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平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月07日-06号

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  1. 滋賀県議会 2015-07-07
    平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月07日-06号


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    平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月07日-06号平成27年 6月定例会議(第2号〜第8号)                平成27年6月定例会議会議録(第7号)                                       平成27年7月7日(火曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         平成27年7月7日(火)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第101号から議第115号まで(平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(44名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       30番   小  寺  裕  雄    31番   奥  村  芳  正       32番   野  田  藤  雄    33番   西  村  久  子       34番   佐  野  高  典    35番   家  森  茂  樹       36番   吉  田  清  一    37番   粉  川  清  美       38番   蔦  田  恵  子    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事                  三 日 月  大  造               教育委員会委員長代理          佐  藤  祐  子               選挙管理委員会委員長代理        河  部  哲  幸               人事委員会委員長代理          西  原  節  子               公安委員会委員長            宮  川  孝  昭               代表監査委員              北  川  正  雄               副知事                 西  嶋  栄  治               知事公室長               宮  川  正  和               総合政策部長              堺  井     拡               総務部長                青  木     洋               琵琶湖環境部長             拾  井  泰  彦               健康医療福祉部長            藤  本  武  司               商工観光労働部長            福  永  忠  克               農政水産部長              安  田  全  男               土木交通部長              桑  山  勝  則               会計管理者               田  端  克  行               企業庁長                森  野  才  治               病院事業庁長              笹  田  昌  孝               教育長                 河  原     恵               警察本部長               笠  間  伸  一            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長                日  爪  泰  則               議事課長                太  田  喜  之               議事課課長補佐             吉  田     亮            ──────────────────────────────   午前10時 開議 ○議長(西村久子) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(西村久子) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  教育委員会藤田義嗣委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として佐藤祐子委員が、また選挙管理委員会伊藤正明委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として河部哲幸委員が、また人事委員会益川教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として西原節子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(西村久子) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第101号から議第115号まで(平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか14件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(西村久子) 日程第1、議第101号から議第115号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、10番下村勳議員の発言を許します。 ◆10番(下村勳議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。チームしが 県議団守山市選挙区の下村勳でございます。議長のお許しを賜りましたので、私は、一般質問として、インクルーシブ教育の推進について、知事ならびに教育長に、一問一答方式にて質問をさせていただきます。  質問に先立ちまして、今回、初めて歴史と名誉のある滋賀県議会の場に登壇させていただくことは、私にとっても大変名誉あることであります。県民の負託を受け、行政の皆さんや先輩議員諸氏からさまざまな県政の課題について学び、滋賀県とそこに住む人たちの発展と福祉の向上に向けて、誠心誠意取り組んでまいる所存であります。どうかよろしくお願いします。  それでは、質問に入ります。  今、教育は大きな転換期に入ったと思います。2008年に障害者権利条約が発効され、6年後の2014年に日本もこれに批准しました。また、2013年に障害者差別解消法が成立し、学校教育法施行令が一部改正されました。  戦後、障害児教育は、1979年──昭和54年の義務制によって、それまで就学が免除、いわゆる学校に行かなくてもいいとなっていた障害児も学習を受ける権利を有するとし、養護学校、現在の特別支援学校が充実されました。  しかし、一方でセグレーション──分離教育が進み、障害のある子供とそうでない子供が分断されるといった問題も出てきました。つまり、障害のあるなし、障害の種類や程度によって、地域の通常学級と障害児学級、障害児学校といった進路先を保護者ならびに本人に通知してきたのです。そこで重視されてきたことは、その児童生徒個々に応じた支援の充実であり、集団とは切り離した個別支援もしくは小集団での支援でした。  ところが、前述した障害者権利条約の第24条、教育の2で述べられていることは、「一般教育制度から排除されず、その中において発達を最大にする環境での個別的な支援を受けること」と定められています。つまり、通常学級の中で障害のある子供が集団内で個別的な支援を提供することがうたわれているのです。すなわち、セグレーション──分離教育からインクルージョン──包括教育、すなわち、分ける教育から分けない教育への転換を図らなければならないのです。このことを踏まえ、三日月知事にお伺いいたします。  知事はかねてから、全ての人に居場所と出番をといった共生社会を標榜されていました。そこで、知事が思い描いておられるインクルーシブ社会とはどのような姿なのかをお聞かせください。 ○議長(西村久子) 10番下村勳議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)下村議員、御当選おめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、この知事という職をいただく前から、全ての人とともに、全ての人のためにということを標榜しながら政治活動をしておりまして、今般、知事という職をいただくに当たり、全ての人に居場所と出番のある共生社会をつくろうということを申し上げながら、多くの共感を得て、今、この職をいただいております。そういうことを念じながら、実現すべく努力してまいります。  障害者権利条約におきましては、御案内のとおり、障害のある人の社会への完全かつ効果的な参加および包容──インクルージョンを原則の一つとしております。  本年3月に策定をいたしました滋賀県障害者プランにおきましても、「地域でともに暮らし、ともに学び、ともに働き、ともに活動することの実現」を基本目標に、「障害のある人もない人もお互いに尊重し、理解し、助け合う中で、その有する力を最大限に発揮し、居場所と出番を実感できる共生社会を実現すること」としており、こうした社会こそがインクルーシブ社会であると考えております。  一方、県が昨年度──平成26年度に実施いたしました調査では、障害のある人を雇い入れる企業がまだまだ少ないということ、災害時に安全なところまですぐに避難することが難しいという実態、外出や移動が困難なため買い物や外食、娯楽などに出かけることができないということ、陰口を言われたりからかわれたりしたことがあるといった答えが多く寄せられておりまして、共生社会の実現に向けては道半ば、いやいや、まだまだ一里、二里という状況ではないかと考えております。  こうしたことから、滋賀県障害者プランに基づきまして、障害者理解の促進や福祉のまちづくりの推進など各分野にわたる幅広い取り組みを着実に進め、全ての人が夢や希望を抱き、幸せや豊かさを実感できる滋賀の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。  今、知事からお話しありましたように、まだまだこの滋賀県を見てみた場合、障害のある方々の就職率、これは多分、今、近畿でワースト2番目ぐらいだったと思います。それがなかなか伸びないという現状があったり、あるいは今、地域の防災計画いろいろ立てられておりますが、災害弱者である障害のある方々の訓練がほとんどできていないのは実態じゃないかなというふうに思います。  また、これ、先般、草津市の手をつなぐ育成会がアンケートをとられて、障害者の御本人あるいは家族の方にアンケートをとられました。6割近くが、日々孤立感を感じて過ごしているというような回答がされています。自分から入っていきたいんやけどなかなか入れないという、そういうような実態にあるのが、今、滋賀県の現状であります。したがいまして、インクルーシブ社会にはまだまだほど遠い滋賀の現状というようなことが言えると思います。  ここで、1つ押さえておきたいことがございます。インクルーシブというと、障害のある方ばかりに焦点が当たりますが、実は、障害のある方だけではなくて、いわゆるマイノリティー──少数派の方全てに当てはまる言葉であります。生活困窮者の方とか外国籍の方でありますとか、そういう方々にしっかりとみんなの中に包み込んでいこうという、そういうような発想がインクルーシブというようなことであります。  それとあわせて、河原教育長には、滋賀県教委が目指すインクルーシブ教育とはどのような姿なのかをお答えください。 ◎教育長(河原恵) (登壇)お答えをいたします。  本県が目指すインクルーシブ教育とは、一人一人の教育的ニーズを踏まえ、障害のある子供が障害のない子供とともに可能な限り同じ場でお互いに学び合うことにより、地域でともに生きていくための力を育てていく教育であると考えているところでございます。  こうした考え方を踏まえ、市町と一体となって小中学校に分教室を設けたり、副次的な学籍制度を導入することなどにより、地域に根差したきめ細かなインクルーシブ教育システムの構築に取り組み、この滋賀で新しいインクルーシブ教育システムを確立し、発達障害も含め、障害のある子もない子もともに地域で生きることのできる力を身につけていくことができるよう、滋賀らしい特別支援教育の実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。  インクルーシブとは、日本語で言う包含を意味します。包含とは、内部に包み込んでいる、含んでいる状態を言います。つまり、インクルーシブ教育とは、障害の種類や程度のいかんを問わず、障害のある子とない子が同じ空間、教室や学校でともに学び、ともに過ごすことです。しかし、インクルーシブ教育を推進するに当たっては、さまざまな課題があることも事実です。  そこで、今回は、その幾つかの基本的な課題についてお伺いしたいと思います。  障害のある子供は、就学前にそのほとんどは保育園や幼稚園とは別の市町が実施している療育教室に通っています。また、専門家と言われている方々の相談を受けたり、地域の小学校や養護学校へ見学に行ったりして、それぞれの管理職や担当教員とも話し合います。そして、就学指導委員会に諮られ、就学先が決定するという仕組みになっています。その際には、保護者の意向が最大限尊重されます。  以前に、私どもの会派の駒井千代議員が、なぜ、ここ近年、養護学校の児童生徒数がふえているのかという質問に対し、県教委は、「保護者に特別支援教育への理解が高まった結果である」と答弁されています。実際に私が訪れた養護学校の学校長も、同様のことをおっしゃいました。確かにその側面があることは否定いたしません。  しかし、私がお出会いした保護者に話を聞くと、「地域の小学校へ見学に行ったとき、校長先生から、言葉の話せない子は私どもの学校には入学できませんよ」、あるいは「私どもの学校に来てもらっても何もできませんよ」と言われているケースが以前は非常に多かったと聞いています。我が子の将来に希望と不安を抱いている保護者がこのような心ない管理職の発言によってどれほど傷ついているかを、県教委はしっかり認識すべきです。これこそ、まさしく障害者差別なんです。  また、言われた保護者がまず一番に感じることは、我が子は地域の学校にはもう入れてもらえないんだということです。そうすると、必然的に進路先は養護学校、特別支援学校を選択せざるを得ないのです。インクルーシブ教育を推進するに当たっては、就学指導のあり方を抜本的に改める必要があると考えています。  まず、障害の種別や程度にかかわることなく、全ての障害のある子供を地域の小学校で受けとめることを大前提にするべきです。保護者や子供が小学校へ見学に行ったときに、管理職や担当教員は、「どうぞ私とこの学校に入学してください。この子のために全校挙げて精いっぱいの教育と個別支援に努めます」と言い切ることです。  このような私どもの就学指導の考え方に対して、県教委の就学指導に対するこれまでの取り組みをどのように改善していこうとされるのか、教育長のお考えをお示しください。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  平成25年9月に学校教育法施行令が改正され、本人、保護者や専門家等の意見を聴取の上、総合的に判断して、市町教育委員会が就学先を決定することとされました。さらにインクルーシブ教育システムの構築を進めるためには、就学先の決定時のみならず、その後も一貫した支援を行い、一人一人の状況を的確に把握し、最も適した学びの場を常に選択できるようにしていくことが必要です。  このため、子供や保護者に対し適切な情報を丁寧に伝え、最適な学びの場を選択できるような相談体制や、障害の状況あるいは教育環境等の変化により柔軟に就学先の選択や見直しが行える体制を、市町教育委員会と連携しながら整えることが必要であると考えております。  先ほどの答弁にもありましたように、基本ビジョンにのっとりながら、今後も、子供たちがその能力を最大限に伸ばすことができることを目指した就学相談に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)今、教育長の答弁をいただきましたが、私がちょっと期待していたことと違いましたので、若干がっかりしております。  私は、保護者は本当にしんどい思いして進路先を選ぼうとされている、そういう保護者に本当にしっかり寄り添って、特に地域の公立の学校で、本当に心ないそういうような言葉を浴びせられて苦しんでおられる保護者がいられると、そういうやっぱり反省をしっかり持ってもらわないと、これから就学指導、従来と全然変わらないと思うんですよ。  保護者は敏感です。学校に見学に行ったときに、自分らが歓迎されているのか、あるいは敬遠されているのか、あるいは拒否されているのか、すごく敏感なんですよ。それをしっかり、今回、差別解消法ができましたが、特に拒否するような発言をする管理職がいたら、これはこの法律に抵触すると思います。十分慎重に、温かく愛情を持って対応していただきたいというふうに思います。  あわせて、現在、副籍、つまり地域の小中学校と養護学校との双方に籍を置くということが検討されています。どのように検討されているのか、教育長にお伺いいたします。
    ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  小学校と特別支援学校、また小中学校における通常学級と、今、ビジョンで考えております分教室など、その双方に学籍を持つこと、つまり副次的な学籍を持つことで、障害の特性や学習内容に応じて柔軟に学びの場を選択しながら学習することが可能になるような新しい仕組みを検討しているところでございます。  その実現につきましては、これまでからさまざまな御意見をいただきました長浜市の教育委員会の協力を得まして、今年度から地元の小学校と長浜養護学校とをモデル校として具体的な研究をしていくことで、その成果や課題を明らかにしながら、この副次的な学籍の制度設計に向けて進めていきたいと考えているところでございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。  私もこの副籍については基本的には賛成であります。例えば、1つ例を挙げますと、養護学校、特別支援学校にも籍があって、地域の小学校、中学校にも籍があるという、そういうようなことですよね。このことによって、どっちが主でどっちが副とかいうことじゃなくて両方とも主なんだと、私の学校は養護学校でもあり地域の学校でもあるんだと。養護学校の先生方は私どもの子供やと、地域の学校も私どもの子供やという観点に立ってその子を支援していっていただくということはすごく大事なことであって、ぜひ強力に進めていただきたいというふうに思っております。  次に、養護学校の大規模化についてです。  ここ数年、全国的に見られる傾向にありますが、養護学校、特別支援学校の児童生徒数が急増しています。特に滋賀県南部の場合、人口増の影響も伴って飛躍的に増加しています。野洲養護学校の場合、開校した平成20年は全校数が191人であったのが、7年後の今年度は368人と約2倍に。草津養護学校は平成3年に開校し、当初103人だった全校数は、24年後の今年度は336人と3.3倍になっています。いずれも2回の増築工事を経て今日に至っています。近畿圏の養護学校では大規模校に属し、そのためにさまざまな課題が生じています。  私どもも先日、両校に視察に訪れ、目の当たりにしてきました。下校時の慌ただしさの中、先生方が旗と笛を持って、スクールバスや数十台にも及ぶ迎えに来ている事業所の車両の交通整理をされていました。また、増築が横に延ばさざるを得ないために、廊下は直線にして200メートル、実際にはかっていただいたら154メートルやったらしいですが、それぐらい近くになり、先方はかすんでいるようにさえ見えました。  そもそも養護学校には、建物の規模や児童生徒数の制限などがある設置基準が存在しません。そうした中で、養護学校の大規模化はあり得ないという思いがあったのかもしれません。しかし、現実には増築の繰り返しによって、大規模化になっているのが滋賀県の現状です。  私は大規模化による事故の危険性はもとより、教職員の児童生徒の把握や支援に対する共通理解、PTA活動などに大きな支障と混乱を招くと考えています。でき得る限りコンパクトな集団による個別対応がふさわしいとも考えています。保護者や教職員の意見を聞いても、同様の意見が大多数であることも判明しています。  ただし、それを満たすために養護学校を新設するということについては、インクルーシブ教育に逆行することにもなりかねません。また、現状にある養護学校の大規模化を増築のみによって対応することも問題だと思っています。  それじゃ、どんな解決策があるのか。私が考えているのは、各地域において県立もしくは公立の施設を借り上げて、必要に応じて改修、分教室を設置すればよいのではないかと思います。  今現在、石部高校と伊吹高校に分教室が設置されていますが、いずれも高等部です。私が言ってるのは、小学部、中学部の子供たちに対応できるような分教室です。その分教室がその地域の特別支援のセンター的な役割を担って、地域の小中学校との連携を図っていくというシステムなんです。そのことによって、豊かな経験と実践がある養護学校の先生と、地域の特別支援に携わる先生との交流が深まり、インクルーシブ教育が進展すると考えられます。  ただし、分教室を各地域に設置する場合には、各市町の教育委員会と、その対象地域の理解と協力が不可欠です。一方で、その実現に向けては、かなりのスピード感を持って進めなければならないのも現実です。このような私どもの提起に対して、教育長の御所見をお伺いいたします。  なお、分教室の実現に向けての思いを含めてお聞かせください。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  本県では、県下全ての圏域に特別支援学校を配置し、障害のある子供が自宅から通うことのできる体制をこれまで整備をしてきたところであり、きめ細かな教育を進めるという基本方針でやってまいりました。  そうした中、特別支援学校の分教室を議員が今言っていただきましたように地域の小中学校に設置するということは、障害のある子供が地域の中でより一層ともに生きる力を育むということにつながりますし、また、本県の目指すインクルーシブ教育を推進するためにも大変有効な方法であると考えているところであります。  分教室の設置に当たりましては、関係者の皆様の御理解とともに、教育環境の整備など解決すべき課題は多々あると認識しているところでありますが、昨年度末に策定しました本県が目指す基本ビジョンにのっとりながら、市町教育委員会と理念を共有し、これまで以上に丁寧な意見交換をしながら、分教室の設置に向けて取り組んでまいりたいと思っております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)今、御答弁いただいたように、分教室の設置を進めていくということなんですが、大変ありがたいことやと思っていますが、これはもう待ったなしであります。今、現に養護学校で学んでいる子供たちは大変厳しい環境にいると。少しでも早く、今、養護学校に学んでいる児童生徒さんで地域を希望したい人は何人いらっしゃるのか。あるいは、地域ではどの施設が分教室になり得るのかという検討を早速進めていただいて、来年度にはかなりの分教室ができているように、よろしくお願いしたいと思います。  あわせて、ただ、今の公立小中学校の先生方、大変さまざまな教育課題と正面から向き合って、日々奮闘されています。県教委が一生懸命こういうふうにインクルーシブ教育を進めようと思ってるのに、私、見ている限りは、なかなか地域の公立小学校、中学校にそのインクルーシブ教育をやるんだという、そういうような気概が伝わってこないんです。  日々の仕事が多忙やいうこともわかります。その上にまだインクルーシブ教育までやれと言うのかというような感覚になっていただいたら私はだめやと思ってるんです。これ、インクルーシブ教育というのはみんなでやらなあかんのやというような気持ちにまずなってもらえるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  本当に幾ら声高に叫んでもらっても、市町の教育委員会あるいは管理職、地域の小中学校の現場の先生方にその理念が理解されて実践されなければ、この実現はほど遠いと思ってます。  また、保護者や地域住民には、その理解と障害のある子供の地域参加を促す実践が必要です。また、県による適切な財政支援や人員配置がなければ、合理的な配慮は実現しないと思います。  あわせて、全国的にも低い滋賀県内の企業における障害者雇用率を伸ばしていかなければ、滋賀県が真のインクルーシブ社会になったということは言えないと思っています。  そこで、県教委として、市町の教育委員会、教育長や小中学校の管理職、教職員、保護者、さらには地域住民、企業に対して、インクルーシブの実現に向けて理解を得ていこうとされているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  インクルーシブ教育を推進するためには、全ての教員がこの問題に対して十分理解をし、資質向上を図るということで、そういう気持ちを持たなければならないと私自身も考えているところでございます。  そのためには、まず全ての教員が子供の障害に対する十分な知識と理解を持つこと、また、個々の障害特性に応じた授業づくりや学級経営等を行うことができる力量を身につけることが必要であるというぐあいに思っております。  あわせまして、本県が目指す基本ビジョンを実行するということになりますと、児童生徒の状況を把握し、適切な指導や個別の配慮を行う必要がありますことから、学校入学から卒業まで、一貫した教育支援を進めるための個別の教育支援計画を作成することも極めて重要であると考えているところであります。  また、地域や保護者の方々、関係機関、さらには企業等の皆様に対しても、このインクルーシブ教育の認識を深め、実践につなげていただけるよう、さまざまな機会を捉えて、学校や地域での実践事例の情報等を発信、提供してまいりたいと考えているところでございます。  このような取り組みを通して、障害のある子供とない子供がともに学び、地域の一員としてともに生きていくことができるよう、関係部局や市町と連携し、インクルーシブ教育の推進、ひいてはインクルーシブ社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ぜひインクルーシブという理念がそれぞれの地域あるいは公立の小中学校に、皆さんに行き渡るようになってほしいというふうに思っています。  冒頭、知事の答弁に対して言いましたけれども、インクルーシブというのは何も障害のある子だけを対象にしているのではなくて、例えば外国籍の子供、あるいは集団になじめない子供、あるいは不登校ぎみの子供、あらゆる少数派と言われるそういうような子供も対象でありますので、そういう子供たちもそれこそ学校に居場所があり出番がある、そういうような学校、学級にしていただきたいと思いますし、それがひいては、私、これは持論になるかもわかりませんが、例えば、クラスにそういうインクルーシブの対象になる子供がいて、その子が本当に過ごしやすい学級というのは、これは誰にとっても過ごしやすい学級やと思うんです。それがひいてはどの子も居場所があり、学級が楽しい、学校へ行くのが楽しいという考えに行き着くと思います。  そうなると、当然、学習にも集中力がついてきまして、学力のいわゆる意欲向上にもつながってくると私は思っております。ぜひそのことも踏まえて進めていただきたいと思います。  平成26年──昨年、県教委が出されている「滋賀の特別支援教育」という冊子があります。そこにインクルーシブ・アートプログラム推進モデル事業として、小学校と養護学校が交流している様子が掲載されています。また、養護学校では、保護者や本人が希望した場合、年に数回、地元の小中学校との交流も実施されています。  ある保護者が私に話されたことがあります。「子供と一緒に何度か地元の小学校へ交流に行きました。そのたびになぜか胸が締めつけられるような思いがしてならなかった。何でだろうといろいろ考えたら、行くたびにお客さん扱い、行くたびに特異な者でも見るような目つき、そんなことを感じました」と。これ、私が勝手に感じたからかもわかりませんがということをおっしゃっていましたが、そういうような交流あるいはモデル事業は、これは全然インクルーシブでも何でもなくて、むしろマイナスではないかなと私は思っています。  私は、今のモデル事業や地域の学校との交流事業は本当にインクルーシブとはほど遠く、まだまだ入口の段階であると思っていますので、この事業をやったからインクルーシブができたということではなくて、障害のある子とない子が同じ空間の中で学び過ごすことによって、お互いにどのような力がついたのか、あるいは成長したのかということをしっかり見きわめる、検証する、そういうような実践の積み上げと広がりこそがインクルーシブ教育の推進であると考えています。  県教委のこれから進めるインクルーシブ教育が玉虫色に終わることなく、着実な成果となって積み上がり、子供たちの成長につながるように、これからも見守り応援していきたいことを最後に申し上げて、私の質問を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、10番下村勳議員の質問を終了いたします。  次に、38番蔦田恵子議員の発言を許します。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇、拍手)良知会の蔦田でございます。良知会には、声なき声に努めて耳を傾けるというポリシーがございます。今回の質問は、まさにみずから声を上げることができない社会的弱者である子供や若者の将来のために役に立ちたいという思いでさせていただくものです。  1項目めは、子供たちの貧困に対する取り組みについて、一問一答方式で、知事と教育長に質問いたします。  子供のおよそ6人に1人が貧困状態にあると言われる日本の現状、本県も決して例外ではなく、貧困状態にある子供たちに対する取り組みの強化が求められています。生まれ育った環境によって子供たちが生きる道を狭められることなく、全ての子供が希望を持って育っていける社会にするために、県行政として取り組むべきであると考える点について質問いたします。  2014年7月に発表された平成25年国民生活基礎調査によりますと、18歳未満の子供の貧困率は16.3%と過去最悪を更新しました。県内の子供の貧困状況についての御認識はいかがでしょうか。知事に伺います。 ○議長(西村久子) 38番蔦田恵子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)蔦田議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。  県内の子供の貧困状況はいかんという御質問をいただきました。子供の貧困状況というものをストレートに捉える指標というものは今持ち合わせていないんですけれども、県内の全小中学生に占める教育扶助や就学援助を受給している小中学生の割合の推移というもので見ますれば、平成21年度にはその比率が11.2%でございましたが、平成24年度には12.3%と1.1ポイント増加しており、小中学生の生活困窮度は少し高まっているという認識を持っております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)明らかな状態を示す指標は今ないということなんですけれども、やはり状況は悪化しているというふうに認識をいたしました。  子供の貧困というこの根の大変深い問題を解消していくためには、やはり現状をしっかりと把握をして、そして分析をして対策を講じて実行していくという、こういう流れがあってしかるべきだと思っております。  まずは現状認識をする上で、本県の子供の貧困率を踏まえる必要がどうしても私はあると思うんです。ですけれども、本県の数値はないと聞いております。全国の数値は発表されているのに、自治体ごとの数値は出されておりません。私は子供たちの貧困の状態を知るためにも、本県の貧困率の数値を把握する必要があると思うんですけれども、知事はいかがお考えでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 本県の子供の貧困の状況につきましては、先ほどお答えしました数値でおおむね、おおむねのおおむねですけれども、把握をしているところでございます。  また、今年度は教育扶助等を受給している小中学生に加えまして、就学前の子供たちの家庭が抱える課題や子供たちの困り感について、支援をなさっている関係者から現場の声を聞き取りながら、子供の貧困の「見える化」、子供の貧困の実態の「見える化」というものを図ってまいる所存でございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)私の今の質問は、全国では把握している貧困率、先ほど言いましたように16.3%と過去最悪を記録している。全国の数字はわかっているわけですから、やはり滋賀県としての数値を国は持っていると思うんです。この数値を滋賀県として、それが滋賀県内のどの地域が何%でということを公表するかどうかは別の問題として、やはり知るということが私はまず出発点ではないかと思うんですけれども、このことについてはいかがでしょうか、知事にお願いします。 ◎知事(三日月大造) 御案内のとおり、貧困率というものについては、それぞれの世帯の所得をずっと並べ、そして中間値をとり、そしてその中間値との半分以下の所得世帯をもって貧困と表現し、その世帯にいらっしゃる方の子供さんの数という形で表現をされているんだと思うんですけれども、現時点、滋賀県ではそういうものを持ち合わせておりません。  今、この御質問をいただいて、私どももどういう形でそれを把握しているのかということについては、先ほど申し上げた小中学生の教育扶助でありますとか就学援助というものを受給されている方で近似をしている。しかし、あくまでそれは小中学生での近似であって、小学校に入るまでの子供たちの実態については、今申し上げた答弁のとおり、それぞれの家庭や世帯で子供たちがどういう状態にあるのかということをふだんお見守りいただいている方々で情報をとっていただいて、それでもって把握をしていこうということで、いただいた御質問に答えるとすれば、今はないんですけれども、実態の把握を含めて今後整えていきたいという形で、滋賀の子供たちの貧困の状況を把握してまいりたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)実態把握についていろいろと御努力はいただいているようですけれども、私は、国が把握しているのであれば滋賀県はどうなんですかと、国に対して聞いて情報を得ればいいのではないかというふうに思っているんですけれども、聞いても答えてもらえなかったということなんでしょうか。  次、行きます。  国において、子どもの貧困対策の推進に関する法律が平成26年1月に施行されまして、都道府県に対して、子どもの貧困対策計画の策定を努力義務として求めています。昨年7月定例会議で行われました九里議員の質問に対しまして、知事は、「目標数値の設定、ロードマップの作成を行って、PDCAサイクルによる着実な実施をしっかり盛り込みながら、貧困率を目標数値とすることについてやっていく。また、子供の貧困状況を少しでも改善することができるよう、わかりやすい指標を掲げて取り組んでいく」と答弁されております。その後、子どもの貧困対策推進計画は淡海子ども・若者プランの中に盛り込まれ、県は、これで計画は策定し、努力義務は果たしたとしております。  しかし、実際、子どもの貧困対策推進計画は140ページにわたる大量の淡海子ども・若者プランに埋もれている感が否めず、数値と目標値が示されているのは5点についてのみで、とても多面にわたる子供の貧困対策の計画として納得のいくものではございません。県の子ども貧困対策推進計画に対する私の受けとめについて、知事の御見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えをいたします。  子どもの貧困対策計画につきましては、子ども若者審議会を初め、県民や市町、議員の皆様からの幅広い御意見を盛り込み、子供、若者に関する総合計画であります、今御紹介いただきました淡海子ども・若者プランの中に位置づけ策定を行いました。  計画には、国の大綱に示されました就労支援、生活支援、経済的支援、教育支援の4つの柱を掲げ、それぞれに基本目標を掲げますとともに、世帯と子供両方へのアプローチで、福祉、労働、教育など多分野にわたる具体的取り組みを盛り込んでいるところでございます。  また、国の大綱や他府県の計画では現時点での数値を指標として示し、その推移を見ていくことといたしております。一方、本県の計画では、その達成すべき水準を目標値として明確に示しているところでございます。  計画の推進に当たりましては、今も御紹介いただきましたが、PDCAサイクルで点検、評価するなど、実効性のある計画としておりまして、この計画を実施することで、貧困が連鎖せず、生まれ育った環境により子供の将来が左右されない環境づくりを進めるため、本計画に基づき、子供の貧困対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)先ほど紹介しました九里議員に対する答弁、こういう計画にしていくんだという中身を紹介しましたけれども、今のプランの中に盛り込んだ計画で十分応えているというふうに思っていらっしゃるということでよろしいんでしょうか、知事。 ◎知事(三日月大造) 全て十分、完全完璧とは私は申し上げません。しかし、現時点、私どもがとり得る情報、そしてとり得る方策の中で、それらを改善するために現時点では最善の計画をつくり、そして実施をしようとしているものとして、多くの方に御理解をいただき、ここまで来たというふうに考えております。  ただ、その計画実行の過程において、さまざまわかってくる実態もありましょうし、また、いろいろと指摘をされ、また改善を要することも出てこようと思いますので、その都度また見直しながら、計画実行を進めてまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)私はスタートにしては本当に手ぬるいなというのが実感です。お隣の京都府さんでは、子どもの貧困対策推進計画、ここにあるんですけれども、独立して策定されています。こういう分厚いものなんですね。これを子どもの貧困対策のための推進計画としてつくっていらっしゃいます。まず、知事はこの京都府さんの子どもの貧困対策推進計画、ごらんになったことありますか。あるかないかだけお答えください。 ◎知事(三日月大造) 京都府のその計画は、私は見たことがございません。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)それは残念です。お隣のこの京都府の計画、ぜひ後で見て、しっかり読んでいただいて参考にしていただきたいんですけれども、ここには子供の貧困に係る現状と課題が非常にわかりやすく示されており、生活保護世帯やひとり親家庭における幼稚園、保育所の利用状況ですとか、小中学校の学力や高校の進学に対する影響なども示されています。  そして、25項目にわたるいろんな課題について一覧表にまとめられておりまして、京都府の数値が出され、そしてその横には全国の平均値が示され、何について京都は全国よりおくれているのか、あるいは逆に京都府のほうが随分進んでいるものもあるというふうに、現状と課題が非常にわかりやすく示されております。  また、このほかにも、大分県ではおおいた子ども・子育てプランに対策の推進を盛り込んだんですけれども、具体的な取り組みは別計画を策定してまとめることにしております。  こうした計画の中身ですとか形から、子供の貧困に対する取り組みの意気込みというもの、その姿勢というものを感じるわけですけれども、滋賀県として、今はプランの中に盛り込んでいますけれども、改めて独立した計画として策定するお考えはおありでしょうか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 現時点では独立した計画をという考えはありません。このプランの中に盛り込んだ計画で、子供たちの貧困に寄り添い、そして必要な対策を講じてまいりたいと考えております。  むしろ、そういう子供、若者を取り巻く環境、そして課題というのはいろんなものが絡み合っていると思いますので、そういうものを総合的に一体的に取り組んでいければというふうに考えております。  しかし、日々変わるものでもあり、そして実態等もわかってくるものもありますし、先ほど来答弁させていただいているとおり、今の近似で捉えているそういう貧困の状況というものをより「見える化」しようという取り組み過程の中で、さらにこの計画を充実させてまいりたい。その過程においては、議員がおっしゃったようなことも含めて検討してまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)今はまだ独立した計画を立てるつもりはないというふうに言い切られました。でも、今、全国の、お隣の京都のも見ていらっしゃらないということなんですけれども、このほか、京都だけではなくて、独立した計画を立てている自治体が次々と出ているんです。ふえているんです。全部は把握できませんでしたけれども、私が把握しているだけでも、神奈川、鳥取、山口、島根、香川、愛知、広島などがございます。独立した子供の貧困対策のための計画を立てて、これからやっていこうと、皆さん必死で取り組んでおいでになります。私は、こういう中、滋賀県三日月知事、本気で本当に今困っている子供たちを救う気があるのかと私は言いたくなります。  計画をしっかり立てることで、滋賀の子供たちの貧困の現状を把握して施策に反映させる、これ、大事です。でも、それだけではなくて、しっかりと計画を立てて、県民の皆さん方に現状と課題を知っていただくこと、それが県民の皆さん方の困っている子供たちへの理解と協力につながるわけです。だから私は、まず計画で現状と課題をわかりやすく示してくださいと。今のプランの中に盛り込まれている状況では全然伝わってこないんです。だから言ってるんです。  子供の対策、本当に待ったなしです。これは大げさではなくて、命にかかわる問題なんです。その時々の状況によってこれから考えていきますというような状況では私ないと思うんです。もう一度、知事にお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 子供の貧困対策がその子供たちにとっても社会にとっても深刻で、そして子供たちのその時々、そして将来にとっては待ったなしの状況であること、それは私も認識いたしております。その法律の立法過程にも私も参画をしておりましたので、そのことは自覚をしながら、この知事としての職務も遂行させていただいているつもりですし、お言葉ですけれども、私のみならず職員の皆さんも、そういう子供の実態に寄り添って対策を講じていこうということで、それぞれ本気で取り組んでいただいておりますので、そのことはぜひ議員にも御理解いただければと思います。  まだまだ至らないことがありますので、そして子供たちの実態に寄り添えてないところがありますので、この計画をつくり、子ども・若者プランの中で一体的に取り組もうというのが今の状態であります。  ただ、今、議員が御指摘いただいたように、計画を外だしして、そしてそのことを社会の皆様方にも御理解をいただき、そして協力を求めていくということも私は一定理解をいたします。そういう状況の中で、各都道府県がそれぞれ、例えば今年度策定予定を含めて、総合計画の中で本県のように位置づけるという都道府県が20都府県、また独立した計画でやろうとしているところが20道府県ということで、それぞれがいろんな実態、計画のあり方を考えながら今実行している過程にあるのではないかと思います。  したがって、今の状況、決して甘く見ているということではなくて、その実態にもしっかりと寄り添いながらこの計画を実行し、さらに実効性を高めてまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)ですから私は、本気度を計画をつくることで示してくださいと申し上げているわけです。  次に、子供の貧困と学ぶ環境について質問いたします。  子供の貧困と学力が密接なかかわりがあることがさまざまなデータから示されておりまして、全国学力テストの点数と親の年収の比較から相関があることが指摘されております。このことからしますと、滋賀の学力テストの低さ、よく問題にされます。これまで、どうすれば点数を上げることができるのかという、学力をアップする教育面のことばかりに注目がされてきた気がいたしますけれども、私は一方、福祉的な観点から、子供たちの貧困対策に真正面から取り組まなければならないんだということに気づきました。  学力の低下にはさまざまな要因があって一概には言えませんけれども、貧困による一定の影響があることは否定できないと思います。子供の貧困と学力について、滋賀の教育現場の実態を踏まえての教育長の御見解を伺います。 ◎教育長(河原恵) (登壇)お答えをいたします。  子供たちの学力が何と関係するかについては、一概には言えませんが、貧困による家庭環境や学習環境が学力が伸びない一つの要因となるものと捉えているところであります。  個々の児童生徒についてその関連を調査することはできませんが、学校単位で学力・学習状況調査をもとに比較しますと、就学援助を受けている割合、例えば5%未満であるとか10%未満であるとかというぐあいに分けて、学校単位で分けて比較するわけなんですが、そのいわゆる就学指導を受けている割合によって、ばらつきがあります。完全に相関があるわけじゃなく、ばらつきがあります。ばらつきはありますものの、在学していない学校、就学援助を受けている生徒が在学していない学校と比べますと、いずれの割合を持つ学校でありましても低い傾向、低くなっているという、こういうことが結果としてあらわれております。  市町からは、例えば親が早朝より働きに出ていて、子供が家事をさせられており不登校になっているとの報告も受けており、貧困による家庭の状況が学力の低下につながっているという事例があります。  こうしたことから、貧困を含む家庭環境に課題のある児童生徒に対して、家庭で一人ででも学習できるよう支援することが必要であり、放課後等活用事業などを通して、家庭学習の習慣づくりができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)滋賀の教育現場の現状について教えていただきました。やはり親から暴力やネグレクトによる虐待を受けている、あるいは経済的な理由から、いつも親がいない、夜もひとりぼっちという子供たちに、なかなか勉強しなさいと言ってもそれは無理な話だと思います。  子供たちの学習意欲を高めるためには、教育の現場のみならず、福祉面での対応を強化していく必要があると考えます。どの子供たちも学べる福祉面の取り組みの必要性について、知事の御見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今、御質問いただきましたように、また教育長から答弁をさせていただきましたように、そういう生活の状況と規則正しい生活であったり、また朝食が食べられているかということが学力とも相関しているということでございますので、そういうことを整えるために、家庭の経済的環境の影響を受けることなく、誰もが等しく学習の機会に接することができるよう、今おっしゃったような福祉の視点で子供たちの状況を捉え、またフォローしていくということは必要だと思います。  そういう中で、本年4月に施行されました生活困窮者自立支援制度では、生活困窮世帯の子供に対する学習支援事業を実施できることとされております。この事業が全県下で実施されるよう、県が実施主体となります東近江および湖東圏域の福祉事務所での関係者との協議を急ぎ進めるとともに、未実施の市に対しましても、必要な支援を今現在行っているところでございます。  こういう事業を通じまして、家庭環境にたとえ課題を抱えていたとしても、子供たちの学習の機会をきちんと提供し、貧困の連鎖を断ち切っていけるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)ぜひ取り組みよろしくお願いいたします。  次に、学力だけではなくて、いじめの問題も貧困と深い関係があると思います。こちらももちろんさまざまな問題が絡んでいるかと思いますけれども、例えば家庭環境によって1週間お風呂が入ることができない、においがする、だからいじめにつながるとか、いつも靴下に穴があいているとか、みんなが持っているもの、例えばスマホであったりゲーム機を持っていない、あるいは、みんなでしているテレビの話題にもテレビを見れないのでついていけないとか、そういう生活環境の格差がいじめにつながるというケースもあろうかというふうに思っております。
     また、不登校や非行にもつながっているケースもあろうかと思いますけれども、この貧困といじめを初めとした子供の問題について、教育長はどのようにお受けとめになっているでしょうか。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  いじめや不登校等の子供の問題の中にも、貧困などの家庭の要因がその背景の一つとなっている場合があると捉えております。例えば、市町からのいじめ事案の報告の中に、今、議員がおっしゃっていただきましたような、お風呂に入っていないことでにおいがするから避けられるということとか、いつも同じ服で登校するためからかわれるなどの事例があります。  さらに、平成26年度にスクールソーシャルワーカーが継続支援した子供547人のうち、33%に当たる179人が貧困を含む家庭環境の問題が背景となっております。  こうしたことから、家庭環境を初めとした子供を取り巻く環境を改善するための支援は極めて重要であり、そのためには、学校のみならず、福祉機関等との連携を図ることも重要であると考えているところでございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)子供たちの状況というのは、やはり大人が気づこうとしなければ気づけないので、もっともっと私たちが頑張っていかないといけないんだと思うんですね。こうした子供たちに対する気づきを、今、教育長にお話しいただいたんですけれども、学校現場の先生方に任せ過ぎてはいないかという気もいたしております。確かに学校や幼稚園、保育園というのはじかに子供たちと毎日接しますので重要な現場ではあるんですけれども、じゃ、先生方が小さな子供の変化であるとか、さまざまな小さないじめというものに全て気づくことができるかというと、限界があると思います。  こうした学校現場で気づかれないところを行政全体としていかに捉えていくのかというところ、非常に重要なところだと思うんです。この点について知事はいかがお考えでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 私も蔦田議員とおおむね今考えは一緒です。そういう子供たちの発するサインを学校だけで捉えて、そして対策、支援をしていくということは私は困難である、いや、ほぼ不可能であるのではないかと考えております。  したがって、学校関係者に限らず、地域の幅広いネットワークの中で、行政のみならず、地域のいろんな福祉担当者の皆様方との連携、ネットワークの中で、子供のそういうサインを見逃さずに捉え、支援していくということが必要だと思います。  例えば、生活保護のケースワーカーの方々でありますとか生活困窮者の相談支援員の方々も、そういう状況を把握し得る立場や役割を担っていただいておりますので、そういう方々がつかまれたサインを、これは保護者との面談において、また学校との連携においてつかみ、そして対策を講じていくということ、重要な私は視点だと思いますので、さらにこういうネットワークを津々浦々充実させていく必要があると考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)そのネットワーク、重要だと思います。そういう点で、県内の福祉関係者や地域の力の結集として、滋賀の縁創造実践センターが動き出しました。高齢者、障害者、保育といった従来の制度や分野の枠を超えてつながって、多面からこれまで対応できていない問題解決のために、さまざまな取り組みを始めました。  フリースペースや遊べる・学べる淡海子ども食堂の実施など、子供たちの居場所づくりに取り組んでいただいていることは非常にありがたいです。この滋賀の縁創造実践センターに期待する知事の思いをお聞かせください。 ◎知事(三日月大造) この滋賀の縁創造実践センター、団体会員数が19、法人会員数が189、個人会員8名、賛助会員2団体ということで、これは約1億円近い基金をつくっていただいて、志同じくする人たちが、制度の谷間にあってお困りになっている方々、子供たちを救おうということで、今、いろんな活動をしていただいております。  滋賀県とも連携協定を結びながら、その現場の中で得られたさまざまな提言等々を制度化することに協力していこうということであるとか、すぐにできることについてはすぐに対応していこうということで、今いろんな取り組みをさせていただいているところでありまして、これは子供のみならず、全ての人に居場所と出番のある共生社会をつくるために非常に大切なセンターであると思いますし、むしろ日本の福祉制度をつくってきた滋賀ならではの新しい福祉をこれからつくっていく一つのモデルケースになる取り組みだということで、大いに期待をし、一緒に頑張っていきたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)この滋賀の縁実践センターでは、実践の一つとして特別養護老人ホーム、夜は使っていないということで、そこに子供たちに来てもらって、一緒にお料理して、一緒に食事して、そしてゲームしたりとか、いろいろ遊んだりと。また、お風呂もありますので、お風呂にも入ったりというようなこと、これは全国でも初めての取り組みだと思っておりまして、今はカーサ月の輪さんで行われているだけなんですけれども、もう既に幾つかの福祉施設が手を挙げていらっしゃるということもあって、今後の広がりに期待をしたいと思います。  この滋賀の縁創造センターは5年間の期間限定のモデル事業で、さまざまな取り組みを実践して、その成果を政策として県に提言するというものです。この事業終了後は、県が政策提言をいかに制度化していくのかという判断をすることになると思うんですけれども、制度化するとなると当然予算にもかかってまいります。県はどのように実践結果を反映させていくお考えなのでしょうか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 子供のみならず、全ての人に居場所と出番があり、そして生まれてくるところから生老病死、いろんな課題、問題も克服しながら、ともに助け合いながら、まさに公私協働で、公も私も一緒になってそういう共生社会をつくっていこうという、こういう取り組みですね。私はその実践、取り組みの中で得られたいろんな提言を、これは県という地方自治体のみならず、もちろん県でできることは県で実現に向けて努力をいたしますし、国全体で普遍制度化すべきものであることについては積極的に国にも制度改善を働きかけるなど、この取り組みで得られたそういう経験や提言をしっかり実現に向けて、皆さんと協力をして取り組んでまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)この事業、5年間ということで、あと4年ほどあるわけですけれども、これは子供たちのために必要だと思われる今実践されているものについては、5年を待たずに県として制度化して取り組んでいかないといけないと思ったものについてはやっていくというふうに、即やらないといけないことは実行していくというような素早い対策をお願いしたいというふうに思います。  次に、児童養護施設を退所した子供たちに対する取り組みについて、知事ならびに健康医療福祉部長に、一問一答方式で質問いたします。  18歳で自立を迫られる児童養護施設の子供たちを支援しているNPO法人ブリッジフォースマイルが出している自立白書によりますと、保護者がいない、あるいは育てられない18歳までの子供は、現在、およそ4万6,000人、このような子供たちは行政の責任のもとで、施設や里親家族などで育っています。このうち、主に2歳から18歳の子供たちが暮らす児童養護施設は全国におよそ600施設あり、2万8,200人が生活をしています。本県では4施設に160人が生活しています。  孤児院というイメージは昔のことで、現在は親の死亡や行方不明による入所は1割ほどで、ふえているのは、親による虐待や入院、精神疾患、経済的理由だということです。中でも親による虐待は、入所する子供の6割が経験しています。  施設の子供たちの平均在所期間は4.9年ですが、一方で、7%に当たるおよそ2,100人の子供たちは施設で12年以上生活をしており、子供時代を全く家で過ごしていないケースも少なくありません。こうした親からの虐待を受け、精神的な痛みを抱え続け、施設で育った子たちが18歳で退所となるわけですが、親元に帰ることもできず、いきなり社会に出て仕事をしながらみずから生計を立てていくのは決して容易なことではありません。彼ら彼女らには帰るところがありません。甘えられるところもありません。経済力もない。また、多くが世間に理解されにくい精神的病を抱えています。  こうした現状を認識し、サポートするより充実した取り組みが必要です。みずからSOSを出すことがなかなかできない彼ら彼女らに、いかに社会が寄り添い支えていくのか。行政が果たすべき役割は非常に大きいと思います。  以下、県の対応についてお聞きします。  施設退所後の若者の状況はどのように把握されているでしょうか、健康医療福祉部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えいたします。  施設退所後の子供の状況につきましては、県内の児童福祉入所施設が毎年度実施している就労や進学の状況調査から把握をいたしているところでございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)お聞きしたいのは、退所した、18歳になりました、もう施設出ていかないといけない、そういう出て行った若者の行方、把握できてますか。そういうことをお聞きしたいんです。就学や就労のことは後ほど聞くんですけれども、そういう若者たちの、今、じゃ、出ていった若者たちがどういうふうにしているのか、どこまで把握できているでしょうか。部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  就学あるいは進学というような状況は把握しておりますが、現在どこでどのようにというような状況については把握しておりません。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)就学と就労以外は把握できていないということでよろしいんですね。それでいいんでしょうか。もっと後、ずっと施設で生活してきた若者がどのような今状況にあるのかということを把握する努力はされてないんですか、今まで。部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) 実態につきましては、施設退所の際の施設と行政機関とのかかわりという中で、その子供たちにとって必要な支援というのは行っているというふうに承知をしております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)施設にいるときは制度ですとか職員さんに守られて育った。でも、これは結局は期限つきの守られた環境なんですね。例えば家庭で育ったお子さんたちは、30になっても親に面倒を見てもらっている人たちもいるわけなんですけれども、彼らは18歳になりました、はい、もう施設は出ないといけない、一人で自立しないといけないという状況にあるわけですので、そういう彼らが彼女らが仕事して家賃も払って生活していくというのは本当に困難ですので、私はやっぱり、18歳までやってきたことと同じぐらいやっぱり目を配って、厚いサポートをする必要があるというふうに思うんです。  2004年、児童福祉法が改正され、児童養護施設は退所した者に対する相談、そのほかの自立のための援助を行うことを目的とする施設とされました。この目的を達成するために、施設に対して県の支援は行っているでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えいたします。  退所した子供を支援するための職員を定数を超えて配置している施設に対しましては、その人件費を県単独で補助しているところでございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)退所後の援助と言われましても、施設の職員さんたちは入所している子供たちの世話でほんと手いっぱいというのが正直なところなんです。また、職員個々の裁量に任せているところが大きく、支援に差が生じるという問題ですとか、また職員さんたちは、おおむねですけれども、3年ぐらいで職を離れるということが多いようですので、その子を担当していた職員さんがやめると、その子との関係が切れてしまうというような問題もございます。  東京都など一部の自治体では、退所後の支援を目的とした対応のための予算づけをして、各施設に退所後支援を専任とする、専任です、専任とする自立支援コーディネーターを配置しております。こうした積極的な行政の取り組みによりまして、他の自治体と比較すると、退所者とのつながりですとか就労や進学などに明らかな改善が見られます。県が予算化をして、しっかりと退所後支援を行うということについて、知事のお考えはいかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) こちらも大事な問題をお取り上げいただいております。児童養護施設においては、そこが家と思えるように、職員の皆様方が言ってみれば親、本当の親ではないにしろ、親となれるように温もりと愛情を持って子供たちに接して、そして制度上の年齢の期限があるので、そこまでに何とか自立して一人立ちできるようにということで、いろんな教育や、また相談にも乗っていただいたり対応していただいております。  同時に、その退所に向けて自立支援計画を策定、実行するのみならず、退所した子供たちの相談にも乗っていただくなど、さまざまな自立支援を行っていただいております。  一定その自立支援を行う職員の確保というのは、部長が答弁しましたように一定措置はしておりますものの、それで十分かと言われると、今、議員が御指摘いただいたように、その施設内の子供たちのこともしながら、外にいる退所後の人たちのフォローもするということは、私は容易ではないと考えております。  が、一方で財政との見合いもあることなどから、少し施設の意見も聞きながら、現状、実態に即して、今後どのような取り組みができるのか、考えてまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)やはりつながっているということが大切だと思うんです、退所後も。ですのて、ぜひ御検討をお願いいたします。  ちょっと1つ飛ばしまして、居場所づくりの取り組みについて伺います。  先日、先駆的な取り組みをされている「よこはまポートフォー」さんを訪ねて、代表の松永さんにお話を聞いてきました。  「よこはまポートフォー」というのはブリッジフォースマイルの事業の一環で、施設の入所者や退所者が気軽に利用できる居場所として、横浜市から受託して運営している事業です。月曜、木曜を除く週5日、午後2時から6時まで、それから金、土、日は夜の8時まで開かれておりまして、みんなで一緒にお料理をしたり食事をしたり、いろんなお話をしたり、また、年越しもここでみんなでやろうというような楽しいイベントもされております。  私がお邪魔したときに、たまたま港のコンテナの清掃の仕事をしている若者が入ってこられまして、入ってくるなり、好きな音楽、CDをかけてという自由な、本当に自由な空気の中で、私にも気軽に話しかけてきてくれました。代表の松永さんは自分の息子を迎え入れるような、本当に自然な家庭のような雰囲気で接していらっしゃるというようなことも印象的でございまして、私も何とも言えない家庭のような雰囲気が居心地よく、長居をしてしまったほどでございました。  施設等を退所し、家族と関係が薄い、あるいは感じたことがない若者にとって、1年を通して自分がふらっと立ち寄れる場所がある、そしてそこでは自分のいろんな愚痴とかいろんな話を聞いてくれる相手がいてくれるという、このことが大変大きな意義があると思うんです。こういった居場所づくりについての必要性あると思うんですけれども、知事のお考えをお伺いします。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます、そうやって調査をしていただいて御紹介いただきまして。大変大事だと思います。そういう家庭的雰囲気の中で、それぞれリラックスして過ごすことができる。とりわけ、そういう年末年始であるとかお盆、お正月、クリスマスの時期など、そういったところで自分がほっと安らぐことのできる場所があるという、そういう居場所づくりは私は大事だと思います。  ちなみに、県では、退所した子供への就業や生活に関する相談ですとか、退所した子供同士のつながりをつくる場を設けるための退所児童等アフターケア事業を実施しているところでございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)ただ、この「よこはまポートフォー」さんもそうですけれども、行政が委託してやっている事業で、今、知事、やっているということなんですけれども、今実際、そういう場所を県が提供しているかというと、まだそこまでには至っていないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。  そして、福祉へのつなぎなんですけれども、施設を退所した者がなかなか自立した生活はできないと、苦しい状況になるということは容易に想像ができます。そうした場合、困ったとき、生活が立ち行かなくなったとき、施設を出た若者は福祉の世話になるという選択を避ける傾向があるようなんです。  そういう状況をお聞きしますと、退所時にハローワークですとか役所ですとか福祉事務所など公的機関との結びつきをしておく必要があると思うんですけれども、今はできておりません。こうした退所者と福祉とのつなぎの役割について、知事のお考えをお聞きします。 ◎知事(三日月大造) 現在は、子供たちが施設を退所するに際しまして、個々の状況に応じて、子ども家庭相談センターや児童養護施設および市町の福祉部局等が集まりまして、子供自身を交えた話し合いの場を持って、顔の見える関係を築くようにしております。  今後、将来的に困難な状況に陥る前に、必要な公的機関に相談できるようにするために、さらにどういう支援が必要なのか、施設などの関係者の意見も聞きながら、不断に見直しも行ってまいりたい、考えてまいりたいと存じます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)まだまだ補っていかないといけないところが多くありますので、ここはまた私自身も調査し研究し、提案をさせていただきたいと思います。  とにかく生活に困った若者が、住むところもない、仕事もなくなった、お金もない、そうしたときによからぬ誘いに乗ってしまって、そっちの道に行ってしまう。そういうところに行ってしまった若者とはどうしても施設との関係も、若者のほうから断ち切ってしまって、今どこにいるかわからない、何をしているかわからない。