滋賀県議会 2017-10-30
平成29年決算特別委員会−10月30日-06号
矢野人事委員会事務局長、
北川代表監査委員、
千代監査委
員事務局長、
青木議会事務局長、
北村労働委員会事務局長
および関係職員
5
事務局職員 入江課長、吉田参事、横江係長、仲井副主幹、
川内主査、鈎主査、是永主査
6 会議に付した事件 別紙次第書のとおり
7 配付した参考資料 別紙のとおり
8 議事の経過概要 別紙のとおり
議事の経過概要
開会宣告 9時59分
1 委員席の指定について
別紙のとおり指定された。
2 議第102号 平成28年度滋賀県一般会計および各
特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについて
議第103号 平成28年度滋賀県
病院事業会計決算の認定を求めることについて
議第104号 平成28年度滋賀県
工業用水道事業会計決算の認定を求めることについて
議第105号 平成28年度滋賀県
水道用水供給事業会計決算の認定を求めることについて
報第7号 滋賀県
基本構想の実施状況について
報第9号 平成28年度決算に基づく
健全化判断比率について
報第10号 平成28年度決算に基づく
資金不足比率について
《
総括的質疑質問》
(1)質疑、意見等
◆
富田博明 委員 委員長よりお許しをいただきましたので、
自由民主党滋賀県議員団を代表しまして、
決算特別委員会の総括質問を行わせていただきます。よろしくお願いします。
時間が限られていますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、平成28年度の決算について、人口減少を見据えた豊かな
滋賀づくり総合戦略をエンジンとしまして、新しい働き方の創造、追求、具現化を図り、安定的で持続可能な
財政基盤の確立に向け、
歳入歳出両面から
財政健全化の
取り組みを進めることを平成28年度当初予算編成の基本方針に掲げられ、滋賀県
基本構想および
行政経営方針に基づき、知事就任2年目としての予算編成になりました。
また、知事は、先進性、独自性、有効性、世界性の視点を重視しながら、職員一人一人が県益、県民益を念頭に置きつつ、創意工夫に努めることも述べられてきました。
国におきましては、まち・ひと・し
ごと創生基本方針に基づき、
地方公共団体の地方創生の自主的、主体的な
取り組みを支援するとされています。国のこうした動きを的確に捉え、国の施策や制度について、時期を逸することなく最大限に活用するよう取り組むとも言われてきました。
そこで、平成28年度の決算について、知事はどのように評価しておられるのか伺います。
◎三日月 知事 滋賀県
基本構想の策定2年目となりました平成28年度は、まち・ひと・し
ごと創生法に基づきます
地方創生関連交付金の積極的な活用や、国の未来への投資を実現する経済対策も講じながら施策の着実な展開に向けて
取り組み、この結果、実施計画に掲げます574の事業目標のうち71.7%に当たる408の項目で目標を達成したところです。同時に、
行政経営方針に基づきます
財政健全化に向けた
取り組みを進め、財源調整的な基金残高につきましては目標としている150億円を上回る248億円を確保するとともに、
臨時財政対策債を除きます県債残高につきましても6,236億円まで縮減を図ることができたものです。
このように平成28年度におきましては、「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」の実現に向けて着実にその歩みを進めるとともに、
財政健全化について現行の方針に沿った一定の
取り組みを進めることができたものと考えております。
一方で、平成28年度決算におきましては、財源調整的な基金につきましては64億円減と、近年では最も大きな減額となったところで、さらには本年6月に今後の
財政運営の基本的な考え方でお示しいたしましたとおり、今後におきましては国体や
公共施設等の
老朽化対策などの
財政需要の拡大に伴い、本県財政は厳しい状況が見込まれるものと認識しています。持続可能な
財政基盤の確立に向け、今後、
歳入歳出両面から一歩踏み込んだ
行財政改革を進め、
次期行政経営方針におきましては、
財政収支改善に向けた目標設定や、事業費等における具体の対応について検討を行い、
財政健全化の
取り組みをしっかりと進めてまいる所存です。
◆
富田博明 委員 次に、
監査委員の意見についてお尋ねします。
その中には、
財政運営の健全化に向けての意見、そして経済性、効率性、有効性に徹した
事務事業の実施についての意見、収入確保についての意見、事務の適正な執行についての意見、財政の適正な管理についての意見、省エネ、省資源の
取り組みについての意見などいろいろ指摘をされていますが、知事はこの指摘をどのように対応されるのか伺います。
◎三日月 知事 委員御指摘のとおり、
監査委員の皆様方からは
財政運営の健全化に向けた御意見を初め、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、生産性を高める働き方改革の着実な推進、積極的な
歳入確保の推進、
委託工事等の入札の適正な執行、
公共施設等マネジメントの着実な推進、そして、県庁における環境負荷の低減に向けた
取り組みの徹底などの具体的な御指摘をいただいたところです。
これらの御指摘を真摯に受けとめ、今後の
行財政経営に当たりましては、厳正かつ的確な財務事務の執行はもとより、施策構築や
事業執行に当たりましては、経済性、効率性、有効性に十分留意し、最小の費用で最大の効果が達成できるよう一層の徹底を図ってまいりたいと存じます。
あわせまして、今後厳しい
財政状況が見込まれます中、一歩踏み込んだ
行財政改革の
取り組みについて審査意見をしっかりと踏まえつつ、
歳入歳出両面から検討し、持続可能な
財政基盤の確立を図ってまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 次に、不用額についてお尋ねします。
平成28年度
一般会計決算における不用額は35億円です。県民からこの金額を見ると、なぜ余らせたのか、政策効果は本当にあったのか、余らせるなら緊急対応に活用できなかったのかなど、その見解はいろいろです。2月補正予算において、ほぼ精算したはずなのに、35億円の不用はやっぱり多いと思いますが、知事はこの不用額をどう見ておられますか。
◎三日月 知事 平成28年度の不用額につきましては、委員御指摘のとおり約35億円となり、前年度から4億2,500万円増加したところです。
この主たる要因といたしましては、一つ目として、平成27年度に国の補正予算に対応して予算措置を行い、平成28年度に繰り越した事業について、その後の国からの
交付決定額との間に差が生じたこと。二つ目として、退職手当、時間
外勤務手当、
県税過誤納還付金といった確定が年度末ぎりぎりにならざるを得ない経費において、執行残が生じたこと等によるものと分析しております。いずれにいたしましても、減少できるように努めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 その不用額の理由もいろいろとあると思いますが、入札執行の残、そして国庫予算の配分の減、
執行見込みの
見込み違いなど、事業が不執行となったものもあるのではないかと存じます。事業不執行はあってはならないと考えておりますが、その見解を知事に伺います。
◎三日月 知事 事業不執行につきましては、限られた財源を効果的、効率的に活用する観点に加えまして、関係者の皆様の御期待に応えるためにも極力発生しないよう努める必要があると考えております。
一方で、その原因が
事業実施主体の御都合によるものや、当初予算成立後の諸情勢の変化等により結果としてやむを得ず発生する場合もございます。
今後とも、事業不執行が生じた事業については、その原因をしっかり分析しながら
予算見積もりにおいて国の動向、計画の内容、調整の熟度等を見きわめつつ十分精査を行うことで同様の事例が発生しないよう努めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 特に
不用額発生の回避をしなければならないと思いますが、その回避策について、知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 2月補正や決算において毎年多額に生じている不用額については、その縮減に向けて全庁を挙げて取り組んでいるところです。
歳出不用につきましては、効率的な
予算執行の結果、生じている面もございますが、限られた財源を効果的、効率的に活用する観点から、可能な限り縮減する必要があると考えています。具体的には、全庁的に不用額の縮減に向けた周知徹底を図っておりますほか、毎月作成する収支計画を通じて事業の執行状況を把握するとともに、所属内での情報共有を図るよう注意喚起を行っています。
また、今年度からは年度中盤の9月補正の段階から積極的に効率的な
予算執行や入札等により生じた不用額の状況を早期に把握し、可能な限り減額補正に努め、他事業での活用や基金残高の確保等を図ることとしたところです。
引き続き、
予算見積もりにおいて積算や事業量等を一層精査いたしまして、その縮減に努めますとともに、
予算執行段階におきましても計画的な執行となるよう取り組んでまいる所存です。
◆
富田博明 委員 次に、基金等の運用についてお尋ねします。
平成28年度末の基金は42基金、その額は約681億6,600万円です。前年度末が44基金、約757億9,600万円であり、基金の目的に沿って活用されています。その運用における受取利息を見ますと、平成27年度は約1億5,600万円ですが、平成28年度は約9,600万円となっており、基金減少が約10%に対しまして、利息は約40%も減少しています。確かに低金利となっていますが、その中でもより有効な運用に努めるべきだと考えますが、低金利時代における本県の基金運用の方針について、知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 低金利時代における本県の基金運用の方針についてですが、基金の運用につきましては、
地方自治法におきまして「確実かつ効率的に運用しなければならない」と定められておりまして、元本の安全性を確保することを最優先としながら、
歳入確保に資するよう効率的な運用に努めているところです。平成28年2月の日本銀行による
マイナス金利の導入以降、引き続き運用は厳しい環境下にございますが、その中にありましても切れ目なく最も有利な金利を提示した金融機関を選定し運用を行っているところです。
今後とも確実かつ効率的な運用に留意しつつ、金融分野に精通されている外部の有識者の方々から御助言、御指導もいただきながら、なお一層の運用益の確保に努めてまいります。
◆
富田博明 委員 よろしくお願いしたいと思います。
また、
歳計現金の資金調達や資金運用においても同じことが言えますが、支払利子の抑制、
受取利子の確保に当たっての方針について、知事に伺います。
◎三日月 知事
歳計現金に係る支払利子の抑制および
受取利子の確保の方針については、
歳計現金につきましても
地方自治法で最も確実かつ有利な方法により補完しなければならないと定められています。
歳計現金は、毎月資金計画を策定するなど資金管理を的確に行い、
支払準備金に影響を与えない範囲で運用に努めているところです。やむを得ず
歳計現金が不足となります場合は、一時
借り入れ等により対応しているところですが、できる限り一時借入金の抑制を図るため支払い時期や検査への発行時期を調整することなどにより、
資金不足日数の縮減を図り、今後とも支払利子の抑制に努めてまいります。
また、
受取利子の確保に当たりましても
支払準備金に支障のない限り適時適正に預金による運用を図り、
受取利子の一層の確保に努力してまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 よろしくお願いしたいと思います。
次に、財源の確保についてですが、平成28年度歳入決算における一般財源は、ほぼ例年の構成比で3,525億円余りですが、財産収入は用地の売却など定まったものではなく、不確定要素による収入です。決算から見る安定的な
財源確保対策について、知事の考え方について知事に伺います。
◎三日月 知事 安定的な
財源確保対策について、県財政の根幹を成します
県税収入については、これまで進めてきた新たな成長産業、地域資源を活用した魅力ある産業の創出や雇用の維持拡大、本県の
ブランド価値の向上に向けた施策などが地域経済の活性化に
一定つながり、
県税収入の安定確保にも寄与していると認識しています。
