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令和 4年 2月定例会議(第25号〜第34号)−02月25日-06号

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  1. 滋賀県議会 2022-02-25
    令和 4年 2月定例会議(第25号〜第34号)−02月25日-06号


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    令和 4年 2月定例会議(第25号〜第34号)−02月25日-06号令和 4年 2月定例会議(第25号〜第34号)                 令和4年2月定例会議会議録(第30号)                                        令和4年2月25日(金曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         令和4年2月25日(金)                                         午 前 10 時 開 議  第1 一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸    7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               副知事             江  島  宏  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           東        勝               総務部長            森  中  高  史               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        市  川  忠  稔               商工観光労働部長        水  上  敏  彦               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          野  崎  信  宏               病院事業庁長          宮  川  正  和           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         内  田  吉  行   午前10時 開議 ○議長(富田博明) これより本日の会議を開きます。  直ちに日程に入ります。    ──────────────── △一般質問 ○議長(富田博明) 日程第1、一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  なお、会議規則第53条において、「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、またはその範囲を越えてはならない」とされておりますので、遵守されるよう、お願いいたします。  まず、27番目片信悟議員の発言を許します。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。一般質問4日目、どうぞよろしくお願いをいたします。  ウクライナ、ロシアをはじめとする、今、世界情勢が大変緊迫をいたしております。戦争というのは大変愚かな行為であります。岸田総理におかれましては、しっかりとその指導力を発揮していただいて、この情勢を何とか打破するために、日本政府としてしっかりとその役割を果たしていただくことを強く望むものであります。  それでは、発言通告に従いまして、県民のために、もうける県政を目指すことについて、全て知事に伺ってまいります。よろしくお願いをいたします。  さて、いよいよ三日月県政も2期目最後の当初予算案が上程をされ、まさしく審査の真っただ中にあるわけですが、この4年、いや、この2年余りで社会が大きく変貌をいたしました。その最たるは、新型コロナウイルス感染症の出現により、医療、経済、教育等々、人々の生活が一変し、今なおオミクロン株によって第6波のさなか、一向に落ち着く様子がありません。知事はじめ、市町の首長さんを先頭に、行政職員の皆さん、保健所や医療従事者、保育士、教員、そして消防職員など、あらゆるいわゆるエッセンシャルワーカーと言われる多くの皆さんに支えられておりますことに改めて感謝と敬意を表したいと思います。  また、一方で、こうした感染症に対し、迅速に、また確実に対処することはもちろんでありますが、それ以外にも、日々の暮らしや人々が安全に生活する上で必要なインフラ整備、また、将来に向けて取り組まなければならない課題も山積しているということも忘れてはなりません。感染症対策においても、安心・安全な社会生活の構築にも、何が必要か、私が申し上げるまでもなく、その財源をしっかりと確保する、生み出していくということであります。優先順位をつけることも大切ですが、施策実行のためにどのくらいの財源が必要で、どうやって稼ぐか、そういった発想がなければ多様な県民ニーズが切り捨てられることになります。  もちろん、国に対し、必要なお金が交付されるよう、我々議会も行政の皆さんと一緒になって汗をかき、その確保に努めるのは当然でありますが、県庁自身がしっかり稼ぐことについても一緒に汗をかいて知恵を出し合い、確実にもうけられるよう取り組まなければならないと思います。  そして、県庁がもうかっているということは、言い換えますと、本県の経済、すなわち圏域の会社やお店がうまく回っているという証拠でもあります。こうした好循環をどのようにして実現に向けて取り組んでいくのか。そこで私がぜひ申し上げたいのは、柔軟な発想で決断、そして大胆に実行することであります。進む道に壁があれば、どのようにしたら乗り越えられるのか、打ち破れるのか、そこに知恵を出し、汗をかかないといけないのに、壁があるから進めないという思考に陥っていないか、ここを自覚しないと、もうけることは不可能と言っても過言ではありません。  あらゆる知識、知恵を総動員して事に当たれば、不可能と思っていたことも実は不可能ではないということはよくあることであります。私は、改めて知事に今後の県政経営について議論をさせていただき、共々に県民にとって最良の県政を目指したいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  また、限られた時間でもありますので、これまでの取組全てにおいて検証し、今後の展開についてただすことはできません。私なりの視点でお尋ねいたしますので、よろしくお願いをいたします。  まず1点目は、観光における地域振興とブランド戦略について伺います。  これまでから、地域振興やブランド戦略というと必ず出てくるワードが魅力度ランキングです。これは我が会派の奥村代表からも質問がありましたが、一口に魅力度といっても、人それぞれに感性が異なるわけですから、何をもって魅力度かと言えるかも分かりません。ただ、それが経済波及効果に関わってくるとすれば話は別です。多くの人が訪れ飲食をする、多くの人が物を買う、多くの人が滞在することでどうなるのか。まさに地域振興が図られるということ間違いなしであります。  では、どうすれば、先ほど申し上げた来てもらって食べて飲んでもらえるのか、お土産や特産品は何を買ってもらうのか、何日も滞在してもらうためにはという疑問が解消されるのでしょうか。  これまでから県は、様々な取組を実行し、本県の地域振興を図ってこられましたが、経済波及として、観光入込数とその消費額について、どの程度の波及効果があったのか、例えば、入込客数に対する消費額の割合が全国的にどうなのかなど、コロナ禍においてどのような状況なのか、その推移について伺います。  また、あわせて、「健康しが」ツーリズムビジョンについて、これまでの検証およびその評価を伺います。  これは、ビジョンに掲げている数値目標についてもしっかりと検証しなければなりませんが、要は、これで地域が潤っているのかということが問われております。そこの見解も求めたいと思います。  これまでに各議員からもただされておりました。私からも改めて、新たに打ち出されましたシガリズムについて、これまでの取組と何か違いがあるのか。また、様々な取組、ネーミングが幾つもあって、どうも統一感がないのですが、これで何を求めるのか、経済に対する波及効果などについて、その点について分かりやすい説明を求めます。  次に、ビワイチについてであります。  先日、我が会派の大野議員からも問われましたが、ビワイチを本県の観光ブランドとしてさらに磨き上げ、全国に発信するため、現在、ビワイチを推進するための条例案を議員提案で予定されています。ビワイチについては様々な評価があることは承知をしておりますが、体験型の観光資源として大いに期待するものです。これも、ただ自転車で琵琶湖を周遊してもらうだけでなく、県域全てにおいてその効果を実感してもらわなければなりません。まずは、このビワイチについて、市町の取組、また、19市町の評価がどうなのか伺います。  先ほども申し上げましたように、ビワイチに関する条例案においても、地域の経済が潤うように、また、県内の観光資源がもっと広く知っていただくために、様々に規定をいたしております。特に、ややもすると、琵琶湖に面した地域とそうでない地域に温度差があるとも思われますが、琵琶湖周辺だけでなく、各市町へしっかりつなぐことで、その魅力の再発見につなげられる取組、また、その地域の活性化を目指すものですが、今後、市町との連携について、県の考え方を伺います。  また、自転車には、ロードだけでなく、オフロードやトラックといった様々な楽しみ方があります。特に知事は、健康しがや、やまの知事を標榜されているわけですから、自転車を通じて、健康づくりやオフロードバイクによる森林散策、またレースなど、滋賀でしか味わえない楽しみ方があると思います。以前に、帰帆島周回コースでのトラック競技県立体育館周辺の保安林を利用してのマウンテンコースなどを造ってはいかがでしょうかと話したことがありますが、自転車に関するあらゆる取組を充実させ、滋賀イコール自転車という戦略はどうでしょうか。あえて答弁は求めませんが、そのためにも自転車メーカーが集結するような取組、企業誘致として有効ではないかと考えます。  次に、本県のブランド戦略について伺います。  先ほどのビワイチも、本県が誇る大切な観光資源で、ビワイチという名前が知れ渡るようになってきました。今はまだ先行するしまなみ海道には少し遅れを取っていると思いますが、ブランドイメージをつけるためにもう一踏ん張りです。  また、ブランドといえば、特に農産物や水産物がぱっと頭に浮かびます。本県でも、近江牛、近江米、近江茶、また琵琶湖のアユなど、全国に、いや、世界に誇る農水産物があります。私も胸を張って、すばらしい本県の名産品としてアピールできるものと思いますが、全国におけるその認知度と評価はどうでしょうか。  ○○牛、○○米、○○茶と全国の人々に問いかけて、この○○に近江、そして、この近江が滋賀県であることを十分に認識していただく必要があります。まさに奥村代表の近江県は、こうした近江という名称に認知度の高さがあることから、その提案だったというふうに思います。  静岡のお茶は、かの渋沢栄一が静岡において旧幕臣たちが生産していたお茶を世界に広めたことから、静岡のお茶が急激な発展を遂げ、地域ブランドになったと仄聞をいたします。その渋沢が残した言葉、「世の中のことは、全て心の持ちよう一つでどうにでもなる」と言われるように、今後、本県の名産品をどのようにより強固なブランド品に育てるのか、知事の描く戦略を問います。  一方で、牛も米もお茶も全国に多くの生産地があり、生産者もしのぎを削って生き残りをかけております。もちろん、こうした品目で他を圧倒することを目指すのは当然でありますが、これ以外に全国にアピールする品目をお考えなのでしょうか。まずは、売れるもの、消費者が買いたいもの、これを確立することで生産者の収入は上がると思いますし、それをお手伝いするのが行政の役目だと思います。本県でも、農畜水産物輸出戦略を立て、また、輸出に関して様々なサポート、支援をしていましたが、国内であれ、海外であれ、先ほど申し上げたように、売れるもの、買いたいものでなければ当然消費者は買ってくれません。まずは輸出において、農畜水産物輸出戦略による成果はどうだったのか、戦略が立てられてから今日までの実績の推移、併せて重要品目もさることながら、チャレンジ品目について、これまでの状況と今後の展開について問います。  ちなみに、香川県では盆栽の輸出に力が入っているそうです。厳しい検疫対応や養生処理等で、そう簡単でないにせよ、1万鉢以上の取引が行われているそうです。本県におきましてもチャレンジ品目ブラッシュアップが大切になってくるのではないでしょうか。  それと、確認ですが、同戦略は推進年次が平成28年から平成32年──令和2年までとなっていますが、改定はされないのでしょうか。加えて、昨年4月より滋賀県農畜水産物の輸出サポートガイドが作成されましたが、改めて戦略がこれに変わったのか、伺います。  また、国内販売も含め、本県農業がしっかりもうかっているのか、見解を問います。  次に気になるのが担い手の問題です。  最近、耕作放棄地が目につくようになりましたが、実際のところ、どのような状況でしょうか。これから20年先、当然、高齢化や後継者の問題、また機械化がさらに進むでしょうし、大規模化されると予想されますが、本県のもうかる農業に対する担い手育成と、その体制づくりについて見解を問います。  2点目に、県有資産の扱いについて伺います。  滋賀県基本構想に基づき、2019年に本県では滋賀県行政経営方針2019──以下、経営方針と言いますが──策定がされました。これは、本県が持つ経営資源を最大限活用すること、その上でもうける県政を目指すことが財政上大変重要であると思います。経営理念は「対話と共感、協働で築く県民主役の県政の実現のために」とされていますが、その目指す県政を実現するために必要なもの、私なりに思うのは、それを担う人材、そして、それを行うための財源、そして、それを動かす体制だと思います。  今回、経営方針で示された中の取組方針で、私が着目したのが視座2の中のモノについてです。これは白井議員からも御指摘がありました。公共施設等の施設総量の適正化や長寿命化対策、予防保全等による財政負担の低減、平準化し、適切な維持管理と協働や民間活力を積極的に利用活用するとされ、歳入確保に取り組むとされております。  まず、管理の中で、指定管理者制度の導入拡大等とありますが、保有資産を有効に活用するためにも、記載されているPark−PFIやコンセッション方式を早急に導入すべきと思いますが、現状はいかがでしょうか。  また、各施設の指定管理についても、例えば、施設によっては非常に傷んだ駐車場なども数多くあると思います。料金徴収についても、導入費用が安価にできるシステムもあると聞きます。駐車場の有料化によって利用者にとっても快適な駐車場に再整備することもできます。  関係条例等を改正し、そうした取組が速やかに行えることが、経営方針にうたわれているスピード感を持った県民サービスの向上や歳入確保につながると思います。指定管理者制度において、民間からの提案を積極的に受け入れる仕組みを考えるべきと思いますが、見解を伺います。  次に、未利用地など県有地の取扱いについてであります。  経営方針では、条件整備を整え、売却につなげることが重要とされ、また、売却が困難な物件については貸付けを含む有効活用策を検討するとされています。私は以前から、売ってしまえばそれで終わり、売れるものは必ず借手もつくので貸し付けてはどうかと財政課に申し上げてきましたが、経営方針で示されているのが先ほど申し上げた方向性であるがゆえ、売却一辺倒であります。また、売れないものは貸せばよいと言われますが、売れないものは借手がないのではというふうにも思います。  先日、大津市内の一等地を公募、入札にかけられましたが、あまりにも市場とかけ離れた最低価格であったため落札されませんでした。結局、早く処分しようと思ってもできなかったというのが実情であります。せっかくの県民の財産を、評価額が出ているとはいえ、もっともうけられる資産の運用ができないのかと思いますが、市場に合わせた資産運用をその道の専門家に助言を受けるなど、より実入りのある方法を模索してはどうかと考えますが、見解を問います。  また、入札にかけたけれども不落になった資産や、今現在売却等の予定がないが保有している資産、また、売却困難な物件の扱いについて、その維持管理に費用はかかっていないのでしょうか。特に更地などは、草刈りなど維持管理にもお金がかかることが考えられます。そうした費用はどう捻出されているのか、見解を伺います。  また、再入札をかけるにしても、費用や手間がかかるということも十分考えられます。  3点目に、もうかる県政を目指すには、やはりそれに携わる人材の育成が必要です。  知事は、ある経済誌のインタビューにおいて次世代の育成について語られています。特に若い人材の育成に熱い思いをお持ちと受け止めさせていただきました。幼少期から社会に出るまで、児童生徒、学生時の教育、育成を通じて、社会に出るときにどのような人材に育っているか、様々な人材が活躍する社会であってほしいと思います。  その中で、5年前に県庁において若い職員の皆さんが1年がかりで勉強会を開き、新しい政策形成を目指し取り組んでこられたと仄聞しております。この活動、いわゆるポリシー・ラボ・シガの活動を通じて、人、幸せのために自分ができることを起点に、マクロの調査だけでなくデザイン思考のような、政策対象の当事者を起点として、ミクロの視点からのアプローチが必要。もやもや感を共有する若手ならではの政策研究ができるとして議論を重ねられたとのことであります。  この取組が始まって、はや5年が経過し、また新しい若い人材が県庁にも入庁されたと思います。ポリシー・ラボ・シガでは、県民の本音を反映し、知事に提言されましたが、その後、この提言を受け、県としてどのような取組を行っているのか伺います。  また、特にこのコロナ禍の中、県民一人一人が感じることに敏感にならなければなりません。若手職員の皆さんの感性で将来を見据えた政策を考えることは、よりリアリティーがあり、自分の20年後、30年後を考えたとき、どのような社会にしたいのかを自分事として捉えられると思います。未来に向けて、まさに若い人材ならではと言えるのではないでしょうか。もちろん、これは若手職員の自主的な取組に期待するところであります。ただ、特に少子高齢化に向けて、将来必要となる財源の確保についても、あらゆる角度からぜひ知事に提言してもらいたいと思いますが、そうした取組がしやすい環境づくりが必要ではないでしょうか。知事の見解を伺います。 ○議長(富田博明) 27番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)県民のためにもうける県政を目指すことについて、19点御質問いただきました。  まず1点目、観光入込数とその消費額についてでございますが、本県の延べ観光入込客数は、平成24年には4,419万人でございましたが、その後増加を続け、令和元年には5,404万人となりました。また、観光消費額につきましても、平成24年の1,510億円から、令和元年には2,035億円まで増加し、いずれも過去最高となり、その経済波及効果は3,749億円と推計しております。  コロナ禍における状況につきましては、令和2年の延べ観光入込客数が対前年で32.6%減の3,641万人、観光消費額は同じく34.7%減の1,329億円と、いずれも過去最大の減少率となりました。  なお、全国の中で見た旅行単価につきましては、国の旅行・観光消費動向調査によりますれば、令和元年は、当該調査の定義によるその他の地方の平均が2万1,000円であるのに対しまして、滋賀県は1万5,000円、令和2年は、同じくこのその他の地方の平均が2万2,000円であるのに対し、滋賀県は1万8,000円となっております。  2点目、「健康しが」ツーリズムビジョンの評価についてでございますが、平成31年3月に策定いたしましたこのビジョンでは、計画期間の最終年となります令和4年の延べ観光入込客数6,000万人、観光消費額2,000億円を目標に掲げ、観光振興に取り組んできたところでございます。
     具体的には、テレビドラマと連動した観光キャンペーンや、ナショナルサイクルルートに指定されたビワイチの取組、「ここ滋賀」での情報発信、京都からの誘客を図る「そこ滋賀」プロジェクト、中国湖南省に開設した滋賀県誘客経済促進センターを活用した観光、経済交流など、様々な事業を展開してまいりました。  その結果、先ほど申し上げたとおり、令和元年の延べ観光入込客数、観光消費額は、いずれも過去最高となるなど、ビジョンに掲げた目標達成に向けて一定の歩みや成果を上げることができ、また、その効果を地域に波及させることができたのではないかと考えております。ただ、その後、コロナ禍がございますので、その状況は芳しくないということもございます。  3点目、シガリズムについてでございますが、これまで、水の文化、虹色の旅、戦国など、時期を捉えたテーマによる観光キャンペーンを通じて、幅広い関係者の連携体制を構築しながら、統一感のある情報発信やイベント開催などに取り組み、誘客を図ってきたところでございます。  今後は、コロナ禍で状況が大きく変化したことを受けまして、改めて注目されるようになりました滋賀のよさ、見いだされた滋賀の光である自然や歴史、文化、産業などを、より深く体験、体感できる観光を創出するため、シガリズムを共通コンセプトとして、その魅力を磨き上げ、観光コンテンツとして提供できるよう支援してまいります。  例えば、漁師に教わるシジミ漁など琵琶湖を五感で楽しむ漁業体験や、寺院の歴史を住職から教わる夜間参拝や座禅、写経体験など、滋賀に暮らす人々と出会い、深く交流する観光の提供を通じて、滋賀への共感の輪を広げ、より長く滞在し、何度も訪れていただける観光客の増加を図ります。  こうした取組により、裾野の広い観光関連産業の振興につなげるとともに、これまで以上に多様な分野に連携を広げ、農林水産業や地場産業、文化、芸術など、地域の価値ある資源を観光と掛け合わせ、シガリズムとして生かしていくことで、それぞれの付加価値を高めながら地域経済の活性化につなげてまいりたいと存じます。  4点目のビワイチについて、市町の取組状況でございますが、例えば、大津市では、大津港において新たなビワイチ拠点となりますサイクルステーションの整備が進められておりますほか、草津市のびわこ・くさつグルメライドや、守山市のモリイチ・スタンプラリー、愛荘町のスイーツライド2021といった、地域の観光地や飲食店等を周遊するイベントなど、市町独自の取組が活発に行われております。  市町の評価につきましては、琵琶湖岸などを活用したサイクルツーリズムの多様な可能性を見いだし、積極的に展開されている市町が増えてきました一方、そうでないところもあり、取組状況には違いがございます。  5点目、しからば、そういった市町との連携についてでございますが、琵琶湖周辺だけでなく、県内全域の様々な観光資源をサイクルツーリズムでつなぎ、地域経済の活性化を図るためには、市町との連携は極めて重要であります。  そのため、県全域で誰もが気軽に楽しめるサイクリングを盛り上げるため、広域で地域再発見などが楽しめるデジタルスタンプラリーや、走行距離によりポイントをためて特典が受けられるサイクリングマイレージなど、市町との様々な連携事業に取り組んでまいります。  また、サイクリストにやさしい宿といった拠点の充実や、付加価値の高いガイド付体験交流ツアーの開発などにより、宿泊型観光を推進するとともに、サイクルサポートステーションの拡充、レンタサイクル予約システムの整備、自転車通行空間の確保などに取り組んでまいりたいと存じます。  次に、6点目、滋賀イコール自転車という、こういった考え方、戦略についてでございますが、目片議員が委員長を務められます特別委員会の皆様により、自転車に特化した観光振興に関する条例としては全国初となるビワイチ推進条例の制定に向けて御議論いただいていることは、大変心強く、また感謝申し上げたいと存じます。  本県を特徴づけるブランドとしてビワイチを最大限活用し、より多くの関係者が連携を深めながら、県全域の観光振興を推し進める上で、新たな条例の制定はとても心強い後押しになるものと考えているところでございます。  議員がおっしゃったマウンテンバイクのコースは、高島市、多賀町、日野町にありますほか、栗東市でも計画されていると承知をしております。また、長浜市では、雪の上でも走行可能なファットバイクという自転車のレンタルにより、雪景色の中でのサイクリングの普及に取り組まれるなど、多様な楽しみ方が広がってきていると存じます。  今後も、そのようなサイクルツーリズムの多様な展開を進められるよう、ビワイチやビワイチ・プラスをシガリズム観光推進ビジョンの重点分野に位置づけるとともに、新たな条例に基づく基本方針を策定し、自転車といえば滋賀と言われるぐらいのトップコンテンツに磨き上げていくことで地域全体の稼ぐ力を高めてまいりたいと存じます。  7点目、本県農水産物の認知度と評価についてでございますが、本年度、首都圏、京阪神圏の計1,000人を対象に実施いたしましたウェブアンケートにおきまして、近江牛の認知度は77%、近江米は42%、近江の茶12%、湖魚28%でございました。  また、令和2年度にECサイトで和牛肉を購入した方を対象に調査した結果、近江牛の購入率は松阪牛に次いで2位、購入者の満足度および再購入意欲は1位でございました。近江牛の購入理由を伺いますと、ブランドの名称と品質の割合が高く、それが評価されていると認識しております。  近江米につきましては、京阪神圏を対象に近江米コシヒカリのイメージを聞きましたところ、「おいしい」が31%、「値頃感がある」が29%、「安全・安心」が26%、「生産者が真面目に育てている」が24%ということでございます。  8点目、名産品ブランド育成戦略についてでございますが、名産品の筆頭は近江牛ではないかと認識しており、先ほどのマーケット調査結果も踏まえて昨年12月に策定いたしました「近江牛」ブランド振興基本方針に基づき、消費者の認知度や愛着度が向上する取組を進めることにより、将来にわたり選ばれる近江牛を目指しております。  また、近江米につきましても、調査結果を踏まえ、引き続き特Aプロジェクトや安全・安心な米づくりを推進してまいります。また、県で開発した新品種を全国初のオーガニック栽培向け品種としてデビューさせ、近江米を牽引するブランド品に育てていきたいと考えております。  9点目、全国にアピールする品目についてでございますが、日本一の大きさを誇り、世界有数の古代湖でもある琵琶湖で捕獲される湖魚は唯一無二の存在であります。本年度実施した県民へのウェブアンケート調査では、ビワマスの認知度が81%とトップであり、湖魚は「貴重で魅力的な食材」との回答が35%と多かったことから、ビワマスは全国に通用するものと認識しており、しっかり発信していきたいと存じます。  また、本県では初めてのイチゴ新品種を令和5年度に本格デビューさせる予定でございます。流通販売戦略をしっかり立てて、まずは県内での認知度を高め、将来的には全国に通用するブランドに育てていきたいと存じます。  10点目、輸出戦略および今後の展開ということについてでございますが、県といたしまして、現地プロモーションやバイヤー招聘、セミナー開催等に取り組み、また、平成29年度、ジェトロ滋賀誘致に成功いたしまして、関係団体等のネットワークを充実させてまいりました結果、重点品目の輸出は平成28年度から令和元年度の4年間で2から8倍に増加しております。  一方で、湖魚などのチャレンジ品目については、新たに取り組む事業者が少なく伸び悩んでおりまして、輸出先、品目、事業者ごとの事情に応じたきめ細かなサポートが求められていると考えております。  こうしたことから、滋賀県農畜水産物のサポートガイドを活用し、県の方向性も示しながら、意欲ある事業者が戦略的、効率的に海外展開を進められるよう支援してまいります。  11点目、その戦略はサポートガイドに変わったのかということについてでございますが、コロナ禍で世界中が未知の変化に直面し、各国の景気や消費動向は刻一刻と変化してまいります。輸出においては国内販売と異なる課題やリスクが多く存在し、かつ、輸出品目ごと、輸出先国ごとに異なり、非常に複雑でございます。  変わりゆく情勢を見極め、状況に即して柔軟に的確に対応して輸出を伸ばしていくためには、戦略の改訂ではなく、県の方向性も記載しつつ、より実践的なサポートガイドという形が望ましいと判断いたしました。  近江牛や近江米、近江の茶については国の輸出重点産地指定を受けており、それぞれの推進団体が策定する計画に基づいて進めてまいります。その他の品目につきましては、まずは事業者ごとのサポートを行い、新規に輸出に取り組む事業者を掘り起こし、安定した輸出品目となるよう産地化を進めてまいります。  12点目、本県農業がもうかっているのかということについてでございますが、大規模な担い手の多くは、生産物のブランド化や加工品の開発などを手がけられているとともに、ネット販売など新たな販売方法も取り入れ、安定した収益を確保されていらっしゃいます。  その反面、小規模零細な農業者等の中には、コロナ禍での需要減少や米価の低迷などにより経営が一層厳しくなっている方がおられることも承知しております。  県といたしましては、意欲ある産地や生産者が生産物の付加価値を高める取組や、ネット販売など多様な販路を確保する取組を支援してまいります。  加えまして、もうかる農業に向けた新たなツールといたしまして、近江米やイチゴについては新品種を投入し、そのブランド化を進めてまいります。  13点目、耕作放棄地の状況ならびに担い手育成、その体制づくりについてでございますが、令和2年11月の調査では、本県の荒廃農地面積は、前年から13ヘクタール増の1,764ヘクタール、農地面積に占める割合は約3.3%で、全国平均の約6.1%を大きく下回っている状況でございます。  今後、農業従事者のさらなる減少が見込まれます中で、本県の農地をしっかり守り、もうかる農業を実現していくためには、経営感覚に優れた担い手を育成していくことが重要であります。  これまでも、経営力強化のため、若い農業者に対して将来ビジョンや経営計画を策定する連続セミナーの開催や、中小企業診断士等の専門家派遣など、経営の発展段階に応じた支援を行ってきたところです。  来年度からは、各地域の農産普及課を農業経営支援センターとして位置づけ、関係機関、団体と共に支援体制を構築して、普及指導員が専門家を活用しながら直接指導するなど、担い手づくりの体制をさらに強化してまいりたいと存じます。  14点目、Park−PFI、コンセッション方式による現状ということについてでございますが、Park−PFIは、民間事業者の創意工夫や資金を活用し、収益施設と公園施設を一体的に整備、管理することで、財政負担を軽減しつつ、公園の質と利用者の利便性の向上を図ることができる制度でございます。  今年度、初めて、びわこ文化公園およびびわこ地球市民の森において導入し、昨年10月に事業者を選定したところであり、現在、施設整備の準備が進められているところです。今後も他の都市公園にこの制度を導入していく所存でございます。  また、コンセッション方式は、PPP/PFI手法の一つであり、今のところ県有施設において導入した実績はございませんが、今後もPPP/PFI手法を積極的に推進していくこととしており、その導入に当たりましては、コンセッション方式をはじめとする様々な手法について比較検討し、より最適な方法によって民間が持つノウハウや技術を有効に活用してまいります。  15点目、指定管理者からの提案の受入れについてでございますが、指定管理制度は、民間のノウハウを競争原理の中で効果的に引き出すことで、サービスの向上と行政コストの縮減を図っていくもので、民間事業者からの提案は施設の効用を高める上で大変意義あるものと認識しております。  指定管理者の募集に当たりましては、収入確保をはじめとする民間からのアイデアがより多く集まるよう、原則、公募とし、競争原理の導入を図るとともに、指定管理期間の見直しなど、民間事業者等の参入促進に取り組んでいるところでございます。  また、指定管理者が施設を管理していく中で出される提案やアイデアについても積極的に取り入れることができるよう、庁内で幅広く議論をしてまいりたいと存じます。  16点目、より実入りのある資産運用に係る見解についてでございますが、不要資産の圧縮、いわゆるスリム化の観点から、まずは売却に努めているところです。その中で、売却が困難な案件については、貸付けを検討するなど、最適な有効活用ができるよう併せて取り組んでまいりたいと存じます。  今後、民間と連携した情報交換の場である県有資産活用のひろば等により、積極的に民間の知恵やノウハウ、アイデア等を取り入れながら、定期借地権など様々な活用の仕組みもさらに研究しつつ、資産の売却や貸付け等、効率的かつ効果的な利活用につなげてまいりたいと存じます。  17点目、未利用保有財産の維持管理費用についてでございますが、未利用地のうち、除草費用その他の管理費用を要しているものもあり、その費用は、本年度において80か所で約1,600万円となっております。その財源につきましては、一般財源が約87%、使用料、貸付収入等の特定財源が約13%となっております。  このように保有財産には一定の管理コストがかかるため、速やかに条件整備等を行った上で、売却、貸付け等に取り組んでまいりたいと存じます。  18点目のポリシー・ラボ・シガの提言への対応状況についてです。  庁内の若手職員有志による政策研究グループ、ポリシー・ラボ・シガの皆さんとは、職員座談会という形で意見交換も行いました。  県民の本音を起点にするというコンセプトの下、デザイン思考を活用した政策形成の在り方について研究活動を行っており、その内容を聞かせていただくと、非常によい着眼点であり、重要な問題提起だと感じました。  また、職員からの施策提案制度においてもデザイン思考の理解を深めるための実践的な研修の実施について意見がありましたことから、若手、中堅職員向けにデザイン思考に関する研修を令和元年度から導入いたしまして、これまで75人が受講したところでございます。  19点目、若手職員の自主的な取組についてでございますが、御指摘のとおり、若手職員が、財源の確保をはじめ、県の将来を見据えた施策を考え、提案することは、組織の活性化や職員の意欲、能力の向上に資するもので、大変重要であると認識しております。  そのため、若手職員の政策形成能力向上のための研修のほか、施策提案制度を実施しており、令和2年度においては、6件の提案のうち、県立学校における簡易型自動翻訳機ポケトークの導入などを進めているところでございます。  