そういう施設で育った若者が少なからずいるというのは本当に悲しい気がいたします。家庭環境に恵まれず施設で育った子たちが社会人として強く生きていけるように、行政のやはり責任のもとで、いろんな取り組みをしていただきたいと思っております。  次に、進学の問題、これ、2013年3月の対象者のうち、23.1%が大学、短大、専門学校に進学をしております。全国高校卒業者の進学率が70%であるのと比較すると、かなりの差がございます。本県の数字は把握されていますでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  平成22年度から平成25年度までの各年度の3月1日現在、児童養護施設に在籍をしていた20人の高校卒業年齢の子供たちのうち、退所して進学した方が5人でございまして、率からいいますと、先ほど御紹介いただいた23.1%にほぼ類似する率であると考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)進学状況をやはり改善しようという取り組みが自治体独自で行われております。高校卒業による退所時には、支度金として国から27万円が支給されます。しかし、現実問題としてそれだけで十分なはずはなく、東京都では、さらに進学時の初期納入費に対して公費の上乗せをしております。大学の場合、上限70万円、専門学校の場合は上限60万円を支給しています。自治体では川崎市や名古屋市でも同様の制度を実施しております。施設退所者の進学に対する県独自の資金の上乗せについて、知事のお考えをお聞きします。 ◎知事(三日月大造) そういう進学に際して資金の援助、非常に重要だと思います。進学に対する独自の資金の上乗せということについては、県としては、現時点、金銭的サポートよりは、まずは、先ほど来御指摘いただいております、施設退所後も子供たちが入所していた施設やその他必要な公的機関とつながって必要なサポートが受けられる、また、こういう子供たちも多くの人に支えられていると、一緒に生きているんだということが実感できるようにすることにまずは力を入れていきたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)でも実際問題として、施設を退所した子供たちが普通の一般的な家庭から通っている高校生たちの進学率と格段の差があるというのは、やっぱり働かないと生きていけない。それに、奨学金などの制度もありますけれども、返還しないといけないというようなことから、どうせ自分は無理やと諦めてしまっているんですよ。だから、やっぱり金銭的な資金面での壁が本当に厚いです。ハードルが高いです。だから、そこを後押しするというのが、知事のおっしゃる、誰もに居場所のあるという、よくおっしゃっていることにつながっていくと思うんですよ。ただ、財政的な面もあろうかと思いますけれども、ここは私は行政としてやるべきところだということを訴えておきたいと思います。  次に、退所者の就労支援の取り組みについてお聞きします。  これ、ある調査によりますと、2014年3月に退所した456人のうち、就職率は70.8%、進学率が21.9%、就職も進学もしない率は7.2%。一般の高校卒業者は、就職は17.5%、進学は70.9%ですので、退所者の就職率が随分と高いということがわかります。これは働かなければ生きていけないという、親に頼れない退所者特有の環境によるものと受けとめます。  しかし、一旦就職をしても、離職率が非常に高いという問題がございます。全国的な数字ですけれども、退所して就職して3カ月後には13.5%がやめています。これは年数を経るごとにふえていきまして、1年後には離職率は32.3%になり、これは2年、3年となるごとに高くなっていきます。  退所者の就職率、離職率について、本県の数字はありますでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えいたします。  平成22年度から25年度まで各年度の3月1日現在、児童養護施設に在籍していた20人の高校卒業年齢の子供たちのうち、退所して就職した者は13人でございまして、65%を占めております。平成22年度から24年度の施設の調査において、退所後1年以内に児童養護施設退所者の53%が転職するか無職になっているという状況でございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)非常に離職率が高いということがわかりますが、これは何も辛抱が足りないからということではなくて、やはりいろんな精神的な病も抱えながらやっている、やろうと頑張ろうとしている若者たちという理解をしていただければと思うんですね。  この離職率が高い理由、さまざまあろうかと思いますけれども、関係の方からお話を伺っておりますと、職業選択の幅の狭さですとか、就職するときのお給料の額であったり、寮の有無、住むところを確保しないといけないので寮の有無というようなことから、安易に職場を決めているということが原因の一つとして挙げられております。ですので、早い時期からのキャリア教育の強化が求められます。  先月から動き出した滋賀の縁創造実践センターが、要養護児童の自立支援として、企業や事業所との相互理解を深めながら、中高生の就労体験をことしの夏休みから実施しようと動き出しました。一般に中学校で行われている就労体験との違いや意義について、どのように認識されているでしょうか。こちらは知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 御案内のとおり、中学校では中学校2年生の段階で1回、5日間の就労体験が行われておりますけれども、この今御紹介いただきました滋賀の縁創造実践センターの事業では、中学から高校卒業に至るまでに複数回、同一あるいは異なる事業所での就労体験を可能として実践されているものでございます。  これは、施設で生活する子供たちの将来の自立に向けて、それぞれ自分に合った仕事探しができる機会を提供し、早い段階から子供たちの職業観を培って、就労の継続と早期離職を予防するといった目標を持っていることが特徴でございます。  その意義といたしましては、事業を実施することで、御協力いただく企業や事業所の皆さんのこうした社会的擁護に対する理解が深められますとともに、子供たちには、施設でお世話になる職員以外の自分たちを応援する大人の方々と接する貴重な機会になり、これは自立への大きな後押しになるというふうに考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)次に、自立援助ホームについてお聞きします。  自立援助ホームとは、施設を退所した後の一人立ちができるまでの生活をする場で、約10年前に私、この施設の必要性を本会議で訴えたことがあるんですけれども、現在、本県には坂本に1カ所、ビッツユニットさんがあります。改めて、自立援助ホームの必要性について、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 自立援助ホームでは、施設を退所した二十歳までの子供に生活の場を提供し、日常生活を通した生活指導や就職指導を行って、自立を援助していただいております。  施設退所後、直ちに自立が困難な子供にとっての貴重な居場所であるとともに、日常生活や職場での悩みについて職員の皆さんが丁寧に子供の相談に乗るなど、将来の自立に向けた力を養う場として、私は必要性が高い施設であると認識しております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)今、知事がおっしゃったように、このホームにいられるのは二十歳までなんですね。精神的なダメージが大きく、施設を退所してから2年たっても就職することができない子たちもいます。現に今、ビッツユニットさんには、退所後ほとんど外に出ることのできない女の子がおいでになります。施設を退所し、そしてホームも出ないといけない。一人で生活ができない子に対して、行政はどのような対応をされているんでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  二十歳を迎える段階で自立が困難な入所者、例えば心身に疾病を抱えておられる方に対しては、自立援助ホームが医療受診を勧め、その結果を踏まえて生活保護の申請を検討するなど、医療機関や市町の福祉部局等との連携がなされており、行政として必要な対応がなされていると認識をしております。  また、療育手帳の取得が可能な場合には、これを申請し、取得できた場合には年金受給につなげることもあると聞いております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)措置期限というものがありますので、現状ではいたし方のないことなのかなと思いますけれども、静岡県では独自に22歳まで引き上げているというケースもございますので、不可能なことではございません。  また、施設の方から伺いますと、二十歳になったら、はい、きょうでお誕生日、二十歳ですよ、その次の日からもう出ていかないといけないということになっているようなんですけれども、せめて一般的に就職の時期など考えますと、年度末の節目のときまでぐらいはホームでというふうに思うんですけれども、こういう現場の声に対していかがでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えいたします。  二十歳で児童福祉法上の支援から離れるという制度上の問題につきましては、自立援助ホームだけではなく、施設入所や里親委託の児童についても同様でございます。県としては、現在の法制度のもとで、子供たちが二十歳になる時期を目標として、その自立を確かなものとするように引き続き支援をしてまいります。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)法律で決められていることですけれども、これはやっぱり国に対して声を上げていただきたいというふうに思っております。  次に、自立援助ホームと同様の取り組みを杉山真智子さんという方が、行政の力を頼らず独自で行っているNPO法人「四つ葉のクローバー」さんが守山にあります。この四つ葉さんの事業に県はかかわっているでしょうか、部長、お願いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  施設の運営あるいは子供の入所については県は直接関与はしておりませんが、滋賀の縁創造実践センターの活動ですとか里親連合会主催の会議の場等で、代表の方とは意見交換等を行っているところでございます。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)独自でやっていらっしゃるわけですから、その取り組み、社会的貢献、ぜひ評価をしていただいて、協力をお願いしたいというふうに思います。  最後に、児童養護施設や里親さんのもとには心理士が配置されているんですけれども、自立援助ホームにはありません。退所後の若者とあわせて、職員さんやボランティアさんの精神的サポートも大変重要でございます。心理士の設置を望む皆さん方の声に応えていただきたいと思うんですけれども、部長、いかがでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  入所者の日常生活上の悩み等に丁寧に対応したり、入所者の心の状態を正確に把握して適切な援助方針を立てるために、心理担当職員を置くことは有効と考えます。  今年度から自立援助ホームでの心理担当職員の配置が国の補助事業の対象とされたこともありまして、施設の意見を聞きながら、こういった制度の活用も含め、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆38番(蔦田恵子議員) (登壇)ぜひ活用していただけるようにお願いいたします。そして、もしできるようになりましたら、先ほど言いました四つ葉さんにもこうした支援をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、38番蔦田恵子議員の質問を終了いたします。  次に、35番家森茂樹議員の発言を許します。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇、拍手)阪神・淡路大震災から2年後の平成9年に、神戸連続児童殺傷事件が起こされました。この事件は、10歳の女子と11歳の男子という2名の小学生が殺害され、3名が重軽傷を負うとともに、死体の損傷や遺棄、また声明文、挑戦状が届けられるなどの挑発的行動や、残忍な犯行の手口を持った強い暴力性と反社会性とともに、犯人が当時14歳の中学生であったことなど、大きな衝撃を社会に与えました。また、この事件は少年法改正の大きなきっかけともなりました。
     この犯人男性が、元少年Aという著者名で、32歳となった現在も匿名のままでの手記「絶歌」が6月11日に発売をされました。この本の出版をめぐり、事前に出版社や著者から何の連絡も受けず、報道で知ったという被害者男児のお父さんは、「遺族の思いを踏みにじるものであり、出版を中止し、本を回収してほしい」とのコメントを出されておられます。  去る6月23日、NHKニュースにおいて、「児童殺傷の元少年の手記、図書館で対応分かれる」との報道がなされました。これによりますと、回答のあった38都道府県立図書館のうち、購入した、または購入方針との回答は、滋賀、徳島、京都、兵庫、鳥取、岡山、長崎、愛知の8図書館、このうち一般の図書と同じように貸し出しも行っているというのは滋賀県と徳島県の2県とのことであり、兵庫県立図書館は購入はする方針であるが、学術的な目的などに閲覧を限定し、貸し出しも行わないとのことでありました。  また、鹿児島県立図書館と奄美図書館の2図書館は、遺族の心情に配慮すべき点や残忍な描写があることなどを総合的に判断した結果、購入しないとの回答。残り28図書館は検討中、もしくはこれから検討するとの回答であったとのことであります。また、事件が発生した神戸市では、市立図書館では購入しないとされました。  それ以降、出版そのものの是非や公立図書館での対応をめぐって、さまざまな論議を呼んでおります。先日のNHK「クローズアップ現代」でも取り上げられていたようであります。  さらに、皮肉なことには、そういったことが話題を呼び、現在、アマゾンなどのランキングでベストセラーになっており、初版の10万部に加えて、さらに5万部の重版との報道もございます。また、著作権法違反は明らかでありますが、ネット上に全文がアップされているとの情報もあるようであります。  そのことはさておき、この手記が遺族の了承を得ていないことはもちろん、遺族への配慮に欠ける、被害者は実名であるが著者は匿名である、性的、暴力的描写など他人の尊厳を傷つけている、犯行を再現することによって巨額の印税と出版社の利益を得る、他の犯罪者の手記は刑法上の刑罰を受けることにより既に制裁を受けているのに対して、著者は少年法による保護の対象とされ、罪を償ったとは言えない等々、著者や出版社に対してさまざまな批判が提起をされております。  一方、憲法21条で保障された出版その他表現の自由と、それに伴う知る権利の観点から、それらの批判そのものが違法であるとの指摘もあります。  私は個人的には、元少年Aがみずからの自己顕示欲を満足したいのであれば、ほかの方法を使うべきであると思います。考え方を述べたいのであれば、今やインターネット上などでのブログや、フェイスブックあるいはツイッターなどのツールを使うことにより幾らでも自己の意思を表現することができ、他人に伝えることは可能であります。それを出版という商行為で行った。しかもそこには贖罪の意識もなく、被害者家族をさらに苦しめることになる。そこへの必然性が感じ取れません。  法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」というのがあるんですが、この中で、出版社編集担当者が、この書が人に影響を与えることの例として挙げている箇所がございます。それは、「なぜ人を殺してはいけないのか」の問いに、「彼の体験を通じた彼なりの答えを用意しております。そこを考えてもらえればと思います」といたしまして、ここは原文の引用なんですが、「どうしていけないのかは、わかりません。でも絶対に、絶対にしないでください。もしやったら、あなたが想像しているよりもずっと、あなた自身が苦しむことになるから。哲学的なひねりも何もないこんな平易な言葉で、その少年を納得させられるとは到底思えない。でも、これが少年院を出て以来11年間、重い十字架を引きずりながらのたうち回って生き、やっと見つけた唯一の、僕の答えだった」という箇所を挙げておられます。  私は、この出版社が原文を引用した弁明を見て、少年院で6年、その後の11年で得た唯一の答えがこれなのとの思いを持ちます。被害者の生命、命に対する思いは、被害者とその家族に対するおわびは、被害者の生命をみずからの手で絶ったことの重みは、結局、自分のことだけしか考えていないんじゃないか、としか受け取ることができません。  こうして見たときに、この手記は贖罪の意識も全くなく、自己弁護だけの書物であると考えざるを得ません。被害者家族の人権をさらに踏みにじるなどの2次的被害を犯してまでなぜ図書の出版という、著者にとっても出版社にとってもいわば商活動を伴う行為として行わなければならなかったのかという必然性はどうしても理解できません。  以上、私の感想はここでとめておきまして、このこと自体にはこれ以上踏み込みません。県議会という立場に戻ります。  県立図書館においては、その図書の購入はもちろんのこと、設置、運営が県によってなされている以上、県民の福祉向上、県民益、また県としての利益、県益を損なうことがあってはならないことも重要な観点であります。  今回、私のもとにこんな疑問が届けられました。自分でお金を払って買う人は勝手かもしれないけれど、なぜこの本に県民の税金を使う必要があるのというものです。この御質問に答えるために、現行制度がどのようになっていて、今回の問題で抱く一般県民感情との違和感は何であるのかを明らかにするために、以下、質問させていただくことといたしました。  そこで、通告に従いまして、難しい題つけてあるんですが、県立図書館資料における図書館の自由と公共福祉についての質問に入ります。  まず、県立図書館資料の収集および公開の基準について、大きなこの1番目の項目については、全て教育長にお伺いをいたします。  出版されている全ての図書を購入、収集することは当然不可能なことであり、図書館資料の収集に当たっては、その図書購入の可否等の検討がなされていることと思われますが、図書購入選定に当たっての検討についてどのようになされているのか。現在の手続についてお伺いをいたします。 ○議長(西村久子) 35番家森茂樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(河原恵) (登壇)お答えをいたします。  県立図書館の図書の選定についての手続ですが、毎週金曜日に選定会議を開催し、購入図書の選定を行っております。その委員は、館長および図書の収集、整備、閲覧、貸し出しを担当するサービス課長、蔵書整理の担当職、リクエスト担当職員、市町立図書館担当職員の5名を委員として構成しているところでございます。  選定会議では、1週間の間に出版された新刊図書の目次や概要、読者対象者が記載されたリスト、および利用者からのリクエストの状況、市町立図書館からの要望をもとに、出版社からの情報を加え、協議の上、購入図書を選定しているところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)今、一般的な手続についてお伺いいたしましたけれども、今回の「絶歌」の購入に当たって、どのような検討がなされたのでしょうか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) 今回の図書についてですが、先ほど答弁いたしました委員で構成する選定会議におきまして、社会的に関心が高いテーマの図書であること、また利用者からのリクエストがあったことなどから、委員で協議し、図書館で収集する図書と判断し、購入することといたしました。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)そうなんですね。やっぱりリクエストあるんですね。実は、これ、通告を出した1週間前は、リクエスト42やったんです。きのうまでで48、けさまた1人リクエストしはって49お待ちいただいているという状況のようなんですけれども、これはさておきまして。  図書館資料については、原則、全てが貸し出し提供されているものと承知をいたしておりますが、それはあくまでも原則でございます。例えば禁帯出という取り扱いがありますが、そういった措置も含めて、その公開に当たってはどういった基準によっているのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  県立図書館で所蔵する資料や図書は、公開を原則とし、県民に提供することとしておりますが、一部の図書については、禁帯出や利用制限の措置をしているところでございます。  禁帯出の図書は、貸し出しを行わず館内閲覧のみにとどめるもので、辞書類がそれに該当するところでございます。また、利用制限をする図書については、滋賀県立図書館の設置および管理に関する条例第7条および滋賀県立図書館基本規則の第22条に基づき定めた滋賀県立図書館利用細則により規定しております。  具体的には、細則の第2条第2項に示しているのですが、人権やプライバシーを侵害するおそれのある資料、また図書館が貴重書に指定している資料、また、その他館長が特に利用の制限が必要と判断した資料等であり、その利用を制限することができると定めているところです。  図書の購入および購入した図書について利用制限をするかどうかの判断は、図書館法に示された公立図書館の役割に照らし、滋賀県立図書館利用細則および滋賀県立図書館蔵書構成方針に基づき、その都度、協議、検討しているところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)この後、公開、非公開の基準を聞こうとしておったんですけれども、今、利用制限についても詳しく御答弁をいただいたということで、ただ、今のお話で、そこまでの細則というのが、今、答弁の中にありましたけども、図書館法に定められたと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、そこのところ、図書館法に定められてます。 ◎教育長(河原恵) 今、申し上げました細則についての再質問でございますけれども、滋賀県立図書館の設置および管理に関する条例第7条がございまして、それに基づいて滋賀県立図書館基本規則がございまして、その規則の第22条がありまして、それに基づいて滋賀県立図書館利用細則が規定されているところです。滋賀県立図書館設置および管理に関する条例から、この細則の規定が始まっております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)規則に基づいた細則ということはわかってるんですけれども、今、図書館法に定めるという答弁があったなと思ったので、ちょっとお聞きをしたまででございます。  次、行きます。  今回のこの「絶歌」については、さきに述べたようにさまざまな議論がありまして、購入しないと決めた自治体や兵庫県のようなケースもあります。このように、社会的な問題として提起されるような疑義が生じた場合は、どのように判断するのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  図書を収集した後に社会的な問題として提起された図書については、図書館長が臨時に課長会議を招集し、その取り扱い方法について協議し、判断をしております。  その場合、新聞等のマスコミ情報やインターネット上の情報、出版社や関係者の主張、他府県の図書館の取り扱い状況など、できる限りの情報を収集するとともに、当該図書の内容を確認した上で、先ほど申し上げました細則および蔵書構成方針に照らして、図書館において協議、検討しますが、責任ということにつきましては、この場合の決定責任につきましては教育長、私にございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)2問一遍に答えていただきました。館長が課長等を集めて会議を行って決定する、多分そこまでや思ったんです。最終決定責任はどこにあるんですかと、その次聞こうと思うたら、今、教育長にあると、こうおっしゃっていただきました。知事は関与はないんですか、教育長にお伺いします。知事指名してませんので、ここ。 ◎教育長(河原恵) 先ほど、まことに申しわけありませんでした。  こういう社会的な問題が起こった場合は、館長が決裁をするというわけではなくて、そこは教育長でこれは決裁するということで、いわゆる県立図書館の管理というのは教育委員会の職務ということですので、教育委員会の責任において、先ほど言ったように場合分けはあるんですが、判断するということとなっております。  ただし、今回の事案のように、先ほど申し上げましたように、社会的な大きな問題が出た場合は当然、最終決裁も私ということになりますが、早い段階から知事にも御報告をさせていただきまして、情報を共有してまいったところでありますし、今後もこういう問題が出た場合は、報告、情報共有等はしっかりとしていきたいというふうに考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)それでは、次、行きます。  次に、「図書館の自由に関する宣言」について、これも教育長にお伺いをいたします。  「図書館の自由に関する宣言」、趣旨を御紹介いたします。図書館は、基本的人権の一つとして、知る権利を持つ国民に資料と施設を提供することを最も重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は、次のことを確認し、実践する。  第1、図書館は、資料収集の自由を有する。第2、図書館は、資料提供の自由を有する。第3、図書館は、利用者の秘密を守る。第4、図書館は、全ての検閲に反対する。図書館の自由が侵されるとき、我々は団結して、あくまで自由を守る。以上がおおまかな内容であります。  手記「絶歌」について、公益社団法人日本図書館協会は、去る6月29日、貸し出しなどの提供を制限するケースには当たらないとする見解を発表いたしました。この見解は、「図書館の自由に関する宣言」に基づく確認で、1、宣言は収集の制限を首肯、うなずくことです、首肯していません。2、宣言は提供制限は行わないという原則を示した上で、例外的に提供制限があり得る3つの制限項目を示し、提供制限があり得る3つの要件を確認しているとされております。  まず教育長にお伺いいたしますが、この「図書館の自由に関する宣言」とは、どういった性格の宣言であるのでしょうか、お伺いします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  「図書館の自由に関する宣言」は、国立国会図書館初め都道府県立の図書館や市町村立図書館など、全ての公共図書館が加盟している公益社団法人日本図書館協会が採択したものでございます。  この宣言は、図書館の果たすべき役割と資料の収集や提供など、どのように図書館を運営していくかを示したものであり、全国の図書館がその運営に当たって尊重しているものでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)そしたら、この宣言というのは法的な位置づけというのはどういうふうになるのか、教育長、お願いします。 ◎教育長(河原恵) お答えいたします。  「図書館の自由に関する宣言」は、先ほども申し上げましたように、公益社団法人である日本図書館協会が採択したものであり、あくまでもガイドラインであると認識しているところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)あくまでもガイドラインであって、全て忠実に従わなければならないというわけではないというふうに捉えておいていいんでしょうか、教育長、お願いします。 ◎教育長(河原恵) お答えいたします。  今言っていただきましたように、この宣言はガイドラインであって、全て忠実に従うという法的な位置づけにはないというぐあいに認識しているところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)別に滋賀県立に限らないんですけれども、いわゆる県立図書館というのはやっぱり県民福祉の向上に資するという大きな目的があると思うんです。今のこの宣言と、例えば今回の本のように、県民福祉の向上に寄与するという県民益とが、これ、必ず一致しないという事態が生じると思うんですけれども、そういった場合はどちらを優先するというふうにお考えになっているんでしょうか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  県立図書館の役割は、資料を収集、整理し、保存して、県民の皆様の利用に供することであり、そのことで県民の利益を守ることでありますことから、利用を制限しなければならないおそれがある場合、そういう場合には、県立図書館として個別の事案ごとにその都度判断していくものと考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)通告にないんですけども、県立図書館にこの「絶歌」という本、何冊あります。 ◎教育長(河原恵) 1冊所蔵しております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)1冊で、49人待ちなんですね。1回借りて、どれだけ貸出期間、お教えいただけます。 ◎教育長(河原恵) 1人の貸出期間につきましては、3週間というぐあいに聞いております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)図書館は収集をして提供しなければならない、する自由があるんですけども、しなければならない。49人待っててください。ざっと3年間待っててもらうわけですな。  私、個人的には、国立国会図書館というのは日本で出版されているあらゆる図書がそろっていると、全てのものがそろっていると。私は国立国会図書館を除いて、県立図書館も含めて、一般に図書館が全ての図書を備えなければならない、こんなこと言うのは不可能やというふうに思っておるんです。  つまり、蔵書には制限があるわけです。限りがあるわけです。国民の知る権利というのは、それぞれの図書館の事情、もちろん予算ということもあろうと思いますし、そういう事情によって制限せざるを得ないものでありますし、じゃ、逆に憲法により保障されている知る権利というのはどうなるんだというたときに、究極はやっぱり、国立国会図書館にあるから国民全てに保障されている、こう解釈をせざるを得ないんではないかなと思いながら、次、行きます。  大きな3番目、表現の自由と犯罪被害者支援について、お伺いをいたします。  この項目以降については、それぞれ異なりますので、答弁者を指名させていただきます。  この手記「絶歌」出版に当たって、殺害された小学生のお父さんは、先に述べたように、出版前に「遺族の思いを踏みにじるものであり、出版を中止し、本を回収してほしい」とのコメントを出されております。また、出版後には、「今、改めて事件の内容を多くの人に伝える必要がどこにあるのか。私たち遺族の心も傷つき、息子は2度殺されたという思いだ」との心情を話されたとの報道がございます。  さきの日本図書館協会の見解に基づき、この本が閲覧制限を受けるとなるのは、この確認によりますと、提供制限とされている3要件、頒布差しとめの司法判断、2番目が、そのことの図書館への通知、3番目が、被害者が図書館に対して提供制限を求めたの全てが満たされたときとされております。これは実質的に不可能に近い。または、もう既に当該図書が広く行き渡ってからの話と考えられます。かぐや姫ではございませんが、ほぼあり得ない無理難題としか思えません。つまり、提供制限は事実上あり得ないこととなっております。  今回のケースでいいますと、差しとめの司法判断を出そうとすれば、その前提として、被害者家族がまず差しとめ請求訴訟を起こす、それから裁判において頒布することの是非について審理が行われるということになるわけです。もうこの事件にこれ以上触れないでほしいと、そっとしておいてほしいと、そうお考えになっておられる御家族にとって、差しとめ訴訟請求そのものが考えられないことであるというふうに思います。それこそ、それをせいということ自身が2次的被害、3次的被害をみずからの手で招いてしまえと言うてるのと同じことになるんではないかな、こういうふうに思われます。  そこで、まず教育長にお伺いするんですが、図書の表現の自由と被害者人権の保護について、まず、図書館を所管されます教育長の立場から、御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  県立図書館は、資料収集、保存し、県民の利用に供するという役割を通じて表現の自由を保障するため、購入した図書について原則として公開し、県民の皆様に提供しているところであります。一方、犯罪被害者の人権保護につきましては、犯罪被害者等基本法が制定され、その理念、施策が示されており、犯罪被害者の尊厳に十分配慮すべきであると考えております。  いずれも尊重しなければならない県民の権利でありますことから、図書の収集や提供につきましては、これらを踏まえ、個々の事案ごとに十分協議、検討し、判断していくべきものと考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)同じ質問なんですが、図書の表現の自由と被害者人権の保護について、犯罪被害者支援を所管されております総合政策部長に御所見をお伺いいたします。 ◎総合政策部長(堺井拡) (登壇)お答えをします。  言論、出版その他一切の表現の自由は、憲法21条で保障がされております。一方で、被害者の人権につきましても、憲法13条で、全て国民は個人として尊重されるとされております。また、犯罪被害者等基本法第3条でも、犯罪被害者等の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するとされております。  