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平成31年 1月21日地方創生・しがブランド推進対策特別委員会−01月21日-01号

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  1. 滋賀県議会 2019-01-21
    平成31年 1月21日地方創生・しがブランド推進対策特別委員会−01月21日-01号


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    平成31年 1月21日地方創生・しがブランド推進対策特別委員会−01月21日-01号平成31年 1月21日地方創生・しがブランド推進対策特別委員会          地方創生・しがブランド推進対策特別委員会 会議要録                                開会 13時30分 1 開催日時      平成31年1月21日(月)                                閉会 15時25分                         (休憩 14時43分〜14時46分) 2 開催場所      第二委員会室 3 出席した委員    村島委員長、大橋副委員長             周防委員海東委員冨波委員目片委員、             佐野委員家森委員清水委員(欠席:細江委員) 4 出席した説明員   江島商工観光労働部長および関係職員 5 出席した参考人   株式会社みんなの奥永源寺             前川 真司 代表取締役
    6 事務局職員     川内副主幹、是永主査岡崎主任主事 7 会議に付した事件  別紙次第書のとおり 8 配付した参考資料  別紙のとおり 9 議事の経過概要   別紙のとおり                  議事の経過概要 開会宣告  13時30分 1 奥永源寺地域からみる地方創生およびしがブランドの可能性について (1)参考人意見陳述  株式会社みんなの奥永源寺代表取締役 前川真司氏 ◎前川 参考人  本日は貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。私から僭越ながら、「奥永源寺地域からみる地方創生としがブランドの可能性」のタイトルでお話をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  最初のスライドは、鈴鹿山脈最高峰の山である大池岳の頂上でジャンプしている私の写真です。私の足の先端の左手にあるとがった山は、鈴鹿富士と呼ばれる天狗堂で、その山を左におりていったところに、私が今住んでいる集落である君ヶ畑町があります。きょうは1メートル近くの積雪、車の上には10センチメートル以上の雪が積もっており、同じ滋賀県内とはいえ、別世界のようなところです。ここで行っている、いろいろな活動についてお話をさせていただきたいと思います。  少し見づらいのですが、スライドの右手の奥には、野洲にある三上山、その奥には比叡山、また琵琶湖の湖面も見えております。滋賀県の東の端から滋賀県内を一望することができる一等地が私の活動地になります。  簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、兵庫県宝塚市の出身で、31歳の若輩者です。兵庫県で生まれ育ったのですけれども、中学時代は高知県土佐郡大川村に山村留学しました。親元を離れて寮生活をしながら、農山村の豊かさの中で育てられました。  一つエピソードを言うなら、全校生徒16人、クラスメイト6人の中学校で3年間過ごしまして、一人一人に向き合うという本当に豊かな教育環境の中で育てていただきました。やはり日本の農山村の豊かさを含め、日本の豊かさはこういったところに残っていると思いまして、将来はこうした農山村に恩返しができる人間になりたいと感じました。高校は兵庫県に戻って全寮制の播磨農業高校へ進学しました。滋賀県ですと、長浜農業高校に寄宿舎があって、同じような感じではないかと思います。朝4時に起きて、午前5時から8時まで農業実習をやって、寮に帰って朝御飯を食べて登校して、午後3時半ぐらいに学校が終わります。その後また農場に出て夕方6時ごろまで農業実習をして、私は野球部でしたので、午後6時から10時まで野球部の夜練がありまして、夜10時に部屋に帰ってきて、宿題や洗濯をして、夜中の12時ぐらいに寝て、翌朝4時にたたき起こされる生活でした。今思えば、寝る時間もないような3年間を過ごしたのですけれども、農業とは何たるかという厳しさをたたき込まれた3年間だったと思っております。  高校を卒業した後は、東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科に行き、農業経済学、農産物の6次産業化、ブランド化地域活性化などをテーマに勉強し、日本の農山村に恩返しをするという一つの目標に向かって、真っすぐ歩ませていただきました。  2010年に卒業し、当時、TPPまでは出ていませんが、グローバリズムは叫ばれておりました。日本の農山村を活性化させたいと思いながらも、やはり世界の中で日本の農山村の価値を磨き上げなければ、その先はないと感じましたので、卒業後は、アメリカのロサンゼルスにあるUCLA大学院に入学し、イギリス、イタリア、オランダ、中国、韓国、台湾、ブラジルと、世界中の農業問題や環境問題などを、各国2週間から1カ月ほど滞在しながら勉強をさせていただいて、帰ってきました。自分の学んだことを生かしたいということで、たまたま赴任した就職先が東近江市にある八日市南高校で、農業の教員として赴任しました。  そこで3年間農業の教員をやりまして、2013年、同志社大学のソーシャルアントレプレナー実践学という社会起業家を育てる社会人コースの授業があり、そちらで学び直したときに、自分の人生を振り返ってみますと、都会で生まれ育ちながら、農山村の豊かさに気づき、農山村に恩返しがしたいと思って生きてきたのに、農業高校の教員をやっているだけでは限界がある、自分が実践者として現地に入って農業をしながら地域活性化に挑戦したいという思いを抱いていたところ、たまたま2013年度の終わりに東近江市が第1期地域おこし協力隊の募集を始めましたので、それに応募して、2014年から地域おこし協力隊に就任させていただきました。  農業、農山村への道を真っすぐに歩んだというのが私のプロフィールです。  本日は、その地域おこし協力隊時代に取り組んだ活動の御報告、そこから見出した株式会社みんなの奥永源寺に至るお話を御紹介させていただくのですが、三つの区分にわけて話させていただこうと思います。  まず、私が地域おこし協力隊として取り組んだことは、地域資源棚おろしによる地域力の見える化で、これをなくして、今の私はなかったと感じております。そして地域資源棚おろしから明らかになった地域資源地域資源から地域事業地域活動の両輪両軸の整備に重きを置いて、今まで活動してまいりました。  3点目は、本日、しがブランドの推進というお話ですので、今、私が活動していることもSDGsに直結する活動なのですが、そういったものがこの先必ずや一つのキーワードになってくると思われる中で、それを生かした地方創生に少し提案する話をできればと思っております。  ここから1つ目のテーマの地域資源棚おろしを話させていただこうと思います。このスライドは、今、私が住んでいる築100年の古民家の玄関を開けたところの景色です。この東近江市の一番奥、今、真正面の奥に、ちょっとかすみがかっているところが三重県との県境にある藤原岳という山です。実は、滋賀県の東端は関ケ原ではなく、藤原岳になります。そして、藤原岳の山頂から向こう側が三重県、その山頂までが君ヶ畑町で、一つの字で22.2平方キロメートルという、山手線の内側よりも遥かに大きい面積ですけれども、家が50軒あるうち40軒が空き家で、10軒に十五、六人がいます。31歳の私の一つ年長の方が64歳で、平均年齢が80歳近い集落が私の活動の拠点です。  最初のスライドに私がジャンプしていた写真がありますが、あの左足の前のとがった山をずっとおりてくると、この写真の左手の山の端に出てくる、まさに鈴鹿山脈のど真ん中にあるのがこの集落です。  私が「よそ者、若者、ばか者」の視点で、奥永源寺で3年間地域資源棚おろしをさせていただいた中で感じた魅力は、何をもってもまずその立地です。地元の方は、永源寺ダムの奥のあの道の険しさから言えば、あんな山奥に誰が行くのかという不便なところというイメージが強いと思うのですけれども、私はそうは思っておりません。奥永源寺地域は滋賀県の右下にあり、永源寺から30分ほど山奥に入ったところにある、永源寺町の東部地区の総称です。