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平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−09月29日-04号

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  1. 滋賀県議会 2017-09-29
    平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−09月29日-04号


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    平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)−09月29日-04号平成29年 9月定例会議(第9号〜第14号)                 平成29年9月定例会議会議録(第12号)                                       平成29年9月29日(金曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第4号                                         平成29年9月29日(金)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第91号から議第118号まで(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       31番   奥  村  芳  正    32番   野  田  藤  雄       33番   西  村  久  子    34番   佐  野  高  典       35番   家  森  茂  樹    36番   吉  田  清  一       37番   粉  川  清  美    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             青  木     洋               選挙管理委員会委員長代理    中  原  淳  一               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      堀  井  と よ み               代表監査委員代理        奥        博               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            村  上  浩  世               県民生活部長          福  永  忠  克               琵琶湖環境部長         高  砂  利  夫               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        江  島  宏  治               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          池  口  正  晃               会計管理者           辻  井  弘  子               企業庁長            廣  瀬  年  昭               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               警察本部長           鎌  田  徹  郎            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            青  木  幸  一               議事課長            入  江  建  幸               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が、また、人事委員会西原節子委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として堀井とよみ委員が、また、北川正雄代表監査委員が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として奥博監査委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第91号から議第118号まで(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第3号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(奥村芳正) 日程第1、議第91号から議第118号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、17番冨波義明議員の発言を許します。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。一般質問2日目、トップバッターとして、あらかじめ通告をしております2問について、以下、分割方式で、きょうは特に簡潔に質問をさせていただきます。いずれも、今夏、県民や関係者の皆様から強い要望をいただいた案件でございます。よろしくお願いいたします。  まず、農業水利施設の維持管理に係る取り組みについて、農政水産部長にお伺いします。  滋賀県は、県土の中央に琵琶湖を抱え、その周辺を山で囲われた地形で、湖周辺部のみならず、県内各地に農地を有しております。  平成29年度版しがの農林水産業によりますと、県土の総面積40万1,738ヘクタールに対し、農地の面積は5万2,600ヘクタールとなっており、これは県土のほぼ13%に相当し、このうちの約90%に当たる4万8,300ヘクタールを水田が占めております。通常、稲作に必要な水を人為的に供給をいたしますいわゆるかんがいを実施する場合には、河川から取水することが一般的ですが、河川水で安定的に稲作を行うためには、水田面積の10倍以上の流域面積が必要とされているところでございます。しかし、滋賀県では、全水田面積のおおむね6倍程度の流域面積しかないのが現状でもあります。  このため、県内では古くから河川のほか琵琶湖にも水源を求め、先人のさまざまな御苦労のもと、取水堰、用排水機場、用排水路等の農業水利施設が連綿と整備をされてきたところでございます。このような経過から、現在、県内には約1万3,000キロメートルにも上る農業用排水路が網の目のように張りめぐらされ、県下の農業経営を支えています。  しかし一方、これらの施設の多くは著しく老化が進行していることや、多くの施設は農業者の団体である土地改良区によって、農業者から集めた賦課金をもとに維持管理をされておりますが、農業者の減少や高齢化、また農村における農家と非農家の混在が進行し、施設の管理体制の脆弱化が懸念をされているところでございます。  例えば、本県の南東部に農業用水を供給している野洲川土地改良区の管内では、農村の都市化や混在化の影響で、農地面積はここ30年間の間に約2割程度も減少しており、今後もこの減少傾向が継続すると考えられています。当然のことですが、農地の減少は、農家の減少や土地改良区が集める農家からの賦課金の減少にもつながります。  一方、近年の台風などによる集中豪雨の頻発化や局地化、集中化や激甚化などに伴い、洪水へ対応するための取水堰や水路の操作業務は増加しており、管理者である土地改良区の負担も増加している現状がございます。この件については、私も今夏、土地改良区の皆様方から、悲鳴にも近い切実なお声をお聞きをしているところです。  そこで、このような状況を踏まえ、以下2点から、農政水産部長にお伺いをいたします。  まず1点目に、県内の農業水利施設の老朽化の現状についてお伺いをいたします。  県内に多数存在する農業水利施設については、老朽化が進む中、計画的な改修、変更が求められていると聞き及んでいますが、パイプラインからの漏水事故の増加や排水機場のポンプの停止等も懸念をされており、ひとたび漏水事故などが発生をいたしますと、農業生産はもとより、地域住民の生活にも多大な影響が生じることとなります。  県においては、引き続き計画に基づく必要な予算を確保し、施設の老朽化対策や防災対策を進めることが重要と考えますが、県内の農業水利施設の老朽化はどの程度進んでおり、県はどのように対応しているのか、農政水産部長にお伺いをいたします。  次に、2点目として、土地改良区に対する支援状況についてお伺いをいたします。  土地改良区による施設管理をめぐる環境は、今後ますます厳しさを増していくことが懸念されていますが、農業水利施設については、公共的、公益的な機能も多く有していると承知をしております。  土地改良区の機能は、農地や排水路などの施設整備、そして維持管理にとどまらず、農家の方はもとより、非農家の方々へも農地や農業用水路の多面的機能などを広く伝え、農村環境を保全する役割も担っておられます。さらには、降雨を一旦貯水する洪水防止機能や、潤いと安らぎの場、伝統文化を継承する場の保全機能も期待をされているところでございます。  これらの任務が引き続き適切に行われることは極めて重要だと考えますが、農業水利施設の管理に関する県の支援状況について、農政水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(奥村芳正) 17番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) (登壇)農業水利施設の維持管理に係る取り組みについての2点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の県内農業水利施設の老朽化の状況およびその対応についてでありますが、県内の農業水利施設の多くは、琵琶湖総合開発の期間を中心に整備が進められ、近年、その老朽化が進行しております。  県内約1,000キロメートルの幹線水路のうち、平成28年度末までに耐用年数を迎えたものは446キロ、そのうち更新済みのものは149キロメートルであります。また、今後耐用年数を迎える施設は、毎年24キロメートル程度増加する見込みであります。  このため、施設の機能診断によって劣化の状況を把握し、予防的かつ効果的に更新等を行うことにより、長寿命化等を図るアセットマネジメントに取り組んでいるところです。  この取り組みを関係機関が連携して円滑に進めるため、平成26年3月に、県、市町、土地改良区等からなる協議会において、平成35年度までの10年間の期間を対象とした滋賀県農業水利施設アセットマネジメント中長期計画が策定されました。県では、この計画を踏まえまして取り組みを進め、昨年度までの3年間の計画に対する進捗の実績は約88%であります。  本年3月に、これまでの実施状況等を踏まえて中長期計画の見直しが行われ、新たな計画においては、平成38年度までの10年間に必要となる事業費は560億円程度と見込まれております。  県といたしましては、今後も関係機関と連携し、国への要望等を通じて必要な予算の確保に努め、アセットマネジメントの取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。  2点目の農業水利施設の管理に関する県の支援状況についてであります。  農業水利施設は、農業のみならず、水田に用水を供給することによる地下水の涵養、流れる水を利用した防火や冬に雪を溶かす消雪への活用といった多面的な機能も有しております。適切に管理されることが必要です。このため、県はこれまで、各種事業の実施を通じまして、管理を担う土地改良区等を支援しております。  具体的な事業といたしましては、基幹的な施設に関しましては、基幹水利施設管理事業による農業用ダムや頭首口、揚水機場など県内9施設の管理費等に対する支援、国営造成施設管理体制整備促進事業による24の土地改良区における管理体制の整備等に対する支援を実施しております。  また、農地周辺の小規模な施設に関しましては、平成28年度の実績といたしましては、土地改良施設維持管理適正化事業による32の施設の定期的な整備、補修等に対する支援、単独小規模土地改良事業による20の施設の整備、補修等に対する支援、さらに、世代をつなぐ農村まるごと保全事業による、取り組み面積3万6,035ヘクタールにおいて、864組織の農業者等が行う末端水路の泥上げや草刈り等に対する支援などを実施しているところです。  今後も引き続き、これらの事業の活用等によりまして、農業水利施設が適切に維持管理されるよう、支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)すいません。1点だけ再質問をさせていただきます。  さまざまな土地改良区への御支援、今、状況も聞かせていただいたんですけども、特に御要望が大きいのは、今いただきました基幹的な農業水利施設について基幹水利施設管理事業をされているわけですが、そこへ管理費というのが出されてますけれども、これが平成21年度までは県の補助率30%であったものが、現在では県補助率25%になっている。それまではもう少し低かったのが徐々に上がってはきているんですけど、まだ25%だということをお聞きをしております。  そして、この差ですよね、この差については、全て農業者が負担されているというふうにお聞きをしております。数年来、土地改良区の皆様からの御要望をお聞きをしているんですけども、先ほど来るる言いましたような状況で、仕事自体は農業の用水のみならず、この豪雨によるさまざまな業務もふえている中で、予算が減らされたままであると、これをできるだけ早く回復をしてほしい、こういうお声を聞いております。厳しい農業情勢が続く中で、農業水利施設の管理に対する支援の充実を図っていくことは極めて重要と考えます。  そこで、もう単刀直入にお伺いをいたします。県補助率30%への早期回復について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えいたします。  基幹水利施設管理事業に係る県の補助率は、平成21年度までは30%でございましたが、22年度に財政構造改革プログラムの一環として21%としたところでございます。その後、厳しい農業情勢等を踏まえまして順次回復を図ってまいりまして、今年度は25%としたところでございます。  この件につきましては、現場の皆さんからも強い要望をお伺いをしているところでございますが、一方で、県の財政もさらに厳しさを増す状況にもありますので、基幹水利施設管理事業のあり方については、今後、財政状況や関係各位の御意見等を踏まえながら考えてまいりたいというふうに思っております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)前向きな答弁だというふうに理解をさせていただきます。  私たちがお茶碗1杯の御飯をいただくためには、お風呂1杯分の水が必要だというようなお話を聞いたことがございますが、農業者や土地改良区の皆様方が農業に必要となる膨大な水を管理し、地域に提供されていることに感謝の念を抱かざるを得ません。  日本の農業が持続可能な形で今後も力強く発展するために、また、大切な国民の財産とも言える農地や農業用水を守り育て、豊かな地域資源を次世代に引き継ぐためにも、農業水利施設の維持管理事業をしっかりと県も支援をしていただくことを期待をいたしまして、次の質問に移ります。  次に、琵琶湖のマイクロプラスチック問題について、琵琶湖環境部長にお伺いいたします。  2015年6月、ドイツで開催をされましたG7エルマウ・サミットにおいて、海洋ごみに対処するための行動計画が決議されたことで、プラスチックごみに加え、マイクロプラスチックの問題が国際的な社会関心事となりました。
     翌2016年5月に日本で開催をされました伊勢志摩サミットでは、首脳宣言の中で、資源効率性および3R──リデュース、リユース、リサイクルのことですが、3Rに関する我々の取り組みが、陸域を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制および削減に寄与することを認識しつつ、海洋ごみに対処することが必要だと表明をされたところです。  また、同時に、富山市で開催をされましたG7環境相会合では、エルマウ・サミットで合意をされました首脳宣言、海洋ごみに対処するためのG7行動計画が再確認されるとともに、プラスチックごみおよびマイクロプラスチックが海洋生態系にとって脅威であるということが正式に明記をされたところでございます。  プラスチックは全世界で1年間に約3億トンが生産されており、これは世界の石油産出量の8%にも相当するのだそうです。そして、このプラスチックのうち、その約半分程度が、容器や包装など使い捨てのプラスチック製品として使われているとされております。レジ袋、ペットボトル、菓子の包装、食品トレイ、コンビニの弁当箱など、私たちの身の回りは多くの種類のプラスチック製品に囲まれており、また、その量も多く、レジ袋だけでも1人年間約300枚、1世帯から毎日約1キログラムのプラスチックごみが発生する計算になるとも言われております。  資源や地球温暖化の問題も含めて、プラスチックごみの問題は、現代社会が早急に対策を講じなければならない喫緊の課題だと言われて久しいところです。  しかし、資源や地球温暖化の問題以上に現在懸念されているのは、プラスチックごみが海の生物に物理的損傷を与えることであり、特に、マイクロプラスチックに吸着した有害化学物質が海の生物の体内に蓄積されることへのおそれであります。このプラスチックごみマイクロプラスチックの問題は、これは海洋だけにとどまらず、私たちが預かる琵琶湖にも同様の事態が起こる可能性があります。琵琶湖の保全に取り組む我々県民にとっても、他人事では済まされない問題でもあります。  このような中、近年、琵琶湖におけるマイクロプラスチックの観測が京都大学田中周平准教授を中心に続けられてまいりましたが、本年9月初旬に、琵琶湖でマイクロプラスチック検出との報道がなされました。この報道を受けて、私も多くの県民や漁業の関係者の方から御心配の声をいただいたところでございます。  そこで、以下4点、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。  1点目、琵琶湖で検出されたマイクロプラスチックの問題とは、そもそもどのようなことか。また、この問題に関する科学的な知見は現在どのような現状にあるのか。  2点目、琵琶湖でのマイクロプラスチックの検出状況はどのような現状にあるのか。また、どのような課題があるのか。  3点目、マイクロプラスチックが人の健康被害や琵琶湖の魚など生態系に及ぼす影響について、どのように分析をしているのか。  4点目、マイクロプラスチックの問題に対し、県や県民はどのように対応していくべきか。  以上4点について、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)冨波議員の琵琶湖のマイクロプラスチック問題についての4点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目のマイクロプラスチック問題への認識と科学的知見の状況についてでございますが、マイクロプラスチックとは、プランクトンと同程度の5ミリメートルを下回った大きさのプラスチックで、海域を中心に水環境中に存在していることが知られております。  その起源といたしましては、環境中で細かく砕けたレジ袋等の散在性のプラスチックごみと、化粧品や歯磨き粉等に添加された、いわゆるマイクロビーズと呼ばれるプラスチックなどが推定されております。  マイクロプラスチックには、水環境中に低濃度に存在している化学物質を吸着し、濃縮する可能性が指摘されております。  また、化学物質を吸着したマイクロプラスチックを魚介類が餌と間違えて食べることで、魚介類の体内に化学物質が移行し、その後、食物連鎖の中でさらに濃縮され、生態系に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されております。  このような懸念に対しまして、現状で科学的知見はほとんどなく、世界的にも各地で研究が開始されたところでありまして、環境省においても、海域での実態調査や環境リスク評価に向けた研究が実施をされております。  次に、2点目の琵琶湖でのマイクロプラスチックの検出状況と課題についてでございますが、マイクロプラスチックの調査につきましては、現在、調査方法自体が確立されておらず、琵琶湖でマイクロプラスチックを研究されておられます京都大学の研究者は、専用の分析機器を導入するなどにより調査方法を構築され、琵琶湖での調査結果を得ておられるところであります。  この京都大学の研究者からは、琵琶湖北湖の水1立方メートル当たり平均0.57個、南湖沖合の水1立方メートル当たり平均2.6個のマイクロプラスチックが検出され、また、底泥、底の泥でございますが、底泥や琵琶湖のワカサギの一部からも検出されたと聞いているところでございます。  これら水環境中で検出されますマイクロプラスチックは、もとをただしますと人の暮らしから排出されたものでありますことから、我々一人一人の暮らしの中から生じた課題であると認識をしております。  3点目のマイクロプラスチックによる人や琵琶湖生態系への影響の分析についてでございますが、マイクロプラスチックは、それ自体に毒性はなく、また、大変小さいため、誤って食べたとしても影響なく排せつされると考えております。  なお、水道の水処理の過程で、マイクロプラスチックと同程度の大きさの懸濁物、濁りでございますが、懸濁物を除去しておりますことから、水道水への混入可能性も低いと考えられます。  また、環境省が海洋での調査項目としておりますマイクロプラスチックが吸着する化学物質につきましては、県が琵琶湖の水質や魚で実施した調査におきましても、問題のないレベルであることを確認をいたしております。  生態系への影響に関する科学的知見そのものはほとんどございませんが、これまでの県の調査では、琵琶湖の魚について、成長や成熟状況に生理的影響は認められていないことを確認をいたしております。  このように、現在のところ、琵琶湖ではマイクロプラスチックで懸念されている影響は確認されておらず、新たな科学的知見を注視していくべき課題であると認識をしております。  4点目の県や県民の皆さんの対応についてでございますが、マイクロプラスチック問題は、これまで排水規制等で対応してまいりました水質汚染のように、環境に及ぼす悪影響が明らかであった、そういう課題とは異なり、現在のところ、琵琶湖では懸念されている状況は確認されておらず、今後、科学的知見が蓄積される課題でございます。  このような課題に対しましては、過度に不安に流されることなく、最新の科学的知見を正確にいち早く入手して、適切な対応をとることが重要であると考えております。  このため、県は、高度な研究を行い最新の知見を生み出す大学など、外部の研究者と研究段階での協議や試料の採取等への協力により連携をいたしまして、琵琶湖の生態系に対する課題の有無を見きわめ、県民の方々に発信してまいります。  同時に、マイクロプラスチックが私たちの暮らしから排出されていることを踏まえまして、従来から取り組み、一定の成果を上げております散在性ごみ対策を、県民の皆様の協力のもと、引き続き実施してまいります。  県や県民の皆さんがそれぞれの立場で役割を果たし、協力して対応することで、琵琶湖と共生する持続可能な社会を構築してまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。この質問をつくるに当たりましては、今るるおっしゃいましたように、たちまち危険だからというふうな危険をあおったりすることなく、例えば漁業関係者の方からも、大丈夫だったら大丈夫だという、そういうふうな県の今現在の科学的見地はなかなかまだ認められないんだけれども、その状況をぜひ伝えてほしいと、こういう御依頼をいただきましたので、今、たださせていただきました。  そこで、2点、ちょっと再質問をさせていただきたいんですけども、マイクロプラスチックの中でも、特にマイクロビーズですね。私もマイクロビーズというのは初めて聞いたんですけども、何気なく私たちが使っている歯磨き粉や洗剤ですとか、あるいは食器を磨くようなものからも小さいものが出るということで、マイクロビーズというのをお聞きをしました。  