滋賀県議会 > 2021-07-07 >
令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月07日-06号

  • 導入失敗(/)
ツイート シェア
  1. 滋賀県議会 2021-07-07
    令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月07日-06号


    取得元: 滋賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月07日-06号令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)                 令和3年6月定例会議会議録(第7号)                                        令和3年7月7日(水曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         令和3年7月7日(水)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第90号から議第104号まで(令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸    7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               副知事             江  島  宏  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           東        勝               総合企画部長          川  崎  辰  己               総務部長            森  中  高  史               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               商工観光労働部長        水  上  敏  彦               土木交通部長          野  崎  信  宏               会計管理者           浅  見  裕 見 子           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         内  田  吉  行   午前10時 開議 ○議長(富田博明) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(富田博明) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  地方自治法の規定に基づき、公益法人等の経営状況説明書が提出されましたので、お手元に配付いたしておきました。    ──────────────── ○議長(富田博明) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第90号から議第104号まで(令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問 ○議長(富田博明) 日程第1、議第90号から議第104号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、12番松本利寛議員の発言を許します。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇、拍手)一般質問最終日ですが、そのトップバッターとしてよろしくお願いします。発言通告に従い、3項目にわたって質問を行います。  まず初めに、八日市養護学校スクールバス運行管理委託に関わって、県が締結する契約に関する条例要綱案について、一問一答で質問します。  この間、県が締結する契約に関わって様々な問題や課題が生じています。昨年6月、竹生島宝厳寺国宝修理工事をめぐり、担当職員が官製談合違反容疑で逮捕され、受注業者も入札妨害の罪に問われ、逮捕されるという事件が起きました。  また、昨年11月、県立むれやま荘と信楽学園の指定管理者であった社会福祉法人グローの理事長、北岡氏と同法人が、2人の元女性職員から性暴力やパワーハラスメントを受けたとして東京地裁に損害賠償請求を提訴されました。公の施設の指定管理者としての適格性が問われる事案でありました。現在でも真相が明らかになっていません。  一方、県の公共工事や業務委託、物品購入の発注額は、年間で1,000億円を超え、その在り方が地域の経済循環に大きな影響を及ぼしています。公共発注の仕事を支える労働者の働き方が官製ワーキングプアとなっている実態を是正するために、労働条件の悪化を防ぐ公契約条例を求める運動が広がり、そうした趣旨の条例を制定する自治体も広がってきました。  そうした中で、県は、この6月に県が締結する契約に関する条例要綱案を示し、現在、パブリックコメントを実施をしています。この条例要綱案に示された条例の目的や狙い、要綱案に掲げる基本理念などについて、知事に伺います。 ○議長(富田博明) 12番松本利寛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)御質問いただきました条例につきましては、県の契約に関する制度の公正かつ適正な運用および一定の行政目的の実現に向けた県の契約の活用を図り、本県の経済および社会の持続的な発展に寄与することを目的といたしまして、その目的や基本理念などを事業者の皆さん等と共有し、理解と協力を得ながら取組を進めるため、制定しようとするものでございます。  その基本理念は、1つ、契約の過程の透明性および競争の公正性が確保されるとともに、不正行為の排除が徹底されることにより、その適正化が図られること、2つ、契約の履行により提供されるサービス等の質が確保されること、3つ、地域経済の活性化への配慮がなされること、4つ、県の契約が環境に配慮した事業活動の推進その他の一定の行政目的の実現を図る上で適切に活用されること、以上の4点とさせていただいているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)県が締結する業務委託契約の1つに、8つの養護学校のスクールバス54台の運行管理業務の委託があります。この業務は、毎年競争入札で委託業者を選定しているのですが、今年4月、八日市養護学校の6台のバスの運行業務委託が、競争入札で近江鉄道からひばり観光に変更されました。  ところが、この変更によって、八日市養護学校スクールバスが新学期早々1コース、2日間にわたって運行できないという事態に陥り、保護者による緊急送迎や自宅学習を余儀なくされたと聞いています。なぜそのような事態に至ったのか、経緯を含めて、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  八日市養護学校に係るスクールバス運行管理業務につきましては、令和3年3月25日に実施いたしました一般競争入札の結果、ひばり観光バス株式会社と4月1日付で委託契約を締結いたしました。  その後、学校におけます試運転段階で、1名の運転手の技量に課題があったこと、また、控えの運転手が不足していたことなどから、ひばり観光バス株式会社から、当面の間、全6コースのうち1つのコースの運行休止の申入れがございまして、4月8日および4月9日に1つのコースが運行休止となったところでございます。  県教育委員会としましては、当該コースの児童生徒の通学に支障を来すことがないよう、関係者で協議を行いまして、4月12日から4月30日までの間は、当該コースを県が別の会社と別途契約をし、運行の確保を図ったところでございます。  なお、5月からは、改めて全てのコースをひばり観光バス株式会社が運行しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)実は、その業務委託の金額なんですが、昨年の近江鉄道が5,130万4,000円、今年のひばり観光が5,108万4,000円、その差、僅か22万円でした。  本来、受託した企業は、運転手などの人員を確保するのが当然ですが、ひばり観光はその手配を適切に行わず、落札後に近江鉄道でスクールバス運行を担ってきた運転手の皆さんに、ひばり観光に移って働くことを求めたのです。  ところが、長年スクールバスの運行に関わってきた近江鉄道の運転手の皆さんに提示された条件は、給料が半減する、ボーナスもなしというもので、1人当たり100万円から150万円も給料が下がるというものでした。  入札による委託費の削減額は22万円なのに、運転手の皆さんの給料の切下げ総額は1,000万円近くもなります。結局、必要人員がそろえなかった欠員を埋めるために、ひばり観光が配置した運転手は、試験運転で脱輪はする、バスを木にこすりつける、ミラーを破損する、踏切でエンストするなどなど、到底安全運行ができる技能がなく、運転は任せられないので、スタッフがそろわない事態に陥ったのです。  そんな中、今、自分たちが辞めたら、子供たちが登校できなくなると、やむなく5人の運転手や介助員の方々は、ひばり観光に移ってバス運行を担っていただいているのです。運転手や介助員の皆さんの犠牲の上に、スクールバス運行が確保されているのです。  こうした養護学校のスクールバスの運行現場の実態を詳しく把握しておられるのか、運転手や介助員の皆さんの労働実態などについて把握しておられるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  委託契約の執行状況を確認するため、運行状況の実態につきましては、学校およびバス会社から聞き取りを行うことにより把握をいたしております。  また、今回のこうした事態を受け、4月12日には、特別支援教育課の職員が学校に行き、現状の確認を行ったところでございます。  なお、バス会社における雇用契約や給与につきましては、承知をいたしておりません。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)このひばり観光、八日市養護と新旭養護の業務を受託したのですが、同社が運転手を新しく派遣した新旭養護でも接触事故が起きたと聞いています。  さらに、八日市養護では、1台分の運転手が確保できなかったために、県が事業者に成り代わって他の企業から人を派遣をしてバス運行をしたと聞いていますが、これは業務が果たせない契約違反の状態です。  さらに、八日市養護学校に移籍した運転手や介助員の皆さんの雇用契約は、ひばり観光になっているのですが、実態はysmという企業が介在し、給与明細もysmと記され、健康保険証の事業所名も株式会社ysmと記された委託契約とされ、委託契約が禁じる再委託に該当するのではないかと考えられます。  業務受託に必要なスタッフの確保ができず、契約違反を起こす、安全運行に責任が負える業務管理ができない体制など、スクールバス運行委託業務の事業者選定に大きな問題があったと考えられるのですが、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  業務委託に当たりましては、地方自治法の規定による一般競争入札を行い、予定価格の制限の範囲内で、最低価格をもって有効な入札を行った者を落札者として契約をいたしております。  入札参加資格には、1つに、会計管理局の競争入札参加資格者名簿に登録がある者、2つに、過去5年以内に国もしくは地方公共団体から保有するバスもしくは一般貸切りバスの運行を2回以上受託した実績、または滋賀県内の公共交通機関として一般乗合バスの営業実績を有する者という要件を設定いたしております。  業者選定の過程に問題があったとは考えてはおりませんが、今回の八日市養護の事案を踏まえ、どのようなことができるのか考えてまいりたいと思います。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)そもそも現在のスクールバスの運行委託の仕様書が、子供たちの命を乗せるバスを担える企業なのか、それを保障する運転手や介護員が確保されているのか、安全運行を確保する会社の体制が確立しているかなど、事前に審査できる仕様書になっていません。  養護学校のスクールバス運行委託の仕様書や契約内容などを見直し、子供たちが安心して安全に登下校できる契約に改めるべきと考えるんですが、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  今回の八日市養護学校での事案を踏まえ、会計管理局や、また、八日市養護学校とも相談しながら、発注の仕様書などについて見直しをする必要がないか検討をしていきたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)養護学校のスクールバスの乗務員は、もともと県が直接採用し、県の車両で運行されていました。現在のような毎年の競争入札による業務委託の下では、競争によって受託金額が引き下がり、乗務員の労働条件が切り下げられるという悪循環が続いています。しかも、入札で受託する会社は変わっても、そこで働くスタッフは、契約の結び直しで再雇用され、会社の名前が変わるだけ、給料が下げられるだけということが繰り返されてきました。今回の八日市養護学校の実態がそれをよく示しています。  子供たちの命を乗せるスクールバスですから、単なる入札金額の低さだけで事業者選定を行うのではなく、道路運送法に規定される一般乗合旅客自動車運送事業の許可を受けた事業者など、入札参加の資格要件とするなど、また、大型2種免許の保持を要件とするとか、安全運行が責任を負える選考基準を選定する必要があると考えます。  全ての養護学校のスクールバス運行業務委託の在り方について改善する必要があると考えるのですが、教育長の姿勢を問います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  特別支援学校に通う子供たちの安全と保護者の安心、これが大切であると認識をいたしております。この点を踏まえまして、会計管理局や学校現場と相談をしながら、委託契約の中でどのようなことができるのか、検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今回提起した養護学校のスクールバス運行のように、県の発注する委託や請負の質を問うことなく、現場で働く人たちの犠牲の上に成り立たせるような実態を改善することが求められます。  今回の養護学校のスクールバス運行委託の不適切な事業者選択の問題や、質問の冒頭で提示した宝厳寺の国宝修理工事をめぐる談合事件、社会福祉法人グローの指定管理者の適格性が問われた問題など、県が発注する公契約の在り方を適切に行うことが、条例要綱案に示された新たな条例の制定の目的ではないでしょうか。会計管理者に伺います。 ◎会計管理者(浅見裕見子) (登壇)お答えいたします。  条例制定の目的は、先ほど知事が答弁申し上げたとおりでございますが、条例の基本理念として、契約の適正化、サービス等の質の確保、地域経済の活性化への配慮、行政目的の実現の4点を掲げており、県の契約が基本理念を踏まえて行われ、適正な履行が確保されることは、今回の条例において重要なことと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)それは、条例の要綱案を読めば分かるんですが、条例要綱に4つの理念が掲げられています。そのうちの1つ、社会的価値の実現を図るために、県の契約に従事する者の労働環境の整備が掲げられています。この労働環境の改善など社会的価値の実現をどのように具体的に進めるのか、会計管理者に伺います。 ◎会計管理者(浅見裕見子) お答えいたします。  基本理念にのっとった具体的な取組につきましては、条例制定後に策定をする取組方針の中で定めることとしております。  労働環境につきましては、賃金を含めた労働環境の整備に係る事業者の取組状況などを把握し、県の契約に関する取組に反映することなどが考えられますが、具体的にどのようにするか、現在検討しているところでございます。
    ◆12番(松本利寛議員) (登壇)提案されている条例の案の中には、そういった中身は具体的にありません。したがって、最後に知事に伺いますが、先ほど来、提起している養護学校のスクールバスの運行委託の実態を改善することや、冒頭示した宝厳寺の国宝修理をめぐる官製談合事件社会福祉法人グローの指定管理者としての適格性の問題などなど、今回の条例提案を基にした新たな条例で正されるのでしょうか。条例要綱案が示す社会的価値の実現が本当に達成されるのでしょうか。理念倒れではないのでしょうか。  審議会の設置や取組方針の策定なども掲げられていますが、これらの中に労働環境の整備の具体化や賃金条項を設けるなど、条例要綱案が示された理念や施策の方向性が具体的に実現できる担保が必要ではないでしょうか、知事の認識を伺います。 ◎知事(三日月大造) 条例の実効性につきましては、基本理念にのっとった契約の推進を図るための取組方針を策定することや、契約審議会を設置し、県の契約に関する事項を調査、審議することで担保されると考えているところでございます。  御質問の中で、審議会や取組方針について具体的な御提案をいただきましたが、賃金を含む労働条件につきましては、関係法令に違反しない限りにおいて労使が自主的に決定することが原則であることなどから、下限報酬額を規定する、いわゆる賃金条項を定めることは考えておりません。  労働環境の整備につきましては、基本理念に掲げている行政目的の1つでございまして、重要なことであると認識しており、取組方針の中で、具体的な取組について定めることを考えているところでございます。  条例制定後に議会や関係団体、審議会の御意見を聴きながら取組方針を策定するとともに、方針策定後に、取組の実施状況に係る審議会での調査、審議の結果をその後の取組に反映させるなど、基本理念を踏まえた取組をしっかり進め、本県の経済および社会の持続的な発展につなげてまいる所存でございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)知事、言葉はきれいなんですけども、具体的な中身が何もありません。そういう意味からすると、まだ条例は提案されていません。だから、条例制定までにこういった近江鉄道で起きた、あるいは養護学校で起きたこういう事態が解消できる、それが是正できる、そういう条例をぜひつくっていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。  次の課題に移ります。老朽原発の再稼働と原子力災害対策について、一問一答で質問をします。  6月23日、関西電力は、福井県の美浜原発3号機を運転開始40年超、44年の老朽原発として、日本で初めて再稼働させました。この3号機は、福島原発事故直後の2011年5月以来、11年間も運転を中止した原発であり、世界で初めて長期休止原発の再稼働です。  40年超の原発は、中性子によって原子炉壁が、金属がもろくなる脆化を引き起し、原子炉は運転中300度という高温ですが、事故などで急冷することがあり、炉壁がもろくなり、熱したガラスを水かけたときのように割れるおそれがあります。  国内で最も脆化が進んでいるのが高浜原発1号機と言われ、2号機と併せて再稼働の準備が進められています。  今回、再稼働した美浜3号機は、2004年に二次系配管の破断事故を起こし、5人が死亡、6人が重軽傷という重大事故を起こしています。さらに、美浜3号機は、新規制基準を満たさない原発です。特定重大事故対処施設が未整備のため、10月25日には停止しなければならない原発です。  こうした原発、とりわけ40年超の老朽原発の危険性について、知事はどのように認識されるのか、所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) まず、これまで約50年にわたり原子力発電所の立地を受忍され、電力の安定供給に御協力いただいてきた福井県をはじめとする立地自治体の住民の皆様方に心から敬意を表します。また、日々、原子力発電所の安全確保等に御尽力いただいている方々に対し、感謝を申し上げたいと存じます。  先般、40年を超えて長期間運転を行う美浜発電所3号機が起動いたしましたが、原子力発電所には使用済み核燃料が保管されていることなどから、稼働、非稼働にかかわらず、原子力災害のリスクはあるものと認識しております。  加えまして、運転期間を延長する原子力発電所におきましては、コンクリートの劣化による強度の低下など、高経年化ならではのリスクというものもあると認識しております。  今回の運転期間延長の認可につきましては、原子力発電所の安全性を国が責任を持って審査し、判断されたものと理解しておりますが、住民の理解はまだ十分に得られていないと考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)そのとおりでありまして、実は、長浜市や高島市は、老朽原発である美浜や高浜原発のUPZ圏内に含まれます。避難計画の策定が求められるなど、非常に重要です。原発は一たび過酷事故を起こせば、その周辺だけでなく、UPZ圏内はもちろん、琵琶湖の北湖一帯も放射能汚染され、さらに想定を上回る規模の事故や、そのときの気象条件によっては、県内全域が被災地となる可能性が十分にあります。  知事は、この間、「原発の再稼働を容認できる環境にない」と表明するとともに、「原発に依存しない社会の実現を目指す」と発言されていますが、その施策の具体化のためにどのような行動を取られるのか、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 原子力発電所の再稼働等に関する法的な権限等は、本県には与えられておりませんが、1つは、実効性ある多重防護体制の構築が道半ばであること、2つは、使用済み核燃料の処理など、原子力の静脈の部分が未整備のままであること、3つ目に、原子力発電所に対する県民の不安が払拭されていないことから、再稼働を容認できる環境にないと考えており、こうした考えを累次にわたり表明してきているところでございます。  また、県といたしましても、安全・安心最優先のエネルギー政策を推進するためにも、また、持続可能なエネルギー政策をつくるためにも、原発に相当程度依存する現在のエネルギー政策をできるだけ早い時期に転換し、原発に依存しない新しいエネルギー社会を実現していくことを国に対して求めているところでございます。  また、県としても、それに関連する諸施策をできることとしてしっかりと実施しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今年3月に、水戸地方裁判所が、原発事故の周辺自治体における避難計画が不備であることを最大の理由に、茨城県の東海第2原発の運転を差し止める判決を出しました。  判決で、原発から30キロ圏内に住む住民が避難できる計画と体制が整っていなければ、重大事故に対して安全を確保できる防護レベルが達成されているとは言えないと指摘し、原発の稼働を差し止めたのです。  この判決によって、原子力防災対策を求める自治体は、より一層現実の災害を想定した防災計画、避難計画の策定を求められることになりました。  しかし、県の地域防災計画原子力災害対策編を詳細に見ても、一定の前提条件の下でしか成立をし得ない机上の防災計画だと言えます。  その一定条件で一番大事な問題が、原発事故の規模の問題です。特に放射性物質の放出量、想定を大きく上回る過酷事故になれば、UPZ圏内だけの避難では済まないし、100ミリシーベルトと設定される被曝限度を超える可能性も十分にあります。また、事故の規模とともに、風向や風力など、気象条件によっても避難計画の在り方が大きく変動します。  一定の前提条件が大きく変動すれば、防災計画、避難計画の基本が崩れてしまいます。そうした要素を持つ原発災害に対する県の地域防災計画原子力災害対策編の避難計画は、本当に県民の命を守るのに十分対処できる計画なのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) (登壇)お答えをいたします。  原子力災害は、長期的、広域的に甚大な被害を及ぼすことから、本県におきましては、東日本大震災を契機といたしまして、福島第一原子力発電所事故と同程度の放射性物質の放出量を想定いたしまして、平成24年3月に地域防災計画を見直して、避難手段や避難先、避難経路等について新たに定めたところでございます。  その際、想定を超える放射性物質の放出や複合災害等にも備え、県外を含めた広域避難先の確保や、避難用バスの車両の確保など、多重的な対策も講じたところでございます。  あわせまして、万一、原子力災害が発生した場合にも、県民の命を守ることができますよう、これまで計画に基づきまして資機材の整備や関係機関との災害時応援協定の締結、さらには実践的な防災訓練などを実施してきたところでございます。  防災対策には終わりがございませんことから、今後も新しい知見を取り入れながら、不断に取組を進め、計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)一定の想定を超えるもの、災害というのは絶えずそういうものなんです。想定の中で立てた計画を超える災害が襲ってくるというのは、これは常識です。その想定内の計画では十分に対処できないと、これは当たり前のことじゃないかというふうに思います。  そこで、原発事故が大震災や暴風雨との合併災害である場合や、豪雪との合併災害の場合、道路の寸断、交通遮断となることや、今回のコロナ感染症との複合災害として生じる可能性も十分にあります。その結果、避難路を遮断され、交通途絶や地域の孤立、避難経路の喪失、大規模停電による情報途絶、被曝制御の利かない高線量被曝、そうした中で、避難者の集中による大混乱など、原発災害と併せて起きる様々な複合災害に十分対処できるのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  近年、豪雨災害をはじめといたしまして、自然災害が激甚化している状況なども踏まえまして、原子力災害と自然災害等との複合災害への対応についても、必要な対策を講じてきたところでございます。  具体的には、地震との複合災害への対応といたしまして、家屋の損壊により自宅での屋内退避が困難な場合には、近隣の公共施設において屋内退避ができることとしたところでございます。  また、豪雨等によりまして避難路の損壊などの場合、速やかに道路復旧を実施することや、ヘリコプターなどバス以外の避難手段についても、自衛隊などの実働組織に要請することなどを盛り込んだところでございます。  さらに加えまして、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえまして、避難行動の際の感染症対策についても計画に盛り込んだところでありまして、昨年度にはコロナ禍を想定した避難中継所の設置運営訓練も実施をしたところでございます。  このように災害の教訓を逐次反映することによりまして、発生し得る様々な事態に的確に対応できるよう対策を講じているところでございまして、今後も最新の知見を踏まえ、不断に計画の見直しを行ってまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)その屋内退避の問題なんですが、県は、国に対して、屋内退避の有効性について住民理解の促進、放射線感受性が高い妊婦や乳幼児の先行避難の仕組み、屋内退避を避難に切り替えるタイミングの明確化、放射性物質の排出状況やプルーム、いわゆる雲ですね、そういうものが通過する予測による屋内退避の明示、UPZ圏外に対して、屋内退避の指示解除の判断基準など、7項目を国に解決すべき課題として提案をされています。  この提案は、結局、屋内退避は被曝を前提とした対策であり、場合によっては相当危険な被曝量となることを想定した避難計画であることを示すものではないでしょうか。  さらに、府県を越える広域避難についても、県は、関西広域連合を通じて調整が行われ、対象人口に対する避難先が設定されているとしていますが、肝腎の避難元と避難先の自治体の調整が行われていないことがNPOや新聞社の調査で明らかになっています。  このように、屋内退避や広域避難の計画にも極めて重大な脆弱性があることが明らかになっています。こうした課題への対処はどうされるのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  屋内退避につきましては、住民が比較的容易に取ることができる防護策でございまして、放射性物質の吸入抑制や、放射線が遮られることによりまして被曝の低減を図ることができるものと認識をしております。  原発事故発災直後は、放射性物質通過時に一時的に放射線量が高くなるおそれもありますことから、屋内退避で放射性物質の通過をやり過ごし、その後、避難行動に切り替えることで無用な被曝を避けることができるものと考えているところでございます。  また、広域避難のうち、県外への避難につきましては、関西広域連合を通じまして避難先を確保してきたところでございまして、具体的な避難先の調整についても一定完了しているところでございます。  こうした避難計画の実効性を確保していくためには、平時から受入先との連携を深めていくことが重要でありますことから、受入先の市町村を対象とした研修を毎年定期的に実施をしているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)聞いていても非常に甘いんじゃないかと。合併災害にしても、それから避難先の屋内退避にしても。これ、海外のコンクリートや、そういう建物じゃ、日本は、ないわけですね。木造建物です。これ、放射能を遮断できるパーセンテージは極めて低いと。屋内退避が本当に危険だという、そういう場合も十分にあり得るという想定の下で避難計画をどうするのかということが当然あってもしかるべきじゃないかというふうに思います。  次に移ります。  チェルノブイリや福島原発では、多くの子供たちが甲状腺がんを発症しました。一方、事故に際して、安定ヨウ素剤を事前に配布し、服用した福島県の三春町では、甲状腺がんの発症がほとんどなかったと報告されています。  政府は、安定ヨウ素剤の配布について、UPZ圏内の住民には、緊急避難の際、第1次集合場所で安定ヨウ素剤を配布することに加えて、昨年2月、UPZ圏内での事前配布を推奨する通達を出しました。