また、
普通交付税につきましては、その増収を図るべく本県の
財政需要が的確に反映されるよう粘り強く国に対し要望するとともに、
地方交付税の総額確保について他府県と連携して意見するなど、その確保に努めているところです。さらに、広告事業や
自動販売機の公募などの
歳入確保の
取り組みについてもこれまでのノウハウを蓄積しながら着実に増収を図っているところです。
今後見込まれます厳しい
財政状況に対応していくためにも
県税収入について地域経済の活性化等の推進によりその増収に努めるなど、安定的な
財源確保を図っていくとともに、県有資産を有効活用した
歳入確保など、継続的に得られる
歳入確保についてもあらゆる方策を講じて
財源確保を図ってまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 また、
地方交付税、とりわけ地震や台風など、
普通交付税によって補足しがたい特別の
財政需要に対する、いわゆる
特別交付税について、平成28年度の交付額と交付の根拠とされる国への
特別財政需要の要望内容について、知事に伺います。
◎三日月 知事 平成28年度の
特別交付税につきましては、
オオバナミズキンバイの駆除、琵琶湖の保全及び再生に関する法律に基づく琵琶湖の
保全再生、そして大雪への対策など、本県固有の
財政需要や突発的な
財政需要について国への要望を粘り強く行い、前年度と比べて約8,900万円の増となる20億9,300万円余の交付を受けたところです。
◆
富田博明 委員 この
特別交付税は、本県ゆえの
財政出動を細かく訴える必要がありますが、琵琶湖における
外来植物駆除など、滋賀県ならではの
財政出動をどのように訴えていくのか、今後の
特別交付金要望の方針を知事に伺います。
◎三日月 知事 今ほどもお答えいたしましたとおり、本県におきましてはとりわけ
オオバナミズキンバイを初めとする
侵略的外来水生植物の駆除対策や、
普通交付税では補足し切れない琵琶湖の
財政需要など固有の課題を有しているものと認識しています。こうした課題に係る
財政需要につきましては、まずは
国庫補助金等の
制度所管官庁に対して
財政支援制度の創設、拡充について要望、提案を行うとともに、今も委員から御指摘いただいたように
特別交付税の要望に当たりましては、本県の状況や課題を精緻に分析いたしまして、的確かつ丁寧に説明を行うことでその確保に努めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 しっかりと訴えていただきたいと思います。
琵琶湖保全再生法における県の計画が平成28年度に策定されました。いよいよ計画における
事業実施が始まります。県民の多くがこの
琵琶湖保全再生法における事業に大きな期待を寄せております。しかし、問題は
事業実施における財源の確保です。県の計画にも財源の確保に係る記述がありますが、
財源確保の方針と具体的な
取り組みを知事にお聞きします。
◎三日月 知事 琵琶湖からの恵沢を将来にわたって私たち県民はもとより国民が享受できるよう
保全再生を進めるための
財源確保は極めて重要な課題であると認識しています。
昨年度、
侵略的外来水生植物の防除、早崎内湖やヨシ群落の再生を初め
琵琶湖保全再生関連事業に対する国からの措置を集計いたしますと約100億円程度となっています。また、個人や法人の皆さんから
マザーレイク滋賀応援寄附といたしまして、琵琶湖に関する事業に対し約925万円の寄附をいただくなど、財源の確保に努めてきたところです。
今年度は、
琵琶湖保全再生計画の策定を踏まえ、国に対しましては定例の政策提案や緊急要望を行うとともに、
琵琶湖保全再生推進協議会や幹事会、
環境事務次官の湖上視察などで琵琶湖の現状や課題の共有を図り、国との連携強化に一層努めているところです。まずはこうした
取り組みを通じて国からの支援や協力を引き出せるよう粘り強く働きかけてまいりたいと存じます。
また、現在
琵琶湖活用の検討の一環といたしまして、国内外の
先進事例調査を進めており、地域資源の利用と負担も含めた調査結果を年度内に取りまとめることといたしております。
来年度はこの調査結果も踏まえ、負担のあり方等を整理し、その上で
財源確保に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。
◆
富田博明 委員 かつて、
琵琶湖総合開発事業では、下流府県の負担や、下流府県からの借り入れの資金管理を行うなど、さまざまな対応がされてきました。既存事業のつけかえだけでは
琵琶湖保全再生法の意味がありません。過去の
琵琶湖総合開発のときのように、借り入れなど幅広く検討すべきではないかと思いますが、考え方を知事に伺います。
◎三日月 知事
琵琶湖保全再生法第7条に
琵琶湖保全再生計画の実施に当たりましては
関係地方公共団体を含む関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならない旨の規定がございます。
上下流の相互連携、協力に向けましては、まずは下流の府、県、市に琵琶湖の現状や課題、さらにはその価値や重要性についての御理解を深めていただくことが重要であると考えます。このため、法の制定後、昨年11月の
琵琶湖保全再生推進協議会、また、本年7月の同協議会、幹事会におきまして、下流府、県、市の関係者の皆様方には湖上視察も交えつつ琵琶湖の現状、課題への理解を深めていただいたところです。引き続き、この
琵琶湖保全再生推進協議会や幹事会、あるいは、
関西広域連合の場などを活用しつつ、下流府、県、市から相互連携や協力について一層の理解を得る必要があると考えています。
今後は、先ほどもお答えさせていただきましたとおり、地域資源の利用と負担も含めた国内外の
先進事例調査の結果も踏まえ、負担のあり方等を整理し、その上で
財源確保に向けた検討を幅広く行ってまいりたいと考えております。
◆
富田博明 委員 この項の最後にお尋ねいたしますが、財政の健全化に関する比率を見てみますと、
実質公債費比率は13.2%で全国26位、将来負担比率は199.6%で30位です。
また、
財政力指数では0.55で財政に余裕があると思えません。
経営収支比率も96%ですが、知事としてこの状況をどのように考えておられるのか、お伺いします。
◎三日月 知事 お尋ねの平成28年度決算の財政指標について、
健全化判断比率では、
実質公債費比率は近年の
臨時財政対策債以外の県債抑制や低金利の状況を反映し、前年度から0.9ポイント改善する一方、将来負担比率に関しましては、基金残高や交付税の参入額の減少に伴い4.9ポイントの悪化となったところです。これらの指標につきましては、本県はいずれも全国平均を上回っており、今後必要となる国体開催に向けた施設整備や
公共施設等の
老朽化対策への対応を考慮いたしますと、楽観できる状況にないと認識しています。
また、本県の
財政力指数につきましては、近年改善傾向にありますものの、
一般財源総額の
歳入決算額は前年度より減少しておりまして、経常的な経費であります
社会保障関係費の増加なども相まって、
経常収支比率を引き上げる結果となっております。
これらの指標につきましては、国の制度改正や景気の動向による変動も見込まれるところですが、今後ともその見通しに十分留意しつつ必要性や効果等を十分見きわめながら、必要な投資にも対応できるよう一歩踏み込んだ
行財政改革の
取り組みを進めてまいる所存です。
◆
富田博明 委員 次に、
基本構想の評価についてお尋ねします。
今期の計画期間は、「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」、「みんなでつくろう、新しい豊かさ」を基本理念に、平成27年度から平成30年度までの4年間で、2年が経過した年であります。
基本構想の、
重点政策ごとに掲げられた47の指標では、全体として約半数の指標で、達成率50%以上になっています。しかし、
基本構想に定める七つの
重点政策ごとに検証させていただきますと、現時点では、
重点政策4、そして
重点政策6にわたる指標の達成率が目立って低いと考えますが、これらをどのように認識し、今後どのように対応されるのか、目標達成困難な課題への
取り組みについて、知事に伺います。
◎三日月 知事
重点政策4では、琵琶湖の環境の再生、継承などを目指し、平成28年度には7,391トンの
水草刈り取り除去事業や、216トンの
外来魚駆除事業等を行いましたが、依然として生態系の悪化は喫緊の課題であると認識しています。
琵琶湖再生の一つの指標である
琵琶湖漁業の漁獲量も依然として厳しい状況にあり、引き続き水草の除去など生態系の改善や漁場の再生、種苗放流など
在来魚介類の回復に向けた
取り組みを進めてまいります。
あわせまして、琵琶湖の基幹魚種でありますアユ漁が昨年来、極度の不振となりましたことから、人工河川を活用した資源対策と関係機関が連携した早期の原因解明に取り組んでいるところです。
また、
重点政策6では、文化とスポーツの力を活用した元気な
滋賀づくりを目指し、平成28年度には
芸術文化祭の開催や、「しがスポーツナビ!」での
情報発信等を行いましたが、県民全体への広がりという点では不十分であったと認識しています。今後は、
国民体育大会、
全国障害者スポーツ大会など、大きなイベントが開催される時期を迎えることから、文化やスポーツをきっかけとした
地域活性化に向けて県民を巻き込んだ形での事業となるよう一層
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 しっかりと取り組まれるようお願いしたいと思います。
次に、
危機管理センターの機能の役割についてお尋ねします。念願の
危機管理センターがオープンいたしました。スムーズな災害への対応が期待される中、とりわけ集まってくる情報を分析して、より早く危機に対応できるように情報の関係機関への伝達が重要な役目となるのがセンターだと思いますが、今回の台風21号は滋賀県にも多くのつめ跡を残し、今後一刻も早い被害への対応を期待するものでありますが、今回の豪雨でまたしても洗堰が全閉されました。
危機管理センターでは西嶋副知事を本部長とする
災害警戒本部が設置されましたが、洗堰の全閉を予測すべき情報として、
瀬田川放流の制限情報は、
琵琶湖沿岸市町に速やかな情報提供が必要と考えます。制限情報と同時に
琵琶湖周辺市町へ連絡されたと推察いたしますが、この洗堰の全閉などの緊急事態において、庁内や市町との連携について
危機管理センターではどのように対応し、結果をどう把握しているか、知事に伺います。
◎三日月 知事 まず、このたびの台風水害で被害に遭われた方にお見舞いを申し上げますとともに、県といたしましても万全の対策を講じてまいりたいと存じます。
危機管理センターは、危機事案への総合的な対応拠点となる施設です。非常時には、防災関係機関が集結して迅速かつ的確な対応を行う災害対策本部機能を、平常時には、地域防災力の向上につなげる研修、交流機能の役割を担っております。
委員御質問の瀬田川洗堰の全閉操作につきましては、瀬田川洗堰操作規則第22条に基づき全閉操作に伴う放流量の変更について、琵琶湖河川事務所から県や関係市、水資源機構などの関係機関や県民に周知することとされております。今回もこれに基づきまして、全閉操作に先立って連絡があり、
危機管理センターにおいて既に台風の被害に備えて設置していた
災害警戒本部の本部長である西嶋副知事と副本部長である防災危機管理監が土木交通部長から報告を受けたところです。
また、全閉操作等に伴い琵琶湖の水位が上昇し、湖岸の住宅等に著しい浸水被害が発生するおそれがある場合には、琵琶湖の洪水予報を発表し、関係市に水位情報等を提供するとともに、報道機関等を通じて県民に周知することとされておりますが、今回はこうした事態までには至りませんでした。
危機事案への対応に当たりましては、庁内、市町、関係機関が連携しながら迅速かつ正確に情報の共有と発信を行うことが重要であると認識しています。さまざまな危機事案において
危機管理センターが対応拠点としての機能を十分発揮することができるよう、必要な訓練を重ねながら県民の安全、安心を守るという県の使命を確実に果たしてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 洗堰の問題は、後ほどまた詳しくお聞きいたします。
次に、治水対策の強化についてお聞きします。
近年の異常気象による大洪水や土砂崩れは目に余るものがあります。4年前には、全国で初めて大雨に関する特別警報が発令されるなど、戦後最大に相当する大雨となり、県内でも甚大な被害が発生しております。多くの県民の皆様は水害に対する恐怖感が増してきていると思います。災害から県民の皆さんの命と暮らしを守らなければなりません。そこでまず、水害に強い地域づくりについて、平成26年度から、水害のリスクが高い地域での
