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令和 元年 9月定例会議(第9号〜第15号)−10月01日-05号

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  1. 滋賀県議会 2019-10-01
    令和 元年 9月定例会議(第9号〜第15号)−10月01日-05号


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    最終取得日: 2023-05-14
    令和 元年 9月定例会議(第9号〜第15号)−10月01日-05号令和 元年 9月定例会議(第9号〜第15号)                 令和元年9月定例会議会議録(第13号)                                        令和元年10月1日(火曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         令和元年10月1日(火)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第145号から議第183号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか38件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   清  水  ひ と み    7番   村  上  元  庸       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       26番   佐  藤  健  司    27番   目  片  信  悟       28番   有  村  國  俊    29番   大  野  和 三 郎       30番   岩  佐  弘  明    31番   富  田  博  明       32番   細  江  正  人    33番   生  田  邦  夫       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               選挙管理委員会委員長代理    大  井     豊               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               代表監査委員          藤  本  武  司               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(生田邦夫) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(生田邦夫) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大井豊委員が、また、人事委員会西原節子委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会堀井とよみ委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第145号から議第183号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか38件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(生田邦夫) 日程第1、議第145号から議第183号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、40番成田政隆議員の発言を許します。 ◆40番(成田政隆議員) (登壇、拍手)一般質問3日目、「スカーレット」2日目、皆さん、どうぞよろしくお願いします。  通告に従い、滋賀の魅力発信について、知事ならびに商工観光労働部長に伺います。  知事は、今定例会議における提案説明において、滋賀の魅力発信について述べられました。これからの滋賀の観光誘客を初め、魅力ある地域づくりのためにも重要な要素であり、さまざまな課題を解消し、さらなる発展を遂げていく必要があります。  加えて、来年度は「健康しがへの挑戦」をメーンテーマとし、人、社会、自然の3つの健康を柱とする「健康しが」の取り組みをもう一段高め、文化、スポーツ、観光などの可能性を伸ばすとともに、教育、福祉、環境、交通などの社会的課題について、滋賀から先導的に解決していくという決意や志を打ち出した予算を考えておられます。  この中にも数多くのキーワードがあり、それらを掛け合わせることによって、滋賀の魅力が何倍にも何十倍にも高まります。その結果、住んでいる県民の誇りや癒やしにつながるとともに、国内外多くの方々を魅了する滋賀、観光に訪れたい滋賀につながっていきます。さまざまな取り組みが一過性のものとはならず、さらに滋賀の魅力を磨き上げる施策になっていかなければ意味がないと言えます。  これまで滋賀県は、観光キャンペーンとして、平成29年度は「日本遺産 滋賀・びわ湖 水の文化ぐるっと博」、平成30年度は「虹色の旅へ。滋賀・びわ湖」を行ってこられましたが、キャンペーンの効果も含め、近年における本県の観光客数の動向と経済効果について、商工観光労働部長に伺います。  あわせて、ここ最近の日韓関係の悪化により、インバウンドへの影響も出ていると聞いておりますが、韓国人観光客も含め、外国人観光客の動向について、商工観光労働部長に伺います。  昨日より、信楽焼の陶芸家で、また、骨髄バンクの立ち上げにも尽力された神山清子さんの生き方に着眼し制作された朝の連続テレビ小説「スカーレット」の放送が始まりました。9月27日の朝からは大津駅前にてPR活動を、29日にはラッピング列車の出発式が信楽高原鐵道信楽駅で行われ、昨日30日には県民サロンにおいて初回のパブリックビューイングを行うなど、放送開始に合わせ、さまざまな取り組みも行っておられます。きのうも一般質問において多くの議員からも言及がありました。  また、来年1月からは、坂本城を築城するなど滋賀県ともゆかりの深い戦国武将、明智光秀の生涯を描く大河ドラマ「麒麟がくる」の放送も始まり、滋賀の魅力を全国に発信する絶好のチャンスであります。多くの方々に楽しい思い出をつくってもらえる機会になればと思います。  「スカーレット」に関連して「ほっと滋賀色」キャンペーンを、また、10月22日からは「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」キャンペーンを行われますが、各キャンペーンがそれぞれどれだけの観光客数を期待するとともに、経済効果が得られると考えておられるのか、商工観光労働部長に伺います。  これらの放映に関しては、これまでから滋賀県内での映像制作を誘致、支援を行いながら、県民の方々とともに地域振興を図り、湖国滋賀の観光の振興や活性化を図ってこられた滋賀ロケーションオフィスの努力の成果であると評価したいと思います。  「スカーレット」「麒麟がくる」のさまざまな効果を期待しながらも、それらに合わせ、相乗効果として、「スカーレット」に出演される戸田恵梨香さんがこれまでに出演された映画などのロケ地をめぐるツアーや、過去の大河ドラマのロケ地やゆかりの地をめぐるツアーなど、これまでにロケーションオフィスが誘致されてきた映画やテレビドラマなどの作品もうまく活用しながら、滋賀の魅力を発信していくことも重要であります。  また、映画やテレビドラマでなく、アニメも活用していくことが大切であります。これまでも聖地巡礼で数多くの観光客が訪れた「けいおん!」を初め、映画化された近江神宮などを舞台とした「ちはやふる」、唐崎神社をモデルに使っている「曇天に笑う」「煉獄に笑う」、さらには、先日まで放送されていた「グランベルム」においては、和邇の町並みや浮御堂、白鬚神社など、滋賀を舞台としてたくさんのシーンがアニメとして映し出されており、アニメを活用した発信も重要であると考えます。こういった映像のロケ地やアニメ等の聖地をめぐるスクリーンツーリズム、ロケツーリズムに着眼した取り組みが重要であります。  そこで、これら映像やアニメの効果を一過性のものにしないためにも、ロケーションオフィスの体制強化を行い、ロケ地誘致にとどまらず、ロケ地等の発信力の強化を行う必要があると考えますが、今後のスクリーンツーリズムの戦略について知事に伺います。  次に、ビワイチについて伺います。  先般、国土交通省の自転車活用推進本部におきまして、日本を代表し、世界に誇れるサイクリングルートをナショナルサイクルルートとして選定する制度が創設されました。そして、第1次候補のルート発表があり、しまなみ海道サイクリングロード、つくば霞ヶ浦りんりんロードとあわせて、ビワイチが発表されました。  平成27年9月定例会議において、ナショナルサイクルルートの認定に向けて取り組むべきと質問しましたが、その後、認定を視野に、路面標示を初めとする走行環境の整備や、利用者の快適性、利用性を高めるなど受け入れ環境の整備、情報発信と滋賀プラス・サイクル推進協議会、市町等、県庁の職員の皆さんを含め、関係者の皆様と一丸となって取り組みを進められ、今回の選定につながったことを敬意を表します。  このナショナルサイクルルートの選定により、さらにビワイチに挑戦される方々が全国から、また世界から訪れられることになると予測されます。その際に、多言語による道路等案内板の表示や危険箇所の対策、とりわけ堅田から浜大津間において、初心者でも安心して走行できるルート選定等、事故なく快適に走行していただくための対策が必要であると考えます。  そこで、今後どれだけの方がビワイチに来られると予測されているのか、知事に伺います。あわせて、来訪者の満足度向上と地域活性化に資するサービスの充実についてどのように考えているのか伺います。  次に、山のトレイルの魅力発信について伺います。  ことしのゴールデンウイークに、滋賀の山々全長約440キロ、累積標高約3万1,500メートルを8日間にかけて一周する「滋賀一周ラウンドトレイル2019プレ大会」が開催されました。1人による個人戦を完走されたのは8名中1人、チーム戦で完走されたのは9チーム中4チームと過酷なレースでありました。  しかしながら、比良比叡トレイル、高島トレイル、鈴鹿山脈を初めとする滋賀の山々は、余呉の保護林の一部を除いて、約440キロのトレイルとしてつながったことが証明されました。今後は、登山やハイキング、トレイルランニング等、山を愛する方々が滋賀一周ラウンドトレイルを新たな魅力として楽しむことができるのではないかと考えます。  現在、トレイル自体はおおよそつながったものの、各地域それぞれにおいてトレイルの整備等が行われております。そこで、マップや道標の統一化など、各地域が協力、連携を図り、一体感を持った取り組みを行うことにより、滋賀の新たな魅力としても活用ができると考えますが、今後の展開について知事に伺います。  次に、公共交通を活用した取り組みについて伺います。  江畑議員の代表質問において、「地域が抱える交通課題に対し、社会実験を通じて実証しながら、新たな交通の仕組みづくりを検討」「地域の移動手段の確保のための自動運転やMaaS、シェアリングなど新たな技術やサービスの導入可能性、地域交通サービスに係る費用負担のあり方等について2022年度を目途に検討」と答弁されました。  そこにもありましたMaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービスの略で、スマホアプリにより、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索、予約、決済等を一括で行うサービスであり、新たな移動手段であるシェアサイクル等や観光チケットの購入等関連サービスを組み合わすことができます。  実際、フィンランドのヘルシンキにおいては、モビリティーサービスの統合アプリ「Whim」によって、月額62ユーロ──約7,300円で、ヘルシンキ交通局の運行する市内のバス、電車、地下鉄、トラムの公共交通機関が乗り放題となり、タクシーは5キロまで10ユーロ、レンタカーは1日49ユーロで利用可能、シェアサイクルの最初30分の利用が無料となります。また、月額499ユーロ──約5万9,000円を支払うと、それら全てが使い放題になり、都市部における渋滞の削減や環境負荷の低減、公共交通機関の運行効率化、生産性向上につながっております。  現在、日本においても、日本版MaaSの展開に向け、先行モデル事業として19事業が選定されました。滋賀県では、大津市において、大津中心市街地および比叡山周遊の活性化を目指した実証実験が行われます。  滋賀県としても、点在する歴史的資産や文化財をテーマごとに周遊できる新たな仕組みを構築していく必要があり、地域公共交通のさまざまな課題解消にもつなげることができるMaaSの活用は重要であると考えます。例えば、「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」キャンペーンにおいて、明智光秀や織田信長、豊臣秀吉、石田三成など限定ICOCAを作成するなどし、公共交通機関や関係施設の入館など組み合わせたサービスを行うことが新たな魅力にもつながると考えます。  加えて、AIヘルスケアとの連携も重要であります。健康しがを抱える滋賀だからこそ、さまざまな観光のコンテンツが多い滋賀だからこそ、公共交通機関スマートフォンの歩数計などのヘルスケア機能、そして、湖岸や歴史的街道などをいざなうウオーキングルート等を効率的に連携する、健康と観光とを組み合わせたMaaSも検討すべきであると考えます。これは、住んでいる滋賀県民にとっても、生活の質の向上を果たすものになると言えます。  今後、さまざまな施策展開ができるMaaSは、まちづくりにおいても重要な視点であります。  そこで、滋賀版MaaSに向け、施策を推進すべきだと考えますが、知事に伺います。  また、MaaSにおける新たな交通手段として、きのうも一部答弁ありましたが、空飛ぶ車が注目されております。都市の渋滞を避けた通勤、通学や通園、離島や山間部での新しい移動手段、災害時の救急搬送や迅速な物資輸送などの構想に基づき、さまざまな分野の関係者による研究開発が始まっております。  空飛ぶ車は遠い未来の出来事かと思っておりましたが、昨年12月20日には、空の移動革命に向けた官民協議会においてロードマップが作成され、2023年の事業スタートに向けて取り組みが進められております。  現在のところ、世界では、自動車、航空機、ドローン等さまざまな業界から大企業、ベンチャー企業が参入し、空飛ぶ車の実現に向け、プロジェクトを推進しております。  昨日の日経新聞にも、日本のスカイドライブが年内に有人飛行試験を実施する計画をされているとの報道もありました。  また、本年8月2日には、地方公共団体による空の移動革命に向けた構想発表会が行われ、三重県や東京都、大阪府など5都府県が空飛ぶ車の実証実験に向けた取り組みを発表されました。  そこで、琵琶湖を抱える滋賀県だからこそ、空の移動改革に積極的に取り組み、新たな魅力として活用してはどうかと考えますが、知事に所見を伺います。  次に、観光列車を活用した魅力の発信について伺います。  2017年2月より、忍びトレインの運行が行われました。また、先ほども取り上げましたが、「スカーレット」のラッピング列車も注目されておりますが、全国において観光列車は多くの方々を魅了しております。例えば、西日本鉄道のTHE RAIL KITCHEN CHIKUGO、東急電鉄、伊豆急行のTHE ROYAL EXPRESS、JR四国の四国まんなか千年ものがたりを初め、列車と食を楽しめる観光列車が各地で運行されております。
     滋賀県においても、湖西線から見える景色がすばらしいとネット上において話題となっておりました。そういったすばらしい景色を、新潟県えちごトキめき鉄道のえちごトキめきリゾート雪月花のような広い窓を持った観光列車が琵琶湖を眺めながら運行され、さらに、びわ湖バレイや近江舞子を初めとした湖西の観光地へいざなったり、また、B.B.BASEなどサイクルトレインを走らせビワイチに結びつけたりなど、新たな戦略も積極的に行っていくべきではないかと考えます。  観光列車を活用した魅力の発信について知事の所見を伺います。  次に、「ここ滋賀」について伺います。  2017年10月29日、東京日本橋に滋賀県の情報発信拠点としてアンテナショップ「ここ滋賀」がオープンしました。そして、本年9月23日に、当初の見込みより約5カ月早く来館者数が通算100万人を超えたという報道がありました。  しかし、平成30年度業務報告書を見ると、来館者数やマーケットにおける売り上げは達成されているものの、レストランにおける売り上げや拠点外や観光誘客に係る効果が乏しいなどの課題があると言えます。  売り上げや経済効果、経済波及効果等、「ここ滋賀」の設置に伴う滋賀の魅力発信の効果と今後の対策について、商工観光労働部長に伺います。  これまで多岐にわたって滋賀の魅力発信について取り上げてきましたが、現在、地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的なアプローチを取り入れた観光地域づくりを行うかじ取り役となる法人──DMOとして、滋賀県では、びわこビジターズビューローが登録されております。また、知事は今年度より、びわこビジターズビューローの会長職として大きな役割を担われることとなりました。滋賀の魅力をさらに発信していくためには、滋賀県としても観光分野において予算的にも人的にも強化していく必要があると考えます。  そこで、びわこビジターズビューローの会長として、また滋賀県知事として、観光振興に向けた取り組みの強化についての決意を伺います。 ○議長(生田邦夫) 40番成田政隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)滋賀の魅力発信につきまして、全部で11点御質問いただいたうち、私には7点いただきました。  1点目、スクリーンツーリズムについてでございます。  滋賀ロケーションオフィスは、平成14年に県と市町で共同して設立した団体で、ロケ適地の情報提供、ロケハンや撮影の立ち会いまで、映像制作に関するさまざまな支援を行っており、映像作品を通じて本県の魅力を発信しております。  これらの取り組みを通じまして、映像関係者から本県のロケ支援に対し高い御評価を得ております。一方、映像作品を通じた誘客につきましては、作品の公開直後は多くの観光客に来ていただけますが、その後も効果を持続させるため、現在取り組んでいる情報発信に加え、さらなる工夫が必要だと認識しています。そのため、例えば大河ドラマ「麒麟がくる」の放送期間中に、過去のロケ地も含んだ戦国の地をめぐる周遊ツアーの実施など、ロケ地を活用した魅力発信を充実させ、滋賀の観光振興、誘客促進に努めてまいりたいと存じます。  2点目、ビワイチについてです。  ビワイチの体験者数についてでございますが、平成27年には5万2,000人だったものが、平成30年には10万6,000人と倍以上に増加したところでございます。今後、ナショナルサイクルルートへの指定等による国内外からの大きな来訪増加も期待できますことから、令和2年には16万5,000人を目標に取り組んでいるところでございます。  今般のナショナルサイクルルート候補への選定やビワイチ体験者数の倍増は、これまでの取り組みが高く評価された結果と認識しており、引き続き関係者が一丸となって、安心、安全にサイクリングが楽しめるよう、環境整備のほか、来訪者の満足度向上と地域活性化に資するサービスの充実を図ってまいりたいと存じます。  具体的には、いわゆるサイクリストだけではなく、女性や親子連れ、外国人観光客などにも御満足いただけるよう、誰もが利用しやすい走行空間整備、レンタサイクル施設の利便性向上、多言語での案内充実等を事業者や市町と連携しながら進めたいと考えます。  また、地域活性化に向けて、ビワイチサイクリングナビアプリを活用した周遊促進や、内陸部を周遊する新たなビワイチ・プラスコースの発信等により、県内の魅力に触れていただくとともに、地域の方々との交流が促進されるよう取り組んでまいりたいと存じます。  3点目のトレイルについてでございますが、比良比叡トレイル、高島トレイル、余呉トレイル、東近江市による鈴鹿10座の認定など、県内各地の環境整備が進んでおり、滋賀の自然だけでなく、歴史、文化の魅力を歩く速さで体験できる健康的な旅の手段として、トレイルは大きな可能性を有していると認識しています。  本年4月28日から8日間、滋賀県の県境をぐるりと一周する「滋賀一周ラウンドトレイル2019プレ大会」が、日本最長級のコース、約440キロメートルで行われた、これは議員にも御紹介をいただいたところでございます。  本県の観光資源としての可能性を大いに有するトレイルにつきましては、市町や地元団体等とこれまで以上に連携を図りながら、マップの充実や道標の統一化など環境整備を進めてまいりたいと存じます。  また、例えば、戦国時代に武将たちが駆け抜けた近江盆地などのストーリーを「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」キャンペーンの中で紹介するなど、情報発信を進めてまいりたいと存じます。  4点目、滋賀版MaaSについてでございます。  本県の交通課題は大きく3つあると認識しています。1つは、バス等の交通が不便な地域での移動手段の確保、2つ目は、自家用車への依存による交通渋滞の解消、3つ目は、議員御指摘の観光客の周遊利便性の確保などが挙げられます。  これらの課題に対応するためには、地域や目的によって異なる移動需要に的確に応えるため、バスやタクシーなどの既存の公共交通サービスを維持し、自動運転を初めとする新しい技術と有機的に連携させ、そのポテンシャルを最大限発揮させることが必要だと考えます。  その方策といたしまして、MaaSの導入が大変有効であり、目的地までの最適な移動手段が容易に選択できること、予約、決済の手続が一括でできることなどにより、利用者の利便性が高まり、また、定額料金制とすることで、地域住民が利用しやすくなることも期待されているところでございます。  現在、大津湖南地域や湖東圏域で、日常生活の移動利便性が高まる取り組みや、住民と観光客とがともに快適に移動できる仕組みづくりに向けた検討が進んでおり、県も、市町や交通事業者等と協力しながら、実証実験に向けて具体的な協議を実施しているところでございます。  交通不便地での移動手段の確保、渋滞の解消、県内に点在する観光資源を生かした周遊観光の利便性向上などを図るため、さまざまな実証実験を通じて、滋賀の地域特性を踏まえたMaaSの仕組みの構築に積極的に取り組んでまいります。  5点目、空の移動革命についてでございます。  現在、滋賀県産業振興ビジョンの改定作業を進めておりまして、2030年の目指す姿として、社会的課題をビジネスで解決し続ける県を掲げているところでございます。  具体的には、1つ、チャレンジする人・企業が集まる滋賀、2つ目といたしまして、実証実験のフィールド滋賀などの4つの視点を掲げ、「地域を支える新たな交通の仕組みづくり!」を施策の一つとして位置づける予定でございます。  空飛ぶ車や空の移動革命など、既に取り組まれている自治体の事例にも学びながら、琵琶湖などをフィールドに、新しい技術を活用して社会的課題を解決する取り組みを支援していくことで、滋賀県が魅力的となり、チャレンジする人や企業が集まることを期待したいと存じます。  6点目、観光列車を活用した魅力の発信についてでございますが、県内を観光列車が走り、乗客に主要駅を活用して最寄りの観光地を訪れていただくことができれば、観光周遊の促進や滋賀県観光の魅力のさらなる発信につながるものと考えます。  既に本県には、湖北地域を走るSL北びわこ号があり、また、昨日放送が開始された「スカーレット」に関し、議員御案内の信楽高原鐵道でラッピング電車が先月29日に運行を開始したところでございます。加えて、ことしの秋には、ドラマヒロインを追体験していただく目的で、大阪駅から借り上げ列車を滋賀に向けて走らせることにしております。  琵琶湖環状線で琵琶湖を眺めながら一周する鉄道によるビワイチも滋賀ならではの観光素材だと考えております。議員御紹介の全国の事例も参考にしながら、こうしたさまざまな手段を活用し、JRのデスティネーションキャンペーンの誘致も視野に、より一層滋賀の魅力を全国、世界へ発信していくことで、滋賀への観光誘客の促進に取り組んでまいりたいと存じます。  最後、7点目、ビューロー会長および知事としての決意でございますが、来年の東京オリンピック・パラリンピックや再来年のワールドマスターズ関西、また、「スカーレット」もそうです。「麒麟がくる」もそうです。ことし、数年はゴールデンスポーツイヤーズにあると同時に、さまざまなドラマ等が放送される、まさに天の時を迎えていると捉えています。  この天の時や、世界文化遺産比叡山延暦寺、琵琶湖などを有する地の利をしっかりと生かしていくため、人と人とがつながることで人の和をより広げ、観光の総合力をさらに高めていくことが今まさに必要だと考えているところです。  このため、びわこビジターズビューローの会長として、また滋賀県知事として、民間と行政のそれぞれの力を最大限発揮することで、この千載一遇、私の言葉では万載一遇の機会に滋賀の観光を力強く発信、また推進していきたいと存じます。  そして、「健康しが」ツーリズムビジョン2022の観光入込客数の目標6,000万人を前倒しで達成し、世界から選ばれる滋賀を着実につくり上げていく所存でございます。 ◎商工観光労働部長(森中高史) (登壇)滋賀の魅力発信について、私に対する4点の御質問にお答えいたします。  1点目の近年の観光客数の動向と経済効果についてでありますが、「虹色の旅へ。」などの観光キャンペーンの開催や、ビワイチ、世界遺産延暦寺などの滋賀ならではのコンテンツを活用した観光振興等に取り組んできた結果、本県への観光入込客数は平成23年以降増加しており、平成30年には、速報値で5,265万人と過去最高となっております。  また、観光消費額についても同様に増加しておりまして、同じく速報値でございますが、平成30年には1,799億円と過去最高となったところでございます。  観光関連産業は裾野が広く、本県経済に与える影響が非常に大きい産業であると認識しております。  今後もさらに、市町や民間事業者等と連携し、ビワイチなどの体験型観光や、健康長寿県である滋賀の暮らしそのものを体験いただく滞在型観光などを進め、観光客の増加と本県経済の発展に向け取り組んでまいりたいと存じます。  次に、2点目、外国人観光客の動向についてでございますが、我が国全体の8月の訪日外国人客数は252万人と前年同月比で11カ月ぶりのマイナスとなっております。これは、中国、台湾、欧米等からの来訪が堅調に推移する中、韓国からの来訪者が48%減の30万8,700人だったことが大きく影響しております。  本県の状況については、例えば、びわこビジターズビューローのホームページにおける直近1カ月の韓国語ページへのアクセス数を見ますと、前年同月比で30.5%減少し、特に韓国国内からのアクセス数が43%減少しております。  また、京都で運営を始めた「そこ滋賀」では、外国の方への滋賀県の案内件数でございますが、6月620件、7月1,117件、8月798件と推移しておりますが、韓国人に対する案内件数が、6月の23人、7月の29人から一転して、8月は7人のみと大きく落ち込んでいるところでございます。  次に、3点目の2つの観光キャンペーンで期待する観光客数や経済効果についてでございますが、まず、観光客数について、過去ドラマの舞台となった地域の実績によりますと、NHK連続テレビ小説の放送期間中の観光入込客数増加率は約6.5%、大河ドラマでは本県の「江〜姫たちの戦国〜」の実績では8.7%増となっております。  これらを踏まえて試算しますと、「スカーレット」に合わせて展開する「ほっと滋賀色」キャンペーンでは、観光入込客数を150万人の増、観光消費額を51億円の増としております。  また、大河ドラマ「麒麟がくる」と合わせて展開する「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」キャンペーンでは、観光入込客数を450万人の増、観光消費額を153億円の増と試算しております。  最後、4点目の「ここ滋賀」についてですが、来館者は、先ほど議員も御紹介いただきましたが、先日100万人を突破し、目標を上回る状況でございます。  売り上げについては、昨年度、約1億6,400万円となっており、目標に比してマーケットは118.6%、他方、レストランが68.4%でございまして、全体としては91.4%の達成率となっております。  これらによる滋賀県への波及効果については、5億7,500万円と試算しておりまして、目標に比べて65.8%となっております。  一方、滋賀の魅力を直接来館者に伝えるため、ほぼ毎日、さまざまなテーマで企画催事を開催しております。参加事業者からは、販路拡大につながったなどの声もいただいております。  ウエブやテレビ、新聞等に177件掲載されるなど、魅力発信については一定の成果を上げていると認識しております。  しかしながら、レストランの売り上げが目標に届いていないことは大きな課題の一つであり、新たなメニューの開発やカフェタイム営業の実施等により、改善を進めているところでございます。  また、商談会の開催等により、拠点外への販路拡大を図るとともに、今年度から配置した観光コンシェルジュの活用による滋賀へのいざない機能の強化も含め、さらなる魅力発信に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆40番(成田政隆議員) (登壇)ありがとうございます。  MaaSに関して、さまざまな取り組み、展開していただけることで期待したいと思っております。  先ほど知事も答弁されましたが、さまざまな地域における、公共交通におけるさまざまな課題を打破するためにも、やっぱりMaaSはすごく大事かなと思っております。  例えば、病院の予約から、また、家で病院の予約をして、公共交通機関、そういったものも全部アプリでやって、家まで、タクシーなり配車サービスで来てもらって、公共交通機関につなぎ、定刻の、病院の予約の時間に到着できるような仕組みづくりとかもできると思いますし、また、さまざまな形で健康分野においてもやっぱり注目されるものになってくると思います。  また、先ほどビワイチの話もありましたが、ビワイチのレンタサイクルもそうですし、ホテルの予約、また、滋賀県に来るまでの公共交通機関も、今のビワイチのアプリからさらに進化させて、MaaSのアプリとして組み込むことによって、1つの画面でいろいろな予約から、そして楽しんで帰ることまで一体的にできるようなサービスも展開できるのではないかと思いますので、ぜひともいろいろ研究していただいて、取り組みを行っていただきたいと思います。  いろいろとMaaSの中では、公共交通機関を生かしながら、さらにファーストマイル、ラストマイルを担うシェアサイクルや、超小型モビリティー、自動運転による交通サービスを組み合わせることによって、基軸となる既存の公共交通機関を生かしながら、全ての人が自由で安全に移動できる権利──移動権を有することにつながっていくと思いますので、ぜひとも取り組みを進めていただきたいと思います。  しかしながら、コミュニティバス等々の路線情報が十分でなかったりとか、ICOCAなどICカードや、また、今、QRコードの決済等たくさんありますが、どういったスマホのアプリを使うか、何を媒体にするかなど、また、統合する公共交通機関が一体どういったものなのか、サービスの質と量をどこまで求めるのか等々、さまざまなところも整理していかなければならないと思います。  そういった部分で一丸的にやっていかないといけないと思うんですが、ちょっと、「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」キャンペーンの中で、例えば明智光秀のゆかりの地を訪れたい、西教寺であったりとか坂本城址であったりとかいろいろ回りたいというときに、実はそれらを1つのバスで乗って回ることができない状況です。例えば、坂本城址だったら浜大津線、堅田から大津駅まで行っている江若のバスしかないですし、西教寺へ行くなら日吉台線乗っていかないといけないし、あと、比叡山延暦寺に行くならば坂本ケーブル行きに乗らないといけないので、やっぱりそういったものも1つで一体的に周遊できるようなものがなければ、どうしてもちょっと距離が距離だけに、遠過ぎて、歩いて移動することも難しいので、そういった部分もしっかり手だてを行っていかなければ、先ほど言われてました経済効果とか観光客数というものが、やっぱり、行ってすごい不便やったということは情報はすぐ回ると思いますので、そういったところにも手を入れていかなければならないのではないかと思います。  「スカーレット」とか戦国ワンダーランド、そういった部分の効果で、多分、経済効果、平成30年から見ると、観光客数6,000万人目指していただきたいと思いますし、経済効果も2,000億円目指していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  やっぱり、ちょっと、戦国ワンダーランドのキャンペーンの経済効果を高めるために、もう一つ踏み込んださまざまな取り組みをしないといけないと思いますが、ちょっと商工観光労働部長にその部分の対応に関する御答弁、再問させていただきたいと思います。 ◎商工観光労働部長(森中高史) 来年からの「麒麟がくる」、キャンペーン自体は10月から始まりますけれども、そういった中で、もう一歩踏み込んだ対応策というか、対策をということでございます。  キャンペーン自体につきましては、全市町と、それから事業者、それからもちろんビューローを含めて、関係者一丸となって、今現在、検討というか、実際、開始を予定しておるところでございますが、議員御指摘の交通の結節とかも含めて、しっかりと、いざ来た方が失望されないように。悪い情報は早く回るという御指摘もございました。今、済みません、ここで何かこういったことをというのを今言える状況ではございませんが、しっかりとキャンペーンに向けて、失望されないように、滋賀に来てよかったなと思っていただけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。 ◆40番(成田政隆議員) (登壇)ありがとうございます。  滋賀において本当に楽しい思い出を持ってもらえるような滋賀になるように頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、40番成田政隆議員の質問を終了いたします。  次に、27番目片信悟議員の発言を許します。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。それでは、2番目、どうぞよろしくお願いをいたします。きょう、一般質問に向けてスーツを新調してきまして、おろしたてでございまして、新しい気分できょうは質問に入らせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)ありがとうございます。  それでは、早速ではありますけれども、財政の健全化の取り組みについて、発言通告に従い、全て知事に伺ってまいります。よろしくお願いをいたします。  きょう10月1日は、いよいよ消費増税の初日でありまして、きょうも朝からコンビニへ行ってドリンクを買いましたら、2%オフということで、早速、軽減税率の恩恵をこうむってまいりました。この消費税がより国民の福祉向上にしっかりと役立つよう、これから政府初め内閣にはしっかりと私どもも求めてまいりたいというふうに思います。  また、加えて、ラグビーのワールドカップで今、日本が大盛り上がりで、ジャイアントキリングと言われておりましたけれども、私は、アイルランド戦には非常に日本のフィフティーンが組織立ってしっかり日本のラグビーをされ、結果的に当然のごとく勝たれたのかなという、そんな印象を持たせていただきました。これはしっかりとしたチームプレーの中でそういったものが生かされる、そういったことに感動を覚えながら、これからのトンガ戦や決勝ラウンドに向けての試合、頑張っていただきたいというふうに思います。  それでは、県当局におかれましては、令和2年度予算案に向けて、目下、積算、見積もりの真っただ中と推察いたします中で、財政の健全化、しっかりと問いただしてまいりたいというふうに思います。  