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平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月14日-06号

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  1. 滋賀県議会 2016-06-14
    平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月14日-06号


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    平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月14日-06号平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)                平成28年6月定例会議会議録(第7号)                                       平成28年6月14日(火曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         平成28年6月14日(火)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第103号から議第113号までおよび諮第1号(平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか11件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       12番   杉  本  敏  隆       13番   節  木  三 千 代    14番   駒  井  千  代       15番   山  本     正    16番   大  橋  通  伸       17番   冨  波  義  明    18番   井  阪  尚  司       19番   木  沢  成  人    20番   中  村  才 次 郎       21番   有  村  國  俊    22番   大  野  和 三 郎       23番   岩  佐  弘  明    24番   山  本  進  一       25番   富  田  博  明    26番   細  江  正  人       27番   高  木  健  三    28番   生  田  邦  夫       29番   川  島  隆  二    30番   小  寺  裕  雄       31番   奥  村  芳  正    32番   野  田  藤  雄       33番   西  村  久  子    34番   佐  野  高  典       35番   家  森  茂  樹    36番   吉  田  清  一       37番   粉  川  清  美    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(1名)    11番   藤  井  三 恵 子            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               選挙管理委員会委員長代理    辻  村     克               人事委員会委員長代理      西  原  節  子               公安委員会委員長        小  林     徹               代表監査委員          北  川  正  雄               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            日  爪  泰  則               県民生活部長          拾  井  泰  彦               琵琶湖環境部長         村  上  浩  世               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        福  永  忠  克               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          桑  山  勝  則               会計管理者           大  谷  雅  代               企業庁長            高  砂  利  夫               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               教育長             青  木     洋               警察本部長           渡  邊  国  佳            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            丸  尾     勉               議事課長            入  江  建  幸               議事課課長補佐         吉  田     亮            ──────────────────────────────   午前10時 開議 ○議長(野田藤雄) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(野田藤雄) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  地方自治法の規定に基づき、公益法人等の経営状況説明書が提出されましたので、お手元に配付いたしておきました。  次に、選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として辻村克委員が、また、人事委員会益川教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として西原節子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(野田藤雄) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第103号から議第113号までおよび諮第1号(平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか11件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(野田藤雄) 日程第1、議第103号から議第113号までおよび諮第1号の各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、21番有村國俊議員の発言を許します。 ◆21番(有村國俊議員) (登壇、拍手)早速質問に入らせていただきます。質問は大きく3項目で、全て知事に伺います。よろしくお願いします。  熊本地震を踏まえた地震対策について。  今回の熊本地震では、震度7の地震が立て続けに2回発生したことや、一連の地震で震度6弱以上の地震が7回発生したことなど、内陸直下型地震としては観測史上初の現象が見受けられました。改めて自然の前には人間は無力であり、災害の脅威を痛感したところであります。お亡くなりになられた方々に対しまして哀悼の意を表しますとともに、被災された熊本県を初めとする九州地区の皆様に心からお見舞いを申し上げます。  そうした中、本県では、発災直後から職員等を派遣し、熊本県内での人命救助や健康相談を初め、一番被害が大きかった益城町において、避難所やボランティアセンターの支援など、住民の皆さんの心に寄り添った活動を積極的に展開されており、現地では高い評価を受けていると仄聞しております。また、派遣された職員から、順次、現地での活動を通じ、熊本地震を踏まえた課題等について報告があったともお聞きしております。  発災後ちょうど2カ月ですので、全ての課題について対策を検討することは難しいかもしれませんが、地震はいつどこで起きるかわかりません。県民の皆様が今感じておられる不安を解消するためにも、できることから速やかに対応していくことが必要であると考えます。  そこで、まず、地震が起こったときに一番心配なことは、建物が壊れ、押し潰されるという身の危険であります。今回の熊本地震においても、大きな揺れが何度も繰り返し起こり、数多くの建物が破砕したことにより被災された方々は、屋内では不安になり、最寄りの避難所ではなく、屋外にテントを設置したり、車中泊を余儀なくされたりしました。県民の命を守る取り組みについてどのような対策が重要と考えておられるか、所見を伺います。  また、熊本県では発災後、政府や全国各地からプッシュ型支援により多くの救援物資が県庁や市役所に送り届けられましたが、当初は、そこから被災者の皆様に水や食料が行き届かず困っておられるという報道がありました。こうした事態は本県でも起こるおそれがあります。災害時における避難所等への救援物資の搬送対策についてどのように考えておられるか、伺います。  熊本県の市町村では、各種被災者支援策の適用の判断材料として幅広く活用されている罹災証明書の発行に時日を費やしたため、被災した住宅再建のめどがつかないことや、被災者の皆様が避難所から自立できないことなど、被災地の復興に向けた課題が指摘されております。  三日月知事も代表質問の答弁の中で、県と市町との情報共有や連絡体制の確保を課題として挙げられておられます。今後、本県で地震対策を講じる上で、市町との連携は大変重要であり、あらかじめ連携体制を整備しておく必要があると考えますが、所見を伺います。 ○議長(野田藤雄) 21番有村國俊議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)有村議員、どうぞよろしくお願いいたします。  熊本地震を踏まえた地震対策について、3点御質問いただきました。  まず1点目、県民の命を守る取り組みについてでございますが、安全、安心な滋賀を築くためには、自助、共助、公助の取り組みを総合的に推進することが重要であると認識しています。  本県では、県内5つの活断層および南海トラフに係る地震被害想定に基づき、公共施設の耐震化を図っているところです。また、災害時の初動対応や広域連携の仕組みの構築、企業、団体との災害時応援協定の締結等を進め、それらがしっかりと機能するよう訓練等を実施しています。  しかしながら、大規模災害の発災時に命を守るためには、県民の皆さんや地域の自主防災組織による取り組みが不可欠であります。このため、まずは県民の皆さん一人一人が高い防災意識を持ち、しっかりと日ごろからの備えをしていただくとともに、自主防災組織等において災害発生時の人命救助や避難についての研修、訓練などの取り組みを行っていただくことが重要であります。  県といたしましては、これまでから各種媒体を活用した啓発に努めるとともに、住宅の耐震化等の補助、自主防災組織の資機材整備への支援、地域防災アドバイザーの派遣等、地域防災力の向上のため、ハード、ソフト両面からの支援を実施しているところでございます。  現在、各部局において、熊本地震の教訓を踏まえた本県地震対策についての課題の洗い出しを行っているところであり、その結果を防災計画にできることから速やかに反映するとともに、危機管理センターでの研修・交流事業を通じ、地域防災の取り組みが県内全ての地域で進むよう、市町と連携しながら積極的な支援を行ってまいりたいと存じます。  2点目、災害時における避難所等への救援物資の輸送についてでございます。  東日本大震災を初めとする過去の大規模災害の教訓から、本県では全国に先駆けて、平成25年3月に全国物流ネットワーク協会、滋賀県トラック協会および滋賀県倉庫協会と災害時応援協定を締結いたしました。災害時に民間倉庫を物流拠点として活用し、物流のプロの皆様が支援物資の搬入、搬出、在庫管理などの拠点運営を行う仕組みでございまして、この仕組みにより、全国からの支援物資が迅速に避難所へ輸送することができると考えております。  また、熊本地震の教訓を踏まえまして、今年度の総合防災訓練の中で、実際に物資を物流拠点から市町の避難所へ輸送する実働訓練を新たな取り組みとして計画しているところでございます。  今後もこのような訓練を繰り返し実施いたしまして不断の見直しを行うとともに、熊本地震での支援物資の輸送状況をしっかりと分析し、災害時に避難所へ真に必要な支援物資を迅速かつ確実に輸送できるよう努めてまいります。  3点目、市町との連携についてでございます。  本県では6人の地域防災監を土木事務所に配置いたしまして、平時から訓練や会議等を通じて市町と顔の見える関係を構築するとともに、災害時には県と市町との確実な情報共有を図るため、県職員を情報連絡員として派遣するなど、市町との連携強化を図ってきたところでございます。  また、熊本地震の被災地において避難所運営や窓口業務等の支援を本県の市町と県の職員が共同で今行っているところでございまして、こうした経験も今後の県と市町が連携した災害対応を行っていくために生かせると考えております。  今後は危機管理センターを積極的に活用いたしまして、家屋被害認定業務でありますとか被災者生活再建支援制度の運用など、市町のニーズに即した研修でありますとか人材育成などに取り組み、市町との連携体制の充実強化に努めてまいります。 ◆21番(有村國俊議員) (登壇)次の質問に行きます。  西の湖の浄化対策について。  その昔、西の湖周囲には、伊庭内湖、弁天内湖、大中の湖が連なっていました。西の湖は安土山の西にあることから来ています。面積は2.8キロ平方メートル、水深は1.5メートルの浅い湖です。この一帯は干拓地で、昭和17年までは安土山から北は琵琶湖につながっていました。  ヨシ原を主体とする湿地には動植物が多く確認され、2008年には琵琶湖のラムサール条約湿地登録エリアが拡大され、西の湖が追加登録していただくことができました。魚や渡り鳥ヨシキリの繁殖場所であり、晩秋から冬にかけては水鳥がやってきます。2006年には西の湖一帯は鳥獣保護区に指定していただきました。琵琶湖国定公園でもあります。また、西の湖にはヨシ群落が近畿地方で最大級の109ヘクタールもあります。  ヨシとは、言わずもがなですが、イネ科の植物で、生物学的に分けるとヨシ、ツルヨシ、セイタカヨシに分類され、湖や河川の水辺に生えています。  毎年9月にはヨシ灯り展が地元安土町の皆様が中心となって開催され、私もいろんな御縁をいただき、毎年伺っております。ことしも9月に開催されます。ヨシ灯り展の優秀作品には、滋賀県から知事賞も出していただいておりまして、三日月知事の代理で優秀作品の出展者に私から表彰状授与をさせていただいたりもしたりしています。  私自身、琵琶湖保全再生法の絡みで、琵琶湖や内湖の保全に関し、地元の方々から今まで以上に期待をお聞きします。内湖の重要性を鑑みた場合、内湖最大である西の湖で環境の改善の取り組みの成果を上げることが琵琶湖の保全につながる大きな一歩と考えます。  こうしたことから、西の湖の水質の経年変化の状況、西の湖の河川浄化事業の現在の進捗と対策の効果および今後の進め方を伺います。 ◎知事(三日月大造) 西の湖の浄化対策につきまして、3点御質問をいただきました。  1点目、西の湖の水質の経年変化の状況でございます。  西の湖では、湖底にたまりました底泥から湖水中に溶け出す窒素やリンなどの汚濁負荷の削減を図るため、底泥の堆積が著しい安土町下豊浦地先の湾奥部におきまして、平成12年度から計画的にしゅんせつを行っているところです。  西の湖の湾奥部における平成27年度の水質データは、これは速報値でございますが、化学的酸素要求量──CODが6.3ミリグラム・パー・リットル、総窒素が2.1ミリグラム・パー・リットル、総リンが0.16ミリグラム・パー・リットルでございます。  CODと総リンにつきましては、平成27年度は高目の値となっておりますが、事業着手以降は、CODについては5から6ミリグラム・パー・リットル、総リンにつきましては0.09から0.12ミリグラム・パー・リットル程度で推移しており、おおむね横ばいの傾向にございます。総窒素につきましては、平成15年度2.66ミリグラム・パー・リットルをピークにやや減少傾向にございます。  2点目、西の湖の河川浄化事業と現在の進捗、対策の効果についてでございます。
     湾奥部の19.6ヘクタールのうち18ヘクタールについてしゅんせつを完了しておりまして、進捗率は約92%となってございます。  対策の効果につきましては、先ほど答弁したとおり総窒素が減少傾向にありますことから、一定の効果があらわれていると考えております。また、地元の漁業、真珠養殖業、和船観光業等の関係者の皆様から、水草が除去されてきれいになった、悪臭がしなくなったなどのお声も寄せられているところでございます。  最後に、3点目、今後の進め方についてでございます。  今年度は昨年度約1.6ヘクタールをしゅんせついたしまして、現在、約1年間天日乾燥しているしゅんせつ土の処分を実施いたします。また、湾奥部の未しゅんせつ区域約1.6ヘクタールについては、平成29年度にしゅんせつをいたしまして、平成30年度に土砂を搬出処分し、完了する予定でございます。  西の湖は現在残された最大の内湖であり、重要文化的景観にも選定され、昨年4月には日本遺産の一部に認定されたところでございます。加えまして、昨年9月に、御紹介いただきました公布、施行されました琵琶湖の保全及び再生に関する法律におきましては、内湖の自然環境の保全、再生に努めることとされているところでございます。このため、湾奥部以外につきましても、今後底泥の堆積状況を調査するなど、前向きに取り組んでまいりたいと存じます。 ◆21番(有村國俊議員) (登壇)西の湖がきれいな湖であり、訪れる方々が水辺に集まり、癒やされる、安らぎを覚える湖であることを切望するものであります。夕焼けに沈む太陽を見て、遊歩道をゆっくり散歩する。織田信長公が活躍した安土、西の湖の雄大な景色を楽しむ。そんな至福のひとときを若者もお年寄りも過ごすことができたらと思います。皆様に愛される美しい西の湖を取り戻すため、これからも有効な手だてを講じていくべきということ、前向きな姿勢、よろしくお願い申し上げます。  そして、先ほど申し上げた9月のヨシ灯り展、いろんな御都合が、もし調整がつけば、ぜひ知事みずから表彰状を授与していただけると地元の皆さんは喜ぶと思いますので、御検討をお願い申し上げます。  次、進めます。琵琶湖サミットの実現についてです。先月G7伊勢志摩サミットの首脳会議が開催されました。関係者がそれぞれに万全の体制で臨み、無事に成功いたしました。さかのぼること昭和54年6月、我が国初の大型国際会議として東京サミットが開催されました。各国の大統領や首相の専用機が次々と滑走路に着陸し、タラップを華々しくおりる首相にカメラフラッシュがこうこうと輝くのを見て、私は中学3年生でしたが、思わずテレビにくぎづけになりました。  日本中が歓迎ムードで湧く翌日に、中学校の社会科の試験に抜き打ちテストが出ました。東京サミットの参加国を挙げよ。ここぞとばかり私は、日本、大平首相、アメリカ、カーター大統領、イギリス、サッチャー首相、フランス、ジスカール・デスタン大統領、西ドイツ、シュミット首相、イタリア、アンドレオッティ首相、カナダ、クラーク首相、EC、ジェンキンス委員長、ざっと解答用紙に書き込みました。当時の福原先生はお亡くなりになられましたが、この解答にえらく感心いただき、後々も中学校で語り継いでくださったそうであります。  余談ですが、東京サミット後に、会場となった迎賓館や各国首脳が滞在した東京のホテル群を一目見たいと思い立ち、小金をためた箱を開封して、両親に内緒で上京したりもしました。  さて、今回のG7サミットの舞台となった伊勢志摩は、日本のおもてなしの心、三重県ならではの魅力も世界に向けて存分にPRされたと思います。先週の6月10日金曜日の日本経済新聞に、三日月知事の仲間でもある三重県の鈴木英敬知事が、「サミットの経験、地方創生に生かせ」の見出しで投稿されましたので、御紹介申し上げます。  「伊勢志摩サミットは『G7伊勢志摩首脳宣言』の取りまとめとともに、無事故かつ成功裏に閉幕した。三重県民を初め関わった全ての方々のおかげである。心から感謝申し上げたい。G7首脳の訪問は初めてであり、安倍首相がオバマ米大統領らと宇治橋を渡りご正宮前で記念撮影した情景を思い出すと涙が止まらない。三重県にも数多くの成果があった。例えば食の発信。首脳のディナー等で多くの県産食材や県産品が使われ、新たなビジネスチャンスが生まれた。このチャンスを生かすのだ。経済的効果もさることながら、三重県民がふるさとの魅力に改めて気付き、愛着や誇りを持てたことが最大のレガシーである。このことは、地域住民が地域をより良くしていこうという動機づけとなる。そのための具体的な行動が活発化し、自立的かつ持続的に発展する契機になる。今回、世界最高峰の国際会議を地方で完遂した。日本は国際会議の開催数で世界有数だが、6割は三大都市圏での開催だ。地方創生を唱えるなら日本での国際会議は地方開催を原則とするくらいの方向性が必要ではないか。伊勢志摩サミットを機にオールジャパンで地方創生を加速させていかなければならない」とされています。  さて、私案ですが、G7琵琶湖サミットの実現を滋賀県は目指すべきではないかと考えます。閣僚会議もありますが、やはり目指すは首脳会議の実現です。なせばなる、池に石を投げ込めば波紋が広がるごとく、やる気、姿勢が第一歩です。ガイドラインを策定し、滋賀県が名乗り上げする議論を深めていければと考えます。  こうしたことを含め、滋賀を世界に向けて発信していく姿勢を持って取り組みを進めていくことが大事なことと考えますが、さきに御紹介した三重県知事の投稿も踏まえ、知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖サミットG7サミットの誘致という夢の膨らむ御提案をいただきました。まずは、この伊勢志摩サミットを事故なく成功裏に終えられたということでございまして、鈴木英敬三重県知事初め、三重県民の皆様方ならびに本県もきょうは県警本部長、御臨席ですけれども、警察の方々を含め多数の御協力をいただきました。深く敬意を表し、また、感謝を申し上げたいと存じます。  本県の豊かな自然を初め、質の高い豊富な歴史遺産、文化資産等を世界に発信するのに、このサミットというものは有効な機会であります。一方で、その誘致には多くの課題も想定され、現在の本県における施設等の状況から勘案すれば、たちまち誘致を検討できる状況にはないと考えます。  議員御指摘のとおり、経済社会のグローバル化が進展する中で、常に世界を見据えて広い視野を持ちながら施策の構築や推進に努めることは大変重要であると考えております。また、そうした施策の推進を通じて県民の皆さんが滋賀の魅力に改めて気づき、ふるさとに愛着や誇りを持って県民の皆さんによる主体的な取り組みや協働によるまちづくりにつなげていくことが重要です。  本県ではこれまで、G8環境大臣会合を初め、世界湖沼会議、世界水フォーラムなどをさまざまな関係者の皆さんとともに開催してきました。その過程において、琵琶湖と共存する暮らしや産業等を世界に発信してきたところでございます。  今後もこうした経験を生かしながら、滋賀らしいコンベンションの誘致に努めてまいります。同時に、県政のあらゆる施策において、世界から滋賀へ、滋賀から世界へという視点のもと、県民を初め、市町や関係団体、企業等の皆さんと一緒になって着実な取り組みを進めてまいる所存であります。 ◆21番(有村國俊議員) (登壇)琵琶湖サミットの実現も、今議会で提案されました安土城の再現、自転車ビワイチの発展的振興等々も、滋賀県民の皆様がわくわくするであろう大きな夢の構想であります。サミットにつきましては、7年後、14年後、21年後、28年後、G7であれば、そのとき知事も私もどうなっているかわかりませんけれども、しかし、きょうのこの議論がまた将来への布石の大きな一歩となればなというふうに期待しておりますし、そのための布石は三日月知事ならできると私は思っておりますので、ぜひ一緒にやりましょう。  ありがとうございます。終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、21番有村國俊議員の質問を終了いたします。  次に、4番佐藤健司議員の発言を許します。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告に従いまして、新生美術館に対して一問一答でお尋ねをいたします。  新生美術館の基本設計が、先月末、委託契約の当初の履行期限を半年おくれてようやく我が会派の政調会に示されました。知事にすれば、予定工事費を47億円におさめて取りまとめた基本設計だと県議会に、そして、県民の皆さんに胸を張ってお示しになられたのだと思いますが、後々に失敗だったと言われないように、後世の評価に耐え得る、そして、有村議員の先ほどのお言葉をかりれば、わくわくする美術館となることを願って、改めて知事にお尋ねをします。  基本設計とは、単に建物の図面ではなく、基本計画に盛り込まれた新生美術館が持つべき機能を具体的な形にするものだと理解しています。その機能とは、美の魅力を提供する展示普及機能、あすの人を育む学習機能、つなぐ、広げる情報・交流・アメニティ機能、集める、守る作品収集保管機能、探求する調査研究機能です。  しかし、基本設計のそれぞれの部門の面積を見ると、収蔵部門が基本計画の3,400平米に対して基本設計で3,524平米と上回っている以外は、展示部門が3,800平米に対して2,708平米、情報・交流・アメニティ部門が1,500平米に対して1,205平米、調査研究部門に至っては、現在の近代美術館から全くふえていません。  初めに、基本設計をどのように評価しているのか、知事の率直な感想をお伺いいたします。 ○議長(野田藤雄) 4番佐藤健司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)佐藤議員、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、平成27年11月に取りまとめることとしておりました基本設計が当初予定より6カ月おくれたことに対しまして、おわびを申し上げます。  新生美術館の基本設計につきましては、新生美術館基本計画に沿って神と仏の美、近代・現代美術、アール・ブリュットを柱といたしまして、指定文化財が保管、展示できる文化庁の公開承認施設として承認されること、新たな時代にふさわしい魅力的な場にすること、開かれた美術館として多くの県民や地域とつながることを基本的な考え方といたしまして、設計者が提案されました分棟型回遊式庭園美術館のコンセプトを踏まえながら検討を進めてまいりました。  今回取りまとめた基本設計において、神と仏の美をテーマとした常設展示室や文化財にも対応できる展示室と収蔵庫を設けるなど、琵琶湖文化館の機能を継承して、仏教美術等の保存、展示に必要な整備を行うとしたところでございます。  また、現代美術を新しい展示手法で表現するための展示室やアール・ブリュットの魅力を伝える展示室を新設したところです。さらに、美術館での体験や活動を一層楽しめる機能として、利用者や作家が創作活動を行う創作室や子供が美術の魅力に出会えるキッズスペースを整備することといたしております。  