった情報発信力の最大化を図っていく」と答弁されました。
滋賀県広報戦略では、この広報戦略会議のほかにも、職員のスキルアップ、民間企業、市町等との協働などがうたわれていますが、情報発信力の最大化の取組について、現段階での進捗と見えてきた課題、今後の進め方について伺います。
令和5年度予算において、部局ごとに様々な広報に関する予算が計上されています。広報部局としてしっかり把握、統括し、県として組織的に広報する必要があると考えます。新年度予算は、各部局の行う様々な事業に関する広報について、滋賀県広報戦略を踏まえ、どのような点を重視して計上されたのか伺います。
次に、県民の命を守るための危機管理について、知事に伺います。
まず、帰宅困難者への対応について伺います。
1月24日の大雪を要因とするシステム障害でJR西日本の路線が運行不能となり、多数の帰宅困難者が発生しました。この際、野洲市、守山市では、駅周辺の施設を開放し、毛布や食料を提供しましたが、大津市、草津市では特段の対応は取られませんでした。大津市は、JRから情報提供はあったが、避難所開設の要請はなかったため、草津市は、情報提供がなく、帰宅困難者の発生を把握していなかったと説明しています。一方、対応のあった野洲市、守山市は、JRの要請によらず、独自の情報と判断で対応を行ったとのことです。
本県には
帰宅困難者対策計画があり、それによると、「災害時は市町や鉄道事業者が一時滞在施設を確保する」となっています。つまり、これが適用されるのは災害時だということです。今回の件は、災害時に限らず帰宅困難者が発生した事例であり、今後の対応を検討する必要があります。
知事は、定例会見で、「県で情報を集約したり、県立施設を一時待機所としたりすることも含めて、どういう対策を取り得るか検討したい」と述べられましたが、今回のことを教訓とし、様々な要因で帰宅困難者が発生した場合、県としてどのような役割を果たし、市町や事業者と連携した対策をどのように進めていかれるのか、見解を伺います。
次に、滋賀県地域防災計画について伺います。
この計画は、風水害等対策編、震災対策編、事故災害対策編、原子力災害対策編の4編で構成されており、これまでに発生した災害の教訓等を踏まえ、毎年検討を加え、必要があるときは随時修正しています。今年度は、静岡県熱海市で発生した土石流や豪雪による立ち往生などの災害を教訓とし、これらの計画の修正が行われています。今回の修正のポイントと、それにより県民の命と財産をどのように守ろうとされているのか伺います。
次に、個別避難計画作成推進事業「滋賀モデル」について伺います。
高齢者や障害者、医療的ケアが必要な方など、避難行動要支援者対策として注目されている個別避難計画ですが、全国的に策定率が伸び悩んでいるのが現状です。その推進のために、令和2年に取組スキームとして構築されたのが、防災と保健・福祉の連携促進モデル「滋賀モデル」です。令和3年度には、大津市、高島市がモデル事業に取り組まれ、令和4年度には、滋賀モデルの市町への横展開や滋賀モデル推進連絡会議の設置などが計画され、令和5年度以降も継続するとされています。誰一人取り残されない防災の実現を目指して、ぜひとも期待したいところです。
個別避難計画作成推進事業「滋賀モデル」のこれまでの取組の成果と課題、今後の展開について伺います。
次に、CO2ネットゼロの取組について、知事に伺います。
滋賀県では、2020年1月に、県民、事業者等、多様な主体と連携して取り組む“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントのキックオフを宣言し、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目指し、取組を始めました。キックオフ宣言から3周年の節目となる令和4年12月から令和5年1月を“しがCO2ネットゼロ”ムーブメント推進強化期間と定め、CO2ネットゼロに向けた様々な取組を展開しました。“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントのキックオフ宣言後、本県における温室効果ガスの排出実態、併せて今日までの取組状況と課題について伺います。
“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントの賛同者は、1月末現在で、事業所、個人合わせて9万8,604名となっており、“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントの取組が県民に広がってきています。また、県庁では、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画を策定し、CO2ネットゼロ推進課では、CO2ネットゼロ社会づくり総合調整、省エネ・再エネ等加速化事業、ムーブメント推進費を予算措置されています。加えて、農政水産部では、しがCO2ネットゼロビレッジ創造事業、企業庁では企業庁脱炭素ロードマップ作成委託事業、教育委員会では(仮称)しがCO2ネットゼロスクール検討事業、県立大学では県大発CO2ネットゼロ社会に向けた社会実装化研究と地域における社会実践事業など、各部局においてもCO2ネットゼロに向けた事業を予算化し、取組を推進しようとしていますが、これで広がりをつくることができるでしょうか。
一例を挙げるなら、約70万人がLINEで友達登録をした電子割引券の「しが割」です。友達登録の際に、CO2ネットゼロムーブメントの趣旨に賛同するという項目を要件に加えて、買物の際に自転車の利用やマイバックの利用などに取り組んでもらうことで、多くの県民の皆さんにCO2ネットムーブメントに参加してもらうことができたのではないかと考えます。また、紙の割引券ではなく電子割引券にしたことで、CO2の削減にも貢献しているということが伝われば、県民の皆さんの意識も変化したのではないでしょうか。
このように、部局横断的に、それぞれの部局の事業において、CO2ネットゼロのムーブメントを起こすような工夫を凝らすことが一層求められるのではないかと考えます。そこで、今後、多くの県民や事業者の皆様に参加をいただき、どのように“しがCO2ネットゼロ”ムーブメントの推進に取り組むのか、所見を伺います。
次に、県立美術館について、知事に伺います。
県立美術館は、2021年に、第13代館長に就任した保坂健二朗氏の下、リビングルームのような美術館を目指し、同年6月にリニューアルオープンしました。私も何度か見に行かせていただきましたが、特に、アール・ブリュットという言葉を使わずに表現された企画展「人間の才能 生みだすことと生きること」などは、大いに共感するものでした。現在も川内倫子氏の「M/E 球体の上 無限の連なり」が開催されるなど、これまでから県にゆかりのあるアーティストにスポットを当てた企画展を次々と開催していただいているところです。
コロナ禍の下、難しい運営であったと思いますが、様々な企画展や体験プログラムなどに取り組んでこられたことに敬意を表し、今後、さらなる飛躍を期待しております。
そこでまず、リニューアルオープン以降の観覧者数なども含めた現状と課題、今後の取組について伺います。
今回のリニューアルに当たって行われた工事は、キッズスペースやラボ等が新たに整備されたものの、主に老朽化対策が目的でした。新生美術館構想においては改善が図られることになっていた、将来的な収蔵品の増加に対応できない狭隘な収蔵庫や、都道府県立の美術館と比較し展示スペースが小規模であるなどの課題は依然として存在しています。今後、これらの課題を解決するなど、県立美術館の機能向上に対し、どのように取り組もうとされているのか、知事の考えを伺います。
令和4年9月定例会議の美術館整備に関する我が会派の代表質問に対して、県立美術館において、「文化観光拠点施設として、地域に根差した文化やアートを楽しみながら県内を巡る文化ツーリズムにつなげる取組を進める」と答弁されました。これまでの文化観光拠点施設としての具体的な取組と、令和5年度予算でどのように反映されているのか伺います。
次に、国スポ・障スポについて、知事に伺います。
国スポ・障スポは、競技者だけでなく、観戦する人、大会を支える人など、様々な人々が一緒になってつくり上げ、競技力の向上、地域におけるスポーツ振興、地域づくり、ひとづくりなど、多方面にわたり大きな効果をもたらし、関連する経済活動は、大会施設の整備や大会運営をはじめ、多くの投資、消費がなされ、地域への経済波及効果も大きく、また、大会終了後の地域の経済にとってプラスになるなど、開催前後の継続した効果も期待できる事業です。
先日開催された我が会派と知事の政策協議会において、2025年に開催される国スポ・障スポの運営費が、直近の開催事例を基に再試算した結果、開催経費37億円、市町の施設整備補助が7億円、競技力向上対策が3億円のそれぞれプラスとなり、施設整備は1億円のマイナスで、これに伴い、国スポ・障スポ全体の総事業費は593億円と、これまでの見込額547億円から46億円増えたとされています。
一方、昨年──2022年開催されたとちぎ国体では、大会経費合計917億円に対し1,174億円の経済効果があったとされていて、国スポの開催が、スポーツ振興、県民の健康づくりや地域の活性化のみならず、地域経済への波及効果もあることが分かっています。
そこでまず、滋賀県の国スポ・障スポ開催における県内への経済波及効果をどのように見積もっておられるのか、見解を伺います。
スポーツの力で感動を生み出し、それを未来につなぐために、県を挙げて実施するこのイベントの成功には、県民一人ひとりの協力が必要不可欠です。コロナ禍で延期となった大会会期も正式決定し、機運醸成にこれから一層の取組を行っていくことが肝要です。国スポ・障スポの開催に向けた機運醸成の今後の取組について伺います。
知事は、2025年に開催される大阪・関西万博に県内の子供全員を招待したいと表明されております。思い出は生きる力になるとの言葉があります。私も、前回滋賀県で開催された国体を、当時小学生でしたが、観戦した記憶が鮮明に残っています。ここは、レガシーを期待して、ぜひとも同じ年に滋賀で開催される国スポ・障スポについても子供たちに観戦してもらう対応をしてはと考えますが、見解を伺います。
次に、琵琶湖の環境について、知事に伺います。
