滋賀県議会 > 2020-02-26 >
令和 2年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月26日-03号

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  1. 滋賀県議会 2020-02-26
    令和 2年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月26日-03号


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    最終取得日: 2023-05-14
    令和 2年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月26日-03号令和 2年 2月定例会議(第23号〜第31号)                 令和2年2月定例会議会議録(第25号)                                        令和2年2月26日(水曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第3号                                         令和2年2月26日(水)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第1号から議第53号まで、議第55号および議第56号(令和2年度滋賀県一般会計予算ほか54件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(43名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸    7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       33番   生  田  邦  夫    34番   川  島  隆  二       35番   奥  村  芳  正    36番   木  沢  成  人       37番   清  水  鉄  次    38番   冨  波  義  明       39番   江  畑  弥 八 郎    40番   成  田  政  隆       41番   九  里     学    43番   今  江  政  彦       44番   中  沢  啓  子    45番   節  木  三 千 代            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               選挙管理委員会委員長代理    吉  田  清  一               人事委員会委員長代理      曾  根     寛               公安委員会委員長代理      高  橋  啓  子               代表監査委員          藤  本  武  司               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           滝  澤  依  子            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(生田邦夫) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(生田邦夫) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  議第17号議案および議第19号議案について、地方自治法等の一部を改正する法律附則第2条第7項および第4条第6項の規定に基づき、監査委員の意見を、また、議第56号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を、それぞれ求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。  次に、選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として吉田清一委員が、また、人事委員会桂賢委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として曾根寛委員が、また、公安委員会北村嘉英委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として高橋啓子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第1号から議第53号まで、議第55号および議第56号(令和2年度滋賀県一般会計予算ほか54件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(生田邦夫) 日程第1、議第1号から議第53号まで、議第55号および議第56号の各議案に対する質疑ならびに質問を行います。  本日は、質疑ならびに一般質問であります。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、13番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。初めてトップバッターをやるんですけども、残り時間が13分しかないと。急いでやりますので、よろしくお願いします。  まず最初に、県立特別支援学校で、昨年10月10日、生徒の個人情報が入った自立活動ファイルを紛失、11月18日には、乳製品アレルギーの児童に配膳ミスを犯し、アナフィラキシー症状で救急搬送され、集中治療室で治療を受けるという重大な事故を起こし、そして、同じ学校で、同月29日には、生徒が食事を喉に詰まらせ救急搬送され、その後死亡するという痛ましい事故が起こりました。亡くなられた方に心から御冥福をお祈りいたします。  学校というのは、児童生徒の安全の確保が保障されることが最優先されるべき不可欠の前提です。そこで生徒の死亡事故が起こっていたことを2カ月も公表していなかった。まさに信じられない話です。当該学校を指導、監督する県教育委員会の対応に非常に問題があると思います。  まず、一連の事故について、原因をどう考えているのか、教育長に答弁を求めます。以下、指名するまで教育長に答弁をお願いします。 ○議長(生田邦夫) 13番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  まず、県立特別支援学校におきまして、児童生徒の安心・安全の場である学校現場において、複数の事故、事案が発生し、多くの保護者の皆様、関係者の皆様、県民の皆様、そして県議会の皆様方に多大な御心配をおかけいたしましたことを、改めて深くおわびを申し上げます。  今回の事故のうち、校外学習中における食事中の事故につきましては、当該生徒が食べ物を喉に詰まらせたことが原因となりまして、低酸素脳症を起こしたものと把握をいたしております。通常と同じように、自分でスプーンを使って食べられるよう、食事介助を行っていたところでございます。  次に、個人情報を含む自立活動ファイルの紛失ならびにアレルギー除去をしていないパンの誤配につきましては、あってはならないことでございまして、個人情報の持ち出し等の管理の不徹底、アレルギーの危険への意識不足を背景とする人的ミスが原因であると考えております。特に、人的ミスにつきましては、ミスを起こす要因がどこにあったのか、具体的な防止策とともに、事案は違ってもミスを繰り返さないためには、管理体制や教員同士の相互確認などの強化をする必要があるものと考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)ちょっと今の答弁はひどいんでないですか。なぜこういう事故が起こったかという原因聞いてるのに、食事を喉に詰まらせたから。そんな答弁ありますか。なぜそういうことが起こったのか。その死亡事故だけでなしに、アレルギーの事故も、個人情報のファイルを紛失した事故も、なぜそういう一連の事故が起こったのか、その原因についてどう考えるか聞いているんですよ。答弁をもう一回してください。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  まず、最初の校外学習中の食事中の事故でございますけれども、当該生徒の障害につきましては、教員につきましてもしっかりと把握をしながら対応してきたところでございます。しかしながら、自分でスプーンを使って食べるというものに対して介助するという方法で従来からやってきておりまして、今回、校外学習中でございますが、そういった際に子供が食事を喉に詰まらせたというところに原因がある、教員としては、その子の障害の程度に応じてしっかりとした対応をしておりましたけれども、こういった事故が起こったということと私は承知しております。  あと、自立活動ファイルの紛失ならびにアレルギー除去をしていないパンの誤配につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、ファイル紛失につきましては、個人情報の持ち出し等の管理が不徹底であったこと、そして、パンの誤配につきましては、アレルギーの危険への意識不足を背景といたしました関係者の人的ミスが原因であるというふうに認識をいたしております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)死亡事故については、2月13日の記者会見で教育委員会は、学校の対応に問題はなかった、瑕疵はなかったと発言していますが、学校の職員体制や学校の危機管理に問題があったのじゃないか、お尋ねをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  校外学習におけます食事中に事故が起こった件についてでございますが、今回は生徒15人に対しまして教員10名が指導に当たっていたところでございます。事前に生徒の実態を検討した上で校外学習を実施したものでございまして、職員体制に問題はなかったと認識をいたしております。  同事故に対する危機管理についてでございますが、当該学校教員は、文部科学省から出されております学校事故対応の指針に基づいた救急対応、AED使用などの蘇生対応など、一刻を争う状況の中でも適切な対応をとっており、そのときできる最善の対応であったと認識をいたしております。  一方、ファイルの紛失やアレルギー除去をしていないパンの誤配につきましては、職員同士が確認し合うことでありますとか、個人情報が含まれる文書管理体制など、不十分な点があったものと認識をしておりまして、再発防止に向けた対応策が必要であると考えております。教育委員会といたしましては、学校におけますさまざまな危険があることに対しまして、現場の教員が危険の予知や危険の防止、また、緊急時の対応等につきまして、しっかりと実施できるよう指導をし、児童生徒の安全をしっかりと守っていきたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)この学校では、10年前と比べて生徒数が20人ほどふえており、それに伴って教員も10人ほどふえていますけれども、臨時講師が15人、2.3倍にふえております。この死亡事案のあった担任の先生は臨時講師だというふうに報道されております。私はこの臨時講師の方を責めるつもりもありませんし、大変今、悲嘆に暮れておられるということで、大変だったというふうに思いますけども、一般論として、臨時講師が担任を持つ、正規の職員と同じ仕事をしていながら給料は低い、待遇は悪い、これでは臨時の職員のモチベーションが上がらないのは当然であります。これは、この特別支援学校だけでなしに、職員も学校現場もどことも同じだと思いますけども、やっぱりきちっと正規の職員を配置をするということが必要であるというふうに指摘をしておきたいと思います。  次に行きますけども、この死亡事案について、学校事故対応に関する指針に基づく詳細調査を行ったのかどうか、お尋ねをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  今回の事故につきましては、学校事故対応に関する指針に基づく基本調査は行いましたが、詳細調査は実施をしておりません。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)なぜ実施しなかったんですか。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  文部科学省から出されております学校事故対応に関する指針におきまして、詳細調査に移行するかどうかの判断が示されております。詳細調査に移行すべき事案の考え方といたしまして、1つに、教育活動自体に事故の要因があると考えられる場合、2つに、被害児童生徒の保護者の要望がある場合、3つ目として、その他必要な場合と記載されているところでございます。教育委員会といたしましては、今回の事故後、学校からの経緯の報告を受けた後に、学校に伺いまして、当該教員から直接校外学習時の食事内容や介助の仕方、通常の食事介助等を聞き取りを行いました。また、事故発生時の救急対応、心肺蘇生やAEDの処置等、詳しく聞き取っており、結果として、学校の対応に問題はなかったと判断をいたしたところでございます。また、当該保護者から詳細調査を求める要望もございませんでした。こうしたことから詳細調査を実施しなかったところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)それでは、一連の事故を公表しなかったのはなぜか、お尋ねをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  まず、校外学習におけます食事中の事故と自立活動ファイル紛失の事案につきましては、基本的に公表すべきと考え、事故直後の公表を考え、検討していたところでございます。しかしながら、校外学習におけます食事中の事故につきましては、当該生徒の保護者の意向を最大限尊重をし、公表を差し控えることといたしました。  個人情報ファイルの紛失につきましては、当該の保護者への確認をいたしましたところ、公開をしないようにという意向があったところから公開をしなかったものでございます。  アレルギー除去をしていないパンの誤配につきましては、当該生徒の症状が回復傾向であったことや、再発防止対策を講じたことを学校から教育委員会に報告がございまして、その時点において公表は必要ないと判断したものでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)私は、こういう一連の事故については、やっぱり学校は、生徒の安全をきちっと確保するために、その教訓をその学校だけでなしに全県に広げて、二度と重大な事故を起こさない、そういう取り組みが必要だと思います。そういう点で、教育委員会のこの姿勢というのは非常に問題があるというふうに思います。  2月の19日に当該学校に訪問し、校長からお話を伺いました。アレルギー事故については、学校としては公表すべきだと考えていたと、しかし、県の教育委員会のほうから公表しなくてもいいと言われたと、公表しないということを言われたというふうにおっしゃっておられました。このアレルギーの事故が起こったのが11月の18日なんですよ。その1週間後に東近江市で幼稚園と小学校で同じようなアレルギーの事故が起こっていますよね。東近江市はその当日に記者発表しているんですよ。それはさておいて、1週間前に滋賀県の特別支援学校でそういうアレルギーの症状の持つ子に配膳ミスを犯したということについてしっかりと公表して、滋賀県下の全ての学校にこういうことは起こさないようにということをしっかりと伝達するのが教育委員会の仕事じゃないですか。なぜ学校が公表すべきだと考えていたのを教育委員会はとめたんですか。お尋ねします。 ◎教育長(福永忠克) 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、今回の事案につきましては、報告をいただきましたが、当該生徒の症状が回復傾向であったこと、再発防止対策を講じたことをあわせて学校から報告をいただきました。その時点で公表しないと判断をしたところでございます。しかしながら、アレルギー症状を起こしたこの事案につきましては、同様の事故の再発防止のために、学校給食の従事者等に対する注意喚起等の効果も期待されるために、今考えれば、公表すべきではなかったか、公表すればよかったのではと考え、反省しているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)一連の3つの事故があったんですけども、全て公表しなかった、その判断基準はどこにあったんですか。 ◎教育長(福永忠克) 先ほども御答弁申し上げましたが、校外学習およびファイル紛失の2点につきましては、当該保護者の方の御意向を最大限に尊重して公表を差し控えるということとしたものでございます。
     また、アレルギー除去していないパンの誤配につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、当該生徒の回復の状況ならびに再発防止対策が学校においてとられたという報告を受けた上で判断をいたしたものでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)当該保護者の意向が最優先という判断基準だというふうに今答弁されたと思うんですけども、学校というのは、先ほども言いましたように、児童生徒の安全がしっかりと保障される、それがまず第一だと思うんですよ。だから、個人情報が明らかにならない、特定されない形でしっかりと公表して、そういうことを二度と繰り返さないように仕事をするのが教育委員会の仕事だと私は思います。  じゃ、そこで聞きますけども、一転、2月にこの死亡事故について公表されたのはなぜですか、お尋ねします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  校外学習中における食事中の事故につきましては、その後、保護者、御家族とお話をしていく中で、公表することに対してお気持ちも少しずつ変わってこられたと聞いておるところでございます。  また、一方で、報道機関を初め、学校内外から事案に対する問い合わせがございまして、臆測でありますとか事実と異なる情報が出ていることもございまして、個人情報は守りつつ、正確な情報を公表する必要があると考えたところでございます。その上で、関係の保護者の皆様、御家族の皆様のお気持ちも丁寧に確認する上で、報道機関や学校保護者への公表について、2月になって了解を得たこともあり、先日公表をさせていただきました。  また、その際、あとの2件の事故につきましては、学校保護者説明会できちんと説明し、信頼回復に努める必要があると考えたところであり、当該保護者の同意を得て説明を行ったところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)だから、結局は、こういう事案については公表しなければいけないというふうに結果としてなっているわけですよね。だから、そういう点で、教育委員会のこのあり方というのは非常に問題だというふうに思います。重大な事故が起こったならば、その原因を徹底的に解明して、個人情報に配慮しつつ、学校の保護者や報道機関に情報を公表して、こうした重大事故をほかの学校でも二度と起こさないために広く情報を共有することが不可欠だというふうに私は思います。そのことによって、当該学校の教師集団も、新たな認識と覚悟で、保護者の協力を得つつ職務に励むことが可能になると思います。内部だけで情報を隠してしまうのは、その体質そのものが教育にそぐわないものであり、こうした問題は公表することを原則とすべきだというふうに私は考えますが、教育長の所見を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、基本的には学校現場におけます重大事故については公表することが原則であると私も考えておるところでございます。  今後につきましては、本人、保護者の皆様の御意向を尊重するとともに、個々の事案ごとに慎重に判断しながら、関係者への注意喚起の意味も込めまして公表していくということで対応してまいる所存でございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)知事にもお尋ねをいたします。学校設置者として、この一連の事故についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  県立特別支援学校で起きた一連の複数の事故について、本人、保護者の方々初め、学校の保護者の皆様、県民の皆様には多大なる御心配をおかけいたしました。ここに深くおわびを申し上げたいと存じます。特に、安心・安全に実施されているはずの学校教育活動中に事故が発生し、その後、子供が、児童が亡くなったということについては痛恨のきわみでございます。知事として、その責任の重大さを痛感しています。  学校は、日々、大切な子供たちの命を預かっております。ましてや障害のある子供たちにとりましては、よりその危険性が高まるということを改めて肝に銘じる必要があると考えております。学校が子供たちにとって安心・安全に学べる場であり続けるために、再発防止に向けた取り組みを進めることはもちろんのこと、県立学校における安全管理への意識向上および学校の管理体制の強化を徹底するよう、教育委員会に求めてまいります。  また、公表につきましては、基本的に公表すべきであると思います。今回の件を受けて、現に教育委員会に要請をしておりますし、私自身も、これ以降、しっかりと注意してまいりたいと思います。当然のことながら、議員も御指摘のとおり、プライバシーへの配慮ですとか、そういったものは十分配慮しつつ、再発防止に資する取り組みでありますとか、体制の強化に資する対応でありますとか、そういったこともございますので、原則、基本公表という観点に立って、今後も教育委員会と一緒に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)記者発表されたのが2月の12日なんです。その前の日の2月11日に知事はこの学校を訪問されておられます。そのときに、こうした事故について、どのようなことをなされましたか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 私が学校に訪問した際には、この事故について学校関係者等と話をすることはございませんでした。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)私の感覚からすると、こんな重大な事故が起こって、明くる日、記者発表する前の日に知事が行って、この問題について全くその校長ともやりとりしなかったというのは、すごく違和感を感じるんですけども、時間がないので次に行きます。  最後に、判断力が形成途上の児童生徒を教育する学校では、事故が起きる可能性は排除できないと思います。しかし、同じ事故を二度と起こさない、重大な事故を起こさないことが必要だと思います。そういう意味で、教育委員会の仕事の改善を含めて、再発防止策についてどのように考えておられるのか、教育長の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  学校に対しましては、それぞれの事故が起こった直後に経緯を丁寧に整理するとともに、原因の究明、再発防止に向けた具体的な取り組みの検討、実施を指示いたしました。また、他校におけます再発防止のために、他の特別支援学校長にも情報を伝え、注意喚起を行ってきたところでございます。  今後に向けましては、学校における再発防止策が確実に実施されているか定期的に点検をすること、また、再発防止策の有効性や課題を継続的に検証していくことが必要であると考えております。さらに、教職員一人一人が危険予知の意識を高め、教職員同士がお互いにしっかりと意思疎通し、注意喚起し合うということが何より事故防止のために大切であり、そうすることで組織全体として事故の未然防止に努めてまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そのように頑張っていただきたいと思います。私は、最大の再発防止策は、県の教育委員会がこういう姿勢を改めて、しっかりと学校の安全を守るために最善の努力を尽くすことだというふうに考えて次の質問に移ります。  次に、民間障害者福祉施設の整備についてお尋ねをいたします。  子供が特別支援学校に通う保護者の方々から、卒業後の進路の問題で相談がありました。一般的に作業所に通所することになると思いますが、保護者の方たちは、作業所を5年かかってもつくっていきたいという要望を持っておられました。その背景には、作業所が今後も不足するという見通しがあると思います。居場所および住居の問題は、障害者福祉の喫緊の課題であり、作業所、生活介護、グループホームの現状を鑑みると、県でさらなる支援制度の充実が必要であるとの思いから以下質問をいたします。答弁は全て健康医療福祉部長にお願いをいたします。  まず1点目に、県内の就労継続支援B型事業所、生活介護事業所、グループホームの充足率はどのようになっているか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  現行の障害者プランの令和2年度末の整備目標に対する平成30年度末現在の各サービスの整備率で申し上げますと、就労継続支援B型事業所につきましては、目標3,249人に対しまして整備量が3,132人、整備率として96.4%でございます。生活介護事業所につきましては、目標3,256人に対しまして整備量が3,110人、整備率にして95.5%となっております。グループホームにつきましては、目標1,477人に対しまして整備量1,253人、整備率として84.8%という状況でございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)今の数字は3年間の障害者プランで出されているんですけども、将来、5年先、10年先はどのように見込まれるか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 基本的に県の障害者プランの目標値につきましては、市町の目標を積み上げることで3年ごとに算定をいたしております。来年度、プランの改定時期に当たりまして、その際に令和5年度末の目標数値を検討してまいりたいと思っております。  市町におきましては、市町で把握されておられます養護学校の学年ごとの在籍児童数から、いつごろ、どれぐらいのサービス整備量が必要となるかということを検討された上で、その時点の見通しとして目標値を定められると考えております。ただ、全体的な状況を見ますと、市町等からやっぱり養護学校の在籍児童数がふえていることを考えますと、学校卒業時の受け入れができる体制を整備していくことが必要でありまして、今後も増加するのではないかということは一般的に考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)今後もさらに不足するというふうに思われますけども、じゃ、今の目標に対するこの充足率に対して、目標達成についてどのような努力をされるのか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) サービスの内容、事業所の内容、あるいはその地域によってもばらつきがありますが、やはり目標値に達していないところもございます。その原因として、1つには、やはり施設整備につきましては、国の補助金を活用して補助を実施しておるわけでございますが、やはりその予算の限りがあるということもございまして、要望いただいた案件全てに対して採択して補助をしていくということが難しいという現状が1点ございます。ただ、この点につきましては、県としても一つでも多くのやはり施設の整備を進めたいという思いも持っておりまして、県の必要な財源も確保しながら、国における予算の確保については継続的に要望いたしております。  ただ、もう1点、そのほかにも、この事業所というのは、やはり民間の法人さんが運営を担っていただいておりまして、いつ施設整備を行うのかというような法人さんの計画の状況、あるいは、新たに施設をつくる際には、当然支援人材が必要となってまいりますが、その確保がなかなか難しいというような事情もあって、計画どおり進んでいない部分もあるというふうに認識しております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)じゃ、今の答弁にかかわって、民間心身障害児者社会福祉施設整備事業のこの2年間の状況はどうなっていますか、お尋ねいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  国の補助金を活用して実施をいたしております民間心身障害児者社会福祉施設整備補助事業の今年度と令和2年度に向けての整備の要望、それと、それを受けての予算の計上状況を申し上げますと、令和元年度に向けての整備案件の状況といたしましては、事業所等からの要望としては24件で、約15億5,000万円の要望をいただいております。そのうち、令和元年度当初予算に計上したもの、また、平成30年度の国の補正予算を活用いたしまして、前倒しして平成30年度補正予算に計上したものが合わせまして7件で、約7億円程度でございます。そのうち、国と協議をいたしまして国庫補助対象として採択されたものが3件で約5億7,000万円程度という状況でございました。  令和2年度に向けての整備の案件の状況といたしましては、事業所等からいただいております要望が36件で、約17億円余りでございます。そのうち23件の9億6,000万余りにつきまして、令和2年度当初予算と国の補正予算を活用した今年度の補正予算に予算計上を行いまして、ただいま御審議を賜っているところでございます。  なお、令和2年度の当初予算および今年度補正予算に計上いたしました施設が全て整備を仮にできた場合でございますが、増加する定員数としては、グループホームで100人分、生活介護で58人分を見込んでいるところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)じゃあ、例えば、20件ほど補助から対象が外れたというところについては、今後どのようにされるのか、お尋ねいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 令和元年度に向けての整備で漏れた案件につきましては、継続して次年度に採択できるように努めている部分もあると思いますし、施設によっては自己資金で整備をされるという判断をされることもあろうかとは思います。ただ、県としては、少しでも、やはり先ほど申し上げましたとおり、多くの案件を補助採択していくということが大切と思っておりまして、来年度に向けては、今年度から国の予算規模も拡大を一部されております。そのため、できるだけ来年度に向けては多くの事業を採択したいと思いまして、県の財源も確保し、先ほど述べましたとおり、県の予算計上額、令和元年度は補正予算も合わせて約7億円程度でございましたが、9億7,000万へと拡大して予算計上をして、予算審議をお願いしているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)それでは、もう1つの県独自の重症心身障害者等施設整備補助事業の2年間の状況はどうなっていますか、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  重症心身障害者等施設整備補助事業では、3つの事業に対して、県単独でこれは補助を行っております。生活介護事業所やグループホームにおけます重症心身障害者受け入れ施設の整備に対する上乗せの補助が1つでございます。2つ目として、グループホーム、通所事業所におけます重症心身障害者等の入浴介助に必要となります機械浴槽等の設備の設置の補助でございます。3つ目が、同じくグループホーム、通所事業所等におけます強度行動障害者の方の受け入れのための施設の改修等の整備でございます。  この3つに対して補助をしておりまして、そのそれぞれのメニューごとの2年間の状況で申し上げますと、1点目の上乗せ補助につきましては、今年度の実施は2件でございまして、補助額が3,000万円でございます。来年度に向けましても同じく2件、3,000万円を現在予算計上いたしております。機械浴槽等の設置の補助に関しましては、今年度の実施は2件で、補助額は750万、来年度に向けましても同じく2件、750万の予算をお願いいたしております。強度高度障害の方の受け入れのための整備につきましては、今年度は実施が3件で、補助額が994万円余りでございまして、来年度に向けましては5件で1,875万円を予算計上しております。合計では、今年度の実施が7件、4,744万余り、来年度に向けましては9件、5,625万円の予算をお願いしているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)過去に、作業所が無認可の時代に、滋賀県は障害者福祉の前進のためにいろいろな手厚い支援をされてきておられます。それで今日まで滋賀の障害者福祉が前進してきたというふうに思っております。新規で施設を開設となれば、かなりの自己資金が必要で、ハードルが高いと思います。そのため、借家、古民家の借り上げでやりたいとお母さん方は考えておられるんですけれども、例えば近江八幡市の事業所を調べてみますと、月額10万の家賃、年間100万から、多いところでは200万の家賃がかなりの負担になっているというふうなお話も聞きましたけれども、そういう新たに借家をして作業所を開設したいという場合に家賃補助をするということは、昔はやっておられたと思うんですけども、することができないのかどうか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  家賃の負担を含めまして、その事業所を運営をしていく経費につきましては、全体の国の報酬の中で運営していくということとされておりまして、現在、県では家賃に対する補助というのはございません。