滋賀県議会 > 2018-10-02 >
平成30年 9月定例会議(第9号~第15号)-10月02日-06号
平成30年決算特別委員会−10月02日-01号

ツイート シェア
  1. 滋賀県議会 2018-10-02
    平成30年 9月定例会議(第9号~第15号)-10月02日-06号


    取得元: 滋賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    平成30年 9月定例会議(第9号~第15号)-10月02日-06号平成30年 9月定例会議(第9号~第15号)                 平成30年9月定例会議会議録(第14号)                                       平成30年10月2日(火曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         平成30年10月2日(火)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第110号から議第132号までおよび議第134号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか23件)の各議案に対する質疑ならびに質問  第2 議第135号および議第136号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第8号)ほか1件)(質疑)  第3 議第137号および議第138号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)ほか1件)(知事提出)  第4 議第116号から議第120号までおよび議第132号(平成29年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについてほか5件)(決算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任)            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  第2 日程第2の件  第3 日程第3の件  第4 日程第4の件            ──────────────────────────────
    会議に出席した議員(43名)    1番   桑  野     仁       2番   周  防  清  二    3番   村  島  茂  男       4番   加  藤  誠  一    5番   竹  村     健       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       11番   藤  井  三 恵 子    12番   杉  本  敏  隆       13番   節  木  三 千 代    14番   駒  井  千  代       15番   山  本     正    16番   大  橋  通  伸       17番   冨  波  義  明    18番   井  阪  尚  司       19番   木  沢  成  人    20番   中  村  才 次 郎       21番   佐  藤  健  司    22番   目  片  信  悟       23番   有  村  國  俊    24番   大  野  和 三 郎       25番   岩  佐  弘  明    26番   山  本  進  一       27番   富  田  博  明    28番   細  江  正  人       29番   高  木  健  三    30番   生  田  邦  夫       31番   川  島  隆  二    32番   奥  村  芳  正       33番   野  田  藤  雄    34番   西  村  久  子       35番   佐  野  高  典    36番   家  森  茂  樹       37番   吉  田  清  一    38番   粉  川  清  美       39番   成  田  政  隆    40番   九  里     学       41番   清  水  鉄  次    43番   柴  田  智 恵 美       44番   今  江  政  彦    45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             青  木     洋               選挙管理委員会委員長代理    大  井     豊               人事委員会委員長        西  原  節  子               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               代表監査委員代理        奥        博               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             由  布  和 嘉 子               総合政策部長          福  永  忠  克               総務部長            藤  本  武  司               県民生活部長          浅  見  孝  円               琵琶湖環境部長         廣  脇  正  機               健康医療福祉部長        川  崎  辰  己               商工観光労働部長        江  島  宏  治               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          川  浦  雅  彦               会計管理者           青  木  幸  一               企業庁長            桂  田  俊  夫               病院事業庁長          宮  川  正  和               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            廣  瀬  年  昭               議事課長            山  本  昌  男               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(川島隆二) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(川島隆二) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大井豊委員が、また、公安委員会堀井とよみ委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員が、また、北川正雄代表監査委員が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として奥博監査委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(川島隆二) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第110号から議第132号までおよび議第134号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか23件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(川島隆二) 日程第1、議第110号から議第132号までおよび議第134号の各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、12番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。9月27日の一般質問の帰りがけに、大津駅の改札口で小寺裕雄衆議院議員とばったり会いました。沖縄からの帰りだったそうであります。その沖縄の知事選挙で、玉城デニーさんが勝利をされました。地方自治を尊重する民主主義の国家なら、辺野古への基地建設はやめる以外にないということを強く主張して、質問に入りたいと思います。  これからの日本は、さまざまな災害に関してかなり過酷な状況に入っていく可能性があります。1つは、異常気象です。豪雨、台風、竜巻、災害級の猛暑など、これらは明らかに地球環境の異変、気候変動が根っこにあります。  もう1つは、地震です。日本列島が非常に不安定な状況に入りつつあります。したがって、防災面で党派を超えた抜本的な対応をやらなければならない非常に重要な時期に来ているということを念頭に置いて、台風第21号に関する質問をいたします。  9月4日の台風第21号は、県下で観測史上最大の暴風が吹き荒れ、死傷者が出、広範囲に被害をもたらしました。過去の台風と比べて、今回の台風とその被害はどのようなものと捉えているか、答弁は全て知事にお願いいたします。 ○議長(川島隆二) 12番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  今回の台風第21号では、日最大瞬間風速が彦根で46.2メートル、今津で35.9メートルなど、県内7カ所で観測史上最大値を記録し、お亡くなりになった死者2名、負傷者74名、また、多くの住家被害やビニールハウス等農業施設にも被害がございました。  本県における過去の台風被害では、水害、土砂災害による床上・床下浸水など雨による住家被害が多かったのですが、今回の台風は暴風による住家等への被害が多く、改めて風害への備えの重要性を認識したところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)過去にない強い風が吹いた、暴風の台風であったというふうに思います。そして多くの被害が出たんですけども、私がお聞きしたいのは、知事はミシガン州との姉妹提携50周年記念式典に出席するため、台風直撃の翌5日に渡米されました。観測史上最大の暴風が吹き荒れ、相当な被害が見込まれる中で、滋賀県を離れることについてどのような判断をされたのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 台風第21号への対応については、当日の予定していた出発時刻をおくらせて、防災担当部局から被害状況の報告を受け、各市町の避難勧告等の発令状況、避難者数等を確認した上で、県を離れる出発の途についたところでございます。  なお、海外滞在中におきましても、西嶋副知事を本部長とする災害警戒本部から随時報告を受け、対応の指示等行ったところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)どういう判断をしたのかいうことをお聞きしたんですけども、私はミシガン州との交流に水を差すつもりはありません。ただ、県民の生命と財産を守ることは、知事の第一義的仕事だと思います。これだけの台風の直撃を受け、被害の全貌もわからない状況で知事が県を離れる、しかも1週間も離れるというのはいかがなものかなと私は思います。知事の本分とはどのようなものと考えておられるのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 知事の本分とは、常に自問自答しているところでございますが、24時間365日、県民のために、県民とともにということではないかと存ずるところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)大阪府の松井知事も台風3日後に沖縄に選挙応援に行き、その後、関空が使えないから、中部国際空港からヨーロッパへ万博誘致に行きました。これが相当批判を受けております。安倍首相は、7月の西日本大水害のときに、ヨーロッパへの訪問を中止をしました。  アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁が、大規模災害時にトップのとるべき態度として、1点目、疑わしいときは行動せよ、2つ目、最悪の事態を想定して行動せよ、3つ目、空振りは許されるが見逃しは許さないという行動原理を示しています。こういうことも参考にして、県民の命と財産を守るということを第一に県政に当たってほしいと要望しますけれども、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 今、御紹介いただきました組織の長たる者の行動の要諦と、また、今、議員からいただきました県民の生命と財産を守るためにしっかりと行動せよという、そのことはしっかりと受けとめて、今後の対応等に生かしてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)農業被害については藤井三恵子議員が取り上げましたので、家屋と水産業の被害について質問するつもりでしたが、きのう、山本正議員が住家被害について大変すばらしい質問をされました。それと重なりますので、家屋の被害について、2点要望しておきたいと思います。  1つは、米原市の竜巻のときも、今回の海津地区にも、直後に私は視察に行きました。海津での家屋被害は、米原市の竜巻被害と同程度か、それ以上になっていました。屋根が吹き飛ばされたのが2棟、150メートルにわたって電柱が倒壊。重要文化的景観ということで保存されている湖岸の巨木の大小枝が折れ、風下の全ての家屋が屋根などに損壊が出ていました。こうした海津を含む全県の被災された方への手厚い支援をぜひやっていただきたい。  もう1つは、きのうも議論されましたけども、家屋被害の全貌を把握することを望みたいと思います。災害問題に詳しい関西大学特任教授の河田惠昭さんは、災害は8年間は大きな関心事で、15年後には被災世帯の40%は危険とは思わなくなり、甚大で広範な災害でも、その記憶は30から40年で薄れ、100年後には忘れられてしまうと言っています。  私の家も作業小屋が被害を受けました。この質問で協議をした防災課の担当職員も家の被害を受けたそうであります。全ての家が瓦が飛ぶなどの被害を受けた集落もあります。恐らく全県で相当な家屋の被害が出ているはずです。今後も、このクラスか、それ以上の台風が襲来する可能性があります。今回の台風による家屋被害を市町や自治会の協力を得て全貌を把握し、記録として残し、防災に生かしていただきたい、このことを強く求めたいと思います。  それでは、水産業被害について質問をいたします。  台風21号による水産業への被害の詳細をお尋ねします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  水産業の被害につきましては、9月27日現在で、外来魚駆除用を含めて、えりの損傷70統、漁船の沈没損傷26隻、防波堤など漁港施設の損傷12件、漁協倉庫のシャッターや屋根の損傷など水産施設の損傷34件、養殖施設の損傷9件、その他県漁連施設等損傷6件と、157件の被害報告を受けております。  特に琵琶湖北西岸におきましては、南東からの猛烈な風と高波により被害が甚大となり、えり4統が過去に例のない全壊となり、また、漁港内で漁船15隻が沈没したところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)日ごとに被害が広がっているようでありますけれども、アユの不漁と、それから、こうした災害がさらに琵琶湖の漁業の低迷に拍車をかけていると思います。  ここでお聞きしたいんですけども、琵琶湖の漁業者数と漁獲量の推移はどのようになっていますか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 国の統計によりますと、琵琶湖の漁業就業者数は、今から50年前の昭和43年には2,926人でございましたが、その後10年ごとに見ますと、昭和53年には2,419人、昭和63年には1,620人、平成10年には1,111人、平成20年には824人、直近データである平成25年には687人と、就業者数の減少に歯どめがかかっていない状況でございます。  一方、琵琶湖の漁獲量の推移は、同じく昭和43年には5,980トン、10年ごとに見ますと、昭和53年には5,492トン、昭和63年には4,200トン、平成10年には2,394トン、平成20年には1,368トン、直近データでございます平成28年は947トンと、就業者数の減少と同様に漁獲量の減少が続いているという、こういう状況にございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)特に平成に入ってからの落ち込みが激しいと思います。昭和43年といいますと今から50年前だと思うんですけども、そのときと比べて漁獲量も漁業者数も5分の1くらいに減っているという深刻な事態で、琵琶湖博物館が出しているブックレットを見ますと、明治時代で大体漁獲量は1,000トンで推移していたと。だから現在の947トンという漁獲量というのは、明治時代に匹敵するような、そういう後退をしているいうことだと思うんです。  資源が減少し、それから高齢化が進み、そしてこういう災害が年々ふえているという状況のもとで、多くの漁業者が働く意欲を失っています。今回の被災を機に、廃業を考えざるを得ないという漁業者もいます。  平成32年には1,600トンにするという漁獲量の目標、水産業基本計画は赤信号がともっていると思いますけれども、本当に今の琵琶湖の漁業というのは危機的な深刻な事態に陥っていると思うんですけども、これについての認識をお尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) 今もお答えいたしましたとおり、漁獲量が減少している中、昨シーズンは最重要魚種であるアユが記録的な不漁となったこと、また、担い手となる漁業者の減少に歯どめがかからないなど、極めて厳しい状況にあると認識しています。  さらに、今回の台風第21号では観測史上最大の瞬間風速を記録し、えりを初め深刻な漁業被害が発生いたしました。この台風被害を契機に高齢化した漁業者の廃業が進めば、漁業就業者の減少に拍車がかかり、さらに琵琶湖漁業の再生にとって危機的な状況になると認識しております。
    ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)そこで、今回の被害を受けた漁業者は、えりの復旧、壊れた船の廃船処理、水面占用料の支払いなどの大きな負担があります。水産被害に対してどのような支援を考えておられるのか、答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) まず、琵琶湖漁業の重要な漁法であるえりにつきましては、4統が全壊するという過去に例を見ない甚大な被害で、廃業が懸念され、水産業全体の衰退につながりかねないという状況も踏まえ、全壊したえりの再建を通じて地域の活性化を図り、もって県の水産業の振興に結びつくよう、地元市が行う取り組みに対して支援を行いたいと考えているところでございます。  漁港施設につきましては、防波堤や漁船をつなぎとめる係留施設などが破損したところがございまして、被害状況を国に報告し、災害復旧に係る手続を進めているところでございます。  漁船被害に対しましては、県内漁船の半分弱が加入している漁船保険により対応いただいているところです。  また、漁業者の災害復旧に係る資金につきまして、低利子の滋賀県水産振興資金の活用を働きかけることとしております。  こういった取り組みとあわせて、これまでから実施しております種苗放流、ヨシ帯や砂地の造成、外来魚やカワウ対策および就業者確保などの施策をしっかりと進めることにより、本県水産業の振興を図ってまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)琵琶湖の漁業いうのは特殊性がありますので、漁業者が本当に支援を受けてよかったと思えるような支援をぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、障害者施設整備について質問をします。  補正予算第5号に計上されている民間児童福祉施設等整備助成費の大半を占めているのは、近江八幡市において岡山県の社会福祉法人三穂の園が行う障害者施設整備であります。この件については、2月の予算特別委員会の全体質疑で、不公正な公募を追認することの問題点を指摘しました。今回は、この施設整備にかかわる別の問題点を明らかにしたいと思います。答弁者を指名しない場合は、健康医療福祉部長に答弁をお願いします。  (資料掲示)この表の資料は担当課からいただいたものですが、今提案されている補正予算では、今年度の当初予算で計上されているグループホームに関する補助金を623万円余減額し、新たに障害者の通所施設整備に関する補助金1億1,754万円を計上しています。その結果、補正後の補助金は、グループホーム整備に7,966万円余、通所施設整備に1億1,754万円、合計1億9,720万円余となりますが、この内容に間違いありませんか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  近江八幡市におけます施設整備の内容でございますが、ただいま議員から御紹介ございましたとおり、社会福祉法人が安土健康づくりセンター悠々元気園の建物等を活用いたしまして、10人定員の建物3棟のグループホーム、それと、いずれも20人定員の生活介護および就労継続支援B型の事業所を整備する計画でございます。  補正予算の内容につきましては、当初予算で計上いたしておりましたグループホーム分8,590万円につきまして、国庫の補助単価の改正によります増額と国庫補助の9割内示による減額の差し引きで623万2,000円を減額し、また、国庫補助の採択によります生活介護と就労継続支援B型分1億1,754万円の増額、合わせまして全体で1億1,130万8,000円の増額をお願いしているものでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)つまり、当初予算と今回の補正予算で約2億円の国、県の補助金を受けて、三穂の園が旧安土悠々元気園の敷地内にグループホームと通所施設を同時に整理するということです。  そこでお尋ねしますが、障害者の施設における職住分離、働く場と住まいの場を分ける職住分離とはどのようなものか、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  職住分離につきましては法令等で定められたものではございませんが、障害者の方の中には意思表示が難しい方もおられまして、住まいの場と日中活動の場が一体の場合には、その意思確認ができないまま敷地内で生活が完結し、地域との交流の機会が失われることになるなどの懸念がございますことから、住まいの場と日中活動の場を分離しようという考え方と認識しております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)要するに障害者の施設の中に暮らしの場も仕事の場もあると、入居者の人たちはほとんど施設の中だけで生活が完結できるため施設から一歩も外に出なくなる。これでは行動範囲が狭くなり、生活にめり張りがなくなり、かかわり合う人も施設職員と入居者に固定され、人間関係も閉鎖的になります。毎日がこの同じことの繰り返しで、暮らしがマンネリ化し、ストレスの原因になります。このため、仕事の場と暮らしの場を分ける職住分離の原則がうたわれているんだと思います。これは障害者の権利を保障する大変大切な問題だと思います。  そこでお伺いしますけれども、本県ではこれまで、障害者の通所施設と同一敷地内でのグループホームの整備の要望や計画が出された場合、どのような対応をしてきたのか、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) これまでからそのような御相談がありました場合には、先ほど答弁いたしました職住分離の考え方から、事業者の方にそのような懸念をお伝えし、事業者のほうでその旨を判断し、対応をいただいていたというふうに考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)確認しますが、グループホームと通所施設の同時整備は、今まで認めてこなかったということでよろしいですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 指定基準におきまして、明確にそれを禁じているものはございません。したがいまして、事前にそういうような御相談がありましたら、そのような懸念があるということで、事業者の方に再考いただくということをお話し、考えていただいていたということでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)だから、2つの施設の同時整備は今まで認めてこなかったんですね。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 最終的に協議書という形としてこういう施設整備につきまして案件が上がってまいりましたのは、今回が初めてでございます。  したがいまして、今まではそういう懸念をお伝えする段階で、事業者の方で御判断いただき、対応をいただいていたということでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)10年ほど前に、近江八幡市の社会福祉法人ことぶきディーワークスという作業所が、通所施設の敷地内でのグループホームの整備を要望されたが認められなかったと。それから、最近では東近江市の社会福祉法人蒲生野会が、グループホームの隣接地に通所施設を整備をしようとしたが、これも県が認めなかったということをお聞きしました。  つまり、滋賀県では同じ敷地内でグループホームと通所施設の整備は、協議書が出されるか出されない以前の問題として、認めてこなかったというのが現実なんですよ。それ、間違いないですね。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) ただいまお答えいたしましたとおり、そのような懸念があるということを事業者の方にお伝えをいたしまして、計画の内容等の変更については事業者のほうにおきまして御判断いただいたものと考えておりまして、最終的に協議書が出され、それを認める認めないというお話については、今回が初めてでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)(資料掲示)次の2枚の資料を見ていただきたいんですけども、これは我が党の近江八幡市議が市からの情報公開で取り寄せた資料です。黒塗りがされているんですけども、これはコピーなんでわかりませんけども、原本を見ると裏から名前が透けて見えていました。  2年前の7月の12日、近江八幡市長が加藤厚生労働大臣に面談したときの報告書であります。最後の①、②と書いてある資料は、そのときに使われた資料だと思われます。  何のための面談だったのか。この報告書を素直に読み解くと、新たな入所施設の整備は国の方針で難しい、そこで通所施設とグループホームを同時に整備したいが、職住分離の問題があって県との交渉が難航している。市長は厚生労働大臣に対して、同一敷地内の既存の建物で居住と就労を一緒にできるようにお願いしたいとし、市の部長は、「居住と就労を同じ建物で実施したいが、入所施設の許可がおりない。他府県では認められている例もある」と発言しています。  まずお尋ねしますが、この施設整備において、県と市の協議はこの数年間どのような経過をたどってきたのか、詳しい説明を求めます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  この安土健康づくりセンター悠々元気園の建物等を活用した障害福祉サービス事業所の整備計画につきましては、具体的な箇所を示して近江八幡市からお話を聞きましたのは、平成28年7月が初めてでございます。ただし、それ以前から、一般的な整備についての考え方につきましては、お問い合わせを受けていたところでございます。  その平成28年7月にグループホームと通所事業所を同一敷地内に整備する計画をお聞きしまして、指定基準についての確認がございましたため、今ほど答弁を申し上げた懸念があることをお伝えした上で、基準上は指定ができないというものではないという旨をお伝えしたところでございます。  県の懸念に対しましては、市のほうから、グループホームにつきましては、市内で入居を希望しておられる50歳を超えられた親亡き後の住まいを必要とされている方などを対象といたしまして、通所事業所については、今後養護学校を卒業する方などを対象とすることなど、両施設を一体で利用する計画ではないという御説明を受けております。  そして平成29年度に入りまして、市より今回の計画による整備を前提に、図面などにより詳細な指定基準等の確認があった後、9月に事業予定法人から協議書の提出があり、平成30年度の施設整備予算を計上したところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)この報告書、2枚目の一番上段、部長が、「県障害福祉課と協議している。県の段階で難航している」、こう言っているんですよ。これ、7月の12日なんです、2年前の。  今答弁されたように、7月以前からやりとりがあったということなんですけども、そのときには職住分離の問題があって、グループホームと通所施設同時の整備は、同じ敷地内、同じ建物、できないということを県は言ってたんですよね。それ、間違いないですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 先ほど御答弁いたしましたとおり、御相談の段階で一般論としてお話を聞いた際には、職住分離の考え方、懸念をお伝えするということは、いたしていたと思います。そのことをもって難航していたとおっしゃっているかどうかは、近江八幡市さんの復命でございますので、私としては把握をしかねるところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)だから、難航しているいうことは、県がその施設整備についてだめだと。これまで一つも認めてきてないんですよ、滋賀県は。通所施設とグループホームを同じ敷地内で整備することは、職住分離の原則に反するから認めないという方針できたのを、この平成28年の8月にその考え方を変えた。そこに何があったのかいうのが問題なんですよ。  なぜ、この職住分離の原則を曲げて、近江八幡市のこの施設整備を認めるような経過になったのか。もう一度説明してください。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 先ほど御答弁いたしましたとおり、一般的な考え方として職住分離の考え方、懸念をお伝えし、事業者の方にはその点を踏まえていただくようお願いしているところでございまして、今回の近江八幡市の案件についても同様の対応をしておりますが、特に今回のこの平成28年の7月の資料にございますとおり、当初は1つの建物の中にグループホームと通所事業所を設置するという計画でありましたことから、特にそれは入所施設と同様になるということで難しいという御返事をしたということは、担当者の方から聞いております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)同一建物じゃなかったらいいということですか。同一敷地内のグループ整備と通所施設の整備は、認めないというのが滋賀県の原則だったんですよ。これまで一回も認めてないんですよ。それをこの平成28年の8月になぜ認めるようになったのか。  そこで、この報告書をもう一回見ていただきたいんですけども、近江八幡市は滋賀県の姿勢を変えるように大臣に求めているんです。大臣はそれに応える発言をしています。この案件で厚労省から働きかけがあったのか。どのような協議を厚労省としたのか。説明を求めます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) お答えいたします。  これまで議員御指摘のとおり、グループホームと通所事業所を同一敷地内で整備するという国庫補助協議をした案件がございませんでしたことから、こうした補助の協議の可能性、可否につきまして、平成29年度に入ってから問い合わせを行い、厚生労働省のほうから可能であるという回答をいただいたというやりとりをいたしております。  そのほかは、ごく事務的なものでございますが、グループホームと通所事業所の整備の協議そのものを一体的に行うことの可能性ですとか、解体費用が補助対象となるか、あるいは市所有のままで補助対象となるか等の事務的な協議を行った、それが全てでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)だから、職住分離の原則を貫こうとして近江八幡と話をしていたけれども、厚労省からそういうことも可能であるということを言われて、前へ進めたということですね。それでよろしいですか。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 先ほど申し上げましたとおり、職住分離の考え方については、その懸念をお伝えして事業者で考えてはいただいておりましたが、指定基準上はそれを禁止するものではございません。  したがいまして、厚生労働省の回答につきましても、その点を踏まえて、可能であるという返答があったということだと理解しています。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)そこに7月12日に近江八幡市の市長が加藤厚生大臣に面会して要望したことが生きているわけですよね。そういう形で、国の圧力で滋賀県のこれまでの障害者福祉行政の原則がゆがめられている。これは重大な問題だと思うんですけども、知事にお尋ねします。  なぜ、このような職住分離の原則の見地から外れて、今回、近江八幡市でこれを認めるという方針変更を行うのか。知事から説明してください。 ◎知事(三日月大造) 住まいの場であるグループホームと日中活動の場である通所事業所を同一敷地内に整備することにつきましては、利用者本人の意思が尊重されずに敷地内で生活が完結してしまい、地域との交流の機会が失われるような運営がなされる懸念があることから、この整備案件についてもこれまでと同様、そうした懸念を伝えてきたところでございます。そのことは部長も答弁させていただきました。  一方、施設の指定基準においては、グループホームと通所事業所を同一敷地内に整備すること自体は禁じられておらず、事業所が指定基準を満たしていれば指定することが求められていること。また、この事業者は通所施設の利用者とグループホームの入居者を分ける計画も出されていたということでございますので、今回は同一敷地内での整備に対する懸念への対応を確認した上で事務手続を進めたものであり、何ら方針を変更したものではないと理解、承知をしております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)方針変更したんでしょう。グループホームと障害者の働く施設を、同じ敷地内にはこれまで認めてこなかったんですよ。それをこの28年の7月以降、この近江八幡市で可能にした。これ、方向転換でないですか。 ◎知事(三日月大造) いわゆる形上の住む場所と活動する場所を同一敷地内に整備することを全て認めてこなかったところから、さまざまな国との問い合わせ、また事業者による計画の見直し等、そのことによって認めたということであれば、そういう方向を変えたのではないかという議員の御主張は当たるのかもしれませんが、県においては、この審査過程において、事業者とのやりとりにおいて、まず、敷地内に整備すること自体は禁じられてないということと、指定基準を満たしていれば指定することが求められている、さらには入居者と利用者との分ける計画も出されてきた、こういったこと等を踏まえて予算等を計上するに至ったということだと思います。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)指定基準が満たされていれば認めなければならないという発言がありましたけども、それはおかしいんではないですか。  ちょっと調べたんですけども、職住分離の原則というのは、確かに法律とか設備基準で禁じられてはいないんですよ。しかし、これどこから出てきているか。