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令和 元年11月定例会議(第16号〜第22号)−12月09日-04号

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  1. 滋賀県議会 2019-12-09
    令和 元年11月定例会議(第16号〜第22号)−12月09日-04号


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    最終取得日: 2023-05-14
    令和 元年11月定例会議(第16号〜第22号)−12月09日-04号令和 元年11月定例会議(第16号〜第22号)                 令和元年11月定例会議会議録(第19号)                                        令和元年12月9日(月曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第4号                                         令和元年12月9日(月)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第196号から議第210号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   清  水  ひ と み    7番   村  上  元  庸       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       26番   佐  藤  健  司    27番   目  片  信  悟       28番   有  村  國  俊    29番   大  野  和 三 郎       30番   岩  佐  弘  明    31番   富  田  博  明       32番   細  江  正  人    33番   生  田  邦  夫       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               選挙管理委員会委員長代理    中  原  淳  一               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               代表監査委員          藤  本  武  司               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(生田邦夫) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(生田邦夫) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が、また、人事委員会西原節子委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会北村嘉英委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第196号から議第210号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(生田邦夫) 日程第1、議第196号から議第210号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、36番木沢成人議員の発言を許します。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇、拍手)皆様、おはようございます。  それでは、早速、通告に従いまして、防災対策について、流域治水対策を中心に、以下、一問一答方式でお伺いをいたします。  令和の新時代の幕開けとなった本年は、自然災害の多い年としても記憶に残る年の瀬を迎えております。8月には、佐賀県を中心とする九州北部において集中豪雨による災害が発生し、また、9月には台風15号の強風による災害が千葉県を中心とした関東一帯で発生、10月には、近年まれに見る大型台風でありました台風19号により、関東、東海、北陸、甲信越、東北地方の13都県と、実に広範囲にわたり極めて甚大な降雨災害をもたらしました。これらの災害によって犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。  近年、毎年のように全国各地で降雨災害が発生し、そのたびに新たな課題が浮き彫りになってきているところでありますが、浸水被害に伴う環境汚染物質の流出事故という問題も大きな課題の一つであります。  平成29年10月の台風21号襲来時には、本県におきましても、日野川流域の竜王町弓削地先において、金属加工会社の建屋浸水に伴う油流出事故が発生し、周辺の農地に大きな環境被害をもたらすとともに、油の一部は日野川を通じて琵琶湖にも流出いたしました。  また、さきに述べました本年8月の佐賀県豪雨災害では、同県杵島郡大町町地先における内水氾濫に伴う建屋浸水によって、鉄工所からの油流出事故が発生、また、10月の台風19号襲来時には、福島県郡山市内におきまして、阿武隈川からの氾濫によりメッキ工場が浸水、同工場から猛毒のシアン化ナトリウムを含む廃液が流出し、工場周辺の排水溝からは排水基準の156倍のシアン化合物が検出されました。治水対策における一つの重要課題として、本県でも今後一層の取り組みが求められるところであります。  さて、さきに行われました平成30年度決算特別委員会の審査では、審査資料の一つである主要施策の成果に関する説明書のうち、工場・事業環境汚染防止事業に関する成果の説明におきまして、「自然災害による浸水リスクや施設の老朽化に起因する油事故等の視点からも注意喚起を行い、法令遵守や環境汚染防止対策に関する指導等を行う必要がある」と課題についても記載がなされ、本年度の課題への対応として、「浸水リスクの視点からも、工場の自主的な対応が図られるよう指導等を行う」と記載されているところであります。  そこで、お伺いをいたします。今ほど述べましたように、本年は浸水被害における環境汚染事故が国内各地で顕在化したわけでありますが、本県における工場、事業への注意喚起、指導等の状況の具体について、その対象箇所数も含めて、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。 ○議長(生田邦夫) 36番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えします。  平成29年10月、竜王町において、台風の影響により浸水した工場等からの大量の油流出事案を受け、平成30年3月に県のホームページにおいて、自然災害等に伴う浸水リスク対応の注意喚起について掲載しており、また、風水害のおそれが高まる時期を迎える同年6月には、1,436の工場等に対し、注意喚起の通知を行ったところでございます。  さらに、本年9月の佐賀県における記録的豪雨の影響により浸水した工場等からの大量の油流出事案を受け、1,533の工場等に対し、浸水リスクについて改めて通知をしたところでございます。  また、法令遵守や自主的な環境汚染事故未然防止の促進を目的として、工場立入調査を年間約200件行っており、その際に、浸水等のリスクに備えて自主的、計画的な対応を行うよう、適宜、注意喚起を行っているところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)ただいま、1,533カ所という具体の箇所数について言及をいただきました。琵琶湖に流れ込む川が数百あると言われておりますので、そうすると、今おっしゃったような数というのが具体に出てくるのかなというふうに思ったんですが、そのそれぞれの工場、事業によって、取り扱う品目でありましたり、そこで扱われている物質等も異なり、付随する環境汚染リスクについても一様ではないと思います。また、工場、事業が立地する場所、当該エリアの浸水リスクも同じく一様ではないと思われます。  したがいまして、事故を未然に防止し、また、万が一事故が発生した場合に、事故による被害を最小化するためには、特性に応じた工場、事業への個別、具体の対応が必要と考えますが、琵琶湖環境部長の御所見をお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えします。  浸水リスクによる被害を最小化するために、まずは、工場等が取り扱い品目の環境汚染リスクと事業地の浸水リスクをみずから認識し、適切な対応をとられることが重要であります。  県としましては、関係部局と連携して、工場等のリスクに関するさまざまな情報の共有を図ってまいります。その上で、工場立入調査等において、県の有する情報や先進的な対策事例等の情報提供を図り、事業者が自主的かつ適切な対応を図られるよう支援してまいりたいと存じます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど部長が言及いただきました滋賀県のほうで出しております浸水リスク対応についてという注意喚起のホームページの中に、注意喚起の文書がずっと記載あるんですけれども、そこでもリスクの想定例ということで、具体で、例えば油や有害物質の流出、設備や機器への被害、水没による水蒸気爆発、電源喪失に伴う設備の制御不能などと、事業内容にそれぞれ想定し、対応策を検討くださいというふうに記載があるんですけれども、今、みずから認識いただいて、それぞれ対応いただくというふうな形で御答弁をいただいたんですが、今も答弁の中にありましたように、他部局の連携ということの部分が私としてはより重要かと思っていますので、次、土木交通部長にお伺いをするんですが、滋賀県におきましては、地先の安全度マップによって県下全域の浸水リスクを明示化しているわけでありますが、今述べました個別、具体の対応を実施するためには、環境政策課と流域政策局との連携が欠かせないと私も思います。  川の特性や地先における浸水被害発生の特性に基づいた具体の対応策について、工場、事業側に専門的見地から指導助言することが求められ、そのためには部局連携が必要だと思います。こうした部局連携による取り組みにつきまして、土木交通部長の御所見をお伺いいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)お答えします。  先ほど、琵琶湖環境部長から事業者に注意を喚起する通知をした旨答弁がありましたが、まずは、その際、土木交通部におきましては、浸水リスクの高い地域を抽出し、通知先事業者の選定を支援したところでございます。  今後、より詳しい浸水リスク情報を掲載したチラシを作成する予定でございまして、さらに、個別の事業者の要望に応じまして、時間経過とともにどのように浸水が進むのかがわかるデータを提供するなど、今後とも琵琶湖環境部と連携して、水害に「そなえる」対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。  今までの対応ですと、地先の安全度マップで、例えば200分の1の雨が降ったときに、最終的にどういう形でそのエリアが浸水するかということが、結果として最終形態の浸水が完全にしてしまったときの状況というのが示されているということだと思うんですけども、今、部長答弁いただきましたように、やはり時間経過でどのように、例えば、堤防が切れて一気にどーっと水が流れ込んで浸水するというパターンもあるでしょうし、それ以前に、特に河川の合流部のデルタ地域のところであれば、内水が支川の部分が先に氾濫してきて内水氾濫が起こって、それに付随してまた例えば破堤なり越水するというようなパターンもあるでしょうし、その地域地域で特性が全く違うと思いますので、先ほどおっしゃっていたように、全体は1,500強ある中で抽出いただいて、リスクの中で個別の対応をいただくということが本当に大事だと思いますので、そのことをしっかりやっていただきたいと思います。  事業側も、やはりそれがないと、例えば事業者としてのBCPの策定でありますとか、それに基づく事業のタイムラインというものの策定が多分できないと思うんですね。ですから、ちょっとその辺を一歩踏み込んだ対応ということで、しっかりお願いしたいと思います。  次、4番目の質問に移ります。  滋賀県流域治水の推進に関する条例──以下、条例といいます──では、第12条から第25条におきまして、氾濫原における建築物の制限等について規定をしております。これらの規定によって、いわゆる氾濫原において環境汚染リスク品目を扱う工場、事業の建築制限は可能なのか否か、土木交通部長にお伺いいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  流域治水条例第14条において、住居の用に供する建築物または高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校もしくは医療施設の用途に供する建築物に限定し、建築の制限を行うこととしておりまして、これらに該当しない工場や事業所に対しては、建築の制限はできないところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)現状の条例の条文ですと、その条例上は、今の工場、事業の建築制限はできないという答弁でございました。  次、琵琶湖環境部長にお伺いするのですが、工場、事業はその事業を実施するに当たり、さまざまな環境汚染防止関係法令の制約を受けるものでありますが、工場、事業の設置に当たり、浸水リスクへの対応を明確に許可条件としている法令は存在するのでしょうか、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えします。  工場等の設置に際し、浸水リスクへの対応を明確に許可条件としている環境汚染防止関連法令はございません。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。例えば水質汚濁防止法に係る特定施設ということであれば、その構造基準というのが定められている中で、さまざまな基準を満たさないといけないということはあると思うんですが、今、答弁いただいたように、明確にそういう環境関連法令で浸水リスクへの対応ということを明示したものはないというふうに御答弁いただきました。  それで、ちょっと今回、やはり先ほど述べましたように、過去に本県内の竜王町でそういう事案が発生し、他県でも先ほどの佐賀県でありますとか福島県でそういう事例が発生しておりますので、やはりそういうことの実際に起きた実例に対しては、しっかりと対応が求められるのかなと思って質問させていただいております。  それで、次の6番目の質問なんですが、条例では第6条で事業者の責務が定められております。その1項を引用しますと、「事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、地域の特性および想定浸水深を把握するとともに、これらを勘案して、その事業の利用者、従業員等の生命、身体および財産に対する被害を回避し、または軽減するために必要な取り組みを自主的かつ積極的に行うように努めなければならない」と記載をされております。  しかしながら、この条文では、先ほど来述べておりますように、本県竜王町弓削地先における油流出事故や佐賀県や福島県の事案等を想定しているようには読めないのかなと私は思っております。
     浸水被害に付随する事故によって、実際に農地含めた財産的被害が発生した現状に鑑み、また、一歩間違えば生命や身体に対する被害につながる可能性のある環境汚染事故を防止するため、6条1項の改正を提案するものであります。  具体的には、1項の「基本理念にのっとり」の前に「その事業等の特性に応じ」という文言を、また、「利用者、従業者」の後ろに「周辺地域の住民」という文言を付記するものでありますが、このことに対する知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)浸水に伴う環境汚染事故は、浸水による直接の被害によるものではなく、二次被害に係るものでありますことから、その防止につきましては、議員も御紹介いただきましたが、現在、流域治水条例において、事業者の責務の対象としておりません。  国や他の自治体の動向も注視し、他法令の状況も踏まえながら、今後、流域治水条例に位置づけることも含め、浸水に伴う環境汚染事故の予防についてどのように取り組むのか、勉強してまいりたいと存じます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)当時の条例の制定にかかわられました職員さん等とも議論させていただいて、条例の制定時は、先ほど来出ていますように、やはりいわゆる直接的被害の中でそれを、生命なり身体の被害を軽減ですとか財産の軽減というのを目的としているという立てつけで全体の条例ができているということですけれども、先ほど来申し上げているように、実際にこういう事案が発生してきているという現状がありますので、やはりそこについては対応を考えていっていただかないといけないかなと思っていますので、よろしくお願いします。  ちなみに、2項で、先ほどの6条の2項で、事業者は、その事業活動を行うに当たっては、県が実施する流域治水に関する施策に協力しなければならないという項がありますので、今の1項と2項をうまくセットにしていただければ、先ほど来申し上げているようなリスクにも対応できるような条例にもなってくるのかなと思いますので、必要に応じて、見直しのほうよろしくお願い申し上げます。  そしたら、ちょっとテーマを変えまして、次に、学校における防災教育についてお伺いをいたします。  このテーマにつきましては、平成28年6月定例会におきまして当時の青木教育長に質問させていただきましたが、その後の対応を含め、改めて質問をいたします。  県教育委員会が平成24年3月に取りまとめられました滋賀県学校防災の手引き──以下、手引きといいます──は、東日本大震災を契機として策定されたため、その内容が地震防災に偏り過ぎているのではないかと前回質問時に指摘したところですが、これに対し当時の教育長は、「水害への対策では、教職員研修会において滋賀県防災情報マップを紹介することで、学校所在地の水害リスク情報をそれぞれの学校が取得し、学校防災マニュアルに反映するよう指導をしております」と個別対応されている旨答弁され、また、その答弁の結びにおきましては、「今後、水害を含めた他の災害について、改めて学校現場、市町教育委員会、また、関係機関などの御意見もお聞きしながら、対応を考えていきたいと考えております」と述べられております。  以来3年、本県を含め全国的にも水害発生が顕著でありましたが、この3年間でいかなる意見が各関係者が出て、どのような対応をされてきたのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えします。  平成29年2月に開催いたしました市町教育委員会や県関係部局が参加する滋賀県子どもの安全確保に関する連絡協議会におきまして、水害や土砂災害などへの対策や、それを盛り込んだマニュアルの整備について周知を図りますとともに、意見交換を行ったところであります。  この連絡協議会はその後も年2回開催しており、その中では、学校敷地だけでなく、学区全域の災害リスクを確認する必要があること、また、市町教育委員会や学校が消防署との連携を深めることが児童生徒への効果的な指導に結びつくこと、さらに、学校防災を担当する教員が交代する場合、しっかりと引き継ぎを行うことなどの意見が出されたところでございます。  また、平成29年5月に水防法や土砂災害防止法が改正されたことに伴い、浸水想定区域土砂災害警戒区域に立地する学校におきましては、水害や土砂災害を想定した学校防災マニュアルの作成と、それに基づく避難訓練の実施が義務づけられたところでございます。  このことを受けまして、県教育委員会といたしましては、土木交通部と連携して、学校敷地に災害リスクがある学校に対して、マニュアルの作成と避難訓練の実施を指導してきたところでございます。  あわせまして、水害対策について先進的な取り組みを行っていた野洲養護学校での実践事例を各学校に広げるための研修会を開催したところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、学校ごとの地域事情を踏まえた学校防災マニュアルの作成状況について、どのように確認しているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  各学校の災害リスクを踏まえた学校防災マニュアルの作成状況につきましては、県立学校や市町教育委員会に対し調査を行い、把握に努めているところでございます。  全ての学校におきまして、地震対応を中心とした学校防災マニュアルは作成済みでございますが、平成29年5月に水防法等の改正により義務化された水害や土砂災害に想定したマニュアルがいまだ作成されていない学校もありますことから、県教育委員会市町教育委員会からそれぞれの該当校に対しまして、早急な作成と避難訓練の実施に取り組むよう指導をしているところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)地震につきましても、台風とか含めた水害に関しても、それぞれ確率論なんで、どっちがいつ来るというのはなかなか言いづらいところはありますが、これだけ頻繁に全国的に降雨災害がふえてきているという状況に鑑みますと、もちろん地震対策というのは大事なですけれども、風水害への備えをしっかりしていただきたいと思いますので、まだ未策定のところへの指導等、よろしくお願い申し上げます。  それで、次、9番目なんですけれども、特に県立学校の場合、その学校個別の防災マニュアルに関しまして、その実効性についてどのように確認をしているのか。特別支援学校における防災訓練の実施状況の確認も含め、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県立学校におきましては、水害や土砂災害など学校独自の災害リスクを想定した訓練を実施しているところでございます。特に特別支援学校では、児童生徒の障害の実態に応じた避難用具を整備し、それを活用した避難訓練の実施など、児童生徒の安全対策に取り組んできたところでございます。  具体的な訓練といたしまして、浸水被害を想定した校舎の2階へ避難する垂直避難訓練、それから、土砂崩れから遠ざかる土砂災害避難訓練、また、巨大地震を想定した地震災害訓練や保護者引き渡し訓練などを実施しているところでございます。  あわせまして、各学校の防災対策がより実効性のあるものにするために、地元消防署や市町の防災担当部局などに学校防災教育アドバイザーを依頼いたしまして、学校で実施する避難訓練や学校防災委員会などにおいて、防災の専門的な立場からマニュアル等について助言をいただいているところでございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、答弁の中で、例えば保護者への引き渡しの訓練ということも言及いただきました。台風とかが接近して早目早目にその状況がわかるのであれば、一番いいのは学校自体を休校にしてしまって、そういう形で安全にするというやり方があると思うんですが、先ほども日野川のことを言及していますけども、特に最近、やはり突発的なゲリラ豪雨みたいのが多発しまして、県内でも台風のときでも、例えば日野川の流域だけで大幅に水位が上昇しているなんていうパターンもあったりとか、そういうことも出てきている中で、学校におられるときに急激に雨が降って周辺の水位が上昇してというパターンもあるのかなとも思います。  そのときなんかが特に保護者の方なんかも心配されて、学校にお子さんを迎えに来られたりというようなパターンもあったりするかと思いますので、特に、先ほども出ていました野洲養護学校なんかは日野川の左岸の地域ですね。支川の光善寺川の右岸のところに立地しているかと思いますけれども、そこもいわゆる河川合流部ということでいくとデルタ地帯の裏側にありますので、その内水の先に氾濫状況によっては、学校に保護者の方が迎えにくるときに逆に車がそういうとこに水没してしまったりとか、学校で引き渡した後にそういう被害に遭って、隘路の中で立ち往生してしまうみたいなパターンもあるかと思いますので。  そうすると、先ほども土木交通部長に答弁いただいたように、個別の具体のリアルなシミュレーションをしていただいて、それに基づいてやっぱり対応いただくことが必要かなと思いますので、よろしくお願いします。  そういった観点で、今ちょっと半分申し上げましたが、次、土木交通部長にお伺いしたいんですけれども、条例第31条では、県の責務として教育訓練等の実施が明示されておりますが、水害の地域特性に応じた学校の防災教育および防災対策について、専門的立場からこれまでどのように連携され、今後どのように連携を深めていくのか、土木交通部長にお伺いいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  防災教育につきましては、教育委員会と連携いたしまして水害に関する出前講座を実施しているほか、申し出のあった小学校4校において、毎年、児童と一緒に、浸水を踏まえた通学路の安全点検などを行っておるところでございます。  防災対策につきましては、先ほど教育長がお答えしました水害や土砂災害を想定したマニュアルの作成に参画するとともに、学校からの申し出に応じ避難訓練に参加し、適切な避難ができるよう助言するなどの取り組みを行っています。  今後、さらに水害に関する防災教育や防災訓練を行う学校がふえるよう、教育委員会と連携しまして、例えば、水害リスクを理解し適切な避難行動に結びつく教材や資料を作成し、社会科や総合的な学習の時間に活用していただくなど、学校教育ので取り組みを深めてまいりたいとも考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)手引きにおきましては、特に小学校高学年以上には、発災時にみずからの安全確保はもとより、他人の安全確保等の活動ができることを手引き上の目標に掲げておられ、あわせて、社会や理科、今も言及されましたけども、総合的な学習の時間等を活用して、地域の災害特性や防災体制について理解することも目標に掲げておられます。  こうした防災学習を実践的、効果的なものとするためには、県土木交通部を初めとする防災関連部局が提供するさまざまな防災情報、資料の活用が欠かせないと思います。これら情報、資料の具体の活用状況につきまして、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  学校の防災教育におきまして、児童生徒が自分たちが暮らす地域の過去の自然災害や災害の特性、また、地域の防災体制や防災の取り組みなどについて理解することは大変重要なことだと考えております。  現在、防災学習における学習資料としましては、防災関連部局が作成した地域で育む防災・防犯しがっこガイドや原子力防災のしおり、小学校の理科での滋賀県の活断層図、地域の災害リスクを把握するための滋賀県防災情報マップなどを活用しているところでございます。  防災教育をさらに充実させるためには、滋賀県や身近な地域の情報や資料から学ぶ機会を確保することが重要でございますので、今後、土木交通部など関係部局が作成する防災情報や資料の活用に教育委員会としても努めてまいりたいと考えております。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)県が出しておられるさまざまな資料とか情報というのは、この防災分野に限らず、広く県民の方向けにつくられていると思うんですけれども、以前も申し上げたかもしれませんが、例えば中学生とかそれ以上の高校生ぐらいにわかりやすく書かれている資料というのは、広く県民にとっても非常にわかりやすい資料ではないかと思います。  ですので、個別に教育委員会さんで独自にそういうものを改めてつくられると、その分がまた費用もかかりますし二度手間になりますので、県が出しておられるような資料をそのまま例えば学校現場で使えるような努力を双方でしていただければ、より効果的にそういうことが活用できるのかなと思って質問させていただきました。  今回、先ほど申し上げた台風19号の被害が大きかったので、私なりにもいろんなところの各地の被害の状況とか調べている中で、特にテレビの報道などでは、千曲川の氾濫であったりとかそういうことが大々的に取り上げられておりましたので、信濃川水系の河川整備計画をちょっと読んでみたんですね。そしたら非常に物すごくわかりやすく、私どもこういう仕事をしているんで多少読めるというのがあるのかもしれませんけど、私が読んだ範囲ですと、信濃川の河川整備計画あたりでしたら、高校生レベルで十分読めるような内容というか仕上がりになっているのかなと実感しました。  ですので、例えば滋賀県においても、琵琶湖淀川流域の河川整備計画もございますし、今、各河川の流域で河川の整備計画なんかもつくっていただいていると思いますが、例えば、ああいうものを地学の授業であったりとか地理の授業であったりとか、そういうことの中でそのまま使っていただけたら、地理なり地学の勉強とともに、あわせてそういう防災も勉強もできるのかなというふうにも思ったりもしたので、そういう努力を双方でしていただけたらいいのかなと思って質問させていただきましたんで、その辺よろしくお願い申し上げます。  それでは、12番目の質問ですが、災害が大規模化また広域化しつつある昨今の状況を鑑みますと、手引きに記載されておりますように、小学校高学年以上の生徒につきましては、いざ発災時には、自分の安全確保はもとより、家族や地域の高齢者や障害者など要配慮者の避難行動をサポートするなど、利他の役割もおのずと求められてまいります。特に中学生以上につきましては、その役割に期待したいところでもございます。  そのためには、個別の事前防災行動計画であるマイ・タイムラインの作成を学校における防災教育の中で実践していくべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  防災教育において、中学生や高校生に対しまして、災害発生時には自分の命を守るだけでなく、地域社会の人々にも目を向け、地域社会の安全に貢献しようとする共助の精神や態度を育成すること、これは大変重要であると考えております。  防災教育を担当する教職員を対象とした研修会では、助けられる人から助ける人への意識を高めることを学習の狙いとした岩手県の釜石東中学校や宮城県の七郷小学校における防災教育の実践事例を学んだところでございます。  議員から御紹介のありました、災害発生に自分自身がとる防災行動を事前に考えてまとめておくマイ・タイムライン作成などの手法も含めまして、今後も、児童生徒の発達段階に応じまして、自分の命は自分で守るに加えまして、自分の家族あるいは地域の人々の命をどうすれば守れるのか、地域社会に貢献する意識を高める防災教育にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。 ◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。  私なんか地元の市の防災訓練などに行きますと、最近は中学生がしっかりと防災訓練に参加いただきまして、その防災訓練中でも、例えば給水の配布訓練でありますとか消火訓練でありますとか、ある一定の役割を担って、避難所の設営の運営の手伝いとかもあるんですけれども、そういったことをやっていただいておりまして、実際そういう姿を見ていますと、本当にある意味頼もしいなと。私も消防団として活動している立場からも、いざ大規模の広域の発災が起きたときに、発災したときに、やはりマンパワーというのがどうしても必要ですので、そういう意味では、余りそんな過酷なことはもちろんしていただけないと思いますが、できる範囲のことは中学生以上ぐらいの学生さんにも期待したいなと思っております。  それでは、最後の質問をさせていただきますが、以上の議論を踏まえて、知事部局と教育委員会のさらなる連携による防災教育の充実と、それに伴う防災対策の強化について、知事の御所見を伺い、質問を終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 地域防災力の向上のため、子供のころからの防災教育は大変重要であると考えます。そのため、ただいま土木交通部長、教育長からお答えいたしました取り組みのほか、これまでから学校への出前講座、危機管理センターでの防災講座の開設、防災教材の提供などを行っているところでございます。  ちなみに、手元にある資料では、昨年度と今年度比べますと、防災危機管理局、流域政策局、砂防課がやっているそれぞれの出前講座は、昨年度の回数で倍、そして受講人数が、昨年度は1,100人のところが今年度はこの時点で1,400人、また、危機管理センターに見学される来館者も、昨年度が2,800人余、今年度は既に3,700人余ということになっている。特に小中学生、高校生が増加しているという、こういう傾向もあるようでございます。  今後は、防災教育をする人、支援する人、その人材のさらなる確保、育成を行うといったことでありますとか、わかりやすい防災教材の作成など、工夫をしてまいりたいと存じます。  