滋賀県議会 > 2017-10-02 >
平成29年決算特別委員会−10月02日-01号
平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−10月02日-05号

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  1. 滋賀県議会 2017-10-02
    平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−10月02日-05号


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    平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−10月02日-05号平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)                 平成29年9月定例会議会議録(第13号)                                       平成29年10月2日(月曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         平成29年10月2日(月)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第91号から議第118号まで(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに質問  第2 議第102号から議第105号まで(平成28年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについてほか3件)(決算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任)            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  第2 日程第2の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和
       7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳    11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       31番   奥  村  芳  正    32番   野  田  藤  雄       33番   西  村  久  子    34番   佐  野  高  典       35番   家  森  茂  樹    36番   吉  田  清  一       37番   粉  川  清  美    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             青  木     洋               選挙管理委員会委員長代理    大  井     豊               人事委員会委員長        西  原  節  子               公安委員会委員長代理      北  村  嘉  英               代表監査委員代理        奥        博               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            村  上  浩  世               県民生活部長          福  永  忠  克               琵琶湖環境部長         高  砂  利  夫               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        江  島  宏  治               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          池  口  正  晃               会計管理者           辻  井  弘  子               企業庁長            廣  瀬  年  昭               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            青  木  幸  一               議事課長            入  江  建  幸               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大井豊委員が、また、公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として北村嘉英委員が、また、北川正雄代表監査委員が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として奥博監査委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第91号から議第118号まで(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(奥村芳正) 日程第1、議第91号から議第118号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、20番中村才次郎議員の発言を許します。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。休日明け、1番ですが、どうかよろしくお願いをいたします。  通告に従い、3項目の質問をさせていただきます。  まず、知的障害のある生徒の進路についての項目です。  障害の種別は、御存じのように、知的障害、肢体不自由、情緒障害など7つに分けられますが、今回の質問は、知的障害のある生徒に絞って質問をさせていただきます。  養護学校中学部、公立中学校の特別支援学級に在籍する生徒、また、次の段階の養護学校高等部高等養護学校などに在籍する生徒が、どのような進路を選択するかは、生徒本人も、また保護者にとっても大変悩まれるところであると思います。こうした知的障害のある生徒の進路について、一問一答形式で質問をさせていただきます。  まず、知的障害のある中学生が在籍する学校から、進学先となるそれぞれの学校、養護学校高等部とか高等養護学校等になると思いますけれども、そこへ一人一人の生徒の個別支援ファイルなどをもとにした引き継ぎはきちんとされているのか、その状況について教育長に伺います。 ○議長(奥村芳正) 20番中村才次郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  中学校から特別支援学校への進学に当たりましては、事前に教育相談や進路相談、あるいは体験学習等を十分に行って、本人の障害の状況や希望についての把握を努めております。また、入学に際しましては、在籍校から、あるいは市町教育委員会を通じて、個別の資料を引き継ぐとともに、中学校関係者からの聞き取りや関係者会議等を行っているところでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)生徒一人一人によって、できることの力は違います。引き継ぎをしっかりやってもらうことによって、指導することの無駄をなくし、生徒の力を伸ばしていくことができるというふうに思います。ほかの障害のある生徒については、きょうは質問しませんけれども、少なくとも知的障害のある生徒については、しっかり引き継ぎができているということですので、これからもしっかり取り組んでいただきたいと、このように思います。  高校時代の3年間、これは生徒にとって将来を決める大切な期間です。将来、就職をして働くことができる力をつけていくことが望まれます。そこで、県立養護学校高等部の知的障害のある生徒は、個別の指導計画に基づき、就労に向けた教育がなされているのかどうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  各養護学校の高等部では、個別の指導計画と個別の教育支援計画を生徒全員について作成をしております。就労に向けた取り組みは、生徒の働く意欲を培い、将来の社会的、職業的自立に必要なことを学ぶ作業学習や、職場での実習など、個別の支援計画に基づきながら、生徒一人一人に応じた学習を進めております。また、企業の方に実際に授業を見ていただき、さまざまな御意見を頂戴することで、企業の知見を取り入れた授業改善を図るなど、就労に向けて実践的な学びが実現するよう努めているところでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)企業の方にも見ていただいたりということで、一人一人の個別の指導計画があってこそ、その生徒の力を伸ばしていけるというふうに思います。現場では大変そういうことをやっていくのは難しいことだというふうに思うのですけれども、それぞれの生徒に寄り添い、働く力をつけ、就職につながる教育をしていただきたいと、このように思います。  3つ目ですが、そのような教育の結果、養護学校での近年の就職の状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  知肢併置8校の卒業生の過去3年間の就職率は、平成26年度9.8%、平成27年度17.0%、平成28年度14.5%でありました。主な就職先の職種といたしましては、生産工程、清掃、運搬、サービス業等であります。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)今の御答弁についてですけれども、再質問させていただきたいというふうに思います。  平成28年度は14.5%と、このようにお答えをいただきました。この数字について、全国の養護学校と比べるというのは難しいというふうに思うのですが、もしできればお願いしたいというふうに思います。この数字について、14.5%という数値についてどう思われますか、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  今、ちょっと手元に28年の全国はございませんが、過去の経緯から見ますと、全国より少し低い状況でございます。ただ、この数字は、知肢併置の学校の生徒の中には、もちろん就職できないといいますか、福祉施設に行く子もおりますから、単純にこの数字だけで就職が多い少ないというのは判断できないかなというふうには思っております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)重度のお子さんもいらっしゃいますわけですから、なかなか大変だというふうに思いますが、将来、そうやって働くということを目標に教育を進めていただきたいなと、このように思います。  軽度の知的障害のある生徒が就労することを目的として通学する学校に、県内には、甲南、愛知、長浜北星と3校の高等養護学校があります。以前に甲南高等養護学校を視察させていただきましたけれども、先月11日には愛知高等養護学校へ視察に行かせていただきました。将来の社会生活に向けて作業学習が行われていました。農場で白菜や大根の種をまく作業、また、パンを焼く食品加工の作業、自分たちでつくった麻糸を使った布製品づくり、また、情報の学習でパソコンを使った授業なども参観をさせていただきました。どの生徒も礼儀正しいことに大変感心をいたしますし、また、真剣に学習に取り組む姿に大変感動いたしました。  次の質問ですけれども、甲南、愛知、長浜北星の3校の高等養護学校での同じく近年の就職状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  高等養護学校3校の卒業生の過去3年間の就職率は、平成26年度82.2%、平成27年度74.0%、平成28年度82.0%でありました。主な就職先の職種といたしましては、生産工程、清掃、運搬、介護等となっております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)3年間の就職状況、答弁をいただきましたけれども、約80%ということで、大変高いものがあるというふうに思います。これにまた福祉的就労を加えると、ほとんどの生徒が何らかの仕事につけたと、このように思います。  障害のある生徒が、将来、就職を目指して自立していくことは、本人にとっても御家族にとっても大きな目標であることから、高等養護学校の存在は大変大きいというふうに思います。しかしながら、高等養護学校の受験倍率は、一昨年度、昨年度が1.6倍、今年度は1.4倍と非常に高い結果でした。希望しても入学できない生徒がたくさんいるということになります。こうした高い受験倍率について、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  高等養護学校では、卒業後の職業的自立に重きを置いた教育を進めております。昨年度の入学者選考におきましては、3校の平均で、ただいま議員が御指摘いただきましたように1.4倍の倍率となりました。これは、社会的、職業的自立に向けた教育を行うという高等養護学校の教育理念を理解し、入学を目指そうとする生徒さんがたくさんおられるものというふうに捉えております。また、これまでの学校の取り組みに一定の評価もいただいたものというふうに考えております。  こうした期待に応えるためにも、平成30年度より、これまでの普通科を職業学科としてのしごと総合科に改編をし、教育課程整備とさらなる職業教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)大変この希望者が多いということで、また、しごと総合学科に変えていくと。まさに仕事、就労をするための学校というふうに進んでいっていただけるんだというふうに思います。  高等養護学校は、大津市を含めて滋賀県の西側にはありません。高等養護学校の入学条件の一つに自力での通学が挙げられております。湖西地方から甲南や愛知、長浜北星まで通学することには、時間的、体力的に大変な負担がかかります。スクールバスなどを利用すれば通学可能とする三雲養護学校石部分教室、また、長浜養護学校伊吹分教室も、やはり滋賀県の東側にございます。湖西地方に高等養護学校または養護学校の分教室をつくることが大切だと考えますけれども、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  生徒の社会的、職業的自立に向けて、大津・湖西方面では、県立北大津養護学校および新旭養護学校において、軽度知的障害のある生徒に対しての社会的、職業的自立を目指す教育を進めているところでございます。  一方、インクルーシブ教育の推進という新たな課題に対応することや、児童生徒数の将来の推移を見きわめることも必要となっておりますことから、現在、高等養護学校や分教室も含め、特別支援学校のあり方について、議員御指摘の点も含めて、多様な観点から研究を進めているところでございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)研究を進めているというお答えをいただきました。  高等養護学校について、教育長の今のような御見解をいただきましたけれども、受験倍率も高く、また、湖西地方にも高等養護学校が必要なことについては知事にもおわかりいただけたというふうに思います。今後の高等養護学校の配置といいますか、設置について、三日月知事に見解をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
     お取り上げいただいておりますように、現在、長浜北星高等養護学校愛知高等養護学校甲南高等養護学校の3校が設置されております。これらの高等養護学校につきましては、教育長からも御紹介がありましたように、平成30年度より職業学科としてしごと総合科に改編し、さらなる職業教育の充実を図っていくと伺っています。  一方、インクルーシブ教育の推進という新たな課題に対応することでありますとか、児童生徒数の将来の推移を見きわめることも必要となっております。  先ほど教育長の御答弁にもありましたように、高等養護学校の設置等も含めた特別支援学校のあり方について、教育委員会では研究を進めていると聞いています。湖西地域にないといったような偏在の問題も当然その中に含まれていると考えておりますので、今後、私といたしましても、教育委員会と協議しながら、研究の経過や結果について確認し、考えてまいりたいと存じます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)ありがとうございます。  この課題について、軽度の知的障害のある生徒さんが将来仕事を持つことができるようにしてあげていただきたい、多くの知的障害のあるお子さんをお持ちの方々の願いであります。また、養護学校の児童数、生徒数の増加が問題になっておりますけれども、これを緩和することにもつながっていくのではないか、このようにも思いますし、どうか、前へ研究を進めていくという御答弁をいただきましたので、一歩前へ進めていただきたいと、このように思いまして、この項の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。  次の項の質問でございますけれども、筋電義手の普及についてであります。  まず、義手についてですけれども、先天的、またはけがや病気により欠損した手のかわりに装着するのが義手です。そして、この義手は大きく3つに分けることができます。  1つ目は、外見的な復元を重視した装飾義手です。これは、指や手首は動かすことができず、物を押さえたり、軽くひっかけたりすることぐらいが可能なものです。  2つ目は、能動義手と言われるものです。これは、作業をしやすくするための機能や形状を優先し、外観は重視されておりません。フックのようなものが大変多いです。肩甲骨や肩関節など、自分の体を動かして、そのハーネスを介して手の先の器具を動かします。物をつかんだり押さえたりするある程度の機能を果たします。  そして、3つ目が筋電義手です。筋電義手というのは、肘から先や二の腕など残っている部分の筋肉が発する非常に弱い電気をセンサーで読み取り、自分の意思で手首や指を本当の手のように動かすことができるものです。見た目も装飾義手と余り変わりがございません。希望の義手として、先日の24時間テレビでも紹介され、また、他の報道番組でも取り上げられて、徐々に皆さんに知られるものになってまいりました。  きょう質問させていただくのは、この3つ目の筋電義手についてです。今説明しましたように、大きな進歩を遂げているこの筋電義手を装着することで、日常生活はもちろんのこと、職場での活動の幅も大きく広がります。また、先天的な欠損がある子が、小さいときから筋電義手をつけることによって、健常者と変わらない生活が送れると言っても過言ではないと思います。しかしながら、この筋電義手の日本での普及率はまだ2%にも満たないのが現状です。  以前、先天的に右手の肘から先が欠損しているお子さんを持つお母さんから、神戸市の端にある病院まで小児筋電義手の訓練に通っているというお話をお伺いいたしました。このお子さん、Mちゃんというふうに呼ばせていただきますけれども、現在2歳です。大変明るい性格で、先日、お宅に寄せていただいたときも、元気いっぱい下の妹さんと遊んでいる姿が印象的でした。おうちではパッチンというふうに呼んでおられるそうです。この筋電義手を右手につけて身近な動作の練習をされておりました。  このMちゃんが通われている兵庫県立リハビリテーション中央病院に9月7日に視察に行かせていただき、筋電義手の普及、開発の中心になっておられる陳隆明先生にお会いをさせていただきました。陳先生は、筋電義手を一人でも多くの子供たちや大人が使えるように奮闘してこられた方です。先生が現場を案内してくださったのですけれども、患者さんに対して熱い情熱を持ってかかわり続けておられるその姿に大変胸を打たれました。  さて、この筋電義手の機能は日進月歩で進んでおりまして、見た目も格好もよくなり、それまで義手を隠すようにしていた子供さんが、筋電義手にしてから友達に見せびらかすようになり、一緒に思い切り遊び回って頻繁に修理に持ち込まれるというケースもあるというふうに聞いております。  価格については、主流だった150万から160万もする高価なドイツ製だけでなく、この陳先生指導のもと、国産も開発されており、3分の1の50万円程度にまで抑えられるようになるそうです。それでも簡単に購入できるものではありません。購入に当たっては、障害者総合支援法の特例補装具に認定されますと、少額の負担で済みます。認定されるには、しかし、使いこなせるという条件がついてまいります。つまり、認定してもらうためには、使いこなせるまで訓練が必要です。しかし、訓練するための義手には補助がおりないのが現状です。訓練についても、私も実際につけさせていただいて使わせていただきましたけれども、そう簡単に使えるものではないということを実感いたしました。大人でも専門の作業療法士の指導を受けながら相当の訓練が必要です。まして、小さな子供たちの訓練には、専門の療法士さんの指導が必要となります。また、体の成長に合わせて大きさも変えていかなければなりません。高価な筋電義手を二、三年ごとにリニューアルし、腕にはめるソケット、はめ込むところですけれども、そこの部分は半年ごとにリニューアルする必要があるそうです。この病院では、これまで兵庫県や病院自体がその負担をされてきましたけれども、とても追いつかない状況になったために、陳先生が中心となって小児筋電義手バンクを創設されました。これは、寄附を募って資金にし、そこから貸し出し用の義手を購入する仕組みとなっております。  陳先生にお願いするために行ったその日、まさに偶然にも滋賀県から、先ほど言いましたMちゃんと、もう一人の子供さんの2人が訓練に来られておりました。筋電義手は、できるだけ小さいときから装着して訓練することが望ましいと言われております。この2人も、小児筋電義手バンクから装具を借りて訓練したり生活に使ったりしています。  この訓練のために滋賀県から兵庫県の端まで通うのは大変な労力が要ります。距離の関係で、通いたくても通えない他府県の子供たちもたくさんいるとお聞きしました。筋電義手が大人にも子供にも普及していない理由には、訓練用の義手には補助金が出ない、これは県の問題ではなくて、国会でも議論されていますので、改善を期待するところでございます。  そして、訓練を受ける場所が限られている。特に小児筋電義手は、リハビリテーション中央病院を含めて全国に3カ所しかないそうです。  以上のようなことから、長々と述べましたけれども、滋賀県では手の欠損のある方は何名おられ、そのうち子供は何人でしょうか。また、筋電義手を使っておられる方はおられるのでしょうか。本県でも筋電義手および小児用筋電義手の普及をもっと進めていくべきだと考えますが、健康医療福祉部長に見解を伺います。  滋賀県立小児保健医療センターは、その前身が滋賀整肢園、滋賀県立小児整形外科センターであることから、小児整形にかけては日本でも有数の病院です。手に欠損がある子供が筋電義手を使いこなせるためには訓練が必要です。小児筋電義手の訓練を小児保健医療センターでできるようにならないのか、見解を病院事業庁長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)筋電義手、小児筋電義手の普及についての御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の県内における手の欠損のある方の人数でございますが、県で把握できる人数としまして、身体障害者手帳所持者の中で、障害名に上肢についての欠損、または欠くものという表記が含まれている方は、平成28年度末時点で761名でございまして、そのうち18歳未満は18名でございます。  2点目の筋電義手を使われている方でございますが、議員御指摘の障害者総合支援法の特例補装具としての筋電義手、小児筋電義手は、過去5年間において支給決定の実績はございません。  3点目の筋電義手、小児筋電義手の普及を進めることについてでございますが、障害者総合支援法の補装具は、日常生活において、または就労もしくは就学のために、同一の製品について長期間にわたり継続して使用されるものでありますことから、訓練用の筋電義手、小児筋電義手障害者総合支援法の補装具には該当しないと考えられます。訓練用の筋電義手、小児筋電義手を治療上の必要から使用される場合は、医療保険者の判断によりまして療養費の支給対象とすることが可能でございますが、議員御指摘のとおり、訓練を受ける場所は限られておりまして、特に小児筋電義手につきましては全国に3カ所ほどにとどまっているところということでございます。  国におきましては、そうした課題認識のもとに、今後、実情を把握し、研究を行うというふうにされておりますことから、県といたしましては、国の動向を注視しながら、当事者の方々の思いを実現するために、どのような対応ができるのか、方策を考えてまいりたいと存じます。 ◎病院事業庁長(笹田昌孝) (登壇)小児保健医療センターにおけます筋電義手の使用訓練についてお答えいたします。  筋電義手を使いこなすための訓練は、専門の医師、リハビリテーション専門職のもとで訓練用義手を使って行う必要がございます。現在、小児センターでは訓練用義手を備えておらず、また、義手使用訓練を担当する人材や体制は整っておりません。しかしながら、訓練を他の施設で終了され、継続して筋電義手を使用される状態になられましたら、当センターで引き続き発達過程に合わせた筋電義手の使用指導を行うことは可能であり、受け入れたいと考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)病院事業庁長に再質問させていただきます。  今御答弁いただきましたように、使いこなせるようになった方が訓練をしていくということは可能であるというふうにおっしゃっていただきました。そこをもう少し前へ進めていただいて、小児筋電義手の訓練等も小児保健医療センターのほうでできるようにならないか、改めて聞かせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 ◎病院事業庁長(笹田昌孝) お答えいたします。  先ほど中村議員から御説明ございましたように、この筋電義手を最初に使いこなすときというのはなかなか困難なものでございます。御経験があると先ほどおっしゃったとおりでございます。私どもの小児センターにおきましては、そうした観点から、訓練用義手をまず備える設備の整備、そして、何よりもそれを指導する専門の医師、そして、専門の理学療法士、作業療法士等の人材の整備が必要でございます。現在、そうした特化したそういう体制がまだ整っておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、そうした初期の訓練が終えられましたら、その後もずっと発達に合わせて筋電義手を備えていかなければなりません。こういう点につきましては、先例もございますので、小児センターでそういう点については対応させていただきたい、そのように考えております。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)要望になりますけれども、小児保健医療センターで筋電義手の訓練ができるようになれば、Mちゃんを初め、県内の義手を必要とされる方だけでなく、京都やとか岐阜、また、北陸方面等からも筋電義手を使いたいというお子さんたち、また、大人の方たちが通ってくることができると、このように思うわけです。どれだけたくさんの人たちを、先ほどお答えいただきました七百数十名の方も、筋電義手を使えばもっと生活に幅ができてくる、仕事ができることもできるようになるというふうに思うのです。ですから、どうかこの取り組みが進むように考えていただきたいなと要望をさせていただいて次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  3項目めは、ヘルプマークの普及啓発について質問させていただきます。しつこいなと思われるというふうに思いますが、よろしくお願いいたします。  本県では、本年4月3日よりヘルプマークの配布が始まりました。