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令和 元年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月24日-05号

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  1. 滋賀県議会 2019-06-24
    令和 元年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月24日-05号


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    令和 元年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月24日-05号令和 元年 6月定例会議(第2号〜第8号)                 令和元年6月定例会議会議録(第6号)                                        令和元年6月24日(月曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         令和元年6月24日(月)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第134号から議第144号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか10件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   清  水  ひ と み    7番   村  上  元  庸       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       26番   佐  藤  健  司    27番   目  片  信  悟       28番   有  村  國  俊    29番   大  野  和 三 郎       30番   岩  佐  弘  明    31番   富  田  博  明       32番   細  江  正  人    33番   生  田  邦  夫       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               選挙管理委員会委員長代理    中  原  淳  一               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               代表監査委員          藤  本  武  司               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               知事公室長           水  上  敏  彦               総合企画部長          廣  脇  正  機               総務部長            江  島  宏  治               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        森  中  高  史               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(生田邦夫) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(生田邦夫) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が、また、人事委員会西原節子委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会堀井とよみ委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(生田邦夫) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第134号から議第144号まで(令和元年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか10件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(生田邦夫) 日程第1、議第134号から議第144号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、10番小川泰江議員の発言を許します。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。3日目、最初の登壇者となりましたチームしが 県議団、小川泰江です。県議会において初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず1問目は、社会的養護が必要な若者たちの自立支援についてお尋ねします。  「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」これは児童福祉法第1条です。その理念のもと実施されていますのが社会的養護です。  さまざまな事情により家族と一緒に暮らすことができない子供たちを保護し、社会で養育し、自立に向けた支援を行っています。全国で約4万6,000人、滋賀県内では約350人の児童が、児童養護施設や里親、ファミリーホーム自立援助ホームなどで暮らしています。  社会的養護は、昨今の社会情勢の変化に伴い、目まぐるしく変わりつつあります。平成28年の法改正により、措置が18歳から二十歳まで延長可能となり、平成29年には新しい社会的養育ビジョンにより自立支援がクローズアップされ、社会的養護自立支援事業などさまざまな施策もスタートしました。  ところが、この自立ということが、社会的養護が必要な若者たちにとって大変困難なことなのです。実際に、滋賀県児童福祉入所施設協議会の調査でも、退所して1年後、50%の児童が転職および無職になったという報告がされています。  その大きな要因の一つが、施設入所児童の約7割が被虐待児という事実と考えられます。虐待が子供の心と体に長きにわたり重篤な影響を与えることが、近年、大きく取り上げられるようになってまいりました。家庭において大切にされた経験が乏しいための愛着障害、人を信頼できずに育ち対人関係がうまくいかない、自尊感情が極端に低いといったさまざまな困難を抱えることになります。  重篤な場合には、PTSDや鬱病、乖離性障害といった精神疾患、非行や犯罪などの触法行為、そしてDVや虐待の連鎖など、虐待の後遺症とも言える症状に本人も、そして支援する周囲も苦しみ続けます。自殺や自殺未遂に至ってしまうケースも聞いております。  また、家庭での学習環境が保障されなかったことで学力や学歴の問題を抱えている児童も多く、中卒や高校中退では、就職どころか、アルバイトもなかなか見つからないというのが現状です。  今定例会議の私どもチームしが 県議団の代表質問に対し、知事は児童虐待について、「子供の最善の利益を第一優先に、児童虐待防止に対し強い覚悟を持って取り組む」と決意を語っておられました。  社会的養護が必要な若者たちの自立支援について、どのような決意を持って取り組まれるか、まずは知事にお伺いいたします。 ○議長(生田邦夫) 10番小川泰江議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  滋賀に生まれ育つ全ての子供が健やかに成長し自立することは、県民全ての願いでございます。ゆえあって家族がいなかったり虐待で傷つくなどにより、本来深い愛情の中で心身ともに健やかに育成されるべき家庭に恵まれなかった子供が、将来に夢と希望を持ち自立できる社会は、まさに県が率先して取り組んでいるSDGsの誰一人取り残さないという理念にも合致するものでございます。  こうした考えを基本に、日常生活上の支援や就労体験などの取り組みを一層推進することで、児童養護施設を初め、企業や地域の皆さんと一緒になって、社会全体で子供たちの自立を応援する滋賀を築いてまいりたいと存じます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。  私の地元の守山市内にも児童養護施設があります。市議時代にこの問題に取り組もうとしましたが、入所児童の保護者は市内在住でない、つまり納税者ではないということもあって、なかなか取り組むことはできませんでした。社会的養護は、まさに広域行政である県が担うべき施策です。  先ほども三日月知事おっしゃっていただきました。今議会でも、誰一人取り残さないSDGs、その観点でということをおっしゃっていただいております。今おっしゃっていただきましたように、ぜひともこの社会養護の分野でもその観点を生かして、さらに施策を進めていただければと思います。  次に、健康医療福祉部長にお伺いいたします。  社会的養護から自立に向けて、一番の出口の部分に近い事業として自立援助ホームがあります。自立援助ホームとは、義務教育終了後の15歳から20歳、就学時は22歳までの子供で児童養護施設の退所者や、親の虐待などで家庭に居場所がない子供たちが、児童福祉司や児童心理司などのサポートのもと、共同生活をしながら自立を目指す事業です。  通常の児童養護施設には入りにくい、17歳や18歳といった高年齢で虐待が発覚した児童が措置される場合も多く、社会的養護の最後のとりでとも言われています。  もともとは、18歳で養護施設を出なくてはならない子供たちのアフターケアを目的として民間で運営されていたものが、徐々に法が整備され、平成21年からは児童保護措置費制度にも組み込まれ公的支援の対象となっていますが、運営は不安定で、全国的にも成り立たず、潰れてしまう事業者も多いと聞いております。  滋賀県における自立援助ホームの現状と課題について、どのように認識されておられるかお聞かせください。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  県内の自立援助ホームは2カ所ございまして、6月1日現在で入所者の数は5名でございます。  自立援助ホームにつきましては、今議員から御紹介ありましたとおり、児童養護施設を退所後、自立が困難な方などにつきまして、日常生活の援助、生活指導、さらには就労支援を実施するという重要な役割を担っていると認識しております。  ホームの職員さんには、虐待などさまざまな経験を持つ入所者との関係づくりを行いながら、生活、就労などさまざまな支援が求められるということもありまして、心身の負担も大きく、人材の確保が困難であるとも伺っております。  また、入退所者の入れかわりが結構ございまして、計画的に運営することが困難であるという課題もお伺いしているところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。今も御答弁にありましたように、スタッフの心身の負担という部分、かなり大きいものがあるということ、私も伺っております。  先ほども申しましたが、虐待の発見がおくれ17、18歳の高年齢で保護された子供たち、本当に心と体に大きなダメージを受けています。  他府県の例ですが、自宅で性虐待を受け続けていた少女、ずっと浴室に監禁されていた少年、想像を絶する過酷な環境の中で多感な思春期までを過ごさざるを得なかったこの子供たちのことを思うと、胸がかきむしられる思いです。  1つ、県内の事例も紹介させていただきます。  ****さん、現在二十歳です。**さんは小学校3年生から、母親の再婚相手である義父に暴力を振るわれ続けました。中学校のときに担任に相談した際には、耐えるしかないと答えが返ってきて、大きなショックを受けたそうです。  高校2年生のときに母親ががんで亡くなり、アルバイトで生活費を稼ぐものの、義父からは暴力に加え金銭的搾取が続き、体調を崩してお金を入れられなくなると、ついには無一文で家を追い出されました。共同トイレの一角で過ごし、高校の先生のサポートで暮らしのサポートセンターにつながり、自立援助ホームに入所することになりました。  入所したころには、今まで裏切られ続けてきて、ほとんどの大人は信用できないと疑っておられたそうですが、ホームで同じ境遇の仲間たちや気持ちを共有してくれる大人と出会い、少しずつ変わっていったそうです。無事就職しホームを卒業、今は唯一の夢であった憧れのひとり暮らしをされているそうです。  死のうと思ったことは何度もある、でも、さんざんいろんな目に遭わされた上、最後が自殺者じゃ理不尽じゃないか、むしろ生きることがこれまでの復讐になると思い直した。この**さんの言葉が私の胸に重く響きます。このような若者たちのためにも、自立援助ホームはぜひとも必要な施設です。引き続きのサポートをお願いいたします。  次に、自立支援コーディネーターの配置について伺います。  国の計画に伴い、さまざまな自立支援事業が整備されてきましたが、より有効に利用するためには、対象児童の現状や課題を把握し、継続支援計画を作成するコーディネーターの役割は重要と考えます。社会的養護自立支援事業コーディネーターの配置について、まず、現状を健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。
     社会的養護自立支援事業コーディネーターにつきましては、子ども家庭相談センターの当該児童のケースを担当する児童福祉司が、この役割を担っているところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ただいまの御答弁ですと兼任ということで、今、専任の方はいらっしゃらないという理解でよろしいんでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 専任と申しますか、そのコーディネーターのみを職務とする職員は置いておりませんので、児童福祉司が自分が担当する子供のケースについて、必要に応じて、このコーディネーターの役割を務めるというふうにしております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)なかなか現状、例えば住宅支援のことなども使いこなせてないような、せっかくの制度があるということも伺っております。  ケアマネ的な役割の専任の方のサポートがあれば制度をもっと活用できて、現場の負担も減るのではないかと考えますが、再度お伺いいたします。今のところ、専任の方というお考えはございませんでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 現在のところ、今の体制で進めたいというふうに考えておりますが、いずれにしましても、養護施設を出ていく子供たちの継続支援計画、これがやっぱり適正につくられて、その子供たちの自立に向けた支援、そこがきちんと的確に行えるということが何よりも大切なことだと思いますので、現在の児童福祉司のこのコーディネーターの役割で考えておりますが、さまざま課題があるようでしたら、また、いろんなお声をお聞きしながら考えてまいりたいと思っております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)なかなか児童相談所のスタッフさん、専門員さんも確保できない中で大変だとは思いますが、また、ぜひとも計画的に配置なども検討いただければありがたいなと思います。  次に、社会的養護措置解除後の若者たちの現状把握について伺います。  平成29年の児童福祉法改正に伴い、措置解除後も最長22歳まで必要な支援が受けられるようになりました。しかし、それ以降は児童相談所の関与もなくなるため、退所した若者たちの実情については把握しにくいのが現状です。  健康医療福祉部長にお伺いします。  アフターフォローのため、また施策へのフィードバックのためにも、退所後の若者たちの現状把握調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  退所後の子供たちの現状把握につきましては、施設や里親の方々の協力が必要でございますことから、こうした関係の方々の御意見もお伺いし、また、議員からも御紹介のありました滋賀県児童福祉入所施設協議会がなさっておられる調査もございますので、その内容も踏まえまして考えていきたいと思っております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)こちらにあります先ほども紹介しました新しい社会的養育ビジョンの中にも、ケアリーバー──社会的養護経験者の実態把握ということは明記もされております。もちろん個人情報の関係もあるでしょうから難しい面もあるかと思いますが、しっかりとした目的があれば、そこもクリアできるのではないかと思います。県としてどのように取り組むおつもりか、再度お伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) ただいまお話にございました新しい社会的養育ビジョン、これは国のほうの検討会で内容が検討されたと聞いております。  現在、このビジョンを受けて、厚生労働省のほうでいろいろな施策を検討しておられるということですが、現在のところ、この実態把握について、都道府県でやるべしというふうな内容まではお聞きはいたしておりませんが、ただ、この検討会でやはり望ましいというふうに検討されておりますので、実施に向けては、先ほど申し上げましたとおり、関係の機関の皆様の御意見も聞きながら、あるいは既存の調査の内容も踏まえながら、どのような形でやるのがいいのかどうかも含めて、考えてまいりたいと思います。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)実際にはやっぱり、先ほども触れましたが、自殺未遂であったりとか、結局、生活保護になってしまったりとかいう事例も聞いております。  そういった結果を把握して施策にフィードバックすることは、やっぱり施策実施者としての責任であり義務だと考えておりますので、ぜひともまたこれは進めていただければと思います。  次に、児童養護施設退所者の居住支援について、以降、全て土木交通部長に伺います。  滋賀県児童福祉入所施設協議会の調査によると、児童養護施設退所後、保護者宅に居住できる児童は15%にとどまり、また、厚労省の児童養護施設入所児童調査でも、自立援助ホームの入所者で27%が両親ともいない、または不明という結果も出ており、退所後の住居の確保が大きな課題となっております。  生活の安定を図ることで就労への環境を整えることが可能になる、この生活困窮者支援においても言われていますように、優先度が高く、重要性が指摘されている居住支援について、どのようにお考えか伺います。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)住宅は生活を営んでいくための基盤であり、生活困窮者、高齢者、障害者等、住宅確保に配慮が必要な方々に対して支援を行い、居住の安定を確保していくことは、住宅施策の中でも重要な課題の一つであると認識しておるところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)なかなかシンプルなご答弁、ありがとうございます。重要な施策であると認識いただいているということで、その観点を持って、次の質問、入らせていただきます。  しが住宅セーフティネット計画についてお伺いいたします。  平成29年の国の法整備に伴い、滋賀県においてもことしの3月に、滋賀県住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画、略称しが住宅セーフティネット計画が策定されました。計画にある要配慮者の範囲や取り組まれていく内容、また現在の進捗状況について、まずはお聞かせください。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) しが住宅セーフティネット計画の要配慮者の範囲につきましては、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律において定められた低所得者や高齢者、障害者などに加え、児童養護施設退所者や要介護者などを本県独自に拡充して定めているところでございます。  本計画では、要配慮者に対する住宅の供給確保に努めるとともに、県、市町、関係団体が連携して居住支援に取り組むこととしております。  住宅の供給に関しては、公営住宅のストック数を確保していくとともに、要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅として、滋賀あんしん賃貸住宅と国の制度であるセーフティネット住宅の登録促進を図ることとしております。  これらの進捗状況についてでございますが、令和7年度末までの公営住宅供給目標4,200戸に対して、現時点で2,399戸、要配慮者の入居を拒まない民間住宅の目標登録数3,000戸に対し、現在1,402戸でございます。  また、居住支援に関しましては、要配慮者の住まい探しや生活支援等の活動実績のある団体を居住支援法人として認定し、貸し主と借り主をつなぐ役割を担っていただくことで、要配慮者が安心して暮らせる環境づくりを図っているところであり、今年度、新たに3団体を指定したところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。国の計画に先立ち、県独自の滋賀あんしん賃貸住宅事業を運用し、福祉と住宅の連携強化を図っておられたということも聞いております。すばらしいことだと考えております。  ただ、数値目標など、まだこの計画できてしばらくしかたっておりませんので、これからのことだと思いますが、1つ気になることがあります。  この滋賀あんしん賃貸住宅の対象者が、国のセーフティネット住宅と2つ今走っている状態になりますが、滋賀あんしん賃貸住宅の方がほとんどの今登録数があるという状態で、その対象というのが、現在のところ、6つしか選択肢として選ばれておりません。  この中には、例えば県の計画にも、先ほども言っていただきました児童福祉施設を退所した者とか、また、法および省令で定められた者、これは必須ということですね。この中に、児童虐待を受けた者という項目も対象としてございます。  今後、このさまざまな計画を実施するに当たって、対象を広げていくという予定はあるんでしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 滋賀あんしん賃貸住宅入居対象者の拡大につきましては、関係団体の意見や貸し主の意向など現場の実態を把握した上で、児童虐待を受けた者や児童養護施設退所者など、対象者拡大を検討してまいりたいと考えております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ぜひとも、せっかく計画をつくられましたので、そこを整合性があるようにということで、拡大のほうをよろしくお願いいたします。  次に、住宅セーフティネットの中核と位置づけられている公営住宅についてお伺いいたします。  県営住宅の入居に関しては、基本世帯入居としながらも、一部単身入居が可能な資格もあると伺っております。単身入居資格の現状についてお聞かせください。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  単身入居の入居資格に関しましては、60歳以上の高齢者、次に障害者、次に配偶者からの暴力にかかわる被害者などを、滋賀県営住宅の設置および管理に関する条例施行規則において定めているところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)先ほども申しましたが、このセーフティネット計画の中に位置づけられておりますですね、私、今回、児童虐待など児童養護施設退所者に関しての質問ですので、そこに切らせていただきますが、児童養護施設退所者、児童虐待を受けた者というのがこの計画にはしっかりと明記をされております。それを県住宅こそが率先して入れていかないと、そりゃ、民間の賃貸住宅にも広がらないと思います。その件に関していかがでしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  県営住宅における単身入居者につきましては、セーフティネット計画における要配慮者の中でも、特に配慮を必要とする高齢者、障害者に限って認めているところでございます。  児童養護施設退所者や児童虐待を受けた者の単身入居につきましては、福祉部局とも連携し、他の入居希望者の応募状況や、他府県、県内各市町の状況等を十分把握して考えてまいりたいと思っております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)考えていかれるということをお伺いいたしましたので、ぜひとも今後の課題として、せっかくこのセーフティネット計画立てておられまして、必須事項として、児童虐待を受けた者、入っておられます。現状では、どこもこの計画の中でその受け皿って設定されてないんですよね。この計画がまさに生きていくものになりますように、今後ともぜひともよろしくお願いいたします。  次に、ちょっと急ぎますので、質問移らしていただきます。  公営住宅法第45条にある社会福祉法人等による公営住宅の使用について伺います。  社会福祉法人等が事業を行うために公営住宅を使用することができるという内容ですが、この法に基づいた利用実績について、まずはお伺いいたします。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  本県におきましては、平成8年4月から平成22年8月まで、湖南市にあります県営住宅の一室を社会福祉法人に貸し出し、障害者のグループホームとして活用された事例がございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)障害福祉の分野で事例があるということで、例えばこれは、先ほども質問させていただきました自立援助ホームなどでも利用は可能ということでしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えいたします。  児童福祉法に基づく自立支援ホームを実施するために、社会福祉法人等は県営住宅を使用することができるという規定になっております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。またこれから利用実績が必要に応じてふえていくことを願っております。  この社会的養護が必要な若者たちの自立支援に関する質問の最後に、連帯保証人についてお伺いいたします。  これまで必要な居住支援についてさまざま伺ってまいりましたが、最後に残るのがやはり連帯保証人の問題です。里親さんや施設長などが個人的に保証人になる場合も多いようですが、個人で抱え切れる範囲を超えているのが現状です。  そのような中、2017年5月に成立した民法の一部を改正する法律が、2020年4月1日、いよいよ施行されます。この改正には賃貸契約に関するルールの見直しが含まれており、連帯保証人に関しても見直されることとなりました。  今回の法改正に伴い、県条例をどのように改正する予定か、お聞かせください。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  今回の民法改正におきましては、連帯保証人に関する極度額の設定が必要となったことから、今年度中にそれに対応した県条例の改正を行う必要があり、改正の方針については、他府県や市町の状況も収集しながら、現在検討を行っているところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)さまざまな他府県、市町とおっしゃっていただきましたが、この改正を機に条例を見直す自治体も出てきていると聞いております。  これですね、例えば、平成30年に公的住宅の供給等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告、これが総務省から国交省、厚労省に出されております。これに基づき、県にも通知が来ているかと思いますが、御承知でしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) お答えします。  存じております。この趣旨も勘案しながら、今後、検討してまいりたいと考えております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)少し中身について触れさせていただきますと、この勧告の中には、保証人に関する規定の削除や法人保証人についても言及をされています。掲示されたモデル条例には保証人情報が削除されており、実際に県内の市でもその検討に入ったところもあるとも聞いております。  既に岡山県では法人保証人を認める条例を制定しており、NPOが当該保証を担いながら、社会福祉協議会や医療機関など連携して居住支援のネットワークを構築し、入居者への緊急時の対応などもされているそうです。  入居者への自立支援に向けたプログラム、そして、しっかりとしたサポート体制が整わないとなかなか難しいことだとは思いますが、この取り組みは、結果として将来の社会負担を減らすことにもつながると考えております。来年の条例改正に向けて、検討課題に入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) 議員御紹介いただきました岡山県の事例なんかも含めまして、検討してまいりたいと考えております。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)検討いただけるということで、きのうも、研究のレベルがどうかとか、前回も質問がありましたが、ぜひとも高い段階での検討ということでお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。  