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令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月06日-05号

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  1. 滋賀県議会 2021-07-06
    令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月06日-05号


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    令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)-07月06日-05号令和 3年 6月定例会議(第2号~第8号)                 令和3年6月定例会議会議録(第6号)                                        令和3年7月6日(火曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         令和3年7月6日(火)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第90号から議第104号まで(令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸    7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               副知事             江  島  宏  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           東        勝               総合企画部長          川  崎  辰  己               総務部長            森  中  高  史               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        市  川  忠  稔           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         内  田  吉  行   午前10時 開議 ○議長(富田博明) これより本日の会議を開きます。  直ちに日程に入ります。    ──────────────── △議第90号から議第104号まで(令和3年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問 ○議長(富田博明) 日程第1、議第90号から議第104号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、24番加藤誠一議員の発言を許します。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇、拍手)おはようございます。234日ぶりに昨日は感染者がゼロということでございまして、このまま続いてほしいと思いながらでございますけれども、やはりそれぞれ各自がしっかりと感染予防するということに尽きるんではないかと思います。  また、今日は何の日か調べましたら、ワクチンの日だそうでございまして、日本記念日協会が認定されておりますワクチンの日で、ワクチンの大切さを皆さん認識しろと、こんな日でございますので、これも重ねて浸透するといいなと、こんな思いながら質問をさせていただきますが、直接そのことは質問に関係ございません。  夢のあるミュージアムについてということでございます。  博物館といいますと、学びあるいは学習という堅いイメージがあるんではないかと思いますが、今は全てがそういうことではございません。面白いという博物館もたくさんございます。文部科学省のデータでは、博物館法の規定による登録を受けている博物館や、それに相当するとして指定されている博物館は全国に1,250余りあり、一方、博物館類似施設にあっては4,500を超えるということでございます。  登録を受けている博物館は、地域の歴史文化や美術館、科学館、動物、植物、水族館など、やはりここまでくると堅いというイメージでありますが、類似となりますと、お酒あるいはグルメ、童話やアニメ、滋賀県にもございますがフィギュアといったマニアックなものまで、あるいはスポーツの博物館まで、個性豊かな博物館、これらは多くがミュージアムという形で呼ばれているんではないかと思います。  登録、類似も含めて、面白いあるいは楽しいとネットで紹介されている博物館は、展示だけではなく、体験やミュージアムショップ、またレストランにも力を入れた博物館が多いようであります。その気になれば一日でも楽しんでいられる、まさに一大エンターテインメント、1人でも楽しむ、あるいは家族やカップルでも楽しめる、そうしたミュージアムもたくさんございます。  今回は、文化とスポーツを担当される中嶋部長と、楽しく夢のあるミュージアムについて議論をさせていただきたいと思います。私、中嶋部長を前から知っているんですが、部長の文化といったら、やっぱり酒のイメージがたくさんございまして、そういった楽しいことを念頭に置きながら質問をさせていただきます。  まず初めに、去る6月27日にリニューアルオープンしました県立美術館中嶋部長も感慨深いものがあろうかと思います。この質問を考えるときはそうでなかったんですが、二、三日前に、年間観覧料の料金が誤っていたというようなニュースもございましたけれども、これを見まして部長もちょっと落ち込んでおられるんではないかと、こんな心配もしました。  まず初めに、県立美術館リニューアルオープンを迎えまして、中嶋文化スポーツ部長の感想を伺いたいと思います。 ○議長(富田博明) 24番加藤誠一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)お答えいたします。  私は、県民の財産である数々の収蔵品を皆様に鑑賞していただけない状況が続く、こういうことに心を痛めております。6月27日のオープニング、その前日の内覧会に私も出向きましたが、いろいろな形でこれまで関わってこられた方々がそれぞれに交流をされている、また4年ぶりの再開館を待ちわびていた美術館のファン、小さなお子さんを連れた御家族などが、多くの方々が楽しまれている様子を見まして、私はリニューアルオープンを迎えたうれしさが込み上げてきたというのが率直な感想でございます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)うれしさが込み上げてきたということでございました。私も、実は内覧会は行けなかったんですが、3日の日に行ってまいりました。時間が早かったんですが、御家族連れ、それから学生の方もたくさん来ておられまして、再オープンされてよかったなと改めて思った次第であります。  今後の美術館の運営、これは保坂ディレクターにお任せするわけでございますが、では、滋賀県全体のそうした文化施設をどう活用するのかということでございますが、先日も彦根市、長浜市で文化観光推進法に基づく計画が認定をされております。既に40地域が認定をされておりまして、このうち府県が提出されたものも11ございました。本県も県文化財保存活用大綱も策定されましたので、観光振興に力を入れているというのであれば、文化観光を形づくるためにも、県自らが動くべきではないかというふうに思いました。  文化観光推進法に基づく拠点計画について、県立の博物館、美術館等の認定申請の考えはないのでしょうか、文化スポーツ部長の見解を伺いたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  博物館等文化観光推進法に基づく拠点計画に位置づけることは、博物館等をさらに魅力あるものとするためにも有効と考えております。  当部においては、今年3月に策定をしました美の魅力発信プランに基づきまして、県立美術館を中核とした拠点計画を策定し、国の認定を目指しているところでございます。採択に向けて準備を進めてまいります。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)今回はさわりだけでお聞きしますけれども、これはやっぱり観光振興という意味から、商工観光労働部とぜひとも連携を取っていただきまして、よりよい計画になることを望んでおりますし、お願いをしておきたいというふうに思います。  さて、この3月末に(仮称)新・琵琶湖文化館基本計画が策定をされました。美術館との一体的な整備の考え方などもございましたが、紆余曲折の中でございますが、結局、将来を見据えて今回の計画となりました。文化財を寄贈いただいた方を含めまして、多くの方もほっとされているんではないかというふうに思います。  今は基本計画であります。重要なのはこれからであります。具体的な施設、運営が明らかになる中で、いかにわくわくとした夢が感じられるかであります。冒頭申し上げましたように、その気になれば一日でも楽しんでいられる、そうした一大エンターテインメントになれるか。そういった実施計画が描けるかであります。今回はそうしたことを願いながら、現時点での考えを押さえておきたいと思います。  まず、念のためでありますが、(仮称)新・琵琶湖文化館は、博物館法の規定により登録を受ける施設になるのか、確認をしておきたいと思います。部長にお願いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  博物館法第2条に定める登録博物館とする予定でございまして、加えまして、重要文化財の公開にふさわしい施設として、文化財保護法に基づき文化庁長官が承認する公開承認施設を目指してまいります。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)あわせまして、公開承認施設を目指すということでございます。当然そうだと思うんです。  ただ、基本計画を見ておりますと、既に以前から出されておりました方針どおりといいますか、現在の文化館を継承するということ、それから、神と仏の美を県立美術館とともに一体的な考えの中で運営をされるというふうに理解はするわけでございますが、神と仏の美の博物館という名前だけでは、今の基本計画読ませていただきましたけれども、なかなかわくわくするというところまでは、正直、私、率直な気持ちですが、いかないという思いをしております。  博物館法等の登録はもちろん重要でありますけれども、そこを目指しながら、併せて、わくわくする夢を描けるかであります。  基本計画をベースに、部長の夢を含めましてお伺いするということを言うておりましたけれども、活動の視点の中に、県内歴史文化系博物館の核となる役割を目指すというのがございました。この博物館が核と自負するためには、具体的な部長のイメージ、これ、言い換えれば、他の施設からも核になっている施設であると認められるためには何が必要かとお考えか、お伺いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  新しい文化館では、地域の文化財のサポートセンターの役割を担うこととし、収集、保管面では地域の文化財の日常管理、保存修理に関する相談や技術支援に対応するほか、自然災害等における地域の文化財の緊急保護など、県内博物館を積極的に支援していくこととしております。  また、展示面におきましても、新しい文化館が中心となりまして、県内博物館と連携し、統一したテーマでの取組や共同企画展の開催、さらには、文化財講座相互オンライン配信などに取り組んでまいりたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)また感想等は後ほど申し上げます。  もう1点ですが、基本理念の中に、滋賀と世界をつなぐという表現がございました。部長が描かれる世界とつなぐという具体的な活動のイメージを教えていただきたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  滋賀は、古くから要衝の地として人が行き交い、都や大陸など様々な文化を受け入れてきたことで、多様性、国際性を表すよすがが文化財にも息づいております。  文化館が扱う仏教美術は、現在の外国人にも大きな訴求力があり、その価値や魅力を世界に向けて発信していきたいというふうに考えております。  具体的には、多言語化に対応した展示解説ツールを設置するほか、コロナ後の社会を見据え、インターネットやVR技術等を活用し、世界のどこからでも展示室や文化財を鑑賞できるよう配信する、それとともに、世界の関連する文化財を紹介するといったようなことも検討していきたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)もう1点ですが、今回、施設整備計画を見ますと、想定面積が6,700平方メートルとされておりました。この根拠はどういったことからこうなったんでしょうか、お伺いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  想定面積は、新しい文化館の施設像である近江の文化財を保存、継承、活用、発信する中核拠点として、必要な機能を積み上げてまいりました。主なものといたしましては、現在の約3倍となる十分な容量の収蔵庫を確保するとともに、災害等有事の際の文化財の緊急保管庫など、収蔵部門で約2,150平米を見込んでおります。  また、新たに、文化財の情報や滋賀の風土、歴史を紹介するインフォメーション・ラーニングゾーンなどの情報発信、交流部門では約525平米を、さらには、実物中心の展示室や、展示の理解を深める導入展示室など、展示部門で約1,000平米などを想定しております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)今のは基本計画に書いていたそのままだったと思います。その基本計画なんですが、そこに部長の思いを少し加えていただくような形で答弁を聞けるかなと思ったんですけども、なかなか今のを聞いても、やっぱりわくわく感というのが今の段階では伝わってこないなというのが正直な話です。  スケジュールを見ていますと、今年度中にPFIの諸手続に入るということになっているわけでございますが、この検討状況、現在どのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  現在、PFIの導入可能性調査として、官と民の役割分担の検討や、財政的な負担軽減を示すVFM──バリュー・フォー・マネーの算出などを行っているところでございます。  その検討結果を踏まえ、従来手法とPFIの手法を比較するなど、整備方針について、9月頃をめどに議会にもお示しをしていきたいというふうに考えております。  なお、PFI手法で実施するか否かにかかわらず、施設の運営や建物のデザインなど様々な面におきまして、県の思いがしっかりと実現できるようにしていきたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)少し安心する言葉がございまして、デザイン面では県の思いをされるということでした。  これ、具体的ですが、例えば今の文化館、やっぱり形もそうですし、トンボでありますとかシンボリックな形であります。少なくとも部長として、今の段階でいいんですけども、やはりシンボリックな、そうした施設というのが、せっかくの機会です、真っさらなところに建てるわけでございますが、そうしたことも当然検討としておられるのか、ちょっと考えをお伺いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  新しく建てるということで、やはりその見たデザイン、あるいはその使う機能性というものが非常に今後の集客力につながってくると思いますので、そこは、今どんなというふうなイメージはございませんが、しっかりと、また夢を持ちながら検討していきたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)非常に大事なことだと思います。自分の家を建てるときにも、当然、どんな家を建てたいかなという思いをしますけれども、まず、ここから入っていきますので。しかも、今回は場所も少し変わりますし、真っさらなところでありますので、そうしたことも、自分の家を建てる、そういうふうな中で夢を持って検討いただくということ、大事な話でございます。  もう1点、外観もそうなんですけども、先ほど、世界の話とかいろいろ聞きましたけれども、見た目もそうなんですけれども、やっぱり広く全国にここはこうなんだという紹介をされるミュージアムになってほしいなと思うんです。  例えば、関西の面白い博物館でありますとか楽しい博物館、こういった10選、ベストテンとかいっていろんなのが出てきますけれども、例えば大阪のカップヌードル、あれミュージアムになっていますけど、私、行きましたし、どこかの職場からも行かれたように聞いています。また、その中に実は滋賀県立琵琶湖博物館も入っているんですね。今回リニューアルされて、大変有名になっております。  もう1点は、入っていたのは、安土城天主信長の館が入っておりました。あれも私も近くなので時々行きますけども、ああいった近くで大変楽しい、あるいは驚きがある博物館というのはそういう感じかなと思うんですが、そういうことに入っていますとうれしいわけですが、部長としましては、この新しい琵琶湖文化館も、そうした話題性のあるミュージアムということもやっぱり目指していこうとされているのか、併せてお伺いしたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  文化館には、国宝、重要文化財をはじめとする全国有数の貴重な収蔵品がございます。実物中心の展示として、その発信には集客力があるというふうにまずは考えております。
     加えまして、デジタル技術なども活用したインフォメーション・ラーニングゾーンにおいて、子供から大人まで多様な世代の人々が気軽に近江の歴史や文化に触れ、体験できる機会を提供したいと考えております。  また、文化観光のビジターセンターとして、浜大津という立地を生かし、県内に点在する文化財へ来客者をいざなう機能を発揮するなど、一過性に終わらない魅力を備え、県内外から多くの人に来ていただける、そうした話題性のある施設を目指していきます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)最後の話題性のある施設ということで、非常に期待をしていきたいと思うんですが、ただ、こうして部長と今、夢のあるミュージアムを議論をいたしましても、実際に直接その施設に関わっていただくトップの方がそういう気持ちを持っていただくかというのが大事なんですが、美術館の館長もいろいろとございましたけども、結果的には、造詣が深い、また関わってきていただいた館長に御就任いただいたんですけれども、少し遅かったような気がします。  やはり計画の早い段階から、この館長、ディレクターというものの考え方を入れていくべきではないかと思うんですけれども、新施設の開館時の館長、あるいはディレクターというんですかね、いつ頃決めていかれる予定をされているのか、お伺いしたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  まずは、施設の設置者として、新しい文化館の方向性をしっかり定めた上で、その方向性を担っていただくのに最適な方を選任するということが重要であると考えております。  館長の選任につきましては、今後、適切な時期に決定をしていきたいというふうに思っております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)適切な時期というのは非常に曖昧でありまして、私が申し上げましたように、先ほど、家でもそうですが、やっぱり早いうちにその中心になって考えていただくというのが大事なんです。  実は今回、美術館の館長さん、こういう投稿をされておりましてね。これちょっと紹介しますと、美術館から県内のどこそこに何々がありますよと紹介することにも意味があります。美術館から車を使えば二、三十分で湖南市の湖南三山のような国宝の建築物や重要文化財の仏像が集中しているエリアに行けるのは、関東ではなかなかない環境だと思っています。美術館がハブになってそうした紹介を、パネルの展示してもいいし、バス会社と一緒にツアーを企画してもよいというようなことを言っておられるんですけども。  保坂館長の言葉は、先ほど、核になるって僕はどんなことかというて質問しましたけども、まさに美術館も同じような核になるというような館長のお考えではないかというようなことが言っておられます。  実は、もともと美術館と博物館を1つにしようというスタートでございましたから、当然、施設は2つに分かれますけども、考え方としては1つになるような考え方を持たれるんでありましたら、早い時期から保坂館長にこの施設整備に関わっていただくというのが大事じゃないかと。直接、初代の館長まではなかなか時期的にもありますけれども、そうした保坂館長にこの施設整備に関わっていただく、こういう考え方も必要じゃないかと思うんですが、部長のお考えをお伺いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) 県内の美の魅力を発信していくというふうな大きな考え方がございます。そういった意味で、もちろん、美術館のディレクターの保坂氏のお考えもいろいろとお聞きをしながら進めていきたいと考えております。  そういうふうな検討会の委員に入る、入らない、そういった形につきましては、今後また検討させていただきますが、そういうお考えを拾いながら新しい文化館を考えていくというのは大事だというふうに考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)今までの流れから、私の提案でございますから、そういったこともぜひ考えていただければすばらしいものになっていくんではないかと、こんな思いでありました。  現文化館は、産業文化館というのを前身にしているという時代の流れがありますけれども、かつて美術館、博物館、水族館、それから文化財の保存庫、あるいは展望台があったということから、総合博物館として琵琶湖文化館という名称になったんだという話が載ってございました。  ところが、美術館あるいは琵琶湖博物館、安土城考古博物館、機能も幾つか分散をしましたので、ただ、一方で確かに歴史もあるわけであります。例えば北九州市に、児童への感動体験をもたらすという博物館、実は名前は、表向きは北九州市立自然史・歴史博物館っていうんですけれども、その正しい名称は、いのちのたび博物館っていうね、やっぱりイメージと受け入れやすい、中身が分かるような博物館の名前も呼んでおられます。  名は体を表すとよく言うんですけれども、夢のあるミュージアムとするために、この新しい施設の名前なんですが、今は仮称ですから新・美術博物館、ずうっとこのままいくんかというのもあるんですけれども、新しい施設の名称、これはどのようにされる、あるいはどうしたいと思っておられるのか、今の段階での部長のお考えをお伺いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  議員御指摘のように、かつて有しておりました美術館機能や水族館機能などを切り離しましたことから、現在の文化館は、開館した昭和36年当時とその内容は大きく変容しております。その一方で、先ほどもお話ありましたように、約60年にわたる長い間、県民の皆様から文化館として親しまれてきた経緯もございます。  新しい施設の名称をどのように決めるか、今後検討していくこととなりますが、いずれにしましても、これまでの文化館の歩みを踏まえ、幅広く県民に親しまれ、そして、全国に滋賀県の文化財を発信できる名称を検討していきたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)ありがとうございます。全国に有名になるような名前ということでございましたんで、ぜひともいろんな意味で考えていただきたい。  今、歴史がございましたけれども、また、歴史ばっかりに偏って、例えばそのままなってしまいますと名前負けというのがございますんで、やっぱり名前でイメージが分かって、行ったらイメージ以上のものになると、こういう名前と施設というのはやっぱりセットで考えていくべきではないかと、こんなに思います。  ここまで、基本計画に従いまして、運営でありますとか初代の館長の話、それから施設の名称、このことを伺ったんですけども、まだこれからかなというイメージであります。  ただ、気になるのは、夏にPFIの話をされましたけれども、それまでに、こういったものがどういう形でどういうふうに決めていくのかがある程度決まらないと、僕、PFIの話、これおかしいんではないかと思っておりまして。PFIを僕は否定はしません。これはあくまでも施設整備の民間資金を活用する一つの手法としてこれあると思うんですけれども、ただ、設置者としてどこまで決めて、あとPFIにもっていくかと、ここ大事な話なんですが。  ほかの施設、体育館もそうやったと思うんですが、あれも結局、PFI企業者に決まって、それから、設計もその後、もちろん基本的なレベルの施設のありようは言ったんでしょうけども、ただ、今回のこの琵琶湖文化館に代わるものは、これはそれではいけないんではないかと。やっぱり、一定夢を持つため滋賀県としてこういうものをするんだという、はっきり分かった上で民間活用するということが大事だというふうに思います。  ちょっと長めになりますけれども、やっぱり、ミュージアムということになっては、基本的な、今幾つか申し上げましたけど、そういったものが、滋賀県としてはこういう方向で決めていくということをはっきりした上で、PFIというのを併せて語っていく、こういう考えでないとおかしいと思うんですが、ちょっとこれ、御質問ではなかったんですが、今の、改めて、そこら辺の考えをお伺いしておきたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、ただいま、官と民の役割をどうするかというふうなところを中心に議論をしております。ほかの施設と違いまして、ここ、やはり学芸員さんによる企画力、そういったものが非常に大きな影響がございますので、博物館としての基本的な運営、それから、先ほどからございますように、それをもっと魅力的な博物館にするための工夫、そこが官と民どのような役割分担でやればいい館ができるかというところは、しっかりと議論していきたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)期待をしておりますけど、1つだけ。  滋賀県立大学がございますが、あれ、もともと基本設計まで出来たんですけれども、御破算になっています。それは、大学が出来るときに、学長が決まり、学部長が決まって学科長が決まった段階で、改めてその施設の話になったときに、いや、これは駄目だと、やっぱり大学そのものが、施設そのものが教材にならんと駄目なんだと。当然、環境科学部の建築科ですからそういう御指摘がございまして、先生が決まって、先生がこの大学をどういうふうにしていくかによってやっぱり施設が決まっていくということになりました。もともと職員だけで決めていた基本計画はやっぱり駄目だったというんですね。  今ありますように、もともと八坂の集落に取り込むように集落をつくろうということで、学部ごとに設計者も違いますし、琵琶湖からの水を引こうということで環濠が出来ていますが、あそこには穴太積みが使われています。御存じのように。それから、屋根は全部八幡瓦だと思います。  それは、今回の琵琶湖文化館に代わるという施設も、なぜこうした形の文化館を造るんだということは、もう一度やっぱりいろんな面からいろんな形で議論をいただいて、これはやっぱり滋賀県の誇れる一つの施設であるということを自慢できる、あるいは随所に滋賀県が発信できる施設、こういうことをぜひとも目指していただきたいということを、これはもう要望ですがしておきたいと思いますし、またおいおい、この後も注視して見ていきたいと思います。  ここからは、「幻の安土城」復元プロジェクトに関して、ちょっと話題を変えていきますが、中嶋部長も安土城址、何回か行っておられますし、当然、総見寺にも行っておられると思うんですが、その総見寺さんも大きく関わる調査が始まるということであります。  5月末に、安土城令和の大調査のための整備基本計画策定に係る検討会が開催をされております。