こうした子供への防災教育は、子供自身の防災力向上のみならず、議員も御指摘いただきました家庭や地域への広がり、防災の担い手となることが期待されますので、教育委員会と連携し、防災教育の一層の充実強化を図ってまいりたいと存じます。 ◆36番(木沢成人議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、36番木沢成人議員の質問を終了いたします。  次に、29番大野和三郎議員の発言を許します。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。  それでは、通告に従い、琵琶湖を意識した循環型社会について、全て知事に問います。  400万年以上の歴史があるという淡水湖、世界的にも有名な湖であるにもかかわらず、わずか30年余りの間でその姿が激変してしまいました。それが今の琵琶湖であるという意識を知事はお持ちでしょうか。  琵琶湖は国民的資産とされました。だからこそ、私たちは今も琵琶湖は激変し続けているという認識を持つべきであり、せめて50年前のきれいな琵琶湖を取り戻すという強い意思を持たなければなりません。改めて私もそうした意識に立って、今回の質問に入ります。  琵琶湖再生法が2015年に施行されて、早くも4年が経過します。計画に基づきさまざまな角度から施策を行っていますが、どうも対処療法に偏っているように思います。対処療法も当然必要ですが、もう少し長期的な展望を描いた将来的な投資的施策に重点を置くべきだと思います。  富栄養化防止条例の制定、平成12年からのマザーレイク21計画によって、確かに赤潮の発生はなくなってきました。しかし、CODの値は相変わらず改善が見られません。激変を水産資源から見ますと、琵琶湖固有種のホンモロコの漁獲高は30年前の約200トンが約20トンに、また、ニゴロブナの漁獲高も30年前の約180トンが約50トンにまで減っています。スジエビにあっては、約760トンが何と約70トンに激減であります。  そのスジエビと言えば、全層循環の異変であります。ことしは、1979年の観測開始以来、初めて琵琶湖の北湖、水深90メートルでの全層循環が確認できなかったとのことであります。  初めに、琵琶湖の長い歴史の中で、観測史上初めて確認ができなかったという琵琶湖の全層循環について、報告を受けられたとき、知事はどのように受けとめられ、現在どのように考えておられるのか。改めて、県民の皆様へのメッセージを求めたいと思います。  酸素を多く含んだ湖面近くの水が湖底の水とまざり合う琵琶湖の全層循環は、そのことで生き物がすみやすい環境になることから琵琶湖の深呼吸とも呼ばれていますが、90メートルの観測点で溶存酸素量が1リットル当たり5.0ミリグラムと、例年の半分程度だったということであります。  今後のことになりますが、こうした現象が進めば、低層にすむ生物への影響などが懸念されます。懸念される生態系への影響を現時点ではどのように考えておられるのか。根拠があれば、あわせてお示しいただきたいと思います。  さて、2年前、琵琶湖への環境負荷低減という視点で、下水道におけるリンの回収技術を取り上げました。そのときも申し上げておりましたが、環境先進県と言われ、また自負している本県であるならば、水質改善も含め、新たな歴史を滋賀の下水から動かすというぐらいの高い目標を持ってほしいと思っています。  その質問で取り上げました下水汚泥からのリン回収技術の開発について、知事は、「リンは貴重な資源にあることからも、下水処理におけるリン回収への期待は大きい。ただ、費用対効果等から既存の回収技術の導入は十分進んでいないとの認識の上に立って、高効率でリンを回収する新たな技術について、実用化に向けて2年間の研究期間で着実な成果が得られるよう取り組む」と、決意を示されました。  そこで、応用に向けた研究の成果はいかがでしょうか。研究結果、課題について問います。  また、この応用研究の次のステップは、B−DASHプロジェクトと呼ばれている国の下水道革新的技術実証事業につなげたいとされました。次なるステップについての現状をあわせて問います。  既に過去、知事の下水道事業における循環型社会構築への考え方は伺っています。下水汚泥からのエネルギーは、下水熱、再生水利用はもちろんですが、リンなどの肥料成分も利用できる、このことがまさに循環というお考えと受けとめています。重要なことは、ならば、どれだけそうした取り組みが進んでいるかであります。  1つ確認をしておきます。湖西浄化センターの汚泥処理でありますが、平成28年度では年間約1万9,000トンの脱水汚泥を燃料化し、燃料化物約1,600トンを石炭代替燃料とすることで、二酸化炭素換算で約2,200トンの温室効果ガス排出量を削減したとされています。さらに進んでいるのでしょうか。直近の状況を問います。加えて、今後の目標もお示しください。  ただし、下水汚泥処理技術は日進月歩だと言われている中で出された、本県の下水道審議会で審議された今後の汚泥処理方式への対応をお考えならば、その方向性についても、あわせて考えを問います。  さて、今さらですが、下水汚泥炭化が地球温暖化対策の一助と言われるのは、脱水汚泥を原料とする石炭代替燃料を利用することで、相当するCO2排出量の削減が見込まれるというものであります。要するに、炭化することが事の始まりであります。  この炭についても幾度となく取り上げてまいりました。大気中に排出される二酸化炭素を吸収できるのは唯一緑色植物で、この緑色植物を炭化した炭、例えば、もみ殻をくん炭にすることなど、昔から農林業の土壌改良材として活用されています。炭が植物の成長を助け生産性を高めるだけでなく、地力を持続的に維持するのに役立つということは、今日、先人の経験と科学的にも疑う余地はないと思います。だからこそ、本県の環境こだわり農業においても、炭を水田に投入することを支援の一つとしているものと思いますが、ならば、もっと積極的に推進してはいかがでしょうか。2年前、消費者に向けたPRなど、流通販売対策も強化すると答弁されました。  知事は御存じでしょうか。米どころ秋田県で、ある観光施設の食事のメニューに、このような言葉が添えてあります。「田んぼに粉炭を散布することによって、土壌が生まれ変わり、より一層お米がおいしくなっております」というものであります。  このように、他県では炭を土壌改良という生産者へのPRだけではなく、その先の消費者に具体的にアピールをしています。まさに循環社会とは消費者の口まで行ってこそ言えるものだと思います。  本県の炭を投入した水田等で収穫した作物の具体的な販売強化対策はどうなっているのか。過去、酸性雨対策として山林への散布も提案いたしましたが、琵琶湖を預かる知事として、炭を用いた循環社会の構築についてどのようにお考えか、改めて問います。  ところで、環境こだわり農業を進化させるとして、オーガニック農業、農産物の生産を推進しています。有機農業を国際的な規模で推進しているIFOAM、すなわち国際有機農業運動連盟を御存じでしょうか。この連盟のオーガニックの原則は、生態系、健康、公正、配慮の4項目を掲げています。  これは可能な限り化学農薬を使わないことで、水や土、大気の環境保全を図ることのほかに、着色料などの添加物を可能な限り排除した食品の安全性や、動植物の生物多様性の保全、児童労働の禁止、適地適作、地産地消で地域の文化を大切にするといった取り組みが含まれているとのことであります。  つまり、人間が安全でおいしいものを求めるためだけの目標ではなく、自然界の健全な植物連鎖などの環境をできる限り保全し、適切な労働環境や社会を実現するための取り組みでもあるということであります。知事はこの原則をどのように思われますか。とりわけ、自然界の健全な食物連鎖などの環境をできる限り保全するところは、循環社会構築の重要な視点でもあろうと思いますが、その見解も含めて答弁を求めます。  一方、同義に有機農業があります。一般的には、農林水産庁による有機JASと呼ばれる規格で求められる条件を満たした作物を指しますが、認定を受けていなければ有機などと表示することができません。有機JASの代表的な基準は次の3点であります。  まず1点目ですが、堆肥などで土づくりを行い、種まき、または植えつけの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない圃で栽培する。2点目ですが、栽培中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。3点目、これは遺伝子組み換え技術を使用しないであります。  ただ、禁止された農薬や化学肥料は使用しないとあるように、厳密に言えば全く農薬を使用してはいけないというわけではなく、やむを得ない場合に限り、約30種類の農薬の使用が認められているとのことであります。  この有機農業については、有機農業の推進に関する法律に基づいて、これまでから大なり小なり取り組んできたものと思いますが、これまでの本県での位置づけでどうであったのでしょうかを問います。  さて、滋賀県産オーガニック農産物ということでロゴマークも制定して推進していますが、さきに述べたオーガニック、有機、どちらなのでしょうか。オーガニックという名称からも、国際有機農業運動連盟の原則を基本としているのでしょうか。本県オーガニック農産物の原則を問います。  さまざまな活動は琵琶湖を意識することで滋賀らしい取り組みになるものと考えますが、最後に、冒頭述べました琵琶湖再生における長期的な展望を描いた将来的、投資的施策に重点を置くことに対する考え、ならびに今回の質問の表題であります琵琶湖を意識した循環型社会について、知事の基本的な方針を問い、質問とします。 ○議長(生田邦夫) 29番大野和三郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)琵琶湖を意識した循環型社会について、9点御質問いただきました。  まず1点目、琵琶湖の全層循環が起こらなかったことに対する受けとめについてでございますが、昨年の冬は記録的な暖冬であり、全層循環がおくれそうだということは早い段階から伺っておりました。結局、4月9日時点で既に表層の水温が上昇を始めており、1979年の観測史上初めて全層循環が不完全であったと聞いたときは、今後、水質や生態系にどのような影響が及ぶのか、大変心配していたところでごいます。  全層循環の異変は、地球温暖化を初めとする気候変動も原因の一つではないかとの指摘もあり、これまでのような汚濁負荷削減対策だけでなく、琵琶湖とともにある私たちの暮らしのあり方そのものに大きな問題提起を受けたと捉えたところでございます。  改めて、琵琶湖は私たちの暮らしを映し出す鏡であると同時に、地球環境問題へとつながる、小さいけれども大切な窓であり、私たち一人一人の行動が非常に重要であることを県民の皆さんにお伝えをしていきたいと考えているところでございます。  2点目、この全層循環が起こらなかったことに対する生態系への影響についてでございますが、イサザやスジエビなどに代表される湖底付近に生息する生物、生態系への影響についてでございますが、まず1番目、水生生物に影響が見られるとされる溶存酸素濃度が2ミリグラム・パー・リットル以下となっているのは、面積で琵琶湖全体の約5%、容積で1%未満である北湖第一湖盆の水深90メートルより深い水域に限られていること。2つ目、また、イサザやスジエビは北湖第一湖盆に限らず、水深20メートルより深い湖底に広く分布していることが水産試験の調査でも確認されていることなどから、現時点でその影響は限定的であるのではないかと考えております。  ただし、台風の通過で一時的に回復が見られたとはいえ、全層循環が不完全であったことで低層DOが低い状態が長期間に及んでおりますことから、今後も引き続き関係機関が連携し調査研究を進めることで、将来、同様の状況が生じた場合に備えるための知見のデータの集積を進めてまいりたいと存じます。  3点目、B−DASHの応用研究の結果、次のステップに向けた状況等についてでございますが、御指摘の研究につきましては、下水汚泥から生成した炭化物から温水によってリンを回収する技術を開発するもので、国土交通省下水道応用研究制度を活用し、平成29年度から平成30年度の2カ年で実施してまいりました。
     本研究におけるリン回収率は、既存技術の回収率と比べ非常に小さく、費用対効果の観点からも不利と考えられるため、現時点での実用化は難しいものと判断しております。  このような応用研究の結果を踏まえ、現時点では、県として国交省下水道革新的技術実証研究──B−DASHへの応募は考えておりませんが、引き続き滋賀らしい地域の循環の輪を構築すべく、学識経験者等の知見を幅広く得ながら、燃料化や緑農地利用等、下水汚泥の有効利用を推進してまいりたいと存じます。  4点目、湖西浄化センターの炭化の現状、また、今後の汚泥処理方式への対応についてでございますが、湖西浄化センターでは平成28年度より汚泥の燃料化事業を開始いたしまして、これまで大きなトラブルもなく、安定した運転を行っているということでございます。  平成30年度は、石炭代替燃料となります燃料化物を約1,800トン製造し、CO2換算で約2,600トンの温室効果ガス削減を実現したところであり、今後も安定処理を第一目標としつつ、温室効果ガス削減に努めていきたいと存じます。  また、ことし4月の下水道審議会での答申では、令和7年度より供用開始予定の湖南中部浄化センターの3号炉の更新において、メタン発酵を促進する消化に固形燃料化を組み合わせた処理を行うことが適当との答申をいただいたところです。  同センターでは、現在、下水汚泥を焼却し埋め立て処分しておりますが、答申いただいた技術を採用することで、ライフサイクルコストおよび温室効果ガスの削減が可能となります。当該技術を導入することにより、下水汚泥リサイクル率につきましても、平成29年度現在38%で全国43位となってございますが、これを約35%向上させることができるということでございます。  また、あわせて地域の未利用バイオマスを下水処理等を介して循環させることで、緑農地利用やエネルギー利用を図るため、琵琶湖バイオマス循環プロジェクトを開始いたしました。今年度は地域バイオマスの賦存量調査を実施し、来年度以降は水草等のバイオマスと下水汚泥との混合処理実験等を順次進める予定でございます。  本プロジェクトでは、地元企業や大学等を含めて最新の知見を集め、有識者の意見を幅広く聞きながら、今後導入すべき技術の有効性、妥当性等を検討していく予定でございます。  今後予定されております汚泥処理施設の更新に当たっては、随時進捗状況を県のホームページ等で県民の皆様へお知らせするとともに、本プロジェクトで得られた資源の地域循環に関する知見も踏まえ、その時点で有利な低コストかつ環境に優しい技術の導入を図ってまいりたいと存じます。  5点目、炭を投入した水田等で収穫した作物の具体的な販売強化対策および炭を用いた循環社会の構築についてでございますが、炭を投入して良食味米を生産し、大手量販店と契約して有利販売を実現されている事例を県のホームページでも紹介するとともに、炭の利用を含む環境こだわり米の有利販売、流通拡大に向け、最も生産の多いコシヒカリについて専用のパッケージを作成し、みずかがみとセットで近江米の二枚看板としたテレビCMを放映するなどの取り組みを実施しているところでございます。  また、酸性雨対策として山林への炭の散布を想定した試験を、平成30年度および令和元年度に実施いたしました。炭の散布による酸中和能力は4%から21%程高まるという結果を得ました。この幅は森林土壌の違いによるところが大きいと思われ、堆積岩の森林土壌が花崗岩の森林土壌より約4倍の酸中和能力があることが認められました。このことから、酸中和能力は、炭の散布によることよりも土壌の性質に影響されることがわかったところでございます。  一方、炭は土壌の排水性を良好にするなど改良効果が一定ありますことから、苗木づくりの土壌改良材としての活用を検討していきたいと存じます。  このように、地域で伐採された竹木等から炭を生産し、農業や林業などで活用することは、廃棄物の発生を抑制し資源を有効に活用する取り組みであり、循環型社会の構築に貢献するものであると考えております。  あわせまして、地域の資源を県内で有効に活用しながら、資源を補完し支え合うことによって、経済を初め地域活力の発揮にもつながる大変有意義なものと考えているところでございます。  6点目、国際有機農業運動連盟のオーガニックの原則についてでございますが、オーガニックは自然と人間の調和を目指すもので、そのために物質の循環を一番に考え日々の活動を行う、循環できないものはできる限り避けるというのが基本であると考えており、これはSDGsの実現にもつながるもので、もちろん国際有機農業運動連盟のオーガニックの原則にも大いに共感するところでございます。  7点目、これまでの有機農業の本県での位置づけについてでございますが、有機農業につきましては、有機農業の推進に関する法律に基づきまして平成22年度に有機農業推進計画を策定し、農業者の主体性を重視し、自主的な取り組みに対する支援に重点を置いて推進してきたところでございます。  近年、水稲の機械除草など省力的かつ安定的に収量が得られる技術が開発され、技術普及のめどが立ち、また、大手量販店等でのニーズが高まり、今後、大口の需要も見込まれる状況となってまいりました。  そこで、環境こだわり農業のトップランナーとして、この機を逃さず、市場における優位性を確保するため、昨年度改定いたしました環境こだわり農業推進基本計画に有機農業推進計画を統合いたし、オーガニック農業を環境こだわり農業の象徴的な取り組みとして推進することとし、全国に先駆け関係団体と連携して、県を挙げてオーガニック農業取り組み、生産の拡大、販路開拓等を現在進めているところでございます。  8点目、本県オーガニック農産物の原則についてでございますが、有機JASにおける有機農産物の生産の原則は、農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料および農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法で生産することとされております。  本県のオーガニック農産物の原則は、この有機JASの認証を受けた農産物としており、国際有機農業運動連盟の原則とも通じるものであると認識しております。  最後9点目、琵琶湖の保全再生における長期的な展望、また、将来的、投資的施策に関する考えならびに琵琶湖を意識した循環型社会についてでございますが、これまで、琵琶湖の総合保全のためのさまざまな施策を行ってきた成果といたしまして、水質については一定改善が見られる項目もございますが、生態系については、在来魚介類の減少や水草の大量繁茂、外来生物の侵入、定着など、依然として多くの課題が残っている状況にございます。  こうしたことから、琵琶湖保全再生計画では、「琵琶湖と人とのよりよい共生関係の形成」を目指すべき姿としているところであり、その実現に向けては、現在直面しております喫緊の課題に対する対処療法的な施策とあわせ、議員御指摘のとおり、将来を見据えた投資的な施策を重点的に行うことも重要であると考えているところです。  例えば、下水道では汚泥の有効利用を図るため、新たに消化施設を設け、メタンガスのエネルギー利用を予定しているところです。また、将来を見据えて、地域の未利用バイオマスの緑農地利用やエネルギー利用を図るべく、地域の関係者の知見を集め、琵琶湖バイオマス循環プロジェクトにおいて調査研究を進めているところです。  また、琵琶湖を意識した循環型社会についてでございますが、本年3月に策定いたしました第5次滋賀県環境総合計画では、「環境と経済社会活動の健全な循環の構築」を長期的な目標としております。この健全な循環とは、里山や琵琶湖の周辺などにおいて成り立ってきた森林資源や在来魚介類などの地域資源を、地産地消などの取り組みにより、人、財、製品、サービスなどが地域内で循環し、同時に、異なる地域が地域資源を介して他の地域と相互に支え合う関係をつくることと考えております。  このため、施策といたしましては、「琵琶湖を取り巻く環境の保全再生と琵琶湖の恵みの活用」を掲げまして、森・川・里・湖のつながりを意識しながら生態系の保全再生を図るとともに、琵琶湖での体験やさまざまな環境学習を通じて、持続可能な社会を担う人材の育成にも取り組んでいくこととしております。  このような基本的な方針のもと、計画の目指す「琵琶湖を取り巻く環境の恵みと命を育む持続可能で活力あふれる循環共生型社会」の実現に努めてまいりたいと存じます。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)3点について再質問を、確認も含めていたしたいと思います。再質問、これも分割で行いますので、再質問も分割で行いますので、念のために。  まず1点目ですが、滋賀県産オーガニック農産物について御答弁をいただいたわけですが、先ほども申し上げましたが、消費者に対して長々と説明することなく、秋田県の事例で紹介をいたしましたように、「田んぼに粉炭を散布することによって、土壌が生まれ変わり、より一層お米がおいしくなっております」、このようにわかりやすい言葉で、滋賀県知事として責任と自信を持って県民の皆さんに発信されてはいかがでしょうか。その辺、知事の所見を求めたいと思います。わかりやすく、責任を持って、自信を持って発信を。その辺どうです。まず1点。 ○議長(生田邦夫) 大野議員、分割で質問しておられますので、再質問も一括と、まとめてという形になっております。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)分割ではだめなんですか。 ○議長(生田邦夫) あかんというルールになっておりますので、まとめてお願いいたします。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)会議規則に書いてあるのか。 ○議長(生田邦夫) はい。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)会議規則の何条ですか。 ○議長(生田邦夫) いや、知りません。でも書いてあります。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)会議規則の何条や。 ○議長(生田邦夫) 大野さん、一括で。分割の場合はこれがルール。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)申し合わせでしょう。会議規則ではないでしょう。まあまあ、1点目はそういうことです。1点目は。  2点目ですが、まず質問に入るまでに、コンポスト5年、御存じですね。コンポスト5年。念のために御披露いただきたい。  といいますのも、先ほどの答弁にもありましたが、平成29年度現在、下水汚泥のリサイクル率は38%で全国で43位となっており、ゼロエミッションに向けてこれを向上させるべきだと考えますが、これも繰り返しになるんですが、環境先進県を自認する本県の知事として、今後どのように取り組んでいかれるのか。いま一度、所見を求めたいと思います。  3点目ですが、最後に、琵琶湖バイオマス循環においてですが、地元企業や大学等を含めて最新の知見を集め、今後、導入すべき技術の有効性、妥当性を検討云々の答弁がございましたが、本県の下水道審議会の委員さんではありませんが、県下の大学にもバイオマスの分野においてすぐれたドクターがおられます。  したがって、何が申し上げたいかと申しましたら、地域循環圏の形成、これは行政当局、行政庁のみの責務責任ではなく、我々議会、議員にも等しく責任があると私は考えているところでございます。したがって、行政当局の皆さんと我々議会が、いわゆるともに勉強する機会、、テーブルづくりですね、その辺のところについて、知事のお考え、姿勢を問いたいと思います。  その3点、よろしくお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) まず1点目、オーガニックの農業について、何を使って、どういう効果があってなど、わかりやすく自信を持って、責任も持って伝えるべきではないか、消費者に。それはそのとおりだと思いますので、今後さらに工夫をしていきたい、また改善を図っていきたいと思います。  炭の利用を含むさまざまな取り組みによって、このオーガニック、生産者も頑張っていただいておりますので、その努力をしっかりと消費者に伝えられるよう、努力をしてまいります。  また、2点目にいただきました下水汚泥のリサイクル率、これをゼロエミッションに向けて努力、向上すべきではないかということでございますが、御案内のとおり、県の流域下水道事業は、湖南中部、湖西および東北部の各浄化センターにおいて、汚泥を溶融し建設資材として長らく再利用してまいりましたが、この方式はエネルギー消費量や温室効果ガスの排出量が大きいことが課題でございました。このため、平成21年から施設の一部において溶融を停止し、焼却による減溶化を図った上で産業廃棄物として埋め立て処分を行った結果、下水汚泥リサイクル率が減少している状況がございます。  一方、湖西浄化センターにおいて燃料化を導入したことをきっかけに、今後、他の浄化センターにおいても燃料化や緑農地利用など、下水汚泥等の有効利用を推進していく予定でございます。  環境先進県として、下水汚泥リサイクル率100%の達成に向け、今後も必要な施策に計画的に取り組み、滋賀県知事としての責任をしっかりと果たしてまいりたいと存じます。  最後にいただきましたバイオマス含め琵琶湖バイオマス循環プロジェクト、これらはすぐれたドクターなど知見を活用すると同時に、議会の皆様方ともしっかりと対話すべきではないか、テーブルも設置してということでございましたが、まさにこういった本会議もそうですし、今後行われます委員会等でもしっかりとこの分野でも御議論いただき、その中で出された御意見等を踏まえて施策をつくる、また展開をする、こういったことに意を用いてまいりたいと思いますので、引き続きの御指導、どうぞよろしくお願いいたします。 ◆29番(大野和三郎議員) (登壇)総括する意味でなんですが、例えば下水道審議会、下水道だけではありませんが、あれは行政当局の諮問に対して答申を出されるわけで、そういうことでございますので、繰り返しになりますが、ともに勉強しながら、しっかりと責任を果たしてまいりたいと。そんなことで、大いに期待をしながら、質問を終わります。議長、終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、29番大野和三郎議員の質問を終了いたします。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)通告に従いまして、都市計画区域の整備、開発および保全の方針について、一問一答方式でお伺いをいたします。  都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活、機能的な都市活動を確保するべきであるということ、ならびに適正な規制のもとに土地の合理的な利用が図られるべきであるということを基本理念として定められ、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市の施設整備および市街地開発に関する計画とされています。  県においては、都市の発展の動向、人口や産業の現状および将来の見通しなどを勘案して、長期的な視点に立った都市の将来像と、実現のための道筋を示した都市計画区域の整備、開発および保全の方針、これはいわゆる都市計画区域マスタープラン、これを策定してまちづくりに取り組んでいます。  さらに、多くの市町においては、都市計画区域マスタープランやそれぞれの市町の総合計画、それから国土利用計画などの上位計画に即した形で、市町村の都市計画における基本的な方針、いわゆる都市計画マスタープラン──都市マスを策定し、このプランを活用して、まちづくりに取り組んでいます。  このようなプラン、方針などに沿ってまちづくりを進めることで、都市の将来のあるべき姿、像を示し、整備、必要な誘導や規制を行い、それぞれの方針に沿って、都市を適正に発展させるように取り組まれているところです。  このような中、近年、私たちの社会は人口減少の局面に入り、コンパクトシティというまちづくりの考え方が取り入れられた都市計画の取り組みが進められるようになりました。特に、2014年に改正された都市再生特別措置法では、市街化を促進するという市街化区域において立地適正化計画を策定し、市街化区域の中でさらに線引きして居住誘導するような項目が登場し、コンパクトなまちづくりを目指す方向が明確に示された法律となっていて、従来の人口増加、都市の拡大を前提とした都市計画から、人口減少局面での都市計画、あえて表現をするならば、縮退というまちづくりに移行していくということが打ち出されたものと解釈されます。  滋賀県の各種計画における都市計画やまちづくりに関する項目においても、コンパクトシティやコンパクトなまちづくりといった都市機能を集約化した状態を目指す方向性が示されています。  まちづくりにおいては、個別の最善の積み上げが必ずしも全体として見たときの最善最適にはならないということを踏まえると、方針に沿ったまちづくりを行うには、共通の認識、イメージを持った取り組みが欠かせないと言えます。特に広域の行政を担う県として、都市計画にかかわる役割をしっかりと果たすことが必要であると考えます。  以下、質問を行ってまいります。  まずは、大津湖南都市計画区域のまちづくりについてお伺いをいたします。  大津湖南都市計画区域マスタープランのこの区域内において、市街化区域の中でも市街化調整区域に隣接する農地などを市街化調整区域に編入をする、いわゆる逆線引きを行うことも検討すると都市計画マスタープランに記載して、市街化区域を小さくするイメージを示している市がある一方、市街化調整区域内において地区計画を設定し、居住区域をつくって人口を誘導する市もあります。同じ都市計画の区域内で、ある意味矛盾するともとれる状況となっています。  それぞれにもちろん考えがあってのことですが、まちづくり、都市計画の方針として大津湖南都市計画区域マスタープラン、これを策定している県として、この状況をどのように認識しているのか、知事に見解をお伺いをいたします。 ○議長(生田邦夫) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  議員御指摘のとおり、地区計画等による居住区域を拡大している市がある一方、いわゆる逆線引きを検討している市があることも承知しています。  逆線引きにつきましては、今後の人口減少を見据えてなされたものと伺っており、コンパクトシティ化の方針に沿うものであると捉えております。  一方、市街化調整区域において地区計画により居住地区を形成することにつきましては、コンパクトシティ化を目指す上では望ましくない面もあると思われますが、集落維持や地域振興等の観点も踏まえ、秩序ある土地利用の形成を図るため、議員もお言葉使われましたが、それぞれに考えがあってなされたことであり、個別の事情を勘案して判断されるべきものと考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再質問を行います。  方針を定めての取り組みを進めていくわけですが、言葉は同じでもイメージには幅があるということなのかなというところだと思っていまして、共通の方針やイメージを持ち得ているのかという、同じ方針のもとでこのようなまちづくりを進めている。これは別に何も食い違ってはいないわけですが、この共通の方針、イメージを持ち得ている上でのこの取り組みであるわけですが、おっしゃったように、ある意味ちょっと逆を向いているようなところもある。  この行き着く先、コンパクトなまちをつくろうとしている方針にやっぱり沿うような形でいくときには、個別の最適の積み重ねが全体の最適解には必ずしもなるわけではない。そういう状況でありますので、県として、やっぱり広域でしっかりと調整をする必要があるのかなというふうに考えるところであります。  そういった意味で、知事は県としてこの広域の調整ができていると思われているのかを、見解をお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 県は、また知事は、こういった方針に基づき調整をしようと努力をしているところでございます。とはいえ、議員も御承知のとおり、いろんな個別事情があったり、また、さまざまな社会資本整備のその進捗等のタイミングもあろうかと思います。  それぞれの市、区域においても、それぞれの市、区域ごとのさまざまな開発の予定や事情等もあるでしょうから、それを一定のタームごとに行うマスタープランの見直しの中で反映されようとされる。しかし、一方でコンパクト化をしようという法律、また、それらをネットワークでつないでいこうという、そういう方針もある中で、個別の事情を広域自治体である県も最大限酌み取りながら、全体最適になるよう調整を図ろうと努力をしているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。  コンパクトシティの考え方についてお伺いをします。  大津湖南都市計画マスタープランにおいて、都市計画の目標、都市づくりの理念として、都市機能の集約化、いわゆるコンパクトシティの考え方を取り入れたまちづくりを目指すと記載をしています。