これは国連が1975年に採択した障害者の権利に関する決議というのがありまして、「障害者は、人間としての尊厳が尊重される権利を有している、障害者は、その家族または里親とともに生活し、全ての社会的・創造的活動に参加する権利を有する、もし、障害者が施設に入所する場合でも、そこでの環境や生活状態は、同年齢の人の普通の生活にできるだけ似通ったものであるべきである」としています。つまり、障害の程度や種別にかかわりなく、他の市民と同じ生活条件を保障する。ここに職住分離の根拠があるんですよ。この決議は法的拘束力を持つものではありませんでした。  しかし、2006年に障害者権利条約が採択され、翌年に日本はこの条約に署名をし、以後、国内の整備を進め、2014年に批准をしました。それ以降、生活、労働などのあらゆる場面において、障害者の権利擁護、社会参加の機会の拡大のための環境整備を進めてきました。こういう中で職住分離というのが広がっているんです。  条約は、締約国にこの条約と両立しないいかなる行為または慣行も差し控えることを求め、公の当局および機関がこの条約に従って行動することを求めているんですよ。滋賀県もこの条約を守らなければならないんですよ。そして、知事がよく言われる誰一人取り残さないという国連の持続可能な開発目標──SDGsの中にもこの精神が生かされ、障害者の自立と社会参加への支援が盛り込まれているんですよ。  だから、今おっしゃったように、住まいの場であるグループホームと通所事業所を同一敷地内に整備することは、施設の指定基準上においては禁じられていないというものの、こういう障害者の権利条約やSDGsの見地に照らしたら、これは明らかに知事の言っていることは誤っていると思うんですよ。  指定基準に違反していなければ、職住分離の原則を踏み外してもいい。これは条約に違反する問題ですよ。だから今まで、法律で禁止されていなくても、滋賀県は同じ敷地内にグループホームと通所施設を認めてこなかったんですよ。それを今回変更したいうのが、この現実じゃないですか。  だから、こういう障害者の権利条約あるいはSDGsの見地に立って、この問題についてはやっぱり是正すべきだというふうに私は思いますけども、知事の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 今、議員から御紹介のあった、また強く御主張のあったそういった条約に照らしてどうなのか、また、障害のある人もない人も、とりわけ障害のある人たちが生活の場と働く場所を地域に開かれた形で、周りの方々ともできるだけ近い形で、同じような形で保障していくということの大切さ、これは私どもも同様の考えですので、そういったことが県内各地においても、それぞれの状況、施設においてもしっかりと担保、守られることをこれからも求めていきたいし、改善もしていきたいというふうに思っております。  と同時に、先ほど来お答えしておりますとおり、一定の基準に基づいて申請が出されたものについて、もちろん入居する方と活動される方、通所施設とグループホーム、それぞれできるだけ分ける形でということは事業者にも求めつつも、しかし、基準に照らして出されたものを審査し、必要な施設を整備していく。そのことは恐らく市においても、住む場所を確保したい、また活動される場所をつくっていきたい、そういうことの中で、事業者との協議の上で整備をされようとするものでありましょうから、そういったものも一定整備をしていくということだと思います。その間を冒頭おっしゃった条約等に照らして、しっかりと中身についても整備をしていく、担保していく、このことが大切ではないかと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)それでは、今後、滋賀県では、グループホームを経営されている方が障害者の通所施設を設置する要望を出されたり、逆に通所施設の中にグループホームを同じ敷地内に整備するということが出されたら、これ、認めることになるわけですね。答弁求めます。 ◎知事(三日月大造) そこは、議員、それが出されたから認めるということではないと思います。その中身にもよるでしょうし、その計画内容等をよく審査、吟味した上で、認められるべきは認められるということになるのではないでしょうか。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)滋賀県は糸賀一雄氏以来、福祉の先進県として名をはせてきたわけですよ。ところが、今回このようなことを認めて、障害者福祉に頑張っている人に水を差すようなことを県みずからやるということは、これ、時代逆行ではないですか。答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 糸賀先生の思想、またその実践、それを大事にしながら、今後、各施策に、とりわけ障害者福祉施策にしっかりと貫かせていくということは私たちは大切にしたいと思いますし、同時に、障害のある方の活動の場所、親御さんがお亡くなりになった後でも御自身として自立して住まいしていただく場所の確保、こういったことをあわせてつくっていくという、こういうこともしっかりと行っていきたいと思います。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)最後にまとめておきますけども、滋賀県はこれまで、通所施設の敷地内にグループホームを整備することは、社会福祉法人から相談があっても全て断ってきたんですよ。それを今回、同時に整備をするということを認める。これは明らかに方向転換であります。その方向転換に国の圧力があったということを言わざるを得ないと思うんですけども、こういうことを続けていて、本当に滋賀県の障害者福祉がよくなるのか。  これは余りにも障害者の権利保障いう点で、さっき言われたように、通所施設の入所者がその中の通所施設に行かないような配慮を求めるとかいう話がありましたけども、施設の運営側にとったら、施設の中で行っていただくほうが手軽で済むんですよ。そういう懸念があるから、職住分離の原則で通所施設とグループ作業を同じ敷地内には認めてこなかったいうのが、これまでの原則なわけです。それを投げ捨てて今回やるということは、滋賀県の今後の障害者の福祉行政に非常に大きな悔いを残す、そういう問題だというふうに思います。  翻って、この近江八幡市の岡山県の三穂の園による障害者の施設整備については、公募の段階で不正の問題がありました。そして、今回、こういう障害者の権利条約に背くような整備の仕方が進められている。それに対して、滋賀県は最初は認めなかったけれども変更した。こういうことが滋賀県の行政にあっていいのかということを私は強く懸念をし、そういうことは今後やめていただきたい。  そして、やっぱり職住分離の原則をしっかり守って、障害者福祉、障害者福祉運動がしっかり前進するような滋賀県にしていただきたいということを強く要望しますけども、知事の見解を求めます。 ◎知事(三日月大造) 障害のある人もない人も、それぞれの人権やまた個性がしっかりと認められて、住んでいける、そして働いていける、必要な教育、また活動が行われる。こういうことはこれからも大切にしていきたいと思いますし、同時に、そういった方々の住む場所の確保、また、作業、活動がなされる場所、そういったところをつくる努力も、事業者の皆様方としっかり行っていきたいと思います。  また、累次にわたり事業者に伝えてきた懸念というものがしっかりと改善をされたり、また、それぞれの活動の場所が保障されるということとして貫かれるように、私どももしっかり事業者に対して指導、監督をしてまいりたいというふうに思います。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)滋賀県として、こういうことが正しいということでやっていることに対して、国の圧力とか国の意見とかがあっても、それに左右されずに真っすぐに貫いていただきたい、そういう県政を望んでおきたいと思います。  最後に、琵琶湖に関する3つの問題について質問します。全て知事に答弁をお願いします。  本年度の外来魚の捕獲量が極端に減少している要因についてお尋ねします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  今年度の外来魚の駆除量は9月25日までの集計で44.5トンとなっており、極めて少なく、これは年間300トン程度駆除していた平成20年代前半の同時期に比べ19%となっておりまして、過去最低となっております。  減少の要因といたしましては、これは議員のほうがお詳しいと思うんですが、例年では駆除量全体の8割を占めるブルーギルにおきまして、今年度は2歳以上の大型魚の捕獲が極めて少なく、1歳の小型魚、小さい魚が大部分を占めるため、駆除重量が減少しているものと考えているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)何で小型化しているかいうことについては今後研究されると思うんですけども、この時点で外来魚駆除予算を3分の2も減額するのはなぜか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) これまでの外来魚駆除では、年間駆除量の5割から6割が梅雨時期を含みます4月から7月の間に捕獲されているということでございます。今年度の外来魚駆除量の計画は250トンとしていたところでございますが、7月までの駆除量は35トンにとどまっており、今後、駆除量の大幅な増加は期待できないということから、年間駆除量は多くても85トン程度と判断したところでございます。  一方で、このような状況を受け、速やかにブルーギルの生息実態を把握するため、今定例会議でブルーギル緊急対策事業実施のための補正予算案を提案させていただいたところでございます。その成果を今後の外来魚対策に活用してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)この時点でなぜ減額するのかということについて、もう一回、答弁をお願いします。 ◎知事(三日月大造) 今もお答えいたしましたように、今年度の外来魚駆除量の計画に基づいて予算を計上しております。  しかし、大体その年間駆除量の半分から6割までが7月までに捕獲されるという実態がございまして、今年度を見てみると7月までが35トンであったということから、年間、年度押しなべて見ても85トン程度であろうと判断し、そうであれば、計上していた予算が全て使われない可能性が高いので、基づく補正をさせていただくのが適切であろうということから、この時期に提案をさせていただいているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)ブラックバスもブルーギルも小型化していて、駆除するのにかかる経費が非常に増額しています。これに伴う駆除の単価の引き上げなどで漁業者の外来魚駆除への意欲を強めて、捕獲量をふやす必要があると思いますが、所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 外来魚駆除経費補助の単価につきましては、外来魚の推定生息量と燃料や漁具等の駆除にかかる経費を考慮して算出をさせていただいており、現在、外来魚の駆除1キログラム当たり330円とさせていただいております。  現在の推定生息量は平成26年以降1,150トン前後で横ばいとなっており、単価を見直す状況にはないと考えているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)だから、1キロ330円では、駆除に行っても、例えばブラックバスなんかも一把に200匹ぐらいかかったと。けれども、小さいから目方に乗らへんと。網ばっかり傷んで、駆除にもう行かないと。だから、駆除するのにお金がかかるんだから、その経費に見合った単価を引き上げるべきだというふうに私は思うんですけども、いかがですか。 ◎知事(三日月大造) 現在の駆除対策は、以前に比べ効率的な駆除実績が上がっていない現状にございます。その原因を言っても、あんまり目方が上がらないから行っていただいてないのか、小型化してて十分重量が乗ってこないのか、いろんな原因、要因はあろうかと思いますが、そういったこと等をしっかりと生息実態も含めて、とりわけブルーギルのこの実態を把握するために、緊急対策事業を実施すべく補正予算を提案させていただいているところでございまして、今この時点で単価を引き上げるという、こういう状況にはないのではないかと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)今後検討していただきたいというふうに思います。  2つ目に、水草の問題に行きますけども、琵琶湖に繁茂する水草について、確かに南湖では異常繁殖となっていますが、北湖では明らかに減っています。琵琶湖の水草の量をどのように把握しているのか、していないのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 平成30年度の琵琶湖の水草繁茂状況は、全体的には少ない状況となっております。しかし、台風の影響により、南湖の西岸を中心に漂流水草が多く発生し、船舶の航行障害や悪臭等の生活環境への悪影響を与えているという状況がございます。  琵琶湖の水草の量の把握につきましては、南湖では月1回、魚群探知機や貝びき漁具を用いた調査と、5年に1度、潜水による水草の重量調査を実施しております。北湖につきましては、県として水草の量の調査はしておりませんが、陸上から目視により繁茂状況を調査しているということでございます。  これとは別に、独立行政法人水資源機構琵琶湖開発総合管理所によりまして、6年に1度、琵琶湖全域において潜水による水草の面積の調査が行われているということでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)水資源機構は面積の調査はしてますけども、量の調査はしていません。明らかに、この10数年を見ると、北湖での水草ですね、主にオオカナダモとかコカナダモですけども、これは激減をしております。なぜこれだけ減っているのか、その原因についてどう見られているのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) かつては北湖でもコカナダモ等の水草が大量に繁茂してしまい、船舶の航行障害等が問題となっていた時期もあったということでございますが、近年は水草の繁茂が少なく、大きな問題は起こっていないということでございます。
     水草は過去から増減を繰り返しておりますが、その要因について、現状では十分わかっていないということでございます。  現在、県では研究機関も交えた水草対策チームを設置いたしまして、南湖の水草の繁茂状況の共有と解析、それを踏まえた対策および有効利用について議論を行っており、対策事業を進めながら、水草に関する科学的な知見を集めているところでございます。  この対策チームで集めた知見を生かしまして、北湖を含めた琵琶湖全体の水草増減の原因解明や対策につなげてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)かつては北湖でも今の南湖のような状況があちこちに見られました。これがやっぱり大幅に減ったいうことについては、南湖での今後の水草の動向とか対策についても非常に教訓になることだと思いますので、ぜひ原因解明を進めていただきたいというふうに思います。  最後に早崎ビオトープの現状についてお伺いしますけども、今、早崎内湖ビオトープでは、ハスが一面異常繁殖し水面を覆い尽くしています。こうした現状がビオトープの本来のあり方なのかどうか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 早崎内湖再生事業地のうち、丁野木川より北側の湛水池において、近年これまでに見られなかった規模でハスが急激に繁茂しているということでございます。このような状況がビオトープの本来のあり方であるかどうかは一概に判断できませんが、ハスの繁茂状況を含めて、生態系の状況について今後とも注視していく必要があると考えます。  早崎ビオトープでは、地元住民、NPO、学識者などからなる早崎内湖再生保全協議会との協働で生態系調査を行い、その結果を踏まえた事業推進を図る順応的管理を実施しております。  こうした順応的管理を着実に進めながら、早崎内湖再生事業の完成後のビオトープのあり方について、協議会の皆さんの御意見も聞いて検討してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)最後ですけども、早崎内湖ビオトープについては、水産関係者から在来魚種の繁殖場となることが期待されてきました。これにどう応えていくのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 早崎内湖再生事業は、かつて早崎内湖が有していたフナなどの在来魚類の産卵、生育の場としての機能を再生させることを目指しております。  平成13年度に試験的に湛水して以降に実施したモニタリング調査の結果、在来魚類を初め多様な生物の生息が確認されております。  現在実施中の工事を着実に推進し、琵琶湖とつながる内湖として本来の機能を再生し、琵琶湖における在来魚類のにぎわいを目指してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)その内湖の魚の復活とにぎわいですね、早くやらないと漁師がいなくなってしまうというふうな現状になりかねないと思います。ぜひとも当初の目的が早く達せられるように努力をお願いして、質問を終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、12番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  次に、34番西村久子議員の発言を許します。 ◆34番(西村久子議員) (登壇、拍手)けさの新聞各紙の一面に、うれしい四文字が踊っておりました。御存じのように、本庶佑京大特命教授というんですか、その方のノーベル医学賞が決まったというお知らせでございました。非常にうれしいニュースであり、皆さんとともに心から御祝いを申し上げたいと思います。と言いながら、下村議員の例もございます。オプジーボのいいお薬があってもかなわなかった。残念な思いを、早く見つける、早く対処する、そういったことを皆さんと肝に銘じて反省してまいりたいと思います。  それでは、今期定例会議、私は2問、分割によって質問させていただきます。誠意ある御答弁をお願いします。  最初に、滋賀の環境こだわり農業について、知事と農政水産部長にお伺いをいたします。  今日まで滋賀県では、環境こだわり農業への取り組みは日本一と自負してきました。日本一の琵琶湖の環境保全には農業のかかわり方が重要視され、不自由さを感じてはいても、琵琶湖の水質のためにはと、全国に先駆けて化学肥料や合成農薬を慣行施用の半量にまで減らした栽培方法を県を挙げて指導し、実践に努めてきたところです。  生産された作物には、環境こだわり米を初め、環境こだわりシールを張りつけて消費者へアピール、安心、安全を売り物に、理解を得て一定の認識を得てきております。県が始めた環境こだわり農業への助成金制度は、国が吸い上げて全国的な展開となり、今日に至っていると自負しています。  しかし、近年になり、国の農水省から環境保全型農業直接支払制度の見直しが提示され、農家には大きな不安材料となっていました。県においても、たびたびとこの問題に対しては、滋賀の農業の根幹にかかわるものとして、たとえ国の助成金が不足しても、従来約束されていた補助金については滋賀県において補填することを確約し、推進を図られてきたところであります。  先日、食のブランド推進課から、平成30年度環境保全型農業直接支払交付金の割り当て内示額の説明を受けました。それによると、平成30年2月時点での交付金要望額に対し、実際には全国の実施面積は予想より少なく、最終的には不足額は生じないと見込まれたものでありました。  もともとこの取り組みについては、国は全国共通を主張し、比較的難易度の緩い地域特認を従として、今後の方針は全国共通を優先するとされてきたものであります。滋賀県においては地域特認が大勢を占める中で、その存続が幾度も問題視されてきました。今回の状況を受け、県の補填の必要はなくなりましたものの、今後の課題として、環境こだわり農業取り組みへの問題を探ってみたいと思います。  国においては、これらの交付金について平成31年度、制度そのものの見直しを提示されており、それを受けて、滋賀県においても見直しが示唆されてきております。今回の説明において、予定されていた平成31年度国の制度見直しは実施されず、その翌年度にずれ込むと見込まれているようであります。この状況は、単に今年度逃れられた、まずはよかったという類いのものではないと考えます。  農政水産部長に聞きます。  まず、滋賀県において環境こだわり農業の取り組みを始めた経緯と、その後、これが滋賀県農業のスタンダードになり得たかを聞きます。なぜ、ここに来て、国全体において環境保全型直接支払交付金への取り組みが平成30年2月時点の要望額に対して減ったと考えられていますか。また、滋賀県においてはどうでしょうか。  環境こだわりへの取り組みが生産物に対する価格評価に反映されているのが低いことから、高い肥料、人力に頼る除草等のリスクを考えると、束縛を受けない形で多収したほうが経営としては効率がいいのは当然のことでしょう。事実、近在の若手経営者の中からも、わずかの助成金で環境こだわりにくくられるのはたまらん、もうこだわりはごめんといった声もたびたび聞いてきたところです。  しかし、世界農業遺産登録を目指す滋賀県において、この取り組みの必要性は必須ではないでしょうか。滋賀の農業の環境こだわりの位置づけは今後どのように変わるのでしょうか。  古来より未来につながる預かり物として琵琶湖を考えるとき、国の制度見直しによりどんなに変わったとしても、滋賀において環境こだわりを放棄してもいいとは考えられないのです。環境こだわり農業の県での位置づけが明示されないと、農家は不安きわまりないのです。消費者はあくまで食の安心、安全を求めます。そして、それのみならず、自然環境への影響も高く評価されるようになったことは歓迎すべきことです。  安心、安全プラス環境の指標に、今日おなじみの環境こだわりのほかに、GAP認証取得やオーガニック農業が注目を集めるようになりました。これらは既に一部先進的農家が取り組みを始められているようですが、それらはどのような取り組みや栽培方法なのか、あわせて県内での実施状況を問います。  今議会知事提案説明の中で、新たな滋賀県基本構想は11月末に提示されると聞きましたが、8月末時点の原案には、今日まで取り組んできた環境こだわり農業の定着の上に、その取り組みをさらに進めたオーガニック農業の広がりを期待するかのような表記があります。また、代表質問答弁の中では、その安定生産技術を確立しつつあるとありました。  オーガニック農業について、知事に聞きます。  オーガニック農業は理想ではあっても、今まで取り組んできた環境こだわりの類いではありません。本気でこれを推進していこうとお考えなのでしょうか。  限られたエリアで一部には可能であっても、非常にハードルの高い農法であり、関連産業界にも大きな影響を及ぼします。また、農業に従事する人が減少の今日、努力を必要とする農法は至難のわざ、リッチな農業を目指す若手経営者に受け入れられるでしょうか。県の農業スタイルとして目指すには、その生産の確実性は全く不安定に思います。トラクター、田植え機、除草機、コンバイン等々IT活用の農機具を活用しても、薬剤は化学に頼らざるを得ません。いもちや白葉枯れ、紋枯れ、ウンカ、カメムシ、その他の気象によってさまざま発生するのが現実です。  知事が、これからの滋賀の農業として、環境や安心、安全にこだわった高い付加価値を持つオーガニック農業に期待されるのも理解できますが、担当部として農政水産部長の見解はいかがでしょうか。  続けて、農政水産部長に、米消費の動向について聞きます。  一般に米の需要は近年どう分析されていますか。給食でパン食にならされた年代は、その後、米離れが目立ちました。しかし、現在での学校給食では米飯のほうが多く扱われています。おのずと御飯を喜ぶ若年層の声を聞きます。家庭での御飯はどうですか。コンビニでのおにぎりは圧巻です。外食系はいかがですか。家畜までもが米を食べる時代です。農業生産に米が大半を占める滋賀県において、どの消費層を相手にするのが米余りの時代に堅実であるのか知っておく必要があると考えます。そして、求められる米を多く生産することが、安心して再生産に取り組めると思うのです。  環境こだわりの米づくりの原点を考えるとき、農業排水にはしっかり注視する必要があります。一番多い栽培方法が環境こだわりでないと意味をなしません。業務米の需要は目覚ましいものがあると聞いていますが、それが求める米は何なのでしょう。オーガニックに特化した高い安心、安全の米でしょうか。安くておいしい米でしょうか。安い米は反収が多くないと成り立ちません。そして、おいしく、安心、安全が約束されればなおよしです。琵琶湖の水質環境を重視するとき、県が力を入れていく取り組み方法はおのずと絞られてくると思います。  地球温暖化により年々高温の傾向であったものの、本年は特に、もはや災害と言われるほどの炎暑でした。そんな中でも、滋賀県育成のみずかがみについては元気で収穫を終えることができました。熱さと台風到来の季節までに収穫できる品種と育成されたみずかがみは、3年連続の特A米と自慢の品種です。ことしの収穫において、その成績はいかがでしたでしょうか。まず状況を聞きます。  各地にいろいろの新品種が開発され、土地に合った品種としてさまざまの銘柄が出てきました。1つの品種を育成するにも長期による努力が必要でありますが、自然環境はどんどん変わっていきます。その変化に対応する品種を育成し続けなければ、米生産県の位置づけが剥がれてしまいます。新潟の魚沼こしひかりにしても、新之助というさらにおいしいお米が広まってきています。ビッグなみずかがみの登場でしたが、その後の滋賀の品種開発はどうなっていますか、お聞きします。  ことしの作柄は、台風21号の強風でさぞかし全面倒伏と憂慮されていたにもかかわらず、倒伏は免れても、一面にこぼれ米が多く、痛い減収となりました。なかなか願いに沿うような品種の育成は御苦労多いことと思います。  その土地に合った品種開発というものは常に努力努力で開発し続けなければ、時代の求める米は生産することはできません。種子はどこからでも入手することができますが、その地に合った米というものは滋賀の試験場でなければできない。こうした努力と環境こだわりが合致してこそ、滋賀のお米がそれなりの評価を受けるものと思います。  いろいろの特化した栽培方法がある中で、滋賀のお米は環境こだわり米との位置づけを定着させていただきたい思いで質問いたしました。絶対にその旗はおろさないと固い約束のもとに、農家に自信を待たせてほしいのです。続けるためには、どうなるかわからない国の見直しに惑わされずに、これでいくんだという支援を続けていただくことを願うものですが、最後に知事の所見を求めます。 ○議長(川島隆二) 34番西村久子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)滋賀の環境こだわり農業について10点御質問いただいたうち、私に対する2点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、オーガニック農業の推進についてでございます。  米政策の見直し等により産地間競争が激しくなる中で、日本一の面積である環境こだわり農業の取り組みに加えて、オーガニック農業を象徴的な取り組みとして打ち出すことで、環境こだわり農産物全体、ひいては近江米や本県農業のブランド力向上にもつながるものと考えています。  また、SDGsの取り組みが全国的にも広がりを見せる中で、新たにオーガニック農業の推進を打ち出すことは、時宜を得たものであると考えております。  生産面では、今年度、水稲の乗用型水田除草機の現地実演会を県内6カ所で開催いたしましたところ、150名を超える御参加がありました。その参加者を中心としたアンケート調査では、約4割の方が、販路があればオーガニック農業を経営の一部に取り入れたい、または拡大したいという回答をいただいたというところであり、農業者の関心の高さを感じています。  一方、その販路につきましては、オーガニック農産物の売り上げを約3倍の5%にまで拡大しようとする大手量販店などがあらわれ、本県の取り組みにも興味を示していただいていることから、今後、大口の需要も一定見込める状況にあると認識しております。  こうしたことから、オーガニック農業は十分に可能性があるものであり、今後は農業者や関係団体と一丸となって、環境にこだわる滋賀ならではのきらりと光る象徴的な取り組みとして大切に育てていきたいと存じます。  2点目、国の制度見直しに惑わされない今後の支援ということについてでございますが、環境こだわり農業は、近畿1,450万人の水源であり、さまざまな恵みをもたらす琵琶湖の保全を図るとともに、安全で安心な農産物を消費者に供給するため、本県農政の柱に位置づけて推進してきたところであり、その重要性はますます高まってきているものと考えております。  環境保全型農業直接支払交付金につきましては、平成32年度から制度見直しに向け、現在、国において検討が進められているところです。  国に対しましては、環境保全効果が高い地域特認取り組みの継続と安定的な制度運営について引き続き要望するとともに、県といたしましても、国の制度見直しの方向も踏まえ、環境こだわり農業の持続的な発展が図れるよう、環境こだわり農業推進基本計画の見直しを現在進めているところでございます。  その中におきましては、1つ目、環境保全型農業直接支払交付金の活用や生産技術の普及などによる環境こだわり農業の一層の拡大、2つ、みずかがみに加えて、環境こだわり栽培で育てたコシヒカリなどの有利販売、流通拡大に向けた取り組みの強化による農家所得の向上、3つ目といたしまして、オーガニック農業を象徴的な取り組みとして推進することによる環境こだわり農産物のブランドの向上を図っていくこととしております。  こうした取り組みを進め、本県の環境こだわり農産物のブランド力の向上を図り、消費者の皆様に求めていただくことで、農業者の皆様が環境こだわり農業に誇りを持って取り組んでいただけるよう推進してまいりたいと存じます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) (登壇)滋賀の環境こだわり農業についての私に対します8点の御質問についてお答えをいたします。  まず、1点目の環境こだわり農業を始めた経緯と、これが滋賀県農業のスタンダードとなり得たかについてでございます。  農業の営みにつきましても琵琶湖の水質に影響を与えることから、昭和54年に琵琶湖富栄養化防止条例に基づき、農業分野においても肥料の減量、施肥田植え機の導入、農業濁水の流出防止などの対策を進めてきました。  その後、下水道整備や工場の排水規制等の発生源対策が進むに伴いまして、農地からの一層の流出負荷削減が求められるようになるとともに、食の安全、安心を求める消費者の声の高まりもあったことから、平成13年度に環境こだわり農産物認証制度を創設し、環境こだわり農業の推進を始めたところでございます。  その後、平成15年度には環境こだわり農業推進条例を制定、翌16年度には全国に先駆けて環境農業直接支払制度を創設いたしました。こうした施策の展開によりまして、環境こだわり農産物の栽培面積は拡大し、平成29年度には1万5,608ヘクタール、水稲では県内の作付面積の45%となったところでございます。  本県の農業のスタンダードとなり得たかについてでありますが、滋賀県農業・水産業基本計画において、環境こだわり米の作付割合を平成32年度に50%以上とする目標を掲げて推進しておりまして、この目標に照らすとあと一歩の状況であり、まだスタンダードとまでは言いがたいものと認識をしております。  2点目の国全体で環境保全型農業直接支払交付金が2月時点の要望額より減った要因と、滋賀県の状況についてであります。  国全体の状況としましては、今年度より国際水準GAPに取り組むことが要件化されたことなどに伴い、対応ができなかったり申請を見送られたりした農業者が多く出たため、大幅に減少したのではないかと聞いております。  一方、本県におきましては、市町、JA等とともにGAPの研修会をいち早く開催し、取り組み農業者に対しまして丁寧な説明を行ってきましたことから、2月の要望時点で見込んだ面積よりは少なくなったものの、1万5,006ヘクタールとほぼ前年並みの申請となっているところでございます。  3点目の滋賀の農業への環境こだわり農業の位置づけは今後どのように変わるのかについてでございます。  先ほど知事の答弁にもありましたように、環境こだわり農業は、琵琶湖を初めとする自然環境を保全するとともに、より安全で安心な農作物を供給するために、滋賀県農業の柱として位置づけ、推進をしてきたところです。  加えまして、現在、琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業をしっかりと将来にわたって維持し、国内外にその魅力を発信して地域の活性化につなげるため、生産者や消費者の皆様とともに、世界農業遺産の認定に向けて取り組みを進めているところです。その中でも、琵琶湖の水質や生態系を保全する環境こだわり農業は欠かすことができない大切な要素となっております。  さらに、琵琶湖保全再生法においても、環境こだわり農業の普及が規定されているところです。  こうしたことから、今後においても、環境こだわり農業は本県農業において、より一層重要な取り組みとして位置づけ、推進していかなければならないものと考えております。  4点目のGAPの認証取得とオーガニック農業の内容と、県内の実施状況についてであります。  まず、GAP認証取得についてですが、GAPは、農業において食品安全、労働安全、環境保全等の持続可能性を確保するため、生産工程を農業者みずからが確認、記録、保存し、管理する取り組みで、GAP認証はその取り組みを認証機関が客観的に審査して証明するものです。  これによりまして、その持続可能性という見えない価値を、認証を通じて見える化することで、取引上、選択されやすくなることや、消費者に安心感を持っていただけるなどのメリットがある制度でございます。  現在、本県でJGAP、ASIAGAP、グローバルGAPの認証取得されている経営体は合計10組織で、対象作物は17品目となっております。  次に、オーガニック農業についてでありますが、オーガニック農業は、いわゆる有機農業のことであります。化学合成農薬や化学肥料を全く使用しないで農作物を生産する農業を指します。  本県で平成29年度に環境保全型農業直接支払の対象となりましたオーガニック農業の取り組み面積は503ヘクタールで、そのうち水稲が247ヘクタール、ソバが223ヘクタールであり、この2品目で大半を占めております。  また、農作物や農作物加工食品にオーガニックや有機といった表示を行う場合は、有機JASの認証を受けることが必要となります。この認証を受けるためには、オーガニック農業を同一の圃場で3年以上行い、周辺からの農薬の飛散や流入防止対策等の措置を行った上で、認証機関による審査を受けることが要件となっております。本県で有機JASの認証を受けている圃場の面積は、平成29年4月時点で186ヘクタールでございます。  5点目のオーガニック農業についてでございます。  オーガニック農業は、議員御指摘のとおり、生産が不安定となり手間もかかりますことから、その拡大を図るためには、安定栽培技術の確立と普及、そして生産コストの増加や収量減少をカバーできる価格での販路の開拓が必要と認識をしております。  技術の確立、普及につきましては、農業技術振興センターにおいて調査研究などを進めておりまして、一番の課題であります雑草対策では、最新の乗用型水田除草機の現地実証圃の協力農家から、従来の機械より作業速度が早く、除草効果が高いとの声をいただくなど、省力化のめどが立ってきたところでございます。  また、病害虫対策につきましては、土づくりや過剰な有機物を施用しないことなどで病害虫の発生しにくい環境をつくるとともに、健康な苗をつくるなどの基本技術を徹底することが重要と考えております。  こうした技術を用いることで、水稲では一般の栽培より2割から3割程度少ないものの、目標としていました10アール当たり6俵から7俵の収穫が可能となってまいりました。  このようなオーガニック栽培の技術につきまして昨年度から研修会を開催しており、2月には約120名の参加があったところであり、この12月には来年度の作付拡大に向けまして、県が策定します栽培の手引の説明や農業者同士の情報交換も行う予定でございます。  また、流通対策につきましては、知事の答弁にもありましたように、大手量販店が本県の取り組みに関心を示していただいており大口の需要も見込めますことから、関係団体と連携して、専用米袋の作成や商談会への参加などの取り組みを進めているところでございます。  こうしたことにより、オーガニック農業を大規模農家の経営の一部門に取り入れていただくなど、環境こだわり農業の象徴的な取り組みとして推進をしてまいりたいと考えております。  6点目の米の消費の動向、米の需要の分析についてでございます。  米の消費動向としましては、1人当たりの米の消費量は昭和37年度の118.3キログラムをピークに、平成29年度では54.2キログラムに半減しており、食生活の変化や高齢化、人口減少等に伴い、今後とも減少していく可能性が大きいと言われています。  また、公益社団法人米穀安定供給確保支援機構の平成29年度の米の消費動向調査によりますと、用途別に見た米の需要動向としましては、量販店等で米を購入して家庭で炊飯する家庭用の割合は、平成9年の79.7%から平成29年には70.9%に減少しております。  一方で、中食、外食向けの業務用需要の割合は、平成9年の20.3%から平成29年には29.1%と増加しており、今後も堅調な需要が期待されるところでございます。  近江米につきましては、平成28年度に県が実施いたしました流通状況調査の結果では、集荷業者へ出荷された米のうち、家庭用として76.3%が、業務用として23.7%が流通をしております。  今後、近江米のシェアを維持、向上させるため、1つに、家庭用には環境こだわり米など特色ある米づくりを推進するとともに、2つ目に、増加する業務用需要には低コストによる多収栽培で対応し、マーケットインを強く意識した米づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  7点目のことしの収穫におけるみずかがみの状況についてでございます。  本年産のみずかがみは、前年産より179ヘクタール多い2,751ヘクタールで作付をされました。ことしの天候は、みずかがみが実りを進める、いわゆる登熟期である7月から8月にかけ近年にない高温に見舞われ、特に7月は平均気温が平年を3度も上回る酷暑となったほか、度重なる台風の接近など、栽培に当たっては大変厳しい条件となりました。  こうした中、高温に強いみずかがみとはいえ、作柄や品質への影響が心配されたことから、県では適正な水管理や適期収穫等に関する技術情報の提供を行ってきたところです。  その結果、ことしの成績としましては、生産者の皆様の御尽力により、本県に大きな被害をもたらした台風第21号が接近する直前の8月末までにおおむね刈り取りが終了し、作柄は平年並みで、約1万3,000トンを超える収穫量が見込まれます。  品質につきましては、農林水産省の農産物検査速報値によりますと、8月31日現在の一等米比率は90.2%と前年並みを確保しており、夏の暑さに強いという本来の品種特性が明確となったものと考えております。  平成31年産に向けましては、生産者の皆さんに消費者のニーズの高さや安定栽培技術をしっかりお伝えすることなどによりまして、3,000ヘクタール以上の作付面積を目標に、関係団体と連携し、作付の拡大に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  最後に、8点目の滋賀の水稲品種開発の状況でございます。  県では農業技術振興センターにおいて、これまでから、1つには、食味がすぐれていること、2つ目に、夏の高温に強く品質にすぐれていること、3つ目に、いもち病に強く、少ない農薬で栽培が可能であることなどの特性に着目した品種の開発に取り組んでいるところです。現時点では、秋の詩にいもち病抵抗性を加えた系統の開発を進めており、県内5カ所で現地での適応性を確認しているところです。  また、平成24年に開発しました早生品種のみずかがみに続く、中生の極めて食味がすぐれるブランド品種の開発にも取り組んできておりまして、これまでに選抜した約60系統の中から、すぐれた特性を持つ系統の絞り込みをさらに進めているところでございます。