また、県下各地、各市町、そしてまた各団体、そしてまた県民から多くの要望が寄せられており、そうした要望を1つでも多く実現するためにも、知事初め県職員におかれましては、この予算編成、しっかりと努力、よろしくお願いをしたいというふうに思いますし、あわせて、今、懸命に取り組んでおられますことに感謝を申し上げたいと存じます。  とはいうものの、本県の財政状況は決して十分とは言えず、先日の提案説明や代表質問、また、これまでの一般質問でもいろいろと触れられているとおり、財源不足への対応は喫緊の課題であり、各種施策の構築や実現に向けて、さらなる工夫や思い切った歳入確保策を講じる必要があると考えます。  私は常日ごろから、経営とは何かということを皆さん方に問うてまいりました。しかし、縦割りと言われる行政の仕組みは、異口同音に、連携や部局横串にと言いながら、その言葉とは裏腹に、経営にはほど遠いのが現実だと感じております。  これから先、まさに誰一人取り残さない滋賀県をつくっていくためにも、できない理由を考えるより、どうすればできるのかを考えなければ滋賀の未来は開けないという思いから、改めて、聖域を設けず、県民福祉の向上に向けて、財政の健全化の観点から質問をいたしたいと存じます。  その前に、昨日の知事答弁の中で、知事は県民からお預かりをしたお金というような表現をされました。これはまさしく、県民から預かったお金はしっかりと県民福祉の向上のためにという、そういう思いから発しられた言葉だというふうに認識をしておりますけれども、私にしてみれば、しょせん人のお金かというような印象を受けたことも事実でございます。自分のお金なら、きのうの杉本議員のやりとりの中であった国体の主会場のやりとりなんかを見ておりますと、もっと綿密にその事業遂行に当たっておられるはずだというのが正直な感想でございました。そうした思いもこれからしっかりと知事に問いただしていきながら質問をさせていただきます。  まず初めに、先日の我が会派の代表質問において財政健全化の取り組みについてただしたところ、「行政経営方針で定めた収支改善の取り組みをしっかり進める」と答弁をされました。  その中でうたわれている1つに県有資産の有効活用があります。その県が保有する土地や建物、賃貸や売却が可能な資産が全部でどのくらいあり、固定資産評価に換算するとどのくらいの金額になるのか、関連をいたしますので、あわせてお伺いをいたします。 ○議長(生田邦夫) 27番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  現時点で賃貸借や売却可能と整理しております県有地は約38万平方メートル、固定資産評価額等では約115億円と見込んでいるところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)それでは、そのただいまお聞きをいたしました38万平方メートル、115億円の評価、この資産、固定資産税としてはどのくらいの金額になるのか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 今お答えいたしました固定資産評価額等約115億円に、固定資産税の標準税率でございます1.4%を乗じた固定資産税見合いの額は約1億6,000万円となっております。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)今、1億6,000万円という固定資産評価ということでございますけれども、この算定された対象の土地というのに、さまざまそのとり方にもよると思うんです。当然、山地とか、山とかそういった評価の低いものから評価の高いものまでさまざまあろうかなというふうに思うんですけれども、それでも38万平方メートルに合わせてそういった評価額が出てる。これは非常に大きな金額であると思いますし、これをそのまま民間なら払い続けれてるという現実があります。そういったことを含めると、まさしく民間の感覚で経営という、そういった感覚から言うと、この1億6,000万、今の土地の評価で1億6,000万という金額を毎年これは払い続けてるという換算をすることについて知事はどういう印象、見解を持っておられるのか、改めてお聞きをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) まずは、そういう持っていながら使えない、十分価値を生み出せないものをできるだけ小さくしていく。したがって、売却をしていくということが基本になると思いますし、できるだけそういったものを、利活用を含めて考えていくということが基本になるのではないかと思っております。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)当然そういうことになろうかと思いますが、単純に計算してでも1億6,000万、10年間やったら16億になるわけですね。そういう、まあ言うたら、ちりも積もればじゃないですけど、ちりが積もったのを見たことがないとおっしゃる方もいはったけれども、そういう細かいことを積み重ねていくとそういう金額になるというのがやっぱり民間の感覚なんですね。  そういうことを思いながら、「小さくしていく」という御答弁がありましたけれども、じゃ、具体的にどういうふうに小さくしていくのかと考えたときに、私は、この行政経営方針で、「利用ニーズが低く、売却が困難な資産については貸し付けを検討する」と、こういうふうになっていると、書いてありました。それを私が読んだとき、まさしく逆じゃないのと。売れるもんこそ貸さなきゃいけない、売れないもんほど何とかして売っていかなきゃいけない。そうせんと、いつまでも売れないものを抱えているというこのリスクは、やはり後々にいろんなランニングコストも含めてかかっていくというふうに思いますので、そのあたり、それこそ、利用価値の高い不動産こそ売却でなく賃貸にすべき。逆に、評価の低いものほど貸し出していくということにすべきというふうに考えておりますけれども、知事の見解はいかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 今おっしゃったような考え方もあると思います。売れるものほど借りてもらうということですね。しかし、今現在、県では、まず、将来にわたって利用計画のない普通財産については、不要資産の圧縮、いわゆるスリム化の観点から売却に努めてます。  今後も財源不足が見込まれますので、さまざまな必要な条件整備を図りながら、少しでも歳入を確保するという観点からも、売却というものを優先させていきたいと考えております。  一方で、先ほども御指摘いただきましたけれども、その立地ですとか周辺環境はさまざまございますので、単に売却だけではなくて、貸し付けも含めて、それぞれの物件の特性に応じた最適な活用ができるように努めていきたいと考えているところです。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)今、売却というのは買い手がいるわけですよね。買い手がいる中で、僕は民間でいつも事業をしてたときに思うのが、余分な不動産の所有というのは経営に圧迫する場合があります、経営に圧迫する場合が。そうしたときにどうするかというと、やっぱり借りられるものであったら借りたいという、そういうのが今の時代に即した経営的な、いわゆる不動産、土地、建物に対する感覚だというふうに思います。  当然、どうしても売却して、自己の所有にしなければならない特別な事情があるのならともかくとして。逆に反対の考え方もありますよ。毎月賃料を払ったら、20年したら自分のものになるやないかという考え方もありますけれども、しかし、経済は生き物で、ましてこの消費税が上がって、これから先どういうふうな経済状況になっていくのか、また、これから先、オリンピック・パラリンピックが落ちついて、さまざまな、この間からの議論じゃないですけれども、そういった物価がぐーっと下がってきたときに、じゃ、企業はそれを持ちこたえられるだけというような感覚というのがいわゆる民間感覚なんです。
     そうしたときに、行政の持ってる不動産というのは、ほぼほぼランニングコストというのは特段にかからない、所有してるだけでありましたら。でも、民間の場合は、所有してるだけで、毎年それだけのコストがかかっていくということになれば、その部分を買うんではなくて、借りたほうが、借り手のほうが見つかりやすい。また、売却で、昨日の佐藤議員とのやりとりじゃないですけれども、さまざまな問題がリスクとしてある中で、そういったものを回避していく上でも、売却ではなくて、借りてその土地を有効利用していこうと。逆に県にしてみれば、貸して。売るのはいつでも売れるわけですよ、売るのは。僕は、そういった観点も含めて、売れるものは貸して、売れないものほど売っていったらどうですかということなんですけれども、いかがでしょうか。やっぱり先ほどの答弁と同じでしょうか。もう一度知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 僕、今、聞いてて、なるほどなと思うこと、たくさんあります。もちろん、持つと一時的な費用が発生する。もちろん売る側には一時的な収入が入ってくるということもありますが、それを払って、ある意味リスクを抱えて、買うよりも、少しずつ賃料を払いながら経済活動を営むという、例えばこういうニーズというものもあるではないか。また、民間の場合は持つことに対する負担であるとかコスト、リスクというものがあるので、もう少しこういうニーズを酌み取った活用の仕方を検討すべきではないか。私は聞いてて、そういう面もあるなと思っております。  現在は、県有地については売却を優先に考えておりますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、相手のあることですし、土地はさまざまでございます。経済状況もさまざま変化しておりますので、そういったものを捉えながら、先ほど御紹介いただいた行政改革の経営方針にもうたっておりますが、貸し付け等も検討しながら、その土地の有効活用を図っていく。持ってるだけでは県有地であっても何にも生み出さないわけですから、それをより生み出すような活用の仕方に変えていくという、この努力と工夫、さらには検討というものはしっかりと行っていきたいと考えております。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。その時々の、その物件物件にいろんな事情があろうかと思いますので、そのあたりをもう少し綿密にこれからも取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  それでは、次に、県有資産。今、具体的に賃貸借、また売却を計画、また交渉を行っているものがありますでしょうか。知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほどもお答えいたしましたが、現時点で売却可能と整理している県有地につきましては、活用に向けて、測量や所要の調査などの条件整備、また調査検討を行ってます。  とりわけ、令和4年度までの収支改善の取り組みの中で売却または貸し付けを見込んでいる財産につきましては、ちょっと今、具体的にどこのどの場所ということは申し上げられないみたいですけれども、計画期間内に条件を整備し、売却または貸し付けを行うよう、しっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)以前から委員会でありますとかいろんな場面で、こういうところはほんまに早いこと処分したほうがええんと違うんというような議論をさせていただきました。例えば旧近江学園の跡地でありますとか、南郷にあります。また、競艇場の第1駐車場、あんな遠いとこに駐車場を置いとかんと、もう少し近くで整備をして、あの場所を貸したらどうやとか、水産センターも土日、ゴールデンウイークはいっぱいやけど、ふだんはがらがらやんかと、あれ、何とかもう少し漁協とも連携しながらやったらどうやとか、そういったことを常日ごろから申し上げてます。  そういったことも含めて、やっぱり具体に一つ一つを潰していくというようなところで、そのスピーディーさというのは今後求められていくというふうに思いますので。今、答弁にもありましたが、具体的にはどこやというのは、今、交渉中もあり、いろんなことで支障が来すのであればあえて申し上げていただかなくても結構ですけれども、そういったところも含めて今後考えていただければというふうに思います。  それでは、次に行きます。  今後、高等学校など県所有の教育施設においても空き教室やとか、場合によっては学校がそのまま統合されるといったようなことも将来的には考えられるというふうには思います。これも放っておくと利益の損失と考えますけれども、こうした資産の活用を将来にわたってどういうふうに考えておられるのか、知事にお伺いをします。 ◎知事(三日月大造) 学校の空き教室を活用するという場合、まずは生徒の学習環境と安全の確保を第一に考える必要があると認識しています。  将来、県立学校において空き教室が増加した場合、学校運営に支障がないということを前提に、地域の事情も踏まえて、有効に活用できないか検討していく必要がある、また、可能性があると考えているところです。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)各地でそういった、27日も加藤議員でしたか、小中学校の校舎の施設のあり方ということをただされたというふうに思いますけれども、そうした、あるものをどう生かしていくのかということをこれからやっぱり考えていかないと、財源確保に向けた取り組みというのは十分ではない、これでも十分ではないというふうに思いますので、先ほども申し上げました、聖域を設けずに、こういったことも含めて取り組みをしていただければというふうに思います。  それでは、次に、湖国寮について伺います。  湖国寮については、この間から京都新聞でいろいろとシリーズで連載をしていただいて、別に合わせたわけではないんですけども、偶然そういったことで記事を読ませていただきましたけれども。  1954年に東京都文京区に男子寮として誕生した湖国寮、1960年に武蔵野市に移転し、現在に至っております。この間、多くの県出身者の学生さんが入寮され、勉学に励まれました。そして、ここで過ごされた多くの学生さんが首都圏を初め全国各地で活躍をされております。  私は、首都圏で学ぶ学生さんの支援は、将来、本県の利益に大きくつながるというのが持論であります。学んだスキル、また、積み上げたキャリア、そして、何より培ってきた人脈を本県利益につなげるためにも、湖国寮に対する支援を以前のように行うべきというふうに考えておりますけれども、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 湖国寮に対する県の支援ということでございますが、湖国寮に行っていた支援といたしましては、平成17年度まで湖国寮の建設借入金の償還および管理運営に対して補助金を交付してまいりましたが、旧湖国寮の閉鎖に伴い、廃止しているという状況でございます。  首都圏で学ぶ学生への支援は、将来、本県の発展につながるという議員の御意見は理解いたしますが、また、私自身も大変お世話になった寮で、いろんな思いもございますが、湖国寮に入居して学ぶ学生への支援、以前のような支援というのを、以前というのをどのような、どこまで指されてるかというのはまた議論があるのかもしれませんが、公平性の観点から慎重な検討が必要と考えているところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)結局、利益を生むのは人なんですよね。人を育てて、人がやっぱりそういうことに、例えば恩義を感じて、これを何とか返さなきゃいけないと思うことが公平公正の観点からいうと外れるのかもわかりませんけれども、これは、行く行くは多く県民に返ってくる、そういう私は思いをしてます。  現実に、今、「ここ滋賀」を支えていただいている東京県人会初めいろんな皆さんというのは、湖国寮に対する思いも十分深いものを持っておられる中で、ともどもにこの首都圏で、実際の財政面でありますとか、また、心のよりどころでありますとか、いろんな面でしていただいているのは在京の皆さんであるというふうに、この間からいろいろ関係者と話をしていると、そういう思いも伝わってきます。  そういうことをきちんとやってきたから、今そういう人たちが、「ここ滋賀」をしっかり盛り立てていかなきゃいけない、滋賀県を盛り立てていかなきゃいけないという思いでやっていただいていると。これ、単純に公平公正だけで一律に、何も行政の役割としてやってるだけで、じゃ、湖国寮で──だけじゃないとは思いますけれども、その一部、そういったことでその思いというのを伝えていくことによって滋賀県に対する思いがより深まって、何とか東京でいろんな人脈を駆使しながら。大体、湖国寮の建てかえのときはそうだったじゃないですか。そういう人脈を、首都圏で培ってこられた人脈でああいうのが新しくできて、その後も民間主導で湖国協会を中心にやっておられると。そういうこと、そういう人たちをやっぱり育てるのも滋賀県の役割かなと私は思いましたので。答弁協議のときに、これ、ゼロ回答ですと言われてます。何もできませんよと言われてますけれども、やっぱりその思いをしっかり伝えておかないと、皆さん方、東京で、「ここ滋賀」で情報発信だの何だのと言いますけれども、そこで支えてくれている人はどういう人たちなのかということに思いをはせると、これからの滋賀県にそういうものをいろんな形でフィードバックしてもらえる、そういう人材を僕はつくるべきだというふうに思いますので、それだけはお伝えをしっかりしておきたいというふうに思います。  それでは、ちょっとがらっと話は変わります。次に、市街化区域への編入によるまちの活性化について伺います。  市街化区域の編入については、市町の長期的な展望に立って行われてきたところでありますけれども、その手続については、必ずしも速やかに行われていないという私は認識でございます。特に湖南地域においては、長期的な展望を超えた開発の需要があるように感じます。  こうした中、地域の振興を図るための必要な市街化区域への編入は、市町の意見を聞きながら速やかに実行する必要があると考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 市街化区域と市街化調整区域につきましては、都市計画法に基づきおおむね5年ごとに行う基礎調査を踏まえ、各市町から変更案を受け、国との協議を経て、見直しを行っております。  県といたしましては、広域行政の立場から、各市町がみずからの地域にふさわしい都市計画が策定できるよう、市町や国、関係機関との協議に努めてまいりましたが、不測の時間を要した場合が多くございます。  今後は、各市町の意見を十分尊重し、国との協議を進めながら、さらにスピード感を持って市街化区域の編入ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)では、次に、市街化区域において、おおよそ保安林の指定にはそぐわないにもかかわらず、保安林に指定されているところが散見されます。以前には瀬田の神社、鎮守の森が保安林に指定されており、手がつけられないと勘違いをされた地元の方がいらっしゃいましたけれども、あげく台風で樹木が倒れて被害が発生した、こういうようなこともございました。また、同じ瀬田においても、これはどう見ても保安林の要件を満たしていないところで無用な指定がされている場所も見受けられます。このほか、県内各地でそういったことが散見がされます。  こうした機能を有していない保安林の指定解除について、速やかな活用と事業推進をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 保安林制度は、県民の暮らしを守るため、水源の涵養や山地災害の防止など、特に重要な役割を果たしている森林を指定し、伐採や土地の形質の変更などの制限を行っているものでございます。  保安林は、制度の趣旨から森林以外の用途に転用することは抑制されるべきものとされておりますが、公的な土地利用計画に即し、その土地以外に他に適地を求めることができない用地事情があるなどの要件を満たせば、転用が可能であるということでございます。  本県の保安林は、ほとんど国により指定されたものであり、県といたしましては、こうした保安林制度を県民や事業者の方々に丁寧に説明するとともに、転用に当たっては国との調整に努め、今後とも保安林制度を適切に運用してまいりたいと思います。  と読みましたところ、先ほどの質問からいくと、そういうことじゃなくてということだと思いますので、その保安林がきちんと保安林としての役割を果たしてるかどうかも確認する作業は怠らずにやりたいと思います。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)そんたくいただいて、ありがとうございます。  実際にそういった無用な国の指定が経済活動を阻害するといった側面もありますし、当然それは県民の生命、財産を守る、そういった意味合いの部分というのは、これはきちんと守っていかなきゃいけない、これはそういうふうに思います。  そういった中で、そういったことが見受けられるということなので、市町や事業者、地元、さまざまな皆さんの御意見を聞きながら、県として、どちらかというとストップをかけるんじゃなくて、本当にこれが適切に指定されてるのかどうか、そうでなかったら速やかにそういったもので前へ進めていく、そういった取り組みをぜひとも進めていただければというふうに思います。よろしくお願いをいたします。  ちなみに、び文公園の保安林も、27日、駒井議員でしたか、土地開発公社の問題で取り上げられましたけど、あんなんでも、僕はグリムの森のようにマウンテンバイクのコースをつくったり、そういったことで活用できて、あそこが、まあ言えば、伐採して開発するんじゃなくて、そういう自然の中で、そういったものでスポーツやとか健康に供するものに利用したらええのになということは感じておりましたので、そういったことも御参考になればぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  それでは、次に、ネーミングライツについてお聞きをいたします。  これもまた行政経営方針において財源確保策として示されておりますが、現状、余り熱が入っていないのではないかと感じます。  これまで県の姿勢を見ておりますと、売れるものより、売りたいものを押し売りしているように見えます。  例えば、びわ湖ホール本体や琵琶湖博物館は言うに及ばず、近江大橋や琵琶湖大橋など募集してはどうかと考えます。これまでネーミングライツに取り組めていないものについても、もっと積極的に取り組むべきではないかと考えますが、県の本気度を伺います。 ◎知事(三日月大造) もっと積極的に取り組むべきではないかという、最後に強くいただいた御指摘には私も同意いたします。同意というか、しっかりとやらなければならないと思います。  ちなみに、ネーミングライツにつきましては、昨年度、新たに3件の成約があり、契約期間満了により再契約いただいたものを含め、計8件について契約いただいているところでございます。  問い合わせ先を一元化いたしました。施設の特徴や利用者層を紹介するツールも作成しながら、各部局間で連携して、企業訪問やイベント出展等を通じて、積極的にPRも行ってきております。  現在、複数の企業と事前協議や現地確認も進めておりまして、丁寧に広告ニーズや社会貢献への思いなども酌み取りながら関係を築き、成約につなげてまいりたいと考えております。  さまざまな機会を捉えて引き続きPRしていきたいと思っておりますし、これまで募集していない活用可能性のある施設等も含めて提案していくことを検討しながら、実績を重ねてまいりたい。また、昨日来御指摘いただいておりますが、その持ってる価値を十分に価格に反映させていただく、そういった取り組みなども重要だと思いますので、あわせて行っていきたいと思います。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)高く売るように、より高く売るように、その取り組みは。結果はやっぱりお金ですから、高く売れんことには歳入確保にはつながりませんのでね。これやから売れるというそんな安物売りみたいなことをせんと、高く売れるようにぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  次に、行き過ぎた外来魚駆除によってフィッシングなどの観光産業が衰退しているとの指摘があります。釣りなどによる琵琶湖でのレジャーが観光振興につながり、結果、事業者の利益となり、法人税等、他の事業者に波及することも考えられます。  しかしながら、電気ショッカーボートによって、釣り客のそばで電気ショックによって捕獲をされるなど、こうした釣り客が琵琶湖を敬遠されている、こうしたことによって琵琶湖を敬遠されているという話も仄聞をいたします。  もちろん在来種を守るための取り組みということは理解できますけれども、こうした取り組みによって駆除される外来魚は年間どれくらいなのかお伺いをいたします、知事。 ◎知事(三日月大造) 電気ショッカーボートによる外来魚駆除は、平成23年度から、主に魚食性の強い大型のオオクチバスの駆除を目的として実施しておりまして、その駆除量は年間約4トンから12トンでございまして、直近の平成30年度では約10トンということでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ちなみに、これは電気ショックでばーっとしてしびれさせて、浮いたやつをすくって回収するというような手法というふうに聞いておるんですけども、例えばこれで在来種というのは、この電気によって弱るということで、在来種も電気によって弱るということになろうかなと思いますけれども、在来種はどれくらい、それじゃ、死んでるんでしょう。死んでないんでしょうか、知事。 ◎知事(三日月大造) 私は見たことないんですけど、聞きますと、電気ショッカーボートによる外来魚駆除は、電気により一時的に麻痺した魚の中から、今おっしゃったように外来魚のみをすくい取るものでございまして、在来魚等の駆除対象外の魚は、しばらくすると、もとに戻って泳ぎ去るということでございます。  その意味で、在来魚への影響については、水産試験場が調査もしており、短期的にも長期的にも影響がないことを確認をしているところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)先ほども触れましたけれども、釣りレジャーによる来県者は、これまでに年間90万人とも100万人とも言われておりました。現在では半減しているということであります。  先日、現役の漁師さん、またボート業界の関係者の皆さんとの意見交換の中で、琵琶湖での漁とスポーツフィッシングは両立できるという認識で、共存共栄の道を探るべきだという御意見をいただきました。  もちろん異を唱える方もおられると承知しておりますけれども、いま一度、琵琶湖の現状を再認識し、条例によるリリース禁止を限定的に、例えば土日は解除するといったことを試験的に行い、釣り客にも琵琶湖を活用してもらうと。その検証を行ってはどうかというふうに考えますけれども、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、釣りをする皆さんに琵琶湖を活用していただくこと、これは非常に重要であり、また、可能性もあると考えておりますが、琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例は、その制定に当たりまして、よく御案内のとおり、全国的に大きな議論を呼びながら、多くの人の多様な意見を集約した上で定められたものでございまして、外来魚のリリース禁止は現時点においても琵琶湖固有の生態系の保全に向けた施策として必要であると考えております。  したがって、御提案ございましたが、限定的、試験的でありましても、リリース禁止を解除することは難しい、やるべきではないと考えているところでございます。  むしろ、そうしたルールを守りながら琵琶湖を活用し、かかわる人々をふやしていくことが重要ではないかと考えています。その意味では、近年、釣り人の団体による琵琶湖の清掃活動でありますとか、釣り具メーカーの団体による漁港における湖底清掃活動など、それぞれの立場を超えた琵琶湖保全の取り組みの輪が広がりつつありまして、大変心強く思っており、こういった取り組みの輪をさらに広げていきたいと考えているところでございます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)おっしゃることはごもっともというふうに思います。でも、現実と見ますと、琵琶湖畔で釣りをしてはる人にバケツを持ってはる人とか、魚を入れるびくというんですか、あれを持って歩いてはる人ってほとんどいないんですよね。どうしてはるのかなと思うんですわ。回収ボックスもそれほど回収量が多いようにも聞いておりません。ということは、条例違反をされてるわけです、皆さん。楽しみたい人からすれば、条例違反してやってるのは何となく気が引けるなというのは当然ありますよ、現実として。やっぱりそういう部分からいうと、琵琶湖を離れていってる釣り人が多いというのは、そういった部分でやっぱり制約をされてる中で、悪いことをしてるという感覚でするよりも、堂々とやりたいなと思うのが僕は人情やというふうに思いますので。それは、県の立場とすれば、そういうことをおっしゃるのは理解はできますけれども、現実は、ほとんどの方がリリースをしてやってはるというのが現実であるということ。ただ条例をつくって、条例がありますよと言うてるだけでは、実際にそういったものが実効性のあるものでないということは御認識をいただければなというふうに思いますし、また、そういったことで釣り客との、いわば共存なんていうのはなかなかやっぱり厳しいん違うかなというのは今の答弁で聞いてても感じました。  さりとて、そうは言うものの、今、リリース禁止ということで県がやっておられます。現実に何人かの釣り人が来られて、そしてまた、釣った魚を回収ボックスに入れられておる方もいらっしゃいますけれども、実はこの回収ボックスも夏場になると悪臭がすると言われるんです、琵琶湖畔を歩いてると。琵琶湖畔で琵琶湖の景色を楽しんだり、いろんなことを。藻だけじゃなくて、そういった回収ボックスも含めてその悪臭に悩まされるというのが現実であります。  こうした現状をしっかりと認識をしていただきながら、琵琶湖の活用を推進し、来県者の増加によって財源の確保を積極的に進め、保全に向けてのその財源を活用していく、そんな仕組みづくりを目指すべきと考えますが、先ほどの知事の答弁から言うと、あんまりちょっと期待できないかな。知事、見解をお願いします。 ◎知事(三日月大造) そんなことをおっしゃらずに聞いてください。  琵琶湖保全再生計画においては、琵琶湖を守ることと生かすこととの好循環の推進を重点事項としています。議員御指摘のとおり、釣り客を含む多くの皆さんに琵琶湖を活用していただきながら、その受益に対する負担を財源として、また、保全再生に向けて活用していくというこういう視点、これは大変重要なものであると考えています。  このため、現在、琵琶湖の持続可能な活用に向けて、環境への負荷や利益の享受に対する適切な負担や貢献のあり方、仕組みを検討しているところでございます。  負担や貢献というものにつきましては、例えば税、例えば有料化、例えば協力金、例えば寄附金といった金銭的なもののほか、レジャー利用者による清掃活動といった人的な貢献など、さまざまな形態が想定され、また、多くの方々とのかかわりもありますことから、今後とも慎重かつ丁寧に議論、検討を進めてまいりたいと存じます。 ◆27番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、最後になります。  財源確保策というのは数限りなく可能性としてはあるというふうに思います。もちろん歳出面による無駄を省くということは、これは言うに及ばずですけれども、やはり入ってくるものがなければ、さまざまなそんな事業が展開できないというこの現実がある。そういうことは私が言うまでもなく、皆さん方よく御承知だと思います。  再度、この財源不足の解消のために、今からでもできることを、しっかりとその方向性を打ち出してもらいたいというふうに思いますけれども、いま一度、先ほど冒頭でも言いました、民間はお金のやりとりで命のやりとりをしてるんです。例えば、さっきの固定資産税も含めて、それを払わなければ差し押さえを食らう。例えば、利益が上がらなければ会社は潰れてしまう。会社が潰れるとどうなるか。従業員が路頭に迷う。経営者は言うに及ばず。  そういうことが、例えば県内で多くそういう事例が出てきますと、それこそ、歳入確保どころか、やはりマイナスのほうへと行ってしまうと。そういう現状を踏まえて、しっかりと人を育て、そしてまた、企業を育てることが、この県がこれからさまざまな社会福祉やそういったもの、県民サービスを向上させる上での、そのもとなんだということをやっぱり忘れてはいけないというふうに思います。  そうした中で、その意思決定の最高機関である県政経営会議、これがそれに当たるというふうに思うんですけれども、これが本当に機能しているのか。聞くところによると、議事録すら残っていない。そんな会議が本当に機能しているのか、そういったことも含めて知事の認識を最後に問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) まず私たち、私を初めとする幹部の意識、こういったものをしっかりと改革していくと同時に、そういった会議体でありますとか、つくっていく諸施策、こういったものに経営的な観点をしっかりと埋め込んでいく必要があると思っております。  経営会議の存在がどうなのか、機能を十分しているかといったようなこと。まだまだ不十分なことはあろうかと思いますが、全体最適を実現していくためにしっかりと取り組んでまいりたいし、まだ至らないところはしっかりと改善をしていきたいと考えております。  財源確保につきましても、きょうさまざまお取り上げいただきましたが、この会議の重要な議題の1つでございまして、国からいかにとってくるのか、いただくのか、また、歳入確保をいかに図っていくのか。きのうもお取り上げいただきましたが、マザーレイク滋賀応援寄附等、こういったものを見直しながら、どのように御厚志を賜っていくのか、また、先ほど申し上げました琵琶湖に関する負担と貢献のあり方、今後は交通に係る財源をどのように私たち県民で負担、分担していくのかなど、さまざまなテーマについて部局横断的に議論をしていかなければならないと考えております。  とりわけ、財政健全化に向けては歳入確保の取り組みが大変重要でありますので、きょういただいたさまざまな御提案もいま一度我々でそしゃくしながら、なおできることがないのかということについてしっかりと考えて取り組んでまいりたいと思いますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。 ◆27番(目片信悟議員) ありがとうございました。終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、27番目片信悟議員の質問を終了いたします。  次に、11番黄野瀬明子議員の発言を許します。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇、拍手)私は、まず、豪雨に対する県の治水について、知事と土木交通部長に伺います。一問一答方式で伺います。  近年、毎年のように豪雨が各地で発生をし、大規模な川の氾濫で住民の命が失われています。千葉県の台風被害も深刻であり、一刻も早い復旧を願うものです。滋賀県でもそうした豪雨にどう対応するかが課題となっています。  私は先日、昨年7月の西日本豪雨災害で河川が氾濫し、51人が犠牲となられた岡山県倉敷市真備町に調査に行ってまいりました。真備町では、1年以上たった今も、傾いた家が残り、建物の壁に泥水につかった跡が残っていました。  氾濫した小田川のすぐ脇に住んでいた90代の男性は、「濁流が自宅の2階の上まで押し寄せ、一緒に住んでいた息子夫婦の力をかりて窓から出て、屋根の上で救助を待った。夜中で、黒い水がみるみる上がってきて、生きた心地がしなかった」と言います。木造の家は、畳や家具、思い出の詰まった着物も泣く泣く処分し、泥で茶色くなった壁や天井をようやく拭き取りましたが、柱以外は使うことができないといいます。高齢ということもあり、家を建て直す見通しはないといいます。  同じ状況で災害公営住宅に住む方も多いといいます。1年たっても自宅に住めない住民の声を切実にお聞きしました。  堤防の決壊で最大浸水5.4メートル、見渡す限り一面海のようになり、近くのJRの高架下あたりまで水が上がったと聞いていましたので、氾濫をした一級河川の高梁川と小田川も見てまいりましたが、その水位の低さにびっくりしました。ちょうど野洲川を連想するものでありました。地元の人も「今の流れがふだんの水位で、あんな大量の水が一体どこから来たのか」と言うほど想像できない洪水でした。こうした雨は滋賀県にも降ると考えなければなりません。  真備町で氾濫した高梁川水系は、支流を含む河川整備が追いついていませんでした。河道に土がたまって河床が高くなっていたり、大きな木が生い茂っていたりして、河道に押し込めるはずの水流量でさえおさまらないという状況でした。  現在、岡山県では、国の災害復旧の国費も入り、一気に河川整備が進められているようです。現地の方々からはなぜもっと早く河川整備ができなかったのか、こういう嘆きの声が聞かれました。滋賀県でも同じ状況ではないでしょうか。早期に対策をしなければいけないと思います。  現在、県内の河川は、今の計画である10年に1回の確率で降ると想定する降雨に対し、どれだけの河川整備ができているのか、土木交通部長に伺います。 ○議長(生田邦夫) 11番黄野瀬明子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)お答えいたします。  平成30年度末の時点で、滋賀県で10年に1度の降雨である時間雨量50ミリ相当に対応する河川の整備率は55.9%となっております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今答えていただきました10年に1回の確率で降る降雨規模というのが少しイメージがしにくいので、真備町に降った西日本豪雨の規模と比べて、どういう規模なのかについてちょっとわかりやすく説明ください、土木交通部長。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 真備町の事例は非常に大きな雨でして、ちょっとまだ、これ、計算できてないと思うんですけども、確率年でいくと100年超過するような雨だったと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)お答えをいただきました。真備町で氾濫を起こした西日本豪雨よりも小さい規模の降雨に対する河川整備というのが今進められていると。その到達率がまだ6割も満たしていないということであるというふうに思います。  それでは、そういう状況のもとで、県内の主要河川において、水防法に基づいて、今、洪水浸水想定区域を指定をされております。どれほどの浸水被害が想定をされているのか、土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  水防法に基づき、県管理河川のうち、流域面積が大きく、洪水により相当な被害を生ずるおそれがあるものとして、洪水予報河川と水位周知河川に指定した15河川について洪水浸水想定区域を指定しているところでございます。