滋賀でもUPZ圏の圏外である犬上郡3町が、全ての小中学校や幼稚園、養護学校に安定ヨウ素剤を配布することを決めました。彦根市にも広がっています。  UPZ圏外の市町でこうした運動が広がっている中で、安定ヨウ素剤の事前配布を県内全域の取組として進める必要があるというふうに考えるんですが、県のUPZ圏内外を問わず、安定ヨウ素剤を事前に配布し、服用体制を取ることについて、どのように対処されるのか、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  国の指針によりますと、原子力災害が発生した場合、安定ヨウ素剤の配布、服用につきましては、原則、避難等と合わせて行うこととなっているところでございます。  また、安定ヨウ素剤は、適切なタイミングで服用しなければ効果は得られないということでございますので、バス避難を原則としております本県におきましては、UPZ内の一時集合場所で配布し、薬剤師等の立会いの下で服用していただくことが適当であると考えているところでございます。  安定ヨウ素剤の事前配布につきましては、薬剤の誤飲や紛失、指示を待たずに服用されるといったことなどのリスクがありますことから、県といたしましては行わないこととしているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)国もね、事前配布を推奨してるんですよ。だからこそ、犬上3町は学校や幼稚園や子供たちが近いところに、いつ何時、事故が起きても、服用できる体制を取っているんです。そういう柔軟な対応をすることこそが、災害に対する備えだというふうに思います。しないということを決めるんではなくて、する必要があるのかどうかと改めて検討する必要があると思うんですが、もう一回聞きます。 ◎知事公室長(東勝) お答えをいたします。  県内市町で安定ヨウ素剤を備蓄されているところがあるということは承知をしておりますが、県といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、事前配布に伴うリスク等ございますこと、それからまた、国のほうの通知でございますが、これも事前配布につきましては、避難等が一層円滑になると想定される場合に実施をすることが可能であるというふうなことで伺っておりまして、県といたしましては、一時集合場所での配布、服用が適当と考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)何度も言いますが、人というのは、危機が迫ったら、計画どおりに第1次集合場所に集まりません。一目散に自ら逃げようとする。そのときに、第1次集合場所にしかヨウ素剤がなければ、飲むこともできないと。そういう事態をきっぱり災害というのは想定しておくべきだというのが、災害対応の原則じゃないかというふうに思います。  原発災害について幾つか検証、検討してみても、原発の災害対策は、一定の前提条件が変動すれば、防災計画や避難計画の根本が大きく崩れてしまいます。災害は、絶えず想定外の事態を伴って襲います。さらに、原発災害は、自然災害をはるかに超える長期間の災害であり、広域に被曝する災害です。仮に住民は避難できたとしても、ふるさとの山野は、ましてや琵琶湖は避難できません。ふるさとに住めず、生業が奪われ、暮らしと命が脅かされる深刻な災害になります。  福島では、被災から10年たっても、いまだに多くの方がふるさとに帰られていません。その原発災害への備えとなる避難計画は、一定の前提条件の下で、机上の計画であり、現実の災害に対する対応は極めて脆弱なものと認識をせざるを得ないというふうに思うんですが、知事の認識を伺います。 ◎知事(三日月大造) 原子力災害の避難計画につきましては、一定の前提条件を基に作成し、その内容が有効に機能するよう訓練を繰り返し、実効性を高めていく必要があると認識しております。本県の計画につきましても、福島第一原子力発電所の事故を想定するとともに、これまでの災害教訓はもとより、熊本地震や新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、不断の見直しを行ってきたところでございます。  現時点で最善を尽くした計画と考えておりますが、当然、これを過信することなく、様々な状況を想定した訓練を重ねるとともに、国や関西広域連合等との連携体制の強化を図ることで、実効性の向上に引き続き取り組んでいきたいと、取り組んでいかねばならないと考えているところです。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今の知事の答弁も机上で考えた空論でしかないというふうに思います。  福島の原発事故を改めて想定し直していただきたいというふうに思うんですが、原発が冷やせるという想定でした。これは全く冷やせない。わざわざ東京や様々なところから消防車を持ち込んで、外から水をかけて冷やす。そうしたら、消防車が動かない、ガソリンがない、電源が通じない。そういう想定外のことがいっぱい重なってあの事故が起きたんです。そういうことを考えれば、今、机上で考えていることだけで原発災害に対処できるなどということを思ったら、これは大間違いだというふうに思います。  こういうふうに考えると、最後に知事に伺いたいんですが、結局、原子力災害に対する最善の防護策は、原発に頼らない社会をつくることであり、原発ゼロを実現することにあると考えざるを得ないんですが、知事の所見を再度伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほども答弁させていただいたとおり、原子力発電所の再稼働等に関する見解は、先ほど述べたとおりです。本県に再稼働等に係る法的権限等は与えられておりませんが、様々な理由により、あえて繰り返しますけど、実効性ある多重防護体制の構築が道半ばであること、使用済み核燃料の処理など、原子力の静脈の部分が未整備のままであること、原子力発電所に対する県民の不安が払拭されていないことから、再稼働を容認できる環境にはないと考えております。  また、原子力発電所には使用済み核燃料が保管されていることなどから、稼働、非稼働にかかわらず、原子力災害のリスクはあるものと認識しております。  本県といたしましては、県民の安全・安心のため、最新の知見を取り入れながら、また様々な状況、すなわち想定外も想定しながら、不断に地域防災計画を見直し、訓練を重ね、原子力防災対策の実効性を高めていく必要があると考えております。  また、安全・安心最優先かつ持続可能なエネルギー政策を推進するためにも、原発に相当程度依存する現在のエネルギー政策をできるだけ早い時期に転換し、原発に依存しない新しいエネルギー社会を実現していくことを県としても努力するとともに、国に対して引き続き強く求めていきたいと考えているところです。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)知事も原発に依存しない社会の実現を目指すというふうに言っておられるんですから、私たちも絶えずそういう立場で様々な運動に取り組んでいるんですが、できるだけその言葉のとおり、原発に依存しない社会づくりのために奮闘していただきたいということを最後に申し添えておきたいというふうに思います。  最後の項目です。近江鉄道沿線地域公共交通計画原案について、知事に伺います。  去る6月23日、第7回近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会が米原市で開催されました。2024年度から上下分離方式による公有民営方式で運行される鉄道の第二種鉄道事業者を近江鉄道株式会社とすることが決定されました。  この決定過程で、近江鉄道の飯田社長から、鉄道部門の分社化の可能性が打ち出されています。関係者に大きな衝撃と疑問が広がっています。  この近江鉄道の分社化は、第1に、この間、法定協の中で積み上げられてきた議論や形成された合意の基本的な枠組みを掘り崩すことになるのではないか。  第2に、鉄道事業者として蓄積されてきた鉄道運行の技術力はもとより、地域の観光振興や接続交通の運行など、鉄道事業者の総力をそぎ落とし、鉄道運行の安全性や、鉄道会社としての経営の安定性を毀損するものではないのか。  第3に、法定協において上下分離による鉄道運行に関係市町の財政負担が合意をされています。これは住民の税負担であり、税負担で運行する鉄道となるわけです。そうした場合、近江鉄道総体から赤字の鉄道部門だけを切り離し、分社化することは、赤字の部門を切り捨て、税金で賄うのかという捉え方をされかねません。沿線住民の理解が得れないのではないかというふうに考えます。  私は、近江鉄道が従来からの鉄道運行会社として、その総力の力を発揮をして、第二種鉄道事業者として事業に参画することが、税負担をする地域住民全体の合意形成の前提だというふうに考えます。  ついては、上記3つの視点から、今後の法定協での議論をどのように知事は進めようと、されようとしているのか、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 近江鉄道沿線地域公共交通計画原案について、近江鉄道の分社化についてでございますが、6月23日の法定協議会においては、令和6年度から公有民営方式による上下分離へ移行するに当たり、列車の運行、すなわち上下分離の上の部分を担う第二種鉄道事業者を現在の近江鉄道株式会社とすることについて合意されたところでございます。  その際、その議論の過程において、近江鉄道株式会社社長から、鉄道部門の分社化も検討していることについて言及されましたが、令和6年度に、よりよい形で上下分離に移行することが重要なテーマであり、その選択肢の1つが示されたものと認識しております。  このことにつきましては、当日、委員から改めて議論する必要があるとの見解も示されたところであり、今後、近江鉄道株式会社から、その必要性や具体的な内容等についてお伺いし、また、国や有識者等の御意見もお聴きしながら、鉄道運行の安全性確保や鉄道事業の安定経営、地域住民の御理解といった観点も含め、沿線自治体等と丁寧に議論を積み重ねてまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今、知事は、選択肢の1つというふうにおっしゃいましたけれども、既にこの法定協が立ち上げられて、何回も議論が重ねられてきました。その以前の勉強会の段階でも、分社化という選択肢があったのかと言えば、それはそういう議論があった経過はないというふうに言えるんじゃないかというふうに思うんです。  今ここでこんな分社化が提案されれば、地域の住民から見れば、近江鉄道は赤字を切り離して、全部市町に丸投げしたじゃないかというふうに捉えかねない中身じゃないかというふうに思います。  ここまで関係市町や関係者が集まって近江鉄道の再生に向けて頑張ってきたわけですから、こういう地域の住民の理解が得られないような中身については、これは、やっぱり、きちっと議論の中で整理をしていく必要があるということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、12番松本利寛議員の質問を終了いたします。  次に、37番清水鉄次議員の発言を許します。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇、拍手)失礼しました。それでは、初めにちょっと申し上げたいなと思うことがあります。7月4日に、65歳以上の枠で2回目のワクチンを打っていただきました。ワクチンの供給が厳しい中、感謝申し上げます。おかげさまで副反応もなく、安心しております。  ワクチン接種には、多くの皆様にはお手伝いいただいております。お聞きすると、高島市では、一度退職された看護師さんが今回のワクチン接種でお手伝いいただいている方が34名、保健師のOGさんの方が9人、非常勤で看護師をされている方が16名、そして薬剤師さんが26名、合計85名の方にお世話になっております。  県内のほかの市町も同じだと思いますが、まだまだワクチン接種はこれからです。今回、多くの皆様にお手伝いをいただきましたこと、そして、医療関係者をはじめ多くの皆様に心から感謝申し上げます。  それでは、質問を始めさせていただきます。  今回、3回目の質問になるんですけれど、教職員のハラスメントと予防策について。県内の公立学校の校長が部下の女性教諭にわいせつな行為をしたことがきっかけで、昨年6月議会でハラスメント防止についてアンケート調査を実施することを求め、質問しました。  その後に実施されたアンケート調査を受け、昨年11月議会では、場合によっては懲戒処分の実施、また、早急にハラスメント再発防止策を講じるよう求めたところです。その際、教育長は、「しっかりと事実関係を確認し、懲戒処分を含めた厳正な対処を取る必要があると考えている」と答弁されました。  また、本年2月議会では、重田議員からも知事に対して質問があり、知事からは、「夢と生きる力を育む教育を実践し、子供たちへ学ぶ楽しさを伝え、子供たちの笑顔を増やしてほしいと心より願っておりますし、そのために改善策等を教育委員会とともに構築していきたい」と答弁がありました。まさにそのとおりだと思います。  しかし、その後、アンケート調査後の対応はどのように進んでいるのか、懲戒処分の審査されたのか、一向に聞こえず、アンケートに回答した教職員の方からは、「教育委員会は何も動いていないのではないか」と、教育委員会に対して不信の声が上がっています。  教員間のハラスメント事案が発生し、一昨年、アンケート調査を実施された神戸市教育委員会では、令和元年10月にアンケートを実施され、翌月の11月に教職員課によるチェック、同時に、ヒアリング等個別調査を開始されました。アンケート調査から4か月後の令和2年2月に職員の分限懲戒審査会が開かれた上で、懲戒処分が行われました。
     昨年11月議会で、教育長は、「回答の内容から、緊急性が高い事案から順次、当事者および関係者からの聞き取り等、丁寧に事実関係を、確認を行っていく予定をしており、できるだけ早期の解決を図る」と答弁されましたが、アンケート調査後、本日までに6か月が経過しました。その経過を踏まえ、以下、伺います。  1点目に、アンケート調査後の対応について伺います。  去る2月議会での知事答弁においては、アンケート調査では、回答者の16.5%に当たる1,337人が「ハラスメントと思われる事象を受けたことがある」とのことでした。これは高い数字であると、大変驚きました。この1,337人からの回答のうち、引き続き調査やヒアリングが必要な方は、何人おられたのか、その方々に対するヒアリングや調査はいつ頃、どのような方法で行いましたか、教育長に伺います。  2点目、今回の調査に当たり、一番大事なことは、ハラスメントの加害者、被害者、傍観者にかかわらず、アンケートに答えた方が特定されないように、公務員としての守秘義務の遵守が必要で、何を聞かれただけでなく、ヒアリングを受けたこと自体も口外しないようにお願いすべきです。そういった配慮が適正になされていたかどうか、教育長に伺います。  3点目、現在、調査結果の報告はありませんが、12月中旬にアンケート調査以後、具体的にどのような調査をされたのか、教育長に伺います。  4点目、アンケート調査を受けて、関係者からヒアリングを順次進めておられると思いますが、今回のような県内全域のアンケート調査は、そう簡単にできるものではなく、ハラスメントを受けた教員の方は、この調査についての結果を期待を持って待っておられます。この調査結果は、具体的にいつまでに結論を出されるのか、教育長に伺います。  5点目、前回の議会でも質問しましたが、第三者の意見を聞き、それを尊重することは大変重要です。公平、公正に判断していただくためにも、調査の結果から、第三者である弁護士、心理士などの専門家を入れるべきと思いますが、現在、第三者をどのように調査に協力いただいておられ、今後どのように生かされるのか、教育長に伺います。  6点目、神戸市教育委員会は、第三者が入った職員分限懲戒審査会の判断により、当事者に対して、懲戒処分5人、事実上の処分2人、注意指導6人を執行されました。  昨年11月議会で、教育長は、私の質問に対し、「事実確認を確認できるものにつきましては、しっかりと確認し、懲戒処分を含めた厳正な対処を取る必要もある」と答弁されました。そうした毅然とした対応することによって、教育委員会は、現場で頑張っておられる教職員からの信頼を得られます。今回のアンケート調査を受けて、公正、公平な判断を基に対応をお願いしたいと思いますが、教育長に伺います。  7点目、令和2年度のハラスメントの相談のうち、窓口における対応件数は11件と伺っています。相談をされた教職員の皆さんは、よっぽどのことがない限り、電話とはいえ、相談されないと思います。そのようなつらい気持ちも酌んでいただきたい。それらの相談を受けて、どのような対応をされているのか、教育長に伺います。  8点目、先ほども申し上げたとおり、今回のアンケート調査では、1,337人の方が「ハラスメントに当たる事象を受けたことがある」と回答されていました。現在は、ハラスメント相談窓口だけしか解決方法はありません。それだけでは、解決はできません。ハラスメントがあってはいけないことですが、教育委員会として、起きる前はもちろん、起こってしまった場合に即座に対応できる体制づくりが必要です。そこで、その体制づくりについてどのような状況か、教育長に伺います。  9点目、教育委員会として、アンケート調査後に学校がどのように変わったのか追跡調査を行い、学校のフォローをしていくことが大切です。ハラスメント調査は、教育委員会の片手間でできるものではありません。現場で働く教職員の方、また、子供たちのために、よりよい教育環境をつくるための体制づくりが必要です。  昨年11月議会で、教育長は、「ハラスメント防止に向けた現場の御意見や、弁護士や心理士等の専門家、また、女性も含めた様々な観点から御意見をお伺いしながら、より実効性のある再発防止策を検討してまいりたいと考えています」と答弁されていましたが、今後の対応と再発防止策はどのような状況なのか伺います。  最後に、知事に伺います。今回のハラスメントアンケート調査を行い、学校現場がよい方向に変わることを期待しております。学校には様々な課題があり、校長先生や教頭先生のリーダーシップの下に、一致団結して課題に取り組んでおられるチーム何々という学校もあります。また、経験の少ない教師に対し、真摯に指導し、明るく運営されているすばらしい学校も多くあります。働き方改革とは何か考えた場合、労働時間を短くして、残業を減らすだけが働き方改革ではないと考えます。教師が子供たちのために、一生懸命教育に集中できる環境にすることも、働き方改革として必要です。そのためにも、今回の問題を解決し、予防策を策定し、現場で頑張っている教師を支えていくのも教育委員会の役割だと考えます。知事に所見を伺います。 ○議長(富田博明) 37番清水鉄次議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)まず、御質問にお答えする前に、教育委員会事務局において、現金管理で大変な御心配をおかけいたしております。心からおわびを申し上げたいと存じます。  今、お尋ねいただきました教職員のハラスメントと予防策について、10点御質問いただきました。私にはそのうちの1問、最後に賜りました。  今回の問題を解決し、予防策を策定し、現場の教員を支えることについてでございますが、私は、子供たちの笑顔をつくるのは大人の笑顔であると考えております。先生方が子供たちの前で子供たちと一緒に夢を持って楽しく仕事をされている、そうした先生の笑顔が子供たちを笑顔にする、そして、ハラスメントのない職場こそが、先生が笑顔で一生懸命夢と生きる力を育む教育を実践することができる、子供たちへ学ぶ楽しさを伝えることができる、そういう職場だと考えております。  そうした意味で、教育委員会において、現在の調査を早期に、かつ公正、かつ適切に完了させて、是正すべきところはしっかりと是正し、組織としてハラスメントは許さないという姿勢を示した上で、教職員の皆さんが働きやすい風通しのよい職場をつくることが何よりも大切であると考えているところです。  後ほど教育長がその進捗等を説明されると思いますが、私といたしましても、そうした職場づくり、学校づくりに向けて、そのための改善策等を教育委員会とともにしっかりと構築してまいりたいと考えているところでございます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)教職員のハラスメントと予防策について、私にいただきました9点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目のアンケート調査後の対応状況についてでございますが、アンケート調査におきまして、「ハラスメントと思われる事象を受けたことがある」と回答された1,337人のうち、詳細な事実確認を実施できますのは、連絡先を記載いただいた238人の方でございまして、その方々に対しまして、令和3年1月から、電話やメール等で聞き取りを行っているところでございます。  現在、そのうちの176人、73.9%ですが、176人の方の調査が終了し、28人、11.8%でございますが、28人の方につきましては、関係者への事実確認などを継続中でございまして、また、電話への応答がないなど、現時点で接触できていない方が34人、14.3%いらっしゃるという状況でございます。  次に、2点目の、アンケート回答者が特定されないための配慮についてお答えをいたします。  調査を進めるに当たりましては、回答者本人から同意を得た上で、関係者への事実確認を行っているところでございます。その際には、聞き取りがあったことや、その内容について口外しないようにお願いをして、取組を進めているところでございます。  3点目の、アンケート調査後の調査方法についてお答えをいたします。  先ほど申し上げました238人の方に対しまして、まずは御本人から事情を聴き、さらに詳細な事実確認が必要な場合は、御本人の意向を踏まえまして、行為の相手方、また、同僚等の関係者からも電話等による聞き取りを行っているところでございます。  4点目の、結論をいつまでに出すのかについてでございますが、今回、回答をされた方々は、いろいろな思いを持って、そして、勇気を持って御回答いただいたものと認識をいたしております。その思いにお応えするためには、できる限り早く結論を出すべきでありますが、調査に時間を要しており、誠に申し訳なく思っているところでございます。特に重大な事案につきましては、遅くとも8月には結論を出したいと考えております。そして、できれば9月中には、全調査を終えたいと考えているところでございます。  5点目の、第三者である専門家の活用についてお答えをいたします。  現在、調査を進める中で、事案の内容に応じまして、弁護士とも適宜相談しながら対応しているところでございます。特に、今後の調査の中で、法律や医学的な見地からの判断が必要な事案につきましては、弁護士や医師、心理士等の専門家の御意見を積極的に伺っていく必要があると考えております。  6点目の、調査の結果への対応についてお答えをいたします。  ハラスメント防止のためには、組織としてハラスメントは許さないということをしっかりと示す必要があると考えているところでございます。今回の調査結果、ハラスメントであると判断されるものにつきましては、処分も含めまして厳正に対処してまいります。  次に、7点目の、ハラスメントの相談を受けての対応についてでございますが、相談におきましては、どのようなハラスメントで困っておられるのか、どういった対応を望んでおられるのかなどを相談員が親身になって丁寧に聞き取りを行っております。その際には、相談者の思いをしっかりと受け止め、悩みや心の負担の軽減を図りますとともに、必要なアドバイスを行うなど、解決に向けたサポートを行っているところでございます。また、さらなる調査などを行う必要があると相談員が判断した場合には、御本人の意向を踏まえた上で、担当課が関係者から聞き取りを行うなど、事実関係を確認し、行為者への指導等、対応策を講じることとしております。  8点目の、ハラスメントに対応する体制づくりについてお答えをいたします。  相談窓口につきましては、より迅速な解決を図るため、少しでも早く御相談いただけるよう、今年度から臨床心理士による相談日を増やしますとともに、相談者が法的な観点からの助言を希望される場合には、弁護士による相談も受けられるよう拡充を図っているところでございます。  また、おうみ犯罪被害者支援センターや性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖、通称SATOCOなどの専門機関との連携強化も図ったところでございます。  引き続き、ハラスメント事象にしっかりと対応していくためにどのような体制が望ましいのか、また、ハラスメントが起こった場合の事実関係の調査において、外部の人材を活用できないかなどについても、検討をしてまいります。  最後、9点目の再発防止策についてお答えをいたします。  県教育委員会では、昨年11月に、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントならびに妊娠、出産、育児および介護に関するハラスメントの各防止指針を改定し、ハラスメント対策の強化を図ったところでございます。また、ハラスメントの防止に当たっては、管理職のハラスメントに対する認識や発生時の初動対応が重要でありますことから、本年3月に、管理職向けのハラスメント対応マニュアルを策定し、各学校に配布するとともに、各種の研修会で活用をしているところでございます。  さらに、今年度から県立学校の校長、教頭および事務長が行うイクボス宣言におきまして、ハラスメントゼロを重点取組項目として必ず宣言することとするとともに、市町立小中学校も含めました全教職員に対しまして、ハラスメント相談窓口の存在とその積極的な活用につきまして、改めて周知を行ったところでございます。  今後とも、学校現場や専門家等の御意見もしっかり伺いながら、ハラスメント防止に係る研修の充実や、働き方改革による職場環境の改善に引き続き取り組みますとともに、人事評価制度への反映や状況確認のためのモニタリングの実施などについても検討してまいりたいと考えております。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇)今回、ハラスメントの件で、そんなに多くありませんけれど、学校現場を取材させていただきました。  学校現場は、様々な問題や課題が常にあるんですね。順風満帆行っている学校は逆に少ないかなという感じがします。それを担当の先生や担任の先生にその課題や問題を1人で任すんじゃなくて、校長先生、教頭先生を中心になって、一緒になって取り組むと。そうすれば、担任の先生は頑張れると思うんです。そのような学校も多くあるんです。子供たちは、いつも敏感で、先生の態度で何かあったのかなと察知されるんじゃないかなと、そのようなことはよくないと思うんです。知事がおっしゃったように、子供たちの笑顔をつくるのは大人の笑顔であり、ハラスメントのない職場が、先生が笑顔で子供たちへ常に学ぶ楽しさを伝えると、知事はおっしゃいました。私は、まさにそのとおりだと思うんです。子供たちと一緒になって、楽しい学校、楽しい職場づくりを目指してほしいと思っております。  そこで、改めて教育長に質問します。  1つ目は、4点目ですね。スケジュールについて。教育長は、今、重大な事案については遅くとも8月には結論を出したい、そして、できれば9月中には全調査を終わりたいと答弁されたことを改めて確認したい。  2つ目に、6点目ですね。ハラスメントの予防策について、教育長や知事もおっしゃいましたけど、組織としてハラスメントは許さないということをしっかり示す必要がある、そして、今回の調査結果をハラスメントであると判断された場合は、処分も含めて厳正に対処してまいりたいと言われました。そういう言葉を信頼させていただきたいなと思ってます。  県内の多くの教職員の先生方は、語ることはされませんが、今回の件を大変注目されています。公平、公正に、厳正に教育委員会が対応されることによって、信頼回復、再発防止につながると思います。再度、教育長に答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  先ほどお答えしましたとおり、今回の調査に御回答いただきました方々の思いに応え、ハラスメントのない職場づくりを進めるためにも、特に重大な案件につきましては、遅くとも8月には結論を出し、そして、できれば9月中には全調査を終えられるよう、県教育委員会として全力で取り組んでまいります。  また、ハラスメントであると判断されるものにつきましては、処分も含めまして厳正に対処し、教職員の皆様に勇気を持って相談すれば、教育委員会は公平、公正、そして毅然と対応する組織であると思っていただけますように、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ◆37番(清水鉄次議員) 議長、終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、37番清水鉄次議員の質問を終了いたします。  次に、9番佐口佳恵議員の発言を許します。 ◆9番(佐口佳恵議員) (登壇、拍手)発言通告に従い、デジタルトランスフォーメーション、ICT推進について質問させていただきます。  国においては、9月1日にデジタル庁が設置される予定であり、本県では、2月12日に中條副知事を本部長とする滋賀県デジタル社会推進本部──DX本部を設置、5月31日には、新たに民間企業等と連携したDX推進の体制として、外部アドバイザーおよびDX官民協創パートナー企業群の機能を備える滋賀県DX官民協創サロンを滋賀県庁新館7階に開設されました。  本日は、DX、ICTを推進し、効果を最大限発揮するための、人に関する環境整備について伺いたいと思います。  まず、昨年の6月議会で、コロナ禍を受けての在宅勤務、時差出勤の取組状況を伺ったところ、在宅勤務の実施状況は、制度を導入した平成29年度は23人、82件、平成30年度は26人、125件、令和元年度は29人、86件であったのに対し、昨年4月20日から6月6日までの1か月半ほどの間で実に1,960人、1万4,835件と、まさに桁違いの利用となったとのことでした。  DXからは少し外れますが、時差出勤も昨年のコロナ禍で新たに導入され、昨年4月、5月の2か月だけで1,308人、1万5,750件実施されたと答弁いただきました。