これについては、もう既に各メーカーのほうで昨年来対策をとられて、生物由来のものに変えたというふうにお伺いしているんですけども、この動きが本当なのか。また、これ、ほとんどの企業さんがそういうふうな努力をされているのか。マイクロビーズなどを扱う企業の対応がどうなっているのかということを1点お伺いします。  もう1点ですけども、化学物質を吸着しましたこのマイクロプラスチックですね、これが琵琶湖の中でどのように移動して、そして次は、今度は琵琶湖から海洋へ流出するわけですけども、この状態はどのように捉まえておられるんでしょうか。ちょっと2点だけ再質問をさせていただきます。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) 再質問にお答えさせていただきます。  マイクロビーズについての企業の対応状況でございますけれども、マイクロビーズに対しまして、日本の化粧品業界では、平成28年3月から自主的にマイクロビーズの使用中止に向けた対応を始めておられまして、幾つかのメーカーにおきましては、平成28年度末までに代替素材に置きかえたと、そういうことがホームページで公表されております。  今後、各事業者におきましてこのような取り組みが進められることにより、マイクロビーズの環境中への排出状況は低減されていくものと考えております。  もう1点の化学物質を吸着したマイクロプラスチックの琵琶湖での挙動あるいは流出をどう捉えるかという点でございますが、マイクロプラスチックは、水より軽く、表層付近に浮遊をし、最終的に瀬田川から海洋へ流出するものと、水より重く、湖底に沈降して、その後、堆積する土砂に埋まるものとがあると考えられます。  例えば、環境省が海洋での調査項目としておりますマイクロプラスチックが吸着する化学物質につきまして、琵琶湖水質では不検出が続いているなど、マイクロプラスチックが化学物質を濃縮するかどうかにかかわらず、現状で琵琶湖に問題を生じていないと考えております。  一方で、琵琶湖で大きな影響を生じることがなくても、琵琶湖から海洋への流出が考えられ、最終的に海洋の生態系における課題となる懸念がありますことから、本県におけます散在性ごみを減らす取り組みにつきましては、予防的対策として重要であると考えているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。琵琶湖からマイクロプラスチックが検出されたというその報道が出ましたこの状況は、たちまち影響はないとはいうものの、いわば炭鉱内に置かれたカナリアがちょっとさえずった、鳴き始めたという状況と言えるのではないかなというふうに感じたわけでございます。今直ちに影響が目に見えなくても、もしも兆候があれば、早急にさまざまな対策を打つことも重要かと思います。  野洲市の琵琶湖の水と地域の環境を守る会という会がございますが、これは長年にわたり琵琶湖の環境保護活動を進めていただいておりますが、この会員の皆様のお話によりますと、近年、集めるごみの大半はプラスチックごみであり、そのほとんどがペットボトル類だということでございます。  プラスチックごみは、強い日差しと高温により海岸でプラスチックの細分化が進み、マイクロプラスチックの生成が進むと、こういうふうに考えられているわけですが、それがたちまち人体やとか琵琶湖の生態系に影響があるということは、それはまだ科学的な見地がないわけですけれども、そういうふうな現状がある以上、やはり琵琶湖へのマイクロプラスチック類の流入を減らすということ、このためには湖岸のプラスチックごみの清掃あるいは収集、回収活動が極めて重要だと考えております。  そこで、環境先進国を標榜する本県ならば、まずはプラスチックごみ撲滅運動ですとか、あるいはプラスチックごみポイ捨て防止に関する条例ですとか、そういう取り組みも推進する必要性があるのではないかなと考えております。  そのためにも、マイクロプラスチックの環境への影響あるいは人体への影響、生態系への影響をいたずらに不安を覚えるのではなく、正しく知って、県民ぐるみの適切な対応を行うことが重要かと思います。  県当局はこれまで以上に、専門的な研究をされている京大の田中先生等と連携を密にしていただきまして、私たち県民に的確に正確な情報を伝えていただくこと、これが大事かと思いますので、それをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、17番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、22番大野和三郎議員の発言を許します。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、20年先を見越した介護と障害者の自立支援について、全て知事に問います。  国際医学誌ランセットに東京大学大学院医学系研究科が調査した日本の平均寿命と健康寿命の結果が掲載された報道がありました。これまでの国の調査結果と異なり、滋賀県が平均寿命84.7歳、健康寿命75.3歳と、ともに全国トップとなり、日本全体での平均寿命と健康寿命が2年以上延びる一方、都道府県間の格差が拡大傾向にあるということでありました。  本県でも大学の調査をさらに分析するようですが、ここで、ともに年齢が延びることはよいことではありますが、私が指摘しておきたいことは、平均寿命に対するいわゆる健康年齢の割合であります。  東京大学のデータからしますと、前回調査における平均寿命に対する健康的な平均寿命の割合、本来100%が理想でありますが、この数値は、今回の率は88.9%、前回の数値が89.2%ですから、健康寿命も延びているものの、平均寿命がそれ以上に延び、その比較、すなわち、死ぬまで健康に過ごす人の割合は少なくなっているという点であります。  こうしたことも考慮されてか、厚生労働省の試算でも、2040年まで介護が必要な人が大幅にふえるとしています。ますます高齢化社会になる中、平均寿命と健康寿命の差を減らさなければ、介護が必要となる高齢者がふえるということであります。今回は、健康寿命のさらなる延伸ではなく、まず、目の前の介護施設の現場の現状から、将来に向けた本県の方針を明らかにしたいと思います。  ことし5月に実施されました特別養護老人ホームにおける入所・人材等に関する調査の結果ですが、まず、介護に限らず、看護、生活指導および支援専門員の職員数について、「大いに不足」から「やや不足」まで、何らか「不足している」と回答された割合が109施設中83.5%の91施設にも及びます。さきに述べましたが、平均寿命の延びによって介護が必要な人の割合も増加しており、中長期的視点に立っての人材確保は、今、手を打たなければなりません。  まず、知事に問いますが、寿命延伸と介護関係人材の不足という現場の声から、これまで以上に危機感を持って事に当たらねばならないと思いますが、今回の調査の感想と知事の率直な現場の認識を問います。  また、これは必ずしも本県だけで解決できるものではありませんが、人事管理面からの調査では、「良質な人材の確保が難しい」「今の介護報酬では十分な賃金が払えない」「スキルアップするにも教育、研修時間が十分確保できない」という回答が多くを占め、それを裏づけるように、職員不足に対する採用に結びつかない理由も、「賃金が低い」「きつい」「社会的評価が低い」というものであります。  私は、こうした現場の声とその解決こそが、実は今、滋賀県が進めているレイカディア滋賀高齢者福祉プランの実効性を高めるために必要なことではないかと常々申し上げているところでございます。こうした現状にある高齢者介護の現場の改善、解消に向けての課題と、県としての対応の具体を問います。  今回、この問題を取り上げるに当たり、関係者からの意見も伺いました。「サービスつき高齢者向け住宅では、入所者がみずからもできる行為をサービス料を取って行っている施設もあり、むしろそれは自立を遠ざけているのではないか、そうした施設のほうが報酬が多いことに矛盾を感じる」というものがありました。  ところが、この意見交換と前後して、厚生労働省が来年度からの方針として、自立支援に効果のあった事業所にこそ報酬をふやすという、現場の声に応えるような報道がありました。現行は、状況が改善し介護度が下がると介護報酬が下がり、結果、事業所の経営が苦しくなるという制度設計であります。私は、むしろ自立を後押しして介護度を下げた事業所には報酬を上乗せすることで、質の高いサービスの安定的な提供につながると思います。  今後具体的になろうと思いますが、知事の今回の国の方針に対する見解と、県としての国への働きかけをどのようにされようとしているのか問います。  一方で、入所者から見た疑問であります。  まず現状ですが、本県における特別養護老人ホームの施設数と入所定員数、それに対する実際の入所者数の最新のデータを問います。  平成29年4月1日現在の入所者数は、定員6,088人に対し5,842人でありました。率にして96%であります。一見、何も問題がないように思いますが、施設の開所者、入所希望者、双方から検討しなければならない課題が存在します。それは、入所者にあっては地域事情で入りたくても入れない、また一方、開設して間もない施設は定員を満たすまでに時間を要する点であります。  調査によりますと、開設1年未満の施設では利用率65%で経営上の影響が課題であること、圏域的には、甲賀圏域ではほぼ定員に達していますが、湖東圏域では87.7%とあきがあること。知事はこうした現状をどのように認識され、施設数も含めて、今後どのような方針で施設運営への課題、入所希望者への課題に対応されていくのかを問います。  本来、開設者にとっても入所者にとってもベストな施設の現状が望ましいわけでありますが、さらに細かく実態を見ますと、また違う課題が見えてきます。  利用者が満足するには施設と人材ですが、どれだけでも負担が可能という入所者ばかりではありません。所得面から希望施設に入れない、家族構成からユニット型特養の負担が難しいなど、さまざまであります。これまで市町村民税非課税世帯、つまり低所得者への負担軽減がありましたが、平成27年8月から配偶者の所得や資産も勘案されました。  そこでまず、制度改正によって負担軽減から外れた入居者はどれだけあったのか問います。  知事、SDGs、誰も取り残さない取り組みにいち早く手を上げられました。その知事として、まさに行動で示してはと思いますが、低所得者にあっても本当に必要な介護サービスを十分に受けられるようにする姿勢と、本県として今後この課題解決に向けてどのように取り組むのかを問います。  次に、障害者の自立に向けた滋賀県らしい取り組みについて問います。  本年8月の新聞報道であります。見出しは、「行き場失い障害者困惑」というものであります。岡山県の就労継続支援A型事業者が突然7月末に廃業で、解雇を知らされたのは6月下旬、「なすすべもなく、再就職を望むが、自分に合う就労先が見つかるか不安」との障害者のコメントとともに、新聞は、障害者ビジネスの横行がささやかれる中、行政担当者の「問題企業を見抜くのは困難」との話もあわせて掲載していました。  まず、確認ですが、三日月県政になって以降の本県就労継続支援A型事業所の数と、閉鎖というような実態があったのか。あれば、その状況と対応もあわせて問います。  昨年12月に、障害者雇用の促進に関して質問をしました。課題として上げられたのが、就労移行支援事業所で就労移行実績のない事業所に対する対応と、ステップアップの訓練などでありました。知事は、就労支援施設等のあり方検討会を設置し、取りまとめるとされました。  そこで、移行実績のない事業所比率ですが、28年度は改善されたのかどうか。就労継続支援A型、B型の事業所も含めて、状況とその理由を問います。  いずれにしても、あり方検討会によって改善に向けて動くと期待をしていますが、改めて、あり方検討会の議論の概要と、出された新たな視点と方向性を問います。  さきに、高齢者介護において、国は自立支援介護に成果のあった事業所への報酬増を検討する報道を紹介をしました。このことは、障害者の自立支援にも言えることであります。まさにステップアップの訓練などは行うには経費がかかる、しかし報酬上の評価がどうか、就労移行等への支援に一生懸命取り組む事業所ほど経営が厳しくなってしまうことは、これは本末転倒であります。  障害者雇用は、その時々の力に応じた就労を促進し、地域での自立した生活の実現を図ることにあるとすれば、一般就労への移行に向けて実績を上げる事業所こそ報われ、また、より一層の支援事業に取り組むという好循環の環境をつくらなければなりません。  検討会でも移行実績の評価について検討されたようでありますが、知事は、検討された具体的方策案をどう受けとめられているのか、そして、いかにしてその具体策を実現しようとされるのか問います。  一方、これも冒頭の介護施設と同様の課題、支援事業所の数であります。施設開設者にとっても入所者にとっても、ともに良好な施設数を目指さなければなりません。定数に満たない事業所がある中での新たな事業所の指定は、既存施設にとっては経営面から大きな支障にもなりかねません。今後の就労支援事業所の利用見込みと一般就労への移行目標、その上で、事業所の指定をどのように取り扱うのか、知事にその方針を問います。  最後に、地域で自立した生活への移行についてであります。  滋賀県障害者支援プランにおける入所施設から地域生活への移行は、平成29年度まででその目標は達成するのでしょうか。次のプランを作成するためにも、しっかり分析しなければなりません。その達成見込みと現時点における課題について、知事に問います。  平成30年4月には、事業所の障害者の法定雇用率が引き上げられます。こうしたことも念頭に、障害者の真の自立支援に取り組まなければなりません。滋賀らしい障害者の自立支援について知事の思いを問い、質問といたします。 ○議長(奥村芳正) 22番大野和三郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)大野議員からいただきました20年先を見越した介護と障害者の自立につきまして、14点御質問いただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  まず1点目、調査の感想と現場認識についてでございますが、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう地域包括ケアシステムを構築していくためには、必要なときに必要なサービスを受けられるよう、サービスを提供する施設、事業所の整備とともに、それを担う人材の確保、育成、定着が非常に大事であると認識しています。  そうした中、議員御指摘のとおり、8割を超える特別養護老人ホームが「職員が不足」と回答され、とりわけ介護職員につきましては、「大いに不足」が30.4%、「不足」が33%、「やや不足」が26.8%と、合わせて約9割が介護職員が不足しているとされ、人材不足は大変深刻で危機感を持っております。  介護という仕事は、人の命、生活を守る大変とうとい職業でございますが、一方で、入浴、排せつ、食事等の日常生活のさまざまなお世話をしていただいておりまして、夜勤など不規則な勤務も相まって、介護現場の職員の心身への負担は大変大きいものがあると感じているところです。  そうした実態を踏まえまして、私もサブリーダーとして関与しております全国知事会認知症対策・介護人材確保プロジェクトチームにおきまして、国に対し、介護従事者全体の賃金の底上げなど処遇の改善や、業務負担軽減、効率化に向けた提言を本年8月にも行ったところでございます。  2点目、介護現場の課題と県の対応についてでございます。  国の需給によりますれば、2025年には本県において約3,500人の介護職員が不足する見込みでございますが、現状でも、平均有効求人倍率は平成28年度で2.79倍と非常に高い環境にございます。離職率につきましても他産業より高く、離職理由は、「職場の人間関係」や「収入が少ない」「法人事業所の理念、運営方針への不満」「将来の見込みが立たない」といった理由が上位を占めております。  こうした中、これまでから新規参入から育成、定着支援に係る各種施策に取り組んでおりますが、今後の人口減少、生産年齢人口の減少、高齢者の割合の増加、医療ニーズをあわせ持つ要介護者の増加などを踏まえますと、介護現場で働く人の定着、育成に一層力を入れて取り組むことが重要であると認識しています。  このため、県といたしましては、1つ、多様化する介護ニーズに対応でき、他の介護職員の目標像となるリーダー人材を、2025年に向け数年かけて計画的に養成していくための研修と定着の仕組みづくり、2つ、介護人材の確保支援を行う介護福祉人材センターと定着、育成の支援を行う福祉研修センターの機能を統合し、就職前から定着、キャリアアップまで一貫して支援できる体制の整備につきまして検討し、より効果的に、離職防止、キャリアアップ支援を行っていきたいと考えています。  このことで、介護職員一人一人が将来のキャリアに見通しを持ちつつ、長く働き続けられる環境の整備が進み、新規の職員確保にも結びつくものと考えており、年度内に考えをまとめたいと存じます。  3点目、自立支援の報酬に上乗せする国の方針に対する見解と働きかけについてでございます。  利用者の自立支援に積極的に取り組んだ事業所を評価する仕組みは、事業所の努力に対する正当な評価であり、利用者にとっても、質の高いサービスを受け、できる限り自立した生活を送ることにつながると考えています。  滋賀県におきましても、介護サービスの質の評価に先行的に取り組んでいる地方自治体で構成する協議会に参加し、情報交換を行ってまいりました。この協議会において、介護サービスの質の評価につきまして介護報酬上位置づけるよう、昨年度には国に対し要望を行ったところでございまして、今年度も次期介護報酬改定に向け要望を行うことといたしております。  4点目、特別養護老人ホームの最新データについてでございます。  議員からは4月1日現在の御紹介をいただきましたが、平成29年9月1日現在、114施設でございまして、定員は6,227人、うち入所者は6,020人でございます。利用率は96.7%でございます。  5点目、現状認識と今後の対応についてでございます。
     特別養護老人ホームにつきましては、特に新規開設の施設を中心に、人材確保の問題から入所者の受け入れが困難となり、空床が発生する施設が生じるなど、介護人材の確保が運営上の重要課題となっていると認識しております。  また、これまでも各市町の整備必要量を踏まえ、地域の実情に応じて計画的に施設整備を進めているところでございますが、高齢化が進み施設ニーズも高まる中で、施設の入所率も地域によって差が生じ、結果として、必ずしも希望どおりの入所がかなわない状況となっております。  このような課題に対しまして、先ほども申し上げたように、県としては、介護人材の確保対策を強力に進めていくこととしています。また、各市町が平成30年度からの次期計画を策定するに当たり、整備必要量を見込む際に施設のあき状況などの情報提供を行っているところであり、さらに、今後ヒアリングを行う中で、必要に応じて、圏域ごとに市町を超えて施設整備の調整を積極的に行うなど、計画的な整備を図っていきたいと存じます。  6点目、負担軽減から外れた入居者についてでございます。  特別養護老人ホームの居住費や食費にかかる負担軽減の認定件数は、平成27年の制度改正の前後である7月と8月を比較しますと、3,474件から3,064件へと減少しており、約400人の方が制度改正により負担軽減から外れられたと見込まれます。  7点目、そうした中で、低所得者がサービスを受けるための姿勢と取り組みについてでございます。  居住費、食費の自己負担軽減については、制度改正により、世帯分離をしている配偶者の所得等を勘案することとされました。これは、費用負担の公平化の一環として、所得や資産のある人から応分の負担をしていただく目的で見直されたものと承知しておりますが、このことにより低所得の方が必要なサービスを受けられないということは、あってはならないことであると考えています。  低所得の方には、この居住費、食費の自己負担軽減のほか、毎月の介護サービス利用料の負担を一定額以下に抑える高額介護サービス費の仕組みがございまして、さらに、社会福祉法人等が利用料負担の軽減を行った場合、その経費の一部を公費負担しております。  県といたしましては、低所得の方が確実にサービスを受けられるよう、他府県とともに、国に対して負担軽減のあり方を検討し、必要な財政措置を講ずるよう要望しているところでございます。  あわせまして、実際に介護サービスを利用する際には、相談窓口となります地域包括支援センターやケアプランを作成する介護支援専門員、ケアマネジャー等の役割が大きいことから、相談支援者、機関への情報提供や研修等により支援機能の強化を図りまして、要介護者や御家族に必要な支援サービスが確実に届けられるよう、引き続き取り組んでまいる所存でございます。  8点目、就労継続支援A型事業所の数と閉鎖の実態等についてでございますが、就労継続支援A型事業所の推移につきましては、平成26年7月1日時点で16カ所、以降、各年4月1日現在でございますが、平成27年は20カ所、平成28年は21カ所、平成29年は26カ所となっております。  次に、閉鎖の実態の有無でございますが、平成27年度に閉鎖した事業所は1カ所ございます。状況としては、事業所を開設したものの、当初計画していた利用者人数を集めることができず、事業継続が困難として廃止届の提出があったものでございます。  廃止の際、当該事業所の利用者は2名ありましたが、事業者が本人、家族に対し廃止の了承を得た上で、相談支援事業所とともに次の就労先を探し、新たな事業所に移行されたことを確認しております。  9点目、就労移行実績のない就労支援事業所、就労継続支援A型、B型事業所の比率の平成28年度の状況とその理由についてでございます。  平成28年度における就労移行実績のない就労移行支援事業所は44%でございまして、対前年比15ポイント増加、同じく就労継続支援A型事業所は60%でございまして、対前年比16ポイントの減少、就労継続支援B型事業所では86%でございまして、対前年比8ポイント増加となっており、全体で見ますと75%で、対前年比6ポイントの悪化という状況でございます。  一方、就労に移行した実人数を全体で見ますと、平成27年度は112人でありましたものが平成28年度は120人となっており、就労への移行者実数で見ました場合は増加しており、一部の事業所が就労移行の支援に積極的に取り組み、移行者をふやしたと考えられます。  移行実績のない事業所の比率が改善されない理由といたしましては、利用者が一般就労に移行することにより事業所の生産性が低下してしまうことや、次の利用者が来るまでの間、報酬が減少し経営への影響があること、また、事業所における就労移行に向けたアセスメント能力が不足していることなどが考えられます。  10点目、あり方検討会での議論の概要と新たな視点、方向性についてでございます。  昨年度、障害福祉サービス事業所から一般就労への移行促進を図るため、障害福祉サービス事業所や働き・暮らし応援センター、当事者団体、滋賀労働局等で構成されます滋賀県就労支援施設等のあり方検討会を設置し、現状の課題整理とその後の手だてについて検討されました。  その議論におきましては、障害福祉サービス事業所の利用者が一般就労等に移行することにより、障害福祉サービス事業所の生産性の維持や経営に影響を与えるなどの利用で一般就労等への移行が低迷していること、また、相談支援事業所が作成するサービス等利用計画と障害福祉サービス事業所が作成する個別支援計画の間に整合がない等の課題が出されたところです。  あり方検討会での新たな視点と方向性については、就労継続支援B型事業所と就労移行支援事業所等をあわせ持ち、事業所内での柔軟なサービス選択ができる多機能型事業所を対象に、事業所の利用者がその時々の力に応じたステップアップや一般就労への移行が促進されるよう、一般就労への移行実績を評価する仕組みを導入することが示されたところでございます。  11点目、就労支援施設等のあり方検討会の具体的方策案の受けとめと具体策の実現についてでございます。  多機能型事業所を対象とした移行実績を評価する仕組みの導入については、利用者がそのときの能力に応じて一般就労へ段階的につなげていける点で、有効な手段と受けとめています。就労移行をより促進するためには、多機能型事業所以外でも、多機能型事業所と同様に利用者の能力に応じた事業所間の移行が促進される仕組みとすることで、より高い効果が見込まれるものと考えます。  