本年度は方針を検討し、来年度には計画を策定されるということであります。ところが、2026年が築城450年でございますから、令和の大調査もこうしたことも踏まえて始めていかれるんだと思うんですが、この調査の開始は何年を目指しておられるのか。  あわせて、関連しますので、そのおよそ何年をかけるような調査にされるのか。これ、前回、平成の初めでございましたけれども、同様の規模になるんだろうか、ここら辺の考え方を、部長として、現時点でのお考えをお伺いしたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  安土城跡の調査につきましては、特別史跡であること、それから国庫補助事業であることから、まず調査整備計画を策定する必要がございます。そのため、今年度から検討会議を設置し、2か年で全体計画を策定し、現地調査につきましては、令和5年度から着手したいというふうに考えております。  調査整備事業の規模、期間につきましては、土地所有者である総見寺や文化庁とも相談をしながら、特別史跡安土城跡の保存、活用にとってよりよいものとなるよう、全体計画を検討してまいりたいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)土地所有者もおられますので、当然、御相談もありますので今なかなか言えないんでしょうが、参考に教えていただきたいんですけれども、平成の大調査が20年間ありまして、20%ぐらいができたということであります。このときの調査の全体予算、事業費ですね。それと、その時点の国費がどのぐらいあったのか。ちょっと参考に、もし分かれば教えていただきたいんですが。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  平成の調査、整備事業は、平成元年度から20年度までの20年間で、史跡指定範囲の96ヘクタールの約20%を調査対象として実施をいたしました。  事業費につきましては、全体でおよそ10億円でございまして、そのうち50%が国庫補助金で賄わなれたところでございます。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)一つの参考指標にはなろうかと思いますけれども、実りある調査が始まることを期待しております。  安土城というのは山城でございますから、令和の大調査で、また一歩、見える化ということで動き出すわけであります。昨年、安土山を航空レーザー測量で地形の凸凹を色の濃淡で表現をされました赤色立体地図に次ぐ、復元への一歩というようなことも思います。  であるならばでありますけれども、その次の見える化についてです。信長がローマ法王に贈ったとされる屏風絵の話なんですけれども、昨年、NPOの安土城再建を夢見る会の方がローマを訪れられておられます。ちょっと私、去年は委員会ではなかったんですが、昨年の教育・文化スポーツ常任委員会の資料を見ておりましても、安土城見える化の検討の中に、幻の屏風の情報を求めてという、はっきりそういうことをうたわれておりますので、どうなのかということであります。  くどくど申しませんけれども、例えば、部長も御存じのように本城博一さんという方が、元の県の職員の方がおられまして、この方もローマに行って屏風を探しておられたんですけれども、届いていたことまでは確認されたものの現在どこにあるか分からない。本城さんの記録にもそう書かれてありますし、また、バチカン宮殿の収蔵庫は今なお強く心が引かれるものがあるということも言っておられました。  こうした民間の力の先ほどのもいいんですけれども、このプロジェクトの中で見える化で、この常任委員会でもはっきりおっしゃっていますんで、今後、県としての動きなんですけれども、どのようなことをお考えなのか、部長としての考えをお伺いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  県はこれまで、現地に人を送るなどの調査を実施をいたしました。また、近江八幡市も安土町時代を含め、2度現地調査を実施されましたが、屏風につながる情報は得られておりません。  しかしながら、安土城にとって、安土山図屏風は重要な資料であることは間違いがございません。発見のための努力はこれからも続けたいというふうに考えております。  かつて、オーストリアの古城、古いお城で豊臣時代の大坂城を描いた屏風が見つかり話題になりました。安土山図屏風についても、そのようにして発見されることを期待をしております。  そのため、県としては今年度から、安土山図屏風と安土城関係の情報提供を求めるため、多言語のホームページを公開し、幅広くそうした情報を収集していきたいというふうに考えております。ホームページを見た人から有力な情報が寄せられれば、改めて調査をどうするかということを検討したいと考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)情報収集のためにホームページでという、今年度からということでございました。  余談ですが、昨年、文化庁の日本博という助成事業がありまして、バチカンと日本100年プロジェクトというのが開催されたそうであります。日本とバチカンの400年以上の深い交流を通して、バチカンには多くの日本関係の文献が収められていると、いまだ研究の光が当てられていない史料もあるので、両国の今後のさらなる友好に寄与することを願って開催されたということが載ってございました。  こんな動きに対して、県としても安土城の屏風探しの糸口にならないかと思った次第であります。やっぱり動いてみてはいかがと思うわけであります。バチカン市国との文化交流、こういうことも探ってみてはと思います。  なぜこういうことを申し上げるのかといいますと、実は私もこの関係の質問で、まだプロジェクト前でしたけども、たまたま観光の話で屏風探しの話をしたときに、知事は、やっぱり糸口を探りたい、そういう研究はしたいという言葉でございましたので。ただ、糸口を探るには待っていては駄目だと思うんですね。どこに糸口があるかを探す。ホームページでもちろん呼びかけるのもいいんですけれども、糸口を待っていては駄目だと思うんですが。  先ほど申し上げましたように、いろんな外務省を含めて国全体で動いております。こういうところに、やっぱり県としての行政しか動けないわけでありますけども、そうしたとこを探しながら、積極的に糸口を探していくという、こういう姿勢が必要ではと思うんですけども、部長のお考えをお伺いしたいと思います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  ホームページの公開とともに、バチカンやイエズス会の研究者、屏風探しを行っているNPOなどと積極的に情報交換を行っていきたいと考えております。  議員御紹介のバチカンと日本100年プロジェクトにつきましても、安土城の屏風探しにつながる機会と捉えまして、糸口を探り、情報収集を図っていきたいと考えております。そうした情報収集を行う中で、バチカン市国などとの文化交流の可能性につきましても探っていきたいというふうに考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)積極的に探していただくという活動を期待しております。  最後に、文化交流につきましても御検討という話がありましたけど、いいんです。  先ほど本城さんのお話をしましたけれども、今まだ御健在で、近々ちょっとお話をしたいということもございますんで、行ってこようかなと思ってるんですけども。この本城さんも、屏風に関する情報を通して、さらなる国際親善の輪が広がっていくということを願っているということを書いておられるんですけどもね。  これ、糸口の先、糸口がどういう形になるわけか分かりませんが、そこから入っていって、そういう動きが出てまいりましたその先なんですけどね。やっぱり念頭に置いておくという、何を置いとくかということなんですが、文化交流に例えば今、経済交流でミシガンでありますとか湖南省にも職員を派遣されてますけども、文化交流の職員派遣、こんなことぐらいも念頭に置いていただければ、置いていただくというのが大事ではないかと思うんですが、これ、部長、言うてなかったんですけど、お考えがあれば聞いておきます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  今ほど議員御提案のような文化交流、非常にすばらしいことであると思います。ただ、そのための、まずは、やみくもに行動するというわけにはいきませんので、しっかりと情報収集を図っていきたいというふうに考えております。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇)ありがとうございます。ここまで、文化館、夢のあるミュージアムというタイトルで部長と議論してきたんですけれども、こういう場でございますから、また腹を割って別のところでお話をしたいなという思いを十分にいたしまして、先ほどの文化とともに語り合いたいと、こんな思いであります。  最後なんですけども、知事に夢のあるミュージアムについて伺いたいと思いますけれども、安土城考古博物館もここ二、三年でまたリニューアルをされるというふうに聞いております。  それを聞いたときに、文化財を保存するというその形なんですけども、今は当然、現存する文化財を博物館で展示するというのが基本なんですけども、例えば、今、探しに行こうと、探したいと思っておられるその屏風絵が出てきた暁にはここに展示をしますよという、幻のコーナー、あるいは夢を展示すると言ってもいいんですけども、そうした夢のあるリニューアルができないかなということも実はふと思った次第であります。新しい文化館が出来ますし、そういったことを含めまして、夢のあるミュージアムについて、知事の考えを最後にお聞きして終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)夢のあるミュージアムということですので、1時間ぐらいお時間いただければ答えられるんですが、今日お取り上げいただいたまず県立美術館、おかげさまで再開館しました。多くの方が御来訪いただいているということですので、特に子供を中心にですね、また、この美術館から県内の各地にもいざなうことができる、そういった施設として発展させていきたいと考えております。  また、文化館につきましては、やはり大切な文化財のサポートセンターとしてもそうですし、お取り上げいただいたように、浜大津に立地させていただくということであれば、そこからどう、例えば竹生島はじめ、長浜、高島、そういったところにいざなうことができるのかと。まさに祈りと暮らしの水遺産というような形で発展させていきたいので、例えば名称の面でも、館長の面でも、PFI整備方針を9月にということですので、しっかりとできる限りのものを盛り込んで、お示しできるようにしていきたいというふうに考えております。  そして、もう1つお取り上げいただきました安土城考古博物館ですね。これもリニューアルに今後計画的に取り組んでまいります。着手しようとしております安土城跡の発掘調査の最新情報をリアルタイムに御紹介するということもぜひ考えていきたいというふうに思っておりますし、屏風探索の情報ですね。これも待っているだけじゃ糸口はなかなか出てこうへんでというお話ございましたので、部長も答弁しましたように、どのような形でその糸口を探りに行くのかということについても、またしっかりと考えていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、保坂ディレクターが美術館開館時につくられたCALL、CreationとAskとLearningとLocal、こういった視点、思想というのは、文化館にも、また安土城考古博物館にもつながるのではないかなというふうに思っております。ならではのこういったものものをしっかりと大切に展示、ひもとくことで出てくる未来への糸口、また人生を豊かにする糸口、こういうものを探れるような、こういう美術館を夢を持ってつくっていきたいし、発信をしていきたいと考えておりますので、引き続きお力添え賜りますようにお願いいたします。 ◆24番(加藤誠一議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、24番加藤誠一議員の質問を終了いたします。  次に、38番冨波義明議員の発言を許します。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇、拍手)それでは、質問通告に従い、明治天皇聖跡碑および戦没者慰霊碑等のリスク管理について質問をいたします。諸般の事情により一問一答がちょっとかなわず、そのために少々説明が長くなりますが、お許し願いたいというふうに思います。  2018年──平成30年6月18日に、大阪府で最大震度6弱を観測しました大阪北部地震から丸3年がたちました。この地震では大阪府下で死者6名が出ましたが、この中には、高槻市の小学校のプール脇のブロック塀が約40メートルにわたって通学路に倒れ、登校中の小学生の女児、当時9歳がこのブロック塀の下敷きになり死亡するという痛ましい事故もありました。  これを受けて、高槻市の調査委員会は、同年10月、内部に施工不良があったものの、法定点検では危険性の把握は困難だったとする報告書を公表するとともに、同様の事故が起こらないよう、ブロック塀の点検強化と、市内全小中学校と公共施設にあるブロック塀の撤去を実施されました。  また、この事故を契機として、全国各地の自治体でも、小中学校のブロック塀について、建築基準法の規定に適合しているかどうかについて再点検が行われたことは記憶に新しいところです。  地震大国である我が国では、道路や橋梁の老朽化や倒壊に備えた強靱化対策が推進されていますが、私たちの生活環境の身近なところにも、石材やセメントなどで造られたモニュメントや石碑、石塔が数多く点在しており、これらの維持管理はもちろん、老朽化や倒壊に対するリスク管理が求められています。  このような状況の中、県下各市町の自治会では、防災活動の一環として地域内の危険箇所、危険物に関する調査、点検を担っていただいておりますが、先日、野洲市大篠原地区の自治会長から、地域内にある所有者不明の明治天皇聖跡碑の取扱いについて相談を受けました。  直ちに現地に赴き、この聖跡碑を調査したところ、背後に災害危険指定地域が迫る場所に建つ非常に巨大な石碑で、防災上極めて危険な状況にあり、早急な対策が必要だと感じたところです。  そこで、県内各市町に存在しますこのような巨大石碑の現状について調べてみますと、聖跡碑や慰霊碑などが想像以上に数多く存在していること、また、これらの石碑は、さきのブロック塀とは異なり、建築基準法の対象とならないことなど、様々な課題があることも知りました。  そこで、これらの現状とリスク管理について、以下、質問をいたします。  まず、明治天皇聖跡碑について伺います。  (資料掲示)お手元の資料の写真1から4を御覧ください。  これがこのたび相談を受けました石碑で、国道8号線の野洲市と近江八幡市、そして竜王町の2市1町が交わる野洲市大篠原出町という地域の公園内に建立されております明治天皇聖跡碑でございます。高さ2.5メートルの自然石で造られ、これが高さ1.5メートルの台座の上に据えられており、全体の高さは合計4メートルを超える巨大な石碑でございます。正面から横からと写真が載っておりますが、ちょっと危険かなというふうに思われます。  石碑には紀元2600年記念建設、野洲郡教育会と刻まれており、1940年──昭和15年頃に日本各地で行われた神武天皇即位2600年の記念行事として建立されたものと、自治会長より伺いました。  しかし、現在公園とされている土地は、この聖跡碑を建立した際に、所有者から当時の野洲町に寄贈されたとされていますが、私が調べてみますと、現在も登記上、市の所有地にはなっておらず、また、聖跡碑を建設したとされる野洲郡教育会という組織も現在では存在いたしません。  湖南広域消防局局長として活躍された経験のある自治会長の下、自治会内の防災点検を行われている中で、災害危険指定地域が背後に迫るこのような場所に建立されているこの聖跡碑の取扱いが問題となり、自治会としては、現在の住民の安全性確保の観点から、石碑の補強工事を行うか、もしくは設置場所を移転するかなどについて協議をされましたが、土地の所有者も石碑の所有者も確定できず、簡単に手をつけることができません。また、市に相談しても、民間で建造された石碑については行政は関与できないことを理由に、門前払いの状況にあります。  (資料掲示)次に、写真5から8を御覧ください。  これは、大津市立中央小学校の前庭に建つ、幅約1.5メートル、厚さ約55センチ、高さは7メートルもあろうかという巨大な石の板で造られた聖跡碑で、昭和10年10月建立と刻まれていますが、建立者は不明です。これが県内で最も高さのある聖跡碑だと思いますが、何とこの石碑を囲むものは、(資料掲示)8番、御覧のとおり、前にある低い植栽のみでございました。  そもそも聖跡とは、明治天皇が行幸の途中で訪れたり、休息や宿泊した場所や建物のことを指しますが、明治天皇崩御の後に、この聖跡を史跡名勝として保存することによって愛国心を高める啓蒙活動の推進を目的として、1919年──大正8年4月10日に制定をされました史蹟名勝天然記念物保存法に基づき、全国377件の聖跡が史跡に指定されたという歴史的な経過があります。  しかし、第二次世界大戦後、GHQにより聖跡の史跡指定は、新憲法──日本国憲法ですが──の精神に沿わないとみなされ、1948年──昭和23年6月29日をもって史跡の指定が一斉に解除されました。これに伴い建物などは撤去されたものの、この聖跡を顕彰するための石碑はそのまま残され、現在に至っております。  県内各地の状況を調べてみますと、聖跡と呼ばれる遺構は約40か所余り存在し、その大半は神社仏閣などの敷地内にありますが、民有地や小学校、幼稚園の敷地内にもたくさん残されています。  (資料掲示)写真9でございます。  写真9は、湖南市三雲駅前の東海道沿線の民家の前に建つ、高さ5メートルの聖跡碑です。直接お宅にお伺いしお話を伺ったところ、住民の方は、この石碑については、できたら他所へ移転をしてほしいと望まれていました。  (資料掲示)また、写真10は、これは県庁にあるものでございます。県庁正面の左手の隅に、目立たないようにひっそりと建っている、これは高さ1.5メートル程度の聖跡碑でございます。  これらのほかにも、長浜市湖北町の湖北幼稚園入り口のフェンスの横、これは高さのあるものです。また、同市朝日町の長浜幼稚園の敷地内、これは敷地内にもございます、安全面で懸念されるこのような石碑が県内各地に散見されます。しかし、これらの維持管理については、ほとんど誰も行っていない、行われていないというのが現状でございました。
     そこで、このような明治天皇聖跡碑について、文化スポーツ部長に伺います。  次に、戦没者慰霊碑などについて伺います。  国内には、明治天皇聖跡碑のほか、主に日清・日露戦争後に建立された忠魂碑と呼ばれる慰霊碑や、第二次世界大戦後に建立されました戦没者慰霊碑などがありますが、現在、この慰霊碑等の老朽化の進行と、遺族会会員の減少や高齢化による維持管理の困難さが大きな問題となっています。  まず、忠魂碑についてですが、ウィキペディアによりますと、「忠魂碑は明治維新以降、日清戦争や日露戦争をはじめとする戦争や事変に出征し戦死した、地域出身の兵士のために製作された慰霊碑で、いずれも戦死者の天皇への忠義をたたえる意味合いが強いもの」とされています。建立の主体となったのは帝国在郷軍人会で、1910年──明治43年から始まり、その後、遺族会などが運営、管理を行われてきました。  忠魂碑は教育的な意図を持って小中学校の敷地内に建てられたものもあり、戦後、GHQは、忠魂碑を単なる慰霊碑ではなく、国家主義や軍国主義的な意図を有するものと捉え、かなりの数を学校敷地外に撤去させたという歴史的な経過があります。このため、忠魂碑の多くが学校の敷地から近隣の寺社や神社の敷地などへ移設されましたが、依然として学校内に残っているものもあります。  (資料掲示)次は、写真11から12を御覧ください。  これは、かつては私が通っておりました旧野洲町の小学校に設置されていた忠魂碑でございます。私が小学校の頃はちょうど校庭の後ろのほうにございましたが、今は野洲中学校近くの民有地に移設をされました。高さ約4メートルぐらいの忠魂碑でございます。現在、この碑の維持管理は市の遺族会が行われていますが、年々負担が大きくなっているというお話を伺いました。  また、12は、同じく野洲市内、篠原小学校の校庭にあったもので、これは現在、学校近くの民有地に移設されております。高さ6メートルもの石塔でございますが、ここは小学生や幼稚園児の通学路に面して建っており、垣根もない状態で、安全面のリスクが懸念されます。  次に、写真13から14は、大津市立瀬田小学校の校庭の奥に建つ、高さ5メートルの忠魂碑でございます。この石碑は周囲を鉄柵で囲まれており、立入りができないようにしておられました。鉄柵内の除草などの維持管理は自治会の皆さんの手で行われていますが、この柵外は学校職員で行われているとのことでした。  また、この忠魂碑の横には、軍人勅諭が記されました高さ3メートル程度の銅製の六面塔が建っていました。しかし、これらが建つこの場所は、同校の敷地内でございまして、同校のグラウンドの少し小高い丘の上、ここにコーンで入るなという目印がしてある、それで制限がされているだけのものでございました。  次に、第二次世界大戦後に建立されました戦没者慰霊碑や慰霊塔は、御承知のとおり、さきの戦争で亡くなった戦没者の霊を慰めるために建立された石碑で、鎮魂碑とも言われています。戦没者の霊を慰めるだけでなく、二度と戦争や戦争の被害が起こらないように戒めることや警告するといった意味を持ち、これに沿った文言が碑文として刻まれています。  写真15は、大津市立膳所公園内にあるもので、これは新しいものでございます。1955年──昭和30年に滋賀県遺族会創立65周年を記念して建立されました滋賀県戦没者英霊塔です。  また、写真16は、2008年──平成20年に大津市遺族連合会の創立60周年を記念して建立されました平和の礎でございます。  このような戦没者慰霊碑などは全国各地に約1万基以上あるとされ、これらの維持管理は地元の遺族会などが担ってこられました。しかし、近年、遺族会の会員数は、日本遺族会のこの調査によりますと、1967年──昭和42年の約125万4,200世帯から、2019年──平成31年には57万世帯と激減をしております。  また、同年に厚生労働省が集計しました戦没者慰霊碑に関する調査では、管理状況が「不良」または「やや不良」とされる碑が全国で約780基と確認をされています。これは、管理に問題のある碑が5年前に調査されました2014年──平成26年の調査と比べて46基増えていることになり、遺族会員の減少と高齢化に比例し、慰霊碑の劣化や倒壊の危険性が高まっている現状を示すものだと言えます。  戦没者の慰霊碑につきましては、民間で設立した慰霊碑の維持管理は民間で行うのが基本ではありますが、遺族会の皆さんからは、遺族会は人手も予算もなく、もし倒壊しても、誰かがけがをしても補償能力がない、しっかり管理しないと戦没者に対しても申し訳ないとの苦しい心情をお聞きしたところです。  そこで、戦没者の慰霊碑などの管理の現状と課題について、健康医療福祉部長に伺います。  慰霊碑の維持管理について、厚生労働省の社会・援護局事業課は、本来はこれら碑を建てた団体が管理すべきとの立場でしたが、このような慰霊碑の劣化や倒壊の危険性が進行する状況下、2016年──平成28年度に、安全性確保の観点から、慰霊碑の移設や埋立て費用の半額を補助する制度を創設し、2019年──平成31年度からは、この上限額を25万円から50万円に拡大をしています。  しかし、各市町の行政機関を窓口として行われているこの制度の運用について、県の遺族会はもちろん、遺族の皆様もほとんど御存じないというのが現状でございます。  そこで、遺族会に対するこの制度の周知の状況について、健康医療福祉部長に伺います。  最後に、このような明治天皇聖跡碑や戦没者慰霊碑に対する防災上のリスク管理について伺います。  地震大国である我が国では、毎日のように地震速報が出され、毎年のように大きな被害や犠牲者が出ています。このため、住民生活に近い場所であったり、子供たちが活動する場所にあるこれらの石碑の管理については、まずはその実態把握に努め、対策が講じられなければなりません。  聖跡碑や忠魂碑が持つ歴史的な経緯には様々な課題があることは十分承知をしていますが、そのような課題があるがゆえに、これらのリスク管理に手がつけられていないとすれば、本末転倒としか言えません。  自治体が全ての危険な碑を点検し、実態が分かれば、おのずと点検に基づく改修、撤去が進むことが期待できます。しかし、実態が分からなければ、効果的な対策も検証も見直しもできません。行政には、実態を把握するために大規模な点検を実施するなど、実効性のある対策を早急に出すことが求められているのではないでしょうか。  そこで、県内各所に点在するこのような石碑などの防災上のリスク管理について、知事公室長に伺います。 ○議長(富田博明) 38番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事公室長(東勝) (登壇)4点の御質問のうち、私にいただきました石碑などの防災上のリスク管理につきましてお答えをいたします。  明治天皇聖跡碑をはじめといたしました石碑につきましては、それぞれ特定の目的を持って建立されたものでございまして、設置者等において適正に管理いただくことが基本であると考えておりますが、一部の地域において、防災上の危険について懸念されるお声もあると承知をしております。  一方、こうした石碑につきましては、設置形態が様々でございますし、安全基準等も定められていないということで、防災上のリスクを客観的に判断することが難しいことなどから、一律に大規模な点検を行うことは困難ではないかと考えております。  県といたしましては、災害発生時における被害の防止、軽減を図るため、平時から地域内の危険箇所を把握するなど、住民の皆さんによる自主防災活動を促進しておりまして、こうした石碑につきましても、まずは地域でその状況を把握、共有し、必要な備えを行っていただくことが重要であると考えているところでございます。  具体的には、自主防災組織などで作成される地域防災マップなどに石碑を明示して、住民同士でその危険性を共有していただき、災害時に近づかないなどの対策を取っていただくことが、防災上のリスク管理の有効な取組の一つと考えております。  現在、県では、地域における自主的な防災活動を推進するために、地区防災計画の策定を進めておりまして、そうした取組や出前講座などの様々な機会を捉えて、石碑のリスクについて注意を喚起し、市町とも連携協力しながら、取組を進めてまいりたいと考えております。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)私にいただきました明治天皇の聖跡碑についての御質問にお答えいたします。  県内においては、明治天皇行幸に際して、先ほど議員からもございましたが、宿泊所や休憩所として使われた建物等19か所が、昭和8年から昭和18年にかけて、明治天皇聖跡として国の史跡に指定されていたところでございます。  聖跡碑は、その史跡を示す標識として建てられたものでございます。しかしながら、それらは昭和23年6月に指定解除され、その際の文部省通達におきまして、その維持保存については都道府県市町村において関与せぬこととされているところでございます。  また、聖跡碑を撤去するか否かは、その管理者または所有者の自由であるが、もし存置する場合は公共団体以外の建設責任者を定め置くことと、こういったことが示されております。  現実には、議員の御指摘のとおり、建物等が失われ聖跡碑だけが残っているなど、建設責任者が不明な聖跡碑もあると聞いておりますが、県といたしましては、先ほど申しました文部省通達に従い取り扱っているところでございます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)私にいただきました戦没者慰霊碑等につきまして、2点の質問にお答えいたします。  まず、1点目の慰霊碑等の管理の現状と課題についてでございますが、議員から御指摘がありましたとおり、戦後50年の平成7年に滋賀県護国神社が行った調査によりますと、県内に慰霊碑等が446基存在しているところでございます。  基本的には建立者がその維持管理を行うこととされておりますが、現在、主な管理者は、地元の遺族会が129基、自治会等が64基、寺や神社が114基、その他が139基となっておりまして、地域住民の方々の御努力により維持管理に行われている現状にあると承知しているところでございます。  