各市町の福祉の窓口、保健所で希望者に配布をされており、所持された方から、早速市役所へ行ってもらってきました、バッグにつけて持ち歩くようにしています、このヘルプマークを携帯しているだけで外出する際にとても安心です、いざというときに周りにいる人に勇気を出して助けを求めたりできます等々、たくさんの方から喜びの声をいただいております。反面、ヘルプマークをつけておられる内部障害のある方が、電車の優先座席に座っていて変な目で見られたというお声や、ヘルプマークの存在を知った健常者の方からは、私たちが認識していないと意味がない、もっと周知を図るべきではないかとのお声もいただきました。  昨年4月に障害者差別解消法が施行されました。重要な目的の一つが、これまで見過ごされてきた障害がある方の状況を正しく周知し、認識を深めることです。そして、障害のある方もない方も誰もが安心して暮らせる社会を目指しています。ヘルプマークの目的はまさにここにあるというふうに思います。お互いに支え、支えられる真の意味での共生社会の実現へ向けて、ヘルプマークの普及啓発は大変重要な役割を担うと考えます。  ことしの4月には、このヘルプマークが日本工業規格──JISに加わりました。経済産業省や厚生労働省のホームページでも紹介されております。一部抜粋ですけれども、厚生労働省のホームページには、「平成29年7月20日に、経済産業省において、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本人だけでなく外国人観光客にもよりわかりやすい案内用図記号とすることを目的に、案内用図記号の規格が見直され、その中にヘルプマークが追加されました。配慮や支援を必要とする方々を示す記号として、今後、ヘルプマークが今以上に活用されていくこととなります。ヘルプマークを身につけた方を見かけた場合は、電車、バス内で席を譲る、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。」こういうふうにありました。東京オリンピックを機に、国内だけでなく海外の方々にも広く知ってもらうための大きな一歩だというふうに思います。  本県では、昨年度末に2,000個を用意していただき、配布を始めていただきました。ありがとうございます。  1点目の質問として、今後さらに利用者がふえることが予想されます。本県が推測する対象人数から見た現在の普及状況について、どのように考えておられるか、健康医療福祉部長に見解をお伺いいたします。  このヘルプマークは、本人が所持するかしないかは自由です。しかし、ヘルプマークの普及促進に努めていくことは、本人や家族、支援する人の安心につながると同時に、広く県民の皆さんに知っていただかなくては意味がありません。なお一層の普及啓発に努めていただきたいと思います。普及用のポスターを県庁や県立施設、市役所や町役場、また、地元の市民センター等で掲示していただいていることは確認しておりますけれども、2点目の質問として、現在、これ以外ではどのような場所でポスターが張られているのか、また、ポスター以外では普及啓発に向けてどのような方法がとられていて、今後どのように進めていくお考えか、健康医療福祉部長にお伺いいたします。  京都府では、ヘルプマークの啓発漫画が作成されています。また、啓発用ステッカーを作成し、市バスや地下鉄、コミュニティバスの社内優先座席の窓ガラスに張ったり、駅構内にはポスターを掲示したりしています。また、先ほども述べましたが、国においても2020年の東京オリンピックやパラリンピックを目指し、本年7月にヘルプマークをJIS規格の案内用図記号として加えています。  3点目の質問として、鉄道やバスを利用すると、優先座席には各種のステッカーが張られておりますが、まだ県内の交通機関ではヘルプマークのステッカーを張るなどの取り組みはされておりません。ヘルプマークは、既に京都府で導入されているほか、大阪府においても6月から配布が始まりました。優先座席にヘルプマークの掲示は絶対必要なものであるというふうに考えます。県内のバス会社や京阪電車、近江鉄道、信楽高原鐵道、そしてJRにも働きかけが必要であると考えますが、健康医療福祉部長に見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) ヘルプマークの啓発に関しましての3点の御質問にお答えをいたします。  まず、現在の普及状況でございますが、議員から御紹介いただきましたように、ことしの4月3日から市町や保健所の窓口でヘルプマークの配布を開始し、8月末時点で1,063個を配布したところでございます。問い合わせも多くいただき、また、一部の市町では、当初配布した個数が不足をしてまいりましたため、7月には1,000個の追加発注を行いまして、不足が生じないよう対応をしたところでございます。導入から約5カ月で1,000個以上の配布をさせていただいているということからも、ヘルプマークのニーズは高いものと受けとめておりまして、今後も必要とされている方のお手元に届きますように一層の周知が必要と認識をしております。  一方で、議員からもお話がございましたように、利用されている方からは、一般にヘルプマークが認知されておらず、持っていても配慮してもらえないといった御意見も寄せられておりまして、マークの趣旨等につきまして、県民の皆さんへの周知もあわせて必要と考えているところでございます。  次に、2点目のポスターの掲示先やその他の普及啓発等についてでございますが、県では、県内の各警察署や消防署、一部の病院や大学等へポスターをお送りし、掲示について協力をお願いしているところでございます。さらに、包括的連携協定に基づき、県内のイオンと平和堂の各店舗で、また、京阪電鉄の県内各駅でポスターを掲示いただくなど、これまでに約500枚のポスターを配布をいたしました。  それ以外の取り組みにつきましては、周知用のチラシを作成し、市町や関係団体、一部のコンビニや商業施設での設置に加えまして、経済団体の協力も得まして会員企業等へチラシを配布するなど、これまでに約7,000枚のチラシにより周知を行ったところでございます。  さらに、県のホームページや「滋賀プラスワン」、「教育しが」などの広報媒体を活用した周知に加えまして、市町の広報誌での紹介や、当事者団体などによる所属会員への周知、フリーペーパー等での特集記事など、取り組みを進めてきたところでございます。  今後は、図書館を初めとする市町の公共施設や商業施設、金融機関など、県民の皆さんにとって身近な場所にポスターを掲示いただくよう働きかけを行い、ヘルプマークの認知度を一層高めてまいりたいと考えております。  最後に、3点目の優先座席でのヘルプマークの掲示についてでございます。  公共交通機関での周知につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、京阪電鉄の県内各駅でのポスター掲示に加えまして、現在、JR西日本に対しましても、県内各駅でのポスター掲示について協力をいただけるよう調整をしているところでございます。公共交通機関の利用者に対してヘルプマークの認知度を高めることは大変大切であると考えておりまして、議員御提案の優先座席でのステッカーによる周知は効果が高いものであると認識をいたしております。ステッカーによる周知につきましては、まずは事業者のお考え、また、広域の交通機関における近隣府県との協力調整、さらに経費等の課題もございますことから、関係者の御意見をお聞きしながら検討を進めてまいりたいと考えております。  今後とも、支援を必要としている方にヘルプマークを届けるとともに、一人でも多くの県民の方にマークの周知を広め、配慮が提供されるよう取り組みを推進してまいる所存でございます。 ◆20番(中村才次郎議員) (登壇)ありがとうございます。1,063個の配布ができているということで、大変広く広まっているものだなというふうに感心をいたしましたし、また、1,000個追加発注をしていただいたということにも感謝をいたします。また、私の知らなかったほかの警察署と、また、イオンとか平和堂等へのポスターの掲示等にも努力をしていただいているということに大変評価をしたいというふうに思います。  また、この3点目に言いました電車等の交通機関での優先座席のステッカーのとこですけれども、これについては大変必要だというふうに思いますので、またぜひ訴えていただきたいと、このように御要望したいというふうに思います。  1点だけ。再質問ではございません。まだお電話でしかお話ししていないのですけれども、自発的にヘルプマークを啓発していてくださる方がいらっしゃいまして、ヘルプマークというのはこういうタグのようなものですけれども、ヘルプカードというものを作成されて、それを自発的にボランティアで配布をしていてくださる方が彦根市におられまして、今度お会いするお約束をしているんですけれども、こうやって一般の方にもそうやって啓発の助けをしていこうということに努力をしていてくださる方がいらっしゃるというようなこともつけ加えまして、ますますの啓発に努力していただきたいということをお願いして質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、20番中村才次郎議員の質問を終了いたします。  次に、4番佐藤健司議員の発言を許します。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇、拍手)おはようございます。  それでは、発言通告に従いまして、県庁周辺における医療福祉拠点の整備に関して、一問一答でお尋ねをいたします。  医療福祉拠点の整備に向けては、県は、対象区域に建物を所有する一般財団法人滋賀県教育会館と、建物の撤去、敷地の返還に向けた交渉を進めてきました。県議会でもさまざまな議論がある中で、ことし3月には、9月末という期限を切って交渉に当たるとして、教育会館への行政財産の目的外使用許可を半年延長しました。しかし、残念ながら、合意することができないまま9月末を迎え、10月2日きょう現在、使用許可がない状態で教育会館が県有地を使用し続ける状態となっています。  初めに、事業目的に教育、文化、芸術の振興およびこれらの事業に対する協力を掲げる団体が、県民の財産である県有地を不法に占用していることについての知事の見解をお伺いをいたします。 ○議長(奥村芳正) 4番佐藤健司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  県といたしましては、当該土地は行政財産であると認識しておりまして、昨日10月1日以降は、使用許可期間の満了に伴いまして、先方は法的な使用権原なく占用されている状態と認識しています。  一方、先方の見解といたしましては、当該土地は普通財産であり、借地権に基づき占用をしていると主張をされていると承知しています。  こうした中、先方は去る9月26日に、大津簡易裁判所に借地権の確認を求める調停の申し立てをされたと伺っております。県といたしましては、双方の立場の違いがありますものの、まずは話し合いのテーブルに着き、第三者である調停委員の仲介のもと、争点を明らかにしながら、最短での解決の糸口を見つけていきたいと考えているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)知事、一問一答ですので、私の次の質問まで取って答えていただくのはおやめをいただきたいと思います。  次の質問に移ります。  一般財団法人滋賀県教育会館を構成する団体、つまり役員を輩出している団体をお示しください。知事、お願いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  一般財団法人滋賀県教育会館の役員として理事および幹事が置かれておりまして、滋賀県教職員組合、滋賀県小中学校校長会、滋賀県教育会の3団体から選出されていると承知しています。なお、理事長および常務理事は滋賀県教職員組合の役員から選出されていると承知をしています。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ありがとうございます。教育に携わる方がほとんどだということで今御答弁をいただきました。ただ、こういった方たちにも、知事が言う丁寧かつ誠実な交渉、協議は全く通じなかったようであります。先ほど知事の答弁にもありましたけれども、先月9月26日に、一般財団法人滋賀県教育会館は大津簡易裁判所に調停を申し立てたということですが、申し立ての内容について知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほども答えました、そして、今も御紹介いただきましたが、教育会館からは9月26日に大津簡易裁判所に申し立てられたと伺っています。まだ調停の申立書の写しは県に届いておりませんが、教育会館から伺ったところによりますと、まず1つ目、昭和6年に借地権が成立しており、その後、現在も存続していること、2つに、教育会館敷地は行政財産ではなく普通財産であること、および立ち退き要求自体が不当な目的によることなどから、県の立ち退きの出張は不当であることなどの主張をもとに借地権の確認を求める趣旨の申し立てであるということでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)当然、教育会館側にも言い分があるとは思います。しかし、改めて申し上げるまでもなく、この土地は県民の財産であります。県と教育会館が交わしています公有財産の使用許可に係る一般条件書にも、使用許可が満了したとき、自己の負担において知事が指定する期日までに物件を原状に回復して返還しなければならない、使用者が原状回復義務を履行しないときは、知事は、使用者の負担においてこれを行うことができる、この場合、使用者は何らの異議を申し立てることができないとされています。  教育会館とのことし4月以降の交渉の経過について、誰が、いつ、どのような協議を行ってきたのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 今年度に入りまして、4月以降も、退去の合意に向け、随時、私、知事を先頭に庁内関係部局で協議を重ねながら、副知事、部長級で5回、事務レベルでは随時、教育会館の役員と話し合いを重ねてまいりました。具体的には、4月28日付で、先方から医療福祉拠点整備事業計画に関することや県有地の地方自治法上の位置づけに関すること等についての質問書の提出がございまして、県としては5月19日付で県の考え方について回答をいたしました。また、県としては、かねてから、一般財団法人滋賀県教育会館および入居している教育関係6団体の移転先候補として厚生会館等を提案してまいりましたが、これに加えて、県が医療福祉拠点の整備にあわせて厚生会館を再整備することを検討することも提案したところでございますが、残念ながら使用許可期間の満了する9月30日までには話し合いによる退去の合意には至らなかったということでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)県として、知事として誠実に交渉を重ねてきたという御答弁だったと理解しております。しかしながら、先月26日にNHKで放送されました教育会館の記者会見での常務理事という方の発言に愕然としました。2年間にわたって交渉を行ってきたにもかかわらず、この方は立ち退きについて前向きに考えたことは一度もないと記者会見で言い放っておられました。知事が言う丁寧かつ誠実な交渉とは一体何だったのでしょうか。単に時間を浪費しただけではなかったのか、この2年間の県の交渉の進め方が適切だったのかどうか、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 先ほども経過、御説明申し上げたとおり、県としては、教育会館敷地も含む県有地を活用させていただいて医療福祉拠点を整備することについて御理解をいただき、退去について合意を得ることで速やかに拠点整備を実現すべく、関係部局が連携して丁寧かつ誠実に対応するという方針のもとに話し合いを重ねてまいりました。しかし、結果的に、先ほど来御指摘いただいておりますように、使用許可期間満了までに話し合いによる解決が至らなかった。このことは、我々もまだまだできたことがあったろうと思いますし、長年にわたりますこういった歴史、こういったことに対する先方の思いもあるんだと思います。話し合いの時間を、しかし、いただいたことで、こうした双方の立場、主張の相違を確認、整理できたという、そういう面もございます。今後の司法の場を通じて速やかな解決を目指してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)何でもこう前向きに捉える知事の今性格が出たような御答弁でした。  確かに、双方の主張が平行線をたどる中で、司法の場で解決を図ることも選択肢の一つだとは思います。これまでの交渉を踏まえ、調停に県としてどのような姿勢で臨まれるのか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 双方の主張に違いはありますものの、まずは話し合いのテーブルに着き、第三者である調停委員の仲介のもと、争点をより明らかにしながら最短での解決の糸口を見つけていきたいと考えています。  県といたしましては、調停委員に対し、1つは、教育会館敷地について、行政財産として管理し、適正に目的外使用許可をしてきたこと、2つに、当該敷地が医療福祉拠点整備事業の実施に必要不可欠であること、3つ目に、退去を求めるに当たりましては、相手方の課題にも配慮しながら誠意を持って話し合いを重ねてきたことなど、県の考え方やこれまでの対応についてしっかりと説明しながら、調停委員の仲介のもと、適切な対応を行ってまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)司法の場で解決を図るといっても、議会は議会としてやはり県をしっかりとチェックする、その責任において、やはり内容についても踏み込んでお伺いをしたいと思います。  今も争点を明らかにしながらという御答弁がありましたけれども、行政財産か普通財産かという点が争点の一つになっています。参考までに、教育会館が主張するように普通財産とした場合、算定基準に基づく普通財産の貸付料は幾らになるのか、現在の使用料との比較とあわせて、知事、お答えください。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  普通財産の貸し付けにつきましては、条例に基づく減免要件は限定的でございます。本件事例については適応できないと考えられますことから、仮に本件敷地が普通財産であるとすれば、貸付料は大幅な増額となりまして、年間約1,200万円ということと算定されます。一方、現在、行政財産としての使用料は、基準に照らして使用料の一部減免措置を講じておりまして、年額では約270万円となってございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、答弁にありましたように、普通財産の貸し付けということになれば、かなり高額になることが予測をされます。教育会館への県有地の使用許可については、皆さん御承知のように、長年、使用料が免除され、その後も大幅に金額が減免されてきました。これまで使用許可に何らの異議を唱えずに事務所や店舗の賃貸料で収益を上げておきながら、建物の撤去、土地の明け渡しを求められると普通財産であると主張する。実際に教育会館の収支予算書には、行政財産手数料という科目があります。まさにこうなってくると、司法の場で解決を図るといっても、御都合主義としか言いようがないんですけれども、この行政財産、普通財産の違い、そして、こうした教育会館の姿勢について、どのような見解を持っておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) 私どもは、行政財産として目的外使用許可を行って、それに基づいて御使用いただいた。ただ、教育会館側は、普通財産であるとの見解を示されて、調停のテーブルに着くということでございますので、まずは先ほど申し上げたようなことを主張させていただいて解決の糸口を図っていきたい。そのことに何かを私として申し上げることはございません。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)当然、普通財産という主張をされているんですから、普通財産の貸付料はもちろん遡及してお支払いをいただけるのであろうと私は理解しています。  先ほど答弁にありましたように、これまでの任意の交渉、協議において、一部の入居者に対して厚生会館への移転を打診し、改装の工事費の負担を提示したと仄聞しています。先ほど答弁にもありました。平成28年2月定例会議での私の質問に対して、当時の青木総務部長は、「一般条件書には使用許可の取り消し等によって生じた損失について、県に対して損失を求めることができない旨記載されており、各種の補償は必要ないものと考えている」と答弁されています。この答弁からすると、当然、教育会館側に提示したこの改修工事費の負担は補償の一環として行われるものではないと理解をしています。提示した改修工事費を何に基づいて支出しようとされていたのかを含めて、教育会館への補償の必要性について、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 医療福祉拠点の整備にあわせまして、厚生会館の再整備を行い、その有効活用を図ることにより、県行政と関係の深い団体や機能を集め、多様な主体との連携、協働を推進するとともに、新たな行政ニーズにも対応できるよう検討をしてきたものでございます。  行政財産の使用許可時に交付しております一般条件書には、使用許可の取り消し等によって生じた損失につきましては、県に対して補償を求めることはできないことが記載されており、教育会館へのいわゆる補償というものは必要ないと考えているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、補償の必要性はないと明言をされました。ただ、補償の必要性について改めてお伺いをしたいと思います。  今も答弁にありましたように、これまでも県からは再三、補償の必要はないと説明を受けておりますけれども、これは再問ですから通告はありませんよ。行政財産の目的外使用許可の取り消しと損失補償の関係について、最高裁は昭和49年に、国有財産法は普通財産を貸し付けた場合における貸し付け期間中の契約解除による損失補償の規定を設け、これを行政財産に準用していたところ、これは東京都の例なんですけど、都有行政財産の使用許可の場合に、これを類推適用するのが相当であると判示しています。さらに、昭和50年の東京高裁は、使用権の消滅による使用権の経済的価値相当の損失は、行政財産の使用権に内在する制約として、特別の事情のない限り補償を求めることはできないとする一方で、使用許可の取り消しをした当時、残存していた建物について、投下した対価を償却するに足りない期間内に返還を求めたものであるので、その損失補償をすべきであると認定して確定しています。もう一度、損失補償として県からの公費支出を伴う可能性がないのか、改めて知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 先ほどもお答えさせていただきましたように、行政財産の使用許可時に交付している一般条件書に基づいて我々は対応させていただきたいと思っておりますので、その意味で、教育会館への補償は必要ないと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)こうしたところも当然一般条件書があったのですけれども、滋賀県としては、知事としては補償の必要性はないということで明言をされましたので安心をしました。  補償の有無にもかかわらず、調停中も教育会館の不法占用は続きます。一般財団法人滋賀県教育会館が、県有地の使用許可がないままに、入居者である店舗や事務所から賃貸料を得るとともに、さらには会議室を貸与して使用料を取ることは、この10月1日以降、法的にも道義的にも許されるものではありません。ただでさえ県有地の使用料は1坪当たり一月わずか500円程度、教育会館側は毎年大きな利ざやを得てきました。今後積み上がっていく不当利得について、将来的な損害賠償の可能性を知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 仮に県の認識どおり行政財産であることが認められ、先方が10月1日以降、使用権原なく占用されている状態であるとの結論になった場合は、法的に認められる範囲で必要な支払いを求めていくことが考えられますが、詳細につきましては今後詰めてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)これからは入居者への個別の対応も重要になってくると考えています。もはや入居者も善意の第三者とは言えません。ましてや一般財団法人滋賀県教育会館の役員を輩出している団体であればなおさらだと思います。教育会館と賃貸借契約があるとはいうものの、見方によれば入居者も県有地の不法占用によって利益を得ていると言えます。入居者の法的な責任をどのように捉えているのか、今後の入居者への対応について、県の方針をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 県といたしましては、これまで一般財団法人滋賀県教育会館に対して敷地の使用許可を行ってきておりますことから、許可対象者である同財団と話し合いを行ってまいりました。しかしながら、昨日10月1日以降は、一般財団法人滋賀県教育会館は、先ほどもお答えいたしましたとおり、法的には使用権原なく占用されている状態に入ったものと認識しておりまして、各入居団体の皆様も同様の立場になったものと認識しています。一方、各入居団体といたしましては、一般財団法人滋賀県教育会館との関係で建物の賃借人の立場であるとの認識にあられるものと存じます。このため、今後は入居団体の皆様に対しても、県の考え方やこれまでの対応を十分説明してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)これから司法の場で解決を目指すということですけれども、そのためにも、今御答弁にありましたように、入居者の皆さんにも理解をしっかりといただく必要があると思います。そのためにも、行政財産である土地の自己使用、県がこれを行政目的で使用する必要性について、しっかりと認められることが必要になってくると思います。改めて教育会館が立地する区域を含む県庁周辺の県有地に医療福祉拠点を整備する必要性について、知事にお伺いします。
    ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  医療福祉拠点整備におきましては、関係団体を集約したセンター機能およびリハビリ専門職の人材養成といった医療福祉における課題と、県庁周辺県有地の利活用について一体のものとして対応すべく検討してきたところであり、地元や関係団体の意見も踏まえながら進めてまいりました。教育会館敷地を含む一団の県有地を事業対象地として事業者の提案を求めることにより、民間事業者のアイデアやノウハウなどの活力を最大限に引き出し、また、大津駅と県庁を結ぶ重要な位置にある県有地について、県庁周辺地域にふさわしい活用が実現できるものと考えているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、必要性について御答弁をいただきましたけれども、ただ、この間、この医療福祉拠点整備の事業計画の熟度がどこまで高まったのかという点で若干懸念をしております。事業者募集公募の素案で示された内容から具体化された拠点の詳細なイメージをお示しください。知事、お願いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  県が事業者募集要項の骨格で示した内容について、平成28年度に事業者ヒアリングを実施いたしました。参加した事業者からは、医療福祉センター機能について、医療福祉関係団体の事務所を設置することに加えまして、会議室やホール等についても併設するとの御意見を伺ったところでございます。また、リハビリテーション専門職の人材養成機能については、大学の設置を想定していること、養成人員を140名ないし160名に設定するとともに、広く市民向けの講座を開講するとの御意見も伺ったところでございます。加えまして、にぎわいの創出、利便性の向上に関しましては、例えば大学と地域の住民、商店街などが交流する場や、カフェ、レストランの設置、地域イベントへの参加といったアイデアが提案されたところでございます。県といたしましては、こうした機能が発揮されることにより、医療福祉の課題への対応とあわせまして、新たに人を集め、県庁周辺を活性化させる拠点になるとのイメージを描いているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)とはいえ、繰り返しになりますけど、平成27年の11月に教育会館側に事業計画を説明して、退去を申し出てから既に2年が経過しました。県は、退去するめどが見えた段階で事業者公募に移るとこれまで説明をしてきましたけれども、調停が万が一不成立に終わって訴訟に移行するという事態も容易に想像できる中で、事業実現の見通しというのは全く立っていないのではないかなと思っています。医療福祉拠点整備の今後のスケジュールについて、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 使用許可期間満了までに話し合いによる解決に至りませんでした。平成32年度を目途としてまいりました医療福祉拠点の運用開始時期にはおくれが生じることが見込まれます。地元や関係団体を初め、県民の皆様におわび申し上げるとともに、教育会館敷地の明け渡し時期が明らかになり次第、事業者公募の手続に着手いたしまして、できる限り早期に運用開始できるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今年度予算には、教育会館に隣接する別館、第二別館、武徳殿を解体する設計の委託費に加えて解体工事費3,100万円余りが計上されています。繰り返しになりますけども、一般条件書には、使用者が原状回復義務を履行しないときは、知事は、使用者の負担においてこれを行うことができる、この場合、使用者は何らの異議を申し立てることはできないとされています。場合によっては行政代執行により一体的に解体を行うことも想定されますが、別館、第二別館、武徳殿の解体時期について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 別館、第二別館等の県有施設につきましては、議会でもお認めいただいております今年度予算に基づき、現在、解体工事の設計を進めております。現時点では、今年度中に解体工事に着手し、平成30年12月の完了を予定しているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)確認ですけども、ということは、行政代執行により一体的に解体を行うことはないということでよろしいでしょうか。知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) 今申し上げたとおり、別館、第二別館等の県有施設については解体工事の設計を進めております。議員のおっしゃる一体的ということが、私どもの一体的と議員の御認識の一体的というのにずれがあるかもしれませんけれども、いわゆる別館、第二別館、武徳殿については、解体工事の設計をさせていただき、平成30年12月の完了を予定いたしております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)行政代執行によりと言っているんですから、まあ、わかった上で答弁されているんだと思いますので。  最後の質問に移りたいと思います。  教育会館の不誠実な対応のために、既に医療福祉拠点の整備に大きくおくれが生じるとともに、今後、係争が長期化すれば、事業者公募に大きく影響することは自明の理です。真にこの事業が県民にとって必要な事業というのであれば、しっかりと県民の皆さんに訴えて、知事自身がもっとリーダーシップを発揮して取り組むべきだと思っております。実際には、遠慮があるのか、2年間、みずからは交渉のテーブルに着こうとはせずに、解決を司法に委ねる結果となりました。先ほど、平成32年度の運用開始についてはおくれが生じるということで答弁されていますが、改めて医療福祉拠点整備への知事の本気度、決意をお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来お答えさせていただいておりますように、2025年、さらにはその先の将来をも見据えて、長生きできるようになる、高齢化のいろんな課題もより顕在化してくるという意味において、県民の皆様方が安心して生活できる地域づくりを実現するため、医療福祉拠点の整備は重要な取り組みであると考えています。あわせまして、県庁周辺にふさわしい土地利用により、新たに人を集め、にぎわいを創出すること、この点も地元からも大いに期待していただいているところでございます。にもかかわらず、今回、この事業計画におくれが生じることについては、重ねて申しわけなく、おわびを申し上げるものでございます。  現在、教育会館からの調停申し立てを受けまして、まずは話し合いのテーブルに着きます。最短での解決の糸口を見つけていきながら、この事業の成果ができる限り早期に得られるよう全力で取り組んでまいる所存でございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)解決が司法の場に委ねられるということになった以上、我々からすれば、その進捗を見守るしかないというのが多分現状だと思います。そういったことを踏まえて、知事のリーダーシップをしっかりと発揮していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に移ります。  次に、大規模小売店舗立地法の運用に関して、一問一答でお尋ねをいたします。  大規模小売店舗立地法の目的は、大規模小売店舗の立地に関し、その周辺の地域の生活環境の保持のため、大規模小売店舗を設置する者により、その施設の配置および運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより、小売業の健全な発展を図り、もって国民経済および地域社会の健全な発展ならびに国民生活の向上に寄与することとされています。  初めに、本県として、立地法の目的達成のために、どういった点に主眼を置いて運用をされているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  大規模小売店舗立地法は、御質問にありましたように、大規模小売店舗の立地に関して、周辺地域の生活環境を保持する観点から、交通、騒音、廃棄物等の影響について、設置者による適正な配慮がなされることを求めているものと認識いたしております。そうした観点から、具体的には、経済産業省が定めております大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指針に基づきまして、地域の事情等を勘案し運用しているところであります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)店舗の新設の場合、設置者から出店計画が提出され、立地法第5条に基づく届け出があった後、公告の縦覧や説明会の開催を経て、大規模小売店舗立地審議会にかけて県が設置者に意見を通知します。意見がない場合は、立地法に基づく手続が終了し、開店を迎えるわけですが、事実上、この審議会が最終関門となっています。審議会が果たす役割について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  大規模小売店舗立地審議会は、法律上、必置機関ではありませんが、本県におきましては、設置者による生活環境の保持のための適正な配慮に関する重要事項につきまして調査審議する場として設置しておりまして、交通、騒音、廃棄物などに関する専門知識を有する委員から構成されております。審議会では、知事からの諮問に応じ、市町や住民からの意見も踏まえ、専門家としての立場で調査審議していただき、県から設置者へ通知する際の意見の有無、内容を判断するため県へ答申をいただいております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)こうした中、ことし8月に大津市一里山に開店したダイエー瀬田店において、審議会で示された図面による遮音壁の高さや設置場所が、設置者の都合で勝手に変更され、開店直前になって届け出と異なる内容で店舗の工事が進められていることが明らかになりました。隣接する住宅の住民から、計画より高い遮音壁を設置され、生活環境が悪化したと相談があって、たまたま発覚しましたが、審議会での審議が形骸化しかねないと懸念しています。立地法の目的に鑑みて、今回の経緯について県としてどのように受けとめているのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  設置者の届け出に基づき、審議会で審議が行われ、その答申をもとに、県から設置者に対して意見を通知しております。したがいまして、設置者は届け出内容を適切に履行すべきものと考えます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)改めてお伺いします。  この問題の本質は、遮音壁の高さもさることながら、言葉は悪いですけれども、ばれなければいいという企業の姿勢、そして、届け出内容と異なっていることを見過ごしたことで、滋賀県の大店立地法の手続が、言葉は悪いですよ、ざるだと誤解されかねないという点にこの問題の本質があると思います。改めて、今回のことを受けて、法令遵守や企業倫理の観点から設置者の責任をどのように認識しているのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  法律に基づき、必要となる添付書類を添えて届け出がなされ、それをもとに県から設置者に対して意見を通知していることから、届け出内容と現地の状況が異なるということはあってはならないと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)そうです、あってはならないんです。あってはならないから、この設置者の責任をどのように認識しているのか、重ねて問います。商工観光労働部長、お願いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  今申し上げましたように、届け出内容と現地の状況が異なるということがわかりました。それ以降、県のほうから設置者に対しまして指導等もしておりますが、この届け出に基づく内容となるように設置者は是正するということが必要かと思います。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)じゃ、次の質問に移ります。  今も御答弁にありましたけれども、県の対応を検証する必要もあると考えています。今、指導したということでしたけれども、住民からの相談を受けて、県に対応を求めたところ、県は8月10日の開店の前日になって、ダイエーから指摘部分に対する見解と今後の対応について文書の提出を受けたと仄聞しています。結果的には、届け出内容と異なるにもかかわらず、この文書をもって開店を容認する、そういった形になりましたけれども、開店前に是正させることもできたのではないかと考えています。県の対応について問題はなかったのか、商工観光労働部長にお伺いをします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  御質問にありましたように、当該案件につきましては、6月に県から設置者に対して通知した後、開店までの間に、届け出どおり履行されていないことが確認されたところです。これを受けまして、県では、対応方針等を設置者から聴取し、適切な対応がなされるよう指導してきたところでもあります。設置者からは、来店者の安全確保を考慮し、開店後の混雑が落ちついた後、周辺住民など関係者の御理解が得られた段階で改善していくとの報告を受けております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、一連の経過について御答弁をいただきましたけれども、要するに、改善しますというこの紙があれば、届け出内容と異なっていても開店を是認してもいいということでよろしいんでしょうか、商工観光労働部長、お伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  大規模小売店舗立地法の規定では、県から設置者へ意見を有しない旨通知した場合は、開店は可能になるということでございます。今回のケースの場合、開店が迫っておりまして、また、事業者からは、先ほど申しましたように、開店後の混雑が落ちついた後、周辺住民など関係者の理解が得られた段階で改善していくという報告を受けたものでありまして、予定どおりの開店となったものでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)じゃ、届け出内容と異なっていても、もう意見がないということで通知をした後であれば、こういった対応で問題はないということで理解してよろしいでしょうか。再度、確認の意味で商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  法規定上は、大規模小売店舗立地法の規定ですが、よりますと、県から設置者に対して意見を有しないという通知をした場合は、開店は可能となるということになっておりますので、それを今回のことによってとどめるということはできないというふうに思っております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ということは、届け出内容がその後変わったとしても何ら問題ないということですね。  こうした事例は氷山の一角かもしれないと思っております。新設の届け出について、届け出内容と異なって工事などが行われた店舗はほかにもあるのではないかと思います。ほかにもこうしたケースがある可能性がないのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  店舗の新設に当たりましては、届け出前と審議会の開催前の2回、現地調査を行っております。開店後につきましては、周辺地域の生活環境に著しい影響を及ぼすおそれがある店舗については現地での確認等を行っておりますが、全ての案件について確認をしているものではありません。したがいまして、可能性ということであれば否定できないものと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)やはり大規模小売店舗については、開店後も周辺地域の生活環境に影響を与えていないか、しっかりと検証していく必要があると考えています。現在も、届け出事項の実施状況を調査するため、設置者に報告を求めることはできますが、例えば神戸市では、さらに立地法の運用要項に開店後における実態調査を規定して、必要に応じ、設置者に対して開店後の実態調査を行うことができるとしています。本県において、事業者から報告を求めた実績とあわせて、こうした仕組みを設けることについて、商工観光労働部長の見解を伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  これまでも周辺地域の生活環境に著しい影響を及ぼすおそれがある案件や、審議会において事後報告を求める付帯意見がなされた案件などにつきまして、交通や騒音に関して事後的に報告を求めた実績はございます。議員の御質問にありましたように、必要に応じて実地調査を行うことなどによりまして、開店後も周辺地域の生活環境に影響を与えていないか検証することは必要であると認識しており、神戸市の事例を参考にしつつ、検討してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)そもそも、以前から審議会でさまざまな意見は出るものの、余り設置者の対応に反映されていないのではないかなと疑問に思っていました。今回のダイエー瀬田店の場合でも、駐車場の出口について、国道1号線の交差点から距離が近いことから交通の妨げになるといった意見や、歩行者や自転車が多く、通学路となっている歩道を横切ることから、安全面での課題を指摘する意見が、住民からだけではなく、この審議会の委員からも数多く出され、付帯意見が出されています。いたずらに設置者の活動を制約する必要はないと思いますけれども、こうした付帯意見についても、開店したら我関せずではなく、審査した県の責任として状況をフォローしていく必要があると思いますけれども、商工観光労働部長の見解をお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  県としては、付帯意見について、設置者において適切に対応されることが必要であると認識しております。こうしたことから、先ほどもお答えしましたように、必要に応じて実地調査を行うなどにより確認していく方策を検討してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)その点、しっかりと今後取り組んでいただきたいと思いますが、ただ、今の議論を通じて、余り届け出内容と異なっても開店は問題ないよという御答弁からは、問題を重く受けとめていただけなかったのかなというふうにも思いますけども、立地法を適切に運用し、審議会を形骸化させないようにするために、今回の問題を契機として、今後どのように審査の充実を図っていくのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  大規模小売店舗の立地に際し、周辺地域の生活環境を保持する観点から、設置者による適正な配慮が確実に行われることが大切であり、そのために立地法を適切に運用していくことが必要と認識しております。周辺地域への影響につきまして、設置者から詳細な説明を求め、より一層的確な現状把握に努めるとともに、開店後においても、必要に応じて設置者から報告を求めたり、あるいは実地調査を行うなどの方法によりまして、審査の充実を図ってまいる所存でございます。 ◆4番(佐藤健司議員) 終わります。ありがとうございました。 ○議長(奥村芳正) 以上で、4番佐藤健司議員の質問を終了いたします。  次に、12番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)冒頭に、解散総選挙にかかわって少し発言したいと思います。  小池百合子都知事が立ち上げた希望の党は、その顔ぶれを見ても、元自民党の中枢にいた人、民進党の中で野党共闘に反対して出ていった人、そして、ウルトラ右翼の人であります。また、その主張は、安保法制の肯定と憲法改悪であり、この党が自民党の補完勢力以外の何物でもないことを示していると思います。みずからが事実上解党して、この希望の党にひざまずいて公認申請をしている民主党の行為は、これまでの野党4党との合意や市民連合との合意を踏みにじるものであり、背信行為であり、極めて無節操であります。こういう行為が政治不信を広げるものであり、改めていただきたいと思います。日本共産党は、この2年間、安保法制の廃止と立憲主義の回復を掲げて、市民と野党の共闘が広がってきました。この王道を堂々と今後も歩むことを決意して質問に移りたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。  最後に、安倍農政改革について質問をいたします。  戦後農政の枠組みを解体する狙いでスタートした安倍農政改革は、TPP破綻のもと、片肺飛行で、協同組合は邪魔だと言わんばかりの農協に対する攻撃から、価格保証制度潰し、農地も種子も大企業に明け渡せという攻撃、来年からの米生産調整廃止などなど、究極の農業、農協、地域潰しのごり押しとなっています。それは、結局、額に汗し、豪雪や洪水、冷夏や干ばつに耐えて、命の糧である食糧を生み出すために営々と努力してきた家族経営農業を否定するものであります。  国連は、2014年を国際家族農業年としたのに続いて、農民の権利に関する国連宣言案の検討を進めて、家族農業こそが飢餓をなくし、地球を救うという立場を明らかにしています。安倍農政改革は、こういう世界の流れに完全に逆行しているだけでなく、農業を続けて地域を守りたいという農家の願いと、安全、安心な食糧を日本の大地からと望む消費者、国民の願いを踏みにじるものだと私は考えますが、安倍農政改革について知事の所見をお伺いいたします。 ○議長(奥村芳正) 12番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  農政改革につきましては、政府において平成25年12月に策定されました農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、その後、内容を改訂しながら、さまざまな改革が検討、実行されているところでございます。これらの改革では、生産資材価格の引き下げや農地集積、6次産業化や輸出促進など経営体質の強化につながる強い農業づくりと、地域コミュニティー活性化、都市農村交流の推進など、活力ある農村を目指すものと認識しています。  県といたしましても、本県農業、農村の持続的な発展を図るため、滋賀県農業・水産業基本計画に基づきまして、国の農政改革を踏まえながら、家族経営農業を含め、多様な担い手の育成や農村の活性化に向けて、施策を着実に実施してまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)安倍政権が農政改革を進めるに当たって、誤った議論が幾つか進んでいると思います。1つは、日本の農業は岩盤に守られて過保護であるという議論であります。しかし、世界を見ると、日本の農業所得に占める補助金の割合は4割弱でありますが、EUでは、イギリス、フランスは90%前後、スイスは100%が補助金であります。命を守り、環境を守り、国土を守る産業は国民みんなで支えるというのがEUの共通の認識になっています。アメリカでも、穀物3品目だけで輸出補助金が1兆円になっております。こういうところから見て、日本の農業が過保護であるということは当たらないと思います。  また、今、生産資材の引き下げなどをおっしゃられましたけれども、米価が高いという話もありますけども、自民党は米の生産費を4割下げろなどと今言っていますが、今、スーパーで米の販売価格、5キログラム1,960円、税別ですけども、これのお茶わん1杯の値段は22円であります。農家の手取りは、この価格でいきますと大体1万1,000円であり、生産費1万6,000円の7割となります。仮にお茶わん1杯30円で国民が食べれば、農家の生産費を償うことになります。お茶わん1杯35円になれば、農家の後継者が育つと言われています。こういう方向で日本の農業を安定的に発展させていくということは非常に大切だと思います。  そこで、来年からの国による生産調整の廃止、米の直接支払交付金の廃止は、1970年から開始された生産調整、1995年の食管制度の廃止とWTO協定のスタート、ミニマムアクセス米の輸入などの変遷を重ねてきた米つぶし政策の最終ゴールというべきものです。  そこでお伺いしますが、米の直接支払交付金の廃止による県内農家の減収は幾らになるか、農政水産部長にお尋ねします。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) (登壇)お答えいたします。  米の直接支払交付金は、平成28年度に、本県の農家の皆さんに総額で約19億円支払われております。当交付金の廃止によりまして、この19億円に近い額が農家の皆さんの収入減少になるものと見込まれております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)滋賀県全体で来年度から19億円の農家の減収ということでありますけれども、農水省は、来年から米政策を転換することについて、生産目標数量の配分をやめる以外は何も変わらないとうそぶいています。水田活用の直接支払交付金の主食用米以外の作物への助成は継続することから、国が提供する主食用米の生産販売価格情報などで、主食用米とそれ以外の作目を組み合わせて、市場の需要に応じて売れるものだけを生産し、確実に販売していけば、売れ残りを出さずに経営安定が可能になるとしています。これは、50年近くにわたって国、県、市町村、農協が挙げて推進してきた米の生産調整を行っても、結局は実効ある需給調整をできなかった歴史の現実を見ない空論であります。来年度からの米の生産調整についての取り組みについて、どのようにしていくのか、農政水産部長にお尋ねをいたします。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えいたします。  平成30年産以降も主食用米の生産調整は必要でありますことから、本県では、県や農業団体等で構成する県農業再生協議会において、これまでの生産数量目標にかわる指標といたしまして、主食用米の生産目標を地域に提示することが決定されたところでございます。  現在、市町や農業団体等と連携しまして、農家の皆さんに対しまして、1つには、これからも農業再生協議会が示す生産目標を守っていただくこと、2つに、契約栽培などにより、需要に応じた主食用米の量を確実に生産していただくこと、そして、3つに、ブロックローテーションなどによる麦や大豆の集団栽培を維持し、高品質・安定栽培を進めること、こういったことなどにつきまして、全農家向けの啓発資料の配布や、現地での説明会などにより周知し、これまでと同様に着実に生産調整が実施されるよう努めているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)来年から米の直接支払交付金が廃止されることで、そういう今までの生産調整に協力しない農家も出てくると思います。市町の農業再生協議会も大変苦労をされておられますが、今後の米の生産調整について、例えば長浜市では、集落営農活動支援補助金について、これまでの生産調整面積補助に加えて、集落調整補助と作付調整加算を拡充するとしています。こうした市町と農業再生協議会の取り組みに対して、県が財政的にも支援すべきだと考えますが、部長の見解を求めます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えします。  県では、市町および市町の農業再生協議会に対しまして、米政策推進等のために、国費および県費によりまして事務経費を補助しております。このうち、国の経営所得安定対策等推進事業費につきましては、農林水産省の平成30年度予算の概算要求においては増額がされているところでございます。  議員御質問の生産調整の円滑な推進のための市町独自の取り組みの支援についてでございますが、生産調整の推進は、県内の各市町においてそれぞれ取り組まれ、御努力いただいているところでございます。したがいまして、特定の市町の取り組みのみを対象にさらに支援をすることは、県としては難しいものと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)特定の市町ということでなしに、では、現在、市町のそういう生産調整の農業再生協議会の取り組みに対して全然補助されていないんですか、お尋ねします。 ○議長(奥村芳正) 答弁者は部長でよろしいですね。 ◆12番(杉本敏隆議員) 部長でお願いします。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えします。  先ほども御答弁させていただきましたとおり、市町農業再生協議会に対しまして、事務経費を国費および、そして県費も加えまして補助をさせていただいているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)次に、主要農作物種子法の廃止についての認識を問います。  主要農作物種子法は、米、麦、大豆など主要作物の品種改良を国、都道府県の公的研究機関が行い、良質で安価な種子を農民に安定的に供給してきた法制度です。安倍政権は、この種子法の廃止を強行しました。これにより、今後、公的育種、種子事業が国内大手や巨大多国籍企業の種子ビジネスに置きかわってしまう可能性があります。京都大学の久野秀二教授は、長い目で見たとき、種子法の廃止は、主要食糧を安定的に供給するためにこれまで築き上げてきた制度、体制を弱め、米、麦などの優良種子の供給が不安定になり、必要なときに手に入らなくなってしまうおそれがあると警告しています。種子法の廃止について、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  主要農作物種子法は、法制定の昭和27年当時と比べ、種子の品質が安定してきたことから、優良品種の決定や原種などの生産の義務づけ等を法制度として措置するまでの必要性は乏しくなったこと、また、2つ目といたしまして、都道府県中心の制度であるため、民間事業者が参入しにくい面があることなどから、国会で審議され、廃止が決定されたと伺っています。私といたしましては、県内の農家の皆さんが、本県農業の基幹である近江米を初め、麦や大豆を安心して生産していただけるよう、良質で安価な種子を安定的に供給するため、今後とも、県および県内農業団体がこれまでどおりの体制で種子生産を行うことが重要であると考えております。民間事業者の知見も活用しながら、大切な種子を守り、つくってまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)種子法の廃止は、これまで「みずかがみ」の開発など、県農業技術振興センターの水稲新品種の育成、主要農作物の原種生産などの取り組みに大きな影響をもたらすと考えます。センターのこの分野での今後の取り組みをどのようにしていくのか、知事に所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 農業技術振興センター、こちらは、「みずかがみ」など水稲の新たな品種育成や、本県の水稲、麦、大豆の主要品種、合わせて18品種の種子のもととなる原種等の生産、また、栽培技術の研究など、近江米のブランド化を初め、水田農業を支える麦や大豆等の安定生産に向け、大変重要な役割を果たしております。今般、主要農作物種子法の廃止とあわせて、新たに制定された農業競争力強化支援法において、国は、民間事業者が行う種子等の技術開発および新品種の育成等を促進するとされているところでございますが、農業技術振興センターにおいては、これまでから、民間事業者が育成した水稲品種の適応性試験を実施してきたところでございます。今後とも、本県の農家の皆さんの生産性向上を目指す中で、こうした民間事業者との連携も図りつつ、良質な種子の安定供給のために、農業技術振興センターが果たしてきた役割をしっかりと担ってまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)種子法が廃止されたことにより、国からの助成金なども変化すると思います。そういう意味で、今後とも、農業技術振興センターのこういう取り組みに対してしっかりとした育成が必要だと思います。  最後に、先日、党議員団で農業技術振興センターを視察したときに、農機具の老朽化が大変目を引きました。予算を拡充して農機具の更新をすべきだと思いますが、農政水産部長の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、年々、農業技術振興センターの農機具の老朽化が進んでいるということは認識をしております。業務に支障を来さないよう、日ごろから機械のメンテナンスや修繕等により長寿命化を図りつつ、必要な機械については更新を図っているところでございます。今後も、限られた予算の中ではございますが、農業技術振興センターがしっかりと役割を果たしていけるよう、計画的に農機具の更新等に努めてまいたいと考えております。
    ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)次に、霊仙山の崩落対策について質問をいたします。  今度の議会では、ニホンジカの食害による植林の荒廃や土砂流出、琵琶湖への流木や土砂の流入の問題がかなり取り上げられましたが、米原市、多賀町にまたがる霊仙山は、そうした状況が最も進み、災害の危険が高まっている山だと思います。  (資料掲示)資料をお配りしておりますけども、これは1994年の、一番左端ですけども、霊仙山の写真です。クマザサが胸元ぐらいまで茂っていて、そこをかき分けて登山をしていたと。ところが、20年ほど前から鹿がふえまして、今では山頂付近はこのクマザサが全滅しまして、雨が降れば表土が流出するという事態になっております。また、鹿が成木の皮を食べるために、あっちこっちで木が枯れて倒れております。この結果、2枚目ですけども、山のあちこちでこういう崩落がかなり起こっております。ほとんど毎月こういう崩落が見られるということでありまして、丹生川の上流のこの谷ですけども、こういう形で崩落して土砂が流れて、2013年の9月16日の台風18号に、これ、上丹生の村の中を流れる丹生川がこういう形ですごい激流となって、流木も流れています。霊仙山は、登山と、それから冬山のスキーも行われているんですけども、登山道の近くにあちこちに陥没ができておりまして、災害のおそれが非常に高まっているというふうに思います。こういう霊仙の状況について、どういう認識をされているか、知事に所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 霊仙山の山頂付近は、従来はクマザサが繁茂しておりましたが、近年、鹿の食害によりクマザサや低木が衰退して地表がむき出しになり、一部では表土の流出が見られる状況でありますほか、登山道の周辺には、石灰岩地域でよく見られるドリーネというくぼ地が点在しております。山頂部に続く斜面には、広葉樹や杉の森林が存在しておりますが、こちらも鹿の食害を受けることで、森林内の下草、いわゆる下層植生が乏しい状態でございまして、皮を剥ぎ取られたことにより枯れてしまう樹木も発生しているということでございます。また、複数の渓流の中流域から下流域には、崩壊地から発生した転石や土砂が堆積いたしまして、山腹部には規模の大きな崩壊地があるなど荒廃した森林が存在しております。加えまして、議員も御紹介いただきましたが、平成22年、25年の土砂流出による道路等への被害からも、渓流の荒廃が進んでいると言えます。県におきましても、このような状況を認識しており、これまでよりニホンジカの捕獲や砂防事業などの取り組みを進めているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)正式には「りょうぜんざん」と言うそうであります。すんません。「やま」のほうが言いやすいので。  それでは、これまでの霊仙山のニホンジカ対策はどのようなものだったのか、琵琶湖環境部長にお尋ねします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)お答えいたします。  霊仙山のニホンジカ対策といたしましては、県、米原市および多賀町による捕獲事業を進めております。具体的には、県が捕獲経費に対して支援を始めました平成22年度から、米原市および多賀町が有害鳥獣捕獲事業を実施されているところです。また、平成24年度からは、新たに霊仙山のふもとである上丹生地先におきまして、狩猟免許を持つ者と持たない者が協働してニホンジカの捕獲に取り組む地域ぐるみ捕獲推進事業の活用によりまして、米原市が捕獲を行っているところです。  さらに、平成25年度からでございますが、市町単独では捕獲が難しい高標高と申しますか、山頂付近の鳥獣保護区を中心とした地域におきまして、県がニホンジカ広域管理捕獲実施事業によりまして捕獲に取り組んでいるところであります。  霊仙山周辺の土砂流出対策を進める上で、ニホンジカの生息数を減少させることが不可欠であると考えておりまして、今後とも米原市や多賀町と連携いたしまして捕獲事業に取り組んでまいります。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)2013年から県のモデル事業として捕獲を進めているということなんですけども、お聞きしたところによると、2013年が2頭、2014年が16頭というふうに聞いております。この2017年度は、高い標高域での捕獲事業として、湖北では伊吹山と霊仙山で実施とありますけれども、この高い標高域、奥山での鹿対策、鹿捕獲事業、どのように進んでいるのか、進めていくのか、もう一度答弁をお願いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  奥山ですとか高標高域にニホンジカの被害が拡大をいたしておりますことから、今議員御紹介いただきましたように、広域管理ということで県で取り組んでいるというものでございます。  また、その捕獲の実績についてでございますけれども、御紹介いただきましたように、25年度が開始時でございますが、実際2頭でございます。26年度が16頭でございます。以降、27年度が14頭、28年度が17頭ということでございまして、大量にということで捕獲というところではございませんけれども、市町単独での取り組みがなかなか難しい地域でございます。そうした地域に県としてこうした捕獲を行っていくということは大切だと思っておりますので、引き続きまして効果が上がりますように取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)捕獲事業をやっているということなんですけども、年間十数頭の駆除ではほとんど効果が上がっていないというふうに思います。抜本的な改善を求めたいと思います。  続いて、砂防堰堤の建設工事が今行われていますけれども、これまでにつくった砂防堰堤は土砂ですぐ埋まってしまう状況です。下流への土砂流出対策について、今後どのような取り組みをするのか、知事にお尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 砂防事業では、丹生川の上流部が荒廃しており、土砂災害から上丹生の集落を保全するため、流出土砂量を調査し、新設砂防堰堤3基、既設砂防堰堤の改良2基、計5基の全体計画とした事業を行っています。平成27年度より最下流の堰堤新設工事に着手いたしまして、現在施工中でございます。残る4基についても下流より順次整備を進めてまいります。  また、砂防事業より上流部につきましては、平成25年度から霊仙山崩壊対策会議におきまして米原市と検討を重ねまして、治山事業により対応することといたしております。効果的な工法、資材の運搬経路等を検討しているところでございまして、治山事業の早期着手に努めてまいりたいと存じます。  なお、現在、まずは荒廃した森林の整備を先行して実施しております。米原市上丹生地区以外に整備が必要な米原市榑ヶ畑地区、多賀町霊仙河内地区におきまして、現在、治山ダム工を施工しておりまして、他地区についても調査をした上で必要がある場合は治山事業を順次進め、土砂流出防止に努めることといたしております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)すいません、1つ3番目を抜かしましたので、霊仙山での下層植生の回復や植林の取り組みはどのように行われていますか、琵琶湖環境部長にお尋ねします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  治山事業によりまして、平成30年度までの計画で、下層植生の衰退が著しい米原市榑ヶ畑地区および米原市上丹生地区におきまして、暗い林内を適度に光が差し込むように改善をするため、間伐を実施し、下層植生の回復を図っているところであります。  また、植林についてでございますが、現状のままでは苗木が鹿の食害に遭いますことから、個体数調整の動向や下層植生の回復状況を見ながら植林を行うことを検討してまいります。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)今、大量の土砂が丹生川を通じて天野川に入り、その河口の湖底では土砂がかなり堆積をしています。そこで、日本共産党が8月に行った、地方議員団が行った政府交渉で、林野庁は、霊仙山の実態に驚き、県から要請があれば森林総合研究所の調査チームを派遣すると回答しています。調査を初め、国の支援を求めるべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 霊仙山の崩落対策につきましては、ニホンジカの捕獲対策、治山事業による森林整備や治山ダム工の設置、砂防事業による人家の保全対策を一体となって進めていくことが必要であり、引き続き予算の確保について国に求めてまいりたいと存じます。あわせまして、米原市上丹生地区の治山事業におきましては、急峻で奥地にありますことから、復旧工法の検討等に当たって、必要に応じて国の調査チームの派遣についても検討していきたいと考えます。  今後とも、事業実施に当たりまして、関係部局の連携を密にして、霊仙山の崩落対策を進めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)よろしくお願いしたいと思います。  次に、湖北地域の医師確保について質問をいたします。全て健康医療福祉部長に答弁をお願いします。  先日の竹村議員の代表質問に対する答弁で、知事は、人口減少を考慮した二次保健医療圏の見直しを言及されましたが、今、人口減少地域の医療において最大の問題は医師不足だと思います。地域の医師確保にかかわる県の責務の法的根拠について教えてください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えをいたします。  医療法第30条の25におきまして、都道府県は、地域において必要とされる医療を確保するため、病院等における医師の確保を図るために必要な支援を行うよう努めるものとされているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)医療法に基づき都道府県の地域への医師の確保の支援が定められていると。また、県の保健医療計画でも、安定的な医師確保のシステムの構築というのが触れられております。それから、地域医療構想でも、医師の不足や偏在解消に向けた適正配置に取り組むとされています。こういう点で、医師不足に対する、また、医師の地域偏在に対して、県が責任を負っているということを確認しておきたいと思います。  次に、県内の医師の充足状況についてですけれども、2012年の滋賀県の医師の状況と確保対策では、2003年から2012年の医師数は大津、湖南で大きくふえています。湖東、湖北、湖西では減少しています。現在の県内の医師の充足状況について教えてください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  国が2年ごとに実施をしております医師・歯科医師・薬剤師数調査によりますと、本県の医師数は、平成16年の2,755人から平成26年の3,149人と、394人増加をしており、県全体としては増加傾向にございます。しかし、湖東圏域では276人から242人へと、また、湖北圏域では294人から284人へと減少をしておりまして、地域偏在は依然解消していないと認識をいたしております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)全体としてふえていて、湖北や湖東などで減っているということは、地域偏在が拡大しているということでよろしいですか。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  それぞれの圏域における医師の数の状況から見ますと、従前の状態と同様に、湖東や湖北での数の不足というのが見られるということから、地域偏在が解消していないと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)地域偏在が解消していないどころか、拡大しているというふうに思います。  そこで、厚労省が出している地域医療対策事業実施要領に基づいて、滋賀県の地域医療支援センター運営事業はどのように行われているか、答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  本県では、平成24年度に、医師確保支援センターの機能を充実、強化する形で、滋賀医科大学と共同して地域医療支援センターであります滋賀県医師キャリアサポートセンターを設置をいたしました。このセンターでは、医師不足の状況等の把握、分析、医師不足病院の支援、医学生、研修医向けへの修学資金・研修資金制度の運営、また、若手医師、女性医師のキャリア形成支援などの事業を行っているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)厚労省の要綱を見ますと、その地域医療支援センターの運営事業の目的は、詰まるところ、医師の地域偏在を解消するというところに最大の主眼があるというふうに読み取れます。そこで、今おっしゃったように、医師の不足状況等の把握、分析、そして、医師不足病院の支援というのを医師キャリアサポートセンターで行っているということなんですけれども、そこでお伺いしますけども、長浜市の毎年の県要望では、地域や診療科にある医師の偏在解消に向け、実効性のある医師確保対策の実施を求めています。現在、市立長浜病院では、消化器内科と小児科で医師不足が深刻で、来春からの小児科閉鎖の危惧まで聞かれます。また、同病院の医師の勤務実態は、本年4月から8月の間で、1カ月間の時間外労働が80時間を超えた医師が31人、100時間以上が17人、最も長時間の医師は188時間となっています。医師不足による経営悪化も深刻です。湖北地域の医師不足の状況をどのように把握されていますか、お尋ねします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  湖北地域の人口10万人当たりの医師数は、平成26年で178.6人でありまして、県全体の222.4人を下回っております。長浜市内の病院では、今年度増員になった診療科がある一方で、消化器内科、小児科、呼吸器内科、血液内科、眼科等で医師が不足をしており、日常の診療に影響が出ているということ、また、病院間で連携して診療体制を維持されているというふうに承知をいたしております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)今おっしゃったことは、地域医療構想の推進のポイントの中でも、湖北地域は医師不足が大幅な入院制限をもたらしていると、医師を初め医療従事者の確保が重要であるというふうに明記をされております。そこで、これまでの湖北地域への医師確保支援の実績についてお尋ねいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  湖北地域へは、継続的に自治医科大学の卒業医師の派遣を行っております。現在、湖北病院へ2名、長浜赤十字病院へ1名、浅井診療所へ1名、計4名を県から派遣をいたしております。また、県職員としての派遣が終了した後も、湖北地域の病院や診療所で活躍されている自治医科大学の卒業医師が10名おられます。このほか、麻酔科医師の不足を補うため、滋賀医科大学が行います麻酔科医ブラッシュアップ事業への補助によりまして、市立長浜病院へ麻酔科医1名を派遣しているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)市立長浜病院では、現在、小児科の医師が2人で、来年の春から閉鎖しなければならないような状況もあると、少なくとも3人から4人の増員が必要だというふうにおっしゃっておられました。小児科を閉鎖すれば、産婦人科も非常に危機的な状況になるというふうに伺っております。そういう意味では、こういう運営要領に定められています、そういう病院ごとでの医師不足に対して的確な支援をお願いしたいと思いますが、この地域偏在の解消についての取り組みの強化について、部長の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  将来にわたって安定的な医師確保を図っていくため、県としましては、これまで取り組んでまいりました医師確保システムの構築や魅力ある病院づくり、また、女性医師の働きやすい環境づくりの3本柱の取り組みを進めてまいることとしております。あわせまして、若手医師の一層の県内定着、確保に向けまして、滋賀医科大学や県内13の臨床研修病院と連携をいたしまして、魅力ある研修システムづくりに取り組んでいるところでございます。  今後とも安心して暮らせる地域医療を確保するために、病院の機能分化と連携を進めながら、湖北圏域の病院、医療関係者や地元の市の考えもお聞きをして検討をし、医師の確保、定着に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、県立看護専門学校についてお尋ねをいたします。  長浜市にある県立看護専門学校について、学校が果たしている役割について答弁を求めます。健康医療福祉部長にお願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県立看護専門学校は、湖北地域唯一の看護師養成所として、毎年、入学者の9割程度が県内出身であり、また、卒業生の8割から9割が県内で就業され、そのうち7割程度が湖北地域で就業をされております実情から、県内、特に湖北地域の看護師確保に貢献していると認識をいたしております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)地域に非常に大きな役割を果たしていると思うんですけども、例えば、昨年度の国家試験の合格率は100%ということで、大変頑張っておられると思います。  そこでお伺いしますけれども、専任教員の平均年齢が高く、専任教員の計画的な確保に向けた取り組みが必要になっていると思います。また、学生定員240名に対し、教員は12名。県内の他の看護専門学校と比べて、教員1人当たりの学生数が多く、教員の負担が重くなっています。教員12名と実習嘱託職員3名の15名で教育に当たっておられますが、学生が臨地実習を行った場合、14人の教員が実習施設に出向し、学内には1人の教員しか残らないという状況があると聞きます。最低でもあと2人の教員の増員が必要だとの声がありますが、専任教員の養成と増員について答弁を部長に求めます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県立看護専門学校の教員につきましては、県立病院や総合保健専門学校との人事異動による確保とあわせまして、平成24年度からは、長浜市内の病院からの派遣により確保をしているところでございます。これらにより新たに配置となった教員につきましては、専任教員養成講習を受講をさせておりまして、この結果、看護専門学校の現任の教員は全て専任教員養成講習を修了をしております。専任教員の定数は、法令等により、学生定員に応じて段階的に定められておりまして、看護専門学校におきましても必要数を配置をしているところでございます。なお、実習時などの繁忙期における対応につきましては、講義等への支障や教員の負担など、学校の実情を聞き取った上で検討してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)教員の数は、現在、法定数ぎりぎりなんですよ。だから、そういう手いっぱいで回らないところもあるので、ぜひ増員を検討していただきたいというふうに思います。  志半ばで退学する学生が少なからずおられます。現在の体制では、身体面において、または精神においても学生のフォローが十分できない状況にあるとお聞きいたします。学生の健康管理のカウンセラーの配置が求められていると思いますが、答弁を求めます。部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  学生支援のカウンセラーにつきましては配置しておりませんが、県立看護専門学校におきましては、教員が学生の相談に応じているところでございます。県では、看護師や看護学生を対象に、週1回カウンセラーによるカウンセリングや電話相談が受けられるように滋賀県看護協会へ事業委託をしておりまして、県立看護専門学校におきましてもこの事業を活用しているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)それが十分でないから、体制の補強やカウンセラーの手当が必要だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、県立大学の第3期中期目標について質問をいたします。  第3期中期目標(案)では、外部資金の積極的な獲得に努め、財政基盤の強化を図るとされています。県立大学の財政基盤が弱い決定的要因は、貧弱な運営費交付金にあります。法人化当初と比べて学生数は300人もふえているのに、運営費交付金は5億円以上減らされており、普通交付税の基準財政需要額の0.64でしかないと。県立大学と学部構成等が類似している兵庫県では0.75、岡山で0.72、広島県では1.14ということで前回の質問のときに答弁がありましたけれども、滋賀県の低さは歴然としています。今後、運営費交付金の拡充についてどのように考えておられるのか、知事の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) お答えをいたします。  県では、限られた財源の中で、県立大学の特色ある教育研究に支障が生じることがないよう運営交付金を交付しております。基準財政需要額に算定されている額と乖離はありますものの、運営交付金とは別途、大規模な施設整備については施設整備費補助金を交付するなど、必要に応じた支援を行っているところでございます。今年度におきましても、地方創生推進交付金を活用いたしまして運営費交付金を増額したところでございまして、県立大学では新たに地域ひと・モノ・未来情報研究センターを設置され、将来の滋賀の産業の活性化に向けて、ICTを用いた製品、サービスの開発や、高度な数理、情報専門人材の育成に取り組まれております。  また、県では、財政的な支援のみならず、地域課題解決に向けた研究委託や、県職員が講師として大学に赴き、県の各分野における現状、課題と施策について講義するなど、多方面な支援を行っているところです。  県といたしましては、滋賀における地方創生や持続可能な発展に向けて、知の拠点である県立大学が、これまでの教育研究の成果を生かしつつ、地域に貢献できる人材の育成や地域課題の解決に向けた研究に取り組むことができるよう、大学側と議論しながら、どのようなことができるか、必要な検討を行ってまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)今議会では、第3期中期目標(案)に対する議決を求める議案が出されております。賛成をしたいのですけれども、この運営費交付金に対する今後どうしていくのかと、ふやしていくのかどうなのか、そこのところをはっきりしていただかないと目標に賛成できないというふうに思いますので、はっきりと答弁をお願いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 議員の御指摘とお考えは承りたいと存じますが、先ほども答弁させていただきましたように、財源の中で県立大学の支援を行っているところでございますし、お取り上げいただいております運営費交付金以外にも、さまざまな形でこの県立大学との連携、また共同といったことは行っておりますので、そういったことを御勘案の上、ぜひとも御賛同いただければ幸いでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)後で授業料減免の話にも行くんですけども、決定的に運営交付金が少ないから大変な事態に陥っていると。これはもう0.64というのは、全国見ても非常に低い基準財政需要額に対する比率なんですけども、滋賀県の大学に対する取り組みというか、その根本が問われているというふうに思います。何よりも、ことしはふやしたと言われますけれども、法人化当初よりも300人も学生がふえているのに5億円以上減っているということもあります。そういう意味では、今後、運営費交付金について、財政基盤の強化ということを言うのなら、まずここをしっかりと手当をしていただきたいということを求めたいと思います。  次に、地域人材の育成というミッションを果たすべく、広く県民に支持される大学、誇れる大学となることを目指して第3期中期目標を定めるとしていますが、県内からの入学生が三十数%、県内就職率も30%弱という現状を変えるための努力が求められていると思います。県内の高校生が憧れる大学となるために、ブランド力の向上、さらなる県内生優遇制度、学生寮の設置などに取り組むべきだと思いますが、知事の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 県立大学では、県内出身者に対する配慮といたしまして、入学定員の約2割について県内高校生を対象とする推薦入学試験を実施しておりますほか、県内に住所を所有する入学生の入学料を県外出身の入学生よりも低く設定するなどの措置を講じてきています。また、県立大学の魅力が県内高校生に伝わるよう、大学施設を利用した模擬講義ですとか高校への出前講座などの高大連携事業に取り組んでおります。  さらに、昨年度からは、知の拠点としての大学ブランドの確立と入学志願者の確保に向けまして、受験生や県内高校の進路指導教員等への入試広報をきめ細かに実施するとともに、パブリシティー活動の強化や教育研究等の成果を積極的に発信するなど、広報活動を戦略的に展開しているところでございます。  