美の滋賀の入り口として、過去から現在までの多様な美の魅力を、国内はもとより世界に向けて発信するという新生美術館の使命を実現できる基本設計に仕上がったものと考えているところであります。 ◆4番(佐藤健司議員) (資料掲示、登壇)こちらの資料を御覧ください。中でも展示部門の面積は、基本計画で想定した面積からおよそ3割、1,092平米も減少しているばかりか、昨年10月の段階の図面と比べても734平米減少しています。その結果、現在の近代美術館と比較しても465平米しかふえていません。  面積が全てではないのかもしれませんけれども、今おっしゃった近代・現代美術に神と仏の美やアール・ブリュットに加えて滋賀の美の魅力を伝える入り口としての役割を果たすというには、いささか看板倒れと言わざるを得ません。この点について知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 展示室については、新しく収蔵いたします仏教美術等やアール・ブリュットなどを含め、作品の魅力を引き出す効果的な展示や、展覧会の大規模化や芸術表現の多様化などにも対応できる展示のあり方について検討を進めてまいりました。  こうした中で、基本設計といたしましては、展示室を柔軟に活用して、多様なテーマのもとに美術館のコレクションを展示することといたしまして、常設展示室の構成を見直しました結果、展示部門の面積は基本計画で想定した面積よりも減少しておりますものの、より効率的な展示が可能となっております。  今回取りまとめた基本設計では、これまで開催できなかった1,000平方メートル以上の面積を要する大規模な仏教美術等の展覧会や巡回展も可能となるなど、より多くの皆さんに作品の魅力に触れていただけると考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)この結果、そもそも新館の床面積は当初6,656平米と想定されていたものが、基本設計では4,265平米と4割近くも削減されました。  平成23年6月に文化振興課がまとめた滋賀県立近代美術館の現状と課題でも、展示室面積が全国都道府県立美術館44館中33位であるとして、展示スペースの狭隘化を課題としていました。  これまで知事を初め県当局は、新生美術館について基本計画に基づいて整備を進めると繰り返し言及されておりますけれども、どのように基本計画との整合を図り説明責任を果たすのか、知事に重ねてお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 御指摘いただきましたように、平成25年12月に定めました新生美術館の基本計画に基づいて、同時に必要な機能を備えるため、この基本設計を行ってまいりました。今御紹介、御指摘いただきましたように、確かに基本計画の面積からはこの基本設計において展示部門の面積は減少しております。今御紹介いただきました数字、2,708平方メートルでございますが、ここの表の中にも入れていただいておりますように、ギャラリー兼講堂というものも活用する形で展示スペースをつくることも可能な、そういった仕様でございます。  こういったことにつきましては、この基本設計の作成過程において、例えば文化財の寄託者を初め、関係する団体の方々にもこの展示室の面積についてお示しをしながら、意見交換を重ね、つくってまいりましたし、必要に応じてこの基本設計の検討状況を、もちろん県議会の皆様もそうですけれども、関係者の方々と議論しながら、もちろん基本計画に基づく形で変更部分を御説明しながら必要な見直しを行い、この設計に至っているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (資料掲示、登壇)もう一度御覧いただきたいと思いますけれども、この基本計画と近代美術館の差が新館の部分、基本計画と基本設計の差が新しい新館の面積になります。既に実施設計に入っているのに何を今さらと知事はおっしゃるかもしれませんけど、新館の床面積のこの大幅な削減というのは、到底誤差の範囲とは言えません。事業を進める上での合意形成のあり方からも問題があると考えています。  SANAAの設計業務の委託契約の仕様書では、設計の条件として、新館の延床面積は6,656平米と明記されております。監督職員が独断でSANAAに指示をしていないとするのであれば、これまで県民を初め広く公にしてきた基本計画における新館の面積の大幅な削減をいつ誰がどのような手続を経て決定したのか、再度知事にお尋ねをします。 ◎知事(三日月大造) この間、基本計画の折に、また、その後のこのやりとりの中で、そして、今回お示しをする過程において、新生美術館に備えるべき基本的な機能と、そして、公開承認施設等になる等々、必要な機能を備えていくために必要な見直しを行うということの中で、この展示面積についても減少させられるところを減少するということで進めてまいりました。  この過程においては、当然費用のこともございましたし、既存館の改修という中で行ってきた検討もございます。その必要な見直しについては、都度関係者の方々とも意見交換しながら、当然その設計者のやりとりも踏まえた形でお示しをさせていただいたところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)次に行こうと思ったんですけど、重ねてお尋ねします。要するにSANAAとの設計業務の委託契約の中で、新館の面積については仕様が書いてあるんです。その仕様書の中に、新館は面積が6,656平米だと明記されているんです。それに基づいて今SANAAは設計を進めているんですけれども、これが基本設計の段階でこれだけ大幅な削減に至ったその経緯を教えてください。委託契約を結んで、これに基づいて設計をするということが契約なんです。改めて、知事、お伺いします。 ◎知事(三日月大造) お許しいただければ、県民生活部長に答弁を委託させていただきたいと存じます。 ◎県民生活部長(拾井泰彦) お答えします。  基本設計につきましては、先ほど知事が答弁申し上げましたとおり、展示室を柔軟に活用して常設展示室の構成を見直した結果、展示室の面積が減少しているということでございますけれども、これは今知事が申しましたとおり、基本設計を固めていく過程で検討して判断させていただいて、このようになったものでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)展示スペースの減少に伴って、先ほどから申し上げているように新館の面積が4割近くも削減されているんです。これが基本設計の中で行われるというのは、設計の委託契約の内容、仕様の中で6,656平米だと書いてあることについて、これを変更するのであれば、しかるべき手続がとられてなければおかしいということを今指摘しているんです。再度、御答弁お願いします。 ◎知事(三日月大造) すいません、今、手元に関係する資料がありませんので、後ほど調べて回答させていただきたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)基本計画があって、基本計画に基づいてSANAAとの設計の委託契約を結んでいる。その中には、新館の面積については想定として6,656平米という数字が上げられている。その仕様に基づいてSANAAは今設計を進めている。だけれども、基本設計を見ると、それが4割も削減されている。だから、そこには監督職員が独断でSANAAに指示したのでなければ、何がしかの協議、そして、今まで公にしてきた6,656平米を変えるのであれば、これ、いろんなパンフレットに載っている数字です。これを変えるのであれば、しかるべき手続を経て、新館の面積については4割削減しますよということを公にしなければおかしいはずなんです。もう一度答弁お願いします。 ◎知事(三日月大造) その設計委託契約の中の想定と今お言葉を使われましたけれども、その想定が、例えば新館の面積でどうだったのか、また、費用面でどうだったのか。当然その必要な機能の見直し等々も協議を経て行われているわけですから、そのことも含めてお調べをして、答えをさせていただきたいと思います。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)本来、設計というのは基本計画に基づいたそういう機能を図面に落とし込むことなんです。4割も新館の面積を減らすというのは、基本計画からしてもそごが生じるわけです。だから、それをちゃんと説明したんですかということを問うているんです。もう一度お願いします。 ◎知事(三日月大造) 必要な説明ならびに協議というものは経た上で現状に至っていると認識しております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)内部の協議は、それはされたと思いますよ。それは監督職員が独断でSANAAに指示したのでなければね。ただ、基本計画は、皆さんの委員会をつくって、基本計画を積み上げてつくってきたその中で承認をされた一つの6,656平米という数字なんです。これを4割も削減するのであれば、もう一度基本計画に立ち返って御意見を承るなり、そういう手続が要らなかったんですかということを指摘しているんです。もう一度お願いします。 ◎知事(三日月大造) 確認なり、やりとりですけれども、基本計画の中で示した機能、考え方というのはきちんと踏まえてこの設計を行ってきております。ただ、当然、総額の費用の問題でありますとか、そして、公開承認施設の話でありますとか、その後の過程において必要な見直しをいたしますので、当然、委託先の設計者とも協議をし、また、都度、県議会にもこの過程について御説明をしながら今般に至っているということでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)時間がないので次へ進みます。  新生美術館の予定工事費は、御承知のように47億円とされています。しかし、既存館について更新が必要となる設備が思ったよりも多く、想定していた工事費5億9,000万円で対応することは厳しいと知事は答弁されていました。現時点での既存館の改修工事費の見込みをお示しください。知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) お尋ねの既存館の改修工事費につきましては、老朽化に伴い更新が必要な電気・機械設備の改修を行うことから、基本設計を取りまとめる過程で当初の想定よりも約7億円の増加が見込まれ、約13億円となっているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)既存館の改修工事費、現時点で13億円と見積もられているとのことですけれども、ここで新しい疑問が生じるんです。  繰り返しになりますけれども、新館の床面積は当初6,656平米だったものが、基本設計では4,265平米と4割近く削減されました。基本計画に基づいて設計業務を委託した時点では、新館の建築工事費の想定は47億円から5億9,000万円を引いた41億1,000万円で、平米単価は、単純計算ですけども61万7,000円。しかし、基本設計を見ると、47億から今13億円を引いた34億円で4,265平米の新館を整備することになります。新館の単位面積当たりの整備費について、知事、お示しをください。 ◎知事(三日月大造) 答弁を県民生活部長に委任をさせていただきます。 ◎県民生活部長(拾井泰彦) お答えします。  新館の単位面積当たりの工事費でございますけれども、79万円となってございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)そうなんですよね。当初、単純計算ですよ、61万7,000円、これが79万円になっているんです。これは基本計画の中にある整備費用の想定で用いた単価、近年新築された、新生美術館のモデルとなる他県の美術館等の事例から、単位面積当たりの整備費について、上位75万8,000円、平均58万円、下位45万1,000円としていたのと比較しても、下位の2倍近くで上位すら上回る平米単価になります。この点について知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 今お尋ねいただきました新館建築工事費平米当たりの単価が基本計画のベース時点62万円から79万円に上がっているということでございますが、この工事費については、現在の市場価格をもとに算出をしています。その上で、この新館につきましては、公開承認施設としての対応などに配慮いたしまして、増築する展示室と収蔵庫の全てにガス消火設備などを整備すること、また、既存館については、改修が必要な機器の数量が増加したことにより、工事費の単価が基本計画の想定よりも大きくなっているということでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)面積が縮小されたのであれば、当然建築工事費も下がるはずなんです。面積が減るのに、先ほども基本計画の中にある整備費用の想定で用いた単価、上位、平均、下位で、その上位すら上回るんです。確かに今、市場価格の高騰だとおっしゃいましたけれども、それだけで原因でこんなほかの自治体の美術館よりはるかに割高になる。このことについて、知事、改めて見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) まず、市場価格に基づいたものであるということ、ならびに、おっしゃるとおり面積が減ればその分安くなるのではないかという想定もある一方で、全体の見直しの中で公開承認施設としての対応経費が要るということ、また、全体の面積を見直す中で既存館と新館で仏教美術等々、展示スペースをどう割り振るのかということもあるでしょう。その際に必要な設備ということもございますので、これは単に面積だけで案分するという課題ではないのではないかと思います。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)これまでも限られた財源の中で少しでもいいものをつくってほしいということは申し上げてきましたけれども、ほかの自治体の美術館に比べて割高な、しかも展示スペースもそんなにふえない。そういったものをつくってほしくはないんです。でも、これでは、規模が違うとはいえ、第2の国立競技場だと呼びたくなりますけれども。  基本設計とあわせて新生美術館の整備費用および関連費用も精査されたと伺っています。現時点で見込まれる総額について、知事にお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 現時点で見込まれる費用の総額でございますが、新生美術館の施設整備費用につきましては、美術館整備工事費用が47億円、公園整備工事費用が5億円、機能整備費用等といたしまして7.5億円を合わせまして59.5億円となっております。また、関連費用といたしまして、琵琶湖文化館収蔵品移転に伴う経費などで9.5億円、総額で約69億円を見込んでいるところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)3月の予算特別委員会で、知事は、全体事業費について、真に必要なものを見きわめつつ精査を行っている段階ですが、できる限り縮減できるよう努めてまいりたいと答弁されています。新館の建築工事費用が割高だということは先ほど来指摘をしておりますけれども、今示された69億円という金額について、どのように縮減に取り組まれた結果なのか、具体的な項目を挙げてお示しください。知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) 新生美術館の施設整備費用ですとか、今申し上げた関連費用の算定に当たりまして、例えば現在の近代美術館で使用している什器等について、使用可能なものは新生美術館においても活用することで一定の経費の縮減を行いました。また、建設工事に伴って必要となります美術館の収蔵作品の一時移転経費につきましては、他の県立施設等で作品を保管するなど、できる限り経費縮減に努めているところでございます。これからもまだこの工事等の過程において縮減できることもある限り、可能な限り努めてまいりたいと考えています。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)まずは新館の建築工事費用についてもう一度精査をしていただかなければ、縮減をしたというふうにはなかなか我々納得できないので、またそれについてはいずれ議論したいと思います。  それでは、次に移ります。文化財保護法の公開承認施設としての承認に向けては、これまで文化庁との協議が十分にこの基本設計に反映されているものと思います。現時点での公開承認施設の認定の見通しを知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 今回の基本設計の取りまとめに当たりまして、これまで7回にわたり文化庁と協議をしてまいりまして、文化財の作品搬入に適した動線の確保ですとか、展示室、収蔵庫のガス消火設備の設置など、その都度助言をいただきながら必要な対応を行ってまいりました。今後の実施設計におきましても、文化庁等と継続的に協議を行うことで指定文化財の公開に適した展示環境を実現いたしまして、公開承認施設として文化庁からの承認を得られるものと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)次に、コミッションワークについても作品制作の方針が打ち出されました。いろいろとお題目はあるようですけども、要するに来館者の増加を狙って2億円が費やされるようです。現在も公園内の石畳の遊歩道、彫刻の道に屋外彫刻作品が設置されているのをどれだけの方が御存じでしょうか。知事、御存じでしょうか。  近代美術館の公式ブログでも「存在はあまり知られていませんが」と書いてあります。多いところでは数十点ものコミッションワーク作品を擁する美術館がある中で、わずか4点の作品で他の美術館とどのように差別化を図り、話題性を喚起し、しかも集客につなげていくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。 ◎知事(三日月大造) この新生美術館におけるコミッションワーク、これは直接作家に制作を依頼して、恒久的に展示するすぐれた作品にしたいと思いますし、ほかにはない唯一無二のものであるほか、議員も御案内のとおり、気負いなく作品にさわったり、その中で楽しんだりということで、多くの方に出会いの感動を味わってもらえるものでございます。  また、このコミッションワーク、国際的に活躍される作家さんでありますとか、飛躍が期待される作家、若手作家に滋賀の風土や美術館のコンセプト、そして、緑豊かな琵琶湖文化公園の立地環境を踏まえた作品を制作していただくことによって、地域のシンボルとして親しんでいただき、県外、世界から、新生美術館に行けばあの作品に出会えると思っていただけるような、そういうコミッションワークにしたいと考えております。  具体的には、この新生美術館、回遊式庭園美術館という構想で打ち出しておりますので、その設計の特徴を生かしまして、公園やバス停、駐車場から美術館への誘導エリア、また、そのエリア全体といたしまして楽しくにぎやかな雰囲気の醸成などの観点から、美術館敷地内と周辺に4つの作品を制作、設置したいと考えています。こういった他の美術館にはない回遊式庭園美術館といったところをうまく生かしながら、このコミッションワークをつくり、展示をしてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、知事御答弁いただいたように期待はしているんですよ。期待はしているんですけども、先ほど御紹介したように、現在も公園内の石畳の遊歩道があって、そこが彫刻の道と名づけられて、そこには屋外彫刻作品が設置されている。にもかかわらず、美術館の公式ブログでも存在が余り知られてないというのが現状なんです。だから、このコミッションワーク4作品、どのように展示されるかわかりませんけども、しっかりと集客につなげていくという努力をしなければ、設置しただけでは何の効果もないと、そのことを申し上げておきたいと思います。  開館に向けたスケジュールに関してもお尋ねをしておきます。  実施設計を経て来年10月には建築工事に着手、平成31年11月までに建築工事を完了し、平成32年3月に開館するとされています。  一方で、公開承認施設の承認条件には、内装工事終了から文化財の公開までには、展示ケースを含め室内の乾燥を図るまで十分な期間をとる。建物内の空気環境を安定させるために、コンクリートの打設後から文化財の公開までの期間は二夏の経過またはこれに相当する環境の実現が望ましいと想定されています。  例えば京都国立博物館では、展示品に影響が出ないように、建物の竣工から1年間の乾燥期間を経てオープンを迎えました。半年間で空気環境が安定し一定の状態で維持できればよいのですが、場合によっては指定文化財が展示できないままオープンを迎えるおそれはないのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 指定文化財については、今も議員のほうから御指摘、御紹介いただきましたように、工事完了後に行います展示室等の空気環境調査の結果を踏まえまして、展示、収蔵が可能かどうかを判断することとなります。  既存館の改修内容は、空気環境に対する影響が少ないと見られますことから、開館時から指定文化財等を展示、収蔵できると考えております。こういったことから、美術館開館時においては、既存館の展示室で仏教美術等の魅力を発信する形でオープニングを迎えていきたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)じゃ、重ねてお伺いをしておきます。開館に向けたスケジュール、先ほど述べましたけれども、平成32年3月の開館というこの予定は見直す考えはありませんでしょうか、知事、改めてお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 31年度末、従って32年3月までに開館できるように努めてまいります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)いずれにしても、新生美術館が単なる箱物に終わらないように、運営面においてしっかりした体制を構築するとともに、広報、マーケティングなどの面でも明確な方向性が打ち出されることが望まれておりますし、私どもも求めています。  これまでも幅広い見識と専門性、経営感覚を有する館長の人選を進めるべきだと提案してまいりましたけれども、今年度も文化振興課長の兼務を解いただけですが、館長人事について、改めて知事のお考えをお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) この4月から専任の館長を置きました。新しい美術館への移行準備などについて、運営面、組織面でのマネジメントの一定の充実を図っているところです。  この新生美術館の開館に向けては、これまでの近代美術館を引き継ぎ、リーダーシップを発揮して柔軟かつ機動的な運営が行える、今おっしゃっていただいた広報やマーケティングも大事だと思います。幅広い見識や経営感覚を持つ人材が必要であると考えておりまして、現在、館長人事について慎重に検討をしているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)同様に来年春の開館に向けて県立近代美術館の移転新築を進めている富山県では、専門家を初め経済界や教育界、県内の各種団体の代表から構成される美術館開設準備委員会を設置し、そこに知事も加わって、新美術館の運営方針などについて議論し、さまざまな意見を反映させています。