これら慰霊碑につきましては、その劣化に加えまして、管理者の高齢化や所有者不在により管理ができていない慰霊碑等があることなどが、全国的な課題となってきていると伺っております。  2点目の遺族会に対する国の制度の周知の状況についてでございますが、この制度は国内民間建立慰霊碑移設等事業という制度でございまして、国から補助先となる市町に対して周知を図るように通知がございまして、制度創設の平成28年度以降、毎年4月頃に利用予定の照会を行っているところでございます。  当初は、建立者等が不明な慰霊碑で管理状況がよくないものに対象が限られていたところでございます。令和元年度から対象が拡大され、高齢のため建立者等自らが維持管理を行うことが困難な場合にも適用されることになっておりますが、本県では利用実績がございませんでして、全国でも年間二、三例のみの活用となっているところでございます。  県遺族会につきましては、この制度を県から直接お知らせしたことはございませんでして、また、遺族会からもこうした慰霊碑の課題についての御意見を伺ったことがないのが現状でございます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。ちょっと順番がいろいろとルールがありますので、私の質問した順番じゃなかったんですけど、まず、文化スポーツ部長からお答えをいただきました明治天皇聖跡碑の取扱いですけれども、おっしゃるとおり、昭和23年6月の文部省の通達で一斉指定解除ということで、これに基づいて、県行政は関与できないとの御答弁をいただいたところです。  しかし一方では、調べてみますと、史跡の一斉指定解除によって史跡としての価値を失った明治天皇の関連遺跡ですが、これは再び史跡等に指定されているものもたくさんございます。例えば、草津市の草津宿本陣、栗東市の旧和中散本舗あるいは大角氏庭園、米原市の福田寺庭園、長浜市の慶雲館庭園などは、明治天皇関連遺跡という前提を外しても文化財の価値を見いだすことができるとして、史跡もしくは名勝として改めて指定をされていると、こういう実態もございます。  また、滋賀県文化財保護協会の松室氏が2010年12月22日付のホームページに投稿されました忘れ去られた史跡「明治天皇聖跡」というページには、こう書いてあります。「かつては文化行政の負の遺産として捉えられがちであった明治天皇関連遺跡だが、近年の研究では、天皇の行幸、巡幸の政治性が歴史学的に明らかにされてきている。地域に天皇が訪れたこと自体は歴史的な事実であり、そのことが地域の近代の歩みに無視できない影響があったことは間違いない。その事実に向き合うための場として、改めて旧聖蹟の史跡としての価値を再評価するべきときが来たのではないか」と、このように述べられております。  本日紹介させていただきました幾つかの事例でも分かりますように、石碑自体の老朽化や劣化による倒壊など、現に防災上のリスクが高まっていますことから、これまでのこの聖跡碑に対する行政の関わり方について、これは、これをまた文化財として取り上げて県が管理しようということではなしに、やっぱり防災上の観点から、せめて庁内の今御答弁いただきました各関連部局が連携して、この取組の在り方はどうあるべきかと協議するぐらいの前向きな姿勢を、ぜひ文化スポーツ部の部長さんを中心にして行っていただきたい、これはもう要望だけにしておきます。  それでは、2つ再質問させていただきますが、まず、ただいま御答弁いただきました健康医療福祉部長、戦没者慰霊碑に対する遺族会への対応についてでございます。  慰霊碑の維持管理については、県内一部の遺族会では、例えば平和公園などといったような場所を設置をして、その慰霊碑をあちこちの支部に点在しているみたいですね。米原にしましても東近江にしても、幾つかの支部にある、それを1つに集めようかという協議を今始められているようにお聞きしております。  そういう一括管理する計画なども検討されていると仄聞していますが、遺族の皆様方のこの慰霊碑に対する思い入れは、これは千差万別でございまして、皆様全員の合意や了解を取ったり、また、移設場所を確保したりするのは極めて難しい、ハードルが高いところがございます。  また、移設などに対する国の補助制度についても、利用するに当たっての対象条件が厳しいことから、運用開始後の補助金のこの利用実績、今もちょっと御紹介いただきましたんですけど、私の手元の資料では、全国でまだ僅か11基にとどまっていると聞いております。  戦後75年を経て、戦争の記憶とともに、慰霊の場を守られている遺族の皆様方からは、地域の戦没者慰霊碑は地域における戦争の記憶を伝える文化財として価値があるんだと、行政は保存に向けた支援をさらに拡大していくべきだとの声も寄せられたところです。この言葉は大変重く感じました。行政もこれにしっかりと応えていかなければなりません。  そこで、健康医療福祉部長に尋ねます。  本県でも、まずは遺族会に対して本制度の周知を図るとともに、遺族会の皆さんの意向をしっかりと聞き、利用しやすい制度となるように国に要望すべきと考えますが、再度お尋ねをします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  県遺族会とはこれまでも様々な課題について定期的に意見交換を行っておりますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、この制度について御意見を伺ったことはございませんでした。  県といたしましては、県遺族会の皆様に改めて制度の詳細をお伝えするとともに、地域において、戦争の記憶を伝える大切なものとして管理されている実情についてもお伺いしてまいりたいと存じます。  その上で遺族会や市町の御意向も踏まえまして、補助制度が活用しやすいものとなるよう、国への要望も検討してまいりたいと存じます。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。これらの問題に対応する窓口は各市町が担われるわけですけれども、滋賀県全体の広域的な課題としまして、県も主体的にこれに取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  次に、知事公室長に伺います。  聖跡碑や忠魂碑などの防災上のリスク管理についてです。  聖跡碑や忠魂碑に関する歴史的な経過と行政の立場は理解をいたしております。一方で、現に住民や子供たちへの重大なリスクが存在することも事実でございます。野洲市の聖跡碑の場合には所有者不明ということで、地元自治会での解決を求められております。が、これ見てのとおり、前は児童公園になっております。  また、大津市立中央小学校の前庭にある聖跡碑の場合は、問合せをいたしましたところ、何年か前に石碑が倒壊した場合のシミュレーションが行われ、それに基づいて、緩衝帯としてこの生け垣が、聖跡碑の裏面になるわけですね、表面は道路に面してます。裏面が学校に向かってるんですね。この学校のこちらにちょうどそれが倒れたら届くかなという辺りに生け垣がしてありまして、それが防御柵だというふうなお答えを教育委員会さんからいただきました。  しかし、どう見ても、これで安全対策が万全だとは思えませんでした。子供たちがここの前を通るんですね。そして校舎に入るんです。そんな場所にそびえ立つこの7メートルの石碑を見たときに、これ、万が一、最悪の事態が発生したら誰がこの責任を負うのか。今のお答えでも分かりますように、どこも所管してないという、こういう実態がありますので、これは大変だなというふうに感じました。  そこで、まずは自治体が危険な碑を点検して、実態を掌握すれば、おのずと点検に基づく改修なり移設なり撤去なりが進むことができます。しかし、実態が分からなければ、効果的な対策も検証も見直しもできません。行政には、実態を把握するために大規模な点検を実施するなど、実効性のある対策を早急に打ち出すべきと考えます。  先ほどのお答えでは、基準もないしというお話も伺ったんですけど、なければ、県独自でも結構ですので、つくってでも対応をしていくということが重要かなというふうに思います。  先ほども触れましたが、国は第二次世界大戦以後の慰霊碑の問題に関しましては、安全性確保のほうから、移設の費用等を半額補助する制度をつくられております。重要なことは、これまでの歴史的な経過を超えた防災上のリスク管理であり、求められていることは、行政が実態を把握し、これに基づき点検を行うことだと考えますが、県の姿勢について、再度、知事公室長に伺います。 ◎知事公室長(東勝) 石碑に係る防災上のリスク管理に対する県の姿勢ということでございますが、行政による実態調査等につきましては、先ほど御答弁させていただきましたとおり、危険性の客観的な把握などの点で多くの課題があるということでございまして、一律に点検を行うことは現時点で困難であるというふうに考えております。  したがいまして、まずは地域住民の皆さんが自主防災活動などを通してその石碑の状況などを把握していただき、その対策について話し合って、必要な備えを行っていただくということがまず重要かなというふうに考えております。  県といたしましては、市町とも連携しながら、様々な機会を捉えて、石碑の防災上のリスクについて注意を喚起して、地域住民の皆さんによる自主防災活動の取組を促していくということで、その役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。  先ほど、県独自の基準というふうなこともおっしゃっていただきましたが、なかなか難しい部分もございますので、さらにどのようなことができるかということにつきましては、全国の事例なども含めまして、今後研究させていただきたいというふうに考えております。 ◆38番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  本日この問題を取上げるきっかけになりましたのは、野洲市大篠原のこの明治天皇聖跡碑でございました。今は防災上のリスク管理という観点で今日はお尋ねするということだったんですけども、それを行うに当たっての背景を、ちょっとお時間をいただいて説明をさせていただきます。  本日紹介しました明治天皇聖跡碑がある野洲市大篠原出町というこの地域は、10軒ほどの小さなところなんです。真ん中をちょうど中山道が通って、かつては宿場町として栄えた場所でございます。出町という地域とともに、入町という場所もあるんです。出町というのは、まずは江戸へ向かう。いつの頃にできたか分かりませんけれども、鎌倉だったかもわかりません。そちらへ向かうのに出るところを出町、入ってくるのを入町、こういうことが伝えられています。  この出町から近江八幡へ500メートルほど行きますと、ちょうどここは竜王町になるんですけども、源義経元服の地がございます。500メートルぐらいで。逆に500メートルほど守山のほうに行きますと、平宗盛の胴塚というのがあります。  「平家物語」によりますと、平宗盛というのは平清盛の三男でございまして、お兄さん2人が亡くなられて、最後の平家の頭領となるんですけども、壇ノ浦の戦いで負けまして海に飛び込んだんですけども、自害することもできず、源氏に捕まって、義経の手で鎌倉のほうへ送られるんですけども、そこで面会して再び京都へ戻されてくるときに、この地で首を切られるわけですね。切られた首は塩漬けにして京都へ送られるわけですけど、その胴はここに葬られて、今、胴塚というのがございます。  そのときには、宗盛の嫡男、清宗というのも、これは草津のほうまで連れて行かれて斬首されたと聞いてるんですけど、義経が哀れんで、その息子の胴と一緒にここに葬ったという伝えがございます。地域の方はこれを大変大事にされてましてね、例年6月の20日前後にはここで法要を営んでおられます。  奇しくも、来年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」ですかね。三谷幸喜脚本です。ここに平宗盛も出てまいります。ちなみに、平宗盛役は小泉孝太郎さんらしいです。宗盛がどのように描かれるかは分かりませんが、番組の最後に紹介されている物語等、ゆかりのところを紹介するコーナーがありますが、ぜひここでこの出町を、野洲市を取り上げていただければというふうに思っています。また、知事の御尽力もお願いしたいというふうに思います。  このような歴史のある出町の小高い丘に、いつの頃か、さざんか公園というのが出来ました。茶店です。ここでたくさんの人が中山道を通ってきて休まれたわけですね。そこに、明治天皇が滋賀県を行幸されたときの行きと帰りに、このさざんか茶屋へ寄られたという地だから、この下にさざんか公園という公園をつくって、ここに石碑が出来たという、こういう経過もあるわけです。地域の方は、こういうふうなことも踏まえて地域を非常に大切に思いながら、明治天皇のこの聖跡碑の取扱いを非常に苦慮されておられます。  本日取り上げましたところの聖跡碑や慰霊碑等のリスク管理に関して、自治会や遺族会の皆様が最も感じておられることは、これらの碑について、その移設や維持管理について、費用や人手の問題もさることながら、自分たちの手で主体的に、今でしたらまちづくりの話をしましたんですけど、そのときにどういうふうにするかということができないもどかしさなわけです。  これらの聖跡碑や慰霊碑などの維持管理を次世代へどのように引き継いでいけるのか。また、行政がどのような役割を果たしていけるのか。今、大きな背景も含めてお話ししましたんですけども、行政にはスピード感を持って対応していただきますことを求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、38番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、22番周防清二議員の発言を許します。 ◆22番(周防清二議員) (登壇、拍手)質問に入ります前に、過日、静岡県熱海のほうで土石流による被害に遭われました。いまだに60名以上の方が所在不明ということでございまして、本当に亡くなられた方に御冥福を、また、被災されました方にお見舞いを申し上げたいと思います。  ただ、これ、実は原因がどうも盛土ということに何か最近言われつつあります。人ごとではない、滋賀県にもそういうところがあるのかどうか、また点検のほどもよろしくお願い申し上げたいと思います。  ただいま、冨波先生から歴史にまつわるお話をいただきまして、私のほうも歴史教育に関わる質問をさせていただきたいと思います。全て教育長にお尋ねいたしますので、よろしくお願いいたします。  今年4月から使用される山川出版社の中学校歴史教科書に、従軍慰安婦の記述が16年ぶりに復活いたしました。また、文部科学省が公表した令和4年度以降の高校教科書の検定結果によると、清水書院と実教出版の歴史総合でも、「いわゆる従軍慰安婦」と記載されているとのことであります。  今回、国会において従軍慰安婦の記述が大きな議論となりました。その質問の先頭に立っていただいたのが、我が自民党、有村治子参議院議員でありまして、他の議員の質問主意書で、政府では慰安婦を使用する旨の閣議決定を経たことで、今後の検定では慰安婦に訂正される根拠となったということでございます。大変すばらしい仕事をしていただきました。こちらに御兄弟の有村議員がおいででございますが、御本人の承諾を得て、私のほうが質問させていただきたいと思います。  この閣議決定を踏まえて、既に文部科学省は教科書会社向けの説明会を開き、検定済み教科書について、記述を訂正する場合は6月末までに申請するよう伝えていたとのことで、申請を受ければ、教科用図書検定調査審議会での審議を経て、8月頃に承認する方針で、承認後、訂正内容は来年度配布される教科書に反映され、既に使用している教科書については、教科書会社が学校側に周知する仕組みになっていると報道されております。  事は一気に解決に進もうとしていますが、従軍慰安婦は造語、これは作り話であったことが解明され、一旦教科書から消えたはずの文言が復活することに、日本の教育行政に自国に誇りを持つ日本人を育てようとする信念のなさ、文部科学省の闇が表れているように思います。  有村参議院議員の言葉をお借りしますと、「今や従軍慰安婦問題は完全に政治問題である。30年間、日韓関係を揺るがした主要課題。多大な社会的影響力を持つ教科書記述において、今回、従軍慰安婦という表現に調査官が全く意見をつけずに検定を通したこと自体、大変な驚きである。教科書調査官は、国際政治問題化した慰安婦問題で、高度な政治判断を迫られてきた日本政府の経過と重圧を知り得ない。政治判断を下すリスク、国家的代償を図り、日本の尊厳や外交政策に責任を負う方々ではない。政治の決定権者でないのに、事実上、社会教科書の執筆者や検定調査官が慰安婦問題に向き合う国家の方向性を決める上で、極めて大きな役割を制度上担っていることは深刻な構造上の問題」と述べられております。  言われるように、この問題は単に教科書に記載されただけのことではなく、多大な社会的影響力を持っております。海外、特に韓国からは、日本政府がこのことを認めているからこそ教科書に載ったとも解釈されておるわけで、朝日新聞の記事を皮切りに、慰安婦像が韓国のみならず米国やドイツで建造され、真実でない作り話が流布されることで、知らない人にとっては、あたかも事実、真実と誤解され、これにより在外邦人やその子弟が蔑まされ、いじめられ、日本の信用と国益がどれだけ減じたか計り知れません。  まずは真実が教科書に載ることが必要ですが、授業の中で真実がしっかりと教えられ、正しい歴史認識の下、世論が形成されることが重要で、韓国など事実に基づかない歴史認識を喧伝する勢力に対峙していかねばなりません。  そのためには、小中学校は各市町の教育委員会の管轄とはいえ、教職員を監督する県教育委員会の責務は大変重要なものと思います。そんな思いで質問をさせていただきたいと思います。  まずは、「従軍慰安婦」や「いわゆる従軍慰安婦」との表現に対する県の見解をお伺いしたいと思います。 ○議長(富田博明) 22番周防清二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  中学校および高等学校で使用される教科書におきまして、従軍慰安婦という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、「従軍慰安婦」または「いわゆる従軍慰安婦」でなく、単に慰安婦という用語を用いることが適切であるといった政府の統一的な見解が閣議決定されたと承知をいたしております。  このことにつきましては、発行者による訂正申請が国に承認された場合、発行者は訂正内容を学校および教育委員会に通知することとなっております。
     今後、教科書の内容が訂正された場合につきましては、その内容について学校に適切に通知してまいりたいと考えております。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。適切によろしくお願いいたします。  あわせて、昨年度から使用されている小学校6年生の社会科教科書、これは東京書籍でございますが、江戸時代初期の日本を赤く塗った地図が、文科省の検定により北海道以北を白く修正された結果、北方領土を固有の領土とする政府見解と矛盾しかねない内容になっていたということで、自由民主党の総務会で間違ったメッセージを与えかねないとの意見が出て、党政調会で文部科学省から事情を聴くことを決めたと。これ、一昨年ですが、4月の16日の新聞で伝えられております。  東京書籍の小学校6年生の教科書に、北海道以北が日本でないかのような印象を与えかねない表示があることについての県の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  御質問の教科書に掲載されました地図につきましては、文部科学省は、現在の日本の領土を示すものではなく、江戸時代初期の江戸幕府の支配領域を表したものと捉えていると聞いているところでございます。  県教育委員会といたしましては、児童が現在の日本の領土として誤解することのないよう、各学校において適切に指導する必要があると考えているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)実は、5年生で習う教科書の図と今回の6年生で違った形で出ている。時代が違うとはいえ、5年生で、一応、択捉も含めて全部日本の領土というふうな表示がなされていたにもかかわらず、6年生でまたこういう時代を遡ってというのか、違った図が出てくるということ、これこそ子供たちに誤解を与えてしまうんではないかなと思うんですね。  文科省の検定を受けて、3度不合格となった歴史教科書がございます。これ令和書籍というところの教科書ですけど、これ実は出版されておりまして、これを拝見いたしますと、指摘事項の多くは生徒が誤解するおそれのある表現というところを指摘されておりまして、また一方で、今述べましたような、それこそ生徒が誤解するおそれのある表現が検定を通過している現状があるわけであります。  文部科学大臣の答弁でも、「教科用図書検定調査審議会において、学術的、専門的に審議された結果、意見は付されなかった」とのことでありますが、特に従軍慰安婦という用語でございますが、これだけ注目の高い用語にもかかわらず、何も意見がつかなかったということ自体、改めて審議会自体の存在意義が、これに疑義を生じざるを得ませんと思います。  いずれにせよ、検定を通過した教科書、これがこの県下で教材として使われるわけでありまして、土俵に乗るわけでありますが、あとは、これをどう教えるかにかかってくるものであります。  複数の教科書の中からどの教科書を選ぶかにつきましては、県内の6つの採択地区で教科書検定を行う委員会であり、最終的には各市町の教育委員会が決定をします。教科書の選定はどのような評価で選定されるのか、お伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  小中学校におけます教科書の採択に当たりましては、県教育委員会が採択対象の教科書につきまして調査、研究を行い、その結果を基に作成した選定に必要な資料を市町の教育委員会に提供をいたしております。  県が提供する選定に必要な資料では、どの教科におきましても、学習指導要領の目標に示された育成を目指す資質、能力、すなわち知識および技能、思考力、判断力、表現力等、学びに向かう力、人間性等の3つの観点で調査、研究を行っているところでございます。  各採択地区では、県の選定に必要な資料を参考にするほか、地域の状況や教育方針を踏まえ、独自の観点を付加して調査、研究を行った上で、各市町の教育委員会で採択することとなっているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)選定の中でですけども、日本国民としての自覚や誇りが持てるかというような評価基準というのはございますか。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  中学校の学習指導要領において、社会科の目標の中に、「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の国土や歴史に対する愛情、国民主権を担う公民として、自国を愛し、その平和と繁栄を図ることや、他国や自国の文化を尊重することの大切さについて自覚などを深める」とございます。  御質問のように、直接的な評価の基準はございませんが、先ほど申し上げました選定に必要な資料では、その目標の基盤となります我が国の国土と歴史等に関しまして、社会における様々な場面で活用できる知識等について調査研究を行い、その結果を記載しているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)それでは、先ほど述べました内容について、もう少し具体的にお聞きしたいんですけど、実際、山川出版社の教科書を使用している中学校はどれだけあるのか、確認させていただきたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  現在、滋賀県の公立中学校では、山川出版社の歴史教科書は使用しておりません。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)では、もう1点。先ほど申し上げました北海道以北が日本でないかのような印象を与えかねない、問題のある社会科教科書を使用している小学校はどれだけあるのか、お尋ねします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  御質問の教科書につきましては、現在、県内6つの採択地区のうち2つの地区で採択をされており、県内公立小学校220校のうち40校で使用しております。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)先ほど質問させていただいたようなことで、改めてそこで気がつかれたかもしれませんけど、その教科書を使っている学校に、どのような指導がなされているのか、あるいはこれからなされようとするのか、お伺いしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  先ほど議員からの御質問にもございましたが、領土の範囲につきましては、小学校の学習指導要領に基づき、第5学年、5年生で現在の日本の国土について学んでおります。また、第6学年で、6年生で歴史を学習する際において、児童が領土の範囲を誤解するおそれがあることに対しましては、教員が適切に指導することができるよう、教育課程連絡協議会等の機会を通じて伝えていきたいと考えております。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)しっかりとお伝えいただくよう、よろしくお願いいたします。  今、220校中40校、6採択地区のうち2採択地区がこういった教科書を使われていると。要はばらばらなわけですね。  これに対してのちょっと提案を1つさせていただきたいなと思うんですけど、今回の学習指導要領改訂において、「教育実践の蓄積に基づく授業改善の活性化により、子供たちの知識の理解の質の向上を図り、これからの時代に求められる資質、能力を育んでいくことが重要」とあり、具体的には、「教育実践の教材、指導案などを集約、共有化し、各種研修や授業研究、授業準備での活用のために支援の充実」とあります。  滋賀県のどこで生まれ育っても、質の高い同じ教育が受けられるようにすることが重要ではないかと思いますが、これは県の責務とも思うわけでございます。にもかかわらず、先ほど来、2採択地区と4採択地区は教材が違うということで、どうも腑には落ちないところであります。  そこで提案なんですが、県の教育委員会で一括して教科書を選定し、県が各種研修や授業研究、授業準備のための支援を一括して行うことで、子供たちの学びも共通化され、何より現場の教師の負担が減少するのではないかなというふうに考えますが、教科書選定に対する県の考え方をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  まず、教科書の採択についてでございますが、市町立の小中学校で使用される教科書の採択の権限は、それぞれの市町の教育委員会にございます。採択に当たりましては、県の教育委員会が、それぞれの市町の区域、またはこれらの区域を合わせた地域を採択地区として設定することとされているところでございます。  県教育委員会といたしましては、それぞれの地区の状況に最も適した教科書が採択されますように、先ほど申し上げました選定に必要な資料を市町の教育委員会に提供するなどして、指導、助言を行っているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)先ほど来お聞きさせていただいているのでそれはよく分かっているんですが、地域に根差した特徴的な学びというのは副教材で対応ができるんじゃないかなと思うんですね。このことについて、一度、現場の教師の方にアンケートを取られてはいかがですか。教科書選定委員に選ばれた教師にとっては大変重圧で、負担も大きいものと思うんですが、その現場の先生の思いをお聞きされてはいかがですかということをちょっと再質問させていただきたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  先ほどお答えをさせていただきましたように、県の教育委員会で採択地区を設定するに当たりましては、地域の自然的、経済的、また文化的諸条件や、それぞれの地域において目指す教育、それを実現するための教育課程などの点を考慮する必要があるとされておりまして、採択地区数につきましては、全国的に見ますと、54地区ある都道府県から3地区という都道府県までございます。  