県といたしましては、この具体策の実現について、就労支援事業所の中で利用者が最も多い就労継続支援B型事業所を対象に、利用者の一般就労や就労移行支援事業への移行に伴う利用者の減による経営への影響を緩和することが課題であると認識しており、来年度に向けてどんな方策があるのか、検討を進めてまいりたいと存じます。  12点目、今後の就労支援事業所の利用見込みと一般就労への移行、その上で事業所指定をどのように取り扱うかについてでございますが、就労支援事業所からの一般就労への移行につきましては、現行の障害者プランの目標年度でございます平成29年度の年間就労移行者数149人の目標に対しまして、平成28年度の実績は120人となっており、目標まで開きがございますが、目標達成に向けて努力をしているところでございます。  また、就労支援事業所の利用見込み量は、一般就労等による減少、新規利用による増加等を考慮した上で、各市町が障害福祉計画の中で定め、その合計数を県プランにおいて見込み量としております。  現状は、就労移行支援事業所については、平成29年度末の見込み量388人に対しまして、平成28年度末の整備実績が387人、同じく就労継続支援A型事業所が、見込み量404人に対し整備実績が500人、就労継続支援B型事業所が、見込み量3,252人に対し整備実績が3,111人となっております。  事業所の指定につきましては、条例で定められた設備や人員基準等を満たしていることをもって指定を行っているところであります。障害者総合支援法では、就労継続支援A型やB型事業所について、定員がプランの見込み量を超えるときは指定しないことができるとされておりますが、就労支援B型事業所については、整備実績が見込み量に達していないこと、また、今年度、各市町において、次期障害福祉計画の策定に向け平成32年度末までの見込み量を算定中でありますことから、現時点では指定をしない状況にはないと考えております。  今後は、市町に対して、事業所の利用実態と利用見込みに乖離が生じないよう、適切な見込み量を算出するよう依頼するとともに、整備実績が次期障害者プランのサービス見込み量を超えた場合には、地域状況等を考慮しながら、指定の取り扱いを適切に判断したいと存じます。  13点目、入所施設から地域生活への移行目標の達成見込みと現時点における課題についてでございますが、現行の障害者プランに掲げます地域生活移行目標は、平成27年度から29年度までの3年間の累積で21人としているのに対しまして、平成28年度末時点での実績は5人であり、目標の達成は困難な状況にございます。  入所施設から地域生活への移行についての課題につきましては、施設との意見交換の場での御意見から、地域生活の受け皿となるグループホームが不足していること、グループホーム等で地域生活での支援のための人員確保が難しいこと、利用者の高齢化による介護量の増加、利用者が長期に入所していることで生活の変化に対する不安や、最期まで施設で生活させたいという御家族の希望など、さまざまな要因が複合的に関係していると考えております。  障害者プランの検討の中で、障害のある方、事業者や支援機関等の関係者の御意見を伺いながら、課題解決に向けて検討してまいりたいと存じます。  最後、14点目、滋賀らしい障害者の自立支援についての思いでございますが、本県は、糸賀一雄先生や池田太郎先生を初めとする先人たちにより、全国に先駆けた障害者の自立支援に向けた取り組みが行われてきた地でございます。  こうした先人やその心を引き継ぐ実践者の取り組みを行政がしっかり受けとめ、手厚い共同作業所支援制度、現在のグループホームのモデルとなった生活ホーム制度、障害者自立支援協議会のモデルとなりましたサービス調整会議など、制度化を図り広げてきており、こうした実践者と行政との協働が滋賀らしい自立支援であると理解をしています。  こうした滋賀ならではの土壌のもとで、現在も障害者の働きたい、自分らしい暮らしがしたいという思いに応えることを第一に考えて、その人がその時々の力を出し切れるよう、就労支援事業所、働き・暮らし応援センターなどで、例えば生活保護からの自立も含めた一般就労への移行、定着支援など、高い意識と創意工夫により、自立に向けた支援が実践されているものと認識しています。  県といたしましては、滋賀らしい自立支援の考え方のもと、こうした事業所の実践が報われ、取り組みがより広がるよう、さきに答弁させていただきました検討を初めとして、県のなすべき役割を見きわめ、滋賀県障害者プランの基本理念であります「みんなで一緒に働き、みんなとまちで生きる」ことの実現、「誰一人取り残さない」社会を目指してしっかり取り組み、結果を出すことで知事としての責任を果たしてまいりたいと存じます。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)まず、1点目なんですが、介護人材の確保と支援について御答弁いただきました。今、知事から、「就職前から定着、キャリアアップまで一貫して支援できる体制の整備について、年度内に考え方をまとめたい」と答弁いただきました。いつも申し上げていることですが、考え方、方針が定まりましたら、事業所、関係者はもちろんなんですが、本県のホームページを通して、県民の皆さんに速やかにアナウンスをしていただきたいと思います。  いま1点は、いささか僣越なんですが、釈迦に説法かとは思うんですが、福祉という文言の語源と定義、これを御披露願えればありがたいと。 ◎知事(三日月大造) まず、1点目に賜りました年度内に考えをまとめた後は、しっかりと県民の皆様方に周知を図ってまいります。  また、福祉という言葉の語源ということで、すいません、私も詳しく存じ上げなかったので、健康医療福祉部長に教示いただいたんですが、ともに幸せということだと今教えていただいたところです。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)繰り返すようですが、念のために申し上げますが、福祉の福、これは読んで字のごとく幸せ、福祉の祉、これは災いを遠ざける。したがって、みんなの幸せという思いが込められているそうです。念のため申し上げます。  なお、最後に、しっかりと結果を出すことで知事としての責任を果たしたいと明言をされましたので、どうか、それこそしっかりと成果を上げていただくことを心から願いながら、質問を終わります。  以上、終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、22番大野和三郎議員の質問を終了いたします。  次に、11番藤井三恵子議員の発言を許します。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇、拍手)通告いたしました3点について、今回、大きく質問をさせていただきます。  第1点目は、防災体制についてお伺いをいたします。  皆さんも御承知のように、9月1日は防災の日として各地で訓練がなされ、9月10日には県南部地域において、116機関4,000名を超える方が参加をし、滋賀県総合防災訓練が実施をされました。毎年、この防災訓練については、大規模災害に備えた広域訓練として定着をされてきたところでございます。今回、この訓練を受けて、今後の体制について幾つか要望し、全て知事に一問一答で質問を行わせていただきます。  当日は晴天のもと、琵琶湖西岸断層帯を震源とする震度7対応の被害を想定した訓練が実施をされました。何よりも指揮系統、連絡調整や初期初動体制について、本部と地域との連携強化が大変重要です。今回の本部長として訓練に参加をされた中、総合的評価はどうであったか、知事の評価について伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(奥村芳正) 11番藤井三恵子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  今年度の総合防災訓練は、マニュアルに基づく災害対策本部の設置運営訓練などの図上訓練、関係機関と連携した実動訓練、特に情報連絡員の派遣訓練やドローンを使った道路警戒訓練、外国人旅行客の救出救助訓練を新たに実施するなど、30の訓練項目を実施したところでございます。  今回の訓練の総合的評価といたしましては、いずれの訓練におきましても緊張感と使命感を持って実施することができ、迅速かつ的確な情報伝達や関係機関との連携など、参加された県民および団体の災害対応能力の向上に一定の成果があったと考えております。  しかしながら、災害対応に完璧はないと考えておりまして、例えば夜間など、避難や対策が難しい時間帯も想定しながら、より実践的な訓練を積み重ねていかなければならないと考えているところでございます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)そうですね。今おっしゃられた多岐にわたっての訓練がされたというふうに思います。  住民の命と財産を守る消防活動についてお伺いをします。  地方自治体の最も重要な仕事として考えるんですけれども、その対応について、県内の消防力の国の示す整備指針が先ほど明らかにされまして、その整備指針の平均8割が県の充足率ということで、特に、消防職員の充足率については7割という現状だということが明らかになりました。  そのような中で、近年、救急車両の出動が増加をしており、大津消防局の7月末までの調査では1万件を超え、昨年度を上回る状況になっています。今、同時災害が起これば本当にこの機器の状況で大丈夫かと、県民の方からの心配の声が上がっています。  今後、滋賀県でも大きな地震災害などに備えた総合防災力の強化は待ったなしの課題だというふうに思います。その体制を整えるためにも、消防体制の強化について、要望を国に上げていただきたいと思いますが、現状を踏まえての見解を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えをいたします。  県内の市町は、消防力の整備指針に基づきまして、必要な施設および人員の整備に努めているところでございまして、消防職員については増加傾向にありますものの、御紹介いただいたとおり、国の定める基準には達していないところでございます。  地域防災力の中核を担う消防に対する県民の期待が高まる中、消防体制のさらなる充実、強化を図っていくことは重要であると認識しています。  消防力の強化にかかわる課題につきましては市町で検討すべきものであり、これまでも全国消防長会から国に対して、必要な財源の確保などについて要望されております。  県におきましても、都道府県消防防災危機管理部局長会などを通じて、消防力の充実、強化に向けて、さらなる市町への財政支援などについて、国に対して働きかけてまいりたいと存じます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。今言われましたように、各機関からの要望も上げられているということでありますけれども、一番やっぱり訓練をされている中では、消防隊などの本当に瞬発的な行動なり、また機材を使っての活動が重視されるように思いましたので、ぜひとも県全体で、どの区域においても充足されるよう働きかけをしていただきたいというふうに思います。  3番目ですけれども、避難対応の中で、先ほどもおっしゃられました外国人への独自の対応をすることが大事だというふうに思いますが、県の支援体制はどのように進められているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  本県では、発災直後における外国人の避難誘導支援において、外国の方も理解しやすい、易しい日本語を活用するよう、地域日本語教育ボランティアの方々とともに啓発を推進しています。  また、さきの総合防災訓練でも活用された、救急救命時におけるメガホン型翻訳機のようなICT利活用の検討も進めています。  外国人の被災状況の把握におきましては、市町や滋賀県社会福祉協議会と情報共有を図っておりますほか、滋賀県国際協会とともに、外国人被災者向けの情報提供ボランティア制度を設けています。  また、外国人観光客の被災状況の把握におきましては、びわこビジターズビューローと連携しておりますほか、国においても、観光庁と日本政府観光局が災害時情報提供アプリ「Safety tips」の活用周知を図られているところでございます。  一方、市町におきましては、例えば、草津市では外国人みずからが外国人被災者支援を担う機能別消防団が組織されるほか、甲賀市では市国際交流協会との協定を視野に入れた外国人支援体制が検討されるなど、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが行われております。  外国人は災害時、言語や文化等の違いから、日本人以上にさまざまな困難に直面することが予想されますことから、そのような困難を可能な限り解消すべく、市町や関係機関と密接に連携した支援体制に努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。本当にふだん何もなくても、何か災害が起こればというところで、外国の方は特に不安を抱えられると思います。今、一例おっしゃられたんですけれども、全県的に広げていただくということも含めてお願いをしておきたいというふうに思います。  4点目ですけれども、今回の訓練では地域の民間団体や学校などの協力も得ておられましたけれども、どのように今後も含めてこの連携強化を図られていくのか、そのことについて知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 地域の防災力を高め、災害発生時の被害を最小に抑えるためには、自助、共助、公助の取り組みが重要であり、行政だけでなく、災害時応援協定締結事業者等の民間企業、団体や学校など、さまざまな団体や関係者の連携が必要であります。  さきの総合防災訓練におきましては、近江八幡市立看護専門学校の生徒の皆さんに多重事故対応訓練に御参加いただいたほか、滋賀県建設業協会や滋賀県トラック協会など、多数の民間企業、団体の御協力を得て実施したところでございます。  今後とも、多様な主体との連携のもと、実効性のある訓練を行ってまいりたいと存じます。  また、日ごろからの関係者、関係団体相互の顔の見える関係づくりが肝要であると考えておりまして、危機管理センターにおいて研修交流プログラムを実施するほか、各部局においても、防災力向上のため、関係団体等との連携強化の取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)何点か質問させていただきました。各分野で、職員を初め、多くの方が防災にかかわっていただきながら訓練をされているということについては本当にうれしいことだと思いますけれども、滋賀県は、皆さんも御存じのように、琵琶湖西岸断層帯による地震や東南海・南海地震の発生が危惧をされております。そんな中で、南部を中心として高層建築物が増加をし、消防ニーズに対応する高度な資機材の整備や、また専門的知識、技術を有する職員の配置、民間も含めて消防防災体制の強化が求められています。  県内市町の財政状況も見据えて、計画的整備は待たれておりますけれども、滋賀県としても防災危機管理意識をさらに高めていただきながら、毎年行われるこのような大規模な総合訓練についても、より一層頑張っていただきたいなというふうに思っております。  次の大きな2点目の質問に入らせていただきます。  県職員の働き方改革についてお伺いをいたします。  滋賀県が先ほど取り組まれた7月の時間外勤務に対する人事委員会アンケート結果から、よりよい働き方をする上で問題点を明らかにしていくということで、幾つか質問をさせていただきます。  1点目は、国が働き方改革の中で、新たな残業代を支払わない労働法制改悪法案が計画されておりました。解散総選挙ということから、一旦この提案は見送られるいうことになりますが、政府はこの動きを強めようとしており、今後、さらなる労働強化について問題になるというふうに不安が広がっています。  そこで、ことし2月定例会議で杉本議員が指摘をされました県職員の長時間労働の実態、深刻な状況が指摘をされた中で、質問に対して、知事は、「労働基準監督機関から複数の所属が労働基準法違反として是正勧告などを受けたことに対して、大変重く受けとめる。再発防止の徹底とともに、特に長時間労働の解消に焦点を当てた取り組みを進める。2月7日に働き方改革の4本柱と今年度内の緊急行動を取りまとめ、全庁挙げて具体的に進めていく」と御答弁されました。  その後、人事委員会が7月に行った先ほどの時間外勤務に関する職員アンケートの結果、過労死ラインと言われる上限月80時間を超える労働者が、まだアンケートの中では87名もおられる実態が示されました。この結果について、認識をどうなのかということを知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 長時間労働の解消は、職員の健康管理の観点からも重要な課題であり、現在進めている働き方改革の取り組みにおいても、重点的に取り組んでいるところでございます。  その結果、知事部局において、2月から6月までの間に月80時間を超える時間外勤務を行った職員の数は、前年度同時期の355人から55人と大きく縮減しており、一定の成果があったものと認識しています。  しかしながら、いまだ80時間を超える時間外勤務者が一定数いるということについては、厚生労働省が労災認定基準として示す水準に相当することからも、さらに取り組みの浸透を図っていく必要があると考えておりまして、今後、業務の見直しや職員間の業務量の平準化などを一層進めていくことにより、長時間労働のさらなる縮減に努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)今言われましたように、まだまだ実態は大変深刻だなというふうに受け取ります。  そこで、2点目ですけれども、時間外勤務が発生した理由として、「業務量が多く、現状の人員ではどうしても長時間勤務をせざるを得ない」とお答えになった一般職員は41.6%、管理職で54.4%となっています。また、時間外勤務の縮減に取り組む中で生じてきた課題について、「先の仕事まで手が回らない」と回答した一般職員の41.8%、管理職の47.2%と、約半数がお答えになっており、仕事の先送りは一般職員の42.2%、管理職の33.9%となっています。中には「自宅に持ち帰って仕事をしている」という方が、一般職員で14.2%回答をされています。  県が言う業務の見直し、仕事の効率化、マネジメントの強化による長時間労働の縮減に限界があるのではないでしょうか。サービス残業化したり、かえって仕事の非効率につながったりしないか、また、長時間労働は潜在化してきているのではないかと心配をします。この結果を受けて、どのように改善をされようとしているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  働き方改革を進めていくに当たりましては、人事委員会において実施された職員アンケートの結果にも見られるように、職員の業務量そのものを減らしていく取り組みが重要であると認識しています。  そのため、業務の見直しを行動計画の第一の取り組みとして位置づけ、全庁挙げて業務の洗い出しを行うことで、決裁権限の見直しや重複する会議の見直しなどに取り組んでいるところです。  さらに、8月からの2カ月間を仕事の効率化推進期間とし、上司と部下がスケジュールを共有し、職員一人一人が優先順位を見きわめながら仕事の段取りを行うなど、業務の効率化の徹底に努めているところでございます。  また、業務量に見合った人員配置が重要と認識しており、ことし4月には、子ども家庭相談センターの体制強化など、県政の課題に的確に対応していくため、知事部局において10人の定数増を行わせていただいたところでございます。  さらに、8月には年度途中における応援体制の構築等に係る運用基準を策定し、早速この基準に沿った対応を行いながら、業務の繁閑、忙しいときとそうでないときとに応じた人員配置や、事務分掌の変更を柔軟に図っているところでございます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)いろいろ御努力はいただいているんですけれども、そもそも、こういった現場の声というのをやっぱり十分聞いていただく中で改善を求めていきたいと思います。
     3点目ですけれども、この人事委員会が行われたアンケートの設問9で、「今、働き方で健康に不安を感じることがあるか」との問いに対して、「しばしば感じる」は15.7%、「時々感じる」は36.4%、合わせると52.1%と、半数が何らかの不安を感じておられます。  労働基準監督署からの勧告を受けながら十分な対応ができないままでは、さらなるメンタル的な不調を招き、職場へ復帰するまでに長期的な治療が必要となります。  今、過労自死が社会問題となって、県も安全配慮義務違反と問われました。二度と県職員の中でそうした事例を生まないために、県庁でも超過勤務の上限月45時間の36協定を結ぶことや、せめて同規模、さきの2月議会で杉本議員がおっしゃられた「100名は必要だ」という提起がありましたけれども、定数そのものを改善する必要があるのではないかというふうに思います。  同規模自治体並みの定数にされる正規職員の増員に対する構え、考えがあるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  平成28年度地方公共団体定員管理調査によりますと、本県の人口1万人当たりの一般行政部門の職員数は、人口が類似する17県の中で3番目に少ない体制となっておりますが、これは、最少の経費で最大の効果を上げられるよう、不断に業務や組織の見直しに取り組んできた結果によるものであると考えます。  今後、国体等さまざまな大規模事業が控える中、さらに厳しい財政状況を見込んでおりますことから、これまで以上に業務の見直しや事務の効率化等の取り組みをしっかりと進めながら、県政の課題に的確に対応できるよう、新年度も引き続き、県庁全体で適正な人員配置に努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)今おっしゃられました、本当に国体に向けても職員の配置が必要であるというようなことで、適正に配置をすることなんですけれども、さきの滋賀県人事委員会が作成された昨年10月にもらいました職員給与等に関する報告および勧告の冊子という中の15ページに、人事院が公務員人事管理に関する報告の骨子を示しております。  働き方改革と勤務環境の整備として、2番に長時間労働の是正が上がっておりました。トップの方が、組織全体の業務量削減、合理化に取り組むことが重要、現場の管理職員による超勤予定の事前把握、また具体的指示などの取り組みを徹底することの有効性、業務合理化後の超勤をせざるを得ない職員には、人事管理部署と健康管理部署との方針共有や業務平準化などの配慮も必要だというふうに書かれておりました。  全体的に長時間勤務となれば、やはり定数そのものが少な過ぎるということになりますし、ぜひそのことも含めて改善を求めておきたいと思います。  それでは、次に、教育の現場はどうだったでしょうか。  先日、学校現場の状況を把握するためにタイムカードなどの導入と新聞報道などがありましたけれども、ことし5月に資料として、学校現場における働き方改革の取り組み状況の結果、平成27年度県立学校では月平均28.2時間と示されておりました。最近の結果はどのようになっているのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  平成28年度の県立学校教員における勤務時間の把握結果では、月当たりの平均超過勤務は28.2時間であり、前年度と同じ時間数となっております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)平均時間は余り変わらないということでありますけれども、実際、月平均28.2時間ということですけれども、なかなか現場を見ますと、本当に大変な状況だということをお聞きすることが多いです。  そんな中で、県立学校ではそういうことでありますけれども、小中学校、市町が管理する学校でも、大変小学校、中学校の先生が多忙で長時間を強いられているということで、負担の軽減措置が必要だということも声にしております。  県内隅々やっぱり教育環境をよくしていくということは、やはり先生方の労働条件もよくしていくということになろうかというふうに思いますので、その点についてはさらに改善を求めていきたいなというふうに思っています。  