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令和 元年11月定例会議(第16号~第22号)-12月11日-06号

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  1. 滋賀県議会 2019-12-11
    令和 元年11月定例会議(第16号~第22号)-12月11日-06号


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    令和 元年11月定例会議(第16号~第22号)-12月11日-06号令和 元年11月定例会議(第16号~第22号)                 令和元年11月定例会議会議録(第21号)                                        令和元年12月11日(水曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         令和元年12月11日(水)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第196号から議第210号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  追加 会議録署名議員の補充指名の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(43名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   清  水  ひ と み    7番   村  上  元  庸       8番   河  井  昭  成
       9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江    11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    18番   大  橋  通  伸       19番   駒  井  千  代    20番   中  村  才 次 郎       21番   桑  野     仁    22番   周  防  清  二       23番   海  東  英  和    24番   加  藤  誠  一       25番   竹  村     健    26番   佐  藤  健  司       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       33番   生  田  邦  夫    34番   川  島  隆  二       35番   奥  村  芳  正    36番   木  沢  成  人       37番   清  水  鉄  次    38番   冨  波  義  明       39番   江  畑  弥 八 郎    40番   成  田  政  隆       41番   九  里     学    43番   今  江  政  彦       44番   中  沢  啓  子    45番   節  木  三 千 代            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(1名)    17番   山  本     正            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               選挙管理委員会委員長      世  古     正               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      高  橋  啓  子               代表監査委員          藤  本  武  司               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(生田邦夫) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(生田邦夫) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  人事委員会西原節子委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会北村嘉英委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として高橋啓子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第196号から議第210号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(生田邦夫) 日程第1、議第196号から議第210号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、20番中村才次郎議員の発言を許します。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。どうかよろしくお願いいたします。  最初に、県営施設でのキャッシュレス決済について質問をさせていただきます。  日本のキャッシュレス比率は約20%、また、中国の60%、アメリカの46%、韓国96.4%などと比べると日本はおくれていると、このように言われています。  日本政府としても、少子高齢化や労働者不足の対応策としてキャッシュレス化にようやく本腰を入れ始めました。2018年4月、経済産業省は、2025年までに、紙幣、硬貨を使用しないキャッシュレス決済を40%まで引き上げるキャッシュレス・ビジョンを策定しました。また、インバウンド対策として、2020年までに、外国人が訪れる主要な施設、観光スポットにおいて、100%のクレジットカード決済対応を目指すことも公表しています。  もう広く認知されているところでございますけれども、消費税が10%へ引き上げとともに、この増税感を緩和するために、10月1日から、登録店でのキャッシュレス決済をすると購入代金の2%から5%が還元されるキャッシュレス・ポイント還元事業が始まり、キャッシュレス決済が大きな話題となっています。  今まで現金支払いしかしなかった方も、このような背景の影響もあり、キャッシュレス決済を始めたという方も少なくないでしょう。実は私もそうでございます。面倒な手続がなく、スムーズな決済ができることに加え、ポイント還元などのメリットもあり、まずは来年の東京オリンピックまでにますます普及するというふうに考えられます。  日本経済新聞の調査では、4割の消費者がポイント還元を機にキャッシュレスの利用に前向きになったと記事があったほどです。  そんな中、市県民税、国民健康保険の保険料、介護保険料、固定資産税、自動車税等々をキャッシュレスで支払いできるようにしている自治体もふえてきました。滋賀県でも、本年5月からLINEの決済サービスを利用して県税を納めることができるようになりました。自動車税、個人事業税、不動産取得税等、県税の全税目についてキャッシュレス決済で納税することができます。  こうした公金収入についての取り組みについては、6月議会において竹村議員が詳しく質問されておられますので、省かせていただきます。  キャッシュレス決済ができる店舗数ですけれども、10月1日のときには約50万店であったのが、12月2日の経産省の発表によると約86万店に増加したそうです。  では、キャッシュレス決済で支払いができる店舗がふえていく中で、県営施設はどうでしょうか。  最初に質問をさせていただくのは、県内で窓口で入場料等を支払う必要がある県営施設はどのようなものがあるのでしょうか、総務部長に伺います。 ○議長(生田邦夫) 20番中村才次郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  入場や観覧を目的とした料金を徴収している公の施設でございますが、琵琶湖博物館、陶芸の森、醒井養鱒場、安土城考古博物館などがあるものと認識しております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)それでは、また、その支払いはキャッシュレス決済が可能でしょうか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  先ほど申し上げた施設の入場等の料金につきましては、現在、キャッシュレス決済は御利用いただけないものとなっております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)私もバッジつけさせていただいておりますけれども、連続テレビ小説「スカーレット」も放映中であります。何とかうまく結婚できるといいなというふうに思ってますけど。  また、来年は「麒麟がくる」が放映され、県内における観光客の増加が見込まれます。外国人の観光客にも、この滋賀県にもっと来ていただきたいというふうに思います。  外国で普及しているキャッシュレス決済、また、日本でも普及が進んでいる現状の中で、県営の施設でもキャッシュレス決済を導入することが必要なのではないでしょうか。  これは県営ではなくて彦根市の管理ですけれども、彦根城や彦根城博物館では、JR西日本の交通系ICカードが使えるそうです。なぜ県営施設で進まないのか。問題なのは、施設の所管部がそれぞれ違うことにあるというふうに、一つの原因があるというふうに思います。  ここで、知事に伺います。所管部局を横断し、県営施設への入場料をキャッシュレス化できるように取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  今ほど総務部長がお答えいたしました県営施設の入場料について、キャッシュレス決済を導入することは時代の趨勢であり、来館者の利便性向上や、訪日外国人など観光客の増加も期待できると考えます。他方、導入に当たりましては、システムの初期投資や決済手数料など一定のコストも要することが考えられます。  このようなことから、一定規模の入場料が見込まれる施設──これは琵琶湖博物館──と関係部局──こちらは会計管理局──が連携し、他府県の導入状況も参考にしながら、研究、検討を始めており、費用対効果や徴収事務委託の方法の検討など、課題があることがわかったところでございます。  今後は、これらの課題解決に向けて、さらに研究、検討を進めてまいりたいと存じます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)ありがとうございます。  研究していくというふうにお答えをいただいたのですけれども、ここまで進んでいる中で、速やかにするべきだというふうに思います。直営の施設、琵琶湖博物館ですけれども、これは、来年、全面のリニューアルも──7月1日ですか──に行われますし、少なくともそれに合わせては、ぜひすべきであるというふうに思います。  また、指定管理の他の施設、県営の施設についても、これは県の指導のもとでキャッシュレス化を速やかに進めていくべきだというふうに思うのですが、もう一度、御答弁をよろしくお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のように、博物館リニューアルのタイミングは一つの大切なタイミングだと思います。  聞いてみますと、中のショップはキャッシュレス決済ができるらしいんですけど、入り口の入場ではキャッシュレス決済ができないという、こういうこともあるようでございまして、ただ、お答えいたしましたように、初期投資が要ることと、決済手数料がかかると、これを導入したからといってそれを上回るものが何か入ってくるのかどうか、この見きわめも要るだろうということもございますので、いま少し時間下さい。その上で判断をしたいと思います。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)いましばらくというふうにおっしゃっていただきましたけども、ぜひ速やかにお願いしたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  キャッシュレス決済は、便利な反面、またデメリットも存在します。  ことしの7月、セブン・ペイに対する不正アクセスが発生しました。リリース直後に問題が発生し、その後、次々と被害報告が寄せられるようになりました。7月31日時点で、808名のユーザーが第三者によって不正チャージおよび不正利用されたと確認をされました。不正アクセスされた後、登録されたクレジットカードやデビットカードを通じて、チャージ、商品購入を行われており、被害総額は約3,860万円に上りました。  また、事業者だけじゃなくて、キャッシュレス決済を利用する側にも、我々のほうにも問題があるというふうに思います。忘れやすかったり面倒であったりするために、IDやパスワードをどれも同じものを利用する場合が多い。自分も気をつけなくてはいけないんですけれども、これは被害に遭う危険性が高くなります。IDやパスワードが特定されてしまいますと、甚大な被害に発展する可能性があります。
     この項目の最後の質問ですけれども、キャッシュレス決済の正しい活用方法、また、危険性を県民の皆様に広く伝える必要があると思いますが、総合企画部長に見解を伺います。 ◎総合企画部長(廣脇正機) (登壇)お答えいたします。  県では、平成30年度から滋賀県金融広報委員会と連携して実施している出前講座や、本年11月にNPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会滋賀支部と連携して実施した、くらしとお金講演会におきまして、キャッシュレス決済に関する講座を開催しております。  講座では、キャッシュレス決済の危険性として、例えば、お金を使っている感覚が薄くなり、使い過ぎるおそれがあることや、議員御指摘ございました、登録したクレジットカード情報が盗まれ悪用されるという可能性があるので、レシートの保管とか利用履歴の確認を行うことが大切などということをお伝えをしているところでございます。  さらに、本年11月には、独立行政法人国民生活センターと共催で、消費生活相談員を対象とした研修会を開催しておりまして、キャッシュレス決済に関する相談に対応するために必要な知識の向上にも努めております。  今後も引き続き、キャッシュレス決済にかかわる情報を県民の皆さんにわかりやすく提供し、消費者被害の防止に努めてまいりたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)県民の皆様がそういった被害に遭わないような啓発の活動を、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。  もう時代の趨勢であります。どんどん時代は進んでいきます。その中で、やはり行政もおくれてはいけない。また、国が進めている方向性でありますから、これを進めていかなくてはいけない、このように思いますので、県営施設でのキャッシュレス決済の導入、また、県民の皆様への啓発、しっかりと進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  私、大変思い出の深い、びわ湖フローティングスクールについて質問をさせていただきます。  昭和57年3月に県議会において──実は私、昭和57年に小学校の教員になりました──青少年の健全育成について、最近における非行の増加と低年齢化、一般化の傾向に対処するため、その背景にある子供の甘えや大人の過保護などを見直し、厳しい生活体験と集団訓練により、たくましい少年づくりを進めるために、滋賀県立びわ湖フローティングスクール事業の設置および管理に関する条例が議決されました。  こうして学校教育の一環としてびわ湖フローティングスクール事業は誕生し、昭和59年4月から初代うみのこの本格航海が始まりました。去年、平成30年の3月には、感慨深いのですけれども、うみのこ引退セレモニーが行われ、6月には、新学習船、2代目になる新船うみのこの出航式が挙行されました。  言うまでもなく、県内全ての小学校および特別支援学校、各種学校の5年生を対象としており、この37年間で児童の乗船者数は56万人を超えました。もう既に、親子でフローティングスクールの思い出話をする家庭も多くなってきた、滋賀県を代表する校外学習、学習の一つでございます。  この新学習船うみのこを、本格航海前に見学をさせていただきました。子供たちが活動しやすいように、構造上もさまざまな工夫がされていました。  環境に配慮した電気推進船であること、実験室や防災倉庫も備え、狭かった階段も広くなり、2本設置されていました。また、徹底したバリアフリー化で、障害のある子供たちにも活動がしやすいよう配慮されています。ICT機器も導入されて、船内無線LANが構築され、学習に電子黒板やタブレットなどを利用しています。これによって、乗船中のデータを持ち帰り、振り返ることができ、より探求的な学習につながる工夫がされています。既に乗った子供や大人、また、乗る機会がなかった人も、ぜひ一度乗ってみたくなる学習船だと思いました。  これまで56万人を超える子供たちが乗船したと申し上げましたが、今後もその人数はふえていきます。これだけの子供たちが琵琶湖について直接学ぶ機会を与えてくれるフローティングスクールの功績は、単に郷土について学ぶだけでなく、環境について考えるきっかけをつくってくれたり、他校の子供たちと一緒に乗船することを通し、人との交流を学んだり、大変大きな意義があるというふうに思います。まさに滋賀県の教育が誇るべきフローティングスクールが、子供たちにとってより一層深く心に残る学習になることを願って、質問をさせていただきたいというふうに思います。  新しいうみのこになってからの学習では、乗船するまでの事前学習でそれぞれの子供が課題を見つけ、乗船中にその課題を個人やグループで解決していく、課題別選択学習に力を入れる学校がふえているとお聞きしました。乗船後も、そのまとめをして発信をしていく活動もされています。  乗船後、子供たちと学校に対して8項目についての意識調査、アンケートですけれども、これが行われています。平成30年度の結果を見ますと、子供たちの意識調査では、「乗船前に確かめたかったことが見つけられたか」というのに対して89.7%、「航海中に、今まで知らなかったことや確かめたかったことを知ったり確かめたりできたか」が89%、また、「フローティングスクールの学習はよかったですか」というアンケートでは何と94.7%という結果が出ており、子供たちが大変満足している様子がわかります。積極的に学習に取り組むことができている結果だというふうに思います。  そこで、新しいうみのこになってからの学習効果について、旧船のときと比べてどう評価されているのか、まず、教育長に伺いたいというふうに思います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  まずは、学習備品の整備による効果が挙げられます。船内LANが整備され、タブレット型パソコンを導入したことによりまして、児童がタブレットを用いて、疑問に思ったことをその場でより詳しく調べることが可能となりました。また、水中カメラ、デジタル顕微鏡、電子黒板型プロジェクター、衛星写真シートなどを活用することで、子供の興味、関心が高まり、より主体的に学習に臨むことにつながっております。さらに、子供同士が学びを共有し、対話的に学習することも可能となっております。また、新しいうみのこでは、児童一人一人が自分の課題に応じて学習内容を考え、取り組むという、より探求的な学習形態となっております。  教員からは、「個々の児童が興味を持ったことを自由な時間配分で学習する課題選択型学習にして学びが深まった」といった声を多く聞いております。さらに児童アンケートでも、「航海中に学習が深められた」、また「友達との交流により考えを深められた」という感想が多く見られるところでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)ありがとうございます。大変すばらしいことだというふうに思います。  2点目からは、うみのこの船の構造と、子供たちの活動に関して少し伺いたいというふうに思います。  計画をされたときから、いろいろとこのことについては議論をされてきたところですけれども、就航後1年半がたち、改めてもう一度聞きたいというふうに思います。  先ほども言いましたけれども、新しいうみのこでは数々の工夫がされています。学習室兼食堂なども大変広くなりました。  しかし、気になったのは、また、そういう声が聞こえてくるのは、活動室兼宿泊室の広さでございます。多いときには165名程度の子供たちが乗船します。就寝するときには狭いというふうに思うのですけれども、どのように対応されておられるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  新しいうみのこの宿泊の児童の乗船定員は、180名でございます。児童が、ゆとりを持って就寝したり、活動したりできるよう、1航海当たり150名未満の乗船人員となるように調整をしているところでございます。  なお、乗船児童数が150名を超える航海、これは、本年度でいきますと約24%の航海が150名を超えておりますが、こういった航海では、旧船時と同様に、多目的室を宿泊室として利用することで、児童が快適に就寝できるよう、スペースの確保に努めているところでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)その多目的室、宿泊室ですけれども、そこで寝られないという場合にどうされているのか、もう一度聞きたいというふうに思います。 ◎教育長(福永忠克) 子供さん、児童一人一人の状況によって、やはりいろいろと敏感というか、子供さんなんかは、多目的室であるから厳しいのか、やはり船の中での宿泊が厳しいのか、ちょっとそれぞれの状況が、すいません、私も全て把握しているわけではございませんけれども、できる限り快適に就寝できるように、フローティングスクールの先生方なり、ついていただいている先生方が工夫をいただいているものと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)現場から聞いた話ですけれども、人数が多いとぎゅうぎゅう詰めになるので、その場合は上の学習室に、板ですのでマットレスを敷いて、そこで寝てもらうんですって。「って」とか言って失礼ですけども。感想を聞くと、下の宿泊室で寝るよりも、上でマットレスがあるのでかえって快適だという子供たちもいるそうでして、何か暴露をしてしまいましたけれども、またそういう工夫もされているということらしいです。  余談になりました。すいません。  次に行きます。3点目に、計画満水喫線が、前のうみのこでは1メートルであったのに対しまして、新しいうみのこでは1.5メートルあります。つまり、深くなっているということですけれども。これによって安定感が増して、風にも強い、大変快適になったというふうにお話を聞いています。  しかし、計画満水喫線が深くなったことによって、琵琶湖の水位が低いときには烏丸港に着岸できず、琵琶湖博物館での学習ができないという状況です。琵琶湖について学習するために、うみのこでの学習と琵琶湖博物館との連携が必要だというふうに思います。この点について、見解を教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  草津の烏丸港への入港につきましては、航路に水深の浅いところがあることから、運行委託業者との協議の結果、現状では、安全確保上、難しいと判断をしているところでございます。  しかしながら、琵琶湖博物館と連携した学習を実施することは大変重要であると考えております。  こうしたことから、ウエブ会議により、航海中、博物館の学芸員が、児童の質問に答えたり、また、外来魚の解剖を見せたりするなどのプログラムを実施しているところでございます。また、各学校でのうみのこ乗船前の事前学習で、博物館の学芸員が出前講座をすることも実施をしているところでございます。  今後も、滋賀ならではの学びを推進するために、うみのこでの学習も含めまして、琵琶湖博物館と連携した環境学習等に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)入港できるようになるといいなというふうに思いますけども、そこまでは要求いたしませんが(発言する者あり)、琵琶湖博物館、うみのこも、2つの大きなこの学習に関する施設ですので、また船ですので、より連携が深くなるような工夫をしていただきたいというふうに思います。  旧うみのこにはカッター艇を積むことができました。私も何遍も乗らせていただいて、朝早くから、手動だったんです、一生懸命おろして大変でしたけれども、多くの港でカッター活動ができました。暖かい期間には、みんなで、朝、浜まで運んでカッター活動をしていました。子供たちが大いに喜ぶ楽しみの活動の一つでございました。  しかし、新しいうみのこではこうした構造にはなっていませんので、カッター艇を琵琶湖大橋港近くに保管されています。そのため、カッター活動ができるのは琵琶湖大橋港に限られています。午前中、琵琶湖の水面が穏やかだというような状況がありますので、そのためには必然的に停泊地は琵琶湖大橋港ということになります。  琵琶湖のよさを感じる、すばらしい活動だと思うのですが、残念ながら、平成30年度にカッター活動を取り入れる予定をしていた航海は14校しかございませんでした。新しいうみのこになってからカッター活動を取り入れる学校が少なくなっているこの現状について、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、新しいうみのことなり、カッターの保管が琵琶湖大橋港の近辺ということでございまして、このカッター活動を琵琶湖大橋港限定の活動としたこと、また、琵琶湖学習をより充実させ、児童の学びをより深いものにしたいという学校の思いなどの理由から、カッター活動の計画数が減少していると捉えております。  しかしながら、琵琶湖のよさを感じたり、仲間との一体感を感じたりすることができる活動でありますことから、やはりカッター活動を取り入れたいという声もいただいているところでございます。そのために、日程でありますとか、航路、学習の進め方を工夫し、カッター活動が実施可能となるプランを整えることで、カッター活動がしたいという学校のニーズに応えることができるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)私、最後の勤務校が堅田小学校でございまして、堅田小学校の子供たちが堅田港で宿泊するなんていうのは考えられないことでございまして、やっぱり滋賀県の南部の子供たちが停泊するのは、北湖のほう、北のほうになるというふうに思うんですね。  今、教育長の御答弁の中で、可能なプランを考えていきたいというふうにおっしゃいましたけれども、そこら辺、ちょっともう少し研究をしていただいて、南部の学校の子供たちもカッター活動ができるような、そういった工夫をしていただきたいなと、進めていただきたいなというふうに思いますし、あえて言えば、北のほうにもやっぱりそういったカッター艇を置く場所があれば、これは理想だというふうに思います。大変厳しい予算の中ではございますけれども、また子供たちのためにそういったことも検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか、もう一度お願いいたします。教育長、お願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  確かに1泊2日の航海でございますので、北のほうの港に泊まるということも当然ございます。  それで、今、琵琶湖のアリーナの一覧等を調べてみたところ、実は、長浜港など北部の港にカッター艇を保管する施設が現在ございません。こういった保管施設はほぼ南のほうに固まっておりまして、こういうカッター艇を保管する施設がないので、カッターをどこに置くのかという課題がございますので、今すぐここで、北部の港にカッターを置いてカッター活動をしていただくというのは非常に困難な状況であるということでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)わかりましたとはよう言わんのですけれども、どうかまた、予算も厳しい中ですけれども、そういったこともこれから研究をしていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  船のことから少し離れまして、最後の質問なんですけれども、県立特別支援学校に通う医療的ケアの必要な児童が乗船する場合、学校側が訪問看護ステーションなどから看護師さんを探して付き添ってもらいます。