こうしたことから、現時点において採択地区を1つとすることは考えておりませんが、教科書採択の権限につきましては市町の教育委員会の権限でございますので、まずは市町の教育委員会のお考え等を伺ってみることが必要かと考えているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)そのとおり、決定権は市町だと、これもよく存じておるわけですけど、一旦せっかく、先ほど説明いただきました、いわゆる教科書の選定に関わる参考資料みたいなものを県がつくられるわけでして、それがほぼ大きな影響を持ってくるんだろうと思うんですけど、最終、もう一度それをまた改めて6つの選定委員会がやると。これ二度手間のような気がして僕は仕方ないし、その後、最終権限は市町が選定するわけですから、一旦せっかく一生懸命県のほうで選定資料をつくられた資料を参考に、各市町がされてはいいのかなと思います。これは私もこういう意見ですんで、またお聞きいただいて、また今後、市町とも協議を進めていただければと思います。  教科書が同じに例えなったとしても、現場の教師の考え方で、教える内容もその手法も変わってくるものと思います。やっぱりそれぞれの地域に応じた特徴的な事柄は、先ほど来、一生懸命、冨波先生がお話しいただきましたけど、ああいったことは、地元のそういう教育委員会がしっかりとそういう副教材という形でも進めていくことで、地域の歴史をまたさらに深掘りするような子供たちができるんじゃないかなと思うんですけど。  そういうこともございますが、一方で実はこんなこともあったんです。これちょっと御紹介だけになりますが。新聞によりますと、県下の中学校で、今年2月、米軍普天間基地の名護市辺野古移設反対などの活動を行う京都市の女性シンガーソングライターが、歌やトークで基地反対を強く訴えるステージ、これを約1時間にわたって繰り広げるという、教育基本法で定める政治的中立を逸脱した講演が県内の中学校で3年生対象に行われました。  これは、PTAが新型コロナ感染拡大の影響で中止となった修学旅行の代替行事として提案されたわけですが、3年生の担当教諭陣が、修学旅行で沖縄で平和について学ぶ予定だったことから、同様の趣旨の講演会を行いたいというふうに、学年主任を中心に学校が進めることになったということでございます。  当の3年生にとっては、修学旅行で本来は非常にいい思い出を残すはずが、教師のイデオロギーを押しつけられるというとんでもない思い出づくりとなってしまったわけであります。こういったことが現場では起こってくることがあるということでございます。  ただ、教科書がどのようであれ、インターネット上では歴史の真実やニュースでは伝えられない真実が情報として存在する中、もはや教科書は歴史の真実に耐えられるものでなくてはならず、教師の指導内容も平和学習では様々な考えや事実を提示し、生徒自身が根拠に基づいて自由に考え、主張できる配慮が必要かと思います。現場の教師に対する指導はどのようになされているのか、お伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  学校教育におきましては、児童生徒が様々な事象について多面的、多角的に考察し、物事を深く理解することが大切であると考えているところでございます。そのためには、教員は中立かつ公正な立場で、様々な見解を取り上げたり、特定の見方に偏らないようにすることが必要でございます。  県教育委員会といたしましては、このような点を含めまして、市町の教育委員会と連携しながら小中学校等を訪問し、学習指導要領の趣旨や内容を踏まえ、各学校の児童生徒に適切な指導が行われるよう、しっかりと指導、助言を行ってまいりたいと考えております。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。しっかりと指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。  歴史というものは、その光も影も事実を丁寧に追求し、真実を伝えていかなければなりません。従軍慰安婦問題は、日本人が作り出した作り話をメディアが掲載することであたかも事実のように伝えられ、さらに尾ひれがついて国際政治問題化し、日本政府は高度な政治判断を迫られました。おかげで大きな国家的代償を被り、日本の尊厳を毀損し、在外邦人に多大な苦難をかけてしまいました。  これまで、歴史教育は近代史をおろそかにしてきたツケが回ってきたかのように思うのは私だけでしょうか。  実は私個人の話で恐縮ではございますが、あまり自分自身が歴史というものを勉強しなかったということもあろうかと思うんですけど、ほとんど近代史を知らないまま中国へ行ったことがございます。蘆溝橋に案内されるなど、歴史認識を問われる場面に何度も遭遇いたしました。その時代に生きた人が置かれた環境に思いをはせ、なぜそのような判断になったのかを深掘りできていれば、そのような場面にきちんと対応できたであろうが、そこで初めて近代史の重要性に気がついたのも事実であります。  現在の歴史認識は情報戦、在外の韓国人、中国人が国際世論戦の最前線に立っており、ロビイストに相当なお金と労力をかけている現実があります。そのような中、私たち日本人、日本の名誉を守ることができる子供たちに次代を担ってもらわなければなりません。私はこういうふうに思うわけですけど、教育長の歴史教育への思い、願いをお伺いしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  歴史に関わる学習におきましては、多面的、多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の歴史に対する愛情や、国民としての自覚を深めること、また、国家、社会、文化の発展に尽力した歴史上の人物や現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについて自覚を深めるなど、国際協調の精神を養うことが大切であると考えているところでございます。  次代を担う子供たちのために、県教育委員会といたしましては、このような歴史に関わる学習を通じまして、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる資質、能力の基礎を育成してまいりたいと考えているところでございます。 ◆22番(周防清二議員) (登壇)ありがとうございます。教育長の思いがしっかりと現場の教師に伝わるよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。  歴史教育では、授業の中で真実がしっかりと教えられ、自国に誇りを持つ次代の日本人を育ててもらうことをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、22番周防清二議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時 休憩    ────────────────   午後1時 開議 ○副議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、23番海東英和議員の発言を許します。 ◆23番(海東英和議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、まず、陸上自衛隊今津駐屯地ならびに饗庭野演習場に関する国への働きかけについてを、分割方式で質問させていただきます。ありがとうございます。  高島市に所在する陸上自衛隊饗庭野演習場の歴史は明治に始まります。そして第二次世界大戦後、米軍に接収され、昭和32年に返還され、今日の陸上自衛隊饗庭野演習場として今日につながってまいります。  6月23日の陸上自衛隊饗庭野演習場での迫撃砲弾の演習場外への着弾については、三日月知事におかれては、県民の命と暮らしを守る立場から毅然と対応していただき、敬意を表します。併せて、地元高島市長をはじめ、市民の対応にも敬意を表したいと思います。  議会における審査は、特別委員会において慎重に審査されると承っております。原因究明、再発防止等に関し、くれぐれもよろしく御審査いただきますよう、お願いを申し上げるところでございます。  人間組織のすることでありますので、一定のヒューマンエラーを見込むものでありますし、エラーがあっても事故にならない、そのような条件整備が必要であり、まさに迫撃砲弾の取扱いは慎重にも慎重を期していただかねば、国民、県民、市民、どの立場であっても安心することができません。  度重なる事故についても、外部から演習に来られた部隊の訓練によって発生しているものであり、前回は大阪信太山駐屯地の第37普通科連隊、今回は高知駐屯地から演習に参加した第50普通科連隊であります。饗庭野演習場の実弾訓練について、安全管理の徹底なくして実弾発射はあり得ません。今回の事故を踏まえた、再発の起こり得ない仕組みを整えていただくよう切望いたします。  さて、令和4年度へ向けて、県から国への要望の中に、自衛隊今津駐屯地の将来に向けての部隊編成に格段の配慮があるよう申入れをしていただいております。これまで、平成30年11月にも知事から防衛大臣宛てに御要望をいただいており、また、滋賀県議会でも平成30年8月9日に、内閣総理大臣、防衛大臣宛て、陸上自衛隊今津駐屯地の体制維持強化を求める意見書を提出していただいております。このことにつきまして、まず、滋賀県知事のお考えをお聞かせください。  中期防衛力整備計画では、第3戦車大隊と第10戦車大隊の今津駐屯地の主力部隊の編成について、戦車を廃止し機動性を向上させる目的で、機動戦闘車への転換や北海道や九州への移転等が可能性を漏れ伺い、地元は特に心配しております。  これまで、今津駐屯地に駐屯する部隊は、規律正しく精強な部隊であるとともに、地域との関係も良好で、信頼関係を積み重ねてまいりました。また、市民としての自衛隊員さんの存在に感謝し、敬意を抱いてまいりました。昨年は、新型コロナ感染症の危機対応に関して、輸送支援をいただくとともに、今津駐屯地司令を講師に迎え、特別委員会で勉強会もいたしました。災害支援などの御貢献などは枚挙にいとまがありません。  地元住民も、早朝からの爆音とどろく戦車や高射砲の演習や連続する自動小銃の銃声、ヘリコプターの轟音にも一定の理解を示し、また、様々な対策や周辺整備もしていただき、大きく受け入れ共生をしてまいりました。  今は事故発生後のデリケートなときでありますので、知事が自衛隊幹部の方とお会いになる機会も増えることかと存じます。中期防衛力整備計画のテーマである領域を横断した作戦展開を実現することや、宇宙、サイバー、電磁波といった領域に対応すること、また、南西島嶼方面の防衛力の充実を進めていくことの重要性は十分に理解しつつ、今津駐屯地の部隊編成ならびに饗庭野演習場の将来に関して、滋賀県も高島市も一層の信頼と連帯の絆を強めて共存していきたい、そういう思いを持っている旨、お伝えいただきたいと願うものであります。事故発生を受けての知事の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(岩佐弘明) 23番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)陸上自衛隊今津駐屯地ならびに饗庭野演習場に関する国への働きかけにつきまして、2点御質問いただきました。  まず1点目、令和4年度に向けた県から国への要望についてでございますが、平成30年12月に決定された防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画では、戦車や火砲を中心に部隊の編成、装備を見直し、北海道および九州以外の戦車を廃止する方針が示されたところです。  これを受けまして、今後、今津駐屯地の戦車部隊の規模が縮減された場合、現在担っていただいている各種事態への対応や自然災害時の出動などを通じた地域の安全・安心の確保をはじめ、地域の経済やコミュニティーへの深刻な影響が危惧されるところでございます。  このため、中期防衛力整備計画の具体化に際しては、今津駐屯地の主力部隊である戦車大隊の体制維持、強化について、最大限の配慮をいただくよう強く要望したところでございます。  2点目、迫撃砲弾の着弾事故を経ての所見についてでございますが、今回の事案は、迫撃砲弾が演習場の西側を走る国道367号を横断し、道路工事に従事する作業員が休憩中の現場事務所の近傍に着弾しており、一歩間違えば人命に関わる極めて重大かつ危険な事案でございました。  このため、県民の命と暮らしを守る立場から、直ちに全ての実弾射撃訓練の中止、原因究明および再発防止対策の徹底について強く要請したところでございます。  一方、今津駐屯地は、これまで自然災害時の出動など地域の安全・安心の確保に大きな役割を果たしてこられたところであり、その必要性は今後も変わらないと考えております。それゆえ、今回のような事案が二度と起こらないよう万全の措置を講じていただき、地域や本県との信頼関係の回復と緊密な連携の確保につなげていただきたいと考えているところでございます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)2問目の点について、ちょっとお願いと、追加といいますか、再質問という形で要望させていただき、コメントいただければと思います。  この中期防衛力整備計画の中に、自衛隊の能力等に関する主要事業の防衛力を支える要素の中の地域コミュニティーとの連携というところに、「地方によっては、自衛隊の部隊の存在が地域コミュニティーの維持・活性化に大きく貢献し、あるいは、自衛隊による急患輸送が地域医療を支えている場合等が存在することを踏まえ、部隊の改編や駐屯地・基地等の配置運営に当たっては、地方公共団体や地元住民の理解を得られるよう地域の特性に配慮する」、そしてその末尾に、「地元経済に寄与する各種政策を推進する」という、地元に対して、そして自治体に対しての配慮の条項がございます。  ですので、今の2つ目のあれは、この間の事故の件ではなくて、こういうこともやっぱり起こる中でも、地元は今津の駐屯地に自衛隊の皆さんに駐屯していただいて、国防の一翼を担って、地域の住民としても共に暮らしていきたいんだという意思をぜひ知事も御理解をいただいて、これからの再編の検討をされる関係の方面に対して、ぜひとも要望していただきたいということを申し上げたいのでございます。  そして、ちょっと余談ですが、あるときから自衛隊の幹部の方が単身赴任ばっかりになりました。これは、滋賀県の小学校のいわゆる学力・学習状況調査の数字が45番とかそんなふうになりまして、子供さんたちを連れて家族で赴任されなくなってきたんです。ですから、幹部の方は皆、単身になってきました。これも人口というか地域のコミュニティーにも影響もありますし、決して滋賀県全体で行っていることが影響してないこともないわけでありまして。  だから、滋賀県の魅力を高め、そしてまた地域には、例えば、前申し上げた水素のドローンなんかをつくる企業の技術はいっぱいあります。小型モーター、カーボンの蒸着、そして超軽量の精密なバルブ、いろいろなものがありますし、そしてまた、今、コロナで、今、ワクチン関係や感染症対策も防衛だという話が出ている今日、ニプロさんとかタカラバイオさんとか、もう世界にとどろくようなそういう医療関係の企業もありますので、滋賀県の強みを大いにPRしつつ、また、この今津駐屯地の部隊編成ということについて、知事の格段の御助力、また、先頭を切ってのお話をいただくようにお願いをしたいと思うのですが、どうでございますやろか。 ◎知事(三日月大造) まず、陸上自衛隊はじめ、自衛隊の存在と活動が国の安全を保つために多大の貢献をされております。このことに心を寄せたいと思いますし、静岡県の熱海の災害もそうですけれども、本県の災害発生時にも出動していただき、様々な対応をいただいているところでございます。  議員お触れいただいたように、今津をはじめ高島市、また滋賀県にとりましても、特に身近な地域コミュニティーにとりましては、赴任されて来られる方々、活動される方々と一緒に生活をする、また交流をする、様々な機会を通じて、まさに地域存立の基盤にもなっている、そういう方々でもございます。  先ほど申し上げましたとおり、今回の事故発生にかかわらず、その必要性は今後も変わらないと考えておりますし、大きな部隊改編の計画等があり、地域の皆様方の御不安があるということを知事としてもしっかりと国に届け、しっかりと配慮した対応を求めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)何とぞよろしくお願いしたいと思います。第3戦車大隊200名、第10戦車大隊200名の部隊がいてくださっているわけで、家族もおられます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、2問目、ワールドマスターズゲームズ2021関西についてを、一問一答方式で11問お尋ねいたします。  1、関西広域連合では日本の双眼構造を標榜し、関西経済圏のより一層の一体感と、広域観光の振興や関西の知名度アップの願いを受け、組織委員会を興し、ワールドマスターズゲームズ2021関西の準備を進めてまいりました。  この大会はアジア初の開催であり、関西エリアを開催地とする初の広域大会であり、5万人の目標選手数と2週間を超える過去最大規模の大会であり、ワールドカップラグビー2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に続く大規模国際スポーツ大会として、関西の歴史をつくる大会であるとされてきました。  そして、ポストコロナ社会における新たな取組など、開催1年延期によって生じた追加準備期間を最大限に生かし、計画に基づき円滑な大会準備と運営を着実に準備すると、組織委員会の第2次総合実施計画書でうたっております。  オリンピックや国体と同じく、新型コロナ感染症の蔓延を受け、大会は2022年、来年の5月13日から29日に1年延期になったことは承っておりますが、延期の内容はどのようなものと受け止めたらよいのか、まず文化スポーツ部長にお伺いします。
    文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)お答えいたします。  昨年10月に、大会組織委員会として新型コロナウイルスの状況を踏まえ延期の決断がされましたが、ワールドマスターズゲームズの趣旨でございますスポーツを楽しむと同時に、地域での観光や交流も楽しむことなどを実現するためには、必要な対応であったと受け止めております。  大会は1年延期されることになりましたが、開催期間、実施される公式競技数には変更なく、本県においても、延期前と同様の競技の実施に向けて準備を進めてまいります。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)もう一度確認をさせていただきますが、大会規模が5万人のままで、海外からも2万人ということは変わりないということでよろしいんですか。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  大会の関西全体での参加の規模は5万人、それには変わりございません。海外からの参加の目標についても変わりはございません。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)2問目、お尋ねします。  今回の延期がもたらす影響は、様々な分野に影響を与えると思われます。予算の問題もあろうかと思いますし、滋賀県としても、国スポ・障スポに向けて、オリンピック、ワールドマスターズ、国スポ・障スポという滋賀県の健康しがへの描いていたストーリーが変更を余儀なくされたと思います。滋賀県にとってどのような影響があるか、文化スポーツ部長に重ねてお伺いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  世界最大級の生涯スポーツの祭典であるこの大会を契機に、県民のスポーツへの関心を高め、健康増進につなげてまいりたいという思いでありますが、本大会の延期、それから新型コロナウイルスの影響により、県民のスポーツに接する機会が失われているものと認識をしております。  一方、本大会は、ラグビーのワールドカップ、それから東京オリンピック・パラリンピックによる、「みる」スポーツとしての機運を、「する」スポーツへ、あるいはボランティアとして「支える」スポーツへとつなぐ重要なイベントでございます。1年延期とはなりましたが、その位置づけには変わることがなく、国スポ・障スポに向けた機運醸成につなげてまいりたいと考えております。  また、延期により生じました時間を有効に活用し、より充実した大会となるよう、しっかりと準備を進めてまいります。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)影響ということを明らかにしたかったんですが、また後で関連しますので先に進みます。  3問目は知事にお尋ねします。  さきの関西広域連合議会の提案説明でも、仁坂連合長がワールドマスターズゲームズ2021関西の成功を期す発言がありました。関西広域連合の関係府県知事の間の話合いでは、延期になったワールドマスターズゲームズ2021関西にどのように挑むか、意思確認があったものと拝察をいたします。その中で、滋賀県の果たすべき役割をいかに受け止め、三日月知事は果たしていこうと考えておられるか、お尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) 関西広域連合では、スポーツツーリズムの推進や関西文化の世界に向けた発信により、関西の活性化や知名度向上を図るため、ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催支援に取り組んでまいりました。関西の元気回復に向け、引き続き、大会組織委員会や各府県実行委員会と連携いたしまして、大会の機運の醸成をはじめ、必要な支援を行っていくこととしております。  本県もその一員としてしっかり役割を果たしていきたいと考えておりますし、健康しがを掲げる本県として、先ほど、「する」「みる」「支える」、そういった機会として大変重要だと考えております。  また、琵琶湖を会場とするボート、ドラゴンボートなど、公式6競技を実施することにしております。それぞれの種目、大変多くの方が御参加されるそういう種目であると聞いておりますので、そういった方々をお迎えする開催県として、リーダーシップを発揮し、感染症対策もまだ必要だと思いますので、そういった対策等万全を期しながら、開催市、競技団体等と連携を図り、県内で開催する競技大会を成功に導くことが本県の役割であると認識しておりますし、ぜひ、コロナ禍次第ではございますが、観光や交流に結びつけることができるよう、関係部局で連携してまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)4問目、質問します。  滋賀県下ならびに県庁では、国スポ・障スポや植樹祭の準備の動きや意気込みは一定感じるんですが、ワールドマスターズゲームズ2021関西への高まりを感じることができないように思います。スリープ状態のように思います。  滋賀県議会の議事録でも、ワールドマスターズゲームズ2021関西はたくさんヒットします。これまでもいろいろ期待をされてきた事業であると思います。県議会の議員スポーツ議連の有志で軟式野球にエントリーし、練習していること以外に、マスターズの話題や情報には出会わないのが私の実感です。  知事を先頭に、滋賀県もそれなりの責任を果たしていかなければなりません。それなりとか消極的な関与より、どうしたら楽しめるか、県民の喜びにつなげられるかを前向きに捉え、来春に向けスイッチをオンにしていくことが肝要と思います。事務局体制や予算など責任ある準備体制は整っているのかを、文化スポーツ部長にお伺いします。  なお、通告の最後の知事の11番目の質問までは、文化スポーツ部長に答弁を求めます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  本大会の準備につきましては、県、開催市、競技団体等で構成する滋賀実行委員会と、各開催市が設立した開催市実行委員会を中心に進めているところでございます。これまでに、会場設営や競技役員、競技用具等に係る計画を両実行委員会が連携しまして策定するなど、着実に準備を進めてきたところでございます。  また、この6月に開催をしました滋賀実行委員会の総会におきましては、来年度の大会開催に必要な予算が承認をされたところでございます。  さらには、大会期間中の観光プログラムとして、ワールドマスターズゲームズ2021関西特別体験プランが造成されるなど、競技以外の楽しみについても参加者をお迎えする準備が進んでいるところでございます。  今後、国内外からのエントリー獲得や県内における機運の醸成、開催市実行委員会への支援、県の観光交流事業などに一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)何か心配なく進んでいるような御答弁をいただいて、安心していいのかなあと思いつつ、国スポ・障スポは、この間6月21日付に、準備委員会の総会というのを御案内いただきました。341名対象にホテルに集まってということですが、このワールドマスターズゲームズに関しては、やっぱり動きが見えない気がしますので、またこれは後で聞きたいと思いますけど、同じ部ですし、ぜひこれからはちょっと気合を入れて、巻きを入れて頑張ってほしいなあということも期待しながら、次の5点目の質問をします。  滋賀県が担当する種目に関して伺います。  県内6市で開催される公式競技の選手とボランティアのエントリーはどのような状況か、お伺いをします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  本県開催競技の参加者は約1万人を見込んでおります。令和3年6月末時点で、10キロロードレース、これへのエントリーはおおむね参加上限に達しておりますが、チーム競技であるほかの5競技につきましては、3割弱の状況でございます。  また、本県の競技会場、大会受付会場におけるボランティアにつきましては、県のスポーツボランティア支援事業の枠組みを活用して募集をしておりますが、現在のところ、267人の方から応募をいただいております。  今後、より一層多くの方に競技やボランティアに参加いただけるよう呼びかけてまいります。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)ちょっと再問をします。今日は珍しくちょっと質問項目少ないので。  全体で1万人、10キロロードは上限に達し、ほかは3割。どこの町が何をしてくれはって、どれぐらいの大会をするのかということを、やっぱり滋賀県議会の皆さんにもシェアしてもらおうと思って聞いてるのに、このチャンスをもうちょっと生かした答弁をしてほしいんですが、もう一度、答弁お願いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  まず、先ほど約1万人と申し上げましたのが、競技で言いますと、10キロロードレース、それから軟式野球、ドラゴンボート、ホッケー、ボート、ソフトボール、この6種目で9,760名を目標としております。  そのうち、彦根市を会場に行われます10キロロードレース、これにつきましては約1,000人程度の目標でございますが、もうその上限に達しているというふうな状況でございまして、あとの部分につきましては、エントリーの仕方としまして、まず、参加しますよというチームのエントリーがありまして、そのチームにメンバーが寄ってくるというふうな形になっておりますが、今のところ、そのチーム、参加したいというふうなチームのエントリーはいただいているんですが、個人がメンバーとして参加すると、そこまでに至ってないという状況でございます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)やっぱり広報に慣れてないなあという気がします。彦根市で10キロロードやでとか、守山市で野球ですよとか、わくわくするように答えてもらえると、みんなもまた記憶にも残ると思うし、東近江市とか大津市でもいろいろやってくれはるわけで、やっぱりお世話になっている市町のことも盛り上げていくようなぜひニュアンスを、これからはぜひ頑張っていただきたいと思います。  6点目をお尋ねします。  関西広域連合や関西経済界を中心に本大会の誘致がされ、県が一定の滋賀県開催種目を調整し、市町に依頼して開催市が決定されたことと存じます。