ちなみに奥永源寺の真横から線を引くと、比叡山があります。大津から大分北上したイメージですけど、余り北上はしていないのが滋賀県の不思議な地勢だと思います。  グーグルアースから見ていただきますと、赤い印のついたところが奥永源寺で、すぐ右に名古屋、左に京都があります。京都と名古屋からちょうど真ん中という立地にありまして、どちらも車で1時間半圏内のところです。  特に名古屋では、名古屋駅まで下道で55キロで1時間半、京都駅までは高速道路を使って75キロで1時間半となりますので、実は名古屋のほうが近いというのが奥永源寺地域です。冒頭に御説明しました私が3年間過ごした高知県の大川村は、四国山脈の真ん中の赤い印がついているところですが、これを同じ円で比較してみますと、大川村から半径250キロ、車で走って3時間の半径で、四国を抜けられるかどうかというのに対して、奥永源寺は、車で3時間半径以内に中部圏の中心部と近畿圏の中心部が全て入りますので、商売の圏域の意味から言えば、2,600万人の人口がこの円の中に含まれます。  そういう意味では、観光業を起こすにしても、特産品の販路開拓をしていくにおいても、また京都、大阪、奈良などの観光地が近くにあり、「近江を制する者は天下を制する」と言われた、まさに東西交通の要衝がここだと感じられる場所で、ブランド化を進めるに当たっても、この立地が一番魅力的なところだと感じた次第であります。  続きまして、この地域資源は、ヒト資源モノ資源コト資源ワザ資源、ココロの資源の五つのテーマがあり、それぞれの観点から棚おろしをしていくのですけれども、一つ目は、何といってもヒト資源です。  奥永源寺地域は、高齢化率が80%を超えておりまして、人口推移を見ましても、宇治は茶所、茶は政所と謳われる政所の地も、1955年の国勢調査から比べれば、500人以上いた人口が、100人を切っていますので、5分の1ほどに減っております。また、私の住んでいる君ヶ畑町も、220人ほどいらっしゃったそうですけれども、現在実際住んでいるのは16人ぐらいしかいませんので、10分の1ぐらいまで減っているのが現状です。実際、これが私の集落の寄り合いのときの写真でして、これには14名の方が写っておりますが、これで全員です。平均年齢78歳の集落です。ただ、一側面から見れば、高齢化は危機的な状況であり、限界集落と呼ばれてしまいますが、違う面から見れば、この山奥で立派に80年、90年生きてこられた知識とか生きる知恵、農業、農村の奥深さは、全てこの方々が培ってこられていますので、農業体験、聞き取り体験などの、おじいちゃんばあちゃんとの交流事業を地域のコンテンツにするときには、こういった方々が何よりも宝になります。そういう意味では、やはり全ての資源において一番の宝はヒト資源ですので、人がいることは、本当に心強いものです。  次は、モノ資源になっていくのですが、やはり地域の宝と言えば無農薬、有機栽培、在来種の政所茶です。「宇治はお茶が集まるところ、お茶がうまいのは政所」と称され、あの石田三成豊臣秀吉に献上した三献茶のルーツが政所茶であったのは、歴史書にも残る有名な話です。国学者である本居宣長も、江戸時代の後期の本の中では、「お茶と言えば政所茶ですが」という書き出しで始まるのですけれども、遠い秋田の地まで日本一の銘茶と言えば宇治ではなく政所だという言葉が庶民でも知っていると歴史書の中にも書かれるほど、有名なお茶の産地であります。  いずれにしましても、政所茶の特徴は、過去一度たりとも化学肥料も農薬も使ったことがなく、ススキや落ち葉だけを使った有機栽培で、在来種が全て残っていて、手摘みで行われているという非常に希少なお茶で、今はドバイやイスラム圏のハラールという動物性の肥料を一切使っていないものしか食べられない人たちが、この政所茶を通常価格の10倍でも買い取りたいという話が来ているそうです。  次ですが、木地師発祥の地の歴史文化の宿る地域がこの奥永源寺でして、ここから会津に行かれた人が会津塗、輪島に行かれた方が輪島塗、宮城に行かれた方がこけしをつくり、広島に出られた方がコマやけん玉をつくり、そして、東京や大阪に出られた方が万年筆やボールペンのメーカーであるパイロットやセーラーをつくられたというように、日本の木工技術の全ての源流が奥永源寺地域の君ヶ畑町、蛭谷町に宿っているということで、歴史文化の聖地として、全国から観光客が集まるのがこの地域の魅力であります。  また、私の活動している紫草のロマンも、後で詳しく説明しますが、ここで栽培しております。こういった特産品ですとか、また、日本遺産にも登録された奥永源寺地域ですが、琵琶湖の源流の本当に濁りのない、真っ透明な美しい川の水が特徴的で、私がジャンプをしていたところは、鈴鹿山脈を一望できる絶景で、ほかには負けない奥永源寺地域地域資源だと感じております。  いわゆる「ヒト、モノ、コト、ワザ、ココロ」の地域資源こそが地域活性化の原動力ではないかということを、3年間の地域おこし協力隊時代掘り起こしをさせていただきました。お手元のチラシにありますように、奥が深いみんなの奥永源寺ということで、ちょっと雲に隠れた奥に奥永源寺があるというロゴマークにしております。その裏面を見ていただきますと、株式会社みんなの奥永源寺では、先ほど御説明しました政所茶、木地師、紫草、鈴鹿などのコンテンツを活用した体験ツアーを企画したり、特産品の販売を行い、都会の方を含めたお客様にお届けすることにより、地域活性化を目指していこうとのコンセプトビジネスモデルで昨年3月に設立させていただきました。地域おこし協力隊が昨年の3月で終了しましたので、その契機に立ち上げました。  一つ、補足をさせていただくと、株式会社みんなの奥永源寺の特徴的なところは、株主が地域住民になっております。地域住民おじいちゃん、おばあちゃんから1人1万円ずつ出資金を募らせていただいています。この奥永源寺の未来をつくっていく会社は誰のものかといえば、私のものではなく、株主が所有権や経営権を持っております。地域住民が株主である地域株式会社をつくりたいという私の思いがありましたので、地域住民から出資金を募って、この会社をつくり、私を代表取締役に選任していただいている形になっております。  これはどういうねらいかと言えば、私は奥永源寺に3年ほど前にやってきた、「よそ者、若者、ばか者」です。政所茶、木地師、紫草、鈴鹿などは全て私が持ち込んだものではなく、この地域にお住まいの皆さんが何十年、何百年と培われてきた歴史や文化や資源なわけです。そういったもので商売をさせていただくわけですから、その商売によって得た純利益は誰に還元されるべきかといえば、私ではなく、地域住民の皆さんに恩返しをしていきたいという思いがありましたので、株式会社にして、地域住民が株主になっていただき、その純利益を皆さんに還元する会社をつくらせていただきました。  もちろん、全部返してしまっては、次の生産ができませんので、またその純利益の中から次の雇用、いわゆるおじいちゃん、おばあちゃんたちの孫世代は20代、30代ですので、そういった孫世代をうちの社員として雇って、地域の古民家におじいちゃんたちと一緒に住んでもらって、地域雇用をつくることで地域の活性化を目指していきたいという思いで、こういったモデルをつくらせていただきました。  限界集落で過疎や高齢化に悩む地域に、なぜ人がいなくなってしまったのかは、いろいろな要素があると思うのですが、一つは雇用です。仕事がない、農業や林業では食べていけない。だからお金を稼ぎに町へ出ていってしまったのが大きな構図だと思います。そういう意味でも、この奥永源寺地域地域資源を活用して、地域に雇用を生む事業を起こすことで、この地域に住み続けられる、もっと言えば、子育てができるだけの収入を得られる仕事を、この限界集落から生み出していくことをしないと、地域の未来はないと感じましたので、こういった会社をつくらせていただきました。  次へいきますが、第1ステップ地域資源棚おろしによる地域力の見える化のまとめとして、「ヒト、モノ、コト、ワザ、ココロ」に集約される地域資源、これが各集落、各地域にどれだけあるのかを恐らく地元住民の方が一番わかっていないのが正直なところだと思います。ここは、「よそ者、若者、ばか者」、また、統計調査のデータなどをきちんと示して、この地域のヒト資源がどうやって減っていくのか、本当に立ち行かなくなるほどの危機的な状態が何年後にやってくるのか、それに向けてどういった活動が必要なのかを話し合うためにも、まずはこの地域資源掘り起こしと見える化が何よりものステップであると、私はこの活動を通して感じたところです。  また、そこから見えてくる「地域力」が「地域色」に変わって、強みが「地域ブランド」に変わっていくと感じております。