     本県においても、確かに昨年3月に新生美術館連携推進懇話会が設置されたにもかかわらず、その後1年以上開催されていません。加えて、近代美術館の運営協議会はあるものの、新生美術館全体の議論をするには、近代美術館の運営協議会は余りふさわしいとも思いません。みんなでつくる美術館プロジェクトのかけ声とは裏腹に、先ほど述べたように新館の面積の大幅な削減まで密室で決めてしまうと。こうした状況を見直して、開館に向けたオープンな議論の場を再構築するべきだと考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 今回取りまとめさせていただいた基本設計を踏まえて、今後、この基本計画、もともとある基本計画に沿って、今申し上げました平成32年3月の開館に向け、館の運営方針等、検討を進めていくこととしております。したがって、そのために有識者等による検討の場を設けて、利用者の視点に立った館の運営方針等について御意見をいただきますほか、美術館と深くかかわりのある文化団体等とも継続的な意見交換を行ってまいりたいと存じます。  いろんな御指摘ございますが、開かれた美術館運営を目指して、せっかくの機会ですので、多くの方々に期待と共感を持って迎えていただける新生美術館を目指して、そういった他の府県の事例等も参考にしつつ、多くの皆様方の御理解と御意見を伺いながら整備を進めてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)先ほども基本計画に沿ってと知事おっしゃるんですよね。これ、今まで何度も議論している中でも、基本計画に沿って、基本計画に沿ってなんです。ただ、先ほど言ったように、新館の面積の削減というのは基本計画に沿ってないわけです。やっぱり4割削減するというのは大幅です。そういうことを基本計画をつくっていただいたその委員の皆さんにお示しができているのかどうかというと、多分お示しができていないんだろうと思います。基本計画をつくるときはさんざん御意見を聞いておきながら、もうそこの手を離れたら、それこそ県の内部の協議だけで新館の面積の削減もできちゃうんですよと。基本設計の中で県がいろんなことを想定して決めたんですよと言ってしまう。それが本当にみんなでつくる美術館プロジェクトなのかどうか非常に疑問が残りますので、その点、再考していただきたいと思います。  それでは、次の質問に…… ○議長(野田藤雄) 佐藤議員、質問席へちょっと戻ってください。  この際、知事から発言を求められておりますので、これを許します。 ◎知事(三日月大造) 先ほど新館の面積減の根拠について十分な答弁ができておりませんので、その答弁を私から県民生活部長に委任をしてお答えをさせていただきたいと存じます。 ◎県民生活部長(拾井泰彦) 先ほどは大変失礼いたしました。議員御指摘のとおり、特記仕様書の設計概要書という部分がございまして、ここに御指摘のとおり、建築工事の新館の想定分として6,656平米ということが明記されてございます。そこで、知事が申しましたように協議をしてきたわけでございますけれども、契約書の中の必要に応じて発注者と受注者が協議して定めるという中で協議をしてまいったのでございますけれども、最後、知事が申し上げましたように、十分にこれまでの方々に説明できてないという部分はございますので、多くの皆さんの御理解をいただくというために、今後とも丁寧に説明してまいりたいと考えているとこでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)次に移ろうと思っていたにもかかわらず、御答弁いただきましたので、1点確認をしておきますけれども。時間がなくなるので本当は次へ移りたいんです。ただ、1点だけ確認をしときます。  今おっしゃったように、設計業務の委託の中で、しっかりとその仕様書の中に6,656平米というのを想定としてうたってあるわけです。これを変更するときは、確かに今おっしゃったように発注者である県と受注者であるSANAAとの協議の中だけで決められるのかもしれませんけれども、先ほど来申し上げています基本計画に沿ってこの美術館をつくるという答弁とそこでそごが生じるんじゃないですかと。皆さんで6,656平米、基本計画をつくる中で、ある程度の皆様の意見をいただきながらみんなでつくり上げた6,656平米という想定なんです。  加えて言えば、この6,656平米、今まで県がつくったパンフレットの中にも全部載っています。新館部分は6,656平米想定ですと。その想定を4割も削減するのであれば、しっかりと皆さんの意見を改めて聞く場をつくらなければいけなかったのではないですかということを指摘しているんです。繰り返しになりますから、それ以上答弁を求めませんけども、そのことが問題だということを指摘しているんです。  次に移ります。次に、児童虐待防止について、一問一答でお尋ねをします。  児童虐待による悲惨な事件が後を絶ちません。全国の児童相談所が扱った平成26年度の児童虐待件数は8万8,931件に上り、過去最悪となりました。国においては先月、改正児童福祉法と改正児童虐待防止法が成立し、児童相談所の体制や権限を強化するために、スーパーバイザーと呼ばれるベテランの児童福祉司や弁護士などの配置を義務化するとともに、家庭への臨検を迅速に行うため、保護者への出頭要請を省略し、裁判所の許可状で実施できるようになりました。また、里親委託や養子縁組を促すため、これらの相談支援が児童相談所の業務に位置づけられました。  ふえ続ける虐待の被害から子供を守るためにも児童相談所の体制強化は当然のことでありますが、現在でも4人の欠員が生じている現状を見ると、専門人材の確保を初め、法改正を実効性のあるものにする道のりは遠いというのが実感です。  初めに、今回の法改正を本県としてどのように受けとめているのか、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えをいたします。  今回の法改正では、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待に関し、発生予防から自立支援までの一連の対策のさらなる強化等を図ることとされました。具体的には、児童相談所の体制強化ならびに県と市町との役割、責務の明確化により虐待対応の一層の強化を図ることとされておりまして、子供たちが適切な養育を受け、健やかな成長、発達や自立を進める上で重要な法改正であると受けとめております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)本県においても平成26年度、児童虐待の相談件数が前の年から31.3%、402件と大幅に増加する現状にあって、法改正を受けた現場における対応は急務だと考えますが、今後の取り組みについて健康医療福祉部長にお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県の対応として、今回の法改正のポイントは大きく3点、県の役割と責務、児童相談所の体制強化、そして、被虐待児童の自立支援であると考えております。  1点目の県の役割と責務につきましては、専門的な知識、技術に基づく市町への助言、援助のほか、一時保護や施設入所などの措置が求められており、今後も子ども家庭相談センターと市町との関係を強化し、市町と連携した支援に努めてまいります。  2点目の児童相談所の体制強化につきましては、特に専門職の配置義務化による増強が求められておりまして、これまでに配置している児童福祉司や保健師、スーパーバイザーに加えまして、弁護士の配置等について早急に検討してまいります。  3点目の被虐待児童の自立支援につきましては、里親制度において、里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援を行うとされるとともに、自立支援ホームの支援対象を大学等に就学中の場合には22歳年度末まで延長されたところでありまして、今後、県としても児童の自立生活に向けて対応の一層の強化を図ってまいります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今も御答弁にありましたけれども、法改正では、被虐待児童について、親子関係再構築支援を強化するとともに、施設入所や里親委託の措置がとられることになった場合には、個々の児童の状況に応じた支援を実施し、将来の自立に結びつける方向性が強く打ち出されております。  本県でも平成26年度、児童福祉施設入所が30件、里親委託が14件となっていますが、被虐待児童のケアについての見解を健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  虐待を受けた児童に対しましては、安心して生活できる場所の確保が重要でありまして、安全が確保されない場合は一時保護を行い、さらに必要に応じて施設入所や里親委託を行っております。施設入所や里親委託を行った児童に対しましては、特に丁寧なケアが必要であると考えておりまして、児童心理士等の専門職が訪問による心理治療や心理教育、また、必要に応じて医療機関受診などのケアを行っているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)言うまでもなく、児童虐待を受けた子供たちは深い心の傷を受けています。特に一定期間を経た後、もとの家庭に戻り、そこでの暮らしを継続する子供たちが抱える心理的困難に対してどのような心のケアが行われているのか、健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  施設や里親のもとで暮らし、家庭復帰を目指す児童に対しまして、親子関係の再構築を支援するため、児童や保護者との面接や親子の外出、外泊などを実施し、児童が家庭で安全、安心に生活できると判断した時点で家庭復帰を行っております。さらに、議員御指摘の家庭復帰後の被虐待児童に対する心理的ケアにつきましては、保護者に対する指導援助とあわせて、子ども家庭相談センターへの通所や家庭訪問による面接などを継続するとともに、市町や学校、保育所などの関係機関と連携して、家庭や地域における生活の見守りを行っているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)いずれにしても、継続的なかかわりが非常に求められる部分だと思いますので、これからも充実に向けてお取り組みをいただきたいと思います。  ことし4月には、長年の要望が実を結び、大津市と高島市を管轄する大津・高島子ども家庭相談センターが新たに開設されました。これまでよりもきめ細かい迅速な対応が可能になると期待していますが、単にセンターの分割で終わっては何の意味もありません。大津・高島子ども家庭相談センターについて期待される役割や機能を発揮できているのか、現状を健康医療福祉部長にお伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えいたします。  大津・高島子ども家庭相談センターには、児童福祉司11名、児童心理士4名、警察官1名の専門職を配置し、体制を整えてことし4月に開所いたしました。五月末までに89件の虐待通告を受理し、21名の一時保護を行うほか、73件の療育手帳判定を実施しておりまして、これまでのところ、虐待対応を初め、適切に機能を発揮しているものと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ただ、大津・高島子ども家庭相談センターには課題もあると考えています。専門人材の確保などは、中央、彦根、他のセンターと共通ですが、先ほど申し上げた法改正の附則では、施行後5年をめどとして中核市が児童相談所を設置できるよう、設置に係る国の支援が明記されました。中長期の視点から、今後、大津市との役割分担を議論していく必要もあります。  また、整備が見送られた一時保護所の設置は喫緊の課題だと考えています。昨年の市長会からの要望でも、円滑に児童の安全確保ができるよう、施設の定員および施設担当職員を増員するなど、一時保護施設の充実が求められています。現実に、平成26年度、一時保護所での保護件数、1日当たりの平均保護人数、1人当たりの平均在所日数のいずれも前の年を上回っている中では、早急な一時保護所の整備が必要だと考えますが、健康医療福祉部長の見解をお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  大津・高島子ども家庭相談センターの管内の児童に対して一時保護を実施する場合には、現在、中央子ども家庭相談センターの一時保護所を利用しております。こうした中、児童への心理的ケアや家族面接などを実施するためには、担当職員が中央子ども家庭相談センターまで出向く必要がございます。迅速な対応と移動の負担が課題となっております。  一時保護所は子ども家庭相談センターにとって重要な機能、施設でありまして、保護児童に対して適切なタイミングで効率的で効果的なケースワークを実施する必要がありますことから、今後、大津・高島子ども家庭相談センターにおける一時保護所のあり方について検討し、できるだけ早く考え方を取りまとめたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、考え方を取りまとめたいということですけども、やはり必要性についてはもう皆さん認識しているとおりだと思います。あとは、具体的な整備に向けてどういった課題を乗り越えていく必要があるのかどうか、そういった検討だと思いますので、一日も早く施設整備をお願いしたいと思います。  それでは、次に、警察本部長にお尋ねをいたします。  児童虐待事案における警察の役割はますます重要になっています。  ことし1月には、大津市と中央子ども家庭相談センターが協力しながら1年以上にわたってケース検討会議や家庭訪問を行っていた母親が、当時1歳の子供を暴行しけがを負わせたとして警察に逮捕されました。しかし、支援の過程で暴行について把握できていなかったため、警察との情報共有は全くされておらず、子供の死亡を受けて警察が事件化しました。  逮捕に至るケースは多くはありませんが、県警察本部として児童虐待事案における対応の現状について、警察本部長にお伺いをいたします。 ◎警察本部長(渡邊国佳) (登壇)児童虐待事案への対応の現状についてお答えをいたします。  本年5月末の本県警察における児童虐待事案の取り扱いの現状でありますけれども、110番通報や警察に対する相談などによって取り扱っている件数につきましては270件ということで、昨年同時期に比べて約3.7倍、被害児童数も457人ということで、やはり昨年同時期に比べ約4倍と大変に増加しております。これに伴いまして、児童相談所に対し通告する被害児童の数も238人と、昨年同期に比べて約3.9倍と急増しております。  児童虐待は、何ら抵抗のできない児童に対して一方的に危害を加え、児童の心身に重大な悪影響を及ぼすものであり、虐待に遭っている児童を早期に救出、保護し、被害拡大を防ぐということは警察の重要な責務だと考えております。  警察としましては、職員による直接の児童の安全確認を徹底するほか、緊急時や夜間等に児童の安全が脅かされる危険がある場合の保護、さらには、刑事事件として取り上げるべき悪質な事案に対する厳正な捜査など、児童の身体の安全を最優先とした対応方針で臨んでまいります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)近年の相談件数の増加もしかりなんですけども、やはり各機関における取り組みが強化されるとどうしても件数がふえてしまうと。それに伴う人材配置がされていればいいですけども、なかなかその手が回らないような現状になると。  これまでも警察では3つの子ども家庭相談センターに現職の警察官を出向させるなど、関係機関と連携した取り組みを進めてきておりますけれども、児童虐待の早期発見と虐待を受けている子供の早期保護のためには、これまで以上に緊密に連携を図っていく必要があると考えます。関係機関との連携についての認識を、課題も含めて警察本部長にお伺いします。 ◎警察本部長(渡邊国佳) 関係機関との連携について課題を含めてお答えいたします。  児童虐待事案を早期に発見し、被害児童を早期に救出、保護するためには、児童相談所を初めとして市町の福祉担当部署や学校等の関係機関との情報共有が重要であり、こうした関係を構築し強化していくことが課題だと認識しております。  このため、委員から御指摘いただきましたとおり、本県警察では児童相談所に現職警察官を出向させてきておりまして、平成25年度から中央および彦根の各子ども家庭相談センターに、加えて、本年度から新設されました大津・高島子ども家庭相談センターの計3カ所の児童相談所に警部級各1名を出向させ、情報共有を強化しております。また、一層の連携強化を図るため、児童相談所と合同で立入調査等を想定した実践的訓練を実施するなどしているところであります。  各警察署にありましても、県下全19の市町に設置されました要保護児童対策地域協議会に参画しているほか、市町の福祉担当部署や学校、民生委員等が参画する地域単位の個別ケース検討会議で情報共有を図るなど、関係機関との連携強化に努めているところであります。  引き続き関係機関と緊密な連携を保ち、児童虐待容疑事案に対して迅速に対応してまいります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ぜひお願いしたいと思います。  こうした中、ことし4月1日付で警察庁から、児童虐待への対応における関係機関との情報共有等の徹底について通達が出されています。通達では、児童虐待が疑われる現場に警察職員が臨場し、安全確認の結果、児童虐待ではないと判断したにもかかわらず、その後、児童虐待による重篤な被害が明らかになったものが見られるとして、確実な通告の実施、児童相談所と関係機関に対する事前照会の徹底、通告後の情報共有といった取り組みの強化を求めております。  関係機関との情報共有については先ほども御答弁いただいたところですけれども、こうした対応には警察内部の取り組みも不可欠だと思っております。児童虐待に対する全ての警察官の理解と警察内部の部門間の情報共有が求められると思いますけれども、今後の取り組みについて警察本部長にお伺いをいたします。 ◎警察本部長(渡邊国佳) 今後の取り組みについてお答えいたします。  児童虐待事案につきましては、被害児童を早期に発見保護することが最重要であり、事案の端緒の入手は110番通報や警察に対する相談に加えて、交番への申告など、幅広い警察活動が考えられます。このため、議員御指摘いただきましたように、全警察職員がその重要性をしっかり認識して、個々の警察職員の対応や警察部内の情報共有に遺漏のないよう、指導、教養を徹底してまいります。  また、警察署で取り扱う児童虐待事案については、職員による直接の児童の安全確認を徹底するほか、これも議員ただいま御指摘いただいたとおりでありますけれども、児童相談所に対する時機を失しない確実な通告の実施、通告の要否を総合的に判断するため、市町と関係機関に対する事前照会の実施、通告後の関係機関における対応結果や措置状況等の確認といった取り組みによって、関係機関との情報共有をさらに徹底してまいります。  先ほども申し上げましたが、警察における児童虐待事案の取り扱いは急増しております。対応する警察官の負担も増加しておりますが、こうした取り組みによって被害児童の早期発見、救出にさらに努めることによって、事案の急増にも適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)次に移ります。  学校における対応も欠かせません。実際に平成26年度におけるセンターへの通告の数を見ると、学校等からが前の年より51件ふえて204件に上り、全体の17.9%を占めています。学校長を初め管理職が児童虐待に対する正しい認識を持ち、適切な対応をとることが重要との考えから、平成25年11月定例会で当時の教育長に、校長や教頭といった管理職に対する研修の充実を求めました。その後の管理職への研修の状況を含めて、児童虐待防止に向けた教育現場の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えいたします。  児童虐待は、子供の人権を著しく侵害するだけでなく、命までも脅かしたり、子供の心に深い傷を残し、その後の人格形成に大きな影響を及ぼすことから、早期発見と継続的な支援が必要であると考えております。  そこで、まず、管理職研修会において、児童虐待発生の要因、早期発見のポイントや、保護者、関係機関との連携等について指導をしております。あわせて、生徒指導担当、教育相談担当や新たに児童虐待対応の任についた教員についても同様の研修を行っております。  また、児童虐待の通告件数が年々増加する傾向にある中、生徒指導指導力向上研修において事例検討を行ったり、児童相談所所長から講話をいただくなどにより、学校現場の対応が進むよう工夫もしております。  本県では、全ての公立学校に児童虐待対応教員を位置づけ、他の教員とともに子供たちの言動や服装等の変化を見逃さないよう早期発見に取り組むとともに、虐待の事実や虐待が疑われる状況を認知した場合は、直ちに市町の福祉事務所等へ通告をしております。さらに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家を含めた会議で対策を協議したり、関係機関と連携をしながら、子供や保護者への継続的な支援を行っているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)さきの法改正では、児童相談所や市町からの被虐待児童に関する資料の提供を求められた場合、医療機関や児童福祉施設とともに学校などが資料を提供することが規定されています。法改正を受けて教育現場においてどのように対応していくのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、法改正により、児童相談所や市町からの被虐待児童等に関する資料を求められた場合は、学校は提供することができるとされました。  今後は、県教育委員会といたしましては、小中学校長会理事会、市町立小中学校および県立学校生徒指導教育相談担当者連絡協議会、また、生徒指導上の課題解決に係る管理職研修会等のさまざまな研修の機会において改正の趣旨と内容を周知し、学校と関係機関との連携が一層進むよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)いずれにしましても、法改正を受けて、児童虐待の早期発見と虐待を受けている子供の早期保護のためにやはり力を尽くしていかなければいけないという中で、件数がこれだけ増加してくると、どこかの部門だけが力を出してもなかなか全てに対応し切れない、適切なやっぱり役割分担を図っていかなければいけないと思っております。  そういったことを受けて、法改正のこの契機に、もう一度児童虐待防止に対する取り組みについてどういう役割分担が適切なのか全体で協議するような場を設けていただくこともお願いをして、質問を終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、4番佐藤健司議員の質問を終了いたします。  次に、12番杉本敏隆議員の発言を許します。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇、拍手)最初に、琵琶湖の保全と再生について質問をします。  最近、身近なところで魚に関してホットな話題がたくさんありまして、幾つか紹介しますと、下村議員のもんどりは外来魚とミドリガメしか入らないと聞いていたんですが、最近70センチを超える大きなウナギが入って、6,000円で売れたそうです。南湖でもウナギがとれるということを実証されたということは非常に意義があるのではないかと思います。  それから、私の家の前に小さな小川があるんですけども、圃場整備をやられて以降、魚がほとんど見られなかったんですけど、先月末にフナが大量に上がってきまして、それを見て漁師の血が騒いで、バケツを持ってタモも持って行ったんですけど、5分間でバケツいっぱいとれると。それを持って返って水槽の中へあけてみますと、フナだけでなしに、モロコとタナゴがまじっていました。こういう豊かな魚がいるということは琵琶湖の環境のバロメーターでもあるので、非常にうれしいと思います。  おとついからきのうにかけて雨が降って、またまた大量に上がってきまして、きのう夜帰ったら、ばちゃばちゃ音がするので、けさ見に行ってみると、今度は物すごく大きなフナがたくさん上がっていまして、きょうは電車に乗るまでの時間ぎりぎりまで魚とりをしていまして、100匹ぐらいとれました。こういう魚が上がってきてふえるということは、非常にいいことだなというふうに思います。  ということで、本論に入りますけども、先月の19日に県議団で東京へ行ってきました。国土交通省、環境省、農林水産省および原子力規制庁に対して、琵琶湖の再生保存にかかわって幾つかの要望を届けて、率直な意見交換をしてきました。  その中で私が主に担当したのは生態系の保全の問題ですけども、それにかかわって幾つかの質問をしたいと思います。  まず、瀬田川の洗堰の水位操作が琵琶湖の魚類の産卵、繁殖にどのような影響をもたらしているのか、農政水産部長にお伺いします。 ○議長(野田藤雄) 12番杉本敏隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) (登壇)お答えいたします。  琵琶湖の水位が低下しますと、魚の卵が干上がって死滅し、また、魚が産卵、生育できるヨシ帯の面積が減少するなど、魚の産卵、繁殖に影響を及ぼすものと考えております。  現在、国においては、フナやコイの産卵生態に配慮した弾力的な水位操作をなされており、産みつけられた卵が干上がらないよう努められておりますが、ホンモロコについては改善が見られておらず、毎年、生みつけられたホンモロコの卵の多くが干上がっていることを確認しております。  ホンモロコについては、その産卵生態に不明な点があることから、水産試験場において、今年度から5カ年計画でホンモロコの産卵生態についての調査研究に取り組んでいるところです。調査結果については、随時関係機関と情報を共有して意見交換を行い、産卵条件に即したホンモロコの資源回復のあり方を検討したいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)国土交通省の弾力的な運用というのは、主にフナ、コイなどの産卵のピークがあってから5日間は水位を下げないというふうな状況で、モロコにはほとんど効果が出ていないというふうに思います。  洗堰の水位操作は治水と利水を目的として定められていると。環境保全、生態系の保全には配慮されていないということだと思うんです。今、下流府県の利水、水の需要はかなり減っておりまして、この水位操作の規則の見直しを生態系の保全という観点からぜひとも国に対して強烈に要望してほしいと。今後、琵琶湖の再生計画が作られるんですけども、その際にもこのことをぜひ念頭に置いてやっていただきたいというふうに求めたいと思います。  次に、外来魚駆除の問題ですが、昨年度は国の補助金が不足して、11月以降は漁業者による駆除事業が中断されることになりました。水産課のほうで苦労して緊急の対策を行っていただきましたが、政府交渉で私は、外来魚駆除の補助金を大幅にふやすように水産庁に求めました。水産庁は、今年度は3,000万から4,000万円、1,000万円ふやしたと言われ、補助事業の柔軟な推進ができるようにしていきたいという趣旨の回答がありました。  問題なのは、外来魚駆除の補助金が国から直接滋賀県に来るのでなしに、全国内水面漁業組合連合会を通じて滋賀県に来るという今の仕組みにあると思います。  琵琶湖保全再生法では、第13条で、国は、外来動植物による生態系及び漁業への被害を防止するため、これらの捕獲等の防除が的確に行われるように必要な支援をするものとするとなっています。したがって、琵琶湖における外来魚駆除については、国が滋賀に直接予算配分をするなどの独自の仕組みをつくるべきだと思いますが、農政水産部長の見解をお尋ねします。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) お答えします。  今年度の国からの補助金は、昨年より増額されたものの必要額には達しておらず、不足分を要望しているところです。さらに、先般国に対して行いました政策提案においては、駆除の支援の拡充と補助金の基金化など、支援の仕組みの見直しを要望したところです。  議員御指摘のとおり、琵琶湖保全再生法第13条には、国はオオクチバスなどの被害を防止するため、これらの捕獲等の防除を的確に行われるよう必要な支援をする旨、規定されておりますことから、必要な財源の確保について、引き続き国に対して強く働きかけをしてまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)ぜひとも独自の仕組みをつくるということに努力をしていただきたいと思います。  次に、今年度の鳥獣被害防止総合対策交付金が大幅に減額され、シカやカワウの捕獲事業の縮小が懸念されています。琵琶湖保全再生法第11条は森林に被害を及ぼしている動物の防除を、第14条はカワウによる被害の防止を掲げているにもかかわらず、再生法ができた翌年にこれらの鳥獣を防除する予算が大幅減額されたことは、まことに遺憾であり、道理が通りません。