マスターズ大会の狙いとする交流や観光振興は、開催自治体の熱の入れようにも左右されると思われます。競技を担当してくださる自治体との準備状況は、それぞれ万全と言える関係性を整えることができるでしょうか。共に盛り上がっていけるかという点について、引き続き文化スポーツ部長にお尋ねします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  これまで滋賀実行委員会の幹事会や担当者会議におきましては、開催市の皆様と活発に意見交換し、また、各開催市の実行委員会に県からも参加するなど、情報を共有しながら取組を進めてきたところでございます。  各開催市の実行委員会には、商工、観光、国際交流など様々な分野の団体が参画をされておりまして、交流事業につきましても検討が進められているところでございまして、各地域において様々な工夫を凝らしたおもてなしが展開され、県全体として大会が盛り上がるよう、今後とも、開催市と連携を密にしながら準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)7問目の質問に参ります。  滋賀県にとって、健康寿命の延伸の一環として、県民のスポーツの習慣化やスポーツ人口の増大が願われていますし、健康寿命日本一、健康寿命世界一への県民運動として、ワールドマスターズゲームズ2021関西をきっかけにし、そして国スポ・障スポへつなげてのスポーツ振興を図っていくストーリーがこれまでも期待されてまいりましたし、今も期待されているはずであります。  しかし、コロナ禍による作戦の再構成が必要ではないかと思います。マラソンでも、一度止まってからまた走り出す難しさは、誰もが想像できるものです。改めて、県民の健康づくりにつなげる方策はどのように準備されているのか。具体的な政策や、それらの取組指標を用いて考えをお聞かせください。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  第2期滋賀県スポーツ推進計画では、指標の一つとして、令和4年度に成人の週1回以上のスポーツ実施率を65%以上とする目標を掲げております。しかしながら、令和2年度の実施率は48.7%というふうな状況でございます。  オンラインによる運動教室の提供、あるいはスマートフォンアプリを活用したウオーキングなど、健康医療福祉部と連携し実施しているところではございますが、このおおむね30歳以上であれば誰もが参加できるワールドマスターズゲームズの開催を契機に、運動、スポーツを楽しむ機運が生まれ、県民の皆様の健康づくりにもつなげていきたいというふうに考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)今のスポーツの参加の目標を具体的に落とし込んで、そしてこのワールドマスターズゲームズを生かしていく、もっともっと心を砕いてお願いしたいと思います。  国体は、やっぱり優勝を目指す相当レベルの高いスポーツマンによって競われる大会でありますけれど、このワールドマスターズは、やっぱり、裾野の部分というか、裾野を広げていく、そして地域の子供たちのスポーツの指導者や、いろいろなかつてのヒーロー、ヒロインとなられた選手たちがまたスポーツに戻ってくる、そういう意味のある大会であると思います。  関西広域連合でも、このワールドマスターズゲームズの後もやっぱりスポーツ参加を求めていく動きを続けていくということもおっしゃっているので、滋賀県もそれに一緒に歩調を合わすということを盟約しているわけですから、ぜひ、今の県民の健康づくり、スポーツ参加ということに結びつける活動を丁寧に進めていただきたいと思います。  それでは、8点目。  ワールドマスターズゲームズ2021関西を当事者として楽しむため、滋賀県民のエントリーをどのように想定しているのか、どれぐらいの参加によって一定の県民参加の成果ありと考えるか。参加者数という形でもよいので、設定した目標値をお伺いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  この大会は、関西全体で5万人の参加を見込んでおりまして、そのうち6割を国内、4割を海外からの参加として想定をしております。  県内の参加者をどういうふうに見るかというのはいろんな考え方があると思いますが、滋賀県内の開催競技では、先ほど申しましたように約1万人の参加を見込んでおります。海外を含め様々な地域からの人が来られ、交流が多く生まれるというふうなことを期待しております。県内からは約1,000人程度の方が参加いただけるということを目標としております。  今後、皆様に対しましては、ワールドマスターズゲームズの魅力をPRしまして、また、県内で行われる競技だけに限らず、県外で行われる競技への出場、また、大会を支えるボランティアとしての参加などを積極的に呼びかけてまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)昨年度、常任委員会で県内の参加者数を何度かお尋ねしたときには数字が出てきませんでしたが、今日は1,000人という数字が出てきました。体育協会というか、スポーツ協会の方々や滋賀県内のスポーツされている方の総数を見ると、滋賀県で1,000人程度が目標というのは高いんか低いんか、志としてこれでいいのか、これはまた議論してくださいというふうに預けようと思います。  この間も、地域でソフトテニスの指導者の方に、ソフトテニスで参加しいひん、こんな話聞いてるって言うたら、中央団体からのLINEには来てるんやけど、僕らのとこにはやっぱり、出ようかいなという話は下りてきてないなあということでもありました。  コロナが明けたら、ぜひやっぱり、元気出していこうよということも含めて、もっと県民の人が参加して、そして、これからシニアのスポーツ、マスターズとか地域スポーツが積極的に展開されるように、ぜひ国体に向けても、国体に今注いでいる体力を半分ぐらいこっちに回してもええんちゃうかなと思うので、それは勝手な話ですけど、ぜひ部の中でももう一度ミーティングをしていただきたいなと希望をします。  それでは、9点目伺います。  滋賀県民に対して、ワールドマスターズゲームズ2021関西を開催する意義や、本大会にかける滋賀県の思い、コロナを乗り越えて立ち向かっていこうというメッセージは届いているんでしょうか。実際、コロナでそれどころではなかったと思いますので、これからどのように取り組んでいくことが大切と思うかという観点から、県民の皆さんにどのように啓発やPRをしていくのか。今後の取組プラン、そして目安となる時期などを用いて説明してください。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  今後も新型コロナウイルスの感染状況を注視しながらの周知啓発になると思いますが、目前に迫りました東京オリンピック・パラリンピック、ここでは本県にゆかりのある選手をはじめ、国内外のトップアスリートによる熱い戦いが繰り広げられ、数々のドラマ、それから選手同士の国際的な交流、そういったものが見られるというふうに思っております。  この感動が生み出すスポーツへの関心、高まりを、「する」スポーツである本大会の機運につなげていきたいと考えておりまして、例えば、これまではワールドマスターズ全体の呼びかけのPRなどを中心にやってきましたが、本県で開催する競技ごとにチラシを作って様々なところに配布するなど、マスメディアやイベントを通しまして、このオリンピック、パラリンピックが終わった後も重点的にPR期間として実施をしてまいりたいと、このように考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)それでは、部長には最後の質問です。  もう1年を切っているわけであります。関西広域連合が設置したというか、この組織委員会では、200日前、100日前という形でスケジュールも示されております。これからの東京オリ・パラの推移、コロナのワクチン接種の行き渡り状況を踏まえながら、担当部局として、どのようなことに取組が必要で、心していかなければならないか。担当の部長としての気合のあるお考えを聞かしてください。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  このワールドマスターズゲームズの成功するか否かというのは、この大会の競技への参加者がどれだけ確保できるかというふうなところでございます。今後とも、開催市実行委員会とも連携をしまして、国内外からのエントリー獲得に一層の力を入れていきたいと考えております。  また、大会開催に向けた具体的な準備につきましては、先ほど来申し上げておりますが、滋賀実行委員会と開催市実効委員会で役割を分担して進めております。大会が近づくにつれまして、今後、いろんな課題が見えてくると思いますが、そうしたことは迅速に対応して解決をし、万全の体制で大会を迎えたいというふうに考えております。  また、さらに開催市だけでなく競技会場とならない市町も含めまして、観光などの大会開催の効果が各地に広がるよう、開催市以外の情報も含めた、分かりやすいガイドブックを作成しようというふうなことで進んでおります。県全体が盛り上がるように今後も取り組んでまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)オープン競技をされる町もありますし、そういうところも漏れなくしっかりと支援をいただいて、そして、競技を受け入れないというか、御担当いただかない市町についても、やっぱり、自分事というか、これから健康の盛り上げをつくっていく県民運動の一つなんだということをもっとこうみんなが分かち合えるように工夫をして、盛り上げていってほしいなということを思います。  何かね、やっぱり自分事なんか人ごとなんか、関西広域連合やし、滋賀県はちょっととか、何か微妙な感じがするんですよね。だから、やるぞということを、ぜひ部長、先頭に立っていただいてリードをしていただきたいと思います。  それでは、担当部長にはそうやってお願いしておいて、最後に、滋賀県知事にお尋ねします。  関西広域連合の理事者として、そしてワールドマスターズゲームズ2021関西の滋賀実行委員会の会長として、来るべき大会の成功に向けてどのように導いていこうと思われているか。決意と県民へのメッセージをぜひとも発していただきたいと存じます。びわ湖放送には本質問を放送していただくよう手続をしておりますので、思う存分、御答弁をいただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。アジア初となる第10回のワールドマスターズゲームズ2021関西大会ということでございます。本県では、先ほども答弁がありましたように、公式競技で6競技、そしてオープン競技、これは守山市でのパドルテニス、高島市でのトレイルランニング、合計8競技開催させていただくこととなっております。  私も前回2017年のニュージーランドオークランド大会視察をさせていただいたんですけれども、まさにシニアの方から元オリンピアン、そしてアマチュアの方々まで、非常に多くの方々が競技を楽しまれている、また、時間外には競技以外の観光や交流を楽しまれている、そういう姿を見ました。まさにスポーツフォーライフにふさわしいいい大会だと思いましたので、もちろんコロナ禍ではございますが、それらを乗り越えて盛り上げていきたい、いい大会をつくっていきたいと考えております。  また、私自身も10キロロードレースとボート競技に出場を予定しておりまして、既にエントリーをさせていただきまして、ボート競技の練習は始めたんですけど、延期になって、現在、中断しております。江島さんは何に出るの、中嶋さん何に出るの、教育長何に出るのという形で、まだまだエントリーの方もいらっしゃいますので、今後、庁内を含め広げていきたい。  また、何より、議員お取り上げいただきましたが、健康しがにつながる、健康づくりにつながる、そういうイベントとして、「見ること」「すること」「支えること」に取り組むべきではないかという視点は非常に大事な視点だと思いますので、大会成功だけではなくて、そういった機運、盛り上がりにつながりますように、さらに努力をさせていただきたいと思います。一緒に頑張りましょう。よろしくお願いいたします。 ◆23番(海東英和議員) 終わります。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、23番海東英和議員の質問を終了いたします。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)通告に従い、全て一問一答方式で質問します。明快な答弁をお願いします。  最初の項目は、再生可能エネルギーの導入促進に関する諸課題について。  この1年で、世界のカーボンニュートラル、いわゆる脱炭素に向けての取組は大きく変わりました。我が国においても、今までからは比較できないほどの高い目標に向かってカーボンニュートラルな社会に向けた取組が進められるようになり、私たちの日常、暮らしや働き方、住む環境は大きく変わっていくことになると考えます。  滋賀県においても、今定例会議の冒頭の知事の所信でもCO2ネットゼロに関する話題が取り上げられ、CO2ネットゼロ社会づくりのための取組を県民運動として強力に推進してまいりたいとされたところです。一方で、特に社会の仕組みがこの大きな変革の波に追いついていない面があり、スピード感は大切にしながらも、丁寧な制度設計が必要であるとも言えます。  そのような中、(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進条例および推進計画の策定作業が進められています。カーボンニュートラルな社会へ向けた適切な誘導となるように取り組む必要があると考え、質問を行います。  まず、前提条件の確認をしておきたいと思います。カーボンニュートラルという点から、CO2の吸収源と、その量の把握が大変重要になってきます。  まず、滋賀県の有するCO2の吸収源について、どのようなものを考えているのか、知事に伺います。 ○副議長(岩佐弘明) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  現行の滋賀県低炭素社会づくり推進計画におきましては、温室効果ガスの吸収源といたしまして、主に森林を想定しております。そのほか、吸収作用を有するものといたしまして、土壌、琵琶湖のヨシや水草等を堆肥などに活用することも、CO2の固定に貢献しているものと認識しております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)それでは、CO2の吸収量はどのようになるのか。吸収源に対応させた形でお示しください。総合企画部長に伺います。 ◎総合企画部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  県内での森林吸収量につきましては、現行の推進計画では、国の吸収量の目標値から推計をいたしまして、2030年度の目標値を二酸化炭素換算で22.6万トンと設定をしておりましたが、滋賀県の植生から推計をいたしましたところ、2018年度の実績では約44万トンと推定をしております。新たな推進計画におきましては、2030年度の目標値を見直してまいりたいと思っております。  その他の吸収源の吸収量に関しましては、量的にも微少でございまして、現状で把握は難しいというふうに考えております。
    ◆8番(河井昭成議員) (登壇)そのほとんどが森林であるということです。  それでは、ここから算出される滋賀県が目指す目標達成のために必要なCO2の削減量はどの程度となると算出しているのか、これまた総合企画部長にお伺いをいたします。 ◎総合企画部長(川崎辰己) お答えいたします。  本年度中を目途に、(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画を改定する予定でございますが、CO2の削減目標につきましては、今年の秋頃には推進計画の案においてお示しできるようにしたいと考えております。  なお、直近の2018年度の温室効果ガスの排出量が1,128万トンとなっておりまして、仮にCO2ネットゼロ実現のため、先ほど答弁いたしました森林吸収量44万トンまで排出削減を進めるとするならば、1,084万トンの排出削減が必要となります。  また、昨年度に本県が実施をいたしました調査では、2050年CO2ネットゼロを実現するためには、2013年比で、2030年に約41%減、2050年には約97%の削減が必要であると試算をいたしております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)数字の確認をさせていただきましたので、次の項目に移りまして、再生可能エネルギーの導入を促進するという従来のしがエネルギービジョンに掲げられていた目標について。  目標の値は今見直しが行われているということでしたので、これは変わるものの、その方針自体は引き継がれるものと理解をしておりますが、再生可能エネルギーの導入についての考え方について、知事に見解を問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 御指摘のとおり、2050年CO2ネットゼロという、現行の推進計画よりもさらに高い目標を目指しておりますため、現在検討しております新たな推進計画におきましては、再生可能エネルギーのさらなる導入促進を図っていくことになると考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再生可能エネルギー、様々なものが考えられますが、この中で太陽光発電の導入量について今後どの程度延ばそうとしているのか、これは総合企画部長にお伺いをします。 ◎総合企画部長(川崎辰己) お答えいたします。  現行のしがエネルギービジョンでは、2030年度の太陽光発電の導入目標を148.9万キロワットと設定をしておりまして、2019年度の実績で81.2万キロワットとなっております。  太陽光発電の導入目標につきましても、新たな推進計画において見直すことといたしておりますが、先ほど知事が答弁しましたとおり、再エネの導入の促進を図る必要があることに鑑みれば、その中心となる太陽光発電について、さらなる上積みが必要になってくるというふうに考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今、現行の計画の目標が148.9万キロワットで、現状が81.2万キロワット。考えますと、1.5倍以上のこの現行計画においても数字を導入。この後の見直される計画においてもここより低くなることはなく、むしろ伸びる方向であるというふうに理解をいたしました。  この太陽光発電設備は設置の空間が必要な設備です。設置するのに面積が要る設備になります。今後の計画どおりの数量が導入されたとすると、住宅、非住宅、どのような場所にどのくらいの面積で設置されると考えているのか、県の想定を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど部長が答弁いたしましたしがエネルギービジョンでの2030年度の太陽光発電の導入目標でございます148.9万キロワットの内訳は、住宅で67.2万キロワット、非住宅で81.7万キロワットとしております。  なお、ビジョンの目標では設置場所や面積等の詳細を作成しておりませんが、今後新たに設定する目標値においては、可能な限り、住宅、事業所、耕作放棄地、公共施設など、想定される設置場所と設備容量をお示しできるよう検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)全国で森林を切り開き、大規模な太陽光発電設備が設置される事例が問題になっていますが、どのような認識を持っているか、知事に伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  森林内で大規模な太陽光発電設備が設置されている事案において、全国的に防災面や環境、景観への影響、住民への周知不足によるトラブルなどの課題が生じていることは認識しております。  再生可能エネルギーの導入を促進することは重要でありますが、一方で、森林は二酸化炭素の吸収源であり、さらには水源涵養、木材の生産など多面的機能を有しているため、むやみに森林を伐採して設置することは望ましくないと考えております。“しがCO2ネットゼロ”推進の観点からも、両方の機能を総合的に勘案していくことが極めて重要でございます。  仮に森林での太陽光発電設備を設置する場合には、関係法令をはじめ、国の太陽光発電に関するガイドライン等を遵守していくことが必要であると考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)大事なところだと思うんですけども、むやみにというふうにおっしゃったんですが、そのとおりだと思います。というか、最初に数字を確認させていただきましたが、森林のCO2ネットゼロに向けたときの役割、期待というのは、CO2の吸収源、言ってみれば、唯一のと言ってもいいぐらいの能力を引き受けるわけですよね。こことてんびんにかける相手が太陽光発電、これがどういう意味なのかは、やはりしっかりと考える必要があると思います。  そこも踏まえた上で、この先の政策誘導を行っていく必要がありますし、そこに向けての原則、先ほどは住宅の上、または公共空間などとおっしゃっていただきましたけども、そういうことを事あるごとに触れていく必要があるのかなと考えています。  全国で森林を切り開いて大規模な太陽光発電設備、これやっぱり問題になっているのが散見されています。太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを、個別法の運用や太陽光発電に関する国の事業計画策定ガイドライン、これらも出来ていて、これに従ってということなんですけど、それぞれの自治体でこれに従って運用していたにもかかわらず、現状トラブルが起きているということを行政はどういうふうに考えていくのかということが、ここから先、問われるのかなと考えています。  このようなこともちょっと指摘をしながら、1ヘクタール以下の太陽光発電設備が森林に設置される事例も少なくないと仄聞しますが、この件に関する県の問題意識について、これは琵琶湖環境部長に伺います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えいたします。  森林における1ヘクタール以下の太陽光発電設備の設置につきましては、森林法では市町へ伐採の届出をすることが必要であります。令和2年度の件数は14件、面積は5ヘクタールとなっておりまして、毎年一定の件数の太陽光発電設備が森林に設置されている状況であります。  これらにつきましても、県として状況の把握に支障を来さないよう、適宜情報の収集に努め、水源林保全の観点から巡視等を行い、市町ほか関係機関と連携し、必要に応じて事業者に適正な維持管理を行うよう指導するなど、対応に努めているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)1ヘクタール以下のものについては市町に伐採の届けをすればできるということになっていて、1ヘクタールを超えますと林地開発の県のほうに申請を出さなければならないということで、県のほうでは把握ができるものになります。  このように、実は、社会のシステムが追いついてないと冒頭ちょっと説明を申し上げたんですけども、適切にコントロールをしていこうと思ったときに、コントロールができるようになっているのかというところに課題があるんではないかなと思って、この質問をさせていただいております。その点、課題があるのかないのか、琵琶湖環境部長に改めてちょっとお伺いをしたいと思います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  議員御指摘のように、1ヘクタールを超えると県の林地開発の許可が必要ということで、県に申請が提出され、基準に照らして審査するということになりますが、1ヘクタール以下ですとそれが不要ということで、届出だけになるということで、ちょっとその違いがあるということについては課題があると思います。  ただ、そうであっても、県としてもできるだけ状況を把握して、適切にされるよう、市町と連携して取り組んでいるところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)太陽光発電の導入促進を図るために、目標を一定立てて進められています。この結果、どのような土地利用が図られるかということは、この設備に関していえば、とても大変重要であると考えます。  近隣住民への影響、ここ数日で起きていることを引き合いに出すまでもなく、防災、生態系をはじめとする環境、景観、これらへの配慮などなど、ほかの政策との整合も大変重要です。  エネルギー問題やカーボンニュートラルへの大変重要な役割を果たすと期待される太陽光発電を厄介者にしてしまうのは、社会にとって何のプラスにもなりません。ここを適切に誘導しコントロールするために、適正な行政による誘導が求められると言えます。太陽光発電設備が適切に導入されるように、土地利用の面からの誘導がまずもって重要であると考えますが、見解を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  大規模太陽光発電施設などの再生可能エネルギー関連施設の設置に際しましては、滋賀県国土利用計画において、「周辺の土地利用状況や自然環境、景観、防災等に特に配慮する」と定めております。  こうした基本方針を踏まえ、土地利用に関する指導要綱に基づく届出や、個別法等の運用、太陽光発電に関する国の事業計画策定ガイドラインを活用した協議、指導をしっかりと行うことにより、適正な事業実施が確保されるよう取り組んでいるところでございます。  また、今般、改正温対法におきまして、市町において再エネ導入を促進するとともに、地域の環境の保全や持続的発展等に資する取組を併せて行う促進区域を定めることができるとされたところでございます。  改正温対法を踏まえ、本県では、現在検討中の(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画において、促進区域指定に当たっての考え方を盛り込み、適切な誘導に向けて、市町と連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)県で土地形状のデータなどを整備し政策に活用することが、今後のまちづくりにおいて非常に重要となってくるのではないかと考えます。ドローンなどを活用すれば、以前よりも簡単に詳細にこのデータが入手できると聞き及びます。  また、他の自治体では、太陽光発電設備を設置するのに適した住宅の屋根を示す取組を行っている事例があるようです。このような取組を参考に、太陽光発電設備の設置に関する適地を示すことについて、総合企画部長に見解を伺います。 ◎総合企画部長(川崎辰己) お答えいたします。  様々な土地利用規制の区域や再生可能エネルギーのポテンシャルに関する情報をデジタルにより地図上で提供いたします再エネ情報提供システム、いわゆるREPOSと呼んでおりますが、このシステムを環境省が整備、運用しておりまして、現在、県のホームページでも御紹介をいたしております。  このシステムは、太陽光発電の適地を検討するに当たって事業者の皆様にも御利用をいただいておりまして、今後ともこのシステムの利用をさらに周知することなどにより、適正かつ円滑な事業推進が図れるよう努めますとともに、県としても、計画の改定や施策立案に活用してまいりたいと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今御紹介いただきました適地を示す環境省が準備しているデータですけども、これは何をもって適地だと示しているのか。例えば、太陽光設備なので、日照、これ非常に大事な性能にかかるところになるので、日照のないところに設置するとか、あるところに設置するのがいいのかはおのずと明らかです。これが示されているものなのか、それとも、それらも含め周りの環境、景観、それから、特に防災の情報、これらも含めて載せてあるものなのか、ここ非常に大事な問題だと思います。  確かにそういう情報、既にあるものもあるんですけども、それで十分にこれ県が考えている適地を示す能力があるのかというところも含めて、改めて総合企画部長に見解を問います。 ◎総合企画部長(川崎辰己) すいません、システムの全ての詳細まで把握できているわけではございませんが、今、議員もおっしゃった例えば日照の時間、あるいは風力等のポテンシャルを示すもの、それと、どのようなそこに規制がかかっているのかということ、あるいは聞いておりますと一部地形、斜面がどの程度であるかというような情報もあるとは聞いておりますが、おっしゃったように全ての防災に関する情報あるいは景観に関する情報、そこまでが全て網羅されたものではないと思いますので、このシステムと併せて、その他の情報も考え合わせながら検討していくということになろうかと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)入り口ですので土地利用を事例に出しましたが、その他にも県には様々な計画があります。このような計画による誘導も大変重要であると考えます。各種計画による誘導についても、現状を踏まえて、今後の取組について知事に見解をお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 関連する県の各種計画において、再生可能エネルギーの適切な誘導を図っていくことは大変重要であると認識しております。  例えば、住宅や事業所、工場、公共施設といった建物の屋根には太陽光発電のポテンシャルが一定あるものと考えられますが、こうした場所を含めて、より適地と見込まれる場所で太陽光発電の設置を促進するという方向性を、今後策定する各種計画においてもしっかりと位置づけるなどいたしまして、適切な誘導が図られるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)様々な計画を持ちながら政策展開をしている県行政としての事務ですので、例えば、そもそもにおいて言うと、森づくり、令和2年に更新されましたけども、こちらのほうの計画であったりとか、様々防災の計画、景観についてもあります。ここに、やはり今の社会状況だったり環境面のことを考え、県の取り組んでいる推進しようとしている政策がどういうふうに影響を与えようとしているのか、ここをやっぱり反映をさせていく、また適切に誘導するために、ここを入り口として使っていくということが重要なんだと思ってこの質問をさせていただきました。  ぜひともここを有効に使いながら、よく知事、ムーブメントっておっしゃってますが、やっぱりムーブメントを起こすための素地をこういうところから発信をしていってつくっていくのが、まず一つの方法なんではないかと思います。改めて、この点についての見解をお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) そういったムーブメントを起こしていくための素地としても、各種計画で再生可能エネルギーの適切な誘導を図っていくことは大変重要であると考えておりますので、様々な可能性を検討した上で、それぞれの計画、これは何も分野を絞ったものではなくて、いろんな分野分野にこの可能性があると思いますので、それらを変える際の各種計画等にも位置づけられるよう、検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)この太陽光発電設備、再生可能エネルギー導入促進の大きな役割を担うと申し上げましたけども、これを導入をする際に、守るべきルールが必要ではないかと考えます。開発などの各法や各種計画による対応では十分ではないということが、これまでの事例で顕在化しています。他の自治体の事例を見れば、どのようなルールが必要だったのかは検討ができますし、問題が目に見えてからでは、そこから考えていたのでは間に合わないということは言うまでもありません。  適切に、適切に太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギーの導入を図るための条例の制定を提案いたしますが、知事に見解をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 太陽光発電等、再生可能エネルギーの導入に際し、地域での環境影響やトラブルが顕在化していることを受け、これまで、事業者に対する監督を強化するFIT法の改正や事業計画策定ガイドライン、太陽光発電の環境配慮ガイドラインの整備等がなされているところでございます。  県といたしましても、これらのガイドライン等を適切に運用するとともに、住民への事前説明を義務づけるさらなる法整備や、ガイドラインの遵守など、指導の徹底を国に対して提案してきたところでございます。  また、現在検討中の(仮称)滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進条例におきまして、再エネの導入とともに、地域との共生に関する規定を新たに設ける方向で検討しているところでございます。  加えまして、先ほど申し上げたとおり、改正温対法による促進区域制度などにより、市町と共に、再エネ施設を適切に誘導できるよう取り組んでまいります。  県といたしましては、まずは、現在検討中の推進条例や国の既存制度、各種計画等を総合的に運用していくことにより、再エネが適切に導入され、地域との共生が図られるよう努めてまいりたいと考えているところです。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)1ヘクタール以下の導入の例もちょっとお示しをさせていただきましたし、各地で起こっている大型の、かなり大きなサイズの太陽光発電設備で起こっている様々な課題、顕在化した課題、これらの対応が十分コントロールできてない側面が見えているところなのかなと思います。そこにちゃんと手当てをしておかないで、この後、大きく太陽光発電設備の導入を進める状況にあるわけで、ここに対してやっぱり準備をしておく必要があるのではないかなと思って、一定条件が整うまで、県としての備えとして条例制定をしてはいかがかと提案をさせていただきました。  ぜひ検討していただきたいなと思いますし、例えば、今、マザーレイクゴールズで、広く市民、県民の皆さんの声を聞く状況にあると思います。この環境の意識の高い皆さんだったり、琵琶湖に思いを寄せてくださる皆さんの声を聞いてみていただいて、ここに懸念を示される方、多いんではないかなと思います。  一方で、この再生可能エネルギーの導入、太陽光発電の導入というのは、CO2ネットゼロに絡めていうならば、非常に大事な役割を担ってくれる可能性のある設備であります。これが適切に導入される必要があると考えますので、そこをきっちりと誘導するという意思表示としても、この条例の制定というのは意味があるんではないかと考える次第です。ぜひとも検討していただきたいなと思うんですけども、知事の答弁をいま一度求めます。 ◎知事(三日月大造) 今お取り上げいただいた課題を含む総合的な観点から、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進条例を検討しておりますので、その中で、再エネの導入、地域との共生、こういった規定を設けるということで検討させていただいておりますし、国でも改正温対法で促進区域制度というのが出来まして、これを市町と一緒に、再エネ施設、適切に誘導するよう取り組んでいかなければならない、取り組んでいくことができるということでございますので、こういった運用も含めて考えてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)私、質問の最後にあまり要望で終わることないんですけども、でも、これはぜひ検討しておいていただきたいなと最後に一言申し上げて、次の項目に移ります。  福祉人材の確保について伺います。  今年度、滋賀県地域福祉支援計画の策定に向けて議論が進められています。この計画においても取り上げられていますが、少子高齢化が進んでいく社会状況の中で、福祉の担い手の確保、育成が重要な課題であることは言うまでもありません。  そこで、今後の福祉の担い手確保の観点から質問を行いたいと思います。この項の質問は全て、健康医療福祉部長にお伺いいたします。  まず初めに、福祉人材のキャリアパスについて伺います。  大きな会社や役所など比較的大きな組織では、処遇およびキャリアパスや人材育成のイメージがしやすい状況にありますけども、この福祉分野においては、仕事に就く人が、その人自身の処遇やキャリア、具体には、どのような経験を積み上げ、どのような能力を身につけていくのか、そして将来どのような人材になっているのか、こういうことのイメージを持ちづらい状況にあるのではないかと感じています。将来のイメージを持つことが困難なことから、福祉の分野の職に就くということに二の足を踏む状況も想定され、人材確保を妨げる要因の一つとなっているのではないかと考えます。  地域福祉支援計画で人材の育成の必要性とキャリアパスの整備について言及していることを踏まえ、このキャリアパスを整備し示すことについて、県の見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  企業等におきまして働く方々の職位、職務に到達までの道筋を示すキャリアパスは、将来に見通しを持って働き続ける意欲を高める上で大きな意味を持つものでございます。  特に人材が不足しております福祉分野におきましては、人材の確保や育成、定着、さらにはサービスの質の向上を図るため、事業者団体や職能団体、各事業者が主体的にキャリアパスを整備することが重要であると認識しております。  こうしたことから、介護分野におきましては、関係団体で構成いたします滋賀県介護職員人材育成・確保対策連絡協議会の議論を踏まえまして、職能団体等と共に、キャリア段階別研修の実施や処遇改善加算取得促進のための専門家派遣などを通じて、それぞれの事業者におきましてキャリアパスが整備されるよう支援しているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)研修とか資格の取得に向けたサポートなどしてくださっているということなんですけど、そのキャリアパスは実際にはあるんですけども、実はその職に就いている人が、そのラインがどういうふうなラインなのかっていうのがあんまりイメージがつかない。  実はこの質問をするに当たって、労働組合の組合員の皆さんとちょっと、この分野の労働組合の組合員さんの皆さん、現場で働いている皆さんの声を伺う機会がありまして、やり取りをしていたんですけども、キャリアパスがそういえば何か明確でないねというような声を聞いています。ここは、働いている人がそうだということは、その手前でこれからこの道に進もうかという人たちがそのイメージを持ちにくい。キャリアパスが職能団体さんの皆さんの協力を得てつくってあっても、それがどのようになっているのかが分からないと難しいと思うので、だから、ここで示すことについてということを問いました。  ぜひ、県としても一定、これしかないというルートではなく、多様にわたるので、どこを設定するのかって難しいとは思うんですけども、このキャリアパスを一定示すこと、大事なんではないかと思うので、いま一度答弁をお願いしたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  少し前にはなりますけど、県で人材育成指針というものを作成したことがございます。そのときに、やはり経営者の方、職員の方、このキャリアパスをともに理解し、安定した制度にするということで、それぞれの事業所でお示しになるわけではございますけれども、まず、どういったモデル的なものがあるか、そういったものについて検討したことがございまして、一定、他法人の取組などを御紹介したこともございます。  そういったことでいきますと、やはり私どもといたしましては、こういったキャリアパスがそれぞれの職場で定着いたしますように、事業所指導という監査の場もございますので、それぞれの事業所で適切に運用されるように働きかけてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)さて、高齢、障害、子供、生活困窮など、どの福祉分野においても人材確保は大変重要ですが、今回は特に高齢者福祉の担い手、その中でもケアマネジャーに焦点を合わせてお伺いをしたいと思います。  介護支援専門員、一般にはケアマネジャーのほうがおなじみだと思いますので、以降、ケアマネジャーとしますが、介護保険法などを根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる資格、また、その資格を持つ者のことを言います。  ケアマネジャーは、要支援、要介護認定者や家族からの相談を受けて、介護サービスの給付計画──ケアプランを作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整などを行うことから、高齢者の介護において大変重要な役割を担っていると言えます。  そこで、滋賀県の高齢者福祉におけるケアマネジャーの位置づけについて見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ケアマネジャーは、たとえ医療や介護が必要となっても、その人らしい暮らしを最期のときまで続けることができるよう必要な支援をマネジメントする。言わば地域資源のコーディネーターでございまして、地域での暮らしを支えるという考えの下に、保健、医療、福祉のサービスを一体的に提供する滋賀の医療福祉を実現していく上で、要となる大切な専門職の一つであると認識しております。  特に本県では、介護予防・自立支援の推進や在宅医療・介護連携のための多職種連携の体制づくり、入退院支援ルールの運用や評価、検討、医療福祉・在宅看取りの地域創造会議の啓発活動などにおきまして、県内各地で重要な役割を担って活躍いただいているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)力の入った見解ありがとうございます。大変重要なポジションである、要となる専門職の一つであるということでした。  次に、県内において、地域によってはこのケアマネジャーの数が不足していて、介護が必要にもかかわらず、ケアプランの作成ができずに介護サービスが受けられないという高齢者が発生している状況があると聞き及びます。県内のケアマネジャーの状況について、県の見解をお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  令和元年介護サービス施設・事業所調査によりますと、本県の介護サービス事業所に勤務するケアマネジャーの数は約1,870人で、平成30年と比較して約30人減少しているところでございます。  県内全体でケアマネジャーがどれだけ不足しているかを把握することはなかなか難しいところではございますが、地域によりましては、人員不足からケアマネジメントを断らざるを得なくなった事業所がある、ケアマネジャーを募集しても応募がないなどの声を聞いており、人材の確保が難しくなりつつあると認識しております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)これまでも一定、育成に取り組んでこられていますが、今後、介護を必要とする高齢者がさらに増加すると予測をされていて、高齢者介護に携わる福祉職の人材確保の必要性、重要性は高まる状況にあると言えます。  これまでの人材育成で分かった課題を明らかにし、今後の育成に資する事業を行う必要があると考えますが、特に、介護計画を作成する高齢者の介護の始まりとも言えるケアマネジャー育成の課題について、県の見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  現在、本県の介護支援専門員証をお持ちの方は約3,600人である一方、県内事業所でケアマネジャーとして従事されているのは約半数という状況でございます。
     地域包括ケアシステムの深化に向けて、多職種連携によるケアマネジメントの実践がこれまで以上に期待される中、ケアマネジャーにはより高い専門性が求められ、業務負担が増している状況でもございます。現場からは、業務の質や量に見合う処遇がなされていないなどのお声をお聞きしており、ケアマネジャーが減少している要因の一つと考えているところでございます。  将来にわたりまして質の高いケアマネジャーを安定的に確保するためには、事務負担の軽減や処遇の改善等を通じて、その専門性を発揮できる環境を整備していくことが大変重要であると認識しているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)答弁にもありましたけども、ケアマネジャーを育成するに当たっての課題の一つは、その処遇だと考えます。  ケアマネジャーになるには幾つか方法がありますが、介護職に従事し、一定の経験を積んだ上で資格試験を受けるというのが一つの方法であり、一般的なのではないかと思います。ですが、このステップアップがそれに見合った処遇の改善、具体に言えば、給料の改善につながっていないという状況があります。  介護職にある労働者で組織された介護クラフトユニオンの2019年の調査によれば、ケアマネジャーの年間収入は税込みで平均373万円、この調査対象となる介護に関わる職種全体の平均の年間収入は363万円、その差は十数万円です。皆さん、どのように感じられますでしょうか。職場によっては夜勤の有無など、賃金以外の労働条件に違いがあるなども考慮する必要はありますが、所得を見たときには、あまりステップアップしたという感覚を持てないのではないかと考えます。  ケアマネジャーの賃金は資格や職務に見合っているのか、キャリアパスを示す上でも課題となるのではと考えることから、この処遇、特に収入に関する課題について認識をお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  給与につきましては、雇用先の事業所が職種や資格、能力、経験年数等を踏まえまして、給与規程等に基づき決定されているものと認識しております。  一方で、議員御紹介の調査結果では、今の賃金に対して「少し不満」「大いに不満」と答えたケアマネジャーが全体の約6割。その理由としては、社会的な平均賃金より低い、今の業務量に見合っていないという理由が多く、現場の実感として、待遇が不十分との意見があることを改めて認識したところでございます。  また、令和2年度介護事業経営実態調査におきまして、在宅サービスのケアマネジメントを行っております居宅介護支援を行う事業所の収支差率がマイナス1.6%となっておりまして、他の介護サービスと比較しても唯一マイナスでございまして、経営的にも苦しい状況がうかがえます。  ケアマネジャーの安定的な確保に向けましては、事務負担の軽減や処遇改善を一層進めていく必要があると認識しておりまして、国の動向も注視しながら、国に対する政策提案の機会などを捉えて、改善が図られるよう働きかけてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)さきに述べましたとおり、ケアマネジャーになるには、資格試験を受けて、この後、継続的に研修を受講する必要があります。当然これらに費用がかかるのは言うまでもありません。この費用については受講者の負担となっていることが多いようです。試験合格者が受講する介護支援専門員実務者研修は4万3,680円、実務経験6か月以上で受講する介護支援専門員研修課程Ⅰは2万6,880円、専任の介護支援専門員として従事した期間が通算3年以上の方が受ける介護支援専門員研修課程Ⅱは1万5,360円、5年ごとの更新時には課程ⅠもしくはⅡのいずれかを受けるというような体系になっております。  さきに取り上げた平均年間収入から考えたとき、この費用の個人負担は、能力開発、資格取得、資格維持の妨げの要因になるのではないかと考えます。県が主催している研修については、受講費をそもそも低額に設定するなどの手法もあると思います。  ケアマネジャーの資格試験や研修の受験、受講の費用の負担軽減に向けた支援の創設について、見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  ケアマネジャーになるための介護支援専門員実務研修受講試験の受験手数料でございますが、全国平均が約1万円であるのに対しまして、本県は6,910円に設定しているところでございます。  また、例えば、実務経験3年以上の方が介護支援専門員証の有効期間の更新の際に受講する介護支援専門員現任研修専門課程Ⅱというのもございますが、この受講料につきましては、全国平均の2万3,685円よりも約2割低く、ケアマネジャーとして従事される方の法定研修につきましても、他の都道府県との比較ということにはなりますが、一定の負担軽減が図られているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)滋賀県がこの介護支援専門員の研修などの費用、非常にサポートしていただいているのは実は私も承知しておりまして、これ実は都道府県が担任しているんですけども、実はばらつきが非常に大きくて、厚生労働省からここを問題視する通達みたいなのが出ていて、改善を図るようにというふうになっているんですけども、そもそもにおいて、先ほどの収入の話もありましたけども、その能力の維持であったりとか能力開発に当たって、かかる金額が負担になるわけですよね。  処遇改善が必要だという状況にあって、この費用を個人で負担をして、どうしてモチベーションを持ってここに進もうと思うのかって考えたときに、なかなかここハードル高いなと思うわけです。  県が頑張ってくださっているのは分かっています。今、部長は優しいので、ただ、他の都道府県との比較にはなりますがとつけてくださいました。ここは比較せずに、介護のこの人材育成のためにどんな政策が必要なのかを考えたときに、ここは間違いなくハードルになっているので、手当てをする、支援をしませんかという提案をさせていただいております。いま一度見解を求めます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  さらなる負担の軽減をしていただきたいというケアマネジャーの皆さんの事情、お気持ちは真摯に受け止めているところでございます。  繰り返しになりますけども、資格試験や研修につきまして、受験者や受講者に一定の負担をいただいて実施するという考えの下、従前から受験手数料や研修受講料を頂いているところでございまして、ケアマネジャーの法定研修に係る受講料は他府県と比べても低く抑えられており、一定の負担軽減が図られているという認識でございます。  県といたしましては、国に働きかけてケアマネジャーの処遇改善を図るなど、受講料の一定の負担を御理解いただける状況をつくることに尽力していきたいというふうに思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)人材育成をするに当たって課題があるだろうということで、この課題に県としてどこで向き合えるのかということを考えたときに、ここに一つの活路があるのではないかということで提案をさせていただきました。ぜひ現場の声、また、よく聞いてくださっていると思うんですけども、重ねて詳細に、時々に聞いていただきたいなと思います。  さきに述べたとおり、ケアマネジャーは資格試験や資格取得後の所定の研修を受けなければなりません。これ費用だけではないんですね。たびたび長時間、複数日にわたる研修を受けに行くことになるんです。  これを踏まえて、例えば会場について、県の南部の設定しか滋賀県ではないようですが、これを北部にも設定するなど、これはぜひ現場の声を聞いていただきたいなと思うんですけども、試験や研修に参加しやすい環境の整備、これもこの職にある人の支援、サポートになるのではないかと考え、必要ではないかと思いますが、見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  介護支援専門員実務研修受講試験につきましては、受験者数や実施体制の制約から、複数会場での実施は難しい状況でございます。  また、研修につきましては、受講者の多い法定研修の一部ではございますが、南部と北部の2か所で実施しているところでございます。  また、今年度からは、可能なものからオンラインを併用した研修を実施することにしておりまして、今後も順次対象を拡大していくなど、県内どの地域からも受講しやすい環境を整えていきたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ここから先、高齢化社会しばらく進みます。介護がなるべく必要のないような状況で私たちも年を重ねたいなと思いますけども、それでもやっぱり必要なときがあります。そこに向かって、やっぱり必要な介護を支える人材を育成することは非常に大事な、そして、対人の仕事であることを考えても重要な仕事であると思います。  この人材育成の課題がここしばらくで明らかになっていることもありますし、もともとからの課題もあります。ぜひともここ解決しなければならないので、今、幾つか提案をさせていただきましたけども、それ以外にもできることがあるかもしれません。ぜひとも現場の声を、先ほども申し上げましたが、丁寧に聞いてくださっているのかもしれませんが、もっとしっかりと聞いていただいて、よりよい支援の制度創設をお願いしたいと思いますので、この働いている現場の声をしっかりと聞くということについて、見解をお伺いしたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  今回の御質問の中にもございましたように、労働組合の実態調査、それから、いろいろな機会に御要望等でも、各職能団体、事業者団体からもお話を聞いております。そういった様々な御意見を聞きながら、少しでも処遇改善、特に今回はケアマネジャーを取り上げていただきましたけれども、こういった様々な職種の方が働きやすい環境づくりに努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) 終わります。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時43分 休憩    ────────────────   午後2時56分 開議 ○副議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、18番大橋通伸議員の発言を許します。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇、拍手)これからの県立高等学校の在り方について、一問一答で、教育長ならびに知事に質問します。よろしくお願いします。  平成24年度に滋賀県立高等学校再編計画および同実施計画──以下、再編計画といいます──を策定し、その計画期間をおおむね10年として、魅力と活力ある学校づくりが実施されてきました。統合新校、長浜北、彦根翔西館の設置を巡っては、地元からの激しい抵抗がありました。地域の高校が消えることは一大事でした。  平成23年、この県議会で「慎重な検討とともに、生徒や県民への説明、理解を十二分に得るよう強く求める」との決議がなされ、その計画の策定は翌年に持ち越されました。  現行の計画期間は10年を過ぎようとしています。少子化が進行する中、社会情勢が急速に変化する中、現在、再編計画の検証と全県的視野での県立高等学校の在り方の検討が必要とし、議論が進められています。  令和3年度末の(仮称)これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針──以下、基本方針といいます──の策定に向け、滋賀県立高等学校在り方検討委員会──以下、検討委員会といいます──が設置され、これまで6回の調査、審議が重ねられてきました。この2月には、これからの県立高等学校の在り方についての中間まとめ案──以下、中間まとめと言います──が公表されています。  学校関係者や市町長など地域からの意見聴取、生徒・保護者アンケート、県民政策コメントが実施されるとともに、産業教育審議会からの御意見も踏まえ、新たな基本方針の検討が続けられています。  令和4年度以降は、策定された基本方針に基づき、具体策の検討や実施へと進んでいきます。検討委員会では、「必要に応じて、地域の関係者などで構成する(仮称)「地域別協議会」を設置し、地域の意見を踏まえて、地域の意見を踏まえて、個別の計画を策定、実施する」としています。「地域の意見を踏まえて」という言葉には、さきの再編計画策定時にあって、地域の理解を得ることが十分ではなかったとの反省に立ったものと認識しています。  湖北には、「統合新校はもう懲りた」との意見も根強くありますが、ここは子供たちの未来をつくる大人の責務として、冷静に議論を進めたいものです。信楽高校がそうであるように、県外からの地方留学など大胆な議論も進めていきたいと思います。  まず、子供の数が減少していくことへの対応です。最近の出生数や15年後に高校に入学する現在1歳の子供の数を見てみますと、子供の数が今よりも減ることは明らかです。