基本構想や総合戦略などにもコンパクトシティに関する記載があります。  特に、コンパクトシティという視点で、現状、コンパクトシティとなっているのかについて、知事に認識をお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) なかなか高度な御質問が多くて答えるのに苦慮するんですが、一般的にコンパクトシティは、鉄道駅などの拠点周辺に居住や医療・福祉施設、商業施設などの生活サービス機能を集約し、住民の生活の利便性が大きく向上しているまちを指しており、この観点からいえば、大津湖南都市計画区域はコンパクトシティという、すなわち居住、都市機能の集積による密度の経済の発揮をするという面で、十分ではない面、また十分ではないところもあると認識しております。  現在、大津湖南都市計画区域の6市のうち、4つの市において立地適正化計画を策定し、残り2つの市においても検討されているなど、コンパクトなまちづくりに向けた取り組みを始められているところであり、県といたしましても、こうした市町の取り組みを積極的に支援してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。  方針に沿った都市づくりの課題についてお伺いしたいと思います。  基本的にそれぞれの市町が都市計画マスタープラン、これを策定して取り組んでいます。県としては、そのもとになる都市計画区域マスタープランを策定していることや現在策定作業が進められている次期総合戦略にも、まちづくりの新たな県全体の基本的な方針を策定とされていることを踏まえて、都市計画区域マスタープランなどの方針に沿ったまちづくりを行うに当たっての課題について、土木交通部長にお伺いをいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)お答えいたします。  市町のまちづくりの基本となる市町都市計画マスタープランは、都市計画法上、県が定める都市計画区域マスタープランに即することとされております。  一方で、市町マスタープランは、市町の思いや住民の意見を反映し、まちづくりの理念や都市計画の目標、地域別の都市計画の方針を定めるもので、比較的高い自由度を持って策定されるものでございます。  このため、例えば都市計画区域マスタープランでコンパクトシティ化の方針を示している一方で、市町の郊外において大規模集客施設や大規模住宅開発等の構想される場合があり、中には周辺市町に影響の及ぶものもあります。  このような場合、都市計画法上、協議等の手続の定めは特になく、任意で県と市町が調整を行っておるのが実態でございまして、その際、市の思いと広域方針をどのように整合させて対応策を整理するのか、また、その具体的な調整ルール、基準がないことが課題となっておるところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移りまして、その課題を踏まえて、例えばコンパクトなまちづくりなど、都市計画区域マスタープランに掲げた方針の実現に向けた県としての具体的な手法や取り組み、先ほど、課題があると言っていて、なかなか思うようにいかないというお言葉でしたので、具体的な手法、その取り組みについて、土木交通部長にお伺いをしたいと思います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  県全体でコンパクトシティ化などまちづくりの課題に対応するためには、市町の自由度に配慮しつつ、県全体で同じ方向性を持って都市計画区域行政を推進することが重要であると認識しております。  このため、県と市町が一緒になって県全体のまちづくりのあるべき姿を議論し、合意形成を図った上で、都市計画の基本的な考え方を整理したまちづくり基本方針を策定し、この方針に従って、市町のマスタープランを作成していただきたいと考えておるところでございます。  また、市町がマスタープランを策定するに当たりまして、事前に県の方針との整合性を確認、調整するための手続や、他の市町に影響を及ぼすような大規模商業施設の誘致を構想する場合におきましては、事前に調整する手続を定めた運用指針を作成していきたいと考えております。  これらの取り組みにより、県と市町が一体となって連携を図りながら、同じ考えのもと、都市計画行政を推進できるよう努めてまいります。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再質問を行いたいと思います。  具体的にその思いをすり合わせるための協議体みたいなものを設けるということで、これから検討を進められるということで、これは今策定に取りかかられている総合戦略の中にも、それに類する、それを想起させる記載があるなというところで判断できると思うんですけども、基本的にはしっかりと市町と寄り添う、伴走する形でまちづくりができるように、市町の自由度を損ねることなくしっかりと、とはいえ、全体の方針にしっかりと沿うような形でまちづくりができるようにということで、伴走する必要があるのかなと考えています。  一方で、市町は、先ほど知事への質問の一番最初のところにあったんですけども、相当苦労してそれぞれ地区計画を設定したり、都市計画マスタープランの中でまちづくりの思いを実現しようと取り組んでいるんですが、例えば逆線引きをしようと思ったときにとか、線引きをまちづくりの方向性であったり社会状況に合わせて適切に見直していくという方向が出されているにもかかわらず、逆線引きが適切に行われて適切に誘導されているかというとそうでもなさそうに感じられるところがあるなど、制度をうまく活用して誘導を図っていこうということがなかなかしがたい状況もあるのかなと思うところでもあります。  県として、権能の中にある逆線引き、区域区分の見直しだったりをしっかりと伴走するとか、場合によっては、思った方向に都市計画を誘導するのに、市町に必要な予算をサポートできるような体制をつくるとかいうことも必要なんではないかと思うんですが、都市像のイメージを共有するためにも、どのような具体的な策だということで伺っていますので、その辺についての見解があればお伺いをしたいと思います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 常日ごろから、整備、開発、保全の方針を定めるとき、すなわち市街化区域、市街化調整区域の線引きを見直すときでございますが、個々に市町と調整をして、編入または逆線引きの調整をしているところでございます。これは県の決定事項でございますので、市町と細かい調整を行って進めているところでございます。
     しかしながら、議員御指摘のように、市町の意向と県の全体の方針が合わない部分、または市町にサポートが要る部分ございますので、先ほど答弁いたしましたように、基本的な方針をしっかりつくって、意識共有を図ってまいりたいと考えております。  また、線引きに必要な都市計画の基礎調査というのがございますが、これは県、市町、それぞれ費用を出し合って調査を進めているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。  立地適正化計画の未集約地のイメージについてお伺いをしたいと思います。  コンパクトなまちづくりに向けて、立地適正化計画を策定し取り組むことが手法の一つとなっています。これは先ほどの知事の答弁にもありました。立地適正化計画とは、近い将来、おおむね10年以内とされていますけども、市街化するのが適当とされている市街化区域内をさらに区域分けして、都市機能を誘導する区域、もしくは居住誘導する区域と、それ以外の区域に分ける。都市の開発をこのように誘導しようとするものです。  計画の実現には隣接市町村との協調、連携が重要で、都道府県は、立地適正化計画を作成している市町村の意見に配慮し、広域的な調整を図ることが期待されますと、こう国の方向性にも書いてあります。県全体で具体的なイメージの共有化が大変重要であるということだと考えます。  今後、立地適正化計画に基づいて都市機能や居住の誘導を進める際に、集約する区域には意識が向いて割とイメージもしやすいと考えますが、集約の対象から外れる区域については余り言及されていない、これが現状かなと思います。イメージを持ちにくい、これがなかなか取り組みが進まない原因になるんではないかということで、課題として指摘をされていると認識をしています。  そこで、都市機能や居住などを誘導し集約する区域以外、すなわち非集約エリアについて、どのようなイメージを持って、どのように対応していこうとしているのか。県としての考えを、土木交通部長にお伺いをしたいと思います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  議員御指摘の非集約エリアのイメージにつきましては、例えば良好な自然環境に恵まれ、農作業や趣味を楽しみながらゆったりと働き暮らすなど、豊かなライフスタイルを実現するとなり得る地域と考えているところでございます。  コンパクトシティ化を円滑に進めていくためには、立地適正化計画に基づく居住誘導区域外をどのような地域にしていくのかが議員御指摘のとおり課題でございまして、現在、国の審議会においても議論されているところでございます。  この議論を踏まえ、居住誘導区域外の区域ごとの特性を十分考慮し、広く住民の皆様の理解と協力を得ながら、あるべき将来像を構築していくことが望ましいと認識しておるところでございます。  このため、現在検討を進めております県全体のまちづくり基本方針におきまして、市町の意見を聞きながら、居住誘導区域以外の地域づくりに関する内容も盛り込み、県全体でコンパクトシティ化が円滑に進むよう努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)1点、再質問をさせていただこうと思います。  本当にここイメージをすることが大変重要なんですけど、申し上げたとおり、集約する方は割と言葉を尽くして説明をするので、あ、そうなのかなと、集約していくのねという感じになるんですけども、集約の対象外のところのイメージを持つことってほんと極めて重要で、ここがしっかりと伝わらないので課題になるのかなと思っています。  都市全体の価値を高めるためにも、この部分、適正に活用がされること、運用がされることが求められると思いますので、ここについては丁寧な取り組みが必要かなと。そのような議論がされるというのが実は余りないような感じがしていまして、そこをどういうで議論をしていくのかということを、先ほど、協議会を立ち上げるということだったですけども、市町との連携非常に大事なので、もう少し具体的なイメージをお持ちであれば、見解をお伺いをしたいと思います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 先ほどは、全体の方針を定めるに当たって、市町の意見を聞きながら協議会等を設けてしていくことということを紹介させていただきましたけども、現在の都市計画区域の区分の見直しにつきましては、県とそれぞれ市町が設立しております、例えば大津湖南都市計画区域でしたら大津湖南都市計画区域協議会という組織がございますので、そういった組織も活用しながら、しっかりイメージを共有してまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)もう一回、再質問いたします。  従来もその協議会の機能ってあって、現状がなかなか意識を共有しづらいということですので、ここから先、同じようにコンパクトなまちづくり含めて、都市計画、方針に従ったまちづくりを進めるときに、やっぱりちょっと今までとは見直していくところが必要なのかなと思っております。  従来の協議体を活用してということなんですけども、どこをどう変えていけばそこがうまく活用できるのかということを含めて、御所見があればお伺いをしたいと思います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  従来の協議会は、どちらかというと担当課長以上の協議会になっておった部分があるのかなと考えております。  今後は、分科会等、また担当レベルでの細かい議論が進むように配慮していきたいと考えておるところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の項目に移ります。  これ、この質問の最後になります。用途地域指定の手引きについて伺いたいと思います。  市町がまちづくりを行うに当たって、方針に沿った整備や誘導、規制を行う手法の一つに用途地域があります。この用途地域、一般には色分けとも言われますが、この指定や見直しなどの際に基準となるガイドライン──用途地域指定の手引きが作成され、示されています。しかし、この手引きは1995年3月に策定されたものです。  用途地域は、おおむね5年に1度が見直しの期間とされていること、また、改正都市再生特別措置法など、この手引きの策定以降に新たな関係法令が施行されたことなどを踏まえると、必要に応じて検証や見直しをしていくべきであると考えますが、見解を土木交通部長にお伺いいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  用途地域指定の手引きにつきましては、平成4年の都市計画法改正により用途地域の区分が8から12に改定されたことを受け策定したものでございます。その後、区分数の変更がなかったこともあり、これまで、この手引きに基づき市町と協議を行ってきたところでございます。  しかしながら、議員御指摘の都市再生特別措置法に即したコンパクトシティ化への対応が必要となってきていること、また、平成30年度に用途地域に田園居住地域が新たに追加されたことなどから、県全体の基本方針の策定に合わせまして、用途地域の指定、変更の考え方について検討し、改定を行うこととしたいと考えておるところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再質問させていただきます。  検証や見直しをしていただけるということなんですけども、実は、市議会議員のときに大津市のほうで議員提案で土地利用基本条例を策定しましょうという動きがありまして、さまざまに調べた経緯があります。その際に、用途地域の指定のこの手引き、座長が取り寄せたんですけども、その策定年限を見て愕然としたというところがあります。  やはりこういうのを見直しをしていって、誘導を適正にしよう、その時々にちゃんと見直していこうというときに、その後、法令の改正もあったり、区域区分が追加されたのは割と最近ですけども、そういうところにきちっと即した形で見直しをされるのが必要なのかなと思います。  そういった意味でも、ちょっと見直していただけるということなので、いつごろ時期としてめどに見直すのか。また、できれば今後、タイムリーに見直しをされるべきだと思いますので、その辺についての御所見をうかがえればと思います。  以上です。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  今現在、まちづくり基本方針を策定しておりますが、その策定スケジュールといたしまして、令和3年度を目指しているところでございます。用途地域の指定の見直しの方針につきましても、遅くともこの時期までにはやりたいと考えておるところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。    午前11時47分 休憩    ────────────────    午後1時 開議 ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、34番川島隆二議員の発言を許します。 ◆34番(川島隆二議員) (登壇、拍手)皆さん、御無沙汰でございます。3年ぐらいやってなかったので、久しぶりの一般質問であります。  実は、始まる前に、ここに「スカーレット」のバッジを議長からつけろと言われたんですが、議長はおいでではありませんけども、副議長の細江さんの前で、「スカーレット」の宣伝をしたいと思います。  知事はつけてないですね。先ほどやっておりましたけども、10分前に来なくちゃいけないので、途中で残念ながら切り上げてきました。富田議員には大変申しわけないというふうに思います。  まず、滋賀県の治水対策についてお伺いをしたいというふうに存じます。  この週末ですけども、長浜土木事務所から新聞折り込みがありましたが、平成28年に認可を受けた湖北圏域河川整備計画の区画変更に伴う説明会を12月15日に開催をされるとのことであります。この区画変更とは、田川、天野川、そして米川に関するところでありますが、ここは以前から危険度の高い河川として懸念されているところでありました。  以前、滋賀県流域治水に関する条例ができる前でありますけども、条例の問題点と地域の思いについて質問をいたしました。また、その後、加藤議員からも質問がありましたが、果たして今回の区画変更が地域住民の思いにどれだけ寄り添えたものになっているのか、やはりここが重要になってまいります。  2013年9月議会で質問をした際には、そのときはまだ流域治水条例ができる前でありますが、虎姫地域の皆さんの声を当時の知事に伝えました。その際に出た不安は、今までの対応で解消されたのでしょうか。今は丹生ダム中止に伴い、湖北圏域河川整備計画が認可を受け、ことしから本格的な工事に入っております。20年計画で進められていますけども、今回の区画変更で、田川の整備方針も明らかになってまいりました。  先日、地域の自治会長に事前に説明が行われたと仄聞しておりますが、今後、田川ではどのような整備をされようとしているのか。この地域の安全性を高める上で大事な田川カルバートのことも踏まえて、土木交通部長にまずはお伺いをいたします。  また、加藤議員の質問の際にもありましたが、今回、この流域に関してはある程度方向性が固まってきたようにも思います。職員から十分な説明がなされた後でよろしいかというふうに思いますけども、今まで県の対応に不安を感じてこられた地域住民に、知事みずからが対話をする必要が大いに高まっているというふうに思っております。  前任の知事は虎姫に説明にも入りませんでしたが、誰一人取り残さない知事としては、不安しか感じていないこの地域の県民と何も話をしないというのはあり得ないというふうに思っておりますので、しかるべきときに現地に入っていただきたいと思います。私自身はそうしないといけないと強く思っておりますので、ここはよろしくお願いをいたします。  また、先日、姉川・高時川河川改修事業の個別補助化に係る要望を、高時川治水対策促進期成同盟会として知事に提出をいたしました。その際、私とここにおられる柴田議員と2人同席をしたわけでありますけども、最近の雨の降り方というのは大きく変わっていることは誰もが認めるところであります。これは局地的ではなくて、どの地域にも起こり得ることとして対策をしていかなければならないのは、行政にかかわる者としては持っている共通認識でございます。  特に、流域治水条例でも一番水がつくとされているこの地域、これは高時川、姉川流域ですけども、この地域では甚大な被害が予想されます。そうした水害に対して地域住民が不安を持つのは当然のことであります。姉川、高時川は丹生ダム中止に伴い河川整備計画が新たにつくられた以上は、丹生ダム建設事業の代替事業であるという認識を持ってしかるべきであります。  冒頭申し上げましたように、丹生ダム中止があったからこそ、地域住民に寄り添い、一日も早い不安の払拭に努めなければならないことを考えると、今回の個別補助化に関する要望に全力で取り組んでいくべきと考えますが、いかがでしょうか。知事にお伺いをいたします。  そして、天野川、米川の改修も喫緊の課題であります。先日、米川流域治水対策協議会の総会があり、その際に今後の対策の説明もありました。以前、知事はこの地域の実情を視察されておりますので、現状はよく御存じだと思います。  また、大雨が降ると一番に危険水域に近づくのが天野川であります。今回の区画変更に伴うこれら河川の整備はどのようになるのでしょうか。土木交通部長にお伺いをいたします。  今回の河川整備計画の変更によって、それぞれの河川の具体的な姿が見えてまいりました。しかし、重要なのはスピード感であります。特に姉川、高時川流域に関しては、丹生ダム中止という住民にとって今までの時間を奪われたような出来事があったことを考えると、早期に不安払拭に努めて対応しなければなりません。これからも真摯な対応を求められますが、知事として、責任を持った整備を進めていくことを求めるところでもあります。  流域治水条例策定時に取り残されたような状況に置かれた地域住民は、少しでも安心材料が欲しいのです。これからの湖北圏域河川整備に関して、知事の決意をお伺いいたします。  また、ダム建設の有無について影響を受けている地域は、姉川、高時川流域だけではありません。最近方針転換をした大戸川ダム、そして県営ダム事業であった芹谷ダム、北川ダムであります。  大戸川ダムにつきましては、知事も勉強会を経て、本体工事の早期整備をしてもらうことを国にも下流府県にも働きかけていきたいという結論に至っております。また、地元であります大津市、甲賀市、また栗東市からも、大戸川ダム早期建設とあわせて、河川改修および維持管理が要望されております。  今度大津市長選挙がありますけれども、新しい市長になっても、この姿勢は堅持、もしくは一層強くなると思いますので、県と市一体となって進めていかなければならないというふうに思っております。  大戸川ダムに関しては県の方針ははっきりしていますので、これはこれでいいと思いますけども、まだまだ時間がかかるのは否めません。地域住民の一日も早い不安払拭のためにも、今後も積極的に国や下流府県に働きかけていかなければなりません。よろしくお願いをいたします。  また、北川ダム建設が一旦中止されているのが安曇川水系の治水対策であります。私も平成23年に質問をいたしましたが、ここは平成24年に北川ダム建設事業を一旦中止し、河道改修を先行するという県の方針が関係者の合意によって決定されました。河道改修事業はおおむね10年間で段階的に実施されるとのことで決定をされましたけども、高島市では平成25年の台風18号では、鴨川の堤防決壊、安曇川の堤防欠損および越水、石田川の溢水など甚大な被害が生じております。  このときの災害復旧に手間取っているのが現状でありますが、治水安全度を一日も早く上げていくことが地域住民の願いであります。  河道改修や堤防強化だけでは、ダムもその選択肢の一つであることは変わりはありません。おおむね10年の河道改修が終了すると次の段階が必要になると思いますが、あと3年と迫った現在、その次の段階を考える時期に来ていると思いますが、安曇川流域の今後はどのようになるのでしょうか。知事にお伺いをいたします。  また、芹川流域はダムが県の一方的な方針転換により中止となりました。その際の理由としては、ダム事業に金がかかるのと、ダムが完成するまで安全度が高まらないとのことでありました。また、芹川に多額の予算が使われるとほかの河川に予算が回らず、県全体の治水安全度が高まらないと、おどしをするかのようにうたっております。  もともと芹川の治水安全度の目標は、戦後最大規模相当の洪水を流すようにするということでありますが、現状の整備状況はどのようになっているのでしょうか。また、遊水地の計画もあったと思いますが、現在はどうでしょうか。  そして、地域振興として水谷地域の振興を図っていたと思いますが、人口はふえたのでしょうか。現状の水谷地域の状況を知事にお伺いをいたします。  ダム計画があった地域は前知事時代に翻弄されました。ダム計画の中止や凍結に追い込まれ、その当時も雨の降り方が変わったというふうに言われていましたが、最近の雨の降り方を見ていると、それ以上に地域住民は不安が増幅しているというふうに思います。  地球温暖化は今に始まったことではありません。その当時から異常気象というのはありました。流域治水条例にもそれはうたわれております。ただ、この5年間を見ていると、毎年のようにどこかで大きな被害が日本各地で起こっております。もともと滋賀県は災害の少ない県でありますので、防災の視点で見ると、今の豪雨に対応できるかという不安はあります。天井川が多く、一たび堤防が切れると大きな被害が予想されます。  治水のあり方というのはいろいろな選択肢があると思います。ダムだけつくるとかダムだけはつくらないとかではなくて、その地形や河川の形状、人の住み方など、そのに合った治水の仕方があると思います。ダムが必要であればつくるのもそれはそれでありますし、堤防強化で十分であればそれもそれでいいと思いますが、県としてそれぞれの地域で住民の不安を払拭していくことが、今の県に求められているものであります。  国において補正予算が閣議決定され、氾濫発生リスクの高い河川の堤防強化や浸水対策で雨水貯留施設の整備などが盛り込まれておりますが、県として氾濫リスクの高い地域の不安を払拭する上で、集中的に整備を進めていくことが肝要だと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いをいたします。 ○副議長(細江正人) 34番川島隆二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)治水対策について7点御質問いただいたうち、私には5点賜りました。  まず1点目、個別補助化に関する要望についてでございます。  姉川、高時川につきましては、河川整備計画において整備実施区間として、姉川約9キロメートル、高時川約27キロメートルを位置づけております。この河川整備は改修延長が長く、非常に多くの予算と時間が必要となりますことから、個別の事業に計画的かつ集中的に補助を行う大規模特定河川事業に採択をいただけるよう、国に対し、あらゆる機会を通じて要望してまいる所存でございます。  2点目、これからの湖北圏域の河川整備に関してでございますが、これまで、姉川、高時川、余呉川、大川などの整備の推進を図るとともに、田川、天野川、米川における測量や治水対策の検討を進めてきたところでございます。今般、河川整備計画に田川などの3河川を整備実施区間として位置づける段階に至ったところであり、早急にその手続を進めてまいります。  今後は、姉川、高時川の整備をより一層加速するため、個別補助化の要望を行うなど、あらゆる手段を用いて湖北圏域の河川整備の推進を図り、地域住民の方々に安心していただけるよう、全力で取り組んでまいりたいと存じます。  3点目、安曇川流域の今後についてでございますが、安曇川につきましては、北流と南流の分岐点から合同井堰までの約11キロメートルを整備区間とし、河川の掘削や護岸整備、堤防強化対策などを鋭意進めているところでございます。  平成25年の台風18号により堤防が欠損し、河川内に大量の土砂が堆積いたしましたことから、これまで堤防補強対策や土砂の撤去を優先的に実施してきたため、河川の改修に時間を要している状況でございます。  今後、下流区間の整備目標を達成するめどが立った時点で、さらなる治水安全度の向上に向けた整備手法を検討してまいりたいと存じます。  4点目、芹川の整備状況および今後の整備についてでございますが、整備状況につきましては、河川整備計画において整備実施区間として位置づけております河口から旭橋までの4キロメートルについて、河川の掘削や護岸をおおむね完了し、現在、流下能力の検証を行っているところでございます。  遊水地の計画につきましては、当時、整備手法の一つとして検討してまいりましたが、決定していたものではございません。今後、さらなる治水安全度の向上に向けた整備手法を検討する際に、選択肢の一つとして含まれるものと考えております。  水谷地域の振興につきましては、芹谷ダム建設事業の中止に伴い、多賀町が策定した芹谷地域振興アクションプランに基づき、地元、多賀町、滋賀県が連携協力し、道路整備、河川整備、家屋改修、合併浄化槽の整備などの地域活性化施策を平成23年度から平成28年度まで実施し、生活環境整備が進んだと考えております。  人口につきましては、地域活性化施策の一環として活動いただいた地域おこし協力隊の方々が現在も地元に定住されていると伺っておりますが、現状といたしましては、人口、世帯数ともに減少の傾向にございます。  5点目、氾濫リスクの高い地域の整備についてでございますが、まず、ダム計画のあった地域においては、事業の凍結や中止の結論が出されたことに伴い必要となる治水対策を、ダム関連河川対策として集中的に進めているところです。これら地域住民の皆さんの不安を払拭するため、さらなる事業進捗を図り、早期に治水効果が発現できるよう努めてまいります。  また、近年、水害が激甚化、頻発化していることから、これらの地域に限らず、氾濫リスクの高い地域において、それぞれの河川の状況に応じて、ダムや河川改修などの川の中の対策と、避難体制の構築や家屋のかさ上げの促進など川の外の対策を組み合わせ、補正予算も活用しながら「しがの流域治水」を積極的に推進し、県民の皆さんの不安払拭にともに努めてまいりたいと存じます。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)治水対策についての7点の御質問のうち、私に対する2点の御質問にお答えいたします。  1点目、田川の今後の整備についてでありますが、現在、田川の改修について、河川整備計画に位置づけるべく作業を進めているところでございます。  具体的な内容としましては、河口から高時川交差部までの約3キロメートルについては河川を拡幅し、交差部につきましては、ボックスカルバートの増設により流下能力を高める予定でございます。また、それより上流4キロメートルにつきましては、河川の拡幅および遊水地の整備により、治水安全度を高めていく方針でございます。  これらの整備により、地先の安全度マップで示している浸水深が大幅に低減されると考えておるところでございます。  2点目、天野川と米川の整備についてでございますが、天野川では河口から約19キロメートルについて、河川の掘削や遊水地の整備により治水安全度を高めていく方針でございまして、これにより米原市における浸水被害が軽減されると考えております。  米川につきましては、長浜市の中心市街地を流れていることから、河川の拡幅による流下能力の確保が難しいことになっております。これにつきましては、遊水地の整備により治水安全度を高めていく方針であり、これにより長浜市街地の浸水被害が軽減されると考えているところでございます。 ◆34番(川島隆二議員) (登壇)流域治水条例を議論する中で多くの懸念がありました。先ほど朝一で質問された木沢議員が、結局は最後までただ一人反対をされたというのがこの流域治水条例でありますけども、私も地元でいろいろ聞いている中で、住民からの多くの反対意見、反発、それから市長会からも当時反対意見が表明をされたと。議会の中でもいろんな議論がありました。  特に争点になったのが川の中の対策、ここだったんですね。一番初めに出してきたのは、川の中の対策がなかなか進まない、お金がないんでなかなか進みませんよ、だから逃げるほうに重点を置いてくださいと言ったのが一番初めでした。このときに住民が何を思ったのかというと、川があんなに、竹が生えたり木が生い茂ったり物すごい汚い中で、県が何もしないのに住民に逃げてくれよというのは、県として無責任じゃないかというのが一番大きな意見だったろうというふうに思っております。  この川の中の対策を何もしないで、住民だけ逃げろというのはやっぱり県の無責任だろうということで、これはいろいろ議会で議論をしていきながら、川の中の対策をもっとちゃんとやりましょうよという方向で、最終的には自民党、公明党、我々みんなが賛成をしたということであったろうというふうに記憶をしております。