     このことについて知事はどのように認識をされているのか、お尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)杉本議員、どうぞよろしくお願いいたします。  鳥獣被害防止総合対策交付金につきましては、今年度、本県の要望額に対する配分が6割強にとどまりました。そのことにより、鳥獣被害の防止の取り組みが停滞することを懸念しております。このことが被害の増加につながってしまい、ひいては農林漁業者の意欲の減退を招くものと認識しています。  このため、先般、国に対して行いました緊急要望ならびに政策提案におきましては、琵琶湖保全再生法にも位置づけられたニホンジカやカワウの被害防止対策を推進するため、本交付金の補正予算の財源措置でありますとか全体予算枠の拡大について、強く要請をさせていただいたところであります。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)それでは、シカの被害防止についてお尋ねします。  ニホンジカについては、近年、急速にその生息数が増加し、特に山間部の農林業に深刻な被害を与えているほか、森林とその下層植生に被害を及ぼし、森林土壌の流出などの影響も懸念されています。  そのため、滋賀県では、平成29年度には平成22年度の生息数4万7,000から6万7,000頭から半減させることを目指して捕獲を行うとし、毎年の捕獲目標を1万6,000頭としているところですが、本交付金の大幅減額を受け、今後どのように対応されるのか、知事にお尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘いただきましたとおり、毎年の捕獲目標、ニホンジカについては1万6,000頭としているところです。従来の狩猟期における捕獲を奨励いたしますほか、農水省の交付金などを活用いたしまして、通年で市や町が実施されます有害鳥獣捕獲に支援を行っているところです。  一方、市や町の取り組みだけでは捕獲が進まない市町境界付近など標高の高い地域での捕獲を推進するため、環境省の支援も活用しながら、今年度は伊吹山等で県が委託事業により捕獲を実施する予定でございます。  今後の対応についてですが、市や町が実施いたしますシカ等の捕獲活動への支援に関しましては、例年どおりの捕獲数であれば、12月末までは現状の補助が可能と見込んでおります。一方、平成29年1月から3月における捕獲分については、今年度の交付金では大きく減額されておりますので対応は困難でありますものの、要望活動を通じて、国では来年度予算により対応することを検討しているとの回答も得たところでございます。  今後も機を捉えて追加的に予算措置いただけるよう取り組みますほか、着実に目標が達成できるよう、効果的な仕組みを考え講じてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)次に、カワウによる漁業被害についてお尋ねします。  この被害はかなり深刻でありまして、カワウは大体1日に500グラムの餌を食べると言われています。今、県内の生息数が7,600羽とされていますので、これが食べる魚は1日3,800キロ、これに滞在日数を掛けますと、大体年間でカワウが813トンの琵琶湖の魚を食べている計算になります。今、琵琶湖の漁師の年間の漁獲量が880トンですので、カワウは漁師全部の合わせた漁獲量とほぼ同等の魚を食べていることになります。  この深刻なカワウによる漁業被害を鑑みると、琵琶湖再生法第14条のカワウによる被害の防除に基づき、国による手厚い対策と財政支援の仕組みをつくるべきだと考えますが、今後の対応について知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 県内の春のカワウ生息数は、これまでの取り組みによりまして、平成21年には3万羽以上でありましたものが、昨年には8,000羽を下回るまで減少しています。しかし、目標とする生息数4,000羽に向けて捕獲の継続が必要であります。  今年度の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した捕獲事業については、当初は竹生島、伊崎半島および安曇川の3カ所のコロニーで計画をしておりました。しかしながら、先ほど来御指摘いただいているように国の交付金の配分額が少なかったことを受けまして、計画を見直し、伊崎半島については、この春のカワウの生息数が幸い少ないことからとりやめる一方、生息数が急増した安曇川での新たな捕獲と生息数が依然多い竹生島を中心とした捕獲によりまして、事業効果を最大限に発揮できるよう努めているところです。あわせまして、環境省の交付金を活用いたしました捕獲事業や市町の事業とも連携をいたしまして、効果的なカワウ被害の防除に取り組んでまいります。  おっしゃったとおり、琵琶湖保全再生法第14条には、国は、カワウの防除措置及び捕獲等による個体数の管理など必要な措置を講ずるよう努める旨、規定されておりますことから、今後も引き続き国に対しても財源の確保をしっかりと要望してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)水産課による竹生島でのカワウ駆除は、多い年は20日ぐらい行われていました。それがことしはその交付金が35%も縮減されたために、14回しか行われないというふうに聞いております。  琵琶湖再生法ができて翌年にこんな事態になっている。昨年来、滋賀県では再生法ができたと喜んでいますが、国は冷めた対応をしていると思います。よほど腰を据えたしっかりとした保全再生計画をつくらないと、これは前に進まないということを強く指摘しておきたいと思います。  それでは、大きな2番目の林業振興とTPPについてお尋ねをいたします。  滋賀県で林業問題を考える上で、造林公社の問題に触れざるを得ません。1,100億円を超える莫大な債務を抱えた造林公社、2011年の特定調停の成立により、滋賀県は約782億円の債権を放棄し、2049年までの42年間に約690億円を日本政策金融公庫へ返済しなければならず、本年度の返済額も25億円を超える額という県民負担となっています。  公社は滋賀県への残債務約186億円を今後の伐採収益で弁済できるのか。今年度から5年間の中期経営改善計画の1億7,800万円の伐採収益見込みは達成できるのか。木材価格の低迷や人件費の上昇、獣害などがあり、容易ではないと思われます。  他方で、地球温暖化などの深刻な環境問題に照らして、水源涵養など森林の持つ多面的機能の維持拡大はますます重要になっており、滋賀の森林面積の10分の1を管理する造林公社の責務も重大です。  その意味で、造林公社問題は過去の問題ではなく、これからの問題だと考えますが、その現状と課題について、公社の理事長でもある知事の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  初めに、造林公社の現状についてでございますが、造林公社の森林は、昭和40年度の植栽開始から約50年が経過をいたしまして、昨年度以降、順次伐期を迎えておりますことから、これまで造成してきた森林資源を伐採し、木材産業等への安定的な供給を通して有効利用を図るという公社経営にとって大きな転換期を迎えていると認識しています。  こうした中、今後の造林公社の経営における課題といたしましては、琵琶湖の水源涵養機能などの公益的な機能が持続的に発揮できるよう十分配慮しながら伐採および保全整備を進める必要があること、木材需要の動向を見きわめた上で、収益性の高い木材の生産と販売を行い収益を確保する必要があること、採算林における分収割合の変更、契約期間の延長および不採算林の返還について一層推進する必要があることなどがあると考えております。  これらの課題に対応するため、本年3月に第2期中期経営改善計画を策定し、今後5年間の森林整備や木材の生産販売に関する事項など、重点的に取り組むべき事項とその目標を定めたところでございます。本計画の着実な推進により、森林の公益的機能の持続的発揮と木材の生産販売による本県の林業、木材産業の活性化に資する造林公社の役割を果たしてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)1つお尋ねしたいんですけども、この滋賀県への残債務約186億円ですね。これを今後伐採収益で弁済していくというふうになっているんですけども、どうもこれを見ていると非常に厳しい状況に見られるんですけども、これについてはどのようにお考えになっていますか。 ◎知事(三日月大造) この造林公社の経営問題については、議員も御案内のとおり、累積債務が膨れ上がる中で、平成19年11月に特定調停の申し立てによる債務の処理を決断をいたしまして、結果として県民の皆様にも多額の負担をお願いする、そういうスキームで現在進んでいるところでございます。  こうした中、造林公社としては、新法人に移行し、事務局体制を合理化、また効率化しながら、事業の実施状況について経営評価を行ってまいりましたが、先ほど答弁いたしましたとおり、公社が管理する森林の公益的機能をしっかりと維持しながら、同時に伐期に達した公社材、木材、これをしっかりと切って、また販売をして収益を上げ、経営を改善していく、このことをしつつ、同時に旧農林漁業金融公庫に対する債務を本県が引き受けることにより生じた多額の財政負担につきましては、国に対して引き続き利息負担軽減のための施策の創設でありますとか地方財政措置の拡充を、これまでも要望してまいりましたが、さらに強く、粘り強く提案、要望してまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)私が今聞いたのは、186億円の残債務を公社が返還できるのかどうかという見通しなんですけども。1つ問題があると思うのは、債権者のトップが知事であり、債務者のトップが知事であるというこの体制、やっぱりこれ、ちょっと問題があるんじゃないかと思うんですよ。借金を返すほうが、借金を返される側のトップが借りているということは、そこら辺でこの曖昧な対応になるのではないかという危険性もあるんですけども。そういう面でこの残債務の返還という面をきちっとやれるのかどうか、もう一度お尋ねしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 債権債務の問題は、きちんとその責務が履行できるように努めてまいりたいと思いますし、今御指摘の公社の理事長と、そして知事とを兼ねているということにつきましては、兼ねていることによるデメリットを兼ねていることにより生じるメリットでカバーできるように努めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)この造林公社の問題は、国の分収造林によるビジネスモデルが破綻したという点で、国の責任は非常に大きいと思います。そういう点では国の支援を今後とも求めていくということも重要だと思います。  次に、林業の現状と振興策についてお尋ねしたいと思います。  1960年に全国で約44万人いた就業者が、2010年には約5万人、8分の1以下に減りました。林業の労働災害の発生率は、全産業平均の13倍に上がる一方で、平均所得は年間295万円、全産業の平均より約150万円も安い。1955年に96%だった木材自給率は、2002年には18%にまで落ち込みました。しかし、その後、関係者の努力により、今は31.2%にまで回復しています。  この間、木材価格は大きく下落し、ピーク時の1980年に比べて杉の立木は約1割、杉丸太は約3割、杉製品は約6割に低下しました。立木価格の著しい低下は、輸入のしわ寄せが林業の現場に来ていることを意味していると思います。  森林所有者は、5ヘクタール未満、特に1ヘクタール未満の小規模零細業者が多く、木材価格の下落や高齢化、後継者不足により林業投資を継続できず、管理手入れが十分に行われていない放置林がふえています。こうした林業の現状と振興策について、知事の所見をお尋ねします。 ◎知事(三日月大造) まず、本県の林業の現状についてでございますが、議員御指摘のとおり、林業を取り巻く環境、依然として厳しい状況にございます。が、一方で、おかげさまで明るい兆しも見られるところであります。  例えば本県の木材生産量について見てみますと、昭和55年の19万9,000立方メートルから平成20年には3万2,000立方メートルにまで減少いたしましたが、平成27年には5万4,000立方メートルと、近年は若干増加傾向にございます。  また、林業の担い手である林業従事者の皆様は、平成17年当初497名から平成27年当初には263名と約半分に減少している一方で、50歳未満の占める割合が29%から48%に増加しておりまして、若返りの傾向も見られます。  しかしながら、林業経営に必要な施業の集約化でありますとか路網整備などのおくれを初め、供給体制が不十分であること、県産材の需要先が限定的であることなど、多くの課題があることも事実でございます。今後、的確に対応していく必要があると認識しています。  こうした課題に対応するため、今後、県産材の生産体制の整備、強化を初め、効率的な流通体制の構築、公共建築の木造・木質化や新たな需要の創出といった利用の拡大などに取り組みたいと考えておりまして、こうした内容を盛り込んだ「しがの林業成長産業化アクションプラン」を関係者の御意見を伺いながら今年度中に策定し、林業振興を積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)50年かけて育てた杉の立ち木、立木が1本1,000円とか1,500円と、これはまことに不合理な状況になっています。林業振興の最大の問題は、やはり採算がとれる木材価格が保障されることだというふうに私は思います。後でTPPの関係がありますので、次へ行きたいと思います。  3番目に、森林の機能についてお伺いをしたいと思います。  森林は、生態系保全などの生物多様性保全機能、地球温暖化緩和などの地球環境保全機能、土砂災害防止機能や洪水緩和や水質浄化など水源涵養機能、夏の気温低下や大気浄化など快適環境形成機能、ほかに、保健・レクリエーション機能、文化機能、そして、木材などの物質生産機能など、人間の生存と国土の保全にかかわるかけがえのない多面的機能を持っていると言われていますが、このことについて知事はどのような認識を持たれているのか、お伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 全く今御質問の中に述べられたことと同じ認識を持っております。森林の多面的機能については、琵琶湖森林づくり条例においても、水源の涵養、県土の保全、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、木材等の林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能をいうとされているところでございます。  とりわけ滋賀の森林は、琵琶湖保全再生法で国民的資産と位置づけられた琵琶湖に生命の源である清らかな水を供給し、1,450万人の人々の暮らしと産業を支えるとともに、県土を保全して洪水などから私たちの暮らしを守り、さらには人間のみならず多様な動植物の生息の場を提供するなど、さまざまな役割を果たしていると認識しております。  先般も長浜市、旧西浅井町の山門水源の森、視察させていただき、その豊富な生物多様性の状況等、確認をさせていただいたところでございます。こうした森林の多面的な恵み、これを県民、そして全国民が将来にわたって享受できるよう、健全で活力のある森林づくりに取り組んでいく必要があると考えているところでございます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)以上のこととかかわって、次に、TPP合意の内容の林業への影響について質問をいたします。  農水省が策定した2011年度からの森林・林業再生プランでは、2020年までに木材自給率を50%以上に引き上げるとしています。しかし、TPP協定の内容はこれに逆行しています。  林産物の関税は1960年代から段階的に低下し、丸太や製材の一部はゼロになり、合板も大きく引き下げられ、安価な輸入材が大量に入ってきました。そのため、1960年代に4,000万立米を超えていた国産材供給量は、2002年には1,600万立米にまで落ち込みました。しかし、近年は、先ほど知事も県内の増加をおっしゃいましたように、加工技術の向上で合板の国内生産量がふえ、価格面でも輸入材に対抗できるようになったことから、2014年の国産材供給量は2,365万立米に回復、木材自給率も最低時の18%から31.2%にまで今回復してきました。  ところが、こうした明るい兆しに水を差すのがTPPです。合板には現在最大10%の関税がかかっていますが、TPP発効時に半減、最長で16年目までに関税が撤廃されます。林業関係者は、今の日本の林業を実質的に支えているのは関税のある合板だ、関税がゼロになれば、林業全体が大打撃を受けると話しています。  TPPには主要な木材輸出国が参加しており、国産材の需要拡大を進めている合板や集成材の分野が大きな打撃を受けることは必至です。TPP合意の林業への影響について知事はどのように考えておられるか、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) TPP合意内容の林業への影響についてでございますが、国では、合板、製材品のいずれにおいても現在の関税率が既に10%以下であること、最長15年という長期間の関税撤廃期間とセーフティーガードが措置されたことにより、影響は限定的でありますものの、長期的には国産材の価格の下落も懸念されることから、生産性向上等の体質強化対策の検討が必要であるとされているところであります。  本県の林業におきましても、県産材につきましては、近年需要の増加が見られる合板を中心とした利用となっておりまして、今回の合板等の関税撤廃は、今後の県産材需給への影響が懸念されます。  こうした中、TPPに対しましては、本年3月に本県の実情を踏まえたTPPに係る滋賀県の対応方針を策定いたしまして、各部局連携のもとに総合的に対応しているところです。  林業分野におきましても、具体的には、地域材を低コストで安定的に生産するための間伐と路網整備に対する支援を初め、林業従事者の育成と確保および林業への新規参入や森林山村における起業、業を起こすことへの支援、また、地域材の利用拡大に向けたCLT──直交集成板などの新たな地域材利用の取り組みの推進などについて、関係者との連携を図りながら推進していくことといたしているところです。  今後、さらに積極的に情報の収集に努めながら、適時適切な対応に努めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)森林の所有者や林業従事者がそこに定住し、日本の国土に根差して仕事をしています。山から人がいなくなるということは、森林が荒れ果て、国土が崩壊することを意味すると思います。1970年から2010年の40年間に中山間地の集落が約1万集落が消滅をしております。こういう今の林業、中山間地の現状というのは非常に危機的で深刻な状況だと思います。  他方で、林業の可能性というものを見ますと、今、1960年代以降植えられた木が大きく育っています。たくさんの木が日本の有史で今一番木がたくさんあるというふうに言われているんですけども、そういう状況があります。また、合板技術の進歩もしています。それから、間伐材の有効利用も広がっています。こういう状況で、やはり先ほどおっしゃったような路網を整備し、製材工場をきちんと維持できれば、日本の木材は幾らでも使える、そういう状況が今広がっていると思います。  そういう点で、先ほど環境問題、おっしゃっていだきましたけども、国土の保全等、日本人が日本に住む上で欠かせないのがやはり森林だと思います。そのためには、TPPなどとは逆に、国境措置をきちっと確立して国内の林業の再生を図るということが非常に大事だと思います。私は、TPPについていろんなメリット、デメリットという話がありますけども、日本の国土を保全し命を守っていくという観点からすると、TPPのような方向に進むことは、全くこれは逆行しているというふうに思います。  そういう意味で、TPPはメリットもあるけどデメリットもあるという知事のお考えをぜひ改めていただきたいと思うんですけども、そこら辺のお考えはどうですか。 ◎知事(三日月大造) TPPについては、まだその全容が明らかになっていない面もありますが、また、議員のそういったお考え、しっかりと拝聴いたしますが、私は総じて言うと、メリットもあればデメリットもあるということだと存じます。ただ、おっしゃったように、そういった琵琶湖にとっても本県にとっても大切な、かつ、可能性をこれから持っているその森林、林業、こういったものをしっかりと育てる、もしくは支援をする、こういった施策は私は大変重要だと思っておりますので、今回の琵琶湖保全再生の取り組みの中でも、山の施策、林業の施策、これを充実させていこうということを申し上げているところでございますので、ぜひこの強化策を皆様の御協力もいただいて進めてまいりたいと存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)3番目の教育行政について質問をいたします。  青木教育長は、現場のことはできる限り先生に任せる、先生方に子供たちと向き合える時間を確保するための環境を整えることが私の責務だと思っているという趣旨の発言をされていますが、私はこの発言には全面的に賛同をするものです。聖職とも言われる先生の自主的な創意ある取り組みを保障し尊重する、教育行政はそれを支えるための環境整備に全力を挙げる、ここに教師と教育委員会の本来のあるべき姿があると思います。  問題は、言葉だけでなく、そのことが具体的に実行され、子供たちの成長を図っていくことになっているかどうかだと思います。  この問題意識から、施設整備と学力テストの問題について教育長に質問をいたします。県立学校について老朽化への対応、耐震補強、エアコン整備、トイレの洋式化などの今後の施設整備の方針をお尋ねしたいと思います。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えいたします。  まず、高等学校におきましては、学校再編に伴います施設整備に取り組みますほか、平成29年末の完了を目指しております耐震改修も進めているところであります。また、特別支援学校におきましては、生徒増対策として行っている校舎の増築工事を行います。加えて、今年度より公共施設の長寿命化等推進のための特別予算枠を活用し、県立学校の老朽化対策にもより一層取り組んでおるところでございます。  学校は子供たちが安心して過ごすことができ、学ぶ場としてふさわしい環境が確保されることが必要であると考えておりまして、こういった点を踏まえ、引き続き必要な施設、設備の整備を行ってまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)トイレの洋式化についてはどのようにお考えになっているか、お尋ねします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  今、議員御指摘のトイレの洋式化については、学校現場からもそういう要望があるというのは認識をしております。まずは、今申し上げましたように、計画的に進めておる工事、これをしっかりと完成するのが第一というふうに考えておりまして、今御指摘のトイレ等につきましては、そうしたことも踏まえて今後対応していくべきというふうに考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)私は前2回の定例会で、県立高校普通教室へのエアコン整備について一般質問で取り上げました。これには大きな反響がありましたが、このエアコンの問題というのは、単に施設整備だけの問題でなしに、滋賀県の教育行政の水準、あり方が現状のままでいいのかどうかということを鋭く問うものだと思います。  前教育長は、暑さへの対応は扇風機を基本とするというふうにおっしゃいましたが、教室へのエアコン設置率は近畿で最低です。エアコン設置はPTA負担とし、電気料金まで生徒から徴収する。今新築している校舎の教室にもエアコンを設置していないなど、まことにお粗末な事態、恥ずかしいことだと思います。このことについて青木教育長はどのような認識を持たれているのか、お伺いをします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  現在、県立高等学校のエアコンの整備率につきましては、全国平均を下回っている状況であることは認識をしております。子供たちの学ぶ環境を改善していくことは大きな使命であるというふうに考えております。そのため、教育長に就任以来、エアコンなども含めた県立高等学校の施設および設備をどうしていくか、この問題についてさまざまな課題を洗い出しながら、また、他県の取り組みなどにも学びながら議論をしているところでございます。  学校現場の意見あるいは他県での事例なども踏まえ、年度内に一定の方向性をお示しできるようにしたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)子育てするなら滋賀ということを再三知事はおっしゃいますけども、それに見合った教育環境の整備をぜひ抜本的にやっていただきたいというふうに要望したいと思います。  次に、全国学力テストについてお尋ねします。  全国学力テストは、回を重ねるごとに点数競争が激化しています。全国で教育委員会や校長などが、昨年の平均点を超えろ、全国の平均点より上にと教師をあおり、学力テストの過去の問題や類似問題を子供に繰り返しやらせています。4月の学力テストに備え、春休みの宿題に過去の問題をやらせる学校もあります。学力テストの点数を上げることが至上命令になることで、子供たちから学ぶ喜びを奪う弊害が大きくなっています。  そもそも短時間で正解を出すことを求める学力テストの結果にあらわれるのは、その教科で学習したことの一部にすぎません。学力を確かで豊かなものにするには、じっくり考えたり話し合ったりすることが大切で、学んだことを自分の生き方や地域の現状と結びつけて考えることも重要です。日本の教師たちはこれまでこうした授業をさまざまな工夫をしてきました。  ところが、子供に確かな学力をつけるための自主的に創意工夫した授業をする自由が、学力テストの点数アップが最優先される中で教師から奪われています。これは日本の教育にとって大きなマイナスです。学力テストの平均点が教育の最重要課題であるかのように扱われる風潮の蔓延も深刻であり、私は全国学力テストは廃止するべきだと思いますが、全国学力テストについての教育長の認識を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  全国学力・学習状況調査の目的は、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析して、見出した課題の改善を図ること、また、授業改善、学習習慣、生活習慣の確立に向けた働きかけなど、学校での児童生徒への指導の充実を図ることにあります。  これまでの調査から、小学校、中学校ともに、基礎的、基本的な知識の定着、また、難しい問題に対して粘り強く取り組むことに課題があると分析をしております。また、子供たちが授業ができる、わかるという実感を持ち意欲的に学ぶことができるようにしていくことが大切だとも考えております。  このように滋賀の子供たちの学力や学習状況の課題を把握し、改善していくための有効な手段というふうに考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)前教育長は、「学力テストの調査結果を真摯に受けとめ、その原因や改善点を分析し、県内の全ての教員に課題を共有してもらうとともに、教員がみずからの指導のあり方を問い直し、子供が意欲を持って取り組める質の高い授業を行うなど、教育全体のレベルを上げるため、市町教育委員会や学校と一体となって取り組んでまいりたい」と発言されておられました。  こういう教育行政における学力テスト重視の姿勢は、青木教育長の現場のことは先生に任せるという発言とは少し相いれないと思いますが、県の教育行政に学力テストをどのように位置づけられておられるのか、学力テスト最優先の教育行政になっていないのか、教育長の見解をお尋ねします。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  教育行政を進める上で、子供たちがこれから先、生きていく中で出会うさまざまな場面において、みずから主体的に判断できる力をつけていくことが重要だというふうに考えております。  そのため、学校においては全国学力・学習状況調査の結果も活用しながら、子供一人一人の学力や学習状況を把握し、課題の改善を図るとともに、それぞれの個性や能力を伸ばすことに努めていただいております。  県教育委員会といたしましては、市町教育委員会や学校と連携し、滋賀の子供たち一人一人の確かな学力を育むとともに、仲間との触れ合いや感動体験など、さまざまな経験を通じてこれからの社会に対応できる思考力、判断力を伸ばす取り組みも進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)それでは、次へ行きます。  18歳選挙権に伴って文科省の通知やこれに対応した愛媛県の対応が全国からかなり批判が起こっております。  そこで、青木教育長は、高校生の校外での政治活動について事前届け出は求めないとし、選挙権を与えたということは政治活動に接することもあり得る、一人一人の高校生に主権者として自覚を持ってもらい対応していくものであって、あえて届け出は必要ないと判断したとされています。これは正当な判断だと思います。  私は18歳選挙権と高校生の政治活動の自由の問題を考える上で一番大切なことは、政治活動の自由は全ての国民にあるということだと思います。憲法21条は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障するとしています。加えて、憲法第16条は、何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けないとしています。  憲法は、赤ちゃんからお年寄りまで全ての国民に政治活動の自由を保障しています。校長といえども、憲法上の基本的人権から発生する政治活動の自由を制限することはできないと思います。高校生の政治活動の自由について、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。