県では、来年度からの公立大学法人滋賀県立大学第3期中期目標(案)におきまして、県立大学に対して、社会への効果的な広報と戦略的な入試広報の実施を指示することといたしておりまして、県内高校生を初めとする多くの受験生にとって、県立大学が知っている大学から憧れる大学、入りたい大学になるよう、大学ブランド力強化に向けて、さらなる取り組みを求めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)県内生に授業料でなしに入学金を減免しているということなんですけども、国立大学の入学金と一緒なんですよね。  そこで、もう1つ、さっき聞いたんですけども、学生寮の設置ということなんですけども、東海道沿線にいる学生は通えるんだけども、堅田とか湖西のほうからはなかなか通学できないというふうな問題があって、普通、大学には学生寮があるんですけども、県立大学には学生寮がないということで、つくるべきで、つくってほしい、そういう声がありますけども、これについてはいかがですか。 ◎知事(三日月大造) 大学側にもお話聞いてみたいと思います。そういうお声がどれぐらいあるのかないのか、また、どういう状況なのかということを確認の上、必要な検討を行いたいと思います。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)最後に、授業料の減免についてお伺いいたします。  経済的困窮の学生の授業料減免について、今年度、どのように改善されたのか、総務部長の答弁を求めます。 ◎総務部長(村上浩世) (登壇)お答えいたします。  県立大学におきましては、今年度、授業料減免制度について、経済的困窮者への支援の観点から、1つには、成績基準判定の簡素化、2つには、世帯の総所得金額の算定に当たって控除額の増額等の見直しにより対象者や減免割合の拡大を図られたと承知しております。今回の見直しにより、例えば、生活保護受給世帯と同程度の所得の学生につきましては、成績基準にかかわらず授業料の減免対象となりました。  今年度前期の授業料減免実績につきましては、77名の学生に対して1,260万円余りの授業料減免を行い、昨年度同期よりも約120万円の増となったところでありますし、制度見直しにより新たに7名の学生が授業料の減免を受けることができるようになったと承知しております。  また、制度の周知の面で、県立大学では、後期の授業料減免募集に当たり、学生に対して制度見直しの周知を徹底しており、応募者の増加と制度の見直しにより授業料減免を受ける学生数や減免額が昨年度よりも増加する見込みだと大学からは聞いております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)昨年度より改善されたということなんですけども、それでは、すぐ近くの滋賀大との比較はどのようになっていますか、総務部長に答弁お願いします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えをいたします。  滋賀大学、それから県立大学ともに、授業料の減免に当たっては、成績基準と所得基準とで対象者を決める仕組みになっていると承知しております。その中で、滋賀大学のほうが対象者の範囲が広く、減免割合も大きい仕組みとなっている状況でございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)その中身をもう少し詳しく教えていただけませんか。部長に答弁お願いします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えをいたします。  具体的な例で申し上げますと、例えば滋賀大学でありますと、学生の場合、一定の学力があって、世帯の総所得金額が例えば4人家族で300万円程度であれば、授業料全額が免除されるということでございます。一方で、県立大学の学生さんの場合には、滋賀大学の学生と同じ学力、それから所得状況にある場合におきまして、成績順位に応じて授業料の半額または4分の1が免除されるという制度になっていると承知しております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)要するに、所得基準が生活保護基準を導入しているから、例えば今年度、聞いたところでは100人以上の応募があったと、しかし、実際には70人前後しか減免を受けられないという状況になっていると思います。で、去年よりも前進しているとおっしゃるんですけども、昨年度が非常に低かったんですよね。2015年度と比べてどうなのかということも見る必要があると思います。滋賀大へ行けば減免が受けられるのに、県立大では受けられない状況がすごく広がっています。こういう格差についてやっぱりなくさなければ、県立大学へ県内の学生が行こうと思っても行けないと思うんですけども、そこら辺の認識はお持ちですか、部長に答弁求めます。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  まず、大学の魅力という点で申し上げますれば、授業料の減免というものもございますでしょうし、そのほか、さまざまな教育研究の内容で学生さんは大学を選ばれているものと存じます。  その上で、減免制度の充実についての見解ということでございますけれども、県立大学では、県が定めた中期目標に向けて、教育研究を着実に取り組むことができるよう、大学みずからが予算を編成されております。その中で、授業料の減免に係る費用につきましても、可能な限り多くの学生さんに経済的支援ができるよう工夫しながら取り組まれているものと承知しております。県としましても、今年度の予算では、限られた財源の中で、県立大学の授業料減免制度の見直しに対しまして、運営費交付金を増額し、支援を行ったところでございます。県では、来年度からの第3期中期目標(案)におきましては、県立大学に対して、学生が安心して充実した学生生活を送れるよう、切れ目のない徹底した学習支援、あるいは生活支援を行うことを指示することとしております。今後の授業料減免制度のさらなる見直しを含めまして、県立大学の取り組みに関して御相談を受けますれば、議論をしてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)大学が予算編成するんですけども、その大もとは運営費交付金の枠があるわけですよ。そこが限られているから拡大しようと思っても拡大できないという財政的な制約があると思います。そういう意味でも、県立大学の運営費交付金を抜本的に拡充することを求めて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、12番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。
     しばらく休憩いたします。   午後0時27分 休憩    ────────────────   午後1時29分 開議 ○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、8番角田航也議員の発言を許します。 ◆8番(角田航也議員) (登壇、拍手)では、通告に従いまして、大きく2つのテーマについて質問します。  まず、地域主導型再生可能エネルギー導入促進に対する支援について、分割方式で知事にお尋ねします。  我が国においては、農山村には再生可能エネルギーに活用可能な資源が豊富に存在しており、これらの資源を最大限活用し、再生可能エネルギーの導入を図ることにより、そのメリットが地域に還元されるよう、さまざまな施策がつくられています。例えば、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律が制定されました。本法により、再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者は、あわせて農林漁業の健全な発展に資する取り組みを行うこととしており、売電収益を地域還元することになります。その際、農林漁業者やその組織する団体、以下、農林漁業者等といいます、を初めとした地域の主体が主導して売電事業に取り組むこととなれば、地域における所得の向上に一層高い効果があり、農林漁村の活性化に大きく貢献することになります。  しかしながら、売電技術や会計処理等といった再生可能エネルギー売電事業に必要な知見、ノウハウが十分でないことなどから、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく固定価格買取制度導入後も、民間の金融機関が再生可能エネルギー発電事業を行おうとする農林漁業者等に資金を融通する例は少ない現状にあります。このため、農林漁業者等が主導して行う農林漁村の資源を活用した再生可能エネルギー発電事業の取り組みについて、事業構想から運転開始に至るまでに必要となる各種の手続や取り組みを総合的に支援し、再生可能エネルギー発電事業を適切に行える事業体の形成を図ることを積極的に支援する制度ができています。  本県の場合、県土の面積の6分の1である琵琶湖を取り巻く山間部であり、特に山間地域において地域資源である水と傾斜を活用した水力発電事業は、地域の活性化を図る上で大変有効な手段と考えます。しかしながら、水力発電事業は採算性のとれる事業であっても、市民団体が実施する場合、実際に事業を実施する段階における事業資金の担保に大変苦慮し、事業が滞ることがあると考えられます。  そこで、他府県では、地域活性化を目的とする地域住民組織等が小水力等の県民再エネ発電事業を実施する際の基本調査、概略設計など事業計画策定までの取り組みを支援する補助事業に加えて、設備導入に必要な経費の一部を補助したり、事業資金を無利子、無担保で貸し付けるなどの制度が既に施行されているところもあります。今日までの本県での小水力発電事業者が手がけている事例は、他府県から来た事業者であったり、地元住民団体の事業提案ではなく、民間事業者にダム利用の権利が委託されたり、前述の国の趣旨とはいささか異なる実情になっているように見えます。  本県では、全国に先駆けて、原発に依存しない新しいエネルギー社会の構築に向けた長期的、総合的かつ計画的なエネルギー政策を推進していくため、しがエネルギービジョンが昨年3月に策定されました。その政策に基づき、滋賀県地域エネルギー活動支援事業補助金が設けられ、エネルギーの自治の推進やエネルギー分野からの地域活性化を図るための地域団体等による主体的な活動の支援を進めておられます。しかし、支援規模が小さく、主体的に取り組む地域団体等のニーズには十分応えられていないとの声を聞いております。  知事は、原発に依存しない新しいエネルギー社会の実現に向けて、地域主導によるエネルギーシフトに向けたローカルイノベーションという言葉をよく使われます。単に原発に依存しない社会を目指すのではなく、同時に、災害等のリスクに強い安全、安心な社会、環境への負荷が少ない低炭素社会、そして地域内経済循環による地方創生も目指しておられます。この地域内経済循環による地方創生を進める上でも、地域主導型再生可能エネルギーの普及促進を図るための支援拡充が必要と考えますが、知事のお考えを伺います。  ことし4月には、県営姉川ダムにおける水力発電事業がスタートし、先月20日には、米原市小田にて県内2例目となる農業用水路を利用した小水力発電所、姉川エコ発電所が開所しました。そのほか、しがエネルギービジョンによりますと、県や市町が所有する上水道施設の送水管で発生した余剰圧力を活用した管水路用マイクロ水力発電の導入に向けた検討や、バイオマスエネルギーの利用促進に向けたさまざまな取り組みが進められようとしています。固定価格買取制度における買い取り価格が低下していく中で、地域主導型再生可能エネルギーに限らず、再生可能エネルギー全般にわたって、今後いかに利用促進を図っていかれるのか、知事に伺います。 ○議長(奥村芳正) 8番角田航也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)角田議員からいただきました再生可能エネルギーについて2点の御質問のうち、まず1点目、地域主導型の普及促進のための支援拡充についてお答えいたします。  再生可能エネルギー普及に当たりましては、地域内経済循環を促進する観点から、地域の住民や事業者等の主体により事業が行われることが重要であると認識しています。地域の住民団体が取り組む小水力発電につきましては、これまでから県としても、こうした団体と情報交換を重ねながら事業化に向けて協力しています。  小水力発電に限らず、事業化に向けた具体的な支援のあり方につきましては、事業者の自助努力を基本としつつも、個々の事業の先導性や公共性、事業リスク、国の補助金の動向等を十分見きわめながら検討していくことが重要であると考えます。今後とも、他府県の施策の動向等も情報収集しつつ、構想、検討から実装化に至るまでの各段階において適時適切に対応しながら、小水力発電を初めとする地域主導型の再生可能エネルギーの普及促進を図ってまいりたいと存じます。  2点目、再生可能エネルギー全般の利用促進についてでございますが、再生可能エネルギーの普及に向けましては、導入が進んでいる太陽光発電のほかに、特に、しがエネルギービジョンに掲げます重点プロジェクトに位置づけております小水力とバイオマスの利用促進に努めています。  小水力につきましては、地域主導型の取り組みを支援するほか、御紹介もいただきましたが、農業水利施設を活用した小水力発電施設整備事業を引き続き着実に進めるとともに、事業者とも連携しながら、新たな導入ポテンシャルの発掘にも努めていく所存であります。  また、バイオマスに関しましては、木質バイオマス利用に向けた取り組みを引き続き支援するほか、水草や野菜残渣のエネルギー利用に向けた事業化可能性調査を支援し、地域の課題解決や活性化に向けた先導的なプロジェクトの創出に努めていく所存であります。  こうした取り組みを通じまして、小水力やバイオマスなど、まだまだ有効に活用されていない地域資源の利用促進を図り、この滋賀の地で持続可能なエネルギー社会の輪が広がっていくよう、引き続き尽力してまいりたいと存じます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)滋賀らしい新たな農山村振興の実現と地域主導による再エネ発電事業の普及促進を図るため、ぜひともさらなる支援事業の創設をお願いしたいと思います。県内各地において、積極的に地域主導型の再生可能エネルギーの導入が促進されますことを期待しまして次の質問に移ります。  次に、真の共生社会の実現に向けて、知事に一問一答方式で質問します。  6月定例会議で、私は、共生社会の実現に向けてという質問項目を立て、知事に共生社会の実現に向けたこれまでの取り組みや今後の課題等について質問をさせていただきました。その中で、車椅子の生徒が在籍するなど、必要性、緊急性の高い県立高校にはエレベーターを設置していくべきではないかという趣旨の質問をさせていただきました。それに対して知事は、「誰もが安心して学習できる環境を常に整備、推進することは大変重要であると認識している」とおっしゃいましたが、「県立高校におけるエレベーターの設置については、現在の財政状況を勘案すると、大規模改修を伴わないエレベーターの単独設置は、多額の経費が必要となることから、直ちに実施することは困難であると考える」と答弁されました。  一方、6月に発表された県の厳しい財政状況を示す今後の財政運営の基本的な考え方の中で、削減一辺倒ではなく、県民生活や将来に向けて必要な投資にはしっかり対応すると示されています。そして、知事は、日ごろより、全ての人に居場所と出番がある共生社会の実現をと言われ、誰一人取り残さないというSDGsの理念を推奨されてもいます。  そこでまず確認ですが、6月定例会議から3カ月経過しましたが、エレベーターの設置は困難であるというお考えに変わりはないでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 前回の6月議会で答弁させていただきましたとおり、全ての学校への設置が望ましいと考えておりますが、現在の財政状況を勘案すると、現時点においても、直ちにエレベーターが未設置の学校に単独で全て設置することは困難であると考えているところでございます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)想像はしておりましたが、ここで設置しますと言っていただければ質問を打ち切るところだったんですが、続けて質問をさせていただきます。  本県の県予算に対する教育費の割合は、平成28年度当初予算においては25.6%であり、同規模の他県に比べて教育予算は手厚い状況ですが、内訳は、職員給与費が86.8%、約1,200億円、その他の事業費は13.2%、約180億円と、大部分が人件費となっています。では、財政状況を勘案すると困難とは、教育委員会の予算内では困難という意味でしょうか、それとも、県庁全体の財政状況から、これ以上教育費をふやせず困難という意味でしょうか、お尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) 答えを端的に言えば、県全体の財政状況を勘案し、直ちに設置することは困難と判断したものでございます。  平成29年度当初予算におきましては、扶助費の増加等に対応するため、財源調整的な基金を100億円取り崩すことなどにより、収支の均衡を図りました。加えまして、本年6月に公表した今後10年間の財政収支見通しにおきましては、毎年度100億円以上の財源不足が生じる見込みとなっているところでございますので、冒頭申し上げたような判断をさせていただいているところでございます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、再問ですが、今後、国体等大型事業があります。その歳出を最小限にして教育予算を拡充するというお考えはないのでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 御質問でお取り上げいただいています教育予算、また、さまざまなバリアフリー等に関する予算等も大変重要な予算であると同時に、7年後に迫った国体に向けて準備をするということも大切でございます。いずれにいたしましても、最少の経費で最大の効果を生むということを旨としつつ、全体の事業がそれぞれ行えるように、優先順位も勘案しながら予算配分に心がけていきたいと考えております。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)おっしゃることは理解はいたしますが、さきの代表質問でも紹介しましたように、バリアフリー化やユニバーサルデザインに積極的に取り組んでいる佐賀県では、個別の障害への対応が必要となる生徒が入学されるのに合わせて、エレベーターの設置や多機能トイレの増設などの必要な整備が進められています。佐賀県のホームページのユニバーサルデザインに関係するページには、「県立高校への進学を希望する皆さんへ」という見出しのもと、佐賀県では、県立学校施設についても、生徒を初め、誰でもが利用しやすいように、計画的にユニバーサルデザイン整備を進めています。生徒の個々の障害の状況に合わせて、エレベーターの設置や多機能トイレの増設等の必要な施設の整備は、入学されるのに合わせて行いますので、安心して県立学校を受験してくださいとまで書かれています。  佐賀県は、人口約82万4,000人、平成29年度当初予算は4,335億円、うち教育費22.6%、約980億円と、本県より人口や予算規模は小さく、教育費の全体に占める割合は小さくなっています。また、本県の前年の平成35年に国体、全国障害者スポーツ大会が佐賀県で開催されることになっており、本県同様、国体、全障大会に向け、財政需要が高まり、財政的に厳しいことに変わりはないと思われます。にもかかわらず、佐賀県では、生徒の入学に合わせて、個別に大規模改修に伴う場合でなくてもエレベーターの設置がなされています。佐賀県での取り組みについて、なぜ本県と佐賀県でこうした違いが生じるのでしょうか、知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 佐賀県のそういった取り組みを御紹介いただきましてありがとうございます。それぞれの県で、それぞれの事情や都合の中で施策を展開されているということだと承知をしておりますが、よいものは学びながら、それぞれ県の中でもまた展開していければと考えているところです。ただ、本県は本県の考え方で、皆さんの御意見も伺いながら事業を進めていくということでございますので、一概にその今御紹介いただいたことだけをもって、本県が全て合わせていけるかというと、そうじゃない事情もあるのではないかと考えます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、次に、本県でも過去に大規模改修等に伴わないエレベーター設置の例があると仄聞しておりますが、それはどういった理由で設置されたのでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 安曇川高校の件だと思われますが、平成12年度に総合学科が設置されて、平成13年度に情報処理系列に障害のある生徒2名が同時に入学されたということでございます。当初は、階段昇降機2台を使用しておりましたが、新たに総合学科を設置したことにより、2年生から情報処理の実習が多くなり、実習教室への移動が大幅にふえ、生徒本人や補助員の負担が増大したことから、平成14年度にエレベーターを教室棟に設置したというふうに伺っております。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)再問ですが、では、大規模改修に伴うエレベーターの設置ではないということでしょうか。 ◎知事(三日月大造) この安曇川高校の例は、大規模改修等を伴わないエレベーターの設置だと伺っております。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、次に、財政状況の厳しさを設置困難の理由にされますが、先ほど先進事例として挙げました佐賀県で、県のユニバーサルデザインの担当職員の方や教育委員会の職員の方のお話を聞かせていただくと、財政が厳しいのは同じだが、佐賀県がバリアフリー化やユニバーサルデザインに積極的なのは、トップであるまさに知事の思い一つであり、知事しかなかなか変えられないというお話でした。このことについて、誰一人取り残さないという理念のSDGsを推奨され、全ての人に居場所と出番がある共生社会の実現を公約に掲げられている知事はいかにお考えでしょうか。 ◎知事(三日月大造) トップである知事のそういう役割というものは強く自覚をしたいと思います。同時に、県全体の中で、県庁全体、また、県議会の皆様方との協議、議論の中で施策をつくっていくということだと思います。御紹介もいただきましたが、誰一人取り残さないというSDGsの考え方、これはしっかりと持ちながら施策展開をしていきたいと思いますし、今回のエレベーターの件も、直ちにエレベーター設置という形で対応できないものの、何とかその生徒の移動をということで、SDGsの考え方も踏まえて、今できる精いっぱいの取り組みをさせていただいているところでございます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、次に、今後の対応について伺います。  知事は、6月定例会議の私の代表質問に対し、次のようにおっしゃいました。すなわち、「階段昇降機の設置など、でき得る対応を最大限行っていきたい、あわせて、教育に係るその他多くの課題も含めて、今後どう対応していくのか検討していきたい」と。その後、いかに検討され、どのように対応されたのか伺います。 ◎知事(三日月大造) 今回の伊吹高校のことを取り上げて御質問いただいたと思いますが、まず、全体的にエレベーター未設置の学校については、階段昇降機の利用をお願いしているところでございますが、この学校において御利用いただいていた昇降機が旧式でありましたことから、少しでも生徒、また先生方の負担軽減を図るために、この2学期から最新の階段昇降機の導入をさせていただいたところでございます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)今、知事がおっしゃったように、車椅子の生徒が通う伊吹高校に対する対応ですが、2学期の始業日の8月28日に最新型の階段昇降機を導入していただきました。旧型より小回りがきいて、昇降時の角度も緩やかになり、本人の恐怖感も少しは軽減されるものと期待をしておりました。あくまでエレベーターの設置を要望し続けますが、それまでの次善の策として、少しでも本人や周りの先生方の負担の少ない移動手段を導入していただいたという配慮には感謝を申し上げます。  ところが、残念なことに、新型機が導入される直前に、生徒本人が旧型機を使用中、階段昇降機からおりる際、車椅子の車輪が昇降機のスロープから外れ、車椅子ごと前方に倒れ、顔面を廊下の床で打撲するという事故が起きました。骨折するなど大きなけがはなかったということですが、本人は大きな心理的ショックを受け、恐怖心から新型機も含め階段昇降機の使用はできない状況にあるということです。そのため、階段の移動は、教職員ら4人がかりで車椅子ごと抱えて運んでいるそうです。新型の階段昇降機、せっかく導入していただきましたが、使用されずに放置されています。  今回の事故を受けて、教育委員会は学校長に対し注意をされたそうですが、私は職員の皆さんの責任ではないと思います。階段昇降機による階段の上り下りという一連の動作自体に内在する危険性が顕在化しただけだと思います。機械が安全に設計されていても、機械と車椅子を固定したり外したり、ボタン操作や充電の有無など、複数人の複数の行為が介在する場合、不可避的にミスは発生します。  そして、御存じかと思いますが、ハインリッヒの法則、すなわち、一つの重大な事故の裏には29の軽微な事故があり、さらにその裏には300の事故寸前のヒヤリハットがあるという法則で、労働災害の事例から導き出された比率ではありますが、あらゆることに当てはまることができると言われています。重大な事故の発生を防ぐためには、ささいなミスや不注意などを見逃さず、その時点で対策を講じる必要があるということです。  今回の事故は、ヒヤリハットを飛び越え、軽微な事項に該当し、重大な事故の一歩手前まできています。早急に抜本的な対策を講じる必要があると思います。そこで、改めて階段昇降機ではなくエレベーターの設置をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 今お取り上げいただきました、先々月、8月28日のまさに新しい階段昇降機を導入する日に、旧式の利用中に転倒されたということでございます。そのことを教育委員会から報告を受けまして、現時点、特に外傷などがなかったという報告を受けておりますが、階段昇降機の使用中に車椅子の状態で転倒し、顔等を打たれたということのこの恐怖心はいかばかりであったであろうかと、また、痛さも含めて心を痛めているところでございます。  まずは、その学校をもう一回見に行こうということで、私はちょっと伺えないんですが、教育委員会をして、改めてこの旧式、また新式、どのような状態で生徒が乗りおりすることになるのか、そのことに伴う危険や、また、心理的な恐怖等をどのように感じ得るのか得ないのかということを確認をしようということをさせていただいたところでございますので、その状況等を踏まえて今後の対応を検討してまいりたいと存じます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、安全性という面以外にも、階段昇降機では移動に時間がかかり、生徒が最初から最後まで授業を受けられないという問題があります。車椅子や本人を昇降機に固定したり、昇降機から外すのに時間がかかる上、階段の移動にも細心の注意を払いながらゆっくりしか進めないために、授業と授業の間の10分の休み時間で複数の階を移動するのは至難のわざです。急げば危険を伴います。  このように、階段昇降機では憲法26条の保障する教育を受ける権利を制約してしまいます。また、憲法14条平等原則、教育基本法の定める教育の機会均等にも反することになります。加えて、本人の精神的な負担が大きいことも問題です。階段昇降機を使うことで、ほかの生徒の注目を浴びたり、たくさんの人の手を借りることへの心苦しさを感じたり、これまで小学校、中学校では、校内を自由に移動したり、休み時間に友達と談笑できたのに、高校ではそれができない不自由さに起因する本人の心理的なストレスははかり知れません。  さらには、教職員など補助人員の確保が必要なことも問題です。