たまたま奥永源寺地域は、人は少ないけれども、モノ資源にあふれていて、歴史や文化、そういった今の人たちがちょっと興味や関心があり、行ってみたいと思えるものがたくさんあったから、それを強みにして、「みんなの奥永源寺」という地域ブランドを培ってきました。これは、都会ではできないのかといったら、そうではなく、例えば、栗東市、草津市、守山市などの人が多い地域では、人を強みにした地域づくりブランドづくりをしていけばいいことで、どの地域にも当てはめていけるパターンだと思います。やはり地域資源をまず掘り起こして、見える化をしなければ、次のステップが見えてこないと思います。  そして、第2ステップの話につながるところですが、「地域ブランド構想」から地域事業地域活動をつくるという、二つの話になってきます。一つは、私が主に取り組んでいる紫草を活用した化粧品事業の話です。先に東近江市の花「紫草」を活用した耕作放棄地の再生と雇用の創出事業という地域事業の話をさせていただくのですが、これが東近江市の花である紫草の花です。花自体は白くて、なぜ紫草と呼ばれるのかというと、根っこの部分が紫色をしていまして、染物に使えば、冠位十二階最高位の色である紫に染まるということで、紫草と名づけられている植物です。この由来は、日本最古の歌集の万葉集に登場し、日本最古の紫草が東近江地域で咲いていた花ということで、宝塚歌劇団でも、「あかねさす紫の花」の演目の中で、この紫草のロマンを演じられているほど、全国的にも有名な紫草の聖地が日本で唯一、東近江地域です。  全国何千という市区町村の中で、唯一東近江市が市の花に指定しており、この植物を活用した地域おこしをしようとしました。ですから、他府県にあった植物を私が持ち込んで、地域おこしに生かしたのではなく、1,350年も前から東近江地域にあったものを掘り起こして活用した形です。  この紫草は絶滅危惧種で、栽培が非常に困難で、夏の暑さで枯れてしまう特性があります。原因は地球温暖化にあると言われているのですけれども、それが、私がたまたま赴任した八日市南高校で、涼しいところであればよく育つことがわかってきました。奥永源寺地域で栽培したところ、ほとんど枯れることなく育ちました。限界集落耕作放棄地絶滅危惧種の復活のシンボルとして、この紫草を育てようではないか、そして、私1人が勝手に育てるのではなくて、東近江市役所が市の花としている、八日市南高校県立大学学術機関として参画する、そして、産地も一緒になって、産・官・学の連携事業の形で、地域に持続可能なSDGsな雇用と活力を創造する目的のもと、この事業をスタートさせました。  ここから写真が続きますが、これが私の取り組んだ畑です。コケむすほどの耕作放棄地だったところを、地域ボランティアを含めて、住民の力で一から土を取り戻してきて、肥料も、地元のあいとうマーガレットステーションのくん炭や菜ばかすという油かすと有機石灰だけを使って、どんどん開墾していきました。また、シカの獣害がひどい地域ですので、こういう獣害柵も地域住民と一緒にはりました。このように草が荒れ放題のところも、夫婦そろって開墾し、ここに八日市南高校生地域住民のメンバーが協力し合って、うねを立て、紫草を植えつけていく活動をしました。  これが株で、根の部分が紫色をしているのがわかると思うのですけれども、半年経てば、立派な紫根に育ちます。ちなみに委員長、この紫根一本、一固まりでお幾らすると思われますか。 ○村島茂男 委員長  1本ですか。 ◎前川 参考人  そうです、この一固まりです。 ○村島茂男 委員長  2,000円ぐらいですか。 ◎前川 参考人  それでは足りません。これは1本1万円します。この委員会室の面積だったら、恐らく2,000本ぐらい植わると思います。限界集落条件不利地域にある耕作放棄地での画期的な農産物が、私が持ち込んだわけではなく、地元の東近江市内に1,300年以上前から咲いていた特殊な薬草です。  エキスを抽出して染物に生かせば、冠位十二階最高位の色である紫になります。比叡山の大僧正が羽織られるけさは1着3,000万円するらしいのですが、そのけさを染めるのがニホンムラサキという紫草の根っこで染められております。ちょうど私の目の前にある化粧品の下に敷いてある反物も30万円ほどします。その染物の原料が東近江市の花で、その価値に誰も気づいていませんでした。やはり地元の方は、地元の資源を見落としやすい、気づかないということです。あって当たり前だと思っておられるので、よそからの目線で、これはすごいというものを育て上げていくのが大変大事な視点だと思います。  もう一つ、この紫草はラテン語でボラギノールといいまして、「痔にはボラギノール」は、実は紫という意味です。薬用効果が非常に高くて、今でもクラシエから出ている紫雲膏という軟こう薬の「し」が紫と名づけられているのは、紫根が原料であるという意味です。京都大学や新日本製薬等が解明した結果、紫根エキス抗菌作用、抗炎症作用皮膚活性化作用養毛促進作用肉芽促進作用、抗がん作用の6種類の薬用効果日本薬局法に登録されている漢方薬として登録されていて、お肌にいいばかりか、育毛効果もあるということで、日本のいろいろな化粧品や育毛剤に配合されています。  それを私は、地域の宝にできるのではないかと感じまして、紫根からエキスを抽出してつくり、昨年4月26日に東京の情報発信拠点「ここ滋賀」で発売日の記念イベントをさせていただきました。オーガニックの紫草で、着色料も添加物も一切使わない、食べても問題ない、全て農産物からつくられたオーガニックコスメということで、特徴的な紫根の色素をそのまま生かしました。この色に薬用効果があって、育毛や肌を改善させる効果があるのです。この商品をつくるに当たって、こだわったポイントは、原材料が滋賀県産だということです。  基材となっているオイルは、菜の花プロジェクトを始めた、あいとうマーガレットステーションの菜種油を使わせていただいているほか、甲賀市の地域おこし協力隊地域活性化のために無農薬、有機栽培で国産種のヒマワリを栽培しているのですが、そのヒマワリ油も配合させていただきました。また、草津市が市の花に指定しているアオバナ健康食品でお茶にも配合されていますが、それは美容効果もあり、肌にも優しいので、草津市内統一で無農薬栽培が推奨されているアオバナを配合し、滋賀県産のオーガニックコスメを開発いたしました。  このコンセプトとしましては、琵琶湖の源流で無農薬、有機栽培で生産し、水資源を汚染しないことです。また、加工したときにも滋賀県産のオーガニック素材だけでつくったところがポイントです。そしてこの化粧品を使った女性が、シャワーで流したとしても、その排水でさえ一切環境を汚染しないのです。滋賀県内から出る排水が、引いては宇治川に流れ込み、大阪に入れば淀川と名を変えて、近畿1,500万人の命の源になります。その源流地域でいろいろな化学物質を流し続けるのはいかがなものか、SDGsの水資源の確保の観点から言えば、こういったオーガニックコスメオーガニックな暮らし、生き方、考え方などがこれからの時代の先立っていくだろうということを考え、それを地で行った商品を開発させていただきました。これが紫草化粧品の話です。  もう一つ、地域活動の話があります。それが木地師のふるさと活性化事業で、私が地域おこし協力隊時代地域住民とともに立ち上げた歴史文化の継承プロジェクトになります。木地師発祥地の君ヶ畑町で立ち上がった団体ですけれども、先ほど軽く話しました君ヶ畑・蛭谷地区は、椀器製作職人、ろくろの木地師職人の発祥の地であり、歴史文化を知的財産的に継承していこうということで、地域の祭りでは、いまだに紋付はかまを着て、巫女もお呼びして、鮒鮨切りの神事もあります。この木地師文化を地域活性化事業の原動力としていこうということで、木地師のふるさと高松会という地域団体を、74歳の会長を筆頭に、地域に住んでいる平均年齢78歳のメンバーで立ち上げました。  元茶工場だった工房を、木工品をつくる工房に改造しまして、この神社に奉納する絵馬などを地域の間伐材を使い手づくりで、また祭りのときには、奉納祈祷をして、絵馬堂も自分たちでこのように設置しました、年間1,000名ほどいらっしゃる観光客の方に絵馬を1枚500円で買っていただきながら、地域活動を維持しております。こういう木地師のふるさとの観光地化を目指し、文化ガイドツアーやイベント企画をしていくことで、地域に新しい交流人口と活力を見出すことになります。これも県指定文化財に指定されております文化財を年に一度、このように公開させていただき、1日に300名ほどいらっしゃるのですけれども、こういった地域活動をしたり、また登山ツアーも、高松会が主体となって行い、川をせきとめてイワナのつかみ取りキャンプや政所茶のお茶摘み体験もしていただいております。  地域愛を育て、SDGs地域活動を確立するところを目標に活動させていただいておりますが、インパクトとしては、紫草の化粧品の事業のほうが大きいです。