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令和 2年 9月定例会議(第10号〜第16号)−09月18日-02号

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  1. 滋賀県議会 2020-09-18
    令和 2年 9月定例会議(第10号〜第16号)−09月18日-02号


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    最終取得日: 2023-05-14
    令和 2年 9月定例会議(第10号〜第16号)−09月18日-02号令和 2年 9月定例会議(第10号〜第16号)                 令和2年9月定例会議会議録(第11号)                                        令和2年9月18日(金曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第2号                                         令和2年9月18日(金)                                         午 前 10 時 開 議  第1 常任委員会委員の所属変更  第2 議第124号から議第151号まで(令和2年度滋賀県一般会計補正予算(第7号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  第2 日程第2の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸
       7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江    11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          吉  田  秀  範               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           滝  澤  依  子           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         瀬  川  進  一           ──────────────────────────────   午前10時 開議 ○議長(細江正人) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(細江正人) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  公安委員会北村嘉英委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員が出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(細江正人) これより日程に入ります。    ──────────────── △常任委員会委員の所属変更 ○議長(細江正人) 日程第1、常任委員会委員の所属変更の件を議題といたします。  環境・農水常任委員会委員、30番岩佐弘明議員から厚生・産業常任委員会委員に委員会の所属を変更されたい旨の申出があります。  お諮りいたします。  30番岩佐弘明議員からの申出のとおり、委員会の所属を変更することに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── △議第124号から議第151号まで(令和2年度滋賀県一般会計補正予算(第7号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問 ○議長(細江正人) 日程第2、議第124号から議第151号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。  本日は、会派代表による質疑ならびに一般質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、24番加藤誠一議員の発言を許します。 ◆24番(加藤誠一議員) (登壇、拍手)おはようございます。自由民主党滋賀県議会議員団を代表しての質問の機会をいただきました。議席33番の席が15日から空席となりまして寂しいところでありますが、今回の質問は、生田元議員を含めた20名の熱い思いを込めた質問であることを初めに申し上げたいと思います。  さて、一昨日、第99代菅義偉内閣総理大臣が誕生し、今朝の新聞報道では内閣支持率66%という、新たな菅政権がスタートしました。始まる前からいろいろ言われる方がありますが、総理が語られた自助、共助、公助は、とりわけ災害時には欠かせない考え方でありますが、批判のための批判では、この国はよくならないと改めて思った次第であります。菅政権は、国民に選ばれた高い支持率の現政権として、国家、国民のためにこれまで以上の内閣として活躍されると確信をいたしております。  菅総理は、「役所の縦割り、悪しき前例主義を打破し、規制改革を進め、国民のために働く内閣をつくる」と語られました。私は、それだけ行政需要が多様化をし、また、その課題解決が複雑化しているように思います。地方行政もしかりであります。今回の質問には、部局にまたがる課題も提案させていただきました。質問の背景にも御理解いただき、知事の大所高所から、また柔軟な発想での考えを伺いたいと思います。  また、先立って、持病の再発によって断腸の思いで辞任をされました前安倍総理におかれましては、7年8か月、本当にありがとうございました。そして、御苦労さまでした。議員をお辞めになったわけではありません。まずは病気治療に専念をいただき、健康を取り戻された暁には、これまでの御経験をもって、また御活躍いただける日を楽しみにしております。  それでは、発言通告に従って、順次、質問をさせていただきます。  最初に、新型コロナウイルス感染対策の今後と知事の政治姿勢について、知事にお尋ねします。  これまで、知事をはじめ関係部局の皆さんが日夜、県民のために新型コロナウイルス感染対策に御尽力いただいていることに、また、医療等の現場で携わっていただいている方に、心から御礼申し上げます。ありがとうございます。その上で、感染対策について、県民の不安を払拭する視点に立って議論をさせていただきたいと存じます。  三日月県政2期目は、早くも折り返しとなりました。2期目のスタートでは、「健康しがの政策を、これまでの4年間で進んだものはより伸ばし、道半ばのものはしっかり取り組んでいく」と述べられ、記者会見では「元気な知事でありたい。また、謙虚な知事であり続けたい」と語られておられます。その2期目、折り返しで、自己採点は及第点をいただけると述べられました。  そこで、及第点とされた点を改めて県民の皆様にお示しをいただくとともに、折り返しに当たっての知事の抱負を伺います。  さて、9月10日に県のコロナ対策本部を経て、「新型コロナウイルス感染症対策にかかる振り返りと今後の方向性」が公表されました。現在までの感染者の推移を見ますと、これはどう考えてもあまりに遅いのではないか、緊張感や危機感が伝わってこないと感じているのは私だけではないと思います。県民の命を守る、安全・安心をしっかり担保することこそ、まさに一丁目一番地、その危機管理は県政トップとして最重要課題であります。  6月23日の記者会見でも、「しっかりと次の波に備えられる検証を行っていきたい」との、この振り返りの趣旨を端的に述べられておられます。早く検証されれば第2波は抑えられる、との期待を持たれた方も多かったと思います。改めて、第1波の検証がなぜ今になったのか、まず伺います。  特に、危機事案発生時に県民の命を守るには、まず県民への徹底した広報です。公表された感染症対策の振り返りでも、広報の役割の重要性について再認識されたところであります。平時の広報と非常時の広報における広報は、明らかに基本が異なると思います。時間との勝負であっても、情報の正しさと、何より分かりやすく伝えることが特に重要であります。コロナ禍でこれまで県が行ってきた広報の取組を振り返ったとき、県民への広報は十分であったのでしょうか。また、課題はどうであったのか。危機事案発生時における広報の姿勢について伺います。  今回の検証は、県民をはじめ関係団体や有識者など、部外の方の意見も取り入れてまとめるとのことでした。寄せられた意見にはどのようなものがあったのか。初めての経験から、県民目線ならではの意見があれば御紹介いただき、あわせて、今後の取組にどう生かされるのかも伺います。  感染症が続いている中とはいえ、第1波での感染者が減少した時点で、素早く次の波にはこう対応するという基本がまとまっていたならば、また違った状況であった可能性は高いと思います。今回公表された振り返りで気になるのが、今後の方向性に、検討する、国に要望するとの事項がある点です。ぜひしっかり振り返り、検証し、検討や要望は早急に結果を出されるようお願いをしたいと思います。  そこで、これまでの県の対応、今回の振り返りを踏まえ、第3波が来ないことを願いつつも、なお続いている現状への対応、また、さらに全く新しい感染症が出現した場合の基本的な対応ルールを、この際、策定しておくべきではないでしょうか。知事の考えを伺います。  優れたリーダーは、謙虚さと意思の強さを併せ持つと言われます。もちろん、三日月知事は既にお持ちであります。加えて、いかに先を見通すかも重要であります。「愚者は成事に暗く、智者は未萌に見る」ということわざは、事前に予想して、準備して対応することの大切さを論じたものであります。コロナ第1波は手探りでしたが、それを踏まえた次なる対策の準備こそが、ことわざで言う大切な準備でもあります。  また、国民スポーツ大会障害者スポーツ大会の延期要請に係る対応は、どうも県として何の表明もされないうちに、外堀が埋まってしまった感があります。去る15日の所信表明で、「2024国スポの1年延期を受け入れる」と表明されました。鹿児島県開催が延期となり、4県合同による国への要望はされたものの、その後は結局、個別府県の動きとなりました。鹿児島県からの要望や他県の動きがある中で、知事は確かに影響が大きいということは何度も述べられていましたが、ここで確認ですが、選手や県民の立場になったとき、延期は受け入れ難いというお気持ちはあったのでしょうか。伺います。  また、今回延期を受け入れるに当たって、所信では、国の補助など、延期の影響を緩和する支援が示されたことからということでありますが、その前に、「影響は、とりわけ2024年を目指して日夜練習に励んでこられた選手の皆さんには大きな影響が生じると認識している」とも述べられておられます。いわゆるターゲットエイジとして強化を進めてきた延べ1,200人の子供たちのうち、2025年春に高校を卒業する生徒は、目標だった少年種別に出場できないということだと思います。ならば、この選手への影響に対する対策や具体的な支援を示してこそ、延期が受け入れられるのではないでしょうか。選手への影響はどのように緩和されるのか。また、延期受入れの条件は何なのか、伺います。  いずれにせよ、受け入れる以上、課題を克服し、万全な体制で大会を迎えなければなりません。今後どのように進めていくのか。改めて、国スポ・障スポ開催に向けた知事の姿勢を伺います。  この項の最後に、コロナ禍での地方自治体の財政的な影響に関して、関連して伺っておきます。  コロナは、本県のみならず、地方財政の大きな負担となっています。とりわけ、命のとりでである公立、私立病院など医療機関は、経営難から倒産への危機もささやかれています。これは本県だけの課題ではありません。現行法を変えてでも、国が責任を持っていただきたい課題があると思いますが、こうしたときこそ、地方自治法第263条の3にある全国知事会が、その本領を発揮されるべきであります。内閣に意見の申出に対し遅滞なく回答する努力を求めており、地方自治を預かる者への権限を最大限活用するべきであると考えますが、全国知事会の動きとともに、知事の考えを伺って、次の項に移ります。  次に、滋賀県ICT推進戦略の今後の在り方について、知事にお尋ねします。  今、IoT、AI等による第4次産業革命が世界的規模で進行しています。その中で、高度情報通信ネットワークを通じて多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することで、急速に進む少子高齢化がもたらす多くの課題の解決を図るため、官民データ活用推進基本法が制定をされました。これを受け、本県も県民の利便性向上、業務のさらなる効率化などの課題解決に向けた有効な手段であるICTやデータを積極的に活用するとして、滋賀県ICT推進戦略を平成30年3月に策定しています。また、今般の新型コロナから、新しい生活様式をにらみながら、さらにICTを推進しようとされています。  そこで、この戦略の取組を着実に進めていくため、これまで県としてはどのような役割を果たしてきたのか。また、今般の新型コロナウイルス感染症対策において、県ではICTを活用しどのような対応を行ってきたのか。その成果と課題についても併せて伺います。  世界最先端デジタル国家創造宣言官民データ活用推進基本計画、少し長い計画ですが、これは政府のIT戦略であります。7月に改定をされました。全ての国民がデジタル技術とデータ利活用の恩恵を享受するとともに、安全で安心な暮らしや豊かさを実感できるデジタル社会を実現するとされています。  こうした中、地方においても当然のことながら、行政のデジタル化や、いわゆるビッグデータの活用がさらに加速して、県民への恩恵が見込まれます。今議会補正予算案にもビックデータ活用の予算が計上されていますが、県の責務として、行政のデジタル政策実現に向けてどのように対応していくのか、見解を伺います。  また、県の行政推進において、これまでからも業務の効率化とコスト削減を推進するため、庁内業務のICT化に取り組まれてきたところでありますが、戦略策定後、現在までの取組についての状況評価と、庁内業務のさらなるICT化に向けて、具体的にどのように進めていくのか伺います。  さきに新型コロナウイルスに関連しての活用を伺いましたが、人々の移動や接触が制約される中で、急速にテレワークやウェブ会議の活用が進み、人々の働き方に対する意識は大きく変化しています。また、社会生活においても、物との非接触の取組が加速し、手続のオンライン化やキャッシュレス決済が普及しています。こうしたことを踏まえ、この戦略を今後どのように展開していかれるのか。特に、効率性や実効性の観点から知事の見解を伺い、次の項目に移ります。  次に、コロナ禍を踏まえた移住・交流促進の取組について、知事にお尋ねします。  コロナ禍が広がる中、去る5月に、移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査報告書が、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部から公表されました。その中で、東京圏在住者の実に49.8%が地方暮らしに関心を持っている、地方出身者に限れば6割強が関心を持っており、東京圏出身者よりも高いとの調査結果が出されております。  また、7月に政府が公表した経済財政運営と改革の基本方針2020においても、新型コロナウイルス感染症対策によるテレワークの活用は、地方移住の可能性を広げるものであるという指摘がされました。さらに、総務省が行っている人口移動報告の分析からは、ある企業グループが本社機能の淡路島への移転を打ち出すなど、企業にも脱東京の動きが出始めたと伝えています。  このように、首都圏等における地方移住への関心の高まり、企業の地方移転の動きという社会の大きな変化が生じているこの機を捉え、東京一極集中の流れを変えるためにも、都市部から本県への移住施策や企業の移転誘致にさらに力を入れるべきと考えますが、チャンスとも言える現状をどのように捉えておられるのか、見解を伺います。  また、テレワーク等の普及は、県内でも京都や大阪とのアクセスが有利な地域に、ベッドタウンのような形で人がさらに集まることも想定されます。一方、県北部地域においては、名古屋をはじめとする東海圏域からの移住促進を図ることも考えてみる価値がありそうです。福井からの流れも予想されます。こうしてみると、東海道や中山道をはじめ北陸地方とも密接に関わり、古来より言われておりますこれまでの交通結節点に加え、人の交流結節点としての滋賀県への移住をアピールしてみてはと思いますが、知事の考えを伺います。  ただ、移住促進を進めるに当たっては、単に人口を増やすことを目指すだけでなく、地域コミュニティーの弱体化、地域文化の伝承の困難さ、空き家の増加等の課題が顕著に現れるなど、人口減少の進んでいる地域への移住により注力することも重要と考えられます。ただ、精神論的なアプローチでも、実際にそうした地域への誘導が難しいことも事実であります。
     そこで、知事は、移住希望者への実益的な支援の必要性についてはどのようにお考えでしょうか。また、移住政策は市町との連携が不可欠であります。一方、市町のスタンスや考え方、課題も様々です。市町との連携について、どのように歩調を合わせ促進に向けて取り組むのか、現状も併せ所見を伺います。  また、コロナ禍での移住・交流促進は、特に首都圏からの移住促進はこれまでにない他県との競合になる一方、都市部での感染拡大による風評、また、一部では別荘地などが乱再開発されるなどの事態も懸念されるなど、チャンスでもありますが、これまでにない難しい対応も想定されます。今後、移住促進や企業の移転誘致について、県としてどのように取り組んでいこうとしているのか、方針と具体策を伺います。  また、移住に併せ、本県出身学生のUターンや県外出身学生の定住に向けた取組も不可欠です。学生が卒業後、本県に戻り、また、とどまるためには、やはり多様な働く場の創出が必要であります。単に滋賀に来てくださいではなく、新たに住むという視点で、必要な施策を総合的に進めるべきと考えますが、改めて、移住とともに、定住に向けた本県としての本気度を知事の言葉でお聞かせください。  移住で人口が増えるということは、やはり県経済にとって大きなプラスであります。県財政を支える県税の増加につながるということからも、しっかり取り組まれたいと思います。その県税が見通せません。この項の最後に、心配される県財政から、令和3年度当初予算編成に向けた考えについて伺います。  コロナ禍の中、国の概算要求も1か月遅れですが、いよいよ来年度予算編成に向けて、本格的に編成作業が始まります。一方、感染症対策はもちろんのこと、個人や法人企業に対する経済支援対策など、既にこれまでに大きな補正予算が執行されています。本県においても、6月までに700億円近い補正予算が計上され、また、今定例会議には、かつてない640億円を超える補正予算案が上程されました。このような状況を考えますと、これまでのような予算編成の考え方で果たしてよいのかという思いであります。  新しい生活様式と声高に叫ばれる昨今、これに対する予算は、コロナが見通せない中でどう扱うのか。本来、当初予算は年間予算でありますが、国のように大胆な予備費の計上など、様々な組み方もあります。将来に向けて、県民が安心できる令和3年度予算の編成についての考え方をこれを機に知事に伺い、この項の質問といたします。  次に、滋賀の文化推進について、知事にお尋ねします。  昨年度に文化とスポーツ部門を所管する文化スポーツ部を新しく設置され、本年4月からは、文化財保護行政についても総合的、一体的に推進するため、文化スポーツ部で所管することにされました。  ところが、新たな船出に水を差す事件です。竹生島の宝厳寺修繕において、県職員が入札情報漏えいで逮捕、起訴されるという、これは大変由々しき問題です。現在進められている根本中堂の修繕へも影響があるやに聞きますが、文化財の保護に関しては、県内市町からも、技術的指導や支援を県に求める声があります。こうした声も含め、現在の文化財保護体制の課題と、今回の事件を受けての今後の文化財の修繕、保護に係る方針について伺います。  さて、本県は平成21年に滋賀県文化振興条例を制定しています。先立って平成13年に施行されました文化芸術振興基本法を踏まえながらも、県の文化行政の継続性を担保する意味から制定された県条例は、産業分野の連携、高齢者、障害者、青少年の文化活動、また、学校教育における文化活動の充実も基本的施策の柱としている点は、法律の先を走っている条例でありました。  国も平成29年に、それまでの文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流の各分野での施策を法律に取り込む改正を行い、名称も文化芸術基本法と、「振興」を取った名前の改名をしています。改正された法律では、地方文化芸術推進基本法の策定を努力義務とされましたが、本県の条例にある滋賀県文化振興基本方針は、法律の基本計画という位置づけにあるのでしょうか。法律との整合性も含めて、考えを伺います。  去る7月20日に滋賀県文化審議会が開催されています。県条例の第4条です。「知事は、文化振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、文化の振興に関する基本的な方針(以下「文化振興基本方針」という。)を定めるものとする」と規定しています。その文化振興基本方針第3次の策定に向けて諮問をされました。文化審議会の会長も、「法律の改正は、振興にとどまらず、社会の様々な課題を解決しようという形になり、文化施策が一歩先の段階に踏み込んだ」と述べ、県は既にその取組を行っているとの挨拶であったようです。  そこで、第3次基本方針検討に当たって、現在の条例の振興という意味合いも再度検討し、基本的施策に、法にあるようなまちづくり、国際交流などの柱を条例に加えるなどの見直しも必要になっているのではないかと考えますが、こうした考えも含めて、今後の滋賀県文化振興条例の推進について、知事の考えを伺います。  さきの文化財事件は事件として、文化財保護を知事の下で行うという組織となり、関係者の期待は大きいものがあります。言わずもがなでありますが、単位面積当たりの城郭数は、滋賀県は全国1位であります。貴重な財産、地域の誇りである文化財を後世に確実に継承し、保存と活用の好循環をつくり上げるべく、文化財活用推進室が設置されました。その背景は、法に基づく滋賀県文化財保存活用大綱が策定されたことや、本年度に入って文化観光推進法が施行されたことからと考えます。  そこで、現在進められている彦根城の世界遺産登録への取組や「幻の安土城」復元プロジェクトは、こうした活用と推進という国の動きと相まって、それぞれ県として何を目指して進められているのか、改めて伺います。  とりわけ、世界遺産の登録というのは国の力も非常に重要ではないかと考えますが、現在の県の対応方策も伺います。  先日、我が会派は現在の琵琶湖文化館を調査いたしました。私を含む参加者は、一刻も早く、お預かりしている貴重な文化財を良好な環境で保存し、そして、早く県民の皆様にお見せするべきとの思いを強くいたしました。今回は質問とはいたしませんが、県民が納得できる次なる琵琶湖文化館の計画が一刻も早く提案されることを期待し、次の質問に移ります。  次に、新型コロナウイルス感染症の次の流行への備えについて、知事にお尋ねします。  いわゆる第1波の流行の後、一時的に感染が収束したかに見えましたが、御承知のように、7月に入り、学校、飲食店、介護施設、病院など、次々とクラスターが複数発生しました。県としては、検査や医療の体制が逼迫している中で感染の拡大が想定されることから、病床や宿泊療養施設の確保計画を前倒しするなどの対応に追われたと承知しております。  今、第2波にあって、どこまで拡大するかと非常に心配でありますが、少し減少に転じています。しかし、安心はできません。難しい季節を控えており、でき得る対策は全て手を打つことが今必要であります。特に、季節性インフルエンザとの重複への懸念であります。  例年、季節性インフルエンザの流行期には多数の発熱患者が発生していますが、早くから新型コロナウイルスとインフルエンザの臨床的に鑑別することは困難であることが指摘されていました。このことは6月議会において我が会派の代表質問でも触れましたが、今議会に高齢者等へのインフルエンザ予防接種促進対策が盛り込まれたことは一定評価するものであります。  一方、国は、コロナ、インフル、双方の検査を受けられる一般診療所を増やしたい考えのようでありますが、そう簡単ではないとも思います。  そこで伺いますが、2つの疾患が臨床的に鑑別できない中で、医療提供体制に支障が起こらないようにするための対策について、知事の見解を伺います。  また、小中学校、高校においては、緊急事態宣言により本年度の授業日数は減少し、学校では授業日数の確保に苦慮されておられます。これ以上、インフルエンザの流行による学級閉鎖や臨時休業で授業日数を減少させるわけにはいかないものと考えますが、こうした点も含めて、具体的な対策を伺います。  また、実際に発熱した患者が安心して相談や診療を受け、新型コロナウイルス感染症の検査につながる体制が必要と思いますが、国が求めている双方の検査が受けられる体制の現実的な課題も含めて、体制整備をどのように構築しようとしているのか、併せて伺います。  さきに申し上げましたが、本県においても介護施設でクラスターが発生しました。介護施設には、医療依存度が高く重症化しやすい高齢者の方が多く利用されています。感染拡大時には、速やかな入院に向けた対応や職員の感染対策徹底、また、濃厚接触による介護サービスの提供が難しい状況下での職員体制の再構築など、大変厳しい状況に陥ったと仄聞しています。  そこで、介護施設などの福祉施設においては、平時からの感染症対策の中で安心して施設運営ができるよう、県としてもっと積極的な支援が必要ではないかと思いますが、知事の見解を伺います。  また、感染症が発生した際には、当該施設は安心と混乱が生じることになると思われます。施設において感染が拡大した場合でも適切な介護サービスが提供できるよう、迅速な支援体制の構築も必要です。こうした取組が進んでいるのかも併せて伺います。  さて、新型コロナウイルス感染症は、高齢者等の重症化リスクが高いと言われる一方で、感染者のうち8割が軽症や無症状のまま治癒しているという状況です。しかし、感染症法に基づく指定感染症として、2類感染症以上の措置が政令で定められていることから、無症状でも、感染した場合は社会生活に大きな制約がかかってしまいます。問題はそれだけではありません。新型コロナウイルス感染症が指定感染症に位置づけられていることにより、過度にこの病気を恐れる結果となっており、そのことで感染者への中傷や差別的な事象の発生にもつながっていると思います。  感染症対策はしっかり行う中で、かかる差別事象を踏まえ、国に対してこの取扱いの見直しを求める必要があると思いますが、県としてどのように考えておられるのか、知事の見解を伺います。  また、現実に発生しているこのような中傷被害や差別的な事象は、人権上許されない問題であります。感染された方の気持ちに寄り添い、県民の皆様に温かい支援の輪が広がるよう、県としてどのように取り組むのか伺い、この項の質問といたします。  次に、観光関連産業の振興と雇用対策について、知事ならびに中條副知事にお尋ねします。  コロナショックで国内旅行産業は大きな打撃を受けました。今もその中にあり、本県も同様に観光需要が大きく落ち込んでいます。もちろん、自粛に伴って国内の移動が制限され、不要不急の外出を避けるとの下で致し方ないことであります。  そこでまず、宿泊もさることながら、食や土産、遊び、移動など、県の観光関連産業全体への影響はどういう状況なのでしょうか。可能な限り数値的傾向も含めて、知事に伺います。  本来、旅行やリゾートは非日常を楽しんで、ストレスを下げるものであります。かつて戦後、感染症が発生したときに、サナトリウムが全国につくられたそうでありますが、コロナ禍にあって、単に長期療養の場ではなく、免疫力を高める、積極的なストレスを下げる環境をつくることを考えるべきだとの見解もあります。  また、GoToキャンペーンなど、失われる需要を政府や自治体がつくる政策は対症療法として効果はありますが、しかし、いつまでも続けることは不可能であります。知事は記者会見で、観光の指針についても練り直しが必要との認識を持たれましたが、この機会に、供給サイド、ホテルや土産、観光地、移動手段だと、すなわち観光関連産業全体が連携した枠組みで、滋賀県の観光需要を創出する政策をより強く打ち出すことが必要ではないかと思います。練り直しに当たって、観光関連産業に関わる経営者の改革意識を高め、逆境に負けない観光産業の地力づくり、観光資源づくりの考えを知事に伺います。  インバウンドもコロナで崩れています。ただ、「健康しが」ツーリズムビジョンの基本はそう簡単に変えるものではないとも思います。