次に、滋賀県警の取り組みについてお伺いをいたします。  働き方の改革の取り組み状況として、業務の合理化、職員の意識改革、過重勤務者の対応などを挙げておられますけれども、改善された部分と課題について、改めてどう評価をされているのか、警察本部長にお伺いをいたします。 ◎警察本部長(鎌田徹郎) (登壇)お答えいたします。  議員御指摘のとおり、現在、県警察におきましても組織を挙げて働き方改革を進めているところでございます。具体的には、職員提案やモデル警察署における試行結果を踏まえた業務の合理化、警察署や各部門の職域ごとに設置した専門チームによる職員の意識改革、勤務体系の見直しなどによる勤務負担の軽減などであります。  これらの取り組みによりまして、システム化による業務負担の軽減や職場環境の改善などが図られているほか、昨年度は年次有給休暇取得平均日数が過去最高の10.57日となったものであります。  また、私自身、職員がめり張りをつけ士気高く職務に打ち込む様子などから、県警察における働き方改革が進んできているという感触を得ているものでございます。  警察業務は、休日、夜間を問わず発生する事件、事故等への対応や、時として長期にわたる捜査に従事するなど特殊性もあることから、職場の勤務環境の改善を怠ることは、職員個々の能力、意欲の減退を招き、執行力や事態対処力を低下させるおそれがあるほか、将来の優秀な人材の確保にも困難を来し、ひいては県民に求められる警察の役割を十分果たせなくなることにつながりかねません。  したがいまして、県警察といたしましては、今後とも働き方改革を積極的に推進していくことで組織の活力を高め、安全、安心な暮らしを願う県民の皆様の期待と信頼に応えてまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。今おっしゃられたように、本当に多岐にわたって犯罪もふえている中で、平成29年から合理化して業務のスリム化などを図っておられる業務合理化アクションプランなどで、労働強化にならない体制づくりを滋賀県警としては検討されているようですが、今後ますます犯罪が複雑多岐になってきているため、県警においても、職員の健康管理とともに、しっかり休息もとれる体制を整えていただきたいというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いします。この項の質問を終わります。  次に、学校給食費の無償化について伺います。  1点目ですが、どの子にも安全で栄養バランスのとれたおいしい給食をと、栄養士の管理のもとに調理されている学校給食。今、全国で公立小学校や中学校の給食費、食材費の保護者負担を市町村が補助をし無償化している自治体が、9月20日現在で83市町村となっているということが報道されていました。  県内では、2016年度に長浜市が小学校の全てで無償化をされ、大変喜ばれています。今回、自治体独自でこのような補助をすることで、保護者の経済負担を軽くし、子育てを応援していることから、移住をされる方や次の子供を出産しようという考えになったと、保護者も出てきているという反応が聞かれています。  先日、8月29日、1カ月前です、我が党、日本共産党県議団3名が長浜市に行かせていただき、教育委員会すこやか教育推進課の担当者の方にお話を聞いてまいりました。そのことを踏まえて教育委員会にお伺いをいたします。  1点目、学校給食法令の趣旨からすると、食材費や水道光熱費は原則保護者負担という規定がありますが、あくまでも経費の負担関係を示したものであって、設置者が保護者にかわって学校給食費を負担、補助することは禁止するものではないと、先日、政府交渉をさせていただく中で、この指摘もされています。その後、全国にこの制度が広がっているというふうに思います。義務教育無償化の原則からすると、学校給食費の無償化について、県教育委員会の見解を教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  給食無償化の現状ですが、議員御指摘のとおり、県内では、平成28年度から長浜市が小学校の学校給食費を対象に補助を始められたところであります。  学校給食法では、学校給食の実施に必要な経費のうち、給食施設や設備の設置、修繕費、従事する職員の人件費以外の経費は保護者負担を基本としておりまして、その経費を補助し無償化を進めることにつきましては、学校設置者がそれぞれ政策的に判断されるものと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)そうですね。各市町でそのことについて協議をされて、住民の皆さんからも御要望がある中で運動が進んできているというふうに思います。今現状からすると、本当に経済負担が重い、貧困格差が広がる中で、子供たちの現状も大変深刻さを増しているというふうに思います。  そうしたもとで、学校給食法第2条で、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ることとうたわれています。県内でも中学校給食の導入が広がりつつある中で、ぜひとも義務教育の間、給食費の無償化を進めてほしいという保護者の要望もあります。全ての児童生徒にどの地域の学校でも受けられる体制をつくっていただきたいと思うんですけれども、県内で義務教育期間の学校給食の無償化を進めようとすれば、どれだけの費用が必要なんでしょうか。教育長にお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  仮に国の学校給食実施状況調査によります県内の公立小中学校の学校給食費の平均額、これに県内の義務教育諸学校の児童生徒数を単純に掛け合わせますと、1年間で小学校で約35億円、中学校で約20億円となり、合わせまして約55億円の経費が必要と見込まれます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)仮に全額無償化というと今言われた55億円になるんですけれども、一部負担ということもありますし、そういうことも含めて検討が必要なんではないかなと思います。  特に、長浜市さんでは、市外の県立養護学校に通学をされるお子さんもいらっしゃる、児童にも申請があれば補助をされているということでありました。県内どこでも同じ制度であれば、申請などしなくても県が進めればできるわけであります。よって、県内学校で保護者負担の軽減化をすることができれば、現在市町で導入をされていない自治体にも広がるのではないかと考えます。  自治体の経済力によって格差が生じないよう、県の施策としてできる援助をすべきではないか。学校給食への補助について見解を求めたいと思います。教育長にお願いいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  さきに申し上げましたとおり、学校給食法では学校給食費は保護者負担を基本としております。その経費を補助し無償化を進めることにつきましては、学校設置者が政策的に判断されるものというふうに考えております。  加えまして、今ほど申し上げましたように、必要となる経費が多額になることが見込まれますことから、県といたしましては、県内の小中学校の学校給食の無償化に向けた支援を行うことは考えておりません。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)現状は考えておられないということでありますけれども、国に対してやっぱり要望、やはり義務教育間は外国でも教育無償化というのが広がっておりますし、ぜひとも日本政府についても、その構えになって子供たちを守っていく、そのためには、市町で独自でされていることについての支援はしていただきたいというふうに思うんです。  最後に、今回、長浜市のすこやか教育推進課の担当職員の方がおっしゃっていた学校給食の無償化について、その内容についてお示しをして終わりたいと思うんですけれども、この事業名は、長浜市市民で支える小学校給食補助事業ということでありました。  その理念としては、子供は長浜市、ひいては日本の国の未来への礎であり、未来を築き、社会を担う宝であると言われています。その宝である子供たちの心身ともに健全な大人に育て上げることは、保護者だけではなく、市民全体の責務です。この学校給食費の無料化を通して、長浜子どものちかい、長浜子育て憲章の理念とする子育ての施策として、子供たちに感謝の気持ちと市民全体で支え合う協働の仕組みを学び理解することで、将来の長浜市を担う人材の育成に寄与することができると考えています。  また、学校給食費を全面的に支援することで子育て世代が抱える経済的負担の軽減につながり、安心して生み育てることができる環境整備に寄与できるものと考え、本事業を開始しましたとされていました。  このような理念を掲げ、滋賀県内の隅々で小学校や中学校の義務教育の子供たちが栄養バランスのとれたおいしい給食を食べ、食育を得ることが望ましいと思います。  いつも知事が言われる、子育てするなら滋賀という思いを県民皆が思えるよう、ぜひとも県として前向きな検討をしていただきたいというふうに思います。強く要望し、この質問を終わらせていただきます。  全体として、やはり今後担う子供たちの未来のために、しっかり県政を運営していただきたいことを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、11番藤井三恵子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時48分 休憩    ────────────────   午後0時59分 開議 ○副議長(川島隆二) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、6番海東英和議員の発言を許します。 ◆6番(海東英和議員) (登壇、拍手)6番海東英和でございます。  それでは、通告に従いまして、2問、質問をさせていただきます。  まず1問目、一期一会と滋賀ブランド戦略についてでございます。  まず、滋賀のブランド推進、そして、ただいまは日本橋「ここ滋賀」の開店に向け鋭意努力されている関係者にエールを送ります。大変な予算を投入することへの責任感も相当なものと拝察します。近江の茶や近江牛を滋賀ブランドの看板にと御努力賜っていることに鑑み、滋賀が持つ豊かな文化性と地域特性をあわせてPRしたら、より違いのある魅力的な発信ができるのではとの視点から、質問と提案をさせていただきます。  まず、一つのエピソードを紹介します。  東京で仕事をさせていただいていたときに、職場の人が、東京で一番おいしいかき氷を食べに連れていってくれるという話になりました。雑誌などでも評判になっているお店だということなのです。行ってみますと、そこは何と叶匠壽庵さんのお店でありました。叶匠壽庵さんは滋賀のブランドなんですよということを申し上げると、周りの人はみんなびっくりして、京都のブランドだと思い込んでいたということでありました。  ここから、一期一会という言葉を一つ題材にして申し上げたいと思います。  朝日新聞の2011年2月集計の座右の銘にしたい四字熟語アンケートの結果によると、日本人の好きな四字熟語のランキングの断トツ1位が一期一会でありまして、1,166ポイントということであります。2位が七転八起で609ポイント、3位が温故知新600ポイント、4位、一所懸命539ポイント、5位、質実剛健509ポイントとのことでございました。  また、外国人に紹介したい四字熟語というウェブリオさんの2015年調査でも、何と一期一会がトップで75.9ポイント、花鳥風月が2位で31.6ポイント、3位が誠心誠意で30.2ポイント、4位が森羅万象で19.4ポイント、5位が因果応報と一日一善ということで18.1ポイントでありました。これは、一期一会という言葉が茶の湯の世界だけでなく、日本文化、日本人の心情をあらわす代表的な言葉になっていることをあらわしていると思います。  この一期一会という言葉は、茶の文化の神髄とも言える言葉で、利休や京都を連想する言葉になっているように受けとめています。京都のブランド価値を上げる言葉になっているかもしれません。しかし、まことに僣越でございますが、申し上げますと、この言葉は、井伊直弼公が安政4年、43歳の折に「茶湯一会集」にあらわされ誕生した言葉でありまして、滋賀県で生まれた言葉であります。  (資料掲示)その「茶湯一会集」の載った彦根城博物館の資料をコピーして、皆さんのお手元に置かせていただいております。その一会集の原文や文章も読んでいただくと、いかに格調高く、そしてまた、その筆跡も見事で、その内容のすばらしさがかいま見えるのではないかというふうに思うところでございます。  ネット等で資料検索をしましても、一期一会は、「山上宗二記」に一期に一度や、利休の秘伝書と言われる「南方録」で一座一会の心に起源を求める解説が多いようで、井伊直弼公によって四字熟語となったことに注目するものが少ないように思います。明治政府以降の直弼公を悪者にする歴史観の影響もあるのかもしれません。滋賀県民でさえ、直弼公の言葉、彦根生まれ、滋賀県生まれの言葉だと知る人が少なそうですので、ぜひとも働きかけが必要だというふうに訴えるものでございます。  繰り返しになりますが、この一期一会は、滋賀県の風土の中で、埋木舎に青年期を過ごし、直弼公が利休や片桐石州、小堀遠州などの先人の文化を深く掘り下げて到達された境地であり、磨き上げた玉のような言葉の一つであります。ぜひこれを滋賀の誉れを高める言葉にできるのではないか、したいなというふうに思うところでございます。  岡倉天心は、諸外国に日本を紹介するために英語で書いた茶の本において、さまざまな文化が凝縮されているとして、茶の世界を紹介しています。例えば、「茶道は、雑然とした日々の暮らしの中に身を置きながら、そこに美を見出し、敬いとうとぶ儀礼である。そこから人は純粋と調和、互いに相手を思いやる慈悲心の深さ、社会秩序への畏敬といったものを教えられる。茶道の本質は不完全ということの崇拝」云々であると紹介しています。  さて、以下、総合政策部長にお伺いしますが、ブランド戦略で数千万円を予算化し、外部委託で企画提案を募集し、数年で消えていくものもあるような、借り物のような言葉を並べたキャンペーン等は、税金で行う事業として適切なのか、事業効果はどうかと気になります。  改めて、この一期一会という日本の文化を凝縮する茶の世界を代表する言葉、そして日本人の心情を表現する代表格の言葉を滋賀のブランドのシンボルの一つに位置づけることは、大きな予算をかけずに、滋賀県らしい新たなストーリー展開をもたらすきっかけになるのではないかと思います。  滋賀の風土の中で生まれ育ち、愛されてきた資源を生かすことへのチャレンジが、人や地域を励まし、地方創生政策の可能性を広げると期待をします。そして、このことは文化的な眼力が必要だと思います。  そこで、滋賀の魅力を発信するために、文化の担当部門とどのようにかかわっておられますか。総合政策部長にお尋ねします。  また、日本橋「ここ滋賀」においても、おもてなし力の向上が鍵であると拝察します。「ここ滋賀」の人材教育において、一期一会の心を滋賀のおもてなし力の切り札にできるのではないでしょうか。いかがですか。  滋賀県で大規模にロケをされた映画「関ヶ原」が、今、石田三成を岡田准一さんが演じて好評を博しているようでございます。冒頭のシーンで、三成の三献茶の場面を私も見てまいりました。「ここ滋賀」でも近江のさまざまな企画が用意されていると思いますが、三献茶の故事をモチーフに、近江の茶を三献茶のいわれのある井戸水で茶を入れて飲んでいただく企画などはどうでしょうか。総合政策部長にお尋ねします。  次に、商工観光労働部長にお尋ねします。  滋賀県の琵琶湖の水も大変とうといのですが、滋賀の日本遺産等の中に珠玉の湧水があります。環境省の推薦するものでも22が紹介されています。蒲生氏郷の故事のある泉の水で、茶を飲んでみたいと思われませんか。藤樹書院のわきにある三尺の泉や居醒の清水、そして狂言「清水」のテーマになっている守山の清水など、そしてまた針江のかばたの湧水など、枚挙にいとまがありません。  すばらしい物語のある湧水が、これらはまだまだ生かせていません。手塩にかけたお茶やすばらしい菓子、その他の資源と組み合わせることで新しい価値を生むイノベーション、今日的な一座建立が滋賀のブランド化に一役担えるのではないでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねします。  ちょっと順番が変わります。  伝教大師が持ち帰り、日本最古の茶園が日吉茶園であると新聞記事を拝見し、県庁に近い老舗の中川誠盛堂さんで、その遺伝子を受け継ぐ茶の木をふやし、伝統の製法でつくられたお茶をいただきましたが、まことに興味深いものでありました。  さらに、茶の湯では、滋賀県出身の小堀遠州のきれいさびへの昇華など、他府県にまねのできないようなエピソードがたくさんあります。滋賀県の茶の歴史文化の物語を編集できないでしょうか。滋賀の豊かな歴史、文化をコンテンツにして、県内外に発信していくことに着手してはどうでしょうか。県民生活部長にお伺いします。  岡倉天心の茶の本が英語で書かれたように、インバウンドの題材としても有効であると思います。インバウンドの訪問者に、忍者と並ぶ一期一会の世界を滋賀で出会ってもらえる資料整理は、必ず役に立つと思います。  さらに、日本語、英語、ともに学校の教材としても有効で、滋賀の子供たちは郷土から多面的な事柄を学ぶことができ、自尊感情や郷土への誇りを培う面でも役に立つと思います。一例として、さきの滋賀のコンテンツの英語版の編集、活用を提案します。  また、ぜひ彦根の滋賀県立大学でも、井伊さんの茶の湯に触れる講座などを設けていただくことで、独自性と高質さをともに打ち出すことができると思います。特に留学生にはディープなコンテンツになるのではないかと思われますので、御検討いただきたいと存じます。  次に、県民生活部長にお尋ねします。  大阪や京都、奈良が多くの人を引きつけていますが、小さな規模でも、私が住まいします湧き水の里針江では、里山とかばたを見るために外国からのお客さんがふえている実感を持っています。かばたもミシュランガイドに掲載されました。ミシュランや松尾芭蕉や白洲正子さんや司馬遼太郎さんは、どう見ておられたのでしょうか。  よそがまねできない玄人好みの素材や環境、風韻が滋賀には残っていることを、企画会社頼みでなく、滋賀県の職員さんらが発見するプロセスが必要だと思います。出張しても担当のこと以外を見に行ったら問題視される時代だからこそ、何か手だてが必要だと思うのであります。  そこで、例えば一期一会をベースに、オリンピック、パラリンピックに向けて、そして何より滋賀国体に向けて、滋賀らしい渋い企画を練り上げていってはどうでしょうか。彦根が主会場であることの強みを最大化することから、何百億の国体予算の生きた使い方が伝搬していくと考えます。いかがでしょうか。県民生活部長にお尋ねします。  滋賀ブランド推進特別委員会において、目片委員長がブランドのことについて、売りに行くのではなく、買いに来るようにするのがブランド戦略なんだということを喝破されたことが印象に残っています。  県下の民間の皆様の取り組みを前面に出し、応援しながら、県は滋賀県が持つ大いなる文化や知恵を探究、編集、発信するよう奨励し、もっと観光や産業振興に生かしていくことで、地味な滋賀にさらに磨きがかかり、つやと渋さが出て、国内旅行者の誘客やクールジャパンの花形になっていくと思います。  滋賀のすばらしい物や事が滋賀のブランド力にまだまだ結びついていない事例を取り上げました。差別化のネタは足元にたくさんある。これから県の財政は逼迫し、十分な予算を当てることは難しくなっていくと思います。外部委託の連発もできないと思います。これをチャンスに変えていくために、我々は考えていく必要があります。  近き者よろこべば遠き者来るの故事もありますが、足元にある豊かさのフル活用、新旧織りまぜて、滋賀県民が誇りに思うことをブランドに育てていくことを提案し、知事の御所見をお伺いするものでございます。 ○副議長(川島隆二) 6番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)海東議員から、一期一会と滋賀のブランド戦略について、7点御質問いただきました。私には最後にいただきましたが、1点、お答えをさせていただきます。  一期一会、私も大切な言葉でございます。議員御提案のとおり、県民が誇りに思うことをブランドに育てていくことは大変重要であると考えます。ブランドとは外からの評価にほかなりませんが、そこに自分たちの誇りを重ね合わせていくことが、ブランドの強さを増していくことにつながると思います。  そして、その滋賀県民の誇りの一つが、近江商人の三方よしの心得や、湖北の人々の生活信仰と密接にかかわり、代々守られてきた観音文化など、滋賀固有の風土や県民性によって育まれてきた教えや精神文化でもあると思います。  私はまだまだつたないのですが、俳句を学び、松尾芭蕉が近江で残された多くの句を味わい深く感じておりますし、司馬先生の御著書「街道をゆく」の中でも感じることがあります。誇りでもあります。こうした誇りを滋賀の地域ブランドの一つの核として、滋賀を改めて見つめ直すことによって、県民の文化的資産を丁寧に発掘しながら、滋賀の魅力発信に取り組んでまいりたいと存じます。