この階段昇降機は、利用講習を受けた者しか操作できず、しかも、昇降時には一人で動かすことはできません。生徒の移動のたびに三、四人つかなければならないとのことです。平日はともかく、部活のみの日は補助する人員がいない事態が生じることもあり、教職員にとっても生徒にとっても動きが制約されます。  しつこいようですが、以上のことからも、階段昇降機にかえて早急にエレベーターを設置すべきだと思いますが、再度お考えをお聞きします。 ◎知事(三日月大造) まずは、先ほどもお答えしたように、新式を導入させていただいて、どういう状況で使っていただけるのか、で、その導入直前に転倒事故があり、けがをされたということでございますので、その状況を受けてどう対応すべきなのか、現場での確認を踏まえて協議、検討させていただきたいと存じます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)6月定例会議の代表質問でも述べましたが、多額の費用がかかるからという理由で、障害のある生徒に時間の制約、自由な移動の制約をかけるだけでなく、精神的な負担をかけてよいのでしょうか。本人が怖がって乗れないにもかかわらず、階段昇降機の使用を強制してよいのでしょうか。納得ができません。入学を許可された以上、できる限り障害のない生徒と等しくストレスなく授業が受けられる環境を整備すべきだと思います。また、障害のある生徒も自由に進路を選択でき、不自由のない学校生活を送り、自分の夢を追いかけられるようにすることが、障害者差別解消法の趣旨にもかない、地域の生徒が地域の学校で学びたいという気持ちを大切にすること、障害のあるなしにかかわらず、同じ気持ちで、同じ場所で、同じように学べる環境を整備することがインクルーシブ教育そのものではないでしょうか。  文部科学省でも学校施設のバリアフリー化を推進していますし、エレベーターは、当該車椅子の生徒に限らず、将来の車椅子の生徒や教職員の利用、けがをした生徒の利用、重量物の運搬等、さまざまな利用ができます。また、高校が広域避難場所に指定されていること、将来的に高齢者や障害者を含む地域住民の幅広い利用の可能性を考慮すれば、決して無駄な投資ではないと思います。一度には無理でも、障害のある生徒の在籍状況等、緊急性、必要性の高い学校から少しずつバリアフリー化を進めていくべきではないでしょうか。生徒が1日の大半を過ごす学習の場であり、子供から大人へと人格が形成される非常に重要な時期に、障害者本人の将来へ希望をつなぐ意味と、周囲の生徒の障害者への理解を育むという意味においても、県立高校への早期のエレベーター設置は必要であると考えます。再度、知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員からの御指摘、また、たび重なる御指摘については重く受けとめさせていただきたいと思います。おっしゃったように、障害のある生徒が、周りの目も気にしながら、また、手伝っていただく方々のことも気にしながら階段を上下移動しなければならない、また、旧式のもので移動していたけれども、誤って転倒してしまい、恐怖心を抱く事態に陥っているということも大変心苦しいことだと思っています。  同時に、さまざまな学校を取り巻く施設的な課題というのは、このバリアフリー化のことを含めて、耐震化はおかげさまで一定程度をめどが立ってきましたけれども、トイレの問題や空調設備の問題等もございます。このあたりのことを全て総合的に検討しながら、今後の対応策について、当該高校のこの施設等については、繰り返しになりますけれども、現場をまず改めて実地確認させていただいた上で協議、検討させていただきたいと思いますので、それ以外のことについても総合的に検討し、判断してまいりたいと存じます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、次の質問に行きます。  国体が終了するまで厳しい財政状況が続くことが予想される中、歳出を抑え、歳入をふやす努力もなされているとは思いますが、例えばクラウドファンディングやネーミングライツのほか、ふるさと納税等、寄附集めなどでエレベーター設置費用を捻出する手法もあります。また、佐賀県では、厳しい財政状況の中、個別の生徒の必要に応じてエレベーターを設置する費用を捻出する方策として、30%が交付税措置される地域活性化事業債の活用をされているとのことでした。こうした手法を使ってエレベーター設置費用を捻出する、あるいは、より安く設置することができるはずですが、御検討いただけないでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 後段御紹介いただきました地域活性化事業債等も、当然、財源措置の一方策として検討対象に加えながら、財源確保のためにどう使えるのかということについて検討をしてまいりたいと思います。また、前段に御紹介いただきました、さまざまな御寄附等でこういった学校のエレベーター等の施設を整備すること、この整備費用をこういった手法でいただく、捻出するということは、私はいろんなハードルもあり、困難ではないかと思いますが、引き続き、財源確保ということは極めて大事だと思いますので、どういう方策がとれるのか検討をしてまいりたいと存じます。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)では、最後に、先ほどもおっしゃっていただきましたが、ぜひ徹底した現場主義を実践されている知事に、現場である伊吹高校を見てきていただきたいと思います。階段昇降機で問題ないという判断が正しいのかどうか、御自分の目で見て判断していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来答えさせていただいておりますように、まず教育委員会に見に行っていただきます。そして、よくその状況を私自身も聞いて、そして、どういう対応が必要なのか、また不足しているのか、こういったことを検討させていただきたいと思います。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)ことし伊吹高校に入学した車椅子の生徒は、あと2年半で卒業してしまいます。仮に設置が決まっても、工期に半年くらい要することを考えますと、決断がおくれればおくれるほど効果が減少し、本人のモチベーションにも影響します。一刻も早く御決断をいただきたいと思います。  また、今回、エレベーターを個別に設置する方向で、知事がバリアフリー化に積極的に大きくかじを切っていただければ、誰一人取り残さないというSDGsの理念を体現し、公約である全ての人に居場所と出番がある共生社会の実現の大きな成果として、公約の実現をアピールする絶好の機会であるとも思います。どうか、かけ声だけに終わらせず、真の共生社会の実現を目指していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、8番角田航也議員の質問を終了いたします。  次に、28番生田邦夫議員の発言を許します。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇、拍手)28番の生田でございます。全て知事にお願いをいたします。  1つ目でございます。野洲市民病院計画に対する県のかかわりであります。  9月5日、野洲市より、心温まる、非常に心温まる御招待いただきました。それは、野洲市民病院整備計画の意見交換会でありました。午後1時から4時までの3時間でございました。  私は、この前の6月県議会で、現在の野洲病院がなぜ経営難になったのかの総括を徹底的にやっていないと言いました。野洲市民病院計画は、今の時代から考えて合っているのかどうか、診療報酬のさらなる削減で公立病院での経営は成り立たないのではないかと言いました。隣の守山市民病院が済生会守山病院となる動きを言いました。3つの滋賀県立病院の累積147億円の赤字の状況と、再建計画がいまだにない話、そして、全国の自治体病院の赤字がふえ続けている状況を考えると、この野洲市民病院計画は、これからの時代、すなわち、コンパクトな経営形態にして、地域医療構想、地域包括ケアシステムの中で中小の病院としての役割を果たすという位置づけに合わないのではという考えを述べました。どうやら、野洲の山仲市長には、私の話の中身はもちろんのこと、県議会で野洲市のこの計画を取り上げたことがお気に召さなかったようであります。  9月5日の会場には、山仲市長、市職員さん、市議会議員の方々、野洲病院の院長と病院職員さん、医師会の皆さん、そして、市民病院計画に対して既にそれぞれが賛成、反対を決めていて、考えがもう揺るがない野洲市民の皆さんが来ておられました。別室も含めて100人ぐらいだったでしょうか。私は、前もって県の総務部市町振興課、そして、健康医療福祉部医療政策課の方に会って、9月5日にはぜひ野洲市役所の会場に来てくださいよ、会場の皆さんの考えを聞いといてくださいとお願いしておきました。しかし、県の担当部署の人は来ておられませんでした。3時間の話し合いの中身は非常に濃く、参考になったのに残念でなりません。県は、この問題に対して知りませんと言うつもりでしょうか。  しかし、実際には、平成23年5月からこの市民病院計画に県は既に深くかかわっているのです。野洲市地域医療における中核的医療機関のあり方検討委員会に、さらに、平成24年2月からの野洲市新病院整備可能性検討委員会のメンバーに加わっているのです。県は今さら知らんとは言えないのです。この難題、野洲市民病院計画というこの案件で、県の担当部署の人たちは、野洲市から県に対して、地方債の発行を国に申請するに当たり、県に対してその裏打ちを求められるようになったならば、その時点で県は精査して考えますと言いますが、それは違うのではありませんか。県は非常にずるいです。県の主導性はどこにありますか。皆さんは首をすっ込めて嵐が過ぎるのを待っているだけではありませんか。  県は、2025年・2040年問題に対応するために、地域医療構想、地域包括ケアシステムの構築を目指して、調整という名で指導を行っております。しかし、実際には指導力なんてありません。今、野洲の人たちが苦しんでいるのに県は知らん顔しています。私から見たら、県の担当者はひきょうです。あなた方は偉そうに言う資格がどこにありますか。野洲市民は、この市民病院計画でそれぞれが賛成、あるいは反対と言い、まちを真っ二つに割る状況になって悩んでおります。でも、市民の皆さんが求めているものは本当は1つであります。求めているものは実際には同じなんです。ただ、それを執行部は提示できていないだけであります。  知事は、1つにまとめ上げるために県は努力しませんでしょうか。この問題は、市議会で1票差で可決したり、1票差で否決していく問題でしょうか、また、住民投票で決めていく話でしょうか、知事の考えをお聞きしたいものであります。御答弁をお願い申し上げます。 ○議長(奥村芳正) 28番生田邦夫議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)野洲市民病院計画につきましては、野洲市において、市議会や市民と十分に議論を重ねられ、御判断されるものだと考えています。  そうした中で、県におきましては、6月定例会議でもお答えいたしましたとおり、平成28年5月および11月に野洲市から公立病院の新設・建替等に関する調書を提出いただき、地域医療構想との整合性および病院事業に係る収支見通し等について確認をさせていただきました。  医療法上の観点からは、現在の野洲病院が担っている病床機能、これは急性期158床、回復期41床から野洲市が計画している病床機能、急性期が100床、地域包括ケア病床を含む回復期99床への再編は、湖南圏域における目指すべき医療提供体制の方向性に沿っていることを確認したところです。  また、起債の同意の観点からは、野洲市が検討されている病院事業に係る収支見通しは、現野洲病院の状況や滋賀県地域医療構想における患者数見込みを踏まえ、一定の実現可能性を有するものであることを確認したところであり、その旨は野洲市とも認識を共有しています。  この収支見通しを実現するためには、1つ、医師等の人材確保、経営感覚に富む人材の登用、医療経営の専門スキルを有する事務局員の人材開発でありますとか、2つ、建築単価の上昇等の要素を踏まえて、適宜、収支見通しの見直しを行っていくこと、3つ目といたしまして、一般会計から病院事業会計への繰り出しを継続して実施するため、将来の財政運営に支障の生じることがないよう、市が見込まれている財源確保に関する取り組みについて、具体的な見通しを明らかにされることが必要であると野洲市に申し上げているところでございます。昨年11月以降も野洲市から必要に応じ情報収集を行っており、これら県の考えについて、現時点で変更を行う必要がないことを確認しています。  今後、野洲市における具体かつ詳細な検討を踏まえて、引き続き協議を進めていく予定をいたしているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)9月の22日に野洲市の市議会において6回目の否決がなされました。今度、10月22日に野洲の市議会議員選挙が行われます。で、11月26日に野洲市において住民投票が行われます。今申しましたように、こういうスケジュールで進んでいるようでありますが、今言われた一定の可能性はあるという表現の仕方、あるいは、条件として1、2、3、3つを言われました。どうやねんなという思いなんです、結局は。このプランというか、計画に最初から加わっているから、正直申しまして、所定の手続が上がってきたときには、県としては、それはそれなりの判断というか、ゴーのサインを出さざるを得ないやろうと、一定の条件、あるいはその一定の可能性、条件3つ言われましたけども、それでよろしいんですか。県としては、知事、県の職員さんがずっと加わってまして、逃げ場がないんです、県は。皆さんがやらはる手法と同じですやん。何やら委員会、何やら審議委員会、何やら専門委員会とかいろいろつくってね、事務方が全部つくった物語と手順にのっとって委員会をやってて、最後は委員会の事務方が決めたとおりの結論つけますやん。アリバイづくりのためにいろんなところの意見を聞くという形にしますが、野洲市もその手法と同じようにされました。その中に県の幹部の人たちは加わっている、たちではないですけど、幹部は加わっておりますやん。これでよろしいんですか。県の職員さんがやらはる方法と同じ手法、テクニックを使うて、文句言えないような状態に野洲は持っていっておられるんです。この100億近い計画を、この時代に、これからさらに厳しくなる時代に、これで進めるということで県としてはいいのかどうか、その主導性を問うているんであります。知事、もう一遍お答え願いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 改めての御質問でいただいたその3つのことにつきましては、これは、起債同意の観点から、収支見通しを実現するためにこれらのことが必要だということを野洲市に申し上げているところでございます。それ以外にも医療法上の観点からの見解を示させていただいております。いずれにいたしましても、今議員が改めて御指摘いただいたようなこれから変わりゆく情勢、状況の中で、この市民病院が果たしてどう経営できるのか、また、持続可能なのかどうか、これを野洲市において市議会も含めて御議論、御検討いただいているところだと承知をしておりますので、県はいただくそれぞれの場面場面で必要な見解を述べていきたいというふうに思っております。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)山仲市長からごっつ嫌われておりましてね、物すごう嫌われとるんです。もう嫌みたらたら言われました。正直申しまして、ほっといてくださいと。うちとこの内部の事情まで聞かれましたけども、私はほっといてくださいと、私らはどっからも補助金一銭ももらわんとやってますわいなと、迷惑かけてるかもわからんけれども、金はもうてませんよという話をしました。  もう一遍聞きますが、こういう形で県は、そのあり方検討委員会とか、いろんな形で平成23年から加わってもうてるし、その県の幹部の人もこれでいこうと言うてはるし、県はこれでお墨つきを出したことやでという形の一つの理由づけに使われました。それから、今度、駅前のところにおいて、国交省から補助金が出ました。これは市民病院をつくるということに対する補助金ではないんですけども、これは、国はこの計画についてお墨つきをいただいたんやと、県も許可してる、国もオーケー出しているという形に使うてはるんです。それはそういう使い方をしますわ。誰でもそういう使い方しますわいな。それを承知でこの話に県は乗っていっているんやから、今さら逃げ道はないですよということを言うとるんです。  隣の守山で、守山市民病院が済生会の傘下に入るという、全く隣のまちが真逆というか、違う方向に進もうとしとるんですね。それは時代に合うてる、守山の市民病院のあり方というのは私は時代に合うてると思います。私はごっつ賢い選択であるというふうに思います。しかしながら、それと真逆のこれから公立病院をつくるという形になった。だったら、言葉は悪いですけれども、憎たらしい言い方しますけども、野洲市だけに奇跡の風が吹くととてもじゃないけども思いません。時代は違います。  この甘い誘惑があるんですね。要するに、例えば100億借りたら、実際に負担がかかってくるのは、交付税措置とかいろいろいろんなテクニックを使いますると、100億借りたら25億だけが返さなきゃならんところで、4分の1だけ返したらええと。皆さん方のほうが本職ですやん。この甘い誘惑というか、このからくりに乗っかっているんです、今度の計画も。だから、非常に重たい装備をしながら、先ほど言いましたようにコンパクトなものを持って、要するに、後々市民の皆さんに負担かからんようにしようというところにやるべきやのに、このベッド数で100億近い金を使おうとしてる。これで私はおかしいんじゃないかなというふうに言い続けているんですが、しかしながら、先ほど申しましたが、まちを二分する状態でやっております。  ここで、知事、県として、このまま上がってくるまで手をこまねいて、これでよろしいんでしょうかね。何か打つ手があるの違いますか。最終的に求めておられるものは同じじゃないでしょうか、反対している方も賛成している方も。これやったら誰が知事やってたって同じことですわ。県の職員の幹部の皆さん方も。それこそさっき言いましたように、首すくめて、ああ、この上通ってもう嵐過ぎたな思うたら、またにょっと首出したらええだけの話ですやん。これではあんまり県としておかしいんじゃないですかね。何か手を差し伸べる気はないでしょうか。どうでしょうか、もう一遍だけお願いいたします。 ◎知事(三日月大造) この分野の専門家でいらっしゃる先生として、大変強い問題意識を持ってこの課題に当たられているんだと思います。  議員からの強い問題提起は受けとめさせていただきますが、とはいえ、まず第一義的には、この野洲市において、どのように処せられるのか御決定いただくことが前提にあろうかと思いますし、全体の医療計画やこの起債の同意条件は、もちろん県として必要な対応はとらせていただきますが、しかし、まずこの病院をやるかやらないのか、どういう経営形態で進もうとされるのかということについては、市において御検討の上、御判断されることだと思います。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)そんなにしつこい男ではないですから、次に行きます。すんません。  新生美術館のところに行きますわ。時間がないですので、お願いしたいと思います。  ずっと今回の入札の不落というものになるまでに、滋賀県近代美術館整備工事に伴う作品運搬および一時保管業務委託の入札が、平成29年6月、落札金額は1億9,726万742円、日本通運株式会社大津支店、これは予定どおりだったでしょうかね。知事、どうぞ。
     すんません、次に行きます。議長、よろしいか、次。 ◎知事(三日月大造) 失礼いたしました。少し資料がございませんので、もしお許しいただければ、担当部長のほうから答弁させていただくこと、よろしゅうございますでしょうか。(「いや、知事、もうお座りください、お座りください」) ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)ええやつやと思われたいしね。  その次は、近代美術館増築その他の空調設備工事が行われました。そして、今度の躯体工事の入札不落という、このスケジュールというか、ずっと経過はそうですね。で、この間説明をいただいたのは、代表質問で説明聞いたのは、躯体工事のとこの説明が不落になったという説明を聞いただけなんです。しかし、その前の空調設備のは不調に終わったという話は一切説明聞いてないんです。これも含めてもう一度、知事、もう一遍御説明願いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 大変失礼いたしました。  本体工事は、5月31日に入札の公告を行い、先般8月28日に開札いたしましたが、予定価格超過により不落となったということでございます。また、空調設備工事につきましては、6月12日に入札の公告を行い、8月18日、開札を行いましたが、調査基準価格を下回った者がいたため、低入札価格調査を実施いたしまして、入札の執行保留をさせていただく、その旨、全者に対し保留通知を発行させていただいたところでございます。  この入札設備工事がなぜ低入札となったのかということにつきましては、応札者が入札時に提出する積算内訳書と県の設計額を比較いたしましたところ、応札者である県外大手設備業者を含みます共同企業体の機器等の調達能力、価格交渉力が価格の相違に反映されたものと思われるところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)まず、知事、すんません、空調のところからいきますけれども、要するに、県の予定価格よりは業者の入札価格というものがかなり下回ったということに、そういうことですね。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおりでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)業者は大体7から8億で入札したというふうに聞いておりますが、県の予定価格は幾らだったんでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 担当部長から答弁をさせていただきます。 ◎土木交通部長(池口正晃) 滋賀県立近代美術館増築その他空調設備工事の件ですけども、その辺の予定価格については公表していない数字でございまして、ちょっとここで申し上げられません。申しわけございません。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)皆さん方の取り決めからいうたら数字は言えないというのはわかりますが、知事はこの数字をお聞きになっておられますか。7から8やけども、実際は県が10ぐらいで考えていたという、その報告は受けられましたか。ここで10とか8とか9とか言うてくれというんじゃなしに、知事には報告はありましたですか。 ◎知事(三日月大造) 私も金額の詳細は報告を受けておりません。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)最終的な知事の判断を仰がなきゃならんのに、何で数字言うてへんねんな。おかしいん違いますか。知事、怒らなあかん。 ◎知事(三日月大造) 今回のこの案件におきます事態に至って、この金額の詳細等については伺っていないということでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)辞退ではないんですね。差が激しくて県が予想したよりもずっと下やったと。何でやと。おたくらが世間知らずだっただけじゃないですか。現在の市場価格はこういうもんやという形で応札しはったんや。それがおたくらの金額とはかなり2億ぐらい差があったんです。びっくりしたわけや。責任はどこにあんねんなと思うとんですよ。後でまとめてお聞きします。  その次、8月28日の躯体工事、本体工事のところの入札がございました。これは代表質問のところで聞いておられますので、この予定価格は幾らだったでしょうか。 ◎知事(三日月大造) この金額、具体については、この場での答弁を控えさせていただきたいと存じます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)今度は、さっきの空調では2億ほどの差がついたのに、低かったんですね、業者の入札が。今度は県の予想していたよりも5億から6億上やったんです。5億から6億上やった。空調では下で出てくるし、躯体工事では上が出てきたと、どないなっとんねんなとそれぞれ混乱したと思うんですが、これについての金額の報告は知事のほうにありましたでしょうか。 ◎知事(三日月大造) はい、報告ございました。聞ける範囲で伺ったところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)さっきの空調のところでは数字報告せんと、今やったら報告しとるんですか。全て私らには報告できない、公にはできない数字があるとしても、組織の頭には報告する義務がある、それは当たり前じゃないですか。どうやって知事は判断するんですかいな。知事、そこで怒らなあかんでしょう、何で私に報告せえへんのやと言うて。ここのとこだけで金額は5億か6億高かったと、何でやと、その説明、知事、もう一遍お願いします。不落になった原因を言うておられますが、もう一遍繰り返しになりますが、何ゆえに業者の見積もりが5億から6億高かったのか、その理由をもう一遍お願いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 入札不落の原因についてでございますが、竹村議員からいただきました代表質問でもお答えいたしましたが、県では、御案内のとおり、建築工事、空調設備工事等については、滋賀県建築工事積算基準および共通費積算基準に基づいて積算を行い、予定価格を設定しております。  今回不落となりました建築工事につきましては、入札結果を踏まえて、応札者へのヒアリングを行ったところ、その結果、関東方面での民間事業の活発化、さらには東京オリンピック・パラリンピック関連の工事が今後繁忙期に入るため、建築関係の技能労働者の確保が難しい状況下にあることや、美術館特有の特殊な製作品を使用するといった積算単価に乖離が生じやすい要素が多く含まれていたことから、県の予定価格と応札価格に相違が生じたと分析しているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)今、後ろから指示が出ました。そんなもんは入札する前からわかっていた話やろって。入札が終わって、業者にヒアリングして初めてわかったようなことを言うんじゃなしに、必死の思いで、今現在世間はどうなっているか、仕事量がどうか、関東はどうやこうやとか、関西はどうやこうやとか、単価はどうなっているかという形をそれぞれ考えなきゃならん、必死の思いで入札しなきゃならん、入札の準備をしなきゃならん。で、これを見ますと、スーパーゼネコンと言われるところは竹中と清水だけであって、大林来てない、鹿島来てない、大成来てませんねんね。この時点で、あっ、これは結構この仕事取りにくる業者は少ないん違うかなと、そしたら、今、世間はどうなっているかいうことを徹底的に調べてから入札しようや、予定価格も決めようやと思うのが普通じゃないですか、知事。 ◎知事(三日月大造) 御指摘のとおり、今回の入札が、東京オリ・パラ関連の工事の繁忙ですとか、当然、さまざまな景況感の状況の中で、関東方面で民間建築活動が活発化している、その影響を受ける可能性があることは認識をしておりました。このため、技能労働者の不足を踏まえた直近の労務単価、これを反映させると同時に、専門的な工種に関する業者見積もりについても、市場の状況を適切に反映させるよう努めたところでございます。しかしながら、結果として、今回の建築工事が不落となるまで影響が大きいものとは想定し切れませんでした。お名前を挙げられたような大手事業者がどういった判断でこれに応じられたかということは定かではございません。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)しかしながら、知事は約束されましたのは、47億の中で考えると。で、去年約束された中で、いろいろ約束されたことがあるんですが、ちょうど1年前に、建築のところの1平米で79万と、これ以内にという形もSANAAから約束を受けての見積りであったと思います。