指針見直し1年前倒しという報道もありますが、今も先が見通せない中で、スケジュール感も含めて、何をどのように練り直そうとされているのか、知事に伺います。  さて、観光への影響といえば、5月初めに伝えられたロイヤルオークホテルの自己破産であります。従業員はパートも含めて220名とありました。さきに観光関連産業の影響は伺いましたが、コロナの影響と考えられる本県の企業倒産は、現状どのような状況なのか。また、今後の予想も含めて、知事に伺います。  こうしたコロナ禍にあって、経営が成り立たなくなることで、この際、廃業をお考えの企業もあると思われますが、こうしたときこそ、県が進めている中小企業の事業継承支援策をフルに活用させていただくことを願うものであります。  企業倒産は従業員の失業そのものでもあります。一方、7月の滋賀県内の有効求人倍率は0.81倍と、7か月連続で前の月を下回りました。企業の求人も少しは戻っているようでありますが、こうした状況を知事はどのように見ておられるのでしょうか。本県経済への影響も含めて、知事に伺います。  近畿の中でも、今、雇用情勢が大変厳しい本県であります。その中で中條副知事に御就任いただきました。副知事は厚生労働行政に非常に精通されておられ、これまでの経験を最大限に生かしたいという記者会見からも、コロナ禍での働き方改革や失業者等の雇用問題解決に大きな期待を寄せております。  そこで、初めて中條副知事に伺います。国におられて、本県の産業構造から見た雇用情勢について、強みあるいは弱点についてどのように見ておられたのか。そして、その基本的対策をどのようにお考えかも、併せて副知事に伺います。  さきにロイヤルオークホテルの自己破産のことを申し上げましたが、コロナ禍における雇用対策として、国の雇用調整助成金制度は、労働者にとっても、また企業活動の継続にとっても効果のある対策だと思います。12月まで延長されましたが、本県におけるこの制度による効果について、現状どのように分析されているのか、これも中條副知事に伺います。  また、企業の倒産で失業された方への対応であります。もちろん雇用保険という対策はありますが、再就職に当たっては、ハローワーク任せではなく県としても必要ではないか。農林水産省は、外国人実習生の受入れが困難なことから、求職者と農業生産者を結ぶポータルサイトを開設するなど、国においても具体的な取組となっています。県としての相談窓口や他産業での人材不足との橋渡し施策など、現在どのような対応を行っているのか、あるいは今後どのように行おうとしているのか、同じく中條副知事に伺います。  この項の最後に、再び知事に伺います。  結婚や出産のために退職する女性が大きな問題となって、かつてテレワークを導入する企業がありましたが、今、リモートワークが脚光を浴びています。政府が働き方改革を掲げ、今、コロナウイルスの流行を機に導入する企業が増えているのは間違いありません。一方で、業種によってリモートは不可能な企業もあります。  また、有効求人倍率からは、観光業界などで求人が急速に細る一方、物流やネット関連では人手不足という、業種間でも鮮明になる雇用情勢も変化しています。こうした各種企業における雇用形態の変化、業種間の求人変化等を踏まえ、これらを支援する県の方針について、知事に伺います。  次に、農業振興と農山村政策について、知事にお尋ねします。  梅雨の長雨、夏の猛暑と尋常でない気候が続き、作物への影響が懸念されていましたが、今年も無事、水稲の収穫時期を迎えました。今年は気候もさることながら、害虫の発生も多い報道でありました。まず、現時点での本県の水稲の作柄について、状況を伺います。  その水稲、見込まれていた米の消費10万トン減少は、本年6月までの1年間の前年比においては、衝撃的な22万トン減少とのことであります。業界筋では、今年度産米は700万トンを割る可能性が語られています。  そこで、本県の今年度の食用米の生産量見込みと、国も政策的に推進していた非食用米への変更について、対応状況はどうなったのか、知事に伺います。  ところで、本県の農業生産出荷額を見ますと、平成30年度で641億円、平成22年度から回復傾向にあるものの、平成の初めの1,000億円からは35%減となっています。また、その品目別構成は57.65%、369億円が米であります。全国平均は米が19.2%であることからも、本県はやはり米政策を抜きにして県の農業は語れません。その米がまだまだ需要が減るということは紛れもない事実と受け止めなければなりません。こうした消費減少を受け止めた本県の米政策と来年度産米の作付について、どのような方針で臨まれるのか。近江米振興協会長でもある知事に伺います。  今、第2波のコロナ禍にあって、外出自粛や巣籠もり消費の高まりなどで、農畜産物の消費動向は大きく変化しています。それは、食品業界の外食の売上げが厳しい一方、食品スーパーや宅配は好調と言われることに表れています。こうした動向から、滋賀県の農水産品目はコロナ禍でどのような影響が現れているのか。あわせて、これまでの補正予算での成果、本議会補正予算による追加対策の考えも併せて伺います。  また、この先、コロナによる生活様式の変化も踏まえ、本県の農業水産業の産地は、需要や変化に対応できる販売戦略が必要ではないかと考えますが、米需要減が見込まれる中、県として今後の方針について伺います。  さて、本県の農林水産業は、農業・水産業基本計画と琵琶湖森林づくり基本計画によって総合的に推進するとされています。この中で、農村漁村は農業・水産業基本計画で、山村は琵琶湖森林づくり基本計画で、その振興を図ることになっています。  ここで改めて伺いますが、基本計画において、農村、山村、漁村のそれぞれの対象地域はどういう地域で、現在どれだけあるのでしょうか。琵琶湖と共生してきた本県の農林水産業は、日本農業遺産に認定されました。引き続き世界農業遺産を目指していますが、その訴えに耐え得る琵琶湖システムを農村、漁村の力に負うところは大きいと思いますが、今後、農村、漁村、山村の振興はどのように進められるのか、知事の考えを伺います。  また、本年3月に閣議決定されました国の食料・農業・農村基本計画では、農家数の減少や高齢化が深刻化する農業、農村を次代に持続的に継承するため、これまで以上に農村政策に力を入れる方針が示されています。これは、農地をはじめ水路や農道、ため池などを含む地域資源を維持し、地域をいかに次の世代に継承していくのか。つまり、維持管理への支援の重要性を改めて位置づけられたものと考えます。  現実に、本県でも地域資源の管理を担っている農家を含む集落の脆弱化は否めません。これらの地域資源を守るための対策について、現状と今後の方針について伺います。  一方、山村については、林業の振興と山村の活性化を一体で推進するとされています。現状では採算性が伸びないことから、本県でも放置される山林が散見されます。この対策として森林経営管理法が制定されましたが、まず本県の放置林の実態を伺います。  この法律では、国民が1人1,000円を納付する森林環境税と、それを財源に地方自治体が行う事業に充てる森林環境譲与税の仕組みとなっています。昨年度から森林環境譲与税が配分されましたが、森林環境税は令和6年から徴収されます。一方、本県独自の琵琶湖森林づくり県民税については、昨年、国の法律改正に伴い、税条例の一部が改正されています。しかし、県民税率については、さきの税制審議会で、現行の個人800円、法人2,200円から8万8,000円は据え置かれる答申がなされました。  そこで、改めて、森林環境譲与税と琵琶湖森林づくり県民税の使途について、どのように整理されたのか。また、県民税率を据え置くとされた議論の状況について伺います。  さらに、県民税は当然、県独自の施策に充当されると思いますが、やまの健康という知事の肝いり施策も含めて、今後はどのような考え方、方針に基づいて事業を構築されるのか伺います。  山を語るとき、造林公社の存在を抜きにしては語れません。その仕組みは、成長した木を伐採して得た収益を土地所有者と公社が分け合うという、いわゆる分収造林方式で行われています。その規模は約2,500人、面積は1万9,600ヘクタールで、本県森林面積の10分の1もの森林資源を造成してきました。その公社は、平成19年に特定調整を申し立て、公社の旧農林漁業金融公庫に対する債務を滋賀県が引き受け、今日の公社運営となっています。忘れてはならないことは、県財政にも非常に大きな影響を与えたことであります。  こうしたことから、公社は経営改善計画を策定していますが、現在の造林公社の経営状況を県としてはどのように評価されているのか伺います。  また、今年度は新たな計画策定の年度となりました。指導すべき立場の県として、本県森林の10分の1を預かる造林公社が管理する山の役割も含めて、指導方針をどのようにお考えか伺います。  農林水産業は第1次産業です。やはり一体的に進めることが基本ではないかと考えます。確かに山林は環境という面も大きいものがありますが、山を持っておられる方は水田をお持ちの方も多いはずです。県民の視点に立って施策を進めるためにも、縦割りの弊害と言われないよう、県の組織体制が重要であることを申し上げ、次の項に移ります。  次に、これからの都市計画について、知事にお尋ねします。  都市計画法において、「都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」とありますが、都市とは何なのかというと、法的な定義は、都市計画法や都市再生法、地方自治法にもありません。辞書などでは、「比較的狭い地域に多数の人口、家屋が密集、農業以外のおもに商工業が経済生活の主体をなす地域」というように表現はされていますが、都市とそうでない地域の線引きが不明瞭な点からも、受け取る側の主観によって異なることになります。  現在、(仮称)滋賀県都市計画基本方針の令和3年度の策定に向けた取組が進められています。その中で、イメージではなく、しっかりした考えを持って策定されるよう、その基本を伺ってまいりたいと思います。  まず、今回の都市計画基本方針における都市について、どのような地域を対象としているのでしょうか、伺います。  本年2月にも、滋賀の都市計画2019が冊子にまとめられています。この中の都市計画の課題は、人口減少や高齢化の進行、困難なコミュニティー維持、頻発、激甚化する自然災害への対応等となっており、それを踏まえたまちづくりの方向性も示されています。  まちづくりとは、市町において都市基盤の整備のほか、都市計画制度上は関係性が低いものの、中山間地におけるインフラの整備や、医療、福祉などにおけるまちの活性化をさせる取組も含む、広義な意味で使われていることが多いわけであります。  そこで、市町のまちづくりにおいて、都市計画が果たす役割について伺います。  現行都市計画法では、県は、県内を11の都市計画区域に区分し、その区域ごとに都市計画区域マスタープランを策定し、その上で市町のマスタープランが策定されています。確かに、まちづくりという視点を持つには、滋賀県の全域をカバーする都市計画の方針の必要性を理解するものです。むしろ、今までなかったことが疑問であります。  そこで、今回の基本方針策定に当たって、知事は本県の都市計画ビジョンをどのように描いておられるのか。また、県が策定するマスタープランや市町のマスタープラン策定において、どのような位置づけになるのかを伺います。  法による都市計画の基本理念は、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すること、並びにこのためには適正な制限の下に土地の合理的な利用が図られるべきこと」と定められております。言い換えると、定められたルールの中でまちづくりを進めていくということからも、全ての人が満足するということにもならない場合があります。特に市街化区域の見直しに当たっては、必ずしも住民の意向に沿った形にならない場合があるなど、顕著に現れています。  今回の基本方針策定に当たっては、まちづくりの主役である市町とも十分連携した中での策定が重要であること、また、県民生活にも関わることであり、納得いただく方針としなければなりませんが、改めて、基本方針策定の趣旨と、どのように進めていこうとされるのか伺います。  ところで、一昨年には都市公園法が改正されました。県が管理している都市公園は6か所で、約292ヘクタールであります。その管理は指定管理で行っていますが、この法改正では、PFIでの公園活用を推進する方針となりました。県民にとっても設置者にとっても、よりよい公園を目指す手段として積極的に取り組むべきであります。この法改正を受け、県としての都市公園の活用方針と今後の具体的な取組について伺います。  この項の最後に、景観政策について伺います。  都市計画が土地利用という面的な規制がベースにある一方、立体的な都市整備を担う政策として、昭和59年に景観に関する県独自のふるさと滋賀の美しい風景を守り育てる条例、いわゆる風景条例を制定されました。また、平成16年に自治体が主体的に景観行政を推進するよう景観法が制定されたことに伴い、このとき県条例を改正されています。条例制定から36年が経過し、景観法による滋賀県景観計画策定からも10年が経過しますが、これまで、県は風景の保全にどのように取り組んできたのでしょうか伺います。  また、県の計画は、景観行政団体となっている13市を除く6町への適用でありますが、とはいえ、県としては、条例による県の責務は13市も含めた県域の景観を守らなければなりません。県計画では、「県民共有の財産である琵琶湖をはじめとした、“ひろがりとつながりのある湖国の風景”を守り育て、次代に引き継いでいく」としています。  そこで、景観行政団体である市町とどのような連携を図り、今後、滋賀県の景観行政をどのように進めていこうとされているのか伺い、この項の質問といたします。  最後に、高等教育の推進と魅力ある県立学校について、知事ならびに教育長にお尋ねいたします。  「唐突な話で大変驚いている。社会的、経済的に多大な影響があり、受け入れ難い」、これは8月26日の橋川草津市長の記者会見での言葉です。立命館大学がびわこ・くさつキャンパスにある情報理工学部を大阪いばらきキャンパスに2024年4月に移転すると発表されたことを踏まえたもので、市長は、「滋賀県と共同して新しい学部の設置などBKCの展開を要望していく」とも述べられておられます。気になったのが知事のコメントです。「残念に思う人は多い。大学からは重要性は変わらないと聞いているので、草津市と協力し、大学とさらなる連携強化を図っていきたい」というものでありました。  そもそも立命館大学は、平成元年11月に県および地元草津市の3者で理工学部移転の基本的な考え方についての覚書の調印に始まり、平成5年にかけて約34ヘクタールの土地を確保と造成等により、約94億6,800万円の支援を行っています。当時、本県に高等教育機関を誘致して他府県の大学へ流れる県内学生の受皿を増やそうとの重要施策でありました。改めて、こうした覚書を交わした過去の経緯や草津市長の思いを踏まえて、今回の学部移転について、知事の考えを伺います。  この移転構想は、既に10年前にも話題になっています。県内には、ほかに龍谷大学やびわこ成蹊スポーツ大学、長浜バイオ大学など多くの高等教育機関が立地し、様々な大学改革も検討されていることでしょう。もちろん県自前の滋賀県立大学もあります。さらに、今、高等専門学校の設置を検討されていますが、この際、本県の高等教育機関の在り方と誘致、設置についての知事の考えを伺います。  その高等教育機関でさらに知識を伸ばす、あるいは自分の職を探すための県立高等学校について、今年度から滋賀県立高等学校の在り方の検討が始まっています。遡ること平成24年に、令和3年度までにおける魅力と活力ある学校づくりのための計画が策定され、学科の改編や統合新設校などの整備が実施されてきました。  初めに、県立学校設置者として、これまで実施されてきた計画をどのように評価されておられるのか、知事に伺います。  次なる計画のために、具体的には教育委員会において今検討が行われています。県立学校の設置については滋賀県立学校の設置および管理に関する条例により、また高等学校の教育については、学校教育法第51条に、豊かな人間性や資質を養うことや、知識、技能の習得について定められています。こうした教育を受ける環境を整えることは県としての責務でありますが、重要な点は、学ぶ学生にとってすばらしいと思えるか、また地域からも支援されるかなど、法51条の具体的な教育だけでなく様々な環境の要素があります。  そこで、設置者である知事としては、高等学校はどうあるべきとお考えか伺います。  人口減少は設置の考え方にも大きく影響すると思います。平成2年3月の中学校卒業生は2万700人で、ここをピークに、今年3月の卒業生は7,000人少ない1万3,800人でありました。さらに、15年後には、このままでは1,700人が減少するとの予測があります。現在の計画では、減少イコール統合という物理的な対応もありました。小規模となった高校の部活動においては、合同チームでの出場など、集団競技の面で課題が多くなっていることも確かです。  交通という面もありますが、遠くても行きたい、遠くからも魅力を感じる学校に学生は集まるのではないでしょうか。設置者としても発想を変えて、小規模化させないという考えを持つことも大切な視点だと考えます。いずれ滋賀県総合教育会議でも議論されるかも分かりませんが、知事は、現在進められている県立高等学校の在り方検討に何を望まれますか伺います。  その県立高等学校の在り方検討委員会が発足して、既に数回の会議が開催されていると伺います。改めて、設置の趣旨と今後のスケジュールについて、教育長に伺います。  文部科学省に中央教育審議会が設置されています。新時代に対応した高等学校教育の在り方の検討において、普通科を再編し、新たに文系、理系などの枠組みを超えた、仮称ではありますが、学際融合学科と地域探究学科を設けるという案が報道されていました。本県の全日制校のうち30校に普通科がありますが、国のこうした審議なども含め、これからの普通科という学科について、教育長はどのようにお考えか伺います。  一方、農業、工業等に関わる職業系学科であります。我が会派では、農業関係の高校の先生との意見交換をさせていただきました。これだけ技術が高度化している中で、まずは職業系学科の高校の魅力を高めるためには、時代に沿った教育のための資機材の整備をお願いしておきます。  さきに学校教育法に触れましたが、その一つに、「社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させる」とあります。これは職業系学科で学ぶ者にとって重要な柱であります。職業系学科の教育環境、また、すぐに職に就きたいと考える生徒への資格取得などについてどのようにお考えか、教育長に伺います。  質問の最後に、コロナ禍にあっての対応について伺います。  学校が再編されても、問題が終わったわけではありません。今、学習の遅れを取り戻すため、様々な御苦労の中で頑張っていただいている教師をはじめ教育現場の方々に感謝をいたします。冷静に考えたとき、国からの突然の一斉休校の要請があり、間髪を入れず、ほとんどの学校が休校されました。休校するかどうかは教育委員会の権限でありますが、そのときの議論がどうであったのかということです。  先が全く見えない中、まずは子供をコロナから守るということだったと思いますが、そのとき、休校が子供の学習権を奪ったり、家庭への影響などが議論されたのでしょうか。このコロナ発生から、休校、在家庭での学習、再開後の対応など、この一連において、教育委員会として、これまでの議論や今後の対応方針について、反省点も含めて教育長に伺い、全ての代表質問といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(細江正人) 24番加藤誠一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)議場にいらっしゃった下村勳議員がお亡くなりになって、明日で丸2年ということでございます。静かに心を寄せたいと存じます。  それでは、自由民主党滋賀県議会議員団を代表されての加藤議員の御質問にお答えをさせていただきます。  まず第1項目め、新型コロナウイルス感染症対策の今後と知事の政治姿勢についてということで、こちらには9問賜りました。  1点目、及第点とした点と、折り返しに当たっての抱負ということについてでございますが、知事2期目の就任以来、人、社会、自然を3つの柱とする健康しがを掲げ取組を進めてまいりました。  人の健康の面では、淡海子ども・若者プランを策定し、今後の施策の方向性を定めるとともに、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーに就任させていただき、全国の知見も生かしながら、子供を安心して産み育て、健やかな育ちを支える環境整備を進めているところでございます。  社会の健康の面では、滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例の制定や滋賀県多文化共生推進プラン第2次改定版の策定などを通じて、多様性を認め、互いに支え合う共生社会の実現に向けた基盤づくりを進めてきているところでございます。  自然の健康の面では、特にやまの健康に着目し、5つのモデル地域において、それぞれの地域の実情を踏まえながら課題解決に挑戦するとともに、滋賀もりづくりアカデミーを立ち上げ人材育成の取組に着手するなど、県政の各分野において一定の成果を生み出すことができたのではないかと捉えております。  一方で、コロナ危機を経験し、感染症に対する社会経済の脆弱性など、私たちが築いてきた社会の問題点が顕在化することとなりました。そのような中、まず守るべきものは人の命であるという基本に改めて気づかされているところでございます。  今後、これまでの取組をさらに高め、進め、全ての人の命が等しく守られ、豊かさや幸せを心で実感できる、誰も取り残さない、感染症に負けない、持続可能な本当の意味での健康しがを、県民の皆様とともに実現してまいりたいと存じます。  2点目、第1波の検証がなぜ今になったのかということについてでございますが、本県では1月下旬から取り組んできた対策について分野別に振り返り、課題や今後の方向性について整理を行ってまいりました。6月22日には骨子案をお示しいたし、その後、県民の皆さんや市町、関係団体等から多くの御意見をいただきました。  一方で、第2波が想定していたよりも早く訪れました。それまでの課題を踏まえつつ、各分野で必要な対応を行ってきたところでございます。最終取りまとめに当たりましては、県民の皆さんからいただいた御意見と、第1波のみならず、7月以降の第2波への対応状況も踏まえ、課題や今後の方向性を改めて整理し、「新型コロナウイルス感染症対策にかかる振り返りと今後の方向性」として、9月10日に公表させていただいたものでございます。  3点目、広報の取組についてでございます。  危機事案発生時の広報におきましては、情報が届きにくい方も含めた全ての県民の皆さんへ、必要な情報をより迅速に、より分かりやすく届けることが大切であると認識しています。これまで、報道機関への情報提供をはじめ、各種の媒体を組み合わせた発信のほか、動画配信やテレビ出演を通じた私自らのメッセージの発信、SNSを活用したプッシュ型の広報などに取り組んでまいりました。発信に当たりましては、多言語による翻訳、手話通訳などの改善に努め、多くの方に伝わる広報ができたのではないかと考えているところでございます。  県民の皆さんからは、動画やテレビ、LINE等による情報が安心につながったと御評価をいただく一方、高齢者への伝達が弱い、情報が漠然として分かりにくい等の御指摘もありました。このため、高齢者層にも届くよう、支援制度を折り込みチラシによりお知らせするとともに、市町広報誌への掲載や自治会回覧版による周知を実施してまいりました。さらに、感染者数や検査状況などをグラフを用いて毎日発信するなど、改善に努めてきているところでございます。  今後も、県民ニーズや専門家からの御意見を踏まえた情報発信の在り方について検討するとともに、県民の声を分析、可視化し、政策判断につなげる仕組みづくりなど、さらなる取組を進めてまいりたいと存じます。  4点目、寄せられた意見についてでございますが、今回、県民の皆さん、市町、関係団体等から1,226件という非常に多くの御意見を頂戴いたしました。特に、外出自粛の要請や施設の使用制限などの緊急事態措置や感染防止対策、PCR検査、経済、雇用、生活支援対策に関する分野に御意見を多くいただいたところでございます。  具体的には、店舗に感染防止対策を徹底させるべきですとか、そもそもPCR検査の実施が少ないのではないかですとか、感染したときに職場や近所に知られるなど、病気以外の社会的なダメージが物すごく怖い等の御意見をいただきました。こうした寄せられた意見も踏まえ、感染防止対策への支援や検査体制の拡充、人権相談体制の強化などに注力してきているところでございます。  引き続き、県民の皆さんの御意見にしっかりと耳を傾け、必要な対策を講じてまいりたいと存じます。  5点目、振り返りを踏まえた対応と新しい感染症が出現した場合の基本的なルールの策定についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の波は繰り返し訪れ、その対応は長期にわたると考えられます。その中で、季節性インフルエンザの流行期に備えた対応など、先手先手の対応が重要であると認識しています。  いただいた御意見でも多くの関心が寄せられている検査体制の拡充や医療提供体制の充実強化、切れ目ない経済雇用対策、寄り添った生活支援対策等をはじめとするあらゆる対策にしっかりと取り組み、感染拡大防止と社会経済文化活動の両立を図ってまいりたいと存じます。あわせまして、県民一人一人が他者を尊重し、差別ではなく、エールを送り合える社会の機運醸成に努めてまいりたいと存じます。  また、県では、平成11年に策定いたしました滋賀県感染症予防計画に基づき感染症対策に取り組んでいるところではございますが、今回の新型コロナウイルス感染症対策で判明した課題や、今後改正が見込まれる国の感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針等を踏まえて、新しい感染症が出現した場合において、本計画がより実効性のある計画となるよう、関係者と十分協議し、検討を進めてまいりたいと存じます。  6点目、国スポの延期は受け入れ難いという気持ちがあったのかどうかということについてでございますが、これまでから長年にわたり、令和6年の開催に向けて、市町や競技団体の皆さんとともに、また県民の皆さんの御協力もいただきながら開催の準備や機運醸成に取り組んできたところであり、こうした取組への影響は大きいと認識しております。  とりわけ、地元開催の国スポ・障スポ大会を目指して強化に取り組んでこられた選手の皆様をはじめ、競技団体等関係者の皆様への影響は極めて大きいことから、私としても簡単には受け入れ難いという気持ちを持っていたところでございます。  一方、新型コロナウイルス感染症という国難ともいうべき事情についても考慮が必要と考えていたところでございまして、重い判断をしなければならないと感じておりました。  7点目、選手への影響の緩和および延期の受入れ条件についてでございますが、今般の判断に当たり様々な御意見を伺いましたところ、皆さんが強く懸念されておられたのは、ターゲットエイジの選手への影響についてでございました。選手への支援、とりわけ影響を最も受けるターゲットエイジの最上級生の皆さんに対しては、令和6年までの間、本県少年種別の主力として活躍していただけるよう、県として引き続き全力で支援し、アスリートとしての成長を応援してまいります。  また、県として延期に伴う影響を緩和するための支援について国等に要望してきたところ、去る8月26日の日本スポーツ協会会長およびスポーツ庁次長との会談において、国民体育大会に係る国庫補助の今年度分の適用など、本県の財政的な負担を総合的に軽減するといった前向きな方針が示され、その後の事務的な確認と併せて、判断できる状況が一定整ったと考えたところでございます。  最終的に県といたしまして、影響を受ける選手への対応をしっかりと行っていくとの方針の下、苦渋の決断として、延期を受け入れるという判断をさせていただいたところでございます。  8点目、今後どのように進めていくのかということについてでございますが、まず、施設整備や競技会の準備などの大会開催に向けた諸準備について、市町等と連携いたしまして、万全を期してまいりたいと存じます。あわせまして、感染症対策につきましても、来年開催予定の三重県の取組状況を踏まえて検討していかなければならないと考えております。  また、選手の強化につきましては、県競技力向上対策本部において年度内を目途に競技力向上基本計画を見直すとともに、競技団体と連携の上、競技ごとの強化計画を再構築し、層の厚い選手強化につながるよう取り組んでまいりたいと存じます。  