ずっとこれまで申しておりました、虐待の傷を抱えて、頼るべき親もいない困難な状況の中で自立に向けて歩み出そうとする若者たちに対して、社会的養護からの出口の部分を少しでも広げておいてやりたい、選択肢をふやしておいてやりたい、その思いで今回質問をさせていただきました。  条例や資格要件が改正されても、実際の入居まではさまざまハードルがあるかと思いますが、この若者たちに対して、まず門戸を広げておくこと、それは行政の姿勢をあらわすものであり、メッセージであると思います。前向きに検討いただけることを期待して、次の質問に移ります。  続いて、2問目です。  大津市大萱での痛ましい交通事故を受けて、今議会でも交差点の安全対策についてさまざま議論がなされています。私は、より安全で、かつ効率的な交差点として、ラウンドアバウトの推進について質問をさせていただきます。  欧米でよく見られるラウンドアバウト、いわゆる環状交差点とは、御承知のとおり、信号のない円形の交差点です。その最大のメリットは、まず安全です。交差点進入時に確実に速度が落ちるため、事故の頻度や程度を削減することができます。そして、クロスポイント──交錯箇所の減少です。  お手元の信号交差点とラウンドアバウトの車両クロスポイントという資料をごらんください。(資料掲示)  信号機のある交差点の場合、1現示に対し4カ所のクロスポイントが存在します。交差点の形状は異なりますが、今回の大萱の事故は直進車と右折車のクロスポイント、この赤いポイントで起きたわけですが、ラウンドアバウトでは、ごらんのように、その可能性をなくすことができます。  県内第1号である守山市立田町においても、設置前過去5年間で重傷事故を含み9件の事故が起こった交差点が、ラウンドアバウト設置後4年間では、軽微な事故のみで、人身事故はゼロと大きく改善されました。  また、無信号交差点に比べ、横断歩行者を優先する車がふえたという社会実験データもあり、歩行者保護の観点からも有効と考えられます。  そのほかにも、信号が不要になるため交差点の維持管理コストが削減される、車のおくれ時間を短縮できる、それに伴い排気ガスも削減される、停電でも混乱なく対処が可能といったメリットが挙げられています。  平成26年9月1日の道路交通法改正以降、平成31年3月末現在で、31都道府県87カ所で運営されています。  お手元の守山市と米原市のラウンドアバウトの写真資料をごらんください。(資料掲示)  滋賀県においては、先ほども申しましたが、平成27年に守山市に設置されて以降、長らく進展がありませんでしたが、この6月15日に米原市に2カ所目が設置されました。竣工式終了後は市民対象の交通安全教室も開催され、近隣の子供たちがたくさん参加されたそうです。ここは4年前に痛ましい事故が発生し、信号機設置の地元要望が高かった交差点と聞いております。今回のラウンドアバウト設置がより安全な地域づくりになることを願ってやみません。  また、私の市議時代からの先輩である故下村勳県議も、御自身の地元に1カ所目ができたこともあり、推進に熱心に取り組んでおられました。御存命でしたら、さぞ喜ばれたことであろうと思います。  現在、滋賀県内にはこのほかにも導入が計画されていると伺っております。その進捗状況について、警察本部長にお伺いします。  次に、土木交通部長にお伺いいたします。  現在、ラウンドアバウト設置に関しては、主な適用条件として、1日当たりの交通量が1万台以下であること、交差点の直径が27メートル確保できること、これらが挙げられておりますが、あと少し用地があれば設置できたのにといった声も聞かれます。  ラウンドアバウト普及のためには、もちろん安全には配慮しながらですが、地域事情に合わせた設置基準の柔軟な適用も必要と考えますが、いかがでしょうか。  続いて、知事にお伺いいたします。  ラウンドアバウトの推進に関してのこれまでの議会質問に対し、知事は「警察、市町、地元等の関係者と連携を図りながら、導入に向けて積極的に取り組む」と答えておられますが、有効な連携のためには、中心となり呼びかける旗振り役が必要だと考えます。  全国レベルでは、平成26年にラウンドアバウト普及促進協議会が立ち上がり、16自治体が参加して活動している例もありますが、市町も含めたラウンドアバウト推進のために、どこが中心となり、どのように進めるべきか、知事の見解をお聞かせください。  また、ラウンドアバウトの認知度はまだまだ低く、利用したことがない方が大多数である中、通行に不安を感じる方も多いと思います。スムーズな推進のためには、認知度を上げ県民の理解を得ることも重要と考えますが、周知や広報に関しての考えをお聞かせください。  最後の質問は、ラウンドアバウトのセンター部分に関する提案です。  ラウンドアバウトのメリットの一つに、地域のシンボルとして景観に寄与することが挙げられています。しかし、実際には地元に任されることが多いセンター部分の管理は、なかなか行き届かないのが現状です。一定の見通しを確保する必要はありますが、例えば、各町オリジナルの飛び出し坊やを設置する、芸術大学とコラボしたオブジェを設置するなど、普及のための話題づくりにもなるセンター部分の活用が何か考えられないでしょうか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) ラウンドアバウトの推進につきまして、私には3点御質問いただきました。  1点目、ラウンドアバウト推進のために、どこが中心となり、どのように進めるべきかということについてでございますが、御指摘のラウンドアバウト普及促進協議会につきましては、県内では守山市が参画され、ラウンドアバウトの整備推進に向け先進的に取り組んでいただいております。  また、県内では、御紹介いただきましたが、2つの市で導入例があり、その他6市町が事業主体となり検討が行われている一方、取り組みを行っていない市町もあり、県内における取り組み状況には差異がございます。  県といたしましては、交差点での安全性向上等に効果があることを踏まえ積極的に推進したいと考えており、県管理道路において現在5カ所で検討を進めており、来年度には1カ所目を供用させる予定でございます。  道路の構造はそれぞれの管理者で判断することが基本でございますが、利用者の観点からは、統一的な考えにより道路ネットワークの整備が進められることが望ましいと存じます。  県を含め、取り組みに積極的な自治体や警察が中心となり、そのノウハウや現場の経験を他の自治体と共有することで、ラウンドアバウトの整備推進に努めてまいります。
     2点目、周知や広報に関してでございますが、ラウンドアバウトの整備に当たりましては、地域住民との合意形成にあわせ、安全に走行いただくために、その利用方法の周知も重要であると考えます。  今後、県のホームページや広報誌などを活用いたしまして、ラウンドアバウトの整備効果や予定箇所を周知するとともに、計画段階での地域への丁寧な説明や供用前の現地での走行体験の実施など、警察や市町とも協力しながら取り組んでまいります。  3点目、センター部分、いわゆるラウンドアバウトの中央島の活用についてでございますが、観光地や駅前などにおいては、地域の特性を生かしたオブジェ等を設置することでシンボルにもなり得るとともに、御提案の飛び出し坊や等であれば交通安全意識の醸成にもつながるものと考えます。  一方、ラウンドアバウトを通行する利用者の見通しを十分に確保する必要がありますことや、オブジェ等の設置、維持管理に費用がかかるといった課題もございます。  現在、県の整備予定箇所で具体的な活用案は現時点ではないものの、それぞれの箇所において、さきの課題を踏まえつつ、地域の皆様や関係市町の御意見も伺いながら、中央島の整備、活用について検討していきたいと存じます。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) ラウンドアバウトの設置基準の柔軟な適用についてでございますが、ラウンドアバウトの計画、設計に当たっての適用条件等につきましては、道路交通法に環状交差点、いわゆるラウンドアバウトの交通方法が定められたことを契機に、国土交通省において、社会実験の結果や諸外国の導入事例の分析、検討委員会の議論、警察庁との調整を経て、平成26年に取りまとめられたものでございます。  適用条件等の柔軟な運用につきましては、それによって、交通容量低下による渋滞や大型車の通行に支障が生じるおそれがないか、交通の円滑性や利用者の安全確保といったラウンドアバウト本来の機能を損なうことなく、適用条件の柔軟な運用ができるのかなどを検討していく必要があると考えております。  現在、県内での導入実績は議員御紹介のとおり2件でございます。県管理交差点では、まだ来年度に1カ所導入予定という状況でございまして、今後、国内の先進事例や県内の実績を踏まえつつ、市町や警察等と協議をしながら検討してまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)ラウンドアバウトの導入に関する進捗状況についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、現在、県内において具体的に導入が検討されている箇所は14カ所と把握しております。  その内訳といたしましては、県管理の道路で5カ所、市町管理の道路では草津市、彦根市、東近江市など5市1町において9カ所となっております。  なお、14カ所のうち5カ所につきましては、信号機の設置されている交差点での導入が検討されていると承知しているところでございます。 ◆10番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございました。  それでは、2番目の質問項目、設置基準の柔軟な運用について、土木交通部長に再質問をさせていただきます。  先ほどからもありましたこの交通量の基準というのはあくまで目安であり、例えばマニュアルには、値を上回る場合でも、運用を必ずしも妨げるものではないと記載をされております。  ちょっと外国の例で恐縮ですが、ドイツでは5,000台から2万5,000台と幅がありますし、国内でも、長野などで1万台を超える道路での設置例があるとも聞いております。なかなか県道で1万台以下というところは少ないかとも思いますし、もう少しこのあたりはやはり見直しが必要かなという思いは持っております。  直径に関しましても、三重県では直径25メートルのラウンドアバウトを設置し、あわせて、周辺道路に緩やかな大型規制をかけるという社会実験が始まったとも聞いております。このような事例も、また研究と今の段階では言うしかございませんが、研究しながら設置基準の柔軟な運用、やはり必要かと思いますが、再度御見解をお伺いしてもよろしいでしょうか。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) ただいま議員御指摘いただいたとおり、国内外において、交通量や規模などがガイドラインの適用条件と異なる事例があるということは承知しております。  今後、それらがどのような運用をされているのか、また課題はないのか、どのようなプロセスを経て導入されたのかといった内容について聞き取り調査など、情報収集をしたいと考えております。  あわせて、県内でこれから導入するラウンドアバウトから得られるノウハウや経験も踏まえ、適用条件の柔軟な対応の可能性について考えてまいりたいと思っております。 ◆10番(小川泰江議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、10番小川泰江議員の質問を終了いたします。  次に、17番山本正議員の発言を許します。 ◆17番(山本正議員) (登壇、拍手)よろしくお願いいたします。チームしが 県議団が続きます。  それでは、県民への啓発業務について、全て知事に伺います。  ここで取り上げます啓発業務は、それぞれの部局での政策や施策を推進していく中に必要となってくるものであります。今までから、そして現在も多くの部局で取り組まれています。政策、施策や課題によって啓発や情報提供の必要性の強弱、あるいは緊急を要するものやタイムリーなものなど、さまざまな形態があります。  また、議会では答弁によく啓発という言葉が出てまいります。今議会でも、知事は大萱の事故や児童虐待の答弁の中で、「対策とともに啓発に努めてまいりたいと思います」と、そのような一節がありました。また、献血や骨髄バンクの質問では、知事は「献血熱心県としていきたい」、教育長は「工夫を凝らした啓発が大切であると考えている」と答えられています。  このように、よりよい滋賀県、よりよい社会を追求していくには啓発は重要であり、また、県による啓発業務によって政策や課題、情報を一人でも多くの県民が共感して、認識を共有していかなければなりません。言いかえれば、多くの政策を推進して成功裏に終わらせていくためには、より効果的な啓発を追求していくことが必要であるということになります。  今回は、この各部局で行われている啓発業務について質問をさせていただきたいと思います。  まず、幾つか現状を明らかにしていきたいと思います。  啓発業務は、現状として各担当部局、担当課が独自に行っているように見てとれますが、啓発業務の内容や方法は各部局、各課で実行しているのか伺います。 ○議長(生田邦夫) 17番山本正議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  啓発業務は政策を推進していくために必要な業務でございまして、当該政策の目的や内容について理解している担当課を中心に、必要に応じて関係課が連携しながら、実施時期や場所、対象などに工夫を凝らした効果的な啓発方法を考え、実施しているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)その場合、啓発業務に使う予算はどうなっているのか、伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 啓発に関する予算は、個々の政策を推進するため、それぞれの事業において計上されておりますが、特別の予算枠を設定しているということはなく、あくまで事業費の一部として取り扱っているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)啓発業務に携わる各部局の人員は足りているのか、伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 何をもって足りているのか足りていないのかというのは非常に難しいところでございますが、各所属の人員体制につきましては、毎年度見直しを行っているところでございます。  また、その際の見直しに当たりましては、啓発業務等も考慮の上、業務の量と質の両面から検討しており、基本的に業務に見合った人員体制になっているものと考えているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)それぞれの事業に合わせて、業務に合わせて人員は配置されているということになっていると。  それでは、その各担当部局ですが、この啓発業務、またイベント等、そういったノウハウやスキルはあるのか、伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 今の何をもってノウハウやスキルがあるのかというのも大変難しいところでございますが、啓発業務を所管する部署において、それは、それぞれの事業を行う部署において啓発を行うノウハウやスキルは一定持っておりますし、それらは蓄積されているものと認識していますが、より効果的、効率的な啓発が実施できるよう、例えば現在であれば、情報ツールがさまざま変わってきているといったようなこともございます。他部局の事例なども参考にしながら、啓発方法の見直しを不断にかつ継続的に行うことが重要であると考えているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)何をもってノウハウやスキルというのかということですが、それぞれの部局といいましても、恐らくこの数は課や室という単位で考えるとするならば100を超えるんではないかなと今ふと思ったんですけども、そんな数の中で、その施策の数というと大変多うございます。そして、それぞれどのような啓発をしていくのか。その場面場面にも応じても違いますし、また、先ほど申し上げました、重要度によっても緊急度によっても変わってくるという、そんな中ですので今ちょっと現状だけお聞きしている中なんですが、ノウハウやスキルはある一定あるというような答弁でございました。  それでは、先ほど1問目のときに、連携という言葉が答弁の中に入っておりましたが、政策や施策によってはこの啓発業務、イベントもそうなんですが、部局間で連携していくことが多くの点で効率がいいと思われますが、どのようにお考えか、現状についてお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、関係する部局が連携し啓発業務を行った場合、これはテーマや時期にもよりますが、効率的で相乗効果が高い場合もあると認識しています。  例えば広報誌「滋賀プラスワン」では、各担当課が実施している施策、事業を取りまとめた上で、表現や見せ方を工夫して、よりわかりやすく掲載しているということもございます。全戸配布しているこの広報誌を活用することにより、県民の皆様にも定着し、効率的かつ効果的な啓発に一定なっているものと考えているところです。  啓発業務によりふさわしい実施方法を、職員一人一人が常に意識していくことが肝要であると考えているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)本来の業務にそれぞれの課が追われていると思います。ただでさえ行革が進んできて、また予算を削り合うようなそんなときに、真っ先に削られていくのはこの予算ではないか。そしてまた、働き方改革でもいろいろ出てきておりますが、忙しい部署にとっては、人員的にもこの啓発業務は後回しになっていないのかというような観点もあるかと思っております。  もう1つお聞きしたいと思います。  この各担当部局や課が行う啓発や広報というものですが、人的にも予算的にも大きな制限がやはりあると考えられます。これで十分な啓発や広報を期待できているのか。期待できないと思うのですが、知事の見解を伺いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 県行政で扱わせていただいております分野、事項は、議員からも御指摘ございましたが、今日、極めて多岐にわたっております。また、その中で啓発というものは、これは分野にもよります、時期にもよりますが、ある意味では本来の業務として扱い、行うこともあります。事業を、施策を推進するために極めて重要な手法または分野であると考えます。一義的には、当該施策、事業を所管する担当課において行うことが効率的で効果的であると考えております。  広報課で設けております専門家による広報印刷物アドバイス制度、こういうものもあるんですが、こういった制度を活用しながら、限られた人員や予算の中で、最少の経費で最大の効果を上げるにはどうしたらいいのか、引き続き工夫を重ねながら、実行、実施してまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)ちょっと漠然とし過ぎていますので、具体例を出しながら、ちょっと申し上げたいと思います。  例えばですが、この啓発という業務が、今一番最初に申されました、事業にそれぞれついていて各課に任せられている。予算もその各事業についていますから、この施策に対して必ずこの啓発業務というのは各課が基本やることになっている。各課には優秀な職員の方々がおられて、その啓発を考えられて、その事の内容にもよりますが、そこで展開をされていくと。  我々がよく目にする一つに、朝の駅立ちでおるときに、よくティッシュ配りというのが、あ、きょうも来ておられる、きょうも来ておられる、これ、草津の場合なんですけども、そういうときもあります。そういったときに、朝7時から時間外で来ておられるんだな、これが啓発ということになるんですが、ただ、重要事案とかになってきた場合、県民への啓発によって、やはり大きく動く政策や施策というものがあります。  例えば児童虐待、今盛んに言われておりますが、これも何回も議会で取り上げさせていただいたりしている中、つい先日、児童虐待防止法あるいは児童福祉法の改正が、6月の19日やったかな、つい先日行われました。その中には、内容的には、何人もしつけと称して暴力を振るうことは許されない、例え親権者であっても里親であっても、そういうことが許されないということが法律に明記された。  今まで、児童虐待によって子供たちがそのとうとい命を失って、国民がみんな胸をかきむしられるような思いをしたときに、その虐待者は、しつけのつもりだったというのがほとんどの場合使われます。これをこの機会に、今、私たちがこの滋賀県民みんなが共感する、そういった啓発が必要なんじゃないか。それを考えるのは担当でいいんです。  しかし、それを任せっきり、各課に任せっきりなら、これは子ども・青少年局、あるいはもっと忙しい現場の、児相と言われる子ども家庭相談センター、人員が全く足りない、働き方改革では長時間労働の真っ先に上がってくる部署です。そこにこの啓発を任せっきりにしてていいのか。方法も考えていただいてていいのか。やはりこれはもう1つ何か考えていかなければならないという、そういうことを感じています。  もう1つ、例えば例を挙げるとすれば、私が議会で昨年、一昨年ですか、動物愛護法改正によって、正しい飼い方、これをすればたくさんの救われる命がある。今、殺処分されているあの猫たちの原因、犬たちの原因は、正しい飼い方を知らずして正しい飼い方をしていない方々、避妊、去勢をせずに放し飼いにして、その陰で生まれた子たちが野良猫になって、それがいつの間にかやられて殺されている。しかし、この飼い主は知らないわけです。だから、そういったときにも、この啓発が必要ですというのを訴えてきました。  この啓発が必要なことを訴えて、それを動物保護管理センターの、あの山の中につくっていただいています、いろんな方がそこに行っていただいておりますが、やはりそれは多くの人が目にするショッピングセンターとかでやってもらえないかということを言いましたら実現しました。本当にありがたかったです。  草津のイオンショッピングセンターに、この議場ほどもあるような広さのところをお借りいただいて、それは無償でお借りいただいたそうです。それを見たときに、本当によかった、努力していただいた、よかったよかったという気持ちがある一方で、写真パネル展なんです。  ところが、その写真は、やはり職員さん皆さんがつくっておられるんです。本当に努力された結果ですが、やはり文字が主体。プロのノウハウはそこには僕は入ってないと思いました。入り口にはのぼりの一本もない。だから、小さな何々展って書いていますこれも、プロのつくったものではなくてですね。  そういったことを見ていますと、やはりこれは、こういった政策、いわゆる啓発一つで大きく動くようなそういう政策につきましては、何とかこの啓発業務、今のやり方そのままでいってていいのかな。今、僕が申し上げましたこの写真パネル展、本当によかったんですが、考えてみれば、議場で僕が言うてた、啓発もっともっと大々的やってくださいと言うてましたけど、よく考えてみりゃ予算ないんですよ。人員も大変な中でやっていただいているんです。受付の方はボランティアの方がお手伝いに来ておられました。そういったこともやっぱりある。  だからこそ、この啓発業務、恐らく100を超えるような数が年間、聞いてもこれはわからないぐらいあるそうですが、大小さまざまありますから何も全てが全てとは申しませんが、でも、我々がこれから考えていかなきゃならんの違うかなって思います。  今の大萱の交通事故、あるいは流域治水でハード、ソフト両面からこの治水政策を考えていくとしたときに、何としても県民の命を守るんだという知事の言葉が響くのであれば。あの昨年の西日本豪雨で多くの命が失われました。あの方たち、自分の家が最悪の場合は何メートルつくんかということをしっかりと知っていれば、ひょっとしたら逃げられた人もいたかもしれない。  今、滋賀県は全国で初めての流域治水条例を制定した、ある意味、先進県です。このことを県民の皆さんと共感して、そして認識を共有して、滋賀県は200年に一度の洪水が来ても雨が降っても、命は助かるんだよ、そういった啓発をどうかしていただきたい。  済みません。質問に入ります。思いが強過ぎました。  そこで、済みません、順番ももうわからないですが、言おうとしていることはわかっていただいたかと思います。  まず、県全体としてどうするべきなのかという視点が欠けていると思うんですよ。各部局100幾つもある中で、多くの施策が進んで啓発業務がそれぞれについているとしたら、それを見直す。検証して、そして見直して。それぞれの部局ではやっていますよ。それぞれ部局ではやっていて、恐らく次のときにはもっとよくできる。しかし、この全体を見渡して、県全体を見渡して、県全体を見渡した検証、そして優先順位をつける、そういったことができているのかどうか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 対話と共感と協働で滋賀の県政を進めていこうと言っておりますので、そういう意味で、啓発業務でありますとか広報業務は大変重要だと考えています。また、先ほど例に挙げられました児童虐待、動物愛護、治水、防災などは、知ることですとか知ってもらうことというのが、命を守ったり、また、そういった取り組みの輪を広げる意味において大変重要だと考えております。  県全体としてそういう視点を持つべきではないかというのは、例えば知事公室というものをつくり、そこに広報課を入れ、私自身の思いや県民の皆様方からの思いを一元的に取り扱って改善していくという意味においても、大変私は重要だと考えております。  例えば施策構築、来年度に向けても再来年度に向けてもずっと行っていく中で、あまたある事業の中で啓発業務というのは必ず入ってきています。全てを見ることができない場合もあるんですが、その中において漫然と啓発というものを入れるだけではなくて、より効果的にどうやってやるのか。また、先ほど御紹介があったパネル展示にしろ説明にしろ放送にしろ、もっと効果的な方法があるのじゃないかということを絶えず考えながらお伝えしていく、広めていくという、こういう視点を持って、今後も啓発広報業務の改善に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)私が申し上げたかった一つは、県全体を見ていただきたい、その中で不必要なものは不必要、前年度を踏襲しなくてもいいものは踏襲しない、そのことによって、もっと集中的にやらなければならない啓発業務に取り組んでいくべきなのではないか。  もう1つは、職員さんの疲弊、なれないといいますか、自分たちが啓発業務、例えばティッシュ1つ配るのでも、プロの方と私たち素人ではやはり差が出てきます。チラシ1つつくるのだってそうです。幾ら御指導を担当課でいただいたとしても、内容を伝えるのはそれは当然ですけども、しかし、実際つくるとなるとプロの手が必要であったり外部発注が必要であったり、これはやる内容によっても違いますし広さによっても違いますから一概には言えませんが、そういったことを私はやっぱり感じております。  もう1点は、プロの手もかりていただきたいということもあるんですが、先ほど知事が申されましたが、全県民との共感、そして周知啓発などによってこの重要事案が大きく前進することがある場合、啓発業務を担当部局に任せてそれぞれが行うのではなくて、その啓発業務を専門に行う、そういう人員も予算も、そしてスキルも、そんなある部署に集約することによって、これは広報課になるかとも思いますが、ただ、そういった仕組みになるような、県として一元的に啓発業務を一定のものについては行うべきであると考えますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) もう少しコミュニケーションさせていただいたほうがいいなと思いますね。いや、おっしゃるように、それぞれの部局はたくさんの仕事を抱えてくれています。それで広報啓発までなかなか手が回らないんじゃないかという議員の問題意識は、私もしっかりと受けとめたいと思います。  ただ、それぞれの現場は啓発広報業務も大切な本来業務としてやってくれています。また、テーマや時期にもよりますけれども、それを自分たちでやる場合と、さまざまな団体の皆さんと協働してやる場合と、そして委託や発注をして外部の皆さんにやっていただく場合と、それぞれ分けて、もちろんかかる費用も予算に工面しながら対応させていただいております。  一義的に言えば、そういった広報啓発は、どこか例えば広報啓発課というものを設けて、福祉のことも防災のこともやるということを想定されているとすれば、やはり一義的にはそれぞれの専門部署で、担当部署で必要なことを広報啓発するというほうが、私は伝わるのではないかなと考えているところでございます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)今、知事が申されたとおりに、機能がしっかりとしていけば全く問題ないのかもしれません。啓発業務といいましても、私が申し上げたかったのは、そのうちのわずか5%ぐらいだとも思います。もっと少ないかもしれないです。  重要事案あるいは啓発一つによって大きくその政策が進む、施策が進むというそういった事案を、その各部署の、各部署がその施策だけならいいんですけど、その施策だけではないので、やはりこの啓発というものについて、もう少し柔軟な対応、一部のものですけども、していただきたい。  例えば、もう1点申し上げますと、昨年、台風23号がありました。──21でした。滋賀県下でかつてない暴風が吹き荒れて大きな被害が出た。