取り組みが始まっています。平成26年度が2地区、平成27年度が8地区、平成28年度12地区が取り組まれました。その進め方に当たってはいろいろ課題があると思いますが、地域の合意形成を図るために、丁寧に説明を重ねて広く住民に理解を求めることが必要です。しかし、「備える、とどめる」の
取り組みを進めるには、一定の
取り組みの期間が必要です。
また、同時にハードとソフト対策を一体的に進めることが重要です。当然、関係する市町と念密な連携が必要不可欠です。水害から命を守り、壊滅的な被害を回避するためには、治水政策が重要であると考えますが、現在進めていただいている水害に強い地域づくり全般の
取り組みの評価について、知事に伺います。
◎三日月 知事 水害に強い地域づくりの
取り組みの評価については、水を安全に流す基幹的対策は、河川整備5カ年計画に基づき河川整備を実施すること、また、被害を最小限にとどめる対策や水害に備える対策等は、地域特性に応じて実施することにより、水害に強い地域づくりの
取り組みを進めてきたところです。
また、国が進めます水防災意識社会再構築ビジョンの
取り組みとも連携し、減災に向けたハード、ソフト対策を一体的に進めてまいりました。
一方で、今回の台風で竜王町が浸水するなど、ハード整備のおくれで被害が発生している箇所も見受けられ、引き続きハード整備の重要性も感じているところであり、今後対策を講じてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 また浸水警戒区域の指定に係る
取り組みの評価について、知事に伺います。
◎三日月 知事 浸水警戒区域指定の
取り組みですが、県内約50地区を対象に平成26年度から計画的に進めており、平成28年度末時点で22地区に着手し、今年度の時点で新たに7地区に着手しています。
区域指定につきましては、水害に強い地域づくりの
取り組みにより地区の避難計画の策定など、地域防災力の向上を図る備える対策とあわせまして、地域の合意形成を図りながら進めてまいりました。モデル地区の村居田区におきましては、条例制定から3年余りを要しましたが指定に至りましたことは、おかげさまで一歩前進したものと評価できると考えております。一方、朽木野尻地区におきましては、住民ワーキングや説明会、また協議会での議論により、地域の合意形成が図られたと考えておりましたが、住民の皆様が区域指定について熟慮していただく期間や、ハード対策の提案が十分ではなかったことから意見がまとまらなかったのではないかと考えています。
今後、地域の皆さんに安全な住まい方をしてもらうために、住民の皆様の御意見を十分にくみ取りながら、他の地域での
取り組みも含めて一層進むよう努めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 それでは、今後の地域づくりの進め方について、知事に伺います。
◎三日月 知事 進め方については、どのような洪水からも命を守るため、川の中で水を安全に流す基幹的対策に加えて、川の外での対策、貯留浸透などのためる対策、被害を最小限にとどめる対策、地域防災力向上に向けた備える対策を組み合わせて実践することが大切であると存じます。
水害に強い地域づくりの
取り組みにおきましては、地区の課題などを確認し、住民ワーキングや協議会にて十分な検討、議論を行うとともに、区域指定については、特に住民の皆様に熟慮していただく時間も設けて御意見を十分にくみ取りながらハード、ソフト対策を一体的、計画的に進める水害に強い地域づくりに取り組むことといたしております。
◆
富田博明 委員 それでは、水害に強い地域づくり協議会におけます県、市町の連携のあり方について、知事に伺います。
◎三日月 知事 今お取り上げいただきました水害に強い地域づくり協議会では、地域住民、市町、県、国関係機関等が協働し、地先の安全度の浸水リスクを
取り組みの基礎情報といたしまして、備えるととどめる対策の
取り組みを連携して進めてきたところです。
浸水警戒区域の対象地区における
取り組みにつきましても、これまでの経験を踏まえ、地域合意の形成を十分図りながら、市町としっかりと情報を共有することで連携の強化を図ってまいりたいと考えています。
◆
富田博明 委員 それでは、浸水警戒区域の指定についてはどれぐらい年月がかかるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 浸水警戒区域の指定を含む水害に強い地域づくり、これは平成26年度より毎年10地区ずつ
取り組みに着手することとしており、約50地区での
取り組みを平成31年度末までに着手していく予定です。各地区におきましては、出前講座、図上訓練、危険箇所把握のためのまち歩きなどの備える対策とあわせて区域指定の
取り組みも進めますが、自治会行事との調整もあり、期間を詰めて集中的に取り組むことは難しい状況で、一地区での
取り組みに約2年から3年程度が必要ではないかと見込んでいるところです。
対象地区の指定につきまして今の時点で目標年次を申し上げることは困難ですが、今回得られた知見等経験、国が進める水防災意識社会の再構築の動きなども踏まえ、他の地域での
取り組みをできるだけ早く進めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 いろいろ厳しい状況ですが、最後に、水害に強い地域づくりに向けた知事の意気込みをお聞かせください。
◎三日月 知事 今年度も台風5号、21号による豪雨により甚大な被害が本県各地で発生いたしました。近年、台風被害等が頻発する中、ハード、ソフト対策を一体とした流域治水の
取り組みを着実かつ計画的に推進し、地域の安全、安心の向上に努めていかなければならないことを強く実感しておりますので、早期にかつ丁寧にこの
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 次に、河川維持管理状況についてお尋ねします。
県下の県管理河川は、湖沼を含めまして505本、延長にして2,256キロメートル、日本の本州を往復するだけの距離に近い延長です。大変な管理だと推測いたします。
ことしも市町の要望をお聞きしましたが、「県下の河川のほとんどにおいて、川の中の立木や雑草の繁茂、土砂の堆積など、どこの川を見ても、県の治水対策は大丈夫なのか、河川愛護の地元の皆様に御苦労いただいていますが、抜本的な対策になっていない、しっかりとした河川管理が必要だ、大きな河川の工事はできなくても、徹底した川の中の対策をしっかりやってほしい」と、県内全ての市町から強い要望を聞いています。
一方で、河川そのものの対策、すなわち河川整備ですが、河川整備中長期計画のもと、事業の優先度、緊急度を見きわめ、効率的にまた効果的に進められていますが、平成28年度末時点で55.8%と、まだまだ整備が必要であり、早期の整備が必要と考えます。
河川整備は、多額の予算と多くの時間が必要です。一朝一夕にできるものではないと認識をしておりますが、それゆえに適正な河川維持管理が必要と考えますが、その状況と今後の対応について、知事に伺います。
◎三日月 知事 河川の維持管理の状況につきましては、平成28年度に河川維持修繕が必要でありましたのは679カ所で、そのうち実施できましたのは482カ所、約7割に当たる箇所は対応ができておりますが、十分な対応ができていないと認識しています。
平成29年3月に新たに作成いたしました河川維持管理計画に基づきまして出水後の河道の土砂体積状況、樹木の繁茂状況の把握結果とともに、巡視点検結果や地域住民からの御要望を踏まえ、治水上あるいは利用安全上の観点から緊急性が高いと判断される箇所を順次実施してまいりたいと考えております。
◆
富田博明 委員 そういう場合の災害時の住民避難に向けた県の支援ですが、災害時の住民避難に向けて、市町と連携を取られていると思いますが、市町の首長が避難勧告を的確に出されるためには、県は避難に関する情報などをどのように伝達しておられるのか。また、市町から県に求められる情報について、どのような工夫をされ、そして発信されておられるのか。そして、住民の避難行動につなげるためには、どのような支援が必要と考えておられるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 災害時の住民避難に向けた
取り組みについてです。
1点目の情報伝達について、河川の水位情報や土砂災害警戒情報等は、地域防災計画や水防計画に基づき県から市町へ、市町から住民へ情報伝達することとしておりまして、県から市町へは土木防災情報システムにより伝達しています。これに加えまして、今出水期より市町と連携し県から市町長等へ河川や土砂災害に関する情報を直接提供するホットラインを構築、運用しています。
2点目の市町から県に求められる情報についてですが、県には避難行動を判断する目安となる水位等を適切に設定し、土砂災害警戒情報とあわせて的確に情報伝達することが求められます。
台風5号による姉川氾濫では、急激な水位上昇により切り通しの締め切り作業が間に合わなかったことから、次の18号や21号では、急激な水位上昇が見られた時点で避難判断水位などの所定の水位に達していなくても空振りを恐れずホットラインにより早目に情報を伝達いたしました。
3点目の住民の避難行動につなげるための支援については、住民の避難が的確に行われるためには、行動が必要な地区へ適切な時期に適切な情報を発信するとともに、住民一人一人が情報を理解して避難行動をとっていただくことが必要であると考えます。その際、市町から住民へ情報提供の強化、夜間を避けるなど避難しやすい時間帯での早目の避難情報の発令など、住民一人一人が避難行動をとる判断がしやすくなるよう、水害に強い地域づくり協議会で議論を進めていく必要があると考えているところです。
◆
富田博明 委員 市町との連携はきちっとお願いしたいと思います。
先ほども
危機管理センターの質問でも申し上げましたが、今回の台風21号により、洗堰が一時的ですが全閉となりました。洗堰全閉は、かつて平成25年の台風での大戸川の被害や琵琶湖沿岸の浸水など苦い経験をした本県としましては、二度と起こしてはならないことであることは疑う余地はありませんけれども、当然、県民の命と財産を守る立場の知事として、洗堰全閉の回避について、知事の近畿地方整備局への具体的な要請行動を伺います。
◎三日月 知事 台風21号の際の洗堰全閉に係る要請行動につきましては、10月22日、午後10時に天ヶ瀬ダムの流入量を低減するために放流量が毎秒200立方メートルから毎秒50立方メートルに変更され、洗堰全閉の可能性があることから、近畿地方整備局長宛ての全閉回避の要請文書を琵琶湖河川事務所まで出向き、琵琶湖河川事務所長に手渡し、口頭でも伝えたところです。さらに、私の意向として西嶋副知事から近畿地方整備局長へ直接電話をし、極力全閉を回避していただくよう要請いたしました。
その後、瀬田川洗堰操作規則に従い、23日午前2時に全閉されたことを受けて、近畿地方整備局長宛てに全閉操作に対して遺憾であること、速やかに放流を再開することを要請する文書を再び琵琶湖河川事務所に出向き琵琶湖河川事務所長に手渡し、口頭でも伝えたところです。
◆
富田博明 委員 この件につきましては、やはり知事が直接出向いて伝えることにならないのか、その点についてお伺いいたします。
◎三日月 知事 私が直接出向くことがどのタイミングでどういうことが適切なのか。例えば国に対してさまざまな要望活動をさせていただくときに、あらゆる機会を通じて、そういったことも申し上げることが必要だと思います。ただ、台風災害等において私が動くことがどうなのかということもございますので、場合等を適切に勘案しながら、大変重要な事項ですのでしっかりと国に届けてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 あわせて、今回の洗堰全閉を踏まえて、要請行動をしなくても済むようにするためには、今後どのような対応をされるのか、その考えを知事に伺います。
◎三日月 知事 要請しなくても済むようにするためにはどうするのかということですが、瀬田川洗堰は下流の天ヶ瀬ダムへの流入量が毎秒840立方メートル以上となり、洪水調節が開始された場合に洗堰を全閉することとなっております。しかし、琵琶湖の水位は一旦上昇すると、湖岸の広い地域に長期的な浸水被害をもたらすことになります。そのため、琵琶湖の洪水をいち早く下流に流すために天ヶ瀬ダムの再開発や宇治川の改修が進められています。