そして、1年延期により準備期間が延びることを前向きに捉え、より一層、両大会の機運醸成を図りながら、大会の愛称である「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」のとおり、大会に関わる全ての人々が主役として光り輝き、夢や感動、連帯感を共有できる大会にしてまいりたいと存じます。  9点目、全国知事会の動きと知事としての考えについてでございますが、全国知事会では、全知事を構成員とする新型コロナ緊急対策本部をこれまで11回開催し、機動的に地方の実情に応じた提言を取りまとめ、担当大臣との意見交換を行っており、その内容は国の施策にも多く反映されてきたところでございます。  私も本部会議に毎回参画いたしまして、提案いたしました子供、学生、福祉的支援を必要とする方への生活支援や人権への配慮などが提言やメッセージに盛り込まれており、また、他の都道府県の施策や対策を学び、参考にさせていただいているところでございます。  現在も、経営難にある医療機関を支援するための緊急包括支援交付金の弾力的運用やコロナ対策に柔軟に対応するための地方創生臨時交付金の基金要件の緩和などについて、全国知事会を通じ国に求めているところでございます。  今後も、本県の実情や要望をしっかり国に届けるため、引き続き本部会議などで提案や意見を述べていくとともに、法律などでの対応が必要な場合は、御指摘の全国知事会の権限の活用も含めて、全国知事会の活動に積極的に参画してまいりたいと存じます。  大きな2項目め、滋賀県ICT推進戦略について、こちらは4点賜りました。  まず1点目、戦略における県の役割、コロナ対策でのICTの活用についてでございますが、県では5つの重点戦略の下、実施計画を定め、県自らが事務処理のシステム化やICTおよびデータの利活用を進めるとともに、びわ湖情報ハイウエイなどインフラ整備を促進してきたところでございます。  また、滋賀県地域情報化推進会議を設け、企業や大学等によるビッグデータの活用分析など、民間における取組の推進に向けて調整、助言等の支援を行ってまいりました。  次に、今回のコロナ対策におきましては、LINE社と連携いたしましてコロナ対策パーソナルサポートを導入し、健康状態に応じた受診などの案内や様々な情報の配信、さらに感染拡大防止システム、もしサポ滋賀を提供してまいりましたが、スマホをお持ちでない方への情報提供などに課題が見られたところです。  また、庁内の感染拡大の防止に向け、テレワークやウェブ会議、ビジネスチャットの活用を進めてまいりましたが、さらなるデジタル化に向けましては、書面や押印等の電子化などの課題もありますことから、この課題に向けた検討を着実に進めてまいりたいと存じます。  2点目、行政のデジタル政策に向けた対応についてでございますが、政府の骨太方針2020では、デジタル化への集中投資による次世代型行政サービスの強力な推進が掲げられ、行政手続のオンライン化、ワンストップ、ワンスオンリー化等を抜本的に進めることとされております。  今般の新型コロナ対策におきましては、人流ビッグデータを分析し、外出自粛の呼びかけやその効果の検証に活用してまいりましたが、こうしたデータを蓄積、分析し、さらに観光や交通分野等幅広く活用することもデジタル政策の一つと考えております。  また、行政手続のオンライン化につきましては、スマート自治体滋賀モデル研究会での検討を踏まえ、県と14市町が共同で、引っ越し、結婚などのライフイベントに応じて必要な手続をインターネットからワンストップで行える仕組みの構築を目指しているところです。  新型コロナを機会に、行政のデジタル化のニーズも飛躍的に高まることが見込まれるとともに、発足した菅新政権の強い方針も示されておりますことから、国の動きも見据え、市町とも連携しながら、より積極的に取組を進めてまいりたいと存じます。  3点目の庁内業務のICT化の取組の評価、さらなるICT化に向けた取組についてでございますが、戦略におきましては、働き方、行政サービスの変革を重点戦略の一つに位置づけ、さらなる生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの取れた働き方を実現するため、最新の技術やサービスを庁内業務に積極的に取り入れているところでございます。  例えば、ウェブ会議システムにつきましては、特に今回の新型コロナ対策に伴い利用が大幅に増加し、会議に伴う出張旅費や移動時間の削減のほか、感染防止のための3密の回避にも効果があったと考えております。  また、パソコンによる台帳入力作業等を自動化するRPAの導入を進めており、導入した業務では、職員の作業時間を4から6割程度削減することができるなど、事務の省力化に効果が見られているところでございます。  今後も、在宅勤務などリモートワークに必要なICT基盤の整備、AI、RPA等の適用拡大、事務のペーパーレス化やオンライン化の推進、ICT活用人材の育成などにより事務の生産性を高め、そこから生み出される時間を新たな行政課題の解決に振り向け、県民サービスの向上につなげてまいりたいと存じます。  4点目、この戦略の今後の展開についてでございますが、平成30年3月の現戦略の策定以降、ウェブからSNSへの移行、5Gの商用開始、キャッシュレス決済の普及などが急速に進展し、さらに、今般のコロナ禍で行政のデジタル化が急務であることが明らかとなるなど、ICTを取り巻く環境は大きく変化してきております。  こうした変化を踏まえつつ、明らかになった課題への対応と新たな価値の創造に向けて、より効率的で、より効果を発揮できるICTを推進するため、民間や国の動向、技術の進展などの情報を積極的に収集、検討し、行政、民間におけるICTの普及、利活用を進めていきたいと存じます。  このため、民間事業者や大学関係者等の有識者による滋賀県ICT推進懇話会において、次期戦略に向けた議論を開始したところであり、ポストコロナ時代のニューノーマルにふさわしい戦略の策定に向けて、検討を進めてまいりたいと存じます。  3点目、コロナ禍を踏まえた移住・交流の促進の取組について、こちらは7点いただきました。  まず1点目は、現状をどう捉えているのかということでございますが、本県は、人口減少を見据えた未来へと幸せが続く滋賀総合戦略の主な施策の一つとして、多様な人が関わり合う地域の創造と移住の促進を掲げ、移住に関する様々な取組を進めているところです。テレワークの普及、若い世代の移住意識の高まり等を通じて、現在、全国の移住相談窓口が集まる東京有楽町のふるさと回帰支援センターでは相談件数が増加し、相談内容もより具体的になっているということでございます。  本県におきましても、去る4月11日に開催した彦根の古民家と東京をオンラインで結んだセミナーが満席となるなど、移住機運の高まりに手応えを感じているところでございます。あわせまして、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染拡大を機に、企業が本社機能を含めて地方へ移転するなどの動きも見られるところでございます。  今後は、テレワーク等の拡大による都市部での仕事を持ったままの移住や、首都圏だけでなく近畿圏もターゲットとするほか、地方移転の動きを捉えた企業立地など、社会や人の意識の変化に即した対応が必要であると認識しております。  2点目、人の交流結節点としての移住についてでございますが、本県は近畿、中部、北陸の結節点に位置し、これまでも全国からの優れた交通アクセスを移住のPRポイントの一つとして発信してまいりました。昨年度の本県への移住実績におきましても近畿圏に次いで多く、全体の約2割を占める東海圏も、移住促進のターゲットとして重要な地域であると捉えております。  コロナ禍を受けた移住ニーズの高まりに対し、東海圏、北陸圏との生活圏が近く、なじみの深い県東北部地域の特性を生かしながら、滋賀のよさをアピールしてまいりたいと存じます。  3点目、移住者への実益的な支援についてでございます。  現在、県では東京有楽町にしがIJU相談センターを設け、ワンストップの移住相談をはじめ、セミナーや移住フエアでの情報提供、企業とタイアップした各種サービスの優待割引等を行っております。さらには、東京圏から県内に移住、就業した方に対して、移住支援金を支給する制度も設けております。  また、市町におきましては、空き家バンクの運営や家賃補助の実施等きめ細やかな定住支援を行っており、本県はこうした取組に対し、自治振興交付金を活用した財政支援を行っているところでございます。こうした取組が移住のきっかけや後押しとなるよう、引き続き工夫を重ねていく必要があると考えているところでございます。  市町との連携についてでございます。  議員御指摘のとおり、移住促進につきましては市町との連携が不可欠でございます。これまで、県、市町、関係団体等で構成する滋賀移住・交流促進協議会を通じまして、市町や受入れ地域の意向を踏まえながら、移住セミナー等の取組を展開してきたところでございます。また、移住等を目的とする市町独自の取組に対し、先ほど申し上げたように、自治振興交付金を活用して財政的な支援を行っているところでございます。  さらに、本定例会議におきましても、新しい生活様式等に対応する市町の移住促進事業を支援する補正予算もお願いしているところでございます。  県といたしましては、引き続き、しがIJU相談センターを通じた県全体の情報発信、相談業務等に取り組むとともに、各地域のよさを生かしながら、市町のまちづくりの方針に寄り添った対応を図ってまいりたいと存じます。  今後の方針と具体策についてでございますが、首都圏からの移住を取り込むことは、東京一極集中を是正するという地方創生の取組として今後も重要であると考えます。一方で、コロナ禍における移住促進といたしましては、これまでの首都圏に加え、ふだんからなじみのある近畿圏や東海圏もターゲットにするなど、柔軟に対応することが必要であると認識しています。  このため、東京での相談窓口に加え、大阪等での出張相談の開催や、本定例会議でお願いしております動画を活用したプロモーション等、オンラインツールの活用による情報発信の強化といった新しい手法等も取り入れ、移住希望者がどこからでも滋賀の魅力や暮らしぶりの情報にアクセスできるよう、工夫をしてまいりたいと存じます。  また、企業の誘致につきましては、本社機能移転促進プロジェクトにより、東京など大都市圏からの移転等に税制優遇措置を講じているところであり、今後も、企業の投資ニーズを捉えながら、県内への移転を促進してまいりたいと存じます。  6点目、移住、定住に向けた本気度についてでございますが、移住と働く場の創出は不可分であり、就業を含めた移住支援として、首都圏からの移住就業希望者を対象とした県内企業での就業体験事業を行っております。また、5月に開催いたしましたウェブ合同企業説明会では、首都圏に住む学生等の参加もあったところであり、場所に縛られないというウェブの特性を生かした、就業のための出会いの場を創出していくことも重要であると考えます。  また、コロナ禍で仕事と暮らしのバランス等に大きな変化が生じつつある中、ワーケーションの推進や田園回帰の流れづくり等、多様なライフスタイルに応じた取組も進めていく必要があると考えております。  今回の感染症拡大は、人々の暮らしや行政のありように大きな影響を与えておりますが、企業にとりましても、これまでの経営や働き方を見詰め直すきっかけになったのではないかと感じております。この機を捉え、仕事と暮らしの両面に着目し、滋賀への移住、定住がさらに進むよう、市町や企業とも手を携え、全庁一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。  7点目、令和3年度当初予算編成に向けた考え方についてでございますが、当初予算の編成に当たりましては、編成時点における実態や見通しを基礎とし、年度内に見込まれる必要額を計上しているところであり、年度途中における事情の変化等については、必要に応じ、補正予算を編成させていただいているところです。  新型コロナウイルス感染症への対応につきましても、今年度、数次にわたる補正予算を編成し、機動的かつ柔軟に対応してきたところでございますが、来年度の当初予算におきましても、現時点で想定される経費は漏れなく見積もらせていただいた上で、その後、必要となる経費については、補正予算により対応したいと考えております。  令和3年度当初予算編成に当たりましては、これまでの新型コロナウイルス感染症対応や今回の振り返りも踏まえ、ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据えた基本構想の推進方針で示す「重視する施策の柱」に基づき、コロナ危機を転機として捉え、部局間連携の下、未来へと幸せが続く滋賀の実現を目指す施策をしっかりと盛り込むなど、限られた財源の中においても、県民が安心できる予算となるよう十分に意を用いてまいりたいと存じます。  続きまして、大きな4項目め、滋賀の文化推進についてでございます。こちらは5点賜りました。  まず1点目、現在の文化財保護体制の課題と、今回の事件を受けての今後の方針についてでございますが、全国有数の文化財を有する本県といたしましては、文化財の保存と活用を進めることが重要であると考えており、文化財を保存継承するため、市町等への技術的支援等に取り組んでいるところです。  一方、本県の文化財保護体制につきましては、職員の専門分野や年齢構成に偏りがあり、職員の世代交代に伴う技術や理念の継承等に課題があると考えております。また、文化財建造物を担当する部署では、職員一人当たりの業務量や作業の進め方等についても課題があったのではないかと考えております。  そこで、今回の事案を受け、第三者による検証会議を設置し、文化財建造物の修繕保護について、制度的、構造的な課題をしっかり洗い出し検証を行っているところでございます。当面の対応といたしまして、延暦寺根本中堂の工事等への影響を最小限とするため、OB職員の協力も要請しているところでございますが、今後は、検証会議の議論を踏まえながら、文化財建造物の修繕保護を着実に進められる持続的な体制の構築に取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、滋賀県文化振興基本方針の位置づけ、法律との整合性についてでございますが、本県では平成21年、文化振興条例を制定し、当時の法で対象とされていた分野に加え、文化に関する交流の促進、産業分野との連携など幅広く規定し、近江の春びわ湖クラシック音楽祭の開催などに取り組んできたところです。  こうした中、平成29年に文化芸術振興基本法が改正され、観光、まちづくり、国際交流、福祉などの関連分野における施策が法律の範囲に取り込まれ、県がこれまで行ってきた施策を後押しする内容となったと認識しております。  現在策定を進めております次期基本方針は、法に基づく地方文化芸術推進基本計画に位置づけるとともに、国の計画を踏まえながら、観光、まちづくり、福祉等の施策とも連携した県独自の文化芸術振興の方向性を打ち出してまいりたいと存じます。  3点目の今後の文化振興条例の推進についてでございますが、現行の文化振興条例は、文化芸術の振興にとどまらず、観光や国際交流など、平成29年の法改正の内容を既に盛り込んでおり、現時点において条例改正の必要はないと考えております。  今年度から文化財保護行政文化スポーツ部に移管し、観光、産業振興、景観、まちづくりなど、他分野との総合的かつ一体的な施策の推進を図ることとしております。  第3次基本方針の策定に当たりましては、文化行政の一元化の下、文化芸術の価値を地域や社会に生かすことを施策の柱の1つとして位置づけることとし、人や地域をつなぎ、観光やまちづくり等の施策とも連携しながら、多様で活力ある持続的な滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。  4点目、彦根城世界遺産登録や「幻の安土城」復元プロジェクトが目指すものについてでございますが、彦根城の世界遺産登録につきましては、人類共通の遺産としてその価値と魅力を世界に伝えるとともに、未来に向けて確実に継承し、地域と世界の結びつきを形成することを目的としております。  また、「幻の安土城」復元プロジェクトでは、全国的な知名度を誇る安土城の実像を調査等を通じて明らかにし、しっかりと保全するとともに、目に見える形で復元して、世界に誇れる安土城を国内外に発信することを目的に事業を実施しているところでございます。  県として、これらの事業を進めることで、彦根城、安土城をはじめとした県内に残る約1,300の城、城跡に改めて目を向けていただく機会とするとともに、その他それぞれの地域に残る各時代の多くの貴重な文化財が長く大切に保全され、地域の活性化が図られる文化財の保全と活用の好循環を生み出すことを目指してまいりたいと存じます。  5点目、この世界遺産登録に対する国への対応方策についてでございますが、彦根城の世界遺産登録の実現に向けて、この4月から県に彦根城世界遺産登録推進室を設置し、彦根市とともに、推薦書原案の作成など必要な作業を進めているところです。  世界遺産の登録には、県が作成した推薦書原案が文化庁文化審議会で審議され、国からユネスコ世界遺産委員会に推薦される必要がございます。そのため、推薦書原案作成のための学術会議に文化庁担当調査官の出席を求めるとともに、国際的な視点から彦根城の価値について審議する国際会議を文化庁と共催するなど、文化庁と密接に連携し、助言もいただきながら進めているところでございます。  今後とも、彦根城のユネスコへの推薦を早期に認めていただけるよう、国としっかり連携し、取組を進めてまいりたいと存じます。  大きな5項目め、新型コロナウイルス感染症の次の流行への備えについて、こちらは7問いただきました。  まず1点目、医療提供体制についてでございますが、議員御指摘のとおり、季節性インフルエンザの流行期には発熱等の症状を有する患者が多く発生するが、症状からは新型コロナウイルス感染症への感染も疑うこととなり、その対応が医療機関の大きな負担となると想定されます。つきましては、まず、インフルエンザの流行を抑え発熱患者を減らすことが重要でありますため、インフルエンザワクチンの予防接種率の向上を図ってまいりたいと存じます。  また、発熱等の症状があり新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる人の診療、検査につきましては、これまで主に帰国者・接触者外来等の病院を中心に担ってきていただいているところでございますが、今後は、かかりつけ医等地域の身近な医療機関において、インフルエンザの検査のみならず、新型コロナウイルス感染症の検査につきましても併せて行っていただき、発生が多くなると予想される発熱患者に対して、迅速に診断、検査ができる体制を取ってまいりたいと存じます。  加えまして、県民の皆様に対しましては、発熱した場合どこに相談すればよいのか、また、受診に当たってどのようなことに注意すればよいのかを知っていただくことが円滑な医療サービスの提供につながるため、今後の相談、受診、検査体制を分かりやすくお示ししていかなければならないと考えているところです。  2点目の学校におけるインフルエンザ流行への具体的な対策についてでございますが、緊急事態宣言により学校の授業日数が減少し、その確保に苦慮されていることは私も承知をしております。今後のインフルエンザの流行によるさらなる授業日数の減少を避けるためには、まずは感染防止の基本である手洗いの徹底、マスクの着用などが重要であると考えます。  また、生後6か月から小学校低学年までは国においてインフルエンザワクチンの優先的な接種対象者とされておりますが、県といたしましては中学3年生までを対象とし、ワクチン接種にかかる自己負担の軽減を図るべく、市町に対する補助金を補正予算に計上させていただいているところです。この事業により、予防接種率を向上させ、インフルエンザの罹患率の低減を図り、学習機会の確保につなげてまいりたいと思います。  3点目の検査体制についてでございますが、インフルエンザ検査件数が多かった平成29年度には、冬場の流行期に全国で1日当たり30万件程度の検査が行われていたとされます。国におきましては、そのうち3分の2に当たる約20万件の陰性の患者に対して、新型コロナウイルス感染症の検査を行う必要があると想定されており、これを本県人口で換算すると、冬場に1日平均2,000件程度の検査需要が発生する見込みを持っております。  検査需要の見込みにつきましては今後精査を行いますものの、このような検査需要に対応するためには、感染が疑われる人をかかりつけ医等地域の身近な医療機関において相談から受診、検査までスムーズにつなぎ、迅速に判定できる体制整備が必要でございます。  本県におきましては、9月10日に、「外来診療・検査体制の見直しと更なる拡充に向けて」として方針を示したところでございます。この方針に基づき、10月中を目途に診療所等での診療、検査体制整備を進めていくこととしております。  今後、検査を行う診療所等を診療・検査医療機関として指定することとなりますが、医師会等関係機関と協議しながら、多くの診療所等に御協力いただくことが必要となってまいります。そのためには、安全・安心に診療、検査していただく環境の整備が必要です。国におきましては、予備費を活用して、診療・検査医療機関に対し、外来診療、検査体制確保に要する費用の補助や、ガウン、マスクなどの個人防護具の無償配布を行われる予定でございます。  県におきましては、ゾーニング等に必要な設備への補助を行うとともに、万が一、医師や従事者が感染し、診療所の休業を余儀なくされた場合の対応策についても検討をしてまいりたいと存じます。
     4点目、福祉施設への平時からの支援についてでございますが、介護施設をはじめとする福祉施設におきましては、面会の制限やマスク等の衛生用品の備蓄、職員のプライベート活動の注意に至るまで、感染症の予防に向けた各種の御尽力をいただいており、大変感謝しているところでございます。  県といたしましても、現場の方々に対する慰労金の支給をはじめ、感染症対策に要する衛生用品の購入費用や外部専門家による各施設での研修の実施費用など、現場における感染症対策のためのかかり増し経費に対し助成するなど、支援に努めているところでございます。  特に介護施設におきましては、今回発生したクラスターの分析から、手指消毒などの標準的な感染症予防対策は実施されておりましたものの、体調の悪い職員を休ませるなど職員の健康管理の徹底ですとか、休憩室で密な環境をつくらないことなどが不十分であったことなどが判明いたしましたため、8月5日に、改めてこうした感染症対策等に係る通知を発出し、注意喚起を行っているところです。  さらに、感染管理認定看護師に施設に出向いてもらい、感染防止に係る知識の習得や防護具の着脱、陽性者を隔離するためのゾーニングなどを学んでいただく研修を、県内7圏域で順次実施しているところでございまして、今後も引き続き必要な支援を行ってまいりたいと存じます。  5点目、感染拡大時の支援体制の構築についてでございますが、今回クラスターが発生した介護施設に対しましては、情報収集のための県職員の派遣、感染が判明した入所者に対する速やかな入院調整、不足する衛生用品の提供、感染管理指導のための感染管理認定看護師の現地派遣、施設支援のための厚生労働省の地域支援班DMATの派遣など、施設運営の継続に向けて様々な支援を行ってまいりました。  感染が拡大した施設におきましては、今回の事例でもそうであったように、感染した職員や感染者の濃厚接触者として自宅待機となる職員もおられる中で、入所者に対するケアの継続が必要となりますが、場合によっては人員が不足することも見込まれます。加えまして、デイサービスなどの居宅サービス事業所において感染症が発生すると、事業所の一時休業などにより、利用者に対する代替サービスの提供が必要となってまいります。  今回の事例では、仕組みのない中での対応となりましたため調整に手間取ったことも踏まえ、今後の同様の事態に備え、施設、事業所間で介護職員等の応援派遣や代替サービスの調整が必要となる利用者を相互に受け入れる仕組みを構築すべく、滋賀県老人福祉施設協議会、滋賀県介護老人保健施設協会、滋賀県介護サービス事業者協議会連合会等の事業者団体との協議を進めているところであり、来月上旬を目途に支援体制の構築を行い、県民の皆様へもお示ししてまいりたいと存じます。  6点目、指定感染症の位置づけの見直しについてでございますが、新型コロナウイルス感染症はいまだ十分に解明されておらず、感染症法の位置づけについても議論が行われているところでございますが、感染症法上の措置の内容や入院の要否等にかかわらず、患者やその家族に対する中傷や差別はあってはならないと考えております。  なお、現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、指定感染症として定められており、政令により2類感染症以上の措置が講じられております。国においては、今後、これまでに把握されている医学的知見や有識者の意見を踏まえ、蔓延防止を図りつつ、軽症者や無症状者の宿泊療養での対応を徹底することや、感染症法に基づく権限の運用について、政令改正も含め、柔軟に見直しを図るとされているところでございます。県におきましても柔軟な運用が必要と認識しており、国の動向を注視しつつ、必要な対応を検討してまいりたいと存じます。  7点目、人権に対してでございますが、私自身、これまでから様々な機会に人権の尊重を繰り返し呼びかけるとともに、人権侵害の状況を踏まえた啓発を実施するなど、総合的に対応してきたところでございます。  しかしながら、感染者等に対する差別や誹謗中傷などの人権侵害が今なお発生しておりますことから、9月1日に新型コロナ人権相談ほっとラインを開設し、併せて人権侵害対応チームを設置するなどにより、相談体制の強化を図ってきたところでございます。  寄せられた相談につきましては人権侵害対応チームで集約し、必要に応じて、救済措置が必要なものについては労働局、法務局等必要な措置を取ることができる機関とも連携して対応するなど、相談者に寄り添った対応を図ってまいります。  こうした中で、差別ではなくエールをとの温かいお声かけ、クラスターが発生した施設への地域からの支援活動など、支援の輪の広がりには深く感謝しており、こうした支援や応援の事例も活用し、自分事として捉えていただけるような啓発を今後行っていくところでございます。  改めて、「今こそコロナに負けず、お互いを思いやり、いたわり合い、助け合おう」をスローガンに、県民の皆様とともに心と力を合わせて、この難局を乗り越えてまいりたいと存じます。  前半の最後、観光関連産業の振興と雇用対策についてでございますが、こちらは9点、そのうち私には6点御質問いただきました。  まず1点目、観光関連産業全体への影響についてでございますが、各業界団体からお聞きしているところによりますと、GoToトラベルや本県の「今こそ滋賀を旅しよう」事業の効果もございまして、個人宿泊客が対前年比6割程度まで盛り返した宿泊施設や、対前年比8割程度の稼働率を保っていらっしゃる観光施設もございます。  一方、団体宿泊客の利用はいまだほとんどなく、県内観光バスの利用状況は対前年比1割未満が続いており、湖上遊覧船も三、四割程度にとどまっているとのことでございます。また、食品販売業者やレストランも、個人客はありますもののイベントや宴会等がほぼ中止となり、売上げは厳しいとのことでございます。  このように、一部の事業者においては観光需要の回復が見られるものの、観光関連産業全体として、コロナの影響によりかつてない厳しい状況が続いているものと認識しています。  2点目、観光業界の地力づくりについてでございますが、今回のコロナ禍を経て、これまでのように旅行者がたくさん来て単に消費するだけという観光スタイルは変わっていくものと考えます。例えば琵琶湖で楽しむアクティビティやアウトドア、滋賀の食と文化や地域住民との交流などを通じ、滋賀の豊かな自然や季節感を味わっていただくことで、滋賀への共感の輪を広げ、長く滞在し何度も来ていただくよう、量を求める観光から、より質を高める観光への転換が求められるのではないかと捉えております。  そのためには、観光関連事業者と行政、地域住民が共通認識を持って一丸となって取り組んでいくことが必要であり、改定予定の新たなビジョンがその羅針盤となるよう、取り組んでまいりたいと存じます。  3点目、この観光交流指針の練り直しについてでございますが、観光関連産業は厳しい状況が続いており先も見通せないことから、感染症対策や観光需要の回復に向け、引き続きしっかりと支援施策を講じてまいります。  また、琵琶湖のアクティビティや滋賀の食と文化などはコロナ禍を経て改めて注目されており、このような滋賀の観光資源を再発見し、情報発信を行っていくことが重要だと考えます。同時に、例えばワーケーションなど、コロナ禍を踏まえた新しい視点での観光資源開発も必要です。加えまして、長距離の移動を敬遠し、近場で観光を楽しむ志向が強くなっていることから、県内はもとより、関西圏、中京圏、北陸圏などからの誘客も進めてまいります。  