現に、議員もおっしゃったとおり、借家で運営されている事業所は多くございまして、現在のところ、そのような事業所から家賃に係る支援の要望というのは現には受けていないところではございますが、県としても、いろいろ現場の声、事業所の声は聞いてまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)聞いてまいりたいということは、そういう声が上がれば検討するという理解でよろしいですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、基本的には国の報酬の中で計算されているという原則がございますので、それをどう考えるかというのはもちろんございます。その上で、お声をお聞きし、まずはその実態がどうなのかということは十分に把握をしていきたいと思います。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)障害者福祉がしっかりと前進するために、施策の充実を要望しておきます。  終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、13番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  次に、28番有村國俊議員の発言を許します。 ◆28番(有村國俊議員) (登壇、拍手)一般質問で一括方式は5年ぶりだそうです。どうぞよろしくお願いします。  光陰矢のごとし。以前に御紹介したジャネーの法則によりますと、55歳の私は1歳のときの55倍もの時間的スピードを感じながら1年間を過ごしているそうであります。このスピードは年齢に比例するそうで、80歳の方は1歳のときの80倍の速さで1年が過ぎると言われております。道理で毎年毎年どんどん1年がたつのが加速度的に早くなっています。ついこの間の話が既に3カ月や半年もたっているなんてことも皆さんもおありではないでしょうか。  さて、私ごとですが、結婚した妻の実家がお寺で、あいにく跡取りがいないため、お寺をやってくれないかと言われまして、無縁の私は猛勉強をして、現在は住職をしております。「サザエさん」でいうところのマスオさんであります。人生はとても不思議でわからないものです。ですから、そんな御縁で、死生懇話会と聞きますと直ちに反応してしまいます。  ところで、お正月にお寺に御門徒の皆さんが集まってくださいました。その折に本堂でお話ししたことをかいつまんで御紹介したいと思います。  東日本大震災の被災地で人々を勇気づけたアンパンマンのマーチの歌詞を活字化して、そのペーパーを御門徒の皆さんに配りました。ほとんどの方がアンパンマンの歌をどこかで聞いたことはあると思いますけれども、メロディーはわかれど、歌詞はほとんどの方が記憶にないと思いますので、議場で歌おうと考えたのですが、歌詞が長いので、きょうは御紹介をしたいと思います。  「そうだ うれしいんだ 生きるよろこび たとえ胸の傷がいたんでも なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ! 今を生きることで 熱いこころ燃える だから君はいくんだ ほほえんで ああ アンパンマン やさしい君は いけ! みんなの夢まもるため」これが1番です。  続きは要点のみを御紹介しますと、「なにが君のしあわせ なにをしてよろこぶ わからないままおわる そんなのはいやだ!」  そして、私が最も印象深い歌詞がここであります。「時ははやくすぎる 光る星は消える だから君はいくんだ ほほえんで」  以上でアンパンマンは終わりますが、また機会がありましたら、歌詞を検索していただければ幸いであります。  それでは、(仮称)死生懇話会の開催について伺います。  我が国の出生数は年々減り続け、平成30年には91万8,400人となり、令和元年は戦後初めて90万人を割り込み、86万4,000人になると推計されています。一方で、死亡数は増加を続け、令和2年には140万人を超え、その後、150万人を超える状態が数十年以上続くと推計されています。平成17年に死亡数が出生数を上回って以降、その差は拡大傾向にあり、令和47年には出生数の約3倍の方がお亡くなりになるとも言われています。  本県においても同様の傾向にあり、平成30年の出生数は1万1,350人で、第2次ベビーブーム時、昭和49年の1万8,303人と比較すると、マイナス38%という大幅な減少となっています。死亡数は年々ふえ続け、平成30年は1万3,246人となりました。本県でも、平成28年に死亡数が出生数を上回り、それ以降、その差は年々拡大傾向にあります。  人生100年時代の到来と合わせますと、まさに超高齢・多死社会に変わろうとしており、死そのものに触れる機会がいや応なくふえることになるのではないかと思います。  そのような状況のもと、知事は、年始のさまざまな場面の挨拶において、ことしはチェンジ、チャンスの年で、県民と一緒にチャレンジする1年にしたいと意気込みを語られ、そのチャレンジの一つとして、死と向き合う場づくりに県として取り組みたいと表明されました。そして、本定例会議の提案説明において、有識者による(仮称)死生懇話会を設置し、県民の皆様とともに、さまざまな角度から死を見詰め、生、生きていることを考える議論を深めてまいりたいと示されたところであります。  そこで、この(仮称)死生懇話会につきまして、私は大変興味がありますので、全て知事に伺います。  この懇話会は、年始に知事が表明されましたが、年始に表明することは非常に大切なことと思います。まず、その背景にある問題意識と懇話会開催の目的を伺います。  死と向き合う、死を見詰めるということですが、死の捉え方、死生観というものは、個人の思想や宗教観に大きく影響されると思いますが、私は重要なことだと考えております。一方で、行政が関与すべき領域ではないと考える方々もおられるかもしれません。そのような方々にどのように説明したいとお考えか、知事の見解を伺います。  死を見詰め、生、生きていることを考えるということで、懇話会ではどのような意見や示唆が出され、どのような県の施策が生まれるのか、とても楽しみでありますが、この懇話会における成果として、どのようなことを想定しておられるか、知事に伺います。  これまでの県政において、死を真正面から捉えるような取り組みはなかったと認識しておりますが、この新たな取り組みに対する知事の意気込みを伺います。  次に、文化とスポーツで滋賀を元気にする施策展開について、全て文化スポーツ部長に伺います。  「スカーレット」、「麒麟がくる」の放送は、滋賀に関心を持ってもらう、滋賀を発信する千載一遇、知事の言葉をかりれば万載一遇のチャンスであり、今、滋賀県はその真っただ中にいます。  いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックが目前に迫り、翌年にはワールドマスターズゲームズ2021関西が開催されることとなっています。これらは、世界の人々に、スポーツ競技を楽しむことにとどまらず、その地域の文化に触れ、感じてもらえる世界の祭典であります。  滋賀県文化振興基本方針には「文化で滋賀を元気に!」と、また、滋賀県スポーツ推進計画には「スポーツで滋賀を元気に!」とスローガンを掲げていますが、こうした好機を捉え、どのように施策を展開していくかが重要であります。  本県は、世界遺産比叡山延暦寺や国宝彦根城などの文化財を豊富に有し、国指定の国宝を含む重要文化財の保有数は全国4位であります。近年は、それらを保全するだけでなく、地域活性化につながる観光振興に活用するなど、観光客が歴史を間近で体験できる取り組みも進められていると聞いています。  現在放送されている「麒麟がくる」では、多くの戦国武将が登場し、その居城として各地の城が登場すると期待されています。滋賀県内には、復元プロジェクトを展開している安土城、世界遺産登録を目指す彦根城を初め、1,300もの城跡が残ります。  教育委員会で策定を進めている滋賀県文化財保存活用大綱の中で、本県の歴史文化の特徴として、安土城、彦根城、坂本城など、多くの城について触れており、これらを見ると、歴史の表舞台で重要な役割を果たしてきた近江、本県の魅力が伝わってまいります。ですから、城郭を紹介する以上に、例えば、織田信長公が天下布武の象徴として築いた安土城や、江戸時代初期に鎮西を担う井伊氏の拠点とした築城された彦根城など、その城郭において繰り広げられた出来事などについて、ストーリー性を持って伝えることで一層魅力を高め、発信する取り組みをさらに進めていく必要があると思います。こうした本県の魅力あるお城にスポットを当て、しっかりと発信し、地域経済の活性化につなげるべきと考えますが、どのような展開をしていかれるか伺います。  いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が間近に迫ってまいりました。観戦チケットの抽せんやボランティアの応募状況など、報道を見ると、既に国内では大いに盛り上がってきていると感じています。本県ゆかりのアスリートの活躍など、見るスポーツとしてのトップレベルのアスリートの活躍する姿に感動する機会がふえることが予想されるわけですが、スポーツに関する機運が盛り上がる中で、県内ではホストタウンの事前合宿や交流事業が予定されています。また、来年には関西一円でワールドマスターズゲームズ2021関西が開催され、海外から多くの選手や関係者が来訪されます。ゴールデンスポーツイヤーズに入り、スポーツを通じて滋賀を楽しむ、滋賀が元気になる取り組みが必要と思いますが、どのような展開をしていかれるか伺います。  先日開催された障害者の文化芸術フェスティバルでは、さまざまな催しが展開され、多くの人が参加されました。共生社会づくりに向け、多くの示唆に富むものがあったと仄聞いたします。  フェスティバルのオープニングおよびフィナーレの会場となる本県では、日本の障害者福祉の父と呼ばれる糸賀一雄氏らの実践活動により、戦後間もなくから障害者による造形活動が始まりました。その後、県内での造形活動の広がりや作品展示等による魅力の発信等により、芸術を通じた共生の発信拠点として本県が国内外から注目されるようになりました。  現在、滋賀県障害者文化芸術活動推進計画の策定に取り組まれていますが、来年度はこの計画の初年度であり、これまで本県が先進的に取り組んできた分野であることから、滋賀の先進性を高め、より元気にする観点から積極的に取り組むべきと考えますが、具体的にどのような施策展開を図っていかれるか伺います。  次に、女性の参画による防災力の向上について、全て知事公室長に伺います。  我が国では、平成7年の阪神・淡路大震災や、16年の新潟県中越地震、23年の東日本大震災などの経験から、防災の分野に男女共同参画の視点を盛り込むことの重要性がうたわれてきました。これは、防災対策が健常な男性の視点から進められ、女性を初め、さまざまな立場の方からの視点が欠けていたとの指摘によるものと思いますが、平成28年に発生した熊本地震や、平成30年7月豪雨の被災地においても、配慮を要する方々に対して十分な対応が行われたとは言いがたい状況であったようです。  そうした被災地の現状を教訓に、本県では、消防団や自主防災組織等における女性の参画を進めるとともに、これまでの防災施策を女性の視点から見直すことで地域防災力の向上を図ろうと、有識者等で構成される女性の参画による防災力向上検討懇話会を昨年4月に設置されましたが、これまで懇話会ではどのような議論が行われてきたか伺います。  2点目に、懇話会の議論を踏まえ、今後どのような防災対策に取り組んでいかれるか伺います。  3点目に、地域防災力の向上を図るには、県だけでなく市町、地域、事業者等にも取り組んでいただく必要がありますが、それらの取り組みの主体に対してどのように取り組みを促していかれるか伺います。  次に、土木インフラの魅力発信について伺います。  私たちのふだんの生活では余り意識する機会は少ないかもしれませんが、土木インフラという視点で周囲を見渡しますと、それらがあちこちで活躍し、縁の下の力持ちとして私たちの暮らしを支えていることに気づきます。  インフラとはインフラストラクチャーの略語であり、下を意味するインフラと構造を意味するストラクチャーから成り、日本語では社会基盤、基盤施設、経済基盤などと訳され、経済が機能するために必要なサービスや施策を含む、国、都市、その他の地域にサービスを提供する基本的な施設やシステムのことを指します。  ここで土木インフラとは何かと考えてみますと、一般的に道路、河川、ダム、上下水道などがあります。それぞれ、道路は物資や人の流動を支え、河川は、命の源である水を供給するだけでなく、洪水を安全に流下させる機能をダムとともに共有し、上下水道は、蛇口をひねると水が出て、台所やトイレの排水を処理することで衛生的な生活を支えています。  このように、私たちの生活にとってなくてはならない土木インフラですが、機能だけでなく、その大きさや形状などに魅力が秘められていると考えています。ダムの写真や絵、あるいはマンホールのふたのデザインなどをカードにして配布され、それらを収集するマニアがおられるそうであります。土木インフラの中で、供用から長い年月を経たもの、例えば50年、100年を超えてもなお現役で活躍しているものは、歴史的にも価値を有していると考えますが、本県にはどのようなものがあるか、知事に伺います。  土木学会選奨土木遺産の一つである和歌山県の友ヶ島砲台群は、ジブリ映画「天空の城ラピュタ」を連想されるとして人気を博しています。また、新しい土木インフラでいえば、明石海峡大橋では、ふだん入ることができない管理用通路を通って、海面上約300メーターの鉄塔に上ることができるツアーが開催されています。京都の天ヶ瀬ダムでは、プロジェクションマッピングを用いて観光資源化に向けた社会実験がなされたと聞いたことがあります。  このように、土木インフラは、本来の役割に加え、地域振興のツールとして活用できるのではないかと思いますが、知事のお考えを伺います。  本県を代表する土木インフラとして、琵琶湖大橋や近江大橋があります。これらについて、例えば、東京都の芝浦から東京湾をまたぎ、お台場にかかるレインボーブリッジのように、美しいイルミネーションやライトアップを行うことで、はやり言葉でいえば、いわゆる映える土木インフラとなり、人々が集うようなスポットになるのではないかと考えます。日本一の琵琶湖にかかる琵琶湖大橋や近江大橋に新たな取り組みとしてイルミネーションやライトアップを施してはどうかと思いますけれども、知事のお考えを伺います。 ○議長(生田邦夫) 28番有村國俊議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
    ◎知事(三日月大造) (登壇)全て一括で大きく4問いただきましたが、私には2点いただきました。  まず、この登壇で、(仮称)死生懇話会の開催について4点御質問いただきましたので、お答えをいたします。  私自身、社会人として、政治家として、出発点が死であったかもしれないと思います。この30年、特に人の生老病死、とりわけ死というものと向き合い、考えるようになってきており、常に言動の中枢、原点であると言っても過言ではございません。  1点目に、死生懇話会の背景にある問題意識と開催の目的についてお尋ねをいただきました。  議員御案内のとおり、我が国は長寿・超高齢・多死社会を迎えようとしております。私たちが死というものに触れる場面がふえるとともに、健康寿命がさらに延伸することなどを考えますと、それぞれの人々の人生設計や社会のありようが大きく変わるのではないかと考えております。  こうした社会の変化に伴い、行政に求められる役割も当然変化するのではないかと考えております。行政は、人の生老病死のうち、老いや病、そして出生にかかわる施策を主にこれまで充実させてまいりましたが、死というものについても真正面から向き合い、行政に求められる役割をしっかりと考える時期に来ているのではないかという問題意識を持つに至りました。  このような認識のもと、死について、また、医療やみとりなど死へのあり方について考えること、そして、死を見詰めることで、新たな方向から浮かび上がるであろう、生きがいや幸せを感じられる生のあり方について、県民の皆様とともに考える場をつくること、これが(仮称)死生懇話会開催の第一の目的であると考えております。  2点目、死生観というものは、行政が関与すべき領域ではないと考える方々にどのように説明するのかという御質問についてでございますが、この懇話会は、死を見詰め、生、生きることを考える場であり、特定の宗教観や死生観を取り上げて推奨するものではないということをまずしっかりと丁寧に御説明をしたいと存じます。  行政の対象領域は、社会の変化に応じて変化するのではないか、変化すべきではないかとも考えております。例えば、結婚に係る施策というのは、かつては個人の価値観に大きくかかわることで、行政の対象領域ではないとの認識が多数であったと思いますが、少子化という社会の変化を受け、出会いの場づくりや機運醸成などの結婚支援を行政が行うようになってきたという側面もございます。このような社会の変化を少しでも先読みし、行政に求められる役割、施策を少しでも先取りしたいという思いで懇話会の開催を考えており、こうしたことを、これも丁寧に説明してまいりたいと存じます。  3点目、この懇話会における成果をどのように想定しているのかということについてでございますが、この懇話会では、さまざまな分野の有識者に幅広く死と生について御議論いただくことを考えており、懇話会としての提言のようなものをまとめていただくことは考えておりません。懇話会での議論を契機といたしまして、生老病死について深く考え、特に避けて通ることができない死について向き合い、死と生について考える機運を醸成することと、懇話会でいただいた意見や示唆等を受けて、今後の施策に役立てていくことが成果であると考えております。  最後、4点目、死生懇話会に対する意気込みについてでございますが、これまで行政では余り触れることがなかった死というものに対して真正面から向き合い、死について、また、死へのあり方について考えることは、より充実した生、生きることについて考えることにつながるのではないかという強い思いを持っております。  一方で、死の捉え方、向き合い方は人それぞれであり、一般的には避けたいテーマであるということ、予期せぬ事件や事故、災害等の被害者や、その御遺族が持たれる深い悲しみに寄り添わなければならないということ、また、自死、みずから命を絶たれるということを目の当たりにされた方の忘れることのできない記憶もあるということなどもしっかりと心にとめなければならないと考えております。  生きること、ともに生きることを大切にすること、そして、死というものを見ること、思い出すこと、考えることに痛みや悲しみを持たれる方々に十分な配慮を行うことを大前提に、私は、覚悟を持って、県民の皆様とともにさまざまな角度から死を見詰め、生、生きることを考える議論を深めてまいりたいと考えております。よろしく御指導のほどお願いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)文化とスポーツで滋賀を元気にする施策展開についての3点の御質問にお答えいたします。  1点目の、本県のお城の魅力を発信し、地域経済の活性化につなぐための展開についてでございますが、幾度となく歴史の表舞台として重要な役割を果たしてきた本県には、1,300を超える城跡が確認されており、また、戦国時代、多くの城の石垣を築いた穴太衆の本拠地であるなど、他には例を見ない強みと魅力があります。特に、全国から注目されている安土城や彦根城などの魅力を地域経済の活性化にどう生かしていくかが重要であると認識しております。  このため、昨年度から取り組んでおります幻の安土城復元プロジェクトでは、毎年横浜で開催されている城郭の全国イベントを誘致し、「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖」として開催し、全国から多くのお城ファンなどを本県にいざないたいと考えております。  さらに、首都圏における歴史セミナーの実施や、文化財のポスターで電車の車両を占拠するポスタージャックなど、本県の歴史文化遺産の魅力を人々の心に刻み込むような印象に残る発信により、観光誘客を促進し、地域経済の活性化につなげてまいります。  2点目の、スポーツを通じて滋賀を楽しむ、滋賀が元気になる取り組みの展開についてでございます。  スポーツへの関心がこれまで以上に高まるゴールデンスポーツイヤーズは、スポーツで滋賀を元気にする絶好の機会であると考えておりまして、さまざまな取り組みを展開することとしております。  来年度開催される東京2020オリンピック・パラリンピックでは、県内全ての市町を走行する聖火リレーや、ホストタウン交流を通じた事前合宿の受け入れなどにしっかりと取り組み、県民の皆様にスポーツの魅力を感じていただきたいと考えております。  また、オリンピック、パラリンピックで高まった機運を「する」スポーツにつなげていくため、民間のアイデアやノウハウ等を活用し、運動実施率が低い働き盛り世代等に対する運動習慣の定着に取り組むほか、総合型地域スポーツクラブでの障害者スポーツ教室の開催等を通じて、障害者スポーツの理解促進を進め、多くの県民の皆様がスポーツを楽しむきっかけづくりに努めてまいりたいと考えております。  さらに、令和3年度に開催されるワールドマスターズゲームズ2021関西では、多くの参加者や観戦者を呼び込めるよう、積極的な広報活動やおもてなしの準備を進め、大会を契機にスポーツによる交流を促進するとともに、経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。  これらの取り組みを通じて、スポーツで滋賀を元気にするとともに、県民の皆さんの健康や体力の保持、増進につなげ、健康しがの実現を目指してまいります。  3点目の滋賀県障害者文化芸術活動推進計画に基づく来年度の施策展開についてお答えいたします。  現在策定を進めている本計画では、多様な人々が支え合うことにより、障害の有無にかかわらず、誰もがともに多彩な文化芸術活動に親しみ活躍する環境の実現を目指し、「親しむ」「つなぐ・支える」「活かす」の3つの方向性で施策を展開することとしております。  1つ目の「親しむ」の主な取り組みとしましては、鑑賞サポート機材を導入するなど、障害の特性に配慮したコンサートをびわ湖ホールで開催するほか、舞台手話通訳や字幕、音声ガイド等を備えたバリアフリー演劇などを地域の文化施設において実施いたします。  2つ目の「つなぐ・支える」では、文化施設や福祉施設の職員、自治体の文化担当職員を対象とする研修会を実施するなど、障害者の文化芸術活動を理解し、支援する人材を育成する取り組みを進めるほか、活動する人や支援する人が集う場づくりに向けた取り組みを進めます。  3つ目の「活かす」では、近年、国内外で高い評価を得ている知的障害者や福祉施設職員で構成するダンスグループとプロの音楽家によるダンス公演をびわ湖ホールで実施いたします。これらの取り組みを県内各地でモデルとして積極的に展開することにより、多様な関係者とノウハウを共有し、連携を深め、障害者の文化芸術活動を着実に推進してまいります。 ◎知事公室長(水上敏彦) (登壇)御質問のうち、3点目の女性の参画による防災力の向上についてお答えいたします。  まず、1点目のこれまでの懇話会で行われてきた議論についてであります。  女性の参画による防災力向上検討懇話会では、これまで、ワーキング会議2回、全体会議4回にわたりまして、平常時の事前の備え、予防の段階から発災直後、さらに復旧復興までの各段階を想定しながら、災害への備えが進んでいる社会と現状とのギャップを女性の参画によってどのように埋められるかという観点から幅広い御議論をいただいてまいりました。  その中で、防災分野への女性の参画拡大は多様な視点をもたらし、誰も取り残さない防災を実現していくための重要な足がかりとなること、また、災害時の避難所運営などはもとより、防災計画策定などの意思決定段階からの女性参画が必要であること、さらに、防災は平常時からの福祉、教育、まちづくりなどと不可分であり、防災に関する女性の専門人材をふやすだけでなく、他の分野と関連づけて女性参画を進めていくことが大切であることなどの御意見をいただいてきたところであります。  次に、2点目の懇話会の議論を踏まえた今後の防災対策についてであります。  昨年10月の懇話会中間提言や現在調整中の最終提言案では、目指すべき姿といたしまして、女性たちも地域防災の主体となっている、災害時に誰も取り残さない取り組みが進んでいるなどの4つの姿が示されているところでございます。  県といたしましては、こうした懇話会での議論を踏まえ、自主防災組織などにおける女性リーダーの育成支援や、さまざまな防災研修会の中に女性参画の視点を取り入れていく取り組みを進めてまいります。  また、地域特性に対応した地区防災計画の策定支援を通じた災害に強いコミュニティーづくりや、自力で避難することが難しい方など要配慮者の個別支援計画策定のためのモデル事業の実施、さらには、日常生活の中に浸透し、生活に根差した生活防災を進めるためのSNSを活用したプラットフォームづくりなどに新たに取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、3点目の市町、地域、事業者等に対してどのように取り組みを促していくのかについてお答えをいたします。  懇話会の議論や提言の内容につきましては、県の取り組みとあわせまして、市町はもとより、広く県民の皆さんや事業所の方々に御理解いただき、それぞれの地域や活動現場で実践していただくことが大切であります。  このため、先日、県の男女共同参画センターにおきまして、女性の参画による防災力アップフォーラムを開催し、市町の防災担当者や自治会、自主防災組織のリーダー、防災士などに御参加いただき、懇話会の議論の内容についてお伝えし、参加者同士による意見交換を行ったところでございます。  今後も、こうしたフォーラムや防災カフェ、各種研修会、出前講座などを活用し、また、先ほどお答えいたしました県の具体的な事業展開を通じて、市町と連携し、災害に強い地域をつくっていくためには、女性の参画による防災力の向上が不可欠であることを広く県民の皆さんや事業者の方々と共通認識し、地域における実践的な取り組みが積み重ねられ、定着していくよう努力してまいります。 ◎知事(三日月大造) 最後、4点目の土木インフラの魅力発信について、こちらは3点御質問をいただきました。  1点目、歴史的価値を有する土木インフラについて、本県の状況でございますが、県内には、意匠的、技術的にすぐれたものとして国や県が選定いたしました有形文化財は4件、歴史的土木構造物の保存を目的として土木学会が選定した選奨土木遺産は7件存在しております。例えば、1884年に滋賀と福井をつなぐ鉄道トンネルとして築造され、現在は道路トンネルとして利用されております長浜市の柳ヶ瀬隧道や、1889年に天井川である大沙川をくぐる鉄道トンネルとして築造され、現在も利用している湖南市の大沙川トンネル、1891年に草津川上流に砂防施設として築造された大津市のオランダ堰堤などがございます。  2点目、土木インフラを地域振興のツールとして活用できるかということについてでございますが、近年、ダムや橋梁などの土木インフラを観光資源の一つとして活用し、魅力ある観光地域づくりを進め、地域経済の活性化につなげていくインフラツーリズムが注目されております。議員御指摘の天ヶ瀬ダムで行われたプロジェクションマッピングでは、2日間で延べ1,200人が来訪され、観光資源としての可能性が確認されております。今後、最新の技術を採用した機能美や歴史的構造物の時代を感じさせるデザインなど、本県の土木インフラがどのような魅力を有しているのか調査し、土木遺産などをめぐるインフラツーリズムが地域振興のツールとして活用できるか探ってまいりたいと考えております。  3点目、琵琶湖大橋や近江大橋へのイルミネーションやライトアップを施すことについてでございますが、非常に夢のある提案だと思います。琵琶湖大橋、近江大橋は、本県のランドマーク的な構造物であり、周辺の景観と一体となり、滋賀らしい風景をつくり出しております。  議員御提案のイルミネーションやライトアップは、土木インフラの魅力がさらに高められるだけでなく、「健康しが」ツーリズムビジョン2022に掲げております夜型観光の充実にも資するものと考えます。今後、環境や景観への影響などについて、関係者や道路利用者の御意見等も伺いながら、実現の方策を検討してまいりたいと存じます。 ◆28番(有村國俊議員) (登壇)(仮称)死生懇話会については、死と生、あるいは生と死。死ぬときまで生きる。生きて死ぬ。私が持つこのペーパーで例えるなら、表と裏、裏と表。表裏一体のペーパーであります。  ところで、現代は私たちの生活という言葉が使われますが、江戸時代までは私たちの生活という言葉はなかったそうであります。では、どのように表現していたかといいますと、私たちの生死は云々、つまり、生きると死ぬと書いて、私たちの生死はと表現していたそうであります。1枚のペーパーの表と裏、表裏一体。私たちの人生も生死、表裏一体。生きるも死ぬも一体との考えがあったのかもしれません。  ところで、昨日、尊敬する先輩から、ありのままをそのまま受け入れて自分が今できることを一生懸命にやろうじゃないかと伺いました。私も至極なことと思います。  さて、日本で死生観を最初に記述したものとしては、古事記、日本書紀等の神話が挙げられるそうであります。また、武家政権が成立した時代以降は、戦場に臨む武士の意識を大きく反映した死生観が育った背景があるそうです。上杉謙信公の「四十九年 一睡の夢 一期の栄華は 一杯の酒にしかず」云々。また、辞世の句なのか、以前なのか、意見が分かれるところでありますが、織田信長公が好んだと伝えられる幸若舞「敦盛」の一節の「人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり」云々が有名であります。人の世は天上界に比べれば幻のようなものといったぐあいです。歌の解釈は自由ですが、人間界の50年は下天の一昼夜という設定があるそうであります。  そういえば、浦島太郎が訪れた竜宮城での3年間は、人間界の700年みたいな話がありますけれども、まさに浦島効果と呼ばれるのと同じようなぐあいです。先ほどのアンパンマンでも時は早く過ぎるということで御紹介をさせていただきました。  先ほど知事が、(仮称)死生懇話会の開催についてるる御説明を賜りました。とても興味があると申し上げましたが、懇話会がどのような意見や示唆を出すのか、とても楽しみなところであります。私も懇話会にぜひとも加わりたいというところを思うんですが、さすがに厳しいと思います。知事も発起人ですので、懇話会でどんどん意見していただければありがたいなというふうに思うんですが、これも難しいと思います。知事は、懇話会の有識者の皆さんの御意見や御示唆を受けて、検討を行い、県の施策に役立てていかれるわけでありますけれども、知事が現在お持ちの死生観、ぜひともきょうお聞かせいただきたい、もっと詳しく深くお聞きしたいところでありましたが、そもそも懇話会の開催の意味が失せてしまいますので、きょうはやめておきますね。またいずれ機会を見て、この議場で御発言いただければありがたく存じます。  それでは、土木インフラの魅力発信についてですが、県道路公社が2009年に仕上げた琵琶湖大橋のメロディーロードは、琵琶湖周航の歌の旋律が流れます。ちなみに、橋上のメロディーロードは全国初の試みでありました。路面に深さや間隔の異なる溝を刻み、溝と車両のタイヤが接触したときに生じる走行音がメロディーとなって聞こえる仕組みは、まさに土木インフラがツールとして活用されています。雨天時には、排水の効果が溝をなぞって排水されますし、また、凍結時には、溝が、がりっとこうタイヤをしっかりとかんでくれるということであります。まさに土木インフラのおかげであります。  琵琶湖大橋や近江大橋に新たな取り組みとしてイルミネーションやライトアップは、橋上だけでなく橋脚も視野に研究していただければ幸いです。今後、知事がおっしゃいましたように、研究してくださるということですので、幅広く、いろんな可能性を視野にやり方を考えていただければなということでお願いを申し上げます。  文化とスポーツで滋賀を元気にする施策展開についてでありますが、アジアで初開催となるワールドマスターズゲームズは、おおむね30歳以上ならどなたでも参加できる世界最大級のスポーツの祭典であり、海外から多くの方々が訪れることとなります。本県では、どのようなおもてなしを用意し、どのような経済効果を期待しておられるか、文化スポーツ部長に伺います。  女性の参画による防災力の向上についてですが、防災分野において、女性への配慮等をめぐる課題は多いと考えますが、知事公室長の認識および今後の対応を伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) ワールドマスターズゲームズでのおもてなし、経済効果についての御質問にお答えいたします。  本大会は、過去のデータによりますと、国内選手の平均滞在日数は9.4日、国外選手の平均滞在日数は15.8日と長期にわたっております。このことから、スポーツの合間に観光を楽しめるよう、参加者限定の特別体験プランを企画をしております。例えば、かるたや座禅、そば打ちなどが体験できるプランのほか、近江牛などの御当地グルメを味わえるプランなど、滋賀ならではの地域素材を生かした多彩なプログラムを用意しております。  また、地元の観光、あるいは経済関係の団体等も参画をいたします開催市実行委員会におきまして、各地域でのおもてなしの準備をしていただいております。  このような取り組みを通じまして、多くの方々に滋賀の多様な魅力に触れていただき、観光や宿泊、飲食、物産販売等で経済効果を発揮していきたいと考えております。 ◎知事公室長(水上敏彦) 女性の参画による防災力の向上の課題認識につきまして再質問いただきましたので、お答えいたします。  先日の第4回の懇話会におきましても、避難所でのDVや違法な解雇など、災害時の女性の人権侵害でありますとか、災害関連死をできるだけ出さない避難生活のあり方などにつきましては、より専門的な議論が必要であるという意見が出されておりました。こうした課題もしっかりと意識をしながら、この取り組みを今年度限りのものとせずに、引き続き検討の場を設け、他県の教訓にも学びながら、県として必要な対応を考え、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆28番(有村國俊議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、28番有村國俊議員の質問を終了いたします。  次に、27番目片信悟議員の発言を許します。