この場合の報酬額、実は1日8,600円です。2日間乗船してもらう場合はその2倍です。1万7,200円。なれない環境の中で夜の間も付き添っていただきますけれども、夜勤手当も出ません。ケアの必要度は児童によって違いますけれども、児童に同行していただく時間は優に30時間を超えるというふうに思います。  この報酬額について改善していかなくてはいけないというふうに思うんですけれども、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  本県では、県立特別支援学校に在籍する、医療的ケアを必要とする児童生徒が、フローティングスクールを含めました校外学習等に安全に参加できるよう、看護師を派遣する事業を実施いたしております。  宿泊を伴う校外学習では、就寝時などは基本的には担任の教員が見守ることとしておりますが、医療的ケアが必要な際は、派遣された看護師さんに夜間も対応をお願いしているところでございます。  特別支援学校の児童生徒が安心して校外学習等に参加できるのは、こうした看護師の方々のお力添えがあってのことと考えておりまして、特に宿泊を伴う場合は大変御苦労いただいていると認識をいたしております。  今後も児童生徒が安心して校外活動に参加するためには看護師の皆様の派遣が不可欠でございますので、宿泊を伴う校外学習等に派遣される看護師の報償費の額がその業務に見合った金額になっているのかどうか、他府県の実態も含め、検討してまいりたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)私、先ほどの30時間を超えるのではないかというふうに思いました。単純に計算してみますと、時給にするとですよ、500円ちょっとなんですね。報償金という形ですけれども、やはりこれは、来ていただく看護師さんに申しわけないというふうに思うのです。  これは、教育長の御答弁の中にもありましたけれども、フローティングスクールだけに限りません。修学旅行もそうです。やまのこもそうです。宿泊を伴うそういう活動には必ず必要なことですけれども、この点、何とか改善していただきたいというふうに、もうこれ以上追求しませんけれども、これは何とか解決していただきたいというふうに思いますので、実現するまでしつこく質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  以上で終わります。ありがとうございます。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、20番中村才次郎議員の質問を終了いたします。  次に、5番白井幸則議員の発言を許します。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。自民党滋賀県議会議員団の白井幸則でございます。  今回は、骨髄移植についての質問をさせていただきます。昨日も村上議員が質問されて、議会の中でも骨髄移植についての理解が一層深まってきたことと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、12月に入り、寒い日が続きますが、今、滋賀県で一番ホットな話題というと、9月30日から始まったNHKの連続テレビ小説「スカーレット」ではないでしょうか。けさの新聞にも、JRの中吊り広告に滋賀県の景色を掲示しながら、甲賀の信楽を中心として、そこから滋賀の魅力を発信していきたい、ほっと滋賀の内容の記事も載っておりました。ビデオリサーチ社の調べによりますと、最近の総合視聴率は26%ですから、日本中の多くの方々が、毎日、わくわくどきどきしながら主人公の喜美子の応援をしていることと思います。  御存じのとおり、滋賀県の甲賀市の焼き物の里、信楽を舞台にして、女性陶芸家の波乱万丈な人生がドラマでは描かれております。自分のため、大切な人のため、行動あるのみ。物をつくり出す情熱と喜びを糧に、がむしゃらな強さと天性の明るさで、懸命につくり、育て、働く女性の波瀾万丈の物語です。  この放送のおかげで、信楽や甲賀市、滋賀県の知名度は過去にもないほど上昇しておりますし、観光客も多く訪れ、陶器もよく売れて、地域の活性化に大きく貢献をしています。  皆さんも御存じのことと思いますが、このドラマの主人公、戸田恵梨香さんの演じる川原喜美子のモデルになっているのは、実は、信楽の女性陶芸家の草分けで、実在の陶芸家でもある神山清子さんです。また、神山さんは、陶芸家としてだけではなくて、骨髄移植財団、現在の日本骨髄バンクの設立や普及に貢献されたことでも有名な方です。骨髄バンクの必要性を訴える啓蒙活動を長年にわたり続けておられ、現在も骨髄献血の和を広げる会の代表を務めておられます。  こうした滋賀県の知名度アップや日本の骨髄バンクの普及に対する貢献などを考えると、彼女にこそ県民栄誉賞を贈呈していただきたいと個人的に思っているところであります。よろしくお願いいたします。  それでは、発言通告に従いまして、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植に関して、分割質問で健康医療福祉部長にお尋ねをします。  造血幹細胞移植は、正常な血液をつくることが困難となる疾患で、白血病や再生不良性貧血などにおいて、通常の化学療法や免疫抑制療法だけでは治すことが難しい患者に対して、提供者、ドナーの造血幹細胞を移植して、正常な血液をつくることができるようにし、完治させることを目的として行う治療です。  骨髄バンクの事業は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づく骨髄・末梢血幹細胞の提供あっせん事業者として、厚生労働省の指導のもと、日本骨髄バンクが主体となって、日本赤十字社および地方自治体の協力により行われる公的事業であります。  赤血球に、A型、B型、O型、AB型の血液があるように、白血球にも型があります。HLA型と言われるヒト白血球抗原のその組み合わせは数万通りになります。このHLAの型が一致しないと拒絶反応等を起こして、合併症で移植の成功率が低くなってしまいます。お父さんにはお父さんの白血球の形、お母さんにはお母さんの白血球の型、これが組み合わさって子供が生まれてくるので、兄弟、姉妹では4分の1の確率で一致しますが、親子では一致しないことになります。もしきょうだいで合わないと、血縁者以外から移植をしないといけないので、一致する確率は数百から数万分の1の確率になります。きょうだいの少ない現状では、多くの場合、非血縁者に頼らなければ骨髄移植を受けることができないというのが現実であります。  日本で非血縁者間の骨髄移植を必要としている患者さんは、毎年、少なくとも2,000人を超えます。ですから、一人でも多くの方に骨髄バンクに登録をお願いしなければならないということです。これが第1ステップです。  滋賀県におけるドナー登録の推移と現状、そして課題について、健康医療福祉部長にお伺いをします。  次に、骨髄バンクに登録されたドナーの白血球の型と、移植を希望される患者の白血球の型を照会し、適合するドナーが見つかると、移植に向けてのコーディネートが始まります。現在、白血球の型が適合するドナーが見つかる確率は、登録者の増加によって95%まで上がりました。ところが、実際に移植が受けられるのは60%弱で、移植へと進まないのはドナー側の理由が大半で、健康の問題以外に、都合がつかない、家族の同意が得られない、連絡がつかないなどの理由が多くを占めます。  私も41歳のときに登録をしましたが、55歳の登録抹消まで、適合したという通知は一度も送られてきませんでした。ほかにふさわしい方がおられたのだと思います。つまり、登録したその日、もしくは数日の間であれば、健康状態も変わらないし、環境も変わりません。しかしながら、登録後数年たって適合の通知が来た場合ですと、健康状態も環境も変わっているということです。ですから、登録するときに、「何年先になるかわからないが、そのときどんな状態であっても必ず提供することを確約せよ」と言っても無理がありますし、そんなことを迫ったら、登録する人はいなくなってしまいます。ですから、適合した時点でできるだけ提供しやすい状態をつくるための支援や仕組みをつくらないと、なかなか移植が実現しないということになります。  骨髄提供には、入院を含めて大体8日間、平日の昼間に医療機関に行く必要があります。特に働き盛りの人にとって、仕事を休まなければならないというところにも大きな課題がありますから、ドナーの勤務先の理解や協力が不可欠です。  現在、医療機関に出向くその日数を、ドナー自身の有給休暇を使うのではなくて、勤務先がその休日を特別休暇として認めるドナー休暇制度を導入する企業がふえてきました。公務員の方にはドナー休暇制度が認められていますが、滋賀県として、民間の企業や団体に対するドナー休暇制度の導入に関する呼びかけの状況と、導入している企業や団体の把握状況と、今後の取り組みについて、健康医療福祉部長にお尋ねします。  また、骨髄液採取については、全身麻酔で行われ、ドナーは4日間程度の入院が必要になります。入院となると、さまざまな準備が必要になりますし、家族も付き添うことも多いので、現実には費用も思いのほかかかるのが実際のところです。  そのような中、骨髄を提供するドナーの経済的な負担を減らすために、ドナーに助成金を支給する制度を独自に設けている自治体が、11月末現在で、41都府県、605自治体になりました。県レベルで市町が行うドナー助成制度予算を2分の1補助している都府県は、22までふえてきました。滋賀県でも、湖南市と甲賀市がドナーに助成金を支給する制度を導入しています。  県議会では過去にも、粉川先生や成田政隆議員それぞれが、この助成制度について何度も質問をされていますが、「有効性について調べたい」もしくは「検討する」という程度でとどめておられます。  確かに、これをすれば全てが解決するというような特効薬のものはないかもしれませんし、慎重に進めなければならないということは十分承知をしております。  ただ、私も14年前から骨髄バンクの登録説明員をさせていただいて、何度も神山さんと一緒にドナー登録の説明をしてきました。その間、多くのドナーに登録をしていただき、同じくらい多くの方に断られる経験もしてきました。また、骨髄バンクからの情報や、実際にドナーになられた方の家族の声を聞かせていただいて思うのですが、この骨髄移植は究極の善意で支えられています。生きた体から造血幹細胞を抜き取って移植するわけです。死亡や後遺障害が残るリスクはゼロではないんです。そのリスクを背負いながら、仕事をしている人には「会社のことは自分で解決して、もし経済的な負担があるなら自分で負担して提供に来てください」というのでは、余りにも無理があります。  移植を受ける患者にとっても、十分な体力がある間など、移植に適した時期が当然あります。もしドナーの経済的な負担を軽くする支援をすることによって、早期に移植が実現し、助かる命があるのであれば、そこに県民の税金を使わせてもらってもいいと思うのですが、健康医療福祉部長に考えをお伺いいたします。 ○議長(生田邦夫) 5番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)造血幹細胞移植に関します3点の御質問のうち、1点目、滋賀県におけるドナー登録の推移と現状、課題についてお答えをいたします。  ドナー登録者数の過去5年間の推移を見ますと、平成26年度末に3,531人であった登録者が、平成27年度には3,600人、平成28年度には4,207人、平成29年度には4,842人、平成30年度には5,853人、そして令和元年10月末には6,560人と、この5年間で約3,000人増加いたしまして、1.86倍となっている状況でございます。  全国の状況と比較をいたしますと、5年前の平成26年度末は提供対象人口1,000人当たりの登録者数が5.47人で全国34位でございましたが、令和元年10月末時点では10.23人となっておりまして、全国平均を上回る19位の位置まで増加をいたしております。  その背景といたしましては、平成28年度から献血とあわせて実施する骨髄バンク登録会におきまして、シニア世代の方を中心に説明員として活躍をいただくことで、登録会の回数を、平成26年度の31回から、平成30年度には176回と大きくふやすことができたことが要因ではないかと考えております。議員にも長きにわたり説明員をお務めいただいていることに感謝を申し上げたいと存じます。  こうしたことから、今後は、一つには、登録者数をふやしていくには登録会の実施回数を増加する必要がありますため、説明員となるボランティアを確保していくこと。また、2つ目に、骨髄バンク事業に対する、広く県民の皆様の理解を広めていくということが必要だと思っておりまして、そのことが課題ではないかと思っております。  そのため、引き続き登録会の実施回数をふやすことができるよう、レイカディア大学や、市町が実施されます高齢者大学におきまして説明員の募集活動を行うなど、説明員の確保に努めますとともに、骨髄バンク事業に対する理解が一層深まるよう、さまざまな機会を捉えて啓発に努めてまいりたいと思っております。  2点目の、ドナー休暇制度の導入に関する呼びかけの状況、導入している企業や団体の把握状況、そして今後の取り組みについてお答えをいたします。  ドナー休暇制度の導入に関する呼びかけにつきましては、経済関係団体の会議の場、あるいは市町の担当者が集まる会議の場で、かねてから行ってまいりました。  今年度は、5月に開催されました滋賀県経済団体連合会と行政との連絡調整会議や、県と市・町健康医療福祉主管部・課長会議におきまして、また、6月に開催いたしました骨髄バンク事業の関係者が集まる連絡会の場におきまして、企業等における骨髄ドナー休暇制度の導入促進について、資料を配布し、呼びかけを行ってまいりました。  また、導入している企業や団体の把握に関しましては、日本骨髄バンクのホームページにおいて、現在、484の企業や団体名が公表はされているところでございますが、県内の導入企業の実態については把握ができておりません。
     つきましては、今年度から、商工観光労働部が実施している労働条件実態調査の中にドナー休暇制度の設置状況を尋ねる項目を新たに設けまして、抽出調査とはなりますが、現在、調査をしているところでございます。  今後とも、県内の企業や団体におきましてドナー休暇制度の導入が一層進みますよう、新たに経済団体のトップや、あるいは企業等の労務管理担当者が集まる場なども捉えまして、働きかけをしてまいりたいと思っております。  3点目、経済的な負担を軽くする支援に対し、県民の税金を使うことについてお答えいたします。  議員の御質問にもございましたとおり、滋賀県内でも既に、湖南市と甲賀市が、ドナー休業等による経済的負担を軽減し、骨髄移植等の推進を図ること、それを目的としてドナーを支援する取り組みを実施をしておられます。また、ことし7月に、全国の都道府県に対しましてドナー助成制度に関する調査を実施いたしましたところ、25都府県がドナー登録や提供を促進するための助成制度を実施しておりまして、こうした都府県の取り組みによりまして、「市町村の骨髄バンク事業の取り組みが進んだ」、あるいは「骨髄バンクについての啓発効果があった」など、複数の都府県が回答がございましたことから、ドナー助成制度には一定の効果があると考えております。  また、議員御自身が説明員として携わってこられた御経験として御紹介いただいたとおり、実際にドナーとなられる方やその御家族には、さまざまな御事情や御負担もあることも承知をいたしております。こうしたドナーの方の負担を軽くするための支援として、ドナーに対する助成制度が全国で広まりつつある現状も踏まえまして、ドナー候補者となった方のとうとい善意が移植を待つ患者のもとに一日も早く届くよう、ドナーに対する助成制度についてはしっかりと検討してまいりたいと思っております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)御答弁ありがとうございます。  ドナー登録の件と、そしてドナー休暇制度の件、そしてドナー助成制度の件、この3つについてそれぞれ再問をさせていただきます。  登録の推移については、この5年で随分とふえてきたということも伺っております。ただ、適合するドナーの見つかる確率というのは95%です、実は95.8%。あと4.2%の方々が適合するドナーが見つからないという現状があります。そして、適合した95.8%のドナーが実際に移植に進んでくれる、移植してくれる、そこで約4割の方々が都合がつかなかったりということで移植に至っていないという現状があります。その適合した95%の方々がきちっと提供ができるようにしていくために、さまざまな取り組みをバンクのほうでもしておられます。  50万人ほどおられる中で、適合するドナーがたった1人の場合もありますし、5人のときもあるし、10人のときも、40人適合する方がいる場合もあります。でも、その中でも、今までは、その中からドナーがすっとコーディネートを進めていくのは、5人に絞って進めていって、その中から、1人だけ、2人だけになって、最終、1人もできなかった。でも、患者が移植に必要な体力がある間にそれが見つけることができなかった。ですから、今、5人を、それを10人にしたらもっとここの確率が上がるんじゃないか、適合した人がもっとしやすくなるんじゃないかということで、その抱える、同時進行させていただけるドナーの数もふやす。いろんな工夫をされています。ところが、それが100%してもらったとしても、やっぱり4.2%の人はまだドナーが見つからない。  ですから、これからますます、100に本当に限りなく近づいて、本当に100%になるところまでドナーというのを登録をしていただかなければならないので、今、御答弁あったように、さらに実施回数をふやして、そしてまた、啓発を進めるということですけれども、登録会の回数をふやそうと思ったところでも、実はそこには登録の説明員が説明をしなければならないという決まりがあって、今、登録の説明員が滋賀県では23人だったかな、二十数名おられます。そのボランティアの方だけでは実は回り切れない部分もあろうと思います。今、レイカディア大学等を通してそこの確保に努めたいというところですけれども、ぜひ、そこの説明員のところに、若年層、若い方にもそういったボランティアがしていただけるような、説明の確保の方法も工夫していただけたらなと思います。  そして、もう1つ、ことしの11月28日に、造血幹細胞移植委員会、国の委員会の資料の中で、血液センターとの兼ね合いのことが資料として出されていました。献血業務を円滑に進めたい日赤職員と、ドナー登録を進めたい説明員の間で業務の進め方に認識の違いがあるというような項目で説明をされ、それぞれの委員の方々が意見を述べられているようですけれども、全国の中では、その血液センター、日赤職員との連携がうまくいってないという都道府県も多いようですけれども、滋賀県の場合はどうなのか、その辺についてどのように対応しておられるのか、指導されてるのかということを、一つ健康医療福祉部長にお尋ねします。  続いてドナー休暇制度についてですけれども、コーディネートの途中で辞退された方が3割。休暇がとれない、会社の理解が得られない、仕事の都合がつかないという理由がほとんどです。うまくいっていない理由というのはどこにあるのか今お伺いすると、さまざまな経済団体の会議に出て呼びかけをしたり、県の担当者会議等において市町の担当者にお願いをしたり、そして、バンクの資料をお渡しして呼びかけを今しているというところですけれども、私、ここで思うのですけれども、何社にドナー休暇制度を導入してもらうんだという、その目標設定を、今、恐らくしておられないと思いますので、この目標設定をしない限り、結果というのがついてこないんじゃないかな。  今のお話ですと、何年も前から実はこのドナー休暇制度には取り組んでおられると思うんですが、言ったら言いっ放し、伝えたら伝えっ放し、その後どうなったかというところが結果としてはかられていない、そこに問題があるんじゃないかなと思います。職員の方というのは非常にやる気があって能力も高い。でも、そのやり方というところをしっかりと指導しないと、やりっぱなしで結果が把握すらできない状態というのが何年も続いてるんじゃないかなと思います。  例えば、ことしは100社を目標にします、5年後には300社にしますと目標を設定して、そして、実際に登録された会社が何社になった。もしその目標どおりいっているのであれば、それは啓発の仕方等がうまいこといってるのでしょうし、もしそこにギャップがあるとしたら、そのギャップが生まれた分だけうまくいってない理由があると思うので、そこを改善して、次のアクション、計画にまた落とし込んでやっていこうということで、ぜひこの目標設定というものをしていただけたらなと思います。  例えば人権啓発に絡んでは、県内の3,200の事業所が、事業所内公正採用選考・人権啓発担当者というのを設置しておられます。これはほぼ99%の企業がそんな担当者を置くようになっています。ですから、こういった数字をちょっと参考にしていただきながら、ドナー休暇制度を導入する企業を何年間で何社にするという目標を設定していただけたらと思うんですけども、健康医療福祉部長にその分についてお尋ねします。  そして、最後、ドナーの助成事業についてですけれども、先ほどは25とお答えいただきましたけれども、私の把握しているところでは23都道府県になります。なぜかというと、その2つの都道府県というのは、ドナー休暇制度について、企業が従業員にそういった特別休暇を与えたときに、企業に、その休んだ分について補填をさせていただきますよということしか取り組んでないんじゃないかなと思っておりました。私のほうもちょっと確認をしたいと思いますが、部長のほうも確認をしておいてください。  私が登録員になった14年前、47都道府県の中で、実は、ドナー登録の順位は、滋賀県は全国47都道府県中45番でした。群馬県と熊本県が46、47ということでした。当時は1,000人当たり3.何人というところで、本当にレベルが低いところでしかなかったです。  理由ははっきりしています。献血並行型の登録会が滋賀県ではなかなかしてもらえなくて、そして、その47都道府県の中の実は最後にしかしてもらえなかったんです。ですから、それまでは、登録の説明をして、「登録します」って、後ろに献血のバスがあっても、そこにあっても、実は、申し込み用紙を持って保健所に平日に予約をして行ってもらわんと登録してもらえないんですという状態がずっと続いて、これではということで、献血ルームでもできるようになり、本部でもできるようになり、そして献血バスの中でもできるように、いわゆる献血並行型を取り組むようにしていただきました。それが実は滋賀県が最後だったんですね。ですから、ずっと47都道府県中ワーストファイブぐらいで、ずっとその辺をうろうろしてたんです。  ところが、やっぱりその決断をしていただいて、並行型を取り組んでもらって、さまざまな課題ありましたけれども、一生懸命やって、そうすると課題が見えてきたんですね。あっ、登録の説明員が足りないや、ここを何とかしなあかんというふうに一歩一歩前へ進んで、今では全国で18位、19位というところまで上がってきてという状態になってきました。  ですから、当時、登録並行型の説明会をかたくなにしてもらえなかったその間に、もしかしたら適合するドナーを見つけられた患者さんがおられたかもわからない。その間に少なくとも幾つかの大切な命が失われたかもしれないというようなことを思うと、そのときにすぐに取り組みますという判断をしてくれなかった、その責任というのは非常に重いものがあるなというふうに思います。  ドナー助成制度も、平成28年の6月議会で粉川さんが質問され、健康福祉の部長さんがそのときに「検討してまいりたい」という答弁をされています。先ほども言いましたように、成田議員、そして昨日は村上議員、そして、骨髄バンクに関しては、竹村議員も清水鉄次議員もそれぞれ議会のこの場でお尋ねをして、思いを寄せておられます。その中で、先ほどの答弁も「検討してまいりたい」、何年前から「検討してまいりたい」というお返事が続いています。  そして、でも、このことによって、取り組むことによって、一人でも移植に進んでくれるドナーがいてくれるのであれば、大切な命が一つでも救うことができるようになるのですから、できたら、来年度から取り組むその準備を今から進めたいというような御答弁がいただけたらな、そんなふうに思うのですけれども、健康医療福祉部長に、最後、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 3点、再質問いただきました。  1点目の血液センターとの連携についてでございます。  議員のほうからも、当初の経緯は、今、御紹介いただきましたところでございますが、現在では、昨年1年間、176回の登録会を献血会場として開催いただいておりまして、赤十字血液センターとボランティア団体、和の会でございますが、その間で協力体制を構築いただいているというふうに認識をいたしております。  毎年、年初め、ボランティア団体、骨髄バンク、それと赤十字血液センター、市町、保健所といった骨髄バンクの事業関係者の情報交換、意見交換の場として連絡会議を開催しておりまして、このような場を通して関係者の円滑な連携が進むよう努めております。  今後とも、骨髄バンク関係の皆様の連携のもとに、骨髄バンク事業が円滑に進むよう努めてまいりたいと思っております。  2点目、ドナー休暇制度導入企業に関して目標を設定すべきではないかという御質問でございました。  先ほど申し上げましたとおり、県内の企業等におけますドナー休暇制度の導入の実態につきましては把握ができていないということでございまして、今年度、新たに労働条件実態調査において導入状況を調べております。まず、その導入状況の結果も見まして、また、今後のドナー休暇制度の普及の方法のあり方の検討も含めまして、そのような中で何らかの目標を設定できるかどうか、検討はしていきたいと思っております。  最後に、ドナー助成制度の実現に向けての取り組みについてでございます。  健康医療福祉部といたしましては、ドナー助成制度が実現いたしますよう、しっかりと検討をし、議論を進めてまいりたいというふうに思っております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  ドナー登録については、どうぞまた説明員もふやして、回数をふやせるようによろしくお願いいたします。  ドナー休暇制度について、実態の把握に努めて、そして、目標設定ができるかどうか検討してまいると。そうじゃなしに、うまくいってない理由が目標設定をしないからですよということを申し上げているので、目標設定をしない限り、目標設定をするかどうか検討するというレベルの話じゃなしに、健康医療福祉の中でドナー休暇制度をしっかりとやっていこうと思ってくださるんだったら、目標設定しない限りうまくいかないんです。3年たっても5年たっても10年たっても同じことの繰り返し、実態すら把握できない状態が続くじゃないですか。今、もし参考にしていただけるのであれば、目標設定をきちっとして、そして、それがうまくいってるかどうか、ギャップがあるんだったらそのギャップを埋めるためにどうしたらいいかということをやって、一歩一歩前に進んでいく。  県のほうにすると、目標設定をしてくださいというようなお願いをすると、目標設定とかについては何かすごく抵抗をされるように思います。民間の企業でいえば目標設定なんかは当たり前で、目標設定せんと、何してんねんと。言うたら、行き先決めんとどこ行くねんというレベルの話なんです。ただ、県のほうについては、目標設定については、それぞれの課の方、すごく抵抗をされるように思います。なぜかというと、目標設定すると、それをやらなきゃならん。ほかにもいっぱいやらなきゃならんことある中で、目標を設定してしまったら、やらなきゃならんようになる。だから、目標設定をしないということは、やらないということの答えと実は等しいんじゃないかなということを心配するんです。  ですから、その部分について、実際にやるとするんだったら目標設定をしっかりするのかどうなのか、もう1回尋ねたいと思いますし、そして、最後、私が尋ねてるのは、「検討します」でずっと先送りにしてきて、まだこの先検討しますという返事じゃなしに、ほかの県もどんどんと取り組んできておられる、過去のこのバンクの登録の経緯でいえば、並行型がおくれたことによって、その判断をしなかった理由だけで、恐らくはたくさんの命が失われたんじゃないかということを心配します。  