知事は、年始の庁内の仕事始めの挨拶において、「シン・ジダイへの歩みは、琵琶湖をはじめ、山、川、土など自然環境と共にあるべきだと信じる。琵琶湖を預かる滋賀県の使命として、気候変動対策としてのCO2ネットゼロの取組をさらに進めるとともに、生態系サービス、生物多様性の保全にこれまで以上に力を入れて取り組む。昨年12月カナダで開催されたCOP15での合意決定事項である30by30に賛同を表明し、県としての率先、主体的な取組をさらに進めていく。」と述べられています。
滋賀県は、県土の37.4%が生態系の保全保護地域とされ、30by30の数値を満たしており、また、これまでに、MLGsをはじめ、琵琶湖の総合保全、やまの健康、生物多様性取組認証制度やトンボ100大作戦など、官のみならず様々な主体の連携により様々な取組を実施しているところですが、ここに満足することなく、取組を強化するという意思表明を評価するところです。2015年に策定した現行の生物多様性しが戦略の改定に着手し、さらなる高みを目指した、より野心的な目標の設定と具体的な取組を産業界や県民と共につくっていくとのことですが、今般のCOP15の合意決定事項である30by30への賛同表明に至った現状の課題認識と今後の取組について見解を伺います。
かねてから知事は、水源地である山、森林が重要であると発信されていますが、山や森林が持つ機能の一つである水源の涵養は、琵琶湖を預かる滋賀県としては格別な意味を持つと言えます。山や森林は、水源の涵養のほかにも、土砂災害防止、土壌保全、生物多様性保全、地球環境保全、快適環境形成、物質生産など多面的機能を有しています。昨今の気候変動など地球環境問題を考えるとき、健全で緑豊かな山および森林を未来に引き継ぐことは現代に生きる我々の責務であると言えます。
山や森林を守るために重要な役割を果たしているのが森林管理であり、中でも林業がその役割を主に担いますが、滋賀県における林業は、他の地域以上にその可能性を生かせていない状況にあると考えます。このような問題意識もあって、議会においては、県内の林業の活性化に向けて重要な要素となる県産材の活用に向けた条例を検討してきており、今定例会議で議案として上程される予定で、県としてもさらに前向きな取組を期待するところです。
県産木材の利用の促進については様々な課題がありますが、特に、県内で切り出した木を加工する製材の能力が足りておらず県外に頼っている、県産材のストックができていないなど、供給面の課題の解決がまず必要と考えます。大型の製材所を設置する、また、県産材のストックの仕組みをつくるなど、県が率先して取り組まなければ現状の打破はできないと考えるところです。
そこで、やまの健康の取組のうち、特に林業の成長産業化に向けた県産木材の流通強化について、県の役割と今後の取組について見解を伺います。
次は、何らかの形でやまの健康を損ねた影響ではないかとも考えられる長浜市の高時川の濁水について問います。
令和4年8月4日から5日にかけて滋賀県の北部を襲った豪雨の被害は、河川の氾濫による住宅の浸水や農作物への多大な被害などを発生させたほか、高時川の濁水が長期にわたって発生している状況にあり、多大な影響がありました。高時川は、半年が経過しますが、いまだに濁りが解消しない状況にあり、地域の方々も今回のように長く続く濁水は記憶にないとのことです。また、濁り水だけではなく、高時川の周辺の地域では地下水が出なくなったところもあると聞きます。山から琵琶湖までの水の流れに大きな変化が起こっているのではないかと言えます。
谷や沢が崩落するなど山や森林の荒廃なのか、人の手が及ばなくなって里山が管理不全になった影響か、人間の行った開発の影響なのか、改めて原因の究明と対策が必要であると強く感じます。前回の我が会派の代表質問や大橋議員の一般質問でも指摘をしたところ、原因の調査に当たるとの答弁でした。その後、調査結果の説明を受けましたが、一言で言えば、現時点では原因が分からないという状況です。しかし、この状況のまま放置するわけにはいかないと考えます。
そこで、高時川の濁水が続いた場合の農業や水産業への影響など、想定される影響を具体的に伺います。あわせて、この高時川の濁水について、今後どのように対応されようとしているのか伺います。
次に、健康しが、ひとの健康について、知事に伺います。
昨年12月は、地域福祉の重要な担い手である民生委員の全国一斉改選のタイミングでした。厚生労働省の1月13日の発表によると、この民生委員の一斉改選で定数約24万人に対する欠員が戦後最多と見られる1万5,191人に上ったとのことです。欠員は増加傾向で、3年前の前回に比べ32%増えているとのこと、高齢化のほか、働くシニア層の増加や専業主婦の減少という背景もあり、担い手不足が深刻化している状況にあると認識しています。
民生委員は、独居高齢者の訪問、ひきこもりや児童虐待に関する相談などを担い、必要に応じて行政や福祉サービスに橋渡しする役割があります。地域社会の見守り役であり、欠員が増えると支援の網に綻びが生じることになります。
そこで、今回の一斉改選の状況を受け、地域福祉の要である民生委員の充足状況について、県内の状況と担い手確保に向けた対策について、県の見解を伺います。
目前に迫る2025年は、高齢者福祉分野の重要な転換点となると言われており、2025年問題として注目されています。1947年から1949年の第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代が75歳の後期高齢者に達し、人口の4分の1が後期高齢者となるのがこの2025年です。社会の構造や社会保障費の急増などへの大きな影響を及ぼすこと、介護サービスのニーズが高まる一方で深刻な介護人材不足に陥ることなどが予測されています。
2025年に向けた対応として、計画的に介護施設整備が行われることとなっており、予算措置もされています。しかし、現実には、この予算が執行されず、施設整備が計画どおりに進んでいない状況にあります。介護サービスの施設整備に対し、事業者の手が挙がらない現状に対する認識と、今後の対応策について見解を問います。
健康しがを掲げる滋賀県としては、県民の生活の質の向上につなげるために、健康寿命を延ばすことが重要な取組になると考えます。そのためには、県民一人ひとりが、持病など、それぞれの事情とうまく付き合いながら、できる限り健康に年を重ねていけるようサポートする取組を進めることが求められています。いざ必要となったときに医療や介護に適切にアクセスできる環境を整える一方で、予防的な取組を進めることが今後さらに重要になると言えます。これを実行することは、県民にとって生活の質の向上につながるだけでなく、結果として、社会保障費の抑制など社会にとってもよい効果が期待できるものとなります。
そこで、若年層からの健康診断や人間ドックの受診、口腔ケアの実施、生活習慣の見直しの指導、運動などによる健康づくりなど、健康に年を重ねるための予防的な取組に今後より重点的に予算を振り分けていくことを提言しますが、見解を伺います。
今通常国会において、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類見直しが議論されています。3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症への対応の経験から得られた知見を基に、経済や社会活動の活性を高めていくための議論は必要だと考えます。一方で、見直すに当たっては丁寧な対応が必要だと考えます。
そこで、まずは医療や福祉の体制に関して伺います。
感染拡大の波が押し寄せるたびに、その波は大きくなっており、感染者が多く発生すれば、重症者、死亡者が増えることにつながっています。一般医療とのバランスや高齢者施設の運営などを考えたときに、感染拡大防止の取組を縮小してよいという状況でもないと考えます。第8波は一息ついた状況となっているようにも見えますが、その医療や福祉の現場は綱渡りの状況であったと言え、今後も現場へのサポートは欠かせません。今後の新型コロナ対策について、医療や福祉の現場への支援など、その対応を伺います。
次に、感染法上の分類の見直しに関して伺います。
これまでに2類相当の対応を行うための体制を3年かけて構築してきました。感染法上の分類が見直されることになると、これら2類相当であるがゆえに構築された仕組みをどうするのか、考えなければなりません。雇用などにも大きく関係することもあり、対応は適切に行う必要があります。
コントロールセンター、コールセンター、検査の体制、宿泊療養施設など、2類相当であった新型コロナウイルスへの対応として構築された様々なシステムについて、今後どのようにされようとしているのか、その対応を伺います。
次に、「子ども、子ども、子ども」について、知事に伺います。
我が国の少子化が急速に進展しています。少子化は人口減少と高齢化を引き起こし、労働力の不足、国内需要の減少による経済への影響、国際競争力の低下、医療、介護費の増大など、様々な不都合な状況に陥る要因となっています。
少子化の原因は何であるのか。少なくとも子育て、教育にお金がかかる現状があり、経済的な理由が子供を持つことをちゅうちょする一つの大きな要因であると分析されています。夫婦が希望する子供の数と実際に生まれる数には大きな差があり、子供を産み育てるのを諦めている状況がうかがえます。若い世代が子供を産み育てるのを諦める社会とは一体何なのかということに向き合う必要があると考えます。
一方で、1989年生まれの子供の数は約125万人、これより後、2010年頃までは、生まれた子供の数が120万人から110万人辺りを推移していました。しかし、2010年以降の生まれてくる子供の数の減少の幅は大きくなっており、2022年には80万人を割るというところまで進んできております。2010年までに生まれた人たちが子供を産み育てる時期に有効な対策を打つ必要があり、時間の猶予は全くありません。県としてできることは取り組む必要があります。
そこで、県として取り組むことができる子供医療費や教育にかかる費用など、経済的な支援の拡充について早急に取り組むことを改めて提言しますが、見解を伺います。
次に、商工観光労働行政について、知事に伺います。
昨年4月にリニューアルオープンした「ここ滋賀」は、この1月23日に来館者数200万人を達成しました。第2期運営計画では、令和5年度の来館者が年間45万人、売上げが2億2,500万円と設定されていますが、この数値で情報発信拠点としての成果の全てをはかれるものではないと考えます。令和5年度予算では、「ここ滋賀」の拠点機能の最大化が重点施策となっています。リニューアル後の「ここ滋賀」の運営状況とその成果、また、これを踏まえて、今後、「ここ滋賀」での情報発信やBtoBの取組など、拠点機能をどのように最大化しようとされているのか、見解を伺います。