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇、拍手)有村議員の大変ありがたいお説教をいただいて、今を生きる私としては、しっかりと質問をさせていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  さて、昨年の4月の統一地方選挙において、県民の皆様からの負託を受け、その議席を与えられてはや1年が過ぎようとしております。これまでの9年間、さまざまな場面で、行政として執行する事業に対し、意見や提案を申し上げ、また、それを審査する議会としての役割を自分なりに考え、今日まで歩んでまいりました。そこでわかったこと、実感したことは、いかに信念と熱意を持って、また、覚悟を持って言い続け、そして、実現に向けて丁寧に進めることが大事であるかということであります。  そして、行政機関もまた、地方自治法第2条において、「その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定されており、まさしく両輪のごとく進めることが、県民福祉の向上と県政発展につながる、最短で、なおかつ最大の効果が発揮されるのではないかと考えます。  しかしながら、ややもすると、執行機関は、自分たちがやりたいこと、望むことが優先され、県民が望むこと、それが何であるか、また、県民にとって何が大事かということにいささか鈍感になっているのではないかと思うことがあります。  そして、この県民が望む政策実現が思うように、また、効果的に実行されない最大の原因が、縦割りに進む行政システムではないかと思っております。縦割りの弊害がわかっているにもかかわらず縦割りに物事が進む。今回はお尋ねはいたしませんが、知事、任期の折り返しに当たり、その経営手腕が問われるということを、釈迦に説法ではありますが、申し上げておきます。  また、私たち議員も、県民の声に真摯に耳を傾け、しっかりと当局と議論をいたしながら、県民福祉の向上につながっていくよう努力したいと考えております。  それでは、発言通告に従いまして、3つの項目について、知事、教育長、警察本部長に伺います。熱意ある答弁を期待し、以下質問に入ります。  最初に、文化財の保存と継承に対する県の取り組みと考え方について、知事および教育長に伺います。  昨年、沖縄県の首里城が火災により焼失し、沖縄県民はもとより、日本中が歴史的遺産を失った深い悲しみに包まれました。文化財、文化遺産というものは、一度失われたら最後、取り返しがつきません。例えば、この首里城も、姿形はもとのとおり復元できたとしても、再建するための木材も、その当時の使われたものではなく、また、建築当時から現代までの時間を刻むことはできないのであります。特に本県は、文化財が数多く現存し、その数は全国で4番目に多いとされています。国宝や重要文化財に指定された建造物も多く、現在も延暦寺の大修復工事が施工されるなど、未来に対する責任としてもしっかり守り、残していくことは大変重要であると考えます。  一方、文化財の中でも、美術工芸品や彫刻などはどうでしょうか。来年度当初予算案でも、こうした文化財を収蔵する県立琵琶湖文化館の後継施設の検討に係る費用が計上されております。言うまでもなく、琵琶湖文化館の後継施設には、博物館としての機能を有し、その役割は、1、資料の収集、保管、調査研究、教育的要素、2、勧告承認出品館、これは国の公開事業の代行などの役割を果たすとされています。3、公開承認施設であること、4、文化財修復の相談および指導監督的役割、5、受託品の一時返還の積極的活用、地元の祭りや法要に協力するといったような機能を有することが大変重要であります。  また、文化財保護法の一部が改正され、法にのっとり、本県においても滋賀県文化財保存活用大綱が策定されようとしております。その目的の中でうたわれているように、文化財の保存と活用、これに対する種々の取り組みを適切に進める上で、共通の基礎となる総合的施策を推進することが求められております。なるほど、確かに法律や大綱にはすばらしいことが書かれておりますが、法律改正や大綱策定を行ったからといって、それで終わりということではありません。予算や人員、技術等を実際に投じてこそ、文化財を守るということであり、また、その役割を果たすには、これを管理する博物館がしっかり整備されなければなりません。  そこで、こうした後継施設を核として、文化財をしっかり保存する施設にするとともに、後世にしっかりと残すべきものとしての位置づけ、すなわち新しい県民意識の創出が図られる施設にするべきと考えますが、知事の見解を伺います。  来年度から文化財保護行政を教育委員会事務局から文化スポーツ部に移管する関係条例の改正案が出されております。移管による効果などについても説明もありましたが、私は、教育委員会事務局が所管であってもできることばかりではないかとの印象であります。確かに法律の改正により知事部局へ移管は可能となりましたが、他の自治体の状況はどうなっているのか、また、移管することによって何がよくなるというのか、改めて知事に伺います。  要は、教育委員会であれ、知事部局であれ、やる気があるかなしかではないでしょうか。  文化財の保存や保全に係る資金調達は大変重要で、喫緊の課題でもあります。特に、課題の多い文化スポーツ部に移管することで、国民スポーツ大会の施設整備などに予算が集中してしまい、文化財の保存に十分な予算が確保されなくなるのではないかと危惧します。  そこで、教育委員会が所管するよりスムーズに資金や予算が確保できるのか、文化財の保存や保全に係る予算の確保にかける決意を知事に伺います。  次に、大綱を踏まえ、今後、文化財の保護と活用をしっかり進めるため、文化財保護行政の課題解決をどのように進めるのか、具体的に伺ってまいります。  まず、1点目に、本県の文化財の保存に対する取り組みを見ておりますと、どうも建造物に比べて、規模の違いを差し引いたとしても、仏像などの彫刻や工芸品に対する投資は少ないのではないか、同じ文化財でありながら扱いが異なるのではないかとの印象を持っております。  そこで、彫刻や工芸品などの美術工芸品に対する保存修理費用について、他の自治体と比較してどうなのか、特に京都や奈良との比較において、教育長に伺います。  また、こうした文化財を、所有者のみならず、行政や県民の財産として後世に残すことは、文化的、また、教育的見地からいっても非常に重要であると思います。  そこで、2点目に、こうした文化財の保存を目的とした民間資金の調達の活用について、行政としても積極的に進める必要があると考えますが、知事の見解を伺います。  また、こうした文化財の保存に関しては、所有者としっかり連携しながら取り組まれなければなりません。貴重な文化財であっても、しっかりと調査をしておかなければ、その存在すら知られないまま消えてしまうおそれがあると聞きます。悉皆調査による未指定の文化財を含む地域の文化財の全体像の把握やリスト化は、盗難等による文化財の県外への流出や滅失を防ぐ上でも大変重要であると考えます。  そこで、3点目に、県内各地に眠る文化財の悉皆調査は十分行われているのか、何がどこにあるかを計画的に調査し、把握しなければ、今後の保存も十分にできないと思われますが、そのための予算確保も含め、現状を教育長に伺います。  また、その現状をどう捉え、今後どうしていこうと考えているのか、知事に伺います。  次に、調査を行っていくため、また、今後、文化財の保存や活用を進めるためには、予算もさることながら、大綱において優先的に取り組むテーマとされているように、文化財の保存継承を支える人づくりが重要であると考えます。特に、総合的な文化行政の推進に向けて、また、琵琶湖文化館の後継施設の整備に当たっては、学芸員や文化財技師等の専門職員の確保と育成は必須と考えますが、知事の考えを伺います。  次に、こうした美術工芸品等を含む文化財の保存修理のための技術継承がどうなっているのか気になるところであります。聞くところによると、安い材料や安い技術で修理した文化財は、結局、何十年とはもたず、5年や10年で再修理を行うこともあるという話がありました。こうした技術は一朝一夕で得られるものではなく、長い年月をかけて受け継がれていくべきものであり、そうしたスキルを十分に兼ね備えた技術者でなければならないと強く思います。やはり文化財はその当時をほうふつさせるものでなければならず、これを未来永劫残すことが、その時代に生きる、現代では我々の使命だと考えます。後の人々に恥ずかしくない文化財を残す取り組みとして、文化財の修理を担う技術者の養成をどのように考えているのか、知事に伺います。 ○議長(生田邦夫) 27番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)文化財の保存と継承に対する県の取り組みと考え方について、大きく9点御質問いただきましたうち、私には7点いただきました。  まず、1点目、琵琶湖文化館後継施設を新しい県民意識の創出が図られる施設とすべきということについてでございますが、琵琶湖文化館の機能継承につきましては、懇話会での議論を踏まえ、琵琶湖文化館機能継承方針(原案)をお示しし、3つの美の一つである神と仏の美の発信拠点であると同時に、文化財の保存・継承・活用・発信の拠点と位置づけたところでございます。  また、琵琶湖文化館後継施設の整備・運営の基本的な方針につきましては、現収蔵品の適切な収蔵保管に加え、地域に点在する文化財を守るための活動を行う、また、実物中心の上質な展示等により文化財の保存と活用の好循環を創出するなどとしているところでございます。  これらを踏まえ、来年度、琵琶湖文化館後継施設基本計画を策定する中で、再開館に向けて取り組みます近代美術館と連携した美の滋賀の発信と合わせ、県内の美術工芸品を中心とした文化財を守るための活動・体制の充実を図るとともに、子供たちを初め、幅広い層の人々に文化財の価値を正しく伝え、文化財の保存継承に対する意識を高めるような施設となるよう、検討を進めてまいりたいと存じます。  2点目、他の自治体の文化財保護行政の移管状況、移管の効果についてでございますが、既に移管を行っている都道府県は、平成31年4月1日から岐阜県、静岡県、奈良県、鳥取県、佐賀県、また、令和元年5月1日から徳島県の計6件ということでございます。移管することで、文化芸術、観光、産業振興、景観・まちづくり、防災・防犯など、他分野との総合的かつ一体的な施策の推進が一層可能になると認識しております。  例えば、戦国や城郭をテーマにしたイベントの開催や、各地域で守り伝えられてきた魅力的な郷土料理や地酒を活用した発信による観光誘客、地域経済の活性化、また、近隣住民や関係者の協力体制を構築した文化財の防災・防火・防犯対策の強化による保護体制の充実など、各分野が連携することができるものと考えております。こうした多角的かつ重層的に文化財を活用した施策を展開し、文化財の保存と活用の好循環を生み出し、文化財の確実な継承を図ってまいります。  3点目、文化財の保存や保全に係る予算確保にかける決意についてでございますが、議員御指摘のとおり、私も、全国有数の文化財を有する本県におきまして、文化財の保存や保全を図っていくためには、安定的な資金確保が必要であると認識しています。今後も、地域の宝である文化財を地域の皆さんとともに守り伝えていけるよう、必要な予算を確保してまいります。あわせまして、専門人材の育成や確保など、組織体制を強化し、しっかりと責任を果たしてまいりたいと存じます。  4点目、文化財の保存、保全を目的とした民間資金の調達や活用についてでございますが、県におきましては、今年度、滋賀応援基金条例に基づく寄附金において、使途を文化財とする寄附を約110万円いただいたところであり、今後、さらに寄附を呼びかける取り組みを実施することとしております。  また、所有者における民間資金の確保の方法につきましては、氏子や檀家から社寺に対する御寄附のほか、クラウドファンディングなどが考えられます。県内におきましては、クラウドファンディングなどによる資金確保など、先進的な取り組みを行っている事例が存在いたしますことから、今後、県といたしまして、所有者の状況に応じた資金確保の取り組みが進むよう、これらの好事例について情報提供を行うとともに、資金確保のための制度、仕組みを研究するなど、文化財所有者等をしっかりと支援してまいりたいと存じます。
     5点目、文化財の悉皆調査についてでございます。  議員御指摘のとおり、悉皆調査により、未指定の文化財を含む地域の文化財の全体像を把握することは、盗難等による文化財の地域外への流出等を防ぐ上でも重要であると認識しております。  文化財保護法の改正に伴い、文化財の悉皆調査については、市町が策定する文化財保存活用地域計画の中に位置づけられたことから、市町が主体となって実施することとなっており、今後、市町において取り組みが進められるものと考えております。  県といたしましては、各市町に対し地域計画の策定を働きかけるとともに、実際の調査の実施に当たりましては、専門職員の派遣や助言を行うなど、市町による調査を支援してまいりたいと存じます。  6点目、学芸員や文化財技師など専門職員の確保と育成についてでございます。  現在、本県には、美術工芸品の保護と活用を職務とする職員が文化財保護課、琵琶湖文化館、近代美術館等に在籍し、互いに連携を図りながら業務を進めているところでございますが、議員御指摘のとおり、専門職員の確保と育成は大変重要であると認識しています。文化財保存活用大綱に基づき、文化財の保存と活用の取り組みをさらに一層進めていくため、教育委員会から知事部局への移管を機に、また、今後の琵琶湖文化館の後継施設の整備を見据え、それに見合った専門職員の確保と育成はもとより、その必要な組織体制についてしっかりと検討してまいります。  7点目、文化財の修理を担う技術者の養成についてでございますが、国や県の文化財指定を受けた美術工芸品の修理につきましては、所有者が国庫補助金等を受けた上で、国が認めた選定保存技術保持団体に委託し、実施されているというのが現状でございます。  修理を行う技術者の養成は、国庫補助事業として選定保存技術保持団体が実施されるところであり、その一環として行われる研修会には、本県も長年にわたって後援を行い、講師の派遣や資料提供などにも協力しているところでございます。  技術者が技術を向上させるためには、実際の修理を多く行うことが最も重要でございますが、美術工芸品につきましては、建造物と比べ、所有者が修理の必要性に気づかず、修理に至らない事例もあるなど、修理経験の機会が十分とは言えないのが現状でございます。  県といたしましては、所有者に対し、美術工芸品の保存修理の必要性について啓発と情報提供を行うことで、適時適切な修理機会が創出され、技術者が経験を積み、その養成につながるよう取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)文化財の保存と継承についての私への2点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目、美術工芸品の保存修理に要する費用についてでございますが、本県では、国および県指定の美術工芸品の所有者が実施をされる保存修理や防災事業に対する費用に対して補助を行っておりまして、今年度の対象件数は、建造物が11件に対しまして、美術工芸品は9件となってございます。  指定美術工芸品は、仏像や古文書などの種別がございまして、その修理に要する費用につきましては、各府県によりまして、文化財の指定件数でありますとか修理の規模、また、実施のタイミングなども異なるため、単純な比較は難しいところでございますが、補助金等の予算額につきましては、京都府や奈良県には及ばないものの、全国では上位にあると認識をいたしております。  2点目の県内各地に眠る文化財の悉皆調査の現状についてお答えをいたします。  美術工芸品の悉皆調査につきましては、早くは昭和30年代に文化庁の直営事業として始まっております。比叡山を中心とする文化財集中地区調査を皮切りにいたしまして、県内を4分割した総合調査が行われまして、県内における概要が把握されたところでございます。それを受けまして、昭和50年代から、国庫補助金等を活用し、県が大規模な調査に取り組みまして、大般若経など古経典の全域調査、古文書が多い寺院の集中調査等を行ってきたところでございます。それらの時期を経まして、近年では市町が主体となる事例がふえてきている現状でございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。悉皆調査は十分に行われないと、大分県内のそういった文化財が流出、県外に出てるという話も聞きます。そういった意味では、何がどこにあるか、計画的にやっぱり把握していくというのは非常に重要になるということですので、そこの点については、引き続き県行政としても注視して取り組んでいただきたいというふうに思います。  1点だけ。後継施設なんですが、これから新生美術館含めてさまざま議論はあろうかなというふうに思うんですが、こういった文化財の保存継承、また活用ということを考えますと、この後継施設の位置づけというのは私は重要だというふうに思います。単に見せるだけでは活用にはつながっていかないということを専門家からも聞いております。そういった意味で、この保存施設というのは、これからやはりそういった、例えば修理をしているような作業を見せるでありますとか、学芸員がそういうことを説明するというようなものを定期的に開催することによって、そういった興味を持つ方がどんどんふえていくようなものになっていかなきゃいけないのではないかというような指摘も伺っておりますけれども、これからさまざまな議論が懇話会も含めてされるというふうには思いますけれども、私は、懇話会だけに任しておらず、やっぱり県としてこういうふうに持っていくんだというような、その思いというのは非常に重要かなというふうに思うんですが、この後継施設について、そういった御意見があるということを踏まえ、もう一度、知事に後継施設についてのお考えを、そういった見せるという部分について、どういうふうにお考えか、そこだけちょっとお聞きしたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど議員お尋ねの中にもお触れいただきました、博物館機能として、単に展示、見せるだけではなくて、資料を収集したり、また、調査研究をしたり、さらには、さまざまな文化財の修復の相談ですとか、指導監督的な役割を果たすことであるとか、文化スポーツ部長が折に触れ答弁し、また説明もさせていただいておりますが、地域内にさまざまあり、なかなか保存や修復が困難な状況になっている文化財をどうしたらいいのかという、そういった御相談等にも応じていくような機能、そういうものがこれからより重要になってくるであろうと考えております。  したがいまして、当初は、新生美術館として3つの美をまとめてごらんいただく、また、管理、収蔵するという方針ではございましたけれども、今回、再開館させていただく近代美術館とは独立した形で後継施設を考えていこうということにしておりますので、私どもも、そういった機能をしっかりと確保できるように、今生きている私たちとして、未来に向けてこの文化財をしっかりと継承していくというその責任を果たすためにも、この後継施設を位置づけ、しっかりと整備を進めていかなければならないと考えているところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それでは、次に、滋賀県における再犯防止推進計画の実効性とその効果について、全て知事に伺います。  御承知のとおり、国におきましては、平成28年に再犯の防止等の推進に関する法律──以下、法と言いますが、これが成立、同年12月14日に公布、施行されました。これを受け、本県におきましても、法に基づき、滋賀県再犯防止推進計画──以下、本県計画と言いますが、これが昨年度策定され、今年度より運用がされております。法の中では、国におけるさまざまな責務については、地方公共団体には努力義務としているものの、やはりより現場に近い地方公共団体の役割は大きいものと考えます。  また、知事は、本県計画が策定された昨年5月26日に、法務省と本県において、支え手よし・受け手よし・地域よしの再犯防止「三方よし」宣言に当時の山下法務大臣とともに署名をされました。以前には、再犯防止の一環として、本県職員への雇用や入札制度での加点なども含め、県としてさまざまな形で支援をしていただいていることに対し、改めて感謝を申し上げます。  こうした状況の中、市町の取り組みはどうでしょうか。当然のことながら、市町は市町としての考え方があると思いますが、県と各市町が一体となってこの再犯防止への取り組みを推進すると考えますが、以下、そのことに関して質問をさせていただきます。  そこで、まず1点目に、本県計画の策定に当たっては、平成30年2月より、滋賀県社会福祉審議会──以下、審議会と言いますが、そこにおいて協議が始められ、平成30年5月に知事より同審議会委員長に対し諮問されました。これを受け、同審議会では再犯防止推進計画検討専門分科会が立ち上げられ、集中的に議論されたと仄聞しておりますが、先ほども申し上げましたように、本県計画推進に当たっては、基礎自治体の役割が大きい中、本県計画検討専門分科会の構成メンバーに市町の代表者が入っていないというのがどうも腑に落ちません。もちろん、法のもと、市町においても同計画の策定が努力義務ではありますが、策定が求められる中、なぜ市町の担当者なり代表者がメンバーに加わっていないのか、お伺いをいたします。  2点目に、私は、こうした市町との協力によって進める施策には、やはり本計画策定時から市町とともにつくり上げることが、より実効性を高めると考えます。今後、本県計画の推進に当たり、各市町において取り組む意識に格差があるのか、もしあるとすれば、どのようにして縮め、統一化を図っていかれるのか、また、実際に行う取り組み自体に格差を生じさせてはならないと考えますが、市町との具体的な協力連携についてどのようにお考えか、知事の見解を伺います。  3点目に、市町の状況について伺います。  本県においては、高齢者や障害者、また、青少年などに対する福祉的な支援のほか、直接雇用も含め、入札における加点制度など、具体的に取り組まれておりますが、県下の13市6町において、再犯防止推進に対する計画の策定、また、直接雇用などの支援を実際に行っている市町はどのくらいあるのか伺います。  4点目に、既に本県計画が施行されて間もなく1年が経過しようとしています。これまでに本県におきましてさまざまな取り組みがされてきたと思いますが、まずは1年を目前に検証を行う必要があるかと考えます。特に、本県計画第5章、基本施策第1項、第2項でうたわれている12の施策はどのように評価されているのか、また、その結果、再犯者数がどのように変化してきているのか。もちろん、1年ぐらいでは評価や数値を求めるのは難しいと承知はしておりますけれども、きちんと評価していかなければ改善もさらなる推進にもつながってまいりません。特に、就業と同時に大変重要なのは、定住先がきちんと確保されているかどうかということが大変気になるところであります。改めて、今伺った点について知事の見解を伺います。  5点目に、再犯防止、いわゆる更生保護事業は、更生保護にかかわる関係者だけが取り組んでも前進しないと考えます。もちろん、保護司さんや更生保護女性会、BBSや協力雇用主さんなどが第一線で保護観察所や矯正施設の方々と協力しながら進めていくのは当然のことでありますが、やはり県民の皆さん、そして行政機関の皆さんの理解と協力がなければ前進してまいりません。特に、県民の皆さんの理解を深めることは重要です。  再犯防止、更生保護については、昭和24年7月1日、更生保護制度の新しいスタートである犯罪者予防更生法が施行され、戦後の荒廃した中にあって、かねてから街にあふれた子供たちの将来を危惧していた東京銀座の商店街の有志の方々が、この法律の思想に共鳴し、同年7月13日から1週間にわたって、自発的に犯罪者予防更生法実施記念フェア、いわゆる銀座フェアを開催され、犯罪者予防更生法施行1周年を記念して、その翌年の昭和25年7月1日から10日まで、矯正保護キャンペーンが全国で実施をされました。そして、昭和26年7月、銀座フェアと矯正保護キャンペーンを通じて、犯罪の防止と犯罪をした人たちの立ち直りには一般市民の理解と協力が不可欠であるという認識を深めた法務府、現在の法務省は、この啓発運動を将来とも継続して一層発展させる必要があるとして、社会を明るくする運動と名づけ、国民運動として世に広げることにしたことが始まりとされております。  特に、7月1日という日は、更生保護に携わる皆さんからすれば、社会を明るくする運動の日、更生保護の日であります。びわ湖の日と同様に、発信力がある知事の言葉として、7月1日は更生保護の日と、県民の皆さんにぜひ発していただければというふうに思います。そして、県民の皆さんとともに、行政や更生保護関係者と一緒になって取り組む施策を進めてこそ再犯防止推進につながると考えます。この社会を明るくする運動について、これまでなかなか県民の認知が進んでいないように感じますが、どのようにすれば県民の理解が増し、こうした運動が実を結ぶのか、知事の見解を伺います。  犯罪によって被害に遭われた方々の心中を察しますと、再犯防止、更生保護という取り組みを進めることは、時には被害者の方の心を傷つけることになるのかもわかりません。反対に、再犯を防ぐということ、再犯を防止するということは、新たな被害者を出さないということにつながります。私たちは、この被害者を出さないということを念頭に取り組まなければならないと考えます。  そこで、最後に、知事、県政においてこの取り組みを進める最高責任者として、その覚悟をお聞かせください。 ◎知事(三日月大造) 再犯防止推進計画について、6点御質問いただきました。  まず、1点目、検討専門分科会に市町関係者が加わっていなかった理由についてでございますが、再犯防止の取り組みを実効あるものにするためには、個別のケースの検討、支援など、市町の果たす役割が重要であるということは議員御指摘のとおりでございます。  つきましては、県計画の検討段階から市町関係者に御参画いただくことが望ましかったところではございますが、検討を始める時点においては、まだ県内の市町では、担当部局も定まらないなど、再犯防止の取り組みについて具体的に進んでいない状況がございました。そのため、まずは県が計画を策定し、そのことが市町の取り組みの促進につながると判断いたしまして、地域の実情に詳しい方も含め、各専門分野から成る学識経験者による専門分科会を設けて検討を始め、現在に至っているということがございます。  2点目、市町の再犯防止への取り組み意識および市町との具体的な協力連携についてでございますが、県内各市町におきましては、これまでから社会を明るくする運動や保護司会、更生保護女性会、県更生保護事業協会等への協力、支援などの取り組みをされてはいるものの、再犯防止推進法に基づく市町の取り組みには差があるものと認識しております。  そのため、県といたしましては、まずは、県の再犯防止推進計画について、市町健康医療福祉主管部課長会議等において説明を行ってきたところであり、今後は、市町担当者会議等において、全国での先進的な取り組み事例について情報提供を図るなど、市町における取り組みが進められるよう努めてまいります。  また、実際の取り組みにおける市町との連携協力につきましては、これまでから、滋賀県地域生活定着支援センターにおいて、個別の支援ケースで住まいの確保や福祉サービスの利用調整を行う場合に連携協力をしているところでございますが、引き続き、県再犯防止推進会議に市町に御参画いただくなどにより、市町との連携強化に努めてまいりたいと存じます。  3点目、市町の再犯防止推進計画の策定状況、および直接雇用などによる支援の状況についてでございますが、まず、市町再犯防止推進計画につきましては、現時点で策定済みの市町はございませんが、9つの市町については策定について検討中と伺っており、国の計画策定の手引きや他県の先行事例を紹介するなど、情報提供を行っているところでございます。  また、市町における直接雇用などによる支援の状況につきましては、保護観察所から保護観察対象者の紹介を受けて、市町が雇用した事例はこれまでないということでございますが、建設工事の入札参加資格者審査において、保護観察対象者等の就労支援を行っている事業者に加点する制度につきましては、4つの市で導入されていると伺っております。  行政機関による直接雇用や入札加点制度は、民間企業等における雇用の呼び水となる有効な取り組みでありますことから、事例を紹介するなど市町に働きかけ、取り組みが広がるよう取り組んでまいりたいと存じます。  4点目、県再犯防止推進計画の基本施策の評価および再犯者数の変化についてでございます。  まず、御質問の、国、民間団体等との連携および就労・住居の確保に関する施策について、主な取り組みの評価を申し上げたいと存じます。  国、民間団体等との連携といたしましては、今年度、再犯防止「三方よし」宣言を行い、国との連携強化を確認いたしましたほか、県再犯防止推進会議を開催し、大津地方検察庁、滋賀県保護司会連合会など18機関の出席のもと情報交換を行ったところでございます。  また、滋賀県地域生活定着支援センターの矯正施設、保護観察所等と連携した支援の件数は、今年度4月から12月までの累計で59件で、昨年度1年間の件数53件を現時点で超えており、一人一人の支援においても関係機関との連携が一定進んでいるものと認識しております。  次に、就労の確保につきましては、再犯防止地域支援員を設置し、協力雇用主の実雇用に当たっての相談支援に取り組んでいるところであり、協力雇用主における保護観察者の新規雇用が今年度の4月から12月までの累計で57人となっており、昨年度1年間の件数37人を大きく超えているという、こういう現状がございます。  また、住居の確保につきましては、滋賀県地域生活定着支援センターが昨年度に支援いたしました19人のうち、出所直後に自宅や養護老人ホームなどの定住先を確保できたのは9人であり、その他の方については、一時帰住先としての更生保護施設や自立準備ホーム、救護施設などを経て、グループホームやアパートなどへ移行されているということでございます。  住居確保につきましては、これらの支援とあわせて、犯罪をした人等の入居を拒まない民間賃貸住宅の確保を進めていくことが必要であると認識しているところであり、不動産関係団体とともに引き続き協議や取り組みを進めてまいりたいと存じます。  次に、再犯者数の変化につきましては、刑法犯検挙人員数のうち再犯者数は、平成28年1,093人、平成29年1,008人、平成30年973人と減少してきている一方、検挙人員数のうちの再犯者の割合は、検挙人員数総数も減少しておりますことから、50%前後で近年横ばいで推移しており、さらなる減少に向け、再犯防止推進計画に基づく施策を着実に進めることが必要であると認識しているところでございます。  5点目、社会を明るくする運動の県民認知度の向上についてでございますが、内閣府による世論調査によりますと、運動について聞いたことがあると答えた人の割合は、平成26年度が34.2%でありましたが、平成30年度は27.8%となっており、認知度は下がっていると認識しています。  社会を明るくする運動は、再犯の防止と犯罪をした人の立ち直りに対する県民の理解と協力を進める大切な取り組みであると認識しており、運動の初日に行われる内閣総理大臣メッセージ伝達式に私自身も出席し、県民総ぐるみで取り組む決意を申し上げているところでございます。  社会を明るくする運動は、ことし70回の節目を迎えるということでございますから、これを好機に一層認知度が上がり、運動が実を結ぶよう、滋賀県推進委員会の委員長として、また、知事として、議員の御質問にもありましたが、7月1日がびわ湖の日であるとともに更生保護の日であることをしっかりと先頭に立って発信してまいりたいと存じます。  6点目、再犯防止にかける私の覚悟についてでございますが、この再犯防止の取り組みにつきましては、私自身の家族が少年事件の被害者になり、加害者の家族と向き合った経験などを踏まえて、国会議員時代から再犯防止推進の取り組みに加わり、知事就任時には立ち直りの支援の輪をつくっていきたいと強く思い、この県議会では目片議員に御指導もいただきながら今日まで取り組んできたところでございます。  昨年10月に、天皇皇后両陛下の御臨席のもと開催された更生保護制度施行70周年記念の全国大会のパネルディスカッションに地方自治体の代表としてお招きいただき、全国の先進的な取り組みや、参加された4,300人の方々の熱意や期待に触れ、改めて再犯防止への思いを強くしたところでございます。  言うまでもなく、犯罪には必ずその行為によって傷つけられた被害者がおられ、私たちはそのことを決して忘れてはならないと思います。一方で、議員御指摘のとおり、再犯防止は新たな犯罪被害者を生まない取り組みでもあり、罪を償い、真摯に反省して立ち直ろうとする人の生きづらさを理解し、支援することが大切なことであると考えます。  今後も、再犯防止に対する強い思いを持ち続け、保護司など更生保護に携わる皆様を初め、あらゆる分野、立場の方々、国、市町との連携を強め、さらには県民の皆様とともに手を携えながら、再犯防止「支え手よし・受け手よし・地域よし」の取り組みを進めることで、誰一人取り残さない共生社会・滋賀の実現に向けて力を尽くしてまいりたいと存じます。よろしく御指導、御支援のほどお願い申し上げます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)引き続きよろしくお願いいたします。  それでは、最後に、地域を支え守る警察官とそのための施設および装備について、警察本部長に伺います。  日ごろより、昼夜を分かたず、県民の安全、そしてまた安心を守ってくださっている県警察には、本当に感謝を申し上げます。さまざまな事案を想定しながら、また、その事案に対処するため、情報収集や日々の訓練に励んでいただいておりますが、先日、県民の方から本当に素朴な疑問をいただきましたので、ぜひ見解を伺いたく質問をいたします。  昨年、全国でも大きなニュースとなりましたが、京都アニメーションでの放火事件は大変痛ましく、強い憤りを覚えました。人として、あのような卑劣でむごい犯罪がなぜ起こせるのか、全く答えが見出せませんが、しかしながら、今の世の中、いつどこで何が起きるかなどはまさに想像がつきません。  そこで、もし同様の犯行が県内警察署で起こった場合、被害なく対処できるのでしょうか。警察署における消火設備の設置、また、一般の来署者などの避難誘導、もちろん警察官自身の安全確保についても、日ごろから訓練はどのようにされておられるのかなど気になるところであります。