このため、これまで大切に受け継がれてきた理念を引き継ぎながら、これらの視点を盛り込み、令和4年度が終期の現ビジョンの改定を1年前倒しし、今年度から検討を行ってまいりたいと考えております。  4点目、本県の倒産状況と今後の予想についてでございますが、民間の調査会社によりますと、県内企業の今年1月から8月までの倒産件数は56件となっており、そのうち新型コロナウイルス関連の倒産件数は3件とのことでございます。経済の状況につきましては今後も厳しい状態が続くと想定され、今後の県内企業の倒産につきましては、雇用とともに、引き続き注視していく必要があるものと認識しております。  5点目、雇用の現状と本県経済への影響についてでございますが、この7月の有効求人数は7か月ぶりに増加したものの、対前年同月比7割程度であること、また、事業主都合の離職者が対前年同月比で2倍程度増加しており、雇用の状況は大変厳しいものと憂慮しております。  依然といたしまして外出しにくい雰囲気がある中で、宿泊業、観光業、外食、衣料品販売などの業種の経営や雇用は特に厳しい状況が続いており、各業種の状況を丁寧につかみながら、影響が長期にわたることも覚悟し、きめ細かく、事業者に寄り添った対応をしていく必要があると考えております。  最後6点目は、雇用形態の変化等を踏まえた支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、回復基調にある業種と、なかなか回復しない業種に二極化していく可能性があることから、議員御指摘のように、人手不足が生じている業界と雇用維持に苦慮される業界の間での労働移動というものは、労働者の雇用を維持していく上で大変重要であり、社会的な課題であると認識しております。  このような認識の下、全国知事会として、この6月に、休業者の雇用機会を創出するための新たなマッチングの仕組みへの支援を国に対し提言させていただいたところです。県といたしましても、在籍しながら一時的に出向してもらうというやり方、あるいは副業や兼業といった多様な働き方などについて、今後の経済社会を見据えた取組として分野横断で考えていく必要があると考えており、今後の施策構築の中で、失業なき労働移動を推進する仕組みについて、関係機関とともに知恵を出し合って検討し、構築してまいりたいと存じます。 ◎副知事(中條絵里) (登壇)観光関連産業の振興と雇用対策に対する9点の御質問のうち、私に対する3点の御質問についてお答えいたします。  1点目の産業構造から見た雇用の強み、弱み、およびその基本的対策についてでございますが、滋賀県には、化学、自動車、電子部品等多様な分野の企業が立地しており、滋賀県は県内総生産に占める第2次産業の割合が日本一である、国内有数のものづくり県であると認識しております。  平成28年経済センサスによれば、民間事業所で働く方の27.1%が製造業に従事されていると承知しております。製造業は国内外の景気変動の影響を受けやすい業種が多く、景気動向が働く方々の雇用を左右する傾向があることから、雇用の安定という点からいいますと、構造上の弱点があるのではないかと認識をしております。  また、全国的にも同様でございますが、滋賀県においても、介護、福祉、医療、建設業、農林水産業などにおける担い手不足が大きな課題であると考えております。  こうした状況から、本県に求められている基本的な対策といたしましては、景気の影響を受けやすい産業構造にあっても、事業者において可能な限り雇用を維持し、離職者の増加を食い止めるための雇用を守る取組、そして、雇用維持が難しい状況になった場合には、離職者を担い手不足の業種へつなぐことも含め、早期の再就職を支援する雇用をつなぐ取組が重要であると認識をしております。  次に、2点目の雇用調整助成金についてでございますが、滋賀労働局によりますと、6月以降大幅に増加しており、9月11日時点で申請件数は1万2,806件、支給決定件数では1万1,110件と、6月当初と比べますと、それぞれ15倍、28倍となっております。こうしたことから、多くの事業所において、雇用調整助成金を活用した雇用の維持が図られていると認識しております。  また、県が滋賀労働局と社会保険労務士会と連携して設置をいたしました雇用調整助成金申請サポートセンターにおいて、相談業務を担っていただいている社会保険労務士の方からは、手続の大幅な簡素化、助成率や上限額の引上げなどの特例措置が功を奏し、申請件数の増につながっていると伺っております。  この半年間の申請件数は、リーマンショック時の年間申請件数のピークを既に上回っており、また、4〜6月期の完全失業率は2.1%と、リーマンショック時に比べますと半分以下に抑えられており、これらのことを踏まえますと、現時点においては、雇用を守るという雇用調整助成金の政策効果は現れているのではないかと認識をしております。  最後に、3点目の離職者に対する県としての再就職支援についてでございますが、県が設置をいたします若年者、シニア、子育て中の女性を対象にした就職支援機関においては、キャリアコンサルタントなどの専門支援員が相談内容を丁寧に聞き取り、それぞれの状況に応じた再就職の支援を行っております。  また、この7月には再就職を目指す方等を対象にしたウェブ上での合同企業説明会を開催したところでございますが、介護事業所や建設関係企業などからも多く御参加いただき、人手不足業種の企業、事業所が求職者と出会える機会を設けたところでございます。  さらに、県独自の雇用創出事業におきましては、第1次産業や介護、福祉など、従来から慢性的に人手不足が生じている分野への橋渡しを意識して取り組んでおります。  今後の取組といたしましては、民間企業における雇用創出を支援するため、離職者等を正規雇用労働者として雇い入れた企業に対する助成制度を創設するとともに、今後の経済社会の変化も見据え、一時的な出向等による人手不足分野等への労働移動や人材確保について、滋賀労働局など関係機関としっかり連携して、その仕組みを検討し、構築してまいりたいと考えております。  国の厚生労働行政に携わり培ってきた知識や経験を生かし、また、知事をはじめ職員ともしっかりと議論をしながら、県民の思いに寄り添った労働雇用施策を推進してまいりたいと考えております。 ◎知事(三日月大造) (登壇)それでは、残る3項目について順次お答えをいたします。  まず、大きな7項目め、農業振興と農山村政策について、こちらは13点いただきました。  まず1点目、本県の水稲の作柄についてでございますが、農林水産省公表の8月15日現在の作柄概況によりますと、7月の低温と日照不足の影響により、もみの数が減っているとの見込みから「やや不良」でありますほか、収穫が終わったわせ品種について各地域における聞き取り調査においても、「平年並み」から「やや少ない」状況になっているとのことでございます。  また、品質につきましては、白未熟粒が少ないことから、一等米比率が9月9日現在、みずかがみで88%と前年産を約10%上回るとともに、本県の主力品種のコシヒカリでは82%で、前年産を約40%上回る状況にあると聞いております。  2点目の主食用米の生産量見込みと非主食用米への変更についてでございますが、本県における令和2年産の主食用米の作付面積は2万9,700ヘクタールで、作柄が平年並みとなった場合の生産量は15万3,700トンが見込まれているところでございます。  全国的な米の需要量の減少や在庫の積み上がりが見込まれる状況の中、国では需要に応じた生産に向け、主食用米から非主食用米への用途変更に係る手続の期間延長などの措置が行われました。これに伴い、県では、7月に実施いたしました市町農業再生協議会との意見交換の際に、売り先の確定しない主食用米については飼料用米等への用途に変更することなど、関係団体とも連携して生産者へ呼びかけてきたところでございます。  その結果、主食用米として生産予定であった面積のうち41ヘクタールが加工用米や飼料用米などへ変更されたことで、6月末時点では2,671ヘクタールであった本県の非主食用米の面積は、8月末時点において2,712ヘクタールに増加しているところでございます。  3点目の本県の米政策と来年産の作付の方針についてでございますが、全国の米の需要が減る中、本県の米政策の方針としては、主食用米だけでなく、麦、大豆、飼料用米などの非主食用米、園芸作物の作付を組み合わせた水田のフル活用を進め、農地の生産力を最大限に引き出し、生産者の所得向上を目指したいと考えております。  その中で、来年産の主食用米につきましては、私が会長を進めております近江米振興協会を中心に、1つは、卸売業者等が求める主食用米に関する情報を把握し、生産者にその作付を提案し、播種前契約などの事前契約によって、生産と販売の結びつきを強化するということ。2つ目といたしまして、生産者は、事前契約に基づきしっかりと生産し供給するなど、安定した取組により経営の安定化を図ること。3つ目といたしまして、みずかがみやコシヒカリにつきましては、食味ランキングでの特Aの継続取得を目指すとともに、環境こだわり米やその象徴となるオーガニック米など本県の特色ある米づくりを加速し、需要の維持と向上を図るなどの取組を進めてまいりたいと存じます。  こうした取組を関係団体と一丸となって進めることで、全国の需要量に占める近江米のシェアの維持向上と生産者の経営安定に結びつけてまいる所存でございます。  4点目、コロナ禍による影響と対策等についてでございますが、本県の農畜水産物につきましては、外食や学校給食等の業務用需要や観光需要が減少したことなどにより、肉牛や湖魚、花、茶などでは出荷量が減少したり価格が下落したりするなどの影響が生じております。このため、生産者の経営継続を支援するとともに、県産食材の消費拡大などに取り組んでいるところです。  その結果、例えば、特にコロナ禍による影響が大きい肉牛では、6月補正予算の近江牛市場流通活性化緊急支援事業により、滋賀食肉センターにおける屠畜頭数が増加し、農場における出荷の停滞が一定解消するなどの効果があったところでございます。  今回の補正予算案では、学校給食に近江牛を提供する取組の増額や、肉用牛に係る肥育経営安定交付金の上乗せ期間の延長といった既存の対策の上積みのほか、今後の反転攻勢に向けた滋賀の食材のPRなど新たな対策を計上させていただいており、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に対応してまいりたいと存じます。  5点目、コロナによる生活様式の変化を踏まえた農業、水産業の実需や変化への対応方針についてでございますが、今後を見据えた農畜水産物の流通販売対策といたしましては、既存の販売先のほかに、生活と生産が距離的に近いという本県の特徴を生かしながら、直売所や通販、宅配の活用、さらには農業体験、観光ビジネスの活用など、平時から消費者とのコミュニケーションが図れる多様なサプライチェーンを持つことが大切になってくると考えております。このため、今議会にお願いしております補正予算の中で、消費者の生活様式や需要動向の変化を捉える調査などを行うこととしております。  今後は、その結果を現在策定中の農業・水産業基本計画に反映し、本県の農業、水産業の競争力を高めるとともに、需要の変化に柔軟に対応できる多様なサプライチェーンが構築されるよう取り組んでまいりたいと存じます。  6点目、基本計画における農村、山村、漁村の対象地域についてでございますが、滋賀県農業・水産業基本計画における農村の対象地域は、農林業センサスにおいて農業集落として区分された集落であり、1,549集落ございます。  次に、琵琶湖森林づくり基本計画における山村の対象地域でございますが、地域の営みにおいては森林所有者が農業者でもある場合が多く、実態として農村と山村を切り離すことは適当でないことから、やまの健康など具体の事業では中山間地域を対象としており、その数は農業集落の内数となってございます。  また、漁村の対象地域は、県内の漁業協同組合が存在する地域としており、琵琶湖周辺の35地域および内陸部に存在する主に河川漁業を行う17地域の合わせて52地域あるということでございます。  7点目、農山漁村の振興についてでございますが、琵琶湖と共生する農林水産業を指す琵琶湖システムは、まさに農山漁村の持続的な営みを反映したものでございます。その農山漁村では人口減少や高齢化が進行し、取り巻く環境は厳しさを増していると認識しております。  そこで、農山村では、地域の話合いを通じて目指すべき将来像を描いていただき、例えば、1つ目として、ICTやAIを活用した技術の導入促進により持続的な農業を進める地域でありますとか、2つ目として、山林や棚田など地域資源を磨き上げ、観光等と組み合わせたやまの健康などの取組を進める地域、また3つ目といたしまして、耕作放棄地で新品種を栽培し6次産業化を進める地域など、それぞれの地域の特性に応じた取組を、企業や大学など多様な主体と連携、協働し進めているところです。  一方、漁村につきましては、漁村の半数で、水産多面的機能発揮対策事業により漁業者と地域の人々が連携して漁場保全など地域らしさを出す取組を行っており、これらの取組を引き続き支援してまいりたいと存じます。  さらに、これらの取組と併せ、農山漁村に人が住み続けるために必要な生活や生産に係る条件整備や、さきにお答えした移住交流の促進など地域を支える人の裾野を広げる施策を総合的に進め、健康で生き生きとした農山漁村の実現に向けて取組を進めてまいりたいと存じます。  8点目、地域資源を守るための対応についてでございますが、農地や水路、ため池などの地域資源は、地域の共同活動を通じて農業生産や県土の保全など多面的な機能を発揮していることから、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策や中山間地域等直接支払の両制度により支援してきたところでございます。  これにより、現在、県内の約7割の農地において、非農家を含めた形で地域資源を守る共同活動に取り組まれておりますが、農家数の減少や高齢化により管理体制の脆弱化が進み、共同活動の継続が難しい地域も見られているところでございます。  このため、体制強化に向けた活動組織の広域化を市町と連携しさらに進めるとともに、移住交流の取組や新たに地域貢献型のツーリズムを推進するなど、地域資源を守る人材の確保を図り、地域資源を健全な姿で次世代に引き継げるよう取り組んでまいりたいと存じます。  9点目、放置林についてでございます。  森林経営管理法は、手入れされずに放置された私有人工林を主な対象とし、市町村を主体とした公的な管理を進めることを目的に、平成30年に制定されたものでございます。  本県におきましては、昭和40年代を中心に、時には年間2,000ヘクタールを超える積極的な拡大造林政策が展開されました結果、現在、県内の国有林を除く人工林は約8万ヘクタールになっており、このうち同法の対象となる私有人工林は約5万3,000ヘクタールに上ります。  しかし、その多くでは木材価格の低下や労務費の上昇などにより採算性が悪化し、森林所有者の経営意欲が減退したことから、近年、管理の行き届かなくなったいわゆる放置林が目立っております。この面積を具体的に示すことは困難でございますが、国においては私有人工林のうち3分の2程度で経営管理が不十分であるとの見解を示しており、本県ではおよそ3万5,000ヘクタールがこれに該当すると考えられます。  放置林対策に当たりましては、実態の把握が不可欠であり、各森林所有者の経営に対する考えを確認する必要がありますことから、各市町村が同法に基づく意向調査を進めていかなければなりません。  県におきましても、対策のベースとなります境界の明確化や、意向調査等に取り組む市町に対し技術的に支援していく必要がございます。具体的には森林環境譲与税等を活用して、引き続き森林の資源や権利関係の情報収集に努めることなどにより、市町とともに一歩ずつ対策を進めていきたいと考えております。  10点目の森林環境譲与税と琵琶湖森林づくり県民税の使途や税率についてでございますが、本県では、森林環境譲与税は森林経営管理法に基づく市町施策の支援等に要する経費に充当し、これ以外の環境重視と県民協働による森林づくりを推進する施策に、琵琶湖森林づくり県民税を充当することと整理しているところでございます。  今般、滋賀県税制審議会におきましても、この使途の整理の考え方は合理的であり、今後もこの整理によって使い分けていくことが適当とされたところでございます。  また、県民税の税率につきましては、まず1つは、森林経営管理法の施行および森林環境税、譲与税の創設という森林整備に係る大きな制度改正が行われたばかりであること、2つ目といたしまして、基金累計残額の活用により一定期間事業を維持することが可能であることなどを踏まえますと、現時点では現行の税率を維持することが適当とされたところでございます。  11点目、県民税を充当する施策についてでございますが、この県民税は、森林の有する公益的機能を高度に発揮させるような森林づくりのための施策に要する経費の財源を確保することを目的としており、県民や法人の皆さんから広く負担をいただいているところです。  その使途につきましては、琵琶湖森林づくり県民税条例第4条の規定に基づく要綱において、災害に強い健全な森林づくりを目指す施策など、8つの項目を掲げております。この要綱に基づき、環境林整備をはじめとする従来からの課題に引き続き取り組むとともに、近年顕在化してきた新たな課題にも対応していく必要があると考えます。  具体的には、道路等ライフラインへの倒木被害を未然に防ぐための予防伐採の仕組みづくりや、森林資源の循環利用のための伐採および再造林、より積極的な県産材の利用などに取り組んでまいりたいと存じます。  以上の県民税を活用した本県独自の施策と、国庫補助等の財源を活用した治山事業や造林事業、林業振興対策等を組み合わせて森林林業施策を構築し、さらには農山村の活性化を図り、総合的なやまの健康に取り組んでまいりたいと存じます。  12点目の現在の造林公社の経営状況の評価についてでございますが、平成20年の債務引受けおよび平成23年の特定調停成立を受け、本県は一般社団法人滋賀県造林公社の健全な経営の確保のための県の特別な関与に関する条例にのっとって計画の策定を公社に求め、公社はこの計画に基づく経営を進めてまいりました。  具体的には、分収割合や契約期間の変更、不採算林の解約を進めるとともに、平成27年度以降は、伐期に達した事業地において順次伐採事業を実施しており、収益性の高い木材の生産、販売などの経営改善に懸命に取り組んでいるところでございます。  しかし、木材価格の低下や労務費の上昇など林業を取り巻く環境は依然として厳しく、奥地の気象条件等から公社林の生育状況も芳しくないため、当初想定していた伐採収益は得られない状況であり、伐採に伴って、財務上の正味財産は減少していく傾向にございます。  このため、数年後の債務超過が予測されるところでございますが、特定調停の調停条項にうたわれた公益的機能を発揮するための本県からの支援を受けながら、間伐等に係る国等の補助金を活用し、採算の合う事業地での伐採を続けられることから、事業継続性は失われないものと考えております。  本県公社の分収造林事業につきましては、土地所有者との分収造林契約および多額の債権放棄に応じていただいた下流団体との特定調停の調停条項が基礎となっております。  さらには、本県の債務引受けおよび債権放棄による県民の皆さんの多大な御負担の上に成り立っているものと認識しており、今後も、公社林の公益的機能の持続的な発揮と、伐採収益の確保に向けた不断の努力が必要であると考えております。  13点目、造林公社の計画策定に対する指導方針についてでございますが、公社造林の在り方につきましては、昨年度、森林林業分野の学識者をはじめとする専門家からの御意見を得た上で、県の考えを取りまとめたところでございます。  この中では、公社林の公益的機能の発揮と伐採収益の確保の両立を目指すこととしており、分収造林契約および調停条項の履行を公社林経営の最も大きな柱としております。その上で、琵琶湖の水源林を保全すること、森林資源を生かして収益を確保すること、事業を通じて地域社会へ貢献することを基本としております。  今後行う公社の次期中期計画の策定に当たりましては、この考えを基に指導しており、特に民間企業等と連携した環境貢献活動や地域の木材需要への対応、林業従事者への技術指導などを通じ、地域社会への貢献に力を入れるよう促しております。  森林の経営は超長期にわたるものであり、世代を超えて健全な森林が引き継がれるよう取り組む必要がございます。公社にありましては、森林土壌への影響を抑えるため、複数回に分けた伐採を行うことによって、針葉樹と広葉樹が入り交じった環境林への誘導を図り、将来へ公益的機能を持続させる計画でございます。  広大な公社林が役割を果たしていくためには、目前の経済性のみにとらわれず、持続可能な社会を希求する長期的な視点に立って着実な森林管理に取り組む必要があるものと考えており、こうした方針により、的確に指導、助言してまいりたいと存じます。  続いて、大きな8項目め、これからの都市計画について、こちらは7点御質問いただきました。  1点目、都市計画基本方針における都市がどのような地域を対象としているのかということについてでございますが、都市計画基本方針は今後の滋賀県の都市計画における広域的な方向性を示すものであり、ここで言う都市は、基本的に都市計画法に定める都市計画区域を指しており、具体には、既成の中心市街地を核に、その周辺を含めて総合的、一体的に整備、開発または保全すべき区域のことでございます。  また、基本方針は県土全体において適用できることが望ましいと考えておりますことから、都市計画区域外における鉄道駅や旧町村役場の周辺、郊外集落などの地域も含めて検討してまいりたいと存じます。  2点目、市町のまちづくりにおいて都市計画が果たす役割についてでございますが、市町のまちづくりは、地域の課題に対応し、まちを活性化させるため目指すべき将来像を明確にした上で、防災、防犯、教育文化、生活環境、医療福祉、地域産業、交通などに関するハード、ソフト両面の幅広い取組により、総合的かつ計画的に進められるものであると認識しております。  こうしたまちづくりにおいて都市計画の果たす役割は、道路や公園などの施設整備や土地利用の規制、誘導などにより、生活や経済活動の場としての都市の健全かつ秩序ある形成を図り、まちの発展に資することであると認識しております。  3点目、本県の都市計画ビジョンと基本方針の位置づけについてでございますが、本県では、人口減少など社会を取り巻く環境が変化する中にありましても、多様な人々が集う「未来へと幸せが続く滋賀」を目指しており、安全・安心な生活や経済活動を支える上で都市計画の果たす役割は重要と考えております。  都市計画におきましては、人口減少、超高齢社会の到来、災害の頻発、激甚化、コロナ禍を契機とした変化などに対応する必要があるとの認識から、ビジョンとして、都市の活力低下をもたらすこれまでの拡散型の都市構造からの転換を図り、自然を生かしながら、住む、働く、憩うために必要となる様々なサービス機能が集積した多様な拠点の形成と、それらの拠点を結ぶ公共交通網の再構築、自然災害に対応した安全な都市の形成を目指したいと考えております。  今般の都市計画基本方針は、このようなビジョンの実現に向け県全体の都市計画の広域的な方向性を定めるものであり、区域マスタープランおよび市町マスタープランの上位の方針となるものでございます。  4点目、基本方針策定の趣旨と検討の進め方についてでございますが、市町の置かれている状況やまちづくりへの思いが様々であります中、今申し上げたようなビジョンを県全体で実現するためには、県と市町が連携し、同じ考えの下、都市計画行政を推進することが重要であり、そのよりどころとして基本方針を策定するものでございます。  このため、基本方針の策定に当たりましては、県内全市町の担当部長等からなる検討会議で、県全体の都市計画のあるべき姿を丁寧に議論し、市長会議、町長連絡会議の場で御意見を伺った上で合意形成を図ってまいりたいと存じます。
     また、県民の御意見を反映させることも重要であると考えており、論点の明確化、検討状況の見える化に努め、例えばSNSやホームページを活用した情報発信、意見交換できる場の設置など、広く県民の皆様が興味を持って、いつでも簡単に意見を言える仕組みを工夫しながら検討を進めてまいりたいと存じます。  5点目、都市計画法の改正を受けた取組等についてでございますが、全国的に都市公園施設の老朽化が進み魅力の低下が顕在化する中、平成29年の都市公園法の改正によりPark−PFI制度が導入され、限られた財源の下、民間活力を活用して施設を適切に管理、更新し、質を向上させることが可能となったところでございます。  本県が管理する都市公園においては、琵琶湖などの自然に触れながら、家族団らんやジョギングなど日常的に憩うことのできる場、キャンプ、バーベキューなどのレジャーを楽しむことのできる場としての需要が高まっております。このため、県では法改正の趣旨を踏まえ、県営都市公園の活性化に向けて、扱うべき役割や機能、民間活力導入といった施策の方向性を滋賀県営都市公園マネジメント基本方針として、本年中に取りまとめたいと考えております。  この基本方針策定後は、公園ごとに目指すべき姿や活性化等の方針を定めた上で、民間活力の導入により、スポーツやバーベキュー等を行える施設やカフェ等の収益施設を設置し、質の高い運営を効率的に行うなど具体の取組について検討を進め、魅力の向上とにぎわい創出に取り組んでまいりたいと存じます。  6点目、風景の保全の取組についてでございます。  本県は、昭和59年に制定したふるさと滋賀の風景を守り育てる条例、いわゆる風景条例等により、県全域において、琵琶湖景観形成地域など景観に配慮すべき区域を定めた上で、建築物や屋外広告物等の高さや色彩等の基準を設け、規制や誘導等を行うことで、湖国ならではの風景の保全や形成に努めてきたところでございます。  その後、平成16年に景観法が制定され、これまでに13市が景観行政団体に移行し、各市が独自に景観条例、景観計画等を策定することにより、地域特性に応じた取組を実施しております。  このような中、県は残る6町域における景観行政を担うとともに、13市と連携した景観行政団体協議会を通じて、県土における一体的な景観形成に努めているところでございます。  7点目、景観行政団体である市町との連携、今後の県の景観行政の進め方についてでございますが、県といたしましては、景観行政団体協議会を活用して、これまで、太陽光パネル設置に係るモデル基準の策定を行いましたほか、現在は、市域をまたぐ琵琶湖辺の眺望景観の保全の方針に関する議論を行っており、今後も景観に関する課題への対応や施策の推進について情報共有や協議を行い、県内で広がりとつながりのある湖国ならではの景観形成を図ってまいりたいと存じます。  また、県では、6町域を対象とする景観施策として、沿道の緑化措置に関する具体的な基準や、景観上支障となる屋外広告物を防止する基準等を今後取りまとめる予定であり、その中で、県土において一体的に取り組むことが望ましい事項について、13市においても同様の取組が行われるよう、景観行政団体協議会で議論を進めてまいりたいと思います。  最後、9項目め、高等教育の推進等に関して、こちらは9点御質問をいただいたうち、私には5点賜りました。  まず、学部移転についてでございますが、立命館大学びわこ・くさつキャンパスは、平成6年の開設以来、本県の人材育成や産業振興に重要な役割を果たすとともに、地域の社会経済に大きく御貢献いただいてきております。  このたびの情報理工学部研究科の移転は、県内企業との関係や学生数の減少により、地元草津市をはじめ、地域の経済社会へ多大な影響があるものと考えております。このため、立命館大学に対して、びわこ・くさつキャンパスにおける教育研究機能のさらなる充実を図るとともに、地域の特性を生かし、地域と連携するキャンパスの将来構想を示されること、学部研究科の新設、充実等により学生の確保や研究活動の維持、発展を図ること、県、市や企業との連携事業などにより地域課題の解決にさらなる協力をいただくことを、9月7日、草津市とともに要望させていただいたところです。  大学側においても、デジタルクリエーティブを目指す戦略の中で、びわこ・くさつキャンパスも文理融合型キャンパスを目指していきたいとされておりますことから、県、市、大学の連携をさらに進め、交通アクセスなど課題の解決を図りながら、大学の機能を生かした、お互いにとって魅力ある地域づくりを目指してまいりたいと存じます。  2点目、高等教育機関の在り方、誘致、設置についてでございますが、県では昭和61年から平成6年まで大学誘致推進本部を設置し、特に産業界から要望のあった理工系学部を中心に、積極的な大学誘致活動を行ってまいりました。  その結果、現在では14大学・短期大学が立地するに至り、人口当たりの学生数は、昭和63年度の全国47位から令和元年度は全国7位となってございまして、人材の育成や県内産業の活性化、さらには活力ある地域づくりに大きく貢献してきております。  