また、業務見直しに際し、今年度、自動車税事務所で若手職員を含むプロジェクトチームを立ち上げ、87件の見直し提案があり、そのうち65件について見直しに着手することができました。  引き続き、職員の柔軟な発想を生かす組織風土を醸成するとともに、ポストコロナ社会を展望した新しい豊かさにつきまして、有識者と若手職員が共に議論、研究する場を来年度つくるなど、若手職員が県政について幅広い視野で意欲的に考え、提案できる仕組みを工夫し、つくってまいりたいと存じます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございました。  こんなたくさん質問したんかいなと思って、自分で書いていて、今、改めて19問もあったのかと思ってあれしていたんですけど、私も商売で大変苦労をしました。今回のこの趣旨は、いわゆる県域の商売屋さんとか、いろんな方にどう事業としてしっかりと進めてもらえるのかという環境づくりをするのに、やっぱり県庁自身がそういう認識を持ってもらわないと、なかなかそういったことに思いはいかない。今、個別にはお答えをいただいたんですけども、当然、それぞれの産業ごとにそういったことを講じていく、いわゆる施策を講じていくことは重要なんですけれども、さっき資産売却の話がございました。ほんで、私の拙い経験上は、大体資産を売るっちゅうのは、もう潰れる会社なんですよ。もうお金が回らないから売って、そういうお金をつくっていこうというのが大体感覚で、売れるもんがなくなったときに、商売自体がしっかりと構築されてなければ、そういったことに対応できないというのが私の拙い経験上あったわけですから、県有資産についても、もう少し売却一辺倒ではなくて、様々な、売れるときはいつでも売れるわけですから、そういった有効の活用をしっかり考えてもらいたいというのがこの趣旨でありました。  ちょっと何点かあるんですけど、まず、ビワイチ含めた市町との取組なんですが、単純にそれぞれの市町が単独でやるというわけではなくて、例えば、トライアスロン大会のように、ほかの内陸のほうの市町にいざなうようなこういう取組を、どこが主体でやるのかは別として、そういったことを考えていくというのも、ビワイチを広める上で、そういったことが有効につなげていけるのではないのかなということで、先ほど様々な提案もさせていただいたんですが、そういったことを県として、ビワイチは自転車で琵琶湖一周ということからビワイチ・プラスというふうに波及してきたわけなんですけど、それをしっかりとまた市町につなげる取組、そういったトライアスロンなり、そういう誘客のできるような取組を考えてはどうかというふうに思うんですが、改めて知事の見解を問いたいと思います。  それから、シガリズムなんですけど、シガリズムについては、サブタイトルはいろいろつけていただいたらいいと思うんですけど、やっぱりシガリズム何々というふうにやっていただかないと、なかなか僕はぴんとこないかなという。昔、様々なキャッチコピーが滋賀県もあったと思うんですけど、だんだんとなくなってきて、あのキャッチコピーはどこ行ったんかいなというようなことがよくあります。ですから、そのときはばっと出てくるんですけど、そういったキャッチコピーというのがそれこそ廃れないようにしっかり続けていってもらいたいというふうに思うので、いろいろな事業の性格上、それを表すタイトルは必要かと思うんですけれども、シガリズムをこれから提唱されるのであれば、そこはしっかり前面に出していっていただければというふうに思うんですけど、そこの見解をもう一度お聞きをしたいというふうに思います。  それから、農業についてなんですけど、だったら何で私のところにも白地で何とか住宅開発でけへんかっちゅう相談が来るのかなと思うんです。青地を白地にしてくれとか、白地を市街化にしてくれっていうような相談が来るということは、それだけやっぱり農地というのが減っていってる。その分、また違う産業が育っていくという考え方もできるんですが、そういったことが現実にある以上、先ほど例えば近江牛、それはもう冠たる滋賀県の産物だと思うんですけれども、誰もが近江牛を育てられるというわけではありませんし、誰もがお茶を育てられるわけでもありません。だけども、そういうことにつなげていけるようなことで、今の田んぼが違う形に変わるにしても、農業としてしっかり生かせられる、そういうようなメッセージをしっかりと県として発していただきたいという。農業って、やっぱり我々が生きる上の基盤でありますので、そういったところを前面に打ち出してもらいたいというのもあります。そやないと、そこらの農地が例えば白地で調整区域やったら、沿道サービス業で何か形が変わって、またその産業はいいんですけど、農業としてはやっぱりマイナスな部分になっていっている。そういったことについて、県として、知事としてどういうふうに今後の農業を考えられるのか、そこの見解をひとつお聞きをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 再質問でいただきました。特に、議員の御経験から大変御商売、経営等でも御尽力いただいている、その経験を生かされての御提言と受け止めたいと思います。  資産売却につきましては、私ども、できる限り持っているものをスリムにして管理費用も少なくした上でということを思っておりますが、先ほども答弁で述べさせていただいたとおり、とはいえ、もっと活用の仕方等、さらに柔軟に考えていくという視点も持ち合わせて、この資産運用に努めてまいりたいと思います。  ビワイチにつきましては、トライアスロン等の大会、誘客ができる取組というものも御提案をいただきました。それぞれ市町ごとにそういったイベントも考えられているようでありますが、少し市町の域を超えた、少し広域的な、ポストコロナに向けて、琵琶湖岸だけではなくて、さらに内陸部も含めた、かつ、できれば継続的な、一過性のものではなくて、そういった視点でどういうことができるのか、市町、関係団体と共に議論を深めてまいりたいと思います。  シガリズム、ありがとうございます。この議場でもたくさん取り上げていただいて。ただ、それだけ分からないものなのか、それだけ期待をされているものなのか、私はいいほうに捉えている面もあるんですが、とはいえ、議員おっしゃったように、サブタイトルをつけて、どういうことを志向しているのか、もっと分かりやすく訴えていくべきだということは大事にしたいと思います。  いずれにしろ、時宜を得たキャッチコピーであることと、滋賀らしさがきちんとにじみ出るものであるのかということと、それにアピール力が伴っているのかという、こういった視点は非常に重要だと思いますので、大事にしていきたいと思います。  最後におっしゃった農業のことで申し上げれば、耕して稼げる農地になっているのかということ、はたまた、全体貫くテーマで御表現いただきましたが、もうかる農業になっているのかということに尽きるのではないかと思います。そういった問題意識を持ちながら、この間、農地を集約するという取組ですとか、農業基盤を改良しながら、水稲だけではなくて、畑作も含めて園芸農業を取り組めるような環境にするとか、例えば、先般も農業新聞に取り上げられておりましたけれども、小麦ではなくて大麦にして、麦茶の材料として契約栽培に結びつける取組ですとか、様々な都市部に近い、それでいて一定の農地のある滋賀ならではの農業の展開というものには、これからより可能性があると思っておりますので、しっかりとした基盤整備や担い手育成を行いながら、この可能性が伸ばしていけるように頑張ってまいりたいと存じます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございました。  県税収入も回復基調に上がっているというふうにも聞きますけれども、やっぱり地場の皆さんがしっかりと成り立つような、そういう滋賀県になってもらいたいと。それは、取りも直さず、県庁自身が今まで使っていたお金が使わずに済むような取組につなげていくことで、県財政がやっぱり健全化していくということにつながると思いますので、引き続きそういった視点での県政経営をよろしくお願いいたしたいと思います。  終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、27番目片信悟議員の質問を終了いたします。  次に、38番冨波義明議員の発言を許します。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、子供が子供らしく生きる権利について質問いたします。  新型コロナ感染騒動の陰に隠れて、社会的に弱い立場にいる人、とりわけ子供たちに関する様々な権利が侵害されています。そこで、今回、私は、ヤングケアラーの問題を取り上げ、子供が子供らしく生きる権利の観点から本県の取組について質問させていただきます。  さて、本年1月15日、埼玉県白岡市で、15歳の男子中学生A君が自宅で意識不明の状態で見つかり、その後死亡したという事件は記憶に新しいところです。A君は8人兄弟の長男で、小学校1年生から3年生頃までは普通に登校していたようですが、一家に6番目、7番目の子供が生まれた小学校4年生の頃から、生後間もない兄弟の面倒を見るために欠席がちとなり、5年生からはほぼ不登校状態になったとされています。  母親は近所の病院で働いていましたが、生活は苦しく、A君と一番年上の姉と2人で幼い兄弟の世話をしていたようで、近所では1日中ベビーカーを押す2人の姿が度々目撃されていたそうです。学校へは給食を食べるために時々お昼の時間帯に登校することもあったようですが、次第に同級生とは疎遠になり、小学校の卒業アルバムにはA君の顔写真はなく、名前しか残されていなかったと報道されています。  このような中、15歳になったA君は、去る1月15日、何者かに暴行を受けて、自宅で急性硬膜下血腫により意識不明となり、ついには死亡したというのが事件の概要です。犯人はいまだに判明はしておりませんが、この報道に接したとき、胸をかきむしられるような無念さ、地域社会や行政の無力さにじくじたる思いをされた方も多いのではないでしょうか。  一方、本県でも、昨年8月に、大津市の無職の17歳の少年B君が6歳の妹を自宅近くの公園で暴行して死亡させるという衝撃的な事件もありました。長男であるB君には、亡くなった6歳の妹以外にも次男と三男の弟がいました。B君は、小学校の頃から児童養護施設で育ちましたが、令和2年2月に母と再会し、翌令和3年4月から大津市内で母親と妹の3人で一緒に暮らすことになりました。そして、同居から僅か4か月の8月にこの事件が起こりましたが、母親はこの事件の数日前から家を空けていたと報道されました。私たちは、この事件からも、誰もが救われない、いたたまれない悲しみと、彼を支援できなかった社会のむなしさに深い衝撃を覚えました。  冒頭に最近起こりました2つの事件を紹介いたしましたが、このほかにも、平成31年4月には、大阪市で6人兄弟の24歳の長女が一番下の3歳の弟の腹を踏み殺害した事件、令和元年10月には、神戸市で22歳の女性が介護中の祖母の口を塞いで殺害した事件など、若者ケアラーの事件もありました。これらの事件に共通することは、彼らが自分より幼い兄弟や高齢の者の世話をしていたケアラーであり、彼ら自身も知らぬ間に心身ともに大きな負担を背負っていたということでした。  子供が家族をケアすること自体は何ら問題はありません。しかし、それは家族として全く当たり前のことではありません。子供にとって、家族のケアを担うことが過度な負担となり、子供が子供らしく生きる権利や子供として守られる権利が著しく侵害されているとすれば、そこに深刻な問題が生じる可能性があります。  国では、昨年3月17日に、ヤングケアラーと呼ばれる子供たちの支援を推進するに当たり、厚生労働省と文部科学省が連携し、福祉、介護、医療、教育などの各分野から成るプロジェクトチームを立ち上げ、同年5月17日にはその報告書が取りまとめられました。この報告書では、今後、早急に取り組むべき施策として、ヤングケアラーの早期発見と現状の把握、支援策の推進、社会的認知度の向上の3点が挙げられています。  本県議会でも、これまで幾度かヤングケアラーに関する質問が行われていますが、改めて、子供が子供らしく生きる権利の視点に立ち、報告書に掲げられましたこの3つの観点から、知事ならびに健康医療福祉部長に質問いたします。これまでの議会質問と一部重複する内容もありますが、よろしくお願いいたします。  なお、特に知事を指名して答弁を求めるもの以外は、全て健康医療福祉部長に伺います。  それでは、まず、冒頭で紹介させていただいたヤングケアラーをめぐる事件について、全国知事会で、次世代育成支援対策プロジェクトチームでリーダーを務められる三日月知事の率直な感想を伺います。 ○議長(富田博明) 38番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  子供の命が奪われた事件等を耳にするたびに、議員もおっしゃいましたけれども、私も私たちも心が痛み、亡くなられた子供の長い未来と、そこにある様々な可能性のことを思うと、何とも言えない悲しみが押し寄せてまいります。  また、子供が事件の加害者になってしまうことは、よほどの事情があってのことだと思われ、誰かが寄り添い、心の支えとなれなかったのかと考えます。  子供が子供らしく生活できる環境を整えること、これは行政の役割であり責務であると考えております。本県におきましても、しっかりとヤングケアラーの支援に取り組むとともに、次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダー県として、地方自治体の取組に対して支援の強化を国に働きかけてまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。加害者になる場合、被害者になる場合、いずれにいたしましても痛ましい問題でございます。率直な御感想をお聞かせいただいてありがとうございました。  去る2月11日、栗東市芸術文化会館さきらで開催をされました子どもの虐待オレンジリボンフォーラムには私も参加をさせていただきましたが、今から15年前に起きました高島市での2歳女児虐待事件について、改めて考えるとともに、この虐待や貧困問題と重複するとされていますヤングケアラーの問題について考えるよい機会ともなりました。このフォーラムでは、子供を尊厳ある存在と認識し、子供の最善の利益を保障することの重要性が訴えられましたが、今回の質問におきましても同様の視点から以下伺います。  それでは、まず大きな1つ目、ヤングケアラーの早期発見と現状の把握の観点から以下伺います。  改めまして、本県では、ヤングケアラーの支援対策に取り組むに当たり、ヤングケアラーという言葉の概念をどのように認識しておられるのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  ヤングケアラーに明確な定義はございませんが、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の児童と認識しておりまして、国もこうした概念により調査等を行っておられるところでございます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  ヤングケアラーという言葉を認識する上で最も重要なポイントは、単に障害や病気を持つ家族の世話や家事をする、それを日常的に行うというだけではなくて、子供が年齢や成長の度合いに見合わない重い負担や責任を負い、本来大人が担うような家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に深刻な影響を受けている、ここの部分が大切なポイントかというふうに思います。この点については、今後、県のほうでもしっかりと広報活動していただきたいというふうに思います。  次に、ただいまの定義、概念の中でお答えいただきました18歳までということについて、ヤングケアラーの対象年齢についてお伺いをします。  2010年に創設されました一般社団法人日本ケアラー連盟では、18歳未満をいわゆるヤングケアラー、18歳以上、二十歳代の者も含めて、これらを若者ケアラーと称して区別をされております。本県ではヤングケアラーをただいま18歳未満ということでしたが、しかし、18歳以上となった高校生や大学生はもちろん、仕事とケアラーを両立している若者も数多く見受けられますので、これらの若者が支援から外れてしまうということが大変懸念をされます。  そこで、本県でもヤングケアラーの支援を進める上で、その対象を18歳以上となった高校生や大学生なども含む若者を含めた支援ができるようにすべきだと考えますが、お伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  18歳を超えましても、個々の事情に応じまして柔軟な支援を行うことは必要と考えておりまして、本県が現在行っている今回の実態調査におきましては、子ども若者ケアラーとして20歳代までを調査対象としているところでございます。
    ◆38番(冨波義明議員) (登壇)神戸市などでは、子供が18歳以降もケアラーを継続することが非常に多いことから、子供のケアラーの支援を進めていくに当たり、こども・若者ケアラーの中身のケアラー支援マニュアルの中で、18歳未満だけでなく20代の者も含めて施策の対象とし、こども・若者ケアラーというふうにされております。本県でもぜひ若者の実態に即した年齢制限で支援を進めていただきますようにお願いをしておきます。  さて、ヤングケアラーという言葉は、最近でこそよく耳にするようになりましたが、それまでは実はほとんど知られませんでした。このため、令和元年度までは、全国規模でのヤングケアラーに関する実態調査はほとんど行われていませんでした。しかし、ヤングケアラーの支援を進めるためには、ヤングケアラーを早期に発見し、その現状を把握することが極めて重要であることから、少々遅きに失した感はありますけれども、文科省と厚労省で令和2年12月から令和3年1月にかけて全国的な実態調査を実施されたと仄聞をしています。そこで、この実態調査の結果概要について伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  主な結果といたしまして、生徒を対象としたウェブ調査では、世話をしている家族が「いる」と回答されたのは、中学生で5.7%、全日制高校生で4.1%、定時制高校生で8.5%、通信制高校生で11%でございました。性別による世話の状況といたしましては、男性は4.6%、女性は5.2%でございました。  世話を必要とする家族は、いずれの学校の種類でも「きょうだい」と回答した割合が最も高く、中学生で61.8%、全日制高校生で44.3%、定時制高校生で41.9%、通信制高校生で42.9%となっております。  世話の頻度についてでございますが、いずれの学校の種類でも「ほぼ毎日」と回答した割合が最も高くなっておりまして、平日1日当たり世話に費やす時間については、いずれの学校の種類でも7時間以上が約一、二割程度いるという結果でございました。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)この全国調査の結果からは、学校ではクラスに約2人ほどいるという調査結果ですとか、家族のケアを行う子供たちが予想していたより多い、女子のほうが多いこと、また、ケアの内容やケアの頻度、ケアに要する時間など、大変厳しい環境下にある子供の様々な実態が浮き彫りになりました。そこで、このような実態が子供たちにどのような影響を与えているのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  調査結果では、家族の世話により、学校欠席、遅刻、早退したり、部活動や習い事を休んだり、宿題等ができないことがあるとの回答も見られまして、学校生活に少なからず影響が生じていると考えられます。  また、家族の世話のため、進路の変更を考えざるを得ない、もしくは進路を変更したとの回答も見られまして、進路にも少なからず影響を与えていると考えられます。  さらに、過度の家族の世話が子供の健康状態を悪くする可能性があり、精神的、身体的に様々な影響が懸念されます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)学齢期のヤングケアラーが日常生活や学校生活において受ける一番大きな影響というのは、まず学校に行けなくなったということを今挙げていただきました。学校に行けなくなった結果、学力の低下や進路変更、また、部活動や交友関係への支障、体力面や健康面での懸念があるというふうに今お答えいただきました。そこで、このような状況に対して、子供たちはどのような支援を求めているのか、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  全国調査による生徒へのアンケート調査からは、様々な意見がございましたが、多くは、1つ目として、相談体制の充実、相談しやすい、話しやすい環境づくり、2点目としまして、子供たちの意見を伝えられる環境づくり、意思の尊重、3点目といたしまして、学校におけるサポートや配慮、4点目といたしまして、周囲の大人の理解や寄り添い、5点目といたしまして、経済的支援や家事支援等の公的支援の充実といった求める声がございました。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)冒頭で紹介いたしました2つの事件でも、学校に行かなかった、あるいは行けなかったという実態がありました。  文科省が毎年調査されています児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査、また、県の教育委員会が毎月学校に報告を求められているものに、児童生徒の問題行動や不登校等状況調査というのがございますが、これによりまして、7日以上の長期欠席や不登校の状況について統計が取られていまして、このような子供たちをしっかりと調べることによって、この中にヤングケアラーがいる場合も十分に考えられます。そこで、児童福祉の主管課は、教育委員会としっかりと情報を共有していただきまして、長期欠席者や不登校にある児童生徒の実態をきちっと把握をし、各担当部署で連携して対応していただくことが非常に重要と思います。よろしくお願いいたします。  これまで様々な角度からヤングケアラーに関する全国調査について具体的にお聞きしてまいりましたが、県はこの実態調査の結果をどのように受け止めておられるのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ヤングケアラーの実態は、国の調査のほか、他府県におきます先行調査でもおおむね5%という結果が出ているなど、本県でも同様の状況ではないかと推測しているところでございます。  こうした調査からも、ヤングケアラーの負担を軽減し、または解消するためには、家庭全体を支援することが必要であり、庁内関係部局や市町、関係機関と連携して、適切な福祉サービスにつなげられるよう取組を進めていかなければならないと認識したところでございます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)これから後の質問でも触れていきますけれども、しっかりと各部署で連携を取っていただきたいというふうに思います。  ヤングケアラーを生む根本的な社会福祉制度の在り方に私は手をつけていかなければ何の解決にもならないのかと考えておりますが、これも後ほどお聞きをしたいと思います。  次に、国が実施をされました実態調査の結果について、本県は、各市町や市町教育委員会および学校現場へどのようにフィードバックし、どのように生かされたのか、ヤングケアラー実態調査の活用について伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  国の実態調査結果につきまして、厚生労働省から情報提供のありましたヤングケアラーの支援に向けた福祉、介護、医療、教育の連携プロジェクトチーム報告とともに、市町と共有を図ったところでございます。  また、県教育委員会におかれましても同様に、文部科学省の事務連絡を受け、市町教育委員会に対して情報提供されまして、ヤングケアラーの概念の周知のための教員の研修の実施等についてお願いをされたところでございます。  調査結果は、プロジェクトチーム報告と合わせ、今後のヤングケアラーへの支援や関係職員の研修において活用してまいります。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)情報を交換し、今後検討してまいりますというふうにおっしゃいましたんですけど、様々な支援対策を構築することはもちろんですけれども、行政が、こんな支援がありますと、困っている子供たちや学校、あるいは先生方に紹介するだけでは、これは支援は行き届きません。行政や支援者が積極的に支援を届けるアウトリーチも確立することが必要でありますので、この点もよろしくお願いいたします。  ちなみに、大阪府は、昨年10月に府立高校生を対象にヤングケアラーの実態調査を実施されています。その結果、高校生の約15人に1人がヤングケアラーに該当する、こういう調査結果を得て、早速、本年1月24日の総合教育会議で府立高校のヤングケアラーに向けた具体的な支援対策を公表されておられます。この中では、学習支援員による個別補習や学習支援、進路指導では個人に合わせたオーダーメード型の支援体制やキャリアコーディネーターの配置、そして、これらに加えて、これまで以上に府立高校を巡回指導し、学校からの相談によりきめ細やかに対応するために、スクールソーシャルワーカー──以下、SSW──を増員するとともに、より高度な専門人材としてSSWスーパーバイザーの配置も検討するとされています。大変すばらしい取組かなと私は感じました。  SSWにつきましては、これは教育委員会所管の事項ですので、議会質問に関する申合せにより、今回は深く質問することができませんので、担当部署と教育委員会の間でしっかりとこれは連携をしていただきまして、ヤングケアラーの早期発見につながる有用なSSWの充実と配置について検討していただくことを強く要望したいというふうに思います。  次に、本県独自の実態調査の実施について伺います。  厚生労働省は、令和2年度に、問題を明らかにするためにも、まずは自治体で調査をすることが大切。調査の予定がない自治体も、来年度には調査を検討してほしいと、都道府県や政令指定都市に促しています。しかし、昨年6月にNHKが行われました調査によると、自治体の約70%が「調査する予定はない」、「調査したいが、具体的には決まっていない」と回答するなど、多くの自治体で調査予定が決まっていないと報道されています。ちなみに、大阪府や京都市、神戸市などでは既に昨年に実施済みとのことです。  知事は、昨年6月の定例議会で、本県独自の実態調査の実施に関する質問に対して、「課題等の抽出にとどまらず、支援を必要としているヤングケアラーを特定し、具体的な支援につながるための何らかの調査をする必要がある」と答弁をされています。そこで、本県ではどのような調査を実施されたのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  県では、20歳代を含めて子ども若者ケアラーといたしまして、早期把握や支援の在り方を検討することを目的に、滋賀県社会福祉協議会への委託により実態調査を実施したところでございます。  調査は大きく4つの機関、具体的には、県内全ての国公私立の小中高等学校等の教育機関、高齢、障害、生活困窮などの相談支援機関、各市町の要保護児童対策地域協議会、民生委員、児童委員を対象に実施いたしまして、子ども若者ケアラーの有無、ケアの内容、把握、支援上の課題などについてお尋ねしております。  現在、調査結果を集計しておりまして、今年度中に取りまとめられるよう準備を進めているところでございます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ただいまの御回答について1点再質問させてもらいます。  これは、今、4つのところに対して調査されたというんですが、これは全て機関、団体ですよね。生徒個人には直接には調査をされていないわけでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  先ほど御答弁させていただきましたように、ヤングケアラーは、本県におきましても全国と同様のおおむね5%いると推測した上で、早期把握や支援の在り方を検討することを目的に、滋賀県社会福祉協議会への委託により、今御紹介いたしました範囲での実態調査を実施したところでございます。  今後、この実態調査の結果も踏まえまして、ヤングケアラー支援施策をさらに推進していくに当たりまして、児童生徒を対象とした実態調査の実施については、その必要性も含め、関係機関と検討してまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ということで、大変残念に思っています。生徒本人への調査はしていないというのは、正直意外であり、驚くとともに、本当に残念に思いました。ぜひこれは生徒に直接聞いていただきたいと思います。  自治体がこのようなヤングケアラーの実態調査をしない理由として、家庭内のことですので、プライバシーもあり、問題が表面化しにくいことが最も多く挙げられています。また、ヤングケアラーの問題が福祉や教育など複数の分野にまたがることで、複雑だということでこれを実施しないということも聞いております。しかし、ヤングケアラーに関する実態調査を行うことは、今後、ヤングケアラーにどのような支援をすべきかを検討する際の重要な資料ともなり、子供たちと直接接する学校、ケアの対象となる家庭が接する介護や福祉、医療などの専門機関、さらには児童委員や学習支援員、NPO団体との連携の在り方にも関わってきますので、これはしっかりと生徒に対する実態調査をしていただきたいというふうに要望しておきます。  私は、また、この実態調査に各自治体が積極的かどうかで、子供たちに対する支援に差が出てくることも大変危惧をしております。よろしくお願いします。県がリーダーシップを取り、各市町の協力の下で早急に児童生徒を対象とした実態調査を実施していただきますように再度強く要望しますが、見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  間もなくこの実態調査の、今県で独自に行っております実態調査の結果もまとまってまいりますので、こういった結果を踏まえまして、この施策を推進していくに当たって、この児童生徒を対象とした実態調査、必要性をしっかり検討してまいりたいと思います。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)よろしくお願いします。  それでは、次に、これらヤングケアラーの実態を基にしまして、大きな2つ目として、ヤングケアラー支援対策の推進、この観点から以下伺います。  まず、ヤングケアラーが生まれる社会的な背景について、どのように捉まえられているのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  社会的な背景といたしましては、少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、家庭の経済状況の変化をはじめ、様々な要因があると考えております。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)私も様々勉強させていただきましたんですけども、一番強く感じたのは、これまでの介護というのは、その大半は女性、特に主婦が担っていたことを改めて認識をいたしました。こうしたケアを担ってきた主婦が、就労促進により主婦労働者の著しい増加が、子供たちにその負担がのしかかってきているように感じました。  厚生労働省と文科省が連携をしましたヤングケアラー支援プロジェクトチームが出された報告の中でも、早期把握、相談支援、この中に家事・育児支援、そして介護サービスの提供の大きく4つの具体的な施策が出ておりますが、このことからもこのことが見てとれると思います。そこで、以下、これら今言いました4つの具体的な内容と併せて、これらに対する本県の施策について伺います。  まず1つ目に、ヤングケアラーの早期把握についてですが、ヤングケアラーという言葉自体の認知度はまだまだ低く、「聞いたことがない」と答えた者は中高生ともに80%を超えていました。一方、自分がヤングケアラーだと自覚している者は約2%、「分からない」と答えた者は中学2年生で12.5%でした。この数字からは、自分がヤングケアラーに該当しているかすら分からないままケアを担っているという現状がうかがえます。  そこで、国のヤングケアラーの早期発見につながる取組について伺います。併せて、これに対応する本県の取組についても伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  国の報告書におきましては、ヤングケアラーの早期把握のため、教育委員会の教育相談担当者等を対象とした研修の実施や、教育、福祉の合同研修の実施が挙げられております。  本県におきましても、教育、福祉の関係者が、それぞれの分野においてヤングケアラーを早期に把握ができますよう、研修や会議等を通してヤングケアラーの理解を深めてまいります。  さらに、教育委員会と連携し、スクールソーシャルワーカーや教職員から円滑かつ早期に情報を福祉部局にいただくことによりまして、ヤングケアラーの早期把握に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)実態調査からも浮かび上がってきたんですけども、ヤングケアラーの早期発見には学校の果たす役割というのが極めて大きいことがあります。しかし、学校も、個人情報の壁や、教員の知識、認識不足があり、なかなか難しいことがあるのも実情です。  そこで、私の経験からは、早期発見のための有効な手段として、学級集団の状況を調査する学級集団アセスメントテストというのがあるんですけども、これは以前から、もう10年も前から、私、学力向上ですとかいじめ対策に、この客観的なテストをぜひ実施をして、単なる教員の目視による認識だとか、あるいは面談による子供たちの理解、これだけではなしに、科学的な客観的なテストを用いることを提案しております。これは多分ヤングケアラーの早期発見にもつながる有効なアイテムであると思いますので、ぜひ取り入れていただきたいというふうに思います。  しかし、この問題につきましても、教育委員会の所管事項でありますから、ちょっと触れることができませんので、ぜひ担当部署と教育委員会の間で連携して、これの活用についても検討していただきたいというふうに思います。  