新館のところも、床面積については、さらに4割カットして平米当たり79万、去年の6月の答弁でございますが、これ以内におさまるので大丈夫ですわいうて、もうこの床面積、この4割カットした状態で必ずいけますねんわという話がございました。これが今申しました去年の6月でございます。それからこの1年間に何が値上がりしたんですかね。何が値上がりして、2割から3割、何が値上がりしたのか、その数字を出してもらわんことには、これは私としては納得いかんのですが。具体的に何が値上がりしてこれが落ちなかったでしょうか、お教え願いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来答弁させていただいておりますとおり、今般の建設・建築市況の状況、これはまず大きく影響していると思います。同時に、伴います資材の価格、さらには、こういった建物ゆえの収蔵物を適正に保管する、また、さまざまな意匠を凝らしたこういう建築等に係るこういった技術等、これらを行える人材の確保ということにも価格の差があったのではないか、さらには、既存館を改修する際に、その状態がどうなっているのかといったことによっては、さらなる必要な建築工事等が新たに発生してくるという可能性を事業者がどのように見積もるのかということも価格の不確定要素としてあったのではないかとしているところでございまして、こういったことが価格の開きを生む原因であったのではないかと思います。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)改修部門は、最初5億9,000万言うておられたのが、去年の6月段階で、既存館のところの改修で13億かな、13億にもう既に上げてはるんですね。これでいかせてください言うて、もう既に上げはったんです。今さら新しい要素は出てこないんです。それから、最近美術館で建てられた富山の県立美術館の新築ですけども、これの建設のコストは今回の新生美術館よりは安いんです。時代は、ことし開館したというか、オープンしたその美術館ですら、坪当たりの建設費はこの新生美術館よりは安いんです、下なんです。何が原因なんでしょうかね。この間も話あったんですけども、これを落とさなかったスーパーゼネコン、この2者が悪かったのか、もともと何かが間違うていたのか、そこまでさかのぼって検討されましたか。 ◎知事(三日月大造) 先ほどおっしゃった昨年6月にお示しした費用につきましては、施設整備費用がこの美術館整備工事47億円本体を含む形で59.5億で、また、関連費用といたしましては、収蔵品の移転関連費用4.9億円も含む形で、合計、全て締めて69億円ということでお示しをさせていただいているところでございます。この金額想定を踏まえまして、必要な設計を行い、そして今回の入札をさせていただいたところでございますが、先ほど来答弁させていただいておりますとおり、我々の想定と相当な開きがあったがゆえに今回の不落という結果になりました。したがいまして、いま一度、議会からかけていただいております決議を踏まえて、このコンセプトも変えない形でどのような設計ができるのかということを再度見直しの上、公告をさせていただきたいと考えているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)今おっしゃったように、もう去年の6月に単価、工事費は61万7,000円でしたかね。それから79万に上げておられるという形でありまして、それから何でさらにまずい状態になったかということはわかりません。これは、この入札に応じた2者が、要するに、そういうものは世間の今の現在の状況から見たら無理ですよという話であったというふうに思います。それについては、この予定価格を決めたりいろんなことをしてきたのは、県の皆さん方、担当の皆さん方は、SANAAと相談した上で値段も決めてこられたわけでしょう。もうこれでいかせてください、これでいかせてくださいと、もうこれでよろしいですわ、もう変更ありませんわという形で言うて、これの枠の中におさめるということを言ってきたわけでしょう。ほんなら、SANAAさんはどう言うてはるんですか、知事。この2つ、空調のところ、それから躯体工事のこれがまずいこと、これについてどう言うてはるんですかね。お聞きになって報告をお受けになってますでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 今回の事態については、当然、報告を担当者からさせていただき、今後の方針等を協議をさせていただいております。その上で、皆様方に御説明申し上げております再度見直しをさせていただき、公告をさせていただきたいということを申し上げさせていただいているところです。当然、その前の段階で、どのような設計にし、意匠にし、構造にし、どうつくっていくのかということもSANAAとはよく協議の上、今回お示しをさせていただきました。しかしながら、先ほど来答えさせていただいておりますとおり、相当我々の考えている価格と開きがあった、その開きが大きく我々の想定しないところであったということでございますので、今回の事態を受けて、見直しをした上で再度公告をさせていただきたいと存じます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)全然SANAAさんがどう思っていたかいうのはよくわからんし、ずっとここ数年、一遍顔見せとくれ、どんなお考えか、どんなお顔つきなのか、きれいなお方やというのは聞いているけれども、どうなんやろなとか、いろいろいろいろ言うとるんです。一遍も顔出していない。で、今度のこの不始末、これの大きな責任はやっぱりSANAAさんにもあるわけでしょう。予定価格というのは設計屋さんと相談して決めるわけから、おたくらが決めたわけじゃないでしょう。そのアドバイスのもとにやってるわけじゃないですか。この入札価格、予定価格を決めるに当たって、SANAAと相談して決めたんでしょう。相談しないで決めたのか、まずここからお願いしますわ。当然、相談してから決めるもんや、そんなもん。当たり前や。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来答弁させていただいておりますように、当然、SANAAとは協議の上、さまざまな構造についても、また、意匠についても、単価はいろんな基準に基づいて設計されることも、決められることもありますので、その全てをSANAAと協議の上決められているかというのは定かではありませんが、主要なところは設計会社と相談の上、工事をさせていただいているものと存じます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)最終的に入札のとき、施主さんが勝手に設計事務所と相談せずに封筒の中に予定価格を入れて持っているわけじゃないですよ。必ず設計事務所と相談して持っているんです。相談して設計事務所の了解のもとにやっとるんです。逆に言うと、設計事務所の指示に基づいて予定価格を決めとるんです。そんなことせずに、おたくらだけが予定価格決めるわけじゃないでしょう。こんなもんはこの世界じゃない私でもわかりますわ。当たり前でしょう。もう一遍答弁願います。 ◎知事(三日月大造) おっしゃるとおり、当然、我々の中にも建築技術者がおりますので、その者とSANAAの事務所とが協議の上、詳細を詰めて公示させていただいておりますので、協議もするし、判断もさせていただいているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)そこで、今後の対応策のところで、入札参加要件の見直しの検討というのと主な設計の見直しというのが言われているようであります。びっくりしましたのは、10月1日付の中日新聞に、「新棟建築を取りやめ 再入札へ県が見直し案」と書いてあります。この中身について御説明願います。 ◎知事(三日月大造) 今回の入札不落を受けまして、かつ、先般賜りました議会の御決議を踏まえまして、どのような対応をしなければならないのか、具体、詳細は今後報告、説明させていただきますが、この上限価格の中で一部見直し等も検討させていただき、再度公告をさせていただかなければならないのではないかと考えているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)設計の見直し項目というのを書いてありますね。講堂の改修取りやめ、既存エントランスアプローチの整備取りやめ、情報交流棟の建築取りやめ、内外装工法特注品等の見直しというふうに書いてあります。ここですね。何してんねんなと思って。あんだけこれが必要や、例えばエントランスのところ、ラーニング広場というんかな、それからギャラリー兼講堂、ここも展示のとこに使う、それから情報交流棟、離れたところの例の食堂を兼ねてのとこですやん。これも絶対必要や、そんなもんは議員が何ぼ言おうと、議会が何ぼ言おうとも、わしらはこれでいくんやいうて言い切っていたところを、えっ、やめやって。何言うてはりますの。何を言うてはるんかわからん。もう一遍、知事、これでよろしいんか。知事、オーケー出したんですか、これで。 ◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げましたが、美術館本体工事費47億円、これは御決議の中にもありました。この遵守に努めながら、新生美術館のコンセプトを最大限に守った上で、入札参加要件の見直しの検討とあわせて一部施設の改修、また、建築の取りやめ等、設計の見直しを行いたいと考えているところでございます。じゃ、具体的にどういうことを検討しているのかということでございますが、講堂の取り壊しですとかラーニング広場の整備、さらに情報交流棟の建築について取りやめを行いますほか、その他仕様等の見直しを考えているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)私は、この話を聞いたときに、自分がどこをさわって修正できるか、今言われたように、基本的なコンセプトを守りながら、どこをどうしたらええかということを考えました。そうしたら、私の発想の中には、ラーニング広場とか、ギャラリー兼講堂のとことか、情報交流棟というところでやめるという形はありませんでした。もしもこのコンセプトを守りながらやるんやったら、展示室を1つ減らします。それやったら5億から6億にちょっと届くかなという思いはいたします。例えば、この展示棟を変えると。コンセプトは、そこをなぶるほうが、この基本的なものは変わらないと思います。しかしながら、今おっしゃったように、ギャラリー兼講堂、それから情報交流棟とか、この辺をさわってしまいますと、基本的なコンセプトが全部ばらばらになって、どうしようもなくなります。  我々は、何で不承でありながらも納得して黙ってしもたかいうたら、要するに、今の美術館に対する考え方、新生美術館のコンセプト、示されたのに基づき、県立近代美術館のコレクションを受け継ぎ、引き続き美術作品の収集、調査、研究の成果を展示活動して、教育の普及活動に生かし、美術館活動の全般の充実を図るとともに、施設のあり方、機能等を踏まえて、美術品の鑑賞を楽しむだけでなく、気軽に入れることができ、美術館で憩い、楽しみ、交流することができる県民に開かれた美術館として展開していくという、これがコンセプトであります。ここが崩れてしもて、今おっしゃったように、ギャラリー兼講堂、ラーニング広場、それから情報交流棟、この辺までなしにしてしもて、ただただ5億から6億下げるためのつじつま合わせだけをしただけであって、おたくらは何十年か前、1世紀前の美術館をつくるつもりですか。今現在の開かれた美術館という、このコンセプトに合うためにはなぶってはならない、さわってはならないところを落とそうとしておられます。  わかりますか。もう一遍やり直ししかないんですよ。おたらくは何を言うてはりますねんな。私らに偉そうに偉そうに言うたことを、そこを取りやめてしもて何をおっしゃってんねんなと。知事、どうぞ。 ◎知事(三日月大造) 今議員から御紹介いただいたとおり、今回の見直しにおいても、県立の近代美術館が持っておりました近代・現代美術、そして滋賀が持っております神と仏の美、さらにはアール・ブリュット、これらを柱として、過去から現在までの美の魅力を国内外に発信する、美の滋賀の拠点、入り口となる美術館を実現しようという、こういうコンセプトは持っているところでございますし、この緩やかな地形に沿った空間構成でありますとか回遊性、分棟型、こういった設計コンセプトもおおむね変わらずに持たせていただいていると考えております。  ただ、今回のこの入札不落を受けまして、金額全体、もちろんその金額を増額するということも理論的にはあり得るんですけれども、しかし、この厳しい財政状況の中で議会からも御決議をいただいている、このことを踏まえて、この美術館の持っているものを最大限生かしながら表現していくためには、どこを削って、どこを守ってやればいいのかということを考えて、現在、この見直し案を検討させていただいているところでございまして、この間、ここに至りますまでは、議会の皆様方からもさまざまな御指摘をいただいて、見直すべきところは見直してここに至っておりますので、こういった方向性は大事に進めさせていただければと考えているところでございます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)美術館に対する考え方というのは時代とともに変わってまいります。国のほうも、この6月に、文化芸術基本法というものは、振興法から基本法という形に変わりまして、考え方が変わっております。それは、美術品を見せるというだけじゃなしに、そこに集まって憩い、遊んで、そういう意味も含めての美術館であるという形の位置づけになっておると思います。今申されましたことを、どんなに、少ししか変更してへんとおっしゃるかもわかりませんが、私はやっぱり基本的なコンセプトが崩れてしもてると。もう一遍改めて出し直して、議会の承認を得て、基本の構造についての了承を得て、同意を求めてからしか進むことはできない。それぐらい、これは一遍とめると、とめてしもて、そして考え直すと。もう既にオリンピックにはおくれますやん。大阪市立美術館なんて、20年ずっと美術館の準備室のままほってありましたやん。20年ほっといたって大阪と同じぐらいですやん。何にも慌てることありません。そういうことから考えるならば、この基本をもう一遍承認してもらう、これは一遍御破算にして、ここをなぶるというか、ここをさわる限り、ここを取りやめるというところを、これを認めるか認めないかを含めて議会の承認を得るという形をとってもらいたいと思います。知事、返事はどうでしょうか。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。厳しい御指摘いただきましたが、それだけ滋賀の美術を思われる議員の思いをしっかり受けとめさせていただきたいと思います。これまでやってきたことは一定踏まえたいと思いますが、かつ、寄託いただいている方々の思いにしっかりと応えていかなければならないということもございます。しかし、今回のこの入札不落を受けまして、議会の御決議もある一方で、どう対処すればいいのか、なお御意見をいただきながらしっかり検討させていただきたいと存じます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)ずっと姿が見えないSANAAさん、一遍顔出しお願いします。そして、議会の者と一遍きっちりと話つけて、それからやと思います。もう逃げるのはいいかげんにしたほうがいいと思いますし、これもあわせてお願いしておきます。知事、どうですか。知事のほうから口添えしてもうて、みんなの議員の前へ出てきて説明したらどうやねんと。知事が言うたら出てきはると思いますよ。どうですか。 ◎知事(三日月大造) 議会からそういったお話があれば検討したいと存じます。 ◆28番(生田邦夫議員) (登壇)とまろう、それとやり直そう、これをお願いしておきます。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、28番生田邦夫議員の質問を終了いたします。  最後に、16番大橋通伸議員の発言を許します。 ◆16番(大橋通伸議員) (登壇、拍手)長浜市姉川の水害を振り返って質問いたします。よろしくお願いします。  大きく構えて、小さく終わる、悲観的に準備し、楽観的に迎える、危機管理の要諦はこのように言われています。空振りは許されるが、見逃しは許されない、内閣の避難勧告等に関するガイドラインでは、このようにうたわれています。  この夏の台風5号は、そのコースも、停滞時間も、これまでにない予想と異なる動きを見せました。ふいに襲う地震と違い、台風は、天気予報などの情報により、その対応に余裕があると思われがちですが、そのことが判断を誤らせたりおくらせたりすることを今回の台風5号は教えてくれました。これからも、これまでに経験したことのなかった台風に見舞われる可能性は十分にあります。  先日、県は、より一層迅速かつ的確な災害対応に資するため、台風第5号に係る災害対応の検証結果についてを発表しました。ここに、さきの長浜市姉川での水害を振り返り、その教訓を生かし、今後の危機管理にあって、想定外を想定外としないため質問します。  さきの両会派の代表質問と知事答弁を踏まえ、8項目にわたって分割で質問します。  まず、水害に「そなえる」対策について質問します。  水防責任者である長浜市は、このたび、職員間での情報共有や市民への情報伝達が十分でなかったとして、大規模災害を想定した職員のタイムライン──事前防災行動計画を策定されました。それは、時系列で職員の動きを示したものと伺っています。  河川管理者の県にあっては、本会議に示された滋賀県流域治水に関する施策の実施状況説明書に、浸水避難の回避、または軽減に必要な情報を、市町および県民に的確かつ迅速に伝達することができたと県の施策を評価しています。しかし、長浜市姉川の水害時はそうはならなかった。  市町と情報を共有するための防災情報システム操作の扱いや、市町に派遣する情報連絡員の役割や任務など、市町との情報共有と意思疎通について、長浜市姉川での水害からどんな課題が明らかになったか、総合政策部長に伺います。  続けて伺います。今後の水害に対し、より一層、県と市町が連携し、実効を上げていくために、この6月に改正された水防法とも関連して、どんな対策を考えているか、土木交通部長に伺います。  3つ目、防災情報が県にどう届いていたかについて伺います。  長浜市姉川で氾濫があった同じ日の夜、同じ長浜市では、高時川など、ほかの箇所でも台風5号は多くの爪跡を残しました。県が管理する施設も合わせると、犠牲者は出なかったものの、相当の被害となりました。この日、長浜市である方から聞きました。雨の音で防災無線が何を言っているのか聞き取れんかったという不安の声です。降る雨の音に加え、窓や雨戸を閉めている状況のもと、この方と同じ不安を抱かれた方がほかにもおられたことは容易に想像できます。  県民の多くが災害情報を入手する手段であり、かつ、唯一頼りにしている防災行政無線が、その機能を果たしているかどうかは、それが市町の管轄であるにせよ、県民の命を守り、県民の不安を解消する観点から、県としても看過できない課題であると考えます。県民への防災情報をより迅速に、より確実に届けることについて、県の使命と役割は何か、総合政策部長に伺います。  4つ目、多様な情報伝達手段の整備について伺います。  現在、県は、防災ポータルサイトやLアラート──災害情報共有システムにより、避難情報等の提供を行っています。また、防災情報システム、土木防災情報システム、気象庁の情報をもとに、しらしがメールにて、河川水位、降雨状況、避難情報等の提供を行っています。しかし、しらしがメールは登録件数が多くなく、しらしがメールによって県民の隅々に情報が届いているかとなると、心もとないところがあります。より多くの県民に情報を伝えるため、スマートフォンの普及率が全国1位の本県にあって、県独自のアプリなど、スマートフォンを活用した情報発信を検討してはいかがでしょうか、総合政策部長に見解を伺います。  5つ目、生活弱者への対応について伺います。  長浜市姉川の水害から、昨年8月に東北地方を襲った台風を思い起こしています。避難勧告のおくれから、岩手県岩泉町の高齢者のグループホームで9名が犠牲になりました。岩泉町の町長は当時の様子をこのようにおっしゃっておられます。「上流部の峠のほうでは異常な雨の降り方。現地に向かおうにも、山津波のように水が来るので行けない。1時間余りで大水が上流部から襲うとは想定外。災害当日は大混乱。電気も切れ、通信関係は分断。何が起こっているのかわからなかった。避難指示を発することができなかった」と。同じ岩泉町の総務課長は、「役場約180人の職員。若い職員の90%は消防団員。今回も若い職員たちは直ちに消防団活動に出ていった。水害対応で朝まで帰ってこなかった。残りのスタッフで動いていかなくてはいけなかった」と、お二人の回顧から混迷をきわめた役所の様子が伝わってきます。  高齢者や障害者など、生活弱者、要配慮者が利用する社会福祉施設や医療施設などに対する避難勧告のガイドラインの整備や人命を守ることを最優先とする連絡体制と避難体制の確立が求められます。長浜市姉川での水害では、近くの老人施設に適切な対応がなされ、事なきを得たと聞いております。  有事の際、いち早く連絡をとる必要がある、こうした生活弱者の施設における避難体制の確保のために、県は市町に対しどんな支援をするのか、土木交通部長に伺います。  6つ目、避難所における健康管理について伺います。  これまで数々の災害における避難所での課題の中の大きな一つとして避難者の健康管理があります。避難所のなれない環境や生活の見通しが立たない不安な状態に置かれた避難者にとっての心身ともの健康管理、とりわけ障害がある方、医療的ケアを必要とする方、持病がある方にとっては深刻です。  この水害で避難を初めて経験された車椅子を利用されている方が、思いのほか避難所のスタッフは親切にしてくれたとお話ししてくださったことが印象に残っています。市町との連携も含め、避難所における要配慮者への支援について、どんな備えをしているか、健康医療福祉部長に伺います。  7つ目、避難所におけるペットの受け入れ体制について伺います。  私の知る範囲では、避難所を設置する市町にあって、避難者が同伴するペットの受け入れ体制に違いがあります。屋外施設をペットの避難場所に指定しているところもあれば、そうでないところもあります。ペットが唯一の家族の一員であるひとり暮らしの方を初め、ペットと離れての生活は考えられない方たちがおられる一方で、犬や猫がそばにいる生活が耐えられない方たちもおられます。双方にとって高い関心事です。  ペットを避難対象としたペットの避難所確保とその運営について、県としてどんな支援をしているか、健康医療福祉部長に伺います。  最後に流域治水の推進について伺います。  河川の氾濫や浸水の心配が大きい地域において、そこに住まう住民が不安の毎日を過ごすか、安心の毎日を過ごすか、この違いは大きく、行政はその対応を不断に追求していかなくてはなりません。降った雨がどの川の水系に流れ込み、洪水の引き金になるかを予測し、危険の度合いを推しはかることは流域治水の根幹です。流域治水でいう地域とは、人間が定めた行政区のことでないことを住民に納得いただけるよう努めていくこともまた肝要と考えます。  地先の安全度マップ、想定浸水深については、平成24年9月から平成25年8月にかけて、市町ごとに発表されました。この間の河川整備や土地利用の変化などを踏まえて、おおむね5年ごとに更新する予定となっています。このことについての現状と流域治水の推進に向けた意気込みを土木交通部長に伺います。 ○議長(奥村芳正) 16番大橋通伸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総合政策部長(宮川正和) (登壇)私にいただきました3点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の市町との情報共有と意思疎通の課題についてでございます。  今回の台風5号では、最接近が予想される5日前の8月4日にタイムラインを作成するとともに、8月6日に台風説明会、危機管理員会議等を開催し、災害対応に必要な情報について、庁内、市町、関係機関等との共有を図ったところでございます。また、長浜市などの5つの市に情報連絡員を派遣し、逐次、被害情報等を収集するとともに、必要に応じ、情報連絡員が防災情報システムの入力に対応したところでございます。  しかしながら、台風は想定外の進路をとり、県内に長時間停滞して深夜に大雨を降らせ、とりわけ長浜市においては、姉川を含む複数の河川で急激な水位の上昇をもたらしました。こうした急激な状況変化により現場が混乱している中で、防災情報システムへの適時的確な入力や情報連絡員と市の担当職員との連携について、一部ふぐあいが生じ、そのことが課題として明らかになったところでございます。  このため、今回の対応を教訓として、防災情報システムの操作について、市町職員や情報連絡員に対する研修の充実、強化により、スキルアップを図るとともに、県と市町との実践的な連携訓練により、より顔の見える関係を築けるよう、災害対応に万全を期してまいる所存でございます。  次に、2点目の県民への情報提供に係る県の使命と役割についてでございます。  災害時に住民の生命や財産を守ることは、行政の重要な使命と心得ております。自助、共助、公助の働きを最大化することが重要でございますが、自助がしっかり機能するためには、何よりも住民への迅速で正確な情報提供がその基本だと考えております。  議員御指摘のとおり、また、実際、私自身の経験に照らしましても、防災行政無線が大雨の音で聞き取れないこともございます。こうした一つ一つの現場の実情を十分考慮しながら、避難情報をその対象となる住民一人一人のもとに漏れなく届けることが必要だと考えます。  このため、県としては、全県をカバーする防災情報の基盤を整えるとともに、情報提供手段の多様化を進めることがみずからに課せられた役割だと考えておりまして、具体的には、県民への情報発信の基本となる防災情報システムの正確な運用に万全を期するとともに、市町と連携しながら、テレビやインターネット、緊急速報メールなど、多様な手段により、必要な情報が迅速、確実にお届けできるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えます。  3点目のスマートフォンを活用した情報発信についてでございます。  県では、現在、県民が災害時に情報収集をスムーズに行えるよう、防災ポータル、土木防災情報システムなどの情報をスマートフォン向けに提供をしております。また、県の防災情報システムの避難勧告や避難所開設などの情報は、NHKやヤフーなどが提供する既存の各種防災アプリに反映をされております。  こうしたことから、御提案をいただいた県独自のアプリを導入するということについては、現在のところは具体的な検討はしておりませんものの、御提案の趣旨に沿って、スマートフォンを活用したさまざまな情報発信について、さらに周知、広報に努めまして、県民の皆さんの利用促進を図ってまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)避難所における課題について、私にいただいた2点の御質問にお答えをいたします。  まず1点目、要配慮者への支援についてでございます。  県では、平成26年3月に、障害者や患者などの当事者団体、医療福祉専門職や施設関係者などの支援団体など74団体による滋賀県災害時要配慮者支援ネットワーク会議を立ち上げまして、要配慮者への支援体制が構築できるよう、研修会を開催するなど平時より連携を図っているところでございます。  また、東日本大震災や熊本地震において、避難所における要配慮者の食事、入浴、排せつ、移動といった日常生活の介助や投薬、感染症対策といった健康管理などが課題となったことを踏まえまして、昨年度、災害時における福祉的支援検討会を設置をし、関係団体とともに当事者の視点を取り入れた避難所チェックリスト等の検討を進めているところでございます。  国におきましても、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組方針を初め、避難所に関するガイドラインの改定が行われており、これを踏まえ、県の災害時要配慮者の避難支援に係るマニュアル等の改定を検討しております。  今後とも、こうした取り組みを市町と連携しながら進めることによりまして、災害時において、誰もが安心して過ごせる避難所の体制整備に努めてまいりたいと存じます。  2点目、ペットの居場所確保とその運営に対する県の支援についてでございます。