今後は、若年人口の減少や求められる人材や研究などの変化の動きも踏まえながら、県内大学等と連携して地域課題の解決に引き続き取り組むとともに、新たなニーズに対応できる高等専門人材育成のため、高等専門学校の設置も選択肢の一つとして検討を行っているところです。  3点目、これまで実施してきた高校再編計画等への評価についてでございますが、教育委員会では、魅力と活力ある県立高等学校づくりに向けて、平成24年12月に滋賀県立高等学校再編基本計画および実施計画を策定したところでございます。  この再編計画に基づき、これまで、統合新校の設置や地域に根差した学校づくり等、全ての県立高校において魅力ある学校づくりに取り組まれてきたと認識しております。例えば統合新校の彦根翔西館高校は、彦根翔陽高校と彦根西高校の学びが2校の統合によりさらに充実し、県内広い範囲から入学者が集まり、生徒が多くの人と出会い活動することによって社会性が身につき、部活動では陸上競技部男子が県総合優勝するなど、学校の魅力化や活性化につながっております。  また、1学年2学級の総合学科に改編された信楽高校は、地元甲賀市とも連携して、全国から入学生を募集する仕組みも導入し、地場産業の信楽焼を中心とした地域の教育資源を活用した活動により、規模の小さい学校であっても、地域の継続的な支援を受け、特色ある教育が提供できております。  このように、再編計画に基づく様々な取組により魅力と活力ある県立高校づくりが進展し、一定の成果を上げているものと認識しております。  次に、4点目、設置者である知事として、高等学校はどうあるべきなのかということについてでございますが、高等学校は、豊かな人間性、創造性および健やかな身体を養い、国家および社会の形成者として必要な資質を養う場でございます。その上で、私としては、滋賀にある県立高校に共通する特色、つまり、豊かな自然と数々の歴史文化に包まれ、多くの先人たちの知恵や教えを受け継いできた、この滋賀ならではの学びが必要と考えております。  また、高校生には、自分たちのことを自分たちで決められるような人になり、各方面で自らの力を生かして活躍してほしいと願っており、多様な生徒同士が互いを尊重しながら学び合える場であってほしいと考えております。  滋賀の県立高校である特色を生かし、中学生が行ってみたいと思える高校、入学した高校生が社会を担う自覚を持って学べる高校、卒業生が生き生きと次の進路に踏み出せる高校、生徒たちの生きる力をしっかりと育む滋賀の県立高校を、教育委員会、また県民の皆様とともにつくってまいりたいと存じます。  最後、5点目、現在進められている県立高等学校の在り方検討に望むことについてでございますが、県立高等学校在り方検討委員会は、委員として、学識経験者や学校関係者はもとより、滋賀県の産業関係者や市町関係者、保護者、大学生等も入って、大変熱心に御議論いただいていると伺っております。  この検討委員会では、例えば公募の委員からは御自身の御経験を踏まえて、未来は自分でつくるのが一番確実であるといった御意見や、他府県での高校の在り方の検討経験をお持ちの委員の方からは、学校規模や魅力の出し方は様々であり、全ての高校を同じような規模にしていく必要はないのではないかといった御意見をいただいているところです。こうした様々な視点からの御意見は、これからの県立高校の在り方を検討する上で大変貴重で、重要であると考えております。  私といたしましては、特に、人口減少地域にある高校のさらなる魅力化や、多様な生徒に対応できる高校づくり等が課題ではないかと考えておりまして、検討委員会には活発に御議論いただいて、滋賀の県立高校の在り方について、様々な視点からのアイデアや御意見を大いに期待しているところでございます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました高等教育の推進と魅力ある県立学校に関する4点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の在り方検討委員会の設置の趣旨と今後のスケジュールについてでございますが、平成24年12月に滋賀県立高等学校再編計画および実施計画を策定し、魅力と活力ある学校づくりを推進してきたところでございます。  人口減少、少子高齢化の進行、グローバル化、情報化、技術革新の進展など、急速に社会情勢が変化する中で滋賀の高等学校教育の一層の推進を図るためには、再編計画の検証と全県的視野での県立高等学校の在り方の検討が必要であると考え、今回、滋賀県立高等学校在り方検討委員会を設置し、検討を始めたところでございます。  検討委員会はこれまで3回実施をしておりまして、今後も各委員から様々な御意見を伺いながら、今年度中に中間的な取りまとめを実施した上で、来年12月頃までに答申をいただく予定としております。  その後、教育委員会として、来年度末までに、仮称ではございますが、これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針を作成したいと考えているところでございます。  2点目のこれからの普通科という学科についてどのように考えているかについてでございますが、国におきましては、普通科について、各高等学校がそれぞれの特色化、魅力化に取り組むことを促進するために、各学校の取組を可視化──見える化し、情報発信を強化するという観点から、普通科改革の議論がなされていると認識をいたしております。  本県では、全日制高校44校のうち、普通科のある学校は30校ございまして、中学校の進路志望調査でも、県立の全日制高校志望者のうち、普通科への志望者はおよそ7割と高い状況にございます。工業県である本県では高校生への求人も多くいただいており、普通科を卒業して就職する生徒も一定数おられます。また、普通科の中に英語コースでありますとか体育コースなどを設置し、それを学校の特色の一つとしている学校もございます。  私といたしましては、県立高校の普通科は、各学校が特色ある多様な学びを用意し、中学校段階で進路がまだ明確になっていない生徒たちにも、幅広く学びながら自分の進路や将来のことをしっかり考えていける環境を整える、このことが大切ではないかと考えております。  今後の国の議論も注視しながら、これまでの各高校の取組も踏まえ、10年、15年先を見据えて、より一層、生徒の自己実現に寄与することができる、そういった特色ある学校づくりを進めていきたいと考えております。  3点目の職業系学科の教育環境、また、資格取得についてお答えをいたします。  職業教育を主とする学科の在り方につきましては、本年度開催を予定しております産業教育審議会で御議論していただくこととしているところでございます。職業教育を主とする学科の教育環境のうち、施設、設備の充実につきましては、必要度の高いところから順次、適切に更新等を進めさせていただいております。  また、地域の産業界の皆様や大学等と連携をし、生徒が最新の機器に触れる機会を設けることなどの工夫も行いながら、技能を身につけ高められるように取り組んでいるところであり、今後は、その取組をより一層充実していくことが必要だと考えておるところでございます。  次に、生徒に資格取得を促すことは、生徒に目的意識を持たせ、学習意欲を向上させることにつながると考えております。資格を取得したことで就職につながったり、生徒に自信をつけさせることになるものと認識をいたしております。そして、このことは、職業高校の魅力化でありますとか職業教育の魅力発信にもつながるものと考えているところでございます。  最後、4点目の新型コロナウイルス感染症に関しての教育委員会としての今後の対応方針等についてお答えをいたします。  県立学校の一斉臨時休業の実施につきましては、その都度、教育委員会として、家庭学習への対応や学校行事の実施、特別支援学校の児童生徒の居場所確保など、様々な影響についてしっかりと議論し、対応策を検討した上で、国の方針でありますとか、県内、また近隣府県等の感染状況を考慮し、児童生徒の安全を確保することを第一に考えて、休業はやむを得ないと判断をさせていただいたところでございます。あわせまして、市町の教育委員会に対しても、速やかに、県の対応、考え方を通知したところでございます。  ただ、結果として、今般の臨時休業が長期にわたることとなり、子供たちの学校生活におけます学習やその他の活動をやむを得ず制限することとなり、十分な学習指導が行えなかったところでございます。  こうしたことから、学校教育活動をいかに再開するのか、また、休業中の学習保障をどうするのかが課題であると認識をしているところでございます。  そこで、子供たちや保護者への不安や負担を少しでも減少させるため、学校における感染症対策を徹底するとともに、学習の遅れに対し、授業時間の確保や補習、また、消毒等を行うための人的体制を整備することなどによりまして、年度内の学習保障に向けた取組を進めさせていただいているところでございます。  また、今後、臨時休業を実施する場合には、原則として、個々の学校におけます一部または全部について、校内の消毒等に必要な期間に休業は限るとともに、学習への不安が生じないようにICTの整備を加速化させるなど、全ての子供の学びの保障に取り組んでまいる所存でございます。 ○議長(細江正人) しばらく休憩いたします。   午後0時32分 休憩    ────────────────   午後1時30分 開議 ○議長(細江正人) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、40番成田政隆議員の発言を許します。 ◆40番(成田政隆議員) (登壇、拍手)午後からもよろしくお願いいたします。  9月15日、テニスの全米オープン女子テニスシングルスで、大坂なおみ選手が激戦を制し2度目の優勝を果たされました。コロナ禍の疲弊した社会に元気を与えてくれました。また、大坂選手は、この大会で人種差別への抗議として、被害者の名前が書かれた7枚のマスクを1試合1枚ずつ着用して試合に臨まれたことも話題となり、また、優勝の際のインタビューに対し、「あなたが受け取ったメッセージは何でしたか。会話を始めることが目的でした。メッセージをあなた方がどのように受け取ったかに興味があります」と答えられました。我々は改めて、あらゆる差別に対し、いま一度考えなければならないと感じました。  知事も先ほど述べられましたが、早いもので下村勳さんが亡くなられてから明日で2年となります。今のコロナ禍の社会をどのように感じておられるのか。人権、社会福祉、教育、環境など、下村さんの思いもともにしながら、チームしが 県議団を代表して質問をいたします。  まず初めに、これからの県政運営について伺います。  今回の新型コロナウイルス感染症──以下、新型コロナ──により、これまでの生活は一変し、また、社会の構造は大きく変わりました。知事も2期目折り返しに当たり、「コロナ危機を経験している私たちは、大切に守るべきものは人の命であることを気づかされた。一人一人に、全ての人に等しく1つ与えられた大切な命。まず、何より、このかけがえのない命を守ることを第一に考えます」とされ、また、「今とこれまでを止観し、謙虚に自省することから始めたい」ともされています。  いま一度、滋賀県基本構想に掲げた理念「変わる滋賀 続く幸せ」にあるように、私たちは今直面している未知の変化にひるむことなく、時代に合わせてしなやかに変わり続け、県民の幸せを追求して、様々なリスクに立ち向かいながら政策を推進していく必要があります。  そこで、ポストコロナ社会の展望において、「卒近代〜近代からの卒業」を滋賀から志向するとされておりますが、今後の滋賀県の方向性について、知事の考えを伺います。  次に、財政運営について伺います。  内閣府が9月8日に発表した4月から6月期の国内総生産──GDP2次速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比7.9%減、年率換算では28.1%減となり、マイナス成長は3四半期連続で、減少率は比較可能な1980年以降でこれまでの最大となりました。緊急事態宣言をはじめ、新型コロナの拡大により経済活動が大きく停滞したことが影響しており、生活実感に近い名目GDPでも前期比7.6%減、年率では27.2%減となりました。  また、金融不況と言われた2008年のリーマンショック時の消費の下げ幅がマイナス1.8%だったことから考えると、今回は消費の下げ幅がマイナス28.2%であり、今後は大胆な消費喚起の施策も充実させ、消費不況を乗り越えていかなければなりません。  本県では、昨年度末から5度にわたる補正予算を編成し、新型コロナウイルス感染症対策費として総額1,332億円を計上しています。その財源は国の交付金を中心とし、現状で財政への影響は小さいとされていますが、リーマンショック以上とも推測される不況により、今後の税収の落ち込みが想定されます。  そこで、今年度見込んだ県税収入1,725億円の見通し、および財政調整基金と県債管理基金の両基金合わせて275億円と見込んだ令和2年度末の残高見通しについて、知事に伺います。  また、リーマンショックの翌年、2009年度の県税収入額は前年度比約454億円の減、2010年度はさらに4億円減少し、2012年度あたりまでリーマンショックの影響があったとされています。これから取り組む新年度予算編成において財源をどのように確保するのか、大きな課題となります。新年度予算編成においては、さらなる選択と集中が求められることになりますが、今年度下期の事業精査も考慮した事業執行の考え方および新年度予算編成の留意点について、知事に伺います。  次に、危機管理対策について伺います。  一昨日、大津市内の高校8校、小中学校計20校を爆破するとの内容の予告メールが大津市役所に届きました。この件をはじめ、ここ最近、滋賀県を含め、全国で大学や公共施設に対する爆破予告が相次いでいる状況があり、それぞれの機関で対応が取られてきました。人の安全を最優先に、書類や電子データなどの保全や設備の防御も含めて相当な労力が割かれました。  そこで、とりわけ、県の機関を対象とした予告があったときの対応について、どの部局が統括的に取り仕切ったのかを伺います。あわせて、今回の県庁の事案での体制と取られた対応について、この経験に基づく反省および今後の改善点を知事に伺います。  爆破やその予告など、断じて許されることではありません。爆破予告を行った者を特定し検挙するなど、適切に対応し、今後このような事案が起こらないようにする必要があると考えますが、警察における捜査など取組の状況と今後の対応について、警察本部長に伺います。  これまで、危機事案としては防災の観点が優先してきたように感じます。災害対応はもちろん重要ですが、今般の爆破予告のような悪意への対応、ここしばらくの新型コロナへの対応や、場合によっては県庁組織の不祥事への対応なども危機事案への対応ではないかと考えます。  民間企業では、危機事案全般に対応する体制を構築し、危機事案を扱うことを専門とする部署や人員が対応に当たるというのが一般的になっています。県庁においても、危機事案全般に一元的かつ専門的に対処できる体制での対応が必要であると言えます。県庁における様々な危機事案に対する体制について、一元化し、強化していく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。  また、危機事案の対応については、情報の取扱いが非常に重要であると考えます。県庁においても、危機事案に当たって、各部署に寄せられる情報を一元的に把握し分析すること、発信する情報については県庁全体でコントロールすること、特に県庁から発出する情報の精査や整理、社会、すなわち県民の皆さんがどのような情報を求めているのか、発信した情報がどのように伝わるかを常に意識把握して、情報を発信することは極めて重要であると考えます。危機事案をはじめとする情報の取扱いについて、知事の見解を伺います。  この項の最後に、8月1日付で副知事に就任された中條副知事にお伺いいたします。  中條副知事は、厚生労働省において、雇用就業支援や、仕事と育児、介護との両立支援等の仕事を経験されたと伺っております。今後の県政課題に新たな風を吹かせてくださることを期待したいと思います。副知事就任後1か月半が過ぎましたが、滋賀県に対しどのような課題認識を持っておられるのか伺います。あわせて、これまでの経験を踏まえ、副知事として滋賀県政に挑む決意について伺います。  次に、新型コロナウイルス感染症対策について、全て知事に伺います。  新型コロナは、人々の体にウイルスが入り込み、生命を脅かしました。その後、その感染力から人々の経済活動に影響を与え、リーマンショック時を超える大きなインパクトを与えました。そして昨今、新型コロナの感染者、濃厚接触者、医療従事者をはじめ、誤解や偏見に基づく差別がはびこっております。新型コロナは、生命、財産、そして人と人との絆までむしばむウイルスとなっております。  県では、このたび、「新型コロナウイルス感染症対策にかかる振り返りと今後の方向性について」を提示されました。ここでは、6月22日策定、公表された骨子案から、県民、市町、関係団体の皆さんから1,200件を超える貴重な意見をいただき、7月以降の対応状況も踏まえ、課題や今後の方向性を改めて整理されました。  そこで、これまでの新型コロナ対策を振り返り、認識した課題と第3波の対応等、今後の方向性について伺います。あわせて、喫緊の課題に対し、今定例会議に提案された補正予算によってどのように対応されようとしているのか伺います。  次に、人権侵害対策について伺います。  コロナ禍において、感染者およびその家族、クラスター発生施設への嫌がらせや誹謗中傷、人権侵害が発生しております。感染者への差別は絶対に許されないものです。しかし、今回の人権侵害は、目に見えず、治療法が確立していないウイルスへの恐怖感が根底にあります。ゆえに、生半可な啓発では効果を得られないと考えます。  また、本来、感染拡大防止のため、的確な情報を提示し、検査や疫学調査を行っていく必要があるにもかかわらず、誹謗中傷を恐れるあまり情報を制限せざるを得ず、感染拡大防止に悪影響を与える側面もあります。滋賀県として、知事が毅然とした姿勢を示すなどとともに、啓発、広報の在り方にも工夫が必要です。県民一人一人が新型コロナを正しく理解し、人権侵害となる発想や言動に気づき、意識を変える、響く啓発、響く広報が求められます。  そこで、啓発方針と人権侵害の抑制に向けた決意を伺います。  本県においても、9月1日より、公益財団法人滋賀県人権センターと協力し新型コロナ人権相談ほっとラインを開設するとともに、県庁内には人権侵害対応チームを発足し、人権侵害の対策および各種啓発を行うとされています。新型コロナの罹患による人権侵害の案件については、その後の地域生活や人間関係に影響する不安、人権侵害的言動が悪化するおそれ、持たなくてよい後ろめたさなどの理由から何も声を上げられず、閉じこもってしまうケースが見受けられます。  一般的に既存の人権擁護に関する取組を見ても、強制力を伴う対応が取れないなど、人権侵害行為を把握しても解決に至らない難しいケースも多く存在します。課題が深刻化するケースにおいては、コロナ差別禁止条項を含んだ条例の制定も検討していかなければならないと考えます。  そこで、これらの課題に対応するために、新型コロナ人権相談ほっとラインや県庁内に人権侵害対応チームを設置されましたが、どのように運用され、実効性あるものとしていかれるのか伺います。  次に、子供たちに対する重大な人権侵害でもある児童虐待について伺います。  新型コロナの感染拡大に伴い、4月から5月にかけて緊急事態宣言が出されました。その際に、外出自粛が求められた陰で子供たちへの虐待が増えている可能性が高いと、その専門家たちは指摘しました。  東京都を対象にしたNHKの調査では、これまで表に出てこなかった、見えない虐待が起きていたことが分かってきました。見えない虐待の実態は、時間をおいて6月相談件数に表れ、その数は4月、5月に比べてほぼ倍増の件数となっています。  その理由として、学校園が休校、休園になり子供の見守り機能が低下したこと、相談員が感染を理由に面会を拒否されることで子供の状況を把握できなかったこと、休業、在宅勤務等で親の監視が強まり子供が声を上げにくい状態にあったことが考えられ、親子共々自宅で過ごすことが増え、周囲が子供の異変に気づく機会が少なかった影響が大きいとしています。  そこで、コロナ禍における通報や相談から見えてくる見えない虐待の実態は、本県の場合どうだったのか、また、どのように対応したのか伺います。あわせて、虐待の背景にはDVがあることが少なくありません。この点においても、本県の現状と対応について伺います。  次に、新型コロナに係る検査体制について伺います。  県では、新型コロナ流行の第1波の後、衛生科学センターにおける検査体制の拡充や地域外来・検査センターの設置、医療機関における検査機器の整備支援や保険適用検査の拡大など、検査体制の拡大を順次進めてこられました。もっとも、7月下旬から8月上旬にかけてのいわゆる第2波のピーク時に、クラスターの続発などによって必要検査数が急増し、衛生科学センターにおける行政検査が逼迫する事態が生じたところです。  今後、季節性インフルエンザの流行期を控える中、秋冬にかけての新型コロナの大きな波が来ることを想定し、検査体制のさらなる拡充が急務と言えます。  具体的には、適切な治療につなげることを目的とした医療としての検査においては、相談から受診、検査までスムーズにつなげられる体制の整備と、感染拡大防止を目的とした疫学的検査においては、対象者を幅広く捉えて、よりきめ細やかに行う体制の整備の必要があると考えます。  政府は、この冬、季節性インフルエンザとの同時流行に備えた新型コロナ対策として、簡易キット型の抗原検査を1日20万件程度実施できる体制を構築するとしています。また、都道府県に対して、国の指針に基づく新たな検査体制整備計画の策定を求めています。  加えて、感染者が多発発生している地域やクラスターが発生している地域の医療施設、高齢者施設などに勤務する人や入院患者、入所者については、その施設に感染者がいない場合でも行政検査の対象にできるという見解を新たに示されたところでもあります。国の指針がこの9月15日に示されたところですが、現時点で、県としてどのような方針の下、検査体制全体の再構築を行っていかれるのか伺います。  次に、季節性インフルエンザ対策について伺います。  季節性インフルエンザのワクチンは、例年、多くの方が接種されていますが、この冬は新型コロナとの同時感染を警戒し、予防の観点から接種の希望者が増えることが予想されます。ワクチンについて、過去5年で最大量の6,300万人分を供給されるとのことですが、高齢者や妊婦、子供、医療従事者、感染すると重症化するリスクが高い方など、一定、優先順位をつけて、流行期に備え接種できる体制を整える必要があります。  そこで、季節性インフルエンザワクチンの接種について、県の対応策を伺います。  また、適切な治療につなげる観点から、地域の診療所の果たす役割が重要となります。季節性インフルエンザと新型コロナの患者を症状だけで見分けるのは難しい中、インフルエンザが流行した際、発熱患者が双方の検査ができる一部の医療機関に殺到し、その結果、新型コロナの感染を拡大させてしまうおそれもあります。そのため、県内に内科を診療する医療機関は約800か所ありますが、それら医療機関において双方を検査できる、いわゆる発熱外来を増やす必要があります。
     厚生労働省においても、10月までに双方の検査を受けられる一般の診療所を増やすことを示し、都道府県において地域の検査体制をいかに広げるかなど、詳細な検討を求めています。また、PCR検査や抗原検査の機器を整備するための補助金の交付や診療所等における検査を可能にするための手続の簡素化も図られます。  他方、県の医師会からは、発熱外来をつくるには今ある診療所では出入口が1つしかないなど、設備面での感染防止の課題や、近隣が住宅街で住民から敬遠されるなど、立地面での課題も寄せられています。新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行に備え、双方を検査し、適切に治療につなげる地域の診療所などの医療体制をいかに構築していかれるのか伺います。  次に、医療機関への支援について伺います。  これまで、本県では国の補正予算等を活用し、医療機関に対し、院内感染防止対策に必要な経費補助や入院患者の受入れ病床に対する空床確保料、高度医療機器の整備に対する補助等による病院支援など、医療機関への支援と患者が安心して受診できる環境づくりに取り組んでこられました。  しかし、コロナ禍による病院収益の減少幅は極めて大きく、収益悪化は長期化が予想され、病院経営は危機的状況にあると言えます。報道によると、全国の病院の4月から6月の経営状況は6割以上が赤字となっております。コロナ患者の受入れ病院では赤字率が8割を超え、受け入れてない開業医や一般病院においても、受診抑制により患者数は大きく減少しており、深刻な経営危機に陥っています。地域の医療提供体制を守るためには、さらなる支援が必要と考えます。今後、県として、新型コロナの診療をしていない医療機関も含め、どのように医療機関を支援していくのか伺います。  次に、介護福祉施設で発生したクラスターへの対応について伺います。  新型コロナの第1波の時期は、全国各地の介護福祉施設でクラスターの発生が起こり、介護崩壊が心配されました。この間、県内の施設にあっては、それぞれの御努力によりその発生は抑えられていましたが、第2波が押し寄せ、残念ながら、本県においても発生しました。  クラスターが発生した介護福祉施設では、初動、その後の感染拡大防止、特に施設の利用者や濃厚接触者への対応はもちろん、保健所など行政への応対も加わり、現場の御労苦、御心労は相当なものであったと推察します。施設における平素からの危機管理体制はもとより、感染拡大防止のために対応に当たった県、行政機関の関わり方も問われています。  そこで、県内の介護福祉施設で発生したクラスターから明らかになった課題と導き出された教訓について伺います。  ただでさえ人手不足の介護職場です。介護福祉施設でのクラスター発生時の施設間連携や職員の融通等については、そう容易でないことを承知しています。また、施設を利用している高齢者のデイサービスなどの休止、中断による身体機能の低下、認知症の進行にどう対応していくかも課題になっています。  こうした現状を看過できないと、去る8月24日、自治労滋賀県本部、滋賀地方自治研究センターならびに介護事業者などが立ち上げられた「コロナから介護崩壊を防ごう!プロジェクト」の皆さんが、知事に緊急要請をされました。その内容は、事業所の閉鎖やサービス停止時に利用できるケアつき短期療養施設の確保をはじめ11項目で、いずれも時宜を得たものでした。既に県内では滋賀県南部介護サービス協議会が中心となって、保健所とも連携をしながら、琵琶湖感染抑止支援チームの取組が始まっています。  そこで、介護事業所がそのサービスを継続できるよう、医療、介護、行政等の専門家を中心とした応援体制、ならびに介護施設版BCP事業継続計画の構築が早急に必要と考えますが、見解を伺います。  この間の介護従事者の激務と心労は相当であったに違いありません。今後も介護従事者の大幅な増員が容易に見込めない中、地域共生社会づくりを進め、介護資格がなくてもできるシーツ替え、食事の後片づけ、移動支援、話し相手などの業務に就いていただける方の参入が求められます。加えて、介護従事者やその家族への心ない言動は到底看過できないものであり、そのケアについても必要であります。  そこで、介護従事者の新型コロナ感染防止などによる負荷の軽減、メンタルヘルスについて、どのように対応されていくのか伺います。  次に、雇用に関して伺います。  県内の雇用情勢についても、新型コロナの影響を受けて、直近の有効求人倍率は0.81と7か月連続で低下しており、近畿他府県に比べても大きく悪化しています。滋賀県における雇用の悪化はどのような要因によるものと考えているのか。県の原因分析と今後の展望について伺います。  コロナ禍の影響を受けて雇用情勢が悪化している状況に、ロイヤルオークホテルや西武大津店の閉鎖によって数百人規模の雇用が失われる状況が重なり、県としても、従来以上に雇用問題に対応することが求められていると考えます。  また、県内の観光業などを中心に雇い止めが発生している事例もあり、新型コロナの影響による解雇は、飲食や観光などの産業を中心に、全国で5万人を超えたと報道されています。今後も仕事を失う人は増加するおそれがあり、予断を許しません。本来であれば働き続けられる方々であり、しっかりと次の仕事につなぐことは、言うまでもなく非常に重要です。  例えば事業者が事業を終息される場合、事業者の業界や取引のつながりや労働組合の取組の中で他の雇用先を見つけるなどが行われますが、事業者の中での対応となります。また、事業者の外では、産業雇用安定センターや職安──ハローワークなど、別の公共機関が対応しています。  