     このうち、琵琶湖を除く14河川を対象として、100年に一度の降雨で氾濫した場合に想定される浸水面積を合計いたしますと、約310平方キロに及び、この範囲に居住する人口を合計いたしますと、約29万人と想定されます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)100年に1回確率で降る雨を想定したということで、まさに真備町で降った西日本豪雨災害に匹敵をする近い規模ということだと思います。  それで、今の河川の整備状況、6割に満たない状況のもとで、29万人もの方々に浸水被害が及ぶということで、大変深刻に思うところでございます。  日本共産党滋賀県地方議員団が8月、政府要望に行きました。河川整備を一刻も早く進めるべきで、整備予算の増額を求めてきました。  知事に今度は伺います。真備町で起こった水害は滋賀県でもあり得ると考えなければなりません。これほどの被害が想定をされている現在の河川整備の到達率6割に満たない、この状況というのは余りに重大であり、一刻も早く進めるべきだと思いますが、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)議員御指摘のとおり、現在の整備状況が約6割に満たないと。まだまだ低く、洪水浸水想定により甚大な被害が想定されている状況でございますが、平成25年台風18号や西日本豪雨などによる大きな被害や雨の降り方の変化を目の当たりにし、今まで以上に河川整備の必要性を強く感じているところでございます。  河川整備5ヶ年計画に基づき、着実かつ計画的に事業を推進しているところでございますが、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の臨時特別措置など、さまざまな予算を確保しながら、事業のさらなる進捗を図り、一刻も早く県内の治水安全度を高めてまいりたいと存じます。  また、その間におきましても、そこに到達しない間におきましても、ソフト対策を含めて、両面で治水安全度を確保する、こういった取り組みも必要ではないかと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今の計画に基づいて進めると。一層深刻に思っているという御答弁もありました。ぜひとも、5ヶ年計画に基づいて着実に行っていただいているということでございますが、ことしにもそういった豪雨が降り得ると、そういうことを念頭に置いて早期の完成ということを目指していただきたい。計画を早めるということも含めて進めていただきたいというふうに思います。  次の質問に行きます。  しかし、もっと恐ろしいのが堤防の破壊ということです。今、土木交通部長から、現在の整備の状況では29万人の方々に、あの西日本豪雨のような降雨があった場合、影響が及ぶという深刻な被害想定が示されました。  しかし、この洪水浸水想定区域の指定の条件には、支川の決壊による氾濫は条件に含まれていません。この浸水想定区域の予想図と、区域図というものがありますが、この中に説明文がありまして、なお、このシミュレーションの実施に当たっては、支川の決壊による氾濫などなど、こうしたことは考慮していませんと、このように書かれてもおります。  今のこうした洪水浸水想定の規模、これは堤防の決壊が起こらないということを条件として想定をされております。そもそも、壊れにくい堤防をつくるという考え方が滋賀県の河川整備計画に位置づいているのかということについて、まず土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  本県では、平成20年10月に取りまとめた滋賀県中長期整備実施河川の検討結果の中で、壊れにくい堤防補強対策の検討を行う55河川を選定し、おおむね20年間の計画である各圏域の河川整備計画に位置づけているところでございます。  この55河川のうち、これまでに緊急性の高い24河川で検討を行い、優先的に対策をする河川を19河川、要対策延長を50.1キロとしているところでございます。  また、令和元年度から河川整備5ヶ年計画の中で、河川改修とともに堤防強化対策を実施する河川として、19河川のうち11河川を位置づけております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)その進捗は今どうなっているんでしょうか、土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  優先的に対策する19河川、要対策延長50.1キロメートルのうち、平成30年度末で15河川の約13キロについて遮水矢板工、遮水シート工、ドレーン工などの対策工事を完了しているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今の目標に対しても、まだ道半ば、着手したところという状況であるというふうに思います。  この堤防の強化なんですけども、堤防を乗り越えた水流が堤防を削るという越水破堤、これを防ぐということも目的にしているのかどうか、土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  現在、本県では、越水破堤対策のみを目的とした整備は行っておりません。しかしながら、先ほど述べましたように、壊れにくい堤防補強対策は約13キロ完了しており、壊れにくい堤防対策として、浸透に対する対策を行っており、その工法であるドレーン工法や遮水シート工などは、越水した洪水により堤防が侵食される被害を軽減できると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)真備町で氾濫が急激に深刻になった、この要因は越水破堤やったんです。高梁川の水位が上がって、そこへ流れ込む小田川が流入することができなくなった。その小田川に流れ込めなくなった支流でバックウオーターが起こって、大規模な決壊につながった。水流が堤防を乗り越えて、堤防を削る、川の裏側から堤防を削る。そこで破堤が起こったということで、一気に家を押し流す、そういう状況になりました。  大きな河川である高梁川や小田川には一定の整備がされていたということですけれども、支流については堤防の補強というのは全くされていなかった。昨年の豪雨で越水破堤をした8カ所というのは、全てそうした補強がされていない支流で起こりました。  真備町では、このような越水破堤を起こさないために、今、決壊した箇所に対して堤防補強工事が急ピッチで行われています。堤防の幅を厚くするとか、それから、河川の側だけでなくて住宅の側、その面をコンクリートで補強するという工事です。  国が管理する河川の堤防が壊れた原因の7割から8割が越水によるものだったということであります。多くの人命が失われる一番大きな要因が越水破堤です。越水破堤にしにくい堤防をつくるということが重要だと思いますが、その重要性についてどのようにお考えなのか、土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  越水対策として、どのような場所で、どのような対策が有効か判断が難しいところがあり、さまざまな研究が全国で進められているところでありますが、議員御指摘のとおり、越水しても破堤しにくい堤防補強は大変重要だと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)例えば、私、大戸川を調査に行ったんですけれども、堤防の補強については、先ほど言われました10年に1回の確率で降る降雨、これを想定しての計画水位までコンクリートで補強されているという状況でありました。  しかも、河川の側だけになっているところが少なくありませんでした。特に大戸川に合流してくる天神川、この堤防はコンクリートの補強、これは大戸川と同じく計画水位までということですけれども、その上は土だけの堤防、随分と高い堤防でありました。その天神川に沿って住宅がかなり並んで建っているところもあります。河川の外側、人が住んでいる側には何ら補強はされていませんでした。  同様に、同じく大戸川の支流である宮川についても、同様に越水破堤しにくい補強というものは見られませんでした。  堤防が高いだけで補強がされていない、こういうことになれば、受ける水流は、量は多くなる。しかし、その量があふれて、外側からその水流の力で堤防を破壊をするということになった場合に、より大きな破壊力になるということであります。  そういうことを考えますと、この堤防を乗り越えるような降雨がこれから有り得るという中で、この越水破堤をしにくい堤防補強を進めるべきではないかと思います。土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  越水しても壊れにくい堤防につきましては、先ほども答弁いたしましたように、現段階ではさまざまなところで検討が進められておるところでございますが、技術的な手法が確立されていないところでございます。国や他府県の動向を見ながら、順次、有効な対策を見出し、対応してまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)技術的な手法が確立されていないという御答弁でありました。しかし、旧建設省は1975年から、この越水破堤をしにくい堤防補強構造というものを研究をしております。1980年代の後半から、その研究をした構造で全国の9つの河川で実施もされております。その結果を踏まえて、2000年にはその成果をもとに河川堤防設計指針と、こういうものに、破堤しにくい構造ということで、全国に普及をするために関係機関に通知をしておられます。ですから、既に確立された技術、しかも、今の豪雨に対して備えるべき重要な工法であるというふうに思います。  越水破堤しにくい堤防といいますと、大体1メートル当たり50万から100万ぐらいというふうに想定されるそうですけれども、ダムやスーパー堤防よりも比較的安価、そして短い期間で河川の安全度を高めることができるということで、まさに今求められている、そうした河川整備の手法ではないかというふうに思います。その点について、再度、土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 確かに手法としてこういうようなのがあるということは、今、議員御指摘の文献等で確立されてますが、それを、どの場所で、どれだけの規模でやるかということについて明確な技術的な手法が確立されていないということでございます。  例えば、堤防のところにコンクリートを張る手法であるとか、それから、のり尻のとこにドレーンをやって水を流す手法であるとか、いろんなパターンがありますけども、それぞれの河川によってどの工法を採用していくかというのがなかなか難しいところでございます。  それにあわせまして、また従来からやってきました堤防をあふれさせないような、川側の堤防の護岸であるとか、そういうようなのも重要でございますので、今後どのようにしていったらいいか、もう少し県内の川で研究してまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひとも、今のいつ起こるともわからない豪雨に対して、そうした越水破堤しにくい工法、県内でぜひとも検証し、実行していっていただきたいということを思います。  次の質問です。  真備町の被害を大きくした要因として、今、検証が行われているのが、高梁川上流にある中国電力の発電目的の新成羽ダムなどの緊急放水、そして、岡山県が実施主体の治水目的のある河本ダムが満杯になり、洪水調整機能を失ったことがあります。下流の水位が下がり切らないうちにダムの容量が満杯に達し、放流を行ったために、下流の急激な水位の上昇によって支流のバックウオーターにつながったと考えられます。  ダムが上流で雨水を貯留している間は、下流の住民が川の状況を危機的に感じることはありませんでした。下流域の降雨も住民の肌感覚として、これぐらいの雨だったら大丈夫、こう思うようなものだったといいます。しかし、いよいよダムの容量が満杯になり、放流を行うことになってからわずかの時間で見る見る増水し、堤防決壊に至り、逃げる必要を感じたときにはもう濁流に囲まれていた、こういう状況でございました。  ダムがあることによって被害が大きくなった事例はほかにも幾つもあります。ダムの効果は、想定内の雨量には効果がないわけではありませんが、想定外の雨量に対しては効果がなく、むしろ河川整備や越水破堤しにくい整備が進んでいない中では、逆に氾濫を深刻にする事態となります。  大戸川ダム建設をきっぱりと中止し、河川整備や越水破堤しにくい堤防の整備こそ早急に行うべきではないか。知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、河川改修、堤防強化、これらは重要な治水対策であると認識しています。  議員も御指摘いただきましたが、雨の降り方が変わってきている、そして降雨量もふえてきている、いつどこで河川の流量断面を超えるそういう雨が降るかわからない状況になっている、こういうことが現実だと思います。  その上で、河道断面を広げる取り組み、これらを不断に県内各河川で行っていると。河道断面を広げるためには、幅を広げるか、底を低くするか、または堤防を高くするか、こういうことが手法になってこようかと思いますけれども、それぞれにメリットやデメリット、また、時間やコストのさまざまなかかわり合いがあるということだと思います。  かつ、河川整備は、御案内のとおり、上流、中流、下流それぞれにおいて、また、その関係性により、河道の拡幅ですとか築堤──堤をつくっていく、また、放水路をつくっていく、ダムをつくっていくなどの洪水調節施設等、複数の対策案について、その安全度やコスト、実現性等の比較検討によって、最適な組み合わせを選定しながら実施していかなければならないものだと考えています。  お取り上げいただきました大戸川ダムにつきましては、淀川の治水安全度向上を目的として計画されているダムでございます。国が複数の対策案について検討、検証した結果、ダムが有利と判断されている、そういうものでもございます。  これを受けまして、県では、ダムを前提とした大戸川の河川整備計画を定めているところであり、この整備計画に基づいて、大戸川においてはこれまでからダムに先行して河川改修や堤防強化も進めてきたところでございます。  とはいえ、現在、その進捗も一定図られ、その完成も見えてきたことから、その先のさらなる治水安全度を高めるために、本県としては、大戸川ダムは必要である、早期に整備をされるべきだということについて、国の事業ではありますけれども、国に求めているところでございます。  同時に、河川の改修やダムをつくることなど、川の中の対策だけでは防ぎ切れない洪水も想定しながら、例えば避難体制の構築でありますとか家屋のかさ上げなども促進するなどの川の外の対策もあわせ、あらゆる手段を講じて被害を最小限に抑えていく、そういう取り組みをこれからも進めていくことが重要であると認識しているところであります。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ダムについて以外のところはぜひ進めていただきたいというふうに思います。  しかし、先ほど申しましたように、ダムが豪雨に対して有効かということについて言えば、全国各地でさまざま被害を深刻にしたという事例があります。そこをぜひ直視をしていただきたいというふうに思うわけです。  例えば、愛媛県の肱川、この氾濫はダム偏重行政が招いた水害やと。ダムを建設することに巨額の税金がつぎ込まれて、河川整備は後回しになった、そういう状況のもとで起こった災害でありました。  ダムそのものについても深刻な環境破壊がある、そういうことも固有の弊害があるというふうに思いますが、この今の、今いつ起こるかわからない豪雨災害、これに対応するということについてもダムは有効ではない、むしろ危険ということがはっきりしたというふうに思います。  巨額の税金をつぎ込む、こうしたダム建設に傾注するのではなく、今、一刻も早くやらなければならない河川整備、これが今の県の計画でも6割にも満たしていない。しかも、越水破堤、これが深刻になるということが全国の事例で明らかになっている中で、そこにはまだまだ着手もしていない、そういう状況であります。  ぜひとも、ダムに頼らない治水。滋賀県には全国に勧めるべき流域治水と、そういう手法があります。建設規制を行うこと、それから遊水地、そういうものを研究していくこと、避難計画も進めていく、そういうことも含まれておりますけれども、そうしたことを進めることこそ必要だと思います。  改めて、ダム建設はきっぱり中止すべきということについて知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) それぞれの費用、また、それぞれの時間軸の中でどのように治水対策を講じていくのか、施設をつくっていくのか、これはそれぞれの水系ごとに千差万別あると思います。いろんな状況もあるでしょう。山の状態、地形、さまざまございますが、平成21年でしたか、全国で進捗中のダムについて検証しようと。そして、ほかの案がないかということも比べながら、中止になったダム計画もあります。そして、それでも、比較検討の結果、つくるべきだと判断されたダムもございます。大戸川ダムについてはその1つでございます。  さらに、県では昨年度、これまで県内に降った最大の雨量に加えまして、県外で降った、例えば平成27年の関東、鬼怒川が決壊した雨、さらには平成29年の九州北部にたくさん降った雨、そして昨年、お取り上げいただいた小田川決壊した西日本豪雨の雨なども、この県内、大戸川流域に降った場合どういうことになるのかということを検証させていただきました。  さまざまな結果があるんですけれども、ダムをつくることによって氾濫を防げる、そういう効果も確認できましたし、確かに計画規模を超えた場合に、異常洪水時防災操作、すなわち、入ってきた量をそのまま流さなければならない、こういう操作をしなければなりませんけれども、その場合においても住民の皆様方が逃げられる時間を一定確保することができるという、そういう効果も確認させていただいてるところでございます。  したがって、県民の命を守る観点、県内の河川の治水安全度を高める観点から、国の事業ではありますけれども、淀川全体のことを思考して計画されているダムではございますが、県の立場としても、このダムというものは早期に整備されたしということを県として表明させていただいているところでございまして、恐らく根底でお考えになっていることと言っていることは相通ずる面があると思うんですけれども、もちろんダムの全てが、ダムだけで全ての治水安全度が守られるわけではございません。先ほど来お取り上げいただき、私も申し上げているソフト対策、逃げ方、住まい方も含めて、あわせてとっていくことが重要だと思いますが、必要なダムについてはしっかりと整備していく、こういう姿勢も持つべきではないかと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)私は、まだ議論は平行線だなというふうに思っております。  次のテーマがありますので、行かせていただきます。  次は、幼児教育・保育の無償化と保育の質の確保について、一問一答方式で知事に伺います。  きょう10月1日から幼児教育・保育の無償化が始まります。しかし、無償化といっても、対象は認可保育所や幼稚園の3歳から5歳の子供の保育料だけ。ゼロ歳から2歳の子供の保育料は無償化ではなく、減免対象が少し拡大される限定的なものです。しかも、消費税を10%に引き上げることとの引きかえであり、保育料は所得に応じた応能負担だったものが、高所得者に恩恵が大きく、低所得者に負担の重くなる仕組みに変わることは大問題です。消費税増税の負担が子育ての世代を苦しめ、保育料の無償化といっても、そのありがたみを実感できるものではありません。  その上、給食のおかず代に当たる副食費、4,500円を目安として実費徴収されることになりました。保護者も保育施設からも無償化というなら、副食費も含めて無償にしてほしいという声が上がっています。  秋田県では、少子化、人口減少が進むもと、子育て世帯を支援するため、やはり経済的支援が一番求められているとして、多子世帯の副食費を助成する県と市町村の共同事業を立ち上げられました。この助成事業に市町村が独自に上乗せをして、4町1村では主食費も無償となります。本気で子育て世帯を応援しようとするなら、こうした取り組みこそ進めるべきです。  県下には、長浜市、甲賀市、米原市、東近江市、高島市、5つの市で独自に保育料減免の取り組みをしておられます。県ではこれまで、470万円所得世帯までの第3子の保育料を減免をしてきました。この制度を継続させて、さらに拡充をさせることは、県下市町を応援し、副食費の助成を広げることになると思います。県の制度のさらなる拡充を求めるものですが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今回の無償化におきまして、国では、副食費の免除対象を年収約360万円未満の世帯の全ての子供と、所得にかかわらず、一定の要件のもとではございますが、第3子以降の全ての子供に拡大されたところでございます。  県といたしましても、今まで市町とともに実施してまいりました多子世帯子育て応援事業の対象でございます第3子以降の子供の副食費につきましては、引き続き、県と市町で免除の対象とすることで、保護者の負担がふえることがないようにしてまいりたいと考えております。  さらに、多子世帯子育て応援事業では、これまで対象としてこなかった幼稚園等に通う子供の副食費につきましても、免除の対象とするかどうか、今後、市町の市長、町長と話し合ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)1点だけ再問をしたいんですけれども、知事は先日の議論でも、消費税増税、この増税の子育て世代も含む県民への痛み、非常に共感されない御答弁でありました。特にこの消費税増税は低所得世帯に対する負担が大きいものです。子育て支援の財源としては最もふさわしくないというふうに思います。  あるひとり親世帯のお母さんが、この制度の説明を聞かれて、「こんなんは優しくない。保育料が無償といっても消費税は取られる。経済的に苦しいから、今、夜遅くまで仕事をして稼いでいる。その分、延長保育料も取られて、その上、給食費」──毎月、この方は7,200円の負担があるということであります。「消費税はお金持ちの人にはいい制度だけど、私たち庶民、低額所得者には重い制度」、このように言っておられます。この無償化ということについても恩恵を感じないと、そういう声でありました。  この方に対して知事はどのように答えられるでしょうか。今回のこの制度が本当に子育て世代の支援になっているとお考えなのか、知事の見解を伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) どのように申し上げたらいいんでしょうか。例えば、今回もお取り上げいただいた幼児教育・保育の無償化を行っていくためにも、さらにはそういったサービスを整えていくために、保育料のみならず、副食費等につきましても、とりわけ年収の低い世帯には手厚く支援をするという、こういう制度を行っていくためにも、消費税の財源を使わせていただきますということだと思います。  税制も消費税も負担と給付、サービスの関係があろうかと思います。もちろん幼児教育・保育の無償化の際に、保育の質をしっかりと高めるべきだ、待機児童対策、施設や保育所を確保すべきだ、こういうこともあわせてやる必要がありますし、税制に絡む、とりわけ消費税が持っている逆進性をどう対策していくのか。軽減税率やさまざまな経済対策、これらもあわせて行っていくことが必要だと思いますが、総じて、今回お取り上げいただいている幼児保育の無償化や軽負担というものを実現していくためにも、持続可能な安定財源、消費税の負担というものが必要なんですということを丁寧に御説明をしていきたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)納得されるものではないというふうに思います。  次の質問に移ります。  副食費の滞納への対応についてです。  従来、市町村の認可保育所による保育の直接実施義務によって、保育料滞納など、親の経済的事情など子供にはどうしようもない事情によって退所させることはあってはならない、こう説明がされてきました。  今回の法改定によって副食費などの滞納への対応は従来どおりの認識に変わりはないか、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えします。  児童福祉法第24条の規定に基づきまして、市町は、保育を必要とする児童については、保育所において保育しなければならないとされておりますことから、保育所においては、副食費の滞納により利用契約を解除することはできないと理解しています。この考え方は従来と変わりございません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)安心して次の質問に行きます。  政府の幼児教育の無償化の狙いは、ニッポン一億総活躍プランに示されるとおり、労働力不足の解消が出発点のようです。より多くの女性を子育てから解放し、労働力に移行させるため、保育料の無償化の対象に認可外保育施設も含めて、量の確保に主眼が置かれています。保育の一定の基準すら満たさない施設を対象にすることは、保育の質の低下を容認することになりかねません。しかも、認可外保育施設の指導監督基準さえも満たしていない施設を、5年間の猶予を与え、無償化の対象とします。  この質問をするのに調べてびっくりしたんですが、2019年──ことし4月1日現在で、県内の認可外保育施設が109カ所であり、そのうち指導監督基準に適合している施設はわずか18カ所ということだそうです。  指導監督基準があるということも初めて知ったんですが、この基準は、保育所──認可保育所の基準と比べて大きな問題が2つあります。1つは、保育者の3分の2までが保育資格者または看護師資格者でなくても運営ができるという点。もう1点は、面積基準を1人当たり1.65平米としか定めていません。  認可保育所の基準でいえば、当然、保育者は全員保育資格者、それから面積基準で言っても、例えば乳児でありますと、1人、乳児室は1.65平米、それから、ほふく室が3.3平米というものが最低基準となっています。1.65平米、畳1枚なんですけれども、認可保育所と比べても、資格を持っている保育士さんも3分の1以下でよい、面積もいわば3分の1以下でもよい、こういう低い水準になっています。  この基準、各地で閉園とか助成金詐欺、これが起きている企業主導型保育事業の基準よりもさらに低い基準です。そうした基準すら満たさない施設が認可外保育施設のうち9割近くあるということで、非常に愕然といたしました。1歳で入所をした子が卒園をするまで、保育基準の低い施設を認めるなどとんでもないことです。  国会議論でも同様に強い懸念が出されて、5年間の経過措置の間でも、この基準を上限とした基準を条例で定めて市町村が指導することができるとされました。京都市では、基準への引き上げを1年半のうちに行う趣旨の条例が定められたそうです。しかし、県下においては、こうした観点から条例を定める市町の動きはまだありません。子供の安全にかかわる基準を5年間も曖昧にしないでほしいと思います。保育の質の引き上げ、少なくとも指導監督基準を一刻も早く満たせるよう、どのように指導していくのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 今年度は、県が所管いたします全ての認可外保育施設に対し、教育・保育指導員とともに立入調査を行いまして、指導監督基準を満たさない場合は、具体的な改善策を示し、改善報告を求めるなど、基準を満たすよう指導助言を行っているところです。  さらに、指導監督等を行っている県および大津市、彦根市、草津市、東近江市と指導監督の評価基準について協議を行いまして、指導のレベルが均一に保たれるよう取り組んでいるところでございます。  こうした取り組みを進め、全ての認可外保育施設が指導監督基準をできるだけ早く満たすことができるよう、指導助言に努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)一刻も早くすべきだと思います。