その後も時差出勤は、昨年下半期で1,269名が利用されたと伺っていますし、県庁内のDXの推進状況に関しては、在宅勤務、デジタルツールを生かしたサテライトオフィス勤務、オンライン会議の活用などが進んだと伺っています。  まずは、それらがその後どのような状況であったか、昨年度の実績について、総務部長に伺います。  デジタルツールの利用による在宅勤務やオンライン会議の活用は、職員の方々の働き方改革につながるだけでなく、介護、育児、時短勤務などを行う方々にとっても働きやすい環境をつくり得ることから、多様で柔軟な働き方の実現につながると思います。  こうした働き方改革関係の制度が生きたものになるか否かは、制度として準備されているだけでなく、職場に実際に使える空気があることがとても重要です。  幾ら制度があっても、誰一人使っておらず、自分だけがいかにも特別に在宅勤務をしているというような状況では、心理的障壁が高くなり、使いたいと言ってよいのに、なかなか使いたいと言い出せない場合も少なくないと聞きます。自分以外の多くの人も実際に自然に使っているという状況になることが、制度を使いやすくします。  決して望まぬコロナ禍ではありますが、その中で急激に進んだ在宅勤務、サテライトオフィス勤務、オンライン会議などが一過性のブームで終わることがないよう、アフターコロナ時代になっても、しっかりと浸透、定着させていっていただきたいと考えますが、総務部長の見解を伺います。  このコロナ禍では、DX推進、ICT導入に関して様々な考え方が存在する中で、好機と見るにせよ、いや応なくだと感じるにせよ、一気にオンライン化が加速しました。  政府は、デジタル社会が目指すビジョンとして、デジタルの活用により一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を掲げ、このような社会を目指すことは、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を進めることにつながるとされ、デジタル・ガバメント実行計画などでも、サービスデザイン、業務改革──BPRですね、BPRを徹底すると述べておられます。  今後は、全体最適と部分最適をどうバランシングしていくのか。例えば全国的なシステムの共同化やデータの標準化と、各自の実情に応じた細やかな施策をオンライン化する際に、どこまでカスタマイズするか、できるのかや、技術的には限りなく個別最適化が可能となっていくような場合に、全体最適とのバランスの中で、どこまで部分最適を追求していくかなどが課題となっていくでしょう。  新しいテクノロジーを導入するにも、平均的なテクノロジーに人が合わせていく段階から、人が必要とする多様で複雑なニーズを深い洞察により理解し、そうして深掘りしたニーズに必要なテクノロジーを当てはめていく段階になったということでしょう。  幸か不幸か、AIが人間の知能を超えるシンギュラリティはまだ迎えてはおりませんので、あくまでも目的ではなく手段であるシステムを使って、どうやって、どこまで目的を達成するかは、人間側の問題となってきます。  テクノロジーの効果を最大化するため、政策形成するにも、システムを構築するにも、設計力、いわゆるデザイン思考という概念で語られる人々の無意識下に存在する欲求を探り当てるというところまでの意味合いでのデザイン力が、いよいよ行政にも必要とされてくると考えます。  人的、財源的制限がある中で、どこまで何を追求できるかは、いつでも深刻な課題ですが、これだけ急激にICTが導入されていく中で、真にDXを目指すために求められるのは、実は人間の力ということです。  ならば、今、重要なのは、人間にしかできないことを人間ができるように、環境、特に考える余力を生むための環境を整えていくことではないでしょうか。現場職員の皆様の頑張りや精神論ではなく、仕組み、環境として整えていくことが重要です。  まずは、身近で具体的なイメージを持ちたいと思いますが、例えば具体的にデジタルを地域社会に実装していくには、デジタルディバイドの問題1つ取っても、実に多様で、複雑な、片づけなければならない課題があることは、容易に想像できます。  一例にすぎませんが、スマートフォンを持ってさえいれば簡単にオンライン手続ができるとしても、スマートフォンを使いこなせるかという技術的な課題とともに、使い慣れたガラケーを手放すのが怖い、マイナンバーカードがあれば便利だと言われても、何だか怖いと思ってしまうようなお困り事にどう対応していくのか。ICTのおかげで生活しやすくなったと県民の皆様に感じていただけるようになるためには、技術面から始まって、感情面などに至るまで配慮した工夫が必要と考えます。  そのためには、データなどエビデンスを基に、大きな方向性を確かめ、加えて、個別に深く洞察していくことが鍵となろうと思います。  こうした多様で複雑な課題は、面倒でも、一定数は一つ一つ把握、洞察していく必要があり、また、市町との連携も必要となりますが、どのような体制で、どのように県民の多様で複雑な課題をどう把握し、対応していくのか、総合企画部長に伺います。  次に、現在、県庁内でRPA導入やBPR推進に取り組まれていると伺っておりますが、各担当課の業務にどのようなテクノロジーやプログラムが必要かは、技術を知る人と現場の仕事や実情を知る人が相そろわねば、判断し難いように思います。  テクノロジーについての知見を有する情報政策課の職員や専門家が各担当課に入って、一定期間業務を共にする、または、せめてすぐそばで観察するなどし、専門家と担当課が話し合うことが、全体最適を目指したテクノロジーの導入を可能とし、より大きな効果を生むものと考えます。そのためには、情報政策課の人員数増、外部専門人材の活用など人的手当てが必要となると思われます。  また、本年2月議会でも、広報に関する質問で同様の問題意識をお示ししたところですが、この分野でも、担当課職員の素養的な知識の底上げと、情報政策課など専門部署への専門知の集積、特に人材の専門性を上げていくことが必要となると思われます。  部署異動がある人事制度の中で、言わば県庁内DXを進めていくための情報政策部門の体制、人材育成、外部専門人材の活用について、どのように進めていかれるか、総合企画部長に伺います。  次に、教育におけるデジタル化に関して伺います。  コロナ禍によりGIGAスクール構想が前倒しされ、学校にもICT技術が急速にもたらされました。GIGAスクール構想は、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質、能力が一層確実に育成できる教育環境を実現する、これまでの我が国の教育実践と最先端のベストミックスを図ることにより、教師、児童生徒の力を最大限に引き出すとされる構想です。  これにより、技術的には、遡り学習でも、先取り学習でも、海外との交流でも、芸術、プログラミングなどでも選択できる個別の学びの範囲は、格段に広く深くなりました。早くも活用例や先進例の情報があふれています。  滋賀県で、目の前にいる生徒にどのような学びが最適か、滋賀の子供たちが解決したい課題は何かを見極めなければ、それらに対応していくことはできません。ここでも活用例や先進例を参考にしつつも、目の前の生徒たちの多様で複雑な課題を見極める力、深く洞察する力、デザイン力が求められます。  GIGAスクール構想においても、これまでの教育実践とICTとあるように、ICTを得たことで、むしろ人間の能力を最大限に発揮する必要性がより高まったと言えます。  そのためには、まず、機器やテクノロジーに慣れていただくための研修も必要ですが、もっと必要かつ重要なのは、多様な生徒の複雑な課題や、それを解決する方法が何かなどを深く洞察し、考えるための時間やゆとりを教職員の方々に確保することであろうと考えます。  研究する時間もなく、洞察する余裕もなく、もたらされたテクノロジーを慌ただしく使おうとすれば、どうしてもテクノロジーのほうに人間が合わせていく方向に進みがちになるのではないでしょうか。真に個別最適な学びや協働的な学びを実現しようと思うなら、それをデザインしていただく教職員の方々の業務の負担軽減を図ることこそが必要かつ重要であると考えます。  多様な子供たちに対応していただこうというなら、まずは教職員の方々が有しておられる多様で複雑な課題を解消し、負担を軽減していくことが必要です。雑務、保護者対応、ICT技術に関する相談先、誰に相談したらよいか分からない問題の相談先などの後方支援、一例にすぎませんが、モンスターペアレンツなどへの対応については、警察官や弁護士など、紛争や法律に詳しい外部専門人材の活用で対応する体制をつくることもできると思います。こういった後方支援の体制づくりまで含め、業務負担の軽減を図ることが、学校DXを成功させることにつながると考えます。  ICT導入による教育分野の大転換を迎えた今、教員のICT活用指導力の向上への支援はもちろんのこと、ICT技術の効果を最大化するための環境整備、すなわち教職員の方の負担軽減についてどのように考えておられるか、教育長の所見を伺います。  最後に、DX推進により、単なるICT導入とは異なる意味合いで社会が変わっていきます。行政においても、一種のパラダイムシフト、発想の大転換が必要になると予想します。  2月議会においても、人材育成について知事のお考えをお伺いしたところですが、今後は、より大きな制度的変化、大切な意味のある縦割りや人事異動の在り方、コスト感覚だったものを投資と考えてみることなど、発想から、恐らく物理的な職場環境まで、必要に応じて柔軟に、果敢に変えていくことが求められてくると思われます。  とはいえ、県庁のように、これだけ大きな組織となると、なかなか自然発生的に変化することは難しく、変化を求めていても声を上げ難い、前例でもないと、声を上げても周囲に理解されにくいなど、組織の巨大さゆえの難しさもあると存じます。  こうしたときは、トップのリーダーシップによる後押しも必要になってくると思われます。人事制度なども含めた変革や、コストと捉えていたものを投資と捉える視点、ニーズの多様さ、複雑さに対応する洞察力を持った人材の育成、これまでの行政の世界から発想を転換しての対策が求められる時代となっていると思います。三日月知事のリーダーシップに大いに期待しておりますが、知事のお考えをお聞かせください。 ○議長(富田博明) 9番佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)DX、ICT推進について、個別子細は担当部長等からお答えがございますが、私に対しては1問、御質問賜りました。  今定例会の提案説明でも申し上げたとおり、大切なのは人でございまして、今年度から5年間を人づくり強化の期間とさせていただいているところです。行政経営においても人、職員こそが最大の経営資源であると常々申し上げているところです。  コロナ禍におきまして、デジタルツールの利用が急速に進み、職員の働き方も大きく変化していく中、県庁の仕事の進め方や人事制度につきましても、こうした変化にしなやかに対応していく必要があると認識しております。また、社会の大きな変化や複雑化、多様化する行政需要に的確に対応できるよう、幅広い視野や柔軟な発想を身につけた職員を育成するとともに、多様な人材がそれぞれの強みを生かし、弱みを補い合うチームづくりが重要であると認識しております。  加えまして、職員が気兼ねなく意見を述べ合うことや、失敗を恐れることなく前向きな提案ができる、そういった組織風土にしていくことも重要であると考えておりまして、私自身、また、ここにいる幹部職員も含めて、認識を1つにして、変化にしなやかに対応できる組織づくり、正解がない時代、社会ですので、そういったことに対応できる組織づくりのために、リーダーシップを発揮してまいりたいと考えているところでございます。 ◎総合企画部長(川崎辰己) (登壇)DX、ICTの推進につきまして、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。  1点目、県民が感じる不安など、様々な課題をどのように把握し、対応していくかについてでございます。  県民の皆様がデジタル化の進展に当たり抱く不安や抵抗感を解決していくためには、行政サービスの利用者の目線に立って考えていくということが必要だと思っております。
     国のデジタル・ガバメント実行計画におきましても、サービスデザイン思考に基づき、利用者の目線に立って、行政サービスに対するニーズだけではなく、課題や問題を把握することが重要であるというふうに示されております。  このため、県民や事業者等と直接関わる現場の職員の声などを通じまして、デジタル化に対する利用者の様々な不安などを把握し、サービスの向上につなげていくことが必要と思っております。  つきましては、県内市町を構成員といたしますスマート自治体滋賀モデル研究会、あるいは県の各部局との横断組織であります滋賀県デジタル社会推進本部などの機能を活用いたしまして、県民や事業者の多様なニーズや課題を酌み取り、例えば実際にデジタル手続を体験する機会を設けることで、その便利さを実感してもらう取組などを進めまして、誰一人取り残さないデジタル社会の実現を目指していきたいと考えております。  2点目の情報政策部門の体制、人材育成、外部人材の活用をどのように進めていくかについてでございます。  情報政策担当部門に配置されます職員には、一般の職員よりも高度なデジタル技術などの知識、能力、経験などが求められますため、習得、向上すべきスキルに応じまして、地方公共団体情報システム機構など様々な外部機関において実施されております研修を積極的に受講させております。  また、DX、ICTの推進のためには、身につけたデジタル技術などの知識、能力を生かし、業務をよりよいものに変革していくことができるよう、実践を通して人材を育成していくことも肝要でございます。  このため、今年度より情報政策課に3名職員を増員いたしますとともに、外部専門人材の支援を受けながら、パソコン上で行っている定型作業を自動化する、いわゆるRPAをはじめとするデジタルツールを有効に活用した業務改革の取組を行いますことで、職員に必要な知識の習得と蓄積を図ることといたしております。  DXの推進に当たりましては、実際の業務プロセスや現場の課題ニーズを熟知しております各業務担当課の主体的な行動も重要となります。そのため、各課でシステムやデータを利用する職員を対象とした最新のデジタルツールの利活用セミナーなどを開催しますほか、担当課と連携した業務改革などの取組を通じまして、情報政策部門のみならず、担当課の人材の育成も図っていきたいと考えております。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)DX、ICTの推進につきまして、私への2点の御質問のうち、1点目の在宅勤務等の実施状況についてでありますが、在宅、サテライトオフィス勤務につきましては、育児、介護を行う職員に限っていた対象者を、昨年度、全ての職員に拡大するなど、利用要件の緩和を行いますとともに、Wi-Fiルーターを新たに1,000台導入するなど、ハード整備も進めたところでございます。  また、昨年度10月から1月までを推進期間として、一層の活用を呼びかけたところでございます。  その結果、令和元年度に29人であった在宅勤務の実施者数は、令和2年度には上半期2,151人、下半期966人と大幅に増加したところでございます。  サテライトオフィス勤務につきましては、令和元年度に104人であった実施者数は、令和2年度には上半期77人、下半期29人に増加したところでございます。  また、インターネットを介して行うウェブ会議につきましては、昨年度、県政経営会議や地方機関との打合せ、各種審議会、セミナーなどにおいて積極的な活用を図った結果、令和元年度におきましては、年間356回の利用であったところ、令和2年度には4,162回と飛躍的な伸びを示したところでございます。  次に、2点目の在宅勤務等の浸透、定着についてでございますが、令和2年度の結果が一過性のものとならないよう、引き続き裾野を広げていくことが重要であると認識しております。  そのため、今年度は、在宅、サテライトオフィス勤務について、非常時に備え、日頃からその利用に慣れておくことも重要であるとの観点も含め、職員が少なくとも1回は実施することを目標に掲げ、積極的な利用の呼びかけを繰り返し行っているところでございます。  また、オンライン会議につきましても、昨年度に引き続き、様々な会議におきまして積極的な活用を進めているところでございます。  加えまして、昨年度実施しました職員アンケートにおいて、在宅勤務の課題として、「大量の書類を持ち帰る必要がある」「職員同士のコミュニケーションが取りにくい」といった指摘があったことから、今年度は、ペーパーレス化のさらなる推進や、チャットツールの利用促進を図るなど、在宅勤務をより利用しやすい環境の整備を行っていくこととしております。  こうした取組を積み重ねていくことで、在宅勤務等の一層の浸透、定着を図り、多様で柔軟な働き方を実現し、より働きやすい職場づくりを進めてまいりたいと考えております。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました教員のICT活用指導力向上への支援と教職員の負担軽減についてお答えをいたします。  教育におけますICT推進につきましては、ICT機器の導入、整備が急速に進みまして、これを学校現場でどのように有効に活用するかが次のステップであると認識をいたしております。  教員のICTを活用した指導力向上への支援につきましては、総合教育センターにおきまして、授業でICTを効果的に活用するための各種研修のほか、各学校の課題や教員のニーズに合わせて研修指導主事等が学校を訪問して行うサテライト研修を実施しているところでございます。  また、県立学校におきましては、教職員がICT機器を抵抗感なく円滑に利活用できますように、情報教育支援員を配置いたしまして、電話や訪問による相談対応等を行っているところでございます。  教職員がこうした学びの時間を確保するためには、先生方の業務の負担軽減が不可欠でございます。県教育委員会といたしましては、そのため、スクールサポートスタッフや部活動指導員等の外部人材の活用、また、校務の効率化に向けました統合型校務支援システムの導入などの実施により、学校における働き方改革を進めてまいる所存でございます。 ◆9番(佐口佳恵議員) 終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、9番佐口佳恵議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時48分 休憩    ────────────────   午後0時45分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、15番角田航也議員の発言を許します。 ◆15番(角田航也議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、風力発電事業と環境保全の在り方について、一問一答方式にて、以下全て知事に伺います。  先頃、国会では改正地球温暖化対策推進法が成立し、2050年カーボンニュートラルを基本理念に、脱炭素化に向けて、地域の再生可能エネルギーの導入促進が定められたところです。本県でも、昨日の河井議員の質問に対し、CO2ネットゼロを目指し、より高い新たな目標を設定することを明らかにされました。  地球温暖化対策、CO2削減の観点から、太陽光や風力といった再エネの導入を推進することは、総論としては望ましいことと考えますが、近年、生態系や水質など地域の環境が損なわれたり、人体への影響が懸念されたり、景観の悪化や騒音等のトラブル、さらには地滑りといった災害が発生するなど、再エネ導入に当たっては、様々な問題をクリアする必要があります。  貴重な生態系が失われたり、回復不可能な自然の改変が行われるような再生可能エネルギーは、そもそも持続可能なエネルギーとは言い難く、そうしたおそれがある事業は、進めるべきではないと考えます。  以上を踏まえまして、質問をいたします。  現在、本県におきましては、長浜市の余呉から福井県の南越前町にかけての県境の山林に(仮称)余呉南越前ウィンドファーム発電事業が計画されています。本事業は、最大で総出力17万キロワットの風力発電事業で、風力発電機を最大50基設置し、年間の発電量としましては約10万世帯分に相当するという、完成すれば、国内最大級の発電所となります。(資料提示)こちらが本事業の予定地を含む地図ですが、滋賀県の最北端、福井県との県境の尾根に当たる黒枠で囲まれた部分が事業実施想定区域になります。  先日、現地調査に行き、高さ150から200メートルくらいの風車が設置される予定の尾根を見渡してきました。山の風景が一変すること、また、大規模な工事となることは容易に想像できました。  本事業は、出力が1万キロワット以上のため、環境影響評価法に基づく環境影響評価の手続が必要であり、これまでに配慮書における手続および方法書に係る手続が行われ、現在、2年ほどかけて実施された現地調査が終盤を迎え、早ければこの秋にも準備書が作成される見通しです。  そこでまず、これまでの手続の中で述べられてきた知事意見の内容についての概要を伺います。 ○議長(富田博明) 15番角田航也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  環境影響評価制度は、大規模な開発事業を実施する際、あらかじめ事業者が環境への影響を予測、評価するとともに、その結果を公表し、幅広く意見を聴き、それらを踏まえて、環境保全の見地からよりよい事業計画としていくためのものであり、事業の是非を議論する性質のものではないと理解をしています。  議員御指摘の風力発電事業につきましては、現在、計画段階環境配慮書、環境影響評価方法書の手続が終了しており、各手続において環境保全の見地からの知事意見をそれぞれ平成30年11月、また、令和元年6月に作成してきたところでございます。  各意見の概要についてでございますが、まず、事業の早期段階において環境配慮を行うための配慮書につきましては、水環境、騒音、動植物、景観等幅広い分野に関し、方法書の作成に当たり留意すべき事項等について意見を述べたところです。  次に、環境への影響評価の方法が示された方法書につきましては、水環境、鳥類、植物、生態系等に関し、事業者の計画した調査、予測、評価の方法について意見を述べました。  いずれの意見につきましても、各環境分野の専門家から構成される滋賀県環境影響評価審査会における審査のほか、関係市である長浜市の意見、住民の意見等を踏まえて出させていただいたところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)大規模な事業なだけに、多岐にわたる懸念事項について意見を述べられていますが、まず希少猛禽類、イヌワシ、クマタカについて伺ってまいります。  イヌワシは、体長80から90センチ、翼を広げると2メートルにもなる大型の猛禽類で、日本では北海道から九州までの主として本州中部から東北地方にかけて山岳地帯に生息しており、九州、四国では僅か1から2つがい程度しか確認されておらず、西日本でも生息数は極めて少なくなっています。  日本イヌワシ研究会のホームページによれば、現在、日本に生息が確認されているイヌワシの数は150から200ペアと、単独個体を合わせた約500羽と言われています。しかも、多くの生息地は、近年の大規模な開発や森林伐採、単一樹種による大規模な植林などにより大きく変化し、そのため、イヌワシの餌となるノウサギやヤマドリの減少を招き、さらには、密猟や環境汚染物質の影響などによって、イヌワシは絶滅の危機に追い詰められています。  実際、国のレッドデータブックでは、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものとして、絶滅危惧ⅠB類や特別に保護が必要とされる国内希少野生動植物に指定され、国の天然記念物でもあります。  全国のイヌワシの繁殖成功率は、調査が開始された1981年の55%から、2010年以降は10%前後にまで低下し、イヌワシは生息地から次々と姿を消してしまっています。滋賀県でも、かつて11ペアの生息が確認されていましたが、現在では僅か4ペアしかいません。(資料提示)こちらが本県におけるイヌワシの分布想定図で、赤い部分がイヌワシの生息する可能性のある地域を示しています。  イヌワシは、全国的に見ても生息個体数が少なく、特に近畿地方以西の西日本では、希少性が極めて高いことから、個体群の存続に個体単位の厳重な保護が必要な状況にあります。  県内4ペアしかいないうちの1ペアが本事業実施想定区域の周辺に生息しており、先日、本事業予定地の調査の帰りに、幸運にもその貴重な1ペアが山の上を優雅に旋回している姿を見ることができました。イヌワシは、山の守護神とも言われるだけあって、神々しささえ感じたところです。  一方、クマタカは、体長70から80センチ、翼を広げると140から170センチと、イヌワシより少し小ぶりの猛禽類で、北海道から九州までの山岳地帯に生息しています。現在、日本全土で生息が確認されていて、環境省によりますと、全国で1,800羽程度の生息が推定されています。イヌワシと同様、クマタカも希少性が高く、絶滅危惧ⅠB類および国内希少野生動植物に指定されています。(資料提示)こちらが本県におけるクマタカの分布想定図で、イヌワシとほとんど同じですが、赤い部分がクマタカの生息する可能性のある地域を示しています。  クマタカは、森林の豊かな動物相によりその生存を支えられており、開発の波に非常に敏感な一面を持っています。近年の個体数減少も森林開発によるものが大きいとされ、クマタカの生存には豊かな森林環境が不可欠で、これを保全することが強く求められています。  このように、近年の山岳地帯における環境の悪化により絶滅の危機に瀕しているイヌワシ、クマタカですが、本県におきましても、県版のレッドデータブックに相当する「滋賀県で大切にすべき野生生物」において絶滅危惧種に選定されています。  まず初めに、本県におけるイヌワシ、クマタカの現状について伺います。 ◎知事(三日月大造) 本県におけるイヌワシの現状につきましては、議員御指摘のとおり、4つがいの生息が確認されているということでございます。クマタカにつきましては、具体的な数は把握しておりませんが、いずれの種についても、絶滅の危機に瀕しており、個体レベルの保護が必要だということでございます。  保護に係る法制度につきましては、いずれの種につきましても、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生動植物種等に指定されており、個体等の取扱いに関する規制などが定められているとのことでございます。  また、本県では、保護対策の基本的方向を示すため、滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針を策定しており、同指針の中で、イヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーンを設定し、同地域における開発事業については配慮を求めているところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)現状、イヌワシが4ペア、クマタカについては分からないということですが、現状の調査状況についてお聞きしたいと思います。  今から20年ほど前にまとめられた滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針──以下、保護指針と言います──それによりますと、「イヌワシ・クマタカを保護し、その生息環境の保全を図り、それによって滋賀県全体の環境保全を進めるためには、県内における両種の分布状況、繁殖状況、生息環境などの科学的な情報を収集・整理して有効に活用していくことが必要となります。このため、滋賀県が中心となり、市町村や関係機関、県民、NPO、NGO、研究者などと手を携え、生息状況を把握する調査を進めていきます」とありますが、県内におけるイヌワシ、クマタカの実際の生息、分布等について、県の調査状況はどうなっているのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 本県では、イヌワシ、クマタカを含む県内に生息、生育する野生動植物種について、1997年から生きもの総合調査を継続して実施しており、その結果を、「滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県版レッドデータブック」として、2000年から5年ごとに発刊しているところでございます。  なお、イヌワシ、クマタカにつきましては、発刊当初から継続して絶滅危惧種に該当すると評価されており、保護の必要性は依然として変わらないと考えているところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)生息地等の情報は、密猟などのおそれもあり、慎重に扱わなければなりませんが、県内におけるイヌワシ、クマタカの生息分布情報を集積することが、保護対策の具体的な立案ですとか開発などの際の判断材料にも役立つと思いますので、ぜひ専門家の力も借りながら、情報の更新と適切な情報管理に努めていただきたいと思います。  次に、県では、イヌワシ、クマタカを保護し、その生息環境を保全するために、イヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーンを設定されているということですが、このゾーンには開発等に対する何らかの拘束力はあるのでしょうか、伺います。 ◎知事(三日月大造) 今、言及されましたイヌワシ・クマタカの保護および生育環境保全ゾーンは、イヌワシ、クマタカが生息している可能性がある地域として、保護対策を検討する際の目安として利用するものでございまして、開発事業等に対して法的拘束力があるものではないということでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)拘束力はないということですが、では、このゾーン内にあって法制度等で各種開発行為の規制の網がかからない地域については、いかにイヌワシ、クマタカの保護を図っていかれるのでしょうか、伺います。 ◎知事(三日月大造) この辺りになると、かなり専門的領域に入ってくるんですけれども、事業実施に当たりましては、専門家に助言を仰ぎ、必要に応じて、営巣期等には人の接近や騒音、振動の発生を避けるなど、イヌワシ、クマタカへの影響を最小限にとどめるよう、事業者に配慮を求めているとのことでございます。  さらに、一定規模以上の開発事業につきましては、生物の生息状況についての調査を求め、イヌワシ、クマタカが確認された場合には、事業ごとに必要な回避、低減、代償措置の検討などを引き続きお願いしていくとのことでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)では次に、イヌワシ、クマタカの保護の必要性について伺いたいと思います。  我が国では、戦後、経済的な発展を重視した結果、多くの環境汚染、自然破壊が生じ、社会問題化しました。その後、法の整備や対策が講じられてはいますが、イヌワシ、クマタカの生息数が減少の一途をたどっているところを見ますと、いまだ不十分であると言わざるを得ません。  ややもすれば、鳥よりも人間の暮らしのほうが大事ではないかと、イヌワシ、クマタカの保護に関して疑問に思われる方がおられます。  しかし、イヌワシ、クマタカの保護をするということは、絶滅危惧種だからという理由だけではありません。食物連鎖の最上位に位置するイヌワシ、クマタカが生息するということは、それらの餌となる小動物が存在し、さらにそれら小動物の餌となる生物が存在するといったように、健全な生態系のピラミッドが形成されているということを意味します。  反対に、イヌワシ、クマタカがいなくなった場合には、餌であった小動物が増加し、結果として地域の生態系のバランスが崩れてしまう可能性があります。  このように、イヌワシ、クマタカを保護するということは、豊かで多様性の高いバランスの取れた自然環境を守ることにつながります。  また、イヌワシ、クマタカが安定して繁殖しているということは、その生息を維持できるだけの豊かな自然環境が広範囲に保全されているということの証であると言えます。  こうした理由に加え、本県におけるイヌワシ、クマタカの保護の必要性、ひいては生息環境保全の必要性について伺います。 ◎知事(三日月大造) さきに述べたとおり、イヌワシおよびクマタカともに、県内において絶滅の危機に瀕している種でございまして、個体レベルの保護が必要な種でございます。また、滋賀県のイヌワシ、クマタカの分布域は、日本におけるそれぞれの種の分布域の連続性を維持する上で重要な地域でございまして、滋賀県の生息環境を保全することは、日本全体のイヌワシ、クマタカを保護していく上でも重要であると考えられるとのことでございます。  さらに、イヌワシ、クマタカの生息のためには、生物多様性の豊かな自然環境が必要であり、それらの生息環境の保全は、森林、水、琵琶湖を通じて、我々の生活環境の保全にもつながると考えられるところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)次に、イヌワシ、クマタカの保護ならびに生息環境保全に向けた課題と今後の取組について伺います。  保護指針によりますと、イヌワシ、クマタカを保護していく上で幾つかの課題が整理され、こうした課題の内容を受け、その解決に至る方向性が示されています。  まずは情報が不足していて、適切な保護の対策ができていないことから、生息分布情報等、必要な情報を収集するため、調査を実施するなどして、県内全域の生息分布を把握することに努めることが挙げられています。  また、生息個体の減少を防止するため、営巣期に生息地に人が入らないようにする対策や、密猟の防止、けがや病気の鳥を治療する体制の確立も書かれています。  そして、天然林から人工林への林種転換、ダムや道路建設などによる環境の変化によって、イヌワシ、クマタカの営巣に適した環境の減少や、餌となる生物の生息環境も減少していることから、こうした営巣環境と餌となる生物の生息環境の確保に努めることが必要とあります。  さらには、イヌワシ、クマタカの保護の必要性や、保護することが滋賀の豊かな自然環境を守ることにつながるということの認識が浸透していないという課題があり、広く県民の皆さんに両種の保護の必要性と重要性を知っていただくために、学校での環境学習や、地域での勉強会なども実施するなど、啓発活動の徹底も解決策の一つに挙げられています。  保護指針がまとめられて約20年、県はこうした課題に対し、これまでどのように取り組んでこられ、今後どのように取り組んでいかれるのか、イヌワシ、クマタカの保護ならびに生息環境保全に向けた課題と、今後の取組について伺います。 ◎知事(三日月大造) 県におきましては、イヌワシ、クマタカを含む野生動植物の生息、生育状況を継続して調査いたしまして、情報の収集、更新を行っております。  また、個体レベルでの保護が必要とされる鳥獣のうち、治療等が可能なものについては、救護を行う体制を設けるとともに、愛鳥モデル校──鳥を愛するモデル校の指定などを通し、鳥獣の保護等についての普及啓発を行っているところでございます。  イヌワシ、クマタカの保護に係る課題といたしましては、潜在的には自然林の減少などによる生息、繁殖環境の悪化が考えられますが、各種の開発事業も影響を及ぼしていると考えられます。  このため、滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針において設定しておりますイヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーンに指定されている区域内においては、引き続き開発行為における配慮を求め、保護を図っていくこととしております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)イヌワシやクマタカは、自然草地、伐採跡地のような比較的開けた場所や落葉した広葉樹林などを餌場として利用するため、見通しのよい樹林の確保が必要と言われています。  林野庁では、人工林の針広混交林化、長伐期化による多様な森林への誘導による100年の森林づくり事業などが進められてきましたが、新たな取組として、幾つかの国有林において、イヌワシ研究者と林野庁の協力により、イヌワシを保全目標種とした生物多様性保全のための森づくりが実施されています。  本県におきましても、国や隣接府県、森林組合等関係団体、森林所有者さん、専門家、地域の皆さんと協働でイヌワシ、クマタカの生息環境を保全するための取組が必要ではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 県におきましては、道路から遠距離にあり、採算が合わない等の理由により放置された人工林について、間伐等の施業を実施し、針葉樹と広葉樹の混じった森づくりに取り組んでいるところです。  この施策は、イヌワシ、クマタカの生息環境の保全を直接的な目的とするものではないため、今後、専門家をはじめ、幅広い関係者の御意見も聞きながら、効果的な対策等を検討していきたいと考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ぜひお願いしたいと思います。イヌワシ、クマタカが生息する環境を守るということは、水源である森林を守るということでありますし、ひいては、琵琶湖および本県全体の自然環境の保全につながりますので、ぜひともイヌワシ、クマタカが安心して暮らせるよう、両種の保護と生息環境の保全に取り組んでいただきたいと思います。  また、イヌワシ、クマタカの撮影や観察のためにルールやマナーを守らないカメラマンやバードウオッチャーが、撮影や観察のために巣に接近して、繁殖を失敗させる事例も少なくないと聞いております。  こうした問題の対策としましては、県民の皆さんに広く、イヌワシ、クマタカに対する正しい知識を持っていただくよう、両種の保護と生息環境の保全の必要性についてさらに啓発していく必要があると考えます。
     環境や野生生物に対する考え方や問題意識は、幼少期の体験によって大きく左右されるとのことですので、特に幼少期における野生生物との距離の取り方を含めた環境教育、環境学習の充実についても、ぜひ進めていただきたいと思います。  以上を踏まえまして、本県風力発電事業に話を戻させていただきますが、知事は、本件事業に係る配慮書に対する知事意見の中で、およそ次のように述べられています。  「事業実施想定区域は、全域がイヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーンに含まれており、イヌワシやクマタカの生息および繁殖が確認されていることから、本事業の実施により、イヌワシやクマタカへの重大な影響が懸念される。猛禽類をはじめとする鳥類については、あらゆる環境保全措置を講じてもなお、重大な影響を回避または十分に低減できない場合には、本事業の取りやめも含めた事業計画の抜本的な見直しを行うこと」と、本件事業者に対し、厳しい注文をつけられています。  今後、事業者による環境影響評価に係る調査、予測、評価が実施され、準備書が提出される流れになります。実際、準備書が提出され、その内容を確認しなければ、どのような意見をすべきかは分かりませんが、少なくとも知事意見や滋賀県環境影響評価審査会で求められた調査、予測、評価や対応が的確になされているかについて、また、調査結果等を正しく読み取り、本質を見抜ける専門家の判断を入れることについての今後の対応をお聞きします。  加えて、開発とのあつれきが生じた生息地では、生息情報の漏えいの危険が高まるため、情報の取扱いには特に慎重である必要があります。これらを踏まえまして、今回の風力発電事業に対し、今後どのような対応を取られるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 本事業に係ります配慮書、方法書に対する知事意見につきましては、滋賀県環境影響評価審査会の審査のほか、長浜市や住民の意見等を踏まえたものでございます。  この審査会は、水環境、大気環境、動植物などの各環境分野の専門家で構成されておりますが、風力発電事業の特性を踏まえまして、これまでの本事業の審査には、鳥類の専門家にも加わっていただいているところです。  また、審査会での議論につきましては、原則公開としておりますが、希少動植物の生息に関する情報等につきましては、委員限りの資料にするなど、取扱いに配慮しており、本事業の審査においても慎重に対応しているところでございます。  今後、準備書の手続が行われた場合につきましても、事業者が実施いたしました調査、予測、評価等を確認するとともに、配慮書、方法書の手続と同様に、審査会の審査、長浜市や住民の意見を踏まえながら、環境保全の見地からの意見を作成いたしまして、電気事業法の許可権者である経済産業大臣に送付する予定でございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)日本イヌワシ研究会のホームページによりますと、近年の本件事業予定地周辺には、イヌワシの生息情報は多くはないそうですが、近隣在住の方が2016年10月上旬に予定地内を飛行するイヌワシの成鳥を確認されているとのことです。  また、福井県側も含め、予定地から10キロメートル以内に2ペアのイヌワシの営巣地があります。  岩手県の釜石広域ウインドファームでは、イヌワシの衝突死が巣から18キロメートル離れた場所で発生しており、当該予定地においてもイヌワシが衝突死する危険性が高いと考えられます。  施設設置工事やそのための道路工事によって森林を伐採することで、イヌワシの餌場ができ、現在は近くにいなくても、誘引されてバードストライクに遭ってしまう危険性も指摘されています。  また、本件事業予定地に建てられた風の状況を調べる風況ポールに1羽のクマタカが止まっていたという情報もあります。  風車はゆっくり回転しているから、鳥が衝突を回避するだろうと思われるかもしれませんが、モーション・スミア現象といいまして、ブレードの回転速度が一定以上になると、鳥の網膜が高速運動を処理できなくなるため、鳥の目には回転翼が見えなくなり、衝突するのではないかと言われています。  風の通り道こそ、風力発電にとって好立地ではありますが、風の通り道を選んで渡り鳥が飛行し、その他の鳥も風に乗って狩りをしたりするため、衝突は不可避と言わざるを得ません。  3年ほど前に米原で計画され、現在は凍結されている風力発電事業に係る記者会見で、知事は、「1羽でも、1つのつがいでもイヌワシの風力発電施設への衝突は避けるべきである」と述べられていますが、本件事業の対応におかれましても、また、今後、同様の事業が計画された際にも、この考え方に変わりはございませんか、確認をさせていただきます。 ◎知事(三日月大造) 本県におけるイヌワシの生息状況を踏まえれば、イヌワシの風力発電施設への衝突は、1羽であっても、不可逆的で重大な影響があり、基本的には避けるべきであると考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)本件風力発電事業におきましては、イヌワシ、クマタカ以外の鳥類や動物への影響も懸念されており、これまでの知事意見の中でも触れられています。サシバやコウノトリなどの渡り鳥やコウモリ、カモシカなどへの影響の回避、低減につきましても、今後提出される準備書を精査していただき、的確な御意見を付していただきたいと思います。  次に、ブナ林など植物、生態系への影響について伺います。  まず、本件事業実施区域の植生の現状について伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  環境省の植生調査の結果によりますと、当該地域においては、ブナを主体とした植生が成立しており、これまで人間活動の影響を受けずに、自然のままに成立した植生も一部存在しているとのことでございます。  また、滋賀県側には、栃ノ木峠のブナ、オオバクロモジ群集といった、滋賀県で大切にすべき植物群落に選定されている植物群落なども、当該地域に存在しているとのことでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)今、知事がおっしゃったのはこちらの図でございまして、(資料提示)このように栃ノ木峠付近のブナ林、ちょっと小さいですけども、緑の部分です。栃ノ木峠のブナ、オオバクロモジ群集という重要な植物群落が本県の事業実施区域にかかっております。  特定植物群落に指定されていない地域も手つかずの自然が残っていて、本件事業実施区域およびその周辺には、自然保護のシンボルともなり得るブナ林が広範囲に存在していますが、当該地域のブナ林の保全の必要性について伺います。 ◎知事(三日月大造) ブナ林は、冷温帯、山地帯に分布する代表的な自然林であり、多様な動植物種の生息、生育や地域環境の形成の基盤となる重要な森林であるとともに、イヌワシ、クマタカの生息場所としても重要でございます。  近畿地方においては、ブナ林の消失や分断化が進んでいることが示唆されており、極端に少なくなるおそれのある植物群落などは、保全の必要が高いと考えられるとのことでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)本件事業実施区域を含め、滋賀県北部から福井県、岐阜県、さらには能郷白山周辺までの多雪地帯まで、ブナ自然林に加え、ブナ再生林、二次林を含むブナ林が、杉・ヒノキ人工林や規模が大きい人工構造物に分断されずに連続し、貴重な生態系が残存しています。  近畿のほかの地域のブナ林は、寿命を迎えて枯死しつつあり、後継樹も食害で失われてしまっているので、そう遠くない将来にこれらのブナ林はさらに荒廃して、崩壊し、鹿の好まない植物からなる森林や草原状の植生に移行する可能性が高いと言われている中、本事業実施区域を含む高時川源流一帯には、若いブナ林が広範囲に残存しており、今後、鹿による食害がさらに増大したとしても、少なくとも二、三百年後の未来にまで残存していくと考えられています。  そのため、この地域のブナ林は、近畿地方において、将来立派なブナ林に成長するポテンシャルが非常に高い特別なブナ林と言え、近畿の水がめ、琵琶湖の水源の森ということからも、大いに大切にしなければならないブナ林であると言えます。100年後には白神山地のように世界遺産に登録されるかもしれません。こうした意味において、当該地域におけるブナ林は、非常に貴重であり、保全の必要性が高いと考えます。  そこで、本件風力発電事業にかかわらず、この地域のブナ林を自然環境保全法の原生自然環境保全地域ないし自然環境保全地域の指定を受けたり、特定植物群落の地域を広げるなどして、広く厚く保全する必要があると考えますが、当該地域におけるブナ林の保全に向けた課題と今後の取組について伺います。 ◎知事(三日月大造) ブナ林を含む自然林の面積は、拡大造林や各種の開発による伐採等により減少しており、こうした自然林の減少は、イヌワシ、クマタカをはじめとする野生動植物の生息にも影響を与えていると考えられます。  区域を指定して保全を図る手法といたしましては、自然環境保全法に基づく自然環境保全地域等への指定や、滋賀県自然環境保全条例に基づく滋賀県自然環境保全地域への指定など、様々な選択肢があるため、どのような対応が最もこの地域にとって適切か検討していく必要があると考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ぜひ検討のほうをお願いしたいと思います。  次に、本件風力発電事業のブナ林への影響ですが、事業が実施された場合、ブナ林の一部が伐採され、さらに伐採跡地が掘削や埋立てによって地形が改変されたり、そこに人工構造物が設置されたりすることによって、残ったブナ林は分断されることになります。また、乾燥しやすくなることや鹿の食害の増大など、様々な悪影響が懸念されます。  他方で、ブナ林の再生や復元をするには、長い年月と多額の費用や労力が必要となる上、鹿高密度生息地域のため、植生復元が困難であると言えます。  また、当該事業計画の実施に伴う環境影響評価は、当該地域の正確なブナ林の分布や特徴を把握した上でなされる必要があることから、既存のデータではなく、直近の現地調査に基づく必要があります。  こうしたことも考慮の上、今後の対応をしていただきたいと思いますが、ブナ林の保全と本件事業への今後の対応について伺います。 ◎知事(三日月大造) この事業に係ります方法書に対する植物、生態系に関する知事意見といたしまして、土地の改変によるブナ林への影響や植生の変化に伴う鹿等の増加による影響について指摘しております。  また、方法書には、事業者は文献調査だけでなく、事業予定地およびその周辺の現地調査を実施することが示されており、今後の準備書に係る手続において、事業者の実施する調査、予測、評価等が示される予定であり、その内容について審査し、必要な対応を行うこととなります。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)次に、水環境への影響について伺います。  事業実施想定区域の流域および下流にある高時川の水環境について、造成等の施工による影響、地形改変による影響、植生の変化など、事業によって生じ得る土壌流亡の影響などにより、漁場環境、水産資源および農業への影響が懸念されています。  一方で、以前この地域に建設され、現在は閉鎖されているスキー場に関して、土砂が流出して、高時川が濁るという問題が生じていました。今回の風力発電事業者は、事業を進めるに当たり、スキー場跡地の土砂流出も併せて防止策を講じることを地元自治会に約束され、地元の皆さんの中には、長年の課題が解決されることから、本件事業を前向きに考えておられる方がいらっしゃると仄聞しております。  もっとも、スキー場跡地の土砂流出問題は、スキー場を経営していた会社の責任ないし指導する立場にある県の責任であって、今回の風力発電事業とは切り離して考えないといけない問題だと考えます。  その点も併せて、県として水環境の保全についていかに対応されるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) まず、現状といたしまして、事業予定地に含まれますスキー場跡地につきましては、区域の一部で林地開発の許可違反があり、県としてスキー場開発者に対しては是正指導を実施しており、併せて定期的に事業地周辺での監視活動を行っているところでございます。  また、今回計画されている風力発電事業に伴う水環境への影響につきましては、土地の造成工事等により濁水が発生した場合、事業予定地付近および下流にある高時川に影響を及ぼす可能性がありますことから、方法書に記載の内容よりも詳細な水質調査を実施するよう、知事意見で求めているところでございます。  今後の準備書の手続において、事業者の実施する調査、予測、評価等が示される予定であり、その内容について審査し、必要な対応を行うこととなります。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)次に、土砂流出等の災害リスクについて伺います。  先日は、静岡県熱海市で土石流が発生するなど、近年、全国各地で線状降水帯や局地的な豪雨による土砂災害が発生しています。  こうしたことから、山の稜線を切り下げ、巨大な発電施設を設置したり、建設工事用の道路建設に伴う樹木の伐採および大規模な地形改変により、事業実施区域や周辺地域に山崩れや土砂流出等、災害発生のリスクが高まらないか懸念されています。  また、事業実施区域の近くには、柳ケ瀬断層等、大きな活断層があり、地震による風力発電機の倒壊などのリスクも考えられます。こうした災害リスクについて、どのように考えておられるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 事業活動における災害リスク対策につきましては、事業者自らが講じるべきものであり、環境影響評価とは別の手続において必要な対応がなされるものと考えております。  また、環境影響評価の手続では、事業予定地およびその周辺は、森林法の対象地域が広がっていることを踏まえ、災害、水害の防止、水源の涵養等の観点から、その機能を阻害しないよう配慮することを配慮書の段階で求めているところです。  今後の準備書の手続におきまして、事業者の実施する具体の事業計画が示されますため、その内容を確認していくことになります。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)では次に、その他の懸念事項について伺います。  風力発電事業実施には、その他、騒音、振動、低周波音による生活環境への重大な懸念や景観の問題などもあります。こうした懸念事項に対する県の考え方と今後の対応について伺います。 ◎知事(三日月大造) これまでの環境影響評価手続におきまして、騒音、振動、超低周波音による生活環境への影響、風車による景観への影響等について、適切に予測、評価できるよう、調査手法等について知事意見を付してきたところでございます。  これらにつきましても、他の項目と同様、今後の準備書の手続において、事業者の実施する調査、予測、評価等が示される予定であり、その内容について審査し、必要な対応を行うことといたします。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)次に、風力発電は、CO2を排出しないクリーンなエネルギーで、建設コストやランニングコストがほかの再生エネルギーと比較して安い等々メリットがあり、太陽光とともに再生可能エネルギーとして魅力的であると言われています。  他方、故障が多いこと、修理が難しいこと、風が強くても弱くても強過ぎても駄目で、供給が不安定、台風に弱い、発電効率が悪い、放置の可能性と撤去費用の問題、先ほど来述べてきましたバードストライクや自然環境、生活環境への影響が大きいことなどがデメリットとして挙げられます。  風力発電の可能性と課題について、知事の御所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 風力発電の可能性といたしましては、効率性や経済性などの点でメリットがあることから、本県においても、しがエネルギービジョンに定める2030年導入目標量2.5万キロワットに向けて、導入を推進してきたところでございます。  推進に当たっての課題といたしましては、議員からも御指摘のありますとおり、適地が一般的に平均風速毎秒6メートル以上に限定されることや、動植物の保護の観点などから、立地面においても様々な制約を受けることなどがあると考えております。  今年度中に改定する予定でございます(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画の検討におきましては、風力発電のメリット、デメリットを踏まえ、地域や自然環境等との共生の視点に立ち、引き続き、風力発電の可能性を追求するとともに、改正温対法に盛り込まれた再エネ導入促進区域を市町が定める際の環境配慮の方針となる県の考え方につきましても、しっかりとお示ししてまいりたいと考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)次に、自然環境の保全と地域振興の在り方について伺います。  今回の風力発電事業、地元の方にとっては大変難しい選択だったと思います。原発よりクリーンで再生可能なエネルギー、雇用や地域への経済効果、スキー場跡地の濁水対策、賃料収入、地域振興策の提案等、直接、間接、様々なプラスの面もあり、地元中河内の自治会長さんの村を消滅させたくない、存続させるためには風力発電に賛成するほかないという悲痛な思い、胸に突き刺さるものがありました。  他方で、騒音や振動、自然環境への影響、景観等々、様々なマイナス面もあり、複雑な思いをお持ちの地元の方もおられることと思います。  ただ、この風力発電、水源地であることから、高時川、琵琶湖、淀川を通じて海にもつながります。イヌワシ、クマタカ、ブナ林など滋賀の豊かな自然、ひいては国の多様性ある自然環境の保全にもかかっています。国のエネルギー政策、温暖化対策にも関わり、もはや地元自治会の問題にとどまらず、県全体、国全体で考えるべき問題と言えます。  国が再エネを推し進めようとされる中、全国各地で風力発電の設置が進められ、今後も風力発電の設置計画が滋賀県内に立てられるかもしれません。人や環境に全く影響がない場所が県内にあるとは考えにくく、その都度、地元自治会は賛成、反対で分断されたり、地域の振興や存続のために大切な山や生き物を犠牲にするという苦渋の選択をしなくてはならないおそれがあります。そんな苦しい選択をしなくてもよいように、滋賀の豊かな自然や水源の森を保全していただいている地域などに対する地域振興策を県全体で考えるべきではないでしょうか。  県では、以前から自然環境の保全に熱心に取り組まれており、自然環境保全条例が既に制定されております。例えばこうした豊かな自然を保全するために、地域を指定し、開発等の防止のため、同条例により規制をかけるとともに、補償等をするような仕組みが考えられます。  また、県の巨樹・巨木の森保全活用事業は、巨木がないと適用されないということですが、100年後には世界遺産になるかもしれない将来の貴重な森林を守ることも大事ではないかと考えます。貴重な滋賀の自然の価値を評価し、大切な資産であることを発信するとともに、イヌワシ、クマタカのすむブナの森をしっかり守ってもらえるような仕組み、自然を、生態系を守る仕組みをぜひ御検討いただきたいと思います。  以上を踏まえまして、森林保全、自然環境保全と地域振興の在り方について伺います。 ◎知事(三日月大造) 自然環境の保全と地域振興の在り方につきましては、自然をそのまま残すことがふさわしいのか、人の手が適切に入ることがふさわしいのかなど、地域の自然的状況や社会的状況に応じた個別の事情があるのだと思います。例えば巨木等を生かしたエコツアーが可能な地域もあれば、希少な野生動植物種の保護等のため、人の手が入ることが望ましくない地域もあります。  こうしたことから、自然環境の保全と地域振興の在り方については、個別課題でもあり、中長期的な課題として、慎重に考えていく必要があるのではないかと存じます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)では最後に、再生可能エネルギーの推進と環境保全の在り方について伺います。  冒頭にも申し上げましたとおり、地球温暖化対策、CO2削減の観点から、風力発電を含め、再生可能エネルギーの普及促進に反対するものではありません。ただ、貴重な生態系が失われたり、回復不可能な自然の改変が行われるような再生可能エネルギーは、そもそも持続可能なエネルギーとは言い難く、そうしたおそれがある事業は進めるべきではないと考えます。つまり、何かを犠牲にし、将来に禍根を残すような形での再エネ導入はやめるべきだと考えます。  知事もさきに挙げました米原の風力発電に関する記者会見で、「自然環境を壊したり、ほかの生き物の生息環境を脅かし、壊すという形での再生可能エネルギーの普及というのは、やってはいけないことですので、その両方を相並び立てる形で進めていくことだと考えている」と述べられています。  再エネの推進は、持続可能で、あくまで自然環境を破壊しないことを前提に進めるべきだと考えますが、再生可能エネルギーの推進と環境保全の在り方について、知事の御所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) しがエネルギービジョンでは、2030年度の再生可能エネルギーの導入目標を154.1万キロワットと設定しておりまして、2019年度の実績は82.2万キロワットとなっております。CO2ネットゼロの推進に向け、今後もさらなる再エネの導入が必要となります。  一方で、CO2の吸収源でもある森林をはじめ、多様な生態系、希少な野生生物の生息環境など、本県の豊かな自然環境との調和というものも重要な課題であると考えます。  今年度中に改定する予定でございます(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画の検討におきましては、地域や自然環境等との共生の視点に立ち、再生可能エネルギーのさらなる導入を目指すとともに、先ほども申し上げたとおり、促進区域を市町が定める際の環境配慮の方針となる県の考え方についても、しっかりとお示ししてまいりたいと考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)エネルギーがなくては、今の私たちの豊かな暮らしは、到底続けることはできません。しかし、今生きる私たちの暮らしを守るために、自然を壊し、生き物の生存を脅かし、将来世代に大切な自然を引き継がなくてよいと考えてもよいのでしょうか。