ですから、判断、決断というのは、きちっとタイミングよくしていただけたらなと思いますので、もしいただけるのであれば、来春、来年度から取り組む、そのための準備というのを進めていきますというような答弁がいただけたらなと思います。来年度には、甲賀市、湖南市以外にも、ほかの市でもこの制度に取り組むという市がもう既に出てきて、予算も計上しましたというお話も聞かせてもらっております。県だけが出おくれて、県だけが足引っ張ってどないするんですかというような思いですので、もし自分が答弁できないのであれば、答弁する人を指名していただいても大丈夫です。どうぞよろしくお願いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 1点目、目標設定につきましては、我々としましても、ドナー休暇制度の企業の導入の拡大に向けては精いっぱい取り組みたいと考えております。ただ、何社が導入されておられるかということを悉皆で調べるのはなかなか難しいということで、現在も、抽出でどれぐらいの企業の割合かというのは調べております。  それと、加えて、どのように普及啓発を進めればその企業の数が把握できるのかというのも含めながら、どういうやり方でやってその導入企業の数を把握していくのか、その辺を総合的に考えながら、少しどのような設定ができるのかは考えてまいりたいと思います。  2点目の来春に向けての導入につきましては、現在、予算編成中でございます。来年度導入については今後議論をしていくところでございますが、できるだけ早く制度が導入できるよう、我々としてはしっかりと議論してまいりたいと思います。申しわけございません。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  3番目については、今、部長がしていただける最高の御答弁なんだろうなというふうに解釈して、予算に上がってくることを期待しております。  そして、2つ目ですけれども、目標設定ですけれども、現状を把握しないと目標設定ができないということではなくて、どれぐらい、そちらからのアプローチもあるかもわかりませんけれども、例えば5年後にどういった姿になればすばらしいだろうというあたりからのアプローチでの目標設定という方法もありますし、でも、その目標設定を恐らくしない限り、どのような方法がええかというのもアイデアも浮かばないと思うんです。  例えば、10社、目標を設定したとしましょうか。そしたら、10社、目標設定するんだったら、恐らくみんな、何もせんでも、知事が行ったとこで、ちょっと頼んますわと言ってあげるだけで10社ぐらいできますよ。でも、これ、50社にしたら、いろいろと工夫しなあかんよねというアイデアも出てくるし、これは100社やとちょっとハードル高いかもわからんな、そしたら、チラシもつくって、何とかもつくって、取り組む企業さんのメリットもちゃんと伝えていかなきゃならんね、企業の社会貢献的な意味合いもありますし、そしてまた、ドナー制度の登録者がふえていくという、そういったメリットもあるかもわかりませんし、県が推進しているSDGsの、言うたら3番のあれがしっかりと、会社の玄関のとこ、張ってもらうこともできますよとか、いろんなアイデアも出てくると思うんです。  だから、やりがいのある領域の中で、ちょっと頑張ったら達成できるなという範囲の目標設定をされることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。 ○議長(生田邦夫) 以上で、5番白井幸則議員の質問を終了いたします。  次に、25番竹村健議員の発言を許します。 ◆25番(竹村健議員) (登壇、拍手)それでは、100歳大学の推進についてということで、一問一答にて、知事、そしてまた健康医療福祉部長に尋ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  日本人の寿命は、戦後、着実に延び、ここ20年で100歳を超える方が急増、ことしの9月には7万1,274人となり、この傾向は今後も続くものと考えられ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2030年には19.2万人に、2040年には30.9万人、2050年には53.2万人を超えると予想されています。このことは、多くの日本人が100歳を生きる時代になった証左であり、まさに人生100歳時代の到来と言えます。そして、これまで余生と考えてきた老いの時間が3倍にも4倍にも延びるということであり、老いはもう1つの人生として追加されるとでも捉えるべきではないでしょうか。一方で、我が国では、結婚をしない、子供を余り産みたくないとする人もふえ、少子化現象が同時に進行し、高齢化がより加速されて、世界にない速さで顕著な高齢化が進展をしています。  先進国では、高齢化率7%の社会を高齢化社会と呼んで注視し、その倍の14%の社会を高齢社会として、高齢者対策など、福祉施策の充実に半世紀以上の時間をかけて努力をしてきましたが、日本はこの高齢化のプロセスを極めて短期間に経験し、今日では高齢化率が28%を超え、世界でトップの超高齢化社会になったばかりか、さらに、2030年には高齢化率31.2%、2050年には37.7%にも達する超々高齢化社会に突入する、人類史上経験したことのない異常な高齢社会が待ち構えています。  このような状況の中で、人生100歳時代の到来は決して楽観できるものではないと考えますが、どのような課題があると考えておられるのか、まず知事に伺います。 ○議長(生田邦夫) 25番竹村健議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  滋賀県の平均寿命は、平成27年で、男性が81.78歳と全国で第1位、女性が87.57歳と全国で第4位と、全国トップレベルの長寿県になっております。本県の65歳以上人口は本年10月1日現在で約36万3,000人、率にいたしまして全人口の26.0%に到達し、さらに、高齢化のピーク時の2045年には約43万2,000人、率にして34.4%まで上昇することが予想されております。  このような中、県全体の課題といたしましては、1つ目、健康で自立して暮らせる期間を可能な限り伸ばし、平均寿命も健康寿命も日本で一番長い、日本一の健康しがをつくっていくとともに、2つ目といたしまして、たとえ医療や介護が必要になっても、住みなれた地域でその人らしい暮らしを最期のときまで続けられる医療や介護の提供体制を整備していくことが課題となっております。  さらに、県民一人一人の個人のレベルにおきましても、50年前と比べて平均寿命が約15歳上昇する中、15年、20年という長い老いの期間をどのように生きていくのか、また生きたいのか、そして、人生の最期を迎えるときにはどのようにありたいのかを見詰め直し、家計や住まい、みずからの暮らしや健康などについて、将来を見通して備えていただくことが必要になってくるのではないかと考えているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  今、御説明をいただいたこれらの課題の解決の一助として、介護保険制度が創設されまして、20年を迎えることとなります。  制度を運営する上で、課題も顕在化しています。介護費用は毎年ふえ続け、国では11兆円、当初の3倍以上にも増加し、2040年には25兆円を超えると推計されています。また、介護職員の人手不足もここ数年クローズアップされています。10月の消費税引き上げで介護職員の処遇を改善することとしていますが、本県における課題をどう認識し、今後どのように対応されていかれようとするのか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  本県における介護保険制度の課題といたしましては、第1に、2045年の高齢化のピークを支える着実な介護サービス提供体制を整備していくことが挙げられると考えております。とりわけ、医療や介護が必要となったとしても、住み慣れた地域でその人らしい暮らしを最期のときまで続けられるよう、地域包括ケアシステムの強化をさらに推進していく必要がございます。そのためにも、今後、高齢化の進展と同時に生産年齢人口が減少していくということを踏まえますと、シニア層や未経験者、あるいは外国人などへの介護人材の裾野を広げ、同時に滋賀の福祉人育成を着実に行うなど、さまざまな施策によりまして、介護人材の確保と育成を行ってまいりたいと思っております。  また、本県におきましても、介護給付費は、制度スタート時の314億円から、平成30年度には1,042億円と約3.3倍になっております。また、介護保険料も、スタート時の2,695円から第7期計画期間では5,973円と、2.2倍になっております。今後の高齢化の進展を踏まえると、さらなる増大が見込まれると考えております。そのため、県民の皆さんが健康で自立して過ごせる期間をできるだけ伸ばし、ひいては、高齢化に伴って増加する介護サービスの給付に要する費用を適正化していくことが必要でございます。  今後、国民健康保険や後期高齢者医療制度におけます保健事業と介護予防事業を一体的に推進し、高齢者の健康づくりと介護予防を図っていくことが重要と思っております。  このような取り組みを通じまして、一人一人の生老病死にしっかりと寄り添い、誰もが生涯を通じ、さまざまなつながりの中で、居場所や活躍ができる場を持ち、自分らしく、心も体も健やかに生活できる社会を築いてまいりたいと思っております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ちなみに、介護保険事業全体における本県の負担額は幾らになるのでしょうか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  滋賀県における介護保険事業に要する費用、平成30年度におきましては、介護給付、予防給付など、介護サービスの給付に要する費用につきましては事業費全体で1,042億円、介護予防・日常生活支援総合事業などの地域支援事業につきましては事業費全体で約52億円、合わせまして1,093億円となっております。また、そのうち県の負担部分につきましては約145億円となっております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)145億円、1年間ですね。毎年、莫大な金額が拠出されています。今、国スポの整備やってますけど、彦根のスタジアムであるとか新県立体育館が毎年1個できていくようなぐらいの金額というふうに思います。  この介護保険事業は、要介護1から5に該当する介護給付や、要支援1から2、予防給付の現物支給、これが先ほど御説明いただきました1,042億円──その中では県は137億円の負担になっているようでありますけれども──と、介護予防・生活支援サービス事業や地域包括支援センターの運営などの地域支援事業に大別をされます。地域支援事業には、一般介護予防事業として市町が主体的に行っておられる事業があるようでありますけれども、本県においてはどのような取り組み事例があるのか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  一般介護予防事業は、要介護認定されていない方を中心に、年齢や心身の状況等によって高齢者を分け隔てることなく、誰もが参加できる取り組みといたしまして、地域の実情に応じて市町が実施をいたしております。  その主なものを申し上げますと、全ての市町におきまして、身近な集会場などを活用して、体操、運動等の活動、あるいは趣味活動、定期的な茶話会や会食などを行います通いの場が県内で1,777カ所設置されておりまして、運動機能の向上や社会参加の促進が図られております。また、介護予防の推進に当たりましては、高齢者の心身機能を高めることとあわせまして、地域の中で生きがいや役割を持って生活できる環境づくりも重要でございます。  例えば、栗東市や甲賀市などにおきましては、独居高齢者のごみ出しや布団干しなどの生活支援、あるいは、子ども食堂や認知症カフェの運営支援などの高齢者のボランティア活動に対しましてポイントを付与しまして、高齢者の地域の社会的な活動への参加を一層推進することで、高齢者自身の生きがいや介護予防を促進している例もございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)最近、ポイントを付与するというのが結構はやってるみたいで、やっぱり日本人、ポイントが結構好きなのかなというふうに思ってますが、いずれにいたしましても、それぞれの市町で積極的なお取り組みをいただいていることに敬意を表したいと思いますし、こういう、やはり地域での事業というのが大変大事になってくるのではないかなというふうに思っております。  そのような中で、私の地元の栗東市では、2015年から、65歳になられた方を対象に、健康保持や生きがいづくり、死への備えなどを学ぶ連続講座──100歳大学が開催をされています。湖南市でも同様に2016年から開催されており、毎年多くの卒業生を送り出しておられます。  県としてこの100歳大学をどのように評価されておられるのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  100歳大学は、新たに65歳、66歳となられた高齢者を対象に、老いの生き方の基礎、基本を学ぶ場として、栗東市や湖南市において設置されていると承知しています。  10月に100歳大学の普及の手引きが作成され、その中で、100歳大学は、単なる高齢者の教養大学ではなく、人生100歳時代という新しい時代に、長い老いのステージをどう生きるかについて体系的に学ぶ学校であるとされていると承知しております。  人生100年時代を迎え、高齢期に入っていく節目の時期に、人生の最期を迎えるまでどのように生きたいのか見詰め直し、その後の人生を主体的に設計し直す機会を持つこと、そして、いつまでも元気で地域に貢献する意欲を持っていただくことは重要であり、他の取り組みとは違った先進的な取り組みであると評価しているところでございます。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。  今も知事のほうから御紹介いただきました、100歳大学普及の手引きということで、これが手元に今あるんですけれども、もともと國松善次元知事が提唱されたのがきっかけでして、老いの義務教育を目指してというところを少し御紹介をさせていただきたいと思います。  現在、世界中のほとんどの国では、6歳ごろから義務教育を実施し、学校という教育機関においてさまざまな授業を数年にわたって受けられるよう仕組みを整備をしている。我が国では、小学校6年、中学校3年の9年間を義務教育とし、また、その後の3年間も99%以上が高等学校に学び、さらにその約半数が大学などの高等教育機関に進学し、専門的な教育を受けて社会に出ているのが実態である。また、就学前の教育も重要として、近年では、ほとんどが保育園や幼稚園などで学び、身体の成長に合わせて、実に長い期間、いわば人生登山の教育システムが丁寧に構築されているのである。  他方、人生100歳時代を迎えた今、高齢者には、避けられない体の老化や心身の諸機能の低下が待ち構えている。多くの高齢者は、足腰が弱り、目や耳が不自由になり、歯がなくなり、がんや脳梗塞、心筋梗塞、骨折など、病気やけがのリスクが高まるのと同時に、病と闘いながらの暮らし、さらには認知症や寝たきりなど、施設やデイサービスの利用など、家族のお世話になりながら何とか生活をしている高齢者も多くいるのが実態である。  加えて、仕事も一線を退き、子育ても終わり、余剰の時間はたっぷりとあるものの、ややもすると、生きる目標や役割がなくなったり、さまざまな課題を抱えた中で、かつてない長生きをするということは、みずからの健康管理や健康づくりについて、今まで以上にそれぞれが覚悟し、備える必要があるということである。  しかしながら、このような老いの生き方を学ぶ仕組みや学校も、先生も、教科書もないのが実態であり、人生下山の教育に相当する仕組みは皆無に等しいのが現状である。  人生100歳時代という新しい時代を迎えた今、平均寿命と健康寿命に、男性で9年、女性で12年という差があるように、人生最後の時間が長期にわたって人様のお世話になるというのが現状である。その介護が必要となる要因を見ると、本人の自覚と努力で回避できた可能性のあるものが多いのが実態である。  そこで、老いについて、さまざまな課題と対策を誰もが事前にしっかりと学び、備えられるよう、老い方を学べる仕組みを早急に構築する必要がある。こうした仕組みは、いまだ世界のどの国も事例はないが、初めて人生100歳時代を迎えた日本がパイオニアとしてこれを開発し、創造して、老い方を学ぶ仕組み、それも人生下山の義務教育として早急に構築する必要がある。その具体的な仕組みが100歳大学構想である。  これまでの高齢者に対する福祉政策は、年金、医療、介護といった問題解決型施策の社会保障であり、対症療法であった。これらの施策では、これからの新しい時代には資金的にもマンパワーにおいても明らかに限界であり、施策の転換が求められている。  他方、100歳大学という老い方を学ぶ仕組みの手法は、医療や介護のお世話にならない生き方を学ぶ教育であり、課題解決型、課題回避型とも言えるものである。また、これまでの高齢者福祉は介護型福祉とも言えるが、これを教育型福祉へ転換することである。さらに、医療、介護はお金の消費であるが、義務教育を目指す100歳大学の普及は老いの生き方を学ぶ仕組みづくりであり、高齢者への投資である。したがって、消費型福祉から投資型福祉への大転換となり、いささかオーバーな表現で言えば、令和の新時代に介護維新への挑戦とも言えるものである。  したがって、100歳大学の狙いとポイントは、1つ、人生100歳時代の老いの基礎、基本を学ぶ。とりわけその覚悟と備えを学ぶ仕組みの創造を目指す。  2つ、将来的には老いの義務教育の制度化を目指す。  3、特に重要となるテーマは、平均寿命と健康寿命の差の短縮、解消を目指す、健康長寿のまちづくりに活躍できる人材を目指すことに重点を置く、などなどでございます。  ちょっと時間が余りないので割愛をさせていただきますが、このように大変すばらしい理念のもとに、100歳大学の普及の手引というものがつくられておりまして、大変よくできているというふうに思っております。  次期総合戦略の中にも人生100年時代の健康しがの実現という表現をされるなど、具体的な内容はこれからだと考えますけれども、人生100年時代を意識した施策が展望されています。既に栗東市や湖南市での数年間にわたる知見もございます。立派なカリキュラムもございます。100歳大学を県内市町で取り組めるよう県が先導し、また、支援することが考えられないか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 今、るる御紹介いただいたさまざまな考え方をお聞きしながら、私どももしっかり考えなあかんなと、そして、自分たちの親の世代を見ていて、自分たちの老い方をどうしていけばいいのかということについて、改めて自覚を新たにしたところでございます。  今御紹介いただいた100歳大学普及の手引きには、基本カリキュラムとして、老いのメカニズム、運動や食事の工夫、疾病予防、就労、学び、地域貢献などによる生きがいづくり、マネープランや介護が必要になったときの住まいの工夫など、まさに高齢期を迎えるに当たって知っておいたほうがいいことが網羅的に盛り込まれていると承知をしています。  折しも総合戦略を新たに策定する時期でもございますし、「変わる滋賀 続く幸せ」を基本理念とする基本構想もスタートさせたところでございます。その内容等は、100歳大学の目指す方向性ともある意味では合致していると考えます。  栗東市や湖南市では既に、介護保険の地域支援事業の枠組みの中で一般介護予防事業として実施されており、その中の一部には県から財政的支援も行わせていただいているというところでございます。  市町の自主性は尊重したいと思います。したがって、市町担当課の情報交換会等を通じて周知いたしまして、同時に、一般介護予防事業の枠組みを使って実施可能であることもお知らせするなどいたしまして、100歳大学のこの取り組みが全県に広まっていくよう応援していきたいと思います。
     と同時に、内容を見てみますと、いささかちょっと、今から参加しようという人のハードルが若干高目のものもあるように思いますので、そのあたりのことを、また先行事例等をよく協議なり勉強しながら、今後の取り組みをしっかりと下支えしていければと考えております。 ◆25番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございました。  いずれにいたしましても、市町で取り組んでいただかなあかんことでありますし、市町では、今現状、いろんな取り組みを既にされているというところもございますので、そこにこういう、しっかりとした、体系的にできたものが今できましたので、ぜひこれを県のほうでお勧めをしていただいて、市町で取り組んでいただくようなことが大変大事なのではないかなというふうに思います。  これ、目指しておられるのは義務教育化なので、すぐには多分無理やと思うんです。やはり、今、高齢者の方、いろんな学びを、それぞれの仲間であったり、それぞれの視点で勉強されておられる方が多数おられて、それはそれで、もちろん大事なことなんですが、むしろそういうところになかなか行っていただけない方、こちらのほうを、こういう勉強をしていただくような機会がやはりあると、先ほど御紹介いただきました健康寿命、こちらのほうがやはり延伸をしていくのではないかなと思いますので、やっぱり意識のない方に学んでいただけるような仕組み、これがまさに義務教育化というところであろうというふうに思います。  私の試算では、県の介護給付、予防給付負担金は、20年後、恐らく300億円を超えるような額になるのではないかなというふうに思います。この勉強をしっかりしていただいて、例えば10%削減するだけでも30億、1%でも3億の削減になるわけでございますので、そういう意味では、この取り組みを、今、先行的に投資をしておいて、将来の負担額の低下にも私は寄与するものだというふうに思います。  また、知事は、令和2年度の編成予算に向けて、社会的課題を滋賀から先導的に解決していく気概を示すべく取り組んでいくと、事あるごとに話しておられます。このようなことからも方向性は大いに一致をするというふうに思いますので、ぜひこの滋賀から100歳大学を発信できるよう先導していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、25番竹村健議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時44分 休憩    ────────────────   午後1時 開議 ○議長(生田邦夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。    ──────────────── △会議録署名議員の補充指名 ○議長(生田邦夫) 今期定例会議の会議録署名議員のうち、4番重田剛議員がただいまのところ欠席でありますので、本日の会議録署名議員を1名補充指名いたしたいと思います。  会議録署名議員の補充指名の件を日程に追加いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、本日の会議録署名議員に、5番白井幸則議員を補充指名いたします。  次に、12番松本利寛議員の発言を許します。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇、拍手)日本共産党滋賀県議団の松本利寛です。年、入りまして、ちょっと目が見にくくて原稿が読みづらいんですが、御容赦願いたいと思います。  私は、まず、頻発する激甚災害豪雨と流域治水について、一問一答で発言をさせていただきます。  今、国連のCOP25がスペインで開催され、国連の事務総長は、気候変動は私たちが直面する危機であるというふうに指摘をしました。ぜひこの会議の成功を期待したいというふうに思うんですが、残念ながら化石賞を日本の政府が受けて、この汚名を返上するためにも、率先して排ガス削減対策を進めていただきたいということを思います。  さて、地球温暖化による気候変動で、連続する災害の激甚化が深刻です。  平成27年、鬼怒川決壊で深刻な豪雨災害をもたらした関東東北豪雨。平成28年の、石狩川等が決壊し、29人が死亡し、岩手県のグループホームの高齢者の方が9名全員亡くなられるという北海道東北豪雨。29年には、福岡や大分で観測史上第1位の記録を更新する大雨で37名の死者を出した九州北部豪雨。そして、昨年は、西日本から東海にかけての248地点で観測史上最大値を更新する豪雨となった西日本豪雨。広域的、多発的な河川氾濫や土石流による死者224名、住宅の全半壊2万1,460、浸水家屋3万439棟の甚大な被害になりました。倉敷市真備町では高梁川水系の小田川で堤防が決壊し、51名が死亡。愛媛県の肱川ではダムの緊急放流による洪水で7名の犠牲者が、痛ましい災害が起きました。  そして、ことしの台風19号、関東東北地方で観測史上第1位を更新する記録的豪雨。阿武隈川、千曲川、国直轄の7河川12カ所が決壊、県管理の67の河川128カ所で決壊、301河川で氾濫が発生し、浸水した面積は実に2万5,000ヘクタールに達しています。水害による犠牲者は、福島、宮城、神奈川、長野などで100名を超えるような事態になりました。亡くなられた方の冥福を祈るとともに、改めて早い復旧を願うばかりであります。  こうした豪雨災害を受けて、ことし10月に国土交通省の気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会が開催されて、この提言が出ました。平成26年以降、5年間で、河川整備計画を上回る流量の河川が増加し、気候変動の影響による治水対策が新たなフェーズに突入したと、こういうふうに表現をしています。  そこで、どのような洪水にあっても人命が失われないことが最優先に、今回の災害を教訓に、課題解決に向け検討すると表明された知事に、近年の豪雨災害から学ぶべきハード対策、ソフト対策、両面にわたって、教訓とすべき治水上の課題がどこにあると考えておられるのか、伺います。 ○議長(生田邦夫) 12番松本利寛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  近年の豪雨災害から学ぶべき教訓、課題でございますが、まず、ハード対策の観点からは、バックウオーター現象による支川の氾濫、同一河川における堤防の連続的な決壊、川幅が狭い区間の上流や一部の堤防未完成区間での氾濫など、対応すべき課題が明らかになったと考えております。  ソフト対策の観点からは、避難情報が発令されても避難しない方が少なくなかったこと、急激に浸水が進み、逃げおくれにより多数の犠牲者が出たこと、河川情報サイトへのアクセスが集中し、利用できない状況になったこと、氾濫が同時に多発し、情報収集、伝達に漏れやおくれが生じたことなど、さまざまな課題が指摘されているところでございます。  今後、国などの検証を踏まえ、こういった課題に適切に対応することにより、人命を守るとともに、壊滅的な被害を回避できるように取り組んでまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)さきに触れた国土交通省の提言には、過去に経験したことのない災害の頻発化など、過去の経験が生かせない事象が増加するため、社会が長年、長い歴史の中で構築してきた防災への取り組みや国土のあり方自体について見直しの必要性を示唆しているとして、気候変動に適応した治水計画へ転換することは待ったなしの状況であるとしました。  私も気候変動に適応した治水計画に抜本的に見直す必要があると考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 国においては、気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会の提言を踏まえ、現在、社会資本整備審議会の河川分科会で、今後の気候変動を踏まえた治水対策などについて検討が進められていると承知しています。  こうした検討結果を踏まえ、県の河川整備の状況に即して、必要な治水対策の見直しについて、本県としても検討してまいりたいと存じます。  なお、現段階では、気候変動に伴う災害の激甚化を見据え、河川整備を加速させるとともに、水害リスク情報の周知、啓発や、安全な住まい方への誘導などの、そなえる対策や、とどめる対策を、しがの流域治水の取り組みに沿って、充実、強化させることが必要であると考えています。