そのときに私が議場で言ったことが、それもとんちんかんな議論になったのかもしれない、私が質問がとんちんかんになったのかもしれないけども、実はあのときも申し上げたかった1つが、そういった暴風雨が吹き荒れているというあるときに、不要不急の外出は避けてくださいというのがテレビでも言うてますし、いろんなところで、そのときは言うてます。  しかし、それであっても、なお外へ、今、自分の家がどうなっているのか、ドアをあけた瞬間に亡くなられた方おられましたね。あるいは田んぼの水がどうなっているのか見にいって、用水路に落ちて亡くなってます。そういったことは、これはふだんの啓発でこそ、そのときにテレビで幾ら不要不急のと言うてても、もう、今吹き荒れている風に気をとられますから。  ですから、やはり啓発というのは一つ一つ、先ほど知事の中から、防災ということは防災でという、内容的にはそうなんです。しかし、その啓発の仕方、広報の仕方、県民との共感の仕方につきましては、知事を初め、皆さんでの考えをさらにさらにブラッシュアップしていただきたいと思うんですが、知事のお考えをもう一度お聞かせ願いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 私たち今生きているわけですから、また、こうして一緒に生きておりますので、生きている、また一緒に生きていくために、知恵を開いていくことというのは大変大切だと思います。それを行政が行うべき情報提供、緊急時のみならず、平時からきちんとお伝えしておくということは大変重要だと思います。  その意味で、きょう問題提起され幾つか具体的な御指摘もいただいたようなこと、既にそれぞれの部局でも当然重要なテーマとして考えて取り組んでおりますけれども、ややもすれば行政が発する情報提供というのは、啓発業務というのは、一方的であったり、従前と同じものをまた繰り返しお伝えしているだけというような御指摘もあったりいたしますので、その時代、時代に合った、テーマ、テーマに合った、有効かつ効果的な広報啓発というものを今後もしっかりと行っていきたいと思いますし、それがある意味では知事のもとに知事公室を設置させていただき、そこに広報課を置いてきた一つの大きな意味でもあると思いますので、その点、しっかりと含んで取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)ありがとうございます。知事公室が今年度設けられたということで、広報が知事の近くにあって、そして、これからさまざまなより有効な、あるいは県民にとって、県民が共感するということに重きを置いておられますので、期待したいと思っております。  1つ、これ聞いた話なんですけども、滋賀県が以前、もう随分以前かもしれませんが、朝刊の新聞一面広告、各紙に年何回か設けられていたというようなことがあったりとか、それから、あるいは、いざというときのそういった啓発がすぐに必要だというときのための予算がプールされていたとか、そういったお話も聞いたことがあります。それが、今はそういったことではなくて行革優先、やはりどんどんどんどん削られていく中で、啓発がされてないのかなという気もしますので、また、このことも一つお考えいただけたらと思います。  そして、もう1つ提案をさせていただきたいのは、犬猫の例を出して、ショッピングセンターの中の会場をお借りしたという話です。これ、本当にありがたかったというお話もさせていただきましたが、こういったことが県内13カ所、もっとあるのかもしれませんが、ショッピングセンター、ショッピングモールで県が定期的な何かが会場を先に押さえとけば、その時々、そういった啓発がいろんなことができるんじゃないかなって思います、予算もそんなにかけずに。  そのときに、プロの手法であったり、あるいは磨き上げられた職員さんの手法であったり、そしてまた、内容はそれぞれの専門的な各課の職員さんたちの知見からいいものができると思いますので、ぜひそういったことも考えていただけたらと思いますが、知事のお考えをお伺いしまして、これで終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 新聞という紙面をどう使うのか、また、緊急時にどう広報するのかということも大変重要なテーマだと思いますので、そのテーマ、テーマごとに、それぞれの部局ごとに、緊急度に応じてどう広報するのか、啓発していくのかということもしっかりと考えていきたいと思います。  伴う予算がありますので、そういったものの費用対効果、この啓発ですとか広報というのは、大変費用対効果をはかることがある意味で難しい。したがって、こういった議会等でもさまざま御指摘いただいて、そういった説明が十分つかないものについては措置させていただくことがなかなか難しいという、こういう難点もございます。それらをどうクリアしていくのかということを、一緒に部局と考えていきたいと思います。  また、ショッピングセンター等で動物愛護の広報等、啓発等もっと展開すべきではないかということも、きょうは御提案として承って、今後、これ、行政だけでやるのがいいのか、また、民間の方々と連携してやっていくべきテーマなのか、そこに職員が出ていってやるのがいいのか、さまざまな効果的な手法等もございますでしょうから、そういったことも含めて、よく検討してまいりたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) (登壇)すいません。ショッピングセンターの件は動物愛護に限ったことではありませんので、そこのところはちょっと訂正させていただきたいと思います。  そして、費用対効果と申されました。そのことが僕も重要やと思います。知事が記者会見をして、無料で新聞の記事となって大きく広報されているということもよくよく存じ上げております。そのことにつきましては敬意も払いますし、しかし、かけるところにはかけなきゃいけない。新聞一面ぶち抜きでばーんとあったときに、防災の先ほどの件でもそうですし、例えばいじめの問題で、いじめはこうだああだという知事の見解が1つ載るだけでも、ひょっとしたらなくなるかもしれない。それほどの大きなメッセージ性をどこかでやはりきっちりとしたものをつくっていかなければならないんじゃないかなということを思いますので。ただ言いっ放しではあきませんので、知事にもう一言だけ言っていただいて。お願いいたします。では、知事、よろしくお願いいたします。質問としてお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) 新聞という媒体をどう見るのか、また、それぞれのテーマをどう考えるのかということにもよると思います。やはり伝わって何ぼというところがあるでしょうから、そのことをよく考えながら、今後も啓発や広報、しっかりと重要な施策として考えていきたいと存じます。 ◆17番(山本正議員) ありがとうございました。終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、17番山本正議員の質問を終了いたします。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)通告に従い、最初の質問は、エネルギーとしての水素について伺います。  2019年3月に経済産業省資源エネルギー庁から、水素社会の実現に向けて、これまでのものから大幅に改訂された水素・燃料電池戦略ロードマップが発表されました。
     このロードマップは、2014年に策定、そして2016年3月に改定されたものから、水素基本戦略などで示された新たな目標などを反映させ、構成もこの基本戦略の構造に組みかえたものに改めるとともに、目標実現に向けて必要な要素技術のスペックおよびコスト内訳を明確化するなど、ロードマップの内容の大幅な改訂が行われたものです。  さらに、目標実現に向けて取り組むべき具体的な行動を明確化し、官民で共有するため、アクションプランが新たに盛り込まれています。  このロードマップには、水素社会に向けて、例えば水素を燃料とする燃料電池自動車については、2025年までに20万台、2030年までに80万台、その燃料を供給する水素ステーションは、2025年までに320カ所、2030年までに900カ所相当という目標が明示されています。  燃料電池自動車とは、燃料電池を搭載し、燃料から発電しモーターを動かして走る自動車で、水素を燃料とする燃料電池自動車については、ガソリンなどの化石燃料を原料として走る車と違い、走行時に二酸化炭素や大気汚染の原因物質となる一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの有害物質を排出しないという特徴があります。  また、数分程度の燃料充填で数百キロの走行が可能という点は、充電に時間を要し走行距離も短い電気自動車よりも利便性が高いと言えます。  これらのエネルギーとなるのは水素ですが、現状では、一般的に水素の製造、貯蔵、運搬にエネルギーやコストがかかり、水素は使う段階ではクリーンでも、現状、実用的ではないとの意見もあります。  一方で、再生可能エネルギーを含め、多種多様なエネルギー源から製造し、貯蔵、運搬することができ、海外に調達する化石燃料に大きく依存した我が国の一次エネルギー供給構造を多様化させる可能性を持っている面は大きく期待されると言えます。  バイオマスや自然エネルギーを活用して水素をつくる方法など、安価に、そしてクリーンに水素エネルギーをつくり出し、貯蔵し、運搬する研究や技術開発が進められている過程にあると言えますが、使ってこそ技術は発展するという観点もあり、これらを踏まえ、以下、伺います。  まず、本年3月、新たに発表された水素・燃料電池戦略ロードマップには、エネルギーとしての水素、燃料電池の普及に関する戦略的な目標や、取り組むべき具体的な行動が設定されています。  滋賀県では、2016年3月に策定されたしがエネルギービジョンにおいて、「エネルギー需給調整に資する新たな役割が期待される電気自動車や燃料電池自動車など次世代自動車の普及促進を図るとともに、次代を見据えた水素エネルギー社会に向けた取組を進めます」としています。  しがエネルギービジョンを策定してから3年余りが経過していますが、エネルギーとしての水素についての評価とこれまでの取り組みと効果、今後の展開について、知事に見解を伺います。  あわせて、実際に水素エネルギー社会に向けての取り組みを進めるならば、市町とも方向性や温度感を共有して取り組みを進める必要があると思いますが、現状の認識と今後の進め方について、これも知事に伺います。  次に、燃料電池自動車の普及について、燃料電池自動車の一般ユーザーへの普及に当たっては、初期導入コストが高いことが障害の一つだと言えます。しかし、企業や公官庁では、新しいエネルギー社会へ向けた取り組みを鋭意推進している、そういうメッセージとなる燃料電池自動車の導入について、かかる費用に見合った効果があるという見方もできます。  このような点から、公用車への積極的な導入や企業への導入を促す取り組みを進めることが普及の一つの方策ではないかと考えますが、琵琶湖環境部長に見解を伺います。  この質問の最後に、水素ステーションの整備について伺います。  2016年1月に県内初となる水素ステーションが大津市内の国道1号沿いに完成しましたが、その後、滋賀県ではふえてはいません。2019年6月現在で、全国の水素ステーションの整備数は108カ所となっているそうです。燃料電池自動車の普及には欠かすことができない燃料供給のインフラとなる水素ステーションですが、県内での現状の評価、今後の取り組みとしての積極的な誘致、整備の支援に関して、琵琶湖環境部長に見解をお伺いします。 ○議長(生田邦夫) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)エネルギーとしての水素について、4点のうち、私に賜りました2点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、エネルギーとしての水素の評価とこれまでの取り組みと効果、今後の展開についてでございますが、水素は、天然ガスなどから直接製造されるほか、製鉄等の際に副次的にも製造できるなど多様な方法で製造が可能であり、また、再生可能エネルギーを用いて水の電気分解により製造する場合は、二酸化炭素を全く排出しないといったすぐれた特性のあるエネルギー源でございます。  本県におきましても、しがエネルギービジョンにおきまして、水素エネルギー社会に向けた取り組みを進めることとしており、これに基づき、水素により発電と熱供給を行う家庭用燃料電池、いわゆるエネファームや、業務、産業用燃料電池の設置について支援を行ってきたほか、燃料電池自動車、いわゆる水素自動車の普及促進を図ってまいりました。  また、水素関連産業の振興に向けて、県内大学と共同で水素関連技術の研究開発を行ってまいりましたほか、平成29年1月に設置いたしましたしが水素エネルギー研究会におきまして、産学官の連携により、新たな技術開発や利活用のためのプロジェクトの形成に向けた情報交換などを行っております。  こうした中、本県のエネファーム普及率は平成29年度末で全国第7位となっており、また、県内のある大手メーカーでは、工場内で太陽光発電により製造した水素を工場内の電気や熱のほか、燃料電池フォークリフトにも利用するといった先進的な取り組みを始めようとされているところもございます。  今後も引き続き、国の政策や民間の技術開発などの動向も注視しながら、より一層産学官の連携を深め、さらなる県としての支援策についても研究してまいりたいと存じます。  2点目の市町との方向性や温度感の共有についてでございますが、しがエネルギービジョンを推進する上では、地域特性を踏まえつつ地産地消のエネルギー導入を進めるという観点からも、市町との連携は大変重要であると認識しています。  このため、県、市町、エネルギー研究会において、現行ビジョンの策定に当たりましても意見交換を行ってきたほか、ビジョンに基づく再生可能エネルギーの導入促進に当たりましても、先進事例の紹介や導入事例の把握などを進めてきております。  水素エネルギー社会実現に向けても、こうした場を活用いたしまして市町との情報交換に努め、方向性を共有しながら、取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)エネルギーとしての水素についての4点の御質問のうち、私にいただきました2点の御質問についてお答えをいたします。  1点目の燃料電池自動車の公用車や企業への導入を促す普及方策についてでありますが、燃料電池自動車──FCVにつきましては、議員御指摘のとおり、初期導入コストが高いこと、および水素ステーションが限られた地域にしか設置されていないことなどから、普及が進んでいないのが現状であります。  今後普及を進めていくためには、水素エネルギーに関する理解やFCVの認知度を向上していく必要があります。その一つの手段として、県では、民間事業者から寄贈を受けたFCV2台を公用車として使用して、普及啓発に役立てております。  こうしたことから、今後さらに公用車にFCVを導入するということよりも、現在のFCV2台を活用したり、関西広域連合で作成しました啓発冊子を配布するなどにより、企業も含めて、FCVの認知度を広く一般に広げていくことが重要ではないかと考えております。  今後も関西広域連合と連携しながら、環境性能や災害等による停電時に非常用電源として活用できるといったFCVの有用性をアピールして、FCVの普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。  2点目の水素ステーションの県内での現状の評価と今後の取り組みについてでありますが、商用水素ステーションは、建設初期費用の課題や安定的な運営環境が整っていないということから、県内で1基、近畿では14基が開設されるにとどまっておりまして、さらにFCVの普及を進めるために十分な設置状況とは言えないと考えております。  今後の取り組みとしましては、ステーション整備の前提としてFCVを導入するという機運の醸成が必要でありますことから、まずは関西広域連合と連携しながら、FCVのメリットを事業所および個人へ積極的に情報発信して普及啓発に努めていき、そのことでステーション整備が進むための環境整備に貢献してまいりたいと考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)何点か再質問をさせていただきたいと思います。  まず、エネルギーとしての水素の評価について知事がお述べになりましたけども、より一層の取り組みを進めていくということです。ただ、実は2016年にこのエネルギービジョンが発表になったときと今と比べてみたときに、水素をエネルギーとして活用するという状況がどれだけ進んでいるのかというと、余り目に見えて変化が見えてこないと先ほど琵琶湖環境部長がおっしゃってましたが、機運の醸成やら意識をつくるというところには行き着かないんではないかなと考えます。  さまざま取り組み、述べていただきましたけども、非常に難しい技術であるがゆえに表に出てくるまでに時間がかかる、そういう側面があるのは重々承知の上で、でも一層の取り組みを進めるとおっしゃったわけですから、そこに向けて、もう少し具体的な思いのある取り組みが必要だと思われるんですけども、現状、十分なのかと。さまざま取り組みがあるので十分だとおっしゃりたいのかもしれませんが、ややまだ取り組みが不足しているんではないかなと考えているところを踏まえて、今後の取り組みについて、改めて見解をお伺いしたいと思います。  FCV──水素自動車、燃料電池の自動車ですけども、こちらを導入するに当たって、これも機運の醸成だと部長おっしゃられましたが、機運を醸成するにも、要は物が走ってないし、物が走っていてもどこで燃料を充填すればいいのかわからないような状況にある。できる場所が非常に限られている状態にある。なので、積極的にこの燃料電池自動車の普及に欠かすことができないインフラ、水素ステーションが県内にもう少しふえていくという取り組みを積極的に努めていかなければならないんではないか、こういう観点でこの質問をさせていただいております。  そういった意味でも、これ両輪だと思うんですけども、自動車の普及にあわせて、それを支えようと思うならばインフラの整備が必要である、この観点に立って、今後の取り組み、もう一度、見解をお伺いしたいと思います。 ○議長(生田邦夫) 部長でよろしいですか。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)最初は知事に、2つ目は部長にお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど答弁させていただきましたように、環境面においても経済性の観点からも、大変今後に可能性を秘めたエネルギー源である水素だと考えています。  その普及促進に先ほど来述べたことで取り組んでいくということなんですけれども、おっしゃったように、より進めなければならないのではないか、その割に改善なり向上が見えないではないかといったような問題点だと思います。同様の問題認識を私も持っています。  といいますのも、具体的に、かつ、目に見えて進めようと思うと、例えば技術的な課題を克服するであるとか、制度面の改善をするといったようなこともまだまだ必要なんだと思います。  したがって、ただ、とはいえ、県内の事業者等で先ほど申し上げた工場内での水素の活用、また、さまざまな運搬用機械への注入など、さまざまな取り組みも進みつつございますので、こういった民間の取り組み、また民間の技術開発の動向、国のさまざまな制度改善に向けた議論等も注視しながら、県内の取り組み、こういったことに乗りおくれないように、しっかりとつかみながら、今後の水素の普及促進に県としても努めてまいりたい。そういったことごとを今後検討の上、見直しをしていかなければならないしがエネルギービジョンなどにも、しっかりと反映をさせていければと考えているところでございます。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) FCVに関しての再質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、FCVそのものが導入され広がっていくこととステーション整備が広がることは、これは車の両輪だと、どちらも重要と考えております。  それで、県としましては、まず、一方でこのFCVの導入に向けて普及啓発をやっていくということと、ステーション整備につきましては、なかなか県で単独でするのは難しゅうございます。それで、国で進められる施策などを見ながら、当部としてどういうことができるのか、考えていきたいと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問に移ります。  次の項目の質問は、低炭素社会に向けた取り組みについて伺います。  滋賀県においては、エネルギー政策についてしがエネルギービジョンを策定し、これに沿ったさまざまなエネルギーに関する取り組みを進めているところです。また、滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例、推進計画などに基づいて、化石燃料に依存したエネルギーに頼っている私たちの社会において、低炭素社会に向けて目標を定め、温室効果ガスの排出を削減するように取り組みを進めているところであることは御承知のとおりです。  化石燃料に依存してエネルギーを得ている以上、できる限りエネルギーを効率的に使用することは大変重要かつ基本的な視点であり、計画の中でも、使うエネルギーを減らす取り組みについて言及されています。  そして、滋賀県低炭素社会づくり推進計画においては、滋賀県もみずからが大量のエネルギーを消費する事業者として地球環境に影響を及ぼしていることに鑑み、県の事務事業におけるエネルギー使用量や二酸化炭素の排出量の現状を示した上で削減目標を掲げ、環境負荷の低減の推進を率先して取り組むと意思表示をしています。これらを踏まえ、以下、質問を行います。  まず、昨年の夏の酷暑を受けて、県立高校においても空調設備の整備が急ピッチで進められ、普通教室については空調設備の設置が終わり、この夏には使用が可能な状況にあると認識をしています。  近年の夏の暑さを考えるならば必要な事業であり、これから設置の目的のとおりに使用されてこそ意味があるということは、改めて言うまでもありません。しかし一方で、電気やガスをエネルギーとして使用する設備を導入する以上、エネルギーの使用量や二酸化炭素の排出に影響を及ぼすことになります。これを把握して、低炭素社会の実現に向けた適切な対応をとる必要があります。  そこで、今般の空調設備の設置によって、県の事務事業におけるエネルギー使用量およびCO2排出量の増減をどのくらいと想定して、滋賀県低炭素社会づくり推進計画や環境にやさしい県庁率先行動計画の目標達成にどのような影響があると考えているのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。  次に、空調機器の導入については、現時点で効率のよい機種を選定されて設置されたとは思いますが、効果的なエネルギー使用の観点からいえば、建物そのものの性能を向上させる取り組みも重要であると考えます。特に、築年数の古い校舎においては断熱性能が十分ではない、また、断熱について余り配慮がされていない建物が多いと推測いたします。高性能の機器で空調しながら、夏は冷気が、冬は熱が逃げっ放しというのは余りにももったいない話であります。  断熱、遮熱、遮光など改善の余地が大いにあると考えますが、低炭素社会に向けて、よりその効果を発揮させるため、よりエネルギーを効率的に使うための県内の施設整備の取り組みについて、これも琵琶湖環境部長に見解をお伺いします。  次に、県の施設整備について、起案や基本設計の段階で、エネルギーや二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの排出の増減などについて検証されているのか、琵琶湖環境部長に伺います。  この質問の最後に、今後、県の事業を進めるに当たって、設備の計画段階からエネルギーの削減、二酸化炭素排出の増減に関する項目を明示すること、さらに、使用するエネルギーや排出される二酸化炭素を低減させる取り組みを付加することは、県の事業において低炭素社会へ向けた取り組みを進めるために効果があるのではないかと考えますが、琵琶湖環境部長に見解をお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) 低炭素社会に向けた取り組みについての4点の御質問にお答えします。  1点目の空調導入によるエネルギー使用量等の増減の見込みと目標値への影響についてでありますが、本県では、平成29年度と30年度の2年間において、県立学校43校に空調設備の導入が行われたところであります。今回導入された空調設備につきまして、平成30年度の大津の気象データをもとに、実際に運転する時間を仮定して計算しますと、エネルギー使用量として約365万キロワットアワー、CO2排出量として約1,587トン増加するものと推計されます。この排出量は平成29年度の県施設全体からの排出量の約1.9%に相当します。  環境にやさしい県庁率先行動計画では、令和2年度に平成26年度比9%削減の目標を掲げておりまして、この目標の達成にとっては少なからず影響すると考えられます。  近年の猛暑の状況を踏まえますと、生徒の健康面からも空調設備の導入は必要なものでございます。温室効果ガス排出量は増加とはなりますが、今まで以上に県の施設全体においてエネルギー使用量を抑える努力をすることにより、目標に近づけてまいりたいと存じます。  2点目のエネルギーを効率的に使うための施設整備の取り組みについてでありますが、滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例第29条において、建築物に係るエネルギーの使用の合理化、資源の有効な利用その他の温室効果ガスの排出抑制等の措置を講じるよう促しております。  県の施設につきましては、環境にやさしい県庁率先行動計画において、設備更新、施設の新築および改修の担当所属の取り組みとして、省エネや省CO2の設備の導入等を考慮に入れて取り組むよう促しているところでございます。  議員御指摘のような建物そのものの性能の向上については、CO2削減のために非常に重要なことでありますが、費用対効果を検証しながら検討していく必要があると考えております。  今般の空調を導入した各学校では、電力使用量の増加見込みを踏まえ、学校の適切な学習環境を確保した上で、それぞれ目標を設定して、エネルギー使用量の低減に向けて、省エネ取り組みを進めていただいているところでございます。  3点目の県の施設整備に際しての温室効果ガスの排出の増減の検証についてでありますが、現状では、施設の計画立案や基本設計の段階では温室効果ガスの排出について検証はしておりませんものの、先ほど申しましたように、環境にやさしい県庁率先行動計画において、設備更新、施設の新築および改修の担当所属の取り組みとして、省エネ設備の導入等を考慮に入れて取り組みを促しているところでございます。  また、公共事業における環境配慮指針では、計画、設計、施工の各段階において、LEDなどの効率の高い照明器具が採用されているか、断熱性の高い材料、工法が採用されているかなどの環境配慮について確認を行い、その後の事業の設計、施工に活用しているところであります。  なお、今回の空調設備については、プロポーザル方式により機種選定、エネルギー方式、コスト削減の工夫等の提案と、その他審査項目とあわせて、総合評価により業者選定を行ったと聞いております。  4点目の設備の計画段階からのエネルギーや二酸化炭素排出削減の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、設備の導入や改修等の計画段階において、エネルギー収支の把握や省エネを検討することは極めて重要であると考えております。  今年度は、各所属において省エネ等を推進するグリーンオフィス推進員に対し、設備導入に当たっての省エネ等に関する研修を実施したところであります。  今後も、施設設備の導入に当たっては、計画段階から省エネ対策を講じられるよう、効率的で効果的な手法を検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)数点再問をさせていただきます。  まず、高校に空調設備が設置されたということで、これに伴って、県の使用するエネルギー量2%増ということが示されたわけですけども、これ結局、9%削減をしたいときに2%もふえるということをちゃんと数値として把握すること、物すごく大事なんですよね。当然、空調施設をつければ、新たに付加するわけですから使用するエネルギーはふえる。でも、ふえた後に、それでもやっぱり県庁としては9%削減の目標を達成すべく行動しなければならない。これに向かって何をしますかというのが、県施設全体で削減をします。これ精神論なんですよね。  なので、ぜひともこういう施設整備をするときに、じゃ、どうやってこの2%ふえた分、削減、低減、それ以上に削減できればなおさらいいと思うんですが、そのための取り組みが何か必要なんではないか。だから、これ明示しましょうという提案をさせていただいています。明示をすることで、あっ、ふえるんだ、もしくは減るんだという意識がつく。これ、減るときもっといいです。この設備投資の効果がむちゃくちゃ出るということですから。  例えばですけど、古い高校の校舎を丸々改築をして建て直したら、断熱性能は上がるでしょうし、照明の器具の性能も上がっているでしょうし、当然空調の性能だって上がるはずです。そうすると、この更新は、ただただ高校を更新しただけではなく、滋賀県庁の行っている事務事業の中で、エネルギーや二酸化炭素の使用量を下げる効果がある取り組みだったということが改めて評価できるはずです。  