再生可能エネルギーも、あくまで自然あってのものであって、自然に劣後するものであるとはっきり優先順位を示していただきたいと思います。そうされないと、同じことが繰り返されるおそれがあります。実際、お隣の福井県では、次々と風力発電の計画が出てきています。山の知事として、滋賀県の豊かな自然を守ると、そして、自然を壊すような再エネは進めないと。再生可能エネルギーと自然環境との調和、地域との共生というと聞こえはよいですが、実際は人間のエゴであって、イヌワシやブナは、自分たちの生存が脅かされてまで人間と調和したいとは考えていないのではないでしょうか。  自然との調和、地域との共生の意味について再度伺います。 ◎知事(三日月大造) 数十億年生きてきた自然と数万年しか生きていない人間との間で、どのように相整え、そして、共に生きていくのかという課題だと思います。常に自然環境には謙虚であらねばならないと思いますし、恐れながら、そして守りながら、暮らしていくということだと思います。  ただ、同時に、生きていくために必要な、そういった開発、また、そういった改変等も、自然環境に配慮しながら、どのように両立させていくのかということが課題だと思いますので、先ほど来お取り上げいただき、答弁したように、しっかりと法に基づき配慮等を行いながら、今回の事業についても向き合っていきたいと思いますし、大きな流れで言うと、やはり、自然環境を守りながら、再生可能エネルギーの導入の可能性についても模索、追求をしていくという課題ではないかと考えているところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。知事、もし、まだイヌワシの姿を御覧になられたことがなければ、ぜひ、次の知事意見を出される前に、貴重なブナ林の上を舞うイヌワシの雄姿を見ていただきたいと思います。巨大な風車ができてからでは手後れです。手続上、知事に風力発電事業を止める権限はないということですが、知事の御意見は非常に重いですし、市町に対してもはっきり方向性を示されるべきだと考えます。滋賀県民の財産である滋賀の豊かな自然を次世代に残すこと、地域振興も兼ねた残せる仕組みづくりをぜひ御検討いただき、お願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、15番角田航也議員の質問を終了いたします。  次に、44番中沢啓子議員の発言を許します。 ◆44番(中沢啓子議員) (登壇、拍手)今日は7月7日、七夕の日です。私にとっては初当選の日でした。多くの方々の思いをしっかりと受け止めて、初心を忘れずに頑張りたいと思います。  では、通告に従い、健康経営、働きやすい職場環境について、分割にて質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、災害とも言える状況となり、昨年は、日本でも全国に緊急事態宣言が発出されました。このような状況の中、県民や児童生徒のために頑張っていただいている皆さんに心から感謝申し上げます。  コロナ禍が続く中、知事は、チームしが 県議団の代表質問の答弁で、「新型コロナウイルス感染症の影響によりまして経済的に厳しい状況に置かれ、また、人や社会とのつながりが持ちにくくなっている中で、うつや自殺等の問題が深刻化しており、県民、特に若者への影響が懸念されているところでございます。そのため、まず心の健康の維持、増進に向けた取組を進めることにより、全ての県民が生き生きとした生活を送ることができ、自分らしい未来を描ける社会をつくり上げていく必要があると考えております」と述べられております。  その県民生活や子供の育ちなどを支える県職員や教職員が、心身ともに元気で働ける環境であることが大切です。  まずは、県庁の働きやすい職場環境についてお伺いいたします。  1年4か月、コロナ禍が続き、大小様々なストレスや不安が積み重なってきていないでしょうか。旅行で気分を変えたり、同僚や友達と一緒に食事をしたりして気分を転換する、緩やかなつながりが心の支えになることもあると考えます。特に、入庁して、まだ仕事に慣れない間にコロナ禍になった方々の状況は、気になります。  県のストレスチェックの調査では、高ストレス者数は年々増加し、令和2年度は444人、11%でした。コロナ禍での職場の状況をどのように把握しておられるのでしょうか、総務部長にお伺いをいたします。  そもそも仕事の時間は、1日の多くの時間を占め、働きやすい職場であることが、心の健康にもパフォーマンスが上がることにもつながります。常日頃から上下関係や、同僚と相談し合えるように風通しがよく、仕事のしやすい職場であることが求められます。  健康経営に向けて、総務では毎年、働き方および人材育成等に関する職員アンケートの調査をされ、効果的な人材育成と円滑なマネジメントの推進に取り組んでおられます。会計年度任用職員についても、同じ職場におられるわけですから、今後、アンケート調査をされることが望ましいと思います。そのアンケート調査で見えてきた現状と課題を総務部長にお伺いをいたします。
     また、ハラスメントについても気になるところです。人間関係は、心身の健康や仕事のパフォーマンスに大きく関わります。また、長引くコロナ禍で、人と気軽に交流ができる状態でもなく、さらに、心が敏感になっている可能性もあります。ただ、職場ではハラスメントについて相談した後の職場での雰囲気や、上司の人事査定に響くのではないかと危惧をされ、表面化しないこともあるのではないかと思います。  さきのアンケート調査では、「現在、自分がハラスメントを受けていると感じますか」の設問に「感じる」と答えた職員が68人、2.8%、「まあ感じる」が135人、5.5%、この「感じる」「まあまあ感じる」と回答した203人のうち、パワーハラスメントは162人という状況を見れば、職員相談室へのパワハラの実相談件数11件は、とても少なく感じます。さらにセクハラとなれば、言いにくい状況があるのではないかと思います。  職場でのハラスメントの状況と今後の対応を伺います。昨年11月定例会議でも江畑議員が質問されましたが、その後の取組も併せてお伺いいたします。  一方、働き方改革が進められてきましたが、県のストレスチェックの調査では、高ストレス者数は年々増加してきています。働き方改革を進めると、高ストレス者数が増えるということであれば、時間外の時間短縮は進んでいるが、本質的な働き方改革になっていないのではないでしょうか。総務部長の見解をお伺いいたします。  前述のアンケートを見ますと、「日頃から業務の進め方を意識的に工夫し、前例にとらわれず事務の見直しをしている」に「はい」と答えた方が80%おられ、一定の定着が見られます。  その中でも、見直しを阻害する主な要因として、「自分の担当業務が忙しい等時間がないため」が55%、「何をどう見直せばよいかが分からないため」が25.4%と続き、県庁全体への見直しへの抵抗感や合意形成に大きな労力がかかるとの意見もあったと記されています。  業務の見直し等の働き方改革について、専門家を入れて対応することを提案しましたが、まずは職員で取り組みたいとの意向でした。見直しの一定の定着が見られ、今後、DXの対応も視野に入れて、自身でできる業務の改善だけでなく、県庁全体を通した業務の見直しを考える時期に来ていると考えます。そのためには、外部の専門家にも参画いただき、再度、仕事の流れなどの現状を正確に把握し、前例にとらわれず、スクラップ・アンド・ビルドをしていく必要があると考えますが、今後の取組について、総務部長にお伺いいたします。  滋賀県は、職員が健康で生き生きとやりがいを持って働き、組織としての力が最大限に発揮される職場を目指して、滋賀県庁健康経営宣言をされています。コロナ禍が続いていますが、県庁全体としてどのように健康経営を進めていこうとされるのか、知事にお伺いをいたします。  6月25日には、仕事上のハラスメント、嫌がらせを全面的に禁じた国際労働機関の条約、いわゆるハラスメント禁止条約が発効しました。ハラスメントを「身体的、精神的、性的、経済的損害を引き起こす可能性がある許容できない行動および慣行、またはその脅威」と定義されており、従業員だけでなく、求職者やボランティア等、幅広く保護対象としています。ハラスメントがなく、働きやすい職場環境になることを目指して、日本の批准が待たれます。  健康経営は、県庁だけでなく、社会全体で取り組む必要があると考えます。今回の調査には、県と関係の深い滋賀県社会福祉協議会や病院事業庁や滋賀県立大学などは含まれておりません。健康経営の視点は、社会全体に広げることが望まれると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に、学校など教育委員会について、以下、教育長にお伺いいたします。  コロナ禍の中、学校現場では感染予防に取り組みつつ、集団活動や体験活動がしにくいなど、様々な制限のある中で、児童生徒の教育に取り組まれる、その御苦労は大変なことだと思います。児童生徒の夢と生きる力を育むために、教職員自身が心身ともに健康であることがベースです。  ストレスチェックの集団分析の健康リスクでは、2016年から減少し続けていましたが、2020年に増加に転じています。コロナ禍での職場の状況をどのように把握しておられるのでしょうか、教育長にお伺いをいたします。  教育委員会では、平成30年度から学校における働き方改革に取り組んでこられました。働き方改革が単なる時間短縮を目指して現場にストレスになっていないか、また、時短自体も進んでいないなど高ストレスになったり、ハラスメントが多くなる傾向があるのではと心配をしています。働き方改革が、現場の仕事量が減り、子供一人一人と向き合う時間が確保でき、働きやすい職場環境になることが望まれます。  特に、コロナ禍で前倒しになったGIGAスクールについては、小中学校では令和2年度から、県立高校では令和4年度からの導入を考えれば、その準備など、新たな取組に対応する時間が必要になると考えます。教職員の現在の働き方改革の進捗をお伺いいたします。  特に閉鎖的な職場となりやすい学校では、ハラスメントは大きな課題です。様々な事件を受けて、教職員におけるハラスメントに関する実態調査をされました。ぜひとも調査結果を参考に、管理職への適正な研修の実施をすると同時に、大きな抑止力になるアンケートを今後も実施することも検討していただきたいと思っています。  今回のアンケート結果では、ハラスメントありが1,337人、16.5%と衝撃的でした。そのうち、パワハラが1,195人、68%、セクハラが258人、14.7%、既に過去の話になったものもあるかもしれませんが、教育委員会として真摯に取り組む態度が必要です。調査結果の現在の対応状況についてお伺いをいたします。  働きやすい職場環境をつくるためには、多様性を認め、お互いに尊重し合える、安心できる場であることが求められます。ハラスメントが起こらないような取組と同時に、ハラスメントが発生したときには、教育委員会とのつながりがあることや、職場の上下関係に関係なく、公平に扱われることが大切です。双方から状況を聞き取るのと併せて、同僚等からも聞き取りやアンケート調査などをして、解決への取組をするべきです。  まず、被害者を守り、もしも人事異動をさせられるならば、本来、加害者の異動もしくは双方の異動を考えるべきだと思います。被害者のみが異動したときには、その結果を見た同僚は、加害者が守られ、被害者が守られなかったという間違ったメッセージを受け取り、教育委員会事務局への信頼をなくす可能性もあります。  また、児童生徒への影響を考慮し、ほとんど学校名や氏名の公表はしてこられません。しかしながら、国では、性暴力や性犯罪をした教員については、その後の被害をなくすために、氏名の管理を行うことを発表されました。県としても、セクハラやパワハラ等をした教職員の氏名を管理し、その後の対応にも生かすべきと考えますが、これらを含め、ハラスメントへの対応について、教育長にお伺いをいたします。  今後、高校でのICTの活用の推進や部活の問題など、多くの課題や変化があります。コロナ禍の中、教師の皆さんは、体験不足や集団行動の不足、また、非言語のコミュニケーションが不足する子供たちへの対応が求められます。だからこそ、教職員の心身の健康は大切です。教職員がモチベーションを持って働ける職場環境をつくるための今後の取組をお伺いいたします。午前中の清水議員の質問と少し重なるところもございますが、答弁のほど、よろしくお願いいたします。 ○議長(富田博明) 44番中沢啓子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)健康経営等につきまして、12点御質問いただきました。私には、うち2点。  まず、1点目の県庁全体としての健康経営の進め方についてでございますが、コロナ禍を契機といたしまして、業務のデジタル化やテレワークの推進などによる新たな働き方の実践が進んだところでございますが、これを一過性のものとせず、コロナ後においてもしっかりと定着を図る必要があると考えております。  また、今まで以上に心の健康に留意いたしまして、風通しがよく、ハラスメントのない職場づくりを進めるとともに、ダイバーシティー経営やジェンダー平等などの視点を常に意識することで、職員一人一人が能力や個性を最大限発揮しながら、健康で生き生きとやりがいを持って働き、県庁の持てる力を最大限発揮できる組織づくりを推進してまいる所存でございます。人間であろう、人間を大切にしようと呼びかけているところでございます。  2点目、健康経営の視点を社会全体に広げていくことについてでございますが、議員御指摘のとおり、ハラスメントのない職場づくりをはじめ、健康経営に関する取組は、県庁だけでなく、広く社会全体で共有し、実践されるべきものであります。そのため、県庁が率先して健康経営に取り組み、その内容や成果を発信することによって、県内の関係団体をはじめ、社会全体に広がっていくことを期待しているところでございます。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)健康経営、働きやすい職場環境につきまして、私に対する5点の質問にお答えいたします。  1点目、コロナ禍での職場の状況についてでございますが、ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、常時使用する職員に対し年1回実施するものですが、議員御指摘のとおり、ストレスチェックの結果におきまして、平成28年のスタートから高ストレス者が毎年増加しております。  令和2年度は、全国比較で見ますと大きな差はないところですが、項目別で見ますと、「上司の支援」ではやや良好な反面、「仕事の量的負担」や「仕事のコントロール」などがやや低い状況にございます。  ストレスの要因は、仕事だけではなく、私生活など様々な状況が影響するため、高ストレス者本人への各種相談窓口の利用を案内しているところでございます。また、各所属におきましては、集団分析結果を職場環境の改善や面談、ラインケアなどに役立ててもらっており、その取組結果をまとめて庁内で共有しているところでございます。  なお、令和2年度新規採用職員は、コロナ禍の中、仲間づくりや情報交換等の機会が例年より少なかったと思われますが、本県では、新規採用職員全員を対象にカウンセリングを実施し、必要なフォローができるよう努めているところでございます。  現在の職場状況でございますが、コロナ対策関連業務に当たる職員は、日々緊張した状況での職務が長期化していることと認識しております。また、通常業務におきましても、コロナ禍にあって様々な配慮や工夫、臨機応変な対応などが必要であり、職員の疲労の蓄積も懸念されるところでございます。  そのため、コロナ対応が1年を超える中、職員の健康に一層留意しながら、部局横断での応援体制の構築や優先業務の絞り込みなどを行い、引き続き、コロナ対応や県民福祉向上などに全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  2点目の職員アンケートから見えてきた現状と課題についてでございますが、職員アンケートからは、「ワーク・ライフ・バランスの実現ができている」と回答した職員について、係長が60.6%で最も低いこと。「現在の担当職務からレベルアップした仕事にチャレンジしたい」と回答した職員について、係長が60.3%と最も低いこと。「自分はハラスメントだと思う行為を受けていると感じる」に回答した職員が8.3%に達したことなどの結果が得られております。  これらの結果から見えてくる主な課題としましては、職員の多くは、業務量が過大だと感じており、特に係長は、自身の担当業務を抱えながら、係のマネジメントを行うことに負担を感じているものと認識しております。  また、ハラスメントの相談受付件数よりも相当多くの職員が「行為を受けていると感じている」と回答しており、より一層の実効性あるハラスメント対策が必要と認識しております。  なお、議員御指摘のとおり、今年度実施する職員アンケートでは、会計年度任用職員も含めて実施する予定としております。  次に、3点目の職場でのハラスメントの状況と今後の対応についてでございますが、ハラスメントに関する相談の状況は、昨年度は21件、今年度は6月末時点で8件の相談を受けているところでございます。このうち、特にパワーハラスメントに関する相談が多く、昨年度の職員アンケートでも、議員御指摘のとおり、「ハラスメントだと思う行為を受けていると感じる」と回答した8.3%の職員のうち、パワーハラスメントが79.8%と最も多かったことから、特にパワーハラスメント対策に注力する必要があると認識しております。  このため、職員と指導や相談で日常的に接することの多い係長層へのアプローチを重点化し、今年度は管理職に加え、係長職にある職員についても、ハラスメントゼロの取組を人事評価の対象とするとともに、本年1月以降、パワーハラスメントに重点を置いたハラスメント防止研修を実施してきております。  また、管理職に対しましても、本年6月には参事級研修においてハラスメント防止研修を行うとともに、今後、部長級等の幹部職員にもハラスメント防止研修を実施する予定でございます。  さらには、昨年度から試行しております多面観察は、上司自身が部下に対する振る舞いや言動を振り返り、見直す契機となり、ハラスメント防止にもつながることから、今年度は対象の所属を拡大し、課題を整理していくことを考えております。  こうした取組を今後とも重層的に積み上げていくことで、ハラスメントがなく、職員一人一人が自分らしく能力を発揮して働ける職場づくりに努めてまいりたいと考えております。  4点目の本質的な働き方改革についてですが、働き方改革は、単に時間外勤務を減らす取組ではなく、生産性を高め、生み出された時間を使って新しいことにチャレンジしたり、家族との時間を増やしたり、自らの学びに充てることで、さらに生産性が向上し、県民サービスの向上につながるという好循環を生み出す取組でございます。  議員御指摘のとおり、高ストレス者が毎年増加しておりますが、ストレスの要因は様々な状況が影響するため、働き方改革がその要因であるとは断定はできないものの、人事委員会のアンケートからは、仕事の量や困難度、職場の人間関係などが仕事上のストレス要因として大きな割合を占めておりまして、働き方改革を推進する中で、このような課題の解決が重要であると認識しております。  このため、人こそが最大の経営資源であるとの考えの下、単に時間外勤務を減らすことが働き方改革ではなく、職員のワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組や、職員が生き生きとやりがいを持って働くことができる職場づくりなどが、本当の意味での働き方改革であることをしっかりと踏まえて取り組んでまいりたいと存じます。  5点目の外部の専門家の参画によるスクラップ・アンド・ビルドについてでありますが、これまでから健康経営の実現に向け、職場での対話や職員の発意を重視した方法により、スクラップ・アンド・ビルドや作業などの省力化、仕事の進め方の改善などの業務の見直しに取り組んできたところでございます。  業務の見直しに当たりまして、外部の専門家が持つノウハウや知見を有効的に活用していくことは重要であり、今年度、ペーパーレス化やRPAの導入など、ICTを活用した業務の見直しに際しまして、外部人材を活用しながら実施してまいることを予定しております。  今後もこうした取組の成果も踏まえ、必要に応じて外部の専門家の活用を考えてまいりたいと存じます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)健康経営、働きやすい環境職場について、私にいただきました5点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目のコロナ禍での職場の状況をどのように把握しているのかについてでございますが、ストレスチェック結果では、仕事のストレス要因から起こり得る健康リスクとして、御指摘のとおり、平成28年は107と、全国平均である100よりも高い状況でございましたが、その後、徐々に改善されてきたところでございます。令和元年には94まで改善したものの、令和2年は99と、全国並みとなっているところでございます。  また、高ストレス者は、平成30年の523人、12%をピークに、令和元年度は402人、9.5%と減少、令和2年度は399人、9.2%とほぼ横ばいの状況となっているところでございます。  ストレス要因といたしましては、上司や同僚の支援が低下していることがうかがえまして、コロナ禍で児童生徒のために感染症対策に日々取り組んでいただいております教職員が、心のゆとりを持てなくなっていることも一つの要因ではないかと推察しているところでございます。  コロナ禍が続きます中、教職員の心身の健康に常に気を配り、心のゆとりを持って児童生徒の安全・安心の確保、また、学びの保障に取り組んでいただく環境づくりが大切であると認識をいたしております。  2点目の学校におけます働き方改革の現状の進捗状況についてでございますが、現在、令和2年3月に改定をいたしました学校における働き方改革取組計画に基づきまして、ICTの活用や業務のスクラップ、多様な人材の活用などに取り組んできているところであり、教員の超過勤務数は、近年、少しずつではございますが、減少傾向にございます。また、月80時間を超える長時間の超過勤務を行った教員も年々減少してきているものの、計画に掲げた目標であるゼロとはなっていないところでございます。  こうした状況を踏まえまして、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員の増員、県立学校の統合型校務支援システムの導入など、学校における働き方改革の一層の充実に向け、各種の取組を進めていく必要があると考えております。  次に、3点目のハラスメントに関する実態調査の対応状況についてでございますが、アンケート調査におきまして「ハラスメントと思われる事象を受けたことがある」と回答された1,337人の方のうち、詳細な事実確認を実施できます連絡先を記載いただいた238人に対して調査を行うということで、その方々に対しまして、令和3年1月から電話やメール等での聞き取りを行っているところでございます。  現在、そのうち176人、73.9%の方の調査が終了いたしました。28人、11.8%の方については、関係者への事実確認などを継続をしており、また、電話への応対がないなど現時点で接触できていない方が34人、14.3%おられるという状況でございます。本調査につきましては、できれば9月中には終えられるよう、しっかりと取り組み、次のハラスメント対策につなげてまいりたいと考えております。  4点目のハラスメントへの対応についてでございますが、ハラスメント事象につきましては、ハラスメント相談窓口や管理職への相談等を通じて把握し、必要に応じ、同僚など関係者からの聞き取りを行い、事実関係の調査を行っているところでございます。ハラスメントの事実が確認された場合は、行為者に対する指導等を行いますとともに、その事実は人事上の情報として管理し、その後の人事配置等にも活用をしているところでございます。  また、人事異動につきましては、学校の特色づくりや組織の活性化等、学校運営上の必要性や、教職員本人の希望や適性、キャリアアップ等、様々な要素を総合的に判断して行うものでございますが、教職員にとりましては大きな出来事でありますことから、個々の先生方が子供たちのために安心して働いていただけますように、きめ細かな配慮の下、慎重かつ丁寧に行うことに努めてまいりたいと考えております。  5点目の教職員がモチベーションを持って働ける職場環境をつくるための今後の取組についてでございますが、教職員がモチベーションを持って働き続けるためには、先生方が心のゆとりを持って子供たち一人一人と向き合い、子供たちの成長を学校全体で分かち合える、さらには、子供たちと共に成長するために、自らも学び続けることのできる職場環境をつくることが大切であると考えております。  そのためにも、ハラスメントのない職場づくりは大切であり、ハラスメント防止に係る研修を充実させますとともに、ハラスメント相談窓口の拡充を図るなど、教職員が健康で生き生きと働くことができる風通しのよい職場環境をつくってまいります。  併せまして、学校業務、行事の精選や部活動の在り方の検討、統合型校務支援システムを活用した校務の効率化など、働き方改革の取組を一層加速させることによりまして、滋賀の教職員がモチベーションを持ち、生き生きと働けるよう努めてまいる所存でございます。 ◆44番(中沢啓子議員) (登壇)安心して働ける場所というのは、すごく大切だと思っています。少しだけ再質問させていただきたいと思います。  総務部長にですけれども、より実効あるハラスメント対策ということで言っていただきましたので、後のほうでも答えていただいたとおり、いろんな研修等々あると思うんですが、やはり、職員の方々が安心して相談できるような環境というのを、同じ部署だけではなくて、ほかのところとも交流できたりとか、先輩方が、やはり、固定したその仕事の中だけではなくて、県庁内でもう少しつながれるような、そういうような場も必要かなと思いますし、先ほどもおっしゃっていましたけども、笑顔でいられるということはすごく大事だと思ってるんですね。私もちょっと、なかなかあの質問するときは非常に怖い顔してると言われるので、笑顔でいるようにしないといけないなと思ってるんですけれども、笑っているとなかなかきついことも言えないでしょうし、そういうまたプラスのこともやっていただけたらと思いますし、取りあえず県庁内でも緩やかなつながりが持てるような環境をぜひつくっていただきたいなと思いますので、その辺りのことを少しお聞かせいただきたいと思います。  教育長に再問を少しだけ。先ほど部活、様々な時間的なことが出てきました。なかなか、やっぱりお忙しくて、子供たち一人一人に対応するというのは本当に大切なことですし、また、大変なことだと思うんですね。その中で、やはり、子供と向き合う時間というのは非常に大事で、部活動は、逆に子供と向き合う時間になるということの考え方もあるんでしょうし、片や、国では令和5年から部活動の改革というか、そういうのをするというお話も出ていますので、その辺りのことを考えたときに、先ほどおっしゃっていただいたように、部活動の支援員の方を入れていただいてるのは非常にありがたいと思うんですが、人数的には、部活動の数を考えたときに、非常にごく一部のところで御支援いただいているということだと思いますので、今後、令和5年に大きな改革があるとするならば、やはり今年度から、来年度に向けてもしっかりと早めに状況を把握していただいて、地域との連携ということも大切だと思いますし、そういうこともしっかりと早めに様々な取組をしていただく。GIGAスクールのときもそうだと思うんですけれども、やはり、早めに準備をしていただくことによって、教職員の方々が自分の準備も始められるということだと思いますので、その辺り、教職員の方々が、先ほどおっしゃったように、子供たちのために、やはり、様々な成長を御本人自体が学ぶことができるとか、様々な取組をすると、そういう時間が取れるような状況をつくり出していくということに注力いただきたいと思うんですが、再度、御答弁をお願いします。 ◎総務部長(森中高史) お答えいたします。  ハラスメントを含めて、県庁内のそういった雰囲気と、笑顔が出るような雰囲気づくりをということでございますが、特にハラスメントなどの相談窓口ですとか、もしくはそのラインの上司ですとか、あと人事課とかに、相談窓口とかを紹介しても、なかなか相談しづらいということはあろうかと思います。  そういったときには、やはり、例えば身近にいる人、もしくは別の部署にいて仲のいい友人ですとか、そういった人にまずは相談してみるということも大事かと思いますので、そういった人間関係をどういうふうにしっかりつくっていくかが大事だと思っております。  知事も申し上げてますように、人間であろう、それから、笑顔でいようということも申しておりますので、そういった人づくりの一環という中で、県庁職員の中で、そういった雰囲気にできるかというのをしっかり考えていきたいと思います。  なかなか今、すぐに、すいません、御提示できないんですが、例えばですけれども、この質問の中でもございましたが、働き方改革が、ただ単に時間外勤務をとにかく削減しろというように勘違い、我々の運用もそこは反省しないといけないんですが、そういうふうに思われているところもございまして、例えば昔であれば、勤務外でも、ちょっと残って雑談をして、そういう中でアイデアが出たりとか、いろいろ悩みとかも相談したりしたところがあると思います。それは、今回、別に働き方改革で否定しているわけでは全くございませんで、それはそれで別に無駄に残す必要はないんですが、かといって、時間外が来たから必ずすぐ帰れと尻をたたくということではないので、ただ、そこはちょっと雰囲気的に誤解されているようなところもあろうかと思いますので、働き方改革の運用の中でも、もちろん時間外勤務の削減自体は大事ですが、そういった余白といいますか、そういった中で触れ合う中で、いろんなアイデアなり悩みなり相談できるような関係というのも大事にしていきたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  特に高等学校における部活動につきましては、やはり、その部活動が学校生活の大きなウエートを占めておる、そういった子供さんもたくさんいるという実情は承知をいたしております。  