     そうした意味においては、胸を張って全国にこの流域治水条例はどんどんやりましょうよというのはなかなか、そういう制定過程を見ていると、なかなかこう言えないな、ちょっと疑問に思ってしまうなというふうに思っております。  また、さっきの木沢さんの質問にもありましたけども、やっぱりその都度その都度、状況によってまた変えるところは変えていかなくちゃいけないという部分はあろうかというふうに思いますので、これはこれでまた議論をしていかなくちゃいけないんですけども。  ただ、地域住民の一番の思いというのは、安心したいというのが一番大きいんですよね。そうするためには何をするのかというと、やっぱり河川整備をまずちゃんとしてほしいよと。こんな見た感じのこの川ではやっぱり不安だよというのでは、やっぱりだめだろうというふうに思います。  そういった意味では、過去の降雨ですね、降った雨の量で、そのとき、例えばうちでは、姉川、高時川では戦後初めごろに降った雨であそこはあふれているんですけども、そういった状況をもう起こさないようにしてほしいと、それぐらいの雨量は何とか氾濫しないようにしてほしいというのが地域住民の願いだろうというふうに思っております。だから、芹川も戦後最大雨量には耐え得るようにしてほしいという話があったんだろうと。  現状では30分の1程度の流量ということになっているんですけども、これだと、ことしの降った東日本の雨が大体50分の1ぐらいの流量だろうと言われておりますので、戦後最大までは行かないけども、それぐらいの流量だということでありますので、そうすると芹川は氾濫してしまうということになろうかというふうに思います。  こういった氾濫リスクの高いところというのはなぜダムをつくる必要があるのかということをずっと議論されてきて、そういった方向に行ったというふうに私は思っていますので、やっぱりこういった地域、ダム計画があって翻弄されたような地域、いわゆる氾濫リスクの高い地域というのは、これからももっともっとやっぱり寄り添っていく必要があろうかというふうに思っております。  先ほど知事答弁いただいたように、これからも補助化に向けて全力を尽くしてもらうとか、それぞれの地域でいろいろ河川についての予算をつけていこうということでやっていかなくちゃいけないというふうに思いますけども、再度、知事にお伺いしますけども、そういった地域の皆さんの不安を払拭するという意味においてのその寄り添い方というのを、知事として、もう一度お伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 親愛なる川島議員の再質問にお答えさせていただきます。  流域治水、私は当時の制定過程の議会には当局側にもおりませんでしたけれども、そうでしょうか。やはりいろいろあったことは承知しておりますけれども、川の中の対策だけではなくて川の外の対策も含めて、命を失わないようにしようというこの対策は、やはり議会と当局側が丁々発止議論をされてきた結果、私は全国に先駆けた、ある意味では誇るべき条例ができているのではないかなと思います。  したがって、この条例に基づく具体の施策をしっかりと進めていくということが、氾濫リスクの高い住民の皆様方に寄り添うということの一つだと思いますし、午前中から議論のあった、必要な見直しはしっかり勉強、検討の上行うことで、今まさに100年に一度というものが毎年どこかで降ってくるという、こういうリスクに対応していくことになるんだと思います。  おっしゃるとおり、ハードの施設で安心したい、川幅を広げることで川の中をよりスムーズに流れることで、より安全、安心な地域にしたいというこの住民の皆様方の思いには、ある意味ではしっかりお聞きもするし、そしてどういう対策がいいのか、一緒に考えていきたいと思います。  しかし、限られた時間と予算の中で、まさに毎年降ってくるような雨に対して、それだけでは命守れないことがあるので、その間にもできる対策をしっかりとろうという、このリスクマネジメントを、ある意味では住民の皆様方と胸襟を開いて、根底の信頼関係のもとにしっかりと積み重ねていくということも重要だと思いますので、まさに今、滋賀はそういったことができる、そういった環境にもなりつつあるのではないかと思いますので、そういう議論を積み重ねることで、地域住民の皆さんにしっかりと私自身も寄り添っていきたいと思います。 ◆34番(川島隆二議員) (登壇)ハード整備だけをやれということとかソフトをやれということではなくて、やっぱりお互いのつくり方だろうと思います。当時の議論からは信頼関係というものがうまくつくれなかったと。それを今ずっとハード整備をやっていくことで信頼関係をつくっていきながら、両方の面でその地域の安全を高めていこうというのがだんだんとなってくるんだろうと。その今途上にあるんだろうなというふうに私は思っております。  先日、長浜市議会議長であります西邑定幸さんが急逝をされました。西邑さんは高時川と姉川が合流する錦織という地域で住まわれている方でありますので、この河川整備に関しては特に力を入れてこられた議員さんであります。私も非常にそういった意味では残念に思っております。また西邑さんと一緒になって、これから河川整備いろいろとやっていこうなということを言っていた矢先でありましたので、非常にショックを受けておりますけども、その遺志を継ぎながら、私もこれからまたこの河川整備には力を入れていきたいというふうに思いますので、知事のほうもぜひよろしくお願いをいたします。  次に、外国人労働者の受け入れ態勢についてをお伺いをいたします。  去る11月24日から11月27日まで2泊4日の日程で、生田邦夫議長を団長に、国際友好議員連盟の議員有志でベトナムへ研修へ行ってまいりました。主たる目的は、滋賀県からベトナムに進出している企業の現地での活動調査、ベトナムとの友好協力関係の強化、そして外国人労働者の送り出し機関の実態調査であります。  本年10月に、商工観光労働部がホーチミン市サイゴン・ハイテク・パーク・トレーニングセンターとの間にベトナム人高度人材の育成と供給に関する覚書を締結し、これから特に高度人材での交流が盛んになっていくことが予想されます。そうした中で、現状では製造業を中心に、多くの外国人技能実習生が生産活動を支える人材として来県しているところであります。  先日の新聞でありましたが、県内の外国人実習生受け入れ事業所の76%が法令違反があるという報道がされました。最も多いのが労働時間に関するもので、次いで安全基準、割り増し料金の問題というふうになっております。こうした法令違反がなぜ起きるのか、そこを押さえておかないといけないというふうに思っております。  一方で、日本人の採用が困難になり、これからもっと外国人がふえていくことが予想され、こうした実態が明らかになった中で、今後、どのような指導監督をしていこうとされているのか、知事にお伺いをいたします。  ベトナムにおいて、日本、韓国というのが直接投資の双璧であります。最近は中国が伸びてきておりますが、ベトナム人の意識としては日本に好意的な人が多いため、親日国という言い方が一般的であろうというふうに思います。それにあわせて、日本で技術や知識を学びたいというベトナム人がふえているのが実態で、日本に来る外国人の中でも爆発的に伸びているのがベトナム人であります。  今回、送り出し機関であります日越人材リンク株式会社とCEOサービス開発株式会社に訪問をいたしました。日本国内で送り出したベトナム人のフォローをするなど、きめ細やかに対応している業者もある一方、出しっ放しのところもあります。  また、高度人材育成のために、日本とベトナム政府の後押しによって設立された日越大学に訪問もしてまいりました。印象的なのが学んでいる生徒のやる気とガッツであります。貪欲に学ぼうとするその姿は勢いを感じさせ、今の日本に欠けているもののようにも思えます。技能を身につけ、日本で昔流に言えば一旗上げようとしているその姿は印象的でもあります。  ただ、やはり送り出し機関と受け入れ態勢にはまだまだ改善する必要があろうかというふうに思います。特に受け入れ態勢の中で問題なのが、先ほどもありましたように、事業所によってばらばらだということでございます。  滋賀県も都市部との人材確保の競争になるので、滋賀県ならではの優位性がなければうまくいかないというふうに思います。給与面では差が出てしまうので、例えば福利厚生面での充実を図るとか、滋賀に人材を確保する工夫が必要かと思いますが、それぞれの事業者任せではなく、受け入れ態勢の安心度を高める上でも、一体的に受け入れる管理団体のようなものを設立するなどしてみてはいかがというふうに思いますが、どうでしょうか。  あわせて、企業側の窓口と外国人の生活など多文化の視点での窓口が違うので、そのあたりの一本化も含めて、知事にお伺いをいたします。  次に、高度人材であります。  これは、例えばですが、宮崎市とバングラデシュ、それとJICAなどが連携し、人材不足に悩む地方で、大学、これは宮崎大学ですけども、そこで日本語教育を行い、IT人材を育て、その後、日本企業に就職させるというプロジェクトを行っております。これは、IT人材不足に苦しむ企業と新たな企業を誘致したい地方と、キャリアアップを図りたいバングラデシュ人との三方よしの関係が成り立っております。日本語教育の難しさが高度人材の妨げになっている日本において、人材確保していく上で参考になるプロジェクトかと存じます。  先ほど紹介した日越大学でも、日本の大学と提携し、日本で研究活動あるいはインターンシップをする仕組みができております。滋賀県らしい形でできることがあると思いますけども、滋賀県にいい人材を呼び込む仕掛けをしていくべきだと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  日本語のレベルで求めるものが高いほど、なかなか時間がかかるのも事実であります。ある程度ベトナムで勉強した後、日本で勉強できる仕組みづくりも必要になってくるかと思います。日本語教室の講師が足りないと先日も記事になっていましたが、いろいろと課題があるようです。課題解決に向けて、行政と企業とできることをやっていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか、知事にお伺いをいたします。  今回の訪問でベトナムという国の勢いを感じました。また、滋賀県にとっても、水環境ビジネスの面で大いにチャンスのある国だというふうに思います。今後、人材を受け入れる滋賀県として、また企業進出を促進していく滋賀県として、今まで以上に友好協力関係を深めていくことは重要であります。その関係はまだまだこれからのところもありますが、一層の強化が必要であります。  今回、労働・傷病兵・社会省のレ・ヴァン・タイン副大臣と意見交換を行う中で、滋賀県に対しての期待の大きさも感じました。この副大臣は、ベトナム大使館に勤務していたときに何度も琵琶湖を訪れたことがあるそうで、縁を感じておられることもその一因だろうというふうに思います。製造業や看護・介護職への人材交流に特に期待は大きく、今後も緊密な関係を築いていきたいとのことでもありました。ベトナムは日本以上に高齢化社会に向かうスピードが速くなりますので、特に看護・介護人材に関しては日本に学ぶことが多いようであります。  今後、ベトナムに限らずですが、世界から選ばれる滋賀を目指すのであれば、それ相応の体制を整えなくてはいけないのですが、まだ道半ばといったところでしょうか。今後、どのような形で世界から選ばれるような体制をつくっていこうとされるのか、知事にお伺いし、質問を終わります。 ◎知事(三日月大造) 外国人労働者の受け入れ態勢について、5点御質問いただきました。  まず1点目、外国人技能実習生受け入れ事業所に対する指導監督についてでございますが、法令に基づき、受け入れ事業所や管理団体が適正に実習を行えるよう、国の委託を受けた外国人技能実習機構が実地検査や相談対応を実施し、不正事案に対しましては、国が改善命令や管理団体の認定取り消しなどを行っているところです。  県といたしましては、指導監督権限はないものの、滋賀県外国人材受入サポートセンターにおいて、制度の理解不足により法令違反にならないよう、行政書士等の専門家による助言、さらには採用後の伴走支援も行い、受け入れ事業所の適正な雇用管理を支援しているところでございます。  2点目の一体的に受け入れる団体の設立、窓口の一本化についてでございますが、議員御指摘のように、本県において外国人労働者が安心して働き生活していくためには、事業者によって法令解釈が誤っていたり、受け入れ態勢に著しく差が生じていたりしてはならないと承知をしています。  まず、一体的に受け入れる団体のようなものの設立につきましては、特に人材不足が厳しい介護分野において、事業者から技能実習制度の管理団体の創設なども必要なのではないかという御意見が出されていることから、地域医療介護総合確保基金の活用も含め、もう一歩踏み込んだ受け入れ支援の仕組みの具体化に向けて、関係者の皆様とともに検討を現在進めているところでございます。  次に、改正入管法施行のタイミングで、他府県に先駆けて開設いたしました企業の相談窓口、滋賀県外国人材受入サポートセンターは、行政書士等の専門家によるアウトリーチ支援を県内一円で実施しておりまして、4月から10月までの半年間で、訪問相談が183件、出張相談会が46件、合計229件と、全相談件数370件のうち6割を占めている状況でございます。  一方、外国人の生活など多文化の視点での窓口、しが外国人相談センターにおきましては、電話やメールによる相談対応が中心であり、企業と外国人双方の利用実態を踏まえ、それぞれの利便性を考慮しても、たちまち両センターの一本化が必要な状況にはないのではないかと判断しております。  また、両センターでは適宜、情報共有や意見交換を行うなど、連携しながら企業と外国人の支援に当たっており、今後もより一層密に連携を図りながら、外国人労働者が安心できる適正な受け入れ態勢の構築に努めてまいります。  3点目、滋賀県に高度人材を呼び込む仕掛けについてでございますが、令和元年5月1日現在で、県内の大学には1,447人の留学生が在籍しておられます。卒業後に高度人材として活躍することに期待をしているところでございます。  しかしながら、平成30年に国内で就職された全国の留学生のうち、滋賀県内に就職された方の割合はわずか0.5%という状況でございまして、日本に来た留学生の多くが東京圏や大阪圏で就職することが大きな課題となっております。  このような状況を踏まえまして、しがヤングジョブパークが実施いたします大学生向け就職イベントに留学生が参加しやすくなるよう工夫していきたいと考えております。  さらには、これらのイベントを通じて県内事業者と留学生双方のニーズを把握するとともに、議員から紹介のあった宮崎市などの取り組みも参考につつ、外国から高度人材を呼び込む仕組みづくりについて研究をしていきたいと存じます。  4点目、日本語教育の課題への対応についてでございますが、県内では現在、13市1町において、国際交流協会やボランティアを中心とする26の日本語教室が開催されております。これらの日本語教室では、これまでの南米地域からの日系人の方などに加えまして、近年は企業からの技能実習生の日本語指導の依頼が急増しており、指導者の不足や、求められる内容も多様化していることなどが課題となっております。  このような中、本年6月に日本語教育の推進に関する法律が施行され、国、地方公共団体、事業主の責務等が示されるとともに、県が策定いたします日本語教育推進のための計画に基づき、国が日本語教室に対する支援なども行うこととされたところです。  このため、県といたしましては、まず、市町、企業等における日本語教育の取り組み状況やニーズ等の実態把握を行った上、推進計画の策定に取り組むとともに、地域において必要な日本語教育が提供できるよう、企業の協力も得ながら、国の支援制度も活用し取り組みを進めてまいりたいと存じます。  最後5点目、世界から選ばれる体制づくりについてでございますが、外国人の大都市圏への集中なども想定される中、本県への外国人材の円滑な受け入れを推進するためには、受け入れる企業、事業所などで日本人労働者と同等の働きやすい環境、そして地域社会では日本人と同じ生活者として暮らしやすい環境が、それぞれ整備されることが最も重要であると考えます。  本県では、外国人材の確保と多文化共生の推進の2つの方向から、外国人材の円滑な受け入れと共生社会の実現のための取り組みを進めております。  外国人材確保の取り組みといたしましては、本年4月より滋賀県外国人材受入サポートセンターを開設し、行政書士等の専門アドバイザーによる支援を実施しております。さらに、海外政府機関等と連携いたしまして、受け入れ環境を整えている県内企業と現地人材とのマッチング機会創出について検討をしてまいりたいと存じます。  また、多文化共生の取り組みといたしましては、滋賀県で暮らし、働き、学ぶ全ての人が、国籍や民族などの違いにかかわらず、相互に人権と個性を尊重しながら、多様性を生かして活躍できる多文化共生の地域社会を目指すことを基本目標に掲げた多文化共生推進プランの改定を進めておりまして、関係部局が連携した総合的な取り組みを進めていくこととしております。  外国人コミュニティーや多様な主体とも連携しながら、ともに働きやすく、暮らしやすい地域づくりに取り組むことにより、世界から選ばれる滋賀を目指してまいりたいと存じます。 ◆34番(川島隆二議員) (登壇)留学生が日本に来て、さっき、滋賀県で1,447人、そのうち0.5%しか滋賀県の企業に就職していないとありましたけども、これやっぱりちょっと、もう少し工夫ができるかなと思います。さっき、ヤングジョブセンターのヤングジョブフェアにということでありましたけども、留学生が求めているところと企業が求めているところをどうマッチングさすかといったところの工夫が必要かなというふうに思います。  それと、介護現場なんですけども、まだ7割ぐらいの事業所が外国人を受け入れることに関しては二の足を踏んでいるという状況で、ただ、来年以降、これ、ふえてくるというふうにもおっしゃっておりました。  そのときに、外国人を受け入れたときに何が大事かというと、やっぱり管理団体ですね。さっき、ちょっとまだ一本化するのは難しいという話がありましたけども、兵庫県は社協でこの管理団体をやろうと思って1,000万を助成してやっているんですけども、うまくいってないと。これ何でかというと、やっぱりそこで働く人、マンパワーがうまく育っていないというのが現状であるというふうにも聞いております。  そうした意味では、いわゆる知識とか技術を有するような人材をどう確保していくのか、そういう管理団体でですね。そういったところがこれからの大きな課題であろうと。そして、企業とか、それから施設、これはそういった介護施設ですけども、そういったところとのスムーズな連携といったところも必要であろうというふうに思います。  そういった意味では、公益的な団体というので、送り出し機関とこの受け入れ機関の間にワンクッション入ることで、お互いの信頼関係をうまくつくっていくと。向こうの送り出し機関も、あ、これは信用できるところだなと、信頼できるところだなと見えるようにする。こっち側の受け入れ機関もワンクッション置くことによって、そういったある意味トラブルをなくすようにするといったところが私は求められているんだろうというふうに思っております。  こういったところの強化というのはもう一つ必要かなと思いますので、先ほど知事は、余り一本化してというところの部分が、まだ今はそういうふうにはしないという判断をしているという話でありましたけども、ここら辺をうまくやっていくとほかの県との違いが出ますので、滋賀県、ああいいとこだなといって選ばれる可能性は高いというふうに思いますけども、再度、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) まず、私が一本化がたちまち必要な状況にはないと申し上げたのは、現在、企業の相談窓口として持っております滋賀県外国人材受入サポートセンター、こちらと外国人の方から生活面での御相談を受け付けているしが外国人相談センター、これをたちまち一本化が必要ではないと答弁をさせていただきました。  おっしゃったように、現地の国の送り出し機関から、県で何か公的な仕組みで受け入れ支援のもう少し踏み込んだ機関が必要なのではないか。この点については、答弁で申し上げたとおり、特に介護分野でこういった受け入れを調整し、またマッチングする相手国ともしっかりと調整する、そういった管理団体の創設も必要だというお声をいただいておりますので、何かしら踏み込んだ受け入れ支援の仕組みが要るのではないかということで、現在、関係者の皆さんと一緒に検討を進めているということでございますので、まずは、この介護分野からどういうものができるのかというものをしっかりと描いていきたいと思いますし、冒頭申し上げたその両センターにつきましては、きちんと機能し、また、かつ連携できるように調整をしていきたいと考えております。 ◆34番(川島隆二議員) (登壇)これから外国人はやっぱりどんどんふえていくんですね。今、ベトナム人が物すごくふえていますけども、ベトナムもだんだんいわゆる給与水準が上がってきて、ちょっとベトナム人からするとメリットがなくなってくると、次はラオスであるとかカンボジア、ミャンマーといったところからまた人が入ってくるようになると。そういった意味では、この受け入れ団体というものをきちっとやっておかないと、やっぱりなかなか大変だろうというふうに思っております。  これ、当然トラブルはあるんですよ。外国の人が違う国で住むということは、これ当然トラブルが出てきますんで。ただ、向こうからしてみたら外国に住む不安感というのもある、日本人からすると外国人が来ることに対してのトラブルが出てくるといったところをどう解消していくかというところが、やっぱりそれぞれに求められるところでもありますので、世界から選ばれると、滋賀県が世界から選ばれるというのは、こういった部分を含めてやっていかなくちゃいけないというふうに思いますので、これは知事、また頑張っていただきたいと思いますし、新しいシステムというのをつくっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしまして、私の質問はこれでお開きとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、34番川島隆二議員の質問を終了いたします。  次に、30番岩佐弘明議員の発言を許します。 ◆30番(岩佐弘明議員) (登壇、拍手)11月定例会議一般質問を通告に従いましてさせていただきます。  まず最初に、次世代育成支援についてであります。  我が国の出生数は3年連続で100万人を下りました。昨日の新聞には、90万人割れ確実との見出しも出ておりました。まさに少子化に歯どめがかからず、社会経済の根幹を揺るがしかねない、まさに国難と言える危機的な状況となっています。  また、子供を取り巻く環境においても、子供の貧困や深刻化する児童虐待問題など、本人の努力の及ばぬ中で、その有為な将来が閉ざされてしまうかもしれない大変厳しい状況にあります。  こうした中、地方六団体の中核である全国知事会が、地方の現状を踏まえた制度や施策となるよう政府に提言するとともに、国と地方が一体となってこの難局を乗り越えていくことが求められます。  全国知事会には10のプロジェクトチームが設けられており、三日月知事が次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーの任を拝命されたと本会議で報告がありました。また、毎月初に行われる職員に対する館内放送での知事談話においても報告があり、知事のチームリーダーとしてのこの上ない意気込みを感じさせていただきました。  そこで、三日月知事に伺います。  今回の拝命は、本県の次世代育成支援の取り組みが評価されてのものなのか。または、知事会におけるこれまでの三日月知事の発言、活動による知事会での評価と受けとめてよいものなのか。拝命をどのように捉えているのか、まず伺います。  次に、就任早々、少子化対策及び困難な環境にある子どもへの支援策の抜本強化に向けた緊急提言を行ったとのことであります。そして、この提言書の表紙には、子育て三方よしスマイルプロジェクト「子によし、親によし、未来によし」の記述があり、滋賀らしさがあらわれており、三日月知事の熱い思いがうかがえます。  緊急提言は、少子化対策の抜本強化として、地域少子化対策重点推進交付金の拡充と運用の弾力化、子育て世帯の経済的負担の軽減と保育サービスの充実、若者の安定した雇用に向けた施策の充実、男性の育児参画の促進と働き方改革の着実な実行、子供・子育て支援新制度に必要な財源の確保、子供の安全確保対策の確実な推進があります。  また、困難な環境にある子供への支援策の抜本強化として、地方が取り組む子供の貧困等対策への支援、低所得家庭に対する教育費負担軽減策の確実な実施、児童虐待防止対策の充実、強化、社会養護の充実となっています。  次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーの前任者である村岡山口県知事からも今年8月に要請活動がされており、このときの要請内容と今回の緊急提言の内容が重複しているものがあります。  そこで、今回なぜ緊急提言を行ったのか。また、これらの提言内容に三日月知事の思いをどのように反映させたのか伺います。  さらに、令和2年度の本県の施策にどのようにつなげようとされているのか伺います。  いずれにいたしましても、次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーの任につかれたことは喜ばしいことであります。チームリーダーを有する県として、本県の次世代育成支援の施策が注目されることになると思われるとともに、その成果を上げることが求められますが、所見を伺います。  また、三日月知事の全国知事会での評価は滋賀県益につながるものであり、今後とも頑張っていただきたいものです。  そこで、全国知事会における活動の決意を伺い、この項の質問とさせていただきます。 ○副議長(細江正人) 30番岩佐弘明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)次世代育成支援につきまして、4点御質問いただきました。珍しく岩佐先生からいろいろとお褒めいただいたり激励いただきまして、背筋が伸びる思いでございます。  まず1点目、何で拝命することになったのかということについてでございますが、このたび、全国知事会で体制変更に伴いまして、次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダー県に滋賀県がなり、そのリーダーを滋賀県知事である私が拝命いたしました。  これはどういう評価によるものかわからないんですけど、いろいろ職員が書いてくれています。それを読みますと、私自身が知事の中では5番目の若さですし、子育て世代に近い知事であるということ、子育て政策を初めとする次世代育成に力を注ぎたいなと思っていることも見ていただけたんじゃないかと。  また、これまで5年余り、全国知事会のにおいても、この5月に悲しい事故があった子供の安全確保の問題ですとか養育費確保、幼児教育・保育の無償化の円滑な実施などについて、できるだけ積極的に発言しようとしてきたこともございます。  また、ことし6月に、日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットin滋賀、これは17県で構成する知事同盟があるんですけれども、そのサミットを滋賀県で開催いたしまして、将来世代を社会全体で応援する機運を高めようと活動をしてきたところでございます。  今回、いずれにいたしましてもこういったチームリーダーを御指名いただきましたので、大変大きな責任を担うことになったなということを強く感じているところでございます。  2点目、今回の緊急提言についてでございますが、8月は、少子化対策の抜本的な強化や困難な環境にある子供たちに対する支援について国へ要請活動が行われ、保育の受け皿拡大や保育人材の確保、児童虐待に対する児童相談所や市町の体制強化などが国の概算要求に盛り込まれ、一定の成果を得ることができたと考えています。  今回の緊急提言におきましては、この概算要求を受けまして、8月に要請した項目から特に重点的に進める必要がある項目を抽出いたしまして、予算案に盛り込まれるよう実施させていただいたところでございます。  この緊急提言におきましては、本年5月に本県で発生した保育園児が交通事故に巻き込まれて死亡するという大変痛ましい事故を受け、通学路や保育所等の園外活動コースの環境整備に対する支援でありますとか園外活動時の安全確保を図るための支援などは、私としても特に重要な事項と判断し、提言に反映させております。  今後、緊急提言で実現がかなった事項については、本県としても来年度の施策に可能な限り取り入れ、少子化対策と困難な環境にある子供への支援の強化につなげてまいりたいと存じます。  その前に、来年度の国の予算の中にもきちんと反映されるように、これから年末に向けて、しっかりと確認をしてまいりたいと存じます。  3点目、成果を上げることに対する所見についてでございますが、議員も御指摘いただいたように、現在、我が国は少子化に歯どめがかかっておりません。まさに国難と言える危機的な状況にあると評されているところでございまして、国においては、少子化対策の指針となります少子化社会対策大綱や子供の貧困対策に関する大綱の改定作業を現在進められており、その意味においても重要な局面を迎えていると認識しております。  こうした中、国と地方が一体となり、次世代育成支援を未来への投資と位置づけ、互いに総力を挙げて取り組むことが必要であると考えます。  チームリーダーをお預かりする本県といたしましては、国に求めることはしっかりと要望し、実現につなげてまいるとともに、本県においても次世代を担う子供たちの笑顔と幸せあふれる社会が実現できるよう、子供に関する施策により一層力を入れて取り組んでまいりたい。そのための予算づくりや体制づくりに意を用いてまいりたいと存じます。  4点目、全国知事会における活動についてでございますが、全国知事会では、直面する地域課題の解決や目指すべき地方の姿などについて、時には異なる主張があっても、徹底した議論を重ね、行動する知事会として、国への政策提案や施策の横展開などで一定の成果を上げてきたと考えております。  今般、プロジェクトチームのリーダーを務めることとなりましたが、各地域のさまざまな先進施策を束ね、地方の知恵を結集し、政策提案や政策形成をしっかりと行っていくことが全国ひいては滋賀県のためになるという強い思いを持って、チームリーダーとしての職責を果たしてまいりたいと存じます。  特に、来年6月には全国知事会議を滋賀県で開催させていただくという機会を与えていただいております。その際には、新たな取り組みといたしまして、テーマを設定し、徹底した政策議論を行うセッションの開催を予定しており、次世代育成につきましても、そのテーマの一つとしてぜひ議論するを持ちたいということで、現在、準備、検討を進めているところでございます。  全国の知事の仲間とともに、滋賀の力強いメッセージが発信できるよう、しっかりと準備をしてまいりたいと存じます。