電子割引券の「しが割」第2弾は、予算が11億4,400万円であった第1弾が予定期間より早く終了したことから、新たに15億6,400万円を割引原資として実施しました。第1弾での結果を踏まえ、特定の事業者での利用が集中したことなどの改善を図り、みなし大企業および第1弾で割引額が総額で1億円を超えた事業者は除外しました。
LINE登録者数は、前回より15万人以上増加し、約70万人となり、クーポン発行2週目の初日にクーポンの取得額が予算上限に達しました。あるお店では、通常の5倍の仕入れをしたが棚が空になったとの話もあるようです。
これらを踏まえ、第2弾において新たに1億円を超えた事業者がどの程度あったのか、また、業種別での利用状況、店舗ごとの利用回数分布など、クーポンの利用状況について伺います。あわせて、事業の目的である中小・小規模事業者支援のための需要喚起を踏まえた「しが割」第2弾の事業効果の検証について伺います。
1月10日から「全国版 今こそ滋賀を旅しよう!第2弾」が開始されています。国の制度変更により、前回と比べ補助率が40%から20%に減少、交通費込みのパック旅行は上限8,000円から5,000円に、宿泊のみは上限3,000円になり、クーポン金額は平日3,000円から2,000円に減少、休日は1,000円のままとなりました。補助率が下がったことにより、県独自にクーポンを2,000円上乗せし、平日が4,000円、休日は3,000円の配布としています。
新型コロナも少し落ち着いてきた状況であり、観光需要の回復を期待するところですが、「全国版 今こそ滋賀を旅しよう!」の利用状況について伺います。あわせて、この事業の効果について、県としてどのように捉えているのか、見解を伺います。
現在、海外からの旅行客も動き出しています。国内では、滋賀県内で撮影された映画「レジェンド&バタフライ」が公開となり、大変注目を浴びています。2024年1月からは、石山寺にゆかりのある紫式部の「源氏物語」が原作となるNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送が予定されており、春には
北陸新幹線敦賀駅の開業もあります。2025年には、関西万博の開催、滋賀県では国スポ・障スポの開催と、大きなイベントがめじろ押しとなっています。今後、コロナ禍の観光関連の支援が縮小していくことが想定される中、これらをどのように滋賀県の観光振興につなげるのかが大変重要です。
そこで、2023年──令和5年度以降の滋賀の観光振興をどのように進めていこうとするのか、見解を伺います。
人口減少、少子高齢化において、今後、さらに女性活躍が期待されます。女性には、女性特有の「生理・月経」、「妊活・妊孕性」、「妊娠期・産後」、「プレ更年期・更年期」など様々なライフステージがあり、心と身体のバランスを取ることが大切です。例えば、生理痛や月経前症候群などによる労働力の低下における経済損失は、年間で6,828億円とも言われています。この女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスをフェムテックといい、2025年には2兆円規模の市場になると言われている成長産業の分野の一つと言えます。滋賀県としても今年度から取組を始めていますが、フェムテックに関する滋賀県の取組の現状と今後について伺います。
次に、農業政策について、知事に伺います。
昨年末、総理大臣官邸で、岸田総理や野村農林水産大臣などが出席して食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開き、食料安全保障強化政策大綱を決定されました。この大綱の中で、食料安全保障強化のための重点対策として、食料生産に不可欠な肥料、飼料等を国内資源の活用等へ大きく転換し、過度な海外依存からの脱却を図るとされています。具体的には、肥料の国産化や安定供給を確保するための対策の実施、水田を畑地化し、麦、大豆の本作化の推進などが挙げられていますが、食料安全保障強化政策大綱が決定された中で、本県の農業への影響や期待など、知事の考えを伺います。
食料安全保障強化政策大綱の中で、新しい資本主義の下で講ずる他の主要施策として、スマート農林水産業等による成長産業化、農林水産物、食品の輸出の促進、農林水産業のグリーン化が挙げられています。とりわけグリーン化については、昨年10月に、みどりの食料システム法に基づく滋賀県みどりの食料システム基本計画に農林水産省が全国初となる同意を行いました。みどりの食料システム戦略の実現に向けて、堆肥、下水汚泥資源の使用量倍増、堆肥の広域流通、オーガニックビレッジの創出などが検討されています。これまでから環境こだわり農業に先進的に取り組んできた本県として、みどりの食料システム戦略においてもモデル的な取組や成果を上げていくべきと考えますが、所見を伺います。
環境こだわり農業の栽培基準よりさらに化学肥料、化学合成農薬を削減する栽培を行うことで、特色ある近江米としてオーガニック農業に本県農業者が取り組むきっかけとなる品種と位置づけた近江米の新品種、滋賀83号が育成されました。現在、この新品種の名称の選考中で、きらみずき、滋味満天、よばれてや、みちる、てとての5つの候補の中から投票で選ばれる予定です。今年度中に名前を決定し、令和5年度に試験栽培、試験販売を行い、令和6年に本格デビューする予定となっています。
そこで、今後、この新品種の作付拡大をどのように進めようとされるのか、伺います。また、作付拡大を図るためには、販路を確保することが必要と考えますが、令和6年度の本格デビューに向けたPRと流通促進の取組について伺います。
次に、社会インフラ整備について、知事に伺います。
まず、道路整備について伺います。
昨年度、今後20年間の道路整備の基本方針となる滋賀県道路整備マスタープラン(第3次)を策定し、今年度、このマスタープランに基づき、将来の10年間の具体的な道路整備計画となる(仮称)滋賀県道路整備アクションプログラム2023を策定される予定です。策定に当たっては、県内の地域ごとに異なる気候、人口、産業構成や交通環境など多様な地域特性に対応し、県内を8地域に区分して地域ワーキングを開催し、地域の実情や課題について広く県民の意見を反映しています。
マスタープランでは、道路整備を実行するに当たり、県内外の拠点間ネットワークの強化と安全で快適に移動や滞在ができる道路空間の創出を目指しており、地域ごとに策定されたアクションプログラムの実行により、全ての人がどこにいても安全快適に移動できる道路整備が進められることになります。
あわせて、国の事業である国道1号、8号、161号バイパスの道路整備や、国の重要物流道路に指定された名神名阪連絡道路など、県の骨格をなす道路を適切に計画し、実現に向けて取り組むことも重要であると考えます。
これらを踏まえ、マスタープランに基づくアクションプログラムの取組により進められる道路整備に期待することについて、見解を伺います。
マスタープランおよびアクションプログラムに基づいて道路整備を進めるに当たり、成果指標を定め、目標管理を行うとされています。アウトカム指標として、県内外の拠点間ネットワークの強化と安全で快適に移動や滞在ができる道路空間の創出の指標に加えて、県のCO2ネットゼロ社会づくり推進計画で示す自動車から排出される温室効果ガスの削減の指標も設定されています。これらの成果指標や目標管理をどのように今後の道路整備に活用されるのか、伺います。
次に、滋賀地域交通ビジョンについて伺います。
滋賀地域交通ビジョンの骨子案では、一定の自家用車利用を前提としつつ、地域交通により、自家用車を使えない人、自家用車を使えないときでも日々の生活のために移動ができる、加えて、自家用車を使わないという選択ができる、2040年代を見据えて、誰もが行きたいときに行きたいところに移動ができる持続可能な地域交通を目指すとされています。
骨子案では、この実現のために必要な費用についても試算がなされましたが、この試算の目的と今後の議論の進め方について伺います。
試算は、路線バスをベースに2040年代に目指す地域交通の実現を前提としています。バスは現在よりも本数を増便することとなっています。そのための費用は試算によって示されましたが、CO2ネットゼロの観点からの温室効果ガスの削減などについての言及はありません。地域交通ビジョンを検討する中で、CO2ネットゼロの視点をどのように組み込み検討するのか、見解を伺います。
次に、社会インフラの維持管理、保全について伺います。
高度経済成長期に整備が進んだ多くの道路、河川、砂防、公園などの本県の社会インフラは、老朽化への対応が課題となっています。これらの課題に対応し、適切に維持管理や保全を行う必要があります。今後、本県の社会インフラの維持管理、保全について、どのように取り組まれるのか伺います。
次に、県内においても社会問題化している空き家問題について、知事に伺います。
空き家問題については、国土交通省の試算で、2018年の段階で349万戸であった長期不在の空き家が、2025年には420万戸、2030年には470万戸に達するとしており、問題が深刻化する方向に動いていると言えます。このことを受け、空き家を放置せず、住める状態のうちにいかに重点的に流通を促進するかといった観点から、空き家対策特別措置法改正案が今国会で議論されることになっています。国では、空き家活用のために、促進区域を市町が設定し、カフェや宿泊施設など観光振興などへの転用を容易にする、また、緊急性が高い場合は手続の一部を省いて自治体が撤去できる、管理が不十分な空き家は税の軽減対象から除外するなど対策として挙がっています。
今般の改正により、空き家対策としての取組がどの程度進むと考えているのか、改正に対する県の対応状況と併せて伺います。
空き家は、防犯や防災、衛生面や景観からの悪影響もあり、強制撤去を含めて早期の対応が必要とされています。今回の改正により行政での対応は制度上容易になりますが、市町からは、専門的な知識や技能のある職員が不足しており、売買の相談や広報普及啓発活動を進める体制ができないとの声も聞きます。法改正に当たって、県としても市町への支援など柔軟な対応が必要とだと考えますが、空き家対策について、対応の主体となる市町と県の連携について伺います。