県として雇用の課題に取り組むに当たって、事業者や労働組合などが行っている雇用のマッチングや、別の機関で取り扱った案件の状況なども含めて雇用の状態の全体を把握し、政策立案をする必要があると考えますが、見解を伺います。  あわせて、県として、求職中の方および雇用が厳しくなった事業者や、逆に人を採用したい事業者等の相談に応じ必要な機関に取り次ぐなど、雇用の相談窓口をワンストップでこれまで以上に機能させることが必要であると考えます。このことは、県として県内の雇用の状況についての情報を集積することにつながる効果もあると考えますが、見解を伺います。  一方で、通常、採用において不利である中小企業にとっては、人材確保の好機であると言えます。実際に中小企業の団体との意見交換においても、そのような声が聞かれました。ただ、現在の困難な社会状況下では支援が必要であることは言うまでもなく、新卒学生の採用はもとより、障害者雇用などについても、この機会に県内企業に改めて人材確保の取組を強化してもらえるように、県内企業、特に中小企業での新たな雇用に対する支援を充実させる必要があるのではないかと考えます。  今回の補正予算にも一定の予算が計上されているところですが、この取組の拡充と特に中小企業への周知の徹底について、見解を伺います。  あわせて、高校、大学の新卒者の採用活動の状況について、県内における来春の求人が3割減と報道されました。就職活動中の生徒、学生への支援も必要と考えますが、見解を伺います。  次に、このコロナ禍における自殺対策について伺います。  コロナ禍にあっての倒産、廃業、そのことに伴う失業などの原因による自死を強く心配しています。バブル崩壊の1991年から1993年までの景気後退期における自殺者数は2万人台前半を推移しておりましたが、1997年、山一証券が倒産して以降、日本は金融危機に陥り、翌98年には自殺者が初めて3万人を上回りました。その後、日本は経済が停滞する時代が続き、リーマンショックの翌年、2009年まで自殺者の増加傾向が続きました。  さて、以前も一般質問で取り上げましたが、自死に追い込まれる方は複数の問題を抱えておられます。新型コロナの感染拡大が一向に鎮静化する気配を見せず、新型コロナに対する健康状態の不安がある中、経済的困窮や失業など様々なストレスが重なることにより、自死の急増につながらないか心配されます。そんな中、厚生労働省と警察庁の集計の速報値で、8月の自殺者が今年最多で、前年同月比15%増加したとの報道がありました。  そこで、コロナ禍にある現状をどのように認識し、自殺対策を強化されていかれるのか伺います。  次に、生活支援対策について伺います。  コロナ禍の影響により、休業や失業等により一時的または継続的に減収している世帯が増加しており、経済的支援を求める声や社会福祉協議会に困窮している声が届けられていると仄聞しております。これまでも、収入が減少した世帯を対象とする緊急小口資金特例貸付について、県社会福祉協議会において実施されておりますが、必要とされる方々は引き続き多くおられる状況にあります。  そこで、これまでの生活困窮者に対する支援の状況と今後の生活支援対策について、どのように取り組んでいこうとしているのか伺います。  次に、大学生に対する支援について伺います。  立命館大学学生新聞が先月5日から18日に行った調査によると、全学部制の9.8%、1割の学生が退学を考え、在学生の25.6%、実に4人に1人以上の学生が休学を視野に入れているといったショッキングなデータが出ました。県では、一般社団法人環びわ湖大学・地域コンソーシアムと連携し、県内大学等の状況の把握に努め、必要とされる支援に取り組むこととされています。  そこで、県内の大学のコロナ禍の影響をどのように把握し、対策を講じておられるのか伺います。  また、滋賀県立大学でも、新型コロナの影響を受け緊急事態宣言下で学内施設が利用できないなど、例年どおりの大学生活を送ることができず、大学生の皆さんの貴重な学びや学生同士のコミュニケーションの機会が奪われ、夢と希望に満ちた生活が思いもよらぬ不安と落胆の日々に変わりました。  また、先ほどの調査同様に、県立大学においても、親の収入の減少や学生自身のアルバイト収入の減少により学費を支払うことが困難となり、退学や休学を考える学生も存在し、今後の感染拡大の状況次第では、その傾向が顕著になっていくことも考えられます。コロナ禍という未曽有の事態だからこそ、経済的な理由で学生が学びを諦めることがないよう、授業料の減免など県独自の経済的支援が必要と考えますが、所見を伺います。  県立大学においては、今年度の授業開始が4月8日から5月11日に延期となるだけでなく、前期は対面式の授業や課外授業が行われず、遠隔授業へと移行したとのことです。しかし、その遠隔授業においてはライブストリーミング授業やビデオ授業が認められておらず、大学ポータルサイト等を通した資料を用いた授業形態が取られていたと仄聞しております。  県立大学の通信環境整備のための公立大学法人振興費が5月補正予算で成立し、学内ネットワークの拡張や学生へのPCおよびWi−Fiルーターの貸出しなどが一定進められたところですが、今後の第3波以降の感染拡大やクラスターの発生状況により対面での授業ができなくなることに備え、早急に課題を整理し、全ての学生ができる限り従来の学びに近い形態で、安心して学び続けられる環境を整備すべきと考えます。  そこで、県として、大学におけるコロナ禍の影響とその対策についていかに検証し、今後、どのように環境整備や財政支援を進めていかれるのか伺います。  次に、経済活動の促進について伺います。  4月から5月にかけての緊急事態措置は、感染拡大の抑止に一定の効果があったものの、外出自粛や休業要請等により社会経済文化活動に大きな影響が及びました。新型コロナの治療法の確立、ワクチンの完成が待たれるところですが、それまでの間、県民の行動や経済を抑制し続けることは現実的には厳しい状況です。  7月以降、第2波が起こった際には、感染拡大の防止と社会経済文化活動の両立に配慮されてこられました。本県では、6月10日より、もしサポ滋賀を導入し、また、7月17日より感染予防対策実施宣言書を店舗に掲示していただく取組を行いながら、地域経済の活性化を図っているところです。  しかしながら、感染予防対策を行う店舗がそれぞれ感染予防対策実施宣言書をダウンロードし店舗等に掲示する運用となっており、今後、より安全性の担保を取っていくためにも、各種業界団体に協力をいただき、確実なる感染防止の取組の推進を図っていく必要があります。今後、GoToEatキャンペーンが需要喚起に効果的に機能するためにも必要不可欠な取組であります。  そこで、もしサポ滋賀や感染予防対策実施宣言書のさらなる普及促進も含め、県民に安心して経済活動を行ってもらえる環境をどのように築こうとしているのか伺います。  次に、農畜水産物の影響について伺います。  帝国データバンクによると、2020年2月から9月8日までに、新型コロナ関連の事業停止と法的整理を合わせた倒産が500件となり、業種別では飲食店が69件と最多で、ホテル、旅館が53件と続いております。また、飲食店やホテル、旅館と密接に関わる農畜水産業についても、コロナ禍の影響をしっかりと捉え、対策を講じていく必要があります。  本県では、これまで、「いまだから地産地消キャンペーン」や近江牛や湖魚等の学校給食への提供、近江牛市場流通活性化支援事業などの取組を推進してこられました。県としても、生産から流通、販売において、それぞれ市場の動向も注視しながら対策を講じていく必要があります。  そこで、本県における農畜水産物の影響についてどのように捉え、対策を講じていかれるのか伺います。  次に、観光振興について伺います。  新型コロナにより、観光に関わる産業は大きなダメージを受けております。国においてはGoToトラベルを行われ、また滋賀県においても、これまで、宿泊キャンペーン「今こそ滋賀を旅しよう!」をはじめとする補正予算を行うなど、取組を進めてきました。しかし、現在のところ、個人旅行が中心であり、団体旅行に関しまだまだ伸びていない状況下にあると言います。  モバイル空間統計によると、お盆の期間における移動した人口は、昨年に比べると流入、流出ともに減少しているものの、ゴールデンウイークの時期と比較すると大幅に増加しております。特に、湖西道路をはじめ道路の渋滞状況を見ると、多くの方が3密を回避できる自然等を求めて行動をされていたのではないかと感じます。  そこで、コロナ禍における滋賀の観光の動向について伺います。  今年度は「スカーレット」と「麒麟がくる」の放映により、湖国近江の歴史や魅力を発信できる万載一隅のチャンスと捉え、「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」の観光キャンペーンなどを取り組んできました。しかし、万が一にも想定し得ることのできないコロナ禍の状況となり、これまでどおりの観光キャンペーンが行うことが難しくなりました。  滋賀県では、健康しがツーリズムビジョン2022により、自然や歴史、文化等、滋賀ならではの魅力あふれるコンテンツを生かした観光施策を打ち立ててこられました。改めて、これらの多くの観光資源を整理するとともに、臨機応変に、また機動的に修正を加え、安全・安心の担保を取りながら施策の展開を図れば、新型コロナに打ち勝つことのできる観光振興が図れると言えます。  そこで、補正予算において滋賀らしいニューツーリズムの検討がされておりますが、今後の観光振興について、どのように考えているのか伺います。  この項、新型コロナウイルス感染症対策についての最後に、今後の施策の展開について伺います。  滋賀県の自然や歴史、文化等観光資源を生かした滋賀県版ワーケーションに関して予算が計上されています。ICT等が普及してきた中、働きながら滋賀の魅力を味わっていただける機会になればと感じます。しかし、それだけにとどまることなく、移住促進や企業立地など、滋賀らしい暮らしが新たな社会構造の変革に貢献するチャンスであると捉え、総合的に施策を展開していく必要があると考えます。  そこで、ポストコロナ社会を捉え、どのような魅力ある滋賀をつくっていこうとしているのか、知事の考えを伺います。  次に、文化スポーツ施策について、全て知事に伺います。  近代美術館は、4年余りの閉館を経て、新たに学芸課長を招き再開館に向け動き出しております。琵琶湖文化館については、館の老朽化、寄託品の管理、その後の経過も含め、後継施設をどのようにするかが検討されています。  また、滋賀の史実の根幹を築く埋蔵文化財センターは、耐震診断すら行われておりません。現在、美の滋賀の発信方策検討懇話会を開催されるなど、今後の美の滋賀の展開方策について検討されているところです。改めて、県民の方々と一緒になって、美の滋賀の理念である滋賀らしい美の発信の在り方、滋賀モデルの7つの視点に沿って、近代・現代美術、アール・ブリュット、神と仏の美をはじめ、滋賀が誇る多様な美の魅力を効果的に発信するために、戦略や具体的取組を提示していく必要があります。  新生美術館が開館に至らないなど、美の滋賀の発信手法の変更による影響だけでなく、今般の新型コロナにより、びわ湖ホールの事業をはじめ、個人や団体を問わず様々な文化芸術活動が延期や中止に追い込まれ、滋賀の文化行政に大きな影響が生じております。文化芸術活動が停滞したことは、本県や県民にとって大きな損失と言わざるを得ません。  そこで、コロナ禍で疲弊した県民生活に元気や活力を与えるため、文化芸術活動に対し支援を拡充するなど、文化行政をさらに推進させる取組が必要であると考えますが、これまでの取組と今後の対応について伺います。  現在、滋賀県文化振興条例第4条の規定に基づき、第3次滋賀県文化芸術振興基本方針の骨子案が示され、今年度末に策定される予定となっております。これまでの間、情報社会の進展と技術革新、外国人労働者や観光客の増加に加え、文化財の保存継承の環境の変更、文化庁の2022年京都府への全面移転をはじめとした国の動向、さらには、今日的な新型コロナによる新しい生活様式への適合など、様々に変化がありました。  また、本県においても、新たな基本構想の策定、美の滋賀の展開手法の変更、滋賀県文化財保存活用大綱の策定などがあります。2016年の第2次基本方針策定時と比べて、文化や芸術を取り巻く環境は大きく変化しております。  そこで、これまで5年間の計画期間の成果と積み残した課題をどのように総括されているのか伺います。  あわせて、第3次基本方針の策定により、今後5年間どのような施策を行っていくのか、目標と今後の方向性について伺います。  この項の最後に、国民スポーツ大会および全国障害者スポーツ大会の今後について伺います。  8月26日、日本スポーツ協会伊藤雅俊協会長とスポーツ庁藤江陽子次長が滋賀県庁を訪問し、三日月知事に対し、2024年で内定している国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の1年延期を要請されました。そのことを受け、今定例会議の冒頭の知事提案説明において、熟慮の上、令和7年の開催を受け入れるとの苦渋の決断をされました。  今回の決断は、2024年を目指して日夜練習に励んでこられた選手、とりわけ336名のターゲットエイジ強化選手が滋賀大会の少年種別で活躍できなくなること、4年後のパリのオリンピックが開催される好機を逃すことになるなど、本県にとって多大な損失があると言えます。しかし、新型コロナという致し方のない外部要因であり、受け入れざるを得ない内容であります。  一方、これまでの間、本県の対応が後手に回り、外堀を埋められた後の対応になったことも課題であったと言えます。加えて、知事は延期は今回限りとされましたが、2025年に何が起こるか分かりません。これまでの経過も踏まえ、この国難を一体となって乗り越えられるよう、知事会において、皆が互いの立場を尊重し合える協調の姿勢が図られるよう、リーダーシップを発揮していただきたいと存じます。  さて、今回、1年延期となりましたが、それに伴い、これまでの計画を一部見直す必要が生じました。ターゲットエイジはもちろん、選手の強化策や支援策、県内19市町の今後のハード、ソフト両面での施設の確保等の対応、さらには中長期的な予算や人材養成強化も含めた今後の運営など、関係者や団体との情報共有や共通理解を得ながら対応していく必要があります。  そこで、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催時期変更に伴う具体的なロードマップについて伺います。  次に、環境政策について、全て知事に伺います。  滋賀県は、琵琶湖を健全な姿で次世代に引き継ぐために、2000年3月に琵琶湖総合保全整備計画──マザーレイク21計画を策定し、2050年頃の琵琶湖のあるべき姿を念頭に、20年の長きにわたり幅広い取組を進めてこられました。そして、2015年には念願であった琵琶湖の保全及び再生に関する法律が公布、施行され、これを受けて、住民や関係団体など多様な皆様と幅広い意見交換等を踏まえ、2017年3月に琵琶湖保全再生施策に関する計画──琵琶湖保全再生計画が策定されました。  そこで、これまでのマザーレイク21計画および琵琶湖保全再生計画のそれぞれの評価について伺います。  計画に伴う施策が行われてきた一方で、気候変動に伴う異常気象が全国各地に猛威を奮い、ここ琵琶湖においても影響を及ぼしています。2年連続で全層循環の完了が確認されず、1979年の調査開始以降最も早い時期に、北湖の第一湖盆における基準を下回る低酸素状態になったと先般発表されました。  また、在来魚介類の減少や水草の大量繁茂、侵略的外来水生植物や外来魚など、これまでに大きな課題となった琵琶湖の生態系に関しても、一定の改善があるものの予断を許さない状況であり、対策すべき課題は山積しております。  そこで、生態系をはじめ、琵琶湖を取り巻く環境が近年どのように変化してきていると考えているのか、所見を伺います。  現在、琵琶湖保全再生計画の改定に向けて取組を進めておられますが、マザーレイク21計画にもあったこれまで琵琶湖と関わってくださった多くの皆様の思い、各計画の評価や琵琶湖を取り巻く環境の変化、加えて、プラスチックごみ問題など新たな課題を踏まえ、今日的課題への対応についてどのように考え、新しい計画等を立てようとしているのか伺います。  次に、森林政策について伺います。  先般、台風9号、10号と大型台風が発生しましたが、台風が大型化し、また集中豪雨も多発しており、ここ数年、連続して土砂災害が発生しております。山を、森林を守っていくことは自然を守ることでなく、県民の生命、財産、そして生活をも守っていくこととなり、豊かな森林づくりは多面にわたり重要な使命を帯びております。  一方で、これまで木材価格の低下に伴う国策における拡大造林事業の失敗や所有者不明の放置林の増大、気候変動による予測できない多雨や山林火災など、森林を取り巻く環境も大きく変化してきております。  今般、森林を健全な姿で未来に引き継ぐため2004年に策定された琵琶湖森林づくり条例の改正をされますが、滋賀県にとっても重要である森林の取り巻く環境をどのように認識し、琵琶湖森林づくり条例を改正されようとしているのか伺います。  この項の最後に、廃棄物政策について伺います。  本県では、2016年に第四次滋賀県廃棄物処理計画を策定し、3Rの施策の柱にレジ袋削減等容器包装廃棄物の削減推進や食品ロス削減推進を位置づけ、滋賀県買い物ごみ・食品ロス削減推進協議会を設立されました。そして、2019年8月に滋賀プラスチックごみゼロ・食品ロス削減宣言を掲げられ、プラスチックごみゼロに向け、また食品ロス削減に向け、各種取組を行ってこられました。  このたび、プラスチックごみゼロに向けた実践取組のための指針ならびに滋賀県食品ロス削減推進計画を本年度それぞれ策定しようとされておりますが、それらにより滋賀の廃棄物政策がどのように推進されるのか、所見を伺います。  次に、滋賀県障害者の差別のない共生社会づくり条例の施行から1年経過するに当たって、その後の経過と実績について、全て知事に伺います。  この条例の基本理念には、当事者間の建設的な対話による相互理解があります。障害者差別を解消していくためには、どのような言動が差別に当たるのか、合理的配慮としてどのような対応が必要なのか、県民の皆さんが認識を共有することが期待されるところです。そのために、差別や合理的配慮の事例を分析、公表することは極めて重要です。  本県の条例は障害者差別解消法より一歩踏み込んだものであり、障害を理由とする差別を解消するため、全ての県民、事業者に障害のある人に対する差別を禁止するとともに、合理的配慮を求めています。つきましては、本県の条例施行から1年の手応え、とりわけ、障害の社会モデルの考え方に基づくこの条例の理念への県民への浸透の状況と今後の展開について伺います。  公共交通機関における合理的配慮の提供の諸課題、障害があることを理由にした物件、住宅を貸さない事案、温浴施設での入浴拒否事案など、この条例の施行以前から、障害者の暮らしを巡る課題は山積していました。  そこで条例施行後、障害を理由とする差別について、実際にどんな相談があり、どんな対応をしてきたのか伺います。あわせて、合理的配慮の提供の状況も含め、今後の対策について伺います。  この項の最後に、地域アドボケーターについて伺います。  本県の条例に位置づけられた地域での相談と支援を担う地域アドボケーターの存在と活動は、この条例の効果を高める上で大変重要です。条例施行後の地域アドボケーターの実績、これまでに分かっている課題を踏まえ、今後の展開について伺います。  最後に、教育施策について、新型コロナの感染拡大に伴う教育現場への影響と課題、県としての対応について、全て教育長に伺います。  2学期がスタートし、学校では子供たちの歓声が戻りつつあります。しかし、教育現場では新型コロナの感染症対策として、3密を避けるため様々な工夫が必要となっています。さらに、今夏も酷暑のため熱中症対策も必要となりました。  そこで、市町のバックアップ機能も含め、感染対策の設備や消耗品の備蓄等、児童生徒の安全を守るための取組の現況と課題、今後の対策について伺います。  今回のコロナ禍における休校中に、ICTの環境や教育機器の導入状況、また、家庭環境における格差によって、子供たちの学びの機会に大きな差があったと聞いております。また、学校再開後は学校行事の調整等、年間スケジュールを組み替えながら、子供たちの授業時間の確保のために苦心をされながら教育活動を進められております。  そこで、新型コロナの及ぼした学習指導への影響とその対策について伺います。あわせて、修学旅行や運動会、文化祭、音楽祭等、学校行事の実施状況と教育委員会の対応について伺います。  最後に、コロナ禍における教育現場の勤務時の学習、授業時間や形態が変わったことによる子供たちと教職員の心身における疲労やストレスについて伺います。
     新型コロナは、3密を避けるため人と人とが物理的な距離を取らなければならず、子供同士の触れ合いやコミュニケーションが重視されるべき教育現場において、教職員や子供たちに過度の負担を与える感染症であります。加えて、授業日数が減ったことによる学習遅れへの対応、校内の換気や消毒といった感染防止の対策など、今まで以上に現場の教職員に対し大きな負荷がかかっております。  これまでの教職員の加配やスクール・サポート・スタッフをはじめとした補正予算が措置をされたものの、新たな人材の確保に苦心されております。いつ事態が収束するとも分からない今日、教育委員会として、子供たちと教職員のストレス状態を少しでも緩和し、教育活動や学習環境を良好なものにするため対策をすべきだと考えますが、具体的対策も含め所見を伺い、チームしが 県議団を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(細江正人) 40番成田政隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)チームしが 県議団を代表されての成田議員の御質問にお答えをさせていただきます。  これからの県政運営に関する8点の御質問につきまして、私には6点御質問いただきました。  まず1点目、今後の滋賀県の方向性についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、本県におきましても、医療現場における混乱やマスクをはじめとする医療資材の不足、長期の学校休業に伴う子供たちの学ぶ機会の喪失など、これまで予想していなかった様々な影響が生じました。  一方で、中央集権的な合理化や画一化によって経済的な豊かさを求めてきた、いわゆる近代の価値観が大きく変わり、東京一極集中から地方への人の流れや5Gなど新たな技術を使ったサービスの拡大、新しい働き方の浸透など、様々な変化が進みつつあるのではないかと考えております。  こうした変化に直面する中で、改めて「変わる滋賀 続く幸せ」を理念とする基本構想の実現を目指し、大都市の近郊にありながら、琵琶湖をはじめとする自然環境に恵まれた地理的特徴、歴史文化の豊かさ、近江商人の三方よしの理念など、滋賀の強みを生かしながら、本当の意味での健康しがをつくり上げていきたいと考えております。  このため、自省を伴う利他の心を大切にしながら、5つの政策の方向性、1つは、「いのちとくらし、人権の保障」、2つ目は、「子どもの権利の保障と次世代のための社会変革」、3つ目といたしまして、「滋賀の自然資本や文化芸術の価値の再評価と発信」、4つ目は、「自然が許す限りのつくる力の再強化、特にいのちを守るために必要な人材の育成とモノの生産」、5つ目といたしまして、「より良い自治と真の民主主義のための行政の実現」を重視し、今後の施策につなげてまいりたいと考えております。  2点目の県税収入および財源調整的な基金の見通しについてでございますが、まず、県税収入につきましては、新型コロナウイルス感染症により日本のみならず世界経済に大きな影響が及んでおり、令和2年度の県税収入は相当厳しくなるものと見込まれます。今後の感染症の動向やその他の変動要因を想定した上で、年度末までの県税収入額を正確に見通すことは困難でございますが、現在、申告納付の状況や直近の経済指標等により試算を行っているところでございます。  また、財源調整的な基金残高についてでございますが、今回提案しております補正予算案を踏まえた年度末残高は約275億円と見込んでいるところでございます。  今後の見通しにつきましては、県税収入の動向を注視しつつ、減収補填債の発行も視野に入れながら、国の地方創生臨時交付金などを有効に活用することなどにより、基金残高の確保に努めてまいります。  3点目の今年度下期の事業執行および新年度予算編成の留意点についてでございますが、先ほども答弁させていただきましたとおり、今年度において見込まれる県税の減収への対応は、減収補填債の発行も視野に入れつつ、歳入の確保に努めたいと考えております。  歳出におきましても、年度の早い段階から、コロナの影響により執行のできない事業について事業の組替えや減額などの対応を行い、補正予算に反映してきたところではございますが、引き続き事業の必要性や実施方法等の検討を行いながら、適切な事業執行に努めてまいります。  また、令和3年度の予算編成に当たりましては、厳しい財政状況が予想される中、コロナの影響によりさらに悪化することが懸念されますことから、引き続き行政経営方針に基づく収支改善の取組を継続しつつ、より一層、歳出におけるスクラップ・アンド・ビルド、選択と集中の徹底を図る必要があると考えております。  今後、税収や地方財政対策などの状況を注視し、歳入の状況もしっかり見極めながら、新型コロナウイルス感染症への対応や県経済の発展につながる施策をしっかりと盛り込むなど、限られた財源の中においても県民ニーズに合った予算となるよう、十分に意を用いてまいりたいと存じます。  4点目、爆破予告があったときの対応および今後の改善点についてでございますが、今年に入り、県庁および学校、病院、市町等に対し爆破や薬物散布の予告が相次いでおり、県に対しましても、8月1日に県庁舎爆破等の予告がございました。  8月1日の事案におきましては、滋賀県危機対応基本マニュアルに基づき、防災危機管理局が情報を収集し、関係部局を洗い出した上で警察および消防と連携し、庁舎管理を担う総務部とともに対応したところでございます。なお、当日は、万が一事案が拡大した場合は全庁的な体制を取ることも想定しておりました。  本年1月以降、県内自治体では既に約20件の爆破や薬物散布の予告がございましたが、現在の危機全般への対処方針を定めたマニュアルでは、こうした事案への具体の対応手順までは定められておりませんでした。こうしたことから、今後、市町等と情報共有を図り、実態に即した対応策を策定し、マニュアルに反映させていきたいと考えております。  6点目、危機事案に対する体制の一元化についてでございますが、全庁における危機事案に対する体制につきましては、防災危機管理監の下、各部局に危機管理員を、地方に地域防災監を配置し、全庁的な危機管理体制を構築して、各部局と協力して情報の一元化を図り対応に当たっているところです。  今後とも危機事案を具体的に想定しながら、平時から、研修や訓練の実施とともに、必要な体制強化や滋賀県危機対応基本マニュアルの見直しを行い、危機事案への対処能力の向上に努めてまいります。  7点目、危機事案の情報の取扱いについてでございますが、危機事案情報の収集、共有は、まず防災危機管理局において各部局の情報を集約し、全庁共有を図るとともに、幅広い視点での情報分析の下、事案への的確な対策を行うこととしております。とりわけ、危機事案発生時には、県民の皆さんに動揺や不安を与えることのないよう、求められる情報を迅速に分かりやすくお届けすることが大切であると考えます。  今般の新型コロナウイルス感染症への対応はまさにこうした観点で取り組んできたところであり、今後も十分な連携体制の下に、情報の収集から共有、分析、発信に至るまで、一連の取扱いについて適切に対処してまいりたいと存じます。 ◎副知事(中條絵里) (登壇)これからの県政運営について、私にいただきました滋賀県に対する課題認識と県政に挑む決意についての御質問にお答えいたします。  8月1日付で滋賀県副知事を拝命し、はや1か月半が経過いたしました。私の着任時は新型コロナウイルス感染症の第2波の真っただ中にあり、複数のクラスターへの対応が求められる時期であったわけでございますが、何よりも県民の皆様の命と暮らしを守ることが、県政が直面する最重要課題と認識しているところでございます。  例えば労働、雇用の分野では、新型コロナウイルス感染症の影響により職を失った方は、見込みも含めて、ハローワークなどに寄せられた相談を基にした数字ではありますが、9月11日時点で県内では402人とされ、また、県内の7月の有効求人倍率は0.81倍と7か月連続で低下するなど、雇用情勢は大変厳しい状況にあります。  こうした中、これまで仕事と育児・介護との両立支援など、多様な人材の活躍支援に関わってきた経験を生かし、雇用維持や離職者等の再就職支援をはじめ、非正規雇用割合が多く、大きな影響を受けている女性への支援に取り組んでまいりたいと考えております。  