他府県からの移住がそれを補うことは想定しにくく、再びの統合新校は避けて通れないと考えます。  小規模は小規模のよさがあるという意見があります。さきの再編計画の議論でもありました。しかし、小中学校と違い、高校にあっては互いに切磋琢磨できる一定規模が必要と私は考えます。ですから、小規模であってもいいという意見に私はくみしません。教育長の見解を伺います。 ○副議長(岩佐弘明) 18番大橋通伸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  滋賀県立高等学校在り方検討委員会では、学校規模につきましても御議論をいただいているところでございますが、大きな規模の学校、小さな規模の学校、それぞれにメリット、デメリットがあるとされているところでございます。  これからの時代、子供たちに対しては、地域との関わりも含めた多様な学びを提供することが求められており、様々な規模の学校において、それぞれ特色ある教育を展開することが大切であると考えているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)さきの統合新校を決行するに当たって、1学年当たり、おおむね6学級から8学級を標準とするという県の指標が示されました。3から4学級規模の学校では十分な活力は望めません。私は賛同の意思を表明しました。地元の高校の火を消していいんか。地元からの反発は相当なものでありました。ほら、つらいです、私も。でも、私の見解は今も変わりません。  さきの統合新校を推進する理由に挙げた当時の県教育委員会としての考え方、1学年当たり、おおむね6学級から8学級を標準とするを今回も踏襲するのか否かも含め、検討委員会に設置主体である県教育委員会の学校規模に係る基本的な考えを提示すべきと考えます。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  少子高齢化、グローバル化の進展、ICTの急速な発展など、社会が大きく変化していく中、それぞれの地域で、一人一人の生徒に合った多様な学びを選択することが大切であると考えております。  そのためには、それぞれの高校で提供する学びに応じた適正な規模があるものと認識をいたしております。  御質問の標準という考え方を今後も持つ必要があるのかどうか。学校規模については、引き続き検討していく課題であると認識をいたしておるところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)検討委員会では、「将来的に生徒数が大きく減少すると見込まれる地域の高校においては学校規模のさらなる小規模化が想定されるため、市町との連携・協働による高校の魅力化について検討していく必要がある」としています。どのような高校の姿を描いているのか、この提言からは具体像が見えません。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  比較的小さな規模の学校におきましては、例えば、地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な学び、また、一人一人に応じたきめ細かな学びなどを進めることによりまして、生徒一人一人がそれぞれの進度に応じた学びができるような、また、生徒が地域との交流を通じ、地域に学び、地域に愛着が持てるような学校づくりを一つの姿として描いているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)行財政改革の観点からだけでなく、公設民営の県立高等学校の在り方についても検討すべき時期に来ていると思います。教育長の所見を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  全国的に見ますと、公設民営という手法を使った事例があることは承知をいたしておりますが、まずは、それぞれの県立高校がどのような特色化、魅力化を図っていくのかをしっかり議論することが必要であると考えております。  その上で具体的な学校づくりを進めるに当たって、民間の力をどのように取り入れるのか、検討を進める中での一つの選択肢ではないかと考えているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)さきの再編計画の議論の渦中で、翻弄された生徒たちのことを忘れないでおこうと思います。大人の論理で生徒たちを不安に陥れてはならぬと思います。統合新校の行方が定まらないことで、見通しが持てなくなるのは子供です。しわ寄せを食うのは子供です。  子供の数の減少がはっきりしている今、とりわけ、甲賀市、長浜市、高島市内に所在する県立全日制高校募集定員のシミュレーションもされているとのことですから、統合新校の構想、つまり、こういう選択肢が考えられるとしたたたき台を必要に応じて設置されるとしている(仮称)地域別協議会にも事前に提示することが、そこでの議論を深める点からも必要と私は考えます。教育長のお考えを伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  地域の実情に応じましてどのように県立高校の魅力化を進めていくかにつきましては、地元の市町などの意見をしっかり、そして丁寧に伺いながら検討していく必要があると考えております。まずは、来年度以降、(仮称)魅力化プランを提示して、御意見を聞いていきたいと考えているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)この後の統合新校を想定した場合、高校入試の志願倍率の変化から明らかになった課題は見逃せません。  平成18年度に導入された県立普通科高校の通学区域全県一区制度──以下、全県一区制度といいます──に私も疑問を持っている一人です。この制度が、結果、勉強ができる生徒に照準を合わせることになってしまったと思うからです。  しかしながら、導入後10年が経過した平成28年度の検証では、生徒や保護者を含む関係者のおおむね9割から支持されたと判断され、この制度は継続することとなりました。しかし、ここ最近は最大倍率が上昇傾向にある一方で、募集定員を充足しないケースが顕著になってきています。全県一区制度導入時に想定された事態に突入しています。  各高校のランキングづけは、全県一区制度導入以前から続いていました。行きたい高校の倍率が高ければ、合格の可能性の高い、いわゆるその下のランクの高校を受験するということが、全県一区制度導入以前から続いていました。全県一区制度導入は、そのランクづけを全県レベルで再編成したことにほかなりません。  したがって、特定の高校に志願者が殺到することは起こり得ない仕組みになっています。それでもなお、大津、湖南地域の志願倍率は年々上昇し、そのほかの地域では定員割れが徐々に増えてきているのが現状です。  ちなみに、令和3年度の入学者選抜では、湖北地域の場合、県立全日制高校進学者1,224名のうち、他の地域の高校に進学した生徒は186名、率にして15%でした。  教育長に問います。この本県の実態をどう打開していこうとお考えですか。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  私自身が学校訪問をする中で、それぞれの県立高校が特色ある学びを実践し、生徒の皆さんが授業や学校活動、また部活動などで生き生きと学校生活を送っている姿を見ているところでございます。  検討委員会におきましては、それぞれの高校の魅力がまだまだ十分に中学生などに伝わっていないのではないかとの御意見をいただいているところでございます。  今年度策定予定の基本方針に基づき、各県立高校の魅力をより高める取組をしっかり行いますとともに、それぞれの学校でどのような学びを進めているのか、生徒の皆さんがどのような学校活動を行っているのかを、中学生、そしてその保護者、また中学校の先生方に幅広く伝えていくことが、まずはもって大切と考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)全県一区制度の導入によって恩恵を受けている生徒は、いわゆる成績上位の生徒たち、言い換えれば選択肢を多く持つ生徒たちであり、勉強が苦手な生徒や経済的にしんどい家庭の生徒たちは、選択できる高校が限られていたり、わざわざ遠くの高校へ行かざるを得ないケースがあります。ここは全県的な課題です。この課題は、特色選抜にもそのまま当てはまります。特色選抜を含む入試の在り方についても議論を深めたいところですが、この場では割愛します。  私が教員時代、中学校ですが、教員時代に耳にした生徒の言葉は今も消えません。全県一区制度が導入されて間もない頃の話です。「できる子とお金持ちの子は南に行かんす」。また、卒業生からこんな言葉も聞きました。「こんなとこ──高校のことです──来たくなかった」「駅で中学校の同級生に会わないよう、毎日がどきどき」「○○高校の制服で電車に乗ったら、私、あほですって言ってるみたいで嫌なん」。今も胸が詰まります。時日は流れましたが、この現実は変わっていないでしょう。彼ら、彼女らが感じている劣等感、今の教育制度に対する根強い不信感は全県に沈殿しています。  検討委員会のこれまでの議論をたどるとき、本県にこうした思いを持っている中学生や高校生はいないことにする、そう思えてなりません。教育長、検討委員会の議論をどう受け止めておいでですか。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  在り方検討委員会では、中学生、高校生とその保護者へのアンケート調査はもとより、実際に県立高校の現地調査も行い、現場の様子を見ていただいております。  例えば、保護者の立場の委員からは、「偏差値的な部分ではない進路指導、将来こうしたいということを聞き取った進路指導をしてほしい」という意見があり、また学校関係者の委員からは、入学後に息切れする生徒もいるため、一人一人の生徒のペースに合った学びが必要という意見もいただいているところでございます。  このように、委員の皆様には、生徒の実情を踏まえて、しっかり御議論をいただいていると認識をいたしております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)お言葉を返すようですが、全県一区制度の下、こうした思いをより強くしている中学生や高校生がいることを、検討委員会のメンバーなら御存じないはずはありません。これまでの議論に物足りなさを私は感じます。教育長に問います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  検討委員会におきましては、全県一区制度につきましては、県教育委員会が平成28年度に実施いたしました検証を基に、それを踏まえまして、制度的に子供たちを一定の区域にとどめるのではなく、それぞれの学校の魅力化を進めていくことが大切であるという御意見をいただいているところでございます。  また、県立高校においては、様々な学びが行われております。そのことを踏まえまして、真摯に御議論をいただいているものと私は認識をいたしております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)不本意入学、高校中退、こうした高校教育を巡る圧倒的な現実に、検討委員会の議論が及んでいるようには私には思えません。答申を前にしたこの時期に、検討委員会に何か教育長から御進言すべきことはございませんか。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  全ての子供たちが、それぞれ進学した高校で頑張って勉強しようと思えるような高校づくりが大切であると思っております。在り方検討委員会では、そのために、子供たちにとってどのような学びを提供すればいいのかをしっかりと御議論していただいておりまして、多様な子供たちに対応した高校の在り方を、引き続き検討していただけるものと認識をいたしております。
    ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)偏差値頼りの現状、あるいはどの高校に合格したかで人間の価値がはかれるかのような錯覚をなくすことや、入試を意識させることで学習意欲を高めようとするやり方を改めることも、今後の検討委員会の議論に期待したいところです。  子供たちや保護者は、塾での指導に加え、高校情報サイトを高校選びの参考としています。食べログのようにです。ここは注視が必要です。追及が必要と思っています。  中間まとめに記されている内容は、国や産業界、教育委員会など、生徒たちに期待する大人側の論理が多くを占め、当事者の子供からの視点が弱いと私は感じます。教育長の御所見を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  昨年10月に、県内の中学生や高校生など約7,700人に対し、魅力と活力ある県立高等学校づくりに関するアンケートを実施し、生徒たちが抱く高校への希望や期待をしっかりと聴取しているところでございます。  その中には、文武両道に励みたい、友達をたくさんつくりたいなど、勉強や部活動、学校行事等の充実した高校生活に関する希望や、将来のことをじっくり考えたいなどの意見があったところでございます。  これらの生徒たちの意見を県教育委員会としてしっかりと受け止め、生徒、保護者、教職員、そして地域社会の人々にとって、魅力ある高校づくりを検討していきたいと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)中間まとめは、将来の社会の姿として、多様な価値観が尊重される社会を目指した取組にも言及されています。そのためには、学校こそが多様な価値観が尊重されるところにならなければなりません。  インクルーシブな学校づくりは、本県にあってもこれまでから掲げられてきました。中間まとめでは、障害等により学びにくさのある生徒が安全・安心に充実した学校生活を送れるように取り組む必要があるとしています。同感です。  検討委員会の議論の中に、例えば「高等養護学校が併設されている高校のように、お互いに学び合うことで学校も活性化される、社会のリーダーを目指す生徒にこそ、そのような学びの場が必要ではないか」という意見がありました。  多様な価値観が尊重される学校づくりに向けては、基本方針の策定や新たな計画の実施を待つことなく、今からできることに着手していくことが望まれます。教育長に問います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  特別な教育的支援が必要な生徒は県立高校においても増加傾向にありますことから、その対応につきましては、速やかに進めることが必要と認識をいたしており、しっかりと取り組んでいく所存でございます。  また、多様な生徒一人一人に適切に対応ができるよう、教職員に対する研修につきましては、こちらも引き続きしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)中間まとめには、外国人生徒について、日本語が必要な生徒への指導が定時制の役割にもなっているとありますが、定時制高校に任せておくのではなく、全日制でこそ推進すべきと考えます。そもそも、全日制に入学するには、母国では優秀であっても、日本語が十分に話せない、書けない、それだけの理由で入試のハードルは高く、やむを得ず定時制高校を選択している現状にあります。  県内の外国人生徒はどのような環境で学んでいますか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  日本語の指導が必要な外国人生徒の在籍状況は、平成30年度の調査では、県立高等学校全日制、定時制合わせて54名となっております。各学校では、始業前や放課後に日本語の補習をしたり、学校設定科目日本語を開講して授業を行うなど、各学校で必要な支援を行っているところでございます。  また、個々の生徒の日本語指導を効果的に行うため、日本語の教材の配備を行っております。  加えまして、母語を介してのコミュニケーションが取れますように、支援員を派遣し、面談等において担任との連携を図ったり、学校からの連絡事項や文書等の翻訳をしたりするなどの支援を行っているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)総数は今お伺いしましたが、外国人生徒が希望に応じて全日制高校でもっと学ぶことができるようになれば、日本人生徒にとっても、多様な価値観や生き方から学ぶことができる貴重な機会となるでしょう。  他府県に先行事例がありますように、本県の県立高等学校に外国人枠、加えて、障害者枠や不登校枠の設置の検討を求めます。教育長に問います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  入学者選抜につきまして、現在、特別枠は設けてはおりませんが、希望者に対する受験上の配慮につきまして、外国人生徒には、問題文へのルビ振りや辞書の持込み許可、検査時間の延長などの配慮を行っております。  また、障害のある生徒や病弱の生徒には特別検査場や病室での受験を認めるなど、本人の希望や、これまでの支援の状況に合わせて必要な配慮を行っているところでございます。  不登校生徒には特段の配慮を行ってはおりませんが、合否判定を行う際には、欠席が多いというだけで不合格とすることがないよう、総合的な判定を行うことを各学校に求めているところでございます。  これらの生徒が入学後についても安心して学校生活が送れますように、外国語の通訳や特別支援教育支援員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣を通じて支援に努めております。  今後とも、多様な生徒に対し、一人一人丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)県立と私学──私立との共存共栄について伺います。  中間まとめの将来を見据えた整理には、県立高校と県内私立高校は、本県の公教育の充実と発展をともに担っており、今後の生徒数が減少していく時代において、公立・私立高校の在り方等について、互いに課題を共有し、方向性についての検討が必要になると示されています。  直近6月18日に開催された第6回検討委員会では、将来を見据えた論点整理案として、「令和2年度から高等学校等就学支援金制度が拡充されたことにより、私立高校への経済的なハードルが低くなった、今後、生徒数の減少が見込まれる中、これからの滋賀の高等教育について、募集定員の在り方も含めて、公私が建設的に議論する定期的な協議の場を設置していく必要がある」と、中間まとめから踏み込んだ提言がなされています。  県立と私立とのこれまでの募集定員を協議する場の実際について、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  高等学校の新増設および募集定員に関する諸問題等について、公立高校と私立高校が連絡、協議を行うため、滋賀県公私立高等学校協議会を置いております。この協議会は年1回開催しており、主に募集定員や入学者選抜について意見交換をしているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)今年の3月、令和3年度の入学者選抜を見てみますと、県立の募集定員は6校の普通科で1学級ずつ、計240人を減らしました。一方、私立の募集定員にあっては2校で1学級ずつ、計70人を増やしました。結果、入学予定者数は、県立で396人減りました。定員で240人減らしたところが、それ以上の入学予定者数の減りようでした。一方、私立にあっては、入学予定者数が182人増えています。  一般選抜の不合格者数については、県立では108名増え、私立で53名減っています。この事実はいかにも異様です。いびつです。どう理解したらいいですか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  御質問にございました入学予定者と不合格者について、要因は様々あると考えますが、1つには、私立高校への支援が充実したことにより進学することに対する経済的な負担が軽減されたことなどで、行きたい県立高校にチャレンジしたい生徒が増えたことも要因の一つではないかと推察をいたしております。  あわせまして、それぞれの私立高校が特色ある取組を進められていること、これも要因ではないかと考えております。  どの県立高校に進学した場合も、そこでの学びがその生徒にとって魅力的なものとなるよう取り組むことが大切であると考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)年々の生徒たちは待ってはくれません。令和3年度の入学者選抜の今申し上げた結果を踏まえて、令和3年度末に実施予定の入学者選抜にどのように臨もうとされていますか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  令和4年度滋賀県立高等学校第1学年募集定員は、公表時期を今までの11月から7月頃に早めまして、中学生やその保護者が早い時期から高校選択を考えられるようにする予定でございます。  募集定員につきましては、中学校等卒業予定者数やこれまでの進路状況等を総合的に勘案の上、進路先の多様化も踏まえて、適切に作成してまいる所存でございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)知事に伺います。教育長とのこれまでの議論を聞いていただいて、御感想をお願いします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  多くのことを思い出しながら、また考えながら、今のやり取りを聞かせていただいておりました。  例えば、知事になった当初、冒頭お取り上げいただいた統合新校の課題がございました。大変多くの反発や戸惑いがございました。関係者の皆様方のいろんな御意見等も伺いました。御質問にもありましたように、当該生徒の皆様方を翻弄させたり、いろいろと戸惑わせてしまったようなこともあったのかもしれませんが、現在、設置された学校で、それぞれ生徒の皆さんが大変頑張っていただいている、また、活力ある学校をつくろうとしていただいている、このことには大変うれしく思っているところでございます。  また、大きな変化の中にあります。私たちが高校時代過ごした時代と違って、数が減っていたり、さらに私立の魅力が高まって学校選択の幅が広がる。全県一区制になり、広がったようでいて、通う生徒の皆さんのいろんな戸惑いもあるというようなことでもございます。ある意味、正解のない社会の中で、この高校3年間をどのように過ごすのか、過ごしてもらうのか、その学校づくりに様々な課題があるのだと思います。  ただ、ここでも課題は可能性だと思っておりますので、今回、改めての検討委員会、また高校の魅力化づくりの中で、今ある様々な課題と可能性をしっかりと出した上で議論を行い、次、歩む道を定めていきたいと考えているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)最後にします。  2019年3月に策定された滋賀の教育大綱の冒頭を飾る知事のメッセージには、「各家庭の経済事情等にかかわらず、全ての子供に等しく学べる環境を整備する」、「人は人とつながり、共に学び、共に働き、共に生きることで成長し、喜びを分かち合うことができる」、「誰一人取り残さないSDGsの視点」とあります。  今議会の提案説明では、「今年度から5年間を人づくりの期間とし、各分野、各地域の次世代を担う人づくりに力を入れてまいりたい」と述べられました。これからの県立学校づくりの議論が展開されているこの時期にあって、鋭い知事からの表明だったと感じています。  これからの県立高等学校の在り方について、御自身が中学生、高校生の時代に大活躍だったと伺っている知事の率直な建言をお聞かせください。 ◎知事(三日月大造) 大活躍といいますか、大迷惑をかけながらいろいろと御指導いただいて、今日があるというふうに思っております。  これから5年間を人づくりの期間とさせていただいているのは、人づくりを語る人づくりという自戒も込めて申し上げているところでございまして、将来に向けて、どう人としてあるべきなのか、こういったことを追求していきたいと考えているところでございます。  お取り上げいただいた中でも、高校3年間はやはり自己を確立する期間であると同時に、多様な価値観が尊重される学校づくりが必要なのではないかというふうに思います。そういったことがかなう学校というものをつくっていくべきだと思うし、いきたいと思います。  また、ちょうどこの機に魅力を磨いて高める議論ができるということでございますので、その際に、様々な実態をですね、実態をしっかりと捉えて、単なる数字だけ、表面的なことだけではない実態を捉えて、議論ができるようにしてまいりたいと思います。  また、その際には、これからの県立高等学校の在り方ではございますが、県立ではなくて私立も含めて、また外国人生徒、様々な困難な状況にある世帯の生徒、人たち、そういったことも考えた上で、この学校の在り方を考えていくべきだろうと思いますし、当然のことながら、定員含めた入学者選抜の在り方についても大変重要な岐路にあると思っておりますので、こういった事々がこの機にしっかりと議論される。何より大人だけの議論ではなくて、当事者の中学生や高校生の議論、こういったことも重要だと思いますので、こういったことに意を用いて、私自身も総合教育会議の場などでしっかりと議論に参画してまいりたいと思いますし、教育委員会にはそういったことを求めていきたいと存じます。 ◆18番(大橋通伸議員) 終わります。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、18番大橋通伸議員の質問を終了いたします。  最後に、19番駒井千代議員の発言を許します。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇、拍手)本日最後の質問者となります。いましばらくよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、子どもファーストの滋賀県に向けてお伺いをいたします。  現在、国においてこども庁創設の議論が進められておりますが、先月6月に、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームでは、国に対し、子供の健やかな育ちと学びのための105の提言をされ、特にチルドレン・ファースト社会を構築するための緊急提言として、4項目の提言をされております。  知事はこのプロジェクトチームリーダーを務めていらっしゃいますが、プロジェクトチームリーダーとして、どのような思いで今回の緊急提言をされたのか、知事にお伺いをいたします。 ○副議長(岩佐弘明) 19番駒井千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)プロジェクトチームリーダー県といたしまして、緊急提言に至りました理由は大きく2点でございます。  1点目は、少子化の加速がございます。2020年の全国出生数、統計史上最少の約84万人となりました。今年──2021年はさらに減少する見込みがございます。  2点目は、長引くコロナ禍による子供たちへの影響がございます。特に困難な状況にある子供ほど負の影響を受けやすく、学びの機会が失われることなどによる格差拡大につながりかねないとの懸念から、これまでより格段に強力な対策が必要との思いがございました。  折しも国においてこども庁創設の検討が始まったことを受けまして、単なる組織論にとどまることなく、子供第一の観点で、大胆な資源投入と権限強化を伴う真に実効力のある政策が進められるよう、国に強く求めたところでございます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)非常に少子化も深刻でありますけども、知事おっしゃったように、少子化の中でも、生まれてきた子供たちが大変な今困難な状況にあるということが、かなり顕在化してきていると思っております。  そしてまた、このコロナ禍では様々な行事がなくなったり学校が休みになるなど、子供たちにも大きな影響を及ぼしました。そうした中で、子供たちの声がどれだけ受け止められていたのか、そういったことも振り返っていただきたいと思います。  そのような中では、滋賀県として、子供たちにアンケートを取り、「すまいる・あくしょん」などつくっていただいたことは評価させていただきたいと思います。