次に、教育行政について、知事ならびに教育長に伺います。
まず、子供の学ぶ環境整備について伺います。
子供たちの生活環境、教育環境も時代とともに大きく変化しています。県立学校では、コロナ禍によってGIGAスクール構想が前倒しされ、BYODによる1人1台端末の整備が行われ、併せて普通教室を中心にWi−Fi環境が整備されてきました。そこでまず、BYODによる1人1台端末の導入の成果と課題について、教育長に伺います。
Wi−Fi環境の整備については、工業高校などの専門高校や総合高校において、授業の中心となる特別教室にWi−Fiが整備されていないなどの課題があり、改善が必要であると考えます。そこで、県立学校のWi−Fi環境の整備状況と今後の取組について、教育長に伺います。
また、トイレ整備については、女子生徒用トイレの不足や養護学校でのトイレの問題を契機に、会派として洋式化など環境整備を訴えてきており、計画的に整備が進んでいます。普通教室のトイレ改修を優先的に整備する方針で進められていますが、専門高校や総合高校については、特別教室の利用時間が長いことを考えると、特別教室等のトイレ改修も必要です。
そこで、普通教室のトイレ整備を優先する方針であることを踏まえ、この整備を早期に完了させ、特別教室や体育館などのトイレ整備にも着手すべきと考えます。知事は、選挙中も子供たちにトイレの改修などを訴えてこられました。トイレの整備は、子供たちの学ぶ環境に大きな影響があり、子供たちも大いに期待していると思います。
県立学校の普通教室のトイレ整備の完了時期のめどについて教育長に伺い、併せて、普通教室以外のトイレ整備を早期に実施するためにも、普通教室のトイレ整備を加速することを提言しますが、教育長に見解を伺います。
次に、個別最適な学びについて伺います。
令和4年度から、モデル校を選定し、学びのステップアップ調査CBT化事業に取り組んでいますが、この学びのステップアップ調査CBT化事業の状況について、教育長に伺います。
このモデル校での取組が、今後、全ての学校、全ての生徒での取組へと展開されることになります。一人一人の読み解く力を高め、学ぶ力の向上につなげるために、学びのステップアップ調査CBT化事業などで得られるデータを活用した指導の実践が求められます。全ての教員がICTを効果的に活用した一人一人の学びの最適化に関して理解することが大変重要であり、学校全体で取り組む体制整備も必要と考えます。今後、どのように一人ひとりの学びの最適化の取組を広げていこうとされるのか、教育長に伺います。
次に、高校の魅力化について伺います。
滋賀県では、人口減少、少子高齢化、グローバル化、情報化、技術革新の進展などの急速な社会情勢の変化への対応として、おおむね10年から15年先を見据えて、新しい時代を切り開く人づくりのために、これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針を示されました。この方針に基づき、現在、(仮称)滋賀の県立高等学校魅力化プランが策定されているところです。
この県立高等学校魅力化プランが目指すところについて、教育長に伺います。あわせて、魅力化には予算と人材が大切であり、しっかりと措置すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
令和5年度予算では、しがアントレプレナーシップハイスクール事業、アグリイノベーション・ハイスクール事業、しがクリエーター12プロジェクトなど、魅力化に関連する新規事業が進められようとしています。令和5年度から県立学校の魅力化に関する様々な取組の目指すところについて、教育長に伺います。あわせて、これらの取組を進めるための県庁内の他部局との連携はもちろん、商工関係、農林水産関係などの企業、事業者との連携について、教育長に伺います。
次に、不登校対策について伺います。
滋賀県における不登校児童生徒の公立学校の在籍率は、令和3年度、小学校1,066人で1.33%、中学校1,835人で4.66%、高等学校727人で2.55%という状況です。要因はコロナだけではないと感じています。増え続ける不登校の現情を考えれば、多様な学びの場を早急に整備することが求められます。
教育機会確保法の第13条に不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性が明記され、基本指針では、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があると指摘されました。文部科学省の通知では、フリースクール等民間団体との連携や不登校特例校設置の推進も述べられています。
子供の学ぶ権利の保障のため、県として多様な学びの場、多様な居場所をどのように確保しようとされるのか、その支援も含めて検討が求められますが、知事の考えを伺います。
1月31日に、永岡文部科学大臣は、不登校について、不登校の児童生徒が支援を受けられる不登校の特例校の設置促進等の体制整備、1人1台端末の活用等によるデータに基づく不登校の兆候の早期発見、早期支援、全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによる予防的な不登校対策の推進を3つの柱として、2022年度中に対策を取りまとめることを明らかにされました。滋賀県でも、国の示す対策を受けて、迅速に対応できる準備を整えるべきと考えますが、知事の考えを伺います。
次に、防犯と交通安全について、知事ならびに警察本部長に伺います。
県内の犯罪情勢については、令和3年の刑法犯認知件数が5,814件と、昭和34年以降で最少となりました。一方、令和4年は、安全・安心な滋賀の実現のため、「『治安の良さを実感できる社会を目指して!』〜県民の心と力をあわせて達成しよう!アンダー5,500件〜」を掲げ、特殊詐欺被害80件以下、住宅侵入窃盗被害140件以下を犯罪抑止目標に定められました。しかし、刑法犯認知件数6,830件、特殊詐欺被害件数132件、住宅侵入窃盗被害件数162件と、いずれも目標を上回り増加しました。これを受け、令和5年は県民総ぐるみによる犯罪抑止活動を展開されるとのことですが、その内容と抑止目標等について、知事に伺います。
次に、県内の防犯カメラの状況について伺います。
過去には民間企業から県に対して防犯カメラの寄附をいただいたこともあり、また、県警本部では、地域見守りカメラ設置促進事業として防犯活動に取り組んでおられる県内の自治会および自主防犯団体等を対象に無償貸付けによる設置支援を行っていただいております。
そこで、現在警察が設置支援をしている防犯カメラの現状について、警察本部長に伺います。
防犯カメラの普及に伴い、近年では、犯罪捜査についても、防犯カメラの画像が、犯行状況や犯人像の確認、事件関係者の足取りの確認、映像を公開しての追跡捜査等、様々な場面で活用されています。滋賀県におきましても、防犯カメラは、県、市町等の公共団体、自主防犯活動団体、自治会、店舗、商店街、企業など様々な設置主体により県内各地に設置されています。県民の防犯意識が高まる中で、最近では自宅への防犯カメラや自家用車へのドライブレコーダーの設置も増えてきております。
そこで、警察が設置支援している防犯カメラ以外の様々な主体が設置している防犯カメラの設置状況について、警察本部長に伺います。
今後、防犯カメラの重要性はさらに高まってくると考えます。警察が設置支援するもののほか、様々な主体との連携も重要と考えますが、今後の防犯カメラ設置や活用の取組について、警察本部長に伺います。
昨年3月に、県内12の警察署に全国初となるVR横断歩行シミュレーターが導入されました。歩行中の高齢者が事故に遭う原因を突き止めるため、滋賀大学データサイエンス学部と滋賀県警が協力し、VR──仮想現実を使った高齢歩行者の挙動分析を行うというもので、EBPMの視点を取り入れ、高齢歩行者の事故の減少に向けた対策の高度化につながる取組として期待されています。
そこで、VR横断歩行シミュレーターのこれまでの活用状況について、警察本部長に伺います。
昨年3月導入以降、各地でVR横断歩行シミュレーターを活用いただいておりますが、シミュレーターを活用することで得られた滋賀大学データサイエンス学部との連携による成果について、警察本部長に伺います。
大学などの専門機関と連携し、最新技術を駆使した新たな取組を行うことについては、今後もさらに期待されるところです。こうした技術を活用して、県内で発生した様々な犯罪、事故の傾向を分析し、犯罪、事故の防止、抑止につなげるといった取組などが期待されます。こうした交通事故や犯罪防止のデータ活用に向けた大学などの専門機関との連携の可能性について警察本部長に伺い、チームしが 県議団を代表しての質問といたします。(拍手)
○議長(岩佐弘明) 14番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)チームしが 県議団を代表されての田中議員の御質問に順次お答えをいたします。
まず、令和5年度当初予算について、2点賜りました。
まず1点目、新年度当初予算に対する思いについてでございますが、まず、令和5年度は、2030年に向けた基本構想の第2期実施計画および新たな行政経営方針に基づく県政運営の始まりとなる大きな節目の年だと考えております。
この令和5年度の当初予算編成では、引き続き、コロナ対策に万全を期すとともに、未来を見据え、「子ども、子ども、子ども」をはじめとした5つの施策の柱、さらには北の近江振興を重点テーマに掲げて議論し、検討してまいりました。
次世代の子供、若者と共に健康しがを実現するため、子供を施策の中心に据え、進化、伸ばす、深める、信じる、新たなチャレンジなど、シン・ジダイという言葉に様々な思いを込めて「未来へと幸せが続く滋賀」の実現を目指してまいりたいと存じます。
2点目、持続可能性の高い財政基盤の確立についてでございますが、今回の令和5年度当初予算編成におきましては、収支改善の取組などにより、昨年度から一定改善いたしましたものの、なお174億円の財源不足が生じたところでございます。
また、財政収支見通しの試算におきましても、当面、年100億円を超える財源不足の継続が見込まれておりますほか、臨財債を除く県債残高も増加傾向にあり、金利上昇に伴う公債費の増加が財政の硬直化につながることを懸念しております。