これらの事業が完成いたしますと、天ヶ瀬ダムからの放流量が毎秒840立方メートルから毎秒1,140立方メートルに増強されることで洪水調節に要する時間が短縮され、これに連動して全閉操作を行う時間が短縮される。場合によっては回避されることも予想されます。また、放流量がふえることで琵琶湖周辺の浸水深の低下、浸水時間の短縮などの浸水被害の軽減が期待できます。
今後も、国に対し洗堰の全閉操作を回避するよう求めるとともに、洗堰全開時の放流能力を増加させて琵琶湖の水位を速やかに下げるため、天ヶ瀬ダムの再開発や瀬田川の改修など琵琶湖の後期放流対策の推進を強く求めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 洗堰の問題はいろいろとよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、次に国立環境研究所琵琶湖分室の役割について、お尋ねをいたします。
国立環境研究所琵琶湖分室は、国立環境研究所の一部機能移転を契機とした地方創生プロジェクトとして、県民の期待を担ってことし4月に設置されました。琵琶湖環境科学研究センターとともに研究成果の活用と実用化に向けて、また、海外展開を図り、水環境ビジネスを推進するということで政府のまち・ひと・しごと創生本部で決定されたと聞きおよんでいます。そこで、国立環境研究所琵琶湖分室の役割について、知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 国立環境研究所琵琶湖分室の役割についてですが、琵琶湖分室は湖沼環境研究を推進し、琵琶湖の保全および再生に資するとともに、湖沼環境研究のさらなる発展と研究成果の活用、実用化を図ることを目的として誘致したものです。
このことは、本年2月に本県、環境省、国立環境研究所の三者で締結いたしました湖沼環境研究分野の研究連携拠点における連携協力に関する基本協定にも盛り込んだところです。この目的を達成するため、琵琶湖分室には琵琶湖環境科学研究センターとともに琵琶湖の保全および再生に資する湖沼環境研究の中心となり、研究成果の活用、実用化の実現に向け取り組んでいただいているところです。
◆
富田博明 委員 しかし、先日の特別委員会の県内調査での分室長の話では、「琵琶湖の水質や生態系に関する研究を進め、湖沼環境研究の推進につなげる、さらに世界に発信できる環境研究に結実していく」と述べられ、科学技術的、学術的な研究のために来られたようで、「今起きている琵琶湖のもろもろの課題解決にすぐに結びつけるのは難しい」という趣旨のことも述べられていますが、この発言について、知事の見解を伺います。
◎三日月 知事 今、委員がお取り上げいただいた研究員の言葉は、どういう文脈で、また、どういった意図、趣旨で述べられたかは定かではございませんが、研究者としてのある意味謙虚な見解を述べられたのではないかと認識いたしております。
ただ、先ほど来お答えいたしましたとおり、基本協定においては湖沼環境研究を推進して、琵琶湖の保全および再生に資する、またその研究成果の活用、実用化を図るとしておりますので、この琵琶湖分室と本県の琵琶湖環境科学研究センターが一緒になり、中心になりまして生態系に配慮した新たな水質管理の手法、水草の適正管理、
在来魚介類の回復等に関する共同研究に既に着手しております。さらに、ことし1月に立ち上げましたしが水環境ビジネス推進フォーラム研究・技術分科会に琵琶湖分室にも参画していただき、研究成果の活用、実用化に向けた
取り組みを進めているところです。
これらの
取り組みを着実に進めることで、今も御指摘いただきました琵琶湖分室での研究成果、また共同研究の成果を琵琶湖の保全および再生につなげてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 我々県民は、今言っているこの琵琶湖の問題をすぐに解決してほしいのです。そのためにもしっかりと連携をとってよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、低炭素社会づくりの
取り組みについてお尋ねをいたします。
国の地球温暖化対策に関する方針は、2050年までに80%の温室効果ガス排出削減を目標とされています。本県でも、低炭素社会づくり推進計画において、再生可能エネルギーに加え、産業活動の幅広い分野で化石燃料に依存しない社会を目指し、総合的に取り組むとされております。この
取り組みを実効するにしましても、庁内の関係部局が横つなぎで連携し、相乗効果を発揮することが肝要です。このことが、省エネ行動の広がりと定着の一歩であると考えますが、
取り組みの実績と評価について、知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 低炭素社会づくりの
取り組みの実績と評価についてですが、本県においては、平成28年3月にしがエネルギービジョンを策定、また平成29年3月に滋賀県低炭素社会づくり推進計画を改定し、部局横断的に温暖化対策を進めているところです。
具体的には、家庭や事業所向けに再生可能エネルギーの導入促進や出前講座、うちエコ診断などの節電、省エネ対策のほか、本県独自の貢献量評価などの
取り組みを進めております。こうした施策や企業、家庭の省エネ努力などにより、県域の温室効果ガス総排出量は平成24年度をピークに減少に転じ、平成26年度は対前年度比3.3%減となっており、低炭素の方向へ進みつつあるものと認識しているところです。
◆
富田博明 委員 それでは、その中で出てきた課題や問題は何なのか伺います。
◎三日月 知事
取り組みでの課題や問題は、今申し上げたように県域の温室効果ガスについては減少傾向にあるものの、電力に余裕が出てきたことで、ともすれば省エネ、節電意識が薄らぎかねない懸念があることから、県民の意識を把握しつつ、今後も引き続きさまざまな
取り組みを進めていくことが課題であると考えているところです。
◆
富田博明 委員 電力に余裕が出てきた。これは国の政策の部分にも係るかなと思います。結局原発の状況も含めての電力だと思いますが、この国のエネルギー政策と関係はあるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 国のエネルギー政策との関係についてですが、国においては2030年時点においても原発に相当程度依存する電源構成を示しているところです。
しかし、原発の安全性に対する根強い不安、使用済み核燃料の蓄積等を勘案すると、原発に依存しない新しいエネルギー社会をこの滋賀からもローカルイノベーションで構築していくことが求められていると考えます。
低炭素社会と原発に依存しない社会の実現はともに乗り越えていかなければならない大きな課題であると認識しておりまして、双方が満たされた社会の実現に向けて地域レベルで
取り組み可能な施策を今後とも着実に推進してまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 電力に余裕がなくなってきたときに本当に今の状況の中、低炭素社会づくりでいいのか、問題提起したいと思いますが、今後、課題や問題を踏まえて、具体的にどう取り組まれるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 今後の具体的な
取り組みについてですが、再生可能エネルギー導入促進といたしまして、バイオマスエネルギーを活用した地域づくりへの支援、創エネ・省エネ設備の導入支援に加えまして、多くの県民の主体的な参画を促進するため、
取り組み事例の動画配信による見える化を実施してまいります。
また、省エネルギー対策といたしまして、滋賀発の優良製品等が社会に広く普及浸透することを通じ、低炭素社会の実現につなげる滋賀発低炭素ブランドを進めてまいりたいと存じます。
地球温暖化対策は、持続可能な開発目標、SDGsの目標7「クリーンエネルギー」および目標13「気候変動対策」に位置づけられた人類共通の目標でもありまして、今世紀後半の脱炭素社会の実現に向け、さらに
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 この問題につきましては、また後ほどいろいろな議論をさせていただきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
次に、地域医療の充実についてお尋ねをいたします。
高齢化が進む中、県では、レイカディア滋賀高齢者福祉プランに基づき、県民の健康づくりや高齢者の社会参加や社会貢献、生きがいづくりなど、健康寿命の延伸と生活の質の向上に向けて取り組まれてきました。また、65歳以上の疾患別医療費の3割を占める高血圧やガン、糖尿病などの予防対策が重要と考え、早期発見、早期治療の考えのもと、健診の徹底を奨励されてきました。高齢者が元気で活動し、病気をせずに介護も必要としない状況をつくっていくことが必要と考えますが、団塊の世代の方々が70歳を迎えられることからも生活習慣病に対する徹底した
取り組みが非常に大切ではないかと思います。
いつも言われます医師、看護師、介護士の不足、そして、地域偏在も深刻で、現場からの悲鳴が消えることはありません。非常に深刻な状況ですが、医師、看護師、介護士の不足といった状況をどのように受けとめ、対応されるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 本県の医師数は国が2年ごとに実施しております医師・歯科医師・薬剤師数調査によりますと、平成26年で3,149人であり、県全体ではここ十年で394人増加しておりますものの、地域偏在は依然解消していないと認識しています。
このため、医師不足地域の病院に対しまして修学資金の貸与を受けたいわゆる地域枠医師や自治医科大学卒業医師の派遣を行うとともに、滋賀県医師キャリアサポートセンターにおいて医学生の面談や懇談会を通じて県内に定着するよう働きかけております。
看護職員につきましては、平成26年で1万3,896人と需要見通しの98%まで充足しております。しかし、訪問看護ステーションや介護保険施設といった従事場所や地域別で見ますと不足しているところもあり、こちらも看護職員の偏在という課題があると認識しています。
このため、看護学生への修学資金の貸与、養成所の運営費への助成、潜在看護師の再就業支援などを通じまして看護職員の確保、定着に努めております。
また、介護職員は平成28年に1万8,600人で、2025年には約3,500人の不足が見込まれていることから、これまでから修学資金の貸し付けやメンター制度の導入支援、処遇改善など、新規参入から育成、定着支援に係る各種施策に取り組んできたところです。今後の人口減少や高どまりする離職率、医療ニーズをあわせ持つ要介護者の増加なども踏まえ、就職前から定着、キャリアアップまで一貫して支援できる体制の整備や、多様化する介護ニーズに対応できる人材の養成研修などを通じて、より効果的に離職防止やキャリアアップ支援を行っていきたいと考えております。
◆
富田博明 委員 今言われましたような人材不足の中で、ますます増加する在宅療養について、県では医療と介護の切れ目のない連携強化を図るとしていますが、実際的に難しいとされています在宅療養やみとりに関して、どういうふうに進めていかれるのか、それを支える体制について知事に伺います。
◎三日月 知事 平成28年度におきましては在宅医療に携わる医師や看護師の確保、養成のため、動機づけのセミナー開催や訪問診療、訪問看護の動向体験を実施するなどした結果、在宅療養支援診療所は7カ所増加して137カ所、訪問看護ステーションは3カ所増加して95カ所となり、一定の体制の充実が図られてきているところです。
また、医師、訪問看護師のほか、薬剤師、介護支援専門員など、地域で多職種の核となる人材の養成を行った結果、多職種で事例検討や研修等に取り組む活動が県内約50カ所で行われているところです。
今後も高齢者人口の増加とともに独居高齢者や高齢夫婦世帯の増加が見込まれる中で、増大かつ多様化する在宅医療ニーズに対応していくためには医療と介護を一体的に提供できる体制を充実していく必要があると考えております。
このため、県民が安心して在宅療養でき、その人らしい暮らしを人生の旅立ち、最後のときまで続けられるよう、引き続き在宅療養を担う医師や看護師を初めとする医療と介護の人材の確保、養成を行うとともに、多職種がチームとなって在宅医療を支えられる体制のさらなる充実に向けて、市町や関係団体とともに
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 団塊の世代の方々が本当に安心して滋賀県に住み続けられるような状況をつくっていただきたいと思いますし、今聞きますと、介護関係の方が3,500人足らないということなので、しっかりとお願い申し上げたいと思います。