    ◆30番(岩佐弘明議員) (登壇)知事、ありがとうございます。  今回の質問をするときに、本会議でも報告もあり、冒頭、質問の中でも述べましたように、知事談話でもそういったことの報告があり、大変知事自身が喜んでおられるというのか、ああ、手腕の発揮のしどころかなと。全国の中でここに滋賀ありというような思いを強く持っておられるんじゃないかなと思いまして、エールの意味で質問をさせていただきました。  ただ、先ほども知事申されましたように、緊急提言が予算に反映されて初めてその成果になるということでございます。1回の提言で、すぐに予算にどれだけ反映していただけるのかわかりませんけども、チームリーダーの職責をしっかりと果たしていただくためにも、今後とも国への働きかけを続けていただきたいなと思いますし、また、そのことで、先ほども少し申しましたけども、ここに滋賀あり、そして来年6月に知事会が滋賀県で開催されるということでもあります。  三日月知事の評価は滋賀県の評価につながる、そんな思いの中で手腕を滋賀県政発展のために生かしていただければなと思い、次の質問に入らせていただきます。  それでは、次に、ワーク・ライフ・バランスの推進について質問をさせていただきます。  生涯にわたる人格形成の基礎を担う幼児教育の重要性や幼児教育の負担軽減を図る少子化対策の観点から、本年10月、幼児教育・保育の無償化が実施される運びとなりました。こうした中、来年度に向け、県内の市町では保育所への入所申し込みがふえるとの報告がされています。また、マザーズジョブステーションにおいても保育所の相談が多くなっていると伺っています。これらの現状から、保育ニーズの高まりと相まって、女性の就労意欲が醸成されていると予測されます。  本県では、子育て環境を整えるため、保育所やこども園の整備を積極的に進めるとともに、地域型保育事業と呼ばれる小規模保育事業や家庭的保育事業を推進しているところです。また、保育人材の確保に向け、修学資金の貸し付け制度とともに、保育士・保育所支援センターにて、今年度新たに保育士有資格者バンク登録制度および潜在保育士マッチング強化の事業が実施されています。  さらに、昨年8月に全ての市町が参画する待機児童対策協議会も立ち上げ、児童の受け皿整備の推進や保育所の広域利用の推進、保育人材の確保、質の向上に努められています。  そして、この11月、国の施策および予算に関する提言要望においても、保育環境の充実が掲げられています。  提言要望では、保育士有資格者が離職時等に住所などの連絡先の情報を届け出る制度の創設や、保育士の負担軽減と質の向上に向けた保育士配置基準の見直しとともに、保育現場に定着できるためのさらなる処遇改善の実施、さらに、外国人を受け入れている認可外保育所への支援、および制度見直しを行う際には、国と地方の協議のを十分に持ち議論をするなども求めています。  さらに、保育人材確保の取り組みにつながることを目的に、保育事業者、現任保育士、潜在保育士、保育士養成施設および保育士養成施設の学生を対象に実態調査を実施しており、現在集計中とのことであります。調査結果は今後の取り組みに生かされることを期待をいたします。  幼児教育・保育の無償化の影響を大きく受けているのが市町であり、保育人材の確保を求める声があります。こうした市町への支援に向けて、待機児童対策協議会の果たす役割は大きなものがあると思いますが、この協議会をどのように活用し、市町への支援を行っていこうとされるのか、まず伺います。  次に、これまで男性は仕事をし、女性は家庭を守るべきという固定的性別役割分担といった意識は過去のものとしていく必要があります。しかし、今年度県が実施した男女共同参画社会づくりに向けた県民意識調査では、性別役割分担に「同感しない」、「どちらかといえば同感しない」が59.5%であり、平成26年度の前回調査よりも6.3%増加しました。しかし、いまだに34.8%の人が「同感する」と回答されており、固定的性別役割分担の意識の解消は十分に進んでいないのが現状です。  男性は仕事をし、女性は家庭を守るべきという考え方に同意しない人の割合を70%にするという目標を県が掲げており、その目標の早期達成を願うものです。  また、男女の地位の平等感では、「男性優遇」が72.7%、「女性優遇」が4.6%であり、「平等」と答えた人は15.3%であり、男性の地位の社会の中での優遇であるということがうかがえます。  さらに、「女性は家庭において責任を多く持っているため、責任の重い仕事につきにくい」が男性より女性の方が高い割合となっており、仕事と家庭の両立に負担感を感じている女性が多くおられることがうかがえます。  これまで、一人一人がやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域社会などにおいても多様な生き方が選択できる、実現できる社会、つまり仕事と生活の二者択一ではなく、仕事と生活の両立が無理なく図れ、双方とも充実させるワーク・ライフ・バランスを推進してきました。  パートナーしがプラン2020において、働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスが実現される職場づくりを目指し、ワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度を設けています。企業が登録を行うには、次世代育成支援対策推進法に定める一般事業主行動計画を策定し、滋賀労働局に届け出ることとしています。そして、登録された企業は滋賀県ワーク・ライフ・バランス推進企業として広く紹介し、そのことで各企業がその取り組みを一層進めるとともに、多くの企業に取り組んでいただくことで、働く人の職場環境がよくなることを目的としています。現在、10月末日の登録企業は664社であり、そのうち30人以下の小規模事業者が511社であるとともに、一つの業種で444社となっています。  また、女性の活躍に取り組む企業、団体を応援しようと、男女の有休取得率や女性の継続就業、管理職への取り組みなど、その実態に応じて女性活躍推進認証を行っています。  そして、パートナーしがプラン2020には、この推進企業認証を150件とする目標を掲げています。この認証は、定着・両立18項目と、均等・活躍14項目の32ある認証基準の項目達成によります。そして、達成項目が5項目以上と一つ星、17項目以上かつ均等・活躍から二項目以上を二つ星、26項目以上かつ課長相当以上の女性管理職が30%以上のものを三つ星としています。10月末日現在の認証企業は233社であり、そのうち30人以下の小規模事業者が146社であるとともに、一つの業種で123社となっています。  そして、一つ星企業138社、二つ星企業95社、三つ星企業は残念ながら今のところありません。  そこで、この登録や認証の詳しいデータ、副知事お持ちだと思いますが、こうした業種や規模に偏りがある現状をどのように分析し、あわせて、そこから見える課題に対する対応について伺います。  ワーク・ライフ・バランス推進企業の登録において、企業登録の一般事業主行動計画から、育児休業、時間外勤務の削減、有給休暇の取得等、ワーク・ライフ・バランス推進の取り組みの傾向をうかがうことができます。こうした一般事業主行動計画がある中、今後どのようにワーク・ライフ・バランスの推進に生かしていこうとするのか伺います。  また、中小企業を訪問し助言を行う中小企業ワーク・ライフ・バランス対応経営推進員が現在1人であるという現状でありますが、いかがお考えでしょうか。  さらに、女性活躍推進事業の認証制度において、次なる目標として、一つ星から二つ星へ、二つ星から三つ星へと企業の取り組みを深化させていくにはどのような取り組みが必要と思いますか、お答えください。  次に、仕事と生活の調和・女性活躍推進会議しがについて伺います。  本県では、平成20年に滋賀県と滋賀労働局が共同で、仕事と生活の調和・女性活躍推進会議しが──以下、推進会議しがと言いますが──を設置しています。  推進会議しがは、事業者、労働者、NPO、行政など関係者が一体となって、仕事と生活の調和の推進や女性活躍の推進に取り組むための体制を整え、関係者相互の合意形成を図るとともに、着実な実践につなげるためのものです。  所掌事務は、仕事と生活の調和、女性活躍に関する啓発、情報発信による県民意識の醸成、そして実践や課題解決に向けた情報交換、取り組みの広報、講演等の協力、その他必要な事項となっています。  これまで、11月を仕事と生活の調和推進月間と定め、家庭、地域生活、職場などにおいて、県民一人一人がライフスタイルや職場環境を見直すことにつながる広報啓発活動を中心に実施してきました。近年は講習会、研修会、セミナー等、積極的に広範囲な取り組みが行われています。そして、これまで推進会議しがの構成団体の皆さんは、仕事と生活の調和の実現を目指し、それぞれが連携協力しつつ、主体的に取り組んでいただいています。  そこで、これまでの実践経験を生かし、仕事と生活の調和、女性活躍につながる県行政の施策の評価、成果研修を行うことでさらなる推進につながるものと考えますが、今後に向けた推進会議しがの取り組みについて伺います。  最後に、少子高齢化による生産年齢が減少する中、必要な労働力を確保するため、企業は多様な人材を生かすダイバーシティ経営に向かっています。そして、子育て、介護など時間的制約や異なる価値観を持つ全ての従業員が、その能力を最大限発揮できる環境をつくり出そうとしています。  そこで、前にも述べましたように、仕事と生活の二者択一ではなく、仕事も生活も充実させるという働き方への価値観を醸成していくことが大切であると思います。そのためにも、ワーク・ライフ・バランス、このバランス──調和からインテグレーション──統合、仕事と生活がともになっている、一つのものとして捉える、そんな意識改革が必要と思いますが、由布副知事の所見を伺い、この項の質問とします。よろしくお願い申し上げます。 ○副議長(細江正人) 30番岩佐弘明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎副知事(由布和嘉子) (登壇)ワーク・ライフ・バランスの推進に関する7点の質問に対してお答えさせていただきます。  まず、1点目の待機児童対策協議会の活用による保育人材の確保の取り組みについてでございますが、待機児童対策協議会では、市町の取り組みの支援をより実効的なものとするため、広域的な観点から調整が必要な施策等について、市町とともに協議を行っているところでございます。  今年度は、市町から出された協議事項を、保育人材の確保と質の向上ですとか、また保育所等の広域利用の推進など5つの項目に整理いたしまして、それぞれに部会を設置いたしました。その中でも特に保育人材の確保は喫緊の課題であるということから、保育人材確保部会において、KPIの設定や必要な施策などについての議論を行っているところでございます。  また、当部会にプロジェクトチームを設置いたしまして、滋賀の保育の魅力を発信するために、市町担当者を初め、現場の保育士さんや、また保育士養成施設の学生などにも参画いただいて、現場目線での発想や創造性を取り入れながら、実効性のある取り組みができるように進めているところでございます。  今後も引き続き、保育人材の確保や待機児童の早期解消に向けまして、当協議会を活用し、滋賀で働きたい、働いてよかったと思っていただけるような職場の環境づくりなどの取り組みを、市町を初め、滋賀の保育関係者の皆様方と一丸となって進めてまいりたいと思っております。  2点目のワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度および女性活躍推進企業認証制度の現状分析等についてでございますが、先ほど議員から御指摘ございましたように、いずれの制度も小規模事業者が大変多く、また、大半が建設業──それぞれ、ワーク・ライフ・バランス推進企業については約73%、女性活躍推進企業につきましては約65%と──が建設業であると、業種には偏りが見られるところでございます。  このワーク・ライフ・バランス推進企業登録につきましては、一般事業主の行動計画の策定が義務化されていない従業員100人以下の企業に対しまして、計画の策定とワーク・ライフ・バランスの推進を促し、登録企業の裾野を広げていくということを目指しておりますので、まずは小規模な企業の登録をふやしていくことが課題であるというふうに考えております。  他方、業種につきましては、幅広い業種の企業に登録を働きかけていく必要があると認識しております。このため、県の労働広報紙等により制度の普及啓発などを努めるとともに、滋賀労働局が設置されました滋賀県働き方改革推進協議会などを通じまして、関係機関等としっかりと連携し、中小企業向け支援施策の周知や社会的機運の醸成に取り組み、登録を促進してまいりたいと考えております。  女性活躍推進企業につきましては、幅広い業種や規模の企業へも取り組みを広げていくことが課題と考えております。近年は働きかけなどの取り組みの効果もございまして、大手企業も徐々に認証を取得してきていただいております。他の企業への波及も期待できると考えております。  また、先日は、厚生労働省のイクボスアワード表彰においてグランプリを受けられました企業の管理職の方に表敬訪問いただいたところでございますが、そういった先進的な取り組みを広報するなど、さまざまな業種へのアプローチも含めて、積極的に発信しているところでございます。  今後は、滋賀県社会保険労務士会等関係団体とも連携しながら、企業への効果的な働きかけ方法を工夫し、さらなる拡大に努めてまいりたいと考えております。  次に、3点目の一般事業主行動計画のワーク・ライフ・バランス推進における活動についてでございますが、登録企業の行動計画には、労働時間の削減ですとか年次有給休暇の取得促進など、働き方の見直しに関することのほか、男性の子育て目的の休暇取得促進など、妊娠、出産や子育てとの両立支援に関する取り組みも比較的多く見られるところでございます。  こうした中には、ワーク・ライフ・バランスに係る国の助成金に関連する取り組みもあることから、登録申請時において助成金の活用を働きかけることなどを通じまして、中小企業の取り組みを促してまいりたいと思っております。  次に、4点目の推進員の現状についてでございますが、中小企業におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みを推進するために、中小企業関係団体とも連携しながら、きめ細かな支援に努めてきたところでございます。  一方、働き方改革関連法の施行に伴いまして、国においても働き方改革推進支援センターを設置され、社会保険労務士等が企業を訪問し相談支援を行う取り組みが始まってきておりまして、県の推進員との役割分担を検討すべき時期に来ているのかなと考えております。  こうしたことから、同センターや滋賀県社会保険労務士会などとの連携や協働によります広報、啓発、相談支援の実施など、より効果的な方法により、中小企業のワーク・ライフ・バランスの推進を支援してまいりたいと考えております。  次に、5点目の認証制度を深化させる取り組みについてお答えいたします。  女性活躍推進企業認証制度におきましては、一つ星から二つ星、二つ星から三つ星へとステップアップを図ることは大変重要であると考えております。今年度から女性の働きやすい職場づくりサポートプロジェクトを実施いたしまして、社会保険労務士等の専門家を派遣し、具体の職場環境改善支援を行っているところでございます。  また、先ほど議員からも御紹介いただきましたとおり、三つ星企業の認証に当たりましては、達成項目数の基準に加えまして、課長相当職以上の女性比率が30%以上という要件を必須としているところでございます。三つ星の取得は認証企業にとっても目標となっております。初の三つ星企業の早期誕生に向けまして、県としても後押しをしてまいりたいと考えております。  今後も、制度のさらなる周知を図るとともに、女性が職場のリーダーとして意欲と能力を発揮できるような職場環境づくりの支援を通じて、引き続き、県内企業の女性活躍の推進に努めてまいりたいと思っております。  次に、6点目の推進会議しがの今後の取り組みについてでございますが、仕事と生活の調和・女性活躍推進会議では、発足以来、女性活躍の視点も踏まえまして、県民の企業のワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、機運の醸成に努めてきたところでございます。  議員御指摘いただきましたとおり、これまでの実績も踏まえ、構成団体の皆様方の知見や実践経験を生かした意見交換を行いまして、施策の評価ですとか、また、成果の検証に取り組んでまいりたいと思っております。  さらには、本県の男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画であります男女共同参画計画、女性活躍推進計画の改定を次年度予定しているところでございますが、当推進会議においても幅広く御意見を賜りながら、現状の課題を集約し、必要な方向性について検討してまいりたいと思っております。  次に、7点目の意識変革についてお答えさせていただきます。  議員から御提案いただきました仕事と生活の二者択一ではなくて、仕事も生活も充実させるというワーク・ライフ・インテグレーション、仕事と生活の相乗効果によって好循環をもたらし、より人生を豊かにするという考え方は、家庭生活や地域での活動がより仕事にも生きてくる、充実した仕事にもつながっていくという考え方にも共通するものと考えておりまして、昨今、非常にいろんなところで指摘されております男性の家事、育児等の家庭生活への参画ですとか、また、男性の地域社会の一層の参画を促すといった効果も期待され、女性の活躍推進にとっても極めて重要な視点であると思っております。  昨今の社会経済情勢の変化も踏まえまして、子育てや介護など時間的に制約のある方や異なる価値観を持つ全ての人が、その能力を最大限発揮できる多様な働き方が不可欠であると考えております。  このため、推進会議しがでの取り組みを含めまして、さまざまな機会を捉えて、仕事も生活もともに充実していくという価値観や働き方についての意識浸透、社会的機運の情勢に努めてまいりたいと思っております。 ◆30番(岩佐弘明議員) (登壇)先日、メンズカラットしが、チアーズカラットしがという情報誌を見せていただきました。大変よくできているなと思っておりまして、これまで、イクメン、イクボスとかイクトモとかいうのは聞いておったんですけども、その中にカジダンという言葉がありまして、我が生活も少し見直していかなければいけないのかなという思いで、この言葉をかみしめておりますので、こういった啓発を今後ともしっかりやっていただきたいわけでございます。  ただ、先ほども一般事業主行動計画が664あるという中で、これは助成制度があると。両立支援の助成制度でありますけども、これに私はつなげていきやすいといいますか、つなげていかなければいけないの違うかなと思うんですね。せっかくそういう行動計画を持っていただいておりますので、今度は、その計画を実践したという成果を出せばいいわけでございますので、行動計画が664件あるのに、両立支援制度は今82件という数字でなっていますので、やっぱりできるだけ両立支援制度を、この助成金を受けていただけるように。  そのためには、私は、先ほども少しありました社労士さんのかかわりというものが大変重要になってこようと思いますが、この両立支援制度活用に向けた社労士さんの活用といいますか、手助けといいますか、いうものを今後どのようにしようとされているのか伺います。  そして、もう一つ、バランスからインテグレーションというようなことについては御賛同いただけたと思うんですけども、さまざまな機会にとおっしゃっていただいているんですけども、さまざまな機会、至るところでと、ちょっと抽象的でございますので、その辺のところ、もう少し具体にお示しいただければなと思いますので、由布副知事の答弁を求めます。 ◎副知事(由布和嘉子) お答えさせていただきます。  まず、1つ目の社労士さんとのかかわりということでございますけれども、一般事業主行動計画をおつくりいただきまして、ワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度に私どものほうで手続をさせていただきますときに、国の助成金が活用できるということ、また、活用の手続などを御紹介いたしまして、具体の取り組みにつなげていただくとともに、要件が満たされるところには助成金の申請ができますように、必要なアドバイス、情報提供に引き続き努めてまいりたいと思っております。  また、2つ目の意識浸透、社会的機運の醸成についてでございますけれども、女性活躍関係のいろんな行事ですとか広報、啓発などの機会ももちろんでございますけれども、それ以外に、いろんな場面で、いろんな企業の経営者の皆様方とお目にかかる機会が私もございますし、関係の部長、もちろん知事もいろんな機会がそういったことがございますので、そういったいろんな機会を通じて、全体的な周知広報とともに、また、個別の企業にもお願いするなどして、いろんな場面で浸透を図ってまいりたいと思っております。 ◆30番(岩佐弘明議員) (登壇)すいません。再問ですけども、事業主計画は、これ、あくまでも計画なんですね。計画を出すだけなんですよ。実践しなくてもいいんですよ、極端なことを言えば。実践したということになれば補助制度に乗るわけでございますのでね。やっぱりその辺のところはしっかりとね。この計画を実行していただくということが大切だと思いますので、その辺のお考えをまずお伺いをもう一度させていただきたいのと、そして、ワーク・ライフ・バランス、今はこういう言い方をしていますけども、このことが企業にとってどれだけ有意なのか、働く人にとってどれだけ有意なのかと、そういうことをもっともっと。そこのところ、あなたにとってこれは有意なことなんですよ、このことはあなたの生活を豊かにするんですよというようなことを訴えていくと、もう少しといいますか、すっと落ちて、じゃやろうじゃないかという気持ちになっていただけるのではないかなと思います。  最初の1問目のやつだけお答えください。 ◎副知事(由布和嘉子) お答えさせていただきます。  最初の答弁にも簡単に御紹介させていただきましたけれども、本年度より女性の働きやすい職場づくりのためのアドバイザー制度というものも用意しておりまして、各具体の企業様にお伺いいたしまして、いろんなアドバイスをさせていただいております。  そういったことも含めまして、今、議員から御指摘ございましたように、計画をつくるだけではなくて、いかに実践していただけるかということを、具体の企業さんの個別のケースに寄り添いながら、また、今、御指摘いただきましたとおり、いろんなそういった取り組みをやることが企業にとって非常にメリットがあるんだということ。  例えばですけれども、一つの例といたしましては、最近は学生さんも非常にそういった企業のワーク・ライフ・バランスですとか子育てと両立できる環境がどうかということに御関心が高いということを伺っておりますので、そういったこと、つまりワーク・ライフ・バランスを推進することによって、企業にとっても具体的なメリットがあるんだということなどをいろんな場面でお伝えしながら、具体の取り組みにつなげていただけるように働きかけていきたいと思っております。 ◆30番(岩佐弘明議員) (登壇)ありがとうございます。  ワーク・ライフ・バランスといえば女性の活躍を目指すものだというような捉え方をされておられると思いますが、そのことも大切ですけども、疾病によってなかなか十分働けないというような方とか、また、いろんな事情の中で働き方が制限されている方がおられると、そういった方もやっぱり仕事と生活を統合していく、インテグレーションしていくということで、幅広くワーク・ライフ・バランス取り組んでいただきますことを念願しまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、30番岩佐弘明議員の質問を終了いたします。  次に、21番桑野仁議員の発言を許します。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇、拍手)失礼します。21番桑野でございます。私も先ほど川島議員のほうからこちらの「スカーレット」をお借りをしまして、川島議員と同じ気持ちで質問のほうをさせていただきたいなというように思っております。先ほど来、知事はつけておられない、西嶋副知事もつけておられないということで、ぜひぜひ西嶋副知事もこのバッジつけていただければなというように思っております。  それでは、時間制限がございますんで、質問のほうに入らせていただきたいというように思います。  まず、看護師養成2年課程の廃止について御質問のほうをさせていただきます。答弁は全て、健康医療福祉部長にお願いをいたします。  新聞等において既に報道されているとおり、滋賀県済生会看護専門学校に設置されています看護師養成2年課程が、令和3年度──2021年度の入学者募集を停止し、同年度末に廃止する方針が明らかになりました。  これは、昨年度、県の看護職員等確保対策推進協議会に滋賀県済生会看護専門学校や県内の准看護師養成所の方々をメンバーとした専門部会を設置し、今後のあり方を検討されてきたわけですが、その議論の中で廃止するに至った要因として挙げられているのが、1点目に、入学者数の減少が著しく、かつ今後も回復の見込みがないことです。  現に、ここ数年の入学者は、入学定員40人に対して平成29年度が10人、平成30年度が13人、平成31年度が10人となっています。その中でも、県内の准看護師養成所からの入学者が、平成29年度は8人、平成30年度は9人、平成31年度は4人となっており、多くの卒業生が卒業後、就業しているのが現状であります。そして、進学率が低いこと、他府県からの誘引も困難だということが1点目の要因に挙げられています。  2点目は、昼間の定時制や夜間の定時制、通信制への転換が困難ということです。これは、施設設備面の整備や教職員の増員が必要となるとともに、入学定員自体充足できるかどうかが不明ということです。  3点目は、准看護師が看護師になることは質の向上という点からは望ましいですけども、学校運営以外の手法で対応すべきということです。これは県内唯一の2年課程ですが、廃止しても他府県に進学するなど、准看護師が看護師になる選択肢がほかにもあるということです。  また、御存じのように、滋賀県済生会看護専門学校2年課程は平成8年4月に開校されており、設置者は済生会ですけども、2年課程に係る運営費は県が全額一般財源で負担し運営をされています。平成31年度においては、看護師等養成所運営費補助金が1,098万3,000円、進学課程負担金、これは収支差額を県が負担するものですが、4,876万円と、計5,974万3,000円となっています。  過去5年間においては、看護師等養成所運営費補助金が5,533万円、進学課程負担金が2億7,047万2,000円と、計3億2,589万3,000円が県の一般財源で負担をされております。こうしたことを踏まえて、今回の看護師養成2年課程の廃止は十分議論された結果のことと考えます。  そこで、質問をさせていただきます。  最初に、先ほど述べたように、入学者数が年々減少し平成31年度は10名となっていますが、入学者が低迷していた要因はどこにあると考えておられるのか、お伺いをいたします。  次に、看護師養成2年課程への進学について、准看護師養成所の学生に対しアンケートを実施されたと思いますが、どのような意見が学生の中からあったのか、お伺いをいたします。  次に、県内唯一の2年課程を廃止すると他府県への進学等が予測されますが、進学として近隣府県にはどのような看護師養成所があるのか、お伺いをいたします。  次に、11月15日に、済生会支部滋賀県済生会理事会において廃止が決定されたとお聞きをしております。そして、12月上旬に関係者、関係機関等へ看護師養成2年課程の廃止の文書を送付し、周知を図っておられますが、この周知の文書を送付した後、関係者、関係機関等から何らかの反応、御意見があったのかどうか、お伺いをいたします。  この項の最後に、キャリア前半にある准看護師が進学しやすい環境を整備するため、活用できる修学支援制度、情報提供や、就業している病院のみならず、さらなる公的な支援の充実が必要と思われますが、どのような支援を行っていこうと考えておられるのか、お伺いをいたします。 ○副議長(細江正人) 21番桑野仁議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)看護師養成2年課程の廃止についての5点の質問にお答えいたします。  1点目、滋賀県済生会看護専門学校2年課程の入学者の低迷の要因についてでございます。  1つには、開校当初の平成8年では県内の准看護師養成所の1学年の定員は105名でございましたが、現在では45名と減ってきておりまして、新しく准看護師になる方が減っているということがございます。  また、県内の准看護師の方の数も、平成16年の2,304人をピークといたしまして、平成30年には1,707人と全国で最少となっておりまして、准看護師の総数も減ってきていること、このようなことが大きな要因ではないかと考えております。  2点目の准看護師養成所の学生へのアンケートについてでございます。
     平成30年11月に、県内の准看護師養成所2校の在校生78人に対しまして、2年課程の進学に係るアンケートを行いまして、全ての学生さんから回答いただきました。  その結果、卒業後すぐに進学を希望するという方が22人、数年間働いた後、進学を希望するという方が33人、進学はしないという方が22人おられました。  卒業後すぐ進学を希望する者のうち、済生会看護専門学校を進学先と考えている者は17名でございまして、2年生では4人という状況でございました。数年働いた後に進学を希望する学生からは、経済的に困難だという声や実務経験が必要な通信制への進学を考えているという声、また、進学しない学生からは、准看護師になってすぐに働きたい、あるいは子育てとの両立が厳しいなどの声があったところです。  3点目、近隣府県の2年課程の看護師養成所についてです。  看護師養成2年課程には、滋賀県済生会看護専門学校と同じ全日制の養成所のほか、定時制や通信制の養成所がございます。本県から通学可能な近隣府県では、全日制、定時制の養成所は、京都府に3校、大阪府に10校、兵庫県に1校、岐阜県に4校などございます。また、大阪や兵庫県には通信制の養成所もございます。  4点目、2年生課程の廃止に係ります周知に対する関係者等の意見についてでございます。  今月2日付けで滋賀県済生会看護専門学校が県内外の准看護師養成所や医師会、看護協会等の関係団体に、2年課程を廃止する方針についての文書を発送されたところでございます。  学校に確認をいたしましたところ、現時点では関係者等から御意見や問い合わせはなかったと聞いておりまして、また、県に対しても特に御意見等はいただいていないという状況でございます。  最後5点目の進学しやすい環境整備のための公的な支援の充実についてでございます。  准看護師の方が看護師へとキャリアアップしていただくということは非常大切なことだと思っております。今後、県内で唯一の看護師養成2年課程がなくなりますため、県外に進学していただく必要が出てまいります。  准看護師が看護師養成2年課程に進学する場合には、これまでから本県では滋賀県看護職員修学資金の貸し付けによる支援をしてきたところでございますが、それ以外にも何らかの新たな支援をする必要があるのではないかと考えております。例えばでございますが、県外へ進学する際の交通費の助成など、他県の例も参考に検討してまいりたいと思っております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  再問はしませんけども、先ほど、アンケートの学生の結果を聞くところ、すぐに進学をしたいという子が22名おられるというこの結果でいくと、やはりそれなりの支援策というのはきっちりと設けていく必要があるかなというようには思います。  今年度は10名という形で、学生は入ってないわけですけども、やはり少なからずともそういう形で進学をしたいという学生がいるわけですから、また、先ほどお話があったように、1,707名の准看護師さんが現在勤務をされているという状況からすれば、やはりそれぞれの方が進学を希望されている部分もあるかなというように思います。  そういったところで、そういう意欲のある方々の気持ちをそがないような支援策というものをきっちりと考えていっていただきたいなということをお願いをしまして、この項目の質問のほうを終わらせていただきます。  それでは、次に、医師および看護師確保等に向けた支援の取り組み状況について、一問一答で、健康医療福祉部長にお伺いをさせていただきます。  さきの我が会派の佐藤議員の代表質問にもあったように、国が医療需要や人口、患者の流出入などを考慮して新たに示した医師偏在指標では、本県は全国16位の医師多数県とされ、二次医療圏としては大津圏域が全国7位、湖南圏域が68位と医師多数地域とされています。  今回の医師偏在指標は、あくまでも機械的に算出、算定されたものであり、初期研修を含む研修医や専攻医の割合が多いところにその要因があると考えられ、医療現場の実態とかけ離れており、この指標が本県の実態を如実にあらわしているものではないと考えます。現実に、現場からは3年目から10年目までの層の医師確保に苦しんでいるというお話を伺っております。  そういった意味において、県民が安全、安心して必要な医療サービスを受けられるよう、地域医療提供体制の確保を図っていくことが県としての責務であると考えます。生涯滋賀県のために働いてくれるような医師が確保できていない状況にあって、現在、本県が取り組んでいる医学生を対象とした修学資金等の貸与制度は非常に効果があるものと考えております。  本県では、学校教育法第1条に規定する大学の医学を履修する課程の学部に在籍している学生で、将来、県内の病院において診療業務に従事することにより地域医療に貢献する意思を有する者、および個別診療科に係る専門性に関する研修に従事しようとする者に対して、滋賀県医学生修学資金として、毎年度予算の範囲内においてその修学資金の貸与を行っております。  また、国立大学法人滋賀医科大学医学部医学科に入学した者のうち、地域医療に強い意欲を持ち、大学卒業後、県内の病院で勤務する意思を有する者として大学が選考した学生に対して、滋賀県医師養成奨学金を、これも毎年度予算の範囲内で貸与を行っております。  医学生修学資金では、平成19年度にこの事業を開始をして以来、延べ60名に対して1億800万、継続も含めますと3億8,340万、医師養成奨学金においては、平成21年度の事業開始以来、延べ77名、1億2,600万、継続も含めますと6億8,040万の奨学金を貸与しております。  そうした中で、医学生修学資金において、平成28年度から平成29年度にかけて新規貸与者数が8名から3名、貸与額も1,440万から540万に減少、また、医師養成奨学金についても、平成27年度から平成28年度にかけて新規貸与者数が10名から3名、そして貸与額も1,620万円から540万に減少をしていますが、その要因はどこにあったのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  両資金とも、卒業後の就業義務を果たさない者が一定数おりましたため、平成28年度からは、地域医療を担う意思や制度の理解について事前に十分確認した上で貸与を行う目的で、従来の書面審査に加えまして面接を導入したということが、貸し付け申込者が減った一つの要因ではないかと考えております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  面接を導入されたということで、随分と少し審査が厳しくなったんではないかなというように感じておるところですけども。  次の質問ですけども、この医師養成奨学金において、平成31年度予算が計上されていたわけですけども、新規の貸与者がこの平成31年度はゼロ、つまり誰もおられなかったということです。その要因はどこにあるのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 今年度の貸与者がゼロとなった明確な要因というのは明らかではございませんが、今年度、貸与説明会に参加をしていただいた7人の学生に対しまして、辞退した理由をヒアリングいたしました。  その結果、将来、県外で働く可能性や研究員になる可能性があるなど、将来の選択の幅を持っておきたいという声や、義務離脱したときの利息や一括返済などの返還条件が厳しいなど、万一滋賀で働けなくなった場合のリスクを心配する声などがあったというふうに聞いております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)私も実際にこの要綱を見させていただいて、一括返済というか、途中での金利が10%ということで、非常に高いなというようには物すごく感じております。  ただ、他府県を調べるとほとんどが10%ということで、他府県の状況がある中で、これは仕方がない部分かなというようには感じておるわけですけども、十分なやっぱり学生たちに説明をする時間というものをきっちりと設けてあげていただきたいなというように思います。  そうでないと、やはり間違った認識でこの奨学金を借りて、後ほどまた10%の利息がつくというのは非常にかわいそうかなというので、そういうようにお願いをしたいなと思います。  