こうした状況を踏まえ、今後の財政運営に際しましては、収支改善の取組を次期行政経営方針に位置づけ、着実に実施いたしますとともに、税収の動向等も踏まえつつ、県債の繰上償還で残高の縮減を図るなど、持続可能な財政基盤の確立に向けて対策を検討し、実施してまいりたいと存じます。
続きまして、大きな2項目め、広報についていただきました。
1点目の広報DXの推進についてでございますが、LINEアンケートの実施などICTを活用した県民等の意見の把握や情報発信などに加えまして、今年度は、
デジタル版広報誌の運用やホームページリニューアルに向けた現状分析を開始いたしました。
一方で、県政世論調査や総務省の調査からも分かりますように、ホームページやSNSだけでは情報が届きにくい世代がおられることを課題として改めて認識しているところでございます。
このため、デジタル化の進展に応じて、ウェブ媒体を積極的に活用するとともに、ホームページ等を利用しない方などにも必要な県政情報が届けられるよう、紙や電波媒体を組み合わせた情報発信を行ってまいります。
また、お尋ねの中に入れていただいておりました双方向性ですとか、あと、データ分析などについては、課題があり、また可能性もあると考えているところでございます。
2点目、情報発信力の最大化についてでございますが、広報戦略会議等で各部局の連携を図りますほか、民間企業と連携してSDGsの取組の情報発信などを行っているところです。
こうした取組の中で、職員の広報に関する意識にばらつきがあること、また、民間企業や関係団体による県庁会見室を活用した情報発信が限定的であることといった課題が見えてまいりました。このため、広報に関する職員研修等を重ねながら、職員一人ひとりの広報マインドを向上させ、県庁全体の広報力の底上げを図りますとともに、県庁会見室のプレスセンターとしての活用について改めて周知し、民間企業等も含めた発信力の強化につなげてまいりたいと存じます。
3点目、広報に関する予算について、何を重視したのかということについてでございますが、県民等の共感を得て、行動、参加につながる広報を実践するという広報戦略の基本的な考え方の下、施策構築方針および当初予算編成要領において、施策に県民等が共感し、行動や参加につながるよう、デジタルを活用することなど届けることを意識することと定め、予算案を編成したところです。各広報事業の実施に当たりましても、皆さんに届けることを意識し、広報戦略会議等を通じて、各部局が連携しながら、受け手に伝わる効果的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
大きな3項目めは、危機管理についてでございます。
まず1点目、
帰宅困難者対策についてです。
現在、検証を進めております。今回は、JR西日本の運行上のトラブルに関して、十分に情報を共有できず、市町や駅において対応が分かれたことなどが課題であったと考えております。そのため、今回のような場合には、県としても情報を一元的に集約、整理し、市町など関係者と情報共有を行う必要があるのではないかと考えております。
今後、関係者が速やかに状況を共有できる仕組みを再整理いたしますとともに、県の施設も含め、一時滞在施設のさらなる確保を進めるなど、帰宅困難者の安全確保に向け、JR西日本や市町等と協議を進めてまいります。
2点目、地域防災計画についてです。
今回の改正では、熱海市の土石流災害を踏まえ、盛土の総点検等で危険が確認された盛土について、速やかに法令に基づく是正指導を行いますことや、救助活動の効率化のため、市町と県が連携いたしまして安否不明者の氏名等を公表することなどを追加しております。
また、積雪に伴い、高速道路等で大規模な立ち往生が発生した場合、関係機関が連携して滞留車両の乗員保護に当たることなどについて追記いたします。
今後も、災害教訓や社会情勢などを踏まえ、不断に計画の見直しを行い、県民の命と財産を守るため、自助、共助、公助による地域防災力の強化に努めてまいります。
3点目の個別避難計画についてでございます。
滋賀モデルの横展開などにより、市町における防災と保健福祉部局の連携体制の構築や福祉専門職の参画などが進みまして、県内16市町において計画の策定が進められているところです。しかしながら、高齢者等で支援が必要となる当事者を含め、支援者となる福祉専門職や地域の方々など、多くの方の理解と参画が十分ではないことが課題であります。
県といたしましては、市町職員向け研修の開催や、福祉専門職を対象にした人材育成ツールの開発、幅広い方々が参画するプラットフォームでの取組事例の共有や意見交換などにより、誰一人取り残さない防災の実現を目指してまいりたいと存じます。
続いて、大きな4項目めはCO2ネットゼロについてでございます。
1点目の温室効果ガスの排出実態についてです。
先日公表した2020年度の県域からの温室効果ガス排出量は、対前年度比マイナス1.7%でございました。コロナ禍で家庭部門等の排出量が増加いたしましたものの、全体としては削減が進んでいるのではないかと見ています。
次に、ムーブメントの取組状況ですが、取組の見える化といたしまして、ウェブサイト「ゼロナビしが」の開設など、また、「自分ごと化」として、次世代を担う若者によるワークショップの開催などを行ってきたところでありますが、今後は具体の行動変容までつながるサイクルを構築していくことが課題であると感じております。
2点目、ムーブメントの推進への取組につきましては、議員御指摘のとおり、他部局と連携することで効果、効率的にムーブメントの推進を図る視点は重要だと考えております。そのため、県では、びわ湖の日や全国植樹祭等を通じた啓発活動や、びわ湖マラソンのカーボンオフセット開催等、部局横断的な取組を進めてきているところです。
引き続き、全部局で構成されるしがCO2ネットゼロ推進本部等において、情報の共有を図りながら、全庁が一丸となった取組を行いますとともに、包括連携協定やネットゼロフォーラムしが等、あらゆる機会を活用いたしまして官民一体となった取組を進め、行動変容につながるよう工夫を凝らしてまいりたいと存じます。
大きな5項目めは県立美術館についてであります。
1点目、現状と課題、今後の取組についてですが、観覧者数が1月末時点で5万2,529人となっておりまして、今年度の目標7万人に対しておよそ75%という状況です。
リニューアル前に比較いたしまして、中学生以下の割合が約10%と大きく増加しているのが特徴であるとのことでございます。今後、さらに幅広い層の来館者の鑑賞の機会を拡大するため、これまで小中学校に注力していた学校団体鑑賞事業を高校にも広げるとともに、鑑賞をサポートするボランティアの育成にも努めてまいりたいと存じます。
また、令和6年の開館40周年や翌年の万博開催に向けて、魅力的な展覧会企画により一層取り組んでいきたいと考えております。
2点目、機能向上への取組についてです。
展示面積の制約や収蔵庫の狭隘化など積み残しになっている課題に加えまして、文化観光拠点施設としての新たな期待やDXの推進などの社会情勢の変化を踏まえて状況整理を行う必要があると認識しています。そのため、まずは来年度に、課題の洗い出しとソフト、ハード両面を含めた美術館のさらなる魅力化に向けて、有識者等の御意見をいただき検討を行う会議を設けたいと存じます。この会議の議論を踏まえまして、美術館の機能向上の方向性を取りまとめるものとし、その具体的な対応方法、内容、時期につきましては、今後検討の上、可能なことから進めてまいりたいと存じます。
3点目、文化観光拠点施設としての取組でございますが、令和3年11月に採択されました文化観光拠点計画に基づきまして取り組んでおります。主に企画展関連の周遊ツアー、アール・ブリュットと信楽焼展示コーナーの開設等の文化ツーリズムの推進につなげる取組や、多言語情報提供、オンライン美術館の開設等のインバウンド対応を視野に入れた美術館の機能向上に取り組んでまいりました。来年度──令和5年度には、新たにスマホを活用した作品情報提供として、2次元コードを読み取ることで展示作品の詳細な音声ガイドを提供することも予定しておりまして、文化観光拠点施設としての機能を高めて文化ツーリズムを一層進めてまいりたいと存じます。
続いて、大きな6項目めでございますが、国スポ・障スポ大会についてであります。こちらは3点いただきました。
まず、1点目の経済波及効果ですが、栃木県と同様に、県における再試算後の国スポ・障スポ関係経費に市町の施設整備費等を含めますと、大会関係経費931億円に対しまして、経済波及効果は1,184億円を見込んでいるところであります。
2点目、両大会に向けた機運醸成の取組についてです。
大会まで本日で955日前となっております。これまでのマスコットキャラクターやイメージソングを活用した広報、啓発活動に加えまして、大会を支えるボランティアの募集や、選手を迎えるための花いっぱい運動の実施など、多くの県民に大会に関わっていただく全県的な取組を強化していきたいと考えております。
また、大会開催をより身近に感じていただくため、それぞれお住まいの市町でどのような競技が行われ、どのような選手が出場するのかを広報するなど、大会の魅力を市町と連携して発信することにより、一層の機運醸成を図ってまいりたいと存じます。
3点目、国スポ・障スポも子供たちに観戦してもらうことについてでございますが、選手の躍動する姿を間近で体感できるまたとない機会でありますことから、競技会を開催する市町と連携いたしまして、滋賀の子供たちの心に刻まれる大会としたいと考えております。そのために、滋賀の子供たちにはぜひ競技会を観戦していただくとともに、ボランティアなどで競技会の運営にも携わっていただくことで、大会を成功させる喜びを共に分かち合いたいと考えており、そのための準備を進めてまいりたいと存じます。
続いて、大きな7項目めは琵琶湖の環境と題して賜りました。
1点目の30by30についてでございます。
本件は、琵琶湖やそれを取り巻く森、川、海など豊かな自然を有し、1万種を超える生物が生息するなど、生物多様性の宝庫と言えます。一方で、開発行為による生息地の減少や侵略的外来生物の増加、ニホンジカの食害による植生の衰退など、様々な課題もあると認識しております。
将来にわたって自然の恵みを享受できるよう、今後、生物多様性しが戦略を改定いたしまして、30by30を超える野心的な目標を掲げていきたいと考えております。また、一人一人の行動変容を促すとともに、県民や企業、団体など様々な主体と協力いたしまして、保全地域の拡大や外来種対策など、生物多様性の保全により一層取り組んでまいる所存であります。