おかげさまで「ここ滋賀」で発売日を迎えさせていただいたことを呼び水に、3カ月で初期ロット3,000本が完売し、急いでつくった2,000本も二、三カ月で完売しました。  この前、追加注文したものも2週間で2,500本ぐらい出ていき、飛ぶように売れておりまして、1年たっていないのですが、地域事業としては、本当にいいスタートを切らせていただいたと思っています。地域事業の確立とは、あくまで地域で子育てができる雇用環境と持続可能な開発を行うことで、それが農業を中心とした環境に負荷を与えない開発や経済発展が一つの軸であると考えております。もう一つが地域活動で、木地師のふるさと高松会の話をしましたが、これは交流人口と地域愛を育てるという軸です。  これがなぜ両輪両軸で必要なのかというと、補足資料に目を通していただければと思うのですが、地域事業だけあっても人はその地域に残らないのです。というのは、地域事業とは稼ぐ事業のことです。同じ稼ぐ事業だったら、もっと給料がいいところ、もっと暮らしやすいところ、もっとお金がかからないところに流れていってしまいます。逆に、地域活動ばかりしていても、大してお金は回りません。毎年1,000名近くのお客様をお迎えして、1人1,500円いただいて観光ツアーやイベントをしておりますが、1,500円掛ける1,000人でも150万円です。150万円の収入で集落の人が15人ぐらいで地域活動をして、一体誰が食べていけるのかといったら、人件費も出ないです。  けれども、こういった地域活動があるおかげで、今まで集落に帰ってこなかった50代、60代の比較的若いと言われる世代が、「うちのふるさとにはこんな歴史文化があったのだ。これは協力しないといけない。」といって、今や70代や60代でつくった団体に、イベントのために駐車場係をやらせてくれだとか、祭りを一緒にやろうと言われたり、村の掃除活動も欠席者が多かったのが、どんどん帰ってこられています。やはり、この村の歴史や文化や誇りを未来につないでいこうという気持ちを育てる部分は、お金ではなく、こういった地域活動が重要であると思います。  だから、地域活動や地域愛がなくては、稼げるところ、便利なところに行こうとなってしまうので、地域愛と食べていける地域雇用との両方があって、「両輪両軸」の発展となり、この地域に住みながら、未来につなげていこうという若者や次世代が育っていく、地域の担い手と選ばれる地域につながっていくと私は考えています。  時間がきましたので、簡単に最後のところをまとめようと思います。これも鈴鹿山脈から見える絶景のポイントなのですけども、ここに写っているメンバーは私と同世代で、滋賀出身で今は東京で働いている人たちが、「滋賀県なんて何もない」と言っていたので、「1回、私のところにおいで」と言って、奥永源寺に来てもらい、先ほど話した歴史文化や価値や可能性の話、そして、この絶景を見ていただいたときに、彼らは30分ぐらいこの景色を見ながら、「やはり滋賀県に帰ってこないといけないと思う」と言ったのです。そういうシーンの写真です。  今後、しがブランドを育てていくという三つ目の話のところにいきます。タイムリーな話で、大阪万博2025が決定いたしましたが、近畿のSDGsをこれでもかというぐらいテーマとして掲げるとおっしゃっていました。サブテーマが「多様で心身ともに健康な生き方」と「持続可能な社会・経済システム」だそうです。そういう意味で言えば、健康しがをうたう滋賀県は、大阪万博の中でも近畿1,500万人の命の源です。滋賀県民が140万人で、残り1,350万人の命の源は滋賀県で培っているという思いで、この源流で13大学あります滋賀県のライフサイエンス、バイオメディカルの知の集積地からイノベーションを生み出して、また、滋賀県は東西往来の交通の要衝でありますので、観光客が来やすい立地も生かして、SDGsを活用した「しがブランド」を培っていき、SDGs型のライフスタイルに結びつけていくことができれば、産業イノベーション、地域住民の暮らし方、生き方、考え方をSDGsのエシカルライフに転換していくことで、観光イノベーションにつながると思います。今までの、わかりやすい観光地に大型観光バスで行って、お金をどれだけ落としてくれるかという観光ではなく、世界中の人が生き方、考え方、暮らし方などのライフスタイルを見て、地球環境にもやさしく健康であり、地球の未来にも貢献している「しがブランド」とは何だろうと思い、滋賀県の水の源流を訪ねてくるといった未来が描けたら、2025年の大阪万博は非常にいい契機になり、おもしろいと思っています。  また、国連が目標とする2030年まで、もう11年しかないわけですが、大阪万博が6年後で、あっという間に来てしまうのではないかと思います。私は粛々と奥永源寺地域からSDGsな経済発展と地域づくりに邁進して、2025年、また2030年に向けてしっかりと足を進めていきたいと思っております。  最後のページになりましたが、こういった地域資源棚おろしによる地域力の見える化、そこから地域事業地域活動の両輪両軸を整備して、その活動の先にSDGsというテーマを持ち、それを「しがブランド」に落とし込んでいくことで、2025年や2030年になったときに、「滋賀県は違うな」と思っていただける未来にたどりつけるよう、邁進していきたいと思っております。  偉そうなことをたくさん申し上げましたが、また御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いします。ありがとうございました。 (2)質疑、意見等 ◆海東英和 委員  紫草を生かした化粧品分野が大きな柱として育とうとしている話、地域づくりやまちおこしで、そこにある素材を栽培して、OEMで一定の会社に商品にしてもらうところまでたどりついた事例はたくさんあると思いますし、「ここ滋賀」でも少しよい弾みを得たと言っていただいて、よかったと思います。しかし、化粧品は、販売ルートなどが一番難しく、つかみにくい分野で、そういったものを成功事例に結びつけてこられたことについて、ほかの後発地域が参考にできることがあれば教えていただきたいです。 ◎前川 参考人  そういったOEMを含めて、商品化まではいろいろな地域から挙がってくるものの、販路開拓を含めてどう消費に結びつけるか、いろいろな地域で課題を抱えていることに対して、私の事例をということだと思います。おかげさまで、私自身ここまでいろいろな活動をさせていただいて、最後に述べましたSDGsやエシカル消費が、行政レベルよりもっと早いスピードで、バイヤーや消費者の感覚が敏感に変わってきていることを、私も肌で感じております。  というのも、オーガニックコスメというジャンルは、資生堂、ポーラ、コーセーなどの化粧品とは全然違う分野の話で、ライフスタイル雑貨なのです。自分たちの生き方、考え方、暮らし方を含めて、どういった未来をつくっていきたいか、そのバックストーリーや、この商品が広がっていくことでどんな未来につながっていくのかのストーリーや可能性の部分を、しっかりと商品の価値として前へ出したおかげで、お客様が、全部農産物でできている安全、安心なものなので、すごくよかったというお声をたくさんいただいています。  また、肌にいいばかりか、それを流した後も一切地球を汚さないという環境面が、安心して使い続けたいというニーズにつながり、リピーターがすごくふえているのだと感じています。  もちろん、こうして店頭に並べたところで、最初、お客様はその歴史文化、環境などの話は伝わりません。純粋に目で見て、何かかわいらしい色をしている、使ってみてすごく香りがいい、などというところから入られるのですが、そこからパンフレット、ブランドブック、私どものホームページに行くと、これだけのことを考えられてつくられた商品なのだということで、知れば知るほど好きになり、愛着が生まれ、お客様の関心を生んでいることが、これだけ広がった理由の一つではないかと感じています。  もう一つ言えば、やはりバイヤーです。数を売っていこうと思ったら、直販ではなく、百貨店を含めた専門店から卸売り価格で何百本、何千本と買い取っていただくことが大切です。おかげさまで、この4月から平和堂全店でも置いていただきますし、ボーンフリーというライフスタイルショップでも全店展開をしていただけるのですけれども、これだけ広がったのは、バイヤーや、お客様とふだん接している店舗の方などが、時代が変わってきて、今までのような大手ブランドのものではなく、価値や可能性やストーリーのあるものをお客様が求めていることを感じて、今はこういう商品を探しているのだと言われるのです。実は、私から売り込みに行ったことは余りないのです。百貨店も、アベノハルカスの近鉄百貨店、大阪梅田の阪神阪急の阪神百貨店、三越伊勢丹のルクアイーレ、宝塚阪急の百貨店が、軒並み私たちの商品を扱いたいと言ってくれたのは、今が時代の転換点で、先ほど言ったSDGsなどが時代の正面に来るだろうということで、どんどん買い取っていただいています。