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)9月議会で土木交通部長は、現在の河川整備計画の進捗率は、10分の1、いわゆる10年に1度の確率の降雨に対応する河川整備率が55.9%と答弁しておられます。しかし、過去の降雨記録を毎年塗りかえる異常な降雨が連続する気象変動のもとでは、間尺に合わない改修計画ではないでしょうか。  時間雨量50ミリを超える降雨が、広域的に、大規模に、非常に長時間にわたって雨が降る、そういう災害が頻発しています。こうした計画規模を超える豪雨の災害を低減させる対策は何が必要と考えておられるのか、治水計画のハード対策について、知事に伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 計画規模を超える豪雨から住民の生命と財産を守るためには、議員も御指摘いただきましたが、河川改修などのハード対策と、また、避難体制の構築や、家屋のかさ上げの促進などのソフト対策を組み合わせ、被害を最小限に抑える、いわゆるしがの流域治水を進めることが重要であると考えます。  御質問のハード対策につきましては、現在進めております計画規模の河川整備でありましても、流下能力が向上することで、河川からあふれる水の量が減少し、減災に一定の効果がありますことから、まずは、計画に位置づけた河川整備をスピード感を持って行っていくことが必要であると考えます。また、同じ規模の堤防でありましても、決壊の有無により被害の大きさが変わりますことから、壊れにくい堤防を整備することが効果的であると考えます。  ダムの整備につきましては、計画規模を超える豪雨に対しても、氾濫の軽減や、氾濫をおくらせ、避難時間を確保できる効果が期待されることから、対策の1つとして有効な面もあると考えます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は、計画規模を超える集中豪雨について、ダムに依存した治水計画の限界と危険性を、今日までの異常降雨が示したのではないかというふうに思います。もちろん、ダムによる治水防災を否定するものではありませんが、計画規模をはるかに超える集中豪雨は、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流などによる2次災害の危険性を大きく広げ、現に日本各地でそうした豪雨災害が起きています。  2015年に14人の犠牲者を出した鬼怒川決壊は、上流の4つのダムが計画どおりの洪水調整を行っていましたが、支流が集まる下流ではその能力が減退され、上流の10分の1しか洪水調整機能を果たせていなかったということが明らかになっています。ダムがあるから大丈夫と下流の河道拡幅や堤防の強化がなおざりになっていたというふうに言われます。  さらに、2018年の西日本豪雨では、岡山の高梁川や支流の小田川で、上流の新成羽川ダムの緊急放流によって支流の合流点でバックウオーターが生じ、多くの地点で越水破堤を起こし、倉敷市真備町で100名もの命が奪われるという悲惨な災害が起きました。同様に、愛媛県肱川でも、上流の野村川ダムや鹿野川ダムの緊急放流によって下流で多くの人命が奪われる災害になりました。さらに、ことしの19号台風でも、阿武隈川や千曲川でも同様の事態が広がりました。  計画降水量をはるかに超える集中豪雨では、ダムに頼る治水に限界があり、危険性を伴うことが明らかになったんです。一旦中止とした方針を急転換して推進される大戸川ダムについても、計画を上回る降水量が頻発することで、ダムに依存した治水の限界と危険性を直視し、見直すべきだというふうに思うんですが、知事の姿勢を伺います。 ◎知事(三日月大造) 私の姿勢は、ダムだけに依存しない流域治水をしっかりと構築するということでございます。想定を超える豪雨から住民の生命を守るためには、ダムや河川改修などの川の中の対策と、避難体制の構築や家屋のかさ上げの促進などの川の外の対策を組み合わせ、あらゆる手段を講じて被害を最小限に抑えることが重要であると考えます。  近年発生している豪雨において、ダムの洪水調節によって下流河川の水位上昇を抑制し、浸水被害が軽減された事例は多数報告されており、地形や土地利用の状況に応じてダムを活用していくことも有効な手段の1つであると考えております。  大戸川ダムにつきましては、昨年度実施いたしました勉強会で、計画規模を超える豪雨を想定した場合において、氾濫を軽減する効果や、氾濫をおくらせる効果が確認できたところでございます。  一方、異常洪水時防災操作により、急激な浸水範囲の拡大や浸水位の上昇が起こる課題も指摘されましたが、これらの課題につきましては、適切な住民の避難につながるよう、国や市、地域と連携し、リスクの周知や避難体制の構築に取り組んでいくことで対応していきたいと考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は、ダムにだけ頼る洪水調整が、これは危険があるというふうに申し上げてるんです。ぜひやっぱり、そこのところも踏まえて大戸川ダムについても再度検討していただきたいというふうに思います。  こうしたもとで、現在策定されている河川整備計画を気候変動による激甚災害を想定したものに見直して、整備を進めるとともに、滋賀県が進めてきた流域治水の一層の具体化が緊急の課題になってるのではないかというふうに考えます。  19号台風による越水洪水や越水破堤の80%以上が、本流と支流の合流地点、河川の狭窄地に集中をしています。こうした氾濫リスクの高い地点を改めてチェックし、将来に優先的に河道改修や破堤しにくい堤防の強化を行うべきだと考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) まず、河道改修につきましては、上流区間の改修を優先して行い、流下能力を高めますと、治水安全度の低い下流の未改修区間で氾濫が発生してしまうことにつながりますため、下流から計画的に進めていくことが基本であると存じます。  しかしながら、上流区間に頻繁に水害が発生するなど氾濫リスクが特に高い箇所があります場合は、下流に悪影響を与えない範囲で、樹木の伐採や、河川に堆積した土砂の掘削などの対策を講じているところでございます。  また、堤防の補強につきましては、水位上昇による決壊の予見される堤防において、リスクの高い地点から優先して取り組みを進めているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)9月議会で我が党の黄野瀬議員が指摘しましたが、台風19号の豪雨でも全国各地で越水破堤が起き、その危険性が顕著になりました。阿武隈川、千曲川など国直轄の一級河川から、県管理の中小河川、合わせて20水系71河川、140カ所もの堤防決壊が起きています。堤防決壊は人命被害に直結します。そのリスクを極力低減させるために、破堤しにくい堤防の構築は極めて重要です。  かつて建設省は、洪水しても、越水しても、簡単に決壊しにくい耐越水堤防の技術指針を示して普及を図りました。ところが、2002年7月に、国土交通省は、ダム優先の治水対策への転換で、耐越水堤防工法の技術指針を廃止したと聞いています。耐越水堤防工法の存在がダム推進の妨げになると考えたのではないでしょうか。  9月議会で土木交通部長は、本県でその耐越水堤防対策が、実施区間が13キロと答弁されました。今回の災害の教訓を生かすなら間尺に合わない改良区間です。コスト低減も含めて、耐越水堤防を拡大させ、河川整備計画を早急に進めるとともに、国に対して耐越水堤防の事業化と財政措置の拡大を求める必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 耐越水堤防についてでございますが、こちらは技術的な手法が確立されていないことから、現在、本県では越水破堤対策を目的とした整備は行っていないということでございます。  河川整備計画におきましては、浸透に対して壊れにくい堤防補強の対策を位置づけて実施しております。この対策は、越水した洪水による堤防の浸食を軽減できると考えておりまして、現在計画されております要対策区間の対策を着実に進めてまいる所存でございます。  また、国に対しましては、堤防破堤の原因と対策について検討がなされている状況も踏まえつつ、まずは、越水に対する堤防強化対策の技術手法の確立について働きかけを行っていきたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)かつて旧建設省がそういう技術指針を示していたわけですね。いわゆる河川の内側から、住民が住んでる側から越水によって堤防が破壊されていくという、こういうことを防止をするために、改めて壊れにくい堤防をつくるというのがこの耐越水堤防ですから、ぜひその技術的なものも、解決も含めて推進をしていただきたいというふうに思います。  さて、今回の豪雨災害で、ハザードマップの活用と、その精度の向上が指摘されました。  私は愛知川と八日市新川の合流地点に住んでるんですが、最近、地域の人々から、新川建設に協力をしたのに、近年の豪雨を見ると、愛知川の決壊とともに、バックウオーターによる洪水氾濫が心配だという声が盛んに聞かれます。  このように、地域の浸水の様子がハザードマップに示され、それを読み解くと、その地域で起きる洪水の要因、形態、越水破壊箇所などが見えてくるのではないでしょうか。それを細かく地域に繰り返し知らせることが、地域で起きる災害をリアルに理解をする仕組みができるというふうに考えます。また、地震と洪水が同じ避難所でいいのかと、あるいは、浸水地帯の避難所でいいのかの声もよく耳にします。  このように、ハザードマップを読み解いて防災対策を立てることが必要と考えるんですが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 大変重要なことだと思います。  防災対策を立てる上で、市町の作成するハザードマップを有効に活用することは不可欠であると思います。  このハザードマップは、広く浸水のエリアと深さなどを示すものであり、個別の危険箇所を示しているものではございませんが、その作成のもととなります浸水想定区域図や地先の安全度マップは、県が地形等から越水や決壊の地点を想定して氾濫シミュレーションを行い、作成をしているものでございます。  人命にかかわる浸水リスクの著しい地区におきましては、適切な避難行動に結びつくよう、市町と連携し、マップを用いて浸水リスクの説明を行い、避難場所や避難経路の設定を含む避難計画の作成を支援するとともに、避難訓練に活用いただいているところでございます。  今後は、氾濫シミュレーションの時間経過とともにどのように浸水が進むのかわかるデータをあわせて説明することにより、災害による被害をよりリアルに理解してもらえるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今、全国で、流域治水に注目が集まっています。  特に、ためる、とどめる対策としての森林や水田の機能を生かした流域貯留対策、先人の知恵でもある、遊水地、二線堤、霞堤、輪中堤などの機能を、現代の科学的知見を生かして再検証し、これを利用することが必要だというふうに考えます。  ハザードマップをシミュレーションする過程で、これらの遺構が浮かび上がるのではないでしょうか。都市部以外の河川の中下流域では、利用可能な遺構や地域が存在をします。治水計画に当たっては、治水条例に基づく調査研究を強め、流域全体で豪雨を受けて流す、そういう先人の知恵である霞堤などの機能を反映をした計画策定を強く求めるものですが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 個別河川の治水計画の検討に当たりましては、御紹介いただいた霞堤ですとか二線堤などが存在するか、治水機能を有しているか、現状等を調査しているところでございます。また、河川改修、放水路整備、ダム整備など、さまざまな対策の検討とあわせ、必要に応じ、霞堤等の治水上の役割や効果等を再評価し、現状の土地利用と整合を図りながら、機能の復元、維持や、整備も含めてしっかりと検討をしてまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひよろしくお願いしたいと思うんですが、こういう膨大な治水、防災対策に、現在の県の土木の職員が欠員状態と、こういうことでは本当に大事な問題が進められないというふうに思います。ぜひ、技術職員の増強をぜひお願いをしておきたいというふうに思います。  さて、次の質問に移ります。国民健康保険制度について、一問一答で知事と健康医療福祉部長にお尋ねします。  高過ぎて払えない国保料によって、県内市町の滞納率が依然として1割から1割5分と、高い水準が維持、進んでいます。高い滞納率のもとで、保険証を発行せず、代がえの証明書や短期保険証の発行で、受診を抑制するような制度が続いています。しかも、市町によって、丁寧な納付支援で証明書等の発行がゼロないしは少数に抑えられている市町と、数千件、数百件を発行している市町の大きな開きがあります。  医療受診を、抑制、拒否するような措置が、社会保障制度としての健康保険制度のもとで本当に許されるのか、また、この措置が解消できないのか、県は市町と協力してどういう努力を払っているのか、知事に伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  被保険者資格証明書および短期被保険者証は、被保険者の負担の公平性を図る観点から、特別な事情がないにもかかわらず保険料を滞納されている場合に、国民健康保険法第9条の規定により交付することとされているものです。  各市町は、納付相談を通じて、保険料を納付できないことについて特別な事情があるかどうかを確認し、それぞれの判断により交付されているものと認識しています。その交付の目的は、滞納者と接触する機会を確保し、計画的な納付を促す、していただくということであり、そのことにより、資格証明書等の交付を解消していくことが重要となります。  県といたしましては、滞納者と接する機会を確保すること、事前に十分な納付相談と指導を行うことなどを繰り返し市町に助言しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)こういう滞納者の方が病院へ行かれたときに、医療機関から市町へ、こういう方が来られてるんだけれども、短期の保険証を発行していただけないでしょうかという、そういうことが医療機関から市町へ通知をして解消する、そういう仕組みが国会答弁でも、合理的だというふうに答弁されています。ぜひ、こうした仕組みも含めて、少なくとも短期証や資格証が発行される方々を救済をしていくと、そういうことも含めてぜひ努力をしていただきたいなというふうに思います。  払えないような負担になっているところに、私は問題があるというふうに思います。同じ医療保険制度のもとで、協会けんぽの加入者の保険料と、国民健康保険の加入者の保険料が、同じ所得水準でも数倍の開きがあります。  東近江市の市議会での答弁によりますと、所得が233万円の3人家族の国保加入者の負担額が37万3,300円。対して協会けんぽの負担額は、同様の所得と家族構成で20万5,380円です。国保家族のほうが16万7,920円も多額に負担されています。同じ社会保障としての医療制度で、被保険者の負担額にこれだけの格差が、開きが生じる制度上の原因、要因がどこにあるというふうに考えているのか、知事にその認識を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、一部の所得階層で、国民健康保険の保険料が協会けんぽに比べ高くなっているところがあるということを承知しておりますが、国の示した各保険者の比較によりますと、国民健康保険の加入者1人当たりの平均保険料は8万7,000円となっておりまして、協会けんぽの11万4,000円と比べて絶対額は国民健康保険のほうが低くなっているという、こういう状況もございます。  一方、国民健康保険制度は、議員も御案内のとおり、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高くなっているのに対し、所得水準が低いため、所得に対する保険料負担率が高くなるという構造的な課題を抱えている、こういったところに要因や原因があるのではないかと考えます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は、協会けんぽとの格差が生じる大きな要因は、協会けんぽにはない、生まれたばかりの赤ちゃんにまで負担を求める均等割保険料金が課され、子供の数がふえればふえるほど負担額が増大をする国保制度にあり、子育て支援に全く逆行する制度だというふうに思います。  しかも、生まれたばかりの赤ちゃんも、医療費を賄う医療分だけでなくて、高齢者医療を支える後期高齢者医療の支援分に均等割が賦課されます。ゼロ歳児まで高齢者医療を支える負担を求めるという極めて不合理な仕組みになっています。  東近江市の例でも、医療分が2万6,800円、後期高齢者支援分が9,100円、合わせて3万5,900円もの負担が生まれたばかりの赤ちゃんに課されます。少なくとも18歳までの所得のない子供の均等割は廃止または免除すべきです。そうした構造的な矛盾を是正することこそ、国保制度の運営にかかわった知事の責任として努める課題ではないかというふうに考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  国保におきましては、全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利があり、被保険者全体の相互扶助で支えられているため、応分の保険料を負担していただく必要があります。しかしながら、均等割につきましては、子供の数が多いほどその世帯の均等割の保険料負担が増加することになり、子育て世帯の経済的負担が大きくなっていると認識しております。  子育て支援の観点から、また、医療保険制度の公平性を図るためにも、全国知事会等を通じて、子供の均等割の見直しを実施するよう国に要望しているところでございます。また、国におきましても、子供に係る均等割のあり方について、現在、検討が行われていると承知しております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひこれは実現をしていただきたいというふうに思うんですが、そうした中で、第2期国民健康運営方針の策定方向が示され、昨年に引き続いて標準保険料率引き上げが検討され、平均で3,485円、2.44%の引き上げになっています。17市町で引き上げとなり、さらなる負担の拡大と、協会けんぽとの格差が広がるのではないかと心配されています。  これも東近江市の例ですが、2017年の国保加入者の平均所得は136万円、10年前の2007年は160万6,900円で、30万円も減少しています。逆に保険料は、2007年が13万9,000円で、負担率が10.2%、10年前の8.7%から1.5%も引き上がっています。消費税が10%に上がり、国保の負担率も上がっていく。低所得層の多い国民健康保険でこんな負担の拡大が続けば、国保制度の危機が進行します。  全国の自治体では、均等割を見直すなど、さまざまな工夫で引き下げの努力が進められています。機械的に標準保険料率を算出するだけではなく、そうした工夫を運営協議会の場で議論し、運営方針に記載するなどして負担軽減が図られるよう努めるべきというふうに考えますが、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  現在の国民健康保険運営方針におきましても、保健事業の実施を通じた被保険者の健康づくり、あるいは後発医薬品の使用促進などの方針を示しまして、市町とともに取り組んでおり、結果として医療費の適正化が図られ、保険料の増加の抑制につながるよう努めているところでございます。
     議員が例示されました子供の均等割の見直しにつきましては、国民健康保険制度の持続可能性からも、国において必要な対応がなされるのが望ましいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)全国では、制度の矛盾に悩みながら、さまざまな努力をしている市町村が少なくありません。県内の市町でも、基金の取り崩しで引き上げ額を抑えたり、そうした工夫が各市町で行われています。  しかし、来年度の運営方針の策定に当たって、県は全国に先駆けて、被保険者の負担を引き上げることとなる保険料率の統一を前倒しして進めようとしておられる。市町からも、市町の努力を無にするものということで、統一を急ぐべきでないという意見が上がっています。  6月議会で健康医療福祉部長は、保険料の設定は新制度のもとでも市町の事務でありとした上で、統一に向けて協議するとしていました。この制度の原則からしても、保険料率の統一を県が押しつけるようなことがないように改めて健康医療福祉部長に求めていきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  保険料水準の統一につきましては、国保の都道府県単位化に向けた市町との協議の中で、その方向性について合意を得て、第1期の国民健康保険運営方針に記載をいたしました。県としましては、このような経緯を踏まえまして、保険料水準統一の時期も含め、第2期国民健康保険運営方針につきまして、市町との検討を始めているところでございます。  もちろん、各市町の保険料はその市町で決定いただくものでございまして、県が押しつけるというようなものではございません。保険料水準の統一の時期につきましては、市町からさまざまな意見もいただいておりますので、今後の市町との第2期の運営方針の検討の中で、丁寧に議論をし、皆様の合意により決定をしてまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)さて、もう一度知事に伺いたいというふうに思うんですが、第2期国民健康保険運営方針の策定に当たって、県が法定繰り入れを行わないことなどを求めようとしてるんですが、極めて市や町の福祉医療政策の重要な判断に属する問題ではないかというふうに思います。また、制度的な矛盾を持つ国民健康保険制度の是正を図るために、それぞれの市町の事情を判断をして法定外繰り入れが行われることについては、それぞれの市町の判断であることを知事に確認しておきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  市町の国保特別会計への法定外一般会計繰り入れについては、都道府県単位化のもとでも市町において判断されるものでございます。  決算補填目的の法定外繰り入れにつきましては、第1期国民健康保険運営方針において、市町と協議の上、令和5年度末までに段階的に解消することとしたところでございますが、平成29年度は全市町で解消されたところでございます。  これを踏まえまして、次期運営方針に向けて、現在、その取り扱いを市町と協議しているところでございまして、市町の御意見を十分に伺いながら検討を進めてまいりたいと存じます。  なお、国民健康保険法第82条の2第8項に「市町村は、都道府県国民健康保険運営方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努めるものとする」と規定されており、市町はこれを踏まえて御対応いただくものと認識しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)残念ながらこの仕組みの中に、大事な、市や町が運営主体であるんですけれども、これの意思決定が反映されにくいと、間接的な意思決定になってるんじゃないかというふうに思うんですが、これはやっぱり制度的に改めるべきではないかというふうに私は思います。  最後に、国民健康保険制度については、少子化の克服が国の重大な課題である中で、ゼロ歳児の赤ちゃんにまで均等割を課し、子供の数がふえればふえるほど負担が重くなるという均等割を廃止してほしいという声が大きく広がっています。市町でも、均等割を廃止をする、しようという動きがあります。ただ、市町の単独では財政的にも厳しい側面があります。  そうした中で、いわば国民健康保険の事業主である国が被保険者の事業主並みの負担を行うことが、国保制度の問題を解決する大きな道筋ではないかというふうに思うんです。  全国知事会を代表して、当時、栃木県知事が、口頭ではありますが、1兆円の財政負担を国に要請されました。改めて国の負担引き上げを働きかけることが重要だというふうに思うんですが、知事は、さきに全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーになられたそうですが、少子化の課題として、国の財政負担拡大の実現に向けて、知事の決意をお伺いをしたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 今般の国保制度改革に当たりましては、全国で年間3,400億円の公費が追加投入されたところでございます。  国に対しましては、全国知事会を通じて、将来にわたって持続可能な医療保険制度の安定的運営を図るため、国の財政責任のもと、医療保険制度の改革等を着実に行うとともに、国保に対する国定率負担の引き上げ等、さまざまな財政支援の方策を講じるよう要望を行っているところでございます。  また、次世代育成支援対策プロジェクトチームといたしましては、既に令和元年8月2日に行いました少子化対策の抜本強化に向けた提言の中で、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入を国に対して提言しているところでございますが、子供に係る均等割の見直しについては、他の都道府県の御意見も伺いながら、今後も必要に応じて国に対して要請を行ってまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ、国の負担額の拡大に向けて知事に努力をしていただきたいというふうに思うんですが、次に質問を移らせていただきます。  職員の働き方改革と、公立の義務教育諸学校等の職員の給与に関する特別措置法、いわゆる給特法についてお伺いしたいと思います。  先日、神戸で起きました教員のいじめ暴力事件、本当に許しがたい事件だというふうに思います。子供たちの尊厳や人権を守るべき教員がお互いに、いじめ暴力を繰り返す。こんなことがあってはならないというふうに思うんですが、改めて職場のそういう人権感覚をどう大事にするかということが問われてるというふうに思うんですが、今、教育が、成果主義優先、それから上意下達式の教育行政がこういう事件を引き起こしているのではないかというふうに私は思います。  そういう意味で、こうした真に子供たちの権利や人権が尊重される、そういう教育に改革する必要があるんじゃないかというふうに思います。  さて、そこで、県職員と教員のメンタルヘルスと、教員の1年を単位とする変形労働制の導入について、知事と総務部長、教育長に分割方式で質問します。  初めに、先ほどありました神戸の事件のように、パワハラやセクハラが横行する職場は、職員のメンタルヘルスの悪化が正比例して進むということが明らかになっています。  また、長時間労働や業務の繁忙化も同様です。これらは働き方改革を考えるスタート台だというふうに言えるんですが、そこで、県職員と教員のメンタルヘルスの現状について、相談件数、休職療養者の現状とともに、精神疾患の悪化による自死、いわゆる過労自死などの公務災害認定について、過去も含めてどうだったのか、総務部長と教育長に伺います。  第2に、メンタルヘルスも含めた健康悪化の要因となる長時間労働の実態がどうなっているのか、この数年間の経緯も含めて総務部長と教育長に伺います。  第3に、長時間労働の削減の取り組みについて、業務の見直しや職員の増員など、長時間労働の削減の具体的取り組みがどうなっているのか、総務部長と教育長に伺います。  実は県庁でも、40代の働き盛りの壮年の職員が、また、入庁してわずか数年の20代の青年がみずから命を絶つという事件が相次いだ時期がありました。いわゆる過労自死、訴訟などを通じて公務災害と認定をされ、残された遺族が、ある意味では少しは救われたということがありました。月80時間、100時間の長時間労働を強いられての過労自死でした。  そんな事態を二度と繰り返さないためにも、本年、人事委員会が実施をした健康経営の推進等に関するアンケートの結果をどう受けとめるのかも含めて、教員、県職員のメンタルヘルス対策や時間外労働の削減を進める健康経営の推進の取り組みについて、知事の所見を伺います。  