     選挙年齢が18歳以上へ引き下げられたことに伴い、高等学校等の生徒が選挙権を与えられた主権者としての自覚を持って、国家、社会の形成に主体的に参加していくこと、また、若い人々の意見が政治に反映されることが一層期待されているところでございます。  こうした趣旨を踏まえ、本県では、高校生の政治活動について、特に放課後や休日等に学校の校外で行われる選挙運動や政治的活動については、家庭の理解のもと、生徒が判断して行うものであり、各学校に対して届け出制をとるよう求めないこととしたところでございます。  今後も生徒に公職選挙法などの理解を図り、参政権の行使には責任が伴うことを自覚させ、主体的にみずから判断して行動できる力を育むよう指導してまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)指導も大事ですけども、政治活動の自由を最大限保障するということに配慮をしていただきたいというふうに思います。  それでは、最後、4つ目、ツキノワグマ対策について質問をいたします。  秋田県で熊に襲われたと見られる死亡事故が連続しています。5月21、22日に相次いで男性の遺体が見つかり、5月30日に男性の遺体、6月10日に女性の遺体が発見されました。いずれもタケノコや山菜とりに行って熊に襲われたとみられています。私は、最初の2人の犠牲者が出た後の県や市の対応に問題がなかったのか問われていると思います。  県内でも、5月には長浜市で6件、高島市で4件の熊出没目撃情報があったと言われています。  日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長は、これからがもっと危険になると言い切っています。昨年はドングリが空前の大豊作で、妊娠した熊の出産が相次ぎ、ことしは多くの熊が人里におりてくると警鐘を鳴らしています。ドングリが昨年の大豊作から一転ことしは大凶作が見込まれることから、餌を探して熊が行動範囲を広げ、秋は親子熊の出没が多くなり、母熊は子熊を守ろうとして人を襲うため、人身事故に厳重な警戒が必要だと専門家は指摘をしています。  本県では、第一種特定鳥獣保護計画が策定され、ツキノワグマを手厚く保護する方針がとられています。しかし、熊出没地域では、住民は大きな不安を抱えており、これまでも人身被害が出ています。  そこで、ツキノワグマ出没時の対応マニュアルはどのようなものなのか、琵琶湖環境部長にお尋ねします。 ◎琵琶湖環境部長(村上浩世) (登壇)お答えいたします。  ツキノワグマ出没時の対応マニュアルについてですが、本県では、熊の出没そのものを減少させ、人身事故を減少させること、および出没した際にも適切な対応により被害を未然に防ぐことの大きく2つを目的に平成20年に策定したところでございます。  具体的な内容としては、第一に、熊の出没が予想される地域における事前の対応として、熊の出没を誘発するごみや柿の実といった誘因物の除去、囲い込みや、やぶの刈り払いなどの侵入経路の除去、熊の生息環境のモニタリングなどについて定めております。第二に、出没時の対応といたしまして、出没箇所に応じて緊急対応、一般対応、予防対応のレベル分けを行い、情報収集や周辺住民への注意喚起、パトロールの実施、有害鳥獣捕獲など、それぞれのレベルに応じた対応を定めております。  このマニュアルにつきましては、制定以来、毎年市町担当者などへの説明会を開催して周知し、適切な運用がなされるよう努めております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)熊による人身被害は長浜市で最も多く発生しており、平成22年度3件、平成26年度も3件起こっています。また、被害には、人身への直接被害だけでなく、夕刻から外に出られない、子供が外で遊べない状況が長期間続くなど、地域全体に及ぶ精神的被害も深刻です。  平成26年度の3件の人身被害はいずれも出会い頭の事故として扱われていますが、当時、集落周辺には親子熊などが何組も出没しており、事故の発生は十分予測される状況だったとみられています。熊は集落周辺に姿をあらわすだけでも大きな脅威になるのに、集落から500メートル以遠の出没に対しては、住民の安全を守る対策は不十分だと思われます。  滋賀県は猟友会に対して熊の狩猟の自粛を要請していますが、同じ白山・奥美濃地域の福井県や岐阜県では狩猟の自粛は行われていません。滋賀県は熊の保護が最優先になっている感があります。  集落周辺への熊出没時の対策を強化するなど、人身への被害をもたらさない取り組みの強化が必要だと考えますが、琵琶湖環境部長の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(村上浩世) お答えいたします。  熊による人身被害をもたらさない取り組みについてですが、県ではここ数年、熊による人身被害が発生していることを重く受けとめ、関係者の連携強化を目的として、県、市、警察その他関係者による対策会議を行ってきております。  今年度は年度当初から動き出し、4月7日には湖北地域で、5月9日には高島地域でそれぞれ開催するとともに、さらに今年度から新たに鈴鹿山系の中部地域でも同様の会議を5月24日に発足させ、過去の出没事例を踏まえた具体的な対応策などについて協議し、情報交換を行ったところでございます。  これらの対策会議の結果も踏まえ、各市町等におきましては、地域住民の安全確保に向けて、熊を引き寄せたり熊に遭遇しないための啓発や注意看板の設置、パトロールなどに取り組んでおり、熊の出没時には夜間休日にも連絡がとり合える体制を整えております。  県といたしましては、今後とも対策会議などを通じた関係者の連携強化を進めるとともに、専門家の意見も踏まえまして、特に未然防止に向けた普及啓発に力を入れて取り組みたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)この間、知事も2回にわたって長浜市の北のほうの杉野のほうへ滞在されていましたと思うんですけども、ああいうところでは高齢者のひとり暮らしの家庭が物すごくたくさんあります。そういうところで集落の近くに熊が出たときの恐怖感というのは相当なものがありまして、こういう地域住民の切実なこの実情というのをもっとしっかりつかんで対応をお願いしたいと思います。ともすると県は保護が重点で、市町と警察にお任せするというふうな面が強いのではないかというふうに私は見ているんですけども。  そこで、もっと熊の出没地域に住む人の声を聞き、その身になった対策をとることが必要なんですけども、現在の滋賀県のツキノワグマ第一種特定鳥獣保護計画は来年度までとなっています。次の計画の策定に際しては、専門家の意見を聞くだけでなく、審議会に熊出没地域の住民の代表を入れるなど、地元の住民の意見を反映した計画づくりが行われるべきだと思いますが、琵琶湖環境部長の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(村上浩世) お答えいたします。  地元の住民の方の意見を反映した計画づくりについてですが、議員御指摘のとおり、現在のツキノワグマ第一種特定鳥獣保護計画の期間は来年度末までとなっておりますので、来年度の初めから次期計画策定に向けた検討を開始する予定でございます。  次期計画につきましては、環境審議会に諮問をし審議を行っていただきますが、あらかじめ滋賀県ツキノワグマ保護管理計画検討会におきまして、計画の具体的内容について意見交換することとしております。  お尋ねの地域の方々の御意見につきましては、この検討会の委員にこれまでの学識経験者や猟友会といった専門家の方々のほか、地元の関係者を加えることも検討するとともに、住民の方々の意見を聞く機会を設けることによりまして、地元住民の意見を踏まえた計画づくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)ぜひそういう取り組みをしていただきたいと思います。  最後に、知事にできたら答弁をお願いしたいんですけども、秋田のような悲惨な事故を起こさないために万全の対策をとってほしいと思うんです。(発言する者あり)なってないんですけど、答えられたら答えてください。 ○議長(野田藤雄) 杉本議員、答弁者…… ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)結構です、琵環部長で結構です。  人の命か熊の保護かどっちが大事かと聞いたら、恐らく100%人の命が大事だと答えられると思うんです。しかし、実際の県のツキノワグマへの対応は自然環境保全課が所管し、熊の保護管理が最優先であり、熊被害防止に対する専門の部署もなければ予算もないと、ほとんどないという状況だと思います。私はここを改善を図ってほしいと思うんですけども、答弁をお願いします。 ◎琵琶湖環境部長(村上浩世) 議員お尋ねの人の命か熊の命かという部分につきましては、現在の滋賀県の取り扱いではレッドデータブックにおきましてツキノワグマを希少種に位置づけており、保護を前提に許可基準を定めているという現況にございます。熊を保護すべき対象にしていることに加え、熊を集落に近づけない、あるいは熊に近づかない対応が重要であるとの考え方に基づきまして、滋賀県の第11次鳥獣保護管理計画におけるツキノワグマ捕獲の許可基準についても、これに沿った考え方をしておるところでございます。  ただ、今後の滋賀県の鳥獣保護管理事業計画やツキノワグマ第一種特定鳥獣保護計画の改定に当たりましては、さきの住民の方々の意見も踏まえながら、または生息頭数の推移や人身被害の実情に鑑みまして、捕獲要件のあり方などの整理も議論していきたいというふうに考えております。  これを扱う部署のあり方につきましては、どこが適当なのかということは引き続き研究してまいりたいと思いますが、何よりも大切なのは住民の方の意見を伺った施策づくりだというふうに思いますので、計画づくりの中でしっかり反映していければというふうに存じます。 ◆12番(杉本敏隆議員) (登壇)日本のように狭い国土の中で熊が人間と隣り合って生きているというケースは世界でも珍しいと言われております。そういう中で、秋田であのような深刻な事件が起きました。かつては大正時代に三毛別ヒグマ事件というとんでもない事件も起こっております。  そういう点では、熊の保護は非常に大事なんですけども、いざ集落の近くに出たときにはしっかりと人身に被害を及ぼさないという対策をとっていただき、県庁の中に専門の部署をきっちり位置づけていただきたいということを再度お願いしまして、質問を終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、12番杉本敏隆議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時23分 休憩    ────────────────   午後1時29分 開議 ○議長(野田藤雄) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、8番角田航也議員の発言を許します。 ◆8番(角田航也議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団の角田航也です。通告に従いまして、軽度の知的障害者に対する支援について、知事ならびに健康医療福祉部長に質問いたします。  滋賀県では、すべての人が生き生きと活躍し、居場所と出番を実感できる共生社会をめざして滋賀県障害者プランが策定され、昨年3月から実施されております。そして、みんなでいっしょに働き、みんなとまちで生きるという理念のもと、地域でともに暮らし、ともに学び、ともに働き、ともに活動することの実現という基本目標を掲げ、障害福祉施策の充実に取り組んでこられ、障害のある方の地域での暮らしを支える環境は、トータルで見ると改善されてきているように思われます。  もっとも、障害のある方それぞれのニーズに合わせた暮らしを実現できる社会へはまだ道半ばではないかと思います。障害のある人もない人も誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向け多くの課題が残る中、今回は軽度の知的障害者に対する支援について問題を提起し、県の障害福祉施策に反映していただきたく、質問をいたします。  まず、知事に、軽度の知的障害者に対する支援について、現状の認識とその方向性についてお伺いいたします。  さて、軽度の知的障害者とは、日本ではIQ50から70の人たちを軽度の知的障害があるといい、アメリカの精神遅滞学会によると、日常生活に差し支えないほどに身辺の事項を処理できる。抽象的思考は困難としています。つまり、毎日の繰り返しで習慣化されている食事、排せつ、洗濯、衣類の着脱、簡単な会話、意思の伝達等はでき、直接介護は不要な方たちです。  しかし、例えば気候や季節、場所に合わせて衣類を着たり、経済的な状況を考えて買い物をしたり、栄養や健康を考えて食事をとったり、調理し食後の後片づけをするなど、少しでも習慣化されたことから外れると、どうすべきか判断するのが難しくなります。そのほか、公的な郵便物やセールスへの対応、自分の病気やけがへの対応ができなかったりします。加えて、軽度の知的障害者の方それぞれができること、できがたいことが千差万別です。  こうした軽度の知的障害者は、療育手帳を交付されている人だけで、平成27年3月末現在、県内に4,320人いらっしゃいます。また、特別支援学校在籍者のうち、知的障害者の数は増加し続けており、平成17年から平成26年の10年間で1.9倍に、特別支援学級在籍者のうちの知的障害者の数も2.13倍に増加の一途をたどっています。ほかの障害者数が横ばいで推移している一方で、知的障害のある児童生徒数の増加は顕著です。児童生徒数が増加するということは、卒業生も当然ふえ、進路先のニーズも多様化します。  そこで、卒業生の就職先や福祉施設をふやしたり、障害者それぞれの障害の程度や能力に合わせたきめ細やかな就労支援、生活支援など、自立をサポートする必要が今後ますます必要になってくると思われます。  かつて滋賀県には、信楽通勤寮という軽度知的障害者の社会的自立を目指した県立の施設がありました。ここでは、2年の入寮中に企業で働きながら自分の給料で生活を組み立て、楽しむ方法と場所を提供する中で、自立心を学び卒寮していました。卒寮後も、通勤寮の職員が卒寮生の生活や就労を一体的に受けとめ、本人はもちろん家族も安心して暮らすことができました。  しかし、10年前、障害者自立支援法が施行され、通勤寮制度は廃止となり、新たに障害者働き・暮らし応援センターが障害のある人の働くこと、暮らすことを一体的にサポートする専門機関として、7つの福祉圏域ごとに設置されました。そして、障害のある人の就労ニーズと企業の雇用ニーズを結びつける取り組みを進めるとともに、実習の実施、職場の定着、就労に伴う生活のサポート等を関係機関と連携して実施し、障害のある人全ての総合支援機関としてその重要な役割を果たしてきています。  そこで、2つ目の質問ですが、健康医療福祉部長にお尋ねします。  なぜ実績もあり評価も高かった通勤寮が廃止されたのでしょうか。法律が変わったこと以外に継続が難しくなった理由はどこにあったとお考えでしょうか。通勤寮に対する廃止当時の県の評価はどのようなものだったのかもあわせてお伺いいたします。  また、現在の働き・暮らし応援センターの取り組み内容およびその利用状況とその効果、さらには、課題があるとすればどこにあるかについてお尋ねします。そして、信楽通勤寮にあった機能、すなわち職員が寝食をともにし、寮生一人一人を一体的に理解し寄り添い、卒業後も寮生との信頼関係が継続し、本人と親が安心できる機能が受け継がれているのかどうかもお伺いいたします。  先日、軽度の知的障害者でかつて信楽通勤寮に入寮していた方の御家族や信楽通勤寮で職員として働かれていた方にお出会いし、通勤寮のすばらしさ、必要性についてお話をお聞きしました。  通勤寮は、2年間の在寮中に、親に依存せずに地域生活を楽しく豊かに送るために、給料はどう使うか、何ができて何ができないか、誰と楽しむか、誰に相談するかなどを主体的に自分で考える場を提供する中で、職員との信頼関係を築いた上で地域社会に送り込み、卒寮後も困ったときには24時間365日、寮がいつでも受けとめることが可能でした。  また、寮には調理実習や健康管理、男女交際などについての学習会があり、社会生活に必要な技術や知識が身につき、ソフトボール大会やキャンプ、運動会、旅行といったレクリエーションを通してコミュニケーション能力の向上や寮生同士切磋琢磨する中で互いに助け合い、成長し、良好な人間関係を築くこともできました。  さらに、通勤寮では職員の専門性を養うこともできました。つまり、職員は生活をともにする中で、知的障害のある人は特に生活全般からの情報が支援する上で必要であることを学び、彼らの言葉と思いを知り、彼らが理解できる言葉で話すことを習得することもできます。そして、職員集団としてノウハウが蓄積され、先輩から後輩へとそれらが継承されることも可能でした。こうして本人の全体を把握している職員集団が間にいて顔が見えることで、本人の就職先企業や家族も安心することができました。  他方で、働き・暮らし応援センターも就労支援、生活支援ともに専門のスタッフがおられ、手厚い支援や地域とのつながりが考慮されていますが、宿泊型自立訓練施設が併設されていませんので、障害者の生活全般を把握することは難しいと思われます。加えて、ふえ続ける登録者と相談件数にセンターの職員の負担は増大する一方と聞いております。それゆえ、人材育成やスキルアップする余裕もなく、困難事例に対応するのが難しく、ノウハウが継承されにくいのが現状です。  また、重度、軽度問わず、身体障害、精神障害など全ての障害者を対象にしているため、一見障害者に見えず、本人も自分が障害者であることを認めない場合が多い軽度の知的障害者は助けを求めず、その結果、放置されるおそれがあります。さらに、軽度の知的障害者が勤務時間外に相談したくても、センターの相談時間は原則平日の日中に限られ、勤務中のため相談できず、1人で抱え込むことになりかねません。加えて、センターの職員は地域の幾つかの社会福祉法人などから派遣されて配属されているため、担当職員がかわる可能性があり、本人はもちろん、家族や仕事先との信頼関係の再構築が必要となるデメリットがあります。  以上のことから、働き・暮らし応援センターは評価され定着しておりますが、軽度の知的障害者の自立支援の点では通勤寮にはかわれないように思われます。  そこで、提案ですが、もう一度通勤寮のような中間施設をつくることはできないでしょうか。財政的に無理でしたら、民間が運営しやすくなるよう、今の国の報酬単位に県が上乗せしたり、定員に満たなくても、あるいは3年を超えて在籍しても報酬単位が減額されない仕組みに県独自でするなど、民間で宿泊型自立訓練施設が適切な数のスタッフを確保しながら運営できる仕組みがつくれないでしょうか。  グループホームが代替施設になると言われますが、少人数のため、通勤寮のような仲間同士のつながりや幅広い人間関係の構築ができにくいデメリットのほか、二十まで障害年金が支給されない、学校を出たばかりの18、19歳の利用者にとって決して安くないお金がかかるという短所があります。せめて18、19歳の間だけでも通勤寮の費用並みになるように家賃補助がないと、希望すれば誰でも入れる施設にはなり得ないと考えます。  先日訪れました東京の葛飾区には、葛飾通勤寮という通勤寮が40年前から現在もありまして、今の制度上は宿泊型自立訓練施設ではありますが、社会福祉法人が運営し、東京都が定員に対して補助、つまり、あきがあっても補助するなど、上乗せ補助をしています。来年には新しく建てかえられる予定ですが、国が2分の1、都が8分の3を補助し、残りの8分の1が法人の負担とのことです。東京都と本県、財政規模は違いますが、知的障害者福祉発祥の地の名に恥じぬよう、さらに積極的に取り組むべきではないでしょうか。  そこで、3つ目の質問ですが、軽度の知的障害者の通勤寮あるいはそれにかわる宿泊型自立訓練施設の設置または運営の補助、補助の仕組みの県独自の改善など、通勤寮がかつて担っていた機能、サービスを復活させ、あるいは復活しやすいような仕組みにすべきと考えますが、健康医療福祉部長の御所見を伺います。 ○議長(野田藤雄) 8番角田航也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)角田議員、どうぞよろしくお願いいたします。  軽度知的障害者に対する支援に係る現状認識とその方向性について、私には1問いただきました。  軽度知的障害者に対する支援の大きな柱は、働くことへの支援と生活の土台となる住まいの場の確保と考えております。  まず、働くことへの支援の現状でございますが、障害者働き・暮らし応援センターによる就職・職場定着支援や生活支援を初めとする取り組みや企業での障害理解促進などにより、年々障害者雇用は拡大をしてきております。また、住まいの場の確保につきましては、助成制度の活用により、年々グループホームが増加しており、働くこと、住まいの場に係る環境は確実に前進していると考えております。  一方で、私自身もことし3月に知的障害のある方の集まりに参加させていただき、グループホームをふやしてほしい、正社員として雇用してほしい、私たちのできないところを助けてほしいなど、さまざまなお話を聞かせていただき、障害のある人のニーズに合った暮らしの実現に向けて、なお一層施策の充実を図る必要があると認識しているところです。  また、御家族の方々からも、日常生活の中で困ったことがあったときに、相談機関が幾つもある中でどこに相談すればよいかわからないので、1カ所でどんな相談でも対応してもらえると安心だといったお声も聞いているところです。  このため、一般就労の促進、職場定着のための支援やグループホームのさらなる整備に取り組むとともに、障害者自立支援協議会を中心に、障害者働き・暮らし応援センターやグループホーム、相談支援事業所など、関係機関の一層の連携強化、さらには、企業や地域の皆さんも巻き込みながら切れ目ない支援を行うことで、地域で働き、暮らし、安心した生活が送れるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)軽度知的障害者に対する支援に関する2点の御質問にお答えをいたします。  1点目の通勤寮の廃止理由と当時の評価、障害者働き・暮らし応援センターの利用状況やその取り組み内容、効果と課題および通勤寮機能の継承についてのうち、まず、通勤寮の廃止理由と当時の評価でございます。  平成16年度の県立障害福祉施設のあり方に関する検討委員会におきまして、通勤寮の持つ住まいの場を提供し、自立に必要な生活訓練等を含む就労支援を行う機能は必要であると評価されていたところであります。  一方で、立地場所、当時整備の始まった働き・暮らし応援センターやグループホームとの役割分担、さらには、障害者自立支援法で通勤寮の制度が廃止されることもありまして、通勤寮にかわり、より小規模なグループホームの形態により、県内各地域で自立生活訓練を行う必要があるとされたところであります。  これらを踏まえまして、本県では障害者自立支援法の施行に際し、地域のグループホームに自立生活訓練を行うための支援員を配置した自立生活支援ホームという制度を創設し、障害者働き・暮らし応援センターとの連携を強化することによりまして、通勤寮の機能を新たな形で地域へ拡充させることとしたところであります。  次に、障害者働き・暮らし応援センターの利用状況とその取り組み内容、効果と課題についてでありますが、障害者働き・暮らし応援センターの平成27年度末時点の登録者は4,859名、相談件数は年間7万5,000件を超える現状となっております。  具体的な取り組み内容は、障害のある人に対する就職および職場定着に向けた支援、就職や職場定着を図る上でのかなめとなる生活支援、企業に対する職務面での工夫や環境改善などの助言、新たな職場の開拓などでありまして、障害者の就労と生活の両面から一体的な支援をしているところでございます。  また、この事業により、ここ数年、年間約400人の方が新たに就職に結びつくとともに、支援を受けながら働き続けている人も平成27年度で2,294人と年々増加しておりまして、障害のある人の就職や職場定着に大きな成果を上げていると認識しております。  一方で、相談件数の増加によりまして、きめ細かな支援が困難になることや、相談内容の複雑化への対応などの課題があるものと認識をしております。  また、御質問にありました信楽通勤寮にあった機能、特に職員が寝食をともにし、寮生一人一人を一体的に理解し寄り添うといった部分につきましては、担当職員の負担等の問題もありまして、こうした濃密なかかわりは、今は難しくなっていると認識をしております。  次に、信楽通勤寮の機能の継承についてであります。  通勤寮の果たしてきた住まいの場での自立生活訓練については自立生活支援ホームに、また、就労支援や卒寮後のアフターケア機能については県内各地の障害者働き・暮らし応援センターや相談支援事業所にそれぞれ引き継がれていると考えております。県としては、今年度から障害者働き・暮らし応援センターにおいて生活支援に当たる職員を常勤2名体制とするため、県単独の支援を拡充し、相談支援体制の強化を図ったところでありまして、さらなる機能強化に努めているところでございます。  2点目の通勤寮や宿泊型自立訓練施設の設置や運営に対する補助など、通勤寮の担っていた機能の復活しやすい仕組みについてであります。  障害者が地域で暮らせる社会の実現を目指して、平成18年に障害者自立支援法が施行されました。障害種別ごとのサービスが3障害で一元化をされまして、日中活動の支援と夜間の居住支援を分離する機能別のサービスへ再編され、また、雇用施策との連携強化によりまして、就労支援の抜本的強化が行われたところでございます。  こうした中で、本県では、障害者が地域で働き、暮らし、安心した生活ができるよう、障害者働き・暮らし応援センターや自立生活支援ホームといった県独自の制度を創設いたしますとともに、障害者自立支援協議会を中心とした専門的なチーム支援を行うなど取り組んでまいりました。その結果、従来の通勤寮が担っていた機能を時代の変化や地域のニーズに沿ったものとして継承し、一歩一歩着実に発展させてきたものと認識をいたしております。  また、今回の障害者総合支援法の改正では、ひとり暮らしを始める障害者を巡回訪問する自立生活援助サービスが創設をされますことから、自立生活支援ホームなどのサービスと組み合わせまして、支援のさらなる充実強化が見込めると思っております。  今回、議員から信楽通勤寮が担っていた機能の復活についてさまざまな御提案をいただきました。特に御家族が希望されている御本人と支援者の信頼関係に基づく支援についてはサービス提供の基本でありますことから、当事者団体や関係者の御意見を伺いながら、滋賀県障害者自立支援協議会においても議論を深めてまいりたいと考えております。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)軽度知的障害者のことをアメリカでは忘れられた人々と呼ばれています。彼らは現行の福祉施策では対象とならず、生活基盤を整えるために就業を期待しても、企業で働くには多くの困難がありますが、それらに対する有効な施策がなされていないからです。  このことは日本にも当てはまると思います。一般的に彼らは学校卒業後も親のもとで生活することにより、問題は解決し、本人にとっても一番幸せなことだと見られています。しかし、外からは本質が見えないだけで、本人と家族の将来に大きな影を落としていることが周辺から忘れられているのです。当初は学校の紹介などで企業に就職しても長続きせず、就職、離職が何度も繰り返されると、自分はだめなんだと自信をなくし家に閉じこもる、あるいは終日街を徘回しているうちに反社会的なことに巻き込まれる、そのような事態になって初めてマスコミを通じて話題になりますが、多くの場合、一家族の問題とみなされ、有効な解決策を見出されることなく終わってしまいます。  こうした事態を避けるためにも、軽度知的障害者の自立した生活には、生活の場と地域社会を結ぶ中間施設が必要と考えます。そして、そこには彼らの人生に寄り添い、一定期間生活をともにすることで相互の信頼関係を築くことができる職員が欠かせません。それが整えられることによって初めて個々の人生という視点からともに考えることができるのであって、問題が起こったとき、彼らのことをよく知らない人たちが集まり、彼ら抜きで話し合って結論を出しても、彼らを納得させることはできないと思います。  確かに通勤寮のような施設をつくるには一時的に大きな費用がかかり、運営にもコストがかかります。しかし、長い目で見れば、一人でも多くの軽度の知的障害者を自立させ就労してもらうことで、いずれ消費者にも納税者にもなり、生活保護などの社会保障費も抑えられ、本人の幸せ、家族の幸せとともに一石何鳥にもなり得ます。  また、働き・暮らし応援センタープラス自立生活支援ホームとしてのグループホームでかつての通勤寮の機能が継承されていると言われるかもしれませんが、かつての信楽通勤寮の寮生の父兄の皆さんや職員の方々が継承について否定的である事実、東京などほかの地域に通勤寮が今も残されているという事実から見ても、通勤寮ならではの長所が依然としてあることの証拠だと考えます。