表現の自由と被害者の人権ですが、いずれも基本的人権として尊重されなければならない権利でありますが、憲法第12条におきましては、国民は保障される自由および権利を濫用してはならず、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うとされております。このことから、今回のように表現の自由と被害者人権の保護との両者が相対立するような場合、犯罪被害者支援を所管する私としましては、個々の事案の事情を十分に踏まえることは当然ですが、犯罪被害者の人権を守るということを基本に検討していくべきものと考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)やっぱり当然、若干ニュアンス違うなと。もっと違うてくれたらええのになと実は私は思ってたんですが。  教育長にお伺いしたいんですが、今のお答えと、その前に図書館協会が出した今回の見解というのを、今回の見解は問題ないというのが図書館協会の見解やったと。ただ、最後は個々に判断しなさいと、そういうふうになっている。今、うんうんと言うておられましたので、そうなっているというのは知ってるんですけれども。ということで、あの図書館協会の見解というのは、どの程度の重みがあるというふうに教育長はお考えになってます。 ◎教育長(河原恵) 今、再質問いただきました件につきましてでございますけれども、先ほども申し上げましたように、あくまでも宣言につきましては、また図書館協会の判断というものにつきましては、ある意味ではガイドライン、または参考にするということでありまして、先ほどから御答弁させていただきますように、本県における細則等を踏まえながら、そして県民の権利をしっかりと踏まえながら、個々の図書につきまして図書館としましてしっかりと検討していくと、そういうように考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)次の質問は総合政策部長になんですけれども、本県において、犯罪被害者支援につきましては、主に「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例に基づき策定された基本方針における基本的方向の中で、犯罪被害者や弱者の支援に努めるとされていると承知をいたしております。  しかし、この中では2次的被害、とりわけ、今回のケースのような犯罪被害者家族への支援策というのは余り見受けられません。明石市の場合は、市長が手記「絶歌」に対し、図書館への購入は行わないことを初め、市内図書館や一般市民に対しても十分な配慮を呼びかけました。  この明石市長の対応の是非は別にいたしまして、明石市は犯罪被害者等基本法に基づく犯罪被害者等の支援に関する条例の中で、2次的被害についてかなり踏み込んだ定義をしておられ、その防止と対策について規定をしておられます。本県における2次的被害に対する犯罪被害者支援のあり方について、総合政策部長の御所見をお伺いいたします。 ◎総合政策部長(堺井拡) お答えをします。  本県では、犯罪被害者支援につきまして、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例に基づき、平成15年10月に策定した基本方針に位置づけて、犯罪被害者への途切れのない支援と県民理解の促進に努めております。  平成19年10月には犯罪被害者支援施策の取り組み指針を策定いたしまして、犯罪被害者に対する支援施策を関係部局が連携して取り組んでいるところでございます。  具体的には、犯罪被害者週間やフォーラムを通じた広報啓発、学校における犯罪被害者遺族などによる講演会の開催や犯罪被害者総合窓口の設置のほか、平成26年4月には、滋賀県産科婦人科医会などとの連携による性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖、愛称がSATOCO、これを設置するなど支援に努めているところであります。  ただ、近年の犯罪被害者総合窓口における相談支援件数の増加傾向を踏まえまして、今後とも県民の皆さんの理解を深め、犯罪被害者や遺族の方が2次的被害に遭わないように、犯罪被害者に寄り添った支援を一層充実していく必要があると考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)よろしくお願いします。犯罪被害者支援についてやりかけると、またほかの方向に行ってしまいそうですので、また別の機会にいたしたいと思います。  私もこの質問に当たりまして、表現の自由と知る権利に対する公共の福祉、被害者支援などの関係について、考えれば考えるほど、さまざまな見方、意見があり、問題の複雑さを感じたところであります。  単なる私的な発言も、このごろは新聞やマスコミに対する批判というのが、すぐに言論弾圧や、こういう御時世では私自身の発言も慎重にならざるを得ませんが、県が設置し、県民の税により運営されている県立図書館においては、その資料の取り扱いについて、県民感情に配慮する必要があるということは十分に考えられると思います。  この図書につきましては、当時14歳という未成年が犯した犯罪であり、少年法により保護の対象とされ、約7年間で医療少年院を退院したことが果たして罪を償ったのかという作者への感情と、犯罪を犯すことによって得られた経験を題材として本が書かれ、その売り上げが匿名の作者と出版社の利益につながる、こういったことへの違和感があります。まして、その購入費用が県民の税金によって補われるということになると、なおさらでございます。  この図書出版の自由、表現の自由、図書館の自由を守ることと相反する犯罪の結果得られる利益は犯罪者に渡すべきでないとの市民感情を両立させる策として、アメリカのニューヨーク州などの多くの州で定められている「サムの息子法」と呼ばれる法律がございます。  そこで、教育長に、この表現の自由についての考え方と、県民の税が、しかも犯罪の結果得られる利益が犯罪者に渡るということについて、どのようにお考えになっておられるのでしょうか、お伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  図書館は、図書を購入し提供する役割を果たすことにより、県民の福祉向上に寄与するものとしております。しかしながら、今回の図書の場合、結果的にその購入費用の一部が相手方に流れることになるということにつきましては、被害者の御遺族の憤りや心の痛み等、報道で知る保護者のその心情を察しますと、正直、割り切れない思いを持つというところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)次に、総合政策部長にお伺いしたいんですが、今申し上げましたように、犯罪の結果得られる利益が犯罪者に渡ると、またそれが被害者の人権を侵害しているということを考えれば、犯罪被害者の立場から、今回の問題と「サムの息子法」について、総合政策部長、どのようにお考えになるでしょうか。
    ◎総合政策部長(堺井拡) お答えします。  「サムの息子法」は、犯罪者による罪のビジネス化を防ぐとともに、被害者および遺族を救済することを目的に、みずからの犯罪を題材とする出版物や映画化により得た利益は寄託させ、犯罪被害者への補償に充てられることを定めた法律であると承知をしております。  「サムの息子法」は、加害者の利得が抑制され出版されなかった場合は犯罪被害者の2次的被害を防ぐことができ、また犯罪被害者の経済的救済にも資するものでありまして、表現の自由との関係ではやはり考慮が必要ではあるものの、犯罪被害者の支援の点で意義のあるものと考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)これは滋賀県だけでできるものじゃなしに、やっぱり国で検討していただかないかんということでおいときたいと思います。  それでは、最後に、今後の対応について、知事ならびに教育長にお伺いをいたします。  さて、ここまでお聞きいたしまして、先ほども申し上げましたが、この問題の複雑さ、十分に私も感じております。しかし、県立図書館が県立である以上、どのように今後対応していくのかについてはしっかりと取り組んでおく必要があり、県民に対する説明責任もあると思います。  そこで、今後の対応について、以下お伺いをいたします。  まず、教育長にですが、先ほども述べましたように、全国の県立図書館ではさまざまに対応が分かれているようであります。このような状況を教育長はどのように捉えておられるでしょうか、お伺いいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  最初の御質問でもお答えいたしましたように、本県では、速やかに新刊図書の提供をするために、毎週、新刊図書の情報を集め選定会議において購入を決定していることから、他の府県よりもより早くこの本の購入を判断したところでございます。  他府県におきましては、当然それぞれに判断し対応されているところであろうと推測いたすところでございますが、この本が社会的に大きく取り上げられたことから、購入についてより一層慎重に判断されているのではないかというぐあいに考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)それでは、知事にお伺いしたいんですが、先ほど述べました明石市長や神戸市長、金沢市長、また兵庫県知事なども、そういった対応に伴ってコメントを出しておられます。三日月知事は、これらの各県立図書館の対応あるいは首長さんのコメントに対して、どのように捉えておられますか、お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)深く根源的な課題をともに考える機会を与えていただいております。私自身、子の父親でありまして、もし自分が当事者であったらと考えたときに、このような本が出版されるということは耐えがたいことであると思います。  報道されている範囲でしか承知しておりませんが、社会的に問題が提起される中で、それぞれの首長がそれぞれのお立場で判断され、コメントされていると存じます。  特に、18年前の被害者の関係者がたくさんお住まいの神戸市や明石市の市長は、犯罪被害者の方々の状況、心情に寄り添ったコメントをされたものと認識しております。  また、兵庫県知事も、兵庫県立図書館において当該図書の貸出制限措置をとられたことについて、図書の利用サービスに当たっての慎重さを期したということで、やむを得ない措置であるというお考えを示しておられます。  当該図書の取り扱いや対応につきましては、図書館ごとにそれぞれの自治体の置かれている状況に応じて判断されるものであり、その結果が首長のコメントにもあらわれているものと捉えているところです。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)それでは教育長に、ということで、今回の手記「絶歌」に対して、県立図書館がどういった対応方針をとられるのか、とっておられるのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  県立図書館においては、図書を収集し県民の皆様に提供するという役割を踏まえ、今回の図書を購入いたしましたが、その後、社会的にも大きく取り上げられ、犯罪被害者支援などの議論もされている中で、臨時の課長会議を開き、その取り扱いを検討してきたところでございます。  その結果、今回の図書の記述には、異常な性的感情についての記述や小動物を残虐に殺害する描写などが含まれていることから、元少年が犯罪を起こした年代と同世代の子供たちが読んだ場合、犯罪加害者に同化するおそれが懸念されることから、教育的配慮として、未成年には貸し出ししないといたしたところでございます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)未成年に貸し出ししないということが1つ無制限ではないということになるのかなということなんですが、今も県立図書館が図書を提供する役割と。さっきから言うてます自由に関する宣言も、提供する役割を持ってんのや持ってんのやと、こうおっしゃってるんですが、実はさっき申し上げましたように、49人待ってはるんですわ。3週間ずつ回ってきたら、49掛ける3、3年間待ってなあかんのですわ。そしたら、普通やったらもう一冊買おうかと。こうはならへんですよね。ならへんですよね。3年間待ってよというのが、図書の提供をする役割を持ってるんやと言いながら、実は現実、そんなん3年も待ってんのやったら貸してもらえへんと一緒やなと、こういうことになるわけで、どうもちょっとそこのとこが大原則というのと現実とが違うて、大原則を振りかざし過ぎでないかなという印象がするんですけども。  そのことはさておき、今回と同様のことがこれから起こることも大いに考えられます。これらの予想されることに対して、県立図書館としてどのように対応されるのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(河原恵) お答えをいたします。  これまでの答弁の中でも申し上げてまいりましたように、県立図書館の役割は、図書や資料を収集し、県民の皆様の利用に供することにあります。しかしながら、犯罪被害者等基本法のように、より一層国民一人一人の権利を広く保障するという流れの中で、同様なことが起こった場合は、さまざまな関係法令に照らし合わせ、個別の事案ごとに協議、検討し、判断してまいりたいと考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)多分そういう答えになるんでしょうね。  それでは、知事に、表現の自由と公共の福祉に対してのお考え方をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど総合政策部長が答弁いたしましたとおり、憲法第21条では、言論、出版その他一切の表現の自由は保障されていますが、同時に、第12条では、国民は保障される自由および権利を濫用してはならず、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うとされていることが、この問題を考える上でまずは大前提であると認識しております。  また、今回の件に改めて目を向けますと、当該図書の出版社が出版の社会的意義を主張されてはいるものの、一方で被害者の御遺族が、事件のときに子供が殺されて、また今回も精神的に彼に殺されたと思っているとおっしゃっておられるとおり、その心情も深く痛く理解するところでございます。  今回の教育委員会の判断につきましては、図書、資料を収集し、県民に提供するという表現の自由を踏まえた県立図書館の果たす役割とともに、子供たちを取り巻く状況などの公共の福祉を踏まえて考慮した上でのことであると理解しております。  私自身も、常に県民の皆さんの思いや状況を十分に踏まえて、表現の自由と公共の福祉のいずれも尊重しながら、個々の事案ごとに慎重に判断することが肝要であると考えております。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)元犯人、作者は結局、何が伝えたかったのでしょうか。何がしたかったんでしょうか。果たして、この書を読んで彼を研究することが、この異常な犯罪を繰り返すことがなくなり、少年犯罪の抑止につながるのでしょうか。  この当時の少年法の規定により、少年審判は非公開であり、審判記録、すなわち事件に関する情報は、第三者は無論のこと、被害者およびその家族にすら全く明らかにされておりません。にもかかわらず、加害者が一方的に商行為を伴ってその情報を公表することが、意見表明の自由と言えるのでしょうか。しかも一方的な公表であり、その真偽の検証は行うことができません。  「図書館の自由に関する宣言」が採択されたのは、今から60年以上前の昭和29年であります。その後の改定が行われたのは昭和54年であります。これでも35年前であります。昭和29年当時の出版、流通、情報、交通、国民経済、それらの事情からすれば、多くの図書を個人が所有することというのは極めて困難なことであり、図書館による国民の知る権利の確保は非常に重要な任務でありました。  さらに、改定が行われた昭和54年というのは、情報産業にとって忘れられないパーソナルコンピューター初代PC−8001というやつなんですが、これが発売された年でございます。それ以来、今や情報受発信を取り巻く環境は大きく変化し、多様なツールを我々は日常的に、しかも安価に利用することができます。  冒頭述べましたように、みずからの意見を表明しようとすれば、インターネットだけでもブログやツイッター、フェイスブックなどさまざまな手法により表現することができ、また、即時にそれに対する反論も含めた反応を得ることができます。その違法性が明らかなことはともかく、現にこの手記の全文がインターネット上に流れているとも言われております。  宣言には、図書館は、基本的人権の一つとして知る権利を持つ国民に資料と施設を提供することを最も重要な任務とする。確かに図書館の任務としてはそうなんでしょうが、果たして、それが果たし得なかったことをもって国民の権利が奪われていると言えるのでしょうか。それは代替手段がないという前提においてであります。昭和29年当時の前提であります。全く状況が異なっていると思います。  実は、私がこの「図書館の自由に関する宣言」に最初に出会ったのは、有川浩さんの小説「図書館戦争」シリーズを読んだときでございます。読んだときの印象は、今日の自由な社会でICTがこれだけ進歩した状況下では、宣言を題材とした極端なフィクションであり、まさに宣言が大げさ過ぎて、やゆされているんじゃないかなというような印象を受けた記憶がございます。  これだけ情報ツールが多様化した今日、この宣言が守られなければ表現の自由、知る権利が侵されているということになるのでしょうか。まさに「図書館戦争」のように、宣言を守ること、それ自体が目的化しているとは言えないでしょうか。  私自身は、図書館の果たすべき役割とその原則は、それぞれの時代において検証されるべきであると考えます。図書館利用以外の代替手段をもって、知る権利、表現の自由が保障されれば、出版、表現に伴って、ここが必要なんですが、被害が発生したり不当な利益を得るような場合には、公立図書館においては収集、公開を制限することもやむを得ないと考えます。  宣言が昭和29年に採択、一部改定が昭和54年、これが図書館資料収集のいわば憲法となり、金科玉条のごとく守られていることに改めて驚きと違和感を感じております。  最後に、改めまして、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 非常に深いテーマを御提起いただきました。全てこの場だけで私の個人の考えだけで何か事を決するということができないほど、非常に大きなテーマだと存じます。  議員、いろいろと29年以降のこの時代の変遷、御紹介いただきながら、この「図書館の自由に関する宣言」、これを金科玉条のごとくという言葉で表現されました。ただ、私のベースにある考え方は、知る権利、表現の自由を守るということでございます。ただ、同時に、公共の福祉を侵してまで貫ける表現の自由というものは私はないのではないかという立場にも立ちます。  また、加害者が被害者および被害者の遺族をもう一度さらに苦しめる権利というものまであるのか、それを国家や社会というものが許すのか、認めるのかということを自問しながら、そういう被害者の心にも寄り添って、表現の自由を守るために、その表現する側の基本的な配慮というものもあってしかるべきだという立場に立ちながら、この課題、双方大事にしながら、個々の判断をしてまいりたいと存じます。 ◆35番(家森茂樹議員) (登壇)私も収集の自由に制限をかけようというつもりで言うてるんではなくて、当然、出版されているものというのはいずれ廃刊になるわけです。そのときに、やっぱり見たいなと思ったときには図書館に行かざるを得ない。ということからすると、収集の自由というのは大いに守られるというのは、これはまた必要なのかなと。  ただ、こういう社会問題が起こっているときに、閲覧の自由なりということをそこまで保障する必要があるのかなと思って、今回質問をさせていただきました。終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、35番家森茂樹議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時39分 休憩    ────────────────   午後1時40分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、18番井阪尚司議員の発言を許します。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇、拍手)3項目について質問をいたします。  初めに、琵琶湖のヨシ群落再生について質問します。  琵琶湖のヨシ群落が急激に減少したのはここ60年余りのことで、その主な原因は、食糧増産のための干拓、埋め立て、湖岸堤の整備等と言われています。1972年、琵琶湖総合開発が始まります。その20年後の1992年3月に、ヨシ群落は自然景観の形成、動植物の生息、生育環境の場、また水質の浄化機能など多様な役割を果たしていることから、ヨシ群落の保全を目指した滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例が制定され、ヨシ群落再生に向けて事業が始まりました。  琵琶湖のヨシ再生事業は、県琵琶湖政策課や水産課、国土交通省琵琶湖河川事務所、また水資源機構琵琶湖開発総合管理所がそれぞれ場所を分担して進められています。県では、ヨシ群落保全区域を保護地区、保全地域、そして普通地域に分けて、保全目標を達成するために保全事業を実施され、施工には環境保全に取り組むNPOのアイデアも生かされていると仄聞しております。  そこで、琵琶湖のヨシ群落はどのようになっているのか。ことし4月下旬に、琵琶湖保全に取り組むNPO団体の方と県議有志とで琵琶湖のヨシ群落を視察してまいりました。昔と変わらないヨシ群落が形成されているところ、またヨシ群落再生でよみがえったところ、ヨシ群落復活に向けて再生中のところなど、さまざまな状況を見ることができました。また、波による浸食を受け、浜崖けが発生したり、ヨシ帯が減少している箇所もありました。  その中で、能登川の栗見新田のヨシ再生事業は水資源機構によって進められているところではありますが、再生計画について、6月に同機構を訪問いたしまして担当課に話を伺いました。そこで、そだ、いわゆる山のしばなんですが、それを使った消波堤が一昨年の台風被害により損傷した箇所がありまして、その後のメンテナンスがなされていない状況を見聞きしました。  琵琶湖の波は1メートルにもなることから、湖岸のヨシを守るため、浜辺の沖合10メートルぐらいのところに間伐材を使ったくいを打ち込んで、その間に木枝などのしばを入れて、波を防ぐ消波堤がつくられております。そだ消波工法と呼ばれるものですが、この工法は、過去に新旭の針江、また和迩中浜でもNPOの協力のもとに進められて、一定の成果を上げてこられました。  この取り組みのよさは、県内里山から提供されたそだを琵琶湖で使うことで山と湖のつながりが持てること、そだは石と違って半永久的にそこにあるものではありませんで、やがて自然に返るものであり、ヨシ群落が再生されたときは自然消滅する素材であること、そだは魚などが生息できる空間が保てること等が挙げられています。課題は、そだは波で洗われて腐食するので、絶えず補充しなければならないことが挙げられています。  また、湖北地域でも消波堤の取り組みが進められていますが、湖辺から消波堤の距離があって、ヨシが根づくための効果に結びついているのか疑問を感じました。さらに、ヨシの植栽の場づくりで、あるところではフラットに整備されていて、そのために水位が上下したときに魚が取り残されたり、産卵に影響を受けたりする心配があるとの関係者の声もお聞きしました。  これらのことを踏まえて、以下2点について、琵琶湖環境部長に伺います。  1つ目は、琵琶湖のヨシ群落は湖国の原風景の一つであって、水鳥や魚の生育場所となるなど多様な機能を有しています。この大切なヨシ群落を保全するために、これまでどのような施策を実施し、また、そのことによりどの程度ヨシ群落が再生されたのか、お伺いいたします。  2つ目に、ヨシ群落の再生は、県だけではなく、さまざまな機関の連携が必要だと思いますが、加えて、地域の方々との連携や協力も必要だと思います。そこで、今後のヨシ群落再生に向け、県はどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。 ○議長(西村久子) 18番井阪尚司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) (登壇)琵琶湖のヨシ群落再生についての2点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目のヨシ群落保全にどのような施策を実施し、どの程度ヨシ群落が再生されたかについてでありますが、ヨシ群落は生態系保全のために多様な働きをしており、湖沼の環境保全にとって大変重要な存在でございます。  しかしながら、干拓等により昭和30年代と比べ著しく群落が減少しましたことから、平成4年3月に滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例を制定しまして、ヨシ群落保全の施策を進めてまいったところです。  具体的には、ヨシ群落保全区域を定め、許可、届け出制度によりヨシを守りますとともに、ヨシを積極的に植栽することなどにより、ヨシ群落をふやしてきたところであります。その結果、平成3年度に約127ヘクタールにまで減少しましたヨシ群落の面積が、平成26年度には約182ヘクタールまで回復したところでございます。  次に、2点目の今後のヨシ群落再生の取り組みについてでありますけれども、現在、県では引き続き、条例に基づきましてヨシ群落を守りますとともに、ニゴロブナ等の産卵、繁殖の場となるヨシ帯造成などにも取り組んでおります。  ヨシ帯造成の具体的な工法についてでございますけれども、ヨシは砂がなければ活着しないことから、波で砂が洗われないように、消波堤によりヨシの生育環境を確保する必要がございます。この消波堤につきましては、議員御指摘のように、そだを使う方法もございまして、県では平成17年度から19年度に、そだを用いて施工したところでありますけれども、波に洗われ消波効果が薄れましたこともあり、以降は石を用いた消波堤を施工しているところでございます。  今後は、消波堤の持続的な効果を検証しながら、琵琶湖のそれぞれの水域に最も適した工法を選定してまいりたいと考えております。  また、ヨシの植栽に当たりましては、民間企業からの御寄附や地元NPOなどのボランティア活動によりヨシ群落の再生を図っております。特に現在は、野洲市菖蒲地区におきまして、地元の自治会、漁協の皆さん、地元の小学校などで構成されます協議会を立ち上げまして、ヨシ群落の再生に取り組んでいただいているところであります。  今後も、県民の皆さん、企業、地域の皆さんと一緒になって、ヨシ群落の再生に取り組んでまいります。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)琵琶湖をぐるっと一周してまいりますと、かなりヨシ群落が戻ってきたなと思うところと、なぜかくいだけが残っていて中途半端に終わっているなというのが見受けられました。お聞きしますと、一昨年の台風で洗われてしまったというところもあったようにお聞きしました。  確かに石を用いたほうが効果的ではありますけれども、ヨシが根づくまでにかなりの年数がかかることから、人工物、特に石については放置しておくと琵琶湖にふさわしくないのではないかと。ことし、日本遺産に琵琶湖が入っていますけれども、世界遺産を目指すというところでいきますと、このヨシの群落が果たす役割はかなり大きなものがございます。  先ほど、部長、どのように検証しているかとおっしゃってくださいましたけれども、今後の具体的な検証のことがございましたら、紹介いただければありがたいです。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  県では、申し上げましたように、ヨシの再生に当たりましては、そだを使った消波堤による工法のほかに、今申し上げました石を使った消波堤による工法、そして消波堤を施工せずに漂砂、漂う砂ですね、それをためるという、岸からいくと鉛直方向になりますけれども、漂砂防止堤のみによる工法等で実施をしてまいりました。  今後は、それぞれの工法における、まさに砂の流れぐあいでありますとか、ヨシの活着度合いなど、メリット、デメリットを申し上げましたとおり検証しながら、施工に努めてまいりたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございました。  市民との協働で進めていくことがアイデアを生んでいきますし、持続できる方法も見出せると思いますので、関係機関、たしか年1回ほど集まって打ち合わせ等されていると思いますけれども、頻繁に行っていただいて、ヨシが着実に戻っていきますようによろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  2項目めには、国体主会場の施設配置について質問をいたします。  平成36年に、滋賀県では43年ぶりの2度目となる第79回国民体育大会が開催されます。あわせて、第24回全国障害者スポーツ大会が開催されます。この両大会は国内最大のスポーツの祭典であり、滋賀県で開催されることにより、滋賀の活力を生み出し、次代を担う子供たちが夢を育み実現することのできる環境づくりにつながることが期待できるところであります。  昨年度に、第79回国民体育大会滋賀県開催準備委員会で、国体の開会式、閉会式および陸上競技大会が開催される主会場に、滋賀県立彦根総合運動場が決定されました。県はこれを受けて、彦根総合運動場を第1種陸上競技場を備えた公園として再整備するに当たり、公園整備のイメージですとか基本的な考え方などを検討するために、専門家やスポーツ関係者、地元自治会などの皆さんで構成する(仮称)彦根総合運動公園整備計画検討懇話会を設置し、検討を重ねられて、本年3月末に公園整備の基本的な考えをまとめた(仮称)彦根総合運動公園基本構想を策定され、公表されました。  また、今年度には、この基本構想を踏まえて、さらに公園内に導入する施設などを具体的に検討されているところでありまして、先月には第6回検討懇話会が開催されて、公園整備に係る施設配置図案が示されたところであります。  そこで、以下3点について、総合政策部長にお伺いします。  まず、施設配置図案を整理する過程で、特に施設配置に関する課題として、第1種陸上競技場の向き、また第1種陸上競技場と第3種陸上競技場との位置関係、これをどのように検討されたのか、お伺いいたします。  さらに、第1種陸上競技場が西側の住宅団地に近い位置に配置されていることについて、どのような対応を考えておられるのでしょうか。特に、浜からの吹いてくる風に対して、風向きが変わって住宅に影響を及ぼさないのだろうか、そういったことも踏まえてお伺いいたします。  3つ目に、公園整備に伴う来園者の増加によって、周辺道路の交通渋滞がさらに見込まれるところですけれども、主会場へアクセスの確保について、どのように認識し、どのように対応しようと考えておられるのでしょうか、お伺いをいたします。 ◎総合政策部長(堺井拡) (登壇)国体主会場の施設配置についての3点の御質問にお答えします。  まず、1点目の第1種陸上競技場の向きや第1種陸上競技場と第3種陸上競技場との位置関係についてでございます。  第1種陸上競技場の向きにつきましては、一般財団法人滋賀陸上競技協会から、公園敷地の南側に接しております県道に対して長辺を直角に配置する現在の配置案が、日差しや風向き等を勘案しまして、総合的に最も高く評価されたところです。また、第1種陸上競技場と第3種陸上競技場との位置関係につきましては、これらの間に緑の広場を配置することにより、ウオーミングアップや選手の待機あるいは招集に係る一連の動線が確保でき、(仮称)彦根総合運動公園整備計画検討懇話会や公益財団法人日本陸上競技連盟からは、望ましいとの御意見をいただいたところです。  さらに、同懇話会において、彦根城からの景観という点で、現在の配置案が望ましいとの御意見をあったところです。今回の基本計画案の施設配置では、こうしたことを総合的に考慮したものでございます。  次に、2点目の第1種陸上競技場が西側住宅地域に近い位置に配置されていることについてでありますが、現時点での施設配置の案では、第1種陸上競技場は現在のスイミングセンターとほぼ同じ位置となる見込みです。現在、周辺住民の皆様の生活への影響を予測し、環境保全措置を検討するための周辺環境調査を実施しているところであります。  今後、施設の設計段階において、この調査結果を反映するとともに、建物の高さや形状、色彩に配慮するほか、公園外周部に遮蔽機能がある植栽を施すなど、建物による圧迫感等をできる限り軽減できるようにしてまいりたいと考えております。  3点目の主会場へのアクセスの確保についてでありますが、国体主会場へのアクセス道路を確保することは、スムーズな大会運営や競技者、役員、観覧者の利便性の確保の観点から、また、大会期間中を初め各種大会やイベントなどによる利用時において、交通渋滞の緩和対策や周辺の住民の皆様の生活環境の保全の観点からも、大変重要であると認識をしております。