それがお客さんの関心やニーズに合致して、消費の傾向が変わってきている、販路開拓も含めて、まさに今ということだと思います。  それともう一つ。これをほかの事例に生かすなら、どことも魅力的な地域資源の商品づくりをされていると思うので、その商品の生産過程やどこかの一部分でもいいので、琵琶湖の環境であるとか水資源など、SDGsに絡むようなところで、全部がこういった商品ですと全部が言えるようになったら、「ここ滋賀」に並んでいる商品も、すごく変わってくると思います。商品は同じでも、そこから発せられるメッセージは全然変わってくるのではないかと思いますし、滋賀県にゆかりが全くなくても、そういうものを追い求めている人が「ここ滋賀」に行って、環境や地球にやさしい商品を買いたいという方がふえるのではないかと思っています。 ◆周防清二 委員  前川さん、ありがとうございます。地元ですので、存じております。最後にお話があったように、もともと君ヶ畑町におられた方が帰ってこられているというお話でした。栽培も含めて、ボランティアの方々も手伝いにおいでになっている状況ではあるのですけれども、移住をしたいという方がふえてきているのかなど、若者が実際に住んでいる現況はどのようになっているのか、もう少し詳しくお伝え願います。 ◎前川 参考人  奥永源寺地域に限って言えば、移住者も少しずつふえてきているとは思います。今、地域おこし協力隊で4名が移住しているのですけれども、実は、私より10歳ぐらい上の40代前後ぐらいの方々で、地元でタイ料理のお店をされている方など、山里でエシカルやロハスでオーガニックな暮らしをしたいという方の移住が結構始まった時期でした。  私たちがこういう活動をして、この地域で一緒にやりたいという声は、割と大学生やメンバーの中からふえてきています。ただ一番の課題は、ここで子育てができるだけの雇用、つまりしっかりと賃金を払えるところまで育っているかです。正直、私も含め、ほかの地域おこし協力隊メンバーも、まだ個人事業主レベルで、自分が食べるので精いっぱいという中でやっています。今は化粧品事業が好調ですので、こういったものがどんどん広がり、雇用につなげられるほどの消費に結びつけられたら、ここで住みながら、こういう活動を一緒にしたいという若者があらわれたとき、ぜひうちの社員として奥永源寺の古民家に移住してもらって、一緒にやっていける仲間をふやしていきたいと思っています。  何か大成功しているみたいな雰囲気があるかもしれませんが、まだ立ち上げたところで、まだまだ自転車操業でやっております。今後、そういう未来を築いていきたいと思っています。 ◆清水鉄次 委員  「ここ滋賀」の一つの成功例のような感じもするのですけれども、今のお話をずっと聞いていまして、地域のいろいろなストーリーと、この商品が非常に支持され、品物が追いつかないとおっしゃっていますが、今後伸ばすことが地域活性化にもなると考えた場合、行政として応援してほしいと思われる点はどのようにお考えでしょうか。 ◎前川 参考人  行政からどういう支援があればいいかということですか。やはりビジネスとして挑戦していく部分は、自分たちで努力しなければいけないところがもちろんあると思うのですけれども、例えば、47都道府県で初めて県としてSDGsに取り組むと言われた滋賀県だからこそ、「ここ滋賀」に置く商品は、全てそういうところにつながっている、滋賀県は未来に向けて、そういうところを見詰めながら、商品づくりや経済活動、地域活動があるということを紹介していただく。滋賀県のブランドがそもそも何かと言われたら、兵庫県民で滋賀県にはほとんど来たことがなかった者から言えば、大変失礼ながら、琵琶湖しかないと思っていました。東近江地域にいろいろな御縁で来て調べてみたら、奥永源寺だけとっても、お茶も日本一、木地師も発祥の地、紫草も生き残っている、鈴鹿の山の美しく豊かな自然と、これだけあります。私もいろいろなところを見させていただいて、湖北、湖西、湖南、湖東と滋賀県は四方八方魅力だらけだと思いました。  ただ残念ながら、あれもこれも非常に魅力的で、「ここ滋賀」に行ったら、あんなに商品があるのかというぐらい並んでいるのに、「滋賀県といったら何ですか」と他府県の人に聞いたら、琵琶湖ぐらいしかないとなります。いろいろなブランド品が滋賀につながっていないのではなく、逆に、琵琶湖はすごく武器になると思うのです。つまり全ての商品が琵琶湖に集約される、琵琶湖や水資源の確保というSDGsの視点で産業や地域ブランド商品につながる話に結びつけて、「ここ滋賀」に置いてある商品は、地球環境や人類の未来、健康にこれだけいいということを県が発信していただいたら、非常に心強いと思います。  恐らく滋賀県としても2025年の万博や2030年に向けて、そういうふうに動かれるはずだと思いますので、一緒にやっていければ、私たちの5年後、10年後は、もっと開けてくるのではないかと思います。こういう支援があればいいということは、やはり滋賀県の商品やブランドをどこに結びつけて発信していくのかというビジョン、計画、方向づけを御支援いただけたら非常に心強いと思っております。
    ◆冨波義明 委員  今、我々もわくわくするような事例発表をしていただいて、大変ありがたいと思っています。特に「ここ滋賀」と絡めて、これは後から当局の方にも御返答いただきたいのですけれども、「ここ滋賀」で何を売るかといったら、確かに物販も大事だと思うのですが、そうではないだろうと思います。あのような一等地で売るものは、物販ではないと私は最初から言っています。きょう発表していただいた切り口は、大変わかりやすいですし、そういうことを「ここ滋賀」から発信していただきたいと思いました。  先ほど清水委員が聞いてくださったのですけれども、資料で産官学創の部分の行政支援のところです。東近江市、永源寺役場があるのか、よくわかりませんけれども、そこから具体的には今、どのような支援をいただいているのでしょうか。 ◎前川 参考人  本当に地域おこし協力隊時代から、協力というか支援をしていただいたので、私があると思っています。やはり大きなところでは、東近江市が全国的にも非常に先駆的な取り組みとしてやっておられる三方よし基金というローカルファンドを立ち上げられたことがあります。地域住民から出資金を募り、公益財団法人を立ち上げて、そこでコミュニティビジネスや環境ビジネスに補助金を出したり投資をして、地域に結果が還元されることを推進しておられます。東近江市でソーシャル・インパクト・ボンドの制度を立ち上げた初年度に、私の事例を取り上げていただき、市民からお金を集めて私の出資金にしていただいて、それで化粧品のホームページなどをつくり、ビジネスの増大につながり、環境保全や地域活性化にもつながるという、地域の循環を行政の立場で支援していただいた実績があります。これは本当に先駆的な取り組みだと思いますし、今、環境活動やSDGs活動に投資をするお金の動きなどが変わってきている時代だと思いますので、そういう部分を県や市が担っていただくと、私のような零細なところから始めた人間は立ち上げの時期に一番お金がなくて、本当に苦労しましたので、そういったところの物的、面的支援をしていただいたのが心強かったと思います。 ◆家森茂樹 委員  せっかくですので、古民家を使った民泊などの事業展開は今のところ余りないのですか。 ◎前川 参考人  一応考えてはおります。株式会社みんなの奥永源寺としては、登記に載っている会社の事業内容というところで、古民家を生かした宿泊事業もできるようになっているのですけれども、先ほども話しましたが、今はコスメ事業をまず頑張らないと、ほかに回せるお金がないこともありますし、現実的には古民家の状況も、かなり厳しいのが正直なところです。  というのは、今すぐにでも住める家は、住んでおられます。空き家になっている家は、それだけの理由があります。例えば浄化槽がない、大分傷んでいて傾いているなど状況の悪いところです。状況のいいところは、現在住まわれているので、住んでいる人を追い出して、そこを古民家宿泊させてくださいというわけにもいかないのです。一方、空き家になっているところを使ったらいいのではないかと言われるのですけれども、浄化槽と水回りを直すのに数百万円かかります。1泊いくらにするのかわかりませんが、何年で回収するのかとビジネスモデルを組み立てていくと、正直難しいです。古民家民泊は、日本中いろいろな農山村でされている事例がありますので、私としては、ヒト資源を獲得していかないと地域の未来はないと思っております。その意味では、そういった空き家の使い方があってもいいと思います。基本的には、宿舎のような形で、うちの会社で古民家を借り上げて、改修して社員に住んでもらう、そこに家族で移住してもらうといった、整備と移住促進と雇用の確保をセットにした移住促進を株式会社としてやっていけたら、おもしろい事例だと思っています。 ◆冨波義明 委員  この商品はテレビなどでの紹介は終わっているのですか。 ◎前川 参考人  おかげさまで、発売直前だったのですが、BBCが「滋賀経済NOW」という経済番組のリニューアルの第一発目として放送いただいて、その反響が非常に大きかったのです。単に売れそうなものをつくって世に出しますではなくて、先ほどお話しさせていただいた環境のこと、SDGsのこと、そういった地域活性化などのストーリーの部分にスポットを当てて、地域雇用や地域商品の部分を発信していただいたので、最初のスタートダッシュには心強かったと思っています。 ○村島茂男 委員長  本職からよろしいですか。こういった試みは、各地域で考えておられるとは思いますし、少し聞いたところによると、日野町にも5回ぐらい講演に来ていただいています。各地域でいろいろな事例発表をされていると思いますけれども、その反響と、地域での掘り起こしの先駆者として、前川社長に相談に来られるといったことはありませんか。 ◎前川 参考人  本当に日野町には何度も呼んでいただいて、いろいろな話をさせていただいております。きょうのプレゼン資料からは抜いたのですけれども、いつもお話させていただくことで、地域活性化をその地域で起こしていくためには、やはり他人事ではなく自分事として地域の未来を一緒に歩んでいくという覚悟、気持ちがすごく大事だと最後に呼びかけさせていただいています。いろいろな講演会に行っても、私の住んでいる奥永源寺の人も、もともとどういう発言が多かったかというと、この地域をどうするのかと行政の方に詰め寄る、誰かが何とかしてくれる、偉い人が考えて何とかお金を持ってきてくれると言われるだけで、では御自分はどう考えておられるのかと言ったら、私はもう死ぬだけだからといった感じの人がいっぱいいるのです。  やはり、本当に地域の未来を培っていくときに、私みたいな「よそ者、若者、ばか者」みたいな人間がふっと来て、地域おこしを勝手にして、地域が盛り上がってよかったということは、まずもって珍しいパターンだと思います。当初の話に戻るのですけれども、地域資源棚おろし、その地域に住む人が一体何人いて、どんな経験や活動をされてきて、魅力的な仲間がいるのかというところをしっかりと洗い出して、そのメンバーと一緒に何ができるのかを含めて、地域ならではのものと人が結びついて、この地域の未来は私たちでつくっていくのだという心が育ったときに、地域というものが前に動き出しますし、その真剣さにお金や地域ファンドが集まります。誰かが何かしてくれないかと考えているところに、お金も集まってきませんし、やろうという人もあらわれないと思います。今、若者に何とかやってもらおうではなくて、私の事例で言ったら、もともと奥永源寺、君ヶ畑町というところは木地師のふるさとで、何とかこれを地域の未来につなげたいという、70歳以上のおじいちゃんたちが本気で思ってくれたから、けんかをしながらも私を受け入れてくれて、完全に信用してもらえているかどうかは別なのですけれども、「おまえだったらこの地域の未来を任せられるかもしれない」と言って、腹を割って、一緒にお金を出し合って活動してこられたのだと思います。そういう意味では、今後、滋賀県内を含め、どこでも呼んでいただいたら話には行きますけれども、この事例を通して、地域住民一人一人の方に気づいていただきたいと思います。  偉そうですが、この地域の未来は、誰かがやってくれるのではなくて、この地域で生まれ育ったあなた方自身一人一人が、つくっていくものだといったところを届けていきたいですし、それがすごく大事であると思っています。 ○村島茂男 委員長  もう一つだけお願いします。地域おこし協力隊は、たくさんおられますけれども、定住される方が4割未満だということです。その辺の方々に講習などは頼まれていませんか。 ◎前川 参考人  お声かけいただいたら、いつでも話には行きたいのですけど、地域おこし協力隊も県内だけでも50名を超えているのでしょうか。私の活動時点で50名少しいたので、年に一度、一堂に会する機会もなかなかとれていないですし、その地域ごとのケース・バイ・ケースで、このパターンに落とし込めば成功するといったものは絶対にありません。滋賀県は13市6町、その全てに特色と地域性があるので、その地域ならではの進め方をしていかないと、絶対に失敗すると思いますので、私一人の話を聞いて、全部成功するかといったら、そうではないと思います。そういう意味では、指導役やファシリテーターを含めたコーディネーター役を県や市単位で育てていって、地域おこしにつなげていかないと、一人二人で何とかなる問題ではないと思っております。 休憩宣告  14時43分 再開宣告  14時46分 2 情報発信拠点「ここ滋賀」の費用対効果について (1)当局説明  上田観光交流局ここ滋賀推進室長 (2)質疑、意見等 ◆家森茂樹 委員  この数字はどこが計算しているのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  数字につきましては、ブランド総合研究所に委託して計算していただいております。 ◆家森茂樹 委員  三重県も、高知県もこうですと言われているのですけれども、しょせん、コンサルが言っているものだと思うのです。例えば、農道をつくるのにB/Cが1を超えないといけないといったときの数字と、商工観光労働部が費用対効果だとか、これによってどれだけのものを生み出すことができたかなどは、コンサルに頼る話ではないと思います。  前回の委員会で私が言ったことは、こういう数字が出ているので、十分効果が出ていますという言い方をされると、それは少し違うのではないかと思うのです。商工観光労働部の発想から言えば、例えば、情報発信効果が資料裏面の一番下では、平成29年度実績で3億1,300万円と書いてあります。裏を返せば、3億1,300万円の広告宣伝費を使ったのと同じだけの広告宣伝効果があったということでしょうけれども、あの宣伝をするのに3億1,300万円も使うのかというところです。宣伝をするのにそれだけの金額を使うことはないと思います。それを3億1,300万円の効果がありました、だからこれでよかったのですという言い方はおかしいのではないですか。  高知県の費用対効果はどうなっていますか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  高知県につきましては、効果は出しておられますけれども、費用対効果は出しておられない状況です。 ◆家森茂樹 委員  三重県はどうですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  三重県につきましては、毎年の効果は出しておられませんが、数年間の効果をまとめて算出されております。  三重県の場合は、平成25年9月から平成28年12月までの累積の費用対効果を算出されており、3.95となっております。 ◆家森茂樹 委員  要は、平成31年度で4.8などと言われても、本当にそれでいいのか悪いのかがわからないのです。一応当初の目標として、5年間の累計で3.9だと言われていますけれども、それでいいのか悪いのかがわからないという話をしているのです。そもそも、この数字でいいのですか。  費用対効果の平成29年度実績が2.0は、それでいいのかと思うのです。皆さん方はこういう数字に頼るしかないのかもしれませんが、私たちの感覚からすると、数値がこうなるので効果が出ていますと言われても、そうですかという気にはならないので、前の委員会で話をさせてもらったのです。 ◎笹井 商工観光労働部次長  当初、「ここ滋賀」を立ち上げたときに、数字として何かないと、直接的に県民の方に感じていただけないとの思いから、こういった目標を掲げたと思っております。  この目標数値についても、今委員がおっしゃった、「この数字を達成したら、それで十分なのか」という話ですが、最低限ここまでは何とかやりたいということで、より目に見える形を念頭に置き、一旦示させていただいた数字です。これ以外に当然、直接出していただいた事業者の声、御利用いただいた方の声も十分把握し、効果をはかっていく必要があると思っておりますので、御理解いただきたいと思っております。 ◆目片信悟 委員  そもそも、その数字に信用性がないと言っているのです。そういった効果が出ているのだったら、魅力度ランキングも上がっているはずだと思います。皆さん方がこういった数字をもとにしているのであれば、さまざまな指標の数字がこれに連動して上がらないことには、説明がつかないと思います。  だから、「ここ滋賀」でさまざまな情報発信をしているのだったら、当然、魅力が上がるはずなのに、現実は、上がっている状況ではないでしょう。