そういった中で、部活動指導員というのをどういう形で置くのかというのがあろうと思いますが、実情を聞いておりますと、学校によりましては、こういった部活動をしたいという子供たちがいるんだけど、なかなか先生方の中にそれを得意としておられる方とかがおられないので、それを引き受けると、すごくその先生にストレスというかプレッシャーがかかるという実態もあると思います。  やはり、そういった先生方のプレッシャーをできるだけ軽減するために、専門の指導をできる部活動指導員を導入していくというのが大切だと思っております。  また、学校規模によりまして、部活動の数、様々違いまして、大きな学校ですと様々な部活動があり、様々な指導をいただく先生方がおられますが、小さな学校ですと、それをどのように対応するのかというのも、今、県立高校の魅力化を検討する中で、この点についてもしっかり検討していく課題だと思っております。  できる限り地域の皆様方の御協力を得て、地域のそういう得意とする人材を、皆さんの御協力を得てやっていくのがいいと思いますが、こちらにつきましても、また様々な形での発掘も必要と考えております。  あわせまして、今、ICTの活用というのも言われております。ICTを活用することによって、子供たちの部活動がより面白く、楽しく、そして、より効果的に、効率的に行えるということも可能だと思いますので、この点についてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆44番(中沢啓子議員) 終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、44番中沢啓子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時12分 休憩    ────────────────   午後2時32分 開議 ○議長(富田博明) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間を延長いたします。  次に、21番桑野仁議員の発言を許します。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇、拍手)一般質問最終日、休憩明けということで、残り2人になりました。もうしばらくお付き合いをいただきたいなというように思っております。  それでは、発言通告書に従いまして、就職定着支援について質問をさせていただきます。今回は、知事に私、御答弁を求めておりませんので、少し喉のほうをお休めいただきたいなというように思っております。よろしくお願いします。  それでは、質問させていただきます。  まず1つ目です。滋賀県と県内の6大学である滋賀県立大学、滋賀大学、成安造形大学、聖泉大学、そしてびわこ学院大学、また、びわこ成蹊スポーツ大学との間で、学部卒業生による滋賀県内での就職を促進するとともに、卒業生の県内定着に向けた就業の機会を創出し、もって県内産業の振興および活力ある地域づくりに寄与することを目的として、平成28年2月10日に、滋賀県における雇用創出・若者定着に向けた協定書が締結をされております。  ただ、その有効期間が平成32年──令和2年3月31日で終了をしております。この協定は、地(知)の拠点大学における地方創生推進事業、いわゆるCOC+事業を進めるに当たって締結をされたものですけども、COC+事業が終了し、有効期間も終了してしまいましたが、この6大学との連携というのは、今後も引き続き連携を強固に図っていく必要があるかと思います。  改めて、この県内6大学との間で新たな協定を締結をしているのか、総務部長にお伺いをいたします。 ○議長(富田博明) 21番桑野仁議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)お答えいたします。  御質問の協定は、滋賀県立大学をはじめとした県内6大学が、県内産業界や県と協働して、国の補助事業であるCOC+事業を実施するに当たり必要なことから、締結されたものであり、令和元年度に本事業が終了したことから、改めての締結は行われておりません。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)それでは、この協定書では目標として平成31年度、つまり令和元年度ですけども、卒業生の県内就職率を平成26年度卒業生の県内就職率との比較において10ポイント以上向上させること、また、平成31年度──令和元年度末までに、県内において、卒業生のため新たに16人以上の雇用を創出するとの目標が掲げられています。  また、成果の検証として、協定者は毎年度、目標達成に向けた必要な取組について、外部有識者等による評価委員会を設置し、検証を行うとされていますが、この評価委員会では、どのような検証結果が出されたのか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(森中高史) お答えします。  御質問の評価委員会は、学識経験者や企業関係者など7名で構成され、COC+事業の期間中にわたり、外部の視点から、取組に対する評価をいただいたところです。  委員会からは、学生の地元志向の向上に資する教育やインターンシップなどの取組について、6大学をはじめとした連携を強固にしながら推進したことを大きな成果として、評価をいただきました。
     また、評価に加え、事業に関する数多くの助言もいただいたところです。例えばインターンシップにおきましては、就職がゴールではなく、入社後の企業等への定着を意識することが重要であること、また、受入企業においては、学生に対し、夢や可能性、人間観といった無形の教育を行うことが重要であるといった御意見がございました。  なお、県内就職率や雇用創出数については、残念ながら目標達成には至りませんでしたが、COC+事業に係る国の事後評価では、計画どおりの取組により成果が得られており、事業目的を達成できたとして、評価区分として上から2番目のAの評価を得られたところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  私も大学に勤務してるときに、このCOC+事業に関わらさせていただいておりました。ちょうど就職で学生の県内定着を頑張らさせていただいたときで、実際なかなかこの10ポイント以上というのは非常に難しい実態だったというように私自身も考えております。  このCOC+事業は、地方創生の中心となる人の地方への集積を目的としています。学部卒業生の滋賀県内における就職促進や県内企業の振興や活力ある地域づくりには、若い人たちの力が必要です。協定は締結をしないものの、引き続き県内の6大学、そして短期大学もございますので、その辺りも含めて、もっと連携、協力をしながら、雇用創出、また若者定着に向けて取り組んでいただきたいということを要望をしておきたいというように思います。  それでは、次に、平成27年度より滋賀県と大学が相互に連携および協力に努め、大学生等に対し、滋賀県内の企業等への就職活動を支援することにより、滋賀県へのUIJターン就職を支援していくため、県外大学との就職協定が結ばれています。  平成30年9月定例会議において、私のほうが質問させていただいた時点では、その時点では11校との協定が結ばれております。現在は、16の大学と協定を締結していると仄聞します。  この就職支援協定を結び、滋賀県と大学とが連携をしながら、合同企業説明会や企業情報の周知など、事業を進めてこられたと思いますが、どのような成果があったと考えておられるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) (登壇)お答えいたします。  県外大学との就職支援協定につきましては、大学生の県内企業への就職を促進することを目的に、平成27年度から開始し、現在16の大学と締結をしているところでございます。  協定締結を契機といたしまして、大学で開催される就職相談会や企業説明会、保護者懇談会などの就職イベントに本県の企業や職員が参加し、県内企業の情報や滋賀で働くことの魅力を学生や保護者の方に直接お伝えするとともに、本県でのジョブフェスティバルなどの情報を効果的に発信することができております。  また、県内企業のインターンシップへの参加促進にもつながっており、令和2年度実績では、県外大学からのインターンシップ参加者のうち、約8割が協定締結校の学生となっています。県内企業からは、インターンシップや合同企業説明会において、協定締結校の非常に熱心な学生と出会い、面談することができたといったお声もいただいているところでございます。  こうした取組によりまして、就職支援協定を締結した大学の卒業者の県内就職者数は、協定締結後の累計で3,580人となっております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。3,580名、非常に多い数字かなというように感じているところでございます。  それと、次に、本県が就職支援協定を締結している大学の所在地ですけども、関西地方で14校、関東甲信越地方で2校、中京地方に至っては、今のところ締結校がゼロという状況です。隣県の福井県では、関東甲信越の地方で12校、そして中京地方で6校、関西地方で17校ということで、計35校の大学と就職支援協定を結んでおられます。  本県として毎年、少しずつではありますけども、締結校を増やしていただいていることに関しては、非常に感謝をしているところですけども、本年度も関西の大学2校と協定締結に向け取り組んでいただいているというようにお聞きをしております。ぜひ関西圏だけではなく、中京地方の大学とも協定締結に向け取り組んでいただきたいというように思っております。  そうした締結校の増加を図っていくことも必要なんですけども、先ほど実績もお話をいただきましたように、やはり、協定している大学との協定内容をもっと充実をしていくということが必要ではないかなというように感じております。滋賀県と大学が相互に連携および協力に努め、大学生等に対し、滋賀県内の企業等への就職活動を支援することにより、大学生等のUIJターン就職を促進し、若者の滋賀県内での定着を図っていく上で、今後どのような連携を図りながらいわゆる協定内容、中身の充実、取組を強化を図っていこうとされているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  協定締結校での取組の充実に向けまして、昨年度からしがジョブパークに大学連携専任の担当者を配置し、就職相談会など学内イベントの積極的な実施や、合同企業説明会への学生の参加要請を行うなど、大学との関係強化に取り組んでいるところです。  この滋賀ジョブパークでは、インターンシップを単なる就業体験のような形で終わらせず、応募者が関心のあるテーマを選び、企業とマッチングするしがプロインターンを展開しているところであります。  今後は、こうした効果的なインターンシップを協定締結校の学生に一層発信していくとともに、県内就職率の増加、学内就職イベントの複数開催や、県内企業の参加数の拡充など、県と締結校が具体的な目標を設定、共有し、取り組むことにより、若者の県内就職の促進を図ってまいりたいと考えております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  ぜひ各大学と具体的な目標を立てて取り組んでいっていただくようお願いをしておきたいなというように思います。  それでは次に、障害者雇用の推進に向けてですけども、障害のある人がその能力と適性に応じて、多様な働く場に参加し、自立した生活を送ることができる社会づくりを目指す必要があります。そのためには、障害のある生徒、学生の一般就労への促進、障害者の知識、能力の向上による一般就労への促進、障害者雇用への理解促進と雇用のための受皿整備の促進などを図っていく必要があります。  令和2年6月1日現在で、本県における障害者の雇用率達成企業の割合は56.2%ということで、全国平均が48.6%、また実雇用率は2.29%、全国平均が2.15%ということで、本県が上回っている状況です。このことは、本県が多様な対策を講じてこられた結果だというように考えております。  ただ、産業別に見ると、法定雇用率を上回っているのが「医療・福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」、そして「複合サービス事業」のみで、他の業種は未達成の状況であります。また、法定雇用率未達成の企業数は388社あるというようにお聞きをしております。  この令和3年3月1日より、この法定雇用率が0.1ポイント引き上げられ、民間企業が2.3%、国、地方公共団体が2.6%、都道府県等の教育委員会が2.5%というようになっております。このことを受け、障害者雇用については、より一層充実、加速化していく必要があると思いますが、今後どのような取組を行っていこうとしているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  令和2年6月1日現在、県内の法定雇用率達成企業の割合は56.2%で、全国平均を上回っているものの、4割を超える未達成企業があり、障害者に対する理解の促進や障害者雇用への不安の解消を図っていくことが重要と認識しております。  こうしたことから、本年3月30日には滋賀県障害者雇用対策本部長である知事から、経済団体に対しまして、障害者の雇用確保、維持に関する要請を行ったところでございます。特に法定雇用率の引上げに向けた対応といたしまして、未達成企業における雇用の促進を図ることが重要でありますことから、働き・暮らし応援センターに設置する職場開拓員が企業への訪問等を行い、障害者雇用への理解の促進、ニーズに合った就業の場の積極的な開拓に努めているところです。  さらに、障害者雇用の経験が少ない企業には、障害者雇用のハードルを低くし、不安を払拭するため、5日間程度の就業体験を行うトライワーク事業を実施しており、令和2年度実績で170人の雇用につながっております。今後、農業や福祉などの分野も含めまして、この事業の広報周知を一層強化し、より多くの企業に御活用いただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。  法定雇用率の引上げにより、企業の障害者に対する採用意欲や関心は高まっているものと聞いております。この機を捉えまして、働き・暮らし応援センター等関係機関と連携をし、就労面でのきめ細かな支援をより強化してまいりたいと存じます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、令和2年6月1日現在において、県内の市町等において、この法定雇用率が達成できていない公的機関が11機関あるというようにお聞きをしています。このことは、各市町において、引き続き法定雇用率確保に向けて積極的に取り組んでいただく必要があるわけですけども、一方、地方独立行政法人である公立大学法人滋賀県立大学においては、この令和2年6月1日現在において実雇用率が1.9%という状況になっていますが、この令和3年度において法定雇用率が達成できているのかどうか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(森中高史) お答えいたします。  公立大学法人滋賀県立大学における令和3年6月1日現在の実雇用率は2.85%となっており、法定雇用率の2.6%を上回っているところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  2.85%ということで、今回の0.1ポイント引き上げたとしても、十分確保できているという状況かなというふうに思います。  令和3年度の状況自体が、本年10月頃に最終的に公表されるかなというようにはお聞きをしています。先ほどお話をしました法定雇用率0.1ポイント、非常にこれ、高い数字かなというふうに感じてはいます。こういった0.1ポイント引上げによって、障害者の雇用率達成企業の割合とか実雇用率がどの程度に正直この10月、この秋になってくるのかというのは、非常に私自身は危機感を感じているところがあります。ぜひともこの率が下がらないよう、引き続き、滋賀障害者職業センター、ハローワーク、そして障害者働き・暮らし応援センター等と連携をしながら取り組んでいただくよう要望をしておきたいというように思います。  それでは次に、奨学金返還支援制度についてお聞きをしたいと思います。  若年層を中心として、地方から東京圏に人口が流出している中、地方とのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくるためには、地方大学の振興や地方における雇用創出、若者の地元就業等による地方定着は重要な課題となっています。  奨学金支援制度の設置については、平成29年11月14日に開催された第10回滋賀県首長会議において、湖南市から奨学金返還の一部を助成する制度を新たに導入することについて提案がされており、各市町長からは「制度の導入について、県として主体的に、積極的に取り組んでほしい」「UIJターンを促進するための新たな全県的な仕掛けづくりも人口減少局面では大切」「県と一緒に企業誘致をしているが、進出する大きな条件として働く人が来るかということがある、技術系職員を地元で採用したいので、よい提案だと思う」などの発言がされております。  議会においても、この制度に関しては何名かの議員が質問をしております。私も平成30年9月定例会議において、この導入に向けての考えを質問をしています。  そうした中で、令和2年6月1日付で、総務省自治財政局長通知、奨学金を活用した若者の地方定着促進要綱が出されましたが、この要綱の内容ならびに変更点はどのようなものになっているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  お尋ねの要綱は、若者の奨学金返済に対する負担を軽減するとともに、地域産業の担い手確保や若者の定住促進のため、地方公共団体が県内企業に就職した者の奨学金返済を支援する場合に、国が特別交付税により措置するという内容のものでございます。  令和2年度の主な変更点といたしましては、従来は、地方公共団体と産業界が費用を負担し合って基金を設ける必要がありましたが、それが見直され、都道府県の実施に当たって、基金設置に地元産業界からの拠出が得られない場合は、事業評価を行う場としての協議会の設置など、産業界と何らかの連携を行うこととされたところでございます。  また、市町村におきましては、基金の設置が不要となり、支援対象者に高校生も追加されるなど、要件が見直されたところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  随分緩和されたのかなという印象を私自身は持っております。そして、現在、この奨学金支援制度を導入している都道府県ならびに市区町村はどれくらいあるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  令和3年6月現在で、奨学金返還支援制度を導入している都道府県は30府県であり、その内訳といたしましては、奨学金貸与者に対して支援しているところが24件、企業が従業員の方に対して支援する場合、これの一部を補助しているところが6府県となっております。  また、市町村におきましては、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局によりますと、これは令和2年6月時点ではありますが、423の市町村で支援制度を導入しているところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  今、答弁があったように、現在、都道府県では30府県、そして、市区町村では423というところが既に導入をしているということです。  (資料掲示)本日、お手元に配付をさせていただいている資料ですけども、これは令和3年5月14日現在で独立行政法人日本学生支援機構が公表している奨学金返還支援制度を導入している都道府県等を日本地図に落とし込んだものでございます。今、答弁があった都道府県の数等だけ聞いていただいても、なかなか実態が分からないだろうということで、日本地図に落とさせていただきました。  これを見て、若干説明させていただきますと、赤く塗っているところが県および市町両方が導入をしている県になります。黄色のみの県が、これは県のみが導入をしているところです。青く塗っているところは、これは県は導入していないですが、市町は何らかの支援制度を設けておるというところになります。  見ていただいてもいいように、滋賀県と奈良県、これは何も色が塗られていない状況になります。  この奈良県なんですけども、奈良県は、これはあくまでも日本学生支援機構へ情報提供をして初めてオープンになるものですので、奈良県の状況を聞きますと、奈良県は令和2年度からこの制度を導入をされておられます。  滋賀県のほうにおいても、この令和3年度から2月25日に報道もありましたけれども、甲賀市さんが令和3年度から「若手人材の確保に向け、市内の企業や事業所に正規雇用された市民に対し、学生時代に借りた奨学金の返還を支援する仕組みを導入する」というとの報道がありました。  また、彦根市さんにおいても、同様に奨学金の返還支援を令和3年度より行うということにされておられます。  ようやく滋賀県も色を塗ることができるわけですけども、やはり、他県に比べると相当出遅れているというのが現状かなというように思います。  そうした中で、今回、甲賀市および彦根市さんが導入をされた、令和3年度より新規事業として導入をされました返還支援事業とはどのようなものなのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  まず、甲賀市の取組につきましては、若者の移住、定住を促進するため、高校、大学、高等専門学校等を卒業された方などを対象に、市内に居住し、市内の事業所に正規に雇用された場合に、5年間で最大100万円の奨学金の返還支援を行おうとするものでございます。  また、彦根市の取組につきましては、市内大学の卒業生の移住、定住を促進するため、市内の大学、滋賀大学、滋賀県立大学、聖泉大学を卒業した方が市内に居住し、市内の事業所に正規に雇用された場合に、2年間で最大24万円の奨学金の返還支援を行おうとするものでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  今、御説明のあった甲賀市さんですけども、甲賀市さんのこの返還支援制度が新聞報道で出た後、私もちょっと甲賀市のほうに寄せていただいて、このお話を聞いてまいりました。  やっぱり、甲賀市さんというところが製造業が多くあるということ、そして、人が来てもらえない状況やと、人材確保に苦慮している、何とか人に来てもらえるよう、この制度に関しては、執行部から委員会等に提案をして、制度化したというようにお話を聞いております。  また、事業承継に悩む小規模企業者への就職者に対しては、返還額の全額を支援をするという制度になっているということで、これも含んだ何か思いがあって、事業承継、後継者の育成はもとより、もう1つの目的として、やはり消防団への加入促進、これもやはり1つ目的の中に入れているということを担当の方がお話をされていました。  ほかにもいろんな思いがある中で、やっぱり、こうした複合的な課題に対して、市が取り組んでいこうというこの姿勢に関しては、お話をしていて、非常にすばらしいことかなというように感じたところです。  それでは、奨学金返還支援制度については、先ほども言いましたが、平成30年9月の定例会議の一般質問におきまして、導入に向けたお考えを私自身がお聞きをしましたが、そのとき、「県の財政負担が大きいこと、どのような産業分野を対象にするのかといった合意形成が難しいことなど課題も多いことから、制度の創設は困難である」との答弁をいただいています。  ただ、その時点で、この制度の必要については、今後も引き続き検討していただきたいということで要望をさせていただいていたわけですけども、その後、一向に進んでいない状況の中で、令和元年9月の定例会議において、中村議員からの質問に対し、「他県の動向も踏まえつつ研究したい」との答弁がされておりますけども、この答弁以降、どのような研究をされたのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  奨学金返還支援制度の実施状況につきまして、全国の各都道府県へ調査を行い、現状やその効果を調査してきたところでございます。  支援制度を持つ30府県のうち、22の府県は、地域産業の担い手確保を目的として、助成対象者の就職先や企業、職種を何らかの形で限定をしており、ICTなどの成長産業やものづくり産業、地域資源を生かした産業分野や特定企業、あるいは、研究者や製造技術者等に就職した方を対象としているところでございます。  残りの8県におきましては、広く若者の県内移住、定着の促進を目的として、業種や職種を限定せず実施されているところでございます。  また、令和2年度の実績といたしましては、100人以上に助成したところは7府県で、若者の移住や定着に一定効果があったとされる一方で、年間の助成実績が10人未満の県が9県あり、新規募集を停止された県や、十分に制度が活用されていないと思われる府県もございました。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)私も全てではないですけど、各都道府県が出されているパンフレットを読まさしていただいています。やっぱり、それぞれ各府県で対象者、ばらばらです。そういう実態は正直、理解はしております。ただ、実績として、やっぱり出ているところがあるのであれば、それはそれなりに私は評価をしていく必要があるかなというように考えてるんですけどもね。  先ほど御提示をしたこの資料を見ていただいても分かるように、関西と中国、四国地方で、実際制度の内容は、今言いましたように、御答弁をいただいた内容も含めてあるんですけども、それぞれ違いがあるものの、府または県として、奨学金の返還支援制度を導入していないのが、正直滋賀県と大阪府と広島県のみです。各都道府県とも非常に工夫を凝らした制度をしておられるわけですけども、実際、この地図でもちょっとどうかなと思うんですけど、やっぱり、東北と関西のところは、県が導入してるところが多い。反対に関東それから中部のところは、県が導入せずに、市のみが導入していると。何かちょっと二分割されているような気がしているわけですけども。  今こういう状態、実態も踏まえて、今御答弁をいただいた研究内容等を含めて、本県として今後この奨学金返還支援制度の導入に向けて、本当に積極的に取り組んでいこうとするのかどうか、これを商工観光労働部長にお伺いをしたいと思います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  奨学金返還支援制度につきましては、既に実施されている府県の目的や制度が、先ほど申し上げましたように、多様でございまして、その実績にも相当程度幅がございます。どのような目的で実施するのか、また、その目的を達成するためにはどのような制度であるべきか、検討を深めるべき課題が多いのではないかと考えているところでございます。  他府県の実施状況、利用促進に向けた取組などを引き続き調査していきますとともに、今年度からは県内でも、彦根市、甲賀市で新たな制度がスタートいたしましたので、その利用状況や効果などもよく聞いてまいりたいと考えております。  滋賀で働くことを希望する若者をできるだけ増やし、支援し、働くなら滋賀と感じていただけるよう取り組んでいくことは、大変重要なことであると認識をいたしております。そのためには、県内企業の魅力を発信するとともに、滋賀で働くということの魅力を伝えていく努力も必要でありますので、就職支援協定締結校との連携充実や、奨学金返還支援なども含めまして、効果的な施策の在り方について、さらに考えてまいりたいと存じます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)何かなかなか前に進んでないような感じを受けますね。やっぱり、僕は滋賀県だけができないわけじゃないと思うんですよね、正直ね、この制度、やれば僕できると思うんですよ。実際に望んでおられる中小企業さんも正直あります。  これは、ちょっとデータが古いんですけども、2018年に滋賀県中小企業家同友会さんか、会員企業さんを対象に、この制度に関してアンケートを取られています。当時109社からの回答があって、うち34社、31%の企業が奨学金の支援制度を実施している、または実施の意思があるというように回答されておられます。  やはり、中には、奨学金に関してはやっぱり自己責任で返していくべきやというような経営者の方もおられるみたいですけども、これだけは34社、その当時ですけども31%の企業が、この制度をある程度意識をしているというように答えられているのであれば、やっぱり県としても、もっとスピード感を上げて、この制度導入に関して検討していただくべきかなというようには感じます。ぜひその方向を、ちょっと私自身は考えていただきたいなというように思うんですけど、ちょっとスピート感を上げることに関して、再質問で商工観光労働部長にお伺いをしたいと思います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  今ほど紹介いただきましたデータにつきましては、私どもも共有をさせていただいておりまして、お声もお聞きをさせていただいております。先ほども少し申し上げましたが、この制度、特に若者の県内への就職、地域産業の担い手確保という政策的な効果に本当につながるのかどうかという見極めでありますとか、また、就職できずにいる若者の方がおられる一方で、結果として、就職された方への限定的な支援になるという辺り、そういったことをどう考えていくかという課題もあろうかというふうに存じます。引き続きまして、検討課題としてしっかり考えてまいりたいと存じます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)なかなか分かりましたとは私もよう言えないんですけども、実際に今御答弁いただいた内容は、正直なところ、先ほど言いました第10回の首長会議ですか、知事が御答弁された内容、それと私が一般質問で確認したときの当時の商工観光労働部長の御答弁等々とほぼ同じですわ。現実的にね、私の記憶によりますと。なかなか進んでない、進められてないというのが、僕、事実だと思います。やっぱり、本当にやる気があるのであれば、僕は県の姿勢だと思います。県が本当に若者たちに定着をしてほしい、そして、企業支援をしていきたいということでいくのであれば、もっと力を入れていただいて、この制度導入に向けたな検討を進めていただきたいというように私自身は考えています。その点、多分、同じように、また再質問しても同じだと思うんですけれども、ただやはり、そういう気持ちで、彦根市そして甲賀市、これが導入されたわけですから、やはり、もう1つは、もしなかなか滋賀県がその形で動けないのであれば、一つの考え方ですけど、19市町に対して、県からこういう制度、特に市に関してはこの制度、非常に導入しやすくなってますわ、今回の変更で。19市町に対して、全てこういう制度を導入されたらどうですかと。実際に100万円、奨学金の支援者に給付をしたにしても、そのうちの50%、50万は国からお金が入ってきます。残りの50万というのは、その子供たちがその市町に5年、10年定着してくれたら、変な話ですけども、もとに戻りますわ。支給した分、税金で返ってくると思いますわ。やっぱり、そういうことも考えながら、進めていただきたい。  今日は、知事に答弁を求めませんけど、また改めてこの件に関してはいろいろとお話をしていきたいなというように思っていますが、ぜひ県としてこの制度導入に向けて、スピード感を上げた形で積極的に取り組んでいただくことをお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、21番桑野仁議員の質問を終了いたします。  最後に、16番塚本茂樹議員の発言を許します。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇、拍手)それでは、淀川水系河川整備計画の変更について意見を述べることについて、質問をいたします。  その前に、3年前の平成30年7月6日、7日にかけて、岡山県の国管理の一級河川の高梁川に流れ込む小田川というところが決壊して、甚大な被害が出ました。いわゆる平成30年の西日本豪雨と呼ばれる災害なんですけれども、岡山県の倉敷市の真備地区以外にも、広島県や愛媛県で、西日本各地ですごい被害が出た災害でございます。  その災害が発生して10日ぐらいたった7月16日なんですけれども、今日この議場におられる今江議員、江畑議員、成田議員、小川議員と一緒に、倉敷市の真備のほうにボランティアに行ってきました。別便で総社市のほうに田中議員も、その日にボランティアに行っていたんですけれども。最大浸水深かな、7メートルぐらいとちょっと記憶しているんですけれども、私がボランティア入ったとこは平屋で、ちょうど屋根にドラム缶が引っかかっていまして、そこまで当然水が行ったんだろうなというのは容易に想像できたんですけれども、当然1階は全て水浸しということなので、泥上げと家財道具を全部持ち出して、それを仮置場まで、災害瓦礫の仮置場まで車で運ぶという。ちょうど平成30年は猛暑の年で、熱中症になるのかなという、すれすれのところでボランティアをしたなという記憶がございます。  そこの被害に遭われたおばあさんだったんですけれども、知り合いが家の中で亡くなったというふうに言っていました。私は命があるだけ幸せやと。ただ、もう二度とこんな経験はしたくないというふうに話していました。  被災者の方のそういう思いを受け入れて、寄り添いながら、ありとあらゆる災害から人の命と暮らし、財産を守るという視点で、今回、一問一答で全て知事に質問したいと思います。  それでは、平成19年8月16日に策定をされました淀川水系における河川整備の基本方針の中の河川の総合的な保全と利用に関する基本方針には、一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度の向上を図ることが必要であるとの認識に立って、洪水氾濫などによる災害から貴重な生命、財産を守り、地域住民が安心して暮らせるように河川等の整備を図る。また、社会経済活動に基づく水利用、河川利用のみならず、流域全体として、生物の生息、生育環境など自然環境を含めた淀川流域固有のバランスを持続的に保持していくことが必要であるとの認識に立って、関係機関や地域住民と共通の認識を持ち、連携を強化しながら、治水、利水、環境に関わる施策を総合的に展開するというふうに書いてあります。