また、観光分野でも入り込み客数が大きく落ち込んでおり、観光関連事業者の皆様への支援が喫緊の課題であります。赴任以来、まだ一端しか体験しておりませんが、琵琶湖をはじめとする自然の雄大さ、滋賀の持つ歴史や暮らしに根づいた文化の奥深さに気づかされたところです。こうしたすばらしい資源や魅力をより一層生かして、コロナ禍における観光スタイルの変化を的確に捉えた新たなツーリズムを展開していくことにも力を注いでまいりたいと考えております。  これらの課題に対し、市町の皆様はもとより、できる限り多くの現場を訪ね、お話をお伺いすることを大事にしながら、西嶋副知事と二人三脚で三日月知事の支えとなり、滋賀県政の発展のために全力を尽くしてまいります。 ◎警察本部長(滝澤依子) (登壇)爆破予告事案に対する警察の取組状況と今後の対応についてお答えをいたします。  県内における役所や学校等の公共施設を対象とした爆破予告事案につきましては、本年1月以降18件発生をしており、そのうち、長浜市役所に対する爆破予告事件2案を威力業務妨害事件として検挙しております。これらの爆破予告事案につきましては、施設利用者や学生、職員の避難誘導、庁舎の閉鎖等、多くの県民の方々に不安を与え、社会的反響が大きいものと認識をしております。  また、近年の特徴といたしましては、文書や電話よりもインターネットを利用して犯行に及ぶケース数が増加をしているところでございます。  警察といたしましては、施設利用者や学生などの安全を第一に考え、施設管理者と連携をし、不審物件を発見するための検索や警戒等を実施するとともに、威力業務妨害等事件として、関係者からの事情聴取、インターネットの発信元の特定、同種事案が発生している都道府県警察との情報交換等、被疑者検挙に向けた所要の捜査を推進し、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。 ◎知事(三日月大造) それでは、続きまして、残り賜りました私に大きく4項目、まず、新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、こちらは27問いただいております。順次お答えをさせていただきます。  まず1点目、振り返りの中で認識した課題と今後の方向性、また、喫緊の課題に対する補正予算での対応についてでございますが、振り返りにおきましては、県民の皆さんの御意見やこれまでの対応状況を踏まえ、分野ごとに整理させていただいておりまして、例えば、ピーク時の検査需要に対応できる検査体制の確保、想定を上回る事業者からの資金需要の発生、誤解や偏見に基づく差別や誹謗中傷が後を絶たないなどを課題として認識しております。  引き続き、多くの関心が寄せられております検査体制の拡充や医療提供体制の充実強化、切れ目ない経済雇用対策、寄り添った生活支援対策等をはじめとするあらゆる対策にしっかりと取り組み、感染拡大防止と社会経済文化活動の両立を図ってまいりたいと存じます。あわせまして、県民一人一人が他者を尊重し、差別ではなく、エールを送り合える社会の機運醸成に努めてまいります。  その中で、検査体制の拡充や県内中小企業者等の資金繰り支援の拡充、人権の相談体制の充実強化、さらに、学びの機会の確保に向けた教育訓練施設のICT環境の整備など、喫緊の課題への対策に必要となる予算につきましては本定例会議に提出させていただいておりまして、今後も機動的に対応してまいりたいと存じます。  2点目、人権侵害に対する啓発方針等についてでございますが、感染者や医療従事者およびその家族等に対する偏見や差別は決してあってはならないことであり、誰もが感染する可能性があり不安を抱えている今こそ、他者を尊重し、互いに助け合う意識を持っていただくため、幅広い層の県民に行き届くような啓発が必要であると考えております。  このため、まず、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識、認識を周知いたしまして、理解を深めていただくとともに、県民一人一人がこうした人権侵害の事例を身近なこと、自分事として捉え、自らの気づきや行動につながることを目指し啓発を行ってまいります。  あわせまして、医療従事者やクラスター発生施設へ寄せられた温かい励ましのお声や食料の提供など、広く共感が得られるような事例も収集いたしまして、支援や応援の輪をさらに広げる啓発を行ってまいりたいと存じます。  私自身、これまでから様々な機会に人権の尊重を繰り返し訴えてきたところでございますが、今もなおこうした差別がありますことから、改めて、今こそコロナに負けず、「お互いを思いやり、いたわり合い、助け合おう」「心と力を合わせてこの難局を乗り越えていこう」と呼びかけ、人権侵害の防止にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  3点目、新型コロナ人権相談ほっとラインと人権侵害対応チームについてでございますが、相談体制の充実強化を目的に9月1日に開設した新型コロナ人権相談ほっとラインにつきましては、まず、県民の皆様にこの窓口を知っていただき、より相談しやすくすることが必要であると考えております。  このため、相談窓口につきまして、感染者への案内チラシの配布、県ホームページやLINEパーソナルサポートなどで広くお知らせをするとともに、相談受付につきましても、電話やファクシミリに加え、9月14日からはインターネットでの対応も開始したところでございます。  この新型コロナ人権相談ホットラインをはじめ、保健所などの様々な窓口から寄せられた相談につきましては、人権侵害対応チームにおいて集約いたしまして、内容に応じ救済措置が必要なものについては、労働局、法務局など必要な措置を取ることができる機関とも連携して対応するなど、相談者の思いに寄り添った対応を図ってまいります。  また、集約した様々な具体的な相談事例を基に、より身近なこととして考えていただけるような啓発や教育を行うことで、より効果的な人権侵害対策につなげてまいります。  4点目、コロナ禍における見えない虐待の実態と対応についてでございます。  本県の4月から5月にかけての虐待相談対応件数は339件でございまして、前年と比べ58件の増加でございました。一方、6月の相談件数は現時点の集計によりますと129件で、前年と比べ約20%の減少となっております。また、4月、5月の相談対応件数からも減少しており、議員御指摘の見えない虐待が顕著に現れているような状況は、この調査からは見受けられておりません。  なお、7月以降も同様の傾向が続いていると伺っております。  しかしながら、各子ども家庭相談センターに寄せられた相談や通告に、子供が長期間在宅していることからくるストレスを要因とするものが見受けられ、また、各センターでは学校の休業により現地確認ができず、家庭訪問の必要性が生じたケースもございました。  そのため、各センターでは、学校休業や外出自粛の期間において、過去に一時保護を行うなど特に配慮を要するケースにつきましては、面談の時期を前倒しし、電話により家庭や子供の状況確認を行うとともに、必要な場合は、感染症対策に留意しつつ家庭訪問を行うなどの対応を行ってきているところでございます。  さらに、6月議会で御議決いただきました予算により、テレビ電話を活用した相談支援や関係機関とのオンラインによる連絡調整の仕組みづくりなど、感染症対策に配慮した支援の体制づくりも進めているところでございます。  5点目、DVの現状と対応についてです。  県内3か所の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた4月から5月にかけての相談件数は161件でございまして、前年と比べ29件の増加となっております。増加要因の一つといたしまして、この時期に手続が開始された特別定額給付金の受給に関する相談が新たに加わったこともあるのではないかと考えられます。  一方、6月から7月にかけての相談件数は174件で、前年と比べますと1件の減少となっておりまして、外出自粛緩和後、DV相談が増加しているという状況は、この数字からは見受けられておりません。  しかしながら、児童虐待と同様にDVにつきましても潜在化が懸念されたことから、配偶者暴力相談支援センターの相談窓口の周知に努めますとともに、国が新型コロナウイルス感染症拡大に伴い4月に設置いたしましたDVに関する24時間の電話相談やSNS相談に関して、必要に応じて配偶者暴力相談支援センターで対応を行う等、相談対応の強化に努めてきたところでございます。  また、DV相談の中で把握した児童虐待が疑われる事案につきましては、子ども家庭相談センターや市町と情報を共有し、連携して支援を行ってきたところでございます。  6点目、検査体制の再構築についてでございますが、8月28日に国の対策本部が決定した新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組等の国の方針を踏まえながら、本県においては、9月10日に外来診療・検査体制の見直しとさらなる拡充に向けての方針を示したところでございます。  その中で、季節性インフルエンザの流行期に急増が見込まれる検査需要に対応するため、これまで病院を中心に担ってきていただいた外来診療、検査をかかりつけ医等地域の身近な医療機関においても担っていただくことで、診療・検査体制の拡充を図ることとしております。  さらに、高齢者福祉施設等におきましては、利用者や従事者に発熱者が増加するなどの兆候が見られた場合、早期の対応を行うとともに、陽性患者が発生した場合は、無症状者を含めて、広く入所者や職員を対象とした一斉の検査を実施するなど、柔軟に対応することとしております。  また、行政検査の対応能力の向上を図るため、衛生科学センターの体制整備や検査の外部委託の拡大等を進めることとしております。  今後、この方針に基づき、医療機関をはじめ関係の皆様と協議しながら、外来診療、検査体制のさらなる拡充を図ってまいりたいと存じます。  7点目、季節性インフルエンザワクチン接種の対応策についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の流行が懸念されます中、この冬に向けて、季節性インフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があるところでございます。つきましては、国においては、予防接種を必要とする方が機会を逸することなく接種できるように、優先的な接種対象者を定め、早期接種の呼びかけなどを行うとされたところでございます。  県におきましては、国の優先接種対象者である65歳以上の方と妊婦、生後6か月から小学校低学年までの子供たちに加えまして、学業機会の確保等の観点から中学3年生までを対象とし、予防接種の自己負担の軽減を図るべく、市町に対する補助金を今回補正予算案に計上させていただいているところです。これらの対応によりまして、インフルエンザワクチン接種の必要性の高い方の接種率向上を図ってまいりたいと存じます。  8点目、地域の診療所等の医療体制についてでございますが、季節性インフルエンザの流行期を控え、冬場に急増が見込まれます発熱患者等が相談、受診し、必要に応じてインフルエンザや新型コロナウイルスの検査が受けられる体制の整備が急務でございます。さきに申し上げた県の方針のとおり、診療所等の身近な医療機関におきましても外来診療、検査を担っていただくこととすべく、現在、準備を進めております。  今後、滋賀県医師会を取りまとめ機関といたしまして、検査を行う診療所等と行政検査を委託する旨の契約を結び、これらの診療所等を診療・検査医療機関として県が指定する予定でございます。多くの診療所等に御協力いただくためには、診療所等において安全・安心に診療、検査していただく環境の整備が重要でございます。  国におきましては予備費を活用して、診療・検査医療機関に対し、外来診療、検査体制確保に要する費用の補助やガウン、マスクなど個人防護具の無償配布を行われる予定でございます。  県におきましては、ゾーニング等に必要な設備への補助を行うとともに、万が一、医師や従事者が感染し、診療所の休業を余儀なくされた場合の対応策についても検討してまいります。  さらに、県民の皆様に対しましても、発熱等の症状が出た場合、どこに相談すればよいのかお知らせするとともに、受診される場合は必ず事前に電話連絡をし、医療機関が指定する方法で受診していただくなど、適切な受診行動を取っていただくよう周知を図ることで、円滑な診療につなげてまいりたいと存じます。  9点目、医療機関への支援についてでございますが、日本病院会等が行いました新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況調査によりますれば、医業収入の対前年度同月比は、4月が11.5%、5月が18.6%、6月が6.6%、7月が6.3%のマイナスとなっているそうでございます。  また、日本医師会が行った新型コロナウイルス感染症の診療所経営への好影響調査によりますれば、医業収入の対前年度同月比は、4月が15.4%、5月が16.5%、6月が8.0%のマイナスとなっており、多くの医療機関が厳しい経営状況にあると承知いたしております。  こういった状況の中、医療機関、薬局等における感染拡大防止等支援事業や、新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業、病床確保に係る補助事業など、既に御議決いただいた事業につきましては、現在、速やかに交付できるよう努めておりまして、一部は概算払いにより9月中に医療機関にお届けできる見込みでございます。  また、国におきましては、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院の診療報酬および病床確保料の引上げや、インフルエンザ流行期に備えて、発熱患者等を対象とした外来体制を取る医療機関への補助などの支援策を、予備費により実施されるところでございます。  さらに、医療機関の資金繰りの支援の拡充や、必要な受診、検診、予防接種を呼びかける広報も実施されることから、県としても、必要な広報などを行うとともに、地域医療を担う医療機関に対するさらなる財政支援について検討いただくよう、強く要望してまいりたいと存じます。  10点目、介護福祉施設におけるクラスターから明らかになった課題と教訓についてでございますが、先月、県内の介護施設においてクラスターが発生したため、当該施設において感染拡大を防止しサービスを継続するため、1つは、不足する衛生用品の提供、2つ目といたしまして、感染管理指導のための感染管理認定看護師の現地派遣、3つ目といたしまして、施設支援のための厚生労働省の地域支援班──DMATの派遣などの対応を行ったところでございます。  現場の状況を確認する中で、手指消毒などの標準的な感染症予防対策は実施されておりましたものの、一つは、体調の悪い職員を休ませるなどの職員の健康管理の徹底でありますとか、休憩室で密な環境をつくらないことなどが不十分であることが判明いたしましたため、8月5日に改めてこうした感染症対策等に係る通知を発出いたしまして、注意喚起を行うとともに、感染防止に係る研修を実施しているところでございます。  加えまして、感染症発生時の感染管理指導などの初動支援はもとより、職員の感染や自宅待機に伴いサービス継続に支障を来す際の他の施設からの応援調整や、居宅サービスの休止に伴う利用者に対する代替サービス提供の必要性の確認や、調整の支援体制づくりが極めて重要であると認識したところでございます。  このほか、数多くの心ない声が寄せられた事実もございまして、こうしたことへの対応も重要だと認識しているところでございます。  11点目、専門家を中心とした応援体制、介護施設版BCPの必要性についてでございますが、今回クラスターが発生した介護施設におきましては、職員の感染や自宅待機に伴いサービス継続に支障を来したことから、事業者団体が他施設職員の派遣調整をされましたが、仕組みがない中での調整となりましたことから相当手間取ったと聞いております。  さらに、介護施設併設のデイサービスが休止となったことにより、利用者の代替サービス提供に向けた調整が必要となったんですけれども、スムーズに進まなかったという事実も伺っているところであり、感染症発生時の応援体制づくりの重要性を強く認識したところでございます。  また、感染症が発生した施設におきましては、限られた人員でのサービス提供となりまして、サービス内容を見直しをせざるを得ず、限られた人員の中、また混乱する中で苦労されたとも伺っておりまして、施設で感染が拡大した際のBCPの策定の重要性も改めて認識したところでございます。  このため、万が一、同様の事態が起こったときに備えて、介護職員等の応援派遣や利用者に対する代替サービスの調整の仕組みを構築すべく、県内事業者団体との協議を始めてきたところであり、来月上旬を目途に支援体制を構築し、県民の皆様にもお示ししたいと存じます。  また、今般クラスターが発生した施設で実際に取られたサービス提供の在り方を、一つの緊急時対応の事例として、各施設のBCP策定に向けての参考となるよう周知してまいる所存でございます。  12点目、介護従事者の負担軽減とメンタルヘルスへの対応についてでございますが、介護従事者の負担の軽減につきましては、これまでから多様な人材の参入に向けて、退職シニアなどの介護未経験者を対象とした入門的研修の実施や、市町や地域の複数法人の協働による福祉ボランティアの育成などの取組に対する支援を行ってまいりました。  加えまして、コロナ禍において感染防止対策の負荷が増している介護現場を支援するため、6月補正予算においてICTや介護ロボットの導入に対する助成を拡充いたしましたほか、感染症の影響により内定を取り消された方や離職を余儀なくされた方などを雇用した介護事業所に対する人件費助成の制度も創設したところでございます。  また、介護従事者のメンタルヘルス対策といたしましては、心のケアチームによるクラスター発生施設の従事者に対する相談対応等を行っており、今般の介護施設での事例においては、当該施設を訪問して、従事者に対する精神保健福祉士等による面接指導も実施いたしました。主な相談内容といたしまして、感染防止対策に対する負担感や感染したことによる家族への影響、つらい思いを抱え込むことによる精神的不調などがございまして、メンタルサポートは極めて重要であると認識したところです。  今後も引き続き、これらの取組を通じて、介護従事者の負荷軽減と、相談者に寄り添った丁寧なメンタルサポートを行ってまいりたいと存じます。  13点目、雇用につきまして、その悪化の原因分析と今後の展望についてでございますが、雇用悪化の原因といたしましては、外出の自粛などの影響を大きく受けた宿泊飲食業や、国内外の生産活動の停滞に影響を受けた製造業などで新規求人者数が大きく減少したこと、また、本県の主要産業でございます製造業への影響が派遣や請負業といったサービス業にも波及いたしまして、非正規雇用者を中心に離職者が増えたことが考えられます。  7月の有効求人数は7か月ぶりに増加いたしましたものの、対前年同月比で7割程度でありますこと、また、事業主都合の離職者が対前年同月比で倍増しておりますことから、宿泊業、観光業、外食業、衣料品販売などの業種を中心に、今後もしばらくは大変厳しい状況が続くのではないかと憂慮しております。  14点目、雇用状況全体を把握した政策立案についてでございますが、事業の継続が困難となった場合の従業員の雇用について、人手不足が生じている事業所や業界へつなぐことも含め、早期の再就職を支援する雇用をつなぐ取組が重要であると認識しておりまして、こうした取組を進める上での情報共有や連携について、滋賀労働局、滋賀経済産業協会、連合滋賀、産業雇用安定センターとともに検討を始めたところでございます。  県といたしましては、在籍しながら一時的に出向してもらうというやり方、あるいは副業や兼業といった多様な働き方などについては、今後の経済社会を見据えた取組として分野横断で考えていく必要があると考えておりまして、今後の施策構築の中で、失業なき労働移動を推進する仕組みについて、関係者の意見も踏まえながら検討し構築してまいりたいと存じます。  15点目、相談窓口のワンストップ機能についてでございます。  県では、労働、雇用に関する総合的な相談窓口として、労働相談所を設置しております。社会保険労務士が専門相談員となり、困り事を抱えておられる労働者や事業者の御相談内容を丁寧に聞き取り、適宜適切な専門機関へつなぐなど、社会保険労務士の専門性を生かした相談事業を実施しているところでございます。  また、県内には公的機関や労働組合などが運営する様々な相談窓口がありますことから、目的ごとに窓口を整理し、特集したものを県の労働広報紙「滋賀労働」の号外として発行し、県下の事業所や労働組合等へ配布をしたところでございます。引き続き、こうした相談窓口とも連携しながら、労働者や事業者の声をできる限り拾い上げ、雇用状況の把握と雇用不安の解消に努めてまいります。  16点目は、支援の拡充と中小企業への周知についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の影響等により、離職を余儀なくされた方や就職が困難な方の早期再就職が喫緊の課題でありますことから、本議会におきまして、こうした方々を正規雇用労働者として雇い入れられた企業に対し、支援金として助成するための補正予算案を提案させていただいております。まずは、この事業を確実に実施することに注力いたしますとともに、その成果等を把握しながら、中小企業における新たな雇用に対してどのような支援ニーズがあるのかを見定めてまいりたいと存じます。  また、この事業に取り組むに当たりましては、県内ハローワークへのチラシの配置や経済団体を通じた周知のほか、県内企業紹介サイト「WORKしが」の登録企業へのメールの送付など、様々な媒体を活用して周知を図り、県内企業や事業所において、この事業を活用した離職者等の雇用が進むよう努めてまいります。  17点目は、生徒、学生への支援についてでございますが、先月に、滋賀労働局長、教育長とともに、経済団体6団体および県内事業所2,897社に対し、来春に卒業を控えている皆さんの採用枠を確保、拡大されるよう要請したところでございます。  高等学校におきましては、就職希望者の多い学校へ今回新たに就職支援員を配置いたしまして、求人開拓や生徒への面接指導などを進めているところです。  また、学生につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下にありましても、企業の出会いの機会を確保するため、5月、7月にウェブを活用した合同企業説明会を開催し、約160人の学生に参加いただきました。また、9月下旬から10月上旬にかけて、滋賀労働局、滋賀経済産業協会と共催で、オンライン合同就職説明会を実施することといたしております。  今後とも、より多くの生徒、学生が希望する仕事に就職できるよう、教育委員会とともに、経済団体や滋賀労働局等の関係機関とも連携して取り組んでまいります。
     次に、18点目、コロナ禍における自殺対策の強化についてでございますが、県内の自殺者数は、自殺者統計によりますと、今年3月から7月までは昨年同月比で減少傾向にございましたが、8月は23名となりまして1名の増加となっております。増加率は4.5%でございまして、全国の15.3%を下回っておりますが、貴い命が失われている現状を重く受け止めるとともに、女性の自殺者数が大幅に増加していることを含めて、今後の動向を注視し、分析を行ってまいりたいと存じます。  新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた自殺対策といたしましては、既に6月補正予算でお認めいただいたところでございますが、自殺予防相談電話や対面による相談事業の相談時間や回数を増やしたほか、いのちの電話に従事するボランティア相談員の感染防止対策を行うなど、相談体制の強化を図っているところです。  また、SNSを活用した自殺予防の情報発信につきましても、より幅広い年代に届けられるよう、ツイッターに加えて、グーグルやヤフーでも相談窓口の配信を実施するとともに、実施期間を年度末まで延長するなどの拡充を図ってきております。  今後は、求職者の相談窓口等において、経済的に困窮した方に対する相談窓口と心の相談窓口を一緒にお知らせするなど、部局を越えた取組を行うとともに、市町とも連携いたしまして、先ほど申し上げた分析も踏まえ、より効果的な取組も検討してまいります。  あわせまして、私からも県民の皆様へ、一人で悩みを抱えず、相談の一歩を踏み出していただくよう、メッセージを繰り返し発信したいと考えております。  19点目、生活支援対策についてでございます。9月15日現在におきまして、緊急小口資金につきましては、貸付件数が9,122件、貸付金額が17億1,000万円となっております。また、総合支援資金につきましては、貸付件数が6,925件、貸付金額は47億3,000万となっておりまして、リーマンショック時の3年間の合計を大幅に上回っている状況にございます。  また、離職や休業等により経済的に困窮し、住居を失われた方またはそのおそれがある方に対し、県および市において、住居確保給付金により家賃相当額の支給を行っているところでございますが、こちらは8月末時点におきまして588件の支給の決定、約6,600万円の支給実績となっております。  引き続き、生活資金や住まいの確保にお困りの方に必要な情報が行き渡るよう発信していくとともに、9月補正予算におきましても、生活福祉資金の貸付原資について増額補正をお願いしているところでございますが、国において予備費を活用し、生活福祉資金の特例貸付の受付期間が延長されましたことから、今後とも必要な資金の確保に努めてまいります。  また、生活福祉資金の貸付けなどをきっかけといたしまして、市町社会福祉協議会や相談機関につながった方が自立相談支援事業等により就労支援などの必要とする支援が受けられるよう、関係機関との連携をさらに推進してまいりたいと存じます。  20点目、県内大学生のコロナ禍の影響と対策についてでございますが、民間や県が行いました学生へのアンケート調査や各大学からの聞き取りなどから、Wi−Fi環境をはじめオンライン授業などの学業面や、アルバイトがなくなったことにより授業料が支払えないといった経済面の不安などがあると聞いております。  このため、県では、授業料等減免や給付型奨学金等の就学支援新制度や学びの継続のための学生支援緊急給付金など、国の支援等の周知に努めるとともに、国による給付金支援までのつなぎ支援といたしまして、5月に一人暮らしの学生を対象に、近江米など食料品の無料提供を行ったところでございます。  各大学では、オンライン授業環境の改善や図書館の再開、オンラインによる合同企業説明会や就職相談等を実施され、また、後期授業では、県内全ての大学で一部オンラインを併用しつつ対面授業を再開されるなど、学生を取り巻く環境は徐々に改善されつつあるのではないかと認識しております。  今後も引き続き、環びわ湖大学・地域コンソーシアムと連携しながら、生活面や健康面も含めた学生への影響について状況把握に努めるとともに、各大学の取組につきまして大学間の情報共有を図り、必要に応じ適切な対策を図ってまいりたいと存じます。  21点目、県立大学への県独自の経済的支援についてでございますが、志を持って滋賀県立大学に入学された学生の皆さんが、新型コロナウイルス感染症の影響で前期授業が遠隔授業となったことにより、同じ空間で教員や友人と語り合い学び合うことがかなわず、また課外活動やアルバイトも思うようにできないという中で、思い描いていた学生生活のギャップに、日々、不安や悩みを抱えながら過ごしておられることに対し、私も大いに心を痛めているところでございます。  経済的な理由で学ぶ機会が奪われるなどということはあってはならないと考えておりまして、県におきましては、今年度から始まりました国の就学支援制度に対応して、県立大学が行う授業料減免に対して補助するとともに、コロナ禍で家計が急変した大学院生に対する県大独自の授業料減免に対する経費について支援をしてきたところでございます。また、県立大学におきましても、独自に食料品などの生活支援を実施されたと伺っております。  今後とも、県立大学において各種支援制度がしっかりと活用されるよう周知いただくとともに、県といたしましては、コロナ禍においても安心して学びが続けられるよう、就学支援制度のさらなる拡充等について、様々な機会を捉えて国に対して要望してまいりたいと存じます。  22点目は、県立大学の環境整備、財政支援についてでございますが、今回のコロナ禍における県立大学の前期授業の対応について、大学自ら遠隔授業の効果等を含め学生や教員にアンケートを実施され、現在その検証が進められていると伺っております。  10月以降の後期授業は原則として対面により実施予定でございまして、遠隔授業も併せて実施する場合は、通信環境への負荷も考慮しつつ、ライブ授業の実施なども想定されていると伺っております。  