     この点については、政府、文部科学省が、この無償化に当たっての考え方という中で、この認可外保育施設も含めて無償化にする、ここにどんどんと入所の希望の方がふえると見込まれるという中で、質の改善についてかなりたくさん文書を出されております。この低い監督基準を、そういう低い基準だということを認めてのことだと思います。  知事は、この認可外保育施設、先ほど言いましたような状況であります、認可保育施設よりも、資格者が3分の1でよいとか、面積も3分の1でよいとか、そういう施設に対して、これで本当に保育の質としていいというふうに思っておられるのかどうか、その点についてお聞きをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 現在の状況は、県内に109、認可外保育施設があるということでございまして、指導監督基準に適合している施設は18、16.5%という状況にございます。したがって、先ほど申し上げたそれぞれの市と連携しながら、できるだけ早くこの指導監督基準に適合するよう、指導助言を行っているということでございます。  内訳を見ますと、さまざまな成り立ちのある施設ですとか、そういったものがございます。できるだけ早く指導監督基準に適合するという目標のもとに、それぞれの施設が取り組むということが必要だと思いますので、その目標に従って進めるように努力していきたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)そもそも、保育所の基準を満たさない施設が子供たちの保育の受け皿になっていること自体が問題だというふうに思います。保護者や保育関係者からの不安の声もたくさん聞いております。「認可外保育施設まで無償になったら、子供の安全、安心が置き去りになる」「食べるとき、寝るとき、水に入るとき、外へのお散歩、そのときに必要な体制が本当にあるのか」「安全、安心な園なのか、親が判断しなければいけないのか」、そういう声が寄せられています。  認可外保育施設を認可保育所へ移行させることを急ぐべきです。認可外保育施設の認可化を知事はどのように進めようとしているのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げました立入調査の充実、強化を図りながら、安全性に関する支援を通じて、まずは指導監督基準を満たしていただき、利用者が安心してお預けいただけるように、子供たちが過ごせるように、保育の質の確保、向上に努めてまいります。  その上で、指導監督基準を満たし、認可施設への移行を希望される認可外保育施設に対しては、市町と連携し、改修費や移行費等について国の補助制度を活用しながら、認可に向けた支援を行い、県全体の保育の質の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)保護者は、どんな事業者であっても安心して子供たちを預けられることを望んでいます。  認可外保育施設の認可化を進める上でも、園にとっては施設整備や運営費の補助もさることながら、保育士資格者の確保とその給与の保障がネックとなります。認可保育所をふやすために、保育士の処遇改善をすることこそ、市町も県に求めていると思います。今回の法改定によって国費が充てられる分、県として不要になる財源については、政府も、不要となる自治体独自の財源を使って負担増への対応も求めています。そのような財源も活用して、保育士の抜本的な処遇改善こそ急ぐべき課題だと思いますが、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 保育士の処遇改善につきましては、国により平成27年度からこれまでに6%、月額にいたしまして約1万8,000円相当の処遇改善が図られ、加えて、平成29年度からは、技能、経験に応じたキャリアアップによる月額最大4万円の処遇改善加算が行われてきた、行われているところでございます。  しかしながら、議員も御指摘いただいたとおり、保育士の給与は、全産業に比べ、いまだ大きな開きがございます。現場からも一層の改善を求める声をお聞きしているところでございます。  今後も、保育士が将来に希望を持ち、保育士として働き続けることができるよう、さらなる処遇の改善について、引き続き国に対し要望をしてまいりたいと存じます。  なお、幼児教育・保育の無償化に伴って一定不要となった財源があるのではないか。この財源につきましては、今年度、約2,800万円余がございます。これらを活用いたしまして、喫緊の課題であります保育人材を確保する事業を拡大しながら、子育て支援に取り組んでいるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)処遇の改善は既に明らかになっている課題だというふうに思います。知事もそのことはお認めになるというふうに思います。ですけれども、国に求めていくということであります。  市町も求めておられるように、ここの保育士の確保のためには処遇改善が必要、その処遇改善のために県に力をかしてほしい、そういうことだと思うんです。それに応えて、国にというのではなくて、県がどうするのか、このことについて知事に再度伺います。 ◎知事(三日月大造) 県だけでということではなくて、国にしっかりと要望しながら、安定的な財源の確保に努めてまいりたいと思います。  県としてどうしていくのかということにつきましては、現在さまざまな角度から、例えば来年度の予算編成に向けて、現場の実態、どのような課題があるのかということについても調査を行っております。  処遇の改善も大変重要なテーマ、課題であると思っておりますが、それ以外にどのようなことが必要なのかということも含めて、総合的に検討し、対策を講じるべきではないかと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひとも処遇改善に、その中心課題に取り組んでいただきたいと思います。  次の質問に行きます。  関津地域の国道422号との新しくできた交差点の安全対策について、一問一答で土木交通部長と警察本部長に伺います。  大津市関津地域でことし5月に瀬田川令和橋が完成をいたしました。続いて9月14日、関津トンネルが開通し、南郷から大石東までをつなぐ国道422号大石東バイパスが全通──全線開通いたしました。これによって、田上小学校や田上中学校に通う子供たちの通学路が国道422号との交差点となりました。  交差点が完成する前から、地元の方々は、特に子供たちの通学の安全確保のために、交差点の横断歩道と信号機の設置が強い要望でした。小中学生の子供を持つお母さんたちから、現地を見に来てほしいとの声が寄せられ、一緒に通学路を歩き、交差点の状況を調査してきました。子供たちが通学する市道は、道幅の広い直線が続き、見通しがよく、信号がないためにドライバーにはストレスの少ない道路です。スピードを出す車も多いそうです。この市道と新しく走りやすい国道422号が交差点になるわけですから、お母さんたちが心配されるのは当然です。地域のお母さん方とともに、県警を通じ、横断歩道と信号機の設置を求めてきたところです。  まずは、この交差点の安全対策について土木交通部長に伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  議員御指摘の国道422号と大津市道の交差点につきましては、国道の開通により市道の交差点がT字交差から十字交差になり、通学時に児童が国道を横断する必要が生じました。  このため、地域の意見を踏まえまして、公安委員会など関係機関とも協議を行い、交差点に進入する車両の注意喚起や減速を促すための看板の設置、路面標示やカラー舗装などの児童横断時の安全対策を実施したところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)私も現場を見てきましたので、そのように対策をしていただいたことは確認をいたしました。  しかし、信号機はまだつきません。9月の14日土曜日、交差点が開通し、いよいよ連休明けの17日から子供たちは交差点を通っています。信号機のない交差点を誰もが心配し、地域や保護者の方々が毎日複数人、冷や冷やしながら見届けています。現場に立った警察関係者からも感覚的に交通量が多いとおっしゃるほどで、子供たちは車の途切れたすきに走りながら渡っています。優先道路が逆転したこともあり、出会い頭にドライバーがお見合いする場面もあり、単に見守るだけでなく、一方の車を制止して、誘導するくらいの交通整理が必要です。  お母さんからは、朝だけではない。夕方も大変。きょう帰ってきてよかったと、そういうふうに毎日思っていると涙ながらに訴えました。一刻も早い信号機の設置を求めるものですが、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)お答えいたします。  信号機は、道路交通法におきまして、交通の安全と円滑を図ることを目的として設置することとされているところ、信号機の設置に当たりましては、国から示されております信号機設置の指針に基づき、交通量や交差点の形状、歩行者の横断需要等の条件に該当するかを調査分析するとともに、他の対策により代替が可能か否かを考慮した上で、真に必要性の高い場所を選定しているところでございまして、当該交差点におきましても、開通後の交通量等の調査結果に基づいて判断することとなるものでございます。  なお、その際、地域住民や道路利用者の意見にも十分配意することを考えています。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)私たちの訴えを聞いて、警察の関係者も現場調査に行っていただいて、交通量が基準に達しているというふうに言っておられました。ぜひとも早い設置を求めるものです。  終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、11番黄野瀬明子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時20分 休憩    ────────────────   午後1時30分 開議 ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、12番松本利寛議員の発言を許します。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇、拍手)午前中も少し目片議員がおっしゃられましたけども、きょうから消費税が10%。私は、これほど不平等な税金はないと。1億円の所得の人も100万円の所得の人も同じように10%の税率がかかると。これほど逆進性の強い税金というのは、私は廃止しかないというふうに思います。改めて、私ども、廃止を目標にしながら、5%に戻せという運動を全国的に展開をしたいというふうに思っています。  それで、本題に移ります。  まず、4点について質問をさせていただきます。  まず第1点目が、累積赤字の拡大と国スポ経費の膨張について、一問一答で質問をさせていただきます。  私は、6月議会の一般質問で、国スポ関連経費がさらに膨張をする可能性がありますと。その一方で、財政収支の見通しは、景気の悪化で一層財源不足額が膨張させかねないということを指摘いたしました。結局そのとおりのことが今起きているということじゃないかというふうに思います。  彦根の国スポ主会場の入札は、20億円もの開きで入札不調となったと報道されました。入札不調を受けて、設計も見直さずに、単純に20億円もの経費の増額を図るという無責任な事業膨張を計画しておられる。これはこれまでの県議会での答弁や、また、県民への約束からしても許されるものではないというふうに思います。  一方、9月の11日に公表された県の今後の財政収支見通しでは、令和8年までの累積財源不足額が1,060億円に達すると。この点でも政府の甘いGDP予測値をもとにした財政収支見通しでは、甘過ぎることを示して、1,000億円を優に超える財源不足が生じることを指摘をいたしました。巨額の国スポ経費の削減を求めたところでありますし、改めて、この6月議会の私の指摘も含めて、財政運営に責任を負う知事として、重要な県政施策の運営に大きな予測誤りを生じさせた国スポ施設整備費の膨張による財源不足額の拡大についての知事の所見を伺いたいというふうに思います。 ○副議長(細江正人) 12番松本利寛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  主会場整備につきましては、当初から現在に至るまで必要不可欠な機能に限定するとともに、細部の仕様につきましても検討しながら、整備費の抑制に努めてきたところでございます。  しかしながら、全国的な建設市況から、想定を上回る価格上昇に伴い、事業費の増額をせざるを得ないと判断したところでございます。  結果的に、これまで説明してきた事業費を上回ることとなりましたが、今後は、引き続き経費の抑制に努めるとともに、一層の財源確保に努力してまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)きのうの杉本議員の質問にありましたように、本会議や委員会でも200億円を超えないと、200億円で実施をするということを再三にわたって繰り返されました。私は、今からでも200億円に少なくとも切り詰めるべきだと。バックスタンドの屋根を取るとか、さまざまな設計の見直しが行われてしかるべきだというふうに思います。  そこで、次に、財政問題を中心にして総務部長に伺いたいと思います。  前回の3月の財政収支見通しでの累積財源不足額が、850億円から210億円もの財源不足額が拡大した原因、そして、1,060億円の財源不足の内容を詳しく示していただきたいというふうに思います。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  1,060億円の財源不足の要因でございますが、最も大きいのは、今年度の当初予算時点で見込まれた財源不足90億円が今後も継続することで、令和8年度までの8年間で累計で720億円の不足となります。  加えて、今後、社会保障関係費で695億円、来年度から導入されます会計年度任用職員制度で164億円、大規模事業で83億円の歳出増加がそれぞれ一般財源ベースで見込まれます。  一方で、財源不足の減少要因としまして、職員の新陳代謝による人件費の減が245億円、経済成長に伴う県税等の一般財源総額の増が328億円、それぞれ見込まれますことから、全体では1,060億円の財源不足となります。  また、前回から210億円財源不足が拡大した要因という観点で申し上げますと、財政収支見通しの試算に用いている内閣府の名目GDP成長率および名目長期金利が7月公表値で下方修正されたこと、また、会計年度任用職員制度等に係る負担増を今回新たに計上したことにより、収支が前回より悪化したものでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は、この財源不足が生じた一番大きな要因は、いわゆる、今、部長がおっしゃられた720億円の、大きな、もともとの大きな支出項目があると。さらに今回の500億円の国体施設整備や245億円の大規模事業の拡大に、これは大きなその背景があるというふうに思います。  しかも、今、部長がおっしゃられたように、今回の財政収支見通しでも、今後のGDP成長を、成長実現ケースで2%から3%という高い成長率を見込んで将来予測をしておられると。非常に甘い見通しだというふうに思います。  これから、これからというよりも、きょうから消費税が増税をされて、米中貿易摩擦や日韓の経済関係の悪化など、現実の経済状況から見れば、少なくとも現実に近いベースラインケースのGDP成長率を基本に財政収支見通しの見直しを行うべきではないかというふうに思います。現在の時点でも、ベースラインで試算をすれば、既に1,200億円の財源不足が生じるという計算になるのではないかというふうに思います。  今回の甘い財政収支見通しですから、このまま推移をすれば、令和3年に135億円の、それから令和4年に160億円、それぞれ財政調整的な基金や行革債の発行で財源不足を補うとしていますが、令和5年以降、財政状況の貯金に当たる財政調整的な基金が底をつくのではないかというふうに考えられます。  そこで、総務部長に伺います。  令和5年度以降の財源不足への対応方策について具体的に示していただきたいというふうに思います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  財源調整的な基金は、景気後退による県税の大幅な減収や、大規模災害の発生など、不測の事態に備えて一定額を確保しておく必要がありますが、現在の試算では、令和4年度末時点で、財政運営上の目標としております160億円まで残高が減少すると見込んでおります。  このため、令和5年度以降、現在取り組んでいる収支改善の取り組みに加えまして、もう一段の収支改善の検討が必要と考えております。  具体的な内容につきましては、今後の状況をしっかり見きわめる必要があるため現時点では申し上げられませんが、引き続き、経済情勢や国の動向等にも十分留意しながら、中長期的な見通しをしっかり立て、歳入歳出両面から財政健全化に不断に取り組んでいくことが重要であると考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)基金が底をつけば、結局、県民の暮らしや福祉、医療、教育の切り下げ、いわゆる行革を前提とした行革債の発行などに頼らざるを得ない状況になるのではないかというふうに思います。そういう意味では、一層厳しい財政状況に追いやられるというふうに思います。  そこで、総務部長に伺いますが、今後の財政見通しについて、基本的には、ベースラインケースをもとにした財政予測を基本的に行うべきではないかというふうに思います。この1点。  2点目に、大規模事業にかかわる起債の償還が3年後から本格化することから、その償還期限を考慮して、より長期的な財政見通しの予測を行うべきではないかと。  3点目、国スポ施設、PFI事業の管理経費など、建設後のランニングコストを収支見通しにしっかり反映することが大事ではないかというふうに思います。  もう1点、大規模事業施設については、県が策定をした公共施設等総合管理計画との調整を明らかにして、公共施設管理のコストのバランスを図る必要があるのではないかと。  などを踏まえて、誰が試算しても予測できる再現性を持った財政収支の見通しを示すことが県の責任ではないかというふうに思います。財源不足について県民への説明責任を果たす上からも、こうしたことを明らかにした財源不足への対処方針を明らかにすべきだと考えますが、総務部長に見解をお示ししていただきたいというふうに思います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  今ほど議員から御提案のありました点につきましては、いずれも重要な視点であると考えております。  将来の経済成長、もって県税収入をどのように見込むかについては課題の一つであると考えておりますが、現在は、国から示されている2つの経済ケースの中間値をとることで、上振れ、下振れ両方の可能性を加味しつつ、毎年度試算を行うことで大きな乖離が生じないようにしております。  また、起債の償還期間を踏まえて、より長期的な見通しを示すべきという御提案でありますが、経済社会情勢や国の動向等を見通す上で、現行の10年程度が妥当と考えております。  また、大規模施設等に係るランニングコストの反映や公共施設管理コストのバランスにつきましては、現在の収支見通しにおきましても、可能なものは運営費の増減も含めて試算しておりまして、未反映のものにつきましても、方針等が確定次第、順次織り込むようにしております。  今後とも、よりわかりやすく、かつ確度の高い財政収支見通しとなるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)この項の最後に、もう1点、知事に質問をさせていただきたいと思うんですが、今、部長から回答のあったように、財政調整的な基金が底をつく可能性が、令和5年以降、非常に高い確率でそういう状況になるのではないかと思うんですが、そこで、もしこういう状況になれば、改めて行革計画を策定をして、県民の暮らしにかかわる予算の削減が推進をされるという状況に追いやられる可能性があります。  そこで、巨額の国体経費によって財政悪化を来したんですから、財源が限られているから、県民の皆さんに福祉、教育、医療に対する県のサービスは辛抱してくださいということは通らないというふうに思います。  そこで、知事に、今後の国スポ経費見直しも含めた財政健全化への知事の取り組みの決意について示していただきたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 国スポ・障スポ両大会に係ります施設整備につきましては、これまでから、施設の規模や機能、整備手法等の検討過程において事業費の抑制に努めてきたところでございますが、今後も、個々の事業進捗を図る中で、歳入確保や効率的な予算執行に最大限努めてまいります。  また、今後見込まれます多額の財源不足に対する危機意識は私を初め全庁で共有しており、決して財政規律が緩んでいるとは考えておりませんが、さらに歳入歳出両面からなお一層の取り組みが必要だと考えているところでございます。  具体的には、歳入確保の一層の充実を図るため、県の経営資源を最大限活用しながらあらゆる可能性を検討すること。検討だけではなくて実施をすること。また、歳出面においては、将来に向けて必要な投資はしっかり行いつつ、全ての施策、事業において、聖域を設けることなく、経済性、効率性の観点から、不断に精査、見直しを行っていくことが肝要であると考えています。  今後とも、財政健全化にしっかり取り組んでまいる所存でございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)また明日、我が党の議員がこの国体経費の問題について再質問させていただきますので、そのときにも財政問題、指摘をさせてもらいたいと思います。  次に、2問目に移ります。  既に新聞報道で明らかなように、県東部地域の重要な交通インフラ、近江鉄道の存続問題について、一問一答で、基本的に知事に御答弁をお願いしたいと思います。  近江鉄道は、明治31年以来、120年間にわたって、湖北と湖東地域、甲賀地域を結ぶとともに、米原、彦根、近江八幡、貴生川でJR線と接続して、県内はもとより、全国の交通ネットワークに接続できる滋賀の重要な鉄道網であります。沿線自治体住民の皆さんの通勤、通学の貴重な手段となっている交通インフラです。  そこで、改めて知事に伺います。  湖北、湖東、甲賀地方の重要な交通インフラ近江鉄道が、県全体の交通体系、鉄道輸送網の中でどういう位置づけをされているのか、知事の所感を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 近江鉄道線は、議員も今おっしゃいましたけれども、120年の歴史を有し、全長約60キロメートル、33の駅を有し、1日約1万3,000人が利用する地域に根差した幹線鉄道網であり、滋賀交通ビジョンにおきましては、東琵琶湖縦断鉄道軸として、言ってみれば湖東地域の幹線鉄道網として位置づけているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は改めて近江鉄道の現状を調べてみたんですが、地域の交通インフラとして本当に重要な役割を果たしていると。年間の輸送人員は、ピーク時より大幅に減ったと言われますが、それでも年間483万人、滋賀県の人口の3倍を輸送をしているわけですね。さらに近年では、企業努力によって輸送人員が若干ふえているという状況になっています。
     また、定期乗車券の利用率が、比率が高いというのも特徴でありまして、2015年の1日の平均乗降客は、通学定期の利用者が9,378人、通勤定期が7,454人、定期外の利用が8,155人、合計で1日平均乗りおりで2万5,000人の乗客が利用されておられます。  また、沿線5市5町にある県立、私立の18の高等学校や養護学校、大学への重要な通学手段になっています。また、沿線の企業、フジテック、スクリーン、京セラなどの通勤手段として欠くことができない交通インフラです。  さらに、2015年のある1日に、JRとの接続駅である彦根、近江八幡、貴生川の4駅では、それぞれ2,399人、4,571人、1,389人が乗降する重要なJR線への接続駅になっています。  また、八日市、愛知川、五箇荘、豊郷、日野、水口城南など各沿線市町の中心市街地の駅は、各市町の交通インフラの接続点として、まちづくりの中核をなしています。廃線ともなれば、まちづくり全体が大きく揺らぐ事態になりかねません。  そこで、改めて知事に伺いたいんですが、この近江鉄道が担っている役割の重要性について、改めて知事に所見を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 今の御指摘、御紹介いただきましたように、近江鉄道線は、通勤、通学、通院、買い物など、日常生活を営むために必要な移動手段であり、特に学生、高齢者といった公共交通以外に移動手段を持たない方々にとっては、なくてはならないものでございます。  また、まちづくりや観光振興等にも大きな影響を与える社会インフラである。また、線区や駅ごとに差や特色はそれぞれございますが、経済的、社会的、文化的にも重要な役割をこれまで果たしてきた、また、現在も果たしている、そういったインフラだと考えて捉えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)そういう重要なインフラが個々の企業の努力でもう立ち行かないという状況に追いやられていることは事実でありますから、この間、平成30年からことしの7月まで、沿線の5市5町と近江鉄道が参加をして、任意の協議会が開催をされました。  その中で、近江鉄道の現状分析、鉄道がなくなった場合の想定される影響、問題点、さらに代替交通手段の導入の可否、そして鉄道路線の存続の場合の形態のあり方などが議論をされてきました。  その議論の上に、知事と5市5町のいわゆる首長会議が、去る8月27日設置をされて、その中で改めて地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく法定協議会の設置が合意をされましたが、その内容を示していただきたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 任意協議会におきましては、1つ、近江鉄道の現状分析といたしまして、利用状況、費用構造、増収・コスト削減策等について。2つ目、鉄道がなくなった場合の想定される影響等といたしまして、交通渋滞の発生、通学・通勤環境の悪化、まちのにぎわいの衰退等について。3つ目といたしまして、代替交通手段の導入の可否といたしまして、バスやBRTなどと鉄道として存続させる場合との比較について。4つ目といたしまして、鉄道路線の存続の場合の形態のあり方といたしましては、存続パターンおよびその費用等についてそれぞれ議論をしたところでございます。  その後、先般行いました首長会議におきましては、鉄道、近江鉄道線のあり方等について、各市町より改めて御意見を頂戴し、鉄道存続を前提として法定協議会を設置して、本格的な議論を行うことについて合意されたところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)それでは、その法定協議会での今後の議論に際して、私は以下の点が大事ではないかというふうに考えます。  第1は、近江鉄道が、沿線自治体のみならず、県全体の重要な交通インフラであり、鉄道網であることをしっかり位置づけて、存続、活性化、再生に向けた議論を進めること。  第2点目には、公共交通を担う鉄道網の現在が、今後の高齢化社会への対応や沿線自治体のまちづくりの中核となっていることを県政自身の課題としてしっかり位置づけて議論をすること。  3点目に、沿線住民はもとより、県民や来県者の利用を広げる運動を県が率先して推進し、鉄道経営の基盤強化を図ることなどが重要だというふうに考えます。  そこで、知事に伺いますが、今後進められる地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく法定協議会の議論を通じて、近江鉄道路線の存続、再生、活性化に向けた共通認識を法定協議会の場でどのように醸成をするのか、知事の所見を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 法定協議会におきましては、市町、交通事業者はもとより、関係団体、学識経験者等にも幅広く御参画いただき、具体的なデータや住民の意見を反映しながら、近江鉄道線のあり方を含めた沿線地域の目指すべき将来像をしっかりと議論し、共有することが必要だと考えます。  より多くの利用者や沿線住民、事業所等の意見をしっかりと把握し、議論に反映させるため、アンケートを実施するとともに、フォーラム、座談会等を開催し、機運の醸成、そのための共通認識の共有というものを図っていく必要があると思います。  県がとか、県としてという、ここは県議会ですからそういう議論になりますけれども、じゃ、高島の人がこの近江鉄道線にどう県が関与するということに御理解をしていただけるのかなど難しい課題もあると思ってます。基本は、沿線の方々がどうこの近江鉄道線を捉えられるのかということが基本になります。  と同時に、県としても、5市5町にまたがる、湖東地域にとっても大切な交通網ですので、県もしっかりとリーダーシップを発揮するなど、役割を果たしてまいりたいと考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)それでは、最後に、沿線自治体の首長会議でも、多くの自治体首長から知事のリーダーシップの発揮を求める声が相次いでいたというふうに思います。この鉄道網に対する関係市町のかかわり方も、若干、いろんな、微妙に異なるところがあります。  やはり、知事がさっきにおっしゃられましたけれども、県が全体を見通して、関係者の合意形成が図られるように努力することが肝要ではないかというふうに思います。  そこで、改めて、県のイニシアチブと知事のリーダーシップの発揮の覚悟について所感を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 昨日も申し上げましたが、人口減少ですとか高齢化が進行してます。とはいえ、この地域の将来を左右する重大なテーマであると捉えています。  やりようによっては、新しい価値ですとか新しいつながりをつくることができる可能性のあるテーマでもあると考えております。基本は沿線住民がどう考えるかということだと思います。ただ、国との調整ですとか広域としての役割、もちろん県としての役割もあると思いますので、リーダーシップを発揮し、私自身も先頭に立って住民の皆さんや市町と一緒に取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ松本先生にもお力添えをいただきますようよろしくお願い申し上げます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ知事のリーダーシップの発揮を期待したいというふうに思うんですが、私自身も近江鉄道利用者の一人ですし、かつ、また議員の立場から、近江鉄道路線の存続に向けて、地域の皆さんと一緒になって運動を起こしていきたいというふうに思っています。その決意を申し上げて、お互いに存続に向けて頑張っていきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  今、日本の農業は深刻な危機に直面し、大きな曲がり角に立っているのではないかと思っています。  農業就業人口の平均年齢が2015年で67歳、団塊の世代がリタイアをするとともに、ここ数年で劇的な減少が想定をされます。誰が食と農を守り、国土と自然景観を維持するのかが大問題になります。農業生産の担い手の減少は、耕作放棄田の拡大や農地基盤の維持補修に大きな困難が生じています。  また、TPP11や日欧FTAなど国内農業を無視をした自由貿易化や関税の引き下げは、世界にもまれに見る食料自給率の低下を招き、37%です。OECD加盟国の中で最低水準で、国内農業に大きな打撃を与え、それがまた自給率の低下につながるという悪循環に陥っているというふうに思います。しかも、先日合意された日米貿易協定が強行されれば、日本農業に甚大な被害をもたらします。  さらに、農業のグローバル化は、口蹄疫や豚コレラ、アフリカ豚コレラ、鳥インフルエンザなど家畜の伝染病の拡大、蔓延となって、日本農業に大きな脅威となっています。  また、大規模化を追求する農業は、必然的に化学肥料や農薬の多投、ホルモン剤の多用、ゲノム編集食料の拡大など、食の安全が大きく問われています。  さらに、地球温暖化による気候の大きな変動は、農業生産物や品質に甚大な被害を与えています。  こうした世界と日本の農業が抱える諸問題を打開する道筋として、国連が家族農業10年の行動計画を提起しました。  そして、同じく国連が提起をするSDGsの17の目標項目のうち、12項目を家族農業10年は包括をしています。SDGsの目標を実現する上でも、家族農業の行動計画の実現は不可欠ではないかというふうに思います。  私は6月の議会で、持続可能な農と食をテーマにした国連の家族農業10年を県の農政の柱にすることを提案をいたしました。  そこで、これから県が計画をされる農業・水産業基本計画と新たな農業振興条例にSDGsと家族農業10年の行動計画の実現をしっかり位置づけることが必要だとの立場から、5点について知事と農政水産部長に質問を行います。  第1点は、家族農業をしっかり位置づけることが大事だというふうに思います。家族農業そのものは、集落営農や、またシニアの経験を持った農家もおられるわけですから、これらから、施策は基本的に家族農業を多様な担い手の確保のベースとしてしっかり位置づけることが大事ではないかというふうに思いますが、農政水産部長の所見を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)お答えいたします。  本県では、認定農業者や集落営農組織を農業の担い手として位置づけており、これら担い手はその大半が家族農業でございます。滋賀県の農業は家族農業によって担われていると言っても過言ではないと考えております。  しかしながら、兼業農家の家族農業は経営規模が小さく、土地利用型ではそのまま継続することに大きな困難が伴うものと認識をしており、これまでから施設園芸など経営規模が小さくても収益性の高い経営への転換や集落営農組織への参画などを支援してまいっているところでございます。  一方、本県の農業、農村の維持発展には、水路の補修や農道の管理など、生産基盤を維持する活動も不可欠でございまして、これらの活動を担い手だけで行うことは困難でございます。  このため、認定農業者などの担い手と兼業農家等自給的農家がそれぞれの役割を果たしながら、全体として、本県農業を支えていただけるよう、次期基本計画の中でも家族農業を位置づけることについて議論をしてまいりたいというふうに考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ、SDGsの観点に立った家族農業を次期農業基本計画に反映していただきたいというふうに思います。  次に、昨年の12月にTPP11、それから2月に日欧EPAが発効して、さらにまた日米貿易協定が日本農業に長期にわたって深刻な打撃を与えるのではないかという心配がされています。  既にTPP11が発効して以降、EU、カナダ、ニュージーランドなどから牛肉、豚肉の輸入が急増して、発効前の1.5倍に達しています。国内の枝肉価格なども落ち込んで、滋賀食肉センターの平均市況も対前年比で約5%落ち込んでいるという報告があります。  この上、新たな日米貿易協定が強行されれば、日本の畜産が大打撃を受けるのは必至です。政府に各貿易協定の見直しと日米貿易協定の中止を求めるべきではないかというふうに思います。  同時に、基本計画の中に日欧EPA、TPP11、日米貿易協定の発効による県農業への影響を見据えた県としての対処方針をしっかり位置づける必要があるのではないかというふうに考えますが、農政水産部長の見解を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答え申し上げます。  先ごろ最終合意をされました日米貿易協定につきましては、国におきまして、けさのTPP等総合対策本部で、この秋にも総合的なTPP等関連政策大綱を改訂するとされておりまして、その中で、検討の柱として、「強い農林水産業・農山漁村をつくりあげるため、農林水産業の生産基盤を強化するとともに、新市場開拓の推進等、万全の施策を講ずる」とされているところでございます。  本県におきましても、TPP11、日欧EPAや日米貿易協定が本県農業に及ぼす影響の把握や、国の施策の動向などについて情報収集に努めてまいる考えでございます。  生産者の皆さんが将来展望を持って持続的に農業、水産業を営めますよう、TPPに係る滋賀県の対応方針に準じて、農産物の収益性の向上など体質強化のための攻めの対策と、経営安定対策など生産者が将来にわたって経営できるための守りの対策を進めてまいりますとともに、その目指すところは次期基本計画にもしっかりと盛り込みたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ、この貿易自由化にかかわる日本農業の打撃をすっぱり阻止をするという観点で基本計画の策定が必要だというふうに思います。  第3点目には、食の安全の問題です。  食料生産にとって、その食料が安全であるということが大事だというふうに思うんです。ところが、TPP協定によって輸入食品の検査時間が半減され、高濃度の残留農薬が検出をされても、もう時既に遅しという状況が、今、日本で深刻な問題として迫っています。  ことし4月に民間の食品分析センターの検査で、輸入小麦を使ったパンから発がん性が指摘をされているグリホサートが検出をされました。また、農水省の検査でも、アメリカ、カナダ産の小麦の90%以上からグリホサートが検出をされて、収穫前に乾燥調製剤として農薬が散布されているという実態が明らかになっています。  グリホサート──商品名で言えばラウンドアップなどですが、県内でも主に田んぼの畦畔や農耕地外に年間170トンの使用がされています。既にフランス、オランダ、デンマーク、ブラジル、ロシアなどではこのグリホサートの使用が禁止をされました。  また、日本では禁止をされていますが、輸入牛肉や豚肉に発がん性やアレルギーの危険性を持つ成長促進ホルモン剤が多用されています問題は、食の安全に対する危険を大きく広げます。  基本計画にこうした国外産の農産物に対する食品の安全性問題をしっかり位置づけて、国内産、県内産農産物のマーケティングに生かすことが重要と考えますが、農政水産部長の見解を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  食の安全の確保は、農畜産物を生産、供給する上におきまして基本的な事項でございます。これまでから農薬の適正使用、GAPやHACCPの導入などを基本計画に位置づけ、進めてまいりました。  さらに、より安全で安心な農産物を供給いたしますため、環境こだわり農業を推進してまいりましたところであり、本年度からは、みずかがみに加え、環境こだわり米のコシヒカリを二枚看板としてCMを放映するなど、近江米の有利販売、流通拡大に向けた取り組みを始めたところでございます。  また、環境こだわり農業をさらに前進させる象徴的な取り組みとして、化学合成農薬や化学肥料を使用しないオーガニック近江米の作付拡大を進めており、この9月から県内外の量販店で近江米のオリジナルブランドとして販売を開始したところでございます。  より安全で安心な滋賀の農産物の安定生産に努め、ブランド力の向上を図るとともに、消費拡大につながるマーケティング対策にしっかりと取り組んでいくこととし、こうした取り組みを次期基本計画にもしっかり位置づけてまいりたいというふうに存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)次に、環境こだわり農産物、特に環境こだわり米についてなんですが、来年度から、環境保全型農業直接支払交付金の対象から、いわゆる緩効性肥料を使った米づくりが除外をされるのではないかということが農水省で議論がされているように聞いています。  せっかく滋賀が緩効性肥料を使って琵琶湖への窒素、リンなどの負荷を抑制しようということでスタートをしたこの緩効性肥料、引き続いてやっぱり大事な近江米の、こだわり農産物の大事な課題ですから、これをしっかり引き続いて環境保全型農業直接支払交付金の制度として維持されるように国に求めるとともに、県自身としてもそういう方向で、この環境こだわり農産物の推進を進めていくということが必要かというふうに思いますが、農政水産部長の見解をお聞きします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えします。  緩効性肥料の利用につきましては、引き続き交付金の地域特認取り組みとして認められますよう、国へ働きかけてまいる考えでございます。  環境こだわり農業は、本県ならではの取り組みでございまして、これまでから琵琶湖の環境保全および本県農業の健全な発展に資するよう推進してまいりました。  また、世界農業遺産として認定を目指す琵琶湖システムの主要な取り組みでもあり、将来にわたって引き継がれるべきものと考えており、今後も本県農政の柱として次期基本計画にも位置づけてまいります。