     一方、近年需要が高まっております業務用に対応するため、低コスト栽培が可能な多収品種を約20系統の中から選定をしているところです。  なお、非主食用では、昨年、国の要領に基づき、飼料用等の多収品種として認定を受けました、吟おうみを中心に作付を進めることとし、平成31年産からの一般栽培に向けまして、ことしは種もみの生産を進めているところでございます。  品種の開発には10年以上の長い年月を必要としますが、需要動向をしっかり見据え、環境こだわり農業など滋賀ならではの特色ある米づくりを初め、本県産米の需要拡大につながる品種開発を進めてまいりたいと考えております。 ◆34番(西村久子議員) (登壇)御答弁ありがとうございます。若干、再質問させていただきたいと思います。  一番最初に知事がお答えいただきました環境こだわり、これからも続けますよ。ただし、補助金の関係なんですね。農家はやっぱり再生産できることを望んでいるわけなんです。だからいろいろ質問させていただいたその中で、再生産するためには単価が下がっては困るわけなんですよ。環境こだわりの補助金が32年度国において見直しの予定という話もありましたし、つい一昨日ですか、いただいた県のこの資料は、次期の滋賀県行政経営方針のこの中にも書いてたんですけどね、補助金の削減の中で説明を受けたんですけれども、環境保全型農業直接支払交付金は縮小とあるわけなんです。国の制度見直しを踏まえ、平成32年度から、麦、大豆、飼料作物等を地域特認取り組みの対象外とする方向で検討するとともに、一部取り組みの単価引き下げを見込むと書いているんです。  ここに関しては、先ほどのお話の中では、米を対象にした話として聞かせていただいたんですけれども、農家にとってね、環境こだわりのこの補助金、共通であろうと。地域特認であると7,000円、3,000円の世界なんです。それをまだこれから下げますよと言われたんではね、意気消沈してしまうわけなんです。  ここのとこを、滋賀県は琵琶湖の水質を考慮してこれに取り組んだんだから、絶対下げませんよというところで約束してもらわないことには、農家は安心して取り組めない。今回この問題を取り上げたのは、ここにあるわけなんです。環境こだわりがふらふらしてもらっては困るわけなんです。そこについて、もう一度お話を聞かせていただきたいと思います。下げない、この最低線で頑張りますという答えがいただけたらと思います。それであっても農家は満足していないんですから。よく御理解いただきたいと思います。  それから、オーガニック農業についてですけれども、大規模農家の中でこれが広がりつつあることを期待しているような話でございました。でも、使う水は琵琶湖の水、逆水でみんな一様に使っているわけなんですよ。  そして、先ほど部長のほうから答弁ありましたつくり方なんですけれども、有機の肥料を多用しない。なるほど、多用しない。肥料をやらずに3年つくったらどうなりますか。とれ高たかだか6俵、最少だ。いけますよ、初年度は6俵いけますよ。ところが、その次からだんだん落ちてきます。肥料をやらずに、そんなにとれるはずないんです。有機を多用しない。  農薬はどうですか。農薬を使わないために、大きな広大な面積の中のこのぐるりを、隔離する土地として空閑地を設ける。いや、今までどおり米つくってたんだけれども、このこだわりでオーガニック農法でつくったつもりの米を、周囲をぐるーっと刈り込んで、真ん中だけを出してオーガニックに認めてもらうというようなやり方、そういうやり方をやったにしても、この高温の続く米作期において、やっぱり病気は出ますよ。虫がぱっと、かめむし出た折はどうするんですか。蔓延する。この根拠が、周りを除草していたら絶対来ないということは、その面積が大きくなるほど、広くなるほど危険性はふえてくると思うんです。  病気にしたってそうなんです。病気が出た折には、やっぱり農薬しか方法はないと思ってるんです。そういうところを考えると、これは絶対有利ですからどんどんやってくださいというのには、ちょっとどうかと思う。  環境こだわりの押し上げ役として、滋賀県はまだこういうオーガニック農法も頑張ってやっているんですよというような、そういう役目の位置づけなら理解できますけれども、これからこれ進めていきますと言われると、周りに農薬をやって化学肥料を抑えて、そして半量のもので頑張っている環境こだわりの農家が犠牲になるような方向だけは絶対示してほしくないと私は思っております。  大体、オーガニック農法、有機農法というのは、山のてっぺん、水の分岐点、そのあたりでないとできないのが本来だと私は聞いてきました。風が吹いて、どこかに農薬を使ってたのがふーっと流れ込んだら、もうそれでおじゃんになるんですよ。そういう条件であったはずなのに、琵琶湖の水、一様に逆水で使っているものがこれで通りますという、そういうぬるいのが本当に許されるんだろうかなと、そう思います。その部分で、もう一度お尋ねをしておきたい。  それから、米の需要ですけれども、近年、飼料米出てきました。業務米出てきました。家庭用米出てきました。先ほど聞き漏らしたのかもわかりませんけれども、それぞれのパーセント、米の絶対消費量がこれだけあって、その内訳、家庭用が何%ですよ、業務用が何%ですよ、飼料米が何%ですよというのがあったら示していただきたいと思います。  そういったところで、今、なぜかというと、経営していらっしゃる方が、このごろ業務用がすごく売れるんや、その業務用に対してはそんなに特別の条件もないし、安かったらええんや、うまかったらええんや、そこでどんどん買うてくれるんや、だからそれをつくりたい。環境こだわりにこだわらなくても、これで売れる道が最大限の消費を約束してくれるとこだったらそれがいいじゃないかという意見があるから申し上げたのであって、そのあたりをお答えいただきたいと思います。 ○議長(川島隆二) 西村議員、そっちのほうの質問は農政水産部長でよろしいですか。今、最後のやつは。 ◆34番(西村久子議員) そうです、そうです。最初の質問に再質問ですから。 ◎知事(三日月大造) 私には2点再質問を賜ったと理解しています。最後の業務用の環境こだわり農業との兼ね合いは、農政水産部長から答えさせていただきます。  まず、滋賀の環境こだわり農業を、主にその補助交付金との関係において安定性を確保する必要があるのではないか、とりわけ生産者の立場に立てばということだと思いますが、おっしゃることはよくわかります。  したがって、この環境こだわり農業を持続的に、かつ安定して実施していただくための基盤というものは、国との兼ね合いもあるんですけれども、この交付金の動向がどうなるのかということをよく注視しながら、県においてもしっかりと保ち、整え、高めていくことが重要だと考えます。  同時に、信頼性と先進性が問われると思います。いつから比べて半減なのかということも含めて、しっかりとこの信頼性と先進性を保ちながら、冒頭申し上げた持続性と安定性を保つために、国の動向も踏まえてしっかりと努め、検討してまいりたいと存じます。  2点目、オーガニックのことについて、まさにこれは釈迦に説法で、議員の方から教えていただかないといけないところもあろうかと思いますが、全てをオーガニックに変えようとしているわけではございません。部長からも答弁がありましたように、象徴的な取り組みとして、また、滋賀の環境こだわり農業のブランド力を上げていく牽引役として、他の地域よりもいち早くこのオーガニック農業というものに取り組み、PRしていこうということでございます。  確かに病害虫との兼ね合い、また、収量を一定確保するということとの関係、さらには価格がどうついてくるのかという、こういう見合いというものは当然ありますので、そういったことはよく見ていかないといけないと思っておりますが、同時に、消費者のいろんな嗜好も変わってきています。  そういったことにどう寄り添いながら農業をつくっていくのかという中で、今回、部局を中心に、技術者の皆さん、生産者の皆さんとの歩調を合わせた取り組みとして、今、このオーガニック農業というものを推進しようとしておりますので、しっかりと地に足つけて、こういったものが進めていけるように取り組みを進めていきたいと存じます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) 米の生産割合についての再質問にお答えいたします。  先ほど、家庭用と業務用の割合につきまして、全国の動向としましては、平成29年におきましては家庭用が70.9%で、業務用が29.1%ということで、家庭用が減り、業務用がふえてきているということを御説明申し上げました。  本県におきまして、米全体の作付の用途別の割合を御説明申し上げますと、これは平成30年産、今年産の米の生産の動向の数字でございますが、平成30年産におきまして、滋賀県の主食用米の生産面積は3万140ヘクタール、そして、いわゆる新規需要米と言われます中の、例えば飼料用米ですと941ヘクタール、あるいは加工用米ですと1,188ヘクタール等となっているところでございます。  県におきましても、こういう市場のニーズ等に沿いまして、滋賀県としましては、主食用米としましては環境にこだわった滋賀県の特色ある米づくり、業務用米につきましては多収で低コストの米づくりなど、マーケットインを強く意識した米づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆34番(西村久子議員) (登壇)知事にもう一度お尋ねしたいと思います。  その前に、今、米の消費動向、需要動向を調べていただきました。私、びっくりしました。業務用が21%、家庭用が70%ということ。いや、まだまだ家庭用いけるなと。本当にそれだけみんな家庭で御飯炊いて食べていてくださるんですか。それなら非常にうれしいことだし、じゃ、この数字を明らかにして、絶対安心、安全の米を届けるんですということをPRしていかないとだめだと自分でも反省しておりますので、頑張っていただきたいと思います。これについては質問しません。  知事にお伺いします。  削減の方向はやはり変わらないんですね。基本となるところが、いつから削減する、どれを基準にして削減するかと言われる。私の言ってるのは違うわけなんですよ。でも、滋賀県は環境こだわりできたんだからこれでいくんですよと言い切るからには、国が削減したにしても、これからも補填していきますよいう約束をしてください。お願いします。 ◎知事(三日月大造) そこは国の動向も見ながら、よく判断したいと思います。財政との兼ね合いもありますし、よく検討の上、判断させていただきたいと思います。  ただ、議員のおっしゃる持続的で安定的であるということは大事だと思いますので、例えば最低限のところだけでもしっかりと保障するとか、その中でどう現場実態や消費動向に合わせて制度をつくっていくのかということについては、よく見ていかないといけないと思っています。 ◆34番(西村久子議員) (登壇)不満の残るところですけれども、これからまた議員さんに頑張っていただいて、削減の案が出た折には、補填しろって頑張っていただきたいと思います。  やっぱり基本は環境こだわり。なぜ。琵琶湖の水ですよというとこ、そこにこだわってやってきたんです。私も一番最初、滋賀県内でこれだけ農業排水がとやかく言われる、農業をやっているからには責任感じるな、どこが汚いんだろうなと思って、彦根の県事務所に行ったわけなんです。まだここの議員はしてない時分にね。  それで、一番汚い水が流れているのが宇曽川でした。宇曽川が流れてくるのは、これは湖東の上のほうから流れてくるんだから、私はその下流の稲枝の一部分であるので、ああ、よその人が汚してるんやわ、そのくらいに思ってた。そしたら、県下で第2番目に汚い川はどこですかというと、文禄川って言われたんですよ。  文禄川というのは、荒神山のすぐ南側を流れている。鉄道から下の下流域、本当に私たちの地域が流している川が県下で2番目。こんなちっちゃな川に県下で2番目の汚れを流しているんやったら何とかしなあかんな。彦根、汚名挽回しましょうといって、市議会で不耕起栽培やりましょうって提案したわけなんですけども。絶対泥水を流さない方法として、耕さない方法で。  言われるように有機栽培、農薬やりません。それから肥料もやりません。初年度には6俵とれましたよ。3万円で売って18万。これのほうがもうかると思いました。年々年々収量が下がってきましたし、そのうちに雑草だらけになりました。虫が発生します。  非常にさんざんな目に遭ってだめだなと思ったけれども、水に関する考え方は譲れないところであって頑張ろうと思って、農政懇話会とかそういうとこで審議してもらえて、県が認めていただけた過程があるのに、ここだけはやっぱり近畿の水がめと言われるそういったところの重要性を鑑みて、絶対に譲ってほしくないし、曲げてほしくないし、これからも農家を支援していただきたい。  そうでないことには、次の年も再生産できるような形ができないことには、農家はだんだんともうやめたになりますから。今でさえもそう言う。まだ半分しか行ってないんですから、やっぱりここで拡大することが、崇高な理想を掲げられるオーガニックよりも、これをふやすほうが水のためには私はいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  地域を考える人材育成について、知事ならびに教育長にお伺いいたします。  人口減少社会に突入し、少子高齢化は現実のものとなって、地域によっては、見渡すとここもあそこもと空き家が広がってきます。子供の声が響かないのは寂しい限りです。しかし、その進みぐあいは地域によって大きな差があります。  どことなく寂しくなった集落では、若者が極端に少なく、ほとんどが高齢の親世代。秋祭り一つ例にとっても、子供みこしも出せなくなり、イベントの一つ一つにおいて、簡略、改善との言葉のもとに活力が消えていっています。反対に、住居を集落に持ちながら通勤している若い世代がほとんどでありながらも、やりくりして集落の営みはしっかりと踏襲されているところもあります。  1つの集落の中においても、その隣組単位において、人口の減るところ、ふえるところ、さまざまです。空き家となった家に新しく住人となって、明かりがともるところもあります。そうしたところは不思議に集中して、新しい構成で地域活動が進められていきます。  人はかわり合って時代をつないでいくものですが、にぎわうところの構成は、関心を持って眺めると、常からみんながわいわいがやがや言いながら力を合わせておられることが見てとれます。その中に往々にして公務員さんがおられたり、明るい声かけ役がおられるようです。みんなは気づいたことをその人に伝え、あの人に言ったら何とかしてもらえるだろうと同調していかれるようです。  高齢社会になって、ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦等、地域の見守り活動の大切さを実感しています。社協活動の中で、各町内にボランティアグループの立ち上げを提唱し拡大を求めていますが、それも、取り組みの進むところ、そうでないところ、さまざまです。  大抵の人は毎日の暮らしや地域の取り組みについて、ああしたらいいのに、こうしたらもっと楽に進むのにと考えは持っておられます。要は、それらの提案をやろうと号令を発してくれる人が必要なのです。これこそ地域のリーダー、このリーダー養成が地域に人材として不足している今日、今まで以上に求められているのではないでしょうか。  学校は学校で、職場は職場で、また、趣味の同じくする人はそれぞれの同好グループで、みずからを高める教育は受けます。しかし、それとは違った地域をよくするために考える、いわばお人よしリーダーを養成しなければ、これからの地域社会、みんなが住みなれたところで住み続けることが困難になるのではないでしょうか。  こうしたリーダー養成について、平成28年9月一般質問において、子育て家庭教育の面から問題提起しましたが、今回は、特に地域社会のよりよい継続を願う上からも地域リーダーの養成を取り上げたところです。以前にも提案しておりますが、地域の青年研修、女性研修のあり方について、知事の見解を求めます。  一般に募集をかけても、みずから手を挙げる人はいないでしょう。ひとまずは役所と公務員さんに御参加いただいて、次々と参加される方を県下に広めていくことが肝要です。湖北にも湖南にも湖東にも湖西にもというように、県内広い地域から参加した研修生が同じ話を聞き、同じ釜の飯を食う。地域を語り合い、感動をともにした仲間意識があちこちで住みよい地域づくりに動き出せば、住みなれた地域はなお住みやすく変われると思います。  要は、群衆の中でざわざわと動く人をつくり出す、これが地域のリーダー養成だと考えます。これは職業講座でも、教養を高める講座を要求しているものでもありません。表現は適切でないかもしれませんが、地域を考えるお人よし研修を、県下全域を対象に実施していただきたいのです。  谷口久次郎知事の時代から滋賀県で始まったこうした人材養成研修、今活躍の地域を代表する人々は、ここの恩恵をたくさん受けておられることは実証済みであります。過去の知事や教育長の答弁には、そうした地域を考えて行動する人の養成の必要性は理解していただけたようですが、さらに検討を重ねた今後のありようを考えると、思いを述べていただいております。その後の教育長の見解を求めます。  過去の研修の実態は調べられたのですか。成果は認められていなかったのですか。廃止された理由は何なんですか。どれぐらいの費用を必要としておられましたか。地域の状況はどんどん寂しく変わりつつあります。人づくりに時間を惜しんではだめです。いっときも早く手を打たないと、地域が疲弊してしまうまでに手を打たないと手おくれになってしまうと考えます。  青年会館も婦人会館もあります。これらの施設の本来の目的は人材育成です。一気に宿泊を伴う研修とまではいかなくても、回数を重ねて縁を得た人が、会う回数を重ねて連携を密にし、地域の課題解決に一役担える人材に成長されますことを期待して、ぜひとも地域の人材育成を目的とした研修の再開を重ねてお願いし、質問を終わります。 ◎知事(三日月大造) 地域を考える人材育成に関して、地域の青年研修、女性研修のあり方についてお尋ねをいただきました。  地域にはさまざまな得意分野を持った多様な人がいらっしゃいます。こうした人材を自主性を尊重しながら緩やかに活動へとつなげていくリーダーの存在は重要であり、地域の持続的な発展のためにも一肌脱いで、議員はお人よしとおっしゃいましたが、一肌脱いで地域の力となる人材の養成は必要であると認識しています。  本県では、学校や福祉、環境などのボランティアとして、青年や高齢者、女性など、本当に多くの県民の皆さんが汗をかいていただいております。誰かのため、地域や社会のために活動できる人が多いことは誇りであります。  県においても、従来から、地域づくりを直接担う市町とともに各種団体を通じた人づくりを進めてきたところでございます。具体的には、滋賀県青年会館を活用した泊まり込みによる青年リーダー養成講座等への支援を実施したり、女性団体のリーダー研修会等への助成を行っております。また、県立男女共同参画センターにおきましては、性別にかかわらず、男女共同参画の視点を地域活動へ生かしていくためのリーダー向けの講座を実施しております。  しかしながら、少子高齢化や価値観の多様化などを背景に、近年、組織率が低下している団体もございまして、現状に即した人材の育成が課題だと認識しております。  今後も、年齢や性別にかかわらず、持続可能な地域づくりにつながる、また、団体の特徴を生かしたさまざまな取り組みを支援いたしますほか、関係部局はもとより、市町等と連携し、地域を考える人材の育成に努めてまいります。また、県職員が率先して地域の課題解決に対応できるよう、取り組みを促してまいりたいと存じます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)地域を考える人材育成についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、活力ある地域づくりのためには、リーダーとなる人材の育成が重要であると考えております。そのため、教育委員会では、地域づくり型生涯カレッジ推進事業を平成28年度から開始をし、地域の魅力や課題等を学び、その成果を活力ある地域づくりにつなげていく市町の取り組みを支援しております。  平成28年度、29年度は4市、今年度は7市町が実施をされており、地域の歴史や自然を学ぶとともに、修了後は多様なボランティアに参画されるなど、地域を考えて行動する人材が育ってきているものと認識をしております。また、修了者同士が地域活動のグループを結成されるなど、広がりも見せているところでございます。  さらに、地域ボランティアが郷土学習や読み聞かせ等の学校支援活動に参加いたしますとともに、一方で、学校も地域行事等に積極的に参画する双方向の取り組みであります地域学校協働活動、これを推進しておるところですが、県教育委員会では研修会の実施等を通じて、このような活動をコーディネートする人材の育成を図っております。  今後も、こうした取り組みを通して市町と連携をしながら、地域課題の解決に取り組むリーダーを育成してまいりたいと考えております。 ◆34番(西村久子議員) (登壇)やっておりますというお話でしたので、効果がまだ出てないんでしょうか。いつごろから効果発揮できるんでしょうかね。不思議に思います。やっぱり地域では本当に疲弊しているんですよ。損得勘定、もうけになること、それは一番に出てきてくれはります。楽しいこと、それもやってくれはります。ところが、損にも得にもならないこと、やっても目立たないこと、そういうところには誰も出てこない。そういうところがわいわいやるところほど、にぎわいはあるわけなんですよ。  祭りなんて、端的に言うと、そんなばからしいという考え方があります、若い人、特に。そして、高学歴の人ほどそういう嫌いがあります。大人が、もうやりたくない、改善だ、改善だといって省略していく、そういうところがあります。意外に若い人たちで、いや、僕たちはやりたいんだと言う人がある。やっぱりそういうところの意見を吸い上げて、そういう人、わいわい言う人がふえてこないとその地域はよくならないんですよ。  私はことしの秋祭りで特に感じたんですけれども、台風を口実にして渡りをやめようと言ったのは、うちの町内でした。何てこと言うんだろうな。そんな被害が出たかな。いや、それは大人の考え方であって、我々はやりたいんだという若い世代がありまして、非常にうれしく、頼もしく思ったわけなんです。  教育長、文句だけ言うんですから聞いといてください、楽にして。  地域学校協働活動というのを言われましたよね、双方向にやる。なるほど、いい試みだと思いますし、ことしからやられることになった。  ところが、この中で、やっぱり学校の先生は視点を子供に置いておられますよ。地域なんて置いておられない。そう思います。それが証拠に、学校の先生を退職された方いっぱいあるんですけれども、今、定年退職したら十分に活動できる時間帯はあるんやから、もっと地域のとこに頑張ってくれたら、先生には申しわけないんやけどもね、そういう思いがいっぱいあります。  やっぱり、公務員さん率先して参加していただきたい。公務員さん卒業した人も頑張っていただきたいと思うんです。その人たちが一番地域の状況をよく知っておられて、全市的にあそこの町はこれだけやっておられるというような、そういういいところも見てこられる。疲弊しているなというところも見ています。じゃ、うちの町どうしたらいいという折に、その経験が生かされてこないとだめなんですよ。ところが、静かにちょんと鎮座してもらっていては、ちっとも繁栄していかないということなんです。  こういういい方法はつくっていただきました。せめて叱咤激励していただいて、県庁職員に頑張れと号令かけていただきたいし、学校の先生にも頑張れと言っていただきたいと思います。 ○議長(川島隆二) 西村議員に申し上げます。質問の時間を超過いたしましたので、簡潔にお願いいたします。 ◆34番(西村久子議員) 終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、34番西村久子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時3分 休憩    ────────────────   午後1時 開議 ○議長(川島隆二) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、17番冨波義明議員の発言を許します。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、確かな学力を育む教育の推進について、知事ならびに教育長に、一問一答形式でお伺いいたします。  午前中、西村議員も触れられましたが、昨日は京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞されるといううれしいニュースに接し、これを機に、私も話題のオプジーボについて、ほんの少しですが、理解することができました。  本庶先生は、記者会見で子供たちへのメッセージとして、重要なのは教科書に書いてあることをうのみにせず、不思議だと思う心や、何か知りたい、本当はどうなのかという探究心を持つことを挙げられておられたのが大変心に響きました。本日の私の質問も、このような観点からお聞きいただけたら幸いです。  さて、去る7月31日、滋賀県教育委員会は、本年度の全国学力・学習状況調査──以下、学力調査と称します──の結果を公表されました。新聞報道などでは、ことしも本県児童生徒の正答率は全国平均を下回り、その結果、直近5年間、全ての科目で平均正答率が全国平均を下回ったと伝えられ、教育長は、「重く受けとめている。スピード感を持って2学期からの授業を改善させたい」とコメントされたところです。  また、知事も学力調査の結果について、去る8月21日に行われた定例記者会見で、「この結果を受けとめ、学習環境や学習指導の改善に結びつけていく。議会からの決議もあったように、この調査結果の精緻な分析を行って、課題を改めて把握したいと思う」と述べられ、「教育委員会とともに分析、把握を行うとともに、市町の教育委員会や各学校、また地域と連携しながら、子供たちが確かな学力を身につけられるような取り組みを進めていきたい」と決意を述べられています。  さて、日本の教育改革は1996年に文部科学省──以下文科省と称します──の中央教育審議会が答申した、21世紀を展望した我が国の教育のあり方についての中で、初めて生きる力の育成がうたわれ、これを受けて1996年に告示されました学習指導要領において、一人一人の個性を大切にし、生きる力を育むことが基本理念に掲げられ、これに基づき進められてきました。  しかし、1980年から始まりましたゆとり教育では、みずから主体的に判断できる力をつけていくことを目的として、児童生徒に指導する内容をそれまでより3割程度削減した結果、教育現場に混乱が生じ、学力低下論などが生じたところです。このような状況から、2003年、中央教育審議会は学習指導要領(教育要領を除く)を一部改正し、この中に確かな学力の育成が表記され、2008年告示の学習指導要領にも盛り込まれたところです。  このように、日本の教育改革は、ゆとり教育を経て学力問題へと収れんされつつ、徐々に行き詰まりを生じていくのですが、これを打開する切り札として、2007年から悉皆調査として実施されたのが現行の全国学力・学習状況調査だとされているところです。  しかし、歴史は繰り返すと言われるとおり、現在、この学力調査の結果公表をめぐり、日本の教育の根幹を揺るがすような重大な状況が生まれつつあります。  そこで、この機を捉え、第3期滋賀県教育振興基本計画でもうたわれている生きる力を育む視点から、特に子供たちの確かな学力を育む滋賀の教育のあり方について、知事ならびに教育長に伺います。  まず、知事に、確かな学力についてお伺いします。  冒頭でも触れましたが、知事は本年度の学力調査の結果について、8月の定例記者会見で、「市町の教育委員会や各学校、また地域と連携しながら、子供たちが確かな学力を身につけられる学習環境や学習指導の改善に結びつけていきたい」と決意を述べられています。  そこで、知事は、確かな学力とはどのような学力と捉まえておられるのでしょうか、お伺いいたします。 ○議長(川島隆二) 17番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  確かな学力は、基礎的な知識および技能、これらを活用して、課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力などの能力、および主体的に学習に取り組む態度の3つの要素からなっており、生きる力の一つであると捉えております。