そういった意味でも、起案の段階から、エネルギーの使用量であったり二酸化炭素の使用量をちゃんと、机上の計算かもしれませんが、算出をして、それを想定し、これがどのような影響があるのかをちゃんと評価をする。この活動をされるほうが、この条例を制定してまで低炭素の社会に向けて取り組むと言っている滋賀県の取り組みとして、ドライブ、拍車がかかって、よい効果を生むんではないか、こういう観点からこの質問をさせていただきました。  そういうことですので、今、考慮しているとか、各部署に低炭素に向けた取り組みを進めるようにということで、説明段階に、低炭素に向けた新しい機器をちゃんと導入するようにというふうに促しているということなんですが、実はそこのところに大事なのは、きちっと数値を把握して、どういう効果があるのかをはかる、ないしは、この事業がどういう環境に影響を及ぼしているのかをはかる、これが必要だということだと考えています。  こういう観点から、今後のこの取り組み、ぜひともこの最後のところが一番大事だと思うんですけども、県が行う事業においてエネルギーがどのぐらいふえ、もしくは減り、二酸化炭素の排出がどのぐらいふえ、どのぐらい減り、これをはかることができるように、起案の段階、計画の段階でこれを明示をし、その後フォローアップをしていく、ここにつながると思いますので、この取り組みを推進されることを提案をさせていただきたいと思いますが、改めての見解をお伺いしたいと思います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えします。  議員御指摘のように、施設の計画立案とか基本設計の段階で、エネルギー、それからCO2の排出量、そういうのをよく見えるようにして検証して、さらに省エネ取り組みに進めていくと、そういうことはやっぱり低炭素社会実現に向けて重要であると考えております。  一方、それをすることによる手間の増加ということもやはりありますので、業務の効率化というようなことの兼ね合いもありますので、他府県でどういうようなことがされているか、あるいは民間でどういうようなことがされているかというようなこともよく調べながら、効果的な手法を検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)再度の質問です。  今、ちょっと手間のお話が出ましたけども、低炭素社会に向けて本気で取り組むなら、これは必要な手間であるという認識が必要だと。このお話、計算していただいたのは、多分、私がこの質問を通告してからだと思うんですけども、2%ふえるという結果を見て何をお考えになったか。また、2%ふえるということを聞いて、この議場におられる面々、また、私のこの質問を聞いてもらっている方々はどういうふうに感じるのかを、数字が出ることによって把握できるわけですよ。大事な取り組みだと思うので、ここを改めて、起案の段階からエネルギー、二酸化炭素、きちっと数値を把握する、そのための作業をする、このことについて取り組みを進めていただきたいと提案をさせていただきたいと思いますが、改めての見解をお伺いいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) CO2削減のために非常に重要であるということを私も承知しております。それで、先ほど述べましたように、いろいろな事例も調べながら、効果的な手法をしっかりと検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)何かを削減をしようとか何か目標に到達をしようというときに、目標を定めずにやることはないと思うんですよね。大きな目標として、県の事業として9%の削減をという数値目標を掲げておられる中で、じゃ、これに対してどういう手を打っていこう。県庁の中でも、お昼休み時間、電気を消したり、なかなか細かい省エネに向けた取り組み、さまざま取り組まれていると思うんですよね。  一方で、どんと大きな事業が起こったときには、やっぱりごんとふえるわけですよ。そのときに、じゃ、どんなことが必要か。小さな取り組みの積み重ねだけではなかなかそこに到達できないことがある。ならば、この後、遮熱や断熱という設備の取り組みをするのか、新たな省エネ機器の導入をするのか、こういうことをしていくことで削減をしなければならないということが図られるわけですよね。だから、数値をまず明示する必要がありませんかと。なので、これはぜひ取り組むべきだと思って提案をさせていただきました。改めて見解をお伺いします。とりあえず、これで最後にします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) 御指摘のように、非常に重要なことでございますので、しっかりと検証して、削減する手法を考えるということをしっかりと検討してまいりたいと思っております。 ◆8番(河井昭成議員) 終わります。(拍手) ○議長(生田邦夫) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時57分 休憩    ────────────────   午後1時 開議 ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、9番佐口佳恵議員の発言を許します。 ◆9番(佐口佳恵議員) (登壇、拍手)人生初の議会質問となります。ここに立たせていただいておりますことを感謝申し上げますとともに、議員として誠心誠意務めますことを誓い、質問に移らせていただきます。  年金問題や健康保険制度が破綻の危機にあることが話題となっていますが、それらの背景には、社会保障の持続性を支えられないほど深刻化した少子化問題があります。滋賀県における1人の女性が生涯に生む子供の数の平均、いわゆる合計特殊出生率は、平成30年の統計資料によると1.55です。滋賀県の過去最低であった平成17年の1.39からは若干回復の傾向にあるものの、依然として、長期的に人口を維持できる水準である2.1を大きく下回っています。  全国でも数少ない人口増加県であった滋賀県も、平成26年10月に前年同月比で48年ぶりに人口が減少し、国立社会保障・人口問題研究所推計では、平成17年をピークに、人口減少、超高齢化社会に向かうとされております。本県においても、少子化対策は予断を許さぬ重要な課題です。
     では、子供たちを持ちたくないのかというと、決してそうではないようです。同研究所が発表した平成27年の出生動向基本調査では、理想の子供の数を2人と答える人は全体の51.3%と半数を超え、3人と答える人も36.6%いらっしゃることがわかっています。  また、理想とする子供数を待たない理由についての調査では、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからとの理由が、30歳未満で76.5%、30歳前半で81.1%、30代後半で64.9%、40代で47.7%と、群を抜いて高い数値を示しています。つまり、お金、経済的理由から、理想の数の子供を持つのをためらう御家族が多数いらっしゃることが示されています。  そして、内閣府男女共同参画局が女性の労働力率と合計特殊出生率の相関関係を分析しており、OECD加盟24カ国において、女性の社会進出が進んでいる国ほど合計特殊出生率も高いと発表されています。つまり、多くの女性が働けている国ほど、女性が一生涯に生む子供の数は多いようです。  これらの結果は、私の友人たちや私自身の身近な実感とも一致するところですが、女性が仕事を持ち続けられる環境を整えることが家計の安定、安心感にもつながり、少子化対策の一つとして有効であると言えそうです。  ここで課題となるのが、キャリア形成に重要な時期と結婚、出産、育児期とが重なることです。女性の労働力率は20代後半が最も高く、出産育児期に当たる30代から40代前半で落ち込み、40代後半に向けて回復する傾向にあります。その状態を折れ線グラフであらわすと、出産育児期に当たる30代ごろが谷のように低くなり、アルファベットのMの文字のように見えることから、M字カーブ問題と呼ばれます。30代の谷の深さの程度は改善しつつあるものの、欧米諸国の中には谷が存在せず山形になっている国さえあることから比べると、まだまだ改善の余地があります。  実は、滋賀県においては、平成29年就業構造基本調査における男女別、年齢階級別有業率、いわゆるM字カーブは、20代後半の80.8%を山とし、30代の75.1%を谷としており、M字カーブの深さは5.7ポイントでした。平成24年度より3.7ポイント改善し、全国順位も10位以上上昇して22位となっております。  同調査によると、育児をしている女性の滋賀県の有業率は64%であり、平成24年の50.1%から5年間で13.9ポイント上昇しています。この変化は、平成20年に子供政策と青少年政策を一体化した子ども・青少年局を置き、子供が生まれる前から、自立した社会の担い手になるまでを切れ目なく支えてきたことを初め、さまざまな対策の相乗効果によるものであることは承知しておりますが、効果をもたらした施策の全てをここで御紹介することはできませんので、私が特に特徴的なものと感じた滋賀マザーズジョブステーションを象徴的に例示させていただきます。  滋賀マザーズジョブステーションは、働きたい子育て期の女性を支える施策の一つですが、近江八幡の男女共同参画センター──G−NETしがや草津駅前のエルティ932・ガーデンシティ草津3階に常設され、長浜市においても、子育て応援カフェLOCO内において出張相談を行っています。  この滋賀マザーズジョブステーションの特徴的なところは、働きたいと思っている子育て期の女性のかゆいところに手が届く工夫が随所になされている点です。  具体的には、就業支援を行うに当たり、何から始めたらよいかわからないといった漠然とした悩みや、育児の悩みについてのカウンセリングとキャリアカウンセリングを同じ場所で受けられます。カウンセリングで漠然とした悩みや育児の悩みが解消したら、すぐ隣でキャリアカウンセリングを受けて、自分に合った仕事がどんなものかを考えることができ、それが解決したら、同じ場所にあるハローワークで仕事を探せるというワンストップサービスの仕組みとなっております。  さらに、近江八幡、草津においては、託児が予約不要の形で常設されており、大きな駐車場が備えられているので、小さな子供を連れ、荷物が多い女性でも通いやすいことなどが特徴として挙げられます。まさに職業を見つける場で子育て期の女性の需要を捉えた取り組みがなされており、滋賀におけるM字カーブの大幅な改善に貢献したものと考えられます。  県民のニーズ、特に女性の目線にしっかりと寄り添い開始された事業で、前知事時代から現在に至るまで、長らく好評いただいている継続した事業と仄聞しておりますが、行政の現場に女性の発想を取り入れることの必要性や重要性が感じられる好事例です。  このような特色ある滋賀マザーズジョブステーションの施策の成果および知事の評価、それを踏まえた今後の展開について、知事にお伺いいたします。  見つけた仕事を継続できるように支えていく施策も重要です。民間においては、育児休暇など働く女性を支える制度は整ってきております。ですが、せっかくの制度を事実上使えないという実態もあるようです。  私が議員になる前にかかわらせていただいたホンネ座談会という大津市の事業において、働きやすい環境を実現するためには、企業内における風通しのよさ、女性活躍に向けた企業風土の醸成が必須だと感じられるアンケート結果が出ておりました。また、企業風土や風通しをよくするためには、トップのコミットメントがあると一気に前に進むとのお声も複数の事業者から聞かれるところでした。  民間の企業、特に女性が少ない民間事業所におけるイクボス宣言の浸透は重要であると考えておりますが、本県の民間事業者におけるイクボス宣言の現状と今後の展開について、知事にお伺いいたします。  次に、滋賀県庁内における女性活躍推進についてです。  滋賀県基本構想の実現を下支えする「行政経営方針2019〜変わる滋賀 変わる県庁〜」において、誰もが働きやすい職場づくりを目指しておられます。特に女性職員については、登用を一層進め、中長期的な視点に立った育成および支援を行い、意思決定への参画や施策構築へ多様な視点を反映できるように、県政の幅広い分野において活躍していただけるような取り組みを推進する旨が掲げられております。  また、平成27年9月に制定された女性の職業生活における活躍推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法に定められた特定事業主行動計画として、滋賀県は、「すべての職員がいきいきと活躍できる健やかな県庁を目指して」という取り組み方針を定めておられます。  男女共同参画、次世代育成支援、SDGsのジェンダー平等の達成や、働きがいのある雇用の促進が求められていることを反映した取り組みと分析です。育児や介護といった状況への配慮とともに、そのことによる職域の固定化や経験不足を来すことがないよう配慮され、女性職員の能力開発、育成、キャリア形成に取り組まれていることがうかがわれます。  競争試験の受験者に占める女性の割合は、平成30年度において28.2%といまだ高いとは言えないものの、受験者の3分の1以上という県の目標は達成間近です。  現在、女性管理職の目標設定数値、参事級以上に占める女性職員の割合が10%以上と一見低く見えますが、実情に応じた計画値でなければ、かえって離職を招くなどの悪影響を及ぼすことも推察されます。現在、女性活躍推進や次世代育成の取り組みをなさってくださる中で、今の20代、30代の方々が管理職を担う世代となった場合に、この数値は上がってまいることを期待しておりますが、それについての御見解を総務部長にお伺いいたします。  アンケート項目の中では気になるものが散見されます。「管理職として活躍を希望する」「どちらかといえば活躍したい」と回答した女性の割合は、20代から50代に至る全ての年齢で男性の約半分を下回っています。  「管理職を意識しているが自信がない」と回答した割合は、20代、30代では男女間に大きな差は見られないのに対し、40代、50代においては、それぞれ4.4ポイント、7.3ポイントと差が見られます。  また、自信がない理由として挙げられた「特定分野の経験しかなく、幅広い経験、知識がないから」との項目の男女差が12.6ポイント、そのほかの理由としても、「部下などを指導できるだけの専門能力を身につけていないから」など、経験不足を挙げる女性が男性より10ポイント前後高い結果となっています。  さらに、女性の中堅職員を対象にキャリアアップ研修、これは対象となる女性の全員が参加する形で行われたものですが、その感想を見るに、満足度、達成度や職務活用度の数値は高く、好意的な感想も見られる反面、女性だけを対象とする意味がわからないとの感想が散見されました。  別のアンケートの結果から、背景には研修に参加するための人員のやりくりの大変さがあり、現場の現実から、なぜ忙しい中で女性だけが参加しなければならないのかとの思いが聞こえてくるようで、私も女性としては共感するところもございます。こういった声に対する御対応について、総務部長にお伺いいたします。  最近、KuToo運動が話題になっています。KuTooとは、靴と苦痛をかけ合わせた造語で、職場でパンプスやハイヒールを履くことを強制されることに対して異議を唱える運動です。目の前でにこやかに対応してくださっている女性が足の激痛に苦しんでいることなどは、当の女性から声が上がらなければ気づきにくい内容です。  さきに挙げた滋賀マザーズジョブステーションのキャリアカウンセリングの前に、異なる悩みを解消するカウンセリングが必要であることや、託児が常設であることの安心感、駐車場があることなども、女性の視点があると気づきやすい内容と言えます。  先ほど来、女性、女性と申し上げておりますが、性別に関して言えば、世の中は今やLGBT、男女という概念ではなく、LGBTでもなく、LGBTQの時代です。LGBTQのQとは、クエスチョニングまたはクィアの頭文字で、男女にもLGBTのどれにも当てはまらない、さまざまな性のあり方を持つ方々をあらわしています。  このほかにも、LGBTQの方々以外にも、障害のある方々など、さまざまな事情を抱えた方々がいらっしゃり、多様な価値観、多様なニーズに対応する必要性が世の中に急速に広まっています。  多様なニーズに対応するために、行政の場へせめて女性の声を反映していく必要性は高いと言えます。女性活躍推進法の基本原則を定めた同法第2条第1項には、「職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ」との表現や「性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が」との表現が見られ、第2条第2項にも、「職業生活を営む女性が、結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ」と明記されています。  法律に明記されているということは、そういった現実が厳然として存在しているということであり、私たちの世代がこれらの課題に果敢に向き合っていくことは、今後の女性活躍を推進する上で極めて重要であろうと考えております。  女性活躍推進法第1条にあるように、男女の人権が尊重され、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化、その他社会経済情勢の変化に対応できる社会を実現するには、女性活躍を迅速かつ重点的に推進する必要性が高まっています。  先ほどのアンケート結果から、また私や友人たち自身の生活実感からも、価値観が変わりゆく過渡期において、中堅女性職員の世代の皆様におかれては、職場で進む女性活躍推進と御家庭の価値観の変化のスピードに差があり、課題を抱えられる方も少なくないことが推察されます。  活躍とは、自由な選択により各自の思う生き方ができることであると考えておりますし、女性活躍推進法第2条3項においても、「女性活躍推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活の両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない」と定められています。決して、活躍しろ、しろと押しつけになってはいけないことに留意しなければなりません。  ですが、滋賀県における過去の意識調査では、男性だけでなく、女性においても男女役割分担意識が高い結果が出ていました。決して押しつけにはなってはいけないものの、新たな時代に向けて、「変わる滋賀」の理念のもと、県庁内から率先して意識を変えていくことはやはり重要と考えております。  重い課題や現実を前に、こういった理念を理解しないまま施策を進めても、効果は限定的となってしまうでしょう。逆に、これらの理念が浸透すれば、さまざまな施策がより生きてくるはずです。どうして女性活躍を進めることが重要なのかといった女性活躍推進の意義を、男女問わず全ての職員にどのように浸透させていくのかについて、総務部長にお伺いいたします。  また、先ほど御紹介した女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画のアンケートにおいては、「管理職を意識しているが自信がない」と答えた理由として、「育児、介護などで家庭と両立できるか不安だから」と回答した女性が38.1%であるのに対し、男性は7.5%です。30.6ポイントも男性のほうが低い結果となっております。  また、「管理職を特に希望しない」「管理職になりたくない」と答えた理由を比較しても、「育児、介護など家庭との両立が困難になるから」との項目において、女性が37.7%であるのに対し、男性は7.5%と、やはり30.2ポイントも男性のほうが低い結果となっています。育児、介護を自分事として感じる割合は女性の方が圧倒的に高いようです。  女性職員を対象とした研修等の取り組みのみならず、男性職員に向けた研修等の取り組みも必要だと感じますが、今後どのようにされるのかについて、総務部長にお伺いいたします。 ○副議長(細江正人) 9番佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)女性活躍の推進について、本来であれば全部私が答えなければいけないような御質問でございましたが、2点御質問いただきましたので、お答えをいたします。  1点目、滋賀マザーズジョブステーションの施策の評価等についてでございますが、女性のためのワンストップ相談窓口として平成23年度に開設した滋賀マザーズジョブステーションは、平成30年度末までの延べ相談件数は3万2,383件、延べ就職件数は4,513件に上っております。特に、昨年度は相談が5,921件、就職が1,001件と、ともに過去最高となっており、年々増加傾向にございます。  議員御指摘のとおり、M字カーブの谷の深さも前回の平成24年調査に比べ大きく改善いたしましたが、これはこれまでの女性活躍推進の取り組みの効果も一つの要因であると考えているところです。  ただし、利用状況を見ますと地域に偏りがあるため、私も先日視察させていただきました長浜市にある子育て応援カフェLOCOと協力いたしまして、週1回実施している出張相談に加え、今年度は新たに湖東、甲賀、湖西地域においても出張セミナーやお仕事相談会を実施することとしており、県内全域からの利用者拡大を図ってまいりたいと存じます。  また、主に子育て中の無業女性に就労への関心を持ってもらうきっかけづくりとして、自身の望む形で再就労を実現し活躍している女性の事例や、滋賀マザーズジョブステーション等を地域情報誌やテレビ番組等を通じて紹介することとしております。  さらに、採用内定を得てから保育所の入所申し込みをしてもらえるよう、保育所入所の一斉受付前である9月に、翌年4月以降の採用内定を出す企業を集めた合同面接会を開催するなど、需要側のニーズを捉えた就労支援を目指しております。  女性が活躍することで、企業活動や地域に多様な価値観や新しい視点などをもたらすものと考えており、女性が希望する働き方、生き方を実現できる社会環境づくりを今後も一層進めてまいりたいと存じます。  2点目、民間事業所におけるイクボス宣言の現状等についてでございますが、イクボスは、職場でともに働く部下のワーク・ライフ・バランスの実現を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、みずからも仕事と生活を充実させる上司のことと承知しております。  本県では、平成27年6月にイクボス宣言企業登録を開始いたしまして、本年6月現在、登録企業数は181社となっており、その内訳といたしましては、医療、福祉、金融業を初め、比較的女性の従業員の少ない建設、製造など、幅広い業種においても御登録いただいております。  これに加えまして、女性の活躍に取り組む女性活躍推進企業の普及を進めており、現在212社を認証しているところでございます。  イクボスの輪を広げるための取り組みといたしまして、イクボス宣言マークを利用したアピールのほか、県ホームページへの掲載や広報誌での好事例の紹介など機運醸成に努めておりますほか、管理職や人事担当者を対象にイクボス養成のための研修会を開催し、イクボスに取り組む効果や必要性を紹介したところでございます。  宣言をされた企業からは、社長のリーダーシップにより仕事と家庭を両立しやすい職場づくりが強力に進んだ、でありますとか、社員のモチベーションアップによる業務の効率化が進んだ、などの声を聞いているところです。  今後も、イクボス普及のためのセミナーの開催や仕事と家庭の両立に関する情報提供を行いますほか、女性も男性もともに、生き生きとやりがいを持って働くことのできる職場環境づくりを一層進めてまいりたいと存じます。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)女性活躍の推進についての質問のうち、私にいただきました県庁内の取り組み、4点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、管理職に占める女性の割合についてですが、議員の御質問にありました、平成30年度の受験者が採用試験を経て、平成31年4月1日に県職員として採用となった女性職員の割合は約39%となっております。5年前の平成26年4月1日に採用となった女性職員の割合が約21%でしたから、ここ5年間で18ポイント上昇しておりまして、近年、女性採用者数が増加しております。  このように、若年層においては女性職員の比率が増加しているところであり、今後も、若いうちから企画立案や折衝等幅広い業務を経験させるなど、中長期的な人材育成につながる人事配置や組織マネジメントの経験ができる係長への登用などを積極的に進めながら、職員の成長を促してまいります。  こうした取り組みを継続して行うことはもとより、さらに充実させることによりまして、今の若い世代が管理職を担う時期には、管理職に占める女性職員の割合が増加するように取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、女性職員対象の研修についてでありますが、改定前の計画では、当時行いました職員意識調査において、女性職員が幅広い業務知識やマネジメント経験不足などを感じている傾向が見られましたことから、女性職員を対象とした能力開発に取り組んでまいりました。  しかしながら、業務マネジメントスキルなどは男性職員にも共通する課題であること、また、受講した女性職員から、性別にかかわりなく研修を実施すべきとの声もあったことを踏まえまして、現計画におきましては、男性職員、女性職員ともに、能力開発やキャリア形成を行うことの重要性を位置づけまして、今年度から、性別にかかわりなくマネジメント等の能力開発研修を実施することにしたものでございます。  3点目、女性活躍の意義と職員への浸透についてでありますが、県庁において女性職員が活躍する意義は、人口減少社会の到来や多様な行政ニーズにきめ細やかに対応するために、女性職員が幅広い分野で活躍し、その視点が施策の構築や実施に生かされ、県民サービスの向上につなげていくことにあると認識しております。  こうした女性職員活躍の意義を職員に浸透させるため、年度当初に知事と部局長との間で、女性職員の活躍推進に向けた取り組みについて意見交換を行いましたほか、知事から職員へのメッセージの発信、女性活躍をテーマにした幹部職員研修、さらにはイクボス宣言の実施などに取り組んできたところであります。  今後も、こうした取り組みなどを通じまして、女性職員活躍の意義を浸透させてまいりたいと考えております。  4点目、男性職員に向けた取り組みについてでありますが、今回の計画では、男性職員の意識改革を促すため、主体的な家事参加の促進を新たな取り組みの柱の一つに位置づけまして、育児、家事関連時間などの数値目標を掲げ、各種の取り組みを進めていくこととしております。  この目標の達成に向けまして、先ほどお答えしましたように、幹部職員を対象とした研修などを行うほか、育児参加を促すトップからのメッセージの発信、子育てハンドブック等による周知に取り組んでまいります。  また、職員や職場の実態を幅広く把握し、取り組みの検証、提案を行うため、今年度、県庁内に男女の職員で構成される女性職員の活躍推進部会を設置したところでありまして、男性職員の主体的な家事参加や、計画の充実を図るために必要な取り組みについて議論することとしております。  こうした種々の取り組みや部会での議論を重ねながら、職員の意識改革に努めてまいりたいと存じます。 ◆9番(佐口佳恵議員) (登壇)何点か総務部長に再問させていただきます。  まず、私がお伺いいたしました割合の数値でございますけれども、先ほど、御答弁では採用数ということでお答えをいただきました。私がお伺いいたしましたのは、競争試験の受験者に占める女性の割合ということでお聞きしております。  採用者数は育児休暇などの代替の方などの人数も入るとされており、競争試験の数というものを正確に把握しておきたいと思っておるのですが、それに関しましては、現在、3割弱の28.2%、これは平成30年度の数値でございますけれども、それで間違いないということでよろしかったでしょうか。  また、先ほど、女性のみに対して行われる女性の研修を行っていただきましたところ、男女両方ともにマネジメントの能力は重要である、また、女性のほうから、むしろ女性だけに限るのがおかしいといったお声が上がったというお話がお聞きできましたが、これは確かに県庁に必ずしも適合しているわけではなく一般論でございますけれども、女性のみに限り、女性が参加するということを原則とすることによって、本当は参加したいけれども、男性職員の人が参加するのであれば遠慮しようといった風潮が排されるという側面がございます。  ですので、実施に関しましては今後検討のほうをしていただけるものと思いますが、女性の事実上参加しにくくなるような形にならないことにつきまして、ぜひとも検討ないし御配慮いただければと思いますが、そのあたりについて、総務部長の御見解をお伺いをいたします。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  まず1点目、私、採用者数をお答えしました。議員は受験者数ということで着目いただきました。御質問にありましたように、平成30年度は28.2%の、受験者数に占める割合は28.2%で間違いございません。この数字は、例えば5年前が25.1ですから、徐々に上がってきているという状況でございます。  それから、2点目の御質問で、今現在、前回は女性を対象にした研修を行いましたが、現計画では男女ともにという研修でございます。その中で、議員の御懸念であります、そういう研修はなかなか女性が参加しにくいんじゃないかと、こういう御質問だと思います。  女性職員の経験やスキルをきめ細やかに把握しながら、中長期的なキャリア形成に向けた助言や支援を行うよう所属長等に求めております。  また、こうした研修に参加しやすい職場づくりや、研修会への参加をためらう女性職員の背中を押してあげられるような、積極的な働きかけをしてまいりたいと思っております。  