     議員から、一期一会という言葉や考え方を軸として、具体的な御提案をいただきました。この後、各部長からそれぞれの質問に答弁させていただきますが、今後の事業展開に生かしてまいりたいと存じます。 ◎総合政策部長(宮川正和) (登壇)私にいただきました3点の御質問にお答えをいたします。  1点目は、総合政策部と文化担当部門とのかかわりについてでございます。  県では、知事を本部長とする滋賀県ブランド推進本部を設置し、本県のブランド力強化に向けた各種施策を全庁横つなぎで推進をしているところでございます。その中には、近江文化発見・発信事業や「戦国の近江」地域の魅力発信事業など、文化に関連した事業がございます。ブランド推進本部において各部の取り組みを束ねていくのが総合政策部の役割でございまして、その役割を発揮する中で、文化担当部門ともかかわりを持ちながら取り組みを進めているところでございます。  その上で、あえてブランド推進と文化のかかわりということで申し上げさせていただきますと、単に滋賀・びわ湖ブランドに文化の要素を含めるということだけでなくて、文化の視点をブランドの基盤に置くこと、滋賀固有の文化と向き合って、ブランドの取り組み全体を方向づけていくことが重要ではないかと、このように私は認識をしているところでございます。  それから、2点目は、「ここ滋賀」での人材教育についてでございます。  議員からるる御紹介がございました。一期一会とは、一回一回の出会いを生涯に一度のものと心得て、相手に誠意を尽くすことと私は理解をしております。これはある意味、おもてなしの極意であり、また神髄というふうにも思われます。しかも、それが、議員御紹介にありましたように、本県と大いにゆかりのある言葉ということでございますから、その意味でも、「ここ滋賀」の運営にかかわる関係者一人一人が、ぜひともそういう気持ちを持って来訪者に接してもらいたいと思っております。  運営事業者のUDSは既に県内に事業所を設置をしまして、現地での人材教育を始めております。その中で、一期一会の心向きも体得していただけるのではないかというふうに期待をいたしております。  それから、3点目は、三献茶の故事をモチーフとした企画をしたらどうかということでございます。  三献茶のエピソードは、申すまでもなく石田三成の洞察力や機転の鋭さを如実にあらわしたもので、歴史ファンならずとも、多くの人々が知っております。心打つエピソードでございます。  この故事を「ここ滋賀」の企画催事に生かす御提案をいただきました。そっくりそのまま再現するというのは難しいといたしましても、これをモチーフにいたしまして、どのような演出が可能か、しっかり考えてみたいと思います。  御質問の趣旨は、商品のよさやおいしさを知ってもらうことももちろん大事だけれども、それをストーリーとして語る取り組みや姿勢こそ、本県のブランド戦略に必要ではないかというふうに受けとめさせていただきました。「ここ滋賀」で企画催事を計画する際には、ぜひそのような視点に意を用いてまいりたいと思います。 ◎県民生活部長(福永忠克) (登壇)私にいただきました2点の御質問にお答えをさせていただきます。  まず、1点目の滋賀の豊かな歴史文化をコンテンツにして県内外に発信することについてでございますが、本県には、議員御指摘のとおり、古来より受け継がれてきましたお茶を初め、先人から受け継ぎ育まれてきた魅力ある文化的資産が数多くあると認識をいたしております。  このような個々の文化的資産の背景にある滋賀の歴史、風土をひもとき、ストーリーにして発信することは、県民が地域に誇りを持つとともに、滋賀のブランド力向上にもつながるものであり、大変重要であると考えております。  現在、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた文化プログラムとして、滋賀の文化の魅力の発掘、発信に取り組んでいるところでございまして、この中で、滋賀の豊かな文化資産の調査研究や、ストーリー性のある英語などを使った多言語コンテンツによる国内外への発信など、滋賀の歴史文化の魅力を広く発信する方策を検討してまいりたいと考えております。  次に、2点目のオリンピック、パラリンピックや滋賀国体に向けた一期一会をベースにした企画についてでございますが、議員御指摘のように、一期一会は日本人にとってなじみの深い言葉であり、県外から多くの皆様が滋賀を訪れることが期待されます東京オリンピック・パラリンピックや国体、全国障害者スポーツ大会に臨む上で、直弼公が一期一会という言葉に込められた心配り、おもてなしの心は非常に重要と認識をいたしております。  国体、全国障害者スポーツ大会を、滋賀の2年前、2022年に開催されるのは栃木県でございます。栃木県は果物のイチゴの生産が48年連続日本一で、イチゴ王国と呼ばれていることにちなみまして、このたび、国体の愛称を「いちご一会とちぎ国体」とされたと伺っております。このため、滋賀で一期一会を前面に出した大会PRは、まことに残念ではございますが、難しいと考えているところでございまして、一期一会に込められたおもてなしの心を、主会場となる彦根はもとより、県下全域において多くの県民の皆様と共有し、県内各地で行われます歓迎や交流の企画に生かせるよう、市町と連携して取り組んでまいる所存でございます。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)私にいただきました1点の質問にお答えいたします。  県内各地の湧水の活用が滋賀のブランド化に資するのではないかとの御提案でありますが、本県は琵琶湖を取り囲む山々を水源とする良質な地下水に恵まれていることから、県内各地に湧水があり、特に、かばた文化で知られる高島市の針江、霜降の水辺景観や居醒の清水から湧き出る名水が流れる米原市の醒井宿は、日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成文化財となっております。  本県の観光振興は、琵琶湖と水に触れ合う旅を中軸に据えまして各種取り組みを進めているところでありまして、来月10月から開催する日本遺産滋賀・びわ湖水の文化ぐるっと博におきましても、琵琶湖や水を楽しめるさまざまなプログラムを準備しております。  議員御提案のように、県内各地の湧水を、お茶を初め、その土地が誇るものと組み合わせて味わっていただけるようにすることは、滋賀でしかできない楽しみ方を提供することにつながるものでありまして、本県のブランド力向上に寄与するものと認識しております。  したがいまして、水の文化ぐるっと博はもとより、来年度に実施予定の大型観光キャンペーンにおきましても、市町や地域の皆さんとともにこのようなプログラムを企画し、本県ならではの観光の形として提案してまいりたいと考えております。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。御答弁いただいた順に、要望なり質問をしたいと思います。  まず、知事さんが俳句に今取り組んでおられて、芭蕉にも大変関心を持たれてということで感激をしております。滋賀県は、芭蕉庵のある東京の次に芭蕉の句が多い、際立って多い地域だと聞いております。そういうことをさらにやっぱり滋賀県の風土を味わうとか、皆さんに感じてもらうとか、そして今、テレビ番組で若い人たちに、プレバトというんですか、俳句の小気味のよい先生が仕切られる番組で俳句のブームも起こっておりまして、ぜひまた知事を先頭に、俳句のことでも大いに滋賀県をPRしていただきたいというふうに期待をし、お願いをし、ここで終わったらあかんので、知事、どう思われますか。ぜひやってくださいということで、御答弁をいただきたいと思います。  次に、宮川部長さんがブランド推進の基盤に置くことが重要というふうに言うていただいて、本当に釈迦に説法だったなと思うわけですが、ともすると、滋賀県で事業する場合に、企画提案を求めて、そして滋賀県を余り知らない人たちが応募してきたものの一番いいのを選んで決めてから事業することが多いので、なかなか決まった事業者に対して、滋賀県のそういう基盤となる思いとか配慮してほしいことを伝え、計画を変更するというのは大変難しい状況がやっぱり続いていると思うんです。  ですから、いろいろ大きな予算も使う企画提案においても、やっぱり最初の段階で、この滋賀県のコンセプトや基盤とするものというのをしっかり示していただくようにお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。  次に、「ここ滋賀」などの人材教育にも生かされるように期待するということでございますので、ぜひこのことをお伝えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。  その次に、コンテンツ化についてはいろいろお取り組みをいただくということで、大いな期待をし、楽しみにしております。  その中で、行政がやや苦手とする宗教の面で、滋賀県は比叡山を中心としてすばらしい資産が、言葉や「山家学生式」の中の言葉とか、そういうものがありますので、ぜひそういうものを上手に、みんなの財産になるように、また滋賀県のコンテンツとして紹介していけるように、ちょっと踏み込んだ配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。  それから、とちぎ国体に先を越されたという話は大変おもしろい話で、この場で御紹介いただいてよかったなと思います。一期一会だけでなく、滋賀県には本当に珠玉の言葉がありますし、例えば、誰一人取り残さないということがこのごろSDGsで言われるわけですが、中江藤樹が勉強した陽明学の中の万物一体という言葉の概念が、まさに誰一人取り残すことなく幸せになっていこうよということが、この万物一体に込められているというふうに習いましたので、一緒にまた勉強していけたらなと思うところでございます。  ぐるっと博で湧き水の活用ということについても触れていただいて、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、やはり付加価値をつけて上手に喜んでいただくお手本が、実は京都なんだろうと思います。世界一付加価値をつけて安いものを高く売ると言ったら怒られますが、付加価値をつけて喜んでいただくというものがお隣にもありますので、滋賀県らしい喜んでいただき方、そういうものをぜひつくっていく御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  それから、私の地元の針江もそうですが、生水を楽しんでもらう、見ていただく、飲んでいただくということはよくするんですが、それを茶にしたりコーヒーにしたり、何かプラスアルファの付加価値に変えて、それを現場でということがなかなかできないということが、どこの湧き水もきれいな湧き水だからこそ手をつけないというか、崇拝して高いところへ置いてしまうということもあると思いますので、そういう自然への畏敬というものをベースにしながらも、みんなが分かち合うような、そういう切り口もぜひ県が提案をしていただければ、また、もしくは地域の提案をみんなに紹介して広めていただければと思うところでございます。  この質問の最後といいますか、文化ゾーンに立派な茶室といいますか、そういう場所があります。今、美術館をやり直すということで、いろいろな計画を考えていただいていると思うんですが、ぜひあの茶室を、そして、あの庭とか、あの空間を、滋賀県が育ててきた茶の文化などがあらわれるような、そこに行ったらそういうことが少し学べるような場所となるようにも御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。これは知事に御質問申し上げます。 ◎知事(三日月大造) 最後にいただきました夕照庵につきましては、せっかくの施設ですので、より多くの方にお楽しみいただき御活用いただけるよう、私もしっかり取り組んでまいりたいと思います。  また、1つ目に再問いただきました俳句の件につきましては、松尾芭蕉が大変多くの句をここ近江で詠まれていらっしゃいますし、東西のちまたと契り深しところということで、義仲寺にその亡きがらが埋められているということでありますし、最近知ったんですが、竜が丘の1号線沿いには蕉門の、お弟子さんの方々のお墓がございますし、また、松尾芭蕉の師匠とも言われる北村季吟、また山崎宗鑑なども、滋賀ゆかりの俳人、俳諧師として名高いこともございます。  また、長浜の盆梅祭りでは俳句を投句募集されておられますし、愛好家の方も多くいらっしゃいます。また、これは県内のみならず、県外にも大勢いらっしゃいますし、お話しいただいたように、若い方に愛好者が広がってきたり、外国の方にもこの五七五の四季に応じて状況を詠む、こういった文化が広まりつつございますので、こういったものを生かした観光戦略、文化戦略等もぜひ検討、研究してまいりたいと存じます。 ◎総合政策部長(宮川正和) 3点御質問いただきました。  まず、委託事業で、もっと県内の事情をわかってもらって、しっかり成果を出すべきではないかという御趣旨だったと思いますけれども、ポイントは幾つかあると思っています。  1つは、まず、県内の事業者がしっかりと仕事ができる形をつくっていくというのがまずありまして、ただ、それでもやはりどうしてもできない場合は県外の事業者に行くわけですけれども、その際にも、先ほど眼力という言葉が質問の中にありましたけれども、こちらから仕事を出す、要するに仕様書をつくるときの眼力のようなものが必要だと思ってまして、しっかりこの事業が何を目的として、県のどういうところを知った上で、どういうことのアウトプットを出すか、こういうことをしっかりとやっていかないといけない。これはこちらの努力だと思います。これが2つ目。  それからもう1つは、いざプロポーザルをやって、受けたところと仕事をやる際は、やっぱり共同作業なのでありますから、お互いにしっかりと仕事の過程で情報の出し受けをやっていく。これもある意味言わずもがなですけれども、そういう3点ぐらいのことが大事だと思っておりますので、そのようにこれからは気をつけたいと思っております。  それから、2つ目は、人材育成の話をしっかりと運営事業者に伝えてほしいという御指示だったと思いますので、これは東京本部を通じてしっかりと伝えさせていただきたいと思います。  それから、3つ目が、宗教の分野の滋賀県の蓄積をもっと生かせないのかという趣旨だったと思います。  以前、宗教サミットをやったこともあったと思いますけれども、比叡山を初めとした宗教にまつわる文化というのは滋賀県にとって大変貴重な精神文化の一つだと思っておりますので、これは今すぐここでどういうことをしたいというふうに申し上げられませんけれども、滋賀のブランド推進をする中でどういうふうに活用していくか、活用と言うとあれですけども、どのように取り込んでいくか、こういうことをしっかり考えていきたいと思います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) 私に2つ再質問あったかと思います。  1つ目は、ぐるっと博等で滋賀らしさをもっとつけていくべきじゃないかというようなことでありました。  先ほどお答えしましたように、本県には琵琶湖と水を大切に利用する暮らしを通じまして豊かな文化や知恵が育まれておりまして、日本遺産認定のストーリー、まさにぐるっと博のテーマになっているかと思います。  水という貴重な素材と、お茶やお菓子等を結びつけまして味わっていただく、体験していただくことはまさに本県ならではの観光でありまして、売りにつながると考えておりますことから、体験プログラムの形に磨き上げまして、その魅力を発信してまいりたいと思っております。  2つ目、実際、水を飲む、あるいはお茶にするといったことはどうかというお話です。  そのまま水を飲むということにできるかどうか、これはわかりませんが、地域のプログラムが幾つかありますので、今いただいた御提案、あったことをお伝えさせていただきまして、そういったプログラムができないかを検討したいと思っております。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)ありがとうございました。  それでは、2問目に移りたいと思いますが、ちょっと思い出したんですが、五七調の日本語のこの音の運びというか、言葉の運びは、ホツマの世界では、アマテラスのお姉さんのワカヒメが全国に広めたというふうに言われていることでございまして、実はホツマツタヱは五七調で全部書かれているということでございまして、また機会があったら御紹介したいと思います。  それでは、2番目の学力、学習状況の分析についてを御質問申し上げます。  桐生選手、大橋選手、サッカーとシンクロスイミングの乾選手、野球の則本選手、ボクシングの山中選手を初め、滋賀県出身選手の大活躍が県民を大いに元気づけております。御活躍に拍手を贈り、滋賀県での選手育成成功のポイントを他の地域や後進にも生かしていただきたいと期待するものでございます。  さて、全国学力・学習状況調査では全国平均に到達できない状況が継続しており、小学校では全国平均との差が開いたとの報告を承りました。昨年度から、青木教育長のもと、現場の声を尊重しながら大変御努力をいただいてきました。現場の先生方、教育の関係者、もちろん生徒たちもとても頑張ってきたんだと思います。  さて、高島市内で新聞報道やテレビ報道を見られたあるお母さんに問いかけられたことを御紹介します。「一山越えたら福井県です。福井は全国でも優秀な成績を上げておられるようです。同じく小学校に通っていながら、滋賀県と何でこんなに違うんですか。子供がかわいそうです」と言われたのです。  これは県内の子を持つ親たちの素朴な声で、このことは県も関心を持たれ、数年前に、秋田県と福井県に教員を派遣し、参考すべき点の掌握に努められたと聞きました。その内容はどのようなもので、いつから施策に反映されてきたでしょうか。昨年度、教育長御就任に当たっての知事からのミッションはどのようなことであったでしょうか。そして、今回のこの調査の結果をどのように受けとめられたでしょうか。教育長にお伺いします。  今回の結果を受けて、さらに詳しく分析をすると代表質問に御答弁されました。今回の調査結果をどのように受けとめるかで、未来が変わると思います。昨年、常任委員会で包括連携協定を結ぶ滋賀大学などに委託をし、第三者の立場から詳しく分析してもらってはどうかと提案をいたしました。検討されたでしょうか。  さらに、学校と家庭の学習も視野に入れるならば、立ち位置をつかむために、公文式やECC、学研などを初め、幼少期からの民間学習塾等での学習状況もあわせて掌握しないと、正確な状況がつかめないと思います。踏み込んで調査して実態を把握する意思はおありでしょうか。これらのことについて、検討をどのようにされているでしょうか、教育長にお尋ねします。  いたずらに競争をあおるのはよくないという見解は尊重しますが、わからないまま、わかっていないのに進級させている実態があるように思いますが、それはどのようなものでしょうか。  また、卒啄同機と申しますが、学ぶ力向上が前面に出て、教える力向上が弱いのではないでしょうか。教える力の向上、学びたくする行為が行政の政策の実行であります。子供らの生活上の問題点を細かに追いかけて多忙さの迷路に陥ることから救い出し、先生と生徒が希望と意欲と自信を持って、現場が活力にみなぎるようなメッセージが必要と思います。つまり政策が必要と思います。  例えば、「失敗の本質」という本がありますが、その見方を教訓にして、教育委員会のこれまでの取り組みを青木教育長のもと組み立て直す作戦変更のときではないか、ときであると私は思うのですが、いかがでしょうか。今後、学力、学習状況の向上のために教育委員会にどのような役割を求め、支援をし、知事としてもどのように取り組んでいこうとお考えになっておられますか。最後は知事にお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 学力、学習状況の分析について、5点いただきましたが、最後の質問にお答えをいたします。  学力、学習状況の向上のためには、まず、今回の学力・学習状況調査の結果をさらに詳しく分析することが肝要であると考えています。  学ぶ力向上滋賀プラン、取り組んでおりますが、今までの取り組みがどうであったのかを検証し、より効果的な取り組みに改善し実行していくこと、また、やった結果改善が見られたことについても、さらなる検証と改善に努めることが肝心であると考えます。  今回の調査結果の分析から、県教育委員会が改善策の焦点化を図り改善の方向性を示すこと、効果のあった取り組みの活用を図ること等について、市町教育委員会や学校と連携協働のもと、スピード感を持って改善に取り組む必要があると考えます。  子供たちの夢と生きる力を育む教育は、私自身、特に力を入れている政策でもございます。子供たち一人一人の学力、その基礎となる学ぶ力の向上に向けた取り組みを進めていくことが大切であると認識しております。  そのため、議員もお触れいただきましたが、授業の改善、家庭等での学習時間の充実に取り組むことが重要であると考えます。  学校と家庭や地域が一体となって、子供たち一人一人の学ぶ力を高める取り組みを、大学や教育研究機関等の力もかりながら、教育委員会と連携して進めてまいりたいと存じます。また、そのための環境整備や体制づくりに、知事としてしっかり取り組んでいきたいと存じます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)学力、学習状況の分析についての御質問のうち、私にいただきました4点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の秋田県、福井県への教員派遣により得られた成果と施策への反映についてであります。  秋田県と福井県への教員派遣は平成27年度から実施をし、秋田県へは昨年度まで2年間で延べ3名、福井県へは今年度まで3年間で延べ4名の教員を派遣をしております。  派遣教員の報告からは、まず、学力向上の中核となる授業改善について、基本となる授業スタイルの統一、つけたい力を明確にした授業づくり、学習規律の徹底等がなされていることが明らかとなってまいりました。  また、これらの取り組みを支える教員の指導力向上のための校内研究の改善、教員同士の結びつきの強さなどに、両県の特色ある取り組みや強みがあると認識をしております。これらの内容につきましては、教員が派遣中から随時報告を受け、参考となる取り組みを学校訪問等で指導することで授業改善に努めてまいりました。  また、派遣教員は、総合教育会議等で具体的な報告を行ったり、県総合教育センターの研修や各市町の研修会、各学校の校内研究会等において研修講師を務めたりして、具体的な授業改善の視点や学校経営のあり方について普及を図ってきたところであります。  次に、2点目の知事からのミッションと、今回の結果の受けとめについてお答えをいたします。  教育長就任に当たりまして、知事からは、教育は最重要課題の一つと考えていること、また、新しい教育委員会制度のもとで新教育長となることから、教育委員会および事務局をしっかりとマネジメントすること、そして、子供たちに夢と生きる力を育む滋賀の教育の実現に向けてしっかり取り組むよう指示を受けたところでございます。  これらのことを具現化するため、知事と考え方や取り組みの方向性を共有しながら、子供たちの未来を見据えた教育行政の推進に努めてきたところでございます。  今年度の全国学力・学習状況調査の結果からは、子供たちの自己肯定感の向上等に一定の成果が見られましたが、一方で、子供たちの夢と生きる力を支える基礎的、基本的な知識の定着、あるいは自分の考えを適切な根拠のもとに述べること、また、放課後や家での時間の使い方等に課題もあることもわかってまいりました。  こうしたことから、これらの課題にしっかり対応できるよう、教育委員会の組織力を高め、子供たち一人一人の学力、そしてそれを支える学ぶ力の向上に向けて、しっかりと各学校を指導、支援してまいりたいと考えております。  次に、3点目の第三者の立場からの分析や、さらなる実態把握についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、調査結果を第三者の立場から分析することは有効であるというふうに考えております。県教育委員会といたしましても、大学や民間教育機関などの外部機関と連携をし、より多面的に子供たちの学習状況を分析して、改善に生かすことが重要な視点であるというふうに考えております。  こうしたことから、既に滋賀大学の知見を得て、学力・学習状況調査の結果を学ぶ力向上の施策に反映させるための協議会を設けているところでございます。  また、通塾と学力の関連に関しましては、児童生徒質問紙調査の項目にも示されておりますことから、今後、さらに詳しく分析を進めてまいりたいと考えております。  あわせまして、外部機関が持つ特徴や強みを生かす一層の連携のあり方についても、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。  最後に、4点目の教育委員会のこれまでの取り組みの変更時期ではないかとの御質問にお答えをいたします。  本県では、学ぶ力向上滋賀プランに基づき取り組みを進めてまいりましたが、今年度の調査結果の分析からは、各学校が取り組みの成果と課題をしっかりと検証し、改善方法を立案し実践していくことが十分でないというふうに考えております。  県教育委員会といたしましては、改善に向けた取り組みをより明確に示し、各学校の実情に応じた改善策を指導、支援していくことが必要であるというふうに考えております。  そのためには、まず、教員の指導力の向上を図る効果的で効率的な研修の実施と、その研修時間を生み出す教員の働き方改革をしっかりと進め、授業改善を実現させてまいりたいというふうに考えております。  また、学校と家庭、地域との連携を強化する仕組みづくり、さらには指導のあり方の見直し等についても、これからしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)まず、分析ということについて再問をさせていただきます。  滋賀県は県民所得でいうたら全国で上位にあるということは誇りとするところであります。そして、昨日の一般質問で明らかになった貧困率においては全国の下から2番目、いわゆる貧困率においても大変貧困が低い、いわゆる各家庭が堅実に営まれているというふうにとることができると思います。  ということは、経済状況と学習力というんか、それは結構相関関係があると言われていまして、塾とかいろんなところに行って勉強しているので、本来ならば、滋賀県は経済状況や背景を考えるともっと理解力が高いんではないかと。にもかかわらず平均から離れていくということは何が原因なのかということを、もっと真剣に、ことしは本当に何がどうなんだということを明らかにする決意を持って分析しなければならない年ではないかなと。  今までも頑張ってきたわけです。そして頑張ってきた分析の方法に基づいて施策も打ち、頑張ってきたんです。それがさらに離れてしまったんです。これは皆さんもショックだと思いますが、これは誰かのせいにするんじゃなくて、作戦が間違うているんでないかと、分析が間違うているんでないかとかいう根本的なところを見直す必要があるということを、私はきょうは申し上げたいと思うんです。  ですから、なるべく正確なデータや分析の言葉、分析のいろいろな評価を集めて、その中から見出していくものをやっぱりしっかりと見詰めてほしいということを思うわけですが、知事、教育長に御答弁を願いたいと思います。  それから、滋賀大学ということでしたが、今、データサイエンスというか、いろいろな新しい分野も御努力なっている滋賀大学の経済学部もありますが、そういうところの力もかる手はずがちゃんとなっているのかどうか。  そして、教育学部においては、滋賀県は滋賀大の教育学部出身の方が多いので、第三者というには余りにも親元過ぎるんではないかという気もするんですが、やっぱり公正な第三者の意見を求めるという意味でどういう組み立て方をされるのかについて、お考えがあったら聞かせていただきたいと思います。  それから、いろいろ学校にこのように変えていこうと言うても、県庁の担当の方も2年から3年で人事異動になるし、現場の校長先生や教頭先生も2年から3年で人事異動になります。こういうようなことを慣例として続けていって、本当に現場に心のこもった教育が届いていくのかということなんかも疑ったほうがいいんじゃないかなということを問いかけたいと思うんですが、いかがでしょうか。  ですから、先ほどの「失敗の本質」という本をあえて挙げたのは……。 ○副議長(川島隆二) 海東議員に申し上げます。