     そこで、基本方針にあります、一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなくとありますが、このたび示されました淀川水系河川整備計画の変更案は、この基本方針に合致していると思うか、知事の所見を伺います。 ○議長(富田博明) 16番塚本茂樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  淀川流域では、瀬田川洗堰の全閉によりまして、下流での洪水被害を抑制している反面、琵琶湖岸の浸水リスクが増大しております。また、桂川や木津川には川幅の狭い箇所があり、洪水時には、その上流において氾濫が発生することで、下流への流量が抑制されているという面もございます。  こうしたことから、淀川水系河川整備基本方針におきましては、一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度の向上を図ることが必要であるとの認識が示されているところでございます。  今回示された変更案では、下流においては3川合流点下流の河道掘削や阪神なんば線橋梁の架け替えなど、また、中・上流におきましては、大戸川ダムや川上ダム、瀬田川鹿跳渓谷の整備、桂川の河道掘削などを実施することとされております。  したがって、今般の変更案は、流域全体の治水安全度の向上を図る基本方針にまさに合致しているものと考えているところでございます。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)基本方針にまさに合致しているということだと思うんですけれども、今回の変更なんですけれども、基本的に目標流量、それぞれの3川の川で流れる目標流量をそれぞれアップしています。木津川でもともとの計画が毎秒4,900立米から5,500立米の600立米アップしてます。桂川では毎秒3,800立米が毎秒4,300立米ということで500立米目標流量が増加しております。木津川と桂川で合わせて毎秒1,100立米の目標流量を増加しているんですけれども、この増加した部分を、今回、目標流量を既に達成している宇治川の上流にある、洪水施設である天ケ瀬ダムで洪水調整を行おうというんですけれども、そもそもそれぞれの水系で、それぞれ増やす部分は、工夫するのが本来かなと。そういった意味では、流域全体の安全度の向上ということも基本方針にうたってあるんですけれども、その観点から考えても、少しちょっと基本方針とは離れているかなというふうに思うんですけれども、本来ならば、なぜ目標流量の多いところがさらに増えて、その増えた分を、宇治川の上流の天ケ瀬だけで、いわゆる2次カットをし、そのために大戸川ダムが必要という今回の計画の部分だと思うんですけれども、どう考えても流域全体の安全度の向上という部分ではなくて、どうも宇治川から上流がちょっと危険にさらされるわけなので、そういった意味では、やっぱり、一部の地域が犠牲になっているのかなと思うんですけど、再度お答えください。 ◎知事(三日月大造) この淀川水系というのは、大変難しくて、そして、かつ大事な水系だと思います。そして、その水系の治水安全度をどのような方針を持って、どのように計画的に改善していくのかというのが課されたこの使命であると思うんです。  それで、議員もおっしゃっていただいたように、特に特徴としては、桂川、木津川、宇治川、その上流にある瀬田川と、3川が合流し、大都市部である京阪神地区をずっと流れて大阪湾に注いでいくという、この河川のありようですね。  したがって、それぞれ桂川から流れ込む量が多いと、できれば、宇治川、そして木津川を少なくしたい。仮に全てが合流したとしても、その下流の治水安全度を保たなければならない。また、宇治川、瀬田川の上流には、大きな琵琶湖というものがあって、その途中に狭窄部があって、天ケ瀬ダムがあって、ここから、入ってくる分全てを流したいけれども、流して、宇治市や京都府、大阪府の安全度が保てるかというと、なかなかそうはならない。したがって、絞り、順序ごとに流しという、そういう操作を余儀なくされている。  こういう過程で、今まさに議員がおっしゃっていただいたように、上流は少しぐらいあふれてもしゃあないやないかという犠牲の下に成り立つこういう河川の在り方、治水の在り方を、やはり、時間はかかったとしても、確実に解消していくべきであろうというのが、この基本方針だと思うんですね。  今回、この10年余りで、桂川ですとか木津川、こういったところの治水安全度がかなり事業によって改善されてきましたので、次は、課題である天ケ瀬、さらにはその上流である瀬田川、そして、大戸川ダムということが示されてきたんだと思いますので、まさに議員が問題視されていることを解消するための、今回は河川整備計画の変更案ではないかと思いながら、今の御質問を拝聴しておりました。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)知事、そう思うのであったら、滋賀県知事としては、流させてという話をしないとおかしいと思いますよ。それはまた、ちょっと後から出るので、次へ行きます。  次に、知事が大戸川ダムの早期実現を求めるようになった理由を3つ挙げておられます。  時系列に挙げると、まず、平成28年に近畿地方整備局が行った大戸川ダム建設事業の検証において、大戸川ダム案が最も有利とされたこと。  2つ目が、平成29年11月定例会議において決議された権益を最優先する河川政策の推進を求める決議を受けたこと。  3つ目が、平成30年度に本県が行った今後の大戸川治水に関する勉強会において、大戸川ダムは、大戸川流域や琵琶湖周辺においても治水効果があることということが分かったということで、3つの理由を挙げて、大戸川ダムの早期実現を求めるようになったというように発言されております。  そこで、まず、平成30年度に本県が行った今後の大戸川治水に関する勉強会について、ちょっとお伺いしたいと思います。  今後の大戸川治水に関する勉強会では、大戸川流域にこれまでに発生した洪水で、最も大きいのが平成25年の台風18号に加えて、近年全国で発生した線状降水帯や前線による洪水、加えて平成30年の西日本豪雨、平成29年の九州北部豪雨、平成27年の関東・東北豪雨の4パターンについて、雨域、雨の範囲を設定し、天ケ瀬ダム再開発前と再開発後、それに再開発後プラス大戸川整備後の3つの河川整備の状況で流出解析を実施しています。  瀬田川洗堰と天ケ瀬ダムについては、ダムの操作規則に基づいて操作を行うと。大戸川ダムについては、これはまだ操作規則はないので、国で公表されている資料を基に仮定した条件で検証するということでございました。  そこで、検証条件である天ケ瀬ダムの操作についてですが、例えば天ケ瀬ダム再開発後、大戸川ダムが整備されたパターンで、平成25年18号台風の流出解析結果を見ると、天ケ瀬ダムの予備放流中は、瀬田川の洗堰では毎秒200立米の制限放流が行われると。天ケ瀬ダムが洪水調整中については、洗堰では全閉操作が行われる。天ケ瀬ダムの後期放流中は、瀬田川洗堰で毎秒300立米の制限放流が行われ、その後、琵琶湖の後期放流、いわゆる瀬田川洗堰の全開放流が行われるというようなシミュレーションになっているんですけれども、この天ケ瀬ダムの洪水調整中、いわゆる洗堰では全閉操作が行われている時間帯に、本来、下流、淀川の洪水位低下に向けて、天ケ瀬で水をちょっとためるという、いわゆる2次調節が行われるんですけれども、その流出解析において、天ケ瀬ダムの2次調節、いわゆる2次カットは行われているのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員がお示しいただきました、お尋ねいただいた平成25年の台風18号での天ケ瀬ダム再開発後かつ大戸川ダム整備後におけるシミュレーションにおきましては、天ケ瀬ダムの建設・再開発に関する基本計画を適用いたしまして、天ケ瀬ダムの2次調節、いわゆる2次カットは行っております。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)当然、平成25年洪水というのが、今、戦後最大ということで、枚方を守るのに、そこで2次カットということが言われているので、当然2次カットは行われていると思うんですけれども、それは洪水調節が7時間行われるシミュレーションになっていると思うんですけど、そのうち何時間、2次カットは行われてますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 勉強会で実施いたしました平成25年、この台風18号でのシミュレーションでは、大戸川ダムがない場合は、約5時間の洪水調節のうち、約1時間の2次調節を行いましたが、間もなく天ケ瀬ダムが満水となりまして、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流をせざるを得なくなったと、こういう状況がございます。  一方、大戸川ダムがある場合では、約6時間の洪水調節のうち、約4時間の2次調節を行いましたが、天ケ瀬ダムは満水になることなく、安全に水を流すことができたと、そういう結果がございます。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)天ケ瀬ダムというのは、下流の枚方を守るというために洪水調整を行う施設なんですけれども、京都府が、3月12日でしたっけ、検討委員会が出した資料で、京都府が大戸川ダムを必要ですよということを認めた。認めたというか、書いてある資料を見ると、シミュレーションをしています。大戸川ダムが、天ケ瀬へ進んだ後に、大戸川ダムができて、初めて枚方市の流量が1万800立米で収まるよというシミュレーションをしている、その操作の中は、先ほどの天ケ瀬ダムが、大戸川ダムがある場合、洪水調整時間6時間で、そのうち4時間、2次調節が行われたと言っているんですけれども、京都府の資料では、大戸川ダムのある場合の洪水調整時間というのは7時間で、そのうち5時間、2次カットが行われてるんですよ。それは、京都府は、国からいただいたデータに基づいてシミュレーションをしたというふうに資料には書いてあるんですけれども、どうも滋賀県の平成25年の18号台風の調査のいわゆるシミュレーションと京都府が出しているシミュレーションとがちょっと、予備放流の時間も含めて、違うんですよ。これ、本来ならば同じにならないといけないと思うんですけれども、これ、何で違うのか、分かりますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 答弁を土木交通部長に委任させていただいてよろしいでしょうか。 ◎土木交通部長(野崎信宏) ただいまの京都府の技術検討会との違いというところでございますけども、先ほど知事から申し上げました時間数は、毎正時でちょっと切った形で報告をさせていただいておりますので、多少のずれがあるかなと思います。  なお、京都府のほうのデータも、詳細は存じているわけではないですけども、天ケ瀬ダムが、大戸川ダムがない場合で2次調節を行うと、2次調節を行って間もなく満水になって、いわゆる異常洪水時防災操作に移ったという点で同じでございまして、私としては整合しているというふうに考えております。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)要は、天ケ瀬ダムの操作の権限は国にあるわけで、そのシミュレーションが、国が示しているシミュレーションを京都府がやっていて、そのシミュレーションと同じように滋賀県がシミュレーションをしてやらないと、何か今、その勉強会で出ていた結果が、恐らく例えば1時間とか2次操作の時間が変わると、これ、すごくその水系の流量、大分変わってきます。最初、冒頭述べた整備方針を定めたときのシミュレーションは、13の降雨で、その降雨のパターンを使って、そこから広げて33パターンにシミュレーションしているんですね。それでも33パターン。その中で、たしかそのとき天ケ瀬ダムが必要やという、2パターンぐらい必要やというシミュレーションがありました。それも天ケ瀬の操作を30分いらえば大丈夫やという、そういう次元の話なので、1時間とか、多分、滋賀県のシミュレーションと京都府がやったシミュレーションが違うとなれば、それは結果は違うと思うんですけれども、部長もう一度。できれば知事、もう一度お願いします。 ◎知事(三日月大造) 議員おっしゃるとおり、前提条件が変われば、その結果が様々変わってくるじゃないかというのは、そのとおりだと思いますし、シミュレーションのその精度というのも、時間を経て、その精度が技術的にも向上してきているということがあるでしょう。また、様々な事業の進捗というものもどのように考慮するのかということがあると思います。  とはいえですね、治水のこの計画をつくる際に、やはり、大都市部の流下能力をぎりぎりの時点で判断できるかというと、やはり、それはより安全なサイドに立って、どのように流下能力を確保するのか、それを計画的にどのように高めていくのかと、こういう議論はやはり必要だと思いますので、様々な情報開示はする必要があると思いますが、そういう視点に立った検討が京都府においても滋賀県においても行われ、国においても行われているんだと私は承知しております。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)結局、そういう議論はあまりしたくなくて、もう一回、国のシミュレーションどおりに、要は枚方が危ないから、天ケ瀬で2次カットをしてほしいと。そのために大戸川ダムがあるんですけれども、国のシミュレーションにのっとって、今回滋賀県がやった4つの降雨のパターンを載せて、もう一回調査をし直さないと、今出ている結果が、治水効果があるよ、ひょっとしたらもっと治水効果が出るかもしれないし、課題も、別の課題が出てくるかもしれないので、これは、やはりもう一度滋賀県として、そこのシミュレーションというのは、国のデータをいただいて、プログラムも違うと言っていましたので、ちゃんともう一回、これはやっぱりシミュレーションをし直して、実際にどうなのかということを滋賀県として把握しておく必要があると思うので、ぜひともそれはちょっとやっていただきたいので、どうでしょう。 ◎知事(三日月大造) まず、県としては、その時点で平成30年の勉強会を設置し、その時点での最新のデータ、そして既に降った雨、戦後最大だけではなくて他の地域で降った雨もその地域に当てはめて、それでどのように効果測定をするのかということで行ってまいりましたので、その時点では最新かつ最高の精度の検証をさせていただいたと思っております。  もちろん、その後、様々な事業進捗により変わってくるじゃないかというのは、それはそういうことがあり得ると思うんですけど、ただ、その時点で得たものを基に、県としてどのような意見を述べるのかということも、一方で必要だと思いますので、あまり検証だけに時間を費やして事業が進まないということであってもならないのではないかと考えるんですが。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)別にこの意見を、知事意見を出すまでに計上せいという話はしてないです。ちゃんと本当に現状がどういう状況になるのかということは、県としてはちゃんとしたものを把握してないと駄目ですよということを言ってるので、これは時間も、今すぐは無理かもしれないですけれども、しっかり、それはすべきだなというふうに思います。  では、意外と時間がなくなってきたので、次へ行きます。  次に、平成28年に近畿地方整備局が行った大戸川ダム建設事業の検証において、大戸川ダム案が最も有利とされたことについて伺います。  国では、令和元年に発生した台風19号等を踏まえ、水害の激甚化、治水対策の緊急性、ダム整備の地理的な制約等を勘案し、緊急時において既存ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用できるよう、関係省庁の密接な連携の下、速やかに必要な措置を講じることとし、既存ダムの洪水調整機能の強化に向けた基本的な方針として、既存ダムの洪水調整機能の強化に向けた基本方針を令和元年12月12日に定めました。この基本方針に基づいて、全ての既存ダムを対象に検証を行い、国管理の一級水系でダムが設置されている99水系について、去年、令和2年の出水期から新たに運用が開始されております。  この取組は、利水者や府県の協力が必要となり、放流施設の新設や改造等が必要な場合もありますが、洪水発生前に利水容量の一部を事前に放流し、洪水調整に活用できるなど、淀川水系の治水効果に寄与するものと期待をしています。  そこで、平成28年に近畿地方整備局が行った大戸川ダム建設事業の検証においては、淀川水系の4ダム──高山、日吉、青蓮寺、比奈知の水道用水の余剰容量を治水に振り分けをした検証というものは行われているんですけれども、利水容量の事前放流等は十分に検討はされておりません。  これ、淀川流域全体の治水効果を高めていくという意味では、しっかりとこれは行われるべきことだと思うんですけれども、その既存ダムの洪水調整機能の強化に向けた取組の内容を反映した形で、大戸川ダムの建設事業の検証を再度行うように、この知事意見に盛り込むべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員お示しの既存ダムの洪水調節機能の強化につきましては、近年の気候変動に伴う水害の激甚化、頻発化が顕在化している中、重要な対策の一つと考えております。  今般の変更案におきましても、「既設ダムの容量を最大限活用するため、ダム再生の一環として既設ダム等の再編、運用の変更、交流設備の増強および降雨予測の精度向上等による治水、利水機能の向上について調査検討した上で実施」と記載されており、国においてさらに取組が進められるものと考えております。  今回の知事意見では、既存ダムの洪水調節機能の強化のほか、流域における雨水貯留浸透対策の強化や水防災に対応したまちづくりとの連携など、様々な対策があることを踏まえ、あらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策である流域治水の推進として記載させていただいたところでございます。  また、今年4月に開催された淀川水系流域委員会では、大戸川ダムの現時点での評価につきまして、現行河川整備計画に位置づけられた事業の進捗、目標流量の見直しとそれに伴う整備内容の拡充、利水容量の事前放流などの治水協定の締結など、平成28年のダム検証時からの状況の変化を踏まえて、安全度、コスト、実現性などの評価軸ごとに確認した結果、総合的な評価に影響を与えるような大きな変化はないとの説明がなされており、御指摘の点は、知事意見に盛り込む必要はないと考えているところでございます。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)そもそもなぜこれを言うのかというと、さっき冒頭言った今回の目標流量が木津川で600立米、桂川で500立米増えたその1,100立米を天ケ瀬の2次カットで補おうとしてるんですけれども、国の目標は、淀川時点で今1万800立米ですけれども、最終目標1万2,000立米なんですよね。木津川も桂川も、もともと立てた目標まではまだいってなくて、まだ合わせて1,500立米ぐらいかな、2つで、その放流量を増やすという計画があるんですよ。そうなったときに、また天ケ瀬でと言われても、当然、それは絶対滋賀県知事としても無理やということははっきり言ってもらわないといけないんですけれども。ダムができるのが早くて12年。その間に、やっぱり、大きな雨が来たときに、天ケ瀬というか上流がやはり危険にさらされることのないように、あるダムの、今回の基本方針で定められたそこの分の運用を一日も早く行ってもらうように、滋賀県知事としては言うべきなので、この意見の中には盛り込まないということですけれども、これは県民の安心・安全というか安全、命を守るということを考えると、これは知事、やっぱり、しっかりと声高々に言ってもらわないと、これはどうですか。あらゆる機会を通じて、そのことをしっかり伝えていくということを言ってほしいんですけれども、どうでしょう。 ◎知事(三日月大造) それは既に言ってますし、冒頭も申し上げたように、まず、今ある施設を使って、かつ、今までは使えなかったけれども、その容量を生み出して、どのようにたくさん降ってくる、以前よりも降るようになった雨に対して備えていくのかというのは、これは極めて重要な対策だと思いますので、それはこれからも引き続き強く言っていきたいと思います。ただ、その先の河川整備計画のありようを考える計画に対する意見とは、また少し別の次元のものではないかなというふうに考えているところです。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)もう言っているということなんですけれども、冒頭の質問の部分は、大戸川ダム検証作業の中に10パターン検証してくれているんですけれども、このことは入っていないと。入っていないし、やっぱり、そこでシミュレーションをして、本当に大戸川ダム案が最も有利なのかということもしっかりと分かっておく必要があるのかなと思って、質問しましたので、そういう意図でございます。ちょっと時間がないので、次に行きます。  次に、知事意見書特段配慮事項3、大戸川ダムに関することについて伺います。  そもそもこの大戸川ダムの滋賀県がやっている勉強会は、シミュレーションが、私は違うと思っているので、それを基に議論をするのはどうかなと思うんですけれども、せっかく資料もつくったのと通告していますので、一応します。  (資料掲示)この資料は、今後の大戸川治水に関する勉強会の第2回の勉強会の資料で、平成25年18号台風および平成27年関東・東北豪雨のケースで、大戸川流域の浸水範囲を示した資料でございます。  まず、この平成25年の台風18号のケースでは、大戸川ダム整備後において、治水効果として浸水範囲が60%減少するということが効果として挙がっています。課題としては、内水氾濫が残ること、加えて内水浸水の時間が延長されることが挙げられています。  これが一番大きい雨なんですけれども、平成27年関東・東北豪雨のケースでは、大戸川ダム整備後において、治水効果として、避難時間が確保され、この避難時間が確保されるのは、勉強会では時間にして大戸川ダム整備前から約8時間、氾濫を遅らせることがあるという効果があるということ。(資料掲示)課題としては、異常洪水時防災操作による急激な浸水範囲の拡大、グラフで言うとここなんですけれども、異常降水時の急激な浸水範囲が拡大するということと、浸水位の上昇があることが読み取れます。  ちなみに、平成27年関東・東北豪雨のケースの場合は、この場合、瀬田川の洗堰の全閉時間には効果はないということが第3回の勉強会の資料で示されています。  まとめると、計画規模と同等の洪水に対しては、浸水範囲を減少させるなど、治水効果はありますが、計画規模を超える洪水、いわゆるその計画規模以上の雨にどう対応していくかで流域治水の考え方があるんですけれども、その計画規模を超える洪水に対して、急激な浸水範囲の拡大や浸水位の上昇など、大戸川ダムがない場合よりリスクが高まるケースがあるということでございます。  そもそも淀川水系河川整備計画上の大戸川ダムというのは、下流を守るために整備されるダムです。下流を守るために滋賀県が犠牲になることは、淀川水系河川整備計画の基本方針にもある、冒頭述べた「一部の地域の犠牲を前提として、その他の地域の安全が確保されるものではなく」に反することだと思いますが、大戸川ダムが整備されることで、滋賀県が被る課題、デメリットを滋賀県知事として下流ならびに国に対して声を上げるべきです。知事意見書にこのことを盛り込むべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今もお取り上げいただきました、平成30年度に今後の大戸川治水に関する勉強会を行いました。県内の治水効果を検証いたしました結果、大戸川ダムは、計画規模と同程度の洪水に対して、大戸川からの氾濫を抑制できること、超過洪水に対して洪水のピークをダムでカットできる場合は、浸水被害を低減できること、すなわち、今、1つ目に挙げていただいた例ですね。ピークをダムでカットできない洪水に対しても、これは2つ目に取り上げていただいた例だと思いますが、氾濫を遅らせることにより、避難時間や避難経路を確保できること、さらには天ケ瀬ダムへの流入量を低減させることにより、瀬田川洗堰の全閉時間や制限放流時間を短縮できること、また、洪水後の放流操作を工夫することで琵琶湖のピーク水位を抑制できることなどの効果が確認できたところでございます。  この検証結果や近年頻発する豪雨災害、大戸川の改修状況などを踏まえ、大戸川ダムを早期に整備することは必要と判断したところでございます。  議員御懸念として示された、まず1点目、内水氾濫につきましては、大戸川に至るまでの支川における氾濫でございまして、基本的に大戸川ダムの影響ではなく、内水浸水区域の河川の管理者が対応すべきものであると考えます。  2点目、大戸川ダムからの洪水後の放流により、大戸川の水位が高い状態が続き、一部の区域において内水が排水できず、浸水が長引くことにつきましては、一義的には大戸川の管理者である県と内水浸水区域内の河川の管理者である市が協議いたしまして、ダム計画と整合するよう対策を立案、実施すべきものでございまして、まずは大津市等と協議、検討を行う必要があると考えております。  3点目の御懸念につきましては、計画規模を超える洪水において、ダムの緊急放流に伴い、浸水範囲の拡大や浸水位の上昇が急激となりますものの、氾濫を軽減する効果や氾濫を遅らせる効果があると考えているところでございます。  このため、この遅らせた時間を有効に活用し、適切な避難につながるよう、国や市と連携いたしまして、リスク情報の周知や避難体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。  以上のことから、いずれの御懸念につきましても、国に意見を申し上げるべきものではないと考えているところでございます。