そうした形で、平成31年度新規貸与者がゼロということだったわけですけども、医師不足と言われている本県の状況の中で、この制度というものは、本当に本県への医師定着策としては非常に有意義なものがあると考えています。  そうしたことから、この医師養成奨学金について、令和2年度、いわゆる次年度ですけども、次年度、どのようにして奨学生を確保していこうとされているのか、その取り組みについてお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  次年度から大きく少し変更となる点がございます。  今年度入試までは、滋賀医科大学に入学した後に、手挙げ方式によりまして希望者に貸し付けるという制度でございましたが、令和2年度入試からは、一般の学生とは別枠で、奨学金の貸与を伴う地域枠として選抜することとなります。また、対象者も10名から11名に1名増加することといたしました。  なお、この11名のうち、6名の方は推薦入試で選抜をいたしますが、令和2年度の推薦入試の出願状況では、志願者が33名おられるという状況でございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ医師確保の観点から、当初予算枠内のところで、ぜひ11名の確保をお願いをしたいなというように思いますので、よろしくお願いをいたします。  次にですけど、修学資金等の返還免除についてですけども、医学生の修学資金においては、資金の貸与を受けた者が医師免許を取得した日から起算して6年間、そして県内医療機関に勤務、また、医師養成奨学金においては大学卒業後9年間、学士編入生は7年間、そして県内医療機関に勤務、その他免除の諸条件はありますけども、この条件をクリアした医師は修学資金等の返還を免除されることになっていますが、返還免除となった医師で、現在、何名の医師が引き続きこの県内の医療機関に従事されているのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  就業義務年限を終了した者は、医学生修学資金で3人、そして医師養成奨学金ではまだおられないという状況でございます。  就業義務年限が終了した医師につきましては、その後の勤務先の報告義務はございませんので、正確に何人が県内で就業しているか把握することは困難ではございますが、その動向確認には努めているところでございます。  ただいま申し上げました3人につきましては、確認できる限りでございますが、令和元年9月現在、お1人の方が県内に就業していただいております。  なお、この3名も含みまして、これまで実施してまいりました臨床研修医研修資金などの医学生あるいは医師向けの貸与制度全体で見てみますと、返還免除を受けた医師30人のうち、46.7%の14名の方が県内で就業しているということを、確認できる限りでございますが、確認しているところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  そうした現状から、今お聞きした内容でいくと、3名のうちの1名、医師としてはということですけども、実際に医師の場合は御自身のキャリアアップ等にかかわって、他県の医療機関とか出身地の医療機関に移っていかれるという実態は十分わかります。  ただ、やっぱりそうした中でも、せっかく奨学金を貸与して免除しているわけですから、滋賀県の魅力発信とか医師の県内定着に向けた取り組みというものをやっぱりさらに強化していく、充実していく必要があるというように考えますけども、医師の県内定着に向けた取り組みとして、どのようなことが今まで行われていたのか。また、今後、どのような取り組みを行っていこうとされているのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  滋賀県病院協会あるいは滋賀県医師会と連携いたしました若手医師の交流会、研修会の開催、あるいは滋賀県医師キャリアサポートセンターでの先輩医師との懇談会の開催などを通じまして、若手医師にキャリアプランや県内病院の魅力をお伝えして、県内定着を図っているところでございます。  あわせまして、今後は、医師の働き方改革も踏まえまして、産休、育休時の代替職員あるいは医師事務補助者の雇用経費への助成などによりまして、県内病院の勤務環境の改善を県として重点的に支援をし、ずっと滋賀で働きたいと思ってもらえるような環境整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  そうしたら、次に、本県では平成26年度から、滋賀県内の医師不足に対応するため、県外の医療機関等に就業を希望する医師の情報および県内医療機関等の医師募集の情報を収集、提供するとともに、医師と医療機関等の間を取り持ち、就業の紹介、あっせんを行う組織として滋賀県ドクターバンクが設置をされていますが、26年の開設以来、今日まで医師と医療機関との間を取り持った件数は何件あるのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  平成26年10月に滋賀県ドクターバンクを設置し、県が無料職業紹介を実施しておりますが、令和元年11月までの約5年間におきまして、求職中の医師からの相談が18件ございました。このうち就業につながったのは4件でございました。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)18件中4名ということで、人数が多いのか少ないのか、5年で4名ということなんですけども、他県でのマッチング件数も見ていると、本当にそんなにたくさんないようにはお聞きをしてますけども、この5年間で4名というのはやはり余りにも少ないのかなというような感じを持っています。  そうしたことから、今後、医師と医療機関とのマッチングについて、そのマッチングの人数をふやすためにどのような施策を講じていこうと考えておられるのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  御指摘いただきましたとおり、まず、相談件数18件というのは少ないかなと思っております。認知度が低いのではないかと考えられます。  今後、県のホームページをより見やすくするほか、特に効果があると言われております医学系の雑誌等への広告の掲載をいたしますほか、イベント等でのチラシ配布など、広報活動に一層力を入れてまいりたいと思っております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)よろしくお願いいたします。ぜひ広報等活用していただいて、極力マッチング数をふやしていただくよう、よろしくお願いをいたします。  それでは、次に、今度は看護職員に絡んで質問させていただきます。  本県では滋賀県看護職員修学資金貸与条例を制定し、養成施設もしくは修士課程に在学する者、または認定看護師教育課程を履修する者で、将来、県内において看護職員の業務に従事しようとする者に修学資金を貸与し、県内における看護職員の充足および質の向上を図っております。  この看護職員修学資金は、国が昭和38年から国庫補助金として開始したもので、平成16年度からは都道府県に税源が移譲され、本県では引き続き看護職員確保のために県単独事業として実施しているものです。  また、滋賀県立看護師等養成所授業料資金は、県立の看護師養成所である滋賀県立総合保健専門学校および滋賀県立看護専門学校に修学し、卒業後、県内において看護または歯科衛生の業務に従事しようとする者に対し授業料資金を貸与し、県内の医療事務に従事する職員の質的向上とその確保を図るものです。  この滋賀県立看護師等養成所授業料資金は、昭和52年から県単独事業として実施されているものです。この2つの制度においても、医学生修学資金とか医師の養成奨学金と同様、債務の免除がございます。  滋賀県看護職員修学資金に関しては、養成施設を卒業した日から1年以内を経過する日までに免許を取得した後、引き続き5年間業務に従事をすること。滋賀県立看護師等養成所授業料資金に関しては、同じく看護師等の養成所を卒業した日から1年を経過する日までに免許を取得し、直ちに県内の保健所等において引き続き授業料資金の貸与を受けた期間に相当する期間、業務に従事することということで、その他の免除の諸条件はありますけども、これらの諸条件をクリアした看護師は修学資金等の返還を免除されることになっています。  ただ反対に、免除にならなかった学生たちに関しては修学資金等の返還義務が生じるということになるわけですけども、令和元年10月末現在、看護職員修学資金および看護師等養成所授業料資金において、修学資金で554万2,700円、授業料資金で99万1,609円、延滞金で347万6,520円、計1,001万829円の収入未済がありますが、回収に向けた取り組みはどのように行っているのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  未収金につきましては、看護職員修学資金等を担当します嘱託職員を配置いたしまして、電話あるいは文書による督促を定期的に実施いたしますとともに、財政課の債権回収特別対策室とも連携をしながら、未納者の収入状況等にも応じたきめ細やかな返還指導を行っているところでございます。  平成30年度末の未収金は約1,329万円ございましたが、ただいま議員から御紹介ありましたとおり、ことしの10月末では約1,001万円ということで、約328万円の縮減に努めたところでございます。引き続き、未収金の縮減に鋭意取り組んでまいりたいと思っております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。できるだけ早期に回収できるように取り組んでいただきたいなというように思います。  次に、令和元年度におきまして、滋賀県の看護職員修学資金の新規貸与者が93名となっていますが、実際には、養成施設または大学等から何名の貸与の申請があったのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  今年度、滋賀県看護職員修学資金の新規貸し付けにつきましては、104人の申し込みがございました。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。104名中93名ということで、11名が現実的には貸与を受けられなかったという実態だと思います。  実際、この看護職員の確保というのは本県にとって最重要課題だというように考えております。看護職員の需給推計では、ワーク・ライフ・バランスの実現や勤務環境改善などを考慮した上で、需要と供給において本県の実情が全て反映できているものではないにしても、令和7年──2025年には709人から2,097人が不足するという見込みが示されております。  この滋賀県看護職員修学資金の貸与を申請する者は県内での就業を希望しているわけであって、看護職員の不足を少しでも解消する上でも、この申し込み者全員に貸与することが望ましいというように考えますが、どのようにお考えなのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  看護職員の確保という意味では、議員御指摘のとおり、申し込み者全員に貸与するということが望ましいとは考えておりますが、毎年度予算の範囲内での貸し付けとなりますため、今年度は申し込み者が例年より多かったという事情もございまして、全ての方に貸し付けができなかったという事情でございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)予算は大事だというようには思います。思いますが、今の滋賀県の看護師の状況からすれば、そういうことは言ってられないんじゃないかなと。実際に貸与すれば、現実的には免除を受けるまで6年、9年という形で滋賀県に残っていただけるわけですから、やはり知事が言われている一人も取り残さない、この意味でいけば、ちょっと話が違うかれしれないですけど、やっぱり全員に貸与できるような仕組みというものを考えていただきたいなというように思うんですけども、その点、健康医療福祉部長、どうでしょうか。お伺いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 来年度に向けましては、今年度の申請状況も踏まえまして、予算枠の拡大など、今後の予算編成過程におきまして検討を進めてまいりたいと思っております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)検討ではなくて必ず実施していただくということで、これ、総務部さんのほうにもお願いをせんならんわけですけども、ぜひぜひ予算の調製の中できっちりとお願いをしたいなというように思います。  それでは、次に、潜在看護職員についてですけども、潜在看護職員とは、子育てや介護などさまざまな理由で離職した後、職場復帰または再就職していない方々を指しますが、看護職員の多くを占める女性の場合、出産、育児というライフイベントに際しては少なくとも一時的な休業が不可欠になります。産前産後休業や育児休業を経て無事に復帰できればいいわけですけども、個人的な事情や職場環境に関する事情で、退職を選ばざるを得ないこともあるのが現状だと思います。  そうした潜在看護職員の現場復帰を進めるためには、行政として効果的な支援策がこれも不可欠だというように思います。潜在看護職員が再び現場で活躍していただくことは、慢性的な人手不足解消の鍵をこれも握っていると思います。そうした中で、本県として潜在看護職員の掘り起こし事業としてどのような取り組みを行って、そしてどのような成果があったのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  潜在看護師の掘り起こしにつきましては、主な取り組みを申し上げますと、まず、滋賀県ナースセンターにおきまして、離職時の届け出情報などを活用し、再就業希望者と求人側の医療機関等とのマッチングを行っておりまして、平成30年度は63人の就業につながっております。  また、在宅医療福祉を担う看護職員の確保のために、再就業コーディネーターなどがマザーズジョブステーションやハローワークで定期的な就業相談を行っておりまして、平成30年度は120件の相談がございまして、25名の方の就業につながったところでございます。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、最後に、女性医師等の離職防止や再就職の促進を図る上で、医師等が育児と仕事を両立しつつ、働きやすい職場環境の整備などの効果的な取り組みを行っている事業者に対して支援を行っておりますが、さらなる支援の充実に向けた取り組みとして、どのようなことを考えておられるのか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  医師の確保を図っていくためには、新しく医師になる方の確保も重要でございますが、現在働いていただいている方の定着促進や離職した方の復職支援も大変重要だと思っております。  女性医師等の離職防止などにつきましては、病院の院内保育所の運営費、あるいは先ほども申し上げた産休、育休時の代替職員、医師事務補助者の雇用等による勤務環境の改善に要する経費などに助成を行っておりますが、今後は、県内病院が医師の労働時間短縮計画を策定する際の支援、あるいは女性医師などが産休、育休等から復職する際の支援などにも重点的に取り組んでいきますことで、県内の医師確保に努めてまいりたいと思っております。 ◆21番(桑野仁議員) (登壇)どうもありがとうございました。質問はこれで終わらせていただきます。先ほど来、御答弁をいただいた部分に関しましては、できる限り、医師、看護職員確保に向けたさらなる取り組みということで、ぜひとも積極的に取り組んでいっていただきたいなというように思いますので、よろしくお願いを申します。これで質問を終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、21番桑野仁議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時12分 休憩   ────────────────   午後3時30分 開議
    ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、13番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)最初に、琵琶湖漁業の振興について質問をいたします。今回は国体問題やりませんので、心おきなく、シジミを中心に、琵琶湖漁業の振興について質問をいたします。答弁は全て知事にお願いいたします。  片や57トン、片や4,000トン、先月の26日に琵琶湖対策特別委員会で島根県の宍道湖を視察しました。宍道湖の1年間のヤマトシジミの漁獲量は4,000トン、金額にして20億円、琵琶湖のセタシジミは57トン。面積では琵琶湖の8分の1しかない宍道湖のシジミの漁獲量は琵琶湖の70倍、琵琶湖全体の全ての漁獲量の4倍以上になっております。  琵琶湖は400万年の歴史を持つ世界でも数少ない古代湖であり、数多くの固有種を持つ日本一の湖でありながら、今の漁業の現状に、宍道湖を視察して身をつまされる思いをしました。これは単に一産業の振興がうまくいってないという問題だけでなく、政策の失敗、県政のあり方が問われている問題だと考えます。改めて、ここで、知事は琵琶湖漁業の意義をどのように考えておられるのか、まず所見を伺います。 ○副議長(細江正人) 13番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  琵琶湖漁業は、漁業そのものだけでなく、養殖業や湖魚の加工業、さらに観光業などの周辺産業を有する裾野の広い産業であると捉えております。  また、漁業者の方々は、その漁業活動を通じて常に琵琶湖の状況を把握しておられることから、水質の変化などをいち早く察知されお知らせいただくなど、環境保全の面でも大きな役割を担っていただいていると存じます。  漁獲される湖魚の多くは固有種や特産種で、ふなずしに代表されるように滋賀ならではの湖魚料理があることなど、滋賀の食文化として不可欠であり、古くから湖魚を食べてきたことで、滋賀県民の健康を支えてきたとも言えると思います。  琵琶湖漁業は、現在申請中の世界農業遺産におきましても中核をなすものであり、滋賀県の活性化のため、多様な役割を持つ漁業をしっかり守って、次の世代に受け継いでいけるよう、水産業の振興を図ってまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そういう水産業、琵琶湖漁業の意義に照らして、9月議会でもお尋ねをいたしましたけども、毎年、各魚種の資源増殖あるいは水産基盤整備、外来魚の駆除、新規就業者育成などに取り組んでいるのに、なぜこんなにも漁獲量が後退しているのか。その要因をどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) さまざまな複合的な要因があると考えておりますが、滋賀県農業・水産業基本計画では、令和2年の漁獲量1,600トンを目指してまいりましたが、直近の統計である平成29年の漁獲量は713トンと、計画策定時よりも減少しております。これは主要な漁獲物であるアユの記録的な不漁ですとか、セタシジミの漁獲量の低迷が続いていることなどが大きく影響しているということでございます。  その要因には、アユやセタシジミが痩せたり成長不良となる現象がたびたび起こるようになっており、餌環境の悪化が疑われるところでございます。  また、セタシジミの稚貝を捕食するヒメタニシの増加や、昨年9月の大型台風によりセタシジミの主要漁場が攪乱されたこともその要因だと考えております。  これまでの魚介類の生息環境の悪化、これら新たな要因が複合的に作用したことが、高齢化による漁業者の減少と相まって、漁獲量の減少に歯どめがかからない、そういう状態になっていると考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)そういう状況になっていることは、この間ずっとわかっているわけなんですけども、県は在来魚介類のにぎわい復活を図ることを目指し、滋賀県基本構想では、2030年には琵琶湖を取り巻く環境の保全再生が進み、魚介類などの自然からの恵みがあふれていますとされております。  今の諸施策、取り組みで、資源をふやして漁獲量の増大を図ることができるのかどうか、心底の思いをお聞かせいただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 心底の思いと言われましたので、もう一回読み直しました。これまでの重要魚介類の種苗放流、ヨシ帯や砂地などの魚介類の産卵繁殖の造成、外来魚やカワウなどの有害生物の駆除、セタシジミやニゴロブナの漁獲制限サイズの引き上げ、ホンモロコの禁漁期間や産卵保護区域の設定など、さまざまな資源対策に漁業者とともに取り組んでまいりました。  その結果、ニゴロブナでは、近年不良が続いている中、ことしの春には南湖の赤野井湾周辺でまとまって漁獲されたり、特にホンモロコでは、ここ数年で琵琶湖全域での産卵量が増加しているそうでございまして、刺し網や沖引き網と呼ばれる底引き網でまとまって漁獲されるなど、対策の効果も一定あらわれ始めた魚種も見られるということでございます。  しかし、アユやセタシジミなどでは以前にも増して資源が不安定化しており、各魚種に応じた効果的な増殖対策に努め、漁獲量増大を図ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)気持ちはわかりますけども、意気込みはわかりますけども、できるかどうかいう問題も分析する必要があるというふうに思います。  そこでお尋ねしますけども、新規漁業就業者の育成を目指して、しがの漁業技術研修センターの取り組みを行われていますが、これまでの取り組み状況についてお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 平成28年度に漁業就業希望者への相談受け入れ窓口として、しがの漁業技術研修センターを開設し、滋賀県農業・水産業基本計画において、令和2年度までに10名の新規漁業就業者の確保を目標として取り組みを進めてきました。  本センターでは、就業希望者が5日間程度の短期体験研修や半年間程度の中期実地研修により、現役漁業者から漁労技術を学べる機会を提供し、スムーズに就業できるよう支援をしているところです。これらの研修は、国事業による、より長期間の研修制度である漁業人材育成総合支援事業へとつないでいく役割も果たしているところでございます。  このセンターの取り組みなどを通じて、平成28年度から平成30年度末までに5名の方が新たに就業され、また、今年度も既に2名就業されているということでございます。  さらに新規就業者をふやすため、指導役のベテラン漁業者の確保にも努め、研修者枠の拡大など、制度の充実が必要であると認識しているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)3年間で5名いうことで遅々としている状況なんですけども、宍道湖の漁業協同組合は宍道湖でただ一つの単一の漁協なんですけども、270人がシジミ漁に携わり、青年部も70人いて、湖底の耕うんや水草の除去に当たっていると聞きました。  琵琶湖の漁業で最も落ち込んでいるのがセタシジミです。これ前回やりましたけども、60年間で1%を切る0.何%という状況になっています。  このセタシジミの減少の要因は幾つかありますけども、最大の問題は漁獲圧力の増大、つまり乱獲にあると思います。セタシジミの資源回復で最も重要なのは、抜本的な資源管理をやることだと思います。島根県の水産技術センターと宍道湖漁業協同組合の取り組みがそのことを教えています。  水産技術センターによる年2回にわたる綿密な資源量調査、そして漁業組合では、小さな漁船と小さなジョレン、週3日の休漁日、1回の操業は3時間から4時間以内で、採捕量は100キログラム以内。それでいて年間数百万円の水揚げになっています。禁漁期間はなく、順番に禁漁区域を設定。琵琶湖とかなり条件は違いますが、こういう徹底した資源管理、これを学ぶ必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 大いに学ぶところがあると思っています。セタシジミの資源回復には、これまでの対策に加えて資源管理が重要であると思います。これまでも、漁獲サイズの制限ですとか、5月から7月の産卵期の禁漁といった資源管理も行ってきており、現在、北湖において禁漁区の設定を進めているところです。  宍道湖での取り組みをそのまま取り入れることは難しいとは思われますが、これらも参考にしながら、琵琶湖の実情に合わせた琵琶湖方式の資源管理の仕組みをつくることが大切だと認識しています。  このため、県といたしましては、杉本議員を初め漁業者が主体となって資源を管理し、琵琶湖の恵みを持続的に利用できる仕組みを構築していただけるよう積極的に働きかけを行うとともに、県外の先進事例等の情報提供や、資源管理を効果的に進めるための技術的支援を行ってまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)琵琶湖は幾つも漁業組合があって、滋賀県漁業協同組合連合会が主体にならなければいけないと思いますけども、ほとんどセタシジミに関しては資源管理がうまくいってないというふうに思っております。  それで、この間の水産振興の施策ですね。稚貝の放流を1,000万個やって、来年度から2,000万個にふやすとか、水産基盤事業による砂地の造成をやるとか、新規就業者の育成を今やっているとか、それぞれ別々の事業として行われているというふうに思います。  シジミ漁というのは、湖底にいるシジミをかき上げてとるという単純な漁法であって、高度な技術は余り要らない。それから、必要なのは船とジョレンだけ。経費は燃料代だけ。1年中漁獲ができ、資源と販路が確保されれば安定した所得が得られ、新規就業者就業の入り口としてシジミ漁は私は最適だと思います。  砂地造成や湖底耕うんで漁場を整備し、そこに稚貝を放流し、第一種共同漁業権を設定して厳格な資源管理のもとで操業し、安定した所得で漁業者が定着していく。こういう資源の増殖、水産基盤整備事業などを新規就業者の育成に効果的に結びつけて一体的に推進し、今の後退している琵琶湖漁業の打開に突破口を開く、そういう成功モデルをつくる必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 資源管理の成功モデルの突破口になるとまでいけるかどうかわかりませんけど、ただ、議員のおっしゃる資源管理をしっかりとやって、いろいろとそれぞれやっている施策を一体的に行うべきではないかというのは大いにそう思います。  セタシジミの稚貝をいっぱい予算使って放流してても、早い者勝ちでとって、とり尽くして終わりということになっているんじゃないかという問題意識を私も強く持っておりますので、今回の御質問を機に、さらに施策の点検をした上で、今後の施策、より効果的に展開できるように意を用いてまいりたいと思います。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)ぜひ頑張っていただきたいと思います。  特に、草津沖で水産基盤整備事業いうことで砂地の造成を10年以上やって、いまだに一粒の漁獲にも結びついていないという問題、前回指摘しましたけれども、こういうことと、稚貝を放流、それから後継者の育成いうのをぜひ結びつけて、琵琶湖漁業の活路を見出していただきたいということを強く要望したいと思います。  次に、輸入自由化の拡大と農業および食の安全について、知事に質問をいたします。  日本の食料自給率は37%と、先進国では断トツの最低となっています。とりわけ穀物の自給率は18%で、そのうち小麦が14%、大豆は28%と極めて低い。それらは主にアメリカからの輸入に依存しており、トウモロコシの74%、小麦の45%、大豆の69%がアメリカからの輸入であり、日本は完全にアメリカの食料戦略の支配のもとに置かれ、食料主権を奪われています。  その上に、今回の屈辱的な日米貿易協定、自動車の関税撤廃をほごにされ、米中貿易戦争の尻拭いで、余剰トウモロコシ275万トン、約550億円まで買わされ、属国が宗主国の言うことを全て聞くような、失うだけの交渉になっています。  TPP11や日欧EPAによる牛肉、豚肉、乳製品、野菜、果実の輸入農産物が急増していますが、これに日米FTAが加わり、食料自給率は今後も低下し続けると思われます。  他方で、今、世界的に食料危機問題が叫ばれています。世界人口が2050年に現在の76億人から97億人に増加し、頻発している洪水や干ばつの影響と相まって、2050年に穀物価格が最大23%値上がりし、食料不足や飢餓のリスクが高まるとされています。このようなときに、食料の約7割を輸入に頼る日本が、食料を確保できない事態に遭遇する可能性も指摘をされています。  2018年12月、国連で可決された農民の権利宣言は、国は、食料への権利、食料保障、食料主権、持続可能かつ公平な食料制度への権利を促進する政策を策定しなければならないとして、食料・農業政策をみずから決める食料主権を定めています。  TPP11、日欧EPA、日米FTA等メガ自由貿易協定は、日本の農業、食に壊滅的影響をもたらし、食料主権を放棄するものであります。このような国策のもとで、県民の暮らしと安全を守ることはできないと思いますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 食料は、私たち人間の生命の維持に欠くことができないもの、また、健康で充実した生活の基礎として重要なものでありますことから、県民が健康に安心して暮らしていくためには、地産地消を進め、食の安全、安心を確保することが必要であると認識しています。  現在、国におきましては総合的なTPP関連政策大綱を改定し、米、牛肉などの重要5品目を中心に、将来にわたり確実に再生産や食の安全、安心の確保が可能となるよう、政府全体で責任を持って万全の国内対策を講じていくとされているところでございます。  国においては、食料生産および食の安全について、大綱の方針に沿って責任を持ってしっかりと対応いただくとともに、県といたしましても、滋賀県農業・水産業基本計画に基づき、農業、水産業の体質強化のための対策や生産者が将来にわたって経営に取り組むための対策を着実につくり、進めてまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)JA滋賀中央会は、県内農業産出額が日米貿易協定で18億4,000万円、TPP11で37億5,000万円、日欧EPAで5億3,000万円、合計61億円減少すると試算をしています。豚は壊滅、減少額が最も大きいのは肉用牛、次いで乳用牛としていますが、これについてどう認識されているのか、お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 今、御指摘のあったJA滋賀中央会の試算は、総合的なTPP等関連政策大綱等に基づく対策が講じられる前の影響額として、生産物の価格下落の影響に加え、農業者の生産意欲の低下による国内生産量の減少も見込んだものであると伺っております。  県といたしましては、県内の農産物の生産減少額が大きくなり、農業者の生産意欲が低下を招くことのないよう、国の総合的なTPP等関連政策大綱や県のTPPに係る滋賀県の対応方針に基づき、体質強化対策や経営安定対策などをしっかりと進めてまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)食料自給率について、もう一度お尋ねをいたします。  政府は、平成27年食料・農業・農村基本計画の中では、10年先、平成37年ですね、食料自給率をカロリーベースで45%に高める目標を掲げています。ところが、こうした輸入自由化路線の拡大、貿易協定の拡大によってこれがますます下落していくと、非常に無責任な政策だというふうに思いますけども、こういう食料自給率が低下することは、日本の農業の基盤を壊すことと食の安全を壊すこと、この2つのことが懸念されると思うんですけども、知事はどのようにお考えですか。 ◎知事(三日月大造) 食料自給については、国において、総合的なTPP関連政策大綱を踏まえ、食料・農業・農村基本計画の改定が行われており、その中で食の安定供給に向けた対策が検討されていると承知しています。  県といたしましても、国の施策を活用しつつ、本県農業、農村の持続的な発展に向けた施策を着実に実施することにより、安全で安心な食料を供給し、県民の皆様の健康を支える滋賀の農業をしっかり守っていきたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)安全で安心いう点でいいますと、特に食の安全いうのは、食と病気いうのは非常に関連がありますけども、農産物の輸入自由化の拡大は、単に農家が困るだけではなしに、消費者にメリットがあるような報道をされていますけども、安全、安心な国産の食料が手に入らなくなることの危険を考えたら、非常にこんなに高くつく話はないというふうに思います。  