     これらのことを踏まえまして、もう一度、健康医療福祉部長に、通勤寮あるいはそれにかわる中間施設の設置等についての御所見を伺います。また、知事に、軽度の知的障害者に対する支援のあり方について再度お伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 軽度知的障害に対する支援のあり方でございます。  先ほどもお答えいたしましたとおり、御本人の方々からできないところを助けてほしいというお気持ちであるとか、自立したいんだという熱い思い、こういったものを伺うとともに、御家族からは、いつでも何でも相談できるところが欲しいと、人が欲しいというようなお話も伺ったところであります。  さまざまな課題もあると思うんですけども、これまで働き・暮らし応援センターや相談支援事業所、グループホームなど就労や生活を支援する仕組みや企業の理解など、一歩ずつおかげさまで着実に前進してきたところもあるんだと思います。こうしたことを踏まえながら、私としては、現行の制度の活用でできることは何なのか、また、その上で何があれば皆さんのより安心できる制度や生活環境となるのか、当事者の皆さんの御意見も踏まえ、議論を深めていきたいと考えております。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  先ほども答弁しましたように、通勤寮の機能につきましては、時代の変化や地域のニーズに合わせて自立生活支援ホームの創設あるいは障害者働き・暮らし応援センターの整備によりまして継承、発展をしてきたものと認識をしているところでございます。一方で、かつての信楽通勤寮の寮生の御家族あるいは職員の方の思いも議員のほうからるる伺ったところでございます。  特に継続した職員による支援、それから、今行われておりますような複数の支援機関が連携したこうした支援、それぞれ長所と短所はあるものというふうに思っております。1対1あるいは1カ所で本人に対する支援を行うというやり方については、例えば第三者の目が入らないといったようなことで支援のあり方などのチェック機能が働かないということ、あるいは、本人がその支援者に対して不信感、拒否感を持ったとしても、それをどこに相談すればよいかわからない、適時の相談ができないといった問題、場合によっては虐待の発見などがおくれるというような短所もありますが、複数機関が連携して支援する場合はこういったことを防げるという点がメリットになります。  また、そうした1対1の支援という場合には、退職あるいは異動により支援者がかわるということになりますし、職員が支援する上であらゆることに精通していないと、こうした支援というのがその人の全人的な生活に対する支援というのは難しいということで、職員の負担感というのは相当大きくなるといったような問題もあるかと思います。  こうしたことを踏まえますと、それぞれの分野での専門性を持った関係機関によるチーム支援というのは有効なものと考えるところでございまして、チームでの支援に当たり本人や御家族からの相談の中心者が誰なのかという決定、あるいはその中心者によるチーム全体の調整、チームメンバー間の随時の情報共有、あるいは専門性の向上や支援能力の向上といったようなことが重要になるというふうなことは課題として考えているところでございます。  いずれにいたしましても、県といたしましては、障害者が地域で働き、暮らし、安心して生活が送れるよう、各市町におけるニーズを把握し計画を定めてさまざまな施策の充実に努めているところでございまして、障害のある人が関係機関との緊密な連携のもとに他の支援策とのつながりなど、個々の障害者の特性に応じた適切な支援が行われるような仕組みとしていくために、議員御提案の通勤寮やそれにかわる中間施設に対するニーズ、あるいはその支援の内容についても、今後当事者団体や関係者の御意見を伺いながら議論をしてまいりたいと考えております。 ◆8番(角田航也議員) (登壇)ありがとうございます。  どうか軽度の知的障害者の方のことも忘れないでいただきたいと思います。そして、障害のある方それぞれのニーズに合わせた暮らしを実現できる社会、その人がその人らしく生きる選択ができる社会に向けお取り組みいただきますようお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、8番角田航也議員の質問を終了いたします。  次に、30番小寺裕雄議員の発言を許します。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇、拍手)私の好きなというよりは、経営者が尊敬する経営者の1人として日本電産の永守さんがよく挙げられます。小型モーターの会社を立ち上げられ、経営不振の会社を買収しては優良企業に再建することを繰り返しながら今日の地位を築き上げられた立志伝中の人物です。スピードスケートで有名な三協精機もグループ会社の一つで、オリンピックでメダルをとった社員にポケットマネーで多額の報奨金を出されていた親会社の社長さんと言えば、何となく思い出される方もおられるのではないでしょうか。  その永守さんがインタビューなどで成功の秘訣は何ですかと問われると、「成功するまで諦めずにやり遂げることやな」と言われたそうです。  同じ趣旨のことは、名経営者と言われる人たちからよく伺いますが、アベノミクスもそうした観点からすると、諦めずにやり遂げるまで徹底している真っ最中ということになります。  昨日、御批判をいただいたので、反論するわけではありませんが、デフレからインフレへ2%の物価上昇を目指してGDPを600兆円に押し上げるという目標や政策の方向性は、私は決して間違っていないと思います。実際に株価が上昇し、企業収益も過去最高となり、税収もふえています。有効求人倍率などの経済指標を見ても、一定の成果が上がっているのは間違いがありません。  しかし、だからといって、何もかもが思いどおりにうまくいっているかといえば、そうでもありません。どんなものにも光と影は必ず存在します。例えば、確かに企業の利益は物すごく出ていますが、それは売り上げが伸びたことが原因ではなく、多くはコストを抑えたからなのです。金利は下がり、原油価格など調達コストが下がった恩恵が出ているのです。  GDPを2%成長させて600兆円にするためには、利益もさることながら、企業の売り上げを伸ばし、成長を加速させなければ達成はできません。売り上げを伸ばし、設備投資や部品の調達をふやし、投資を拡大させて、金融機関からの借り入れもふえるような流れをつくる必要があります。企業の内部留保に対して御批判をいただきましたが、今申し上げた流れができれば内部留保は投資へと向かい、収益が伸びれば賃金もさらに上昇に向かいます。雇用も拡大に向かい、税収も増加します。  非正規職員の割合が高いと御批判をいただきましたが、現在、最低賃金も段階的に引き上げているように、働き方にかかわらず賃金格差を是正していけば、ある程度解決できるのではないでしょうか。  また、投資減税などを行い、世界の企業が日本国内で生産しやすい環境を整え、雇用をさらに拡大させる手法もあります。そのためには、第3の矢、成長戦略で言われる民間需要を喚起する大胆な規制緩和や、成長著しいアジアや世界のマーケットとの壁をなくして日本の製品や農産物などがどんどん輸出できる仕組み、それがTPPに当たると言えるのでしょうが、それらを実行することが求められています。そして、日本企業がグローバルに戦えるように労働改革を推し進め、法人税率をさらに引き下げる必要もあります。加えて、AI──人工知能などの次の成長分野に投資を促し、地方創生で地方もそれぞれの特性に合わせた手法により成長し、とにかくやれることは成功するまで徹底してやるということが大事なのではないでしょうか。  整備新幹線についても、安倍総理は地方創生回廊を目指すと国会閉会後の記者会見でお話をされましたので、今定例会議で北陸新幹線敦賀以西ルートに関する諸課題について、以下、一問一答方式で知事ならびに土木交通部長に質問をさせていただきます。  現在、与党の検討委員会においては、敦賀から大阪に至るルートが検討されており、去る4月28日には中間取りまとめがなされました。そして、国土交通省により詳細調査を経た上で、年内にはルートを決定する方針であると伺っています。(資料掲示)これを示さないと皆さんのところに机上配付ができませんので。  ルートを決定するに当たっては、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込みなどのデータを参考にされるとのことですが、私はやはり各ルートが実際一体幾らかかるのかといったことが重要であると考えます。  米原ルートについては、関西広域連合の試算があり、総延長44キロで3,600億円という数字が一応出ています。他の2ルートを仮に北陸新幹線の金沢−敦賀間の実績113キロ、1兆1,600億円相当ですが、これをキロ当たり約100億円をもとに考えてみますと、小浜−京都ルートでは敦賀−京都間で約90キロで9,000億円、小浜−舞鶴−京都ルートでは、敦賀−京都間で約138キロで1兆3,800億円となります。  整備新幹線である北陸新幹線の敦賀以西のルートを早期に開業させるためには、各ルートの建設費がどれぐらいかかり、その財源をどうするのかといったことが大きな課題であると考えますが、この問題についてどのように考えておられるのか、土木交通部長にお尋ねをいたします。 ○議長(野田藤雄) 30番小寺裕雄議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)北陸新幹線の敦賀以西ルートの建設費と財源等の課題についての考え方でございますが、絞り込みされた3ルートの概算事業費、建設費でございますが、これにつきましては、議員も御質問の中で申されましたように、国土交通省が現在詳細調査を実施中であり、今秋に予定される結果報告を待たざるを得ないと考えているところでございます。  財源につきましては、平成23年度に新規着工されました北陸新幹線金沢−敦賀間といったこの3区間に対し、将来にわたって得られる線路貸付料収入をも財源として充当しており、建設に必要な国の財源をどう確保するかが課題というふうに認識してございます。このため、早期着工、早期完成には、建設費が最も安価であると見込まれる米原ルートが有利であると考えらますことから、本県では米原ルートを進めているところでございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)もうすぐ国土交通省が出されるというので、それを待っていればよいということやと思うんですけど。  私が言いたかったのは、単純に今工事されているところをざっと100億円見積もりましたけれども、例えば京都ルートでいくと、山岳ルートで、非常に山深いところをあのルートですと真っすぐおりていますのでね。実は100億円で済むのか済まへんのか、あるいは、京都市内近辺まで来れば、いわゆる大深度と言われる東京都内を新幹線が走るような形でいかないといかんという事情もありますし、それから、埋蔵物の関係もありましょうし、実際駅舎が京都駅でどこに整備されるのかということを考えますと、当然地下深くと。たしか品川駅が2,000億円ぐらいかかったとかいうんですかね。何かごっつい金が要ったということを思いますと、控え目言うたこの9,000億円がさらに膨らむ。あるいは、これを大阪までつなげようとすると、とても敦賀−金沢間のルートと同じ金額で進めることはできないのではないかという懸念から、いわゆるそうした金額の比較をまずはしてみたかったということです。  それと、財源についてなんですけども、改めて私のほうから申し上げるのも何ですが、整備新幹線の財源については、いわゆる上下分離方式で、建設費用は国が3分の2で地元が3分の1と。その3分の1の負担は9割を地方債で起債ができて、その起債された分の約60%前後が交付税措置されるというふうになっています。1割が一般財源と。仮に米原ルートが3,600億円でJR負担分を差っ引いてわかりやすく2,400と1,200というふうに分けてしまいますと、その9割の1,080億円が起債、その6割が交付税措置ならば、大体430億円ぐらいが実質の滋賀県の負担、それに一般財源の120億円を足し込むと、550億円ぐらいを滋賀県がまずは負担しんならんと。それを関西広域連合として、じゃ、応分負担というのか、応益負担というのか、どういうふうに分けるという話に乗っていただけるのか、乗っていただけないかということになろうかというふうに理解をしています。  国の財源を一方見ていますと、今、部長が言われたように、今前倒しで進めていますが、それは毎年、調べたところによりますと、国の財源は大体720億円前後で走っています。これをベースにいわゆる東海道新幹線等の既存の貸付料を平成23年に法律を改正して建設財源に充当していることによって、今3ルートがずっと整備が進められているような状況があります。  今言われたように、今整備している新幹線の将来のいわゆるJRが負担する分を、それを先食いしてしまって、まあ、いうたら、アパートを建てる前に家賃を先にいただいて、その家賃で建設をしていると、アパートを建てているみたいな話やと思うんですが、そういうことをやりつつ、今度はいよいよ敦賀以西を整備していこうとなると、なかなかこの現状の700、800億以外に財源の確保がだんだん難しゅうなっていくのではないかなというふうな認識を持っていますけども、ここまでしゃべって答弁を求めると、一言でそうですと言われたら困るんですが、部長、私の今言うたこの考えに間違いはありませんか。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  今、議員のほうがそれぞれ根拠立てて御説明していただきましたその内容につきまして、私どもとしましてもそのように考えておりまして、非常に厳しい状況が今後続くというふうに承知しているところでございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)先ほども申し上げましたが、去る6月1日に国会閉会後の記者会見で安倍総理がリニア中央新幹線の大阪延伸の前倒し、あるいは整備新幹線の建設加速について言及をされました。ゼロ金利の環境のもと、低利の財政投融資を生かして全国を一つの経済圏に統合する地方創生回廊なるものをできるだけ早くつくり上げるというふうなお話やったと思います。  そこで、現在の国の新幹線、鉄道整備スケジュールを見てみますと、北陸、金沢−敦賀間、九州、諫早−長崎間、北海道、新函館−札幌間と3つのルートで工事が同時に進められています。北陸新幹線金沢−敦賀間については、当初計画より3年前倒しの2022年の開業を目指して工事が進められていますが、予定どおり開業できるのか、また、そもそも敦賀以西ルートについては、民主党政権時代の平成23年12月26日の政府与党確認事項で、新規着工の3区間が完工する2035年までは整備は困難とされていることからすると、新函館−札幌間の開業がいつになるかということにも大きくかかわります。ルートの選定や並行在来線の課題などの諸課題に対処するに当たっては、いつごろにできるのかといったスケジュール感をしっかりと認識しておくことが重要であると考えます。  そこで、北陸新幹線敦賀以西ルートの整備に係るスケジュールについて、土木交通部長はどのように認識されているのでしょうか、お尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) スケジュールの認識についてでございますけども、今ほども議員が御指摘されましたように、平成23年12月の政府与党確認事項では、国の財源等の制約から、現在建設中の整備新幹線3区間に係る事業が完了するまで敦賀以西の整備は難しいとされております。北海道新幹線の札幌延伸が完了する平成42年度以降に敦賀以西を整備するとされているところでございます。  一方で、4月には与党検討委員会の委員長が「10年以内の開業を政府に求める」と発言されるといったことがございました。財源の課題が克服されれば、早期の着工、早期整備のこういった可能性があるのではないかというふうに認識しているところでございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)結局、先ほど申し上げた今720億とか言うてる国費のベースを何倍にも、結局、国費をかさ上げして投入するということで、いわゆる早期実現なり早期着工を目指すというふうな手法が今の検討委員会の委員長からお話しされている内容ということで確認をさせていただいてよろしいですか。土木交通部長、お願いします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  そのような認識で私のほうもおります。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)では、次に、フリーゲージトレインについてお伺いをいたします。  先ほども申し上げましたように、2022年に敦賀まで北陸新幹線が延伸してくるということでございますと、いよいよその先の大阪までどうするのかといった課題が現実のものとなってきます。サンダーバードで大阪に向かう、あるいは、しらさぎで米原に向かい、東海道新幹線で大阪までのいずれかでしょうが、常識的には湖西線を使われるものと想像ができます。  そこで、敦賀駅での乗りかえ抵抗を抑えるために、国とJRはフリーゲージトレインによる直通運行を予定をされていますが、車両開発が難航していると伺っております。フリーゲージトレインの開発の進捗は、敦賀以西ルートの整備スケジュールに影響を及ぼすものと考えますが、車両開発の課題と実現性について土木交通部長はどのように考えられておられるのでしょうか、お尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  フリーゲージトレインは、先行導入される九州新幹線向けの車両開発について、走行実験中に車軸が異常に摩耗する等の技術的課題が生じましたことから、現在、改良を行っているというふうに聞いております。  こうしたことから、平成34年度の敦賀開業と同時にはフリーゲージトレインによる運行開始は間に合わないとされているところですが、時期はおくれるものの、湖西線を利用して予定どおり導入されるものと考えております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)次に進みます。  次、並行在来線の問題についてお伺いをします。  どこの整備新幹線でも同じでしょうが、北陸新幹線の敦賀以西ルートの建設に伴う最大の地元の課題は並行在来線にあります。着工の5条件にも入っている地元沿線自治体の並行在来線のJRからの経営分離に同意が得られるかは、米原ルートでも大きな焦点であります。そこで、いずれのルートになろうとも、県内を通っている在来線の北陸本線と湖西線の取り扱いについてはどのようになることが考えられるのでしょうか、土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) 並行在来線の問題でございますが、与党整備新幹線検討委員会による並行在来線の定義によれば、整備新幹線の建設に伴い、同区間を走行する在来線の優等列車が新幹線に移る線を並行在来線というとされているところでございます。  この定義を北陸新幹線の敦賀以西に当てはめますと、北陸本線や湖西線が並行在来線として取り扱われる可能性があるものと認識をしております。  並行在来線の経営分離につきましては、沿線住民の暮らしに直結する問題であり、看過できるものではなく、引き続き、湖西線と北陸本線がJRから経営分離することは認められないことを国やJR西日本に対し、沿線市や関係機関等とともにしっかりと主張してまいりたいと考えております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)ちなみに、米原ルートに決まれば、北陸本線と湖西線が経営分離の対象になるというような話をお伺いしたことがあるんですが、ほかのルートに仮に選択されたときに、北陸本線なり湖西線が経営分離の対象になるということはあるんですか。土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  ほかのルートといいますと、あと、米原ルート以外の2つのルートになってございますが、そちらのルートになった場合も湖西線が並行在来線の扱いになる可能性があるというふうに認識してございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)可能性があるということは、今先ほど、ならないように一生懸命言いますというお話やったから、言いますということですが、言うて聞いていただけるか聞いていただけないかはJR西日本が判断されるということであると、言うてる京都ルートになった場合でも、湖西線が経営分離される可能性が十二分にあるという認識でよろしいんですか。土木交通部長にお願いします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  可能性があるということでございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)じゃ、ちょっとここで目先を変えまして、またかいなというふうに言われるかもわかりませんが。北陸新幹線のルート選定やリニア中央新幹線の開業に現実感が出てきたこのタイミングで、東海道新幹線米原−京都間における新駅設置の可能性について、知事ならびに土木交通部長にお伺いをしたいと思います。  くしくもちょうど10年前になりますが、本県では着工式まで行った栗東新駅を中止いたしました。もったいないという一言で、一体誰が乗るんやとか、過大な投資で回収が不可能とか、維持費が莫大で赤字が出るとか、あることないことを言いふらされて、文字どおり吹っ飛んでしまいました。覆水盆に返らず、英語で言いますとイトイズノーユーズクライングオーバースピルトミルクというふうにいいますが、つくづく残念でなりません。  ちなみに、一口メモではありませんが、中国語で言いますとフーシュイナンショウ、こぼれた水は戻しがたい。ハングルで言いますとオプジロジンムル、こぼれた水。インドネシア語ではナスィスダムンジャディブブル、御飯はおかゆになってしまったと言うそうです。  ちなみに、これは私が英語で言うてみるというふうに申し上げたところ、それだけではもったいないと、多言語でいかれたらどうですかという交通戦略課の皆さんのお力添えによって今申し上げさせていただきましたことをつけ加えさせていただきます。  どの分野でも先を見通すということは難しいことですから、うまくいくこともあればいかないこともあります。一時は無駄な公共事業の象徴のように言われ、まさに政治と行政が結託して税金を食い物にしていると言われた地方空港の整備は、訪日外国人客が2,000万人を超え、また、LCC、いわゆる格安航空などが出てきたことで大変活況となっています。経営改善努力があったからとはいえ、あの関西国際空港ですら黒字化されているのですから、世の中はわかりません。もちろん計画当初からインバウンドも格安航空もわかっていたわけではありませんから、地方空港の整備が全て正しかったと言う気はさらさらありません。  ただ、もし今栗東新駅が開業していたら、関西旅行の起点として、大型観光バスが何十台も駐車できるターミナル機能を誇りながら、全国の修学旅行生やパック旅行の団体客、あるいは多くの外国人観光客の皆さんが新幹線から観光バスに乗りかえながら県内へ出ていかれたであろう様子を想像すると、返す返すも残念でなりません。  米原ルートが現実になれば、リニア中央新幹線が開業すれば、そうしたことを見据えて、改めて新駅の設置についての必要性を論じる風潮がありますが、改めてこのことに対する知事の御見解をお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)小寺先生、どうぞよろしくお願いいたします。  米原−京都間の東海道新幹線新駅については、今ある米原駅の徹底活用、栗東地域の後継プランの完遂というのが前提条件であると申し上げてまいりましたし、その考えは今も変わっておりません。  議員御指摘のとおり、安倍総理が去る6月1日の記者会見で、「リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設加速によって、全国を一つの経済圏に統合する地方創生回廊をできるだけ早くつくり上げる」と御発言されたことは私も承知しております。  このように経済再生策と相まって、高速鉄道ネットワークの早期整備によって、国の議論が進みつつあるところでありまして、こうした情勢の変化等、引き続き、また、より深く注視してまいりたいと思っています。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)知事は政治的なお立場があろうかと思いますので、同じ質問を土木交通部長に投げかけさせていただいたら、土木交通部長はどのようにお答えいただけますでしょうか。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  米原−京都駅間についての新駅についての議論でございますけれども、今ほど知事からも申し上げましたが、米原駅の徹底活用、そしてまた、2つ目として栗東地域の後継プランの完遂、こういったものが前提条件でございます。当部としましては、これらにつきまして引き続き注力してまいりたいというふうに考えております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)じゃ、ちょっと懐かしくなりますけど、部長にお尋ねします。