そうすると、先ほどおっしゃったこういった数字が、本当に「ここ滋賀」本来の目的につながっていく数字かどうか根拠がないと言っているのです。ですので、理解をしてくれと言われても、無理な話です。  そう言われるのであれば、具体的に、こういった部分はこの指標や数字に基づいた、こういったことは実際に根拠としてこういうものが挙がっていますということを、全部一覧で出してください。さまざまな部分でこういう効果がありました、そのトータルとしてこの指標の数字は目標値に達成していますといったものがすっと入らないから、皆さんも大丈夫なのかと疑問に思うのです。現状、ただでさえ取り組みが本当に大丈夫なのかと、ここにいる委員全員が思われていると思います。それに答えられる説明が今、できていないわけでしょう。だから、皆がそれでいいのかと疑問に思ってしまうのではないですか。  今言われたように、メディア効果を広告換算するというよりは、実際に県内のさまざまな事業者を含めて、その効果に恩恵をこうむったと感じてもらえるなら、誰も何とも言わないですけれども、結果的にそういうデータのとり方をしていないと思います。メディアに出たことが大事だというより、メディアに出て、それがどういう形で県内に波及があったのかという数字があるのなら示してください。数字はありますか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  今、委員がおっしゃったような数字は把握できておりません。 ◆目片信悟 委員  最初、村田管理監が担当されていたときから、こういった部分の数字に対して、細かくどういう効果があったのかデータを取ってくださいと私は申し上げたはずです。その当時から、メディア云々という漠然とした形ではなく、例えば、「ここ滋賀」へ出品して、どういう形でデータをとって、それをどう次につなげていくのかの繰り返しですと、当時から話をしているわけです。2年前でしたか、説明を受けたときに、こんな通り一遍の公式に当てはめたようなデータのとり方はやめてくれと言ったのです。  でなかったら、実際に、県民の皆さんも含めて、県内の事業者がどういう形で、例えば、メディアに映ったけれども、うちは何の恩恵もこうむっていないと言われたとき、それはたちまちではないかもしれないけれども、徐々にこういうところで、こういった数字が出ていますから、出店をどんどんして、アピールしていただいたら、もしくは、こういう形で「ここ滋賀」で情報発信しますから、こういう形で効果が戻ってきますと。ただ、商品が悪かったらだめですとは、つけ加えました。  いいものは皆さんからも提供していただき、それをどんどん発信してもらったら、いいように返ってくるはずですと言っているのに、そういうところは余り意識されていません。あえて聞きますが、1年たって、商品を置かれていた土産屋や旅館などに、年間どうだったか詳細なデータを取られましたか。どこでこれを知られたか聞いたら、「ここ滋賀」と答えられた人が何人だったかデータをとられましたか。  そういう現場の感覚をもっとわかってほしいのです。データを取ったのなら、次にどうしたらいいのか分析してほしいとは思いますが、このような数字を並べてほしいとは思いません。意見にしておきます。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  まさにそういった数字以外の来館者の方、運営事業者の方の声を大事にしたいと思っておりまして、前回の1年の運営の中でも、そういった声も一定、把握をさせていただき、その中で、次の改善に向けてどういうことができるかも考えていきたいと思っております。 ◆海東英和 委員  前回の委員会で、私も、家森委員目片委員が御指摘されたようなことを言っているのですが、そのときに、近隣に富山県、長崎県、三重県など6店ほどあります。もう少し離れた東京駅北口の近くに山梨県と山口県のものがあります。山梨県が2,000万円で、滋賀県でいうびわ湖ビジターズビューローのようなところに任せて、出店者たちで運営をしている話もしました。そういったものと比較できる数字を見せてほしいと言ったのですが、委員長、それは、きょう用意はできなかったのでしょうか。  そのとき申し上げたのは、ブランド総研が報告会をされて、滋賀県は出だしはよく頑張っていると言われたけれども、全国的なランキングのような見方をしたらどうか、と聞いたところ、下から数えて何番目かだろうといったニュアンスをちらりと言われました。ブランド総研にお金を払ってリサーチをしてもらっているわけでしょう。だから、そこがつかんでいる情報で、滋賀県がどれぐらいの位置にあるのかなどは言わないと、教育委員会の目標達成は100%を超えてるのに、全国47位というのと同じようなことになります。  税金は幾らつぎ込んでもいいわけではなく、民間でもやっている事業を、わざわざ滋賀県が乗り出して、なれない県庁職員が右往左往してやっているわけです。そういったことを客観的に見て、民間に全てお願いをする選択肢も絶えず考えながら動く必要があると思っています。前回お願いした、他府県のアンテナショップの比較対象の数字をお示しくださいという話はどうなったのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  申しわけありません。他府県のアンテナショップにつきましては、費用対効果という比較ではなく、来館者数や売上状況について比較できる資料がありますので、後ほど御提供させていただきたいと思います。 ◆海東英和 委員  その資料もお願いします。ブランド総研とのやりとりの中で、もっとリアルな話をされているでしょう。我々には、よくやっていますという数字しか出てこないけれども、ブランド総研がウォッチしているアンテナショップの中で、滋賀県の位置はどうかいう話は聞いておられるのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  アンテナショップにつきましても、具体的に立地、面積や、そこでの性格などで、なかなか一概に比較はできないと思っておりますが、「ここ滋賀」につきましては、面積的にほかのアンテナショップより狭いですので、その中でいかに効果的に魅力を発信するかについて、御意見をいただいているところです。  ブランド総研から、面積が少ない中で、どのように魅力を発信していくかについて、アドバイスをいただいている状況です。 ◆海東英和 委員  開店前から、狭いことも、バックヤードがないことも、広告が出しにくいこともわかっていました。アドバイスを受けている内容は、どういうことですか。契約して、受けているアドバイスなのでしょう。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  まず一つが、商品の並べ方につきまして、当初よりももう少し動線を配慮した商品の陳列の方法などについてアドバイスをいただいているところです。2階のレストランにつきましても、もう少しアイドルタイムの効果的な方法を検討してはどうかも御意見としていただいているところです。 ◆海東英和 委員  そういうノウハウが県庁にはないので、委託業者としてUDSを選んだのでしょう。UDSが至らないから、ブランド総研からもアドバイスをもらうのだとしたら、何か変ではないですか。そのアドバイスをUDSがきちんと聞くように、UDSと話をして改善されるような場面を県庁が世話するのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  「ここ滋賀」と県との連絡会議を毎月開催しておりまして、その場にブランド総研の方にも来ていただいて、いろいろと意見交換をしている状況もありますので、その中で改善していきたいと考えております。 ◆海東英和 委員  運営会社でUDSはずっと聞いてきましたが、ブランド総研がアドバイザーとして張りつくという話は、今まで説明を受けていない気がするのです、けれども、実際そういう体制で行っており、これからもそうするつもりなのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  ブランド総研につきましては、今年度の効果分析の委託をしている位置づけで、効果分析の中での意見として聞いている状況で、アドバイザー的にずっといていただくものではありません。 ◆海東英和 委員  ブランド総研が踏み込んで、入りながら、客観的な評価なんてできないではないですか。客観的評価がとてもできない業者に、客観的評価を頼んでいるという、民間ではありがちなことかもしれませんけれども、そこはやはりUDSに契約内容に従って、効果を発揮してもらうためにもしっかりしないといけないのではないですか。  UDSのプレゼンを聞かせてもらいましたが、それはいいことを言っておられました。