     滋賀の子供たちには、このような確かな学力を身につけ、わかった、できたという実感を持つことにより、みずから学ぶことの楽しさを知り、生涯にわたり学び続ける力を育んでいきたいと考えているところです。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)まず、確かな学力とは単なる学力とは違うということを確認をさせていただきました。  私は平成25年の11月議会で、学力向上に向けた取り組みについてを質問させていただきましたが、その際に当時の藤田教育委員長から次のような御答弁をいただいております。「知識とか学力と言われるIQ──インテリジェント・クオリティーの向上は、卒業後に社会に役立つ必要な条件だと私も実社会で体験した。しかし、それは必要条件であるが、絶対条件となり得るものではない。重要なことは、EQ──エモーション・クオリティーと言われる心の知能指数の向上とあわせて、人間力を強くしていくことが求められていると思っている。知識を学ぼうという心をいかに育成していくかということに主眼を置いて、学力や学習状況全般の改善につながっていくような配慮をすることが大切だと考える」と御答弁をいただき、大変感銘を覚えたことがあります。  今まさに知事からも御答弁いただきましたように、確かな学力とは、知識や技能のほかに、学ぶ意欲や自分で課題を見つけて、みずから学び、主体的に判断、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、それらを含む総合的な学力であると御答弁いただき、これを再確認させていただきました。  全国学力調査が行われますと、その成績結果をめぐりさまざま議論が交わされますが、まずは、子供たちに身につけさせようとしている確かな学力とは何か。これを正確に押さえておかなければ議論がかみ合いませんので、改めてここで確認をした次第です。  そこで、以下、この確かな学力に基づき、学力調査のあり方について、以下、全て教育長にお伺いいたします。  本県議会では、本県の子供たちの学力・学習状況に鑑み、去る7月県議会で、子供たちが確かな学力を身につけるより一層の取り組みを求める決議を可決いたしました。この決議について、教育長はどのように受けとめられておられるのか、所見をお伺いいたします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  子供たちが確かな学力を身につけるためのより一層の取り組みを求める決議がなされましたことにつきましては、議員の皆さんの、そして県民の皆さんの声としてしっかりと受けとめているところでございます。  まずは、子供たち一人一人の学力や学習状況をより詳細に把握し、課題がどこにあるのか、どのように対応すればよいのかを明確にし、確かな学力の育成を図る取り組みを進めていかなければならないと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。  私は、あるいは我が会派もこの決議に賛成をいたしましたが、決して学力調査の正答率を向上させる取り組み、これを進めることに賛同したわけではございません。総合的な学力、つまり確かな学力を身につけさせる、その取り組みのより一層の推進に賛同したということをここで明確にさせていただきたいと思います。どうか、この決議に込められました我々の思いを正確に、また重く受けとめていただき、確かな学力の育成を今まで以上に進めていただきますようお願いしたいと思います。  そこで、この県議会の決議を受けて、今後、県教育委員会は確かな学力を身につける取り組みをどのように進めていこうとしているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  まずは、今回の調査結果において、子供たちのつまずきがどこにあるのかを把握をし、その対応策を明確にし、市町と共有して取り組みを進めております。  そのため、8月には市町の担当者にお集まりをいただき、今回の調査結果から見えてきた子供たちのつまずき、そしてそれに対する有効な指導方法等を重点取り組みとしてお示しをし、意見交換を行ったところであります。  さらに今後、経年変化の詳細な分析なども進め、学力の向上により効果的な取り組みを明らかにし、その対応を考えてまいりたいと考えております。  また、教員の指導力の向上を図るため、指導方法等の教員研修を充実させるほか、単に担任だけ、あるいは調査のある教科担当だけでなく、管理職を初めとする全ての教員の意識の向上を図る取り組みについても進めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、次の質問に移ります。  さまざまな取り組みをしていただいたわけですが、この本年度の学力調査の結果について、教育委員会は正答率の全国比較、単なる正答率の全国比較だけでなく、本県の児童生徒の学力と学習状況について詳細な分析と考察をされ、既に課題も認識をされていると思います。さきの我が会派の代表質問でもお答えをいただいております。  そこで、ここでは、本年度の学力調査の結果を分析、考察して判明した課題ですね、この課題が起きる原因についてどのように捉まえているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  これまで、主体的、対話的で深い学びの視点から、話し合う活動を取り入れた授業スタイルは普及してまいりましたものの、まとめや振り返りの時間が確保できず、子供一人一人の学びの定着のための支援が不十分な状況が見られたところであります。  また、子供一人一人のつまずきに対して、全ての教員が子供の課題について共通理解をし的確な指導を行うなど、学校が一体となった取り組みを県として十分に推進できなかったことも要因の一つと捉えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)さまざまな取り組みをしていただいたのに結果が伴わなかった原因について、今、るるお答えをいただきました。教育委員会は記者会見で、今も教育長がお答えいただきましたように、学力を伸ばすための取り組み自体は間違っていなかったんだけれども、全ての教員に浸透する方策が不十分だったこと、あるいは学校が一体としてできなかったことがあったというふうに総括されていると伺いました。  さて、私事ですが、教員の心得としてよく知られた言葉に、平凡な教師は言って聞かせる、よい教師は説明する、優秀な教師はやってみせる、しかし、最高の教師は子供の心に火をつけるという言葉があります。教師が子供たちに教え込むのではなく、子供たちがみずから学ぶ意欲や、その環境を整えることの重要性を説いたものだと私は理解しておりました。  教育委員会の総括をお聞きいたしまして、私はそのあたりの取り組みに課題があるんではないかなと感じています。  学力調査の結果が公表されますと、この学力調査の結果に一喜一憂し、その平均正答率の向上を目指してさまざまな取り組みを強化せよとの声が上がってきます。そして、学力向上の取り組みこそ、自治体の教育委員会が取り組むべき最優先の教育課題であるとされる風潮が蔓延し、過去の問題や似たような問題を繰り返し練習させるような近視眼的な取り組みを講じる学校も少なくないと仄聞をしていますが、真の学力の定着という視点から見ると、これは甚だ疑問であります。  そこで、このような不適切とされる事例の一つとして、学力調査の前の授業で過去問題をやらせたり、春休みに学力調査を想定した宿題を課すなどの事前指導が行われたと仄聞していますが、このような事前指導について、教育長の所見をお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  過去の問題の活用等につきましては、全国的にどのような状況であるのか、私自身つまびらかに承知しているわけでありませんが、各市町村や学校などがそれぞれ判断をされ、実施されたものであると考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)なかなかお答えにくい質問で申しわけありませんでしたが、そもそも学力調査の狙いは、子供たちにテストをして順位づけをしたり点数を上げるために競争させたりすることではなく、国や地方自治体が教育政策を改善したり、全国の小中学校が日々の授業や生活指導の改善をするために、必要な実態調査を行うことであります。短時間で正解を出すことを求める学力調査の結果で見えてくるもの、あらわれてくるものは、その教科で学習したことのほんの一部でしかないことを私たちは再確認をしたいと思います。  さて、このような事前指導などの不適切な事例は今に始まったものではなく、1956年から1966年まで11年間にわたり実施されました旧全国学力調査でも多発し、大きな社会問題にもなりました。この旧学力調査がわずか11年で終了された理由について、教育長はどのように認識されているのか、お伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  全国学力調査は、小中高等学校において昭和31年度から41年度まで、主に抽出調査により実施をされたと承知をしております。  文部科学省の資料によりますと、終了した理由については、教育課程に関する方策の樹立、学習指導要領の改善に役立てる資料を得るという所期の目的を達成したためとされているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)表向きの理由かなと思います。私が承知しておりますのは、私が聞いておりますのは、かつて実施されたこの旧学力テストでは、子供たちに高い得点をとらせる教員が人事その他の待遇において優遇されるなど、全国の公立小学校の教員の勤務評定に結びつけられるようになり、その結果、徹底的にテストの練習が行われ、その結果、本来の授業は猛スピードで進んだ。休み時間や放課後にもテスト勉強が強いられたり、テスト練習のためのプリントが宿題として大量に出され、ついてこられない児童生徒が増加した。また、テスト練習の時間に充てるために、体育、音楽、図工、技術家庭などの授業が削られたなど、学校教育に大きな混乱が生じたと仄聞をしております。  さらに問題なのは、成績下位の子をテスト当日に欠席させたり、成績下位の子をテスト時間に保健室で休ませたり、テスト中に教師が机の間を回って正しい選択肢を指を押さえて教えたり、教師が高得点の答案を作成し、欠席した児童生徒の答案として提出するなどなど、学力テスト至上主義は教育現場に異常事態を招くことになり、その結果、学力テストは社会問題と化し、世論の大きな批判を浴びて中止になったと聞き及んでいます。  また、このような学力テストをめぐる教育問題は日本だけではなく、イギリスでも1988年に始まったサッチャー首相による教育改革による教育破壊、社会混乱は有名なところであります。  新自由主義に基づく競争原理と自己責任を柱とした教育改革政策は、学校選択という形で教育の場に競争と学校間格差をもたらし、学校間格差のみならず地域間格差が広がり、これによってイギリス全土で地域の荒廃が進んだとも仄聞しております。  このような学力テストをめぐる諸課題を踏まえ、以下質問を進めていきたいと思います。  学力調査の結果が出ますと、正答率が教育の最重要課題、最優先課題であるかのような議論が交わされますが、いよいよ懸念されていた事態が現実となってまいりました。  全国学力調査の成績が2年連続で最下位となるなど、全国平均を下回る状況が続いている近畿のある政令指定都市では、市長が教員の意識改革を促して、成績の底上げを目指すために、学力調査の結果を教員の人事評価や給与額に反映させる考えを示されていましたが、去る9月14日に開催されました教育委員会との会議で、学校全体のテストの結果を個々の教員の手当に反映することには法的な問題もあるとしながらも、子供たちの学力を上げ、結果を出している先生は高く評価すべきだと思っていると述べ、この案を正式に教育委員会に提案をいたしました。  これに市教育委員会もおおむね賛成し、今年度中に評価制度を設計、来年度には試験的に運用を始めることになったと新聞では報道されていました。もしこのような学力調査の結果をもとにした教員の人事評価制度が教育面、教育現場に持ち込まれるような事態になるとすれば、私はこれは学校教育の死を意味する極めて憂うべき事態だと考えます。  そこで、このような学力調査の結果を教員の人事評価に反映するという、こういう考え方について、教育長の所見をお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  現在、本県の学校現場で実施をしております人事評価制度では、校長が提示をしました学校の教育目標等を達成するため、校長との面談を通じて、教員それぞれが具体的な自己目標を設定することになっております。  評価は一人一人が発揮した能力や自己目標の達成状況に応じて行っているところであり、学習指導はもちろん、生徒指導等も含めた多様な観点から総合的に評価するものと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)そもそも、学力調査の平均点や順位で学力を評価することに全く意味はありません。また、テスト結果を校長や教員の人事評価やボーナスの額に反映させれば子供の学力が上がるといった単純なものではありません。評価すべきは、何のために学ぶかを考え、努力によって力が伸びたことが実感できる、この伸び幅を調べることであります。これらを無視して、学力テストの結果が悪いのは教師のせいだといわんばかりに責任を教師に求める行為は、まさに百害あって一利なしの教育政策だと言わざるを得ません。  しかし、これは他県のことでありますが、本県でも今後、この学力調査の経過に鑑みて、教員の指導力を問題視する声が上がっていると仄聞をしていますが、私はこれらの声を受け、本県でも学力調査の結果を教員の人事評価に反映させる制度が検討されるのではないか、今後、その可能性が出てくるのではないかと懸念をしています。  そこで、今後、本県でも学力調査の結果を教員の人事評価で反映させることを検討される可能性について、教育長の所見をお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  人事評価制度につきましては今ほど申し上げましたものと認識をしているところであり、今後も、校長と各教員が面談を通じて話し合いを持ちながら、学校の教育目標等達成のため、自己目標を設定をして取り組む形で行われるものと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)これまでるる申し上げてまいりましたが、私は基礎基本となる学力を身につけさせる、そういう教育活動を軽視しているわけではありません。  そこで、次に、確かな学力を育む取り組みについて、具体的な提案も含めて質問をいたします。  本県では2013年に学ぶ力向上滋賀プランを策定し、学ぶ力の向上を目指してこられました。この学ぶ力向上滋賀プランで示された取り組みについて、教育長にお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  学ぶ力向上滋賀プランでは、子供たちの夢と生きる力を育てるため、一人一人の学ぶ力を高めること、生活の中で学ぶ力をつけること、繰り返し努力したことを認め能力や可能性を引き出すこと、放課後や家での時間の使い方を考えること、県全体で子供の力を伸ばすこと、そして授業を改善することの6つの視点を設定してきたところでございます。  この視点に沿って、体験活動の推進、自他を尊重する集団づくり、家庭での学習習慣や主体的な家庭学習の確立、また、教員の教科指導力の向上などに取り組んできたところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)今、6つの視点から取り組んできたとおっしゃられました。それでは、この取り組みの成果とあらわれた課題について、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  主な成果といたしましては、講義形式の授業から、子供たちが話し合う活動を取り入れた授業スタイルが普及したことや、自分にはよいところがあると思っている子供がふえたことなどが挙げられます。  一方、課題といたしましては、子供たちの家庭での学習時間が短いことや、読書の習慣が定着していないことなどが挙げられると考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)先ほども言われました御答弁の中で、一人一人に対するきめ細やかな指導ですね。この点については、先般の我が会派の代表質問の問いに、教育長は、少人数学級や少人数指導、補充授業、そして学級集団づくりを挙げられました。私はこれらの対策の中で、学級集団づくりが最も重要な対策ではないかと考えています。そして、これをより効果的に行うための大前提は、教師が児童生徒に対するきめ細やかな観察をすることだと考えています。  そこで、よく言われるんですけども、日々の教育活動の中で教員が子供一人一人をきめ細やかに観察するということは、具体的にはどのようなことを指すと考えておられるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  子供一人一人をきめ細やかに見ることとは、授業中の子供の表情や発言、ノートへの記述、練習問題の回答内容などから、子供一人一人の学習に対する理解の状況を正確に把握することであると考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)実はそれはそうなんですけども、私が経験上、教員が子供一人一人をきめ細やかに観察するということ、これは大変難しいことだと考えております。正直なところ、自分自身の子供でさえなかなかきめ細やかに見られないというのが世間一般の常ではないでしょうか。そこそこ教員経験を積みますと、表面的なことはある程度わかるようになります。また、一見して課題を抱えているとわかる子供たちや特別な事情を教員が伝えられている子供たちは、教員もそれなりに注意して観察をいたしますので、そういう意味ではきめ細やかに観察していると言えます。  問題なのは、教員の目視による観察では気づきにくい、特に目立たないというその他大勢の子供たちの存在であります。そして、教師の目視による観察や気づきは、教師の経験と勘に頼っているというのが現実ではないでしょうか。  そこで、このような教師の観察頼みではなく、子供たちの集団内の心理状況を科学的、客観的に観察するツールとして注目を集めているのが、学級集団アセスメントテスト──以下、アセスメントテストと称します──であります。このアセスメントテストは、日本の教育システムが学級という集団にベースを置いているという大前提に立ち、その上で、学級集団が親和的であれば学力が伸びたり学校生活も充実するという考え方に基づき、学級づくりを基盤とした授業づくりと授業改善を目的としております。まずは、そのために、学級を構成する子供たちの学級内での心理的な実態をアンケート調査しようとするものです。  学校での生徒指導と学力向上の両課題の解決を目指して、科学的で客観的な、また実態分析を行うこのアセスメントテストを活用することで得られる教育効果は大きなものがあると考えております。  そこで、このアセスメントテストをどのように認識されているか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  学級集団アセスメントテストは、学校生活における子供一人一人の意欲や満足感、および学級集団の状況を把握する一つの手段だと認識をしております。  具体的には、友人や教師から認められているのかといった子供一人一人の集団における状況や、学級集団の雰囲気を客観的に把握をし、よりよい学級集団づくりや指導に役立っているものであると捉えているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。  この学級集団アセスメントテストにつきまして、私は平成25年の6月議会で、いじめ対策の一環として、また同年11月の議会では、学力向上対策の一環として質問をさせていただいて紹介させていただいております。特に、今般の本県の学力や学習状況の膠着状態を打開する有効な手段になり得るのではないかと考えております。  このアセスメントテストは、2011年に大津市立中学校のいじめ自殺事件があったとき、全国各地の学校で児童生徒の心理的内面やクラス内での交友関係を知る重要性から、多くの自治体で取り入れられたもので、いじめや不登校などの生徒指導上に活用できるだけでなく、学級の集団力を高めることで学力の向上にも役立つツールであることが実証されています。この学力の向上に役立つというところに私は注目をしております。  このアセスメントテストには、自治体が独自で作成されたテストや大手出版社から出ている市販のテストがあります。(資料掲示)これは京都市教育委員会が独自に作成されましたクラスマネジメントシート、愛称はクラマネと略して呼ばれるものでありまして、学級経営支援のためのシートで、大津市ではこれを使いながら、2015年から市内の小中学校で活用されています。それぞれの学校で約20分程度のアンケート調査を行い、子供たちが自分の学級をどのように見ているのか、子供たちが毎日の生活をどのように送っているのかをアンケート調査するためのツールであります。このように独自の調査用紙を作成して活用されている自治体は、北海道、広島市、岡山市など全国各地に広がりを見せています。  また、これら自治体独自でつくられたテストのほか、図書文化社の出版しているQ-Uテスト、東京書籍のアイチェック、ほんの森出版社のアセスなどがありますが、中でも最も早く開発され、最も多く使われているものにこのQ-Uテストがあります。(資料掲示)これがその現物であります。これがテスト、こういうものを子供たちに配ってアンケートをするわけです。  Q-Uテストは1996年に開発され、その信頼性と妥当性が実証されている標準テストでありまして、現在、岡山県などでは県予算を活用した事業として、また、全国では480を超える市町村でも導入され活用をされております。  これら学級集団アセスメントテストは、今、教育長がおっしゃられましたように、学級満足度と、あるいは学校生活意欲度の2点から子供たちにアンケート調査を実施するもので、心理教育アセスメントとも言われています。  このアンケート調査からは、自己の存在や行動が友達や先生から承認されているかどうかという承認感、いじめや冷やかしなどのストレスを感じているかどうかという被害感の情報がまず得られます、個人情報として。また、対人関係や集団行動、学級の決まりなどのルール、また、触れ合いや本音の感情交流があるかなどのリレーションについての情報が、集団としての情報として得られることになっています。  このような調査を通じて、学校で学習指導と生徒指導を統合したそうした学級経営を目指すために、この科学的で客観的実態分析をするアセスメントテストは、今や全国的な広がりを見せております。  そこで、本県のアセスメントテストの実施状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  6年前の平成24年度において、学級集団アセスメントテストを実施していましたのは、県内の公立小中学校合わせて28校でありました。今年度は公立小中学校合わせまして、全体の約40%に当たる128校が実施をしております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)先ほども申し上げましたが、このアセスメントテストについては、本会議で私は早期導入を提案しておりましたが、平成25年当時はまだこのテストが余り広く知られていなかったことなどもありまして、平成24年度のデータでは、本県で取り組んでいる学校はQ-Uテストのみでありまして、小学校12校、中学校16校で活用されていたという状況でしたが、今、教育長お答えいただきましたように、相当数滋賀県でも取り組んでいただいているところです。  滋賀県教育委員会の御指導もありまして、クラマネを利用されている大津市のほか、このQ-Uテストを利用されている自治体は、現在、長浜市、彦根市、ことしからは甲賀市も取り組まれ、5市2町、1県立中学校に及んでおります。  学級集団の中で自己肯定感を確立することにより、学習に向かう姿勢や学力の伸びが変わることは既に実証されておりますので、この全国学力調査とともにアセスメントテストをクロスさせることは、極めて有効な私は学力向上対策だと考えます。  そこで、改めて、確かな学力を育む教育の切り札として、学級集団アセスメントテストを本県でも積極的に、今以上に積極的に導入することを提案するものですが、教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  学級集団アセスメントテストに対する認知度は一定高まってきておりますことから、県内では先ほどお答えしましたように実施校数はふえている状況にございます。  このテストは、子供の状況や実施経費等を踏まえ、各市町や学校が必要と判断をされ実施をされているものと考えております。  県教育委員会といたしましては、こうして実施されました調査結果などから、子供一人一人の学力向上のためにどのように活用すればいいか、実際の指導をどうしていくかなど、市町や学校に対して指導、助言という形で進めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)既に多くの自治体で取り組んでおられます。ちょっとあれなんですけど、大津市でいじめ事件が起こったのがきっかけでこれが広がりを見せたということでございますので、大津市あるいは滋賀県の子供たちの中に、学力テストの向上を目指す一つのツールとして、ぜひ積極的に取り入れていただきたいと思います。  温暖化を初めとする地球環境の問題、あるいは遺伝子操作や核兵器といった科学技術をめぐる問題、世界のあちこちで起きている民族や宗教が絡む紛争、そして政治、経済、文化にかかわる問題など、とても解決が困難な課題が絶えず交差し変動する激しいグローバル社会を、我々のみならず、子供たちも今後生き抜いていかなければなりません。  そこでは、単に蓄積された知識の量や知識を獲得するだけの表面的な学力は何の役にも立ちません。今持っている知識を利用し、活用し、より次元の高い知識をみずからが創造し、新たでより困難な課題を解決できる能力、すなわち確かな学力が求められていると思います。  この確かな学力を育むために、子供たち一人一人をきめ細やかに見つめるとともに、彼らの持つ集団の力を有効に機能させるためにも、学級集団アセスメントテストの手法を早急に取り入れていただきたい。県教育委員会のより積極的な指導と支援を求めまして、質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(川島隆二) 以上で、17番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、45番中沢啓子議員の発言を許します。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、2項目の質問をさせていただきます。  まずは、幼児教育、保育の無償化に関してお伺いします。  幼児教育、保育の無償化は、子育ての社会化に向けては喜ばしいことです。しかしながら、幼児教育無償化よりも待機児童問題の解消が先だろう、無償化は既に入園している人に恩恵を与えて、入園できていない人に恩恵を与えていないのはおかしいのではないか、保育料は応能負担になっているのに、無償化したら高所得者のほうが恩恵を受ける、待機児童の解消には不足している保育士の処遇改善が先だろう、さらに、質に課題のある保育園にもお金が流れる可能性があるなど、さまざまな課題があるとの声を聞きますので、以下、幼児教育、保育の無償化に関連して、知事および健康医療福祉部長にお伺いをいたします。  幼児教育は子供たちの今後の人格形成に大きな影響を与えます。また、幼稚園から大学までの教育費は、全て公立学校に通学したとしても1,000万円を超え、教育費の負担の重さが少子化の一因となっています。  国では、本年6月15日に、幼児教育、保育の無償化が、経済財政運営と改革の基本方針2018の中で閣議決定をされました。ただ、実施時期が半年前倒しになり、来年10月からの実施を目指すことになりましたが、まだ詳細が決まらない状態の中、この10月から来年度の保育の申し込みが始まりました。現場からはさまざまな不安の声も聞こえてきます。  共同通信の調査では、全国81の主要都市のうち、無償化に賛成と回答したのは44%の36自治体にとどまった、8割近い自治体が無償化によって入所希望者がふえると予想していると報じています。県内では大津市が全面的に反対としています。  無償化の財源に関しては、国と自治体の負担割合はまだ確定されておらず、あわせて、現在でも公立の保育園では利用者負担を除いた保育園運営費が交付税措置であることもあり、財源措置に対する不安や、いまだ詳細が示されていない事務等についても不安などの声が聞こえてきます。  7月11日には、全国市長会から「子どもたちのための無償化実現に向けた緊急決議」がなされ、1確実な財源の保障について、2実施時期について、3迅速な制度設計について、4幼児教育・保育の質の担保・向上についての4つの事項を十分に踏まえて対応することを国に求めています。  無償化の対象となるのは保育料であり、各施設で実費徴収している教材費、給食費、通園送迎費、行事費は対象外との話も出ています。特に、小学校でも問題になる給食費については、保育の一環として無償化されている保育所と保護者負担となる幼稚園とで扱いが異なっており、今後の検討に委ねられているのは気になるところです。さらに、保育の質とは関係なくお金が流れるという可能性や、保育料設定のモラルハザードも気になるところです。  海外だと、全ての保育園の質を国が定期的に評価し、その結果を公表し、保護者に選んでもらう、そして選ばれた保育園にお金が入る仕組みになっているそうです。無償化の前提として、きちんとした評価制度があるべきと言われています。  今回の幼児教育、保育の無償化の概要、現場の自治体の幼児教育、保育の無償化に向けての状況を県としてどのように捉えているのか。また、県としての役割をどのように捉えているのか。健康医療福祉部長にお伺いをいたします。  国では、平成29年度6月公表の子育て安心プランで、自治体を支援し、2年間で待機児童を解消するため、受け皿整備の予算を確保し、2年前倒しして2020年度末までの3年間で約32万人分の受け皿を整備することで、2022年度末までの5年間で女性就業率80%に対応できるようにするとしています。  しかしながら、待機児童の解消については保育士不足が課題となり、保育士の処遇改善が求められました。国では、対処療法であるみなし保育という規制緩和などの対応もとられました。残念ながら、すぐには保育士不足は解消できるわけでありません。この保育人材については九里議員の質問において答弁されておりますので、確実に保育人材の確保につながることを願っています。  滋賀県の4月1日現在の保育所、認定こども園の待機児童数は439人と、昨年同期より83人ふえています。また、半年ぐらいたつと、さらに待機児童はふえます。待機児童の現状の分析と待機児童の解消について、県としての対応を健康医療福祉部長にお伺いをいたします。  特に、ゼロ歳から2歳の待機児童が課題だと考えますが、どのように対応しようとされているのか、あわせてお伺いをいたします。  3歳から5歳までが無償化の対象となることで、保育需要が一層高まり、特に3歳児の認可保育所の待機児童が増加し、保育士不足に拍車がかかり、準備期間の短さからも、自治体の現場の混乱や負荷、保育の質の低下につながるのではないかと危惧をしています。実際に、平成29年4月から全ての園児の保育料を無償化した守口市では、慢性的な保育士不足と待機児童増加に拍車がかかったとのことです。  あわせて、保育士不足では満足な研修も受けられず、質の低下につながり、保育士にさらに負荷がかかります。また、より一層保育士不足に向かうのではないかと危惧をしています。本当に預けたい人が預けられなくなる可能性が高くなるのではという不安の声、待機児童の解消に先に取り組むべきとの声も多くあります。  この制度自体、子育ての社会化に関しては歓迎すべきことではありますが、そもそも現行でも低所得者の保育料は減免されており、今回の無償化で恩恵をこうむらないばかりか、その原資と言われる消費税の引き上げは、低所得者世帯にとっては大きなダメージになるのではと危惧もしています。幼児教育、保育の無償化が待機児童問題に与える影響や課題について、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。  今回、認可外保育に関しても、都道府県に届け出を行うと無償化の対象となり、経過措置として、国が定める指導監督基準を満たしていない場合でも5年間の猶予期間があるとのことです。保育の多様性は大事だとも考えます。病院内の保育や企業内保育などで非常に熱心な保育をされているところもある一方、届け出のみであり、認可保育所の要件を満たしていないことを考えると、認可外保育は非常に格差があるともいえます。保護者の皆さんが不安を感じることも多いと思います。  保育園や認可外保育での死亡事故などのニュースもありました。ジャーナリストの猪熊弘子さんによると、認可外保育施設のほうが事故が多い、指導監督基準を満たさない認可外施設であっても、5年間の経過措置として無償化対象になるのは問題が多いと言われています。保育士の人材不足や教育不足、多忙化により、けがなどの事故もふえるとも言われています。子供の視点に立ってどのような対応が必要とお考えか。韓国では幼児教育の無償化に財源がとられ、保育士の処遇が低迷するなどにより、保育の質の低下が問題になっているともいいます。  そこで、認可外保育について、滋賀の現状と今後の対応、あわせて、子供の安全と保育の質の向上についての対応を健康医療福祉部長にお伺いをいたします。  また、保育士確保のための優遇措置や広域での利用者の調整など、市町間でのさまざまな課題や調整に関しては、県、市町と一緒に、待機児童対策協議会で実効性のある対応を考えておられることだと思います。新たな認可外保育所の保育の無償化への対応なども市町ごとに対応が異なることと思われますが、県として、市町と一緒にどのように対応しようとされているのか、健康医療福祉部長にお伺いをします。  また、今回の幼児教育、保育の無償化の目的、幼児教育の重要性に鑑み、全ての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指すものという本質から考えれば、障害児や虐待防止や子供の貧困への対応などで配慮が必要とされている児童の健全な成長のためには、障害の程度に応じた保育士加配や障害保育の質の充実、家庭支援推進保育は必要不可欠なことであり、県としても支援の充実をし、配慮が必要とされる児童の健全な成長を保障すべきと考えますが、障害児保育や家庭支援推進保育についての今後の支援の充実について、知事にお伺いをいたします。  現在、滋賀県では私立幼稚園は3歳から5歳児を受け入れているのが100%ですが、公立幼稚園では80%です。3歳以上の幼稚園児が無料になるとなると、公立の幼稚園では3歳児の受け入れができずに、入園児が激減するか、3歳児からの100%の受け入れを求められるようになるのではないかと考えます。  そのためには、早急に認定こども園化または保育園化を進めるか、幼稚園として3歳児の受け入れの体制を整え、預かり保育や夏休みのみの保育の体制の整備に取り組む必要があるとも考えます。無償化に伴い、今後、公立幼稚園のあり方が問われることになると考えます。また、地域での子育て支援を体系的に進めるために、どう連携していくかも考えなければなりません。  そもそも、今回の幼児教育、保育の無償化は少子化対策の側面が強く、もう一方の質の高い幼児教育以前に、質の低下が懸念される状況にあります。海外での幼児教育無償化の多くは、全ての子供が受けることが望ましい幼児教育内容を明確化した上で、それを無償化し、小学校入学時点の格差縮小、教育政策全体の効果を高めることに主眼が置かれていると言われています。  東京大学経済学部准教授の山口慎太郎氏によると、社会経済的に恵まれない家庭の子供が2歳時点で保育所に在籍していたかどうかにより、多動性、攻撃性などに有為な差があるとの結果があります。そのために、恵まれない家庭に3歳未満から保育を提供することに政策的な意義があるとされており、保育を必要とする子供に対して保育の無償化をすることは有意義だといえます。  就学前教育をどう考え、今回の大きな変化をどう生かすのか。原点に立ち返って、子供が育つ環境をどう整備していくのか。今、この大転換のときにみんなで考え、目指すべき姿のイメージを共有し、それぞれ立場が違っても同じ方向を目指すことで、滋賀の子供たちは滋賀で育ってよかったと思える幼児教育、保育にしてほしいと思います。  大きく変わるときだからこそ、変化に流されるのではなく、ピンチをチャンスに変えて、目指す方向をしっかりと見定めて県として支援すべきと考えます。  子供の育ちを中心にして、この子が大人になったとき自立して生き生きと生きられるように、大切なこの幼児期をどう過ごすのか、その育ちをどう支援するのか、ここが問われているんだと思います。子供の育ちを中心に置いた幼児教育、保育の本質に立ち戻り取り組むべきと考えます。  県として、幼児教育と保育についてどのような方向をお考えか。この無償化に当たり、どのように取り組んでいこうとされるのか、知事のお考えをお伺いいたします。 ○議長(川島隆二) 45番中沢啓子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)幼児教育、保育の無償化について、私には2点御質問をいただきました。  まず1点目、障害児保育や家庭支援推進保育について、今後の支援の充実についてということでございますが、滋賀の未来を担う子供たちの健やかな成長を促していくためには、障害のある子もない子も全ての子供に、個々の発達状況に合わせた保育を実施していくことが重要であると考えています。  障害児保育につきましては、発達や障害の状態を把握し、適切な環境のもとで保育できるよう、今年度より、おおむね障害児2人に対し保育士1人の配置となるよう、交付税措置が拡充されたところでございます。  また、家庭支援推進保育につきましては、家庭環境に対する配慮が必要な子供へのきめ細やかな保育やその保護者への支援を行うため、平成29年度は、31園におきまして47人の保育士加配が実施されております。  今般の幼児教育、保育の無償化の観点の一つでもございます幼児期の教育の重要性を踏まえまして、子供たち一人一人の発達に合わせた保育が実施されるよう、障害児保育についての交付税措置の拡充を踏まえた対応を検討するなど、引き続き、障害児保育や家庭支援推進保育の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、幼児教育と保育の方向についてでございますが、議員御指摘のとおり、乳幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎が培われる大変重要な時期でございまして、教員、保育士等や他の子供たちとかかわる経験は、その乳幼児にとって極めて重要であると認識しています。  本年4月から完全実施されております幼稚園教育要領や保育所保育指針等では、幼児教育、保育を行う全ての施設において共有すべき事項として、遊びを生み出す姿や諦めずにやり遂げる姿など、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿が示されたところでございます。  県では、教員や保育士等が一堂に会して行う研修の機会を設け、同じ方向性を持って学び合い、情報交換しながら、公立、私立、幼稚園、保育所等の種別にかかわりなく、幼児教育、保育の質の確保に努めているところでございます。  加えまして、保幼小、保育所と幼稚園と小学校の教員と保育士等が接続期のカリキュラムの編成、実施に向けまして一緒に取り組むことで、幼児教育、保育で育まれた力を小学校でよりよく伸ばせるよう努めているところでございます。  今回の幼児教育、保育の無償化は、幼児教育の重要性を観点の一つとして実施するものであり、今後とも、全ての子供たちが遊びの中で生き生きと学び、質の高い教育、保育が受けられるようにするとともに、保護者がニーズに合わせて選択できる特色ある幼稚園、保育所、認定こども園づくりができるように、市町を初め、関係者の皆様と連携して取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)幼児教育、保育の無償化につきまして、私に対する5点の質問にお答えをいたします。  まず、1点目の幼児教育、保育の無償化の概要および実施に向けての現状と県の役割についてでございます。  この幼児教育、保育の無償化の概要につきましては、現在、国において制度の詳細を議論されているところでございますが、主な内容といたしまして、1つ目に、3歳児から5歳児の全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化すること、2つ目として、ゼロ歳児から2歳児につきましては住民税非課税世帯を対象として無償化するということ、また、3つ目として、保育の必要性があると認定された子供が認可外保育施設等のうち指導監督基準を満たす施設を利用する場合についても、一定額まで無償化しようとするものです。  