次に、2つ目、相談支援についてです。  実態調査では、ヤングケアラーの約6割が「誰かに相談した経験がない」と答えております。そこで、国はどのような相談支援を行おうとしているのか伺います。併せて、これに対応する本県の取組についても伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  国の報告書では、ピアサポート等の悩み相談や、ヤングケアラー同士で悩みを共有できるオンラインサロンの設置による悩み相談の支援等が挙げられております。  本県におきましては、令和4年度から、国が新たに設けられたこれら相談支援の補助メニューを活用して、ヤングケアラーに寄り添い、相談、支援等を行う民間団体を支援する事業の実施を予定しております。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。そのことに関して大事なことは、やっぱり子供の気持ちに寄り添い、家庭で担っている役割を否定せずに、子供の自尊心を失わないことや、相談しやすい体制づくりと場所の設定が大事かと思います。これらについても県はしっかりと対策を講じていただきますようにお願いします。  次、3つ目に家事・育児支援についてです。  実態調査では、世話をしている家族で最も多かったのは、「きょうだい」中学生で61.8%、高校生で44.3%、また、担っている役割としては、独り親家庭の場合は、見守りのほか、家事や保育所への送迎などが大きなウエートを占めていることが分かりました。このため、国は家事や育児をする新たなサービスを創設するとしていますが、具体的にはどのような支援内容なのか伺います。併せて、これに対応する本県の取組についても伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  この事業は、子育て世帯訪問支援臨時特例事業といいまして、その支援内容は、家事、育児等に対して不安、負担を抱える家庭や、ヤングケアラーがいる家庭を支援するものでございまして、具体的には、食事準備や洗濯、掃除等を代行支援する家事支援と、保育所等の送迎支援による育児支援となっております。この事業の実施主体は市町とされておりまして、本県におきましても本事業の取組が推進されるよう、市町を支援してまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。大人でもなかなかこれを申し込むのは難しい、分かりにくいことですので、子供にも分かりやすい制度としていただきますようにお願いしたいというふうに思います。  次に、4つ目、介護サービスの提供についてです。  我が国の介護保険制度は、ケアの必要な人を社会で支えようという理念の下、2000年に始まりましたが、いまだに介護は家族でやるべきものという家族主義制度のままだとの指摘があります。つまり、在宅で介護する子供がいるということを前提にして、介護サービスを利用する必要がないというふうに判断されているケースを最近お聞きをしました。家族主義の下で公的な介護サービスを削減すれば、その負担は間違いなく現役世代にのしかかり、ヤングケアラーの問題がさらに深刻化しかねません。  このため、国では、ヤングケアラーが子供であることを踏まえた適切な福祉サービス等の運用を検討するとしていますが、どのような状況にあるのか伺います。併せて、これに対応する本県の取組についても伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  国では、今年度の調査研究事業の中で、ヤングケアラーがいる家庭に対する介護サービスの取扱いや、その家庭へのケアマネジメントの留意事項につきまして検討を行い、自治体や関係団体に周知する予定と伺っているところでございます。  県では、これまでから、家族介護者がいることをもって一律に居宅サービス等の対象外とすることのないよう、市町や介護事業者に周知しておりますが、今後、国から示される取扱いなどを踏まえて適切に対応してまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)よろしくお願いします。  ちょっと時間がありませんので飛ばします。  さて、本県では、国の動向や県の基本構想、地域福祉における課題等を踏まえ、一人一人が尊重され、互いに認め合い、誰もが役割を持ち、その人らしく活躍できる地域共生社会を実現していくことを目的として、滋賀県地域福祉支援計画を策定されています。この計画策定の趣旨の一つに、子供の笑顔を増やすための「すまいる・あくしょん」の視点で計画を策定すると掲げられていますが、滋賀県地域福祉支援計画の中でヤングケアラー支援対策はどのように位置づけられているのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  昨年10月に策定いたしました計画におきまして、3つの柱の一つである、支援を必要とする人が必要な支援を利用できる「だれ一人取り残さない」環境づくりの推進に、ヤングケアラーとその家族という項目を設けまして、まずは県として取り組むべき施策を定めているところでございます。  具体的には、市町におけます包括的、重層的支援体制整備への支援、教職員やスクールソーシャルワーカーに向けた研修、要保護児童対策連絡協議会の場を通じた福祉や教育などの関係者のさらなる理解促進などを挙げているところでございます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ヤングケアラーの支援は、様々な福祉や教育的観点から行う必要があることから、自治体では管轄する部局が複数にまたがったり、多種多様な外部の組織機関、団体との連携が必要となります。例えば、子供の支援は福祉の観点から福祉部局、子供が通う学校にも目配りするためには教育委員会が関係するなどの例が挙げられると思います。  このため、多くの自治体が担当を決められないまま足踏みをしている中にありまして、どう調整したらよいか分からず、何も決まっていないという自治体もあるようです。そこで、本県ではヤングケアラー支援に向けてどのような県庁の組織体制で臨まれようとしているのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ヤングケアラーの負担を軽減し、また解消するためには、家族全体を支援する視点が必要でございます。家庭の状況は様々でございまして、高齢、障害、疾病、生活困窮、独り親家庭、あるいは虐待など、家庭の状況に応じて適切な福祉サービスや支援機関につなげなければならないと考えております。そのため、関係各課による連絡会議を設けまして、必要な支援策の検討を進めてまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。  ちょっと次へ移ります。  次に、大きな3番目としまして、ヤングケアラーの社会的認知度の向上の観点から伺います。  まず、ヤングケアラー本人の自覚と、その周囲にいる者の認識の実態についてですが、ヤングケアラーの大きな特徴は、幼い頃から介護が日常的にあり、自分が特殊な環境下にいることに自分自身が気がついていないことが指摘されています。そこで、自分のことをヤングケアラーだと自覚している子供や、ケアを担う子供をヤングケアラーと認識している親や地域社会など、周囲の認知度について、その実態について伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ヤングケアラーは、家庭内のことであり、表面化しにくく、また、親や社会の認知度が低いことから、本人がそれと気づく機会が少ないということが国の調査結果に表れております。こうしたことから、周囲の大人がヤングケアラーについて理解を深め、子供が担っている家事や家族の世話の負担に気づくことが必要でございまして、社会的認知度を向上させることが非常に重要であると考えております。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。子供が自分自身の生活と家族の間でバランスを取ることは、子供にとっては大変難しいことです。大人が仕事とケアの両立に悩むこととは根本的に違います。子供は、周囲への相談を思いつかず、やり過ぎても気づかないことも多く、まずは子供は自覚がない場合が多々あるということを踏まえておく必要があると考えます。よろしくお願いいたします。  次に、ヤングケアラーの社会的認知度の向上対策について伺います。  昨年6月の定例議会で、知事は、ヤングケアラーの社会的認知度を向上する方策に関する質問に対しまして、「今後は保健師や介護支援専門員の研修の場を利用して、ヤングケアラーについて学ぶ機会を設けるなど、支援の輪を広げる啓発や取組を進めたい。また、国の取組とも協調しながら社会全体で支援する機運を向上させたい」と述べられています。そこで、改めて、ヤングケアラーの認知度の向上に向けた県の取組について伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。
     教育、福祉の関係者が、各分野においてヤングケアラーを早期に把握できますよう、研修や会議等を通じましてヤングケアラーの理解を深めてまいります。  また、国においては、令和4年度から3年間を集中取組期間として、ヤングケアラーの認知度向上のキャンペーンを実施されるところでございまして、本県におきましても、国が作成するポスターを活用し、学校や各種相談窓口へ配置するなどして広く周知してまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)私も学校現場におりましたのでよく分かるんですけど、なかなかヤングケアラーであるかないか、本人のプライバシーもありますので難しいところがあります。また、周りの者も気づかないということがありますので、これの広報活動はしっかりと行っていただきたいというふうに思います。  次に、一般社団法人日本ケアラー連盟は、ケアラー支援法、支援条例の制定を目指して政策提言やキャンペーン活動を行っておりますが、地方議会等に対してもヤングケアラー支援条例制定の働きかけを行っておられると聞き及んでおります。  令和4年1月現在、ケアラー支援に関する条例の制定状況は、令和2年3月に施行されました埼玉県の埼玉県ケアラー支援条例をはじめ、北海道栗山町、三重県名張市、岡山県総社市、岡山県備前市、そして、令和3年12月、去年の12月に施行されました茨城県のケアラー・ヤングケアラーを支援し、共に生きやすい社会を実現するための条例など、2県3市1町で制定をされているのが現状です。このうち、埼玉県および茨城県の県条例は議員提案、その他の自治体の条例は首長提案により制定をされています。  そこで、本県でもヤングケアラー支援条例の制定に向けた取組を急ぐ必要があるのではないかと考えます。もちろん我々議会が果たす役割も重要だと考えますが、条例制定に向けた知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  ヤングケアラーを把握し、適切な支援を行うことは、先ほど来るる御確認いただきましたけれども、福祉と教育、県と市町の連携、協力は不可欠であり、ヤングケアラーへの対応は、これら関係機関において共通の課題であると認識しております。  直ちに条例を制定するということは現時点考えておりませんが、子供が子供らしく生活できる環境を整えることは行政の役割であり、責務であります。まずはしっかりとヤングケアラーの支援施策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)少々残念なお答えだったんですけども、そういう自治体が増えてくれば、また滋賀県の機運も変わってくるかと思いますが、私個人としては、できるだけ素早く条例をつくって、組織、機関が動きやすい体制を取っていただきたいというふうに思います。  最後に、今回、私、この質問をするに当たりまして、児童福祉法で掲げられました、児童は適切な教育を受け、健やかな成長、発達や自立が図られることを保障される、そういう権利を有するという理念、そして、子どもの権利条約が掲げます4つの権利です。生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利について改めてちょっと勉強させていただきまして、この視点に基づき、子供が子供らしく生きる権利についてと題しまして、今回、ヤングケアラーの支援対策について質問をさせていただきました。  先日、テレビを見ておりましたら、自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部では、昨年6月に、子ども政策を推進するに当たり、「こどもまんなか」改革という考え方を示されまして、この考え方に基づき、子供の視点、子供の目線で子ども政策をつくり直すと強く決議されました。去る2月18日の衆議院予算委員会において、岸田首相も、子ども政策に関する質問に対して、「こどもまんなか」改革というフレーズを使い、答弁をされておりました。まさに混沌とする時代の中にありまして、子供というのは人類の宝でありますし、人類の資源でもございます。そういう意味では、「こどもまんなか」というのはすばらしい言葉というふうに思います。  また、知事も、今年の年頭の挨拶の中で、「子ども、子ども、子ども。子供のことに力を入れる。『この子らを世の光に』の思想を持って、子供のために子供と共に進む県政、滋賀県政をつくりたい。母子保健事業を強化し、産む前、生まれる前から、ヤングケアラーや児童養護を含め、切れ目なく支え合う子育て支援をつくっていく」と力強く述べられていますが、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとしての本当に強い決意表明だと私は受け止めさせていただきました。そこで、今回の質問の一番最後に、子供と共に歩む県政に向けて、知事の決意をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  子供は、社会にとってかけがえのない存在であり、一人一人が自分らしく健やかに育つ権利を持っており、社会の主役として成長してほしいと願っております。  また、主体として、まさに主体として、子供のために子供と共に歩む県政をつくっていきたいと、その言葉のとおりでございます。そのため、母子保健事業や子育て環境の整備、さらにはヤングケアラーをはじめとする困難な環境にある子供、若者への支援など、生まれる前から子育てに至るまで、切れ目のない支援を集中的に取り組みたいと考えておりますし、こういった保健や福祉の問題だけではなく、環境、気候変動に関すること、暮らし全般に関わること、健康や交通、交流に関わること、全ての面で子供の意見を反映される、そういった県政にしていくことも追求していきたい、これがより良き自治の追求という言葉に込めた思いでございます。高校生時代、冨波先生に食ってかかった時代を思い出しながら今述べておりますよ。  一人一人が幸せを実感できる、子供自身の声や思いを大切に受け止めながら、誰一人取り残すことのない、子供たちの今を笑顔と幸せあふれる未来へとつなげてまいりたいと考えております。 ◆38番(冨波義明議員) ありがとうございました。終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、38番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、11番黄野瀬明子議員の発言を許します。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇、拍手)第6波の感染対策について、一問一答で伺います。  オミクロン株の急激な感染拡大で、学校や保育施設で、懸命の感染対策にかかわらず、休校や休園が相次いでいます。保護者は、また休園かとストレスが募ります。休園中、誰が子供を見るのかが悩ましく、高齢や病気持ちの祖父母には子供の感染の有無が分かるまでは預けにくく、夫婦どちらかが仕事を休みます。独り親には余地はありません。  知事は経済を止めないと言われますが、最も感染の多発する場所での感染封じ込めができていないために、多くの働く保護者の仕事は止まっています。知事は、「積極的疫学調査を、医療機関や高齢者施設など、学校、保育関連施設を対象として重点化し、イベントベースサーベイランス事業の検査受付条件の緩和や高齢者施設などの従事者に対する集中的な検査を実施している」と答弁されました。しかし、県内各地の学校、保育施設では、検査してもらえないとの声ばかりです。結果的に無症状感染者が感染を広げています。  ワクチンが間に合っていない下で感染を抑える策は検査しかありません。以下、検査について伺います。  第6波の感染の影響で、保育施設、高齢者施設でどれだけ休園などがされたのか、健康医療福祉部長に伺います。 ○議長(富田博明) 11番黄野瀬明子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  第6波の中での保育所、認定こども園等の休園状況についてでございますが、1月以降2月15日までに市町から県に報告のあったものの集計で、これまで、一部休園を含めまして、全487園のうち延べ311園で休園されたところでございます。  放課後児童クラブにつきましては、これまで全333施設のうち延べ123施設で休所されたところでございます。  また、高齢者施設につきましては、休止状況は把握しておりませんが、1月以降2月15日までの施設から県に報告のあったものの集計で、これまで延べ239の施設から施設内で陽性者や濃厚接触者の発生が報告されているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)学校については、第6波の感染でどれだけ学級閉鎖となったのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  2月9日の時点でございますが、文部科学省に報告をいたしました県内公立学校の臨時休業数は、幼稚園で全園閉鎖が9園、学年、学級閉鎖が4園、小学校では学校閉鎖が2校、学年、学級閉鎖が61校、中学校では学年、学級閉鎖が18校、高等学校では学年、学級閉鎖が2校、特別支援学校では学年、学級閉鎖が1校となっているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)第6波の事態に対して、県は、学校、保育施設、高齢者施設の感染対策として、県独自のイベントベースサーベイランスのPCR検査、長いので、以下、EBS検査と言います。この運用を変更されましたが、どのように変えられたのか、以下、指定するまで健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  イベントベースサーベイランス事業は、風邪様症状者が増えているなど現場の気づきを基に、クラスやフロア単位で一斉の検査を行う事業でございまして、学校等であればクラスで2割以上、高齢者施設であればフロアで1割以上の風邪様症状者の発生を確認した場合等を検査申込みの判断指標としていたところでございます。  今回の感染急拡大を踏まえまして、1月17日からは、当面の間、風邪様症状者が一人でも発生した場合にも検査可能といたしまして、1月25日からは、陽性者が一人でも発生した場合にも検査可能として運用を変更したところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)保健所の積極的疫学調査の結果を待たなくても実施できるのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  イベントベースサーベイランス事業では、陽性者が発生している場合であっても、保健所の積極的疫学調査の実施を待つことなく申込み可能としているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、そのEBS検査ですけれども、学校や保育施設が利用する場合、どのような流れで実施されるのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  イベントベースサーベイランス事業を利用される場合には、施設から検査総合窓口にお申込みいただきまして、検査総合窓口と対象施設で検査容器の配送、回収日時など検査に必要な調整をさせていただきます。その後、検査総合窓口が検査容器を施設に届けまして、受検者が採取した検体を施設で取りまとめの上、検査総合窓口が検体を回収し、検査機関まで搬送することとしております。  また、結果につきましては、判明次第、検査総合窓口が施設に対して報告を行い、施設から受検者に対して御連絡いただくこととしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)これまで、私、しつこく一人でも感染者が出たら全員の検査をするようにと求めてまいりました。ようやくそういう意味で運用の変更がされたわけですけれども、実施されているかが問題です。運用を変える前までの実績は全県でたったの3施設でした。運用を変えた後、どれだけ実施されたのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  運用を変更した1月17日から2月23日までの間で、高齢者施設が63施設、保育関連施設が79施設、障害者施設が64施設、学校が45校の計251施設、延べ8,598名の検査を実施しているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)実施件数は増えておりますけれども、先ほどの休園数ですとか発生件数に対しては、まだ検査数が少な過ぎると思います。検査が徹底されていないことが感染を広げています。事例は山ほどありますけれども、例えば、長浜市の小学校4年生の生徒のクラスで感染者が発生をして学級閉鎖になりましたが、その子は検査はされず、休校中、在宅で発熱をして、発熱外来で受検、検査を受けて陽性が分かりました。その3日後、両親と小学生と保育園児の兄弟全員に家庭内感染しました。父親は無症状であった間に仕事に行き、兄弟は保育園にも行っています。子供や保護者が感染の媒介にならないように、学校で1人の陽性者が発生したら、すぐにEBS検査が必要と思います。なぜ学校現場では検査の実施が少ないのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  学校でのイベントベースサーベイランス検査の実施につきましては、先ほど健康医療福祉部長から答弁がありました運用方針の変更後、学校で活用いただきやすいように、学校向けの活用フロー図を作成いたしまして、1月26日に県立学校および市町の教育委員会に送付し、周知を図っているところでございます。  従前、実施する学校が少なかった理由といたしましては、やっぱり学校現場では、当初、保健所による調査を希望する声が多かったことが要因の一つではないかと考えております。  そこで、県立学校におきましては、陽性者判明の報告があり感染拡大の可能性がある場合は、イベントベースサーベイランス検査の実施を各学校に検討いただくこととしておりまして、現在では、徐々にではございますが、その活用が進んでいるものと認識をいたしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)徐々に進んでいるということですけれども、私も、この間、学校現場の皆さんからや、また保護者の方から聞いておりましたら、やはり発生しても保健所の結果を待っているという傾向が多く聞かれます。徹底してこのEBS検査をすぐにするということを改めてしっかり方針として県教育委員会として確立されているのか、この点について再度伺います。 ◎教育長(福永忠克) 先ほども御答弁申し上げましたが、このイベントベースサーベイランス、やはり各学校でどういうふうに事務を進めていけばいいのか、その負担というものもやはり一定あるというふうに認識をしております。  そういった中ではありますが、やはり保健所の対応を待たずに検査をするということは大切でございますので、その点につきましては、既にフロー図で先ほども申し上げました1月26日に通知をしておりますが、今後、引き続き感染状況を踏まえて、その徹底を図ってまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)保育施設でも検査は徹底されておりません。草津市や栗東市の保育園の保護者からも、感染者が発生をして休園になったけれど、検査はされず自宅で待機、家族が感染したとの声が寄せられております。児童クラブでも同様です。保育施設でなぜEBS検査の実施が少ないのか、以下、指定するまで健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  イベントベースサーベイランス事業につきましては、事業開始や制度改正の際、市町を通じまして保育所、認定こども園、放課後児童クラブ等に周知を行い、実施を促してきたところでございます。  市町からは、これらの施設においてイベントベースサーベイランス事業を利用した結果、感染拡大を防げたり、休園期間を短縮できたといった声を聞いているところでございます。  一方、お尋ねのあった検査を実施しなかった理由といたしましては、そもそも保健所による施設調査が円滑に行われたことから活用する必要がなかったという声がある反面、実施した場合、結果判明まで日数を要することや、陽性者が発生していない段階において活用を施設で判断することは難しいといった声も聞いているところでございます。  こういった声もありますことから、今後、機会を捉えて、改めて本事業の効果や目的を理解していただき、本制度を有効に活用していただけるよう、施設に直接周知するなどの対応を行ってまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)感染を防げた、日数も短縮できたという効果も得られておりますし、何より、本当に感染を防ぐ、これが一番の目的だというふうに思います。  第6波の特徴ですけれども、知事も言われておりますけど、学校、保育施設、高齢者施設、こういうところが感染のいわゆる震源地となっていますし、ここからの伝播を止めるというところにこの第6波を止める力点があるというふうに思います。ここでの本当に対策というのは、今は検査しかないというふうに思います。  検査の方針、大分運用が変えられてきましたけれども、やりたければできるという中途半端な運用ではなくて、成り行き任せではなくて、やはり感染の封じ込めのための戦略として検査をするんだと、こういうふうに確立していただきたいというふうに思いますが、再度部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  検査につきましては、今のイベントベースサーベイランス事業のほか、行政検査、施設の一斉検査など様々な検査、取り組んでおります。もちろん保健所の積極的疫学調査による検査もやっております。  先ほども教育長から御答弁されましたように、学校現場におきましても保健所の調査も入っている場合もございます。その都度、御報告があった現場に応じて、どの検査が適切で効果的か、そういった視点で取り組んでまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次に、休業補償について伺います。  学校などの臨時休業で親が休業を余儀なくされております。事業所が有給休暇とした場合や、しない場合でも保護者が国に休業補償を請求できる小学校休業等対応助成金の制度が復活しております。ところが、制度を知らない保護者が多かったため、昨年9月定例会で、私、学校や保育所から直接案内されるよう求めました。商工観光労働部長は、「学校や保育園などから必要に応じて制度の案内をしていただくことが効果的と考えられますことから、滋賀労働局と共に、教育委員会、市町などの協力を得ながら、保護者に届けられるよう周知に取り組む」と答弁されました。しかし、第6波でも学校や保育所から案内を受け取ったという話を聞きません。周知はどうなっているのか、以下、指定するまで商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) (登壇)お答えします。  昨年9月30日の制度再開後、国からの周知依頼に基づき、教育委員会、健康医療福祉部などから、県所管の対象施設には直接、また、小学校や保育園などにつきましては、市町に対して保護者向けの周知を依頼しました。  また、学校等での感染拡大の兆候が見られた本年1月にも、さらに、保護者からの直接申請の手続が改善されたことを受けまして、今週にも改めて周知を行ったところでございます。  あわせまして、直接県民に制度を知っていただくために、県ホームページやSNSなどを活用するとともに、テレビ、ラジオ、新聞折り込みなど、様々なメディアを活用した周知に取り組んでいるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)また、コールセンターになかなかつながらない、つながっても、電子アナウンスの対応にいらいらするとの苦情も寄せられておりますが、相談体制はどうなっているのか伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  国のコールセンターにつきましては、第6波以降、全国的な小学校等の休業に伴い、問合せが急増したことから電話がつながりにくい状況もあったと聞いております。  このため、国では、既にコールセンターの体制強化を図るとともに、LINEチャットボットを活用し、各種問合せに遅滞なく対応できる体制を構築されました。  また、コールセンターに加えまして、滋賀労働局でも特別相談窓口を設置し、個別相談に対応されているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)滋賀労働局の個別の親切に応答していただける県の電話窓口があるということも含めて、分かりやすい案内を求めます。まだ知らない方もあり、また、使いにくい制度でもありますが、現在の制度の申込みと実績を伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  昨年9月の制度再開後の事業主を対象とした小学校休業等対応助成金の支給実績は、令和4年2月18日時点の累計で、申請件数が209件、うち支給決定件数が167件、支給決定額が1,058万円でございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この助成金は、企業が利用しない場合、労働者個人でも申請できますが、労働局が企業に働きかける過程で、事業主が休業を認めず、協力してくれない事例があります。個人申請で労働局が事業主に行った働きかけは何件あり、事業主の協力を得たのは何件か伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  滋賀労働局が事業主へ行った働きかけの件数および事業主の協力を得た件数等につきましては、滋賀労働局からは現時点において公表はされておりません。ただ、先週の段階で、働きかけを行ったほとんどの事業主からは協力を得られていると聞いております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)3週間前の国会の議論ですけれども、働きかけ件数に対して約1割の方が協力を得られなかった、利用できないで困っておられるという議論がされておりました。滋賀県でもその程度の方が困っておられる可能性があります。  米原市は、国の制度で利用できなかった方を対象に、市独自の制度を実施されております。人口4万人弱の米原市で、昨年は71人、今年は既に十五、六件の申請があります。1月末の申請数がこれから急増する見通しだそうです。ほとんど非正規の女性、また個人事業者の方もあるそうです。滋賀県でも実施することを求めますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)先ほどの商工観光労働部長の答弁のとおり、滋賀労働局からは、働きかけを行ったほとんどの事業主から協力を得られていると伺っております。  米原市の例につきましても、申請に当たって事業主の協力が必要であることは同様でございまして、県といたしましては、滋賀労働局と連携いたしまして、事業主に対し、国の制度が必要な方に利用してもらえるよう周知に努めますとともに、労働者が安心して有給休暇を取得できる環境づくりに向け、引き続き働き方改革の推進に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)米原市だけでもかなりの数ですので、全県的にも多くの方がお困りだと思います。労働局からの働きかけでは、事業者では拒否感が出るというのがあります。一方、米原市からの働きかけでは応じていただける、そういうことも聞いておりますので、やはり困っている人を救うというのが大事だと思いますので、支援を受けられずに困窮されている滋賀県民の皆さんに直接届けられる支援として進めていくべきというふうに思います。  次に行きます。男女賃金格差の解消についてです。  コロナ禍で女性からの相談が寄せられております。非正規の女性が失業して、生活保護の相談や、独り親パート労働者の休業補償の相談、国民年金生活の独居の女性の困窮相談などなどです。  この問題で、昨年6月定例会で、節木議員の質問に対し、中條副知事は、「新型コロナの影響は、就労の場では非正規労働者の割合が過半数を占める女性の雇用を直撃した」と述べられ、「新型コロナ危機は、働き方や価値観に大きな影響を与え、これまでの男女共同参画の課題を改めて明らかにした。その課題を踏まえた滋賀県男女共同参画計画・滋賀県女性活躍計画の策定を進めている」と答弁されました。その認識を共有し、日本共産党県議団は、ジェンダー格差を是正する実効ある計画にするために、働き方、意思決定機関の女性比率、女性への暴力の根絶、包括的性教育などを柱に提案をいたしました。  このうち、今回、男女の賃金格差の問題を質問いたします。  資料を作りました。(資料掲示)滋賀県毎月勤労統計から、集計可能な2003年から2019年の男女の賃金格差をグラフにいたしました。御覧のとおりですが、女性の賃金は男性の半分しかなく、生涯賃金では約1億円の格差になります。賃金の低さは年金額にも影響します。2019年の厚労省の発表した女性の国民年金額の平均月額は5万3,699円で、男性との格差91%、厚生年金の月額平均は10万3,159円で、男性との格差61%です。  年金者組合滋賀県本部女性部が昨年まとめたアンケートでは、無職や非正規雇用であった女性の年金収入は生活保護以下という方もあり、夫が先に亡くなった後、独居の女性の暮らしは困窮を極めます。女性は、生涯にわたって夫の収入に扶養されることを前提とした働き方や賃金構造があります。男女の賃金格差は、女性の家庭的、社会的な地位を低くしている根本問題と考えるものです。国連の女性差別撤廃委員会から男女の賃金格差を縮小するための取組を強化することが求められております。  まずは、男女の賃金格差についての基本的な問題認識を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 男女雇用機会均等法など法整備が進んだことで、企業における女性の職域が拡大し、管理職の割合も上昇傾向にございますが、依然として男女間の賃金格差が生じている状況がございます。性別にかかわらず、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するためには、男女間の賃金格差の是正を図っていく必要があると認識しております。今行われております春季生活闘争の中でも、このテーマで幅広い議論が展開されることを期待したいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、男女の賃金格差は何が要因か、以下、指定するまで商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  男女間の賃金格差は、男女の平均勤続年数や管理職比率に差異があることが主な要因となっています。また、非正規雇用の割合で男女間に違いがあり、女性では非正規雇用の割合が男性に比べて高いことも影響しているものと考えております。
    ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)そういったことを背景にして、全国だけじゃない、全世界的にも男女の格差はあるということで、EUでは、女性の賃金は男性の8割から9割で、日本より格差が小さいですが、それを重大な問題として、男女賃金格差の公表を企業に義務づけ、透明化をてこに是正させるEU指令案を発表しました。罰金や公的な入札からの排除などの罰則もある実効性ある政策です。  滋賀県は、滋賀県女性活躍推進企業認証制度で、県内の企業の男女の賃金格差の公表もされておりますが、これはどういう制度なのか伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  滋賀県女性活躍推進企業認証制度は、企業、団体等における女性活躍の促進を図ることを目的といたしまして、県内に本社または事業所を置く企業、団体などを対象に、女性活躍の取組状況を測る32の基準の達成状況に合わせ、一つ星、二つ星、三つ星の3段階で認証するものでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この制度の今言われました認証基準とされている32項目の中に、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金が74.3以上であるとの項目がありますが、この項目を設ける目的は何か伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  男女の賃金格差につきましては、男女の役職や雇用形態、勤続年数等の差によりまして賃金格差が生じていることから、男女間の不平等を総合的に示す指標であると考えられ、基準の一つとして設けているものでございます。こうした基準を設けることで、県内企業、団体が自社の状況を振り返り、対策を講じることを期待しているものでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)男女の賃金格差の解消そのものを目指した項目があるということは先進的だというふうに思いますが、企業の自己点検では効果は期待できません。男女の賃金格差は、公表することによって、その格差が女性差別ではないことの説明責任が事業者に負わされて、その結果、男女の不平等な格差を是正することになります。  県が認証しておられる企業は今277社ですけれども、そのうち男女の賃金格差を公表されている事業者は何社か伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  令和4年2月15日現在の認証企業277社のうち、賃金格差の項目について基準を達成している事業者は61社で、うち36社が公表しているという状況でございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)基準達成が22%、数値を公表しているのが12%です。9割近くのほとんどの認証企業が賃金格差の公表を選択されておりません。格差解消に実効性ある制度にするために、男女賃金格差の公表を必須とすべきではないか、伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  この制度の取組項目公表の目的は、自社の様々な取組をPRしていただき、人材確保に役立てていただく、もって企業における女性活躍を促進していくことにありますため、女性正規従業員比率以外は公表を任意とし、各事業所がアピールしたい項目を最低5項目以上選んで公表いただく制度としているところでございます。  とは申せ、男女賃金格差の是正は非常に重要な課題であると認識をしております。認証制度におきましても、男女間の勤続年数の差や、正規雇用への転換制度の有無、女性管理職の割合など、男女間の賃金格差を生む要因となる様々な項目を基準とすることで、最終的に賃金格差の縮小にできるだけつながるような取組を推進しているところでございます。  なお、開示制度の在り方につきましては、国のほうでも制度見直しの動きもありますことから、その動向につきましても注視してまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今、国のほうでもその点が議論は始まっているところなんですけれども、今の滋賀県の制度では、今おっしゃられたように、男女の賃金格差、公表しなくても、32項目ある中から5項目以上満たせば認証されます。企業が選んでいる項目で多いのは、育児や介護の有給休暇制度があるとかイクボス宣言をしている、これ自体はよい取組だと思うんですけれども、実績が問われない項目が目立ちます。育児休暇の取得率の項目では、女性が93.8%以上であることに対して、男性は7.9%以上であることと、男女の格差がそのまま認証基準となっております。認証企業となれば、建設工事入札の資格審査でポイントが加算されます。商工中金の優遇利率が受けられます。県の公共調達で優遇されます。県のホームページでPRもしてもらえます。滋賀県が、女性が活躍する企業と認証して優遇するのであれば、男女の賃金格差の解消に実効性ある制度に改善すべきではないかと思いますが、見解を伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  お取り上げいただいております男女の賃金格差、大変重要な問題でございますので、これにつきまして、この制度をどういうふうな形で運用していくか、この不断の見直しは必要であろうかというふうに考えておりますが、一方で、この認証制度、滋賀県の企業様にできるだけ自主的な取組を促し、女性活躍につなげていただく、そのことも大事にしてまいりたいというふうに考えております。特に、県内企業の99%以上を占めます中小企業にどのような取組をしていただくか、そのことも考えながら、不断に制度運用の見直しなどもしっかりと考えてまいりたいというふうに存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)零細事業者のところでは厳しいということもよく理解はいたします。ですので、企業の規模に応じてやはりランク分けをして目標を設定するということも必要だと思います。何より、この男女の賃金格差の公表こそ実施するべき問題だというふうに求めておきます。  次に、女性の賃金の低さの要因である非正規雇用率の高さについてです。  滋賀県が作成をしたパート、アルバイト割合の推移のグラフによりますと、(資料掲示)昭和57年から平成29年で県の女性の非正規雇用率は28%から47%まで増えました。男女の格差は37ポイントです。県の女性の非正規雇用が増え続けていることについて、基本的な認識を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  総務省の労働力調査によりますと、全国の非正規雇用労働者の人数は、男性、女性ともに徐々に増加しており、令和2年で男性が665万人、女性が1,425万人となっておりまして、男女とも近年ではやや増加傾向となっております。  また、男女別の役員を除きます雇用者のうち、非正規雇用労働者の割合は、男性が22.2%、女性が54.4%となっており、ここ数年はおおむね横ばいとなっておりますが、女性の雇用労働者の半分以上が非正規雇用労働者となっている、こういう現状がございます。  同調査による本県のデータに関しましては、まとまった公表データがないことから、正確な傾向はお示しできませんが、国の労働力調査では、ここ数年、女性の非正規雇用労働者の割合は横ばいで、令和2年では人数、割合ともに若干低下しているとのことでございます。低下した要因は、コロナの影響など様々な要因が考えられますことから、今後とも注意深く見ていく必要があると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)冒頭、中條副知事の答弁を紹介しました。新型コロナの影響は、非正規雇用労働者の割合が過半数を占める女性の雇用を直撃した、働き方や価値観に大きな影響を与え、これまでの男女共同参画の課題を改めて明らかにしたとのことですが、失業、臨時休校での収入減、外出自粛でのDV被害の増加、自殺の増加、これらの背景に経済的自立できない非正規雇用の働き方がある、その転換が必要との認識があるのかということについて、知事に再問をいたします。 ◎知事(三日月大造) 目下コロナ禍を経験しておりまして、兼業、副業を含めて多様で柔軟な働き方の選択肢が広がってきていることもございます。非正規雇用労働者の中には、自分の都合によい時間に働きたいからなどの理由により、自ら非正規を選ぶ方も一定数おられる状況がございます。一方、正規雇用を希望しながら、それがかなわず、非正規雇用で働かれる方もいらっしゃいます。誰もが希望する働き方を選択でき、働く人が公正な待遇の下、より安定して働き続けられるようにすることが重要だと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、女性の非正規雇用が増え続けている要因について、どのように分析をしているか、以下、指定するまで商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えします。  平成11年12月の労働者派遣法の改正により派遣業種が拡大されたことにより、平成12年頃からパート、アルバイト以外の非正規雇用者が増加していることが一つの背景にあると考えられます。  さらに、企業側の要因として、バブル崩壊以降、企業の経営悪化によって、人件費の削減や雇用調整の必要性から非正規雇用の増加が加速していったことも挙げられるところでございます。  また、出産により離職した女性が、その後に育児にかかる時間とのバランスを取るためパートタイム労働を選択する傾向にあることや、平成29年就業構造基本調査では、世帯全体での税や社会保険料の負担等との兼ね合いから、収入や就業時間等との調整を行っている割合は、女性非正規雇用者の31.7%となっており、賃金が上がり過ぎないよう、あえて就業を抑制する就業調整の動きもございます。  令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査では、正社員以外の雇用者に対しまして、現在の就業形態を選んだ理由(複数回答3つまで)を尋ねたところ、「自分の都合の良い時間帯に働ける」との回答が38.4%と最も多い状況でございました。一方で、「正社員として働ける会社がなかったから」と答えた方も11.5%と、正規雇用を希望しているものの就職がうまくいかず、非正規雇用を選択している労働者も少なくない状況でございます。こうした様々な要因があると考えるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今の部長のアンケートは置いて、今お聞きしたのは要因でございます。女性の非正規雇用が増えた背景、派遣労働法によって派遣が増えた、また、企業が雇用調整の必要性があって、そういった雇用をつくっている、また、家事育児や介護との両立ができない構造がある、また、税制度の歯止めもあるということが主な要因ということでありますけれども、これらは、女性の非正規雇用が増え続けている、先ほど知事が言われましたけれども、女性が自分の都合によい働き方をしたいということで選んでいるんだという自己責任論がよく出されますけれども、今の要因は女性の努力で解消できることなのか、再度部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  非正規雇用には、やはり賃金の格差、また様々なキャリアアップの機会が失われる等々、様々な問題点も指摘をされているところでございます。そうしたことから、できるだけその女性にとって望ましい働き方を実現していくということがもちろん大事なことでございまして、先ほど申し上げましたような要因、この中には、やはり社会的な要因、あるいは制度に起因するもの等々も多々あるわけでございまして、そうしたことにつきましてさらに実態を調査する中で、国全体で、また県としても取り組むべきところは取り組んでいくということで、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、滋賀県女性活躍推進企業認証制度で、女性の正規雇用率を公表することを必須要件とされておりますが、その目的を伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  女性正規従業員比率は、他の項目値に比べて比較的算定が容易であるため負担が少ないことや、組織の状態が一目で分かる最も基本的なデータであり、これをベースに今後の採用計画や女性管理職の登用目標を設定するなど、自社の女性活躍を進める上で必要な基礎数値となることから、特に強く意識していただくことを目的に公表を必須としているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)県が今認証されている企業には、女性の正規雇用比率0%の企業も10社ありまして、全国平均の基準となっている32.5%を下回る企業も多くあります。全体のうち基準を下回る企業は何社か伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  女性正規従業員比率の基準値は、全国平均値を基に2年に一度改定しているものでございます。  現在の基準値32.5%を下回っている事業者は166社で、認証企業全体の6割という数字でございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)全体の6割が、今、全国平均より下回る非正規雇用の割合だということです。  女性の正規雇用率が全国平均を下回る企業には、平均以上に引き上げることを求める仕組みになっているのか伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) そういった項目につきまして、基準値を設けることによりまして、自社の状況をしっかりと認識をしていただく、そのことによりまして、それぞれの企業におけます取組を促すという効果はあるものと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)企業の見直しだけではなかなかいかないというふうに思います。(資料掲示)それは、滋賀県が作られているこのグラフでも明らかです。これは、非正規雇用比率がどんどん増えているということで、先ほど部長自身がお答えになった、企業が雇用調整の調整弁として非正規雇用をつくっているとか、派遣労働の法律ができて、それがその後押しになっているとか、様々そういう要因がある中ですので、非正規雇用が増え続けていることに対して、企業の認識を変えるということは、やはりそこに法律や滋賀県などの行政の厳しい歯止めがなければいかないものだというふうに思います。  先ほど、この基準の項目を2年に1回見直しているということがありました。それ自身も、この全国平均の32.5%というのが今基準になっているわけですけれども、全国平均で基準をつくっておられるということでして、これは非正規雇用がどんどん増えているということの裏返しで、正規雇用はどんどん全国的にも減っているというものです。ですので、見直すたびにこの傾向では、正規雇用の基準は下がっていくし、企業に対しても歯止めがかからない、引き上がる担保がないというものだというふうに思います。滋賀県が女性が活躍できる企業だと認証して優遇をするというのであれば、女性の正規雇用率を引き上げていくことを担保した制度にするべきではないのかと思います。その点について伺います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  正規雇用の問題、大変重要な問題であると認識しておりますので、その問題をこの制度の中でどのように運用改善に生かしていくか、この視点は常に持ちながら制度運用に努めてまいりたいというふうに考えております。  一方で、先ほども申し上げましたが、この認証制度自体、できるだけ企業の皆様の主体性を尊重する中で、できるだけ多くの企業様に取り組んでいただく、その取組を県として後押しをし、認証していく、そういった制度の目的も大切にしてまいりたいというふうに考えておりますので、その辺りの両面をしっかりと考えながら運用改善に努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)最後、知事に伺います。  女性にばかり困難が集中する働く場の男女のこの格差を解消することが、コロナ危機を踏まえた男女共同参画計画であるべきだというふうに思います。正規雇用で就労したいにもかかわらず、パートやアルバイトを選ばざるを得ない女性に正規雇用の就労の場をつくることは、まさに滋賀県政がしなければならないということだと思います。  県の計画の女性の就業率向上の目標は、今、正規も非正規もひっくるめてという目標になっておりますけれども、正規雇用というものをしっかりと据えて、その目標値を据えて進めていくべきではないか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 女性の希望する働き方を実現する観点から、正規雇用の就業率に限定した目標の設定は適切ではないと考え、正規雇用と非正規雇用を合わせた女性の就業率を目標として設定したところでございます。  しかしながら、こうした目標値の進捗の評価を行うためには、雇用形態別の状況を把握していくことが重要でありますことから、正規、非正規ごとの女性の就業率を参考指標として、目標値の進捗と併せて注視してまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは企業の市場の原理に負けてしまって、女性の安定した雇用の場は拡大できていかないというのがこれまででした。それを、やはりコロナ危機を経験して、女性が本当に安心して家事も育児も男女で担うんだと、そういう環境をつくっていくことが今求められているというふうに思います。そういう点では、正規雇用というものをしっかりと据えて、それをどれだけ拡充していくかということを滋賀県政が目標を定めなければ進んでいかないというふうに思います。今の議論を通じて、本当に一層そう思いました。  男女共同参画や女性活躍というスローガンは掲げるけれど、男女の賃金格差の公表や女性の正規雇用比率の引上げは企業任せ、あるいは女性の努力任せということでは格差の解消はできません。男女平等を本当に実現する実効性ある施策に改善をしていくことを求めるものですが、最後、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 大きな意味で、また広い観点から、男女が共に家庭的な役割も担い、社会全体でそれぞれの地位を高めていく、こういうことは大変重要だと私も思いますし、議員はスローガンと表されましたけれども、そういった目標であるとか、そのために何をしていくのかということは絶えず掲げて追い求めていきたいと思います。  そこに至る過程でどのような指標を持ちながら、できるだけ多くの企業が大小規模を問わず底上げを図っていくことができるのか、こういったことも併せて必要だと思いますので、その両面を持ちながら取組を進めていきたいと思っておりますので、ぜひお力添えなり様々な御指摘、御鞭撻をいただければと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)目指す方向は一緒なんですけれども、それに指標、目標がなければ進んでいかないということですので、ぜひ指標、目標を定めていただきたいということを申し上げて質問を終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、11番黄野瀬明子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時33分 休憩    ────────────────   午後1時20分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告に従いまして質問を行ってまいります。  まず、最初の項目は、新型コロナウイルスの感染症の検査について、分割方式で質問をいたします。午前中も少しこのテーマで議論が進められましたけども、一部重なるところもあるかもしれませんが、明確なる御答弁をお願いいたします。  新型コロナウイルス感染症は、今年に入って、多くの人の想定を超える勢いで感染が広がり、私たちの暮らし、社会活動などに大きな影響が及んでいます。最近の1日当たりの検査での陽性者数は、一時の増加の一途という状況ではなくなりましたが、1,000人前後と高止まりをしていて、引き続き新型コロナウイルス感染症への対応が求められる状況にあります。  知事は、今議会においても、折に触れ、感染状況に応じた感染拡大防止と社会経済文化活動の両立を図っていくことが非常に重要であるとされています。この両立に必要不可欠な条件の一つは、検査が適切に迅速に行われることであると私は考えます。  検査の能力については、滋賀県は1日当たり約1万件の検体採取能力と検査分析能力があるとしています。これは、行政が行う疫学調査としての検査と、病院、診療所が行う医療としての検査を合わせたものであり、行政検査の件数、これだけで見ると、PCR検査は3,945件、およそ4,000件となっています。ただ、これらは件数としてはということです。  では、検査にかかる時間はどうでしょうか。この時間も検査の重要なファクター、能力であると考えます。  特に、行政検査で行われる積極的疫学調査は、ある検査で陽性になった人が判明したところから、濃厚接触者もしくは濃厚接触者ではないが検査をしたほうがよいとされる人を特定して、検査を受けてもらい、感染の広がりを防ぐという趣旨だと理解をしています。この行政検査、積極的疫学調査に要する時間は、短いほうがよいことは言うまでもありません。しかし、現状は、濃厚接触者もしくは濃厚接触者ではないけれども検査をしたほうがよいとされる人を特定、そして、検査に至る前段までの時間が非常にかかっている、ここに時間を要している状態が見受けられます。また、PCR検査自体も、結果が分かるまでに時間を要する場合もあるとされています。  この積極的疫学調査に要している時間は、感染拡大防止だけでなく、社会経済文化活動の維持にとっても重要な条件となります。特に、検査の要否を確定する時間は、調査の結果、検査の対象とならなかった人にとっては、行動制限される時間の保証がされるわけでもなく、このために社会活動に参加できないのは社会にとっても影響が大きく痛手であるわけで、短くあるべきだと考えます。  また、この積極的疫学調査に要している時間が長いということは、この業務を現在懸命に担っていただいている保健所の業務がなかなか進まないということにほかならず、この状況の改善は保健所の負担軽減にとっても非常に重要であると言えます。  様々な意味で、検査に要する時間をできる限り短くし、短い状態を維持することは非常に重要なことと考えます。  ところが、この積極的疫学調査をはじめ、検査に要している時間については、あまり議論になっていないように感じます。積極的疫学調査は、1月18日からは、重症化リスクのある方が多数おられる医療機関、高齢者施設などや濃厚接触となる機会が生じやすい学校、保育関連施設に重点的に実施されるようになったとのことですが、それでも検査で陽性となる人が多い現状から、積極的疫学調査をはじめとする検査が必要となる状況は多くなることを踏まえて、以下、質問を行います。  まず、積極的疫学調査に要する時間について、濃厚接触者を特定し検査対象を確定するまでにかかる時間と検査対象者が検体を採取しPCR検査の結果が出るまでにかかる時間について、どの程度現在必要としているのか、1月以降の状況について健康医療福祉部長に伺います。  次に、この濃厚接触者を特定し検査対象を確定するまでにかかる時間に関して、現状の評価と、この時間を短縮する必要性についての見解を健康医療福祉部長に伺います。  あわせて、疫学調査に係る検査対象者が検体を採取し、PCR検査の結果が出るまでにかかる時間、これに要している時間の短縮についても健康医療福祉部長に見解を伺います。  次に、新型コロナウイルス感染症のクラスターを早期に検知し、早期に介入することによって大規模化を抑止するため、高齢者施設や障害者施設、学校、保育関連施設などにおいて体調不良を訴える人が増えているなど、ふだんと異なる現場の気づき、これをイベントと称していますけども、これを基に早期に検査を行うイベントベースドサーベイランス事業を実施しています。感染拡大の状況にあって、当初の要件を大幅に緩和しており、学校や保育関連施設などにおいては陽性者が一人でも発生した場合にも実施できるとされ、積極的疫学調査を補い、迅速な検査体制を構築しているとされています。  このEBS──イベントベースドサーベイランスでの検査について、受付から結果が出るまでに要している時間について、健康医療福祉部長に伺います。  また、この利用状況と事業の効果、評価についても健康医療福祉部長に伺います。  この項の最後に、無症状の方を対象に行われている検査もあります。この無料PCR検査についても、受付から結果が出るまでの時間について、これは知事公室長に伺います。  また、利用状況と事業の効果、評価について、これも知事公室長に伺います。 ○議長(富田博明) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事公室長(東勝) (登壇)新型コロナウイルスの検査体制に関する御質問のうち、私にいただきました無料PCR検査に関する御質問にお答えをいたします。  感染拡大傾向時の一般検査事業につきましては、無症状の県民の方の感染への不安解消や、陽性者の早期発見、早期治療につなげていくことなどを目的に実施をしておりまして、これまでに87か所の薬局等を検査実施場所として登録をいたしまして、制度開始から2月19日までの間に、PCR検査で7,153件、抗原定性検査で9,159件実施されているところでございます。  PCR検査の結果判明までに要する時間につきましては、事業開始当初、一部の検査機関におきまして、検体採取から3日目以降に検査結果が通知された事例もございましたが、現在はそうした状況が解消されておりまして、検体採取日の少なくとも翌々日には検査結果をメール等で受検者に通知されているところでございます。  現在、全国的に検査キットが不足する中ではございますが、検査実施場所を順次拡大をいたしまして、県内全域で検査を幅広く受けていただけるよう取り組んでおりまして、県民の皆様の感染に対する不安の解消に一定役立っているものと認識をしているところでございます。  また、検査の結果が陽性でありました場合は、各検査実施事業者等から近隣等の医療機関を紹介し、受診を促していただいておりまして、陽性者の早期発見、早期治療にも一定つながっているものと考えているところでございます。  今後も引き続き、検査実施場所の拡充等を図り、希望される県民の皆様により円滑に検査を受けていただけますよう努めてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)新型コロナウイルス感染症の検査についての5点の質問のうち、私にいただきました4点の質問にお答えいたします。  1点目の疫学調査に要する時間についてでございますが、1月以降、感染急拡大により、濃厚接触者を特定し検査対象を確定するまでにかかる時間につきましては、個別の事例により異なるため一概には申し上げられませんが、発生届が提出されてから1日から3日を要しているところでございます。  また、検査対象者が検体を採取しPCR検査の結果が出るまでにかかる時間につきましては、これも採取方法や検査を行う機関により異なるため、これも一概には申し上げられませんけれども、1日から3日を要しているというところでございます。  2点目の濃厚接触者を特定し検査対象を確定するまでにかかる時間に関する見解についてでございます。  感染拡大の防止や社会経済文化活動の継続の観点から、可能な限り短い時間で確定する必要性については認識しているところでございます。