さらに、職員同士のネットワークやロールモデルづくりのための交流の場の創出、あるいは女性職員サポーターによる支援などを通じまして、女性職員がちゅうちょしたり遠慮したりせずに、一歩踏み出せるような後押しもしてまいりたいと思っております。 ◆9番(佐口佳恵議員) 終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、9番佐口佳恵議員の質問を終了いたします。  次に、23番海東英和議員の発言を許します。 ◆23番(海東英和議員) (登壇、拍手)23番、自由民主党滋賀県議会議員団の海東英和でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、通告に従いまして、まず、第1番目の県立高校等の空調整備についてを御質問申し上げます。  昨年の夏は、命にかかわる暑さと言われた猛暑でありました。これを受け、県議会の各会派から緊急要請に応えていただき、三日月知事の御英断で前倒しの空調整備が決まりました。全国に目を向けると、空調整備をしようとしたものの、空調機器が調達できずに断念した県もあると聞きます。県庁もよい仕事によって職員さんは成長し、細部に心が配れるようになり、協力する経験を積み重ねることができ、県民の皆さんの心や業者さんへの敬意などを抱くことができるようになると思います。今回の空調整備は、この滋賀県庁はすばらしい仕事を粛々と展開されたと私は拝見いたしました。そのことを軸にして、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、ちょっと枕として、せっかく空調整備をした高校現場で、せっかくエアコンつけてもろたのに全然涼しあらへんやんという高校生の声を、ついこの土日に聞かされました。何でかなと思ってちょっと確認をしてみますと、28度設定の呪縛というものが学校現場にもありまして、クールビズを導入したときに、なぜかエアコンを28度に設定するのがエコだというような何か思い込みがありまして、それがやっぱり学校現場も縛っているということも1つ確認しました。  昨年の平成30年4月2日、文部科学省の学校環境衛生基準の一部改正というものによりまして、望ましい温度の基準を17度以上18度以下というふうに見直されたことも受けまして、滋賀県は大英断をしていただいたことと思っております。  留意事項によりまして、温度の基準については、健康を保護し、かつ快適に学習する上で、おおむねその基準を遵守することが望ましいものであることに留意すること、温熱環境は、温度、相対湿度、気流や個人の温冷感等により影響されやすいものであることから、教室等の環境の維持に当たっては温度のみで判断せず、このほかの環境条件および児童生徒等の健康状態を観察した上で判断し、衣服による温度調節も含め、適切な措置を講ずることというふうに文科省からの基準が示されています。ですので、28度に設定して、暑なっても汗かいておけというのは、文科省の方針にも沿うものではないということを確認したいと思います。  それから、せっかくエアコンを設置したのですから、その効果が発揮されるように使うてもらうということが、県民の期待、願いであろうかと思います。  人間が最も学習効率、作業効率を上げやすい温度というのが18度から25度と言われていまして、学習塾などにおいても25度という目安が適用されているのが多いようです。  学習パフォーマンスが一番発揮されるよい温度は25度付近で、夏になると27度から26度へ1度下げたことで、学習効率が11.7%向上したという事例が報告されていたり、東京の一般的教室で、冷房を26度から25度、1度改善することで、学習効率が6.2%から10.2%向上すると考えられているという報告があります。  また、若い人ほど代謝が高く、たくさん食べて消化して発熱をするので、特に昼食後は室温が高いと体からの放熱がしにくく、学習効率の低下に影響が出やすい。体育の授業の後などは、まさにそれが匹敵すると思います。  22度が仕事や勉強を進めるに最適という国際的なリサーチもあります。そういうことによって、シンガポールのリー・クアンユー初代首相は、最適温度は22度だというふうに絶えず発言しておられ、熱帯諸国の経済発展に必要なことは何かと聞かれた1999年のインタビューに、エアコンと答えられたということは歴史に刻まれております。  26度以上でなければ温度の悪影響はほとんど出ない、25度から32度の間では1度上がると2%パフォーマンスの低下が見られる、21度から25度の間ではパフォーマンスの悪影響は見られないなど、ヘルシンキの大学からの報告もあります。  28.1度ということは、教室が28.1度ということは良好でないということですので、エアコンを28度に設定するということを一つ覚えのように、何か28度の呪縛のように現場で生徒たちに強いて、そして、せっかく39億5,000万円もかけて追加整備したこの事業が無駄にならないように、効果が発揮されるように念願して、本題に入らせていただきます。  平成30年度の年度途中に、当年整備の14校に加え、翌年度以降の22校の全ての普通教室に設置するという一大プロジェクトは、どのように進められ、全ての学校で設置作業が完了できたのでしょうか。  何と年度途中から977教室に1,451台のエアコンを見事に設置し、なし遂げられたということであります。試運転のときの感動の声を、私は生で高校生から聞かせてもらいました。現場では、まさにプロジェクトX級のドラマ化できるようなことが連続していたということを漏れ聞きます。  事務的な面で乗り越えたこと、県庁内でこれまでにないサポート体制が働いたこと、業者さんの心意気と職員さんの信頼関係が深まっていく仕事の現場が展開されたこと、36校の完了検査の中で担当者が感激の余り涙をし、業者さんが「また一緒に仕事をしたいな」と言われたということも伺いました。  休日やゴールデンウイークに工事をするがゆえに、機転をきかせて振替休日の対応をとられたこと、それを受け、間髪入れず学校長さんらが理解をし、そして先生方に周知して、振りかえ対応で休日等の工事の立会や、そしてまた推進に向けての対応をされたこと、これらのことについて、これは県庁力の最大化の一例であると思い、ぜひ胸を張って御報告をしていただきたく、まず、教育長に3点お伺いします。  昨年9月定例会における補正予算成立後、空調設備の全校整備のために、教育委員会事務局においてどのような体制をとられたのか。また、他部局からのサポート体制も含め、お答えをください。
     昨年度の前半には想定しなかった事業であったと思いますが、各学校には授業があり、工事期間は限られ、条件的には大変困難であったと存じます。各学校の授業の調整や工事業者の確保、関係者の協力体制の構築や調整のたまものであったと思いますが、このような迅速な対応を図ることができたつぼ、ポイントを聞かせてください。  今回のすばらしい実績は、今後の学校にかかわる施策展開に生かすべきことが多いと思いますが、どのような点を教訓として今後に伝えるべきものとお思いでしょうか。  次に、知事にお伺いします。  教育委員会のこうしたすばらしい取り組みは、多くの課題を有する県政において、県庁全体が共有し、今後に生かすべきと思います。今回の事例とよき教訓を全庁に生かすことについて、どのようにお考えかお聞かせください。 ○副議長(細江正人) 23番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)4点の御質問のうち、私に対する1点の御質問にお答えをいたします。  たくさんのお褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。  今回の事例とその教訓を全庁に生かすことについてでございますが、まずは、県立学校の空調設備の整備について、関係する方々の御協力のおかげさまをもって夏を迎える前に整備を終え、県民の皆さんの御要望にお応えすることができたものと考えております。  今回の事例のように、職員は県民の負託に応えるべく、それぞれの現場で使命感を持って業務に取り組んでいるところでございます。緊急的な対応等が必要なときには、応援体制の構築などによる執行体制の強化や関係部局との連携など、組織一丸となって、より効果的、効率的に、スピード感を持って事業が実施できるよう努めているところでございます。こうした仕事の進め方は、生産性の高い働き方や人材育成にもつながるものでございまして、まさに県庁における健康経営の実践でもあると考えております。  議員に御紹介いただいたことも励みに、やりがいを持って前向きに働くことができる職場環境をつくることにより、県庁の組織としての力を高め、県民の皆さんの御期待にもっともっと応えられるよう、全力で取り組んでまいりたいと存じます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)県立学校の空調設備に関する私に対する3点の御質問にお答えします。  まず、議員の御質問の中で、空調機器の設定温度28度という御発言がございました。私どもは文部科学省の学校安全の基準に基づきまして、県で運転の指針を設けておりますが、その際には、まず、室内の温度が28度を超える場合に空調機器を運転すると。その際には、空調機器の設定温度が28度ではなく、室内の温度が28度となるように運転をするということで決めさせていただいておりまして、あわせまして、生徒の健康が損なうことのないように、適切に対応してもらえればと考えておるところでございます。  それでは、まず、1点目の教育委員会の事務局の体制についてでございます。  平成30年度の県立学校の空調設備の整備につきましては、当初予算で14校、9月補正で22校、計36校について議決をいただいたところでございます。  また、その時期につきまして、昨年は大阪府北部を震源といたします地震による被害を受けまして、危険性の高いブロック塀の撤去、また、台風21号による被害の復旧などの災害対応も重なりましたことから、短期間でいかに限られた人員の中で効率よく発注準備を進めていくか、そのための執行体制の強化、また、関係部局のさらなる連携が不可欠であったところでございます。  このため、教育委員会事務局教育総務課内の人員を増強し、また、担当職員が当該発注業務に専念できますように、仕事の割り振りの変更を行い対応をしたところでございます。  また、学校におきましても、学校長の強いリーダーシップのもと、工事が週休日や休日に集中することも考慮し、工事立ち会い業務に係ります服務の取り扱いを整理し、必要な条件整備を行ったところでございます。  さらに、追加分の22校につきましても、土木交通部からは技術的な支援を、また、会計管理局からは契約事務に係るアドバイスなどの協力を受け、複数の部局が連携して取り組んだところでございます。  次に、2点目のこのような迅速な対応をどのように図ったかについてでございますが、計画どおり完了できましたのは、まず、議会におきまして早期の議決をいただきましたこと、また、施工業者の皆様、関係部局、学校関係者の協力があったからこそであるものと認識をいたしております。  また、今回議決をいただきました時期が、国の平成30年度の第1次補正予算案が閣議決定をされる前でございまして、全国よりも早期に事業着手できたことも、施工業者や空調設備の確保につながったものと考えております。  あわせまして、施工業者につきましては、ことしの夏までの限られた工期の中で、学校運営に支障が出ないように、土日や春休み、あるいはゴールデンウイークを中心に工事を行っていただきましたほか、学校と綿密に打ち合わせを行い、作業工程と施工方法などの施工計画を練り上げていただいたものでございます。  さらに、追加発注分に対応するため、先ほども申し上げましたが、担当職員が専念できる体制を整えたほか、土木交通部、会計管理局の支援を受け、円滑に事務事業を進めることができました。  そして、何より関係者全員が子供たちの健康面や学習面への影響を考慮し、一日も早い空調設備の整備を行いたいという強い思いを共有し、各学校長がリーダーシップを発揮いたしますとともに、教育委員会と関係部局が一丸となって取り組んで対応した結果、このような短期間に全ての工事をなし遂げられたものと考えているところでございます。  最後、3点目に、どのような点を教育長として教訓として今後に伝えるべきものかという御質問についてお答えいたします。  私は、本県教育を取り巻くさまざまな課題解決に向けては、教育委員会事務局の職員が一丸となって取り組むこと、また、知事部局や市町教育委員会ともしっかり連携することが大切であると考えております。  今回の県立学校の空調設備の整備に関しましては、まさに関係部局との連携のもと、教育委員会事務局、学校が一丸となって取り組んだ結果であると認識をいたしております。  また、このような形で議員に取り上げていただきましたことは、多くの職員、関係者の励みになることでもあり、改めて感謝を申し上げます。  教育委員会事務局や学校におきまして、日々、それぞれの分野で滋賀の子供たちの教育行政の推進に励んでいただいているところでございますが、日ごろから余り目立たない事務であっても、職員には地道に取り組んでいただいております。  あえて私が今後に伝えるべき教訓を申し上げるとすれば、1つには、教職員一人一人が与えられた仕事に熱意と信念を持ち、滋賀の子供たちのために、それぞれの役割をしっかり果たしたいとの強い思いを持つこと、そしてもう1つは、例え困難と思われることであっても、関係者の協力を得られればきっとなし遂げられるとの2つがあるのではないかと考えているところでございます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。大変謙虚に総括されるので、もっと私は、ほんまによくやってくださったと。まず、追加になった学校の高校生たち、約1万3,000人ぐらい対象だと思うんですが、本当に感謝していると思います。  ですから、うちの学校は後回しになったかという思いもしなくて済んだし、そういうこともあって、うちもやってもらえるんやという思いで学校の関係者も御協力いただいた、そういうこともあったと思いますし、担当の方に伺っていますと、建築課の方のサポートが何よりも心強く、助けられたということをおっしゃいました。  ふだん教育委員会と土木交通部というのはそうそうおつき合いがないかと思いますが、まさに女性活躍のモデルにしたいようなその担当者が頑張られたということも、やっぱり皆さんにも知っていただきたいし、そして、まさに一丸となって……(発言する者あり)そういう名字の方が中心になったかどうかは別として、本当に一丸となって達成するんだということでやってくださったと。だから36校も、滋賀県は一つも欠けることなく設備ができたということであります。このことに対して最大限の拍手を送り、感謝を申し上げます。  その上で、教育長がちょっとサービス答弁をしていただいたわけですが、今は、28度を超えたら、室内の温度が28になるように運用しているということですが、これでは学習効果が上がらないということは科学的にも今裏づけがあることでございますので、滋賀県の学校現場、生徒児童たちが教育環境として学習効率が上がるように、教育のパフォーマンスが上がっていく温度設定は何度なのか、一般的には25度と言われていますので、ぜひ参考にしていただいて御検討いただき、また、常任委員会等でも御助言をいただいて、そして、せっかくのこのエアコン整備が効果を発揮して、滋賀県の子供たちが伸び伸びと充実した勉強ができるように運用をお願いしたいと思います。  それでは、続いて、2番目のオオキンケイギクの撲滅についてを御質問申し上げます。  オオキンケイギクの撲滅に向けて、ちょうど花をつけるそのタイミングで、地域の回覧板で県は啓発、周知を図ってくださいました。その内容に、県民の方から、知らなかった、大変参考になったとの声を寄せていただきました。  まず、琵琶湖環境部長にお尋ねします。  オオキンケイギクのチラシによって、県にも問い合わせなど反響があったと仄聞します。また、つい数日前、びわ湖放送でオオキンケイギクとオオバナミズキンバイの特集をしておられ、侵略的外来生物ということで大変丁寧に取り上げていただいておったのも拝見しました。  今回、県民に対してどのように周知を図られたのか。県に対する反響はどのようなものがあったのか。市町に寄せられたもの、また、市町からの声などもありましたら、お答えをお願いします。  それから、主要幹線道路沿いにはことしもたくさんの群生地があり、黄色い花が咲いているのが確認できました。が、そろそろもう花びらが落ちて、種が散乱することが心配される時期に入ろうとしています。今年度の一斉撲滅行動は、どのような調整内容で、実際どのような実施をされるのか。体制、時期、方法、また、国、市町との連携についてお伺いをします。実施の見込みはどうでありますか。  そして、実際に実施もしていただく道路管理者として実行される土木交通部長にお尋ねします。  本年度の取り組みの成果はどのように見込んでおられますか、来年度以降はどういう状態を目指しておられますか、このことについてお尋ねをいたします。  そして、このように国、県、市町、それぞれまた道路管理者が連携して外来植物撲滅に取り組む事例は、国や他府県にも情報提供すべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。琵琶湖環境部長にお尋ねします。 ○副議長(細江正人) 発言者に申し上げます。  質問に対する答弁者、2つ目の答弁者。 ◆23番(海東英和議員) 2つ目は琵琶湖環境部長です。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)オオキンケイギク対策につきましての4点の御質問のうち、私にいただきました3点の御質問についてお答えをします。  1点目の県民に対する周知とその反響についてでありますが、オオキンケイギクに関する注意喚起チラシを新たに作成しまして、4月上旬に県内全ての市町に対して1,000部ずつ配布し、自治会の回覧板等を通じて、県民の皆さんに対し、生育拡大防止やごみゼロの日に合わせた防除活動の推進に努めていただくよう依頼を行ったところでございます。  また、県の広報誌「滋賀プラスワン」5・6月号に、オオキンケイギクの除去を呼びかける情報を掲載しました。  このほか、先ほど議員から御紹介いただきましたように、昨日6月23日には、びわ湖放送の「テレビ滋賀プラスワン」において外来生物特集が放送され、「きれいな花でも特定外来生物」と題して、オオキンケイギクとオオバナミズキンバイについて取り上げていただいたところでございます。  県に対する反響につきましては、チラシをごらんになった県民の方から、オオキンケイギクの見分け方などに関する問い合わせが10件程度ありましたほか、除草ボランティアをされている方から、わかりやすいチラシの配布に感謝するとの御連絡をいただきました。  また、大津市や高島市からは除去方法や処分方法についての問い合わせがあるなど、県民の皆さんや市町への周知がこれまで以上に進んでいると感じております。  2点目のオオキンケイギク対策の実施見込みについてでありますが、オオキンケイギクによる生態系被害の防止を図るため、ことしの2月から3月にかけて、国土交通省滋賀国道事務所、県土木交通部、県内各市町に対し、適切な防除手法を周知するとともに、管理施設における防除の推進等について依頼文を発出したところでございます。  また、6月8日には県と東近江市が共催でオオキンケイギク学習会を開催し、オオキンケイギクの生態や防除手法について12名の参加者に学んでいただいたほか、あわせて除去作業を行いました。また、6月17日には、県が管理する栗東市の滋賀日産リーフの森において、県職員によるオオキンケイギクの除去作業を行ったところでございます。  滋賀国道事務所では、パトロールの際にオオキンケイギクを見つけた場合は、その都度、除去を行うなど生育拡大や被害防止に取り組まれているほか、県内各市町においても、防除手法の周知や県民の除去活動に対して協力をいただいております。  今後とも、国、県、市町および県民の皆さんと連携して、オオキンケイギク対策に取り組んでまいりたいと存じます。  3点目の国や他府県への情報提供についてでございますが、国、県、市町および県民が連携してオオキンケイギクの防除に取り組む姿勢を国や他府県に情報提供することは、滋賀県による率先した取り組みを対外的に発信するという面で重要であると認識しております。  ほかの外来植物として、例えばオオバナミズキンバイの対策でも、取り組みの情報発信により、環境省が作成した外来種の水草に関する注意喚起チラシで取り上げられましたほか、京都府や千葉県から対策について助言を求められるなどの効果もあったところでございます。  オオキンケイギク対策につきましても、国、県、市町および県民が連携して取り組む本県の姿を対外的に発信するとともに、他府県の優良事例も滋賀県の取り組みに生かしてまいりたいと存じます。 ◎土木交通部長(川浦雅彦) (登壇)私にいただきました、本年度の取り組みの成果と来年度以降はどういう状態を目指しているかについてお答えします。  オオキンケイギクは5月から7月に花が咲き、その後、種子をつけますので、それまでに刈り取りを行うことが適切であると考え、今年度から6月下旬までに草刈りを実施することといたしました。  今年度の取り組みの成果といたしましては、県管理道路において繁茂を確認した35カ所、約1万3,000平米について、現時点で刈り取りが終わったところでございます。  来年度以降につきましても、琵琶湖環境部と連携し、オオキンケイギクの繁茂状況の変化等も把握しながら、適切な時期に刈り取りを行い、刈り残しのないよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)このオオキンケイギクについては、本議場におられます中村才次郎議員の一般質問を聞くまで、私は全然知りませんでした。しかし、地域へ帰ってみると、国道沿いとか湖岸道路に余りにもたくさん咲いているのを知りまして、そして、だんだんそれがやっぱり拡大しているということも知りまして、それでやっぱり具体的な行動が必要だということで、いろいろとともにお願いをしてまいりましたところ、全ての県民の方にやっぱり知っていただく啓発行動や、そしてまた撲滅に向けての行動をとっていただいたことで、さらに反響が広がっているように思います。  土木交通部におかれても、具体的に1万3,000平米も実施していただいたことには、本当に感謝を申し上げたいと思います。  さらにお願いとしては、やっぱり国道ではまだ刈られていないところもございますし、そして市町村道、いわゆる、今、村はないですね、市町の道路沿いにおいても、やっぱりオオキンケイギクがあったり、家庭の花壇に園芸植物と勘違いして育てられていたりということがありますので、まずは国道や、そして市町の道路と県道が力を合わせて、タイミングを合わせて、よいタイミングで撲滅行動を、来年度以降もちょっと集中して目標を持って取り組んでいただくようにお願いを申し上げます。  それから、家庭の園芸種目と間違うておられることについても引き続き啓発をお願いして、一定ぐっと減るような場面をぜひ実現、達成していただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。  それでは、3つ目の質問に移らせていただきます。  国道161号白鬚神社前の安全についてを、全て知事に御質問させていただきます。  大津市大萱で大変痛ましい事故が起こりました。この悲しみは決して消えることがないと思います。犠牲になられた方、被害に遭われた方にお見舞いとお悔やみを申し上げます。また、加害者となってしまわれた方の苦悩にも思いをいたしたいと思います。私たちも同じ立場になる可能性があると思うからです。  本件はまさに想定外であり、車は凶器であることも再認識させられました。交通安全を確保する責任という観点から、今回は全て知事に御質問を申し上げます。  国道161号白鬚神社前を通過するときに、最近は国道が赤くペイントされ危険を知らせてくださるおかげで、通過車両の速度が少し下がったように感じます。しかし、この道路境界のペイント上を走るときには大変心が引き締まります。  しかし、白鬚神社前に入りますと、横断歩道でもないのに一気に渡る横断者がたくさんおられます。神社側は横断禁止の看板を立てておられ、バリケードでとめておられます。しかし、観光客の一定の方々が、何とか神社側から琵琶湖の鳥居側に渡ることによって、よりインスタ映えのする写真を撮りたいとか、また、本当に琵琶湖に建つ鳥居を見て琵琶湖に祈りをささげたいとか、いろいろな思いで命がけの横断を繰り返されます。ここにも冷やりとした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。  最近の一番危ないなと思って受けとめた事例の話としては、中国の方々は大変車をすり抜けて渡るのがお上手なので、いわゆる約60キロから65キロで通過する対面通行の161号線の白鬚神社前を半分渡って、真ん中の1メートルほどの中間部分で立ちどまって、平気で次来るのを待ってはる。だから慌ててブレーキを踏んで、追突するような事件がやっぱりあるんだということです。やっぱり海外からのインバウンドのお客さんがふえている。大変危険度も上がっているんではないかということを思い、以下、また質問を続けます。  滋賀県の観光パンフレットには、必ずと言っていいほど、白鬚さんの湖上の鳥居の写真が掲載されています。観光パンフでは載っていないほうが珍しいぐらいであると思います。県のホームページでも白鬚さんの湖上の鳥居の写真が用いられていると思います。  一例を挙げますと、(資料掲示)まず、この日本遺産滋賀というこのチラシ、開くと白鬚さんでございます。この日本遺産の効果は大変国内外にやっぱり周知ができて、観光のPR効果が発揮されていると思います。(資料掲示)これは、地元の高島市が外国人向けに英語とか中国語とか韓国語で入れられたパンフレットですけれど、これも白鬚さんが表紙になっています。  道の駅マップ、日本遺産滋賀、そして京都、滋賀、福井で一緒につくられた日本遺産ぐるっとマップなどにももちろん白鬚が取り上げられていまして、手元にも10数枚パンフレットがあります。皆さんも御存じのとおりでございます。こういうチラシや写真の効果により、インバウンドのお客さんの来訪も中国を中心に一段とふえているように思います。  白鬚神社を訪れる観光客の推移を教えていただきましたが、2012年は15万2,000人でしたが、2017年は19万1,800人とプラス26%、126%と大幅にふえています。最も多い月は月間5万3,000人を超えている統計があります。昨年は18万3,900人と少し減りましたが、年間を通して、月に1万人以上来訪されることが常となっています。このお招きした海外からのお客様や来県者、そしてまた地元の滋賀県民に、安全を提供する責務があります。  特に、白鬚神社前は滋賀県でも大変危険な道路であると考えます。ビワイチの関係者も、最も危険な場所だということは前にもここで御指摘しました。交通安全をつかさどる警察の関係者も心を痛めておられると拝察します。  お伺いしましたところ、平成26年度から30年度の5年間で、人身事故は23件、お2人お亡くなりになっています。そして人身事故は、平成26年が7人で、平成30年が3人と減少傾向が見られるんですが、物損事故は、平成26年に10件でありましたが、平成29年のピークでは37件、平成30年は27件と増加傾向があると見てよいと思います。  そしてまた、気になるのは、人身事故23件のうちの14件が追突事故、物損事故117件のうちの55件、49%が追突事故であるということです。これは原因を想像しますと、右折、左折のときに、地元に余りお詳しくない人が急にブレーキを踏まれて車両の追突が起こったのではないか、もしくは、急に横断者があることで急ブレーキを踏まれて追突が起こったのではないかということが想像されます。そして、観光客の増加とリンクしているように思われますが、どうでしょうか。  これらのことを踏まえた上で、以下、御質問を申し上げます。  本年3月25日に国土交通省のルート検討委員会で、知事の要望も実って、白鬚さんの区間は、琵琶湖張り出しルートから背後の山をトンネルで抜くルートに計画変更することが決まりました。具体的な計画となったことは、地元としても喜び、感謝を申し上げる次第でございます。  しかし、このことは安全と観光の両立を思い決定いただいたことと存じますが、琵琶湖張り出しルートと比べると、完成まで何年多くかかり、目標年次は何年になったのでしょうか。まず、このことについてお伺いします。  次に、新たなトンネルルートが完成するまでの間、交通事故による犠牲者を出さない良識ある政策を講じなければなりません。国道161号は国管理であり、白鬚神社前のバイパスの完成にはまだまだ年数がかかると思われます。それまでの現状の危険な状況を改善し、県民や来県者の安全を確保していくということが知事のお仕事でもあると思います。そのためには、誰が考えても歩行者と自動車を立体的に分離することが最も安全な姿であると思います。  今日までのことはさておき、国道が地下横断道を設置してくれなくても、観光客を誘致する滋賀県の責任において、観光客の安全確保の面からも、例えば地下横断カルバートを、県が実施主体になって国道に占用申請してでも実現するくらいの安全を確保する責任があると存じます。  こうした危険な場所の交通事故防止、横断者の安全確保に対してどのように取り組まれるか、国道管理者である国との協議、調査等も含め、どのように取り組むお考えか、知事の御所見をお伺いします。 ○副議長(細江正人) 海東議員に申し上げます。  資料掲示については、議長は許可されておりませんでしたので、御留意願います。ルールとしては、資料掲示については議運に先に届ける必要がありますので、よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) 国道161号白鬚神社前の安全について、2点御質問いただきました。  まず、白鬚神社区間の完成目標年次等についてでございますが、当該区間の改築事業につきましては、議員も御紹介いただきましたが、昨年11月に私が国土交通省にルート変更の要望を行いました後、直ちに検討に着手いただき、本年3月に山側ルートへ変更する方針決定いただいたところでございます。  引き続き、国において詳細ルートや構造の検討が行われますが、現時点で完成目標年次を明らかにできる段階ではないと聞いております。したがって、他のルートと比べて何年多くなったかという情報も持ち合わせていないということでございます。  事業を進めている隣接の北小松工区に引き続き切れ目なく整備をいただけるよう、これまでから国に働きかけているところでございます。  県といたしましても事業が円滑に進むよう、都市計画変更および環境アセスメント手続について国や関係市と協力して、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、観光客の安全確保についてでございますが、白鬚神社につきましては、県のホームページや観光パンフレットへの掲載はもとより、びわこビジターズビューローが毎年実施しておりますフォトコンテストにも数多くの鳥居の写真が投稿されるなど、県内有数のフォトスポットであると認識しています。  また、白鬚神社への平成30年の観光入り込み客数は年間で18万3,900人であり、初詣での方でにぎわう1月の3万5,000人をピークに、夏休み期間中の8月には1万9,500人、最も少ない冬季2月におきましても6,700人と、多くの皆様に訪問いただいている大切な観光資源でもあると認識しています。  このため、白鬚神社を訪れる観光客の安全確保は重要と考えております。この箇所につきましては、これまでに国、県、警察が緊密に連携いたしまして対策を検討し、国において、安全看板の設置やカラー舗装などの安全対策を実施いただいております。  そういった中、観光客の安全確保は最優先でありますことから、道路管理者である国や地元高島市と庁内関係課が連携いたしまして、観光客への安全啓発などを徹底してまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)資料掲示については申しわけありませんでした。  知事にもう一度お伺いします。  初めて来たインバウンドのお客様、中国の方やらに、どう安全啓発をされるんですか。