来年10月から無償化の実施が予定されている中、市町におきましては、円滑に事業を実施できるか懸念されておられます。県としても、混乱が生じないよう市町と情報を共有いたしますとともに、国に対して、迅速な仕組みづくりや必要な財源確保を要望いたしております。  また、議員の御指摘のとおり、無償化の実施に当たりましては保育の質を確保していくことが重要でございまして、保育所等に対する指導監査や保育士の資質向上のための研修等を実施することによりまして、県の役割を果たし、どの保育所等に通っていても、子供たちが健やかに育っていけるよう努めてまいりたいと思っております。  次に、2点目の待機児童の現状と対応についてでございます。  平成30年4月1日現在におけます待機児童数は、議員御紹介のとおり、439人となっております。そのうちゼロ歳児から2歳児が408人と、全体の9割を占めております。  待機児童の解消の対応といたしましては、平成25年度から平成29年度までの直近5年間におきまして、保育所等施設整備の支援を行いまして4,240人の定員増を図ってきたところでございますが、潜在的な保育ニーズもありまして、いまだ待機児童の解消には至っておりません。  このため、潜在的な保育ニーズを含めた施設整備に努めますとともに、特にゼロ歳から2歳児の待機児童が多いことを鑑みまして、少人数の単位でゼロ歳児から2歳児の保育を行います家庭的保育や小規模保育の施設整備も推進できるよう、市町の取り組みを引き続き支援してまいりたいと考えております。  また、保育士不足によりまして定員まで受け入れることができない保育所等もございますことから、あわせて保育人材確保対策をしっかりと進めてまいります。  次に、3点目の無償化が待機児童問題に与える影響や課題についてでございます。  幼児教育、保育の無償化が実施されますと、議員御指摘のとおり、保育需要が喚起され保育ニーズは増加し、待機児童はさらに増加する可能性が高いと見込まれます。  こうした保育需要の増加に対しまして的確に対応していくことが課題であると認識しておりまして、先ほど申し上げましたとおり、保育所等の施設整備の支援をしっかり行いますほか、保育人材確保につきましても、待機児童対策協議会において市町の御意見も伺いながら、一緒にさらなる充実に努めてまいりたいと思います。  4点目の認可外保育の現状と今後の対応、そして子供の安全と質の向上への対応についてでございます。  県内の認可外保育施設として届け出をされました施設は、平成30年4月1日現在で100施設、全体の定員は約2,500人となっております。認可外保育施設に対しましては、保育従事者の人数や資格、保育内容、保育室等の面積や設備の状況など、児童の処遇や安全などにつきまして、県等におきまして国の示す指導監督基準に基づき立入調査を実施し、課題がある場合には改善報告を求めるなど、保育の質や安全面の維持向上に努めております。  さらに、保育内容や児童虐待への対応方法等に関する研修への参加の案内や、感染症や事故防止に関する情報提供を行うなど、保育従事者の資質向上および安全面や衛生面を確保するための取り組みを行っているところです。  認可外保育施設が今後無償化の対象となるためには国が定める指導監督基準を満たす必要があることから、認可外保育施設に対して適切な指導を行いまして、適正な保育内容や保育環境が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。  最後、5点目の認可外保育施設の無償化に関して市町とどのように連携するかについてでございます。  中核市である大津市と、認可外保育施設の指導等の権限を移譲しております彦根市、草津市、東近江市の4市につきましては、おのおのの市におきまして、認可外保育施設が指導監督基準に適合しているかどうかを判断することとなりますが、この基準の運用解釈にそごが出ないように、緊密に情報交換等の連携をしてまいりたいと考えております。  また、市町におきましては、無償化に伴いまして、認可外保育施設に通う保育を必要とする子供に対して、利用者負担の償還払いの事務が新たに発生する見込みでございます。当該事務が適正かつ誤りなく行われるよう、その事務の取り扱い方法はもちろんのこと、認可外保育施設の届け出状況や、立入調査に関する情報の共有をより緊密に図ってまいりたいと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)国からの詳細が出てないので、確かに対応を考えるのは非常に難しいと思うんですけども、さっきおっしゃってた数点、再質問させていただきたいと思います。  1つは、今、最後におっしゃった認可外保育園なんですけども、これに関しては5年間は猶予期間があって、指導監督基準を満たさないところが出てくる可能性があると思いますので、それに関してしっかりと指導監督していただくということがさらに求められるのかなと思いますので、その点を1点、健康医療福祉部長に。  そして、先ほど紹介しました山口慎太郎氏の話によりますと、幼児教育が子供の人生を変えているのは、学力ではなくて、社会情緒的能力を通じた影響だと示されています。幼児期の多動性とか行動性の傾向は、青年期、成人期のそれらと相関しているようで、将来の犯罪の関与など、問題行動の予測に役立つということが知られていると言われます。  とりわけ、幼少期に行動面が改善された場合には、その効果が成人してからも持続するという研究報告があるそうです。これによれば、被害者の損害や警察、司法の費用、犯罪者の収監費用の軽減にもつながりますし、この犯罪と強く結びつくとされている幼少期の多動性、行動性傾向が保育園通いによって大きく減少するという可能性が高いと言われているのが、厚労省の実施した8万人を対象とした21世紀出生児縦断調査のデータの分析を通して明らかになっているということを言われています。  特に、2歳児が保育園に通っているかどうかということで明らかに違うということが言われていますし、先ほどお伺いしましたゼロ歳から2歳の待機児童の解消について、再度、健康医療福祉部長にお伺いしたいと思います。ゼロ歳から2歳だと、どうしても保育士さんの数がさらに必要になる。5歳児さんとは違いますから。それを考えたときに、本当にどうやってやるのかというのはやっぱり具体的に考えていかないと、保育ニーズが今回上がるということとあわせて、今でさえもそこが弱いというのが苦しいかなと。かつ、生涯にわたってその部分というのは非常に大事だと言われていますので、ぜひ、その辺を少し、再度お伺いしたいと思います。  また、先ほど、社会経済的に恵まれない家庭の子供に改善がさらによく見られるということですので、保育園通いが子供の発達に好ましい、これは影響を与えるということだけでなくて、子育てにかかわることが多い母親のストレスが少なくなるということで、子供との関係が改善されたりとか、子供の発達にとっても優位だと考えられています。  それだけではなくて、保育士の先生に子育ての相談をして不安の解消をしたりとか、子育ての知恵を得ることが家庭での保育の質が変わるのではないかと考えられています。  こういうことを考えれば、幼児教育と保育の質はとても大切で、特に配慮や支援が必要な家庭は、恵まれない家庭に関して、特にこれまで以上に手厚い支援が必要であり、先ほどおっしゃっていただいた家庭支援推進保育の支援の充実や、あと障害児保育等のための中核的職員の配置などを進めることが大切だと思っています。  そこで、知事に再度、障害者保育や家庭支援推進保育についての今後の支援の充実についてお伺いをしたいと思います。  そして、知事の目指す誰一人取り残さないという理念であるSDGsの目標の4では、全ての人への包括的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を推進する、を実現するために、2030年までに、全ての子供が男女の区別なく質の高い乳幼児の発達、支援、ケアおよび就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。2030年までに教育におけるジェンダー格差をなくし、障害者、先住民および脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにするとの2つのターゲットが設定されています。  先ほど述べたように、幼児教育はその子の一生にかかわってくる、それがまた社会全体にもかかわると思いますし、その教育を受けるときの状況にもやっぱりかかわってくると思いますので、この幼児教育の重要性に鑑み、再度、県として、幼児教育と保育の推進について、知事の決意、思いをお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 私に賜りました2つの御質問に対して、私が答えたことに対する再質問ということで理解をさせていただきました。  ちょっと順序逆になりますけれども、議員も御指摘のとおり、小学校へ入るまでの子供たちが過ごす環境、学ぶ環境というのは、その人、その子の一生にとっても大切であり、そのことが広い意味で長い目で見て社会にとっても大きな影響をもたらし得るんだというそういう視点、また、社会や家族の関係というのが時代の流れの中で大きく変容していく中で、それぞれの親子、それぞれの子供、それぞれの世帯が持たれる多様なニーズに応えていく保育や教育、就学前教育をつくっていくという視点、さらに、そういう視点を大事にしながらも、今回の幼児教育、保育の無償化の流れの中でそれにどう対応していくのかという、こういう対応ということが求められると思いますので、いずれにしても、繰り返しになりますけども、この時期のこの段階の教育、保育の重要性は私も強く感じておりますし、先ほど申し上げたように、質の確保ならびに小学校への接続、そのためのカリキュラムの編成、実施、充実ということのために今取り組みを進めておりますので、この無償化の流れの中でそういったものが充実こそすれ、阻害、後退することがないように、阻害され後退することがないように、教育委員会初め市町や関係団体としっかりと連携してまいりたいと思いますし、1つ目の質問に答えました、こういう中にあっても、とりわけ障害児の保育、また家庭支援推進保育については、国でも交付税措置がされるなど一定拡充されていますし、県でもこの家庭支援推進保育についても加配等対応をしておりますので、この点の重要性もしっかりわきまえた上で、この激動期ではございますが、しっかりと対応できるように努めてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) 私にいただきました2点の再質問でございます。  認可外の保育所に関しましては、議員の御指摘のとおり、施行後5年間は経過措置が設けられまして、基準に適合しなくても対象となるというところでございます。  ただ、もちろん現在でも認可外保育施設につきましては先ほど申し上げましたとおり指導監査に入っておりまして、不適切な場合がありましたら改善結果等も求めております。それをより適切に実施いたしますとともに、今後は、認可外保育施設においても、さらに質の向上を図ろうという気持ちを持っていただけるような何か対応方策がないか、検討してまいりたいと考えております。  2点目の2歳児の保育につきましては、待機児童も多うございますし、就学の状況を見ましても、3歳児以上の場合は約9割以上の方が就学していますが、2歳児以下の場合ですと半分以下の就学状況ということでございます。  今後とも、先ほど申し上げましたとおり、こういうゼロ、2歳児についてどういうふうに有効な方策があるのかといいますと、繰り返しになって恐縮ではございますが、市町が行っておられます地域型の保育、小規模保育等の保育ですが、そういうものを市町においてより有効に実施していただくとともに、人材につきましては、新規就労、それから潜在保育士の掘り起こし、それと離職防止、その3つについて強力に取り組んでいきたいと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)知事に最後1つだけ。  実は先ほど、保育の障害児保育ですけれども、これに関して、国のほうの交付金が変わったということで非常にいいことだと思うんですが、実は滋賀県でも単独で自治振興交付金というのを出して、障害児保育推進事業というのをされています。これに関しては、18市町さんで263カ所で障害児数が1,671人が対象にされている事業がありますので、このような事業もしっかりと引き続き障害児の保育のためにあわせてやっていっていただきたいと思うのですが、御意見をお願いします。 ◎知事(三日月大造) まず、国においては障害児保育費に係る交付税算定が改正されましたので、先ほど答弁させていただいたように、こういう拡充を踏まえた対応を県としてもしっかりと検討していかなければならないと考えておりますし、自治振興交付金を使ってこういう制度を行っていることに、それぞれの市町がどう判断してやれるかということは、まさにその自治の振興の観点から余り県がどうこうと言うことは少し控えなければならないのかもしれませんが、大きな流れとして、障害のある子供たちの保育、就学前教育を充実していかなければならないという、そういう視点、観点は持ち合わせて制度づくり、また財源の手当てをしていかなければならないと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)大変かと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、木と親しむことに関してということで、知事、琵琶湖環境部長にお伺いいたしたいと思います。  琵琶湖を取り巻く山々、滋賀県は森林が県土の半分を占めています。知事は提案説明でも、全国植樹祭の開催決定とやまの健康について述べておられました。間伐材などを活用して、木のファイルや名刺入れの木製品やペーパーなど文具、そしてウッドスタート、木育など、木の玩具や木のおわんやお箸、そして木のアクセサリー、実は今つけているこのイヤリングも県産材でつくられているんですが、身近に木と親しむことが森林や山に思いをはせることにつながると思いますが、身近な木材利用の取り組みの現状を琵琶湖環境部長にお伺いいたします。  造林公社の木々は平成29年度680立米と、今後も多くの材が出てきます。構造材として使うことが求められると考えます。建物の中の木質化は、フィトンチットなどが精神の安定に寄与すると同時に、睡眠の質がよくなることなど健康にもいいと言われています。健康住宅としての活用も進め、地域の材で地域の工務店や建設会社が健康エコ住宅を建てることが地域の活性化にもつながると思います。  また、現在は材木の耐久性を増すことも可能なさまざまな技術が開発されており、これらも使用して木材の活用を考えることも大切と考えています。  例えば、多賀町では86%が森林であり、現在、芹川沿いに中央公民館を多賀の木で建設されています。近くには多賀大社があり、借景には多賀大社の御神木である三本杉がある杉坂山があり、最高のロケーションです。訪れていただいて、木のよさを感じていただけると思います。  このような地域材を使うためには、まずは乾燥、そして製材が必要となります。県産材の構造材としての活用について、およびその加工施設など、滋賀の現状と今後の取り組みについて、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。  知事は、ことし7月に多賀町中央公民館で、多賀語ろう会の皆さんと「こんにちは!三日月です」で懇談をされ、多賀の大杉に短期居住もされました。さまざまな交流をされ、山の文化や木についてもお聞きされたことだと思います。短期居住を通して、今後の山村振興への思いについて感じられたことをお伺いいたします。  また、この8月に滋賀県での2021年の第72回全国植樹祭の開催が正式決定しました。非常に喜ばしいことです。開催に当たっては、開催会場として各地から候補地の提案があり、甲賀市に決まりましたが、植樹祭の準備委員会の委員長から、提案があったほかの候補地について、サテライト会場ですとか植樹会場としてしっかり利用していただくことについて、引き続き検討していただきたいという御意見があったとお聞きしています。ぜひともサテライト会場など設置して、県下全域で木に親しむ機運の醸成を図って、また、下流府県とも交流するなど、琵琶湖の水源の森を大いに発信していただきたいと思います。全国植樹祭に関しての今後の取り組みについて、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 木と親しむことに関する4点の御質問のうち、私には2点御質問いただきました。  短期居住を踏まえた今後の山村振興への思いということでございますが、多賀町大杉では、今回、4日間という短い期間でございましたが、木材の伐採から利用までの視察や、地域でそれぞれに森林や木材とかかわっている方々と意見交換などを行わせていただきまして、森林林業や山村の暮らしの実態を体感することができました。  大杉の集落では高齢化と人口減少が進んでおります。また、木材価格が低いことから林業経営が成り立たず、所有者の意欲も失われてきているといった実態をお聞きいたしました。さらに、猿や鹿が人を恐れなくなり、これらが頻繁に集落や里山に出没し、農林業や生活への被害もふえているということもお聞きいたしました。  しかし、御紹介いただきました多賀語ろう会の皆さんとの懇談では、多賀町産の木材を利用して建設中の中央公民館を、乳幼児から高齢者まで、また障害のある人もない人も、みんなが集まって利用できる魅力ある公民館としたいという多くの皆様方の熱い思いを聞かせていただきました。  また、豊かな森林資源や清らかな水の流れなど山の恵みを感じることができ、また、林業を希望してふるさとにUターンしてきた若者ですとか、木工品の製作に打ち込む人など、前向きに取り組む人たちにもお会いすることができました。町産材を活用したお食い初めセットの贈呈にも立ち会うことができ、その取り組みの可能性も感じたところでございます。  山村の振興に当たりましては、山に手を入れて森林を保全しながら、再び林業を活性化させることはもちろんでございますが、あわせて地域の資源を活用し、また、新たな人の力と知恵も取り入れながら、山村そのものを元気にすることが不可欠であると改めて感じたところでございます。
     2点目、全国植樹祭に関して今後の取り組みということについてでございますが、甲賀市の鹿深夢の森をメーン会場として開催予定の第72回全国植樹祭につきましては、メーン会場のみならず県内全域で、また、当日だけでなく、準備期間中から県民総ぐるみで盛り上げていくことが必要だと考えています。  このため、大型ビジョンにより式典行事をリアルタイムに共有できるサテライト会場の設置や、開催当日に向けて県内各地で参加できる植樹イベントの開催などにより、県民誰もが植樹祭に参加できるような機会をつくっていきたいと考えております。  また、ことしから、植樹祭で使用する苗木を県内の学校や企業、団体等に育ててもらう苗木のホームステイ、スクールステイの取り組みや、会場や沿道などを花で飾る木製プランターケースの作製などにより、子供たちを中心に、準備段階からかかわっていただけるようにしていきたいと存じます。  また、さらに淀川下流府県の子供たちにも参加してもらう、こども水源の森サミットの開催などにより、琵琶湖とその水源となる森林を上下流の連携で守り育てるという機運の醸成にもつなげていきたいと存じます。  こうしたことにより、この全国植樹祭を契機に、さまざまな人々に琵琶湖の水源として重要な滋賀の森林づくりに参加いただく機会を提供し、青く輝く琵琶湖と健全で緑豊かな森林を次の世代、その次の世代へと持続的につなぐ取り組みを一層推進していきたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(廣脇正機) (登壇)木と親しむことに関しまして、私にいただきました2点の質問にお答えいたします。  まず、1点目の身近な木材利用の取り組みの現状についてでございますが、本県では、琵琶湖森林づくり県民税を活用し、未来へつなぐ木の良さ体感事業によりまして、県産材を活用した身近な木製品の利用を推進してまいりました。  具体的には、新生児に対する木製食器の贈呈や保育所等での木製玩具の導入など、子供の成長段階に応じて木に触れる機会をつくる木育への支援や、学校や社会福祉施設等における家具や木製遊具等の利用の促進、県産材を活用した新たな商品開発の支援等を行っております。  また、びわ湖材製品ガイドブックの作成や、首都圏情報発信拠点「ここ滋賀」での家具の導入や木製雑貨の展示販売などにより、県産材を活用した木製品のPRも行っております。身近な木材利用は、木製品との触れ合いを通じて木材への親しみを深め、森林の大切さやその保全の重要性についても理解をつなげていくための効果的な取り組みであると考えております。  今後も木製品の製作者などとも連携し、デザイン性や機能性にすぐれた製品の開発などを進めることなどによりまして、県産材を活用した身近な木材利用が一層推進されるように取り組んでまいりたいと考えております。  2点目の県産材の構造材としての活用でございますが、平成29年の本県の木材需要量は9万5,000立方メートルでございまして、うち、柱やはりなどの構造材などの需要量は約3万5,000立方メートルとなっております。  また、同年の本県の木材生産量は8万8,000立方メートルでありますが、うち構造材等の生産量は約2万3,000立方メートルで、近年ほぼ横ばいで推移しておりまして、県内の需要に十分応えられてないという状況にございます。こうした構造材などの生産を担う本県の製材業者は平成29年度では131業者で、近年減少傾向にありまして、いずれも中小の製材所となっております。  さらに、今後需要が期待されます公共建築物などの構造材を生産するためには高温乾燥機が不可欠でありますが、これを保有する製材業者は5者のみとなっておりまして、こうしたことが本県における構造材生産のネックとなっているということでございます。  こうした中で構造材の生産能力を高めるために、中小の製材所の連携を促しまして、まとまった量の供給ができるような体制の整備を進めております。また、単独では導入が困難な高温乾燥機について、こうした製材所が共同で導入できるような支援を進めていきたいと考えております。  こうしたことによりまして、県内の木材を県内で加工し、県内はもちろん、県外へも供給できる体制を構築していきたいと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)ありがとうございます。知事選で知事が訴えられたやまの健康、しっかりと実現できるよう頑張っていただきたいと思います。  これで質問を終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、45番中沢啓子議員の質問を終了いたします。  次に、39番成田政隆議員の発言を許します。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇、拍手)がんは1981年に日本人の死因の1位となり、今は2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなる時代になったとよく言われます。2年前に、血液のがんの一種、急性白血病で友人が亡くなりました。そして9月19日に、志を同じくした仲間、下村議員が腎臓がんで亡くなりました。ここ数年、毎年のように大切な存在である方々をがんで失い、悲しい別れを経験しています。大きな悲しみを受けとめながらも、次代に思いをつなげていきたいと思います。  そんな中、先ほども紹介ございましたが、がん免疫療法の開発に結びつけた功績が評価され、本庶佑京都大学特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞されました。心からお祝いを申し上げたいと思います。この受賞の知らせは、世界中の多くのがん患者の皆さんに、また、そばで支える皆さんに、大きな希望となる明るいニュースになったのではないかと考えます。  滋賀県がん対策推進条例にある家族、患者の安心を支える社会の構築に向け、通告に従い、白血病を初めとする血液疾患などのため骨髄移植などが必要な患者と、それを提供するドナーをつなぐ公的事業である骨髄バンクについて、知事ならびに健康医療福祉部長に伺います。  世界骨髄バンクドナーデーの9月15日、和邇文化センターにて骨髄バンク推進全国大会が開催されました。式典においては、滋賀骨髄献血の和を広げる会を初め6つの個人、団体に感謝状が贈られ、講演として、滋賀医科大学の木藤先生や滋賀骨髄献血の和を広げる会の片岡さん、そして移植経験者で骨髄バンクユースアンバサダーの石井さんから、骨髄バンクにかかわる現状や課題等のお話を伺いました。  近年、ドナー登録者数は年々増加しており、2018年8月末は48万8,871人であります。滋賀県においても登録者数は増加しており、2016年747人、2017年823人、今年度も8月現在516人となっております。特に、県内大学での積極的な登録会の開催により、30歳未満の若年者の比率は53.9%、全国3位となっております。これまでの取り組みに評価をさせていただきたいと思います。  骨髄バンクの普及をさらに広げるために、今後も引き続き、大学だけでなく高校、また企業に対しても、語り部講演会の開催やドナー登録会等を積極的に行っていただきたいと思います。  そこで、ドナー登録者、特に若年ドナー登録者のさらなる拡充を図っていくために、どのような取り組みを行っていくのか、知事に伺います。  積極的な取り組みのためには、多くの説明員が必要となってきます。昨年行った一般質問の答弁でもありましたが、レイカディア大学の協力をいただきながら、説明員の確保を図ってこられたところです。しかしながら、現状の中では説明員の派遣率は50%から60%であり、まだまだ人材が不足している状況であります。加えて、いろいろな年代層の説明員の募集も必要であり、県としてもドナー登録説明員の養成研修会等を行っていき、人材の確保をしていく必要があると言えます。  そこで、ドナー登録説明員をふやしていくためのさらなる取り組みについて、健康医療福祉部長に伺います。  次に、ドナー登録者へのフォロー体制について伺います。  昨年、ドナー適合通知が送られた2万4,634人のうち、1万5,800人が初期段階で移植のコーディネートを終了しています。「ドナーの健康上の理由」が32%でありましたが、「都合がつかず」が28%、「連絡がとれず」が23%、「家族の同意が得られなかった」が7%と、健康以外の理由も68%ありました。家庭や職場に対して理解が進むような取り組みも必要であり、また、登録者や周りの方への継続的な情報提供も重要であります。  そこで、ドナー登録者等へのフォローアップ体制についてどのように考えているのか、健康医療福祉部長に伺います。  特に、職場においては、約1週間休まなければならないために、コーディネートの終了理由は、40代以上が健康上の理由であることに対し、30代未満はドナーによる都合が多いと言え、若年ドナーに対するドナー休暇制度やドナー給付制度など、社会的支援制度の充実をしていかなければなりません。  昨年の一般質問の答弁において、企業にドナー休暇制度に向けた検討をお願いするとされましたが、企業における取り組みがどれだけ進んだのか。健康医療福祉部長に伺います。  骨髄バンクについては、家庭や職場を初め、社会全体の理解がより進むことも重要であります。県としても、一人でも多くの命をつなげるために骨髄ドナーに対する支援を行い、ドナー提供へと結びつけていく必要があると考えます。  現在、今年度から5県で取り組みが始まるなど、18の都府県で、骨髄末梢血幹細胞の提供を行った者等ドナーに対し支援を行う、区市町村に補助を行う骨髄移植ドナー助成制度を実施しておられます。実施しておられる都府県においては、窓口となる市区町村での取り組み数の増加につながっており、本年9月14日現在で、414市区町村で助成が行われております。  県内においては、現在、湖南市だけが骨髄移植ドナーへの助成制度を行っておられますが、滋賀県内全てにおいて市町と連携しながら、骨髄移植ドナー助成制度を行えるように取り組みを進めていくべきだと考えますが、知事に考えを伺います。 ○議長(川島隆二) 39番成田政隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)骨髄バンクについて、2点御質問を私には賜りました。  1点目、若年ドナー登録者の拡充をさらに図るための取り組みということについてでございますが、ドナー登録は18歳からできることから、大学での各献血会場を利用した登録会の開催に取り組んでいるところでございまして、平成28年度は県内の大学で17回の登録会を行い、258人の登録がございまして、平成29年度は32回の登録会を行い、321人の登録があったところでございます。  その他の献血会場でも登録会の開催に努めておりまして、今月10月は骨髄バンク推進月間でありますことから、ショッピングセンターでの街頭啓発やポスターの掲示等による啓発など、市町とも連携して取り組むこととしております。  さらに、今後は高校の献血会場で周知を図りますほか、議員御指摘の日本骨髄バンクが実施する移植経験者、提供経験者の話を聞く語り部事業は、骨髄移植の理解を深めるために大変有効でありますことから、学校行事や地域の行事として取り組まれるよう、教育委員会や市町に対し、事業の活用について機会を捉えて働きかけてまいりたいと存じます。  2点目、骨髄ドナー助成制度の取り組みについてでございます。  ドナーが提供に至らない理由、ドナーが求める支援を国において把握、分析した上で、さらなる提供率の向上につながる総合的な施策を推進されるよう、全国の都道府県が連携して、国に対し引き続き要望をしているところでございまして、まずはドナー助成制度の有効性について調べてまいりたいと存じます。  県といたしましては、骨髄移植推進のための普及啓発、骨髄提供希望者の登録の促進、企業等に対する骨髄ドナー休暇制度の創設の働きかけ等に、市町ともしっかりと連携し、一人でも多くの移植希望者が一日でも早く移植を受けられるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)骨髄バンクについて私にいただきました3点の質問のうち、1点目の説明員をふやしていくためのさらなる取り組みについてでございます。  説明員を養成するには、日本骨髄バンクの地区普及広報員を講師とする研修会への参加が必要でございます。レイカディア大学においても参加者の募集を行っているところでございます。レイカディア大学では、社会貢献活動に取り組む意欲のあるシニアの方のニーズとうまくマッチいたしまして、説明員の増加につながっておりまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  また、今後は、説明員の養成研修に多くの方の参加が得られますよう、シニアの方や学生のボランティアの集まり、あるいは市町の行う高齢者大学などにおきましても、広く周知を図ってまいりたいと考えております。  2点目のドナー登録者等へのフォローアップ体制についてでございます。  ドナー登録の個人情報に関しましては日本骨髄バンクに登録されておりますため、県においては把握ができておりません。  ドナー登録された方に対するフォローといたしましては、日本骨髄バンクが年2回程度、登録者に対しまして日本骨髄バンクニュースを送付されておりまして、この中で提供者の体験談など、ドナーについての理解が深まるよう、工夫して記事を作成されておられます。また、登録後に住所等の変更があった場合の対応につきましても案内をされまして、登録者の状況の把握にも努められておられます。  登録された方が必要とされるときに確実に御協力いただけるよう、引き続きこうした取り組みを重ねることが必要だと考えております。  県といたしましては、今月予定しております、先ほど知事が申しました骨髄バンク推進月間の街頭キャンペーンなどを通じまして、幅広く県民の皆様にドナー登録についての理解を求めてまいりたいと考えております。  3点目の企業における取り組みについてでございます。  県内の企業における取り組みの進捗につきましては、申しわけございませんが、把握はできておりません。  日本骨髄バンクのホームページには、ドナー休暇制度を導入されている341の企業・団体名が公表されております。このうち、平成29年度は6件、平成30年度は現在2件が新たに公表されたと承知をいたしております。  県としましては、今後とも、個々の企業の担当者あるいは市町の担当者などが集まる会議の場等におきまして、ドナー休暇制度の導入に係る働きかけを行い、協力を依頼するなど、さらに県内の多くの企業等におきましてドナー休暇制度が導入されるよう、関係機関と連携してまいりたいと考えております。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇)先ほど、企業側の休暇制度に向けた部分ですが、昨年の質問の中で企業に向けて行っていくと言われたからには、やっぱりしっかりとそこがどうなっているかというところを把握していかないといけないと思うんですけど、そういった中が出てこなければ、次の展開であるとか、どういった施策が必要なのかというのが見えてこないと思います。ここでやっぱり企業にお願いして、それで企業が取り組んでくれればそれでいいんですが、それが果たせなければ、やっぱり行政主体の取り組みも進めていかなければならないと言えますので。  先ほど、有効性を見ていくというお話もありましたが、今回ノーベル賞を受賞されたオプジーボの部分もそうですけど、やっぱり可能性をかけて取り組みを進められているので、助成制度があれば、一人でもその制度を活用してつなげることができるのではないか。仕事を休まなければならないところで、そこの部分で、助成制度があるから休むことができるという方も出てくるんじゃないかなと考えます。  実際に、先ほど述べたように、30未満の若年者の方々が滋賀県でせっかく多く登録してくださっているので、そういった方々がやっぱりドナー提供に結びつけるように、サポートできるところもしっかりバックアップしていただきたいと思います。  有効性があるからこそ、今年度においても5件が新たに実施されていると思いますので、今後ますます取り組みが進んでいく中で滋賀県が乗りおくれないように、そういった部分で意識が低い県と思われないように取り組みを進めていただきたいと思います。  今年度せっかく全国大会のほうを滋賀県で開催していただいたから、やっぱりそういった部分で、やってよかったな、骨髄バンクの理解が深まったなって思っていただけるように取り組みを進めていただきたいのでお願いしたいと思いますが、改めて知事に、骨髄移植ドナー助成制度における取り組みについてお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど答弁させていただいたように、ドナー助成制度の有効性について調べていきたいと思います。そもそも、これを県という地方自治体でやるのがいいのかということも含めて。ただ、確かにそれぞれが都道府県でやられていますので、その有効性については調べてみたいと思いますが、さらに、こういった骨髄移植によるマッチングや、救われる命が救われるというような取り組みはより広い形で行われることが有効だとすれば、そういったことについても今国に要望しておりますので、そういったことを実現していくというのも大切な取り組みだと思いますので、いずれにしろ、助成制度の有効性については調べながら、国に対する要望をしっかりと続けていきたいと思います。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇)県がという部分もあると思いますが、やっぱり都道府県で行っているところと行っていないところで、どれだけ市区町村の取り組みが進んでいるかというところを比較していただいたら多分見えてくると思いますので、そういった部分も含めて検討いただきたいと思いますし、また、都道府県でふえれば国の方も動き出す部分もありますので、そういった部分でも、滋賀県が参画する中で取り組みを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に、森林づくりと山の利活用について、知事および琵琶湖環境部長、警察本部長に伺います。  西日本豪雨災害、竜巻、たび重なる台風等、滋賀においても暴風雨に伴う被害が各地に爪跡を残しております。被害に遭われました皆様にお見舞い申し上げます。  さきの代表質問において、台風第21号の林業被害について、「風により人工林がまとまって倒れた被害が9月18日現在で大津市ほか5市1町で確認されており、被害面積が約45ヘクタールとなっています。