2点目の県産木材の流通強化についてです。
森林資源の循環利用と県産材の流通を促進することは、森林の適正管理を進める上で重要であります。県の役割は、林業および木材産業の振興と森林の多面的機能の発揮のため、川上、川中、川下のそれぞれの段階における人材育成と体制整備を支援することだと考えております。現在、県議会において検討いただいております県産材利用促進条例に基づきまして、今後、琵琶湖森林づくり基本計画の見直しを行うとともに、来年度、びわ湖材流通推進課を設置いたしまして、県の組織体制を一定強化することにより、主伐、再造林による木材供給量の増大や、流通強化、県産材の利用拡大など、総合的に施策を展開してまいりたいと存じます。
3点目、農業、水産業への影響でございますが、これは高時川の濁水について、農業においては、現在の状況が続いた場合でも、農作物の生産には影響ないものと想定しております。
一方、水産業におきましては、強い濁りが継続いたしますと、上、中流域でのマスやアユ釣りの休業でありますとか、下流域のやな漁でのアユの漁獲量の減少などの影響が懸念されるところです。さらに、秋まで濁りが継続した場合には、アユの産卵数の減少も心配されるとのことでございます。
4点目、その高時川の濁水への対応についてでございます。
昨年10月に庁内関係部局による連絡調整会議を設置いたしまして、透視度、濁土の定点観測や森林荒廃状況調査等を進めてきたところでございますが、現時点では原因の特定には至っておりませんことから、濁りの原因物資などの項目を加え、今年の10月末まで継続して調査をしてまいりたいと存じます。
さらに来年度、新たに学識経験者等による検討会議を設置し、この調査結果を検証していただくとともに、地元関係者等の御意見も伺いながら、12月末を目途に濁りの軽減につながる必要な対策を検討してまいりたいと存じます。
また、今回の土砂流出の原因の一つと考えられますスキー場跡地につきましても、12月末を目途に緑化工事等完了されるよう、引き続き事業者を指導してまいりたいと存じます。
続いて、大きな8項目めでございますが、健康しがということで、こちらは5点御質問いただきました。
まず1点目、民生委員についてでございます。
まず、各地で大変な御苦労の上、御活躍いただいております。心から敬意を表したいと思います。
県内の民生委員の充足状況は、2月1日時点におきまして、定数3,408名に対し、委嘱数3,263名ということで、充足率は95.7%ということでございます。
これまでから、民生委員や市町の御意見を踏まえ、年齢要件の緩和や県広報媒体、県職員の退職予定者説明会等を通じて、やりがいや活動内容等について周知し、担い手の確保に努めてきたところでございます。民生委員活動への期待は高まっておりますが、その役割は地域のつなぎ役ということについて、改めて関係者の御理解を図ることで、業務の軽減や成り手不足の解消に努め、県民が安心して暮らせる地域社会を築いていきたいと存じます。
2点目、介護施設整備についてです。
今年度、市町に整備補助を予定していた9件のうち3件が、施設を運営する事業者の手が挙がらなかったことによる不執行でありまして、その要因は、市町からは、採算性、整備費の高騰、介護人材の不足などが考えられると伺っているところです。
今後の対応といたしまして、採算性や施設整備費につきましては、既に国に対して介護報酬の改定や施設整備費補助の増額を要望しているところであり、引き続き様々な機会を通じて働きかけを行ってまいります。
また、介護人材不足につきましては、さらなる処遇改善に向けて国に働きかけますほか、介護の仕事の魅力発信などによる多様な人材の確保、ICTを活用した介護現場の負担軽減、業務改善の支援に重点的に取り組んでまいりたいと存じます。
3点目、若い世代への予防的な取組についてです。
健康寿命を延ばすためには、生活習慣の改善や健診の受診など、生涯を通じて健康づくりや生活習慣病の発症予防に努めるとともに、病気になった後も適切な治療の継続による重症化予防が重要であります。とりわけ、若い頃から健康づくりへの関心を高めることが重要でありますため、来年度は、若い世代をターゲットに、SNSを活用した食や運動など生活習慣に関するアンケート等の実施や定期的な健診受診を促すなどの啓発事業に取り組んでいきたいと考えております。
今後のさらなる取組につきましては、来年度に予定しております次期健康増進計画策定の中で、関係者からも御意見をいただきながら検討し、県民一人一人が生き生きと活躍できる健やかな滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。
4点目、医療や福祉現場への支援についてです。
これまで医療機関でクラスターが発生した場合には、専門職によるクラスター対策チームが、高齢者福祉施設等で陽性者が確認された場合は、施設内療養等支援チームが現地に赴き、感染拡大防止やサービスの継続に係る助言等を行ってきたところでございます。また、これらの施設の職員に対しまして、感染対策に係る研修を実施してまいりました。
今後は、こうした取組に加えまして、県で養成いたしました感染対策の専門家による助言や研修をさらに充実させるとともに、福祉施設におきましては、かかりつけ医の支援や訪問看護の活用により、療養体制を強化したサービスが実施できるよう国へ働きかけるなど、現場への支援に努めてまいりたいと存じます。
5点目、この間構築したシステムの今後についてです。
国において、医療提供体制については段階的な移行を目指すこととされ、3月上旬にもその具体的な方針が示される見込みでございまして、本県におきましても、現場の医師等から御意見を伺うなど、今後の体制の在り方について検討を進めているところです。
その中で、
コントロールセンターやコロナ病床、外来受診などの医療提供体制、介助が必要な高齢者の受入体制、発熱患者の相談体制につきましては、当面維持していく必要があるのではないかと考えており、全国知事会等を通じて対象事業の支援継続を要望しているところです。
今後も、構築してきた体制を生かしながら、必要な方に必要な医療や支援を提供し、しっかりと大切な命や健康が守れるよう取り組んでまいりたいと存じます。
続いて、大きな9項目は「子ども、子ども、子ども」ということでございます。
こちらは1点賜りました。経済的支援の拡充についてです。
子供の医療費につきましては、健康医療福祉部内にプロジェクトチームを設けて、現在検討を進めているところです。今後は、国の少子化対策の動向も見極めつつ、県の考え方を早急に整理した上で、制度拡充に向けて市町と調整を進めてまいりたいと存じます。
教育費につきましては、国において一定負担軽減が図られてまいりましたが、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供たちが希望する教育が受けられるよう、さらなる支援が必要だと認識しております。こうした経済的支援につきましては、地域によって差が生じるべきではなく、全国一律の制度として拡充されるよう、全国知事会等を通じ、引き続き強く訴えてまいりたいと存じます。
大きな10項目めは商工観光労働行政ということで、こちらは数点御質問いただきました。
まず1点目、「ここ滋賀」についてです。
昨年4月のリニューアルオープン後、新たな運営事業者と共に、県内事業者と連携いたしまして店頭での催事販売を積極的に進めておりますほか、日本旅行による店舗での旅行販売を開始いたしまして、滋賀への誘客機能を強化してきたところです。
今年度実施いたしました来館者アンケートにおいて、8割を超える方が「『ここ滋賀』で滋賀の魅力を感じることができた」、9割を超える方が「滋賀に旅行に行ってみたい」と回答されているというでございます。
今後は、コロナ禍からの回復を見据えまして、インバウンド向けの情報発信を強化いたしますとともに、運営事業者が有するノウハウやネットワークも生かし、首都圏での商談会によるマッチングや拠点外販売を実施し、さらに販路開拓を進めるなど、「ここ滋賀」の拠点機能を最大化していきたいと考えております。
2点目、「しが割」第2弾の御利用状況についてです。
第1弾と合わせて新たに割引利用額が1億円を超過した事業者は1者でございました。
割引券の利用状況について、業種別の利用回数の割合は、小売業が全体の68.3%、飲食業が21.6%、サービス業が10.1%、店舗ごとの利用回数は、上位100店舗の合計が全体の43.8%ということでございます。
また、参加店舗の約95%に相当する5,749店舗において1回以上の御利用がございまして、従業員が5人以下の小規模な店舗において全体の22.6%の御利用があったとのことでございます。
3点目、この事業効果の検証についてです。
第2弾では、延べ70万人の方に御利用いただき、年代別では、60歳以上の利用登録者が全体の2割を超えるなど、高齢者を含め、幅広い年代の方に御参加いただいたのではないかと見ています。経済効果といたしましては、割引原資15億1,900万円の約4.4倍に相当する総額68億円の消費につながったところでございます。
参加店舗からは、「新規の顧客が増えた」「客単価がアップした」などのお声をいただき、消費喚起の起爆剤として、事業者の売上げ向上などに一定の効果があったのではないかと認識しています。本事業が購入単価の向上にどの程度寄与したのかなど、詳細な分析につきましては、現在実施しておりますアンケートの結果を踏まえて、今後検証してまいりたいと存じます。
4点目の「全国版 今こそ滋賀を旅しよう!」についてでございます。
昨年度実施いたしました第1弾では、延べ約55万7,000人の御利用がありました一方、第2弾では、1月末現在で延べ5万4,000人の御利用にとどまっております。
このため、周遊クーポンの上乗せについて、宿泊施設への直接申込みに加えまして、今月1日からは県内の旅行窓口での申込みもその対象としたところでございます。観光関連事業者からは、「周遊クーポンのおかげで利用客が戻ってきている」などのお声もいただいており、観光需要喚起策としては一定の効果があるのではないかと認識しているところです。
5点目、令和5年度以降の観光振興についてでございますが、まずは、コロナ禍で落ち込んだ観光需要を着実にコロナ禍前の水準に回復させることが肝要であり、来年度は、当面の間、「今こそ滋賀を旅しよう!」の実施により、観光関連事業者を下支えしていきたいと考えております。