    ◎知事(三日月大造) 初めての方であろうと再訪される方であろうと、できるだけわかりやすい形で、横断をしていただかないことについて、掲示や、また御案内等で啓発をしていくということになろうかと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)現在も、恐らく神社が設置されていると思うんですけれど、漢字で「横断禁止」という、はっきり目立つ看板が立っています。中国の人に読めないことは私はないと思います。  日本遺産に選定されて、景観ということからも大事にしなければならないということで、バイパスも背中を通すということとか、琵琶湖の景観を大事にするとかいうことが考えられたと思うんですが、無粋な看板を立てるということは、恐らく景観行政に反すると思います。本当に来訪者の安全を守るために、命を守るために、一番わかりやすいのは地下横断道をつくることが一番わかりやすいことで、かつて江若鉄道が走っていたときに、国道を横断する地下道があったと聞いています。  知事は、今回の大萱の事件やいろいろなことで、交通安全でできることは、もっともっとできることはないかという観点から取り組むとおっしゃいました。ここの白鬚神社前は2万台の車が通過します。そして、警察でも掌握されているように、通過スピードが速いです。平日60キロから65キロというのは警察の方から聞いた数字です。そこへぽいと渡って真ん中でこうして見ながら、またさらに渡る方がひっきりなしで、1万人の方が皆あそこを横断するとは考えてませんけれど、1人の方でもやっぱり命大事にせなあかん。このことを今回は正面から捉えていただきたいということで、あえて質問に立たしていただいておりますので、今答えが出るとは思いませんが、観光客、また参拝者、来訪者の命の安全、交通安全ということをしっかりともう一遍考え直してみるということについての方向を御答弁いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 引き続き考えていきたいと思います。国と県と警察と高島市とで白鬚神社前交通安全対策に係る情報共有会議を持たれている、開催されているということですので、そういった今議員から御提起のあった課題についてもよく共有の上、大変多くの方が横断禁止とはなっているものの渡られ、写真を撮られたり、また、道路の真ん中で立ちどまられたりしているという状況も踏まえた上で、さらにより多くの方がふえて来訪いただいている現状を踏まえて、どのような対応をとっていけばいいのか、引き続きよく協議していきたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)ぜひ、その協議の先頭に立つということを言うていただくことはできませんか。 ◎知事(三日月大造) 先頭に立つといいますか、国管理の道路ですのでいろんな制約がありますが、よく県もしっかりと、主体的に協議をしてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) よろしくお願いします。終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、23番海東英和議員の質問を終了いたします。  次に、11番黄野瀬明子議員の発言を許します。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇、拍手)日本共産党県議団、黄野瀬明子です。初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  まずは、特別支援学校の教育環境整備について、一問一答で、知事と教育長に質問をいたします。  私は、町内のお母さんから、子供さんが通う草津養護学校で、子供の数がふえて教室は足りない、体育を校舎の裏でやっている、こんな状況を知ってほしいと聞き、一緒に学校を見学に行きました。  (資料掲示)ここに写真を持ってきました。下校時に大型のスクールバスが10台並び、家族のお迎えの車が30台と放課後デイなどのお迎えの福祉車両30台ほど、校門から行列をなして入り、出ていく。これを教頭先生が旗を降って交通整理をする光景を見て、衝撃を受けました。特別支援学校の教育環境の改善は一刻の猶予もありません。直ちに改善されることを求めます。  まず最初の質問です。  先日、滋賀大学附属特別支援学校に見学に行かせていただきました。先生からは、12年間の教育で生き抜く力をつけることを目指し、特に何回も繰り返す体験学習の重要性についてお聞きいたしました。子供さんを通わせるお母さんは、子供の発達に合った過ごし方で、特に自分ができることをふやすための学びがありがたかったと言っておられました。  見学に行ったときに見た調理学習を行う子供たちは、自分のつくったみそ汁がおいしいと、自信に満ちた笑顔を見せてくれました。私も子を持つ親として、こうした一人一人の発達に応じた体験的な学習で発達と教育を保障する、特別支援学校の重要性を感じました。特別支援学校の重要な役割について認識を伺います。知事にまずお聞きをいたします。 ○副議長(細江正人) 11番黄野瀬明子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  特別支援学校の役割ということでございますが、ことし3月に策定いたしました教育大綱にも記しましたが、私は学校という場は、子供たちが、わかった、できたという実感を経験し、学ぶことの楽しさや人と共感したり議論を交わしたりする充実感を存分に味わうことのできる、そのような場であるべきと常々考えております。  もちろんそれは特別支援学校においても同様であり、どのような障害があっても、一人一人の学び方を大切にしながら、子供たちそれぞれの夢と生きる力を育んでいく、特別支援学校にはそのような役割があると考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)特別支援学校の重要な役割があると思います。特に滋賀県では、長い教育実践があったというふうに思います。それを踏まえて、以降の質問にもどうぞよろしくお願いします。  それでは、同じ質問を、今度は教育長によろしくお願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  先日、私、草津養護学校を訪問いたしました。そのときに、医療的ケアを必要とするお子さんのそばについておられた先生から、この子は学校が好きで、とてもいい笑顔を見せてくれるんですというお話をお伺いいたしました。  私がお邪魔いたしましたのは帰りの会の時間帯で、先生方がお子さんを囲んで、その日の振り返りの学習をされていましたが、そのお子さんたちが全身でうれしい気持ちを表現しようとしている姿が大変印象的でございました。  特別支援学校の役割は、どんなに重い障害があっても、子供たち一人一人に応じた教育を行い、子供たちがそれぞれの持てる力を十分発揮して、将来、本人なりの自立と社会参加ができるようにしていくことであると認識をいたしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)そうした認識で、ぜひとも現場に着目をして進めていっていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  その特別支援学校へ通う児童生徒数が急激にふえています。現場の先生からも保護者の方々からも、児童生徒たちの教育環境が足りない、使えないという深刻な声が上がっています。特別支援学校の設置義務を有する滋賀県が、重大事態の認識を持って対応すべきであります。  その対応について伺いますが、その前提として、設置者が教育環境整備を進めるための指針となる、指標となる特別支援学校施設整備指針の位置づけを教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  学校施設整備指針は、文部科学省が学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために、計画および設計において必要となる留意事項を学校種別ごとに示したものでございます。  地方公共団体等の学校設置者は、学校施設の計画および設計に当たり、安全上、保健衛生上、指導上その他の学校教育の場として適切な環境を確保するため、関係法令等の規定に基づくことはもとより、本指針の関係留意事項に十分配慮することとされているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)その指針には法的な拘束力がありますか。教育長。 ◎教育長(福永忠克) これはあくまでそれぞれの学校種別ごとの設置の基準なり施設整備の指針ということでございますので、その決められた指針に基づいて取り組みを進めていくというものでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)このほかに、施設水準を担保するという性格の法規命令の性格を持つ基準はありますか。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) 御質問は特別支援学校に限ってというふうに認識をさせていただいておりますと、私が今承知しておるその他の基準というのは存じ上げておりません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)指針が法的拘束力がないということと、ほかには、そういう施設水準を担保する指標としては、ほかにもないということでございます。ということで、この指針というのは重要ということだと思います。それに基づいて、以降の質問をさせていただきます。  それでは、特別支援学校施設整備指針と照らしまして、通学区域、通学方法に関してです。  草津養護学校では、登下校でスクールバスに片道1時間以上乗車する児童生徒が118人前後おられます。スクールバスで通学する子供たちの4割になっています。大変びっくりしましたが、最長で1時間45分もバスに乗っている子供さんがおられます。身体の負担、ストレスに耐えているという声がさまざま寄せられております。  このような状況が放置されていいのかということでありますが、指針には通学環境についてどのように書かれているか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  施設整備指針における通学環境につきましては、幼児、児童生徒の居住分布、心身の発達、障害の状態や特性等を考慮し、通学方法との関連に留意しつつ、幼児、児童生徒が疲労を感じない程度の通学距離または通学時間を設定できるように、校地、学校の場所でございますが、校地を選定することが望ましい、特に保護者やスクールバス等による送迎等を考慮し、交通の利便性も考慮することが望ましいとされておるところでございます。  また、他の学校等との交流や関連施設との連携を考慮し、適切な移動経路、方法等を設定できるように校地を選定することが望ましい、などが示されております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)幼児、児童生徒が疲労を感じない通学の距離または通学時間を設定できるような校地選択ということでありますけれども、実際に今紹介しましたようなことで、疲労を感じているということです。この事態を重大に捉えて、やっぱり改善するということが今求められているというふうに思いますが、いかがでしょうか、教育長。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  草津養護学校なりその他の養護学校も含めまして、今年度5月1日時点でございますが、登校時または下校時等に90分を超えてスクールバスに乗車している児童生徒は12人おられます。児童生徒の内訳は、草津養護学校が9人、八日市養護学校が3人でございます。  長時間乗車する児童生徒につきましては、疲労を感じるというのは当然でございますので、少しでも負担を減らせるように、登校時には長時間になる場合には下校時は短時間となるように工夫するなど、学校でコースを決定する際に配慮しているところでございます。  また、スクールバスの配車につきましても、各校の状況を見きわめ、長時間の乗車を減らすように、全県的なスクールバスの調整にも努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)片道90分以上ということでも大変疲れるということであります。今のこの草津養護学校のこの事態をどうするのかということで、再度お伺いします。教育長、お願いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  今、草津養護学校に通っておられる子供さんがどの区域から来ておられるかということで時間が長時間になる、あるいは多くの子供さんが来られているので、それをスクールバスに順次乗せて登下校をしていただくということで、長時間になるというふうに認識しております。  したがいまして、解決策と申しますと、今、草津養護学校が置かれている現状を十分検討いたしまして、どういう養護学校のあり方にすればいいのか、それをしっかりと考えていかなければならないと考えておるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)早急な手だてが必要な問題だと思います。  次の質問に移ります。  次に、屋内運動施設、体育館などですけれども、に関して伺います。  草津の養護学校では、1つの体育館を小学部から高等部までが共有しています。全クラスで55クラスが1つの体育館を使うには無理が出ています。  文化祭を行う場合、小学部、中学部、高等部に分けて、それぞれの学部が3週間ほど準備のために体育館を使うということです。その間はほかの学部は体育館を使うことはできません。およそ2カ月間、体育館が使えないことになっています。卒業式や入学式も同様で、その間1カ月以上、体育館が使えないと、通常体育の授業に支障が出ていると、これが現場の声であります。  屋内運動施設について、指針にはどう書いてありますか。教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) 屋内運動施設に係ります施設整備指針の共通事項におきましては、保健体育、健康安全、体育的行事、クラブ活動、そして部活動、学校開放等における各種の運動を支障なく行うことができるよう、必要な規模で計画することが重要である、また、避難所等としての利用に配慮した計画とすることが重要であると示されております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)通常体育の授業や年間行事、こういったことを行うということに支障が出ているというのが現場の実態ですので、これをどう改善していくのかということについて、再度、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  現在、学校では使用割り当てを決めて体育館を使用をしていただいております。また、児童生徒の障害の状況等も考慮しながら、体育館よりも小さ目のプレイルーム、また多目的室なども活用するなど、そういった活用を通じて体育的な課題に取り組んでいただいておるところでございます。  学校では、今ある環境の中でさまざまに工夫をいただいておりますが、現状が十分な状況にあるとは言えないところもあると私も認識をいたしております。  よりよい教育環境とするために、どのような対応をしていくのがよいのか。今後の児童生徒数も含めまして、さまざまな多様な観点から検討を重ねまして、今いる子供たちのことを大切に考えつつ、また中長期的な展望に立ちまして、しっかりと考えてまいりたいと思っております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)現状は十分ではないと、そういう認識を持って、児童生徒数のことも含めて検討するということでございますので、ぜひとも、草津養護学校に限って言いましても、本当に満杯だと、私は分離新設しかないんではないかというふうに思っておりますので、ぜひともつぶさに見ていただいて、改善をしていただきたいということで、次に移ります。  次に、特別教室に関してです。  この間、普通教室の不足の大半が特別教室の転用で補われてきました。そのため、特別教室、例えば音楽室、図工室、木工室、パソコン室は、草津の養護学校ではそれぞれが1室だけということで、全校55学級で共有することになっています。  現場の先生からは、特に課題となるのは子供の学習スペースの確保だと言われています。特に高等部の子供たちに、3年間で社会自立する力をつけていきたい、働くための力をつけよと言われるが、それを進めるハード面、つまり特別教室の確保ができないというのが現場の声です。  先生からは「子供たちには、就職をして仮にその職場で続けられなくても、やり直せる力を3年でつけてやりたい」と、こうお聞きいたしまして、私は切実なものを感じました。現場の先生方が特別教室が足りないとおっしゃっています。これが放置されていていいのかということですが、指針には特別教室についてどのようにすべきと書かれているか、お伺いします。 ○副議長(細江正人) 答弁者は。 ◆11番(黄野瀬明子議員) 教育長、お願いします。 ◎教育長(福永忠克) 指針につきましてお答えをいたします。  まず、平年計画におきましては、各部、各教科での利用、自立活動や日常生活学習での利用、または複数の部での共同利用等を考慮し、必要な種類、必要な規模等の空間を確保することが重要であるとされております。  また、複数の障害に対応した施設とする場合は、おのおのの障害の特性等を十分考慮し、必要な種類、規模等の空間を計画することが重要であることなどが示されておるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)必要な種類、必要な規模等の空間を計画することが重要ということなんですけれども、今申しましたように、普通教室を確保するために特別教室を転用、つまり潰して使っているということなんですけども、そもそも、そうしたことを進めていいのかということなんですが、この点について、教育長の認識を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  これまでから草津養護学校では、児童生徒の増加というこの現状に対応するために、まずは普通教室を確保するため校舎の増築を行ってまいりましたが、あわせまして、音楽室などの特別教室を転用するなどの対応をしてまいりました。  現状、草津養護学校には音楽室は1室整備されており、使用が重なるときは学習室など他の教室を活用しながら、音楽の授業に取り組んでいただいております。  このように現場の先生方が中心になって、子供たちにとってよりよい方法をさまざまに工夫しながら、非常に御苦労いただきながら授業をやっていただいておると認識をいたしておるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)音楽室がなかったらほかの部屋でするということが、これでいいのかという。それはよくないというふうに思うんですけれども、再度、教育長の認識を伺います。 ◎教育長(福永忠克) 学校では今ある環境の中でさまざまな工夫をいただいており、現状が十分な状態であるとは言えないということは私も認識をいたしております。  したがいまして、先ほども申し上げましたが、よりよい環境とするためにどのような対応がいいのか、今後の児童生徒の数の推移、予測も含めまして、中長期的な展望に立って、また、今いる子供たちにとってどういう対応ができるのか、しっかりと考えていきたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)伺ってきたように、公の他の地域の小学校や中学校や高校、こういったところでは、こういった事態というのは起こり得ません。あり得ない事態が特別支援学校で起こっているということだと思います。  次の質問に移ります。  このような特別支援学校の過密化の根本には、特別支援学校にだけ、施設整備の水準を担保する法規命令としての施設設置基準がないという問題があります。学校設置基準というのはどういうものなのか。これ文科省の説明でありますけれども、それは、学校として備えるべき人的組織や物的組織等について、一定の準拠すべき基準がなければ、設置者の財政事情や教育に対する情熱の相違などによって、学校教育が一定の水準を下回ることになる懸念がある。公の性質を持つ学校が、その学校の名に値しないような低劣な状況下で設置されたり運用されたりすることは、国法の期待するところではないから、学校教育法が学校の設置基準についても規定を設けているのであるということであります。  まさに、県内の特別支援学校では、この一定の準拠すべき基準がない。このために、他の公の小学校や中学校、高校ではあり得ない詰め込み、教室不足などが起こっています。だからこそ、法規命令としての性格を持つ施設設置基準がつくられるべきというふうに思います。  これまでも、そうしたことを求めた質問はありましたけれども、文科省の答弁を引用されてのことだと思うんですけども、それを設置すると柔軟な対応ができないということですけれども、どんな具体的な問題があるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、小学校や中学校、高等学校の設置基準については国において定められております。特別支援学校の設置基準につきましては、文部科学省では、特別支援学校では多様な障害種と障害の程度の児童生徒がおられ、一律的な基準は定めがたいとの見解を示しておられるところでございます。  実際に本県の特別支援学校の現状におきましても、子供たち一人一人の障害の状況や程度は多様でございまして、個々に応じて、また学習集団に応じて、柔軟に対応することが大切であると考えております。一律の設置基準が設けられることで、一人一人の子供たちへの柔軟な対応、これに支障を来すことも起こり得るのではないかと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)設置基準の性格というのは最低基準を決めているものであります。ほかの小学校や中学校や高校や、そういったものを見ていただければわかるんですけれども、例えば小学校の設置基準では、校舎、運動場の面積の最低の基準を決めています。それから、普通教室と特別教室、図書室、保健室、職員室を備えるということ、それから、体育館を備えるということが決められているだけです。  しかも、ただし書きがあって、校舎、運動場は特別な事情かつ教育上支障がない場合、その基準を下回ってもよいと、体育館は特別な事情かつ教育上支障がない場合、なくてもよいとまで書いてあって、非常に柔軟な中身となっています。  これを決めたからといって、さまざまな障害を持つ生徒さんに発達に応じた教育を行うことに支障があるとこれは言えないと。支障はないというふうに思いますが、この点について、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  柔軟に対応できる設置基準というのが、どの程度のレベルでつくるのかということがあろうと思います。  先ほども御答弁申し上げましたように、特別支援学校につきましては、子供たち一人一人の障害の状況、程度はまさに多様でございます。そういった多様な中で柔軟に対応できる設置基準というのが果たしてつくれるのだろうかというのは、私は今の段階では疑問に思っておるところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひとも現場を見ていただいて考えていただきたいと思います。  次の質問に移ります。