次に、おうみ若者未来サポートセンターの運営についてお尋ねします。
おうみ若者未来サポートセンターでは、働くことに踏み出したい若者たちとじっくりと向き合い、本人や御家族の方々だけでは解決できない難しい働き出す力を引き出し、職場定着までしっかりサポートされていることとは思いますが、既にセンターが草津に開設されてから5年を経過いたしました。開設時の平成24年3月の有効求人倍率0.64倍から平成29年8月は1.30倍まで上がっており、就職に対する若者の意識がかなり変化してきているものと思われますが、若者の意識がどのように変化し、センターの相談窓口がその変化にどのように対応されているのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 御質問のとおり本県におきましても有効求人倍率は高い水準で推移しており、おうみ若者未来サポートセンター開設時に比べて雇用情勢は確実に改善しています。
このため、新規学卒者の就職は売り手市場となっており、若者の意識として自分は何がしたいのか、どの業種、職種に向いているのかよくわからないまま大手志向となってしまい、自分に合った就職先を選択できていない傾向があるそうです。このような傾向を踏まえ、センターではキャリアコンサルタントによる「じっくり相談」におきまして、利用者による自己分析や適性判断をサポートし、一人一人の適性に応じた就職に向けてアドバイスをしています。
また、県内中小企業の情報を積極的に提供し、センターを利用する若者が知名度の高い大手企業だけでなく中小企業も含めて幅広い選択肢の中から自分に合った会社や業種、職種を選択できるようきめ細やかなサポートを行っているところです。
こうした
取り組みにより、センターの新規登録者に占める就職者率は、平成24年度52.3%から、平成28年度は60.1%にまで上昇しているところです。
◆
富田博明 委員 センターでは、さまざまな
取り組みによって若者の就職をサポートしておられますが、全国的に大卒者の早期離職率は3割程度で高どまりしており、本県でも同様の傾向だと思われます。早期離職という課題を踏まえ、県として今後どのように対応していくのか、知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 早期離職の要因といたしましては、自分に合った会社や業種、職種が選択できていないことによる就職のミスマッチや、若者自身のコミュニケーション能力など社会人としての基礎力の不足などが考えられます。
このため、センター利用者に企業をより深く知る機会としてインターンシップの活用を促進するとともに、センターで開催しております「滋賀の三方よし若者未来塾」において人材育成研修を充実するなどの対応も行ってまいりたいと存じます。
県として、こうした
取り組みに加えまして大学や経済団体と一層の連携を図るなど、おうみ若者未来サポートセンターが文字どおり本県の未来を支える若者の就労支援拠点として、その機能を十分に発揮できるよう運営に努めてまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 滋賀を支える若者の未来をきちっとサポートしていただきたいと思います。
続きまして、農業の担い手の対策についてお尋ねをいたします。
農家戸数の減少や農村の高齢化が進行する中、今後とも農業、農村の健全な発展と活性化を図るためには、旺盛な意欲とすぐれた経営能力を有する青年等の就農促進が重要であるとして、国は「青年等の就農促進のための資金の貸し付け等に関する特別措置法」を制定するなどにより、青年等就農資金の貸し付けを初めとする就農促進に関する対策を推進しています。
まず、本県における就農促進対策の成果を知事にお尋ねします。
◎三日月 知事 就農促進対策につきまして、県では就農準備の段階から経営が安定するまで市町や公益財団法人滋賀県農林漁業担い手育成基金などの関係機関と連携して、国の制度も活用しながらきめ細かく支援を行っているところです。
まず、就農準備対策といたしましては、就農意欲を喚起するための農業体験や各種セミナーなどの実施、担い手育成基金と各地域の農業農村振興事務所に窓口を設置して相談活動の実施、安心して技術習得など就農準備をするための給付金の交付を行っています。就農時の対策としては、農業法人等への職業紹介の実施、経営開始に必要な農地確保の支援、農業機械、施設等の導入に対する助成や資金の貸し付けを行っています。就農後の定着対策としては、青年農業者の相互研さんのための交流会などの実施、農業所得の確保が難しい就農後5年目まで給付金の交付、また、みずから経営を開始する者については、普及指導員が一定期間集中して現地に出向き、技術の指導などを行っています。
このような
取り組みにより平成28年度の新規就農者は、みずから農業経営を始める者が52名、農業法人等への就職就農者が58名の合計110名となりまして、目標の100名を超える確保が図られたところです。
◆
富田博明 委員 その100名が満足するように進めていただきたいと思いますが、農業、農村の健全な発展には、認定農業者、集落営農、農業法人など、今、各地域で取り組んでいる農業者、農業経営団体への支援を欠かさないことが必要かと思います。
また、こうしたさまざまな農業者、団体には、それぞれ違った課題があり、それに対応するきめ細やかな施策が必要であると思います。例えば、大規模の認定農業者の場合、その子供が後継者として農業を継承されることは願ってもない担い手の確保の実現です。また、メニューを変更すれば、新規就農と同じ資金や補助金などのメニューがあると聞いております。
遠い昔から将来の子や孫のために、県や国、そして市町の力を借りながら、各事業を精力的に実施され、立派な美田が残されました。先人の皆様が苦労して培ってこられた宝物であります。ここでお尋ねしたいのは、私もその恩恵をこうむった一人ですが、この宝物をどのように守っていくのか、また、どう活性させていくのかが私たちに課せられた大きな問題であると認識しています。特に、山合いで日照時間が短く、山林からの垂水が原因で圃場が乾かず、湿田で収穫量も少ない、転作もできない谷田の圃場を守っておられる農家の皆様の思いを聞かせていただきますと、本当に担い手不足に困っておられます。その深刻な中山間地域における担い手不足の
取り組みや成果について、知事にお尋ねをいたします。
◎三日月 知事 委員御指摘のとおり、中山間地域には耕作条件がよくない農地があるなど、担い手が育ちにくい状況にあると認識しています。
このような状況を踏まえまして、普及指導員が中心となり市町やJAとともに地域に入り、さまざまな形での担い手のモデルづくりに取り組んでいるところです。具体的な
取り組みと成果を御紹介させていただきますと、長浜市余呉町片岡南部地域におきましては、関係機関が連携し集落を超えて農作業などの受委託を調整する組織が設置され、今年度1.4ヘクタールの農地が新たな担い手によって守られています。甲賀市甲賀町岩室におきましては、今後リタイアされる農業者の農地の受け皿となる法人が立ち上げられ、これを契機に女性を中心に園芸品目の栽培も始まっているということです。また、東近江市永源寺のタラの芽栽培や甲賀市信楽町宮尻のショウガ栽培などの新たな特産づくりに取り組む農業者も育っています。さらに、多賀町霜ヶ原では、近隣市町に居住する地元農業者の子弟の参加も求め、機械の共同利用など地域の効率的な農業の仕組みづくりを始めようとされておられます。
今後は、このようなモデル事例を県内に広め、国の施策も活用しながら市町やJAなどの関係機関とも連携を密にして、地域の実情に応じた担い手育成に取り組んでまいりたいと存じます。
◆
富田博明 委員 担い手不足について、実は一方で先ほど言われました農業の普及指導員も足りないと地元から言われています。その辺についても一連のこととしてよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは最後に、平成30年度予算編成への
取り組みについてお尋ねいたします。
来年度は、約164億円の財源不足が見込まれております。平成36年開催予定の
国民体育大会、
全国障害者スポーツ大会の施設整備を初め、
社会保障関係費の増大など、今後の財政収支見通しは大変憂慮しなければなりません。
厳しい
財政状況の中での平成28年度の決算状況や委員からの意見、また、審議内容を踏まえて、何を主眼として来年度予算編成に当たられるのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 この
決算特別委員会におきましては、
琵琶湖保全再生法の制定を契機とした
財源確保策の強化、本県が有するさまざまな素材を生かしたより戦略的な魅力発信など、各部局の所管事項に対してたくさんの御指摘をいただきました。
平成30年度は滋賀県
基本構想と滋賀県
行政経営方針の計画期間の最終年度であり、総仕上げに向けこれまでの
取り組みを土台として具体的な成果につなげていく重要な年度であると考えております。
このため、平成30年度の予算編成に当たりましては、今回の
決算特別委員会で各委員からいただいた御意見等を十分に踏まえ、平成28年度決算をしっかり検証し、「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」の実現に向け具体的な成果につなげられるよう施策の構築を図るとともに、持続可能な
財政基盤の確立に向け
財政健全化に向けた
取り組みも着実に進めてまいる所存です。具体的には、
基本構想の実現に向けて「誰もが健康で活躍する社会づくり」、「若者の希望をかなえる社会づくり」、「新たな価値の創造発信」、「琵琶湖や山と人々の暮らしとのつながりの再生」という四つの視点に重点を置きながら、戦略的な施策構築に努めるとともに、今後見込まれる厳しい
財政状況を踏まえ、一歩踏み込んだ
行財政改革の
取り組みを
歳入歳出両面から検討し、その具体化を図ってまいりたいと考えております。
◆
富田博明 委員 今回、時間がございませんでしたので再質問はいたしませんが、きちっとわかっていただきますようお願いしたいと思いますし、平成30年度の予算は、知事の任期の最終の年です。言葉だけではなく、しっかりと県民自線での予算編成に当たっていただきたいと思います。
最後に、この決算委員会の審議は来年度予算にも反映しなければなりません。そこで、決算審査の資料における主要施策の成果に関する説明は、施策の成果と今後の課題に加えまして、それに対する今後の対応策の方向性についても説明いただきたいと考えておりますので、御検討いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
◆駒井千代 委員 それでは、チームしが 県議団を代表いたしまして、
総括的質疑質問をさせていただきます。先の質問と重なる部分もありますが、どうぞよろしくお願いします。
まず、平成28年度決算の評価につきまして知事に伺います。
一般会計べースで
歳入決算額は0.2%増の5,261億円余り、歳出決算額は0.1%減の5,213億円余り、そして歳入の重要部分である
県税収入は、決算比1.6%増の1,584億円余りでした。
一方、財政指標について見ますと、
実質公債費比率や将来負担比率は、47都道府県の中で低い方から26番目と30番目の位置にあるという説明でしたが、特に199.6%という将来負担比率は、次世代にツケを残さないという点から、より一層将来世代への利益となるような投資が求められます。
法人二税は増加しましたが、県の
歳入確保対策がどのような成果をもたらしたのかを踏まえ、平成28年度の決算を知事はどのように評価されているのか伺います。
◎三日月 知事
歳入確保に当たりましては、まずは県財政の根幹を成します
県税収入の確保を図ることが重要であることから、地域経済の活性化等の推進により県税の増収に努めています。
県税収入は前年度より約25億円の増収となっており、これまで進めてきた新たな成長産業、地域資源を活用した魅力ある産業の創出や雇用の維持拡大、本県の
ブランド価値の向上に向けた施策などが地域経済の活性化に
一定つながり、
県税収入の確保に寄与していると認識しています。
また、平成28年度におきましては約8億円の
地方創生関連交付金を初め、国庫補助金の積極的な活用を図りましたほか、広告事業で約1,900万円、
自動販売機の公募で約8,400万円。さらに国体、
全国障害者スポーツ大会やうみのこ新船建造などで寄附金4,900万円を確保するなど、その他の
歳入確保についてもクラウドファンディングなど新たな手法にもチャレンジしながら着実に増収を図ってきたところです。こうした結果、平成28年度決算におきましては一般会計の実質収支では約8億6,000万円のプラスを確保できたところであり、