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)さらに、環境こだわり米を中心にして、滋賀の重要なブランドの一種でありましたキヌヒカリの品質が極めて低下をしています。一等米比率が5割を切るというような状況になっています。温暖化の影響もあって乳白米が多数出て一等にならないという状況でありますが、改めてこのキヌヒカリに、あるいはコシヒカリなどもそうですが、こうした温暖化のもとでもブランド品種として生産できるような近江米の新品種の開発が急がれます。そうした点で、新たな種苗法にかわる条例制定も含めて、県の新たな品種開発の動向についてもお伺いしたいというふうに思います。 ○副議長(細江正人) 答弁者は。 ◆12番(松本利寛議員) 農政水産部長、お願いします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  温暖化に対応できる品種の開発や技術対策の実践は、議員御指摘のとおり、今後の近江米のブランド力向上等を図る上で不可欠であると認識してございます。  このため、県では、農業技術振興センターにおいて、平成24年に育成したみずかがみに続き、すぐれた食味を有し、高温に強い品種の育成を進めております。  また、稲作期間中の気象の変動が大きくなっておりますことから、安定した収量や品質を確保することが課題となっております。このため、これまでの土づくりや施肥、水管理などの基本技術の徹底はもとより、ドローンを活用して、稲の生育状況を上空から分析し、その結果をもとに必要な施肥管理等の情報を生産者の皆さんに伝達する取り組みを開始したところでございます。  新たな米政策のもと、マーケットインの視点に立った米づくりを一層進めますためにも、こうした取り組みが重要と考えておりまして、次期基本計画でもこのことについて盛り込むよう検討してまいる所存でございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)それでは、この項の最後に知事に伺いたいんですが、こうした本県農業が抱える深刻な問題を整理をして、県農業の振興につなげようとする新たな農業振興条例の制定が現在検討されています。生産力の最大化、気候変動への対応、環境保全対策の3つを重点として条例を方向づけるとしているんですが、しかし、農林水産業の基本計画はもっと幅広い目標を捉えて計画が設定をされているんですから、ぜひこの農業基本計画に沿った農業振興条例を制定をする必要があるんじゃないかというふうに思います。  例えば、先ほど申し上げました国連のSDGsの視点、さらに、家族農業10年の視点、日欧EPA、TPP11、日米貿易協定など貿易自由化の弊害や食の安全への脅威、廃止された種子法の趣旨の反映、深刻な農業の担い手の不足とその確保対策など、農業が抱える多くの課題解決に向けて農業者や県民の皆さんと議論をして、滋賀の農業の未来を開く気概を込めた、しがの農業基本条例として制定することが大事ではないかというふうに考えます。  既に北海道、福島、長野、福岡などではこうした方向での基本条例が制定をされていますが、新たな農業振興条例制定に向けて、こうした立場からの検討について知事の所感を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 滋賀の農業振興に関する新たな条例につきましては、農政水産部内検討会議において、本県農業の持続的な発展に向けた課題や対応について幅広く検討を行い、論点の抽出を行ってきました。  新たな条例は、近年の農業を取り巻く環境変化を踏まえ、喫緊の課題である生産力の最大化、気候変動への適応、琵琶湖を初めとする環境保全などに対応し、本県農業の持続的な発展に結びつくものにしたいと考えています。  例えば、本県の気候風土に合った品種の育成と知的財産権の保護でありますとか、スマート農業など革新的技術の体系化とその普及、さらに、議員も御指摘いただきました主要農作物の種子生産と安定供給等を盛り込むことを検討しているところです。  今後、滋賀県農業・水産業基本計画審議会を初めとして、幅広く御意見を伺いながら、農業者が意欲と誇りを持って農業生産に取り組むことができる環境づくりを目指す条例として、来年中に県議会に提案できるよう検討を進めてまいります。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)知事、ぜひ、せっかくつくるんですから、県民の皆さん、農家の皆さんが、これだったらやっぱり滋賀の農業は再生できるし、頑張れるという、そういう大きな枠で、展望のある条例にぜひしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、時間がありませんので、最後の質問に移らせていただきます。  最後に、会計年度任用職員制度について分割方式で質問します。  地方公務員法の一部改正によって、会計年度任用職員制度がスタートします。  総務部長と教育長に伺います。  今回の地方公務員法の一部改正は、地方自治体や教育現場の幅広い分野で行政を担っていただいている臨時的任用職員や特別職の嘱託職員など、公務の職場の臨時・非常勤の任用形態の再整理と、職員の処遇を改善し、もって公共サービスの維持向上を図ることを目的として法改正がなされたというふうに聞いています。  ついては、以下3点について改善の方向で制度設計されているのか伺いたいというふうに思います。  第1点は、法改正の国会附帯決議にあるように、公務における同一労働同一賃金のあり方に重点を置いた対応がなされ、フルタイム職員とパートタイム職員の賃金、労働条件について、労働時間数の差異を除いて、均等待遇が保障されているのか伺います。もしそうでないとすれば、法改正の趣旨に反するのではないか、総務部長にお伺いします。  第2点目は、臨時的任用職員の任期の設定です。総務省の事務処理マニュアルに示されているように、再度の任用に際しては、社会保険料負担や退職手当を免れる等のために、学校寄宿舎指導員等に年度末などに雇用期間の空白を設けるなど不当な制度設計は排除されているのか、教育長に伺います。  第3点目に、消費生活相談員や児童相談所の心理判定員など、恒常的に、日常的に専門的な業務に従事する会計年度任用職員については、人材育成や公務の継続性を担保する上から、任期期間に定めのない継続雇用を保障することが求められているのではないかと考えますが、どのような制度設計になっているのか、総務部長にお尋ねをしたいというふうに思います。 ◎総務部長(江島宏治) 会計年度任用職員制度について、私にいただいた2点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、フルタイムの会計年度任用職員とパートタイムの会計年度任用職員の待遇についてでありますが、今回の地方公務員法等の法改正の趣旨は、地方行政の重要な担い手となっている臨時・非常勤職員の適正な任用、勤務条件を確保することと認識しております。  本県におきましては、会計年度任用職員制度の導入に当たりまして、フルタイムの会計年度任用職員とパートタイムの会計年度任用職員の勤務日数や勤務時間の違いを踏まえまして、賃金、勤務条件の制度を設計しておりまして、法の趣旨にのっとったものであると考えております。  2点目、継続雇用の保障についてでありますが、会計年度任用職員について、改正後の地方公務員法第22条の2第1項第1号におきまして、「一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職」と定義されております。
     一方、総務省が示す改正法の運用通知では、現に会計年度任用職員の職についている者が、客観的な能力の実証を経て、再度、同一の職に任用されることはあり得るとされております。  こうしたことから、本県においては、勤務実績等の能力実証を経まして、一定の範囲内で再度の任用を行うことができるよう検討しているところであります。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)寄宿舎指導員等の臨時的任用職員の任用期間に関する制度設計についてお答えをいたします。  臨時的任用職員の新たな制度設計に当たりましては、総務省作成のマニュアルで指摘されております不適切な空白期間の是正につきましては、これを踏まえて必要な対応を図ることとしております。  その上で、寄宿舎指導員等の任用期間につきましては、学校現場の状況を把握しながら、業務の執行に必要な期間を適切に設定してまいりたいと考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)最後に、今回、制度化をされる会計年度任用職員制度の対象になる職員さんは、知事部局、教育委員会、警察本部を含めて4,000人を超える職員さんが対象になるのではないかというふうに思います。そういう意味からすると、この方々の労働条件や働く意欲が公務、県政の運営に大きな影響を及ぼしますから、できるだけ、今回の法改正によって、職員さんの処遇の改善を目的として法改正が行われたわけですから、これが前進できるように、ぜひ引き続いて努力をいただくことを要請をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、12番松本利寛議員の質問を終了いたします。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)通告に従いまして、学校におけるICT環境の整備について質問をいたします。  人工知能──AIなど先端技術が発達、普及する将来社会を見据え、新学習指導要領に基づき、2020年度から小学校でプログラミング教育を必修化するなど、情報教育に力を入れて取り組むことになっています。また、プログラミング教育以外にも、さまざまな教科において、デジタル教材やICT機器の活用をすることで、学習の幅が広がることが期待をされています。今後の学習活動において積極的にICTを活用することが想定され、学校の学習環境における基本的なICT環境の整備が自治体に求められています。  そのような中で、全国の公立小中高等学校などに配備されている学習用コンピューターが、ことし3月時点で、児童生徒5.4人につき1台にとどまっていることが文部科学省の調査でわかっています。  この調査によれば、滋賀県でも5.2人に1台と、全国水準よりほんの少しよい程度であり、文部科学省が新学習指導要領の実施を見据えてまとめた「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」、これに示された3クラスに1クラス分程度、わかりにくいですが、言いかえると3人に1台程度になります、としている当面の目標にもほど遠い状況となっていると言えます。  この危機的な状況を打開するために、文部科学省は、自治体による学習用コンピューターなどの整備を後押しするよう、2018年から2022年度に地方交付税で単年度1,805億円を手当てするとしています。  一方で、滋賀県においては、ことし策定された教育大綱において、新学習指導要領への改訂に沿うように、ICTを活用した学習活動の充実として、「効果的に授業のねらいを達成し、わかりやすい授業を実現するため、タブレット型PCや大型提示装置等のICT機器の活用方法や教材の作成について教員研修を進めます」としています。また、情報活用能力の育成として、「コンピュータ等を適切に用いて情報を得たり、問題を発見・解決したり、自分の考えを形成し、発信・伝達する能力を高め、将来の予測が難しい社会において、主体的に新たな価値を創造する能力の育成を目指す」「小学校におけるプログラミングの体験、中学校におけるネットワークを利用した学習活動、そして高等学校でのプログラミング教育の優れた指導事例を共有して教員の授業改善を支援することで、子どもが課題に対して論理的に考え、対応していく能力の育成を図る」とし、その上で、「コンピュータ等のICT機器に関する環境整備を促進し、これらを活用した学習活動の充実を図り、子どもの情報活用能力の育成を目指す」とされています。  これらを踏まえて、今回の質問では、特に学校のICT環境の整備に関して、以下4点について、全て教育長に質問いたします。  小学校において来年4月からプログラミング教育の必修化など情報教育に力を入れる新学習指導要領に基づき学校教育が進められることになっていますが、現在の小中高等学校のICT環境の整備状況、そして、その評価について見解をお伺いします。  特に、プログラミング教育などの情報教育の効果を最大限発揮することを考えるとき、学習用コンピューターを初めとするICT機器の整備は基本的な条件となり、大変重要であることは言うまでもありません。教科書や机上学習だけで身につくものではなく、実際にさわって、学習に必要なときに使える状況にする必要があります。特に学習用コンピューターについては、早期に、必要なときに学習用コンピューターが使用できる環境とするべく、県として対応が必要であると考えます。  国においては、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018年〜2022年)において、2018年以降の学校におけるICT環境の整備方針で目標とされている水準が示されていますが、滋賀県として小中高等学校のICT環境の整備の目標数値とその達成時期の目途についてお伺いいたします。また、県として、その実現に向けた具体的な取り組みについてもお伺いします。  現在、学校における学習用のICT機器の取り扱い、管理、メンテナンス、トラブル対応などの業務を行うICTの担当者は主に教員──先生が行っていると認識をしています。これらの作業は、一定のICTに関する知識が必要であり、何よりも時間を要するものとなっています。現状は特定の教員に負担がかかっている状況となっています。  今後、学校におけるICTの活用は当然進む方向になり、その役割や負担は大きくなることが容易に予測されます。この状況に適切に対応するべく、ICT担当の専門スタッフ──ICT支援員などを学校に配置することを検討すべきと考えますが、見解をお伺いをします。 ○副議長(細江正人) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)学校におけますICT環境の整備について4点の御質問をいただきました。  まず1点目の整備状況とその評価についてでございますが、小中高等学校におけます平成30年度のICT環境の整備状況につきましては、教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数や普通教室の大型提示装置整備率などにおいて、本県は全国的に見ますと、若干ですが、整備が進んでいると見ておるところでございます。  しかしながら、文部科学省が示しておられます2022年度までの目標には到達はしておらず、さらに市町や小中高等学校の校種によっては整備状況に違いがあると認識をいたしております。  将来社会を見据え、ICT環境の整備は急務であると考えておりますが、こうしたまだ整備が十分進んでいない面があることから、県教育委員会といたしまして、まず県立学校のICT環境の整備にしっかり取り組みますとともに、小中学校に関しましては、市町教育委員会にも働きかけていきたいと考えております。  2点目の小中高等学校のICT環境整備の目標数値とその達成時期のめどについてお答えをいたします。  国におきましては、文部科学省の第3期教育振興基本計画で、2022年度までに、全ての普通教室への大型提示装置や無線LAN環境の整備、議員の御質問にもございました3クラスに1クラス分程度の教育用コンピューターの設置といった目標などが示されております。  一方、本県の県立学校におけますICT環境の整備の具体的な目標数値は設定しておりませんが、国の教育のICT化に向けた環境整備5か年計画に沿った形で、計画的に整備を行っていくことが必要と考えております。  また、小中学校につきましては、多くの市町で、それぞれの計画に基づいて現在整備が進められておりますが、まだ十分に進んでいない市町につきましては、一層取り組みが進むよう働きかけていきたいと考えております。  3点目の県としてのその実現に向けた具体的な取り組みについてお答えをいたします。  ICT機器の活用に関しましては、学習意欲を高め、子供一人一人の学習状況に応じた学びを進めるという視点や、個人の学びを集団の中で共有し、多様な考え方に触れながら学びを深めていくという視点などにおきまして、大変有効であると認識をいたしております。  しかし、こうしたICT環境の整備につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、市町により取り組みに差がありますことから、県内の全ての子供たちがよりよい環境で教育が受けられるよう、県教育委員会として市町教育委員会にも働きかけ、ともに取り組んでまいりたいと考えております。  あわせまして、各学校でのICT機器が最大限活用され、各教科において子供たちの学習効果が上がるよう助言していくことによって、ICT機器の有効性が広く認識され、さらなるICT環境の整備、充実につながるよう努力してまいります。  県立学校におきましては、ICT機器の有効性、汎用性を踏まえつつ、各教科の目標や内容に応じたICTの活用方法を研究し、より効果的な機器の整備につきまして、それらの優先度を考えながら、ICT環境の整備に取り組んでまいる所存でございます。  最後、4点目の専門スタッフの配置についてお答えをいたします。  ICTの専門スタッフの配置に関しましては、機器の整備に伴いまして、円滑な活用を推進するために重要なことと考えております。教員のICT機器活用能力の向上、さらには教員の多忙化解消のためにも非常に有効であると認識をいたしております。  県内の小中学校においては、専門スタッフの配置に関して、市町や学校の実情に応じまして、各市町教育委員会により行われるべきものであると考えております。既に県内には積極的にICT支援員を置き、支援体制を構築し、効果を上げている市町もありますことから、今後、県教育委員会としては、県内でこうしたICT支援員の配置が進むようしっかりと働きかけてまいる所存でございます。  また、県立学校におきましては、ICT環境の整備に取り組みますとともに、支援員の配置やその活用についても研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)数点、再質問をさせていただきたいと思います。  答弁によりますと、ICT機器の学習に用いる効果ということについては、大変重要、大変効果的であると、有用性をすごく認めた答弁がなされました。  来年からプログラミング教育が始まるタイミング、このタイミング、非常に大事だと思うんですよ。このタイミングでどんな準備をしてスタートをするのか、ここに向けた計画、しっかり立てるべきなんですけども、「これから検証します」という答弁だったかなと考えています。  私、今回、小学校が特に大事だと思ってまして、入り口です。ここを整備するのは、答弁にあったとおり市町の教育委員会がということで、「働きかけます」というお答えでしたけども、それで進んでないから今の状況なんですよね。教育大綱にも「ICT環境の整備を進めます」というふうに書いてくださっていますので、ぜひとも目途を定めて、どの水準で滋賀県がこういう教育を子供たちにやりたいと、行いたいということをちゃんと想定した上で、3クラスに1クラス程度なのか、いやいや、それよりもう一歩進むのか。(「1人1台」)そう。2025年には実は1人1台を目指してるんですよね。そこに向けてどんな工程表を引いて取り組んでいくのかということが示されてしかるべきだと思うので、そこについて見解を。  そして、改めて市町に働きかける、働きかけて整備できるんだったらそれはなかなか苦労はないので、ぜひ働きかけていただければいいと思うんですけど、それで進まないから今の状況なんだと認識をしています。ぜひとも、具体的にどんな働きかけをするのか、答弁をいただきたいと思います。  例えば、市町の責任だと言うかもしれないですけど、やっぱり財源が伴わないと、「口だけ出すのか」と言われますよね。お金を出すなんていうのは一つの手段だと思いますし。  これ、来年から始まるときに、せっかく時間を使って取り組むんですよね。授業時間、限られてるんです。たくさんあるように見えますけど、1年間の使われる授業時間は限られてるんです。その中で、その必要な時間を使って取り組むプログラミング教育であったり、情報化に関する教育だったりするわけです。その使う時間が最大限有効に教育として使われるようにするべきならば、必要な機材はそろえて、先生に存分にその能力を発揮してもらえる環境を整えてから、先生に存分に能力を発揮していただきたい、このように考える次第ですので、具体的な方法についてもあわせてお答えをいただければと思います。  もう1点、ICTの担当の専門スタッフ、私、今、実は私の子供は小学生でして、学校でPTAの仕事をさせていただいてますので、先生たちとコミュニケーションをとる機会があったんですけども、ちょうどICTの担当をしているという先生がいらっしゃいまして、今、800人ぐらいの学校ですけど、80台コンピューターがあります。(発言する者あり)そうなんです。実はそんなに多くないんですよ。この状況で、1人で対応できてますけども、2人、3人、この数がふえていくことがここから想定されるわけで、そのときは非常に大変になるねと。なおかつ、得意でない先生もいらっしゃるので、そういう先生方がみずからするというのもなかなか大変なので、さらに教育の中でどのように使っていくのかについてもあわせて御助言をいただけるような方が学校の中にいると、非常に教育にとってよいというふうな意見をいただいたりしています。  これは普通考えればわかることなので、ICT担当の専門スタッフ、これ、学校に配置すべきと考えますが、先ほどのお答えでいくと、これも市町の教育委員会に働きかけていくということでした。学校の先生、県で人事を握っておられますけども、あわせて、ここも県として対応できないでしょうか、見解をお伺いをして、再質問といたします。 ◎教育長(福永忠克) 3点の再質問にお答えをさせていただきます。  1点目の2020年度から小学校で新学習指導要領が始まる、そしてプログラミング教育についても取り組みが進んでいく、こういう時期にこそICT機器がしっかりと整備される必要があるということでございます。  現在、教育用コンピューターにつきましては、小中学校では、いずれも児童生徒5.0人に当たり1台という状況でございます。全国が、小学校が6.1人に1台、中学校が5.2人に1台という状況でございます。  議員御指摘のとおり、できるだけ多くのコンピューターが児童生徒が使える形が非常に望ましいと考えておりますが、それぞれの市町で、県内の19市町でそれぞれかなり格差があるというのが1つ大きな課題であると私も認識をいたしております。それぞれの市町におきましても、市長部局、そして教育委員会それぞれで必要性について御議論され、整備が計画的に進められているというふうに聞いております。  2019年度──本年度、2020年度、2021年度、小学校、中学校の新学習指導要領というのをしっかり見据えながら、どういう形でできるのかというのを計画的に進められております。私としても、やはり、まだ十分でないと思われる市町の教育長、あるいは市長さん、町長さんに、しっかりとこの必要性について申し述べていきたいというふうに思っております。  プログラミング教育、情報機器を使うだけじゃなくて、その情報機器を使うことによって新たないろんな学習効果が生まれてまいりますので、そのことをしっかりと私がお伝えすることが非常に大事だというふうに思っております。  2点目の市町への働きかけの具体的なところでございます。  財源の問題も御質問にございましたけれども、教育用コンピューターの小中学校分の財源につきましては、国のほうの地方財政措置がされております。議員の御質問の中にもございました、全国で1,805億円という地方交付税措置の御質問もございました。本県におきましても、小中学校で約18億円程度の地方財政措置が現在なされております。それぞれの市町で幾らなされてるかというのもはっきりわかります。こういったことをしっかりと伝えながら、市町の取り組みが進むように考えていきたいと思っておりますし、この1,805億円が果たして十分なのかどうか、今の整備状況と整備進度を見ますと、十分なのかどうかというのもございます。この点につきましては、他の都道府県とも課題を共有をしながら、国に対してもさらなる地方財政措置の充実を呼びかけてまいりたいと考えているところでございます。  それから、3番目のスタッフのICT支援員の関係でございます。  私ども、このICTのさまざまな取り組みが進みますように、それぞれの学校において情報の部分を中核的に担う先生方の養成というのが1つ必要だと考えておりまして、総合教育センター等を通じまして、年間計画的にそういった各学校で情報教育を担う教員の養成に今、努めているところでございますし、あわせまして、総合教育センターの研修指導主事等が学校に行って指導もしております。それは我々県教育委員会としての指導でございます。  あとは、それぞれの学校現場におきまして、ICTに詳しい先生もおられれば、余り詳しくない先生もおられますので、そういったのはまず学校の中でしっかりとサポートしていただきますとともに、機器につきましては、さまざまな機器が出てまいりますので、具体に支援員を置きながらサポートを進めておられる市もございますので、そういった取り組みをしっかり紹介することによって取り組みが進むよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)さまざま答弁をいただいたんですけども、具体的に進まなければなりませんので、ぜひとも工程表をつくっていただく。達成目途を設定して、しっかりと取り組むことが大事なんじゃないかな。SDGsにも「質の高い教育をみんなに」とありますし、SDGsの観点からも取り組みとしてよい取り組みのはずだと思います。  再質問になりますけども、目途をきちっと示して、工程を書いて取り組むことについて改めて見解をお伺いしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) 当然、計画をしっかり持って、目標年次を定めて、いつ、どこまで達成するのかというものはしっかり押さえながら取り組みを進めることが大切だと考えております。  そういう意味におきまして、今、既に市町におきましては、かなりの市町で、今後3年間こういう形にするんだというのを示しながら取り組みを進めておられる。あるいは、もう少し長いスパンで取り組みを進められている市町もございます。  そういった取り組みを、我々として、計画どおり進んでいるのかどうか、しっかりと我々としても見ながら、必要な指導、助言に市町は努めてまいりたいと思っております。  あわせまして、県立学校、高等学校および特別支援学校についても、まだまだ十分ではない大きな課題であると認識を強くしておるところでございます。こちらにつきましても、どういうタイムスケジュール、工程で取り組みを進めていくのか、早急に検討してつくってまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)すいません、再度の問いです。  教育大綱に、やはりICT機器の整備の推進ということで書かれておりますので、今おっしゃった中でいくと、市町の計画をちゃんとフォローアップしますという御答弁だったと思うんです。そうではなくて、県としてちゃんと目途を定めて、県として、どこに、どの時期に行き着きたいのかというのをやはりお示しいただくべきだと思いますので、改めて見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) 市町の整備計画については、やはり市町立の学校であるということから、整備計画については、各市町において、市長、町長と教育長、教育委員会と市長、町長部局がしっかり話し合って、どういう形で進められるのか、財源をどうするのかというのを議論をしていただく必要があると思っております。  やっぱりそういったものが、しっかりしたものがないと、やはり共有して進められないと思いますので、市町におきましても、総合教育会議の場などを通じまして、市長、町長と教育委員会とが議論されておりますので、そういった場でしっかりと、このICT教育について、ICT機器の整備についてどのように進めていくのか、しっかりと議論をしていただき、計画をできるだけ早く、スピード感を持って進めていただくように、私としても、働きかけていくのが私の役目だと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。  続いて、SDGsの取り組みについて質問をいたします。  本年3月に策定された滋賀県基本構想では、目指す2030年の姿として、自分らしい未来を描くことができる生き方と、その土台として、将来にわたり持続可能な滋賀の姿を描きます。その実現のため、経済、社会、環境のバランスを図る統合的な取り組みであるSDGsの特徴を生かしますと記載があり、全国に先駆けてSDGs推進の宣言をした滋賀県として、県の最上位計画である基本構想においても、SDGsを基軸とした県政の推進の意思が明確に示されています。  また、今定例会議冒頭の知事の提案説明においてもSDGsについて触れられています。まさにSDGsを基軸に据えて県政運営が進められています。滋賀県ではさまざまな事業が行われていますが、全ての事業がSDGsの観点から、経済、社会、環境のバランスを図ることができている、具体的には目標とする17の到達点に向かって前進する事業であれば、あえて取り組むと宣言する必要もないと言えます。多くの事業は、経済、社会、環境のバランスを図ることに配慮を怠ればバランスが悪くなるものである、到達点から遠ざかるものであるという認識が必要で、ここに意を尽くし、労力をかけ、投資をすることが重要であろうと考えます。  この点に関して、基本構想の「6.政策の推進方法」の中で、SDGsの視点による政策・施策・事業の検討として、SDGsの視点を活用し、事業実施による効果だけでなくマイナス面にも配慮し、政策の立案、見直し、磨き上げを実施するとあります。この観点を踏まえて、マイナスの効果を勘案してバランスをとるということが示されていると考えますが、しかしながら、この点に言及されながら、この内容が示された県の事業の事例は極めて少ないのではないかと感じています。  SDGsを基軸に据えて県政運営をするということをたびたび表明している滋賀県として、全ての政策、施策、事業について、SDGsの視点で考えたときにどのような影響があるのか。プラスの面のみならず、マイナスの面を明らかにし、見える化すること。例えば提案資料の中に必ず記載するなど考えられると思いますが、必要であると考えます。総合企画部長の見解を伺います。  あわせて、その上で、マイナス面があった場合、バランスをとるためにどのような対応をとるのか。具体的な対応策に取り組むことが、今後のSDGsを基軸として事業を推進するに当たって求められることであると考えますが、同じく総合企画部長の見解をお伺いします。 ◎総合企画部長(廣脇正機) (登壇)SDGsの取り組みについて、2点の御質問をいただきました。  まず1点目の政策等のプラスの面とマイナス面の見える化ということについてでございますが、基本構想では、SDGsの精神を基軸に据え、持続可能な滋賀を目指すということとしておりますが、議員御指摘のとおり、施策や事業の推進に当たりましては、経済、社会、環境の3側面につきまして、そのプラスとマイナス面を総合的に考えてバランスをとっていくということが求められております。  こうしたSDGsの考え方も踏まえながら、各分野計画の策定においても留意することをしておりますし、また、次年度に向けた主要施策の構築の検討に当たりましても、調書にSDGsの視点を踏まえて記載するようなこととし、各部局が施策構築に当たって、こうしたことを踏まえて行うように努めているというところでございます。  こうした分野別計画ですとか施策や事業につきましては、予算の公表、説明や啓発パンフレットの作成などにおきまして、関連するSDGsのゴールを記載するなどしているところでございますが、議員が御提案いただきましたプラス面とマイナス面のバランス面の検討も含めて見える化をするというような観点も含めまして、今後、よりわかりやすく伝えられる方法を引き続き考えてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。  次に、2点目のマイナス面があった場合の対応についてでございますが、経済、社会、環境のバランスにおいて、プラスとなる面とマイナスとなる面があることはよく見られることでありまして、マイナスとなる面を別のプラス面と組み合わせるという工夫が大事になってまいると考えております。  例えば、オーガニック農業を初めとします環境こだわり農業は、農薬等の削減により、環境の面でのプラス面の一方で、コストや手間がかかるという経済面のマイナス面があるわけでありますけれども、これを、オーガニック近江米みずかがみといった新たな付加価値をつけることで経済面をプラスにする、そして全体としてバランスをとっていくこと、こういうものだというぐあいに理解をしております。  今後も、施策の検討に当たりましては、こうした考え方を取り入れていくようにしていきたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再質問いたします。  さまざまな事業に取り組むに当たって、SDGs、この視点を持って取り組むということで、経済、社会、環境、全てがバランスがとれている事業ばかりではありませんので、そこのところに必ず留意をしてということで、バランスが崩れたものに関して言えば、しっかりとバランスをとっていくことを意識して努められているということでした。  PRを、公表されてないというか、皆さんにわかりやすいと言ったらいいですかね、象徴的に皆さんにお示ししやすい事例は、きちっとゴールを示して取り組んでいると。これまでPRのためにそうされてきたんだろうという認識でいますが、ここから先、基本構想にもしっかりとSDGsを基軸にというふうに書いていただいてますし、その基本構想の中にバランスをとることが大事で、マイナス面への配慮だということもしっかりと記載をいただいてますので、記載のとおりにぜひとも取り組んでいただきたいという思いを込めて、この質問をさせていただいています。  改めて言うならば、これからどういうふうにPRをしたらいいかということで、検討いただくということなんですけども、率直にそのまま出していただいたらいいんじゃないかなという気がしています。  その上で、マイナス面がある、それにしっかり対応する手を打てればそれはそうですし、打てないことだってあると思うんです。それは、さっきおっしゃったように、ほかの事業で、これでカバーができたときには、カバーしますということも、これが何かSDGsの取り組むときの大事なとこなんではないかなと思っております。そういうことをしっかりとわかるようにお示しをいただくことを工夫いただきたいなと思っていますので、基本的に言うならば、議会に説明いただく案件について言うと、全てにおいて「SDGsの視点でこうです」という説明をおつけいただくのが筋なのではないかと考えるところであります。改めてこの点に関して答弁をいただきたいと思います。 ◎総合企画部長(廣脇正機) お答えをいたします。  政策の選定、決定に当たりまして、今おっしゃいましたように、経済、環境、社会の3側面につきましてプラスとマイナスを検討していくということは、これは当然でございますけれども、それを、どのようにバランスをとっていくのか、それについてどのような形でとったということを明らかにしていくのか、これについては、まだ少し研究をさせていただきたいというぐあいに思っております。  手間とかコストの面というのもございますし、それとのバランスも考えていかなくてはいけないというのもございますので、改めて検討させていただければと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) 終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  次に、23番海東英和議員の発言を許します。 ◆23番(海東英和議員) (登壇、拍手)自由民主党、23番海東英和でございます。背広は新しいものはつくれませんでしたが、心新たに質問させていただきたいと思います。  本日は10月1日、えとの10番目のとりの月で、10月1日は日本酒の日とされています。滋賀県では、近江の地酒でもてなし、その普及を促進する条例と呼応し、本日、地酒で1万人の乾杯プロジェクトが実施されます。それで、きょうは電車でやってまいりました。この熱心な取り組みが多くの方々の御参加を得て、さらに進展することを祈念申し上げ、無事に一般質問が終わったら、積極的に参加をさせていただきたいと思っております。  さて、きょう、電車で来るに当たって、きょうの防災に関する一般質問も兼ねて、新旭駅6時48分の電車に乗りました。何でかといいますと、防災訓練の地震が起こる7時の時点で電車はどこを走っているのかなということを確かめたかったからでもございます。実際7時の時点の災害想定で、防災訓練の場合は今津駅構内の大変安全な場所で電車からの救出訓練がされて、もったいないなというふうに拝見をしておりましたので、ちょっと確かめたかったのでございます。  電車に乗りますと、乗ろうと思って行きましたら、何とやっぱり10日1日で、970円の電車賃が990円になっておりまして、ほおと思いました。これはこれで切り上げます。  そして、近江高島駅6時56分に出発した電車は、7時に向かって白鬚のトンネルを2つ3つ越えまして、そして北小松の手前の北小松トンネル1と2を越えた直後にちょうど7時になって、その前後にブレーキがかかって、北小松駅に入っていく200メートルぐらい手前ではなかったかと思います。ですから、湖西線というのは全線高架ですので、電車の救済を考えていただくとき、やはり高架の事故、事件、事故からどういうふうに救出するかというものについて、これからぜひ御留意をいただきたいなと思って、ちょっと前振りがくどいですが、申し上げました。  それから、「スカーレット」の2日目で、初日と2日目の農村のところ、棚田を行くところは高島市で撮影されたということで、ごまめの歯ぎしりみたいな物言いですけれど、大変うれしく、喜んでおります。近江鉄道も盛大に県政でよく取り組んでいただいて、また、高島のことは高島のことをお世話いただければ幸いでございます。  それでは、通告に従いまして文書を朗読します。