     保健所での疫学調査の負担を軽減し時間を短縮するため、学校や保育関連施設等に施設内の行動を調査いただき、濃厚接触者などの候補者を保健所に報告いただくなど、御協力をお願いしているところでありまして、保健所におきましても体制を整えながら、速やかに濃厚接触者の特定が行えるよう努めているところでございます。  また、1月26日からは、患者本人から知人、友人等で濃厚接触者となる方への連絡をお願いし、濃厚接触者自ら県ホームページから申込みいただくことで、検査を行う仕組みを整えたところでございます。  施設や濃厚接触者にも御協力いただきながら、今後も可能な限り短い時間で濃厚接触者を確定できるよう努めてまいりたいと存じます。  3点目の検体採取から結果判明にかかる時間に関する見解についてでございます。  感染拡大の防止や社会経済文化活動の継続の観点から、これも可能な限り短い時間で検査結果が判明することが望ましいと考えております。しかしながら、検査数の増加による検査機関の逼迫によりまして、検査結果の判明までに一部で遅れが見られる状況にあると、これも承知しているところでございます。  このため、日々の検査機関の状況を踏まえまして、より早く検査結果が出ますように、衛生科学センターに加えまして、複数の民間検査機関を活用いたしまして、検査機関の処理能力、あるいは検体の運搬能力、取り扱う採取方法など全体を調整しながら、引き続き可能な限り短い時間で検査結果が出るように努めてまいりたいと存じます。  4点目のイベントベースサーベイランス事業の検査の実施状況についてでございますが、これも事例ごとに状況が異なりますので一概には申し上げられませんが、おおむね申込み受付後2日から3日程度で結果を報告しているところでございます。  また、事業を開始した9月15日から2月23日までの間で、高齢者施設が63施設、保育関連施設が79施設、障害者施設が65施設、学校が47校の計254施設で8,673名の検査を実施しているところでございます。  この事業によりまして、風邪様症状者が一人でもいる場合をはじめ、陽性者が判明した際にも、保健所の積極的疫学調査を待つことなく、早期に一斉の検査を実施しておりまして、また、検査の結果290名の陽性者が判明していることなどから、クラスターの早期探知や感染拡大防止に一定の効果があると考えております。  こうしたことから、引き続き、この事業を積極的に活用いただけるよう周知を図るとともに、クラスターの早期探知や感染拡大防止に努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)この質問で申し上げたいのは、午前中にも幾つか事例が紹介されましたし、私の知っている事例でいうと、無症状で陽性だよと言われた方が、御家族の皆さんに検査を受ける連絡が来るまでに丸々2日かかっている事例があったり、この待機している時間、ちゃんと皆さんの判断できちっと待機してくださっている人もいらっしゃるんですけど、この待っている時間、不安でしようがなかったり、ちゃんとやっている人は不安でしようがない。この時間に買物に行かなきゃとか、何もないぞみたいな話になっちゃったりすることもありまして、実はこの時間をつくってしまうことはあまり好ましくない、感染拡大防止の観点では好ましくないわけです。ですから、ここを詰める、ここが検査の能力だと思うんですよ。なるべく短くして、それを件数が増えたからといって延びていきますよというのではなく、なるべく短く。これ、どんどん検査が増えていって積み上がっていっているんだったら、連絡が行くのはどんどんどんどん遅くなるはずなんですけど、大体2日か3日ぐらいでけりがついているんです。ということは、どっかに改善の余地があるはずなので、何かそこを詰める工夫がもう一手要るんじゃないかなと思うんですけど、今ちょっと話で、学校においての検査は、学校において一定関係性だったり席順だったりとかリストだったりを出してもらうところまでしているんですよね。そこから判断するのにまた2日かかっている事例もあるわけですよ。こういうところをどうやったら詰められるのかというのは詰めていく必要があるんじゃないかと思います。これは、保健所の業務、物すごく大変な仕事を担っていただいて、いつも逼迫しているということなんですけども、そこを改善する一手にもなるのではないかと。この検査がしっかりときちっと行われていくことで感染拡大防止が図られる側面があるということは大事なことですし、知事がいつもおっしゃっている経済、文化、教育、こういうものをちゃんと継続していこうと思うと、ここで待機している時間は非常にもったいないので、ちゃんと配慮する必要があるんじゃないかと思います。今、何かここは検査のためには仕方がないよねというふうなところもなくもないなと感じることがあります。ぜひともここ、次の一手どうするのかをしっかり考えてほしいなと思います。特に、この積極的疫学調査を行うときの前段の待機時間ですね。学校のほうに一定調査の一部を、外段取りにしてるんですけど、担ってもらっているとかという手法はこれまで取ってきていますが、次の一手は何なのか、ここをぜひ考えてほしいなと思うんですけど、ここについて健康医療福祉部長の見解を伺いたいと思います。  イベントベースサーベイランスもそうなんですけど、これも感染拡大の状況を早めに察知する必要があるので、検査時間に3日とかかかっていると、これは本当にその効果があるのかって話にもなるのではないかと思います。今伺った中でいうと、これ、実は無料PCR検査が一番早かったりするんですよね。検査時間、検査自体にかかる時間を縮めるにはどうしたらいいのかというのを、これは検査の事業者ともよく協議をしなきゃいけないかもしれないですけど、何のために検査をするのかを考えたら、やっぱりちゃんと早く結果を出して感染拡大防止の取組をしたり、早く活動ができる人は活動に移ってもらったりするための判断、根拠に、よりどころになっているので、すごく大事なんです。何の根拠もなくみんな判断ができないので。ここをしっかりと取り組むことは重要なのではないかと思うので、この点についても健康医療福祉部長にもう一度見解をお伺いをしたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  このお待ちいただいている時間をどうやって縮めるか、1点目の学校、保育所等の関係でございます。  これは先ほどの答弁でも少し触れさせていただいたんですが、保健所へ学校等の状況を報告いただく、ここはもうしっかりやっていただいております。それで、保健所で時間を要しているんじゃないかということでございますが、保健所のほうにおきましても、濃厚接触者のほか、自宅療養の関係とかいろいろやっておるんですが、保健所の中に施設支援班という班を置いているところがほとんどの保健所でございます。これは、学校等の対応をして、できるだけ早くその状況をお返しするような取組を現在やっております。この中で少しずつ改善が見られておりますが、できる限り早く返すということをまず心がけているというのが現状でございますが、ここについては、また保健所と相談しながら、判断にどのぐらいの整理が要るのか、その辺は詰めていきたいというふうに思っております。  それから、検査ですね。イベントベースサーベイランスの検査を早くできないかということでございます。これは非常に受検いただく皆さんの御協力も要るわけですが、検体を採取して持ってきていただくということもございます。その部分で、お送りすれば比較的早く返ってくる状況も現在生まれております。この行政検査、イベントベースサーベランスも、現在5者以上の事業者、検査機関と契約もしておりまして、これによりまして、その日の検査の混み具合、そういったものも見ながら、いかに早く検査結果を返してもらえるか、あるいは検体採取方法も、様々高齢者や障害のある方や、いろいろその方に応じて一番早く採取できる方法はどんなことがあるかということで、日々の状況を見ながらできるだけ早く検査結果を返せるように取り組んでまいりたいと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ここまでの議会のこの一般質問のやり取りの中でもちょっとあったんですけども、保健所の業務がすごく大変になっているので、業務改善に専門チームを入れて作業改善を図っていくというようなことを知事が答弁をされたかなと思います。これはすごく大事なことで、特にここの知見を持った人を入れて、こうじゃなきゃ駄目だという思い込みでやっているところが結構あったりするので、そこを変えられるようなぜひ取組をするというのは、この後やらなきゃいけない一手なんじゃないかなと思います。ここから先、もう少し感染者の数が増えるような段階が来たときに、今の状況で、じゃ、検査は十分にできますかと言われると、なかなか厳しい状況だと思いますので、この時間の短縮をちゃんと指標の中に入れて、この時間で何とかこう皆さんに結果をお伝えしようという目標を持ってきちっと取り組んでいただきたいと思うんですけども、健康医療福祉部長に重ねてちょっとこの辺に関する見解を伺いたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  濃厚接触者の特定の時間の短縮ということかなというふうに思っておりますが、この部分につきましても、我々も当然、感染拡大前は翌日に検査につなげて結果を返すということを取り組んでまいりました。当然一番早く取り組めるのはその方法でございますので、我々といたしましては、できる限りその日数を詰める。今は、多分、学校からお送りいただいて、見て、翌日ですから2日はかかっていると思われますので、ここの部分をどういうふうに返せるかということについては、保健所ともしっかり相談してまいりたいと思います。  あるいはまた、ICTの関係で、当然メール等でやり取りしておるんですけども、その部分ももう少し工夫ができないかは考えてみたいと思います。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ぜひ作業分析をされるといいんじゃないかなと思います。このときに工場の工程管理をされてる人の知見などを活用されてもいいんじゃないかなということはちょっと申し添えておきたいと思います。  では、次の項目の質問に移りたいと思います。  先日の我が会派の代表質問で、グリーンインフラに関して問いましたが、ここではさらに詳細に一問一答方式で伺いたいと思います。  グリーンインフラという言葉は、自然環境が有する機能を社会の様々な課題解決に活用する考え方で、1990年代後半頃から欧米を中心に使われてきたものです。我が国では、2015年8月に閣議決定された国土形成計画においてグリーンインフラという用語が初めて行政分野で登場したとされており、以降、国の計画などにもその内容が盛り込まれるようになったところで、比較的新しい言葉であると言えます。滋賀県議会の会議録の検索にて、このグリーンインフラという単語をキーワードに検索をかけてみましたところ、2018年に初登場してから後で数度しか登場していません。  しかしながら、2019年に策定された滋賀県の基本構想には、滋賀県が目指す2030年の姿の社会の視点の中、生活や産業活動を支える強靱な社会インフラが整備されていますという状態の説明として、「都市、集落の役割や規模、将来の維持管理などにも配慮し、自然環境が持つ多様な機能を生かしたグリーンインフラの視点にも着目しながら、人々の安全・安心な生活や活力ある産業の基盤となる災害などに強い強靱な社会インフラの整備が着実に進んでいます」と記載されており、ここにグリーンインフラという言葉が登場しています。さらに、現在策定に向けて議論が進められている都市計画基本方針やCO2ネットゼロ社会づくり推進計画などの主要な計画類に、このグリーンインフラという表現が使われ始めています。  今後の県政、県事業において重要なキーワードとなると考えるグリーンインフラについて、以下、伺いたいと思います。  最初に、基本構想をはじめ、幾つかの主要な計画類にグリーンインフラという言葉が使われていますが、多くの人にとって、何となく分かるけれど一体何なんだという状況ではないかと思います。代表質問では、国の考え方として、グリーンインフラとは、社会資本整備や土地利用などのハード、ソフトの両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土、都市、地域づくりを進める取組とされています。しかし、これもいま一つぴんとこない感じがします。事業者や県民の皆さんにもグリーンインフラの考えが広がるようにとのことでしたので、少し分かりやすく、イメージを持ちやすく伝える必要があるのではないかと考えます。知事の2期目の政策集にも登場するグリーンインフラでもあります。滋賀県の考えるグリーンインフラとはどのようなものか、知事に問います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)本県の考えるグリーンインフラは、ただいま議員からも御紹介いただきましたが、代表質問の答弁で申し上げた国の考え方と同じ認識でございます。  本県では、これまで公共事業を推進する過程におきまして、環境への配慮や環境負荷の低減に重点を置いて取り組んでまいりましたが、グリーンインフラは、こうした自然環境を保全するといった考え方からさらに進み、自然環境が持つ自律的回復力をはじめとする多様な機能を積極的に生かして、環境と共生した社会資本整備や土地利用等を進める取組と考えております。  具体の事例を代表質問の答弁でも申し上げたところでございますが、より詳しく申し上げますと、植生の栄養塩の吸収や水の滞留による沈殿効果を生かした内湖等での水質浄化でありますとか、木や草による地盤の侵食防止効果を生かしたのり面工でありますとか、波や流れによって湖岸を移動する砂の特性を生かした砂浜の保全でありますとか、雨水が地中に浸透し貯留される機能を生かした透水性舗装などが典型的なグリーンインフラでございます。  さらに、流域治水において取り組んでおります、貯留浸透機能により、雨水の流出抑制に資する森林や農地の適切な保全管理ですとか、水害リスクの高い地形特性を踏まえた安全な住まい方への誘導といった土地利用の施策も、ソフト面でのグリーンインフラだと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)では、このグリーンインフラの滋賀県政における位置づけはいかなるものか、これを知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 基本構想において「グリーンインフラの視点にも着目しながら」と記載しておりますように、グリーンインフラは、個別のインフラ施設や事業、施策を指すものではなく、それぞれの事業、施策の目的を達成するためのプロセスにおきまして、自然環境が持つ多様な機能を生かす視点を導入する取組でございます。  現状において、グリーンインフラについて特段の位置づけを行っているわけではございませんが、自然環境と調和した持続可能な滋賀を実現するための取組として、今後、より積極的に導入を図ってまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)このグリーンインフラを導入することによる県の政策や事業における期待する効果、これはいかなるものなのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) グリーンインフラの取組を行うことで、本来の目的を達成いたしますほか、多くの副次的な効果も期待されるところです。  例えば、透水性舗装では、路面から地中に雨水を直接浸透させることで、水たまりのない快適な歩行空間を確保するほか、排水施設への雨水の流出量を軽減したり、蒸発により気温上昇を抑制したりする効果があり、そうしたことで健全な水循環にも寄与いたします。  また、森林や農地は、それぞれの産業の生産活動の場でありますほか、その活動により適切に保全管理されることで、生態系の維持向上にも寄与し、雨水の流出抑制の効果を流域治水施策として評価しているところです。  このようにグリーンインフラの視点を取り入れた社会資本整備や土地利用等を進めることで、社会の健康に貢献することはもとより、自然環境に備わっている多様な機能が発揮されることで自然の健康にも資するものと考えております。さらに、自然に触れる機会が多くなることで、心が健康で豊かになり、ひとの健康にもつながるものであり、グリーンインフラは、人、社会、自然の全ての面で充足した本当の意味での健康しがの実現にも寄与するものと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今年度の予算資料の中には、今取り上げているグリーンインフラと銘打つラベリングされた事業が掲載されています。個別のハードを指すものではないということですので、この概念が反映をされた取組であると理解をするところですが、これらは一例であると言えます。今後の県のグリーンインフラとラベリングする事業、これはどのようなものを予定、もしくは想定しているのか、これも知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど、グリーンインフラの具体の事例として、内湖等での水質浄化や草木を生かしたのり面工、砂浜の保全、透水性の舗装、さらには流域治水において取り組んでいる森林や農地の保全、安全な住まい方への誘導を申し上げましたが、引き続きこうした取組を行ってまいりたいと考えております。  また、こうした事例以外の事業や施策についても、今後、国や他府県の事例等も参考にしながら、可能な限りグリーンインフラの導入を図ってまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)インフラという言葉には土木交通部の事業のイメージがついていますけども、社会資本整備という面では主に土木交通部なのでしょうが、土地利用という面では、県政においては総合企画部、また、グリーンインフラの対象となるものは山や農地などもあり、それぞれに所管は琵琶湖環境部や農政水産部となります。代表質問でも、ハード、ソフト両面において可能な限りグリーンインフラの考え方を取り入れるとされたところですので、県の事業では、考え方を導入する各部局で取り組む内容になっていくのかなと、こんなように見受けられます。しかし、共通のイメージを持って取組を進める必要があると思います。そのために取りまとめや旗振りの部局が必要ではないかとも考えます。この県の事業にグリーンインフラの考え方を可能な限り取り入れるための県庁内における推進体制について、知事に考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 何も土木交通部に限ったものではございません。西川も座っていますし、石河も座っております。土木交通部に限らず、様々な事業や施策を進めるに当たって、グリーンインフラの視点を可能な限り取り入れていく必要があると考えております。  まずは、インフラ整備を数多く実施しております土木交通部が中心となりまして、関係部局による連絡会議を開催するなどして、グリーンインフラに係る認識を共有し、それぞれの取組について情報交換を行うことで、グリーンインフラの視点を踏まえた事業、施策が一層広がっていくよう努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ちょっと具体の内容に入っていきたいなと思うんですけども、都市的地域の農地は、市街地の中にあって、降雨時に水を蓄える、温度上昇を抑える、避難場所など非常時の空地──オープンスペースになるなどの機能があると言われていて、この機能からグリーンインフラのハードの一つであると言えるのではないかと考えます。都市の空間にあると好ましいもの、あるほうがよいものだと考えます。  一方で、市街化区域内では特に、基本的には近いうちに市街化される地域であるため、これは開発の対象になります。グリーンインフラの視点からは、これらを適切に残し活用するために、例えば税の優遇などで意識的に保全していく必要があるのではないかと考えます。市街化区域内の農地が代表的なものとなりますが、都市的な空間におけるグリーンインフラの視点を持った農地などのオープンスペースの保全について、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 農地等のオープンスペースの保全についてでございますが、国の都市計画運用指針におきまして、市街化区域内の緑地等は、都市の景観形成や防災性の向上、自然との触れ合いの場として良好な都市環境の形成に資するものとされており、そうした土地を保全することはグリーンインフラの視点にも沿うものだと考えております。  このため、本年度策定予定の都市計画基本方針におきまして、市街地内の農地は、必要に応じて、税の優遇措置がある生産緑地制度や田園住居地域を活用し、保全を図ることとしております。  一方で、市街化区域は、優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であり、農地等のオープンスペースが必要以上にあることは、低密度な拡散型の都市構造となり、行政サービスの効率を低下するおそれもありますことから、市街化区域内農地の保全については、こういった点も踏まえて判断すべきものと認識しております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)市町では立地適正化計画の取組が進められていますが、都市機能誘導区域や居住誘導区域の対象エリア外の土地利用のイメージを示すことが大変重要であるという指摘を以前の一般質問で行わせていただいたところです。グリーンインフラの導入が一つの方向であると私は考えます。今般策定されようとする都市計画基本方針には一定の記述がされていますけども、未利用、低利用の土地について、緑地や公園の整備、減災、防災の施設の導入など、グリーンインフラの考えに基づく土地利用への転換が想定できるのではないかと考えます。このような市街地の未利用、低利用の土地に係るグリーンインフラの視点を持った土地利用への転換について、これも知事に見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今お尋ねいただいたグリーンインフラの視点を持った土地利用への転換についてでございますが、都市計画基本方針では、人口減少の進行も見据え、居住誘導区域外などにおいて、ゆとりある居住環境の再構築や自然的環境への転換を図ることとしております。  例えば、空き地の持ち主に対し、隣接住民への売却や貸与等を促すことで、家庭菜園としての利用や、庭、駐車場の拡充、2世帯住宅の建築を進めるほか、緑地や農地への転換も考えられます。  議員お示しの緑地や公園、減災・防災施設といった具体の施設としての土地利用への転換については、そうした施設としての必要性が判断されれば、グリーンインフラの視点を取り入れた施設として整備、活用されるものと考えているところです。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)グリーンインフラの考え方が反映されたまちづくりが行われるようにということを進めていきたいと思ったときに、こういう土地利用の転換というのが必要になってくるのではないかなと思うんですけども、えてして大体民間のものであったりとか、行政の力だけではなかなか進まない側面があると思います。こういうものを誘導していくような取組が必要なのではないかと思うんですけども、ここについては何か知事の見解があれば伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 例えば、都市計画において、市街地の健全な土地の高度利用を図るために指定する高度利用地区においては、緑地などオープンスペースの確保等と一体となった開発に対して、容積率緩和のインセンティブを与えることができるという制度がございます。このようなグリーンインフラの視点を盛り込むことができる制度を市町とも共有しながら取り組んでまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)さっきもちょっと触れましたけども、前段、2つちょっと問いかけましたが、グリーンインフラの視点を持った社会資本整備や土地利用を進める取組の財源の考え方について、知事の見解をお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) グリーンインフラは、事業、施策の目的を達成するためのプロセスにおいて、自然環境が持つ多様な機能を生かす視点を導入する取組であり、財源はそれぞれの事業、施策において確保するものと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)道路整備とか河川の整備などでいうと、これは県がやる事業として行われるものですから、その予算をきちっとつくる、その中で設計に反映をさせていくことで、このグリーンインフラの考え方が導入できるというのは理解ができるんですけども、前段で申し上げました転換だったりとかっていうものについては、必要性に応じて考えていくということだったんですけども、なかなかこう予算確保って難しいのではないかなと思います。  また、民間の施設においていうと、先ほどのような誘導の仕方もあるんですけども、なかなか進まないのは、そこに何かこうインセンティブがないからかなと。何もしないで進むんだったら、どんどんどんどん進んでいるはずなんですけど、今そうなっていないような側面もあるので、ここはちゃんと誘導する。そういう政策をするときに財源が必要となることがあるのではないかと思うんですけども、そういった場合の確保の仕方、ここについてお考えがあれば伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 大きくおっしゃることは理解いたしますし、共感も持ちます。  これまで、民間事業者が、例えば屋上緑化や浸透ますなどを設置する際に、国の補助金などを活用されている事例もありますので、今後、こういった活用可能な補助金制度をお知らせする、周知するなどして、グリーンインフラの視点が広く導入されるよう取り組んでいくといったことも必要なのではないかと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今、自分もちょっとお話をしましたけども、このグリーンインフラの考え方の導入、これは県の事業だけでは十分ではなく、市町での取組も大切になってきます。都市計画基本方針の策定過程での市町とのやり取りなどを行った基盤を生かせるのではないかとも思います。また、市町とも共通のイメージを持って取組を進めるためのグリーンインフラの導入の方針、もしくはガイドラインなどの策定なども有効ではないかと思います。グリーンインフラの考え方に基づいた社会資本の整備や土地利用などが市町の事業でも実行されるための仕組みや手法について、知事の見解をお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) グリーンインフラにつきましては、都市計画基本方針において、その取組を推進することとしており、今後、この基本方針に基づき、市町と共にまちづくりを進めることとしております。  また、具体の事業や施策につきましては、県における事例のほか、全国の先進事例などを収集、発信いたしますとともに、グリーンインフラに係る国の支援メニューを整理、紹介することで、市町の事業、施策においてもグリーンインフラの視点が導入されるよう取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)滋賀県でこのグリーンインフラの導入を進めるには、多くの人が認識を持って、時に取組に参画してもらうことが必要であると考えます。代表質問の答弁で、事業者や県民の皆さんにグリーンインフラの考え方が広がっていくように取り組んでまいりたいとされたところですので、事業者や県民へのグリーンインフラを広げる取組について、知事の考えをお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) これまでから事業者や県民においても、ビルにおける屋上緑化や各戸における貯留浸透ますの設置など、グリーンインフラの視点に基づく取組は行われており、今後、さらにそうした取組を広めていくことは大切であると認識しております。  今後、事業者や個人レベルで実施されているグリーンインフラに関わる取組事例や、利用可能な補助金制度などの情報を収集、周知いたしまして、グリーンインフラの視点が広く導入されるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今回、このグリーンインフラ、取り上げましたが、取組が始まろうとしているところかなと感覚的には理解をするところです。ぜひともいい取組となって、いろんなところで自然のよさが、力が発揮された施設整備だったり土地の利用が図られるように取り組まれることを期待いたしましてこの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  次に、24番加藤誠一議員の発言を許します。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇、拍手)それでは、感染症指定医療機関について、分割で全て知事にお伺いをいたします。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大の第6波、ピークアウトという言葉も聞かれかけましたが、ステルスオミクロンと呼ばれる、さらに感染力が強い変異株が出現をいたしまして、さらなる警戒を強める動きになっていきそうであります。軽症感染者の方には不安な自宅療養という対応をお願いしておりますが、県内の医療提供体制の逼迫という状況はなお続いています。  そうした中で、滋賀県COVID−19災害コントロールセンターの調整の下で、県内多くの医療機関では陽性患者を受け入れていただいており、懸命に治療に当たっていただいております。改めて感謝を申し上げたいと思います。  この医療体制につきましては、滋賀県感染症の予防のための施策の実施に関する計画、いわゆる滋賀県感染症予防計画が策定をされていますが、まず、今回の新型コロナウイルス感染症のまん延に遭遇したことで、感染症指定医療機関の重要性というものをどのように認識されたのか、お伺いをいたします。  この滋賀県感染症予防計画は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく国の基本指針に沿った計画と承知をしています。当然、コロナを受けた変更というのは、国の指針を待って改訂だとは思いますが、今回の新型コロナウイルスを踏まえた改訂の必要性というものを知事としては持っておられるのか、また、まん延防止の陣頭指揮に当たっている現場を体験された知事として、見直しに向けた検討を始めておられるのか、お伺いをいたします。  さて、県の感染症予防計画第4、これは、感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項というものでございます。この項におきましては、指定医療機関として、第一種感染症と第二種感染症の区分ごとに病院が指定をされています。そこで、一種感染、二種感染それぞれの医療機関の機能についてお伺いをいたします。  そのうち、第一種感染症医療機関としては大津市民病院を指定しています。大津市民病院は、現在、地方独立行政法人市立大津市民病院となっていますが、そもそもこの市民病院は、明治32年、もう123年前になります。法定伝染病の患者を隔離収容する病院の県から大津市への移管ということに伴って開設された病院がその前身であると仄聞をしています。  そこで、こうした法定伝染病の歴史を振り返る中で、大津市民病院を第一種感染症指定医療機関として指定した理由と、県域の医療体制を見たとき、この大津市民病院をどのように位置づけておられるのか、お伺いをいたします。  なぜ今回のこの質問か、もうお分かりだと思います。新聞報道です。2月15日には「大津市民病院9医師来月末以降に退職」、16日にも「地域医療に支障のおそれ」、「大津市民病院医師9人退職へ」という見出しで報じられました。さらに、2月の18日にも「大津市民病院大量退職問題」、「他の医師5人も退職へ」との報道もありました。こうした報道で、市民病院で治療されている多くの方が不安を持たれたことと思います。その後、22日には、前日の21日開会の大津市議会で、佐藤市長が「県に協力を要請した」と述べたことも報じられています。  確かに大津市民病院内の動きではありますが、しかし、これまでの質問のように、大津市民病院は県が法に基づいて指定している唯一の第一種感染症医療機関であるということからしても、大津市だけの問題として片づけることはできません。  そこで質問でありますが、この多くの医師が退職の意向であるというその動き等について、病院を設置している大津市から、また、医師を派遣されている大学から、それぞれ知事のところへはどのように伝えられているのでしょうか。それぞれの報告や市からの協力要請等があったのでしょうか。あれば、何を求められたのかもお伺いをいたします。  もう1つ大きな心配は、今も感染が拡大しているコロナウイルスへの対策の影響であります。ワクチンによって軽症や無症状者が多いものの、感染者数は多く、そのことからは特に高齢者の重症化への流れが不安であります。こうした状況下で、本県の新型コロナウイルスでの医療提供体制への影響、大津市民病院は、感染拡大の初期から重症患者をはじめ多くの患者を受け入れていただいております。大津市民病院のこれまでの入院患者数など、コロナウイルス治療における実績がどうなのか、今回の多くの医師の退職というものが、県として確保しているコロナ医療体制への影響は全くないのか、見解をお伺いいたします。  最後の質問事項ですが、本議会冒頭、知事は、標榜される健康しがをつくるということで、3期目にチャレンジすると表明されました。今、大津市民病院は突然の病が襲っているというふうに思います。この状況に対して、第一種感染症指定医療機関に指定した知事としてどのように対応し、健康な大津市民病院へ向けて支援をされようとしているのか、お伺いをいたします。 ○議長(富田博明) 24番加藤誠一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。  加藤議員、全て知事でよろしいですか。 ◆24番(加藤誠一議員) はい。 ◎知事(三日月大造) (登壇)感染症指定医療機関について7点御質問いただきました。  1点目、感染症指定医療機関の重要性についてでございますが、エボラ出血熱やSARS等新興感染症患者への対応を想定し、感染症の特性に応じたハード面の整備や院内感染防止のための体制確保、また、感染症発生時には率先して感染症患者の受入れを行うなど、その役割は重要であると認識しております。  今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、県民の健康を守るため、リスクの高い感染症に対して迅速かつ的確な対応をいただいていることに対し、改めて感謝しているところでございます。  2点目、滋賀県感染症予防計画についてでございますが、平成12年3月に定めました後、平成25年3月に改訂を行ったところです。  今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその対応を踏まえまして、計画を改訂する必要があると考えているところでございます。  国の指針が出されるかは未定でございますが、県として、令和4年度に、医師会や病院協会等関係団体との意見交換を行い、その結果を踏まえて、感染対策がより総合的に推進できるよう、計画改訂に向けた検討を始める予定でございます。  3点目の指定医療機関の機能についてでございますが、感染症法により、一類から五類感染症のほか、新型インフルエンザ等感染症などの感染症類型が定められ、類型に応じた対応や措置が規定されております。  第一種感染症指定医療機関は、エボラ出血熱やペスト等の危険性が極めて高い一類感染症の患者に対する入院医療を提供する機能を有しております。  また、第二種感染症指定医療機関は、SARSなどの二類感染症や新型インフルエンザ感染症などの患者に対する入院医療を提供する機能を有しております。  なお、第一種感染症指定医療機関につきましては、第二種感染症指定医療機関の機能も併せて有しているところでございます。  4点目、第一種感染症指定医療機関である大津市民病院についてでございますが、議員御説明のとおり、明治32年から長きにわたり伝染病予防法に規定されていたコレラ、腸チフス、日本脳炎などの感染症患者に適切な医療の提供を行ってきていただいたと認識しております。  一方、伝染病予防法に代わりまして感染症法が平成11年4月から施行された際には、それまでの感染症患者への適切な医療提供による実績等を踏まえて、平成12年8月1日に第一種感染症指定医療機関に指定したところでございます。  大津市民病院には、平時からエボラ出血熱等の患者への対応を想定した県との共同訓練を実施されるなど、一類感染症の発生に備えた危機管理体制を取っていただいているところです。