行政経営方針に基づき
臨時財政対策債を除きます県債残高の縮小を図りながら財源対策的な基金の残高についても目標を上回ることができたところです。
一方で、平成28年度決算におきましては、財源調整的な基金については64億円減と近年では最も大きな減額となっており、さらには本年6月に今後の
財政運営の基本的な考え方でお示ししたとおり、今後においては国体や
公共施設等の
老朽化対策などの
財政需要の拡大に伴いまして本県財政は厳しい状況が見込まれるものと認識しています。
今後、御指摘の将来負担比率の見通しにも意を用いつつ、必要性や効果等を十分見きわめながら必要な投資にしっかり対応できるよう、一歩踏み込んだ
行財政改革の
取り組みを進めてまいる所存です。
◆駒井千代 委員 今、県財政の中でも一定地域産業に資するような施策をされたということですが、県としましてはネーミングライツといった歳入にすぐ直結するものから、人づくりなどすぐに数字につながらない基盤整備、環境づくりによって助け合う
取り組みもしていただいたところです。
しかしながら、その企業の税収面を見ますと、円安とか、スマートフォン、デバイス事業の増加がかなり大きく影響している面もあり、地域産業においてどのような
取り組みをしていくか、一定程度見直しもしながら進めていく必要があると思っています。
また、琵琶湖という大きな財産を抱え、全体で73億円程度、県負担額で62億円程度の予算を投じている上、先ほどおっしゃったように今後国体開催に向け支出増大が懸念されることから、事業によりましてはこれまで当然のようにされてきました受益者負担や既存の事業のビジネス化の推進もより一層図りながら歳入の確保を進め、持続可能な
財政運営に進めていくことが必要であると思います。私は決算審議を通じて、まだまだそういった点においてできたことがあったのではないかと思います。来年度に向けまして事業によってはより一層のビジネス推進、受益者負担の見直しをしていくべきと思いますが、いま一度知事の見解をお伺いしたいと思います。
◎三日月 知事 今おっしゃいましたように、この時代の変化の中で特に経済界は流れが大変早い状況ですし、グローバル化の中で世界の流れに対応していくことも必要です。
また、御指摘いただきましたように琵琶湖の課題は非常に広範囲にわたっておりますし、それを本県の財政だけで賄うことはなかなか難しいです。当然、守ることとあわせて生かすこと、生かすのであればその負担を求めていく観点も必要だと思います。
それらをいかに回していくのかといった仕組みづくりも必要だと思いますので、来年度の施策構築に当たって、この
決算特別委員会の中でいただいた御意見や今御指摘いただいたような視点も十分に踏まえて、施策をつくり、予算をつくり、体制もつくりながら、民間企業の皆様方とも連携して
取り組みを進めていきたいと存じます。
◆駒井千代 委員 続きまして、スクラップ・アンド・ビルドについて伺います。
行財政改革を進める中でも、知事はたびたび「スクラップ・アンド・ビルドを進めていく」と言及をされているところですが、平成28年度当初予算や事業策定に当たりまして、スクラップないしビルドをされた結果、決算から見る効果や影響をどのように捉えているのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 平成28年度当初予算の編成におきましては、
基本構想の実現や県民福祉の向上のため、限りある財源を最大限有効に活用できるようスクラップ・アンド・ビルドの徹底を図ったところです。
具体的には、各事業の成果を検証し、初期の目的を達成したもの、また事業効果が見込めないものなどについて見直した結果、しがの水田野菜生産拡大推進事業を初め129の事業において廃止ないしは縮小などを行う一方で、県政を取り巻くさまざまな課題に対応すべく事業の緊急度や重要度などを十分に見きわめた上で178の新規事業を計上したところです。こうして編成した予算の執行を通じて、子育て世帯の経済的負担の軽減、県内中小企業の海外展開に対する支援、近江牛の生産基盤の強化に向けたキャトルステーションの整備といった本県ならでは経験と知恵を生かした施策などに着実に取り組むことができたと考えています。
今後の
財政状況を見通しますと、スクラップ・アンド・ビルドの徹底は一層重要となるものと考えておりますが、その際には多様化する県民ニーズや課題解決に向けてどのような手法による対応が適切か、最適かという観点に立って不断の検証を行い、継続的に成果が上がるよう、効果的な施策構築を図ってまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 当初予算では新規事業や重点施策を中心に議論をされるところでして、なかなかスクラップされた事業について言及されるところが少ないのが現状だと思います。今、129の事業を廃止され178の新規事業をされたということですが、毎年のようにプロポーザルで作成されるPR動画の成果物が次年度以降も生かされているのか。その事業が一定の役割を果たしたとはいえ、やはり仕上がった成果物を生かしていくことも重要であり、相乗効果までつなげてられていない面もあると思います。
新規事業がふえた中で毎年新しいものをつくっていくのではなくて、一つつくったものが定着するまで積み上げていくことが必要だと思います。毎年のように募集されるポスター事業も、本当に毎年新しくすることが重要なのか。啓発事業の重要性はわかるにしても、毎年同じような形でしていくことが本当にどうなのか、決算審査の中でもまだまだ見直す面があるように見受けられました。
事業の廃止と新事業のスクラップ・アンド・ビルドについてお話いただいたのですが、スクラップ・アンド・ビルドの本来の目的に立ち直って、もう一度事業の見直しが必要だと思います。
特にブランド事業や文化事業に関しましては、やはりその時々だけではなくてきちっと築き、根づいていくことが必要です。そういった点においても次年度、新たな視点も踏まえた上で事業をしていくべきではないかと思いますので、知事の見解を伺いたいと思います。
◎三日月 知事 大変重要な御指摘だと思います。今、御指摘いただいたことも踏まえてスクラップ・アンド・ビルドの徹底を行ってまいりたいと存じます。
ポスターもそうですし、種々のシンポジウムとセミナー等の開催につきましても、少し定例化してしまっているものや、予算を認めていただいた事業を実施するも年度後半に実施したため、その成果、課題等をその翌年度の予算に反映しづらい事業もあります。そういった事業の前倒しですとか、今まで継続的にやっていることについても不断に見直す視点も持ってスクラップ・アンド・ビルドを行ってまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 次に、滋賀県
基本構想および人口減少を見据えた豊かな
滋賀づくり総合戦略の進捗について、知事にお伺いいたします。
新しい豊かさ実感の
基本構想2年目である平成28年度は、平成27年の人口減少を見据えた豊かな
滋賀づくり総合戦略を
基本構想の重点施策を推進するためのエンジンとし、19のプロジェクトに重点的に取り組まれました。細区分化した47の指標では、18が50%未満と評価をされています。
滋賀県でも全体として人口減少の局面に入ったとされる中で、新しい豊かさを実感できるほどに
基本構想ならびに総合戦略を進めることができたのでしょうか。特に「文化とスポーツの10年」は始めてから数年を経過しておりますが、「文化とスポーツの力を活かした元気な滋賀の創造」においては、6の指標のうち5が25%未満の目標達成に向けて着手の状態とされる一方、平成28年度までの事業目標数57のうち、46が年度目標達成となっています。
事業実施数の増加にもかかわらず、文化やスポーツを楽しめるまちづくりに満足している県民の割合は平成25年度から年々下がり、平成28年度は27.9%と3割を割り込む事態となっています。
事業の成果として、どこに課題があるのでしょうか。このことについて、
基本構想を進める上で、どう評価し、どう取り組んでいくのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 委員御指摘のとおり
基本構想の七つの柱の一つであります「文化とスポーツの力を活かした元気な滋賀の創造」につきましては、6の指標のうち5の指標において達成度が25%未満と、達成率、達成度が低い結果となっており、一層の努力が必要であると認識しています。個々の事業で見れば一定の成果が上がっているものもありますし、参加者や関係者の皆様には一定の評価をいただいているものもありますが、県民全体への広がりという点においては不十分であったと存じます。また、
国民体育大会、
全国障害者スポーツ大会等に向けた
取り組みも多く、施策全体としての効果は今後発現していくものもあるのではないかと認識しています。
今後、東京オリンピック・パラリンピック競技大会、ワールドマスターズゲームズ2021関西、国体などのスポーツに関する大きなイベントが開催されますし、文化振興の機運も高まってまいります。こういった中で、より多くの県民を巻き込んだ形での事業となるように
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 もちろん個々の事業を見れば、皆さん一生懸命していただいていますし、オリンピックが近づき、そして滋賀県としても国体が近づく中で、スポーツへの関心も高まる。また、総合文化祭で高校生を含めた若い方の文化に対する気持ちも上がってきていると認識をしています。
けれども、文化が地域の基盤にあることの原点に立ち返ってみまして、例えばビワイチを観光で取り組んでいますが、自転車を使ってもっと文化財に触れるといったいろいろな仕組みで、県民が日常の中で文化とスポーツに触れる
取り組みがますます必要であると思います。
基本構想も後半に入ってきており、事業の数を見ましても今後どうしていくかについて十分な精査が必要になってくると思います。もちろんプロフェッショナルの方を育てるのも重要ですし、プロフェッショナルで活躍されている方が先頭に立って、多くの子供たちや県民の関心が高まることもございますので、施策の構築におきましては、しっかりと取り組んでいただきたいと申し上げます。
続きましては、びわこ文化公園都市構想について、知事に伺います。
平成28年度は、国体に向けて施設整備の検討が進められましたが、中でもびわこ文化公園都市では新県立体育館を核としたスポーツ・健康づくり拠点の整備に向けて3,372万円余の公費を投じて検討事業がされたところです。この地は、今後10年のあり方が検討されている県立図書館や、同じく整備が計画されている新生美術館、また近年、文化財の保存のみならず活用がうたわれていますが、埋蔵文化財センターなどもあり、まさに文化とスポーツの10年を進める上で重要な拠点でもあります。
個々の事業が進んでおりますが、滋賀の新しい豊かさの創造に向けて、びわこ文化公園都市の構想を平成28年度はどこまで進めることができたのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 びわこ文化公園都市につきましては、平成24年に策定したびわこ文化公園都市将来ビジョンにおきまして、立地施設・機関が機能連携を図ることにより文化・芸術を創造する場、いのちと健康を支える場など五つの将来像の実現を目指すこととしています。
そのための具体の
取り組みとして、平成28年度においては新県立体育館施設整備基本計画の策定、新生美術館の設計など、計画的に施設整備を進めるとともに、交通アクセスの改善に向けて大津湖南エリア地域公共交通網形成計画の検討を行いました。また、文化ゾーンにおけるみどりのつどいや子ども探検隊の開催など、立地施設が連携した事業も実施しているところであり、着実に将来ビジョンの進展を図っているところです。
引き続き、庁内関係課による検討会議や立地施設で構成する施設連携協議会等を活用しながら、各事業の連携に留意してびわこ文化公園都市将来ビジョンの実現に
取り組み、新しい豊かさの創造につなげてまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 このびわこ文化公園都市の施設の管理は、それぞれ別になっています。これまでも各施設における連携をどのようにするのか議論も重ねてきました。平成28年度は、特に美術館や体育館などの具体的な構想が見えてきたところです。
先ほど知事が申されたように、それぞれの機関もあわせての推進協議会なのでしっかりと詰めていくということでしたが、私たちの目から見て、まだその連携が各施設の