     このままでは在籍する子供たちの教育環境が保障されない、その認識は持っていただいているというふうに思います。どうにかしなければならないと。障害のある子供たちは合理的配慮が必要だという権利条約の精神からしても、この状況を放置することは子供たちに対する重大な権利侵害だと思います。子供の発達に応じた教育を行うことを担保するための県独自の施設基準を設けることを求めますが、見解を伺います。まずは教育長に伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  ただいま御質問にございました県独自の施設基準を設けることについてでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、国において一律に基準を設定することは難しいと言われている中で、県として独自に設置基準を策定すること、これは大変困難であると私は考えております。  また、学校のような公共施設を整備するためには、国からの補助も不可欠でございます。現状におきまして、国庫補助を受けながらさまざまな整備を進めておりますことから、この問題につきましては、やはり国とともに県も考えていく必要があるテーマだというふうに考えておるところでございます。  学校の環境を整えることにつきましては、私といたしましても、それぞれの学校の状況に応じて、具体的に何ができるのかしっかりと検討し、私自身、情熱を持って取り組んでまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひとも、さきの代表質問でも、現場を大事にするという御答弁がありました。大変そこに期待をするものであります。特別支援学校の現場をぜひ見ていただいて、教員の方、それから保護者の方、そして児童生徒の様子見ていただいて、どうあるべきかということをぜひとも考えていただきたいと思います。  同じ質問を知事にしてまいりたいと思います。  ここまで、通学区域や時間や体育館のあり方、そして特別教室のあり方を1つ、2つ、これでいいのかということを伺ってまいりました。私は今のままではこの状況を続けてはならないいうことだと思いますし、設置者である滋賀県としてどうあるべきかということをいま一度考えるときだと思います。そういう意味での県独自の設置基準ということで、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 教育長から答弁がありましたように、県独自で設置基準を設けるということは難しいと考えます。  しかし、議員御指摘のような学校のさまざまな状況につきましては、私も実際に学校現場を見させていただく中で、学校の先生方の創意工夫とともに、さまざまな御苦労があるということも感じているところでございます。  先ほど教育長がさまざま、例えば通学区域の問題、屋内の施設、また教室の問題、お取り上げいただく事項でそれぞれ答弁されておられましたけれども、今のことやこれからのことも考えながら、どのような環境整備をすればいいのかということについて、よく考えていきたいというようなことをおっしゃっておられました。そうした教育委員会とも連携して、できることを探りながら、子供たちにとってよりよい教育環境の整備が行えるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)喫緊の課題ということで、ぜひとも即行取り組んでいただきたいということです。  次の質問に移ります。  高等教育の無償化と給付制奨学金制度について、一問一答で、知事と総務部長に伺います。  私は、県内の学生などから学費の実態についてのアンケート調査を行ってきました。その中で寄せられた声は、学費が高い、奨学金の返済が不安いうものです。今や社会問題にもなっております。ぜひとも県として、高等教育の授業料引き下げや奨学金制度の改善のために手だてを求めます。  1つ目の質問です。  国公立、私立の大学の学費は年々高くなっています。例えば授業料でいいますと、今、60歳代の方が学生だったころと比べて、国立大学では3.7倍、53万5,800円、公立大学では4.9倍の53万8,633円、私立大学は3.1倍の90万93円まで上がりました。部長の皆さん方は50代の方が多いでしょうか。その年代の方からすれば、国公立、私立ともおよそ1.8倍ということになっています。  この高学費のもとで、教育費の負担が低所得世帯に限らず、中高所得世帯にも重くなっていることがさまざま明らかになっています。日本政策金融公庫などの調査では、国の教育ローンを利用したことのある世代の年収は、400万年未満の世帯が1割程度に対し、400万円以上のいわゆる中所得世帯が9割近くを占めています。  もう1つの指標は、東京地区私立大学教職員組合連合による家計調査があります。私立大学に入学した学生の仕送り額が過去最低となり、家賃が過去最高、差額が2万300円で、1日当たりの生活費は677円となります。注目すべきは、その世帯年収の平均が939万6,000円ということで、年収800万円以上は高所得者と定義されるわけですけれども、1日の生活が677円だというこの衝撃的な実態が、決して一部の低所得者層の学生をあらわすのではないということだと思います。  就学困難という状況が一部の低所得者世帯の学生だけの課題ではないということが認識が共有できるか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 共有できます。というのは、それだけでは何なので。  低所得世帯に限らず、今御紹介いただいたように、幅広い世帯においても大学等に進学するために奨学金等を借りておられる方がいると承知しています。また、このことから、大学進学に伴う支出が相当な経済的負担になっていると認識しています。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)その共通認識のもとに、次の質問に移ります。  こうした中、政府は来年4月から、大学等における修学支援に関する法律──以降は修学支援法と言います──を実施します。この制度の内容はどんなものですか。特に対象者がどうなるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  大学等における修学の支援に関する法律は、真に支援が必要な低所得者世帯の者を対象に、授業料および入学金の減免と給付型奨学金の支給を実施することによりまして、子供を安心して生み育てることができる環境の整備を図るものでございます。  この低所得者世帯の者とは、具体的には、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の者とされております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今の基準でいうと、それは具体的な年収でいうと幾らということになりますか。総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  基準を満たす世帯年収ですが、家族構成等によりまして一概には申し上げられませんが、国の資料では、両親、本人、中学生の家族4人世帯の場合は、年収約380万円を一つの目安としておられます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)380万円以下が対象ということで、それ以上の世帯、先ほど認識を問いましたけれども、中高所得世帯には使えない制度ということです。  次の質問に移ります。  低所得者層の負担軽減自体は重要なことであります。しかし、今起こっている高等教育の学費問題の中心点はここではないというふうに思います。  中間所得世帯で学費の負担に苦しんだ家庭の事例を1人紹介をいたします。  5人の子供さんのうち4人が大学や短大、専門学校に進学をし、それぞれが年額百二、三十万の学費が必要となりました。両親は教育ローンを借り、翌月から返済が始まりました。兄弟が進学するたびに教育ローンを借り、2人分、3人分と返済額が重なり、収入の半分ぐらいを返済に充てる生活になりました。  子供たちに仕送りはできず、学生本人も複数の奨学金を借りることになりました。返済の滞った兄弟にサラ金並みの取り立てもあり、延滞金が追い打ちをかけました。御両親は言います。「教育ローンを借りても足りない、奨学金を借りるか、進学断念を求めるか、どちらかしかない。」この言葉は人ごとではありません。学費が高過ぎることが問題です。そこに、教育ローンでも奨学金でも返さなければならないということが大きな負担になっています。  低所得者世帯を対象にした今度の制度は大事ですが、中高所得世帯にも活用できる県独自の給付制奨学金制度をつくるべきではないでしょうか。知事に見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  県では子育て世帯の経済負担の軽減に向けて、これまでから、全国知事会等を通じて、給付型奨学金や無利子奨学金の拡充などについて国に要望してきたところでございます。  こうした要望も受け、国においては平成29年度から給付型奨学金の制度を創設するとともに、無利子奨学金の拡充を進められてきたところでございます。  さらには、先ほど申し上げたとおり、来年4月から、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の子供たちが一定の要件を満たす大学などに進学や在学するに当たって、入学金および授業料の減免措置と給付型奨学金を拡充するとされたところでございます。  大学等に通う学生への支援につきましては、これまでから国の事業として実施されていると承知しており、県独自の上乗せ制度の創設につきましては、現在の厳しい財政状況等を勘案すると困難であると考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひ検討いただきたい。引き続き質問してまいります。  次の質問に移ります。  来年4月からの修学支援法が施行されることによって、今まで各大学が独自に実施してきた経済困窮者対象授業料減免事業等への補助の打ち切りの可能性があると言われています。  そこで、滋賀県立大学で独自に実施されている授業料減免事業について伺います。この事業の対象者の条件はどうなっていますか。総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  滋賀県立大学の授業料減免制度は、家計困窮度と学業成績の2つの基準をもとに決定されております。  まず、家計困窮度につきましては、世帯の総所得金額が生活保護認定における基準所得金額の1.8倍以内であれば、授業料減免の対象となっております。  また、学業成績につきましては、成績評価の学年、学科ごとの順位に応じて減免率が設定されております。  また、滋賀県立大学の独自の授業料減免制度の基準を満たす世帯年収についても、家族構成等により異なるために一概には申し上げられませんが、年収380万以上の世帯の学生でも、先ほどお答えしたとおり、世帯の総所得金額が生活保護認定における基準所得金額の1.8倍以内であれば、対象になり得ると思われます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ということは、今度の修学支援法が施行されて、もし大学独自の減免をなくすという判断をされた場合、減免を受けられなくなる学生が出てくるということになると思います。こういうことはあってはならないというふうに思います。  修学支援法のこの法の趣旨も、まさに就学支援、学生の支援を行うということでありますから、これが施行されたからといって、滋賀県の県立大学でこの事業を縮小するということがあってはならないというふうに思うわけでありますが、そうならないように対応を求めます。このことについて、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  新制度を踏まえまして、滋賀県立大学独自の授業料減免制度をどのようにされるかにつきましては、現在、滋賀県立大学において検討されているところであります。  そうした中で、例えば現に支援を受けている学生について、所得の状況や減免の事由などを踏まえ、何らかの配慮が必要かどうか、検討されるものと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)絶対に後退させてはならないと、そのことを求めていっていただきたいと思います。  さらに、この減免事業の予算、およそ2,000万円程度だと聞いております。修学支援法実施によって、この今の事業、そのうちの多くの予算を、対象者の拡充や支援額の拡充に充てることができるというふうに思うんです。このことも大学側に求めるべきだと思います。その点について、見解を総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  大学の予算の編成およびその執行につきましては、独立した法人として、大学が責任を持って対応いただいているところであります。県としては、大学の自主性を尊重しながら議論してまいりたいと思っております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次の質問でも同じようなことになりますけれども、次の質問に移ります。  一方で、国立大学の授業料の引き上げの動きが始まりました。去年9月、東京工業大学が値上げし、東京芸大も値上げ、千葉大学も値上げ決定とのことです。滋賀県立大学の授業料は国立大学の授業料を基準にすると聞いておりますけれども、国立大学の授業料引き上げの動きをどのように見、県立大学の授業料をどのようにしようとしているのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  国立大学の授業料につきましては、国が定める省令を標準に、その1.2倍の範囲内で各国立大学法人が定めることとなっております。そのことから、それぞれの国立大学法人におきまして、それぞれの教育研究環境を勘案しながら、適切に定めておられるものと認識しております。  県立大学の件でありますが、現在、滋賀県立大学の授業料は年間53万5,800円となっておりまして、国立大学について国が示す標準額と同額でございまして、現在、これを変更する予定があるとは承知しておりません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)今現在、変更する予定は聞いていないということでありますが、これは授業料を引き上げないかどうかだけでなくて、今後、高等教育の無償化に向かって、ぜひとも引き下げていっていただきたいということでもあります。  授業料の決定は、申されましたように各学校法人独自の裁量だということだと思いますけれども、この授業料決定は、県が大学に交付している運営交付金の額に関係性があります。  この点は、以前、杉本県会議員が詳しく議論されてきましたので、結論だけ言いますが、滋賀県は公立大学を持つ43の府県の中で大学運営交付金が貧しく、全国最低レベル、下から2番目ということです。国から県に大学運営費として普通交付税という形で交付されている財源が1だとすると、滋賀県が大学に交付している額は0.65。で、全国平均は1.19、多いところでは2.3ということで、国からもらう額よりも2倍以上の額を大学に出しているという県まである。  こういう中で、滋賀県は非常に貧しい運営交付金の額。これが、もし県立大学が授業料を引き上げるなどということになったら、大学設置者として余りにも貧しいこの運営交付金、この事態を重大に捉えて、授業料の値上げをさせないように、あるいは引き下げをさせるためにも、運営交付金の引き上げ、少なくとも全国平均並みの引き上げが必要だと思いますが、この点について見解を伺います。 ○副議長(細江正人) 答弁者は。 ◆11番(黄野瀬明子議員) 済みません。総務部長。 ◎総務部長(江島宏治) お答えいたします。  大学の授業料は、基本的に大学がそれぞれの教育研究環境を勘案しながら、適切に定めるべきものと認識しております。  授業料を変更する場合には、大学においてしっかり説明責任を果たしていくことが重要であると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)引き続き求めてまいりますが、次の質問に移ります。  奨学金返済に苦しむ1人の青年の事例を紹介いたします。  高島市に住む35歳男性、ひとり親家庭で、高校のときから、あしなが育英会、日本学生支援機構の奨学金をそれぞれ借り、4大私立大学に入学をし、年間100万円の学費を払うために、さらに借りている奨学金を増額し、加えて自治体の奨学金も借りました。  卒業後、830万ほどの奨学金の返済が始まり、十年か13年間で返し切らなければなりません。高齢者入所施設に就職が決まったものの、給与は手取り十二、三万円、毎月4万5,000円返済することにしましたが、給料日までにお金が足りず、その日の食料品を買うためにクレジット払いとすることもしばしば。クレジット払いなら、手持ちがなくても翌月の引き落としになるからです。  とうとう生活ができなくなり転職。就活で、奨学金の返済をするためには最低15万円必要だと、自分の履歴書に書きました。そうして彼は福祉職場で働き、手元に1万円残るか残らないかの生活を10年続けています。  彼の例は特別ではありません。2012年から16年の5年間に奨学金にかかわった自己破産人数は1万2,023人。もはや奨学金は、返済能力が保障されない学生にとって、本人がどんなに努力をしても返せないことは十分にあります。何らかの奨学金返済支援が必要だと思いますが、知事のお考えを聞きます。 ◎知事(三日月大造) 奨学金の返済に努力されている方、また、その負担に窮しておられる方がいらっしゃることは認識しております。  しかし、新たな制度の創設については、公平性の観点はもとより、財源も含め、慎重に議論する必要があると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)引き続き議論していきたいと思います。  次の質問に移ります。  加齢性難聴で補聴器をつけて日常生活を送っている方から、補聴器が余りに高額で負担が大きいことから、加齢性難聴者の方が補聴器を購入するときの公費補助をつくってほしいという声が寄せられました。  補聴器をつけて生活するAさん、71歳は、老人会で15人とかで会議すると、特に女性の声は全然聞こえない、自分は意見が言えなくなって、集団の中にいながらひとりぼっちになる、10のうち8聞こえても、2聞こえなかったら意味が理解できないと訴えました。難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立をしやすく、人との会話や会う機会が減って引きこもりがちです。  最近では、難聴を放置していると認知機能が低下することがわかってきました。2017年の国際アルツハイマー病会議で、認知症の約35%は予防可能な9つの原因によって起こると考えられ、その中でも難聴が最大の危険因子であると発表されました。  厚労省の新オレンジプラン──認知症施策推進総合戦略でも、難聴は危険因子の一つと挙げられています。早期発見、早期に補聴器をつけることが大事とされているわけです。しかし、日本の補聴器の保有率は欧米に比べても低く、その効能についても余り知られていません。高齢者の皆さんが生き生きと暮らすことができる必需品として、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公費補助について必要性を感じます。  まず初めに、補聴器購入に対する公的な補助制度は現在どのようなものがあるのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) すいません、若干制度的なこともございますので、お許しいただければ、答弁を川崎健康医療福祉部長に委任させていただきとう存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  障害者総合支援法に定めます補装具費支給制度におきましては、障害者等の身体機能も補完、代替する用具として、補聴器を初めとする補装具等の購入等に要する費用の一部を支給しております。  補聴器への助成制度の対象者は、聴覚障害6級以上として身体障害者手帳が交付されている方でありまして、両耳の聴力レベルが70デシベル以上の方、もしくは片側の耳の聴力レベルが90デシベル以上であって、もう一方の耳の聴力レベルが50デシベル以上の方となっております。  一方、介護保険や医療保険におきましては、補聴具を福祉用具などの支給対象とはいたしておりません。  なお、両耳の聴力レベルが70デシベル以上という基準は、40センチまでの距離で発声されました会話語しか理解し得ない、それぐらいの近さでの会話しか理解できないという程度の聴力レベルでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)(資料掲示) これは聞こえの程度と聴力レベルの資料です。つまり、重度、最重度の難聴、おっしゃったように、40センチの範囲でしか会話が理解できないという難聴レベルの方で、障害者手帳を保有されている方に限定された補助制度だということです。  次の質問に移ります。  一方で、WHO──世界保健機関は、何デシベルから補聴器をつけることを推奨されていますか。知事に答弁をお願いします。 ◎知事(三日月大造) 答弁を川崎健康医療福祉部長に委任させていただきます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。
     WHOでは、大人でよく聞こえるほうの耳での聴力レベルが40デシベルを超える中等度難聴の方は、日常生活に支障を来すと報告されていることは承知をいたしております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)41デシベル以上の聞こえにくさということですけれど、わかりやすく言えばどういう程度か伺います。知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 同じく、答弁を川崎健康医療福祉部長に委任いたします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) すいません、具体的な先ほどのような近さの数値については持ち合わせておりませんが、中等度のレベルであるということで理解しております。申しわけございません。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)中等度の難聴、私も調べましたが、ささやき声や小さな音を聞き取れないときがあると。生活への支障はそれほどないという中等度の難聴、先ほど紹介した方のような聴力レベルということです。  そういう基準から、世界保健機関は低い難聴度の段階からつけることを推奨しているわけです。音の認識を保てるようにするということで、とても意味のある基準となっています。この中等度、重度難聴の方、日本では600万人に上るというふうに見られています。  次の質問に移ります。  昨年、補聴器を買った方の言葉を御紹介します。  まともなものを買おうと思うと高い、こういう問題があります。Bさん76歳は、新聞広告で補聴器を3万円で購入したらサイズが合わんかったと。やっぱり耳鼻科で調整してもらうのが一番いい。人によって聞こえない音が違う。しかし、そこを調整すると補聴器は高くなる、一番安いので30万、ざわざわ雑談が入らない、健常者に近い聞こえになる補聴器がある、でもそれは50万、70万、こんなんは年金暮らしでは買えないということです。  補聴器の耐用年数は5年が目安とされています。低所得者の方々や生活保護の方はもう諦めてしまう、こういうものです。こうしたことから、東京都の8つの区では、補聴器購入に対する公費補助の制度を設けておられます。例えば千代田区では、聴覚障害による身体障害者手帳を所有していない方で、片耳の聴力レベルが40デシベル以上、つまりWHOの基準ということです。で、一定の所得基準も設けられています。  これに対して、東京都としても高齢社会対策区市町村包括補助事業として、市区町村が行う高齢者に対する福祉サービスの事業に一定の補助金を交付する制度があって、補聴器の購入費補助に対してもこれが活用できるということになっています。  こうした補聴器の購入に対する公的補助制度は、これからの高齢化、今まさに今ですけれども、高齢化社会の進行とともに、これからますます意義と必要性が増すのではないでしょうか。県としても、この制度の創設に向けて検討いただきたいと思いますが、どのようにお考えか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 人生100年時代です。生き生きと過ごしていくために、いただくために、高齢者の社会参加は重要な課題でございます。冒頭御紹介がありましたように、補聴器を使いながら老人会などで話の輪に入りたいという高齢者の願いは、担当課においてもお伺いしているところでございます。  他方、障害福祉制度で補聴器の支給対象とならない中等度の難聴の高齢者が県内にどの程度おられるのか、具体的には把握しておりませんが、世界保健機関──WHOにおいては、65歳以上の3分の1程度が中等度以上の難聴であるとしているので、滋賀県の65歳以上人口に鑑みますれば、相当の人数がおられると思います。  この問題につきましては国会においても議論が行われ、加齢による難聴者については、国において平成30年度から、補聴器を用いた聴覚障害の補正による認知機能の低下予防の効果を検証するための研究を開始したところと承知しております。まずは国の動向を注視してまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)県としてもぜひ検討していただきたいなと思うわけですが、次の質問に移ります。  磁気ループというシステムについてです。  難聴者の方から、磁気ループが設置された公共施設では聞こえがよいということをお聞きいたします。磁気ループとはどういうものか、説明をいただき、県が管理する施設の磁気ループ設置状況はどうなっているのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 答弁を川崎健康医療福祉部長に委任させていただきます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  磁気誘導ループとは、磁気コイルつきの補聴器を使用する難聴の方の聞こえぐあいをよくする設備でございまして、床などに設置したループアンテナで磁界を発生させることで、専用マイクの音声のみを補聴器が感知し、イヤホンのように直接聞くことができる仕組みでございます。  県立施設では、障害者福祉センターの会議室、琵琶湖博物館のホール、びわ湖ホールの各ホール、ピアザ淡海内の県民交流センター大会議室、ピアザホール、政策研修センターに設置をいたしておりますほか、県立聴覚障害者センターおよび県庁障害福祉課で携帯型を保有しているところです。 ◆11番(黄野瀬明子議員) 終わります。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、11番黄野瀬明子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時22分 休憩    ────────────────   午後3時44分 開議 ○副議長(細江正人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  最後に、12番松本利寛議員の発言を許します。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇、拍手)日本共産党議員団、松本でございます。きょう最後の質問ということで、よろしくお願いをしたいと思います。  大きく分けて、3つのテーマで、一問一答で質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、2024年に滋賀県で開催される国民スポーツ大会と全国障害者スポーツ大会、以後、国スポと省略させていただきますが、これにかかわる関連経費の支出見直しについて、財政規律を保つという立場から、知事と総務部長にお尋ねをしたいというふうに思います。  昨年6月に京都新聞が、滋賀の国体予算に対する県民の皆さんへのアンケート結果を報道いたしました。この記事は、45億円を超える国スポ関連経費について、「巨額過ぎる」とする回答をした人が33.5%、3人に1人の割合であった。逆に、「妥当だ」と回答した人はわずか5.8%、また、「肯定はするけれども条件がある」「必要なら仕方がない」という条件つきの人が54.5%という結果であるという報道を行いました。しかし、その必要性について、多くの人が認識したという状況にいまだ至っていないんではないかというふうに思います。  既に関連経費が昨年2月議会の知事答弁で450億円から511億円に膨れ上がっているわけですから、巨額過ぎるとする回答がさらに多くなっているんではないかというふうに思います。県の財政状況が一層厳しくなっている中で、多額の累積財源不足を生じる、いわゆる赤字が959億円も生じることを県が既に明らかにしているわけですから、なおさらのことであります。  そこで、総務部長にお尋ねをします。  国スポの関連施設整備など巨額の財政負担を想定して、平成29年から策定しておられた財政の収支見通しについて、この3月に再計算をされましたが、その内容を、収支不足を中心にして説明をお願いをしたいというふうに思います。 ○副議長(細江正人) 12番松本利寛議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  ことし3月に公表いたしました財政収支見通しにおきましては、令和4年度の財源不足152億円をピークに、令和8年度までの累計で959億円の財源不足が生じるものと見込んでおります。  県では、これまでから恒常的に財源不足が生じておりまして、種々の収支改善の取り組みを重ねてきたところでありますが、その財源不足が解消に至っていない中で、県税や地方交付税等のいわゆる一般財源総額の伸びを上回るペースで社会保障関係経費の増加が見込まれますことから、今後、財源不足は一層拡大するものと試算いたしております。  特に、大規模事業の経費が増加する令和3年度から令和6年度にかけましては、単年度で120億円から150億円程度の財源不足が見込まれるところでありまして、収支改善に向けた不断の取り組みが必要と認識いたしております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)交付税の減少やら累積財源不足額が前回の試算839億円から959億円に膨れ上がったという結果、120億ほど膨れ上がったという結果になっています。  しかも、この財政収支見通し、内閣府の発表する名目GDPの成長率をもとにして試算をしておられるんですが、名目GDPの成長率が前回試算の1.7%から、今回0.9%に下方修正されています。  さらに、今後、米中の貿易摩擦の激化や、この10月に予定をされている消費税の増税を初めとした中で、景気の悪化が相当心配をされています。  そういう中で、既に政府が景気の後退局面に入ったというふうに認めているわけですから、今後の名目成長率を2%から3%見込んだこの財政見通し、本当に甘い経済見通しの上に試算されているんじゃないかというふうに思います。そういう景気悪化が進めば、財政不足額が1,000億円を大きく超える可能性があります。  そこで、知事に伺います。  こうした財源不足が想定されるもとでの国スポ開催ですから、この間、国体を開催をしてきた先催県などがどの程度の費用で国体を開催をしてきたのか、お示しをしていただきたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  平成18年から平成27年までに国体を開催された県のうち、開催経費を公表されている県の状況は、大会運営費、競技力向上対策費および施設整備費を合わせて、およそ104億円から303億円と把握しているところでございます。  それぞれの県で開催経費の対象の捉え方に差があり、また、特に施設整備費については、それぞれの県における施設の充足度や老朽化の状況等によって大きく異なることから、各県の総額に差が生じているものと認識しています。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)この間、調査をいたしましたが、多くの県が100億、あるいは多くても300億程度で抑えておられます。全国知事会の決議に基づいて抑制をしてこられています。  そこで、滋賀の彦根の主会場を初めとした施設整備に係る経費は、既存施設の撤去や用地買収費、用地造成、今後の基盤改良、本体の設計施工など関連経費も含めた現在までの執行状況と、今後予想される総額を明らかにしていただきたいと思います。知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 本県での国スポ・全スポ大会の開催経費の執行状況につきましては、平成30年度末時点で、大会運営費等が約7,000万円、競技力向上対策費が約6億円および施設整備費が約39億円となっているところでございます。  両大会関係の経費の総額につきましては、ことし3月に公表いたしました今後の財政収支見通しでお示ししたとおり、大会運営費等で約81億円、競技力向上対策費で約32億円、施設整備費で約398億円であり、合わせて約511億円と見込んでいるところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)もう少し各施設や個別具体にその数値を示していただきたいというふうに思います。知事にお願いします。 ◎知事(三日月大造) 答弁を文化スポーツ部長に委任させていただきます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) まず、主会場に係るものとしましては総額200億円を見込んでおりまして、このうち平成30年度末までには、第一種陸上競技場の実施設計やその他必要な測量調査などに約5億2,000万円、既存施設等の解体工事費に約6億8,000万円、用地補償関係費に約20億2,000万円、合わせて32億4,000万円を執行したところでございます。  もう1つ、新県立体育館整備に関しましては、県において建設予定地の造成を行った後、施設の建設およびその後の維持管理、運営をPFI方式により実施することにしておりまして、事業費としましては約90億円を見込んでおります。  現在までに、造成関連費、それから基本計画の策定やPFIアドバイザリー業務に要した経費等で、合わせて1億5,000万円を執行したところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)先催県が知事会の決議を受けてできるだけ巨額の経費を抑えるという努力をしてこられた中で、滋賀県が511億円もの巨額を想定しておられる。さきの近代美術館の入札不調の例のように、今後、大阪万博の開催や、さらにそのもとでの建設労働者の不足、建設資材の高騰など、さらなるコストの膨張が予想されます。  特に彦根の会場は、地盤改良や県立の体育館の敷地造成、周辺整備など、経費の膨張の要素を大きく含んでいます。また、PFIによる県立体育館の管理コストも、県が費用負担を行う草津の室内プールの運営コストの膨張も想定されます。  そこで、知事に伺います。  全国知事会が決議をされ、これを生かして国スポの開催基本構想に基づく大会にする必要があると思うんですが、その基本構想の実施目標6で、滋賀の未来に負担を残さないために、既存施設の活用を基本とした上で、移転、改築が必要な施設にあっては事業費を抑制しながら整備する、施設がない場合は仮設や県外施設の利用を検討するなどとしていますが、これをどのように今日まで具体化をされたのか、示していただきたいと思います。知事にお願いをします。 ◎知事(三日月大造) 滋賀の未来に負担を残さない大会に向けて、両大会の開催に必要な施設につきましては、既存施設の活用を基本とする中で、財政負担の観点はもとより、平成26年度に実施いたしました県立社会体育施設に係る調査結果を踏まえるとともに、スポーツ振興やスポーツを通じた県民の健康づくりなどを見据えながら、その必要性を慎重に判断してきたところでございます。  また、施設整備の事業費抑制を図るべく、施設内容や整備手法の検討をしてきたところであり、例えば、新県立体育館整備事業におけるPFI方式の採用やプール整備事業における草津市との共同実施により、財政負担の軽減を図ってきたところでございます。  さらに、一部競技の県外開催や競技用具の他県との共同利用の検討、先催県のノウハウを活用した事務効率化など、開催準備の簡素効率化にも努めているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)今の県の財政状況を考えると、余りにも基本構想の未来に負担を残さないという大きな方針がつけ足しでしかないという感を否めません。  一方で、財政状況を改善するとして、福祉、医療、中小企業、農業支援など、県民の暮らし、福祉の増進に直接かかわる淡海子ども食堂普及推進事業補助金や自治振興交付金、環境保全型農業直接支払交付金などの事業を廃止や予算の大幅削減を進めてこられている。これでは余りにも逆立ちをしているんじゃないかというふうに思います。  滋賀の国スポへの財政支出が他の先催県の事例から見ても巨額であると同時に、総額経費が膨張する可能性があります。その一方で、財政の収支見通しは、景気の悪化で一層財源不足額を膨張させかねないというふうに思います。  この夏には、彦根の主会場、県立体育館の建設が着手されます。そういう時期だからこそ、国スポ大会の開催基本方針や、全国知事会の決議以来、経費膨張の抑制に努めてきた先催県の努力を見習って、巨額の国体関連施設の整備について見直しをされるよう強く求めるものですが、改めて知事の所見を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたとおり、両大会に向けた施設の整備につきましては、既存施設の活用を基本とする中で、スポーツ振興やスポーツを通じた県民の健康づくりなどを見据えながら、その必要性を慎重に判断してまいりました。  また、事業を進めるに当たりましては、計画策定や設計などの各段階において、さまざまな視点から検討、精査を行い、事業費の抑制に努めてきたところです。  (仮称)彦根総合運動公園や新県立体育館を初めとする各施設の整備につきましては、両大会の開催はもとより、健康しがの実現に向けた必要不可欠な投資であると認識しており、引き続き創意工夫を行いながら、最少の経費で最大の効果が得られるよう、着実に取り組みを進めてまいる所存でございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)最少の経費になっているというふうには思えません。  そこで、改めて、財政規律の悪化はこれ以上許されないというふうに思います。同時に、この間、一般質問でも多くの議員の皆さんから、今、多くの県政上の課題を抱えているということが明らかになっています。こうした声を生かそうと思えば、やっぱりもっと今の巨額の国体経費を見直して、例えば、我が党の議員が指摘をしたように、障害者の居場所づくりや特別支援学校の分離独立など、今、県民が求めている緊急の課題にもっとやっぱり力を注ぐべきだということを申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。  第2のテーマは、基幹産業としての農業の振興策について伺いたいと思います。  今、日本の農業は基幹的農業従事者の42%が70歳以上と極端な高齢化が進み、農林漁業従事者の減少に拍車がかかっています。若い世代が少なくなり、中山間地域を中心に、地域がなくなるという不安も広がっています。農地の減少や耕作放棄の拡大がとまらず、先進諸国の中で最低の食料自給率は38%へと低下をしてしまいました。しかも、自給率が落ち込む中で、昨年12月には環太平洋連携協定が発効し、重要品目の多くで関税の削減、撤廃が進められています。さらに、ことし2月には日欧EPAが発効して、TPPで除外をされていたチーズやワインの関税撤廃に応じてしまいました。  国内の農業政策でも、国際競争力の強化を必要と画一的な大規模化を進める中で、中小の家族経営は非効率と、農政の対象から切り捨てる農業政策になっています。農業委員会や農業協同組合など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々に解体して、農業競争力強化支援法などの関連法を成立させて、種子法の廃止など、規制改革、規制緩和一辺倒の農政になっているというふうに思います。まさに、国民の食料を誰が生産し、国土の環境は誰のものなのかが真っ正面から問われる事態です。日本の農業の再生は、日本社会が進展に向かうべき待ったなしの課題であります。  そこで、知事に伺いますが、こうした日本農業、農村の現状と国の農業政策の方向性について、知事に所感を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 我が国の農業、農村の現状は、米の消費量の減少、農産物価格の低迷、産地間競争の激化、農業従事者の減少や高齢化、農村における集落機能の低下、耕作放棄地の増加など、依然として厳しい状況にございます。加えて、夏の高温や大雨、台風など気候変動への対応も必要となっております。  このような課題の解決に向け、国では食料・農業・農村基本計画や農林水産業・地域の活力創造プランなどに基づき、農業を産業として強くしていく産業政策と活力ある農村を目指す地域政策を車の両輪として、幅広く施策を進めているものと認識しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)大事な問題意識でありますけれども、そこで、日本の農業のある意味では存亡がかかるという、今協議が進められている日米貿易協定の問題について、知事の所見を伺いたいと思います。  5月に行われました日米首脳会談の後、トランプ大統領は「TPPには縛られない。全ての障壁の撤廃が目標だ。8月によい発表ができるだろう」と述べたことを受けて、参議院選挙が終わるまでこの交渉内容を公表しないことを条件に、農産物貿易で日本政府が大幅譲歩したのではないかという報道までなされています。一方、日本政府はTPP水準を上限とするなどとしていますが、TPP水準でも事は深刻です。  もともと、WTOのもとでミニマムアクセス米を年間77万トンも輸入し、このうち10万トンを主食にしています。さらにTPP交渉の際に、ミニマムアクセス米に加えて、アメリカとオーストラリアから5万6,000トンの米を別枠輸入すること、これを将来7万8,400トンに拡大する中身で合意をしています。  もしこれが実行されれば年間85万トンもの輸入米が入り、北海道や新潟産米をはるかに超える米が日本に流れ込み、わずかな需給の緩みで米価の大下落のおそれがあるという状況の中で、米生産が主力の県農業への打撃は深刻な事態になりかねません。  今進められている新たな日米貿易協定について、県内農業に大打撃を与える農産物の関税撤廃や引き下げを認めずに交渉を行うべきと考えますが、改めて、この間発効をした日欧EPAやTPP11による本県農業への影響の度合いとあわせて、新たな日米貿易協定のあり方に対する知事の所見を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 今お述べになったそれぞれの交渉等、県内の農林水産物への影響額は、TPP11では1億9,000万円から3億8,000万円、日欧EPAでは3,000万円から6,000万円と試算しているところでございます。  TPP11や日欧EPAの発効が農産物輸入に及ぼす影響等については、今後の推移を見て判断していく必要があるため、しっかりと情報収集し、状況の把握に努めたいと存じます。  日米貿易協定につきましては、交渉中であり、どのような内容で協定が締結されるのかは不明なため、現時点において本県への影響を予測することは難しいと考えており、引き続き、今後明らかにされるであろう交渉の経過を注視してまいりたいと存じます。  いずれにいたしましても、農業、水産業を取り巻く環境が大変厳しい中にありましては、これら諸外国との経済連携協定への対応だけでなく、農業、水産業の体質強化のための攻めの対策と、生産者が将来にわたって経営に取り組むための守りの対策をより強力に、スピード感を持って進めていく必要があると認識しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私、グローバル化が進む中で、農業という分野は、その国の地形や気候風土、こういうものを大事にして産業を育てていくということが本当に大事だというふうに思います。そういう中で、我が国は中山間地が国土の多くを占める中で、国の気候風土に合致した営農形態を生かした持続可能な農業を進める必要があるというふうに思います。  集落営農や認定農業者は重要な地域農業の担い手ですが、同時に、小規模農家や兼業農家、高齢者や女性など、多様な農業の担い手による地域農業を支えるべきです。その多様な農業の担い手によって支えられる農業こそ、知事が推し進められるSDGsの目標に合致するものだというふうに思います。  そういう中で、国連が提起する家族農業がそういう方向性と合致をしています。家族農業は、2014年に国連が設定をして、地球規模で取り組みが広がってきました。そして、ことしから新たに、家族農業の10年を国連が設定をいたしました。  この家族農業の概念は、労働力の過半を家族労働力が占め、相互扶助、共同投資、連帯意識を持つ社会集団による農業というふうに規定をされています。言わば、認定農業者や集落営農を含めた集落全体の多様な担い手で農業を支えようとするものです。規模の拡大一辺倒の農業政策ではなく、地域の多様性を生かした持続可能な農業を実現しようとするものです。  家族農業には、地産地消の食料供給、高齢者、女性の雇用の場の確保、地縁血縁の相互扶助、兼業で安定した農業の経営、大規模農業より環境負荷が少ない優しい農業、社会的、文化的価値を保存する持続可能な地域社会をつくるというすぐれた機能を持っています。  こうした視点から、家族農業を本県の農業の政策の柱に位置づけ、滋賀の農業を考える必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 本県の認定農業者や集落営農組織などの担い手については家族農業が大半を占めておりますことから、家族農業は本県の農業が持続していくためには重要な存在になっていると認識しております。  御提起以来、家族農業の10年のための世界行動計画等についても、私自身も現在、情報を集めているところでございます。
     置かれている状況といたしましては、土地利用型経営の小規模家族農業では収益が上がらず、今後、経営の継続が困難となることが危惧されております。このため、大規模経営に農地を集積する、あるいは集落営農組織化を図るほか、施設園芸など経営規模が小さくても収益性の高い経営への転換を引き続き支援してまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ国連の提唱する家族農業10年を滋賀の農業政策にしっかり位置づけて、政策の具体化を図っていただきたいというふうに思います。  次に、この家族農業とのかかわりで質問をしたいと思うんですが、JA滋賀がみずからの組織の改革を進めるために、「創造的自己改革の実践」と題したレポートをもとに、役職員集会を開催をいたしました。このJA滋賀が直面する3つの危機を打開する行動を提起をしています。  その第1に、農業、農村の危機を挙げて、高齢化や深刻な担い手不足等による農業生産基盤は縮小傾向にあり、農村は深刻な過疎化に直面しているとしています。  現に、滋賀の農業生産を担う農家の数はこの10年間で39%減少し、基幹的農業従事者は1万人余りとなりました。その水準は全国45位の位置にあります。2015年の農林センサスでも、滋賀の40歳未満の農業就業人口は1,595人、60歳以上の人口が2万637人と全体の83%を占めています。近い将来、農業と農村の担い手が急速に減少することが予想されます。  こうしたもとで、次代を担う農業後継者の育成と確保、本県農業の焦眉の課題として、県としての農業後継者の確保、育成の方策について、知事の所見をお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 農業後継者の確保、育成の方策につきましては、滋賀県農業・水産業基本計画におきまして、令和2年度までの5年間で新規就農者500人を確保することを目指して施策を展開しているところです。そのため、就農準備段階や就農時、就農後の経営安定と定着に至るステージごとに、切れ目のない支援を実施しております。  具体的な支援策といたしましては、就農準備段階の就農相談や就農に向けた基礎知識講座や研修の実施、また2つ目として、就農時の無利子融資制度、3つ目として、普及指導員による技術経営指導、4つ目、就農準備段階から就農後の経営安定に至るまでの資金の交付などがございます。  近年、ほぼ計画どおり毎年100人程度就農しており、そのうち、女性が20人程度、非農家出身者は40人程度など、さまざまな人が就農されているところでございます。  引き続き、就労支援策をきめ細かく体系的に実施することにより、農業後継者の確保、育成を図ってまいります。  一方、集落営農の後継者には、リーダーや役員等を対象に組織運営や人材の育成等をテーマにして研修会を行うとともに、若手オペレーター等には栽培技術や農機具整備の研修会を開催し、昨年度は県全体で約200の営農組織が参加されていらっしゃいます。  こうした新規就農者や集落営農の後継者の確保、育成対策の取り組みを継続的に進めることにより、本県農業農村の持続的発展につなげてまいりたいと考えております。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)ぜひ家族農業という概念を滋賀県の後継者育成、後継者づくりに十分に生かして、具体的な対策を立てていただきたいと思うんですが、ところが、家業として親から農業を引き継ぐ新規就農者に、新規就農者確保事業という事業の利用の道が開かれていないという現実があります。何でこうした事例が起きるのか。せっかく意欲を持って家業を引き継ごうとする人に、この事業の利用を国に迫るとともに、県独自の就農支援、激励の制度を設けるべきではないかというふうに思います。  他府県でもこうした対応が広がりつつあるというふうに思うんですが、農政水産部長に、ぜひこの中身について解説と私の申し上げた方向について、御回答をお願いをしたいというふうに思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)お答えをいたします。  新規就農者確保事業は、国の農業次世代人材投資事業を活用いたしまして、就農前の研修や就農後の経営安定のための支援を実施するものでございます。  人材投資資金の場合、親元に就農する場合でありましても、親の経営に従事してから5年以内に継承し、かつ、親の経営から独立した新たな部門の経営を行う場合など、新規参入者と同等の経営リスクを負う場合には支援の対象となるものでございます。  家の農業をそのまま引き継ぎます場合には、親から栽培のノウハウ等を直接受けることができ、また、機械や農舎など施設もそのまま利用できることなどから、同じ親元就農でも新たな部門経営を開始する者と支援の差がありますことは、一定やむを得ないものと考えております。  ただ、この場合も、後継者自身が引き継いだ資産を活用していち早く認定農業者になりますれば、関連支援施策の対象となってまいります。これにつきまして、普及指導員等による技術、経営指導を行ってまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)せっかく農業をやりたい、家業の農業を継いでいきたい、この滋賀の地で農業の生産に励もうというふうに思っておられる若い人たちが、家業を継ぐというだけでこういう制度からはじかれるというのは、やっぱり私はもったいないというふうに思います。ぜひ県独自ででも、こうした国の制度にはじかれる部分については、その後継者に激励をするという意味でも、何らかの形で対応していただきたいというふうに思います。  さて、もう1つ大きな問題が、後継者の育成の問題が滋賀ではあるというふうに思います。  それは集落営農の高齢化が各地で進むもとで、集落営農自身の後継者の問題が生じています。集落一体で持続可能な農業を実現する集落営農を安定的に継続させる第1の課題が、担い手の確保の問題じゃないかというふうに思います。  今、800集落まで広がりました集落営農、法人化された集落営農も300を超えています。しかし、法人化をしたからといって、自動的に担い手が生まれるものではありません。改めて、営農組織の経営状況や担い手の実態を把握をし、集落営農組織を立ち上げたときに匹敵するような援助を強め、担い手を育てるために、集落ぐるみで、年代を超えて農業を介したつながりができるような、そういう援助から集落営農の後継者を育てていく必要があるんじゃないかというふうに思うんです。この点で農政水産部長の見解をお伺いしたいというふうに思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答え申し上げます。  集落営農の担い手確保につきましては、先ほど知事がお答えをいたしましたとおり、リーダーや役員、若手オペレーターの研修会を実施しているところでございます。  さらに、昨年度、滋賀県農業再生協議会に開設をされましたしがの農業経営相談所の専門家を活用し、地元の普及指導員やJAの営農指導員等が連携をしながら、集落営農組織の新たな担い手が確保できるよう、営農組織内の継続した話し合いを支援しているところでございます。  また、集落ぐるみの年代を超えたつながりをつくることにつきまして、まずは若手の方に集落の祭りなど集落の行事に参画をいただくことから始めるなど、集落に関心を持っていただくような取り組みを通じて、集落営農の担い手を確保、育成につなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)東近江の農業管理センターが、管内の集落営農の状況について調査をした冊子にまとめられておられます。全県問い合わせたところ、これが全県でそろっているかというと、そういう状況にないように伺いました。  改めて、今現在、集落営農が置かれている経営の状況あるいは後継者の存在の問題などを含めて、改めて実態の把握をした上で、必要な手だてを講じて集落営農の後継者をつくるとともに、滋賀県が集落営農を育ててきたときに匹敵するような大きな役割を引き続いて果たしていただきたいというふうに思います。  さらに、そういう点で、次に、この集落営農を次代に引き継ぐために、営農組織の経営基盤を強化をする必要があると思うんですが、米価の低迷や戸別所得補償の廃止など、経営基盤も弱まっています。  こうしたことから、営農組合の経営基盤を強化するために、少なくとも営農組合が農業機械を更新する際の補助制度をもっと充実する必要があると考えるんですが、農政水産部長の見解を伺いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  御指摘をいただきました農業機械の維持や更新につきましては、集落営農の継続性や経営基盤の強化にかかわります大きな課題と認識をしております。  しかしながら、既存の機械の代替として同規模の機械を再整備する、いわゆる単純更新だけでは集落営農の経営改善が図れませず、組織の維持や発展にはつながらないと考えております。  組織の経営改善に向けましては、例えば経営規模の拡大や野菜等の高収益作物を組み入れた経営の複合化、農産物の加工、販売を行う6次産業化など、集落にとって魅力ある経営を目指していただくことが必要だと考えております。  こうしたことから、農業機械の導入のための補助制度は、機械の更新のタイミングで、経営改善に向けた取り組みを積極的に進めていただくための手段として活用していただきたいと考えており、国の強い農業・担い手づくり総合支援交付金等を活用いたしながら、組織の発展段階に応じて、必要となる機械や施設等の導入を支援してまいりたいと存じます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)そこが問題だというふうに思うんです。規模拡大を大前提にするとか新たな分野への進出を大前提にするとか、そういう条件をつければ、そのことが実行できないような集落営農については、これは全部、集落営農そのものを衰退をさせていくような道になってしまうと。だから、やっぱりもっと多様性のあるような集落営農への対応を通じて、集落営農が継続的に発展できるような県の施策を最後に求めておきたいというふうに思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  さて、3つ目のテーマに移らせていただきます。  最近、県庁の業務処理で大きなミスを犯す事案が連続して発生をして、県民や議会から県の行政に対する信頼が揺らぐ事態が生じています。県の使用料および手数料条例の金額設定の誤りや私立学校学び直し支援補助金の支給誤りなどについては、あってはならないミスではないかというふうに思います。  さらに、債権者への支払い遅延や法令違反の放置など、不適切な業務処理が後を絶たない事態になっています。なぜこのような業務ミスや不適切な業務処理が連続して起きるのか。その原因と共通する背景について、知事の所感を伺いたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) こういったミスが連続、頻発していることを大変遺憾に思っております。  今般発生した事案を分析いたしますと、業務の習熟度や経験値など職員個人の要素と、職場におけるコミュニケーションや引き継ぎのあり方など組織運営上の要素の双方が複合的に絡んだもの、絡んでいるものと認識しているところでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)私は、個々の業務のミスの原因については、さまざまな要素が複合しているんではないかというふうに思います。  しかし、全庁的に長期にわたって連続してミスが起きるのには、それなりの背景があるというふうに思うんです。それは、全国トップレベルの少ない職員数、職員一人一人が膨大な業務をこなし、みずからの職務の習熟度を上げたり、自分の仕事をしっかりチェックをする時間的余裕がないといった状況に、ミスが頻発する大きな背景があるんじゃないかというふうに思います。  県の職場がたびたび労働基準監督署や人事委員会から長時間労働で労基法違反の指摘を受け、係員全員がメンタル不調を来す職場が後を絶たないという事態になっています。こうした背景にしっかりメスを入れることがまず必要だと考えますし、同時に、もう1つ大きな問題があります。  人間、誰でもミスを犯します。しかし、大事なのは、そのミスを防ぐ仕組みを組織の中にしっかり仕組むことが重要です。組織やシステムの中にフェールセーフを構築することが重要なんです。ミスを組織の力でカバーする仕組みが県庁の中で弱っているというふうに思うんですが、知事にそこで伺いたいんですが、かつて県庁の職場組織が係長制からグループ制に移行し、今また係長制に戻されました。この理由は何だったのか、お伺いしたいというふうに思います。 ◎知事(三日月大造) 小さな単位を大切にしたいということです。本県では平成26年度まで、意思決定の迅速化や業務の繁閑調整を図るためグループ制による組織運営を行ってきましたが、1つは、職員を若い時期から係長に登用し、早期にマネジメントの経験を積めるようにすること、もう1つは、係員の人数を少なくすることで、係長による係員の人材育成と業務のチェック機能を一層強化することの2点を大きな狙いとして、本庁においては平成27年度から、地方機関においては平成28年度から係制へ移行させてきたものでございます。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)グループ制は、グループ長と担当が1対1の関係で仕事をこなして、グループ員同士の連携がとりづらい、人材育成機能が低下し、かつ、グループ長が多くの業務をこなしつつ全体を統括する仕組みだからチェック機能も低下したというふうに、県の人材育成基本方針に書かれています。  こうした反省から係長制に戻したんだというふうに思うんですが、その係長制がグループ制を引きずったままの係長制になっているんじゃないか。係長が膨大な仕事をこなしながら、みずからの仕事をこなしながら、係員の健康管理や業務管理あるいは仕事のチェックをこなさなければならないような状況になっている。だからこそ、県の組織全体がチェック機能が低下をしている。また、職員相互の連携が弱くなっているという状況がここにあるんじゃないかというふうに思います。  県民の信頼を取り戻すためにも、係長制が本来あるべき姿で機能するように職員定数を見直し、係長が係全体の業務を総括し、業務チェックや健康管理等々に専念できるように、フェールセーフの仕組みを県庁の組織の中にしっかり構築をして、職員が誇りと使命を持って働ける県庁をつくっていただきたいと思います。  最後に、適切な人員の配置や組織運営の見直しを通じて、業務ミスを一掃する県庁をつくるという知事の決意をお伺いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) 今の御質問の中にありました、係長制に移行しているけれどもグループ制を引きずっているんじゃないかとか、本来の役割をきちんと果たし得る組織体制にすべきでないか、そういった御指摘はしっかりと受けとめて、今後の組織検討に生かしていきたいと思います。  人員配置につきましては、不断の取り組みとして、事務事業の見直しや業務の効率化等の徹底を図りつつ、増加する行政需要に的確に対応できるよう、今後とも、業務の量と質の両面を十分考慮した定員管理と配置に意を尽くすとともに、年度途中においても、行政需要の変化等に応じて、係や課の垣根を越えた応援体制の構築を図ってまいります。  組織運営につきましては、私ども幹部を初め職員一人一人が緊張感を持って基本動作を徹底するとともに、業務の改善や職員の育成、風通しのよい職場づくりに一層努めてまいります。  業務ミスの一掃というお話がございました。とはいえ、人間、ミスを犯してしまうもの、それらをどう早く見つけて、大事に至らないようにしていくのかといったようなことも同時に考え合わせながら、とはいえ、県民の皆様方に御迷惑をかける不適切な事務処理の再発防止に向け、いま一度、県民の負託に応え、適切に公務を遂行するという原点に立ち返り、県民から信頼される県政の推進に全庁挙げて全力で取り組んでまいる所存でございます。今後ともよろしく御指導をお願いいたします。 ◆12番(松本利寛議員) (登壇)最後に、冒頭申し上げました、こうしたミスや不適切な業務が連続をするという背景の問題について、改めて、今、滋賀の職員数が全国トップレベルの少なさと、人口1,000人当たりの職員の数は、人口が同規模の県の中で最低じゃないかというふうに思うんです。そういったところにもしっかりメスを入れて、やっぱり職員が安心して、全体の奉仕者としてしっかり仕事ができるような県庁全体の職場環境をつくっていただくことを最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(細江正人) 以上で、12番松本利寛議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明25日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時34分 散会    ────────────────...