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)下流、枚方市を、今回の変更案を見ると、何回も言いますけれども、目標流量を上げているので、その25年洪水をシミュレーションをすると、枚方市が1万1,300流れると。その500落とすのに、天ケ瀬で2次カットを行ってくださいと。そのために大戸川ダムが必要ですよと、そういう計画になってるんですよ。  それならば、下流、大阪府の枚方市を守るためにできるダムであれば、できることによって課題は残るわけですから、その課題を国の責任において、ダムを造る代わりに、そこの課題の部分は国にちゃんと責任を持って対応するように、滋賀県知事からこれは言うべきやと思うんですよね。ただ、知事は、大戸川ダムの早期整備をずっと訴えてきたので、計画に入った途端に、ダムができたら被害が出るから、それを国で対応せよと言うのは、言いにくいかもしれないけれども、そもそも大戸川ダムというのは、平成21年に前回の計画があって、今回位置づけされるというのは、勉強会、大戸川ダムの検証作業で最も有利と言われたときから、次の計画の見直しが始まって、この計画に入るだろうというのは言われていました。滋賀県から別に言わなくても、恐らくこの計画に入ってきたと思うんです。滋賀県がその前に早期整備、早期整備と言うから、国も滋賀県も言っているしという話だと思うんですよ。じゃなくて、ちゃんとできるのであれば、そのデメリットの部分をしっかりと国に対応してくださいよと言うことが、県益にかなうということだと思うんですけれども、どうでしょう、知事。 ◎知事(三日月大造) 当然、ダムだけで全ての治水が完了するわけではないと思います。したがって、まさにそれこそ流域治水なんですけれども、川の中の対策、そして、ダムを含めた洪水調節機能を持つ施設を造り、そして、それだけでは防げない氾濫リスクに、川の外を含めて、ソフト対策を含めてしっかりと備えていくということに引き続き取り組んでいきたいと思いますし、大戸川ダムができたからといって、全ての氾濫が防げるわけではありませんので、これは県のシミュレーションでも明らかなように、地域沿川の皆様方にもしっかりとその旨はお伝えして、対策を講じていきたいというふうに思います。  したがって、その対策には必ずしもダムを造るデメリットと表現するかどうかは分かりませんけれども、ダムだけでは守れない治水対策をどう上流と下流、連携して進めるのか、さらには国の様々な補助、交付金なども入れながら進めるのかという観点に立って、これからも引き続き訴えていきたいと思いますし、例えば鹿跳渓谷をどう開削するのかといったような課題などもまだまだありますので、こういったことを引き続きしっかりと訴えていきたいというふうに思います。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)ダムができても防げない災害、残るというのは、これは理解していて、ただそのダムがない場合とある場合で、ある場合のほうで、予想以上に被害が大きくなるやろうとか、デメリットの部分は、必ずこれも勉強会に出ているので、ぜひともそこの部分は最低限国に対して対策を求めるということは、全然おかしくないと思うんです。  知事も、平成29年11月の定例会議において、県益を最優先する河川政策の推進の決議があったので、そこでは大戸川本体工事、一日も早い着工を国や下流府県に働きかけることは知事に課せられた責務というように書いていました。我々は反対したんですけれども。知事に課せられた責務というのは、先ほどから申しているように、県民の生命と財産、暮らしを守る、その手段でダムがあるということは否定はしませんけれども、ダムがあっても守ることができない課題に対しての対策というものを国に求めて、国の責任でやってもらうということが、これが本当に県益というか、知事の責務だと思うんですけれども、もう一度答弁を。 ◎知事(三日月大造) まず、先ほど言い足りなかったかもしれませんけれども、議員が「ダムがあるがために生じるデメリット」と表現されること、確かにあるのかもしれませんが、しかし、それを上回る効果というものが県域においてあるということを確認できましたので、県としての立場を表明させていただいたということです。  そして、おっしゃるとおり、その施設だけでダムができたからといって、全ての治水が完了するわけではないというのは、そのとおりだと思いますので、その部分はしっかりと、特に大きな琵琶湖を預からせていただいていて、その出口である洗堰を堰で止められ、その操作が国によって行われ、その下流には狭窄部があり、その下流には、また天ケ瀬ダムがあって、流したいときに流せずというようなそういう課題があることは、これ引き続きの課題でございますので、これはしっかりと下流にも伝えなければいけませんし、国にも強く訴えていきながら、まさに基本方針に書いてある治水を完成させるための努力を行っていきたいというふうに考えております。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)ダムによるデメリットを超える、上回る効果があるということやと思うんですけれども、それは当たり前のことで、そこで、その課題の部分を厚かましく、滋賀県知事として言っていくいうことは、遠慮する必要はない。だって、上流が犠牲になるというのが、この治水システムの、これは一般論で言うとそういうことなので、それは厚かましく滋賀県知事として下流に言うべきだというふうに思います。  すいません、もう時間がないので、最後の質問に行きます。  知事意見書特段配慮事項の6、野洲川に関することについて伺います。  知事意見書には、野洲川直轄区間についての配慮事項は記載されておりますけれども、長年国に対して要望しております石部頭首工から杣川合流地点までの直轄化について記述がされてないんですけれども、ここはしっかりと記述すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員お示しの野洲川の区間につきましては、将来的には直轄化の可能性もあると考えております。しかしながら、今回の変更案に対し、沿川の市長へ意見照会も行いましたけれども、直轄化を求める御意見等はありませんでした。  また、法定計画である淀川水系甲賀・湖南圏域河川整備計画や滋賀県国土強靱化地域計画などにおいて、本県が事業主体として整備を進めていくこととしており、これらの計画との整合の面から、現時点では直轄化を求める意見は記載すべきではないと考えているところでございます。 ◆16番(塚本茂樹議員) (登壇)市町からの意見の中になかったということなんですけれども、これ、ずっと言ってきたことで、大戸川ダムの早期整備をありとあらゆる場面で、いろんな場合を通じて言っていくと、知事、前言っていたんですけれども、直轄化も、日野川もそうなんですけれども、そういうこともやっぱり頭の中に入れて、ありとあらゆる場面を通じて国のほうに要望してください。終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、16番塚本茂樹議員の質問を終了いたします。  以上で発言通告のありました発言は終わりました。  この際お諮りいたします。  11番黄野瀬明子議員から発言の取消しの申出がありました。去る7月2日の本会議における11番黄野瀬明子議員の発言中、「───────────────────────────────」を取り消したい旨の申出であります。  この取消しを許可することに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、11番黄野瀬明子議員からの発言の取消し申出を許可することに決定いたしました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  関連質問なしと認めます。  以上で質疑ならびに一般質問を終わります。    ──────────────── △議第90号から議第104号まで(令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか14件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(富田博明) 議第90号から議第104号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。             ──────────────────────────────                   令和3年6月定例会議議案付託表                                        令和3年7月7日(水) 〇総務・企画・公室常任委員会  議第90号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち
       歳入の部 全  部    歳出の部 款2 総合企画費         款3 総務費         款11 教育費のうち          項6 大学費   第3条 地方債の補正  議第91号 滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案  議第92号 滋賀県税条例等の一部を改正する条例案  議第93号 滋賀県税の課税免除および不均一課税に関する条例の一部を改正する条例案  議第94号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案  議第104号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳入の部 全  部 〇土木交通・警察・企業常任委員会  議第90号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款9 土木交通費         款10 警察費   第2条 債務負担行為の補正  議第98号 滋賀県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく移動等円滑化のために必要な道路の構造等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例案  議第99号 契約の締結につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)  議第100号 契約の締結につき議決を求めることについて(大津能登川長浜線補助道路整備工事)  議第102号 契約の変更につき議決を求めることについて(余呉川総合流域防災事業賤ヶ岳橋架替および木之本長浜線改良事業国道8号取付工事)  議第103号 淀川水系河川整備計画の変更について意見を述べることにつき議決を求めることについて 〇環境・農水常任委員会  議第90号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款5 琵琶湖環境費         款8 農政水産業費  議第101号 契約の変更につき議決を求めることについて(淡海地区ため池改修第3工事) 〇厚生・産業常任委員会  議第90号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款6 健康医療福祉費         款7 商工観光労働費  議第95号 滋賀県社会福祉士および介護福祉士修学資金貸与条例の一部を改正する条例案  議第96号 滋賀県生活保護法に基づく保護施設の設備および運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例案  議第97号 滋賀県児童福祉法に基づく児童福祉施設の設備および運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例案  議第104号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 全  部 〇教育・文化スポーツ常任委員会  議第90号 令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款11 教育費[項6 大学費を除く]           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第4号 オーガニック・自然農法による農産物の生産推進について 請 願 番 号 第4号 受 理 年 月 日 令和3年6月29日 件     名 オーガニック・自然農法による農産物の生産推進について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 佐口佳恵 駒井千代 中村才次郎 加藤誠一 川島隆二 冨波義明 節木三千代 付 託 委 員 会 環境・農水常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  滋賀県は、かねてより「環境こだわり農業推進条例」や「食の安全・安心推進条例」を制定し、全国に先駆けて環境と調和のとれた農業を推進するとともに、いち早くSDGsを県政に取り入れられている。また、気候変動に適応し自然環境に与える負荷の軽減に配慮しつつ、農業の生産性向上・農業所得の増大を目指す「しがの農業みらい条例」を制定し、安全で安心な農産物の生産や多面的役割を有する農業を持続的なものにすることを県の責務と明記しておられる。  さらに、昨年は「“しがCO2ネットゼロ”ムーブメント」を宣言されており、「環境」「経済」「社会活動」の構築に向けた知事のリーダーシッ プと滋賀県の職員の方々の努力に感謝するとともに、心から応援する。  もとより、滋賀には先に掲げた先見的な環境と調和のとれた農業を志向される農家の御尽力があり、農薬や化学肥料を一切使用しない「オーガニック」や「自然農法」で農産物を生産されている農家も増えてきていると伺っている。  こうした状況の中、1人の母親として、より安全で安心な農作物を、次代を担う子どもたちに食べさせたいと願っており、特に脳と身体が形成される小学校、中学校の大切な時期には、給食にオーガニック農産物を使用してほしいと願うものである。そうした願いは県内外の600名を超える保護者や団体からも賛同を得ている。  一方、オーガニック米等は、生産技術が難しいことや、価格的な面で契約栽培が中心ということも承知している。今後、県下各市町の学校給食でオーガニック農産物が使用されるなど、消費拡大を呼びかけてまいりたいと思う。  ついては、滋賀のオーガニック農産物を子どもたちが給食でおいしく食べられるよう、県として、より生産性が向上するためにオーガニック・自然農法農産物の生産技術の確立や一般消費が拡大される取組をされるよう、下記のとおり請願する。                  記 1 オーガニック農産物の産地や販路の拡大、省力化に向けた技術開発・研究の一層の推進 2 国際水準の有機農業の取組を推進することを目的に、有機JAS制度について指導・助言を行いうる滋賀県下における人材(有機農業指導員)の一層の育成、県内における有機JAS認定検査員の増加・育成に向けての施策 3 未来の消費者となる子どもたちへのSDGsと食と農のつながりを意識した食育の推進           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第5号 コロナ禍のもと、児童・生徒・学生の健康と学習権が守られるために、生理用品の学校配布と設置ならびに相談環境の整備を求めることについて 請 願 番 号 第5号 受 理 年 月 日 令和3年6月29日 件     名 コロナ禍のもと、児童・生徒・学生の健康と学習権が守られるために、生理用品の学校配布と設置ならびに相談環境の整備を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 松本利寛 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 教育・文化スポーツ常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願趣旨】  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い雇用状況が悪化する中、世帯の収入が減少している家庭の児童・生徒や、アルバイトができずに生活が困窮する生徒・学生も増えている。こうした経済状況の中、節約のために毎月の生活必需品である生理用品を購入することができずに、「古着や新聞紙などで代用した」「交換する回数を減らした」「経血で服や椅子を汚すことが不安で登校できなくなった」などの実態が報告され、5人に1人の若者が「金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労した」と生理の貧困が明らかになっている。  こうした事態を受けて、政府も3月23日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で困窮状態にある女性を支援するため、関連する交付金を拡充し、交付金の使途として生理用品の無料配布を加えている。全国的に、学校での生理用ナプキン無償配布の動きが広がっている。  政府がまとめた第5次男女共同参画基本計画では、「生涯にわたる健康支援」として、特に女性の心身の状態は年代によって大きく変化する特性から「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の視点が重要視され、その中でも生涯にわたる健康の基盤となる心身を形成する10~20代前半の重要な時期に対して、月経を含めた保健の充実の推進が明記されている。その具体的な取組として、保健医療サービスの提供など、包括的な健康支援のための体制の構築が挙げられる中、経済的理由によって生理用品が十分に使えずに健康な生活が脅かされる状態は直ちに改善されるべきである。  児童・生徒が安心して通学でき、生涯にわたって健康で衛生的な生活を保障されるために以下請願する。 【請願事項】 ・児童・生徒が安心して通学でき、健康で衛生的な生活を保障するために、学校施設の女子トイレに適切な返却不要の生理用品を設置すること ・養護教諭らに生理をはじめ心や体の悩みを気兼ねなく相談できる環境を整備すること           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第6号 高校全県1学区制度の見直しについて 請 願 番 号 第6号 受 理 年 月 日 令和3年6月30日 件     名 高校全県1学区制度の見直しについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 教育・文化スポーツ常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願の趣旨および理由】
     平成18年に導入された「滋賀県の高校全県1学区制度」は、自由に選択できることを大きな利点として推進されてきたが、実際には塾と一体になった進学実績重視の高校選択で、一部の高校に志願者が殺到するなど、受験競争を激化させ、高校間格差を大きく広げる結果となっている。  同時に、人口減少の湖北・湖西地域では、地域外の進学伝統校に成績上位者が流出し、地元地域の高校教育の活性化とは逆行する定員割れを起こし、学級減も招いている。  県教育委員会では、こうした問題に「特色ある高校づくり」で問題解決を図ろうとされているが、それは、地元と一体になって創りあげてきた歴史や伝統の上に形成されるものではないか。  全県1学区制度導入後の人口減少地域の衰退を考慮し、「地域の主権者、市民を育てる」という高校教育の原点に立ち返り、大多数の子どもたちが、地元の高校で豊かに学び成長でき、地域の活性化にもつながる高校受験制度・環境づくりを整備していただきたく、全県1学区制度の見直しをぜひともお願いする。 【請願項目】  県立高校全県1学区制度を見直すこと           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第7号 美浜原発3号機の運転停止について 請 願 番 号 第7号 受 理 年 月 日 令和3年6月30日 件     名 美浜原発3号機の運転停止について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  私たちの漁協は、美浜原発から近距離にある。運転開始から44年の老朽化した美浜原発3号機が再稼働されたが、「福島のような大きな事故が起こるのではないか」と日々大きな不安を抱き、琵琶湖上で仕事をしている。  もし大事故が起こり、北西の風で運ばれる放射能で琵琶湖が汚染されれば、魚が売れなくなるばかりか、漁場として成り立たなくなり、生業も生活も崩壊してしまう。老朽化した原発の稼働による危険と不安におびえる私たち漁業者は、美浜原発3号機の運転停止を強く求める。  その実現のために、滋賀県議会が関係機関に働きかけていただくよう請願する。           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第8号 「日米地位協定の抜本的見直しを求める意見書」の提出について 請 願 番 号 第8号 受 理 年 月 日 令和3年6月30日 件     名 「日米地位協定の抜本的見直しを求める意見書」の提出について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願趣旨】  在日米軍の兵士や軍属らによる事件・事故は旧日米安保条約が発効した1952年から現在までに、全国で21万件を超え、日本人の死者は1,000人以上に達している。沖縄での事件・事故が圧倒的多数を占めており、米軍機墜落が47件、凶悪犯罪(殺人、強盗、放火、強姦)が580件近くに及んでいる。今も沖縄をはじめ全国で国民の安心・安全が脅かされ続けており、一刻の猶予もならない。  こうした事件・事故の背景には、国内法を無視した米軍用機の低空飛行などを認める航空特例法や、事故の際、日本側に立ち入り権のないこと、刑事裁判権における米軍の特権などを定めた日米地位協定がある。ドイツ、イタリアなどのヨーロッパの国々では、米軍への国内法適用が原則になっている。  2018年7月27日、全国知事会は「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。この提言の中には、「日米地位協定を見直し、航空法や環境法令など国内法を原則として適用させることや事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入などの保障を明記すること」が盛り込まれ、 2020年11月5日には全国知事会がさらに踏み込んだ「米軍機による人口密集地域等の上空の飛行回避を」と提言している。この提言以降、全国の議会でこの提言を踏まえた意見書の取組が広がっている。その数は、2021年3月現在で219自治体に達している。  日米地位協定は日米の安全保障や我が国の社会環境が大きく変化しているにもかかわらず1960年締結以来、一度も改定されていない。米軍基地から派生する事件・事故から国民の生命・財産と人権を守るために、日米地位協定を見直す必要がある。  以上の趣旨に沿って、国に対する意見書を提出していただきたい。 【請願項目】  日本政府に日米地位協定改定を求める意見書の提出をすること           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第9号 コロナ禍による米の需給改善と米価下落の対策を求めることについて 請 願 番 号 第9号 受 理 年 月 日 令和3年6月30日 件     名 コロナ禍による米の需給改善と米価下落の対策を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 松本利寛 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 環境・農水常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願趣旨】  新型コロナウイルスの感染拡大による需要の「消失」から2020年産米の過大な流通在庫が生まれた。しかし、政府が有効な手立てをとらなかったため、2020年産米の市場価格は大暴落した。  政府は、36万トンの上乗せ「減反」を打ち出したが、とても受け入れられる数量ではなく、感染拡大による、さらなる消費減少と相まって、2021年産米の昨年以上の米価下落が危倶されている。  コロナ禍の需要減少による「過剰在庫」分は、国が責任をもって市場隔離すべきであり、その責任を生産者・流通業者に押し付けることは許されない。政府の責任による緊急買入などの、特別な隔離対策が絶対に必要である。  同時に、国内需給には必要がないミニマムアクセス輸入米は、毎年77万トンも輸入されている。国内消費量はミニマムアクセス米輸入開始以来の26年間で、4分の3に減少したにもかかわらず、一切見直されていない。せめてバター・脱脂粉乳並みに不要なミニマムアクセス米の輸入数量を調整するなど、国内産米優先の米政策に転換することが必要である。  コロナ禍の中、全国各地で取り組まれている食糧支援には、収入減で「1日1食」に切り詰めるなど、「食べたくても食べられない」方が多数訪れ、米をはじめとする食料配布が歓迎されている。行き場を失った農産物を政府の責任で買い取り、困窮する国民に提供することが、今こそ求められている。  コロナ禍という、かつて経験したことのない危機的事態の中で、農業者の経営と地域経済を守るためには、従来の政策的枠組みにとらわれない対策が求められる。  以上の趣旨から、下記事項についての意見書を政府関係機関に提出することを請願する。 【請願事項】 1 コロナ禍の需要減少による過剰在庫を政府が緊急に買い入れ、米の需給環境を改善し、米価下落に歯止めをかけること 2 政府が買い上げた米をコロナ禍などによる生活困難者・学生などへの食料支援で活用すること 3 国内消費に必要のない外国産米(ミニマムアクセス米)の輸入を当面、国産米の需給状況に応じた輸入数量調整を実施すること           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第10号 「消費税インボイス制度の実施中止を求める」との意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第10号 受 理 年 月 日 令和3年7月1日 件     名 「消費税インボイス制度の実施中止を求める」との意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願趣旨】  新型コロナ危機の収束や景気回復が見通せない中で、2023年10月からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)実施に向け、今年10月1日からインボイス発行事業者の登録申請が始まろうとしている。  免税業者を取引から排除しかねないインボイス制度は、事業者間の取引慣行を壊し、免税点制度を実質的に廃止するものである。仕入れや経費に含まれる消費税を価格や単価に転嫁できなければ、ベンチャーもフリーランスも育たない。コロナ禍で時短・自粛営業を余儀なくされ、地域経済が疲弊する下で、中小企業・自営業者の経営危機が深まっており、インボイス制度に対応できる状況ではない。  この間、「日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全建総連、中小企業家同友会、日本税理士会連合会、全国青年税理士連盟、全国青色申告会総連合、税経新人会全国協議会、全国商工団体連合会」などの中小企業団体や税理士団体も「凍結」「延期」「見直し」を表明し、現状での実施に踏み切ることに懸念の声を上げている。  新型コロナ危機を克服し、新しく構築すべき経済・社会においても、地域に根ざして活動する中小業者の存在が不可欠である。  「税制で商売をつぶすな」の願いを込め、以下の事項を請願する。 【請願事項】  「消費税のインボイス制度は、実施を中止すること」との意見書を国に提出すること           ──────────────────────────────                   請  願  文  書  表 △請願第11号 精神障害者保健福祉手帳2級保持者に対する自動車税減免を求めることについて 請 願 番 号 第11号 受 理 年 月 日 令和3年7月1日 件     名 精神障害者保健福祉手帳2級保持者に対する自動車税減免を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 杉本敏隆 田中松太郎 駒井千代 付 託 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨 【請願の趣旨および理由】  現在、精神障害者保健福祉手帳の自動車税減免対象は、精神障害者保健福祉手帳1級保持者のみとなっており、精神障害者保健福祉手帳2級所持者は、対象になっていない。  精神障害者保健福祉手帳2級所持者も自動車を所有して就労をしているが、生活が非常に逼迫しているのが実情である。
     滋賀県ホームページ内の「自動車税・自動車取得税の障害者減免制度が変わりました」に掲載されている見出しには、「身体障害者等を巡る環境の変化への対応や、税負担の公平性の確保の観点から、自動車税・自動車取得税の障害者の方に対する減免制度を改正しました」とうたわれている。その精神で、精神障害者保健福祉手帳2級所持者に対しても滋賀県独自で減免制度を創設されることを請願する。  地域によっては、精神障害者保健福祉手帳2級所持者は、社会との関わりを保つためにも自動車を必要としている場合も多く、共同作業所で受け取る賃金の安さにも関わらず自動車が必要となる。  よって下記項目を請願する。 【請願項目】  精神障害者保健福祉手帳2級所持者を自動車税減免の対象にすること           ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(富田博明) お諮りいたします。  明8日から15日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(富田博明) 来る16日は、定刻より本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時5分 散会    ────────────────...