取り組みの情報共有にとどまり、大きな一つのビジョンに向けて取り組んでいる段階にはまだまだ至っていないと評価しています。推進協議会の中の相互のつながりで相乗効果をもたらしていくことが重要であると思います。
都市公園のあり方など、国家戦略特区の中でいろいろな社会福祉施設の
取り組み、民間活用などが進んでいく中で、きちんとしたビジョンを踏まえて相乗効果を発揮していくべきだと思います。推進協議会がそのような形になっていくことについて、いま一度、確認の意味で知事に伺いたいと思います。
◎三日月 知事 委員御案内のとおり、これだけの施設が集積していて、商圏に人口が増加する地域を含んでいるエリアは日本全国を見渡してもそうないと思います。交通機関も道路、鉄路それぞれにあり、そういう意味でも可能性を秘めています。
ただ、おっしゃったとおりそれぞれの施設間の連携がまだまだ不十分という課題もありますので、課題を克服して可能性を伸ばしていけるように、今御紹介いただいた推進協議会等でもしっかりと連携しながら、単なる情報共有にとどまらない施策構築に努めてまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 続いて、データ利活用について、知事にお伺いいたします。
オープンデータとデータの利活用が言われる中、平成28年度では、県民の統計利活用力向上および情報発信の推進として500万円近くを投じられました。また、地域創生のためのデータ活用の推進として、国が開発した地域経済分析システムRESASの活用推進事業が、地方創生加速化交付金1,200万円を用いて実施されたところです。
データは政策立案をする上でも、新たなビジネスや協働推進の上でも重要ですが、平成28年度の事業がデータ利活用にどのような効果をもたらしたのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 データ利活用については、平成28年度に地域経済分析システムRESASの活用を促進するため、地域創生のための経済分析活用・支援事業を実施するとともに、統計の有用性を理解し、データを有意義に活用してもらうことを目的に、しが統計アクション事業を平成28年度から3カ年の計画で始めたところです。
県の政策形成過程におきましても客観的なデータに基づく政策立案に取り組むよう努めています。例えば、本県における観光施策の検討においては、国外、国内観光客はどこから来県し、本県の滞在前後にはどういった地域を訪問しているのかといったデータ分析や、移住促進施策に当たり、本県の移住者はどのような地域のどの年代の人が多いのかといったデータ分析を実施しているところです。
また、昨年10月から実施しました滋賀大学データサイエンス教育研究センターの教員が相談に応じる統計相談窓口では、半年で計6回開催し、民間事業者、県、市等から16件の相談がありました。この中で、データを利用した効果的な販売促進について相談された民間事業者からは、「大変参考になった、今後も統計的手法を取り入れて営業に生かしていきたい」との声をいただいているところです。
また、県民に対して周知、啓発に努めたことにより、平成28年度の統計情報への年間アクセス件数は89万201件で、前年度に比べ13万2,517件、17.5%増加しており、統計データの利活用が着実に進んでいるものと思慮いたします。
今後とも、さらに滋賀大学データサイエンス学部との連携も強化し、県の政策立案を初め、県民の皆さんのデータ利活用を一層推進してまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 この統計利活用力向上および情報発信の推進といった事業は、3年かけての1年目ということですが、滋賀大学にデータサイエンス学部ができ、いろいろな連携の中で統計をしっかりと読み解くことが進められるわけです。その内容を精査するにもやはり現場の声を重要にして、しっかりとそのデータと現場をつなぎながら政策推進につなげられていくとともに、このようなデータがオープンデータとなってより民間に出されることが、課題がビジネスのチャンスを生む。それがまた地域の活性力につながりますので、しっかりとしたデータ利活用が進むようお願いしたいと思います。
次に戦略的ブランド構築について、知事に伺います。
平成28年度の部局再編の中で、広報課にブランド事業が移管されました。特に平成28年度は地方創生加速化交付金、地方創生推進交付金を用いて各部署でのPR事業も実施されたところです。各部署が取り組む事業を全体的に統括して滋賀ブランドの効果的なPRを戦略的に進めることが広報課に期待されるところですが、戦略的ブランド構築という点において、広報課を知事直轄組織から総合政策部に置きかえた効果をどのように捉えられているのか、知事に伺います。
◎三日月 知事 平成28年度に知事直轄組織と総合政策部を再編し、新しい総合政策部を設置いたしました。これは庁内横つなぎの
取り組みや県内外に向けた戦略的な情報発信など、総合行政の旗振り役という役割をこれまで以上に果たすことを狙いとしたものです。
総合政策部に位置づけた広報課では、メディアとの幅広いネットワークや、滋賀の戦略的県外PR事業などの発信力をベースに総合政策部が持つ総合調整機能を生かしながら、全体としてブランド発信を積極的に展開してきたところです。こうした
取り組みにより、昨年度は県外向けの発信記事がさまざまな媒体で2,486件取り上げられ、その広告換算効果は約17億円と試算されており、ブランド発信の面からも相当の効果があったものと考えています。さらに、平成28年5月には総合政策部次長および庁内10の所属を構成員とする情報発信拠点の推進チームを立ち上げ、庁内横断的に滋賀の魅力発信について検討し、「ここ滋賀」のコンセプトづくりにもつなげてまいりました。このコンセプトをもとに今年度、内装整備や商品選定、企画催事の準備などに
取り組み、おかげさまで昨日オープンの運びとなりました。
このように、組織再編による効果が発揮できたものと考えておりますが、より一層発揮できるよう
取り組みを進めてまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 特に平成28年度におきましては、先日オープンいたしました首都圏の情報発信拠点の準備や地方創生の兼ね合い等もあり、多くの事業をしていただいたと思っています。
ただ、広報課に期待されるところは、データを求めて、どの時期に何をどのように発信することが相乗的に滋賀のブランド力を上げるかということです。これは地方創生のお金も使いながら各部署で個々に戦略的なPRもされていたところですが、それぞれをどう結びつけるか、そのタイミングなど、さまざまな課題が見えたのが平成28年度ではなかったかと思います。
事業が多く人も少ない中で大変だったとは思うのですが、そうした意味でも、次年度以降は総合政策部になったことによる総合力を発揮して、滋賀のブランド力を上げるための一層の努力が求められることを申し上げておきます。
次に、琵琶湖と人とのつながりについて、知事に伺います。
平成28年度は、琵琶湖の保全及び再生に関する法律の制定を受け、その基本方針に基づき、琵琶湖
保全再生施策に関する計画の策定がされました。これまでマザーレイク21計画の中でも琵琶湖と人とのつながりを進める必要性がうたわれておりますが、平成28年度は琵琶湖と人とのつながりをどれだけ深めることができたのか、取り組まれた事業の成果について、知事に伺います。
◎三日月 知事 琵琶湖と人とのつながりについて、昨年度は例えば幼児期の自然体験型環境学習や、学校ぐるみで環境保全活動を実施するエコスクール活動を行うとともに、約1万4,000人の児童が学習船うみのこで宿泊体験学習を行うなど、環境教育学習を着実に推進しています。また、県内大学生への琵琶湖体験の機会提供など、若い世代をターゲットに琵琶湖と人とのつながり創出に向けた
取り組みも新たに始めたところです。セブンイレブン様による草津市特産の愛彩菜を使ったびわ湖の日の商品企画や、小学校等231校の学校給食への湖魚の提供、魚のゆりかご水田米などの
取り組みは食を通じて琵琶湖とのつながりを考えるきっかけとなったと考えます。下流域の吹田市では、琵琶湖をテーマにした学習会やパネル展示、首都圏の早稲田大学では湖魚などの食をテーマにした講座に約300人が受講するなど、県外への発信に努めました。さらに、約12万人が参加してのびわ湖の日の一斉清掃活動や、琵琶湖流域にかかわるさまざまな主体が参加するマザーレイクフォーラムびわコミ会議における発表や話し合いを通じ、琵琶湖と人、そして人と人とのつながりが一定深まったと認識しています。
平成28年度末に策定いたしました
琵琶湖保全再生計画において琵琶湖と人との共生を基調としておりますことから、今後県内外のさまざまな主体と連携しつつ、
保全再生計画とマザーレイク21計画を着実かつ効果的に推進することにより、琵琶湖と人とのつながりをさらに広げ、深めてまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 最初に申し上げたように予算面の点もあるのですけれども、
琵琶湖保全再生法ができて保全の面も含めて、県民、そして琵琶湖淀川流域、さらには国内外の方に琵琶湖のことを知っていただき、人とのつながりをつくっていくためには、食や観光を通しいろいろな側面があると思いますが、広がりが出てきたのが平成28年度かと思います。次年度の予算の確保を含めて、環境保全とさらには多くの方の理解を集める形で、琵琶湖と人のつながりがより一層持てるような施策を期待したいと思います。
それでは、続きまして障害者の就労支援について、健康医療福祉部長に伺います。
高齢化とともに社会保障費の負担増加もこれからの大きな課題となっております。安全安心な医療が提供できる体制づくりの一方で、健康推進もより一層求められますが、社会において一人一人の力が十分に生かされているのか、この点はまだ道半ばにあるのではないでしょうか。誰もが居場所と出番のある社会をつくっていく中で、どのような境遇であったとしても一人でも多くの方が社会の中で自立して生活を営むことも重要です。
共生社会づくりに向け、平成28年度はしがしごと検定の実施やトライワークなどの事業を通して、学校と企業、施設と企業との連携も進められたところです。全国に比して特別支援学校卒業後の進路先に障害福祉サービス事業所等が多い現状の改善に向けて効果が見られたのか、企業の障害者雇用率の向上につながったのか、障害者の就労支援の成果について、健康医療福祉部長に伺います。
◎藤本 健康医療福祉部長 障害者の就労支援につきましては、働き・暮らし応援センターにおきまして就職活動の支援や職場開拓、職場での定着支援に
取り組み、平成28年度は401名が新規に一般就労され、センターの登録者のうち在職者は前年度比290名増の2,584名となりました。また、県では就労移行支援事業所等の職員を対象とした就労アセスメント研修や企業での現場実習を実施して、就労支援の資質の向上に努めたところであり、障害福祉サービス事業所や施設全体では平成28年度に135名が一般就労に移行しました。こうした
取り組み等により、ハローワークを通じての支援による平成28年度の県内の障害者の就職件数は1,168件と、前年度から8.8%増加し、7年連続で過去最多を更新する結果となりました。また、県内企業全体では実雇用率が2.09%となりまして、法定雇用率2.0%を超えたところです。
なお、教育委員会におきましては、特別支援学校の在校生に対してしがしごと検定を実施し、受験した生徒の多くは具体的な目標を持って
取り組み、その評価を得ることで自信がつき、就労意欲が向上したと伺っております。
今後も労働部局、教育部局等の関係機関とともに引き続き障害者の就労支援に取り組んでまいる所存です。
◆駒井千代 委員 この点につきましては、昨年度の事業を見ましてもこれまでのいろいろな課題に対し、新規で必要なところに少しずつ施策として手を打っていただいており、そうした点では一定の成果が見受けられたと思っています。しかしながら、就労移行支援もそうですが、継続の事業におきまして公募を見てみると、公募がそこでいいのかといったことが見受けられます。
一番大事なのは、一人一人の能力が社会の中でどのように発揮できるように見守り、支えていくことができるかです。そういった意味におきましては、今後も事業所の方の意識改革と企業の方の理解促進、また決算審査の中でも話しましたが、テクノカレッジの発達障害者の方の就労支援もまだまだ大きく改善することができると思います。
しごと検定におきましては、教育、そしてまたトライワーク等をつなぐ形に関しては商工観光労働部の所管となっておりますが、障害者福祉プランにつきましては健康医療福祉部の所管となっており、大きな改定がありますので、部局でつながりながら取り組んでいただきたいと申し上げておきます。