私としては、チルドレン・ファーストというなれば、権利擁護の中でも、子供がどう感じているのか、どう考えているかの傾聴をはじめとした意見表明権の保障が非常に重要だと考えております。  令和元年11月の議会質問では、子供が権利の主体であるということ、子供の意見表明権について質問いたしましたが、今年の5月に、厚生労働省子どもの権利擁護に関するワーキングチームから、子供の意見表明権の保障の在り方、権利擁護の仕組みの在り方に関する答申がなされました。  滋賀県では、滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例第9条において、地域相談支援員について規定をしており、障害者への支援がなされることとなっております。同様に、滋賀県子ども条例において、アドボケイト──意見表明支援員に関する条文を設けるべきではないかと考えますが、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 本県の子ども条例は、子供が人権を尊重され、夢を持って健やかに育つための環境づくりについて、基本理念を定め、施策を総合的かつ計画的に推進するものとして制定したものでございます。  本条例は、政策の基本となる事項を定めるものでありますことから、具体的施策として、子どもの意見表明支援員に関する規定を設けることは考えておりませんが、意見表明支援員を含め、子供の意見表明を支援する仕組みづくりは非常に重要な観点だと考えます。  厚生労働省が設置いたしました子どもの権利擁護に関するワーキングチームの取りまとめに沿って、今後、国において必要な措置を講じることとされておりますため、その動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)前回の議会質問でも、この子ども条例というものは、子供たちが権利があることを前提として、環境整備に関する各自の責務を定めたものであるというふうに部長のほうで答弁をしていただいているわけなんですけれども、この子ども条例において、例えば第13条相談の処理においては、「子どもをはじめとする県民等から相談の申出があった場合は」というふうに規定をされているわけなんですが、そもそも、乳幼児が自らの意見を相談をすることができるのかどうか。  また、抑圧された子供というものは、それぞれの思いが抑圧されて抑えられた状況になっている、だからこそ、しっかりとした傾聴をして意思形成支援をして、そこで初めて意思表明ができるということを考えれば、この意見表明権そのものがあるということはもちろん御了解いただいていると思うんですけども、まさにそれを保障するためにしっかりとした環境整備として、きちんとした意見表明の支援が必要なんだということを、やはりこの子ども条例でうたうべきではないかと思いますが、再度、知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) おっしゃるとおり、まず子供の権利をしっかりと保障する上で、それを担保するための意見表明の在り方、これを規定すると同時に、おっしゃいました、どうしても子供であるがゆえに、その時々の自分の声として発しているのかどうか、それをしっかりと支援する仕組みとともに、規定もするし、その体制を整備しなければならないというのはおっしゃるとおりだと思いますので。だからこそ、国において現在検討されているこういったことも踏まえて、県の条例の在り方、県の今のある仕組みについて点検する必要があるのではないかと考えているところです。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)前回も、条例も出来てから随分と時間がたっておりますということで、知事のほうもいろいろと検討したいというふうにおっしゃっていただきましたので、ぜひ、このような視点をどのような形で理念として盛り込むのかということは、重要視していただきたいと思います。  大人が考える子供の最善の利益と、子供が考えていることというのは必ずしも一致するわけではないということの前提に立った上で、どう子供の気持ちを酌み取っていくか、そういったことを忘れないでいただきたいなと思います。ぜひともよろしくお願いします。  子供を取り巻く現状は非常に複雑でありますが、海外、特にイギリスでは随分前より子供たちのアドボケイトに関する取組が進んでおり、0歳から子供の傾聴をし、意見表明の支援がされております。子供が意見表明をする際、いつでも必要なときに支援が受けられることが望ましいですが、現実的にはまだ難しい状態です。  全国でも、近年、意見表明支援に関する実証事業がされております。さきのワーキングチームの答申では、独立した意見表明支援員が望ましいとされていること、特に、子供にとって措置や措置変更は、虐待等を経験した子供のその後の育成環境を決める重大な決定であり、一時保護も権利制約を伴うものであるということから、まず、一時保護や児童養護施設、里親等への措置、措置変更、解除の際に、独立した意見表明支援員による支援を滋賀県で実証事業として取り組んではどうでしょうか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 本県では、子ども若者審議会子どもの権利擁護部会に所属する弁護士や臨床心理士などの委員が、施設に暮らす子供の声を聞いて処遇改善につなげる取組でありますとか、一時保護所の職員が、日々の関わりの中で児童から表明された意見をケースワーカーに伝える取組を実施しているところでございます。  議員御指摘の意見表明支援員は、国の子どもの権利擁護に関するワーキングチームにおきまして、その専門性から一定の養成研修の修了が必要であり、全国で一定水準が担保されるべきとされているなど、実施に向けて検討すべき課題が明らかとなっていると承知をしております。  今後、国のワーキングチームの取りまとめに沿いまして、意見表明支援の仕組みが示されることとされており、その内容を踏まえるとともに、国の子どもの権利擁護に係る実証モデル事業を実施している自治体の取組も参考にさせていただきながら、本県の取組をどのように進めていくのか考えてまいりたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)今知事おっしゃったように、児童養護施設など様々な職員の方、現場で子供の声を聞いていただけると思うんですよね。しかしながら、この措置、措置変更において、どれだけ子供の声が聞かれていたかということについては、非常に今いろんな声が出ておりまして、大人になった当事者が、やはりそのときにどうしても自分たちの意見をそれぞれやっぱり酌み取ってほしかったという声を非常にここ最近出るようになっております。  ですので、あらゆる場面でもちろん意見を聞いていただくということは大事なんですが、やはりこの措置が変わるとき、本当に保護者と引き離される場合であったり、また戻るにしてもいろんなその子供の思いというものがありますので、そこをどういうふうに受け止めるかというのは、単にその話を聞くだけじゃなく、やはりしっかりとした独立した人が聞かなければならないということが答申の中でも言われているわけなんですね。  ですので、国のほうもこの実証事業というのを幾つも進められているわけなんですけれども、是非この滋賀県としても、絞ってでも、例えば、この措置のときに、全ての措置というよりは、例えば一つのセンターであり、もう少し人を絞る形でも、実証事業ですので、まずはどういったことがあるのかということを確認していくのが実証事業ですのでね。やっぱり滋賀の中でもそこはまだまだ十分にされてないので、ぜひともお取り組みいただきたいと思うのですが、もう一度、知事の答弁を伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほどもお答えいたしましたように、まず、現在やっている取組ですね、こういったことがどの程度今お尋ねいただいているものと違うのか、そして足りないのか足りているのか、そういったことを確認させていただきながら、これ、実証実験とはいえ、やはり子供の声を聞きながら、その権利擁護に係る様々な取組につなげる必要がございますので、どういった配慮事項があるのかなどについても丁寧に考えていきたいと思いますが、いずれにしろ、この国の議論、そして他の自治体の取組を参考にしながら、本県の取組を考えていきたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)ぜひ、いろいろと意見表明支援に関しての在り方、知事おっしゃったようにあるわけなんですけれども、既にそういった養成講座を受けられた支援員の方もいらっしゃいますし、そうした近隣のところでアドボカシーセンターなどが立ち上がっておりますので、ぜひそういったところの協力もいただきながら、滋賀としてもより早くこういった子供の意見表明の支援がなされるように、ぜひとも検討いただきたいと思います。  さて、三重県では、平成30年度よりアドボカシー事業に取り組まれております。まず、一時保護所におけるアドボケイト試行的取組では、一時保護所職員の中でアドボケイト役を決め、子供との対話をされており、子供が担当児童福祉司等の話をどのように理解しているかの確認につながった、処遇を伝える場や子供にとって大きな変化が起こる場面に、アドボケイト役の職員が同席することが必要ではないか、子供は限られた情報の中では、児相から提案された条件の中から意見表明するしかないなどの意見が出ております。  また、毎年実施されているアドボカシー研修は、子どもアドボカシーやアドボケイトの基本的な仕組み、訪問アドボケイトなど、児童相談所職員や児童養護施設職員などを対象に実施をされております。滋賀県でもこのような研修を実施してはどうかと考えますが、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 例年、児童福祉司や児童養護施設等職員、市町の職員等を対象に実施しております児童福祉司任用前等研修において、子供の権利擁護への理解を深めるための科目を設定しているところでございます。  今後、意見表明支援の仕組みを導入していくに当たりましては、児童福祉司や児童養護施設等の職員の子供の意見表明権に対する理解と行動が重要であると認識しております。  例に出していただきました三重県等の取組も参考にしながら、アドボカシーの理解を深める研修の実施を考えていきたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
     先ほど来のお話の中で、なかなか、意見表明支援員、独立した意見表明支援員の確保が難しいとか、在り方が検討されている中で、少なくとも現実に今携わっている職員さん、職員さんそのものを意見表明支援員として育成することは困難であるということが、これまでの実証事業とかでもやはり言われているわけなんですね。なかなかそこに留め置くことというのは難しいと、いろんな人員確保の面も含めて。また、一つの施設の代表ともなりますので、また独立とは別だということになることもありまして。  ただ、子供たちと接する、先ほど来、知事も言及していただいておりますけれども、子供に説明をして、思いを酌み取っていることが本当に子供のほうで理解できているのか、受け止められているのか、子供の思いをきちんと受け止められているのかということを、この三重県のところでも実践的な形でロールプレイングで聞き取り、傾聴、結果どうであったかって振り返りをされてますので、座学として大事なことを学ぶのももちろん大事なんですが、たびたびにおいてやっぱそういうことを、お忙しいと思うんですけども、このような研修をやはり進めていただくことがより子供の思いに沿った対応になるということで、ぜひともよろしくお願いをいたします。  (資料掲示)次に、こちらの図を御覧ください。子供と保護者、家庭への支援等の現状をまとめた図であります。  滋賀県では、下のほうにあります子育て世代包括支援センター、これは19市町全てに設置をされておりますが、その下の子ども家庭総合支援拠点はまだ全市町にはなく、さらにその下の児童家庭支援センターは県内に1か所となっております。  そして、今年度より、図の上部のほうにあります子育て短期支援、こちらのショートステイ等の受託先として、従来の施設やファミリーホームに加えて、こちら里親も加わることになりました。児童虐待相談対応件数は相変わらず増加傾向が続いております。厳しい状況では子供と保護者との分離が必要ですが、虐待にまで発展させないためには、このショートステイ、トワイライトステイ、そして、一時保護などを利用した入り口の手厚い子育て支援が非常に重要と考えており、滋賀県の児童虐待防止計画でもショートステイ、トワイライトステイの充実が記載されているところであります。  現在、滋賀県では次期地域福祉推進計画について議論を重ねているところでありますが、地域で支援家庭を支えていく仕組みづくりは、この子育て短期支援事業でつながりをつくり、万一、社会的養護として長期委託がされる場合においても、子供の人間関係のつながりの連続性を担保する上で非常に大切なものではないでしょうか。そのためには、ショートステイ、トワイライトステイを所管する市町と、一時保護等を所管する県との連携が必要です。  さて、今回、一時保護における一時保護施設ならびに一時保護委託における市町別のデータを調査依頼したところ、ケースごとに資料を改めて確認する必要があり、かなりの時日を要しています。先ほど申し上げたとおり、児童虐待防止の観点から、一連の支援、保護のつながりと県と市町との連携を考えれば、市町ごとのデータを把握しておく必要があると考えます。  県はかねてより全庁的にEBPMを推進してきておりますが、この点からもデータ収集の在り方に課題があると言わざるを得ません。データ収集の在り方を改善すべきではないかと考えますが、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 課題を共有します。  今後一層、子育て支援や児童虐待防止など施策の充実を図り、県と市町の円滑な連携を進めるために、どのようなデータを収集し、県と市町で共有していけばよいのか、改めて検討し、改善を図ってまいりたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)このデータ収集の在り方そのものというのは、新たな費用をかけてシステムを導入するということではなくて、例えばエクセルシートの中で、1つ、子供の出身市町の項目をつくれば、例えばもうそこですぐに数が分かるなど、そういったことなんですね。  先ほど来申し上げているように、やはり県と市町の関係性で、ここをどうしっかりと把握していくことが、どの市町に支援が足りないのか、どういうふうに県としてフォローしていくのかということで、政策づくりにも非常に重要な点、この点が、データが国への報告の内容だけじゃなくて、県として施策を打つ上でどういったデータの在り方をするのか、早急な見直しをお願いしたいと思います。  105の提言の中でも、都道府県社会的養育推進計画に基づく家庭養育優先原則の実現などが盛り込まれておりますが、この原則実現のため、これまで度々の改正を重ねながら、里親委託ガイドラインが厚生労働省により通知をされております。  そこでは、長期委託のみならず、短期委託が必要な子供でも、また、養育先への委託が緊急を要している場合などで、当面施設入所措置をしたとしても、乳幼児の場合には日から週単位、長くとも数か月以内には移行すべきであるなど、全ての年齢で原則ないし常に里親委託を検討することとされております。  特に一時保護においては、子供が住んでいる地域での里親委託が可能であれば引き続き通園、通学が可能になり、学習面での保障のみならず、家庭以外とのつながりを断ち切らないことが、子供の情緒の安定にも資すると考えられます。  しかしながら、里親委託が可能であると思われるにもかかわらず、必ずしもそうなっていないケースも見受けられたり、全く委託の打診を受けない未委託里親も多い現状に鑑みて、ガイドラインに沿った運用が十分にされていないのではないかと考えます。  そこで、里親委託ガイドラインに沿った運用の徹底について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 子供にとりまして最も安心できる家庭において、特定の信頼できる大人から十分な愛情を注がれながら愛着を築き生活できる環境を整えることは、心身ともに健やかに成長する上で大変重要なことだと考えております。  そのため、実家庭における養育が困難な場合は、これまでから里親委託ガイドラインに沿って、里親やファミリーホームへの委託を進めているところでございます。  また、子育て短期支援事業の受入れを希望する里親情報を市町へ提供するなど、積極的に里親委託を活用する取組を進めているところでございます。  各子ども家庭相談センターにおきましては、社会的養護を必要とする子供が増加する中、虐待による影響など様々な課題を抱え専門的な対応を求められるケースが多くなっておりますが、引き続き、里親委託ガイドラインの適切な運用を徹底し、里親委託を積極的に進めてまいりたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)昨年の3月になりますけれども、私も研修を終えて知事にお認めいただいて、里親の登録をさせていただきました。私は、多くの子供たち、支援家庭をどうにかサポートしたいという思いで、第1希望は一時保護、そして夏季休暇といった季節であったり、また、週末に施設の子供たちを預かるホームステイなども希望しておりますが、登録をして以来、今日に至るまで、打診を受けたのが1回のみです。これはマッチングができなかったというわけではなくて、打診の連絡そのものが1回しかないわけですね。  確かに、今この瞬間、電話を受けても私は取ることができません。忙しいというふうに思われたり、適切でないと思われているのかもしれないですけれども、この打診がないのは私だけの問題ではなくて、多くの方が受入れが可能であるにもかかわらず、里親委託が原則であるにもかかわらず、まず里親に打診をして、そこからできるのかどうかということになるわけですが、打診そのものがないということ自体が、これはどうなのかなというふうに思っているわけだと思います。  もちろんストレスを抱える子供は非常に大変です。そして、そのストレスを受け止める里親のエネルギーも大変必要なわけでありますけれども、それでもなおかつ、なぜ家庭養育推進でいくのか。そこでは里親のサポートをしながら、里親委託が進められなければならないわけです。  前回の議会質問の中でも、保護者の方が望まれないということもあったわけなんですけれども、必ずこの里親ガイドラインにおいても、施設か里親かを保護者が選べるわけではなく、子供の最善の利益の中から里親委託が原則であるということをきちんと丁寧に説明していくということと、また、特に一時保護とかショートステイ、そういったところを頻繁にできればしていくほうがいいわけですけれども、必ず里親と保護者との関係性をうまくつないでいくということもいろいろこう書かれているわけであって、そういうことをしながら、やはり丁寧に保護者の方にお伝えしていくということも重要だと思います。  それと同時に、この推進計画の中で、里親委託率の急激な高さが求められていることから、やはり施設の方がその存続において危機感を持たれているということも少しあります。里親委託が増えますと、施設として子供の預かりが少なくなりますと、施設としてどういうふうにしていくのかということで懸念をされている面もあるということです。  しかしながら、全ての子供たちが里親として受け入れられるわけでもありません。それは数の問題もそうですし、やはりいろいろな複雑な背景を持った子供たちがいますので、全てが里親で受け止められるわけではありません。しかしながら、そうしたところの里親の支援としてもやはり施設の存在は必要ですし、もちろん専門家としての施設の存在というのも非常に重要だと思うのですね。そういったところの施設の在り方そのものも、やはり見通しをつけていくということも必要だと思っています。  また同時に、センターのほうにおきましても、令和4年度までに配置すべき里親養育支援の専任配置がまだできていないことがありまして、センターの担当者とやはり里親との関係がしっかりとしたまだ関係性が結べるほどの人員配置がされていないということも、いろいろ背景はあると思うんですね。そうしたことも同時に進めながら、里親支援をしっかりと進めて、このガイドラインの運用の徹底に向けてぜひ進めていただきたいと思っております。  一時保護の施設に平均が25日から30日ということになっておりますけれども、これは短い期間も合わせてですから、子供によっては2か月近く一時保護施設に留め置かれて、学校にも行けない、友達にも会えない、そういった状況の子供たちもいるわけです。そうした中で、人とつながる力を成長期における子供がどうやってつくっていくのか、そういった点も踏まえて、ぜひここはしっかりと、本当に運用の徹底をしていただきたいと思っております。  さて、今年度、滋賀県ではフォスタリング機関が立ち上がりました。里親のリクルートや里親のマッチング、里親支援の充実、随時の研修機会の提供による参加しやすい体制づくりなどが期待をされるところです。  里親委託ガイドラインに沿った里親委託を進めるには、里親の様々な動機を生かしながら里親の開拓に取り組むとともに、里親と子供との丁寧なマッチングを考えれば、フォスタリング機関と里親会がしっかりと連携していく必要があると考えますが、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  県では、里親のリクルート、研修、マッチング、登録後支援など里親養育を包括的に支援するフォスタリング事業を、社会福祉法人小鳩会に委託して行っております。里親会は里親同士の横のつながりに強みを持っていることから、フォスタリング機関である小鳩会と連携し、里親同士の相互交流を主体的に実施いただいているところでございます。  フォスタリング事業は、里親会やその他の里親支援機関と協働で進めていくことが重要だと考えておりまして、里親委託等推進協議会等で御意見をいただきながら、関係機関が一丸となって連携の取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)全国の中には、このフォスタリング機関の中にフォスタリング機関の施設と里親会が入っている場合もございまして、いろいろなケースがこのフォスタリング機関はございます。  そうした中でも、里親が先ほど申し上げたように子供たちを受け入れるには、子供のストレスを受けるときの里親の、里親自身も感じるストレスをやはりどう支えていくのかという点でも、しっかりとこのフォスタリング機関と里親会がつながっていかなければ措置不良となる可能性もありますし、お互いにとって、子供にとっても非常に残念な結果にならないか、悲しい結果にならないかということもございますので、より連携していく必要があると思っています。ここがしっかりと連携しているところ、他府県を見ておりますと、やはりそういったところで里親委託が進んでいっておりますので、是非ともより連携を進めていただきたいと思います。  児童虐待相談件数が増加し、保護者や子供への対応が複雑化、困難化する中、社会的養育推進計画の目標達成に向けて、現状の課題をどのように捉えているのか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 御案内のとおり、本県では、滋賀県児童虐待防止計画の中に社会的養育推進計画を位置づけまして、子供の最善の利益を最優先に、子供が安全・安心に暮らしていける社会を目指して取り組んでいるところです。  この計画における里親等委託率の目標値は、令和6年度48.3%と設定しているのに対し、令和2年度末時点で34.7%となっております。目標達成に向けて、保護者が里親委託に反対しているケースへの対応など、里親委託の推進に向けたさらなる取組が課題であると捉えているところでございます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)先ほど来申し上げておりますように、児童虐待相談件数が増加をしており、また、継続件数、継続案件も増えております。こうした中で、大変今、児相の職員さんも忙しいわけですが、これは気合で乗り切れるような問題ではないと思うんですね。非常にずっと右肩上がりのこの件数の中で本当にどうしていくか、今まさに問われているときなのではないかなと思っております。  子供たちのこの状況を見ていますと、児相の人員体制の強化も言われるわけですが、それぞれの児相において、もう既に机などが置ける事務スペースもかなり狭くなってきておりますし、また、それと同時に、管轄区域を見直さなければならないほど、児相間のリバランスといったような状況も生じております。  そして、先ほど申し上げたように、施設の高機能化という道筋をどのようにこの力も生かしていくのか。県のセンターだけではなくて、ほかの力も生かしながらどうしていくのかということが今まさに問われているんだと思います。  さらには、支援の充実、ペアレント・トレーニングやアンガーマネジメント、そして虐待を受けたトラウマを抱える子供へのケアをどのようにしていくか、こうしたことがまだ全く取り組まれていない、ほぼ取り組まれていないぐらいの状況でございますので、こうしたことをどういうふうにできるのかということを進めていくのも課題だと指摘させていただきまして、最後に、計画達成のための体制づくりをどのように進めていかれるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。まず、議員の、議員個人としてもこういった分野にお取り組みいただいていることに敬意を表したいと存じます。  また、今日はそういった御経験を踏まえて、大変突っ込んだ御提起、御議論をいただきました。先ほどお示しいただいた資料でも、例えば、こういった縦軸と横軸で年齢と支援の必要性ということでお示しいただきましたけれども、できるだけ早い段階で、この左側の、そして下のほうのこの段階から、いかにそういった必要性を早期にキャッチするのかといった課題でありますとか、だんだん成長していくに従って、例えば就学前、就学後、それぞれの学校、それぞれの教育機関とのつなぎ、当然、市町との連携というのも重要でしょう。  また、上のほうの施設、社会的養護に行く前の、議員もおっしゃいましたけども、短期の支援というような形で子供たちが人と関わる、そういったことをより充実させていくことも必要でしょうし、この右側ですね、18歳以上の人たちの過ごす環境の整備、こういったところに現状の課題がやはりあるのではないかというふうに思っております。  それ以外にも、例えばフォスタリング事業など、もっと他の機関との連携を図るべきではないか、そのためにも、子ども家庭相談センターの機能を体制としてもしっかりと強化すべきではないかといったような問題提起は私も共有しております。  現在3つあるセンターのリバランスについても、国の一定の見直しなんかも行われておりますので、それに基づいて現在検討をさせていただいているところでございますし、中央、大津・高島、そして彦根、これを全県でどのようにカバーするのか、し直すのか、こういったことと併せてですね、今、御提起のございました社会的養育を家庭的養育をさらに進めるための子ども家庭相談センターの体制づくりにつきましては、今後しっかりと検討してまいりたいと存じますので、引き続きよろしく御指導賜れればと存じます。 ◆19番(駒井千代議員) (登壇)私は、ぜひ知事にも里親登録をしていただきたいと思っています。でも、即座に、やはり今の時点では無理だと思われたんではないかなと思うんですね。そしてまた、議員各位も全県から各地域から選出されておりますので、まだまだ里親が足りない状況ですので、ぜひ登録していただきたい。しかしながら、今無理だと思われるのは、まさにそこがスタートだと思います。どういった支援があれば里親登録をしていただけるのか。まだまだ足りないことはいっぱいあると思うんですね。そういったことを基準として、これからの体制づくり、しっかりと進めていただきたいと思っております。  滋賀県の基本構想では、「変わる滋賀 続く幸せ」、子供が幸せを感じられる滋賀へ、子どもファーストの滋賀に向けて、しっかりとした体制づくりに向けて取り組むことを私自身もさらに進めていきたいと思いますので、今回はここまでの質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、19番駒井千代議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。  明7日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時15分 散会    ────────────────...