次に、こうした健康経営の推進に私は逆行するというふうに思うんですが、教育職員に対する1年を単位とする変形労働制の導入を進める、公立の義務教育諸学校等の教員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の改正が、学校関係者の強い反対にもかかわらず、12月の4日に強行成立させられました。  この改正給特法は、教員に対する変形労働の導入を自治体の条例に委ねて実施するもので、教員の基本的権利を奪う労働基準法の立法趣旨に反し、教員の時間外労働を一層拡大させかねない制度です。  そこで教育長に、教員に対する1年単位の変形労働制の導入問題について伺います。  第1は、給特法は、1年を繁忙期と閑散期に区分けして、閑散期の1日当たりの労働時間を削り、繁忙期の1日当たりの労働時間に振り分けるものですが、現在でも明確に労働時間の把握ができていない教員の業務を繁忙期と閑散期に区分けして、労働時間管理がしっかりできるとは考えられません。  そんな中で変形労働制を導入をすれば、一層、時間管理ができず、ひいては時間外労働を増大しかねない制度だというふうに考えますが、教育長の所見を伺います。  第2に、文科省は、そもそも変形労働制は恒常的な時間外労働が存在しないことを大前提としています。しかし、県内の教職員の恒常的な時間外労働は、教育委員会の調査でも、月20時間未満が5割、20時間から40時間が2割、40時間以上が3割というふうになっています。閑散期と言われる8月でも平均15時間程度の恒常的な時間外労働が存在します。  そうしたもとで変形労働制を実施をしても、見かけの時間外労働を減らすだけで、実質的な時間外労働の削減にはつながりません。逆に年間の労働時間の拡大につながると考えますが、教育長の所見を伺います。  第3に、そもそも民間企業の変形労働制が労働基準法34条によって労使協定の締結を条件にしていますが、これが保障されていません。これについて教育長の所見を伺います。  最後に、そうしたもとで、教員の増員、ソーシャルワーカーやカウンセラーなど、部活動指導員も含めて増員をよろしくお願いをして、質問を終わりたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 働き方改革等について、全体で8問、御質問いただいたうち、私には、1点、健康経営の推進に向けた取り組みについていただきました。お答えいたします。  県庁における健康経営の取り組みにつきましては、昨年5月に健康経営宣言を行い、今年度からは令和4年度までの健康経営計画に基づき取り組んでいるところでございます。  そうした中、先般、人事委員会からは、職員アンケート調査も踏まえ、職員の給与等に関する報告および勧告の中で、健康経営の成果と課題や、職員の健康、働きやすい職場環境といった観点で御報告をいただいたところでございます。  この人事委員会からの報告もしっかり受けとめ、メンタル面も含めた職員の健康の維持、増進や、適正な勤務時間の管理等による長時間労働の是正の取り組みを一層推進していきたいと存じます。  また、あわせて、業務の量と質の両面を十分考慮した定員管理と配置に意を尽くし、これまで議会にもお認めいただき、3年連続で職員定数を増員してきているところでございます。  また、職員間の活発なコミュニケーションを通じた風通しのよい健康的な組織風土を醸成するなど、健康経営をさらに前進させることにより、職員が生き生きとやりがいを持って働くことができる職場づくりにこれからも努めてまいりたいと存じます。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)働き方改革に関する御質問のうち、私にいただいた3点の質問にお答えいたします。  まず1点目、メンタルヘルスの現状等についてでありますが、県職員のメンタルヘルスに関する相談者の実人員数は、今年度10月末現在で144人。前年同月の121人と比べて23人ふえております。また、精神疾患により30日以上勤務を離れて療養している県職員の数は、今年度10月末現在で39人。前年同月の30人と比べて9人ふえております。  一方、長時間の時間外勤務のため精神疾患を発症して公務災害に認定された事例は、近年では、自死に至った2件のケースを含めて、平成14年度、平成16年度、平成25年度にそれぞれ1件ずつ発生しておりまして、それ以降は発生はしておりません。  次に、2点目、長時間の労働のここ数年間の実態についてでありますが、知事部局の職員1人当たりの1カ月の時間外勤務時間数は、平成26年度は18.4時間、平成27年度は18.3時間、平成28年度は18.3時間、平成29年度は17.8時間、平成30年度は18.6時間であり、毎年おおむね18時間前後で推移しております。今年度は10月末時点で17.4時間であり、昨年度の同時期と比べて6.5%の減となっております。  3点目、長時間労働、時間外労働の削減に向けた取り組みについてでありますが、まず、業務の見直しにつきましては、例えば決裁区分の見直し、会議のあり方の見直し、業務の平準化、AI、RPAを含めたICTの活用などにより、業務の簡素化、効率化を進めております。あわせまして、柔軟な勤務形態として、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、勤務間インターバルの確保などにも取り組んでおります。  また、人員につきましては、増加する行政需要に的確に対応できるよう、業務の量と質の両面を十分勘案し、知事部局の職員定数を3年連続で合計68人増加してきております。さらに、今年度、時間外勤務の時間数に上限が設けられたことから、所属長による時間外勤務の事前命令と事後確認の徹底はもとより、部局長による業務見直しの見直しや、係、課の垣根を越えた応援体制の構築を図るとともに、来年度採用予定者の前倒し採用を行うことなどによりまして、長時間労働の是正に努めているところであります。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました7点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目のメンタルヘルスの現状等についてでありますが、県立学校教員のメンタルヘルスに関する相談者の実人員数は今年度10月末現在で50人となっておりまして、前年同月の47人に比べて3人ふえております。また、精神疾患により30日以上勤務を離れて療養している県立学校教員の数は、今年度10月末現在で27人、前年同月の28人に比べて1人減っております。  一方、県立学校教員において、長時間勤務のため心血管疾患を発症して公務災害に認定されたものは、平成21年度に発生した1件のみでございまして、自死に至ったケースはございません。  次に、2点目の、長時間労働の実態についてでありますが、県立学校における教員の超過勤務の状況は、平成26年度は月平均で31.8時間、平成30年度は29.1時間であり、毎年おおむね30時間前後で推移してきたところでございます。今年度10月におけます平均は、速報値でありますが、31.9時間であり、前年度同月と比べまして、わずかですが、減少をしているところでございます。  次に、3点目の、長時間労働、時間外労働の削減に向けての取り組みについてでございますが、今年度、スクール・サポート・スタッフは、昨年度の49校71名から93校96名に、また、部活動指導員の中学、高校への配置につきましては、昨年度の20校24名から54校69名にそれぞれ拡大してきたところでございます。  また、県立学校におけます学校閉庁日につきましては、昨年度の3日間から、今年度は15日間に拡大してきたところでございます。  さらに、県立学校におけます業務の見直しを行うため、現在、県教育委員会からの調査、会議等といった業務につきまして、学校現場の御意見を求めているところでございます。  次に、4点目の、勤務時間管理の面から見た1年単位の変形労働時間制についてでございますが、まず、教員への1年単位の変形労働時間制の選択的導入を盛り込んだ、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律につきましては、去る12月4日に国会で成立したところではありますが、これまで、その内容の具体につきまして、国から説明は受けておりません。  その上で、一般論でございますが、一般論として申し上げれば、所定勤務時間が、時期ごと、あるいは職員ごとに異なることとなった場合には、管理職員による服務の管理が複雑となることが予想されます。しかしながら、それが直ちに時間外勤務の拡大を招くまでとは言いがたいと認識をいたしております。  なお、本県県立学校の教員につきましては、自己申告とパソコンのログ時間を組み合わせ、勤務時間の状況把握を行っているところでございます。  次に、5点目の、閑散期とされる時期においても時間外勤務がある中での1年単位の変形労働時間制の実施についてでございますが、平成30年度の本県県立学校の状況を見ますと、8月につきましては、他の月より少ないものの、平均12.6時間の時間外勤務が認められるところでございます。民間労働法制における1年単位の変形労働時間制につきましては、あらかじめ業務の繁閑を見込み、それに合わせて労働時間を配分するものであって、恒常的な時間外労働がないことを前提とした制度であると認識をしております。  現在の本県県立学校における時間外勤務の実態を見れば、まず、前提となる条件整備として、まずは教員の業務縮減に取り組むことが必要になると認識をいたしております。  なお、1年単位の変形労働時間制の実施のいかんにかかわりませず、学校における働き方改革として、時間外勤務の縮減を図り、教員一人一人が子供と向き合う時間の確保に取り組んでいく必要があると考えております。  次に、6点目の、1年単位の変形労働時間制の実施が条例に委ねられていることについてでございますが、今般の給特法改正によりまして、1年単位の変形労働時間制の実施を地方公共団体の条例に委ねることとした趣旨について、詳細を承知するものではございませんが、労働基準法の特別法としての性格を持ちます地方公務員法の第24条第5項において、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」と規定されております。このことから、地方公務員であります教員の勤務時間について、条例により決定するものとされたと承知しているところでございます。  次に、7点目の、教育現場の増員について申し上げます。  文部科学省の来年度当初予算の概算要求におきましては、新学習指導要領の円滑な実施と、学校における働き方改革のための指導、運営体制の構築のために、教職員の定数改善を図ること、また、スクール・サポート・スタッフや部活指導員のほか、資格等を有する専門スタッフの配置促進を図るための予算の拡充が盛り込まれたところであります。  県教育委員会としては、学校における働き方改革をさらに推進できますよう、国の予算を注視しながら、来年度の予算編成において、外部人材の活用を含む人員配置についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、12番松本利寛議員の質問を終了いたします。  次に、37番清水鉄次議員の発言を許します。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇、拍手)さざなみ倶楽部の清水鉄次です。どうぞよろしくお願いします。  これからの森林・林業施策について。  ことしの9月に関東を直撃した台風15号の被害から約3カ月がたちました。台風15号は、9月9日早朝、千葉市付近に上陸し、千葉県内では電柱の倒壊が相次ぎ、送電線をつなぐ鉄塔が倒れるなどして、最大約64万戸が停電しました。停電が1カ月近く発生したことで混乱が拡大し、この混乱を招いた停電長期化の最大の原因は大量の倒木にあり、損傷した電柱や電線の復旧作業が大幅におくれました。  その背景には、林業の衰退などによって放置された山林という、全国共通の防災上の課題が浮かび上がりました。昨年の台風21号や一昨年の台風21号で、湖西地方では暴風雨による倒木などの被害が発生し、長い場所では1週間以上の停電や道路の通行どめなどの被害によって、住民の生活に大きな影響を与えました。  そこで、1点目に、今後、風倒木によって道路や電線などの重要なインフラが被災した場合、早期の復旧対策が必要と考えられますが、県としてはどのように対応していかれるのか、知事にお伺いします。  2点目に、先日、関西広域連合議会で、山本議員が一般質問で、迅速な復旧のためには事業者に任せず、平常時も含めた広域的な行政と事業者との連携協力が必要だとの質問がありました。それに対して連合長は、昨年の台風21号災害時に、和歌山県が関西電力と協定を締結し、連携して復旧作業を行った例を参考に、現在、関西電力および通信事業者と災害対応に関する包括的な協定の締結を検討していると答弁されました。  滋賀県として、関西電力や通信事業者との協定の締結に対してどのように考えておられるのか、知事に伺います。  3点目に、暴風による道路や電線などの重要なインフラの被害を軽減するためには、風倒木を未然に防止するための対策も必要と考えますが、県として未然防止策をどのように進めていかれるのか、知事に伺います。  4点目に、風倒木被害の未然防止対策については、林野庁の財政支援の拡充を求めることも必要であると考えますが、どのように対応されるのか、知事にお伺いします。  また、著しい風倒木被害が発生した原因の1つとして、森林所有者の高齢化や不在によって、森林の管理が放置されていることにあります。森林の管理が放置されることによって、森林の境界が不明確となり、災害の予防や復旧だけでなく、林業の効率的な経営や、森林の多面的な利用についても深刻な悪影響をもたらします。  今後、さらなる森林所有者の高齢化や世代交代が進み、境界を御存じの方が少なくなっていく中で、早期に森林の境界を明確にしなければ、森林整備が困難になり、さらなる森林の荒廃につながるのではないかと考えます。  今年度から、森林経営管理法の施行により、森林所有者の森林経営管理の責務が明確にされましたが、管理が困難な放置林については市町が関与して対策を進めることになっています。  そこで、5点目として、森林境界の明確化を早急に進める必要があると考えますが、森林境界の明確化についての現在の進捗状況と、県として今後どのように進めていかれるのか、琵琶湖環境部長に伺います。  このような状況を踏まえ、滋賀県内の林業従事者は高齢化などによって減少が続いており、林業従事者の減少は森林の荒廃につながるため、環境保全などの観点からも、林業にかかわる人材の育成が急がれています。  その中で、県は、林業に携わる人材を育成しようと、今年度予算にアカデミー関連費用として約1,950万円を計上し、ことし6月12日に野洲市の県林業普及センター内に滋賀もりづくりアカデミーを開校しました。  今年度は、主に滋賀県内で林業に従事している23人を対象に育成が行われ、4年間かけて、県内の全作業班に対して、作業効率の向上を目指した現地指導を中心とした育成を図るとされています。高島市森林組合でも、担い手を育てようと、間伐や搬出などの作業を行う直営の施業チームを設け、人材育成に取り組んでおられます。  6点目として、将来を見据えて担い手を計画的に育成することは重要であり、今後、滋賀もりづくりアカデミーでどのように林業の担い手を育成していかれるのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。  また、市町の役割が大きくなる中で、市町の職員に対する森林、林業の教育も必要であると考えます。  7点目に、滋賀もりづくりアカデミーで市町の職員に、森林、林業の教育を実施してはどうかと考えますが、琵琶湖環境部長に所見を伺います。  最後、8点目に、新規就労者支援について。  農業や畜産には補助金がありますが、林業においてはどのように考えておられるのか、琵琶湖環境部長に伺います。 ○議長(生田邦夫) 37番清水鉄次議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)これからの森林・林業施策について、全体で8問、御質問いただいたうち、私には4点いただきました。順次お答えいたします。  1点目、災害時のインフラが被災した場合の早期復旧対策についてでございますが、道路や電線などが被害を受けることにより、集落が孤立したり、停電や、これらに伴う通信障害、断水等が発生し、住民生活に大きな影響を及ぼすものと認識しています。  昨年の台風21号では、県や、電気、通信事業者などがそれぞれ単独で対応していては、早期の復旧につながらないといったことが教訓となったところでございます。  こうしたことから、県管理道路においては、電柱の倒壊の絡む通行どめが生じた場合に、円滑な復旧を行うため、県と関西電力との間で、専用回線の設置や、関西電力が情報連絡員を派遣することにより連絡体制を構築し、早期の道路啓開に向けた連携体制を強化したところでございます。  さらに、ことしの台風19号の教訓を踏まえ、より一層の迅速な復旧対策の必要を感じたことから、県、市町、電力事業者、通信事業者等によるライフライン保全のための対策会議を年内にも新たに設置することとしております。  今後は、市町やライフライン等の関係事業者と一層連携し、戦略的、効果的かつ迅速に応急復旧ができるよう万全を期してまいりたいと存じます。
     2点目、協定の締結についてでございます。  御質問いただいた協定に関しましては、現在、関西広域連合で、和歌山県の協定を参考に、関西電力やNTT西日本と、包括的な協定締結に向け、検討、協議を進めているところでございます。  今後、この包括協定の検討状況を踏まえ、より一層、電力、通信事業者との連携協力を強化するため、本県としても、協定の締結に向け、検討を行ってまいりたいと存じます。  3点目、風倒木の未然防止策の進め方についてでございますが、風倒木を未然に防止する対策といたしましては、道路や送配電施設等のインフラへの被害リスクが高い木について、事前に伐採することが有効な手段の1つと考えます。一方、事前に伐採することにつきましては、森林所有者や地元との合意形成、危険木の判断基準、費用負担などの課題がございます。  これらの課題に対して、県、市町、電気事業者、通信事業者等が連携し、場所の選定や、伐採する木の判断基準等を整理した上で、モデル的に実施することを検討していきたいと考えております。  4点目、林野庁に財政支援の拡充を求めることについてでございますが、平成30年に発生した台風21号の被害を踏まえて、同年度から継続して風倒木対策について林野庁に要望を行っております。  林野庁では、令和2年度予算で、道路、鉄道、送配電などの重要インフラ施設周辺の風倒木等による施設被害を未然防止するため、風倒の恐れのある森林に対して行う森林整備の支援を新規事業として要求されているところでございます。  今後も、国の動向や他県の取り組み等の情報を収集するとともに、引き続き国への要望を行っていきたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)これからの森林・林業施策について、私にいただきました4点の質問にお答えいたします。  1点目の、森林境界明確化の進捗状況と今後の進め方についてでございますが、森林境界明確化につきましては、琵琶湖森林づくり基本計画において、令和2年度までに7,000ヘクタールを目標としておりますが、平成30年度末における実績は約3,400ヘクタールで、進捗率48%となっております。  今後につきましては、今年度設立しました森林整備協議会を通じて、市町が一定レベルをそろえて境界明確化を実行できるよう、取り組みを支援してまいります。  具体的には、境界明確化を行うべき箇所の優先順位のつけ方や所有者間の合意形成の方法の助言、対象となる土地の地番と所有者などを明らかにするための情報提供などでございます。こうしたこととあわせて、県としても、森林の基礎情報データを積極的に提供し、市町の取り組みを促進してまいります。  2点目の滋賀もりづくりアカデミーでどのように林業の担い手を育成していくのかについてでございますが、今年度、滋賀もりづくりアカデミーでは、森林組合作業班員を対象とした既就業者コースと、市町の森林、林業を担う職員を対象とした市町職員コースの2コースを設定し、現在、育成に取り組んでおります。このうち既就業者コースは、現地の状況に即して、安全かつ効率的に伐採作業や木材の搬出作業ができるよう指導を行っております。  現在は、まだ研修途中ではありますが、従来のやり方が改善され、作業効率の向上が見られる作業班も出てきております。  また、来年度は、これらのコースに加え、転職者等を対象とした新規就業者コースを設定し、林業技術の基本作業を習得し、本県の森づくりや地域振興を新たに担っていただく人材の育成を進めてまいりたいと存じます。  3点目の、滋賀もりづくりアカデミーで市町の職員に教育を実施してはどうかということについてでございますが、御指摘のとおり、今年度から森林経営管理法が施行され、また、市町に対して森林環境譲与税が配分されることとなり、地域の森林管理を担う市町の役割がますます重要になってきております。  このような中、滋賀もりづくりアカデミーでは、先ほどお答えしましたとおり、市町職員コースを設定し、森林整備の方針を立て、業務の発注をすることができる人材の育成を目指しているところでございます。  具体的には、森林管理や林業経営を初め、木材利用や災害対応にも必要な専門的知識や技術を習得できるカリキュラムを設定しまして、1月からの実施に向けて、現在、準備しているところでございます。  このような取り組みを通じて、地域の森林管理が適正に行われますよう、市町の森林、林業担当職員の育成を支援してまいりたいと存じます。  4点目の、新規就労者支援の補助金についてでありますが、現在、新規就業者に対しては、国の「緑の雇用」事業と県の林業雇用環境改善事業により、就業時に必要なチェーンソーなどの備品購入や、伐採などの業務に必要な講習の受講にかかる費用および住宅の借り上げ等に対して助成を行っております。  このほか、就業準備に必要な資金を無利子で貸し付ける国の融資制度の活用や、滋賀もりづくりアカデミーなどによる現場技術指導等をあわせて実施することで、新規就労者の支援を図っていきたいと存じます。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇)包括協定締結の件ですけれど、電力会社、通信事業者ですけど、ぜひとも滋賀県としても協定を結んでほしいなと、そのように希望したいなと思ってます。  4点目の林野庁の財政支援、知事に質問ですけど、林野庁の財政支援の拡充で、林野庁さんが来年度に向けて予算要求をされていると、新規事業として予算要求をされているという説明がありました。ぜひとも県としてもそれに対応してほしいなと、来年度、林野庁が予算要求されてそれが認定された場合、県のほうもぜひ来年度に向けて対応してほしいなと、その点に関していかがか、ちょっと質問させていただきたいと思います。  次に、森林境界明確化の件ですけど、一般的に、明確化をしなければ山の主もわからないし、画定できないし、それによって、林業の間伐、伐採等、整備ができないということで、非常に重要な境界明確化事業だと思ってます。  その中で、今、説明がありましたところ、令和2年度までに7,000ヘクタールの目標設定して、平成30年度まで3,400、48%の進捗ということで答弁されたわけなんですけど、滋賀県の森林・林業統計要覧を見てみますと、滋賀県は森林面積が20万ヘクタールあって、そのうち国有林が4万ヘク、公有林が1万6,000ヘクで、造林公社が2万4,000ヘクで、個人所有が8万4,000、そのほかが3万6,000というふうに、そういうふうに聞いております。  その中で、国有林とか公有林、造林公社は境界明確化ができてると聞いておりますが、要は、個人所有者8万4,000がどうかと、余りできていないと聞いています。目標設定して事業は進めておられるということは理解をしておりますけれど、今後、進捗状況がどうなるかということを琵琶湖環境部長にちょっとお聞きしたいと思います。  それと、やはり、今言いました境界明確化をやっぱり進めるには、市町さんも、環境譲与税を生かしながら、それで進めるということは聞いているんですけれど、やっぱり市町さんに、それだけの作業できるというか、指示できるというか、そういった人材がこれからやっぱり育てていってもらわなあかんなと。やっぱり現場に近い方は、市町さんは現場に近くて地主さんも御存じですし、そこがやっぱりフルに動かれるとこの事業も進むんじゃないかなと期待をしているわけで、そういったことの支援をやっぱり県として責任を持ってすべきではないかと思いますので、その点に関して再質問させていただきます。 ◎知事(三日月大造) 私にいただいたのは、国、林野庁における新規事業についてでございますが、林野庁は、来年度に向けて、森林整備事業の公共の事業で、特定森林再生事業の中に、重要インフラ施設周辺森林整備の創設ということで、新規事業を概算要求項目の中に入れております。  この事業が新規事業として認められるように、しっかりと県としても要望をしてまいりたいと思いますし、要望だけじゃなくて、きちんと予算がつくように我々も努力をすると同時に、予算がついてるのに県に配分されないということがないように、しっかりと働きかけ等を行ってまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) 私にいただきました2点の再質問にお答えいたします。  まず1点目、森林境界明確化の今後の進捗でございますが、令和2年度までに7,000ヘクタールという目標を達成することは非常に難しい状況でございますし、また、議員御指摘のように、境界明確化が必要な森林はもっとございます。  高齢化や世代交代が進む中で、森林の境界明確化は早急に取り組まなければならないと考えておりますので、先ほどお答えしました、森林整備協議会や県による支援をしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  また、今般、国において、所在が不明な森林所有者を調べやすくするために、固定資産税の情報提供に係る制限の緩和を検討されておりますので、この動向も注視してまいりたいと存じます。  今後とも、境界明確化が着実に実施できるように、引き続き、継続的に、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  それから、2点目の、市町の人材育成ということですが、先ほどお答えしました滋賀もりづくりアカデミーでも、市町の人材育成、取り組んでまいりますので、これを通してしっかりと人材育成に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇)ぜひともこの境界明確化が、県もしっかりと応援、後押ししていただいて進めていただきたいし、また、新規事業でぜひ県にも配分いただいて、県でも予算つけていただいて、モデルケースで事業を始めていただきたいなと、それ、要望しておきます。  次の質問、行きます。今議会に医療人材に関する多く質問が出ましたが、私もさせていただきますので。  看護師および歯科衛生士の養成、確保につきまして、質問させていただきます。  先日、国において2025年における看護職員の需給推計が公表され、地域医療構想等の進捗や働き方改革の実現などを考慮し、本県では709名から2,097名の看護職員が不足する見込みであるとされました。今後、本県においても、県民の皆さんに質の高い適切な医療を提供していくためには、看護職員の養成、確保にさらに取り組んでいく必要があると思います。  また、県民の皆さんがいつまでも健康な生活を営むには、歯や口腔の健康を維持する、増進するための歯科保健対策が重要であり、それを支える人材である歯科衛生士の養成、確保も必要不可欠となっています。  そこで、看護師および歯科衛生士の養成、確保について4点伺います。  ことし7月に、会派で滋賀県立総合保健専門学校に視察に行きました。滋賀県立総合保健専門学校は、昭和52年、現在の守山市に、看護学科と県内で唯一の歯科衛生学科を有する専修学校として開校し、以来40年以上にわたり、多くの看護職員や歯科衛生士を輩出してきましたが、最初に申し上げましたような状況の中で、その果たすべき役割は今後一層大きくなるものと考えております。  ただし、滋賀県立総合保健専門学校においては、近年、入学定員割れが続いており、今年度は、看護学科は、定員80名に対して入学者が53名、定員充足率は66.3%、歯科衛生学科は定員38名に対し入学者が35名で、定員充足率は92.1%と聞いております。  そこで1点目に、この入学定員割れの状況についてどのように考えておられるのか、健康医療福祉部長に伺います。  次に、県内の歯科医院の先生方から、歯科衛生士の県内への就職者をふやしてほしいという声を聞いております。