     こうしたことから、公園整備を進めていくに当たり、国体開催および開催後における公園の利用状況を予測し、周辺道路交通に与える影響を分析した上で、公園敷地に対して左折で進入できる工夫など、関係機関と連携して必要な対策を進めていきたいと考えております。  また、彦根市におかれましては、隣接市道における交通渋滞の緩和対策として、道路改修などを検討されているところでありまして、市との連携を密にして、今後の公園整備計画や施設設計を検討してまいりたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)何せ43年ぶりの国体でございますので、滋賀に夢と感動を与える絶好のチャンスだと。主会場となります施設は将来もスポーツですとか触れ合いの場となるだけに、特に軟弱地盤のところですので、くいは多めに打ち込んでいただいて、長くもつようにぜひお願いしたいと思います。  主会場、181億円かかるというような予算なんですけれども、周辺道路の整備ですとか、あるいは関連施設、資材の高騰等によって予算が膨れ上がる可能性があります。また、県立体育館、プールもつくらんならん等々になりますと莫大な費用がかかるんですけども、基礎だけはしっかりつくっていただいて、ここはやっぱりお金をかけていただいたほうがいいんじゃないかなと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  次の質問に移ります。  3項目めです。私たちの身近な問題になってきます特別養護老人ホームの整備について質問いたします。  少子高齢化が我が国の財政や社会保障制度、地域コミュニティー等を大きく変えようとしています。年金の減額、また支給年齢の引き上げ、医療費個人負担割合の増加、介護保険料の増額など、高齢者の暮らしを圧迫しているとの声を日増しに多く聞くようになりました。年々ふえる社会保障費に対して、自助、共助、公助それぞれの役割が重要となり、中でも自己負担の割合を高める流れは今後も続きそうであります。  しかし、こうした状況は、格差社会と言われる現代社会において、団塊の世代や若者が将来の安定した老後のビジョンをますます描きにくくしています。こうした中、国は持続可能な社会保障制度の確立を目指して、地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化を主軸とします平成27年度介護保険制度改正を行いました。私は、その中の次の内容に注目しています。  平成27年4月以降、特別養護老人ホームは、居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点が図られます。このことを踏まえて、新規に入所する方の要件として、原則として要介護3以上に限定されることになりました。また、介護保険の財源の負担割合が、第1号被保険者と言われます65歳以上の方は22%、第2号被保険者と言われる40歳から64歳の方は28%に変わると、そういった内容でございました。  県では、このたびの介護保険制度の改正を踏まえて、第6期介護保険事業支援計画が策定されたと聞いています。年々要介護高齢者が増加する中、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据えた体制整備、これについては非常に重要な課題であると言えます。  一方で、増田寛也元総務相が代表を務める日本創生会議が、昨年5月に人口減少と少子高齢化による消滅可能性自治体を公表いたしましたけれども、これに追い打ちをかけるように、同会議は本年6月、東京圏高齢化危機回避戦略を発表いたしました。首都圏の高齢者を人口減少の著しい地域に移住してはという案であります。  新聞報道によりますと、国においても人口減少社会や超高齢社会を踏まえて、地方創生基本方針が検討されている中に、戦略が示します首都圏から地方への高齢者を移住してはどうかという計画が出されていると仄聞しております。  昨日の新聞記事に、共同通信が行った高齢者移住アンケートに全国の知事の考えが示されました。三日月知事の回答も掲載されていました。アンケート結果からも、介護、医療、福祉事業が地域活性化につながるのではないかとの期待がある一方、地域の社会保障費は増加しないか、医療体制はどうだろう、介護施設はどうか、年金だけで賄えない人が多くおられる中で、都市部の富有層の流入によって地域の方の入所希望を圧迫しないかなど心配される方もおられます。  県では、これまでから特別養護老人ホームの入所申し込み者数が定員数を上回っていると聞いており、ますます地元の高齢者の方が特別養護老人ホームを利用できないという事態が発生するのではないかと懸念しております。  私は、国民年金受給者で認知症の方から、次のような相談を受けました。ある老人ホームを使用しておられますけれども、老朽化により施設が改築されることになりました。その改築後、これまで生活されていた多床室、相部屋ですね、これが個室化されることになりまして、8万円相当だった利用料が13万円相当になることがわかり、困っておられるということであります。この13万円は国の基準であり、県内施設の多くは15万から17万円必要なところもあります。今後、老朽化により施設が改築される場合は、このような事例が出てくるのではないでしょうか。  そこで、2点、健康医療福祉部長にお伺いいたします。  まず、低所得者の方が個室を利用される場合には、どのような対応をされているのでしょうか。  また、地元の高齢者が安心して介護サービス等を受けることができるよう、滋賀県の特別養護老人ホームの整備はどのような方針で進めようとされているんでしょうか、お伺いをいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)特別養護老人ホームの整備方針についての2点の御質問にお答えをいたします。  1点目の低所得者の方が個室を利用される場合の対応についてでございます。  市町村民税の非課税世帯の場合は、介護保険法上、利用者負担軽減の措置がございます。また、社会福祉法人が利用者負担を軽減する制度もありまして、法人が負担軽減を行った場合には、市町が助成する仕組みとなってございます。こうした軽減措置は県内のおおむね9割の社会福祉法人の協力を得ておりまして、全ての市町で取り組まれているところでございます。  2点目の滋賀県の特別養護老人ホームの整備方針についてでございます。  特別養護老人ホームにつきましては、市町と連携して、各保健福祉圏域を単位に地域特性に応じたサービス基盤の整備を進めるとともに、新築および改築に当たっては、高齢者の尊厳の保持、プライバシーの確保の観点から、条例に基づきまして個室ユニットケア施設の整備を推進することとしております。  また、これまでから既存の施設で当面改築がなされない多床室につきましては、パーテーション等で仕切りを設ける個室的なしつらえとする改修を進めてきたところでありまして、今年度からは地域医療介護総合確保基金を活用して、同様の改修をさらに進めていく予定でございます。  こうした特別養護老人ホームの整備方針につきましては、本年3月に改定いたしましたレイカディア滋賀高齢者福祉プランにおいても示したところでございまして、県としては、このプランに掲げた目標値の達成を目指し、市町や関係者の御意見を伺いながら、計画的に進めてまいる所存でございます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)国あるいは県の方針にのっとって着々と進めているというお話でございますけれども、再質問をさせていただきます。  個室化の流れでありますけれども、パーテーションで仕切る多床室、相部屋ですね、これもやはり必要ではないのかな。つまり、個室化によって入れない方がいらっしゃる。また、県内のあるところでは高齢者アパートというのがあるよ、そういったことを教えてくれる人もいました。そこは確かに家賃は安いんだけれども、ひとり暮らしの方がひっそり暮らしておられると、なかなか厳しい生活をされているところがあると聞いております。  また、在宅介護のほうも進んできていますけれども、国が言っているほど全て在宅介護で賄えるわけではありません。最後はそういった施設で御厄介になる、これが安心できる場の一つのところかなと思っています。とにかく格差が広がっていまして、本当に困っておられる方がいます。先ほど例に出しました8万円の方も、この後どうしたらいいだろうと困っておられました。  今後、どのようにこの弱者の方々を救っていくのか。再度、部長にお尋ねをさせていただきます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  今後の特別養護老人ホームの整備、あるいは先生御指摘のサービスつき高齢者住宅という施設もあるかと思いますけれども、そういった高齢者の住まい、そして地域における介護、それがその人に応じた適切なサービスが提供されるようにということで、各圏域において必要なサービスを整備していくという方針で行っているところでございます。  それで、個室化の流れであるけれども、相部屋も必要ではないかと、こういう御質問と受けとめてお答えをさせていただきますが、特別養護老人ホームの居室は、病室のように一時的な療養の場所ではなく、生活の場ということでございますので、個人の尊厳の保持あるいはプライバシーの確保の観点、こうしたことから、新築あるいは改築に当たりましては個室ユニットケアの整備ということで進めているところでございます。  御質問にありました利用者負担の増でございますけれども、多床室から個室になることに伴ういわゆるホテルコストの増でございまして、これは所得段階に応じまして、1万5,000円から5万円高くなるという仕組みになってございます。これは利用者にとっては居室環境がよくなるということに伴う負担増でございまして、サービスと負担のバランスから御理解をお願いすべきものというふうに考えております。  一方で、改築に際して多床室が個室化されたために、負担増で入所を継続できないというような事案が実際に生じるのかどうか、その要因や背景がどういうものなのかということにつきましては、関係者の意見をよく聞いてみたいというふうに思います。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)私も介護保険料、以前はたしか3,000円弱だったと思うんですが、最近5,500円ぐらい払っているんでしょうか。将来、高齢者がもっとふえていくので、8,200円ぐらいどうやろうというような意見も聞いているんですが、一生、毎月々8,000何がしがもし徴収され続けますと、本当に年金の少ない方々は大変だろうなと思います。  少子高齢化によって社会保障制度改革がずっと進んでくるわけですけれども、老後の安心確保というのは本当に待ったなしの状況でございます。地域包括ケアシステムの一層の充実にあわせて、私たち一人一人が老後の具体的なイメージを持つことが重要かもしれません。その場になってみないとわからないというのが結構ある話なんですけども、特に人生の終焉が生活弱者にならないように、切れ目のない施策が実行されることを願って、質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、18番井阪尚司議員の質問を終了いたします。  次に、15番山本正議員の発言を許します。 ◆15番(山本正議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団の山本正でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、犬猫の殺処分ゼロに向けた取り組みについて伺います。  平成25年11月議会で、犬猫の殺処分に関する質問をさせていただきました。関係者の御努力によって、さらに一歩、さらに一歩前進していますこと、また、その直後に麻酔薬の注入による安楽死が実現いたしましたことに感謝いたします。  しかし、殺処分ゼロを目指していくには、滋賀県の現状はまだまだこれからというところです。現代の日本において、犬猫は人間社会の中で生きている動物であり、その飼育、飼養についての全責任は人間にあります。飼っていた人が無責任に飼養を放棄したり、無責任に繁殖させてしまったりして捨てる、あるいは避妊や去勢をせずに放し飼いにする、そんな無責任な飼い方をする人の犠牲になっているのが、センターに連れてこられる何の罪もない犬猫たちです。殺処分という無益な殺生をこれ以上しなくても済むように、一刻も早く殺処分ゼロを達成できるように願って、以下の質問をさせていただきます。  神奈川県動物保護センターでは、一昨年には犬の殺処分ゼロを、また昨年度には、ついに難しいと言われていた犬と猫の両方で殺処分ゼロを達成いたしました。ほかにも、昨年度は熊本市や札幌市でも犬の殺処分ゼロを達成したと聞き及んでいます。  殺処分の減はあってもゼロはあり得ないとか、殺処分は必要悪であるとか、数字がふえなければいい、この数年の調査過程でさまざまな意見を聞いてきたところです。しかし、昨年度の神奈川県の例によって、犬も猫も両方ともにおいて殺処分ゼロという目標が決して不可能ではないということが証明されました。  センターに保護された犬猫のうち、もとの飼い主に返還されたものや病死したものを除くと、残りの大部分は新しい飼い主に譲渡されることになります。そして、譲渡することがかなわなかったものが殺処分とされてしまいます。神奈川県の例によれば、殺処分ゼロを達成できた原動力となったのは、新しい飼い主を見つけるという、譲渡におけるセンターとボランティアの連携であったと言います。  職員側とボランティア、その両方に質も量も上げていかなければならないという課題があり、さまざまに工夫された研修や情報交換によって、手法やレベルアップを図り、互いに充実した体制を築いていかれたということです。  まず、滋賀県における譲渡の現状と課題を、健康医療福祉部長にお伺いします。  次に、動物愛護推進員やボランティアの方々に重要な役割を果たしていただいていますが、その制度と現状、今後の課題を健康医療福祉部長にお伺いします。  次に、殺処分ゼロを目指していくには、センターに持ち込まれる犬猫自体を減らすことが第1段階で肝要です。冒頭でも申しましたが、人間社会で生きている犬猫たちです。その生殺与奪は人間社会にあります。動物を飼うということは、命に責任を持つ、命に責任を持った飼い方をするということであって、正しい知識と覚悟が必要です。いっときの気まぐれや途中で放棄することは到底許されるものではありません。飼い方についての正しい知識や終生飼養についての啓発が大変重要であると考えますが、現状と成果、そして方針について、健康医療福祉部長にお伺いいたします。  次に、一番の難題であります飼い主のいない猫、いわゆる野良猫の繁殖を抑えることです。猫は、以前にも申しましたが、年に3回の出産をすることから、1匹の母猫からわずか2年で最大で80匹にもふえる可能性があります。飼い猫も放し飼いにすることが多いことから、まずは飼い猫の避妊、去勢を徹底することが大事なポイントです。  そこで、放し飼い猫、つまり飼い猫ですが、その飼い主に対する避妊、去勢の徹底について、啓発と現状を健康医療福祉部長にお伺いします。  また同時に、飼い主のいない猫を順次一匹ずつ避妊、去勢していって現状以上にふやさない、そういった地域猫の取り組みが最も有効であると考えられています。この飼い主のいない猫に対する避妊、去勢を軸とした地域猫の取り組みの成果と今後の展開について、健康医療福祉部長にお伺いします。  次に、センターの収容施設について伺います。  今の施設は30年以上も前に建てられています。殺処分を前提とされていたために、ガス室と焼却炉が主たる施設です。1日におりを一つずつ移動させられ、最後はガス室で死に至る。これは以前ですが、そしてそのまま隣の焼却炉で焼かれるという、全国にあるほとんどの施設と同じように、残酷さの象徴のような施設になっています。  しかし、センターの目的や業務が変化してきていることから、殺処分ではなく、譲渡処分にふさわしい施設であるべきであると、社会の風潮を初めとして、全国の自治体の考え方も変わってきているようです。  お隣の京都府では京都市と合同で、譲渡を目的としたガス室や焼却炉のない動物愛護センターをことし4月にオープンしています。神奈川県でも、ドッグランやトリミング室、譲渡のための触れ合いスペースや災害時の収容スペースなどを完備した新センターを計画中です。ぜひ滋賀県でも殺処分ゼロを目指すと同時に、老朽化や耐震不備を機に、施設そのものを殺処分用から譲渡用に改築あるいは改装してはいかがでしょうか。知事の見解をお伺いします。  この項の最後に、私たちが目指す社会は命をたっとぶ社会の実現であり、また命を大切にする教育であり、そして優しさと思いやりを醸成する滋賀の風土づくりであります。犬猫を家族の一員としてかわいがる一方で、年間1,000頭を超える犬猫を殺処分するという、こんな人間のエゴの象徴のような事象を看過するわけにはいきません。  まずは、滋賀県の姿勢として、本気で殺処分ゼロを目指すということに対して、知事の見解、またあれば決意をお伺いしたいと思います。 ○議長(西村久子) 15番山本正議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)山本議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。大切なテーマを継続的にお取り組みいただきまして、ありがとうございます。前段いただきました数点の各論の御質問については、後ほど部長からお答えをいたします。  私も、生きとし生けるもの、人間のみならず、動物も含めて全ての命を大切にする社会というものを標榜いたしております。平成20年に滋賀県動物愛護管理推進計画、これは平成20年に策定をされましたけれども、ことし1月に改定をいたしまして、全ての命を大切にする、命ある動物のことも考えるという観点から、飼い主よし、動物よし、御近所よし、動物との暮らし三方よしを目指してということで、大きく3項目、適正飼養、終生飼養の徹底、安全で快適な飼養、保管環境の確保、そして災害発生時の動物救護体制の充実、この3本柱で具体的な施策をつくり直して、致死処分ゼロに向けて収容動物数の減少を図るということを目指した計画を今進めているところでございます。そういった計画に基づきまして、先般も獣医師会の皆様方と、災害発生時の動物救護についての協定も締結させていただいたところでございます。  そうした中で、6点目にいただきました施設の改築、改装ということについてでございますが、以前は先ほど御紹介いただいたような形で殺処分が行われており、そのために使われておったケージを、犬猫それぞれ個別に管理するために使い、譲渡に向けた長期飼養を現在も行い始めております。施設についても、今後は譲渡や長期飼養にさらに適した環境としていく必要がございます。  ただ、県全体といたしまして、公共施設全てこれは老朽化する中、財政等のことも勘案しながら、今、全庁的に維持管理の方針を検討している過程にございます。そういう中で、この動物愛護センターにつきましても、どういった時期にどういった規模で改修、改築を行っていくのか。他府県の例も参考にしながら、検討してまいりたいと存じます。  また、そういったことも含めて殺処分ゼロを目指すということにつきましても、前段申し上げましたとおり、人も動物も全て命が大切にされる安全安心の共生社会を実現するためにも、犬猫の致死処分ゼロを目指していかなければならないと私も考えます。  先ほど御紹介した推進計画を進めることで、致死処分ゼロに向けて収容動物数の減少を図るということを基本方針に明記したところでありまして、その具体的施策を着実に推進してまいりたい。そして、致死処分ゼロということができるだけ前倒しして、一日も早く実現するよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)犬猫の殺処分ゼロに関する御質問のうち、1点目の譲渡の現状と課題についてでございます。  県の動物保護管理センターでは、収容された犬猫の譲渡を希望する方に、動物飼養の基礎知識や心構えを学んでいただき、その後、希望の条件に適合した犬猫を見つけ出して譲渡を行っております。  譲渡数は、昨年度、犬が242頭、猫が219頭でございまして、収容数に対する譲渡の割合は、犬猫ともに年々上昇傾向にございます。  今後、譲渡数をさらにふやすための課題ですが、1つは、より多くの方に譲渡希望登録をしていただくということでありますし、もう一つは、譲渡に適した動物の数がふえるように、しつけなどケア体制を充実することでございます。  2点目の動物愛護推進員、ボランティアの制度と現状、今後の課題についてでございます。  動物愛護推進員は、各市町、関係団体から推薦をいただきました方20名を知事が委嘱をし、新たな飼い主探しなど、地域の身近な相談に応じていただいております。  また、ボランティアは公募により25名が登録されておりまして、センターにおいて譲渡候補動物のしつけや身の回りの世話に御協力をいただいているところでございます。  犬猫の譲渡については、動物愛護推進員とボランティアの方々がパネル展の開催やインターネットブログでの譲渡情報の発信、新しい飼い主探しの相談などに協力して携わっていただいております。  今後、動物の飼養管理や動物福祉に関し、県民の皆さんの一層の意識啓発の取り組みと相談助言の充実が必要でありますことから、動物愛護推進員やボランティアの方々のさらなるスキルアップと体制強化が課題でございます。  3点目の正しい知識や終生飼養についての啓発でございますが、県のホームページ、各種リーフレットや講習会テキストなどで終生飼養を啓発するほか、地元テレビの番組コーナーでも、飼育の心構え、迷子になったときの連絡先を定期的に紹介しているところでございます。  また、動物保護管理センターにおきましては、しつけ・飼い方教室、譲渡前講習会の開催、狂犬病予防注射会場でのパンフレット配布など、機会を捉えて啓発周知に努めているところでございます。  5年前と比べますと、収容数は犬が2割減少、猫は3割減少しております。このうちで、所有者から引き取った犬猫の数はともに4割減少していることから、終生飼養が進展しているものと考えております。  今後、安易な飼養を抑制するとともに、動物の習性を理解し愛情を持って飼育できるよう、迷子札着用の推進や不妊、去勢処置の必要性を啓発するなど、関係団体、ボランティアと連携して、さらに終生飼養の推進に取り組んでまいります。  4点目の猫の飼い方に対する啓発ですが、「大切な犬猫だからこそ、不妊、去勢をしてあげましょう」、あるいは「猫を飼っている方へ」というようなリーフレットを使いまして、譲渡前講習会、動物フェスティバルの参加者や動物病院に来た飼い主に対しまして、不妊、去勢と室内での飼養を推奨しております。  5年前と比較しますと、飼い主から放棄された子猫の収容数は4割減少しておりまして、不妊、去勢や適正飼養の啓発効果があらわれているものと考えております。  また、複数の開業獣医師からは、来院する飼い猫の雌の大半が不妊手術済みであり、雄の半数以上が去勢しているというようなことを聞き及んでおります。  5点目の地域猫の成果と今後の展開についてでございます。  地域猫の取り組みは、飼い主のいない猫に不妊、去勢手術を行うとともに、餌やり等のルールを定めるなどして、地域ぐるみで飼い主のいない猫の数をふやさない取り組みでございます。平成22年度から昨年度までの5年間で、地域猫の取り組みを行ったのは延べ54自治会であり、飼い主のいない猫456頭の不妊、去勢手術を支援いたしました。手術実施の翌年は猫の増数が抑えられたと自治会の方から報告をいただいております。  今後の展開でございますが、みずからの地域の課題として受けとめて取り組む自治会をふやすとともに、既に取り組まれているところにつきましては、地域主体で継続して取り組んでいただけるよう、市町とともに支援をしてまいります。 ◆15番(山本正議員) (登壇)ただいま御答弁いただきました。2点それぞれ、2問目のボランティアの件につきましては部長に、そして最後の7問目の致死処分ゼロの見解あるいは決意について、知事に再度質問をさせていただきたいと思います。  まず、2問目のボランティアの方々あるいは動物愛護推進員の方々に対するただいまの御答弁の中で、1つは、資格とか条件とか、公募されるということでしたが、そういったことがあるのでしょうかという質問です。  譲渡のために、その譲渡のために大変大きな役割を担っていただく、あるいは地域猫の推進のためにも大きな役割を担っていただくというこの方々ですが、大変覚悟の要る大事な、またとうとい仕事であると思います。敬意を表したいと思います。しかし、反面、責任も重大でありまして、生き物とともに、それらに対してのずっと扱っていただくわけですから、そういったことに活躍してもらいやすいように、一定のスキルとか仕組みとかそういった条件、あるいはなっていただくときの講習会であるとか、そういったことはあるのかどうかということを質問させていただきたいと思います。  それから、7問目の知事に対しての決意のほうをお聞きしました。一日も早く実現したいということで、大変ありがたく思ってます。  しかし、昨年度から今年度にかけてその予算等を見ましても、これはほかとの兼ね合いがあると御答弁の中にもありましたけども、予算を見ましても、また取り組み方を見ましても、ほとんど従来と変わっていないのではないのかなというような、効果はどんどん上がってきてます、しかし、取り組み方あるいは予算のかけ方というものが従来とそんなに変わらないのではないかなと思います。  先ほど申しました動物愛護推進員とボランティアの方々の件についてもそうなんですが、今回、神奈川県で犬も猫も両方ともが殺処分をゼロを達成した、その陰にはボランティアの方の活躍が大きかった、またそれが原動力となったとされています。  どういうことかといいますと、殺処分ゼロというのは、その場にいなくなった。つまり、極端に言えばボランティアの方々が殺処分寸前で引き取って、殺される前に連れて帰っちゃって、そしていっとき保護をしながら次の飼い主さんを一生懸命探してくれてはるという、そういった大変な御苦労をいただいていると思うんです。  そういったことのこの原動力となるボランティアの方々だからこそ、本当に命を担っていただく、またそのお気持ちが本当にとうといからこそなんですけども、本当に活躍してもらいやすいように、この職務体制といいますか、人員体制というんですか、あるいは職務内容というんですか、そういったものの不断の見直しが必要やと思います。  その不断の見直しこそは、その現場の当然職員の方々の御意見は反映されていると思いますが、このボランティアの方々、そしてまた愛護推進員の方々、また、きょうもたくさん傍聴来ていただいておりますが、こういったことに興味を持っていただき、そして本当に犬や猫たちの命を、あるいは私たちのこの社会が命をたっとぶ社会であってほしいと願うからこそのこういった動きでありますので、そういった点を重々踏まえていただきまして、ボランティア、愛護推進員の原動力となる方々のコーディネーターになるような職員体制も含めていただきたい。ぜひ含めていただきたい。  そして、先ほどの改装の件につきましては了解いたしました。ただし、見ていただければわかると思いますが、手術室1つとりましても、どこかの物置みたいな感じです。そこで400何匹、先ほどありました456匹の手術が行われているということですが、せめてゼロに向けた政策の中で、そういったことを充実させていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。  以上2点を部長と知事に再度質問させていただきます。よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。おっしゃったように、るる御指摘いただいておりますように、人のみならず、動物の命も大切にするということについては、動物とのかかわり方、飼い方、そういうものに対する社会全体のありようが問われているんだと思います。  そういう中で、今、御質問もいただき、私も答弁させていただきましたように、このたび計画を見直して、そして致死処分ゼロを目指して収容頭数を減らしていこうと。そのためには施設のあり方も考えていかなければなりません。今御指摘いただいたように、仕事のやり方というものの不断の見直しも必要でしょう。さらには、これ、センターだけで、行政だけでできることではございませんので、ボランティアの方や御理解いただき御協力いただく方々との連携のあり方、それをコーディネートする職員の仕事のやり方も含めて、不断の見直しをさせていただき、計画の実行に当たってまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えします。  ボランティア等の公募に当たっての資格要件というのは特に定めておりませんで、地域のリーダーとして見識を有した方というふうにいたしているところでございます。なお、就任に当たって、講習会等の実施をしているところでございます。  今後、県民の皆さんに対しまして、動物の飼養管理あるいは動物の福祉というようなことで一層理解を深めていただく必要がありますので、まずは、その推進役となっていただく推進員あるいはボランティアの方のこうした理解を深めるための講習、研修というのにも力を入れていきたいと思っております。
    ◆15番(山本正議員) (登壇)ありがとうございました。  私たちのこの滋賀県が命をたっとぶ社会になりますように、実現できますように、そして今のこの犬猫の致死処分ゼロという言葉を知事のほうはお使いですので、これから統一していきたいと思いますが、致死処分ゼロを目指して、何とか一刻も早く無益な殺生をしなくて済むように、また、それらを見ている子供たち、聞く子供たち、その教育にも大きくかかわってくると思いますので、一刻も早いそういった社会の実現、滋賀県の実現を願いまして、この項の質問を終わらさせていただきます。  続きまして、死因究明の推進についてお伺いいたします。  まず、死因究明につきましては、平成24年に死因究明推進法が成立いたしまして、地方自治体の責務が掲げられましたこと、また、その後、死因究明等推進計画がつくられて、都道府県に協議会の設置が呼びかけられましたことを冒頭に申し上げておきます。  原因不明の事故、落雷や崖崩れによる災害死、高齢社会を反映した孤独死、スポーツ中の突然死、虐待死、麻薬や薬物による不審死、自殺、他殺、誰にも見とられないで亡くなった、これらを異状死と言いますが、この異状死と言われる警察が取り扱う死体は、社会的背景の変化とともにますます複雑多様化、増加している傾向にあります。  これらの死因を明確にすること、死因究明を充実させることは、犯罪死の見逃し防止だけでなく、公衆衛生の向上、事故の再発防止、同じ悲劇を繰り返さないことにもつながり、あるいはSARSやエボラ出血熱等の重大事態の発見や回避にもつながります。  死因究明に対する機運の醸成ですが、その発端は、平成18年、19年ころ、単なる大相撲力士の死亡事故とされていたことが、死因究明によって、実は傷害致死事件であったことが判明したことがあります。また、瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒で何十人もの、20人前後だったと思いますが、人の事故死が死因究明によって、実は製品自体の欠陥によるものであったことが解明されたことがあります。最近では、青酸カリによる連続殺人事件が解明されたものもあります。  その後、死因究明には重要な公益性があり、社会全体で取り組むべき課題であるとして死因究明推進法が成立し、以前の一般質問で、滋賀県の圧倒的な解剖率の低さ、死因究明に関して県警や関連機関との連携、監察医制度のない滋賀県の現状等を質問させていただきました。既にそれから3年の月日がたっています。  冒頭でも申しましたとおり、現在は、国では死因究明等推進計画が進められ、死因究明等基本法の成立に向けた動きがあります。また、県内では今6月に、県を初め県警や県医師会等の関係機関が連携して、死因究明等推進協議会を関西で初めて、全国で3番目というスピードで立ち上げるという記事を目にしていますが、まず、この死因究明等推進協議会の現状と今後について、知事にお伺いします。  次に、異状死の臨場においては、まず検視官によって犯罪性の有無や解剖に回すかどうかが判断されると聞きます。いわゆる犯罪死と犯罪が疑われる変死を全体から抽出するスクリーニングがされるわけですが、滋賀県では近年、1,600体前後ある異状死全体の5%前後が犯罪死あるいは犯罪が疑われる変死ということです。犯罪を見逃さない死因究明のあり方について、警察本部長の見解をお伺いします。  解剖率につきましては前回に詳しく聞いていますので今回は省略いたしますが、監察医制度のない滋賀県では、犯罪死、変死以外ではほとんど解剖されることはありません。異状死の現場では、犯罪を見逃さないための臨場をする、検視をする、警察が主導されているのが現状の姿です。  その後、つまり、残りの95%前後にも及ぶ異状死の死体は、警察に依頼された医師の検案によってほとんど解剖されることもなく、死体検案書が下されることになります。検案医と呼ばれる臨場に立ち会う医師は、異状死の検案に特化した医師ではなくて、普通の診療業務に携わっている医師だそうですが、法医学等の専門医師でないということにも素人目から見ると驚きであります。この検案医と呼ばれる医師の確保について、現状と課題を警察本部長にお伺いいたします。  今回ここで問題にしていきたいのは、死因がより精緻に究明されていない遺体が、異状死全体の95%前後にもなるということです。滋賀県では、公衆衛生を理由に解剖できる監察医制度がないことや承諾解剖の低さもあって、犯罪性がなければ死体検案書の作成にとどまり、しっかりとした死因が究明されてきませんでした。つまり、異状死体の臨場は警察が主導であって、犯罪と関係がないとなれば、年間に一千数百もの異状死体が検案後に解剖されることもなく、詳細に死因が究明されることもなく、そのままだびに付される。  そして、今回の質問の趣旨ですが、だびに付された異状死のデータの蓄積や体系的に解明するセクションがどこにもなかった、そのデータが生かされてこなかったということです。今後は、個人の尊厳の保持と多くの死を無駄にしないためにも、より正確な死因究明や、それを生かした対策に役立てていかなければならないと考えます。  例えば浴室で亡くなる事故死は、全国で年間1万5,000とも2万とも言われています。その中の例えば水死の場合、浴槽で溺れた場合ですね。これが背もたれにある傾斜のせいなのか、あるいは底にある、よく傾斜があるお風呂がはやった、非常に幅のあるお風呂がはやったとき、傾斜があるんだけど、それの滑りどめがお尻のとこについてない底がつるつるのやつ、あるいは手元に手すりが両方にない。  例えばこんなこと1つをとりましても、1万5,000から2万人が浴室で亡くなっているという陰で、これらがデータが蓄積されてない。だから、これは一体この傾斜が背もたれの傾斜のせいなのか、下にゴムを敷けば防げるのか、あるいは手すりをつけておけば防げたのか、そういったことがこれらの死によって解明されててもよかったんじゃないか。  これは10年、20年と続いているんですけども、例えば、例えばです。