また、議員御紹介の大阪・関西万博や国スポ・障スポ大会の開催などの機会も捉えて、効果的なプロモーションを実施していくことも大変重要であると認識しております。特に、大阪・関西万博におきましては、2府8県4政令都市で一体的に進める誘客事業を予定しておりまして、シガリズムの取組も生かしながら、インバウンドも意識した観光コンテンツの創出などに取り組んでまいりたいと存じます。
6点目、フェムテックについてです。
今年度は、男女共同参画センターが11月に開催した女性起業家交流会で、フェムテック分野の研究者から御講演をいただき、3月にも同じこの同センターでのフェスで、県内企業と連携してブースを出展するなど、機運醸成に努めているところです。来年度は、先進事例の紹介や、ニーズ調査による課題の把握、分析、効果的な施策の検討を行ってまいります。
県内には、龍谷大学の尿失禁改善サポート下着など、研究シーズが多数存在し、この分野は本県の強みになると期待されますことから、フェムテックにおける新製品やサービスの開発、事業化を支援し、女性の活躍にも寄与してまいりたいと存じます。
続いて、大きな11項目めに農業政策について御質問をいただきました。
まず、1点目は食料安全保障についてです。
現在直面いたします生産資材価格の高騰を踏まえた構造転換を図るものとして、堆肥の広域流通や自給飼料の安定確保、省エネ、再エネの拡大など、一層進むものと認識しております。
また、消費者の理解の醸成により、生産コストが適正に反映される価格形成の仕組みがつくられることで、本県が進める環境こだわり農業の魅力や付加価値の向上につながるものと期待しています。
これらを通じまして、グリーン化、スマート化による環境こだわり農業の進化、担い手の確保、育成、人の裾野の拡大に注力いたしまして、地域全体で守り育てるシン・ジダイのもうかる農業を実現していきたいと考えております。
2点目のモデル的な取組についてです。
今後、オーガニック農業を本格的に推進するためには、地域ぐるみで産地づくりに取り組むことが重要だと考えます。このため、オーガニックビレッジを宣言する市町の取組を県としてもモデルとして支援し、連携しながら県内各地へ波及させていきたいと考えます。
また、オーガニック農産物等の生産力と販売力を高めるため、水稲新品種の導入や除草ロボットなどによるスマート化などの生産対策から、多様なチャネルでの流通、販売の支援などの対策を総合的に進めることにより、農家の意欲と所得の向上につなげてまいります。
3点目の新品種の作付拡大についてです。
これまで、オーガニック農業等におきましては、不安定な収量や品質が課題となっておりましたが、この品種は、稲穂が出る8月中旬以降の暑さに強く、有機質肥料だけでも安定した収量と品質が見込め、大粒でおいしいという優れた特性があるそうです。こうしたオーガニック栽培等に取り組みやすいなどの特性や付加価値が高いブランド米であることを、実証圃場での現地研修会や生産者大会等を通しまして、広く農家にアピールすることにより、新品種への期待を一層高め、作付拡大を進めてまいりたいと存じます。
4点目、PRと流通促進の取組です。
新品種の名称については明日公表させていただく予定です。オーガニック栽培などの専門品種であることや、大粒でおいしい滋賀ならではの環境にこだわった米であることをPRいたしまして、付加価値の高いブランド米としての流通販売戦略を構築したいと考えます。まずは県民に親しまれるよう、学校給食や店内店舗へ提供するとともに、オーガニック専門店やネット販売など多様なチャンネルでの販売を進めていきたいと存じます。こういった取組を通しまして、オーガニックといえば滋賀という産地ブランドの価値を高め、販路拡大につなげてまいりたいと存じます。
続きまして、大きな12項目で社会インフラについて御質問をいただきました。
まず1点目、道路整備についてです。
このアクションプログラムで、事業内容により拠点間ネットワーク整備と拠点内道路空間整備の2つの観点からお答えをいたします。
拠点間ネットワーク整備では、バイパス整備などにより渋滞が解消し、平時、災害時を問わない人流や物流の円滑化が図られ、産業の発展、CO2排出量の削減などが期待できます。
拠点内道路空間整備では、歩行者、自転車の通行スペースの拡充、バリアフリー化など、安全・安心な人中心の道路空間整備により、交通事故の減少、にぎわいと交流の場の創出などが期待できます。
2点目、成果指標、目標管理の観点でございますが、アクションプログラムでは、成果指標として、5年間の整備目標延長を定めるとともに、主要拠点間の移動に係る所要時間縮減や歩行空間に関する県民満足度の向上、および車両からのCO2排出量の削減の3項目をアウトカム指標として設定しております。
今後は、アクションプログラムに位置づけた個別箇所の計画的な整備推進に努め、アウトカム指標等を活用して、事業の完成、供用による効果を随時確認しながら、着実な事業の進捗を図ってまいりたいと存じます。
3点目、滋賀地域交通ビジョン実現のための費用、その試算の目的についてでございますが、ビジョン策定に当たり、どれぐらいの地域交通のサービス水準を目指すのか、そのためにどれぐらいの費用が必要となるかをお示しすることが不可欠であると考えたものです。
議論の進め方につきましては、今後、若い世代も含みます幅広い年代の県民や、事業者の皆様の御意向を丁寧に酌み取りながら、地域交通の将来像とその実現に向けた負担の在り方について、いわゆる交通税の導入も含め、参加型税制の考え方に立ち、公論熟議を積み重ねてまいりたいと存じます。
4点目、CO2ネットゼロの視点についてです。
運輸部門における温室効果ガスは、自家用車由来が多くを占める中、ビジョンで描く目指す地域交通の姿では、自家用車を使わないという選択ができることが重要な要素の一つであると考えております。目指す姿の実現により、一人一人の移動手段を、自家用車から、自転車や複数の人が乗り合う鉄道、EVバス、グリーンスローモビリティー等へ転換することで、温室効果ガス排出の削減にもつながることを示してまいりたいと存じます。
5点目、社会インフラの維持管理、保全の取組についてでございます。
高度経済成長期に集中的に整備してまいりましたインフラ施設の老朽化が進む中、維持管理に係る費用を縮減し平準化することは重要な課題であると認識しております。そのため、本県では、橋梁、トンネル、水門、堰など、施設ごとの定期点検を実施し、損傷の度合い等を考慮して長寿命化計画を定め、さらにライフサイクルコストの縮減を図る予防保全の考え方により、計画的な修繕、更新に取り組んでいるところでございます。
今後とも、予防保全への移行を加速化させるため、国土強靱化等の予算を活用し、社会インフラの着実な維持管理と保全に努めてまいります。
続いて、大きな13項目めでございますが、空き家問題についてでございます。こちらは2点お答えをいたします。
1点目、法改正による空き家対策、県の対応についてでございますが、さらなる空き家の増加が見込まれる中、本県においても管理不全空き家等は令和4年12月末時点で2,891件存在しておりますことから、法改正により解体等や利活用の一層の円滑化に期待しているところです。
県の対応状況といたしましては、特に所有者による自主解体が円滑に進むよう、空き家の解体に対する市町への補助について、次年度予算を増額して提案させていただいているところでございます。
2点目、市町との連携、これは大変重要だと思います。
先月27日に、市町や関係団体との空き家対策の会議において、国の社会資本整備審議会での検討内容を共有したところであり、今後、国から法改正に関する情報提供があり次第、市町へ随時共有してまいります。
まずは、来月11日に多賀町との共催で空き家解体等に関するセミナーを予定しておりまして、空き家等の増加抑制や管理不全空き家等の発生予防を図るため、市町と連携して取組を進めてまいります。
続きまして、教育行政につきまして、こちらは2点いただきました。
まず1点目、多様な学びの場をどのように確保するのかということでございますが、学校に行きづらい子供が増加する中、多様な教育機会を確保することは重要です。
現在、県におきましては、市町教育委員会と不登校対策の具体的取組の協議、私立学校に対する情報提供、滋賀県フリースクール等連絡協議会との連携等に努めております。
子供の多様な学びの場の確保に向けて、教育支援センターの充実や不登校特例校の研究、フリースクールなどの民間団体との連携などについて、教育委員会と共に議論し、検討してまいります。
次に、2点目、国による対策を受けての対応ということについてでございます。
文部科学省による不登校対策の取りまとめに当たりましては、予防的な取組も含め、全国の学校における不登校対策の取組状況や好事例を集約し、実効性のある対策について検討しているものと聞いております。
私といたしましては、特に、全ての子供たちが安心して学校に来られるように、予防的な不登校対策を推進することも重要であると考えております。不登校の問題は社会全体で取り組むべき課題の一つであり、これまで以上に福祉と教育の連携を進め、子供たちの学びが保障できるよう、全庁挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)教育行政について、私にいただきました10点の質問についてお答えをいたします。
1点目の県立高校における1人1台端末の成果と課題についてでございますが、高校1年生を対象にしたアンケートでは、1人1台端末を、ほぼ毎日、または週3回以上授業で使用していると回答した生徒の割合は84.6%、また、「勉強の役に立つと思う」「どちらかといえば役に立つと思う」と回答した生徒は90.8%と、ICTの活用が一定進み、多くの生徒の皆さんが有効と感じておられるところでございます。
一方、いまだICTを活用した授業に自信を持てないと感じている教員がいることや、学校間でICTの活用に差があることなどが課題であると認識をいたしております。
2点目の県立学校のWi−Fi環境の整備についてでございますが、県立学校では、全てのホームルーム教室と選択教室や特別教室のうち6教室に教育用ネットワークの無線アクセスポイントを設置しております。また、専門学科や総合学科の高校に対して、選択科目や専門科目の授業用モバイルルーターを追加で配布する予定をしております。