     災害想定と琵琶湖の活用についてを申し上げます。  令和元年度の滋賀県総合防災訓練の評価はどうでありましたか。ヘリが頻繁に飛び交い、シナリオどおりに進められたようです。訓練会場のぬかるみで救急車が困難したことが唯一想定外であったようでした。  訓練想定の高島市の1週間後の被害状況は、全壊戸数1,455棟、半壊戸数4,693棟、死者56名、負傷者652名、避難者1万1,444名という想定になっています。  まず、訓練における災害想定と訓練のあり方を問います。  琵琶湖西岸断層ケース1の今回の震度7となりますと、高島市の湖岸に近いエリアは液状化が想定されます。訓練想定でも一部液状化と明記されています。高島市のハザードマップで液状化のレッドエリアになっている沼を埋め立てた訓練会場は使用できない可能性が最も高い場所です。また、道路も訓練想定のとおり、損壊で車両は到達できないと考えるのが妥当です。今回の訓練に遠方からも御参加くださった災害時の頼りとする方々の地理的な経験や記憶が生かせない可能性が高いのはもったいないと心配します。  琵琶湖西岸断層で震度7ですと、断層帯に近い国道161号の白鬚神社近辺や北小松の山側が崩れたり、琵琶湖側が液状化で崩れたりする可能性は低くありません。また、朽木の花折断層沿いに走る国道367号線や、今津、マキノを通る国道161号、303号の損壊や、家屋倒壊、倒木により孤立し、車両で外から救援に入れないことや、救急車で外部へ搬送ができないことが真っ先に想定されます。ふだんでもそれぞれのルートで通行どめや深刻な渋滞が頻繁に起こっております。現実に県民や高島市民が心配していることが想定から外されていなかったでしょうか。知事は、訓練時の災害想定についてどのように指導、関与しておられますか。  次に、閉会式の生田議長の御挨拶で、原子力災害との複合災害が想定になかったことについて言及されました。実際の訓練想定では、大飯原発の情報収集にとどめています。近年、想定外の要素を訓練に盛り込む自治体の例を仄聞します。せっかくの機会であるので、地元の地勢的な状況や、本来は最悪と考えられるぐらいの相当困難な事態を想定して、訓練の現実味を高める責務があると思いますが、どうでしょうか。毎年、7地域の回り持ち当番制で、大切なことを見逃していないでしょうか。顧みることが大切だと思います。  災害想定の訓練地域の被害状況──災害想定って、本というか、冊子がありますが、それの被害状況以外、さっきの被害者が何人亡くなったとか倒壊家屋が何軒ということ以外は、実は昨年度も一昨年度もほぼ同じ記述であります。  例えば、高島市の長い断層帯のどこが動いたのか。琵琶湖西岸断層は何キロにもわたっています。また、河川の氾濫があるということですが、どの河川で起こっているかの特定はなされていません。また、都市ガスのない、プロパンガスしかない高島地域にガスのライフラインの破損が発生し、どう復旧するのでしょうか。  滋賀県の防災訓練のあり方について、日曜日の朝7時という現実について知事はどう思われますか。  加えて、生田議長は、防災政策上、琵琶湖の西岸に県の港がないことを指摘され、「緊急時に民間の港であるから関与しないなどと言っている場合か」と問いかけてくださいました。少なくとも、どんな地震が来ても琵琶湖は有効な避難経路であり、物資運搬や救援に変わらぬ状態で航行をさせてくれる大変有効な経路であると思います。特に孤立が考えられる高島地域の防災訓練には、琵琶湖をどう有効に使うかがテーマにならないとおかしいと思います。  例えば、学習船うみのこは、災害対応で使うことも新船建造時の活用方法に挙げられていました。うみのこの災害時の活用計画を具体化する責務があると思います。うみのこなら、泊まれますし、食事もシャワーも提供できます。うみのこや、そして琵琶湖汽船のビアンカは十分な機能を備えた災害対策船になれます。災害対策船うみのこの運航についてきちんと検討されていますか。  民間の今津港が使えないとき、うみのこはどこに接岸させる想定でしょうか。  うみのこが来てくれると思うだけで、救援船としてのうみのこ、救援船としてのスタッフを乗せたうみのこという想定ですが、病院にも仮設住宅にもなり、うみのこが来てくれると思うだけで心の片隅に小さな安堵感がもたらされると思います。災害時に有効な港や桟橋の設備について、これまでは予算的に無理、民間の港の災害対策には関与しないと結論づけてこられましたが、防災行政も進化しております。現実的な災害対策として、不断の見直しをしていく責務があります。  懸案の琵琶湖の西岸地域で──高島だけでなく、湖西地域を含みますが──防災上の港の機能をどう確保するのか、との問題について検討を命じられたことはありますか。  例えば、仮設の浮き桟橋は、何時間で曳航し、機能発揮できるでしょうか。ぜひシミュレーションをしてください。今回はDMAT5名を民間の今津港から上げられたそうですが、琵琶湖からの救援、避難ということをぜひとも真剣に研究してほしいと思います。災害の翌日には必ずうみのこが来てくれる。滋賀県らしい、琵琶湖を生かしたすばらしい防災政策ではないでしょうか。  想定する力、洞察する力、想像力を発揮して、勘どころを押さえるセンスを働かせる力が防災想定のシミュレーションと訓練の実施の中で鍛えることができると思います。リアルな想定で行動や誘導を考えるワークショップを例えば県職員の研修メニューでされるのはどうでしょうか。余計な予算をかけずに、三方よしになりませんか。おかしいと思う洞察力、このままではいけないと働きかける勇気、これらが育ち、発揮されれば、例えば美術館や金亀公園やホームページのトラブル等の場合でも、予兆を感じ取ることができ、防げたかもしれません。  ちょっと横道にそれたかもわかりませんが、防災訓練を、地域特性などもよりリアルに反映し、魂の入った防災訓練にバージョンアップしていってはどうでしょうか。全て知事にお尋ねします。 ○副議長(細江正人) 23番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)災害想定と琵琶湖の活用について7点の御質問にお答えいたします。  1点目、総合防災訓練時における災害想定についての指導、関与でございますが、防災訓練におきましては、訓練でできないことは本番でもできない、訓練でできることも本番でできないことがあるということを肝に銘じながら、想像力を働かせ、最悪の事態を想定して、より実践的な訓練とするよう指示しているところでございます。  本年の県総合防災訓練におきましては、高島地域の特性を考慮し、1つ目は、地震の影響で原子力発電所に不測の事態が発生し、警戒事態となったことを想定した災害対策本部運営訓練の実施。2つ目といたしましては、主要道路が崩壊あるいは土砂等で寸断され、高島地域へのアクセスが途絶する状況を想定し、道路啓開、DMATや消防職員などの人員や物資の湖上輸送訓練の実施。3つ目といたしましては、昨年の台風21号の際に集落が孤立したことを踏まえ、住民の避難を想定したヘリコプター移送訓練を実施したところでございます。  2点目、県の防災訓練のあり方についてでございますが、県総合防災訓練は、関係機関や地域住民などが参加いたしまして、災害時に関係者が連携して迅速かつ的確に対応できる体制の確立と、県民の防災意識の高揚を図ることを目的に実施しているところでございます。したがって、日時、場所を指定して、一定のシナリオをつくって実施させていただいております。  訓練実施後は、関係機関が集まり、訓練を振り返り、改善点を出し合い、それを次年度の訓練に反映しているところです。例えば今年度の訓練におきましては、地上からの情報収集が困難な場合に有効な手段としてドローンによる情報収集訓練を取り入れました。また、JRの列車事故を想定し、多数の負傷者が発生した場合に関係機関が連携して対応する訓練を実施したところでございます。  今後も、地域の特性を踏まえた、より実践的な訓練の実施に向け、不断の見直しにより、訓練の実効性を高めてまいりたいと存じます。  3点目、災害対策船の運航に係る検討についてでございますが、滋賀県地域防災計画において、湖上交通も緊急輸送ネットワークの有効な手段の一つとして位置づけており、学習船うみのこなど県が保有する船舶や民間船舶を救援物資等の輸送手段として確保することとしております。  民間船舶の確保に当たりましては、災害時における人員や物資等の輸送に必要な客船等の応援に関する協定に基づき、船舶会社に対して応援を要請することとしているところです。  4点目、民間の今津港が使えないとき、うみのこはどこに接岸させるのかということについてでございますが、現状では、今津港が使えないとき、高島市内で接岸できる施設はなく、湖西地域では琵琶湖大橋港となります。  5点目、防災上の港の機能の確保の問題についてでございますが、今津港等を拠点とした水上ルートによる避難路等の整備について、高島市からの要望や監査委員からも御意見をいただき、検討を進めてきたところでございます。  今津港の耐震化等は、民間の占用施設でありますことから、県による整備は困難であります。  また、港湾施設の整備については、国では地方港湾の統合化が進められており、地方港湾が指定された例は約20年間ないということでございまして、国の社会資本整備総合交付金も利用できないことから、大変困難な状況でございます。  こうした中、代替の避難ルートを確保するため、既存の施設の利用について検討を進め、本年3月に、県と独立行政法人水資源機構琵琶湖開発総合管理所との間で、災害時等における相互協力に関する協定を締結いたしまして、同機構が管理する8つの揚陸施設等を新たに広域湖上輸送拠点として指定したところでございます。  6点目、琵琶湖からの救援、避難の研究についてでございますが、この8月には自衛隊大津駐屯地において、陸上自衛隊と海上自衛隊との連携により、浮橋──浮く橋ですね、いわゆる浮き桟橋の設置、および特別機動船による運航の検証が行われたところでございます。  この浮き桟橋につきましては、災害時に有効なものであると防災危機管理局から報告を受けており、今後、実効性のある活用について、自衛隊など関係機関と研究を行ってまいります。  7点目、防災訓練のバージョンアップについてでございますが、訓練の実施に当たりましては、地域の特性を考慮した訓練内容とし、その結果を検証して、次年度の訓練に反映するなど、繰り返し訓練することにより、成果を積み重ねてきているところです。  今年度に入ってからも、九州北部豪雨や、千葉に大きな被害をもたらした台風15号などの災害が発生しております。そうした全国各地で起こった災害からの教訓や、本県の災害経験に学び、また、被災地応援に派遣した職員の経験も生かしながら、実践的な訓練となるよう不断に見直しを行い、防災力の向上を図っていきたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)県民を守るために多くの方が訓練に参加していただき、精いっぱいしていただいていることに対しては心から感謝を申し上げます。  改めて知事にお尋ねしたいと思うんですが、この災害想定の倒壊家屋1,455棟、この下に人が、日曜日の朝7時ですから、基本的には日曜の朝、家の下で、1,455棟の下に人が埋まっている可能性がある。この多くの人たちに対して、どういうふうに災害訓練をするのか、これが肝だと思うんです。  そして、負傷者652名、死者56名、この亡くなっているか、けがしているか、この中に大変重要な、大急ぎで適切な治療をすれば助かる人がたくさんあるわけですから、トリアージとか医療機関への搬送というのが生命線だと思うんです。  日曜日の高島病院は、朝7時ですから、宿直明けの外科系と内科系の先生1人ずつしかいらっしゃいません。DMATが来てくださると言っても、5人ぐらいのチームで入ってくれはるにしても、この何百人というけが人が、地域の人はとにかく高島病院に、軽トラに乗せてでも運んでくると思います。  そこからどこへ連れていくか。ふだんでも麻酔科のお医者さんがいないので、盲腸ですら日赤へ搬送している現状があります。ですから、ヘリでも1人ずつや2人ずつ運んでいてはどうにもならない。だから船ということも言うてるわけです。  ですから、これからの災害想定ということ、このいざというときに次から次から来る多くの被災者たちをどのようにするかという心のトレーニングも含め、シミュレーションをしっかりしていただく。だから、例えば病院の搬送でも、大津日赤や県立総合病院、滋賀医大、そしてまた、県内の他の病院、どういうふうに搬送できるのか。それから、高島の場合は小浜市民病院ということもエリアとしては考えていただきたいと思うんです。  ですから、去年どおりのことをベースにしていろいろ災害訓練もしていただきますけれども、やっぱり一年一年、やっぱりその地域に合った災害訓練というものをぜひ考えていただくように、知事から、想定などの場合は指導、助言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  それから、水資源機構とか、そういうようなところと相談いただいて、浮き桟橋が有効であるというのは大変ありがたい話ですので、そういうものが実用化できるように、なるべく早く結論を出していただきたいと思います。  それから、今津港の耐震化等でございますが、立派な立派な港を望んでいるわけではございませんので、いざというときに使えるように、今の民間の港に何を付加すれば防災上何とか使えるのかということ。それこそプラスチックの桟橋でも構へんと思うんです。あかん、あかんと言って切り捨てるのではなくて、どうしたら市民が救えるか、県民が救えるかということを考えていただきたいと思います。  今の、最初に申し上げた重傷者等の対応などについてこれからどう考えていくのか。それから、災害拠点病院で、とりあえず今回の訓練は災害拠点病院に送り込んで完結、めでたしめでたしで終わっていますが、実はその先が必要な地域においてのそういうシミュレーションをこれからどうしていくのか、どういうふうにシミュレーションするように知事は命じていただけるのかについて御答弁をいただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 2点、再質問いただいたということでよろしかったでしょうか。  いずれにいたしましても、一定の想定、またシナリオは要ると思いますが、そのシナリオについても絶えず更新をして、さまざまな事態、そして最悪の事態を想定するということ、そして、県内各地で訓練をやらせていただいているということからすると、その地域事情をできるだけ盛り込む形で訓練を行い、それを教訓にし、今後の対策に生かすということが肝要ではないかと思います。  おっしゃった災害発生直後、この状況下において住民の皆様方が、例えば地震であれば下敷きになられていらっしゃったり、また、豪雨災害等であれば水浸しの家屋等で救出を待たれているという、こういう状況があろうかと思いますので、それに対応、即応すること。また、DMAT、トリアージを含め、医療機関にできるだけ速やかに患者等を搬送すること。それは何も中心となった被災地域のみならず、広域で、例えば県境を越えてでも搬送すること、また、ドクターヘリ等で搬送することも、これは大変重要なことだと思います。  近年の災害に照らして見れば、複合で災害が起こる、揺れたときに大雨が降るですとか、また、原子力災害も起こる、また、熊本の地震等にありましたように、連続して襲来するということに備えるとするならば、そういった救出、医療活動が極めて困難な状況の中で行われなければならないという、こういったことも重要な想定になるのではないかと考えております。  港につきましても、さまざまな可能性を追求していきたいと思いますが、すぐにできることといたしまして、広域湖上輸送拠点として水資源機構管理施設等、これは高島市内であれば堀川揚陸施設を活用するということで協定を結ばせていただきましたが、こういったこと等についても、すぐにできることはすぐにできることとしてやり、検討しなければならないことについては、なお引き続き検討するということで、いずれにいたしましても、災害対応能力の強化に訓練等をしっかりと生かしていきたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)知事がおっしゃった「訓練でできないことは本番でできない」ということは、よく使われる言葉ですけど、大変重たい言葉です。ですから、少なくとも担当の人がシミュレーションをして、この場合どうだろう、どうだろうということを絶えずしていただいて、いざというときに適切な助言、アドバイス、指示ができるように何度もシミュレーションしてほしいと思います。  それは、今回のワールドカップのラグビーが、南アフリカに勝ったときにそのことが言われましたですよね。何度も相手を想定して訓練して、そして、訓練ではできないので、その練習の間にまたパニックを起こして、それでも適切な判断ができるように、あのエディー・ジョーンズという人がコーチをして、新しい体制になってさらに鍛えて、今回、周りは奇跡と言うけれど、自分たちは予定どおりだという大活躍をされているということですので、ぜひいろんなものに学びながら県庁力を上げていただきたいと思います。  それから、うみのこ、この活用についてはもっと本気で考えていただきたいと思いますし、今回も最終ページに、うみのこで子供たちの避難訓練というページがありますが、これはやっぱり、それにとどまっていてはいけないと思います。そこを御検討いただきたいと思います。  それでは、2点目のビワイチの振興と安全対策の責任についてを御質問申し上げます。  ナショナルサイクルルートの候補ルートに選ばれたニュースは、これまでのビワイチの振興にかかわった皆さんの努力が一定の成果をおさめてきた結果とお喜び申し上げます。  せっかくの機会でありますので、見事に選定され、また、それをきっかけにビワイチがよりバージョンアップして、サイクリストの安全と充実感が向上し、あわせて地元住民の安全と納得感も高まり、滋賀県の活力とステータスが向上する三方よしを実現していっていただくことを願いたいと存じます。  ビワイチは10万人を超えたと承りました。知ってもらう、来てもらう段階から、いかに安全に楽しんでもらうか、さらには、より心地よく楽しんでもらえ、受け入れ地域も喜んでいただけるということが問われる段階になっていると考えます。  以前、ヨーロッパなどで、進む自転車ハイウエーを御紹介いたしました。そして、自転車道の構造を早く設定し、計画的に、手戻りのないように推進することも提案しました。  ナショナルサイクルルートになると、さらにビワイチを目指す人がふえ、課題も顕在化し、マナーの悪い人も一定数来られることもあるでしょう。改めて、ビワイチをよりすばらしいものにしていくために問います。  まず、ビワイチにおいて、特に集落の中を走る区間と、道路が狭隘で危険な区間の細やかな安全対策が必要と考えられる区間があると思います。宣伝、誘客が先行し、安全対策が後手に回り、不十分なところがあると見受けます。サイクリスト、そして地元の住民も自動車の運転者たちも、ともに絶対に深刻な事故に遭うようなことがあってはなりません。有村議員の一般質問をきっかけに、自転車の通行をドライバーに注意喚起する目的で、矢羽根型マークや青い線がどんどんふえておりますが、法的拘束力などは特にないとのことです。今後の安全対策について、警察本部長はどのようにお考えですか。  次いで、以下、知事にお尋ねします。  矢羽根型マークで自転車の通行を知らせて保護するように道路標示が一気にふえていますが、この道路標示の意味、位置づけ、さらには地域ルールが設定されたならば、その内容等についてきちんと県民や来訪サイクリストにお知らせすることが必要です。外国の方への配慮ももちろん必要です。それは、どこの部局に担当させ、今後周知していかれますか、知事にお尋ねします。  矢羽根型マークや青線が引けたのでビワイチはでき上がりではなく、もっと品質のよいビワイチ環境を目指したいとお考えと思います。  ナショナルサイクルルートに選定されると、日本の交通ルールや地域事情を知らない方もさらにふえると思われますので、交通安全に重きを置いた交通インフラの改善、整備は極めて重要です。特にサイクリストからも危険が指摘される白鬚前から北小松地区や競艇場周辺などは今後どのような整備や運用を考えておられますか。これについては、ちょっと、いろいろあるとは思いますが、取り上げて御質問したいと思います。  まず、議長のお許しをいただいて資料提示をさせていただきたいと思います。写真ですが。  (資料掲示)まず、サイクリストに一番危険と言われている白鬚前の写真です。赤い舗装ペイントで注意喚起され、自動車の通過の平均速度は下がったとのことですが、車両の平均通過速度はいまだに60キロ程度であるとのことです。追突事故はふえています。  前回、地下横断路の必要性を訴えましたとおり、観光客の増加は著しく、多い月は5万人を超えることもあるほどです。ビワイチも、年間10万人のうち何割の方が通られるかは存じませんが、危険度は増していると考えられます。  手前の白ひげビーチ前から2車線を1車線に絞る誘導をされるようになりましたので、追い越し車線相当分が500メートル以上使われていません。バイパス本体工事がこのエリアに差しかかるには10年以上かかると思われ、国道に働きかけて協力をお願いして、安全な自転車レーンをつくり出していただきたいと思います。  そして、もう1枚の写真もそうですが、琵琶湖側のガードレールの外側に植樹帯がありますので、工夫をしていただき、自転車レーンを生み出していただきたいと思います。  (資料掲示)次に、3枚目の写真になってしまうんですけれど、白鬚神社からもう5分ほど走りますと大津市の北小松エリアに入ります。写真のとおり、琵琶湖側のガードレールの外側に、使われていない、樹木が生い茂った歩道があります。1メートル幅ぐらいです。歩道の先も樹木が生えており、琵琶湖側にスペースが存在します。狭い車道の中に自転車通行を知らせる青線や矢羽根型マークが表示されていますが、国道と県の協力で自転車の通行帯をつくり、安全度が著しく向上できる区間ではないかと思います。  (資料掲示)続いて提示しますのは大津市の競艇場前の様子です。狭い車線の中に矢羽根型マークと青線があります。しかし、左カーブで、後ろから車に追い越されるとき、左側のコンクリートの縁石と挟まれるような極めて危険な状況になってしまいます。ここは時間によって中央線が動きますので、中央側の車線は追い越し車線となり、スピードが上がる傾向があり、危ないと感じます。歩道があいていると自転車も歩道走行できるのですが、土日を含む競艇の開催期間はとりわけ人があふれます。ここは、賢明なビワイチルートの変更も含めた安全対策を緊急に講じる責務があると存じます。  この3カ所以外にも県内には気になる箇所があると存じますが、資料提示はこれにとどめます。  あと、集落内を通る様子は洞察力を働かせてください。  それでは、質問を続けます。  ビワイチを楽しんでおられても、お天気の急変でびしょ濡れになっているサイクリストが下を向いて一生懸命ペダルをこいでおられる横を、しぶきを上げて大型自動車が通過します。危ないし、気の毒です。気候も、大津や草津でスタートして、湖北、湖西で雪や時雨に遭うことも少なくありませんし、雷をよける場所も必要と思います。湖岸沿いの公園のパーゴラや、あずまやなどをよい感じで改修するとグレードアップできると思います。ビワイチ配慮を公園整備計画に織り込んではどうでしょうか。  次に、海津地区において、高速走行自転車と低速走行自転車を分けるとの目的で、水色の道路標示を県が一方的に一部施工したら、地元の自治会が抗議をされ、説明会をされたとのことです。説明会によって一定の理解が得られたようですが、サイクリストの中には、マナーの悪い、ごみやペットボトルを投げ捨てながら走っていく者もいると地元区長はおっしゃいました。  琵琶湖岸の集落は、湖岸に倉庫や作業場を持つおうちが多く、横断する必要性が高い暮らしをしておられます。また、乳母車でお年寄りが歩いている横を時速30キロ以上の自転車の隊列が走り抜けるさまを想像してみてください。年間何万台もです。また、集落内をゆっくりと並走される自転車も軽トラックなどで追い越せず、「あおり運転の批判があって、クラクションもはばかられるんや」と困っている声を聞きました。  湖西エリアは、琵琶湖と暮らしてきた集落が連続します。中には重要文化的景観に選定された地区もあり、多くの人にも見てもらいたいという思いをお持ちの地域もあるようです。  知事には、地元集落の皆さんとビワイチのサイクリストが共存できるように心を砕いていただき、丁寧に政策を実施いただきたいと念願します。  地域の生活の安寧を確保するために、ルート決定のときの生活者尊重を堅持し、通過自転車は、笑顔を交わせる程度のスピードで通過するぐらいの、通学路の自動車のゾーン30に倣い、ゾーン20とかゾーン15とか、地域ルールの設定、普及を求める声に応えていただきたいと思います。  また、迷惑をかけないルート設定。次いで、ローカルルールの設定と周知が必要と思いますが、ビワイチの走行環境整備の方針の現在の課題の欄には、生活者尊重の項目がありません。ビワイチがみんなに愛されるための安全対策等について知事の見解を問います。  湖岸道路の植栽帯の自転車道化の試みは、さらなる検討が必要と思われます。速い自転車は車道をなれた姿で走っていかれますが、親子や初心者、ゆっくり景色を見たいサイクリストが走るレーンが必要ですので、現在のように切り下げるより、植栽帯の高さで舗装したほうが、全体の経費も下がり、延長も延び、喜ぶ人がふえるのではないでしょうか。御一考ください。  現在の切り込むようなレーンの設置は、グレーチングや暗渠排水を伴う工事の難しさもあり、舗装の仕上がりが平らにできない現状で、雨がたまり、サイクリストにも不評です。また、切り込み部の終点部で自転車が車道に戻るのに、はみ出す場面が危険でありますので、ドライバーからも不評です。手戻りのないような政策判断が必要で、熟考を求めます。どうでしょうか。  最後に、ナショナルサイクルルートに選定されることに向かい、知事には幾つものお考えがあろうかと存じます。最後に、これからのビワイチへの夢と、県民の皆さんへのメッセージをお聞かせください。 ◎知事(三日月大造) ビワイチの振興と安全対策について7点御質問いただきました。私にはそのうち6点賜りました。  まず1点目、道路標示の意味等についてでございますが、矢羽根型の路面標示は、車道における自転車の通行位置を自転車の利用者とドライバーの双方に示し、自転車の安全な通行空間を確保するために設置している法定外の路面標示でございます。  そのほかに、滋賀県独自の取り組みといたしまして、ビワイチのルートを案内する法定外の路面標示として青破線を設置しております。車道に設置される場合には、矢羽根型の路面標示と同様に自転車の走行位置を示す役割もございます。  これらの道路標示等の周知につきましては、土木交通部が中心となって、観光部局や国、市町、警察、各種団体等と連携して進めるものといたします。  具体的には、交通安全運動や講習会における啓発のほか、ぐるっとびわ湖サイクリングマップやビワイチサイクリングナビアプリなどを活用いたしまして行ってまいります。また、マップやアプリ、ルート上の案内表示等の多言語化ですとかピクトグラム化を進め、海外から来られた方にもわかりやすく周知できるよう努めてまいります。  2点目、危険が指摘される箇所の今後の整備等についてでございます。写真等をお示しいただき、ありがとうございます。  国道161号の白鬚神社前から北小松までの区間は、自転車が安全に通行できるよう、道路拡幅等について滋賀国道事務所と協議を行っているところでございます。  また、大津市の競艇場付近につきましては、道路沿いに建物が建ち並び、道路拡幅等が困難でありますため、安全な代替ルートの選定について大津市と協議を行っております。  今後も、ナショナルサイクルルートにふさわしい、誰もが安全、安心に走行できるビワイチの環境整備を推進してまいります。  3点目、ビワイチ配慮を公園整備計画に織り込むことについてでございますが、これまでから、ビワイチ利用者に配慮いたしまして、湖岸緑地の都市公園に、おおむね10キロメートルの間隔で休憩スポットを整備してきたところでございます。  今後も、施設の整備計画に位置づけるなどし、自転車ラックの整備や雨よけ施設の充実等、サイクリストも利用しやすい環境づくりを、利用者の御意見を伺いながら、関係市町とも連携し、また、都市公園のみならず、自然公園も含めて取り組みを進めてまいりたいと存じます。  4点目、生活道路での安全対策等についてでございますが、これまでのビワイチルートでは、全てのサイクリストが集落内を通過する区間もございましたが、御指摘のような集落内道路の安全性を確保する等の理由から、家族連れなど地域の魅力に触れながらゆっくりと走行する低速・初級ルート、スポーツとしてサイクリングを楽しむ上級ルートをそれぞれ設定し、生活者とサイクリストがともに安全に利用いただける環境整備を現在進めているところでございます。  集落内道路はゆっくり走行する低速・初級ルートに設定するとともに、関係市や地元住民などの御意見も丁寧に伺いながら、わかりやすい案内看板や注意喚起看板等を設置するなど、安全対策に取り組んでまいります。  さらに、交通ルールはもとより、ごみのポイ捨てはしない、集落内はゆっくり進むなどの当たり前のことから、地域の皆さんと笑顔で挨拶するといったサイクリストのルールとマナーを、例えばビワイチルールのようなローカルルールとしてまとめ、発信していくことも具体的に検討してまいりたいと存じます。  5点目、植栽帯の利用についてでございます。