ちょっとわかってもらうために、このデータの蓄積、死因究明をした後どういうことに生かされるかというのは、こんなんはごく一部のことやと思いますが、僕らでも、ちょっと疲れているときに背もたれにもたれてお風呂入ったりすると、つるんといって怖い思いをしたことがあります。体が不自由な方や高齢の方がそんなことによって命を落としかねないなと思ったことが何回もあります。  そして実際に、恐らく滋賀県では、100分の1県と言われますから、2万人が死んでたら、恐らくお風呂で200人前後がきっと亡くなってるんやと思いますが、そういった方々のデータをとることによって、皆さん、こういうことに気をつけてください、こういうことを改善してくださいという啓発や何かができるんじゃないかなという、そういう趣旨です。すんません。原稿には全く書いておりません。  そこで、質問させていただきます。  犯罪性がないとされた異状死全体のこういったさまざまな情報の集約を行い、県民の公衆衛生の維持や悲劇を繰り返さないという事故再発の予防を担う専門セクションの必要性がこれからの地方自治体には必要であると考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。死因究明という大変大切なテーマでございます。私も平成24年、この法律の制定にかかわった一人でもございます。しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  2問いただきました。死因究明等推進協議会の現状と今後ということについてでございます。  本県では、死因究明等に係ります各種事業を推進させるとともに、その方策等について協議するため、滋賀医科大学、滋賀県医師会、滋賀県警察本部等、9つの関係機関の代表者により構成されます滋賀県死因究明等推進協議会を設置いたしまして、本年6月2日に第1回の協議会を開催したところでございます。  この第1回の協議会では、県内の死因究明体制の現状を把握するため、滋賀医科大学医学部教授による御講演や各関係機関との意見交換を行いました。  今後は、本協議会におきまして、死因究明等に係る業務に従事する人材の育成および資質の向上、死体の検案および解剖の実施体制の充実、死因究明により得られた情報の活用および遺族等に対する説明の促進などについて協議してまいります。  2点目に、こういう犯罪性のないこの死因究明の中から得られた情報を生かす、また県民の公衆衛生維持や事故再発の予防を担う専門セクションの必要性についても、御提案、御指摘をいただきました。  今後の本県におきます死因究明等の体制整備につきましては、先ほど申し上げました滋賀県死因究明等推進協議会において協議をしていただく事項の一つになると考えております。  したがいまして、このセクションを行政機関の中に設置することが適当なのか、大学などの他の機関に設置することが適当なのか、協働してつくっていくことが適当なのか、そのあり方について、この協議会の議論を参考にしながら、関係機関と協議をしてまいりたいと存じます。 ◎警察本部長(笠間伸一) (登壇)2問いただきました。  まず、犯罪を見逃さない死因究明のあり方についてお答えをいたします。  県警察の検視の体制でございますけれども、これまで長年、警視以下2名で対応してまいりましたけれども、順次体制強化を図っておりまして、平成23年3月からは、本部捜査一課に検視官室長を置き、警視以下12名体制で3交替制勤務により、24時間365日の対応を行っているところであります。  県下の死体取り扱い総数は、ことしの5月末現在で約600体になりますが、そのうち9割を超える現場に、警視または警部の階級にありまして、捜査経験が豊富で、東京にあります警察大学校、ここにおける法医専門研究科を修了した専門知識を有する検視官、これが臨場いたしまして、事件性と解剖実施の必要性を判断をいたしております。  こうした検視官の判断を踏まえまして、犯罪死および犯罪死の疑いのある死体につきましては、刑事訴訟法に基づく犯罪捜査の必要な処分として、裁判官から鑑定処分許可状の発付を得まして、司法解剖を実施し、死因究明を行っております。  それ以外の取り扱い死体につきましては、病歴や生活実態の調査、死後の画像検査、それから現場の確認等を実施いたしましても死因が判然としない場合、例えば、完全施錠の部屋の中で外傷も病歴もない若い方が死亡していた場合などには、その死因を明らかにするため、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律、いわゆる新法解剖を行っております。  続きまして、検案医と呼ばれる医師の確保についてお答えをいたします。  本県におきましては、いわゆる監察医や警察医という制度がございません。日夜取り扱う死体につきましては、各警察署で、長年にわたり御協力をいただいている一般の医師に、議員御指摘のとおり検案をお願いしているところでございます。  しかしながら、御協力をいただける医師の方にも限りがございますし、また高齢化が進んでおりまして、さらなる確保が喫緊の課題となっておる現状にございます。  警察としましては、滋賀県医師会等にお願いをし、検案に御協力いただける医師の当番制、あるいは法医学研修等を御検討いただいているところでございまして、今後とも滋賀県死因究明等推進協議会などと連携をしつつ、対処してまいりたいと考えております。 ◆15番(山本正議員) (登壇)御答弁をありがとうございました。  この死因究明という制度につきましては、まず、その臨場ということに関しまして、それが現場でありますから、今は警察の方々におんぶに抱っこといいますか、残り95%のことについても全てリードしていただいている。そして、これからの死因究明について、そしたら、この臨場にあって、これからどこが主体となっていくべきなのか、そのことはこれからの協議会で話し合われると思いますが、決して一歩引いた立場ではなくて、多くの情報を抱えている、あるいは多くのセクションを持っている県だからこそ、これからはその臨場で得たもののデータを横断的にそれらを使っていただいて、教育の場にも福祉の場にも、いろんな場面でそれらを使っていただける、それこそが亡くなった人の尊厳ある死というものが生かされて、後世のために使われて、よりよい世の中になっていくんではないかなと。また、亡くなった方もそれでこそ死が報われるといいますか、そんなお気持ちになられると思います。最後にそのことをもう一度、知事に協議会に臨まれるお気持ちのことをお聞きして、質問を終わりたいと思います。 ◎知事(三日月大造) おっしゃっていただいたように、今回、法律に基づくものとはいえ、関西では初めてこの協議会をつくっていただいて、大変厳しい環境の中で、こういう会合等に携わっていただく方々に御苦労をいただいている、この現状を共有しながら、状況の改善をすべく、精力的に協議をしていただくことになっております。  おっしゃったように、亡くなった方が発していらっしゃる情報であるとか死者が語るそういうさまざまな状況、そういうものをしっかりと捉えられるように、また実社会のさまざまな制度、設備の改善に生かせるように、また、真に必要な司法等に結びつけられるように、この協議会の協議を通じて取り組みを推進してまいりたいと存じます。 ◆15番(山本正議員) 終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、15番山本正議員の質問を終了いたします。  次に、30番小寺裕雄議員の発言を許します。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇、拍手)何と本日は木沢成人議員の誕生日です。木沢議員、お誕生日おめでとうございます。せっかく七夕に誕生されたのですから、早くよい織り姫を見つけられることを心より御期待申し上げます。  さて、先月、八日市商工会議所の定例総会で、自衛隊の幹部の方から日本の防衛についてお話を聞かせていただく機会がありました。自衛隊が歴史的にどのような成り立ちでできたのか、どのような仕事をしているのか、現在の日本を取り巻く防衛環境はどのようなものなのか、現状の装備と予算の概要、これからの防衛の考え方などを、パワーポイントを使ってわかりやすく説明をしていただきました。  原発の問題でもそうですが、安全保障だとかこういうテーマになると、感情的というか、冷静に議論がなされずに、極端な話になったり、重箱の隅をつつくようなあら探しになったりすることが残念でなりません。戦後70年がたちました。「あつものに懲りてなますを吹く」ではありませんが、もう少し防衛、安全保障といったことに対しても、普通に考えてみてもよいのではないでしょうか。  現在の装備品は、航空機でも船舶でも想像がつかないぐらいに進歩しています。先般、横須賀の自衛隊基地で艦船の装備品について説明を受けましたが、そんなことまでできるのかとびっくりしてしまいました。アメリカと協調して沖縄周辺海域の抑止力を向上させるために、非常に限定的な集団的自衛権を行使しようとすることが、徴兵制につながるだの、海外で戦争をするだのといったレベルの議論になってしまう状況は、ナンセンスとしか思えません。そんなことを本当にしようとしたら、それこそ一発で政権など吹っ飛んでしまうことでしょう。  PKO法案のときは、どうでしたでしょう。国旗・国歌法案のときはどうでしたか。そして、どうなりましたか。感情的にならず、ギリシアのようにポピュリズムに流されず、真っ当な議論がこの滋賀県議会でも最終日に展開されることを期待いたします。  似合わぬ真面目な話をしてしまいましたが、それでは、通告に従いまして、久し振りに分割方式で、安全保障とは全く関係のない、ごくごく身近な農業問題と公共工事の課題について、以下、それぞれ担当部長に質問をさせていただきます。  それでは、まず、農政に関する諸課題について、農政水産部長ならびに琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。  今会議、農政の問題につきましては、過日の代表質問においても我が会派の生田議員から、滋賀県の農林水産業のあり方などについてを初め幾つも質問がございました。私自身、昨年の秋でしたか、9月の定例会議の一般質問において、新たな水田農業改革に対して質問をさせていただいたところですが、私は、現在の農政、また県下の農業に対して非常に疑問と不安を感じています。また、今定例会議の質疑を聞かせていただいておりましても、その疑問や不安は一向に払拭されませんでした。そこで、本日は、私が最近感じているそうした思いのほんの一部を質問させていただきます。  そこで、まず、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地利用計画の見直しに関連して、質問というか、確認をさせていただきたいと思います。この農地の利用計画の見直しについては、前期の議会においても何度か質問がありましたし、また、市長会からの要望や各自治体からの政策提案などにもかねてから盛り込まれているところです。  問題は、市町が農業振興地域の整備に関する法律施行規則第4条の4第1項第27号計画において位置づけようとする農業者に必要な地域振興施設への変更が、施設の内容により、法令上認められないものもあるというところにあります。この結果、各地域では、農村集落にとって公共性が高く、地域農業の活性化に必要な施設でさえも認めてもらえず、結果的に農村集落がより一層疲弊した状態に追い込まれるなどの問題が起きています。  そうしたとき、去る6月26日に公布された第5次地方分権一括法において、農地転用許可の権限委譲が行われたと聞いております。現行の制度においては、農地転用に関する事務権限は、2ヘクタール以下は都道府県の事務、2ヘクタールから4ヘクタールは国との協議を要する法定受託事務、そして4ヘクタールを超えるものは国の権限であったものが、2ヘクタール以下と2ヘクタールを超え4ヘクタール以下のものは自治事務として都道府県の権限に、4ヘクタールを超えるものは国との協議を要する法定受託事務として改正されたものと承知をしておりますが、今日までの農地転用の許可に苦しんでいる農村や自治体にとって、この権限の移譲により、今までの農地の転用にどのような変化があるのでしょうか、農政水産部長にお伺いいたします。  次に、土地改良事業について質問をさせていただきます。  先日、政府は骨太の方針の中で、地方交付税交付金の見直し、すなわち削減について言及をされました。2020年に単年度でプライマリーバランスを実現し、国際社会に日本の財政健全化をアピールするためには、経済の活性化や消費増税を初めとする歳入増加策だけではなく、リーマンショック以降さまざまな理由で膨らんだ歳出を削減させるために、農業分野も含めた公共工事はもちろんのこと、いよいよ社会保障や医療福祉の分野にも切り込んでいくことになるのだろうと私自身は考えています。  政権交代以来、デフレからの脱却を目標としたアベノミクスの政策の一つである機動的な財政出動により、ここ数年にわたってかなり大盤振る舞いされてきた補正予算も、ことしはどうも期待が持てないようでもあります。昨秋のわずかにしか行われなかった米価下落対策を見ても、また、現在推し進めようとされている各種農業施策を見ても、いよいよ農業そのものがハード、ソフトの両面において、歳出削減の改革俎上に上げられているのではないかと危惧しています。  そこで、本県の基盤整備の状況を見てみますと、民主党政権下のもとでおくれをとった計画的な基盤整備がようやくもとのところまで回復しつつある中で、琵琶湖総合開発計画時に整備された各地区の事業が一気に更新時期を迎えています。計画的で効率よく投資することで費用対効果を上げるアセットマネジメントを行うとしながら、本年の農業基盤整備促進事業の予算づけは、要求額からいたしますと惨たんたる状況で、各地の土地改良区から悲鳴が上がっているのは御承知のとおりです。  補助率が高く予算規模が大きな国の事業に全て採択されれば言うことはないのですが、現実はとてもそうはいきません。こうなれば、規模は小さくとも使い勝手のよい、小規模土地改良事業を改めて見直すといったことも考えてみてはいかがでしょうか。間口は広く、いつでも受け入れ態勢を整えておくという考え方も理解はいたしますが、小規模土地改良事業の現状とその可能性について、農政水産部長にお伺いします。  また、現在、年次計画的に改良事業を進めておられる地域では、農業そのものがますます厳しくなっていく現状に対して、大きな不安を感じておられます。事業を開始した当初とはあらゆる面で状況が変わり、この先、一体どうなるのだろうと心配されています。  そこで、新たな事業を推し進めることにより節水や濁水防止に効果があるような事業に対しては、例えば環境特認などの名目で、例えわずかでも県からの支援などがあれば改良区の励みになるのではないかと考えますが、農政水産部長のお考えをお伺いします。  次に、獣害対策について、琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。  拾井部長におかれましては、多賀町のツキノワグマの件で大変御苦労様でした。テレビのニュースで何度も取り上げられておりましたので、拾井さんも随分と有名になられて、御活躍いただいておられることをとても喜んでおります。  さて、冒頭にも申し上げましたが、我が会派の代表質問の中で、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、いわゆる鳥獣保護法の一部を改正する法律について質問がありました。法の改正により、目的に鳥獣の管理が加えられ、従来の保護計画のほかに、その生息数が著しく増加し、またはその生息地の範囲が拡大している第2種特定鳥獣の管理計画を策定すること、本県では、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザルおよびカワウが第2種特定鳥獣管理計画に位置づけられたこと、ニホンジカの計画に指定管理鳥獣等捕獲事業を追加し、新たに取り組むという答弁がありました。  この法律の改正により、管理すべきと認定された鳥獣については捕獲事業などが進みやすくなるということは理解いたしましたが、私はぜひサルについても積極的に取り組んでもらいたいと考えています。  例えば、私の地元東近江市で申し上げますと、人よりもサルのほうが多いのではないかと思われる奥永源寺地区は別にいたしまして、農業に熱心な山里である愛東地区では、生活そのものが脅かされるような状況に陥りつつあります。現状、既に追い払いや電気柵、また里山を整備するなどして対応してきましたが、直売所へ持っていく農産物の4割近くがサルの被害に遭うような状況でもあり、農家の皆さんのやる気を著しくそぐ原因となっています。  サルは群れごとの個体数管理がなされており、市町が立てた個体数調整の計画に基づき捕獲されると聞き及んでおります。今後、サルの捕獲を一層推進する必要があると考えますが、県の取り組みについて琵琶湖環境部長にお伺いします。  次に、この項の最後として、これからの滋賀県の農業のあるべき姿についてお尋ねをいたします。  知事の描く農林水産業のあり方という問いで代表質問では聞かせてはいただきましたが、私は、現状の農業、そして将来の農業に抱く不安を申し上げながら、農政水産部長のお考えを聞かせていただけたらと思います。  かつて、本県は紛れもなく農業県でありました。そのことは滋賀県民の歌の1番の歌詞に、「機織る町に 稲刈る村に 今日も平和の日はうらら」とあることからもうかがい知れます。そうした中、高度成長時代に名神高速道路などが整備されると、地の利を生かして製造業を中心に工業立地を進め、また琵琶湖総合開発を活用して各種インフラを整備したことにより、本県の今日の近代化が実現をされました。  一方、農業の現場では、全県的に特産品でもある米づくりに特化して機械化を推し進め、農家の皆さんができるだけ農業に携わる時間を減らし、立地の進んだ各工場に働きに行ってもらいました。結果、年々、米価は上がり、21世紀を迎えるころまでは給料もほぼ順調にふえていく中で、豊かな農村生活を実現しました。全国トップクラスの一人当たりの県民所得と県内各地の農村地域の立派なそれぞれの建前を拝見させていただくと、今日までやってきたことが正しかったことが証明されていると感じます。  しかし、現在行われている水田農業の改革や中間管理機構を活用した規模拡大、法人化などの政策が、米一本足打法でやっていけた本県農業にとっては、今までの強みが一気に弱みに変わってしまったのではないかと危惧しています。  御承知のこととは思いますが、本県農業の特徴は、全国トップクラスの兼業化率と機械化率を誇る一方で、農業所得は全国最低、先ほど申し上げたように、農業外で得た所得はトップクラスという実態があります。専業の農家が少なく、そのために地域農業は地域全体で守っていこうということで集落営農を推し進め、今日まで農地を守ってきました。  この考えは私は滋賀県の特性に応じたよい政策であったと考えます。規模を拡大しましょう、圃場を整備し近代化、機械化した農業で効率よく経営しましょう、人・農地プランを作成し、法人化し、国の制度にしっかり乗っていけば地域の農業は守れますと言って、県も市や町もやってきました。  しかし、このビジネスモデルの根幹は、米の値段が一定の水準以上にあることが絶対条件です。野田副議長の資料提供によりますと、かつては大学卒の初任給ではわずか2俵しか買えなかった米が、今では一人当たりの年間米消費量の12年間分に相当する12俵も買えるそうです。食べ切れるものではありません。米も余るはずです。  農業そのものが国の財政再建を実現するために、歳出削減、改革の対象とされる中で、米の価格が一定の水準で維持されなければ、ほぼほぼ一本足打法である本県農業の根幹は崩れ去ってしまうのではないでしょうか。  年間約30万トン、昨年は23万トンだったそうですが、本県の生産量をはるかに超える過剰米が発生し米価が下落する中で、平成30年には、行政による生産目標数量の配分、世間一般に言われるところのいわゆる減反政策が廃止されます。食用米から飼料米などへの転換、あるいは現状取り組んでいる麦、大豆以外に計画的に地域に適した野菜を生産したり、さらに収入を確保するために6次産業化で何とかというのも理屈では理解いたしますが、失礼ながら、現在、営農組合をされている皆さんに本当にやっていただけるのでしょうか。  現状が恵まれているがゆえに、果たしてそこまで米以外に真剣に取り組んでいただけるのか。6次産業化と言っても、平均六十七、八歳と言われる農家の皆さんに、今から新たな事業に取り組もうとする意欲があるのか。TPPの交渉妥結が現実的になってきた中で、米はどうなるのかなど考えると、ただただ不安を覚えます。  自分の力で高付加価値な農業を実現し、販路を開拓し、計画的な農業が実現できている担い手の皆さんは、TPPが決まろうと何が起ころうと大丈夫でしょう。また、強力なリーダーのもとに地域全体で特産品づくりに取り組み、農産品のブランド化に成功したり、6次産業化を実現し加工品で成功されているところも大丈夫でしょう。  しかし、それ以外のいまだ個人で趣味の延長以上大規模および認定以下の個人農家、一定規模で制度の枠の中で何とかされているほとんどの営農組織の皆さんが、人口減少時代、ますます米離れが進んでいこうとしている状況下で大丈夫とお考えでしょうか。  もちろん本来は何事も自己責任でありますから、それぞれの農家が、それぞれの地域が、自分たちの地域をどうしていくのかといった延長線上に、自分たちの地域農業はどうあるべきかといったことをより真剣に考えていただかなければならないことは言うまでもありません。  しかし、昨今の急激な農業改革、米価格の下落、基盤整備の状況、TPPなどの国際情勢などなど、こうした状況下で滋賀県の農業はどうあるべきなのでしょうか。  我が会派の代表質問に対しては、知事から、「琵琶湖と共生する農業こそが滋賀県ならではの農業、人々の営みと琵琶湖など環境との調和を図りながら生産される本県の農林水産業が、県内外から高い評価を得ている将来の姿を描いている」との御答弁をいただきましたが、滋賀県の農業のあるべき姿について、具体的にどのような姿を目指そうとされているのか、農政水産部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 ○議長(西村久子) 30番小寺裕雄議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) (登壇)農政の諸課題についての御質問のうち、4点目のニホンザル捕獲の県の取り組みについてでありますが、ニホンザルの被害対策は、餌となり得るものの状況、追い払いや緩衝帯の設置等とあわせまして、被害が減らない地域等では、群れの個体数の削減にも積極的に取り組むことといたしております。  このうち、農作物や生活環境への加害レベルの高い群れを対象に行う個体数調整につきましては、市町が実施計画を策定し実施するものでございまして、平成24年度からは市町に対し助成も行っているところでございます。  これまで、個体数調整につきましては、群れの半数または全数について捕獲するという取り扱いといたしておりましたが、平成26年度からは、市町からの要望を受けまして、群れの個体数の20%を捕獲する新たな個体数調整も可能とすることや、手続の簡素化を図らせていただくことによりまして、市町にとりましても取り組んでいただきやすい制度とさせていただいたところでございます。  さらに、今年度からニホンザルの生息状況調査を実施し、最新の群れの数や行動範囲等を把握して、その調査結果を市町に提供させていただき、実施計画の作成にも活用していただくことにより、一層効果的な被害対策を進めてまいります。  鳥獣保護法の目的に鳥獣の管理が加えられたという今回の法改正の趣旨も踏まえまして、今後、市町との連携をより一層密にして、ニホンザルの捕獲の推進に取り組んでまいります。 ◎農政水産部長(安田全男) (登壇)農政の諸課題に係る5点の御質問のうち、1点目の農地転用許可の権限移譲により今までの農地転用にどのような変化があるのかについてであります。  今回の法改正による権限移譲では、同一の事業の目的に供するため、2ヘクタールを超え4ヘクタール以下の農地転用をする場合にあっては国の関与が廃止されること、また、4ヘクタールを超える農地転用する場合にあっては国の関与が縮小されることから、転用に係る土地利用調整や手続の迅速化等が図られることになります。  なお、農地法や農業振興地域の整備に関する法律の具体の運用基準については、今回の見直しに伴う要件の緩和はなく、現行どおりとなっております。  次に、2点目の小規模土地改良事業の現状と見直しの可能性についてであります。  県単独の小規模土地改良事業は、昭和62年度から国庫補助の対象とならない小規模な工事を対象に、例えば圃場整備や用排水路等の施設整備や改修については、事業費の30%を支援してきているところでございます。  このような中、平成23年度に事業費200万円以上の小規模な工事を対象とする国庫補助事業、現在では農業基盤整備促進事業でございますが、その事業が創設され、用排水施設などの基盤整備は国費50%、農地の区画拡大や暗渠排水は国費定額の補助が受けられることとなりました。このため、それまで活用されておりました県単独の小規模土地改良事業のニーズが減少したこともあり、平成23年度以降、当事業の予算規模は700万円程度で推移しているのが現状でございます。  御質問の本事業の見直しの可能性につきましては、議員御指摘のとおり、国の予算が非常に厳しい中でありますし、今後、老朽化による突発事故の増加等が想定されますことから、緊急性を要するもの等への対応の必要性が高まっていくと考えております。  基本的には、補助率の高い国庫補助事業を活用いただきたいと考えますが、県単独の小規模土地改良事業のあり方について、限りある予算の中ではございますが、基幹的な施設の保全更新対策とのバランスも考慮しながら検討する必要があろうかと考えております。  次に、3点目の環境特認などの名目での県からの支援についてであります。
     効果の高い節水や濁水防止対策は、琵琶湖の恩恵を受け農業を営む本県において重要な取り組みであると認識しており、循環かんがい施設や水質保全池の適正な管理等に対して支援を行っているところです。  議員御指摘のとおり、農業を取り巻く情勢は非常に厳しい状況にあると認識しておりますが、そうした中にあっても、農業水利施設の適切な管理を通して、景観や生態系の保全、水源涵養などの多面的な機能の発揮に、土地改良区や農家の方々には大変御貢献いただいております。  こうした状況も踏まえつつ、どのような支援が農家や土地改良区の励みになるのかなど、市町や土地改良区の皆さんの御意見を伺いながら研究してまいりたいと考えております。  最後に、5点目の滋賀県の農業のあるべき姿についてであります。  まずは、農業を営む意欲ある人材を確保するとともに、地域との連携協力のもとで、担い手の規模拡大はもとより、経営の複合化や6次産業化等により、経営体質の強化を目指す必要があると考えております。  特に、水田農業については、米の生産調整の見直しが行われることから、需要に即した特色ある米づくりや買い取り方式を基本とする安定取引を促進してまいります。また、飼料用米や野菜などの作付を一層推進するとともに、農業水利施設などの保全更新対策とその機能維持を図ってまいります。  一方、農家の減少や高齢化の進行に対応して、担い手や小規模な農家、土地持ち非農家などの役割分担のもと、水路や農道等が適切に保全される必要があると考えております。  こうしたことも含め、集落の営農活動や農村の活性化に向けた取り組みを推進するため、県と市町、JAが連携して地域に働きかけ、圏域のサポートセンターを活用し、新たな営農体制の構築や特産物づくりなどについて取り組みを支援してまいります。  加えまして、代表質問の知事答弁にもありましたように、本県の農業は琵琶湖と共生する環境こだわり農業が基本であります。琵琶湖などを水源とする近代的な農業水利システムと、魚のゆりかご水田を初めとする環境こだわり農業が織りなす滋賀ならではの農業について、これまで以上にストーリー性を持たせ、例えば国連食糧農業機関──FAOの世界農業遺産認定を目指した取り組みも検討したいと思っております。  今後、国内外の消費行動はますます安全、安心の食料を求めるものと考えます。こうした取り組みのプロセスも通じ県産農産物の高い価値をアピールすることで、ブランド力の強化も図る中で、本県農業の持続的で力強い発展を目指してまいりたいと考えております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)幾つか前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  農地転用許可は、基本的に分権一括法で事務的な手続は進んだけれど、権限が広がった、移譲されたわけではないので、基本的には現状と変わらないというふうな認識で受け取らせていただきました。  それと、小規模土地改良事業の見直しですけども、恐らく先ほど私が申し上げたように、農業基盤整備促進事業等もそれほど前向きにどんどんということにもなかなかなってこないようなことも懸念いたしますと、補助率の違いでありますとかいうのはありますが、今部長言われたように、緊急性の高いもの等も本当に老朽化している施設にはございますので、ぜひそのあたりをしっかりと御検討いただければありがたいというふうに思いました。  サルもよろしくお願い申し上げます。  それと、最後、いわゆる本当に滋賀県の農業をどうしていくのやという話の中で、いわゆる世界農業遺産ですか、そういうお話も今いただきました。たしか新潟の佐渡かどこかはそれになっているというふうな認識を持っているところでありますが、日本に幾つかあるという理解をしています。  例えば豊岡のコウノトリが住む、いわゆるドジョウが食べられるような環境でつくった、コウノトリを守るということで米を食べるという付加価値の高い米であるとか、たしか新潟の佐渡も、トキの暮らせるような環境を守るということで有機農法であるとか、そうしたことでつくられたお米やったというふうに認識しています。  今、部長言われたことで、そうした魚のゆりかご水田でありますとか、琵琶湖の環境、いわゆる水質浄化につながるようなことで環境こだわり米にプロセスを見せられて、そうした付加価値がついて高値で環境こだわり米が取引されるようなことが本当に実現すれば、それは本当にすばらしいことであろうというふうに思いますので、今初めてお聞かせいただきましたので、ぜひ期待をさせていただいて、認定されることも目標にしながら頑張っていただければというふうに思いました。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  それでは、次に、公共工事に関する諸課題についてということで、全て土木交通部長にお尋ねをいたします。  インフラ等の品質確保とその担い手確保を実現するために、公共工事の基本となる品確法を中心に、品確法と密接に関連する公共工事の入札及び契約の適正化に関する法律、そして建設業法の改正が昨年の通常国会で成立し、約1年前の平成26年6月4日に施行されました。  その背景には、公共工事関係費の大幅な減少により、建設業者数や建設業就労者数の著しい減少があります。作業員、技能職の高齢化が進行し、将来の担い手不足に陥っている現状は、建設業の責務である社会基盤整備の促進や災害時の応急復旧活動が果たせなくなる状況で、安全で安心な国土の形成や住民の安心を確保することにも大きな影響を与えかねないのではないかという危機感があります。  品確法は公共工事の品質の確保の推進、入契法は公共工事の入札契約の適正化、そして建設業法は、建設工事の適正な施工確保と建設業の健全な発展が大きな目的となっています。そしてこの3法がお互いを補完することで、地域経済の発展の一翼を担う建設産業全体の健全な発展を期していかなければならないと考えます。  そこで、まず、品確法とその2つの関連法がこのたび改正されたことをどのように評価され、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。  次に、公共工事の入札における参加業者の地域貢献度の評価についてお尋ねいたします。  地域にとって建設業は大きな基幹産業の一つでもあります。地域の雇用を支え、人材を育成し、地域コミュニティーの維持発展に大きな役割を担っているものと認識をしています。何より、予期せぬ災害にいち早く対応ができるのは地元の建設業の支えがあるからです。そこで、このような建設業の皆さんの地域貢献度をどのように認識され、入札制度においてどのように配慮されているのか、お伺いいたします。  そして、次に、適正な入札価格についてお尋ねをいたします。  東日本大震災から、はや4年が経過いたしました。被災地の皆さんが一日でも早く安心して暮らせるように、復旧復興が急がれるところでもあります。しかし、被災地では、人手不足や労務単価、また資材の高騰などの大きな影響が出ています。さらには、標準積算と現場施工の実態の乖離が原因と考えられる入札の不調も生じています。そして本県においても、一昨年以降、入札の不調不落が増加している傾向が見られます。  こういった事態に対し、公共工事の円滑な施工を確保するため、さまざまな対応をいただいているものと思いますが、具体的に予定価格の設定においてどのように対応をされているのか、お伺いをいたします。  次に、地元建設業界の発展についてお尋ねいたします。  建設産業界を初めとして、地場産業の育成、活性化は喫緊の課題です。これまで人材の育成や公共工事の品質向上に真摯に取り組んでこられた地元企業の皆さんの努力に報いるためにも、公共工事の地元企業の受注機会の確保にさらに取り組んでいただきたいと思いますが、土木交通部長のお考えをお伺いいたします。  次に、公共工事の予算の歩切りについてお尋ねいたします。  去る4月の30日の新聞によりますと、国土交通省ならびに総務省が、公共工事の入札において予定価格を根拠なく引き下げる歩切りの実態調査の結果を公表されました。全地方自治体1,788団体が回答され、ことしの1月1日時点で、約4割に当たる757団体が歩切りを実施していたが、そのうちの3分の2の団体が見直す予定とする一方で、156の団体が見直しには否定的な見解を示したと報じられています。  全国では一部の自治体で、予定価格と実勢価格との乖離が大きく、歩切りが行われているのではないかとの疑念があると聞き及んでいます。そこで、本県の歩切りの実態はどうであるのか。また、歩切りに対する対応をどのように考えているのか、お伺いをいたします。  