現状はいかがでしょうか、警察本部長に伺います。  また、同様に県内の交番や駐在所はいかがでしょうか。いきなり侵入してきてガソリンや薬品等をまかれるなどした場合、警察官自身の身の安全はしっかり確保できているのでしょうか。交番は誰でも入りやすいというメリットがあり、その反面、誰が何を持ち込むかわからないと思われます。また、逃げる場所がない交番があるとも仄聞いたしますが、県内全ての交番等について、建物の構造上、安全に避難が可能なのか、警察本部長に伺います。  次に、災害時の対応について伺います。  地域の住民の皆さんは、何か自分の身に危険を覚えた場合、真っ先に頼りにするのは、やはり警察官でありましょう。もちろん消防士や自衛官の方も同様に頼りにされる存在だと思います。万が一、大地震が発生した場合、例えば、地域住民の皆さんが地域の交番や駐在所に助けを求めて行動するのは十分に考えられます。特に大地震などは、さまざまなライフラインが遮断され、混乱することも予想される中、県内の警察署や交番、駐在所などは、電源が喪失された場合、自家発電装置など、すぐに電源回復ができるような設備は整備されているのでしょうか、状況を警察本部長に伺います。  加えて、警察車両はいかがでしょうか。少なくとも、舗装道路が割れたり起伏があるなど、平常時には予想もできない状況になっているとも限りません。災害時など有事の際、災害状況探索に当たる車両が少ないのは非常に心もとないと思います。今後、バイクのオフロード化を進めれば、災害発生時から機動力が確保できると思います。やはりオフロード用の自動車やバイクの存在は心強く、また、非常に役に立つと思われます。こうした車両装備の充実については喫緊の課題と考えますが、いかがでしょうか、警察本部長に伺います。  次に、地域の交番について伺います。  私の地元、JR石山駅前の交番も、日夜、地域の安心・安全のため御尽力いただいております。ありがとうございます。  そこで、また地域の住民の方からも御指摘があったのですが、駅前交番では、便利な反面、場所によっては歩行者が多く、それら歩行者に注意しながら警察車両が交番の横にいつも駐車されております。平時の際でも、その出入りには、歩道をまたぎ、歩行者には注意しながら慎重にされておられるのをお見かけしますが、例えば、朝夕のラッシュ時や緊急出動時には非常に危険で、歩行者、また警察官自身も大変ストレスになるのではと想像いたします。これまでから、駅前交番だけに限りませんが、車両の出入りについて、何か改善に向けて検討されておられるのか、警察本部長に伺います。  今後、南海トラフなど大規模な地震を初め、さまざまな災害の発生が予想される中、速やかな復旧が見込めない事態も予想されます。また、それ以外にもさまざまな課題があると考えます。私は、しっかりとした備えがあってこそ住民の安心が守られると思いますが、こうした不安に対し、十分な予算措置を求めるものですが、知事の見解を伺います。  あわせて、本県の警察組織のトップとして、住民の安心を守るため、施設や人員、そして装備など、今、何が課題で、今後、予算措置を含め、どのように改善に向けて取り組まれるのか、最高指揮官である警察本部長の見解と決意を伺います。 ◎知事(三日月大造) 警察官と施設および装備について、7点御質問をいただきました。詳細は後ほど警察本部長からお答えになられると思いますが、十分な予算措置に対する決意、見解ということでございますが、議員御指摘のとおり、県民の皆様の安全・安心には、しっかりとした備えは重要であり、これまでから必要な予算を措置してきたところでございます。  例えば、災害時に拠点となる警察施設については、甲賀警察署や近江八幡警察署を建てかえしてまいりましたほか、来年度、草津警察署について、引き続き整備を進めてまいります。  また、地域を守る最前線の施設である交番、駐在所等につきましては、平成25年度以降、42カ所を建てかえし、来年度も計画を進めてまいる予定でございます。  加えまして、水難救助車やパトカーを初めとする警察車両の更新など、装備、資機材についてもしっかりと対応してきているところでございます。  今後とも、県民の皆様の安全・安心を確保できるよう、緊急度、優先度等を見きわめながら、適切な予算措置をしっかりと行ってまいりたいと存じます。 ◎警察本部長(滝澤依子) (登壇)地域を支え守る警察官とそのための施設および装備について、私のほうにいただきました6点の質問についてお答えをいたします。  1点目の警察署における消火設備の設置、一般来署者などの避難誘導、警察官の安全確保についての訓練の現状についてお答えをいたします。  県内の警察署における消火設備につきましては、屋内消火栓設備の設置や、必要時にすぐに持ち出せる位置への消火器の設置など、法令に基づき適正に整備するとともに、毎年、設置場所や機能等の点検を行い、その結果を消防関係機関へ報告しております。  また、避難誘導の訓練などにつきましては、各警察署単位で策定された消防計画に基づき、火災発生時の役割分担を定め、署員に認識させるとともに、初期消火、消防署への通報、避難誘導等の訓練を実施をし、一般来署者、署員等の安全を確保しております。  2点目の県内全ての交番について、建物の構造上、安全に避難が可能なのかについてお答えいたします。  県内全ての交番等につきましては、何者かがいきなり侵入してきてガソリンや薬品等をまかれるなどした場合も、警察官の避難も含め、的確に対応できる構造や設備となっております。このほか、交番等の襲撃に対する訓練など、各種事案を想定した実践的な訓練を継続して実施しているほか、これらに必要な装備、資機材についても配備をしているところであります。  3点目でありますが、県内の警察署や交番、駐在所の電源が喪失された場合の自家発電装置などの整備状況についてお答えいたします。  県内全ての警察署につきましては、電話や無線機等が継続して使用可能な発電機を設置をしております。また、交番、駐在所につきましては、平成23年以降の建てかえや大規模改修の際、ポータブル発電機を接続して電源が回復できる非常用発電回路を整備しております。今後も、安全・安心の拠点としての機能強化のため、引き続き計画的に整備していきたいと考えております。  4点目でありますが、車両装備の充実についてお答えをいたします。  警察車両の整備、とりわけ災害対策用車両につきましては、平成28年4月に発生をした熊本地震や平成30年7月豪雨による岡山県倉敷市への災害救助派遣等を通じ、寸断された道路や悪路でも走行できるオフロードバイクや高床式四輪駆動車の整備が重要と考え、以降、車両の更新時期に合わせて整備を行っているところであります。有事の際にも県民の生命をしっかりと守ることができるよう、今後も計画的に更新整備を行い、車両装備の充実に努めてまいります。  5点目の交番等の車両の出入りについて、今後、何か改善に向けて検討しているかについてお答えをいたします。  これまでから、交番等の車両の出入り時の安全確保には万全を期しておりますが、今後も必要に応じて、関係機関に対する協議や申し入れ等を行い、新たな駐車場所を確保するなどして、車両出入り時の安全確保に努めてまいります。  6点目でありますが、住民の安心を守るための施設や人員、装備などの課題と予算措置を含む改善に向けた取り組みと決意についてお答えをいたします。  県警察といたしましては、有事の際に県民の生命を守ることができるよう、警察施設につきましては、治安維持や災害対策の拠点としての役割を果たすことが重要と考えており、老朽・狭隘化した警察署や交番、駐在所の建てかえを計画的に進めていく必要があるほか、警察装備につきましても、さきの震災や豪雨災害における救助派遣等の経験から、車両を初めとする各種装備、資機材のさらなる充実、強化が必要と考えております。また、警察官や一般職員の人員につきましても、本県の現状や今後の課題を踏まえた整備が必要であると認識しております。  これらの課題に対しまして、県関係部局等と連携をして、必要な予算要求をさせていただき、県議会の御理解と御支援を賜りながら、物的基盤や人的基盤の充実、強化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆27番(目片信悟議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、27番目片信悟議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時23分 休憩    ────────────────   午後1時29分 開議 ○議長(生田邦夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
     次に、18番大橋通伸議員の発言を許します。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇、拍手)先週木曜日の代表質問の日には、会派を超えて、たくさんの方からお励ましやら冷やかしやらいただきまして、とりわけ議長には御高配を賜りました。  人生の夕暮れを心穏やかに迎えるためにと題して質問します。  人生二度なし。人生一遍きり。ああ、いい人生だったと、人生の最期を心穏やかに迎えたいものです。人も私も。人生の夕暮れにおいて、県政が果たすことができる役割とは何か。人生の夕暮れにおける終末期医療や緩和ケアをめぐる問題について質問します。  質問の題目を人生の最期でなく人生の夕暮れとしたのは、余命幾ばくかを過ごす日々、残り少ない余命と向き合う日々を指しての期間として質問したかったためです。人生の夕暮れ、議場の皆さん、御一緒にお考えいただければ幸いです。  遺産相続、生前贈与、名義変更、また、遺品整理、葬儀の方法、墓じまいなどなど、終活、死の準備、それはそれでとても大切なことですが、今回の質問では触れません。  昨年ベストセラー第1位だった本「一切なりゆき」。人生の夕暮れの時期におられるどれだけの方々が、その心細さを癒やされたことか。その心の準備の励ましになったことか。私もその一人でした。「一切なりゆき」にしたためられた珠玉の言葉の数々は、生涯役者の樹木希林のなせるわざか。私は、樹木希林のあっぱれな生きざまはとてもまねできない、そう落胆めいた感想が残る読後でありました。  さて、私の今回の質問のテーマ、長らく温めてきたものです。図らずも、知事は、この1月6日、仕事始めに当たっての挨拶の中で取り上げられました。いよいよ知事の口からというのが第一印象でした。知事は、「死を考えることで生きること、よりよく生きること、自分らしく周りの人と生きることについて、県として死を考える機会をつくっていきたい、そういう場づくりをことし行いたい」と述べられました。  そこでまず、知事に伺います。知事からのこの提起は、温室効果ガス実質ゼロ宣言に続き、何と2番目。あまた課題がある中で、ことしのチャレンジの2つのうちの一つに挙げられたところに並々ならぬ思いを感じました。知事の心のうちをお聞かせください。 ○議長(生田邦夫) 18番大橋通伸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)人生の夕暮れを心穏やかに迎えるためにということで、議員からいただきました御質問の諸問にお答えをいたします。  午前中も答弁いたしたんですけれども、私自身、政治家として、かねてから人の生老病死、とりわけ死というものと向き合い、考える機会を大事にしてきたつもりでございまして、常に思考や言動の中枢、原点にあると言っても過言ではありません。  令和2年の年始の挨拶をずっと深く考えるに当たりまして、国際情勢や気候変動、人口動態など、ことしがさまざまな面で変化の年になるのではないかとの思いを持つ中で、とりわけ、今後、本格的な長寿・超高齢・多死社会を迎え、私たちが死というものに触れる場面がふえ、健康寿命がさらに延伸することなどを考えますと、社会のありようや行政に求められる役割も大きく変わるのではないかという認識に至ったところでございます。  死というテーマは、特別な感情や深い悲しみを持たれる方々もおられることも念頭に置いた上で、死を考えることで生きること、よりよく生きること、自分らしく周りの人と生きることについて、県民の皆様とともに考える場をつくっていきたいという考えを持ち、ある意味では覚悟を持って表明させていただいたところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)政治家である知事がこの分野に踏み込まれたこと、死という言葉をそのまま使われたことに、また、県民に向けて死と向き合っていこうという他府県の知事にこれまでになかった宣言に、私の心はざわめきました。  知事はまた、昨年の後援会だより三日月大造ニュースレポートに、以下のように記されています。「ことし」、去年ですね。「ことし48歳の年男です。父の享年もあり、人生60年を一つの節目に設定していますので、これからの12年間をどのように過ごすのか、思案しています。老いの下り坂をどうつくるのか、学び直しも必要かと考えています。妻と二人で新しい趣味を見つけたり、これからの生き方と逝き方、逝き方についても語り始めています」と。  知事、そうなんですね。私より14歳若くして、人生の夕暮れが知事の射程に入ってきているんですね。60歳の若さで旅立たれた父君のことが大きいかと拝察します。  さきの仕事始めに当たっての挨拶では、人生のゴールであり、また、新たな旅立ちでもある死との意味深い表現をされました。知事の死生観を伺います。有村議員、先取りします。 ◎知事(三日月大造) 今も述べていただきましたけれども、私自身が人の臨終の場面に立ち会いましたのは、私自身が三十のときの自分の父のときのみでございますが、そのときの体験は、人はこうして亡くなっていくのかという強烈に印象に残っております。また、その体験が人生の一つの分岐点、また出発点だったのではないかなとも思っております。当然、百人百様の死生観が思い描いてもそのとおりにならない葛藤とともにあるということを思っております。  私自身は、このような体験を通して得た、現在よわい48歳の私なりの死生観というものは持っているつもりでございますが、来年度、有識者の方にお集まりいただき、県民の皆様とともに、さまざまな角度から死を見詰め、生、すなわち生きることを考える場を設け、議論を深めようとしているところでございます。この議論の方向性に予断を与えるおそれもあると思いますので、この時点で、私の死生観について披瀝、発言することは控えさせていただきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、避けることのできない不可避の死というものを常に意識しながら、有限で無常の生、生きること、また、唯一無二の個としての、個人の人としての生きること、また、他者とともに生きること、それらをより充実させる方向、そういったものが大切ではないかという視点を持って死生観を考えていこうと思っているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)迷いを振り切っての質問でした。申し添えます。ありがとうございます。  県議会議員になって何が変わったと、今でもたまに聞かれます。ほら、いろいろありますが、お葬式に参列することがふえたのもその一つです。読経の間、個人のありし日にあわせて、自分に係ることも思いめぐったりします。例えば、4歳で病死した息子のこと。30年以上前の話です。忌引休暇が明けて、職場、学校です。学校に戻ったとき、「息子のいた世界から、息子のいない世界に変わってしまった」と話したら、ある生徒から、「きょうは授業はええから、その話、もっとしてや」とせがまれました。事ほどさように、私より若い知事も、さらに若い中学生も、自分の死や自分と関係の深い人の死は強い関心事です。突然の病死や突発的な不慮の事故死もありますが、不治の病を宣言されたら、私の場合、ぶざまにうろたえ、取り乱す自分や、やり残したこと、言い残したこと、さらに、片づけられなかったこと、消してしまいたいこと、加えて、私の世界の感じ方そのものが消滅していくことに、未練たらたらでじたばたするであろう自分を想像します。持続可能な社会を私も口にするものの、自分の子供や孫のことを愛することができても、その次の、またその次の代まで愛せるか、そんなことも頭をよぎります。恥じ入ります。  話が私ごとに過ぎました。質問の具体に入ります。  県内の緩和ケア病棟・病床の現状は、令和元年9月現在で、県立総合病院に20床、市立大津市民病院に20床、彦根市立病院に20床、ヴォーリズ記念病院に16床、公立甲賀病院に12床、計88床です。2040年ごろに高齢者の人口がピークに向かう日本社会は、同時に多死社会です。ここをどう乗り切るか、本国の焦眉の課題です。本県にあっては、人口減少・高齢化率が著しい湖北を初めとする地域では、もう既に深刻の域に入っています。孤独死、孤立死も身近に起こってきました。そんな中、緩和ケア病棟・病床の新設、増床を望む声は少なくありません。今後、緩和ケア病棟・病床を新設、増床していく考えはありやなきや、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  本県の緩和ケア病棟の病床利用率は、月によってばらつきはございますが、平均すると8割前後でございまして、病院からも不足感があるというお声はお聞きはいたしておりません。  しかしながら、今後、高齢化、単身世帯の増加が予想される中で、在宅緩和ケアの環境を整えながらも、緩和ケア病棟への入院を希望される方の状況、あるいは緩和ケア病棟の利用率の動向も注視しながら、その新設や増床については、地域医療構想調整会議などにおいて検討してまいりたいと思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)今後、在宅みとりも急速にふえていくでしょう。また、死生観や家族観がますます多様化する中にあって、緩和ケア病棟・病床で人生の夕暮れを迎えたいという方もふえていくことは想像にかたくありません。希望する方たちに応えるため、死に場所の選択肢として、緩和ケア病棟・病床の新設、増床は検討に値すると思います。再度、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  誰もが迎える人生の最終段階において、本人の意思や生き方を尊重し、最善の医療・ケアを提供することができる体制を築いていく必要がございます。これまでの県の医療福祉に関する県民意識調査におきましても、「自宅で療養し、必要になれば緩和ケア病棟に入院したい」とお答えになる方が約3分の1おられまして、一番多いという状況からも、先ほどお答えしたとおり、緩和ケア病棟の状況や必要性を注視しまして、必要な検討をしてまいりたいと思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)現状分析をよろしくお願い申し上げます。  では、緩和ケア病棟・病床を新設、増床していくとした場合、本県の課題は何ですか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 緩和ケア病棟・病床の新設、増設に当たっての課題といたしましては、緩和ケアを志望する常勤の医師などスタッフの確保に係ることが一番大きいのではないかと考えておりますが、そのほかにも、患者家族の控室や患者専用の台所、面談室を備えるといった施設基準を満たすという必要があることも課題の一つであると思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)身寄りがおられる、おられないの別なく、その方の御事情により緩和ケア病棟・病床で人生の夕暮れを送りたいとの希望をかなえていくためには、現状では到底足りなくなると私は予想します。さきの5病院ではどんな対策をとられているのでしょう、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  緩和ケア病棟を設置しております5つの病院に確認をいたしましたところ、申し込みから入院までの平均期間、いずれも1週間以内ということでございましたが、満床の際には、緩和ケア病棟のある他の病院を紹介したり、あるいは、院内の一般病床で受け入れ、多職種による緩和ケアチームにより対応しているケースもあるというふうに伺っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)緩和ケア病棟のない市立長浜病院では、必要としている患者に対し、療養病棟において、緩和ケア認定医師、緩和ケア認定看護師の育成を図りながら、緩和ケア病棟と同質、同等の対応をしていると伺いました。緩和ケア外来についても精力的に取り組んでいらっしゃいます。  緩和ケア病棟のあるさきの病院以外の病院では、市立長浜病院のような対応がなされているのか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  緩和ケア病棟のないがん診療連携拠点病院、あるいは地域がん診療病院、または地域がん診療連携支援病院におきましては、緩和ケアチームが組織されまして、入院患者に対応いただいていますほか、緩和ケア外来も開設をいたしております。さまざまな苦痛に対して、早期に、また適切に対応できるよう、医師だけでなく、患者に携わる看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーも緩和ケア研修会を受講して緩和ケアを提供いただいていると思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)今、部長もおっしゃいましたとおり、緩和ケアのスタッフには、緩和ケアを専門とする医師、緩和ケア認定看護師が必須とされており、ほかに、薬剤師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、栄養士などが加わり、緩和ケアチームで対応していくものと伺っています。県立総合病院では、緩和ケアをどのように展開されていますか、ここは病院事業庁長に伺います。 ◎病院事業庁長(宮川正和) (登壇)お答えをいたします。  県立総合病院では、がんの病状の進行に伴う心と体のさまざまな苦痛を緩和し、患者さんとその御家族が日常生活を快適に過ごすためのケアを行っております。  具体的には、今ほど議員がおっしゃった多職種で構成をする緩和ケアチームが中心となっておりまして、一般病棟における患者さんへのケアを行うとともに、緩和ケア外来では、地域の医療機関と連携して、地域の患者さんも対象とした活動を展開をいたしております。  さらに、専門の医療スタッフや癒やしのスペースを用意しております緩和ケア病棟におきましては、患者さん、御家族が安らいで療養、付き添いができるよう、集中的な緩和ケアを提供しているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)私の友人は、大変よくしていただいたと感謝されています。その友人の配偶者は、県立総合病院、当時、県立成人病センターの緩和ケア病棟で1カ月余りの入院生活の後、人生の最期を迎えられました。その友人は、確かな医療技術に加え、病棟スタッフの皆さんのケア水準の高さを挙げていました。申し添えます。  県立総合病院では、緩和ケアの推進に当たり、現在、どのような課題がありますか、病院事業庁長に伺います。 ◎病院事業庁長(宮川正和) お答えをいたします。  緩和ケアを取り巻く状況が年々変化をしておりまして、新しい知識や技術の習得といった専門人材の質的向上が常に課題であるというふうに認識をいたしております。それでもって、県立総合病院におきましては、自己研さんも含め、積極的に取り組んでいるところであります。  また、中長期的に申し上げますと、緩和ケアは、本来、がんだけでなく心不全などの疾患も対象とされまして、終末期だけでなく診断時から切れ目なく提供されるべきものというふうに考えられております。このため、基本的な緩和ケアは、全ての医療従事者が全ての医療現場でできることが理想でありまして、そういうふうな人材教育を進めていくことが中長期的な課題だと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)貴重な御答弁をいただきました。  国は、2018年、第3期がん対策推進基本計画で、緩和ケア提供体制の一層の充実を掲げました。その中で、緩和ケアチームの人員強化を求めています。県立総合病院の緩和ケアセンターのスタッフのうち、臨床心理士や公認心理師について、常勤化できていないことが課題と聞いています。病院事業庁長に現状認識を確認します。 ◎病院事業庁長(宮川正和) お答えをいたします。  県立総合病院の緩和ケアにおきまして、患者さんや御家族の心のケアを充実させていくために、公認心理師、臨床心理士は大切な役割を担うものと認識をいたしております。このため、現状は、総合病院では、非常勤ではありますが、臨床心理士を配置をいたしております。その常勤化につきましては、患者さんのニーズや業務量、今後のがん診療連携拠点病院の指定要件の動向などを踏まえ、検討してまいりたいと存じます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)ただいまの質問は医療者からお伺いしましたので、よろしくお願いします。  さて、地域への緩和ケアの提供体制はどうなっていますか、病院事業庁長に伺います。 ◎病院事業庁長(宮川正和) お答えをいたします。  大きくは2点ございます。  まず、1点目として、地域の患者さんに対してでありますが、がん看護外来で、がん看護関連の認定看護師による定期的なカウンセリングを実施するとともに、緊急緩和ケア病床を確保しまして、かかりつけ患者や在宅療養支援療養所等からの紹介患者の緊急入院に備えております。  それから、2点目といたしましては、県内の医療従事者を対象にした取り組みでありますが、毎年、緩和ケアミニ講座を年5回程度実施をするとともに、在宅医療にかかわる福祉職のみとりに関する勉強会の講師に緩和ケア認定看護師を派遣するなど、地域の緩和ケアの提供体制の充実に努めているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)より一層の増強をお願い申し上げます。  県内に13カ所設けられているがん相談窓口、がん相談支援センターについては、御利用されている方々から喜びの声を聞いています。先日、2月8日に開催された第11回滋賀県がん医療フォーラムでは、がん患者会・患者サロンとともに、その存在価値を関係者と共有できました。  さて、日本は、先進国の中でも病床数の多さや入院期間の長さが突出していることは周知のところです。こうしたことから、退院支援に今後ますます比重が高まってきます。人生の夕暮れを自宅で送る方への退院支援について、とりわけ、自宅で緩和ケアを進めることについて、どんな課題がありますか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  自宅での緩和ケアを進める際の課題といたしましては、1つに、在宅での疼痛緩和治療などを継続できる在宅療養支援診療所、薬局、訪問看護ステーションなどの医療提供体制を確保すること、もう1つとしては、退院時の患者情報の共有、専門的な相談支援の確保など、地域におけるかかりつけ医と専門医療機関の連携体制の構築が必要だと思っております。  このため、滋賀医科大学や看護協会におきまして、医療・介護関係者を対象とした研修会を開催いただいておりますほか、県では、二次医療圏域ごとに、疼痛管理を含めたターミナルステーションごとのケア内容の勉強会も開催をいたしております。  あわせて、病院と診療所が患者情報を共有して、在宅生活へ切れ目のない円滑な移行を図るために用いておりますがん地域連携クリティカルパスを運用しております病院が、平成30年度におきましては、県内57病院のうちの22病院となっておりますため、より一層の推進を図ることで地域での連携体制を強化していければと思っております。  また、緩和ケアだけに限らず、退院支援から在宅療養、在宅みとりまで切れ目のない支援を行うことが重要と考えておりまして、例えば、県内では永源寺診療所が、医療の提供だけでなく、訪問看護、訪問介護、地域における見守りや住民による生活支援など、患者を取り巻くチーム永源寺をコーディネートする事実上の拠点として機能しておりまして、先駆的な取り組みを行っておられます。県としても支援をしてまいりたいと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)よろしくお願いします。  在宅医療、介護、看護に係る訪問看護師や介護ヘルパーなどの今日的課題があろうかと思います。御披露をお願いします。健康医療福祉部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  高齢社会が進む中、在宅医療を必要とする人は、平成25年では1日当たり9,278人でございましたが、令和7年度には1日当たり1万3,995人と約1.5倍に増加すると推計をいたしております。また、複数の慢性疾患を持つ高齢の方や、人工呼吸器等の医療依存度が高い在宅療養者が増加するなど、そのニーズも多様化してくると考えております。そのため、訪問看護、訪問介護にかかわる人材の育成確保に加えまして、訪問看護ステーションの一層の機能強化が課題となっていると思っております。  このことを踏まえまして、県では、潜在看護師の発掘と就労支援、訪問看護ステーションに対する車両購入の助成などを行いますとともに、多様なニーズに対応できる人材育成を目的とした研修を行っております。また、訪問介護員や訪問看護師の離職の防止に向けまして、訪問看護等の現場における利用者や家族からの暴力、ハラスメントに対する対応マニュアルを作成し、研修会も行っているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)一例ですが、訪問看護ヘルパーの場合、勤務時間に移動時間が含まれていないため、訪問先が遠隔地になるケースが少なくない湖北のような地域では、それが理由で離職するケースがあると聞いています。こうした現状にどう対応されようとしていますか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  自宅から訪問先へ直接行かれる場合は、その間の移動時間は通勤時間とみなされまして、勤務時間に含まれないとされてはおりますが、事業所から訪問先への移動、あるいは訪問先から次の訪問先への移動は勤務時間に含まれているというふうに認識をいたしております。  ただ、根本的な課題といたしまして、訪問先の多くが遠隔地となる場合、事業効率自体が悪くなるという問題があるのではないかと考えておりまして、県としても、近畿府県の民生主管部長とともに、利用者が地域に散在している、例えば僻地や中山間地域に展開する在宅系サービス事業所は、多大な移動時間等、サービス提供効率が非常に悪くなるため、持続的に事業を継続するためのこれら事業所に対する財政的支援を講じてもらえるように、国に対して要望などを行っているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)御尽力よろしくお願い申し上げます。  看取り士として病院に勤務している看護師さんの話です。「患者さんには、最期の大切な時間を、医療者に任せっきりにするのではなく、本音を医療者に伝えてほしいということです。『孫の演奏会に行きたいので、外出させて』、『大好きなお酒、ちょこっといいですか』などです。そうすれば、外出支援をしたり、薬の処方を工夫したり、医療者が持ついろんな引き出しから可能性を提示できます。患者さん御本人の最期の姿は、家族や親しい友人のその後の人生にも影響します」と。  病院の規則や慣例に縛られることなく、家族や親しい友人が自然体でいることで、死にゆく人はもちろん、家族や親しい友人も悔いが残らないみとりが実現するのだと思います。  本県の緩和ケア、中でもターミナルケア、病気などで余命がわずかになった患者へ行う医療的ケア、ターミナルケアに係る考え方について、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  人生の最終段階における医療につきましては、本人の意思、選択が最も重要と考えておりまして、さらには、それに対する家族など本人を囲む人たちの心情を踏まえて支援していく必要があると思っております。  具体的には、医療、介護、福祉、地域、行政などの関係者は、どうすれば本人の意思、家族の心情を受けとめ、本人の生活の質を尊重することができるのかを考えて、本人を囲む関係者がチームで寄り添い、支えていくということが重要ではないかと思っております。  そのためには、まず、県民自身が、人生の最終段階をどのように過ごしたいのか、人生の最期のときをどのように迎えたいのかについて、身近な人に意向を伝えたり、あるいは療養手帳やエンディングノートに記載するなど、死をタブー視せず話し合うことが重要でございまして、このような機会を市町、保健所、地域医師会等の関係団体と連携してつくってまいりたいと思っております。  あわせて、本人の意思を尊重したケアが最期のときまで多職種チームで実施できるよう、チーム支援の充実に向けた研修を行うなど、ケアの質的向上にも取り組んでまいりたいと思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)部長の御答弁、同感です。  2018年、厚生労働省は、2007年に策定された人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを改訂しました。この改訂は、ACP──アドバンス・ケア・プランニング、つまり、事前の手当ての計画がその骨格になっています。このガイドラインは、2006年に富山県射水市民病院で、7人の入院患者の人工呼吸器が外され、死亡した事件を受けて策定されたものでした。医者と患者、その家族との合意プロセスを重視することがACPの考え方です。  命の危険が迫る段階に入ってからでは、約70%の人が自分で自分の意思を伝えられなくなると言われています。  このガイドラインは、病院だけでなく、介護保険施設や在宅の場合も想定しています。厚労省は、ACPの愛称を人生会議として、その普及啓発を目指しています。撤去を余儀なくされた啓発ポスターで、図らずも知名度を上げた人生会議でした。  このガイドラインの理念は、本県にあって、医療関係者の理解と実践は進んでいますか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  本県におきましても、医師会と共催をいたしております在宅医療セミナーなどにおきまして、医師や看護師を初めとする多職種に対して、御指摘の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの普及啓発に取り組んでいるところでございます。  また、湖東圏域では、ACPプロジェクトを結成いたしまして、在宅医療にかかわる多職種が意思決定支援を進めるための検討会議や研修会を開催いただいておりますほか、その他県内各地で、人生の最期に自分自身がどうありたいかについて話し合いを行うためのカードゲームの紹介や体験を行うなど、県民啓発の取り組みを活発に進めていただいていると承知をいたしております。  県内病院におきましても、国のガイドラインを参考に、患者の意思決定支援、みとりに関するマニュアルや指針を作成し、継続的な話し合いを行うなど、意思決定支援を通じて、人生の最終段階の医療に係る本人の意思確認と方法の決定を行っている事例もございまして、県としても、こういった取り組みの一層の支援に努めてまいりたいと思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)終末期の患者さんの気持ちは、さまざまに揺れ、移り変わります。状況に応じて意向を変えることもあります。一度決めたことを随時変えてもいい、これがACPの肝と認識しています。このガイドラインの理念を定着させるため、県が今後果たすべきことは何だとお考えですか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  人生の最終段階における医療・ケアについては、医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、本人が医療・ケアチームと繰り返し話し合いを行うことで、本人の意思決定を支援していくということが重要でございます。このため、医療者がわかりやすく本人の意思決定を支援する手法を学び、実践することと、あわせて、県民一人一人が自分の最期のときを想像し、医療のあり方、延命処置、最期を過ごす場所などについて、あらかじめ自分の考えを持ち、信頼できる人に託していくことが必要でございます。  県としても、先ほどお答えした医療者に対する研修等の取り組みに加えまして、県民の皆様に対しても、医療福祉・在宅看取りの地域創造会議などの場を活用して啓発に努めておりまして、今後、さらに、エンディングノートの活用なども含め、県民が自分がみずから望む人生の最終段階のあり方について考え、話し合う機運の醸成に取り組んでまいりたいと思っております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)よろしくお願いします。