     避難所設置者に対しましては、避難所におけるペット飼育スペースの設置や飼育ルールづくりに、また、飼い主に対しましては、ペット用品の備蓄や避難所における共同生活を見据えたしつけなどに取り組んでいただくため、県では、平成28年9月に、滋賀県災害時ペット同行避難ガイドラインを作成をいたしまして、市町等に配布をいたしますとともに、県のホームページに掲載するなど周知啓発に努めております。また、市町等が開催をする防災訓練やペットのしつけ方教室に職員が講師として参加をするなど、市町への支援を行っているところでございます。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)3点の御質問にお答え申し上げます。  まず、1点目の、より一層県と市町が連携し、実効を上げていくために、どのような対策を考えていくかについてですが、円滑かつ迅速な避難のため、河川管理者から市町長等へ河川の情報を直接提供するホットラインの構築、避難勧告等の発令のタイミングをわかりやすく整理した水害対応タイムラインを共有し、県と市町の間で今出水期から運用しているところでございます。  しかし、今般の台風5号による水害において、県から市町、市町から住民への確実な情報伝達や、急激な水位の上昇への対応など、課題が明らかになったところでございます。このため、次の18号では、水防上重要な箇所について事前に関係市町と情報共有を図り、避難判断水位などの所定の水位に達していなくても、急激な水位上昇が見られた時点でホットラインにより早目に情報を伝達するよう対策を図ったところです。  今後、水防法に規定された大規模氾濫減災協議会を平成30年の出水期までに立ち上げて、県と市町が連携し、減災に係る種々の対策を進め、水害対応の実効性を高めてまいりたいと思います。  2点目、要配慮者利用施設における避難体制の確保のための市町に対する支援についてですが、昨年8月の台風10号による豪雨により、岩手県の小本川が氾濫し、岩泉町の高齢者施設において多数の利用者が亡くなるという被害が発生したところです。  このため、本県においても、このような要配慮者利用施設において、水害・土砂災害に対して適切な避難行動がとられるよう、県や市町、福祉部局と連携して、県内の要配慮者利用施設の管理者に対して、河川・砂防情報等に関する理解を深めていただくための説明会を県内7会場、延べ9回開催いたしたところでございます。説明会では、県から管理者に対し、施設所在地での水害リスクや防災情報の種類、避難計画の立案の考え方などについて説明したところでございます。ちなみに、この説明会に参加されていた老人福祉施設は、今般の台風第5号の際に、長浜市からの避難に関する情報を得て、事前に決めていた近隣の安全な場所へ無事に避難されたということでございます。  また、水害、土砂災害に対する要配慮者利用施設における適切な避難行動を確実なものとするために、6月に水防法等が改正されまして、これらの施設に対し、避難確保計画の作成と訓練の実施が義務化されたところでございます。対象となる施設は、それぞれの水害リスクを踏まえて市町の防災会議が指定することから、県から市町に対して、施設ごとの水害、土砂災害に係るリスク情報を年内を目途に提供し、速やかに指定が行われるよう支援してまいりたいと思います。  3点目、おおむね5年で更新する予定となっております想定浸水深の更新の現状と流域治水の推進に向けた意気込みについてお答え申し上げます。  まず、想定浸水深の更新の現状につきましては、現在、直近の河川整備等の進捗状況や開発に伴う土地利用状況の変化等を市町等より収集し、県内7圏域のうち6圏域でデータの整理をほぼ完了したところでございます。また、解析に当たっては、国の新たな知見を導入し、土地の利用形態による水の流れの変化も考慮した水害リスク評価の検証作業を圏域ごとに進めているところでございます。  流域治水の推進に向けた意気込みについてですが、近年、台風等による豪雨により甚大な被害が全国各地で発生しています。このような状況から、国においても、ハード・ソフト対策を一体として社会全体でこれを備えるという水防災意識社会を目指しているところでございます。本県においても、近年、台風被害等が頻発する中、ハード・ソフト対策を一体とした流域治水の取り組みを着実かつ計画的に推進し、地域の安全、安心の向上に努めてまいりたいと思います。 ◆16番(大橋通伸議員) 終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、16番大橋通伸議員の質問を終了いたします。  以上で、発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  関連質問なしと認めます。  以上で、質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議議第102号から議第105号まで(平成28年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについてほか3件)(決算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任) ○議長(奥村芳正) 日程第2、第102号から議第105号までの各議案を一括議題といたします。  お諮りいたします。  本件につきましては、15名の委員をもって構成する決算特別委員会を設置の上、これに付託し、また、当委員会に報第7号滋賀県基本構想の実施状況についての調査を付託いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配付いたしました名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ────────────────     決算特別委員会委員名簿    議席番号     氏  名     2番     加  藤  誠  一     4番     佐  藤  健  司     6番     海  東  英  和     8番     角  田  航  也     13番     節  木  三 千 代     14番     駒  井  千  代     20番     中  村  才 次 郎     25番     富  田  博  明     27番     高  木  健  三     32番     野  田  藤  雄     33番     西  村  久  子     36番     吉  田  清  一     39番     成  田  政  隆     40番     九  里     学     41番     清  水  鉄  次    ──────────────── △議第91号から議第101号までおよび議第106号から議第118号まで(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか23件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(奥村芳正) 議第91号から議第101号までおよび議第106号から議第118号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   平成29年9月定例会議議案付託表                                        平成29年10月2日(月) 〇総務・政策・企業常任委員会  議第91号 平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳入の部 全  部    歳出の部 款2 総合政策費   第4条 地方債の補正  議第93号 滋賀県附属機関設置条例の一部を改正する条例案  議第94号 滋賀県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案  議第95号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案  議第115号 県の行う建設事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて  議第118号 公立大学法人滋賀県立大学に係る中期目標を定めることにつき議決を求めることについて 〇県民生活・土木交通常任委員会  議第91号 平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款4 県民生活費         款9 土木交通費   第2条 繰越明許費   第3条 債務負担行為の補正のうち    1 追加 157 補助道路整備事業(野洲中主線)         158 補助道路整備事業(安土停車場桑実寺本堂線)         159 補助道路整備事業(神郷彦根線)         160 補助道路整備事業(中河内木之本線)         161 補助道路整備事業(大房東横関線)         162 補助道路修繕事業(国道365号)         163 補助道路修繕事業(国道422号)         164 補助道路修繕事業(下鴨大津線)         165 補助道路修繕事業(中河内木之本線)         166 補助道路修繕事業(葛籠尾崎塩津線)         167 補助道路修繕事業(葛籠尾崎大浦線)         168 補助道路修繕事業(西浅井マキノ線)         169 補助雪寒対策事業(高山長浜線)         170 補助雪寒対策事業(杉本余呉線)         171 道路補修事業         172 補助広域河川改修事業(鴨川)         173 補助広域河川改修事業(犬上川)         174 補助広域河川改修事業(真野川)         175 補助広域河川改修事業(姉川・高時川)         176 補助河川環境整備事業(琵琶湖(木浜内湖))         177 補助河川総合流域防災事業(大川)         178 補助河川総合流域防災事業( 琵琶湖(湖西圏域) )         179 単独河川改良事業(大石川)         180 単独河川改良事業(天神川)         181 単独河川改良事業(大同川)         182 単独河川改良事業(三明川)         183 単独河川改良事業(祖父川)         184 単独河川改良事業(日野川)         185 単独河川改良事業(田川)
            186 みずべ・みらい再生事業         187 補助急傾斜地崩壊対策事業(若葉台3地区)         188 補助急傾斜地総合流域防災事業(愛東外地区)         189 単独都市公園事業(湖岸緑地松原米川地区)         192 補助土木施設災害復旧事業    2 変更 42 補助道路整備事業(国道421号)         63 補助道路修繕事業(国道303号)         65 補助道路修繕事業(国道477号)         68 補助道路修繕事業(栗東信楽線)         69 補助道路修繕事業(彦根近江八幡線)         73 補助道路修繕事業(山東本巣線)         83 補助広域河川改修事業(家棟川)         88 補助堰堤改良事業(宇曽川ダム)         101 中規模堰堤改良事業(青土ダム)         119 補助砂防総合流域防災事業(基礎調査)         128 補助都市公園事業(びわこ文化公園(文化ゾーン))         147 補助道路整備事業(愛知川彦根線)         153 補助道路修繕事業(国道307号)         154 補助道路修繕事業(国道367号)  議第98号 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールの設置および管理に関する条例の一部を改正する条例案  議第107号 契約の締結につき議決を求めることについて(国道422号補助道路整備工事)  議第108号 契約の締結につき議決を求めることについて(彦根総合運動場解体工事) 〇環境・農水常任委員会  議第91号 平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款5 琵琶湖環境費         款8 農政水産業費   第3条 債務負担行為の補正のうち    2 変更 31 県営かんがい排水事業         32 県営経営体育成基盤整備事業         37 県営農地防災事業  議第97号 滋賀県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案  議第106号 契約の締結につき議決を求めることについて(畜産技術振興センターキャトル・ステーション整備その他工事)  議第116号 県の行う土地改良事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて  議第117号 流域下水道事業に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて 〇厚生・産業常任委員会  議第91号 平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款6 健康医療福祉費         款7 商工観光労働費  議第92号 平成29年度滋賀県病院事業会計補正予算(第1号)  議第96号 滋賀県観光物産情報センターの設置および管理に関する条例を廃止する条例案  議第99号 滋賀県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案  議第109号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第110号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第111号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第112号 権利放棄につき議決を求めることについて  議第113号 権利放棄につき議決を求めることについて 〇文教・警察常任委員会  議第91号 平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)   第1条 歳入歳出予算の補正のうち    歳出の部 款10 警察費         款11 教育費   第3条 債務負担行為の補正のうち    1 追加 190 警察学校給食業務         191 総合指揮システム機器整備  議第100号 滋賀県奨学資金貸与条例の一部を改正する条例案  議第101号 滋賀県地方警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案  議第114号 損害賠償請求調停事件の調停の合意および損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて 〇決算特別委員会  議第102号 平成28年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについて  議第103号 平成28年度滋賀県病院事業会計決算の認定を求めることについて  議第104号 平成28年度滋賀県工業用水道事業会計決算の認定を求めることについて  議第105号 平成28年度滋賀県水道用水供給事業会計決算の認定を求めることについて           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第7号 オスプレイの飛行中止と配備撤回を求める意見書の提出について 請 願 番 号 第7号 受 理 年 月 日 平成29年9月25日 件     名 オスプレイの飛行中止と配備撤回を求める意見書の提出について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子  杉本敏隆 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  沖縄の普天間基地に配備されている米海兵隊のMV22オスプレイが8月5日、オーストラリアで訓練中に墜落事故を起こし、乗員3人が死亡した。これは2016年12月13日の沖縄県名護市での墜落事故に続くものである。沖縄での墜落事故の調査報告も出ないうちに、またしても起きた事故に、全国で不安が高まっている。  米軍は事故直後の8月7日からオスプレイの飛行を行い、安倍政権はオスプレイの飛行を容認する見解を発表しているが、米軍優先の訓練再開を許す日本政府の姿勢は、国民を愚弄するものである。さらに、9月5日から行われた北海道での日米合同演習にオスプレイが参加したり、普天間基地所属のオスプレイが機体異常のため大分空港に緊急避難着地するなど、墜落の不安を広げている。  オスプレイは1991年以降、今回の事故を含め、11回もの重大事故を起こし、死者41名を出している構造的な欠陥機である。  安倍政権は、このようなオスプレイが参加する日米合同演習を全国に広げるとともに、2018年以降、MV22オスプレイを陸上自衛隊に17機配備する計画である。また、2017年1月から、米軍は千葉県木更津市の陸上自衛隊駐屯地でオスプレイ整備工場を稼働させている。  さらに、米軍のCV22オスプレイが2019年以降に東京・横田基地に配備される予定である。  しかもこれらのオスプレイは、2013年10月に饗庭野自衛隊演習場に飛来したオスプレイのように「住宅・公共施設上空は飛行しない」とした約束や運航規則などを全く守らないばかりか、日本全土を「運用上の必要」として飛び回っている。このような日本国民の生活権・生存権を脅かすオスプレイの飛行・配備は、絶対許されるものではない。  よって私たちは、 1、危険な欠陥機オスプレイを日本から撤去すること 2、饗庭野演習場での日米合同演習など、滋賀県内でのオスプレイ訓練飛行は絶対しないこと を日本政府に強く要求している。  貴県議会が、私たち県民が安心して生活できるよう、また県民の「平和的生存権」が守られるよう、オスプレイの飛行中止と配備撤回を求める意見書を日本政府に提出していただくよう請願する。           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第8号 日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書を提出することについて 請 願 番 号 第8号 受 理 年 月 日 平成29年9月26日 件     名 日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書を提出することについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子  杉本敏隆 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから72年を経たことし7月7日、国連において122カ国の圧倒的多数の賛成で核兵器禁止条約が採択された。
     条約は、核兵器について破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪して、これに「悪の烙印」を押した。条約はその前文で「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい苦難に留意し」と述べ、開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇に至るまで、核兵器にかかわるあらゆる活動を禁止し、「抜け道」を許さないものとなっている。  また条約は、核保有国の条約への参加の道を規定するなど、核兵器完全廃絶への枠組みを示している。同時に、被爆者や核実験被害者への援助を行う責任も明記され、被爆国の国民の願いに応えるものとなっている。  このように、核兵器禁止条約は、被爆者とともに私たち国民が長年にわたり熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものである。条約は50カ国が批准した90日後に発効するものとされ、発効後は条約に反するあらゆる活動が国際社会の非難の対象となる。核保有国とその「核の傘」の下にある同盟国は、条約への不参加を表明しているが、条約が発効すればそれらの国々も政治的、道義的な拘束から免れることはできない。広島と長崎への原爆投下という核の惨禍を体験し、その経験から戦争放棄を定めた憲法を持つ日本こそ、核兵器の禁止に進んで賛同し、核保有国などを説得して推進の先頭に立つべきではないか。  その方向こそ、核兵器を持つ国々と持たない国々との橋渡し役を務めるとみずから明言した政府のとるべき態度と言える。9月20日には核兵器禁止条約への署名が開始され、世界が核兵器禁止に向けて大きく動き出した。  日本政府が速やかに核兵器禁止条約に署名・批准すること、また、それまでの間は、オブザーバーとして締約国会議および検討会議に参加することを求める意見書を、貴議会が日本政府と関係機関に送付してくださるよう請願する。           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第9号 実効性のある避難計画が策定され、核廃棄物処理のめどが立つまでは、大飯原発3、4号機の再稼働を行わないことを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第9号 受 理 年 月 日 平成29年9月27日 件     名 実効性のある避難計画が策定され、核廃棄物処理のめどが立つまでは、大飯原発3、4号機の再稼働を行わないことを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子  杉本敏隆 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  本年5月、6月の高浜原発3、4号機の再稼働に続き、大飯原発3、4号機が来年1月以降にも再稼働と報道されている。国民の多くが原発の再稼働に反対し、原発のない社会の実現に向けたエネルギー政策の推進を求めている中で、これと逆行する動きを大いに危惧している。  原発の再稼働に当たっては、実効性のある避難計画が策定されること、そして核廃棄物処理のめどが立つことが前提であるが、現段階でこれらの条件は満たされていない。  特に大飯原発3、4号機については、2014年5月21日に福井地裁が「運転してはならない」と判決で命じている。判決は「大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険がある」と認定した。滋賀県は大飯原発から最も近いところでわずか約20キロメートルであり、141万人の県民の人格権が侵害される具体的な危険がある。  よって、滋賀県議会におかれては、国に対し、原発のない社会の実現を求める過半数を超える国民の願い(2017年3月13日毎日新聞全国世論調査、原発再稼働反対55%)、琵琶湖を守る責任と、住民の生命と健康・財産を守る立場から、実効性のある避難計画が策定され、核廃棄物処理のめどが立つまでは、大飯原発3、4号機の再稼働を行わないことを求める旨の意見書を提出するよう請願する。           ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第10号 難病法における軽症患者登録制度の実現について 請 願 番 号 第10号 受 理 年 月 日 平成29年9月27日 件     名 難病法における軽症患者登録制度の実現について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 節木三千代 木沢成人 中村才次郎 西村久子 柴田智恵美 付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  2015年1月1日、難病法が施行されたが、旧特定疾患(56疾患)に適用されていた特定医療費の支給認定の経過措置(3年間)は、2017年12月31日に終了する。経過措置の終了により重症度分類による軽症患者が特定医療費の支給対象者からどれだけ外れることになるのか、それによって医療費の公費負担がなくなるだけでなくどのような不利益が生じるのか、難病患者は強い不安に陥っている。  軽症で医療費の公費負担は必要としなくても療養生活を送る患者であることは紛れもない事実である。  旧特定疾患時代では特定疾患の指定から外れた者には引き続き特定疾患の患者である旨を証明するための「特定疾患登録証」が発行されていた。それに代わるものとして何らかの指定難病患者の証明となるもの、例えば「軽症患者登録証明書」の発行により全ての難病患者が安心して療養生活が送れるような手立てを講じていただきたいと願っている。  経過措置の終了までもう時間がない。国に対して難病法における軽症患者登録制度の実現を求める旨の意見書の提出を切にお願いする。            ────────────────────────────── △陳情についての報告 ○議長(奥村芳正) なお、陳情については、お手元に配付いたしておきました一覧表のとおりであります。            ──────────────────────────────                    陳  情  一  覧  表 △陳情第1号 北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求めることについて 陳 情 番 号 1 受 理 年 月 日 平成29年9月11日 件     名 北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求めることについて 提  出  者 (略) 要     旨  9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を実施し、「成功した」と発表した。今回の核実験について、共同通信は昨年の水爆実験の9.8倍と報じているほか、北朝鮮メディアは金正恩が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の弾頭部に装着可能な「水爆」実験を視察したと報じており、今回の核実験によって、北朝鮮はミサイルに搭載可能な水爆を手にした可能性もある。  8月29日には、北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過し北海道東方の太平洋上に落下している。北朝鮮のミサイルは、過去に何度も発射実験に失敗していることを考えれば、日本本土に落下する可能性もあり、アメリカばかりか日本にとっても安全保障上、極めて重大な問題であることは明らかである。  北朝鮮が発射したミサイルは約10分で日本に届き、現在の迎撃ミサイルでは、複数のミサイルを迎撃することは困難である。たとえ迎撃できたとしても、ミサイルにサリンなどの化学兵器が搭載されていた場合には甚大な被害が広範囲に及ぶことが予想される。その対応策は、「国民保護法」第十六条(市町村の実施する国民の保護のための措置)の中にも明記されているが、避難訓練は行われていない。  北朝鮮のミサイルが日本に着弾するようなことが起こってから対応するようでは、市民を守ることはできない。よって下記要望する。           記 一、武力攻撃の緊急事態から国民の生命および財産を守るために、国、行政機関、都道府県、市町村、地方公共機関等、緊密な連携のもと、住民の避難や救援活動が円滑に進むよう、強い指導力を発揮すること。 一、国の指示を待ついとまがない場合には、迅速な判断のもと、適確な救援活動を実施するよう知事に働きかけること。 一、「国民保護法」を市民に徹底し、核兵器やサリンなどに対する対処法を啓蒙すること。 一、万が一、北朝鮮が発射したミサイルが日本に着弾した場合に備え、核やサリンなどを想定した避難訓練を自治体で実施するよう知事に働きかけること。 送 付 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(奥村芳正) お諮りいたします。  明3日から5日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(奥村芳正) 来る6日は、定刻より本会議を開き、付託案件について決算特別委員会を除く各委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後3時27分 散会    ────────────────...