     湖周道路等では、上級ルートは車道側、低速・初級ルートは歩道側に設定しております。  低速・初級ルートが狭い場合には、植栽帯のスペースを活用し、切り下げずに拡幅することで、自転車歩行者専用道路として安全な通行空間を確保することとしております。  一方、議員御指摘の植栽帯の切り下げは、上級ルートに設定した区間で実施しております。これは、低速・初級ルートの安全な幅員が確保できている場合に、車道上の自転車通行帯等として整備するものでございます。  自転車通行空間整備に当たりましては、初級者から上級者まで誰もが安全にビワイチを楽しんでもらえる整備に努めるとともに、今後も一貫した整備方針のもと、手戻りがないように取り組んでまいりたいと存じます。  最後、6点目、これからのビワイチへの夢でございますが、琵琶湖を一周することに端を発するビワイチは、本県の豊かな自然環境や歴史遺産などさまざまな魅力に触れ、地域に息づく生活文化の中で人々との触れ合いを楽しむビワイチ・プラスを含め、大きく育ってきております。おかげさまで大きく育ってまいりました。  今後、ビワイチがナショナルサイクルルートへ指定されれば、ますます多くの方に訪れていただけることとなります。また、それを目指したいと思います。  サイクリングといえばビワイチと言われるくらいにブランドイメージを高めて、サイクリストに加え、女性や親子連れも含めて、県民はもとより国内外から多くの方々に懐深い琵琶湖の周りでサイクリングを楽しんでいただけるようにしていきたいと存じます。  そして、日常的にサイクリングを楽しむことが健康づくりにもつながり、県内隅々まで訪れて、食べて、泊まって、語り合う、そしてまた来るということで地域社会も活性化する、そんな姿を県民の皆さんと一緒に描き、また、描いた夢を実現してまいりたいと存じます。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)ビワイチの安全対策についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、ビワイチのルートには、道路が狭隘な区間や車両交通の多い区間などが含まれておりまして、利用者等による交通事故防止の観点から、注意を要するものと認識しているところでございます。  これまでも、ビワイチ推進のための環境整備の一環として、知事部局などにおきまして、ルートを案内する看板や、上級サイクリストと家族連れ等の中・初級者ごとに異なるルートを案内する法定外路面標示の設置、道路法に基づく自転車歩行車専用道路の指定などを実施してきているものと承知しております。  県警察といたしましても、ビワイチのルートを含めた県内の道路につきまして、利用者への安全運転啓発や交通安全施設の整備等を進めてきておるところでございますが、今後とも、これらの対策を徹底するとともに、知事部局等に対しまして、ビワイチに関係する交通事故防止の観点から、必要な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)進みながら考えていくという問題でもあろうかと思いますが、やっぱり事故やそういうものがあってはならないので、改めて知事に、描いた夢を実現していきたいとおっしゃる中で、きょう、成田議員の答弁の中で、令和5年に16万人を超えるという想定がきょうは答弁にありました。16万人を超えるという中で、お客さんの満足度、地域の方の満足度が保証できるのか、そういう安全や地域の方の満足度が保証される人数はどれぐらいだというふうに考えておられるのかということを知事に、それから、10万人が16万人になって交通安全の確保がちゃんとできるのか、このことについて警察本部長に再問させていただきます。 ◎知事(三日月大造) たくさんの方に来ていただくということを目標としつつ、おっしゃったように、来ていただいた方の満足度をしっかりと高めていく、確保していく、これも大切なことだと思います。いや、むしろ、そういった来ていただいた方の満足度を高めることが、ひいてはたくさんの方に来ていただける、繰り返し来ていただけることにつながるのではないかというふうに思います。  そのためには、何より安全が第一ということでしょうし、初めて来ていただいた方にもわかりやすい表示でありますとか、1日で全てを回れるという距離でないとすれば、休み休み、時には食べ、時には景色を楽しみながらめぐっていただけるような、そういった環境の整備、また、地域住民の皆様方との触れ合いもそれぞれの地域においてしていただきながら、楽しんでいただけることで満足度を高めていきたい。そのことで多くの方にお楽しみいただけるようなビワイチというものをつくっていきたいと考えているところでございます。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) お答えいたします。  利用者がふえるということで交通安全が確保できるかというお尋ねでございますが、交通安全の任に当たっておりますのは、警察のみならず、県知事部局もそうでありますし、また、市町もそうであります。また、市民の方々にもそれぞれ交通安全ボランティアなどで御協力をいただいているところでございまして、警察のみならず、こういった関係機関、団体、あるいは交通安全のボランティアの皆様方と協働して、しっかりと交通安全が図れるように万全を期してまいりたいと思っております。 ◆23番(海東英和議員) 終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、23番海東英和議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時50分 休憩    ────────────────   午後4時19分 開議 ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、7番村上元庸議員の発言を許します。 ◆7番(村上元庸議員) (登壇、拍手)7番村上元庸です。通告に従いまして、大きく3項目を全て分割方式にて質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。  まず1つ目は、日本農業遺産・世界農業遺産と山間部の持続可能な農林業の推進について質問いたします。  本県は、いわばドーナツ状と言える特徴的な地形をしています。すなわち、外側から順に県境をぐるっと取り巻く山地森林地帯、中ほどの平野部地帯、次に琵琶湖沿岸部地帯から成る3部の陸地、そして中心の琵琶湖と、他県には見られない特筆すべき地域であると言えます。  ここでは、県境、山間部に降った雨水は、水源涵養された山地森林から徐々に大小さまざまな多くの河川へ流入し、その下流の河岸段丘や平野、さらには琵琶湖周辺の田畑という3部の舞台を次々と潤し、そして最後には中心となる琵琶湖に全ての水が注ぎ込みます。  こうした県境の山地森林から琵琶湖までの水の流れの過程を通じて、幾多の植物、動物を育み続ける持続可能な生命の大循環こそ、琵琶湖システムそのものではないかと理解しております。言いかえれば、本県の農林水産業が歴史的に大切にしてきたと同時に、未来においても大切にしていかなければならない山地森林から琵琶湖に至るまでの生命の大循環システムこそが琵琶湖システムであるとも言えます。  こうした本県の特徴を生かした「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」とのテーマのもと、伝統的な琵琶湖漁業、魚のゆりかご水田、環境こだわり農業、水源林の保全など、先人から受け継がれてきた琵琶湖と共生する農林水産業が本年2月に日本農業遺産に認定されたところであり、現在はさらに仕上げのステップとして、世界農業遺産認定に向けて申請中であります。  滋賀県のホームページでは、「世界農業遺産の琵琶湖と共生する農林水産業の次世代継承!『世界農業遺産』プロジェクト」と題して、県民向けに広報発信されています。  そこには、以下のようにコメントされています。  「滋賀独自の農林水産業と文化、景観、生物多様性を全国に発信し、琵琶湖と共生してきた滋賀の農林水産業の『世界農業遺産』認定を目指します。琵琶湖と共生してきた滋賀の農林水産業のなかでも、特に滋賀ならではの遺産的な価値があるエリ漁など伝統的な『琵琶湖漁業』や、琵琶湖から産卵・繁殖のため水田に遡上する湖魚を育む『魚のゆりかご水田』、米と湖魚との融合から生まれた『ふなずし』などの食文化を象徴的な営みの柱とし、日本一の環境こだわり農業や森林の保全活動、農業用水の循環利用などの取組とともに、ひとつのストーリーとして磨き上げ世界にアピールし、世界農業遺産の認定申請を行います。そして、このプロセスを通じて、県産農畜産物の安心・安全のPR、ブランド力の向上、環境保全型農業のさらなる深化や観光資源としての活用を目指します」とあります。  しかし、この雄大な3部の舞台の中で、日本農業遺産、世界農業遺産認定においては、目立ちやすい琵琶湖周辺の漁業や農業の営みをクローズアップしがちであり、この生命の循環を維持する水源涵養機能を持つ山間部や里山、また、そこで営まれる林業、茶業、農業は、ややもすると陰に隠れて見逃され、取り残されがちであります。  これまで獣害対策にもかかわらず一定の効果しか発現しておらず、また、過疎化により、中山間部、山村の荒廃など、琵琶湖システムを維持していく上で深刻な問題を抱えています。  琵琶湖は、琵琶湖保全再生法で国民的資産に位置づけられており、その源流である山地森林は琵琶湖システムの原点であることから、山間部や里山における森林保全や林業、茶業、農業の経営安定は重要で、また、獣害対策についても継続した取り組みが必要であります。  こうしたことから、世界農業遺産認定を生かした農林水産業の振興をさらに進めていくためには、県民に対して琵琶湖システムの真の意味が理解できるよう、さらなる周知を図り、積極的に協働の取り組みを進める必要があると考えます。  こうした観点から質問いたします。  まず、世界農業遺産認定に向けた取り組みの状況と認知度について、農政水産部長にお尋ねいたします。  次に、獣害の現状と今後の対策について、森林、林業の現状および今後の対策について、琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。  また、野生獣による農業被害の現状および今後の対策について、農政水産部長にお尋ねいたします。  次に、中山間地における茶業の振興の取り組みについて、農政水産部長にお尋ねいたします。  また、中山間部における地域振興とコミュニティーのあり方について、農政水産部長にお尋ねします。  最後に、世界農業遺産認定を目指す琵琶湖と共生する農林水産業の推進についての決意を知事にお願いいたします。 ○副議長(細江正人) 7番村上元庸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)世界農業遺産に関しまして、私にいただきました琵琶湖と共生する農林水産業の推進についての決意でございますが、議員も御指摘いただきましたように、琵琶湖をお預かりする、琵琶湖とともにある本県におきましては、いにしえより、森、里、湖のつながりを大切にしてきており、琵琶湖と共生する農林水産業を琵琶湖システムとしてしっかりと次世代に受け継いでいくことは、今を生きる私たちの責務であると考えています。  また、世界農業遺産の認定を契機といたしまして、この琵琶湖システムから生み出される滋賀の恵みを国内外の方々に知っていただき、さらに、味わい、楽しんでいただきたいと考えています。  こうした取り組みを通じまして、本県農水産物の販路拡大や生産者の意欲向上など、地域活性化につながる力強い農林水産業の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)私にいただきました森林、林業における獣害の現状と今後の対策についての御質問にお答えいたします。  まず、森林、林業における獣害の現状でありますが、主にニホンジカが樹木の皮を剥いだり、苗木を食べるといった被害や、下層植生を食べ尽くしてしまうことにより、土壌が流出するといった被害が起こっており、こうした被害は県内の森林で広く確認されております。  次に、獣害対策につきましては、被害防除、生息環境管理、捕獲の3つを最適に組み合わせ、総合的に実施する必要がございます。  当部での取り組みは、被害防除として樹木にテープを巻いて皮を剥がれないようにする対策や、防護柵等を設置して苗を保護する対策を実施しており、生息環境管理としましては、野生獣の生息防止を目的とした森林整備を行う緩衝帯整備を実施しており、今後ともこうした対策を行ってまいります。  また、捕獲につきましては、ニホンジカやイノシシ、ニホンザルなどによる農林業被害を軽減するため、引き続き市町が実施する有害捕獲に対して支援を行います。  特に、ニホンジカにつきましては、高標高域など捕獲困難地での県による捕獲事業を継続しますとともに、ICTによりおりの操作を行うなど新たな捕獲方法を検証しており、さらなる捕獲頭数の増加につなげてまいりたいと存じます。  また、ニホンザルにつきましては、市町による個体数調整が速やかに実施できるよう手続の簡素化や基準の緩和などの見直しを昨年度行ったところであり、捕獲が円滑に進むよう運用してまいりたいと存じます。  今後とも、森林の保全や山間部の農林業振興に資するよう、地元住民の方々や市町、狩猟者など関係者の皆さんとしっかりと連携しながら獣害対策を進めてまいりたいと存じます。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)世界農業遺産等に関する御質問のうち、私にいただきました4点の御質問にお答えいたします。  まず1点目の世界農業遺産認定に向けた取り組み状況等についてでございます。  ことし2月に日本農業遺産に認定をされました「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」は、世界農業遺産認定を受けますためのFAO──国連食糧農業機関への申請に向けまして、現在、農林水産省の専門家会議のアドバイスを受けるなど、調整の最終段階にございます。準備が整い次第、農林水産省を通じまして申請書を提出する予定でございます。  その後、現地調査などFAOによる審査が行われることから、海外の審査員に対しまして琵琶湖地域の魅力と価値をしっかりとアピールし、理解いただけますよう努めてまいります。  また、世界農業遺産の認知度は、平成27年度の全国的な調査では5%でございました。ことし2月の本県における県政モニター調査では50.6%の認知度でございました。また、本県が認定を目指して取り組んでいることについての認知度も41%となっているところでございます。  今後、農山漁村の活性化に向けまして、さらなる魅力の発信や認知度の向上に努めますとともに、認定後の活用に向けましては、次世代につながる県民協働の取り組みとなりますよう、生産者、消費者、企業、大学などとの連携を進めてまいります。  2点目の野生獣による農業被害等についてでございます。  イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルといった主な野生獣による農作物の被害金額は、平成30年度は1億1,300万円となっており、被害が最も多かった平成22年度に比べまして約4分の1に減少したものの、近年は横ばい傾向となっているところでございます。  こうした野生獣による農業被害を一層減らしますため、引き続き、市町を主体とした被害防止協議会による侵入防止柵の整備を初め、わな、おりの購入や、ニホンザルの効率的な追い払いや捕獲のための群れの行動調査等を支援してまいります。  また、各地域において獣害対策に関する研修会や講座を実施し、集落リーダーや獣害対策アドバイザーといった人材の育成を進めますとともに、防除効果の高い柵や獣害に遭いにくい作物を展示する圃場を設置し、これをごらんいただくことなどを通じて、集落における獣害対策の取り組みを推進してまいります。  3点目の中山間地域における茶業振興の取り組みについてでございます。  議員御指摘のとおり、本県の茶業は、朝宮茶、土山茶を初めとして、中山間地域を中心に個性豊かな産地が形成され、地域を支える大変重要な産業となってございます。  しかしながら、急須で入れるお茶の消費の減少に伴いまして、産地間競争が激しくなっておりますことから、消費者のニーズに対応した付加価値の高い茶葉の生産を進めることが必要となってございます。  このため、消費者の安全、安心志向に応えますとともに、新たな市場の開拓として輸出の拡大を図りますため、オーガニック茶の生産を支援しているところでございます。  今後も、オーガニック茶の安定生産や高品質化のための技術開発とその速やかな普及に努めますとともに、生産者、茶商業者や茶業関係団体と連携をしながら、生産体制の整備、販路開拓や消費拡大PR等を進め、中山間地域の茶業振興を図ってまいります。  なお、近江の茶のPRにつきましては、消費者へのPRに加えて、私ども農政水産部として来客用や会議等における近江の茶の利用促進を図ってございますが、今後、本県で開催されます全国知事会議や全国植樹祭での活用など、一層のPRに努めてまいります。  4点目の中山間部における地域振興とコミュニティーのあり方でございます。  農村地域、とりわけ中山間地域では、コミュニティーで支えられてきた集落共同による農地や農業施設等の保全活動を通じて、水源涵養や生態系保全などの多面的な機能が発揮をされ、滋賀の豊かな自然環境が育まれており、琵琶湖システムを構成する大変重要な要素になってございます。  このことから、県では、集落ぐるみの共同活動を積極的に支援し、地域振興を図ってきておりますが、近年、高齢化や人口減少の進行等によりまして、これまでのコミュニティーの形では、地域振興が難しい集落も生まれてまいっております。  このため、昨年度から、中山間地域の集落等と企業や大学、NPO等の多様な主体との協働で地域資源を磨き上げ、滞在型余暇活動や都市農村交流を推進するなど、新しい形のコミュニティーづくりを促し、地域振興を図っているところでございます。  今後とも、地域の実情に応じた形でコミュニティーづくりを促進いたしますとともに、棚田を初めとして中山間地域ならではの資源を活用する協働活動を支援してまいりますことにより地域振興を図り、琵琶湖システムの維持、発展につなげてまいる考えでございます。 ◆7番(村上元庸議員) (登壇)大変前向きで、よい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  でも、まだ、私も中山間部に住んでまして、ここに通っておるわけですけど、いまだに獣害や集落の問題というのは引き続き大きな問題ですので、引き続き対策のほうをお願いしたいと思います。  また、茶業におきましても、鹿がお茶の葉っぱを食べるというようなこともありまして、そういう被害もあるということで、この前聞いてきまして、びっくりしました。ありがとうございます。  そこで、知事に再質問をお願いしたいんですが、ただいま農政水産部とか琵琶湖環境部より、それぞれの立場から御答弁いただきました。この琵琶湖システムを維持することが大変大事だと思っております。  世界農業遺産認定の挑戦には、ドーナツの内側の琵琶湖沿岸の付近がどうも強調されるようで、私が住むようなドーナツの外側の山間部はどうも置いてきぼりという傾向にあるように皆感じております。誰一人取り残さないというSDGsの観点からも、その点を踏まえまして、知事の御存念をお伺いいたしたく存じます。  また、これに関連して、やまの知事を標榜されておられますので、知事のやまの健康づくりに対する思いについてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) 存念という言葉、久しぶりに聞きました。大変いい言葉だと思います。  また、やはり、冒頭御紹介いただきましたように、滋賀県は、山があり、そして平野部、里山、河岸段丘、そして真ん中に琵琶湖があるという、このまさに一体的な小宇宙のような、この環境が、ある意味では大変恵まれており、一体感も醸成することができ、いろんな課題はございますけれども、みんなで取り組める、そういう可能性のある地域だと思います。  滋賀県のそうした風土、歴史の中で育まれてきた琵琶湖システムは、農林水産業だけでなく、地域の歴史や文化、経済、さらには生物多様性までをも包含するものでございまして、世界農業遺産認定への取り組みは、まさに琵琶湖を中心とするこうした地域の営みを持続可能なものとして次世代に受け継ぐための総合的な施策の象徴であると認識しております。  この取り組みの推進母体であります琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業推進協議会には約680の幅広い企業、団体、個人の皆様に御参画いただいており、当然、山間部にお住まいの方、山のお仕事をされる方もいらっしゃると思いますが、連携をさらに広げていくことを通じて、この思いを共有してまいりたいと存じます。  私自身、やまの知事を標榜させていただく者といたしまして、森林、林業、農山村を一体的に捉え、適切な森林保全を進めるとともに、地域の幅広い資源を生かしたなりわいや経済循環を創出することにより、農山村の活性化を図ってまいりたいと存じます。  おかげさまで、令和3年春──2021年春に甲賀市の鹿深夢の森におきまして全国植樹祭を開催させていただけます。この機に、開催地だけではなく、琵琶湖も含めて県民総ぐるみによる森づくり活動を進めてまいりたいと考えております。  これらのことを通じて、琵琶湖とそれを取り巻く山地、森林、里山地域について、一体的に捉え、健全で魅力ある姿で未来に引き継いでまいりたいと考えているところでございます。 ◆7番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございました。これでこの項の質問を終わります。  では、2番目の項目、救急医療についてに移ります。  救急医療を担う医療機関は、初期救急医療体制、二次救急医療体制、三次救急医療体制の3体制で対応しています。  消防年報によりますと、救急車による搬送人数は年々増加し続け、平成29年中は5万9,705人で、前年に比べ2,867人増加しています。内訳は、交通事故による搬送は6,199人で年々減少傾向でありますが、急病による搬送は3万8,775人であり、前年に比べ1,856人増加しています。急病による救急搬送患者における軽症者の割合は58.7%であり、継続して高いことは問題の一つであります。  本来は、風邪や打撲など軽症患者は診療所などの初期救急医療機関で治療を受け、もう少し重症となり、緊急手術や入院治療の必要な患者は二次救急医療である病院で治療することになっています。  この二次救急医療は、本県では31病院が対応しています。しかし、現実では多数の軽症患者が二次救急医療機関を受診しています。そのため、二次救急病院の医師は軽症患者も治療しなくてはいけなく、時間や体力などに過分な負担がかかり、疲労を招き、本来の仕事である重症患者に対しての治療にも影響が出る可能性もあり、効率の悪い状態になっていると言えます。  そこで、1つ目の質問です。以後、質問は全て健康医療福祉部長に伺います。  軽症患者が二次医療機関を受診することについて、患者側にも適切な行動をしてもらう必要があります。県はどのような対策をとっておられるのか伺います。
     近年、重篤な患者に対する高度な救急医療体制としてドクターヘリがあります。これは救急医療に必要な機器および医療品を装備した特別なヘリコプターで、専門医師と看護師が同乗し、現場からの搬送までの間に患者に医療を行う専用ヘリコプターであります。これは搬送が早いだけでなく、超早期の段階で医療が施せる最高級の救急医療体制と言えます。このことにより、重症外傷、心臓・大血管疾患、脳卒中、ショック状態などで最も有効性が発揮され、救命はもとより、重症化予防、予後の改善が見込めます。  30年ほど前に留学研修したフランスの大学病院では、当時、ドクターヘリが頻繁に利用されていて感心したものですが、これはフランスという広大な土地ゆえ、必要に迫られてのことであると言われていました。まさかこの狭い日本で、この滋賀県でこの体制が実現されるとは想像できませんでした。  ドクターヘリは、令和元年9月現在、全国で43道府県で53機が導入され、平成30年度は全国で2万9,000件の出動がありました。  本県においても京滋ドクターヘリが済生会滋賀病院を基地病院として、平成27年4月に運航を開始してからの出動回数は、平成27年度391件、平成28年度472件、平成29年度439件、平成30年度620件と増加してきています。京滋ドクターヘリが運航を開始してから、救命された方が多くいると聞いています。  ここで、2つ目の質問です。  ドクターヘリは、患者を医療機関まで搬送し、救急医療を提供するまでの時間短縮に意味があると認識していますが、どの程度の時間で医療機関まで搬送できるのでしょうか、伺います。  3番目の質問です。  ドクターヘリの出動要請は、救急車と異なり、消防機関が119番通報を受けてから行うこととなっています。ある消防は、ドクターヘリの出動を要請したが、他の消防は同じような患者に対して要請しないというような事態にならないために、出動要請に関して統一された基準が必要と考えますが、京滋ドクターヘリの出動要請について伺います。  4番目の質問です。  ドクターヘリの目的は早期医療介入でありますが、医療現場が医療機関に近ければ、ドクターヘリの要請を行わずとも、救急車でそのまま医療機関へ搬入すればよいはずです。ドクターヘリの要請と救急車による搬送の選択はどのように行っておられるのか。また、ドクターヘリが出動した場合、患者は全て基地病院へ搬送されるのでしょうか。搬送先はどのように決定しているのでしょうか、伺います。  最後の質問です。  ドクターヘリの運航に係る費用は県民の税金で賄われており、効果の検証も重要であります。ドクターヘリの運航に係る経費は年間どの程度なのでしょうか。また、ドクターヘリを導入してどのような効果があったのでしょうか、伺います。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)救急医療につきましての5点の質問のうち、1点目、患者側に適切な行動をしてもらうための対策についてお答えをいたします。  風邪や打撲など軽症の場合は、まずは診療所を受診する、突然の激しい頭痛や腹痛の場合は直ちに救急車で受診するなど、適切に医療機関を受診してもらうためには、県民の皆様への情報提供や相談対応が必要と認識をいたしております。  そこで、情報提供といたしまして、休日や夜間を含め医療機関を受診したい場合、医療機関を検索できるシステムといたしまして、医療ネット滋賀を運営しております。現在診療している医療機関はどこか、あるいは診療科や診療時間等の情報を提供しているところでございます。  また、休日や夜間に子供の容体が急変した場合、特に子供については判断が困難であることもありますから、直ちに医療機関を受診したほうがよいのかどうか、医療機関の通常診療時間まで様子を見るのか等の相談に対応いたします小児救急電話相談事業♯8000を実施をいたしております。  ただ、これらの事業に関します認知度につきましては、昨年度、県政モニターアンケートを実施しましたところ、「知っている」という割合が医療ネット滋賀で14%、♯8000で33.7%でございまして、関係機関と協力してさらに周知に努めてまいりたいと思います。  また、あわせて救急時に慌てないためにも、かかりつけ医を持つことの重要性についても啓発をしてまいりたいと思っております。  2点目、ドクターヘリによる医療機関までの搬送時間についてお答えをいたします。  ドクターヘリによる搬送は、ランデブーポイントといいます患者の場所に最も近いドクターヘリが着陸できる場所まで救急隊が患者を搬送いたしまして、救急車内でドクターヘリで到着した医師と看護師が患者に初期治療を施しまして、その後、医療機関へ搬送するというものでございます。  平成30年度におけます京滋ドクターヘリの出動要請があってから医療機関へ搬送するまでの平均時間は42.7分でございます。ただ、要請からランデブーポイントでの初期治療までの時間については14.7分となってございます。  一方、平成29年中の救急車によります初期治療が行える医療機関までの搬送時間、これは33.7分となってございますので、初期治療までの時間は大幅に短縮できているものと理解しております。  3点目、ドクターヘリの出動要請についてお答えをいたします。  京滋ドクターヘリは、消防、搬送先の医療機関、医療関係団体、警察、教育委員会等の関係機関により構成されます京滋ドクターヘリ運航調整委員会で作成をいたしました運航要領に基づき運航いたしております。  運航要領では、消防機関による要請の基準を定めておりまして、その基準では、早期医療提供を目的といたしまして、119番通報の受信時のキーワード方式による出動要請を基本といたしております。  キーワード方式とは、119番通報のときに通報者からの情報に出動基準に該当するキーワード、例えば「急にろれつが回らなくなった」「溺れた」「3階以上の高さから落ちた」などがあれば出動要請を行うというものでございます。  また、119番通報時に要請が実施されなかった場合でも、救急隊が患者に接触した際に患者の容体から、同じく運航要領で定めます救急現場での出動要請基準に基づきまして判断を行い、出動要請をすることといたしておりまして、ドクターヘリを要請する機会は2回ございます。  なお、ドクターヘリを必要とする事例に必ず対応できるようにすることが大切でございますので、キーワード方式で出動要請することによりまして、結果的に軽症事例に出動要請をしてしまうということも容認をいたしておりまして、そのことは出動要請基準にも明記をいたしております。  4点目のドクターヘリの要請と救急車との選択、患者の搬送先および決定方法についてお答えいたします。  早期医療提供という観点から、患者の場所、ランデブーポイントの位置、受け入れ医療機関までの距離などを消防機関が総合的に判断をいたしまして、ドクターヘリの出動要請を行うのか、救急車で医療機関へ搬送するのかを選択をいたしております。  患者の搬送先は運航要領で滋賀県内であれば原則11の病院と定めておりまして、患者の搬送先につきましては、ドクターヘリに搭乗する医師が診断、治療方法まで考慮いたしまして、救急現場に一番近い病院で適したところに搬送いたしているところでございます。  最後に5点目、運航に係る経費と効果の検証についてお答えをいたします。  京滋ドクターヘリの運航に係る費用は、平成31年度の予算額で約2億5,500万でございますが、そのうち半分、約半分には厚生労働省の補助金が当たっております。  京滋ドクターヘリの運航範囲は京都府南部と福井県嶺南地方が含まれておりますが、それぞれの出動回数で案分するため、本県の負担金額は1億2,000万円となっておりますが、その半分は特別交付税により措置をされております。  平成30年度の実績では、1回当たりの運航経費は約40万5,000円程度ということでございます。  ドクターヘリの効果検証につきましては、全国のドクターヘリを対象といたしまして、各活動に関する詳細なデータ、例えば、各活動の実施時間、患者の容体、医療行為の内容、転帰等を収集しまして、現在、厚生労働科学研究において研究が実施されているところでございます。  また、本県でも毎年度、京滋ドクターヘリ運航調整委員会におきまして、要請後の対応、初期治療についての医学的な検証は実施をいたしております。その検証の場では、実際にドクターヘリを導入した後、溺れて心肺停止となった子供、あるいはゴルフ場での心肺停止患者、樹木剪定中に落下した方、あるいはけいれんが続く子供などに対しまして、早期に救急医療を提供いたしまして、救命や重篤化を阻止できた事例が多数報告され、評価をされているところでございます。 ◆7番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございました。ドクターヘリが適正に運航されていることがよくわかりました。  24時間、日夜絶え間なく人命救助の業務をしていただいている医療関係者や救急隊の方に心より敬意と感謝を表しまして、また、引き続き救急医療の充実を願いまして、次の質問に移ります。  最後の3番目の質問です。  小中学校における虫歯予防のためのフッ化物洗口の実施についてであります。  私は整形外科医をしていますが、子供はよく骨折をします。それは子供の骨がやわらかく弱いためでありますが、歯も骨と同じように、幾ら生え変わった永久歯であっても、子供のときは未熟で傷つきやすく、虫歯になりやすい状態です。そのため、歯がしっかり成長して十分かたくなるまで、その表面にコーティングをして守ることがとても重要であります。これは特に小中学校時代の15歳までが大変重要な時期なのです。  口腔の健康は全身の健康にもつながることから、本県においては平成26年に滋賀県歯および口腔の健康づくりの推進に関する条例が公布、施行され、歯と口腔の健康づくりを通じて、健康寿命の延伸を図り、健康で質の高い生活を営むことができる社会を目指しているところであります。  この条例の第14条では、学校等における歯科疾患の予防の推進として、県は、フッ化物洗口を初めとした歯と口腔の健康づくりに関する効果的な取り組み推進のために必要な措置を講ずるものとされており、知事または県教育委員会は、小中学校等においてフッ化物洗口が施行される場合には、学校保健計画に位置づけて実施するように助言する等必要な援助の実施に努めるものとされています。  専門家によりますと、歯磨きだけでは虫歯予防にはならず、フッ化物の応用が大切であり、とりわけフッ化物洗口が虫歯予防に効果的であることが科学的事実とされています。  全国のフッ化物洗口の実施状況を見ますと、保育所、幼稚園、小中学校での実施率は全国が17.4%であるのに対して、滋賀県では13.1%で、全国を下回っている状況であります。全国でも早くからフッ化物洗口を開始している新潟県においては65.7%と非常に高い実施率であり、12歳児の1人平均虫歯数は0.4本と全国でも一番少ない数値であります。  滋賀県では乳幼児・学齢期の虫歯の本数や虫歯のある人の割合は減少傾向にはありますが、滋賀県歯科保健計画で定める目標数値の達成に向けて、さらなる改善を目指しているところでありますが、それにはフッ化物洗口の普及が必要であると考えます。  私の地元の甲賀市では、保育所や幼稚園ではほぼ全員にフッ化物洗口が実施されていますが、小学校では全く実施されていません。一方、滋賀県内に目を向けると、フッ化物洗口が一切実施されていない市町もあれば、守山市や竜王町など小学校でも実施されている市町もあり、また、トップダウンで実施に踏み切る市町もあるなど、同じ県内でも市町による温度差があります。  そこで、まず、健康医療福祉部長に伺います。  幼少時から虫歯予防に取り組むことは、生涯にわたり健康な歯と口を保ち、生活の質の向上、そして健康寿命の延伸につながることから、健康医療福祉の大きな課題の一つであると考えますが、幼少時からの虫歯予防について、フッ化物洗口を含め、県としてどのように虫歯予防を推進されるのかお答えください。  次に、教育長に3点お伺いします。  1点目、小学校でのフッ化物洗口の有効性についてどのように考えられておられますか。  2点目、また、フッ化物洗口の現状について、市町の学校で差があるのはなぜでしょうか。  3点目、今後、フッ化物洗口を推進するに当たっては、教育現場の声を踏まえ、市町教育委員会の判断に委ねられると思いますが、滋賀県教育委員会としては、県内の小中学校での推進に対してどのような見解をお持ちでしょうか、あわせてお答えください。  次に、国内に目を向けますと、熊本県では平成22年にフッ化物洗口を推進する歯及び口腔の健康づくり推進条例を策定しましたが、安全性、有効性への懸念や誤解、新たな業務への負担感等の問題から、学校現場で慎重意見があったため導入が進まず、平成24年度では3.8%にとどまっていました。  そこで、次のような取り組みを行った結果、6年後の平成30年度には熊本市以外では100%、県全体では平均で77%の小中学校で実施できるようになりました。その取り組みとは、知事が知事出前ゼミでみずから講話やフッ化物洗口の実演を行ったり、また、健康づくり推進課と体育保健課の担当課がともに市町を丁寧に粘り強く説明し、理解を求めたことであります。条例という仏に魂を入れたと言えるでしょう。  また、長崎県では、県から補助制度を創設し、小学校においては補助を開始した平成25年では12.6%でしたが、4年後の平成29年度では100%になりました。  そこで、知事に伺います。  このような他県の取り組みを踏まえて、いつも健康しがを目指されている知事は、本県の小中学校でのフッ化物洗口の普及についてどのようにお考えか、御意見を伺います。 ◎知事(三日月大造) まず、順番は最後だったんですけれども、私から答弁させていただきます。  小中学校におけるフッ化物洗口の実施について、特に本県での普及についてということでございますが、フッ化物には、歯そのものを強くすることに加え、虫歯になりかかった歯を修復したり、虫歯の原因菌の活動を抑制したりする効果があるため、フッ化物洗口を継続して実施することで確実な虫歯予防効果が期待できると認識しております。  県内の小中学校におけるフッ化物洗口の取り組みには、市町によってその状況に違いがあることも認識しております。  県といたしましては、議員御紹介のとおり、滋賀県歯および口腔の健康づくりの推進に関する条例に基づき、フッ化物洗口等の効果的な取り組みを推進する立場にございます。  このことから、後ほど答弁しますが、健康医療福祉部と教育委員会が連携を強め、市町や小中学校の関係者がフッ化物洗口の有効性を十分理解されるよう説明や啓発を行っていると承知をしておりますが、御紹介いただきました他府県の取り組みなども参考にしながら普及に努めてまいりたいと思いますし、そのための施策を検討していきたいと考えております。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  小中学校におけるフッ化物洗口の実施についての5点の御質問のうち、私にいただきました幼少期からの虫歯予防の推進についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、食べる、話すなどの機能を果たします歯や口腔の健康は、全身の健康の保持や増進に大きな役割を果たしておりますことから、虫歯や歯周病の予防など、歯と口腔の健康管理は重要であると考えております。  歯と口腔の健康管理につきましては、ライフステージに応じた取り組みが求められますが、特に幼少期からの取り組みは、虫歯になりやすい生え始めの歯を守れること、あるいは虫歯になりにくい生活習慣の獲得を得られることなどから、生涯にわたり虫歯を予防する上で重要だと認識をしております。  そのため、幼少期からの規則正しい食生活、歯磨き習慣の定着、定期的な歯科健診に加えまして、議員御指摘のとおり、効果的なフッ化物洗口を行うことが重要だと思っております。  そこで、県としましては、保育所、幼稚園、小中学校等においてフッ化物洗口を安全かつ適切に実施いただけるよう、滋賀県歯科医師会とともに滋賀県フッ化物洗口実施マニュアルを作成いたしまして、その手法を示しますとともに、必要に応じて歯科医師等を派遣することで、技術支援を行っているところでございます。  あわせまして、「おとなの歯をたいせつに」というパンフレットを作成いたしまして、永久歯が生え始める5歳児の保護者に対しまして、保育所等を通じて配布し、フッ化物利用、歯磨き、食生活など、生えたばかりの永久歯を守るために必要な情報もお届けをいたしております。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)小中学校におけます虫歯予防のためのフッ化物洗口の3点の御質問にお答えをいたします。  まず1点目のフッ化物洗口の有効性についての認識についてでございます。  虫歯予防におきまして、歯の生え変わる小中学生の時期は非常に大切であり、各学校では養護教諭が中心となり、学校歯科医、また歯科衛生士の方々と連携し、歯磨き指導や食生活に関する指導など歯科保健指導に取り組んでおります。  知事のお答えにもありましたように、フッ化物洗口は虫歯予防の効果が期待できると私も認識しており、学校でのフッ化物洗口は、朝学習の時間などを活用して一斉に実施できることから、効果的なものであると考えております。  2点目の市町間で取り組みに差があることについてお答えをいたします。  現在、フッ化物洗口を実施している市町は、小学校では9つの市町、中学校では3つの市町でございます。また、来年度から実施を予定している市もあると聞いておるところでございます。  未実施の市町では、フッ化物洗口の実施を検討する中で、子供に対する安全性の懸念や実施時間の確保が課題となると聞いております。  フッ化物洗口につきましては、滋賀県フッ化物洗口実施マニュアルにも示されておりますとおり、実施に向けまして、関係者の合意、そして実施校の理解、保護者説明会の開催等、市町内の多くの関係者の理解と協力、これが必要でありますことから、未実施の小中学校ではこうした調整にも時間を要していると認識をいたしております。  3点目の県教育委員会の見解についてでございます。  県教育委員会としましては、県内の各小中学校で取り組みが進みますよう、学校保健に関する研修会でフッ化物洗口実施校の実例発表や、フッ素の効果の情報提供を行うなど、その有効性への理解が進むように啓発に努めてまいります。  特に、フッ化物洗口が未実施の市町に対しましては、実施への課題解決を図りつつ、健康医療福祉部や歯科医師会の皆様とさらなる連携を深め、虫歯予防が子供の将来の健康づくりにつながるという観点から、フッ化物洗口の普及を推進してまいる所存でございます。 ◆7番(村上元庸議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。  そこに住んでいるだけで健康になる県を目指して、安くて、安全で、効果の高いフッ化物洗口の小中学校への広がりを願うものであります。  何も知らない無防備な子供、我々の大切な宝である子供の健康を守ることは、我々の大人の義務であることを忘れてはいけないと思います。  以上で私の質問を終了します。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、7番村上元庸議員の質問を終了いたします。  最後に、5番白井幸則議員の発言を許します。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇、拍手)本日、最後の質問者となりました。自民党滋賀県議会議員団の白井幸則でございます。  私は、27歳のときに独立、創業し、民間企業の経営に30年間携わってまいりました。春の統一地方選挙で初当選をさせていただき、このような機会を与えていただくことができました。したがって、私の人生の初めての一般質問です。よろしくお願いいたします。  民間企業の経営者をしていた関係もあって、当然のことながら、企業の社会的責任においても持続可能な社会をつくるため、SDGsに取り組まなければならないと思って胸にバッジもつけておりますが、県議会に来たならば、みんながこのSDGsのバッジをつけているものと思っていましたら、つけている方が余りにも少ないので驚いております。  SDGsは、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発のための2030アジェンダで示された17の国際項目です。御存じのとおり、このアジェンダでは「誰一人取り残さない」を基本理念としております。  私は、守山高校時代に友人と社会問題研究サークルをつくって、同和問題や障害者の人権について活動をしていました。部落解放全国高校生集会、いわゆる全高に参加し、「あと2年、あと3年、私たちが一生懸命活動すれば、こんな理不尽な差別はなくなるんや」と、仲間と肩を組んで涙を流しました。以来40年、この活動を続けてきて、さまざまな差別や人権を侵害するような事象に出会うと、今もそのときの感情がよみがえってきます。  人権の課題を突き詰めていくと、強い者と弱い者、マジョリティーとマイノリティー、いわゆる社会的少数派の問題にぶつかります。SDGsの「誰一人取り残さない」という基本理念は、まさに人権問題を解決する上において最も重要な理念であると考えています。したがって、私の初めての質問は、人権政策についてさせていただくことにしました。  それでは、発言通告に従いまして、人権政策に関して、分割質問で総合企画部長、総務部長、それぞれにお尋ねをいたします。  まず、人権に関する県民意識調査の結果について、平成13年度、平成18年度、平成23年度、平成28年度、15年余りの4回の結果を見ると、人権が尊重される社会の実現に向けての考え方について尋ねたところ、「自分も実現に向けて努力をしたい」と答えた人の割合が、平成13年度は60.4%、平成18年度は51.7%、平成23年度は47.2%、平成28年度は39.4%と、調査を重ねるごとに減少していきます。  一方で、「なりゆきにまかせる」や「特に考えていない」と回答した人は、平成13年度26.2%であったものが、平成28年度には49.3%に増加しています。  また、同和問題の解決に向けての思いについても、平成18年度、平成23年度では「自分のできる限りの努力をしたい」と答えた人が16.3%あったものが、平成28年度では15.1%に減少をしています。  意識調査の結果を見る限り、消極的な考えが広がっています。これは人権に対する意識や同和問題解決に対する思いが低下、後退しているように思われますが、県民の意識の変化について、その見解を総合企画部長にお尋ねをします。  次に、人権啓発を進める上において、また、人権問題の解決に当たっては、公務員たる県庁職員が模範となり、県民に対しても一歩進んだ高い人権意識を持ち、ふだんから県民のよき相談者として、助言者として取り組む必要があると考えます。