今後、山腹崩壊等の二次被害の危険性の有無について詳細な調査を行い、必要な対策等検討をしてまいります」との答弁がありました。  先日、比良山系の一部になりますが、日本山岳会京都滋賀支部の方に御先導いただき、被害状況の調査に行ってまいりました。現地に入ると、風の通り道となる箇所においてはまとまって倒木し、また、各地点在して倒木しているのが見受けられました。倒木といっても、風により根こそぎ倒されているケースもあれば、根は残ったまま途中から倒れているケース、土砂に流され、それに伴い倒れているケースなど、多様でありました。ほかにも葛川においてもまとまった倒木被害があり、また、昨年来より、びわ湖バレイふもとの倒木もそのままの状況であります。  そこで、今後、県民の生命、財産を脅かしかねない山腹崩壊等の二次被害に対し早期に対策していかなければなりませんが、山林の被害に対しどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  次に、流木防止対策について伺います。  昨年の地震や集中豪雨等による激甚な山地災害が多発する中、流木災害が顕在化しており、対策の推進が必要とされました。特に国では、昨年の九州北部豪雨等による流木災害の発生を受け、効果的な治山対策のあり方を検討するため、流木災害等に対する治山対策検討チームを設置し、中間まとめを公表、昨年12月に、全国の山地災害が発生するおそれのある森林を対象に緊急点検を実施されました。県内においても44の対策地区が結果として出されております。  昨年度の国の補正予算より、約3年間で流木捕捉式治山ダムの設置や間伐等による根系等発達促進、流木化する可能性の高い流路部の立ち木の伐採等が対策として盛り込まれているところです。  今後は、既設のダムをスリット式に変えていく、特にチェーン式のスリット型治山ダムを近年研究されているとのことですが、いかに流木を捕捉する機能を高め、また、それらを除去しながら治山効果を高めていくか。またあわせて、漁場保全にも効果が高まる砂をどのよう流していくかが重要であります。  実際に比良の調査においても、砂防堰堤のほとんどが堆砂しており、そこに木が生い茂っておりました。一方で、北小松から蓬莱にかけて琵琶湖沿いを回ると、砂浜が欠けるとともに、コンクリート護岸の下の砂が洗われているなど、スリット型治山ダムのさらなる活用等、山と琵琶湖における適正なる砂の流し方に関し、研究が必要であると感じました。  そこで、今後の流木防止総合対策についてどのように考えているのか、知事に伺います。  次に、災害に強い山づくり、自伐型林業の推進について伺います。  北海道の胆振東部地震における大規模な山腹崩壊の映像に衝撃を受けました。火山灰などが堆積した斜面が一気に崩れ、6秒ほどで住宅に達したと言われております。県内の山腹は火山灰ではないものの、花崗岩が風化した真砂土が多くあるために、水分を含んだ状態で地震が起こると同様な被害が出ることも考えられます。だからこそ災害に強い山をつくっていく必要があり、森林保全の取り組み強化をしていかなければなりません。  一般的に、広葉樹の根は横に広がるように伸びるのに対し、針葉樹は縦に伸びるとされ、間伐等管理を行わなければ表土の流出を阻止する効果が得られないと言えます。  本県の森林面積は平成28年度末で約20万2,000ヘクタール、うち天然林が11万7,000ヘクタールに対し、人工林は8万5,000ヘクタール、約42%であります。人工林の課題として、本格的な利用期を迎えている中で、低コストかつ収益性の高い木材生産に必要な施業の集約化、路網の整備、高性能林業機器の導入などがおくれているとともに、これに対応できる林業技術者が不足しているとされています。  一方、自伐型林業の取り組みが注目され、広がっております。自伐型林業とは、限られた森林を離れず、みずから持続的に経営、管理、施業をしながら収入を得ていく自立自営の林業であります。長期にわたり間伐を繰り返し、面積当たりの質と量の向上や森の多目的活用へ導くため、良好な森の維持を行うことを可能とし、収入を上げる施業と良好な森づくりを両立させることができます。  また、高密度路網を施設する長期的な多間伐施業により、土砂流出防備、土砂災害防備、水源涵養、風害防備等の機能を同時に備える環境保全型林業にもなります。  現在、地域おこし協力隊の制度を活用し、長浜市では自伐型林業の実践と普及に取り組むチームを設け、その後、有限責任事業組合木民を設立し、活動をされております。  また、米原市においても、地域の里山を集約して、担い手によって収入を生み出し、持続的な経営につなげる水源の里まいばら自伐型林業みらいつくり隊を募集され、昨年10月より取り組みを進められております。  自伐型林業は、低投資、低コストで長期的な多間伐を行い、将来的には補助金に頼らず、A材を生み出すことにより面積当たりの材積を高め、収益を上げることが可能となります。また、環境保全型林業であることから、災害に強い山をつくると同時に、中山間地域に若者を中心とした移住者をふやし、山村の活性化を果たすことができます。  これまでも木の駅プロジェクト推奨事業で取り組みを行っておられましたが、県内における自伐型林業のさらなる推進を図る必要があると考えますが、知事に所見を伺います。  次に、太陽光発電や風力発電などの山林における施設設置について伺います。  西日本豪雨の影響により、姫路市において、傾斜地の太陽光発電施設が約3,600平方メートルにわたり崩れました。また、神戸市須磨区においても、新幹線の線路わきの法面が約400平方メートル崩れ、山陽新幹線が一時運行を見合せました。土砂災害などの災害リスクを考えると、山林への太陽光発電施設のリスクは非常に大きなものがあると言えます。  また、風力発電施設においても、台風第20号により、淡路島の北淡震災記念公園の風車が土台部分のコンクリートの入っている鉄筋が断裂し倒壊しております。  先般、米原市と岐阜県関ケ原町にまたがる山林において、大規模な風力発電施設の建設が計画をされましたが、地元からの風車騒音による住民健康被害の懸念や、地盤がもろく下流の集落が土石流に襲われるおそれがあること、また、イヌワシ、クマタカの保護、生息環境保全ゾーンでもあることから、事業者は、環境アセスメントの手続は進めない、計画を一時凍結するとの方針を出されました。  一方で、長浜市と福井県南越前町の山林に風力発電施設を設置する計画については、環境配慮書の提出、縦覧がなされ、先月27日に環境影響評価に関する滋賀県の審査会を開催され、イヌワシやクマタカの生息や騒音に関し意見が出たと聞いております。  そこで、再生可能エネルギーの必要性は不可欠であるものの、生態系への影響、土砂災害等さまざまリスクを考えていく中で、太陽発電や風力発電など山林における施設の設置に関して、さらに規制を強化することも検討すべきだと考えますが、知事に所見を伺います。  次に、獣害被害について伺います。  これまでの森林における下層植生の衰退により、土壌の崩壊等の影響が出ておりました。県はこれまでも獣害対策を行われ、本年度においても、急増する野生動物被害に対する捕獲対策を行うとともに、森林動物行動圏等の調査もなされているところです。健全な水源林の育成と生物多様性の保全において獣害対策は重要でありますが、獣害被害の現状と今後の対策について、琵琶湖環境部長にお伺いします。  次に、山を生かす取り組みについて伺います。  まず、学校現場における間伐材製品の積極的な利用について伺います。  現在、琵琶湖森林づくり事業において、びわ湖材利用促進事業が行われており、木造公共施設や木の学習机等木製品利用促進事業を行われております。子供たちが木のよさを体感し、森林保全に対する意識を向上させるには大変大切であると言えます。  現在、小学校4年生ではやまのこ事業を行っておりますが、こういった事業の中で、例えば木の学習机の製作を行い、そのつくった机を4年生から1年生にプレゼントすれば、1年生は上級生からもらった机を大切にし、また4年生になったときには丁寧に机を作製するなど、滋賀の山の恵みを生かした事業になるのではないかと考えます。  学校現場でのびわ湖材の積極的な活用は、林業成長産業化にもつながり、山を生かすための多面的効果も出ると言えます。  そこで、学校現場における間伐材製品の積極的な利用について、琵琶湖環境部長に伺います。  次に、昨年9月定例会議にも質問しましたが、トレイルを活用した山を生かす取り組みについて伺います。  9月29日に森林スポーツ新時代のシンポジウムが行われ、トレイルランニングやマウンテンバイクなど森林における新たなスポーツ利用が、森林利用や山村振興等地域の活性化につながっていく事例が報告されました。
     現在、高島トレイルは県内においていち早く整備され、多くの方が楽しまれております。また、比良比叡トレイルでは協議会を立ち上げ整備を進められており、余呉トレイルでは丹生ダム建設事業中止に伴う地域振興策としてトレイルの整備と利活用を、奥伊吹トレイルでは、滋賀県トップ3の山、伊吹山、ぶんげん、金糞峠をつなぐトレイルとしての利活用をそれぞれ注目されています。  国定公園指定50周年を迎えた鈴鹿山脈では、東近江市において鈴鹿10座の保全活用プランを策定し、積極的に取り組みを進められております。さらに、これらのトレイルと東海自然歩道をつなげば、滋賀県の山々はトレイルで一周つながることになります。  現在、琵琶湖環状線利用促進協議会において、「電車&バスで行く駅から始まる滋賀の山 トレッキングマップ」を作成し、公共交通を活用した山々へのアクセスマップを作成されております。  江若交通では、びわ湖テラスの人気から、びわ湖バレイ線の乗車数も大幅にふえ、また、比良登山線も含め、近年、山に向かわれる方が増加していると伺っております。登山口付近は交通不便地域でもあることから、山へ観光客を導くことは新たな交通網の形成にも役立ち、地域の活性化にもつながると考えます。  そこで、トレッキングやトレイルランニング、マウンテンバイク等森林を生かしたスポーツの活性化は、地域振興や観光振興にもつながると考えますが、森林を活用したスポーツの推進について、知事に所見を伺います。  先般、ぐんま稜線トレイルの取り組みについてお話を伺いました。群馬県では、知事が会長に、関係町長が副会長に置かれ、観光団体や山岳団体、アウトドア事業者等の協力のもとに、群馬県稜線トレイル活用促進協議会等を立ち上げられ、施策を推進されております。協議会において、未開通区間や道標の整備、案内板設置、全線の道標への共通したロゴマークプレートの設置、関係者による連携したPR等がなされているところです。  県としても、関係市町と連携し、各地のトレイルの情報を集約し、滋賀一周のトレイルとして取り組みを推進するとともに、新たな魅力として発信していくべきだと考えますが、知事に所見を伺います。  次に、山岳遭難について、警察本部長に伺います。  先月15日には、葛川坊村町の明王谷付近で60代の夫婦の遺体が発見されるなど、本年、県内における山の遭難事故が過去最悪のペースで発生しております。  実際に、昨年、ことしの台風、豪雨により、倒木や土砂崩壊により登山道が通れなくなっているケースもあり、山岳会を初め多くの皆様の御協力のもと修繕をしていただいているものの、まだまだ危険箇所、迷いやすい箇所が多数存在しております。  また、滋賀の山は低い山であることから、軽装で登られる方も多く、草木が生い茂る林道やけもの道等、迷いやすい道も多くあり、遭難のリスクの理解を深めていかなければなりません。  特に、登山届出の未提出者も多くおられ、捜索時の対応に苦慮することも見受けられます。場合によっては、富山県や山梨県などで行われている登山届出を義務づける条例について議論する必要があるんではないかと考えます。  そこで、山岳遭難の現状と対策について、警察本部長に伺います。  また、近年増加する山岳遭難に対して、山岳警備隊のスキルアップや資機材の充実も必要となりますが、長野県や岐阜県などに研修に行くなど、高山の救助で培われた技能を滋賀県の山岳救助に生かしていくことも重要であると考えます。  そこで、山岳警備隊のさらなる体制の強化について、警察本部長に伺います。  次に、琵琶湖森林づくり基本計画の見直しに関連して伺います。  現在、森林経営管理法の制定や全国植樹祭の滋賀県開催、山村の活性化等顕在化してきた新たな課題と解決に向け、琵琶湖森林づくり基本計画の見直しをされようとしております。森林経営管理法の制定により、市町村が主体となって森林所有者と林業経営者をつなぐ新たな森林経営管理制度について規定され、市町にその財源として森林環境譲与税が配分されることとなりました。このことは先般野田議員が詳しく議論されましたので一部割愛しますが、森林環境譲与税により、所有者、境界の明確化など、森林資源の適正な管理が進むことに期待したいところです。  一方、県と市町の状況を見ると、県のほうが森林政策に関しノウハウを蓄積しており、市町への支援に対し県の役割は非常に大きいものがあると言えます。  そこで、森林整備や境界明確化等について、県と市町の連携をどのように行っていかれるのか、知事に伺います。  また、市町とのかかわりの中で、今後、森林の経営管理の集積、集約化等が進められていき、県民全体で支える森林づくりがさらに進んでいくことになります。その中で、森林の多面的機能の持続的発揮をしていかなければならないと考えます。  これまでも琵琶湖保全再生に向けた活用のあり方においては、琵琶湖保全再生計画が掲げる守ることと活かすことの好循環の推進を挙げられております。滋賀の山々に関しても、守ることと活かすことの好循環の推進を果たす必要がありますが、森林の保全再生の推進、森林資源の活用とあわせて、森林環境学習や観光、レジャー、景観、文化、スポーツ、レクリエーション、健康づくり、癒しなど、多岐にわたり、山々、森林の活用も行っていくべきだと考えます。  そこで、保全再生と活用との循環の推進について、森林に関しても取り組んでいく必要があると考えますが、琵琶湖森林づくり基本計画の改定により、どのような滋賀の森林をつくっていこうとされているのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 森林づくりと山の利活用について12点御質問をいただいたうち、私には8点御質問賜りました。  まず1点目、台風による山林の被害に対しどのように取り組むのかということについてでございますが、本年9月4日の台風21号による林業被害は、9月18日現在で74カ所、約45ヘクタールのまとまった倒木被害が確認されており、人家や道路等に近接している箇所や登山者等の人の入り込みがある箇所から順に、現地調査を実施しているところでございます。  現地調査では、渓流沿いであるか、倒れ方が根から倒れているのか幹の途中から折れているのか、また、倒木が引き金となって土砂流出や流木の危険があるのかなどを見て、二次被害の危険性を判断してまいります。  この調査結果をもとに、二次被害の危険性が高い箇所から順に復旧が図れるよう、造林事業を活用し、倒木の整理等の実施を森林所有者に働きかけることや、県、市町での治山事業の検討などを行ってまいりたいと存じます。  2点目、流木防止総合対策についてでございますが、流木対策につきましては、平成29年度に策定いたしました琵琶湖の保全再生の視点に立った森林整備指針において、流木、流出土砂対策の視点による森林づくりを掲げ、取り組みを進めています。  まず、山腹部においては、間伐を進めることで下層植生や木々の根の発達を促し、流木災害の発生源である山腹崩壊の防止に取り組んでまいります。  渓流部におきましては、上流部では流木となるおそれがある危険木を除去するとともに、下流部では治山事業と砂防事業とが連携して、スリット式ダム等を整備することにより、流木が発生した場合でも、できる限りこれを捕捉する対策に取り組んでいるところです。  このような流木対策は、昨年行いました緊急点検により、民有林内の41地区において平成32年度までに緊急的に取り組むこととしており、昨年度から23地区において着手し、着手率は56%となっております。  こうした対策を進める中で、漁場の保全や湖岸の浜欠けを防止する上で適度な砂の供給も効果があると考えられますことから、施工が可能な箇所においてはスリット式ダムの採用や治山ダムの工法を工夫するなど、検討を行ってまいりたいと存じます。  今後とも、こうした対策、こうした取り組みを着実に進めることにより、流木防止総合対策を進めてまいります。  3点目、自伐型林業のさらなる推進ということについてでございますが、県では平成27年度から、琵琶湖森林づくり県民税を活用いたしまして、みずから木を切って搬出、販売することで、木材資源の活用を実践している自伐型林業団体に対して支援を行ってきたところです。  具体的には、市町が行う自伐型林業団体に対する機械の購入やレンタル、拠出経費についての支援や、伐採方法や安全対策などについての講習会の開催について補助を行うとともに、県においても講習会を開催してまいりました。これまで毎年、4団体程度に対し支援を行ってまいりました結果、補助金に頼らず自立して活動する団体も生まれ、特に議員御指摘のように、長浜市や米原市においては、若者の活躍や移住者の増加などの山村の活性化にも一定つながる事例となっております。  今後とも、地域の実情に応じて市町と連携し、新たな森林環境譲与税も活用しながら、自伐型林業の育成に努めてまいりたいと存じます。  4点目、山林における再生可能エネルギー設置についてでございますが、本県では、林地開発を伴う大規模な太陽光発電施設の設置に関する対応事例について全国的に調査し、これをもとに、昨年度、林地開発の審査基準の検証を行い、基準を改正したところでございます。  これに加えまして、完成後の太陽光発電施設について、本県が独自に設置している水源林保全巡視員が定期的にパトロールいたしまして、法面や防災施設等の状況を確認し、必要に応じて事業者に適切な維持管理等の指導を行うことといたしております。  さらに、昨年4月のFIT法改正により、法令違反の悪質な事案に対して国による改善命令や認定取り消しができることとなったため、こうした場合は県、市町から国へ情報提供することといたしております。  このように、太陽光発電施設に係る林地開発につきましては一定の対応策を講じておりますことから、本県では直ちに規制の強化が必要な状況ではないと考えております。  しかしながら、太陽光発電設備の設置につきましては、地域住民から防災面などからの懸念が表明されるケースもあり、また、今後、風力発電などさまざまな再生可能エネルギー施設の整備も進むと考えられますことから、国に対して、改めて林地開発の審査基準を検証されることでありますとか、現在検討されております環境保全マニュアル等の整備を進めるよう要望してまいりたいと存じます。  今後とも、林地での再生可能エネルギー施設の設置状況を注視するとともに、より一層、国や市町等との連携強化を図り、適正に事業が実施されるよう努めてまいりたいと存じます。  5点目、森林を活用したスポーツの推進ということについてでございますが、県では滋賀県スポーツ推進条例において、琵琶湖を初めとする豊かな自然環境、環境資源等を活用し、地域の特性を生かしたスポーツに重点的に取り組むこととしております。  また、伊吹や鈴鹿、比良などの山々の自然環境を生かして、ハイキングやキャンプ、登山などを楽しみに県内外から多くの人が来訪されているところでございます。  議員御提案のように、滋賀の山々をフィールドにトレイルランニング等の森林スポーツに汗を流していただくことは、健康づくりや地域活性化にもつながり、非常に魅力的であると感じています。  こうしたことから、滋賀のスポーツの魅力を発信するポータルサイト「しがスポーツナビ!」等でも、森林を活用したスポーツの楽しさ、トレイルランニングなどの大会の開催についての情報をさらに発信してまいりたいと存じます。  また、3年後に迫りましたワールドマスターズゲームズ2021関西におきまして、オープン競技としてトレイルランニングが高島市で開催されることが決定しており、海外を含め1,000人程度の参加者が見込まれているところでございます。こうした世界大会の開催に向けて、一層、滋賀の森林を活用したスポーツの魅力を、高島市等とも連携しながら発信していきたいと考えております。  6点目、滋賀一周トレイルについてでございますが、高島トレイルや比良比叡トレイルを初めとするトレイルの整備、東近江市における鈴鹿10座の保全活用プランの策定など、山を生かす取り組みが県内各地で広がりを見せていることは、山岳スポーツや観光振興の面でも大変意義深いものであると認識しています。  議員御案内の滋賀一周のトレイルは、総延長が400キロメートル以上にもなり、その規模感や走破したときの達成感は注目を集めるものと思料いたします。こうしたことから、県内各地のトレイルを結びつける滋賀一周のトレイルの実現に向けた各関係者の連携に期待しているところでございます。自然を生かした体験型観光は本県の観光の特徴の一つでもあり、県としても、市町や各種団体等と連携して、トレイルの魅力を積極的に発信してまいりたいと存じます。  7点目、森林整備や境界明確化についてでございますが、新たな森林経営管理制度の創設によって、森林整備における市町の役割がより重要となることとなり、特に市町が中心となって、本県でも課題となっております放置林対策に取り組むことが期待されています。  こうした森林整備のためには、その基礎となる森林境界の明確化が大変重要となっておりますが、不在村者──村にいらっしゃらない不在村者の増加や森林所有者の高齢化および世代交代により、境界が不明確な森林はますます増加しています。  県では、平成23年度から琵琶湖森林づくり県民税を活用した放置林防止境界明確化事業、平成27年度からは森林境界情報強化事業により、市町が行う境界明確化や森林所有者や所在等の情報を取りまとめる林地台帳の整備について支援をしてまいりました。  今後、こうした放置林対策などの森林整備を進めるに当たりましても、その基礎となる境界の明確化につきましては、県全域で一定のレベルを保ちながら、その推進を図る新たな仕組みについて、県と市町が連携し、森林環境譲与税も活用しつつ構築してまいりたいと存じます。  最後8点目、琵琶湖森林づくり基本計画の改定についてでございますが、現在、森林、林業を取り巻く状況の変化や新たなニーズに対応し、主に次の4点について琵琶湖森林づくり基本計画の見直しを進めております。  1点目は、新たな森林経営管理制度の創設に対応し、市町が中心となって行う放置森林の整備などの推進、2点目は、第72回全国植樹祭を契機とした林業関係者や県民が総ぐるみとなった森林づくりや緑化活動の推進、3点目は、森林の保全、林業の振興とそれを支える山村の活性化の一体的な推進、4点目は、ニホンジカ被害による表土流出の防止や森林、林業にかかわる人材の育成確保など新たな課題への対応でございまして、これらを新たに計画に位置づけて推進していきたいと考えております。  この基本計画のもとに森林を守り育てることで、その資源を有効に生かし、これによって林業の成長産業化と山村の活性化を進め、それがまた森林を守ることにつながるといった好循環を生み出し、基本計画が目指します琵琶湖と人々の暮らしを支える森林づくりを着実に進めてまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(廣脇正機) (登壇)私にいただきました2点の質問にお答えをいたします。  まず、1点目の森林における獣害被害の現状と今後の対策についてでございますが、森林においては、主に、ニホンジカが樹木の皮を剥いでしまう、あるいは苗木を食べてしまうといった被害や、下層植生を食べ尽くしてしまうことによりまして土壌が流出するといった被害が起こっております。こうした被害は本県では全域で確認されておりまして、森林の水源涵養など公益的機能の維持のため、獣害対策を行う必要が生じております。  このため、ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画に基づきまして、平成27年度時点で7万1,000頭と推定される生息頭数を、平成35年度までに半減させることを目標として捕獲を進めているところでございます。  今後は、こうした捕獲を引き続き進めるとともに、特に、これまで対応が十分できなかった県境付近や高標高域におきまして、近隣府県と連携しながら進めていきたいと考えております。  さらに、狩猟による捕獲が困難なところでは、植生の被害を保護するため、一定の森林に鹿が入らないような対策も検討してまいりたいというぐあいに考えております。  2点目の学校現場における間伐材製品の積極的な利用についてでございますが、本県では、琵琶湖森林づくり県民税を活用し、未来へつなぐ木のよさ体感事業によりまして、間伐材製品の利用を行ってまいりました。県内の小中高等学校におきましては、学習机、椅子、教卓、教壇、書架、げた箱などの木製品、および校舎などの木造化、内装木質化に間伐材製品が利用されております。  今後も学校現場における間伐材製品の利用がより一層効果的に進みますよう、県では、CLTなどの新たな技術を活用した間伐材製品を利用するモデル的な建築の整備を推進するとともに、市町におきましても、森林環境譲与税も活用しながら間伐材製品の利用に取り組んでいただけるように、積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)山岳遭難につきまして2点質問をいただきました。  まず、1点目の山岳遭難の現状と対策についてお答えいたします。  県内における本年8月末の山岳遭難の発生状況は58件、67人と、昨年同期と比べまして13件、8人、それぞれ増加しております。通年で申し上げますと、平成29年中は76件、108人の方が遭難されており、10年前の平成20年と比較しますと、発生件数、遭難者数ともにほぼ倍増しているという状況にございます。  内訳を見ますと、道迷い遭難が多数を占め増加傾向にありまして、その原因といたしましては、最近では倒木を避けようとして道に迷われたケースも散見されるところでありますが、そもそも地図やコンパスを持っていない、あるいは昼過ぎから登山を開始し、日が暮れないうちに下山できないといった方々もおりまして、準備不足や適切な計画を立てていないことが遭難につながっているものと考えております。  また、遭難されてから救助された方の数も増加しておりますが、これは携帯電話の普及によりまして、山間部からでも救助要請しやすくなったことが早期の救助につながったものということでございます。  議員御指摘のとおり、登山届を義務づける条例を制定されている山域もございますが、県警察といたしましては、引き続き、適切に登山計画を立てていただくこと、準備をしていただくこと、そして万が一の遭難に備えて、登山届を提出していただくことを呼びかけてまいりたいと考えております。  続きまして、2点目の山岳警備隊のさらなる体制の強化についてお答えいたします。  今ほど申し上げましたとおり、本県では道迷い遭難が多数発生しておりまして、捜索には多くの人手を必要としている現状にございます。本県の場合、専従の山岳警備隊員を確保できる状況にはございませんので、平素は交番で勤務している警察官など、その都度、体制を確保し、地元の消防や場合によっては地元の山に詳しい方の案内もお願いして、捜索に当たっているということでございます。  一方、崖から転落しての事故など高い救助技術を要する現場もあるところ、これまでも国、警察庁主催の山岳遭難救助指導者研修会に参加するなどして技術の向上を図ってきておりますが、平成28年からは新たに国立登山研修所における研修にも参加し、救助技術の研さんに努めるとともに、これら研修会で得た知識、技術を山岳警備に従事する各警察署の警察官に還元し、山岳警備に当たる警察官のすそ野を広げる努力をしているところでございます。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇)2点、知事に再質問させていただきたいと思います。  先ほど警察本部長の答弁にもありましたが、8月末で58件、67人とかなりふえている状況なので、その中でやっぱり、道迷い、倒木という部分もございます。そういった部分で、山に入ったとき、あちこち崩れているところ、地元の方と山岳会の方、直していただいているんですが、まだまだ多い状況であり、登山道の閉鎖されている情報もなかなか伝わってないというのも聞いております。  そういった中で、どういったルートがどうなっているのかというとことか、あとは、そういった道が崩れた際にどこに伝えたらいいのかわからないという話も聞いております。また、倒木している際も、そこの木を切っていいのか悪いのか、それを確認するのにどこに聞いたらいいのかわからないという話もありますので、そういった中で、やっぱりどこか統一した窓口をつくっていく必要があるのではないかなと考えております。  先ほど群馬県の事例も述べましたが、群馬県では協議会を立ち上げ、スポーツ振興課が窓口となっておられます。昨年、質問で取り上げた京都トレイルは、産業観光局観光MICE推進室が窓口となって施策を推進されております。東京都では自然環境部緑環境課が自然公園利用ルールを策定され、多摩地区の登山客の増加やペット連れでの登山、トレイルランニングなど、利用の多様化に対応されているところです。  今後も、さまざまなケースに対し対応できるように、県としても山の安全や適正利用に向けて、市町、関係団体と連携を図りながら協議会を立ち上げるなど、統一の窓口をつくっていく必要があると考えますが、伺いたいと思います。  2点目は、琵琶湖森林づくり基本計画の改定についてですが、これまでの森林整備、林業振興の観点とあわせ、例えば山村の活性化に関しても、若者の定住を促進する、先ほど自伐型林業のお話もありましたが、そういったところも、なかなか林業だけではなりわいとして難しいという話もいただいております。  そういった中で、IT関連の方々が自伐型林業をやりながら山に山村に住んでいただくような取り組みを進めたりとか、あと、森林スポーツのシンポジウムでもありましたが、トレイルの大会とかマウンテンバイク等々の活動をされている方々が、地域に入り込みながら、祭りとか、あとは地域の清掃活動とかを一緒にされている事例も報告されていました。  そういった中で、森林スポーツを行う若者たちが、そういった高齢化していった集落の活性化に貢献されている事例など、新たな視点もライフスタイルの変化とともに取り入れていく必要があるのではないかと感じました。  琵琶湖森林づくり計画は2005年から2020年まで15年の計画期間となっており、間もなく終了となりますが、琵琶湖におけるマザーレイク21計画のように、森林づくりの計画から、森林の利活用も含めた大きな山のグランドデザインを描くことも大事じゃないかなと考えております。  森林、林業、山村を一体化の中で、若者が移り住むようなことも意識しながら、新たなライフスタイルの構築による山村の活性化を目指して、全庁一丸となってビジョンをつくっていくことも大切かと感じます。  2020年の今度の大きな改定を見据え、琵琶湖森林づくりから、さらに大きく観光やスポーツなど山の多面的な利活用、若者の流入も意識した山村の活性化を描いた山のビジョンを策定したらどうかと考えますが、知事に思いを伺います。 ◎知事(三日月大造) 大変博識な議員からたくさんのことを言われて、ちょっとどこから答えていいかわからないんですけど、基本的には、県庁のスタッフの限られた資源をどこに充てるのか、また、県庁という行政がどこまでどう対応するのかということの中で考えたいと思います。  ただ、山というものにもっと人の手と心が入る取り組みをしていこう、また、山というものがスポーツの面でも大変可能性のある資源を有しているという観点から、山を恐れながらも、大変簡単なところばかり、楽しいところばかりではありませんし、そういった、山を恐れながらも多くの方々に親しんでいただける取り組みを進めるということでありますとか、若者がもっとさまざまな現代的な機器等も駆使しながら、また自伐型林業の可能性も追求しながら入っていただく、住んでいただく、そういう取り組みも進めるという、こういった観点は大変重要だと思いますので、地域のさまざまな取り組み、また、民間の方々のさまざまな取り組み等も参考にさせていただきながら、県がどういったことに取り組んでいけるのか、よく検討させたいと思います。 ◆39番(成田政隆議員) 終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、39番成田政隆議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時23分 休憩    ────────────────   午後3時45分 開議 ○議長(川島隆二) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  最後に、13番節木三千代議員の発言を許します。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇、拍手)まず初めに、生活保護について、分割で知事ならびに健康医療福祉部長にお聞きします。  まず、知事にお伺いいたします。  生活保護をテーマにしたテレビドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」が話題を呼びました。新人のケースワーカーが直面するさまざまな問題を通じて、憲法25条、健康で文化的な最低限度の生活とは何か、生活保護とは何かを問いかけています。生活困窮者に寄り添い、どう自立のために取り組むのか問われているときに、安倍政権は容赦なく、生活保護費の削減をこの10月から3年かけて強行いたしました。  安倍政権下の生活保護基準の引き下げは、このグラフにありますように、2013年8月から強行をされ、その後も期末一時扶助、住宅扶助、冬季加算の引き下げを毎年のように繰り返し、生活困窮世帯にぎりぎりの暮らしを強いています。10月からの基準引き下げは、削減総額は210億円にも上ります。  生活保護費のうち、食費、光熱費などに充てる生活扶助が対象になります。対象世帯は7割近くで保護費が減額されることになります。生活保護の基準は、最低賃金を決定する要件や就学援助など、低所得者向けの各種制度の基準になっており、国民生活全体に大きな影響を与えるものです。  これは大津市の試算ですけれども、子供1人の母子世帯で、今回、5年間のこの削減で1万8,250円もの削減であります。今回のこの削減は、ひとり親世帯などの母子加算などの削減もあわせて実行され、子育て世帯に大きな負担をもたらすものになります。物価は高騰し、今までもぎりぎりの生活で、野菜は買えない、月末はカップラーメンで、とにかくおなかが膨れればいい、親戚、近所づき合いなんてとてもできない、などの声が寄せられています。社会から孤立していく、これで健康で文化的な生活と言えるでしょうか。  安倍政権の経済政策アベノミクスで格差と貧困が広がる中で、憲法で保障された生存権を掘り崩す生活保護基準の引き下げについては、撤回をするように国に求めるべきと考えますが、知事に見解を伺います。