県内の看護職員を一層ふやしていくためにも、総合保健専門学校の卒業生については、県内への就業を促進していく必要があると考えています。  そこで2点目に、滋賀県立総合保健専門学校の看護学科と歯科衛生学科の卒業生の県内の就業状況について、健康医療福祉部長に伺います。  次に、滋賀県立総合保健専門学校は40年以上が経過しており、トイレや雨漏りを初めとして、施設や設備も相当古くなっております。在校生の学習環境を整えるとともに、今後の入学者を確保するためにも、施設や設備の整備計画を策定し、計画的に更新していく必要があると思います。  そこで3点目に、このことについてどのように考えておられるのか、健康医療福祉部長に伺います。  4点目は、滋賀県立大学における看護人材の育成についてです。  先日、会派で、滋賀県立大学人間看護学部に視察に行きました。大学志向で看護師を目指す方が増加しており、平成31年度の同学部の入学試験実質倍率も、推薦入学が定員20名で2.6倍、一般選抜試験が定員50名で、前期2.6倍、後期5.1倍となっています。入学者の出身地を見ますと、年度によって違いますが、約半分が県内の学生になっています。一方、就職の状況を見ますと、これも年度によって違いますが、県内への就職率は約44%となっております。卒業生の県内への就職率を上げることが、県立大学の地域に貢献できる人材の育成という目標から重要と考えます。  そこで、滋賀県立大学人間看護学部の県内就職率についてどのように考えているのか、また、同学部も開設から16年が経過し、授業に使用する備品が相当古くなっていますが、この件についてどのように考えておられるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)看護師、歯科衛生士の養成についての4点の御質問のうち、私にいただきました滋賀県立大学についての質問にお答えいたします。  滋賀県立大学人間看護学部の県内就職率は、御質問にもありましたように、29年度の卒業生で44.0%、30年度で44.3%となっております。県立大学におきましては、これまでから、県内定着を図るため、地域教育プログラムに力を入れていただいているほか、県内の病院等を対象にした合同就職説明会や、地域のニーズに応じたカリキュラムを実施されております。  今後は、合同就職説明会に参加する病院をふやすなど、県内定着のさらなる取り組みを求めてまいりたいと考えております。  また、授業に使用する備品についてでありますが、既に耐用年数が経過しているものもあり、今後の教育や研究に支障が生じるおそれがあるなどの課題を認識しております。  県としては、引き続き地域に貢献できる人材の育成を県立大学に求めていくとともに、地域課題の解決に向けた教育や研究にしっかり取り組んでいただくためにも、大学とよく議論しながら必要な対応を図ってまいりたいと考えております。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)私にいただきました、看護師および歯科衛生士の養成、確保に対する3点の御質問にお答えいたします。  1点目、県立総合保健専門学校の入学定員割れについてでございますが、これにつきましては、県内の看護師および歯科衛生士の人材確保の観点から、大きな課題であると認識をいたしております。  要因についてでございますが、1つには、看護学科に関しては、18歳人口が減少し、また、大学志向が高まる中で、近年、近隣の京都大阪府に、看護系大学、学部が新設されてきたという大きな流れがございます。  また、2つ目に、両学科共通の要因といたしまして、推薦入試の応募に必要な内申書の評定平均値が高いため、応募がしにくい状況であったということが推測をされております。  そのため、オープンキャンパスの実施や、今年度から始めましたSNSを活用した情報発信のほか、令和2年度入試から、推薦入試につきましては、試験科目をふやすことで合格者の質の担保を図りながら、内申書の評定平均値の要件を廃止し門戸を広げるなど、入学者の確保に鋭意取り組んでいるところでございます。  その結果、令和2年度入試では、今月4日に合格発表がございました推薦入試と社会人入試におきまして、今年度入試より、看護学科は応募者が23人、合格者が16人増加をいたしますとともに、歯科衛生学科も応募者が6人、合格者が3人増加するなど、一定の効果があったのではないかと考えております。  今後、来年1月に実施されます一般入試の結果も踏まえまして、一層の入学者確保に取り組んでまいりたいと思っております。  2点目、県立総合保健専門学校の卒業生の県内就業状況についてお答えいたします。  看護学科の卒業生につきましては、過去5年平均で89.7%が、直近では、平成29年度は94.9%、30年度は94.7%が県内の病院等に就業いただいております。また、歯科衛生学科の卒業生につきましては、過去5年平均で91.1%、直近では、平成29年度は82.4%、30年度は93.9%の方が県内の歯科診療所等に就業していただいております。  なお、県内の看護師養成課程全体の卒業生の県内就業率は、過去5年平均で73.3%となっております。  このように、県立総合保健専門学校の卒業生につきましては、県内の看護師および歯科衛生士の確保に重要な役割を果たしているものと認識をいたしておりまして、引き続き、滋賀県立看護師等養成所授業料資金の貸与等を通じまして、卒業生の県内就業を促進し、県立養成所としての役割を果たしてまいりたいと考えております。  3点目の、県立総合保健専門学校の施設や設備の計画的な更新についてでございます。  県立総合保健専門学校につきましては、開校以来、40年以上、経過をいたしておりまして、校舎等の施設や設備が老朽化していると認識をいたしております。  一方、国が先般示しました新たな看護職員の需給推計を踏まえ、県全体の看護師養成についての検討を、来年度の滋賀県保健医療計画の中間見直しに向けて行うこととしているところでございまして、県立総合保健専門学校につきましても、県立看護専門学校とともに、県立養成所としての中長期的なあり方について検討を始めたところでございます。  その検討の中で、大規模な建物の修繕や設備の更新等についてもあわせて考えていきたいと思っておりますが、ただ、緊急に対応する必要がある、または、在校生の適切な学習環境を確保するために必要がある修繕等については適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆37番(清水鉄次議員) (登壇)県立総合保健専門学校の県内就業率が90%ということを聞いて、それに対しては役割を果たしておられるなということは思います。ただ、定員が大幅に割れてますので、そこを何とか確保するようお願いしたいと思いますし、また、施設ですね、40年たって、やはり大型の大規模な工事というのは確かにこれから計画が組まれると思うんですけど、どこでもあるんですけど、やっぱり女性の方が多いので、便所もちょっと大分古いですし、また、教室の雨漏りもしておりましたし、そういった点はやっぱり配慮してあげてほしいなと。京都や大阪に同じような民間の専門学校は、非常に施設も新しく、それと比べるとちょっと厳しいかなということで、滋賀県で唯一の歯科衛生学科ですので、ぜひ充実していただきたいなと思ってます。  それと、歯科の先生方から、県内に90%就職されるということはありがたいということなんですけど、肌感覚として、やっぱり足らないと。就職される方が、県内に就職されたとしても、やっぱり地域的にちょっと集中してるんじゃないかなと、その点は、この場ではあれなんですけど、その点もいろいろと考慮していただければと思います。  そこで、再質問なんですけど、この総合保健専門学校を初めとして、いろんな養成所の卒業生が、看護師さんや歯科衛生士さんが県内に就業されて、さまざまな理由によって退職されます。そして、そのまま働かれていない方がたくさんおられると思います。このような潜在的な看護師さんや歯科衛生士さんに復職研修を行うことなどによって、再び働いてもらうことが、県内就業を図るのと同じく、看護職員や歯科衛生士さんの確保を図るのでは重要なことであると思います。  そこで、再就業の促進についてどのような取り組みをされているのか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  潜在看護師さんにつきましては、離職した際の滋賀県ナースセンターへの届け出情報などをもとにしまして、就業希望者のニーズに応じたきめ細やかな復職支援を行っております。  具体的には、滋賀県ナースセンターにおいて、就業希望者と求人側の医療機関等とのマッチングを行っておりますほか、専門の職員を配置いたしまして、マザーズジョブステーションやハローワークで定期的な就業相談を行っております。また、訪問看護ステーション等への再就業を希望する看護師さんについては、復職支援を行いますとともに、再就業後の離職をさらに防止するために、就業先施設が行いますOJT研修に対しても助成をいたしております。  潜在の歯科衛生士の方に関しましては、復職を希望する歯科衛生士の登録制度というのを滋賀県歯科医師会が運営をされておりまして、その運営でありますとかフリーペーパーを用いた周知等に対して県としても助成を行っておりますほか、総合保健専門学校の卒業生に対しても登録制度の周知と登録の依頼を行っております。  また、歯科医師会では、制度の登録者を対象に復職支援を実施しておられます。そのための研修会、あるいは歯科診療所の求人情報の提供等の取り組みに対しても、県としては支援をすることによりまして、再就業の促進に努めているところでございます。 ◆37番(清水鉄次議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、37番清水鉄次議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時43分 休憩    ────────────────   午後3時4分 開議 ○議長(生田邦夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、15番角田航也議員の発言を許します。 ◆15番(角田航也議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、就職氷河期世代に対する支援について、一問一答方式にて質問をさせていただきます。一般質問初日の井狩議員の質問と重複する部分がございますが、御了承願います。  就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後の景気低迷期である1993年──平成5年から、2004年──平成16年ごろに学校卒業期を迎えた世代を指し、2019年4月1日現在で、大卒でおおむね37歳から48歳、高卒で33歳から44歳に該当します。長引く不況による企業の採用抑制と、派遣労働の規制が緩和されたことによる正規雇用から非正規雇用への置きかえが広がった時代であり、学校基本調査によりますと、1990年には80%以上もあった大卒の就職率は、2003年に過去最低の55.1%を記録しました。  また、一時的な仕事についた者、進学も就職もしていない者の割合については、2018年3月の卒業者は8.6%であるのに対し、1993年から2003年の卒業者は10%から20%台であり、2003年には27.1%と大きく状況が異なります。  本来なら、今、働き盛りの年代ではありますが、学校卒業時に不安定な就労、無業に移行したことや、就職できても本来の希望業種や希望職種以外での就職を余儀なくされたことによる早期の離職、転職により、能力開発の機会や職務経験が少なく、職務が高度化しにくいこと、また、年齢を重ねるにつれ、企業側の人事、採用慣行等により安定した職業に転職する機会が制約されやすいことなどに起因し、不安定な就労状態が継続し、労働条件や賃金に格差が生じています。  厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、2010年から15年にかけて、大卒、大学院卒者全世代の中で、35歳から44歳の世代だけ月収が下がっています。ほかの世代が2,200円から2万1,100円増加しているのに対して、35歳から39歳は4,300円、40歳から44歳は2万3,300円も減少しています。この世代に非正規雇用や転職を重ねた人が多いことや、正社員であっても大量採用されたバブル世代が上にいるため、昇格、昇給がしにくいことが要因と言われています。  さらに、この世代の未婚率が高いことに加え、この世代の親世代が70代、80代を迎え、1人で介護をする必要が生じたり、生計を支えていた親が亡くなることで年金収入が途絶え、生活困窮に陥るケースも危惧されるところです。  こうしたさまざまな課題に直面している就職氷河期世代ですが、現在47歳の私もその世代の初期のころに当たり、かつ、第2次ベビーブーム、いわゆる団塊ジュニア世代でもあります。バブルがはじけ、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が起こるなど、社会全体が重苦しい閉塞感に覆われていた1995年──平成7年に私は就職活動を始めたものの、企業は、景気悪化により大幅に採用数を減らしたり、採用そのものを中止するなど自己防衛に走り、時の政府も特に対策をとるでもなく、自己責任として放置されていました。就職が決まらなかった学生は、景気回復を待って自主留年したり、大学院に進学したり、公務員試験や資格試験を目指すなど、自力で活路を見出そうと必死でした。  しかし、公務員試験や人気の資格試験は、第2次ベビーブーム世代ということも災いして高倍率になり、受かりにくく、他方で雇用情勢も、氷は一向に解けることなく氷河期が長く続き、新卒一括採用方式の日本的採用システムの中で、一度卒業してしまうと採用されにくいことと相まって、生活のため仕方なく、アルバイトや、後に解禁される派遣労働など、非正規労働に身を置く人が大勢生まれ、ワーキングプアという問題も生じました。  リーマンショックがさらに状況を悪化させ、30代で正規労働へと移るのは至難のわざで、幸い、正社員になっても、厳しい雇用情勢を逆手にとって、労働者を酷使するブラック企業という事例も少なくありませんでした。  私は就職を諦め、資格試験に通算10年ほど挑戦したものの、乗り越えられず、絶望のふちをさまよっておりましたが、御縁をいただき、今こうして議員とならせていただき、議場で質問させていただくことができますことに、心から感謝をしております。  と同時に、私と同じように就職氷河期世代で苦しい青年期を過ごされた方に光が当たり、一助になる施策を実現することができたらと、また、今後このような不遇な世代を生み出さないよう、あるいは、社会人のスタートや途中でつまずいても、いつでもやり直しのきく社会をつくらなければという思いで、今回、一般質問としてこのテーマを取り上げさせていただきました。
     長々と前置きを申し述べましたが、質問に入らせていただきます。  先日の井狩議員の質問に対する答弁の中で、三日月知事は、「就職氷河期世代を支援していくことについて、行政の重要な役割であると認識しており、国を挙げて集中的に支援しようというこの機会に、本県でも待ったなしに取り組んでいく喫緊の課題であると認識している」と述べられています。  また、商工観光労働部長は、「就職氷河期世代が活躍できない場合、人材不足が深刻な県内企業にとっても大きな損失になると認識し、不安定就労や無業の状態がこのまま続けば、収入が低く、将来にわたる生活基盤やセーフティーネットが脆弱になり、社会保障にも影響を及ぼす可能性がある」と答弁され、就職氷河期世代に対する支援の重要性について述べられていますが、再度、就職氷河期世代に対する支援についての御所見を商工観光労働部長に伺います。 ○議長(生田邦夫) 15番角田航也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎商工観光労働部長(森中高史) (登壇)お答えします。  国の推計値によりますと、本県には、35歳から44歳までの世代のうち、不安定な就労状態にある方は5,900人、長期無業の状態にある方は2,641人とされております。  たまたま雇用情勢が厳しい時期に就職活動を行うことを余儀なくされ、希望どおりの就職ができず、不安定就労や無業の状態が長期化しておられる就職氷河期世代の状態がこのまま続けば、収入が低く、将来にわたる生活基盤やセーフティーネットが脆弱になり、御本人にとっても望ましくない状態であることはもとより、社会保障にも影響を及ぼす可能性があるものと認識しております。  そのため、正規雇用を希望される方や、就職そのものにチャレンジしたいという方々に活躍していただける環境を整えたり、ひきこもりの方などに社会参加に向けてより丁寧な支援を行うことは、県としても重要な役割であると考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。  次に、これまでも、就職氷河期世代に限らず若者の就労支援の取り組みをされてこられたと思いますが、具体的にどのような取り組みをされてこられたのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(森中高史) お答えします。  就職氷河期世代を含む若者の就労支援としましては、バブル崩壊後の厳しい雇用情勢が続く平成16年に、現在のしがヤングジョブパークの前身となりますヤングジョブセンター滋賀を大津に開設しまして、以後16年間、若者を対象としたワンストップの就労支援を実施してきたところでございます。この平成16年という年は、バブル崩壊から10年がたち、まさに今の就職氷河期世代が就職活動等を行っていた時代でございまして、実質的に就職氷河期世代をメーンターゲットに就労支援を行ってきたものと考えております。  具体的な取り組みについてですが、しがヤングジョブパークでは、専門スキルを有するコンサルタントが就職相談に応じるキャリアカウンセリングコーナーと、企業を対象に若者の採用ノウハウや受け入れ環境の整備などの助言を行う人材確保コーナーを設置し、若者の就職と企業の人材確保の両面から支援を行っているところでございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)それでは、次に、そうしたこれまでの就職氷河期世代を含む若者の就労支援の取り組みによる成果について、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(森中高史) お答えします。  しがヤングジョブパークの成果としまして、平成16年度に開設してから、昨年度──平成30年度までの15年間に、利用者数は延べ27万3,297人、就職者数は2万1,785名となっております。  今年度4月から9月までの半年間では、延べ7,954人に御利用いただきまして、648名が就職されたところでございます。また、このうち約8割に当たる511人が正規雇用で就職しておられる状況でございます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。  これまでも県では、おうみ若者未来サポートセンター、現在のしがヤングジョブパークを中心に、さまざまな形で若者の就労支援に取り組んでいただき、一定、成果も出ているということですが、他方、政府は、本年6月に閣議決定をした経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針において、就職氷河期世代支援プログラムを盛り込み、就職氷河期世代に対する本格的な支援を始めたところです。  このプログラムでは、全国におよそ100万人と言われる就職氷河期世代の非正規雇用労働者や無就業者等を対象に、処遇の改善や社会参加を促す取り組みを推進することにより、今後3年間で30万人の正規雇用化を図ることを目標としております。  また、2020年度予算の概算要求においては、ハローワークにおける就職氷河期世代専用の相談窓口の設置や、専門担当者による就職相談から職場定着までの一貫した伴走型支援の構築、ひきこもりや生活困窮者など社会的に孤立しやすい方に積極的に手を差し伸べるアウトリーチ支援、職業上必要な知識や技術を習得したり、アップデートするためのリカレント教育の充実、採用企業側の受け入れ機会の増加につながる環境整備等が盛り込まれるなど、厚生労働省を中心に具体的な支援プログラムが示されたところです。  政府は、就職氷河期世代への支援策として、トライアル雇用助成金制度や雇用開発助成金制度の導入など、これまでも対策をとられてはきました。しかし、要件が厳しいなどで、予算執行が少なく、実効性があったのか疑問です。就職氷河期世代の状況が、さきに述べましたように、依然厳しい状況であるにもかかわらず、自己責任として長年見過ごされてきた結果、晩婚化、少子化による人口減少、ひきこもり、労働者不足、消費や経済の低迷といった、現在この国が抱える多くの問題を引き起こし、深刻化させたと言っても過言ではありません。  今回の政府の取り組みは遅きに失した感は否めませんが、今からでも完全に手おくれというものではないと思います。とり得るあらゆる手段を使って、一日でも早く就職氷河期世代に対する実効性ある支援を始めるべきと考えます。  その際、就職氷河期世代にも、不安定な就労状態にある方、長期にわたり無業の状態にある方、いわゆるひきこもりなど社会参加に向けた支援を必要とする方など、いろんな状態の方がおられ、個々人のニーズに合った、きめ細やかな、そして切れ目のない支援が必要と考えます。  また、民間の業者だけが利益になって、支援を受ける方が利用されるような仕組みにならないよう、十分気をつける必要もあると考えます。  さらには、移住、定住施策と連携した就労支援も有効ではないかと考えます。大都市などで不安定な生活をしている就職氷河期世代に対して、県内出身であるなしにかかわらず、県が就労支援を積極的に行い、都会から正規雇用で迎え入れているという情報を、住宅情報とあわせて発信することで、若者の移住、定住の促進にもつながると考えます。  加えて、きめ細やかな支援でいえば、自分で事業を始めたいという人には起業のノウハウを、いきなり外出が困難な方には在宅ワークやテレワークなど柔軟で多様な働き方を推奨するなど、個々人のニーズに合った支援が確実に届く体制をつくることが重要であると思います。  こうしたことも踏まえ、今回の国の支援プランを受けて、今後、県としてどのように就職氷河期世代の就労支援を拡充していかれるのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(森中高史) お答えします。  国が就職氷河期世代支援プログラムを全国展開されるこの機会を捉え、県としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。  具体的には、来年度早々にも滋賀労働局が設置される予定の都道府県プラットフォームに県も参加するとともに、経済団体や労働団体、社会福祉団体などの関係団体、関係機関に積極的な参画を呼びかけ、プラットフォームにおきましては、本県における就職氷河期世代の活躍支援策の取りまとめや進捗管理等に当たってもらいたいと考えております。  また、しがヤングジョブパークにおいて、就職氷河期世代の希望や状態に応じたきめ細かい就職支援ができるよう、体制の充実などの取り組みの強化を検討してまいります。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)それでは、1点だけ再質問させていただきます。  今後、県は、国の支援プログラムにのっとる形で就職氷河期世代の就労支援に取り組んでいかれるということですが、今回の国のプログラムでは、3年で30万人を正社員にするということを目標に掲げ、人手不足業種のニーズを踏まえた実践的な人材育成プログラムの整備なども施策の1つに挙げられています。  しかし、人手不足分野への就職氷河期世代の就労を過度に誘導するのは、問題の解決には結びつかないと考えます。本人が希望して人手不足分野を選ぶ場合はともかく、結局、就職氷河期世代を再度雇用の調整弁にすることになります。採用する企業サイドのニーズに合わせることはもちろん大切ですが、個々人の希望、適性等に合った就労支援をお願いしたいと思います。  そこで、国の支援プランに見え隠れする、人手不足分野への就職氷河期世代の就労を誘導することについての御見解を、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(森中高史) お答えします。  就職氷河期世代の支援においては、支援対象者の希望や状態に応じたきめ細かい支援を行う必要があると認識しております。どうしても人材不足分野の求人が多くなったり、人材不足分野のほうが人材確保に熱心な状態だということが多いと思いますが、本人の希望や適性が一番であるのは当然のことでありまして、本人の意向を無視して進めることのないよう、施策構築や実行に当たって留意してまいりたいと考えています。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ぜひ、人手不足解消を第一の目的にするような政策にはしないでいただきたいと思います。人手不足問題については、人材が集まらない原因を取り除く施策、例えば待遇改善の支援策をとるなど、別建てですべきと考えますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に移ります。しがヤングジョブパークにおいて、国の施策と連携しながら、就職氷河期世代の就職支援体制の充実、取り組みの強化を検討されているということで、今後ますます、しがヤングジョブパークの役割が大きくなってくると思われます。先日の井狩議員の質問の答弁でも、人員の拡充や、平日以外の日への開所時間の拡大、県内のハローワークに出張展開も検討中とのことですが、ぜひ、より多くの方に利用していただけるような工夫をお願いしたいと思います。  しがヤングジョブパークという名前も、ことしの4月に、おうみ若者未来サポートセンターから名称変更があったばかりですが、お隣の京都の京都ジョブパークのように、「ヤング」をとったほうが40代も利用しやすくなると思われますので、御検討いただきたいと思います。  あわせて、効果的な広報による取り組みの周知の徹底を図ること、年齢を限った採用の解禁と、助成金の支給など、企業への就職氷河期世代採用のメリットの説明等も重要であると考えます。  以上を踏まえまして、しがヤングジョブパークの課題について、商工観光労働部長の御所見を伺います。 ◎商工観光労働部長(森中高史) お答えします。  今後、しがヤングジョブパークにおいて就職氷河期世代の支援を行っていく上で、開所時間や場所、名称、広報などの課題があると考えております。  開所時間につきましては、現在、パークの利用者に対して利用時間等に関するニーズ調査を実施しているところでございます。この結果を踏まえ、平日以外の開所について柔軟に検討してまいりたいと考えております。  場所につきましては、就職氷河期世代の方々にパークまで来ていただかなくても支援を受けていただけるよう、パークを設置している草津以外の地域において、出張相談を定期的に実施できるよう調整を進めており、先行して、ことし11月からハローワーク長浜において出張相談を実施しているところでございます。  今後も引き続き、他のハローワークとの調整を進めてまいりたいと考えております。  名称につきましては、議員御指摘の「ヤング」の名称についても柔軟に検討するほか、広報や企業への働きかけについては、ハローワークや、市町、福祉団体等の御協力もいただきながら、就職氷河期世代の支援のための各種取り組みに関する情報が、支援対象者やその御家族等の関係者に確実に届けられるよう工夫するとともに、企業に対するメリットの説明などを行ってまいりたいと考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。  ぜひ、利用しやすいしがジョブパークの運営と、効果的な広報、企業への積極的な働きかけをお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。就職氷河期世代には、これまで何度となく挫折を繰り返し、自信を失ったり、心に深い傷を負い、就労に向けた行動を起こせずにいる人や、就労を目指すこと自体を諦めてしまっている人もおられます。いわゆるひきこもりの状態の方も、この世代に比較的多いと言われています。  こうした方々には、まずは社会とのつながりを持っていただくところから、より丁寧な支援が必要となります。  