とりわけ、自由化の拡大で、国民の命と健康にかかわる問題では、輸入農畜産物に含まれるエストロゲンなどの成長ホルモン、成長促進剤のラクトアミン、遺伝子組み換え、除草剤の残留、イマザリルなどの防カビ剤、これらを食べ続けることによって病気の確率が上昇するなら、こんなに高いものはありません。国のメガ自由貿易協定の推進政策のもとで、県民の食の安全をどのように守るのか、所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 今も例示されました食品中の農薬等の残留基準につきましては、科学的知見に基づき国が定めており、輸入食品の安全確保に当たりましては、まずは国の検疫体制の中でしっかりと確保すべきものと考えます。  本県の食の安全につきましては、食のグローバル化などの食品を取り巻く社会情勢の変化を踏まえまして、本年3月に策定いたしました第2次滋賀県食の安全・安心推進計画に基づき取り組むこととしています。  ちなみに、この計画におきましては、県民の不安感の高い輸入食品について、年間250検体を目標と定め、残留農薬や食品添加物の試験検査を実施することとしておりますほか、衛生管理の状況や食品表示についての監視、指導を行うこととしており、これらの取り組みを着実に実施することにより、食の安全、安心の確保を図ってまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)今おっしゃった、科学的知見に基づいて安全基準を国が定めているから大丈夫なんだいうふうな発言がありましたけれども、これが問題なんですよね。9月議会で、除草剤ラウンドアップに含まれるグリホサートの危険性を冨波議員と松本議員が指摘をされました。  もう一回繰り返しますと、2015年7月に国際がん研究機関が、人に対して恐らく発がん性があると指摘をしました。それ以降、ドイツでホームセンターが取り扱いを中止し、スリランカが輸入禁止し、コロンビアが散布を禁止、2016年にはEU委員会が加盟国に規制強化を求めました。イタリアが公園や市街地、学校、医療施設周辺で使用を禁止しました。  2017年、スウェーデン、ベルギーが個人使用を禁止、2018年、カリフォルニア州裁判所がモンサントに320億円の賠償判決を出しました。チェコで2019年から全面禁止になりました。2019年、ベトナムが輸入を禁止、インド5州で販売を禁止。  これに対して日本は、2018年12月、残留農薬グリホサートの大幅基準を緩和しました。小麦を5ppmから30ppm、トウモロコシを1から5ppm、ソバを0.2から30ppm、ゴマを0.2から40ppm、実に200倍、300倍という基準緩和をしました。  世界がこれだけこのグリホサートに対して危険性を認識し使用を禁止を広げているときに、日本だけがアメリカの言いなりに基準を緩和している。これで国民の安全が守れるか、こういう問題だというふうに思います。  なぜこのグリホサートがアメリカ産の小麦などにたくさん入っているかというと、プレハーベストといいまして、収穫する直前に除草剤を小麦に振りかける。これによって枯れて乾燥することによって、乾燥の手間とか乾燥費用が省ける。収穫直前に除草剤をかけるから残留基準が非常に高まる。もう一つは、ラウンドアップを使い続けることによって、それに耐性の雑草がふえてきた。だからラウンドアップの使用量がアメリカで非常にふえている。  こういうことを受けて、アメリカのその安全基準が広がっていくということで、日本人の安全基準値は、政府が日本人の健康以外のリスクを考えて決めるのではなしに、アメリカの生産に必要な散布量から見込まれる残留値から決めている、これが今の日本の実態であります。こういう状況のもとで、国民の食の安全が守れるはずがないと思います。  この後、また黄野瀬議員が資料をもとにやりますので、あとまた譲ります。次行きます。  障害者施設のあり方について、4たび取り上げたいと思います。  近江八幡市にある住倉安土元気園、6月定例議会でお聞きしたときには、グループホーム定員30人に16名、生活介護定員が20名に12名、就労継続支援B型には定員20に4人ということでしたが、その後の利用者の状況はどうなっているのか、お尋ねをいたします。 ○副議長(細江正人) 杉本議員、答弁者を。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)健康医療福祉部長にしばらくの間、全てお願いします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  住倉安土元気園につきましては、住まいのであるグループホーム、日中活動のである生活介護事業所、就労継続支援B型事業所の運営を行っておられますが、それぞれの施設の12月4日現在の利用者につきましては、グループホームが定員30人に対して21人、生活介護事業所が定員20人に対して15人、就労継続支援B型事業所が定員20人に対して6名となっております。  前回答弁いたしました6月18日と比較いたしますと、グループホームが5名の増加、生活介護事業所が3名の増加、就労継続支援B型事業所が2名の増加となっております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)グループホーム入居者の21名のうち、同じ敷地内の事業所を利用している人は何人おられますか。安土元気園の中で生活が完結している人の人数をお尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  同じく12月4日現在でございますが、グループホームの入居者21人のうち、18人の方が隣接の通所事業所を利用されておりまして、そのうち15名の方は近江八幡市以外の出身ということになっております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)それで、県のほうが住倉安土元気園に対して実地指導を行ったと聞いておりますが、どのような指導を行ったのか、お尋ねいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  先月の11月14日でございますが、職員が現地に出向きまして、実地調査として施設や書類の確認、聞き取り等によりまして、施設基準や運営基準に沿った事業所運営が行われているかどうか確認を行いました。  あわせまして、敷地内のグループホームと通所事業所の利用状況等についても確認をいたしまして、本人および御家族の意思により選択をされていること、また地域行事への参加を予定されているなど、事業所として地域交流にも努めているということを確認いたしました。  今後とも引き続き、本人の意思が尊重されずに敷地内で生活が完結し、地域との交流の機会が失われるというようなことがないよう、支給決定を行う市町と情報を共有しながら、指導監督を行ってまいりたいと思っております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)21人のうち18人が同じ敷地内に生活が完結してしまっていると。先日、私もここを視察に行ったんですけども、グループホームと作業所は屋根のついた廊下でつながっているんですよ。だから、靴を履きかえなくても視察に行ったらスリッパでそのまま来てくださいいうて、グループホームも作業所も見せていただきましたけども、全く同じ施設と変わらない状況で、しかも21人のうち18人、86%がこの同じ敷地内で生活が完結してしまっていると。これは余りにも職住分離の原則を逸脱していると言わざるを得ないと思うんですけども、この異常な逸脱をどう正すのか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  職住分離につきましては法令等で定められたものではございませんが、住まいのと日中活動のが一体となった場合には、本人の意思が尊重されずに敷地内で生活が完結し、地域との交流の機会が失われることになるなどの懸念がございますことから、住まいのと日中活動のを分離しようという考え方と認識しております。  住倉安土元気園では同一敷地内で運営はされておりますが、本人の意思により選択されていること、あるいは地域との交流が図られていることが重要だと考えておりまして、今回の実地指導におきましても、本人および御家族の意思により選択されていることや地域交流の機会の確保に努めていること、さらには週末に帰省される方がおられること、そして、施設外で行われるレクリエーション事業にこの施設から参加をされている方がおられることなどを市から聞いておりまして、さきに申し上げた懸念に対する取り組みは一定なされているのではないかと思っております。  さらに、今後につきましても、事業所とは別に相談支援を行う専門員が、御本人の希望等を定期的に確認しながら、みずから望む生活を決定できるよう支援を行いますとともに、もし、その方が他の事業所を利用したい等の相談があった場合には、支給決定を行う市町と連携して対応してまいりたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)それはだめだと思いますよ。ここの補助金を決定するときに、ここの本会議でこれは知事が答弁されたんですけども、「この事業者は通所施設の利用者とグループホームの入居者を分ける計画も出されていたということでございますので、事務手続を進めた」と。  どういう計画だったというのは近江八幡市の資料にあるんですけども、通所事業所については、主に知的障害者の特別支援学校卒業後の日中活動のとして使う、ホームについては、グループホームですね、50歳以上の知的障害者における親亡き後の住まいのと想定していますと。年齢も違う全く別の人を入れるんだと。こういう計画だから、職住分離に反することなくやりますいうことで計画が出されて、2億円近い補助金を出したんでないですか。それが守られていないのにきっぱりと指導しないというのは、これは問題だと思うんですけども、いかがですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) ただいま議員から御指摘いただいたとおりでございまして、当初、グループホームは親亡き後の住まいとして必要とされている方、そして通所事業所については養護学校を卒業する方などを対象として、両施設を一体で利用する計画ではないということを市のほうから説明を受けております。  現在の状況は市外からの利用者が半数を占めているなどという事情もございますが、現状において、当初の計画と異なって一体的な利用者が多く占めているということについては、市としても課題と認識しておりますし、県としても、例えば来春の養護学校の卒業生の方の動向などの状況を十分に注視してまいりたいと思っております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)これは前も指摘しましたけども、国連の障害者の権利条約ですね、そのもとになった決議の中に、障害者は人間として尊厳が尊重される権利を有している、障害者は、その家族または里親とともに生活し、全ての社会的、創造的活動に参加する権利を有する。もし、障害者が施設に入所する場合でも、そこでの環境や生活状態は同年齢の人の普通の生活にできるだけ似通ったものであるべきである。これが職住分離の根拠なんですよ。障害者の権利なんですよ。これを踏みにじった状態を放置していていいのかということが問われているんですけども、いかがですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 先ほど申し上げましたとおり、まず、その入居、利用の状態が御本人の意思によるものなのか、意に反するものではないのかということがまず大切だと思っております。  もう1点、これも繰り返しになりますが、その方々の生活がその施設だけで完結することなく、地域の中と交流し地域と交われる、そういうふうな運用がなされているか、これは障害者の権利条約に比しても、その2点が私は大切だと思っております。その2点については、きちんと県として確認をしてまいりたいと思っております。
    ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)何で私がこれを問題にするかいうと、これ、毎年、この障害施設の整備の補助があると思うんですよ。恐らくことしも8月に受付をし、9月に正式に受理をして、そしてこれから予算化をされると。その場合に、この職住分離の原則を貫くいうことを整備補助のやっぱり厳格なルールとして守るべきだと。それを守るためには、今こういう違反をしている状況を放置をしておいていいのかいう問題だと思うんですよ。  今後の障害者施設整備の補助事業において、この職住分離の原則をきちっと守れるように指導するのかどうか、お尋ねをいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  これまでどおり、同一敷地内でのグループホームと通所事業所を整備する計画が出された場合には、職住分離の考え方や、あるいはさきに申し上げたような懸念をお伝えいたしまして、事業者で対応について検討いただきたいと思っております。  そのような対応もお聞かせいただき、また、事業計画の全体の内容も審査、吟味した上で、整備の必要性を判断し、補助の対象としての可否は決定していきたいと思っております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)最後に知事にお伺いいたします。  戦後の日本の障害者福祉を切り開いた糸賀一雄氏の思想を受け継いで、滋賀の障害者福祉運動は発展をしてきました。滋賀県も障害者差別のない共生社会づくり条例をつくりました。その知事として、障害者の権利を守ることについて、どのような所見を持っておられるのか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 人は誰もが基本的人権を亨有し、その尊厳にふさわしい生活をする権利があり、みずからの意思で住まいや活動する場所等を選択する機会が確保される必要があると認識しています。滋賀の福祉の先人たちは、重度の障害のある人であっても必ず意思や意向があり、自分で決めることができるという立場に立って、その意思を尊重した支援を実践してこられました。  また、障害者権利条約第19条には、障害者の自立した生活や地域社会への包容が規定されておりますが、先日、ある有識者から障害者権利条約の意義について、障害者が保護の客体から権利の主体へというパラダイムシフトが生じたものであると伺ったところでございます。  本年4月に施行いたしました障害者差別のない共生社会づくり条例は、こうした滋賀の先人たちの実践や権利条約の理念を基礎として策定したものでございます。あらゆる施策に障害のある方が権利の主体であることを保障する視点を埋め込み、障害の有無にかかわらず、誰もが自分の望む生活をみずから決定することができる社会の実現を目指して取り組んでまいる所存でございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)最後の質問に移ります。  高齢者の医療と健康推進についてです。  ごろっと話は変わるんですけども、私は10年ほど前からグラウンドゴルフをしています。グラウンドゴルフというのは高齢者のスポーツという印象がありますけれども、ゴルフ並みに真剣に取り組まないと上達しない、非常に奥の深いスポーツであります。  このスポーツで今主力となって頑張っている人は、70代の人が主力になっています。その人たちと会話をしていると、医療費の2割負担ですね、後期高齢者を1割から2割に上げるいう話が今ありますけども、そうなったら生活ができなくなると皆さんおっしゃっておられます。  政府は、世代間の公平性や制度の持続可能性を理由に、後期高齢者の窓口負担を原則2割とするという方向で今かじを切っておりますけども、後期高齢者は約1,850万人、国民の7人に1人を占めており、窓口負担を引き上げれば、極めて多くの患者、国民に影響を及ぼします。  公的年金が減らされてきた結果、高齢世帯の貧困化が進んでいます。75歳以上の1人当たりの医療費は74歳以下の4倍に上っており、これ以上の窓口負担の引き上げは大幅な受診の抑制を招き、疾病の重症化を引き起こすと思います。  一方で消費税を引き上げながら、他方で後期高齢者の窓口負担の2割化を初め、あらゆる世代に負担増を強いる医療、介護改悪を進める政府に対して、県民の暮らしを支える社会保障への拡充を強く求めるべきだと考えますが、窓口負担2割化について、知事の所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 後期高齢者の窓口負担の問題は、報道により承知しております限りにおきまして、現在政府内で検討が行われており、来年の骨太方針2020で、給付と負担のあり方を含め、取り組むべき政策を取りまとめられるとされていると承知しています。  後期高齢者の窓口負担のあり方の検討を初めとした給付と負担の見直しにつきましては、世代間の公平性と医療保険制度の持続可能性の観点から行われるものと承知しておりますが、必要な医療への受診抑制につながることのないよう、低所得者への配慮や導入方法等について慎重に検討がなされるべきと考えております。  今後は社会保障審議会で議論されるものと承知しており、その状況等を注視してまいりたい、また、必要に応じて、全国知事会等を通じて要望等を行ってまいりたいと存じます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)健康推進のほうに行きますけども、スポーツを通じて健康の増進を図ることは、結果として医療費の抑制につながると思います。  滋賀県スポーツ推進計画では、中高年の運動習慣定着化の推進を上げています。グラウンドゴルフやゲートボールなどの高齢者のスポーツ参加の意義をどのように考えているのか、文化スポーツ部長にお尋ねいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)お答えいたします。  第2期滋賀県スポーツ推進計画においては、スポーツの力で豊かで健やかな生活をつくるという基本方針のもとに、中高年の運動習慣定着化の推進を掲げております。  スポーツに取り組むことは、高齢者はもちろんのこと、多くの人にとって社会参加のきっかけになることや、体力の保持増進だけでなく、健康寿命の延伸や健康しがの実現につながるものと考えております。  また、スポーツを通じた交流の促進、共生社会の実現、地域の活性化などにも寄与するものと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)県内のグラウンドゴルフおよびゲートボールの人口について、文化スポーツ部長にお尋ねいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  滋賀県全体のグラウンドゴルフやゲートボールの競技人口は把握をしておりませんが、12月1日現在の県グラウンド・ゴルフ協会の会員数は1,447人、県ゲートボール連盟の会員数は2,570人となっております。  なお、県立施設でのグラウンドゴルフの利用状況を見ますと、例えば平成30年度は、長浜バイオ大学ドームで延べ2万8,000人余り、希望が丘文化公園で延べ9,000人余りの方々に御利用をいただいておりまして、多くの方々が身近なスポーツとして、グラウンドゴルフやゲートボールを楽しまれているというふうに認識しております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)グラウンドゴルフの県の会員というのはごく限られておりまして、大体これの10倍くらいは競技者がおられるというふうに私は思っております。  県のグラウンド・ゴルフ協会では、活動資金づくりとして物資のあっせん販売をされておられます。島原そうめん、滋賀県産でないのはちょっと遺憾なんですけども、島原そうめんとかうどんをあっせん販売されているんですけども、非常に苦労をされております。こういう財政面での苦労に対して、県はどのような県のグラウンド・ゴルフ協会やゲートボール協会に対して支援を行っておられるのか、お尋ねいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  県では、どの競技団体に対しましても団体の運営に関する支援は行っておりません。ですが、滋賀県民体育大会あるいは滋賀県スポーツ・レクリエーション大会を開催しております競技団体に対しましては、実行委員会を通じまして、施設の利用料やプログラムの印刷費、役員等の交通費などの大会運営費を支援しているところでございます。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)大変苦労されているんで、ぜひそういうスポーツの振興にいろんな支援をしていただきたいと要望しておきたいと思います。  もう一つは、多くの高齢者がこういうスポーツに親しむには、身近なところに施設が整備されていることが決定的に重要だと思うんですけども、こういう施設整備についてどのような支援をされているのか、お尋ねいたします。 ○副議長(細江正人) 杉本議員、答弁者はずっと一緒で。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)済みません。文化スポーツ部長に最後までよろしくお願いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  現在、グラウンドゴルフ等の施設整備に係る支援は行っておりませんが、県や市町におきまして、2024年に開催の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて施設整備が進んでいるところでございます。  これらの施設は、両大会の開催はもとより、大会終了後も多くの方々のスポーツや健康づくりの拠点としての役割を期待をしておりまして、そうした中で、グラウンドゴルフ等においても活用いただけるものと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)私は、身近なところで気楽にスポーツを楽しめるようなをやっぱりどんどんふやしていくということが重要だと思いますので、ぜひそういうことも考えていただきたいと思います。  最後に、希望が丘文化公園の駐車場の問題についてお尋ねをいたします。  希望が丘文化公園で施設を利用する場合に、例えばグラウンドゴルフを利用するのに何百円か使用料が要るんですけども、車をとめると駐車料金も徴収すると。施設を利用してスポーツするのに、使用料と同じくらいの駐車料金を徴収されている、これはちょっとひどいんでないかいうことが、利用者から不満と批判の声がたくさん出されています。これやっぱり改善すべきと思いますが、いかがですか。文化スポーツ部長にお願いします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  希望が丘文化公園につきましては、受益者負担の原則に基づきまして、施設の維持管理をするために利用者に一定の御負担をいただく方策としまして、駐車場を有料としております。  駐車場の利用料につきましては御意見があることは、私ども承知をしております。現在、懇話会等におきまして行っております希望が丘文化公園の活性化の検討の中で、駐車場の利用料の取り扱いについても検討していきたいと考えております。 ◆13番(杉本敏隆議員) (登壇)奥びわスポーツの森でも長浜ドームも、プレーして料金払っているのに、駐車料金を取るようなところはどこもありませんよ。ここだけなんですよ。県の施設として、やっぱりこれは見直すべきだということを強く要望して、質問を終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、13番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  最後に、11番黄野瀬明子議員の発言を許します。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇、拍手)それでは、まず、国公立大学の授業料の減免制度が廃止される問題について、知事と総務部長に一問一答で伺います。  来年4月から、高等教育の無償化と称する修学支援新制度がスタートします。具体的には、授業料減免と給付型奨学金制度が実施されます。消費税10%への増税と引きかえの安倍自民党政権の目玉政策ですが、まずは、その新制度の対象となる学生がどういう学生なのか、総務部長に伺います。 ○副議長(細江正人) 11番黄野瀬明子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  高等教育の修学支援新制度は、真に支援が必要な低所得者世帯の方々を対象に授業料および入学金の減免と給付型奨学金の支給を実施するもので、具体的には、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の方々を対象にしております。  また、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で社会で自立し活躍できるよう、明確な進路意識と強い学びの意欲や、進学後の十分な学習状況を見きわめた上で、支援を行うこととされております。  このほか、日本国籍を有するか永住者等であること、高等学校等を卒業してから2年の間までに進学した者などの要件がございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今、答弁がありましたように、真に支援が必要という区切りで、低所得者層、それから成績要件までついているということで、極めて限定的な制度になっています。  次の質問なんですけども、一方で、安倍自民党政権は、国立大学の現行の授業料などの減免制度を廃止しようとしています。それに準じて、公立大学でも廃止が検討されています。  県内には国立滋賀大学と滋賀医科大学、滋賀県立大学の3校があります。滋賀医科大学、滋賀大学では中所得者世帯を対象とした授業料などの減免制度があります。滋賀県立大学では、生活保護基準の1.8倍までが対象となる減免制度があります。それぞれの大学でこの減免制度が廃止されれば、どのような学生に影響が出るのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  仮に現行の授業料減免制度が廃止された場合には、先ほど申し上げた新制度の対象者の要件からしますと、比較的所得の高い世帯に属する学生や、高等学校等を卒業して2年を超えて進学した学生には影響があるものと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)お答えにありましたように、現行の授業料の減免制度がなくなったら新制度の対象とならない世帯、比較的余裕のある世帯とおっしゃったんですけども、所得でいえばおよそ380万から480万所得世帯の学生、決して余裕のない低所得者から中所得者世帯までの学生の支援が打ち切られるということになります。  次の質問なんですけども、文部科学省の調査によると、全国で国立大学の授業料の減免制度を受ける学生は4万5,000人、そのうち来年4月から新制度で支援額がふえるのはわずか4,000人、1割弱、そして支援が減らないけれど、ふえもしないのが1万7,000人、ここは4割弱です。ここまではまだいいかなと。ここからがひどいんですけども、支援が今よりも減らされるのが1万1,000人、2割強、そして新制度の対象外になって支援が打ち切られる学生が1万3,000人、3割弱です。減額と打ち切られる学生で53%ということで、非常に深刻だと思います。  それでは、県内3大学で支援が減額される、あるいは支援が受けられなくなるのは何人なのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  滋賀県立大学におきまして、平成30年度後期に授業料減免を受けた学生の所得等の状況により試算しましたところ、5名の学生が新制度の対象にならず、また、6名の学生が給付型奨学金も含めた支援の額が減少することとなると伺っております。  また、県内にございます国立大学2校におきましても、現在、授業料減免制度の対象となっている方のうち、新制度の対象とならないなどの学生が一定数おられるものと承知しております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)県立大で減額されるのが6人、打ち切りが5人ということですけども、国立大学は一定数あるということですけど、人数がわからない。なぜ調べないんでしょうか。総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  具体的な人数、詳細な人数は承知しておりませんが、一定数おられるものというふうにお聞きしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)県にとっても大事な問題だと思うんです。何人が支援から外されるのか。滋賀民報のアンケートで滋賀大学が回答をしています。授業料減免の今の対象者389人のうち、減額になるのが34人、打ち切りが120人です。滋賀医科大学のほうは、学生課によりますと、現行の授業料減免となっている学生のうち7割もの方が外れるということです。全国平均では5割ということなんですが、それより高い比率。このままだと、来年の4月に3大学で少なくとも40人が減額される、125人が支援を打ち切られるということになります。大変重大だと思います。  次の質問です。先日、滋賀医科大学の学生から切実な訴えがありました。話をお聞きいたしまして本当に重大な問題だと思いましたので、3人の学生の状況と学業にかける思いもここで紹介したいと思うんです。  1人目、学士編入し3回生のAさんは、大学卒業後、新聞社に勤めました。取材に行った災害現場で、被災者を直接に助ける医師の役割に感動し、医学部に編入しました。貯金が頼りで、減免が打ち切られたら、来年から残り3年間、150万円の授業料を払うめどがありません。医科大学の授業は、平日週5日、朝8時50分から夕方5時50分まで。テスト勉強もあって、バイトをする時間はありません。  2人目、学士編入した3回生のYさん、30歳。メーカーの研究職で3年間働いた後、医学の道に転身しました。在職中に結婚し、今11歳の子供さんがいます。現在、収入はなく、生活費や養育費、高額な教科書代などの学費の全てを貯金で賄っています。減免がなくなると卒業までに貯金が尽きます。妻と2人の子育ては多忙をきわめます。保育園の送り迎え、月に一、二回、子供の発熱、そのたびに病院へ駆け込みます。学業と子育てでバイトは厳しい、どうしようという感じだと、途方に暮れておられました。  3人目、学士編入したTさん、3回生、34歳。住宅メーカーに勤務後、もともと興味のあった医学部に1年間受験生活を経て編入しました。卒業後は滋賀県にとどまって地域医療に貢献したい。収入は翻訳のバイトと奨学金。学費や入学金は貯金で賄っています。ことしから授業料の全額免除に対象になったのに、新制度では年齢要件に引っかかって受けられません。勉強時間を犠牲にしてバイトをふやすしかないと言いますが、勉強がおろそかになって留年するかもしれないと不安です。入学前に決まっていたならまだしも、急な制度変更は困る。授業料減免を当てにして入学した人も多いだろうと訴えておられます。  私もこの訴えを聞きまして、何でこういう学生が外されるのかと、改めて制度の要項を見直しました。先ほどもありましたけれども、高校卒業後2年の間に入学が認められた者、また、転学、編入学するまでの期間が1年を超える場合は対象としない、こう書いてあります。つまり、所得制限で低所得者、380万所得以下であっても、そもそも対象とならないと、こういうことが書いてあったんです。  私もなかなか知らなかったし、新聞などでもこの点は報道がないということで、危機的に、その学生さんはこの点を非常に広めてほしいと訴えておられました。  医科大学は、2浪以上の学生や社会人を経て編入する人が多い大学となります。新制度の対象にならない学生の率が高いということで、ほかにも、紹介した以外にも困っている方々の声が寄せられております。減免制度がいきなり受けられなくなって途方に暮れる、これは本当にあり得ないことだと私は思います。  授業料の減免制度が廃止をされて、県内の大学で多くの学生の進学の道が断たれることは、県としても容認できない、放っておけない事態なのではないでしょうか。知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  先ほど部長が答弁いたしましたとおり、高等教育の修学支援新制度は、真に支援が必要な低所得者世帯の者を対象に、授業料および入学金の減免に加えて、学生生活の費用をカバーするための給付型奨学金が支給されるものであり、制度全体としては充実するものであると考えています。  一方、現に現在支援を受けており新制度の対象外となる学生がいることについては、その対応について、国またはそれぞれの大学において検討されていると承知をしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)制度全体は充実しているという認識は、少し違うのではないかと思います。  学士編入の学生さんなどは特に自前で頑張る方々が多いと。そういう方々も含めて切り捨ててしまうというのは本当に許せないというふうに思います。  ここは、先ほど紹介した方々の実情に対して、知事がどういうふうに思いを寄せておられるかということをお聞きしたいんですけれども、もう一度お伺いします。  知事は、先ほども議論がありましたけども、全国知事会における次世代育成支援対策プロジェクトリーダーになられたということです。まさに次世代のこういった進学や将来展望、こういったことにかかわる重大問題で、知らんふりはできないというふうに思います。ぜひ思いを寄せてほしいと思います。もう一言、御回答をよろしくお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) 御質問の通告をいただいて、また今も御質問の中でお取り上げいただいて、こういった形で国の高等教育修学支援新制度ができ、給付型奨学金も支給される、こういった制度自体は、国としてこういう制度になってきたということを歓迎しておったんですけれども、さまざまな線引きが行われることによって、今対象者の方が新たな制度で対象にならないという、こういう実例が出てしまうこと、これはその当事者の皆様方からすれば、これまで受けられていたものが受けられなくなるという意味において大変御心配をなさる、そういう事態だろうなということを思います。  したがって、大学や、また国において、こういった学生の皆さんをどのように取り扱うのか、支援していくのかということについて、現在検討されていると承知をしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次、伺います。  国際人権A規約第13条c項の高等教育の漸進的無償化、これを日本政府は拒み続けてきました。それが、国内外の学費引き下げを求める世論に押されて、2012年にようやく留保を撤回し、高等教育の漸進的無償化が国際公約となりました。そこに出てきたのが今度の修学支援新制度です。  政府は新制度を高等教育の無償化と称しました。そのため、誰もが無償で大学などに進学できると思わされました。しかし、実際には現行の授業料減免の対象者さえも対象外になり、しかも成績要件まで課されています。  憲法第26条教育を受ける権利、児童権利条約第28条(c)高等教育の機会均等、教育基本法にうたう教育を受ける権利の保障とは全く相入れない考えだと思います。修学支援新制度は、これらの条約や憲法、法の目指すべき方向に資するものだと言えるでしょうか。知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員は御質問の中で全く相入れないものだと表現なさいましたけれども、私は議員のお考えと少し意見を異にしておりまして、確かに一定の要件あります。しかし、制度としては充実の方向に向かっている。その意味において、高等教育のまさに漸進的無償化、段階的な無償化の趣旨にかなうものであると認識しているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)教育を受ける権利とは何かという、そういう基本的な大事なとこなので再問したいと思うんですけども、教育の漸進的無償化というのは、所得とか成績とか卒業後の進路とかそういう条件などなくて、等しく授業料を取られないと、授業料の不徴収を最低ラインにして、さらに、それを学用品、教科書代、給食費、通学費、こういったものを個人に負担させないということからなっています。それを高校にも広げて、今度は高等教育、大学にも広げていこう、専門学校にも広げていこう、こういう方向だと思います。  そういう高等教育の無償化、これを日本は条約を批准をしたということで、国だけではなくて、今、地方自治体、それから、私たち地方議員にもそういう立場が問われるというふうに思います。知事はそうした立場に立つのかどうか。そうした自覚があるのかどうか。この点、ちょっとお聞きしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) ちょっと知事としての担い切れる範囲を超えているようなところもあるのかもしれませんが、この経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約──国際人権A規約、お取り上げいただいているこの中にも、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」と規定されていると承知をしておりますので、その意味においても、私は今回、確かに要件ありますけれども、制度として充実の方向を指向している、そして高等教育の漸進的無償化の趣旨にかなうものであると認識しているところでございます。 ○副議長(細江正人) 黄野瀬議員に申し上げます。  会議規則第60条第1項においては、議員は県の一般事務につき質問ができると定められております。ただいまの質問は本県の一般事務の範囲外であるようなことから、注意をいたします。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次の質問です。