     同和問題については、以前に比べて学校での学習時間が少なくなっていることや、都道府県ごとに取り組みにばらつきがあり、学習の機会がないまま社会人となる場合があります。  滋賀県でも県外出身の新規採用者も一定数いることから、特に職員対象の人権研修が重要となります。県庁職員を対象とした人権研修の実施状況や参加率について、現状と今後について総務部長にお尋ねをします。  次に、2002年──平成14年に地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地対財特法が失効し、被差別部落の環境改善と差別解消を目的として行われた一連の同和対策事業が終わりました。  これは都市部で見られるように、地域間の人的交流が進み、部落差別がほとんど解消された地域、一方で、交流が進まず、依然として根深く部落差別が存在する地方の集落があり、国策としての全国一律の法律では対応できなくなったことによるものです。その後は、それぞれの地域の実情に合わせて、一般対策として取り組むことになりました。  これに合わせて、平成12年12月、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が施行、滋賀県では平成13年4月に滋賀県人権尊重の社会づくり条例を施行し、取り組みを進めています。  同和対策事業終了後、同和問題に関する研修や啓発の機会が大幅に減少したと思われますが、その関連について見解を総合企画部長にお尋ねいたします。  最後に、平成28年12月に部落差別解消推進法が施行されました。この法律は、現在もなお部落差別が存在していることを認め、部落差別は許されないとの認識を持って、部落差別を解消し、部落差別のない社会を実現することを目的としています。  十分御理解いただいていることと思いますが、部落差別解消推進法は、部落差別に今も苦しむ人々や、完全解放を目指す我々にとって、再び国が差別の現状を鑑み、真正面から同和問題の解決に取り組もうとするものであると、大きな期待を寄せているところであります。  この法律が本当に実効性のあるものにしていくためには、それぞれの自治体がそれぞれの実情に合わせた各施策の見直し、強化を図っていく必要があります。  滋賀県では以前から、滋賀県人権尊重の社会づくり条例を施行し、これに基づいてさまざまな人権施策を推進しているということですが、条例施行から18年が経過し、社会の環境も大きく変化してきました。  最近では、情報化の進展に伴うインターネット上での差別事象の発生など、新たな部落差別も発生していることや、人権に関する意識調査の結果などを踏まえた上で、新たな条例制定も視野に入れながら、現行の滋賀県人権尊重の社会づくり条例について、人権施策推進審議会の中に小委員会を設置し、点検してはどうかと思います。  部落差別解消推進法の意義と県条例の点検実施について総合企画部長にお伺いし、この項の質問を終わります。 ○副議長(細江正人) 5番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総合企画部長(廣脇正機) (登壇)人権政策についての4点の質問のうち、私にいただきました3点の御質問にお答えをいたします。  1点目の県民の意識の変化についてでございますが、議員御指摘のとおり、これまでの人権に関する県民意識調査からは、人権が尊重される社会の実現に向けて、みずから進んで行動するということについては、消極的な考えを持つ方の割合が増加傾向にあるということは認識をしております。  滋賀県人権尊重の社会づくり条例におきましては、「すべての人の人権が尊重される社会をつくりあげることは、私たちみんなの願いであり、また責務である」とされているところでございまして、こうした傾向は課題であるというぐあいに考えております。  県民一人一人が人権についてより一層の関心を持ち、全ての人の人権が尊重される社会の実現に向けて、みずからの課題であるという認識のもとに、日常生活のさまざまな場面で具体的な実践に結びつけることが重要であるというぐあいに考えております。  2点目の同和問題の研修、啓発の機会についてでございますが、本県では、特別措置法の終了に先立ちまして提出されました「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組みの放棄を意味するものでない」との地域改善対策協議会意見具申を踏まえまして、同和問題に係る研修、啓発事業につきましては、この問題の固有の経緯を十分認識しながら、引き続き積極的に推進をするとしたところでございます。  人権尊重の社会づくり条例に基づき策定した人権施策基本方針および人権施策推進計画におきましても、同和問題を重要課題の一つに位置づけておりまして、研修、啓発活動を推進をしております。  具体的には、毎年9月を同和問題啓発強調月間と定めまして、じんけんフェスタしがなどの研修、啓発活動を集中的に実施するなど行っているところでございます。  今後も引き続き、研修、啓発活動などに積極的に取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。  3点目の部落差別解消推進法の意義と県条例の点検実施についてでございますが、部落差別解消推進法の意義は大きく分けて3つあると考えております。  1点目は、「現在もなお部落差別は存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別の状況に変化が生じている」と部落差別の現状が明記をされていること。  2点目には、「日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題である」との指摘がなされたこと。  3点目に、国の責務とあわせ、地方公共団体に対しても、地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めることが明記されたことでございます。  次に、人権尊重の社会づくり条例の点検についてでございますが、本条例は、全ての人の人権が尊重される豊かな社会を実現するための関係者の責務や推進体制を定めておりまして、理念や施策は、人権施策基本方針や人権施策推進計画において定めているところであります。  人権をめぐる社会情勢の変化や、県民の人権意識の状況を踏まえまして、人権施策推進審議会の御意見もいただきながら、必要に応じまして同条例や計画等の点検をしてまいりたいというぐあいに考えております。  今後も、部落差別解消推進法の趣旨をしっかりと受けとめまして、同法制定の背景となりました、インターネット上の人権侵害を防止するための取り組みを強化するなど、同和行政を引き続き推進することによりまして、一日も早い同和問題の解決を目指してまいりたいと考えております。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)人権政策について、私にいただきました県職員に対する人権研修についてお答えいたします。  県職員対象の人権研修につきましては、大きく3つの研修を行っておりまして、採用時や各職階の昇任時に実施している職階別研修、全職場で実施しております統一テーマ研修、各部局や各地域別に実施している部門研修があります。  これら研修の参加者数と参加率について、平成30年度の実績で申し上げますと、職階別研修は824名で、対象者のおよそ90%、統一テーマ研修は3,941名で、対象者のおよそ80%、部門別研修は818名で、対象者のおよそ25%となっております。  県職員には職場や地域において人権が尊重される地域づくりに主体的に取り組むことが求められております。  このため、今後の人権研修については、さまざまな人権問題の中から本県の地域特性やその時々に求められるテーマを選択しながら、職員が人権意識を高め、適切な行動がとれるよう、研修の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。総合企画部長のほうから、点検をするというお返事をいただきましたので、ぜひよろしくお願いしたいなと思います。  そこで、1つ総合企画部長に再問させていただきたいんですけれども、人権意識調査の結果というところについて、少し御回答のほうが弱いなという感じがいたしました。  当然のことながら、それぞれの各人権施策を講じるのは、その目的であるところの人権が尊重された、差別のない、そういった社会づくりをするところにあります。  ただ、それが今、実現しているのかどうなのかということがなかなか見えにくいものですから、県民の皆さんに意識調査をして、5年ごとに意識調査をして、その結果を一つの指標として、大切なバロメーターとして、そしてそれをもとに次の手を打っていく、こういったことが求められるんじゃないかなと思います。  私も民間企業の経営を長いことさせていただいていた関係で、結果というのがやっぱり大きな意味を持ちます。結果というのは中身を推しはかる材料となってきます。  例えば、県民の意識調査の中で、15年前には60%あった、私も差別を、人権の尊重されたまちづくりに貢献したいという人が60%いた人が、15年たったら40%を切ってしまった。民間の企業でいえば、60億あった売り上げが40億を切る売り上げにまで落ちた、えらいこっちゃ。悪いですけども、既に倒産しているような会社なんですよ、そんな会社。5年たっても10年たっても以前と同じこと、以前と同じことを繰り返し繰り返し、15年やってたら20%も意識が低下しちゃった、そういうレベルの捉え方ではだめなんですよ。やはり、ここをすごく敏感に捉えて、そして、次、どういった施策を打てばこの意識が上がっていくんだろう。  例えば、同じ意識調査の中に、研修会に参加された方というのは、自分も何かしら人権の社会づくりに貢献したいという意識が高くなります。1回参加した人よりも、2回参加した人のほうがより貢献したいという意識が高い。3回以上参加された方というのは60%以上、そういう地域、人権が尊重される社会づくりに貢献したいという貢献をされます。ですから、研修会に参加される方が、回数がふえればふえるほどそういう傾向にあるというのも一つの傾向としてつかめます。  ところが、研修会に参加する人というのは、最近では、一番直近の調査では、60%以上の人が研修会に1回も参加したことないというふうにして落ちてきていますよね。こういったあたりを組み合わせて、分析をしながら、じゃ、まず最初に研修会に触れていただく機会を何とかつくれないか。  そのためには、今、もしかしたら時代の流れが逆向いて行っているとしたら、ビワイチをやってても、よく北のほうから、北風が吹くので、北向いて行くときはしんどいんですよ。北から南向いて来るときは、背中、風で押してもらえるから楽なんですよ。もしかしたら、今、社会の大きな流れの中が、そういう地域の活動に参加する人というのが減ってる、もしかしたら逆流、逆風がついてるときかもわかりません。そのときに同じような予算で同じようなことをやってたら、当然、参加する人がだんだんと減っていく、これは当たり前のことなので。ですから、逆風だなということを感じたら、それぞれに必要な措置をとってやっていく。そして、その指標をぜひ目標として、今、40まで、40%を割り込むところまで来てしまった、この目標を何とか50%を回復するところまで持っていこうやないかという例えば目標を立てると、どうやったらそれが達成できるかというふうに計画が出てきますから、そういう観点で、この指標というのを大切に見ていただきたいと思うのですが、意見をお伺いします。 ◎総合企画部長(廣脇正機) お答えをいたします。  今、議員からも御指摘がございましたように、みずから進んで人権問題を解決しようと、実現に努力しようという方が減っているわけでございますけれども、その中でも研修をされた方、参加したことがない方に比べまして、3回以上研修に参加された方は、60%の方が「実現に向け努力する」とお答えになっているという心強い点もございます。  やはり、そういう意味で、そういう研修の機会などにつきましては引き続き充実を図ってまいりたいと思いますし、また、これまでの研修のスタイルだけではなくて、今回新たに、今回の同和問題啓発強調月間におきましても、新たにテレビスポットですとかインターネット上の啓発広告など新たな手段を使うようなことも考えておりますので、このようなことも今後検討しながら、新たな形で人権に対してみずから積極的に取り組んでいただく方がふえますように努めてまいりたいというぐあいに考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ一緒によろしくお願いします。その意識、V字回復をしていただいて、ひとつ手柄を立てていただいて、もう1つ右に座ってください。  では、次の質問に移ります。  差別につながる身元調査について、分割質問で商工観光労働部長と警察本部長にお尋ねをいたします。  まず、今年度の企業内公正採用選考・人権啓発についてということで、企業の採用担当に配布していただいている採用に当たっての資料からの引用になりますが、「企業は、多くの人に働く場を提供する雇用主として、また人権問題、同和問題の解決の中心的な課題である就職の機会均等を図る当事者として、基本的人権を尊重した公正な採用選考体制を確立する責務があります。しかしながら、従業員の採用にあたって同和地区を問い合わせたり、身元調査を目的として戸籍謄本等を不正に取得したりするなどの事件が近年においても発生しています」と書かれてあります。  さらに、「同和問題の解決にむけて」という項では、「部落地名総鑑事件の発覚から40年以上にわたり、行政、企業等を中心に部落差別につながる身元調査をなくしていく取組が行われてきたにもかかわらず、依然として身元調査が行われています」とありますが、就職差別につながる身元調査の現状の認識と今後の対応について、商工観光労働部長の見解をお伺いいたします。  次に、身元調査は、それをお願いする人がいて、それを引き受ける人がいることによって成り立ちます。  2005年から2007年にかけて、県内の人の戸籍謄本を県外の行政書士が不正に取得し、探偵、興信所など、いわゆる調査会社に有償で提供する事件が起きています。  また、2011年11月には、職務上請求書を偽造し、戸籍謄本等を不正取得したとして、東京都内のプライム法務事務所社長や横浜の探偵社社長、司法書士ら5人が愛知県警に逮捕されました。いわゆるプライム事件です。この事件では、1万件に上る戸籍などの不正取得の実態が浮き彫りにされ、翌年、名古屋地裁がプライム社社長に実刑3年、探偵社社長に2年6カ月、司法書士に罰金250万円の処分が下りました。  現在、探偵業の業務の適正化に関する法律に基づいて、探偵業を営もうとする者は、営業を開始する日の前日までに、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に、所轄警察署長を経由して、営業の届け出をして、そして、探偵業の届出証明書が交付される仕組みになっています。  全ての探偵業を営む方々が法律に基づいて真面目に営業されていると信じたいのですが、現在、滋賀県の公安委員会には49社の届け出があります。県警では立入検査を実施し、依頼の確認や差別的な取り扱いが行われないように指導していただいているということですが、今のところ、49社のうち数社と接触ができない状態にあると聞いております。  私も1社について調査をしましたが、ホームページもあって、滋賀県公安委員会の届け出番号も記載されています。タウンページにも掲載されているのですが、届け出の所在地は土木工事の資材置き場になっておりまして、建物すら確認できず、営業所にたどり着くことができませんでした。この業者が違法なことをしているとは言い切れませんが、健全であると自信を持って言える状態には少なくともないのではないかと心配をしております。  現状の認識と今後の対応について警察本部長にお伺いし、この項の質問を終わります。 ◎商工観光労働部長(森中高史) (登壇)就職差別につながる身元調査の現状認識と今後の対応についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、平成17年から平成19年ごろには、就職差別につながる身元調査が行われていたことが確認されておりましたが、ここ数年、県内においては確認できておりません。  しかし、県教育委員会の調査によると、平成30年度の高校生の就職試験における不適正質問として、身元調査につながるおそれがある質問が22件あり、平成26年度の61件から減少してきているものの、依然として不適正質問はなくなっていないという現状がございます。  こうしたことから、公正な採用選考を実現するため、「採用にあたって」という企業への啓発冊子を配布するとともに、県、市町等の職員が県内企業約3,000社を訪問する啓発活動や企業関係者に対する研修会の開催などに取り組んでおります。また、毎年7月を「なくそう就職差別 企業内公正採用・人権啓発推進月間」として、公正な採用選考や企業内人権の啓発に集中的に取り組んでいるところでございます。  今後も引き続き、市町やハローワーク、経済団体とも連携し、就職差別につながる身元調査が行われることのないよう、公正な採用選考の徹底に向けて企業への啓発を着実に行ってまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)探偵業に関する現状認識と今後の対応についてお答えいたします。  探偵業の業務の適正化に関する法律におきましては、探偵業者は調査結果が違法な差別的取り扱い等に用いられることを知ったときは、探偵業務を行ってはならないと定められ、これに違反したときには行政処分が科せられることとなっておりますところ、警察では、営業所へ立入検査を実施するなどして、探偵業者に対する業務内容の確認と指導を行い、業務の運営の適正を図っております。  一方、探偵業者として届け出はあるものの、警察としてなかなか接触ができない業者が存在していることも事実でありまして、このような業者につきましては、継続的に、営業所周辺で聞き込みを行うなどの追跡調査を行い、営業実態の把握に努めているところでございます。  警察といたしましては、今後とも、立入検査を実施するなどして、探偵業者の実態把握と業務の適正な運営を図ってまいる所存でございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  報告が上がってこない、確認はできていないということイコールなくなったということではないという、そういった観点でまた企業の啓発のほうをよろしくお願いしたいと思いますし、また、警察の方のほうも大変な御努力をいただいているということは重々承知しておりまして、ただ、届け出をして何年間有効であるとか、何年有効であって、引き続きしようと思ったときは更新をしましょうとか、こういったところが法律の規定にないものですから、接触できなかったら接触できるまで、行っても会えへん、行っても会えへん、ことしも行っても会えへんというようなことをずっと繰り返して、非常に苦労されているように思います。我々で、また法整備等ができることであれば、私もまた努力したいなと思っておりますので、今の現行の、現状の中で頑張っていただきたい、そのように思っております。よろしくお願いします。  では、次の質問に移らせていただきます。  放火火災から県民の生命と財産を守るための対策について、分割質問で知事公室長と警察本部長にお尋ねをいたします。  まず、2019年7月18日、お隣の京都市伏見区において、株式会社京都アニメーションの第1スタジオに男が侵入し、ガソリンを建物1階や従業員にかけ、ライターで着火し、火災が発生しました。多くの犠牲者を出した京都アニメーション放火事件です。  また、2019年7月5日の深夜3時ごろ、滋賀県野洲市小篠原で車5台が燃える不審火がありました。5日午前3時ごろ、「住宅街で車が燃えている」と近隣の住民から消防に通報があり、消防隊が駆けつけると、周辺の住宅の3軒にとめてあった車5台が燃えていて、火はおよそ20分後に消しとめられたということです。このうち4台が全焼しましたが、住宅への延焼はなかったということです。警察は放火の疑いがあると見て捜査をしているとの報道があります。  滋賀県防災危機管理局の統計によると、放火と放火の疑いが出火原因のトップとなっています。  放火は、故意または悪意を持って建物に火を放つ行為であり、人の命にかかわる重大な犯罪行為です。ほかの犯罪と同様に、犯罪の抑止と同時に、被害に遭わないための県民啓発を通じて、県民の生命と財産を守る必要があります。  消防を所管する防災危機管理局の立場から、放火も含めた火災予防に関する現状の認識と今後の取り組みについて、知事公室長にお伺いします。  次に、消防の統計による出火原因の放火件数と、滋賀県警察本部の統計による刑法犯の認知件数の放火件数には大きな差があります。  2010年は85件の差、2011年は80件の差、2012年は49件の差、2013年は89件の差、2014年は90件の差、2015年は54件の差、2016年は64件の差、2017年は38件の差と、平均して68件以上の差があり、毎年、消防の統計のほうが多くなっています。  少なくとも警察本部が数字として把握する以上の放火があるのではないかという観点で、消防と連携しながら、犯罪抑止の取り組みの強化が必要ではないかと考えられます。  放火犯罪から県民の生命と財産を守るという観点から、警察本部の取り組みについて本部長にお伺いして、この項の質問を終わります。 ◎知事公室長(水上敏彦) (登壇)放火火災に関する御質問のうち、消防行政を所管する立場からの御質問にお答えを申し上げます。  御質問にございました京都アニメーション第1スタジオにおける火災は、大変多くの犠牲者が出る痛ましい惨事となりました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意をささげますとともに、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。  この京都アニメーション火災後、県では各消防本部に対し、給油取扱所におけるガソリンの容器への詰めかえ販売につきまして、身分証の確認や使用目的の問いかけ、販売記録の作成と不審者発見時の警察との連携について通知したところであります。あわせまして、県のホームページにおきましても同様の周知を行っているところでございます。  これを受けまして、各消防本部では管内のガソリンスタンドを個別に訪問をし、リーフレットを活用して協力を依頼するなど、取り組みを強化されているところであります。  消防庁によりますと、全国的に放火または放火の疑いは出火原因の第1位となっており、本県におきましても、平成30年の火災件数406件のうち、放火、放火の疑いによるものは53件と全体の13%を占め、最も多い状況でございます。  こうしたことから、火災予防における放火対策の重要性を認識し、これまでから、各消防本部と連携し、防火訪問や各種講習会などによる意識啓発などに努めてまいりました。  来月11月9日から15日までの間、秋季全国火災予防運動が実施をされます。県といたしましては、これに先立ちまして、各消防本部に対しまして、今回の火災予防運動において放火火災防止対策の推進が重点項目に掲げられていることを示し、警察との連携や地域の対応力向上に十分配慮いただくよう通知したところでございます。  また、放火を防止するには、県民の皆さんが放火に対する危機意識を持ち、夜間にごみを放置しない、照明器具の設置により暗がりをなくす、巡回パトロールを実施するなど、放火されにくい環境をつくるよう、地域における対策に取り組んでいただくことも大切であります。  今後は、地域住民の皆さんがみずから取り組んでいただくことができる放火対策につきまして、改めて県のホームページ、講習会などを活用し周知いたしますとともに、消防、警察、関係機関等と一層連携し、県内一斉の街頭広報などにより、放火を含め火災予防の積極的な啓発に取り組んでまいります。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) 放火犯罪の対応についてお答えいたします。  消防の統計につきましては、県警察としてコメントする立場にはございませんが、警察の犯罪統計における放火につきましては、刑法第9章に規定する、現住建造物放火罪等の各種放火罪や延焼罪、消火妨害罪の構成要件を充足すると証拠上認定された事件について計上しているものでございます。  他方で、例えば故意に火を放ったと認定されましても、その対象が、路上の掲示板ポスターや、のぼり旗、集積場のごみなどにとどまり、公共の危険を生じさせたとの認定に至らない事件につきましては、今ほど申し上げました放火罪等の構成要件を充足しないということでございまして、放火とは計上せずに、器物損壊等別の罪で計上しているところでございます。  県警察といたしましては、放火として計上するか否かにかかわらず、故意に火を放つという点におきましては、いずれも極めて悪質であると認識しておりまして、これまでも、これらの事件に際しましては、消防当局と緊密な情報交換を行い、捜査に生かすとともに、警察、消防合同によります警戒や近隣住民への注意喚起を行うなどしているところでございまして、今後とも、消防当局と緊密に連携してまいる所存でございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。県民の皆さんが放火の被害に遭わないという観点で、防災危機管理の立場から周知、啓発をしていただけるということであります。ありがたいことです。  そして、もう1つ警察本部長に再問させていただきたいんですけれども、放火の中でも、人が住んでいる建物に火をつけた場合、そして、人が住んでいない非居住建造物に火をつけた場合、そして、建物以外のものに火をつけた場合の放火、大きくまた分かれてくると思うんですけれども、今の場合でおっしゃると、人が住んでいる家に火をつけた場合だけが計上されて、それ以外のところは計上されないということだったのでしょうか、教えてください。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) お答えいたします。  現住建造物等放火、これは、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物等を焼損した者はということで罪になってございます。  また、人が住んでおらなくても、刑法第109条におきまして、放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物等を焼損した者はということでまた罰則がついてございます。  また、加えますと、建造物以外、建造物等以外放火ということで、刑法第110条におきましては、放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者はということで罰則がついてございます。  いずれにしても、放火をしたという行為だけではなくて、特に一番わかりやすいのが刑法110条の場合でございまして、放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は罰に処するということになっておりまして、単に物を焼損しただけではなくて、結果として公共の危険を生じさせた者について刑法上の110条の罪が認定されるということでございます。  ということでございますので、いずれも、今申し上げた3つにつきましては、警察の犯罪統計における放火には該当いたします。ただ、単に公共の危険を生じさせないような、そこら辺に落ちているごみで、周りが隔離されて、そのごみが飛び散らないようなものに火を放った場合などについては、放火はしておりますが、それによって公共の危険が生じていると認定できるかどうかはかなり難しいと思いますので、その場合は警察の犯罪統計における放火には該当いたしませんということでございます。
    ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。警察の統計によってのってくる放火と、消防のほうが判断される放火と放火の疑いのそのジャッジの仕方に差があって、数字が全く一致しないというのは十分承知しております。  ただ、今、確認させてもらったように、人が住んでいる住宅に火をつけた場合、そして、人が住んでいない家に火をつけた場合、そして、建物でない物に火をつけた場合、早く消えるか、隣に燃えるか、いろんなケースがありますけども、いずれも放火には違いない。その場合には統計に上げているということなんですけれども、ここでその統計が正しいか正しくないかということについて議論をしても、恐らくなかなか本部長も詳細まではわかりにくいと思います。例えば、平成14年の5月に長浜のほうで非居住建造物に放火があって、それは警察のほうでも放火というジャッジをしています、2件。ところが、その年の、2014年の犯罪の統計を見ますと、長浜市ではゼロというふうになっているんですね。でも、これはまたそのときそのときの、後でわかったから、放火ということが後日わかったとか、いろんなケースが考えられますので、一概に「本部長が知らないとはどういうことですか」と、こういうことではないんです。  ただ、本部長という位置は現場から一番遠い位置にあるんですよ。このことはしっかりと認識していただいて、現場でどのようなことが起こっているかと全部見て回るわけにいきませんので、そうすると、上がってきた数字をもってさまざまな判断をして、方針を打ち出していかなきゃならん。もし数字が、誤った数字が上がってきて、誤った判断をしてしまったとしたら、誤った方針を打ち出してしまうんですよね。誤った対策を打つんですね。そうすると、それぞれの所轄の職員の警察官の方々は優秀ですから、間違った方向に一気に走り出してしまう。これ、優秀でなかったらその辺でうろうろしてるんですけど、優秀ですから一気に行ってしまいます。  ですから、その判断を見誤らないためにも、例えば今回指摘させてもらった放火については、警察が判断されている放火、放火の疑いと、警察が、数字として本部長のところに上がってくる数字とは大きな開きがあります。  警察のほうでは、2014年は5件でした。そうすると、1年のうちに、たった5回だけ、滋賀県の、広い滋賀県のうちでどこかで誰かが火をつけてるんやないかという判断ですけれども、90件。そのときは90件だったと思います。90件ということは、4日に一遍、誰かがどこかで火つけて回っておるで。そうすると、この放火の、これ、何とか対策、急いでやらなあかんやないかいという判断をして、そういう方針を打ち出したりして、各所轄に号令をかけたりするようになると思うんですけれども。そういったことで判断を見誤っていることはないと思いますけれども、1つ気になりましたので、放火については消防のほうと十分また意見交換等をしていただいて、結果として放火が1件でも減って、放火の被害に遭う県民の方が1人でも減って、命と財産を守ることができたら、それは何よりのことだと思いますので、最後にその辺についてお考えを教えてください、警察本部長。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) 放火の定義につきましては、恐らくといいますか、警察は事件として認定できたものについて計上していると。他方、消防のほうは出火という事実に着目して計上しておりますので、出火した中でも、最終的に捜査をした結果、事件と認定できるかどうかということで差が、おのずと違ってくるということなんだと思います。  他方、最初の答弁のときに申し上げましたけれども、最終的に刑法上の放火と認定できるかどうかは別にして、物に火を放つという行為は非常に危険が伴うものでありますので、そういった事案については消防と、大体現場で一緒に臨場いたしますので、そこでお互いしっかりと情報交換をしておりまして、お互い、消防は消防で火を鎮火するということの観点から見ていただきますし、警察としては、そこから犯罪ではないかどうかということをやるために、いろいろとお互い情報交換をして、お互いの漏れがないようにしっかりと対応しているところでございまして、議員御懸念の点がないようにこれからもしっかりと対応してまいりたいと思います。 ◆5番(白井幸則議員) ありがとうございます。じゃ、質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、5番白井幸則議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明2日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時58分 散会    ────────────────...