新駅整備費用に関するスキームというか、あの枠組みというのは今も変わっていないんですか。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  東海道新幹線新駅の整備につきましては、栗東新駅の事例以降、新たな整備事例がなく、今後の整備費用に関するスキームにつきましては、変更の有無も含め、現行では承知をしておりません。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)なかなかガードがかたいので、時間の関係もありますから、じゃ、もうこの辺にしといて、次に行かせていただきます。  いろいろお話をしてまいりましたけれども、最後に、米原ルートについてお伺いをいたします。  さきにも申し上げましたけれども、年内に敦賀以西のルート案を決定されるということでありますと、米原ルートを進めている本県とすれば、まさに正念場というふうに言えるのではないかと考えます。一方で、整備費用の負担と並行在来線の問題など、マイナスの側面もあることは否めません。米原ルートが整備されることで得られるメリットから費用負担や並行在来線問題を差し引いてメリットのほうが大きいか、得られるメリットが費用負担に対して適正であるかが問題だと考えます。  そこで、北陸新幹線が敦賀から米原に接続されることで本県が得られるメリットは何なのでしょうか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お尋ねの得られるメリット、米原ルートのメリットということについてでございますが、御案内のとおり、米原というところは近畿と中部、北陸の3圏域の結節点に位置するということでございまして、その意味から、このルートにつなげることによって本県の地理的優位性をさらに高めることが可能になるルートだと考えておりますし、本県のみならず、近畿、中部、北陸との広域交流の促進と一体的な発展に寄与するものと認識しています。また、米原駅に新幹線がつながることによって、現行の東海道新幹線およびJR在来線、近江鉄道など、米原駅を中心とした既存の交通ネットワークの充実を図っていくことも可能になります。  昨年、国土交通大臣から広域観光周遊ルートとして本県も参画いたします昇龍道プロジェクトと美の伝説、これは中京東海エリアと近畿関西エリアのこの2つのルートが認定されるなど、外国人旅行者の誘客の観点からも、米原を結節点とした交通ネットワークの強化というものは、私は重要であり有益なものであると認識しているところでございます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)有益か無益かというと、有益やと私も思います。できるならば米原に接続されるほうがいいんやろなということも思います。しかし、私が申し上げたように、それで得られるメリットから並行在来線化を防ぐとか、それから、費用を関西広域連合と分担すると言いながら、その550億にも上がるような費用を果たして米原に接続することで得られるメリットが中長期的にあるのか、あるいは、三千数百億という建設コストがあるわけですから、これは一時的なそういう投資対費用効果というのは湖北を中心に滋賀県全域にその影響はあるということは十分想像ができますけれども。  質問を飛ばしたんですけど、整備新幹線が整備された後の並行在来線の3セク化されたそれぞれの鉄道の経営状況を調べると、さまざまな条件によって浮き沈みはあるんですけども、東北地方のそうしたJRの北海道の貨物が通ることによって莫大な収入を得られるとこ以外は総じて苦戦をしている。数億円の赤字が毎年出てくると。じゃ、その赤字を補うだけの経済的な費用対効果が果たして現状の米原駅に接続されたときに本当に出るんですかと。  それを問い返せば、50年前に新幹線がJRの費用によって整備された米原駅が、米原の皆さんには申しわけないけど、あの現状であそこに北陸新幹線が接続されて、そこで乗りかえされる方によって、井筒屋の弁当は売れるかもしれないけれど、それ以外に一体どんな費用対効果なり経済的な発展効果があるのかということが、それは何十年も先のことやから今考える必要はないのかもしれんけれど、今考えとかないと、将来の人が「えらいもんつないでくれたな」ということに何十年も先に言われる懸念はないんですかということをまず申し上げているんですが、私の言うてることに、知事、間違いはありますか。 ◎知事(三日月大造) 大事な御指摘であり御提言だと思います。今まさにこの米原ルート、国家的見地からもそうですし、経済的観点からも最適であるということで、我々は政府与党に対して主張させていただくと同時に、当該地域においては、この米原駅を核としてどのように地域の発展につなげていくのかといった観点から議論をされ、今さまざまな戦略、計画づくりもされていると承知をしております。  おっしゃったように整備することによって受ける受益と、そしてかける費用と、これがどうバランスするのか、また、想定される費用を滋賀県のみならず受益が得られるエリアでどう分担できるのか、その合意形成が果たしてできるのかといったことも大事な視点ですし、並行在来線の問題は、最終的には着工5条件の中の一つに並行在来線の経営分離に同意するかしないかというのがございますので、そこで一定我々地方自治体の意見というのは反映できますが、しかし、御紹介いただいたように、このしなの鉄道以降、現在8つの並行在来線がございますが、浮き沈みがございますが、いいときも悪いときもありますが、総じて厳しい経営をされていることからすれば、そういったことも当然視野に入れてこの判断をしていく必要があると思っていますので、この数年は、その意味において長く30年後、50年後の滋賀県の交通体系を考える上で非常に大事な時期に入ってくると思いますので、しっかりと皆さんと一緒に議論をしていきたいと存じます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)与党検討委員会の結論が出ても、それから政府が決められることですから、今まさに知事が言われた着工条件の5つの中で、私なりにこれ、星取表みたいにして分析をしてみたんですが、じゃ、米原ルートでJRは同意するのかなとか、あるいは本当に投資対費用効果が京都ルートやいわゆる小浜−舞鶴−京都ルートで出るかというふうに考えますと、非常に疑問点も多いかなと思います。  じゃ、長浜の皆さんは本当に北陸本線が並行在来線化されて3セク化されることに御同意をいただけるのかどうかということなどを考えますと、いずれのルートもこれ、現実的にはひょっとしたら、こんなこと言うてええのかどうかわかりませんが、着工に敦賀より大阪方面は現実にできるのかなと、この5条件が、この条件を変えるというならば別でしょうけども、現状の条件の中ではいずれもなかなか厳しいのかなという気がいたします。  今回の質問で私が申し上げたかったことは、その現状の滋賀県の北陸新幹線に対する取り組みが、恐らく国のほうから見れば本気で取り組んでいるというふうには見えないのではないかというふうに何となく思います。福井県のように行け行けどんどんで、私が見ていても福井県に、もし小浜まで行って、あれ、並行在来線化されて3セクになって、そんなに金沢や富山のように福井にメリットが本当に出るかいなと思ったら、サンダーバードで行っているほうがよっぽどええん違うんかいなというふうに私自身は思いますが、それは福井の方の悲願であるというならば、それはそれで結構なんですけども、じゃ、本当にそういう形で福井や舞鶴の人たちのように、滋賀県、頑張ってやってるぞという姿勢が見えないのではないかなという気がします。  それは私自身の個人の考えですが、それは県が取り組むというよりは、やっぱり当該の市町が、ちょっと申しわけないけど米原がやっぱりまずは音頭をとってもらって、彦根やら長浜にお話をしながら経済界も巻き込んでやるというふうにやってもらわないと、今の現状では結局ただただ日が流れていく。こうした課題を思うと、「ああ、滋賀県はそんなに頑張ってやってるわけやないんではないかな」というふうに見られてしまうのではないかなというふうに思います。  だから、これからまだまだ時間はありますけれど、県は県でやっぱり今言うたように、つながったらどんなよいことがあるかということを示していただかないかんでしょうし、やっぱりコーディネーターとして、そうした北のほうのまちをやっぱり押してあげるようなことももっとやっていただかないかんのではないかなという気がしますが、知事はどのようにお考えになられますか。 ◎知事(三日月大造) 非常に大事な問題をきょうはお取り上げいただいて、私も学ぶところ、考えるところ、感ずるところ大でありました。  今は国で、政府与党でいろんなデータ、費用も含めてきちんとしたものを出すべく作業をされているところでございますが、この秋から冬にかけてそういったものが出てきて一定の判断が示される予定ということですし、それが出てきた折に、滋賀県もそうです。関西広域連合としてもそれらをどう受けとめて、今度は地方自治体がどう処していくのかということが問われますので。  現実的本気度を持って市町とも協力しながら、ある意味では経済界とも連携しながら取り組みを進めてまいりたいと思いますし、ぜひ、この議会におかれてもさまざまな御意見、お考えがあるでしょうから、そういったものをよくよく交換しながらこの取り組みを進めていければと存じます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)先ほど東海道新駅の話で、費用負担のスキームについてはもうあれからわからないという話でしたけど、私の拙い記憶をたどれば、駅舎建築に240億で地元負担が120億、残り120億の3分の2を県が負担して、3分の1が周辺の市町と寄附金みたいなことやったと思います。
     盛り土区間やからどっと通過せんならんので百何十億かかけてこんな脇に線路をつくって、周辺整備を含めると400とか450というお話やったわけですけども、いずれのルートに決まるにしろ、費用負担のあり方がどうなるにしろ、費用対効果ということから考えれば、私は北陸新幹線に期待されている方には申しわけないけれど、北陸新幹線に五百数十億の投資をするんやったら、東海道新駅でお金を使うといたほうがよっぽど結果的にはよかったんと違うかなという思いを今でも持っています。ぜひ北陸新幹線はそうならないように、それぞれのお立場で努めていただければと思いまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、30番小寺裕雄議員の質問を終了いたします。  最後に、7番田中松太郎議員の発言を許します。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)今定例会議一般質問の最後となりました。よろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、医療的ケア児への対応について、分割にて質問をさせていただきます。  新生児医療の発達により、未熟児や先天的な重い病気を持つ子供など、以前なら出産直後に亡くなっていたケースでも、最近では多くの命が助かるようになり、新生児死亡率はかなり低くなってまいりました。しかし、その一方で、日常的に人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアを必要とする障害児、医療的ケア児がふえているのも現状です。  医療的ケア児は、医療の発達とともに生まれた、これまでになかった新しい障害児とも言えます。せっかく命が助かりこの世に生まれてくることができた医療的ケア児、しかし、病院のNICU──新生児集中治療室を出た後は在宅医療が基本となり、全ての医療的ケア児が保育園や幼稚園に預けられるという状況にはなっておりません。また、通所施設も充実していない状況です。そのような中で、特に医療的ケアが必要な未就学児の育児にかかわる家族の方は、24時間365日の看護に疲労こんぱいされ、社会的にも孤立されているとお聞きしております。  医療的ケア児は、マンツーマンの支援が必要な重度の障害児でありながらも、重症心身障害児、重心児として知的にも身体的にも重い障害とはみなされていませんでした。つまり、これまでの法律の解釈では、歩けずに知的におくれているという状況でないと重心児としてみなされないということでした。  しかし、医療的ケア児は、歩くこともでき、子供によっては知的におくれもないという場合もあり、重心児とはみなされず、医療的依存度が高く、呼吸器が外れたら死んでしまうという非常にケアのリスクも高く、手厚い支援が必要であるにもかかわらず、重心児の定義に当てはまらないため、適切な支援が受けられないという状況になっていました。  重心児認定をされれば、マンツーマンの支援に必要な補助金は出ますが、重心児認定をされない医療的ケア児には補助は出ず、これらの支援を行うことは事業者においても割に合わないことになるため、必然的に事業者の支援も行われていないというのが現状でした。  これらの状況を改善するべく、民進党の荒井聰元国家戦略担当大臣や御自身のお子さんが医療的ケア児である自民党の野田聖子議員、また、細野豪志元民主党幹事長、公明党の山本博司議員などの国会議員の皆さんが超党派で永田町子ども未来会議を立ち上げられ、厚生労働省、文部科学省も交え、立場を超えて議論をされてこられました。何度も議論や視察が行われ、この医療的ケア児を何とか既存の法律を改正し、制度化していこうと検討されてこられました。  その結果、先月25日の第190回通常国会において、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律および児童福祉法の一部を改正する法律が成立し、その改正された児童福祉法の中に医療的ケア児の支援体制の整備が盛り込まれ、今月3日に公布、改正により新設された児童福祉法第56条の6第2項の規定が同日施行されました。  これまで法律の中に存在していなかったことで支援の手が十分に届かなかったところに、ようやく法的にも認められ、これまで大変な状況に置かれていた医療的ケア児とその御家族の方々にとっては、今回の法律の改正は未来に希望の光が差し込んだ記念すべき瞬間であったと思われます。  そこで、今回改正された児童福祉法の中に、医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健、医療、福祉等の連携促進に努めることなどが盛り込まれ、今後の医療的ケア児を取り巻く環境が大きく改善されていくことが期待されますが、知事および病院事業庁長のそれぞれの所見についてお伺いします。  周産期医療、新生児医療の充実により、滋賀県における新生児の死亡率は以前より改善されたと聞いております。一方で、NICU──新生児集中治療室では、体重が2,500グラムに満たない低出生体重児が増加しており、高度な医療を必要とする子供がふえてきていると聞いております。  新生児の死亡率減少に向けた取り組みとその推移について、また、NICUにおける入院時の状況について、健康医療福祉部長にお伺いします。  NICU──新生児集中治療室の病床数には限りがありますが、人工呼吸器などを装着しNICUに長期入院する子供がふえていると聞いております。NICUにおける長期入院の受け入れ体制と在宅医療への移行に向けた取り組みについて、健康医療福祉部長に伺います。  次に、県立小児保健医療センターにおいては、NICU後方支援病床の確保を初め、医療的ケアを必要とする児童に対して必要な医療を提供していると聞いております。  そこで、後方支援ベッドの稼働状況と医療的ケアを必要とする児童に対する在宅支援の取り組みの状況について、病院事業庁長にお伺いします。あわせて、今後の増大が予想される医療的ケアが必要な児童に対する小児保健医療センターの今後の取り組みの方向性についてもお伺いします。  昨年の11月定例会議におきまして、我が会派の成田議員が一般質問で医療的ケアが必要な障害児の保育についての質問をされました。昨年度の状況について、答弁では、県内11の市において41人の医療的ケア児の受け入れをされているとのことでした。また、各市町への県の支援体制としては、こうした医療的ケア児の保育にはそれぞれの状況に応じて看護師の配置が必要となることから、体調不良となった入所児童を一時的にあずかる事業の国の補助要件の緩和で看護師の配置が容易となっており、これらの制度などを活用しながら保育所において医療的ケア児の受け入れが進むよう支援をしていくとの答弁をいただきました。  そこで、今年度の滋賀県内の保育園における医療的ケア児の受け入れの状況と医療的ケア児の待機児童の状況について、健康医療福祉部長にお伺いします。また、保育園に受け入れをされずに在宅医療をされている医療的ケア児の県内の状況についてもあわせてお伺いします。  保育園への看護師の配置については、看護師自体が不足している現状と、医療機関でない保育園での看護師配置に対する看護師への責任のリスクと給与の問題が考えられ、保育園における看護師の確保は非常に難しい状況にあります。医療機関自体の看護師不足が問題視される中で、今後さらに保育園への看護師の配置が望まれる状況について、今後の市町への支援策を健康医療福祉部長にお伺いします。  昨年の11月に甲賀市内の幾つかの保育園の医療的ケア児の受け入れの現状を調査してまいりました。それぞれに医療的ケアを伴うさまざまな課題を抱えた園児に対応するために、保護者と看護師だけでなく、園長先生を初め全職員が細心の注意を払いながら受け入れをされている現状を視察させていただきました。また、発達障害児や食物アレルギーによる緊急対処薬のアドレナリン注射液エピペンを持参している園児も意外と多く、それぞれの課題に柔軟に対応されている現場の状況に感心させていただいた一方で、事故防止に向けさまざまな取り組みをされているものの、命の危険が常に伴う現場は他の保育園の状況とは明らかに異なるものでした。  医療機関でない保育園での医療的ケア児の受け入れには、それぞれの児童の状況により、受け入れの可否、また、受け入れ時の対応を検討していく必要がありますが、これらを市町において独自に判断をされると福祉サービスの地域格差が生じる可能性があり、また、受け入れができない状況にある児童については、在宅医療以外の選択肢がなくなる可能性もあります。  現在、積極的に医療的ケア児を受け入れ、さまざまな工夫をしながら日々起こり得る問題、課題に向き合い解決しながら取り組みをされている現場で培われた多くのノウハウは、今後の県内全体での医療的ケア児の受け入れの質の向上や事故の防止に大きく役立つものであり、これらのノウハウを現場や各市町にとどめておくのではなく、これらの情報を県内各市町で共有しながら、より質の高い安全な受け入れ体制を構築していくべきであると考えます。  医療的ケア児の保育園への受け入れのノウハウの共有のための協議会等の設置や保育園での受け入れのできない未就学児の最寄りの医療機関や福祉サービスの連携による通所サービスの充実など、県としての考えられる今後の取り組みを健康医療福祉部長にお伺いします。  滋賀県基本構想の重点政策の1つ目に、子どもの生きる力を育み、若者や女性が輝く社会の実現というのが掲げられ、子供を安心して産み育てるための切れ目のない支援や、若者や女性が働き活躍できる社会づくりの施策が盛り込まれています。今年度の取り組みの中にも、「結婚・出産・子育てするなら滋賀」プロジェクトがあり、全ての子育て家庭の多様なニーズにきめ細かく対応し、子育ての不安や負担感の解消を図るなど、市町が実施する地域における子育て支援に対し補助を行い、その充実を図るとされています。  しかし、医療的ケア児の小児医療や特別支援学校など、出産後から18歳を迎えるまでの切れ目のない支援ができているかどうかを捉えてみると、特にゼロ歳から小学校就学までの幼児に対する県の支援に特に切れ目を感じます。経済的負担も大きい医療的ケア児について、育児をするために夫婦共働きで家計を支えていかなければならない方々も多くおられます。しかし、そういった方々が子供を預け、働き、活躍できる十分な環境が整備されているとは言いがたい状況にあるのが現状です。  一人一人の医療的ケア児が生まれてから児童福祉法に基づく18歳を迎えるまでの間において、医療的ケア児とその御家族に対し、保健、医療、障害福祉、保育、教育の各分野についての個々の特性に合わせた県としての今後のさらなる切れ目のない支援が必要と考えますが、健康医療福祉部長の所見をお伺いします。 ○議長(野田藤雄) 7番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)田中議員、どうぞよろしくお願いいたします。  日常的に医療的ケアを必要とする障害のある子供たち、いわゆる医療的ケア児についての御質問のうち、私には、改正児童福祉法の保健、医療、福祉等の連携促進について御質問をいただきました。  本県では、医療的ケア児を含むいわゆる重症心身障害児への支援におきましては、まだ制度がなかった昭和38年に西日本初の施設といたしましてびわこ学園が開設されるなど、先駆的な取り組みが行われてまいりました。また、現在では、小児保健医療センター療育部において、医療的ケア児に対する発達支援や個別リハビリ等に取り組んでおりますほか、地域の福祉施設で医療的ケア児者に対する入浴サービス提供という滋賀の縁創造実践センターによる公私協働のモデル事業も行われているところでございます。  今後こうしたこれまでの実践の積み重ねを生かし、さらなる関係機関の連携による公私協働の実践を広げていくことで、医療的ケア児の地域生活が充実したものになると考えております。  こうしたことから、滋賀県障害者自立支援協議会等の枠組みを活用いたしまして、医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう関係者による協議の場を設け、障害のあるなしにかかわらず全ての子供が健やかに成長し、子供が大きく夢を育み、社会の希望として心身ともに健全に育てられる環境づくりができるよう進めてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)私にいただきました6点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の新生児死亡率減少の取り組みとその推移、NICUにおける入院時の状況についてでございますが、出生1,000人に対する新生児死亡率は、平成20年では全国平均1.2に対して本県は1.5とやや高い傾向にあったことから、周産期医療施設における機器の整備や周産期死亡症例の検討、周産期医療従事者の研修等に取り組んでまいりました。これらの取り組みの結果、平成26年では全国平均0.9に対して本県は0.8と改善傾向にございます。  新生児死亡率は改善されているものの、2,500グラム未満の低出生体重児および1,500グラム未満の超低出生体重児は増加傾向にございます。超低出生体重児の多くは何らかの先天性の重複疾患を抱えることがあり、NICUに入院している子供がふえております。  また、NICUの状況についてでございますが、本県の調査結果では、平成26年1年間の県内周産期母子医療センター4カ所のNICUの入院児は年間921人、そのうち人工呼吸管理症例は214人でございまして、高度医療が必要な子供が多い状況にございます。  次に、2点目のNICUにおける長期入院児の受け入れ体制と在宅医療への移行に向けた取り組みについてでございます。  本県では、NICUが常時満床状態の傾向にあることから、平成25年10月から県立小児保健医療センターを長期入院児を受け入れる後方支援病院として位置づけまして、NICU病床の効率的運用と在宅医療への円滑な移行を行う体制づくりに取り組んでいるところでございます。また、本県では平成27年度から小児在宅療育支援事業に取り組んでおり、小児在宅医療を担う医師や看護師を育成するための実技研修会などを開催しているところでございます。  さらに、医療的ケアを必要とする小児の在宅療養での負担を軽減するため、保護者の要請に応じまして、日帰りや1泊2日で受け入れる日中一時支援事業や数日間受け入れるいわゆるレスパイト入院などの取り組みを進めております。  今後も引き続き、医療的ケアの必要な小児が安心して在宅療養できるよう、支援体制づくりの推進に努めてまいります。  次に、3点目の今年度の県内の保育所における医療的ケア児の受け入れ状況等についてでございます。  保育所、認定こども園におきまして、酸素吸入や喀たん吸引、経管栄養などの医療的ケアの必要な児童の受け入れ数は、本年4月1日現在で県内10の市で19人でございます。  医療的ケア児の待機としましては、酸素吸入が必要な児童1人で、その理由は看護師の確保ができていないためと聞いているところでございます。  保育所等の利用申し込みをされずに在宅療養をされている医療的ケア児の状況につきましては把握しておりません。  次に、4点目の保育所への看護師の配置に係る市町への支援策についてでございます。  医療的ケア児を含む障害児保育に係る支援につきましては、国において障害児2人に対し保育士1人の配置ができるよう地方財政措置が講じられております。市町におきまして、障害の程度に応じて1対1や2対1あるいは3対1で保育士や看護師を加配し、保育が行われているところでございます。  また、保育所で体調不良となった児童を一時的に預かる病児保育事業、体調不良児対応型という保育事業でございますが、これを実施した場合には、看護師配置への支援制度はありまして、本年度においては5市12施設に対して支援を予定しております。  さらに、市町が必要とする看護師の確保に対して、県保育士・保育所支援センターの保育人材バンクで看護師登録を行っておりまして、保育所での就労を希望される方への就職あっせんを行っております。  こうした制度の活用によりまして、保育所、認定こども園における本年4月1日現在の看護師の配置状況は10市で72名となってございます。  次に、5点目の保育所における受け入れのノウハウの共有や受け入れのできない児童についての県の取り組みでございます。  医療的ケア児について、その保育の希望に応えていくことは、家庭の負担の軽減だけでなく、児童にとってもその発達が促されるものと考えております。この点から、医療的ケア児の受け入れに取り組んでいる保育所の先進事例や医療機関を初め関係機関との連携事例などのノウハウを共有することは大変重要であると考えております。  こうしたことから、県といたしましても、県保育協議会が行います研修会を初めとするさまざまな機会を捉えましてノウハウ等の情報提供を行い、保育所等での医療的ケア児の受け入れがさらに進むよう努めてまいりたいと考えております。  また、保育所で受け入れができない医療的ケア児につきましては、例えば通所による療育支援やその御家族に対する支援を行う児童発達支援事業などのサービスを利用しやすくできないかなど、市町の児童発達支援事業所で構成いたします県障害児地域療育連絡協議会等と意見交換を行いながら考えてまいりたいと存じます。  6点目の18歳を迎えるまでの医療的ケア児に対する県の切れ目のない支援についてでございます。  平成26年度に障害者自立支援協議会が行いました重症心身障害児者に関するアンケート調査報告を取りまとめる中で、医療的ケアに関する課題等についても明らかになってまいりました。  具体的には、在宅児者の半数が医療的ケアを要するとしておりまして、主な課題として、主治医と地域の医療機関との連携のあり方、訪問看護の充実、移動時の支援の拡充、災害時支援等が挙げられております。  