     現在、医師の働き方改革も進んでいます。多忙をきわめる医師にあって、県内のどの医療圏域でもACPが同じ水準で推進していけるのか心配しています。健康医療福祉部長の問題意識を伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  人生の最終段階の医療・ケアの方針を決定していくに当たりましては、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明が行われるということが重要ではございます。  他方、アドバンス・ケア・プランニングのガイドラインにおきましても、医師や看護師などの医療従事者だけでなく、介護従事者など多職種でチームを形成し支援を行っていくこと、可能であれば、ソーシャルワーカーや介護支援専門員等が参加して、精神的・社会的側面にも配慮していくことが望まれるというふうにされております。  この観点から、本県でも、医師だけではなく、多職種が参加できる形で、ACPに関する資質向上に向けた研修等の機会を設けておりまして、このような取り組みによりまして、チームとして支援を進めていくということが重要であろうと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)期待申し上げます。  1996年の国保京北病院安楽死事件。末期がんで入院していた昏睡状態の患者に、医師の独断で筋弛緩剤が投与され、約10分後に死亡させたとして、病院長が翌年、殺人容疑で書類送検されました。司法処分は、実際に使用した筋弛緩剤の量が致死量に満たないため、不起訴となりました。  京北病院事件以降、さきの富山射水市民病院事件など、地検が医師を嫌疑不十分で不起訴にする例が相次ぎ、立件事件も近年はめっきり減っています。終末期の措置と死亡との因果関係を立証するハードルは高く、こうした医療現場の終末期に係る流れへの刑事、司法の存在は薄れています。  京北病院事件や射水市民病院事件など、終末期医療をめぐるこれまでの一連の事件と医療界の動きは、本県にどんな影響をもたらしましたか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えをいたします。  末期がん患者に主治医が筋弛緩剤を投与したという1996年の京北病院事件、あるいは、回復の見込みがない患者の人工呼吸器を医師が取り外し死亡に至った2006年の富山県射水市民病院の事件は、ともに日本社会全体に対して衝撃を与え、安楽死や尊厳死に関する議論を呼んだ事件であったというふうには認識をいたしております。  医療の中止、不開始などの判断は何人の医師で行うのか、患者本人の意思、家族の意向はどの範囲で考慮されるべきなのかなどの課題が明確にされまして、2007年5月に厚生労働省が終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを作成されているところでございます。  これら事件が本県に与えた影響をお答えするのは難しい面がございますが、本県におきましても、例えば、滋賀県立総合病院が、2011年に終末期医療の決定プロセスや、延命治療の中止に係る患者等の意思の尊重などを定めた終末期医療に関する指針を策定されておられると承知をいたしております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)近年、ALS──筋萎縮性側索硬化症の患者が終末期と告知されても、人工呼吸器を装着し、10年以上生き、子供の成長を見守り、旅も楽しむ人がふえてきました。こうした背景からも、終末期は、疾病の種類や重篤の度合いから個別具体的なものです。終末期とどう向き合うかは、医療技術が進展した今も難しい課題です。  京北病院事件を振り返ると、当時は、チーム医療も、本人、家族との対話も不十分でした。当時の議論は、末期がんや緩和ケアの検証から離れ、終末期における法改正や尊厳死の是非へと拡散していきました。尊厳死については、今もその法整備の必要性の是非について議論が続いています。  尊厳死に係る論点の最大のポイントは、医師が終末期に延命治療を開始しなかったり中止した場合、刑事上、民事上、行政上の責任を追及されないところにあります。命の選別、医療費の削減などの観点から論議が立ち往生している尊厳死の法制化です。  高齢になっても、障害があっても、誰にも存在する意味があり、自分らしく生きることが尊重されることが重要です。人生の夕暮れにある方に、死に場所や死に方の選択肢を整えるとともに、今ここに生きている人を支える環境を整えることが重要です。介護体制の整備状況を知ることによって、患者本人やその家族の判断、選択も変わってくるからです。  尊厳死の法制化の動きについて、政治家・知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) いわゆる尊厳死の法制化の動きにつきまして、国会議員時代の平成24年に、終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案、いわゆる尊厳死法案が超党派の議員連盟から公表されたこと、その後、平成25年に、自由民主党が尊厳死に関する検討プロジェクトチームを立ち上げたことについては存じ上げております。申しわけございませんが、最近の動向等は承知しておりません。  この尊厳死につきましては、県民の皆様の間にもさまざまな考え方があると思われます。行政、ましてや知事がこのテーマで語る際には、慎重にも慎重であるべきと考えております。まずは来年度、さまざまな角度から死と生について考える場を設け、議論を深めることから始めてまいりたいと考えております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)この質問も思い切ってさせていただいたところです。ありがとうございます。  過日、長浜市のあるお寺を訪ねました。そのお寺の御住職は、傍ら、京都府の私立病院に勤務され、臨床宗教師として、その病院の緩和ケア病棟のチームスタッフの一員となり活動されています。最期が近い患者が、心身ともに満たされて幸せな日々を送るためのケアの一端を担っておいでです。患者情報を医師、看護師ほかと共有して、患者のアセスメントにも当たっておられるとのことでした。  臨床宗教師は、東日本大震災の被災地で、心のケアを提供する宗教者として脚光を浴びました。欧米では、キリスト教を中心とした聖職者が病院に常駐し、魂の痛みに対応しています。チャプレンと呼ばれています。県内には、ヴォーリズ記念病院でチャプレンが活動されていると聞いています。そのチャプレンに相当する同じ役割を担うのが臨床宗教師です。布教や伝導を行うのではなく、相手の価値感を尊重しながら、宗教者としての経験を生かし、苦悩や悲嘆に暮れる方々に寄り添います。遺族のグリーフケア──悲しみを癒やすケアも担います。本県で活動している臨床宗教師の現状について、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  御指摘の臨床宗教師につきましては、被災地や地域社会、医療機関や福祉施設などで心のケアを提供する宗教者といたしまして、一般社団法人日本臨床宗教師会が認定をされていると承知をいたしておりまして、滋賀県では10人おられるというふうにお聞きをいたしております。  本県では、議員にも御参加をいただいております医療福祉・在宅看取りの地域創造会議の月例ワーキングの会議におきまして、臨床宗教師の方より御講演をいただいたことがありますほか、市町における地域包括ケアを推進するための多職種連携チーム研究会におきましても、宗教家の方が参加され、心のケアにかかわる専門職として地域の支援者の輪に加わっていただいているという例があることは承知をいたしておりますが、具体的に臨床宗教師の方が医療、福祉の現場でどのように御活躍いただいているかは、申しわけございません、把握ができていないところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)平成29年12月の某新聞に、「医療と宗教『終末期』議論〜滋賀医科大 10年続く講義〜」という見出しの記事があり、心に、目にとまりました。医学生と外部宗教者が互いの役割を知って、死生観を深め、終末期の患者との向き合い方を議論する、患者と向き合う医療関係者の育成につながると注目されているという記事でした。記事には、そこで講師を務めた僧侶と、ある男性の患者さんの事例の紹介もありました。その患者さんの喪失感を埋めるため、病院で医師らを前にがん患者の気持ちと題して講演してもらった。「少しは役に立てたかな」、男性はそう言い残し、10日後に亡くなった。その僧侶は、「医療の目的は、病気を治すことよりも、人生を深く味わう機会を患者につくることに置くべきではないか。そう考えないと、人の死に直面したとき、医療には敗北しか残らない」と述べたとありました。  滋賀医科大学の医療と宗教終末期議論は今も続いているのでしょうか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  御指摘の講義につきましては、医の倫理と題しまして、医療領域における社会的、倫理的な諸問題について学び、医師として行う医学研究、医療行為が、社会的、倫理的にどのような問題を伴うことになるのか、考える力を身につける講義であるというふうにお聞きしております。担当教員として、実際に緩和ケアに携わる僧侶を招き、緩和ケア病棟で接した患者の事例をもとに、終末期の患者との向き合い方を学ぶ取り組みで、現在も続けられているというふうに認識しております。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)予定していた次の質問は、お答えいただいたので飛ばさせていただきます。  さきの長浜市の住職は、「人は、自分が生まれることにはかかわれないが、死ぬことにはかかわれる」とおっしゃっておられました。  御住職の話を続けます。「痛みがあることが生きているあかしや」と強がり、治療を拒む患者さん。「家族が泣いているところを見て死にたい」と泣く患者さん。いずれも身寄りのない、もしくは家族と連絡がとれない患者さんの言葉だったとのことでした。こうした患者さんにとって、この御住職、つまり臨床宗教師との御縁を持つことができたことは、人生の夕暮れにあって幸せだったと思います。この御住職、御自身が僧侶であることを明かす場合も明かさない場合もあるとおっしゃっておられました。  御住職が勤務する病院の院長からは、「緩和ケアは、患者や家族にどんな苦しみがあるかをキャッチしなければならない。御住職のおかげでチーム医療の幅が広がり、取りこぼしが減った」と伺いました。  これからの緩和ケア、とりわけターミナルケアにあっては、必要とする患者の求めに応えて、臨床宗教師に限らず、心理的・精神的ケアを行う人などの力をかり、患者の不安と孤独を埋めることが大切だと思います。ここは知事の御見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) みとりの時期の医療やケアにつきましては、御指摘のように、身体的な苦痛だけではなく、死や死にゆく際の苦痛に対する恐怖ですとか、自分の人生に対する振り返りやいろんな自責の念、孤独や絶望、不安といった医療的ケアでは解消できない苦痛を和らげ、可能な限り満ち足りた死を迎えることができるようにすることも重要な課題であると考えます。  そのような心理的・精神的ケアにつきましては、先ほど来お取り上げていただいております臨床宗教師に限らず、看護師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどの医療・社会福祉の従事者も行い得るものであり、県内におきましても勉強会や研修会などが行われていると承知しております。  県といたしましては、本人、家族を取り巻く医師、看護師、介護職など周りの専門職や、親戚、友達、地域の方々が連携して、死にゆく方の悩み、苦しみに寄り添い、その人らしい暮らしを最期まで続けられる地域包括ケアシステムを構築してまいりたいと考えております。  また、県民に対しましても、アドバンス・ケア・プランニングやエンディングノートなどの取り組みの普及啓発を行い、死を忌むべきものとしてタブーとせず、みずからが満足できる死というものを考えて備えていくことができるように支援を行ってまいりたいと存じます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)より一層の充実をお願い申し上げます。  「100年生きる。楽しみですか」、損保のCMが流れています。喜ぶべきはずの長寿化が不安と恐怖を誘い、人生のリスクになっていく。そんな時代をこれから私たちは生きていきます。  この正月、幼なじみ、ことし63歳を迎える幼なじみです、と一緒に飲んでいて、「時限爆弾のスイッチ、いつ入るやろな」との発言が飛び出し、大いに沸きました。自分の中にため込んでいる考えを出し合うのは、酒の勢いがあるものの、思いのほか心地いいものでした。  先日、2月11日、長浜市で、乳がん経験者で2児の母、高橋絵麻さんをメーン講師に、滋賀県がん対策推進議員連盟主催のがんと向き合うフォーラムを開催しました。いつ、どこで、最期を迎えたいのか、誰と一緒に死を迎えたいのか、どんな自分で終わりたいのか、彼女から参加者に投げられたボールを私もキャッチしました。心と体の動きがまちまちな状態になったとき、それでも心穏やかに過ごすことができる社会とはどのようなものなのか。どの政党が政権をとっても立ちはだかる避けることのできないテーマです。  新事業(仮称)死生懇話会〜死を見つめて、生を考える〜では、より幅の広い人たちが、より多くの人たちが、このテーマに関心を示し、少しでも考えていただくために、人選は大切になってきます。知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、(仮称)死生懇話会の委員の人選は非常に大切だと考えております。この懇話会では、死について、また、医療やみとりなど死へのあり方について考えることに加えまして、死を見詰めることで浮かび上がるであろう、生きがいや幸せを感じられる生のあり方について考えるという、非常に幅が広く、そして深い議論が想定されます。  そのため、人選に当たりましては、社会学や経済学といった社会科学系のほか、哲学や宗教学といった人文科学系の学識者、さらには、医療や介護、福祉などに実際に携わっていらっしゃる方、あるいは、未来を担う子供たちの教育に携わっていらっしゃる教育関係者などを考えているところでございます。  また、委員のほか、このテーマに関する有識者の方々にゲストスピーカーとして御参加いただくこともあわせて考え、準備を始めようとしているところでございます。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)御縁のあった100歳間近のおばあさん、先日、「人生に恋をしてきたわ」という言葉を残して亡くなりました。訪問看護をしている看護師さんの話です。「自分では死ねんから、あんたが殺してくれるなら、それでいい」と、独居のおじいさん。訪問医療をしている医師から聞いた話です。ひとり暮らしの90を超えたおばあさん。寝ているときにネズミに耳をかじられ緊急入院。でも、「我が家がいい」と聞かないので、在宅に戻したとのこと。私は、こうした状況にある方々に対し、限りない尊敬の気持ちを持ちます。たった一つの人生です。人生の夕暮れを幸せに過ごすことができれば、人生全体がよかったなあとなるでしょう。よわいを重ねたからこその境地があると思います。新事業(仮称)死生懇話会では、それらを紡いでいただきたいと願います。  (仮称)死生懇話会では、どんな問いを立てるのか、どんな切り口で臨むのか、加えて、発案者である知事の立ち位置はどうなのかなどなど、想像をめぐらすとき、期待が膨らむとともに、不安や心配も交錯します。少し私には。  部局別予算概要には、この新事業に寄せる趣旨が示されているところですが、どんな議論の展開を期待されての(仮称)死生懇話会でしょうか、知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) まず、今の時点で議論の展開を描けているわけではないというのが正直なところです。  先ほど来、さまざまな観点から御質問や御指摘をいただいたように、このテーマは本当に深遠で、また、ある意味では幅広い、そういうテーマだと思います。しかし、避けては通れないこの死というものを捉えて、生きていること、生というものについて、より充実させるという方向から議論をしていきたいと思いますし、その生きていることをより充実させるために、どういうことが必要なのか、また、さらに我々が取り組まなければならないのかと、考えなければならないのかというようなことについても、何かこうヒントが得られるような、そういう場になればということも考えているところでございます。  いずれにいたしましても、今、それぞれが生きていることとか、与えられた生について大切にすることであるとか、死というものを迎えたくなくて迎えてしまった身内の方々や御家族の方々に深い悲しみを持たれている方々のこともきちんと思いはかり、思いやれるような、そういう言葉の使い方やテーマ設定、議論の展開、そういったこともしっかりと気にかけながら議論が行われるように、先ほどお取り上げいただいた人選を含め議論を行っていただけるように努めてまいりたいと思います。 ◆18番(大橋通伸議員) (登壇)先ほどの有村議員の質問とも重なりますので、質問はこのあたりにさせていただきます。  私は、この新事業に120%賛成です。しかし、危うさも内包しているものと感じたものですから、質問させていただいた次第です。  この議場にも、お医者さん、お坊さんが少なからずいらっしゃいます。先ほど来より口幅ったいことを申し上げました。御容赦願います。県民の笑顔が一つでもふえることを願い、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、18番大橋通伸議員の質問を終了いたします。  次に、3番柴田清行議員の発言を許します。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇、拍手)私も心穏やかに一般質問をしたいと思っておりますが、いつも熱いものが上へ上ってくるものですから。  今回も、日本全国を話題、また、問題を提起しておりますCOVID−19のことについて質問をさせていただきたいと思っていますが、21日に発言通告を出ささせていただいて以来5日間、その間だけでも、新たな政府方針が出るなど、知事がきのうも県民に向けてのメッセージを出しておられましたし、全国各地の話題がたくさん出ております。  きのうも、6時ぐらいから、また、7時のニュース、10時、11時のニュース、全て見ておりましたが、その間でもかなりの話題が出ておりまして、臨時速報では、徳島県で、ダイヤモンド・クルーズ号から下船をされた方が陽性の検査が出たとか、また、滋賀県のホームページでも、県内でも4名の方が、現在、陰性の判断のもとでお帰りになっていると。きょう、新聞を見ていましたら、相談センターに、どこにお住みですか、教えてほしいというようなことを言われてるというようなことも新聞紙上では載っておりました。  知事が、きのう、県民に向けてのメッセージの中でも、県内のイベントに関してもいろいろと御配慮いただきたい、県外からたくさん来られるイベントに関しては延期などの御配慮をいただきたいというようなメッセージも出しておられましたが、きょうも朝には、滋賀県の業者の方が、「県外でイベントをされるのはどうなのか。一遍聞いてください、知事に」というようなお話もきょうはいただいていましたので、できる範囲で頑張りますとお答えをしておりました。  それでは、議長よりお許しをいただいておりますので、発言通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  新型コロナウイルス感染症の対策について質問をいたします。  昨年、中国武漢市で発生したとされる新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に日本に上陸し、ことし1月16日に日本での感染患者が発生をいたしました。県議会の冒頭でも、知事より、1月29日に知事を本部長に滋賀県新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、国や関連機関と関連しながら、しっかりと防疫体策をとり、冷静な予防対策等の呼びかけなど、県民の皆さんの安全・安心に万全を期してまいりますと御発言もありました。また、いち早く本議会でも、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を求める意見書が全会一致で可決をされました。  そこで、今後は、都道府県への感染が広まってきている新たな局面に入ってきているところだと感じております。各都道府県なりの対応を現在は余儀なくされていると認識をしておりますが、冨波議員の代表質問を踏まえた上で、過去の症例を参考にしつつも、新たな対策を講じることも考える中において、今後の滋賀県の対策についてお聞きをいたします。  現時点での県内、日本国内での感染状況について、どのように把握をされているのか、近隣府県の状況もあわせて知事にお伺いいたします。  次に、新型コロナウイルス感染の疑いのある方の対応については、帰国者・接触者相談センターが窓口になり、医療機関受診前の対応をされているのが現状で、その後の医療機関への対応について、知事にお聞きをいたします。  次に、滋賀県衛生科学センターにおいての新型コロナウイルス検査、いわゆるPCR検査の方針とその体制について、知事にお聞きいたします。  県内での新型コロナウイルス感染者の発生したときにどのような対応をしていくのか、また知事にお伺いをいたします。  意見書に求めたマスクや消毒用アルコール液などの必要物資の確保状況について、これも知事にお伺いをいたします。  また、卒業式、高校入試を控えておられる教育機関での必要物資確保について、教育長にお聞きをいたします。  滋賀県の経済への影響は大変大きくなると予想をされますが、さきの答弁でも2種類の融資支援をすると知事が述べられました。特に、観光業やものづくり産業への影響ははかり知れない状況であると予想されますが、まず、観光客の現時点でのキャンセル状況や今後の対策、ものづくり産業については、県内で中国への100社近い進出企業がある中で、部品の供給不足で日本での完成品ができない、そのために国内で部品を供給、また、つくらなければいけない、このことによる労働不足、また、雇用時間規制など、今後の対策を知事にお伺いをいたします。  次に、友好協定を結び、滋賀県誘客経済促進センターを設置をしております湖南省長沙市と、今回のコロナウイルスの発生した武漢市とは、約400キロと聞いております。約滋賀県と東京まで行かない距離だと思っておりますが、この湖南省と発生をした武漢の湖北省は隣接をしております。今後の友好協定を結ぶ湖南省への対応についても知事にお伺いをいたします。  今後の新型ウイルス感染の状況がますます拡大をしている状況ではありますが、今後、どのような対応をしていくのか、また、追加予算も考えていくのか、知事にお伺いをいたします。  最後に、教育機関での現在の対策、そして、それに加えて、通学している生徒や教諭が濃厚接触者になった場合や、感染者が発生した場合の対策についても、文部科学省の一定の定義が出ておりますが、出席停止や臨時休業、マスコミ的には臨時休校になっていますが、この処置についても教育長にお聞きをいたします。 ○議長(生田邦夫) 3番柴田清行議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)新型コロナウイルス感染症の対策に関する10点の質問のうち、私に賜りました8点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目、現時点の日本国内での感染状況についてでございますが、議場にいる間にもいろいろと変化があるかもしれませんので、一定のお断りを入れながら申し上げますが、報道により若干数値が異なりますが、昨日2月25日現在で、クルーズ船の乗船者、チャーター機による帰国者を除きますと、18都道府県で157人の感染者が確認されているということでございます。なお、この数値には、クルーズ船の乗船者である徳島での感染者を含んでいるということでございます。  近隣府県におきましては、これまで京都府で2人、大阪府で1人、奈良県で1人、和歌山県で13人、三重県で1人の感染者が確認されておりますが、和歌山県を除く府県の方については、治癒され、退院されていると聞いております。  また、クルーズ船を下船され、滋賀県に帰ってこられた4名の方について、2月23日から健康フォローアップを実施しているところです。  当初、中国武漢市等からの渡航者が国内で発症されておりましたが、その後、渡航歴のない日本の方の感染が確認され、現在では、感染ルートのわからない患者が県外で増加してきており、国内で感染が拡大していると、そういう状況にあると認識しております。  2点目、帰国者・接触者相談センターの現状とその後の医療機関への対応についてでございますが、本県では、帰国者・接触者相談センターを2月4日から県内7保健所と県庁に開設し、県庁と大津市保健所は24時間体制で受け付けを行っているところでございます。発熱やせきなどの症状に関する御相談や、海外からの帰国者に関する相談、医療機関からの患者に関する相談など、2月24日までに664件の相談が寄せられているということでございます。  この相談センターでは、疑い例に合致する方を、それぞれ二次医療圏に設置しております帰国者・接触者外来へ紹介し、感染防止策をとった上で受診いただいております。これまでのところ、県内で26名の方が、これは昨日24時時点のデータで、26名の方が受診をされていらっしゃるということでございます。  3点目、検査方針と体制についてでございますが、検査につきましては、当初は、発熱かつ呼吸器症状があり、武漢市を含む中国への渡航歴があるか、そのような人との接触歴がある場合を対象としておりましたが、その後、御案内のとおり、中国への渡航歴などにかかわらず、他の疾患の診断がつかない肺炎所見がある方や、帰国者・接触者外来での診察の結果、感染が疑われると医師が判断した方に広げてきているところでございます。  新型コロナウイルスの検査は、衛生科学センターで実施しており、1日最大30検体の検査が可能であるということでございます。  4点目、感染者発生時の対応についてでございますが、県内で感染者が発生した場合は、県内の二次医療圏ごとに設置しております感染症指定医療機関の感染症病床に入院していただき、適切な医療を受けていただきます。  また、当該患者がどのように感染したのか、誰かに感染させた可能性がないか等について、患者本人や家族等から聞き取り、濃厚接触者、例えば、家族や同居人、車内等で長時間接触した方などを特定し、感染拡大防止措置をとることとしております。  5点目、マスクや消毒用アルコール液などの必要物資の確保状況についてでございますが、まず、医療従事者に関して申し上げれば、帰国者・接触者外来を設置した医療機関のマスクや消毒用エタノールの状況について、これは2月14日に調査いたしましたところ、当面必要な数量は確保されており、おおむね3月上旬ごろまでは支障がないと回答があったところでございます。  なお、国からは、今後、都道府県内の各種防護具の需給逼迫に伴い、医療提供体制の構築に支障が出るおそれがある場合には、国としても対応策を考えてまいるとの連絡があったところでございます。  さらに、国は、一般向けのマスクの不足を解消するため、官民連携して毎週1億枚以上のマスクを消費者の皆様にお届けするとし、1つは、マスクを買い占めず必要な分だけ買うこと、2つ目に、使い捨てマスクがないときは、ガーゼマスクやタオルなどの代用品を使うこと、3つ目に、小まめな手洗いが大事であることなどを国民に向けて呼びかけており、県民の皆様にもぜひ御協力をお願いしたいと考えているところでございます。  6点目、観光客やものづくり産業への影響と対策についてでございますが、また、労働時間法規制との関係も含めてということでございますが、観光への影響では、2月21日現在で、県内旅行業者34社に計296件の旅行キャンセルが、また、宿泊につきましても、中国からの観光客に加えて、他のアジア圏や日本人観光客からのキャンセルが続くなど、影響が拡大している状況にございます。  その対策といたしまして、低利率の制度融資により事業者への資金面の支援をしておりますが、引き続き、事業者の経営状況の把握に努め、対応に万全を期すとともに、国に要望しておりますふっこう周遊割のような宿泊割引制度が創設された際は、速やかに対応してまいりたいと考えております。  ものづくり産業への影響では、産業支援プラザからは、中国企業にかわり県内企業への急な代替は難しいという声を聞いておりますほか、私も、県内立地企業との意見交換の場において、部品の供給がとまり、生産に支障を来しかねないというお声を伺うなど、生産活動への影響が出始めている、懸念されるというところでございます。議員からお話のあった部品調達もままならない状況で、労働者の不足とも相まって、企業の皆様には大変な御苦労をいただいていることを改めて認識しているところでございます。  しかしながら、労働時間に関するさまざまな規制、特に時間外労働の上限規制は、過労死につながる長時間労働を是正し、労働者の生命と健康を守るために導入されたものであり、今回のような状況にありましても適正な労働時間管理を行っていただくことが必要であると考えます。  7点目、今後の湖南省との関係、また、湖南省への対応についてでございますが、友好関係は不変でございます。ともに力を合わせて難局を乗り越えてまいりたいと思います。  湖南省では、湖北省との人の往来が活発ということもあり、新型コロナウイルス感染症の患者数は1,000人を超えているということでございます。現地では、学校や大多数の企業が休止していることから、滋賀県からの進出企業の駐在員や留学生もほぼ全員が帰国したほか、予定されていた湖南省からのスポーツや介護関係者の来県も延期されるなどの影響が生じているところでございます。  滋賀県誘客経済促進センターに派遣している職員についても、念のため一時帰国させ、2週間の自宅待機を命じるとともに、引き続き現地スタッフを通じて情報収集に当たらせているところでございます。  こうした中で、現地では患者が急増し、医療物資が不足しているとの情報を受けて、日本国内での需給状況に問題がないことを確認できた医療用手袋5,000セットを、私のお見舞い状を添えて、去る21日に現地にお送りしたところです。これに対しましては、湖南省の杜家毫書記および許達哲省長から、滋賀県の友好的な支援に深く感謝する旨の礼状を既にいただいたところでございます。本年で友好提携37年目を迎える湖南省の一日も早い事態の終息と復興をお祈りするとともに、引き続き進出企業や留学生に対する情報提供など、必要な支援を行ってまいります。  8点目、今後の対応と追加予算についてでございますが、今後、新型コロナウイルス感染症患者が次第に増加することを想定し、対策をとってまいります。