     再質問の場合は、誰に質問するのか、明確にお願いいたします。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)はい。後段部分は教育長です。申し上げたのは、組織として、どうしてもやってきたことを失敗と認めることができないというのがジレンマがあります。そういうことをしっかりと、日本人の特質というか、錬磨とか改善は得意やけども変革ができないという、そういうものがあるようですので、しっかりそういうとこも見据えた上で、今回の、教育長が今までどおりのことを頑張ってやった、1年を過ごしてうまくいかないということを捉えた分析をしっかりと求めたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 再質問いただきました。分析をしっかりとやること、その分析に基づいて対応、対策をとっていくことの重要性は、議員と私は認識を共有しております。  知事就任以来、私もこの分析を私自身が見ることでかかわりを持って、かつ教育委員会とも共有することで、いろんなプランをつくったり、そのプランを充実させることに取り組んでまいりましたが、今回の結果もより深く見て、さらに深く見て対策を講じていきたいと思っております。  例えば、悉皆調査をやってから10年になります。この10年間のトレンドがどうであったのかといったことですとか、あと、この間、プランをつくり実行してきておりますが、そのプランを実行して、できている学校とできてない学校、また、その結果に基づくことでありますとか、学級経営や授業力というものが果たしてどう高められているのか高められてないのか。それは学校によっても違うでしょうし、また、学校の教員構成によっても課題があるのかもしれません。  こういったことをしっかりと分析していきたいということと同時に、教育長と共有していますのは、もちろん相対として平均正答率で見ることも大事なんですが、一人一人の子供たちの、わかった、わからないことがわかるようになったということが大切なのではないか。  そういう意味でいいますと、小学校の国語と算数、中学校の国語と数学、それぞれA問題とB問題がございますので、このA問題、B問題のそれぞれの答え方や正答率がどうなのか、それらの傾向がどうなのか、こういったことも見ながら対応をとっていこうということを考えているところであります。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  いろんな分析のことについては一つ一つ答えるのはまたあれなんですが、議員おっしゃっていただきますように、やはり今までの結果をもっと真摯に分析をしながら、あるいは見詰めながら、やはり変えるときは大胆に、あるいは迅速に変える、これはまさに議員おっしゃるとおりだと思います。  ただ、一方で、教育というのはいわゆる不易の部分もございます。ここは大切にしながら、じゃ、滋賀県の例えば今回の調査においてどういう部分が足りないんだろうと、そういうことをしっかり分析をしながら、おっしゃるように、今までどおりやっていったらいいというものではございません。弱点がわかれば、そこをいかにただしていくのかということは大事ですので、今後、しっかりとその部分を分析をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。  滋賀大学につきましては、今申しましたように、協議会を設けまして議論もさせていただいております。議員おっしゃいますように、確かに滋賀大学、滋賀県にありますから、ある意味近くて、それを第三者と言うのかという話はございますが、ただ、やはり本県における教育の中心、高等教育の中心でございます。その知恵あるいはそれを活用しない手もございません。  ただ、滋賀大学でいいのかどうかというのも、もちろんいろんなことをこれから考えていかないといけないと思いますが、これまでは、どちらかというと教育学部だけというところがございました。今度、滋賀大学のほうではデータサイエンスという、まさに分析に特化されたような学部もできました。こういうところとしっかり連携をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆6番(海東英和議員) 終わります。(拍手) ○副議長(川島隆二) 以上で、6番海東英和議員の質問を終了いたします。  次に、39番成田政隆議員の発言を許します。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、2項目について質問をいたします。  滋賀県の魅力は多くありますが、琵琶湖とその周りを取り囲む山々、西は比良比叡、北には伊吹、東には鈴鹿山脈、それぞれに悠久の歴史、壮大な景色、色とりどりの自然と三拍子がそろっており、他県にない魅力であると考えます。  ことし8月11日の山の日に、奥比叡ドライブウェイの峰道パーキングにおいて、比良比叡トレイル協議会の設立記念式典が開かれました。比良比叡トレイルは、琵琶湖から湖西地域の山々を眺望した南から北へと続く長い山稜、南方の峰は標高848メートルの大比叡、四明ヶ岳など5峰を合わせた比叡山、さらには、稜線は北へ途中峠から権現山、蓬莱山、比良岳、堂満岳、最高峰1,214メーターの武奈ヶ岳、そして最北の蛇谷ケ峰まで続き、標高1,000メートル級の山々が連なる比良山地と、総距離約50キロのトレイルであります。比良比叡トレイルの整備により、京都トレイルから比叡山、比良山地、さらには高島トレイル、余呉トレイルへとつなぐことになります。  加えて、この地域の山すそに点在する多様な自然と歴史、文化が改めて見直されるとともに、その魅力の発信が行われ、県内外から多くの人に訪れてもらい、観光振興を通じた地域の活性化に向け取り組みが進められております。  比良比叡トレイルや高島トレイルを初め、魅力的な滋賀の山がぐるりとつながることにより、多くの方に安全に楽しんでもらえる新たな観光資源になればと思い、以下、びわ湖一周トレイルの整備について、知事および商工観光労働部長にお伺いいたします。  全国的な登山ブームにより、2000年代前半から年1回以上山に登った人の数は、600万人台から2009年には一気に1,230万人と倍増しました。近年、登山道や林道、古道など、路面舗装されていない自然歩道を走るトレイルランニングが各地で大会が開催されるなど、欧米で人気があった種目が日本においてもブームになっております。  多くの方が山を楽しまれる一方で、山岳遭難発生件数も増加しております。防災ヘリの出動件数、救助人員は、2016年47件45人と、5年では201件181人でありました。その中で、転倒、滑落による救助は5年で74人、道迷いが62人となっております。  また、滋賀県警によると、山岳遭難発生状況は、2014年66件91名、15年60件79名、16年70件110名となっており、道迷い、滑落、転落の順に出動をされておられます。2015年においては、ここ5年で最多の死者数9名となっております。  今年度春の登山シーズンを前に、高島署や大津北署を初め各地で山岳警備隊を結成し、十分な訓練も行われ、万全の体制を組まれました。8月時点で、山岳遭難発生件数は45件59名、死者は3名となっております。  山岳遭難については、登山届け出がなければ救助におくれるとの報道もあり、登山届の提出の義務化を条例として定めている自治体もふえてきております。  また、登山届を出してもらうことも重要でありますが、あわせて、安全に登山やトレイルランニング等を楽しんでもらうためには、遭難者の多数である道迷いへの対策を行うこと、すなわち、道標の整備やマップの作成が重要であると考えます。  実際、京都においては、1991年に京都府山岳連盟に京都一周トレイル構想について協力要請をされ、93年に東山コースの開設を皮切りに、北山東部コース、西部コース、西山コースと順次コースを拡大され、また、京北町との合併を機に、京北ルートの開設も行われました。  さらに、1999年度よりトレイルマップを販売され、ことしの6月には、全コースが英文併記化のマップと道標が整備されております。トレイルマップに関しては昨年度687万円余の売り上げがあり、昨年利用者調査をされた際には、約52%の方が地図を所持されておられました。実際にトレイルマップと道標が一体化されたことにより、より安全でわかりやすく、世界遺産を初めとするコースを楽しむことができるようになったとされております。  県内においても、NPO法人高島トレイルクラブを中心に、高島トレイルにおいて、トレイルの整備やマップの作成を行われております。こういった取り組みがさらに県内に広がればと考えます。県としても、滋賀のトレイルに関して統一した規格の道標やマップを、各地域のNPOや協議会とも連携を図りながら進めていく必要があると考えます。  特に、登山口において、観光の名所などの入った近隣のマップとともに、登山届け出の注意喚起、その場でコンパス登山届け出やインターネット登山箱ができるようなQRコードもつけた看板の設置や更新を行っていく必要があると考えます。  また、コースの要所には、コンパス等と連携をとるなど、多言語対応で位置情報を付与したQRコードを含む道標を作成、更新していってはどうかと考えます。  道標はただ単に行き先の道しるべになるだけでなく、迷ったときに道標にたどり着けばどこであるかがわかり、また、けが等救助を求める際にも、道標のナンバーにより最適な対応がとれると考えます。大津市消防局では、2004年よりレスキューポイントを設置し、これまでも50回以上活用され、救助に要する時間も約90分短縮されたと言われております。  アプリ等の活用は、また登山途中の位置情報が送受信されることとなり、遭難した際にも、どこから通信が途絶えたかや、その地域を通っていた別の登山客から情報を得ることができます。  さらに、滋賀を一周するびわ湖一周トレイルにおいて、県内統一された道標、ルートをマップと連動させることは、今後、トレイル一周への挑戦の意欲を促し、QRコード等のICTの活用は、トレイル一周の達成の把握、認定証の発行等、誘客の促進にもつながると言えます。  また、どういった方がどれだけどういったルートで回ったかというビッグデータも入ることとなり、さらなる施策の充実にもつなげることができると言えます。  そこで、びわ湖一周トレイルの道標の統一化ならびにマップの作成は、滋賀の登山の安全性を担保するとともに、滋賀の新たな魅力としての観光素材として寄与すると考えますが、知事に所見を伺います。  次に、トレイルの整備等について伺います。  現在、各地域においてさまざまな登山ルートはあるものの、まだまだトレイルの整備が必要であります。実際に毎年10件を超える滑落事故も起こっており、ルートをより安全にしていくことも重要であると考えます。  特に、さきの今江議員の代表質問にもありましたように、滋賀の山は、雨や風で風化した崩れやすい花崗岩、真砂土の地層が多く存在するため、危険箇所の把握もしっかりと行いながら整備を進めていかなければなりません。近年の豪雨の影響か、山肌が見えている山間部もふえているように感じております。  また、ルートに関しては、滋賀県は歴史的にも交通の要衝であったため、近江の山を越える街道も多数存在しております。先ほどの質問にもありましたが、松尾芭蕉が通った街道もまた調べてみると楽しいのではないでしょうか。そういった歴史的な街道、史跡や山城をセットにしたルートを整備することも可能であると言えます。加えて、東海自然歩道も活用できると言え、教育委員会や琵琶湖環境部、土木交通部との連携も大変重要であると言えます。  今月18日には、釜堀浩元師が、約4万キロの山道を1,000日かけて踏破する難行、千日回峰行を戦後14人目としてなし遂げられました。比叡山にある山道は、これまでも比叡山インターナショナルトレイルランでも多くの選手が出場されており、世界的にも注目されておられます。そういった中で、日吉大社から比叡山延暦寺の根本中堂まで上がる県道は世界遺産まで歩いて登ることができ、整備を進めていくことは観光の面からも十分プラスになると考えます。  そこで、トレイルの整備に関して、多くの市民や団体とともに連携を行っていきながら維持、修繕を行っていく必要がありますが、今後の各地域に存在する街道等トレイルの整備についてどのように考えておられるのか、商工観光労働部長に伺います。  あわせて、京都トレイルの利用調査の意見にもありましたが、多くの方が要望するトイレや休息場所等の整備の考えについて、商工観光労働部長に伺います。  次に、滋賀県近隣府県との連携について伺います。  比良比叡トレイルは、京都トレイル、京都と、また高島トレイルに関しては福井県、伊吹山においては岐阜県、そして鈴鹿山脈においては三重県と、滋賀県に隣接している府県との連携はさらなる相乗効果を生み出すと言えます。  特に、鈴鹿国定公園は昭和43年7月22日に指定され、来年50周年を迎えます。三重県にもまたがる鈴鹿山岳地一帯を中心とし、全国定公園面積は2万9,821ヘクタール、うち滋賀県の区域面積は1万7,113ヘクタールとなっており、公園内には天然記念物のカモシカやイヌワシなどを初めとする貴重動物や、1,800余種もの植物が生息、生育、常緑広葉樹林と夏緑広葉樹林の極相林が分布するなど、自然景観や生物資源の貴重性、特異性によって位置づけられております。  先般、御在所岳に訪れましたが、日本一の琵琶湖が一望でき、また、天候によっては日本一の富士山が見えるということでもあります。残念ながら、登山ルートとしてはロープウエーもある三重県菰野町側から登るルートが一般的であり、滋賀側からのアプローチがさらに容易にできるよう整備も必要であると思います。  そこで、鈴鹿国定公園50周年の記念イベントを三重県と一緒に行うなど、近隣府県との連携により、山の魅力がさらに向上されるよう盛り上げていってはどうかと考えますが、知事に所見を伺います。  次に、トレイルのアクセスにおける公共交通機関との連携について伺います。  びわ湖バレイのロープウエーは、9月3日のふぐあいの発生以降、ようやく10月7日に営業が再開されると聞いております。再開後には多くの方に訪れていただき、びわ湖テラスや蓬莱山からのすばらしい琵琶湖の眺めを堪能していただきたいと思います。  びわ湖テラスがメディアに注目されて以降、観光客もふえ、公共交通機関のJR湖西線志賀駅の乗降客や江若交通のびわ湖バレイ線の乗客も増加しました。また、登山ブームにより、2013年以降、比良駅からの比良登山線の乗客もふえるなど、登山口までの路線の拡大、公共交通機関との連携は、登山を楽しまれる方の利便性の向上を果たし、登山人口のさらなる増加につながるのではないかと考えます。  加えて、登山口までの動線を拡充すること、とりわけ山村部に向け走ることは、ただ登山口までの登山客のアクセスとなるだけではなく、人口減少で公共交通が衰退してきている地域の公共交通の維持、拡大にも大きく貢献するのではないかと考えます。  そこで、公共交通機関との連携の見解について、知事に伺います。  冒頭も述べましたが、滋賀県は琵琶湖を真ん中に四方を山々に取り囲まれております。だからこそ、滋賀を取り囲む山の多くから琵琶湖を望むことができ、山々を回り、琵琶湖の各地点から眺望を楽しむことが新たな魅力につながり、びわ湖一周トレイルを整備することは意義あることだと考えます。この雄大な自然を生かすこと、滋賀だからこそ琵琶湖のすばらしさを生かしていくことが重要であり、観光の視点からも注目されるべきであると考えます。  びわ湖一周トレイルは約450キロを超えると言われております。一日で回ることができません。だからこそ、何度も来てもらいながら、さまざまな角度からいろんな琵琶湖の側面を見てもらうことができると言えます。そのためにも、安心して楽しんでもらえるトレイルの整備が必要であると考えます。  この整備は決して1年で終わることはできません。長期的なビジョンを示しながら、滋賀県山岳連盟やNPOを初め多くの方の御協力のもと、市町とともに連携をとりながら、近隣府県とも連携をとりながら、滋賀の新たな価値をつくり出していく必要があると考えます。  最後に、びわ湖一周トレイル構想の推進に向けた知事の思いを伺い、この項の質問を終わります。 ○副議長(川島隆二) 39番成田政隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)びわ湖一周トレイルの整備について、私に4点御質問いただきました。  まず1点目、道標の統一化、マップの作成についてでございますが、琵琶湖を取り巻く山々は、眼下に琵琶湖を見渡せるすばらしい眺望、世界文化遺産の構成資産である比叡山延暦寺を初めとする奥深い歴史や文化など、すばらしい魅力を有しており、本県の観光になくてはならない素材であると認識しています。  本県では、琵琶湖と水に触れ合う旅を提案し発信していくことを中軸に据えて観光振興に取り組んでいるところでございますが、琵琶湖と一体の景観をなし、琵琶湖の豊かな水の源である山々の魅力もしっかりと活用してまいりたいと考えています。  こうした中、先般、びわ湖比良比叡トレイル協議会が発足したところでございますが、ほかにも、鈴鹿の山々をめぐっていただけるよう東近江市が鈴鹿10座を認定されるなど、県内各地でさまざまな動きが進んでいることは大変意義深いことであり、大いに期待しているところでございます。  県といたしましても、本県の山々をめぐるトレッキングの魅力をしっかり発信してまいりたいと考えておりますが、そのためにも、楽しみながら、かつ安全にトレッキングを行っていただける環境の整備が重要であると認識しています。  御質問の道標の統一化やマップの作成は、こうした環境整備に資する有力な手法でありますことから、地元の市町や登山道の管理者から御意見を伺い、また連携しながら、どのように対応していくことが適切か、研究してまいりたいと存じます。  2点目、近隣府県との連携についてでございますが、本県は内陸県であることに加え、盆地が形成されているという地理的特性から、琵琶湖を取り囲む山々については隣接府県との府県境でもあり、歴史や文化に関して共有している部分も多く、また、本県と隣接府県の両側からアクセスが可能なトレイルもございます。  こうしたことから、議員御指摘のとおり、隣接府県と連携して山の魅力を発信していく視点は大切であると認識しております。  例えば、来年指定50周年を迎える鈴鹿国定公園では、本県と三重県、また公園区域を包括する市町や観光協会等で構成される鈴鹿国定公園協会におきまして、PR写真を募集するとともに、構成員の行う記念イベントや歩道整備への支援を検討するなど、連携して取り組みが進められているところでございます。  こうした取り組みの経験も踏まえながら、隣接府県と本県の双方の史跡と絡めてストーリー性を持たせ、楽しんでいただくことを提案したり、イベントなどへの参画を呼びかけたりするなど、近隣府県との連携の促進に取り組んでまいりたいと存じます。  3点目、公共交通機関との連携についてでございます。  公共交通機関の利用につきましては、自動車使用の場合のように出発地に戻ることなく、トレイルの出発地から到着地まで山を存分に楽しんでいただくことを可能とすることからも、その促進を図ることが重要であると認識しています。  また、一部の地域では、登山口までのバス増便の働きかけが行われているとともに、出発地から到着地まで自動車を運ぶサービスができないか調査する動きもあるなど、注目すべき取り組みもなされているところでございます。  これらの取り組みも参考にしながら、それぞれの地域において、実情に応じて交通事業者との連携を検討いただくことが適切であると認識しております。  4点目、びわ湖一周トレイル構想の推進についての思いでございますが、先ほども申し上げたとおり、本県の山々は、その眺望のみならず、歴史や文化の厚みなど、滋賀の多面的な魅力を味わうことができる貴重な観光素材であると認識しています。  びわ湖一周トレイル構想は、比良比叡トレイルや高島トレイルを初め県内でトレイル整備に向けた動きがある中で、各トレイルコースを結びつける、いわば山のビワイチを実現しようとするものだと捉えております。これが実現すれば、トレッキングの愛好家が注目することはもちろん、ストーリー性を持たせて磨き上げることにより、歴史や文化に興味のある方の関心も誘うことにつながり、本県の観光振興に寄与するものと大いに期待しています。  県といたしましても、市町や旅行会社等とも連携して、トレイルの魅力を広く発信するなど、構想の実現に向けて、関係の皆さんとともに取り組んでまいる所存でございます。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)びわ湖一周トレイルの整備について、私にいただきました2点の御質問にお答えいたします。  1点目、今後のコースにおけるトレイルの整備についてでありますが、本県で山々をトレッキングする魅力は、すばらしい眺望に加え、かつて都と地方の間で人々が往来した歴史に思いをはせつつ、人々によって育まれた文化を味わいながら歩みを進められることではないかと思います。  したがいまして、コースの整備に当たりましては、ハード面の整備は安全対策や快適さの観点からもちろん必要でありますが、それぞれの山々で語り継がれてきた歴史や連綿と継承されてきた文化を踏まえて、それぞれのコースにストーリーを込めることも観光振興の観点から大切であると認識しております。  こうしたことから、まずは各地域で関係者が連携して、それぞれの山の魅力を踏まえたコースの整備や、それに関連する観光素材の磨き上げに取り組んでいただきたいと考えております。  そして、県としましても、本県の歴史や文化と密接に関連する多面的な山の魅力を情報発信することにより、各地域のトレイル振興に寄与してまいりたいと考えております。  2点目、トイレや休憩場所等の整備の考えについてでありますが、トイレや休憩場所等の整備につきましては、登山道や施設の管理者によって整備されることが基本であると認識しております。  一方で、県としましても、トレイルを魅力ある観光素材として活用し発信していく上で、利用できるトイレや休憩場所の情報もあわせて発信していくことを検討してまいりたいと考えております。  また、トイレや休憩場所に限らず、本県の山々の持つ豊かな自然、歴史、文化の魅力を守りつつ、その魅力の発信にも努めてまいります。 ◆39番(成田政隆議員) (登壇)ありがとうございます。実際にびわ湖一周トレイルということでできるのかどうかということで、ちょっとネットで調べてみると、7月に最終到着されたんですが、何回かに分けて11日間かけて、切り分けになりますが、やぶをかき分けながら到着された方もおられます。そういった部分で、かつて多くの方が使っておられた街道等々も今はやぶで通行できなくなったりするので、そういったところを改めて地域の方々、昔から使っておられた方々とも情報を集めながらやっていくと、十分、一周つくっていくことができるのかなと思いますので、ぜひとも頑張って、皆さんとともにやっていただきたいなと思います。  また、一方で、トランスジャパンアルプスレースといって、日本海側の富山湾から北アルプス、中央アルプス、南アルプスを縦断して太平洋側まで、駿河湾までの415キロメートル、1週間かけて公共機関を使わずに自分の足で走ったり歩いたりするレースもありますので、そういった部分で、滋賀県においてもびわ湖一周トレイルのレース等々をやってみたりするのもまたおもしろい企画ではないかなと思いますので、さまざまな魅力とか、そういった部分も発信できる可能性があると思いますので、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。  それでは、次の質問に移らさせていただきます。  平成29年7月、自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜が閣議決定されました。これは、平成28年の自殺対策基本法改正の趣旨や我が国の自殺の実態を踏まえたものであります。  そもそも、平成15年に自殺者が3万4,427人とピークになったことに対し、当時の山本孝史参議院議員が中心となり、与野党の垣根を越え、救える命がいっぱいあるのに次々と失われているのは、政治や行政、社会の対応がおくれているからと取り組みを進められ、平成18年10月に自殺対策基本法が施行されました。  その後、個人の問題と認識がちであった自殺は広く社会の問題と認識され、自殺対策が総合的に推進された結果、平成24年に3万人を割り込み、昨年、平成28年は2万1,897人となっております。  滋賀県内の自殺者数においても、平成25年までは300人前後で推移してきておりましたが、その後、平成26年259人、27年247人、昨年、平成28年は227人と着実に減少しております。これは滋賀県自殺予防情報センターを先頭に、県や市町を初め行政の率先した取り組み、さらには、NPO法人滋賀いのちの電話やゲートキーパーの皆様など、多くの支えてくださっている方々のおかげであります。改めて感謝申し上げたいと思います。  しかしながら、日本における自殺死亡率を見ると24.5%、滋賀県においては全国平均に比べ22.3%と低い比率ではあるものの、世界に目を向けると、イギリス7.5%、ドイツ12.6%、フランス15.1%であり、さらなる取り組みが必要であると考えます。  私は、これまでも自殺予防について、平成23年11月定例会、平成25年9月定例会と行っておりますが、今回、3回目の質問となります。誰一人自殺に追い込まれることのない滋賀になるよう、以下、自殺対策について、知事、健康医療福祉部長に伺います。  まず初めに、県のこれまでの取り組みについて伺います。  滋賀県においては、平成19年に滋賀県自殺対策連絡協議会を設置し、さまざまな分野の方々との連携を図ってこられました。平成21年には滋賀県地域自殺対策緊急強化基金が設けられ、県、市町、関係機関や民間団体による自殺対策の取り組みを強化され、平成22年7月には、自殺対策の基本的な取り組み方針となる滋賀県自殺対策基本方針をもとに対策を進められてこられました。  さらに、自殺を取り巻く社会情勢の変化や施策の実施状況、また、自殺総合対策大綱の改定を踏まえ、平成25年12月に方針の見直しが行われております。  これまでの間、滋賀県自殺予防情報センターにおける電話相談、早期対応の中心的役割を果たす人材であるゲートキーパーの養成、心の健康づくりの推進、自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ取り組み、NPO法人滋賀いのちの電話を初め、民間団体との連携の強化などに取り組んでこられ、自殺者数は着実に減少してきたところです。  特に、以前の一般質問でも取り上げた自死遺族への支援や自殺未遂者への対策については、滋賀県において積極的に取り組んでこられたと仄聞しております。  そこで、これまでの滋賀県の自殺対策の取り組みの評価と課題について、知事に伺います。  着実なる成果を上げているものの、依然として自殺者数は全国的には2万人、県内では200人を超えております。自殺者をゼロにしていくために、さらに施策を推進していかなければならないと言えます。しかしながら、ただ単に自殺対策を行うことが全てではなく、自殺に追い込まれる要因をしっかりと把握した上で取り組みを行う必要があると言えます。  一般的な分析では、自殺に追い込まれる方は平均で4つの問題を抱えておられます。精神保健上の問題を初め、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立など、さまざまな社会における生きることの阻害要因があり、これらを減らし、生きることの促進要因をふやすことを通じて社会全体の自殺リスクを低下させる方向で、総合的に施策を推進していく必要があります。