そのとおりだったら、もっとうまく行っているはずですし、広報などでも多様なことを言っておられました。美術館のときもそうでしたけれども、プレゼンされた内容で契約したのであれば、内容がきちんと100%実施されるために、県庁ははっきりとしたスタンスをとらないといけないのではないかと思います。UDSのプレゼンで採択したものが、今、出来高として何%ぐらいだと思っておられるのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  なかなか何%かというところは難しいですけれども、当初計画されていた内容については、基本的にはやっていただくことで、UDSと話をさせていただいています。 ◆海東英和 委員  UDSが当初これだけやりますと約束したことを、きちんと一覧表にしてチェックしてください。またそれを追って教えてください。 ○村島茂男 委員長  本職から一言言わせていただきます。陳列の悪さは、今年度当初か去年かどちらかの委員会で指摘していますので、今さら遅いと思いますし、しっかりと対応いただきたいです。  それと、キャパシティーの問題はあるでしょうが、今、家森委員が言われたように、魅力度ランキングと一緒で、情報発信拠点のランキングがあって、今のスペースがあるのだと思いますけれども、ここはこのような利点があるので高いのです、「ここ滋賀」はこういう状況でこの辺ですといった、全体がわかるものがあれば、皆さんももっとわかりやすいと思うのです。数字だけではない部分の説明もいただきたいと思います。 ◆目片信悟 委員  東京にある都道府県のアンテナショップの家賃、売上、物販、それからレストランを含めた売上は幾らか、資料で提供してください。 ○村島茂男 委員長  今の目片委員が求められた資料については上田室長、よろしくお願いします。
    ◆家森茂樹 委員  この数字が信用できないと言いながら質問します。資料の裏面は、前回の委員会で説明を聞いているとのだは思うのですけれども、効果内容別の表の「拠点売上」の「売上(間接)」の2億4,300万円は、どういうものですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  これにつきましては、直接的な売上の金額そのままを滋賀県の産業連関表に当てはめまして、どれだけ滋賀県の県内に効果を及ぼしているかという間接効果を示したものになります。 ◆家森茂樹 委員  それは何ですか。 ○村島茂男 委員長  もう少しわかるように説明してください。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  経済波及効果というもので、例えば、売上が発生したことにより、県内での生産に係る雇用ですとか、原材料ですとか、一つの商品が売れることによってどれだけの波及効果があるかを算出しているものです。 ◆家森茂樹 委員  そうなら、費用対効果の当初計画で、例えば、平成30年度の拠点売上2億2,700万円には、それは入っているのか、入っていないのか、どちらですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  入っています。 ◆家森茂樹 委員  それであれば、この数値は全然信用できないです。これは「ここ滋賀」での売上だと思っていました。ちょっと委員側と執行部側とで採決しましょうか。委員側は、全員が「ここ滋賀」での売上だと思うはずです。執行部側は全員が、「「ここ滋賀」での売上げという考え方ではなく、産業連関表に基づいた波及効果も含みます」と言うのですか。  凄く細かいことを聞いて失礼ですけれども、拠点売上欄のマーケット売上が1億600万円、レストランが7,000万で、両方合わせて1億7,600万円です。そして間接売上が2億4,300万円で、合計の拠点売上が4億1,900万円になると言われます。そうしたら、平成30年度計画の拠点売上2億2,700万円のマーケットとレストランの売上予測は幾らだったのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  平成30年度のマーケット物販の売上計画がもともと8,200万円、飲食については9,700万円の計画でした。 ◆家森茂樹 委員  そうしたら、平成33年度の拠点売上2億7,700万円はどうなりますか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  平成33年度につきましては、物販のマーケットが1億円、それと、レストランの飲食が1億1,900万円の計画です。 ◆家森茂樹 委員  これを見て、今、そんなものだったのかと本当にびっくりしています。平成33年度は物販が1億円、レストランが1億1,900万円と言われましたね。そうしたら、先ほど言われた産業連関表はどうなっているのですか。 ◎上田 観光交流局ここ滋賀推進室長  それに基づいての波及効果を合わせまして、平成33年度に2億7,700万円の数字を出しております。 ◆家森茂樹 委員  素人なのでわからないですけれども、東京の「ここ滋賀」でマーケットの売上が1億600万円、レストランの売上が7,000万円あったら、産業連関表では2億4,300万円の間接売上があるのでしょう。それであれば、何で平成33年は、物販の売上げが1億円、レストランが1億1,900万円あって、産業連関表では5,800万円しか出てこないのですか。産業連関表を知っているつもりでいましたけれども、全然わからなくなってきました。比率は決まっているのではないのですか。  そもそも、これはおかしいと言っておきます。理由は、直接売上の割には、間接売上が大き過ぎるのです。費用対効果の算出に産業連関表を使って、言ってほしくないです。そもそも、この費用対効果で、こうですと言って、強弁しないでほしいのです。  やはり去年から、UDSの運営方法がどうとか、きちんと県がウォッチングして、キャッチボールしながら改善できていったのかなどといった話が出ていて、ことしの4月に「ここ滋賀推進監」ができました。まだスタートして1年目なのに、物すごく費用対効果が出ていますなどと言われなくても、問題点を少しでも改善して、滋賀の物販が進んで、滋賀県にもお客が来てもらえる、そういったアンテナショップに仕上げてくれることを我々は望んでいるわけです。  それなのに、この数字を提示されて、物すごく費用対効果が出ていますと言われると、少しカチンと来るのです。どう見てもおかしいと思う数字を報告してもらうより、4月からこういう改善をしました、これができるようになりました、これは今取りかかったところですので、効果が出るまでもう少し待ってくださいといったことを報告してもらわないといけません。前回の委員会で言わせてもらったのも、そういったつもりで言ったのです。こんな費用対効果の報告をしてもらっても、何億円も広告費を出すわけがないと思うのです。それよりも、実質的な改善方法をもっと皆さんで工夫してくださいという話です。もうこれは、意見でとめておきます。 ○村島茂男 委員長  室長、想像の世界はもういいです。委員会名に「しがブランド推進対策」とありますので、意見をもらって、もっと実質的に進められる形でお願いします。 ◆冨波義明 委員  実感として、果たしてこれでいいだろうかと思っていたのです。  きょうの前川さんの話を聞いたら、ストンと落ちるところがありました。それに比べて、「ここ滋賀」はいくら言っても、何かわかってもらえないと感じているのです。今後の要望だけにしておきますけれども、滋賀県の名産品をどれだけ売るかをやっていたのでは、せっかくの一等地に設けている意味がありません。きょうはいろいろな切り口から言われました。オーガニックコスメのことをライフスタイル雑貨と言われました。SDGsの考え方がその先にあるのかもしれませんが、生き方や考え方、暮らし方を中心にした商品や、売り方で滋賀の魅力を発信していかないといけないと思うのです。  しがブランドといえば何かと言われたら、きょうの話では、健康、環境、生き方などを、特に東京の人は求めておられる気がするのです。名産品などではなく、もっと深いところのものを、「ここ滋賀」でしがブランドとして売っていかないといけません。そうすると、目片委員がおっしゃったように、人から選ばれるようにもなりますし、観光など、さまざまな指標にも数字が反映され、上がるはずです。  逆に数値などが落ちている状況で、いくら費用対効果が出た、4.8あると言われても、やはり目に見える形で数字を出そうと思えば、滋賀の魅力を違う切り口で売っていかないといけないと思います。要望です。 ○村島茂男 委員長  この委員会で求められた資料については、しっかりとわかりやすいものを提出いただくようお願いします。 閉会宣告  15時25分  県政記者傍聴:時事通信  一般傍聴  :なし...