     現在県内に設置しております感染症指定医療機関の34の感染症病床以上の患者が認められたときには、感染症病床以外の病床を確保した上で入院治療を行えるよう、対応する医療機関を広げ、重症者を救うため、しっかりと治療を行う体制を整えてまいります。また、状況の変化に応じて、検査体制や相談体制についても強化できるようにしてまいります。  追加予算につきましては、患者に対し適切な医療を提供するための設備等の整備に要する経費や治療に要する費用の負担などを含め、現在検討を行っているところでございます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)新型コロナウイルス感染症の対策について、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の必要物資の確保についてでございますが、県立高等学校の入試におきましては、従来よりアルコール消毒液を生徒の昇降口に設置するなどして感染症対策をしてきたところでございます。今回につきましても同様の対応をする予定でございます。  また、今回の新型コロナウイルス感染症の流行を受けまして、各県立高等学校におきまして、卒業式等、保護者や関係者が多数出席される式典におきましても、会場入り口にアルコール消毒液を設置できるよう準備をしているところでございます。  また、マスクにつきましては、出席者みずからがつけてきていただくことを基本としておりますが、マスクをつけておられない方が、せきなどの症状があり、マスクが必要となる場合に提供できるよう、あわせて準備をしているところでございます。  次に、教育機関での現在の対策と出席停止や臨時休業の措置についてお答えをいたします。  県教育委員会といたしましては、県立学校や市町の教育委員会に対しまして、手洗い、うがい、せきエチケット、教室の換気等、感染症対策の周知に努めているところでございます。  あわせまして、児童生徒に発熱など風邪の症状が見られる場合は、無理をせずに自宅で静養することや、学校においても毎日健康観察を実施し、体調不良の子供につきましては早退等の措置をとることとしております。  さらに、児童生徒や教職員に対しまして、濃厚接触が判明した場合や、37度5分以上の発熱が4日以上続く場合、また、強い倦怠感や呼吸困難等の症状がある場合は、帰国者・接触者相談センターに連絡し、その指示に従うことなど、感染拡大防止についても周知をいたしております。  なお、これらの場合、児童生徒につきましては、校長の判断で出席停止にすることができ、これは欠席とはしない扱いとしているところでございます。  次に、学校に発症者が出た場合につきましては、当該校は、地域の保健所と連携するとともに、各教育委員会におきまして、県や大津市から感染拡大防止のために当該校の休業を要請された場合には、臨時休業を指示することとなります。  新型コロナウイルス感染症につきましては、日々状況が変化しておりますことから、今後も最新の情報を収集し、感染症対策に県教育委員会として適切に対応してまいる所存でございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)少し再問をさせていただきたいと思っております。  まず、県内と全国の発生状況を知事から御説明をいただきました。かなり全国でも広がっているようでございます。また、ダイヤモンド・プリンセス号に乗っておられる方の4名のお話もいただきました。昨日は、全国的には28名ですか、26名ですか、のダイヤモンド・プリンセス号に乗っていた乗客の中で発熱を出しておられる方がおられるというような報道もありましたが、まあ、大丈夫であろうと知事のお話から推測をさせていただいております。  まず、国内で患者が発生をする前の状況なんですが、全国的に病院でのたらい回しというようなことが言われております。東京や熊本や神奈川でというようなマスコミ報道があるんですが、そのようなときの事例がないようにしっかりと対策をとっておられるのかどうか、知事に質問をいたします。  続いて、PCR検査でございますが、先ほど、1日に大体30名の検査ができる体制になっているということでございますが、今後、この発生をもし県内で発生していき、こういうふうな検査がたくさんの方がしなきゃいけなくなった場合、まず、その試薬が本当にこの県に現在あるのかどうか、そして、全国的には、PCR検査を何人ぐらいしましたというのを、大阪は141名をして、現在1人が陽性であるとか、北海道は170名ぐらいをPCR検査をして、約30名の方がもう陽性が出てる、和歌山が698名PCR検査をして、13名が出てるというようなお話も出ておりますが、滋賀県では、なかなか数字は言えないかもしれませんけども、しっかりとどのように今現在PCR検査をされた方もおられるのかどうか。  続いて、また、もしかして滋賀県で陽性患者が出た場合にですが、県独自でどのような公表をされるのか。きのうは、政府の中でも、患者のクラスターをこれ以上ふやさないように、対策のためにはしっかりとした情報を出さなきゃいけないということを言われておりますが、個人情報の保護のバランスもとらなければいけないという問題もあります。県としての方針がどうなのか、これは知事、また、学校関係でもそういうことが言えると思いますので、教育長にお聞きをしたいと思います。  続いて、今後の対策についても、ちょっとなかなか知事からもいろいろとやっていくというお話をいただいたんですが、イベント関係におきましては、きのう知事が発表の中では、県外からたくさん来られるようなイベントは自粛、延期をしてくださいというような発表もされておられました。県外で県や県の関係がイベントをするということの予定がもう3月に入っているそうですが、それに対してどのような方針でおられるのか、知事にお伺いをしたいと思います。  最後に、卒業式や高校入試、先ほど教育長の話では、滋賀県としてはやっていくということでございましたが、北海道は、実を言いますと、きょうの12時ぐらいの情報では、あしたから小中学校の休校を北海道教育委員会が要請をしたとか、東京都は、都立の高校の卒業式に来賓や保護者の入場を御遠慮するというような発表もしておりますが、県の教育委員会として、今後どのように、今後の進展もあろうかと思いますが、そういうこともあり得るのかどうか、この点について再問をしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 私には4点再質問をいただきました。  まず、報道等にあったではないかと、病院のたらい回し等ということがないように、本県では、先ほども申し上げましたように、県内の二次医療圏ごとに設置しております感染症指定医療機関の感染症病床に入院していただいて、適切な医療を受けていただくようにしております。しっかりとその体制は整えておりますし、その後に、例えば患者がふえそうだというようなことも想定しながら準備をするよう指示もしているところでございます。  また、検査体制につきましては、ちなみに、衛生科学センターで実施する検査に要する時間は、検体が搬入されてから6時間程度ということでございます。  検査に使用する試薬、試しの薬は、現在210検体分の試薬を確保しておりまして、その後につきましても、3月末までに供給される見込みであると聞いています。  ちなみに、これまでどれだけPCR検査したんだということについては、14人検査をしているということでございます。いずれも陰性ということでございます。  公表につきましては、滋賀県で感染者が確認された際には、県において、患者の方の情報、感染拡大防止するための必要な情報等について公表を行います。現在、公表についての統一的な基準がないという課題がありますことから、全国知事会から国に対し、感染拡大防止の観点から、患者の行動歴などの公表のあり方について、風評被害およびプライバシー保護にも配慮した統一的な対応方針を提示されるよう緊急提言も行っているところでございます。今後、滋賀県で患者が出た場合には、風評被害やプライバシー保護にも配慮しながら、感染の拡大を防止するために、必要な情報を総合的に判断した上で公表してまいりたいと存じます。  最後、4点目、今後の対策として、県外で開催される県等が主催するイベントについてどう考えるのかということでございます。あくまで昨日私が発表させていただきましたのは、県主催、県内で行うイベントについて申し上げたところでございます。県外で行うイベントについては、そのイベントがどのような地域で、どのような形態で行われるのかということに即して、また、どの段階で行われるイベントなのかということもよくよく考えた上で判断していかなければならないと思いますので、そういう事情に即して検討なり判断をしたいし、していただきたいと存じます。 ◎教育長(福永忠克) 私にいただきました2点のまず御質問にお答えをいたします。  1点目の、児童生徒が感染をした、あるいは感染が疑われる、そういった場合の公表等についてでございますけれども、まずは、児童生徒が感染した場合につきましては、昨日文部科学省のほうから参りました対応の方針では、学校の設置者につきましては、学校の一部または全部の臨時休業を速やかに行うということでございます。また、その期間あるいは規模については、県の保健部局と学校のほう、教育委員会でしっかりと協議をして決めていくということでございます。で、いうことでございますので、基本的には、どこの市町のどこでそういったことが発生しているのかということは公表をしていくことになるというふうに考えておるところでございます。  なお、その通知の中に、感染者がいない学校も含む大きな範囲で、先ほど議員からございました北海道のような例がございますけれども、こちらにつきましては、教育委員会部局と衛生部局等で十分に協議をした上で、どの範囲で対応するのが一番いいのか、しっかりと検討をしていきたいと考えておるところでございます。  また、卒業式あるいは高等学校の入学試験につきましては、現時点においては予定どおり実施をすることとさせていただいております。ただ、入学試験につきましては、既に、先週ですが、各受験生の皆様に対してお知らせをしておりまして、基本的に予定どおり実施する予定でございますと。なお、感染者が出た場合の取り扱いについては、今週末をめどにその取り扱いについて皆様にお知らせをする予定で現在検討を進めているところでございます。  なお、卒業式につきましては、こちらも昨日、文部科学省のほうからその考え方の通知が参りましたが、そちらでは、学校の卒業式につきましては、子供たちにとって、また、保護者にとってかけがえのない行事であるということで、政府として一斉に自粛要請を行うものではありませんということがございますので、現在、本県におきまして、現時点においては感染者あるいは感染が疑われる人がないというこの状況において、卒業式の自粛というようなお話を県の教育委員会としてさせていただく予定はございません。  ただ、感染拡大防止の措置については非常に重要でございますので、まず、風邪とか熱のある方については、もう参加を差し控えていただきたいという旨の徹底、そして、先ほどもお答えをいたしましたが、アルコール消毒液の設置でありますとか小まめな換気、こういったことにしっかり取り組んでいただきますとともに、必要に応じまして、一定参加人数を抑えること、この中には、在校者の参加方法でありますとか、あるいは、式典の内容を精査して式典全体の時間を短縮する、こちらのほうにつきましては、祝辞をお願いしておったけれども、そちらは少し割愛をさせていただくとか、そういったことについて、各県立学校におきまして少し卒業式の持ち方がさまざまでございますので、こちらにつきましては、この文書も昨日の夜に来ましたので、本日、各県立学校にも配布をしておりますので、各校長先生なり学校現場において、自分たちの学校で一番いい対策は何なのかを考えていただいていると認識をいたしておるところでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)申しわけないんですが、もう一度再々問させていただきたいんですが、先ほど知事のほうから、県がしっかりと、もし感染者が出た場合は、県の責任において公表していくと、立派なお答えをいただいたんです。また、全国知事会で、きのうもテレビでも出ておりました。知事会長が要請文を政府に渡されておられましたが、まずは、この公表例の定義をしっかりともうつくって持っておられるのかどうか、それを確認をしたいと思います。  もう1つ、県外での催し物ということなんですが、これは、実を言いますと、3月4日から東京の百貨店で行われる大近江展についての御質問でございました。これは、県のビジターズビューローと県の共同開催だと聞いているんですが、出展される方々、経済的にはたくさん仕事もしたい、そして、県のPRもしたいと思っておられる方もたくさんおられるんですが、お店によっては、もしも感染者が出て、その名前も公表されて、滋賀県で人が来てくれなかったらどうしようとか、そういう心配を、きょうの朝、私どもにもいただいておりますが、もう3月の6日のことで、しかも東京であるということについては、かなり検討をしなければいけないんじゃないかなと思っております。  この2点について再々問をさせていただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) まず、1点目にいただきました公表につきましては、公表の例をひな形をつくっているかということでございましたが、今まで出て、さまざまな発表をされておられますので、いろんなパターンがありました。しかし、幾つかのパターンで整理される類型もありますので、こういう場合はこう言わなければいけない、こういう場合はこう言わなければならないだろうというシミュレーションはしておりますけれども、ただ、どういう患者さんがどこで出てくるのかということにもよりますので、そのものが全て使えるか、生かせるかということはわかりませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたような形で、十分いろんなことにも配慮しながら必要な情報をきちんと公表できるようにしてまいりたいというふうに考えております。  2点目にいただきました大近江展につきましては、現在、びわこビジターズビューローにおいて、どうするのかということを検討させております。当然、東京で行うイベントでありますので、事業者の皆様方等が御心配になるということも一定理解をいたしますし、片や、一方で、必要な対策をとれば必要以上に恐れ過ぎる必要もないという、そういった御意見があったり、高島屋という百貨店での催事であるということをどう見るのかというようなこともあるようでございますので、検討の上、判断をしていきたいと思います。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)1問目の県として定義を持っているのかという部分に関しては、発生した都道府県の例からしまして、北海道や東京では、公表不足により市民の方がかなり批判を出されたということで、滞在した市町村まで公表するというような、次の事例を北海道、東京では発表になって出されております。こういうことがないように、やはり最初から混乱しないように、しっかりとした公表をしたほうがいいんじゃないか、クラスターをふやさないという意味での発言でございましたし、大阪府は、お一人の方が発生をしておりますが、しっかりと滞在した市町村まで公表すると。仮に感染者が百貨店や大型ショッピングモールなどで不特定多数と接触をされたという可能性がある場合は、施設側と調整した上で店名も公表するということを公表をされておられますので、滋賀県としても、やっぱりしっかりと、もしものときのことのためにも、こういうふうな例をしっかりと持っておられるのかという形をお聞きをいたしました。  また、大近江展についても、いろんな角度で、難しい見解もあろうかと思いますが、また御検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続いて、滋賀県における野生イノシシでのCSFウイルス感染、また、ASFの現状についてお聞きをいたします。  新型コロナウイルスの感染拡大につけて、マスコミを中心に目線が新型コロナウイルスに向けられております。しかしながら、昨年から、野生イノシシでのCSFウイルス、豚コレラと言われていますが、今、豚熱と言われておりますが、この感染状況も忘れてはいけない問題であると認識をしているところであります。滋賀県における野生イノシシでのCSFウイルス感染の現状と、近隣諸国に広がりつつあるASF、アフリカ豚コレラと言われていましたが、現在、アフリカ豚熱について、大変豚熱よりか何かきついというような表現をされているんですが、これについて、全て農政水産部長にお聞きをいたします。  まず、野生イノシシでのCSFウイルスの感染の状況についてお聞きをいたします。  続いて、野生イノシシへのCSF経口ワクチンについて、野外散布をされました。令和元年9月下旬に1回、12月から2月にかけて2回、また、3月に1回を予定をされておりますが、このワクチンの散布についての状況をお聞きをしたいと思います。  3点目に、中国や韓国など近隣諸国まで広がりつつあるASF──アフリカ豚熱の現状把握と本県における対応についてお聞きをいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)野生イノシシでのCSFウイルス感染等の現状についてお答え申し上げます。  まず、1点目、野生イノシシでのCSF、豚熱でございますが、このウイルス感染の現状についてでございます。  一昨年9月、岐阜県で国内26年ぶりに発生をいたしましたCSF──豚熱は、現在8件、57事例と感染が拡大をし、その感染拡大の一因とされる野生イノシシについても、本県を含む12の県において1,899頭の感染が確認されているところでございます。  本県におきましても、野生イノシシ感染確認検査を継続して実施をしており、令和2年2月25日現在、検査頭数568頭のうち138頭の陽性事例が確認されておりまして、その陽性率は24%となっているところでございます。  2点目の野生イノシシCSF経口ワクチン散布の状況についてでございます。  昨年8月、国家防疫の観点から、国がCSF蔓延防止のため、感染野生イノシシを囲い込む形で、経口ワクチンを散布する野生イノシシワクチンベルト構想を公表されました。本県も国に協力をし、9月下旬から経口ワクチン散布を開始をいたしました。  現在までに、県西部の高島市、県東部の彦根市、多賀町、東近江市におきまして、夏期と冬期2回の計3回の散布を実施をいたしました。1回当たり約5,500個のワクチンを散布をし、その推定のイノシシ摂取率は、夏期の散布では29%、冬期散布の1回目は44%、2回目が38%でございました。  本県を含む全国におけるワクチン散布結果につきましては、今後、国が専門委員会により検証し、評価されるというふうに聞き及んでおります。  今後も引き続き、国および近隣府県と連携をし、効率的かつ効果的なワクチン散布を進めますとともに、野生イノシシの感染確認検査の継続ならびに捕獲の強化によりまして、さらなる感染拡大の防止に努めてまいることとしておりまして、現在、3月の春期の散布の1回目に向けた準備を進めているところでございます。  3点目、アフリカ豚熱、いわゆるASFの現状と本県における対応でございます。  ASFは、現在、国内における発生はございませんものの、中国や韓国を初め、近隣諸国において発生が継続的に報告をされております。  ASFにつきましては、致死率が極めて高く、ワクチンも存在しないことから、万が一、国内に侵入をしますれば、我が国の畜産業に及ぼす影響は甚大でございます。このため、先般、国では、水際対策の徹底とともに、感染の拡大を防止する観点から、予防的殺処分を可能とする家畜伝染病予防法が改正をされたところでございます。  本県におきましても、引き続き飼養衛生管理基準の遵守による農場バイオセキュリティーの強化を図りまして、野生動物などからの農場への病原体侵入防止を徹底をし、発生予防対策に万全を期してまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)関係者の方々においては、本当に昨年の夏ぐらいからこの対策に講じていただいている、本当に長い間、まだまだこれから続くだろうと思っておりますので、本当にしっかりした、また、体調も整えていただいて対策をお願いをしたいと思います。まだまだこのCSF、また、ASFという形が続いてくるんかなと思っておりますので。  きょう、新聞紙上では、この経口ワクチンの散布外でも陽性反応が出たというような見出しもあったんですが、私自身は、経口ワクチンは、その部分でとめるという部分ではなく、まだまだたくさんその陽性反応のところが出てくるというのが現状だろうと、先ほどもお聞きをさせていただきました。しっかりとこのワクチンも効いてくるように、また、今の食べていただいたリストもいただきましたので、しっかりとこれからの対策をお願いしたいと思います。  この最初に言いましたウイルス問題も、薬務感染課は本当に24時間で対応をしていただいている現状でございます。職員の方の体調に本当に考慮をいただきますとともに、何とか滋賀県での発生を防ぎたい、全国での発生を縮小していきたいと思っております。  これで一般質問を終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、3番柴田清行議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時22分 休憩    ────────────────   午後3時40分 開議 ○議長(生田邦夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、45番節木三千代議員の発言を許します。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇、拍手)まず、新型コロナウイルス肺炎対策について、今御質問があった柴田議員と重なる点もありますが、分割で全て健康医療福祉部長にお聞きをいたします。丁寧な御答弁をよろしくお願いいたします。  新型コロナウイルス肺炎で、中国では死者が2,000名を超え、残念ながら国内でも死亡者が生まれました。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。  昨日は政府基本方針が示されたところですが、東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授の押谷仁氏は、インフルエンザとは違うとし、新型コロナウイルスは、重症化の割合が低くても、重症化すれば、ウイルスそのものが肺の中でふえるウイルス性肺炎を起こし、重症のウイルス肺炎は治療が困難と指摘をされています。海外渡航歴がなく、感染経路が特定できないケースが出てくる中で、新たな段階に入っています。  滋賀県では感染者が出ていないものの、国内での感染は日々追うごとに広がっています。県民の皆さんの不安に応える県の対応が強く求められています。滋賀県新型コロナウイルス感染症対策本部が設置をされましたが、5点にわたって本県の取り組みについて健康医療福祉部長にお聞きをします。  1つは、県民および医療機関への正確かつ迅速な情報提供が必要です。滋賀県のホームページからは情報はとれますが、テレビなどでさまざまな情報が飛び交う中で、公の機関のネットだけでない正確な情報提供が広く行き渡ることが大事です。テレビやラジオなども活用し、市町の広報にも掲載をお願いするなど、広く情報提供をすることが必要だと考えますが、取り組みをお聞きします。  また、昨日の政府基本方針は、国民に適切な相談をせずに医療機関を受診することなどは避けるように求めています。2つ目は、こうした中で、県民からの相談が今の御答弁では664件と答弁されていましたが、さらにふえる見込みだと思います。体制の強化が必要だと考えますが、その取り組みについてお聞きをします。  3つ目は、厚生労働省は検査基準を示しましたが、検査するかどうかは医師の総合的判断に委ねられているのが現状です。感染しても重症化しないケースもある中で、感染疑例──感染の疑いのある例への検査体制の強化が求められていますが、県の取り組みについてお聞きをします。  4つ目は、適切な公表は必要ですが、しかし、感染者に対する調査、また、予防的な措置における人権の配慮が必要であります。見解を伺います。  5つ目ですが、2月19日に日本共産党の宮本徹衆議院議員が、衆議院予算委員会で、国民健康保険料を滞納し、無保険、資格証明書交付の人にも短期証を発行し、お金の心配なく医療機関にかかれる措置をと要求をしました。資格証明書交付の人は、医療機関での受診料は全額負担で、納付相談しないと保険証は発行されません。感染の疑いのある人が役所に訪れ、感染が広がる可能性もあるし、感染を広げない、健康と命を守る点から短期保険証を発行して届けるべきと加藤厚労大臣に求めました。2009年の新型インフルエンザ流行の際、資格証明書を短期証明書とみなす措置をとったことがあります。加藤厚労大臣は「状況状況で政策を打っていくことが必要」と述べています。こうした対応の周知をぜひ市町にしていただきたいと考えますが、健康医療福祉部長の見解を伺います。 ○議長(生田邦夫) 45番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)新型コロナウイルス感染症に関する5点の質問にお答えいたします。  1点目、正確な情報提供の取り組みについてでございます。  1月27日に新型コロナウイルス感染症対策連絡会議を、そして、同月29日に対策本部を立ち上げまして以降、事態の変化に応じて連絡会議、対策本部を開催いたしておりますが、いずれも公開で実施することによりまして、報道機関等を通じまして正確な情報を迅速に県民の皆様にお知らせをするよう努めてまいりました。  また、ホームページへの掲載だけではなく、LINEの特設メニュー、あるいはツイッター、フェイスブックというプッシュ型配信、さらには県政広報番組「しらしがテレビ」などによりまして、そして、市町の協力も得ながら、相談窓口の周知や県の対応状況等の情報提供、あるいは感染症対策に関する注意喚起などを実施をしているところでございます。  今後とも、テレビ、ラジオの県政広報番組を初めとしまして、より多くの手段を活用し、県としての情報提供や注意喚起に努めてまいるつもりでございます。  2点目、相談体制の強化についてでございます。  本県では、国内で感染患者が確認され始めました1月下旬から、土曜日曜も含め相談窓口を設けまして、県民の皆様の不安解消に努めてまいりました。また、2月4日からは、帰国者・接触者相談センターを県庁および県内7保健所に開設をいたしまして、県庁と大津市保健所におきましては24時間で対応してまいりました。さらに、国が2月17日に帰国者・接触者相談センターへの相談の目安を示しましたので、相談件数が増加しましたことから、県では夜間も複数の職員で対応するなど体制の強化をしております。  今後、県内で患者が発生した場合など、県民の皆さんの不安増大につながる局面を迎えましたら、帰国者・接触者相談センターでより多くの相談に同時に対応できるよう、さらなる体制強化も検討しております。  3点目の疑い例への検査についてでございます。  現在、検査対象者は、御承知のとおり、発熱または呼吸器症状があり、かつ新型コロナウイルス感染症と確定した者と濃厚接触歴がある者、また、発熱かつ呼吸器症状がありまして、発症から2週間以内に流行地域に渡航または居住していた、あるいはその者と濃厚接触歴がある方に加えまして、発熱かつ呼吸器症状があり、かつ入院を要する肺炎が疑われる方、さらには、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症を疑う方につきまして、他の疾患が確認できない場合には、医師と保健所が相談をいたしまして、保健所長の判断も加え、検査の必要性について判断を行っているところでございます。  今後、県内の発生状況によりまして、検査対象者については見直しを行ってまいりたいと思っております。  4点目、感染者に対する調査・予防的措置における人権への配慮でございます。  県内で感染が確認されましたら、感染ルート、あるいは他者への感染の可能性について調査を行うこととなります。その際には、感染者が誰であるのか、どのような行動をしたのかなどを周囲に特定されないように配慮をして行う必要がありまして、このことは、これまで調査を行ってまいりました他の感染症と同様であると考えております。  また、感染拡大を防ぐための情報提供につきましても、患者の個人情報保護を十分に考慮しながら公表内容を決定していきたいと考えております。  最後、5点目の資格証明書を被保険者証とみなす措置についてでございます。  2009年新型インフルエンザ流行の際に、国民健康保険資格証明書を交付されておられる被保険者が発熱外来を受診した場合、被保険者証とみなすという取り扱いがなされたところでございますが、今回の新型コロナウイルス感染症の対策につきましては、議員から御紹介のありましたとおり、衆議院予算委員会で「状況に応じて適切に施策を行う」と加藤厚生労働大臣が答弁されていると承知をいたしております。  本県としては、国から新たな対応方針が示された場合には、速やかに市町等関係者に連絡するなど、適切に対応してまいりたいと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)2点再問したいと思います。  今、政府は、重症化患者の治療優先ということで、これも大事なことですが、先ほど言いましたように、呼吸器症状がなくても感染が疑われる軽症の方もいらっしゃると思うんです。そうしたところは、医師が感染が疑われるということがあれば、すぐに滋賀ではきちんと検査ができるということを確認をしておきたいというふうに思います。  また、短期保険証への発行については、これは厚労省待ちということでありますけれども、先手先手を打って、県としてできることは何でもやるという、こういう姿勢が大事だというふうに思うんです。国待ちではなく、県として判断をされるように求めたいと思いますが、再度、この点についても部長の見解を伺います。
    健康医療福祉部長(川崎辰己) 1点目、検査の再質問でございます。  重症化した患者さんに重点化していくというのは、これからの患者さんがふえてきた場合、もう感染ルートを追うよりも、まず重症化した方の治療を優先すると、そういう場合に、検査につきましても重症化した方を対象にやっていくという方針があろうかとは思いますが、今現在、そういう状況ではないと思っております。37度5分以上の発熱が4日以上続くような場合は、相談センターのほうに御相談いただくように呼びかけております。その相談内容に応じて、外来のほうにつないでいきまして、医師の判断とともに、保健所長、保健所のほうで判断をしながら適切な検査体制につなげていきたいと思っております。  2点目の資格証明書を被保険者証とみなす件につきましては、やはり全国的統一の扱いとなろうかと思っております。そういう意味では、国の判断を見て、決定いたしましたら適切に対応したいと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)感染が疑われると思われる軽症の方は、きちんと滋賀では検査ができるということのように私は理解をいたしましたので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  資格証から短期証へのみなすということについては、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。  次に移りたいと思います。  次に、公立・公的病院の再編統合について、一問一答で知事ならびに健康医療福祉部長にお聞きをします。  昨年9月26日、病床を削減することを目的に、厚生労働省は全国の公立・公的医療機関を対象に再検証を行い、全国424病院について、再編統合について特に議論が必要として病院名を公表し、滋賀ではJCHO滋賀病院、大津赤十字志賀病院、守山市民病院、東近江市立能登川病院、長浜市立湖北病院とされました。  全国では、名指しされた病院長、関係者、地方自治体から納得ができないと批判や怒りの声が出されたことは、昨年12月の議会で取り上げたところです。しかしながら、厚生労働省は、1月の17日、都道府県に対して議論を進めるよう要請通知を出し、当初424病院だった対象を約440病院にふやした修正版リストを提供し、さらに多くの病院で再編統合を進めようとしています。今後、地域医療構想を再検証し、対象医療機関の扱いをこの2020年9月までに取りまとめるよう都道府県に要請するとともに、病院の統廃合や病床数の削減、診療機能の縮小などを25年までに終えようとしています。  都道府県には、対象の公立・公的病院に近い民間病院の診療実績データも提供をしています。地域の実情や住民の声を踏まえることなく、機械的な分析によって統廃合再編の対象とする選定は絶対に認められません。  1月の31日に、日本共産党地方議員団は、厚生労働省に対して、地域医療を崩壊させる病床削減再検証を撤回し、病床削減ありきの公立・公的病院再編統合の押しつけをやめること、医師、看護師を初めとした医療・介護体制の担い手をふやし、いつでもどこでも医療や介護が受けられる体制を国の責任で充実することなどを求めました。  まず、お聞きをいたします。公立・公的病院の再検証の要請対象とした基準が2つありますが、その内容について健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  1つ目の基準は、診療実績が特に少ないという基準でございまして、がん、心疾患等の9領域の全てにおきまして、平成29年の病床機能報告データに基づきます診療実績が特に少ない公立・公的病院が対象ということとなりました。  2つ目の基準は、類似かつ近接という基準でございまして、1つ目の基準の9領域から災害、僻地、研修派遣の3領域を除きました6領域全てにおきまして、地域医療構想の区域内で診療実績が特に多くないグループに入る公立・公的病院で、かつ、その近隣にその領域で診療実績のある病院が存在する、そのような公立・公的病院が対象ということとなります。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)この2つの基準で、滋賀県では5つの公立・公的病院が名指しされましたが、知事はどのような御意見を持っておられるのか伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  今回の国による公表につきましては、ただいま健康医療福祉部長が答弁したとおり、一定の条件で急性期機能等について分析した結果を公表されたものでございまして、公表に当たりましては、各病院の急性期医療の再検証をお願いするものである旨記載されていると承知しております。  しかしながら、救急医療や災害医療、また、僻地医療などにおいて、各病院が地域で果たしている役割の実情を考慮せず、突然に病院名を公表されるなど、誤解を与えるようなものであった点については大変遺憾であると考えているところでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)この2つの基準は、データが2017年と古いことや、距離でいえば、同等の診療科を持つ病院の間が10キロというような一律の距離を設けて名指しをされたわけであります。  