文部科学省では、教育DXをさらに推進するため、校務ネットワークと教育ネットワークの一体化を進めるという方針が示され、実証事業も開始される予定でございます。今後、公務と教育、両ネットワークの一体化によりまして、特別教室や図書館などのネットワーク環境の改善が可能となりますことから、国の動向も注視しながら研究を進めてまいる所存でございます。
3点目の県立学校の普通教室のトイレ整備の完了時期についてでございますが、県立学校のトイレ整備は、私としましても喫緊の課題と認識をしており、さきの11月定例会議におきましても、国の補正予算を活用し、高等学校1校、特別支援学校4校の合計5校の工事の予算を前倒しでお認めをいただいたところでございます。
現時点でいつまでに整備を完了するという具体的な時期の見込みまでは申し上げられませんが、多くの生徒の皆さんが待っていることから、できるだけ早く整備を完了したいと考えております。
4点目の普通教室以外のトイレ整備を早期に実施するためにも、普通教室のトイレ整備を加速化することについてでございますが、生徒の皆さんの安全・安心で快適な学校生活のため、また、災害時には避難所として指定される学校もありますことから、普通教室棟にあるトイレだけでなく、必要なトイレを改修することが望ましいものと認識をいたしております。
このため、今後も関係部局としっかり協議を重ねながら、できるだけ速やかに普通教室棟のトイレ改修を進め、一定終了が見込まれる段階で、その後の教室について検討を進めてまいりたいと考えておきます。
5点目の学びのステップアップ調査CBT化事業の状況についてでございますが、県教育委員会では、子供たち一人一人の学びの伸びを経年で見るため、令和3年度からモデル校で年1回、紙媒体による調査を実施しており、令和4年度からは、新たに1人1台端末を活用したコンピューター上での調査を、県内の6中学校とその校区の16小学校において実施をしているところでございます。
今年度は初年度でございまして、調査は1回でございましたが、調査をCBT化することによりまして、子供自身が結果をすぐに確認し、次の学びにつなげることができております。あわせまして、教員も子供の学びの状況を速やかに把握し、授業改善につなげるよう取り組んでいただいているところでございます。
6点目の1人1台の学びの最適化を今後どのように広げていくかについてでございますが、本事業は、次年度は2回の調査を予定をしておりまして、調査の結果から子供の学びの伸びを把握し、各学校において一人一人の学びの最適化に向けた取組を進めていただくこととしております。
本事業によって得られた成果、効果のあった具体的な指導の手だて等をまとめ、県内全ての小中学校において、それぞれの状況に合った取組ができますよう広げてまいります。
また、CBT化による調査の有効性につきまして、広く周知いたしますとともに、今後、県教育委員会として、CBT化のさらなる展開と促進について、しっかりと考えてまいる所存でございます。
7点目の高等学校の魅力化プランの目指すところでございますが、魅力化プランでは、全ての県立高等学校の魅力化の方向性を示し、それぞれの学校が特色ある学びや魅力と活力ある高校づくりに取り組むこととしております。そして、その特色ある学びや魅力をしっかりと中学生の皆さんに伝えることで、子供たちがここで学びたい、さらにはこの学校で学んでよかったと思えることが大切であると認識をいたしております。多様な生徒一人一人が、滋賀という地域から学び、社会の一員として活躍し、社会の変化に柔軟に対応できる生きる力が身につくよう、県立学校の魅力化に取り組んでまいる所存でございます。
8点目の予算と人材についてでございますが、令和5年度は、普通科の特色化やグローバルリーダーの育成、地域、大学、企業と連携した産業人材の育成、起業家精神の醸成、探求的な学びの成果など、新しい時代に対応した県立高等学校の魅力化に向けた取組を推進するための予算をお願いしているところでございます。
また、こうした取組を進めるに当たっては、地域や様々な分野で御活躍いただいている方々に関わっていただけますよう、県教育委員会としても学校としっかり連携をしてまいりたいと考えております。
今後も、各県立高等学校の魅力化を進めるために必要な予算と人材について、教育長としてその確保に努めてまいります。
9点目の令和5年度からの魅力化の取組についてでございますが、新しい学習指導要領では、探究活動を通して課題を発見し解決していくための資質や能力の育成を目指しておりまして、新たな取組はこの流れを踏まえたものでございます。
次年度の新規事業では、生徒が自ら課題を設定し、目標を立て、考察し、多くの人と関わりながら課題解決に取り組み、主体的、対話的に深く学ぶことを予定をいたしております。これらの取組を通して、多くの高校生が社会問題の解決等、新しい価値を生み出す姿勢や発想、能力を身につけてほしいと願っているところでございます。
最後、10点目の企業や事業者との連携についてでございますが、これまでから県立高校、特に農業、商業、工業の分野におきましては、様々な企業や事業者の皆様の御協力を得ながら、インターンシップの取組や講演会等を進めてきたところでございます。
今後、高校での学びを進めるに当たりましては、教育委員会だけではなく、他部局との連携はもちろんのこと、各地域の関係機関と一層連携を深めることが重要であると考えております。
これらの取組によりまして、多くの高等学校の生徒が課題を発見し、解決に向けた研究等、深い学びが実現するよう、県立高校の魅力化の実現に一層尽力してまいる所存でございます。
◎知事(三日月大造) (登壇)最後に、私から、防犯と交通安全について賜りました1点、御質問にお答えいたします。
犯罪抑止活動の内容と目標等についてです。
昨年──令和4年の刑法犯認知件数、9年ぶりに増加いたしました。その増加率は全国ワースト1位となっております。目標も未達成でございました。このため、令和5年は、昨年の目標に再チャレンジすることといたしまして、特に特殊詐欺や住宅侵入窃盗に対しましては、「みんなで防ごう!」を加え、官民一体で取り組むことを強く促すこととしております。
目標の達成に向けましては、背景や要因を分析した結果に基づき、県民の行動変容を促していくことが重要でありますことから、気にかける、声をかける、呼びかける、鍵をかけるの4つのかける運動等の取組を一層強化いたしまして、県民総ぐるみで運動を展開することにより、犯罪のない安全・安心な滋賀を目指してまいりたいと存じます。
◎警察本部長(鶴代隆造) (登壇)私にいただきました6点の御質問のうち、1点目の警察が設置支援している防犯カメラの現状についてお答えします。
県警察では、平成24年度以降、自治会等による防犯カメラの設置経費を補助する事業や、県内企業からの寄附や県警予算で調達した防犯カメラを自治会等に無償で貸し付ける事業を行い、これらにより、現在、県内に652台の防犯カメラが設置されております。
2点目の警察が設置支援しているもの以外の防犯カメラの設置状況についてお答えします。
県内の防犯カメラの設置状況を全て承知しているものではございませんが、県警察が把握している限りにおきまして、街頭や駐輪場、公共施設、金融機関、コンビニエンスストア、その他の事業所等に、本年1月末現在で県内に少なくとも約4万台以上の防犯カメラが設置されていると承知しております。
3点目の今後の防犯カメラの設置やその活用についてお答えします。
県警察では、防犯カメラの設置には、地域の防犯力を高め、住民の安全・安心にもつながる効果があるものと認識しており、県などと連携して県民や事業者等に向けて必要な情報提供や助言を行うなど、その設置を支援してまいります。
また、これまでも設置者の御協力を得て防犯カメラ映像を被疑者の早期検挙や行方不明者の発見保護等の警察活動に活用しているところ、その活用を含めた捜査力のさらなる強化を目指し、来月、警察本部刑事部に捜査支援分析課を新設するなど、警察活動への一層有効な活用を図ってまいります。
4点目のVR横断歩行シミュレーターの活用状況についてお答えします。
VR横断歩行シミュレーターとは、専用のゴーグルを着装して、仮想空間において車が行き交う道路を様々な気象や時間帯の条件の下で横断するリアルな体験訓練ができるものです。昨年3月から、警察本部および県内12警察署において、主に高齢者を対象とした交通安全教室などの場において活用しております。
5点目の滋賀大学データサイエンス学部との連携による成果についてお答えします。
VR横断歩行シミュレーターは、その活用を通じて、体験者の視線や体の動きなど様々な数値データを得ることができ、県警察では、これらを滋賀大学データサイエンス学部と連携して分析することで、その精度を高め、施策を生かす取組を進めております。
これまでのところ、高齢者は横断開始時や途中の左右の安全確認が不十分であることがデータ分析からも判明してきており、さらにデータの蓄積、分析を進め、高齢者特有の危険をエビデンスで示すことなどにより、交通安全教育の高度化にもつなげていきたいと考えております。
6点目の交通事故や犯罪のデータ活用に向けた大学などとの連携の可能性についてお答えします。
県警察では、先ほどの横断歩行シミュレーターのほかにも運転技能自動評価システムを導入しており、そこから得られたデータも大学と共同研究して高齢運転者の運転特性を明らかにする成果を上げております。また、犯罪防止に向けた情報発信や分析にも外部有識者の知見等を活用しているところであります。
議員御指摘のとおり、犯罪防止や交通安全の施策の精度を向上させるには、教育研究機関等と連携したデータ分析等から得られる知見を対策の高度化に生かしていくことも重要であると考えており、そうした官民連携を今後も一層強化してまいります。
○議長(岩佐弘明) 以上で、会派代表による質疑ならびに一般質問を終わります。
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△休会の議決
○議長(岩佐弘明) お諮りいたします。
明17日から20日までは、議案調査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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○議長(岩佐弘明) 来る21日は、定刻より本会議を開き、上程議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時41分 散会
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