     これまでから感染症のまん延防止のための役割を果たしていただいており、今後につきましても、県下唯一の第一種感染症指定医療機関として重要な役割を担っていただく医療機関であると考えているところでございます。  5点目、大学からの報告、大津市からの協力要請でございますが、2月18日、大津市長が滋賀県市長会長と共に来庁訪問され、大津市民病院の複数の医師が退職の意向であることが伝えられました。併せまして、新型コロナウイルス感染症患者および救急患者の受入れに影響が生じないよう、今後の医師派遣に関して県に対し協力要請があったところでございます。  一方、大学からは、現在のところ何も伝えられていないと、こういう状況でございます。  6点目、治療実績および医師退職による医療体制への影響についてでございますが、2月20日現在、大津市民病院には20床の受入れ病床を確保いただいており、これまでに重症患者を含め合計716名の入院患者を受入れていただいているところです。  また、陽性患者の受入れのみならず、症状のある疑い患者の受入れや、発熱がある方の外来受診など御協力をいただいておりますが、今回の医師の退職により、患者の受入れや発熱外来に影響は現時点ないと病院からお伺いしているところでございます。  7点目、大津市民病院への支援についてでございますが、大津市民病院には、第一種感染症指定医療機関のほか、二次救急病院、災害拠点病院等、大津圏域における様々な医療機能の中心的役割を担っていただいております。  地域医療への影響を最小限にするために、県としてどのような支援ができるのか。まずは大津市によるところも大きいんですが、病院の状況等について丁寧に把握を行い、病院や大津市、派遣元の大学とも課題を共有しながら、今後の対応等、検討を行ってまいりたいと存じます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)ありがとうございました。  この問題が聞きましてからまだそんなに日数がたっておりませんので、これからかなという気もするんですけれども、例えば、先ほど、大津市からは2月18日に、市長会長と医師派遣についてということで御依頼があったということでございまして、一方、大学からはまだ何もないということでございますが、最後の質問に対して、これから大津市は第一義としながらも、県としてもいろんな把握に努める、あるいは大学との情報を集めるとか、こういうお話でございましたんですけれども、何でもそうなんですけれども、問題が発生すると、解決に向けて取り組んでいくというんですけれども、なぜその問題が発生したか、ここが非常に重要ではないかと思いますが、例えば、今回のこの問題の根幹といいますか、問題の発生の原因、こういったものが現時点で知事としてはどのようにお考えか。これは大津市長からの御報告もあったことを踏まえてになろうかと思いますけれども、問題の発生の原因というのはどこら辺にあるかなということをどういうふうにお考えか……。ごめんなさい、問題の発生の原因がどこにあるか、お考えがあればお伺いしたいのが1つであります。  もう1点は、先ほど、何ができるかこれから検討するという話の中で、大学とも、もちろん大学と情報を聞かないとこれは動かないと思いますけれども、まだ大学からは何も御連絡がないということでございますが、先ほどの大津市からのそういった御要請を受けられて、知事として、もう少し積極的に大学との情報収集をどういうふうに進めていかれるのか、この2点についてお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 2点の再問いただきました。  まず、こういう事態に至った原因、何にどこにあるのかということについてでございますが、いろいろ報道で言われていることを間接的にお聞きすることはあるんですけど、今、病院のほうでも第三者機関を設置されて究明しようとされているところでございますので、その結果を待ちたいと思います。その上で県としてどのようなことを考えていかなければいけないのか判断していきたいと思います。  また、何ができるのかということで、大学との話合いなり、そういったことも、今1つ目に答えたことにもよるんですが、医局制度の中で、それぞれの医科大学、また京都大学等にお世話になっている、そういった状況もございますので、その調査結果を受けて、今後とも大津市民病院に果たしていただきたい役割を担っていただくために、すぐにやらなければいけないことと、少し中長期、根源的になさねばならないこととを分けて対応しようということで、県もしっかりと主体的に動くように担当者等に指示しているところでございます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)ありがとうございます。そうした形で知事が御答弁いただきますと、知事もそういった形で動いていただいているんやなというのは分かりましたので、ありがとうございます。  これは今ちょっとお伺いしていてふと思ったんですが、知事が提案説明のときに、より良き自治を追求するという話の中で、今までは対話と共感、それに加えて最近は共創と、共に創るという話をされていました。今聞いていまして、御答弁を、今回の大津市民病院、新しい、これはより良き自治を追求するということで、共創ということになりますと、そういう姿勢で臨んでいっていただけるのかどうかなという確認をもう一回したいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 広く大きく言えば、そういった課題も投げかけられているわけですので、知事としても県としてもしっかりと受け止めて、そして、どうしたらこのような事態を打開していけるのか、一緒に考えて一緒に創っていくという共創はしっかりとやっていきたいと思いますが、やはり独立行政法人とはいえ、大津市の市民病院であるということからいたしますれば、大津市に頑張って動いていただかないといけない部分でありますとか、医局制度の中でそれぞれ大学から医師が派遣されてくるということでいえば、大学のそういった関わりもあろうかと思いますので、そういった様々な課題を一緒にテーブルに並べて、共有して悩みながら解決に向けて取り組んでいきたいと存じます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)もう終わるんですが、今、独立行政法人という言葉を聞きまして、県立病院も独立行政法人化に向けて動いているようでございますけれども、病院の設置者である知事として、これからのこの大津の問題、知事の手腕に期待をいたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、24番加藤誠一議員の質問を終了いたします。  次に、39番江畑弥八郎議員の発言を許します。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇、拍手)それでは、お疲れさまです。  昨日、ロシアがウクライナに侵攻しました。想定はしていたものの、大変衝撃的なニュースが世界中を震撼させております。国益という錦の御旗での武力行使です。既に市民の命が奪われているとの報道もあります。決して許されない行為です。  しかし、日本も、77年前、忘れてはならない過去があると思います。私は、最近、第2次世界大戦を舞台にした半藤一利さんの「ノモンハンの夏」を読ませていただきました。中身は、まさに今の世界の状況と同じことが繰り返されているなと、こんな印象を持っております。そして、その国益の陰で犠牲になるのはいつも弱者の方であります。武力行使、戦争は究極の人権侵害にほかなりません。私たち、いつ何どき、命と人権よりも国益、組織益を優先してしまうおそれがあることを肝に銘じなければならないと思います。そのことをぜひ皆さんと共有し、質問に入ってまいります。  知事は、今議会冒頭に3期目への新たな挑戦の決意を示されました。8年前の衆議院議員から転身された当時の暑い夏を今でも思い出します。そのときの県民への約束を覚えていただいているでしょうか。私は、今でもその思いを県政活動の真ん中に置いて活動をさせていただいております。内容は、「人と地域がキラリと輝く7つ星の滋賀」の一節、全ての人に居場所と出番のある社会として、障害のある人もない人も尊重され、「共に暮らし、共に学び、共に働く」であります。まさに滋賀県障害者差別のない共生社会づくりを目指す条例の本旨であります。その条例の制定は大きく評価をさせていただいております。  しかし、障害者の皆さんの現在の状況は、差別や偏見、そして親亡き後の不安など、現実は極めて厳しいと言わざるを得ません。現実は極めて厳しいわけでありますが、そもそも基本的人権である内容が条例がないと守れない、そんな社会が残念でなりません。  それでは、以下、誰一人取り残されない社会に向けて、大きく分けて2点、一問一答で質問させていただきます。誠意ある答弁をよろしくお願いをいたします。  まず、1項目ですが、視覚障害者の就労についてであります。  まずは、滋賀県の視覚障害者の等級別の身体障害者手帳所持者数を、等級別の障害の状況も含めて健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ○議長(富田博明) 39番江畑弥八郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  滋賀県内の視覚障害者の状況でございますが、令和2年度末現在の身体障害者手帳所持者のうち、主たる障害が視覚障害の方は3,208人おられまして、10年前の3,139人から69人、約2%増加しているところでございます。  このうち重度の視覚障害者について見ますと、両目とも失明されている1級の方は1,079人、片目を失明され、もう片方の目の視力が0.02以下の2級の方は1,115人と、就労や移動など、生活する上で大変な困難を抱えておられると認識しております。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。まさに1級、2級の方が、ほぼ全体の3,208人のうちの7割から8割ということで、数としては大変多数を占めておられるということがよく分かりました。  それでは、次に、視覚障害者の方の就労についてお伺いします。  障害者種別の中でもかなり厳しいと仄聞しております視覚障害者の滋賀県の就労状況について、全国的な傾向も含めて商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) (登壇)お答えします。  滋賀労働局によりますと、県内ハローワークに登録されている視覚障害者の方で、令和2年度に就職された方は22人であり、令和3年3月31日現在で就業している方は、過年度に就職されている方も含めまして204人と、前年同期比で2.5%の増加となっています。  なお、全国の状況につきましては、令和2年度に就職された視覚障害者の数のみ把握をしておりまして、1,500人となっております。厚生労働省によりますと、全国の令和2年度に就職された視覚障害者1,500人の方の職業別の内訳は、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師が最も多く、427人で28.5%、次いで、運搬、清掃、包装等の職業が351人で23.4%、事務的職業が249人で16.6%となっております。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)全体的にはやっぱり就業としてかなり厳しいなと、このように受け止めております。特に、28.5%があんまマッサージ師ということで、そういうことの実態がよく分かりました。  続きまして、視覚障害者の方のキャリア形成で重要な役割を果たしております県立盲学校の概要と位置づけについて、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  県立盲学校は、明治41年に開校した彦根訓盲院を前身とし、今年で創立113年を迎える大変歴史と伝統のある学校でございます。昨年──令和3年の5月1日現在の在籍者数は、幼稚部が2名、小学部2名、中学部4名、高等部15名、合計23名で、教員は29名在籍をしております。  盲学校は、全県を通学区域としておりますことから寄宿舎を設置し、幼小中高一貫した教育を目指すとともに、視覚障害の状態や発達段階を踏まえて、個に応じた専門的な指導や支援を行っているところでございます。  特に、高等部には、普通科のほかに専門学科である保健理療科がございます。さらに、高等部や高等学校の卒業生を対象とした専攻科には保健理療科と理療科を置き、生徒の将来の職業的自立のために、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得を目指しているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。  113年というと大変歴史のある、私も11月に行かさせていただきました。丁寧に見せていただきました。かなりこう整備もされていますし、歴史なんかも、ヘレンケラーが2回も来訪しておられますし、昨年の東京パラリンピックで活躍された木村さんもそこの卒業生ということで、もう一人女性の方もいられましたが、そういう意味では大変歴史のある盲学校だなと、このように思っておりますが、聞くところによりますと、平成18年に学校教育法の一部の改正で、従来の県立盲学校から、いわゆる特別支援学校という形に変わったというのを聞いております。この法律の改正の中で、この県立盲学校がどのような形に変わったのか、もし分かる範囲であれば、教育長に重ねてお伺いしたいと、このように思います。 ◎教育長(福永忠克) すいません、ちょっと質問の意味が少し分かりにくいのですが、県立盲学校の役割というような意味ですか。(「はい、それもです」)  基本的に盲学校につきましては、視覚障害のある子供さんについて専門的な教育をさせていただくというのは変わりない機能だと思っております。それと併せまして、当然全県を対象としております。  それから、特別支援教育というのが特別支援学校だけでなく、小中学校なり通常の学級でも学んでおります。視覚障害のある子供さんが全て県立盲学校で学んでいるわけではございませんので、そういった幅広い滋賀県内の視覚障害をお持ちの子供さんへの教育についても盲学校の果たすべき役割、そういう意味で広い意味の特別支援教育を果たすべき盲学校になっているというふうに認識をしておるところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)すいません、ちょっと私が聞き方を変えたので、ちょっと戸惑われたと思いますが、まさにその県立盲学校が果たすべき役割ということですが、法律改正の中で、私もちょっと興味深く読ませていただいたんですが、従来は、盲学校とか聾学校とか、それぞれ専門的に分かれていたのが、今ちょっと先ほど在校生がかなり教師のほうが数が上回っていると、こういう状況の中で、教育行政の非効率化というのがどうも議論としてはあったようで、それで、片や発達障害者の方も含めて増えてきたということで、効率的にまとめようというのがどうも教育改正の法律のバックにあったようなことが書かれてありました。そのことによって、私はちょっと校長先生にも聞いたんですけど、そういう専門的な分野の方の先生に支障がないのかどうかと、こういうお話をしたんですが、確かにそういう部分はありますということでした。それでも一生懸命努力してやっていただいているということですが、いずれにしましても、これからの県立学校の果たすべき役割というのは、今言われたように、やっぱり視覚障害者の方を中心とした、そんな教育を徹底していただきたいなと、このように考えているところです。その辺は、よくまた教育長、よろしくお願いしたいと、このように思います。  それでは、次の質問に移ります。  次に、視覚障害者の方の就労ということで先ほど話があったんですが、就労場所として、23名ですか、あんまマッサージ、はり師、きゅう師の仕事がありますということで、これは有資格者で理美容の勉強をされているということですけれども、あんまマッサージ、はり師、きゅう師の滋賀県の施術所の状況について、健康医療福祉部長に伺います。よろしくお願いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  令和4年1月1日現在、あんまマッサージ指圧、はり、きゅうを行う施術所でございますが、県内で1,054か所でございます。  また、届出がある施術所に従事する有資格者でございますが、令和2年末時点でございますが、あんまマッサージ指圧師851名、このうち視覚障害者の方が267名でございます。はり師1,176名、うち視覚障害者の方が130名、きゅう師が1,174名、うち視覚障害者の方が128名でございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。この施術所というのは、どうも何か保健所に届け出るということだそうですが、どうも廃止されたときの管理等はなされていないということですので、業界のほうでは、もう少し正確に見ていただきたいなと、こういう話もあったんですけども、いずれにしましても、視覚障害者の方の唯一の就労場所ということが今の数字からでも言えるのではないかなと、こういうふうに思っております。  それで、次に、その有資格者の関わるあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律というのがございます。いわゆるあはき法という法律でありますけれども、この法律の趣旨、目的について、いま一度健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律、略してあはき法でございますが、各資格を定め、業務が適正に行われるように規律するほか、その他、医業類似行為業について規律することを目的とするものでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)この法律、あはき法ですが、どうも昭和22年にできた法律ということで、他の法律の改正に基づいての文言整理だけがされましたけども、法自体はほとんど改正されていないということです。  もう一度健康医療福祉部長に聞きますけども、もう一度目的ですね。どうも私、何回読んでもこの法律の目的がすとんと落ちないんですけども、もう一度ちょっと言っていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  各資格を定めているということでございます。そして、業務が適正に行われるように規律するということ。それと、医業類似行為業ということで、これを規定しているということでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)要は当たり前のことが法律で規定されているということしかちょっと私は読めないんです。当然、医療および公衆衛生の普及向上を図って適正に措置をすると、こういうことだけですよね。何かどうも、この昭和22年の施行がされた当時の経緯もちょっと私は調べたんですが、あんまり定かでないんです。もう少しきめ細かな法律かなと思えば、そうではないということで、少しここについては、後ほどまた述べますけれども、エステとかリラクゼーションとの無資格での関係との違いがどうもこの法律の中では余計に見えなくなっているということが私は痛感しております。  それでは、続いて、コロナ禍も重なりまして、大変この施術所の経営状況が厳しいと滋賀県鍼灸マッサージ師会からお聞きをしております。その施術所の経営状況について、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  経営状況につきましては保健所への届出義務がございませんので、県では実態の把握ができていないところでございます。  しかし、コロナ禍におきまして、施術所の経営状況が大変厳しい状況であると伺っているため、全国知事会を通じまして施術所への支援を要望するとともに、団体を通じまして事業復活支援金や滋賀県事業継続支援金を周知したところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)業界のほうからも大変厳しいと、特にコロナ禍ですので、接触をしないと仕事ができないということでございますので、余計になんです。そういうことからすると、一般のそういう事業復活支援金以外もやっぱり考えていただきたいなというのを私は痛切に思ったところでございます。  そこで、続いて、以前から経営が厳しいということは今も部長も把握されているということですが、コロナもあるんですけれども、もう1つの原因というのが、先ほどちょっと触れました無資格のいわゆるエステ、リラクゼーションの店舗の乱立があると言われています。滋賀県のエステ、リラクゼーションの実態について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  経済センサスによりまして、産業分類ごとの事業所数や従業者数については調査をいたしておりまして、平成28年の調査結果によれば、エステティック業は、事業所数51、従業者数185人、手技を用いるリラクゼーション業は、事業所数17、従業者数42となってございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)一応事業所数はどうも把握されているようです。以前、我が会派の小川泰江議員が質問されたときにはあまり明確になかったということですが、それよりは、ちょっと事業所数だけでも分かったということは、大変私たちにとっても参考になるわけですが、それにしても、やっぱり無資格ということと、それと事業所数のみということで、実際どういう動態なのかというところまでは把握をされていないということですか。もう一度商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  今ほどお答えいたしました事業所数、それと従業者数、これについては調査をしておりますが、それ以外の実態については調査はしていないということでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)この辺は視覚障害者の方の就労に大きなやっぱり影響を与えているということです。そういうことからすると、やっぱりもう少しこの実態をきちっと把握していく必要が私はあるのではないかなと、こういうふうに考えています。  去る2月7日に、視覚障害者の就労を保護することの重要性を示すものとして、指圧師学校の新設制限が最高裁で合憲判断を下しました。まさに共生社会をつくっていく上で極めて重要な示唆をした判決だと受け止めております。この判決についての知事の見解をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  この訴訟は、視覚障害者以外の者向けのあんまマッサージ指圧師養成学校の新設等を制限する、いわゆるあはき法第19条が、憲法の保障する職業選択の自由に反するかが争われたものでございまして、今年の2月7日、最高裁が合憲と判断したものでございます。  判決は、合憲の主な理由である、あんまマッサージ指圧師の分野における視覚障害者の就労保護の必要性を導く際に、就労実態に加えて、職業機会の保障が視覚障害者の自立や社会経済活動への参加促進という積極的意義を持つことに言及した点で、意義があり、尊重すべきものと考えているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございました。いずれにしましても、視覚障害者の就労にとっては大変意義のある、そういう判断をされたと、こういうことです。そういうことからすると、知事も多分同じ思いだと、このように思うんですが、いずれにしましても、そういう社会の流れ、判決が出たということで、特にあはき法のどうもこうはっきりしない部分が、どうもこの判決で私は補完されたのかなと、このように評価をしているところであります。  いずれにしましても、そういう状況の中で、いかに視覚障害者の方の就労を守っていくのかという観点でいきますと、もう1つ、県民の健康と視覚障害者の就労を保護するために、全国ではあんまマッサージ、はり師、きゅう師施術費助成制度が数多く設けられております。滋賀県の状況について知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  県内では現在、大津市が、高齢家族介護者の健康増進や心身のリフレッシュを目的に助成制度を実施されているとのことでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)今、唯一大津市がその助成制度を設けられておりますが、残念ながら今年度で廃止をすると、こういうこともお聞きをいたしております。廃止をして、今度はフレイル予防防止ということの事業を代わって制度化しようと、こういうことで今、議会にかけているようでありますけれども、いずれにしましても、何らかの形でこれからの社会に向けての対応をされているなと、このように思うんですが、残念ながら大津市のみだけなんですね。全国の状況を見てみますと、かなりやっぱり市町、そして九州のほうなんかもかなり手厚くされております。場合によっては、後期高齢者医療連合会がいろんな医療行為とは違うところでの制度をつくったりとか、国民健康保険の中でそのサービスをつくったりとか、様々工夫をされているわけですね。そういう状況をちょっとやっぱししっかりと考えていただきたいと思うんですが、あんまマッサージ、きゅうというのは、多分、私は、これからの超高齢化時代にとって大変大事なサービスだなと、このように思っております。聞くところによりますと、指圧によって体を刺激することで、血液やリンパの流れを改善するとか、心身ともに健康を目指すというようなこととか、マッサージでリラックス効果がある、精神的に安定になっていく、それから関節の可動域を広げるとか、様々な効能があるということで仄聞をいたしております。私は、ある意味では、全国のそういう制度とか今の大津市の状況を見ると、このあんまマッサージ、あはきの皆さんの新たなやっぱり方向性が示されたんだなと、このように私は受け止めておるんですけども、そのことについての職域拡大への方向という意味での知事の所見をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 例えば、介護分野では、平成30年の介護保険制度の改正におきまして、デイサービスなどに配置される機能訓練指導員の対象資格に、従前のあんまマッサージ指圧師などに加え、一定の実務経験を有するはり師、きゅう師が追加されたところでございます。  デイサービス、ショートステイや特別養護老人ホームなどでは、いわゆるあはき師などの資格を持つ専任の機能訓練指導員を配置し、利用者ごとに機能訓練を実施した場合は、加算評価されるメリットもあり、利用者の自立支援の観点からも、あはき師などの機能訓練指導員の配置促進を期待するところでございます。  こうしたことから、介護分野は、視覚障害のあるあはき師の皆様にとって比較的安定した就労が可能となる職域となり得ると考えているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)まさに知事が言われた内容、私も同感であります。まだ滋賀県ではそういう意味からするとまだまだ余地があるのかなと、このように思っているところでございます。企業では、ヘルスキーパーということで、従業員の健康維持のためにそういう方を雇用するということもあるようですが、なかなかこのコロナ禍ではそういうことが進んでいないというのもお聞き及んでおります。  それでは、滋賀県のあんまマッサージ、はり師、きゅう師施術費助成制度の必要性について、知事にお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) はり、きゅうなどの施術費につきましては、療養上一定の要件を満たす場合は医療保険の対象となっており、公費負担がなされているところです。  御指摘の助成制度は、高齢者や介護者の健康保持や心身の負担軽減を目的とした医療保険適用外の施術に対する助成制度であり、その必要性については、保健事業や介護保険事業の保険者である市や町が地域の実情を踏まえて判断されるものと認識しております。  施術費助成制度が、視覚障害のあるあはき師の就労保護に一定寄与していることを否定するものではございませんが、県としては、例えば、介護事業所での機能訓練指導員としての配置や民間企業での職域拡大などの促進により就労の安定を確保するという障害者雇用対策の観点で取組を進める必要があると考えているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)介護分野も当然必要だと、このように思いますが、それではやっぱし就労が足りないんですね。なかなか進まないというのが今の現状です。だから何とかしてほしいと、こういう悲鳴のような声が業界から聞こえてくるわけであります。  例えば、長崎県は、県としてですけれども、これは後期高齢者医療連合会の助成制度として、いわゆる今、保険適用にならない外のところの助成制度として、年間、75歳以上でありますと当然後期高齢者ですので、75歳以上で700円掛ける月5回、年間60回ということで、これは保険適用外のところでのサービスということになっています。そういうことからすると、滋賀県にも滋賀県後期高齢者医療連合会というのがあります。当然、これは県は、その連合会に対して助成とかサポートをしていくと、こういう位置づけになっていると思うので、ぜひ滋賀県の連合会の中でも、こういう長崎県のようなサービスを、制度をつくるような、そういう助言を知事のほうからもしていただきたいと、このように思うんですけども、知事の見解をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 今も御紹介いただいたように、長崎県では、後期高齢者医療広域連合が、被保険者の健康の保持増進の観点から、はり、きゅうの施術費の一部助成を実施されていると承知をしております。  ただ、議員も御案内のとおり、後期高齢者医療広域連合が主体であったとしても、やはり構成団体である各市町において助成制度の必要性を御議論いただくことが重要だと考えておりますし、後期高齢者医療広域連合からは累次にわたり財政負担の厳しさを言われているところでございますので、そんなに容易なことではないと思います。  ただ、この間お取り上げいただいているとおり、視覚障害のあるあはき師の方々の就労の安定を図るための取組ということは重要でございますので、民間企業等での職域拡大の促進に向けた働きかけなど、雇用対策に重点を置いて取組を進めていきたいと考えております。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)なかなか厳しい顔で答弁されましたけども、いずれにしましても、視覚障害者の方の就労を確保するということをすると、かなり大きなこれは効果があると、このように思います。そして、広域連合、連合会の中でも、やっぱり知事が助言して各市町に訴えていただきたいと。後期高齢者、75歳以上の方が健康になれば、当然医療費も抑えられるわけでありますので、それはもう財政と裏表の関係だと、このように思いますので、そんなことも含めて、それと、知事がよく共生社会づくりと言うことからすると、もう一歩知事のほうも検討していただいて、前向きに議論していただきたいと、このように思いますけれども、もう一度お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) おっしゃったとおり、あんま、はり、きゅうの施術により、むしろ健康度が高まれば財政負担が軽減される面もあるのかもしれません。ただ、それは、様々な保健指導でありますとか、運動でありますとか、様々なことも同様のことが言えるわけでございまして、そういうこととの兼ね合いをどのように議論し整理するのかという、こういう課題もあると思います。  すいません、繰り返しになって恐縮ですけど、後期高齢者の医療広域連合の中の課題でございますので、その一員として我々も市町と議論はいたしますけれども、財政上の負担の課題もございますので、なかなか簡単なことではないと思います。ただ、視覚障害のある方が多く使われている、こういうあんま、はり、マッサージ、きゅう師、こういった方々の職域をどのように拡大していくのかという努力は、関係当事者の皆さんと一緒に積み重ねていきたいと存じます。
    ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。前向きに受け止めさせていただきます。  最後に、別途知事にお渡ししました滋賀県鍼灸マッサージ師会の要望書に対する知事の、これは前提は私が申し上げたことの総括的な話になるんでしょうけども、見解をお伺いしたいと、このように思います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  滋賀県鍼灸マッサージ師会の皆様方からは、後期高齢者の健康維持の観点と、無資格者との差別化による視覚障害のある会員の生活基盤の確立の観点で、助成制度の創設を御要望いただいているところでございます。  助成制度につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、鍼灸マッサージ師会は、市町の健康フェア等で施術を広めたいと考えておられ、県としても健康づくりイベントの情報が掲載された健康しがポータルサイトの積極的な活用を促し、広く県民の皆さんに施術の効果を発信することで、利用促進につなげていけるよう支援を行っていきたいと考えております。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ぜひよろしくお願いしたいと、このように思います。  先ほど、あはき法の改正という話もさせていただきましたが、どうも業界の方とお話ししますと、一般のマッサージとかリラクゼーションは、体が楽になりますとか、美容に効果がありますとかいうのをどんどん宣伝で書いていますけども、このあはき法に関わる方々は広告を出せないそうです。効果がこんな効果がありますよという広告は出せない。これは医療行為の関わる部分やということで、多分そこが制限されているんですけれども、どうもそれは競争するにしても、そういうことも書けないということもあって、有資格者と無資格者の間にかなりやっぱり不平等感があるなと、このように私も思います。そういう見方からすると、やっぱり法律改正というのはこれから我々も機会あるごとに対応していきたいと、このように思いますけども、知事としても、昭和22年につくった法律と今との状況というのはもう大きく変わりましたので、そこはぜひ知事も前向きに対応していただきたい、このように思います。  それでは、次の項に移ります。  特別支援学校高等部卒業後の居場所についてお伺いをいたします。  私の地元の彦根市に、県内の特別支援学校高等部の卒業生とその集まり、楽しく歩むと書いて楽歩があります。その会が、県内の特別支援学校卒業生と保護者に対して、余暇についてアンケートを実施をされました。余暇といっても、障害者の方にとっては生活そのものであります。そして、その結果をまとめて、「笑って話せば楽しく歩める」を福祉財団からの助成を受けながら自費出版をされました。私もそのアンケートを直接保護者の方と当事者の本人から頂戴し、読まさせていただきました。学校卒業後、同世代と交流する機会が激減してしまう障害者の方とその家族の苦しい状況がストレートに受け止められました。まさに障害者の子供たち、その家族は、私たちがコロナ禍で厳しい行動制限の中、経験をした息苦しさが日常的なんだなと改めて考えさせられました。  少しアンケートの結果の概要を申し上げます。  特に自由記述欄であります。保護者からは「親子ではなく第三者と出かける経験をさせてやりたい。他人と関わる時間をつくらないと、親がいなくなったときに困ると思う」、「支援学校卒業後、保護者の集まる機会がなくなり寂しい。愚痴ったり、笑ったり、いろいろ話をしたい」、本人からは「親の力を借りずに、友達と外出したい」など、他者とのつながりを求める率直な声が記されてありました。楽歩のリーダーの方からは、その会をつくってからは、間違いなく子供たちは表情が豊かになって笑う顔が多くなったと喜ばれていました。  まずは、県立の特別支援学校高等部の卒業後の進路の状況について、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをします。  令和2年度の県立特別支援学校高等部卒業生281名の卒業後の状況でございますが、大学進学が1名、職業訓練校が1名、就職が全体の26%で73名、一般就労に向けた福祉サービスである就労移行支援や就労継続支援などの利用が42%で118名、生活介護などの社会福祉施設利用が26.7%で75名、在宅や進路先未定が4.6%で13名となっているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。半数以上がそういう継続施設ということで、こういう実態が浮かび上がりました。恐らく日々はその作業所等との往復で1日が終わると、こんなような状況だと、このように伺っております。  それでは、次に、滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例の目的について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例は、障害者権利条約で示された、合理的配慮を行わないことも障害者差別に当たることや、障害は社会の側にあるという障害の社会モデルを法律上位置づけた障害者差別解消法の補完等を目的としているところでございます。  個人に対象を広げ、事業者にも義務を課すなど、法以上の内容にするとともに、声の上げられない障害当事者に寄り添い、その声を代弁する地域アドボケーターを設置するなど、障害の有無にかかわらず、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会の実現に向けて、県民全体で取り組むことを目指して制定したところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)すばらしい条例だと、このように思いますが、先ほどの就労の状況を見ると、まだまだ社会に受け入れられていないなということが分かると、このように思います。  次に、障害者差別解消法と、今言いました滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例でうたわれている合理的配慮の持つ意味について、知事に見解をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  合理的配慮の提供は、障害のある人から何らかの対応を求める意思が示されたとき、負担が重くない範囲で配慮を行うことであります。  求められた対応がすぐには難しい場合にも、互いの事情を分かり合い、共に何ができるかアイデアを出し合いながら、建設的な対話によって、その人やその状況に応じた対応を導き出すことが重要であると認識しております。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)それでは、今言われた合理的配慮への理解、これがどの程度滋賀県で広がっているのか、知事の認識をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  条例の制定以降、様々な手法により合理的配慮の周知啓発に努めておりますが、昨年7月の県政モニターアンケートでも、合理的配慮を知っている方は41%にとどまるなど、幅広い層への浸透はまだまだ道半ばであると認識しております。  昨年の障害者差別解消法の改正により、民間事業者の合理的配慮の提供が法律上も義務とされましたことから、テレビCMや教材の作成等、幅広い方々への浸透を図る取組を行っているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)そもそもこの合理的配慮という言葉は、私も、どうもこう県民に受け入れられにくい表現、国民もそうなんですけど、ある意味では当たり前というような僕は状況だと思うんですけど、この合理的配慮の県民への浸透、やっぱり少しちょっともっと分かりやすく説明していかないかんと、このように思うんですけど、その辺、知事はどう思われるでしょうかね。この合理的配慮という言葉自体に対して。 ◎知事(三日月大造) 合理的配慮という言葉の持つ意味、この漢字5文字が浸透していくことの難しさを助長しているのではないかという議員の御懸念だと思いますが、ある一方で、ある一面、私はそういう議員の御指摘というのは、なるほど聞いていてそうかなと思う反面、それぞれができる配慮を無理のない範囲で広めていくという、何かこれまで難しい、できないと言っていたものを一歩超えていけるきっかけにもなる言葉として広めていきたい、また、いかねばならないなとも思いますので、別にいい言葉なりがあれば、また議論してみたいと思うんですが、今はこの言葉の意味をそれぞれの事例の中から分かりやすくお伝えするということに注力していきたいと考えているところです。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)法律の中身は変えられませんので、もうしようがないと思うんですけど、できるだけ分かりやすくお願いしたいと。このことが広がれば、やっぱりその居場所というものが、かなりやっぱし選択肢は広がるだろうと、私はこのように考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、次の質問ですが、一般的に障害者の方の地域社会での居場所ということでいくと、グループホームというのがございます。以前にも私、質問した経緯があるんですけれども、まず、グループホームの今の滋賀県の状況と、それを支える人材育成の課題について、健康医療福祉部長に状況をお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  まず、本県におけますグループホームの状況についてでございますが、令和2年度末の時点で169か所が運営され、定員は1,518人となっております。この整備量は、県の前の障害者プランにおける令和2年度末の目標でございました1,477人を上回ってはおりますが、重度障害のある方が利用可能なグループホームの整備や支援人材の確保などが依然課題と考えております。このため、施設整備につきましては、重度障害のある方を対象とする施設を優先して整備しております。  また、人材確保を図るため、今年度から、事業所等に社会保険労務士を派遣して国の処遇改善策を活用できるよう支援する取組や、障害福祉の仕事の魅力発信事業などを実施しているところでございます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)一応計画としては充足してきているということですが、今部長言われましたように、やっぱりそれを支える人材、これがかなり大きな課題だと、このように思います。このグループホームというのは1980年に制度化されて、そこからいくと30年も経過しています。滋賀県でも、多分一番最初にできた頃のグループホームを考えた場合、そこに入所されている方はかなり高齢化をされているということがあります。そういう意味からすると、住環境とか、それを支えるケアをされる人材というのもまた中身が変わってくると、このように思いますので、そこはしっかりと対応に応じてよろしく対策を講じていただきたいと、このように思います。  いずれにしましても、今回御紹介した「笑って話せば楽しく歩める」というこのアンケートでありますが、このアンケートを楽歩の皆さんはなぜされたのかということですが、これは、何かを県にしてほしいということではなくて、やっぱり私たちの状況を知っていただきたいということでの思いで作られたということですので、そこはそういう意味で受け止めていただきたいと、このように思います。  それを読んだ私が、そういうことからすると、やっぱりその居場所をつくるために何らかの助成が考えられないのかなと、このように考えているところでございますが、知事に、その居場所づくりに対するやっぱり支援が必要と私は考えるんですが、知事の所見をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  NPO等による居場所づくりへの支援についてでございますが、今も御紹介いただきました楽歩の皆さんが作成された冊子は、私にも届けていただきまして拝見いたしまして、他者とのつながりを求める多くの声に共感いたしますとともに、気軽に集える居場所づくりを行っていらっしゃることにも敬意を表したいと思います。  また、特別支援学校の先生とその保護者の皆様方とのつながりの中でそういう冊子を作られたり、そういう集いの場を継続されているというこの取組、そういったことにも私はすばらしい取組だなということで感じ入った次第でございます。  県では、障害児・者地域活動推進事業によりまして、障害や難病の当事者、御家族等の交流の場づくり等の活動を支援しているところでございまして、改めてこの制度の周知を図ってまいりたいと存じます。  一方、従来から地域で活動を行ってこられた手をつなぐ育成会の皆様方からは、交流会等への参加者減少の課題等も伺っておりますことから、居場所を求める方に必要な情報が届き、それぞれの活動がより活性化するよう共に考え、また支援も行ってまいりたいと存じます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  それでは、最後に、もう一度知事にお伺いしたいんですが、誰一人取り残されない社会、誰もが居場所と出番のある社会を知事は目指されています。それに向けたもう一度知事の決意をお伺いをしたいと、このように思います。 ◎知事(三日月大造) やはり人は人の中で人になるということを私は常々念じ、また言うようにしています。また、人は一人では生きていけないので、一人一人を大切に、全ての人に居場所と出番のある社会をつくりたい。また、このコロナ禍で特に強く我々も自覚しておりますが、つながりの中で生きているということですね。これは空間的なつながりもありますが、そういった心のつながりということも重要だと思います。  こういったことを、とりわけ多く疎外感を感じられてしまいがちな障害のある方々にもそのような思いを持たれることがないように、特に意を用いて、様々な制度づくりや施策づくり、また組織づくりをしていくことが必要だと思いますので、今日いただいた様々な課題等もしっかりと胸に留めて今後の施策づくりに取り組んでまいりたいと存じます。 ◆39番(江畑弥八郎議員) (登壇)ありがとうございました。本当に私も含めて頑張り抜きたいと、このように思います。  保護者の皆さんから、卒業後は寂しいと、こういうことは皆さんからも、やっぱり滋賀県の県立の支援学校は大変楽しかったと、充実していたと、やっぱりすばらしい先生方がいたということで、大変私に対しても感謝をされていました。そういう意味からすると、教育長にもその思いをお伝えをしておきたいと、このように思います。  いずれにしましても、障害のある方が卒業後もまさに笑って話せて楽しく歩める、そのような社会になるように祈念をいたしまして私の質問を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、39番江畑弥八郎議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時20分 休憩    ────────────────   午後3時40分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  最後に、23番海東英和議員の発言を許します。 ◆23番(海東英和議員) (登壇、拍手)よろしくお願いします。自由民主党滋賀県議会議員団の海東でございます。  今朝は氷が張って大変寒かったですけれど、春が近いかなと思わせるようなお天気でした。しかし、ミサイルが降ってくるような大変なところがあるということをやっぱり考えると、本当に何も言葉がないなと思います。改めて、議員にならせていただいて、少しでもお役に立ちたいという思いで今日の一般質問を務めさせていただきます。  まず、ラムサール条約登録湿地・琵琶湖についてを質問します。  滋賀県の琵琶湖は、ラムサール条約の登録湿地であります。MLGsにも、琵琶湖の価値の4に「ラムサール条約登録湿地としての価値」と挙げられています。  ラムサール条約ならびにラムサール条約登録湿地とはどのようなものですか。  日本の登録湿地は、琵琶湖以外は市町村の登録で、県も市町と共に当事者であるのは滋賀県の特徴だと思いますが、全国的に見てどうですか。  滋賀県と10市によるラムサール条約登録湿地協議会は、ホームページでは休眠状態ですが、生き生きと活動できていますか。  全国のラムサール条約登録湿地の優良な取組情報が県内10構成市と情報共有できていますか。県の存在が現場を預かる市町の主体的活動の創出に役立っていますか、お尋ねします。  2月2日を基準にされてきた水鳥の一斉調査は近年どうなっていますか。ガンカモ類の飛来、生息状況は、どのように調査、掌握しているでしょうか。  1999年10月の琵琶湖水鳥研究会、須川恒先生によるレポートによると、ラムサール条約の基準の一つに、2万羽以上の水鳥が定期的に飛来することがありますが、2月7日のウェットランドデイin琵琶湖の琵琶湖一周水鳥カウントライブの短時間一斉調査では、琵琶湖にはガンカモ科の水鳥だけで7万8,000羽確認されたので、国際的に重要とより確認されたとあります。さらに、その調査結果から、1%基準という、特定の種の全体の1%以上の個体が飛来する基準を、コハクチョウ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、キンクロハジロの5つもの種が1%を超え、琵琶湖はより国際的な重要さが確認されたと報告されています。  県は、条約に貢献し得る調査報告を定期的に発表しています。これで何を伝えていますか。  国際社会において、生物多様性の維持は、CO2ネットゼロと並ぶ2本柱であると考えます。今、県庁はCO2ネットゼロに集中していますが、県の生物多様性増進と湿地のワイズユースの取組、すなわちラムサールの登録湿地を預かるその使命を果たすための取組を、滋賀県はどのように位置づけていますか。  ラムサールびわっこ大使の活動実績と成果を問います。予算と活動内容の評価をしていますか。  事業を淡海環境保全財団に委託していますが、近年の活動は、湖魚の調理や鮒ずしづくり、MLGsのレクチャーなどです。県として、内容の精査、そして波及効果をどのように評価していますか、お尋ねします。  滋賀県が、ラムサール条約登録湿地として、締約国会議への出席や全国の連絡会への参加の責務を果たすこと、そして、構成市との役割分担等の確認をしていますか。  この正月明けには、高島にもコウノトリが1羽飛来し、増殖したヨシ帯との間のクリーク状態のところでJO301という越前生まれの雄の個体が餌をついばんでいました。以前は近くの田んぼにつがいで飛来がありました。  栃木県小山市の渡良瀬遊水地のコウノトリも、最初は1羽でしたが、翌年、つがいで飛来し、産卵するようになり、ひなをかえした事例はラムサールの世界では有名であります。  長浜では、コウノトリが10羽近く飛来し、地域で環境を整える取組が、子供たちも含め、熱心に取り組まれているとネットで拝見しました。  滋賀県はコウノトリの飛来についてどのように考えていますか。  佐渡のトキ、豊岡のコウノトリ、鳴子のマガン、出水の鶴、小山市の渡良瀬遊水地とコウノトリの活動などの地域活性化の事例は有名であります。特に、FAOの選定地でもある佐渡のトキや、豊岡のコウノトリを育む生物多様性農業への支持が、お米の販売価格に反映し、トキ米やコウノトリ米として流通しています。  宮城県大崎市は、ガンの飛来する農地を守る活動を支える仕組みとして、鳴子温泉がマガンの飛来する田んぼのお米を優先して買い、名物としてお客さんに提供し、支持、共感されて観光の目玉となっています。農業政策でも、生物多様性やラムサール条約登録湿地の市場優位性を生かしている事例と思います。これらの情報は、ラムサール部局から農政部局に共有されていますか。  ラムサール登録湿地を舞台にした生物多様性を守る活動が、希少な鳥類の生息環境を守り、生物多様性農業で生産されたお米が安心・安全であることを鳥たちが証明し、生産者が善良で賢明であることのあかしとなることで、いずれの地域でも付加価値高く販売でき、地域のアイデンティティーも高まり、相乗効果を発揮しています。  滋賀県の環境こだわり米の生産者は、販売価格の面で、かけた手間と収入に関して満足されていないと聞きますが、県はどのように考えていますか。  滋賀県の魚のゆりかご水田米は、コイやフナ、ナマズなどの繁殖地として機能を持つ田んぼを認定して、シールなどで明示する方法です。田んぼから水を落とす際に網で受けて魚の生育状況を確認するなど真面目に取り組まれていますが、価格に関しては反映できているか掌握が難しいようです。有利販売やマーケットインなど説明を聞いてきましたが、販売価格の上積み効果の現実はどうでしょうか。  コウノトリは難しくても、赤とんぼ米なら、ネオニコチノイドを使わないエリアならすぐにでも名のれます。宇根豊さんによると、赤トンボが1匹生存できる環境は、稲が9株分、御飯をお茶わん3杯食べることで生息環境を維持することにつながるとされています。  滋賀県の魚のゆりかご水田米は、カエルやドジョウやミミズなどの生き物の豊かさも守っているのに、琵琶湖の希少な魚たちを守っていることにのみ帰結し、マーケットを狭めていないでしょうか。  以前、地域の減農薬給食米や有機米生産の取組を、月刊岩波で多田実氏が、「コウノトリのようなヒーローはいないが、絶滅危惧種のカエルなど、豊富に帰ってきた生き物田んぼは全国のお手本になる」と紹介してくださり、価格の下支えになりました。それらを餌にして繁殖する鳥たちの生育によって、いかに地球に優しいか、貢献しているかを分かりやすく表現するラムサール的な視点で農業環境を語る利点だと思います。これだけ苦労して作りましたに加え、商品としての価値、アイデンティティーをどう伝え、応援したいと思ってもらえるか。滋賀県統一でなくても、もっと産地ごとの特徴を伝えるように見直しをしてはどうでしょうか。  ワイズユースという概念、それを進めるCEPAというアプローチもラムサール世界の共有の方法です。滋賀県も、独自路線も貴いですが、ラムサール的言語や世間が認める付加価値の創造手法を取り入れてはどうかと問います。  ラムサールは、県が取りまとめ組織になったことによって、地域の主体的、積極的な活動が育ちにくく、全国の活動とも歩調やリズムが合わず、お付き合いもうまくいっていないように感じる面があります。今後の市町との適切な役割分担をどうしていくといいでしょうか。  FAOにおいて世界農業遺産の選定に際し、今のところは県は一生懸命ですが、ラムサールと同じように、認定後は熱意が失せて、大切な役割も果たさなくなることが心配されます。県が世界農業遺産の前面にいることによって、現場の個々の地域が主人公になれない危険性をはらんでいると心配します。そうならないよう、ラムサールの経験を生かして、FAOの認定を受けた後のビジョンを構成地域ときちんと話し合い、十分な配慮を考えられたいが、どうでしょうか。  そして、世界農業遺産に認定された後、地域活性化の成功事例が次々と出てくるもうかる仕掛けをどのように仕込んでいくかを問います。  改めて、ラムサール条約登録湿地としての責務にきちんとコミットすることから、MLGsも含め、より充実した尊敬される祖先としての役目が果たせると考えます。知事は、ラムサール条約登録湿地としての琵琶湖を統括する職務担当者を任命し、締約国会議にも担当者を派遣し、全国のネットワークにも参画させ、仕事を通して人材も育成する責任があると考えますが、いかがでしょうか。  琵琶湖環境部の生物多様性と農政水産部の環境こだわり農業、有機栽培の推進の重なるところに世界が刮目すべき持続可能な未来像があり、かつてSATOYAMAイニシアティブと題して日本が世界に発信しようとした概念と現場が滋賀県にはあると思います。  サミットの環境大臣会合招致のメッセージに、滋賀県の琵琶湖、里山の命のつながりシステムをどのようにプレゼンをしていくのか、戦略的に練り上げることで、滋賀県の持つ未来への使命、役割が明確になり、セールスポイントが明らかになり、県庁の仕事の整理になると思います。琵琶湖システム、琵琶湖プライドについて熱意を持って検討されたいと存じます。知事の所見をお伺いします。 ○議長(富田博明) 23番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。  海東議員、全て知事でよろしいですか。 ◆23番(海東英和議員) 通告どおりです。 ◎知事(三日月大造) (登壇)ラムサール条約について21点御質問いただきました。  まず1点目、条約ならびに登録湿地についてでございますが、ラムサール条約は、国際的に重要な湿地や、そこに生息、生育する動植物の保全を推進するため、1971年にイランの都市ラムサールで採択された国際条約でございます。  条約では、各締約国がその領域内にある重要な湿地を指定し、湿地の保全および賢明な利用促進のために取るべき措置等が規定されており、2021年10月現在、世界で172か国が加入し、日本は1980年に加入をいたしました。  ラムサール条約登録湿地とは、条約で定められた基準に沿って国際的に重要な湿地に関する登録簿に登録された湿地をいい、2021年11月現在、国内で53か所が登録されております。琵琶湖は、1993年に国内で9番目に登録され、2008年には西の湖が拡大登録されております。
     2点目、登録の当事者についてでございますが、議員御指摘のとおり、琵琶湖は、主たる管理者が滋賀県であることや、国内の他の登録湿地に比べて登録の範囲が広く、複数の市町にまたがるため、県と琵琶湖に面した10の市が登録自治体となっているという特徴がございます。  なお、国内の他の登録湿地では、琵琶湖と同様に、県と市町村が共に登録の当事者である事例もございますが、多くは市町村が登録自治体となっております。  3点目、琵琶湖ラムサール条約連絡協議会解散後の組織および活動についてでございますが、この協議会は、琵琶湖の湿地保全活動を促進し、適正な管理を行うことを目的として、平成12年に本県と関係する6市15町で設立し、以降、主に水鳥観察会などの研修や普及啓発等の活動を行ってまいりましたが、市民団体等が行う普及啓発活動が活発になってまいりましたことから、その役割を終了し、平成30年度末で解散をいたしました。  令和元年度からは、本県と関係10の市でラムサール条約関係市連絡会議を設け、湖岸や湖底ごみの清掃活動、ヨシの保全活動などのラムサール条約に関する活動について情報交換等を行っているところでございます。  4点目、全国の取組の情報共有についてでございますが、県といたしましては、先ほど申し上げたラムサール条約関係市連絡会議で情報提供を行うとともに、野鳥観察会での研修資料の提供など関係市の活動を支援しており、一定の役割を果たしていると考えております。今後も、本県と関係市で連携して取り組んでまいりたいと存じます。  5点目、水鳥の一斉調査についてでございますが、本県における水鳥の調査は、野鳥の会に委託をいたしまして、毎年1月中旬に実施しており、琵琶湖と琵琶湖周辺の約180か所で目視による個体数の調査を行い、鳥類の種別ごとに個体数を集計しているものでございます。  6点目、その水鳥一斉調査の調査報告の発表についてでございますが、令和3年度の調査結果は現在取りまとめ中でございますが、令和2年度までの調査結果は滋賀県のホームページで公表させていただいております。  令和2年度の調査結果につきましては、39種、14万1,990羽の水鳥が観察され、令和元年度と比較いたしますと4.4%の増加となっております。  また、例えばカイツブリなどの希少種の増減傾向も読み取れる形で公表させていただいております。  7点目、生物多様性増進と湿地のワイズユースの取組の位置づけについてでございますが、御指摘のような条約上の考え方につきましては、令和3年4月に改定いたしました滋賀県ビオトープネットワーク長期構想や、平成27年3月に策定いたしました生物多様性しが戦略で位置づけているところでございます。  滋賀県ビオトープネットワーク長期構想におきましては、ラムサール条約登録湿地であります琵琶湖や湖岸域、内湖につきまして、野生動植物の生息、生育環境の保全、再生、ネットワーク化を図り、生物多様性の保全や湿地の賢明な利用を促進するための方針を定めております。  また、生物多様性しが戦略におきましては、琵琶湖を中心に、滋賀らしい自然と人の関わりの在り方を発展させることにより、生き物と人とが共存し、自然の恵みから生み出される多様な文化が展開する社会が実現されることを目標に位置づけており、生物多様性の保全、再生、生態系サービスの持続可能な利用および生物多様性に対する理解と行動の促進に取り組んでいるところです。  8点目のラムサールびわっこ大使の活動実績と成果および予算の内容についてでございますが、ラムサールびわっこ大使事業は、本県の環境保全の取組を促進させる次世代リーダーの育成と、ラムサール条約登録湿地としての琵琶湖の普及啓発を目的に、平成20年度から実施しており、令和3年度の予算額は206万2,000円でございます。  令和3年度は、小学校5、6年生の9名の大使が、3回の事前学習会で、琵琶湖や水鳥、漁業、湖魚の食文化などについて学び、12月には2泊3日で福井県三方五湖を訪問し、地元の子どもラムサールクラブとの交流、学習や互いの活動報告を行い、1月には、びわっこ大使経験者との世代間交流も開催したところでございます。  これまでの14年にわたる事業を通じまして、びわっこ大使経験者の中には、環境保全活動に参加する学生や、教員として環境学習を指導している社会人など環境保全分野で活躍いただいている例もあり、次世代の環境リーダー育成に一定寄与しているものと考えております。  9点目、淡海環境保全財団への委託内容、事業成果等の評価についてでございますが、ラムサールびわっこ大使事業の委託に当たりましては、毎年度、公募型プロポーザル方式で委託者を決定しており、令和3年度は、公益財団法人淡海環境保全財団に委託をしております。  当事業の委託内容は、学識経験者等から構成される企画運営委員会の開催、事前学習会、県外派遣、世代間交流会等の企画、運営でございます。  活動内容の中に湖魚の料理や鮒ずしづくりを盛り込むことにつきましては、小学5、6年生のびわっこ大使が、ラムサール条約登録湿地としての琵琶湖の生き物の多様性や、それらを利活用する生活や文化を学ぶのに、琵琶湖の固有の漁業や湖魚料理は分かりやすく適切な題材であると考えております。今後とも、これに限らず、適切な題材を幅広く取り上げてまいりたいと存じます。  10点目、本県の条約関連会議への出席、構成市との役割分担についてでございますが、ラムサール条約に関連する会議につきましては、締約国会議をはじめ、国内の連絡会議など複数の会議が設置されており、県といたしましては、引き続き、琵琶湖を代表して会議に出席するなど、情報収集に努めるとともに、構成市に情報提供してまいりたいと存じます。  11点目、滋賀県へのコウノトリの飛来についてでございますが、本県は、琵琶湖や内湖などの鳥獣の保護のための必要な区域を鳥獣保護区として指定しており、コウノトリなどの多様な鳥類が飛来できる自然環境の保全に努めているところでございます。  コウノトリなどの希少な鳥類が飛来することにより、地域の環境保全意識が高まり、地域の環境保全活動の活性化につながることが期待されますことから、引き続き水鳥の生息環境保全に努めてまいります。  12点目のラムサール条約に関する全国の事例の共有についてでございますが、国内では、ラムサール条約に関する情報交換を通じまして、条約の効果的な実施を図るため、条約湿地関係自治体、日本国際湿地保全連合、国の関係省庁を構成員とするラムサール条約推進国内連絡会議を設置され、ラムサール条約締約国会議に向けた国別報告書の作成や、関係自治体、NGOの活動報告などの情報交換が行われているところでございます。  これまで、会議の情報共有が必ずしも十分ではございませんでしたが、当連絡会議での情報を含め、全国の事例の共有に努めてまいりたいと存じます。  13点目、環境こだわり米の販売価格面での考えについてでございますが、例えば、生物多様性の保全に効果のある取組につきましては、労働費や資材費などのかかり増し経費を環境保全型農業直接支払交付金により支援しているところでございますが、さらに有利販売により高い価格で販売を望まれる農業者が多いと認識しております。  一方で、一部のJAでは、大面積での取組により、大きなロットで供給できる体制を確立し、生協や大手量販店との契約販売を行うことで有利販売を実現されている事例があると認識しております。  14点目、販売価格の上積み効果についてでございますが、一部の生産者は、魚のゆりかご水田の取組に共感されている消費者に、2キログラム当たり1,000円程度で直接販売されていると伺っております。  また、量販店では、例えば、京都、滋賀のイオン9店舗やコープしがにおいて、通常価格よりも約1割高い2キログラム当たり980円で販売されていると伺っております。  15点目、生産現場ごとの特徴を伝えるよう見直しすることについてでございますが、これまで、琵琶湖から田んぼに遡上し産卵、繁殖後、琵琶湖に戻る、そして伝統的食文化である鮒ずしの材料になる琵琶湖固有種のニゴロブナをシンボルといたしまして、ほかに例がないストーリー性を大きな特徴として、この魚のゆりかご水田については消費者に訴えてきたところです。  しかし、魚のゆりかご水田米の魅力や特徴が消費者の方々に十分に伝わっていないとすれば、生産現場ごとの生き物の特徴などをどのように表現すると、よりうまく伝えられるのか、また、安全で安心なお米として選んでもらえるのかなどなど、マーケティングの専門家などの御意見も伺いながら研究を重ねてまいりたいと存じます。  16点目、ラムサール的付加価値を取り入れることについてでございますが、ラムサール条約で掲げております湿地の保全、再生、賢明な利用、交流、学習を行うことは、健康しがとして掲げておりますひとの健康、社会の健康、自然の健康にもつながる重要な考え方だと思います。こうした考え方をマザーレイクゴールズの目標や琵琶湖の価値として位置づけており、今後も本県の施策に積極的に取り入れてまいりたいと存じます。  17点目、ラムサール条約に関する市町との役割分担についてでございますが、ラムサール条約に関する活動を推進するためには、県が自ら積極的に取り組むとともに、市町、住民、NPO、事業者等の主体が、各地域でそれぞれの立場から自主的、主体的に取組を進められ、相互に連携を図りながら効果的な取組の推進を図ることが重要であると認識しております。  全国的には、主に各県が参加いたしますラムサール条約推進国内連絡会議のほか、市町村間の情報交換や協力を推進するラムサール条約登録関係市町村会議が設けられ、本県からは、長浜市、近江八幡市、高島市が参画されているところでございます。  今後、未参加の各市に対してこのような全国会議への参画を促すとともに、これらの会議での情報の共有など、各市との連携を深めてまいりたいと存じます。  18点目、世界農業遺産の認定後のビジョンについてでございますが、世界農業遺産の認定を目指す本地域の取組は広域的なものであり、地域で活動されている皆様にとって全体像を実感しにくい面もあると考えられ、それぞれの取組を琵琶湖システムに関連づけ、誇りや意義をいかに感じていただくかは課題として認識しているところでございます。  こうしたことから、市町や関係団体の皆様と協議会を組織し、共に申請を行うとともに、地域の取組の発信に取り組んできたところでございますが、認定後を見据え、地域活性化につなげるビジョンについて、より丁寧に意見交換を行ってまいりたいと考えております。  19点目、認定後の進め方、地域活性化に向けた仕掛けについてでございますが、琵琶湖システムの中心は、生き物や水を大切にしてきた個々の農林漁業者や琵琶湖保全に取り組む方々、こうしたお一人お一人が農業遺産の主人公であり、全体としての発信に加え、個々の取組にも光が当たるよう取り組みたいと考えております。  こうしたことから、1つは、琵琶湖システムそのものの認知度、愛着度の向上に向けたPRに加えまして、2つ目といたしましては、琵琶湖に配慮して生産された、個々の農林水産物を選んで買ってもらえることを見据えたロゴマークの選定と活用推進、3つ目といたしまして、シガリズムにもつながる農業遺産ツーリズムとしての個々の関連スポットの発信など、協議会での意見交換を踏まえながら、認定後に向けた取組を進めてきているところでございます。  世界農業遺産の認定はゴールではございません。認定を契機に、琵琶湖との共生につながる地道な取組に大きな意義や誇りを感じていただき、地域の活動をさらに輝かせることができるよう、地域の皆様のお声をお聴きしながら地域活性化の取組も進めてまいりたいと存じます。  20点目のラムサール条約に関する人材育成についてでございますが、ラムサール条約では、水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活環境を支える重要な生態系として、湿地の保全、再生、賢明な利用、交流、学習を進めることが決議されており、こうした考え方に基づく条約への参画は、人材育成の観点を含めて、本県の施策推進のために大変重要であると認識しております。条約に関する会議への担当者の派遣や関連施策の推進を通じて人材育成に努めてまいりたいと存じます。  最後、21点目、本県の里山、琵琶湖の命のつながりのシステムと持続可能な暮らしについてでございますが、生物多様性の保全は、原生的な自然を保護するだけではなく、人々が古くから持続的に利用や管理してきた農地や里山などの人間活動により形成、維持されている自然環境の保全も重要であり、生物資源を持続可能な形で利用、管理し、生物多様性を適切に保全することにより、人々は様々な自然の恵みを将来にわたって安定的に享受できるようになると考えております。  こうしたことから、内湖再生やヨシ群落保全をはじめとする生物多様性の保全、回復に向けた取組と、環境こだわり農業、オーガニック農業など環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業を両輪として進め、ラムサール条約登録湿地・琵琶湖としての価値を高めていく所存です。  また、本県には琵琶湖の環境保全などで培ってきた県民の高い環境意識と行動力が根づいており、現在も、環境と経済、社会活動をつなぐ健全な循環の構築に向け、琵琶湖版SDGsであるマザーレイクゴールズ──MLGsの策定など、県民、企業、事業者、NPO等と行政が共に取組を進めているところです。こうした本県は、環境大臣会合を開催するにふさわしい地と考えており、誘致が実現するよう今後もしっかりアピールしてまいりたいと存じます。  ラムサール条約登録湿地である琵琶湖と共生してきた本県の農林水産業や、世界に誇れる琵琶湖の保全、再生施策について、今後とも熱意を持って取り組んでまいりたいし、それらを発信してまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)長い答弁を頑張って読んでいただきましてありがとうございました。  確認をして次の質問に行きたいので、もう一度問わせてください。  調査で、県の鳥カイツブリが、1980年代は2,000羽以上いてたのに、ここ5年かな、4年かな、500羽を切っているんです。希少種になってしまって、カイツブリの生存環境が大変脅かされているということが一部指摘をされていることについてどう思うか、もう一度コメントをいただきたいと思います。  