     次に、ことしの猛暑は、気象庁が命に危険が及ぶレベルで災害と認識をしているほどでありました。国民世論に押されて、厚労省は6月27日に、今年度から新たに生活保護利用を開始した世帯を対象に、一定条件を満たす場合にはエアコン購入費5万円の一時扶助を認める通知を出したものの、前年度3月までの生活保護利用開始の世帯は対象外となりました。  日本共産党地方議員団は、8月の8日、三日月知事宛てで、生活保護利用世帯が猛暑によって命が奪われることのないように対策を求める要望を行いました。ぜひとも、3月以前の生活保護利用世帯にも対象を広げること国に求めていただきたいと思います。見解を伺います。  また、熱中症対策でクーラーの使用を呼びかけても、生活保護世帯では電気料金が心配で使用できないという、そういうことが今の生活実態であります。安心して使用できるよう、夏季加算をつくるように国に求めるとともに、県として独自の補助を行うことを求めるものですが、知事に見解を伺います。  この項の最後に、生活保護のしおりについてお伺いします。  生活保護のしおりは制度の基本姿勢を示すものです。相談に来られた方はぎりぎりの思いで福祉事務所に訪れますが、一部に申請を制限すると受けとめられる記述が見られることから、日本共産党地方議員団は議会で改善を求めてまいりました。  4月の19日には、滋賀県が開いた各福祉事務所の査察指導員会議の中で、保護のしおりについて、記載例を示し、内容の精査を求めています。特に構成には、冒頭に憲法25条で定められた制度と記載、次にお気軽に相談してくださいなどと書いて、申請の意思があればどなたでもできるということが例示をされています。  また、4月の25日、26日に全国の担当者を集めて開催した生活保護法施行事務監査に係る生活保護指導職員会議で、厚生労働社会・援護局保護課自立推進・指導監察室では、一部割愛をしますけれども、保護のしおりの活用により、要保護者に保護の受給要件等の趣旨が正しく理解され、相談内容に応じた親切丁寧な対応が行われているか、と記されています。  この中で、扶養義務者による扶養が保護の要件のような書きぶり、扶養の記載を保護の要件と同列で記載している場合は相談者に誤信を与えかねないとし、申請前に関係書類を求めている内容が盛り込まれている場合は、見直しを助言するように求めています。にもかかわらず、例えば大津市や、また守山市では、しおりの冒頭を見ましても、生活保護を申請する前にしていただくこととして記載をされています。  こうしたこれらの記述が保護の要件のように、例えば、働ける人は能力に応じて働いてください、また、親子、兄弟、姉妹などから援助が受けられるよう努力してくださいと最初に書くのは、誤信を与えるものであり適切でないと考えますが、健康医療福祉部長に見解を伺います。  また、厚労省のこうした指針に沿って、各福祉事務所で早期に改善をされるように、また、改善されたかどうか見届けることを強く求めるものですが、健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ○議長(川島隆二) 13番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)生活保護に関します私への2点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、基準引き下げの撤回中止を国に求めることについてでございますが、平成30年10月以降における生活保護基準の見直しにつきましては、5年に1度の国の社会保障審議会における定期的な検証に基づくもので、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図りつつ、世帯類型などに応じて基準額が増額または減額されるものでございます。  なお、減額となる場合には、その影響が過大とならないよう緩和措置が講じられていると承知をしております。  今回の基準見直しにつきましては、国が社会保障審議会の報告を踏まえ必要な見直しを行ったものであり、県としては中止を求める考えはございませんが、福祉事務所に対する監査等により、その影響等について把握に努め、必要がある場合には国に対してその実態を伝えてまいりたいと存じます。  2点目、国への要望と県としての独自の補助ということについてでございますが、ことしのような猛暑におきましては、健康維持のためエアコン等の使用は不可欠と考えていることから、管内被保護者に係る冷房器具の保有実態を把握の上、支給対象者の見直しについて国への要望を検討したいと考えております。  なお、夏季加算につきましては、要望の必要性について検討をしたいと存じます。  また、県独自の助成制度については、生活保護は全国一律に国の定めた基準により行われるべきものであるため、県独自での助成を行う考えはございません。県で行うものではないと考えております。 ◎健康医療福祉部長(川崎辰己) (登壇)生活保護に関する私への2点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の保護のしおりの記述についてでございます。  生活保護制度におきましては、保護を受けられる方の立場や心情を理解し、支援が必要な方に対して確実に保護を実施していくという姿勢が大切と考えております。  こうしたことから、各福祉事務所ごとに作成をいたします保護のしおりは、申請者に対して、生活保護制度の仕組みや申請の手続などをわかりやすくお知らせするものとして、重要な位置づけにあるものと認識をしております。  議員から御指摘のございました大津市や守山市の事例につきましては、記述内容の一部に、保護の申請の要件ではないにもかかわらず、そのように解釈されるおそれのある表現が認められましたことから、内容の見直しにつきまして指導いたしたところでございます。これを受けまして、大津市と守山市においては、現在、見直しに取りかかっておられると伺っております。  2点目の各福祉事務所で改善がなされるまで見届けることについてでございます。  県では各福祉事務所に対しまして、本年度4月の生活保護実施方針・計画策定に係るヒアリングのときや、4月19日開催の査察指導員会議におきまして、保護のしおりについて、適切な内容となるよう指導を行っております。  加えまして、毎年度12月まで実施をしております生活保護法施行事務監査におきましても、不適切な内容がないか確認の上、必要に応じて指導を行っているところでございます。1月下旬から実施を予定しております確認監査におきまして、保護のしおりについて適切に修正がなされているか、確認をしていく所存でございます。  今後も、保護のしおりにつきましては、内容を確認し、生活保護の申請権を侵害すると疑われることがないよう、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)知事の答弁は2月の杉本議員に対する答弁と変わりがなかったわけなんですが、生活保護の日本は捕捉率が2割程度ということで、一般低所得者世帯の中には生活保護基準以下で暮らす人たちもたくさん含まれているということをぜひ認識していただきたいと思うんです。その低所得者と比較して、均衡される手法で生活保護の基準を決めるなら、どんどんと貧困のその基準が底なしで引き下げられるという、こういうことに安倍政権のその理屈はなるわけで、果たしてこれで憲法25条で保障された健康で文化的な生活が保障されるかという点で、再度伺いたいと思います。  部長に対しては要望しておきたいと思いますが、毎日、相談に来ようかどうか迷っておられる方がいらっしゃるわけで、しおりについては早期に改善をしていただきたい。ここは要望しておきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 申しわけございません。国の基準見直しに関する十分な資料を持ち合わせているわけではないんですが、議員の御指摘は承りつつ、しかし、どこかで比較の上、均衡を図らなければならない、また、それらを定期的に見直していかなければならないという、そういった御趣旨で基準額が増額または減額されておりますので、そういった一定の措置も必要かと思います。  また、減額となる場合には、過大とならないように緩和措置も講じられているということでありますので、そういった措置を受けて、基準が維持されているということだと思います。  ただ、さまざまな影響について福祉事務所等を通じて把握をしながら、十分生活に足りない状況があるとすれば、そういった実態等を国に対しても伝えてまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)ぜひ実態をつかんでいただきたいと思います。  私が大津市の母子世帯の例を挙げましたけれども、10月の4日に支給をされるんですが、前月比と比べても3,990円減るんですね。ですから、それは大きなやっぱり削減になるということを自覚していただきたいと思います。  次に参ります。  障害者雇用について、一問一答で、全て知事にお聞きします。  多くの中央省庁で雇用する障害者の人数を長年にわたって実際より水増しした数字で公表されていたことが発覚し、深刻な広がりを見せています。障害者に働く場を率先して保障する立場にある国が、みずからの雇用実態を偽り続けてきたことは極めて悪質であります。全容の解明を急ぐとともに、問題が放置されてきた責任を明確に正すことが不可欠であります。  滋賀県でも、滋賀県と県教育委員会が障害者手帳を持たない職員を雇用していた障害者数の人数を国に報告していたことが明らかになり、県は5人、教育委員会は19人、合わせて24人の職員が含まれていたとされていますが、これについても行政の信頼を根本から揺るがす異常事態であります。いつからこうした、いわゆる水増しが行われてきたのか。なぜ手帳の現認を怠ったのか。県民に全容を解明し、説明すべきと考えますが、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 平成30年6月1日現在の障害者の雇用状況の報告に際しまして、手帳を所持していない職員が知事部局で5名、教育委員会で19名含まれていたことは、県の取りまとめる基礎的資料や障害者雇用の姿勢に対する信頼を損ねるものであり、大変重く受けとめているところでございます。  これは厚生労働省の定めるガイドラインにおいて、対象者の確認に当たっては手帳を現認するよう求められていることの認識が不足していたことによるものでございます。  身体障害者を対象とする採用試験においては平成4年度当初から手帳の現認を行っておりますが、その他の対象者については、自己申告に基づき障害の状況を把握しておりました。今回、手帳の現認を行った際に不所持が判明した知事部局の5名のうち、1名につきましては所持していた手帳を返却した事実が報告担当所属に伝わっていなかったものでございまして、残り4名につきましては、それぞれ20年以上前、最も古い事案で昭和57年度から対象者として取り扱っており、報告対象者とした当初から手帳を所持していなかったものでございます。  これらの調査結果につきましては8月27日に公表を行わせていただき、翌日には定例会見において報告し、また、おわび申し上げたところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今の答弁でもありましたように、長きにわたって障害者の雇用の機会が奪われてきたと言っても過言ではないと思うんです。故意ではなかったと済まされない問題であります。意図的であったかどうかは超えて、障害者の働く権利を侵害した大問題であるという認識が知事におありかどうか、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 県は地方公共団体として、障害者雇用に率先して取り組むべき立場にございます。障害者の雇用状況に関する情報は、県が障害者を対象とする採用試験等を実施するに当たり採用必要数を検討する際の基礎となる資料であり、これが誤っていたことについては、大変重く受けとめているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)この間、障害を持つ方からもお話をお聞きしてまいりました。障害者の生活と権利を守る滋賀県連絡協議会会長の宮本正尚さんは、「これまで県に障害者雇用の促進を要望してきました。法定雇用率はクリアしているといつも答弁されていましたが、それがいわゆる水増しの結果だということがわかり許しがたい。就労は人生の部分そのものであって、長年にわたって雇用されておられたならば」というふうに、怒りを込めて話しておられました。  ある市の担当者に聞きますと、ガイドラインが導入されたときに、5年前にやはり市全体で見直した、こういうことも言われていて、何で県はそのときにしなかったのかというようなことも私はお聞きいたしました。どこに責任があるのか、徹底した検証と再発防止を強く求めるものですが、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) こういった事態が発生した概要等につきましては、先ほど申し上げたとおり、手帳を所持していない職員がその数に含まれてしまっていたということでございます。  その要因は、前年度以前の報告内容が正しいものであるということを前提に事務を行ってきたがために、誤りが長年にわたり訂正できてこなかった、できていなかったということだと考えます。  今後は、今回の再調査で確認いたしました情報を確実に管理いたしまして、また更新いたしまして、適切な事務を徹底してまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)障害者の人生を左右する大きな問題だということを指摘しておきたいと思います。  今回の結果、障害者の雇用率については、県は2.6%から2.52%に、また、県教委は2.32%から2.06%に下がりますが、障害者雇用率に満たないところについての対応はどうするのかお聞きします。 ◎知事(三日月大造) 平成30年6月1日現在において、教育委員会の障害者雇用率は2.06%、不足する障害者数は27.0名となっているところでございます。  教育委員会においては、職員の大部分を占める教員が資格職種であるため、障害のある教員の採用が進みにくい状況がありますことから、平成25年度の教員採用選考試験から障害者特別選考を設けたところでございます。さらに平成29年度からは、この障害者特別選考の対象を知的障害者、精神障害者にも拡大するなど、障害者の採用に努めてきたところでございます。  また、教員以外の職種でも、平成23年度から県立学校の農場管理のための非常勤職員としての雇用を初め、平成24年度からは、身体障害者を対象とする小中学校事務職員採用試験を実施してきたところでございます。  さらに平成27年度からは、教育委員会事務局でのチャレンジ雇用や県立学校の環境整備のための非常勤職員として雇用するなど、障害者雇用の取り組みを進めてまいりました。  ただ、議員のお尋ねは、これまでやってきたことではなくて、足りないところをどうするのかということだと思いますので、さらなる職域の拡大を取り組むよう、私からも、これまでの取り組みをもとに、強く働きかけてまいりたいと御存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今後の県としての障害者雇用をふやすための施策について、知事にお聞きいたします。 ◎知事(三日月大造) 知事部局においては、平成4年度から毎年度、身体障害者を対象とする採用試験を行っており、平成30年度からは知的障害者および精神障害者を非常勤職員として雇用し、民間企業等での就労につなげていくチャレンジ雇用の取り組みを開始したところです。  今後とも、障害を有する職員が活躍できる職域を拡大するとともに、チャレンジ雇用の一層の活用など、障害者雇用の拡大に向けて取り組みを進めてまいります。  あわせて、障害のある人もない人もともに働くことができるよう、職員の意識改革にも全庁挙げて取り組んでまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)障害者の働く権利を守るために積極的に雇用を進めるとともに、障害者が働きやすい職場に変えていくための、私は今後対応が必要だというふうに思います。それぞれの方々の特性に応じた多様な働き方を実現していくために合理的配慮もできるような、この人員の体制も整えながら、職場を改善していくこともあわせて求めておきたいと思いますけれども、その点について、知事の決意をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 障害のある人もない人も一緒に働くという観点、また、それぞれの個性や特性を生かし、お互いに配慮し合いながら働くという観点、さらには働き方改革、さまざまな事情を抱えていらっしゃる方々とともに働きやすい職場をつくるという、こういった観点はぜひ県庁としてもさらに進めていかなければならないと思いますので、今回のこともしっかりと教訓としながら、改善に取り組んでまいります。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)続きまして、特別支援学校についてお聞きをいたします。  日本共産党の滋賀県地方議員団は8月の21日、政府に対して、災害対策、農業、漁業、福祉、教育など7省30項目にわたって、緊急、切実な要望を行いました。  政府交渉では、継続的に取り上げている問題として、特別支援学校の超マンモス化の問題や、医療的ケアを必要とする児童生徒に対する通学保障であります。9月の14日には、日本共産党の山下よしき参議院議員が滋賀県を訪れ、県議団、市議団とともに草津、三雲、野洲養護学校の実態を調査し、学校関係者、保護者の皆さんからお声をお聞きいたしました。それらを踏まえて、特別支援学校のマンモス化、医療的ケアを必要とする児童生徒の通学保障の2点について、知事ならびに教育長に一問一答でお聞きします。  まず、特別支援学校のマンモス化についてです。  知的、肢体など障害のある子供たちが学ぶ特別支援学校、養護学校は義務教育制が導入され40年近くなりますが、平成27年までの10年間で、ここのグラフにもありますように、知肢併置のどこの学校でも子供たちはふえています。ちょうど10年前に野洲養護学校が新設開校しましたが、その後は新設をされていません。  その野洲養護学校も開校時200名弱が現在は371名、2回の校舎増築が行われ、平成34年には428人とふえ続ける見込みであります。草津養護学校も今年度361名、開校時の3.5倍であります。これまで2棟増設されましたが、教育委員会の平成30年度在籍児の予想の308人をはるかに超え、給食提供能力は420食で、教員のうちの6割が給食を食べられない状況であります。教員は給食が味がわからない中で、食事指導を余儀なくされているという状況であります。  草津養護学校は、1つしかない体育館で、使用の割り振りも重ねざるを得なくなり、当日訪問したときは、高等部のクラスが真ん中、小学部のクラスは端のほうでトランポリンで、お互いに動きを制約せざるを得ない状況でありました。  三雲養護学校は昭和51年に開校し、老朽化が進み、そして、校舎の老朽化と生徒増による整備は喫緊の課題。継ぎ足しの細長い渡り廊下には本当に驚きました。パニックを起こした子供さんがクールダウンするする部屋も苦慮されておられます。  9月18日には、草津養護学校で学ぶ子どもたちの教育条件をよくする会が、三日月知事、また青木教育長宛てで、草津養護学校に学ぶ子供たちに安全でゆとりある学校生活を求める要望書が提出されています。  こうした超過密、大規模化は教職員に過度の負担を負わせるとともに、教育そのものに影響を及ぼしているのではないでしょうか。教育長はそうした認識は持っておられるのかどうか、お伺いいたします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、3校とも児童生徒の急増による狭隘化に対しまして、校舎の増築や特別教室を普通教室に転用することで対応してきたところであります。  こうしたハード面での対応とともに、児童生徒数が多い学校では、学校運営や教育活動全般にわたりまして、教職員間で情報共有や情報伝達をしっかり行うことがより大切になります。  したがいまして、こうした学校では、副校長、教頭といった管理職が分担をして学部を所管したり、各学部ごとの運営を基盤としつつ、さらに小単位に分かれた体制をとるなどしております。  このように、各学校では工夫を凝らしながら学部全体の教職員で意思統一を図り、児童生徒が充実した学習活動を行えるよう努めているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)先ほど言いましたように、6割の教員が子供たちと同じ給食が食べられないということであります。刻み食、ペースト状の食事の味そのものがわからないまま、給食指導が本当にできるでしょうか。教育そのものに、現場の先生方は本当にさまざまな工夫はされていると思いますけれども、教育そのものに影響を与えているじゃないですか。そのことについて、教育長の認識を再度問います。 ◎教育長(青木洋) お答えを申し上げます。  大規模の学校につきましては、確かに議員おっしゃるとおり、いろんな苦労をしながらも、なおかつ十分でないといったところがございます。  一方で、児童生徒の年齢あるいは障害や発達の程度に応じたクラスを編制しやすいという一面もございます。こうしたことから、十分ではございませんが、児童生徒に対してはしっかりと教育をできるよう、教員が一生懸命頑張っているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)現場の先生方は本当に頑張っていらっしゃいます。ただ、不十分だ、問題があるということを指摘しておきたいと思います。  教室を建て増し、継ぎ足しで対応していますが、300人を超える規模がこのまま続いてもいいのかどうか、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  特別支援学校全体の児童生徒数はここ20年余り増加をしてまいりましたが、平成28年度に一旦減少いたしました。また、平成29年度には再度増加に転じましたが、今年度は64名の減少というふうになっております。三雲養護学校の児童生徒数は昨年と同数で、草津養護学校と野洲養護学校は減少と、こういう状況になっております。  加えまして、3校それぞれの地域差や学校による課題の違いもありますことから、各学校の状況を的確に把握し、改めて今後の児童生徒数の将来の推移を見定めながら、課題に応じた対応について、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。  また、特別支援学校の設置基準につきましては、文部科学省は、特別支援学校では多様な障害種と障害の程度の児童生徒がおり、一律的な基準は定めがたいとの見解も示しているところでございます。  こうしたことから、学校の規模が適正かどうかということは、児童生徒の数だけで判断することは難しいかなというには考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)私は草津養護学校の下校時の様子も見させていただきましたけれども、下校時、10台のスクールバスと放課後デイのお迎えの車が60台を超えて入ってくるわけですね。先生が総動員で、赤旗と白旗を持って交通整理をされているわけで、本当に苦労をされて事故が起こらないようにされているわけなんです。300人を超える規模が、こんな状態が毎日続いていいのかという問題だと思うんです。  私はこれを解決するために、草津養護の保護者の皆さんが言われているように、新しい学校をつくること、そして、児童生徒の状況を踏まえて通学区域の見直しが必要だというふうに思います。喫緊の課題であると思います。草津養護学校の分離新設を求めるものですが、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  養護学校、特別支援学校のこの問題につきましては、平成24年10月に児童生徒増加への対応策というものを策定し、普通教室の増築や、高等養護学校また高等部分教室の新設などの対応を図ってきたところでございます。平成29年3月に長浜養護学校の増築工事が終了したことから、この対応策に基づく取り組みは一定完了いたしました。  先ほど教育長が答弁しましたとおり、地域差や学校による課題の違いもありますことから、中長期的な展望に立ち、今後どういった対応が必要なのか、しっかりと検討するよう指示をしているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)対応してきた結果、今、草津養護学校では大変苦慮されているということであります。増築では解決しない、もう1つ新しい学校をつくってほしいと、毎年毎年、署名に取り組んでおられる。保護者の皆さんが取り組んでおられる。昨年は7,877筆もの署名が、これは教育委員会に提出をされているわけであります。こうした状況で、通学の時間も1時間45分もかかる子供さんもいらっしゃるというふうにお聞きをしています。私は知事が新たな養護学校をつくる、この決断をすべきではないかと思いますけれども、再度お聞きをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 各特別支援学校の児童生徒数の推計をしっかりと見きわめていく必要があると思います。それに基づく中長期的な展望を描いていくということですし、地域差や学校による課題の違いというものも整理した上で、どのような対応がよいのか、多様な観点から研究をしっかりと行ってまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)午前中も杉本県会議員が障害者の権利条約を述べましたけれども、障害のある児童の人権享受に際し、国は全ての必要な措置をとること、児童の最善の利益を主として考慮されることを定めています。これは自治体においても守らなければならないことだと思います。  私は、知事が高校のエアコン設置については前倒しで進められたことを大変高く評価をするものですが、とりわけ草津養護学校のこのマンモス化の問題は、一刻も放置をできない問題だというふうに思います。研究をする段階ではない、こういうふうに思いますが、再度、知事にそのことについてお聞きしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 再度お答えさせていただきますが、学校をつくるということ、また、分けて子供たちの教育をするということには、やはり時間がかかったり、また中期長期的な視点が必要だと思いますので、もちろん現状を踏まえてどう対応するのかということも重要です。  したがって、こういう現状を踏まえて、中長期的な展望に立ってどういう対応をするのか。教育委員会ともよく考えてまいりたいと思います。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)ぜひ保護者の皆さんの声を聞いてください。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
     次に、教員の配置という点で改善を求めるものです。  義務標準法は、大規模になればなるほど教員配置率が低くなる仕組みとなっています。例えば草津養護学校では、10年前、児童生徒1人に対して教員は0.59人の比率で配置されていましたが、今年度は0.45人まで低下をしています。その結果、大勢が苦手な子供が教室に入りづらい、トイレや水分補給などで時間が延び、授業時間がずれ込む、子供を一時的に見失って探し回るなど、大変教員の皆さんが苦慮されています。  こうした問題を解決するために、先ほどは求めたように、養護学校の新設は急ぐべきですが、同時に県独自の加配をつけるべきだと考えますが、教育長に見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  特別支援学校の教員数は、これまでから定数に関する法律に基づき算出し、その必要な数を配置してきたところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)大規模校になればなるほど、この義務標準法では教員の配置が低くなると、この点について、教育長はどう思われますか。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  一定、規模が大きくなるというとあれですが、その場合、人数が減ってくるというのは、ある意味当然かなというふうには思っております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)結局、クラスの人数がふえて、大変これも教員の皆さんが苦慮されておられるということをしっかりと見ていただきたいというふうに思います。  特別支援学校は都道府県に設置義務があります。政府交渉で国に設置基準をつくるように求めましたが、柔軟な対応ができるよう設置者の判断でと、これまでの対応を変えていません。部屋が不足して、柔軟な対応もできなくなっているというのは現状であります。  しかし、政府の言う柔軟な対応ということでは、子供たちの障害の程度に応じて教員の配置など、柔軟に対応ができるということであります。こうした点でも、実態に見合った教員の配置をお願いしたいと思います。  また、実際、現場では障害の程度に応じてクラスの編制を行っていますけれども、今の教員の配置は、単一障害の場合6人に1人、重複障害の場合は3人に1人となっています。単一か重複かで基準が分かれ目になっていますけれども、単一の障害であっても、知的障害に自閉症のスペクトラムの特徴もあって、大変苦慮されるというふうに考えています。  ですから、これを解消するためにも、単一、重複も大事な視点でありますが、実態に見合った教員配置を、実際、滋賀県は障害者福祉の分野で強度行動障害者が通う事業者への特別加算を制度化していますので、こうした点も踏まえて教員の配置をすることを強く求めたいと思いますけれども、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  強度行動障害など障害の程度が重度の児童生徒が在籍をしており、その指導に難しさがあることは承知をしております。一方で、先ほども申し上げましたとおり、特別支援学校の教員数は定数に関する法律に基づき算出をしております。  こうしましたことから、強度行動障害であることをもって加配することは困難であるというふうに考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)教員の配置に際しては、実態に見合った柔軟な対応をお願いしておきたいと思います。  次に、医療的ケアが必要な子供たちの通学保障についてお聞きをします。  現在、保護者の送迎で通学している子供たちは何人おられるでしょうか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  平成30年5月1日現在で、県立特別支援学校に通う医療的ケアが必要な児童生徒のうち、登下校時に常時、保護者が送迎される児童生徒数は65名となっております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)お母さんたちは片道40分かかって、1日100キロを超えて送迎されておられる方もいらっしゃいます。お母さんたちが体調を崩せば学校を休まざるを得ないという状況であります。私はこの間、三雲、野洲、また北大津養護学校に通う医療的ケアが必要な子供さんのお母さんから、お話を聞いてまいりました。学ぶ権利が保護者に委ねられていることに対して、教育長はどういう認識を持っているのか、お聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  障害のあるなしにかかわらず、学ぶことは全ての子供たちにとって必要なことと考えております。  一方で、学校への通学について、通学方法、手段まで全てを学校設置者が保障する義務については、法令上の規定はございません。こうしたことから、児童生徒の通学につきましては、保護者が子供に対して持つ一般的な保護責任の範囲であるというふうに考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)お母さんたちからは、その教育の話をすりかえないでほしいというふうにおっしゃっておられました。  愛知県内の公立小学校に通う男児とその両親が、医療的ケアが必要な子供たちに対して教育委員会や学校が集団登校や遠足に保護者の付き添いが必要だとしたのは、障害を理由にした差別を禁じた障害者差別解消法に違反するとして、ことしの7月に訴訟に踏み切っています。  これを是とするのか問われていますが、滋賀県が養護学校に通うことを保護者の責任にしていることに対しては、障害者差別解消法に反するのではないか、教育長に問います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  今ほどもお答えいたしましたとおり、児童生徒の通学については、保護者が子供に対して持つ一般的な保護者責任の範囲であると考えております。また、重度の障害等により通学が困難な児童生徒については、訪問教育制度というのもございます。  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づく不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供は、個別の事案ごとに、具体的な場面や状況に応じて総合的、客観的に判断する必要があるというふうに考えております。  県教育委員会といたしましては、児童生徒の個々の障害の状態に応じて、何よりも児童生徒が安心、安全に学ぶことができるよう取り組むことが第一であるというふうに考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)1問飛ばしますけれども、お母さんたちは、学校に行くことで生活にめり張りがつき、友達同士での関係でいい顔を見せてくれる、学校にできるだけ行かせたいと、こういうふうに言っておられます。  県の実証研究に参加したお母さんは、朝、行ってらっしゃいと子供を送り出し、お帰りなさいと言って我が家で迎える、こんな体験をしたのは初めてと、本当にうれしかったとおっしゃっています。県はいつまで実証研究をやるのか、いつ本格実施をするのかと言われています。  知事は、平成32年以降できるだけ早い時期にと言われていますけれども、本格実施の取り組みについて、知事にお聞きをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  平成30年度以降できるだけ早い時期に本格実施できるよう、この事業が持続性を持ったものになるよう、もちろん、安全性が担保されたものであるよう制度設計することが必要であると考えます。まずは、健康医療福祉部と教育委員会が連携をいたしまして、市町からの意見の聞き取りから進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)この間、研究会を傍聴しておられたお母さんも、もういつできるかわからない、もう諦めたと、こんな思いも私に語ってくださいました。  市町との連携も大事ですけれども、研究会、実務者会議で指摘されている課題、移動支援事業による保護者の負担、各市町にある訪問介護等の社会的資源等の問題等は、今の実証実験では解決できないというふうに思うんです。  私は、県がこういうふうにやるんだという中身を、制度化の中身をはっきりして実証実験もしながら、しかし、県として独自の対策で進めるべきだと思いますけれども、知事に再度問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 議員の多くの保護者の方々や子供たちのお声を聞かれての御主張、御質問、御提言はしっかりと受けとめさせていただきたいと思うんですが、とはいえ、医療的ケア児童生徒の通学に係るこの保護者支援の研究事業は、それぞれの市や町の対象者、また、事業所等もいろいろと御協力いただきながら実証研究を積み重ねてきています。  こういったものが安全にしっかりと通学できるのかという視点や、さまざまな事業者の皆様方にも御協力いただきながら、どういう制度設計をすることが望ましいのか。こういうことをよく検討した上で、多くの方々の合意形成のもとに成り立っていくもの、つくり上げていくものだと思います。  一定時間を要していることに対するもどかしさ、申しわけなさというものも感じつつ、しかし、着実に合意形成を図るという視点もどうかお酌み取りいただいて、お力添え賜れれば幸いでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)大津市の担当者にも話を聞いてきましたけれども、それぞれの市にはさまざまな事情もあるということがわかりました。そういう中で、県がやはり制度設計をはっきりと打ち出して、私はその上で市と一緒になってこの事業を進めるべきだと思います。  東京都でも、医療的ケアを必要な子供が通うこの特別支援学校に対して看護師が導入する、こうした取り組みも始まり、大阪市でも大阪府でもこうした取り組みが始まっています。  私は、滋賀県が看護師を配置した専用のスクールバスを運行するような、こうした提案を行って、市町と協力して進めるべきだと思いますけれども、知事に見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 現時点において、そういった例に出された専用スクールバスを運行することは考えておりません。  いみじくも議員が御質問の中でおっしゃったように、お聞きしてみると、実際やってみると、市町ごとに、それぞれの世帯ごと、子供さんごとにさまざまな事情があるからこそ、そういった事情を丁寧に実証、検証しながら制度をつくり上げるという視点もまたこれ大事だと思いますので、こういったこの間やってきたことを、この積み重ねを大事にしながら、先ほど申し上げました平成32年度以降できるだけ早い時期に本格実施できるよう、健康医療福祉部局、さらには教育委員会との連携をしっかり図ってまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)この点について、教育長にもお伺いしたいというふうに思います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  通学途中に医療的ケアが必要な児童生徒がスクールバスを利用するということにつきましては、走行中の医療的ケアの危険性、あるいは医療的ケア対応による定時運行の困難さ、また体調急変時のリスク、さらには感染症の罹患リスクなど、さまざまな課題がございます。  