最後に、ダンピング受注の防止についてお尋ねをいたします。  冒頭にも触れましたが、今回施行された改正品確法には、現在および将来の公共工事の品質確保と公共工事の品質確保のための担い手の中長期的な育成、確保の推進が新たに目的として追加されました。この目的を実現するためには、言うまでもなく、適正な利潤確保ができるような価格の設定やダンピング防止措置を講ずること、計画的な発注や適正な工期、適切な設計変更などが必要となります。  特にダンピング受注は、工事の手抜きや下請業者へのしわ寄せ、作業員、技能者の賃金、労働条件の悪化などを招き、ひいては建設業全体の健全な発展を阻害する大きな要因と考えます。積算根拠のない低入札価格は、本県の公共物の品質に悪影響を与えることにつながる行為ではないでしょうか。本県では、ダンピング受注の防止にどのような対策を講じているのか、お伺いをさせていただきます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)公共工事に関する諸課題についての御質問のうち、まず、1点目の品確法とその2つの関連法が改正されたことについて、どのように評価し、今後どのように取り組むかについてでございますが、今回の3法の一体的改正は、担い手3法と言われるように、公共工事の品質が将来にわたって確保できるように、それに携わる担い手を確保することが大きな目的とされております。本県の建設産業就業者の年齢構成も高齢化が進んでおり、担い手の確保は喫緊の課題であることから、時宜を得た的確な法改正であると評価をしております。  今後は、4月に設立しました国、県、市町で構成します滋賀県地域発注者協議会により、発注者間の連携体制の強化や共通の課題への対応を行い、発注関係事務の適正な運用を通じて、担い手確保につながる発注者の責務を果たしてまいります。  次に、2点目の地元の建設業者の地域貢献度をどのように認識し、入札制度においてどのように配慮しているかについてでございます。  建設業者は、地域に基盤を置き、社会資本の整備のみならず、豪雨、大雪、地震といった災害対応や地域づくりの担い手として、地域社会において大切な役割をしていただいていると認識をしております。このため、建設業者の地域活動について、入札参加における資格審査や総合評価方式の入札において加点評価をしているところでございます。具体的には、道路清掃や植栽の剪定を行う美知メセナ等の地域の社会貢献活動でありますとか、防災協定の締結、災害時の応急救援活動の実績などについて評価をしているところでございます。  次に、3点目の予定価格の設定において、どのように対応しているのかについてでございます。  価格の設定に当たりましては、国に準じた積算基準を適応することで、施工の実態を的確に反映するとともに、市場における労務、資材、機材等の取引価格の変動に対応するなど、最新の単価を反映した積算を行っております。  なお、本年2月には労務単価を2カ月前倒しで改定するとともに、4月からは国に合わせて諸経費率を改定し、適正な利潤および人材育成、確保に係る費用を反映しております。  このような対応により、今年度4月から5月の末までの契約件数でございますけれども、143件のうち、入札者がなく不調となったものはなく、予定価格超過による不落となったものが3件、率でいいますと2.1%でございますが、あります。こういったことで、今後の推移を注視してまいりたいと考えております。  次に、4点目の公共工事の地元企業の受注機会の確保についてでございますが、建設工事の発注におきましては、鋼製の橋など特殊な工事以外は、原則として、県内に本社を有する企業を選定することとしております。  また、県発注工事の落札者に対して、下請契約や工事資材の納入に際しては、可能な限り県内業者を活用するよう要請しているところでございます。今年度は、県内企業の下請活用の適用条件をさらに活用促進が図られるよう見直したところであり、引き続き、県内業者の受注機会の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、5点目の本県の歩切りの実態はどうなっているのか、また、歩切りへの対応をどのように考えているのかについてでございます。  適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除する行為である歩切りは、本県では実施をしておりません。  また、今回の調査における県内市町の回答状況でございますが、19市町全てで歩切りが実施されていないことを確認しております。  なお、滋賀県地域発注者協議会において市町とこの調査結果を情報共有しており、今後も歩切りが行われないように取り組んでまいります。  最後に、6点目、ダンピング受注の防止にどのような対策を講じているのかについてでございますが、以前からダンピング対策として、適正な積算に基づく予定価格のもとで、低入札価格調査制度の採用や最低制限価格の設定を行っております。  また、入札の際に応札業者が適切な見積もりを行うことを確保するため、工事費内訳書の提出を求め内容確認を行うことで、ダンピング受注を防止し、公共工事の品質低下等を招かないように対策を講じております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)1点だけ確認をさせていただきます。  2点目のいわゆる地域貢献の評価のところなんですけど、加点評価にはいろいろあるというお話だったんですが、例えばですが、いわゆる建設業なりそうした関係の方々の従業員の皆さんが、消防団とかに社として何名か加盟しているとかいうことが加点の評価の対象にあるとかないとかいうのがどこかであったとかなかったとか聞いた覚えがあるんですが、それはいかがでしたでしょうか。土木交通部長、お願いします。 ◎土木交通部長(桑山勝則) お答えします。  ただいまの消防団の活動の件でございますけれども、消防団活動状況によりまして加点評価するということにしております。 ◆30番(小寺裕雄議員) 終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、30番小寺裕雄議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時48分 休憩    ────────────────   午後4時9分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、16番大橋通伸議員の発言を許します。 ◆16番(大橋通伸議員) (登壇、拍手)子ども・若者たちの未来づくりについて、通告に従い質問します。この質問のタイトル、子ども・若者たちの未来づくりには、子供、若者たちと未来づくりという思いを込めて、質問します。  今年度から平成31年度まで、5カ年計画の淡海子ども・若者プランの一部を深掘りして質問します。私の中学教員生活の中で受けとめた子供、若者たちの悲鳴や抗議を折り込みながら質問します。子供、若者たちの夢や希望が打ち砕かれることなく、生きる力が阻害されることのない社会の実現を願って質問します。  昨年、生活保護基準額の引き下げと連動した見直しで、就学援助を縮小する自治体が相次ぐことが予想されました。就学援助は、おおむね所得が生活保護基準の1.2倍未満の家庭に対し、学用品や給食、修学旅行の経費などを市町が補助するものです。当時、当事者にとっては激震で、私のもとにも問い合わせが幾つもありました。結果、多くの市町では自主財源を充て、現状維持に努力されたようです。  では、今、どうなっているでしょう。教育長にお尋ねします。今年度の県下の市町の就学援助に係る実態について教えてください。  20年近くも前のことです。夜中に、ある生徒の父親がそうっと訪ねてきました。「先生、御飯分けてもらえないか」と言うのです。米を袋に入れて渡そうとすると、「電気もガスもとめられていて、炊いた御飯を」と。炊飯ジャーに残っていた御飯はためらわれましたが、ビニールパックに詰めて渡しました。御飯はさほどの量ではなかったので、カップ麺も添えました。父が帰ってから、あ、湯がなかったんだと気づいたことも思い出します。その翌朝、何事もなかったかのようにその生徒の顔色を観察していたことも、きのうのことのように思い出します。失業中で、借金の取り立てから逃げる毎日を送っていた父親でした。その生徒は卒業後、親子ともども行方知れずとなりました。  この4月に生活困窮者自立支援法が施行されました。真っ先に思い出したのがこの親子のことでした。ですから、働くことで社会とつながることを支援するこの法律の成立を歓迎します。この国に広がる新しい貧困に対する新しい制度と歓迎します。  この生活自立支援法制定前の社会保障審議会の生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会において、次のような確認がなされています。  1つ、生活困窮者の増大によって、この国の基盤が揺らいでいる。1つ、戦後日本の繁栄は、勤労世帯の大多数が就労できて、家族の生活を豊かにすることを夢見て働き続けることでもたらされた。1つ、意欲を持って働く人が、その手応えを感じ、生活を向上させる条件が整っていたからこそ、この国は高い勤労モデルを実現し、高度な産業国家として世界を牽引することができた。思わず納得の報告です。  続けて、1つ、生活保護の受給者は、これまで高齢世帯が中心であったが、稼働年齢世代にある人々を含めて受給するようになっている。失業、病気、家族の介護などをきっかけに、生活困窮に陥る人がふえている。  そして、これからです。  1つ、生活困窮は、責任のない子供たちの未来にも影を落とす。1つ、生活保護を受給している世帯主の25%が生活保護を受給する世帯で育ったというデータからもうかがえるように、いわゆる貧困の連鎖もあらわれている。1つ、この現状が放置されれば、この国の将来を担う世代の力が大きく減じていく。  知事に質問します。この生活困窮者自立支援法が実効を上げるためには、地域包括ケアシステムの場合と同様、庁内の関係部署の認識の共有、事業実施体制の確立はもとより、庁外の関係機関との情報共有や連携体制が肝要になってきています。このことについての知事の御認識と、今現在、どこまで準備が整っているのかをお聞かせください。  本県では、平成26年度生活困窮者自立促進支援モデル事業実施自治体として、9市がその取り組みを開始されています。その中で、生活困窮者の見えづらさという課題が浮上してきています。  1つ、福祉事務所やハローワーク、地域包括支援センターなどさまざまな支援機関はあるが、情報共有や連携体制の仕組みがないため、制度のはざまにこぼれ落ちる人がいる。1つ、困窮者の中には、この制度や支援機関があることを知らない人が多い。1つ、困窮しながらも、さまざまな問題や事情からSOSを発信できない人がいる。1つ、長期失業者やワーキングプア、ネットカフェ難民、ひきこもりなど複合的な課題を抱える人は見えにくい、などなどの課題を伺っております。  つきましては、知事にお尋ねします。市町を初めとする関係機関で構成する協議会などを設置し、議論を進めておられますか。進めておられるとしたら、どんな課題が明らかになってきましたか。まだであるなら、どんな問題意識を持って臨もうとされておられますか、知事に伺います。  知事は年度当初の滋賀県庁組織目標ディスカッションの席で、市町との税の徴収の連携の中で得られる情報を共有して、さまざまな施策に結びつけるという視点も一緒に持ち合わせたいと思っていると述べられています。知事のこの御指摘に私は大いに共感します。  執行部の皆さんには、生きづらさを抱える人にとって生きる希望を開く水先案内であるとの自覚と、培われた見識、組織力を持って、アウトリーチの手法も存分に発揮いただき、この事業を推進していただくことを切に希望します。  加えて、改めて強く御認識いただきたいことがあります。民生委員さんのことです。県下各地の民生委員さんのたゆまぬ御尽力と惜しみない御献身のおかげで、若い世代を含む生活困窮にある人たちが早期に発見でき、最悪の状況を回避しているという事実です。  そこで、知事に伺います。日々、御苦労、御心労いただいております民生委員さんの多くは、御自身の引退後の担い手のことにまで心砕いていただいております。絶え間なくめぐりくる事案への対応がこの先も可能かどうかと心配しておられる民生委員さんの矜持と思いに応えるすべはないものでしょうか、知事に伺います。  日々の暮らしの安定があって安心があって初めて、子供たちは、若者たちは自分の未来、自分の将来を描くことができます。生活困窮者の課題についてはここで終わります。  子供って家庭の中でいろいろあっても気丈夫に登校してくるものだ、とつくづく感じた中学校での教職30年間でした。ひきこもりの親のもとで育った生徒との出会いもありました。親が自殺した生徒との出会いもありました。養父母のもとで育てられた生徒との出会いもありました。養子縁組された子の場合、そのことがその子の幸せにとってどうだったかはさておき、全国的には私と御縁があった子のように里親にめぐり合えた子は、生みの親が育てられない子の1割にすぎず、残り9割の子供たちは児童養護施設などで暮らしているのが現実です。  知事に質問します。本県の里親委託された子供の特別養子縁組の実態と課題は何ですか。教えてください。  児童養護施設で過ごした子たちのことについては、蔦田議員と執行部との間で議論がございました。心がすさんだ子供たちが多かったときのある中学校での話です。  対教師暴力が頻繁に起こることに鑑み、職員会議で、生徒の暴力が高じると判断したときに、これ以上したら警察に連絡するとその生徒に警告することを取り決めました。その取り決めに気乗りがしなかった私に、その場面がめぐってきました。みんなで決めたことですから、決まったその警告をその生徒に発しました。放課後になり、その生徒の親から電話が入りました。出てこいということでした。その生徒の家に行きました。その親いわく、「先生、おどしは教育か」。私の頭からは職員会議での取り決めは消え失せ、私はその場で、「おっしゃるとおりです」と謝りました。学校に戻ったら評価は分かれました。  さて、ある弁護士が少年院での接見で、「俺の話を聞いてくれる大人がいると思わなかった」と口を開いた少年のことを語ってくれました。選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられた法改正を機に、またぞろ少年法の厳格化が取り沙汰されております。厳格化は、つまり、おどしは大人への不信感を増幅します。このことは私の貧しい経験からも強く訴えたいことです。この議論は場を改めたいと思います。  日教組の教育研究全国集会に参加したときのことでした。昨年は本県で開催されましたので、御想像いただける方もおいでかと存じます。右翼の街宣車から聞こえてきた「先公、くたばれ」の声の主と目が合いました。高校生かと見まがう年端もない若者でした。学校生活でいい思い出がなかったのでしょう。学校を、教師を敵視していた子供であったことは確かなようです。たばこや茶髪は禁止できても、冷たいまなざしまでは禁止できません。自戒を込めて質問を続けます。  拭い切れない不安や得体の知れない恐怖、自分の将来が描けない、きのうよりきょうがよくなったという実感が湧かない、今の努力が実を結ばないのではないか、自分は社会から排除されているようだ、こうした拭い切れない不安や得体の知れない恐怖にあって、時に子供は若者は凶暴になります。そのような心境にあれば、こんな社会、一度ちゃらになってしまえと思ってしまうことは何ら不思議ではありません。川崎市で起きた若者による殺人事件は、記憶に新しいところです。刈谷市での事件もそれに近かったと報じられています。  教育長に質問します。これらは他府県での事案でありますが、少年が殺人を犯すまでに至ってしまったことについて、本県で同じような事案が発生しないために、どのようなことが必要だとお考えですか、伺います。  受け子、出し子と呼ばれる特殊詐欺の現場プレーヤーも気がかりです。その中に若い世代が相当いるからです。首謀者の詐欺組織が、その受け子、出し子に行う、ふんだんにお金を持っている高齢者から多少のお金を奪うことは最悪の犯罪ではないという洗脳教育により、受け子、出し子は半ば義侠心を持って詐欺に加担するようになると、鈴木大介氏は、その著書「老人喰い」に書いています。  警察本部長に伺います。県下の特殊詐欺事件に関係して、受け子、出し子は存在しますか。存在するならば、その実態についての御認識をお聞かせください。  いずれにいたしましても、子供、若者たちが不平等感や疎外感を抱いたまま大人に育つことは、本人の人生を台なしにするだけでなく、社会を不安定にします。犯罪に突き進んでしまう子供、若者を生まない社会づくりこそ大切です。生きる意味がわからない、生きる希望が見つからない、そうして大人社会を見限る若者たち。そして、そんな若者の絶望につけ込むやからにどう対応していくか。事態は深刻です。  フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は言っています。「不平等の問題が拡大すると再び過激思想への道を開いてしまう」と。この言説は、IS──イスラム国をも想起させます。今こそ、公的責任と教育責任を有機的につなげていかなければならない時代になってきたと私は感じています。  昨年12月定例議会の我が会派の代表質問で、児童生徒の暴力行為にどんな背景があるかと質問したところ、教育長は、「感情が抑えられず、考えや気持ちを言葉でうまく伝える力や、人の話を聞く力が低下していることなどがあると捉えております」と答弁されました。私は、この御答弁の意味をその後ずっと考え続けていました。  ある生徒との思い出です。粗暴なその子が1人でたばこをふかしているところで、今だと思い、横からそっと言いました。「たばこが優越感では、あんたにはもったいないな」と。その生徒、少し間をおいて、「大橋、その優越感ってやつ何や」と尋ねました。私は、優越感と、そして劣等感について話しました。優越感の正体は劣等感だ、こんな話にもそのときの彼は耳を傾けてくれました。そんなことがあってから、その生徒は少し変わりました。気に入らないとすぐに手が出る、足が出るというところが変わりました。自分を客観視する言葉を獲得してからではないかと振り返っています。  教育長に伺います。子供たちが豊かな言葉を獲得していくために、学校における読書活動の充実はとても重要であると考えます。本県の学校における読書活動の課題と、その課題克服のための方策についてお尋ねします。
     これは小学校の教師から聞いた話です。「掃除しなさい」と注意したその教師に、6年生のその子は、「おまえの心を掃除してから言え」と返したそうです。こんな寒々とした言葉をその子はどこで学んだんでしょう。県教委の資料からは、小学校における対教師暴力の増加が目にとまりました。平成25年度は前年の平成24年度と比較して、14件から56件と突出して伸びています。その具体例として、教師が児童の行動を注意したところ、腹を立てて教師をたたいたり蹴ったりしたという事例が挙げられています。  私がここで紹介した小学生の事例は言葉の暴力です。県教委からいただいた統計にあらわれない言葉の暴力にも心をとめる必要があります。この事例の場合、児童と教師の信頼関係を何よりも問題にしなくてはならないことは言わずもがなですが、その子の暴言もまた、豊かな言葉を獲得できずに育った、その子の生い立ちと今の暮らしの中にあると考えます。  折しも、道徳教育が小学校では平成30年度から、中学校では平成31年度から、検定教科書を導入して、特別教科道徳としての実施が予定されています。時の流行やあふれる情報に翻弄される時代です。子供はみずからに向き合うとともに、社会に出てから出くわすであろうさまざまな局面に対処するための知識や行動を、学校で身につけなければなりません。教職員は子供の先導者であると同時に、子供の伴走者でなくてはなりません。そこに道徳教育は成立すると考えます。  変わり得る自分を信じ続けることができる、自他の心を丁寧にたどることができる、みんなで力を合わせて問題を解決することができる、私は道徳教育の目的をそう考えます。教育長のお考えを伺います。  対話、共感、協働、三日月知事の願いを形にする大人たちの姿を、子供、若者たちはよく見ています。そして、その逆の姿もまた子供、若者たちはよく見ています。80歳の親の年金にぶら下がる50歳の子供の問題、いわゆる50・80問題を断ち切っていきたいと思います。  誰でもこけることはあるのに、こけたらおしまい、そんな社会を子供、若者たちに引き継ぎたくはありません。助けてと言いたいときに言えない、そんな社会も子供、若者たちに引き継ぎたくはありません。社会的孤立は無縁化した社会全体の問題であり、困窮当事者が努力するだけでは到底対処できない問題です。新しい出会い方、新しい信頼づくりを追求し、子供、若者たちに胸を張れる新しい社会づくりを、大人の責任として展開したいと思います。  知事が掲げられた新しい豊かさに、私は、子供、若者と大人の関係性からも新しい関係を加えたい、そんな願いを込めて私の質問といたします。 ○議長(西村久子) 16番大橋通伸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)大橋議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。御経験に基づく非常に深いお話をいただきました。  私には4点御質問をいただきました。生活困窮者自立支援法における市や福祉事務所の関係機関との連携体制についてでございます。  生活困窮者自立支援法の実効性を上げるためには、官、民といった立場や職種を問わず、生活困窮者を把握した者ができる限り早期に相談窓口につなぐこと、生活困窮者の困りごとの内容に応じて、既存のサービスだけでなく、NPOや民間企業などインフォーマルな組織による支援も組み合わせて包括的に支援することが重要であります。  このため、議員御指摘のとおり、庁内、庁外問わず、幅広い関係機関と常日ごろから情報共有を図り、連携体制を構築しておくことが不可欠であると考えます。こうした中、県内どの市や福祉事務所においても連絡会議を設置するなど、庁内、庁外の関係機関との連携体制は整えられつつございまして、県といたしましては、その連携強化や充実に資するような支援を着実に行ってまいりたいと考えております。  次に、県、市町、関係機関による協議の場とその場における課題についてでございます。  本県では、法律が施行される前の平成25年度から、円滑な施行の準備や施行後の効果的な制度運営を支援するために、県、市町および関係機関による研修会や担当者会議を多数開催してきております。  当初は、関係者の意見を聞きながら、主要な課題として、先ほど申し上げました関係機関との連携体制の構築や生活困窮者の働く場の開拓と就労支援のあり方を設定し、これらをテーマとした研修会等の開催を重ねてきたところでございます。  今後につきましては、制度がスタートして3カ月が経過したことから、制度の実施状況を市町や関係機関から伺う中で課題を抽出し、引き続き研修会等を開催して情報交換、意見交換を行うことにより、より実効性のある制度となるよう取り組んでまいりたいと存じます。  3点目に、民生委員の皆様の矜持と思いにどう応えていくのかということについてでございます。  県内には、2,977の定数に対して2,920名の方が民生委員として御活動いただいております。皆様にはさまざまな生活上の困りごとを抱える地域住民の最も身近な相談相手として、日々、対象者の御家庭を訪問いただき、お声かけや見守りなどの支援に献身的な御尽力をいただいており、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。  また、独居高齢者や子育ての不安を抱える世帯、生活困窮者など援助の対象となる方が増加する一方で、個人情報の問題や地域の連帯感の希薄化等により、委員活動に住民の皆さんの御理解、御協力を得ることが難しくなっており、大変御苦労いただいているということもお聞きいたしております。こうした中、生活に困難を抱える方の課題は複雑化、多様化し、福祉や介護、医療を初めとするさまざまな支援機関とのこれまで以上の密接な連携が求められます。  県といたしましても、こうした状況を踏まえ、研修会等を通じた活動に必要な資質の向上や関係機関とのネットワークづくり、さらには活動交付金による支援を行い、委員の皆さんがそれぞれの地域で自信と誇りを持ち、円滑に活動できる環境づくりを進めることにより、委員の皆さんをしっかりと応援してまいりたいと考えます。  4点目に、本県の里親委託された子供の特別養子縁組の実態と課題についてでございます。  まず、特別養子縁組の実態につきましては、平成17年度から平成26年度までの10年間で、子ども家庭相談センターが里親委託いたしました215人の子供のうち、15人について特別養子縁組が成立しております。  課題といたしましては、里親が特別養子縁組を求めても実親が反対する場合は縁組が成立しないこと、また子供に養子縁組した事実を伝える、いわゆる真実告知の時期や方法、子供が出自を知りたがったときにどのように対応するのかといったことなどがございます。  さまざまな事情により実の親に養育されなかった子供たちが、里親や養親の家庭で安心、安全が守られ、愛情を受けることで健やかに育っていけるよう、子ども家庭相談センターが適切な助言を行うなどして、支援することが必要であると考えております。 ◎教育長(河原恵) (登壇)子供、若者たちの未来づくりについての4点の質問にお答えをいたします。  まず、1点目の県内市町の就学援助の実態についてです。  本年6月、文部科学省からの依頼に基づき、各市町の平成27年度における生活保護の基準の見直しへの対応について調査しましたところ、基準額の受給を生活保護の見直し以前に設定することなどにより、全ての市町で児童生徒に影響が出ないようにしていただいていることを確認いたしました。  次に、2点目の少年が殺人を犯すまでに至ってしまう事案が本県でも発生しないために必要なことについてお答えをいたします。  まず、御指摘の悲しい2つの事案を見ていきますと、いずれも少年たちの集団心理が働いてエキサイトしてしまったことや、加害の子供の背景に、被害の子供へのいらだちをも含め、何らかのストレスがあったという共通点があります。また、川崎市の事案では、被害者に異変があったにもかかわらず、教員など周囲の大人が気づけなかったことが課題であったと捉えております。  こうしたことから、まず、教員が被害の子供の悩みや思いを少しでも早い段階から気づき、対応することが必要です。一方、加害の子供の背景にある学業や進路、家庭の問題等によるストレスを理解し、内面に迫るかかわりを持つことも必要であると考えております。  このため、各学校において、例えば暴力行為を起こした子供に対して、放課後、一緒に勉強したり掃除をしたりする中で、言葉を交わしながら粘り強くかかわることが必要です。また、授業や学級活動を通して子供同士が触れ合う機会をふやし、集団としての力を育て、互いに尊敬し信頼する関係を育むことも重要です。  さらに、安全確保の観点から、欠席が続き本人に連絡がとれない場合などには、保護者や関係者と緊密に連携を図り、子供の状況把握に努めるとともに、警察や福祉機関等と迅速に情報共有を図れるよう、体制を強化することも必要です。  今後も、子供のSOSを見逃すことなく、全ての子供たちが未来に向けて、ともに、また一人一人が健やかに成長できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、学校における読書活動の課題と課題克服のための方策についてお答えをいたします。  人は言葉を浴びて育つと言いますが、子供の成長にとって、また私たち大人にとっても、温かく豊かな言葉に触れ、言葉を通して夢と生きる力を獲得していくことは極めて重要なことでございます。また、子供たちは読書を通して自分から主体的に言葉と向き合い、本を通し著者と対話することで、みずからの心を豊かにしていきます。  先日、ふれあい教育対談で10分間朝読書の様子を参観し、子供たちと懇談しました。自分の好きな本について生き生きとした言葉に語る子供たちに触れ、豊かな言葉を獲得する読書の重要性を改めて感じたところでございます。  一方、読書活動の課題ですが、本県では、読書は好きだと答える児童生徒の割合が低かったり、1カ月間に読む本の数が全国と比べて少なかったりする実態があります。この課題を解決するためには、1つには、読書活動を充実させること、いま一つは、授業の中で言語活動を充実させることであると考えます。  まず、読書活動を充実させるためには、朝読書の普及充実や小学校低学年からの継続した読書指導の効果的な取り組みが重要です。また、家庭で家族とともに読書と親しみ、習慣化することも大切です。  一方、授業の中で言語活動を充実するためには、授業の中で読んだ本の面白さを自分の言葉で語り合う活動をするなど、指導方法を工夫していくことが大切だと考えております。  今後もさまざまな機会を捉え、子供たちの言葉を豊かに育むための取り組みを進めていきたいと考えております。  最後に、道徳教育についてお答えをいたします。  道徳教育は人格形成の根幹にかかわるものであり、同時に、国家、社会の持続的発展を根底で支えるものであります。また、道徳教育の目標は、自己の生き方を考え、主体的な判断のもとに行動し、自立した人間として、他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うこととしているところでございます。このことから、道徳教育を進めるに当たっては、教師と児童生徒との人間関係や児童生徒相互の人間関係を豊かにし、その中で道徳性を養うことが重要です。  特に、子供たちと一緒に行動し語り合いながら、自分自身も学び成長し続けようとする教師の存在や、温かい人間関係を基盤とした何でも話せる学級づくりが大切だと考えます。また、子供たちが意見を交換し、心を通い合わせ、互いに認め合い、学び合える人間関係を築くことが大切です。  あわせて、動植物の飼育、栽培や各種掲示板の工夫など、道徳性を養う学校や教室の環境を整備することも重要です。  さらに、子供たちの道徳性を育てるためには、感動、本物、仲間などを実感できる体験活動が必要であると考えます。  体育祭や合唱コンクールで仲間とともにやり遂げた体験や、ふるさとや自然のすばらしさを体感する豊かな体験を積み重ねることで、子供たちの柔らかな感性を育て、子供同士の心を結びつけていきたいと思います。  こうした取り組みを総合的に進めることで、子供たちが将来に対する夢や希望を持ち、みずからの人生や未来を開く力を育むことができるよう、道徳教育を充実していきたいと考えております。 ◎警察本部長(笠間伸一) (登壇)特殊詐欺事件の実態とその認識についてお答えをいたします。  まず、昨年、本県で認知をしました特殊詐欺事件は121件、被害総額は約5億7,000万円と過去最悪となり、本年も6月末現在では47件と、昨年同期比7件減少しておりますものの、被害総額は約3億2,000万と、昨年同期比で約1億8,000万ふえておりまして、大変厳しい状況と認識しております。  そこで、県警察では本年3月、特殊詐欺総合対策プロジェクトチームを発足させ、犯行グループの検挙、壊滅と予防活動の強化を図っているところでございます。  そこで、お尋ねの特殊詐欺事件における少年の検挙状況等でございますけれども、平成24年から昨年までの3年間に検挙した被疑者が43人おります。そのうちの12人が少年でございました。これらの少年はいずれも県外居住でございまして、動機は、先輩等からバイト感覚で誘われるまま、軽い気持ちで受け子あるいは出し子、見張り役などとして犯行に加わったものであります。  警察としましては、特殊詐欺グループの徹底検挙活動と同様に、県内の少年が安易に詐欺グループの誘いに応じ犯行に加わることを防止するための活動も非常に重要だと考えております。  そのため、少年非行防止活動の一環として、チラシを作成した啓発や非行防止教室などで注意喚起を行うとともに、県内の学校あるいは関係機関に対して、児童生徒さん等に対する指導をお願いをし、将来ある少年が、県内はもとより、県外においても特殊詐欺等の犯罪に手を染めることのないよう、取り組みの強化を図っておるところでございます。 ◆16番(大橋通伸議員) 終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、16番大橋通伸議員の質問を終了いたします。  最後に、25番富田博明議員の発言を許します。 ◆25番(富田博明議員) (登壇、拍手)25番議員富田博明でございます。議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問最終日、最後の質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。最後ですので、さきの各議員と質問が重なる点があると思いますが、よろしくお願い申し上げます。  時は70年前、昭和20年3月26日、米軍最大規模の上陸作戦、約3カ月にも及ぶ戦闘が続いた持久戦、壮烈な地上戦、日本本土の防波堤として戦われた軍人の皆さんや若い少年少女の皆様の数多くのとうとい命を犠牲にしてまで、日本の祖国のために守り抜かれた沖縄戦、このことは、70年たった今、改めて今日の幸せな生活を送れるのは、戦没者の皆様の犠牲の上に成り立っていると感謝を申し上げます。  また、国旗、国歌を崇拝し、世界平和を祈り、世界の歴史に輝く今日の日本社会を築き上げてくださった遺族の方々初め、先人の方々のおかげと重ねて感謝を申し上げます。  さて、昭和47年5月、沖縄県の発足が宣言され、悲願の本土復帰が実現いたしましたが、沖縄は米軍基地などさまざまな問題で、今もなお日本国民の生命を守るために御努力していただいております。そのことは沖縄だけの問題ではなく、日本はもとより、世界の人々が真剣に平和のことを一番に考えていかなければなりません。  戦争はどんな理由があろうと人類世界にあってはいけません。悲惨な戦争の愚かさを後世に語り継ぐことが、残された私たちの役目であり義務であると思います。今後も、平和で豊かな社会が永遠に続くことを願うばかりでございます。  私も、6月7日、近江の塔戦没者追悼平和祈念式典に参列してまいりました。そして、「お父さーん」、出会ったことのない父親への遺族の方の呼びかけに、改めて、みたまの御冥福と命の大切さ、生きる大切さを痛感いたしました。  知事の政策提案集でも、全ての人の人生応援団として、「いきる」を政策カテゴリーの1番に掲げられ、健康寿命日本一の滋賀を目指して、医療、福祉に取り組むとされています。  