私は、対象となった病院を訪問させていただいて、病院長や事務長からお話をお聞かせいただきました。  済生会守山市民病院は、これは、平成30年の4月から済生会に経営が移行され、既に経営改革を進めておられました。47床から回復期の転換で100床に今整備、改修をされているさなかに、診療実績はその前の平成29年の6月の1カ月間のデータのみであります。今、湖南の区域では、それぞれすみ分けしながら、厚労省が推奨していることをやっておられるのに、むしろ厚労省はそれを評価すべきだと私は思いました。  長浜市立湖北病院については、12月の議会で取り上げましたが、車での移動時間が20分を全国一律の基準にしていますが、近接とされる長浜赤十字病院までの距離は18キロ、高速道路を使っても20分余りかかります。雪などの天候で左右をされます。  私は、こんな基準を使って再編統合、機能転換の議論を進めること自体が大きな問題だと思います。このような道理のない基準で一方的に、知事は遺憾と言われましたけれども、押しつける今回の名指しはやはり撤回をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 昨年末の11月議会でもお答えいたしましたが、それぞれの地域において将来の医療提供体制のあり方を議論、検討していく上では、公表の撤回を求めるのではなく、名指しされなかった病院も含めて、今回出された分析のデータや結果も材料の一つとしながら、地域の実情を踏まえた丁寧な議論に結びつけていくことが大切であると考えているところでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)1月の31日の政府交渉で、厚労省は、地方自治体の声を置き去りにするものではないと言いながらも、そして、機械的に統廃合、病床削減するものではないと言いながら、しかし、今回の公立・公的病院のこの病院名を出したことについては、一定急性期から回復期に進んでいない、ここの議論を促進すると、一定の答えを出すというような答えでありました。公立・公的病院だけでなく、今後は民間病院も含めた議論が進められるという点では、やはりこの撤回をまずは私は求めるべきだというふうに思います。あくまで病床削減を推進する構えだということを私は政府の交渉の中で強く感じてまいりました。撤回を求めていただきたいと思います。再度知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 私は、こういう発表の仕方とか、前提がどうだったのかとか、最新のデータと照らし合わせてどうなのかと、そういう配慮は私はあってしかるべき、そういう意味で、今回の発表の仕方は遺憾だということで申し上げておりますけれども、今も議員が御質問の中で触れられましたけれども、この先どうするのか、病床の機能分化、そして持続可能性をどう担保していくのかという、こういう議論はやはりしっかりと行っていかなければならないと思っておりますので、そういう意味で、私は今後の議論につなげていきたいということで申し上げております。ただ、いずれにいたしましても、丁寧に議論をしていかなければならないということはしっかりと旨としながら進めていきたいと存じます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)各医療圏域ごとに丁寧に議論をされていた中での今回は公立・公的病院の名指しをされたという点では、非常に私は問題だというふうに思っています。1月の26日に志賀日赤病院を守る会が結成をされました。保守系の元志賀町議の方や自治会の役員の方も賛同者として名前を連ねてくださっています。地域になくてはならない病院の存続を願ってのことであります。このままの診療科で続けてほしいとの声が今大きく広がっています。この住民の声、地域の声、しっかりと受けとめていただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今お取り上げいただきました大津赤十字志賀病院、こちらについては、大津市北部地域の地域医療を担う病院として重要な役割を担っていると認識しておりまして、住民の皆さんの思いも同じなんだろうと思います。引き続き、それぞれの地域において、どのような医療提供体制がふさわしいのかということについて、地域の実情も踏まえ、また、地域の皆さんのお声もお聞きしながら、声も受けとめながら、各地域での協議の場でそれぞれの課題に応じた議論を丁寧に進めていきたいと思います。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)このままの大津日赤志賀病院で存続をしてほしいという思いについて、もう一回知事の答弁を聞きたいと思います。 ◎知事(三日月大造) そのこのままのとおっしゃるのが、どの時点のどの状態のこのままのということかにもよると思うんですね。当然、それぞれの他の病院との関係、また役割分担もあるでしょうし、医師をどのような状況で配置するのか、できるのかというようなこともあるでしょう。いずれにいたしましても丁寧にやるべきテーマだと思いますので、そのことをしっかりと踏まえた上で議論を進めてまいりたいと思います。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、病院を守ろうということで、署名活動も知事宛てに始まっています。1時間余りで60筆と、人通りの少ないところでも多くの皆さんが署名に応じてくださるということを述べておきたいというふうに思います。  1月の30日に行われました大津圏域地域医療構想調整会議では、JCHO滋賀病院、日赤志賀病院の統合再編は行わないという結論になりました。この結論は厚生労働省としても尊重をされるべきだと思いますが、県としても求めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 大津圏域地域医療構想調整会議で協議した結果、再検証の要請対象となった2病院につきましては、それぞれ地域密着型の病院として一定の急性期機能を今後も維持していく必要があり、また、既に急性期から回復期への機能転換を実施しているところであり、両病院とも再編統合は行わないとの結論で合意されたと承知しております。この結論は、地域医療構想の方向性にも沿ったものであり、県としても妥当な結果と受けとめており、それは厚生労働省においても同じ評価、見解ではないかと考えます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)翌日の政府交渉でも、厚労省は、地域の声は尊重すると言いながらも、「地域医療構想が進まなくていいのか、これでいいのか、有識者会議からいろいろ言われる」と、こんな答えが返ってきました。地域は尊重するが、有識者会議の理解というのも必要だと。私は、こういうやりとりを聞いて、住民の声より財界の要望に、そういう形で今の厚労省が進めようとしていることを実感をいたしました。このことをしっかりと踏まえて、やはり地域の声をしっかりと尊重するように、その姿勢は貫いていただきたいというふうに思います。  さて、1月の31日、滋賀県の湖北区域の4病院について、国の重点支援区域として滋賀県は申請されました。そして決定されました。私が訪問した際に、長浜市立湖北病院は、もう13床病床を減らして、事務長さんは転換済みと言っておられました。湖北病院における救急体制も地域住民にとってはなくてはならない中で、新年度100%国費で2025年度までの再編に向けて、さらなる病床削減が迫られようとしているのではないでしょうか。これで地域の医療ニーズに応えることができるのか、健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  これまで湖北区域では、2025年に向けて持続可能な医療提供体制をつくっていくため、湖北病院を含めました4病院の医療機能の再編について検討が進められてきております。人口減少社会、また、医師の働き方改革に対応するためにも、この検討を加速させる必要があることから、今回、国による重点支援区域に申請をいたしましたところ、選定をされたものでございます。検討に当たりましては、病床削減ありきということではなく、地域のニーズに応えていくために、2025年の必要病床数推計も踏まえて、持続可能な地域医療提供体制を検討する中で最適な病床数が検討されていくものと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、部長が病床削減ありきではないというふうに言われましたけれども、湖北圏域の再編のイメージ図では、既存病床数1,170床を996床へ174床の削減をする計画であります。湖北市民病院はさらに10床もの削減をする案でありまして、再度伺いますが、こういう病床削減で地域の医療ニーズに応えられますか、部長、答弁をお願いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) ただいま示しておりますのは一つの案でございまして、それをベースに、これから地域の調整会議のほうで、湖北地域での持続可能な医療の提供体制のあり方、それを考えながら必要な病床数というものを検討いただけるというふうに考えております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)削減もしないと、減らさないという選択肢もあり得るんですか、部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 持続可能な医療提供体制、構築していく中で、どれだけの病床数を持つのがいいのか、医師の働き方改革、あるいは少子高齢化等々状況を踏まえながら議論をいただく、その結果だと思います。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)その結果、病床は削減をしていくということですか、再度確認します。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 先ほど申し上げましたとおり、病床削減を目的、あるいはそれありきということでは決してございませんので、その必要な病床数というものを、いろんな先ほど申し上げましたような状況を勘案しながら検討していく、その中で結果的に決まってくるものだと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)湖北圏域の再編のイメージ図では、病床削減ありきでイメージ図がつくられています。調整会議には地域の住民は入っておられません。地域の住民を置き去りにして、今、この重点支援区域として、滋賀県が手を挙げて、国、県主導で再編を進められるのは非常に問題だというふうに思います。全国でも初の500床の病院、公的・公立病院2つが再編統合をしていくということで、ここには国は大変意欲的になっています。しかし、これでは地域の医療ニーズに応えられないということを、問題を指摘しておきたいと思います。  地域医療が深刻化している最大の要因は医師不足であります。本県の医師の数について、健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 本県の医師不足の中、医師の偏在指標のことについてお答えを申し上げますと、国がお示しをしております医師偏在指標につきましては、医師の絶対的な充足状況ではなく、全国における相対的な位置関係を示しているということでありまして、本県においても医師が不足しているという状況にあることは変わりはないと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)本県でも医師が不足しているということでありますが、今後の医師確保についての取り組みについて健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  今年度策定をいたしております医師確保計画がございます。滋賀医科大学や関係団体と連携をいたしまして、医師の派遣調整などを通じた偏在対策、それと医師のキャリア形成の支援、それと医師の働き方改革等を踏まえた勤務環境の改善、さらには医師の養成過程を通じた確保対策、この4本柱によりまして取り組みを進めることによりまして、できる限り県内で就業いただける医師の確保を図りますとともに、地域や診療科の偏在是正というものを図ってまいりたいと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)今、県がつくろうとされておられるのは、国が示した数式に基づいて各都道府県が偏在指標を出して、その偏在の解消の立場から医師確保計画を策定、実行していくというものでありますが、冒頭、医師が不足しているという認識を持っておられるのならば、私は、抜本的に医師をふやす、この立場に立って国に求めていただきたいと思います。  日本の人口当たりの医師数は、OECD加盟国の平均よりも10万人も少なく、データが示された29カ国中26位という水準にとどまっています。地域医療を守り、再生するために、医学部の定員をふやして医師の養成を抜本的にふやす、この抜本的にふやすことを国に対して求めていただきたいと思いますが、知事に見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  全国の大学医学部の定員につきましては、地域の医師確保を図るため、平成20年度以降、臨時的に増員されておりますが、国においては、令和4年度以降の入学定員については、改めて全国的な医師の需給推計を行った上で検討を行うこととしております。  県といたしましては、機械的に算出された数値だけではなく、地域の実態を踏まえた上で、医学部入学定員の臨時増制度の維持を含めてしっかりと医師を養成すべきであると考えており、このことは、全国知事会や近畿ブロック知事会を通じ、既に国に対して求めているところでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)臨時的定数増の維持にとどまらない、やはり抜本的な医師をふやすという、定数を大幅にふやすということを私は強く求めていただきたいと思います。政府交渉でも、厚労省の方の答弁は、とても医師をふやすような気がないということは私は実感をしてまいりました。ですからこそ、今、滋賀の住民の皆さんの医療ニーズに応えるために、抜本的に医師をふやす、この立場でぜひ国に求めていただきたいと思いますが、再度知事に伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 議員は医師を抜本的にふやすべきだということで大くくりに御提起いただいているんですけど、医師といってもいろんな医師がいらっしゃいますので、我々としては、適切な地域医療を提供するために必要となる医師の確保については、医師の養成過程を通じた確保対策のほか、地域や、例えば診療科の偏在是正、医師の働き方改革等を踏まえた勤務環境の改善などを総合的に実施していくことが必要であると考えておりまして、医師確保計画に基づいて、本県における必要な医師の確保にこれからも引き続き努めてまいりたいと考えております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)大津医療圏域におきましても、多数区域となっていますけれども、現状を見ますと、ほんまに公立・公的病院と民間の病院がお互いに助け合いながら地域の医療を支えているという現状があります。そういう点でも、冒頭質問で申し上げましたけれども、日本の医師が全体少ないという立場に立ってしっかりと求めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  最後に、国民健康保険について、一問一答で知事ならびに健康医療福祉部長にお聞きします。  安倍政権は、国保の都道府県化による国民健康保険料(税)値上げを押しつける動きを強化しています。2018年に、都道府県化に際しては、自治体の国保行政を国が採点し、いわゆる成績がよい自治体に予算を重点配分する保険者努力支援制度という仕組みが導入しました。さらに、2020年からは、国保料(税)軽減のために、一般会計から国保会計に公費独自繰り入れ──法定外繰り入れを行う市町に対して、国からの予算を削減していく新たなペナルティーの仕組みを導入することを決めています。こうした国の大改悪の動きに対して、地方自治体として高過ぎる国民健康保険料(税)引き下げのための改革が求められています。  2月の5日に、日本共産党地方議員団は、県に対して国民健康保険の改善の申し入れを行いました。主な内容は、国民健康保険料(税)の算定に当たっては市町の裁量を認めること、市町の裁量で一般会計から国保特別会計への法定外繰り入れを認めること、また、それに伴い、保険者努力支援制度でペナルティーを科すようなことはしないこと、県として国保会計に繰り入れを行うこと、全国知事会も要望している1兆円規模の公費負担を国に要求すること、少なくとも18歳未満の子供に係る均等割について、県と市町の負担で軽減策を講じることなどを求めたところでございます。  そこで伺います。そもそも国民健康保険について、国も県も構造的問題があることについてはお認めだと思いますが、構造的問題について健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  国民健康保険制度は、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高くなっているのに対しまして、所得水準が低いため、所得に対する保険料負担率が高くなるという構造的な課題を抱えていることは認識いたしております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)知事に伺います。国民健康保険に対する全国知事会の要望についてお聞きします。 ◎知事(三日月大造) 全国知事会では、将来にわたって持続可能な医療保険制度の安定的運営を図るため、例えば、1つ目、子供に係る均等割保険料軽減措置を導入すること、2つ目、国保に対する国定率負担の引き上げ等、さまざまな財政支援の方策を講じること、3つ目、全ての子供、重度心身障害者児、ひとり親家庭等について、福祉医療助成を行った場合の国民健康保険の国庫負担減額調整措置を廃止することなどを要望しているところでございます。  さらに、次世代を担う子供たちが健やかに生まれ育つことができるよう、国の責任において、子供の医療にかかわる全国一律の制度を創設するよう要望しているところでございます。失礼いたしました。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)今の全国知事会の要望は、共産党は、均等割、平等割を廃止して、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げよという提案をしていますけれども、こうした政策に1兆円の公費が要ると思いますが、そういうところと基本方向は同じくするものだというふうに共有をしたいと思います。  2014年に、全国知事会の福田富一社会保障常任委員会委員長──当時栃木県知事は、国民の保険料負担の公平と将来にわたる国保財政の基盤強化から、総額1兆円の公費投入の必要性を訴えています。このことについては間違いありませんね。健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  総額1兆円の公費投入につきましては、平成26年7月の自民党の社会保障制度に関する特命委員会における当時の全国知事会社会保障常任委員会委員長の福田栃木県知事の発言でございまして、国保の基盤財政を強化するために必要な財政支援の一つとして例示をされたものと承知しております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)県としても、知事に伺います。1兆円の公費投入を求めていただきたいと思いますが、お伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、1兆円という具体的な金額を掲げているわけではないんですけれども、全国知事会を通じて、国保に対する国定率負担の引き上げや子供に係る均等割保険料軽減措置の導入など、さまざまな財政支援の方策を講じるよう要望を行っているところでございます。国民健康保険という全国制度にかかわることでございますので、全都道府県に共通する課題でもございますので、県単独で行うのではなく、全都道府県が一丸となって要望していくことが効果的であると考え、そういったことが整うよう、これからも引き続き努力をしていきたいと思います。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)当時、福田知事は、都道府県の意見集約をした結果だとして、1兆円が必要だということで対応を求められましたので、ぜひ求めていただきたいと思います。  去る1月の17日に、令和3年度からの第2期滋賀県国民健康保険運営方針の策定について市長会議で議論をされていますが、どのような意見が出されたのでしょうか、健康医療福祉部長にお聞きいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  第2期の国民健康保険運営方針の策定に向けましては、この1月15日開催の第7回町長連絡会議、そして、同月17日に開催されました臨時の滋賀県市長会議におきまして、主に保険料水準の統一の時期などについて協議をさせていただきました。  市長会議におきましては、例えば、慎重に議論すべきではないかという御意見、あるいは、保険料水準の統一を図る上で、福祉医療助成制度の県内統一を図ってほしいというような御意見、また、先ほどありました子供に係る均等割保険料軽減措置の導入についても議論すべきという御意見など、各市長様からさまざまな御意見をいただいたところでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)福祉医療については、今御紹介ありましたように、統一できないのか、保険料だけを統一して医療アクセスが不公平では成り立たなくなるという湖南市長さんの御発言があったり、また、米原市長さんからも、子供の、今御紹介ありましたけれども、均等割については、子供がいればいるほど高い保険料が必要になってくる、この点についても、多子世帯の市としては減免措置を入れたいが、そうしても、令和9年度には激変緩和措置もなくなって保険料が上がる、県内統一で均等割については、子供がいるところは保険料が高くなるという、その保険料のそういう設定はやめようと、このような発言もされています。私は、市長会議で幾つかの議論はされていますが、特に、国民健康保険のこの子供の均等割について米原市長さんから提案、提起されたことは、非常に大事な点だというふうに思います。  まず、均等割について健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  国民健康保険における保険料または保険税につきましては、1つとして、世帯の所得に応じて負担する所得割、それから、2番目に世帯の資産に応じて負担する資産割、それから、3番目に世帯ごとに均等に負担する平等割、そして、4つ目に一人一人の被保険者ごとに均等に負担する均等割の4方式により賦課する場合と、資産割を除く3方式により賦課する場合がございます。国保の保険料は世帯ごとに賦課されるものでございますが、御質問の均等割については、世帯の人数に応じて負担するということになるものでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)世帯の人数に応じて均等割が課せられるということで、全国知事会で減免を求めておられますが、再度知事に、この問題をどのように認識しておられるのか、7問目ですけども、お聞きいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来、健康医療福祉部長が述べましたとおり、国民健康保険には被用者保険制度にはない均等割保険料がありますことから、子供であっても、その数に応じて保険料が賦課されることになりまして、医療保険制度間に不均衡があるということとともに、子供が多いほど保険料が高くなるという課題があると認識しています。こうしたことから、全国知事会を通じて、子供の均等割保険料軽減措置の導入を求めているところでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)それでは、現状についてお聞きします。18歳未満の国保加入者は何人おられるでしょうか、健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  平成31年3月31日時点でありますが、2万4,353人おられます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)では、18歳未満の国保料の均等割をなくすとすれば、どのぐらいかかるのでしょうか、健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  先ほど申し上げた平成31年3月31日時点の子供の数を前提といたしまして、さらに、均等割保険料の額は、低所得の世帯においては一定の法定軽減がなされているところでございますが、本県において、この法定軽減を受ける世帯の子供の数の詳細が把握することができておりませんので、全国における法定軽減を受ける子供の割合の数値を用いて推計した粗い試算となりますが、約5億円ということになります。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)約5億円ということで、市町で半分こすれば2億5,000万で子供さんの均等割をなくすことができるということだと思います。  県下の19市町のこの均等割は、表に掲げているとおりであります。(資料掲示)ここは介護納付金分も含まれていますので、ここから1万円を引けば、大体子供に係る滋賀県での均等割は1人当たり3万から4万円ということになります。子供がふえたら、3万円から4万円、年間の国保料が上がるということになります。米原市の市長がおっしゃっておられたように、県として、この子供に係る均等割の減免を求めるものですが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 御案内のとおり、国民健康保険は、我が国の医療保険制度を支える基盤として国がスキームをつくっております。このため、子供に係る均等割の取り扱いについては、県や市町の独自の取り組みによるべきではなく、国として制度化していただくことが必要であると思います。したがって、県としては、先ほど来述べております子供に係る均等割軽減措置の導入について、全国知事会等を通じて国に要望を行っております。  先ほど健康医療福祉部長が答弁いたしましたとおり、市長会議等で意見が出ているということでございますので、今後、どのようにまた国に言うのか、また、県内で考えるのかということについては、市町と意見交換をしてまいりたいと考えております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)市長会で意見が出ているというのは、県内で保険料統一ということであれば、この均等割についても統一で軽減をしてはどうかということであります。少なくとも統一をして保険料が安くなってよかったということにならないかということで提起をされたというふうに思います。子供の均等割については、問題としては、知事もそれは認識をしておられると思いますが、国がやらないのならば、県としてやはりそれなりの納付金を、県として独自の繰り入れもして納付金をさらに下げて市町を応援する、さまざまな方法があると思いますけれども、問題という認識はされていますし、国がやらないのならば、県として何とかその対策をとるということを再度求めたいと思いますが、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) あくまで現時点では、国をしてやるべきことだと考えております。したがって、全都道府県で協議しながら意見統一をして、国に制度改善要望をさせていただいております。  なお、市町からそういう提起があるということでございますので、しからばどういう方策を考えていけばいいのかということについては、しっかりと意見交換をしていこうと。現時点、我々は、やはり国をして、全国統一の基準として制度を改善していくべきだという論に立っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)別の議論になるんですけれども、市町が独自に条例において、子供の均等割について軽減、減免することについては、県は妨げないでしょうね。健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  子供に係る均等割の軽減措置の導入につきましては、ただいま知事も答弁いたしましたとおり、国保制度の持続可能性の観点からも、国において必要な対応がなされるのが望ましいと思っております。
     また、国は、市町の条例による減免は、あくまで個々の納税者の担税力いかんによって決定すべきものでありまして、納税者の総所得金額等の多寡等の画一的な減免基準を設けるのは適当でないというような解釈を示しておりまして、その点でも課題があるのではないかとは認識しております。  なお、知事が答弁いたしましたとおり、市長会議でも御意見を賜っておりますため、今後、市町の皆様の御意見を伺ってまいりたいと思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)国保法77条の解釈なんですけれども、特別な事情と認定すれば、それは市町の判断で軽減、減免ができると思いますが、そこは変わりないですよね。健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  この国民健康保険料の条例による減免、それは、もちろん最終的に市町が条例で定められるということと考えております。ただ、今申し上げましたとおり、県としては、国において必要な対応がなされるのが望ましいと考えておりますし、法解釈の点でも課題があるということは思っております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)国において対応がなされない今、県として取り組むことが必要だと思いますし、市町が国保法の77条において特別の事情と認定すれば、そこは妨げないということを確認したいと思います。  この77条に基づく減免措置を、減免をする市町があれば、県として補助すべきだと思いますが、見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  市町が条例に基づき行っている減免に対しましては、現在、県としては補助を行っていないところでございます。  また、現時点、県内で子供の均等割の減免制度を設けている市町はございませんため、補助について検討を行っていない状況でございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)これからやりたいという市町さんがおられますので、ぜひ、2億5,000万、県として半分出すよということを市町にメッセージを送っていただきたいと思います。  市長会議で出された子供の医療費助成について、県下の市町の状況について健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  ことし1月1日時点でございますが、通院に関しましては、就学前までを対象に実施されておられるのが4市、小学校3年生までが2市、小学校卒業までが1市、中学校卒業までが6市5町、高校卒業までが1町でございまして、入院に関しましては、小学校卒業までが1市、中学校卒業までが12市5町、高校卒業までが1町という状況でございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)県の制度を上回る取り組みが広がっていると思います。統一というならば、市町と協力して、今の滋賀県の就学前までの制度から年齢を引き上げる、ここを統一すべきではないかと思いますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) この子供の医療費助成制度につきましては、これは平成28年度から、県と市町とが協働しながら、小学校に入るまで自己負担なく、所得制限なく、入院、通院無料にという、こういう制度を整えたところでございます。その拡充につきましては、市町の状況も踏まえ、県の財政状況や、また、医師の状況、医療費の増高等を総合的に勘案する必要がございまして、当面は現行の対象年齢でこの制度を安定的に維持してまいりたいと考えております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)その答弁は、さきに杉本議員もこの問題を質問したときに論破されているような問題だというふうに思います。守山市長さんが言われたように、福祉医療についてまず統一できないのかと、保険料だけ統一して医療アクセスに不公平がある、成り立たないのではないかとおっしゃっています。福井県では、これまで3年生まで支援をされていましたけれども、新年度9月からは中学校まで拡充をされます。県よりも財政規模が小さい福井県で2億円の増額の予算が提案されています。ぜひとも年齢を引き上げて、中学校卒業までの医療費の無料化を求めたいと思いますが、再度お聞きしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) すいません、再度求められても、私の考えは、現行の制度を維持して安定的に運営していきたいということでございます。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)新年度の保険料ですが、(資料掲示)これは大津市が国保運営委員会に出された表でありますが、モデル世帯、所得200万、40歳の夫婦、子供1人の3人世帯で、滋賀県が示した標準保険料率の算定では、次のように、2.31%、8,525円の値上げが示されています。所得200万で保険料が37万8,335円と、およそ2割近くの保険料の値上げ、大津市では2年連続の値上げになろうとしています。  