     実際に、自殺に至る前に専門機関に相談していた割合は70%であり、さらに、そのうち1カ月以内に相談していた方の割合は44%でありました。最後まで生きる道を模索されたにもかかわらず、その結果が自殺という結果に結びついております。  現状、鬱病診断の中では、抗不安剤や睡眠導入剤の投与により罹患期間を長引かせたり、躁エピソードの聴取や甲状腺機能障害の除外がなされないままに出された抗鬱薬によるアクチベーションからの自殺というのも事例があると言われており、精神科認定看護師を初め、精神疾患の理解のある心理士養成もまた重要な課題であると言えます。  医療の現場だけでなく、その兆候は複数の問題を抱えておられるがゆえにさまざまな現場、窓口において発見されます。しかし、現状では点としてそれぞれが個々の対応しかとっておらず、関係機関がプロセスに応じる形で連携をとって取り組みを進めていく必要があります。そのために、かかわる誰もが生きる道を支援していくとの認識を持つ必要があると同時に、身近に相談できる適切な窓口が必要ではないかと考えます。  また、一つの要因の対処だけでなく、複数の問題に対して、それぞれで解決のスピードを上げていくとともに、自殺対策の専門性を備えた職員や全体のコーディネートを行っていける支援員も育成していく必要があると言えます。  生活困窮者自立支援制度等とも連携を図りながら、包括的な相談、支援の中にも、常に、もしかしたらという感度を高めながら、人材を育成していかなければならないと考えます。  そこで、各関係機関のネットワーク化を初め、連携の強化を行うとともに、複数の問題に対して適切に対応がとれる仕組みづくりも必要であると考えますが、その取り組みの促進について、健康医療福祉部長に伺います。  このたびつくられた自殺総合対策大綱では、自殺総合対策における当面の重点施策において新たな取り組みを進められておられますが、その中に、「地域レベルの実践的な取り組みへの支援を強化」があります。  実際に、国はそれぞれの地域に応じた自殺の実態を分析した自殺実態プロファイルを作成し、地方公共団体の地域自殺対策計画の策定を支援するとともに、地域特性を考慮したきめ細やかな対策を盛り込んだ地域自殺対策の政策パッケージを作成されるとされております。  そこで、市町の自殺の特性や死因の究明等分析に関して、県としていかにサポートを行い、心の健康づくり施策や居場所づくりなど、地域に合った具体的対策について支援を行っていかれるのか、健康医療福祉部長に伺います。  次に、近年、課題が複雑化している社会問題の対策について伺います。  長時間労働の是正や職場のメンタルヘルス対策、各種ハラスメント対策など、職場における取り組みや引きこもり支援、児童虐待や性犯罪、性暴力への被害者支援、生活困窮者やひとり親家庭、妊産婦など、近年、多様化、複雑化する心のケアについても、さらに相談の多様な手段の確保やアウトリーチの強化、関係機関等との連携による必要な情報共有の仕組みが必要であると考えます。  そこで、社会全体の自殺リスクを低下させるための対策についてどのように考えているのか、健康医療福祉部長に伺います。  次に、子供・若者対策について伺います。  全国的に全体的な自殺死亡率は低下傾向にある一方で、20代未満の自殺死亡率は横ばい、20代、30代の減少率は低い状況にあり、若年層の自殺対策は依然と深刻であると言えます。  実際、滋賀県において、20代未満は平成27年から28年に増加するとともに、15歳から39歳の死因は今もなお1位は自殺であります。子供、若者も大人同様に、死に至る背景は複雑多様な要因が絡み合っていると言え、しっかりとSOSの出し方を教えるとともに、そのSOSに対して周囲の大人が気づく感度を高め、どのようにサポートをしていくかが重要であり、ICTも取り入れたアウトリーチ策も強化していく必要があると考えます。  そこで、子供、若者に対する支援について、どのように取り組みを進めていかれるのか、知事に伺います。  滋賀県においては、誰一人取り残さないという理念のもと、SDGsに参画することを表明されております。誰一人取り残さないことこそが自殺対策においても必要不可欠な要素であります。誰一人取り残さない施策を推進するに当たっては、県内市町との連携強化は重要であります。  11月には滋賀県で自殺対策トップセミナーの開催が予定されておりますが、各自治体の首長の使命感を意識づけるためにも、多くの自治体のトップに参加していただくことが重要であります。トップセミナーは47都道府県全てにおいて実施される予定であり、実際にこれまでに参加した首長と副首長、教育長のアンケートでは、「現状の取り組みでは十分」との答えがゼロで、約8割が「今後、自殺対策を強く推進していきたい」と選択されるなど、意識は確実に高まると言え、自殺対策トップセミナーにぜひとも県内市町長とともに知事にも参加していただきたいと考えます。  地域の意識を変え、地域によって自殺者の多い年代や職業が異なる自殺の地域特性を意識した中で、自殺対策について取り組むこと、滋賀県に適した保健や医療、福祉、教育、労働といった各分野の連携、関連施策の連動が不可欠であります。また、市町の傾向もしっかりと分析し、適切な支援を行っていくことが必要であります。  しかしながら、地方の役割が大きくなる一方で、施策を行うに当たっては、6年間続いた地域自殺対策緊急強化基金が平成27年度末で終了しております。そんな中であっても、施策を継続的に取り組んでいかなければなりません。  そこで、今年度策定を予定されている滋賀県自殺対策計画にどのような思いを込められているのか、知事に伺います。  あわせて、滋賀県内誰一人取り残さない、自殺者ゼロに向けた決意について伺い、質問を終わります。 ◎知事(三日月大造) 自殺対策について、私に3点御質問をいただきました。  まず1点目、取り組みの評価と課題についてでございます。  県の取り組みの経過は議員が御紹介いただいたとおりでございますが、自殺は背景にさまざまな要因が複合的に絡み合っていることから、これまでから、保健、医療、福祉、司法、教育、労働等の関係機関が連携のもと、分野横断で対策に取り組んできたところでございます。  中でも、誰もが自殺に関する理解を深め、悩みに気づき、つなげるゲートキーパーになり得るとの認識のもと、ゲートキーパーを広く養成するとともに、生きる希望や気力を失いつつある人からの相談に取り組まれている特定非営利活動法人滋賀いのちの電話などの団体を支援してきたところでございます。  また、重点的な取り組みとして、一般診療科から鬱病の可能性のある方を精神科につなぐ仕組みづくりでありますとか、自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐための救急告示病院や精神科病院、消防、警察の関係機関との連携の仕組みづくりでありますとか、大切な人を亡くされた御遺族の支援などを進めてきたところです。  こうした取り組みの結果、本県における自殺者は平成21年の291人から平成28年の227人と減少しており、自殺対策基本方針に掲げます、自殺者を平成24年の282人から50人以上減少させるという目標を達成したところでございます。  課題についてでございますが、減少したとはいえ、年間200人を超える方が亡くなっていらっしゃるということを考えますと、ゲートキーパー養成を継続して実施し、一人でも多くの理解者をふやすことでありますとか、一般診療科と精神科の連携の強化、また、自殺未遂者が再度自殺を図ることのないような支援体制づくり、そして、御遺族に対して一層支援を充実させていく必要があると考えています。  さらには、自殺対策基本法の改正に即しまして、市町における生活困窮者や引きこもり、妊産婦、子供・若者支援など、より一層幅広い関連施策等、自殺対策との連携強化にも取り組む必要があると考えております。  2点目、子供、若者に対する支援でございますが、子供、若者の支援について、教育委員会では、学校におけるSOSの出し方教育として、教員対象の研修会で自殺予防教育の重要性と留意点等について指導をしており、その中で、SOSの出し方や児童生徒の心の危機のサインについて、講義やロールプレイで深めているところです。  また、各学校に派遣しているスクールカウンセラーによる心理授業等で、児童生徒自身がストレスへの対処方法を学んだり、教職員とスクールカウンセラーがチームで子供を見守る体制を整えているところです。  今後も、子供が困っている状況を早期に把握することや、困ったときに相談できる体制をつくることが重要であり、これらを踏まえ、自殺予防教育に取り組んでまいりたいと考えます。  また、精神保健福祉センターでは、特定相談事業として、思春期の不登校、引きこもりの子を持つ親の相談や家族交流会、また、引きこもり青年の居場所づくりなどに取り組んできたところです。  さらに、本年4月から新たに子ども・若者総合相談窓口を設置いたしまして、小学生からおおむね39歳まで幅広い年代層を対象に、精神保健の専門職による相談体制を整備し、さまざまな悩みを抱える子供や若者の支援の強化、充実を図っているところです。  また、若者がアクセスしやすいツールとして、SNSを活用した情報提供や相談形態などについても、今後、導入の可能性を研究してまいりたいと存じます。  私にいただきました最後でございますが、決意、思いということについてでございます。  県の自殺者数は、先ほども御紹介したように近年減少傾向にありますものの、毎年200人を超えるかけがえのないとうとい命が自殺により失われているという重み、追い込まれた末に亡くなられた方の絶望や無念、残された御遺族の悲しみや苦しみに思いをいたすと、自殺対策はまだいまだ道半ば、社会全体でやるべきことは多くあると認識しているところでございます。  こうした厳しい現状を受けとめ、自殺の多くが追い込まれた末の死であること、自殺の状況はいまだ深刻な状況であることを基本認識とした上で、現在、自殺対策計画の策定を進めているところでございます。  これまでの取り組みの充実に加え、妊産婦支援など、これまで自殺対策に位置づけていなかった施策についても改めて点検を行い取り込むことで、自殺を身近な課題と認識し、それぞれの立場で取り組む人のネットワークをさらに広げることにつながる計画にしたいと考えています。  議員御案内いただきました11月10日に開催されます自殺対策トップセミナー、これは私自身も出席させていただく予定でございまして、各市町長に対して自殺対策の重要性を訴えるなど、先頭に立ち、市町や各分野の関係者、県民の皆様と一体となって取り組むことで、大切な人を自殺で失うことのない社会、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、着実に歩みを進めてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)自殺対策について、私への3点の御質問のうち、1点目の連携の強化と適切に対応がとれる仕組みづくりについてでございます。  自殺の背景はさまざまな要因が複合的に絡み合っておりますことから、分野横断で関係機関が連携し適切に対応できるよう調整する、コーディネート機能が大変重要と認識をしております。  県では、平成25年度から自殺対策推進センターに精神保健福祉士や看護師の資格を有するコーディネーターを設置し、県内の関係機関の連携強化や人材育成等に取り組んでおります。  身近な市町において対策を進めるためには関係機関の連携強化が重要でありますことから、今後、県自殺対策推進センターが中心となって市町の計画の策定支援を行います中で、研修会の開催等を通じて、その重要性を伝えてまいることとしております。  また、例えば、税務の窓口に来られた滞納者の方を生活困窮者対策の関係課につなぐなど、各市町それぞれの実情に応じた連携の仕組みができるよう、県内外の好事例を踏まえた助言を行うなど、支援を行ってまいりたいと考えております。  2点目の市町への具体的対策の支援についてでございます。  現在、国の自殺総合対策推進センターにおいて、市町村ごとの自殺の実態を分析した自殺実態プロファイルや、地域特性を考慮したきめ細かな対策を盛り込んだ地域自殺対策政策パッケージの作成が進められているところでございます。  今後、それらを参考に、各市町が地域の実情に応じた自殺対策計画を策定し、具体的な取り組みを推進することに向けまして、県自殺対策推進センターが市町に出向き、現状と課題、ニーズを実地に確認しながらサポートを行っていくこととしているところでございます。  3点目の自殺リスクを低下させる対策についてでございます。  制度のはざまにある人や複合的な課題を抱えている人などに対して、早期に適切な支援につなげていくためには、健康、生活困窮、児童虐待、介護、引きこもりなど、自殺対策に関連する施策を所管する職員に対しまして、それぞれの施策の実施を通じて自殺者の減少につながる場合があるという意識を持つよう、自殺対策に関する研修を行うことや、保健所、子ども家庭相談センター、精神保健福祉センターなどが連携をして、相談者やその御家族を包括的に支援をすることが重要と認識をしております。  さらに、自殺対策は、さまざまな関連施策との有機的な連携を強化し、総合的に取り組み、生きることの包括的な支援として推進することが自殺総合対策大綱の基本方針で示されておりまして、県におきましても、教育や労働などの関係部局と連携をした分野横断的な取り組みを一層推進することが必要と考えております。  このため、自殺対策庁内連携会議を初め、外部関係機関や民間団体で構成をいたしております自殺対策連絡協議会などにおきまして、現状の共有と課題の整理、必要な方策の検討を行っておりまして、今年度策定を予定しております県の自殺対策計画に具体的な施策を明記し取り組むことで、自殺対策の推進に努めてまいりたいと考えております。 ◆39番(成田政隆議員) 終わります。(拍手) ○副議長(川島隆二) 以上で、39番成田政隆議員の質問を終了いたします。  最後に、45番中沢啓子議員の発言を許します。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、3項目の質問をさせていただきたいと思います。  まずは、彦根城の世界遺産登録に向けて、以下、知事にお伺いをいたします。  国宝の中でも、特に彦根城は、その周辺も含めて、世界に誇るべき価値を有しております。彦根城は御存じのとおり、平成4年に日本がユネスコの世界遺産条約を締結した折、国がその価値を認め、国によって世界遺産の暫定リストに掲載されています。彦根城が世界遺産に登録されれば、滋賀にとっても誇るべきことであるとともに、非常に大きな影響力があると思います。  彦根市は現在、世界遺産登録に向け鋭意取り組んでおられます。県として、彦根城、そして城下町に点在する歴史遺産や伝統的建造物の価値について、どのように捉えておられますでしょうか、改めてお伺いをいたします。  細江議員も世界遺産登録に向けての質問をしてこられました。彦根市では、今、平成36年度の登録を目指して、推薦書原案作成に取り組んでおられると仄聞しております。現在、彦根城の世界遺産登録に向けて、どのような進捗状況にあると捉えておられるのか。また、今後、登録までにすべき取り組みの内容について、あわせてお伺いいたします。  今、このチャンスを生かして、世界遺産登録の取り組みを着実に進めることが大切と考えています。県としても登録に向けてしっかりと支援をし、36年の世界遺産登録が達成できるよう取り組むことが、滋賀のブランド価値を上げることにもつながると考えますが、県としての彦根城の世界遺産登録に向けての知事のお考えをお伺いいたします。 ○副議長(川島隆二) 45番中沢啓子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)中沢議員からいただきました彦根城の世界遺産登録に向けてということで、3点いただきました。  まず1点目、彦根城と城下町の価値についてでございますが、彦根城とその城下町には、国宝と天守、特別史跡はもとより、重要文化財である建造物や名勝、さらには重要伝統的建造物群など、数多くの貴重な文化財が点在しています。一つ一つの文化財としての価値はもとより、その数と種類において国内唯一無二の存在で、我が国を代表する文化財であると認識しています。こうしたことから、ユネスコの世界遺産登録暫定一覧に登録されているものと認識しています。  2点目、世界遺産登録に向けた進捗状況、今後取り組むべき内容についてでございます。  彦根市では、平成36年度までの世界遺産登録を目指し、平成33年度までに国の推薦を得るべく、推薦書原案の作成を進めていただいております。世界で彦根城にしかない価値を証明するため、姫路城との差別化を初め、国内外の資産との比較検討を行うなど、一つ一つ課題を解消しながら着実に取り組まれているところでございます。  また、来月には世界的な価値の証明等に関し学術的支援を得るため、有識者による会議を開催し、検討を加速させようとされているところと承知しています。  今後取り組むべき内容については、世界で彦根城にしかない価値の妥当性の検討や、それを証明するに足る十分な構成資産を持っているかの検討、さらには、それぞれの資産の真実性等の証明などを行っていく必要があると理解しています。  最後に、3点目、県としての世界遺産登録に向けた考えについてでございます。  世界遺産の登録となれば大変名誉なことであり、県全体の観光振興にも大きな効果があると考えます。県といたしましては、平成26年度から専門職員を派遣するとともに、県市連絡調整会議において、文化庁が示す課題解決に向けて意見交換やアドバイスを行っているところでございます。  今後も引き続き、国への推薦書原案の提出に向けて彦根市を支援、また協力しながら、彦根城が世界遺産として登録されるよう推進するとともに、その取り組み状況を積極的に情報発信することにより、県としても機運を盛り上げてまいりたいと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)ぜひこのタイミングで、本当にすごく滋賀県がさまざまな取り組みをするタイミングにちょうど合ったタイミングで達成をするということになろうかと思いますので、ぜひこのタイミングを逃すことなく、中心になって頑張っておられる彦根市をしっかりとサポートしていただいて、県としても一緒に平成36年の、ちょうど国体の年になりますし、平成36年の世界遺産登録の達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。  では、次に、ロケ地の活用について、以下、知事にお伺いをしたいと思います。  現在、滋賀の地で撮影された映画が多く公開されています。司馬遼太郎原作の「関ヶ原」は、主役の石田三成を岡田准一さんが演じられ、非常に迫力のある映画になっています。また、鳥人間コンテストのアニメ「トリガール!」が、土屋太鳳主演で感動の映画となっており、「君の膵臓をたべたい」は小栗旬が主演で、思わず泣ける映画となっています。  それぞれ滋賀で撮影がされ、滋賀ロケーションオフィスの取り組みを初め、市町や観光協会、彦根を映画で盛り上げる会など、民間の対応など、非常に好評を得ております。また、公開に合わせて、映画の広報も兼ねて、テレビの番組で特集が組まれてロケ地の紹介がされるなど、多くの波及効果があります。  滋賀ロケーションオフィスができた平成14年度は、ロケ実施本数は40本、それが15年たち、昨年度は111本、その上、非常に著名な映画も数多く撮影されています。これらの撮影を滋賀の知名度のアップ、また、滋賀への誘客や滋賀のファンづくりにつなげることが大切だと思っております。今後のロケ地の活用の取り組みについてお伺いをいたします。  また、それを支える現場のスタッフは3人、現場で奔走されています。ロケの取り組みを生かすためには、現場でのこぼれ話や現場の撮影風景などの写真などを撮り、タイムリーに発信していくことが大切と考えます。せっかくのロケ地を活用するための体制の充実が不可欠と考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) ロケ地活用について、2点御質問いただきました。  まず、今後の取り組みについてでございます。  御案内のとおり、本県は、琵琶湖や周囲の山々を初めとする美しい自然、歴史に彩られた名所旧跡など、さまざまな種類の映像の素材に恵まれており、滋賀ロケーションオフィスにより、映像製作の誘致、ロケ支援、広報宣伝に取り組んでいるところでございます。  御質問にもありますように、映像作品を通じて、本県の知名度向上や滋賀のファンづくり、本県への誘客を図っていくことが大切でありますことから、ロケ地情報をホームページやロケ地マップで情報発信することなどを通じて、地域のイメージアップを図り、観光振興に結びつけているところでございます。  特に、御紹介もいただきましたが、ことし8月、岡田准一さんが主演の映画「関ヶ原」が公開され、来年は福士蒼汰さん主演の映画「曇天に笑う」、広瀬すずさん主演の映画「ちはやふる」の結び編が公開される予定でございます。  