それから、生物多様性農業は、冬水田んぼとか湿田化が生き物としては良好なことが多いので、CO2ネットゼロで乾田化すると差し合いになる、相反するんですが、そこらをしっかり考えていくということについてお約束をいただきたいと思います。  それから、びわっこ大使ですが、今9名で、同窓会もあったけど、206万円という予算は、やっぱりもっと間口を広く、以前にお魚ふやし隊とか、県内でお魚の調査をして、多くの子供たちが、もういっぱい魚つかんだり、虫つかんだり、田んぼや水田の近くで観察する機会があったんですけど、このラムサールのびわっこ大使にどうも活動が集約されたのか、大きい予算の割には何か集中してしまい過ぎたかなという気もしますので、滋賀県としてのやっぱり最適化、子供たちが特にコロナでへこんでいるわけですから、ほんまにこの琵琶湖の豊かさの懐に飛び込めるような事業を並行して、これはこれでラムサールは、世界会議に子供たちが行くという大冒険を保障していた予算で、これも貴いんですけれど、そこらを意味をよく御理解いただいて進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 3点いただきました。  カイツブリの状況でございますが、昨年度の調査では486羽ということで、御指摘のとおり500羽を下回る状況がございます。こういった希少種の動向ですね、近年の状況だけで増減を判断することは難しいんですけれども、状況の推移を見ながら、また他府県ですとか世界の状況等も収集できる範囲内で収集して、その状況把握しながら対応に努めてまいりたいと存じます。  また、2つ目にいただきましたCO2ネットゼロの取組と相反するトレードオフの関係になる取組についてどう考えるのかという趣旨で理解をいたしましたけれども、いずれにしろ、表面的には、短期的にはトレードオフになるような取組であったとしても、自然環境を守るために、また、ラムサール条約の登録湿地を保全するために必要な取組等につきましては、賢明な活用等を促進する観点からも積極的に逃げることなく進めていけるように努めてまいりたいと存じます。  また、3点目のびわっこ大使につきましては、この間の取組を総括しながら、例えば今後どうしていくのか、このコロナ禍においてどうしていくのか、リーダー層だけではなくて、広くこういった意識を広げるために環境学習をどう進めていくのかといった様々な視点から取組を検討していきたいと思いますので、これまで御参加された方々や御関心のある方々との意見交換、重ねてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、2問目、健康寿命日本一しがについて、全て知事にお尋ねします。  日本は、WHOの世界平均寿命2021で、84.3歳で世界一です。2位がスイスで83.4歳、これは男女一緒に平均にしているので、日本はもっと細かくやっていますが。滋賀県は、平均寿命においては全国でも注目の長寿県となり、その地位を維持しています。これは、健康医療、保健福祉の関係者の御献身と県民の賢明さ、そして、受け継がれてきた自然や社会経済環境のたまものと考え、感謝と敬意をささげます。  そして、滋賀の課題、主観的健康寿命の値の低さについては、分析して取り組んできていると存じます。  かつて東大のWHO方式の健康寿命の算定で、男女ともに全国1位になったことを一般質問で取り上げました。約5年前です。その後、何ら積極的な情報が打ち出されていないように思います。健康しがを実現していくために、現在の立つ位置、そして目標をしっかりと確認し、県民がこぞって参画できることを願って、以下、質問をします。  滋賀県の男女の平均寿命はどのように推移していますか。  このことをどう評価していますか。  主観的健康寿命へはどのようにアプローチし、その指標はどのように推移してきましたか。  そのことをどう評価していますか。  客観的健康寿命への政策的アプローチはどのような展開をしてきましたか。そして、これは平均自立期間と同じ扱いと考えてよいですか。  このことをどう評価しますか。  平均寿命から客観的健康寿命を引いた健康でない期間の短縮が政策課題となりますが、医療介護の必要な年数を短くする政策をどのように展開してきましたか。  一連の取組の評価をどのようにしていますか。  健康しがの取組は県民全てが期待していると思います。県民と共感、協働できているでしょうか。  県民の皆さんに、健康寿命日本一、世界一を達成しましょうと呼びかけることをなぜしないのかと思うんですが、なぜですか。  例えば、堺市は、「あるく、しゃべる、たべる」と関西テイストの分かりやすい政策を展開しています。県においては、風雲児は、コロナ禍の中、健康長寿日本一を掲げ大躍進した大分県で、36位から1位と男性は大飛躍しました。その「おおいた歩得」や、「うま塩」や、「まず野菜、もっと野菜」政策など、全国から今注目が集まっています。  健康寿命4年連続日本一をホームページでも公開しておられる長野県では、平均寿命が全国トップレベルの健康長寿をさらに前進させ、しあわせ長野県をつくるために信州ACEプロジェクトを推進しています。ACEは、生活習慣改善の重点目標、Action(体を動かす)のA、Check(健診を受ける)のC、Eat(健康に食べる)のEで、健康長寿において世界で1番、エースを目指す思いを込めています。  具体的に、2023年に男性は1日9,000歩、女性は8,500歩を達成するように目標を掲げ、健診受診率50%、減塩で10.3グラムを8グラムに減らし、野菜摂取量を1日304グラムを350グラムに増やす取組を掲げ、市町村と連携して挑戦しています。  滋賀県が県民と共に、これからの健康寿命を延伸し、介護や医療の必要な期間を減らしていく客観的健康寿命延伸の取組はどのように展開するのか、健康いきいき21−健康しが推進プラン−は、いつ、誰が、どのような政策にして進めているのか、県民に対して明確に説明をしてください。  もう一方の、これからの主観的健康寿命の延伸政策はどうするかも伺います。政策のターゲットはどう設定するのか。広報戦略はどうか。これらの運動こそ、分かりやすいキャッチフレーズや、日常の小さな実践と機運の醸成、時には派手なキャンペーンも必要と思いますが、どうでしょうか。  滋賀県が男女ともに健康寿命日本一、健康寿命世界一にチャレンジすることで、県民に誇りがみなぎり、選ばれる滋賀、憧れの滋賀、未来への希望が膨らみ、幸せが実感できる滋賀が実現するのではないでしょうか。ビワイチは分かりやすい。もしサポは何が何だか分からない。シガリズムも説明に手間がかかりそうです。どの山を登るのか、どう登るのか、予算は幾らで、何日かけて、何人がチャレンジするのか。分かりやすさは伝達力だと思います。健康しがという山にどう登るのかをもっと理解するために、個別テーマを例に挙げ、これから伺います。  まず、「BIWA−TEKU」の取組は、どれくらい県民に浸透していますか。システムの不具合には対応できていますか。ドコモの健康アプリなどと競合していけますか。「BIWA−TEKU」をどのように活性化させていこうとお考えですか。  ビワイチを県民の健康増進にどのようにつなげていこうとされていますか。自転車の有酸素運動の効能を生かす県民の健康増進の政策的な展開を問います。あわせて、KPIと「BIWA−TEKU」アプリとの連携も考えていたら明らかにしてください。  健康寿命延伸に転倒防止、転倒予防の活動が不可欠と考えますが、県の認識はどうですか。どのように進めますか。KPIはありますか。  ひととき、子供の下校時間にウオーキングを推奨する呼びかけがありましたが、とてもよい仕組みだと思います。広がっていますか。「BIWA−TEKU」とリンクできていますか。  国スポ・障スポに向けて、県民の健康づくりと運動習慣の向上、増進にどのような政策を実行していますか。県民に伝わり、参加につながっていますか、KPIは設定しましたか。  広島県民テレビでは、県民の運動習慣を高めていく番組を制作、放映していますが、県も出資しているBBCとは何か話し合っていますか。  交通死亡事故より多いと言われるヒートショック死の予防の取組を、以前の一般質問で長野県の事例を紹介し提案しましたが、現状はどのような取組状況ですか。年間に何人くらい減らしたいと考えていますか。CO2ネットゼロとのリンクはできていますか。  新型コロナ感染症対策でも呼びかけたフレイル予防の政策はどのように進展していますか。具体的に県民はどうするとよいのですか。滋賀県はどのような切り口で低栄養防止を呼びかけていますか。  野菜をもう一皿増やす運動の成果をどのように掌握していますか。最近聞かなくなりましたが、続けていますか。どのような取組に進展しているでしょうか。  滋賀県のお城を観光政策として押し出す動きに、健康ウオーキングはどのようにリンクさせようと考えていますか。  例えば、「今こそ城を旅しよう!」などは極めて興味深い取組になると期待され、県下50のお城を紹介するホームページを見ても面白くできる予感がします。特にお城は坂や階段がたくさんあり、知的な楽しみも備わっています。ホームページのバージョンアップの予定はどうでしょうか。健康づくりと絡めた「BIWA−TEKU」の改定は準備されていますか。  いずれ私からも提案をしたいと思っていますが、山歩きやハイキング、トレッキングも健康づくりに生かせると考えます。比良比叡トレイルを少し歩かせていただきましたが、実に気持ちよく歩くことができ、こころの健康も実感し、運動量も強度も自分で決められるので健康には最適と思いました。琵琶湖一周分水嶺トレイルなど、県政150周年の記念事業として掲げるとシンボリックで有効だとも考えます。いかがでしょうか。  県庁新館の階段に健康情報が貼られています。県内の全ての駅に掲示すると、とてもよいと思いますが、JRさんや京阪さん、近江鉄道さんとタイアップして健康づくりキャンペーンをしませんか。  私は、かつて階段1段で4秒長生きすると聞いたことがあります。そんな分かりやすい動機づけになるエビデンスはありませんか。  健康格差という観点が指摘されています。それはどのようなことですか。  健康格差の視点を踏まえながら健康政策を考えていくことは、短期的な貧困対策にとどまらない長期的視点の健康しがづくりだと考えます。子供の貧困対策も健康寿命政策に関わりますので、例えば、子ども食堂の内容を、腹いっぱい、炭水化物中心から、野菜やたんぱく質に主眼を置くとか、カレーは家でも食べられるメニューなので、肉じゃがや煮物に代えるとか、野菜や魚料理を子供たちと一緒に作って一緒に食べる食育型子ども食堂を提案していくとか、お考えはありませんか。  健康寿命の中に、特に主観的健康寿命の全国都道府県ランキングを見ていると、関西広域連合の構成府県が下位に集まっています。特に女性の主観的健康寿命は、大阪が34位、和歌山37位、兵庫39位、鳥取40位、奈良41位、滋賀が42位、徳島43位、京都が44位です。  関西は薄味で、笑いの文化があり、平均寿命では優良なエリアです。医療医薬分野の日本における集積地になっていこうとの政策も示しています。ぜひ関西に健康長寿研究の機関を設置し、関西エリアのメディアとも協力して、関西圏の健康長寿化を進め、関西万博の大きな魅力となるよう、滋賀県がリーダーシップを発揮してはどうかと思いますが、知事、いかがでしょうか。  今でも私たちこそは世界が誇れる長寿のモデルでありますが、もう少しの努力をして、県民の皆さんと世界一の健康長寿しがを実現し、未来の世代に誇ってもらえるようになりたいものであります。そのために、滋賀県は、例えば2025年、2030年にどのような指標を掲げ、県民と共に達成しようとお考えですか。県民を健康に導く具体的なもくろみ、ロードマップを示してほしいと思います。  健康しが政策の全体像が分かりにくいので、例えば、大谷翔平選手の作られたマンダラチャートなどで政策全体と関連性を分かりやすく示してくださると、納得して参加できると思います。ぜひ作っていただきたいと思います。  県政150周年を記念して、滋賀県のアイデンティティー向上策の目玉として、健康寿命日本一、健康寿命世界一にチャレンジしませんか。知事のお考えを問います。 ◎知事(三日月大造) 健康寿命に関して、こちらは30点御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  1点目の本県の平均寿命についてでございますが、厚生労働省が公表いたしました平成27年のデータでは、男性が81.78年で全国1位、女性が87.57年で全国4位となっておりまして、50年前と比較いたしますと、男女とも約15年延びているという状況がございます。  2点目、その評価でございますが、男性が初めて全国1位となったのはもちろんのこと、女性の平均寿命が全国平均を上回る伸びにより、全国順位が12位から4位へと大きく上昇したことも評価したいと存じます。  このことは、議員もお触れいただきましたが、県民の皆さんの減塩、運動、禁煙など生活習慣の改善、健康推進員などボランティアの皆様方による地域での地道な健康づくりの取組、医療関係者の御尽力により県内の医療水準が向上し、がん、脳血管疾患等の死亡率が低下したことなどが功を奏し、成果が出ているものと考えております。  3点目、主観的健康寿命についてでございますが、県ではこれまで、楽しみながらおのずと健康づくりにつながる取組を進めてきたところでございます。  昨年12月に厚生労働省が公表いたしましたデータでは、男性が73.46年で全国4位、女性が74.44年で全国46位となっており、前回調査時と比較いたしますと、男性が1.16年、女性が0.37年延びているという状況がございます。
     4点目、その評価でございますが、男女とも主観的健康寿命は延びておりますものの、とりわけ女性の全国順位が下位にありますことから、今後いかに女性を中心に県民の健康感を高め、生き生きと生活していただくのかが課題であると認識しております。  5点目、客観的健康寿命についてでございますが、この指標は、日常生活動作が自立している期間の平均として要介護度を基に算出するものでございます。その取組は、介護予防推進の観点から、認知症予防などの高齢者本人へのアプローチだけでなく、高齢者が地域の中で生きがいや役割を持って生活できるよう、住民活動の推進や社会環境の整備を図ってきたところでございます。  6点目、その取組の評価についてでございますが、平成30年に厚生労働省が公表いたしましたデータでは、男性が80.39年で全国2位、女性が84.44年で全国3位と男女とも上位にありまして、先ほど申し上げた取組を継続していくことで、さらなる健康寿命の延伸につながると考えているところです。  7点目、平均寿命と健康寿命の差を縮小する政策についてでございますが、さらなる健康寿命の延伸に向けまして、多様な主体が連携し、健康なひとづくりとまちづくりを進めていくためのプラットフォームといたしまして、平成30年10月に「健康しが」共創会議を設置したところでございます。共創会議を通じ、量販店の空きスペースを活用した介護予防体操の実施や、趣味、娯楽を通じた交流の場づくりといった事例が創出されているところです。  8点目、こうした取組の評価についてでございますが、共創会議には、これまでに190を超える企業等に御参画いただいており、この共創会議を通じまして健康づくりにつながる活動が創出されているところでございます。  一方で、こうした活動を継続的かつ安定的な取組へと発展させていくことが重要であると考えておりまして、今年度から、助成金の交付や専門機関によるサポートなど、総合的な支援を実施しているところでございます。  9点目、県民との共感、また協働についてでございますが、今年度より県民の健康づくりに資する活動を行っている団体に対しまして、事業化に向けた助成金の交付や専門機関によるサポートを行う「健康しが」活動創出支援事業を実施しておりまして、県内の48団体から応募がございました。  また、県内の地域資源を自然や文化、食など健康を切り口として紹介いたしますヘルシートリップしがの利用促進のため、訪問スポットの写真投稿キャンペーンを実施いたしましたところ、約1,200点の応募が寄せられてましたことからも、健康しがの取組が各地に広がるとともに、県民の皆さんにしっかりと御参加いただいているという手応えを感じているところでございます。  10点目、健康寿命日本一、世界一の呼びかけについてでございますが、本県の平均寿命が男性で第1位、女性で第4位となったことを機に、以後、県民の皆さんにより一層健康づくりに取り組んでもらうための動機といたしまして、これら結果を最大限に活用した周知啓発を行っているところでございます。  こうした結果が、今日までの取組の積み重ね、成果であることをしっかりとPRしつつ、まずは自分自身が健康だ、幸せだと実感いただくことで、県民の安心感や満足度の向上につなげていきたいと考えており、今後も引き続き、健康寿命の延伸に向けた取組の周知と参加の呼びかけを着実に進めてまいりたいと存じます。  11点目、健康いきいき21−健康しが推進プラン−についてでございますが、本計画が実効性のある取組となりますよう、地域・職域連携推進会議におきまして進捗状況を確認し、市町をはじめ、関係団体、学校、企業などと共に、それぞれが役割を果たしながら、健康づくりを県民参加型の運動として展開しております。  県といたしましては、市町、団体が実施いたします健康増進事業の支援を行いますとともに、県民が主体的に健康づくりに取り組めるよう、データに基づく健康情報等の発信や健康づくりの機会の創出を行っているところでございます。効果を十分に発揮できるよう工夫に努めながら、引き続き取組を進めてまいりたいと存じます。  12点目、主観的健康寿命に関する今後の取組についてでございますが、県ではこれまで、「みんなでつくろう!健康しが」を合い言葉に、楽しみながらおのずと健康づくりにつながる取組を進めてきたところでございます。こうした取組を通じまして、高まってきた健康への関心や気づきから、ふだんの暮らしにおける実践へと一段高めていくため、令和4年度は、主として女性をターゲットに、SNS等を活用し健康的なライフスタイルモデルを提案、発信するなど、健康感の底上げを図ってまいりたいと存じます。  13点目、「BIWA−TEKU」についてでございます。  令和4年1月現在のユーザー数は約3万4,000人となっておりまして、平成30年の運用開始以来、増え続けております。利用者からは、ウオーキングへの意識が高まり、これからも続けたいですとか、コロナ禍の自粛期間中も気分転換に活用したといった好意的な御意見もいただいているところです。  引き続き、市や町と共に普及啓発に努めますとともに、利用者からの御意見を参考に、新たな機能の追加などによりアプリの魅力をさらに高め、さらなる利用促進を図ってまいりたいと存じます。  14点目のビワイチについて、どのようにつなげていくのかということについてでございますが、ビワイチ推進総合ビジョンの基本方針にビワイチによる健康増進を位置づけ、県民の健康寿命の延伸、運動習慣がある人の割合の増加、運動しやすいまちづくりの推進に努めております。  具体的には、「健康しが」を旅するハンドブックへの掲載、ビワイチサイクリングマップの作成、自転車通行空間の整備などを進めており、今年度はビワイチサイクリングナビアプリに走行記録機能を追加するなど、より一層県民の健康増進につながる取組を進めているところでございます。  その結果、大まかな推計値ではございますが、県民のビワイチ体験者数は、令和元年が約2万5,000人、令和2年が約3万3,000人と、コロナ禍においても約3割増加しているところでございます。  なお、健康増進に特化したビワイチに関するKPIは設定しておりませんが、アプリの中で走行距離に応じた消費カロリーが把握できる機能を拡充したところであり、より一層健康づくりに御活用いただけるようPRしているところでございます。  また、ビワイチと「BIWA−TEKU」は、県民の健康づくりを進める上で、いずれも有効なコンテンツでございまして、サイクリングやウオーキングを通じた地域の魅力再発見などにもつながることから、両者を組み合わせたイベントなど、これまで以上に連携した取組を展開してまいりたいと存じます。  15点目、転倒防止、転倒予防についてでございます。  高齢者は、転倒による骨折などが要介護の原因にもなりますため、介護予防の取組といたしまして、体操などの転倒予防活動の推進は重要だと認識しております。  このため、県では、老人保健施設のリハビリ職が介護事業所に出向きまして、転倒予防の指導を行う事業を実施いたしましたり、各市町が行っております地域ケア会議や通いの場などで介護予防事業の支援を行っているところです。  「通いの場への高齢者の週1回以上の参加率」を令和元年の4.8%から令和5年に6.8%とすることを目標に、引き続き市町の取組を支援してまいりたいと存じます。  16点目、ウオーキングについてでございますが、気軽に始めやすいウオーキングを広めることは、運動習慣の定着に有効なアプローチと考えており、その一環として「BIWA−TEKU」の利用を促しております。  また、現在、県内各地で子供から高齢者までを対象としたウオーキング活動が行われておりますが、県では、草津市や守山市、高島市などの取組事例を健康寿命延伸プロジェクト表彰事業で表彰いたしますとともに、ホームページ等で紹介し、普及展開を図っているところです。  17点目、健康づくりと運動習慣の向上、増進に向けた政策についてでございますが、県では、第2期滋賀県スポーツ推進計画を策定いたしまして、県民の皆さんがスポーツをする、みる、支えるの各場面で楽しむことができる環境や機会づくりに努めているところです。  計画の指標で掲げております成人の週1回以上のスポーツ実施率では、平成28年度の36.0%から令和2年度には48.7%に上昇し、同じく、スポーツボランティアの登録者数は、約300人から約3,800人に増加しているところです。  今後、本県で開催される国スポ・障スポ両大会に向けまして、より多くの県民の皆さんがスポーツに親しみ、取り組んでいただけるよう努めてまいりたいと存じます。  18点目、運動習慣を高めるテレビ番組についてでございますが、これまで県広報番組であります「テレビ滋賀プラスワン」におきまして、コロナ禍におけるフレイル予防の紹介など、健康や運動、スポーツをテーマに取り上げてきております。引き続き、身近な情報が発信できる有効な媒体の一つでありますびわ湖放送──BBCとも連携しながら、県民の運動習慣定着を図ってまいりたいと存じます。  19点目、ヒートショックの取組についてでございますが、急激な温度変化による健康被害と予防につきまして、SNSやリーフレットなどを用い、市町や関係団体等と連携して啓発しているところです。  加えて、健康で環境にも優しい健康・省エネ住宅の普及に向け、湖国すまい・まちづくり推進協議会とも連携いたしまして、住宅相談窓口を設置いたしますとともに、大工、工務店、設計者等を対象に、講習会等を通じて、住宅の省エネ化や断熱化の推進に係る技術の浸透等を図ってきたところでございます。  CO2ネットゼロの観点からは、家庭向けの省エネ対策の補助金を対象に、窓断熱設備を含めておりまして、ヒートショックの予防にも一定寄与するものと認識しております。  ヒートショックによる死亡数につきましては統計がなく、把握できませんが、今ほど紹介した取組を引き続き進めることにより予防に努めてまいりたいと存じます。  20点目、フレイル予防についてでございますが、県内の市町では2,197か所の高齢者向けの通いの場を設置いたしまして介護予防活動を行っており、そのうち12市町では、保健師による健康相談や体力測定などを併せて実施されているところでございます。  県民の皆様には、フレイル予防のため、ウオーキングや筋トレなどの運動、仕事やボランティア活動などの社会参加、低栄養防止のための体重減少に気をつけ、たんぱく質の摂取を意識した1日3食バランスのよい食事に継続的に取り組んでいただきたいと考えており、県では、リーフレットの作成や配布でありますとか、滋賀県栄養士会への委託による出前講座などの啓発に努めているところでございます。  21点目、野菜をもう一皿増やす運動についてでございますが、平成27年度の調査では、県民の1日の野菜摂取量は、男性が318グラム、女性が284グラムであり、目標の350グラムには足りていない状況でございました。  県内市町では、健康推進員により、野菜たっぷりレシピの配布や企業と連携した野菜摂取量の測定など、野菜摂取増化に向けての啓発活動を実施していただいているところであり、こうした取組も含め、来年度実施予定の滋賀の健康・栄養マップ調査において評価してまいりたいと存じます。  22点目、お城の観光政策、健康ウオーキングとのリンクでございますが、現在、文化財探訪を健康ウオーキングの一つと位置づけまして、県民の健康増進につなげているところでございます。  来年度は、「近江の城」魅力発信事業といたしまして、城跡を中心とした探訪会を実施いたしますとともに、「BIWA−TEKU」アプリやユーチューブの案内動画を活用するなど、いつでも誰でもお城巡りを楽しめる仕掛けを考えているところです。  これらの取組により、県民の健康増進はもとより観光誘客にもつなげてまいりたいと存じます。  23点目、ホームページのバージョンアップの予定、「BIWA−TEKU」の改定の準備についてでございますが、議員御指摘のびわこビジターズビューローのホームページに掲載されております近江の城50選のサイトにつきましては、今すぐにバージョンアップするような予定はないと伺っておりますが、今後、より魅力的な情報発信に向け、どのようなことができるのか、一緒に研究してまいりたいと存じます。  また、「BIWA−TEKU」と観光分野との連携によりまして、健康づくりに取り組む人の裾野の拡大が期待できますことから、県内のお城等観光地を巡るコースを設定するなど、活用を進めてまいりたいと存じます。  24点目の地域資源を活用した取組についてでございますが、県では、健康無関心層へのアプローチの一つといたしまして、伊吹山ハイキングやくつきの森での森林セラピーなど、県内の豊かな自然を生かした健康づくりをヘルシートリップしがの中で提案しているところでございます。  コロナ禍で身近な地域資源の魅力が再認識されております中、これを好機と捉え、議員より御提案もございました県政150周年記念事業に位置づけることも含めて、楽しみながら健康への気づき、関心を持っていただけるよう、積極的に展開してまいりたいと存じます。  25点目、鉄道会社とのタイアップについてでございますが、例えば、JR南草津駅では、草津市とJRが連携いたしまして、階段利用を促す仕掛けとして、上った段数に応じた消費カロリーが階段に表示されているところです。また、鉄道駅を基点といたしました琵琶湖一周健康ウオーキングに御協力いただいており、今後も県民の健康づくりに向けて共に取り組んでまいりたいと存じます。  26点目、さらなる健康長寿に向けた動機やエビデンスについてでございますが、例えば「BIWA−TEKU」では、ウオーキングや健康関連イベントの参加などでポイントをためることで、ホテルのランチ券や商品券などが当たる抽せんに参加できる仕組みとなっております。  あわせまして、本年1月からは、歩数に応じた医療費抑制効果額をアプリ画面に表示しておりまして、こうした機能等が利用者の主体的な健康づくりの後押しとなることを期待しているところでございます。  27点目、健康格差についてでございますが、健康いきいき21−健康しが推進プラン−におきましては、地域や社会の経済状況の違いによる集団における健康状態の差と定義させていただいておりまして、今期の計画では、健康に関する指標の地域格差を明らかにし、その縮小に向けた取組を推進することとしているところです。  28点目、子ども食堂についてでございます。  どのような生活環境にある子供も、みんなと一緒に食べると楽しいと幸せな経験をすることが、食への関心や望ましい食習慣につながり、生涯にわたる健康の礎になると考えております。  子ども食堂によりましては、野菜など地元産食材をメニューに取り入れたり、食育や体験活動と組み合わせたりするなど工夫をされており、県におきましては、好事例の展開を図るため、県社会福祉協議会に対しまして、コーディネーター配置や研修会や情報交換に係る経費等を支援させていただいているところです。  29点目、関西圏の健康増進を進めるための取組ということでございますが、これまで関西広域連合におきましては、ヘルスケア産業の振興とともに、医療データの収集や利活用など広域での健康長寿に関する議論がなされておりますほか、近畿ブロック知事会議でも、健康寿命をテーマに、私から本県の特徴的な取組を紹介させていただくということもございました。  関西万博を控えました今、関西圏を世界に誇れるような健康長寿地域とするためには、構成府県がそれぞれ魅力を高め、そこに住む人々の健康感を高めることが必要だと考えておりまして、本県といたしましても、効果的な政策事例やアイデアを発信するなど、その役割を果たしてまいりたいと存じます。  最後、30点目、健康しがの達成に向けた指標や取組についてでございますが、県基本構想におきましては、みんなで目指す2030年の姿といたしまして、生涯を通じた「からだとこころの健康」をテーマに掲げておりまして、健康づくりをはじめ、文化スポーツを通じた健康づくりや自然との触れ合いの創出などの取組を進めているところでございます。  その状況を把握する指標といたしまして、平均寿命や健康寿命、スポーツや趣味、娯楽の行動者率、ボランティア活動など、25の指標を基に進捗管理をしております。  今後、これらの指標が高まるよう取り組みますとともに、県民の参加意識向上につながる情報や、取組の成果を裏づけるデータを分かりやすく県民に発信いたしまして、各分野の取組を総合的に推し進めることにより、県民と一丸となって健康しがの実現に向けて取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)お疲れさまでございました。  子供の下校時間にもっとウオーキングとかして、みんながもっとお互いを見合おうよというか、そういう防犯にもなるような取組って、それこそシガリズムの政策にもなると思うんですけれど、そういうことをもっと知事が明るく楽しく県民に呼びかけてくださったりすると、ああ、滋賀県ええなって思ったりすると思うんですけど、もう一度それについて、あっさりした答弁やったので聞かせてください。  それから、野菜もう一皿運動で、担当の方としゃべっていると、平和堂さんと長浜市さん、そして平和堂さんと守山市さんが、デジタルでカゴメさんと協力して、手から野菜の摂取状況の体の状況が分かるベジチェックというもので事業を取組したらすごくよかったっておっしゃっていましたけど、知事の耳にも入っていると思うんですけど、答弁にはなかったんですが、国保の例えば健康づくり事業などで、そういうものを例えば健康推進員さんに提供して、単に野菜をもっと取りましょうとか、350グラム籠に入れてくださいとか言うて、どうかなと思いもって活動されているので、例えば、DXの時代ですから、そういうものをもっとこう率先して生かしていただいたら、もっと分かりやすい健康推進になるんじゃないかなというふうに思うんですが、どうでしょうか。  それから、知事が、2018年のお正月の会見か何かで、「一に健康、二に健康、三に健康、健康しがをつくります」って、ちょうど全国で滋賀県が健康に注目されたときに、そのような熱い言葉をもって記者会見していただいたことがあります。ぜひ、やっぱり健康しがというのは一番大黒柱になる政策であると思うので、具体的に分かりやすく果敢に取り組んでいただきたいと思うんですが、ぜひ、長野県や大分県と例えば健康づくり全国3大県と言われるようになろうとか、そういうライバル提携を結ぶとか、何かこう県民挙げてやるぞというような運動を御提案いただくことはできないのかというのが今日の質問なんですが、最後にもう一度それをお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) まず、子供の下校時含めた取組を前向きに明るくできないかということでございますが、今の子供たちの登下校は、全てが歩いてやっているわけではなくて、バスで通う子供たちもいたりなんかしますので、全てウオーキングというわけにはいかないんでしょうけれども、ありとあらゆる機会を自身の健康や、また楽しさのためにつなげる取組というのは、まだまだできることがあると思いますので、そういったことを教育委員会や、また関係主体と共に考えてまいりたいと思います。  また、野菜もう一皿運動を、野菜摂取量の測定も分かりやすくすることで、取組をもっと高めることができるのではないかということでございますが、今、後ろから回ってきた資料によりますと、機器に手を当てることで緑黄色野菜などの摂取量の目安が表示される機器があるんだそうでございます。簡単にすぐに測定ができて、本人に「ああ、そうか、こういう野菜が足りひんのか」ということが分かるという大変好評であると伺っておりまして、健康推進員の皆さんが行っていただく野菜摂取の啓発活動の一つの取組として取り入れていらっしゃる市町もあるようでございますので、こういった取組の横展開、可能性を追求してまいりたいというふうに思います。  また、市町の保健事業、こういったことを、特定健康診断の受診率の向上、生活習慣病の重症化予防などの取組を進める観点からも、さらに取組を進めていくべきだということは、私もそのとおりだと思いますし、その際には、各種データを収集するとともに、共有することでさらに進む点があろうかと思いますので、国費等も活用しながら、市町が行う保健事業に対する交付金の交付など、必要な財政支援も行いながら、さらに取組を広げていきたいと考えております。  最後にいただきました健康しがをできるだけ具体的に分かりやすく示すべきだと、他の同じように取り組む自治体にも負けないように、時にはアライアンス──同盟なども組みながら展開すべきではないかという、その御提案もしっかりと受け止めて、今後も滋賀らしく取組が進めていけるよう努めてまいりたいと思いますので、次回は、たくさんの御質問もいいんですけど、できれば一つ一つの深掘りの御質問もいただきながら、さらにこの点、議論を展開できればと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしく御指導をお願いいたします。 ◆23番(海東英和議員) 終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、23番海東英和議員の質問を終了いたします。  以上で本日の一般質問を終わります。  明26日および27日は、県の休日のため、休会であります。  来る28日は、定刻より本会議を開き、一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時50分 散会    ────────────────...