特に、健康予防医療では、健康寿命を伸ばすための食と運動の充実、禁煙、社会参加の推進、高齢者の元気づくり支援、医療の充実では、県内医療機関の機能向上と連携推進、緊急医療の充実、がん対策、認知症対策、介護の充実、在宅みとりの推進、医療・福祉分野の人材育成、口腔衛生の向上、鬱病・自殺対策の推進を掲げられておられます。  また、知事は今議会の冒頭、「夢や希望に満ちた豊かな実感・滋賀の実現を目指し、基本構想の実現に向け邁進する」と述べられています。その基本構想の中で、5つの目指す姿の1番に「ひと」を掲げられ、「誰もが心身ともに健康で豊かな心を持っていきいきと生活し、医療と介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して生活しています」と理想を述べられています。県民の皆さんとともに、新しい豊かさを追求される知事に大いに御期待しながら、分割方式で、大きく2点についてお尋ねをいたします。  まず、熱中症対策について、知事および関係部長にお伺いをいたします。  ことしの梅雨の入りは例年より4日早い6月3日でしたが、あと2週間もすれば長かった梅雨も明けると予想されています。そして夏本番、子供たちには楽しい夏休みが待っています。海へ、山へ、そしてリゾート施設へと、御家族連れでの楽しい場面が数多く見受けられることと思います。  このような中、近年、地球温暖化やヒートアイランド現象に伴って都市部を中心に暑熱環境が悪化し、熱中症の発生が数多く報告されているのも現状です。この原因となっている猛暑は、人の人体に影響を及ぼし、農作物にも被害を及ぼす気象災害の一つでもあります。  特に、毎年、梅雨明け後には熱中症による救急搬送が多発しており、症状が深刻な場合には命にかかわることもあります。熱中症対策は、近年、夏季の救急搬送者が全国で4万人以上を推移しており、これから夏本番を迎えるに当たって、本県においても関係機関の連携による取り組みの充実が必要と思われます。  そんな矢先、熱中症対策について知り合いのお年寄りから御相談と御提言を受けましたので、今回の質問に反映させていただきました。  熱中症は運動や暑熱から起こる体の障害の総称とされており、熱射病や日射病と呼ばれているものは重症の熱中症とされています。また、暑熱環境の悪化がもたらせる熱中症は、外出先だけでなく、部屋の中にいても発生するとされています。  医学的に言う熱射病は、視床下部の体温を正常に保とうとする機能が低下して、汗がとまってしまい、体温が40度を超え、そのままでは死に至る、極めて緊急性の高い状況を指しています。このうち、太陽光がその一因となるものを日射病と言われています。  先日も熱中症による救急搬送の状況が新聞やテレビで報道されていましたが、こうした梅雨明けと同時に多発する熱中症対策について、今後とも、県、市町による連携した対策を講ずる必要があると強く感じております。  平成16年ごろより、この熱中症という言葉が多く聞かれるようになり、各地でその対策が講じられるようになりました。ここで、少し紹介をさせていただきますが、草津市では、平成17年7月に全国初の熱中症の予防に関する条例を制定し、市民の熱中症による被害を防止する具体的な市や事業所などの予防対策を示しました。その後、国における環境省や各都道府県での対策が講じられるようになり、草津市でも制定以来5年後の平成22年3月に、この条例は廃止されました。  しかしながら、この草津市の取り組みが全国的に名を馳せると同時に、天気予報などで注意喚起されるようになり、熱中症に関する情報が身近に入手できるようになったことは一つの成果であると思います。  そこで、知事にお尋ねをいたします。草津市にお住まいだった知事は、こうした基礎自治体の健康管理のための施策や、これに対する対策をどのように評価されているのか、お伺いします。  先月の6月15日、情報バラエティー番組の「世にも不思議なランキングなんで?なんで?なんで?」という番組で、日本一スマホを使う町というテーマで、東京に次ぐ第2位に滋賀県がランクインしていることが取り上げられておりました。このことは6月29日の東京経済オンラインでも紹介され、ネット上でも改めて話題になっています。  これは経済産業省が発表した平成25年通信利用動向調査による都道府県別のスマートフォンの保有状況によるもので、東京都が75.9%でトップ、2位が滋賀県で70%、3位の神奈川県は68.2%であります。滋賀県でもホームページで熱中症対策の呼びかけが行われていますが、スマートフォンなどを活用した情報発信の取り組みと充実についてお伺いをいたします。  次に、知事公室長にお尋ねをします。  熱中症による最近の5年間における本県の救急搬送について、搬送者数や世代別の状況、搬送時の症状などはどのような状況にあるのか、お伺いをいたします。  先日も目片議員から、県内の保育園から小中高の子供たちの熱中症発生状況およびその具体策についてただされたところであります。気温の高い日が続くこれからの時期は、熱中症対策に万全を期す必要があると考えます。  最後に、健康医療福祉部長にお尋ねいたします。本県における熱中症の予防対策や普及啓発の現状と今後の取り組みについてお伺いをいたします。  また、環境省が熱中症を予防する指標として用いられる気温や湿度、それに日光を浴びる量から算出した予報値があり、屋外で行動する際の目安として5段階で示されています。数値が31度以上の場合は運動を原則控える、28度以上の場合は激しい運動を避け、休憩や水分を積極的にとるといった指針が5段階で示されています。  県内では、大津南部、南小松、今津、長浜、米原、彦根、東近江、土山、信楽の9点で観測されています。これらの詳細の情報は、ホームページやスマートフォンなどで発信されていますが、パソコンやスマホが使えない高齢者の方への熱中症対応状況についてお伺いをします。  最近、大型ショッピングセンターや商店街などで、熱中症対策としてミストシャワーが導入されていますが、県と市町が協同して、駅周辺や公園などの公共施設でのミストシャワーを設置してはどうかと提案をいたしますが、このことについてのお考えをお伺いいたしまして、この項の質問を終わります。よろしくお願いします。 ○議長(西村久子) 25番富田博明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)富田議員、今期もどうぞよろしくお願いいたします。  私には2点御質問いただきました。  熱中症対策について、草津市の取り組みについてでございますが、草津市では全国に先駆けて、市民の熱中症による被害を防止するため熱中症予防に関する条例を制定され、熱中症厳重警報の発令や普及啓発に取り組まれていたと承知いたしております。私も家族ともどもお世話になりました。  当時は熱中症についての用語自体が余り知られておらず、市民が健康で安全な生活が送れるよう、市独自の予防対策を講じられ、積極的な取り組みをされたことは大変評価できることと思います。  次に、スマートフォンなどを活用した情報発信の取り組みと充実についてでございますが、熱中症については、熱中症の救急搬送人員の報告と、あわせて注意喚起の啓発を県ホームページで掲載いたしますとともに、しらしがメール、今、約4万5,000人が登録されているんですけれども、このしらしがメールでも熱中症予防法などについて情報発信を行っております。  また、環境省の熱中症予防情報サイトでは、県内9地点の暑さ指数がリアルタイムで公表されておりまして、本サイトで提供されているメール配信サービスも利用できる状態となっております。  今後、こうしたサイトの活用についても、しらしがメールなどで情報提供していきたいと考えております。 ◎知事公室長(宮川正和) (登壇)熱中症による救急搬送状況についてお答えをいたします。  6月から9月までの期間で熱中症で救急搬送された方の人数は、直近5年間で見ますと、平成22年度が653人、23年度が558人、24年度が562人、25年度が702人、26年度が534人となっております。気候などによって増減はありますが、人口10万人当たりに換算をいたしますと、この5年間の平均で43人という状況でございます。  世代別では、65歳以上の高齢者の割合が高く4割から5割程度、また7歳から満18歳未満の少年の割合は2割弱となっております。  搬送された方の症状の程度でございますけれども、約3割の方が入院をされたという状況でございます。  以上でございます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)熱中症対策についての3点の御質問にお答えします。  まず、本県における熱中症の予防対策や普及啓発の現状と今後の取り組みについてでございます。
     まず、予防対策については、市町や保健所、県医師会など関係機関を通じまして、県民への熱中症予防の普及啓発、注意喚起を行っているところでございます。具体的には、熱中症の予防法や対処法などを掲載した国のリーフレットや啓発ポスターを市町や関係機関を通じて配布し、住民に周知いただくようお願いをしているところでございます。  こうした取り組みに加えまして、しらしがメールやしらしがテレビインフォメーションなどを活用し、熱中症の予防を広く県民に呼びかけるとともに、環境省の熱中症予防情報サイトの活用を促すなど、効果的な広報啓発を行ってまいります。  次に、高齢者の方への熱中症対応状況についてでございますが、熱中症患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者であり、一人一人に丁寧に対応することが大切と考えております。  特に、高齢者については、暑いと感じにくくなったり、脱水が進んでも喉の渇きを感じにくくなるというふうに言われておりまして、熱中症に注意が必要であるということでございます。このため、民生委員や市町を通じまして、こまめに水分補給をすること、あるいは無理な節電をせず、適切に扇風機やエアコンを使用することなど、周囲が協力して声かけを行っていただくよう呼びかけているところでございます。  市町では、こうした熱中症予防について広報誌に掲載したり、介護サービス利用者に対して個々にリーフレットを配布するなど、さまざまな対応をしていただいているところでございます。  本格的な夏を迎えて、今後も熱中症予防の普及啓発、注意喚起について、市町、関係機関への呼びかけを徹底していきたいと考えております。  最後に、公共施設でのミストシャワーの設置についてでございます。  ミストシャワーは、水を人工的にミスト、つまり霧として散布し、その気化熱で周囲の温度を下げることから、暑さ対策の一つとして、平成17年の愛・地球博で一般に公開されて以来、ビルや公共施設などの屋内外で広く利用されております。  先ほどの環境省の熱中症予防情報サイトでは、熱中症予防として、暑さを避け、体温上昇を防ぐためのさまざまな工夫や技術として、ミストシャワーを初め木陰をつくること、あるいは壁や窓を緑で覆う壁面緑化、あるいはすだれ、打ち水といった具体的な例を示しているところでございます。  そこで、ミストシャワーを熱中症対策として駅周辺や公園などの公共施設に設置してはどうかという御提案についてでございますが、ミストシャワーが設置された場所におきましては、一定外気温が下がり、暑さを和らげるという効果があると私も思いますが、公共施設の利用者の熱中症対策といたしまして、さまざまな方法がある中でどのような対応をするのがいいのかということについては、それぞれの施設の管理者に判断いただくことではないかというふうに考えております。 ◆25番(富田博明議員) (登壇)ありがとうございました。  それでは、次に移らせていただきます。  健康で暮らせる対策について、以下、健康医療福祉部長にお尋ねをいたします。  平成25年4月、健康増進法に基づき、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針が改正をされました。これは、21世紀の日本において少子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣および社会環境の改善を通じて、子供から高齢者まで全ての国民がともに支え合いながら、希望や生きがいを持ち、ライフステージに応じて健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなるよう、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な事項を示し、21世紀における第2次国民健康づくり運動を推進するものであるとされています。  その基本的な方向としては、健康寿命の延伸と健康格差の縮小や生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底、社会生活を営むために必要な機能の維持および向上、そして健康を支え守るための社会環境の整備、健康に関する生活習慣および社会環境の改善などがあり、地域や職場等を通じて、国民に対して健康増進への働きかけを進めるものとしています。  また、県におきましても、国が設定した全国的な健康推進の目標を勘案しつつ、その代表的なものについて、地域の実情を踏まえ、地域住民にわかりやすい目標を設定するとともに、市町ごとの健康状態や生活習慣の状況の差の把握に努力するものとするとなっています。  今、日本の平均寿命は世界一と言われています。いろいろな施策が打たれる中、住みよさは世界一であると考えますが、健康で長生きするには、自分の体が今どんな状況なのかを知っておかなければなりません。そのためには健診が必要でありますが、県民の健康課題でも掲げられているように、特定健康診査受診率が全国平均より低く、50%以下の45.2%と聞いています。  そこで、まず、滋賀県の平均寿命と健康寿命をどのように評価しておられるのか、お伺いします。  また、健康寿命延伸のためにどのような施策を実施されているのか、お伺いをいたします。  特に、死亡原因の1番と言われ、男性は2人に1人、女性は3人に1人が生涯の中でかかわると言われていますがんについてお尋ねをします。  がんを予防したい、がんになったら回復したい、がんになっても自分らしく暮らしたい、平成25年12月、全ての県民が健康で安心して暮らせるよう、がん対策を推進することを決意し、議員提案による滋賀県がん対策の推進に関する条例が制定されました。  この条例は、患者、家族の苦痛の軽減と療養生活の質の向上、がんによる死亡者の減少、患者、家族の安心を支える社会の構築を基本項目とする条例です。患者の皆さんからは大変喜んでいただいておりますが、制定されて1年半が経過しますが、現在、どんな取り組みを行っておられるのか、3点についてお尋ねをいたします。  まず、平成26年度予算で設置されましたがん対策推進基金を活用し、どんな取り組みがなされているのか、お伺いをいたします。  先ほども述べさせていただきましたが、がん予防および早期発見が重要であると考えますが、現在、県内の受診率は30%台と聞いています。がん検診受診率50%に向けた受診率向上対策について、現在の推進状況はいかがなものか、お伺いをいたします。  また、条例では、県の責務、県民の責務、事業者の責務が掲げられ、県民が一体となって取り組むとされています。特に、患者の社会活動の参加に資する事業者の支援が必要とされていますが、条例20条のがん患者の就労支援についてお伺いいたします。  以上、御答弁よろしくお願いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) 健康寿命を初め健康で暮らせる対策についての5点の御質問にお答えします。  まず、健康寿命に関する質問でございます。  滋賀県の平均寿命と健康寿命の評価についてでございますが、滋賀県民の平均寿命は、平成22年、男性が80.58歳、女性が86.69歳と、いずれも全国に比べて長寿であり、都道府県順位では、男性が2位、女性が12位でございました。また、平成22年の国民生活基礎調査をもとにした健康寿命は、男性が70.67歳、女性が72.37歳であり、男性は全国平均並み、女性は最下位ということでございました。  このように、本県は、平均寿命は長いけれども健康寿命が短いという結果となっておりまして、不自由な生活を送る期間が長くなるというような状況であることから、今後、健康寿命の延伸に積極的に取り組む必要があるというふうに考えております。  次に、健康寿命延伸のためどのような施策を実施しているかということでございます。  健康寿命に寄与する要因はさまざまございます。中でも、生活習慣病の予防が重要であると考えております。高齢化の進展に伴いまして、がん等の生活習慣病の増加、重症化も進むことから、食事や運動、喫煙などの生活習慣を改善するため、生涯を通じて疾病予防に力点を置いた健康づくりを推進しているところでございます。  中でも、健康に対する県民の知識や意識を高め、実践につなげるための具体策といたしまして、子供のころからの虫歯予防、企業やJA、量販店と一緒に取り組む野菜一皿キャンペーンや社員食堂のメニュー指導、あるいは糖尿病の重症化予防を促す特定保健指導の強化、障害者や高齢者に対する誤嚥性性肺炎防止のための口腔ケアといったことなどを実施しているところでございます。こうした施策をボランティア団体や企業と協同で進めることによりまして、健康寿命の延伸に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、がん対策推進基金を活用した取り組みについてでございます。  昨年度は、がん患者団体連絡協議会のがん患者向けのホームページの整備やリレー・フォー・ライフ・ジャパンしがが実施いたしましたがん制圧チャリティーイベントに補助などを行いました。  今年度については、幅広く提案を募ったところ、がん患者向けのホームページの整備、講演会の開催、がん検診受診率の向上の啓発、休日、夜間におけるがん相談など、11団体から13事業の御提案がございました。  さらに、今年度も引き続きまして共助の視点を大切にして、がんに関する情報の効果的な発信や、がん予防の普及啓発のための講演会等を行ってまいります。  次に、4点目、がん検診の受診率の進捗状況でございますが、平成29年度の目標値50%の達成を目指して取り組んでいるところでございます。平成22年度の受診率は、がんの種類によって幅がありますが、16%から29%でありましたが、平成25年は33%から36%となっております。  そこで、がんについて県民の関心を高めるため、年間を通した啓発を行うとともに、条例が制定されました平成25年度以降は、条例に定められた滋賀県がんと向き合う週間が設けられましたことを受けまして、県では、JR電車内や駅でのポスターの設置、BBCによるスポットCM放送などを行ったところでございます。  また、今年度は受診率向上に効果のある未受診者への個別再勧奨を実施している市町に対しまして、支援を行ってまいります。  5点目に、がん患者の就労支援についてでございます。  新たにことし8月に、滋賀労働局や社会保険労務士会などの関係団体を含め、がん患者就労支援専門部会を設置いたします。この部会で、がん患者就労実態調査を踏まえた支援策や会社と主治医間の情報連絡シートの普及、効果的な研修の方法などについて検討していただきまして、がんについて事業所の理解を深めていただき、がん患者の職場への円滑な受け入れが促進されるよう、取り組みを進めてまいります。  がんに対する正しい理解の促進に向けまして、事業所向けの研修会や広報誌等を活用しながら、がん患者の就労に関する情報提供を引き続き行ってまいります。 ◆25番(富田博明議員) ありがとうございました。終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、25番富田博明議員の質問を終了いたします。  以上で、発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  関連質問なしと認めます。  以上で、質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議第101号から議第115号まで(平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか14件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(西村久子) 議第101号から議第115号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   平成27年6月定例会議議案付託表                                        平成27年7月7日(火)  〇総務・企業常任委員会   議第101号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳入の部 全  部     歳出の部 款2 総合政策費          款3 総務費   議第103号 滋賀県職員の再任用に関する条例および滋賀県職員退職手当条例の一部を改正する条例案   議第104号 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例および滋賀県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例案   議第106号 滋賀県税条例等の一部を改正する条例案   議第113号 滋賀県母子および父子ならびに寡婦福祉資金貸付金に係る償還金および違約金の請求訴訟の提起につき議決を求めることについて  〇政策・土木交通常任委員会   議第101号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款8 土木交通費   議第105号 滋賀県個人情報保護条例等の一部を改正する条例案   議第109号 滋賀県建築基準条例および滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案   議第115号 関西広域連合規約の変更につき議決を求めることについて  〇環境・農水常任委員会   議第101号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款7 農政水産業費   議第110号 滋賀県琵琶湖流域下水道条例の一部を改正する条例案   議第111号 滋賀県鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律等に基づく指定猟法禁止区域等を表示する標識の寸法を定める条例および滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案   議第112号 契約の締結につき議決を求めることについて(新琵琶湖博物館創造第1期展示制作および設置等業務委託)  〇厚生・産業常任委員会   議第101号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款5 健康医療福祉費          款6 商工観光労働費   議第102号 平成27年度滋賀県病院事業会計補正予算(第1号)   議第107号 滋賀県食の安全・安心推進条例等の一部を改正する条例案   議第108号 滋賀県遊泳用プール条例の一部を改正する条例案  〇文教・警察常任委員会   議第101号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款10 教育費   議第114号 損害賠償請求に係る和解および損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表
    △請願第2号 人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止する法律の制定を求める意見書の提出について 請 願 番 号 第2号 受 理 年 月 日 平成27年6月29日 件     名 人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止する法律の制定を求める意見書の提出について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 大橋通伸 成田政隆 付 託 委 員 会 政策・土木交通常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  ここ数年来、主に在日外国人を標的としたヘイトスピーチ(差別扇動)デモが日本各地で起こっており、聞くに堪えない暴言に対して、耐え難い恐怖を感じている。  ヘイトスピーチを行う団体は、在特会(在日特権を許さない市民の会)をはじめとするネット右翼や新興の右派団体である。繁華街において、拡声器を使ってレイシズム的表現で憎悪を煽る彼らの言動は、日本の社会問題として深刻化している。日本の各界からも、彼らの人種差別を憂慮し、規制を求める声が上がっており、2020年の東京オリンピックを控え、国際社会においても問題視されているのが現状である。  私たちは、これらのことを重く捉え、外国人住民の生命と安全を脅かすヘイトスピーチ・ヘイトクライムが一日も早く根絶されるよう、以下のとおり請願する。 【請願理由】 1.ヘイトスピーチは、人種差別を煽る犯罪行為である。 2.ヘイトスピーチは、特に韓国人住民にとっては大きな脅威であり、教育上、子どもや青少年に悪影響を与えている。 3.京都地裁および大阪高裁が在特会による街宣は「人種差別」と認定し、賠償命令を下している。 4.彼らの言動は日本社会の問題であり、ヘイトスピーチの放置が東京オリンピックを始めとする国際交流事業に与える影響が憂慮される。 5.国連自由権規約委員会および人種差別撤廃委員会が日本に勧告している。 6.ヘイトスピーチは国際社会では処罰対象となっている。 【請願内容】 1.内閣総理大臣と国会を始めとした関係行政庁に対し、人種差別・民族差別を煽るヘイトスピーチなどを法律で禁止することを求める意見書を提出されたい。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第3号 福井地方裁判所の「再稼働差し止め」決定を尊重し、高浜原発3号機および4号機の再稼働をしないことを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第3号 受 理 年 月 日 平成27年7月1日 件     名 福井地方裁判所の「再稼働差し止め」決定を尊重し、高浜原発3号機および4号機の再稼働をしないことを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 海東英和 下村 勳 杉本敏隆 節木三千代 駒井千代 大橋通伸 井阪尚司 付 託 委 員 会 総務・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  4月14日、福井地方裁判所は、関西電力高浜発電所3号機および4号機の運転の差し止めを命じる仮処分決定を発令した。  決定では、全国の原発で想定を超える地震が起こっており、高浜原発では基準地震動(700ガル)を超える地震が起こらないという関西電力の主張は根拠に乏しく、基準地震動を下回る地震であっても、冷却機能を失う危険があると指摘している。また、関西電力が主張する多重防護による安全性確保についても、多重防護は成立していないとしている。  さらに、使用済み核燃料が堅固な施設に閉じ込められておらず、国民の安心が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故は起きないだろうという見通しにより対応されているとしている。そして、原発の新規制基準は緩やかに過ぎ、適合しても安全性は確保されず、人格権が侵害される具体的危険性があると結論付けた。  自治体も現実的かつ合理的な避難計画を策定できずにいる。原発から30km圏内の自治体である滋賀県は、避難計画の策定が義務付けられ、立地自治体同様、事故時の多大なリスクを負っているが、新規制基準では、避難計画が実行できるかどうかは考慮されておらず、安全な避難計画なしの再稼働はするべきではない。  事故が起こった場合、住民の命や健康、暮らしに大きな被害を受けるとともに、近畿1,450万人の水源である琵琶湖の汚染による影響は計り知れない。私たちは琵琶湖を守る一員として、原発を再稼働しないことを、国に対して求める。また、原発事故が起きた福島県では、子どもたちのがんの被害も発表され、国際原子力機関も、福島県での原発事故について、国や東京電力を厳しく批判している。国や行政は、市民の生命と安全を守る立場から、この司法の判断を厳粛に受け止めるべきである。  以上から、滋賀県議会として国に対し、再稼働差し止めの決定を尊重し、高浜原発3号機および4号機の再稼働をしないことを求める旨の意見書を提出することを請願する。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第4号 「集団的自衛権の行使を具体化する安全保障法制案を廃案にすることを求める意見書」の提出を求めることについて 請 願 番 号 第4号 受 理 年 月 日 平成27年7月1日 件     名 「集団的自衛権の行使を具体化する安全保障法制案を廃案にすることを求める意見書」の提出を求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本 敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 政策・土木交通常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  政府は、集団的自衛権行使を認める一連の法案を5月14日に閣議決定し、翌15日に国会に提出した。この安全保障法制案は、新法の「国際平和支援法案」と武力攻撃事態対処法や重要影響事態法(周辺事態法)等の既存の法律を一括改正する「平和安全法制整備法案」からなる。  一番の問題点は、集団的自衛権が行使できる仕組みをつくることである。我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由等が覆される危険があると、安倍首相等が判断すれば武力行使ができ、しかも国会も事後承認でよいとされている。  二番目は、自衛隊の海外派兵先について、日本周辺という地理的要件を外したことで、対象国を限定せず派兵が可能となる。  三番目は、日本の事態に関係なく恒久的な海外派兵ができることであり、米国等への後方支援が可能となるとともに、現に銃弾が飛び交っていなければ、戦闘現場でも活動が可能となる。  四番目は、国連平和維持活動協力法を改正し、他国軍の警備等のための武器使用を可能にする等、様々な法改正等で戦争できる国をつくろうとしていることである。  今回の法案は、政府は任意にどんな事態にも自衛隊を参戦させられるとするもので、このような憲法の実質的な改変を国民の十分な議論もなく法律で行うことは、立憲主義に反している。  このことが現実になれば、自衛隊員が人を殺し殺される立場になり、若い世代がその役割を担うこととなる。また、自治体や国民の戦争協力義務の範囲が広がり、私たちの生活にも影響する。  自治体の任務は、市民の生命財産を守ることで、戦争に協力することではない。県民である自衛官、医師等が戦地に送られたり、県の管理する施設が戦争に使われることはあってはならない。  6月4日の衆院憲法審査会では、憲法学者3人が「憲法違反」との認識を表明しており、世論調査でも国民の根強い懸念が裏付けられている。  この先、滋賀県議会として国に対し、地域の若者を戦場に送り出すことのないよう、集団的自衛権の行使を具体化する安全保障法制案を廃案にすることを求める意見書を提出することを請願する。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第5号 戦争につながる安全保障関連2法案(国際平和支援法案、平和安全法制整備法案)の廃案を求める意見書採択について 請 願 番 号 第5号 受 理 年 月 日 平成27年7月1日 件     名 戦争につながる安全保障関連2法案(国際平和支援法案、平和安全法制整備法案)の廃案を求める意見書採択について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 政策・土木交通常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  安倍内閣が5月14日に閣議決定した安全保障関連2法案(国際平和支援法、平和安全法制整備法)の審議が、衆議院安全保障関連特別委員会で行われている。  この法案では、米軍主導のあらゆる戦争に自衛隊が参加し、日本が直接攻撃されていなくても、米軍を支援することが可能となる。法案には、平和や安全の名前がついているが、自衛隊が地球規模で戦闘の場に行き、「殺し殺される」ことが現実となる。  歴代の自民党政権が憲法上できないとしてきたことを踏み越え、アジアと世界に不戦を誓った憲法9条を壊し、戦後日本の国のあり方を根底から覆すものである。しかも、この重大な法案を「夏までに成立」させることを勝手に米国政府と約束することは許されない。  どの世論調査でも反対が多数である。若者、戦争体験者、保守を名乗る人々からも「戦争はぜったいダメ」の声があがり、日本弁護士連合会も法案の違法性を強く訴え、日本中で反対運動が広がっている。  今年は、戦後70年であり、今こそ平和国家としての日本の歩みをさらに進めるときである。戦争につながる安全保障関連2法案は、徹底審議し、廃案にするべきである。  以上のことから、滋賀県議会として国に対し、戦争につながる安保関連法制の廃案を求める意見書を提出されるよう請願する。            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(西村久子) お諮りいたします。  明8日から15日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(西村久子) 来る16日は、定刻より本会議を開き、付託案件に対する各常任委員長の報告を求めます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時22分 散会    ────────────────...