     新制度が始まり、減免制度が廃止されるのは来年の4月です。在学生はもちろんのこと、受験生にとってラストスパートとなるこの時期、その道が断たれかねない事態になっています。  先日、国会で日本共産党小池晃書記局長が対応を求めたのに対し、安倍首相は、「継続的な支援について、来年の制度施行までに検討する」と答弁しました。今後、早くても1月に予算措置をするかどうかが焦点となっています。大学授業料減免制度を続けるかどうかはもちろん大学法人の裁量ですが、予算がつかなければ制度を存続させることは難しくなります。国に対し制度の存続を求めるべきだと思いますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 総理がそのように答弁をされたということであれば、そういった方向で現在検討、準備が進められていると承知をしております。  新制度の施行に間に合うように国において検討されると思いますし、国立大学に通う学生への支援については、国立大学法人、各それぞれの法人において検討されるものと考えております。  県としては、こういった国の検討状況をしっかりと注視してまいりたい。また、必要な要望事項があるとすれば、そういったことにも即応をしてまいりたいと存じます。 ○副議長(細江正人) 黄野瀬議員、1回目にもちょっと注意させてもらいましたが、県の事務との関連も一緒に尋ねてください。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)通告していますから。  次の質問に移ります。  国が減免制度を廃止した場合、少なくとも現行制度の対象者である在学生、そして今、国立大学を目指して努力している高校生が安心して受験できるように、現行制度と同等の措置を県としてすべきだと思います。知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お尋ねは、国立大学に通う学生、もしくはこれから通われる学生に対して、現在、国および各国立大学法人で検討されている制度がありますが、それに足らずを県が措置すべきだという御質問だと受けとめましたけれども、現時点、県においてそういった措置をすることは考えておりません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)いや、通告しているんですけどね。そういうことではなくて、今ある制度がなくなると。なくなった場合ということで、県の緊急措置を求めた質問であります。 ◎知事(三日月大造) 国立大学に通う学生に対する支援を、県として措置することは考えておりません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、こちらは県の責任ということですけども、滋賀県立大学は先ほどのような人数の方々が打ち切りになる、あるいは減額になるということです。  県立大について6月議会でも質問をしましたけれども、答弁は、現に支援を受けている学生について、所得の状況や減免の理由などを踏まえて、何らかの配慮が必要かどうか検討されるということですが、現に制度を利用している学生だけでなく、これからも制度が存続されるように、県の責任ですべきだと思います。知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 県立大学において新制度の対象外となる学生に対してどういう対応、措置が必要かということについては、現在、県立大学において検討されていると伺っております。  県といたしましては、県立大学の自主性も尊重しながら、その検討状況を注視すると同時に、必要な相談、協議等にはしっかりと応じてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)こちらのほうは、ぜひとも県の力量を発揮していただきたいと思うんです。  今、予算編成の時期だと思うんですけども、少なくとも今の予算を減らさず、あと新制度が入りますから、その分は予算、今までの予算そのままだったら新制度の分で予算がふえるということにもなりますので、ぜひとも予算を減らさず、この制度を廃止しないということを大学のほうにも訴えてほしいと思うんですが、その点についていかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 国立大学のことを国に、私どもが検討、承知をしているということとあわせて、県立大学については、まず県立大学と、そして私たち県とでしっかり考えていかなければならないと思っておりますので、現在、その制度設計等、今現在どれだけの人がいて、そしてどれだけの財源があって、国の新制度がそれのことによってどれだけカバーされて、カバーされない人がどれだけで出てくるのかということに基づいて、現在、県立大学において検討されていると承知をしておりますので、よくそのことを見ながら、必要な相談等にも応じてまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次の質問に移ります。  特別支援学校のトイレの改修と教材の整備について、知事と教育長に一問一答で伺います。  先日、北大津養護学校を視察させていただきました。他の支援学校にも同じような課題がありますけれども、生徒の増加に伴う教室不足など、大変重大な課題が散見されました。ぜひ、知事と教育長が特別支援学校の分離、新設、この課題に正面から取り組むことを求めます。その上で、直ちに解決すべきトイレと教材の整備について取り上げます。  北大津養護学校では、今、小学部から高等部の児童生徒が使う多くのトイレで、個室の戸がカーテンで代用されております。写真を持ってきました。(資料掲示)このように、学校の廊下とトイレの出入り口はアコーディオンカーテン。こうした学校のトイレで、戸がなくてカーテンだけで仕切られていたら、落ちついて利用できないというのが一般的な感覚だと思います。このようなトイレは、現在、県立高校でほかに例があるんでしょうか。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えします。  トイレの入り口の扉がアコーディオンタイプとなっている県立高校はございません。ただ、生徒や職員用トイレの中に設置されている障害者用トイレや多目的トイレにおきまして、個室の扉がアコーディオンカーテンなどとなっている学校が3校ございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)このカーテンのトイレを使うのは、養護学校の6歳から18歳、心も体も発達する時期の児童生徒です。人に見られたくなくてカーテンのトイレは使わず、ほかにドアのあるトイレを使うか、最近できた増設棟のトイレに行っている生徒もあります。教室から離れたところにあるので、間に合わないということや利用が集中して使えないということもあります。トイレを我慢するということで体調を壊しかねません。  カーテンで仕切るトイレをそのままにしておくことは、何よりも生徒たちのプライバシー保護上の問題があると思いますが、このままでいいというのが教育長のお考えなのか伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  個室をカーテンで仕切るトイレが幾つか設置されていることについて、学校開設当時は、ドア式に比べまして安全かつ利便性があるという理由から設置されたものと考えております。  車椅子を使用している児童生徒や幼い児童でも安全に開閉できることや、また、介助者が介助しやすい等、安全性や利便性を優先したと考えられますが、反面、プライバシーの確保が十分でないという課題があると認識をいたしております。  比較的新しく設置されました学校では、使いやすい引き戸式などとなっておりまして、子供たちにとってのプライバシーが守られ、安全で、より使いやすいものとなるよう、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次は知事に伺います。  トイレの扉をこのようにカーテンにしておく是非について、いろいろ調べてみました。  福島県の人にやさしいまちづくり条例には、このような注意事項がありました。みんなのトイレのある便所の出入口の戸について、「出入口の戸をアコーディオン式とすることは、プライバシー保護上好ましくない。」  また、千葉県で興味深い調査がありました。障害のある人が使いやすい公共トイレについての意見募集結果報告書で、障害のある方などからの意見をまとめておられます。使いにくかったトイレの具体例の使いにくかった理由にはさまざまありますが、入り口ドアがアコーディオン式、また、ドアがなくてカーテンのみ、また、ドアがカーテンで使用する気になれない、ドアがアコーディオンで女性は絶対に無理、ばかにされているようなむなしい気持ちになるという意見です。  その結果、トイレのドアはセンサー式、電動式により自動開閉するものか、引き戸タイプで、わずかな力でも開閉できるものであることとされております。当然の結論だと思います。  滋賀県でも、だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例があります。トイレの出入り口の戸については、引き戸、電動扉などが望ましいとされております。カーテントイレの是非までは書いていませんが、当然プライバシー保護上好ましくないというのが前提だろうと思います。特別支援学校のトイレのあり方がこのままでいいとお考えなのか、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) よくないと思います。教育長の答弁にもありましたように、カーテンで仕切るトイレについて、学校設置当時の考え方は一定あったと承知しておりますが、トイレを使う子供たちの立場に立てば、使う側の視点、その身になったそういったことが必要だと考えます。  障害のある児童生徒が利用する特別支援学校のトイレについて、先ほども教育長から答弁ありましたけども、安全かつ誰もが使いやすい、よりよいものとなるよう、今後、教育委員会と議論、検討してまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)私もよくないと思います。人権問題だというふうに思います。  ですから、今、耐震化とか老朽化とかいうことで、根本的、計画的な改修ということがされるところだとは思いますけれども、それとは別問題で、人権の問題として直ちにこの戸をかえるということをされるべきだと思います。そういったことに対する見解を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 今申し上げたとおりで、安全で誰もが使いやすい、よりよいものとなるよう、今後、教育委員会と議論、検討してまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)さらにまだあります。  北大津養護学校の小学部の1年生から3年生までの子供たちが使うトイレには、男女共用トイレとなっているところがあります。こちらです。(資料掲示)廊下からの出入り口がアコーディオンカーテン、個室のドアはアコーディオンかカーテン、プライバシー保護上の問題があると思います。全国的にはこういった男女共用のトイレは、男女別のトイレへと改修がされていっております。  現在、県立高校でこういったトイレはほかに例があるのか。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  男女が共用で使えるトイレにつきましては、校舎に設置されている県立高校はございません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)北大津養護学校にだけ残されているということで、この点について差別的だなというふうに思わざるを得ません。男子児童も女子児童も、利用中にのぞいてしまって嫌な思いをしています。それを教員が注意することもあるそうです。教員からは、男女別々だったら起こらないことで、子供たちの自尊心を傷つけることになっていると改善の声が寄せられています。心と体の発達に応じたトイレトレーニングや性教育をする学校というで、このままでよいというのが教育委員会の見解なんでしょうか。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  学校において男女共用としているトイレがあることにつきましては、幼い段階の児童への指導を想定したものであると認識はしております。しかしながら、低学年であっても、男女共用トイレでよいということではないと考えております。  指導の際には、男女が同時に使用しないなどの配慮を現在しておりますが、今後、トイレの整備の中で改善をしてまいる所存でございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)知事はどのように思われるでしょうか、伺います。 ◎知事(三日月大造) 今も教育長から一部答弁がありましたけれども、障害のある児童生徒にとっての学校施設のあり方として、介助者や教師側の考え方だけではなく、むしろ子供の人権の目線で整備する必要があると考えます。  今後は、男女の別だけでなく、さまざまなニーズに対応できる多目的トイレの整備等も含め、誰もが気持ちよく使用できるトイレのあり方について、これは当然、予算面、改修面が必要になってきますので、教育委員会と一緒に考えてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)耐震化とか老朽化とかそういうこととは別にして、先ほども言いましたけれども、人権問題として直ちに来年度取り組むと、こういうスピード感を持って改修されるべき問題だと思います。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県立学校のトイレ整備につきましては、私としても喫緊の課題として取り組みが必要であると認識をいたしております。各学校現場の状況を踏まえながら早期に改善し、児童生徒の学習環境の改善を図ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)こうやって県議会で取り上げて、多くの方がそういうことに着目をされた場合、本当に早く直してほしいというのが現場の思いだと思います。ぜひよろしくお願いします。  次の質問です。  昨年10月、養護学校の教室の天井に設置されているつり下げフックの金属疲労で、児童が落下をし、けがをするという事故が起こりました。児童生徒の安全面から一部で使用禁止になっていますが、1年が経過し、学校現場は、子供たちの養育、発達のための大事な教材として、一刻も早く使用を再開したいという声が寄せられております。使用再開に向けた現状はどのようになっているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  天井つり下げフックの代替整備につきましては、各学校の御意見も踏まえ、優先的に整備が必要な教室がある4校について設計が完了しておりまして、今年度、工事に着手する予定でございます。  整備が必要な残りの学校につきましても、現在、詳細設計を行っているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)4校は早期につけられるということだと思います。しかし、まだ残りのところもありますし、当面、次の質問です、特別教室に設置をされているものを共同利用するという対応になっております。多くの生徒が利用する部屋であり、教育現場からは、必要な教育活動ができないため、普通教室にそれぞれ必要だという声をお聞きしております。普通教室に設置をするという、そういう計画になっているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  つり下げ式の教具につきましては、学習教材や、教師と子供が休み時間にかかわり合う際のコミュニケーションツールなどとして設置されておりますが、設置教室につきましては、学校の意見を聞きますとともに、構造上の問題もありますことから、土木交通部建築課職員とともに学校調査を行い、決定をいたしているところでございます。  また、学校も、障害の度合いや種別、発達の段階に応じて使用しており、必ずしも全ての教室に整備が必要でないとの意見や、多目的教室や小学部に整備してほしいなどの意見もいただいているところでございます。  このため、整備に当たりましては、まずは、学校から優先順位が高いとされた教室から順に整備を行うとともに、整備後の使用状況や、また学校の意見もしっかり聞きながら、必要に応じ、順次対応してまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)学校現場の御意見をよく聞いていただいて、本当に必要だというふうに言っておられるところは全部つけられるように整備をしてほしいと思います。  10番、次の質問です。  教育上必要な教材であれば、そういった現場が求めておられるものに対して、予算をふやしてでも来年度にはすぐにつけると、そういう対応を進めるべきだと思います。今後どのように進めようとしているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  先ほども御答弁申し上げましたが、今年度、工事に着手予定の学校のほか、整備が必要な学校につきまして、今年度、設計を終える予定でございます。  今後、予算に関することでございますので、今ここで明確に何校とかいう具体のものは申し上げられませんが、各学校で優先順位が高いとされた教室から順次整備してまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)特別支援学校のエアコン設置ですね、県立高校も含めてのことでしたけども、そういうときの設置の対応は、子供たちの命にかかわることだからということで、予算を前倒ししてでも設置がされたというふうに思います。  このつり下げフックも、先ほどありましたように学習教材として大変重要ということ、それから、コミュニケーションを図る上でも大変重要ということです。ですから、そういう教育上必要なものであるなら予算をふやして、ぜひ早期に、来年度につけられるというような予算をつけてほしいと思います。  滋賀県、今、本当に予算逼迫していますけども、一方では、国体に陸上競技の入札、青天井に予算をどんどんつけるという、そういうゆがんだ使い方をしているというふうにも思います。そういうところを見直して、本当にこういう必要なところにこそ予算がつけられるようにすべきだと思います。そういう意気込みをぜひ聞かしていただきたいと思います。教育長。 ◎教育長(福永忠克) それぞれの学校現場で厳しい状況の中でさまざまな教育活動を行っていただいているという現状をしっかり踏まえて、私、教育委員会を代表する教育長として、予算編成の中で知事としっかりと議論をしてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)巨額過ぎる国体の予算を見直して、本当に必要なとこにつけてほしいというのは、私が行きます現場現場で本当に皆さん言われることですので、心してほしいなということです。  次の質問に移ります。  子供たちが食べる食の安全の問題として、発がん性の疑いのある学校給食のパンやうどんに使われる小麦について、教育長に一問一答で伺います。  先ほど杉本議員も言われましたが、改めて伺います。  2015年、世界最大規模の国際がん研究機関──IARCが、除草剤などに含まれるグリホサートを、発がん性に関して5段階の上から2番目にリスクが高い2A、恐らく発がん性があると評価をしました。諸外国では、オーストラリア、チェコがグリホサートを全面使用禁止、ベトナムが輸入禁止など規制の動きが広がっています。  一方、日本では世界の流れに逆行して、2017年末輸入小麦の残留農薬、この基準を5ppmからアメリカ基準である30ppmに大幅に規制緩和しております。日本は小麦の8割以上をアメリカ、カナダからの輸入に頼っておりますが、これらの国では、収穫前にグリホサートを主成分とする除草剤の散布が一般化しています。  私たちが日常よく食べるパンにどれほど残っているのか。そういった心配の声が多く出る中で、ことし4月に農民連の食品分析センターが調査をいたしました。これが結果です。(資料掲示)  市販の食パン、私もよく食べるものばかりなんですけども、山崎製パンとかPascoとか、おいしいと思って食べてるんですけれども、こういった食パンや学校給食のパンからグリホサートが検出をされました。今、特に子育て中の母親たちの間で、発がん性の疑いのある食材を使ったパンを子供に食べさせたくないという声がたくさん私のところにも寄せられております。  国会でも先日、共産党の紙智子議員が、発がん性が指摘される化学物質グリホサートが学校給食のパンから検出されている問題で、政府に対応を求めております。農水大臣は、「残留濃度の基準については科学的根拠に基づいた数値だと考えている。だが、事学校給食については少しステージが違うと思うので、考えたい」と、このように答えておられます。グリホサートの規制基準を大幅に緩和をしてきた政府自身も、さすがに感受性の強い子供に対しては考え直す必要性に言及をしています。  一方で、学校給食の食材をどうするかについては、従来から自治体の判断です。検討の余地があると思います。発がん性の疑いのある小麦を使うべきではないと私は考えますが、教育長の認識を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  本県の学校給食で提供しておりますパンやソフト麺につきましては、県産小麦と輸入小麦を併用して製造をされているところでございます。  輸入小麦につきましては、農林水産省が産地国で検査を実施し、さらに日本の検疫所で厚生労働省が再度検査を実施することにより、食品衛生法で定める基準に適合していることが確認をされております。  慎重な手続を経て輸入された小麦につきましては、安全であるとの認識のもとに公益財団法人滋賀県学校給食会が調達し、委託業者において加工後、学校給食に提供しているのが現状でございます。  しかしながら、引き続き、子供の安全、健康を守る立場から、やはり食材の安全性、これにつきましては私として常に情報収集をし、安全、安心な学校給食ができるように、市町、また市町の給食関係者の皆様方と一緒に考えて、どういったことができるのか、考えてまいりたいと思っております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今、農水省が決めた国の基準そのものについては恐らく物が言えないんだと思うんですけども、安全性、安全、安心という観点では教育長自身も情報を集めていきたいとのことですので、このグリホサートのことについて、ぜひ安全、安心という観点で、みずからの基準を決めるといいますか、国の基準にとらわれずに、安心という観点でぜひとも検討をしていただきたいというふうに思うんですけども、そういうことをされるのかどうか、1点お伺いをいたします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  今、議員のほうから御質問ございましたが、申しわけございませんが、ちょっと私、農薬等の安全基準等について詳しくございませんので、その辺につきましては先ほどもお答えいたしましたように、情報を収集し、関係者としっかりと考えてまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひ研究してほしいと思います。  農民連の食品分析センターが学校給食のパンを分析した結果、輸入小麦のパンから検出がされております。一方で、国産小麦のみのパンからは検出されませんでした。  滋賀県は、この表でいうAの自治体と同様に、アメリカとカナダから輸入小麦8割、そこに県産小麦2割という配合です。今、滋賀県では、給食の1年間のメニューのうち、6月と11月の2カ月の期間は地産地消を目指す観点から県産小麦100%のパンを提供されておりますが、さらに保護者の願いに応えて、また成長期の子供たちが食べるもの、こういうことから、学校給食の主食は県産小麦100%にしていただきたいと思いますが、そういう考えがあるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。
     本県の学校給食におきましては、平成14年度から国内産小麦を10%配合したパンとソフト麺の提供を始め、平成16年度からは20%の配合としたところでございます。  また、平成20年度には滋賀県産小麦100%を使用した「近江うどん三方よし」の提供を開始しているところでございます。加えまして、平成28年度からは県産小麦100%のパンを1カ月分、また、平成30年度からは2カ月分提供しており、さらに令和2年度──来年度からは3カ月分にふやして供給する予定でございます。  このように、学校給食におきまして、県産小麦の使用を徐々にではございますがふやすように努めてまいりました。  今後も、給食関係者と協議を重ねながら、県産小麦を使用した学校給食の提供、これを推進してまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)うちの子もことしから小学校1年生になりまして、給食ではパンが一番好きだというふうに言ってましたので、ぜひ安全性の面で前進させていただきたいと思います。  学校給食の主食に使う小麦、県産小麦100%にしようとする場合、何が課題なのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  本県では、主に焼き菓子でありますとか、うどん、そうめんといった日本麺用に適した品種の小麦が多く栽培されておりまして、パンに使用する小麦は生産量が少ないのが現状でございます。  学校給食において、現在のパンの提供回数を維持しながら県産小麦100%のパンを安定的に提供するためには、パンに適した小麦の安定供給や仕入れ価格の上昇によります保護者の皆さんの負担の増加などが課題であると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)徐々にふやしてもいただき、ただ、生産量が少ないという課題、それから、安定的に収穫するためのコストの問題、そういった課題をぜひ県のほうで解決をしてほしい。保護者の負担ということではなくて、ぜひそこの部分を負担してほしいと思います。  最後の質問です。  全国学校給食会連合会にお聞きしたところ、給食のパンの食材を100%地場産としているのは、北海道、青森県、岩手県などの4県ありました。そして、地場産小麦だけでは足りない分を、輸入には頼らずに、県外から調達して国内産小麦で100%としている県が3県ありました。  滋賀県でも県内の生産量の限界で調達できないのであれば、安全、安心という観点で、県外産を調達し、100%国産材とすることを検討していただきたいんですが、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、本県の学校給食におきましては県産小麦の使用を徐々にふやしており、低価格でおいしい給食が提供できますように、給食関係者が一丸となって、工夫を重ねて取り組んでいただいているところでございます。  国産小麦につきましては人気が高く需要が多いために、国内の小麦生産量が群を抜いて多い北海道におきましても、給食用の小麦の調達は厳しい状況だと聞いております。  このような中で、県外産の小麦の調達につきましても、県内産の小麦の調達と同様、安定的な調達ができるのか、あるいは仕入れ価格の上昇による保護者の負担増にどう対応するのかなど、検討すべき課題が多いと考えております。  県外産の小麦につきましては、地産地消という意味で県内産の小麦の割合をどうしていくのかという点もございます。こういった点も含めまして、また、先ほど議員から質問にございました他の道県の取り組みの状況も含めて、しっかりと研究をしてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) 終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、11番黄野瀬明子議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明10日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時22分 散会    ────────────────...