まずは、医療的ケアが必要な児童を診察できる医師やケアできる看護師の育成に取り組んでまいりますとともに、障害者自立支援協議会等の場を活用いたしまして、訪問看護事業者等、医療的ケアのできる機関と児童発達支援事業所、放課後デイサービス事業所、また、学校との連携を進め、児童から成人まで医療的ケアが必要な方への切れ目のない支援の実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◎病院事業庁長(笹田昌孝) (登壇)医療的ケア児への対応につきまして、2点の御質問にお答えいたします。  まず、第1点の今回の児童福祉法の改正の効果であります。  このたびの改正により、今後の医療的ケア児を取り巻く支援環境としまして、保健、医療、福祉の連携は促進されていくと考えられます。この連携におきまして、私ども医療の立場から、医療的ケア児とその御家族が安心、安全な在宅生活を継続できるように、支援体制の構築、環境整備を進めていくことが重要だと考えております。  そのために、小児保健医療センターは、現在作成を進めております基本計画におきましても、必要な人材育成、機器整備、そして、システム構築等を鋭意進めてまいりたいと考えております。  次に、第4点目の御質問、3項に対しまして、まず第1番目、NICU後方支援ベッドの稼働状況を報告申し上げます。  小児保健医療センターでは平成25年度から滋賀医科大学、大津日赤等のNICUに長期入院されておられました患者さんを受け入れ、在宅への移行を進める入院治療を担っております。そして、平成27年度末までは、設置しました2床はほぼフル回転に利用され、さらに利用の御希望が多いことから、今年度は4床に増床して対応いたしております。  次に、第2項目、医療的ケア児の在宅支援の取り組みの現状でございます。在宅生活中に医療上の必要が生じたとき、小児保健医療センターは一般病床で入院を受け入れ、平成27年度で延べ701名の方の入院を受け入れました。また、医療的ケア児が在宅生活を維持できるように、地域の医師会に出向いて研修を行うほか、地域の医療機関と医療情報の共有を目的にICTを活用したシステム整備に取り組んでいるところでございます。  さて、最後に、今後の取り組みの方向性でございます。現在、小児保健医療センターは機能再構築について検討を進めております。昨年度に基本構想を取りまとめ、この課題につきましても対応をあわせて検討をいたしております。今回の法改正の趣旨を踏まえ、医療的ケア児の入院環境整備、安全、安心の在宅生活に向けて地域診療所等への技術支援、病病診在宅連携の強化など、県立病院に求められる役割を果たしてまいりたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)今それぞれの御答弁お聞かせいただいている中で、非常に医療が進んでいる分、やはり保健あるいは福祉のほうが少し後手に回っているなという印象がある中で、少し再質問をさせていただきたいと思います。  まず、看護師の配置について、今いろいろ取り組みについて御説明をいただきました。病児保育事業であるとか保育人材バンク、病児保育事業については国の支援ということで、まず基本その国の財政支援を行っているところにまた別途県が支援をするというのはなかなか難しいのかもわかりませんが、今の看護師不足の現状を抱えている中で、当然その給与の問題であるとかそういったところも考えますと、現に今も看護師がいないがために待機児童になっているという現状もお聞かせいただくところを考えますと、やはりそのあたり、県としての財政的な支援も含めて、もう少し看護師の確保に対する支援が必要でないかというふうに考えますが、その点について健康医療福祉部長にお伺いしますのと、あと、今年度の保育園における医療的ケア児の受け入れ状況について、10市19人ということで御答弁いただきましたけれども、昨年、成田議員が質問されたときもそうだったんですが、今回もこれ、私が質問をさせていただいたことで、各市町に現状確認をしていただいて数字の把握をしていただいたという現状であると認識しておりますが、また、在宅の医療をされている医療的ケア児に関しては状況を把握されていないということで御答弁をいただきました。  6月3日に厚生労働省のほうが、「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」ということで通知を出されておられます。その中で保育関係に関しまして、平成27年度障害者支援状況等調査研究事業、在宅医療ケアが必要な子どもに関する調査によると、調査対象となった医療的ケアを行っている子供ゼロ歳から5歳のうち、約2割の子供が保育所、幼稚園等を利用しているという結果が出ているというふうに記載されております。  このことからしますと、県内の現状に照らし合わせましても、今19人とお答えいただきましたのは、その全体の中の約2割ということで、それ以外に恐らく、把握はされておられないでしょうけども、潜在的に医療的ケア児がおられるということが推測されます。  そういった中で、今後この医療的ケア児に対して、先ほど県のほうとしましても医療、福祉、保健の連携を推進していくという御答弁をいただいておりますが、まずはこの実態の把握というものをやっぱり日常的に把握をしながら、現状に目をやりながら、実態を把握した上でないと恐らく対策も連携も次のステップが進められないと思いますので、先ほど7番目に御質問いたしました今後の取り組みについて、こういった状況の把握も含めて、改めてどういう取り組みをされるのかというところを再度質問をさせていただきたいと思います。  あと、8番目に質問させていただきました一人一人の医療的ケア児に対しての切れ目のない支援が必要であるということで、部長の所見をお伺いいたしました。  これも厚生労働省からの通知で出ております。児童福祉法第56条の6第2項の趣旨について厚生労働省のほうが出しております文書によりますと、医療的ケア児が在宅生活を継続していこうとする場合、その心身の状況に応じて保健、医療及び障害福祉だけでなく、保育、教育における支援も重要であり、また、当事者およびその保護者等が安心して必要な支援を受けるためには、関係行政機関や関係する事業所等が「利用者目線」で緊密に連携して対応することが求められるということで、この利用者目線という部分だけかぎ括弧で特に記載されております。  今御答弁いただいた中で、なかなかこの利用者目線というか、この医療的ケア児の当事者あるいはその家族の視点に立ってというようなところの御答弁がなかなかお聞かせいただけませんでしたけれども、8番目の質問につきまして、その視点も含めて再度御答弁をいただきたいというふうに思います。 ○議長(野田藤雄) 田中議員、今の再質の2つ目の答弁者はどなたですか。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)健康医療福祉部長でお願いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) 再質問にお答えをいたします。  まず、1つ目、保育所への看護師配置についての市町への支援ということでございます。  先ほど答弁させていただきましたように、県保育士・保育所支援センターの保育人材バンクによる看護師登録を行っております。この中で保育所への就労を希望される方への就職あっせんを行っているということを申し上げましたが、実績といたしましては、平成28年3月末現在で看護師の登録をされている方が33人おられまして、これまでの就労実績につきましては、平成22年から28年の累計で5人という状況でございます。こうした制度を通じまして、その人材確保について、県としても支援をしてまいりたいと考えております。  それから、2つ目の御質問でありますが、在宅で保育所に行っていない医療的ケア児についての状況把握ということでございます。在宅医療をされている医療的ケア児の相談支援の状況につきましては、市町の乳幼児健診時において保健センターがそういう対象の児童を把握され、そうした保健センターからの情報提供を受けた市町の障害福祉主管課において、必要に応じて児童発達支援事業の利用や障害者手帳の取得等についての勧奨を助言されているというような状況でございます。  なお、常時介護が必要な医療的ケア児は身体障害者手帳を取得されておりまして、必要に応じて市町において日常生活用具の給付等の事業を紹介されているという実態にございます。  そうした実情の把握に基づきまして、先ほども御答弁させていただきましたが、例えば通所による療育の支援ですとか、その家族に対する支援、これを行う児童発達支援事業などのサービスを利用しやすくできないかということなどにつきまして、県の障害児地域療育連絡協議会等と意見交換を行いながら考えてまいりたいと存じます。  そして、最後に、今回の法改正を受けて、県として切れ目のない支援を利用者目線でどう行っていくのかという御質問であったかと思います。  今回児童福祉法が改正をされまして、日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制整備について必要な措置を講ずるよう努めるということについての通知がなされたところでございまして、私どもとしましても、保健、医療、福祉、保育、教育等、関係する機関の情報交換、意思疎通を密にしながら、現にそのサービスを受けられる方の立場に立った支援のあり方について、今後連携して協議を進め、ふさわしい体制整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。  基本的にはそれぞれ各市町での対応となりますし、今も御答弁いただきました医療的ケア児の対応としては、それぞれの心身の状況に応じた支援という形になりますが、これが結局各市町によって、あるいは医療的ケア児もいろんなケースがありますので、それぞれ対応できる、できない、そこにはいろんなノウハウであるとか経験とかという部分が必要ですけれども、逆に言うと、経験したことのない市町では新たな課題を抱えた医療的ケア児の方がおられたときにどう対応するべきかというノウハウがないと。ただ、県内広く見渡せば、こちらの市町では既にそういう経験を持っておられてとか、いろんなところで情報共有をしながら、さらにその医療的ケアに対するサービスと質の向上と、また、安全性の確保という部分を高めていくことを考えたときに、県の役割として、市町に丸投げといいますか、なかなか実態把握ができてない状況ではなしに、そういった部分もしっかりと把握をしながら、それぞれの各市町に対する情報提供も含めた支援が充実できるような仕組みづくりを、ぜひ今回のこの法律の改正をきっかけにぜひ県が後押しをしていただけるような取り組みをしていただければということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、7番田中松太郎議員の質問を終了いたします。  以上で、発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  関連質問なしと認めます。  以上で、質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議第103号から議第113号までおよび諮第1号(平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか11件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(野田藤雄) 議第103号から議第113号までおよび諮第1号の各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   平成28年6月定例会議議案付託表
                                           平成28年6月14日(火)  〇総務・政策・企業常任委員会   議第103号 平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳入の部 全  部     歳出の部 款2 総合政策費          款3 総務費    第3条 地方債の補正   議第104号 滋賀県附属機関設置条例の一部を改正する条例案   議第105号 滋賀県税条例等の一部を改正する条例案   議第107号 滋賀県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例案   議第108号 滋賀県議会議員および滋賀県知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例案   議第110号 損害賠償請求控訴事件の和解につき議決を求めることについて   諮第1号  退職手当支給制限処分に係る異議申立ての諮問について  〇県民生活・土木交通常任委員会   議第103号 平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款8 土木交通費    第2条 債務負担行為の補正   議第106号 滋賀県税条例に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を指定する条例の一部を改正する条例案  〇環境・農水常任委員会   議第112号 滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例の一部を改正する条例案  〇厚生・産業常任委員会   議第103号 平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款5 健康医療福祉費   議第109号 滋賀県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案  〇文教・警察常任委員会   議第103号 平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款9 警察費   議第111号 損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて   議第113号 契約の締結につき議決を求めることについて(甲賀警察署庁舎新築工事)            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第6号 老朽原発における「40年ルール」を厳格に運用することおよび、国の責任で実効性ある避難計画が示されない中では高浜原発1、2号機の再稼働を認めないよう求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第6号 受 理 年 月 日 平成28年6月6日 件     名 老朽原発における「40年ルール」を厳格に運用することおよび、国の責任で実効性ある避難計画が示されない中では高浜原発1、2号機の再稼働を認めないよう求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 海東英和 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  原子力規制委員会は4月20日、運転開始から40年を超える老朽原発として初めて関西電力高浜原発1、2号機について新規制基準に適合していると判断し、安全審査を合格とした。  原発の運転期間は原則40年に制限されており、20年の延長はあくまで例外である。その審査は極めて厳格に行われなければならない。しかし、原子力規制委員会は、運転延長に向けた手続きの一部を7月7日の期限後に先送りすることを認めた。これは「40年ルール」をなし崩しにするものである。  老朽原発は、40年以上前の古い技術によるものであるとともに、長年にわたり高温、高圧、高放射線にさらされた圧力容器や配管の脆化や腐食は深刻で、新しい原発以上に極めて危険である。  4月14日以降に震度7を2度も観測した熊本地震では、激しい揺れが人命を奪い、家屋を倒壊させた。  屋内退避ができないほどの、今回のような強い揺れが繰り返される地震に対し、劣化の進んだ高浜原発1、2号機の原子炉や複雑に張り巡らされた配管が持ちこたえられるかどうか極めて疑問である。原発銀座と呼ばれる若狭湾付近で大地震が起き、震災と原子力災害の複合災害に至る事態は、想像するのも恐ろしいことである。福島事故を経験し、それを教訓としてできたはずの新規制基準には避難計画は含まれていないし、万が一の重大事故発生時に誰が責任を負うのか明確にはなっていない。  今回の熊本地震の経験を踏まえると、大規模地震が発生しても機能が失われない避難経路の確保や、原発事故と大規模地震の複合災害の際に屋内退避ができない場合の対策、避難計画を審査する法的枠組みの整備等について、改めて国の責任において取り組まれることが求められる。  国や行政における防災は、“最悪のシナリオ”を視野に、慎重の上にも慎重を期するべきである。老朽原発においては「40年ルール」を厳格に運用しなければならない。そして、国の責任のもと、実効性ある避難計画が示されるべきである。  よって滋賀県議会として、老朽原発における「40年ルール」を厳格に運用することおよび、国の責任で実効性ある避難計画が示されない中では、高浜原発1、2号機の再稼働を認めないよう求める旨の意見書を、国に対し提出することを求める。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第7号 米軍属による女性殺害事件に対する沖縄県民の怒りを共有する立場から、在沖米軍基地の整理・縮小と辺野古新基地建設計画の断念を求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第7号 受 理 年 月 日 平成28年6月6日 件     名 米軍属による女性殺害事件に対する沖縄県民の怒りを共有する立場から、在沖米軍基地の整理・縮小と辺野古新基地建設計画の断念を求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・政策・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  去る5月19日、沖縄県うるま市内の二十歳の女性の死体遺棄の容疑で、元海兵隊の米軍属の男性が逮捕され、その後の調べに対し、殺害を認める供述をしたと報じられた。  またしても、米軍関係者により沖縄県内の女性が被害にあうという痛ましい事件が発生した。1972年5月15日の日本復帰から、昨年12月までの間に沖縄県内で発生した米軍関係者による犯罪は、5,896件を数え、そのうち凶悪犯罪は574件にものぼっている。  米軍基地が存在するかぎり、将来的にもこうした凶悪犯罪が発生するのではないかという懸念は拭えず、米軍基地を撤去・返還すること以外に、この問題を断ち切ることは極めて困難であり、これらの悲劇が繰り返されることに沖縄県民の怒りは頂点に達している。  日本の国土面積の0.6%の沖縄県に、在日米軍専用施設面積の74%が集中し、1995年9月の少女暴行事件以降、日米両政府が約束した在沖米軍基地の整理・縮小は、この21年間ほとんど進展していない。そればかりか、政府は耐用年数200年ともいわれる巨大な最新鋭の辺野古新基地を建設する計画を進めようとしている。  今回の女性殺害事件で改めて、確実な在沖米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の抜本的な改定、米軍普天間飛行場の即時閉鎖・返還、辺野古新基地建設計画の断念が求められなければならない。  よって、私たちは、米軍関係者による女性殺害事件に対する沖縄県民の怒りを、日米共同訓練が行われている滋賀県においても広く県民の方々に共有していただくことを願い、滋賀県議会として、女性の生命、尊厳、人権を守る立場から、政府に対し、下記事項が履行されるよう意見書を提出することを請願する。                   記 1 事件の真相を究明するとともに、犠牲者および遺族への謝罪と補償をすること。 2 米軍人・軍属等の教育を徹底し、綱紀の粛正を図るとともに、事件の再発防止の解決策を公表すること。 3 日米地位協定を見直し、改めること。 4 在沖米軍基地の確実な整理・縮小を行うこと。 5 米軍普天間飛行場を即時閉鎖し、返還をすること。 6 米軍辺野古新基地建設計画を断念すること。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第8号 「特別支援学校の設置基準」の策定を求めることについて 請 願 番 号 第8号 受 理 年 月 日 平成28年6月8日 件     名 「特別支援学校の設置基準」の策定を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 文教・警察常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  全国的に特別支援学校の児童・生徒数の増加が進み、在籍者数はこの10年間で3万6000人増えている(2015年文科省調査)。この背景には、特別支援学級や特別支援学校における教育への国民的な理解が進み、「一人ひとりに見合った丁寧な教育をしてほしい」という保護者等の願いが広がっていることがある。一方、学校建設はほとんど進まず、150人規模の学校に400人以上の児童・生徒が押し込まれるなど、子どもたちの学ぶ権利を奪うばかりか、命と健康をも脅かしている。  普通教室確保のために、一つの教室を薄いカーテン1枚で仕切って使うことなどが常態化し、隣のクラスの先生や子どもの声も筒抜けになり、落ち着いた授業にはならない。また、図書室や作業室、個別指導の部屋などの指導上必要な特別教室が、普通教室に転用され、医療的ケアが必要な子どもと動き回る子どもが同じ空間で過ごさざるを得ない状況も生まれている。さらに、トイレの数さえ足りず、待ちきれなくて失敗する子もあり、子どもの自尊心を傷つけている。  全国で不足している教室が、普通教室だけで3,622教室にのぼることが文科省調査でも明らかになっている。  こういった事態の根幹にあるのが、幼稚園から小中学校、高校、大学、専門学校まで全てにある「設置基準」が特別支援学校だけにないことである。「設置基準」というのは、「学校を設置するのに必要な最低の基準」であり、設置者はこの基準の「向上を図ることに努めなければならない」とされている。小学校の「設置基準」では、12〜18学級が「標準とする」とされ、それ以上は「過大校」という扱いになり、新たな学校建設や増設が検討される。ところが、特別支援学校では80学級を超える学校があっても、普通教室をカーテンで仕切ったり、特別教室をつぶして普通教室に転用するなど、子どもと教職員に負担を強いるだけで、学校の新増設は進んでいない。  以上の趣旨に沿って、下記について、国に対する意見書を採択されるよう請願する。                   記  「特別支援学校の設置基準」を策定すること            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表
    △請願第9号 「給食費の無償化」を求めることについて 請 願 番 号 第9号 受 理 年 月 日 平成28年6月8日 件     名 「給食費の無償化」を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 文教・警察常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  貧困と格差が広がる中、就学援助制度の切り下げや消費税の増税などが追い打ちをかけている。消費税増税の影響で、給食の質の低下を招かないために値上げを実施した自治体が出ており、さらに未納の家庭を増やすことにつながっている実態がある。  このような状況の中、給食費への保護者負担の軽減を行う自治体も増えている。全日本教職員組合の行った各自治体の給食費に関わる補助制度に関するアンケート調査結果からも、全額または半額以上の補助をする自治体は、4年前に比べて4倍以上に増えている。しかし、自治体間格差が生じている。  また、子どもの食をめぐる状況は、成長・発達の重要な時期にもかかわらず、栄養素摂取の偏り、朝食の欠食、肥満ややせの増加など、問題は多様化、深刻化してきている。  地域を理解することや、食文化の継承、自然の恵みなどを理解する上で、食は重要な教材である。学校給食は、食教育の「生きた教材・食の教科書」として、学校教育法でも教育活動の一環に位置づけられている。  公教育の機会均等の立場からも、居住する地域によって教育費負担に著しい格差を生じさせることなく、全ての小中学校で学校給食を実施し、給食費を無料にすることが求められている。  子どもたちの健全な食生活の確立のために、食育が重要な役割を果たすことを踏まえ、子どもたち自身が食べる喜びと生きる力を身につけ、子どもたちの健やかな発達を保障するためにも、国の責任による給食費の無償化が強く求められている。  以上の趣旨に沿って、下記について、国に対する意見書を採択されるよう請願する。                   記  国の責任で、給食費の無償化を行うこと            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第10号 TPP協定の批准をしないことを求めることについて 請 願 番 号 第10号 受 理 年 月 日 平成28年6月8日 件     名 TPP協定の批准をしないことを求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 環境・農水常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  安倍政権は、先の国会でTPP批准と関連法案の成立を目指したが、国会審議と国民の反対世論の広がりのもとで、これを断念せざるを得なかった。  短時間の国会審議でも、TPP協定の国会決議違反が明確になっている。2013年の国会決議は、農産物重要5項目は、関税撤廃を認めない、除外または再協議にするとしているが、今回のTPPでは、重要5項目のうち3割の品目で関税が撤廃され、コメでも関税ゼロの特別輸入枠まで新設された。わずかに残った関税も、発効7年後には、撤廃に向けた協議を約束させられている。  国会決議はまた、交渉により収集した情報は、国会に速やかに報告し、国民への十分な情報提供、幅広い国民的議論を行うことを求めている。ところが、安倍内閣によるTPP交渉は、入りロから出口まで徹底した秘密交渉が貫かれ、日本の参加条件とされた日米二国間の平行協議でも、何が話し合われ、日本が何をどう受け入れたかもわからない。衆議院のTPP特別委員会で、民進党が甘利明前TPP担当大臣とフロマン米通商代表との会談記録を要求したのに対し、政府側が提出した資料は、会合名と日にちが記してあるだけで、全て黒く塗りつぶされていた。政府の秘密姿勢はあまりにも異常であり、国民への情報公開なしでのTPP批准など到底許されるものではない。  私たち農業者は、「安全な食料は日本の大地から」と農業生産に日々従事している。TPPによる農業への壊滅的打撃を憂いている。  以上の趣旨に沿って、下記について、国に対する意見書を提出することを請願する。                   記  一、国会決議に違反するTPP協定は批准しないこと            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(野田藤雄) お諮りいたします。  明15日から21日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(野田藤雄) 来る22日は、午後1時から本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後3時27分 散会    ────────────────...