これまでも取り組んでこられたと思いますが、今回の国のプランを踏まえ、長期にわたり無業の状態にある方や、社会参加に向けた支援を必要とする方への今後の支援の取り組み内容について、健康医療福祉部長にお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  就職氷河期世代の方の中には、ひきこもりの方など、社会参加に向けて、より丁寧な支援を必要とする方もおられますため、御本人の状況や思いに寄り添った支援をしていく必要があると認識をいたしております。  このため、相談窓口の設置に加えまして、ひきこもり支援センターのスーパーバイズや同伴訪問などの技術協力を得ながら、市町と保健所が一緒にケース検討や訪問支援を行いますほか、圏域ごとにひきこもり支援を行う関係機関によるネットワークの整備を進め、地域における相談支援やアウトリーチ支援の充実を図っているところでございます。  こうした取り組みを通じまして、まずは当事者交流など、御本人が安心して過ごせる居場所や、興味や得意なことを生かせる機会などに緩やかにつなげてまいりまして、御本人が自己肯定感や達成感を得られる経験を積み重ねていく中で、再び社会とつながることができるような支援に取り組んでまいりたいと思っております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。  ぜひ、本人や家族に寄り添った息の長い継続的な伴走支援をお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。政府は、地方自治体や民間企業への相乗効果や波及効果を見込んで、就職氷河期世代を国家公務員として中途採用枠で重点的に採用することを決めました。都道府県でも、愛知や兵庫、和歌山が県職員の採用実施を決めています。  市町村でも、県内では甲良町が先陣を切って実施をされ、そのほか、兵庫県宝塚市や三田市、茨城県境町など、全国各地に広がりつつあります。宝塚市の募集には600倍の応募があったことが話題にもなりました。  本県でも、県職員の採用において、就職氷河期採用枠をつくるなど、氷河期世代の重点採用を実施すべきではと質問させていただくつもりでしたが、先日の井狩議員に対する御答弁で、就職氷河期世代を対象とした採用試験を来年度から実施できるよう、具体の検討を進めているとおっしゃっていただきました。大変ありがたいことと感謝を申し上げますが、ぜひ、検討される際、受験者資格の年齢制限を45歳で切るような中途半端な支援策をとられませんようにお願いしたいと思います。  なぜなら、就職氷河期世代は、来年、50歳になる方もいらっしゃいます。第2次ベビーブームで志願倍率が高倍率の時代であったこと、育成する時間に比し、在職期間が短くなるデメリットを言われますが、公務員の定年の延長も現実味を帯びてくる中、民間企業への就職氷河期世代採用の旗振り役として、県が率先して就職氷河期世代を全てカバーするような採用基準をお示しいただくことが、社会全体で就職氷河期世代を支援していこうという機運を醸成する意味においても大変大事ではないかと思いますが、知事のお考えをお伺いします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  国や他の自治体が就職氷河期世代の雇用に向けた取り組みを始めている中、本県におきましても、現在行っております経験者採用試験に加えて、就職氷河期世代を対象とした採用試験の検討を進めているところです。  職員の採用に当たりましては、現在の本県の職員構成の状況なども踏まえる必要があることに加えて、就職氷河期世代の支援という観点からは対象者の年齢を広げることも大切であると認識しており、これらを総合的に考慮しつつ、来年度の採用試験の実施に向けて、具体の検討を進めてまいりたいと存じます。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)就職氷河期世代の支援と銘打たれるのであれば、この世代がこれまで年齢の壁に阻まれ続けてきたことも考慮していただき、本来の主目的を優先していただきたいと思います。  次に、就職氷河期世代の教員への採用について、教育長に伺います。  現在、本県の教員採用試験の出願資格には年齢制限がありまして、今年度ですと「昭和45年4月2日以降に生まれた者」と実施要項に書かれています。つまり、採用時の令和2年4月1日時点で49歳までの方が出願できることになっています。現在の県職員の経験者採用の年齢制限よりも高く設定されていて、就職氷河期世代の40代でも、教員になろうという志のある方にとっては門戸が開かれていて、大変ありがたいことと思います。  もっとも、昨年度の本県の教員採用試験の世代別の採用内定者数は20代が圧倒的に多く、合格率で見ますと、20代は約20%、30代、40代は10%前後となっており、年代が上がるにつれて合格しにくくなっています。学生や、大学などを卒業してから時間が短いほうが、恐らく筆記試験は有利に働くのではと推察するところです。  そこで、このたびの就職氷河期世代の支援の一環として、知事が表明された県職員への採用と同様に、この世代の合格者枠を別に設け、重点採用を実施されてはいかがでしょうか。この世代が大学を卒業した当時、少子化が徐々に始まっており、新規採用が抑えられ、現在もその影響で、50代、30代に比べ、40代の先生が少ないという状況で、年齢分布がいびつな構造となっています。  当時、教員を目指したものの、狭き門により涙を飲まれた方、多かったと思います。教員になる夢を諦めて別の仕事を探すも、就職氷河期で希望どおりの職種がなく、派遣労働や非正規の仕事を転々とし、自分が思い描いた人生をこれまで生きてこられなかった方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。  そうした方への政策的配慮と、現在の教員志望者の減少、競争倍率低下に伴う教員の質の低下への懸念もあることから、募集人員の一部を就職氷河期世代枠として重点採用することはできないでしょうか。社会の中でさまざまな経験をされた方が、学校という、ある意味、社会から隔離された世界に入られることで、先生や子供たちによい影響が生まれるのではないかと思います。  就職氷河期世代の教員への採用について、別枠で就職氷河期採用枠を設けるなど、重点採用を実施することの是非について、教育長のお考えを伺います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えします。  教員採用試験における受験可能年齢につきましては、それまで30歳未満であったものを、平成16年度から35歳未満に、また、平成18年度からは40歳未満に引き上げたところでございます。さらに、平成27年度からは50歳未満としており、平成5年から平成16年に学校卒業期を迎えられた就職氷河期世代に対して、当初から門戸を開いてきたところでございます。  昨年度実施いたしました採用試験におきましても、就職氷河期世代に当たる現在の37歳から48歳の方々を32人採用したところでございます。受験可能年齢の引き上げに加えまして、現在では採用人数も拡大しておりますことから、別枠で就職氷河期採用枠を設けることは考えてはおりませんが、採用選考全体につきまして、豊かな経験や教育力を教育現場で発揮できる教員が確保できるよう、しっかりと考えてまいりたいと思います。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)採用枠をつくるということは考えてないという御答弁でしたけれども、せめて、現在の年齢制限であります49歳を、過半数の都道府県において既に引き上げられているんですけれども、実質上の無制限、59歳まで引き上げることについて御検討いただきたいと思います。また、現在設けられています、社会人特別選考の校種、職種等を広げることについても御検討いただきたいと思います。  本県では、現在、高校の工業と農業、理科についてしか募集されていませんが、ほかの多くの都道府県では、全校種、職種等に募集枠を拡大し、多様な人材の確保を図られています。この点について、出願資格等の拡大について、教育長のお考えをお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  議員も御存じのように、教員の現在の定年は60歳でございます。また、学校現場における課題は非常に多様化しておりまして、やはり、教員の皆様には、一定、研修を受けていただくことが必要であるというふうに考えておりますことから、現在、50歳未満という受験年齢を本県ではとっているところでございます。  しかしながら、地方公務員の定年延長の動向もございますので、こういった点、受験可能年齢の引き上げは、この定年延長の動向も見据えながら、今後、研究していく課題であると思っております。  そして、社会人特別選考につきましては、議員の御質問にもございましたように、本県では、現在、高校の理科、農業、そして工業において、大学院修士課程を修了し、企業等で3年以上の実務経験がある人に対し、実施しているところであります。  これからの若者に対する教育における専門性を備えた人材をどのように確保していくのか、その点を十分考慮して、社会人特別選考の校種や職種について広げることについては、今後も検討すべき課題であると考えております。 ◆15番(角田航也議員) (登壇)ぜひ、社会人特別選考のほうにつきましては、即戦力の人材もいらっしゃると思いますので、検討のほうを進めていただきたいと思います。  それでは、最後の質問に移ります。知事が、就職氷河期世代を対象とした県職員の採用試験を来年度から実施することを検討すると表明されたことで、就職氷河期世代の支援を県全体で取り組んでいくという姿勢が鮮明になり、機運が高まったと思います。今後は、県内企業や自治体、そして、県民の皆さん一人一人にも理解が深まり、支援の輪が広がることを期待いたします。その結果、就職氷河期世代の方が一人でも多く、生きづらい状態から抜け出し、希望する仕事についたり、社会とのつながりを築いていっていただきたいと願うところです。  最後に、就職氷河期世代に対する今後の県の支援全般について、知事の意気込みをお伺いして質問を終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  就職氷河期世代につきましては、雇用情勢が厳しい時期に就職活動を行い、本人の意に反して、不安定就労や無業の状態が長期化しておられる方々が多数いらっしゃると承知をしています。現在働き盛りの30代半ばから40代半ばに至っておられるこの世代の方々に活躍していただける環境を整えることは、行政の重要な役割であると認識しています。  国を挙げて集中的に支援しようというこの機会を捉えて、本県といたしましても、滋賀労働局やハローワーク等とも連携を図りながら、例えば、来年度早々に設置予定とされている、労働局が設置されるプラットフォームにもしっかりと参画しながら、就職氷河期世代の方々がその意欲と能力を生かして、より活躍していただけるよう、しがヤングジョブパークの名称のあり方も含めて、かつ、県職員の採用試験の名称も含めて、就職氷河期世代に対する就労支援にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 ◆15番(角田航也議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、15番角田航也議員の質問を終了いたします。  最後に、9番佐口佳恵議員の発言を許します。 ◆9番(佐口佳恵議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団、佐口佳恵です。発言通告に従い、EBPM──証拠に基づく政策立案について質問いたします。  人口減少が加速化し、人員も予算も限られ行く中で、限られた人員と予算をどこに充てるのか、どの政策が真に求める効果を生むのかについて、真剣に考えていかねばなりません。  その道しるべとなることを期待される1つの手法がEBPMです。EBPMとはエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングの頭文字をとったもので、証拠に基づく政策立案と言われるものです。エビデンスという言葉は、近年、医療分野で耳にすることが多くなりましたが、日本語では証拠と訳されます。EBPM、エビデンス、すなわち証拠に基づく政策決定とは、客観的な証拠である統計等の各種データを用いて、事実、課題の把握、政策効果の予測と測定、評価を行うもので、それにより、1つには、政策目的を明確化させ、幾つもある選択肢の中から、2つ目に、その目的のため、本当に効果が上がる行政手段は何かを明確にするための取り組みです。  一例だけ身近な施策例を挙げさせていただきますと、神奈川県葉山町の葉山町きれいな資源ステーション協働プロジェクトがあります。住民と協働してデータを取得し、対策を立案、ランダム化比較実験、RCTという方法で効果を測定したことで、効果的な対策を見出した事例です。  葉山町では、ごみ減量化、資源化、きれいな町並みを目指し、平成26年度にごみ収集の方式を変更なさいましたが、収集後の後出しごみや不法投棄など、不適切利用が起きてしまわれました。  そこで、住民と行政との協働で、22日間で158カ所の資源ステーションについて、延べ110人が1,200回のモニタリングを行い、モニタリングシートを作成し、分析したところ、想定していた原因とは異なる原因が見えてきました。当初、悪意ある不法投棄が多いと思っていたところ、単純な分別、排出場所の間違いであり、しかも一定のパターンが見出せることが判明しました。原因の想定が違っていたため、それまで行ってこられたほとんどの対策は成果が出にくいものとなっておられました。
     そこで、このデータを踏まえ、地元住民の方とワークショップを行い、幾つかの対策を決定し、実行。実行した後にはRCT──ランダム化比較実験、これは、調査対象をランダムに振り分け、対策Aのチラシ配布を行った群、対策Bの看板設置を行った群、そして何もしない対象群を比較し、効果をはかる手法ですが、この方法で対策の効果を検証なさいました。  すると、対策Aは、不適切利用の70%から80%の削減効果はあるが、効果が持続しないということ、対策Bは、不適切利用の15%の削減効果があり、しかも効果が持続することが判明しました。最終的に、効果が高いものの持続しにくい対策Aのチラシ配布については、バリエーションをふやし、タイムリーに繰り返す方法をとることとし、対策Bの看板のほうは、データに基づき、成果が認められなかった「不法投棄は犯罪です」と書かれた看板ではなく、データ分析の結果により見出せた原因に対応する内容の、「本日の収集は終了しました」と書かれた看板を設置することとなりました。この例でいえば、効果があると信じて「不法投棄は犯罪です」という内容では、せっかくコストをかけて看板を設置したとしても、求める効果が得られなかったということになります。  この例ではデータの取得から取り組んでおられますが、ICT──情報通信技術の急速な発展、公共データのオープンデータ化や膨大で多様なビッグデータの活用が進んでいます。それらを活用し、政策立案を行うこともでき、行政において、データに裏づけされた政策の立案や客観的な政策評価が可能となる素地ができつつあります。  政策決定の場における勘や経験といったものを否定し切るものではありませんが、いわゆるPDCAサイクルを回すにも、年単位、テーマによっては数十年単位で成果をはからねばならない行政において、仮説を立てる際に、より効果がある政策を選ぶ確率を高めるために、官民のデータといった客観的な証拠に基づいて考えていくことは極めて重要であろうと考えます。  私ども議員においても自戒せねばならぬところですが、たまたま見聞した事例や限られた経験のみに基づく政策立案、エピソードベースでの政策立案ばかりを行っていくのでは、社会経済構造の激変に対応し切れなくなることでしょう。勘や経験、思い込みに依存した政策決定ではなく、同じ貴重な予算と時間と労力を統括するなら、政策立案は、いわゆるエビデンス、統計的根拠などの証拠に基づいて行っていくことを軸としていく必要があると言えます。  滋賀県においても、年間約5,500億円もの貴重な税金を使用させていただき、事業執行を行います。令和元年8月に再試算、9月修正の今後の財政収支見通しによれば、令和元年度から令和8年度までの財源不足額がおよそ1,065億円と見込まれる中でもあり、限られた人員、財源の最大有効活用を目指し、未来に向け、どこに投資すれば最も効果的なのかを、PDCAやPPDACのサイクルでいえば、P、すなわちプランの段階でしっかり分析していかねばなりません。  平成31年予算特別委員会の知事答弁によると、本格的な人口減少社会を見据えて、地域の将来推計人口をより詳細に分析するなど、顕在化する社会インフラ等の課題解決をテーマとしてEBPM推進事業に取り組んでくださるとのことでした。  また、平成30年度においては、国の資金を財源に、国立大学法人滋賀大学データサイエンス学部に研究事業を委託され、滋賀県における女性の年代別労働力率、いわゆるM字カーブの落ち込み要因分析等をテーマとして選定し、EBPMモデル研究事業に取り組まれたとのことです。  この平成30年度のモデル研究事業執行に当たり、庁内でテーマを募集されたということですが、どういった選定基準でテーマを選ばれたかについて、総合企画部長に伺います。  次に、このモデル研究事業においては、委託先である滋賀大学データサイエンス学部から、データに対応した適切な分析手法の提示、説明を受け、統計課や、テーマ、課題を提出した原課が、分析に関する知識、手法を獲得することも1つの目的とされておりますが、平成30年度のモデル研究事業を行われる中で、分析に関するどのような知識や手法を獲得なさったか、総合企画部長に伺います。  このように、モデル研究事業においては、モデルとして選定された事業の分析を行うだけでなく、その過程をOJT的に体験することで、職員が知見を身につけることも目的とされています。研究年数を重ねる中で、そのような知見を身につけた職員の方からEBPMに関する手法が庁内に広まり、政策決定を行う際に意識され、導入されていくことが期待されます。  しかし、こういった知見を身につけた職員が客観的な証拠に基づいた政策立案を実行していけるためには、職員間、役職者、恐れながら知事、そして私ども議員なども、EBPMについての理解度を向上しておかねばなりません。EBPM、ひいては統計に関して、リテラシー向上についての取り組みについて、総合企画部長に伺います。  先ほどお名前を挙げた滋賀大学は、2017年、全国に先駆けて、日本で初めて統計学を研究の軸とするデータサイエンス学部を設置なさった大学であり、平成30年度のEBPMのモデル研究事業の委託先です。  滋賀大学は、和歌山県と国、具体的には統計局、統計センターが設置する統計データ利活用センターと、本年11月25日に連携協定を結ばれたと仄聞しております。滋賀県においてEBPMに関する研究が他府県に先駆けてさらに発展することを大いに期待しておりますが、EBPM推進、活用について、滋賀県庁で目指すところを知事に伺います。  将来的に、全庁的に証拠に基づく政策決定を行えるようになるには、現在の人員だけではとても担い切れません。EBPMを実現するためには、統計データを選択、収集したり、分析、理解したりするスキルが求められます。  中長期的視点に立てば、庁内各課にこういったEBPMに必要なデータ選定などを行える、または、一定の素養や共通言語をもって統計課に協力を求め得る人員を配置できる状況となれば理想的であり、庁内における人材育成の重要性を感じておりますが、人材が育成されるまでの間も、待ったなしに政策決定を行っていかねばなりません。  人材が育成されるまでの間、大学や民間との連携、データサイエンティストなどの外部人材の活用も視野に入れ、協力体制を整えていく重要性を感じております。こうした連携、外部人材活用について、知事のお考えを伺います。 ○議長(生田邦夫) 9番佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)EBPMについて、5点、全体いただきました。私にはそのうち2点いただきました。  まず1点目、滋賀県で目指すところについてでございますが、議員もおっしゃったように、限られた資源のもと、より施策の効果を十分に発揮させるため、すなわちこれは、より県民のための施策を行うためには、データ分析に基づいて、ニーズ、課題や施策の根拠等を的確に把握し、それに基づき政策立案や意思決定を行うEBPMが重要であると存じます。  これまでから、例えば施策構築に当たりましては、課題を明らかにし、それに対する施策の根拠を把握し、それに基づき施策を構築することや、その施策の成果を検証するためにデータの活用分析に取り組んでまいりました。  こうしたデータの収集や分析についての意識や手法をより充実するため、EBPMの庁内での普及を進めるとともに、県の施策構築のプロセスへの取り込みについても検討を進め、効率的かつ効果的な施策の立案につなげてまいりたいと存じます。  2点目、大学や団体との連携についてでございます。  EBPMを推進するためには庁内の人材育成が必要であり、また、個別事項について適切なアドバイスを得ることも必要であることから、統計に関する専門的な知識を有する外部の人材や機関との連携が求められます。  このため、全国で初めてデータサイエンス学部が開設された滋賀大学の教員から、職員向けの専門研修や、EBPMモデル研究事業におけるデータ分析に御協力いただくなど、緊密に連携を図ってきたところでございます。  今後も、例えば健康寿命に関する要因分析を初め、各種の調査結果の分析など、さまざまな分野において大学等との連携をさらに進めてまいりたいと存じます。 ◎総合企画部長(廣脇正機) (登壇)私にいただきました3点の御質問のうち1点目の、EBPMモデル研究事業におけるテーマの選定基準についてでございますが、庁内に公募いたしましたことにより応募されたテーマにつきまして、課題が明確か、十分に分析を行うだけのデータが存在し、定量的な分析が可能か、また、施策への活用が見込まれるかなどを多角的に考慮して決定したものでございます。  2点目の、EBPMに関する知識や手法の獲得についてでございますけれども、要因についてさまざまな意見を出し合うブレーンストーミング方式によりまして、それらの因果関係を考えながら階層ごとに整理するロジックツリーを作成し、仮説を設定してデータ収集、分析を進めていくという、EBPMの基本的な進め方を習得をしております。  分析手法としましては、データ同士の関連を定量的に捉える相関分析、あるデータに対して複数のデータがどの程度影響しているかを見る重回帰分析などを学んで考察に生かしているところでございます。  3点目の職員の統計リテラシーの向上についてでありますが、平成26年度から、基礎的な内容としましては、職員のための統計講座におきまして、データ収集やグラフ作成、経済波及効果分析等の研修を実施をしておりまして、また、その資料を庁内掲示板に掲載するなど、職員の統計リテラシー、すなわち、統計を正しく理解し活用する力の底上げを進めております。  また、より応用的な内容といたしまして、平成30年度からは、EBPMの推進に必要な標本調査の理論や、重回帰分析の方法など、やや高度な統計手法等を学ぶ専門統計研修を、滋賀大学データサイエンス学部教員により実施をしているところでございます。  また、EBPMモデル研究事業の成果物の庁内での共有を図りますとともに、実施報告会を行っております。総務省統計局統計データ利活用センター長によるEBPMについての講演会の開催などによりまして、庁内での周知と理解促進に努めているところでございます。 ◆9番(佐口佳恵議員) (登壇)ありがとうございます。  総合企画部長の御回答では、研究成果を庁内掲示板に張り出していただいたり、また、職員様の周知徹底のために、講演会、そして研修を行ってくださっているということでお伺いをいたしました。  職員の皆様が、こういった講演会、研修というものを身につけていかれるということは非常に重要なことですが、何分、日本ではまだまだ新しい概念ですので、SDGsのときと同じですが、EBPMという手法自体が知られていないと思われます。  まずは広く、政策立案の意思決定に関してEBPMという考え方があるということの周知啓発、そして、EBPMを習慣的に自然に行っていくんだという風土の醸成といったものが継続的に求められる必要を感じております。この点についての知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 大変、きょうは、重要な、大切な視点からの御質問をいただいたなと思ってるんですね。  限られた資源を効率的に配分していくために、データや証拠に基づいて政策を構築すべきだと。実は、答弁に対する協議をしていたときにも、EBPMというと何となく難しいことのように思うし、聞こえるんだけれども、データや証拠に基づいて、効果的な、効率的な施策を立案すべしと言えば、何となくわかりやすいし、かつ、もう今でもやってるようなこともあるのかもしれないと。  したがって、そういうわかりやすさというものを庁内でも、EBPMだけ言葉を走らせるのではなくて、わかりやすさ、今までやってきたことの高度化ということとあわせて、広め、深めていきたいというのが1つ目です。  もう1つは、このEBPMのEのとり方、エビデンスの評価の仕方ということについて、先生は、きょう、RCTの話を出されましたけれども、これは、私の記憶が間違ってなければ、今年度、ノーベル経済学賞をとられたデュフロ先生が、改めて健康や貧困の施策を評価する時の手法として用いられた手法だと理解をしています。そのときに大事なことは、やはりトライアルでありまして、トライアルすることによって、やらなかった場合と比較をして、その差を政策の効果だと位置づけることによって、そして、政策を立案し、実行していくという、こういう手法というのは、ややもすると、トライアルというものに臆病であった、行政においてなかなかできてこなかった。そういう意味で、きょう、貴重な、神奈川県葉山町の例も出していただきましたので、さらにそういったチャレンジ、トライアルをより慫慂するような視点も含めて、庁内に波及させていきたい、普及させていきたいと思いますので、どうか今後ともよろしく御指導いただければと存じます。 ◆9番(佐口佳恵議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、9番佐口佳恵議員の質問を終了いたします。  以上で発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「議長、関連」)  関連質問があるようでありますので、しばらく休憩いたします。   午後4時5分 休憩    ────────────────   午後4時53分 開議 ○議長(生田邦夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  関連質問の発言通告書が提出されておりますので、これを許します。  13番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)しばらくよろしくお願いします。  重田議員の全国学力・学習状況調査についてに対する教育長の答弁について質問をいたします。  以下、全国学力テストと言います。答弁は全て教育長にお願いします。  昨年、この議会で決議が上げられましたが、学力テストの正答率を上げ、都道府県順位を上げることが地域の発展につながるかどうかということについて、一度よく考える必要があると常々思ってきました。  教育長は、学力テストの結果を受けた取り組みの好事例を全学校に提供していると答弁されましたが、教育の画一化と教員の自主的取り組みを抑えることになるのではないかと懸念をいたします。  全国学力テストの最大の問題は、日本の義務教育を歪めているところにあると思います。  まず最初に、全国学力テストの功罪をどう考えておられるのか、教育長にお尋ねします。 ○議長(生田邦夫) 13番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  各学校や市町の教育委員会が、継続的に子供一人一人の学力や学習状況をきめ細かく把握、分析して、その課題に適切に対応したり、各校の取り組みや教育施策の成果と課題を検証し、改善を図ったりすることは、大変重要なことと考えております。  そうしたことから、全国学力・学習状況調査を活用して、全国的な状況も参考にしながら、成果や課題の把握、分析等を進められることは、大変有効であると考えております。  