今後は、これらの作品も含め、ロケ地を初めとする本県の魅力発信を展開することといたしており、作品上映館での本県のPRやイベントの実施など、具体的な内容を検討しているところでございます。  こうした取り組みとあわせまして、県民の皆さんとともにロケ地を盛り上げ、観光地としての魅力を高める視点も大切であると考えておりまして、県民の皆さんに対するロケ地の情報やその魅力の発信にも注力してまいりたいと存じます。  2点目、ロケ地活用のための体制の充実についてでございます。  平成14年度滋賀ロケーションオフィスの設立当初と比較いたしまして、ロケ実施件数が3倍近くに増加するなど、少人数の体制で多くの実績を上げていると評価しています。  今後も、製作関係者のニーズに合った支援を続けることに加えまして、これまで以上にロケ地を活用した発信にも取り組んでまいる所存であります。そのための体制充実につきましては、今後の業務量も勘案し、事務事業を効果的、効率的に執行できるよう、ロケーションオフィスを構成する市町とも相談しながら、適切な体制を検討してまいりたいと存じます。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)せっかくの素材ですので、ぜひもっと活用して、本当にファンがたくさんできるようになっていくように、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、民泊について、一問一答形式でお伺いをいたします。  住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が本年6月に成立をいたしました。利用者の安全確保や生活環境の維持、地域の観光産業の育成、促進など、地域の実情や宿泊ニーズに応じた住宅宿泊事業、以下、民泊と言います、その推進が求められていると考えています。  民泊新法には、参議院では9項目の附帯決議が採択されています。民泊の事業者の届け出は、都道府県がネットのみで受け付けると仄聞をしております。新法の施行に当たってはさまざまな懸念されることもあると思いますので、不安を払拭し、民泊を進めることが大切だと考えます。  チームしが 県議団の今江議員の代表質問では、三日月知事は、「法の施行に当たって、利用者の安全面、衛生面の確保や近隣トラブルの防止等の措置が、住宅宿泊事業を営む各事業者によりしっかりと行われるように、県としては、届け出対応や監督、指導を適切に行っていく必要があります。法律事項である条例制定の検討を行う」と答弁をされました。  まずは、条例制定のスケジュールを知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  住宅宿泊事業法第18条では、都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができるとされているところでございます。  この規定に基づく条例を制定する場合には、来年6月までの法律の施行と合わせることが望ましいと考えておりまして、2月定例会議にお諮りしたいと考えています。条例の制定を検討するに当たりましては、市町の御意見を聞いて検討し、判断をしてまいりたいと存じます。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)法律成立から1年の間に施行がされて、届け出開始がその3カ月前ということを仄聞しておりますので、ちょうど3月中旬には届け出が始まるというスケジュールになろうかと思いますので、今おっしゃっていただいたように、2月議会のあたりで条例を制定いただくと届け出の前になって非常にいいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  商工観光労働部長にお伺いをいたします。  現在、違法民泊に関して調査、指導をされていますが、新法の施行以降も違法無登録仲介業者や違法民泊についての対策が必要と考えますが、どのように対応されるおつもりでしょうか、お伺いをいたします。
    商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  住宅宿泊事業法では、住宅宿泊仲介業の登録は観光庁長官が行うこととされており、無登録業者への対応は国において行われるものと理解しております。  また、届け出を行わず宿泊事業を行った者は旅館業法違反となることから、これまでと同様に、保健所が指導等を行うことになるものと理解しております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)次に、土木交通部長にお伺いいたします。  県内には多くのマンションがあると思いますが、民泊新法が実施されるに当たり、分譲マンションにおいてトラブル防止のため、個々の管理組合が民泊を許容するか禁止をするかをマンション標準管理規約を改正して明確化することを国は通知されています。マンション管理規約への改正の徹底について、県の対応をお伺いいたします。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)お答え申し上げます。  県では、分譲マンションでの住宅宿泊事業の実施について、トラブルの未然防止を図る観点から、全ての分譲マンションに対して、管理規約の改正を検討いただくよう通知を発出しております。来年の3月までには住宅宿泊事業の届け出が開始されると聞いておりまして、各マンションにおける住宅宿泊事業への対応状況を把握する中で、管理規約の改正の徹底を管理組合に働きかけてまいりたいと思います。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)商工観光労働部長にお伺いいたします。  周辺住民の不安を取り除くために、周辺住民に対して、その情報開示と事業開始に際しての民泊事業者からの丁寧な説明を促すことが大切かと感じますが、その対応を伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業の実施に際しましては、事業者から周辺住民に事前説明を行われることが、事業の適正な運営や周辺の生活環境への悪影響防止の観点から有効であると考えております。  国が政省令とあわせて検討中でありますガイドラインにおいて、事業者から周辺住民への事前説明を行うことを推奨する旨が示されるものと理解いたしております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)続いて、商工観光労働部長にお伺いいたします。  特に、家主不在型において、テロや反社会的組織の拠点にならないか危惧をされておりますが、そのための厳格な管理が求められていると思います。県としてどのように対応されるおつもりか、お伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  いわゆる家主不在型の場合は、住宅宿泊事業者に対し住宅の管理を住宅宿泊管理業者に委託する義務が課されるため、これにより住宅が適切に管理されることが担保されるところでございます。  また、備えつけが義務づけられる宿泊者名簿の正確な記載を担保するため、旅券等の提示を求め本人確認を行うことや、それを対面ないしはICTを活用した対面と同等の手段で行うことが定められる見込みであり、各事業者にはその確実な履行を求めてまいります。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)商工観光労働部長にお伺いいたします。  民泊の届け出の標識には、家主不在型の場合の緊急の連絡先などが明記され、一部屋ごとなど、届け出住宅ごとに必要と仄聞をしていますが、当然、公衆の見やすい場所に掲示されるべきだと考えます。また、その確認も必要かと思いますが、民泊の標識の掲示についてお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業法第13条において、住宅宿泊事業者は、届け出住宅ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないとされており、事業者にはその確実な履行を求めるとともに、必要に応じて確認することになるものと理解いたしております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)健康医療福祉部長にお伺いいたします。  不特定多数が宿泊する場所として、旅館業法では衛生管理に厳しい対応を求められています。民泊に関しても、不特定多数の利用者が対象であるという面では衛生管理の徹底が求められると考えますが、衛生管理についてお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えをいたします。  住宅宿泊事業法第2条において、宿泊事業で使用する家屋内に、台所、浴室、便所、洗面設備などの設備を設けることが規定をされております。また、同法第5条におきましては、事業者は、届け出住宅について、各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃など、宿泊者の衛生の確保を図ることが義務づけられております。  県としては、これらを踏まえ、住宅宿泊事業者に対しまして機会を捉えてしっかりと衛生指導を実施し、宿泊者の衛生の確保を図ってまいります。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)なかなか中のことなのでわからないことだと思いますので、機会を捉えてしっかりと対応していただきたいと思いますし、そのための情報公開の方法も考えるべきかと思っております。  次に、商工観光労働部長にお伺いいたします。  民泊の運営には消防法の遵守が求められ、届け出の提出書類にも消防法令適合通知書も検討されていると聞いております。現地の確認など、消防と連携しての安全確認の対応が必要と考えますが、その対応をお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業法第3条第3項に定める届出書に添付する書類の一つとして、議員御指摘の消防法令適合通知書も検討されていると承知しております。  また、同法第6条では、事業者は非常用照明器具の設置、避難経路の表示など、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じなければならないとされているところであります。  また、省令において、事業者が宿泊者に対し火災の防止のために配慮すべき事項を説明しなければならないとされる見通しでございます。  さらに、火災や災害時の対応のため、届け出のあった住宅について、市町の消防本部等と情報共有を図ってまいりたいと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)安全の確認のためには現地をしっかりと確認するということが必要になってくるかと思いますので、今後、どのようなガイドラインになるかというのもあるかと思いますけれども、しっかりと安全を担保できるような形をとっていただきたいと思います。  商工観光労働部長にお伺いいたします。  海外の方など、土地に不案内であったり日本語が通じない方が宿泊の場合、万が一、火災、洪水、地震、原発事故などの災害が起こると、特に家主不在型の民泊の場合の対応が課題と考えています。災害時に宿泊者の迅速かつ円滑な避難の確保についての考えをお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業法第6条におきまして、事業者は、非常用照明器具の設置、避難経路の表示など、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じなければならないとされているところです。  また、省令において、事業者が宿泊者に対し火災の防止のために配慮すべき事項を説明しなければならないとされる見通しです。  さらに、災害時の対応のため、届け出のあった住宅について、県の防災部局や市町の消防本部等と情報共有を図ってまいりたいと考えております。  また、国においては、住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者に対し、火災を含む災害、事故から宿泊者の安全確保に努めるという趣旨を、現行の宿泊約款に追記するというようなことも検討されるとお聞きしております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)表示の件は先ほどもお答えをいただきまして、表示はされているんだと思います。ただ、日本語がわからない方や通じない方がいらっしゃった場合、本当にそのときに洪水が起こっているのかどうか、自分の身の危険がどこまで本当に危険があるのかというのが、やはり家主の方がいらっしゃれば当然その場でお伝えし連れていかれるでしょうし、旅館であれば当然その旅館のほうでされるんですけれども、不在型の場合はどうやって伝えるかということが非常に課題だと思いますので、今後また検討いただけたらと思います。  商工観光労働部長にお伺いいたします。  さまざまな生活環境に対する影響がある場合が考えられます。庁内の関係課による連絡会議を設置されるということですが、さまざまな問題解決に向けた対応もそこで議論されることと思います。  特に部屋貸しの場合などは、近隣に対する騒音などが危惧をされています。近隣住民の方からの苦情など、騒音の対策についての考えをお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業法第9条および第10条におきまして、事業者は、宿泊者に対し騒音の防止のために配慮すべき事項を説明するとともに、周辺地域の住民からの苦情および問い合わせには適切かつ迅速に対応しなければならないとされているところであります。  また、同法第15条におきまして、都道府県知事は、事業の適正な運営を確保するため、必要があると認めるときは、事業者に対し業務改善命令を行うことができるとされております。  住民からの苦情に対しては、まずは事業者に対してその対応を求めるとともに、関係法令を所管する部局とも連携し、必要に応じて指導監督を行うことになるものと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)騒音などは特に夜中ということがあり得るかと思いますので、その対応もまたぜひ具体的に考えてみていただけたらと思います。  商工観光労働部長にお伺いいたします。  生活環境への影響ということでは、ごみの問題も危惧をされているところですが、ごみの対応についてお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  住宅宿泊事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を処理するに当たりましては、廃棄物処理法に定める処理基準や各市町の分別ルールに従って適正に処理する必要があるものと理解しております。  また、住宅宿泊事業法第9条および第10条におきまして、事業者は、宿泊者に対し、届け出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項を説明するとともに、周辺地域の住民からの苦情および問い合わせには適切かつ迅速に対応しなければならないとされております。  さらに、同法第15条におきまして、都道府県知事は、事業の適正な運用を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し業務改善命令を行うことができるとされております。  住民からの苦情に対しましては、まずは事業者に対してその対応を求めるとともに、関係法令を所管する部局や市町とも連携し、必要に応じて指導監督を行うこととなるものと考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)知事にお伺いいたします。  届け出どおりの現状をどう担保するかということは、届け出を受け付ける立入などの監督指導権限を持つ県としては今後問われることだと思います。監督指導権限を持つ県として、住民からの不安や苦情の対応など、さまざまな対応が考えられますし、また、国の官公庁の民泊コールセンターからの連絡への対応なども必要になってくると思います。これら情報公開や迅速な対応が求められますが、住民からの不満や苦情、また利用者からの苦情等の対応についてお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  住宅宿泊事業法では、事業者は、届け出住宅の周辺地域の住民からの苦情および問い合わせに適切かつ迅速に対応しなければならないとされているところでございます。  また、都道府県は、事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し業務改善命令を行うことができるとされています。  住民からの苦情や問い合わせは国が設置を予定しております民泊コールセンターにおいて受け付け、また、苦情の報告はコールセンターから県にも行われることが想定されているところでございまして、県といたしましては、事業者に対して苦情への対応を求めるとともに、必要に応じて指導監督を行うこととなると考えております。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)知事にお伺いをいたします。  さまざまなお伺いをいたしましたが、今後、違法民泊の対応や届け出の対応、また、宿泊客や住民の安全、安心のために十分な指導監督を行うため、保健所を初めとする関係部局の人員が必要と考えますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 今後新たに見込まれます業務量なども勘案しながら、届け出対応や指導監督を適切に行える体制を検討したいと思います。  この法律の制定過程において、衆参両院の委員会の附帯決議においてその旨を御決議いただいてもおりますので、しっかりと国に対してもその措置を求めてまいりたいと存じます。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)当初、多分、結構いろんな対応をしないといけないことがあると思いますので、十分御配慮いただけたらと思います。  商工観光労働部長にお伺いいたします。  既存の旅館業法に基づくホテル、旅館業者等との公平な競争条件の確保ということについてのお考えをお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  国においては旅館業法の改正も予定されており、その中で、構造設備の基準の規制について緩和が行われようとしているものと承知しております。  また、住宅宿泊事業法に基づくいわゆる民泊は、その営業日数に最大180日という制限が加えられているところでもあります。もとより、既存の旅館、ホテル等に加え、同法に基づく民泊が加わって、それぞれがその特徴を生かした特色あるサービスを展開することを通じて、利用者から選ばれ喜ばれ、また、もって地域が健全に発展することが重要と考えます。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)旅館業法が少し改定されるというような方向だというお話でしたが、例えば旅館業法では、不特定多数の方が宿泊するということで、学校や幼稚園などから100メーター以内では営業できないこともあったりとか、公衆衛生上、また善良な風俗の保持上の配慮も求められたりとか、多くの規制等があります。  この民泊新法では、規制をかける地域指定がなく、地域の状況によるとの判断からか、県の条例に委ねられています。決して公平な競争条件にあるとはなかなか思えないんですが、さらに、この民泊新法による民泊は、特に家主不在型はどのような使い方がされるか、現段階ではなかなかわからないと思っています。風俗営業などに使われることがないよう願っています。今まで守られてきた健全な生活環境は、民泊新法の施行後も守られることを願っています。  今、国では民泊新法の政省令がパブリックコメントにかけられていますし、今後ガイドラインが示されるとも仄聞をしています。利用者の安全、安心の確保や周辺の健全な生活環境を守るために、また、良心的に民泊の運営をしようとされる方々のためにも、危惧されることとか課題と思われることは、ぜひとも国にもしっかりと提案や意見を述べていただきたいと思っています。  その中で、土木交通部長にお伺いをいたします。  サービスつき高齢者住宅制度が開始されて6年になります。この制度は国土交通省の補助金が活用されていますが、補助金の返還の必要がなくなる10年の経過後には民泊として活用され、高齢者が住めなくなる可能性があるのではという危惧の声をお聞きします。  単身高齢者などに対する良質な賃貸住宅の不足など、住宅確保要配慮者の居住の安定確保に支障が生ずることがないような対応についてお伺いいたします。 ◎土木交通部長(池口正晃) お答え申し上げます。  平成25年度の国の調査によれば、県内に賃貸用の住宅は約16万3,000戸あり、このうち約5分の1の約3万1,000戸が空き家であると推計されております。  一方、本県としては、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として、平成37年度までに2,000戸を確保することを目標としていることから、今後、賃貸用の住宅の一部が住宅を宿泊事業に活用されたとしても、住宅確保要配慮者への賃貸住宅への供給には大きな影響を及ぼすものではないと認識しております。  ただし、サービスつき高齢者向け住宅事業を廃止するに当たっては、高齢者の居住の安定確保を図るため、届け出に先立ち、県に報告、協議するということになっております。仮に転用を検討する事業者があらわれた場合には、可能な限り事業を継続するよう指導してまいりたいと思います。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)知事にお伺いいたします。  市町の意見を反映するための説明会とかを開催し、市町と協議会など、一緒に対応する態勢づくりが必要と考えます。条例をつくるためだけではなくて、その後の対応も県だけで全てができるわけではなく、やはり市町さんと一緒に、現場を御存じの市町さんと一緒にということもまた考え得ると思いますので、市町との態勢づくりについてお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  この間るるお取り上げいただいたように、さまざまな課題がございます。地域の生活環境への悪影響の防止、既存の宿泊施設を含む多様なサービスの提供による地域の発展などの観点から、住宅宿泊事業法に基づくいわゆる民泊サービスが地域で円滑に実施されるよう、市町との連携は重要、必要不可欠であると認識しています。  また、省令において、県が同法18条に基づく条例を制定しようとするときは、市町の意見聴取のための手続を行うこととされる見込みでございます。  今月15日には市町を対象とした説明会も開催いたしまして一定の情報共有を図ったところであり、今後も市町としっかりと連携しながら対応してまいりたいと存じます。 ◆45番(中沢啓子議員) (登壇)今おっしゃったみたいに、今後、2月議会で条例制定となると非常に期間が短いですから、ぜひともしっかりと市町さんとも、また関係団体とも、さまざまな方と情報交換をしてやっていっていただきたいと思います。  この民泊新法を生かしていくには、経済効果や空き家対策、近隣住宅の生活環境や利用者の安全との調和を図ることが大切ですし、まずは現状を把握して、関係者や市町と連携をして適切な条例を制定され、観光振興と安全、安心な地域社会の維持、発展が両立される持続可能なものとなるよう、また、利用者が満足され、地域の活性化につながる施策となるよう願い、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(川島隆二) 以上で、45番中沢啓子議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── ○副議長(川島隆二) 明9月30日および10月1日は、県の休日のため休会であります。  来る10月2日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後3時25分 散会    ────────────────...