県におきましては、5月臨時会議では遠隔授業開始に伴う環境整備についての予算を御議決いただいたところであり、また、本定例会議におきましても、遠隔授業の質の向上につながる大学全体のネットワーク環境の改修にかかる費用について、補正予算案の審議をお願いしているところでございます。  今後の教育研究環境の整備につきましては、まずは県立大学において主体的にお考えいただくものと認識しておりますが、県といたしましても、大学と緊密に連携をし、ともに知恵を出し合いながら、必要な支援について検討を行ってまいります。  23点目、経済活動を行ってもらえる環境についてでございますが、もしサポ滋賀、感染予防対策実施宣言書の普及や業種別ガイドラインに基づく感染症対策への取組の促進につきましては、これまで経済団体等に御協力いただき、県といたしましても、広報誌への掲載、チラシの新聞折り込みなど、積極的な広報周知に努めてまいりました。また、9月からは普及促進の一環といたしまして、もしサポ滋賀の登録施設店舗名を県ホームページ上に公開したところでございます。  あわせまして、8月20日から申請受付を開始した感染予防対策に係る経費を助成する新しい生活・産業様式確立支援事業におきましても、事業の対象となります個人事業主、中小企業等に対して、もしサポ滋賀導入の案内を行っております。  さらに、国のGoToEatキャンペーンにおきましても、参加する飲食店が守る条件として、もしサポ滋賀の導入および感染予防対策実施宣言書の掲示が加えられたところでございます。  今後とも、このような普及促進策により、県民に安心して経済活動を行ってもらえる環境づくりに努めてまいります。  続いて、農畜水産物の影響と対策についてでございますが、本県の農畜水産物につきましては、外食や学校給食等の業務用需要や観光需要が減少したことなどにより、肉牛や湖魚、花、茶などでは出荷量が減少したり価格が下落したりするなどの影響が生じております。このため、補正予算による対策等を通じて生産者の経営継続を支援するとともに、県産食材の消費拡大などに取り組んでいるところでございます。  これらの対策が一定の成果を上げておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化を踏まえまして、引き続き、現場の状況等を把握しながら対策を講じてまいります。  次に、コロナ禍における観光の動向についてでございますが、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、本県への宿泊旅行者は2月から影響が明らかになり始め、対前年比8割に減少、緊急事態宣言が発出された4月にはこの数字が19%、さらに5月には16%と激減をしております。緊急事態宣言が解除され、全国的に徐々に観光が呼びかけられたことから、6月にはこの数字が33%と、やや回復したということでございます。  7月以降は、各業界団体への聞き取りによりますれば、GoToトラベルや本県の「今こそ滋賀を旅しよう!」事業の効果も一定あり、個人の宿泊客が対前年比6割程度まで盛り返した宿泊施設や、対前年比8割程度の稼働率を保っている観光施設もあるとのことでございます。  一方、団体宿泊客の利用はいまだほとんどなく、県内観光バスや湖上遊覧船の稼働率も低位にとどまるなど、一部の事業者においては観光需要の回復が見られるものの、観光全体としては、コロナの影響によりかつてない厳しい状況が続いているものと認識しております。  26点目、今後の観光振興についてでございますが、観光関連産業は厳しい状況が続いており、感染症対策や観光バスを活用したツアーへの支援事業による団体旅行の観光需要の回復等、引き続き、しっかりと支援施策を講じてまいります。  一方で、コロナ禍を経て、これまでのように旅行者がたくさん来て単に消費するだけという観光スタイルが変わっていくものと考えます。このため、琵琶湖のアクティビティや滋賀の食と文化など、コロナ禍を経て改めて注目されている滋賀の観光資源を再発見し、情報発信してまいります。例えばワーケーションなど、コロナ禍を踏まえた新しい視点での観光資源も開発してまいります。  加えまして、長距離の移動を敬遠し、近場で観光を楽しむ志向が強くなってきていることから、県内はもとより、関西圏、中京圏、北陸圏からの誘客も進めてまいります。  このような取組を通じ、滋賀への共感の輪を広げ、長く滞在していただき何度も来ていただくよう、量を求める観光から、より質を高める観光への転換を進めるため、新たなビジョンの検討を1年前倒しして開始してまいりたいと存じます。  最後、27点目、どのような魅力ある滋賀をつくっていこうとしているのかということについてでございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、極端に人口が密集した都市ではなく、適度に人の密度が分散された地方都市に対する評価が高まっていると感じておりまして、この流れの変化をチャンスと捉え、滋賀の魅力をつくり、発信していく必要があると考えております。  大都市近郊にあり交通の利便性を持ちながら、適度な「疎」や豊かな自然資本、多様な文化芸術の価値などを併せ持つ本県の強みを生かし、暮らしの中の営みや人と人との交流や支え合いを大事にするなど、ここで暮らし働くことを楽しんでもらえるような、新しい時代に選ばれる滋賀を目指してまいりたいと存じます。  そのために、自然や文化財、まちづくりなどの魅力づくり、雇用や住環境などの受入れ基盤の整備、様々な媒体の活用や体験機会の提供によるマーケティング発信などについて、関係部局が連携し一体的に進めてまいりたいと存じます。  続きまして、大きな項目、文化スポーツ施策に関して、こちらは3点御質問いただきました。  まず1点目、コロナ禍におけるこれまでの文化芸術活動への取組、今後の対応についてでございますが、新型コロナウイルスによりまして、展覧会や定期演奏会が中止となったり延期となるなど、文化芸術活動を行う団体や個人は大きな影響を受けていらっしゃいます。こうした中、びわ湖ホールにおきましては、中止となったオペラ「神々の黄昏」の動画配信が行われ、また、近代美術館や琵琶湖文化館のホームページにおいて、所蔵品を紙工作で楽しむ企画でありますとか、文化財のクイズや塗り絵の掲載などを行いまして、少しでも文化芸術に親しんでいただける機会の提供に努めてきたところでございます。  また、先月3日からは文化活動者向けの相談窓口を設置するとともに、活動自粛等により公演等の活動機会を失われた文化活動関係者の活動継続に向けた支援を開始したところでございます。  こうした取組に加えまして、今後は、文化芸術公演を実施する利用者に対し施設使用料の支援を行うとともに、小学生をはじめとする県民の失われた音楽鑑賞機会を創出するための公演を、県内各地域の文化施設で実施していきたいと考えております。  文化芸術は人々に感動や生きる喜びをもたらすものであり、閉塞感漂う現在の社会情勢の中でこそ、一層その力が必要となっております。文化芸術を生み出す方々を支援し、県民の鑑賞機会を広げることにより、生活に元気と活力を取り戻していただけるよう、取組を進めてまいります。  2点目、これまで5年間の成果と課題および第3次基本方針の目標と今後の方向性についてでございますが、まず、これまでの成果でございますが、「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」の開催やフランスナント市におけるアール・ブリュット作品の展覧会開催など、本県が誇る多彩な文化芸術の魅力を国内外に発信するとともに、ホールの子事業を定着させるなど、子供が文化芸術に触れる機会を充実させることができたと考えております。  一方、課題につきましては、コロナ禍における新しい生活様式に対応した表現、鑑賞方法の確立、文化財を保存継承する人材などの育成確保が挙げられます。  第3次基本方針の目標と今後の方向性についてでございますが、「誰もが文化芸術に親しむ場をつくる」「文化芸術の継承、発展を担う人材を育む」「文化芸術の価値を地域や社会に生かす」の3つの基本的な方向性を基に、人と地域をつなぎ、観光やまちづくり等の施策とも連携しながら、多様で活力ある持続的な滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。  3点目、国スポ・障スポ大会の開催時期変更に伴う具体的なロードマップについてでございますが、今般の要請を受け入れ、本県の国スポ・障スポ大会が令和7年の開催となることに伴いまして、宿泊、輸送、交通、式典等について業務スケジュールを見直すとともに、両大会の会期を改めて検討することとしているところでございます。あわせまして、感染症対策につきましても、来年開催予定の三重県の取組状況を踏まえて検討してまいります。  こうしたことから、市町や競技団体等の皆様の準備にも影響が生じることとなりますが、連携を密に図りながら、今後の準備に万全を期してまいる所存でございます。  また、選手の強化につきましては、県競技力向上対策本部におきまして、年度内を目途に競技力向上基本計画を見直すとともに、競技団体と連携の上、競技ごとの強化計画を再構築いたしまして、層の厚い選手強化につながるよう取り組んでまいります。  そして、1年延期により準備期間が延びることを前向きに捉え、より一層、両大会の機運醸成を図りながら、大会の愛称である「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」のとおり、大会に関わる全ての人々が主役として光り輝き、夢や感動、連帯感を共有できる大会にしてまいりたいと存じます。  次に、環境政策に関して、こちらは5点御質問いただきました。  まず1点目、マザーレイク21計画と琵琶湖保全再生計画の評価についてでございますが、両計画とも今年度末で計画期間が終了することから、これまでの成果と課題等を整理いたしまして、それぞれ評価を取りまとめているところでございます。  まず、平成12年に策定いたしました長期計画でございますマザーレイク21計画についてでございますが、取組の方向性の1つ目の柱でございます「琵琶湖流域生態系の保全・再生」におきましては、琵琶湖や河川の水質に改善傾向が見られると評価される一方で、在来魚介類の減少や水草の大量繁茂など、生態系の課題は相互に密接に関わり合って、ますます複雑化、多様化していると認識しています。  また、2つ目の柱でございます「暮らしと湖の関わりの再生」におきましては、普及啓発や体験型の環境学習を進めてまいりました結果、県民の環境保全行動率が7割を超えるなど高い環境意識が評価される一方で、第1次産業の従事者の減少が続き、耕作放棄や山林の放置、獣害の深刻化などが懸念されているところです。  また、マザーレイクフォーラム、びわコミ会議などを通じ多様な主体の取組が進んでまいりましたが、さらなる参加者の広がりに向け、企業や県外の方々を含め、より多くの主体が琵琶湖と関わりを持ち、共通の目標に向かって行動していく必要があると認識しています。  次に、平成29年に策定いたしました法定の琵琶湖保全再生計画におきましては、オオバナミズキンバイやブルーギルなどの外来動植物について、駆除や巡回監視の徹底等により繁茂面積や生息量が減少傾向にあることなどが評価される一方で、先ほど述べたように、生態系の課題は複雑化、多様化しており、さらなる施策の推進が求められます。  また、琵琶湖の水質への影響が懸念される気候変動の問題やマイクロプラスチックを含むプラスチックごみの問題など、現行計画の策定以降に顕在化してきた新たな課題については、次期計画において対応を検討する必要があるという認識しております。  2点目、琵琶湖を取り巻く環境の変化についてでございます。  まず、琵琶湖の水源でございます森林に目を向けますと、平成12年頃からニホンジカによる林業被害が急増いたしましたため、捕獲や被害防除などの取組を行いました結果、被害面積は減少傾向にありますものの、下層植生については衰退が続いておりまして、土壌の流出などが懸念される状況となっております。  琵琶湖に流入する河川につきましては、環境基準の達成率が昨年、一昨年度と2年連続して100%となるなど、水質は改善傾向にありますものの、農業濁水の流出防止などの課題がございます。  琵琶湖の水質につきましては、昨年度、北湖の全窒素が初めて環境基準を達成するなど一定の改善傾向が見られますものの、生態系につきましては、在来魚介類の減少をはじめ、水草の大量繁茂や外来動植物の侵入、定着といった課題が依然として見られるところです。  また、生物多様性につきましては、滋賀県レッドデータブックに掲載しております希少野生生物種の数が増加傾向にあるなど、野生生物の生息、生育状況は悪化傾向が続いております。  このような環境の変化に鑑みますと、琵琶湖を取り巻く環境は生態系のバランスが崩れてきた状態にあると考えておりまして、生態系の回復、再生に向けた取組の重要性が一層高まっていると認識しております。  3点目、今日的課題への対応、また、新たな計画等についてでございますが、先ほどお答えいたしました両計画の評価や課題を踏まえまして、行政の施策については新たな琵琶湖保全再生計画に一元化する一方、これまでマザーレイク21計画が担ってきました多様な主体が参画する仕組みにつきましては、行政の計画ではない新たな枠組みを構築する方向で検討を行っております。  琵琶湖保全再生計画につきましては、今年度末の改定に向け、気候変動やプラスチックごみの問題など新たな課題への対応を盛り込み、多様な主体の皆さんから御意見をいただき、さらに充実した計画となるよう検討を進めてまいります。  また、ますます複雑化、多様化する今日の琵琶湖の課題に対応し、琵琶湖を守ることと生かすことの好循環を創出するためには、行政の取組に加え、マザーレイク21計画が担ってきた多様な主体との協働の取組をさらに発展させることが重要でございます。  具体的には、琵琶湖の保全再生に向けた幾つかの目標を琵琶湖版SDGsと位置づけるマザーレイクゴールズとして掲げ、それぞれの主体がこの目標の達成に向けて取り組むことを宣言するなど、琵琶湖への関わりを目に見える形で一体となって進める新たな枠組みの構築に取り組んでまいりたいと存じます。  来年度以降、琵琶湖保全再生計画とマザーレイクゴールズを行政の多様な主体の取組を進める際の両輪といたしまして、これらの相乗効果の下で、琵琶湖の保全再生をさらに加速させていきたいと存じます。  4点目、琵琶湖森林づくり条例の改正についてでございますが、現在、滋賀県の森林を取り巻く環境は大きく変化しており、資源として充実する人工林が十分に活用されず放置されていることや、台風や集中豪雨等の気象災害の頻発、農山村地域における人口減少や高齢化など、様々な課題が顕在化しているところでございます。  また、森林整備による二酸化炭素の吸収や木材利用による炭素の固定を進めることにより、「しがCO2ネットゼロムーブメント」に貢献することにもつながり、ひいては持続可能な社会の構築にも寄与するものと認識しているところでございます。  こうした取組に対応するため琵琶湖森林づくり条例を改正する必要がありますことから、滋賀県森林審議会に諮問いたしまして、議論、検討いただき、本年6月30日に答申をいただいたところでございます。答申におきましては、高齢化する人工林の適切な更新や、風倒木等からライフラインを保全するなどの災害に強い森林づくり、県産材の一層の活用や木育の推進、さらには森林づくりの基盤となる農山村の活性化などが必要である旨について指摘されておりまして、この内容を踏まえ、琵琶湖森林づくり条例の改正に現在取り組んでいるところでございます。  5点目の廃棄物政策についてでございますが、プラスチックごみや食品ロスの削減につきましては、県民、事業者、関係団体、行政が一丸となって進めていくことが重要でございまして、昨年、県と協議会が連名で滋賀プラスチックごみゼロ・食品ロス削減宣言を行いまして、取組を推進していく決意を表明させていただいたところです。  この宣言を踏まえまして、現在策定を進めておりますプラスチックごみゼロに向けた実践取組のための指針ですとか食品ロス削減推進計画におきましては、県民、事業者等がそれぞれの立場に合わせて、プラスチックごみや食品ロスの問題を自分事と捉え、自ら積極的に実践していただけるよう、具体的な行動例などを示したものにしております。  こうした一つ一つの実践行動が県全体のムーブメントに発展し、県民総参加の取組につながっていくよう、協議会をはじめ様々な主体と連携、協力しながら取り組んでまいりたいと存じます。  また、コロナ禍により使い捨てプラスチックごみが増加する一方、未利用食品を生活困窮者の支援に活用し食品ロスを防ぐ活動などが行われていることから、こうした動向も注視しながら、適切な消費行動の啓発やフードバンク等との連携など、指針や計画による取組を着実に推進してまいりたいと存じます。  私に賜りました最後、大きな5項目め、滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例に関しまして、こちらは4点御質問いただきました。  まず1点目、条例施行後の県民への浸透の状況等についてでございますが、昨年度1年間に障害福祉課で受け付けた障害者差別に関する相談は85件でございまして、前年度の16件から大幅に増加したところでございます。条例の施行により、県民の皆さんの障害者差別に関する意識の高まり等が相談件数の増加として表れたものと認識しております。  また、昨年7月に県内2か所で開催いたしましたフォーラムには約250名もの方に御参加いただくとともに、条例の内容や障害の社会モデルの考え方を分かりやすく記載したチラシやパンフレットを作成いたしまして、県民や事業者の皆さんに約1万4,000部配布し、周知に努めてきたところでございます。  さらには、条例説明会や障害当事者の方に講師となっていただく出前講座を計66回実施いたしまして、参加者からは、合理的配慮は対話を通じた合意形成が重要であることですとか、自分たちの施設はバリアが多いが、まずはソフト面で対応していきたいなどの声が寄せられており、障害の社会モデルの考え方に立った意識の変化が見られるところでございます。  現在検討中の次期滋賀県障害者プランにおきましても、共生社会づくりを全ての施策の基盤と位置づけ、例えば、障害理解を深める映像を通じた幅広い層への周知を行うなど、条例の理念や障害の社会モデルの考え方の一層の浸透を図ってまいりたいと存じます。  2点目、障害を理由とする差別の実際の相談と対応についてでございますが、昨年10月に条例に基づき設置いたしました障害者差別解消相談員が今年3月末までに受け付けた障害を理由とする差別の事案は15件ございまして、これらの事案に対しましては、相談員が情報提供、助言を行うとともに、必要に応じて現場に赴き、事実確認等を行ってまいりました。  例えば、知的障害者の施設を運営される方からの御相談で、グループホームの利用者が自治会の役員を引き受けないのであれば、自治会内の商業施設と同様に自治会費を2倍払うよう求められた事案について、当該対応が条例における差別に当たることを助言いたしまして、相談者が条例の内容等を自治会に説明することで理解が得られたというケースがございました。  また、肢体不自由の方が入浴施設を御利用された際に、従業員からつえの使用に関して不適切な対応を受けた事案については、相談員が直接当該施設を訪問し、事実確認を行うとともに、条例の内容等を説明し、今後の対応の改善を求めたというケースもございました。  3点目、合理的配慮の提供の状況も含めた今後の対応についてでございますが、合理的配慮に関する相談事例につきましては10件寄せられております。事例といたしましては、インターネット環境が整っておらず、また、肢体不自由で会議等への傍聴に行けない県民の方から、資料を毎回送ってほしいとのお問合せにどこまで対応すべきかという御相談に対して、合理的配慮の基本的な考え方を伝え、当事者との対話を通じて必要な配慮をするよう助言いたしまして、必要な資料を確認の上、送るなど、丁寧に対応していく一つの契機になったものがございます。  寄せられる相談は多岐にわたります。個別性も高いため、今後の対策といたしましては、1つは、さらなる相談力の強化が必要と考えており、個別の対応状況等について、専門家による定期的な検証や滋賀県障害者差別のない共生社会づくり委員会で御議論いただくことで、対応力を向上させ、解決に向けた具体的な提案ができるよう努めてまいります。  さらには、議員御指摘のとおり、こうした事例を分析、公表することで、相談をすれば差別事案の解決につながることを知っていただく、また、障害を我が事と捉えていただくきっかけになると認識しておりまして、現在、昨年度の報告書を取りまとめているところでございまして、今定例会議で報告させていただく予定でございます。  こうした取組を通じまして、今後も相談者の思いをしっかりと受け止め、それぞれの相談の内容に応じた調整活動や適切な情報提供、助言を行えるよう努めてまいります。  最後でございますが、地域アドボケーターの実績と課題を踏まえた今後の展開についてでございますが、地域アドボケーター経由での相談は11件寄せられており、例えば、医療機関で差別的な対応を受けたという事例におきましては、同じ障害を持つ地域アドボケーターが相談を受け、県の相談員につなぐとともに、地域アドボケーター、県の相談員、市の担当職員が連携して対応に当たりまして、関係者への事実確認を行ったところです。  このように、障害者差別解消のためには、障害のある方にとってより身近な存在である地域アドボケーターと市町、県が連携して取り組むことが必要でございまして、福祉圏域ごとの情報交換会を実施いたしまして、情報共有や連携強化に努めているところでございます。  その中で、地域アドボケーターの存在やその活動についてまだまだ認識されていないなどの御意見がございまして、その周知が課題であると考えております。  今後、障害者手帳の交付等の機会を捉えまして地域アドボケーターの存在を周知するなど、まずは障害のある方にその役割を知っていただくとともに、研修会や情報交換会を定期的に開催いたしまして、地域アドボケーターのスキルの向上や関係者間の連携強化を図ることで、障害者差別のない滋賀を目指してまいりたいと存じます。ぜひよろしく御指導お願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)教育施策について、いただきました4点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の安全を守るための取組の現状と課題、今後の対応についてでございますが、県教育委員会といたしまして、学校における新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドラインを作成をいたしまして、学校生活における各場面に対応した感染症対策を明示し、適時ガイドラインの見直しを行いながら、児童生徒の安全確保を図ってきたところでございます。  また、感染症対策に必要な備品や消耗品等につきましては6月補正予算で対応をさせていただきましたほか、今回、9月補正予算におきましては、特別支援学校におけます給食の衛生管理改善のための設備などの予算をお願いをしているところでございます。  各市町の教育委員会におきましても、今年度は国の補正予算を活用し対応をされていると聞いておりまして、今後、令和3年度に向けては、国の動向をまずは注視してまいりたいと考えております。  なお、今後、季節性インフルエンザの流行を踏まえた対策が課題であると考えておりまして、健康医療福祉部と連携しながら、学校現場における感染症対策の徹底を図ってまいる所存でございます。  次に、2点目の新型コロナウイルスの及ぼした学習指導への影響とその対策についてでございますが、県立学校や市町立小中学校におきましては、臨時休業中に登校日の設定や郵送による課題配布等によりまして学習の継続に努めてきたものの、例年に比べまして学習の量や時間が不足し、学びは十分とは言えず、例年のような学習指導を行うことはできなかったところでございます。  このため、学校教育活動の再開後は、行事の精選や長期休業期間の短縮、土曜授業の実施、さらに時間割の工夫など、学習の遅れを取り戻すことに努めていただいております。  また、授業におきましては、感染症対策に配慮し、対面による活動や密になる活動を避けるなどの工夫も行っていただいているところでございます。  こうした中、県立学校では休業中に授業動画の配信に取り組むなど、ICTの活用が一定進んだものと考えておりますが、同時双方向型のオンライン授業に向けた環境整備が課題となったため、早急に通信回線の増強などの基盤整備の充実に努めているところでございます。  市町立の小中学校に対しましては、県教育委員会から、今後も引き続き、各学年での学習内容を計画的に終えられますように参考資料を配布いたしますとともに、指導主事による学校訪問等を通じまして、効果的な学習指導につきまして、各学校の実情に応じて具体的な助言を行ってまいる所存でございます。  3点目の修学旅行等学校行事の実施状況と教育委員会の対応についてでございますが、まず、修学旅行につきましては、県立高等学校、県立中学校におきましては、当初の予定から行き先を変更したり、時期をずらしたりして実施する方向で計画をしておるところでございまして、現在、中止の判断をした学校はございません。
     県立の特別支援学校におきましても、同様に県と計画を進めてはおりますが、一部中止と判断した学校もございます。  また、市町立の小中学校におきましては、宿泊を伴った修学旅行の休止について苦渋の決断をされているところもございますが、その場合におきましても、日帰りの体験活動等として、形を変えて実施することを検討していただいていると聞いておるところでございます。  次に、運動会、文化祭等の学校行事につきましては、一部中止されているところもございますが、3密回避のため規模を縮小したり、児童生徒が考えた活動を取り入れたり、開催方法を工夫するなど、各学校の実情に合わせて取り組んでいただいているところでございます。  学校行事につきましては、児童生徒の成長過程におきまして大変意義深い活動でございますので、感染リスクを避けることに万全の配慮をしながら、可能な限り実施をしていただきたいと考えているところでございます。  特に修学旅行につきましては、感染リスクを避けて実施するための注意点、また進め方等を学校や市町教育委員会にお示しをしているところでございます。  また、商工観光労働部と連携し、県内での宿泊先や訪問先の参考となるようなパンフレットの提供を行いまして、旅行業者を通じまして、お問合せ、またお申込みをいただいていると聞いているところでございます。  県教育委員会といたしましては、各学校において児童生徒の貴重な学びと経験の機会が保障されますよう、様々な機会を捉えながら情報発信を行うなど、引き続き取り組んでまいります。  最後4点目の子供たちと教職員のストレス対策についてでございますが、まず、子供たちへの対策といたしましては、多くの児童生徒は様々な不安や恐れなど心理的なストレスを抱えているという前提で、学校全体として状況を把握いたしますとともに、情報共有を行い、児童生徒に寄り添った支援を行っていただいているところでございます。  また、必要に応じまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを積極的に活用し、引き続き児童生徒の支援に努めてまいります。  次に、県立学校教職員への対策といたしましては、これまでから実施しております心理カウンセラーや精神科医による相談を、この7月からはウェブや電話による相談も取り入れ、より利用しやすくさせていただいたところでございます。  また、学校再開後の学びの保障のための教員の加配、教育活動や感染症対策など、増加する教員の業務を支援する学習アシスタントやスクール・サポート・スタッフの人的体制の整備につきましては、補正予算で対応をし、雇用を進めているところでございます。  今後、雇用に当たっての勤務条件を柔軟にすることなどにより、一人でも多くの方を雇用できるよう努めてまいります。  引き続き、コロナ禍におけます子供たちや教職員のストレス状態を常に注視しながら、子供たちや教職員が健康で充実した学校生活、また教育活動ができる環境づくりに、県教育委員会としてしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ○議長(細江正人) 以上で、会派代表による質疑ならびに一般質問を終わります。    ──────────────── △休会の議決 ○議長(細江正人) お諮りいたします。  明19日から24日までは、議案調査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(細江正人) 来る25日は、定刻より本会議を開き、上程議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。   午後3時41分 散会    ────────────────...