2期の国保運営方針について、さきの市長会議では標準保険料率を統一し、そして、3期では市町の保険料統一、4期では完成ということになりますが、令和9年度以降、激変緩和措置を終えるとの県の考えが示されているもとで、さらなる高い国保料になる、値上げになる統一化は撤回をすべきと思いますが、知事に見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) 保険料水準の統一という、この課題につきましては、国保の都道府県単位化に向けた市町との協議の中で、その方向性について合意を得まして、第1期の国民健康保険運営方針に、令和6年度以降のできるだけ早い時期の保険料水準の統一について検討し、進めていくことを記載したところでございます。これは、市町単位ではなく、全県で国保を支えようとする国保の都道府県単位化の趣旨を踏まえ、被保険者の負担の公平化を目指そうというものでございまして、既に医療費については全県で支え合っているところでございます。  しかしながら、先ほど健康医療福祉部長が答弁したとおり、第2期国民健康保険運営方針の策定に向けて、保険料水準の統一に関しましては、市町長の皆様からいろいろな課題や御意見等をいただいたことから、引き続き、意見交換を行いつつ、保険料水準の統一の時期も含め、市町の皆様と検討を重ねてまいりたい、行ってまいりたいと考えております。 ◆45番(節木三千代議員) (登壇)健康しがを掲げておられるこの滋賀県で、保険料の統一ということで値上げが推進されるということはあってはならないというふうに思います。命と健康を守るこの国民健康保険は本当に大事な社会保障制度です。ぜひ統一化の撤回を求めたいと思います。  質問を終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、45番節木三千代議員の質問を終了いたします。  最後に、2番本田秀樹議員の発言を許します。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇、拍手)きょう最後の質問者となりました。大変お疲れのところでございますが、通告書どおり質問をさせていただきます。  まず、1点目でございますが、農地集積と農業後継者問題についてお伺いをいたします。  担い手への農地利用の集積・集約化を加速させるためとして、政府が提出した農地中間管理機構法の施行5年後に見直しが成立をいたしました。見直しの主眼は、農地中間管理機構と地域で農地利用のコーディネーター役を担う組織である農業委員会、農業協同組合、土地改良区等の連携強化等であります。  本改正案の審査では、農地中間管理機構の実績に対する評価および課題、農地および担い手の確保に向けた地域の話し合いを推進する方策、中山間地域等の条件不利地域における農業および地域振興など、農地集積・集約化のあり方を改めて問う議論が展開されました。  今後、各地で創意工夫に基づいた新制度の活用が期待されるとともに、人口減少時代に農業および農地地域の振興に向けた農政の真摯な議論が求められております。  国は、農業の成長産業化のためには、農地利用の担い手への集積・集約化が重要であることから、担い手が利用する農地集積面積を8割目標達成に向けて各種政策を展開しております。  こうした中、農林水産省が令和元年6月発表した平成30年度版を見ると、当県の担い手への集積面積状況は、平成30年3月末で3万868ヘクタール、集積率59.7%となっており、全国平均の56.2%を3.5ポイント上回っている状況になっております。この背景には、滋賀県農地中間管理機構が行っている農地の貸し借りを行う農地中間管理事業が大きな役割を果たしているものと思われます。  中間管理機構事業がスタートした平成26年度から平成30年度までの実績を見ると、6,573ヘクタールの農地を滋賀県農地中間管理機構が借り入れしており、その面積は、本県の耕地面積5万1,700ヘクタールの12.7%に当たり、全国の5.2%を上回り、率で比較すると福井県に次いで全国第2位となっております。  今後も、農地中間管理事業による借り入れ面積は増加するものと推察しますが、課題も考えられることから、次の質問に対して知事の答弁を求めます。  1点目であります。現在の担い手数で滋賀県の耕地面積は維持することができるのでしょうか。現状をどのように分析されておられるのか、知事に見解をお伺いいたします。  2点目であります。国は、農地を担い手へ集積することに力を入れておりますが、山間部では、耕作者が不在で農地の遊休化が進み、苦慮されていると聞いております。現状をどのように受けとめておられるのか、知事に見解をお伺いいたします。  3点目であります。この先の農業経営を見据えたとき、現在の担い手を支える後継者がいなく、10年後には農業経営そのものを継続させることも難しいとの声も聞くこともありますが、本県のこうした状況をどのように分析されているのか、特に、集落で形成されている営農組合法人では深刻な問題となっていますが、知事の見解をお伺いいたします。  4点目、こうした後継者不足の問題の背景には、国が担い手への農地集積を進めるために交付金を支給し、離農者の増加を加速させたことが要因の一つではないかと考えております。  大型機械等で効率よく作業を進め、コストの削減を図ることは、農業経営にとっては重要なことと理解しますが、一方で、作業条件の悪い農地が取り残され、耕作者がなく遊休農地化し、農業の本来の多目的機能が失われ、近年の異常気象による災害にもつながっているのではないかと推察いたします。  国は、食料・農業・農村基本法に基づき、食料、農業、農村に関し、中長期的に取り組むべき方針として、おおむね5年ごとに食料・農業・農村基本計画の見直しを行っており、本計画を本年3月に閣議決定する予定をされております。その中での意見でも、農地集積ありきでは日本の農地は守れないとの意見もあったと聞いております。  農業生産を見据えたとき、国の進める集積も重要ですが、農地を守るという観点から、担い手だけではなく、守り手の観点から、個人小規模農家への本県独自の政策を展開することは考えられないのか、知事に見解をお伺いいたします。  最後の5点目でございますが、日本の農業は、家の生業として家族経営で行われてきて、そうした家族の営みの姿を見てきた子や孫が農業の後継者となり、農業が維持をされてきたと考えます。  こうした中、近年は、農業者ではなく、農地の所有者も世代交代しており、農業に関する関心も薄らいできております。農地を維持するには、固定資産税、土地改良賦課金等の経費もかかり、小作料だけでは農地を継続保有していくことができず、農地を相続放棄される状況もあると聞いております。相続放棄された農地は、小作もできずに遊休農地化へと進展していくことが懸念されます。  こうした現状も見据えて、農地を農地として維持するための農業政策は、環境問題や災害の未然防止など、将来の負担軽減を図る観点からも重要と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 ○議長(生田邦夫) 2番本田秀樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)答弁をさせていただく前に、1点御報告がございます。  本日、一般財団法人日本穀物検定協会から令和元年度の食味ランキングが公表されました。本県産コシヒカリとみずかがみの2品種が最高ランクの特Aに評価されたとの知らせがありました。(拍手)ありがとうございます。本県産のコシヒカリが悲願でありました特Aに評価されたのは今回が初めてでございまして、あわせて、みずかがみが特Aを奪還できたことを大変うれしく、また、誇りに思います。  この結果は、生産者の皆様のたゆまぬ御努力、また、関係者の皆様の多大な御協力のたまものであるとともに、環境こだわり農業を推進する本県にとりまして、近江米のブランド力向上を図る上で力強い後押しになるものと考えております。引き続き、生産者の方々や関係者の皆さんと一丸となって近江米ブランドを守り、高め、また発信していきたいと思いますので、今後ともお力添えをよろしくお願いいたします。  それでは、農地集積と農業後継者問題について、5点御質問をいただきました。総じて議員の危機意識は私も共有しております。同じ思いからお答えをしたいと思います。  まず、1点目、担い手数の現状分析についてでございますが、平成30年度末の個別経営の認定農業者や集落営農組織数につきましては、それぞれ2,413経営体、また、集落営農の組織は619組織でございまして、本県耕地面積5万1,700ヘクタールのうち59.7%が主にこれらの担い手に集積している状況にございます。  個別経営の認定農業者数は、近年横ばい状態となっておりまして、また、集落営農組織におきましても、法人化が可能なところはほぼ法人化しておりますことから、担い手の総数としては、現状から多くの増加は望めないと考えております。  一方、今後も高齢化等によりリタイアされる農業者数は増加することから、新規就農者の確保、育成、担い手への農地集積・集約化、経営の複合化や多角化により経営体質の強化を図ることが必要でございます。  これら認定農業者や集落営農組織などの担い手が、小規模農家や兼業農家などとともに本県の耕地面積を維持していくことが必要と考えております。  2点目、山間部の農地の現状についてでございますが、県内の耕作されずに荒れている農地は、平成30年11月末現在で約1,670ヘクタールでございまして、これは年々増加しております。これらは中山間地域に多く分布しており、こうした地域では、耕作条件が不利であり、地域の担い手等が農地を引き受けることが難しくなっているものと認識しています。このため、県では、いかに農地を守っていくかなど、地域での話し合いや、話し合いに基づく集落営農組織の立ち上げといった実践活動などを支援しているところでございます。  3点目、担い手の後継者の現状についてでございますが、個別経営の認定農業者につきましては、経営規模が小さいと所得が十分に上がらず、後継者を確保できないことから、経営の継続が困難と考えます。また、集落営農組織については、国の調査によりますと、リーダーなどの役員やオペレーターの高齢化で、今後10年後の人材の見込みが立たない法人が約6割あるなど、集落営農法人においても後継者問題が顕在化してきていると認識しております。  このため、経営規模の小さい認定農業者については、農地の集積や、園芸作物の導入など経営の複合化による経営体質の強化を図ってまいります。また、集落営農法人では、経営体質の強化とあわせて、集落内での人材調査や発掘、集落営農組織間の連携を進めることにより、経営の継続性を高めてまいりたいと存じます。  4点目、個別小規模農家への本県独自施策についてでございますが、農地を守り、農業を持続可能な産業とするためには、認定農業者や集落営農組織などの担い手が効率的かつ安定的な農業経営を実現する必要があると考えております。あわせまして、こうした担い手と小規模農家がそれぞれの役割を果たしながら本県の農業を支える構造の確立が重要と認識しております。  本県では、兼業農家が多く、個人小規模農家では収益が上がらず、経営の継続が困難でありますことから、本県の独自施策として、早くから集落営農組織の設立や運営を支援してまいりました。今後も、集落営農組織につきましては、農地の集積・集約化、複合化、多角化などにより経営体質の強化を図り、小規模農業者が参画できる組織の強化を図るとともに、規模が小さくても意欲の高い農業者には、収益性の高い園芸作物の導入を支援してまいりたいと存じます。  最後、5点目、農地を維持するための農業政策についてでございますが、農地、とりわけ水田は、洪水や土壌の流出防止、また、水質浄化や生態系の保全といった多面的機能を有しております。農地が維持できなくなれば、こうした多面的機能は低下し、県民にとって大きな損失になると認識しております。  このため、県といたしましては、将来の負担軽減という観点からも、担い手対策、農地集積のほか、中山間地域等直接支払制度や、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策などの取り組み全体を通じて、必要な農地が維持されるよう力を尽くしてまいりたいと存じます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、再問のほうをさせていただきたいと思います。  中山間地域等には果樹産地が多く存在しますが、果樹農業では、水稲農業に異なり、担い手や農地利用のことだけで関係者が集まる習慣がございません。中山間地域等で新たに話し合いから始めなければならないところが多く、また、中山間地域等直接支払交付金等の集落協定等を議論する場の活用が期待をされております。中山間地域は、農地面積が少なく、のり面が長く、また、農業に対する労働時間が平地より多く、獣害によるリスクも多くあります。もちろん大型機械での農作業は不可能であります。  しかし、こうした地域が農業を維持することで、多面的機能が保たれ、下流への雨水災害が回避されております。中山間地域を含め、再度、滋賀県の農業を考えてみたいと思います。滋賀県は、集落農業の最先端の地であります。兼業農家を愛し、地域を守ってきました。しかし、農業を離脱すれば交付金がもらえると、また、農業を愛する農家までが離脱させ丘に上げてしまいました。親の背中を見る機会のない中で、親の苦労を知らない息子が後継者として育つことはないと思います。  そこで、再度質問をいたします。  滋賀の農業は地域で守られてきました。滋賀は、担い手を中心に、兼業農家も共存した農業を展開すべきではないでしょうか。こうしたことで、少なくとも後継者候補は少なからず増加すると考えます。担い手と兼業農家が共存できる農業施策の展開を求めますが、再度知事に見解をお伺いいたします。  後継者を確保できない大規模経営者の離農と、これによる農地の耕作放棄地については、政府は、このリスクはふえるとの認識を示した上で、機構を通じて賃借ならば、当面、担い手がいなくなると農地は機構に戻り、機構が新たに担い手を探す、こうした機構の機能は今後重要な部分となりますが、県としての考えを再度知事にお伺いをいたします。  安定的な兼業農家を農地の出し手としてのみ据えるのではなく、地域を支え、農地を維持する貴重な存在として政策的に位置づける時期に来たのではないかと思います。  担い手のみならず、兼業農家への農地を集積し、これらの経営体に後継者がいるという姿をつくることで、農地を次世代に引き継いでいくことということを考えますが、再度知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 再問いただいた3点のことは、いずれも、農業県滋賀県が今後も滋賀県らしく、滋賀県ならではの豊かさや幸せを追求していくという意味で、大変重要な御示唆ではないかと承りました。順次お答えいたします。  まず、兼業農家と共存できる農業政策を展開すべきだということについては、地域で農業を守っていくためには、農村の活力を高めることが重要であり、そのためには、担い手だけではなく兼業農家も役割を果たしていただくことが重要でございます。例えば、地域資源の活用といった農村の6次産業化や、農泊──農家民泊などの取り組みは、農村の活性化に結びつけることができ、兼業農家などの参画も見込むことができると存じます。また、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策の取り組みでは、土地持ち非農家も含めた共同活動により、農業生産基盤の維持管理を実施しているところでございます。農村の活力を向上させるために、このような担い手と兼業農家がともに役割を発揮していけるような農業政策を引き続き着実に進めてまいりたいと存じます。  また、2点目、不在となった場合ですね。担い手が不在となった場合の農地中間管理機構の役割についてでございますが、機構が借り受けた農地の耕作者が不在となった場合、機構は、農地所有者を介さず、新たな耕作者を探す機能を有しております。この機能は、機構に農地を貸しつけた農地所有者にとって大きなメリットであるとともに、本県における耕作されずに荒れている農地の発生の抑制に重要な役割を果たしていると認識しております。今後も引き続き、こうした農地ができる限り発生しないように、機構初め、市町やJA等と連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。  最後、担い手のみならず、兼業農家にも集約しながら、後継者がいるという姿をつくること、また、次世代に農地を引き継いでいくということについてでございますが、本県の農業、農村を持続可能なものにするためには、認定農業者や集落営農組織などの担い手と兼業農家等がそれぞれ役割を果たしながら農地が維持されていることが必要でございます。  このため、生産の担い手という視点からだけではなく、農業とかかわる人をふやしていくため、現在策定中の次期農業・水産業基本計画において、兼業農家や自給的農家、土地持ち非農家も位置づけて、より充実させられるように検討してまいりたいと存じます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、次の項の質問をさせていただきます。  琵琶湖を守る姿勢についてお伺いをいたします。  現在、日本が抱える多くの問題がありますが、地方自治体として滋賀県が早急に取り組む課題の一つとして、残土や汚染土壌による琵琶湖の汚染の問題等があります。国も石綿処理の法制化をかなり厳しく規制されているようですが、滋賀県を考えますと、石綿に限らず、残土や汚染土壌の投棄が多くうわさされております。  三重県が、残土、汚染土壌の埋め立て等の規制する条例を4月から施行されます。その要因の多くは、関東からの残土と言われております。  県内の処理施設を見ますと、2から3カ所の汚染土壌の処理をされているところはありますが、県外から受けている業者は1者のみで、処理業者の近隣には残土捨て場が集中をしております。  汚染土壌を浄化したと言われる土を盛り土材として多く使われている状況を見ますと、決して安全とは言えません。最終には、琵琶湖の水質の大きく影響し、地下水に浸透するのではないかと不安であります。県外からの持ち込みの禁止を求める必要があると考えます。また、琵琶湖を守る最大の事案でもあると思います。  滋賀県では、琵琶湖の保全再生に向けてさまざまな取り組みが実施をされていますが、このような取り組みに加えて、琵琶湖を守るためには、残土の埋め立てや汚染土壌の処理に伴う課題に取り組むことも重要であると考えます。  そこで、琵琶湖を守る基本姿勢について、4点、知事にお伺いをいたします。  まず、1点目でございますが、残土の埋め立てに係る規制についての状況をお伺いをいたします。  次に、2点目でございますが、本県における残土の埋め立てによる地下水汚染が懸念されますが、取り組み状況についてお伺いをいたします。  3点目でございます。土壌汚染対策法では、汚染土壌の処理について規制されております。県内における汚染土壌の処理についてお伺いをいたします。  次に、4点目でございますが、滋賀県では、法律や条例による県独自の厳しい排水規制が行われ、また、琵琶湖で淡水赤潮が発生したときは、主婦層を中心とした石けん運動など、行政だけではなく、事業者、県民が一体となって琵琶湖を守ってきました。そうした取り組みは一定の成果が出ておりますが、これまで以上に琵琶湖を守る取り組みを進めるためには、残土の埋め立てや汚染土壌に伴う環境汚染を防止していくことも重要であると考えますが、琵琶湖を守る知事の基本姿勢をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖を守る姿勢について、4点御質問いただきました。  まず、1点目、残土の埋め立てに係る規制の状況についてでございますが、建設工事に伴いまして発生した土砂である建設発生土、いわゆる残土の移動や処分に関しましては、砂防法、森林法、宅地造成等規制法など、災害の防止等の観点から一定の法規制はございますが、環境保全に関する具体的な法規制はございません。ただし、廃棄物が混入した残土につきましては、廃棄物処理法により、許可を得た処分場以外における埋め立ては禁止されているなど、生活環境保全上の支障なく適正に処理するよう規制がなされているところでございます。  2点目、残土の埋め立てによる地下水汚染に関する取り組み状況でございますが、残土は、有害な物質が含まれていなければ地下水汚染を引き起こす心配はございませんが、廃棄物が混入した残土はその恐れがあり、廃棄物処理法により適正に処理するよう規制されております。  本県におきましては、産業廃棄物の不適正な処理の未然防止と早期発見のため、休日、夜間を含めたパトロール、監視カメラやドローンによる監視のほか、排出元となる建設、解体現場での指導啓発に取り組んでいるところでございます。  3点目、県内における汚染土壌の処理についてでございますが、土壌汚染対策法では、汚染土壌の処理を業として行おうとする者は、汚染土壌処理施設ごとに許可を受けなければならないと規定されており、本県内には1者のみいらっしゃる、そういう状況でございます。  土壌汚染処理業の許可を受けるためには、汚染土壌処理施設に関する基準に適合している必要があり、屋根および厚さ10センチメートル以上のセメントコンクリートの層を設けるなど、有害物質の地下への浸透を防止するために必要な構造を有することが求められております。当該業者に対しましては、許可権者である大津市により立入検査が実施されており、汚染土壌の保管や処理の状況、施設の維持管理等について、法の基準に適合しており、問題ないことが確認されているということでございます。  4点目、琵琶湖を守る基本姿勢についてでございますが、琵琶湖を守るためには、湖内のみならず、湖の中のみならず、琵琶湖集水域である周辺の環境もしっかり守っていかなければなりません。このため、廃棄物が混入した残土や汚染土壌等による琵琶湖への影響についても重要な問題と認識し、市町とも連携しながら、廃棄物処理法や土壌汚染対策法など関係法令等によりしっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。  また、こうした取り組みに加え、広域的に移動する残土に対応するため、近畿ブロック知事会から国に対し、建設発生土の適正処理に係る法制度の整備についての提言を行っているところです。  今後も、関連するさまざまな規制を的確に運用するとともに、関係機関が連携して、環境汚染のない美しい琵琶湖を将来世代に確実に引き継げるよう守ってまいりたいと存じます。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、この項の再問を1問させていただきたいと思います。  今ほどの知事の基本姿勢については大変理解をいたしました。ここで、個別具体の事案に対して、どのように取り組んでいくのか、知事の決意をお伺いして、この項の再質問を終わりたいと思います。
    ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  廃棄物が混入した残土や汚染土壌に係る事案に対しましては、廃棄物処理法や土壌汚染対策法など関係法令等の運用により、関係機関、各市町とも十分連携を図り、厳正に対処してまいります。対応に当たりましては、近隣府県とも情報共有を一層図るとともに、パトロール、立入検査、監視カメラやドローンなど、さまざまな手段を講じながら適正処理の指導と監視を強化してまいります。こうした取り組みにより、事案の未然防止や早期解決に向け、しっかりと対応してまいります。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、次の項の質問をさせていただきます。  非常用発電設備および災害時の対応についてお伺いをいたします。  非常用発電設備については、災害時、本部が設置される庁舎においては、災害時発生時等に備え、あらかじめ非常用電源の整備を早急に図り、非常用電源の整備は緊急防災・減災事業債の対象事業であることから、その活用を検討することになっております。  非常用電源の活動時間については、72時間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とすることが望ましいとされております。発災直後から、応急対策の重要性に鑑み、大規模な災害が発生した場合には、物資の調達や輸送が平常時のようには実施できないという認識のもと、72時間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働できるよう、あらかじめ燃料等を備蓄しておくことが必要であります。  また、停電の長期化に備え、1週間程度は災害対応に支障が出ないように準備することが望ましく、その際、軽油、重油等の備蓄量等は、消防法、建築基準法等により制限されている場合もあることから、あらかじめ燃料販売事業者等との優先供給に関する協定に締結等も検討しなければなりません。  災害発生時の際は、地方公共団体の庁舎も被災するおそれがあるため、適切な措置をとり、非常用電源の設備に支障を来し、稼働できない事態も想定されることから、災害による停電時にあっても、確実に非常用電源を稼働させるため、浸水想定より上部への設置や転倒防止の措置など、非常用電源に対する浸水や揺れに備えた対策が必要だとなります。  そこで、知事にお伺いをいたします。災害対応の拠点となる県有施設における非常用発電設備の設置および点検の状況についてお伺いをいたします。  次に、災害対策本部等が設置される市町の庁舎における非常用電源の設備状況についてお伺いをいたします。  また、たとえ非常用電源が整備されている場合であっても、浸水対策や地震対策がされていなければなりません。これらの状況についてもお伺いするとともに、県は市町に対し、どのように指導等を行っているのか、あわせて知事にお伺いをいたします。  また、災害対策本部の拠点となる行政機関等の庁舎については、ある程度の整備が進められていると思いますが、住民などが避難する避難所については、まだまだ整備が進んでいないと思われます。指定避難所における非常用電源の整備状況について、知事にお伺いをいたします。  災害時は、特に医療体制の確保が重要となります。人工透析の患者さんは、最低でも3日に1回は透析を受けなければなりません。施設や設備の破損、停電や断水など、ライフラインの途絶によって治療が継続できなくなる透析医療機関が発生するおそれがあります。本県でも、大地震が発生すれば、ライフラインの途絶によって治療が継続できなくなる透析医療機関が発生するおそれがあります。災害時にも確実に透析治療が受けられる平常時からの備えることが必要であります。災害時における人工透析患者さんの医療体制を確保するため、県はどのように取り組んでいくのか、非常時の体制整備の状況も含め、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 非常用発電設備および災害時の対応について、全体で4点御質問のうち、私に3点御質問いただきました。順次お答えいたします。  1点目の非常用発電設備の設置状況についてでございますが、災害対応の拠点となる危機管理センターにつきましては、商用電源の供給が途絶えても72時間以上の活動継続が可能となるよう、非常用発電設備を設置しております。  県庁本庁舎につきましては、東館地下に稼働時間20時間程度の非常用発電設備が設置してありますが、現在実施中の更新工事において、72時間の連続稼働が可能な設備を地上に新設することとしております。  災害対策地方本部および災害医療地方本部が設置される合同庁舎、保健所につきましては、全てに非常用発電設備が設置されておりますものの、出力が十分とは言えないところもありますことから、本庁舎同様、更新の機会に機能向上を図っているところです。  高島合同庁舎につきましては、今年度、72時間連続稼働可能な設備を設置したところです。  なお、1週間程度の停電の長期化に備え、これらの非常用発電設備の連続稼働のための燃料補給につきまして、滋賀県石油商業組合等と協定を結んで、いざというときに対応することとしております。  2点目、災害対策本部等が設置される市町の庁舎における非常用電源の整備状況等についてでございますが、昨年6月1日現在、非常用電源設備は15市町で整備されており、そのうち浸水対策につきましては13の市町で、地震対策につきましては14の市町で対策が講じられているとのことでございます。また、外部からの供給なしで72時間以上の稼働が可能な市町は8市町、優先供給できるよう燃料供給事業者等との燃料供給に関する協定が締結済みである市町は10市町と承知しております。  こうした結果を踏まえまして、市町に対しましては、災害発生時に備えた非常用電源の早急な整備、非常用電源の浸水対策、地震対策、また、外部からの供給なしで72時間以上稼働できるよう燃料等の備蓄、燃料販売事業者等との優先供給に関する協定の締結について、必要な取り組みを進められるよう助言させていただいているところでございます。  また、こうした非常用電源の整備や浸水、地震対策などにつきましては、緊急防災・減災事業債の対象でありますことから、その活用を検討するようあわせて助言させていただいております。  最後、3点目、指定避難所における非常用電源の整備状況についてでございます。  現在、県内において、市町の指定避難所は977カ所ございます。そのうち常設型の自家発電設備を整えておりますのは37カ所でございますが、指定避難所によりましては、可搬型の小型発電機を整備されていたり、市町の庁舎等に備蓄されている小型発電機を災害発生時に避難所に配備するなどの工夫をされております。  指定避難所におきましては、非常用電源の配備に努めるよう県の地域防災計画においても定めておりまして、災害時、発災時の円滑な避難所運営が行われるよう、県としても非常用電源の配備が一層進むよう助言を行ってまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)非常用発電装置および災害時の対応のうち、私にいただきました災害時透析治療体制についてお答えをいたします。  災害発生時に透析患者の方に必要な医療を確保するために、県では災害時人工透析マニュアルを定めまして、平常時や災害発生時の対応を定めているところでございます。  このマニュアルに従いまして、平常時から、例えば、県は、毎年、県内の人工透析医療機関の設備や患者数、さらには災害に備えた対応状況を調査いたしております。また、人工透析患者の方に対しまして、災害時にどのように対応したらよいのかを確認するための人工透析患者災害時対応シートというものを人工透析医療機関を通じて配布をいたしております。  加えまして、発災時の体制がうまく機能するように、透析災害情報伝達シミュレーション訓練を県内の全ての人工透析医療機関とともに実施をいたしております。  大規模災害が県内で発生いたしました場合は、マニュアルに従いまして、琵琶湖透析医会災害時透析ネットワークシステムを活用いたしまして、人工透析医療機関の被害状況を把握いたしますとともに、人工透析が不可能となった医療機関の患者さんを透析可能な医療機関へ受け入れられるよう調整することができる体制を整えているところでございます。  今後とも、人工透析医療機関と行政との連携強化を図るとともに、昨年度設置いたしました人工透析災害時支援関係者会議で検討を行って、課題の分析や体制の改善を図ってまいりたいと思っております。 ◆2番(本田秀樹議員) (登壇)ありがとうございます。  何点か再問をさせていただきたいと思います。  今後の新しい建物については、非常用電源の設備は整っていると思います。しかし、既存の非常用電源に対する浸水、地震対策、上層階への移設、防護板の設置や機能強化、非常用電源の出力の向上、稼働時間延長のための燃料タンクの増設等についても重要と考えておりますが、今後の取り組みについて、再度知事に考えをお伺いをいたします。  県としての人工透析の取り組みについては十分理解をいたしました。人工透析患者災害時対応シートの作成や、また、滋賀県透析災害情報伝達訓練実施手順書、また、実施要領などがあります。  しかし、ライフラインがとまれば、固定電話、携帯、パソコンなどが使用はできないと考えます。インターネットの使用やホームページを見ることもできず、医療機関や保健所、市町役場、避難所に連絡ができないと思います。このような状況を踏まえ、どのように情報伝達をされていくのか、また、市町や民間とどのように連携を考えていくのか、再度、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 私にいただきました既存の非常用電源に対する対策についての取り組みということでございますが、既存の非常用電源設備の中には、先ほど答弁いたしましたとおり、出力不足のものや稼働時間の短いものがあったり、浸水対策等も含め、改めて施設の状況を確認した上で方策を検討してまいります。  特に、災害時の応急対策の重要性に鑑み、外部からの供給なしで72時間以上の稼働ができるよう、まずは、現施設を生かしたタンクの増設などについて検討するとともに、72時間稼働対策ができるまでの間につきましては、協定による燃料供給により、確実に対応できるよう調整を行ってまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 私にいただきました再質問、インターネットや電話など途絶えた場合の対応についてでございます。  確かに、現在の災害時人工透析マニュアルにつきましては、通信手段が有効であるということを前提としたものでございまして、全ての通信手段がとまった場合というものは想定ができていないところでございます。  災害発生時の状況にもよると思いますが、まずは、そのような場合に備えて、平常時から情報伝達の仕方や避難場所、あるいは避難方法などを人工透析の医療機関と患者さんで共有をしておくこと、あるいは、市町が作成をいたします避難行動要支援者名簿にあらかじめ登録をするなど、災害発生時に人工透析が必要な患者さんの動向を確認できる手段をふやしておく、そして迅速な支援につなげるようにしておくということが大切かと考えております。  ついては、電話等は通じても、例えば透析ネットワークが稼働しないというような場合も含めまして、情報伝達手段が途絶えた場合の連携体制については、今後、幅広く検討して、対応マニュアルあるいは災害時対応シートの改善を図ってまいりたいと思っております。 ◆2番(本田秀樹議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、2番本田秀樹議員の質問を終了いたします。  以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。  明27日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時32分 散会    ────────────────...