次に在宅療養支援について、健康医療福祉部長に伺います。
平均寿命の延伸や、2025年に団塊世代が75歳を迎えるなど、急速に進む高齢化社会では、多職種連携、訪問看護、介護の体制、病病診連携などを進め、在宅療養支援もさらに進めていく必要があります。在宅療養支援診療所は、平成25年度の104診療所から116、130、137と増加しておりますが、本年度は少し増加率が低い結果となりました。また、圏域ごとの広がりはどうでしょうか。安心して地域で暮らしていくための体制づくりがどれほど進んでいるのか、また今後に向けての課題について、健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎藤本 健康医療福祉部長 平成28年度におきましては、医師を対象に在宅医療に取り組む動機づけや訪問診療の動向体験を行う在宅医療セミナーの開催、それから訪問診療に必要な医療機器等の整備に対する補助などを実施したところで、県内の在宅療養支援診療所は御指摘がありましたように前年度から7カ所増加し、137カ所となったところです。
また、在宅療養支援診療所の届け出の有無にかかわらず訪問診療を行った診療所は322カ所ございます。このほかに医師の指示に基づき訪問して看護活動を行う訪問看護ステーションは95カ所となっておりまして、在宅療養を支える医療資源は一定の充実が図られてきております。
一方で、圏域ごとの状況を65歳以上人口10万人当たりの在宅療養支援診療所の数で見てみますと、甲賀圏域や湖東圏域が他の圏域よりも少ない状況となっており、今後も増大、かつ多様化する在宅医療のニーズに対応し、県内どこでも必要な医療が受けられる体制づくりが課題となっております。
甲賀圏域では、複数の医師がネットワークを組み、かかりつけ医が不在のときでもかわりの医師が往診や訪問診療を行う仕組みづくりが進められており、今後はこういった医療機関同士の連携に加え、訪問看護や訪問介護など多職種で在宅療養する患者を支えていくことが重要であると認識をしております。このため、引き続き在宅療養支援診療所や訪問診療に携わる医師の拡充を図りますとともに、医師、訪問看護師、介護支援専門員など、地域で多職種の核となる人材の確保、養成を行いまして、市町とともに地域における医療と介護の連携を推進し、多職種がチームとなって在宅療養を支える体制を構築してまいりたいと存じます。
◆駒井千代 委員 なかなか全ての圏域で同じようにいかないとは思いますが、ネットワークの構築とともに、訪問診療に取り組まれる医師の高齢化なども課題となっておりまして、ふえてはいるものの万全とは言えない状態と思っております。今年度保健医療改革の改定もありますので、しっかりと反映していただくよう申し上げたいと思います。
次に、働き方改革について商工観光労働部長に伺います。
県民が心豊かな生活を送るためにも、ワーク・ライフ・バランスは一つの指標となります。県庁における働き方改革も進めていただいているところですが、特に中小企業における人材確保の上で、企業のワーク・ライフ・バランスの推進も重要です。
推進企業の登録件数は目標を上回る件数での成果となっていますが、労働環境の改善の成果として、どれだけの効果があったのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
◎江島 商工観光労働部長 御質問にありましたように、ワーク・ライフ・バランス推進企業の登録件数は平成28年度に72件増加し、目標820件に対し835件と上回りました。登録の条件としております次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画は、計画期間を2年から5年の範囲で各企業が設定することとなっておりますが、県のホームページではこの行動計画を掲載するにとどまっているため、
取り組みの成果までは把握できておりません。
こうしたことから、今後、更新時点で企業の計画に対する
取り組み成果を記載し、見える化する方法に改めるなど、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の価値を高め、人材確保に資するよう努めてまいりたいと考えております。
また、これとは別に平成28年度に県内1,000社を対象に実施しました労働条件実態調査の結果では、74.5%の企業がワーク・ライフ・バランスに関する
取り組みを実施されており、これらの中で「従業員の仕事への意欲が向上した」、「女性従業員の定着率が高まった」など、74.7%の企業から効果があったとの回答をいただいております。
今後も企業の
取り組み意欲の向上につながる魅力発信や相談支援、啓発事業の
取り組みを通じまして県内企業における働き方改革の一層の推進に努めてまいります。
◆駒井千代 委員 今、部長がおっしゃったように、やはりワーク・ライフ・バランスの中身の見える化を進めていくことが重要だと思っております。
中小企業の方の要望などをお聞きしていますと、中小企業活性化の推進はやはり人材確保がかかわります。よい人材を確保していくためにはしっかりとこうした指標の見える化を進めることが企業の価値を高めることとなり、ひいては滋賀の価値を高めることにつながることを申し上げておきたいと思います。
次に、魅力ある高等学校づくりについて、教育長に伺います。
魅力ある高等学校づくりに向けて高校再編やカリキュラム編成、学級構成の変更など進められているところです。これまで議会でも議論を進めてきましたが、各高校の活性化へとつながっているのか。この
取り組みの平成28年度における成果について、教育長に伺います。
◎青木 教育長 平成28年度におきましては、まず、県立高等学校再編実施計画に基づきまして、統合新校2校を開校したところです。その一つである長浜北高校では、先進的な英語教育の
取り組みとして少人数指導によるコミュニケーション能力の育成を図ることで、総合的な学力の向上につなげております。また、彦根翔西館高校では、県内最大の総合学科高校としてスポーツ科学系列や家庭科学系列などを設置し、特色ある学びを進め、活発な部活動とあわせて活力ある学校づくりを進めております。
さらに、工業高校や農業高校では、わかりやすい学科体系や名称に改編したことにより、将来への目的意識をしっかり持った生徒からの志望を集めております。
そのほか、平成28年度には学びの変革推進プロジェクトを立ち上げ、家庭学習と授業が相乗効果を生み、生徒の主体的な学習が進むような授業改善に取り組んだり、キャリア形成支援事業では、指定校を中心にキャリア教育のカリキュラム開発を行い、その成果を全県に普及するなど、魅力と活力ある学校づくりに向け一定の成果が出たものと考えております。
今後も地域との連携を生かした教育内容の充実、地域学習指導要領を見据えた先進的な学びの研究など、全ての学校での魅力ある学校づくりを一層進めてまいりたいと考えております。
◆駒井千代 委員 魅力ある高等学校づくりについては種々取り組まれてきたわけですが、学級編制の中で一クラス減らすことによって一クラスの人数で活性化に努めるという
取り組みをされながら、なかなか今年度、そのようにはつながっていなかったのではないかとも思います。
いろいろな
取り組みを申していただきましたが、全県一区の総括もされる中で、湖北、湖西地域に一定の課題があったと言われています。そのように、必ずしも全てが成果につながっているわけではなく一定の課題を残したこともあるかと思いますが、その点について教育長にお伺いいたします。
◎青木 教育長 今、委員も御指摘いただきましたように、昨年度全県一区の検証をいたしました。その中でも幾つかの課題を挙げさせていただきました。
特に湖西、湖北につきましては、子供たちが南部へ出ていく、学校規模そのものが小さくなってきている現状の中で、そうした学校の活力をどうするのか。あるいは、そうした学校に例えば湖西、湖北以外から子供たちに来てもらうためにはどのようにすればいいのか、しっかりと検討していかなくてはならないと思っております。
そのためにも、今申し上げましたようにそれぞれの学校が、みずからの強みをいかに外に発信できるのか。あるいは、社会のニーズにどのように応えていけるのか、しっかりと考えながら対応していきたいと考えております。
◆駒井千代 委員 ぜひ課題は課題としっかり捉えていただいて、活性化に向けて正面からそういう点にも目を向けていただいて、今後ともよろしくお願いいたします。
最後に、世界に通じる人材の育成について、教育長にお伺いいたします。
世界の人とものが行き交う今日、世界に通じる人材の育成に向けて次期指導要領の改訂による小学校英語の
取り組みなど、英語力育成が求められていますが、その目指すところは、課題を認識し、それぞれ異なる意見を取りまとめて課題を解決していく力の育成でもあります。
平成29年3月には国際バカロレア候補校として一校が認定を受け、今後の認定校の申請に向け、準備を進めていただいているところでもありますが、滋賀県ではこれまで国のスーパーグローバルハイスクールの認定を受け、事業を進めてきました。平成28年度に受けた中間評価をどのように踏まえ、今後の事業推進に取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。
◎青木 教育長 県立守山中学・高等学校は、平成26年度に持続可能な社会の実現を研究主体としてスーパーグローバルハイスクールの指定を受けたところです。環境エネルギー等の諸課題を地球規模で考えようとする広い視野を持ち、国際社会の中で英語を用いてコミュニケーションをとれる能力を身につけた生徒の育成を目指し、さまざまな学習活動に取り組んでまいりました。
平成28年、指定3年目に行われた事業の中間報告では、「研究開発の狙いを達成するには助言等を考慮し、一層努力することが必要と判断される」とされ、6段階のうち上から4番目の評価でありました。その中のコメントでは、独自テキストを作成し、総合的な学習の時間などで活用している点や、外部との連携を初めとした意欲的な実践について評価をいただきました一方、成果と課題の分析が不十分である点、フィールドワークがしっかりとした探求活動になっていない点について改善するよう指摘を受けたところです。
その評価を踏まえ、学校では
取り組みの成果と課題を丁寧に分析し、教育課程における課題研究の位置づけや内容の見直し、また、海外研修の実施方法の見直しなどを行うことが必要であるとして、実施4年目の計画に反映させたところです。具体的には、課題研究に取り組む時期を高校一年生の一学期からに早め、フィールドワークにおける事前事後の学習の充実を図るよう計画して、探求的な活動がより深まるように本年度の
取り組みを進めております。
県教育委員会といたしましては、この事業を通して生徒に社会のさまざまな課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、そして問題解決力等を身につけさせ、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図ってまいりたいと考えています。
◆駒井千代 委員 学校教育のあり方はいろいろありますけれども、やはりここにも一つ魅力ある高等学校づくりとして、また、公教育で世界に通じる人材が育成できる形をつくることがより滋賀の活性化にもつながると思います。しっかりと課題を踏まえていただくとともに、今おっしゃった中間評価の報告から、改善につながることにつきましては、単にグローバルハイスクールだけの問題ではなく深い学びが求められるアクティブラーニングをいろいろ改善される中においても必要なものであると思いますので、またこの
取り組みを大きく広げていただきたいと思います。
今回の決算審議として大きな視点から申し上げたわけですけれども、いかに人の力を生かし、少なく限られた事業、予算の中で活力ある滋賀をつくっていくのかは私たち政治家を含めて課せられた大きな責任だと感じております。そうした中において一年一年決算の審議をしていく中で事業をビルドアップし、活性化すること。次年度、これまでの決算審査を踏まえまして、しっかりと生かされることを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
(2)採決 議第102号 賛成多数で原案のとおり認定すべきものと決した。
議第103号 全員一致で原案のとおり認定すべきものと決した。
議第104号 賛成多数で原案のとおり認定すべきものと決した。
議第105号 賛成多数で原案のとおり認定すべきものと決した。
3 委員長報告について
委員長に一任された。
閉会宣告 12時19分
県政記者傍聴:時事通信、朝日、京都
一般傍聴 :なし...