医療的ケアが必要な児童生徒の通学には個々の児童生徒に応じた対応が必要であり、先ほど知事も申し上げましたように、何より安心、安全であることが重要であるというふうに考えております。  こうしたことから、複数乗車のスクールバスによる送迎ではなく、今まで実証研究で進めてきたこの方法をもとにして、本格実施に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)子供たちの学ぶ権利を保障するという立場に立って、制度設計をぜひしていただきたいというふうに思います。  最後の質問です。  (仮称)大津びわこ競輪場跡地の商業施設建設について、商工観光労働部長に全てお聞きいたします。分割でお聞きします。  大津市二本松の元競輪場跡地には、売り場面積1万2,894平米の大規模商業施設が建設される方向で取り組まれており、大店法に基づいて手続が進められています。この跡地は、大津市と建物設置者であるダイワリースが20年にわたって賃貸契約を結んでいますが、ことし7月30日に設置者が行った事前説明会では、多くの市民から行政に対する意見も出され、県の担当者も出席されていられたので御承知だと思います。  特に、跡地は都市公園の機能を併設していることから、利用者の安全確保対策が明確に示されなければなりません。緊急避難場所、指定避難場所など防災機能を確保するとしていますが、洪水の際、説明では設置者は商業施設であるために建物内への避難は難しく、2階の駐車場に避難してくださいという説明に、参加された住民からは納得がいかないとの声も寄せられています。9月の20日には、三日月知事宛てに住民の皆さんから、県の役割を果たすよう要望が出されています。  今後、大店法に基づく設置者による住民説明会が行われますが、今回の事前説明会のような半径1キロに限らず、より広範囲に周知し、説明会は時間を制限することなく、参加者の声を十分聞くように設置者に対して意見を言うこと、また、設置者だけでなく行政が責任を持った説明会の開催も求めていただきたい。商工観光労働部長に見解を伺います。  2点目ですが、防災面で避難場所でありながら、柳川に隣接し、湖岸にも近い地域であることから、県として設置者および大津市に対して必要な対策を図られること、また交通対策として、周辺は通学路になっていることからも、十分な安全対策を図られるよう設置者に対して求めるべきと考えますが、商工観光労働部長の見解を伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)(仮称)大津びわこ競輪場跡地商業施設の建設についての2点の御質問にお答えいたします。  まず1点目、住民説明会についてでありますが、県では、店舗面積が1万平方メートル以上になる場合は、大規模小売店舗立地法に基づく手続よりも早い段階で、地域住民等からの意見を踏まえた事前協議の仕組みをつくることによりまして、立地に伴う生活環境への影響を最小限に抑えるとともに、地域社会と大型店との共存を目的として、大規模小売店舗の立地に関する事前協議および地域貢献に関するガイドラインを設けております。  当該施設につきましては、現在、このガイドラインに基づきまして設置者から事前届出書が7月に提出され、大津市や住民からの意見を参考に、この9月には県として交通安全対策等の意見を通知いたしました。  今後、設置者は、県からの意見に十分配慮した上で、立地法に基づく届け出をされることになります。  立地法に基づく住民説明会は設置者が開催するものでありますが、住民の関心も高く、県としてもより多くの住民の方が説明会に出席できるよう配慮する必要があると考えることから、周知範囲を広げることや複数回の開催など、設置者および大津市と調整してまいりたいと考えております。  また、この施設につきましては、大津市の大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業で建設されるものでありますことから、住民説明会を大津市と連携して開催されるよう、設置者に求めてまいりたいと存じます。  2点目の防災面および交通対策でありますが、今お答えしましたように、この施設は大津市の公募提案型貸付事業で建設されるものであり、公募に当たっては、防災機能の確保も重要な審査項目であったと伺っております。また、事前説明会でも住民から防災面での意見があったことも承知いたしております。  このことを踏まえまして、県としては、設置者および大津市に対し、住民の意見等に十分配慮し、防災機能について引き続き協議されるよう働きかけてまいります。  また、交通対策につきましては、交差点の渋滞や歩行者の安全確保のために適切な対策が講じられるよう、県の意見として設置者に通知しているところであります。  県としては、これらの意見を踏まえ、今後、設置者と立地法の届け出に向けた協議を進めてまいる所存です。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)お願いをしておきたいというふうに思います。今回のこの大規模商業施設の進出ですけれども、ど真ん中に都市公園があるということでは、やはり十分な住民の意見をぜひ聞いていただくという点で、さらなるそういう姿勢で取り組んでいただきたいということを、要望しておきたいというふうに思います。  質問を終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、13番節木三千代議員の質問を終了いたします。  以上で発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  関連質問なしと認めます。  以上で、議第110号から議第132号までおよび議第134号の各議案に対する質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議第135号および議第136号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第8号)ほか1件)(質疑) ○議長(川島隆二) 日程第2、議第135号議案および議第136号議案に対する質疑を行います。  発言通告書が提出されておりますので、これを許します。  15番山本正議員の発言を許します。 ◆15番(山本正議員) (登壇、拍手)お疲れのところですが、それでは、チームしが 県議団を代表いたしまして、議第136号について、全て知事に、大きく3点質疑させていただきます。  まず、訴訟に至るまでの経緯についてですが、今回上程されました議第136号の表題は、建物収去土地明渡等請求訴訟の提起につき議決を求めることについてであり、その説明には、医療福祉拠点整備事業を進めるため、一般社団法人滋賀県教育会館、以降教育会館と申します、に対し、原状回復した上での土地の返還を求めて話し合い、民事調停、以降調停と言います、を行ってきたが、不成立となり、訴訟を提起することに議決を求めるとあります。  また、財政課からの別資料では、今回の調停は借地権を有することの確認についてであり、6回にわたったが、双方の主張の隔たりが大きく不成立となったとありますが、議第136号の表題である教育会館に対する建物収去土地明渡等について、両者が主張する見解の相違について伺います。 ○議長(川島隆二) 15番山本正議員の質疑に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  一般財団法人滋賀県教育会館との民事調停におきましては、県は、本件土地は行政財産として使用許可してきたものであり、医療福祉拠点整備を進めるため、許可条件のとおり、原状回復をした上で土地の返還をすることを主張してまいりました。  一方、申立人である教育会館側は、本件土地は一貫して普通財産であり、借地権があると主張されてきたところでございます。 ◆15番(山本正議員) (登壇)平成27年11月、県は教育会館に対して突然に退去勧告を行いました。理由は、医療福祉拠点整備におけるリハビリ人材養成のための大学、以降リハ大とさせていただきます、その設置に面積が足りないから、拠点整備の事業用地に教育会館敷地を含むことになった、ついては、平成28年度末までに建物を撤去の上で退去してもらいたいというものでありました。教育会館側からすれば、まさに寝耳に水といったところであったと聞きます。  昭和6年から80数年にわたって連綿と続く歴史的経緯があること、わずかそのときの7年前には2億5,000万円の耐震工事を県承知の中で行っていることなどを考えると、時間をかけた丁寧な説明や要請、そして同時に、理解や納得が得られるような進行が当初から必要であったと思われます。  調停はその意味でも一からやり直すチャンスでもあったと考えますが、教育会館の歴史的経緯や社会的役割を踏まえた対応ということについて、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 平成28年11月議会で議員から御質問いただいた際にもお答えいたしましたとおり、教育会館がその時代の変遷の中で民間の立場から本県教育の振興を大事にされ活動してこられたことを、重くて深い、そしてとうといものだと私も存じております。  そうした認識のもとで、平成27年11月以降、教育会館敷地を含む県有地を活用して医療福祉拠点を整備することについて説明を行い、事業が継続できるよう移転先の提案なども行いながら、退去に向けての話し合いを重ねてきたところでございます。  また、調停の申し立てがあった後も、申立人の主張に対して、誠実に説明を尽くすというスタンスで臨んでまいったところでございます。 ◆15番(山本正議員) (登壇)調停では6回にわたる場があったと聞きますが、内容は非公開とされていますので詳細にはわかりませんが、積極的な合意といいますか、つまり双方が歩み寄りを見せるような努力はあったのかということも含め、なぜ調停の場において合意できなかったのか、改めて見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 冒頭お答えしたような見解の相違がございました。そして、こういった敷地使用の法的関係について双方の主張の隔たりが大きくて、合意に至らなかったと理解、承知をしているところです。 ◆15番(山本正議員) (登壇)次に、教育会館敷地におけるリハビリテーション専門職の人材養成の大学設置について伺います。  県庁周辺での医療福祉拠点整備事業の計画に突然のごとく入ってきたリハ大の設置でありますが、これまで、その位置や規模等において、当該地に持ってくるのは不適切であると申し上げてまいりました。いまだに納得できる説明があるとは思っておりません。
     しかしながら、2025年問題など今後の社会情勢の課題において、リハビリ専門職の人材養成は喫緊の課題であることは確かでありまして、びわこ文化公園等の別の場所での設置の検討も当時よりあわせてお願いしきたところです。当該地での設置だけで推進していくのであれば、今回の訴訟によって、リハビリテーション専門職の人材養成は大きくおくれることになります。  リハビリテーション専門職の人材養成については、変わらず喫緊の課題であると考えますが、その必要性や緊急性について考えを伺います。 ○議長(川島隆二) 山本議員に申し上げます。質疑でありますので、議第136号との関連を明確にしていただきますよう御留意願います。 ◆15番(山本正議員) (登壇)今のこれにつきましては、この訴訟の期間、この喫緊の課題であります人材養成が一体どうなるのであるかということは、訴訟の議決につきまして、その判断を求められる一つでもありますので聞いております。 ○議長(川島隆二) 訴訟に関連してということで、知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) 平成28年度に県内で就労するリハビリの専門職数は約1,900人であり、病院や介護事業所における人口当たり就労者数は、全国に比較して少ない状況でございます。2025年には県内のリハビリ専門職が3,000人以上必要と見込まれるほか、今後、障害者の就労支援や産業保健などの領域での需要も考えられ、リハビリ専門職の確保は喫緊の課題であると認識しています。  したがって、現在の構想をできるだけ早く実現できるよう訴訟を提起させていただき、司法の判断も得た上で進められるよう、努力をしてまいりたいと存じます。 ◆15番(山本正議員) (登壇)訴訟の提起につき議決を求めるということですので、その訴訟の期間、この課題が停滞するのであれば、この議決の判断の一つになりますので聞かしていただきました。  次に、今後の対応についてどう考えておられるのかということについても、この訴訟のことに関連いたしますので聞かせていただきます。  私たち会派といたしましては、調停が不成立となった以上は、司法の判断に委ねることに異存はありません。しかし、これまでの経緯には、突然の計画予定地への参入やリハ大の設置、7年前に耐震工事を実施した建物を解体撤去し、翌年度末までの返還請求など、長年の歴史的経緯に配慮がなく、納得いかない点や不明な点が残っているのも事実です。  しかし、こうなった以上、今後、県は真摯で誠実な対応によって、裁判上の和解も含めて、双方はもとより、県民が納得できる解決策を目指してほしいと考えますが、上訴を含む今後の対応について考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) まずは県としての主張をしっかりと行ってまいります。と同時に、できるだけ早期に事業着手できるよう、司法の判断を仰いでまいりたいと存じます。 ◆15番(山本正議員) (登壇)司法の判断に委ねるという気持ちに我々も変わりはありません。ただ、その理由として、この議案に載せられている文章について、知事の考えを改めてお伺いしたことになります。  最後に一言。私たち会派は三日月知事を誕生させた会派でもあります。また、知事選でも応援し、また、ふさわしいとも思っております。その上で、この課題のように是々非々の姿勢を貫けるのは、県民のため、滋賀県政の発展のため、あるいは公平公正な県政のためと、立場は違えども目的は同じであると信頼しております。根底で大きな信頼があることを申し上げた上で、最後に、この問題における誠実な対応について、知事の考えをお伺いいたします。 ○議長(川島隆二) 今のはどういう内容の質疑なんですか。質問と質疑は別物ですので、今の質疑の内容を明らかにしてください。 ◆15番(山本正議員) (登壇)この議案の中の、建物を撤去した上で退去してもらいたい、そして、そのことについて訴訟をする、その議決を求めることについてというその内容につきまして、知事が今後、誠実な対応ということについて、どのような考えを持っておられるかということについて最後お聞きして、終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来お尋ねいただいておりました経緯の中におきましても、私どもは、県民にとりまして、県民の将来の福祉や医療にとりましても必要な施設、機関等を、センター等を整備させていただくに当たり、県民の財産である県有地を活用させていただくということで、丁寧かつ誠実に、これは当方の考えでございますが、行ってきたつもりでございます。  調停等もございましたが、残念ながら合意に至りませんでした。そのことの判断を求めるがゆえに、今回、この訴訟の提起につき議決を求めることを提案させていただいているところでございます。そのことに基づきまして、もちろんその訴訟にもしっかりと対応してまいりますし、その後の対応についても司法の判断を仰ぎ、できるだけ早期に所期の目的が達せられるよう努力してまいりたいと存じます。 ◆15番(山本正議員) 終わります。(拍手) ○議長(川島隆二) 以上で、15番山本正議員の質疑を終了いたします。  以上で、議第135号議案および議第136号議案に対する質疑を終わります。    ──────────────── △議第137号および議第138号(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)ほか1件)(知事提出) ○議長(川島隆二) 日程第3、議第137号議案および議第138号議案を一括議題いたします。  これより、上程議案に対する提出者の説明を求めます。 ◎知事(三日月大造) まず、一昨日襲来いたしました台風第24号により被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。現在、被害状況の確認を行っており、今後、必要な対応を早急に検討してまいります。  ただいま提出いたしました議案につきまして御説明申し上げます。  議第137号および議第138号は、台風第21号被害等への対応に係る補正予算でございます。  9月上旬に発生いたしました台風第21号は、記録的な暴風により近畿地方を中心に大きな被害をもたらし、本県におきましても、道路、河川のほか、農業、漁業分野など多岐にわたり被害が生じました。  特に県立施設におきましては、建物の損傷や倒木等の被害が数多く発生いたしましたほか、農業用のパイプハウスやエリにおきましても、これまでにないような被害が発生したところでございます。  これらの被害等に対しまして一日も早い復旧を図るため、議第137号では、一般会計におきまして9億8,747万4,000円の増額補正を、また議第138号では、流域下水道事業特別会計におきまして120万円の増額補正を、それぞれ行おうとするものです。  以上、何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。 ○議長(川島隆二) 以上で、提出者の説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  議第137号および議第138号議案に対し、質疑はありませんか。    (「なし」)  質疑なしと認めます。    ──────────────── △議第116号から議第120号までおよび議第132号(平成29年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについてほか5件)(決算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任) ○議長(川島隆二) 日程第4、議第116号から議第120号までおよび議第132号の各議案を一括議題といたします。  お諮りいたします。  本件につきましては、15名の委員をもって構成する決算特別委員会を設置の上、これに付託し、また、当委員会に報第8号滋賀県基本構想の実施状況についての調査を付託いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配付いたしました名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ────────────────     決算特別委員会委員名簿    議席番号     氏  名     1番     桑  野     仁     2番     周  防  清  二     6番     海  東  英  和     13番     節  木  三 千 代     16番     大  橋  通  伸     18番     井  阪  尚  司     20番     中  村  才 次 郎     22番     目  片  信  悟     25番     岩  佐  弘  明     26番     山  本  進  一     32番     奥  村  芳  正     37番     吉  田  清  一     40番     九  里     学     41番     清  水  鉄  次     45番     中  沢  啓  子    ──────────────── △議第110号から議第115号まで、議第121号から議第131号までおよび議第134号から議第138号まで(平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)ほか21件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(川島隆二) 議第110号から議第115号まで、議第121号から議第131号までおよび議第134号から議第138号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   平成30年9月定例会議議案付託表                                        平成30年10月2日(火) 〇総務・政策・企業常任委員会  議第110号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳入の部 全  部    歳出の部 款2 総合政策費   第4条 地方債の補正  議第129号 県の行う建設事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて  議第134号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第7号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳入の部 全  部  議第135号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第8号)  議第136号 建物収去土地明渡等請求訴訟の提起につき議決を求めることについて  議第137号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳入の部 全  部    第2条 地方債の補正 〇県民生活・土木交通常任委員会  議第110号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款4 県民生活費         款9 土木交通費         款12 災害復旧費のうち          項3 土木交通施設災害復旧費   第2条 繰越明許費   第3条 債務負担行為の補正のうち    1 追加 176 プール整備事業費補助(PFIアドバイザー業務)         178 補助道路整備事業(国道477号)         179 補助道路整備事業(彦根八日市甲西線)
            180 補助道路整備事業(小佐治甲南線)         181 補助道路修繕事業(国道367号)         182 補助道路修繕事業(小佐治甲南線)         183 補助道路修繕事業(春日竜王線)         184 補助道路修繕事業(世継宇賀野線)         185 補助雪寒対策事業(杉本余呉線)         186 単独道路改築事業(国道367号)         187 単独道路改築事業(大津能登川長浜線)         188 単独道路改築事業(水口甲南線)         189 道路補修事業         190 補助広域河川改修事業(鴨川)         191 補助河川環境整備事業(琵琶湖(木浜内湖))         192 補助河川総合流域防災事業(余呉川)         193 補助河川総合流域防災事業(大川)         194 単独河川改良事業(法竜川)         195 単独河川改良事業(家棟川(野洲市))         196 単独河川改良事業(天神川)         197 単独河川改良事業(妓王井川)         198 単独河川改良事業(家棟川(湖南市))         199 単独河川改良事業(大同川)         200 単独河川改良事業(日野川)         201 単独河川改良事業(祖父川)         202 単独河川改良事業(芹川)         203 単独河川改良事業(菜種川)         204 単独河川改良事業(高時川)         205 単独河川改良事業(石田川)         206 みずべ・みらい再生事業         207 中規模堰堤改良事業(宇曽川ダム)         208 補助通常砂防事業(穴太川)         209 補助通常砂防事業(細谷)         210 補助都市計画街路事業(近江八幡能登川線)         211 補助土木施設災害復旧事業    2 変更 44 補助道路整備事業(国道421号)         51 補助道路整備事業(木之本長浜線)         56 補助道路整備事業(幸津川服部線)         66 補助道路整備事業(近江八幡大津線)         69 補助道路修繕事業(国道307号)         72 補助道路修繕事業(大津能登川長浜線)         76 補助道路修繕事業(栗東志那中線)         86 補助広域河川改修事業(長命寺川)         92 補助広域河川改修事業(姉川・高時川)         95 補助河川総合流域防災事業(琵琶湖(湖西圏域))         128 補助砂防総合流域防災事業(基礎調査)         140 補助都市計画街路事業(片岡栗東線)         172 補助道路修繕事業(彦根近江八幡線)  議第112号 滋賀県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例案  議第121号 契約の締結につき議決を求めることについて(五番領安井川線補助道路整備工事)  議第134号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第7号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款9 土木交通費  議第137号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款9 土木交通費         款12 災害復旧費のうち          項3 土木交通施設災害復旧費 〇環境・農水常任委員会  議第110号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款5 琵琶湖環境費         款8 農政水産業費         款12 災害復旧費のうち          項2 農政水産施設災害復旧費   第3条 債務負担行為の補正のうち    2 変更 34 県営かんがい排水事業  議第111号 平成30年度滋賀県流域下水道事業特別会計補正予算(第1号)  議第115号 滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例の一部を改正する条例案  議第130号 県の行う土地改良事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて  議第131号 流域下水道事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて  議第137号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款5 琵琶湖環境費         款8 農政水産業費         款12 災害復旧費のうち          項1 琵琶湖環境施設災害復旧費          項2 農政水産施設災害復旧費  議第138号 平成30年度滋賀県流域下水道事業特別会計補正予算(第2号) 〇厚生・産業常任委員会  議第110号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款6 健康医療福祉費   第3条 債務負担行為の補正のうち    1 追加 177 抗インフルエンザウイルス薬備蓄業務  議第113号 滋賀県老人福祉法に基づく養護老人ホームの設備および運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例案  議第114号 滋賀県と滋賀県信用保証協会との損失補償契約に基づく回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例案  議第123号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第124号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第125号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第126号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第127号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第128号 損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて  議第134号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第7号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款7 商工観光労働費  議第137号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款6 健康医療福祉費 〇文教・警察常任委員会  議第110号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第5号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款10 警察費
            款11 教育費  議第122号 契約の締結につき議決を求めることについて(運転免許センター新築等整備工事(第3期工事))  議第137号 平成30年度滋賀県一般会計補正予算(第9号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款10 警察費         款11 教育費           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第8号 沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国が沖縄県に対して名護市辺野古の米軍新基地建設の工事にかかる損害賠償請求をしないことを求める意見書を提出するよう求めることについて 請 願 番 号 第8号 受 理 年 月 日 平成30年9月26日 件     名 沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国が沖縄県に対して名護市辺野古の米軍新基地建設の工事にかかる損害賠償請求をしないことを求める意見書を提出するよう求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  政府は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐって、「沖縄県が名護市辺野古の埋め立て承認を撤回した場合、工事の遅延損害金が1日約2,000万円発生するとの見積もりをまとめ、撤回処分の是非をめぐる行政訴訟で政府が勝訴した場合に、沖縄県に損害賠償請求することを検討している。」(8月20日毎日新聞)ことが判明した。  これは、政府の意に沿わない自治体に対して、賠償を請求することで自治体を萎縮させ、憲法の保障する地方自治を破壊する動きにほかならず許されない。  辺野古への米軍新基地建設に対して、当該の沖縄県民はこれまでの国政選挙・地方選挙において、明確に「反対」の意志を表明している。  沖縄県の辺野古埋め立て承認の撤回に向けた一連の手続は、故翁長雄志沖縄県知事が政治家としての公約と各選挙において示された名護市辺野古の米軍新基地建設反対の民意に基づいて、自治体が行った至極当然の行為である。首長は、その政治理念に基づいて政策を実現するための政治活動を行う自由があり、自治体は民意の裏付けに基づき政策を決定する自己決定権がある。  言うまでもなく、日本国憲法の定める「地方自治の本旨」(第92条)は、「住民自治」(第93条)と「団体自治」(第94条)を核心とした、何人も犯すことのできない憲法原則であり、 沖縄県の進める埋め立て承認の撤回は、選挙での民意で示された住民自治や、沖縄県の団体自治に基づき行われている。しかし、政府が検討していると報道される沖縄県に対する損害賠償請求は、この憲法原則すら無視するものである。  このような政府による自治体に対する損害賠償請求は、日本国憲法の規定する「地方自治の本旨」を踏みにじるもので、本土の全ての自治体や議会にとって「明日は我が身」と言えるものである。  安倍首相も菅官房長官も、常々、沖縄の米軍基地の負担軽減については、沖縄の声を聞き、丁寧に説明をすると述べている。そうであるならば、政府は真摯に沖縄県民の民意に向き合い、憲法に保障された地方自治を尊重し、沖縄県への賠償請求について、検討も含めてやめるべきである。  この問題は決して沖縄県のみにとどまらず、日本の民主主義と地方自治の根幹にかかわるものである。本土の自治体、議会が無関心や沈黙を決め込んではならない。  よって、滋賀県議会として、国に対し、沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国が沖縄県に対して名護市辺野古の米軍新基地建設の工事にかかる損害賠償請求をしないことを求める意見書を提出するよう請願する。           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第9号 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも適用させること等を求める意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第9号 受 理 年 月 日 平成30年9月26日 件     名 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも適用させること等を求める意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  全国知事会は、本年7月、日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。これは、2016年に故翁長雄志沖縄県知事が全国知事会に要望して設置された「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」において、2年間にわたって研究、検討された内容を踏まえて出された画期的な提言である。  日米地位協定によって、米軍関係者の事件・事故の中には刑事責任を問うことができず、住民が危険を訴える訓練をとめることができない。オスプレイが航空法で定められた最低安全高度を違反して訓練している実態をとめられない。また基地内で環境汚染が発覚しても、米軍に立ち入りを拒否される状態である。  にもかかわらず、日米地位協定は1960年に締結されてから一度も改定されておらず、日本政府は改定交渉を提起したこともない。  米軍が駐留しているドイツやイタリアでは、受け入れ国が基地の管理権を確保し、自国の国内法を米軍に適用している。日米地位協定は余りに不平等と言わざるを得ない。  滋賀県では、2013年に沖縄県以外の本土で初めてオスプレイが参加をした日米合同訓練が実施をされた。この際も事前に飛行ルートが明らかにされず、市街地を避けると言われていたのに実際は市街地の上空を飛行している実態が確認された。  私たちは、県民の安心安全を確保する見地から、滋賀県議会が国に対し、下記のとおり、日米地位協定の抜本改定を求める意見書を提出することを求め、請願するものである。             記 1 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも適用させることや、事件事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記することを求める意見書を、国に対し提出すること。            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(川島隆二) お諮りいたします。  明3日から11日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(川島隆二) 来る12日は、定刻より本会議を開き、付託案件について決算特別委員会を除く各委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時7分 散会    ────────────────...