なお、調査結果の公表に際しましては、調査により測定できるのは学力の特定の一側面であること、学校における教育活動の一部であることなどから、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮する必要があると考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)学力テストは、回を重ねるたびに、全員を対象としていることで点数競争が激化して、さまざまな問題を広げているというふうに思います。  そこで、先ほどの好事例の話に戻りますが、「全国学力テストの調査結果をもとに改善に取り組んでいる好事例集を全ての学校に提供している」と答弁されていますが、何をもって好事例と判断されているのか、お尋ねをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  好事例として紹介をいたしました、学ぶ力の向上につながる学校の実践事例集は、子供たちの学ぶ力の向上に向けた取り組みを紹介するものであり、県内の小中学校におきまして、全国学力・学習状況調査の結果分析から各学校の課題を明らかにし、学力向上や、学習状況の改善を図った取り組みや、学習指導要領改訂に向けた実践などを掲載をしております。とりわけ、学校組織全体として取り組み、校内研究会が活性化しているなど、効果を上げている学校の取り組みを紹介しているものでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)何をもって効果を上げていると判断されてるんですか。 ◎教育長(福永忠克) それぞれの学校においてこうした取り組みを行うことにより、教員、また、子供たちが、「よりわかった」「より勉強できるようになった」という声が出ているような事例を、そういった好事例として取り上げていると考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)(資料掲示)これが、好事例、学校の実践事例いうことで10校を挙げておられますけども、私は、滋賀県中の学校で、ほとんど多くの学校で、教員が創意工夫を凝らしたいろんな取り組みをやっていると思うんですよ。その中で10校だけ取り上げて、これを紹介して広げるいうふうなことをやることは、ほかの、ここに取り上げられなかったすばらしい取り組みが評価されないということにつながるんでないかなというふうに思うんですけども、いかがですか。 ◎教育長(福永忠克) 今、議員が手元にお持ちなのは平成31年の発行のものでございますが、この各校の取り組み、参考としてもらうための実践事例は、例年、毎年、作成をしているものでございます。それぞれの年でそれぞれの学校がさまざまな取り組みをしていただいておりまして、毎年、新しく取り組まれたこと、新たに取り組まれたことを、例年、提供することによって、学校でさまざまな、県内で取り組みが行われているということを知っていただき、そして、それぞれの学校が何をして、どういう取り組みをもっと進めていけばいいのか、その参考資料として県教育委員会として提供しているものでございまして、その10校分だけがこの冊子の全てではないと認識をいたしております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)じゃ、この好事例と学力テストとの関係はどうなんですか。 ◎教育長(福永忠克) 学校からは、事例集に関しましては、学校全体としての取り組み方針、また、取り組み内容を検討する上で参考になったという声を聞いておりまして、こうしたことによりまして、各学校が主体的に取り組み、そして、校内研修が活性化していくと考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)この事例集と同時に、県教育委員会から指導主事が学校を訪問して指導の改善につなげていると発言されておられますが、それはどのようなものですか。 ◎教育長(福永忠克) 指導主事の学校訪問につきましては、各校の課題を踏まえまして、よりよい教育が実現できますように、授業改善に向けた取り組み、また、校内研究の推進、あるいは教育課程の編成等について、指導主事が助言を行っているところでございます。  具体的には、各学校の取り組み方針、また、取り組み内容について、お話を聞きながら、その取り組みがよりよいものとなるよう助言をしております。さらに、授業を当該学校の教員も含めまして一緒に参観し、授業の進め方などについて当該学校の教員と協議をし、助言をしているところでございます。  なお、ここ数年は、新学習指導要領の趣旨や内容について情報を共有しながら、各学校の先生方を県教育委員会として支援をしているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)年2回、全ての学校を回ってるというふうに聞いたんですけども、間違いありませんか。 ◎教育長(福永忠克) 以前は年1回でございましたが、より指導を適切に行うために、1学期、そして2学期と、年2回行っているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)私は、型にはまった授業のやり方を強要することは、教員が創意工夫した、子供の実態に合わせた教育を困難にするのではないかというふうに思います。  具体的な授業方法にまで口出しするような行政のあり方は、現場の実践を萎縮させ、創意工夫の芽を摘みかねないと思います。こういうことは自粛すべきだと思いますが、いかがですか。 ◎教育長(福永忠克) 県教育委員会では、第Ⅱ期の学ぶ力向上しがプランにおいて、滋賀県のどの学校においても全ての子供たちがよりよい教育を受けられるよう、各学校には、取り組みの柱となる3つの視点、1つが授業づくり、1つが学習集団づくり、そしてもう1つが学校づくり、この3つの視点をお示しし、それぞれの学校の状況に応じた具体的な重点を決めた上で、指導改善に取り組んでいただいております。  そのため、県教育委員会としては、それぞれの学校や一人一人の教員の指導方法の改善が図られるよう支援していくことが大切と考え、助言をしているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そういうのは、現場教員の実践への情熱や、授業、指導力に対する心からの信頼や敬意がないからこのようなことをするのではないかというふうに私は思います。  そもそも、教員が子供を教えるというこの教育について、教育長はどのように捉えておられますか。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  教育とは、教え育てることでございます。子供たち一人一人のよさを引き出しながら教え、そして、人とかかわる力などを育てることで、人格の完成を目指すものであると私は考えております。  一人一人の個性を大切にし、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育むことで、子供たちの生きる力、これを高めていくことが、滋賀が目指す教育であると考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)エンゲルスが、「サルが人間になるにあたっての労働の役割」という本の中で、樹上──木の上で生活をしていた類人猿が地上で2本直立歩行することによって、手が自由になり、それによって、自由になった手で次々と新しい技能を獲得し、自然に働きかけて富に変える。その労働の中で言語が発生し、脳が発達して人間社会が生まれてきたと、これが人間の発達の歴史ですけども、子供たちは、この人類が蓄積した文化を学んで、他者との温かい人間関係の中で一人一人が個性的に育つ。これが大事だというふうに思うんですけども、これを支えるのが教育の本質だというふうに私は思いますが、これは時代が変わっても不変であるというふうに思います。  そういう教育に携わる教員の使命、仕事をどういうふうに教育長は考えておられますか。 ◎教育長(福永忠克) 教員の皆さんは、日々の授業を初めとする教育活動を通じて、子供一人一人としっかりと向き合い、その子供たちの個性を伸ばしたり、支援をしたりして、社会の一員として自立し、生きていく力を育むという重大な役割、使命を担っていただいていると考えております。  教員は、教職に対して情熱と誇りを持ち、主体的に学び続けながら、温かく子供たちの成長を見守る存在であると私は考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)教員は、労働者であるとともに教育の専門家であります。子供の人間形成を支える教員の仕事は、みずからの使命への自覚と、それと結びついた広い教養や深い専門的知識、技能が求められる、とうとい、たっとい専門職です。  そして、その専門職の発揮のためには、それにふさわしい労働条件を保障して、授業の準備、学習と研究、人間的修養が必要だと思います。そのために、教育者として一定の自主的な権利や自立性が必要だと思います。  教員への心からの信頼や敬意が非常に重要だと思うんですけども、どのようにお考えですか。 ◎教育長(福永忠克) 今、議員がおっしゃられた、教員お一人お一人がみずからの技能を高め、研修を積み、みずからを高めていっていただいているというのは、滋賀の全ての教員がそういったお取り組みをされていると考えておるところでございます。  しかしながら、各学校におきまして課題がさまざまございます。そういった中で、それぞれの課題をどのように解決していけばいいのか、学校全体で、またお一人お一人の先生方が、いろいろ悩み、考えておられることも多々あると思います。そういったことをしっかり支援するのが、我々、県教育委員会の役割であると考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)次に行きますけども、重田議員への答弁の中で学力の問題がありましたけども、確かな学力とは何か、もう一度お尋ねいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。
     確かな学力とは、基礎的、基本的な知識および技能、そして、これらを活用して課題を解決するために必要な、思考力、判断力、表現力など、そして主体的に学習に取り組む態度などから成るものでございまして、これは生きる力の大切な要素の一つであると考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そういう確かな学力と学力テストとの関係はどのようにお考えになってますか。 ◎教育長(福永忠克) 先ほどもお答えをいたしましたが、全国学力・学習状況調査は、子供一人一人にとって、あるいは学校にとって、学力と学習状況に係る客観的なデータが得られる調査であると考えております。そのため、調査結果をしっかりと分析し、それぞれの状況に応じて改善が図られるようにしていくことが大切でございます。学力のみならず、子供たちの学習、生活状況も含めて改善に資することが大切であります。  先ほどもお答えしましたように、こういった調査結果を踏まえ、しっかりと取り組むことが、滋賀の子供たちの確かな学力の向上につながるものと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)要するに、文科省も、学力テストではかれるのは、学力の一側面をはかるものだというふうに文科省も言ってるわけですね。  だから、学力テストの成績とか、全国順位とか、平均正答率をもって、学力が上がったとか下がったとかいうのは非常に問題があると。学力が向上するというのは、都道府県別順位が上がることや、平均正答率が上がることでもないと思うんですよ。たった47の都道府県の狭い枠内で競い合うことは、無益いうか、有害でさえあると私は思います。たとえ全ての県がどれだけ奮闘したとしても、順位をつけるとなれば、1位があれば、最下位や平均点以下も必ず存在すると思うんです。  そういう点で、学力テストにあらわれる学力いうものをどう捉えるかいうのは非常に重要なものだと思うんですけども、最後に、学力の向上と地域の未来の関係についてどのようにお考えになっているか、お尋ねします。 ◎教育長(福永忠克) 県教育委員会では、未来を拓く心豊かでたくましい人づくりを教育の基本目標として、確かな学力、豊かな人間性や社会性、そして、みずから未来を切り開いていくことのできるたくましさなどを育むことに取り組んでいるところでございます。  児童生徒一人一人の個性を大切にし、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育むことで、子供たちの生きる力を高めていくことが滋賀の未来につながるものと私は考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)「学力日本一、そして誰もいなくなった」、これ、日大教授の小笠原喜康さんいう人がこういうフレーズ言われてるんですけども、(資料掲示)この表を見ていただきたいんですけども、これは秋田県の人口の状況なんですけども、もう断トツで全国で一番人口が減っている。1年に1万人以上のペースで人口が減っていると。とりわけ、若者の半数が県外へ流出してしまうというのが学力テスト日本一の秋田県の実情なんです。  学力テストの学力が上がれば上がるほど都会の大学へ行って、そして戻ってこない、こういうことになっています。私は、秋田県の人口減少がこの学力問題に起因するとは言いませんけども、日本一の学力テストの成績を残している県が、こういう、日本で断トツの人口が流出しているということは、冷厳な事実であります。そして、その結果、(資料掲示)この下の表ですけども、婚姻率が全国最低、出生率が全国最低。いろんな指標はありますけども、これは私が出してきたんでなしに、秋田県の健康福祉部健康推進課が、秋田県の全国一のワーストデータいうことで出しているんです。非常に深刻な問題になっています。  そこで……(発言する者あり)ちょっと時間ないから静かにしてください。  これが今の冷厳な事実なんですけども、私は、学力問題というのは、ある意味で都市問題でもあると思います。どういうところに住み、どういう仕事をし、どういうコミュニティーの中で生きたいのか、そういうことが学力の中身を具体的につくっていくんだというふうに思います。  小学校で学ぶ知識が単に自分の世界のことではなく、中学校で学ぶ知識が単なる暗記のフレーズで、そして、高校で学ぶ知識が大学入試のためでしかなかったならば、宙に浮いた知識の学力でしかないと。これでは地域の将来をしっかりと支えることはできないというふうに思います。  もう時間ないので終わりますけども、こういう学力の問題いうのは、今の学力テストを中心とした教育のあり方の根本を変えることが求められているというふうに思います。そのことを強調して終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、13番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  以上で、質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議第196号から議第210号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか14件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(生田邦夫) 議第196号から議第210号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   令和元年11月定例会議議案付託表                                        令和元年12月11日(水) 〇総務・企画常任委員会  議第196号 令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳入の部 全  部    歳出の部 款1 議会費         款2 総合政策費         款3 総務費         款4 県民生活費のうち          項1 県民生活費          項3 統計調査費         款7 商工観光労働費のうち          項1 商工業費[総合企画部分]  議第197号 令和元年度滋賀県モーターボート競走事業会計補正予算(第1号)  議第198号 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案  議第199号 滋賀県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例案  議第200号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案  議第210号 令和2年度において発売する当せん金付証票の発売総額につき議決を求めることについて 〇土木交通・警察・企業常任委員会  議第196号 令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款9 土木交通費         款10 警察費         款12 災害復旧費のうち          項3 土木交通施設災害復旧費   第2条 債務負担行為の補正  議第203号 滋賀県建築基準条例の一部を改正する条例案  議第206号 契約の締結につき議決を求めることについて(草津警察署庁舎新築工事(建築))  議第207号 契約の変更につき議決を求めることについて(原松原線補助都市計画街路工事)  議第208号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県営都市公園(奥びわスポーツの森に限る。))  議第209号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県営住宅) 〇環境・農水常任委員会  議第196号 令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款5 琵琶湖環境費         款8 農政水産業費         款12 災害復旧費のうち          項2 農政水産施設災害復旧費  議第201号 滋賀県卸売市場法施行条例を廃止する条例案  議第202号 滋賀県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案 〇厚生・産業常任委員会  議第196号 令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款6 健康医療福祉費         款7 商工観光労働費のうち           項1 商工業費[総合企画部分を除く]           項2 中小企業費           項3 観光費           項4 労政費           項5 職業訓練費           項6 労働委員会費  議第204号 滋賀県病院事業に従事する企業職員の給与の種類および基準に関する条例の一部を改正する条例案 〇教育・文化スポーツ常任委員会  議第196号 令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款4 県民生活費のうち           項2 文化・スポーツ費           款11 教育費  議第205号 滋賀県公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第6号 免税軽油制度の継続を求めることについて 請 願 番 号 第6号 受 理 年 月 日 令和元年11月11日 件     名 免税軽油制度の継続を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 桑野仁 海東英和 川島隆二 付 託 委 員 会 総務・企画常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  これまで冬季観光産業の重要な柱であるスキー場産業の発展に貢献してきた軽油引取税の課税免除の特例措置(以下「免税軽油制度」という。)が、令和3年3月末日で廃止される状況にある。  免税軽油制度は、元来、道路を走らない機械に使う軽油について、軽油引取税(1リットル当たり32円10銭)を免税する制度で、船舶、鉄道、農業・林業、製造業など、幅広い事業の動力源の用途に認められてきたものである。  スキー場産業では、索道事業者が使うゲレンデ整備車および降雪機に使う軽油が免税となっており、この制度がなくなれば索道事業者は大きな負担増を強いられ、スキー場の経営維持が困難となるとともに、地域経済にもはかり知れない影響を与えることとなる。  以上の趣旨から、次の事項について意見書を政府関係機関に提出していただくことを請願する。             記  免税軽油制度を継続していただくこと           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表
    △請願第7号 国に対し、福祉職員の大幅増員と処遇改善に関する意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第 7 号 受 理 年 月 日 令和元年12月3日 件     名 国に対し、福祉職員の大幅増員と処遇改善に関する意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 松本利寛 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  滋賀県内の保育・福祉職場では人材確保問題が深刻である。慢性的な人手不足によって「休憩が取れない」「休みが取れない」「残業が多い」など労基法さえ守れない状況が進行し、さらに人が集まらない悪循環を生んでいる。その結果、必要な職員が確保できず、定員を縮小せざるを得ない施設や事業所もあり、住民が必要な福祉サービスを利用できない事態が生まれている。  今年、大津市の保育所で散歩中の交通事故が起きたが、こうした不幸な事故から子供を守る上でも人手不足の解消は急務の課題である。  人手不足が解消しない原因は、保育・福祉職員の処遇改善が進んでいないことと、そもそも国の定める職員配置基準が低いために残業(持ち帰り含む)や休憩・休暇などが充分に取れないことが慢性化し、こうした労働環境の悪化が保育士の就労を遠ざける原因になっている。その解決のためには、政府が職員配置基準や報酬額(介護・障害分野)、公定価格(保育分野)を抜本的に改善することが必要である。この間、政府は処遇改善加算など賃金引き上げ施策をとっているが、実際には、一般労働者との月10万円近い賃金格差は余り縮小されておらず、処遇改善が進んでいるとは言いがたい現状である。また、公定価格や報酬単価が上がらないために、事業所の運営も厳しい状態が続いている。  これでは、福祉労働の専門性に見合った賃金や労働条件は今後も保障されず、結果として職員の離職が進み、人材確保問題が解消されることはない。  福祉人材を確保するためには、国の責任で国庫負担を大幅にふやし、福祉職員の大幅な増員と賃金の引き上げを実現させることが必要である。  ついては、下記の項目について審議いただきたく請願する。             記  利用者の安全・安心が保障され、また職員の生活が守れる職場にするために、国の責任で、保育・福祉職員をふやすとともに、賃金を底上げし処遇を抜本的に改善することについて、地方自治法第99条の規定に基づき国に対して意見書を提出されたい。           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第8号 厚生労働省による「地域医療構想」推進のための公立・公的病院の「再編・統合」に抗議し、地域医療の拡充を求めることについて 請 願 番 号 第8号 受 理 年 月 日 令和元年12月5日 件     名 厚生労働省による「地域医療構想」推進のための公立・公的病院の「再編・統合」に抗議し、地域医療の拡充を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 黄野瀬明子 松本利寛 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  9月26日厚労省は、自治体が運営する公立病院と日本赤十字など公的機関が運営する公的病院の4分の1超にあたる全国424の病院をリストアップし、「再編統合について特に議論が必要」とする分析結果とともに対象となる病院名の公表を行った。これは、2017年度の報告データをもとに、①「診療実績が少ない」②「他の医療機関と競合している」などの分析を行い、2020年までに統廃合・再編・ベッド縮小などの計画を具体化することを求めたものである。このリストには県内5つの病院も含まれている。  今回の厚労省の公表と要請は、「地域医療構想」の進捗のみを目途に、地域や病院の実情や現状を一切勘案することなく、画一的な基準で「再検討」を求めるものである。これは、県知事の権限に対する越権行為であり、地方自治に対する侵害である。  厚労省の「要請」に基づいて、再編・統合が進められれば、地域での医療を必要とする患者・住民が、安全で質の高い医療を受けることができなくなる。また、医師や看護師などの医療労働者の不安を増大させ、離職・退職の加速や新規採用を一層困難にすることは明らかである。  厚労省の公表と要請に対して、当該、連携する医療機関や地域住民から怒りの声が多数あがっている。  今回公表された公立・公的病院は、住民が安心して地域で住み続けるために必要な医療機関であり、必要な病床である。厚労省が求める「再検証」は、安倍政権が掲げる地方創生にも逆行する「地方切り捨て」であり、また、地方自治の本旨にも反するもので、容認できるものではない。  県内5病院を含む424病院のリストと「再検証」の要請を白紙撤回し、地域医療を守る観点からより一層の拡充を図ることが求められている。安全・安心の医療の実現のために、下記事項につき、 地方自治法第99条にもとづく国に対する意見書を決議し、提出されるよう請願する。            記 1.厚生労働省に対し、県内5病院を含む424病院のリストと「再検証」の白紙撤回を求めること。 2.地域医療を守るため、県内5病院を含む全ての県内医療機関の存続および一層の充実と、医師・看護師などの確保を進め、地域住民が医療を受ける権利を保障する施策を強めること。その実現のために国に対して財政措置を初めとした支援を求めること。           ────────────────────────────── △陳情についての報告 ○議長(生田邦夫) なお、陳情については、お手元に配付いたしておきました一覧表のとおりであります。            ──────────────────────────────                    陳  情  一  覧  表 △陳情第3号 住民監査請求について 陳 情 番 号 3 受 理 年 月 日 令和元年11月29日 件     名 住民監査請求について 提  出  者 (略) 要     旨  滋賀県監査委員に対し、滋賀県職員措置請求書(令和元年11月21日提出分)について、適正な監査を行い、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、陳述の機会を与えるよう求めることを陳情する。 理由  当該住民監査請求の内容は、官製談合防止法違反に関する違法・無効な県営住宅指定管理者契約更新に係る当該怠る事実の違法確認の請求、平成27年3月に行った契約更新(9億8,820万円/5年間)の無効確認の請求、令和2年3月に行う予定の契約更新(10億3,677万円/5年間)の差止めの請求という、滋賀県にとって極めて重要なものである。  地方自治法第242条第6項は、「監査委員は、第4項の規定による監査を行うに当たっては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。」と規定しているが、これまでの例によれば、滋賀県監査委員は、当該規定に関し、「故意、重大な過失、過失」に基づき、職務権限を濫用して、懈怠してきた。  よって、趣旨の履行を陳情する。 送 付 委 員 会 総務・企画常任委員会            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(生田邦夫) お諮りいたします。  明12日から19日までは委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) 来る20日は、定刻より本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時17分 散会    ────────────────...